衆議院

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第3号 平成20年11月18日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十年十一月十八日(火曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 山本 幸三君

   理事 大前 繁雄君 理事 桜井 郁三君

   理事 塩崎 恭久君 理事 棚橋 泰文君

   理事 谷畑  孝君 理事 加藤 公一君

   理事 細川 律夫君 理事 大口 善徳君

      赤池 誠章君    伊藤 忠彦君

      稲田 朋美君    近江屋信広君

      木村 隆秀君    笹川  堯君

      清水鴻一郎君    杉浦 正健君

      平  将明君    丹羽 秀樹君

      萩山 教嚴君    早川 忠孝君

      町村 信孝君    武藤 容治君

      村田 吉隆君    森山 眞弓君

      矢野 隆司君    柳本 卓治君

      若宮 健嗣君    石関 貴史君

      枝野 幸男君    河村たかし君

      中井  洽君    古本伸一郎君

      神崎 武法君    保坂 展人君

      滝   実君

    …………………………………

   法務大臣         森  英介君

   内閣府副大臣       増原 義剛君

   法務副大臣        佐藤 剛男君

   法務大臣政務官      早川 忠孝君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         宮本 和夫君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 佐村 知子君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    倉吉  敬君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大野恒太郎君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  西川 克行君

   政府参考人

   (外務省中南米局長)   佐藤  悟君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           前川 喜平君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           坂本 森男君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房統計情報部長)        高原 正之君

   法務委員会専門員     佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十八日

 辞任         補欠選任

  赤池 誠章君     村田 吉隆君

  河井 克行君     丹羽 秀樹君

  平  将明君     若宮 健嗣君

  長勢 甚遠君     伊藤 忠彦君

同日

 辞任         補欠選任

  伊藤 忠彦君     長勢 甚遠君

  丹羽 秀樹君     河井 克行君

  村田 吉隆君     赤池 誠章君

  若宮 健嗣君     平  将明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国籍法の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国籍法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局組織犯罪対策部長宮本和夫君、総務省大臣官房審議官佐村知子君、法務省民事局長倉吉敬君、法務省刑事局長大野恒太郎君、法務省入国管理局長西川克行君、外務省中南米局長佐藤悟君、文部科学省大臣官房審議官前川喜平君、厚生労働省大臣官房審議官坂本森男君、厚生労働省大臣官房統計情報部長高原正之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲田朋美君。

稲田委員 おはようございます。自民党の稲田朋美でございます。

 本日は、国籍法の改正という非常に重大な法案について質問いたしたいと思っております。

 国籍付与は、言うまでもなく日本国民の資格を定めるものでございます。日本の、いわば国家共同体の構成員を決める重大な作用が国籍付与でございます。だれに国籍を与えるか、だれを国民として認めるか、これは国にとって大変基本的かつ重大な問題であり、だからこそ憲法十条で国権の最高機関である立法府にその広い裁量が認められているわけでございます。いわばこれは、日本の国の主権の問題でもあると思っています。

 例えば、北朝鮮による拉致問題、これが日本国の主権の侵害であるのは、我が国の国籍を持つ自国民が他国によって権利を侵害されている場合、国の外交保護権として、主権の作用としてその権利主張ができるわけでございます。そういった意味からも、この法案の審議は大変重大だと認識をしています。

 今回、改正に至りましたのは、六月四日の最高裁判決が契機であります。国籍法三条一項が憲法違反であると違憲立法審査権を最高裁が発動して判断をした、これは大変重大な判断でございます。もちろん、この最高裁の判断に従わなければならない。しかしながら、立法府に身を置く私たちとして、また国権の最高機関である国会としては、最高裁の判断の範囲内で、できる限り慎重に、そしてさまざまな場合を想定して審議すること、これが私たちの責務である、このような認識のもとで質問をしたいと思っております。

 さて、最高裁の判例では、昭和五十九年の国籍法の改正のときに、出生後の準正によって日本国民の嫡出子たる身分を取得した者には国籍を与え、単に認知したにすぎない者については国籍を与えなかったわけです。最高裁の判例の中でも、判決の理由中の判断でも、昭和五十九年の改正時にそれは合理的な理由があった、しかし現在では、さまざまな経済的、社会的な変化や我が国の家族関係のあり方に対する意識の変化ですとか、例えば非嫡出子の割合がふえているですとか、そういった理由をもとに、今やこれは憲法十四条の平等の原則に違反している、このように判断をしたわけです。

 後にも述べますが、私は、この最高裁の判断、多数意見については疑問があると思っているんですけれども、それでもこういった判決が出たわけでございます。

 そして、違憲になった時期について、最高裁は、遅くとも平成十五年には違憲になった、このように判断をされています。

 国籍法の改正の審議に入る前に、前提として、この判決の射程距離についてお伺いをいたしたいわけです。

 このような今の最高裁の判断からいたしますと、例えば父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得するか否かということは、子にとってはみずからの意思や努力によっては変えることのできない父母の身分行為に係る事柄だ、こういったことで区別をする、差異を設けるということについては慎重じゃなきゃいけないと最高裁は判断をしているわけですが、こういった最高裁の考え方からいきますと、例えば民法九百条で嫡出子と非嫡出子の間に相続分で差異を設けておりますが、こういった非嫡出子と嫡出子の間の相続分の差異についても、これは違憲であるというような判断になるのではないか。

 この判決の射程距離及び今の民法九百条の規定の合理性について、民事局長にお伺いをいたします。

倉吉政府参考人 今回の最高裁判決の射程距離についてということでございました。

 この最高裁判決は、あくまでも国籍法第三条が、嫡出である子と嫡出でない子との間に国籍取得に関する区別を生じさせていること、このことが違憲である、こういうふうに判示したものでありまして、嫡出でない子の法定相続分の問題についてはもちろん何ら言及しておりません。

 したがいまして、国籍法第三条が違憲であるとされたからといって直ちに、嫡出でない子の法定相続分を嫡出である子の二分の一と定めております、ただいま御指摘の民法九百条第四号まで憲法違反になるということにはならないと考えております。

稲田委員 それは当たり前のことなんですが、民法九百条の差異について合理的な理由があるということでよろしいのでしょうか。

倉吉政府参考人 ただいまの、嫡出でない子の相続分が二分の一になっているという民法九百条四号ただし書きの規定でありますが、これは法律上の配偶者との間に生まれた嫡出である子の立場を尊重するとともに、嫡出でない子の立場にも配慮して、嫡出でない子には嫡出である子の二分の一の法定相続分を認めるとすることによりまして、法律婚を尊重する一方で嫡出でない子の保護との調整も図る、こういったものと考えられますので、不合理なものではないと考えております。

稲田委員 今、全国からたくさんのファクスが来ておりまして、我が事務所にはもう既に二十センチを超えるファクスが届いております。そのおかげでファクスが故障したぐらいの、全国からたくさんのこの改正に対する危惧の声が出ております。そして、慎重審議入りを求めているわけです。

 産経新聞、きょう資料でお渡しした中で、「偽装認知などダークビジネスの温床になるとの懸念が出ている。」それに対して政府筋の発言として、「最高裁に現状は違憲だ、といわれたから改正案を出した。それでどうなるかは、法律が施行されないと分からない。犯罪者はいろんな方法を考えるから」。

 こんな無責任なことを言ってもらっちゃ困るわけです。最高裁が幾ら違憲判決を出したからといって、それによって偽装認知がふえるですとか、犯罪者が何をやるかわからないなんという、そんな無責任な、やってみなきゃわからない、最高裁から出たんだから変えるのは当然だなんというような無責任な考え方でこの改正をしてもらっては困ると思っているわけでございます。

 まず、要望で多いのが、法定刑が軽過ぎるんじゃないかという観点でございます。

 出生後の偽装認知の場合についてお伺いをいたしますが、今回、国籍法を改正いたしまして、国籍届けを偽装でした場合、一年以下の懲役または二十万円以下の罰金という刑罰がかかることになったんですが、これが余りにも軽くて全く犯罪の抑止効果がないんじゃないかという声があるんですが、この点について民事局長の御見解をお伺いいたします。

倉吉政府参考人 今回新設いたしました罰則についてのお尋ねでございました。

 この罰則は、虚偽の国籍取得届けをすることにより、法務局の事務の適正や信頼が害されるということを根拠として処罰するというものでございます。したがいまして、一般の殺人とか放火とか、法益の侵害がどんとあったというのとはちょっと犯罪の性質が違うということがございます。

 ただ、そうはいいましても、国籍取得に関する事務は、日本国の構成員である日本国民の資格、ただいま最初に委員の御指摘のあったところでございますが、その日本国民の資格を適切に認定するための重要な責務、仕事でございます。

 そこで、この種の行政的な規定の中で似たものを見てみたわけでありますが、例えば戸籍の記載または記録を要しない事項について虚偽の届け出をしたという戸籍法百三十二条という規定がございます。それから、外国人登録申請の関係でさまざまな虚偽の申請をした場合の罰則を定めた外国人登録法十八条というのがございます。これはいずれも一年以下の懲役または二十万円以下の罰金を法定刑としておりますので、これを参考にして今回の法定刑を定めたものでありまして、この刑自体は決して不当なものではない、相当なものと考えております。

 そこで、ぜひ申し上げたいことがもう一点ございまして、実は国籍取得に当たっては三つの手続がございます。第一は、まず認知届けをいたしまして、その認知届けをいたしますと、父親が認知をしたということが戸籍に載ります。それから二番目に、今問題になっております国籍法上の国籍取得届けをいたします。そして、それによって日本国籍が取得された後、三番目に、今度は戸籍法上の国籍取得届けというのをいたしまして、つまり、その子供を戸籍に載せるための手続をいたします。この三番目のときにも、やはり戸籍に載るわけでございます。

 この一番目の認知届、それから三番目の国籍取得届、これが全部偽造であった、虚偽であったということになりますと、いずれも戸籍にうその記載がされるということになりますので、現行法におきましても公正証書原本不実記載罪が成立をいたします。その法定刑は、五年以下の懲役または五十万円以下の罰金となっております。

 つまり、いわゆる偽装認知という形で一貫して最後まで行ったといたしますと、五年以下の懲役と五十万円以下の罰金を最初と最後で二つを科す、そして真ん中で一年以下の懲役と二十万円以下の罰金というのが加わる、この三つが併合罪となる、こういうことになりますので、全体としては事案に応じて適切な処罰がなされる、このように考えております。

稲田委員 今の民事局長の答弁を聞いて、結果的にどうなるかがわかった人というのはいないんじゃないかと思うわけです。今非常にわかりにくい答弁をされたので、私なりにおっしゃったことを簡単に言いますと、併合罪になるので、こういった偽装認知による国籍の届けが出された場合には、最大で七年六カ月、そして罰金としては百二十万円科せられるので決して軽くない、そういうことを今難しい言葉でおっしゃったのではないかと思うんですけれども、そういうことでよろしいと思うんです。

 ただ、今おっしゃった、この法律自体が、刑罰自体が、法務局の事務の適正や信頼が害される、これが保護法益なんだとおっしゃるんですが、それにしても日本国籍という非常に重大なものが詐取されるという事態を招きますので、やはりここはきちんと、七年六カ月というのであれば、上限を踏まえて適用していただきたいと思うわけです。

 それから、刑事局にも言いたいのは、やはり幾らそういう刑罰が最上限、そこまでかかるとしても、運用をきちんとやってもらわないと何にもならないと思うわけです。幾ら制度があっても、その運用が適正でなければ絵にかいたもちになってしまうわけです。

 例えば、今、中川大臣の勉強会で対馬のことが問題になって、あの国境の島が、韓国資本によって、そして島民の名で買い占められているということが問題になっております。私がその勉強会で、島民の名で所有意思がないのにもかかわらず不動産登記簿謄本に所有者として登記をすれば、公正証書原本不実記載になるんじゃないかということを刑事局に質問いたしましたら、一般論としてはなり得ますねと、そして、民事局は民事上は適法ですというふうなことをおっしゃいまして、私はこれで国を守る気があるのかなということに非常に危惧を感じたわけです。

 刑事局長にお伺いしたいのは、今回の偽装認知を防ぐためにこういった法律を駆使してきちんと起訴していくおつもりがあるのか、そういった点の決意をお伺いしたいと思います。

大野政府参考人 お答えいたします。

 検察当局は、犯罪として処罰すべき案件あるいは疑惑が持たれる案件があるというように認めた場合には、当然、法律を厳正に適用いたしまして、法と証拠に基づいて適正な捜査、処分を行うものというように承知しております。

稲田委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 それから、次に全国から寄せられている声の中で非常に多いのが、今回その要件に、出生後の子供を認知したにすぎないような場合にはDNA鑑定を入れるべきではないかという意見がたくさんあります。

 私自身の個人的な意見を言いますと、DNA鑑定を安易にこういった親子関係の確定とか法制度として持ち込むことについては慎重でなきゃいけないんじゃないかなという考え方を持っております。

 昨年議論になりました、民法七百七十二条の離婚後三百日以内に生まれた子供の嫡出推定についての改正議論がなされたときにも、安易にDNA鑑定を持ち込むことは、我が国が単に血縁のみを根拠として親子関係ですとか家族関係、そういったものを構築しているのではない、そういった原則をなし崩しにするおそれがあるので安易にDNA鑑定を持ち込むべきではないという意見を持っておりました。

 今回、国籍法の改正に当たりまして、DNA鑑定を要件として入れるべきだというたくさんの意見がありますが、その点についてどうお考えか、民事局長の御意見をお伺いいたします。

倉吉政府参考人 DNA鑑定を導入すべきであるという意見が多数あるということは承知しております。しかし、それでは困るという意見も多数ある、実はそのように考えております。今回、ファクスやメールでは、DNA鑑定を入れるべきだというのが多数来ているのが現実なのかなとは思っておりますが。

 そこで、このDNA鑑定を取り入れることの適否について、今委員から非常に重い御指摘がございました。ここは非常に大事なところだと思っておりまして、今委員の方から御指摘のあったとおり、民法七百七十二条の嫡出推定規定に関しても、これだってDNAで決着すればいいんだということになりがちだという懸念がございます。

 それから、DNA鑑定によって、いわばそれまで親子だということでずっと成立してきた親子関係や家族関係を、DNAが違うじゃないかといって簡単に覆していいのか、こういう問題もあります。それはそれでいいんだというような簡単な風潮を助長させるというのは、これはまずいだろうと思っております。

 それに加えまして、DNA鑑定を認知や国籍取得届の際に義務づける、こういうことにいたしますと、認知届を受ける市区町村、それから国籍取得届を受ける法務局において、例えばDNA鑑定でも非常に難しい問題がございます。当事者から正しく検体をとってきているのか、それから現代の科学水準に合わせたきちんとした鑑定ができているのか、極端に言うと、だれだれが鑑定したとなっているけれどもそれが偽造ではないか、そういったさまざまな問題がございますが、そういった鑑定結果の信用性を左右するような事情を、法務局の窓口であるとか市町村ではちょっと判断できないという問題がございます。

 それから、鑑定には相当の費用がかかります。その費用を負担できない方の子供の認知の機会や、国籍取得の機会を奪うということにもなりかねないということも懸念されるわけであります。さらに、外国国籍の子を認知する場合にのみDNA鑑定を義務づけるとすれば、それは外国人に対する不当な差別となるおそれもある。

 以上のようなことから、DNA鑑定を取り入れることは適当でないと考えている次第であります。

稲田委員 私自身もDNA鑑定には慎重なんですが、しかし一方で、やはり偽装認知ということを防ぐために諸外国でDNA鑑定を取り入れているところもございますので、今後の課題として、父子関係の科学的な検証ということについても課題として検討しなければならないのではないかと考えております。

 では、そうしますと、一体どうやってこの偽装認知を防ぐかです。

 私は、認知ということになりますと、やはり認知ビジネスといいますか、組織的に偽装認知をしていこうというような犯罪もふえていく懸念があるんですが、どういう段階で偽装認知をどうやって防ぐおつもりなのか、その点について民事局長にお伺いをいたします。

倉吉政府参考人 国籍取得届けをする場合には、必ず届け出人が窓口に参ります。法務局の窓口に来るわけであります。そこで戸籍等関係書類を出していただくということになりますが、このときに、法務局といたしましては、届け出人等から、父母が知り合った経緯や、それからお父さんが同居しているのか、あるいはお父さんが扶養しているのか、その有無、それからその程度、それから子供が生まれてから認知に至る経緯はどうだったのか、それから婚姻等の身分関係の状況はどうか、こういったことを詳細に聴取いたしまして、その子供が認知した男性の子であるかどうかということを慎重に確認することを予定しております。場合によっては、関係者がこういうところにいるということであれば、その関係者のお宅にお邪魔してでも任意の御協力をお願いしたいと思っておりますし、父親が届け出人となっていないという場合があるわけでありますけれども、その場合にも協力を求める予定でございます。

 さらに、そういったことの聴取を通じて、子供を懐胎した時期に父母が同じ国に滞在していたのかどうかということについて疑義が生じる、こういうような場合がございます。それからさらに、今委員の御指摘のありました偽装認知の疑い、あるいは組織的な偽装認知ではないか、こういったことが疑われるという場合には、警察等の関係機関とも連絡を密にいたしましてさらなる確認をするなどして、不正の防止に全力を挙げていきたい、こう思っております。

稲田委員 今おっしゃったような盛りだくさんなことを法務局の窓口でされるとすれば、どこの法務局に行ってもそれが徹底されるように、例えば通達ですとか省令、下位の法令などで全国にきちんと行き渡るようにしていただきたいということが一点と、それから、今おっしゃいました、認知をする日本国籍の男性については、原則やはり面談をして、そこはきちんと事情を聞いて、間違いがないかという点をやっていただきたいと思っております。

 次に、警察にお伺いをいたしますが、国籍取得に関連して、胎児の偽装認知、偽装結婚など、どうやって摘発をし、また今回の国籍法の改正に伴ってどういった対策をされるのか、お伺いをいたしたいと思います。

宮本政府参考人 虚偽の届け出などによりまして不法滞在などの外国人が合法的な在留資格を取得しようとする事案、これまでは比較的偽装結婚のような事案が多いのでございますが、特にこういった偽装結婚などにつきましては、職業的に配偶者をあっせんするようなブローカーの役割を果たす犯罪組織が介在していることも多く、暴力団がこういった行為を行っていることも少なくございません。

 偽装認知も含めまして、今後、警察としてこうした捜査をしていく場合、そのような暴力団を初め犯罪組織の介在の有無を視野に入れながら捜査を進め、かつ、法務局、入国管理局等関係機関との連携を密にしながら厳正に対処してまいる所存でございます。

稲田委員 同じ質問を入国管理局長にお伺いいたします。

西川政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の偽装認知あるいは偽装婚については、入国管理局としても重大な問題ということで受けとめております。入国管理局は、入国管理関係の各種申請において、外国の方からさまざまな書類を提出いただきますが、この書類を精査するというだけではなく、当局に寄せられるさまざまな情報を分析活用し、生活実態等について積極的に実態調査を行い、また警察等関係機関とも連携して事案の解明に努めているところであります。

 その結果、偽装した身分関係に基づいて在留の許可を受けていたというようなことが判明した場合につきましては、入管法に基づいて在留資格の取り消し手続や退去強制手続を行うなど厳格に対処しているところであり、今後もこの姿勢を保ちたいというふうに思っております。

 以上です。

稲田委員 ぜひしっかりお願いをいたしたいと思っております。

 また、ドイツでは、ことしの三月に父子関係の認知無効のための権利を補足する法律が制定をされました。これは、偽装認知によって外国人の母親が滞在資格を得ようとする事例がふえたことに対抗するために、民法を改正して、関係官庁にも父子関係の認知無効を求めることができるようにしたものです。私は、日本にはこういった法律がありませんので、こういったこともぜひ考えていただきたいと思っております。

 それからもう一点、民事局長にお伺いをいたしたいのは、今回、最高裁の近藤裁判官の補足意見の中で、出生後認知の場合でも、出生地が日本であることや、日本に一定期間居住していることを国籍取得の要件とすることは諸外国の立法例にも見られる、また生物学上の父子関係が存在することが科学的に証明されることを要件として付加することも憲法の範囲内で考えられるんだというような補足意見を述べられております。

 私も、こういった何らかの要件をつけ加えるということは決して今回の憲法判断に反しないと思っておりますが、こういった点についていかがお考えでしょうか。

倉吉政府参考人 御指摘の最高裁の近藤裁判官、多数意見の中で別のところで補足意見を書いておられるわけです。今委員が御説明されたとおりの意見を述べておられます。

 しかしながら、同じ多数意見の中で別の補足意見もございまして、ある裁判官は、近藤裁判官のおっしゃるような、日本で生まれたことといったような要件を課するという選択肢は国籍法の趣旨に照らして相当ではないというような趣旨のことも述べておられます。

 そして、何よりもこの最高裁判所判決の本来の多数意見として書かれている部分でありますが、そこでは、生まれた後に日本国民から認知された嫡出でない子と父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した子供との間には、我が国との結びつきという点において差異があるとは言えないという判断がされたところであります。

 そうすると、仮に御指摘のような住所要件であるとか日本で生まれたといったような要件、こういう要件を新たに設ける場合には、今回の改正法により、届け出による国籍取得が可能となる嫡出でない子だけではなく、従来も届け出によって国籍取得が可能であった父母が婚姻していた嫡出子についても同様の要件を設けることとしなければ、再び合理的でない差別が生じる、こういうことになります。

 しかしながら、これまでそのような要件は満たさなくても、父母が婚姻していた嫡出子については届け出により日本の国籍を取得することができたということになるわけでありまして、その子に対してまで新たな要件を加重することについては一般に理解が得られにくいのではないか。そこで、今回の法改正では、単に準正の要件を削除するのみにとどめた、こういう次第でございます。

稲田委員 私は、やはり最高裁が言ったからといってそれをそのまま立法府がやるというのは、立法府に身を置く者として矜持が足りないんじゃないか、最高裁の判断はもちろん尊重すべきですが、その範囲の中で許される限りの、例えば一定要件をつけることですとか、またさまざまな現実的な偽装認知を防ぐ方法を、慎重にも慎重を重ねて審議をしなきゃいけないと思っているんです。

 今回、最高裁判決が出て、もちろんそれは尊重しなきゃいけません、違憲立法審査権を行使されたわけですから。昨日も、退官される長官が、違憲立法審査権を行使したことが非常に自分の中で重大なことだったと述べられておりますように、非常に重大な判断ですので尊重しなきゃいけないと思うんですが、ただ、今回の最高裁判決の中で私は非常に疑問に思いましたのは、今までのように、定数不均衡とかそういった場合のように、単に違憲判決を出すにとどまらず、国籍法三条を読みかえて国籍を付与された。これは、まさに司法権による立法府に対する介入とまで言ったら言い過ぎかもしれませんが、そういったおそれがあったのではないか。そういった点からも、最高裁が読みかえられた国籍法三条一項にこだわることなく、違憲判断をされたその判断を尊重する範囲内で、できる限りの審議をし、慎重の上にも慎重に審議をすべきだと私は考えております。

 今回、同僚国会議員の中でも非常にこの問題を重く考えて、そして慎重審議すべきだという考え方を署名等で申し入れをしているところでございます。

 こういった点について、最後に法務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

森国務大臣 私どもといたしましては、国籍法を所管する法務省としてこの最高裁判所の違憲判決を重く受けとめなければならないということは今委員からもお話があったとおりでございまして、国籍法三条一項が憲法に適合する内容となりますように、今お話のあった補足意見等についても十分な検討を加えました上で、届け出による国籍取得の要件を削除することを内容とした改正法案を国会へ提出したものでございます。

 その提出に当たっては、与野党、特に政府・与党一体という本旨からして、与党の中でも十分な御議論をいただいて、適切な意思決定プロセスを経て、そして閣議決定して国会に御提出したものでございまして、もとより慎重な御審議をしていただくことは極めて重要なことでございます。でも、それについても与野党、法務委員会の理事会で御協議をいただいた上で日程が決められたものでございます。

 また、採決まで含めて御決定をいただいたわけでございますけれども、ここに至るまで、決して強引でも、またこそこそとやったわけでもなくて、極めてきちんとした明快なプロセスを経てここに至っているものでございまして、本日も、皆様方の率直な御意見をいただき、また誠心誠意御答弁を申し上げていきたいと思いますけれども、ここに至るまでの手続において、私は、特に強引な取り運びをしたということは与野党においてなかったのではないかというふうに受けとめております。

稲田委員 国会の審議はこの委員会での審議がすべてでございますので、やはり国権の最高機関の立法府にある者の責務として、この重大な法案についてきちんと審議をしていただきたいと考えております。

 以上でございます。

山本委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口善徳でございます。

 それでは早速この法案について質問させていただきますが、森大臣、また副大臣、政務官、御就任おめでとうございます。きょうはしっかり質問させていただきたいと思います。

 本年六月の四日、最高裁判所大法廷で、日本の父と外国人の母から生まれ、父に出生後認知された子が、父母の婚姻がないため日本国籍の取得を認められない、国籍法三条第一項について、憲法第十四条の法のもとの平等に反する、こういう画期的な判断がなされたわけであります。

 最高裁が法律を違憲と判断したのは今回を含めて八件、こういうふうに聞いておるわけでございまして、昨日の長官のお話も重く受けとめた次第でございます。

 違憲判決の翌日、我が党は公明党として、鳩山邦夫当時の法務大臣に対し、父母が婚姻していない子にも日本国籍の取得を認めるよう、法改正を含む速やかな対応を要望し、さらに、党内にプロジェクトチームを立ち上げ、八月七日、これは当時の保岡興治法務大臣に対し、一、父母の婚姻要件の削除、二、広範な救済を可能とする経過規定の設置、三、罰則規定の新設を含む偽装認知防止対策の徹底、四番目に、周知、広報の充実を内容とする国籍法第三条改正の申し入れを行ったわけでございます。十一月四日政府が閣議決定をされ、そして十四日からこの法務委員会となったわけであります。

 今回の最高裁の判決で、私、注目している点がございます。一つは、

 日本国民である父が日本国民でない母と法律上の婚姻をしたことをもって、初めて子に日本国籍を与えるに足りるだけの我が国との密接な結び付きが認められるものとすることは、今日では必ずしも家族生活等の実態に適合するものということはできない。

  また、諸外国においては、非嫡出子に対する法的な差別的取扱いを解消する方向にあることがうかがわれ、我が国が批准した市民的及び政治的権利に関する国際規約及び児童の権利に関する条約にも、児童が出生によっていかなる差別も受けないとする趣旨の規定が存する。さらに、国籍法三条一項の規定が設けられた後、自国民である父の非嫡出子について準正を国籍取得の要件としていた多くの国において、今日までに、認知等により自国民との父子関係の成立が認められた場合にはそれだけで自国籍の取得を認める旨の法改正が行われている。

  以上のような我が国を取り巻く国内的、国際的な社会的環境等の変化に照らしてみると、準正を出生後における届出による日本国籍取得の要件としておくことについて、前記の立法目的との間に合理的関連性を見いだすことがもはや難しくなっているというべきである。

さらに、

 国籍法が、同じく日本国民との間に法律上の親子関係を生じた子であるにもかかわらず、上記のような非嫡出子についてのみ、父母の婚姻という、子にはどうすることもできない父母の身分行為が行われない限り、生来的にも届出によっても日本国籍の取得を認めないとしている点は、今日においては、立法府に与えられた裁量権を考慮しても、我が国との密接な結び付きを有する者に限り日本国籍を付与するという立法目的との合理的関連性の認められる範囲を著しく超える手段を採用しているものというほかなく、その結果、不合理な差別を生じさせているものといわざるを得ない。

とあります。

 今回、国籍法改正案を一日も早く成立させること、そして違憲状態を解消しなければなりません。法務大臣の決意と、今回の判決に対する思いを語っていただきたいと思います。

森国務大臣 大口委員初め御党が、最高裁で違憲判決が出て以来、この違憲状態の解消のために大変積極的に真摯に取り組んでこられましたことに敬意を表したいと思います。

 今、お話がありましたとおりの経緯でございますけれども、六月四日の最高裁判決においては、同条が日本国民に認知されたにとどまる子と父母の婚姻により嫡出子たる地位を取得した子とで国籍取得に関する区別を生じさせていることについて、遅くとも平成十五年当時には合理的な理由のない差別として違憲であると判断されたところであります。それまでは、いろいろな情勢からしてやむを得なかったということでありますけれども。

 また、加えまして、最高裁判所判決には補足意見、反対意見も付されていることは十分承知をしておりますけれども、最高裁判所の判決は多数意見によって示されるものでありますので、この判断を厳粛に受けとめ、最大限尊重しなければならないと考えておるところでございます。その趣旨を踏まえ、国籍法第三条第一項が憲法に適合するよう、速やかな法改正をすることが必要であると考えております。

 したがいまして、本日の慎重な御審議を経まして、できるだけ速やかに御了承いただけるように心から願っているところでございまして、委員の皆様方の御審議をよろしくお願い申し上げたいと思います。

大口委員 そういう中で、判決でもそうでございますけれども、私どもも一番注意しなきゃいけないのは、偽装認知による国籍取得の防止対策、これをしっかりやらなきゃいけない、こういうことでございました。

 そういう点で、今回新たに、法務局に対し虚偽の国籍取得届けを行った場合これを処罰の対象とする、こういうことで、市区町村役場に対する虚偽の認知届、そして戸籍法上の戸籍編製の国籍取得届に加えて、法務局に対する虚偽の国籍取得届について罰則を科したわけでございます。

 このことによりまして、これを組み合わせることによって、併合罪で懲役七年六カ月あるいは罰金百二十万という形になったわけであります。これだけじゃなくて、時効の観点からも罰則を設けることが意味がある、こう考えておりますが、御答弁願います。

倉吉政府参考人 ただいま委員御指摘のとおり、二つまたは三つの犯罪が成立するという場合には、併合罪としてこれまでよりも重く処罰することが可能となります。

 時効という御指摘がございましたが、そのとおりでございまして、例えば最初の認知届に係る犯罪、認知届というのがまず最初に出ますので、その時点から時間がたっていて、それから国籍取得届が来たという場合には、最初の認知届について公訴時効が完成しているという場合が考えられます。しかし、その場合であっても、国籍取得届が来た、その後、証明書を持って市町村に行って、そして子供を日本人として戸籍に届けるという届けをしたということになれば、後の二つが成立しますので、やはりあわせて公正証書原本不実記載と、今回成立していただきたいと思っております新法による規定の処罰規定が両方適用されて、その両罪が併合罪となるという関係になるわけでございます。

大口委員 偽装認知の防止策につきましては、本当にこれは国を挙げてしっかりやっていただきたいと思いますし、特に法務省は警察庁と連携して対応していただきたい。また、外務省もそうでございますし、本当に各省がきちっと対応していただきたい、こう思っておるわけでございます。

 そういう中で、まず、本籍地の市町村において、例えば複数の外国人女性の子供を認知しているような不審なケース、こういうことがあった場合、やはりこれは法務局への照会というものを徹底すべきであろう、こう考えますし、また、法務局が国籍取得の届け出に虚偽の疑いがあるというような場合等も慎重に見ていただいて出入国記録の調査を行う、こういうこともしっかりやっていただきたいと思いますけれども、これについて御答弁願います。

倉吉政府参考人 戸籍にいろいろな記載がされるわけでありますけれども、もちろん、真実の身分関係を戸籍に反映させるということが戸籍法の究極の目的であります。戸籍の届け出において、その届け出が虚偽であると疑うに足りる合理的な理由がある場合には、その事実の真否について実態調査を行い、虚偽であることが確認されたときは受理すべきではない、こうなります。

 ただいま御指摘のございました、日本人男性が複数の外国人女性の子供を認知している、こういう場合というのは、まさに届け出が虚偽であると疑うに足りる合理的な理由がある場合だと考えられますので、御指摘のとおり、市町村から法務局への受理照会をさせ、法務局においてその届け出書きの添付書類を調査し、関係者からの事情を聴取するというような方法によりまして偽装認知の防止に努めてまいりたい、こう思っております。

 それから、疑いがある、怪しいなと思われる場合には法務局においても出入国記録の調査などの策を講じるべきではないかという御指摘がございました。

 そのとおりでございまして、その点につきましても、関係機関とも連絡を密にし、疑わしいというときには、ただいま御指摘のありました出入国記録の調査も含めたさまざまな方法を視野に入れて、さらに確認するということに全力を挙げてまいりたいと思っております。

大口委員 さらに、稲田委員からも御指摘がありましたけれども、国内外のブローカー等、こういう犯罪者集団といいますか、そういうところの組織的な偽装認知に基づく虚偽の国籍取得の動き、こういうのをいち早く察知していただかなければいけません。

 そういう点では、入国管理局や警察関係当局が連携して情報収集体制をしっかり構築し、そして、法と証拠に基づいて積極的に摘発をしていただきたい、こう思っておるわけです。

 そして、刑事事件で有罪になれば、これは職権で国籍の取得、戸籍等抹消されるわけでございますので、やはりそういう点でもしっかりやっていただきたい、こう思っておるわけです。

 この点について、法務省、警察庁からお話をお伺いしたいと思います。

西川政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の組織的な偽装認知あるいは偽装婚など、身分関係を偽装して我が国への入国、在留を画策する事案、これは在留資格制度の根幹を揺るがすということだけではなくて、我が国の社会秩序あるいは法秩序を乱すなど、極めて重大な問題であるというふうに認識をしております。

 これまでも、入国管理局におきましては、身分関係の偽装等に関与するブローカー等につきましては、共同で取り締まりのプロジェクトを実施するなど、警察等関係機関と連携して情報収集に努め、また厳格に対処してきたところでございますが、偽装事案の根を絶つためにはブローカーの根絶が不可欠でありますので、今後とも警察等関係機関との連携を密にし、ブローカー対策を進めてまいりたいというふうに考えております。

宮本政府参考人 警察におきましては、偽装認知、偽装結婚など、こうした犯罪、外国人が犯罪を繰り返して行うことを助長する基盤を提供する犯罪、このようにしてとらえまして、積極的な取り締まりを進めているところでございます。

 また、入国管理局と協力して、それぞれの調査、捜査を積極的に進めていくためのプロジェクト調整会議といったものを設置するなど、関係機関との連携を強化しているところでございます。

 今後、国籍法改正後におきましても、警察としては、偽装結婚、偽装認知事件の捜査に当たり、暴力団でありますとかブローカーでありますとか、こうした犯罪組織の介在の有無を含めまして、真相解明のために強力に捜査を進めるとともに、入国管理局、法務局等関係機関との連携をさらに密接にしてお互いに情報交換を進めるなど、厳正に対処してまいる所存であります。

大口委員 父子関係のDNA鑑定につきましては、詳しく稲田委員から質問がありまして答弁いただきましたので、これにつきましても今後の課題としたいと思いますが、外国籍の子だけについてこういう扱いをするということについてはやはり憲法上の疑義があるんではないかな、こう思います。

 次に、経過措置につきまして質問させていただきたいと思います。

 私どもは八月七日に前大臣に申し入れをして、遅くとも平成十五年当時に違憲状態が生じていたとする最高裁判決の趣旨を踏まえて、判決により日本国籍が認められた者と同様のものにできる限り広範に国籍取得が可能となるよう適切な経過措置を設けるとともに、その届け出期間についても、対象者の準備のために十分な期間を考慮するよう求めてまいりました。そのことが、今回の附則第二条以下で、私どもの要望が結構適切に反映されている、こういうふうに考えております。

 今回、法律上の婚姻関係にない父母の間に出生した子であって、出生後に日本人の父から認知された子で改正法の施行日の前日までに従前の届け出をしていた者については、当該届け出のとき改正法第三条一項の要件に該当していた場合、法施行後三年以内に届けることにより日本国籍を取得できるような経過措置が設けられたわけであります。

 そこで、従前の届け出件数につきまして、昭和六十年の一月一日から平成十四年十二月三十一日まで、それから平成十五年一月一日から平成二十年六月四日まで、そして平成二十年六月五日から現在までの件数についてお伺いしたいと思います。

倉吉政府参考人 ただいま御指摘の件数と申しますのは、国籍法第三条、現行法による国籍取得届で婚姻要件のみ欠いているとして不受理となった件数、こういう御趣旨であろうと思われます。

 昭和六十年一月一日から平成十四年十二月三十一日までの間で三件ございます。それから、平成十五年一月一日から平成二十年六月四日までの間が一件でございます。最高裁の判決が出た翌日、平成二十年六月五日から昨日までの間で把握しているこの従前の届け出とされている件数は百十二件でございます。

大口委員 そこで、この法律が、まだ改正前においても、特に最高裁の判決がおりた前においても、従前の届け出において、法務局の戸籍窓口に相談に行った段階で戸籍が取得できないと言われ断念したり、あるいは届け出に行ったが父母の婚姻要件を欠いていたため受け付け手続が行われなかった方もいらっしゃるわけであります。附則第二条の対象とはならないわけでありますが、これについてどうなのか、お伺いしたいと思います。

倉吉政府参考人 委員御指摘のありました附則第二条の対象とならない方、こういう方は、結局従前の届け出をしていなかった方ということと一緒になりますので、同じ扱いをすればいい。そういう人に対しては、平成十五年一月一日以後改正法施行日までの間に改正後の国籍法第三条第一項の適用があったとすれば、届け出による国籍取得が可能であったということになりますので、これを対象にしておりますのが附則第四条でございまして、この第四条により、改正法の施行の日から三年以内は届け出により日本国籍を取得することができるということになります。

大口委員 今回の改正では、平成十五年以降に従前の届け出をしていた者及び最高裁判決の翌日以降に従前の届け出をしていた者が経過措置により国籍を取得する場合、その効果が届け出のときにさかのぼるとされております。

 この遡及の理由、遡及のメリット、それから附則第五条の国籍を取得した者の子の国籍の取得の特例との関係についてお伺いします。

倉吉政府参考人 まず、最初の遡及の理由でございますが、このように遡及させることとしていますのは、最高裁判所の判決が、遅くとも平成十五年当時には現行法第三条第一項が違憲状態にあったといたしまして、その後に届け出をした者についてはその届け出時に日本国籍を取得したと判示したことによるものであります。この判決を受けて、違憲状態を解消するためには、平成十五年以降に届け出をした者については最高裁判決の訴訟当事者と同様に従前の届け出のときに日本国籍を取得するものとしないとバランスが悪い、そうする必要がある、こう考えたわけでございます。そこで、附則第二条第三項では、そのような者は従前の届け出のときにさかのぼって日本国籍を取得するといたしました。

 二番目に、遡及のメリットについてでございますが、近年では、日本に在留する外国人も日本国民と同様に社会保障を受けることができるようになっているなど、日本国籍の有無が問題となる場面というのは相対的には少なくなっております。ただ、影響が大きいという意味では、さかのぼって国籍を取得する者について、従前の届け出のとき以降に子供が生まれていたという場合には、自分が日本人になるという効果が遡及しますので、その子供が本則の国籍法第二条第一号によりまして出生のときから日本人となる、こういうことになります。この点が一番大きいと思います。

 附則の第五条というのがございまして、平成十五年一月一日より前に従前の届け出をしていた者はさかのぼって国籍を取得することはないわけでありますが、そういった者の子で従前の届け出の後に生まれたという者については、さかのぼって国籍を取得する者の子供との均衡上、新たに届け出による国籍取得の機会を与えるということにいたしました。

大口委員 今回の附則第四条で従前の届け出を行っていなかった者でも、平成十五年以降に改正後の国籍法第三条一項の要件に該当したものについては、改正法施行後三年以内に限り、法務大臣へ届けることにより日本の国籍を取得できるものとしているわけであります。

 どのような者がこの措置の対象となるのか、わかりやすく説明していただきたいと思います。

倉吉政府参考人 この附則四条の規定は若干細かく複雑になっておりますので、できるだけ砕いて説明をしたいと思います。

 この届け出をすることができるのは、具体的には、二十歳に達するまでに認知された者であって、平成十五年一月一日から改正法の施行までの間に二十歳に達してしまった者及び施行日の後三年以内に二十歳に達する者であります。ただし、認知をした方について、次の要件が必要になります。次のいずれの時点でも日本国民であるという条件が必要であるということでございまして、これが三つございます。

 第一に、子供が生まれたときにその認知をした方が日本人でなければいけません。第二に、これがちょっと細かくなるんですが、平成十五年一月一日または認知の日のいずれか遅い日から改正法施行日の前日までの間のいずれかの時点で日本人でなければいけません。それから第三に、届け出のときに日本人でなければいけない。この三つの要件が必要ということにしております。

大口委員 今聞いて、ぱっとわかった人は余りいないんじゃないかと思うんですね。こういう方が一番多いわけですので、届け出を従前にしていない方が。ですから、本当にこれはもうわかりやすく広報するということが非常に大事である、こういうふうに考えるわけですけれども、こういうものについてのいろいろパンフレットとか、本当にこの法改正に基づいて届け出をしたい、こういう方に対してやはり周知徹底をしていただかなきゃいけないな、こう思うわけでございます。

 それで、この改正法の施行に当たって、国籍取得の届け出は、外国在住の方もいらっしゃるわけですね、こういう方についてはやはり領事館を経由してできるということが一つ。それから、偽装認知には公正証書原本不実記載罪、それから今回新設された罰則規定に該当して重い罰則があること。それから、国籍によっては、届け出により日本国籍を取得したことで従前の国籍が自動的に失われる場合もあることなど、必要な情報の周知、広報について努めなければならない、こういうふうに考えております。

 先ほどの附則第四条の説明も含めて、また、本当に同時に従前の国籍が自動的に失われるような場合も国籍によってはあるわけであります。そういうことをどう国の内外に周知徹底させるかということが、本当に大事でございます。本当に外務省とも連携していただかなきゃいけませんし、あるいは総務省や、特に市区町村の窓口とも連携していただかなきゃいけません。

 そういうことで、この周知徹底ということについて、法務省の今後の取り組みについて、具体的にいろいろお話ししていただきたいと思います。

倉吉政府参考人 ただいま御指摘のとおり、今回の法案の内容について広く周知しなければならないと思っております。

 その中身については、ただいま委員の御指摘がございました、領事館経由でできるとか、それから偽装認知をしたら罰則があるぞとか、それから届け出による日本国籍を取得したことで従前の国籍が自動的に失われることもありますとか、そういったことを内容に含めることを予定しております。

 具体的な方法でございますが、各法務局、地方法務局、それから地方自治体にポスターやリーフレットを配付する、あるいは法務省のホームページに掲載する、政府広報を利用する、もちろん在外公館にもこれをあまねく配るようにするといったことを考えております。

大口委員 特に、重い罰則等があるということにつきましては、これは偽装認知防止のためにもなります。本当にこういうことをやっても割に合わないんだということを、どう知らせていくかということが非常に大事だと思うんですね。今簡単に答弁されましたけれども、そのことについてもう一度御答弁願いたいと思います。

倉吉政府参考人 今御指摘のとおりでして、客観的な要件としては、婚姻という要件が要らなくなった、国籍取得の届け出によって取得する道がちょっと広がったということがあるわけですけれども、もちろんそれだけではございません。偽装認知ということが一番困るわけですから、そういうことをすればこういう罰則がありますよ、先ほど来私の方で説明しております、三つの行為があって、三つの犯罪の併合罪になりますよみたいなことを、それもあわせて正確に広報、周知してまいりたいと思っております。

大口委員 最後の質問なんですが、日本人の父が外国人の母との間で出生した子を認知する場合に、認知の要件を満たすことを証する書面の提出が求められるわけですね。特に外国人の母の本国が、例えば独身証明ですとか、あるいは身分関係の証明書とかの公的な証明を発行しない場合があるわけです。こういう場合、法務局が市町村の戸籍窓口と連携して認知の要件の有無の判断を適切に行うということも、これは大事なことでございます。この点について、具体的に今どのようにされているのか。

 それから、やはりこの件についてはいろいろ市区町村の窓口からも問い合わせがあると思うのですね。そういうことについてどう対応しているのか、お伺いしたいと思います。

倉吉政府参考人 認知の対象になるわけですから、もちろんその子供が嫡出でない子でなければならないということになります。このためには、母親が外国人だということであれば、母親の本国の官権が発行した独身証明書といった書類を出していただく、こういうことになります。

 今御指摘のように、この独身証明書の発行制度がないとか、こうした証明書を入手することができないということについてやむを得ない事情があるという場合もあるわけでございます。そういう場合には、その独身証明書をとれない理由や子が嫡出でない旨といったことを明らかにした申述書を出していただきまして、そして、この認知届の受否を総合的に判断しているところでございます。

 それで、市町村の窓口でこれはどうなのかなと迷うことがあります。迷うときは、管轄法務局に指示を求めることができるとされておりまして、ただいまの御指摘も踏まえまして、法務局と市町村との連携を密にすることによって認知要件の審査を適正に行ってまいりたいと思っております。

大口委員 持ち時間が終了しましたので、以上で終わりといたします。ありがとうございました。

山本委員長 次に、細川律夫君。

細川委員 民主党の細川でございます。

 国籍というものは、個人と国家を結びつけるという大変重要な法的ないわばきずなになっている、こういうふうに言われております。国際法上は、まず外交的な保護の前提でもありますし、刑事の管轄権なども国籍が前提となります。また、国内法上も、出入国の場合、日本人と外国人では当然に権利義務が違いますし、また参政権あるいは公務につく公務就任権などの権利も当然異なってまいります。

 つまり国籍法は、国際法、国内法上、その人の権利利益に大変重大な影響がございます。国籍法の規定は、個々の個人にとって権利利益に直結する大変重要な、大切なものであります。

 そこで、もう既に聞かれたところもありますけれども、まずは大臣にお尋ねをいたしますけれども、今回の改正案の提案をした理由、その経過を説明してください。

森国務大臣 ちょっと今までの御答弁と重複いたしますけれども、本年六月四日、日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し、後に父から認知された子について、父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した場合に限り、届け出による日本国籍の取得を認めている国籍法第三条の規定が違憲であるとの最高裁判所大法廷判決が言い渡されました。

 そこで、国籍法を所管する法務省では、我が国の三権の一つであります最高裁判所判決を受けて、国籍法第三条第一項が憲法に適合するものとなるよう、もとより補足意見についても十分な検討を加えた上で、最高裁判所判決の趣旨を踏まえた改正法案を立案いたしまして、速やかな法改正を行うべくこれを国会へ提出したものでございます。

細川委員 私としましても、今回の最高裁判決で過半数の裁判官が違憲としたこの判断は妥当なものだと考えておりますし、我が国が父母の両系の血統主義ということを採用している、このことの当然の帰結であるというふうに考えているところでございます。

 しかし、最高裁の判決の中では少数の反対意見がありまして、やはり婚姻を条件とする国籍の付与というのは十分合理性がある、こういうことで、この意見を支持するというような意見もあるようであります。

 そこで、今回の最高裁判決についてどう考えるか、もちろんそれは、先ほど答弁されましたように、行政府の責任者として、三権の一つである最高裁判所の判決、その判断を尊重する、こういう立場は十分わかるわけでありますけれども、しかし、国籍とは一体何かといった、そういう踏み込んだ大臣のお考えを少しお聞きしたいというふうに思います。

 そういう意味で、最高裁の判決というのは大臣自身はどういうふうにお考えなのか、お聞きをしたいと思います。

森国務大臣 私は、我が国は、出生による日本国籍の取得については血統主義を原則としつつ、補充的に生地主義を採用しているところでございまして、これは我が国の伝統や意識に基づくものであって、現時点でも基本的に維持されるべきであると考えております。

細川委員 日本人の子が日本の国籍を取得するということは、これは私も当然だというふうに考えております。

 そこで、この法案について、いろいろ反対の人たちもおられるようであります。その中で一番心配をされておるのが、これまでの質問にも出てきましたように、偽装の認知が多数出てくるのではないかという点でございます。あるいは、罰則が非常に甘いのではないか。私もこの点については、大いに心配をしているわけでございます。

 そこで、いろいろな罰則の適用について、重複になるかもわかりませんけれども、まずお聞きをいたします。

 認知あるいは国籍取得の届け出にはいろいろ段階がありまして、先ほど法務省の方からの答弁では、三段階になる、こういうことでございます。そこで、まず認知をする人が市町村役場に届けます。この役場に届けたときのものが虚偽の場合、これについての罰則をまず聞きます。

倉吉政府参考人 まず、第一の段階の市町村役場に虚偽の認知届けをした場合でございますが、この場合は、刑法百五十七条の公正証書原本不実記載罪が成立いたしまして、五年以下の懲役または五十万円以下の罰金が科されるということになります。

細川委員 次に、そうしますと、認知をします、その後、法務大臣に届け出をする、こういうことになりますが、法務局に国籍取得届を今度は母親か十五歳以上の子供が出すわけですけれども、そのときに虚偽の場合はどうですか。

倉吉政府参考人 法務局に虚偽の国籍取得届けをした場合、これは国籍法に基づくものですが、改正後の国籍法第二十条により、一年以下の懲役または二十万円以下の罰金が科されることになります。

細川委員 次に、今度は、母あるいはその子供が国籍を取得したということで市町村役場に国籍取得の届けを出して、そこでその子供の戸籍がつくられるわけですけれども、この場合はどういうふうになりますか。

倉吉政府参考人 市町村役場に戸籍法百二条に関する虚偽の国籍取得届けをした場合、最初と同じでございます。刑法百五十七条により公正証書原本不実記載罪が成立し、五年以下の懲役または五十万円以下の罰金が科されます。

細川委員 これまでは一人一人についての犯罪を聞いてまいりましたけれども、それでは、父親、母親、相談をして提出した場合はどうなりますか。

倉吉政府参考人 認知者である父親と、それから法務局に国籍取得届けをすることとなる母または子供が共謀して虚偽の届け出をした場合というお尋ねでございますが、もちろん共犯となり得るということから、併合罪としてそれぞれの刑罰が科されるということになると思います。(細川委員「幾つもじゃなくて、相談して」と呼ぶ)その場合には共犯となります。共謀共同正犯の場合が多いのではないかと思います。

細川委員 それでは、暴力団などが仲介をして、そして虚偽の届け出をさせる場合、その暴力団に対する処罰はどうなりますか。

倉吉政府参考人 ただいまと同様に、共謀共同正犯になる場合が多いのではないかと思います。

細川委員 そうしますと、三つの段階でそれぞれ同じ者が虚偽の届け出に加わった場合、本人の場合もあるでしょうし、他人が関与した場合もあるでしょうし、共謀の場合、それから先ほどの暴力団などがこれに加わって仲介などをした場合はどうなりますか。

倉吉政府参考人 一つ一つの犯罪について、それぞれ共犯として成立することになります。それは、二つないし三つやったということになれば、それぞれについて併合罪としてその刑罰が併科されるということになろうかと思います。

細川委員 併科されますと、最高刑はどうなりますか。

倉吉政府参考人 懲役刑については、一番長いものの一・五倍というのが上限という規定がございますので、三つ全部いけば七年六月。そして、罰金刑については、併科されるということになりますので、五十万足す二十万足す五十万で百二十万、こういうことになろうかと思います。

細川委員 そうしますと、虚偽の届け出をした場合にはそういうように処罰される、こういう答弁でございます。

 最高刑では併合の場合は七年六月、こういうことになるわけなんですけれども、これで抑止力といいますか、虚偽の届け出を抑止することが十分だというふうにお考えでしょうか。

倉吉政府参考人 刑罰法規による抑止力としては、これで十分であろうと思います。もちろん、一般的抑止ということを考えれば、こういうことが処罰の対象になるということは広く広報、周知に努めるということが必要であろうと考えております。

細川委員 大臣にちょっとお聞きしますが、今民事局長の方から刑罰についての法定刑などの説明をいただきました。しかし、一般には刑罰が軽い、こういうことで、偽装認知が行われるのではないかということで非常に心配をしておる方たちがたくさんおられます。大臣としては、このような刑罰で大丈夫だというふうにお考えでしょうか。

森国務大臣 私も、今までの御質疑を通じまして、もとより偽装認知の防止ということは法務省にとっても極めて大きな課題であるというふうに認識を共有しております。

 刑罰が軽いか重いかについては、ちょっと私からコメントするようなことでなくて、大丈夫だというふうに申し上げるほかないわけでございますけれども、今民事局長から御答弁しましたように、やはりそういう刑罰があるということをわかりやすく広く広報することも極めて重要でありますので、その点についても十分に督励をしてまいりたいと存じます。

細川委員 今、これまで聞いてまいりましたのは、偽装の認知が行われた場合の刑罰法規について尋ねてまいりました。しかし、刑罰で処罰をするということももちろん必要ではありますけれども、しかし、そういう偽装の認知を防止するためには、法務省あるいは市町村に届け出がなされるときに、そういう偽装の届け出がないようにしっかりした対応をしなければいけないというふうに思います。

 そのことをどういうふうにやっていくのか、これが偽装の届け出を防止するために非常に大事だというふうに考えておりまして、その点、どういうふうな方法で偽装の認知届あるいは国籍取得届などの防止をすることが考えられているか、詳しく御説明をお願いします。

倉吉政府参考人 国籍取得届を受理する立場になります法務局におきましては、まず、これは当然のことでありますが、届け出人もしくは関係者から子の出生に至る事情等を聴取いたしまして、その子供が認知したとされている男性の子であるかどうかということを確認するとともに、必要があれば、届け出人もしくは関係者等のお宅にも足を運んで、赴いて、事情を聴取するということをしようと思っております。

 それからまた、父親が届け出人になっていない場合でありましても、父親に対して、法務局における調査について協力を求めるということを強く進めていきたいと思っております。

 あわせて、認知の事実の有無について疑義が生じた場合には、関係機関と連絡を密にいたします。これはちょっとおかしいな、もうちょっと調べてもらった方がいいというときには、警察に情報を提供するということをいたします。さらにおかしいということになれば、届け書きまたはその添付書類及び届け出人等の供述についてさらなる確認を行う。

 この間においては、入管当局それから警察当局との連携も密にしてやってまいりたいと思いますし、あらかじめ、事前にさまざまなおかしい動きがあるというような、あるいは先ほど来指摘のあります組織的な犯罪の動きがあるかというようなことについては、もちろん、それぞれの関係当局からも情報をいただきながら、こちらも怪しい戸籍の関係があるんだというのはすぐ情報を提供する、こういう体制を整えていきたいと思っております。

細川委員 これまで、刑事的な処罰の関係、刑法の関係で偽装認知を防止するということ、それから届け出のときにいろいろな工夫をしながら偽装認知はさせない、こういう御説明がありました。刑事、民事、その両面でしっかり偽装認知がなされないようにやっていかなければならないと私も思いますし、そのことはしっかりお願いをしたいと思います。

 ただ、それでも法の網をくぐるというか、悪いやからが偽装認知をする、こういうようなことが現実問題として起こってくるというようなことがあれば、これはまたそこで厳しくそのときに対処していかなければいけないと私は思うんですけれども、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

倉吉政府参考人 ただいまの御指摘は、今のような方法をとってもさらに具体的な犯罪が起こって、その抑止的効果がないと認められる場合ということをおっしゃっているんだと思います。

 私どもは、万全の体制を整えて、今回の改正のために法務局が全力を挙げてこれに当たろうとしておりますので、そのような事態は起こらないという強い決意で臨んでいるところでございます。

細川委員 それでは、大臣、その点はどのようにお考えでしょうか。

森国務大臣 私も、今のさまざまな方策を通じて、偽装認知という問題が起こらないように最大限の努力をさせるように督励をいたします。

細川委員 本当にこの改正案についてはさまざまな観点から議論がなされておりまして、とりわけ偽装認知については非常に心配もあります。ぜひ大臣が先頭に立って、決して偽装認知がされないように督励をしていただいて、この国籍法の改正案の趣旨が全うされるようにお願いをしたいというふうに思いますから、よろしくお願いをいたします。

 そこで、ちょっと改正案とは離れますけれども、国籍の一般についてお伺いをいたします。

 国籍を決めるには、国際人権法上の制約はありますけれども、それぞれの国の権限、こういうことになっております。国籍の定め方には、これまでにもいろいろ議論にありましたように、血統主義あるいは生地主義というのがありまして、我が国は血統主義をとっております。ただ、アメリカあるいはカナダ、ブラジルなどは生地主義をとっております。元来、移民を多く受け入れるような国は多民族国家でありますので生地主義が一般に多い、我が国のように移民による混血が少ないところは血統主義が多いというふうにされております。

 そこで、国際化が急速に進みまして、国境の垣根がますます低くなってきているのが現在でありまして、純粋な血統主義だけで本当にいいのかどうかということも、これもまた議論をしていかなければならない問題ではないかというふうに思います。

 例えばイギリスでは、親が永住許可を得ていれば生まれた子供は国籍を取得できる、こういうことになっております。例えば、日本で生まれ日本で育った外国人の夫婦の子供が、ずっと日本で暮らしたい、こういうような場合には、帰化以外にも国籍を取得できるような枠組みがあってもいいのではないかというようなことも議論されているところでございます。今すぐどうのこうのということではないのですけれども、この辺も今後議論をすべきではないかというふうに私は考えるんですけれども、大臣はどのようにこの点についてはお考えでしょうか。

森国務大臣 今細川委員から、帰化以外の届け出のそういった枠組みがあってもいいのじゃないかという御指摘があったわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、血統主義を原則として補充的に生地主義を採用しているという現状でございまして、これは我が国の伝統や意識に基づくもので、現時点でも基本的に維持されるべきものと考えておりますが、もっとも、出生後に日本国籍を取得する方法として、届け出と帰化によるものが設けられております。

 このうち、届け出による国籍取得は、ある者が我が国と特別な関係にある場合に、法務大臣への意思表示のみによって簡易に日本国籍を取得することを認めようとするものでございます。一方、帰化については、法務大臣の許可により国籍を与える制度で、血統主義と直接的な関係はございません。

 委員の御質問は、例えば日本国民の配偶者や日本国民の子など、我が国と特別な血縁または地縁関係を有する外国人については、純粋な血統主義によることなく、帰化以外の方法で国籍を取得できる余地はないかという御趣旨ではないかと思いますが、これらの方々については、一般的な外国人に必要とされる国籍法第五条の最低限の条件を一部緩和または免除した簡易帰化によって国籍を取得することができることとなっております。

 したがって、そのような方について、特にこれ以上の、帰化以外の届け出の枠組みが必要とは現状では考えておりません。

細川委員 こういう問題はやはり、今直ちにというようなことではないんですけれども、私は検討していくべき問題ではないかというふうに思っております。

 そこで、さらにお聞きをしますが、一方では、国籍法十二条というところに国籍留保制度が規定をされております。それによりますと、出生によって日本の国籍を持ちながら外国でも国籍を取得したそういう日本の子供、こういうのは三カ月以内に、日本国籍を留保する、こういう届け出をしない限り、出生時にさかのぼって日本国籍を失う、こういうことに国籍法十二条ではなっております。そうすると、この十二条は生地主義的な扱いをしているというふうにも言えるわけでございます。

 そこで御質問いたしますけれども、今回の法改正では、生後認知であっても国籍を取得できるということにしたのに対して、一方で、三カ月以内に留保しないと日本国籍を失う、こういうのは私はちょっとアンバランスではないか、バランスを欠くのではないかというふうに思います。

 この点、血統主義を貫くということならば、とりあえず届け出なんかはしなくても留保の状態にするような配慮もやはり考えなければいけないと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。

森国務大臣 ただいまの御指摘でございますけれども、御承知のとおり、今もお話がありましたが、国籍法第十二条の規定により日本の国籍を失った者で二十未満のものは、日本に住所を有するときは、国籍法第十七条第一項の規定により、法務大臣に届け出ることによって、日本の国籍を取得することができます。

 つまり、日本に住所を有するときということが要件になっておりますけれども、この国籍法第十七条第一項による国籍の再取得の制度は、留保の届け出をしなかったことにより日本国籍を喪失した子が、未成年のうちに我が国に住所を定め、我が国との結合関係があることが明らかとなった場合には、簡易に国籍を再取得できるものとすることが合理的であるとの趣旨で設けられたものであります。

 これに対して、今回の国籍法第三条による国籍取得の制度は、出生後に日本国民である父親から認知されたことによって初めて日本国民との親子関係が生じた子について、親子関係の発生によって我が国との結合関係があることが明らかとなったとして、日本国籍の取得を欲する場合には、届け出による国籍取得を認めるというものでございます。

 したがって、私も、委員のおっしゃる、若干そこのところの整合性が欠けるんじゃないかということは、正直申し上げて認識を共有するところもあるわけでございますけれども、しかしながら、今回の法案は、国籍留保制度を前提とした国籍法第十七条第一項による国籍再取得とは制度趣旨が異なっているものですので、国籍法第十二条の国籍留保制度と比べてそごが生じているということではないというふうに受けとめております。

細川委員 この点はぜひ検討もしていただきたいと思います。

 時間が来ましたので、私の質問はこれで終わりたいと思いますけれども、今回の国籍法の改正におきましては、先ほども申し上げましたように、偽装認知などが絶対に起こらないように、ぜひ大臣が強力に御指導いただいて、この法律の改正の趣旨が全うできるように、ぜひよろしくお願い申し上げて、私の質問は終わります。

山本委員長 次に、古本伸一郎君。

古本委員 おはようございます。民主党の古本伸一郎でございます。

 違憲判決を受けての法改正ということで、大変重たい事案でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 子たちの笑顔というものは、それに偽りは私はないと思います。そのいたいけな子たちの姿に偽りはないと思う中で、真正なる血統があるにもかかわらず日本国籍を取得できないという子たちがいるならば、これは救わなければなりません。他方、こうした子たちがいる一方で、私たち立法府としては、その他大勢の日本国民もいらっしゃるわけで、その方々の利益も守らなければなりません。その意味で、違憲判決を受けての法改正でありますので、是非は論をまたない部分はあるわけでありますが、幾つか懸念する点を確認してまいりたいと思います。

 まず、何が違憲であったのかということでありますが、準正要件による国籍取得自体は否定はされていない。つまり、準正か非準正であるかという国籍を取得する要件そのものがよろしくなかったわけであって、準正によって国籍を取得した子までが否定されているわけではない、これは正しいでしょうか。

倉吉政府参考人 御指摘のとおりでございます。

古本委員 そうであれば、婚姻を求めたという準正要件そのものが問題であって、つまりは、要件緩和というやり方で対応する余地はなかったのか。いかがでしょうか。

倉吉政府参考人 このもとの国籍法三条が立法された当時のことをお尋ねだと思いますが、その当時におきましては、日本国との結びつきをどういうふうにして考えるのが合理的かという発想で規定が定められておりまして、父親と母親が婚姻しているときは、父親が日本人であるときはその子供は日本国との結びつきが強くなるだろう、それでそういう要件を課したということでございまして、今回の最高裁判決におきまして、この規定が今日では違憲となった。もっと正確に言いますと、この原告らが申し立てをした当時においては違憲状態に遅くともあったと言ってはおりますけれども、少なくともこの制定当時、昭和五十九年当時におきましてはこの規定は違憲ではないという判断がされているところでございます。

古本委員 つまり、同じく血統主義をとってきた英国でも、登録をしたり養子縁組をしたりとか、幾つかの条件を付与するという運用もあったわけですね。日本は、父系血統主義でありましたのを、昭和五十九年に父母系の血統主義に変えたわけであります。この血統主義である限りは、分娩の事実がない、男にはありませんが女性は分娩の事実がありますので、母親の子がすなわち国籍を取るということはいいと思うんですが、その子が国籍が取れるということは何の異論もありませんが、父が真正なる血統をその子との間に有しているかについては、これは実は婚姻を前提としたこれまでの国籍付与を変えてくるわけでありますので、血統の真贋、つまり血統が真実か否かについては、これまで以上に確認をする必要性が出てきているんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

倉吉政府参考人 確かに、これまで置いておりました婚姻という要件、嫡出子だという要件を外すわけでございますので、その意味では理論的にもその必要性が多くなる、実際的にも偽装認知を防ぐためにその必要性は高い、こういうことになろうかと思います。

古本委員 科学的な調査による補完ですとか、いろいろな御議論がありますが、例えば出生場所という観点もあると思うんですね。実は最高裁も、事案の概要説明の冒頭でこう述べておられます。「日本国民である父とフィリピン共和国籍を有する母との間に本邦において出生した上告人らが」と切り出しているんですね。

 つまり、日本で生まれたという事実は少なからず最高裁は意識したと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

倉吉政府参考人 最高裁の判決におきましては、基本的にどういう事実関係なのかというのを指摘するのは最小限必要なことであります。これは、判例の射程距離であるとか、いろいろな場合に問題となります。こういう事実関係の事件についてこういう判断をしたのだということをきちっと説明しなければいけませんので、その前提として事実関係が挙げられている。

 理論的な結論において住所があるということは、意識はされたということは正しいかもしれませんが、それが必須だと言っているわけではない、このように考えております。

古本委員 意識はしたということを今、多分是認されたというふうに受けとめましたが、実は、国際情勢の変化というのを随分最高裁は酌み取ったというふうに受けとめているんです。

 国際情勢の中で、児童の権利に関する条約七条、これは、児童は、出生のときから氏名を有する権利、国籍を取得する権利を有する、できる限り父母によって養育される権利を有すると書いているんですね。つまり、できればお父さん、お母さんと一緒に過ごした方がいいということを書いてあるわけですよ。

 加えまして、児童の権利委員会の最終意見、二〇〇四年、これは日本に対して求められたわけでありますが、委員会は、締約国に対し、日本で生まれた児童が無国籍にならぬよう、条約七条と適合させるべく国籍法、他を改正することを勧告する、こう来ているんですね。

 ですから、どこで生まれたかという要素は法務省としても意識すべきであると思うんですが、いかがでしょうか。最高裁じゃないです、法務省としてどうですか。

倉吉政府参考人 まず、先ほどの答弁で、申しわけありませんが、最高裁の判決が意識したということを申し上げました。しかし、最高裁の判決について法務当局がこういうコメントをするというのはまことに出過ぎたことでありましたので、お許しをいただいて、撤回させていただきたいと思います。

 その上で、今の点でございますが、法務省として政策としてどうかという問いでございまして、その点についてはさまざまな考え方があり得るところだろうと思いますが、今回は、最高裁で違憲と言われたということ、それから、そのほかの住所要件であるとか日本で生まれたという要件をつけることがどうかということは、補足意見を通じて賛成と反対の意見が争われている。こういう中で、最高裁の判決は、とにかくこのような嫡出子と非嫡出子の間で差異を設けることは差別に当たるんだという判断をしているということから照らして、少なくとも住所要件というものを今回の法案においてつけるということは相当ではないと考えた次第であります。

古本委員 では、何が違憲であったかについてもう二、三お尋ねしたいんですが、最高裁は、判決文の抜粋ですが、「四 国籍法三条一項による国籍取得の区別の憲法適合性について」というくだりで、「日本国籍は、我が国の構成員としての資格であるとともに、我が国において基本的人権の保障、公的資格の付与、公的給付等を受ける上で意味を持つ重要な法的地位でもある。」こう述べておられるんですね。

 それぞれについて確認をしたいんですが、まず、憲法十四条にそもそも違反をしているということでありますので、法のもとの平等という概念でいけば、外国人にも基本的な人権は対応されている、こういう立場に立つのが憲法解釈の通説だというふうに理解をいたしております。昭和三十九年に、世界人権宣言によれば憲法十四条の趣旨は外国人に対しても類推される、こういう判決も出ておりますので、そう理解をしたいと思います。その立場に立ちますと、恐らくこの基本的人権については既に保護されているんだろう。これは類推をいたします。

 もう一つでありますが、公的給付金なんですね。これは報道等で大変御懸念の声も出ておるようでありますが、きょうは厚生労働省も来ていただいています。例えば卑近なところで生活保護、あるいは労災保険、あるいは失業保険、さらには年金、さまざまな公的給付があるわけですが、日本人と外国人だからといって何らの差異があるんでしょうか。差別があるんでしょうか。

坂本政府参考人 御指摘のありました各種の社会保障サービスにつきましては、制度によりまして違いはあるものの、総じて、適法に在留しており活動に制限を受けない外国人については、日本人と実質的に異なる取り扱いはいたしておりません。

古本委員 例えば生活保護なんかですと、偽装の認知によって日本国籍を取得し、生活保護をある意味かすめ取るといったような御懸念もあるんですが、そんなことというのはできるんですか。

坂本政府参考人 生活保護につきましては、日本国民を対象にいたしておりますが、適法に国内に居住している実態がある者につきましては、それに準じた取り扱いとして対応しておるところでございます。

古本委員 つまり、このたびの法改正によって新たに国籍を取得した子が、例えば本件の事案でいけばフィリピン人から日本人になったということによって、従前と従後によって生活保護に差異はない、これでいいでしょうか。

坂本政府参考人 日本国籍を取得いたしますと、生活保護法の適用を受けるという形では……(古本委員「金額に差はないんですか」と呼ぶ)それは原則として差はないと考えております。

古本委員 大臣、つまり、公的給付についてはまず差はないようなんですね。

 もう一つ、子たちの将来の就職や、あるいは参政権といった社会への参加という概念も大事なんですが、まずは食べることですよ。まずはこの日本で暮らしていく。今マニラにいらっしゃるのかどうかわかりませんが、生きていくことの方が大事ですよ。

 それから、教育ですね。きょうは文科省も来てもらっています。外国人だと教育が今受けられないんでしょうか。それとも、国籍を取得することによって何か特別な義務教育が受けられるようになるんでしょうか。

前川政府参考人 外国人につきましては、外国人がその子供を公立義務教育諸学校へ就学させることを希望する場合には、国際人権規約等を踏まえまして、日本人の子供と同様に無償での受け入れを行っているところでございます。

古本委員 つまり、教育も受けられるんですよ。ただ、就学通知ということで、一年生に上がるときに学校へ行きなさいよという案内が親御さんに行くか行かないかなんですけれども、これもよくよく聞けば、希望者への教育の機会提供ということで、案内はきちっとしているそうです。

 ということで、公的給付、援助という意味では、法改正に伴って特別に何か便益が提供されるという御懸念については当たらないという整理をまずしておきたいと思うんです。

 実は、最高裁の言った中で最後のこれが問題なんです。公的資格の付与なんです。まさにフィリピンのこのたびの原告の少女は、いたいけにも将来警察官になりたいと言っているんですね。つまりは、実は、日本人の父の真正なる血統を受け継いだ子が日本人になってくれて、日本の警察官になって警察行政に関与したいと。もしそうであれば、これはあっぱれですよ。ところが、実は日本人じゃない人が成り済まして日本人になって、警察官になって、その人に逮捕された日には目も当てられませんね。

 つまり、公的資格の付与というのは、最高裁が指摘した基本的人権の保障並びに公的給付を受ける上で重要な意味を持つという中で、実はこの公的資格というのが私は一番大事な話じゃなかろうかと思う。

 その意味において、やはり何をもって差別というのかという議論に立ち返りながら少し整理しなければいけないのは、DNAの鑑定等々先ほど来先輩方から出ておりましたが、日本人同士の認知においてはDNA鑑定を求めていないのに、相手が外国人になった途端になぜ求められるんだ、それこそ差別だ、これもごもっともなんですが、よくよく考えますと、民法上の父子関係を設定する認知、つまりは、いわゆる嫡出でない子の認知の仕組みは国籍発生が伴う話ではないんですよ。他方、本件は認知に伴って国籍が得られるんです。この事柄において似て非なる認知だと思うんですが、いかがでしょうか。

倉吉政府参考人 実は認知というのは、親子関係を、おまえがおれの子供だということをする意思表示、それを届け出ですることであります。日本の法制では、それによって父子関係が発生するとしているだけでありまして、それと今回の国籍取得届について、別の認知をするわけではありません。同じ認知。認知がまずあって、それについて、両親が結婚をしていなくても、認知をしていれば、日本人の血統の子なんだから、届け出によって国籍取得を認めることにしようというのが最高裁の判断でございまして、似て非なる認知という言い方はちょっとずれている、失礼ですが、ちょっとそんな感じがいたしますが。

古本委員 では局長、言いかえますと、先ほど来DNAの鑑定の話も出ておったように記憶しますが、これをやる気はありますか。

倉吉政府参考人 DNAの鑑定については、先ほど来御答弁申し上げているとおりでありまして、さまざまな問題があるので、これを採用するのは適当ではないと考えております。

 もう一度繰り返しましょうか、その中身を。(古本委員「理由は」と呼ぶ)

 理由は、まず、このDNA鑑定を持ち込むということは、基本的に認知という届け出行為だけで父子関係を設定させようとしている民法の親子関係の全体の法体系に影響を及ぼす。DNAであれば今まで親子だと言われていた人を簡単にひっくり返せるんだ、こういう風潮になっては困るというのが一つございます。

 それから、あとは具体的な問題でございますけれども、DNAでやるということになりましても、これは認知届を受け付ける市区町村とか、それから国籍取得届を受け付ける法務局がやることでございます。そうすると、DNAと簡単に申しますけれども、それは、検体が間違いなく父と子とされている人からとられているのか、そういうことが判断はできない、その他さまざまな事柄でございます。

古本委員 今重要なことを言っていただきましたね。現在認知されている父子関係をひっくり返すことになるかもしれないということだったんですが、今、我が国における認知は、認知の際にDNAなんて求めていませんよ。届け出ればいいわけですね。つまり、それは何かというと、例えば前夫の子というのですか、連れ子という言い方が正しいかどうかは、済みません、不適切なら訂正しますが、その子を好意的に認知してきたという歴史的背景もあるわけでしょう。

 そういったことについては、実は実子でないにもかかわらず、その子は新しいお父さんにある意味認知してもらうことによって経済的な背景も強化される等々の中で、実は日本の父子関係においてのこの認知は、極めてその部分については好意的な認知があるということで、好意的な認知に関しては、いわば偽装認知があってもそれは寛容してきたという背景があるんじゃないのですか。そのことを指摘しているんですよ。局長もわかっているでしょう。

 そういった認知と、今回の認知は国籍という大いなるおまけがついてくるんです。これはおまけじゃない、本質ですね。領土であり、国民というのは、我が国にとっての骨格です。その国籍というものが、このたびの認知により付随してくるんですね。だからこの認知は違うんじゃないですかと言っているんですよ。それをずれているとは、あなた、失敬だ。

倉吉政府参考人 ただいま聞いておりまして、御趣旨がよくわかりました。先ほどの発言は撤回させていただきたいと思いますが、要するに、まず虚偽の認知であるという前提に立って、これまでともすればやられがちであった、養子縁組に近いような、ただ自分の子供にしたいということで、本当は自分の子供じゃないんだけれども、わかっていて認知をする、それを周りの家族も容認して一緒に育てる、そういうことと、違法に国籍を取ってやろう、親子関係がないんだけれども国籍を取ってやろうという意図で虚偽の認知を仮装する、これはもちろん動機が全然違いますので、違うということは御指摘のとおりでございます。

古本委員 つまりは、こうした認知の違いというのは、今民事局長をして御理解をいただけたのは大変光栄に存じますけれども、やはり本件の本質だと思うんですね。ですから、今後の運用で、さまざまな真贋の確認についてはぜひ遺漏なきを図っていただくということを強く念を押しておきたいと思いますが、あわせて、きょうは内閣府の増原副大臣もいらっしゃっておりまして、ぜひお尋ねしたい事柄がございます。

 実は、本件の議論は、大臣が冒頭趣旨説明をしていただいた文章の最初の一行目に、国籍行政という言葉でおっしゃっておられるんですね。つまり、国籍行政とは何かという話なんです。これは、この範囲を新たに広げることになるのか。今潜在的に権利を留保していた人の権利が行使できるだけであって、範囲が広がる話なのかどうなのか、このことについて少し議論してみたいと思うんです。

 まず、今回の法改正によって範囲は広がるんでしょうか、民事局長。

倉吉政府参考人 現実に国籍行政の対象、射程範囲になっている人がふえるのかという意味だとすれば、多くの方は、このような、父親に認知をされたというだけ、両親が結婚していないという人は、若干時間がかかります、それなりの審査をいたしますので時間がかかりますが、これまで簡易帰化によって日本国籍を取得する道を選んでいたのではないかな、これはただ推測でございますが、と思われます。

 そのように、多くの人がそうだったとすれば、そういう人たちが、今度は簡易帰化の申請をするまでもなく、届け出で国籍を取得することができることになるだけなので、それほど変わらないのかなという気はいたします。

 ただ、今回の改正によりまして、外国で生活している方が在外公館に対して届け出だけでできるということになります。日本の簡易帰化の要件というのは、少なくとも日本に何年か住んでいるか、住所要件だったかが必要ですので、そこは変わる、その意味ではふえるということになると思います。

古本委員 恐らくふえるんですね。だから、範囲は広がったというふうに私は受けとめます。

 他方、きょう与党の先生もにわかに動きが、いろいろとやっておられるようでありますが、実はこれは法制審にも諮っていないんですね。例えば、御党の中でも移民政策を唱える大家もおられるというふうに伺っておりまして、いや、日本は血統主義ですけれども生地主義に切りかえるんだ、来るもの拒まず、ただでさえ少子化なんだから、手を打っていくという意味では、この際日本人になっていただけるなんてありがたいことだという発想に転換したんだというならまだわかりやすいですよ。

 つまり、議論の中で、国籍行政とおっしゃるからには、移民政策についての議論があったのかどうか。少子化対策という観点から、いかがでしょうか。

増原副大臣 ただいま御指摘の点でありますが、平成十六年に閣議決定いたしております少子化社会対策大綱、これにつきましては、特に移民政策といったようなものは入れておりませんで、四点言っておりますが、若者の自立とたくましい子育て、あるいは仕事と家庭の両立支援と働き方の問題とか入れておりまして、いわゆる移民政策については入れておりません。

古本委員 つまり、国籍行政といいながら、実は生地主義か血統主義かというのは、これは根幹の話なんですね。最高裁に言われたから慌ててやったという感が否めないんですよ。

 ですから、きょう論点惹起がまだし切れないのが山とありますけれども、その意味では、本当にこの後、終局、採決ということはまことにもって何ともしがたいものを感じますけれども、もう一点、ぜひ聞いておきたいんですよ。

 そういった上で、どこで生まれたかというのに加えまして、一緒に住んでいるかどうかというのは物すごく大事だと思うんですね。実は今回、違憲だというふうに、〇五年の四月、断罪された東京地裁をもってして、家族としての共同生活が認められない場合、違法と断ずる根拠はないと言っているんですね。つまり、やはり一緒に住んでいるかどうかというのは今後とも大事な観点になると思うんですが、これは重視されますか、されませんか、それだけ。

倉吉政府参考人 実は、一緒に住んでいるとか、日本に住んでいるとか、そういう要件を新たにつけ加えるということは逆に新たな差別を生むことにならないか。それであれば、嫡出子の、準正によってこれまでそういう要件もなしに届け出でできた方にも同じ要件を課さなければならなくなる。そうすると、今までそんな要件がなくても届け出でできたのに、何でこんな新しい要件がつけ加わるんだという不合理さが加わるということで、そのような新しい要件をつけ加えるということには消極の見解を持っております。

古本委員 あと、加えて、いつから違憲状態になったのかという論点も実は残っているんですね。違憲状態がいつになったか。最高裁は、昭和五十九年の法改正のときには準正要件は合理的だったとおっしゃっているんですね。その後、平成十五年ごろには、準正と非準正の区別が違憲になったとおっしゃっておられます。途中、平成七年に、民法九百条の四号ただし書きの問題、つまり嫡出か非嫡出かの差別について、これはその後も累次にわたって議論があるようでありますが、これは合憲だとおっしゃっているんですね。直近ですと、事前に事務方から聞きましたが、平成十四年にも合憲だと類推される判断が出ている。そうしますと、ピンポイントで、平成十五年の一体いつから違憲になったんだという話になるんですね。

 きょう厚労省に来てもらっていますけれども、人口統計から言えることで、そんなに劇的な変化があったのかという話も実はあるんですね。昭和六十年当時の非嫡出割合というのは一%でした。そして、違憲だと言われた十五年が一・九%なんです。つまり、このコンマ九%が、この立法府をしてつくった法律が憲法に反していると断罪されるに足る違憲状態になったのかどうなのかという、これは統計的な分析も要るんですよ。

 もう時間がありません。だから、課題の提起だけさせていただきます。

 さらに、救われる子の数ということも多分あると思うんですけれども、これはずばり、何人ぐらい救われると思いますか。それによって法務局の体制やら、入管体制やら、警察当局の動きやら、いろいろなことが変わってきますよ。これはずばり、何人救われるともくろんでおられますか。

倉吉政府参考人 実は、ちょっと限られた範囲でサンプル調査をいたしました。本件の、両親は結婚していないんだけれども認知された、日本人の父親に認知されて、外国人の母親だ、そういう人がどれぐらいいるのかというのをちょっと類推いたしまして、サンプル調査なので正確とはとても言えませんけれども、その結果では、六百人ぐらいという結論がたしか出ていたかのように記憶しております。

古本委員 他方、報道によれば、フィリピン人と日本人の間の子をジャピーノというそうですね。この子たちが今五万人控えておるというふうに聞きますね。五万人といったら、ちょっとした町ですよ。全員が仮に日本国籍を取るということになれば、大変な潜在母数が私はあると思いますね。

 ですから、きょう、法務当局が登記所でどういう面談をしていくのか等の実務には全く入れなかったので本当に残念でなりませんが、ぜひさまざまな面談を通じて体制を整えていただきたいということを申し上げ、ちょっと幾つか論点を整理して終わりたいと思うんです。

 まず、政治として、大臣、国籍行政とおっしゃる限りは、やはり大局観は政府として求められると思います。

 それから、違憲判決を受けたということではあれ、準正か非準正かというその要件の差別が問題だと言われただけであって、実は胎児認知の問題には入っていないんですね。子は親が結婚しているかどうかも選べませんけれども、お母さんのおなかからいつ出てきたかも選べないんですよ。実は、この胎児認知についての差別については、差別的扱いとあえて言っていいでしょう、触れていないんですよ。これは非常にインバランスを感じます。その意味で、今回の準正の要件については、運用で改正できたんじゃないかという懸念は残りますね。

 さらに、認知の父子関係については、民事局長をして理解していただけたので、差はあるんだろうということで留飲は下がりましたけれども、とはいえ、国籍取得が伴います大変大きな話でありますので、血統主義を我が国が維持するためのコストとしてさまざまなことを今後やっていかなきゃいけない、こう思うわけですね。

 さらに、日本とのつながりという意味でいうならば、さりとて、国際機関も言っていますよ。お父さん、お母さんと子は住んだ方が幸せだと書いてあるんですよ。その居住要件というのは、やはりしっかり確認すべきですよ。重視しないというお話がありましたけれども、これはまことに残念です。

 それから、重要な法的な地位という意味では、この子が将来警察官になりたいというのは、ある意味あっぱれですよ。だけれども、そうじゃない人が、真正なる血統を有さない人が、将来我が国の警察官になろうとしている人が仮にいたならば、これはもう本末転倒、何とかしなければなりません。

 それから、違憲状態も、はっきり言って、平成十五年の一体いつからなったんだというのははっきりしません。これは積み残されたままです。

 それから、偽装認知、偽装結婚の話なんですけれども、真正な血統を持っている今回の原告団のような方の名誉を守るためにも、その真贋の確認は、逆にその方々の名誉のためにもしっかりやった方がいいと思います。

 最後に一言だけ、大臣、言わせてください。真正なる血統を持っておられた子の幸せと、その他の大勢いる善良なる日本人の利益を考えたならば、私は、その子たちの血統が真正であるならば、その重みは全く一にするものだと思います。その意味において、この後の議論、慎重審議ということでありますけれども、いかなる場合の結末を迎えようとも、真正なる血統であるかどうかの確認に向けて全力を挙げるということを今誓ってください。よろしくお願いします。

森国務大臣 大変に示唆に富む、また独特な興味深い切り口での御議論をいただきまして、大変に参考になりました。

 本日の御審議は、ぜひ速やかな御可決をお願いしたいと思いますけれども、しかしながら、今委員がおっしゃられた移民政策あるいは難民政策、広い範囲で、やはりそういった大局観を持たなきゃいけないということを感じております。そういう意味において、本日の御議論を参考にさせていただいて、今後とも真摯に取り組んでいきたいと思います。

 血統主義の点については、今委員の御指摘は私も認識を共有するものでありまして、その方向でもって努力をいたしますことをここでお約束いたしたいと思います。

古本委員 ありがとうございました。終わります。

山本委員長 次に、石関貴史君。

石関委員 民主党の石関貴史です。

 今、同僚の古本委員からの質問にもありましたけれども、だれが国民なのかということ、私は何人なのかというのは、ある意味、言語と同じように、国家とそれから国民や個人の根幹にかかわることですので、これはやはり大変な重要法案だというふうに私は認識をしております。

 古本委員おっしゃったように、もう少し慎重に、時間もとりつつやってもらいたいなというのが私の気持ちではございますが、とはいえ、稲田委員初め、さまざまな疑問や質疑がなされてまいりました。法改正がされるということを前提にすれば、ぜひ、大口委員もおっしゃっていましたけれども、虚偽の届け出をするとか、そういうことは本当に割に合わないと、この審議の内容も含めて、かみ砕いてわかりやすいように、しっかりと周知もしていただくことが大事だというふうに、今までの質疑を聞いていて強く思いました。

 さて、少し違った観点から、この法案の関連で質問を申し上げたいと思います。

 稲田委員が二十センチぐらいというふうにおっしゃっていましたけれども、法務委員の皆さんのところに同じようにいろいろな陳情、御意見が来ているんだというふうに思いますが、私のところにも、この法案に反対する趣旨のファクスとか、電話も直接ありますし、電子メール、それからファクスについては数百枚も来ていますので、委員の皆さんのところへ同じように来ているのかなというふうに思っております。

 大変重要な御指摘ももちろんこのファクスや陳情、御意見の中にありますので、これはこれでありがたいことだなというふうにも思う一方で、法案に関係のないほかの業務のファクスなどがそれに紛れたりということにもなっておりますので、そういう意味では、これは大変な、尋常でない事態かなというふうにも思っています。

 先ほど申し上げたように、これは大変重要な法案ではあるのですが、同じように重要法案として審議をされてきました例えば共謀罪の審議の中で、私、この委員会に所属をしておりましたが、こういうことはありませんでした。私、まだ一期生ですので、そんなに長く衆議院にいるわけではありませんが、こういう陳情の仕方というのは余りなかったのではないかなというふうに思います。

 法務省としては、大量のファクスで御意見が各委員のところに来ているとか、役所の方にも来ているかと思うのですが、こういう事実は承知をされておられますか。

    〔委員長退席、桜井委員長代理着席〕

倉吉政府参考人 ただいま御指摘のありました、国会議員の皆様のところに改正法案に反対する趣旨の電話やファクス、メール等が相当数寄せられているということはいろいろお聞きしておりまして、承知しております。同様のものは法務省にも寄せられているところでございます。

石関委員 これは本当に全国各地から御意見が寄せられているのですが、何か組織的な背景というものがあるのか、あるいは何々団体という名称のある団体が中心になって反対活動をされているのか。これについては、どのように承知されていますか。

 例えば、いろいろな法案ですとか陳情事というのは、何とか団体の方がおいでになったりとか、あるいは私どもの方でお伺いをして、そこの役員の方とか会長さんからお話を聞くというのが通常というか、よくあるスタイルだと思いますが、これは全く違いますので、そういった背景に何らかの団体とか、こういうものがあるのかどうか、把握をされていますか。

倉吉政府参考人 インターネットによってこの国籍法案に反対しようという呼びかけがあった、どうもそれが最初だったようだという情報は得ております。その限度で情報として把握しておりますが、これについて、何か組織的な背景があるのかどうかとか、それから、あるかどうかは別として、どのような団体が反対しているのか、こういうことについては把握しておりません。

石関委員 大変貴重な、もっともな御指摘もそれぞれの意見からいただいておりますので、この意見表明自体がいいとか悪いとか、私はそういうことを申し上げているのではないのですが、私のところについては今までになかった御意見の表明の仕方でありますので、実際そういうふうに書かれている方もいるのですね。我々の世代はこういう意見表明の仕方があるんだということをおっしゃって、ファクスに書かれている紙もありました。

 今後も、こういった形でネット上での反対活動とか、こういうものが起こってくるという可能性がますます高まっているのではないかなというふうに思いますが、今回の法案については、法務省のホームページではどのような説明をされているのか、またコメントを求めるようなことというのはされているのでしょうか。

倉吉政府参考人 まず、ホームページでございますが、現在、法務省のホームページにおきましては、一度ごらんになった方は御承知かと思うのですが、「所管法令」「国会提出法案など」というところがございます。ここをクリックいたしますと「国会提出法案など」というのが出まして、さらにクリックすると「国会提出主要法案第百七十回国会(臨時会)」というページが出てまいります。そのページの中で、今回御提出しております法律案要綱、法律案、理由、そして新旧対照条文について紹介している。ホームページでは、現在はその限度でございます。

 ただいま、もう一つ、コメントですか。今いろいろな御意見が出ている、そのことについてのコメント……(石関委員「ではなくて、ホームページ上で、この法案について特に御意見紹介等をしていますか」と呼ぶ)それは、幾つかは来ているかもしれませんが、私、ホームページ上では十分に把握しておりません。

石関委員 特に、例えばこの法案についてコメントを求めるようなことをしているのかということでございます。最高裁の判決が出てから随分短時間でここに至ったということはさっき古本委員も指摘したところでありますので、皆さんからの御意見を求めるようなことは、この法案についてされているのかということです。

倉吉政府参考人 失礼いたしました。質問を誤解いたしました。

 コメントを求めるようなことはしておりません。

石関委員 していないということなんですが、それもあり、こういうまた違った手法でそれぞれのところにも来ているというのもあるのかなというふうに思います。

 ただ、今後も、これに限らず、いろいろな法案について、こういう手法で、特にネットを通じて賛否の運動が展開されるというようなことも、ますます機会がふえていくのではないかなというふうに思うのですが、こういった状況に、大臣としても、あるいは役所としても、どのように対応されていくのかということについて、大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。

森国務大臣 こうした法案についての一般の方々の意見表明がインターネットを通じて行われるというのは、法務省、法務委員会の法案だけじゃなくて、これからすべての案件について予想されるというふうに思います。

 しかしながら、審議は国会において行われるべきものですから、それは粛々として委員会なり本会議なりの場で行われるべきものと考えますけれども、別にインターネット上でいろいろな意見表明がされることは妨げられるものじゃないと思うのです。

 ただ、このたびのようなファクスの雨あられのように送られてくる手法というのは、相手の迷惑を顧みず、そういうやり方でもって、しかも来たものが、私は一々見ておりませんけれども、私のスタッフに言わせますと、内容はほとんど同じだ、かつ手書きで書いたものも内容は同じだというようなことで、こういった手法はやはり余り芳しくない、それは他の業務の妨げにもなりますし、紙ももったいない。

 ですから、やはりこういう手法をおとりになる方は、余り好ましからざる人物だというふうに私は思います。

石関委員 これは御意見を下さっているわけですから、なかなか私もそうですねと言うつもりはございませんで、ただ、こういった手法で御意見を表明される方がふえていくということが十分予想されますので、それに対応する工夫はやはり必要ではないかというふうに思います。真摯に御意見はいただきながら、審議は審議でやる。いかがですか、もう一回。

森国務大臣 恐らく、かなり皆様方が、私も含めて、これによってここ数日間のいろいろな他の業務に差しさわりが出たとか、そういう意味で、やはり相手の迷惑を考えてもらいたいということを申し上げたかったわけでございまして、若干行き過ぎがあったことは撤回をさせていただきます。

石関委員 はい、わかりました。これについては、これぐらいにしたいと思います。

 ちょっと具体的な、この国籍問題の実態といいますか、先ほどサンプル調査で六百人ということがあったんですが、私の理解では、これは認知をされている方々なのかなというふうに理解をしたんです。報道等によると、これは推しはかるしかないんですが、同じような問題を、国籍問題ですね、抱えている子供の数というか、さっきフィリピンの子供の例が古本委員からも出されましたけれども、国内と海外を入れると、これは想像するしかないんですが、どれぐらいの数になるというふうに想定をされているんでしょうか。数万というふうに報道している紙面もございますけれども、いかがですか。

倉吉政府参考人 日本国民である父と外国人母との間に生まれて、生まれた後に父から認知された子というのが今現在どれくらいいるかということについては、私ども承知しておりません。これは何万とか、いろいろな推計を使っているんだろうと思うんですが、その根拠がいま一つよくわかりませんので、わかりません。

 ただ、先ほど私、前の古本議員に対してお答えいたしました。あのときは記憶だけでお答えしたんですが、今ちょっと資料が出てまいりましたので、それを御紹介したいと思います。

 本年六月以降、日本人男性が外国人である二十未満の子を認知した旨の届け出がされた件数を調査したわけでございますが、その調査したものから年間の件数を推計し、年間の準正による国籍取得者数を引き算する、そうすると残りがそれになるということで、そういう推計をいたしました。その結果、対象者は年間六百名から七百名くらいいるようだと推定されます。

石関委員 今、推計でそのぐらいの数だということなんですが、同様の事情を抱えた子供さんとかお母さんからの最高裁の判決が出てからの問い合わせというのは実際来ていますか。来ているとすれば、何件ぐらい来ているか。

倉吉政府参考人 問い合わせは、それほど多い件数ではないようでありますけれども、来ております。

石関委員 数もなかなかわからないということでありますので、改正されるとすれば、可決されるのであれば、やはりしっかりこれは考えていかないと大変なことになると思います。

 もう一つ、出入国の記録についても場合によっては調べるということであると思いますけれども、ちょっと入管行政について、以前に通告をしていて少し積み残しになっておりました、出入国の自動化ゲートについてお尋ねをしたいと思います。

 時間もないので端的にお答えいただきたいと思うんですが、ビジネスマンで、海外によく行かれる、中国と取引なんかする友人や知人がいるんですけれども、自動化ゲートが導入されたときに私はこの法務委員会にいたんですけれども、今度こういうのが導入されますよという話をしていたら、たびたびその自動化ゲートが作動していないのを見た、何なんだということを言われましたので、お尋ねをしております。

 まず、この自動化ゲートというのが、時間がないので端的にお答えいただきたいんですが、どういうもので、それから何台設置をされていて、幾らかかっているのかということと、これまでの稼働日数、休止日数、利用者数について教えてください。

西川政府参考人 お答えいたします。

 まず、自動化ゲートというのは、あらかじめ利用希望者登録を行った日本人または一定の要件を満たす外国人の出入国者について、出入国審査の待ち時間の短縮等負担軽減を目的として、入国審査官から出帰国の証印や上陸許可証印を受けることなく、ゲートを通過することによって出入国手続を完了するというものでございます。

 これは、円滑かつ迅速な出入国審査の実現ということで、一昨年入管法の改正を行いまして、昨年の十一月二十日から成田国際空港の一部に合計八台、日本人用四台、外国人用四台が設置をされております。

 現在までの利用状況でございますが、同日から本年十月末までの間に合計四万八千人の方に登録をいただいている。その内訳は、日本人約三万五千人、それから外国人約一万三千人ということでございます。合計約十七万回の出入国に利用されているというのが状況でございます。

 それから、稼働状況でございますが、導入当初、昨年の十二月に十日間、それから本年十月に五日間、十五日間、実は作動の不良というのが生じました。その間使用できなかったという状況が生じましたが、現在はすべて直っておりまして、正常に稼働しております。

 それから、問題点といたしましては、現在は成田国際空港の一部に設置されているだけでございますが、今後、成田国際空港に増設がされるほか、中部国際空港、関西国際空港にも設置されるということが決まっております。

 今後、自動化ゲートを御利用いただくことによって一層円滑化が図られるよう努力をしてまいりたいと……(石関委員「幾ら、幾ら」と呼ぶ)失礼いたしました。

 平成十九年度予算における機器の借料、電気料、据えつけ調整のための費用、すべてで一千二百万円、それから二十年度予算における機器の借料及び電気料として一千七百二十九万円、これが措置されているということでございます。

 以上でございます。

    〔桜井委員長代理退席、委員長着席〕

石関委員 これは高価なものですから、そうやってまたふやしていくのであれば、効率的にしっかり稼働するように、また利用者をふやすように頑張ってください。

 次に、個別の事件のことをお尋ねいたしますが、地元の群馬県太田市の公園で二〇〇一年に木村さんという日本人の方が刺殺をされた事件、これについてお尋ねをいたします。

 犯人とされる被疑者がペルーの方で、ペルーに帰ってしまったということで、ペルーに帰国後に殺人容疑でこの方は国際手配をされた。ペルー人の元建設作業員のモイセス容疑者でありますが、警察庁は、私、ここでたびたび質問させていただいておりますが、ペルーの捜査当局にいわゆる代理処罰を求める方向で協議を進めてきたということで答弁をいただいております。

 逃げ得を許さず厳正な処罰を求めるべきというふうに警察庁の方もしっかりとおっしゃってくれているわけですが、前回質問を申し上げたのが十九年二月二十一日、ことしの二月二十一日でありますので、それから随分な日数がたっておりますが、その後の進捗についてお尋ねをします。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 政府としては、不処罰は許さないとの観点から、ペルー人逃亡犯罪人の問題を重要課題と認識しており、国外犯処罰規定の適用に関し、ペルー政府と鋭意協議を行ってきております。

 委員御指摘の件に関しましても、ペルー国内法による国外犯処罰規定の適用を目指し、ペルー当局と鋭意調整を行ってきております。

 個別具体的な進捗状況については、犯罪捜査に影響がありますので、現時点で公表することは差し控えさせていただきますが、ペルー側の協力を得て着実に進展しているところでございます。

石関委員 私、さっきことしと言いましたけれども、十九年だから、去年質問しているんですね。だから、もう二年近くたつわけですよ。着実というのは、どういうふうに着実に進んでいるんですか。いつになったらこれは解決しそうなんですか。全然わけがわからないですよ。何年待ったら進むんですか。

佐藤政府参考人 我々としては、ペルーの政府それから司法当局と鋭意協議をしておりまして、それなりの進展は見られているところでございます。

 ただ、先ほど申しましたように、捜査にかかわることでございますので、具体的にここまで進展しているということは申し上げられませんが、事実の問題として、着実に進展しておりますことをここに申し上げたいと思います。

石関委員 それは全然わからないですね。捜査に関係ないですよ。

 では、例えば何回、向こうの外務省からペルーの当局に働きかけをして協議を持っているんですか、この二年近くの間で。

佐藤政府参考人 具体的に何回ということは申し上げられませんが、さまざまな機会にこの件については協議をしてきております。

石関委員 さまざまというのは、全然わけがわからないですよ。鋭意とか着実にと言って、着実とか鋭意がわかるものを何か教えてください。

佐藤政府参考人 手元にございます資料によりますと、一年間の間に十回から十五回ぐらい先方と協議をし議論をしてきております。

石関委員 最初からそう言えばいいじゃないですか。着実とか鋭意とか、役人のよく使う言葉ですけれども、わけがわからないですよ。

 遺族とか関係者にとってみれば、どうなっているんだと。ちゃんとこれは処罰してくれるんだろうという期待を持って待っているわけですから、進捗ぐらいは今みたいに具体的に教えてもらわないと。頑張っているんだな、もっと頑張ってくださいという気にさせるかどうかというのも大事ですよ。広報する内容じゃありませんけれども、そうやって十回も何回もやっているんだったら、そういうふうに言えばいいじゃないですか。

 だから、今後もそういうつもりで、しかし、解決と処罰に向けてしっかりとやってください。応援いたしますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、保坂展人君。

保坂委員 社民党の保坂展人です。

 国籍法という大事な法案の審議で、本来なら、この最高裁判決が出た後、法務委員会で、政府が立法するのか議員が立法するのかまだわからない段階でも議論すべきだったと思いますし、午前中だけということで、いろいろな意見が消化不良で出るような中で審議するのは、私としても、本当に徹底的にやるべきだという意見は申し上げておきます。それを言った上で、森大臣にお話を聞いていきたいと思います。

 私は実は、六月四日の最高裁判決はやはり画期的な判決だったというふうに思っています。鳩山法務大臣は翌日の参議院で、ありとあらゆる意味で衝撃であった、国籍法第三条が憲法違反だとされたことについては、これを厳粛に受けとめなければならない、こういうふうに答弁されているんですね。恐らく、森大臣も認識は変わらないものと考えるわけなんです。さらに、鳩山大臣はその参議院の委員会で踏み込んで、親の事情で子供が強い影響を受ける、罪のないお子さんが親の事情によって不利益をこうむる、あるいは立場が不明確になるということのないよう、これは戸籍、国籍を扱う法務省として基本の精神として持っていなければならない、こう言われているんですね。この認識も同じでしょうか。

森国務大臣 同じです。

保坂委員 八四年改正、これは私の大先輩である土井たか子議員がずっと、女子差別撤廃条約を受けて国籍法の改正にかつて取り組んだという話を何度か聞いてきた経験がありまして、「父が」というところを「父又は母が」と、要するに、父系の血統優先主義から、父母両系主義ですか、父も母もということに変えるに当たって相当大変な議論があったというふうに聞いています。

 今回の最高裁判決は、三条一項に記されている婚姻を要件として国籍を取得するという規定は憲法十四条が定めている法のもとの平等に反すると判示したということだと思います。

 ここで法務大臣に伺いますが、今回の最高裁判決は、子供の人権にかかわる国際条約を我が国が幾つか批准してきた、これが背景にあると言われています。かかる条約とはどの条約なのか、その条約のどの部分を指していると法務大臣としてとらえているのか、これを答えていただきたいと思います。

森国務大臣 市民的及び政治的権利に関する国際規約、いわゆるB規約及び児童の権利に関する条約というふうに考えております。

保坂委員 そのいずれも、どの部分についてなんでしょうか。

森国務大臣 まず、先ほど申し上げた市民的及び政治的権利に関する国際規約、B規約第二十四条、「すべての児童は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、国民的若しくは社会的出身、財産又は出生によるいかなる差別もなしに、未成年者としての地位に必要とされる保護の措置であつて家族、社会及び国による措置について権利を有する。」それから「二 すべての児童は、出生の後直ちに登録され、かつ、氏名を有する。」「三 すべての児童は、国籍を取得する権利を有する。」です。

保坂委員 ありがとうございました。

 その後に批准された子どもの権利条約、児童の権利条約では、今言われたことと非常に重なりますが、いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を締約国は尊重しなければならないと言った上で、「児童は、出生の後直ちに登録される。児童は、出生の時から氏名を有する権利及び国籍を取得する権利を有するものとし、」とあります。また、世界人権宣言は、すべての者は国籍に関する権利を有する、こうあるんですね。

 ここでちょっと法務大臣に伺いたいんですが、国籍というのは、その国の政府がその自国民を、どういう人が自国民だというふうに国内的に決定する、いわゆる国内事項であるわけですけれども、他方において、こういった国際人権上の議論は、やはり子供の権利としてのその国籍ということをうたってきているように思うんですが、その点の認識はいかがですか。

森国務大臣 この最高裁判決については、国籍法三条一項が憲法に適合する内容となるよう、補足意見等についても検討した上で、届け出による国籍取得の要件を削除することを内容とした改正法案を国会に提出したものでございまして、委員が言及されておりますいわゆるB規約等については、確かに言及はされておりますけれども、国籍法第三条第一項の規定がこれらの条約に反しているとの判断が示されたものとは受けとめておりません。なお、その前提で、私は、やはり子供の権利というか子供の立場で考えた改正であるということは間違いないというふうに思います。

保坂委員 では、民事局長、これはそもそも論になりますが、国籍というのは権利なんでしょうか、それとも国による恩恵なんでしょうか。大きく整理するとどうなりますか。

倉吉政府参考人 恩恵というのはちょっと違うと思いますが、国家の構成員たる資格でございます。ですから、その国家の人民、国家に帰属する人民というのがだれになるのかということを決定する資格、これが国籍でございます。そして、その国籍があることによって、さまざまな国内法によっていろいろな法律効果が与えられる、選挙権があるとか、そういうことがある、そういうものだと考えてございます。

保坂委員 私の理解は、今民事局長が前段に言われたことを踏まえた上で、しかし、無国籍児などがどんどん生まれてきたりして、他の子供と明らかに違う、権利を奪われた状態にあるということはやはりなくしていきますよというのが国際人権上の、B規約なり子どもの権利条約なりでうたわれている精神じゃないですか。そこはどうですか。

倉吉政府参考人 そのとおりでございまして、例えばB規約の二十四条三項に、「すべての児童は、国籍を取得する権利を有する。」とあります。これは何も特定の国の国籍と言っているわけではありませんで、どこかの国の国籍の意味でございまして、無国籍者をつくらない、無国籍ということになるといろいろなことで不利益をこうむるので、児童にとってそういうことはしないようにしようというのが国際上の人権関係の条約の精神であろうと思っております。

保坂委員 森大臣、今回の最高裁判決の内容は、婚姻をしていることを要件に定めた八四年の改正の部分を、婚姻外の認知というところを区別しないところにやはり一番のポイントがあるように思うんですね。簡単に言えば、婚姻による法律婚の子供と婚外子とは、権利の面で制約されたり差別はされませんよということだと思うんですが、それでよろしいですか。

森国務大臣 この改正案については、そういう趣旨と考えます。

保坂委員 そこで、これはまた大きな議論にこれから、実は十二年前に民法改正案が出され、我々野党からも同様の改正案を何度も出して、この衆議院法務委員会で議論したこともありましたが、主に選択的夫婦別姓の話題というか、このことで相当議論はされた内容の、法制審答申に基づいたものですが、十二年塩漬けになっている、この中に婚外子の相続差別の撤廃ということが入っていますね。

 これは今、B規約とか、B規約に基づく自由権規約委員会の総括所見とか、繰り返し、あるいは子どもの権利条約に基づく子どもの権利委員会とか国連の機関からも、いわゆる婚外子の相続二分の一規定というのは差別であるから撤廃をするべきではないかということを盛んに言われてきたんですね。こことの整合性は考えられませんか。つまり、課題であるという認識は私は法務大臣には持っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

森国務大臣 法律上の配偶者との間に出生した嫡出である子の立場を尊重するとともに、嫡出でない子の立場にも配慮して、嫡出でない子に嫡出である子の二分の一の法定相続分を認める、こういうことによって法律婚の尊重と嫡出でない子の保護との調整を図っているということでございまして、特にこれは憲法第十四条に照らしましても不合理な差別ではないというふうに考えますが、委員の今御指摘になった問題についても、しっかりと耳を傾けて検討していかなければならないというふうに感じております。

保坂委員 十月の末に出た、この前死刑のことで大臣にお伝えをしたいわゆる総括所見の中にも、戸籍法四十九条二項一号、国籍法三条、民法九百条四号に、嫡出子でなければならないことを記載することを求めている部分をやはり削除すべきではないかという意見が、つい先日の、国連の各国の意見を踏まえた我が国に対する勧告でも出ているということも紹介をしておきたいと思います。

 では、次に民事局長に伺っていきますが、最高裁判決で救済をされた原告と同様の境遇にある子供たち、先ほど六百人という数字も出ましたけれども、これをもうちょっと確認したいんですが、婚姻をせずに認知を得た子供たちの数、あるいは新聞記事を見ていると、これから手続に行きたいなんということも書いてあるので、では、この原告同様の立場にある方で、手続をもう既にとった方がどのぐらいいるのかということをお願いします。

倉吉政府参考人 ことしの六月四日に最高裁の判決がありまして、あれを踏まえて国会で法改正が行われるであろうということを期待してのものだと思いますが、その翌日以降きのうまでに百十二件の届け出が出ております。だから、この人たちは、もしこの法改正がなければ簡易帰化の方に回った人かもしれません。そこのところはよくわかりませんが、そういう人たちが百十二件来ているということです。

 それから、先ほど来サンプル調査ということを申し上げているわけですが、もう一度繰り返しますと、本年六月以降に日本人男性が外国人である二十未満の子を認知したという旨の届け出がされた件数、これを調査したものから年間の件数を推計いたしまして、年間の準正による国籍取得者数を引き算する、そして残りを出すという形で推計をしてみました。全くのあらあらの推計ですが、これによりますと、対象者は年間六百名から七百名ぐらいいそうだということでございます。

 ただ、今現在何人ぐらいいるのかというのは、それはちょっと把握ができておりません。

保坂委員 先ほど鳩山大臣のかなり踏み込んだ、いわゆる子供自身にどうにもできない、変更ができない事情を子供の責任に帰すべきではなくて、差別や区別あるいは不当な待遇に置くべきではないという責務を法務行政としてはこれから考えていくんだということだと思います。

 今回の国籍法改正は評価するんですが、中には、かなり多いらしいんですが、日本人の男性と外国人の女性との間で子をもうけて、胎児認知などはされずに、出生をするとそこで男性の方がいなくなってしまう、あるいは連絡がとれない、当然ながら、これは確認ができないわけですから認知もできないということで、国籍取得はできない。国籍取得ができないというと、これまで私どもに入った声ですと、出生届がないとなかなか住民票作成なども進まない。したがって、いろいろな点で社会生活上不利益を受ける。

 先ほどの、子供にとってみずからの責任がない境遇であることは間違いないわけで、国際人権法上の規定からいっても、これは何とかならないのかというふうに思うんですが、その点の問題意識はいかがですか。

倉吉政府参考人 これだけは言っておきたいんですが、日本人父親の所在が不明である場合には、現在の民事訴訟法のもとで公示送達という手続がございます。それでそれなりの立証をしていただければ、いわゆる強制認知ですが、裁判による認知を求める訴えができますので、恐らくそれで解決するはずだと思っております。

保坂委員 では、大臣にお答えになっていただく前に、総務省に来ていただいているんですね。

 総務省では、私の聞いているところによると、一九八九年以前は自治体の判断で無国籍のお子さんの住民票も作成をされていたと聞いているんですが、その後に自治省の通達で、やはり出生届を出してから住民票を作成せよということになって、なかなかこれは難しくなりました。そういった住民票作成はできない状態にかなり長いことなっていたが、この議論を通してなのか、つい最近、七月七日に通達を出して、少しその扱いを変更すべく考えられているのか、実務があるのか、その辺について。

佐村政府参考人 先生御指摘の点ですけれども、現行の住民基本台帳法上は、住民票の作成を行うためには日本国籍を有することが必要とされておりますので、御指摘のような場合については住民票は作成されないということになります。(保坂委員「何にも工夫はないんですか」と呼ぶ)前提たる国籍がないということです。

保坂委員 それで、本当に大臣に真剣に考えていただきたいんですが、先ほど言ったように、子供が生まれてくる、生まれてくる子供は親がだれかとか選べませんね。そして、父親の方がいるのかいないのかとか、今訴訟の話もしましたけれども、そういう状況の中で、実際、無国籍児の子供たちは日本にかつていたし、今もいるわけですよ。そしてその中で、今回の改正によって、今百十二人の方がお待ちになっているということで、その方たちにとってはいいと思いますけれども、一方、その枠の外に漏れてしまう子供たちがいて、国籍はにわかに無理でも、住民票の作成などについてはよりスムーズに子供の権利保障ができないのかということについて、総務省とも協議をしたり相談をするということをぜひやっていただきたいということなんですが、いかがでしょうか。

森国務大臣 まさに子供は、生まれる場所もだれのもとに生まれるかも選べません。そういうことで、やはりすべてに優先して子供の立場で考えてあげるべきであるというふうに考えます。

 ただ、社会なりあるいは日本のさまざまな事情もいろいろ勘案して、子供たちにとって差別が生じない、また不利益にならないように最大限の人道的な配慮を加えていくべきであるというふうに考えております。

保坂委員 大変重く受けとめましたので、法務省の局長も総務省も、ぜひきちっと相談をして、条約を批准しているのが全然違うななんということにならないようになお努力をしていただきたいと申し上げて、終わります。

山本委員長 次に、滝実君。

滝委員 無所属の滝実でございます。

 これまでのいきさつについて、まず民事局長からお聞きをいたしたいと思います。

 血統主義という原則を掲げる我が国の国籍法の立場からすれば、今回の最高裁判決の案件というのは、本来的には当然国籍を付与されるという筋合いのものだろうと思うんですね。ところが、一九八四年の現行国籍法においても、あえて三条一項のような条文を設けてきた。そして、今回の事案についても、地裁、高裁、最高裁というすべての訴訟において法務省が現行法の維持を主張してきたということでございますから、その際に法務省として、裁判でなぜ三条一項が必要なのか、こういう主張をされているんだろうと思うんです。

 大体三つぐらいあるようにお聞きをしておりますけれども、どういう内容の主張をしてきたのか、簡単にまず明らかにしていただきたいと思います。

倉吉政府参考人 現行の国籍法三条でございます。今御指摘のとおり、昭和五十九年の国籍法改正により設けられたものですが、これについて御説明したいと思います。

 この改正というのは、このときに父母両系血統主義が導入されました。その結果、日本国民である母の子供は、父が外国人であっても、子の嫡出性の有無を問わず、出生により日本国籍を取得するということになりました。これに対し、日本国民である父の子は、母が外国人であれば、その出生が父母の婚姻の前であるか後であるかだけの違いによって国籍取得の要件や手続に違いが生じてしまうということから、その不均衡をできる限り是正することを目的として新設されたものでございます。この立法目的自体は正当であるとまず考えてきたところであります。

 また、その結果、日本国民である父親の生後認知を受けた外国人を母親とする子のうち、父母が婚姻した準正子と嫡出でない子との間に国籍取得の要件や手続について差が生じることになりました。

 そういう差が生じることになったわけでありますけれども、準正子、つまり父母が結婚をした子供ということでありますが、その子供は、我が国の家族法制度上、父との関係がより密接なものであることから、準正子についてのみ届け出による国籍取得を認めるということは立法目的と合理的な関連性がある、このように考えていたわけでございます。

 その根拠をということでございましたが、今のようなことが要旨になりますが、今回最高裁判所の大法廷判決において違憲とされましたので、この点については、法務省としては、最高裁判所の判断を尊重して今回の法案を提出させていただいたというところでございます。

滝委員 今の説明では、これまでどういう格好で訴訟を続けてきたか、なぜ三条一項が必要なのかということの裁判における法務省の主張が必ずしも明らかじゃないんですね。要するに、一つは、仮装認知が出てくるおそれがある、こういうようなことは当然だろうと思うんですけれども、あと、要するに父との結びつきがどうだとか、そういうようなことでずっと争ってきたわけですね。

 そこで、今回改めて最高裁の判決が出てきた以上は、今までの法務省の主張を全く否定して対応するのか、あるいはどこかで生かしていくのかということが今問われているんだろうと思います。

 そこで出てきたのが、要するに偽装認知をどうやって回避するかとか、そういうことだろうと思うんですけれども、問題は、偽装認知だけの問題ではないように思うんです。その他の点については全く取り扱いとしても新たな要素を加味しない、こういうことですか。

倉吉政府参考人 その他の点というのが何を指しておられるのかちょっと定かではありませんのでお答えしかねますけれども、先ほど申しましたように、確かに、これまでの訴訟の中では、国として法務省は仮装認知が生ずるおそれもあるということは主張して、現行国籍法三条一項は合憲である、こういう主張の支えにしていたことは間違いございません。

 そのほかにも、先ほど私が最初に申し上げたようなことを言っていたわけですけれども、しかし、それが否定されたということで、最高裁の判決で憲法違反とされましたので、それであれば、今度はその仮装認知を防ぐ、偽装認知を防ぐ手段というのをきちっと講じておくことが一番大事だというふうに考えているわけでございます。

滝委員 仮装認知に関連いたしまして、当局の方からは、例えばDNA鑑定などを求めるのはおかしいとか、そういうような開陳はございました。問題は、当事者の方からそういうものが出てきたときにはどういうふうにされるつもりですか。

倉吉政府参考人 当事者から積極的にそのような資料が出てきたときは、これを参酌するということになろうかと思います。

 ただし、それが偽造のものではないか、にせものではないか、検体をすりかえたいいかげんなものではないかということは検証することが逆に必要になりますので、その点について、当事者に事情を聞きながら、これはどういう経緯で頼んだのかというようなことを調べながら、おかしなところがないかというのを十分に確認していくということをやっていきたいと思っております。

滝委員 その場合に、DNA鑑定にしても、いろいろな方法というかやり方があるようですね。だから、今のような一般論でいくと、恐らくは一番安い、一件当たり五万円とか六万円とか、あるいは十万円とか、いろいろ段階があるようですけれども、そういうようなことをやって窓口に来たときに、窓口がどうさばくのでしょうか。

倉吉政府参考人 先ほど来答弁しているところでございますけれども、要するに、法務局の窓口では、DNA鑑定が本当に正確なものなのか、正しいものなのか、あるいは偽造ではないのかとか検体のすりかえがないのか、そういうことをきちっと判断できるというだけの能力は、もちろんただの行政機関ですのでないわけであります。

 しかしながら、今委員から御指摘がありました非常に安いもの、簡易鑑定めいたものだと思いますが、私の承知をしておりますインターネットなんかで見ると、二、三万ぐらいで簡単に、お手軽にできますというのもあります。そういったものが出てきた場合には、これはどうしてこんな簡略なものにしたのかとか、本当に大丈夫なのか、そして根底に差しかかって、どういう経過で知り合ったのか、どこの国で二人が一緒になったのかとか、いつ子供ができて、そのとき二人はどこにいたのか、今父親は扶養をしてくれているのか、あるいは父親の住所をあなたは知っているのかとか、そういうことを聞きながら、現実には本当の父子関係があるのかという真否を確認していくという作業を続けていくことになると思います。

滝委員 この辺のところは法務省においても少しガイドラインみたいなものを示しておいた方がよさそうな感じは受けますので、混乱のないように対応されることを望みたいと思います。

 少しそれるんですけれども、この三条一項のような格好、今回のような格好で国籍を認めるということになってまいりますと、前からそうなんですけれども、当然二重国籍の問題というのは発生するんですね。こういう点については、どうやって解決していくんでしょうか。

倉吉政府参考人 御指摘のとおり、改正後の国籍法第三条により日本の国籍を取得する者の多くは、それまでに有していた外国の国籍と日本国籍との重国籍者になる、このように考えられます。

 この場合に備えた規定が国籍法の十四条一項でございまして、この国籍法十四条一項は、外国の国籍を有する日本国民は、重国籍となったときが二十未満であるときは二十二歳に達するまでに、そのときが二十に達した後であるときはそのときから二年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならないとして、重国籍を回避することとしております。

 そこで、この新法の適用により重国籍者になった方につきましても、これに従って国籍選択をしていただく必要があるということになります。

滝委員 最後になりますけれども、日本の国籍法はフランスあるいはドイツの血統主義を主体とする国籍法をずっと見習ってきた、こういうふうに言われていますね。日本の今回の問題になった三条一項のような条文は、そもそもドイツ法あるいはフランス法にあるのでしょうか。

倉吉政府参考人 申しわけありません。定かな記憶ではありませんが、ドイツにはたしかあったと思います。

滝委員 ドイツの場合には、きょうの産経新聞にもありましたように、子供が国籍を取得すると母親までが国籍を取得する、こういうことで不祥事件が起きているように報道されて、これについての法改正が行われる、こういうことですけれども、フランスやドイツ、同じ血統主義をとっている、日本のお手本となった国籍法の世界で、例えば偽装認知とかそういう問題は、仮にあるとすれば、どういう状況になっているんでしょうか。

倉吉政府参考人 ドイツでは若干そういう偽装認知のケースがふえているというふうな情報は把握しております。

 特に、偽装認知対策としてどういうことを講じているのかということが私どもも関心があるわけですけれども、国籍取得に関する届け出等について虚偽の記載をした場合に罰則が科せられる国としては、イギリス、スウェーデン、カナダ、インド、フランス、ノルウェー等がございます。

滝委員 ドイツの場合には、子供が国籍を取得した場合には母親が、あるいは父親が自動的に国籍を取得する、そういうことに関する偽装事件じゃないんですか。

倉吉政府参考人 そのような制度ではないのではないかと思うんですが、詳細は承知しておりません。申しわけございません。

滝委員 突然お尋ねしましたので、さすがの民事局長さんも概要は、いきなりのことでございますから、御無礼をいたしました。

 いずれにいたしましても、実際のこの法律が成立した場合の後の手続は、やはりもう少し時間をかけて具体的な内容を示していかないと、窓口で混乱する、そういう事態が発生するおそれがあるんじゃないでしょうかね。少し今回の場合には急ぎ過ぎたという感じは否定できないと思うんですね。もう少し後の手続をきちんとするように、ひとつ事務当局として頑張っていただきたい、こういうことを申し上げておきたいと思います。

 それから、時間がまだ多少ありますので、要望だけ申し上げておきます。これは今回の国籍法と何ら関係ありませんが、お許しをいただきたいと思うんです。

 登記手数料の関係を前回も私は鳩山大臣に申し上げたことがあるんですけれども、それとは別に、オンライン化を登記について採用していますね。ところが、このオンライン化のシステムがしょっちゅうダウンするんですよ。オンライン化を奨励するために減免措置を講じているんですけれども、ダウンしたときには遠い法務局まで走らないかぬわけです。

 もともと何のためにオンライン化したかといったら、法務局を統合するためもあって、合理化のためにオンライン化をしたんですけれども、それを奨励するために租特法で登録免許税を減免しているんですね。これがダウンすると、顧客からは安い減免した手数料をいただく、ところが、ほっておけないものですから、法務局へ飛んでいって、今度は文書によって手続をすると、減免の手数料じゃなくて高い本来の登録税を取られる、こういうことがしばしば起こるんです。

 こういうような些細なことは、やはりオンライン化をした以上はオンライン化を中心にして事務手続を進めるのが当然ですから、私は、こんな問題は事務的に財務省と話をして、オンライン化を予定していた手続が後からだめだったという場合には、文書での手続についても当然減免の対象にすべきだろうと思うんです。これは、そんな大きな法律問題とかなんとかというよりも、当然それは取り扱い要領か何かで措置すべき問題だろうと思うんです。

 この種のオンライン化は、国税庁のe―Taxと法務省の登記システムと両方あるわけでございますけれども、当然そのようなことは行政的にきちんとした融通措置を講じておく必要があるのではなかろうか、こういうふうに思います。法律的に租税特別措置法でこれを書くと大変なんですよ。要するに、システムダウンしたときには従来の手続によっても減免するものとみなすなんという、そんなばかな法案は書けませんから、当然これは取り扱いの日常の業務の中でやるように、きちんとした手続をしておいていただきたい。これから予算時期でございますから、あえてこの際に要望だけ申し上げておきます。答弁は結構でございます。

 以上、終わります。

山本委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、国籍法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、塩崎恭久君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。加藤公一君。

加藤(公)委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    国籍法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

 一 日本国民から認知された外国人の子が届出により我が国の国籍を取得することができることとなることにかんがみ、国外に居住している者に対しても、本法の趣旨について十分な周知徹底に努めること。

 二 我が国の国籍を取得することを目的とする虚偽の認知が行われるおそれがあることを踏まえ、国籍取得の届出に疑義がある場合に調査を行うに当たっては、その認知が真正なものであることを十分に確認するため、調査の方法を通達で定めること等により出入国記録の調査を行う等万全な措置を講ずるよう努めるとともに、本法の施行後の状況を踏まえ、父子関係の科学的な確認方法を導入することの要否及び当否について検討すること。

 三 ブローカー等が介在し組織的に虚偽の認知の届出を行うことによって日本国籍を取得する事案が発生するおそれがあることを踏まえ、入国管理局、警察等関係当局が緊密に連携し、情報収集体制の構築に努めるとともに、適切な捜査を行い、虚偽の届出を行った者に対する制裁が実効的なものとなるよう努めること。

 四 本改正により重国籍者が増加することにかんがみ、重国籍に関する諸外国の動向を注視するとともに、我が国における在り方について検討を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

山本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。森法務大臣。

森国務大臣 ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

山本委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

山本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十二分散会


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