衆議院

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第23号 平成19年6月1日(金曜日)

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平成十九年六月一日(金曜日)

    午前九時三十四分開議

 出席委員

   委員長 七条  明君

   理事 上川 陽子君 理事 倉田 雅年君

   理事 武田 良太君 理事 棚橋 泰文君

   理事 早川 忠孝君 理事 高山 智司君

   理事 平岡 秀夫君 理事 大口 善徳君

      赤池 誠章君    稲田 朋美君

      今村 雅弘君    近江屋信広君

      奥野 信亮君    鍵田忠兵衛君

      笹川  堯君    清水鴻一郎君

      柴山 昌彦君    杉浦 正健君

      松本 洋平君    三ッ林隆志君

      武藤 容治君    森山 眞弓君

      矢野 隆司君    保岡 興治君

      山口 俊一君    石関 貴史君

      大串 博志君    黄川田 徹君

      中井  洽君    松木 謙公君

      横山 北斗君    神崎 武法君

      保坂 展人君    滝   実君

    …………………………………

   法務大臣         長勢 甚遠君

   内閣官房副長官      下村 博文君

   法務副大臣        水野 賢一君

   法務大臣政務官      奥野 信亮君

   最高裁判所事務総局経理局長            小池  裕君

   最高裁判所事務総局刑事局長            小川 正持君

   政府参考人

   (警察庁長官官房総括審議官)           巽  高英君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    縄田  修君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    小津 博司君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    梶木  壽君

   法務委員会専門員     小菅 修一君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月一日

 辞任         補欠選任

  後藤田正純君     松本 洋平君

  柳本 卓治君     鍵田忠兵衛君

  河村たかし君     松木 謙公君

  横山 北斗君     黄川田 徹君

同日

 辞任         補欠選任

  鍵田忠兵衛君     柳本 卓治君

  松本 洋平君     後藤田正純君

  黄川田 徹君     横山 北斗君

  松木 謙公君     河村たかし君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七七号)


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     ――――◇―――――

七条委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、本案に対し、上川陽子君外一名から、自由民主党及び公明党の共同提案による修正案、平岡秀夫君外一名から、民主党・無所属クラブ提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 提出者から順次趣旨の説明を求めます。大口善徳君。

    ―――――――――――――

 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

大口委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提案者を代表いたしまして、その提案の趣旨及び内容を御説明いたします。

 政府の提出に係る本法律案は、犯罪の被害に遭われた方々やその遺族の方々が刑事裁判に参加する制度、あるいは損害賠償請求に関し刑事手続の成果を利用する制度といった新たな制度の創設をその内容とするものであります。

 また、ほぼ同時期には裁判員の参加する刑事裁判制度の導入が予定されており、刑事裁判が大きく変わろうとしているところでもあります。

 こうした状況を踏まえた上での委員会での審議の結果、本修正案を提出することとした次第であります。

 次に、本修正案の内容について申し上げます。

 本修正案は、本法律案の附則に、政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律による改正後の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする旨の規定、及び、政府は、被害者参加人の委託を受けた弁護士の役割の重要性にかんがみ、資力の乏しい被害者参加人も弁護士の法的援助を受けられるようにするため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする旨の規定を加えるものであります。

 以上が、修正案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ、十分な御審議の上、委員各位の御賛同をお願いいたします。

七条委員長 次に、横山北斗君。

    ―――――――――――――

 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

横山委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提案者を代表いたしまして、その提案の趣旨及び内容を御説明いたします。

 民主党は、これまで、政府や与党に先駆けて犯罪被害者基本法案を提出するなど、犯罪被害に遭われた方々あるいはその遺族の方々の保護、支援に積極的に取り組んでまいりました。

 しかしながら、これまでの委員会での審議等を踏まえ、政府案の採用する被告事件の手続への被害者参加制度については、我が国における刑事裁判制度の根本にかかわる問題を内包しており、ほぼ時期を同じくして導入される裁判員裁判制度に不適切な影響を及ぼす懸念も払拭できないとの判断に達し、民主党として修正案を提出した次第であります。

 次に、本修正案の内容について申し上げます。

 第一は、被告事件への関与が許される被害者等の範囲を拡大し、裁判所は、死刑または無期もしくは長期三年以上の懲役もしくは禁錮に当たる罪に係る被告事件の被害者等から手続への関与の申し出があるときは、決定で、当該被害者等の手続への関与を許すことができるものとすることとしております。

 第二は、証人の尋問、被告人に対する質問及び検察官による事実または法律の適用についての意見の陳述への被害者等の関与についてであります。

 その一は、検察官は、証人を尋問する場合において、被害者関与人等から申し出があるときは、申し出をした者に対し、あらかじめ、尋問しようとする事項を知る機会を与えなければならないものとするとともに、被害者関与人等は、検察官に対し、当該事項に付加して、必要な事項の尋問を求めることができるものとしております。また、裁判所は、被害者関与人等の申し出があるときは、決定で、検察官に対し、当該事項を尋問事項に付加すべきことを命ずることができるものとしております。

 その二は、検察官は、被告人に対して供述を求める場合において、被害者関与人等から申し出があるときは、申し出をした者に対し、あらかじめ、質問をしようとする事項を知る機会を与えなければならないものとするとともに、被害者関与人等は、検察官に対し、当該事項に付加して、必要な事項の質問を求めることができるものとしております。また、裁判所は、被害者関与人等の申し出があるときは、決定で、検察官に対し、当該事項を質問事項に付加すべきことを命ずることができるものとしております。

 その三は、検察官は、被害者関与人等から申し出があるときは、申し出をした者に対し、あらかじめ、検察官が事実または法律の適用について陳述する意見の要旨を知る機会を与えなければならないものとし、被害者関与人等は、検察官に対し、訴因として特定された事実の範囲内で意見の要旨の変更を求めることができるものとしております。

 第三は、総合法律支援法を改正し、刑事手続に適切に関与するために必要な費用を支払う資力がない被害者等を援助するための法律扶助制度を創設することとしております。

 第四は、検討条項についてであります。

 その一は、政府は、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の施行後三年を経過した場合において、改正後の刑事訴訟法の被害者の関与に係る規定の施行の状況、裁判員の参加する刑事裁判の制度の実施状況等を勘案し、犯罪被害者等の刑事に関する手続への関与のあり方について検討を加え、必要があると認めるときは、所要の措置を講ずるものとすることとしております。

 その二は、政府は、改正後の犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律の損害賠償命令に係る規定の施行の状況等を勘案し、犯罪による被害の補償に係る制度について検討を加え、必要があると認めるときは、所要の措置を講ずるものとすることとしております。

 以上が、修正案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ、十分な御審議の上、委員各位の御賛同をお願いいたします。

七条委員長 これにて両修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

七条委員長 この際、お諮りいたします。

 本案及び両修正案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房総括審議官巽高英君、警察庁刑事局長縄田修君、法務省刑事局長小津博司君、法務省矯正局長梶木壽君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

七条委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局小池経理局長及び小川刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

七条委員長 これより原案及び両修正案を一括して質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近江屋信広君。

近江屋委員 自由民主党の近江屋信広であります。

 今回の犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案により、新たに創設することとされております被害者参加の制度につきまして、質問をさせていただきたいと存じます。

 これまでの刑事裁判におきまして、被害者の方々、通常傍聴席におられて、そして証人として証言する際などの限られた場面でバーの内側に入ることができたにすぎなかったわけであります。このような現状に対しまして、被害者の方々からは、自分たちは証拠として扱われているにすぎず、事件の当事者にふさわしい扱いを受けてはいないのではないかとの批判がなされてきました。そこで今回、被害者参加の制度を新設することとされたわけですが、一部に、被害者の方々の参加は行き過ぎであって、間接的な関与にとどめるべきではないかという御意見もあります。

 そこでまず、本案において、間接的な関与とはせずに、被害者の方々が刑事裁判に直接関与する、すなわち参加することができる制度とした考え方につきまして、改めて法務大臣にお伺いいたしたいと存じます。

長勢国務大臣 犯罪被害者等基本法では、国の責務として、刑事に関する手続への参加の機会を拡充するための制度の整備等必要な施策を講ずることを定めております。したがって、本法律案による被害者参加制度のように、被害者の方々に対して、刑事裁判に間接的に関与するにとどまらず直接関与する、すなわち参加することを認めることが基本法の趣旨に最も合致するものであると考えております。

 また、本制度により被害者の方々が刑事裁判に参加することができるようになることは、多くの被害者の方々が求めておられることでもあり、その名誉の回復や被害からの立ち直りにも資するものであると考えております。

 こうしたことから、本法律案においては、被害者の方々が刑事裁判に間接的に関与するのではなく、参加することができる制度を創設することとしたものであります。(発言する者あり)

七条委員長 御静粛にお願いいたします。

近江屋委員 法務大臣の答弁で、多くの被害者の方々の要請によって、被害者の方々が直接関与する、参加の形が適切であるという答弁でありました。その点は、よく理解できるところであります。

 まず、この制度が導入されますと、被害者の方々がバーの内側に入りまして、一定の要件のもとで、裁判所の許可を得た場合に限ってではありますが、証人尋問や被告人質問あるいは事実関係または法律の適用についての意見陳述ができることとなります。この新制度は刑事訴訟法がとる当事者主義の訴訟構造を変容させるものではないか、そういう見方も一部にありますが、これまでの答弁を伺っておりますと、当事者主義というものを変容するものではないということでありましたので、この点も私は理解したところであります。

 ただ、これまでの刑事訴訟のスタイルが大きく変化する、変わるということは確かでありまして、このことは、被害者の皆さんの声、また要望を踏まえた被害者のための改革であることはもちろんだと思います。一方で、刑事訴訟そのものについてもメリットがある改革なのではないかと思います。したがいまして、新制度導入によりまして刑事訴訟そのものにどのようなメリットが生じるのか、その点について、法務大臣、改めて御見解を伺いたいと存じます。

長勢国務大臣 今回の制度導入によって刑事訴訟の枠組みが変わるというものではないということは、おっしゃるとおりでございます。

 そういう中で被害者参加の制度が導入されれば、刑事裁判が被害者の方々の心情や意見をも十分に踏まえた上でなされることがより明確となり、刑事司法に対する被害者を初めとする国民の信頼を一層確保するとともに、適正な科刑の実現にも資することとなるというふうに考えております。

 また、被害者の方々が刑事裁判に主体的に参加することは、その名誉の回復や立ち直りにも資するものと考えられます。

 さらに、被告人においても、被害者の方々の意見を直接聞くこと等により被告人の理解や反省が深まり、その更生に資する効果を与える場合もあると考えられます。

 このように、本制度は、被害者の方々のみならず、刑事訴訟にとっても大きな意義があるものと考えております。

近江屋委員 この新しい制度、被害者の方々のためというにとどまらず、刑事訴訟そのものについても大きな意義がある、メリットがあるというお答えでありました。ありがとうございました。

 次に、検察官と被害者参加人との間におけるコミュニケーションについてであります。

 法廷におきましては、検察官がその立証方針に基づきまして犯人の処罰に向けて各種の訴訟活動を行っているわけでありますが、刑事訴訟法に関する知識や経験の乏しい被害者参加人にとっては、検察官がどのように考えて訴訟活動を行っているのかということをきちんと理解した上でないと、真の意味で訴訟に参加することは困難であると思われます。

 そういう意味で、今回の法案によりまして、被害者参加人と検察官とのコミュニケーションに関する規定が置かれて、すなわち第三百十六条の三十五でありますが、そういう規定が設けられたということについては、これは大変重要なことと考えられます。

 ただ、検察官とのコミュニケーションというものは、裁判に参加する際のみならず、被害者参加人以外の被害者の方々についても、そういった検察官とのコミュニケーションを図ることが重要と考えますが、この点、どのように考えておられるのか、法務大臣にお伺いいたします。

長勢国務大臣 被害者が刑事裁判に参加をするかどうかはその方の御判断でございますが、仮に参加をしない被害者の方々についても、その心情や要望が尊重されるべきことは当然であると考えております。

 こういう観点から、現在でも、検察においては、被害者の方々から意見を聞いたり、必要に応じて説明を行うなど、被害者の方々とのコミュニケーションの確保に努めているものと承知をしておりますが、引き続きこのような取り組みを強化していく必要があると考えております。

近江屋委員 刑事裁判に参加しない被害者についても、その心情、要望をしっかり尊重していきたい、当然のことであるという答弁でありましたが、その点、ぜひともよろしくお願いいたしたいと存じます。

 最後に、一点お伺いいたします。

 この被害者参加制度につきましては、さまざまな方から、本委員会の審議の過程においてもいろいろな意見がございました。法廷が復讐の場となるのではないかとか、被告人の防御権を害するのではないかとか、また、参加することによって被害者の方々が二次被害を受けるのではないかとか、また、参加しない被害者の方々の処罰感情が過小に評価されるのではないかとか、また、裁判員に不当に影響を与えることとなるのではないかなどの懸念が示されてきたところであります。

 本委員会の審議の過程におきまして、これらの点につきましては、法務大臣を初めといたしまして、いずれも司法当局の答弁、方針は明快だとは思います。思いますが、ただし、どの法律でも同じでありますけれども、その運用を誤れば重大な権利侵害に立ち至る、そのようなことにつながっていくことにもなりかねません。

 したがいまして、新設された被害者参加の制度等によりまして、真の意味で犯罪被害者の権利利益の保護を図るためには、本法案の成立後、法の規定に基づいて適正な運用を図ることが重要であると考えますので、この点について法務大臣の御決意、御見解を伺いたいと存じます。

長勢国務大臣 被害者参加の制度を含め、本法律案に盛り込んでおります各種の制度は、いずれも、犯罪被害者の権利利益の保護を図るため、大変重要なものであると考えております。

 この被害者参加の制度や損害賠償命令の制度はこれまで我が国になかった新しい制度でありますから、当委員会でもいろいろな観点からの御懸念も御論議いただいてきたところでございます。そういう問題を踏まえて、関係機関とも連携しつつ適正に運用していくということが大変大事だということは、おっしゃるとおりだと考えます。

 この法律が成立した場合には、被害者参加の制度等が施行されるまでには十分な時間がありますので、その間にそれぞれの制度を設けた趣旨や内容等の周知の徹底を図ることなど、それぞれの制度が円滑に運用されるよう、施行に向けて万全の準備を行ってまいりたいと考えております。

    〔委員長退席、上川委員長代理着席〕

近江屋委員 ただいまの法務大臣の御決意をしっかり受けとめた次第であります。法律の施行までまだ時間がありますので、新たな制度がきちんと機能して、それぞれの目的が達せられるように、先ほど法務大臣が申されたように、関係機関が連携の上、しっかりと準備を進めていただくようにお願いいたしまして、時間となりましたので、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

上川委員長代理 次に、神崎武法君。

    〔上川委員長代理退席、早川委員長代理着席〕

神崎委員 公明党の神崎武法でございます。

 まず、与党修正案についてお伺いをいたします。資力の乏しい被害者参加人も弁護士の法的援助を受けられるようにするため、必要な措置を講じるように努めるとの規定を追加いたしました。これは、犯罪被害者の長年の要望に沿うもので、私は、画期的な提案であると高く評価をいたしたいと思います。

 ところで、三年後に施行状況について検討し、その結果に基づいて所要の措置を講ずることといたしております。特に、この三年後の検討条項を置いた趣旨についてお尋ねをいたします。

大口委員 今回、与党におきまして修正案を出させていただきました。この法律案は、犯罪の被害に遭われた方々やその遺族の方々が、刑事裁判に参加する制度、あるいは損害賠償に関し刑事手続の成果を利用する制度といった新たな制度の創設を内容としております。

 また、非常に近接する時期に、その施行は若干後になりますが、裁判員の参加する刑事裁判制度の導入が予定されている、こういうことで、非常に刑事裁判というのが大きく変わろうとしているわけでございます。

 そういう点で、本委員会におきますこれまでのこういう状況を踏まえたさまざまな質疑、そして参考人の御意見、視察等にも行かせていただきました、そういう結果から、本案の修正案を提出させていただくことになりました。

 そして、改正後の施行状況を見まして、検討を加えて、必要があるときはその結果に基づいて所要の措置を講ずる、そういうことを義務づける、こういうことでございます。

 また、被害者参加人の委託を受けた弁護士の果たす役割、これは重要であると大臣も答弁されておるわけでございますけれども、資力の乏しい被害者参加人も弁護士の法的援助を受けられるようにする。やはり、資力のない人は、たった一人で法廷に行くということは非常に難しいわけでございますので、そういう点では、こういう法的援助を受けられるように、十二月を目指して、検討会というのが内閣府で行われて、今詰めているわけでありますけれども、附則によって法律で講ずることに努めることを義務づける、こういうことによって一層この制度の構築に向けて大きな前進が図られる、こういうふうに考えております。

 以上です。

神崎委員 与党修正案は大変意義のあるもので、高く評価をいたしたいと思います。

 そこで、私は、きょうは、損害賠償に関し刑事手続の成果を利用する制度を中心にお尋ねをいたしたいと思います。

 この制度の性格につきまして、マスコミあるいは学者の間でいろいろな意見があるように思われます。いわゆるこれは附帯私訴の制度だというふうに見る方と、いや、附帯私訴ではなくて独自の制度だ、こういう見方がございまして、附帯私訴制度につきましては、旧刑訴法にありましたけれども、廃止されて現行の刑訴法にはないわけでございます。

 新たに附帯私訴の制度を設けたのかどうかということなんですけれども、結局、附帯私訴についての定義を厳格に考えるか、あるいは緩やかに考えるかということで両方の見方が出てくるんだろうと思いますが、法務当局としては、この制度はどういう観点に立って制度設計をされたのか、この点についてお伺いをいたします。

小津政府参考人 一般に、附帯私訴とは、犯罪によって被害を受けた者がその事件の刑事手続に附帯して裁判所に提起する民事上の訴えをいいまして、御指摘のとおり、我が国において旧刑事訴訟法に設けられていたほか、ドイツ等においても導入されているものでございます。これらの制度におきましては、刑事裁判の審理中に民事上の訴えについての審理も行うことができるとするなど、刑事手続と民事手続が基本的に融合していることを特色としているものと考えられます。

 これに対しまして、本制度は、これまで御説明申し上げているとおりの内容でございまして、刑事と民事の審理は分断いたしまして、また刑事判決の内容について法的な拘束力は認めないで、民事上の争点については損害賠償命令事件の審理等において十分に主張、立証していくということにしたものでございます。

 この御提案申し上げている制度を附帯私訴と位置づけるかどうかというのは、まさに委員御指摘のとおり、概念の定義によるものと思われるわけでございますけれども、旧刑訴あるいはドイツ等におけるような附帯私訴に比べますと、ただいま申し上げましたような点が異なるということでございます。

神崎委員 損害賠償命令の申し立てのできる事件は、故意犯で、かつ、一定範囲の罪に限定をしているところでございます。

 まず、対象犯罪を限定した理由及びどういう基準でこれを限定したのか、この点について大臣にお伺いをいたします。

長勢国務大臣 対象犯罪を限定したのは、本制度を円滑に導入して運用していくためには、救済の必要性が強く認められ、かつ、簡易迅速な手続で審理するのが相当と思われる犯罪を対象とするのが相当であると考えられたことによるものであります。

 対象犯罪を限定した基準でございますが、一つは、故意の犯罪行為により人を死傷させた罪や、強姦罪等、類型的に身体的、精神的に疲弊して通常の民事訴訟を提起することが困難であると思われる犯罪であり、救済の必要性が強く認められること、二つ目に、刑事手続において認定された事実をもとに簡易迅速な手続で民事上の請求についての判断をすることができることを基準として限定したものでございます。

神崎委員 この制度では、業務上過失致死傷を除外しておりますけれども、それはどういう意味なんでしょうか。

長勢国務大臣 対象犯罪を限定した理由、基準は今申し上げたとおりでございますが、そういった観点から見ますと、業務上過失致死傷罪については、事故の当事者のどちらの過失が大きいかという、いわゆる過失割合が問題となるような事案においては、刑事裁判の中で争っておかないと後の民事の手続で不利になるという理由でその争いが刑事裁判に持ち込まれ、迅速な刑事裁判の実現を阻害するおそれがあると思われること、また、交通関係の民事訴訟については、そのような過失割合等の審理に時間を要しているとのことであり、現に交通事件の専門部や集中部が設けられている裁判所もあるなど、専門的な判断を要する事項が多いものと思われること、さらに、保険会社が絡むような事件については、加害者と被害者だけではなく、保険会社も含めて解決を図る必要があることなどからすると、そもそも刑事手続を利用して簡易迅速な審理により紛争の解決を図ることとする本制度にはそぐわないと考えられます。そこで、この業務上過失致死傷罪は本制度の対象犯罪とはしないということとしたものでございます。

    〔早川委員長代理退席、委員長着席〕

神崎委員 この制度自体につきましてもさまざまな角度からの批判がありますので、それぞれについて法務当局の見解を伺いたいと思います。

 一つは、刑事裁判を担当した裁判官が引き続き損害賠償命令の裁判をするのでは被告にとって不利になるおそれがあるのではないか、こういう批判がありますが、どうでしょうか。

小津政府参考人 本制度では、刑事事件の審理を行った裁判所と同一の裁判所が損害賠償命令事件の審理を行うことにしておりますが、これは、刑事に関する審理において抱いた心証をそのまま引き継ぐことで、刑事手続の成果を利用して簡易迅速に紛争を解決するという趣旨に基づくものでございます。

 そして、本制度は、四回以内の期日で審理を終結することが困難であると認められるときには、通常の民事裁判所に事件が移行されることになります。したがいまして、本制度で対象として想定されますのは、基本的に四回以内で審理が終えるような事件、すなわち不法行為の原因となる訴因として特定された事実に特段の争いのない事件で、例えば被告人が刑事裁判において刑事事件への関与を否定して損害賠償命令手続においても同様に争うような事件は、対象として想定されていないわけでございます。

 また、裁判所がその事件について審理をし、また裁判を行った場合でございましても、相手方である被告人において損害賠償命令に不服がある場合には異議申し立てをすることができ、その場合には通常の民事裁判所に移行されて改めて審理されることになりますので、御指摘のように刑事裁判を担当した裁判官がそのままこの審理を担当しても被告人に不利になるものではないと考えております。

神崎委員 次に、刑事裁判を担当した裁判官が損害賠償命令の裁判をするとなると、被告人としては、被害者側の過失や落ち度を刑事の審理中にあらかじめ主張せざるを得なくなる、その結果、刑事事件の審理が長期化するおそれがあるのではないか、こういう批判に対してどうお答えになりますか。

小津政府参考人 本制度におきましては、刑事裁判中は民事に関する審理を一切行わず、刑事判決の後に民事に関する審理を行うこととしております。このように刑事と民事の審理を分断することにより、刑事に関する審理においては、これまでの刑事裁判と同様に刑事の観点から必要なもののみが審理の対象となって、民事に関する争いは持ち込まれないものと考えております。

 また、本制度におきましては、刑事判決に法的拘束力を認めておらず、民事上の争点については損害賠償命令事件の審理等において十分に主張、立証していくことができます。したがいまして、本制度の導入によって刑事事件の審理が長期化するおそれはないものと考えております。

神崎委員 次に、損害賠償命令の申し立て書の記載内容によりまして、刑事の裁判官が予断を持つのではないか、こういう批判についてはどうでしょうか。

小津政府参考人 まず、裁判所が損害賠償命令の申し立てを受けてその申し立て書の審査を行うことは、あくまでも後の民事の審理のために行うものでございまして、刑事被告事件の実態について裁判所の心証形成を目的とするものではありませんし、実際上もそのようなことはないわけでございます。

 さらに、本制度におきましては、御指摘のような疑念を抱かれることのないように、損害賠償命令の申し立て書には、請求の趣旨それから刑事被告事件に係る訴因として特定された事実、その他請求を特定するに足りる事実等の一定の事項以外の事項を記載してはならないということにしておるわけでございまして、御指摘のような御懸念はないものと考えております。

神崎委員 次に、この制度を認めますと、裁判員裁判における手続が混乱するおそれがあるのではないかとの角度からの批判があります。

 対象事件は、裁判員対象事件とほぼ重なり合う。せっかく公判前の整理手続で争点と証拠を整理して審理に入ったのに、この申し立てがなされますと、民事で争点となる被害額の算定に関する事実の有無等が事実上争点になってしまう、そういう意味で手続が混乱するのではないか、こういう批判がありますが、どうでしょうか。

小津政府参考人 ただいまの御指摘に関しましては、まず第一には、公判前整理手続によって争点が整理されて裁判員裁判の審理が始まるわけでございますので、まずその点で、損害賠償命令の申し立てがなされたとしても、その争いが持ち込まれることは想定しがたいわけでございます。

 もう一点は、先ほども申し上げましたように、刑事の裁判中は民事に関する審理は一切行わないということでその審理を分離しておりますので、そのような観点からも、またこれも先ほど申し上げましたが、刑事判決に法的拘束力を認めていない、民事についてはまた後で十分に争えるということでございますので、そのような御懸念はないのではないかと考えております。

神崎委員 終わります。

七条委員長 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 裁判員制度と重要な関係があるので、法案に先立って質問をまずいたしますが、先日来、裁判員制度の実施に当たって裁判所の庁舎の改築あるいは増築、こういった工事が行われているということで、資料を求めていたところ、昨日、総額二百十五億円余りの裁判員関連工事の一覧表が私のもとに届いたわけですね。

 経理局長にお聞きいたしますが、どうも、九九%を超える数値で落札された工事が随分あるなと思います。この工事名、受注業者名、予定価格、契約金額、落札率を教えていただきたい。

小池最高裁判所長官代理者 予定価格に対して最終的な契約金額が九九%を超えるというものは、全体で九十七件のうち十四件ございました。そのうちの大方は、いわゆる不落随契というものでございまして、入札者等がなかったために予定価格をアッパーリミットとしたものでございます。

 そういった意味で、不落随契を除きまして、そういう落札率が九九%を超えたものは一件、これは和歌山の地方・家庭裁判所の増築工事でございます。二階建ての建物を建てるものでございまして、これは、予定価格が三千九百九十五万円余りだったものが、三千九百九十万円という落札率でございます。契約の相手方は、小向商会というところでございます。

保坂(展)委員 経理局長は、今、一件というふうにお答えになっている。私の手元にある数字をどう見ても、六件はあるんですけれども。九九%台、例えばさいたま地裁増築工事、九九・五%ですね。宇都宮地裁増築工事、九九・九八%。これは違う数字なんですか。

小池最高裁判所長官代理者 ただいまのさいたま、宇都宮等につきましては、不落随契でございます。入札をしたわけでございますが、入札者がなかったために予定価格をアッパーリミットとして、これは予決令に定めて許されております随意契約でこの価格になったということでございます。

保坂(展)委員 この点については一般質疑でさらに聞いていきたいと思いますけれども、これだけ高いと談合の疑いがあるんだなというふうに思います。

 法務大臣に伺いますけれども、裁判員制度の導入、刑事司法の根幹を変えて被害者の訴訟参加ということで、これからの刑事裁判は大きく変わると先ほど与党の修正提案者もお話をされていましたけれども、この二つの制度、被害者参加人の訴訟参加が施行されて半年後に裁判員制度が始まるという、またぴったりそろわない形になっている。私は、議論がそこは十分じゃないのではないか、両方の制度がきちっとかみ合って議論されてきたというふうには言えないのではないか。その点、いかがですか。

    〔委員長退席、武田委員長代理着席〕

長勢国務大臣 この問題、この委員会でもたびたび御質問のあるところでございますが、裁判員制度の導入あるいは被害者の訴訟参加ということは非常に重要な改正ではありますけれども、いずれも従来の刑事訴訟の枠組みを変えるというものではないということは御理解いただいておると思います。

 その上で、そういう前提に立って、裁判員制度が始まるということを前提に、今まで被害者等基本法が制定をされ、またそれに基づく基本計画に基づいて検討をされ、法制審議会においても、そのことを前提に、裁判員制度との関係を考慮すべき事項として明示した上で、慎重な検討をされてきたということでございます。

 それで、このことについても、今申しましたように、この委員会でも大変慎重な御審議をいただいてきたわけでございまして、議論が不足しているという御指摘は当たらないと思いますし、それらの議論を踏まえて、本法律案が成立した場合には、裁判員制度の円滑な運用が阻害されることのないよう、適正な施行に万全を期していきたいと思っております。

保坂(展)委員 法務省小津局長に伺いますが、自分はやってはいないんだ、しかし捜査段階において自白を強要されたということで調書の任意性を争うような、裁判員が参加する法廷で、被害者参加人の方に検察官はどのように被告人の主張というのを説明するのか、簡単に答えてください。

小津政府参考人 これは一般的に言えば、個々の事件に応じて、必要に応じということになるわけでございますけれども、本制度の趣旨からいたしまして、重要なことは、被害者参加人の方に、刑事裁判というものはどういうものであるのか、そしてこの審理はどういうように進んでいるのかということをきちんと客観的に冷静に理解していただくということが大変重要であると思われるわけでございまして、委員御指摘のような事柄につきましても、検察官といたしましては、そのような観点から説明を行うべきものであるというふうに考えております。

保坂(展)委員 小津局長に伺いますが、先日の質問で、虚偽陳述、これは裁判員候補者が裁判長から質問を受けたときに、虚偽陳述というようなことで三十万円の過料もある、こういうことだったんですけれども、どのような回答が虚偽陳述に当たるのか。また、その三十万円の過料以外に五十万円の罰金というものも別にあるようですが、どういうふうに区分けをして科されるのか。

 つまり、警察官の捜査についてあなたは信用できますか、死刑について、法定刑があるので、これについてどうですかということが一応設問予定であるわけですね。それについて、虚偽陳述に対する罰金あるいは過料というのが設定されている。そのことが非常に気になるわけですね。

    〔武田委員長代理退席、委員長着席〕

小津政府参考人 裁判員法、このたび改正がなされましたが、その改正前の条文数で申しますと、八十一条と八十二条に規定がございます。

 八十一条は、虚偽の陳述をしたときは五十万円以下の罰金に処するということで刑事罰が定められておりまして、八十二条は、質問に対して正当な理由なく陳述を拒んだり虚偽の陳述をしたときは、裁判所は決定で三十万円以下の過料に処するという規定があるわけでございます。

 そこで、どういう場合にこれの適用があるかということでございまして、もちろん一概には申し上げられないわけでございますけれども、客観的な事実に反しているかどうかということがメルクマールでございます。また、そういう罰則、制裁との関係で申し上げれば、本人がわざとそういう虚偽の陳述をしたということが要件にあるものと理解しております。

保坂(展)委員 改正前の裁判員法の八十一条は刑事罰、そして八十二条は過料ということで、これは分かれるわけですね。そのメルクマールが客観的なということ。

 それで、具体的に聞きますのでお答えいただきたいんですが、例えば、裁判員候補者が、警察官の捜査を実は信用していないが、選任手続で裁判長に問われたときに正直に答えずにやり過ごしてしまった、つまり余り信用していないということを言えなかった、これは虚偽の陳述に当たるのか。それから二番目、警察の捜査に不信があると回答すると不選任にされると聞いていたので、信条をすべて語らなかった、これは虚偽の陳述に当たるのか、いかがですか。

小津政府参考人 恐縮でございますが、それぞれの事案によって判断されるということになりますし、基準は何かと申し上げれば、八十一条の場合も八十二条の場合も、客観的な事実に反することを言ったかどうかということでございます。

 また、八十二条との関係では、御指摘の例ですと、「正当な理由なく陳述を拒み、」というのに当たるかどうかということも議論の対象になろうかと思いますけれども、結局のところ、その方がどの程度のことを話して、その応答ぶりが陳述を拒んだということで裁判所が決定で過料を出すかどうか、こういう個々の裁判所の判断になろうかと思います。

保坂(展)委員 では、裁判所に伺います。

 例えば死刑判決、死刑という制度について、国民の間にはいろいろな、当然だという意見もありますし、また、これはよくないのではないか、自分としてはそういうのにくみしたくないという人もいますね。これが、裁判員候補者の選定手続の中で、いわゆる裁判官、裁判長が行う質問の中で、捜査官の捜査の信用性について、そして死刑についての考え方が文例として出されました。

 これまで、司法制度改革や裁判員制度の設計の中で、憲法上の内心の自由との関係でこの点は議論されたんでしょうか。裁判所の認識はどうですか。

小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、裁判員の選任と憲法上の内心の自由というか思想、良心の自由の関係については、憲法上の権利を侵すこととなるような義務づけを行うことは許されないという議論がなされたということは承知しております。

保坂(展)委員 それは余りにも簡単過ぎる答弁で、今、法務省刑事局長とやりとりしたような議論というのは、非常に境界線上でありますよね。結局、その方がどのような内面の思想を持っているのか、信条を持っているのかということに触れて、そのことを質問に対して全部吐露しなかった場合、虚偽の陳述に当たるのかどうかという論点もあるわけです。ここを今、裁判所はどう考えているのか。

小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 不公平な裁判をするおそれがあるかどうかという観点から、選任手続において裁判所がいろいろな質問をするということになるわけですが、このときに、実際にどういう事項を質問して、それに対する答えについてどのように考えるかというのは、個別の裁判体の判断でございますので、これは私どもの方から申し上げることではないと思います。

保坂(展)委員 法務大臣に伺いますが、今、不公平な裁判を行わないために、忌避ができるという制度があるわけですね。検察官と、これは被告、弁護士の側からも忌避ができるわけですが、警察官の捜査が信用できないというようなことを述べる人、あるいはそういう信条を持っている人は不公平な裁判をするおそれがあるんでしょうか。

長勢国務大臣 それは個々具体的に判断されるべきことでございますけれども、特にそこでどういう思想かということを質問したいということはないんだろうと思いますので、その状況によって、検察また弁護の方それぞれに御判断されるものと思います。

保坂(展)委員 法務大臣に伺います。

 今回の最初の質問で、やはり裁判員制度とこの被害者の訴訟参加、本来は一緒に設計されるべきだったというふうに私は強く思っているんですね。裁判員としてくじで選ばれて、私たち野党も東京地裁の裁判員席に座って、九人のいす、真ん中に裁判長、そして裁判官が座り、裁判員。被告席、そして被害者参加人は検察官の横に座るんだなと。こういう訴訟構造の中で、裁判員が、つまり、この制度がない裁判員制度と、今法案審議しているこの制度が組み込まれた裁判員制度、どこが変わってくると思いますか。

長勢国務大臣 まさに被害者参加の制度は、被害者の方々が直接的に関与される、そこでいろいろ被告人に対しても事実関係あるいは心情関係について質問ができるという制度でございますから、そのことが、裁判の中身について今までとは違った何らかの形、影響があるということは、それは避けられないことだろう、当然のことだろうと思います。

保坂(展)委員 当然のことだろうとおっしゃいましたけれども、くじで選ばれた裁判員にとってはどういう変化がありますか。

長勢国務大臣 今までは相手が検事さんと弁護士さんという中で、被害者の方々が参加されるわけですから、そのことが違いということになるのは当然のことでありますね。

 しかし、同じ方が二つの法廷に出られるわけではないわけですから、そういうものとして、そういう制度の中で裁判員としての役割を果たしていただけるものと思います。

保坂(展)委員 法務大臣、裁判員の方が、検察官の論告求刑、そして被害者参加人の意見陳述による求刑、二つの求刑を目前で受けとめるわけですね。率直に伺いたいんですが、この両者を、くじで選ばれた裁判員はどのように受けとめると考えていますでしょうか。つまり、検察官の求刑とそして被害者参加人の求刑、二つの求刑が出るわけですね。この二つの求刑は違う内容かもしれないということがあります。そうすると、どちらを重く受けとめるでしょうか。

長勢国務大臣 検察官は法と証拠に基づいて求刑するでしょうし、被害者の方々はまたその立場からの求刑ということがあり得ますので、それぞれが違った観点からの話ということが起こり得るとは思います。

 それを裁判員の方々がどう受けとめられるかということは、一概に申し上げることはできないと思いますが、もともとこの裁判員制度そのものが、国民の常識的な感覚を裁判の中で、司法の中で生かしていくということが基本であると思いますので、それぞれの、検察あるいは被害者の方々の御意見をその方の常識で御判断していただく、それがどういうふうになるかということについて、今から、事前にこうなるでしょうということは言うべきことではないと思います。

保坂(展)委員 十分な議論があるというふうに法務大臣はおっしゃいましたけれども、私は、かなり大きなテーマがまだ残っているというふうに思っております。例えば、事実において争いのない事件について、そこから導入をしていく。私も、被害者参加人の皆さんの法廷参加ということについては必要なことだと思っています。しかし、刑事裁判全体に対する裁判員制度の発足とリンクしていくということで、事は慎重でなければいけないという立場から質問をいたしました。

 これで終わります。

七条委員長 次に、高山智司君。

高山委員 民主党の高山智司でございます。

 犯罪被害者の方々の訴訟参加というんでしょうか、今まで犯罪被害者の方、あらゆる刑事手続の中で、やはり疎外感を味わってきて、本当に自分たちの気持ちが理解されないという中で、徐々にそういう声を上げていくことで世間の注目を集め、また、マスコミにも報道され、それがまたどんどん世間の注目も集めるということで、国会も動かして、法改正に今つながってきたわけでございます。

 訴訟参加するからといってすべての問題がもちろん解決するわけではございませんし、まだまだ犯罪被害者の方、これは自分は何の落ち度もないという人が一番多いわけですから、どういう配慮を政府としてやっていけるのか。国の責任というのは、やはり日本国民全員の安心と安全というと非常に平凡ですけれども、本当に犯罪被害に遭ったら、何の落ち度もないんだったらきちんと被害が回復されなければいけないし、加害者には厳しい処罰をしなければいけない、こういう当たり前のことをやるのが国の責任だと思っておりますので、今回の法案、非常に多くの方の努力、我々民主党もずっと犯罪被害者基本法のときから関与してきまして、大きな成果をだんだん得てきたなと思っております。

 そして、今回、私たち民主党は、ただ、訴訟参加といっても、裁判員のことと両方考えるとなかなか、本当に今のこの政府案でベストなものなのかということで、与党の方々とも真摯な修正協議を水曜日からずっと続けさせていただきました。お互い、とにかく犯罪被害者の人たちに何がベストなんだろうということで、随分真剣に議論をさせていただいたわけではございますけれども、今回、なかなか時間も少なくて、我々としてはもうちょっと修正協議を続けてもよかったなという思いはあるんですけれども、早目に採決というようなことになってしまいましたので、なかなか成案を得ることはできませんでした。

 そこで、民主党の提出者の方、また与党提出者の方を中心にまずお話を伺っていきたいと思いますけれども、まず民主党の提出者の方に伺います。

 民主党提出の修正案の中には、被害者参加制度というのは我が国の刑事司法制度の根本にかかわる問題を内包しているというような指摘が趣旨説明の中でございましたが、それはどういう点を指しているのか、御説明願えますでしょうか。

平岡委員 お答えいたします。

 この委員会でも参考人の方々に来ていただきまして、皆さんから本当にいろいろな貴重な御意見をいただきました。その中でも、今回の政府案に示されている被害者参加制度に対して、極めて慎重な立場に立って発言しておられた刑事訴訟法の専門家の方もおられました。

 その方のお話によりますと、政府案は、職権主義を採用しているドイツやフランスの被害者参加制度とは似て非なるものである、そして、被害者の方々が応報感情を満足させる存在として法廷に登場することとなる危険性もあるというようなことで、刑事裁判が復讐裁判と化して、これまでの刑事裁判の構造を崩して機能不全に陥ってしまうおそれを内包しているというような指摘もされたところであります。

 特に、ここでも議論がたくさん行われましたけれども、裁判員裁判制度がほぼ時期を同じくしてスタートするということを考えますと、その裁判の場で、証拠に基づく冷静な事実審理あるいは適正で公平な量刑ということを図っていく場合に、いろいろ予想できない事態もあり得るのではないだろうかというような疑問も払拭し得ない状況にあるんだろうというふうに思います。

 そういう意味で、我々として、政府案で出していることが、いずれかの段階でしっかりと議論されるべき話だということを否定するものではありませんけれども、現段階では、政府案の被害者参加制度に反対している被害者団体の方々も表明されておられるように、政府案の制度設計では被害者はかえって傷つくだけというような事態もあり得るのではないかということで、そういった方々の意見に対しても大いに耳を傾けるべきというふうに考えていたところでございます。

高山委員 今の民主党の提出者の方の答弁の中にもありましたように、単なる応報感情を満足させる場になりはしないかですとか、かえって被害者が傷つくだけというような意見も、確かにこれはあるんですね。それは本当に、与野党協議をしている中でも、与党の実務者の方も、確かにそういう面もあるなというお話がありました。

 ただ、民主党案ですと、これは被害者の参加というよりは、バーの中に余り積極的に入らない、関与にとどめておこうというようなことが条文から感じられるわけですけれども、やはり直接参加したいんだという被害者の声も無視できないと思うんですが、この点は、民主党の提出者はどのようにお考えでしょうか。

平岡委員 委員が御指摘のとおり、そうした直接の参加を望んでおられる被害者の方々もいるということは、我々もしっかりと認識をしているところでございます。

 しかし一方で、先ほど来私が申し上げているような懸念も表明されている中で、被害者の方々の中には先ほども申し上げたような懸念を表明されておられる方々もいるということで、本当に我々にとってみても、どういう仕組みにすべきなのかということについて悩ましい状況にあるということもまた事実であります。

 そういう意味では、我々としては極めて慎重に物事を進めていくという立場に立つということが基本ではなかろうかというようなことで、民主党の修正案を提出させていただいているわけでありますけれども、この民主党の修正案でも、被害者関与制度という仕組みの中で、被害者関与人は、検察官の権限行使について質問し、意見を述べ、回答などを得ることができるというような形にし、証人尋問とか被告人質問についても、裁判所が、相当と認めるときには、被害者関与人の求める事項を検察官の尋問、質問事項に付加するように検察官に命ずることで、法廷の中でしっかりと示されるというようなことも確保することによって、実質的に裁判に関与する度合いというものは政府案と決して劣るものではないというような形にさせていただきました。

 さらに、私も政府案の中身がちょっとよくわからない部分もありますけれども、政府案と我々の案を比較してみますと、被害者の方々が申し出て法廷に提示される尋問とか質問事項の範囲については、我々の方が政府案よりも広くなるという意味においては、被害者の方々にとってより権利利益の保護を図っているというふうに考えているところです。

高山委員 ありがとうございます。

 これは、与野党協議をしている中でも、また被害者の方の話を聞いていても、本当に皆さん悩みがあることなんですね。全く自分に落ち度がなくて犯罪の被害者になってしまった、それが、裁判で直接参加してやり合うことが本当にいいことなのかどうなのか、これは本当にやってみなければわからないんだと言う人もいました。

 けれども、これは裁判という、きちんと真実は何なのかを明らかにしていって、そしてまた刑を確定させていくというプロセスの中で、本当にそれはやってみなければわからないんだということでいいのかどうか。だから、これは何年か、今度裁判員制度が入ってきて、本当に今のこの制度でよかったのかどうか、きちんと見直していく必要もあるのではないかなということを、我々としてもずっと言っていたわけです。

 これは与党の提出者の方にも伺いますけれども、我々との協議の中で見直し規定を入れていただいた部分があるんですけれども、三年後にまた見直すということを入れた理由というのはどういうことなんでしょうか。

上川委員 修正案の中に三年間の見直し規定ということで入れさせていただきましたけれども、趣旨の御説明のところにも触れておりますが、今回の制度、被害者の皆さんが司法手続に対して参加する全く新しい制度であるということ、そして同時に裁判員制度の導入の時期とも重なるということもございますし、またいろいろな形で新たな課題ということも起こり得る可能性もあるということでございますので、この制度の実施状況等を見ながら、しっかりと期限を区切って、そうした状況の積み重ねを評価し、またその上に立ってさらなる取り組みに資していくということが大切ではないかということで、三年間の見直し規定を置いたところでございます。

 同時に、基本法及び基本計画の文言におきましても、大変透明性の高いところでこの制度の検証をしていくということが盛り込まれておるところでございますので、そうした一般的なルールにおいても、定期的に見直しをし、そして評価をし、さらによいものにし、被害者の皆さんの支援に役立つように総合的な対策に取り組んでいくことが大事だというふうに規定しておりまして、その趣旨にも照らして、今回、この法律の中で、附則という形で設けたところでございます。

高山委員 今、与党の提出者の方からもお話がありましたけれども、基本計画に照らしてとかなんとかそういうことではなくて、やはり現実に被害者の方のお話を聞くと、これはやらなきゃいけないのかなと思うときもありますし、また、実際の今の刑事手続を根本的に変えてしまうことになるわけですから、どうしようかという悩みが、これは与野党ともに出てくるものだなというふうに私は思います。ですから、導入に当たってはかなり慎重に、政府側に、本当にどうなんだという検証をきちんとしていただかないといけないことだなというふうに思っております。

 ちょっと細かい話をこれから聞いていきますけれども、民主党の提出者に伺いますけれども、被害者の関与は、刑事裁判手続のどういった段階から始まるのか。まず検察官の起訴、不起訴の判断の段階、あるいは訴因や罪名について不満を持つ被害者も多いと思うんですけれども、この点については、被害者はどういう関与をするんでしょうか。

平岡委員 被害者が関与できる段階という点ですけれども、この点については、基本的には政府案と変わりがあるわけではありませんで、被疑者が起訴された段階からという形にしております。

 確かに、我々の案においても、検察官の起訴時における訴因とか罪名の判断まで被害者等が関与できる仕組みとはなっておりませんけれども、我々の案では、被害者等の方々については、公訴提起後において、幅広く関与人という形で認められる仕組みになっています。政府案でいきますと、故意の犯罪行為により人を死傷させた罪など、極めて限定的な罪に係る事件に限定されていますけれども、我々の場合は、長期三年以上の自由刑に相当する罪に関する事件についてはそうした被害者関与が認められるという仕組みになっております。

 そういう意味で、幅広い被害者の方々について、公訴提起後においては、検察官の権限の行使に関して質問できる、これも政府案の中にはない話でありますけれども、質問をし、そして意見を述べることができるということで、そうした質問とか意見を通じて、検察官の訴因変更等を求めることも可能であるというふうに考えているところであります。

高山委員 ありがとうございます。

 今の、訴因であったり罪名ということ、こういうことまではまだわかりやすい部分もあるかもしれないんですけれども、どうも被害者の訴訟参加といいますと、バーの中に入る、入らないというような、何か一見わかりやすい言葉で説明されるんですけれども、それは実質的にどういうことなんだ、裁判というプロセスに、法律の素人である、ただ、事件の本当の当事者である被害者がかかわるというのはどういうことなのかということが、この原案、政府案の方では余り細かくわからないなという部分もあったんです。

 政府案の被害者参加制度では、公判前整理手続や期日間整理手続への被害者の出席を認める制度とはなっていないわけですけれども、民主党修正案では、こういった段階でどのように被害者が関与していくのか、提出者に伺います。

平岡委員 この点についても、政府案とは基本的には変わっているわけではありません。我々の被害者関与制度におきましても、公判前整理手続とか、あるいは期日間整理手続におきまして被害者等の出席を認めることはしておりませんけれども、先ほど来から御説明しているように、被害者等の方々については、検察官の権限の行使に関して質問をする、意見を述べる、そういうことを幅広い方々ができるような仕組みにしておりまして、これらを通じて間接的な関与ができるというふうに考えております。

高山委員 なかなか、法律上は素人でありますけれども、本当の事件の当事者である被害者の方々が、法律のプロである検察官や弁護士さん、特にこの場合一番かかわるのは検察官ですよね、その判断が本当にいいのかということで、不信感を持たれている方も今まで多かったというふうに聞いております。

 この点、民主党の修正案の被害者関与制度では、検察官との意思疎通を大きく改善するものだというふうに思うんですけれども、仮に検察官が被害者の意見や要望を取り入れなかった場合に、今まで同様、やはり被害者は疎外感を味わい、法廷の外に置き去りになってしまう、こういうことなんでしょうか。

平岡委員 委員御指摘のとおり、これまでの裁判の遂行の中で、検察官と被害者の方々との関係においては、意思疎通が十分に図られていなかった、それに対して被害者の方々に多くの不満があったということは、政府側も我々の質疑の中で認めてきていたわけであります。

 そういう意味で、我々は、そこのところに本当に根源的な問題があるのではないかというようなことで、今回、検察官と被害者の方々との間では、質問したり意見を述べたりする過程の中でしっかりと意思疎通を図っていっていただきたいというふうにしているわけであります。

 委員の御指摘になっているように、被害者の方々の意見が検察官に採用されない場合も、やはり同じような問題が生じてしまうのではないかというような点もあろうということで、我々としては、まずは検察官から被害者の方々に、その権限行使をしないことについての理由はしっかりと説明をしてもらわなければいけないというふうにしておりますとともに、もし、それでも検察官の言っていることについて納得がいかないというようなものについて、証人尋問とか、あるいは被告人質問について、裁判所、裁判官の方に上げてもらって、裁判官が、相当と認めるときには、被害者関与人の求める事項を検察官の尋問、質問事項等に付加することを検察官に命じていく。ここは、被害者関与人が、こういうことを聞きたい、質問したいというようなことをしっかりと明示してやるようなことになろうかと思います。

 そういう形の中で、法廷の中にはしっかりと提示されるという形で、これまでのような、被害者の方々の意見なり疑問なりがそのまま置き去りにされてしまうというようなことがないように工夫はさせていただいたということでありまして、これまでのように法廷の外に置き去りにされるというようなことにはならないというふうに考えております。

高山委員 ありがとうございます。

 法曹三者というんですか、裁判官、検察官、弁護士だけで何か事が進められていってしまう。特に、被害者の方は、実は今の現行法の制度でも、警察段階でも、また検察段階でも、随分配慮が近年進んできたわけですよね、それでもまだ自分が本当に参加したいんだというのは、これはある意味検察不信だという部分も私はあったと思うんですね。

 ですから、今の民主党修正案のように、例えば検察官と意見が合わなかった場合でも、本当に、事件の当事者である被害者の意見が、それこそその法廷の中できちんと表明できるというのは、私は、民主党修正案の方がなかなか被害者の立場に立って考えられているなというふうには感じました。

 そこで、次なんですけれども、民主党修正案では、証人尋問や被告人質問に際しては、裁判所の決定により、検察官に対して被害者等の求める事項を質問すべきと命令できるわけですけれども、論告求刑に関してはこのような規定が置かれていない、ちょっと弱い関与だなという印象を受けるんですけれども、このようになった理由はなぜですか。

平岡委員 このことは、近代国家における刑事裁判とは一体何なのかという本質論もあるわけでありますけれども、特に今回について言えば、ほぼ時期を同じくして導入されることになっております裁判員制度との関係をやはり非常に意識しているということもあろうかと思います。

 具体的に申し上げれば、論告求刑という形で被害者側に立った意見陳述が行われれば、一回限り、初めて刑事裁判に関与することとなる裁判員の情緒に非常に強く働きかけが行われるということになって、証拠に基づいて冷静になされなければならない事実認定等に影響を与える可能性というものはやはり否定できないのではないか、このように考えたところでございます。

 それから、基本的な考え方でもありますけれども、我が国の刑事裁判は、基本的には、検察官が訴追及び訴訟遂行に責任を持って、被害者の意見とか処罰感情等は検察官において十分に考慮された上で、公益的立場からの訴追方針が策定されることとなっているということでございます。

 そういう意味で、検察官が事実及び法律の適用について最終的な意見を陳述する論告求刑というものは、あくまでも検察官の判断、職責において行われるべきものであるというふうに考えております。

 そういうことで、民主党修正案では、先ほど来から、証人尋問とか被告人質問のときには、被害者の方々が検察官に受け入れられないような場合でも裁判官のところまで上げて、裁判官の方から法廷に提示させてもらうという仕組みを考えたわけでありますけれども、論告求刑においてはそれを採用しておらず、現行法における意見陳述制度を用いることなどによりまして、論告求刑前に被害者等の考え方、みずからの意見を反映する機会というものはしっかりと活用してもらうということを考えているところであります。

 なお、この点については、我々としても、ぜひ修正協議でもっともっと議論させていただきたいというふうに思っていたところではありますけれども、いかんせん時間的な余裕がないわけでありまして、これは参議院でしっかりと検討してもらいたいというふうに期待をしているところでございます。

高山委員 ありがとうございます。

 本当に、今の現行の当事者制度とのかかわりの中で、非常に苦労しながらいい案を考えていただいたなとは思うんですけれども、今度は余りプロフェッショナルな話だけではなくて、今回、被害者の方の参加ということですけれども、やはり法律のプロでない方が大半でございまして、参加できる制度はつくりましたよということになっても、実際には弁護士などの協力を得なければ、十分に参加したとは言えないのではないかなと思います。

 それで、被害者に十分な資力がない場合、弁護士に委託することができなければもう全く意味がない。いや、むしろこれは、本当はこういう制度があるのに利用できない残酷な制度になってしまうのではないかと思うんですけれども、この点、民主党案ではどういう配慮をしていただいていますでしょうか。

平岡委員 被害者等の方々については、これまでさまざまな施策というものが講じられてきているというふうに思います。私たちも、犯罪被害者等基本法というものをつくって、あるいは提案して、これまで早い段階から検討してきたところでございます。そうした努力が実って、少しずつではありますけれども、被害者等の方々についての権利利益の保護が拡大されてきているというふうには思っています。

 ただ、そうして拡大されてきたさまざまな権利利益というものを見てみますと、情報の入手あるいは優先的な法廷傍聴、意見陳述、法廷付き添い、公判記録の閲覧、謄写、刑事手続上の和解といったようなものがありますけれども、基本的には、こういったようなことをやるためには、やはり弁護士の皆さん方の援助というものがなければ実効的な成果を上げられないというふうにも思います。

 そういう意味で、我々としては、今回の被害者等の検察官に対する質問、意見表明制度、被害者関与人制度というふうに我々は俗に呼んでいますけれども、この制度においても、的確な権利の行使のためには弁護士の皆さん方の援助が不可欠であるというふうに思っています。

 そこで、民主党の修正案におきましては、総合法律支援法というものを改正いたしまして、刑事手続に適切に関与するために必要な費用を支払う資力がない被害者等を援助するための法律扶助制度を創設するという提案をさせていただいているところでございます。

高山委員 さらに加えて言えば、そういう弁護士をつけることに対する配慮というのは当然必要なんですけれども、さらに、資力のない被害者に対して、日本司法支援センターによる弁護士費用の立てかえ払い制度を設けたらどうかというようなことも民主党案では提案されていますし、被害者等の経済的負担を軽減するために、国選弁護人というんでしょうか、国選被害者弁護人のような公費による弁護士支援制度というのを考えてはどうかというような意見もあります。

 実際、意見陳述の制度も、年間千件ちょっとなわけですね。実際、今度この被害者参加制度というのが成って、万の単位でどんどんいろいろな被害者の方が言ってくるとはまだ考えられない。そうすると、実は、国選弁護人の制度をつくったところで、すごく額は小さいのではないかということも言われているわけですね。

 ただ、この点、我々民主党の方は、予算のことまでは踏み込んでなかなか書くことができなかったという悩みもあると思うんですけれども、この点、民主党案ではどのような配慮をされていますか。

平岡委員 確かに、御指摘のとおり、民主党修正案では、まだ国選被害者弁護人制度というようなところまで至っておりませんけれども、被害者に対する弁護士費用についての援助というものを民事法律扶助制度に準じた制度として、立てかえ払い制度を導入しようということで法律案の提案をさせていただいております。こういう仕組みは、負担の軽減という形の中でも、負担の繰り延べというような形式にとどまっているということでございます。

 これに対しまして、被害者団体の皆さん方の中からは、被疑者や被告人の国選弁護人制度と同様に、費用を公費で負担する国選被害者弁護人制度の導入を求める声もあるというふうに承知しています。ただ、実際にこの制度を仕組む上では、公費で弁護士を依頼できる被害者の方々の範囲とか時期といったようなことについてもいろいろ検討課題もある。先ほど委員が指摘されたように、予算上の制約をどうするかというような問題もあるというようなことで、今後の検討課題として残さざるを得なかったということが実情でございます。

 いずれにしても、国選被害者弁護人制度の導入というのは、我々のが通れば、今後の被害者支援制度における重要な検討課題であるというふうな認識のもとに、これからも引き続き、鋭意検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

高山委員 また、被害者に対する経済的支援ということでは、政府案ではいわゆる附帯私訴の制度というのが導入されて、これは被害者を助けることになるとは思うんですけれども、実際、加害者は、犯罪を犯すようなことで無資力の場合がやはり多いわけですよね。そうすると、附帯私訴の制度はつくりました、でも、加害者にとりに行ったら無資力でしたということでは、なかなかこれは被害者の保護にならないどころか、絵にかいたもちだなという感じがいたします。

 やはり実効力を高めるために、国が被害者の損害賠償を立てかえ払いして、その後、加害者に求償する。本当に無資力の人に求償していくというのは大変なことなんですけれども、それをまた被害者にさせるのかというような意見も多いわけですけれども、この点、民主党案ではどういう配慮をしていますか。

平岡委員 今回の政府案で提示されている損害賠償命令の仕組みというのは、その制度自体、我々もちょっといろいろな疑問点があるということでこの委員会でも質問させていただいておりますけれども、我々の修正案の中では、特にこの制度について変更をするという内容は行っておりません。

 ただ、委員が御指摘のとおり、加害者が無資力の場合とか、あるいは任意に支払えといったような場合に、犯罪被害者の方々がみずから回収を行っていくということは非常に難しいわけでございます。そうなりますと、政府案の採用する損害賠償命令を得たところで、結局は被害者の方々の保護が図られないというのも、まさに私は大きな課題だろうというふうに思います。

 そこで、我々の修正案では、被害者の権利利益の保護の実効性を確保するという観点から、改正後の本法律案の損害賠償命令に係る規定の施行の状況等を勘案して、犯罪による被害の補償制度について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて法制の整備その他の所要の措置を講ずるというふうに提案させていただいたところでございます。

 意図しているところは、基本的には、犯罪被害者の方々に対しては、国が加害者にかわって立てかえ払いをするという形で損害賠償に応じていく、そして、国が加害者に対して求償していくというような仕組みができればいいのではないかということを念頭に置いて、こういう提案をさせていただいたということでございます。

高山委員 この点は、与党との修正協議の中でも随分我々としても頑張って主張させていただいたんですけれども、なかなか現実的には取り入れていただけなくて、非常に残念だなとは思いました。本当に、被害者の方が事件が起きてしまってその後報われるのは、せめてこういうことしかないんじゃないのかなというふうに私は考えておりますので、ここは大臣も含めて、きちんと一回検討をしていただかなければいけないのではないかなというふうに思っております。

 民主党修正案の方に、ちょっと最後、裁判員制度がほぼ同時期に入ってくると、この被害者の訴訟参加と相まって大変混乱を生ずるというような、いろいろな指摘もあるんですけれども、どういうような混乱が生ずる懸念がまずあって、民主党案では、その点、どのように配慮をされているのかを伺います。

平岡委員 その点については、冒頭に、被害者参加制度についてどういう問題があるのかという点について、専門家の方々とか、あるいは被害者の方々の御意見を紹介するという形でお話を申し上げましたけれども、やはり裁判員制度をスタートする中で、多くの国民の皆さんがまだこの仕組みになれていないというような状況の中で、そういう裁判になれていない市民の方々が、法廷で被害者の方々のある意味では非常に切実な思いというものを聞く中で、本当に冷静な判断なり、あるいは公正な判断なりというようなことが確保できるんだろうかと。

 それについては、確かに、いろいろ、裁判員制度というものが定着してきて、それなりに国民の皆さんの中に、裁判員になった場合にはこういう自覚のもとにこういうことをしていくんだということの流れというものが定着した中においては、ある程度のそういう客観的といいますか、冷静な判断ができるような気持ちというのが国民の中にもある程度共通に持たれるのであろうと思いますけれども、今の段階では、そういう状況が本当に達成できるのかどうかということについては、我々としても非常に確信が持てないということであります。

 そういう意味で、我々としては、今回与党の修正案ではこの法案の改正後三年の見直しという位置づけにしていますけれども、我々の見直しは、むしろ、裁判員制度が発足して三年後に、その裁判員制度の施行状況を見ながら見直しをしていくんだ、そういう見直し条項にさせていただいているという意味において、我々がいかにこの裁判員制度との関係を心配しているかということがわかっていただけるのではないかというふうに思います。

高山委員 ありがとうございます。

 それで今回、先ほどの被害者に対する経済的配慮の点も随分与党側と協議をさせていただいて、与党提出案の中にも、資力の乏しい被害者参加人のために必要な施策を講ずるというようなことで、我々の主張も随分取り入れていただいて、いいものをつくっていただいたとは思います。

 それで、大臣に伺いますけれども、やはり被害者の方々がこの制度一つのために長年にわたってずっと活動されてきて、悲願であったと。我々国会議員が、法案が出されてから二週間足らずではございましたけれども、これを議論することで、私は本当に被害者になったことはなかったんですけれども、ああ、被害者の方はこうなのかな、こうなのかなということで、随分考える機会がありました。

 それで、先日大臣に、裁判所で実際、被害者はどういう形で行われているか、見学に行かれたことはありますかと伺いましたら、大臣も副大臣も行かれたことはないというようなお話でしたけれども、今後行かれる予定は入れていただきましたか。まず、その確認をちょっと大臣、副大臣に。これは、法案が通ってしまってのど元過ぎればということでは、せっかくの今までやってきた審議も全然政府に届いていないじゃないかというようなことにもなりますし、まず、そういう予定を入れていただいたかどうか。

 また、副大臣には、サミットの関係閣僚会議で、私は前回も、ちょっと時間が短かったものですからきちんとあれだったんですけれども、やはり今度の日本でやるサミットでこの犯罪被害者のことをぜひ話題にしてくださいよ。どういうふうに配慮をしていったら、各国においてもこれはみんな共通の課題だと思いますよ、人間としての。犯罪被害者がどうやったら報われるのか、これをサミットの話題に入れるように、きちんと日本がイニシアチブをとって提言していただきたいと思うんです。

 最後に、大臣、まず予定を入れていただいたかどうかと、サミットの話題にしていただけるのかどうか、伺います。

七条委員長 予定の時間が過ぎておりますので、大臣、簡単明瞭に。

長勢国務大臣 なお被害者の方々のお話、心情というものもいろいろな機会に聞かせていただいておりますが、裁判所における被害者の場所ですか、そこの日程はまだ入れておりません。今後考えてみたいと思います。

高山委員 大臣、ちゃんと入れて、またサミットの話題にもしてくださいね。

 終わります。

七条委員長 次に、平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 いよいよこの法案の審議も最終段階に入ってきているということでありますけれども、やはりこの衆議院での審議というものは、何か与党の方からは、月内には参議院に送らなければ参議院の審議時間を十分に確保できないから送るんだというふうに、強行採決をちらつかせながら審議促進を図ってきたというのは、私にとってみれば本当にこれは許しがたいことだというふうに思います。そういう意味で、与党の皆さんが期待されているように、参議院ではしっかりと審議時間を十分にとって審議していただくということを期待しながら、私は質問させていただきたいと思います。

 前回質問したことでちょっと気になる点がありましたので、確認の意味で質問をさせていただきたいというふうに思います。

 先月の三十日の当委員会で、松岡農水大臣の事件の問題に関してでありますけれども、長勢大臣は、検察庁において記者の質問にお答えがあったという報告を受けた、そして、その報告を受けた中身の方は、検察庁の方で、記者の御質問に対して、本人なり自宅の捜査はしていないというコメントがあったという報告を受けたというふうに答弁をされているわけであります。

 そこで、刑事局長にお聞かせいただきたいと思います。

 法務省刑事局としては、検察庁のだれが、どこで、だれに対して、どのような方法で、どのような内容の発言をしたというふうに報告を受けたのか、このことについてまずお答えいただきたいと思います。

小津政府参考人 お答え申し上げます。

 東京地検が、検事正及び次席検事において、五月二十八日の午後から夕刻にかけて、松岡農林水産大臣及びその親族等関係者に対する取り調べの事実はなく、またその具体的な予定もなかった旨、取材に対し口頭でコメントしたものと承知しております。

平岡委員 それで、その受けられた報告というものを、今度は、刑事局としては、いつ、どのように処理をしたのか。処理というのは、報告をする、連絡をする、説明をするということについてはどうされたのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。

小津政府参考人 私が今申し上げましたような内容を刑事局の担当者から大臣に御報告をし、また、同じく刑事局の担当者から官邸の担当の方に連絡をした、こういうことでございます。

平岡委員 どういう方法で官邸には連絡しましたか。

小津政府参考人 口頭でございます。

平岡委員 それで、私、昨年のにせメール事件のときにも、この東京地検の行動について、ちょっとおかしいんじゃないかということで取り上げたときに、昨年二月のにせメール事件では、実は東京地検はこういうコメントを発する前に法務省に事前連絡をしているんですよね。事前連絡をした上で、コメントを発表するということがあったんです。今回は、どうも聞いていると、事前連絡が全くないままに東京地検がコメントを発表した、記者の質問に答えて発言をしたということになっているようですけれども、事前連絡はあったんですか。

小津政府参考人 御指摘の事件について、私がただいま申し上げました以上に、どの段階でどのように東京地検の方から連絡、報告等があったかということにつきましての御答弁は差し控えさせていただきます。

平岡委員 そんな、差し控えるような話じゃないじゃないですか。捜査の中身を聞いているんじゃないですよ。事前に連絡があったかどうかというのを聞いているんじゃないですか。事後に連絡があったことはここで答弁できても、事前にあったかなかったかということが我々に対して答弁できないんですか。そんなことはあり得ないじゃないですか。

小津政府参考人 ただいま申し上げましたようなマスコミ対応をしたということを、その後で報告を受けたということでございます。

平岡委員 事前報告がなかったという答弁だというふうに理解しますけれども、それはそれでとりあえずおいておいて。

 そこで、総理官邸の方に報告が行きました。それを踏まえて総理大臣は記者団に対して発言をされたというふうに思うんですけれども、安倍総理はこの件についてどういうふうに記者団に発言をされたのか、官房副長官から御答弁いただきたいと思います。

下村内閣官房副長官 お答えいたします。

 安倍総理は、番記者とのやりとり、五月の二十八日月曜日十七時五十七分のやりとりについての御質問でございますので、そのまま申し上げます。

 御本人の名誉のために申し上げておきますが、緑資源機構に関しては、捜査当局から、松岡大臣や関係者の取り調べを行っていたという事実もないし、これから取り調べを行うという予定もない、このような発言があったということを承知しておりますので、御本人の名誉のために申し上げておきたいと思います、このようにおっしゃっております。

平岡委員 まさに今言われたことは、各紙に載っていることとほとんど同じですね。私もそういう発言だというふうに聞いております。

 そこで、私は、非常に重大な問題がここで発生していると思いますね。というのは、先ほど刑事局長から答弁をしていただいたように、東京地検から法務省に連絡があったのは、まさに、取り調べの事実はなく、またその具体的な予定もなかったという表現です。具体的な予定がなかったというにすぎず、将来の捜査の可能性とか将来の捜査の発展性までをも否定するものではない表現になっております。

 一方で、この安倍総理の発言、取り調べを行っていたという事実もないし、これから取り調べを行う予定もないという発言は、将来、捜査がこれから松岡大臣の関係者に対して及ぶ可能性とか発展性までをも否定する中身になっているというふうに私は思います。これは、この文章を聞いた人は、常識的な判断としてそうだと思います。

 これは安倍総理として、私は、東京地検から報告があったことを逸脱した発言になっているというふうに思いますけれども、官房副長官、この点についてはどうお考えになりますか。

下村内閣官房副長官 安倍総理大臣は、東京地検のマスコミに対するコメントがあったことを受けて、その内容に言及されたものにすぎないと承知をしております。若干の言い回しに差はあるかもしれませんが、その趣旨に特にそごはないと認識しておりますし、また、異なる趣旨で発言されたわけでもないと考えております。

平岡委員 今のは、勝手にそういうふうに思っているのは、それはそれで私も否定をするつもりはありません。

 ただ、法務大臣は、ある意味では非常に慎重に記者会見でも述べておられるし、私は、法務大臣はそれなりに自制心を働かせておられるというふうに思います。法務大臣そのものは、検察庁法に基づいて指揮権というものを持っているわけですね。総理大臣そのものは指揮権はありませんけれども、総理大臣というのは法務大臣の任命権者でもありますから、しっかりと法務大臣を通じて実質的に影響力を与えることは可能なわけでありますよね。

 それを考えたときに、私は、今の安倍総理の発言は、これは訂正してもらわなきゃいけない。つまり、将来の捜査の発展性まで、可能性までを否定するような報告があったと言うことについては、これは東京地検の捜査に影響を及ぼします。ぜひ法務大臣、これは訂正を求めていただきたい。いかがですか。

長勢国務大臣 総理大臣の御発言についてのことは、今副長官から御答弁があったとおりでございますが、捜査当局がそういう発言があったということを承知しておりますという総理の御発言であると思いますので、そして、そういう予定はなかったということを地検でコメントされておるわけですから、そのことをおっしゃっているものと、将来の話に言及されているのではなくて、まさにコメントの範囲内の話をされただけのことというふうに思います。

平岡委員 だから、東京地検のコメントの範囲内であるということならば、そのことをちゃんと明確に総理の口から、私が言ったこのことは将来の可能性を否定するものではない、あくまでも、東京地検から報告のあった、具体的な予定もなかったということを言うにすぎないんだ、その範囲にとどまっているんだということをしっかりと総理大臣から示しておかなければ、これは大変なことになりますよ。もう実質的な指揮権の発動に等しい、つまり、東京地検はこの総理の発言に閉じ込められてしまって、これから将来の捜査の可能性なり発展性なりというものを阻害されてしまっている、このように私は思いますよ。

 いかがですか。やはりしっかりとここは総理に訂正してもらうということが必要じゃないですか。

下村内閣官房副長官 安倍総理は、検察当局がマスコミに対してコメントした内容、つまり公となった事実について言及したものでございまして、捜査に介入するような趣旨は毛頭ない発言であると考えております。

平岡委員 だから、私は、副長官が言うことを否定しようとは思いません。副長官がそう言われるのなら、やはり世の中には物すごく誤解を受けているわけですよ、これは。誤解をしている人たちがいるから、特に東京地検が誤解されたら、これは大変なことになる。

 だから、その誤解を解く意味でも、しっかりと、ここの意味はこういうことであったということを総理から、あるいは、総理が直接言うのがとても恥ずかしいのなら、副長官からでも結構ですよ。ちゃんとそれは訂正するということをやっていただきたい。いかがですか、副長官。

下村内閣官房副長官 今申し上げたとおりでございまして、安倍総理は、捜査に介入するような趣旨で発言したということでは毛頭ないということで申し上げていると思います。(平岡委員「だから、訂正をしてくれますね」と呼ぶ)安倍総理は、捜査当局がマスコミに対してコメントした内容、これについて、この事実について言及したものであり、何ら問題ないと思います。

平岡委員 まさに、そういうふうに言うんだったら、先ほど刑事局長から答弁があったように、東京地検のコメントというのは、取り調べの事実はなく、またその具体的な予定もなかった、これがコメントなんですよ。だから、総理のコメントとは全く違いますよ。それをあえて否定しないというところを見ると、私は、本当にこれは何か非常にうさん臭いものを感じますね。

 かつて長崎地検で、政府の大臣クラスの人たちに捜査の手が及ぼうとしたときに、長崎地検の次席検事が最高検の検事に栄転をされました。栄転をされた後、その後、辞職をされるというような事態になりましたけれども、そういう検察当局に対する人事なり、あるいはいろいろな処遇なりを通じて、こういう実質的な指揮権の発動みたいなことができるわけですよ。この総理の発言が、問題となっている事件の捜査を制約していくものになってしまうのは、私は実質的な指揮権発動だと思いますね。

 そういう意味で、強く抗議を申し上げ、そして、総理の発言の訂正を強く求めたいというふうに思います。

 法案の具体的な審議に入りたいと思います。(発言する者あり)確かに、総理がよくわかっていないかもしれませんから、副長官も法務大臣も、ちゃんとこういう問題点があるんだということを説明してあげてくださいね。

 この前、私は、三百十六条の三十五の規定に関連して、検察官の説明義務の話を質問させていただきました。そのとき長勢大臣が、被害者の方々が検察官にいろいろな意見を申し上げることができるということは現行法でも認められているわけでありましてというふうに答弁されています。

 現行法のどの部分で、こういった被害者の方々が検察官にいろいろな意見を申し上げることができるという仕組みになっているのか、この点について明らかにしていただきたいと思います。(発言する者あり)

七条委員長 お静かにお願いします。

小津政府参考人 現行法のもとで、犯罪被害者の方は、検察官にいろいろな御要望、御意見を言っておられます。これにつきましては、検察庁の内部の通知やら会同の指示等々で、従来に比較して明確に、そういう意見を十分に聞いて検察運用するようにという方針でやっておる、こういう意味でございます。

平岡委員 まさに大臣、今の刑事局長の答弁のように詳しく聞かないで、現行法でもできるんですよと言われて、それを、本当に真っ正直な長勢大臣がそのまま答弁されたんじゃないかなというふうに思いますね。

 現行法の中で、今回我々が提案しているような形で、検察官に対して、しっかりと意見を聞き、質問を聞いて答える、あるいはそれに対して、できなければできないということで説明するという義務は課されているわけじゃないんですよ。内部の通達とか内部の指示でそうしているんだというだけにしかすぎない。

 しかし、それが今まであっても、検察官の皆さんに対して不信の目で被害者の方々が見てきた、我々の声にこたえてくれない、そういうふうに思わせてしまった、この検察当局の責任はやはり私は重いと思いますね。

 そういう意味では、今回の三百十六条の三十五についても、私は、訴訟参加が認められた被害者の方々だけじゃなくて、もっともっと幅広くそういうことを認めていく、そういうことを義務づけていく、そういう法律であるべきだということを申し上げたいというふうに思います。

 次に、証人尋問の関係について質問していきたいと思います。

 現在の政府案の三百十六条の三十六において、被害者参加人の方が検察官に申し出ることのできる意見というのは範囲が限定されるんでしょうか、どうでしょうか。

小津政府参考人 まず、三百十六条の三十六で、被害者参加人の方が自分で尋問をすることができることは限られておりますので、自分がしたいと言える範囲はそのように限られております。

 しかしながら、三百十六条の三十五で、検察官の権限の行使について意見を述べることができるとしておりますので、そこで意見を述べる範囲は被害者参加人ができる事柄に限られているわけではございませんで、まさに検察官の権限行使全般について意見を言うことができる、このような整理でございます。

平岡委員 何か変ですよね。三百十六条の三十六ではできないけれども、三百十六条の三十五ではできますというのは。

 やはりそもそも申し出は、我々の案はそうなっているんですよ、申し出は、直接被害者の方々が法廷でしゃべることができるものに限らず、証人尋問についての申し出はしっかりとできる、そういう仕組みの中で、検察官が取り上げるものは検察官が取り上げていく、そして、検察官が取り上げないもので、被害者の方々がどうしても言いたいことで、こういう範囲の証人尋問をしてもいいという事項についてだけさせるというような仕組みでないと、やはり私はおかしいと思いますね。

 そういう意味では、三百十六条の三十六における証人尋問の事項についての申し出あるいは三百十六条の三十七における被告人に対する質問の申し出、これについてもやはり同じような仕組みになっているわけですよね。これも、やはり被告人に対する質問については幅広くしっかりと受けとめて、そしてそれに対してどう検察官が行動していくのかというような仕組みになっていなければ、検察官が、いやそれは、あなたが申し出るといったって、あなたはとてもしゃべれないんだからこんなのはだめですよ、三百十六条の三十五で私の意見の説明はしましたから、もうそれでいいですよと、それでおしまいになってしまうというような仕組みになっているというふうに私は思いますね。

 そういう意味では、三百十六条の三十六での申し出も、三百十六条の三十七の申し出も、私は余りにも狭過ぎるというふうに思いますけれども、どうでしょうか。

小津政府参考人 これは、政府案の考え方を御説明するということであくまでも申し上げますが、三百十六条の三十六、三十七は、被害者参加人ができる事柄について申し出をすることについて規定をしている規定でございます。

 三百十六条の三十五は、より広く、すなわち、検察官が当該被告事件についてこの法律の規定による権限を行使することについて参加人の方等は意見を述べることができるし、意見を述べたら、必要に応じ、その理由を説明しなければいけないわけでございます。

 ですから、証人尋問で事実についてのことは参加人は聞けませんから申し出にはなりませんけれども、いや、検察官、ぜひ事実についてこういうことを聞いてもらいたいということを言えますし、それについて検察官が言わなかったら、その理由を説明しなければ基本的にいけないというのが三百十六条の三十五の趣旨、こういう整理をしております。

平岡委員 私が内閣法制局の参事官だったら、今の説明でも、ああそうかなと思いますけれどもね。

 その話は、被害者の方々に説明しなきゃいけないんですよ。被害者の方々は、私が今から申し出る話は三百十六条の三十五に該当することなんだろうか、三百十六条の三十六に該当するんだろうか、どっちだろうかと思ってこう言っているんですよ。私は三百十六条の三十六の申し出で検察官に申し出しますというような判断ができるような被害者の方は、私はそういないと思いますよ。

 だから、仕組みのつくり方というのがやはりおかしいですよ。被害者の方々が、証人尋問していたりして、これはおかしいなとか、あるいは、証人尋問する前に検察官の方と相談している中で、おかしいなと思ったことについては、これは尋問してくださいという申し出はできる、しかし、申し出した後に検察官の方で振り分けをしていく、そういう仕組みでなければ、これはやはり被害者のために機能できないですよ。

 何でしょうか。何か手が挙がっているので。

小津政府参考人 運用のレベルで申し上げれば、まさにそのようになると思います。こういうことを聞きたい、聞いてくれというときに、それが被害者参加人のできることの申し出なのか、そうでなければ、いやいや、これはあなたはできません、例えば、それなら私がやりますとか、しかしそれはやはり検察官としてもやるのが相当ではないと思います、こういう説明をするわけでありますから。もちろん、検察官や弁護人の訴訟活動とは異なりますから、被害者参加人の方が何か言われるときに、これは法律の何条に基づくものであるということを言っていただく必要はないわけでございます。

平岡委員 制度が発足して、検察がまた私がさっき言ったような対応をとることによって、被害者の方々からまた検察官に対する不信感が募らないように、そこはしっかりと交通整理といいますか、どういうものだということについての共通の理解をしながら進めていくということが必要である。それは、私たちの被害者関与人の制度だって同じなんですね。という意味で、そこは申し上げておきたいというふうに思います。

 そこで、今度は被害者の方々の意見陳述の関係の話でありますけれども、先日私が質問したときに、長勢大臣から、現行における被害者の意見陳述制度、法律の二百九十二条の二でありますけれども、その陳述というのは、あくまで、例えば被告人に対する処罰感情など、被害に関する心情を中心とする意見に限って陳述することが認められているものであり、事実に関する意見等を述べることは認められておりません、こういうふうに余りにも明確に答えられて、私は、大臣はちゃんと当局からこういう説明を受けられたんだろうかというふうにちょっと疑問に思ったんです。

 あくまでも、法律に何が書いてあるかというと、陳述することができる内容というのは、「被害に関する心情その他の被告事件に関する意見」と書いてあるんですよね。心情は一つの例であって、被告事件に関する意見というものの中に、事実に関する意見等とか法律の適用に関する意見等が含まれちゃいけないということは、どうやっても私は読めない。なぜ大臣は私たちを疑問に陥れるようなそういう答弁をされたのか、この点をまず明確にしていただきたいと思います。

小津政府参考人 現行の刑事訴訟法の趣旨は、被害者の心情を中心……(平岡委員「被害に関する心情その他の被告事件に関する意見」と呼ぶ)そのような表現によりまして、この刑事訴訟法の二百九十二条の二の表現によりまして、被害者の心情を中心としたことについて言っていただく、そして、その趣旨は情状に関する証拠とすることができるという整理でございます。

 もちろん被害者の方がその心情を述べられる過程で、事実に関して言及することがあり得ると思います。あるいは、そのお気持ちを述べられるときに、自分の気持ちとしては極刑にしてほしいぐらい自分たちは苦しんでいるんだということを述べられることもあろうと思いますし、そのことは現行の意見陳述制度で必ずしも否定されているものではありませんけれども、それはあくまでも心情を中心として述べているんだという整理を私どもはしている、こういうことでございます。

平岡委員 私は、別に心情を述べることが中心になっているということを否定はしていませんよ。一番大きな例示として、被害に関する心情というのを真っ先に例示として挙げているわけですから、それは中心だろう。しかし、その被告人の意見陳述の中で、事実または法律の適用についての意見の陳述を行うということが認められていないんだということをこの国会の答弁で堂々と言うのはいかがなものかというふうに思うんですよ。大臣、ちゃんと訂正してください。

長勢国務大臣 今刑事局長から答弁したとおりでありますので、特段訂正する必要はないんじゃないかと思いますが。

平岡委員 改めて刑事局長に聞きます。

 この二百九十二条の二の規定によって、被告事件について事実または法律の適用についての意見の陳述を言うことが禁止されるんですか。しゃべろうとしたら裁判官からとめられるんですか。あなた、そういうことを言うのはこの法律の規定によって認められませんというふうにとめられるんですか。

小津政府参考人 先ほど申し上げましたように、あくまでも心情を中心としたものであって、情状に関して参考になることであるという整理でございますので、犯罪被害者の方が意見を言う際に、自分の心情等を述べられるときに、私が先ほど申し上げましたような流れで、事実関係や、例えば極刑に処してほしいぐらいの気持ちだというようなことを述べられた場合に、裁判所としては、それがこの刑訴法の規定に定めている趣旨の範囲内であるのか、やはりそれを逸脱して、純粋に法律の適用の問題として述べているのかということを判断することになるのではないかと考えております。

平岡委員 何か苦しい答弁をしていて、全く私にもよくわからない。ましてや、いわんや犯罪被害者の方々に、あなたの言えることはこういうことですよ、あなたがちょっと理屈っぽいことを言ったら裁判長から発言をとめられますよ、そんなことが行われているんですか。私は、そんなことはないと思いますよ。

 もっと自由に言ってもらって、しかし、その裁判所の中で裁判官がどの部分をどういうふうにして判決に結びつけていくのかというのは、それは裁判官が法律に定められた枠の中で考えていくことであって、被害者の方々に、しゃべることをここまで、被告事件に関すること以外のことを言うというのはそれはおかしいと思いますけれども、被告事件に関する意見という範囲内であれば、それは私は全く問題ないというふうに思いますよ。どうでしょう。何か、私、間違っていますか。

小津政府参考人 私の御説明できますことは、先ほど御答弁申し上げたとおりの内容でございます。

 もちろんその運用に当たりまして、できる限り参加人の方に御発言していただきやすいようにということで裁判所の方も運用しておられると思います。ただ、具体的な事例は承知しておりませんけれども、余りにもそれから逸脱したような内容があれば、やはりそこは制限するということでございます。

平岡委員 だって、被告事件に関する意見だったら、そうやって書いてあるんですよ、法律に。被告事件に関する意見を述べると書いてあるんですよ。被告事件に関係しない意見だったら、それはとめられるかもしれません。被告事件に関する意見だったら、法律の適用に関することだろうが、事実に関することだろうが、別に意見なら意見でいいじゃないですか。その法律の中で枠を外れているわけじゃないじゃないですか。私は、ちゃんと法務当局はしっかり整理しないと、今回の法案、ある意味では誤解されますよ。そういう意味で、ちょっと抗議を申し上げたいと思います。

 時間がなくなったので、この前質問したことでちゃんと整理をしておいてくださいというふうに言った、例の部分審理、部分判決の話ですね。

 A、B、Cとあったときに、A、Bの事件については、これは検察官が論告求刑する中身というのは非常に限定される。では、被害者の方々についても同じように限定されるということなのか。そうしたら、例えばA、B、Cとやったときに、Cに当たった被害者の方はラッキー、A、Bの人たちは、おれたち言いたいことがあるのに何で言えないんだ、こんなことになってしまいそうな気がするんですね。そんな制度でいいんですか。どうですか。

小津政府参考人 まず、制度の内容といたしましては、御指摘のとおり、区分審理をしているその最終段階で検察官が言える意見の内容が定まっております。それはつまり、区分判決で判決ができる内容に限定しているわけでございますので、被害者参加人の方にも、その段階で意見を言うときにはその範囲にとどめていただくという制度になっているということは事実でございます。

 これは、被害者参加人の方の、今度新しく設けます意見は、それまでの審理の状況を踏まえて意見として言っていただくという整理でございますので、やはりそのような審理がなされていない手続の段階でそれを超えた意見を言っていただくのは相当ではない、こういう整理をしたということでございます。

平岡委員 整理をしたといったって、僕はよくわかりませんけれども、犯罪被害者の人たちがこういう要望を持っているという中で整理した整理としては余りにもお粗末過ぎますよね。犯罪被害者の人たちの気持ちは、全く酌み取られていない整理だと思います。

 私たちは、論告求刑に当たる被害者の方々の意見陳述については、法案に示されたように、それはやはり控えてもらわざるを得ないだろうという整理をさせていただいておりますので、そういう問題が生じないということでございまして、検察官がしっかりと被害者の方々の意見を受けとめた上で、最終的な求刑というのはA、B、Cの中のCが行われるときに行われるということで、私はその方が制度的には整合性がとれているんじゃないかなというふうに思います。

 実は、いろいろ残されている問題がたくさんあって、審議できなくて恐縮なんですけれども、いわゆる附帯私訴と言われている話について、きょう矯正局長に来ていただいて、なぜ来ておられたのか私もよくわかりませんけれども、せっかく来ていただいたので、私が質問した話、損害賠償請求の審理に被告人が出頭できないという困難が現状でもあるということで、質問したのは、現在の制度の仕組みの中で、刑事施設に拘束されている者に対して民事訴訟が提起された場合、法務当局はその者の裁判所への出頭についてはどういうふうに対応しているのか、この点について御説明いただきたいと思います。

七条委員長 通告時間が過ぎておりますので、簡単明瞭にお願いいたします。

梶木政府参考人 まず、一般的な考え方につきましては、前回大臣の方から御答弁申し上げたとおりでございます。

 それで、我々の具体的な資料というのがないのでございますが、平成十五年に日弁連の方から申し出がありまして調査をした数字がございます。この数字は、平成十五年の一月から十二月までの受刑者と死刑確定者の民事訴訟のための裁判所への出廷ということでございまして、被収容者が原告になっている場合も被告になっている場合もありましょうし、一般の民事事件の場合もありましょうし、さまざまなものがあろうかと思います。出廷を願い出た件数が四百三十三件ございまして、これに対して出廷許可件数、実際に出廷させた件数が七十九件でございました。それ以外に、当該受刑者が収容されております施設に裁判官がおいでになって、仮法廷を開いた件数が八十四件あったということでございます。

七条委員長 平岡秀夫君、もう時間が来ておりますから、どうぞ。

平岡委員 それは、件数を言っているだけじゃなくて、どういう方針でどういうふうに対応をしているのかということを聞いているのであって、例えば、今四百三十三件の願いがあった中で許可あるいは仮法廷でやったのが百六十件ぐらい、残りの二百七十件ぐらいは願いがあってもだめだということをやっているわけでしょう。どういう方針でそういうことをやっているのか、それを聞いているんじゃないですか。それを答えないで、時間が来たからおしまいというようなことは、これは許されませんよ。

七条委員長 質疑時間が過ぎておりますから新しい質問には入らないことになっておりますから、これを最後に、簡単明瞭に。

梶木政府参考人 前回大臣から申し上げましたとおり、個別的、具体的な事案ごとに、その必要性、拘禁目的への影響の有無、程度、そして、戒護職員の確保が可能であるかどうか、こういったことを総合的に判断をして決めておるということでございます。

平岡委員 質問はしません。ちょっと発言だけ。

 今の答弁で皆さんの考え方はわかりましたけれども、やはり世の中の批判としては、そういう刑事施設に収容されている人たちの裁判で、防御権の行使というのが必ずしも十分にできていないという批判が高いんですよね。その批判が高いということを踏まえて、私は受刑施設の方でもよく検討していただきたいというふうにお願いしまして、私の質問を終わります。

七条委員長 これにて原案及び両修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

七条委員長 これより原案及び両修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。大口善徳君。

大口委員 公明党の大口でございます。

 私は、自由民主党及び公明党を代表いたしまして、ただいま議題となっております犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案について、自由民主党及び公明党の共同提案に係る修正案に賛成、民主党修正案に反対、原案について賛成の立場から討論を行うものといたします。

 犯罪被害者等の保護、支援については、これまでにもさまざまな法整備等が行われてきましたが、その後も犯罪被害者の方々からは、被害からの回復には依然としてさまざまな困難があることが指摘されてきました。

 このような状況を改善し、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るため、平成十六年十二月、犯罪被害者等基本法が成立し、基本施策として、犯罪等による被害に係る損害賠償の請求について、その被害に係る刑事に関する手続との有機的な連携を図るための制度の拡充や、刑事に関する手続への参加の機会を拡充するための整備等を行うべき国の責務が定められました。

 この基本法に基づき、内閣府に置かれた犯罪被害者等施策推進会議の検討を経て、平成十七年十二月に犯罪被害者等基本計画が閣議決定されました。

 本法律案はこの基本計画に基づいて立案されたもので、犯罪被害者等の権利利益の一層の保護を図るため、所要の法整備を行うものであります。

 主な内容としては、まず第一に、犯罪被害者等が刑事裁判に参加する制度を創設し、故意の犯罪行為により人を死傷させた罪、業務上過失致死傷の罪等の被害者等が、公判に出席し、証人の尋問、被告人に対する質問及び事実または法律の適用について意見の陳述をすることができるものとしております。

 第二に、故意の犯罪行為により人を死傷させた罪等の被害者等が、損害賠償請求に関し刑事手続の成果を利用することができる制度を創設することにしております。

 これ以外にも、公判記録の閲覧、謄写の範囲を拡大するなど、犯罪被害者等のための施策を講じております。

 本法律案の被害者参加の制度により被害者の方々が刑事裁判に参加することができるようになることは、多くの被害者の方々が求めておられることであり、また、その名誉の回復や被害からの立ち直りにも資するものであると考えられます。

 また、損害賠償命令の制度は、被害者の方々による損害賠償請求に係る紛争を刑事手続の成果を利用して簡易かつ迅速に解決することを目的とするものであり、その損害の回復を容易にする手段を提供するものとして重要な意義を有するものと考えられます。

 このように、本法律案の内容は、犯罪被害者等の権利利益の保護を図る観点から極めて意義のあるものであり、犯罪被害者等から強く求められている施策を実現するものであります。

 なお、民主党修正案については、刑事裁判における犯罪被害者等の参加を犯罪被害者等の関与に改めること等を内容としており、バーの外からの間接的な関与でありまして、基本法十八条の趣旨を必ずしも満たしたものではなく、依然として被害者等の疎外感はぬぐわれず、その名誉の回復、被害からの立ち直りに資するなどの効果も十分生じない。そういう点で、この犯罪被害者等の権利利益の保護という観点からは、原案を後退させるものと考えます。

 また、公平中立であるべき裁判所が検察官に対し尋問事項の付加を命ずることは問題であり、刑事訴訟の根幹を揺るがしかねない、こういうことでございます。

 また、与党修正案は、法施行三年後における検討及び被害者参加人に対する弁護士の法的援助に係る努力を義務づけることにしており、委員会の審議を踏まえた前向きな修正でございます。これで、この弁護士の法的援助に係る制度が、努力義務が規定されるということで、大きく前進するものと確信をしております。

 私は、犯罪被害者の権利利益の保護のため、本法律案の一日も早い成立を強く願うものであります。

 以上でございます。(拍手)

七条委員長 次に、平岡秀夫君。

平岡委員 私は、民主党を代表して、政府提出に係る犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案に対する民主党提出に係る修正案に賛成するとともに、同修正案が万が一否決される場合には、犯罪被害者の方々の権利利益の拡大という基本的方向性が同じであるという観点に立って、与党提出に係る修正案及び同修正案の修正部分を除く政府原案に賛成する立場から討論を行います。

 民主党はこれまで、政府や与党に先駆けて犯罪被害者基本法案を提出し、犯罪被害者等基本法制定を主導するなど、犯罪被害に遭われた方々あるいはその遺族の方々の保護、支援に積極的に取り組んでまいりました。政府案は基本法に基づいて策定されたものであり、その基本的方向は賛同すべきものと考えております。

 しかし、このうち、特に刑事裁判への被害者参加制度については、政府による犯罪被害者の方々への十分な意見聴取が行われていないとの批判があるとともに、当事者である犯罪被害者の団体の中でも意見が分かれ、また、刑事訴訟法学者の中にも有力な慎重論があることが先日の参考人質疑などでも明らかとなっております。

 すなわち、同制度に反対する被害者団体の方々からは、政府案の制度設計では被害者がかえって傷つくだけであり、参加できるのは一部の被害者だけだという意見が表明されております。

 また、慎重論を表明する学者からは、政府案は職権主義をとるドイツやフランスの被害者参加制度とは似て非なるものであり、被害者は専ら応報感情を満足させる存在として法廷に登場することにならざるを得ず、刑事裁判は復讐裁判と化し、これまでの刑事裁判の構造を崩して機能不全に陥らせる危険を内包しているとの指摘もありました。特に、裁判員裁判制度がほぼ時期を同じくしてスタートすることを考えると、証拠に基づく冷静な事実審理や適正で公平な量刑が果たして可能なのかという疑問には大いに同意せざるを得ません。

 また、被害者団体の皆さんからは、被害者の経済的、精神的苦しみを和らげる制度や、被害者が裁判に参加、関与することをサポートするための国選被害者弁護人制度の導入を初め、被害者の実情を踏まえた丁寧な制度設計を求める声も出ています。こうした点について、政府案は十分なものになっておりません。

 こうしたことを踏まえて、民主党は、政府案の被害者参加制度にかえて、被害者が法廷のバーの中に入らない形での被害者関与制度を導入し、被害者の意見を検察官を通じて適切に刑事裁判に反映させるようにするとともに、資力のない被害者等の皆さんが刑事手続に適切に関与できるための援助の措置、裁判員の参加する裁判のもとでの被害者関与のあり方についての裁判員制度導入三年後の見直し条項、被害者への損害賠償の国による立てかえ払い制度を含めた、犯罪による被害の補償に係る制度についての検討条項などを盛り込む修正案を提出したものであります。

 大変残念ながら、民主党のこのような修正案については、与党の諸君の全面的な賛同をいただける状況にはないのもまた事実と言わざるを得ません。また、さまざまな問題点の指摘がある一方、与党からは強行採決をちらつかせての委員会運営が行われていることもまた事実であります。他方、政府案の早期成立を求める被害者の方々の声にも真摯に耳を傾けなければならない。

 このような観点から、民主党としては、与党提出に係る修正案に盛り込まれている施行三年後の見直しの中で、実際にあらわれた問題点などを十分に精査し、必要な制度改正を行うという状況が整ったということで、原案に賛成することといたしました。

 参議院での審議でも、以上、我々が申し上げましたような懸念を真摯に受けとめた審議がしっかりと行われることを期待いたしたいと思います。

 なお、被害者の権利利益の保護とあわせて、被告人の権利も保障される公正な制度運用、被害者団体が求めている被害者の方々への経済的支援、被害回復のための施策の充実、被害者参加人となれない被害者を含めた被害者への検察官からの十分な情報提供や意思疎通などを別途附帯決議で確認することを与党との合意としております。

 今回の法案についての見解や立場の違いにかかわらず、今後もさまざまな犯罪被害者団体の皆さんの思いや意見に広く耳を傾け、これらを十分に踏まえながら、犯罪被害者等基本法に定められた目的の実現に向けてともに力を合わせていくことを願い、私の討論といたします。(拍手)

七条委員長 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社会民主党・市民連合を代表して、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案に対して、反対の立場から討論を行います。

 冒頭に、当委員会の運営について一言申し上げます。

 審議日程について与野党合意がなされずに、過去、二度、不正常な採決が続きました。一昨日の本法案審議中にも同様の事態が懸念されましたが、さすがにこの法案で委員会の混乱は許されないということで、正常な審議への御努力を続けられた棚橋与党筆頭理事を初めとした与野党理事、そして委員長の見識に深く感謝をしたいと思います。また、今後ともこの姿勢を堅持されたいというふうに望みます。

 本法案について述べます。

 犯罪被害者の訴訟参加について、満遍なく配慮が必要とされ、改善が必要と考えます。既に民主党提案者が説明し答弁した犯罪被害者関与制度が、よく工夫された妥当な内容だと評価するものであり、私たちとしても与野党協議を見守っておりました。内容によっては賛成するということも含んで見ておりましたけれども、残念ながら合意にならなかったということであります。

 本法案の問題点ですが、法廷で被告人と向き合い、質問もして、証人への尋問も行い、求刑を行う被害者参加人の訴訟参加そのものにあります。

 裁判員制度の開始が二年後に迫る中で、刑事裁判が応報感情に支配され、事実認定をわきに押しやって、検察官の求刑よりもはるかに厳しい求刑が今後続くことが予想されます。被告人の防御は困難になり、刑事裁判の光景が一変します。

 すべての被害者が訴訟参加できるわけではなく、精神的、身体的または経済的な理由で法廷に出ることができない被害者の事件は情状面での立証に差異が生じることや、民事の損害賠償請求に連動する制度も、被害者と被告人の対決構造を強め、また、訴訟を複雑化することになります。少年事件の被告は特に圧迫を受け、真実を述べることに萎縮したり、部分的否認さえもできなくなるということが起きて、真実の発見が困難となる懸念がございます。

 公判記録の閲覧及び謄写範囲の拡大、民事訴訟におけるビデオリンクの導入等、評価できる点もございますが、さきに申し上げた疑問が晴れず、本法案に賛成することはできません。

 犯罪被害者の権利利益を保護するために、拙速な審議を避け、裁判員制度の開始後に、公平公正で真に被害者の権利と立ち直りを保障できる制度のあり方について根本的な議論を行うべきであります。その際に、すべての犯罪被害者が、被害直後から弁護士による法的な支援を受け、ソーシャルワーカーによる精神的支援を受けられるような制度を創設し、事件後の司法手続の説明、被害者の捜査協力時の支援、マスコミ対応や裁判手続への支援を充実させることこそ求められているということを申し上げ、民主党修正案に賛成、与党修正案は本質的な問題点を積み残しているということで反対、本法案には以上の理由から反対の討論といたします。(拍手)

七条委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

七条委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案及びこれに対する両修正案について採決いたします。

 まず、平岡秀夫君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

七条委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、上川陽子君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

七条委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

七条委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

七条委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、上川陽子君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。石関貴史君。

石関委員 民主党の石関貴史です。

 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

 一 誰もが犯罪被害者等となり得るという現実を踏まえ、本法の趣旨について国民に対する十分な周知に努めること。

 二 犯罪被害者等が刑事裁判に参加する制度の実施に当たっては、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るという目的を踏まえつつ、被告人の権利が保障される公正な運用がなされるよう、制度の内容について司法関係者に周知徹底すること。

 三 刑事裁判の手続においては、被害者参加人となれない者を含め、犯罪被害者等と検察官との意思疎通が十分図られるよう努めること。

 四 犯罪被害者等が刑事裁判に参加する制度の対象となる被告事件の範囲については、本法施行後の制度の実施状況等を踏まえて検討を行うこと。

 五 犯罪被害者等が刑事裁判に参加する制度及び裁判員制度の実施時期が近接していることにかんがみ、裁判員裁判に犯罪被害者等が参加する場合において、裁判員がこれらの制度の内容を十分理解できるよう努めること。

 六 犯罪被害者等に対する給付制度の抜本的見直し等犯罪被害者等の経済的支援及び被害回復のための施策の充実に努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

七条委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 上川陽子君外二名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

七条委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。長勢法務大臣。

長勢国務大臣 ただいま可決されました犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

 また、最高裁判所に係る附帯決議につきましては、最高裁判所にその趣旨を伝えたいと存じます。

    ―――――――――――――

七条委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

七条委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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