衆議院

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第9号 平成20年4月18日(金曜日)

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平成二十年四月十八日(金曜日)

    午前九時三十二分開議

 出席委員

   委員長 下村 博文君

   理事 倉田 雅年君 理事 実川 幸夫君

   理事 柴山 昌彦君 理事 早川 忠孝君

   理事 水野 賢一君 理事 加藤 公一君

   理事 細川 律夫君 理事 大口 善徳君

      安次富 修君    赤池 誠章君

      稲田 朋美君    近江屋信広君

      後藤田正純君    清水鴻一郎君

      七条  明君    杉浦 正健君

      棚橋 泰文君    長勢 甚遠君

      古川 禎久君    馬渡 龍治君

      武藤 容治君    森山 眞弓君

      矢野 隆司君    保岡 興治君

      柳本 卓治君    石関 貴史君

      枝野 幸男君    大島  敦君

      津村 啓介君    中井  洽君

      古本伸一郎君    神崎 武法君

      保坂 展人君    滝   実君

    …………………………………

   法務大臣         鳩山 邦夫君

   法務副大臣        河井 克行君

   法務大臣政務官      古川 禎久君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  原  勝則君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            細溝 清史君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            三村  亨君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    倉吉  敬君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大野恒太郎君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 古谷 一之君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           久保 公人君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           木内喜美男君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房政策評価審議官)       今井  敏君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 原田 保夫君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局次長)          神谷 俊広君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局技術安全部長)      松本 和良君

   法務委員会専門員     小菅 修一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十八日

 辞任         補欠選任

  武田 良太君     安次富 修君

  河村たかし君     大島  敦君

同日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     武田 良太君

  大島  敦君     津村 啓介君

同日

 辞任         補欠選任

  津村 啓介君     河村たかし君

    ―――――――――――――

四月十八日

 重国籍容認に関する請願(土肥隆一君紹介)(第一八七九号)

 入国審査において生体情報を強制的に採取するシステムの廃止に関する請願(土肥隆一君紹介)(第一八八〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 保険法案(内閣提出第六五号)

 保険法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第六六号)


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     ――――◇―――――

下村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、保険法案及び保険法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 ただいま議題となっております両案審査のため、来る二十二日火曜日午前九時三十分、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

下村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官原勝則君、金融庁総務企画局審議官細溝清史君、金融庁総務企画局参事官三村亨君、法務省民事局長倉吉敬君、法務省刑事局長大野恒太郎君、財務省大臣官房審議官古谷一之君、文部科学省大臣官房審議官久保公人君、厚生労働省大臣官房審議官木内喜美男君、農林水産省大臣官房政策評価審議官今井敏君、国土交通省道路局次長原田保夫君、国土交通省自動車交通局次長神谷俊広君、国土交通省自動車交通局技術安全部長松本和良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

下村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

下村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古本伸一郎君。

古本委員 おはようございます。民主党の古本伸一郎でございます。

 本日は、先般に続きまして、閣法であります保険法の中身につきまして、大変時間をいただいておりますので、順次質問をさせていただきたいと思います。

 冒頭、きょう配付の資料を理事にお諮りさせていただきましたが、もとより連合審査を求めておった思いが強過ぎたのか、配付資料の頭に当委員会の名前を書き間違えて出しておりますることを、どうぞ平に御容赦いただきたいと思います。寛大な計らいをいただきました理事各位に感謝を申し上げる次第でございます。

 まず、今回の法案の改正の新しい法、商法から改正をしてくるという流れにつきまして、それぞれの趣旨を踏まえながら順次質問していきたいと思っています。

 最初におさらいをしたいと思いますが、大きな柱の一つは、共済契約への適用範囲の拡大という観点があろうかと思います。続きまして、いわゆる第三分野、傷害疾病定額保険契約に関する規定の新設、さらには保険契約者の保護、これは巷間さまざまな御懸念を各方面からいただいております、いわゆる消費者保護の観点から見た保険契約者の保護という観点を新たに法のたてつけとして加えていただいている点、さらには責任保険における被害者の優先権、そして生命保険についてのルールの整備等々が盛り込まれておるかと思っております。

 まず最初にお尋ねをいたしたいと思いますが、法改正のねらいでございます。

 第一条に「趣旨」ということで、「保険に係る契約の成立、効力、履行及び終了については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。」こういうことになっておりますが、この保険というものが、実は先日も諸先生の質疑を拝聴いたしておりまして、ロンドンの大火に始まったとか大航海時代に始まったというのは大変勉強になりましたし、その当時の保険の黎明期に生まれた消費者の方々のニーズと今のニーズも、これは何ら全く変わりのない需要がそこにあろうかと思いますので、この「保険に係る契約の成立、」この成立ということに関しまして、被保険者並びに保険契約者のそれぞれの理解の状況と申しましょうか、どういう状況になって理解をしてその契約が成立するのか、最初の断面について、今回の法律で特に定めがあるならば確認をいたしたいですし、その他の法令で定めるところがあるということであるならば、その点も示していただきたいと思います。

倉吉政府参考人 契約の成立時のお尋ねでございます。

 一般に、契約の成立とは、申し込みとこれに対する承諾によって当事者間で合意が形成され、当事者間に債権債務が生じる、こういうことになります。

 ただいま御指摘のありました第一条に書いてありますのは、「保険に係る契約の成立、」こうなっておりますので、この保険というのは、法案の第二条の一号に定義づけられております、当事者の一方が一定の事由が生じたことを条件として財産上の給付を行い、相手方がこれに対して保険料や共済掛金を支払うという合意、これが当事者間で形成されることを意味いたします。

 今委員の方で御指摘のありました、そのときに両当事者がどういう心理状態でいるのか、どういうことまで内容でわかっているのか、そのことについて何か規定があるのか、こういう御質問ということでよろしいでしょうか。

 恐らく、委員の御指摘は、契約をするときに、保険会社とそれからその相手方ということであれば、保険会社の方がずっと情報が多くて、しかも詳しい約款でやるんだから、その中身について十分に説明すべきではないか、こういった問題意識であろうかと思います。

 具体的な本法案の中で、委員の御指摘のような説明義務と申しますか、そういったことを明定している規定、これはございません。

古本委員 きょうは金融庁にもお越しをいただいておりますが、私も、いわゆる火災保険から自動車の損害保険等々、いろいろお世話になっておるわけでありますけれども、なかなか約款というものは読む機会はないんです。読んだ上で同意するということになっていますけれども、文字も正直言って小さいですし、書いてあることも一般の方にはなかなか理解がしづらい。

 そういう意味では、約款が、もちろん認可事項になっておるかと承知いたしておりますが、もっとわかりやすく、見やすく、あるいは平易な表現に、こういうような何か指導なり監督はなさっておられるんでしょうか。

三村政府参考人 保険商品につきましては、保険契約者がその内容につきまして十分理解し、納得した上で加入することが重要だと考えております。このために、保険募集人が保険契約者に対して保険商品に関する十分かつわかりやすい説明を行う必要がある、そのように考えております。

 金融庁といたしましては、これらのことを確保するために、監督指針の改正などを通じ、保険契約時の保険契約者に対する説明の一層の徹底を図るよう、次のような一連の措置を講じてまいってきております。

 一つは、顧客が保険商品の内容を理解するために必要な契約概要と、顧客に対し注意喚起すべき注意喚起情報に整理をした上、顧客にわかりやすく説明をすること、二つ目は、購入しようとする保険商品が顧客のニーズに合致するものか否かを確認する意向確認書面を作成、交付すること、三つ目は、顧客に誤解をさせるおそれのない比較情報の提供を促進するため、保険会社等が比較情報を提供する際の留意点を明確化しております。

 金融庁といたしましては、こうした保険募集時における保険契約者への説明に関するルールを保険会社及び保険募集人が遵守、励行するために必要な指導に引き続き努めてまいりたいと考えております。

古本委員 実は、この約款の中身で大変消費者の皆様が実際に混乱なさる場面というのは、例えば、死亡保険、生命保険を請求するタイミング、あるいは火災保険、不幸にして火災に遭われた方にあっては、その請求をする、その請求をしたときになって初めて、ああ、自分はこういう保険に入っていたんだ、ついてはこんなことが請求できるんだということが、事が起こってから大体わかるというのが実感だと思うんです。転ばぬ先のつえとして入っている保険が、実は転んでから初めてその約款なるものを精読するというのが実態に近いんじゃないかというふうに思うんですね。

 そういう意味では、一連の消費者問題あるいは被保険者の立場に立った各方面の皆様が大変懸念なさっておられるのは、恐らくその約款の中でも、特に履行に関する取り決めに関して今回の保険法の改正でどういう手が打たれているのか、ここら辺を少し議論を深めてまいりたいというふうに思っております。

 履行に関します条項は、この第二十一条を初め、それぞれ五十二条、八十一条で、損保それから生命保険、それからいわゆる第三分野それぞれに「保険給付の履行期」ということで規定がなされておるかと承知をいたしております。

 少し条文案を読み上げたいと思いますが、「保険給付を行う期限を定めた場合であっても、当該期限が、保険事故、てん補損害額、保険者が免責される事由その他の保険給付を行うために確認をすることが損害保険契約上必要とされる事項の確認をするための相当の期間を経過する日後の日であるときは、当該期間を経過する日をもって保険給付を行う期限とする。」こういうふうになっているんです。

 ちょっと順番に確認したいと思うんですが、この「保険給付を行う期限を定めた場合」というのは、どういう場合なんでしょうか。

倉吉政府参考人 保険給付の履行期については、保険契約の性質上、保険者は、保険給付をすべき事由について必要な調査を行った上でなければ保険給付を行うことができないことから、保険者が行うべき調査に必要な合理的な期間については遅滞に陥らないとするのが合理的と考えられます。

 他方で、保険契約においては、迅速に保険給付が行われるべきであるという要請もあります、もう既に保険料は支払っているわけでありますので。そこで、たとえ期限の定めがある場合であっても、保険者が行うべき調査に必要な合理的な期間を超えて保険者が遅滞の責任を負わないとすることはこれまた相当でない、こういうことになります。

 そこで、この両方の要請を満たすようにするために、保険法案では、履行遅滞の時期に関する民法の特則を今御指摘の条文に設けたわけであります。

 今御指摘の第二十一条の第一項ですが、保険給付を行うために確認をすることが保険契約上必要とされる事項の確認をするための合理的な期間を超える期限がいわば確定期限として、あるいは不確定期限でもよろしいかと思いますが、そういう形で設定されている場合については、当該期間の経過したときを保険給付の履行期、こう見まして、先ほど委員がお読みになっていた後の期間云々というのがありましたが、その約定した期限が経過する前であっても、保険者は、その相当な期間を経過した後は遅滞の責任を負うというふうにしたものであります。

 したがいまして、ここで言う「保険給付を行うために確認をすることが損害保険契約上必要とされる事項」とは、例えば保険事故、損害額、それから免責事由も入ります、それから告知義務違反の有無などのように、保険給付を行うために確認する必要がある事項として法律または個々の約款で定められたものを指す、こういうことになります。

古本委員 この相当の期間というのが結果として不払いの口実になるんじゃないか、こういう御懸念を法曹の関係を中心に、とりわけ消費者の立場に立っておられる方々からいただいております。

 具体的に、この相当の期間というのは大体何日ぐらいを想定されておられますか。

倉吉政府参考人 この相当な期間が何日になるのか、具体的な数字で申し上げることは極めて困難であります。

 と申しますのは、保険契約は、さまざまな類型の契約がございます。そして、これから保険契約の中でも、そのさまざまな類型の中でもまた細かいものがいろいろ新しい商品として開発されるということも考えられるところであります。

 そういたしますと、ここで、一定のこの類型の契約については、通常はこれぐらいの調査をすれば先ほど申し上げた事項についてはわかるだろうという期間を一般的に申し上げるというのは非常に難しいと言わざるを得ません。それで、ここでは相当の期間と書いておりますので、これは相当の期間として判断するということになるんですが、この条文に書かれておりますように、約款の中で一定の期間が約束されている、でも、それが長過ぎるというときは、その前で、相当な期間のところで切れるんだよというのがこの条文でございます。

 ですから、御懸念になるような、相当な期間となっているからずっと先まで延びてしまうのではないか、そのようなことはないと断言できると思います。

古本委員 今、法務省は、保険契約というのはさまざまな類型もある、当然、生命保険、損害保険あるいは第三分野によって異なるでしょうし、さらにはその中で、その保険の種類によって変わってくる、こういうふうにおっしゃっておられるというふうに受けとめました。

 きょうは、一般的に、いわゆる生命保険、損害保険の共済の分野も含めて所管されておられる農水それから厚労、それからいわゆる業法を持っておられる、生保、損保を所管されておられます金融庁、それぞれお越しであります。今、現状、それぞれの業界の皆様が約款上記しておられるその日数というのは、それぞれ生命保険あるいは損害保険に分けていただいても結構でありますので、大体どんな相場観の相当な期間になっているかということについて、それぞれお願いをしたいと思います。

今井政府参考人 JA共済の約款についてのお尋ねでございます。

 きょう先生が議場でお配りしている資料の中にも例示として二つ載せてもらっておりますけれども、JA共済におきましては、終身共済、火災共済、傷害共済、そういうものをやっておりますけれども、その共済約款におきましては、先生配付の資料にもありますとおり、どこにおきましても、共済金の請求に必要な書類が組合に到達した日から一カ月以内、ただし、事実の確認及び調査のため特に日時を要する場合を除きますというような規定になってございます。

木内政府参考人 お答え申し上げます。

 共済事業の関係でございます。

 全労済と約百四十組合をやっておるわけでございますが、一般的には、請求を受けた場合には、請求書類がこの会に到着した日から三十日以内に指定した場所で支払うものとする、ただし、事実の確認のため特に日時を要する場合で、かつ、この旨をこの会が共済金受取人に通知したときは、この限りではないというような取り扱いをしておるところでございます。という意味で、農協さんと同じでございます。

三村政府参考人 各保険会社におきましては、保険金の受取人等から保険金の請求があった場合の支払い時期を約款において定めておりまして、先生の資料の方にも掲げられておりますけれども、例えば、生命保険会社が提供する死亡保険につきましては、事実確認のために特に時日を要する場合のほか、その請求に必要な書類が会社、本社に到達日の翌日から起算して五営業日以内に支払うこととしているものや、本店に到達してから五日以内に支払うこととされているものが一般的でございます。

 損害保険会社につきましては、例えば自動車保険につきまして、特別な事情により必要な調査を終えることができない場合のほか、必要な書類を提出した日からその日を含めて三十日以内に支払うこととされているものが一般的であると承知をしております。

古本委員 それぞれお答えをいただいたとおりではないかと想定をいたしておりましたが、そのとおりお答えをいただきました。

 配付をさせていただいた資料の九ページに、それぞれ生保、損保あるいはJA共済さん、あるいは全労済さん初めの例を少し載せておきましたが、生命保険については大体五日、損害保険については三十日ということになっておろうかと思います。

 そこで、法務省にお尋ねいたしますが、法務省当局としては、この相当の期間を定めるにははばかると。他方、それぞれの実際の現場ですね、約款を定めておられる各事業者、その事業者に認可を与えている監督官庁については、今明言をしていただきました。大体一月と言ってもいいかもしれません。三十日か五日ということでありますが、法務省ははばかるんだけれども、それぞれが決めることができる。この違いは何なのでしょうか。

倉吉政府参考人 この法務省が所管で今提案しております保険法案という法案でございます。法律の中身にどう書き込むか、そのときに何日と断定的に書けるかという問題でございまして、もちろん、実務で今御紹介のありました日数についての取り扱いが行われていて定着している、それから、後ほど話題になると思いますが、委員が御指摘の最高裁の判例でも、基本的に三十日というケースについて一定の、合理的であるというような判断をしております。そういったことが積み重なっていけば、ある程度の期間の目安というのは出てくるだろうと思っております。

 しかし、これからまた新しい、同じ生命保険でも損害保険でも、あるいは第三分野の保険でも、新しい商品が出てくるかもしれません。そのときに、例えば今幾つか出ていました一月であるとか三十日であるというのが絶対か、いや、それより短くていいかもしれないということがあるかもしれません。そうすると、そこを全部捨象して抽象的な概念としていうならば、必要な期間であるとか相当な期間と置くしかない、こういうことでございます。

古本委員 そういう御懸念を大変なさっておられる皆様のポイントは、今回改めて保険法という法律の中で保険給付の履行期ということで定義をするわけであります。その定義をするに当たって、相当の期間という表現をすることによって、結果として、それが保険の不払いにつながったり、あるいはいたずらに遅延させたりということになりはしないか、こういう懸念があるわけなんですね。

 したがって、実はその法の趣旨というのが、今回、むしろ消費者をもっと困らせてやろうということとは全く百八十度違って、むしろそういったことが今まで定められていなかったがために、あいまいな免責条項が入っていたり、あるいは保険会社側が故意を持ってその支払いを遅延させたりということができるようなのりしろを残さないように、今回の法律の中でそれを決めていくんだということであるかどうか、もう少し議論を深めたいと思っているんですが、その大前提になります実態を少し確認しておきたいと思うんですね。

 金融庁、大体、保険会社でいきますと、生命保険の商品でいきますと、損害保険の領域と似て非なるものは何か。これはずばり、保険金額が決まっているということではないんでしょうか。他方、損害保険というのは、その損害の程度によって、まさに示談をし、あるいは査定をする中で損害保険金額というものを見積もるわけであります。生命保険の方は、払うか払わないかということを決めた後の支払いというのは早いと思うんです。他方、損害保険というのはなかなか時間を要する。

 そういう背景から、五日と三十日という差になっているんじゃないかというふうに理解をいたしておりますが、実態です、今、生命保険会社というのは大体何日くらいで支払いをしているという、何かそういうものはございますか。

三村政府参考人 委員、まことに申しわけありませんが、各保険会社において、受取人等から保険金等の請求があった場合に、どれぐらいの日数をかけて支払いまでに到達しているかといったようなことにつきましては、手元に統計がございませんので、御理解いただきたいと思います。

古本委員 私が近所のそういう生保の営業の人に聞くレベルの話で申し上げれば、大体五日です。逆に、五日を上回るようなことがあったら、特に外資系に負けちゃうそうですね。もう支払いのスピードが勝負。ですから、現実的には、オーバーに言えば、九十何%は五日、ある会社の例でありますけれども。したがって、実はこの五日というのは本当にいい相場になっているんだと思います。

 他方、不幸にしてお亡くなりになった被保険者、そのあるじを失った家庭が生活の糧として早く保険金を受け取りたい、これはもう想像にかたくない場面かと思います。そういうことからいえば、お通夜をなさり、本当にもう御家族皆様が沈痛な空気に包まれている中で、とはいえ、あす、あさっての生活を支えなきゃいけないわけでありまして、当然、保険会社に連絡をとり、そして請求手続をし、そして請求をする。請求書が届く、届いてから五日以内、それを受け、過去に病歴があったかないか、保険契約をなさった時点で実は既に医者から何らかの告知を受けていたにもかかわらず、それを申告なさらなかったなんてことがあると、これは告知義務違反です。したがって、支払われない可能性が高く、これは係争に恐らくなるでしょうね。そういうケースを除けば、ほぼ五日以内、大体相場で支払い完了、こういうことになっているのが実態だそうであります。

 では、そうすると、この五日という期限がこの法律の中で明示されないことによる実害が一体どの程度あるのか。あるいは、この相当なる期間というものを規定したがために、どういう不利益が消費者にあるだろうかという議論をもう少し深めたいと思うんです。

 恐らく、実態としては、いわゆる業界で使われている言葉ですが、モラルリスクというんでしょうか、いわゆる保険金殺人、過去ありました、今もあってはならないことでありますが、根絶はされていないと思っていますけれども、いわゆる借金の返済に、要するに自殺をして金を返せ、こういうやからがいるわけですよね。

 だから、そういうものを排除するためにこれまでいろいろな手を打ってきておられると思うんですが、死亡事案の中で、恐らく本当に限られたケースがこの五日というものを超えて支払いが延びざるを得ない。当然、保険会社もモラルリスクについては排除しなきゃいけませんので、それに時間をかけていくだろう、こういうケースになると思うんですが、大体何割ぐらいそういうケースがあるというふうに法務省として、まずこの法律をつくった前提として、実態をわかった上で法律をつくっておられるんですかという意味で、細かな話かもしれませんが、あえてお尋ねをしてみたいと思います。

倉吉政府参考人 申しわけありません。立案当時からも含めて明確な数字を把握しているわけではありません。

 ただ、法制審にそれぞれ保険業界の方々も部会に来ていただいておりましたので、その人たちからの情報等々を合わせますと、今委員の御指摘のようなケースは極めて少ないということだけは伺っております。

古本委員 大臣、今のやりとりを聞いていただいて、ちょっと出番がないとあれだと思いますので。いや、これは大事なポイントなんですね。

 つまり、はっきり言えば、結果、履行期間を法で定め切っていないんです。だけれども、実態は、きちっと五日と三十日というのはそれぞれの保険を運営なさっておられる保険会社は約款として定めているんです。この約款の定めの期間の相場観として、例えば今例示いたしました生命保険に関して言えば、五日というのがほぼ実態の相場なんです。これを著しく上回って遅延、遅滞させるようなことがあれば、市井でそういううわさが広がって、そこの保険なんて人気が出ないですよ、熾烈な競争をなさっておられますから。

 ですから、そういう実態を考えますと、いわゆる相当の期間を経過する日数を経て、経過する日をもって保険給付を行う期限とするという今回の法律になっていますけれども、大体そういうのは何割ぐらい、何%ぐらいあるんだろうかという、その実態を把握した上でやはり法律は立法すべきではなかろうかと思うんですけれども、残念ながら、今局長からは具体的な数字は把握していないということでありました。

 もちろん、これは保険会社にとっては企業秘密の部分であるかもしれませんので、体系的、網羅的に数字を求めても、それは開示をなさるかどうかは別次元だと思います。

 ただ、一連の保険金の不払い、未払い事案の、やはりこの立法作業の途中であの問題が惹起されましたので、もとより未払い問題の対策法案としてつくっているわけでは、専らの趣旨は異なりますけれども、並行してああいう事案もあったわけであります。

 ちなみに、未払い事案の一番の原因は、やはり履行期間の滑った転んだという話が大体だというふうに、特に生命保険に関しては承知いたしておりますので、実態をもっときちっと把握した上で立法作業をすべきかと思うんですが、その点について御所見を求めます。

鳩山国務大臣 先生と事務当局のやりとり、大変いい勉強になるわけですけれども、今回の保険法の改正というものが、そもそも商法から独立をさせるということで、基本的には業法関係とは関係なく、共済等も、あるいは第三分野等も取り込んで、保険というものについての基本的なルールをつくるという観点で提案されているわけであります。

 しかし、他方、不払いとか未払いの問題がしばしば新聞紙上をにぎわすということを考えれば、その基本的なルールの定め方も、保険契約者に、消費者と言ってもいいのかもしれませんが、温かいものでなければならないということで、この法案の改正の中にもそういう点は大分入っているんだろうと思うわけですが、先ほどから民事局長が御答弁申し上げておりますように、保険金の支払い時期、履行というものをどう定めるかということは、具体的な日数をここに書くことはもちろんしていないで、合理的な調査に要する期間ということになっているんだろうと思います。

 大多数の場合に五日以内だという先生のお話もよくわかりますし、実態を我々が聞けるのであれば、それは聞く必要があろうかとは思いますが、具体的な日数をこの法律案に書き込むというのはなかなか難しい問題だと思いますので、こういう形になっていると思います。

 ただ、残念なことは、事例は極めてまれであっても、モラルリスクの問題というのがあります。それこそ保険金殺人ということになりますと、これは法務大臣としては別の刑事事件の問題として大事件でありまして、これらのものがゼロでないこともまた確かでございますから、この保険契約のあり方に関して、モラルリスクというものをできるだけ減らすように内容をつくり上げていることは事実でございます。

 すなわち、保険契約者と被保険者の関係で、やはり生命保険の場合ですと、被保険者が知らないで保険契約者が契約すれば、もしやということもあり得るわけでありまして、もしやという点を考えて、モラルリスクを重視して物事を考えなければいけなかったというつらさは御理解をいただきたいと思っております。

古本委員 今大臣から御答弁いただきましたが、やはり全国でごまんと被保険者になっておられる方、それから保険金の受取人になっておられる方、それぞれの立場からすれば、今回の法改正がむしろ後退するようなことがあってはならないということから、実態に即していますかと私は単純に聞いただけでありますので、今回もうこうやって閣法で出ていますので、今さら調べてもしようがないではなくて、ぜひ一度、実態の把握をきちっとしていただきたいということは強く指摘をしておきたいと思います。

 その上で、第二十一条の二項に進みたいと思うんですが、少しこれも読み上げたいと思います。

 「保険給付を行う期限を定めなかったときは、保険者は、保険給付の請求があった後、当該請求に係る保険事故及びてん補損害額の確認をするために必要な期間を経過するまでは、遅滞の責任を負わない。」こういうことであるんですが、「確認をするために必要な期間を経過するまで」というのは、これはどういう意味なんでしょうか。

倉吉政府参考人 これは、約款の中で期間の定めがない場合にどうなるかということを、法律上は穴があるといけませんので、書いている規定でございます。

 先ほど、それぞれ説明がありましたが、各約款とも必ず実は期限を書いております。ですから、その意味ではこれは余り働かない規定になるのかもしれないんですが、要するに、期限の定めがないときも、先ほど委員が御指摘になった最高裁の判例にもありますけれども、必要最小限の調査はしないといけません。ちゃんとその事故があったのかということ、それと保険金額についてということになろうかと思いますが、いわば請求者側が証明責任を負っている事項については何らか調べなきゃいけない。そのことについての確認をしていくための期間というのはやはりあるだろう。

 ここから先は先ほどと同じ話になりますが、しかし、その確認に要する期間というのは契約の類型ごとにやはり異なる、あるいは同一の契約の類型の中であっても、その内容が異なればやはり異なるだろう。そうすると、一律には決めることはできないので、「確認をするために必要な期間」とだけ書いて、しかし、「必要な」というところで規範的な意味合いを込めて記載をしている、こういうことでございます。

古本委員 つまり、第二十一条の一項、二項を読む限りは、保険というのは基本的に期間があるんだ、その定めが基本的にはあるんだ、しかし、その保険を履行するために必要な調査期間というものは何がしか要るんだ、したがって、それは別途、保険によって異なるので、種類によって異なるので、ここでは定めていないんだ、そういうふうに理解をいたしました。

 では、それぞれ金融庁、農水、厚労の順番で参りましょう、期間を定めない保険商品というのはあるんでしょうか。

三村政府参考人 期間を定めない契約は、基本的にはないというふうに理解をしております。

今井政府参考人 JA共済におきましても、期間の定めのない共済契約はないというふうに承知しております。

木内政府参考人 消費生活協同組合におきましても、期限の定めのないものはないというふうに理解しております。

古本委員 したがって、法務省をして恐らくないだろうと言ったとおり、保険給付を行う期間を具体的に明示していない、規定していない商品なんて、多分、商品性価値が著しくないわけでありまして、恐らくないんだと思うんです。ただ、そういった場合にあっても、なお、その保険給付を履行するために、請求があった後にそれを調べる相当なる期間というのが必要であり、その期間を経過するまでは遅滞の責任を負わないというのがこの二項だと思うんですね。

 そうなると、保険給付の期間は定めているんだけれども、そうじゃないケースというのは調査に必要な期間は一体どのくらいなのか、こちらの議論がなおさら実はポイントになってくるかと思うんですね。

 そこで、きょうお配りをいたしております資料の最高裁の判例を少しごらんいただきたいと思います。これは、事件概要は記載のとおりでありますが、火災保険の保険金請求にかかわる話でございます。ところが、モラルリスクという観点からいえば、実はこの事案については一つ要素がありまして、いわゆる放火の疑いのある事案だったわけであります。

 巷間、この最高裁の事例をもとに、法曹界を中心に、これは賛否、判断の見方が百八十度異なるんじゃなかろうかという疑念を少し個人的には持っておりますので、きょうの場面で議論を深めたいと思っているんですが、まず、判決の要旨を読み上げたいと思います。

 保険会社は保険契約者又は被保険者が保険の目的について損害が発生したことを通知し所定の書類を提出した日から三〇日以内に保険金を支払う、ただし、保険会社が右期間内に必要な調査を終えることができないときはこれを終えた後遅滞なく保険金を支払う旨の火災保険普通保険約款の条項は、右三〇日の経過により保険金支払の履行期が到来することを定めたものと解すべきであり、保険会社は、右期間内に必要な調査を終えることができなかったとしても、右期間経過後は保険金の支払について遅滞の責めを免れない。

ということで書いてあるんです。

 この判決要旨から言えることを少し整理したいと思うんですが、当該火災保険契約において、保険金の給付を行う期限の定めという意味において三十日以内ということが確認できた、まず、こういう理解でよろしいでしょうか。

倉吉政府参考人 少し、この約款について補足をさせていただきたいと思います。

 ここに書いてあるのは、まず、請求手続をした日から三十日以内に保険金を支払いますという本文部分がございます。これは日本語として見て極めて明確であります。三十日以内に払うときちっと約束をしているわけです。ここは争いようがない。

 問題は、そのただし書きであります。「ただし、当会社が、この期間内に必要な調査を終えることができないときは、これを終えた後、遅滞なく、保険金を支払います。」こう書いてあります。

 ここに、委員が準備していただいた判決の要旨の中に書いてありますけれども、このただし書きは、結局、約款としては、つまり、約束内容としては規範的な意味内容が何も書かれていない。自分の会社がいろいろ調べておくれたら、そうしたらその後に払うよということを言っているだけで、自分たちが調べるんだけれども、それは必要な期間を調べるんですよとか、あるいはもっと明確に日にちを入れてとか、あるいは何を調査するのか、調査事項もいろいろたくさんあるはずでございます。

 本件の場合にはモラルリスクの放火ではないかというケースだったわけですけれども、例えば、放火ではないかという疑いがあったら、ここここ、こういうことでこれだけのことを調べる必要がある、それについては必要な期間が要るんだとか、そういうふうに具体的に書いていれば、それであればこのただし書きは非常に意味があるけれども、最高裁の判決は、結論的には、このただし書きは、自分勝手なことを書いているだけでおよそ約款とは言えない、あえて言うならば、保険会社の内部における準則を記載したものにすぎない、およそ当事者を拘束する合意内容とは言えないということで、ただし書きが無意味だということで落としたわけでございます。ただし書きが落ちてしまうと本文だけが残ります。つまり、三十日以内に支払う、そこだけが残る。だから、三十日以内に支払っていない以上は、それから遅延損害金を払いなさいよ、こういう結論になったということであろうと思っております。

古本委員 今のところは物すごく大事なので、もう少し丁寧にやりたいと思うんですが、配付資料の四ページでございます。恐らく今局長がおっしゃったようなことは、1で線を引いてあるところの、最高裁の判断として示されている箇所かと思うんですが、ちなみに、当該火災保険の約款の中身がかぎ括弧で書いてあるんですね。

 「当会社は、保険契約者または被保険者が第一七条の規定による手続をした日から」つまり請求ですね、「三〇日以内に、保険金を支払います。」これは、どこから斜めに切って見ようとも、三十日以内に支払いますというふうに明記してありますね。ところが、「ただし、当会社が、この期間内に必要な調査を終えることができないときは、これを終えた後、遅滞なく、保険金を支払います。」こういうことなんですね。

 つまり、最高裁の判断は、三十日以内というふうに規定をしたということについては合理性があるし、保険会社もこれは履行すべきである。他方、ただし以下ですよ、「当会社が、この期間内に必要な調査を終えることができないとき」というのはどういうときかということが、実はこれだけではわからないんです。

 具体的に言えば、これは実は警察当局も消防御当局も入る中で、いわゆる契約当事者が放火にかかわっていたんじゃなかろうかという疑念があった事案でありまして、恐らく損害保険会社の立場からすれば、みずからによる放火は当然免責事項でありますので、これはもう当然正念場であったと思うんです、払うか払わないかについては。

 ですから、そういう場面は想像にかたくないわけでありまして、今となれば、この火災保険をなさった損保会社におかれては、この期間内に必要な調査を終えることができないときはというのはどういうときかということをもうちょっと丁寧に書いておけば、多分こんなことにはならなかったんだと思うんですね。

 もうちょっと丁寧に書いておくという意味において、例えば、みずからによる放火事案ですとか、あるいは生命保険でいえば例えば保険金殺人とか、モラルリスク事案が、多分、先ほど申し上げたようなウエートでいけば、大体全保険の半分ぐらいがそうですなんということはあり得るわけがありませんので、大体本当に限られたケースなんですね。

 だからこそ、具体的に列挙して、それこそリスク排除していくというのを今回の法律の中でどのように想定しているのかということを少し確認したいと思うんですが、残念ながら、この法案の条文を読む限りは、その範囲の中からは、「相当の期間を経過する」、それは「保険給付を行うために確認をすることが損害保険契約上必要とされる事項の確認」という、この言葉から読み取るしかないんです。この行間に、そういったモラルリスクケースの排除も含めた免責について、具体的にここから読み取るんだという解釈をしていただくんだ、それを受けてそれぞれの保険を設計していく各業界の方々に指導していく、そこら辺の少し具体的なイメージを、具体的なお話をもう少ししていただきたいと思うんですけれども。

倉吉政府参考人 ただいま委員が御指摘いただいたこと、そこが一番大事なところだろうと私ども思っております。

 それで、先ほど来、二十一条の趣旨ということは委員に繰り返し御指摘いただきましたので、もう繰り返しませんが、そのような趣旨に照らしますと、約款や規約で履行期を定めるに当たっては、保険給付のためにどのような事項を確認する必要があるのか、これを明らかにすることが求められるんだろうと思っております。どのような事項を明らかにする必要があるかというところの関連で、どれだけの相当な期間というのがおのずから出てくる、具体的な日数で出てくるというわけではありませんが、そこが出てくるというイメージになるのかなと思っております。

 どのような事項を確認する必要があるかと申しました。その事項としては、保険事故であるとか、損害額であるとか、免責事由であるとか、告知違反の有無、こういうことになろうかと思います。

 この相当な期間というのは、恐らく確認の対象となる事項ごとに異なってくる、こういう難しい問題を調べるためにはたくさんかかるだろうとか、そういういろいろな問題が出てくるだろうと思います。

 そこで、確認事項を特定した上で、それぞれの事項ごとに確認をするための期間を明示的に定めるということが一つ考えられます。これこれの事項のためには何日、これこれの事項のためには何日、こういう決め方です。ただ、これも保険会社にしてみればなかなか難しいところがあるかもしれません。だから、そこはもうちょっとこの法案にあるような相当の期間というところのニュアンスで書き加えていくということになるのかもしれませんが、そこは必ずしも断言できません。

 それからもう一つは、今、確認の対象となる事項と申し上げましたが、もう一つポイントになるのは、具体的な調査の方法。例えば、この障害が保険の特約の中で言っている高度障害に当たるかどうか、この点について医師に面接をして意見を聞く必要があるので、それに要する期間とか、そういったふうな決め方をしていけば、具体的な日数というのはきちっと言えないまでも、ある程度特定された約款になっていくのではないか。恐らく、この法案を前提として、各業界ではどういうふうに約款を書いていけばいいかということを、さまざまな工夫をして考えておられるんだろうと思っております。

古本委員 今、業界が考えておられるんだろうと思いますという答弁があったんですが、これは、法制審を初めこれまでの立法作業の過程において、当然業界の方々の意見も聴取なさっておられると思うんです。

 いわば、相当なる期間ということを規定することによってかえって不払いの口実をつくるんじゃないかというようなことの疑念を払拭するという意味からいえば、むしろ、保険の支払いを実行するに当たって確認をする諸手続というのは具体的に何があって、それには大体どれぐらいかかるんだということの相場観も含めて、やはり業界とのコンセンサスというものがないと、法務御当局がそうだと思っても、当事者である業界の保険会社さん、あるいは共済の皆さんが、そんなことまで約款で一々規定できないよ、こういうことではいけないと思うんです。実は、法務御当局が意図しておられる、むしろこの最高裁の判決から後退するんじゃないかと巷間指摘のあることの全く百八十度逆で、そういったあいまいな期間を排除するために今回この保険給付の履行期、第二十一条でそれをむしろ明確にしているんだという説明にはなかなか当たらないという心配も少し残ってしまうと思うんですね。

 そこで、それぞれの役所にまた少し確認をしたいと思うんです。では、金融庁、農水、厚労の順番でいきたいと思います。

 これは資料の九におつけいたしておりますが、損保、生保、JA共済、全労済さん、それぞれ平均しますと、言葉の言いぶりとしては、その当該履行期間、支払い期間を超えても、ただしということで、ただし書きが入っていますね。その事実の確認が必要な場合、確認及び調査のため特に日時を要する場合等々、そういった場合は、この三十日、五日には限らずという、いわば免責が入っているわけなんですが、ここの書きぶりを、今回の法改正を受けて、より具体的により丁寧に、もっと言えばモラルリスク排除という観点も含め、これはそれぞれの業界を、今後約款を認可するに当たり、そういう観点から新たにつくられるだろう約款を見ていく、こういう立場でいらっしゃいますと、そういうこと以外に答弁はないと思うんですが、一応、念のために、それぞれ確認をしたいと思います。

三村政府参考人 今後、各保険会社においては、新保険法の規定に対応するために、必要に応じて適切に約款の内容等を見直していくことが重要であるというふうに考えておりまして、金融庁といたしましても、各社の取り組みを促してまいりたいというふうに考えております。

今井政府参考人 JA共済におきましても、今回の保険法に対応いたしまして、今回の規定に対応するために、適切に約款の内容を見直していくということが重要になると考えておりまして、そのように団体の方を指導してまいりたいと思います。

木内政府参考人 厚生労働省といたしましても、今回の保険法の改正の趣旨を踏まえまして、迅速な給付ができるよう、適切に指導してまいりたいと考えておるところでございます。

古本委員 指導をしっかりやっていただきたいと思うんですが、そのポイントになるのが、せっかくこの法律をたてつけても、少なくとも最高裁で三十日ということについての妥当性はあると。

 これは、もう一度確認ですけれども、この三十日というのは、相場として三十日という日程観が妥当だというふうに判断したのか。契約書上、どこからどう斜めに読んだって明らかに、配付資料の四ページでございますが、「三〇日以内に、保険金を支払います。」と書いているわけですから、この書きぶりが明確だというふうに判断したのか。

 まず、そこの確認をお願いします。済みません、前後しましたが。

倉吉政府参考人 済みません、委員がお配りしている判決文と同じもの、ちょっと違う紙を見ておりますが、そこのところで、こういうふうに書いているくだりがございます。

 もっとも、保険金の支払に当たっては、これに先立って、保険会社において損害の範囲の確定、損害額の評価、免責事由の有無等について調査を行う必要のあることは、当然予想されるところである。したがって、このような保険制度に内在する手続上の必要を考慮すれば、保険契約者等から保険金支払の請求がされた後も、調査のために必要な一定期間内は保険会社が保険金支払について遅滞の責めを負わないとすることにはそれなりの合理性があり、その旨を約款で定めたとしても、

その次でございます。

 その期間が調査のために通常必要とされる合理的な範囲内であって、これにより被保険者が損害発生後遅滞なく損害のてん補を受ける利益が実質的に害されない限り、その規定は有効なものといわなければならない。

こう、まず一般論として挙げております。

 そして、本件では三十日の期間というのを書いている、これは有効な期間である、こう言っているわけですから、最高裁としては、本件の火災保険という事案において、この約款の三十日というのは、その期間が調査のために通常必要とされる合理的な範囲内であるということをこれは認めているものだ、こう読んでよろしいかと思っております。

古本委員 配付資料の五の2を読み上げていただいたんだと思いますけれども、ちょっと何か論点がずれていると思うんです。

 私が言っているのは、三十日と五日というのがいわゆる相場観として、今各当局が説明なさったとおり、大体三十日か五日なんですよ、約款は。その三十日か五日という相場を、今後新たな法改正を受けて約款を指導していきたいというふうにそれぞれおっしゃっておられましたけれども、この三十日と五日というものについては大体相場観として引き続いて指導していくのか。その際のよりどころというのは、実はこの最高裁で言っている三十日という、日数の相場観を妥当だと言っているのか。

 その後の、ただし書きがついていますね。この約款でいけば四ページでありますが、「三〇日以内に、保険金を支払います。ただし、当会社が、この期間内に必要な調査を終えることができないときは、これを終えた後、遅滞なく、保険金を支払います。」

 今、局長がおっしゃったのは、五ページの2というのは、このただし書きをつけたこと自体は、必要な調査というのが要るんだろうから、それは合理性があるといったことを多分御説明されたんだと思いますけれども、私が尋ねておりますのは、三十日という日数の相場観を最高裁として是としたのか、あるいは三十日たったら払いますと書いているということは、だれがどう読んだって、日本語が読める人ならそう書いてあるので、そのことが妥当ですと言っているのか。最高裁の判決は日程の相場観を言っているのかどうなのか、それを御当局としてどう解釈しているんですかという質問です。

倉吉政府参考人 これは、判例の読み方としていろいろな読み方があるのかもしれません。法務当局として最高裁の判例をこう読むべきだとぴしっと言ってしまう、断言するというのははばかるべきであろうかと思いますが、ただ、一般論として申し上げます。

 合理的期間の範囲内でなければならないということを言っているんですね。そして、本件の三十日は、それはそれでいいと言っているわけです。ですから、三十日が合理的期間の範囲内であるということは最高裁は言っている。

 ただ、先生の言われる相場観というのは、三十日ぴったりですかということだと思うんです。そこはわからない。判例の読み方として、四十日かもしれない、五十日かもしれない、その範囲内にとどまっている三十日だからいいと言っているのか、三十日ぴったりで問題ありませんよ、こう言っているのか、そこはわからないとしか言いようがないということであります。

古本委員 今、大事なところを言っていただいたんですね。

 実は、法曹の方々が大変懸念されておられる御主張の中で、こういうくだりがあるわけですよ。

 平成九年三月二十五日の最高裁判決があります。このことですが、この判決は、支払い時期の延期に関する部分は、単なる事務処理基準にすぎないとして、支払い時期の延期を認めませんでした。現在の裁判実務では、猶予期間の三十日あるいは五日の経過により遅延損害金を支払う扱いになっていますと。つまり、履行期間を定めている。その履行期間を超えるということについては認めなかったという御主張をなさっている方々がおられるんです。

 これは、解釈が、この最高裁の判例をどっちから見るかの議論なのか、あるいは法務御当局が曲げて都合のいい解釈をなさっているのか、これは大事なポイントなので、もう少しここをやりたいと思うんですけれども。

 つまり、三十日か四十日か五十日かというのは、これは最高裁はわかりませんよ、そこまではわからないと思うんです。だけれども、三十日たったら払いますというふうに保険会社が被保険者に約束しているんです、約款上。そのことは、だれがどう読んだってそうなので合理性があるという判断をしたのか。

 それとも、今、市井に出回っている保険商品の相場を、あえてきょう来てもらっているんですからそれぞれ聞きましたよ、大体三十日か五日なんですよ、損保と生保で。その相場観からすれば、大体三十日だというその相場を判断したのか、はかったのか。

 それは、今回のこの相当なる期間という条項を入れることによって、今後、一連の不払い事案あるいはいたずらに遅延させた事案が仮にあるならば、そういったものを排除していくという法律の趣旨なんですと先ほど力説されておられましたが、立法作業をする上で、この最高裁の判例の存在というのはもちろん認知されていたと思いますので、この三十日の扱いについてどう解釈したかというのは一つのポイントになると思いますので、再度お尋ねしたいと思います。

倉吉政府参考人 先ほども申し上げましたが、三十日がこの件についての合理的な期間の範囲内にあるという判断を最高裁がしたことは、まず間違いありません。

 それで、そういう実務がいっぱい定着しているわけですから、先生のおっしゃる相場観というのも、実は私はわからぬではないです。本当にそういうものだろうなという感じはいたしますけれども、最高裁としては三十日が合理的期間の範囲内にあるとしか言っておりませんので、そうとしか言えない。

 問題は、ただし書きでございます。ただし書きの書き方が、基本は三十日だよ、けれども、具体的なこれこれの事項についてこういうことを調べなきゃならない事情があるときは、それに必要な期間、あるいはこれこれを調べるためにお医者さんにちょっといろいろ事情を確かめなきゃいけない、鑑定書を書いてもらわなきゃいけない、そのために要する期間、こういうふうに具体的に書けば、それが合理的な期間内の中に加わってくる。しかもそれは、原則ではいけない、ただし書きでいけるところですから、相応のモラルリスクとおぼしき事情がないとそうはいかないでしょう。

 先ほどの最高裁の事案なんかは、まさに、契約をして一週間後に、暮れから年明けにかけて、一週間後には燃えてしまった、警察が当初からこの人はおかしいんじゃないかといって内偵捜査を始めた、そういう事案ですから、そういう事案になれば、火災現場に入っていってどうだとかいろいろ調べなきゃならぬということ、それがある程度わかるようにそれなりに約款に書いておけば、それが最高裁の射程の範囲内にもある。

 もっとも、最高裁は、このただし書きの文言については何も言っておりません。これはできの悪いものだからだめだよ、こう言っているだけですので、そこから射程距離を読むというのは難しいですけれども、そういう合理的な範囲内ということをむしろ今回の法案で相当な期間、必要な期間としたわけで、それの解釈としてこういうふうにいくということがむしろ定着していくんではないか、私どもはそのように考えております。

古本委員 最高裁の判決の要旨を引き続き、判決の理由以下、ずっと今読んできましたので、六ページ、七ページも少し見ておきたいと思うんですね。

 五ページからまたいでおります2のところで、実は今法務省がおっしゃったとおり、

 調査のために必要な一定期間内は保険会社が保険金支払について遅滞の責めを負わないとすることにはそれなりの合理性があり、

というふうにはっきり言っています。

 他方で、3を見ますと、さりとて、この

 右ただし書の文書は極めて抽象的であって、何をもって必要な調査というのかが条項上明らかでないのみならず、保険会社において必要な調査を終えるべき期間も明示されていない。

 二つのことを言っているんです。つまり、まず、三十日と定めました、それを超えて必要な調査ということについて、どんな調査かを書いていないのが一つ目の問題点。二つ目の問題点は、その必要な調査というのは大体何日ぐらいかかるものなのかという相場観も書いていない。これは3番として指摘されています。

 続いて4でありますが、

 保険契約者等が調査を妨害したなど特段の事情がある場合を除き、保険金支払時期の延伸について保険会社が全く責めを負わないという結果を直ちに是認すべき合理的理由を見いだすことはできない。

これはもう断定していますね。

 最後です。

 同条ただし書は、これ自体では保険契約者等の法律上の権利義務の内容を定めた特約と解することはできず、保険会社において、所定の猶予期間内に調査を終えることができなかった場合にあっても、速やかにこれを終えて保険金を支払うべき旨の事務処理上の準則を明らかにしたものと解するほかはない。

ということでありまして、事務作業というのは大体要るんだろう、調査というのは要るんだろう。その間を払わなかったからといってにわかに責めを負うには忍びない、まずはそういう趣旨のことを言っていますよ。

 だけれども、この約款、個別個社の事例ですよ、この約款に関して言うならば、極めて抽象的であるので、何をもって必要な調査かということが判断できなかったということなんです。

 したがって、この最高裁の判例、判決から言えることというのは、実は、そのただし書き以降を書くのであれば、それを明確に書くのであれば、ただし書きは有効であるというふうに読み取れるんです。つまり、ただし書きを入れて必要な調査期間を定めるというのは、保険会社としては、モラルリスクを排除等々のことから当然あるだろう、それは合理的な事務工数であるということは認めているんですよ。

 一方で、抽象的だったよねと言っているわけなんですね。だから、ここがすごく大事でありまして、今回どれだけより具体的に書いていくか、そのことが少なくとも、現状より後退することがあっては立法の趣旨に合わないと思うんですね。

 改めてお尋ねをしたいと思いますが、最高裁の判例で、この法律をつくるに当たって、これは当然参考にされているはずでありますので、三十日という日数の多寡、長いか短いかということについては言及していない、三十日ということを明示しているという明示行為については合理性がある、だから三十日に従え、こういう判決であるかどうか、これをもう一度確認します。

倉吉政府参考人 今伺っていて、委員のおっしゃっていることと私が先ほど来話していることは、ほとんど相違はないんではないかなと思っております。

 三十日ということは合理的な範囲内だということを最高裁は判断いたしました。さて、ただし書きに入ってみたら、ただし書きはできが悪過ぎて約款とは言えないので、そんなものはなかったことになる、こう言っているわけです。だから、少なくとも三十日が合理的な範囲内だということは言っている、それはもう明らかであろうと思います。

 それでよろしいでしょうか。

古本委員 そうしますと、随分時間を使ってやりましたが、実は、巷間懸念があります最高裁の判決というものに対して、少し今回のことが後退するんじゃないかという御懸念が法曹の方々の一部にあるわけなんです。

 これはむしろ、ただし書きがよりきちっと明確に、しかも例示的になされるように、今後この二十一条をきちっと使って、この法律を使って各保険会社がやっていくんだ、そのことを前提に、この最高裁の判例に対して、決して後退するような話でもないし、むしろあいまいであるただし書きを排除するんだ、むしろそのあいまいさを取り除いたことによってきちっとしたただし書きをうたっていくんだ、何より、ただし書きの存在自体は、最高裁は合理性があると言っていますから、そういう理解でよろしいでしょうか。

倉吉政府参考人 そのとおりだと思います。

 あいまいなところをむしろ今回の法案によって、ただし書きの部分がより明確な、先ほど申し上げましたような約款ができていくだろう、こういうふうに思います。

古本委員 さらに確認をしておきたいと思うんですが、第二十六条、五十三条、八十二条に、それぞれ「強行規定」ということで、これは片面的強行規定かと承知をいたしておりますが、規定がございます。

 条文案の強行規定であります。例えば第二十六条でありますが、「第十五条、第二十一条第一項若しくは第三項又は前二条の規定に反する特約で被保険者に不利なものは、無効とする。」とございます。これはどういうふうに理解をすればいいでしょうか。

倉吉政府参考人 あくまでも相当な期間の範囲内に、先ほどのただし書きの話がわかりやすいと思いますが、ただし書きのような約款をつくったとしても、その期間が相当な期間の範囲内でなければならない。その期間が相当な期間を超えるように読める書き方をしていた、あるいは具体的な事案においてそこで書かれたとおりにやっていたとしても、それが相当な期間を超えている、もっと早く調査できた、こう言えるようなときには、それはその限度において無効になる。片面的強行規定というのはそういうことでございます。

古本委員 先ほどの最高裁の例に少し照らして確認をしたいと思うんです。

 仮に時計の針が当時に戻ることができたならば、この火災保険の事案があって、それで放火の疑いがあるという中で、被保険者と保険会社、そして警察当局も入っている中で大変なことだったと思うんですけれども、そのときに、仮に保険法が改正された以降に同様の事案が起きたとしましょう。そうしますと、定め方いかんによっては、実はこの最高裁の判例が後退してしまうようなことにならないようにするために、この強行規定はどのように作用するというふうに理解すればいいでしょうか。このケースになぞらえて、言ってみてもらえますか。

倉吉政府参考人 それでは、本件のただし書きの記載に即してということでございます。

 我々の考え方を申し上げますと、このただし書きで、保険会社が必要な調査を終えるまでは遅滞の責任を負わない、こうしております。このただし書きは、この法案に即して言いますと、第二十一条第一項の、保険給付を行うために確認をすることが保険契約上必要とされる事項の確認をするための相当の期間を経過した後であっても、保険会社が必要な調査を終えない限りはいつまでも遅滞の責任を負わないとする条項である、こう読まざるを得ません。

 したがいまして、このような約款の定めは、相当の期間が経過した後は遅滞の責任を負うとするこの法案の規定よりも被保険者あるいは保険金受取人にとって不利な特約ということができると思います。したがって、その限度でただし書きは無効になるというべきものと考えます。

古本委員 随分議論してまいりましたが、今回の、特に第二十一条の解釈、運用については法曹界からそういう御懸念もいただいておるということにぜひ留意をいただいて、各関係する所管の省庁との連携を図っていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、例の一連の不払い事案が法制審の議論の途中で惹起されたという背景はあるものの、法律の中に大変力強いものとして入っておるというふうに承知いたしておりますが、第四条の「告知義務」のところを少しお尋ねしたいと思うんです。

 「保険契約者又は被保険者になる者は、損害保険契約の締結に際し、損害保険契約によりてん補することとされる損害の発生の可能性に関する重要な事項のうち保険者になる者が告知を求めたものについて、事実の告知をしなければならない。」

 これは恐らく、これまでの商法の規定によれば被保険者に告知義務があったものを百八十度転換して、保険会社側にその告知を促すといいますか、こんなことはありませんか、こういう病気をしていませんか、そういうことを保険会社が聞く、このことはその責任を求めたということにおいては画期的だと思うんですが、そのことを怠った場合はどうなるんでしょうか。保険会社がそういうことを怠った場合です。

倉吉政府参考人 保険会社が重要な事項を、これを答えてくださいよということを告げなかった、告げなかったからこちらも告知しなかったという場合には、それが客観的に重要な事項に仮に当たるといたしましても、そのことを理由に保険会社が契約を解除するということはできない、こういう結論になります。

古本委員 加えて、一連の不払い事案でありました、告知をしないことを少し促すといいますか、とりあえずそこにサインして、あれしておけばいいよというようなこと、いろいろ持病があるんだけれどもそういうのを言わなくていいのかなとかいう思いも被保険者側にあっても、恐らくそういうケースもあったかと承知していますが、その部分については、法律のたてつけとしてどのように排除できるようになっているんでしょうか。

倉吉政府参考人 ただいまの点、生命保険の保険募集人というのが非常に問題になりました。ある病気を持っている、保険に入りませんかと募集人に勧誘されて、いや、実はこういう病気があるんだけれどもということを言ったら、ああ、だめですよ、お客さん、そんなことを話したらうちの会社は保険をやってくれませんから言わない方がいいですよ、非常に極端な例ですが、そういうケースが間々あるということが訴訟上主張されたわけです。そういうケースがあったのかといろいろ問題になったわけです。

 実は、これまでの商法の議論では、保険募集人というのは媒介をするだけ、保険会社の代理人ではありません。ですから、何か告げられても、告知をされても、それを受領する権限がないんだ、だからその保険募集人がどんなことを言ったとしても契約の成否には関係がないんだ、ないんだと割り切っているわけではなくて、そうせざるを得ないんだというのがこれまでの理解でした。

 そこで、今回の保険法案では、保険募集人が告知の妨害をしたり、あるいは告知しない方がいいですよというふうに教唆をした、こういうような場合には、むしろ告知妨害があったんだからそのために告知をしなかったというときには、それを理由に、告知がなかったじゃないかということで保険会社が契約の解除をすることはできない、こういうふうにたてつけてあるわけです。

古本委員 今法務省から御説明いただいたのは、第二十八条の告知義務違反に関する解除ということかと思いますが、「保険契約者又は被保険者が前項の事実の告知をすることを妨げたとき。」こういうことかと思います。一連の不払い事案の反省に立ってこういう法律もたてつけていただいているというふうに思いますので、ぜひその効果が出るような運用を求めてまいりたいというふうに思っております。

 続きまして、先ほどの履行期間の話を整理して、関係省庁にはもうお引き取りをいただきたいと思うので、ちょっと最後、おさらいをしておきたいと思うんです。

 先般、与党の先生方の質疑の中でもあったかと思いますが、今回はあくまでも契約を規定する、したがって組織を規範するものではないんだ、縛るものではないんだという御議論があったかと承知をいたしております。とりわけ、あのときは倉田先生がJA共済の例を言っておられたかと承知しておりますが、これは今、大変各共済会社共通の心配事ではなかろうかと思っています。

 例えば、約款一つの議論も、恐らく、評議員会というんでしょうか、何か代表会みたいなそういう意思決定機関があって、そこでやはり約款変更なんかも議論をなさっておられるんじゃなかろうかと推察しておりますが、そういった意思決定のメカニズム、つまり組織の中まで今回の保険法改正によって縛るものなのか、あるいはこれは純粋に契約だけを縛っていく法律なのか、そこら辺について少し簡潔にお答えいただきたいと思います。

倉吉政府参考人 委員御指摘のとおり、保険法案は、共済契約のうち保険と同様の実質を有するもの、例の大数の法則というのが当てはまる、そういうきちっとした、保険の料率を計算して保険料を出している、そういう形でやっている共済にも適用があります。要するに、保険契約と同等の契約ルールを共済についても定めたということになりますが、これは共済団体の組織や運営、その監督規制とはかかわりがない、そういうものについてルールを定めたものではございません。

 そこで、今委員の御指摘の組織とか、それから規約の内容を決めていく形ということでございますが、具体的には、保険法案が、保険契約の関係当事者、すなわち保険契約者や被保険者、保険金受取人と保険者の間の権利義務関係についてしか定めていないということを意味するものでありまして、組織法や監督法には影響いたしません。ということは、具体的には、保険会社や共済団体における意思決定機関のような内部の構成、ガバナンスとよく呼んでおりますが、そういった点や、監督官庁による各団体の監督体制といった点には全く影響がないということを意味するものでございます。

古本委員 ということは、金融庁にお尋ねしたいんですが、今回の法改正によって、いわゆる制度共済の方々が業法適用会社とみなされるということになるのかならないのか、御所見を求めたいと思います。

細溝政府参考人 今回の保険法案は、ただいま法務省からも御答弁がありましたとおり、保険や共済にかかわる契約に関する規律を定めるいわば民事法であると承知しております。したがいまして、例えば共済組合の組織法とか、あるいはそういった事業者に対する監督法とかいったものについての変更を実質的に行っているというものではございません。

古本委員 ぜひ、今回の法改正に伴って、今それぞれの制度共済、JA共済さん初め、制度を運営されておられますので、混乱を来すことのないようによろしくお願いをいたしたいと思っていますし、その点につきましては、先般も附帯決議というお話も与党の先生からあったやに記憶いたしておりますので、またぜひ論点の一つにしていただければありがたいなというふうに思っております。

 では、役所のそれぞれの方、金融庁と農水、厚労はお引き取りいただいて結構でありますので。

 あと、法務省に引き続いてもう二、三お尋ねしたいと思うんですが、いわゆる団体保険の問題が一つあろうかと思うんですね。

 今回の法改正に伴って、いわゆる被保険者と保険金の受取人が異なる、異なるといっても、御遺族が受け取るんじゃなくて、これはずばり企業側が受け取るということになっている、このことについて、何か今回の法改正で御議論があったのかなかったのか、そして具体的に何か立法措置があるのかないのか、お尋ねしたいと思います。

倉吉政府参考人 団体生命保険のことがよく取り上げられます。もちろん法制審議会の部会でも、これが一つのテーマになって議論もされたと承知しております。

 今回の保険法案でこれについて特別の対策をとったのかというと、団体生命保険用に何か規定をつくったということはございません。ただ、当事者以外の者を被保険者とする死亡保険契約一般について、当該被保険者の同意が効力要件であるということをこの法案の三十八条で明言しております。これが、この団体生命保険の問題についても解決のかぎを与えることになる。少なくとも、契約ルールとしてはそれが精いっぱいのところで、それで契約ルールとしては充足している、こう考えております。

 ここで、被保険者の同意が必要であるというときの同意とは何か。団体生命保険のことをちょっと念頭に置きながら御説明いたしますと、もちろん真意に基づいたものでなければなりません。そして、同意をするに当たっては、保険契約者や保険金受取人がだれで、保険金の額がどの程度のものであるかといった契約の基本的な内容について被保険者が正しく認識していなければならないと一般に解されております。このことは、いわゆる団体生命保険のうち、会社が保険契約者兼保険金受取人となり、その従業員を被保険者とする死亡保険契約についても全く同様でありまして、被保険者である個々の従業員がそれぞれの契約の基本的な内容を理解した上で真意に基づいた同意をしているということが必要になります。

 何を申し上げたいかといいますと、したがいまして、契約の基本的な内容についての理解を欠いた漠然とした同意であるとか、あるいは会社の中の支配関係に基づいて半ば強制的に求められる同意、こういったものは被保険者の同意として真意に基づいたものとは言えません。したがって、当該被保険者の関係では、この法案の三十八条によりまして契約は効力を有しないものとなる、このように考えております。

 被保険者の同意を死亡保険契約の効力要件とすることで、要するに、従業員を被保険者とする団体生命保険についても、個々の従業員の意思によらずに会社が保険金を受け取るというような不健全な事態、これは防止する機能を果たすことができると言えますので、保険法案においては、団体生命保険についての被保険者の同意に関する特則をわざわざ別に置くということはしていないということでございます。

古本委員 私が申し上げたかったのは、例えば、会社が従業員の方々に何らかの人材育成ですとか、あるいはそういう費用的な投資をしてきて、その方が不幸にして亡くなることがあったならば、それまでのいろいろ投資してきたことについては、これは企業は営利団体ですから、当然回収という概念が他方ではあろうかと思っていまして、その投資した額に対して回収していくから人材育成投資していくわけですね。ですから、そのこと自体を全く否定しているつもりはありません。

 むしろ、御遺族の方々が、そんなものに入っていたのかとか、これはずばり言えば、被保険者はもうお亡くなりになっているわけでありますから、その方の御意思を尋ねようにも尋ねようがありませんね。ですから、残された御遺族の方が合点のいく同意のとりつけ方ということが、被保険者本人が同意しておればそれで事足りるのか。

 この三十八条の解釈でありますけれども、「当該被保険者の同意がなければ、その効力を生じない。」こうございますけれども、恐らく、被保険者が会社の中でそういうことを求められたときに、多分入社なさったときかどうかわかりませんが、一連のサインする書類の中に仮にすこんと入っていた、それを後で調べたら実はそういうことだったということは、これはちょっと言い方を間違えるとしかられるかもしれませんが、お亡くなりになった被保険者というよりも、残された御遺族が、これは大変、そんなものにうちのお父さんが入っていたのか、あるいはお母さんは入っていたのか、こういうことになるわけであるので、実は、同意のとり方をより丁寧にしないと、団体生命保険というのは、引き続きそういった御懸念が人々の中にある中で、運用の課題としてあるんじゃなかろうか、そういうことを申し上げているんです。

 そういう意味で、この三十八条の同意というのは、あくまでも被保険者だけでしょう。だから、一連のいわゆる訴訟になっているような話については、この三十八条をもってその懸念を払拭するに足るとまでは言えない、こういうことでいいでしょうか。

倉吉政府参考人 今委員が御指摘になっている点は、私どもの受けとめ方としては、契約ルールの限界ということをおっしゃっているのかなと思います。そうであるとすれば、率直に認めます。

 つまり、被保険者の同意が要るんだということしか、契約ルールとしてはそれ以上のことは書けない。あとは問題は、本当に真の同意があったのか。先ほどの繰り返しになりますけれども、会社の中で嫌々やらされたとか、契約の団体保険の意味がよくわからない、どれくらいの金額が出てどれくらいの金額は会社に行っちゃうのか、そんなことも全然わからないままめくら判を押しているような状態だったということになれば、それは真実の同意ではないということになる。これは、一般の契約の意思解釈と同様でございます。

古本委員 やはり、企業のそういった投資したものに対する、ありていに言えば見返りですよね、それから従業員自身も、恐らく会社に貢献した分の見返りということ、お互いにギブ・アンド・テークで恐らく成り立っているんだと思います。

 この同意ということに関して、少なくとも、この団体生命保険に関してはいろいろな御議論があるわけでありますので、契約当事者間の同意のとりつけ方の中まで入り込んで、基本法である保険法の中で、契約法の中で規律するということはなかなか難しいんだということは率直に認めていただいたとは思うんですけれども、さりとて、現実にそういう問題がございます。

 契約作業、つまり約款を認可し、そしてそれを履行させ、契約を成立させる、きょう来ていただいたそれぞれの関係省庁との連携を、この三十八条、特に団体生命保険に関してまだ課題があろうかというふうに思っておりますので、その連携を密に図っていただきたいということを強く求めておきたいと思います。

 大臣、自衛隊のイラクのいわゆる輸送隊の、航空自衛隊の活動について違憲判決が出ましたけれども、この最高裁の判決、今回は名古屋高裁だったかと思いますが、やはりこういったものは大きいと思うんですね。きょうはそのことは聞きませんから。

 要するに、きょう、最高裁の判例を随分引用させていただきましたけれども、保険というのは、先日勉強させていただきましたけれども、本当にいにしえから、やはり人間が商行為あるいは生きていく上で安心を担保するすぐれた仕組みだと思います。せっかくそういったものを保険法ということで整理していくわけでありますので、最高裁の示した判断を少なくとも後退するようなことはないんだ、むしろよくなるんだ、これはそこを間違いなく担保している法律になっているんだ、そこを力強く最後確認しておきたいと思います。

 簡潔にお願いしたいと思います。

鳩山国務大臣 残念ながら、モラルリスクという問題が常につきまとうものでありますから、極めて確率が低いことであっても、もしやということも想定しなきゃならないし、現実化した問題もあるわけで、そこにひっかかりを常に持っていなければいけないというのは治安の責任者としての私の立場でもあろうかと思っておりますが、今、古本先生が資料まで提出されたこの最高裁の判例、そのやりとりを聞いておって、本当になかなかの判断をしているんだなと。

 私はどちらかというと、この三十日という話は、最高裁が三十日というのはいい期間と認めたかどうかは、民事局長と違って、私は読み取れなかったんです。むしろ、先生おっしゃったように、明示したことについて、最高裁は、大いに結構、ただし、ただし書き以降はだめだということの判断をされたわけでありましょう。

 いずれにいたしましても、保険契約者、もちろん被保険者、受取人、いろいろあろうと思いますが、保険会社ではなくて、保険契約を結んだり、保険を掛けられたり、あるいは受け取ったりする方々が少しでも今までよりも有利になるようにならなければ、この法律案を出す意味がない、私はそう思っております。

古本委員 ぜひそのように所管をしていただきたいと思っています。

 損害保険の話もいたしましたので、少し自動車関係諸税について、がらりと話題をかえてお尋ねしたいと思っています。法務省は、どうぞ、もう安心してください。

 自動車重量税……(発言する者あり)

下村委員長 倉吉民事局長。

倉吉政府参考人 大臣の答弁も終わった後で本当に申しわけございません。

 先ほどの答弁の中で、私、めくら判ということを申しました。あれは不適切な発言であったと思いますので、何もよく考えないまま、そのまま判を押してしまったという趣旨に訂正させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

古本委員 裁判員参上の看板も取ったんですよね、大臣。裁判員参上の看板も取られたということでありますので、石関委員の留飲も下がったと思います。人権を所管される、議論をされる当局なんですから、しっかりやっていただきたいと思います。

 自動車重量税の話でありますが、自動車重量税というのは、車検のときに、いわゆる権利創設税的に、登録免許税的に今課税がなされていると思うんです。これは、車検と引きかえに課税をする、こういう理解でいいと思っているんです。

 一方、その相場について聞きたいんですけれども、一トン当たり、普通車、トラックぐらいに分けて、大体どのくらいになっているんでしょうか。

古谷政府参考人 お答えをいたします。

 現在、自動車重量税、暫定税率を含めまして、乗用車の場合には〇・五トン刻みで六千三百円ということになってございますので、例えば一トンの車であれば、その倍、車検の期間に応じまして、二年の場合にはそれに二を掛けます、三年の場合には三年分というような計算をして課税をさせていただいております。

古本委員 本則税率は〇・五トン当たり二千五百円、これが今暫定税率で六千三百円、実は二・五倍なんですね。二・五倍取っているんですよ、大臣。本則二千五百円、これを二・五倍で六千三百円いただいているんです。車は〇・五トンということはありませんので、大体一トンかそれ以上ありますので、随分な金額を車検の車検証と引きかえに納付しているんですよ。多くのドライバー、納税者の方は車検代と勘違いしているんですよ、一式で請求しますから。しかも二・五倍。これほどこっそりしっかり取れる税金というのはないんですよ。

 まず、この自動車重量税というのは、どなたが大蔵大臣のときにつくられた法律ですか。

古谷政府参考人 お答えをいたします。

 自動車重量税は昭和四十六年に創設をさせていただいておりますが、その当時の大蔵大臣は福田大臣でございます。

古本委員 総理は、暫定税率がもとに戻ると環境によくないということを盛んに言っていますけれども、実は、この自動車重量税というのは、本日現在期限をまだ迎えておりませんで、日切れが恐らく四月の三十日というふうに承知をいたしております。

 この自動車重量税というのは、当時、福田大蔵大臣、総理の御尊父は、国会答弁の中で、道路を損壊するわけでありますから、その損壊したものについてはそれなりに償ってもらおうという税だ、こういうことになっているんですよ。原文をそのとおり読んでいませんよ、趣旨としてはそういうことになっています。

 ところが、自動車重量税というのは何税ですか。一般税ですか、それとも使途を定めていますか、目的税ですか。

古谷政府参考人 自動車重量税創設の際には、自動車の走行が、道路の混雑あるいは交通安全、道路事故等に関連して、多くの社会的費用をもたらしていることでございますとか、社会資本の充実の要請が強いということで、広く自動車の使用者に負担を求めるために創設させていただいてございます。

 自動車重量税法自体では税収の使途は特定をしてございませんで、税収の使途を特定しない税として今課させていただいております。

古本委員 これは大臣、大臣も国務大臣ですから、ぜひ聞いておいてもらいたいんですけれども、自動車重量税というのは年間で一兆円取っておられるんですよ。結構なものですよ、一兆円。しかも、車検のときの引きかえ。だから、いや応なしに払っている。大方の納税者は車検代と勘違いしています、わかっていませんから。こいつが一兆円。

 しかしながら、創設当時の御高説は、前段だけ読まれましたが、後段で間違いなく総理の御尊父は国会答弁で、道路を損壊いたしまするから、その負担を云々かんぬんでドライバーに求めたいと明言されていますので。

 ところが、実は、これは車庫に置いているだけで課税されるんですよ、走っていなくても。つまり、権利創設税ですから、車を持ったという権利に対しての課税ですから。実際に道路を損壊するのは、むしろ大型ダンプであり、あるいはトレーラーみたいなでかいのが走ればわだちができる。

 ところが、実は、今の税率でいきますと、普通乗用車が一番高くなっちゃっているんです。そうですよね。普通乗用車は〇・五トンで六千三百円、暫定を乗っけて一トンで一万二千六百円。ところが、トラックなんかはむしろ減免されていて安くなっちゃっているんです。

 ですから、立法のときの趣旨と実態がまず合っていない。だから、本当に道路を損壊する車からもっと取ればいいんですよ。いや、趣旨からすればですよ。だからといって、大型トラックの運転手さんは、ただでさえガソリンが高くて苦しんでおられるので、そんな人をいじめろなんて言っていませんが、立法の趣旨がもう合っていないんですよ。

 さらに申し上げておきますと、実はこの一兆円の自動車重量税、きょうは国交省も来ていただいていると思いますが、目的が定められていないということに便乗して、ここ数年間、自動車重量税を大体何千億円ぐらい、道路をつくらずにほかに回していますか。

原田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十五年から十九年までで、いわゆる使途拡大と我々は言っておりますけれども、およそ五千九百億円ぐらいでございます。あわせて、またこれまでもいろいろ御指摘をいただいておりますけれども、本四の債務処理で十五年から十八年まで約一・四兆でございます。

古本委員 どちらかといえば、一兆円、しかも道路を損壊するんだから、それを整備する、あるいは道路を使用するんだから、当然社会資本整備、受益と負担でやってくださいよということで税が創設されたんですよ。以来、三十有余年、しかも暫定税率が四十九年から乗っかって、〇・五トン二千五百円が〇・五トン当たり六千三百円、二・五倍ですよ。集めに集めた一兆円の何と六割の六千億円は、道路をつくらずにほかに使っちゃっているんですよ。

 大臣、こういう法律の趣旨と実態が合っていないというのは、これは法務大臣としてどうですか。

 いや、それで、まだ私もひとり言ですから、まだ待ってください。これはひどい話で、与党の先生も本当にそうなんですよ。この六千億円でとっとと道路をつくっていれば、先生方の選挙区の道路なんかとっくの昔にできているんですよ。六千億円をほかに使うだけ使って、今さらそれで暫定税率はないわけなんですよ。

 これは何と、三十日に切れるんですよ。今現在、きょう車検で陸運局に持ち込まれている車は、〇・五トン六千三百円、本当は〇・五トン二千五百円ですよ。これは、大概大概にしないといかぬと思うんですね。

 三十日の前の二十九日に何か不穏な動きがあるようですけれども、実は、全国の車検工場は今大変困っておられるんですよ。なぜならば、三月末は、私どもも本当に国民の暮らしが楽になればといういちずな思いでやった結果、ガソリンの満タン控えというのがはっきり言ってあちらこちらであって、混乱が一部にはあったようですけれども、今、ガソリンの満タン控えどころの騒ぎじゃないんですよ。車検控えが生じつつあるというか、もう生じちゃっているんです。

 御案内のとおり、車検は車検証の交付と引きかえでありますので、極端な話、モータースのおやじさんのところに車を預けておいて、おれなんかゴールデンウイークまで乗らないから預けておくよと預けておけば、運転しない限りは車検証は要りませんから、車検控えができちゃうんですよ。きっと下がるんだろう、いや下がらないと、今押し問答になっちゃっている。もう思い切って下げてくださいよ。

 暫定税率ですよ。自重税を取っ払えと言っているんじゃないんです。道路をつくらないぐらいなら、自重税の暫定税率はもうおやめになったらどうですかというふうに思うんです。少なくとも、一兆円のうち六割は道路をつくっていません。間違いありません。そんな暇があるのなら道路をつくってもらいたいですよ、はっきり言いまして。極めておかしなことになっているんですよ。(発言する者あり)今合いの手を、与党の、しかも道路の欲しい徳島方面からいただきましたので、ちょっとまた、いろいろ諸般の事情はあれとして。

 ですから、もう国民の目は欺けませんよ。これはいよいよ、車検控えが生じている中で、国民的な注目がまた月末に向け大変高まってまいりますから。

 それで、さらに、あえて大臣に御進言申し上げておきたいのですが、この自動車重量税に関しまして、御党の友党である公明党の皆さんにおかれましては、参議院選挙のマニフェストを初め、道路以外に転用されている自動車重量税の現状をかんがみて、暫定税率の廃止を求める、いたしますと、公明党さんの良識でそう言っておられるんです。

 だから、こういう話が盛り込まれている中で、本当に二十九日、そんな手荒なことができるんだろうか、こういう議論があるんですね。丁寧に説明したつもりでありますけれども、論点をもう一度整理します。

 自動車重量税は、総理の御尊父が、舗装路をめくる、つまり道路を損壊する、それを受益と負担の関係で、損壊するドライバーの方に負担を求めたいということで創設されました。並びに社会資本の整備、つまりは道路以外も含めて示唆されたんでしょうけれども、負担をしていただきたい、そういうことで始まった税であります。

 ところが、実は、財源特例法で縛っていないんです。財源特例法がかかっているのは揮発油だけでありまして、自重にはかかっていない。これをいいことに、ここ数年来、使いに使いまくって他に転用しています。その額、この数年は年間約六千億円オーダーです。したがって、少なくとも暫定税率分はやめてしまっても罰が当たることはない、むしろ喜ばれる、筋が合っている、こういう御議論が友党である公明党さんが早くから気づいておられて言っておられる。

 少なくとも、法律に書いてある、創設したときの趣旨と違った運用が今なされているという実態。先ほど、保険法でお尋ねしました。せっかく保険がよくなるんだ、被保険者にとってよくなるんだ、こういう運用をしていくんだと。それは法律の運用ですから、私は、この場面では、はっきり言ってこの保険法に期待したい、そういう立場で質問しましたけれども、当時の自重税をつくった人々、先達の皆さんも多分そう信じて設計したはずですよ。ところがびっくり、平成二十年においては、道路以外に化けちゃっている額、その額六千億円ですよ、六割。もうめちゃくちゃですよ。

 大臣、改めまして、こういう実態に合っていない法律、税の課税の趣旨が使われ方の実態に合っていないということにかんがみて、御所見を求めたいと思います。

鳩山国務大臣 今後の国会の動きのことは私が申し上げることではありませんし、また内閣としていろいろと方針を決めていることについて私が今ここでコメントする立場にはありません。

 ただ、今、総理の御尊父の答弁のお話、そのとおりだと思うのですが、私は、田中角栄先生の秘書をやったのが昭和四十七年、あのころ、日本列島改造論に書いてあるかどうかは記憶にありませんが、田中角栄総理大臣の口癖は、自動車重量税はおれが発案しておれがつくった、すばらしい税金だろうという話をいつも自慢話に聞かされておった。

 それは、いわゆる受益者負担というだけでなくて、むしろPPPですか、ポリューター・ペイズ・プリンシプルというあの環境の方の原則、つまり、重い自動車ほど道路を壊す、負担をかける、破損するからより高い税金を払うというこのすばらしい発想はという自慢話、自慢話と言っちゃいけないのかもしれませんが、実績についてはいつも聞かされておったといういきさつがありまして、それが立法当初の趣旨であるとするならば、私立学校が建学の精神を大事にするのと同じように、やはり法律はできたときの趣旨というものは大事にしなければならないというのは一般論として私は十二分に理解をしたいと思っております。

古本委員 自動車重量税法自体は財務省の所管でありますと同時に、車検という行為に関して、その車検証の交付というのは国交省がやっておられる、それぞれの所管が今やっておられるんですが、担税者に何を趣旨として求めていくかというと、実は、少なくともその立法の精神から見れば応益負担であるべきだと思うんです。自動車を持っている人は金持ちだろう、ついてはそんなものを負担してもらってもびくともしないだろうという発想で始まったのは、むしろ揮発油税、昭和二十四年かと承知していますけれども、そういう意味では、やはり道路を損壊し、それを直してくれると信じているからこそ、車検のときに二・五倍にも水増しされている自重税に、しかも大変気の毒なことに車検代と勘違いしながら長年払い続けている皆さんは、きっと道路がよくなっているんだろうと信じていたら、実はそうじゃないという実態があるわけであります。

 いよいよ今月末に何やら不穏な動きがあるというふうにうわさされておりますけれども、これは与党の先生方も含めて、自重税という税は、実はすぐれて、当時の税の創設の趣旨から見たならば、自動車ユーザーが受益と負担で負担をしているんだということからいたしますと、実態は何と六割も、一兆円のうち六千億円もほかに使われているということを改めて御認識していただくと同時に、しかもそれは二・五倍も取られているんだ、その暫定が、いよいよ積年の課題である暫定がこの四月三十日に切れるんだ、そのことによもやほおかむりをしてごまかそうという、二十九日のそんな採決をまさか考える人がおるならば、どうもそれは間違っているらしいよということをよくよく承知していただきたいことを強く申し上げて、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

下村委員長 次に、滝実君。

滝委員 無所属の滝実でございます。

 百十年続いた保険に関連する商法の規定を改正しよう、こういうことでございますから、質問させていただく機会をいただきましたことを私も大変光栄に存じている次第でございます。

 そこで、百十年前の時代を振り返ってみますと、保険といっても、いわば一般大衆に縁のある時代ではなかった。したがって、その当時は、こぼれ話として伝えられるところによると、生命保険に入ると命をとられるというようなことがまことしやかに巷間伝わったと言われるほどの時代でございますから、それから考えると今の時代は大分さま変わりしているという前提で今回の保険法の審議がされたんだろうというふうに私は理解をさせてもらっています。

 そういう中で、しかし、そうはいっても、明治三十二年にでき上がったこれまでの保険の規定というのは、ほとんど骨格としては、少なくても外見上は、そのままこの新しい保険法に引き継がれているというように見受けられるわけでございます。いろいろな事件があったし、それに伴っていろいろ判例が積み上げられてまいりましたから、考え方が変わってきたんだろうと思うのでございますけれども、基本的な骨格は変わっていない、こういうふうに外見上は見られるのでございます。

 そこで、しかし、大衆の時代になった今日にそれでいいんだろうかということで、二つばかりまずお尋ねをしたいと思うんです。

 一つは、これは極めて素朴な話で恐縮なんでございますけれども、損害保険では当然、保険金と保険価額という二つの考え方がございますね。実際の物件あるいは保険すべき事象について基本的に保険価額というものを算出する。その中で、一〇〇%保険を掛けるのか、あるいは一部保険にするのか、こういうことで保険金額が決まってくる、こういうふうになるわけでございますけれども、一般の考え方からすれば、少なくても、保険金額といって決まった保険を契約する場合には、何か事故があったときには保険金額は丸々入ってくる、事故が小さければまだましですけれども、例えば火災保険で全焼すれば保険金額が丸々入ってくるというようなのが普通の考え方なんですね。よほど保険に精通すると、あるいは事故に遭ってみると、いや、そうじゃない、保険価額に対する保険金額の割り落としによって決まってくる、こうなるのでございます。

 しかし、私は、政策論として、制度論として、そういう保険価額なんということをやらずに、いきなり保険金額を事故の場合の最高限度額に設定するということは可能なんだろうと思うんです。ただ、問題は、保険料率の算定をどうするかということがあるんだろうと思うんですね。

 要するに、技術的に保険料を算定するときに、保険価額をもとにしてやるのか、あるいはあくまでも損失額を保険金額で合致させてやるのか、そういう二通りの考え方があると思うのでございますけれども、それに対して法制審ではどういうような議論をしたのか、あるいは、世界的にこんなことをやっている法律はありませんから、簡単に一蹴したのか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思うんです。

倉吉政府参考人 ただいまの点、一蹴したのかというお話がありましたが、法制審議会の保険法部会においても、どちらの考え方を採用するかというのは議論されまして、結論的に今のようになった、議論がされたことは間違いございません。

 若干補足をさせていただきますが、いわゆる一部保険における保険者の責任てん補の範囲に関しては、保険金額の保険価額、すなわち保険の目的物の価額に対する割合によって損害をてん補することを原則とする比例案分主義の考え方と、今委員のお話にありました、保険金額の限度において損害の全部をてん補してしまうという実損てん補方式の考え方があります。

 具体的にどういうことになるのかというのをちょっとお話しいたしますが、時価一千万円の建物について保険金額八百万円の火災保険が、これは一部保険になりますが、掛けられていた。その建物が半焼して五百万円の実損が生じた場合、実損てん補方式では五百万円の保険金がそのまま支払われます。しかし、比例案分主義では、もともと一千万に対して八百万しか掛けていないわけですから八割だ、それで、実損の五百万の八掛けで四百万円が保険金として支払われるということになります。

 委員の御指摘は、保険に入っている以上は全額が出ると思うのが普通なんじゃないのか、それが今の大衆の時代ではないか、こういう御指摘だと思いますが、この点については、以下のような理由で比例案分主義を採用したわけでございます。

 一つは、実損てん補方式を採用した場合、先ほどちょっとお話にも出ておりましたが、保険者が支払う保険金の総額が多くなりますので、当然保険料が高くなるという問題があります。

 二つ目、実損てん補方式では、例えば先ほどの事例において、保険金額一千万円の火災保険を掛けていた者と八百万円の火災保険を掛けていた者がいた場合に、前者の方が高い保険料を払っているにもかかわらず、支払われる保険金額は同じになる、これは不公平だろうというところがございます。比例案分主義では、この不公平が生じないというわけであります。

 三番目、比例案分主義が一般消費者にとってわかりにくいというその御指摘はよくわかりますが、これはむしろ、保険契約のルールの話ではなくて、個々の商品開発や保険契約者に対する説明等を通じて解消されるべきものではないか、このように考えております。

 以上が案分主義をとった理由でございます。

滝委員 そういうことは教科書に書いてあると思うのでございますけれども、基本的に、それは保険料率の設定の問題なんですね。要するに、実損方式でやるのか案分方式でやるのか、それによって当然保険料率が変わってくるわけですから、保険料率を変えれば当然、どちらが公平じゃないとかそういう問題は出てこないと思うんですね。

 だから、ごっちゃにして公平性が問題になるというのは、教科書に書いてありますけれども、そこのところはおかしいんじゃないだろうかなという感じがします。

 それから次に、案分方式をとらない例を取り上げたいと思うんです。

 告知義務違反に関連して、故意または重大な過失がある場合には保険者が全部保険責任を免れる、そういうようなこと、要するにオール・オア・ナッシング方式、こういうふうに呼んでいますね。今度の法案でも、すべてについてオール・オア・ナッシング方式なんですね。要するに、保険契約者の方に瑕疵があった場合には、思想としては、いわば保険者は全面的に責任を免れるという方式なんですね。

 ところが、今から二十年前に始まった、フランスはその前かもしれないけれども、ヨーロッパにおける保険法の改正の流れを見てみますと、そうじゃなくて、保険契約者に過失があった場合でも、過失の度合いによって比例配分するというか割り落としをかけていくという考え方が出てきていると思うんですね。やはり保険を掛けた以上は、何らかの瑕疵があっても、その瑕疵をある程度数字で救っていこう、こういう考え方ですね。これを今度の法制審でも議論をされたようですけれども、これもいわば結論的には一蹴した格好になっているんじゃなかろうかな、こう思うのでございます。

 そういう点について、やはりもうちょっときめ細かさというか、そういうものが必要じゃないだろうかなという感じがするんですけれども、その辺の議論を御紹介いただきたいと思うんです。

倉吉政府参考人 ただいま御指摘のとおり、オール・オア・ナッシングの方を採用したわけでございます。

 確かに、法制審の保険法部会では、オール・オア・ナッシングでいくのか、今委員の方からお話のありましたプロラタでいくのかということが議論になりました。

 ここでもう一度、確認のために、プロラタという方式について簡単に御説明いたしたいと思います。

 プロラタというのはもともと比例してというような意味だと思いますが、保険契約者等に故意があった場合については保険者は責任を全部免れる、これはそのとおりです。

 保険契約者等に重大な過失があった場合、ここをちょっと分けて考えます。

 まず、正しい告知がされていたら保険者は保険契約を締結しなかっただろう、このときは保険者は責任を全部免れる。正しい告知がされていたら保険者はより高い保険料で保険契約を締結したであろう、こう思われるときは、保険者は約定保険料の額の本来支払われるべきであった保険料の額に対する割合により保険金を減額した責任を負う、こういう考え方でございます。

 今プロラタの考え方というのをざっと申し上げましたが、これは聞いていてなかなか複雑な方式だなと思われるのではないかと思います。現に、このような規律は非常に複雑であって、告知義務に違反した場合に結局幾らの保険金が支払われるのか、これがわからなくなるといった批判が、実は保険法部会の中で消費者側の委員から出されたということがございました。

 さらに、これはより本質的な問題だと思っておりますが、重過失の保険契約者まで保護しようとすると、先ほどと同じ話になりますが、全体として保険金の支払い額や支払いのためのコストが増加する、したがって、正しい告知をした大多数の保険契約者の保険料まで反射的に上がってしまう、こういうことになります。

 これはやはり保険契約者に不利益ではないかという反対意見がございまして、それでオール・オア・ナッシングを採用した、こういうことでございます。

滝委員 なぜこういうことを取り上げるかと申しますと、昨年、カンヌの映画祭でグランプリをとったマイケル・ムーアの「シッコ」という映画に、アメリカの医療保険に関連しまして強烈な場面があるんですね。すべて告知義務違反で保険を審査する医者が一つ一つあげつらって、極めてささいな病気を本人がかかった医療機関から取り寄せて、それでもって保険の支払いを免れる、それが要するに保険会社の利益につながるということで問題になった映画でございます。これを見ていると、やはり多勢に無勢というか、組織のある人間とない人間との違いが出てくると思うんですね。

 だから、オール・オア・ナッシングでいっちゃうと、全く手がかりがない、手のつけようがないという問題が出てくると思うんですね。本当に重大な過失ならともかく、告知義務についても、本当にささやかな問題まで、病気の話、医学上の話なんというのは、理屈をつければ何ぼでもつくわけです。したがって、それをある程度のところで手打ちをするというのが恐らくプロラタの考え方だろうと思うのでございます。これ以上のことは申しませんけれども。

 そういう問題について、今度の保険法の中では、逆にそういうものについての防御策というのはないんじゃないだろうかと思うんですけれども、どうでしょうか。

倉吉政府参考人 ささいな告知義務違反というお話がありましたが、今回の保険法案では、危険の発生に影響する重要な事実のうち、保険会社側がこれを言いなさいよといって用意した事項、これについて被保険者、保険契約者側が答えれば足りる、こういうふうにしておりまして、危険に関する重要な事項に絞っておりますので、ささいな告知義務違反で被保険者、保険契約者が予期しない不利益をこうむる、このような事態はないものと思っております。

滝委員 ありがとうございました。

 とにかく、百十年前と違って、今や大衆の時代の保険でございますから、やはりわかりやすい、あるいは何とか保険契約者の意図が実際問題として実現するような格好での運用を望みたいと思います。

 次に、保険金詐欺の問題です。

 これは、火つけ、放火の問題もございますし、殺人の問題もあるわけでございますけれども、こういうような問題について、今まで対策は大体出尽くしているんだろうとは思うんです。しかし、出尽くしていると思うけれども、裏をかいた事件というのはやはり出てくるわけでございますから、そういう問題について、実際の実務についてはどういうような対策がなされてきたか、こういうことについてまずお尋ねをしたいと思うんです。

 例えば、トリカブト事件なんというと、次から次へと三億とか九億の保険金を掛けておいて殺人をするという事件がかつてあったわけでございますけれども、その後、こういうような問題についてどうなったのか。あるいは、現在でも、事件が出てくるものは、例えば子供に七千万円の保険金を掛けて殺害したとか、要するに本人の所得能力に関係なしに三億とか九億の保険金を掛ける、あるいは子供に対しても五千万円、七千万円の保険金を掛ける、そういうようなことが現実問題としてあるわけでございます。

 こういうようなことに対して、一体全体どういうような実務での対応をしてきたのか、これは金融庁の方でお答えをいただきたいと思います。

三村政府参考人 いわゆる保険金殺人を含め、保険契約が犯罪行為に利用されることにつきましては不適切なことであるというふうに考えておりまして、保険会社において、このような不正目的の保険契約が締結されることを未然に防止していくということが重要な課題でございます。

 このため、保険契約者が不正目的で保険契約を締結するといったいわゆるモラルリスクを排除、抑制する観点から、保険業法等の法令におきましては、保険会社は、犯罪を防止するための措置に関する社内規則などを定め、従業員に対する研修を行うなど、当該社内規則等に基づいて業務が運営されるための十分な体制を整備することが求められております。

 また、監督指針におきましても、保険契約の引き受け基準が社内規則等に定められ、会社が知り得た他の保険契約を含む保険金額が過大である場合には、より慎重な引き受け判断を行うなどモラルリスクを抑制するための十分な体制が整備されているかどうかを監督上の項目として明示しておるところでございます。

 金融庁としましては、これらの法令等に基づき、平素より保険会社に対する監督を行っているところでございます。

 また、各保険会社におきましては、生命保険協会、日本損害保険協会によって運営されております契約内容登録制度に加盟の上、保険契約の内容を登録し、また照会することで保険金の不正取得を目的とした多重契約の引き受けの防止を図る、約款において、保険契約者が保険金を不法に取得する目的を持って保険契約を締結した場合には保険契約を無効とし、保険料を払い戻さないといったようなことを明記するなどの対応を行っているものと承知しております。

 金融庁といたしましては、モラルリスクの排除、抑制の問題を含め、今後とも、保険会社における適切な業務運営が確保されるよう、監督に努めてまいりたいと考えております。

滝委員 基本的に、保険金殺人の場合、トリカブト事件で問題になったのは、結局、捜査の決め手がない場合が多いんですね。三億とか九億の保険金を掛けながら心不全で死んでしまった、しかし後に何もない。とにかくトリカブトというのは、後に何も残らない、心不全という結果だけが残る、こういう事件でございましたから、捜査当局もほとんど最初は手がつかなかった、こういう実態があるわけです。

 したがって、少なくても、これは生命保険にしましても火災保険にしてもそうですけれども、まず金額が大きいというものを恐らく保険会社は内部の基準で決めているんだろうと思うのでございます。それ以外に問題になるのは、やはり複数の保険に加入するというものですね。生命保険なんというのは、これは実際の価額がありませんから、何ぼでも保険屋さんが来れば逆に入らざるを得ない立場にみんな置かれるわけでございますけれども、そうすると、個々のケースではどうしようもないという問題があるんです。

 基本的に、そういう今までの対応の裏をかいた部分というのが必ず出てくるわけでございますけれども、こういうことについて、例えばお互いに保険会社の連絡をどうするんだとか、そういうような対応というのはどこまで進んでいるんでしょうか。

三村政府参考人 先ほども申し上げましたけれども、生命保険協会、日本損害保険協会におきまして、契約内容登録制度といったようなものを運営しております。保険契約内容をそれぞれの会社がそこに登録いたしまして、また照会をすることで多額の保険金の不正取得を目的とした多重契約の引き受けの防止を図る、そのような取り組みを進めているところでございます。

滝委員 その辺のところはよく宣伝をしていただきたいと思います。あくまでも犯罪を防ぐためには、とにかくアナウンス効果というのがなければこれはなかなか徹底しないと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 それから、最後になりましたけれども、実は、高齢者が病院とかいろいろな介護施設に入る場合に、普通、施設側は、御本人あるいは御本人の家族に、傷害保険と申しますか、そういうものにできるだけ入っていただいた方がいいですよということをお勧めしているようでございます。

 かつては、ほんの数年前までは、新保険ということで、かなり保険会社がこの種の保険の勧誘もされたし、入っている人が多かったんですけれども、最近はどうも高齢者の傷害保険といいますか、そういうものについては保険会社が、いわばノーサンキューといいますか、なかなかお引き受けにならない、こういうような事態が間々あるようでございます。

 そうしますと、施設側としては、高齢者をケアするときにやはりそういうものがありませんとなかなか安心がいかないといいますか、そういうような事態もございますものですから、実際にそういうようなことを保険会社はやっているのか、なるべく高齢者に近づかない方がいいよというようなことでやっているのかどうか、そこら辺の実態を御承知なら教えていただきたいと思います。

三村政府参考人 保険会社におきます保険契約の引き受けにつきましては、各社みずからの判断によって行われておりまして、金融庁の方で個別に一つ一つ把握をしていないということは御理解いただきたいと思います。ただ、保険商品の中で高齢者向けの保険商品を開発して積極的に販売している会社もある、そのように承知をしております。

 いずれにいたしましても、金融庁といたしましては、利用者利便の向上の観点から、各保険会社において利用者の多様なニーズに応じた保険商品が開発され、必要とする保障が提供されていくということが重要であるというふうに思っております。各社においてこうした取り組みが進められていくよう、促してまいりたいと思っております。

滝委員 最後に、これは金融庁に対する御要望になりますけれども、交通事故なんかの保険金の査定の問題で、どうも保険会社が保険金の査定の基準というものを余り公開していないんですね。ですから、事故が起きたときに保険会社に来てもらいますけれども、中身がよくわからないまま金額が査定されていくというようなことが通常のようでございます。よっぽど激しく言うと多少何か変わってくる、それではやはり保険にはならないんだろうと思うんですね。

 したがって、少なくとも事故の場合の保険金の基準といいますか、そういうものは、保険会社なりにはもちろん持っているんでしょうけれども、一般には余り公開されていない。事故が起きたときでも、どの程度になるかというのはいわば言いなりみたいな話が多いものですから、そういうところはもう少し公表してもらうようにお願いを申し上げておきたいと思います。

 最後に、法務大臣、せっかくでございますから、一言だけ御感想をいただきたいと思うのでございます。

 要するに、今度の保険法は、大衆時代じゃなくて、いわば事業に関連する保険として明治時代に成立した。それが今や、生命保険も損害保険も、いわば大衆時代、一般の人たちが安心のために加入する、こういう時代になってきたわけでございますから、保険の中身がわからない人たち、あるいはどういう仕組みか基本的には余り理解できない人たちが入っている。したがって、この程度のことは保険で何とかしてよといういわばなあなあの気持ちが日本人は多いわけでございますから、そういう人たちを相手にする保険の場合には、もう少し今までと違った角度での取り扱いが必要じゃないだろうか。

 先ほどの民事局長さんの説明では、今度の場合はそれは十分こなしてある、制度的に非常によくできている、こういうような御説明でございましたけれども、今度の法律改正に先立って法制審で議論した新しい方式、方向、その辺を、引き続き日本の場合にもヨーロッパ並みに検討していく必要があるんじゃなかろうかなという感じがいたします。

 ヨーロッパの場合には、このところ、EUでもって進められてきた保険法改正の進行速度が鈍ってしまって、停滞しているとも伝えられているのでございますけれども、その辺のところも引き続き法務省で御検討をいただきたいと思うのでございます。御感想をいただきたいと思います。

鳩山国務大臣 もとより、この保険法の改正は、業法とか監督の問題とは切り離して、保険と言われるもの、共済も保険であろうということで、そうした契約の基本的なルールを決めるという意味なんだろうと思っております。

 やはり時代が大きく変わってきておりますから、できる限り、保険契約者や受取人、場合によっては被保険者に温かい、一般的には消費者と言ってもいいのかもしれません、商品の購入者と言ってもいいのかもしれません、常にモラルリスクの問題はあっても、そうした方々が少しでも今までよりも取り扱いが有利になるようにしなければいけないなという観点で行っているつもりでございます。

 ただ、私もにわか勉強で、この四、五日勉強したわけでございますが、まだまだ勉強不足でございまして、今、例の一千万の家屋が半焼した場合、この家屋は八百万円の保険に入っているんだよといって、半焼した場合に、私は五百万円出ると思っておりました。それが四百万円であるということを今聞いて、それは確かに公平、不公平の問題はあるかもしれませんが、しかし、一千万までの保険に入っていれば、そのときには一千万までもらえるという部分があるから、これは本当に公平、不公平だけで判断できるのかな、今の法律案にけちをつけているわけではありませんが。

 今後、そういう方面でいろいろ検討しなければいけないし、国民にとってわかりやすいということ、そして消費者にとって温かいということを目標にして、不断の改革や改正が必要ではないか、そんな感想を持っております。

滝委員 ありがとうございました。終わります。

下村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五分開議

下村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。加藤公一君。

加藤(公)委員 民主党の加藤公一でございます。

 きょうは保険法の審議でありますけれども、その前に、前回、さらには前々回大臣に御質問をさせていただいた件で、その後の進捗について伺いたいポイントがございますので、前段、そこからまず入らせていただきたいと思います。

 まず、京都地方法務局において、過去十二年間、労働者供給事業が行われていたという件がございました。大阪労働局から指摘をされ、是正の指導があった、こういう件であります。

 この偽装請負もしくは違法派遣と呼ばれる件でありますけれども、せんだっての質問の際には、大臣から、現在協議中で、本人の雇用の安定を確保した上で、関係者の処分について適切に対処したい、こういう御答弁をいただきました。その後どのように対処されたか、御報告をいただきたいと思います。

鳩山国務大臣 非常に情けない事件で、先生から再三御指摘をいただいておりまして、京都地方法務局が職業安定法四十四条に違反している、大阪労働局から是正指導を受けた件でございます。

 これは偽装請負というのか、請負でありながら、これをまるでみずからの職員のように指揮し命令しておったのが京都地方法務局ということになるわけでございます。

 肝心の労働者の今後の生活や雇用の安定ということで、やっと関係者で合意に達して、円満に解決が図られまして、三月二十四日、京都地方法務局から大阪労働局へ、こんなふうにしましたという是正の報告書を出したと聞いております。

 これはもともと監督不行き届きの一件でありますので、法務省の担当者については、所管の責任者である、きょうの法案では大変さっきから答弁いたしております民事局長がこの担当者でありますので、関係法令の遵守の徹底について私から極めて厳しく民事局長に対して指導をいたしました。京都地方法務局長に対しても、大阪法務局長から同様に厳しく指導したところでございます。

 また、財団法人民事法務協会については、同財団法人を所管する民事局長から、財団法人民事法務協会の会長に対して厳しく注意するということといたしました。

 つまり、私が民事局長に厳しく注意し、民事局長が民事法務協会に厳しく注意する、こういう二段構えでありました。

 そういうことで、民事法務協会も、再発防止と社員教育の徹底をするように指導したところでございます。京都地方法務局を担当する民事法務協会の大阪事業部長に対しては、法務協会の会長から厳重に注意をしたというふうに聞いております。

加藤(公)委員 きょうは本題じゃありませんから、その処分が重い軽いという話をするつもりはないんですけれども、今、世の中一般で、この派遣労働という問題について大変多くの議論がある中、政府として、十二年間も違法な状態が続いていたというのは大変ゆゆしき事態でありますので、本来であれば、民間企業と比べて注意ぐらいでいいんだろうかという疑問は私にはありますけれども、もう二度とこのようなことがないように、厳しく対処していただきたいということだけ申し上げておきたいと思います。

 それからもう一つ、前回の被害者国選の法案の質疑のときに、法テラスについてより周知を図るべきではないか、今まで十分だったのかといえばそうでないという御答弁を、これも大臣からちょうだいいたしました。

 この件について、警察なり消防なりあるいは医療関係なり、政府内でどんな連携をその後図られたか、これについても御報告をいただきたいと思います。

鳩山国務大臣 先生からの前回の御質問に対し、私は、犯罪被害者に対してできるだけ温かくということを考えていきたいと。もともと被害者の人格の尊厳を守るというような名分で始めた事柄でございまして、犯罪の被害に遭えば、当然警察が駆けつけてくるでありましょう、あるいはけがをさせられて、あるいは重傷を負って病院に行くことになるでしょう。そうした警察や、あるいは病院に入院をしたところで法テラスの存在というのを知るように、今後のいろいろな相談事があるわけですから、あるいは相談したいことがあるでしょうから、そういう意味で、連携をうまくやりたいということをお答え申し上げました。

 法テラスにおいては、各都道府県警察が事務局となっている各都道府県の被害者支援連絡協議会というのがあるようでございまして、この被害者支援連絡協議会には地元の医師会が入っている、それから法テラスのその地域の組織が入っているということで、そこで法テラスにうんと頑張ってもらって、警察、医師会と連携を密にしてもらいたい、こういうふうに考えております。そのように指示をいたしております。

 今までももちろん警察や医療機関に対する法テラスの周知については行われてきたわけでありましょうが、やはりこの取り組みを一層強めていかなければならないと思います。

 一昨日かな、参議院の法務委員会でも質問が出たりしておりました。それは、法テラスというものの認知度がどうかという問題、これは衆議院でも御質問がありました。決してまだ法テラスが有名でないものですから、これからも、警察当局も犯罪被害者に会ったらすぐにこの法テラスの存在を教えるというようなことを警察に依頼していきたいというふうに思っております。

 現在、司法支援センター、つまり法テラスの犯罪被害者支援ダイヤルに電話がかかってきた場合、警察から法テラスを聞いたからといって電話してくる方が約一五%だ、こういうことであります。だから、そういう連絡はしてくれているんですが、これがもっと高まってもいいんだろう、そんなふうに思います。

 また、厚生労働省に対して、病院関係者の会議等の際に、法テラスが行う犯罪被害者の援助に関する業務の内容について周知する機会をつくっていただきたいという申し入れをしたところでございます。

加藤(公)委員 すぐに一朝一夕で変わるとか認知度が上がるとはさすがに思いませんけれども、前回の質問のときにもさせていただいたように、幾らいいシステムをつくっても、知らないことには何の役にも立ちませんので、せっかくつくったわけですから、本当にそれを必要としている皆さんにきちんとその存在が伝わるように今後もお願いをしたいと思います。

 それでは、保険法の問題について伺ってまいりたいと思います。

 まず、保険金請求権の時効問題について伺いたいと思います。

 今回の法改正、要は商法から保険法を取り出すというこの改正で、保険請求権の時効が二年から三年に延長されました。まず、この理由から伺いたいと思います。

倉吉政府参考人 前提となる商法の規定から申し上げますが、商法は、保険給付請求権、保険料返還請求権及び保険料積立金の払い戻し請求権のいずれについても、消滅時効期間を二年間としております。

 しかしながら、生命保険の実務においては、約款で消滅時効期間を三年としている例が多いと言われておりまして、今回の法案提出に当たりまして、保険契約者等の保護を厚くするという観点から、この法案では、ただいま申し上げました各権利についての消滅時効期間を二年から三年に改めることとしたものであります。

加藤(公)委員 議論の前提となる数字がもしわかれば教えていただきたいということで、金融庁に伺いますけれども、時効にかかって支給されなかった保険金というのはこれまでどれほどあったのか、政府として認識していらっしゃれば教えていただきたいと思います。

三村政府参考人 保険会社におきまして時効にかかって支給されませんでした保険金額については、まことに申しわけございませんが、金融庁では把握をしておりません。

 なお、多くの保険会社においては、時効成立後におきましても、保険金等の請求がなされた場合には、時効を援用せず、支払いに応じる実務を行っているのが一般的だと聞いております。

加藤(公)委員 要は、今回のこの時効の期間を延ばす議論の本来だったら大前提になるんだろうと思いますが、その金額が把握できていないという話なんです。

 では、もうちょっと緩やかに伺いますけれども、保険請求があったけれども、時効を理由に実際にその支払いを拒否した、この件数はおわかりになりますか。件数、金額がわかればお示しください。

三村政府参考人 保険会社におきまして時効が成立していることを理由として保険金を支払わなかったもの、その件数と金額についてのお尋ねでございますけれども、そのような事例があるかどうかを含めまして、金融庁では把握をしていないところでございます。

 先ほども申し上げましたように、多くの保険会社においては、時効成立後も、保険金等の請求がなされた場合には、時効を援用せず、支払いに応じる実務を行っているのが一般的でございます。

加藤(公)委員 実際、一般的と言われても、いざとなったときにどうかというのは、私も詳細はわかりかねますけれども。

 今の御答弁ですと、今回時効の延長をするに当たって、実際どれぐらい時効にかかってしまっているかということがわからないところで議論が進んでおりますから、本来なら、二年のままでよかったのか、あるいは三年にするのがいいのか、場合によってはもっと長くないと消費者保護という観点からいうと足りないのかというところは、なかなか合理的には判断できないんじゃないかと思います。

 先ほどの民事局長のお話でも、二年よりは三年の方が消費者保護としてはいいからそうした、それはもちろんそのとおりで、別に私は二年を三年にしたことに異を唱えているわけではなくて、それはそれで結構なことだと思うんです。

 では、場合によってはもうちょっと長いという選択肢はないのか。ただやみくもに長ければいいとは言いませんが、消費者の側、被保険者の側からすれば、何かの不測の事態に備えるためにも時効期間は長い方がいいんじゃないかと思いますし、金融庁の御説明であれば、多くの場合は時効を過ぎても保険金の支払いに応じているということであれば、なおのことこの期間は長い方がいいんじゃないかという考え方もあろうかと思うんですが、なぜそうせずに三年になったのか、もう一度民事局長に伺いたいと思います。

倉吉政府参考人 時効期間については、短期消滅時効、いろいろなものがあります。全体のバランス等も考えて、立法的な対処をしていかなければならないという事情にございます。

 保険の請求権について、何でもともと二年という短い時効期間が定まっていたのか、これは我々としても考えざるを得ないところであります。

 一般的にいろいろな理由が言われておりますけれども、特に短い時効期間を定めた理由としては、保険事故の有無や原因等につき早期の調査が必要であることなどが挙げられております。つまり、早く請求してもらわないと、本当にそんな事故があったのか、偽装ではないのかというのが調査できなくなる、証拠がなくなる、一般のあれと同じですが。モラルリスクの問題が確かにあるわけでございます。

 現実には、先ほど金融庁の方から答弁があったとおりで、恐らく時効を理由に断るということはないんでしょうけれども、制度としてそういう形で組まれている、そして今まで二年できているものを今度消費者側に有利にしようということでやるとすれば、現在三年という約款が多いのであれば、三年というところが落ちつきのいいところかな、そういうことでございます。

加藤(公)委員 なかなか合理的あるいは科学的に何年というのを決めるのは難しいということは私も理解しないわけじゃありませんので、そこをつつくつもりはないんです。

 何でこの件を伺ったかといいますと、ふだんといいますか平素、時効期間が二年が三年になったからといってそんな大きな影響があるとは実は思いませんし、さらに延ばしたり短くしたりしたとしても特段大きな影響、問題が起きるとは実は余り思っていないんですが、たまたま大きな災害などが発生した場合を想定しますと、そもそもだれがどんな保険に加入をしていたかということすらわからなくなってしまうというケースがあろうかと思います。

 実際、私も知り合いからそんな声を聞きまして、確かに言われてみればそういうケースはあるだろう、特に過去の大きな災害の場合には当然そういうこともあったんだろうなということを思ったものでありますから、仮にそういうケースに限って言えば、消滅時効を二年から三年にしたといっても、実はその方々にとっては決して十分ではないんじゃないかという思いがあったものですから、こんな問題を提起させていただきました。

 実際、この保険法という契約を規定する基本法の中で、通則法の中でその細かなところまでルール設定をするというのは確かに何かと難しい面もあるのかもしれませんが、事と次第によっては、大きな災害などが発生をした場合には、時効という概念を撤廃したり、あるいはさらに延ばしたりという対応があってもいいんじゃないかと思うんですが、法務省としてどうお考えになるか、お聞かせください。

倉吉政府参考人 ただいま委員から、この保険法の中でそんなことができるかどうかはともかくという御指摘をいただきました。私も全く同じ気持ちでございまして、今委員の御指摘の問題は非常によくわかります。特に保険の場合には、大災害があって保険の契約書がどこにいっちゃったかわからなくなった、そういうことはありそうな気がいたします。

 ただ、大災害が起こった場合に、その災害に遭った方たちの権利をどのように守り、保全していくのかという問題は保険だけに限らない問題でありまして、大災害が起きた場合はこうするんだということを保険法の中に書くというのはなかなか難しい、性格に合わないだろう、こう思っております。

 そうすると、何かいい手はないのかということになるんですが、ちょっと近いところでこういう条文があるというのを御紹介して、答弁にかえさせていただきたいと思っております。

 民法上、時効期間満了前六カ月以内の間に未成年者等に法定代理人がいない場合には、当該未成年者が成人になったときから六カ月間、もしくは新たな法定代理人が就職してから六カ月間を経過するまでは時効が完成しないこととされております。民法の百五十八条でございます。したがって、例えば大災害が起きて父母が死亡し、未成年者だけが残された、こういうようなケースについては、民法においても、新たに法定代理人がつくまでは時効が完成しない、そういう手当てはされているということでございます。

 先ほど、時効を理由に拒否した例というのはないのではないかというお話がありました。もし大災害があって、本当にそういう気の毒な方がおられるということであれば、恐らくなおさら時効を援用するということはないのではないか、そう思っております。

加藤(公)委員 何も、保険会社の方々がこれを理由にどんどん拒否していると思っているわけではもちろんないんです。

 この考えに思いをはせるに至ったもとは、実は、阪神・淡路大震災のときに、私の友人も随分多く被災をいたしましたけれども、当時、御家族が複数お亡くなりになるとか、あるいは御家族皆さんが大けがをされるとかというケースが大変多うございました。家もつぶれてしまった、仮設住宅に居を移したり、あるいはブルーシートのテントのようなところで寝泊まりをしたりという状態の中で、例えば、先ほど局長もおっしゃられたように、御両親とも亡くなられてしまってお子さんだけというような場合になると、保険に入っていたかどうかもわからないし、どの会社に入っていたかもわからないしという状況が随分あったようであります。

 そのときに、どことは言いませんが、ある保険会社は、その地域にお客様がある営業の方、保険外交員の方というんですか、捜せるだけ被災者の方の中から自分の契約者の方をわざわざ捜して、保険の手続をされたという方もいらっしゃったそうであります。会社としてしたのかどうかは私はよく存じ上げませんが、そんなケースもあったようであります。

 本来なら民間企業にそれを強要するのは難しいのは重々承知をしておりますが、そういういざというときこそ人の助けになるような仕組みになっていればよりよいな、こう思ったものですから、今回の法案の中に書き込むのはなかなか難しいのは承知の上で、消滅時効、請求権の時効の件については、いざという大災害のような場合には何か特段の配慮ができないものかということで、実は御質問させていただいたところであります。

 このテーマの最後に、この一連の議論を聞いての大臣の御感想を承っておきたいと思います。

鳩山国務大臣 民事局長がたびたび答弁しておりますように、保険というのは大数の法則が適用されるようなケースで存在し得る、こういうことであります。しかし、そうしますと、六千五百万年前にユカタン半島に大隕石が落ちて地球の生命の九割ぐらいが絶滅したと言われている、これも一定の確率で起きていることですから、当然、先生おっしゃる大災害の確率というのも、これを大数の法則というのかどうかわかりませんが、一定の確率であり得るわけですから、そうしたときに、できるだけ、保険者寄りではなくて、保険契約者あるいは被保険者あるいは受取人に温かくあるべしというふうに考えるわけでございます。

 なぜ短期消滅時効が設けられているかは、先ほど民事局長が御答弁申し上げたとおりでございますし、そこの時効を保険会社が援用しないでもらうことを心から望んではおりますが、先生のおっしゃることは一つの問題提起として、今後の、またいずれ保険法が改正されるようなときがあれば大いに参考にしなければならない重大な問題点を含んでいると思います。

加藤(公)委員 随分大きく御答弁をいただきましたので、将来いつどう改正するのかわかりませんが、そのときに、私、しっかり覚えていて、問題提起をまたしなきゃいかぬかななんというふうには思っていますが、大事なことは、実際、消費者の方が万が一の備えで保険に入るわけでありますから、その機能が十分に果たされるということが大事だ、そういう思いでお話を申し上げました。

 同じ気持ちで、もう一つ、これはもう従前から、こういう場合はどうなるんだろうと何となく私が感じていたテーマがございますので、その件についてお話を進めたいと思います。

 今回の保険法、保険法の改正というよりは、保険法という法律をつくるに当たって法律が改正をされまして、火災が発生をした場合の建物の所有者、いわゆる大家さんでありますけれども、その大家さんが保険会社に直接請求できるという権利がなくなってしまう、こういうことに実はなっております。

 要するに、現行法であれば、賃借人の方が、簡単に言えばたな子さんというかテナントさんですね、責任保険を掛けていて、その方が火事を起こしてしまった、建物が燃えてしまったという場合に、その建物の所有者である大家さんが保険会社に直接保険金を請求できる、商法の六百六十七条にそういう規定があると承知をしておりますが、今回改正をされると、この六百六十七条の規定が削除されるということになります。

 建物を失ってしまった所有者の方、いわゆる大家さんにとってはこれは不利益な法改正になるんじゃないかという疑問がありますけれども、どうお考えか伺いたいと思います。

倉吉政府参考人 ただいま委員からお話のありました条文、商法の六百六十七条でございます。

 この規定は、その制定当時に我が国には責任保険というものがそもそも存在しなかったわけですが、そのときに、フランスやベルギーにおいて、借家人が家主に対して損害賠償責任を負うことに備えてこの種の責任保険が締結されていた、そうしたことを踏まえて設けられたものと言われております。

 実際、現在ではどうなっているかということなんですが、これは御承知の方も多いかもしれません。家主さんが、所有者がみずからを被保険者として損害保険契約を締結する、このケースがもちろんございます。それから、賃借人、借りている人が家主さんを被保険者として損害保険契約を締結する。つまり、責任保険の形にしないで家主さんが直接お金を取れるようにする、そういう方法がとられております。これらの場合にはもちろん今申し上げました六百六十七条という規定は要らないことになるわけでして、実は学者の間でも、この六百六十七条というのは現在では実用性が乏しいという指摘がされていたところであります。

 一般に、この商法六百六十七条の趣旨は、被保険者である賃借人が破産した場合に、保険金が所有者に対する賠償金の支払いに充てられない可能性がある、そのことから、所有者に保険者に対する直接請求権を認めたものだ、こう解されております。

 しかし、保険法案では、既に何度か申し上げておりますが、商法六百六十七条の場合に限らず、一般に責任保険契約について、被害者に保険給付請求権についての先取特権を付与する、こういたしました。この規定によって、商法六百六十七条と同趣旨のことがもっと広い範囲で行われることになったわけであります。

 そこで、ただいま申し上げました先取特権を与えるという条文は保険法の二十二条でございますが、この二十二条を新設することに伴い、六百六十七条の規定を削除する、こういうことにいたした次第であります。

加藤(公)委員 新法の二十二条で先取特権を設ける、そのことが今までよりも幅広く網羅できるのでよりよいではないかという御説明は、それはおっしゃるとおりで、そのとおりだと思うんです。

 私が申し上げたのは、小さな範囲でありますけれども、いわゆる火災保険で、かつ賃借人の方が責任保険に加入をしていたというケース、これがもう世の中にありませんというんだったら話は別なんですが、それが仮に存在をしているんだとすれば、その場合には、オーナーさん、大家さんは、今までであれば保険会社に直接保険金を請求できた。だけれども、今度はそれができなくなって、優先権は認められているわけですから、手続は、私やったことがありませんけれども、書類を集めて裁判所に行くということになりまして、差し押さえの手続をするということになるんだろうと思います。要は、今までに比べると手間がかかるわけですね。その面倒をかけることになりはしませんでしょうかという疑問なわけであります。

 だから、さっき申し上げた、責任保険はもう全く今はないんです、世の中でゼロですと言われれば別なんですが、そうでなければ、たとえ一部の方とはいえ、オーナーさんにこの法改正によって手間をかけるケースが想定されるんじゃないだろうかというふうに考えるんですけれども、いかがですか。

倉吉政府参考人 家主さんの関係の責任保険が全くなくなったとは決して申しません。ないと思っておりません。

 どちらの手続がしんどいんだろうか、どっちが楽なんだろうかというのは、これはなかなか、申しわけありません、実は難しいんです。

 まず、この法案で設けられた先取特権の実行手続ですが、これは民事執行法に規定がございます。被害者は担保権の存在を証する文書を提出して裁判所に債権差し押さえ命令の申し立てをいたしまして、その差し押さえ命令の送達から一週間が経過したときに債権の取り立てをすることができるとなっております。損害額が幾らだ何だともめるということになると、担保権の存在を証する文書というのをとるのが手間がかかる、こうなるわけです。

 しかしながら、そもそも責任保険契約というのは、被保険者が被害者に対して損害賠償責任を負うことによる損害をてん補するものでございます。被害者に生じた損害の額や被保険者の過失割合等が確定しなければ保険給付請求権の額自体が確定しない、これはどっちのケースでも同じことであります。

 このため、今御指摘のありました、大家さんに対して保険者に対する直接請求権を認めたとしても、被保険者、賃借人の損害賠償責任の有無や損害額につき争いがある場合には、大家さんは保険者に対して、保険会社に対して損害賠償請求訴訟を提起せざるを得ない、こういうことになります。

 そうすると、本来の損害額が幾らなのか、自分が住んでいないわけですから、よくわからないことをめぐって会社と訴訟をやらなきゃいけない。それよりも、先取特権で直接やっていった方が、実際の裁判とかいろいろなことにかかる手間は少し楽ではないだろうか、こういうふうに思っておりますが、何とも断定はしかねるところであります。

加藤(公)委員 ケース・バイ・ケースで、どちらが手間がかかるか、かからないかというのは、それはいろいろ議論もあるところだろうとは思いますが、スムーズに事が運ぶ場合には多少手間がかかるんじゃないかなというのが私の感覚だということは申し上げておきたいと思います。

 それともう一つは、仮にその手続といいますか手間が余計にかかるということになりますと、大家さんの方からすると、その分だけ保険金を受け取れるまでの期間というのが長くなってしまわないだろうかという問題意識もございます。

 現行法でいえば、保険会社に対して大家さんが保険金の請求をした段階で履行期が到来をする、こういう考え方だと思いますが、これが、今回の法改正がなされると、裁判所へ行って担保権の実行の申し立てをして差し押さえて、局長は一週間とさっきおっしゃいましたか、一週間たってそれからということになりますね。もしかしたら実際には数日とか一週間の違いなのかもわかりませんが、被害に遭われたときには、その数日あるいは一週間、二週間というのは大変大きな影響があるんじゃないかというふうに思っております。

 手間の問題と同時に、大家さんが保険金を受け取るまでの期間というものが長くなってしまうのではなかろうかという疑問があるんですが、この点はいかがお考えになりますでしょうか。

倉吉政府参考人 先ほどのお答えとちょっと重なってしまいますが、責任保険契約は、被保険者が被害者に対して損害賠償責任を負う、そのことによる損害をてん補するものであります。被害者に生じた損害の額や被保険者の過失割合、これらが確定しなければ保険給付請求権の額自体も確定しない、こうなります。

 このため、仮に商法第六百六十七条と同様に、所有者、大家さんに対して保険者に対する直接請求権を認めたとしても、保険者としては、損害の額や被保険者の過失割合等を調査することが不可欠だ、このことは明らかに言えます。所有者からの保険金の請求を受けた後、直ちに保険金の支払いをすることができるというわけではないということも、先ほど申し上げたとおりでございます。

 それで、被保険者の損害賠償責任につき争いがある場合には、所有者は保険者に対して損害賠償請求訴訟を提起せざるを得ないことになりますし、紛争の当事者でない保険者が被保険者の損害賠償責任を争うことは容易でない、先ほど申し上げたことの繰り返しになっていますが、容易でないために、保険者と所有者との紛争が長期化する可能性もあるわけです。

 こういう事情も踏まえまして、保険法案の二十一条では、調査のために客観的に必要な期間については保険者は遅滞の責任を負わない、こういうちょっと細かい手当てもしているところでございます。

 したがって、今ちょっと、どちらかというと複雑な方を申し上げましたが、簡単にいった場合はどうなんだと。なかなか論証が難しいんですけれども、先取特権を認めた場合の方が直接請求権を認めた場合より保険給付の履行期がおくれるということには必ずしもならないと思っております。

加藤(公)委員 別に私も専門なわけではないですから、すごく素直な疑問で伺っていますけれども、要は、今回、商法の六百六十七条を削除せずにこの火災保険の場合だけ残しておくということが、何か問題があるのであればそれは取らなきゃいけないというのはよくわかるんです。残しておいて別に問題がないんだったら、これはこれで残しておくという方法はないのかなと思うのですけれども、今の議論を聞いていただいて、大臣、どうお感じになられましたか。

鳩山国務大臣 正直言って、弱っております。

 というのは、議論を聞かせていただいて、もちろんここには答弁書類はあるわけです。民事局長が答弁したとおりであって、商法第六百六十七条の規定は実用性に乏しいと言われており、同条が規定する限られた場面についてだけ一般の責任保険契約と異なるルールを設ける合理性もありませんので、現行商法のような規律を維持することは適切でないと考えております、こういうふうになっているんです。

 ですが、先ほどから、大家さんが、自分の持ち家が焼けちゃっているわけですから、直接請求をするという今までの商法の制度、今度はそれを、先取特権があるからいいだろうということで、私は、それが例えば実際に訴訟等に発展をして、どのような複雑なことが起きるか今推定することはできませんが、答弁としてはこういう答弁ですが、両方残しておいた場合どういうことが起きるのか。どっちの道もあるわけですね。それについては私の今の知識では判断できかねるというのが、私の持ち前の正直な答弁でございます。

加藤(公)委員 物すごく正直にお答えをいただきましたので、このまま次のテーマに行ってもいいんですけれども、せっかくですので、局長、大臣は今、悩んでいると正直にお答えをいただきました。つまり、今ここでどう結論を出すという話じゃないんですけれども、残しておくという選択肢ももちろんあり得るんだという立場なのか、いやいや、それは残しておいたらえらいことになるんだというお考えなのか、そこを説明していただけますか。

倉吉政府参考人 大変に苦しい立場になってしまいました。

 先ほどもちょっと申し上げましたが、まず、この六百六十七条という規定が実用性が乏しくなった、これはもちろんあるわけでございます。

 それで、今度抜本的に、責任保険については、すべて被害者に対しての先取特権を与えるという制度をつくりました。だから、全部先取特権でいけるわけです。

 そのときに、あの規定を残しておきますと、済みません、また法律家の理屈だと言われるかもしれませんが、責任保険の被害者はたくさんおります、いろいろな人がおられる、何で大家さんだけこの規定を残しておくの、そうしたらほかの人だって、いる人はいないの、それを全部調べなきゃ、論証しなきゃだめだよ、論理としてはこうなります。

 そういうことをしていたらいつまでたっても法律ができないわけでありまして、ここはひとつ大臣にも伏してお願いしたいと思いますが、先取特権という制度をつくりましたので、これで統一させていただきたいと思います。

加藤(公)委員 苦しい御答弁をいただいたんだろうと思いますけれども、火災保険だけもともとあったんだから残していますと言えば、それはそれで通るのかなというふうには思います。少なくとも私はそういう問題意識を持っていますよということでこの議論をさせていただきましたので、そこだけ申し上げておきたいと思います。

 この火災保険に関連をして、失火責任法というのがございまして、この問題について少し議論をさせていただきたいと思います。

 何年か前にも、実はこの委員会で私、質疑のテーマに取り上げたことがあるんですけれども、我が国で火災が発生をした場合に、火元になった方がいらっしゃって、場合によっては隣家に延焼してしまうというケースもあるわけです。自分で調べましたら、一八%以上、一八・数%の火災で延焼しているというデータを消防の方から拝見いたしました。

 それで、その火元になった方は、今の法律でいうと、故意かもしくは重過失がない限り賠償責任は負わないということになっています。しかし、この法律どおりでありますと、大変理不尽なケースというのが発生をする可能性があるわけでございます。

 今申し上げたように、火元になられた方が火災保険に加入をしていた。お隣さんは、要するに火を移されてしまった側ですけれども、たまたま保険に入っていなかった。こういうケースになりますと、その火元、火を出してしまったお宅は、保険金がおりますから、生活の立て直しができる、場合によっては家も建て直す。ところが、お隣で火を移されてしまった方については、全く救われない、火元の方に損害賠償の請求ができない。残念ながら、自分でも保険に入っていなかったので、すべて財産が燃えてしまって何もなくなった。まさに、非常に理不尽といいますかお気の毒な状態になってしまうわけであります。まさに、泣き寝入りと言ってもいいかもしれません。この状態が今の法律だと発生し得るわけであります。そこに私は大きな問題意識を持っております。

 もちろん、日本じゅうの皆さんが火災保険に入っているというのであれば余り心配しなくていい話なんですけれども、私の知る限り、火災保険の加入率というのがまだ五〇%ちょっとだというふうに理解をしております。幾ら我が国に木造住宅が多く、また密集をしているという事情はあるにせよ、どうもこの状態というのをほっておくのはよろしくないんじゃないか、こう思っているところでありますが、大臣、この件についてどうお考えになりますでしょうか。

鳩山国務大臣 こういう類焼、延焼というケースにおいては、それぞれ全部態様が違うので、一つずつ異なっていると思うわけでありますが、確かに、民法七百九条、故意または過失によって他人の権利、法律上保護される利益を侵害した者は損害賠償責任があるという一般的な規定に対して、失火責任法が、失火の場合はこの七百九条を適用しない、重大なる過失がある、もちろん故意は含めてでしょうが、そういうときにのみ損害賠償責任を負う、こういう規定になっておるわけです。

 この失火責任法は、我が国が木造家屋が密集している場合が多いというその現状を考えて、いいことではないんですが、類焼、延焼ということが甚大なものになるケースが多いことを考慮して設けられたというふうに言われているようでございます。

 そうなりますと、確かに、火元の家が保険金を受け取ることができた、隣からの火で燃えてしまった方は火災保険を掛けていなかったというようなケースはまことにお気の毒なことなんですが、形の上でいえば、保険を掛けていたから、火元の家は保険料を払っていたから保険金がもらえる。そうでない、火災保険に入っていなかった方は保険料を払っていなかったから保険金をもらえない、こういうふうにしか言いようがないわけでございます。

 また、火災を発生させた人にどのような落ち度があったか、これが過失か重過失かという問題があるのでしょう。延焼を防げなかったかどうかというような事柄も調査されるべきであるわけで、一つ一つケースが違うんですが、一般論的に言えば、現状ではこうとしか言いようがないんだと思います。

加藤(公)委員 現状は確かにそうなんです。法律は今そうなっていますから、そのとおりなんですが、大変に気の毒なケースが発生をし得るわけですね、今のルールだと。その大変に気の毒な方が発生をするということがわかっているのに、我々はほっておいていいんだろうかという問題意識なんです。

 そんな気の毒な方々をなくすために何か政府として手だてを講じるということは、大臣、お考えになりませんか。

鳩山国務大臣 これは正直言って、保険の世界ではかなり難しいことかもしれません。

 仮に、先ほど申し上げた失火責任法というものがなかったとすれば、火元になった人は、本当はわずかな不注意であっても、類焼、延焼がひどかった場合には大変な損害賠償をしなければならなくなる。では、そのための保険というものを考えたら、その火災保険の保険料というのは物すごく高額にならなければならないということになりますので、失火責任法というのは、我が国の住宅事情の中ではある程度合理性があるということになります。

 ですが、今先生がおっしゃったような大変不幸な事態というのがあり得る。国民すべて火災保険に入れということを強制するわけにもまいりません。そうなりますと、何か保険の世界以外で、一大火災が起きた場合に、これを救う手だてというのを考えなければいけないのかな、保険の世界ではちょっと難しいのではないか、こう思います。

加藤(公)委員 では、同じテーマですけれども、ちょっと別の視点で伺いたいと思います。

 私が先ほど申し上げた例でいうと、火元の方に賠償責任があるかどうかというのは、過失の重さによるわけですね。重過失であれば賠償責任はあるけれども、そうでなければその責任はない、こういう話なんです。

 では、これまで、いわゆる賠償責任の分かれ目となってきた重過失と、軽過失というんでしょうか、それ以外の過失等というのは、一体どこに分かれ目があるのか。もちろんこれは裁判の判例ですから、個別具体的な話でなきゃわからないのはそのとおりなんですけれども、一体どこにその分かれ目があるんだろうか。また苦しい答弁を求めることになりますが、民事局長から御意見をいただきたいと思います。

倉吉政府参考人 教科書に書いていることを申し上げますと、軽過失とは一般人に要求される注意を欠いた場合であり、重過失とは一般人に要求される注意を著しく欠いた場合である、およそ禅問答みたいな話でございます。

 ただ、個別の事案で、たくさん下級審の裁判例等が集積されております。全部当たっているわけではないんですが、その中で、具体的な事案を解決するために、こういう言い方をすると言い過ぎかもしれませんが、重過失と認めて延焼についても責任を負わせようとするとか、そういういろいろなことがあろうかと思いますが、ちょっと二つほど例を挙げたいと思います。

 東京地裁の裁判例で、昭和五十七年のものでこういうのがあります。てんぷら油を入れたなべをガスコンロにかけたまま台所を離れて来客の応対をしていたために温度が上がって失火してしまった、これは重過失。それから東京高裁の、これは比較的最近のを選んでみましたが、平成十五年のものですが、ストーブを消火しないまま給油しようとし、カートリッジタンクのふたの締まりぐあいを確認せずにセットしようとした、これはありそうなことでありますが、すると、ふたが外れて灯油が漏れ失火してしまった、何となく重過失かなという感じが私はしておりますが、いかがでしょうか。

加藤(公)委員 要するに、これは、いざ事が起きて、それこそ裁判でもしてみない限りわからないわけですね、個別の案件で。

 しかし、さっきも申し上げましたけれども、お隣さんからすれば、お隣さんには何の落ち度もないのに、火事に巻き込まれて全財産を失ってもうすってんてんだ、それにもかかわらず、火元になった家に賠償してもらえるかどうかは、わざわざ裁判を起こしてその判決を待たなきゃいけない、こういう状態にあるんですね。

 しかも、どこが重過失か、どこが軽過失かというのは、今の御答弁でもおわかりのとおり、そんなに明確に線があるわけじゃなくて、その判決のわずかな差によって、お隣さん、延焼させられてしまった、火をもらってしまった方のお宅の人生というのが大変大きく分かれてしまう。そのことが私は気の毒でもあるし、大変理不尽ではないかというふうに思っているわけであります。だから、この問題をずっと議論させていただいております。

 もう一つ、ちょっと別の観点からこれについて伺いたいんですが、仮に、今申し上げてきた例で、火元の方が民家じゃなくて国の施設だった場合には、これはどう対応されるんでしょうか。

倉吉政府参考人 これは国家賠償法の問題になるということですが、火元が国の施設であって公務員の過失により失火した場合についても、同じように失火責任法が適用されます。したがいまして、公務員に重過失がある場合に限り、国は、延焼をした被害者に対しても賠償責任を負うということになります。

 国の施設が火元であるからといって、国の施設の周囲に居住している国民のみを特別に保護するということも難しい、こういうことでありまして、結論自体は不合理とは言えないと考えております。

加藤(公)委員 今局長が答弁されたとおり、そのケースだけ特別扱いというのはあり得ない話だと思いますから、私もそう思います。

 ただ、では逆に、今議論で比較をしてきましたからちょっと先入観があるかもわかりませんが、本当に何か国の施設から火が出てしまいました、お隣さんが燃えてしまいました、しかし、その国の施設の火元になったところは特段重い過失がなかったので賠償しません、こういう話になったときに、その燃やされてしまったお隣さんが感情として納得いくのかどうかというと、これはとてもじゃないけれども納得いかないんじゃなかろうか。その国の施設の方は、今度は税金で建て直すわけですね。その方も納税者なわけですね。こういう事態になるんですね。

 このことは、今の現行法の理屈でいえば、確かに、国に賠償責任がないのはそのとおりだと僕も思います。若干不安はありましたけれども、御答弁いただいたので、それが正解なんだと思います。

 しかし、現実にそんな目に遭ってしまった方にとっては、余りにも腹立たしいし、余りにも理不尽だし、余りにも気の毒ではないかというのが私の問題意識なのであります。

 だからこそ、その失火責任法とやらを、はっきり言えば、なくしてしまえばいいのではないかと思っているわけです、これは私個人の意見でありますけれども。そうすると、たとえ軽過失であっても賠償責任を認めるということになれば、少なくとも、火元になった方が保険に加入をしていてお隣さんは加入をしていなかったというケースの場合、火元の方には保険金が入ります。しかし、今であれば、その火元の方が全額自分のために使ってしまったとしても法律上は何の問題もない。だけれども、これが軽過失であっても賠償責任を負うということになれば、自分よりも燃え移らせてしまったお隣さんを優先する、こういうことになりますし、人の道からいって、その方が正しいんじゃないかと私は思うわけです。

 火元が国の施設だった場合にも、同じように、移してしまったお隣さんには国として賠償するということにもなりますから、それが筋じゃなかろうかなと思うんですけれども、この議論を聞いていただいて、大臣はどうお考えになりますでしょうか。

鳩山国務大臣 先ほどの軽過失か重過失かという話、やりとりを聞いておりまして、これはなかなか難しいなと思ったのが一つでございます。

 したがって、この失火責任法という法律は、なかなか微妙な存在であるということは私もよくわかります。

 しかしながら、たびたび申し上げておりますように、例えば二、三十年前と今とは随分住宅事情が変わってきていると思いますが、私の子供のころは、木造住宅がびっちり並ぶという状況であったわけで、そういう中から失火責任法というものが生まれたんだろうと思います。

 現在は大分事情は変わってきておりますが、それでも、わずか三十七万平方キロに一億二千数百万という状況の中で、住宅密集地帯というのが随分あるものですから、そのことを考えますと、まだ失火責任法には存在意義がある。失火責任法の意味がなくなるぐらい、日本じゅうに住宅が散らばったらいいなとは思いますけれども。

加藤(公)委員 住宅が散らばったらいいなと言われても、大臣、そんなことがどだい無理なことぐらいは一番よく御存じなんじゃないかと思いますが。

 今大臣のお話の中で、まだ失火責任法に役割があるとおっしゃったんですか、その存在意義があるということをおっしゃいましたけれども、明治三十二年なんですね、この法律ができたのが。明治三十二年に規定をされて、確かにその当時は、もちろんどんな状態だったか私は詳しくは存じませんが、明治三十二年を想像するに、保険というものも一般に広まっていなかったでしょう。損害保険会社ができて数年ぐらいの時期じゃないかと思いますので、そんなに広まっていなかっただろうと思いますし、今以上に木造住宅も比率が多かったんでしょうし、耐火性も劣っていたと思いますから、当時のことを考えれば、この考え方は私も理解をするんですけれども、明治三十二年ですから。

 これだけ時代が変わって、社会情勢が変わって、保険の制度もここまで広まってきて、今、ずっと議論をさせていただきましたけれども、どうにも私には世の中の理不尽を生み出しているルールにしか思えませんので、きょうここで変えてくれと言うつもりはありませんけれども、ぜひ、少し大臣にも、そのメモだけじゃなくて、御研究を進めていただけたら大変ありがたいなと思います。私もまた引き続きこれは、たびたびどこかの機会を見て議論を続けさせていただきたいと思っております。

 それでは、次の問題に移りたいと思います。

 午前中、同僚の古本議員もかなり細かく詳細にやってくれていたところでありますので、少し割愛しながら、保険金債務の履行期の問題を伺いたいと思います。

 まず、今回、保険金の支払いに当たって調査が必要な場合、いわばその分の時間を、保険会社の方に猶予というんでしょうか、確保できるようになっているわけですね。しかし、それが合理的かどうかというのは一体だれがどう判断をするんでしょうか、そこから御説明ください。

倉吉政府参考人 だれがどのように判断するのかということですが、もちろん当事者間で、こうじゃないか、ああじゃないかと話がつけばそれでいいわけですが、それができないときは、最終的には裁判所が、条文に則して、そしてその契約の類型、内容に応じて、相当な期間というのはこれぐらいだ、必要な期間というのはこれぐらいだというのを事案に応じて判断していく、こういうことになろうかと思います。

加藤(公)委員 そういうケースは余り多くはないのかもしれませんけれども、現行法では、約款に履行期を定めていないケースでは、請求があったらすぐに保険金を支払わなきゃいけないということになっているのではなかろうかと思うんです。今回、それとは違うルール設定をするということになるんじゃないかと思いますが、その合理性はどこにあるのかということを御説明いただけますか。

倉吉政府参考人 保険法案の、期間の定めがない場合の規律についての御質問だと思います。

 民法の一般的な履行期についての規定、四百十二条を見ますと、期間の定めのない場合には、請求を受けたらすぐ遅滞に陥る、すぐ支払わなければならない、こうなっているわけであります。

 ただ、保険契約の場合には、その性質上、請求者の方が損害額とこういう保険事故が起こったということを言ってきたら、それがそのとおり間違いないのかという最小限の調査、つまり請求者が立証責任を負う事項について保険会社側が最小限の調査はしなければならない、これは当然のことだと思われますし、最高裁の判例もそのことをきちっと一般論として述べているところであります。それで、その点を踏まえまして、必要な期間は必要なんだ、その規定を置いたところであります。

 現在、損害保険、生命保険、それから第三分野、そして共済、全部にわたっていろいろな約款ができておりますが、期限の定めのない約款というのは実はございません。だから、これはそれほど実益のある条文ではないではないかというおしかりを受けるかもしれませんが、期限の定めがある場合には、それでも必要な期間に絞られるんだよという規定を置きまして、第二項で、それでは期限の定めのないときはどうなるのか、それは保険契約における原則に戻って、必要な期間は調査ができます、こういうふうにしているということであります。

加藤(公)委員 では、関連で、自賠責保険の件について国交省に伺いたいと思います。

 これも、今回の法改正と横並びで、条文上は「事故及び当該損害賠償額の確認をするために必要な期間が経過するまでは、遅滞の責任を負わない。」ということになっています。

 交通事故の被害者の立場に立って考えると、非常に迅速に対応してもらいたい、こう思うのが当然ではないかと思いますし、そのために被害者から保険会社に対する直接請求というのを認めているんじゃないかと思いますが、これで被害者が救われないということは起きないんでしょうか。その疑問にお答えいただけますか。

神谷政府参考人 お答え申し上げます。

 今御審議いただいております保険法の制定に際しまして、同法案の二十一条におきまして、いわゆる消費者保護という観点から、あわせまして、保険事故あるいは損害の発生の確認あるいは損害額の算定などを行った上で保険給付を行うといういわゆる損害保険の性質も踏まえまして、保険給付を行う期限を明確に、かつ適正に保険給付が行われるように今般の履行期が新たに規定されたというふうに私どもは承知をしておるところでございます。

 自賠責保険につきましても、今回の保険法の制定の趣旨を踏まえまして、いわゆる被保険者の方からの請求につきまして、保険法案の二十一条の規定を適用するという判断をまずさせていただきました。

 一方、先生今おっしゃったように、自動車損害賠償保障法におきましては、被害者の方が保険会社に対しまして直接損害賠償額の支払いをなすべきことを請求できるという制度がございます。

 私ども、この被害者請求によります損害てん補につきましても、事故及び損害賠償額の確定をするために必要な期間が経過した後は遅滞の責任を負う、このことを明らかにすることが結果的には適正な支払いが担保されるというふうに考えまして、今般、保険法案の二十一条に倣いまして改正の自賠法の十六条の九の規定を置かせていただいた、こういうことでございます。

加藤(公)委員 あと何点か伺いたいところがあったのでありますが、残念ながら時間が参りましたので、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

下村委員長 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 前回、二〇〇六年の三月二十五日に中国・昆明の高地トレーニング中になくなった、当時二十でございます日体大水泳部員宮嶋武広さんの死亡事故について伺わせていただきました。

 きょうは保険法案の審議で、保険に絞ってこの点を考えてみたいということを考えておりましたら、鳩山大臣は前回、私立大学とか学校法人というのは非常に格別の関係にあるんだ、格別の関係にあるということは、大学がしっかり責任を負うべきものだという明快な理念をお示しいただきました。御両親がきょうちょうど傍聴に来られていますので、文科省と今やりとりを少しさせていただきますが、後ほどまた答弁を求めたいと思います。

 まず、お配りをしている資料にあるように、学生教育研究災害傷害保険、略称学研災という団体保険にこの宮嶋さんは日本体育大学の学生として入っていたわけです。この学研災は、ここに村田学生支援課長のことしの春のあいさつ文があるように、二百八十五万人もの学生が加入をしている、そういう意味では、文科省がしっかり屋台骨を支えている、親御さんにとっては信頼のできる団体保険だなというふうに思われてきたと思います。

 その保険について御両親から私が聞いたところによりますと、不幸な事件、事故が三月に起きて、六月に日体大の学生課の森さんから、保険金はゼロなんですよ、頼み込んで三百万出させていただきます、こういった連絡があったそうです。そして、今度はその年の十一月にお母さんのまり子さんが保険会社に聞いたら、日体大学生課の森さんに頼まれて、長いつき合いなので何とかと上司に相談したところ、この御時世なので三百万ぐらいだったら出せるということであった。そして、今度は二〇〇七年、父の猛さんが保険会社に、これは外的要因による事故に対して出る保険で、宮嶋武広に対してはゼロです、こういうふうに言われているんですね、日体大の森さんに頼まれて金額を決めたと。

 文科省に伺っていきたいんですが、ちょうど一週間前の答弁で、日体大から聞いたところ、大学から保険金の支払い申請をした、しかしながら、死亡事由が突然の病死のため保険適用はできない、ここが重要なんですが、大学側の折衝の結果、保険金ではありませんけれども三百万円の支払いがあった、こういうふうに答弁をしていますね。

 昨日、皆さんにもお配りをしておりますけれども、四枚目でしょうか、文科省につくってもらった経過を記したペーパー、十七日付のもの、一番下をごらんいただくと、「慶弔費や見舞金として支払うことができないか保険会社と相談したところ、保険会社が三百万円を保険金として支払った。」と。つまり、保険金ではありませんけれども三百万円の支払いがあったと先週答弁をされて、きのうは、保険金として三百万円を支払った、こう百八十度答弁が変わっている。これは、一体どちらが本当なんですか、なぜこう変わったんですか。

久保政府参考人 失礼いたします。

 確かに、前回、御指摘の件につきまして答弁させていただきましたのは、日本体育大学に伺ったところによりましてお答えをさせていただきました。大学側の折衝の結果として、御両親に対し、保険金としてではないが三百万円の支払いがあったということでございました。

 今回、さらに御指摘いただきましたので、その三百万円が支払われた具体的な経緯を改めて日本体育大学に当該業務の担当者も含め確認いたしましたところでは、三百万円は保険金として保険会社から御両親に対して支払われたとの返事がございましたので、そちらの方が正式な正しい回答だというふうに考えているところでございます。

保坂(展)委員 そうすると、久保審議官、先週のは、正式な国会のやりとりではあったけれども不正確なものであったと。今回が正確なんですか、本当に。国会での答弁というのは、やはり真実を語ってもらわなければいけないと思います。

 今御答弁があった、これは保険金でしたということですね。保険金でしたということになると、これまで日本体育大学の森さんから御両親が聞いていたのは、よろしいですか、保険金は出ませんよということなんですよ。保険金は出ないんですよと。そのかわり、何とか頼んで、保険金ではなくてお見舞金で払ってもらうことになりました、こう聞いているんですよ。きょうも確認しました。では、これはうその説明を御遺族にしてきたということになりますか。

久保政府参考人 失礼いたします。

 日本体育大学の担当者が、どこまで法的な制度としてのこれが保険金だという意識を持ってやっていたのかというのは私どもは定かにしないところでございますけれども、少なくとも日本体育大学の担当者は、何とか御両親に対して、気持ちとしてはお見舞金のようなものを、あるいは何らかの支払いができないのかということを思って折衝してきたという事実はあったようでございます。

 したがいまして、今回、三百万がどういう名目で支払われたのかというのを、私どもが具体的な手続をお伺いしたところ、逆に言えば、その段階で学内でよく調べて、制度的にはこれは保険金だということを認識したということでもってそういう回答になったというふうに私ども考えているところでございます。

保坂(展)委員 そうすると、今回の国会質問があって初めて日本体育大学の担当者がよく調べてみたら、これは保険金じゃなくて見舞金ですよというふうに説明したけれども、保険金だったんですよということがわかったという趣旨ですね、今の答弁は。今回わかったと。

 金融庁に伺いますけれども、確認の答弁なんですが、今回の保険会社は、約款があると思うんですけれども、保険金は払えないけれどもお見舞金とか志というものは払えるような規定はどこかに存在するんでしょうか、あるいは存在しないんでしょうか。

三村政府参考人 お尋ねの学生教育研究災害傷害保険につきましては、約款によりますと、大学の正課中等の場合に生じた急激かつ偶然な外来の事故によってその身体にこうむった傷害に対して保険会社が保険金を支払うこととされており、保険金以外の名目の金銭の支払いについては規定はございません。

 金融庁といたしましては、個別の契約案件についてコメントを差し控えたいのですけれども、このような規定の保険商品によって支払われた金銭、保険金ではないかと考えております。

保坂(展)委員 ところが、きょう資料をお配りしておりますが、この三枚目に、お母様の宮嶋まり子さんあての、つい最近の二月十二日付の文書がございます。大臣もごらんになって、これは東京海上という会社から来ている、支払い額が三百万ですよということですね。

 なぜこういうものが来たのかということを伺ったら、いわば振り込まれた口座が、亡くなったお子さんの口座だったそうです。したがって、確認のしようがない。整理をされるときに記帳してみたら、あれ、これが入っていた、これはどういうことなのかということで気がついて、こういうものが送られてきたということなんですね。

 もう一点金融庁に聞きますが、保険会社が保険金の支払いに当たって、その受取人に告知をしない、うっかり忘れたということはあり得るんでしょうか。

三村政府参考人 通常の取り扱いでは、告知が行われると承知をしております。

保坂(展)委員 そして、この二日後に、保険会社の担当の方にお母さんが話されているんですね。あくまでも、本当に墓石代でも何とかしてやってくれないかと当時の日本体育大学の森課長さんに頼まれて、その熱意が非常にこもっているなと私としては感じました、原因が特に、健康な方だとおっしゃっていたんですが、心臓発作、病気が先行すると保険の対象外になるんですが、それでも黒ではなくグレーの状態ですので保険会社の気持ちとして出させていただいた、要するに気持ちだというふうに言っておられるんですね。

 もう一回文科省に聞きますが、保険金だったということが今わかったんですね、気持ちではなくて。そうすると、まさに保険法の根底ですけれども、この場合は息子さんが亡くなってしまった、団体保険で、死亡の損害補償を受け取る受取人と保険会社とがお互い交渉をしたり示談をしたりするということはあると思いますけれども、大学がその御両親にかわって示談をする、そして保険金を確定させてしまう、それについては、その遺族に、受取人の御両親に、いわば別にその同意なり相談なりしないという扱いはあり得るんでしょうか。どうですか。

久保政府参考人 法的な位置づけになりますと、どういう場合にだれがそういう交渉をできるのかという取り決めは、もしかするといろいろな制度であるかもしれません。

 ただ、一般論的に、制度を離れたというか、こういうケースの場合に、御本人の御遺族の立場を思って事実上交渉といいましょうか、大学にとってみれば、何らかの支出、支払いを出してもらえないかということでされたんだとは思います。逆に言いますと、大学が御本人に成りかわって代理人という立場で示談をしていたという意識があったかどうかについては、私どもは確認しようがないところでございますので、何とも申し上げられないという状況でございます。

保坂(展)委員 ちょっと大臣に感想を求めたいんですけれども、私は、やはり高地トレーニングは、かなり危険な部分があるトレーニングだと思いますよ。それで、不幸にして選手の死亡というあってはならない事態を迎えてしまった。大学は誠心誠意説明をし、でき得る補償はしということは必須だと思うんです。今、保険法の審議なので、この保険はどうなっているのかなと調べてみて出てきた事実なんですね。つまり御両親は、保険金ではないんですよ、見舞金なんです、特別の計らいで大学が会社と交渉して取ったものなんですよと説明を受けていた、今初めてわかったというんですね。

 どうも血の通った学生と大学のあり方とは離れていないかなと思いますけれども、いかがですか。

鳩山国務大臣 今、先生の資料のこれを見せていただいて、日体大という大学があり、大学は学生を徹底して教育するだけじゃなくて守る義務があるということはこの間申し上げたとおりですが、日本国際教育支援協会があり、保険会社がありということですが、保険料を払っておられたのは御本人ですね。保険契約者が御本人、保険者は保険会社、被保険者も御本人だろう、こう思うわけですね。

 保険法の基本からいえば、そういう形の中でいろいろなものが介在をして保険の本来の趣旨をねじ曲げてしまって、例えば保険金であるべきものを見舞金と称したり、あるいは場合によっては、本当に悲しい事件ですけれども、御本人、保険契約者が亡くなっておられれば、被保険者が亡くなっておられればその御遺族ということになるわけですが、当然そこではある意味では交渉があり、保険金の判定がなされていく。間にいろいろなものが入ってそれがねじ曲げられるようなことがあるとすれば、言語道断と言わざるを得ないというのが私の気持ちですね。

保坂(展)委員 きょうお配りをした資料の中で、文部科学省から出していただきました、これは支援協会。支援協会の数字は出ましたか。一応二百八十五万人の大学生と短大生が加入しているんですね。かなり大きな規模の保険ですね。この国際教育支援協会が取り扱いで手数料収益を得ているんですが、これが幾らだったのかおわかりですか、わかったら。

 それに加えて、こちらに、支援協会からこれまでの保険の支払い実績を出していただきました。二枚ほどあります。この二枚の中の二枚目、二〇〇六年のところを見ると、いろいろな保険の支払い事例があって、サークル活動の練習場所に向かう途中、建物から落雪により死亡とか、あるいは部活動中、川で溺死などもございますね。この場合には一千万円支払われているわけですね。恐らくこれは、解剖を必ずその条件とするということにはならないんじゃないかと思いますね。高い温度のときのランニング中に熱中症で亡くなったというときに、やはり保険は支払われると思います。この事例の中には、階段から転落して亡くなるという事例もあるんですよ。

 そこでお聞きしたいんですが、階段から転落して亡くなるというときに、当然けがをして、そのけがなどが原因になって亡くなるんだと思いますけれども、足を踏み外して転落をしたのか、心臓発作なのか、ここを解明するために必ず解剖をしたりする扱いになっているんですか。学生全体をカバーするというこれだけの保険、そして今手数料を答えていただきますけれども、一体どういう扱いですか。

久保政府参考人 今の国際教育支援協会の費用につきましては、手元に予算書はあるのでございますが、今ちょっと確認しておりますので、確認し次第、御報告させていただきたいと思います。

 それから、確かにこの問題につきまして、先生御指摘のように、事故だと対象になるわけでございます。課外活動の場合でも対象になるわけでございますけれども、病気だとこの保険の対象にならない。そこに境目があるわけでございまして、そこを具体的にどうして判別するのかということにつきましては、会社あるいは受け手の方というよりは、具体的な資料に基づいて調査、確認をするということでございます。

 一般論としてでございますけれども、認定するのは保険会社でございますから、保険会社の認定に当たりましては、査定に際しまして、確かに事実関係の調査というのをできるだけ行うわけでございますけれども、解剖を必ずしも求めて、それを必須としているわけではないということがあるのは、そのとおりでございます。

保坂(展)委員 今大事なことを言われたので、倉吉さんにもちょっとお話しいただきたいんです。

 保険の一般論、原則なんですけれども、内因性の疾患、病気等の場合は出ないという特約事項があるんですよ、この団体保険には。要するに、心臓発作、心臓がもともと悪くてと。ところが、外来性のものであれば、先ほど、高温の中で走って倒れてしまうとか、いろいろな状況の中で亡くなってしまう事故というのはあるわけですね。

 この事故の中で、酸素が薄い高地であるということ、標高二千メートルのところで、息をとめて五十メートル潜水して、また上がってはまた潜水するというトレーニングのときにその異変が起きたんですね。これは、もともとこの子が心臓が弱かった、もともと病気だったんじゃないかという判定をできようはずがないと私は思いますよ。ただ、中国で受け取った診断書は突然死というものでしたね。突然死という診断書だったので、結局は何だかわからないので出せません、保険金はゼロですとまで言われて、大学が言ったところ出るようになった、こういう話なんです。

 どういうふうに考えますか。言えることを言ってください。

倉吉政府参考人 法務省民事局の所管ではありませんのであれなんですが、おっしゃっていることは、事実認定というか、経験則というものに照らして、それだけの間接事実があるときに、これが外来性のものなのか内因性のものなのかということだと思うんです。それはどういう場面でどういう形で認定をしようとしているところなのかというのも私は今の話では全然わかりませんし、今の間接事実だけでは、これはこちらでしょうということがわかる事実関係ではないと思います。

保坂(展)委員 そうすると、民事局長、立証責任というのは、結局、これが病気ではないということを証明しなければいけないわけですか、被害者の側、遺族の側が。

倉吉政府参考人 申しわけございません。先ほど見た資料の中で、保険約款の言葉だと思いますが、外来なんとかと書いてあった、それが約款の中でどう書かれているのか、そしてそういう全体の約款の構造等を見ないと、その部分だけでどちらが立証責任かというのは御容赦いただきたいと思います。

保坂(展)委員 では、金融庁にもう一回伺います。

 満額一千万円の保険金が三百万円という保険金で支払われたということは、保険会社の何らかの調査と算定があったというふうに考えていい事象なんでしょうか。

三村政府参考人 まことに申しわけございませんが、個別のケースにつきましては、詳細をつまびらかにしておりませんので申し上げられませんけれども、一般論として申し上げれば、保険会社は、支払い査定に対しまして、立証責任が保険者側にあるか請求者側にあるかにかかわらず、事実関係の調査を十分行い、入手可能なさまざまな情報をもとに総合的な判断を行っているものと考えております。

保坂(展)委員 大臣にもう一回伺います。

 先日は一千万円の弔慰金の話をしたんですけれども、今回は三百万円の保険金。これは、きのうまでは保険金でないと聞いていたわけですね。見舞金だ、保険金は出ないんですよ、出ないけれども、これは特別の計らいで、長いつき合いだからということで、折衝に折衝を重ねてお見舞金として出たものですという説明を受けて、きょうになって、よく調べてみたら保険金でしたということでいいんだろうかと思いますね。

 しかも、北京オリンピックの出場選手が今続々決まっておりますね、そういった期待も集めていた若手の選手だった、将来の活躍を非常に期待されていたという中で、どうも大学は管理監督責任があったと私は見ているんですよ。しかし、これを公的に認めるとぐあいが悪い、ですから原因不明の状態にしておる。だけれども、それは余りにも忍びないからということでお見舞金というような形にしたのではないかと私は想像するんです。

 そういうことではなくて、しっかり責任をとる部分はとって、残された御両親がなお悲しみ苦しむようなことにならないようにすべきだったと私は思いますけれども、いかがですか。

鳩山国務大臣 前回も申し上げたように、大学と学生の関係というのは格別のものであるべきだというふうに考えております。

 先ほどのやりとりを聞いておりますと、たまたまきょうは保険法の質疑でございますから、保険金というのは、支払われるか支払われないか、もちろん案分される場合もありますけれども、少なくとも、保険金が払えないから見舞金を払う、そういう仕組みは基本的にはないはずでございます。

 そうしますと、個別の事柄で、私は精通しておりませんから無責任なことは言えませんが、一般的に考えて、学生さんの事故か病気かというような事柄の中で保険の本来のありようが適当に処理される、そういうことがあってはいけないと思います。

 高地トレーニングというものがあって、潜水のトレーニングをしておられた。大学の監督責任は、私は現場を見ていませんからわかりませんが、少なくとも北京オリンピックの有望な選手候補として体力抜群であったということであれば、私は裁判官でも医者でもありませんけれども、社会通念上、これは間違いなく事故だと考えます。

保坂(展)委員 民事局長、法案に絡んで、ちょっと時間がないんですけれども、重大事由による解除のところを少しお聞きしたいと思います。

 三十条一号について、重大事由解除というのは、軽微な詐欺行為、例えば過剰請求などは含まないと今度参考人に来られる山下先生の「保険法」に書いてあるようですが、それはそういう解釈でよろしいのかどうか。

 二問続けてよろしいですか。

 もう一問、三十条三号について、「保険者の保険契約者又は被保険者に対する信頼を損ない、当該損害保険契約の存続を困難とする重大な事由」というのはやや幅広であいまいではないのかという疑問があるんですが、この二点、お願いします。

倉吉政府参考人 この重大事由による解除の規定でございますが、そこで一号、二号、三号と書いてあるとおりでございまして、一号には、保険金目的で故意に被保険者を死亡させた場合、それから、保険者の保険契約者等に対する信頼を損ない、保険契約の存続を困難とするような重大な事由、こういうことが生じた場合とそれぞれ書いてあります。

 ただいま、過剰請求の話がちょっとありましたでしょうか。過剰請求云々ということについては、これはやはり程度の問題なんだろうなと思うわけですが、例えば損害保険契約について、一定の保険事故が起こった場合に、被保険者側の軽過失によって、ついうっかりしてその損害の額を多く見積もってしまった、これも客観的には過剰請求でありますけれども、その多く見積もった額で請求をした、この程度のことであれば保険契約の存続を困難とするような重大な事由とは到底言えないだろう、このように考えております。

 それから、三号の規定があいまいではないかというお話でございますけれども、これも一号と二号を書いておりまして、一号が先ほどの故意ですね。「保険者に当該損害保険契約に基づく保険給付を行わせることを目的として損害を生じさせ、又は生じさせようとした」場合に解除を認める。それから二号は、「被保険者が、当該損害保険契約に基づく保険給付の請求について詐欺を行い、又は行おうとした」場合に解除が認められる。これを受けまして、「前二号に掲げるもののほか、保険者の保険契約者又は被保険者に対する信頼を損ない、当該損害保険契約の存続を困難とする重大な事由」とあるわけですから、一号、二号と比べても遜色のない、これに比肩するほどの重大な事由という意味であることはもう明らかでございます。

 したがって、そういう場合に限って解除を認めるものでありますから、保険者による解除権についてあいまいな要件を設けたとか、簡単に解除できるようにした、そういうものでは決してないということを申し上げておきたいと思います。

保坂(展)委員 法案本体についての質疑はまだ入り口ですけれども、スポーツの世界もルールがあって、そこで競争が行われる。そして、もちろん保険もそうだ。大学と学生の関係もそうです。そういう意味で、個人は弱いですから、力の大きな組織に決して踏みにじられるようなことがないように、しっかりこれからも議論をさせていただきたいと思います。

 きょうは答弁をありがとうございました。終わります。

下村委員長 次回は、来る二十二日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十六分散会


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