衆議院

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第4号 平成20年3月25日(火曜日)

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平成二十年三月二十五日(火曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 下村 博文君

   理事 倉田 雅年君 理事 実川 幸夫君

   理事 柴山 昌彦君 理事 早川 忠孝君

   理事 水野 賢一君 理事 加藤 公一君

   理事 細川 律夫君 理事 大口 善徳君

      赤池 誠章君    稲田 朋美君

      近江屋信広君    鍵田忠兵衛君

      後藤田正純君    清水鴻一郎君

      七条  明君    杉浦 正健君

      武田 良太君    棚橋 泰文君

      中森ふくよ君    長勢 甚遠君

      丹羽 秀樹君    原田 憲治君

      古川 禎久君    武藤 容治君

      矢野 隆司君    保岡 興治君

      山本ともひろ君    石関 貴史君

      枝野 幸男君    河村たかし君

      近藤 洋介君    中井  洽君

      古本伸一郎君    松木 謙公君

      神崎 武法君    保坂 展人君

      滝   実君

    …………………………………

   法務大臣         鳩山 邦夫君

   法務副大臣        河井 克行君

   法務大臣政務官      古川 禎久君

   最高裁判所事務総局総務局長            高橋 利文君

   最高裁判所事務総局人事局長            大谷 直人君

   最高裁判所事務総局刑事局長            小川 正持君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         宮本 和夫君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          深山 卓也君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大野恒太郎君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    梶木  壽君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  稲見 敏夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 秋元 義孝君

   法務委員会専門員     小菅 修一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十五日

 辞任         補欠選任

  棚橋 泰文君     山本ともひろ君

  馬渡 龍治君     原田 憲治君

  森山 眞弓君     丹羽 秀樹君

  柳本 卓治君     鍵田忠兵衛君

  河村たかし君     松木 謙公君

  古本伸一郎君     近藤 洋介君

同日

 辞任         補欠選任

  鍵田忠兵衛君     柳本 卓治君

  丹羽 秀樹君     森山 眞弓君

  原田 憲治君     中森ふくよ君

  山本ともひろ君    棚橋 泰文君

  近藤 洋介君     古本伸一郎君

  松木 謙公君     河村たかし君

同日

 辞任         補欠選任

  中森ふくよ君     馬渡 龍治君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)


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     ――――◇―――――

下村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局組織犯罪対策部長宮本和夫君、法務省大臣官房司法法制部長深山卓也君、法務省刑事局長大野恒太郎君、法務省矯正局長梶木壽君、法務省入国管理局長稲見敏夫君、外務省大臣官房審議官秋元義孝君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

下村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

下村委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局高橋総務局長、大谷人事局長及び小川刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

下村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

下村委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴山昌彦君。

柴山委員 自由民主党の柴山昌彦でございます。

 時間がありませんので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 今回議題となっております裁判所職員定員の変更という問題なんですけれども、まずしっかりと注目をしなければいけないのは、法曹人口のトータルの増加のペースに裁判官の増加のペースが及んでいないのではないかという事実だと思います。

 裁判官、平成二年には人口は二千十七名、そして十九年には二千六百十名で、この間二九%の増加となっております。一方、弁護士は、同じく平成二年には一万四千百七十三名、平成十九年には二万三千百五十四名で、この間の増加は何と六三%であります。検察官ですら、平成二年、千百七十三名、そして平成十九年には千六百三十四名で、三九%の増加となっております。

 今後、司法試験の合格者が年間三千人にもなりなんとする中で、法の支配と紛争処理を飛躍的に高めていこうというこの御時世に、余りにも裁判所の体制は不十分ではないかと思うんですけれども、この点、どのようなお考えなのでしょうか。裁判所の方にお伺いしたいと思います。

高橋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 今、法曹人口が飛躍的に増大しているときに、裁判所の、特に裁判官の増加がそれに見合っていないのではないかという御指摘でございます。

 司法修習生が増加いたしますと、判事補の給源、判事補をそこから採る給源も増加するということになるわけでございますが、裁判官の採用数を考えるに当たりましては、まずは司法に対する需要がどのぐらいあるのか、すなわち司法、つまり裁判所の処理すべき業務量がどのぐらいあり、それを処理するのにどのぐらいの人数の裁判官が必要かという観点、基本的にはどの程度の事件が裁判所に提起されるのかという点から検討すべきものと考えております。

 法曹人口が増加すれば、ある程度民事事件がふえていくであろうということは予測されることでございますが、それでは刑事事件がそれに比例してふえるかというと、必ずしもそういうわけではございません。弁護士さんがすべて訴訟事件をおやりになるかというと、必ずしもそうではなくて、予防法学の方をされることもございましょうし、さまざまな面がございます。そういう点で、将来的には、法曹人口がふえれば民事訴訟事件もふえるであろうということは想像にかたくないわけでございますけれども、それに対応して裁判官の採用もふえなければならないという関係にはないものと承知しております。

 言うまでもないことでございますけれども、裁判官として採用するにつきましては、それにふさわしい資質、能力を持った人材でなければならないわけでございます。今後とも、これらの要素を注意深く見きわめながら、国民のニーズにこたえるために必要な、それにふさわしい人材を裁判官に採用していきたいと考えております。

柴山委員 刑事事件がふえるわけではないという御指摘でしたけれども、先ほど申し上げたように、検察官の定員は三九%ふえているわけですから、その御立論は説得力がないと思います。

 それと、もう一つ言わせていただくと、法曹の資質の問題を取り上げましたけれども、それでは弁護士あるいは検事さんの資質はどうでもいいのかという話です。要するに、法曹トータルの質の強化ということは、我々が司法制度改革の中でしっかりと議論をしていかなければいけないわけですから、裁判所だけがギルド的な既得権益の擁護ということにもしこだわっているとすれば、これは断じて許されないということだけはぜひ申し上げたいと思います。

 その上で、先ほど事件数のことについて御指摘をされたんですけれども、それではお伺いしたいと思います。一人当たりの裁判官の手持ち事件数、そして新しく配てんされる事件数、これについて、最近の推移をぜひお聞かせいただきたいと思います。

高橋最高裁判所長官代理者 最近の全国の裁判官の手持ち事件数、民事訴訟を担当している裁判官の手持ち事件数それから新受件数というものについて、現在、数字を手元には持っておりません。

 支部の裁判官でありますと、単に民事訴訟事件だけではなくて刑事、それから保全事件、破産事件、さまざまな事件を担当しておりますので、裁判官一人当たりの民事手持ち事件数、新受件数というのは、数値を出すのは非常に困難であるということは御理解いただきたいと思います。

 具体的に申し上げますと、それでは東京地裁の、委員お尋ねの裁判官一人当たりの手持ち件数について、繁忙とされます東京地裁民事通常部の事件数を出してみますと、平均して二百件程度でございます。同じくお尋ねの一人当たりの新受件数、一カ月当たり民事通常部は三十件程度となっております。

柴山委員 一人当たりの裁判官の手持ち件数が二百件、それから一カ月間に新しく受ける事件数が三十件ということですね。もちろん、これらのすべてが終局処分が判決という形で終わるわけではありませんから、そのあたりは注意をしなくてはいけませんけれども、果たしてこのようなペースで、裁判官がしっかりと熟慮の上、真っ当な判決が書けるかということなんですね。

 私の手元に、平成十三年の四月十六日付で最高裁判所事務総局が出した「裁判所の人的体制の充実について」というペーパーがございます。この中に今後の目標として、裁判官の手持ち件数を大幅に減らさなければいけない、手持ち件数を現在の百八十件から四分の三の百三十件から百四十件、こういった形でペースダウンしていくということが必要だというように明記されているわけですね。

 にもかかわらず、現状は今おっしゃったような形になっているわけでございます。ぜひこの点について、しっかりと今後、法の支配の拡大ということで必要な体制ということを考えていただきたいというように考えております。

 加えてもう一点申し上げたいことは、裁判員制度が、平成二十一年五月二十七日までの政令で定める日で施行されるということなんですね。この裁判員制度の導入に当たって、必要な人的体制は一体どのようになっているんでしょうか。

高橋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判員制度の導入といいますのは、裁判所にとって非常に大きな、特に刑事裁判にとって非常に大きな制度改革であると考えております。制度導入までに、現在の事件動向に適切に対処しつつ、裁判員の参加にたえ得るように、審理の充実、迅速化を徹底しますとともに、制度導入後の手続を円滑に実施するためには、合議体を構成する裁判官のみならず、選任手続において多くの事務処理を担当する書記官を含め、人的体制を順次整備していくことが不可欠でございます。

 裁判員制度の導入に伴う増員につきましては、裁判員制度の具体的な運用等について、模擬裁判等を通じて検討を進めているところでございます。これまでに最高裁や全国各地の裁判所において実施された模擬裁判の結果や、これまでの事件数をもとにいたしますと、裁判官についてはおおむね百五十人程度の増員で行うということを考えております。

柴山委員 この裁判員制度の導入に際して、それだけで裁判官の増員が百五十人必要だというように今御指摘になっているわけですけれども、今各地で模擬裁判をされているというお話はありましたけれども、その中で、この百五十人という人数について、増員の必要性というような声は上がってきていないんでしょうか、どうなんでしょうか。

高橋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 模擬裁判をする過程におきまして、審理及び評議の両面において、これは思ったよりも業務量といいますか手間がかかるではないか、大変ではないかという声が上がっていることは事実でございます。

 ただ反面、この裁判員裁判ということによりまして、訴訟関係者の間で共通認識が生まれてきていると思います。それは、できるだけ公判前整理手続で争点を整理して、そこに集中して審理を行う、非常に効率的な審理を行うということが実現できそうな状況が生まれてきております。そしてもう一つ、刑事事件が最近少し動向が、事件数が落ちついてきております。こういった点も考慮しますと、百五十人でやれるのではないかというふうに私どもは考えております。

柴山委員 今後の裁判所の定員を考えるに当たって非常に重要なのは、紛争解決手続における裁判所の位置づけというものが今後どのようになっていくかということだと思うんです。刑事事件もそうですけれども、紛争解決ということが裁判所の大きな役割になってきます。

 その中では、この委員会でも検討されているADR手続ですとか、あるいは準司法手続、行政の中で公正性を確保するために司法に準ずる手続で審査等をするという手続、また仲裁等の手続、さまざまあると思います。

 ここで、今後の司法行政の担当者に、裁判所の位置づけについてのビジョンをぜひお伺いしたいというように思います。

高橋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判所は、公正かつ透明な手続を通じて事実関係を確定し、法律を適用して、具体的な紛争を解決する司法作用を行うことをその本質的な役割としておりまして、これまで民事、刑事、行政、家庭事件を、そういう意味で適切に処理してきたものと認識してきております。

 そして、最近では、非常に最先端の金融機関同士の合併をめぐる紛争でありますとか、最先端の技術が争われる特許紛争であるとか、これまで裁判所に来なかったような物すごく難しい事件、非常に最先端の事件が来ております。

 また、他方、従来は行政の分野に属すると思われてきた事柄も裁判所で担当してはどうかということで立法が行われてきております。最近の薬害C型肝炎の被害者救済特別措置法でありますとか児童虐待防止法の改正などは、そういうような議論がされたというふうに私ども承知しております。

 さまざまな裁判所の関与が求められてきておるわけでございますが、その背景には、社会構造が行政による事前規制型社会から事後救済型社会へと転換しつつある、そういうことを反映しているのではないかと思われるわけでございまして、中立公正な機関としての裁判所に対する期待が高まっているのではないかと思われます。

 このような事件について裁判所はどういうスタンスで対応するのか、先ほど言われましたADRでありますとか準司法手続、行政不服審査手続の改正でありますとか、そういった点についてどういう考えを持っているのかということでございますが、政策的な問題についてあれこれ申し上げるのは必ずしも適切ではございませんが、先ほど申し上げましたような司法の本質にそぐわないようなものについては、やはり裁判所がそれを担当するのは適当ではないと考えております。

 私どもは、すべての社会的紛争が裁判所で解決されなければならないと思っておるわけではございません。ADRの特徴もございます。安くて、解決の方法が柔軟性があって速いとか、そういういろいろな特性を備えたADRもございましょうし、専門の行政不服審査手続で十分解決される紛争もあると思います。

 あくまでも裁判所はラストリゾート、つまり、最後のよるべきところとしてその機能を果たすべきところでございますので、そういう機能に即した事柄については、裁判所としては引き受けていかざるを得ないと考えております。

柴山委員 今、独占禁止法の改正の議論で、要するに、行政の審判制度を廃止して、裁判所の手続に一本化しようなどという議論も行われているわけですけれども、先ほど御指摘をいただく中で、そういう単純な議論というものが果たして妥当するのかどうかということについては、ぜひ我々議員がしっかりと考えていかなければいけないというように思っております。

 この紛争解決の多様性ということについて、法務省からもし御意見がありましたら、司法法制部の方から伺いたいと思います。

深山政府参考人 委員御指摘のとおり、一口に法的紛争と申しましても、さまざまなものが存在しておりまして、紛争解決に関する国民のニーズも多様であると考えております。

 そこで、今般の司法制度改革におきましても、労働審判制度の創設、仲裁制度の整備及び裁判外紛争解決手続の認証制度の創設など、国民にできる限り多くの紛争解決手続の選択肢を提供して、それぞれの紛争に適した解決方法の選択を可能にするというようなことが図られていますし、いずれの紛争解決手続も迅速で公正なものになるよう制度の充実が図られております。

 中でも裁判所は、今最高裁の御答弁にもありましたけれども、紛争解決制度の中心的な存在であることは否定できませんし、他の方法では解決できない紛争を含むすべての法的紛争の最終的な判断機関でございますので、日常的な紛争から高度な専門技術にかかわる紛争まで、いかなる法的紛争にも対応することが求められていると思っております。

 法務省の立場としては、今後とも、各種の紛争解決手続が国民にとって多様なニーズにこたえ得るものになるようその整備に努めるとともに、裁判所が国民に求められている機能を十全に発揮できるよう必要な検討を行っていく所存でございます。

柴山委員 時間が終わりましたので、以上で質疑を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

下村委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口でございます。

 来年の五月には裁判員裁判制度を実施する、こういうような段階に入ってまいりました。

 判例タイムズに、今崎幸彦司法研修所の教官が、「司法研修所における裁判官共同研究の概要」ということを発表されております。そして、その裁判員裁判の審理に求められる理念というのは、法廷で目で見て耳で聞いてわかる審理、これがキーワードになるわけでございます。大型否認事件、それから難解な法律概念、正当防衛でありますとか責任能力、心神喪失、心神耗弱、殺意、共同正犯と従犯、こういう難解な法律概念、そしてまた量刑のあり方、こういうことを審理、評議していくことになるわけです。

 今回、そういう点で問題提起になった事件として、秋田の連続児童殺害事件がございます。これについては、公判前整理手続で一年三カ月、十二回、そして公判は半年間、十四回という形で、結果が無期懲役であった、こういうことも議論を呼んでおるわけであります。

 そこで、まず秋田の連続児童殺害事件の第一審判決について、公判に空白がないよう審理と並行して行われた精神鑑定であったため、真相解明が不十分であった、こういう指摘もあるわけであります。

 裁判員制度開始後は、短期間に集中した審理を行う必要がある。五日間以下で九割と言われていますが、公判開始後の鑑定を行うことは例外中の例外であるはずであります。この点、これまでのように公判開始後に鑑定を実施したのでは審理が中断してしまい、裁判員の負担が増大してしまうことから、裁判員法五十条で、公判前整理手続における鑑定実施命令の制度が整備され、裁判員制度と同時に施行される予定になっています。

 裁判員裁判において、この制度を適正に運用するとともに、必要に応じて捜査段階においてもしっかりとした鑑定を行って、裁判員に負担のかからない審理計画を立てる必要がある、こういうふうに思いますけれども、最高裁の見解をお伺いしたいと思います。

小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 委員まさに御指摘のとおりでございまして、公判開始後の鑑定の実施によりまして審理が中断されることのないよう、公判前整理手続において裁判員に負担のかからない審理計画を立てる必要があるという議論がなされているものと承知しております。

 そのような観点から、現在、裁判官の協議会あるいは司法研究等で、裁判員裁判のもとにおける鑑定のあり方について検討がなされているところでございまして、今後もそのような検討がさらに進められていくものと考えております。

大口委員 鑑定のあり方についても、また鑑定書がわかりやすいものである必要もあるし、あと一年でありますので、これから本当にしっかり検討していただきたいと思います。

 また、今回の事件で、量刑のことも問題になったわけであります。

 量刑は裁判員裁判でも極めて重要な問題でありまして、先述の、今崎司法研修所教官が発表したこの「裁判員裁判における審理及び制度運営上の課題」でも、裁判員裁判において、量刑相場を示すべきか否か、示すに当たって裁判員の意向を確認すべきか否か、また、資料を示すとして、どのようなものを示すのかといったことがこの裁判官の研究会で議論されたことが紹介されておりました。

 こうした点について、最高裁としての見解及びその準備状況についてお伺いしたいと思います。

小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、裁判官の研究会や協議会等において、量刑について国民の感覚を反映させることが制度の重要な趣旨の一つと位置づけられておりますことから、評議において、裁判員に量刑について自由に意見を言っていただくことが大変重要であるとの議論がなされております。

 他方で、我が国の刑事法では幅広い法定刑が定められていることから、裁判体によって量刑に過度のばらつきが出るということは望ましくない。量刑の公平を確保するためには、裁判員に量刑資料を示した上で量刑判断を行ってもらうことが有益なのではないか。具体的には、検察官、弁護人は、これまでの量刑傾向を踏まえて意見を述べることになるから、裁判員にも事件の類型ごとに大まかな量刑の幅を示すような資料を示す必要があるのではないかとの議論もなされております。

 いずれにしましても、最高裁としましては、裁判体が量刑資料を示すこととした場合に、適切な資料を迅速に作成することができるように、裁判官の研究会等における議論の内容等を踏まえまして、それまでの同種事件の宣告刑がどの幅におさまっているか、これをグラフで示すことができるようなシステムを開発しているところでございます。

 委員の御指摘も踏まえまして、今後も引き続き裁判員制度のもとで充実した評議が実現できるように必要な準備を進めていく考えでございます。

大口委員 ばらつきが余りにも大きくなって、それで公平さを欠くというようなことになってきますと、裁判員裁判の信頼性にもかかわってきますので、しっかり準備をしていただきたいと思います。

 次に、裁判員裁判というのは、裁判員と裁判官との評議のあり方も重要であると思います。先ほどの今崎論文でも、裁判員との議論における裁判官の姿勢、スタンスの議論がなされたと紹介しています。専門知識を持っているのでそれにこだわりを持つのか、こだわらないで、裁判員の意見をどう酌み取っていくのか、こういうことも議論されているわけでありますけれども、いずれにせよ、裁判員裁判においては、評議において裁判員と裁判官とが十分にコミュニケーションをとることが重要であって、そのための研修を事前に十分行っておくということが大事である、こういうふうに考えておりますけれども、最高裁のお考えをお伺いしたいと思います。

小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、裁判員裁判の評議においては、裁判員と裁判官とが十分コミュニケーションをとって充実した評議が行われることが大変重要であるというふうに考えております。裁判員と裁判官が一つの裁判体を構成して、一つのチーム、同じチームの一員となって判断に当たるということでございます。

 この点、現在、全国の地方裁判所において、模擬裁判や模擬評議を繰り返して実施しておりまして、その際、評議の様子を法曹関係者等に公開して、事後の意見交換会等において御意見をいただいて、そうした結果等を踏まえまして、協議会や研究会等において議論を重ねてきております。

 委員の御指摘も踏まえて、今後も引き続きこうした実証的な検証を積み重ねて、裁判員制度施行後適切な評議が実現できるよう必要な準備を進めていきたいと考えております。

大口委員 いかに裁判員とのコミュニケーションを図って引き出してくるか、これにやはり裁判員裁判の成否がかかっておると思うんですね。ですから、やはり心理学でありますとかコミュニケーションのいろいろな技術をどう学んでいくか、意識改革もしなきゃいけませんが、技術も大事だと思いますので、しっかり対応していただきたいと思います。

 また、先般、被害者参加制度ができました。裁判員裁判と被害者参加の適切な調和を図ることが重要であります。衆議院の附帯決議でも、「犯罪被害者等が刑事裁判に参加する制度及び裁判員制度の実施時期が近接していることにかんがみ、裁判員裁判に犯罪被害者等が参加する場合において、裁判員がこれらの制度の内容を十分理解できるよう努めること。」とされております。

 この問題に関する研究は進んでいるのか、最高裁の見解を聞きたいと思います。

小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 現在、裁判官協議会や研究会におきまして、裁判員裁判の運用とともに被害者参加の運用について協議が行われているところでございます。また、今後、被害者参加が行われる事件の模擬裁判を行って、法曹三者で運用について実証的に検討することも予定しております。

 こうした検討を踏まえまして、裁判員に対して被害者参加制度をわかりやすく説明できるように準備を進めていきたいと考えております。

大口委員 裁判員裁判制度、審理について冒頭にもお話ししましたように、例えば正当防衛というものをどう裁判員に理解していただくか、あるいは責任能力、これも心神喪失や心神耗弱、こういう概念、あるいは殺意、共同正犯と共謀共同正犯とか従犯ですとか、こういう法律概念というのは、私どもは司法試験で勉強したわけでありますけれども、こういうことを本当に裁判員に理解していただくということも大変難しい問題でございます。評議のことも今申し上げました。

 そういう点からいきますと、これは刑事裁判の大改革でありまして、そういうことについて、果たして裁判員裁判対応の増員が五年間で百五十人で足りるかどうかということは、先ほども同僚議員からありましたけれども、私はちょっと心配なんですね。ですから、もちろん裁判官の質も大事でありますが、ある程度の、万全の体制を期するための人員も大事だ、こう考えておりますが、いかがでございましょうか。

高橋最高裁判所長官代理者 先ほど答弁申し上げましたとおり、裁判員裁判といいますのは、従来、刑事訴訟でやっていなかった業務が新たに加わる、特に選任手続でございます。

 毎日六人、あるいは予備員を入れますと八人の裁判員を選ぶためには、やはり数十人、恐らく七、八十人あるいは五、六十人ぐらいの人がその日に裁判所を訪れて、そこからくじ引きだとかいろいろな選任手続で質問をしたりなどして選んで、そして午後からは審理を始める。そこでも集中審理ということになりまして、今まで刑事訴訟でやっていなかった業務、それから新たにつけ加わる業務がございます。

 そういうものを処理するために、先ほど申し上げましたとおり、大体五年で百五十人程度の増員が必要ということを申し上げまして、大体それで賄えるというふうに私どもは考えております。

大口委員 とにかく失敗は許されないものですから、本当に今、最高裁も、裁判所も模擬裁判等で一生懸命やっておられるわけでありますけれども、ぜひともきょう質疑させていただいたことをまたしっかり認識していただいて、対応していただきたいと思います。

 それでは、法務大臣の方にお伺いをさせていただきたいと思います。

 法曹人口について、大臣が御主張されておりました勉強会というものが発足しました。これは二月二十日だと聞いております。これの中で、やはり法曹の質の問題、需要の問題、そして訴訟社会化の問題、隣接法律専門職種との関係の問題等を議論されている、こういうふうに聞いております。

 新たな法曹養成制度において、法科大学院教育、司法試験、司法研修所が有機的に連携したプロセスによって法曹を養成するのでありますから、質の確保という意味では、法科大学院のあり方も非常に私は重要であると思うんですね。

 それで今、司法試験も、御案内のように、昨年で、法科大学院修了者の四割、特に法学部未修了の方は三割台ということで、本当に合格者が少ないという現状です。ですから、ある法科大学院でも不祥事がありましたけれども、非常に受験校化しておりまして、本当にこの法科大学院教育の教育自体がおかしくなってきているんじゃないか、それがやはり法曹の質にも非常に影響してきていると私は思うんですね。ですから、例えば法科大学院も今定員が五千八百でありますが、本当に果たして五千八百もとっていいのかということを法科大学院も真剣に考えていただかなきゃいけないと思うんですね。

 そういう点で、この勉強会において、本当に大臣が法曹の質ということを非常に重視されているということでありますから、法科大学院のあり方について議論をするということは私は不可欠であろう、こういうふうに考えております。

 そういう点で、法科大学院のあり方について、あるいは司法試験等のあり方についての議論というのも対象になるのか。そして、そうなってきますと、やはり文科大臣との意見交換あるいは文科省の意見というものもしっかり交換していかないと、この質の問題というのは私は前に進んだ議論にならないと思うんですね。

 この点についていかがか、お伺いしたいと思います。

鳩山国務大臣 大口先生おっしゃるように、やはり今回の司法制度改革の中で法科大学院をつくったというのは最大の変化の一つだろう、そう思っております。法曹の養成の仕組みを大幅に変えたわけですから。

 この間、新聞を読んでおりましたら、結局どんどん減らしていって旧試験がいずれ消えてしまう、そうすると、昔は弁護士あるいは裁判官、検事になるために、とにかく一生懸命、金はないけれども勉強して、それで難関を突破するという人が大勢いたけれども、予備試験というのはあるかもしれませんが、原則法科大学院に行かなければ法曹になれないということになれば、金がなくて、ねじり鉢巻きで勉強したい人はこれからは法曹になれないのかということが書いてありまして、なるほど一つの考えだなと思うわけで、すごく大きな変化。

 したがって、法科大学院をつくった最大の理由は、やはり有機的な連携でしょうね、司法修習との。そういう意味で、当然、法科大学院の状況、これは第三者評価を義務づけてありまして、きのうは大学基準協会だったでしょうか、慶応大学や法政大学についての第三者評価をしている。それから、これからあと二つ、日弁連関係の機関ともう一つ、法科大学院の第三者評価をしますね。これは大変注視したい、こう考えております。

 当然、そうなってきますと、法科大学院自体は文部科学省の教育機関として存在しているわけですから、すべてが私どもで決められることでは全くありませんから、私の勉強会は副大臣と私中心として、メンバーを確定しているわけでもありませんけれども、当然、私もかつて文部大臣をやっておりまして、今でも人脈もありますから、参考意見等を聞いてみたい、こういうふうに思っておりますし、折に触れて法科大学院についての調査もするわけでございますので、連携をとっていこうと思っております。

大口委員 時間になりましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

下村委員長 次に、石関貴史君。

石関委員 民主党の石関貴史です。

 二年半この法務委員会に所属をしておりますけれども、随分穏やかになりまして、久しぶりに質問の時間をいただくことになりました。また、大変饒舌な大臣ですので、楽しみにきょうは質問に向かっております。

 まず初めに、法務大臣の御発言、いわゆる司法試験合格者三千人の目標を見直すべきだという趣旨の御発言をなさっておられます。これについてお尋ねをいたしたいと思います。

 これは去年の九月、閣議後の会見で、三千人は多過ぎるのではないかというふうに疑問を投げかけた形の発言をされている。また、優秀な人が司法試験に通ればいいということで、人数がふえているので質が低下をしている可能性があるということでありますので、同じ弁護士なり司法試験に通っても、人数がふえちゃったので低下しているじゃないか、これは一生懸命司法試験に通った人にとっては何かばかにされているような気もするでしょうし、そういう感覚をお持ちでこれは減らすべきというふうにおっしゃっているのかというのが一つ。

 やはりこれは司法試験ですので、今回の法案もそうですけれども、司法試験に通った人の中から検察官や裁判官にもなるということでありまして、今回は裁判官をふやそう、こういう法案であります。弁護士に限らず、こういった方々を含めて司法試験を受けて通られるということでありますので、こういったものも含めて、大臣の発言の真意と、それから、三千人が多過ぎるので検討の会をつくるということもおっしゃっておられるんですか、政府の司法制度改革と逆行する発言でもありますし、こういった今御指摘した幾つかの点について、特に大臣に、改めてこの発言の真意についてお尋ねをしたいと思います。

鳩山国務大臣 本日閣議決定されました規制改革推進のための三カ年計画改定版、きょう閣議決定したんですね。今までの改定前のものは、平成二十二年に三千人合格にするんだけれども、前倒ししたらどうだということが書いてありました。その後さらにふやしたらどうか、検討したらどうかということが書いてありましたが、私どもの意向を酌んで、きょうの改定版からそれは消えたわけです。前倒しして三千人にしようというのは消えました。その後さらにふやそうかという話も消えたわけでございます。

 私は、基本的に、年がわかってしまいますが、我々の年代のころは五百人ずつ司法試験に合格しておったと思うんですね。それはもちろん法科大学院、今御答弁申し上げたようなことで、制度を変えて三千人という話が出てきましたが、私は、裁判官はこれからはまたふやさなくちゃならないと思うし、今増員の法律案をお願いしている。検事さんも、やはり事件数に比べて検事の数、千五百人というようなオーダーであれば大変でしょうから、ふやさなくちゃいけないだろうと思いますが、日本の国が訴訟社会になっていいとは思わないわけです。

 そういう意味で、三千人までというのは閣議決定されていますから、これは私も、昨年法務大臣になった者としては受け入れざるを得ないんだろうと思っていますが、それからずっと毎年三千人合格していきますと、物すごい数の法曹人口になるわけですね。そのことはやはり多過ぎる。当然質の低下も、今先生おっしゃったように、それは門を広げればどうしたって質の問題というのは起きてくると思いますから、本当に優秀で、しかも人格、識見も立派な方が狭き門をくぐり抜けて法曹になるという大原則はやはり守るべきだと私は思うんですね。

 そういう意味で、三千人をずっと続けることは、多過ぎるのではないかと今でも思っております。

石関委員 ということは、今披瀝いただいた大臣の御見識からいうと、三千人にふやしていこうという過去の政府の決定は誤りであった、端的に言えばこういうことでよろしいんですね。

鳩山国務大臣 いや、ですから、法科大学院という制度をつくって、平成二十二年に三千人にしていくわけですね。それは私も認めてはいるんですけれども、ただ、これからずっと三千人を続けるということになると多過ぎるのではないかというふうに思っておりまして、そのためには、先ほどの御質問にもあったように、法科大学院の状況というもの、法科大学院でどういう質の方が生まれてくるかということを真剣に検討していかなくてはならないし、第三者評価機関が三カ所あるようでございまして、それぞれ評価をするようでございますから、それを注意深く見守っていきたいと思っております。

石関委員 これは先ほどもお尋ねしましたけれども、裁判官の方や検察官も司法試験を通った人から選ばれるわけですね。そうすると、三千人なり人数がふえると、弁護士だけじゃなくて、こういった裁判官や検察官になる人の質も低下をする、こういうおそれを抱いている、一般的には弁護士がふえると訴訟社会の傾向が増していくのではないかと大臣はおっしゃっているように理解をしているんですが、同じ司法試験の制度ですので、人数がふえることによって質が低下するのであれば裁判官とか検察官の質も低下するおそれがある、このように御認識されているのでしょうか。

鳩山国務大臣 先生御承知のように、我が国は厳密な意味での法曹一元の形にはなっておりませんが、資格として司法試験を通ることが弁護士さんも裁判官も検事もみんな必要だ、こういうことであろうと思っておりまして、裁判官を希望する、検事、検察官を希望する方が大変多くおられるように聞いておりますから、三千人をずっと続けると、質的な問題あるいは需給関係の問題も当然出てくるだろうと思いますが、直ちに裁判官や検察官の質が落ちる、そういう形に結びついていくとは私は考えておりません。

石関委員 この御発言に関して、一月二十五日の記者会見であったと思いますが、見直しのための組織を省内につくる、三月ごろにはつくりたいという御発言をされておられますが、もう三月下旬になりましたので、この組織については、御発言のとおり、もうおつくりになったのでしょうか。

鳩山国務大臣 実は、河井副大臣、この問題に非常に熱心に取り組んで、いろいろな法科大学院の視察等もしていただいておりますが、彼と相談をしまして、それこそこれは前倒しして二月二十日に、私的な形ではありましょうが、将来的な法曹人口を法務省としてどう考えるかという勉強会は立ち上げたところでございます。既に立ち上がって、一月ぐらいたっております。

石関委員 それでは、この会は頻繁に開催をされて活発な議論がされている、三千人は多過ぎる、減らすべきだという趣旨で、この会はどのくらいの頻度で開催をされているのでしょうか。

鳩山国務大臣 顔合わせ等を含めて三回ぐらいやったかというふうに思っておりますけれども、かなり濃密な勉強をいたしております。

 それは、もちろん三千人では多過ぎるのではないかというのは私が所信表明でも申し上げているところでございますが、何も減らそうというだけの勉強ではありませんで、今後の法曹のあるべき姿ということですよ。

 つまり、だから、質の高い法曹を確保するにはどうしたらいいかとか、あるいは法科大学院という仕組みの中でどういう状況が起きているのかとか、あるいはこれは各地の弁護士会がいろいろな意見を発表しておりますが、やはり需給関係というのがありますね。例えば各企業などにみんな企業内弁護士を置いたらいいじゃないか、そういう需要がすごく大きいかという側面もありますが、最近は、企業はみずから企業内に法律の専門家を養成して、外部の顧問弁護士はおられますが、基本的なことは会社内部でやってしまうという企業もすごく多いというふうに思っておりますから、そんな状況はどうかとか、あるいは司法書士の先生とか土地家屋調査士の先生もそうかもしれませんが、いわゆる隣接法律専門職というんでしょうか、外国での計算によれば弁護士になるような方々との関係とか、いろいろなことをやっております。

 この間は、いわゆる二回試験でしょうか、司法修習を終えて二回試験を受けるわけですが、そのときに、意外と妙な答案というんでしょうか、何でこれだけの訓練をしてもこれだけの答案しか書けないのかというような事例もありますよとか、いろいろと研究をいたしております。

石関委員 これは失敬に聞こえると恐縮なのであらかじめ言っておきますけれども、鳩山大臣云々ということじゃなしに、やはり内閣がかわったりそれに伴って大臣がかわるとこれまでの方針がばあっと変わってしまうということが、例えば道路の特定財源のこともあり、内閣がかわるというのはそういうものだなというふうにも理解をしておりますので、せっかくこういった知見をお持ちの大臣がこういう責任を持った発言をされておりますので、顔合わせ程度の会だということでありますが、せっかく信念を持って始められたことであれば、積極的に活発に会を行っていって、またこれを世間にも公表してやっていただきたいと思います。

 大臣がこういう発言をされて、こういう見直しのための組織、会をつくったということでありますが、最高裁判所としては、この大臣の発言、そして実際に会もつくって始動したということについてはどのように受けとめをされているのか、裁判所のお考えを聞かせてください。

大谷最高裁判所長官代理者 司法試験の合格者の数につきましては、今法務大臣の方から御答弁がありましたとおり、現在、法務省においてさまざまな観点からの検討がなされていると承知しておりますが、この点につきましては、司法試験を所管しているのは法務省でございまして、本来法務省において検討がされるべき問題でありまして、裁判所が意見を申し上げることについては差し控えさせていただきたいと存じます。

石関委員 差し控えていただくだけで結構なので、感想ぐらいあるんじゃないですか。裁判官をふやしてくれという法案が今回出ているわけですし、全体の司法試験合格者の数というものが今後、裁判官の数や検察また弁護士の数に影響していくわけですから、これについて、それは法務省がやっていることは私も承知の上ですけれども、密接に関連をする裁判所としては、どのような感想をお持ちなのかぐらいは言えるんじゃないですか。

大谷最高裁判所長官代理者 裁判官の数という点でちょっと申し上げたいと思いますけれども、修習生は現在のところ裁判官の最大の給源ということでございまして、そういった意味からも、合格者数がどのように推移していくかということについて裁判所が関心を持っているということは言うまでもないところでございます。

 その合格者数につきましては、司法制度改革における議論を踏まえまして着実に増加してきておりまして、そういった大枠の中で、裁判官にふさわしい資質あるいは能力を持った人を事件処理のために必要な人数採用していく、こういう点は基本的には変わるところがないわけでございます。そういう意味では、裁判官の採用の観点から、なお独自に司法試験合格者数というものを論じるまでのことはないのではないかと現時点では考えております。

 いずれにしましても、裁判官の採用については、今後とも国民のニーズにこたえるのに必要な、またそれにふさわしい人材を採用していきたい、こういうふうに考えております。

石関委員 それでは、先ほども裁判員制度についての御質問が出ておりましたけれども、きのう上京してきて、東京駅から議員会館へ来るときに、法務省の横に大きな看板が出ておりました。三つぐらいあったんですけれども、一番目についたのは、裁判員参上という字を書いた看板がありました。

 これは、大臣、副大臣、政務官もいらっしゃいますけれども、皆さんの普通の感覚として、今国民の皆さんにいろいろ御理解をいただかなきゃいけない裁判員制度で、仕事のお時間も奪うかもしれないし個人の時間を奪うけれども、今こういう司法改革の流れの中で一般の国民の皆さんに参加をしていただく、こういう制度を導入しようとしているときに、裁判員参上という看板は、どういう意図を持ってこういう広報をされているのか。この看板は、だれが考えて、幾らぐらいお金をかけてこういうことをやっているのかと私は非常に疑問に思ったんですけれども、社会通念、普通の感覚からして、こういう裁判員参上という文字を掲げて、どういう国民の皆さんの理解が得られると考えているんですかね。大臣、御答弁いただけますか。

大野政府参考人 今委員御指摘の広告は、法務省横で現在、建物の解体工事が行われているわけであります。祝田橋交差点に面しているところでありますけれども、これの仮囲いに、「裁判員参上!平成二十一年裁判員制度スタート」というような看板がかかっております。これと並べまして、例えば「よろしく裁判員 平成二十一年スタート ご協力をお願いします。」あるいは「平成二十一年スタート 裁判員制度」というような看板をかけているわけでございます。

 どうしてこういう文言にしたのかというお尋ねでございますけれども、限られたスペースの中で、しかも祝田橋交差点を通りがかられた方々にできる限り印象の強い、あるいはパンチがあるといいましょうか、ということで、平成二十一年に裁判員制度の開始が迫っているということを明確に御理解いただけるように作成したものでございます。

 もちろん、そうした……(石関委員「短く」と呼ぶ)はい。それ以外にも、また御説明するチャンスがあると思いますけれども、裁判所や弁護士会等とも協力いたしまして、制度についてのいろいろな説明、いわゆる草の根広報等にも努めているところでありますけれども、あらゆる機会をとらえてより多くの国民の方々の理解を得るために、その一方策といたしましてこのような広告を設置したということでございます。

石関委員 時間もあるので、端的にお答えいただきたいんです。

 パンチをきかせるというのは結構なことですけれども、これは違うパンチじゃないですかね。随分センスを疑われると思いますよ。皆さん笑みが漏れていますけれども、ちょっと違うパンチをきかせてもらいたいと思います。

 これはよく、皆さんの選挙区もそうですけれども、地元に戻って堤防へ行ったり橋の下へ行ったりすると、何とか参上とかありますよ、ペンキでいたずら書きが。こんなセンスのものをつくられたら、たまらぬと思いますね。

 これは、だれが考えて、どういう契約をして、どの広告会社がこれを書いたんですか。それだけちょっと簡単に教えてください。

大野政府参考人 済みません。詳しいことは御説明する準備ができておりませんけれども……(石関委員「きのう言ってありますよ」と呼ぶ)はい。この看板の設置に要した費用は、約十一万六千円であるというように聞いております。

石関委員 いやいや、だれが考えたんですか、裁判員参上は。きのうちょっと言ってありますから。

大野政府参考人 これは刑事局で考えたものでございます。(石関委員「その業者は。契約はどうなっている」と呼ぶ)業者の名前をこの場で申し上げることが適切かどうか、ちょっと……(石関委員「適切ですよ、それは。聞いているんだから。ちゃんと答えてくださいよ」と呼ぶ)株式会社と契約をさせていただいております。

石関委員 株式会社は何ですか。株式会社はどこですか。刑事局のだれかが裁判員参上というのを書いて、看板だけそれは書いてもらったんですか。

大野政府参考人 刑事局のだれというふうに言われましても、刑事局の中でいろいろ会議をし、広報についての知恵を出しているわけでございます。そういう中で、この文言が決定されたわけでございます。

 会社名につきましては、ちょっと具体的な会社名を出すのが適当かどうか。後ほど検討した上で御回答したいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

石関委員 要領を得ませんけれども、余りこれをやっていても法案の本体へ入れませんからあれですけれども、刑事局で知恵を絞ってこんなものを出しているんじゃ困りますよ。もう少し違うことに知恵を使って、時間を使ってください。

 大臣、では言ってください。

鳩山国務大臣 裁判員制度というのは、国民の感覚というか市民感覚というか、そういういいセンスのようなものを裁判に取り込んでいこう、こういう趣旨だと思うんですね。そういう趣旨から考えてみると、随分センスの悪い一種の広報というか、あれだなと思いますね。私は、正直言って、センスが悪いと思います。裁判員制度というのは国民の市民感覚を入れましょうというのに、何か市民感覚のない下手くそな文章をつくったな、こう思います。

石関委員 さすが見識の高い大臣がこのようにおっしゃっていますから、十分考えて刑事局も対応してください。私も同じ感覚ですよ。裁判員をお願いしているのに参上とか、何ですか、これは。大臣もそうおっしゃっていますから、十分考えて対応をとっていただきたいと思います。お願いいたします。

 こんなことばかりやっていてもしようがないので、法案の本体の方に入りますけれども、裁判官、職員をふやしますということで、この必要性について、私もこれは理解をしているつもりでございます。

 ただ、立派な裁判官、職員の方をふやすというのは当たり前のことでありますが、残念ながら、そうでない裁判官の不祥事それから職員の不祥事というのも、大変世間の耳目を聳動したり、大きく取り上げているところでもあります。

 こういうことが多いと、本当に裁判官の人をふやして大丈夫なのか、今の裁判官の皆さんは信頼できるのか、こういう裁判の根幹にもかかわることでございますので、幾つかそういった問題についてお尋ねをして、法案のことについてお尋ねをしていきたいと思います。

 幾つか事例の御紹介をいただきたいと思います。事前に通告をしております。一つ、昨年の十月ですが、枚方簡易裁判所判事のわいせつ致傷事件、これは報道もされておりました。この経緯について教えていただきたい。

 もう一つ、京都地裁が、やはり昨年の十月です、原告に開廷時刻を誤って通達をした。証人尋問ができないうちに証人が死亡してしまって敗訴、国に慰謝料請求の裁判が起こされております。

 以上、まず二つについての経緯を教えてください。

大谷最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 まず第一のお尋ねのあった件でございますけれども、本件は、枚方簡易裁判所の簡裁判事が、平成十九年十月六日土曜日午後八時ころに、神戸市所在の風俗店内で、接客中の女性従業員に対し、その下唇を強くかむなどの暴行を加えて全治約二週間を要する傷害を負わせたという事案でございます。

 その後の経緯についてもあわせて若干申し上げたいと思いますけれども、後日、この被害女性との間では示談が成立いたしまして、被害届が取り下げられたこともありまして、刑事事件につきましては十一月六日付で不起訴処分、起訴猶予とされました。

 裁判官の職務外の非行でございますが、十一月十六日付で、下級裁判所事務処理規則二十一条に基づきまして、大阪地裁所長から厳重注意の措置がとられたものでございます。

 それから、二番目のお尋ねの点でございますが、これは京都地裁の事件で、動産返還請求訴訟事件におきまして、証人尋問期日が平成十九年一月二十二日午前十一時三十分と指定されましたが、原告及び原告代理人は、その日の午後一時三十分に期日指定されたものと誤解しておりましたために、当該証人尋問期日に立ち会えませんでした。その後、当該証人が死亡したため、結局、原告側がその証人を尋問することができなかったといういきさつがございます。

 この事案に関しましては、原告から国家賠償請求の訴訟が起こされておりまして、現在係属中でございますが、当該国家賠償訴訟では、担当書記官が原告側に誤った証人尋問期日を伝えたのか、それとも原告側が何らかの勘違いをしたのかということが主たる争点となっております。

 担当書記官に対する措置につきましては、この国家賠償訴訟の帰趨を見て判断することにしております。

 以上でございます。

石関委員 最初の件、枚方簡易裁判所の判事さんですけれども、何か唇を強く吸って何とかということですけれども、それで何か罪に問われるようなことになったんですか。もう少し詳しく教えてもらえないですか。別に唇を強く吸うぐらいでそんな大きな問題になるんですか。

大谷最高裁判所長官代理者 先ほど申し上げましたが、下唇を強くかむなどの暴行を加えたということで二週間の傷害を負わせた、こういうことが犯罪行為に当たるのではないかということになったものでございます。

石関委員 もう一つ、別の事件ですけれども、平成十八年一月、ちょっとこれは前ですけれども、大阪地裁の西川さんという裁判長が、ホームレスの方の公園テントでの住民登録を認めました。その後また高裁での判決が出ておりますが、普通、ホームレスの人が公園の中にテントを張って生活して、ここで私は住んでいるので住民登録をしてください、こういうことを認めるか認めないか、社会通念や普通の国民の感覚からいって、是か非かというのは自明のことだと思いますが、この経緯についても教えてください。

大谷最高裁判所長官代理者 御説明いたしたいと思います。

 本件は、今もお話がありましたが、都市公園内に設置したテントを起居の場所として日常生活を営んでいた人が提出した、当該テントの所在地を住所とする転居届について大阪市の北区長がした不受理処分、これの取り消し訴訟ということになります。

 一審の大阪地裁判決は、当該テントの所在地は、客観的に見て、原告の生活に最も関係の深い一般的生活、全生活の中心として、生活の本拠たる実体を具備していると認められる、こういう判断をし、本件不受理処分は違法であるとして、本件請求を認めたものでございます。

 その控訴審であります大阪高裁判決は、当該テントにおける原告の生活の形態では、その場所において継続的に日常生活が営まれているとはいうことができるものの、それ以上に、健全な社会通念に基礎づけられた住所としての定型性を備えていると評価することはできないというべきであるから、いまだ生活の本拠としての実体があると認めるに足りず、したがって、原告が当該テントの所在地に住居を有するものということはできないなどと判断し、一審判決を取り消した上、原告の請求を棄却したものでございます。この控訴審判決に対しましては上告提起及び上告受理申し立てがされまして、最高裁に現に係属中ということでございます。

石関委員 これは係属中ということですけれども、今おっしゃいましたけれども、公園で生活を営んでいた。いいんですか、大臣、こういうのは。ホームレスの方に対する、国からもいろいろな保護をしたりとか、仕事についてもらうとか、どこかに居住してもらうとか、これはこれで考えていかなきゃいけない施策だと思いますけれども、テントを張って公園の中で住むこと、営んでいくことというのは許されているんですか、大臣。

鳩山国務大臣 司法の判断あるいは現在最高裁に係属中でございますので、裁判の内容について私からコメントすることは全くできません。ただ、すべては、いわば社会通念の問題だと思っております。

石関委員 そうしたら、ホームレスだから公園の中で生活を営んでいいんだというふうに社会通念は判断をするのかしないのか。大臣、いかがですか。

鳩山国務大臣 個別の具体的な事件については、私は全くコメントいたしません。

 ただ、社会通念上、常識で考えれば、公園その他で、いろいろな事情があるんでしょうけれども、勝手に生活をするということは、一般的には認めるべきでないと思います。

石関委員 これは、先ほども出ましたけれども、裁判員制度を導入するという中で、今御答弁もありましたけれども、高裁の判決の中では、我々の健全な社会通念には沿わないというふうに一審の判決について述べられておりますし、今大臣もそういった趣旨の御答弁をしたと思います。

 ただ、これは同じ裁判で、一審、二審があるにしても、こういう全く違う判決が出る。公園の中に住んでいることが、営んでいるからいいじゃないか、こういう判決を下す裁判長がおり、高裁で全く違うものが起こる。裁判員制度というのは重大な事件に限りますけれども、こういう裁判の実態を見たときに、国民の皆さんが裁判員として参加をして混乱するとお思いにならないですか。大臣、いかがですか。

鳩山国務大臣 裁判所というか司法の世界について私からコメントすることは差し控えたいと思っておりますが、私は、裁判員制度というものが来年の遅くとも五月には導入されていく中で、裁判官の三人の方々と六人の裁判員の皆さんがいろいろな評議をするわけですが、そうした中で、専門的な知識、法律については当然裁判官がリードするかもしれませんが、そこに国民の市民感覚あるいは常識のようなものが反映されることを心から期待いたしております。

石関委員 しかし、この人たちは地裁の裁判長だったりしますけれども、今の社会通念から照らすと、どう考えても、私の感覚でも、多分、恐らく国民の皆さんに聞いてもおかしいと感じるからこのように報道もされ、今大臣も社会通念に照らせばおかしいのではないかという趣旨の御答弁をされましたけれども、この裁判長さんというのは、そのまままた裁判官を続けているんでしょう。やられているんですか、この裁判官の人。何か処分を受けるようなことではないわけですよね、裁判制度の中では。この人はまだ裁判長をやっているんですか。何をやっているんですか、この人は。

大谷最高裁判所長官代理者 現在も裁判官でございます。

 なお、一言申し上げたいと思いますけれども、今委員から御指摘のような、この事件について批判があることは承知しておりますが、しかし、現に事件が係属中でございまして、最高裁の事務当局がこの事件について何らかのコメントをするということは、やはり裁判官の独立という観点から問題があるということで、それは難しいということについては理解をいただきたいと思います。

石関委員 独立は結構ですけれども、独立した中で何らかの措置を講じてもらわないと、この方がどこの地裁に次に行くんだ、どこで裁判を行っているんだ、これは非常に不安ですよ。私が万が一裁判にかかることになって、この人が裁判長だったら、どんな判決を下されてしまうんだと心配でしようがないですよ。

 独立をした裁判官ですけれども、その中で、一定の自浄作用なり社会通念に照らしたそういった人事なり、こういうことをやはり行っていくべきだと思いますけれども、いかがですか。

大谷最高裁判所長官代理者 繰り返して恐縮でございますけれども、この事件に関しての今の委員の御指摘を踏まえて私が何かコメントを申し上げるということは、やはり裁判官の独立について事務当局が何かのコメントをしたというふうに受けとめられてもやむを得ないという面がございますので、その点についての御答弁は御容赦いただきたいと思います。

石関委員 余りこういうのをしつこくやってもしようがないのですけれども、こういう不祥事がたくさんある、あるいは国民意識からして受容しがたいこういう裁判官の方もいるということを申し上げたいので、こういった事例を御説明いただいて、取り上げました。

 一番最初のに戻ります。枚方裁判所の判事さんのわいせつ致傷事件ですけれども、これはおやめになったということであります。ある意味こういう特殊な性向をお持ちの方とか、いろいろな方も裁判官の中にいるのかもしれないし、裁判所の人だって検事さんだってみんなお酒も飲むし御飯も食べるということですけれども、それだけで生活をしているわけじゃないので、ある意味のストレスを取り除くとかレクリエーションとか、あなた何かストレスたまっているんじゃないのと。こういうレクリエーションとか、あるいはストレスがたまっていそうな裁判官の方を見分けるとか、特殊な性向を持っていない人を裁判官に採用する、そういうフィルタリングとか、裁判官の日常行動を監視と言ってはあれですけれども、心配をして監督をするとか、こういうものというのは何か行われているんですか。例えば裁判官テニス大会とか、ストレスを発散しようぜと。

 健全な人間だったら、スポーツもし、そこで心身ともに健康だからしっかりしたジャッジが下せる、私はこう思いますけれども、何かそういうことを行わないからこういう変なことをしたりする一面もあるんじゃないかなという心配があるので、そういうストレス発散の場とか、組織的にテニス大会をやるとか、みんなで山登りしようやとか、裁判所は何かやっているんですか。

大谷最高裁判所長官代理者 私の個人的な経験ということで申し上げるしかないと思いますけれども、今委員が御指摘の点はまさにそのとおりでありまして、裁判官という重い仕事は、重いストレスを伴うものであると思います。そういう意味で、一般人として、健全なストレスの発散ということを心がけなければならないということは、裁判官皆感じているところだと思います。具体的には、今お話のありましたような、テニスをみんなでやったり音楽をやったり、そういうことは各裁判官それぞれの趣味あるいは好みに応じていろいろな形で行われていると思います。

石関委員 立派な方々が裁判官になられて裁判されているんですけれども、とはいえ、ただの人間ですから、我々政治家もそうですけれども、やはりこういうストレスを取り除くとか、何か怪しげな人がいたら、おまえ大丈夫か、こんなことが行われて、健全な裁判が行われることを望みます。

 そこで、次に、またこれは裁判所の職員の方ですけれども、ことしの二月に、広島地裁の藤岡さんという事務官が収賄罪で逮捕、起訴をされた、広島地裁や地裁福山支部が家宅捜索を受けたという事件がございました。私の言っていることが間違っていなければ、経緯については結構です。こういうことがあったというふうに私は承知をしております。

 しかし、裁判所が捜索を受けるとかいったことは私が知っている限りでは前代未聞ではないかなと私は思いますが、こういった例が過去にあったのかどうか、また、こういった事態に至って、裁判所としての責任問題についてはどのようにお考えなのか、これをお答えください。

大谷最高裁判所長官代理者 収賄等で裁判所の建物が捜索を受けたことがあるかどうかということにつきましては、今先例については承知しておりませんが、しかし、いずれにせよ、裁判所職員がその職務に関して収賄罪で起訴されたということは、委員御指摘のとおりでございます。

 この点につきましては、まことに遺憾であると言わざるを得ません。国民の裁判所に対する信頼にこたえるために、今後一層綱紀粛正に努めていかなければならないということは肝に銘じたいと思います。

 処分につきましては、監督も含めまして、今この事務官につきましては刑事裁判が係属しておりますので、その推移等も踏まえて適切に対処してまいりたいと存じます。

石関委員 よろしくお願いします。

 話題が豊富なので、あちこちいろいろお尋ねしたいことがあるんですけれども、余りやっていると時間がなくなってしまいますので、次に、ちょっと裁判所の書記官や職員の方もかかわることでありますけれども、令状主義についてお尋ねをしたいと思います。

 令状主義が形骸化をしているのではないかというのが私の懸念でありまして、この委員会でもたびたび質問をさせていただきました。そもそも令状主義というのはどういうものなのか、どの法律にどのように書き込んであって、例えば令状をとるには具体的にはだれが申請して、だれが審査をして令状を出すのか、簡潔にこのことをまずお答えください。

小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 令状主義と申しますのは、逮捕とか勾留それから捜索、押収などの強制処分を行う場合には、これが被疑者その他の関係者の人権に直接影響するところが大きいこと等を考慮しまして、請求するのは原則として捜査機関でございますが、原則として裁判所または裁判官が審査して、その裁判官の命令あるいは許可によらなければならないということで、司法チェックということですが、司法的な抑制を図ったものであるというふうに承知しております。

石関委員 申請が上がってきたときの審査の体制はどうなっていますか。

小川最高裁判所長官代理者 申請が上がってまいりますと、裁判所の方で、書記官のところでこれを受理しまして、そして、疎明資料と請求書が上がってまいりますので、それを裁判官のところに持っていって、裁判官の方でこれを精査して審査します。

 例えば、逮捕状であれば警察官から請求されることが多いわけですが、そうした疎明資料を見ながら、一つ一つ逮捕の要件、つまり逮捕の必要性があるか、あるいは罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があるかということを検討いたします。そして、これで疑問を生じたり、あるいはわからないところがあったりしますと、そうした請求をしている警察官が待機しておりますので、警察官も呼んで事実を調べ、さらに聴取したり、必要な疎明資料、足りないものがあるかどうか、それを求めたり、そういった体制で行っております。

石関委員 申請が上がってきたら書記官が受け取って、審査をするということであります。

 一方で、二月十日、これは逮捕されていますけれども、奈良地裁の書記官は飲酒運転で逮捕。一月六日には高松簡裁の書記官が逮捕、これは飲酒運転です。一方で、勤務時間中の飲酒、これは昨年四月に懲戒免職になっていますけれども、大阪地裁の刑事部の書記官が勤務時間中に酒を飲んでいた。ことしに入ってから、やはり懲戒戒告になっていますけれども、酒気帯び出勤、これは仙台地裁の書記官。昨年十二月十日、新潟地裁の書記官と事務官も勤務中にお酒を飲んでいた。これは間違いありませんか。

大谷最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおりでございます。まことに遺憾に存じております。

石関委員 時間がありませんから数字は改めてお聞きをしませんけれども、令状を下さいといって申請が上がってきたものの却下率は極めて低いですよね、却下をされるのが。ほとんどとは言いませんが、かなりの数が受理をされて令状が出されているということであります。

 一方で、志布志の事件のような、もちろん令状を出す出さないの段階で有罪かどうかということを判断するわけではありませんが、十分捜査に値するという判断をして令状を出しているというわけであって、その却下率が極めて低いのは数字の上からも事実である。

 一方、それを受け取る書記官の人がこうやってお酒を飲んでいたということでありまして、令状を審査する裁判官が飲酒をしていて逮捕されたりこういう処分を受けたということは私が知る限りありませんが、同じ裁判所ファミリーの書記官が飲んでいる。先ほどのいろいろな不祥事、幾つか御説明もいただきました、私からも指摘をしましたが、こういったことから考えると、裁判官の方ももしかしたら一緒に、仲間でお酒を飲んでいるんじゃないかと疑われるような状況にもあるのではないかなと私は心配をいたします。そんなことはないことを願っておりますけれども。

 こういうことを考えると、この令状についても、志布志の事件というのもあり、どんどんどんどん申請されたら令状を出されて、逮捕されたり捜索をされる、こういうことを私は大変心配しております。前に御質問をしたときも、これは小川さんの御答弁ですけれども、同じ趣旨の質問をしましたら、令状を出したことについてお尋ねをしましたら、再審で無罪が確定すれば、その点については我々も真摯に受けとめたいというふうに思いますと御答弁をされております。過去に再審で無罪が確定したという事件がありました、そういうものにつきましては、裁判所としては真摯に受けとめてまいりたい、このようにもおっしゃっているということでありますので、真摯に受けとめて、何かされたんですか。

小川最高裁判所長官代理者 今、具体的な事件を委員御指摘されましたけれども、そういう逮捕とか勾留等の令状に関する事務でございますが、これは国民の基本的人権に直接かかわる非常に重要な職務ですので、私ども各裁判官は、その点に十分思いをいたして、捜査官から提出された資料について厳密に審査して、適正な処理を行うように努めているところと認識しております。

 他方で、令状の発付は捜査段階の初期に行われるものでございまして、判断の資料が限られていることなどから、結果として無罪となる事件があることも事実です。そのような可能性を真摯に受けとめて、各裁判官がその職責の重大性に十分思いをいたして、適正な処理を行うように努めることが重要と考えております。

 そこで、最高裁といたしましても、昨年の七月と十月に司法研修所で実施されました研究会で、被疑者、被告人の身柄拘束をめぐる問題について意見交換を行いました。

 日々、裁判官が絶え間なく研さんしていかなければいけないことでございますが、今後も、個々の裁判官が研さんを行う機会を設けるように配慮していきたいと考えております。

石関委員 国民の皆さんに御安心いただけるように、今おっしゃったとおりでありますが、限られた中で判断をして令状を出しているんだ、しかし、令状を出されて逮捕されたり、また結果として冤罪であったということもある。しかし、それを限られた中で判断する中で、受理する書記官がお酒を飲んでいたとか、こんなことがあってはとても許しがたいことだし、司法に対する信頼というのは根幹から揺るぐと思います。

 こういうことはもうありません、厳しくやって、ないので安心してください、こういうことを一言言ってもらえないですか。

大谷最高裁判所長官代理者 今御指摘がありましたとおり、裁判所を担うのは裁判官だけではなく裁判所職員も含めて全体ということは、まさにそのとおりであろうと思います。

 裁判官あるいは裁判所、今御指摘のありました書記官等の不祥事が多発して、裁判所に対する国民の信頼を損なうことになれば、これは、今回の法案の増員のことも含めてですけれども、やはり基本的に司法に対する信頼が揺らぐということになりますので、そういう今の委員の御指摘については重く受けとめて、これからいろいろ努力してまいりたいというふうに思います。

石関委員 次の項目に移ります。

 外国人の方が国内に滞在をされたり旅行で来られる方がふえているというのは数字の上からも事実でありますが、政府が行っているいろいろな調査等においても外国人の犯罪がふえているので治安が悪化している、こういう受けとめ方をされる国民の方が大変ふえているということもありますし、実際、外国人の犯罪の数というのもふえているということであります。私の地元も、外国人の方が多数いる地域なんですけれども。

 これは事前に通告をしておりますので、簡潔に教えていただきたいんです。外国の人が日本で犯罪を犯した、警察で逮捕される、身柄を拘束されて、その後、検察、裁判ということになると思いますが、それぞれの段階で、日本語を解さない外国の人が身柄を確保されたりした場合には、これは通訳とか必要だと思いますので、どのような手当てがされているのか。全然言葉がわからない人が犯罪を犯して警察が捕まえました、次は検察、裁判ということになりますが、どういう手当てがされているのか。英語やなんかであれば、警察の中とかそれぞれしゃべれる人もいると思いますけれども、しかし、日本ではそういった言語を全然話さないような地域からの外国人が犯罪を犯す場合もあると思います。これはどのように手当てされていますか。

宮本政府参考人 警察におきましては、犯罪捜査規範に基づきまして、外国人であって日本語に通じない者に対し、その外国人の理解する言語に通じない警察官が取り調べなどの捜査を行う場合においては、通訳人を介してこれを行うということにいたしております。

 平成十九年四月現在、各都道府県警察において、合計約五千百名に及ぶ通訳人を警察部内に配置しております。そのほか、民間通訳人として合計約六千二百名を嘱託登録等しており、現時点におきまして、七十言語以上の通訳のニーズに対応できるよう通訳体制を整えております。

 少数特殊言語につきましても、取り調べなどの対象である外国人の理解する言語に応じまして、これらの部内通訳人または民間通訳人の中から、可能な限り適切な通訳人を充てることといたしております。

大野政府参考人 検察庁におきましても、平素から有能な通訳人の確保に努めております。各地方検察庁が、必要な言語、人数をいわば登録するというような形で、部外の方が中心になるわけでありますけれども、確保しておりまして、現在、百前後の言語につきまして七千人前後の通訳人が、これは延べでありますけれども、登録されているということでございます。

 少数言語が特に問題になるわけでありますけれども、少数言語につきましては、最高検察庁が全国の地方検察庁の登録している通訳人のデータベースを作成しておりまして、これで必要な場合に地方検察庁相互間で通訳人を紹介し得るような、そんな体制を整えているというように承知しております。

小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 外国人が日本で犯罪を起こして起訴されて、通訳を要する事件が裁判所に係属いたした場合は、個々の裁判体において法廷通訳人を選任するということになります。法廷通訳人は、原則として、最高裁判所で取りまとめて作成した通訳人候補者名簿の中から、事件の内容や通訳経験等を考慮して選任するということになります。

 この通訳人候補者名簿は、少数言語の通訳人確保を一つの目的として、最高裁判所で全国的な通訳人候補者の情報を取りまとめているものでございます。平成十九年四月現在、この名簿には五十五言語、三千九百三人の通訳人候補者を登載しておりまして、多くの言語につきましては、この名簿を利用して滞りなく法廷通訳人を選任できているものと承知しております。

 もっとも、中には通訳人候補者が一、二名しか登載されていないごく少数言語もございますが、こうした言語につきましては、そもそも我が国で話す人の絶対数が少ないわけでございますので、そのような言語を母国語とする被告人が起訴されることもそれほど多くないことになります。

 そのような言語にしか通じない人が起訴された場合には、第一次的には裁判所の候補者名簿を利用して通訳人を選任することになりますが、それで難しい場合は、大使館や領事館、地元の大学、語学学校、それから国際交流協会に照会するなどして通訳人を確保しているというところでございます。

石関委員 ビジット・ジャパンとか、日本に外国の人いっぱい来てくださいということで外国人の方もふえていて、犯罪もふえているということでありますので、公正な裁判というのももちろんありますけれども、事件の内容をしっかり把握する、こういう意味で、法廷通訳や捜査の過程での通訳の充実はやはりしっかり図っていただきたいというふうに思います。

 次に、代理処罰についてお尋ねをいたします。

 昨年の代理処罰というのは八件九人ということで、平成十一年以降、統計がある中では最多になっているということであって、個別にちょっと御説明をいただきたかったんですが、時間も限られております。代理処罰が過去になく進められているということは、私は喜ばしいことだと思います。

 一つ具体的な事件ですが、群馬県の太田市で、二〇〇一年に木村さんという方が殺害をされた、容疑者はペルーに帰国をしてしまって、現地のテレビに出て容疑を否認している、平気で向こうのテレビに出て、おれはやっていないということを言っているんですが、実際このことについては、以前この法務委員会でもお尋ねをしました。ペルー国内での処罰を求めるようにということで、外交ルートでも代理処罰に向けての動きが進められているというふうに御答弁いただいておりますが、その後の進展はどうなっているんでしょうか。

 遺族の感情等を考えると、ブラジル等では代理処罰が進んでおりますので、ペルーにおいても、罪を犯した者にはしっかりと責任をとってもらうということが日本の司法からも要求をされていると思いますが、いかがですか。

宮本政府参考人 警察といたしましては、国外逃亡被疑者に対しまして、逃げ得を許さないということで、厳正に対処すべきものと考えております。

 これまでにも、例えばブラジルなどに対して、外交当局を通じて国外犯処罰規定の適用の働きかけを行いまして、平成十九年に二件、平成二十年に二件、それぞれ公訴の提起がそれぞれの国でなされた事例がございます。

 このペルーの事案につきまして、個々具体の進捗状況の詳細につきましては、現在捜査中の事項ということでありまして、答弁を差し控えさせていただきたいと思いますけれども、本件におきましても、ペルーにおける国外犯処罰規定の適用に向け、外交当局を通じ、ペルー共和国関係当局との協議、調整などを推進しているところであります。

石関委員 警察それから法務省、外務省と連携をしてしっかりやられているということでよろしいんでしょうね。

 しかし、去年、ちょうど一年ほど前にこのことを御質問しましたら、協議しているんだということでありましたが、少なくともそれからは代理処罰に向けての進捗があったというふうに期待をしますが、そういう理解でよろしいですか。詳細は語れなければ結構ですが、昨年一年間、一年前に比べて、容疑者の確保や処罰に向けて進展はあったというふうに期待をしますが、いかがですか。

秋元政府参考人 政府としましても、不処罰、逃げ得は許さないという観点から、ペルー人逃亡犯罪人の問題を重要な課題と認識しております。そういう観点から、国外犯処罰規定の適用に関しまして、ペルー政府と鋭意協議を行ってきているところでございます。

 今月中旬にペルーのガルシア大統領が来日されましたけれども、福田総理との会談におきましても、大統領の方から、日本で犯罪を犯したペルー人については、そのあしき例が繰り返されることのないようしっかりと処罰されるようにしたいという発言がございました。

 委員が御指摘の事案に関しましては、ただいま警察庁から御答弁いただいたとおりでございますけれども、ペルー国内法による国外犯処罰規定の適用を目指しましてこれまでペルー当局と鋭意調整を行ってきておりまして、その作業は進展しつつあると承知しております。

石関委員 大統領もそのような発言をされている、大変心強く思いますが、さらに力を入れて、逃げ得を許さない、今おっしゃったように、しっかりと処罰を行っていただくように改めて要望いたします。

 最後になりましたけれども、これは代理処罰ではないんですけれども、国際受刑者移送法という法律がございます。これは、日本で犯罪を犯した外国の犯罪者を本国に移送して、そこで刑を受けてもらう、あるいは外国で犯罪を犯して刑罰を受けている日本人を日本に入れて、日本で刑を受けてもらうということであります。この数については非常に少ないというふうに聞いておりますが、移送したり移入したり、この実態はどうなっているのか。加えて、この移送、移入が非常に数が少ないというふうに私は承知しているんですが、数を教えてもらった上で、なぜ少ないのか。

 先日、府中の刑務所に視察に参りました。内訳を見たら外国人が非常に多くて、その中には、徴兵制度のある国では軍隊経験者も相当数いる、さらに特殊部隊の経験者もいる。刑務所の中を窓からのぞき込むと、屈強な外国人の受刑者が腕立て伏せを必死でやっていたり、今、日本の刑事施設、とても数が足りない、過剰収容が問題になっている上で、さらにこういう危険な外国人の受刑者を収容しているという事実もありますので、これは本国に帰して、そこで受刑をしてもらうというのも一つ考えるべきであり、こういう法律があるのになかなかそれが行われていないというのはどういうことなんでしょうか。

梶木政府参考人 制度の概略については今委員がおっしゃったとおりでありまして、欧州評議会の刑を言い渡された者の移送に関する条約等に基づいて行われているものです。締結をしているのは、現在六十三カ国あるということでございます。

 それから、実績でございます。これまでに合計十四カ国に対して、外国人受刑者合計八十九名の送り出し移送を実施しております。その主要な相手国でありますが、英国が二十一名、オランダが十五名、アメリカ合衆国が十三名というふうになっております。それから、受け入れ移送の方でございますが、アメリカ合衆国それから大韓民国、それぞれで服役した日本人受刑者各一名、合計二名の受け入れ移送を実施しているところでございます。

 新しい制度でございまして、この外国人を外国に移送して受刑をさせるのがいいのかどうか、その相当性について法務大臣が判断をするということになっております。当然、その判断の過程では、犯罪の性質とか被害者の方々の気持ちとか、そういったことも総合考慮して決めるということになっております。

 若干その数字のバックデータを申しますと、本年二月末の数字でいきますと、我が国で服役している外国人の中でこの締約国の国籍を有している者というのが五百九名ほどおります。先ほどの送り出し移送の要件の一つとして、本人が同意をしている、希望しているという要件がございます。その本人の希望をのむという点で見ますと、現時点では百九十名が一応手を挙げているということでございます。

 これらの案件については、それぞれの要件がございますので、今後、その要件に一つ一つが当たっているのかどうか、あるいはこの外国人を送り出すことが国民から見て相当であると判断できるのかどうか、そういったことを判断して、速やかに引き渡しが行われていくように努力をしていきたいと考えているところでございます。

石関委員 ありがとうございます。

 法律はあるけれども、まだその運用については今の御答弁では確立をしていないような印象を受けましたので、この問題について、また引き続きいろいろ御質問をしながら、ただしていきたいと思います。

 時間になりましたので、入国管理の問題について事前に通告をしておきましたが、改めてまた次の機会にしっかりと御質問しますので、温めておいていただきたいと思います。

 そして、この法案につきましては、まず大臣からも御答弁があって、裁判員参上の看板については大臣もああいうふうにおっしゃっていますから、事務方も重く受けとめて、ちゃんと考えて何らかの対応はしてもらいたいと思います。国民の皆さんが裁判員になってもいいと思われるような広報をしっかりやってもらいたいということ。それから、幾つか事例も挙げました、御指摘もしましたが、立派な裁判官にふえてもらうというのがこの法案の改正の趣旨だ、増員の趣旨だと思いますので、そのことを踏まえて、立派な裁判官の方にふえてもらうことを願って、私の質問を終わりにします。

 ありがとうございました。

下村委員長 次に、細川律夫君。

細川委員 民主党の細川でございます。

 裁判官定員法改正案に関して、まず質問をいたします。私は、裁判所の支部の定員について質問させていただきます。

 私は、かねてから、裁判官の人員はもっとふやすべきだ、充実させるべきだというように主張してまいりました。その意味では、今回の改正案は当然でございまして、訴訟ニーズの高まり、あるいは法曹人口の増加を考えるならば、さらにもっと増員が必要なのではないかというふうに考えております。

 そこで、裁判所の支部の定員についてお伺いする前に、実は、その支部に対応した形で弁護士会の方も弁護士会の支部がつくられております。首都圏の弁護士会の支部、例えば埼玉県でございましたら、埼玉弁護士会の、私の住んでいるところには越谷支部というのがあるんですけれども、関東というか首都圏の支部の皆さんが集まって首都圏弁護士会支部サミットというのを毎年やっておられまして、昨年度は、たまたま私の地元でその弁護士会支部のサミットがございましたので、私もちょっと顔を出したのですけれども、そこで、本庁と支部の事件数の違いがいろいろと報告されておりました。

 そのときに報告されておりました数によりますと、例えば小田原ですと、年間、新受事件数が千二百六十五件とか、あるいは私の越谷の方では新受事件数が千三百十七というふうに、首都圏の支部では千件を優に超えている支部がたくさんございます。翻って、東京地方裁判所あるいは家庭裁判所の裁判官の一人当たりの事件数は、これによりますと三百六十四件、支部では裁判官一人当たりの事件数が千件を超えているという実態でございます。

 その実態を見まして、これは私の想像を超えるような事件数でございまして、果たしてこれでしっかり事件が処理をされているかどうか、大変心配になりました。

 そのときのいろいろな弁護士の先生方の御意見では、裁判や調停の期日が先に延びる、あるいはまた、今裁判の迅速化ということが言われておりますけれども、その反対に拙速化というようになっているという報告が次から次へとされておりました。

 そこで、本庁と支部の裁判官の定員の数、裁判所としてはどういうふうにこの状況を把握しておるのか。今度のこの定員の増員によって、果たしてこういう裁判所の本庁と支部の格差といいますか、裁判官一人当たりの事件数の大きな違い、そういうものが解消されるのかどうか、これについてまずお聞きをいたします。

高橋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 私どもも、支部も地裁本庁と同じように、充実した審理を適正、迅速にやっていただくように人員配置をするよう努めております。基本的には、全国で本庁は五十でございますが、支部は二百三ございます。その二百三支部の中には、いわば大中小と申しますか、八王子でありますとか堺、それから小倉、これはもう極めて大支部でございますが、普通の地裁本庁よりも大きいような、地方の本庁よりは大きいような支部もございます。

 それから、関東近辺の、今御指摘のありました越谷、川越、熊谷、埼玉ではかなり大きな支部がございます。これらの支部もかなりの事件数が来ているということは承知しております。

 さらに、支部の中には離島がございます。離島でありますとか、本当に裁判官一人しかいないような支部もございます。奄美でありますとか石垣でありますとか、五島列島、厳原、これは対馬でございますが、そこにも裁判所の支部はございます。

 そういうところに、我々は、均等な司法サービスを受けられる、日本国じゅうどこにいてもある程度公平な司法サービスが受けられるというために、基本的には提起される事件数をもとに裁判官の配置を決めております。ですから、支部でありますから、本庁とは違って裁判官の配置を薄くする、そういったことはしておりません。

 今回増員を認められたらどうなるかということでございますけれども、今申し上げましたように、業務量を基準に裁判官の定員配置をしておりますので、今回定員の増員をお認めいただければ、全国の裁判所の支部も含めまして繁忙状況が緩和される、そういうふうに考えております。

細川委員 私が先ほど指摘しましたのは、首都圏の支部の問題でございますけれども、この支部は裁判官一人当たりの新受件数、これがほとんど千件を超えている、そんな事件数を抱えておるというようなことで、果たして本庁との格差があるのではないかという指摘なんですが、これは実際あるんではないですか。本庁との、裁判官一人当たりの事件数というのは。

 その事件数に格差があって、その支部の裁判官は大変負担が重い、そして拙速化が進んでいる。そうすると、均等な裁判を受ける権利というのも認められないのではないかということで質問をしたわけですから、現実にそういう格差はないんですか、あるんですか。

高橋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 今、越谷支部の裁判官一人当たりの処理件数でございますか、それが年間千件ということでございましょうか。(細川委員「それは超えている」と呼ぶ)

 私ども把握しておりますのは、越谷支部には裁判官を七人配置しておりますが、トータルの民事訴訟の件数は千件前後ではなかったかと。最近、千件を割っているというふうに私は理解しておりまして、今おっしゃっておられるその千件という数字は、恐らく民事の雑事件、さまざまな雑事件というのがございますけれども、あるいはそういったものも含めた数なのか。手元に私どもその資料を持っておりませんので正確なことは申し上げられませんが、私どもとしては、越谷支部の裁判官も、東京地裁の裁判官も、それ以外の裁判官も、基本的にはそれほど極端な乖離はないように定員設定を毎年見直しております。

 そうでございますから、そんな、東京地裁の何倍もの事件数を処理しているということにはなっていないのではないか。今、正確な数字は手元にございませんので、あれなんでございますが。

細川委員 私は、ここでそういうことで議論をするつもりはありませんけれども、そういう格差はないとおっしゃられるから詳しく申し上げますよ。

 民事だけではないんですよ、支部なんかが担当するのは。家庭裁判所だって、支部は一緒にやりますからね。それで、仮に越谷の例をとりますと、民事、刑事、家事、それから少年、これは道交法なんかは除きますけれども、それの合計数が九千二百二十五件。それで、これはさっき言われたように、裁判官は七人ですから、一人当たり千三百十七件、こういうふうになっているんですよ。ほかの、例えば市川なんというのは二千五百一件ですよ。小田原、さっき言ったように千二百六十五件。八王子は、ちょっと少ないんですけれども、それでも八百九十四件。ちなみに、先ほど東京地家裁を紹介したのは、ぐっと少ないわけですよ。

 そういう違いはないんですか、本庁と支部の裁判官が担当する事件数について。均等に大体配分されているということですか。いや、それだったらそれでいいんですよ。

高橋最高裁判所長官代理者 今、数値を教えていただいてわかりました。要するに、地裁の支部の裁判官といいますのは、民事訴訟事件あるいは刑事訴訟事件だけを担当しているわけではございませんで、今委員まさに御指摘のとおり、民事事件、刑事事件、それから家庭裁判所の事件、すべて担当するわけでございまして、そのトータルがそのぐらいの件数になるということは今よくわかりました。

 例えば、東京地裁を今例に挙げられましたけれども、東京地裁を申し上げますと、これはもう地裁の民事部だけで五十カ部ございます。それぞれがかなりの専門部がございます、通常部もございますけれども。そこは、訴訟事件だけを担当する部という形でやっている部がかなりございまして、あるいは保全事件だけを担当している部というのもございます。

 そういうことで、単純にそれを比較するわけにはまいりませんが、庁全体として見れば、業務量は平均化されているというふうに私どもは理解しております。

細川委員 そういうふうに言われるから、私、申しますよ。

 東京の方は、これは平成十六年度ですけれども、東京地家裁ですね、地方裁判所、家庭裁判所、これは八王子は除きますよ、件数は十二万六千七百十七件。それで、東京地家裁で裁判官が三百四十八人。この裁判官の数で総件数を割れば三百六十四件、こういうことで私は申し上げているんです。

高橋最高裁判所長官代理者 今、手元に数字がございませんので委員の質問に正確にお答えすることはできないわけでございますが、御承知のとおり、東京地裁の場合には専門部というのがございまして、例えば知財部などを申し上げますと、先ほど申し上げましたように、非常に先端的な技術のあれが争われる、極めて専門的な訴訟が争われる、これが四カ部ございます。行政部も、これは行政事件の、税務訴訟でありますとか、非常に専門的な部がございまして、そういう部が三カ部ございます。

 そういう非常に質の難しい事件がかなり東京地裁には来ている。そういうことで、処理するための人員を相応配置しておりますが、何度も申しわけございませんが、業務量として、我々はそれを数値化してやっておるんですが、過去の事件数をもとに判断いたしますと、それほどの乖離はないというふうに承知しております。

細川委員 それでは、一切ない、本庁と支部でそういう事件数の負担の数については差はないということでいいですね。そういうことで承って、後日また質問をさせていただきます。

 それでは、裁判員制度について次はお伺いいたしますが、この裁判員制度が実施をされますと、裁判官にかかる負荷というものはプラスに作用されるだろうし、その面でも定員数増が望まれております。その裁判員制度の実施は、もう一年余りに迫ってまいりました。しかし、今、国民がこの制度をしっかり理解して積極的に参加しようということになっているかというと、私はそうではないんではないかというふうに思っております。

 そこで、二月の二十九日に新潟弁護士会の総会で次のようなことを決定いたしております。それは、来年施行されます裁判員制度を一時延期をして、その間に裁判員法というこの法律を、抜本的な改正を図るようにというような決議がなされたと聞いております。

 その理由といたしまして、一つは、まだ国民的な理解あるいは支持が不十分であるというのが挙げられております。二つ目には、思想、良心の自由あるいは死刑の問題があるということ。三つ目には、誤判や冤罪の危険あるいは重罰化などの懸念があるというふうなことが挙げられております。

 私は、この決議をそのまま支持するということは全くないわけですけれども、しかし、この決議というのは、国民や、あるいは法曹関係者の不安というものを代弁しているんではないかということも考えられますので、その点について何点か伺いたいと思います。

 まず、広報の件でございます。きちっと広報がなされているかということであります。

 昨年二月発表の内閣府政府広報室による世論調査では、刑事裁判への参加意識を尋ねましたところ、参加したい、あるいは参加してもよいというのが合わせて二〇・八%しかないという結果でございました。その二年前の調査、十七年の同じ調査では、多少問いに違いはあるんですけれども、参加したい、あるいは参加してもよいという合計は二五・六%でありましたので、この二年間で積極的な参加意識が減少しているというような結果になっております。

 一方、裁判員制度自体の認知度は、七一・五%から八〇・七%へと上昇しておりまして、このことを考えますと、国民の側からは、この制度の内容を知るに従って参加意識が下がっているんではないかというような判断すらできるものでございます。こうした国民の理解を見ますと、先ほど新潟弁護士会の決議も紹介したんですけれども、十分うなずけるのではないかというふうに思います。

 政府は、この裁判員制度の広報について、かなりの予算を費やしまして啓発しているというふうに聞いておりますけれども、国民の理解を促す結果にはなっていないのではないかというふうに思います。

 先ほども石関委員の方から質問がありまして、裁判員参上ですか、そういうような看板が出た、そういう広報についてここでも議論がありましたけれども、今月十八日の朝日新聞には、福岡高検がプロ野球球団のキャンプへ行って、サイバンインコの着ぐるみを着て、これで宣伝をしているというような記事が載っておりました。

 検察庁の方もいろいろな工夫をして裁判員制度のことを宣伝もされておられることだと思いますけれども、こういうことで果たして積極的に国民が参加をしようというふうに思うかどうか、先ほどの看板ではないですけれども、私はちょっと疑わしいというふうに思います。法務省だけでも三億八千八百万円という広報予算を使っているわけですから、これを本当に効果的に使って、国民の皆さんが裁判員制度に参加したい、あるいはしてみよう、そういうことを促すようなことにしてもらいたいというふうに思っております。

 そこで、法務省、検察庁の広報について、今後どういうような形で広報しようとしているのか、お伺いをいたします。

大野政府参考人 法務省、検察庁におきましては、これまで、関係省庁や裁判所等と連携いたしまして、裁判員制度の広報活動に努めてまいったわけであります。その結果、周知につきましては相当の成果が上がっているわけでありますけれども、なお裁判員になることへの不安をお持ちの方も少なくない状態でございます。

 そこで、現在力点を置いておりますのは、裁判員になることへの不安の解消に重点を置いた広報活動であります。

 もう少し具体的に申し上げますと、検察庁の職員が地域の集まりや、あるいは企業等にお伺いいたしまして、裁判員になることへの不安の解消に重点を置いた説明会、いわゆる草の根広報と私ども称しているのでありますけれども、これを精力的に行っております。平成十九年度と二十年度の二年間で、全国で合計一万二千回やろうという目標を立てました。そして、平成十九年四月から平成二十年一月までの間に既に一万回を超える各地での説明会を実施しておりまして、その対象人数は四十七万人に上っているというように聞いております。もちろん、なかなかなれないわけでありますけれども、一生懸命広報に努めております。

 そして、先ほど、説明すればするほど、周知が進むと逆に参加意欲が失われるんじゃないかというような御指摘がございましたけれども、実際に説明会を行いまして、そこでアンケートをとりますと、裁判員制度について詳しい情報を提供することによりまして、裁判員になることへの不安が軽減されるという結果が出ております。具体的に申し上げると、例えば、いわゆる裁判所からの連絡でありますが、選任期日の六週間前に通知が届くとか、どれぐらい期間が続くかというと三日以内に大多数の事件は終了する見込みであること、このあたりを御説明申し上げますと大分不安が軽減されるというように聞いております。

 今後も、こうした説明会等を中心に、地道な広報啓発活動に努めてまいりたいというように考えております。

細川委員 裁判員制度についての周知徹底、広報については、最高裁判所あるいは内閣府等とも連携をとりながらぜひ進めていただきたいというふうに思います。

 それで、いろいろ質問を用意していましたけれども、時間がありませんので、ちょっと大臣にお伺いしたいと思います。

 これは死刑制度との関係でございますけれども、死刑の言い渡しについて考えますと、職業裁判官でも死刑の言い渡しというのは大変心理的な重圧があるというように聞いております。裁判員制度になってまいりますと、裁判官として訓練を受けていない一般の人が裁判をやりますから、特に死刑というようなことについては大変重圧がかかってくるだろうというふうに思っております。そうしますと、一部には、死刑という制度が存在する限り裁判員制度を施行すべきでないというような意見も意見としてあるわけなんです。

 これについて、大臣はどういうお考えですか。

鳩山国務大臣 そういう御意見があるということは私も伺ったことがあります。しかしながら、裁判員制度は我が国に死刑という制度があることを前提に設計されてきたわけでございまして、しかも、軽い事件でなくて重い事件、つまり死刑を含む重大事件に裁判員制度を導入するということでございますので、これはそういう意見があることはわかりますけれども、裁判員制度と死刑制度というものは直接結びつけて考えることはいたしておりません。

細川委員 先ほど紹介した意見のほかにも、この際、いわゆる終身刑という制度を創設したらどうかという意見もまた、裁判員制度との関連で主張されている方もたくさんおられます。

 終身刑を創設するということについて、大臣はどうお考えですか。

鳩山国務大臣 終身刑というのは二つの側面から言われることがありますね。よく、死刑を廃止する、死刑じゃなくて、みんな終身刑にすればいいという考え方。それから、もう一つは厳罰化の方でしょうか。無期懲役だと結局二十年ぐらいたつと出てきちゃうから、無期懲役が緩過ぎるので終身刑をという両面から語られることがありますが、仮釈放の全く許されない終身刑というのは、一生拘禁される、受刑者の人格が完全に破壊されるのではないかというような意味ではかえって残酷で問題の多い刑であるというような批判があるということを知っております。

 諸外国を見ましても、それほど多くの国が終身刑を持っているわけではありませんで、特にドイツ、これは事情を調べてみたいと思いますが、ドイツ連邦共和国のように、過去に終身刑を採用しながらやはり廃止したという国もありますので、いろいろこれから勉強はしてみようと思っております。

細川委員 これらの点については、また後に議論をしたいと思います。

 そのほかにも、有罪の決定要件だとか、守秘義務あるいは裁判の迅速化、国選弁護人とか、いろいろ裁判員制度にとっては議論をしなきゃならない点もあると思いますので、また後日質問をすることにいたしまして、きょうはこの程度で私の質問は終わります。

 ありがとうございました。

下村委員長 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 死刑についてはきょう議論をする時間がないんですが、一点だけ申し上げますと、先週の毎日新聞、ごらんになったと思います。一面で、永山則夫さんの死刑判決を書いた裁判官が、制度としての終身刑があれば私は終身刑を選択した、こう話しておられる。いろいろ深めていきたい問題なので、また別の機会にやりたいと思います。

 大臣にちょっと、これは予告をしていないんですが、一昨日、日曜日に沖縄で開かれた、集中的な豪雨の中で六千人の人が、いわゆるあの少女暴行の事件について、米兵による事故、犯罪の再発を許すまじということで、抗議集会というのがあったんですね。

 先般、事件が二月十日に起こって、御案内のように告訴取り下げになっているんですが、きょうはそういった経過についてではなくて、大臣自身が、その事件の直後にシーファー大使と総理がお会いになっていまして、大使の方は謝られたというようなことを引いて、沖縄に四万四千人ですか、そして本土には五万人の軍人軍属がいる、ところが検察が受理をしていく事件を見ると沖縄の方が多いんだということで、シーファー大使にお会いする機会があれば自分の方からよくお願いをしておきたい、こういうふうに事件直後に言われていたということを聞いているんですが、三月になってから大使にお会いされたと思うんですが、そのことはお話しになったんでしょうか。

鳩山国務大臣 ちょっと事実関係が違うかと思うのは、保坂先生おっしゃったように、実は、一連のことがあって、シーファーさんが総理に謝った。その話を聞いたものですから、あれは閣議前後のときだったかと思いますが、福田総理に対して、今先生がおっしゃったとおりの話を、結局、米軍の数というのは沖縄と沖縄以外と大体同じ、沖縄以外の方がちょっと多いんだけれども、いわゆる刑事事件になるようなことはずっと沖縄の方が多いから、これはやはり沖縄の、一連の戦争からの悲しい歴史か何かを今でも引っ張られているようで大変なんですよねという話をしたことを覚えております。

 それで、私は総理に、シーファー大使が謝ったんですねという話はしましたけれども、私からシーファーさんに物を言おうと言ったことはないので、その後、シーファー大使とお会いをしたんですけれども、いろいろなテーマがございまして、結局、時間も短かったものですから、沖縄や米兵が犯した犯罪等についてお話しする時間がなかったというのが事実でございます。

保坂(展)委員 そうすると、確認だけしておきますけれども、その事件の後、総理とシーファー大使が会った後あたりに総理とはお話しされた。大臣としては、シーファー大使にお会いする機会があれば自分からもお願いしたいということは言っていないということですか。(鳩山国務大臣「総理にですか」と呼ぶ)いえいえ、対外的にです。

鳩山国務大臣 実は、その話をシーファー大使にしたいというふうに申し上げたかどうかはよく覚えておりません。公式な発言ではしているかどうか、ちょっと今記憶にありませんが、実は、お会いしたときに時間があればお話をしたいと思ったんですが、あのときはやはり児童ポルノの話にずっといってしまったもので、そのまま、はい、さようならと別れてしまったといういきさつがございます。

保坂(展)委員 その後も、タクシーにおける殺傷事件もありましたね。そして、やはり地位協定の問題というのは今国会でもこれから議論されていこうとしている問題なので、これは大臣として、時間がなかったからということですけれども、非常に重大な問題なので、しっかりお話をするというお気持ちはありますか。

鳩山国務大臣 今回また、これは本人が否定しているから、個別の事件について私が論評することはできないと思いますが、一般論として、要するに、米軍管理下に犯罪を犯したのではないかと思われる人間がいる場合に起訴前の引き渡しを求めることに関しては、もちろんできるだけ好意的に重大な事件の場合には判断することになっておりますけれども、今後もこうした問題は残念ながら起きる可能性が高いですから、機会があればとは思っております。

保坂(展)委員 次はぜひ、時間がなくてもしていただきたいと思います。

 続いてですが、徳島刑務所の問題も非常に気になるところで、ちょうど一カ月前にこの法務委員会で、もうそろそろ調査報告が出るということでした。この調査報告がまだ出ていないんですね。これは徳島刑務所からいろいろな声が上がったけれども、なかなか法務省矯正局としても徳島刑務所としても事態改善にスピーディーに動けなかったけれども、実際には視察委員会が大きな役割をしたと思います。

 現在、その視察委員会の委員長は何とおっしゃっているか、端的にお願いします。

梶木政府参考人 委員がおっしゃっているのは、昨年の十二月四日に視察委員会が意見書を出されて、刑務所の対応について問題があるという御意見を言われたということでございます。

 我々はそれで気がつきまして、徳島刑務所から事情聴取をするなどした上で、十二月十二日に、矯正局の職員それから管区の職員等が視察委員会の委員の先生方にお目にかかって、それまでの調査の項目あるいは調査結果等について御説明をした、これが、我々なりに誠実にきちっと説明をしようとした第一回目でございます。

 その後、さまざまなことがいろいろありまして、その都度我々が説明をしたこともございますし、それから、徳島刑務所の所長等の幹部がその都度視察委員会の委員の先生方のところに伺って、今こうなっています、あるいは質問を受けた事項の中身はこうでございますという説明をしておりますので、トータルとして、視察委員会の先生方が我々のことをどう思っておられるのかという推測はなかなか難しいところであります。ただ、手前みそで恐縮ですが、以前よりは少しは説明をするようになったというふうに受けとめられているのではないかと思っております。

保坂(展)委員 私、前回も取り上げましたけれども、ここにカルテを、これは残念なことに結局自殺をされてしまったという方のカルテなんですが、この方はかなり重い糖尿を患っておられて、やりとりを見ると、前回も紹介しましたけれども、やはり自分の直腸指診ですか、おしりに指を入れて診断をする、これを認めなければほかの診療はしないよというような、診療拒否と思われるような記述が他の受刑者のカルテからもこの人からもあるんですね。

 そこで、見ていきましたら、実は非常に見にくかったんですけれども、どうも松岡医師あての情願というのがあった。これは短いものなんですが、「貴殿は、病気を真剣に観る能力がなく、また受刑者という事でいい加減な診察及び診療しかせず、治療の放置・拒否が多く、日本国憲法十三条及び二十五条、国家公務員法にも違反しており、どれをとっても違法であり、受刑者(被収容者)及び処遇部(職員さん)も、大変迷惑しており、医務課長という職より辞任(辞職)して頂きたいと要請いたします。」というところまで、亡くなる一年前、松岡医師の診療方針、治療に対しては非常に強い反発を持っていた。

 そこで質問なんですけれども、遺書があったそうですね。その遺書は現在のところ遺族がまだ見ていないという証言を報道等でしているんですけれども、徳島刑務所ではこの方の遺書をきちっと保管したのか、読んだのか、そして遺族にちゃんと渡したのか。そこには重要なことが書かれていたのではないか、つまりは、なぜ命を絶つのか、松岡医師の問題もそこに関係はないのか。この点についてどうですか。

梶木政府参考人 まず、今調査を進めている中で、百八十件ぐらいのものについてやっておるわけでございますが、そのうちの八十件ぐらいのカルテについては、差し支えない限度で写しを差し上げておるところでございますので、個々の、今お取り上げになったやりとりの前後の治療とか、あるいは患者である受刑者と松岡医師とのやりとりがどういうものであったかというのは、委員も御承知の上でのことだろうというふうに思っております。

 そこで、今お尋ねになりました遺書の関係でございます。遺書と言っていいかどうかわかりませんが、紙一枚に書かれた遺書めいたものがございました。もちろん、徳島刑務所もそれを把握しておりまして、昨年の十一月ごろに先生の方から御照会をいただいてお答えしたと思うんですが、御遺族でありました内妻の方にこの紙をお渡ししたという報告を受けております。

保坂(展)委員 ぜひ、その内容の中でそういった医療実態について触れた部分があったのかということは本当に調査にもかかわることですから、それはしっかり明かしていただきたいと思います。

 次に、志布志事件について、きのうかなり珍しい判決が出ております。つまり、志布志事件自体が無罪ということになったわけですけれども、これは刑事局長に聞きますが、接見内容を、その後、捜査員あるいは検事が、どんな話をしたんだねといって、容疑を認めないように言われましたというような弁護士とのやりとり、あるいはガラス越しに手紙を見せられました、それを調書化していたということは、一審の裁判官は、刑訴法の趣旨から、捜査機関が接見内容について事後的にであれ知ることは許されない、これは当然の判決だと思いますね。

 これはどうですか。どう受けとめているのか。そして、接見した後、どうだったんだといって聴取をするようなこと、今後もこういうことをやるんですか。はっきり言ってください。

大野政府参考人 今委員御指摘の志布志事件をめぐる接見に関する国家賠償請求訴訟に関しまして、昨日、国と鹿児島県の一部敗訴判決がなされたことは承知しております。

 実際に、どのような場合に接見の状況を聴取することが許されるのかというのは大変難しい問題だというふうに思いますけれども、弁護人との接見交通というものはやはり尊重しなければいけないと思っております。

 判決が昨日出されたわけでありまして、今後の対応につきましては、その内容を十分に検討し、適切に対応したいというように考えております。

保坂(展)委員 では、大臣、最後にこの点なんですが、志布志については、追及的な調べについて、そして当初の自白について批判的な検討がされたとは言いがたかった、いわばゆがんだ自白偏重の悪いケースで、拘禁の期間も非常に長い。反省材料ですね。

 先日、最高検から、捜査の可視化についての指針が出されました。いろいろ話を聞いたら、これは裁判員対象事件なので、志布志事件のような公選法違反事件が対象ではないんですね。

 今、大臣、先ほどの面会接見内容を調書化することについてこういうふうに問われているということについてどう受けとめるのか、そして、やはり可視化というのは全般に行うべきではないのかということについて伺って、終わりたいと思います。

鳩山国務大臣 まずは、接見交通権という固有の権利があるんだろうと思いまして、よほど特殊なケース以外はこれを聞くことは許されないんだろう、それを調書化するなどということは絶対あってはならないということで国賠の訴訟があったんだろう、こう思っておりまして、今後こういうことがないように十分注意をしていかなければならないと思っております。

 それから、志布志の事件は、確かに裁判員対象にはならない事件なんだろうと思います。ただ、可視化については、前から申し上げておりますように、私は、全面可視化というのはかえって真実を知りにくくなるということで、部分的な可視化という考え方でございますが、当然、部分的な可視化について最高検も意味があることを認めているわけでございまして、可視化というもの自体、設備は要りますけれども、何も本来裁判員対象事件に限るということと完全にセットであるとは私は思っておりません。いずれ広がってもおかしくない話と思っております。

保坂(展)委員 では、時間になりましたので、終わります。

下村委員長 次に、滝実君。

滝委員 無所属の滝実でございます。

 時間をいただきましたので、一年後に迫っております裁判員制度に関連して幾つかお聞きをいたしたいと存じます。

 まず、今もお話がございましたけれども、録音、録画の問題についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 二年ほど前から検察庁が予備的に録音、録画のテストをされているというのは、日本の司法の世界では画期的なことでございますから、それなりに御苦労がおありになると思いますし、大変新しいことをおやりになるという、その今までの努力に対しては敬意を申し上げたいと存じます。

 そこで、今までの結果についてのいわば現場の検察官の反応が報告書の中にあるわけでございますけれども、その中でこういうことが出ているんですね。

 今回の録音、録画は、既に被疑者が自白したことを自白供述書という格好でできたものを改めて録音、録画する、こういうことですから捜査にそれほど影響はない、こういう意見がある一方で、やはりこういうことをやるともう一歩突っ込んだ捜査に支障がある、こういうような意見があったということも報告されているのでございます。

 実際には、こういうことをやると何が捜査に影響するのか。既に自白された自白供述書に基づいて録音、録画をするのは何も問題がないように思うんですけれども、それについてはどういうふうにお考えになっているんでしょうか。

大野政府参考人 録音、録画の試行結果につきまして、最高検察庁がこのほど明らかにしました取りまとめの中には、今委員が指摘されたような現場の検察官の懸念が記載されております。

 実際に自白をした後に、それをいわば振り返るような形で取り調べを行う、その場を録音するというようなやり方が多かったわけでありますけれども、そういうやり方であってもなお、今から録音、録画をするよというふうに告げますと、被疑者の中には、態度をかたくしたり、あるいは中には録音、録画をするならやめてもらいたいというようなことを言った被疑者もおるというふうに聞いております。

 やはり、自分の言ったことの一部始終がそのまま後に残って外部に出得るということに対しては被疑者の側に相当の警戒感があるんだろうというふうに思われまして、現場の検察官といたしましては、やはりそのあたりのことが実際に捜査を行っていく上で気になる、こういう意見になったんだろうというふうに考えております。

滝委員 法務大臣も常々、捜査過程全体の録音、録画は、これはいわば不可能に近い、あるいは好ましくないということをおっしゃっておられるわけでございますけれども、しかし、今回考えられてきた録音、録画というのは、極めて部分的な、いわば結果だけを録音、録画という格好で公判廷に持ち出すわけですよね。

 そうしますと、裁判員の方々は、いわば本人の自白というか、本人の申し立てていることについて、それだけしか頭に入ってこない、こういうふうなことになるのは当たり前なんですよね。それでいいのかどうかということを、やはりもう一遍考え直してみる必要があるんだろうという感じがするわけでございます。

 今から十九年ぐらい前になりますか、ニューヨークで、セントラルパークでジョギングしていた女性が襲われた事件がございます。これは陪審員制度でございまして、捕まったのは五人の少年だと言われているわけでございますけれども、これが陪審で黒というふうに判定をされました。

 そのきっかけになったのは、録画のカメラの前で自白をしたんですよね。本人が自白をして、それが公判廷に持ち出された。本人はその後、事あるごとに、私の自白は、あれは強制されたものだと言い続けてきたけれども、結局は、陪審で黒と判定されたために死刑の判決を受けて、十年間死刑囚の棟で拘束されてきた。しかし、偶然なことからそれが冤罪であったということが判明して、もう一遍陪審にかけて無罪になった、こういう事件があるんですよね。

 ですから、裁判員というのは、数少ない情報の中で印象的なところだけ撮られてくると、それがベースになって判断せざるを得ない、これは専門の、プロの裁判官じゃないですから当たり前な話なんですけれども、そういうことについて、やはりもう少し検討を続ける必要があるのではないだろうかなという感じがするのでございます。

 これを今ここで申し上げても、恐らく最高検はそのためにいろいろテストをやってきたというふうにお考えになっているでしょうから、それ以上のことはここの時間では申し上げられませんけれども、そんなことを考えていかないと、裁判員というのはやはり、素人と言っちゃいけませんけれども、限られた情報の中で判断せざるを得ないという立場にありますから、それを考えていかないといけないんじゃないかなという感じがいたします。それだけを申し上げておきたいと思います。

 それから二番目に、裁判員の対応について裁判所側はどういうふうにお考えになっているか、こういうような観点からお尋ねをさせていただきたいと思います。

 それは、日本の裁判員制度は事件ごとに裁判員を選定するわけですね。ですから、予備的な勉強をする機会とかなんかがなくて、いきなり本番の事件に直面をする、こういうことでございますから、それだけにいわば社会的な常識、素人の見方というものが裁判に反映されて好ましいんだということが言えるわけでございます。

 二点ほどお聞きをしたいのは、事件ごとですから、当然、それは今まで言われていますように、抽せんとかなんかで公明正大におやりになる、それはわかるのでございますけれども、本当にその公明正大に抽せんでやるというのを、だれが立ち会ってそれを判断するかというのを、もう一遍ここでおっしゃっていただきたいというのが第一点でございます。

 それからもう一つは、当然のことながら、裁判員に対してレクチャーするのは事件を担当する裁判官だろうと思うのでございますけれども、その辺のところが本当にそうなのかどうか。

 その二点についてお尋ねをしたいと思います。

小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判員の方は、無作為抽出に一般の国民の中から選ばせていただいて裁判員として選任をするということになっておりまして、基本的にはくじで選ぶことになります。そのくじにつきましては、裁判所の方で一定の方式でくじをして、そして選任をするというようなことになっております。

 それから、不公平な裁判をするおそれのある人をどうするかという問題ですが、裁判員候補者は有権者から無作為にくじで抽出されるわけでございますけれども、裁判の公正と、それからこれに対する国民の信頼の確保、これをも図るために、事件の関係者でありますとか、それからその他、不公平な裁判をするおそれがあると認められた、こういう方につきましては、裁判員法上、裁判員となることができないというふうにされております。

 それで、実際には、裁判所はこの裁判員法と裁判員規則で定められた裁判員候補者に対する質問等の手続を行いまして、不公平な裁判をするおそれがあると認められた場合には、検察官、被告人もしくは弁護人の請求により、または職権で不選任の決定をして、裁判員候補者から除くことになっております。

 具体的には、最高裁の刑事規則制定諮問委員会で議論されましたところを御紹介いたしますと、事前に質問票というものに回答を書いていただく、幾つかの事項について質問にお答えいただく。例えば、被告人や被害者と関係があったり事件の捜査に関与するなど、この事件と特別な関係がありますかとか、そういったような事項について幾つか回答をしていただく。そうした回答に基づきまして、その答えに応じて今度はまた裁判長の方から質問をさせていただいて、不公平な裁判をするおそれがあるかどうかを判断するというような手続を予定しております。

滝委員 非常に懇切なお答えをいただきました。

 やはり、具体的に裁判員制度はこれからスタートするというようなことも大事でございますけれども、そのときに指名された裁判員が、どういう基本的な考え方、物の判断の基準をどういう格好で身につけるかということがやはり問われなきゃいけないと思うんですね。

 普通、我々学校で教わったのは、被疑者は判決があるまでは無罪推定を受ける、こう言っていますけれども、実際の裁判は恐らくそうじゃないだろうと思うんですね。公判へ上がってくる被告人は恐らく有罪だろうといって、裁判官も検事も弁護士も、そういう立場からあるいは物を考えざるを得ないような場面があるんだろうと思うのでございます。

 その辺のところは、やはりきちんとあらかじめ国民一般がわかっていないと、単純に無罪推定だという一般論だけではなかなか法廷を理解できない部分があるんじゃないだろうかなという感じがしますので、そういう意味での広報も必要じゃないかなと思います。

 それからもう一つ、弁護側というか、弁護士会と言った方がいいのかもしれぬけれども、こういうことについては裁判所はどういうふうにお考えになっているんでしょうか。

 特に、限定しますと、いろいろ言われているのは、これから集中的に公判をやるとなると、弁護士さんの業務がそれを中心にして動かなきゃなりませんから収入に影響がある、こういうことになるんですよね。今まで、一カ月に一遍の公判廷ではかけ持ちでいろいろなことをやれます。ところが、ここで集中的におやりになると、やはり弁護士収入に影響がある、こうなるんですよね。

 そうすると、国選弁護士でお願いするときに、十分な弁護活動ができるのかどうか。単なる拘束時間だけで判定をするとかなんとかという問題では必ずしもないんじゃないだろうかな、こういう感じがしますよね。アメリカのストーリーでよく出てくるのは、一片の無罪判決をかち取るには一億かかるとか三億かかるという具体的な事例が現実にあるものですから、そういう点について、裁判所はどういうような弁護士会との打ち合わせをしているのか、お尋ねしたいと思います。

小川最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおり、裁判員制度を円滑に実施するためには、もちろん弁護士だけではなくて、検察庁と密接に連携していくという必要がございますので、制度の実施に向けた準備作業を進めていく必要があると考えております。もちろん、それは裁判員裁判の中身の問題と、それから今委員御指摘の弁護士報酬の問題もあるかもしれません。

 裁判員制度の中身については、これは法曹三者で模擬裁判を行ったり、あるいは法曹三者の検討会を行ったりして、あるいは協議会、研究会を重ねて連携をとってやっておりますので、今後とも遺漏のないように努めていく所存でございます。

 報酬の点については、法テラスとかそういうところで御検討をされておられるものと思います。

滝委員 時間も参りましたけれども、最後に、法務大臣に一言だけ感想をお聞きしたいと思うんです。

 やはり、この裁判員制度というのは、司法の世界、今まで国民が経験したことのない世界でございます。だから、もちろん裁判所も、検察側も、弁護士会も、恐らく、どうするのかというのは、実際にやってみないとわからない問題がたくさん出てくるだろうと思うんですね。特に、私は、裁判所は裁判官の定員要求について極めて抑制的であることは、それは大変立派な姿勢だろうと思いますけれども、本来もっと要るんじゃないだろうかなという感じが一つします。

 それからもう一つは、やはり裁判員という、全くこういう世界にふなれな人たちが集まってくるわけですから、当然、それに対して自信が持てるような、あるいは基本的に何を考えて臨んだらいいのかというPRが必要じゃないだろうかなという感じがするわけでございます。

 いろいろなことがございますけれども、そういった新しい制度、国民が全く知らない制度を、自信を持って引き受けてもらうための方策はどうあるべきかということを、法務大臣に、簡単で結構でございますから、御感想をいただきたいと思います。

鳩山国務大臣 全く先生おっしゃるとおりで、先生と裁判所とのやりとりを今聞いておりまして、裁判員制度という全く国民になじみのない新しいものを導入し定着させるためには、さまざまに配慮しなければいけないということがよくわかったと思いますし、今たまたまこれは裁判所の職員の定員の問題でございますけれども、実際このような定員の状況でいいのかということも考えなければならないということでもございましょう。

 現在、いろいろなアンケート等で、先ほどのお話の中でも、一年前より今の方が、裁判員、積極的に参加したいという割合が減っているじゃないかというような厳しい御指摘もありました。それは、もっともっと理解を深めるために広報を進めていくことも大事だし、先ほどお話があったように、裁判員参上などというセンスのない宣伝はもうやめた方がいいと思いますけれども、それよりも何よりも、今先生からいろいろ御指摘いただいたような形で注意を払って、これがいよいよ来年の五月に船出をしていった状況の中でうまく定着すると、なかなかいいじゃないかと言われると、私は、参加しようという割合がうんとふえるんではないか、こう思いますので、きょうの御指摘をいろいろと勉強の材料にさせていただこうと思っております。

滝委員 ありがとうございました。終わります。

下村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

下村委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

下村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

下村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

下村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十五分散会


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