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第7号 平成21年4月24日(金曜日)

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平成二十一年四月二十四日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 山本 幸三君

   理事 大前 繁雄君 理事 桜井 郁三君

   理事 塩崎 恭久君 理事 棚橋 泰文君

   理事 谷畑  孝君 理事 加藤 公一君

   理事 細川 律夫君 理事 大口 善徳君

      赤池 誠章君    稲田 朋美君

      近江屋信広君    河井 克行君

      木村 隆秀君    清水鴻一郎君

      杉浦 正健君    平  将明君

      長勢 甚遠君    早川 忠孝君

      町村 信孝君    武藤 容治君

      森山 眞弓君    矢野 隆司君

      石関 貴史君    中井  洽君

      古本伸一郎君    山田 正彦君

      神崎 武法君    保坂 展人君

      滝   実君

    …………………………………

   法務大臣         森  英介君

   法務副大臣        佐藤 剛男君

   法務大臣政務官      早川 忠孝君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  久元 喜造君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  西川 克行君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           前川 喜平君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           北村  彰君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           坂本 森男君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           榮畑  潤君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           二川 一男君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           大槻 勝啓君

   法務委員会専門員     佐藤  治君

    ―――――――――――――

四月二十三日

 出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律案(内閣提出第五一号)

同月二十四日

 消除された戸籍の附票・除籍・改製原戸籍の保存期間延長を求めることに関する請願(中山泰秀君紹介)(第二〇七七号)

 児童買春・児童ポルノ禁止法改正に当たり、拙速を避け、極めて慎重な取り扱いを求めることに関する請願(吉田泉君紹介)(第二〇七八号)

 子どもの保護に名を借りた創作物の規制、捜査機関による濫用の危険性が高い児童ポルノの単純所持規制反対に関する請願(保坂展人君紹介)(第二一二一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律案(内閣提出第五一号)


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。森法務大臣。

    ―――――――――――――

 出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

森国務大臣 出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 近年、我が国の国際化が進展し、平成十九年の新規入国者数は平成二年と比べ二・五倍以上、外国人登録者数は約二倍となっており、在留外国人の国籍も多様化してきております。このような中で、転職、転居を頻繁に繰り返す方も少なからず見受けられる等、在留外国人の方々の在留状況の正確な把握が困難になってきており、適正な在留管理を行う上で支障が生じております。また、とりわけ居住実態を正確に把握することができないため、国民健康保険、児童手当等の市区町村の個別事務に支障を来し、在留外国人に対する行政サービスの提供や義務の履行の確保に困難を生じさせている等の問題も生じており、これらの問題への対処が喫緊の課題となっております。

 この法律案は、以上に述べた情勢にかんがみ、現行の出入国管理及び難民認定法と外国人登録法の二つの制度による情報把握、管理の制度を改め、適法な在留資格をもって我が国に中長期に在留する外国人を対象として、法務大臣が公正な在留管理に必要な情報を継続的に把握する制度の構築を図るため、所要の改正等を行うほか、外国人研修生等の保護の強化を図る等の措置を講ずるものであります。

 この法律案の要点を申し上げます。

 第一は、新たな在留管理制度の導入に係る措置であります。これは、外国人の公正な在留管理を行うため、法務大臣が必要な情報を継続的に把握する制度を構築し、あわせて外国人登録制度を廃止するとともに、在留期間の上限の伸長その他の適法に在留する外国人の利便性を向上させるための措置を講ずるものです。

 その概要を御説明いたしますと、まず、法務大臣は、在留資格をもって我が国に中長期間在留する外国人に対し、基本的身分事項、在留資格、在留期間等を記載した在留カードを交付いたします。在留カードの交付を受けた外国人は、上陸後に定めた住居地を一定期間内に市町村の長を経由して法務大臣に届け出なければならず、また、在留カードの記載事項のほか、その在留資格に応じて所属機関や身分関係に変更があった場合には法務大臣に届け出なければならないこととしております。さらに、これらの情報の正確性を確保するため、法務大臣が外国人の所属機関から情報の提供を受けられるようにしたり、届け出事項について事実の調査をすることができるようにしたほか、在留資格の取り消し制度、罰則、退去強制事由等を整備することとしております。

 その一方で、適法に在留する外国人については、在留期間の上限を五年に引き上げるとともに、有効な旅券及び在留カードを所持する外国人については、一年以内の再入国を原則として許可を受けることなく可能とするなど、その利便性を向上させるための措置をとっております。

 また、新たな在留管理の対象とはならない特別永住者の方については、外国人登録証明書にかえて、特別永住者という法的地位の証明書として特別永住者証明書を交付するなど、基本的には、現行制度を実質的に維持しつつも、原則として許可を受けることなく二年以内の再入国を可能とするなどの利便性を向上させる措置をとっております。

 第二は、外国人研修制度の見直しに係る措置であります。これは、研修生、技能実習生を実質的に低賃金労働者として扱うなどの不適正な問題が増加している現状に対処し、研修生、技能実習生の保護の強化を図るため、所要の措置を行うものです。

 具体的には、現行の在留資格「研修」の活動のうち実務研修を伴うものについて、労働関係法令の適用の対象とするため、及び、この活動に従事し、一定の技能等を修得した者がその修得した技能等を要する業務に従事するための活動を在留資格「技能実習」として整備するものです。

 第三は、在留資格「留学」と「就学」の一本化についてであります。これは、留学生の安定的な在留のため、在留資格「留学」と「就学」の区分をなくし、「留学」の在留資格に一本化することにより、留学生等の負担軽減等を図るものであります。

 そのほか、入国者収容所等の適正な運営に資するため、入国者収容所等視察委員会を設置すること、不法就労助長行為等に的確に対処するため、不法就労助長行為に係る退去強制事由等の整備を行うこと等を内容とするものであります。

 以上が、この法律案の趣旨であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

山本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山本委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局長久元喜造君、法務省入国管理局長西川克行君、文部科学省大臣官房審議官前川喜平君、厚生労働省大臣官房審議官北村彰君、厚生労働省大臣官房審議官坂本森男君、厚生労働省大臣官房審議官榮畑潤君、厚生労働省大臣官房審議官二川一男君、厚生労働省職業安定局次長大槻勝啓君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤池誠章君。

赤池委員 自由民主党の赤池誠章でございます。

 本日は、いわゆる入管法の改正と、それに伴う外国人登録法の廃止、一元化ということについて、順次質問をさせていただきたいというふうに思います。

 先ほど大臣から趣旨説明がございましたとおり、国際化という中で、外国人の入国者は昨年一年間で九百万人を超えております。昨年九月からの世界同時不況の影響ということで、上半期は伸びましたが下半期となって減少したとはいえ、本当に大勢の方が我が国に入国をなさっております。入国者数は、韓国の方が二百六十三万人、台湾の方が百四十三万人、中国の方が百二十一万人と、この方々がトップスリーということであります。

 ただ、その反面、御承知のとおり、不法滞在者という方が平成十六年では二十二万人もいらっしゃったということでありまして、そういう面では、これでは、世界に冠たる治安大国と呼ばれる日本が、言ってみれば大変な問題になるということでありまして、御承知のとおり、法務省そして政府一体となって、不法滞在者半減プロジェクトというものを実施してきたわけであります。ことし一月一日現在で、目標の五割減、十一万人まで下がったわけであります。国別でいえば、それでも、韓国の方が二万四千人、中国の方が一万八千人、フィリピンの方が一万七千人と、この国々の方々がワーストスリーということであります。

 前回の質問でも確認をさせていただきましたが、入国管理行政というのは、「ルールを守って国際化」ということを合い言葉にいたしまして、出国、入国の管理行政を通じて日本と世界をしっかり結びつけていく、人々の国際的な交流の円滑化をしっかり図っていく。ただ、その反面、我が国にとっては好ましくない外国人の方々は強制的に国外に退去させるということがうたわれておりまして、そういう面では、健全な日本社会の発展に寄与するということにほかならないわけであります。

 つまり、言わずもがなでありますが、入管行政というのは、人権、人道的な立場があるとはいえ、外国人のために行うというわけではなく、あくまで、日本社会の発展に寄与、国家国民のためにあるというわけであります。

 先ほど御指摘させていただいたように、大勢の方々が入ってくる一方で、不法滞在という形があります。不法滞在、不法入国というのは、犯罪にとって基盤となる、インフラ犯罪という言葉もあるというふうに聞いておりまして、そういう面では、外国人犯罪の増加というのは、数字的な問題以上に、国民の中に体感治安、治安が非常に悪くなっているのではないか、そういう感情を持たれている部分につながるわけであります。

 そういう面では、それに対応して、先ほど御指摘いたしましたように、不法滞在者半減プロジェクトを実施した法務省、まずは、警察としっかり連携をして、警察でも、平成二十年、不法滞在摘発が九千七百十五人ということで、過去五年間で七万人近く摘発をしているということも聞いているわけであります。

 しかし、最近の傾向としては、非常に巧妙になっている。不法滞在者が地方に分散化をしていくとか、居住とか稼働、いろいろ動き回るのが大勢ではなくて本当に少人数、小口化という形になっておりますし、非常に精巧な各種偽造証明書が出回っていて、いわゆるブローカーが介在をして犯罪手口が巧妙化しているということも聞いているわけでございます。

 そんな中で、法務省入国管理局として、平成十八年、私ども、委員会でも審議をさせていただいて、法案を改正、成立させていただきました。上陸審査時の生体認証を導入させていただいたわけでありますが、改めてその成果と課題について法務当局からお伺いをしたいと思います。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、入国管理局におきましては、テロ対策及び不法滞在者対策として、平成十九年の十一月から個人識別情報を活用した入国審査を実施しているところでございます。

 この新しい制度の導入以降、個人識別情報の活用により入国を認めなかった者は、本年三月までの間に一千百十四人に達しております。相当の成果が上がっているものと考えております。

 加えまして、同制度導入後の不法残留の新規発生数でございますが、実施前と実施後を比較いたしますと約三五%減少しており、昨年末までの五年間当局が取り組んだ不法滞在者半減計画の目標達成にも大きく寄与したものというふうに考えております。

 他方、課題の方でございますが、偽装指紋によるすり抜けという事案が発生をいたしました。これは、平成十九年の七月に、我が国から不法残留により退去強制され上陸拒否期間中であった韓国人女性が、平成二十年四月、青森空港から入国し、その後東京入国管理局が同女を摘発、退去強制したという事案でございますが、同人は、氏名及び生年月日が異なる旅券を行使したものでございますけれども、退去強制手続において入国経緯を追及しましたところ、我が国の個人識別情報を活用した入国審査により過去の退去強制歴が発覚するのを避けるため、指にブローカーが用意したテープ様のものをつけて入国審査を通過したという旨を供述いたしました。

 当局といたしましては、この事案の発生を踏まえ、対策として、提供された指紋の品質値について厳格な基準を設けまして、それが一定程度以下の場合には、入国審査官が指の状態を目視の上、指紋に偽装がないか確実に確認するとともに、指紋の状態をブースにいる入国審査官がディスプレー上で確認できるようにいたしました。

 いずれにしても、指紋の加工、偽装は厳格な入国審査を実施する上で看過できないものであり、今後も、警察等関係機関と連携を図るとともに、さらなるシステムの改善を検討し、厳正かつ的確に対処してまいりたいというふうに考えております。

赤池委員 そういう面では、平成十八年時にも当委員会で議論をさせていただいて導入をした生体認証というものが非常に有効に機能しているということではないのかなというふうに思っております。

 既に約二年たつわけでありますが、当初、人権、人道的な問題で、指紋云々というのはいかがなものかというような批判もあったということもあるわけでありますが、その間特段それに関して問題のようなものというのは何かあるんでしょうか。改めて局長にお伺いいたします。

西川政府参考人 制度開始前に危惧しておりました指紋提供の拒否者は、現在までのところ一名ということでございまして、特段の問題は生じておりません。この一名についてはそのまま退去いただいたということになります。

赤池委員 そういう面では、当初はアメリカと日本のみで、拙速ではないかという批判もあったということでありますが、テロ対策さらに不法滞在への対応としては非常に有効に機能しているということではないのかなと思います。

 あと、日本、アメリカ以外でも今後こういった動きが世界的にも広がる、そんな可能性はあるんでしょうか。改めて局長、お伺いしたいと思います。

西川政府参考人 現在、韓国で導入を検討中であるという話を聞いております。

赤池委員 各国、当然お金のかかる、体制のかかる話でありますが、これだけ有効に機能しているということであれば、こういった面でも、国際協力を含めて、それぞれ関係国に働きかけていくということも大事ではないかなというふうに思います。

 それから、課題として指摘をされた偽装指紋事件に関しても、これも当然、いろいろなシステムを導入しても、それを、いわゆる犯罪集団というのはどんな形にしても何とかしようということは言われているわけでありまして、そういう面では、今回の偽装指紋事件、早速、目視初めディスプレーの改善ということをしていただいたということではありますが、これも、どういう形で出てくるかというのは本当に難しい問題があるとはいえ、やはり国際的な情勢またはさまざまな情報収集の中で機動的に対応していただきたいというふうに思っております。

 そういう面では、半減プロジェクトということで、五年間の成果が出てきているとはいえ、それでもまだ十万人以上の方がいらっしゃるだろう、それから、毎年毎年不法入国なさる方もいらっしゃるということは間違いはないということでありまして、これは、これだけやったからいいということではなくて、さらに入管当局、当然大変なことにはなるわけですが、警察と協力して、これは限りなくゼロ、もちろんゼロの目標に向かって頑張っていただきたいというふうに思っております。

 続いて、今回新しい在留管理制度という形を導入するんですが、今までの在留管理制度、外国人登録法に基づく今までの制度がどうだったのかなということを、現状を確認させていただきたいというふうに思うんです。

 これは私も聞いて驚いた部分がありますし、ましてや一般の、入管行政にかかわらない方は聞くと本当に驚くことではないのかなというふうに思うんですが、外国人登録証明書が不法滞在の方に対しても発給されているという事実があるわけであります。外国人登録証に、「在留なし」というところにわざわざ赤字で書くということらしいんですが、それは一体どういうことでそういうふうな形になっているのかということを、局長、御答弁をお願いいたします。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の外国人登録法第二条におきましては、その対象とされている外国人とは、日本国籍を有しない者のうち、仮上陸の許可を受けた者及び一時庇護のための上陸の許可を除く特例上陸許可を受けた者以外の者をいうということとされており、不法滞在者もこれに含まれるということになっております。

 そして、同法第三条によりますと、本邦に在留する外国人は、その上陸の日から九十日以内に登録の申請をしなければならないというふうにされております。したがって、不法滞在者も登録の申請をする義務があり、登録をした場合には、市区町村の長は、外国人登録証明書を作成し交付しなければならないということになっているということでございます。

赤池委員 法的にそういう位置づけがなされているということなんですけれども、さらに突っ込んで聞くと、なぜ外国人登録法にそのような形での、一見すると、何でそんなわざわざ不法滞在者を外国人登録なんかするんだろうかという素朴な疑問が出るわけでありまして、そもそも論、なぜこういったものが外国人登録法で対象となっているのか、改めて局長、お伺いしたいと思います。

西川政府参考人 現行の外国人登録制度は、いわゆるポツダム勅令としての外国人登録令、昭和二十二年制定ということですが、によって創設され、外国人登録法に引き継がれて現在に至っているということでございます。

 制度創設当時、これは現在と相当状況が違いまして、我が国に在留する外国人は現在よりも大幅に少なく、その構成も朝鮮半島出身者が大半を占めていたことであったということでございます。当時、同半島からの船舶による密航が後を絶たない状態にあって、一たん検挙を免れて国内に潜入した者を追及するため、外国人が本邦に在留するに至った原因等を問わず登録の対象にしたものとされておりますが、現在とは相当状況が変わっているということであろうと思います。

赤池委員 まさに時代の大きな変化、歴史的な背景があればこそということではないのかなということを聞かせていただきまして、今回の新しい在留制度、そういう面ではもっと早くてもよかったのかなという思いもありますし、これは、この機をしっかりとらえて新しい制度を導入していかなければいけないということにもなるのかなというふうに思っております。

 そんな中で、不法滞在者の方々というのが、現行、行政サービスとしてどうなっているのかということを確認させていただきたいというふうに思いまして、きょうは、政府参考人として厚生労働省また文部科学省、大変お忙しい中、急にお呼びをいたしまして大変申しわけないですが、それぞれの行政サービスについて、現行、不法滞在者にどうなっているのか。また、当然、新しい在留管理制度、在留カード、これから順次質問もするわけでありますが、どう変わるのか変わらないのかというところも踏まえて聞かせていただきたいと思います。

 まず、年金についてはどうなっているんでしょうか、お願いいたします。

二川政府参考人 外国人の方につきましての国民年金についてのお尋ねかと思います。

 国民年金につきましては、日本人か外国人かを問わず、日本国内に住所を有する方について適用しているところでございます。外国人の方につきましては、住所を有するかどうかという判断の基準につきまして、外国人登録を行っているか否かといったことで判断をしているところでございます。

 ただ、現時点におきまして、外国人の方でも、不法滞在といったことになりますと、そういった方からの保険料徴収というのは現実には相当困難でございますので、今般の改正等によりまして大きな変化はないものというふうに考えておるところでございます。

赤池委員 当然といえば当然の話でありまして、年金に関しては変わらないということでありました。

 健康保険についてはいかがでしょうか。

榮畑政府参考人 市町村国民健康保険におきましては、現行でも、入管法に定める在留資格を有しない不法滞在者の方につきましては、法令に基づき適用除外とされているところでございまして、この取り扱いは、今回の入管法の改正により変更するところではございません。

赤池委員 ありがとうございました。

 それでは、雇用保険はどうなりますでしょうか。

大槻政府参考人 雇用保険制度は、失業時に必要な給付を行うことによって生活の安定を図りつつ求職活動を支援する、そういうための制度でございます。したがいまして、出入国管理及び難民認定法におきまして就労活動が認められていない外国人につきましては、そもそも我が国におきまして求職活動を支援すべき者ではないということで、制度の対象とならないものでございます。

 この取り扱いにつきましては、今般の改正によりましても変わるものではございません。

赤池委員 ありがとうございました。

 それでは、生活保護についてはどうなるんでしょうか。

坂本政府参考人 生活保護法は日本国民を直接の対象といたしておりまして、また、適法に日本に滞在し活動に制限を受けない永住、定住等の在留資格を有する外国人につきましては、予算措置として、生活保護法を準用して保護を実施しているところでございます。

 このように、不法滞在者には生活保護を実施しない仕組みといたしておりまして、これを変更することは考えておりません。

赤池委員 児童手当に関してはいかがでしょうか。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 児童手当制度は、児童を養育する者が日本国内に住所を有するときに支給することとされております。受給者の国籍は問わないこととしておるところでございますが、不法滞在者は対象とはしておりません。

 児童手当の認定に当たりましては、外国人登録原票により在留資格あるいは在留期間等を確認しているところでございます。

 今回の法改正によりまして、児童手当制度における不法滞在者の取り扱いは変わるものではございません。

赤池委員 ありがとうございました。

 わざわざ確認をさせていただきましたが、厚生労働行政に関しては、不法滞在者については、当たり前の話なんですが、今までも行政サービスはしていなかった。当然、今回の法改正によって、在留カード制度を初め、新しい在留管理制度になっても何ら変わらないということがわかりました。

 次に、文部科学省はいかがでしょうか、お願いいたします。

前川政府参考人 我が国に滞在いたします外国人が、その保護する子の我が国の公立の義務教育諸学校への入学を希望する場合におきましては、すべての子供の教育を受ける権利の保障を求めております国際人権規約等の規定に基づきまして、滞在の資格のいかんを問わず、無償での受け入れを行っておりまして、不法滞在の外国人につきましても、我が国に滞在する期間におきましては同じ取り扱いとなっているわけでございます。

 この方針は、今回の出入国管理法の改正によりましても変更はないものと承知しております。

赤池委員 ありがとうございました。

 厚生労働行政も変わらない、文部科学行政は変わらない。ただ、今お話を聞いて改めて思ったのは、厚生労働行政、さまざまな、年金、保険、手当に関しては、もともとしていないんだから、当然今回変わってもしない。文部科学行政だけは、いわゆる不法滞在者の子弟であっても、国際人権規約というような形で、もともと一切そういうことを考慮していないということであって、当然、そうなると今後もその取り扱いに関しては変わらない。変わらない中身が、もともと厚生労働省としては変わらない、文部科学行政に関しては、受け入れているから変わらない形だという認識であります。

 確かに、子供に罪はないということはよくよくそのとおりだなというふうに思うわけですが、その反面、日本は当然法治国家でありまして、当然、教育というものの中でいろいろなことを、新しい教育基本法を踏まえていろいろな形で教育目標がある中で、やはりルールを守る、遵法精神を養うというのは、教育目標の根幹の一つだということを感じております。

 今回、そういう面では、新しい在留管理制度になる中で、わからないでこれは全部学校としては受け入れたということは、当然よくわからないだろうなと。もともと不法滞在でありますし、一々、外国人登録証としても、外国人登録証の中には「在留なし」ということで、一見、知識、常識がなければ、外国人登録証を見せたら合法滞在だと、我々、普通の感覚、一般の方々は思ってしまうわけでしょうし、この後も質問させていただきますけれども、それを使ってさまざまな問題も出るのかもしれない。

 ただ、文部科学行政としては、もともとそういうことも確認をしていないという形の中で、今回も、仮に新しい在留管理制度になっても、人道、人権、国際条約の中で、引き続きそのまま変わらないということなんですけれども、果たしてそれでいいのかなという素朴な疑問を持っております。

 国全体として不法滞在半減プロジェクトをやっている、そして、まだまだ大勢いらっしゃる。一方で、子供に罪はないというのも当然よくわかる理屈になるわけでありますが、文部科学行政として、お伺いしますと、平成十八年に通知を出して、居住地のみだけで、あえてそういったことはいいよということを通知を出しているというふうに聞いたわけでありますが、今回新しくなって、在留カードという新しい在留管理制度の中で、合法か非合法かはっきりわかるわけですね。今まではわからなかった。そういう面で、今後も同じような取り扱いで果たして文部科学行政がいいのか。これは、わかるんですよ、子供に罪はないし、改めてここを突破口にして親を捕まえるかという話になると学校現場として大変混乱するとかということもよくよくわかる反面、それでは、これをこのままほうっておくのかという問題もございます。

 これは、すべて不法滞在者がなくなれば、結果的に文部科学行政にとっても何の問題もなくなるという反面はあるんですが、どうしても、十万人以上いらっしゃる、毎年一万人、二万人の方々が日本にいらっしゃる、その中でまた不法入国、不法滞在が行われるというような、これは簡単にはいかない中で、このままの文部科学行政でいいのか。

 これは多分この場で質問しても審議官が困るだけだというのはよくよくわかっておりますが、これは国際人権条約やさまざまな問題がある反面、やはり、当然日本は法治国家だということで、学校が隠れみのと言ったらちょっと言い過ぎなんですが、不法滞在の助長の拠点になってもこれもまた意に沿わない話だと思っておりまして、これは何かしらの、どう折り合いをつけていくのかということをぜひ研究、検討していただきたいなというふうに思っています。

 厳罰主義で何でもかんでもやればいいのかといったら教育現場が混乱をするということもあるでしょうし、子供にはもちろん罪はないというのはよくわかる反面、在留カード、新しい管理制度ができたのに、それも活用しないまま、そのまま今までどおりでいいよという対応だけで果たしていいのかという、非常に難しい部分があるのは重々承知の上で、ぜひ研究、検討をしていただきたいなというふうに思っております。

 きょうは、こういった問題があるということの問題提起をさせていただく中で、今後も知恵を絞って議論をしながら見出していきたいなというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、この後何もなければ、どうぞ政府参考人、この場は結構ですので。ありがとうございました。

 続きまして、これはそもそも論なんですが、なぜ現状、不法滞在者が外国人登録を、言ってみれば、リスク、危険を冒すわけですね。私は不法滞在していますということを名乗りを上げるわけですけれども、先ほど言いましたように、わざわざするんだから、きっと何かメリットがあるんだろう。ただ、聞いてみると、厚生労働行政サービス、年金、保険、手当、いろいろなことは何にも変わりはない。学校、就労というのはあるのかもしれないけれども、逆に言えば、学校就学、子供の就学もあえて登録証を求められていないわけでありますから、居どころがわかればそれでいいということであります。

 そういう面では、素朴な疑問、なぜ不法滞在の方がわざわざ危険を冒してみずからが不法滞在者だということを登録しようとするのか、その辺に関しまして、法務当局から見解をお伺いしたいと思います。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 御案内のとおり、外国人登録証明書は、氏名等の基本的な身分事項及び居住地等が記載され、写真も表示されております。したがって、在留資格なしという記載があったとしても、社会生活上はさまざまな場面で身分証明書として使用することが可能であるというふうに考えられます。

 例えば一般人がそれを見て正規の滞在者と誤解するということもありますでしょうし、例えば預金口座の開設であるとか携帯電話の加入であるとか、身分の証明を要求される場合について使われるということもあると思います。

 したがって、それで継続的な在留が容易になっているという面もあると思われ、こうした身分証としての外国人登録証明書の利用を企図して登録の申請をするのではないかという、これは推測でございますが、推測をしております。

赤池委員 外国人登録証というのは国が、もしくは市区町村の法定受託事務でありますけれども、そういったものを見せたときに、一体何が書いてあるかということをわざわざ見て、「在留なし」赤線ということを知っているというのは、今局長が御指摘のようにやはりなかなかないのかな。

 そうすると、銀行口座をつくるとか、当然社会生活に必要な携帯電話、これはもう今まさに必須の状況になっておりますし、不法入国、不法滞在の一番の理由にもなっているという不法就労という問題にも、知ってとぼけてしまえばそれまでということもあるでしょうし、知らなければ、あ、では大丈夫なんだなということにもなって就労がしやすくなるということであります。

 今回、いわゆる戦争の影響の中で、ポツダム勅令からという話もありました。そういう面では、時代の大きな流れの中で、またこういう具体的な、まさに現行の外国人登録制度が、一面、不法の口座、携帯電話または就労を助長、促進している側面があったということになるのかな。それがさまざまな犯罪の温床に使われるというのはもちろんでありますし、もともと不法滞在でありますから、そういう面では、つくって、利用して、どこかにいなくなるということも当然考えられてくるということになるのかなというふうに思っておりますので、現行の大変な問題点ということではないのかなというふうに思っております。

 そういう面で、今回、新たな在留制度が導入をされると、当然ここがはっきり明確にクリアになるということでありまして、在留カードがあるのかないのか、当然、ある方は身分確認ということで、正規の方としての預貯金口座だったり携帯電話ができるという形になるでしょうし、もともと不法の方はもうないわけでありますから、この辺は明確になってくるということになるのかなというふうに思っております。

 これは行政サービスではないので、行政サービスは、先ほど言ったように、厚生労働省初め文部科学省は認識をしていただいていると思いますが、それぞれの金融機関であったり、また携帯電話の場合は、各キャリア、いわゆる携帯電話の会社の方々、また、就労となると本当に大勢の一般の事業主の方々ということになるわけでありまして、これは法律が通った後ということにはなると思うんですが、そういう面での広報、周知徹底ということが大変重要になると思いますし、そういったものを知らなければ、あれっということにもなるというふうに思っておりますので、これは通った後の話になるわけでありますが、ぜひきちっとした周知徹底も改めてお願いをしたいというふうに思います。

 局長、それだけ一点、今の点でお聞かせ願いたいと思います。

西川政府参考人 委員御指摘のとおり、在留カードが導入された暁においては、在留カードは正規の在留者にしか出さないということになりますし、そこに就労が可能であるか等についても明記されるということになります。

 この在留カードがどのようなものであるか、どういう証明力を有するかということについては、対象となる外国人の方はもちろんでございますけれども、やはり社会一般に十分広報していかなければならないというふうに思っておりますので、周知に努めたいというふうに思っております。

赤池委員 そういう形で、現状の問題点、当然幾つかある中で、外国人登録証の問題点を指摘させていただいたし、質問の中で明らかになったわけであります。

 そんな中で、今回、新しい在留制度の導入という形の中で、制度を変えていこう、法改正をしていこう、外国人登録法を廃止して一元化していこうという形につながってくるということでありまして、そういう面では、改めて今回の法改正、法務大臣が継続的に情報を把握する制度という形になっているわけでありまして、継続的に情報を把握する制度、対象となる外国人の範囲ということを聞かせていただきたいと思います。

西川政府参考人 法務大臣が継続的に情報を把握する制度の対象となる外国人は、まず、入管法上の在留資格をもって我が国に中長期間在留する外国人ということでございます。

 具体的に言えば、入管法上の在留資格をもって在留する外国人でございますが、以下の者は除かれます。

 まず、三月以下の在留期間が決定された者、二番目として短期滞在の在留資格が決定された者、三番目は外交または公用の在留資格が決定された者、四番目はこれらの外国人に準ずる者として法務省令で定めるもの、これらの者を除いた者を対象とする、こういうことでございます。

赤池委員 当然、短期の方々というのは、また出入りが激しいわけでありまして、そういう方々まで在留カードを出すということにはならない。中長期。その定義をそれぞれ、三カ月以内、短期在留、外交、公用、四番目は準ずる方々という形での定義が法案の中にきちっと明記をされているということであります。

 ちょっと細かい話なんですが、四番目の、準ずる者というのは、何か具体的に想定しているものがあるのか、それともこれはその都度考えていくのか、その辺はいかがでしょうか。

西川政府参考人 これは今後詰めていくことになるというふうに思いますが、現在考えておりますのは、例えば、亜東関係協会、台湾の関係の本邦の事務所の職員の方々であるとか、それから駐日パレスチナ総代表部の職員の方々やその家族等について、今念頭に置いております。

赤池委員 よくわかりました。当然そういう形でなってくるということで、外交、公用ではないということで、さまざまな国際関係の中での政治的な判断ということにこういったものが活用されるということはよくわかりました。

 続きまして、先ほども既に在留カードを前提とした質問もさせていただいているんですが、在留カードとは何か、新たな在留管理制度における、どのように位置づけられるのかということを改めてお聞かせ願いたいと思います。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 在留カードとは、法務大臣が我が国に中長期間在留する外国人に対し、上陸許可や、在留資格の変更許可、在留期間の更新許可等、在留に係る許可に伴って交付する文書をいうということでございます。

 新たな在留管理制度におきましては、法務大臣が我が国に中長期間在留する外国人の在留管理に必要な情報を継続的に把握することになるところ、在留カードには、法務大臣が把握している情報の重要部分が記載され、記載事項に変更が生じた場合には変更届け出がなされることにより、常に最新の情報が反映されるということになります。そのため、外国人は、就労活動を行う際や各種の行政サービスを受ける際に、在留カードを提示することによって、みずからが適法な在留資格をもって我が国に中長期間在留する者であることを簡単に証明することができるようになります。

 このように、在留カードは、我が国に中長期間適法に在留することができる外国人であることを明らかにするものであると同時に、法務大臣による継続的な情報把握を担保するものであり、新たな在留管理制度の根幹をなすものというふうに言えると考えております。

赤池委員 ありがとうございます。

 そういう面では、今まで入国時または更新時という、点の把握だったものが、当然、中長期という形で在留なさる方にとっては線のチェック、管理がしっかりできるという形の中核的な仕組みが今回の在留カードという形だということで御教示をいただいたところであります。

 これは当然、この法案がいつ通るかということと絡むわけなんですが、システム含め、予算や体制含めて、準備というものも相当必要になってくるというふうに思っているんですが、これは大体いつぐらいから導入するのかというような、何か現時点としての見込みがあればお聞かせ願いたいと思います。

西川政府参考人 新たな在留管理制度を開始するためには、もちろん入管の方の各種設備、システムもそうなんですが、全国の市区町村との情報のやりとりの問題もございます。したがって、開始までは、法律の公布から三年以内の政令で定める日に施行をさせていただきたいというふうに考えております。

赤池委員 当然、システムが膨大だということと、今言ったように市区町村との連携というものも出てくるということなんですが、在留カードの交付対象となる、中長期的に日本に適法で在留なさっている方の対象人員、人数、一体どれぐらい、当然これは変化するものでありますけれども、最新時点、それから今後の見込みも含めて、局長にお伺いしたいと思います。

西川政府参考人 これはあくまで概数でございますが、平成二十年十二月末現在の外国人登録者のうち、除外されるものもございますが、法改正後の中長期在留者、つまり、この対象になる者の数の概数は、約百七十二万四千人ということでございます。おおむねこれくらいの数の外国人が在留カードの交付の対象者になるものと思われますが、従前の例ですと外国人登録者は徐々にふえておりましたので、今後どのような変化になるか、これからよくわかりませんけれども、相当数の方々がその対象になるのではないかというふうに思っております。

赤池委員 一口に百七十二万人ということでありますから、莫大な情報が出てくるという形になるのかなというふうに思いまして、当然、上下、時の情勢によって変化をするということですが、今までの状況を見てみればふえるということもあるので、相当の周到な準備が必要になるのかなというふうにも感じております。

 そんな中で、先ほど、地方自治体、今まで外国人登録は法定受託事務として市区町村が窓口で対応していたわけでありまして、そうなったときに、今回、当然連携という対象になるわけでありますから、不法滞在者において、住民基本台帳制度にかかわる対象となるのかどうかということも含めて、もう一度局長にお伺いしたいと思います。

西川政府参考人 住民基本台帳の改正につきましては総務省の方の所管でございますが、不法滞在者は住民基本台帳制度の対象とはならないというふうに承知をしております。

赤池委員 改めて、当然のことといえば当然ですが、今までは、一緒、どんぶりみたいな部分があったということでありますが、ここからはっきり明確になる。当然、そうなると、住民基本台帳制度というものの中でしっかり、入っていかないという形になるということであります。

 そういう面で、改めて、在留カードとは何か、若干前に戻るんですが、局長の中でもう一回確認したいのは、今までの外国人登録証のいわゆる見た目と今回の在留カードというのが一体何が違うのか、ちょっとそこをもう一回確認させていただきたいということでありまして、当然、これは後ほど質問する偽変造の部分ということにもなってくるというふうに思っておりますので、ちょっとそれだけ情報として。

 今までは、外国人登録証というのはラミネート加工みたいな形があったというふうに思うんですが、その一方で、今回は当然新しいシステムを考えていらっしゃるのかなというふうに思っておりまして、ちょっとそこだけ確認をさせていただきたいと思います。

西川政府参考人 まず、在留カードの記載事項ということでございますが、先ほど申し上げたとおり、在留カードを持っているということ自体で中長期の何らかの在留資格を有している、これは明らかになる。さらにその上に、記載面には、例えば就労制限の有無、それから資格外活動許可を受けているときはその旨が記載されることになりますので、例えば、事業主等はそれを見ただけでどのような就労が可能になるのかというようなことを容易に把握できるようになります。それから、記載面以外に、ICチップを附属させるということを考えていて、偽造防止にも備えたいというふうに思っております。

赤池委員 これは平成十八年に導入した生体認証もそうなんですが、最新の科学技術を活用して、情報管理それから偽変造防止ということで、新しいカードになってくるということを確認させていただきました。

 今回は、在留カードというものをしっかり導入するということによって、不法滞在者には交付されない。当然これによって、今まで外国人登録証というのが、不法滞在者、「在留なし」ということで、登録さえすれば支給されていたものとの違いが、先ほど確認をさせていただいたように出てくるということでありまして、この在留カードを交付するという以外に、今回、不法滞在外国人対策に資する制度が何かあるのかどうか、お伺いさせていただきたいと思います。

西川政府参考人 今回の改正におきまして、不法滞在者対策に資する制度として在留カード以外ということでございますが、まず第一点として、法務大臣が継続的に把握すべき情報の正確性を担保するための届け出事項についての事実の調査ができるようになっております。第二点は、外国人が、これは所属機関が在留資格に絡む場合だけでございますが、その所属機関等に変更が生じた場合には法務大臣に届け出なければならないということになっております。また、外国人の所属機関の側が外国人の受け入れ状況について法務大臣に届け出なければならないことを明文化することによりまして、外国人、所属機関双方からの情報を照合、分析することが可能となって、情報の正確性が確保されるということになります。

 また、在留資格取り消し事由を新設するということがございます。

 以上の点が考えられると思っております。

赤池委員 調査権であったり、そして届け出事項であったり、またさらに所属機関、雇用主、学校、研修先ということになるんでしょうから、そういう面では、双方、言ってみれば、当局と本人、さらに所属機関、学校、勤務先を含めて、そういった面で多面的に情報を突合するという形の中で、しっかり把握ができるような道が開かれてくることになってくるということでありまして、それぞれ、一つずつ中身を確認させていただきたいなというふうに思っております。

 まず、今回新設をされる調査権の内容、そして、改めてこれを新設した趣旨が何なのか、お伺いをしたいと思います。

西川政府参考人 今回新設した調査権は、法務大臣が中長期在留者の身分関係、居住関係及び活動状況を継続的に把握するため、届け出事項に係る情報の正確性を確保することにより、これらの外国人の在留の公正な管理を実現しようとする趣旨で設けたというものでございます。

 この調査権は、外国人その他の関係者に対して出頭を求め、質問をし、または文書の提示を求めることや、公務所または公私の団体に照会することなど、届け出事項についての事実の調査をその内容としております。

赤池委員 そういう面では、本人に聞くということはもちろんなんですが、本人のみならず、関係先、関係人にも、出頭する、来てください、質問をする、それから文書提示、資料を出してくださいという形での事実関係の調査がしっかりできるという形で、公私の団体へも照会ができるということでありまして、この辺は、言ってみれば、ほぼ制限なく聞くことができるということでよろしいんでしょうか。

西川政府参考人 あくまで入管法の処分等に必要な範囲内、それから在留の管理上必要な範囲内での情報を集めることができる、こういう趣旨でございます。

赤池委員 これは、いや、調査は勘弁してくれといって拒否したりする場合は、何らかの罰則関係はあるんでしょうか。

西川政府参考人 罰則は設けておりませんので、任意で協力を願うということです。

赤池委員 その辺は、言ってみれば、法律に調査権があるよといっても、いやいや、罰則がないよということで協力しないなんという形になりはしないかなというふうに思うんですが、その辺はいかがでしょうか。

西川政府参考人 確かに直接の罰則等は設けていませんが、まず、当該外国人につきましては、もともと、在留資格に疑義が生じた場合は、それを解消しなければ、例えば取り消しの対象になったり、更新においての扱いが結果的に不利益になる、こういうことが考えられますので、当然協力は見込めるものというふうに思っております。

 それから、例えば外国人の受け入れ機関等についても、外国人の受け入れに当たって、当然のことながら、その外国人が正規に在留するということについては協力することが当該機関の利益になる場合が多いというふうに思いますので、協力は見込めるものというふうに考えております。

赤池委員 調査をお願いして、何で断るんだということには当然なるわけでありますから、当然これは、本人、関係先を含めて双方のメリットになるということではないかと思いますし、それがそもそも今回の、しっかり確認をする、点から線へという流れでありますから、当然というふうになってくると思っております。

 それから、調査権以外に、在留期間の途中で変更が生じた場合に法務大臣に届け出るということが規定をされているということでありまして、先ほど何度も繰り返させていただいている、点だけではなくて線でしっかりチェックするということなんですが、その届け出るべき事項についての基本的な考え方を改めてお伺いしたいと思います。

西川政府参考人 新たな在留管理制度におきましては、対象となる外国人は、氏名、国籍、住居地等の在留カード記載事項のほか、その在留資格に応じて身分関係や所属機関について在留期間の途中で変更が生じた場合には、随時法務大臣に届け出なければならないということにしております。

 具体的には、入管法の別表第一の在留資格中、所属機関の存在が在留資格の基礎となっている者については、勤務先、契約の相手方、留学先、研修先等の所属機関から移籍したり、その名称や所在地に変更があったときは、その都度届けてもらうということになりますし、例えば、日本人の配偶者としてその在留資格で在留する者については、配偶者としての身分を有することが在留資格の基礎となっておりますので、例えば離婚や死別等、その変動が生じた場合については随時届けていただくということになります。

赤池委員 当然これは、外国人だけではなくて、日本人にとっても、住所というのは社会生活を営む上で基礎、基盤であります。その住所が得られないということで、昨今の雇用問題を含めてさまざまな問題が発生してくるということでありますので、しっかりその辺を把握する。それが把握できないということでの、不法滞在、オーバーステイ、いろいろ捜しても見つからないということになるわけでありますので、その辺をしっかりやっていくということを聞かせていただきました。

 それから、あと、配偶者の問題ということでありまして、これは当然重要なポイントで、在留許可をいただく中での日本人の配偶者の存在ということが大変重要である。そうなると、結婚したからいられるのに、それが偽装結婚であったりまたは偽装認知だということになったら、これは当然解消しなければいけないということもあって、それをしっかり確認していくということになるんですが、その一面、最近、いわゆるDVといいますか、ドメスティック・バイオレンスという形で、どうしようもなく離れざるを得ないというような状況に立ち至る可能性もないとも言えないといった場合に、どのような形で対応なさるのかもお聞かせいただきたいと思います。

西川政府参考人 確かに、日本人の配偶者の場合は、その身分において我が国に在留しているということになりますが、中には、本人の帰責事由によらないで、例えばDVの被害者になったということで、なかなか婚姻関係が継続しがたい、このような場合もあろうというふうに思います。

 その場合につきましては、他の在留資格への変更が可能であるという場合が多かろうというふうに思いますので、在留資格変更の許可申請をさせて、引き続き在留を認めるということになる場合が多かろうというふうに思っております。

赤池委員 そういう面では、非常に、調査権を含めて、しっかりと事実を確認した上で対応をとってくるということではないのかなというふうに思っています。

 それから、先ほども何度か出ております、今回の法改正で雇用先、学校、研修先などの所属機関の届け出義務を規定しているわけでありますが、改めてその趣旨というものをお伺いさせていただきたいと思います。

西川政府参考人 新たな在留管理制度におきましては、学校や研修先など、所属機関から受け入れの状況に関する事項の届け出をさせるということにしております。この情報と外国人本人から届け出られた情報との照合などによって正確な情報を確保するために必要であるというふうに思っております。

赤池委員 当然、在留カードの中にしっかり、就労、そしてどういう形で働けるのかという形が書かれるわけでありますから、そういう意味では、双方、きちっとメリットがあるという形でありますし、先ほどもお伺いをさせていただいた、これは当然、雇用先、学校、研修先、まあ学校、研修先は当然でしょうけれども、雇用主というのは本当に大勢いらっしゃるということでありますので、改めてその面の周知徹底をお願いしたいというふうに思っております。

 そういう形で、調査をし、届け出をしっかりしてもらう、それも、本人のみならず、もちろん所属先もしっかりやっていただくという形の中で、それでも、偽りその他不正の手段によって在留特別許可を受けたという形の中で、在留資格の取り消しという形も当然あるわけでありまして、その辺の在留資格の取り消し事由についての趣旨をお伺いしたいと思います。

西川政府参考人 今回、在留資格の取り消しの事由として何点か設けておりますが、例えば、不正の手段によって在留特別許可を受けたということを取り消し事由の一つというふうにしております。

 これは、近時、婚姻を理由に在留特別許可を受けた外国人が、実際はその婚姻がいわゆる偽装婚であったと後日判明して逮捕されるというようなケース、これも相当数発生しているということでございます。このような場合につきましては、偽りその他不正の手段によって上陸許可の承認等を受けた場合と同様に在留資格を取り消し得るというのが相当であるということから、これを在留資格の取り消し事由に加えることとしたというものでございます。

赤池委員 先ほどの繰り返しになりますけれども、そういう面では、今までは点でしかなかったという形であって、今回、それがわかった段階ですぐ在留資格を取り消すという形でよろしいんでしょうか。

西川政府参考人 判明した段階で取り消し得るということにしたということです。

赤池委員 それで、もう一回、先ほどの配偶者の問題。DVみたいな問題はしっかり調査して、別途、いていただくような手だてもする反面、配偶者の身分を有する者としての活動を継続して三カ月以上行わないということで在留することを、在留資格取り消し事由という形で、改めてその辺も明確化しているということでありますから、この辺、改めてもう一度趣旨を確認させていただきたいと思います。

西川政府参考人 日本人の配偶者及び永住者等の配偶者は、配偶者の身分を有する者としての活動を行うことを理由として我が国における在留が認められているということでございます。そうである以上、離婚等によってその身分を失った場合や、それら身分を有する者としての活動を行っていない場合は、我が国における在留を継続させるのは法律の趣旨に反するということに加えまして、近年、いわゆる偽装婚によって日本人の配偶者等の在留資格を取得して就労活動を行う者の存在が大きな問題とされており、これに適正に対処する必要がある、このことからも、在留資格の取り消し事由とするということにしたものでございます。

 なお、配偶者の身分を有する者としての活動が認められなくても、他の在留資格への変更が可能であれば、在留資格変更許可申請をさせた上で引き続き在留を認める事案も考え得るということは、先ほども申し上げたとおりでございます。

赤池委員 そういう面では、しっかり事実確認をしていただくという形の中で、一番問題は、ブローカーの存在の中での偽装婚、これは実際、警察庁の統計でも五年間で百数十件起きているということもありますし、偽装認知というのも起きている。これは、昨年の改正国籍法の中でも明らかになったことでありますので、ぜひその辺を線としてチェックをしていくということではないのかなというふうに思います。

 それからさらに、上陸後九十日以内に住居地の届け出をしない、また、届け出た住居地から退去の日から九十日以内に新住居地の届け出をしない、虚偽の住居地を届け出たこと、それぞれ在留資格の取り消し事由とするという形になっておりますので、この辺、改めてその趣旨をもう一度明確にさせていただきたいと思います。

西川政府参考人 現行の在留管理制度における主要な問題点の一つとして、外国人の構成及び行動様式の変化によって外国人の居住実態の把握が困難となって、在留管理や種々の行政サービスを行う上で支障が生じているということが指摘されております。また、外国人の居住情報が不正確であることについての現行法制度上の問題点の一つとして、外国人の虚偽届け出や不届け等の違反に対して在留資格の取り消し等の入管法上の処分により対応できないということが指摘されております。

 そこで、今回の改正におきましては、住居地の届け出に関する義務違反や虚偽の届け出を在留資格の取り消し事由とすることによって、正確な住居地届け出を促そうとしたものでございます。

赤池委員 繰り返しますが、住居というのが社会生活の基盤という形でありまして、それをしっかり把握していくということではないのかなというふうに思っております。

 続きまして、在留カード、先ほど、ICチップを含めて最新の技術を使ってという形があるわけなんですが、今までは外国人登録証に関しては偽変造が多発をしているという実態もあったということでありまして、そういう面では、ICチップを初め在留カードの偽変造対策というのはどのように担保をしているのか、お伺いをしたいと思います。

西川政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、在留カードについては、その券面に偽変造対策をもちろん施しますが、それ以外に、ICチップを搭載して、その中に在留カードの券面記載事項を記録するということを予定しております。これによって、ICチップに記録された情報を読み取りまして、この情報と券面に記載された事項とを比べることによって在留カードが偽変造されていないかどうかを確認することができるというふうに考えております。

赤池委員 そういう形での技術的な担保ということでありますし、また、在留カードを偽変造したという場合の罪、罰則について教えていただきたいと思います。

西川政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、在留カードは今後社会生活の多くの場面において使用が予定されておりまして、在留カードの社会的信用性を保護するという必要は極めて高いというふうに思っております。このカードの偽変造行為については、新たな在留管理制度の根幹を脅かす行為であるということから、厳正に対処する必要があると思っております。

 在留カードの偽変造行為は、ブローカー等によって行われて、その準備行為や偽変造行為、販売行為等の各段階において役割が分担され、組織的あるいは国際的に敢行されることも予想されるということでございます。

 そこで、これらの各行為について漏れなく処罰することができるようにするため、在留カードの偽変造、偽変造の在留カードの行使、偽変造の在留カードの提供、収受、偽変造の在留カードの所持、在留カードの偽変造目的での機械または原料の準備について罰則を設けたところでございます。

赤池委員 そういう面では、今までの反省に立って、行使、提供、収受、持っているのはもちろん、さらに、つくっている機械、さらに原料もあるんだったらそれで罰則するぞという形であって、偽変造対策というのは、今までのさまざまな事例を踏まえて、相当網羅した形での罰則の概要になっているのかなということでありまして、それは相当効果を発揮するのではないかなということを、今聞いて改めて思ったわけであります。

 そんな在留カード及び特別永住者証明書の偽変造行為を、こういう偽変造そのものでも強制退去事由だという形にした趣旨について、もう一度お伺いをしたいと思います。

西川政府参考人 この在留カードそれから特別永住者証明書も同じでございますけれども、先ほど申し上げたとおり、極めて社会的に利用される場面が予想されて、その信用性を保護する必要が非常に高いと思われます。また、これらに対する偽変造等の行為が外国人によってなされるということもあり得る事態でございますので、刑罰で処罰をするという以外に、このような行為を行った者についてさらに厳正に対処する必要があることから、退去強制事由ともしたということでございます。

赤池委員 そういう面では、罰則をそれだけ大きく広げ、さらに、外国人であれば強制退去という形を明確にしたという形ではないのかなというふうに思っております。

 きょうは、これ以外にも、法改正の中には、研修・技能実習制度、または在留資格「留学」及び「就学」の一本化という形での意義も含まれております。それに関して簡単に局長の方から、概要、意義だけ教えていただきたいと思います。

西川政府参考人 研修・技能実習につきましては、研修・技能実習の本来の趣旨ではなく、低賃金労働者として扱ってさまざまな不正行為が発生しているということから、研修生、技能実習生の保護の観点から主として見直しを図るというものでございます。

 それから、留学、就学の一本化につきましては、これを一本化することによって、現在、就学、留学で来ている人たちについて、例えば就学から留学への在留変更申請等がなく進めるということで、利便性を図るということを目的としたものでございます。

赤池委員 きょうは、新たなる在留管理制度という形の中で、戦後の中でも非常に大きな改正の一つという形になってくるのかなというふうに思っておりまして、そういう面では、在留カードの導入、それから調査、さらに在留資格取り消し、それから偽変造防止などということで、多面的な、現在の状況、問題を非常にしっかり踏まえた形での法改正ではないのかなというふうに思っておりまして、入管行政、大変な中で、そういう面での新たなる武器といいますかツールをしっかり持っていただいて、さらに不法滞在撲滅、不法入国解消に向けて頑張っていただけるのではないかなというふうに思っております。

 新しい在留管理制度が導入をされて、外国人に対する在留管理が厳格化をされている。きょうはこの後同僚議員の質問もあると思いますが、その一方では、在留期間の上限伸長であったり、再入国許可の緩和ということで、適法に在留する外国人の利便性の増大もあわせて入っているわけでありますけれども、こういう形で、日本は、きちっとルールを守る方には、適法の方にはしっかり対処する、しかしその一方で、ルールを守らない方に関しては厳格に対処するという、信賞必罰ということが今回の法改正の中で明確になっているということで、高く評価をするんです。

 その反面、その前段として、前回も聞かせていただいたわけでありますが、フィリピンのカルデロン一家の事例に見られるように、これはどう考えても国外退去事由に当たるという形での、ブローカーを介した他人名義での不法入国、それから外国人登録法違反、さらに娘さんを登録しなかったという三重の罪、これも最高裁で確定した問題。しかし、入管では、三段階にわたってこれはやはり三人とも退去事由だと言っているにもかかわらず、最後の最後になって法務大臣裁量という形で在留特別許可を出した。

 この問題を踏まえる中で、在留特別許可が全体として毎年、昨年では八千件許可を出している。そうすると、全体の中で割合としたら決して多くはない反面、それだけの方が不法入国、不法滞在、まあ、オーバーステイが八割、不法入国が二割という形であって、決してそれ以外、相当悪質ではないということは聞いているとはいえ、やはり国民にとっては、今までも厳格であって、さらにこれをせっかくこれだけ厳格化するという形になっても、最後の最後、異議申し立てだ何だかんだで上まで行ったら大臣が特別許可を出すのであれば、結局こういった問題がしり抜けになるんじゃないか。

 これは一部、マスコミに出ている話なんですが、不法滞在半減プロジェクトのため、優良とされる一部外国人について在留特別許可を与えて、わざわざ不法滞在半減プロジェクトを進めているんじゃないかなんということまでやゆされてしまう。

 これだけまじめに法務当局、入管行政がしっかりやっていながら、最後の最後で温情を出したことによっての、法治国家としての厳格性が疑われることになりかねないという形になってしまうのではないかというふうに思っておりますので、改めて大臣に御見解をお伺いしたいと思います。

森国務大臣 在留特別許可を出すか出さないかの判断は、個々の事案ごとに、在留を希望する理由、家族状況、素行、内外の諸情勢、人道的な配慮の必要性、さらには我が国における不法滞在者に与える影響等、諸般の事情を総合的に勘案し、十分に検討した上で行っています。異議申し立てが出たらすぐ在留特別許可を認めるといったような筋合いのものではございません。

 委員御指摘のとおり、昨今の在留特別許可件数は確かに相当数に上っておりますが、在留特別許可の許否の判断は従前同様慎重に行ってきているところであって、これによって新たな在留管理制度の趣旨が生かされないことになるものではないと考えております。

 いずれにいたしましても、今後とも在留特別許可の許否判断は、個々の事案に応じ、慎重かつ適切に行っていく所存であります。

赤池委員 やはり、これが言ってみれば前例となって、前回も局長は、前例ではないと、ケース・バイ・ケース、今大臣も御指摘になった。ただし、国民の中では、それがきっかけとなって、在留管理制度がいいかげんじゃないかとか、不法滞在といっても上げ底じゃないかみたいな、そういう悪口を言うことにつながりかねないということは、大臣をトップとした法務行政、また入管、本当に一生懸命なさっている方にとってもいわれない批判だということもよくよく承知をしているわけであります。

 これは、基準はない、ガイドラインはある。ガイドラインの中で、当然法を犯したら帰っていただく、ただしその反面、配偶者、子供ということになると、これはやはり認めざるを得ない。日本人と、また永住人と結婚する外国人の方々がそれだけ多いということにもなる反面、ぜひその辺はきちっと、今までもそうだと思いますけれども、慎重にもさらに慎重を期して、疑念、懸念が広がらないような対応を改めてお願いしたいというふうに思っております。

 そういう面では、在留特別許可のガイドラインを、まあ、わかるんです、法律を犯したら帰っていただく、ただし、そうであれば積極的に認めましょうという積極的な事由、理由というのは要らないんじゃないか、私自身はそう思っておりますので、改めて御検討いただきたいと思います。

 それから、今回、特別永住者についても、入管法が改正をされる中で同様の措置がとられるわけでありまして、特別永住者に対しては実質的な法改正ではなく、それに連動したものということでありますが、これは私自身の意見としては、歴史も踏まえておりますので、そろそろ一元化を徐々に図るべき時期にも来ているのかなというふうに思っておりまして、これは逆に在日特権というような批判も一部招きかねないということも踏まえて、十分な御検討も改めてお願いをいたしたいと思います。

 今回、法治国家の番人としての「ルールを守って国際化」ということのスローガンに沿った法改正ということでありますので、高く評価をして、いち早く改正を実現していただきたいというふうに思っておりますし、法をつくっても、具体的にそれに魂を入れて動かしていくというのは、まさに法務大臣をトップとした、法務行政に携わる皆様方一人一人であります。予算、人員含めて、我々立法府の一員としてもきちっと対応させていただきたいというふうに思っております。

 私たちは、冒頭述べましたように、国家国民、日本のために、こういった国際化の中でしっかりとしたルールを守る、そのために引き続き全身全霊で頑張ってまいりたいことを申し上げまして、質問とさせていただきたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

山本委員長 次に、近江屋信広君。

近江屋委員 自由民主党の近江屋信広であります。

 法務大臣が参議院から戻られましたので、法務大臣初め、幾つか御質問をさせていただきたいと思います。

 本法律案、現行の出入国管理及び難民認定法、それが一つ、もう一つは外国人登録法という二つの制度によってこれまで在留管理を行ってきたわけでありますが、今回、法務大臣が公正な在留管理に必要な情報を一元的にかつ継続的に把握しよう、それによって公正、適正な在留管理をしようという制度である、そういう趣旨であると理解をいたしております。同時に、適法に在留する外国人に対して、ちゃんとしたメリットがあるよ、便利さが高まるよということもあわせて措置している、そういう制度である、そういう改革であると理解をいたしております。

 それにつきまして、現行の在留管理制度、幾つかの問題点が現在あるわけでありますが、どういう問題点があるのか具体的にお示しをいただきまして、そして、本改正によってこの問題点がどのように改まるのか、その点、法務大臣からお聞かせください。

森国務大臣 現行の制度では、法務大臣は、入管法に基づきまして、外国人の入国時や在留期間の更新時等の各種許可に係る審査を行う際に、外国人から必要な情報を取得しております。一方、在留期間途中における事情の変更については、市区町村が実施している外国人登録制度を通じて把握することとしております。

 近年、我が国の国際化が進展いたしまして、新規入国者数が著しく増加するとともに、我が国に居住する外国人の数も増加してまいりました。また、我が国に在留する外国人の構成も大きく変化してきておりますことなどから、外国人の在留状況、とりわけ居住実態の正確な把握が大変困難になってきております。

 そこで、今回の改正により、現行の入管法に基づいて行っている情報把握と、外国人登録法に基づいて市区町村を通じて行っている情報把握の制度を改めまして、適法な在留資格をもって我が国に中長期に在留する外国人を対象として、法務大臣が在留管理に必要な情報を継続的に把握する制度の構築を図ろうとするものでございます。これにより、在留管理に必要な情報を正確に把握できるようになります。

 また、新たな制度の構築を前提として、在留期間の上限の伸長や再入国許可制度の見直しなど、適法に在留する外国人に対する利便性を、委員から御指摘もあったところでございますけれども、向上する措置の実施が可能となるわけでございます。

近江屋委員 先ほど赤池議員からも指摘がありました。まさに、外国人の入国時並びに在留期間の更新時、その二つの時点、いわば点の管理だけだったものを、今度は線の管理をやっていこう、それは、在留の途中の経過、事情変更等もしっかりと法務大臣が把握していこうということで、適正、公正な在留管理をするという大変適切な改革だと思いますので、この法案施行の折には、きちんと機能するように万全な運用をしていただきたいものだなと思うわけであります。

 続きまして、我が国には適法に在留する外国人と不法滞在者がおるわけでありまして、先ほど以来論議をされておりますが、不法滞在者は今どのくらいおるのか。その不法滞在者のうち、認められた期間を過ぎて滞在している、オーバーステイの不法残留者というものはどのくらいいるのか、また、密入国などの不法入国者はどのくらいいるのか、教えてください。

 その上で、今回の新しい制度では、対象とする外国人に在留カードを交付することとしまして、この在留カードを通じて外国人の在留管理を行うことになりますけれども、不法滞在者を減らしていく効果は当然あると思います。それは、不法滞在者にもこれまで外国人登録証明書を交付していたということがありまして、不法滞在を容易にしていたという実態もあったわけでありますから、今回の制度改正によって不法滞在者を実際減らしていく効果はあるんだろうと思います。

 先ほど入管局長から、不法滞在者半減計画のもとで一定の成果があったという報告、答弁がありましたが、実際、どのぐらい、大幅な減少になるのかどうなのか、劇的に減らすことができるのか、その辺の見込みというか、その点を法務当局にお伺いをいたします。

西川政府参考人 まず、不法滞在者の数でございますが、本年一月一日現在、我が国に不法残留している者の数は、これは電算統計上ということですけれども、十一万三千七十二人でございます。なお、これ以外に、船舶密航等による不法入国者がいるということになります。これはあくまで推計値でございますが、大体一万五千人から二万三千人の間ではなかろうかというふうに見込んでおります。

 次に、在留カードの導入によりまして不法滞在者対策になるのではないかという観点からの御質問だと思いますが、先ほども申し上げましたとおり、現在の外国人登録制度におきましては、不法滞在者にも外国人登録証明書が交付されまして、さまざまな場面において身分証として使われることなどから、時には一般の方に正規滞在者との誤解を与えるというような問題点も指摘されているということでございます。

 新たな在留管理制度におきましては、在留カードは適法な在留資格を有する者だけに交付をされます。また、在留カードには、その外国人の在留資格、期間のほか、就労の可否等が券面上明確に記載されるということになりますので、事業主等は当該外国人について在留資格や資格外活動許可の有無の判別を極めて容易に行うことができるようになります。

 これらのことから、新制度においては不法滞在を継続することが相当困難となって、この法改正は不法滞在者を減らす効果も有するものというふうに考えております。

近江屋委員 今回の新制度においては、外国人に住居地の届け出など必要な義務を課しております。対象者は、その義務をしっかりと自覚してもらって、義務を果たすということが求められるわけであります。

 そのような義務を守らせるために、法務当局としては今後どのような具体的な措置を講じていかれるのか。法文の中にも義務違反者には一定のペナルティーがあると思いますが、それ以外に、窓口でしっかりとこういう義務があるよということを説明する、注意を喚起する、あわせて周知徹底する、どのような具体的な措置を考えておられるのか、お聞かせください。

西川政府参考人 委員御指摘のとおり、現行制度におきましても、新しい制度におきましても、外国人に申請や届け出の義務があることをきちんと理解してもらうということは大変重要なことであるというふうに考えております。

 現行の外国人登録制度におきましては、在留外国人の方々に対し居住地などの登録事項について各種申請義務が課されておりますけれども、その義務履行を呼びかけるためのポスターを各国語版として作成し、市区町村や地方入国管理局において掲示、案内するなど広報、周知に努めるとともに、各種申請義務の履行を失念、懈怠している者に対しては注意喚起や指導を行うこととしております。

 また、新たな在留管理制度は、先ほども申し上げましたとおり、公布の日から起算して三年を超えない範囲内で政令で定める日から施行されるということになりますが、円滑な施行のため、施行前から入国審査時及び地方入国管理局の窓口においてリーフレットを配布するなど、積極的に外国人本人に周知をする予定でありますし、さらに、市区町村、関係行政機関、在外公館及び内外の報道機関等へ協力を要請いたしまして、制度を十分理解してもらうよう努力することとしたいと思っております。

近江屋委員 今局長が答弁されたような注意喚起等の措置を徹底していただきたいと思います。と同時に、やはり不法滞在者、先ほどの局長の答弁によると、不法残留者は十一万三千人、不法入国者一万五千から二万三千人いる、こういった不法滞在者を根絶するように、法務当局、警察当局とも連携をして、しっかりと取り締まりなり摘発なりに御尽力いただきたいなと思うわけであります。

 続きまして、今回の改正で、適法に在留する外国人には便利になる点も多々あるということであります。

 例えば、在留期間を延ばすというようなことでありますが、これらの措置は相当程度外国人にとって便利になることであって、大変望ましいことではないか、赤池議員の言をかりれば信賞必罰という点で非常に有効なものなのではないかと思うわけであります。

 そうした外国人の利便性を向上させるためにも、法務大臣が在留管理に必要な情報を正確にかつ継続的に把握できることが重要でありまして、新制度がそういった意味でしっかり機能することが大前提になると思われますけれども、その点、法務大臣の御所見を伺いたいと思います。

森国務大臣 委員御指摘のとおり、中長期間在留する外国人について、在留期間の上限を三年から五年へ延ばすこと、また、一年以内の出国については原則として再入国許可を不要とすることといったような外国人の利便性を向上させるための施策は、法務大臣が外国人の在留管理に必要な情報を継続的に把握する制度が構築されることを不可欠の前提として実施されるものであります。

 現行制度上は、外国人の在留管理は、先ほど来お話に出ておりますように、入国時や在留期間の更新時等に審査を行う、いわゆる点の管理が中心でございました。在留期間の途中における事情の変更については結果として十分に把握できないために、在留期間を延ばすことや再入国許可制度を緩和することは現行制度では困難であったわけでございます。

 しかし、今回の改正により、法務大臣はこれら外国人の在留管理に必要な情報を正確かつ継続的に把握し、また的確な在留管理を行うことが可能となることから、これら外国人の利便性を向上するための施策を前向きに実施することが可能となったものでございます。

近江屋委員 わかりました。ありがとうございます。

 続きまして、現行法におきましては、特別永住者については、入管特例法などによって一般外国人とは異なる扱いがされているところであります。

 その特別永住者についてでありますが、現在、日本に特別永住者という法的地位を持った方々がどのくらいおられるのか。韓国籍、北朝鮮籍、台湾籍だと思いますけれども、それぞれ、現在の人数で結構でございますが、大体の大まかな数字で結構でございますので、教えてください。

西川政府参考人 我が国で外国人登録をしている特別永住者数は、平成二十年十二月末現在、これはあくまで暫定値でございますが、総数は約四十二万人でございます。それから、韓国、朝鮮が合わせて四十一万六千人、中国が約三千人。中国というのは旧台湾の出身者ということでございます。

 以上です。

近江屋委員 こういった特別永住者、そろそろこの特別永住者は徐々に一元化するべき時期ではないかと赤池議員も指摘しておりました。私もそんな感じがいたしておりますが、この特別永住者、彼らの今の法的地位はどういうものなのか、法務当局の認識をお聞かせください。

西川政府参考人 まず、特別永住者というのが、日本国との平和条約の発効によって日本の国籍を離脱した者で、終戦前から引き続き日本に在留している者及びその子孫で、日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の規定により、日本に永住できる法的な地位を有する方々ということでございます。在留の期間それから退去強制等について、特例が認められているということでございます。

近江屋委員 先ほどの局長の答弁では、韓国籍、北朝鮮籍合わせてしかお答えしていただけなかったわけですが、再入国許可の緩和というのは、韓国籍、北朝鮮籍、台湾籍、それぞれの旅券の扱いともかかわるわけですが、その旅券の扱いを含めて、彼らはそれぞれどういう扱いになるのか、教えてください。

西川政府参考人 まず、改正法によりますと、台湾旅券及び韓国旅券を所持している特別永住者につきましては、これらの旅券と特別永住者証明書を所持していれば、原則として二年以内の出国については、再入国許可がなくても同じ資格で入国はできるということになります。

 他方、北朝鮮旅券を所持している特別永住者については、当該旅券が入管法上の旅券に当たらないため、再び同じ資格で入国する意図を持って出国しようとするときは、あらかじめ再入国許可を受ける必要があるということになります。

近江屋委員 まさに、新法の二十三条でそのことを書いてありますね。再入国許可の有効期間の特例として、有効な旅券と特別永住者証明書があれば、再入国許可があるとみなして、二年以内の再入国について許可申請の手続が不要だということになります。

 しかし、今の答弁にあるように、北朝鮮の旅券なるものがどういうものなのかわかりませんが、一定の文書なるものは、日本政府は有効な旅券と認めていないので、再入国許可を受ける手続が必要になるということでありますね。そういう区別が生じている。

 一方、日本政府は政令で、台湾政府並びにパレスチナの自治政府が発行する、これはちゃんとした有効な旅券だと認めていると思いますが、パレスチナ人より北朝鮮籍の在日の特別永住者の方が手続上の負担が重い、そういう結果になっている、これはちょっと不合理ではないかという指摘をする向きもありますが、その点についてお考えをお聞かせください。

西川政府参考人 これはまさに、入管法上の適正な旅券であるかどうかという区別でございますので、今の法律の枠組みではそのようになるということでございます。適正な旅券というのは、有効な旅券という意味です。

近江屋委員 私個人の見解としては、そういう政令に言うところの有効な旅券は台湾、パレスチナ同様に、北朝鮮についても位置づけられる、同じ扱いをするということが可能かどうか、その点についてお聞かせください。

西川政府参考人 それはまさに、北朝鮮旅券を有効な旅券と認めるかどうかという議論になりますので、高度な政治的な御判断ということになろうと思いますので、ちょっと私がお答えすべきものではないと思います。

近江屋委員 高度な判断であるということは間違いないところでありますので、この点は、台湾、パレスチナ同様、北朝鮮も位置づけられる可能性があるかどうか、今後、しかるべく関係方面で検討していただくことになるのかなと思うわけであります。

 また、常時携帯義務についてでございますが、在留カードと特別永住者証明書については従前どおり常時携帯義務が課せられておりますけれども、一体、その常時携帯義務というものの必要性というか意義というか、それを教えていただけませんでしょうか。

西川政府参考人 まず、不法入国者や不法残留者が依然として多数存在する、さまざまな問題を発生させている現在の状況のもとにおきまして、外国人の身分関係、居住関係、在留資格の有無等を即時に把握するということが必要であるところ、このような目的を達するために、在留カードの常時携帯義務が必要かつ合理的なものであるというふうに考えております。

 また、特別永住者については、その歴史的経緯及び我が国における定住性にかんがみ、特段の配慮が必要であるということで、平成十一年の改正において罰金から過料ということになっているというふうに承知しておりますが、近年の我が国を取り巻く環境を考慮いたしますと、現段階においてはなお、その居住関係、身分関係を明確にし、即時に把握できるようにする必要性があり、特別永住者証明書の常時携帯義務を維持した改正案を出させていただいたということです。

近江屋委員 居住関係、身分関係を即時に把握したいという点がちょっと私は一つ腑に落ちないんですけれども、いずれにしても、常時携帯義務、こういうものは新法におかれても踏襲されているところであります。

 それで、そのままでいいのかどうなのかですね。国連の自由権規約委員会が、この常時携帯義務についてもそのあり方について指摘しております。そんな国連の自由権規約委員会の勧告も踏まえながら、今のままの常時携帯義務でいいのかどうなのか。もう少しそれぞれの立場立場に沿ったきめ細かな制度づくりが必要ではないのかどうなのか、その辺のあり方を今後よく研究、検討していただきたいものだなと思うわけであります。

 その点、いかがでしょうか。

西川政府参考人 先ほどお答えいたしましたとおり、在留カードは一般の外国人の方々でございますが、やはり日本人とは異なりまして、その身分関係等についてまさに現場で証明していただく必要があるという必要性はいささかも減じていないというふうに考えております。

 それから、特別永住者については、その定着性だとか歴史的な経過で一般の外国人の方とは違うというふうに思われますけれども、やはり外国人であることは変わりはございませんし、それから、特別永住者に成り済ますというふうな事案についても発生の危険性はあるわけで、現段階においてはやはり常時携帯義務を維持するというのが相当であるというふうに考えております。

近江屋委員 それでは、その常時携帯義務、諸外国はどういう制度になっているのか。アメリカとかヨーロッパとか、どういう制度になっておりますか。

 そこのところをちょっと通告していなかったので。それでは、諸外国の制度もしっかり研究して、国連の自由権規約委員会の勧告も踏まえて、少し一緒に研究していきたいなと思いますので、その点よろしくお願いいたします。

 台湾、韓国、北朝鮮のそれぞれの特別永住者がそれぞれ日本社会の中で仕事を持ち、家庭を持ち、そして納税もしていて、さらに日本社会の存立に貢献している人たちが多々おられるわけでありますので、そういう人たちがわだかまりなく日本人と共生をしていく、そういう社会が実現することが望まれますし、先ほど指摘された特別永住者と日本人との一元化、そろそろ徐々に一元化に向けて検討していくべきときではないかなと、改めて意見を申し上げる次第であります。

 特別永住者の関係で北朝鮮に関することでありますけれども、平成二年、自民党の幹事長に私は随行しまして平壌に行きました。それは当時、第十八富士山丸の船長、機関士が抑留されていたものでありますから、そのことを主な議題として平壌に行きました。その前日、社会党の土井たか子さんが既に入っておりまして、みんなで一緒になって北朝鮮当局と夜通し折衝、交渉いたしまして、翌日、帰国の飛行機がもうセットされておりましたので、飛行機に乗る直前にその船長と機関士が釈放されまして、それで連れて帰ってきたということがございました。

 その当時は、現在と違って、日朝関係は緊張緩和の時代だったのではないかなと思います。しかし、その後、拉致、核、ミサイルということが中心課題になりまして、現在のような厳しい状況にあるわけであります。この拉致、核、ミサイルについては、我々は毅然とした対応、態度で臨んでいくべきであるということは言うまでもないところであります。

 しかしながら、一方、第十八富士山丸事件のように、金日成主席とも会い、超法規的措置で釈放という結果になった、そういうこともありましたし、また、小泉元総理は二回にわたって訪朝をして、拉致被害者を連れて戻ってきたということもあります。そういう行動を伴う対話というものも一方で必要ではないかなと思う次第であります。

 そうして日朝関係をいろいろな方々の努力によって前進させて、日朝両政府がそれぞれの政府を承認していく。そうすると、さっき申し述べた、日本に住む北朝鮮籍の特別永住者も、有効な旅券を持って本国へ親戚に会いに行くとかいうことができるわけでありますから、そういった状況が訪れるように、その環境づくりも大事だと思いますので、その点、関係者の努力を期待したいなと思うところであります。

 その点について、法務大臣、コメントがありましたらお聞かせください。

森国務大臣 台湾、韓国あるいは北朝鮮ということで、同じ特別永住者なのにどうしてそういう違いが出てくるのかということはございますけれども、これはやはり、各国と日本との関係もありますし、実際問題として、北朝鮮の方については有効な旅券が入管法上ないということで、入管当局というか法務省においてなかなかそれを同一に扱うということは正直言って難しいと思うんですね。

 それと、先ほど局長から、局長としては答弁しにくいことだというふうに思うんですけれども、今回の例えば常時携帯義務につきましても、社会秩序だとか、あるいは不法滞在者の抑止とか、そういったことに責任を持つ立場の法務省あるいは入管当局としては、これがベストの案として提案をさせていただいたわけでございますけれども、やはりそういったことを含めて、むしろ国会での活発な御議論をいただきまして、ひとつ結論を導き出していただければというふうに考えているところでございます。私どもは、これが最善の案だというふうに思っております。

近江屋委員 法務大臣が言われるとおり、現段階ではこれはベストな案だと思いますが、今の時点は、まさに法治主義に基づいて、法秩序を守るという最大の使命を負っている入管行政において、法務大臣初め皆さんにおかれては、適切な案をつくっていただいたなと思うわけでありますが、今後どういうふうな事態が進展していくかわかりません。

 したがって、国連の自由権規約委員会の勧告もありますので、常時携帯義務のところは、ぜひ、今後どういうあり方がいいのか研究していただきたいなと。それこそ答弁には立場上限界があるということはもっともなことでありますので、我々国会議員同士でしっかりその点も議論していく、議論の一つの大きなテーマにしていきたいなと思うわけであります。

 常時携帯義務の諸外国の例はわかりましたでしょうか。では、お聞かせください。

西川政府参考人 今手元にある資料だけで申し上げますので、完全なものではないかもしれませんが、諸外国における在留管理制度は各国一様ではありませんが、例えばドイツ、イギリス、アメリカ、韓国の制度を見ると、在留する外国人から人定事項や居住情報等の基本的な情報を取得して、継続的に把握制度を有しているという点においては、ほぼ共通をしております。

 また、これらの国において、カード式そのほかの滞在許可証や外国人登録証的なものを外国人に交付する等の方法で、適宜、外国人の在留情報を把握できる制度をとっていると承知しております。

 それから、各国の対応でございますけれども、今手元にある範囲で申し上げますが、フランスは、提示義務があって、違反した場合には刑事罰に処せられる、ドイツは、提示義務に違反したときに秩序法違反、秩序罰に処せられる、イギリスは、指紋をカード及びシステムに登録することによって管理しているので、携帯義務、提示義務は付していない、アメリカは、永住者について携帯義務、提示義務があり、違反した場合は刑事罰、韓国は、携帯義務、提示義務違反は刑事罰という整理になっているようでございます。

近江屋委員 わかりました。常時携帯義務、諸外国の例も踏まえながら、我々もよく勉強していきたいと思っております。

 この新法は、成立後三年経過して施行ということになっております。三年間で日朝関係もどうなっているかわかりません。改善できるようにそれぞれの立場で努力すべきことでありますが、日朝関係が好転したら、それに柔軟な対応ができるようなことも考えながら、関係各位の御努力を期待いたします。また、私自身も含めて、我々もいろいろな面で努力をしていきたいということを申し上げ、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口でございます。

 それでは、早速質問をさせていただきたいと思います。

 今回の改正案は、法務大臣が我が国に在留する外国人の在留管理に必要な最新の情報を一元的に正確かつ継続的に把握する制度というものを構築しているわけでございます。この制度の構築によって把握した正確な情報を、不法滞在者、不法就労者対策を含め、入管行政に有効に活用することによって、入管行政に対する国民の信頼が高まるということが期待できます。と同時に、適法に在留する外国人が、より安定的で活動しやすくなるための諸方策を講じることができるようになる。

 今回の改正法案は、このように、新たな在留管理制度を導入して情報の把握と活用を的確に行えるようにすると同時に、適法に在留する外国人の利便性の向上のための措置を講じておるということで、私どもは積極的にこの意義を評価したい、こういうふうに考えておる次第であります。

 そういう中で、日弁連等が、この新たな在留管理制度の導入についていろいろと懸念を示しております。

 例えば、国が外国人の生活の細部に立ち入って個人の生活を監視することを許し、外国人が犯罪の温床となっているのではないかという偏見や差別を助長するおそれがある、また、プライバシー権ないし自己情報コントロール権の保障、外国人の差別的取り扱いの禁止等の観点からの問題点を含むものであるところ、なぜ、平穏に我が国に在留する者も含めた外国人の在留管理を強化しなければならないか、立法の必要性を基礎づける個別具体的な立法事実の有無が厳格に検討されなきゃいけない、こういうような懸念も示されているところでございます。

 このような懸念に対してどのようにお答えされるのか、法務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

森国務大臣 今まさに、この法案の趣旨とねらいをまことに的確に御説明をいただきました。

 ちょっと繰り返しになるかもしれませんが、新たな在留管理制度は、我が国に中長期に在留する外国人を対象として、法務大臣が在留管理に必要な情報を継続的に把握する制度の構築を図ろうとするものであります。これを前提に、適法に在留する外国人の方については、在留期間の上限の伸長や再入国許可の見直しなどの緩和措置を通じて、その利便性が向上することとなります。

 また、新たな在留管理制度においては、法務大臣が取得、保有する外国人の情報は、その在留資格に応じて真に必要な範囲に限定されることとなります。

 例えば、現行の外国人登録法では、一部の例外を除き、在留資格のいかんにかかわらず、二十項目の登録事項を定め、このうち十四項目について外国人に変更届けの義務を課しておりますが、今回の改正ではこうした取り扱いを改めまして、各在留資格に共通した外国人本人の届け出義務を、氏名、生年月日、性別、国籍と住居地の五項目の基本事項に限定をしております。

 また、所属機関や身分関係等の情報については、外国人の在留資格に応じ必要な範囲内で届け出させること、世帯に関する情報は、外国人に係る住民基本台帳制度の保有情報とし、入管法上は届け出義務を課さないとすることなど、必要な情報に限定するための措置を講じているところでございます。

 このようなことから、新たな在留管理制度において、今触れられました御懸念のような問題はないと考えております。

大口委員 次に、今回の入管法等の改正によって外国人登録法が廃止される、これを入管法に集約し、在留管理に必要な情報を一元的に把握する制度を構築することによって、外国人登録法が廃止されるということになるわけですね。これによって、市区町村において各種行政サービスを提供するなどの際に、外国人の方々の居住関係を正確に把握するための制度が必要だ、こういう観点から、昨年度に、外国人台帳制度に関する懇談会、これが開催されたわけであります。

 この懇談会では外国人の有識者からもヒアリングを行っているわけでありまして、例えば、その中で、外国人にとって、行政にとっても手続の一本化、合理化が望ましい、あるいは、通称名についてもいろいろ御意見がありました。開示のあり方について、住民基本台帳と同様のものが望ましいとか、閲覧制度の導入により、新たな差別が生じないようにする必要がある、あるいは、未来志向、共生時代、人権尊重の観点から、日本人と外国人が差別なく共生できる近未来の日本を見据えた未来志向の制度を目指してほしい、こういう御意見が出たわけであります。

 こうした御意見を踏まえて、今回、この御意見が住民基本台帳法にどのように反映されているのかについてお伺いしたいと思います。

久元政府参考人 今回、住民基本台帳法の一部を改正する法律案を提出させていただいておりますけれども、この改正は、外国人住民についても住民基本台帳法の適用対象に加えまして、住民票を作成して住民行政の基礎とするものでございます。

 この法律案の改正に当たりましては、今委員から御指摘いただきましたように、学識経験者また自治体の実務担当者から成る懇談会を設置いたしまして、いろいろと御意見をお伺いしながら立案をさせていただきました。

 今回の改正によりまして、市町村におきましては、日本人と同様に外国人についても住民として正確な情報を把握して住民行政の基礎とする、そして各種行政サービスの適切な提供が利用できるようになるわけでございます。また、外国人住民にとりましては、住所変更等に伴う複数の行政サービスに係る届け出がワンストップ化される。そして、外国人と日本人とで構成される一つの世帯につきましても、世帯全員の住民票の記載事項証明書等が交付できるようになる。

 こういった外国人住民の利便の増進が図られることになりますけれども、こういうような点につきましては、この懇談会で出されました外国人の有識者の方々の御意見を踏まえて、これを反映させる改正として準備をさせていただいたということでございます。

大口委員 次に、平成十五年の十二月に政府の犯罪対策閣僚会議が作成した、犯罪に強い社会の実現のための行動計画、これによって、当時約二十五万人程度と推計されていた我が国の不法滞在者を今後五年間で半減させるということで、平成十六年から不法滞在者半減の五カ年計画を開始したわけであります。結果は、本当に入管当局等のあるいは警察等の御努力もありまして、平成十六年一月一日現在約二十二万人であった不法残留者が平成二十一年一月一日現在では十一万三千七十二人になるということで、ほぼこの計画が達成されたと言えます。これは高く評価すべきことだと思います。

 先日、東京入管局に視察に行かせていただきまして、最近の不法滞在の手口は小口化、分散化しており摘発しづらくなっているというようなことでありますとか、いろいろ巧妙になっている、あるいはブローカーも介在している、こういうことで、事実、摘発方面隊による摘発件数及び摘発の人数は、平成十八年、約五千八百件、一万人であったわけですが、これが平成二十年には七千八百件、件数はふえたわけですが、人数は九千六百人ということで、摘発人数がわずかながら減少傾向にあるということでございます。

 平成二十年十二月に策定された行動計画二〇〇八におきましては、「社会の変化に伴う新たな不安要因も発生する中で、国民の体感治安は依然として改善していない。」こうしているわけであります。

 このような中で、現行の入管法による外国人の在留管理には、在留期間の途中における事情の変更を十分に把握できないということで、いわゆる点の管理の問題があった。こういう批判に対処するために、今回、法務大臣が一元的に必要な最新の情報を継続的に把握するということで、これも各委員からもお話ありましたように、言うなれば線の管理とするために本法案が提出されたものと理解しているわけでございます。

 政策というのは、やはり目標が必要である、こういうふうに考えます。この法律案によりまして、在留カードのこと、あるいは事実調査のこと、それからバイオメトリックスの導入等も平成十八年にあったわけでありますが、こういうふうに新しい在留管理制度が構築されることによって、外国人の在留情報の管理をより適切にされるということがあります。そういうことで、この不法滞在者半減五カ年計画に続く、不法滞在者の減少に向けた計画を策定する必要があるのではないかな、こう考えるわけです。

 政府は、平成十五年の計画では、五年間で半減させる、こういう目標を掲げているわけでありますが、平成二十年の計画では削減目標を掲げなかったわけであります。今後、不法滞在者はどれぐらいの期間でどれぐらい人数を減少させていくおつもりなのか、そして、こういう計画も、本法が公布後三年以内には施行されるということもありますし、またバイオメトリックスの効果も出ておりますので、具体的に策定して国民の皆さんにその目標を示していくことが、また不法滞在者対策を推進させていくためにも大事なことだ、こういうふうに考えておりますが、法務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

森国務大臣 今、大口委員から御指摘ありましたように、平成十五年の犯罪に強い社会の実現のための行動計画におきまして、五年間で不法滞在者を半減させようという数値目標が掲げられまして、結果的に、今お話あったとおり、おおむね半減を達成することができました。しかしながら、こうした施策によって不法残留者への対応が厳格化されたことに伴って、偽装婚だとか偽装留学など身分や活動目的を偽り、正規在留者を装い我が国で不法に就労するなど、偽装滞在者の問題が深刻化してきております。

 そこで、平成二十年の同計画では、新たな在留管理制度をも活用して、これら偽装滞在という悪質事案への取り組みを強化することを目標にいたしておりますけれども、偽装滞在対策というのは、言うなれば数よりも質に重点を置く施策でありまして、今回については、数値目標は特に設定をしておりません。しかし、当然のことながら、まだ十一万人残っている不法残留者についても、引き続き着実な減少に努めてまいりたいと考えておりまして、このことは、新たな在留管理制度を円滑に導入するためにも極めて重要なことであろうというふうに思っております。

大口委員 そういうことで、国民にわかりやすい目標をまたさらに示すということも、大臣、御検討いただきたい、こういうふうに思っております。

 次に、適法に在留する外国人の利便性の向上ということで、在留期間の上限の伸長について、これは平成十九年六月に閣議決定された規制改革推進のための三カ年計画、ここにおいても、専門的、技術的分野の外国人の労働者については在留期間の上限を上げるべきであるとして、我が国に高度人材の外国人を在留しやすくするための政策も含まれていると考えるわけであります。そうであるならば、在留資格によっては、在留期間の上限は五年よりも長くてもよいのではないかなという考えも成り立つと思います。

 今回、在留期間の上限を五年とした趣旨をお伺いしたいと思います。

西川政府参考人 今回の改正によりまして、我が国に中長期間在留する外国人の情報を正確かつ継続的に把握することができるようになり、的確な在留管理を行うことが可能となるため、在留期間の上限を五年に伸長して、我が国に適法に在留する外国人の利便性の向上を図ることといたしました。

 しかし、外国人の在留状況の変化等の可能性を考慮した場合、在留管理を適切に行うためには、少なくとも五年に一度は在留期間の更新を求めて、現在の在留状況の確認と在留継続の可否を判断することが必要と考え、この期間としたというものでございます。

 ちなみに、なかなか各国の在留資格、在留期間の差というのは比較しづらい部分もあるのですが、可能な範囲で調べましたところ、アメリカ、英国等で高度人材と認められる専門的技術者等に与えられる資格というのは三年というのが多いという事情もございまして、この五年という期間が、特に他国と比較して短いということもないと思っております。

大口委員 それからもう一つは、みなし再入国許可制度の新設でございます。これは、外国人の利便性を向上するという措置は、適法に在留する外国人の利便性を向上させる措置として非常に評価できるわけでございます。

 この改正によって、適法に在留する外国人に対して、有効な旅券及び在留カードを所有する外国人は原則として一年以内の出国について再入国の許可を不要とする、そして特別永住者に対してはこれを二年以内とするということでございます。

 このみなし再入国許可制度の新設など、在留外国人の利便性の向上を図ることは、これも世界的に競争の激しくなっている高度人材の受け入れについて、日本の競争力の強化にもつながっている。優秀な人材をより多く受け入れるためにも、もっと日本を世界に開かれた社会にしていかなければならない、こう思うわけであります。

 このみなし再入国許可制度を新設するに至った経緯、理由をお聞かせいただきたいとともに、諸外国において、在留する外国人の再入国についてどのような制度が運用されているのかもお伺いしたいと思います。

西川政府参考人 みなし再入国制度というのは、従前から、日本に長く在留する外国人の方等から、さまざまな方面からということですが、御要望を受けておりました。

 今般、新たな在留管理制度が構築されて、在留管理をきちっとさせていただくということを前提に、みなし再入国制度の導入は可能ではないかというふうに考えまして、在留カードを所持している方、あるいは特別永住者の特別永住者証明書を持っている方については、あえて再入国許可を受けなくても、一定期間であれば同じ資格で戻ってこられるということで出国できるという制度を導入したというものでございます。

 各国の制度についてはばらばらでございますが、把握している限りで申し上げますと、例えばアメリカと韓国につきましては、やはり長期に在留している方々につきましては、一年以内について、あえて何らかの許可を得なくても同じ資格で戻ってこられるという制度をとっているというふうに聞いておりますので、この制度も参考にさせていただいたということでございます。

大口委員 そういう点では世界標準ということになったわけであります。さらに、特別永住の方々に対しては配慮という形で、私どももこれは要望してまいりました。そういう点でこれも評価をしたいと思います。

 ただ、二十六条の二のみなし入国の中では、有効な旅券ということにつきましては、今、近江屋先生からも御指摘の、北朝鮮籍の方の問題があります。北朝鮮に行くという問題とそれ以外の国に行くという問題もあるわけでありますけれども、これについては、問題点として、きょうは指摘にとどめておきたいと思っております。

 次に、本改正案では、特別永住に係る再入国の有効期限の上限を四年から六年に伸長する措置が講じられたわけでございます。

 これは、平成十一年の入管法の改正時に、衆議院において、「特別永住者に対しては、その歴史的経緯等にかんがみ、再入国許可制度の在り方について検討するとともに、人権に配慮した適切な運用に努めること。」こういうことで附帯決議がついておりまして、参議院におきましても、「特別永住者に対しては、その在留資格が法定されるに至った歴史的経緯等を十分考慮し、再入国許可制度の在り方について検討するとともに、運用については、人権上適切な配慮をすること。」こういう附帯決議がついているわけであります。

 そして、昨年四月二十四日、私あるいは神崎顧問も一緒に、民団の皆さんとともに、法務省、当時鳩山大臣をお訪ねいたしまして、民団から大臣に対して、特別永住者に係る再入国許可制度の適用免除というようなことも要望したわけでございます。そういうこともあって、今回いろいろと、有効期限の伸長でありますとか、みなし再入国許可制度というのができたのではないかなと思っているわけであります。

 特別永住者は、日本で生まれ育ち、日本に生活の本拠を有していて、住民として納税義務を果たして、地域住民として善隣友好を深め、地域社会の一員として役割を担っておられますし、歴史的なそういう経緯もございます。そういうことで、外国籍を持つ者であるとはいえ、生活の本拠地である日本に再入国するための許可を受けることについては見直しをすべきではないか、こういう特別永住者の御意見というのもやはり十分考慮していただきたいと思うわけでございます。

 このような意見を踏まえて、特別永住者に係る再入国の許可の見直しについて、法務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。また、今回、期限をもっと長く、例えば十年などとせずに六年とした理由もお伺いしたいと思います。

森国務大臣 今回の改正では、特別永住者について再入国許可制度そのものの適用を全面的に免除するまでには至っておりませんが、さまざまな方面からの御要望をも考慮した上で、有効な旅券及び特別永住者証明書を所持する特別永住者が二年以内に再入国する場合には、原則として再入国許可を要しないものといたしております。これは、特別永住者については、その歴史的経緯及び我が国における定着性を考慮し、中長期在留者よりもさらに要件を緩和したものです。

 また、二年を超えて出国する場合には再入国許可を受けることが必要となりますが、その有効期限の上限を従来の四年から六年に延ばしまして、さらに、在外公館での延長制度も含めますと、最大七年の再入国による出国を可能としております。

 ただ、特別永住者としての法的地位は我が国に在留するための法的地位ですので、今、七年じゃなくて十年ではどうかというふうなお話もあったわけでございますけれども、我が国との関係が希薄にならないように、七年に一度ぐらいは帰ってきてくださいよ、こういうことで、我が国への入国を求めるのが適当だと考えて、このようにしたところでございます。

大口委員 それから、一般永住者に係る再入国許可に関しましては、今回の改正では、永住者以外の中長期の在留者と特に差をつけていません。

 永住者の在留資格の変更については、素行が善良であること、及び、独立の生計を営むに足りる資産または技能を有することの要件に適合し、かつその者の永住が日本国の利益に合すると認められるときに限って許可されるものであります。一般の在留資格の変更よりも厳格な基準が入管法で定められているわけです。

 永住者の方々は、このような厳しい条件をクリアして、我が国の社会の一員として役割を担っています。本改正案では、適法に在留する外国人に係る再入国許可の有効期限の上限を三年から五年に伸長する措置を講じたわけでありますけれども、一般永住の方々については特別永住の方に準じて利便性を向上する措置を講ずることにしなかった理由をお伺いしたいと思います。

西川政府参考人 特別永住者につきましては、その歴史的経緯及び我が国における定着性にかんがみ、その法的地位のより一層の安定化を図るため、平成三年に入管特例法が制定されております。そして、同法におきましては、再入国許可について定めた入管法第二十六条の規定を特別永住者に対して適用するに当たって、特別永住者の本邦における生活の安定に資するとのこの法律の趣旨を尊重すべきということが規定されているということでございます。

 これらを踏まえまして、今回の法改正において再入国許可制度を見直すに当たり、特別永住者については、みなし再入国制度における長期出国制限の期間や再入国許可期間において中長期在留者よりも緩和するということにしたというものでございます。

 これに対しまして、永住者につきましては、特別永住者の場合のような歴史的な経緯は存在いたしませんし、原則として入管法上の取り扱いとしては他の一般の外国人とそう異なるところはないということから、特別永住者と同様の取り扱いはしなかったということでございます。

大口委員 私は、特別永住者、永住者、そしてそれ以外の中長期の滞在者というものをもう少しきめ細かく対応された方がよかったのかなという感じがいたします。

 それから、今回は、所属機関の変更の届け、それから、在留カードの有効期間の更新申請の窓口、これが変わるわけでございます。

 就労を目的とする在留資格や、留学、研修の在留資格をもって在留する外国人が勤務先、通学先等の所属機関を変更した場合に、法務大臣にその旨を届けなければならないとしています。在留カードの有効期間の更新については、原則として本人が地方入管局に出頭して、法務大臣に対して申請しなければならないことになっています。これについては、在留カードの有効期限が原則七年で、在留期間が無期限の永住者が最も大きな影響を受けるわけであります。

 従来、外国人登録法では、外国人の勤務先等を変更した場合の登録変更や外国人登録証明書の切りかえの申請については、原則として、本人が市区町村役場に出頭するということになっているわけですけれども、今回の改正案によって、在留管理の一元化のために、届け出先や申請先が法務大臣となり、窓口が入管になります。しかし、市区町村役場よりも入管の方が届け出や申請をする外国人にとって遠い場合も多く、そのことによって外国人の利便性が低下することがあってはならない、こう思うわけであります。

 そういう点で、外国人からの届け出や申請をしづらくすれば義務履行の確保の問題も出てくるわけでありますので、こういうことを考えますと、外国人の利便性、義務履行の確保の両面から、具体的にどのような取り組みを考えておられるのか、お伺いしたいと思います。

西川政府参考人 まず、変更等の届け出申請のうち、新たな在留カードの交付を伴う氏名、国籍、生年月日、性別の変更の届け出につきましては、外国人の同一性の確認等のために入国管理局に出頭してもらう必要がございます。しかし、これらについては、そもそも変更する頻度が低いということに加えまして、例えば婚姻に伴って氏名や国籍を変更した場合には、同時に在留資格の変更申請が必要なことも多く、それらのときには当該申請に合わせて行うこともできることなどから、ほとんど負担の増加にはならないというふうに考えております。

 次に、所属機関の変更や配偶者との離婚等について、外国人登録制度では一部の例外を除きまして在留資格の種別を問わず届け出義務が課されていましたが、新制度においてはこれを改め、前者については所属機関の存在が在留資格の基礎となっている者、後者については配偶者としての身分が在留資格の基礎となっている者に限ることとしており、外国人の負担を軽減しております。

 また、これらの届け出先は地方入国管理局になりますが、その方法については、今後、インターネットや郵送など負担を軽減する措置を検討したいと考えております。

 また、確かに、永住者の在留カードの更新施設については、それが七年に一回ということでございますけれども、その部分は市区町村から入国管理局ということになって若干負担が増すということは否定できないわけですけれども、例えば弁護士または行政書士等、申請の取り次ぎを認める者の範囲を広げるなどしておりまして、過度の負担増にはならないというふうに考えております。

大口委員 次に、特別永住者の証明書の常時携帯義務について、私もお伺いをさせていただきたいと思います。

 今回の入管法等の一部を改正する等の法律案では、あるいは特例法案で、特別永住者に対しては、現行の外国人登録法に基づく外国人登録証明書にかわって特別永住者証明書の常時携帯義務を課すことになるわけです。

 この特別永住者の常時携帯義務については、平成十一年の指紋押捺制度の廃止などを定めた外国人登録法の一部を改正する法律案の審議においても、衆参の法務委員会で同様の附帯決議が付されている。平成十一年の八月十三日の衆議院法務委員会で付された附帯決議を紹介いたしますと、「外国人登録証明書の常時携帯義務の必要性、合理性について十分な検証を行い、同制度の抜本的な見直しを検討すること。とりわけ特別永住者に対しては、その歴史的経緯等が十分考慮されなければならない。」こういうふうになっているわけで、参議院も同様の附帯決議がなされておる。

 立法府の附帯決議というのは非常に重いものであるわけでございまして、これらの附帯決議を踏まえて、外国人登録証明書の常時携帯義務、とりわけ特別永住者に対する義務の必要性、合理性についての検証が行われたのか、また、行われたのであれば、その内容について具体的に法務大臣にお伺いしたいと思います。

森国務大臣 このたびの法律案の提出に当たっては、今委員から御指摘のあった附帯決議を踏まえて、在留カード及び特別永住者証明書の携帯義務の必要性等について検討を行ってまいりました。

 まず、在留カードの携帯義務についてですが、我が国に入国、在留する外国人の数は、附帯決議がなされた平成十一年以降著しく増加をしておりまして、またその国籍も多様化しております。また、不法滞在者半減五カ年計画により、全体としての数は減少しているものの、我が国には依然として多くの不法滞在者が在留しており、外国人の身分関係等を即時的に把握する必要性は以前にも増して高まっているものと考えております。

 そして、特別永住者証明書の携帯義務についてでございますが、現在の我が国を取り巻く環境等に照らし、さらには、同証明書を偽造して特別永住者に成り済ます危険性があるなど、現段階ではなお、身分関係等の即時把握の必要性は否定できないと考えているところでございます。

大口委員 これにつきまして、私どもも本年二月の二十五日に、私そして神崎委員初め、我が党の法務部会のメンバーと民団で、森法務大臣のところにもお伺いさせていただきまして、新たな外国人の在留管理制度の導入に対する要望書という中で、特別永住者に対しては、歴史的な経緯を配慮して、特別永住者証明書の常時携帯義務から除外をするように、こういう要望をしたところでございます。

 現行の制度と同じく、特別永住者にこの証明書の常時携帯義務が維持されたわけでありますけれども、このことについて、外国人である、それから成り済ましということを考えると、即時に居住関係、身分関係を把握しなきゃいけない、こういうことでありますけれども、それだけの理由では本当に私は不十分である、こういうふうに思うわけであります。

 そこで、これは特別永住者の証明書の常時携帯義務違反について、これは現行と同じく、十万以下の行政罰、過料に処する、こういうふうにしているわけですね。特別永住者の常時携帯義務違反については、平成十一年の外登法の審議において、二十万円以下の罰金、これは刑事罰、ただ、十万円以下の過料、行政罰ということで修正されたわけですね。そして、附帯決議で「刑事罰の対象から除外された趣旨も踏まえ、いやしくも濫用にわたることのないように努めること。」こういうことになっているわけであります。

 そこで、本年二月二十五日に民団の方々と一緒に法務大臣のところへ御要望いたしたときに、運用面において、従前と同様に十分な配慮をしたいとお答えをしていただきました。そして、本法律成立後も、特別永住者のこの証明書の携帯義務違反については、弾力的に運用したい、こういうことも言っていただいたわけでございます。

 そこで、近年、特別永住者が外国人登録証明書の義務違反で過料に処せられた事案があるのか、あるとしたら何件ぐらいなのかということをお伺いしたいと思います。

森国務大臣 特別永住者の常時携帯義務の罰則が過料となった平成十二年四月一日以降、過料を適用するため裁判所に通知を行った例はございません。もっとも、これは特別永住者の歴史的経緯や我が国への定着性に配慮した謙抑的な運用がなされた結果であると承知をいたしております。

 我が国を取り巻く環境等を考慮すれば、現段階ではなお、特別永住者の身分関係等を即時的に把握することができるようにするため、過料の規定を存続させる必要があると考えております。

大口委員 そういうことで、こういう行政罰、過料というものを設けても、実際は、弾力的な運用ということで、携帯されない場合においても問題がない、こういうふうに特別永住者の方も受けとめておられるわけであります。

 そういうことで、成り済ましを防ぐために、即時に身分関係や居住関係を把握する、こういう必要があるからということが、果たして本当に実効性があるのかと私は思うわけです。

 この際、立法府の附帯決議というものを尊重していただいて、私は、十万円以下の過料という罰則を存続する必要性はないのではないかというふうに考えておるわけでありますが、改めて、法務大臣、御答弁をお願いします。

森国務大臣 先ほども近江屋議員に御答弁申し上げたところでございますけれども、私どもとしては、社会秩序あるいは治安、それから不法滞在者の抑止、こういったことに責任を持つ立場としては、最善の案と思って提出をさせていただきました。

 また、弾力的な運用ということをこの間確かに申し上げましたけれども、この場でこれ以上のことを申し上げるのは御容赦をいただきたいと思います。

 なお、いずれにしても、私どもは最善と思っておりますけれども、これから先は、国会での真摯な御議論を待ちたいというふうに思っております。

大口委員 それでは、あと、もう時間もございませんので、今回、在留資格を、留学及び就学を一本化するということになったわけであります。これは、福田前総理の施政方針演説で、留学生三十万人計画ということで、二〇二〇年を目途に留学生の受け入れ三十万人を目指す、高度人材受け入れとも連携させながら優秀な留学生を戦略的に獲得していくとおっしゃっていたわけであります。

 そういう点では、世界で競争が非常に激しくなってくる中で、高度人材の受け入れというのが大事であります。より多くの優秀な留学生を積極的に受け入れるということが非常に重要であります。

 本改正案によって、留学生等の負担の軽減が図られております。実際、どのくらいの方が就学から留学への在留資格の変更をされているのか。現行制度において、留学の在留期間を二年または一年とし、在留期間の更新が必要とされるようになっている理由をお聞かせください。そして、新しい留学の在留期間はどのくらいの期間に設定するのか。これは期限が上限五年ですから、それについても具体的にお話しいただければと思います。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、在留資格「就学」から在留資格「留学」への変更許可人数は、平成二十年におきましては、一年間で約二万人となっております。

 また、現行の在留資格「留学」の在留期間については、留学生の教育機関における在籍状況や在留状況を定期的に確認して、留学生に対する適切な在留管理を図る観点から、入管法施行規則において二年または一年とされているところでございます。

 改正後の在留資格「留学」の在留期間については、新たな在留管理制度、これが導入されるに伴いまして、同制度において、教育機関における在籍管理の徹底が期待されるということになります。

 在留資格「留学」及び在留資格「就学」の不法残留者数、これが減少しているということなども踏まえまして、留学生が安定的に勉学できるよう、適切に在籍管理を行っている教育機関に在籍する留学生に対しては、在留期間を伸長するということが適当であるというふうに考えており、具体的な在留期間としては、例えば大学の在籍期間である四年の在留期間を新設することなどを検討しております。

 なお、本年一月に、法務大臣の私的懇談会である出入国管理政策懇談会が取りまとめた留学生及び就学生の受入れに関する提言におきましても、在留資格「留学」の在留期間を伸長することが適当であるというふうにされているところでございます。

大口委員 時間が参りましたので、これで終了します。

 ありがとうございました。

山本委員長 次回は、来る二十八日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三分散会


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