衆議院

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第11号 平成21年6月19日(金曜日)

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平成二十一年六月十九日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 山本 幸三君

   理事 大前 繁雄君 理事 桜井 郁三君

   理事 塩崎 恭久君 理事 棚橋 泰文君

   理事 谷畑  孝君 理事 加藤 公一君

   理事 細川 律夫君 理事 大口 善徳君

      赤池 誠章君    伊藤 忠彦君

      稲田 朋美君    近江屋信広君

      河井 克行君    木村 隆秀君

      笹川  堯君    清水鴻一郎君

      杉浦 正健君    鈴木 馨祐君

      平  将明君    長勢 甚遠君

      萩山 教嚴君    早川 忠孝君

      町村 信孝君    武藤 容治君

      森山 眞弓君    矢野 隆司君

      柳本 卓治君    石関 貴史君

      中井  洽君    古本伸一郎君

      山田 正彦君    神崎 武法君

      保坂 展人君    滝   実君

    …………………………………

   法務大臣         森  英介君

   法務副大臣        佐藤 剛男君

   法務大臣政務官      早川 忠孝君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大野恒太郎君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  西川 克行君

   法務委員会専門員     佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十九日

 辞任         補欠選任

  赤池 誠章君     鈴木 馨祐君

  長勢 甚遠君     伊藤 忠彦君

同日

 辞任         補欠選任

  伊藤 忠彦君     長勢 甚遠君

  鈴木 馨祐君     赤池 誠章君

    ―――――――――――――

五月二十日

 国籍法の改正に関する請願(岩國哲人君紹介)(第二三二二号)

 選択的夫婦別姓の導入など民法の改正を求めることに関する請願(森山眞弓君紹介)(第二三六四号)

 同(辻元清美君紹介)(第二四一七号)

 裁判員法の廃止を求めることに関する請願(照屋寛徳君紹介)(第二四〇一号)

 児童買春・児童ポルノ禁止法改正に当たり、拙速を避け、極めて慎重な取り扱いを求めることに関する請願(吉田泉君紹介)(第二四〇二号)

同月二十五日

 法務局・更生保護官署・入国管理官署及び少年院施設の増員に関する請願(石関貴史君紹介)(第二四九一号)

 同(細川律夫君紹介)(第二五六一号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二五九九号)

 同(石井郁子君紹介)(第二六〇〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第二六〇一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二六〇二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二六〇三号)

 同(志位和夫君紹介)(第二六〇四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二六〇五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二六〇六号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二六〇七号)

 裁判所の人的・物的充実に関する請願(石関貴史君紹介)(第二五五七号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二六〇八号)

 同(石井郁子君紹介)(第二六〇九号)

 同(笠井亮君紹介)(第二六一〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二六一一号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二六一二号)

 同(志位和夫君紹介)(第二六一三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二六一四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二六一五号)

 同(谷畑孝君紹介)(第二六一六号)

 同(森山眞弓君紹介)(第二六一七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二六一八号)

 取り調べの可視化(取り調べの全過程の録画)の実現に関する請願(石関貴史君紹介)(第二五五八号)

 同(加藤公一君紹介)(第二五五九号)

 同(細川律夫君紹介)(第二五六〇号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二六一九号)

 具体的な偽装防止要綱を盛り込んだ国籍法改正に関する請願(飯島夕雁君紹介)(第二五九六号)

 同(西村真悟君紹介)(第二五九七号)

 同(馬渡龍治君紹介)(第二五九八号)

同月二十七日

 治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(安住淳君紹介)(第二六六〇号)

 同(池田元久君紹介)(第二六六一号)

 同(古賀一成君紹介)(第二六六二号)

 同(重野安正君紹介)(第二六六三号)

 同(中川正春君紹介)(第二六六四号)

 同(日森文尋君紹介)(第二六六五号)

 同(藤村修君紹介)(第二六六六号)

 同(細川律夫君紹介)(第二六六七号)

 同(松本龍君紹介)(第二六六八号)

 同(三井辨雄君紹介)(第二六六九号)

 同(山井和則君紹介)(第二六七〇号)

 同(石川知裕君紹介)(第二七六八号)

 同(市村浩一郎君紹介)(第二七六九号)

 同(小川淳也君紹介)(第二七七〇号)

 同(岡本充功君紹介)(第二七七一号)

 同(奥村展三君紹介)(第二七七二号)

 同(金田誠一君紹介)(第二七七三号)

 同(川内博史君紹介)(第二七七四号)

 同(郡和子君紹介)(第二七七五号)

 同(近藤洋介君紹介)(第二七七六号)

 同(篠原孝君紹介)(第二七七七号)

 同(田島一成君紹介)(第二七七八号)

 同(田名部匡代君紹介)(第二七七九号)

 同(辻元清美君紹介)(第二七八〇号)

 同(土肥隆一君紹介)(第二七八一号)

 同(西村智奈美君紹介)(第二七八二号)

 同(柚木道義君紹介)(第二七八三号)

 同(横光克彦君紹介)(第二七八四号)

 同(横山北斗君紹介)(第二七八五号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二八四六号)

 同(楠田大蔵君紹介)(第二八四七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二八四八号)

 同(近藤昭一君紹介)(第二八四九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二八五〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第二八五一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二八五二号)

 同(田島一成君紹介)(第二八五三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二八五四号)

 同(武正公一君紹介)(第二八五五号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第二八五六号)

 同(仲野博子君紹介)(第二八五七号)

 同(松木謙公君紹介)(第二八五八号)

 同(菅野哲雄君紹介)(第二九二一号)

 同(津村啓介君紹介)(第二九二二号)

 同(筒井信隆君紹介)(第二九二三号)

 同(寺田学君紹介)(第二九二四号)

 同(羽田孜君紹介)(第二九二五号)

 同(牧義夫君紹介)(第二九二六号)

 同(村井宗明君紹介)(第二九二七号)

 裁判所の人的・物的充実に関する請願(滝実君紹介)(第二六七一号)

 同(細川律夫君紹介)(第二六七二号)

 同(大口善徳君紹介)(第二七六五号)

 同(神崎武法君紹介)(第二九二〇号)

 法務局・更生保護官署・入国管理官署及び少年院施設の増員に関する請願(大口善徳君紹介)(第二七六一号)

 同(加藤公一君紹介)(第二七六二号)

 同(神崎武法君紹介)(第二七六三号)

 同(柳本卓治君紹介)(第二七六四号)

 取り調べの可視化(取り調べの全過程の録画)の実現に関する請願(仙谷由人君紹介)(第二七六六号)

 具体的な偽装防止要綱を盛り込んだ国籍法改正に関する請願(木挽司君紹介)(第二七六七号)

同月二十八日

 離婚後の共同親権・両親による共同での養育を実現する法整備に関する請願(太田和美君紹介)(第二九八五号)

 法務局・更生保護官署・入国管理官署及び少年院施設の増員に関する請願(保坂展人君紹介)(第二九八六号)

 同(古本伸一郎君紹介)(第三〇六四号)

 裁判所の人的・物的充実に関する請願(保坂展人君紹介)(第二九八七号)

 同(山田正彦君紹介)(第二九八八号)

 同(赤池誠章君紹介)(第三一六九号)

 取り調べの可視化(取り調べの全過程の録画)の実現に関する請願(山田正彦君紹介)(第二九八九号)

 同(阿部知子君紹介)(第三〇六五号)

 同(杉浦正健君紹介)(第三〇六六号)

 治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(枝野幸男君紹介)(第二九九〇号)

 同(太田和美君紹介)(第二九九一号)

 同(鉢呂吉雄君紹介)(第二九九二号)

 同(保坂展人君紹介)(第二九九三号)

 同(阿部知子君紹介)(第三〇六九号)

 同(内山晃君紹介)(第三〇七〇号)

 同(北神圭朗君紹介)(第三〇七一号)

 同(小宮山洋子君紹介)(第三〇七二号)

 同(鈴木克昌君紹介)(第三〇七三号)

 同(高井美穂君紹介)(第三〇七四号)

 同(森本哲生君紹介)(第三〇七五号)

 同(大島敦君紹介)(第三一七〇号)

 同(長安豊君紹介)(第三一七一号)

 同(細野豪志君紹介)(第三一七二号)

 具体的な偽装防止要綱を盛り込んだ国籍法改正に関する請願(西川京子君紹介)(第三〇六七号)

 同(馬渡龍治君紹介)(第三〇六八号)

 裁判員制度見直しに関する請願(阿部知子君紹介)(第三一五八号)

 選択的夫婦別姓の導入などの民法改正を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三一五九号)

 同(石井郁子君紹介)(第三一六〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第三一六一号)

 同(小宮山洋子君紹介)(第三一六二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三一六三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三一六四号)

 同(志位和夫君紹介)(第三一六五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三一六六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三一六七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三一六八号)

六月十五日

 治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(石井郁子君紹介)(第三二四七号)

 同(笠井亮君紹介)(第三二四八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三二四九号)

 同(羽田孜君紹介)(第三三五一号)

 登記事項証明書交付申請に係る手数料の引き下げに関する請願(赤羽一嘉君紹介)(第三三四九号)

 同(松野頼久君紹介)(第三三五〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律案(内閣提出第五一号)


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 この際、本案に対し、塩崎恭久君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。細川律夫君。

    ―――――――――――――

 出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

細川委員 出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律案に対する修正案の趣旨説明をいたします。

 ただいま議題となりました修正案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党の三会派の提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明いたします。

 第一に、特別永住者については、その歴史的経緯及び我が国への定着性にかんがみ、特段の配慮が必要であることなどを考慮して、特別永住者証明書及び旅券の常時携帯義務とその違反に対する過料の規定を削除することとしております。

 第二に、民間業者による個人情報のデータベース化に対する対策として、在留カード及び特別永住者証明書の番号はその交付ごとに異なる番号を定めるものとするとともに、紛失や毀損等の場合以外の場合であっても、在留カードまたは特別永住者証明書の交換を希望するときは、正当な理由がないと認められるときを除き、その再交付を求めることができる旨の規定を設けることとしており、当該規定により交付を受けるときは、実費を勘案して、政令で定める額の手数料を納付しなければならないこととしております。

 第三に、所属機関の受け入れの状況についての届け出義務を努力義務に変更しております。

 第四に、法務大臣は在留管理の目的を達成するために必要な最小限度の範囲を超えて、中長期在留者に関する情報を取得し、または保有してはならず、その取り扱いに当たっては個人の権利利益の保護に留意しなければならない旨の規定を設けることとしております。

 第五に、在留資格の取り消しに関する規定について、次の二項目の修正を行うこととしております。

 その一は、日本人の配偶者等または永住者の配偶者等の在留資格をもって在留する者が、配偶者の身分を有する者としての活動を一定期間継続して行わないで在留している場合の在留資格の取り消しについて、当該期間を三月以上から六月以上に延長するとともに、当該活動をしないことにつき正当な理由がある場合を除外することとし、当該取り消しをしようとする場合には、在留資格の変更の申請または永住許可の申請の機会を与えるよう配慮しなければならないものとすることとしております。

 その二は、上陸許可の証印または許可を受けて新たに中長期在留者となった者が、当該上陸許可の証印または許可を受けた日から九十日以内に住居地の届け出をしない場合の在留資格の取り消しについて、届け出をしないことにつき正当な理由がある場合を除外することとしております。

 第六に、団体監理型の技能実習の活動について、団体の責任及び監理のもとに行われる旨を明確化しております。

 第七に、次の四項目から成る検討規定を設けることとしております。

 その一は、法務大臣は、現に本邦に在留する外国人であって入管法または特例法の規定により本邦に在留することができる者以外のもののうち、入管法第五十四条第二項の規定により仮放免をされ当該仮放免の日から一定期間を経過したものについて、この法律の円滑な施行を図るとともに、施行日以後においてもなおその者が行政上の便益を受けられることとなるようにするとの観点から、施行日までに、その居住地、身分関係等を市町村に迅速に通知すること等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることとしております。

 その二は、法務大臣は、この法律の円滑な施行を図るため、現に本邦に在留する外国人であって入管法または特例法の規定により本邦に在留することができる者以外のものについて、在留特別許可の運用の透明性をさらに向上させる等、その出頭を促進するための措置その他の不法滞在者の縮減に向けた措置を講ずることを検討するものとすることとしております。

 その三は、法務大臣は、永住者の在留資格をもって在留する外国人のうち特に我が国への定着性の高い者について、歴史的背景を踏まえつつ、その者の本邦における生活の安定に資するとの観点から、その在留管理のあり方を検討するものとすることとしております。

 その四は、政府は、この法律の施行後三年を目途として、施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、新入管法及び新特例法の法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることとしております。

 以上が、修正案の趣旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださるようお願いを申し上げます。

 以上でございます。

山本委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山本委員長 この際、お諮りいたします。

 本案及び修正案審査のため、本日、政府参考人として法務省刑事局長大野恒太郎君、法務省入国管理局長西川克行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。矢野隆司君。

矢野委員 おはようございます。自由民主党の矢野隆司です。

 本日は、大臣、副大臣、政務官、そして桜井修正案提案議員、ありがとうございます。

 それでは、本日早速、入管法の改正法案の質疑に入りたいと思います。

 この審議は、本年の四月二十四日に当委員会で審議入りをした後、与野党の各先生方の活発な質疑、また参考人質疑も行われてまいりました。それぞれの参考人の方々からは、この法改正に当たりまして望むこと、あるいは配慮してほしいことなどが語られたわけでございますが、私個人としましては、特に印象深かったのが、群馬県太田市の清水市長さんがおっしゃった、登録と居住実態の乖離、これの抜本的な解決を図ってほしいという、まさに現場からの声でありました。

 また、在日本大韓民国民団中央本部の徐団体渉外事務局長さんも、この委員会の参考人質疑の中で、「私たち及び子供たちには愛する日本にしか生活の根拠がありません。日本で生まれ育った私たちを、外国籍だからといって、きのうきょう上陸してきた外国人と一緒にして在留管理を強化しようとするのは、私たちの人権と生活を脅かし、私たちの心を傷つけるものであります。」こういう御意見が開陳をされたわけです。

 さて、こういう参考人の皆さん方の貴重な御意見を踏まえて、今般、与野党で修正協議が調い、先ほど修正案が示された、こういうことで、本日は、内閣提出法案との違い、異なった部分について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、今回の修正案で、特別永住者証明書及び特別永住者に係る旅券の常時携帯義務規定が削除された、これは目に見える形での大きな修正じゃないかと私は思うんですが、その削除した趣旨、理由について、自民党の提案者桜井先生から説明を伺いたいと思います。

桜井委員 おはようございます。

 矢野委員にお答えをさせていただきます。

 現時点においては、特別永住者について、特別永住者証明書及び旅券の常時携帯義務を課す必要性が完全に否定されているわけではございません。しかしながら、特別永住者については、その歴史的経緯及び我が国における定着性にかんがみ、特段の配慮が必要であります。

 また、平成十一年の外登法の改正における全会一致の附帯決議において、特に特別永住者に係る外国人登録証明書の常時携帯義務についての見直しが求められているところでございました。

 他方、特別永住者証明書の常時携帯義務を削除した場合に、特別永住者への成り済ましの危険性があるとの指摘については、当該外国人の身分関係、在留資格の有無等について迅速に把握する運用を徹底することにより対応することが可能ではないかと考えておるところでございます。

 したがって、今回の法改正において、特別永住者証明書及び特別永住者に係る旅券の常時携帯義務規定を削除することとしたものでございます。

矢野委員 そこで、この携帯義務規定がなくなるということで、不法滞在者対策への支障、ただいま桜井提案者からは、迅速な運用を徹底して防止できる、こういうような御答弁もございましたけれども、要は、この成り済ましについての防止というか、そういう事案を未然に防ぐ、そういったことについてどう対応するのか、法務当局に伺いたいと思います。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず前提としまして、平成十一年の外国人登録法の改正によりまして、特別永住者に係る外国人登録証明書の常時携帯義務違反は過料とされております。したがって、現在でも当該違反に対しては刑事処分をもって対応することはできません。

 次に、特別永住者証明書の常時携帯義務を削除した場合、不法滞在者が、自分は特別永住者であるので特別永住者証明書は携帯していない旨弁解して成り済ますという事案の発生、これについて一応の懸念が生ずるというふうに思われます。しかしながら、特別永住者の我が国における定着性にかんがみますと、特別永住者の成り済まし事案が発生する蓋然性につきましては、一般外国人の成り済ましの蓋然性に比較すれば格段に低いものというふうに想定されますし、仮に特別永住者の成り済まし事案が発生したといたしましても、その際は、警察等の捜査機関からの照会に対しまして、入管当局において迅速に対応することなどにより、成り済ましを看破することが可能ではないかというふうに考えられます。

 このように、特別永住者証明書の常時携帯義務が削除されるに当たっては、不法対策上、このような迅速かつ的確な対応に努めることにより遺漏が生じないよう努めてまいりたいというふうに考えております。

矢野委員 一方で、新たに設けられる在留カード、これについては、やはり現行の外国人登録証同様に、これは常時携帯を義務づける規定が維持をされている、こう理解しておりますけれども、ある意味、特別永住者との違いを鮮明にしたのかなと私は思っております。

 そこで、この在留カードの常時携帯義務規定について、改めてその必要性を自民党提案者桜井先生に伺いたいと思います。

桜井委員 お答えさせていただきます。

 特別永住者は、その歴史的経緯及び我が国における定住性にかんがみ、一般外国人とは異なる特別の配慮が必要とされております。ほかの在留資格をもって在住する一般外国人と特別永住者では、その配慮の必要性については格段の差異があります。

 一方、在留カード制度は新たな在留管理制度の根幹をなすものであり、不法入国者、不法残留者が依然として多数存在し、さまざまな問題を生じさせている現状のもとでは、在留カードの常時携帯制度は必要かつ合理的なものであることなどから、在留カードの常時携帯義務規定は維持されなければならないと考えておるところでございます。

矢野委員 念のためと言ったら大変失礼かもしれませんが、この点、常時携帯義務維持の必要性、これについて、入管局長の方から改めて見解を伺いたいと思います。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 提案者が御答弁をされましたとおり、在留カード制度は新たな在留管理制度の根幹をなすものでございまして、不法入国者、不法残留者が依然として多数存在をしてさまざまな問題を発生させている状況のもとでは、在留カードの常時携帯制度は必要かつ合理的なものであると考えております。

 現に、旅券または外国人登録証明書の携帯義務違反等により刑事事件として検察庁が受理した件数で申し上げますと、合わせて年間一千件以上に上っており、その結果、不法入国等の入管法違反事件の解明につながっております。

 仮に、在留カードの常時携帯義務及び義務違反に対する刑事罰が存在しなければ、旅券も在留カードも携帯せず不法滞在者である可能性が高い外国人に、在留資格の有無や身分関係の確認を求めた際に当該外国人が逃走した場合等に、かかる外国人を現行犯人逮捕することができなくなり、不法滞在対策上重大な支障が出るおそれがあると考えております。

 このように、在留カードの常時携帯義務及び義務違反に対する刑事罰は必要であるというふうに考えております。

矢野委員 次に、この在留カードそのものについて、提案者の桜井先生に伺いたいんですけれども、修正案では、在留カードの、個人識別番号と言っていいのかどうか、番号が一人一人に割り振られるということです。このカード番号ですけれども、交付をするたびにそれまでのものとは異なる番号が割り振られる規定を設けておるというふうに私は理解しております。要は、更新ごとに違う番号になるんだということだと思うんですが、番号が毎回変わる趣旨について、教えていただきたいと思います。

桜井委員 在留カード番号を券面記載事項とした場合における、民間業者などによる在留カード番号をキーとすることによる不当なデータベースの構築についての懸念が示されているところであります。

 そうした懸念を払拭するための措置として、民間におけるデータベースの構築を困難にするため、在留カード番号は在留カードの交付ごとに異なる番号を定める旨の規定を設けることとともに、外国人が在留カードの交換を希望するときには手数料を負担した上で再交付を受けることができる旨の規定を設けることとしております。

矢野委員 民間でそういう不正なハッカーがいて、そういうデータベースの構築を防ぐためだ、こういう御説明でした。

 私はそこまで深く考えてはいなかったんですけれども、議員の先生方もそうですけれども、例えば乗っておられる車のナンバーとかあるいは電話番号なんか、人によっては、すごくいい番号にこだわられる方も結構おられて、民間では、携帯電話の番号なんか、ゼロゼロが下五つとか四つとか並ぶのは良番といって、高い値段で、やみでと言ったら怒られますが、インターネットなんかで売買されておるようです。

 こういう一人一人を識別するカードの番号で、たまさかすごく覚えやすい番号が自分に割り振られると、ずっとそれを維持したいなと思う人も中にはいるんじゃないかな、私はこう思いまして、一々変更されるのも人によっては迷惑というか不都合な場合も出てくるんじゃないかな、私はこう思って、できれば希望者制にすればよかったんじゃないかとも私個人では思うんです。

 それはさておきまして、入管の局長さんの方に二問あわせて伺いたいと思います。

 この在留カード番号変更によって、今、桜井提案者の方からも説明がありましたけれども、例えば、逆に、毎回変更することによって外国人の特定に困難が生じたりはしないのかなということの質問が一問。それから、番号を変更しても、旧カードというんですか、要は古いカードですが、これを返納しないままに例えば第三者に売ったり譲ったりして、昔のカードが悪用されるような心配というのはないのかどうか。一応伺いたいと思います。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず一つ目の、在留カード番号を変更することによって外国人の特定に困難が生じないかという質問でございました。

 入管局で、もちろんこれはデータベースに入れて、コンピューターシステムの中に入れるということになりますが、この在留カードの変更というのは即時コンピューター上に反映される、こういうシステムにしようというふうに考えております。また、在留カードの変更履歴も記録されますので、結論からいうと、新旧いずれの番号を入力しても同一人のデータを呼び出すことが可能であるというシステムにしようと思っておりますので、特定の問題については、ないというふうに考えております。

 次に、在留カードを変更する際に、旧在留カードを返納することなく第三者に譲渡するなどして悪用されることはないのか、こういう御質問であったというふうに思われます。

 まず、新たな在留カードの交付を受けた者は、直ちにもとの在留カードを返納しなければなりません。返納義務違反に対しては罰則が科せられます。それから、その在留カードを第三者に提供するというような行為についても罰則が科せられますので、それら悪用事案についてはこの適用で的確な対処が可能であると考えておりますし、さらに、運用上でございますけれども、新たな在留カードを交付する際には旧在留カードを確実に返納してもらうということを励行することによりまして、御指摘のように、旧在留カードの悪用事案が生じないようにしてまいりたいというふうに考えております。

矢野委員 済みません、通告にない質問で、今の関連で西川局長に伺いたいんですが、例えば、更新するようなタイミングとか返納するようなタイミングにおいて、実はちょっとなくしちゃいましたとか捜しても見つからないんですというような、悪いケースも想定しての質問ですが、なくしたとか見当たらないとかいうことで返せないというようなときは何か罰則があるのか、あるいはどういった措置をされるのか、そういったことを含めて教えてください。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 返納義務違反がかかっておりますので、実際返せるにもかかわらず故意に返さないという場合についてはやはり返納義務違反ということになりますので、刑罰の対象になるということでございます。

矢野委員 済みません、重ねてですが、全く善意にというか悪意なく、なくしちゃったんだという場合も、そういう厳しいと言ったらいいのかどうかわかりませんが、義務違反ということに一応問われるということでしょうか。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 その場合には、返納義務違反の故意がないということですので、犯罪を構成することはないというふうに思います。

矢野委員 ありがとうございます。

 次の質問に参りますが、この修正案では、そもそもの法案にあった所属機関届け出義務というものを努力義務に緩和しておるというふうに理解をしておりますが、この修正によって在留管理に必要な情報がきちんと把握できるのかな、実務上の支障はないのかな、こう思ったりもいたします。

 そこで、入管局長にこの点の懸念について答弁をお願いしたいと思います。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、外国人の所属機関に必要な情報を届け出ていただくことは、これを外国人が届け出た情報と照合して分析することによって、その正確性を確保し、公正な在留管理を行うという観点から重要であるというふうに考えております。

 しかし、改正原案も、届け出義務となっておりますが、これは違反に対する罰則を設けているということではございませんで、基本的には関係者の自発的協力による要素が大きいというふうに考えております。

 外国人の所属機関からは現在も必要な場合は必要な情報を届け出てもらうよう協力をいただいているところですが、入管当局といたしましては、今後も所属機関の御理解を得て協力をいただき、情報の正確性の確保に努めていきたいというふうに考えております。

 なお、必要がある場合には、改正入管法の第十九条の十九に規定する事実の調査ということができますので、その事実の調査の権限を行使することも可能になります。このような調査権も使用して、情報の正確性の確保に遺漏のないように努めてまいりたいというふうに考えております。

矢野委員 次に、在留資格の取り消し関係に質問を移したいと思います。

 配偶者の身分関係、これの在留資格取り消し規定を修正されておられますが、その趣旨について提案者の桜井先生の方から御説明をいただきたいと思います。

桜井委員 配偶者の身分を有する者としての活動を継続して三カ月以上行わない場合に在留資格の取り消しを求める規定については、配偶者からの暴力が原因で離婚したような事案における当該外国人の保護の必要性について、当委員会においても多くの委員から質問がなされていたところでございます。

 法務当局においては、在留資格変更を許可するのが相当である場合には、在留資格取り消し手続を終了させ、外国人の在留資格は取り消さない旨答弁しておりましたが、これら答弁の趣旨を明らかにするために修正を加えたものでございます。

矢野委員 三カ月を六カ月とか、そういう修正だということですが、では、いわゆる偽装結婚の取り締まりとか摘発というものに対しての支障はないのかどうか、この点を法務省に聞きたいと思います。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 配偶者の身分を有する者としての活動を行っていない者の在留資格の取り消し規定につきましては、いわゆる偽装婚のように、在留資格の取得を目的とする婚姻の事案について有効な対応策になるというふうに考えておりまして、そのためにも、当該外国人に認められる事情を適切かつ正確に把握する必要があるというふうに考えております。

 新たな在留管理制度においては、法務大臣が在留管理に必要な情報を継続的に把握する制度が構築されることになりますし、在留資格取り消し手続におきまして、当該外国人の意見を聴取することになり、関係者への質問や文書の要求、公務所または公私の団体への照会等の事実の調査をすることができますので、これらの権限を適切に行使することによって、事実関係をきちんと把握して、偽装婚の事案について対応をしていくことができるというふうに考えておりますので、例えば活動を停止した期間が三月から六カ月に延びるということによって、特段の支障は生じないというふうに考えております。

矢野委員 次に、附則の関係について伺いたいと思います。

 今回の改正を含めて、新たな在留管理制度の円滑な運営、施行の実現といったもののためには、不法滞在者、わけて今現在外国人登録証を所持している不法滞在者の大幅縮減が必要ではないかと思います。はっきり申し上げて、不法滞在者はその母国に帰ってもらうということが大原則ではないかと私は思いますし、安易な在留特別許可の運用、乱発は決して適切ではないと思います。

 しかしながら、他方で、入管法の第五十条ではこの在留特別許可という措置が明記されている、こういうことでございまして、ここは、この許可の運用の透明性、これをさらに向上させること自体が望ましいんじゃないか。この委員会でもこの点については幾人かの委員の方々からも指摘があったと思いますけれども、要は在留特別許可の運用の透明性、これについて、附則の規定について、自民党の提案者からその趣旨を説明いただきたいと思います。

桜井委員 いわゆる不法滞在者の数は、本年一月一日現在で約十三万人と、依然として多数存在しております。

 一方、今後は不法滞在者については在留カードは交付されないことなどから、仮に多数の不法滞在者が存在する状況のまま法律の施行に至ることになれば、混乱が予想されます。新たな在留管理制度の円滑な導入に支障を来すことが懸念されております。

 したがって、新たな在留管理制度の円滑な導入を実現するためにも、不法滞在者、その中でも特に外登証を所持している不法滞在者の数を極力減少させることが重要であると考えております。

 そのためには不法滞在者の効率的な摘発を継続して行っていかなければなりませんが、一方で、不法滞在者に自発的出頭を促すことも必要であると考えております。

 不法滞在者の自発的な出頭を促す観点からは、委員御指摘のとおり、いわゆる在留特別許可の透明性をさらに向上させることが必要でありますので、この附則の規定を設けたものでございます。

矢野委員 今の修正案提案者の答弁を受けて、では、具体的にどのような措置がとり得るのか、法務当局に伺いたいと思います。

西川政府参考人 今、提案者が答弁をされたとおり、我が国に不法残留ないし不法入国したいわゆる不法滞在者、本年一月一日現在で、不法残留者は約十一万人いる、それから不法入国者については、事の性質上はっきりはしませんが、やはり二万人程度で、合計十三万人程度存在しているということでございます。

 新たな在留管理制度の円滑な導入の実現のためには、法律の施行までにこの不法滞在者の数を極力減少させるということが極めて重要であるというふうに考えております。

 一方で、摘発でございますけれども、効率的な摘発を実施する必要があるということでございます。近時、不法滞在者の小口化、分散化が顕著であって、事案も巧妙化しているところでありますが、一般の方からの情報提供を有効に活用するなど、効率的な摘発を一方では行ってまいりたいというふうに考えております。

 一方、不法滞在者に自発的な出頭を促すということの必要性につきましては、新たな制度の周知活動を行い、また、現に外国人登録をしている不法滞在者については、関係省庁とも協力するなどして、不法滞在者に自発的な出頭を促し、個々の事案に応じて在留特別許可を認めるものは認めるということも必要であると考えております。

 この点、在留特別許可につきましては、これまでも、個々の事案ごとに諸般の事情を総合的に勘案し、その許否の判断を行ってまいりましたが、その透明性を確保することが不法滞在者の自発的な出頭を促す観点からも重要であるというふうに認識しており、このような観点から、在留特別許可された事例及び在留特別許可されなかった事例のさらなる公表を行うとともに、既に公表済みの在留特別許可に係るガイドラインの内容についても見直しの検討をしたいというふうに考えております。

矢野委員 今の西川局長の今後の法務省としてとり得る措置の御説明の中で、ちょっと私、一点だけ残念に思った答弁かなと思いますのは、私、前に指摘をしましたけれども、入管法の六十六条でしたか、通報によって退去強制令書が発付されて、実際にその者が退去強制になった場合は報償金を払うんだ、こういう規定ぶりがあったと思いますが、これをぜひ活用されたらどうかと。私は、密告社会にはならないと思うということを頭につけて前に質問しましたけれども、せっかくこの条文があるわけですから、この点についての省としての御見解があれば教えていただきたいと思います。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、不法滞在者の摘発に当たりましては、民間からの情報提供、これが極めて重要でございます。報償金制度、これも情報提供を促すための一つの大きな武器になり得るということでございますので、今後さらに活用することを考えてまいりたいというふうに思っております。

矢野委員 それでは、最後に大臣に端的にお尋ねを申し上げたいと存じます。

 この法案の審議に先立ちまして、森大臣は特別永住者の代表者の方々とも面談をされて、いろいろと理解を深めておられたのではないかと私は推察をしておりますが、そこで、今回の修正案の附則、検討規定では、永住者のうち特に我が国への定着性の高い者について、歴史的背景を踏まえつつ、その者の本邦における生活の安定に資するとの観点から、その在留管理のあり方を今後検討するものとするとの規定が書き込まれております。

 しかし、我が国に長期間在留しておられる永住者といえども、まさに歴史的な経緯や我が国への定着性、こういう点で、特別永住者の方々と全く同じ扱いをすることはなかなか難しいんじゃないかなと私は思ったりもいたしますし、参考人質疑の中でもそのような意見の陳述があったと記憶しております。

 そこで、改めてといいますか、今さらとなるかもわかりませんが、特別永住者と永住者の違いとは一体何なのか、そして、この附則を受けて今後どのような点を検討されるのか、現段階で大臣の御見解、御答弁を賜りたいと思います。

森国務大臣 まず、特別永住者と一般永住者の取り扱いの差異についてですが、例えば、在留の場面においては、在留カードの有効期間の更新方法、常時携帯義務や罰則の内容、再入国許可の有効期間や再入国許可を受けたものとみなせる期間の長短、退去強制の場面においては、退去強制事由の限定の有無の点において違いがあります。さらに、上陸審査の場面においても、上陸拒否事由該当性の審査の要否、個人識別情報の提供の要否の点で違いがあります。

 このように、特別永住者に対し、他の外国人とは異なるさまざまな配慮がなされている理由は、申すまでもなく、日本国との平和条約の発効により本人の意思に全く関係なく日本の国籍を離脱した方々であること、次に、終戦前から引き続き日本に在留している方々であって、我が国に対する強い定着性があるという点にあり、この点、そのほとんどが新たに来日した外国人、いわゆるニューカマーである一般永住者とは、その歴史的経緯や定着性に関し全く事情が異なっております。

 ただ、一般永住者の中にも、我が国に長期間在留しているなど、我が国への定着性が高い方々もおられることも一方で事実でありまして、今後、この附則の規定を受けて、法施行後の内外の諸情勢を踏まえつつ、これらの方々に対する在留管理のあり方について検討を進めてまいりたいと考えております。

矢野委員 時間が参りましたので、質疑を終わります。どうもありがとうございました。

山本委員長 次に、神崎武法君。

神崎委員 このたび三会派によりまして修正合意ができましたけれども、これは高く評価をいたしたいと思います。

 修正案を中心に質問をいたします。

 まず、特別永住者証明書関係でありますけれども、修正案におきまして、特別永住者証明書及び特別永住者に係る旅券の常時携帯義務と違反に対する過料の規定が削除されました。私どもは、特別永住者の皆様から、かねてからその要望をいただいておりまして、我が党といたしましても、この修正を行うべきだと強く主張をいたしてきましたので、大変喜ばしいと思っております。

 提出者に改めてこの修正の趣旨をお伺いしたいと思います。

大口委員 お答えをさせていただきます。

 神崎委員もこの問題に熱心に取り組まれて、ことしの二月、森法務大臣に要望をされたわけでございますけれども、特別永住者につきましては、御案内のように、一九五二年、サンフランシスコ講和条約で国籍を離脱された方、そのまた子孫であるわけでございます。こういう歴史的な経緯、それから、今や四世、五世もいらっしゃる、日本に生まれ、育った方であるということで、定着性もあります。そういう特別の配慮が必要であるということで、平成十一年、外登法の改正のとき、今から十年前、このときも、こういう歴史的経緯とか定着性ということをとらまえて、衆参で附帯決議がなされたわけであります。

 今回は外国人登録証明書がなくなりまして特別永住者証明書になるわけでございますが、その当時、外国人登録証明書の常時携帯義務の必要性、合理性について十分な検証を行い、同制度の抜本的な見直しを検討すること、とりわけ特別永住者に対しては、その歴史的経緯が十分考慮されなければいけない、衆参で、立法府の意思として、特に特別永住者については配慮をすべき、こういうこともあったわけでございます。

 そういうことで、十年前に刑事罰から行政罰、過料になったわけですが、これについて、この適用が実際になされていない、弾力的運用でもあった、また成り済ましの危険性も格段に低い、ほとんどない、こういうこともありますので、今回、この特別永住者への配慮の必要性また附帯決議の趣旨を踏まえて、改めて特別永住者証明書の携帯義務の要否について真摯に検討を行った結果、この審議の中あるいは修正協議の中で検討を行った結果、常時携帯義務の規定を削除することとしたものでございます。

神崎委員 次に、在留カード番号関係についてお尋ねをいたします。

 プライバシー保護の観点から、在留カード番号を記載事項から削除すべし、こういう意見も当委員会での議論の中であったわけでありますけれども、在留カード番号を券面に記載する必要性、これにつきまして提案者にお伺いいたしたいと思います。

大口委員 お答えをいたします。

 外国人の場合は、同一国籍の同姓同名が多く見られる上、生年月日も不明なために便宜的に一月一日とする例もあります。国籍、氏名、生年月日等の身分事項だけでは個人の識別に支障が生ずる可能性が高く、何らかの番号を使用して個人の識別を行う必要があります。

 また、法務省では、現在、外国人による届け出先の一部が市町村から地方入国管理局になることに対して、外国人の利便性についていろいろと配慮しておりまして、郵送でありますとかインターネットを利用した届け出を検討しているところでございます。

 在留カードの番号を在留カードの券面記載事項から除外した場合、郵送やインターネットを利用した各種の届け出において個人の識別に困難を生ずることになります。このような支障を避ける必要もあることから、在留カードの番号については券面記載事項にすることが不可欠である、こう考えております。

神崎委員 再交付されます在留カードにつきましては、従前と同一のカード番号を付さない、外国人が希望する場合には、実費相当の手数料を負担の上、新たな番号のカードの交付を求めることができるという規定を設けることになりましたけれども、これらの規定を設けることによって、在留カード番号をキーとすることによる不当なデータベースの構築を防ぐことはできるのか、提案者にお伺いをしたいと思います。

大口委員 今回、この入管法の十九条の四で、交付ごとに異なる番号を付す、それから、希望があれば、十九条の十三で再交付もできる、こういうことで、在留カード番号というものを変更する制度を盛り込ませていただきました。

 個人識別番号をキーとした個人情報データベースの作成には、さまざまな情報を少しずつ収集する必要性があることから、一定の期間必要であると思われます。したがって、これらの在留カード番号が変更される制度を採用することによりまして、在留カード番号をキーとした情報の集積が困難となり、個人のデータベースの構築を防ぐ効果がある、こういうふうに考えております。

神崎委員 在留カードの交換を希望する者がみずから手数料を負担しなければならない、こういうことにしていますね、在留カード番号の交付ですね。これは一体どういう理由でそういうふうにしたのか、提案者に伺いたいと思います。

大口委員 六十七条の二にそれがあるわけでございますけれども、これは、外国人側の都合、希望による在留カードの交換については、その費用を行政側の負担にする理由がなく、受益者たる外国人本人に負担を求めることが相当である、受益者負担という考えでございます。

 なお、現行法においても、例えば外国人が就労資格証明書等の交付を受けるときには、実費を勘案して手数料を納付しなければならない旨の規定が置かれております。

神崎委員 法務当局にお伺いしたいと思いますけれども、手数料は幾らぐらいになるのか、大体の予定、見通しについてお伺いをしたいと思います。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 手数料につきましては、いわゆる生カード代等の材料費と、それから発行に要する人件費等の積算により決定されるということになろうと思います。

 現時点における材料費等の状況によりますと、おおむね二千円程度を見込んでおりますけれども、今後、具体的に積算作業を進めることにしたいと考えております。

神崎委員 次に、個人情報保護関係でありますけれども、修正案におきましては、法務大臣は、在留管理の目的に必要な最小限の範囲を超えて情報を取得、保有してはならず、情報の取り扱いに当たっては個人の権利利益の保護に留意しなければならない旨の規定を置くことになっておりますが、この規定を置いた趣旨について、提案者にお伺いをいたしたいと思います。

大口委員 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律というものがございます。これは八条の第一項であります。そこには、「行政機関の長は、法令に基づく場合を除き、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供してはならない。」こういう規定もあるわけでありますけれども、今回、新たな在留管理制度において、やはり、法務大臣が外国人本人や所属機関からの届け出等により取得する情報は、在留管理のために必要な最小限の範囲に限定をする、そして、当該外国人に係る個人情報の利用や提供については、法令に基づく場合等を除き、原則として目的外の利用等をすることができないという形で新たに規定をさせていただいたわけであります。

 これは当然のことでございますので、今般、法務大臣が外国人の在留情報を継続的に把握する制度を構築するに当たり、情報の取り扱いに当たっては、個人情報の保護に対する十分な配慮が必要であるということを明確にするということで、修正案にあるような規定を置くことにしたわけでございます。

神崎委員 次に、在留資格の取り消し関係についてお尋ねをいたします。

 配偶者の身分を有する者としての活動を継続して三カ月以上行わない場合には在留資格の取り消しを認める規定につきまして、取り消しをしようとする場合には、在留資格の変更の申請の機会を与えるよう配慮しなければならない旨の規定を設けた上、当該活動を行わないことに正当な理由がある場合を除外すること、それから、三カ月を六カ月に修正をいたしたところでございます。

 まずお伺いしたいのは、配偶者の身分を有する者としての活動を継続して行わないことにつき正当な理由がある場合、これはどのような場合を指すのか、提案者に伺いたいと思います。

大口委員 これは二十二条の四の一項の七号でございますけれども、ここに、「(当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除く。)」こういう規定になっております。

 活動はしていないのに在留していることにつき正当な理由がある場合ということは、例えば、日本国籍を有する子供の親権を争って離婚の協議中であるとか、あるいは調停中でありますとか、こういう場合などは、活動を行わずに在留を継続していることにつき正当な理由があり、在留資格の取り消しをすべきでない場合と考えられるわけでございます。

 このような者については、在留資格取り消し手続における意見聴取の際にそうした事情が判明すれば、在留資格の取り消しはしないこととなりますが、このような趣旨を明らかにするため、配偶者の身分を有する者としての活動を行わないことにつき正当な理由がある場合を除外することを明文をもって定めたところでございます。

神崎委員 正当な理由があるのかどうか、この点について、どのようなメルクマールというんですか、どういう基準で判断をされるのか、法務当局にお伺いをいたします。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 正当な理由の有無というのは、当該事案に即しまして正確に事実関係を把握するということになろうと思いますが、まず婚姻の実態を含む在留の状況や当該活動を行わない状態に至った経緯や原因等を個々的に正確に把握しまして、総合的に決めていくということになろうというふうに思います。

 その適切な判断のためには、正当な理由の有無について、当該外国人に認められる事情を正確に把握する必要があると考えられますが、在留資格取り消し手続におきましては、当該外国人の意見を聴取することになりますし、関係者への質問や文書の要求、公務所または公私の団体への照会等の事実の調査をすることができますので、これら手続を通じて事実関係を正確に把握した上、正当な理由の有無について適切に判断してまいりたいというふうに考えております。

神崎委員 三カ月を六カ月に修正をいたしておりますけれども、その趣旨を提案者にお伺いいたします。

大口委員 活動を行わない期間ということでございますが、いわゆる就労資格等で在留する場合については、三カ月以上継続して活動を行わない場合が取り消し事由となります。

 ただ、配偶者の身分を有する者としての活動を継続して行わない期間ということにつきましては、これは就労者資格での在留の方よりも一般的には日本社会とのつながりが深いということでございますし、また、完全に婚姻関係が破綻したのか、あるいは修復の可能性があるのかということをやはり慎重に見きわめる必要がございます。そういうことで、三カ月というのは短いのかな、六カ月にした理由でございます。

神崎委員 修正案におきまして、在留資格の変更の申請の機会を与えるよう配慮しなければならない旨の規定を設けることといたしておりますけれども、その趣旨、あえてこういう規定を設けた趣旨について提案者にお伺いをいたします。

大口委員 配偶者の身分を有する者としての活動を継続して行っていない場合に、例えば配偶者からの暴力が原因で離婚したような事案が含まれます、DVですね。このような事案については、申請があれば定住者等の在留資格への変更の許可が見込まれる場合があります。

 在留資格取り消し手続における意見聴取の際に、外国人に対して、在留資格変更申請を行う意思があるか否かを確認し、在留資格変更許可をするのが相当である場合には、在留資格取り消し手続を終了させ、外国人の在留資格は取り消さないこととなりますが、このような趣旨を明らかにするため、在留資格変更の申請の機会を与えるよう配慮することを明文をもって定めたところでございます。

神崎委員 法務当局にお伺いいたしますけれども、在留資格の変更の申請が認められる場合として、どのような場合が考えられるのか、その点についてお尋ねをいたします。

西川政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、典型的な例として挙げられますのが、いわゆるDV被害者が日本国籍を有する実子を監護養育しているような場合、このような場合については、日本人の配偶者等から定住者という形で在留資格の変更が認められる例が多いということが予想されます。

神崎委員 DV被害者が加害者に所在を知られないようにするため住居地の変更を届け出なかった、こういう場合はどのような手続を踏むことになるのか、法務当局にお尋ねをいたします。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 DV被害者が加害者に所在を知られないようにするため住居地の変更を届け出なかった場合は、入管法第二十二条の四第一項第九号、改正の法案ですが、「届出をしないことにつき正当な理由がある場合」に当たり、在留資格の取り消しを行わないということになろうと思われます。

 また、DV被害者が配偶者としての活動を行えない場合には、配偶者の身分を有する者としての活動は認められなくても、定住者等の他の在留資格への変更が可能であれば、在留資格変更許可申請をさせた上で、引き続き在留を認めることになります。

 このように、DV被害者については、在留資格の取り消し手続において配慮する取り扱いにすることになると考えております。

神崎委員 次に、附則についてお伺いをいたします。

 附則の中に、仮放免されてから一定期間経過した者の情報を市区町村等に通知する、こういう規定を設けておりますけれども、その趣旨につきまして、提案者にお伺いしたいと思います。

大口委員 第六十条一項にこの規定を設けたわけでございますが、現在、外国人登録を利用するなどして、母子保護、母子手帳等の交付、それから児童に対する予防接種、これは案内、そして教育、これは就学案内等、そして人道等の観点から行政サービスは仮放免された者にも提供されておりますが、この改正法施行後もなおこれらの方が行政上の便益を受けられるようにするためには、例えば予防接種の案内の発送等、市町村における外国人の居住実態を把握する必要がある場面があります。

 そこで、法務大臣において、仮放免されてから一定の期間を経過したものについて、施行日以後においてもなお行政上の便益を受けられるようにするとの観点から、施行日までに、その居住地、身分関係等を市町村に迅速に通知すること等について、個人情報の保護にも配慮しつつ検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしたものでございます。

神崎委員 法務当局にお伺いをいたしますが、仮放免された者の通知について、具体的にどのような検討を行おうとしているのか、お尋ねをいたします。

西川政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、仮放免された外国人には現在も仮放免許可証が交付されて、これに本人の身分事項や指定住居が記載されていますので、基本的にはその外国人が仮放免許可証を市町村に持参することによって身分事項や居住状況の証明を行うことは可能であるというふうに考えております。

 しかしながら、現在の外国人登録がなくなりますので、正規に在留するものでない者の記録という意味で御懸念が生じているということであろうというふうに思いますが、いずれにいたしましても、これらの外国人が受けることのできる行政上の便益に支障を生じさせることのないよう、どのような行政サービスにおいて法務省からの通知が必要になるかを考慮するとともに、個人情報保護という観点も必要でございますので、この観点も留意しつつ、通知を行う場面や方法について検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

神崎委員 修正案を離れまして、今回の改正全体についてお伺いをいたします。

 まず、難民受け入れの拡大についてでございますけれども、一時減少した世界の難民、国内避難民数が、国連の統計では大幅に増加し、現在総数では四千二百万人に達していると言われております。UNHCRのグテーレス高等弁務官は、複合的な地球規模の課題に直面しているとして、新たな地域紛争の発生、統治における不安要因、気候変動がもたらす環境破壊、資源、食料不足が引き起こす価格高騰などを挙げているところでございます。

 難民支援策としては、出身国への自発的帰還、庇護国への定着、第三国定住などが挙げられておりますけれども、我が国におきましても、二〇〇四年に難民認定法が改正されまして、難民申請者は、二〇〇六年には九百五十四人、二〇〇七年には八百十六人と急激にふえております。しかしながら、難民認定数は年間四十人前後で極めて少ないのが実情であります。

 政府は、紛争や政治的弾圧で祖国を追われ、周辺の難民キャンプで暮らす難民を恒常的に受け入れる第三国定住制度の導入を決め、昨年末に閣議了解となっております。日本のこの新たな挑戦に対し、国連初め各国は高く評価をしているところでございますけれども、タイの難民キャンプから三十人程度のミャンマー難民をパイロットケースとして平成二十二年度から三年間の試行で受け入れるということでありますけれども、この受け入れ準備等の進捗状況はどのようになっているか、まずお尋ねをしたい。

 また、第三国定住による難民受け入れはアジアで初めてで、日本は地域のモデルになると国連は歓迎をいたしておりますけれども、人権大国日本になるためにも、年に三十人、三年間で九十人という受け入れ数は余りにも少ないと思います。試行後の生活実態を調査した上で正式導入に進む計画と言われておりますけれども、ぜひとも受け入れ数を大幅に拡大し、難民対策をもっと積極的に進めるべきと考えますけれども、法務大臣のお考えを伺いたいと思います。

森国務大臣 第三国定住による難民の受け入れに関するパイロットケースの実施につきましては、ただいま神崎委員が言及されましたとおり、昨年十二月の閣議了解において政府としての対処方針が定められました。また、難民対策連絡調整会議において、具体的な実施方法及び第三国定住難民に対する定住支援策について定められたところでございます。

 これを踏まえて、平成二十一年度中に、まずタイの難民キャンプにおいて受け入れる難民の選考作業を実施すべく、関係省庁により選考方法及び手続等について着実に検討を行っているところでございます。選考に係る具体的な基準等についても近々定めることとなります。

 確かに、三十人という数でございますけれども、全体からすると本当に琵琶湖の水をひしゃくでかき出すようなもので、まことに少ないというのも事実でございますけれども、今回の第三国定住による難民受け入れはあくまでもパイロットケースとして実施するものであって、当初は十分把握可能な範囲で受け入れ、適切な定住支援を実現するために、三十人という少人数から開始することといたしたものでございます。

 こうしたパイロットケースでの受け入れを実施した後、さまざまな角度から課題の検証等を行った上で、受け入れ人数拡大の適否を含め、定住支援のあり方等につき、政府全体としてさらなる検討を行ってまいりたいと存じます。今後とも、他の関係省庁とも連携し、第三国定住難民の積極的な受け入れに貢献してまいりたいと考えております。

神崎委員 難民認定の審査期間は平均二年というふうに言われております。我が国は、申請中は就労を禁じておりますし、申請期間中の生活保障の法的な規定もありません。

 申請期間中の生活保障、健康保険加入と、一定期間経過後の就労の許可、こういったものを積極的に認めるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、難民認定申請中の者のうち正規の在留者、例えば短期滞在で我が国に入って難民申請をした者等につきましては、難民認定に関する決定まで相当の期間を要するという場合については、特定活動等の資格を与えまして、それが長期間に及ぶ場合については就労も認めている、こういう実情にございます。

 ただし、不法滞在者等の在留資格未取得者については、就労を認めておりません。これは、在留資格未取得者の場合には、就労を認める措置を講ずることによって、不法就労の者による難民認定制度の濫用、悪用を誘発するおそれを否定することができないので困難であるというふうに考えているところでございます。

 難民認定申請者のうち生活困窮者につきましては、外務省の委託を受けた財団法人アジア福祉教育財団難民事業本部が、保護費の支給や宿泊場所がない人への宿泊場所の提供を行っているというふうに承知をしております。

 当局といたしましては、難民認定制度を悪用、濫用する者を的確、確実に除きつつ、難民認定すべき者、人道上の理由から在留特別許可を与えるべき者に対して早く結論を出していくということでございますが、そのための体制の整備を進めておりますけれども、近年、難民申請者が非常に急増しておりまして、なかなか追いついていかないという状況でございますが、さらに審査の迅速化に努めてまいりたいというふうに考えております。

神崎委員 ぜひ改善をお願いいたしたいと思います。

 それから、難民認定を申請中の外国人で、重病の人や妊娠中の女性とか就労許可がない人などに、生活支援の保護費一日千五百円などが支給されておりますけれども、本年から支給基準が厳格化され、本年三月までに二百六十人に支給されていたのが、現在百人以上が受け取れなくなっているということでありますけれども、なぜそうなったのか、経緯と実情について、また今後の対応についてお伺いをいたしたいと思います。

西川政府参考人 先ほどの難民認定申請者のうち、財団法人アジア福祉教育財団難民事業本部が支援をしているということでございますが、先ほども申し上げましたとおり、予算額に定めがございまして、近年、難民の申請者が急増しているということで、なかなか追いついていかないということでございます。

 外務省の方で措置をしているということでございますが、外務省の方も今の実情を踏まえたような措置を検討しているというふうに聞いております。

神崎委員 最後に、日系人離職者に対する帰国支援事業における再入国についてお伺いをいたします。

 日系人失業者のうち、日本での再就職をあきらめ母国に帰国する本人には三十万円、扶養家族一人当たり二十万円の帰国支援金が支給される制度が、この四月から発足したところでございます。支援を受けた日系人には、当分の間再入国を認めない方針であるということなものですから、もう日本には来ないでということなのかという戸惑いの声もあります。

 再入国を当分の間認めないというが、当分の間とはどのくらいの期間をいうのか、再入国の特例、例外はあるのか。五月十一日の予算委員会で河村官房長官は、当分の間について、再入国が可能となるのを原則として三年をめどにする考えを示しました。また、舛添厚労大臣は、二年後に非常に景気がよくなったとなれば検討したいという答弁もされているところでございます。

 法務大臣といたしまして、再入国についてどのような御所見をお持ちになっておられるのか、お伺いをいたします。

森国務大臣 日系人離職者に対する帰国支援事業は、厳しい再就職環境のもとで、我が国での再就職を断念し、帰国することを決意した者に対しまして帰国支援金を支給するというものであり、帰国支援を受けて帰国した者については、当分の間、再度同様の身分での入国が認められないこととなります。

 神崎委員お尋ねのこの措置の実施期間についてですが、厚生労働省と関係省庁との協議の結果、本事業開始から原則として三年をめどとしつつ、今後の経済雇用情勢の動向等を考慮し、見直しを行うことといたしております。なお、当分の間入国が認められないのは日系人等としての身分に基づく在留資格による入国の場合であって、例えば当該身分に基づくものではない在留資格、すなわち人文知識・国際業務や技術等の在留資格で入国しようとする場合には、本措置の対象外になると考えております。

 いずれにいたしましても、帰国支援金の支給を受けて帰国した外国人が再度入国する場合には、個別に入管法に定める上陸のための条件に適合するか否かを審査することとなります。

 今申し上げたところでございますけれども、一応原則として三年をめどとしているところでございますが、今後、我が国の経済雇用情勢の動向等を考慮し、関係省庁と改めて協議の上、実施期間の見直しが行われる場合もあると考えております。

神崎委員 終わります。

山本委員長 次に、加藤公一君。

加藤(公)委員 民主党の加藤公一でございます。

 入管法の質疑も大詰めでございまして、きょうは与野党合意でかなり大幅な法案の修正案が提出をされたということは、私も大変喜ばしいことだと思っておりまして、それは本当にいい合意ができたのではないかとうれしく思うところであります。

 ただ、これまでの審議の中で、もともとの政府案、それから今回提出をされた修正案を含めて、幾ばくか確認をさせていただきたい点がございます。多少細かくなったり、多少ダブったりする部分があるかもわかりませんが、まずはその確認事項につきまして、これは私加藤公一のみならず、私ども民主党としても明確にしておきたいという点でありますので、そこから順次御質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、所属機関の届け出義務の問題についてお話を伺いたいと思います。

 一昨年の四月でありますが、公共職業安定所に外国人の就労に関する情報を届け出るという内容の雇用対策法の改正というのがございましたが、その際に、これらの情報が一括して入管当局に送られるのか、あるいは在留管理強化に利用されるのかという点が問題になりました。当時は、この情報は基本的に雇用管理や再就職の支援に利用されるという趣旨とともに、不法就労を防止するという在留管理上の目的もあるんだという答弁があったわけでありますけれども、その一方で、これらの情報が一括して入管当局に送られるかどうかという点については、当時明確な答弁がなかったところでございます。

 そこで、法務省にお尋ねをいたしますけれども、一昨年の雇用対策法の改正の結果、現在どのような形で厚生労働省から入管へ情報が送られているのか、局長にお尋ねをいたします。

西川政府参考人 まず、雇用状況届け出制度におきましては、外交、公用の在留資格を有する者及び特別永住者を除くすべての外国人について、事業主から、氏名、生年月日、性別、国籍、資格外活動の許可の有無、住所、事業所の名称及び所在地、賃金その他の雇用状況に関する事項を届け出るということにされております。

 法務省は、これらの情報のうち必要なものにつきまして、その範囲を特定するとともに、必要性及び理由を記載した文書をもって、おおむね月一回程度、情報提供を依頼しております。これを受けて、厚生労働省は、情報の範囲及び必要性が雇用対策法二十九条に則したものであることを確認した上で情報を提供していただいているというふうに承知をしております。

 必要な事項としましては、人定事項、それから雇用状況、事業所の名称、所在地、それから雇用開始、終了年月日でございますが、なお、永住者につきましては、事業所の名称、事業所の所在地等雇用状況に係る事項は、その定着性にかんがみまして、かつ活動が制限されていないということを考慮して提供を求めておりませんので、その部分は除外しているということでございます。

 このような定期的な求めのほかに、提供を受けた情報と法務省が保有する情報を突合した結果、例えば永住者を偽装するものである疑いが生じた場合には、当初求めていなかった雇い入れ事業所の名称等の情報について、必要に応じ、その範囲で再度照会して、個別に情報の提供を求めるということもございます。

加藤(公)委員 ちょっと再度確認になりますけれども、今の御答弁ですと、入管当局の方で包括的に情報を得ているということかと思いますが、当時の審議の際に、水野副大臣から、法務大臣が厚生労働大臣に情報を求めるときは、その必要性、理由などについて適切に明らかにしていくという答弁があったところであります。

 法務省が月一回情報を求めるというときに、どのような必要性あるいは理由というのを厚労省側に伝えているのか、いま一度明らかにしていただきたいと思います。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 法務省から厚生労働省に伝えている必要性や理由でございますが、まず、入国管理局が保有する情報と突合、分析を行い、偽変造旅券または偽変造された外国人登録証明書を用いて正規滞在を装う不法滞在者等を発見、特定するため。それから、資格外活動許可を受けずに不法就労する者及び偽変造された資格外活動許可証を用いて正規就労を装う資格外活動者等を発見、特定するため。外国人登録事務の処理に関しまして、登録事項の正確性を確保等するために市区町村が法務省入国管理局登録管理官に対し行う各種照会に適切に回答するに当たり、入国管理局が保有する情報の精度を向上させるためといったものがございます。

加藤(公)委員 今のような理由で包括的に情報を求めるということになりますと、相当程度整合性のある理由がなければいけない。そうでなければ個人情報の目的外利用に当たるのではないかという疑念を持たれかねないところでありまして、こうして得られた情報は実際どのように在留管理に利用されているのか、この点も明らかにしていただきたいと思います。

西川政府参考人 入国管理局では、雇用対策法に基づき厚生労働省から提供される情報と当局が保有している情報とを照合、分析して、不法就労者や偽装滞在者の発見そして削減に努めているということでございます。

 具体的には、就労可能な在留資格に係る在留審査における在職事実の確認や、在留資格取り消しに係る端緒として活用したり、法違反者の摘発や調査に活用しているというところでございます。

 最近の個別の活用事例というのを幾つか挙げますと、正規在留者の外国人登録証明書等の写しを人材派遣会社に提出して同人に成り済まして派遣先事務所で活動していたことが、雇用状況報告と当局が保有する情報との突合によって判明して摘発に至った事例や、提報と当局情報とでは身分事項や在留資格等を特定できなかったため、容疑の有無を確認できなかった不法滞在者について、雇用状況報告との突合で身分事項が判明し、提報の信憑性も確認されて摘発に至った事例などがございます。

加藤(公)委員 今、個別具体的な例として摘発に至った例というのをお示しいただいたところでありますけれども、実際に、統計的に、この制度によって不法就労の摘発がふえたとか効果があったというようなことが、そういう事実があるのかどうか、いかがですか。

西川政府参考人 雇用対策法に基づきまして厚生労働省から提供された情報につきましては、不法就労や偽装滞在者対策等に活用しておりますが、当該情報というのはそれだけで不法就労や偽装滞在摘発につながるというものではございませんで、当局が保有している情報等との照合、分析を経て摘発の端緒となるという性質のものでございます。それ自体で即摘発に結びつくというものではないため、これらの情報の活用と摘発件数との増減という観点からの統計はとっておりません。

 が、例えば、提報があった場合について、雇用情報ではどうなっているかという照合をして、不法滞在者の疑いがなければその件についてはそれ以上の調査を打ち切る、あるいは、さらに疑いが深まれば、それについて摘発等のために調査を実施するということで、このような情報が役に立っているということでございます。

加藤(公)委員 ここから先は想像、推測の域を出るものではありませんけれども、仮にコンプライアンスの整った、まともなという言い方がいいかどうかわかりませんが、正しい行いの行われている事業所で働けなくなった方々が、そのまま帰国をするという道を選ばずに、逆に報告義務を果たさない事業所で働くということになるようであれば、管理強化によってかえってアンダーグラウンドの世界に潜り込ませるということにつながりかねないところであります。そのためにも、管理強化とあわせて、善良な外国人の方ではあるけれども正規の在留資格は失っているという方に対しては、もう一度広く在留資格を再取得できるような手だてが必要ではないか、こう考えるわけであります。

 雇用対策法では就労情報が厚労省経由で入管に入るということになっておりますが、今回の改正の原案では、教育機関及び研修生所属機関の場合、直接入管に対し報告義務が課せられるということになります。この点は、今回の改正案に対するかなり根本的な批判というのにもつながっていたわけでありますけれども、今回の改正案は、在留外国人に対して常に犯罪者予備軍として国全体で監視していこうという方向なのではないかという批判が出ていたところであります。

 その点、修正案におきましては、これを努力義務とするということにいたしまして、これは大変評価できるところでありますが、この点、この問題を整理して、提出者にこの修正の趣旨について伺いたいと思います。

細川委員 外国人の所属機関の届け出義務に関する規定につきましては、原案におきましても、所属機関の負担なども考慮いたしまして、届け出義務違反に対する罰則は設けておりません。その履行の確保においては所属機関の自発的な意思が重視されているということでございますけれども、この点を法文上明確にする観点から、いわゆる努力義務規定の修正をすることにしたものでございます。

加藤(公)委員 では次に、在留資格の取り消し制度について伺いたいと思います。

 今回の改正案で、在留資格取り消しの制度が拡大をされようとしているわけであります。入管法第二十二条の四にその規定がございますが、ここで、在留資格の取り消し要件として新設をされた七号、八号、九号というのがありますが、その各号について、それぞれ疑問なり批判なりが上がっているところであります。

 在留資格の取り消しということは、外国人にとっては出国を強要されるということでありますし、非常に重い処分でもあります。その方にとっては個人の生活に直接影響が及ぶということにもなりますので、これを余り安易、安直に行うべきではないことは言うまでもありません。そこで、七、八、九号の各号について、それぞれ疑問なり批判が上がっているところを説明を求めてまいりたいと思います。

 まず七号でありますが、これは、日本人の配偶者等の在留資格をもって在留する者が、その配偶者としての活動を継続して三カ月以上行わないで在留していることという規定があります。修正案においては、これを三カ月から六カ月以上というふうに修正をするということでありますが、そもそも、期間の問題以前に、この規定そのものの意味あるいは趣旨というものが不明確でありますので、ここをぜひ明確にしてまいりたいと思います。

 そもそも、配偶者としての活動というのは一体何を指すのか。例えば、DV、家庭内暴力の被害に遭って施設に避難をしているような状態というのは配偶者としての活動を継続していないと判断されるのか。仮にそうだとすれば、在留資格を取り消されるのではないかと心配をしている方もいらっしゃいます。あるいは、単身赴任などのために仕方なく御夫妻が別居をしているという場合もあり得るわけであります。

 この条文をめぐりましては、今指摘をしたようにさまざまな解釈がされ得るところでありますので、言いかえれば、在留資格を取り消すか否かがすべて法務当局の運用次第にかかっているということになるわけであります。

 私は、この規定は、そもそも偽装結婚であることが確実であるというような場合に限って厳格に運用するのでなければ、善良な外国人の方に対してはいたずらに不安を抱かせるということにつながってしまうのではないかと懸念をしているところであります。

 そこで、この配偶者としての活動というのをどのように定義するのか、また、この規定によってどんな場合には在留資格が取り消されるということになるのか、あるいは、仮に偽装結婚の排除ということが立法の趣旨、目的だとすれば、そのほかの場合にもこの条項が適用されるようなことがあるのかどうか、局長からわかりやすく御説明をお願いしたいと思います。

西川政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、配偶者の身分を有する者としての活動ということでございますが、日本人の配偶者の場合でいいますと、平成十四年の十月十七日付最高裁第一小法廷の判決によりますと、そのまま読みますと、日本人との間に、両性が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真摯な意思をもって共同生活を営むことを本質とする婚姻という特別な身分関係を有する者としての活動を言うというふうに定義をされております。

 しかし、委員がおっしゃられるとおり、婚姻の形態についてはさまざまなものがあるというふうに思われますが、婚姻の実態が存在しないという場合は、こう判断するか否かに当たりましては、やはり同居の有無、それから、別居している場合は、別居の場合の連絡の有無、程度、生活費の分担の状況、別の異性との同居の有無、それから就労活動の有無や職種等、こういうものを総合的に考慮して決定していく以外にはないというふうに考えております。

 さて、配偶者の身分を有する者としての活動を行っていないことを在留資格の取り消し事由としたという理由は、離婚等によりその身分を失った場合や、今申し上げたような意味において身分を有する者としての活動を行っていない場合に、少なくとも日本人の配偶者等あるいは永住者の配偶者等の在留資格で我が国による在留の継続を認めるのは法の趣旨に反するということになると思います。したがって、典型的な事案としましては、配偶者と離婚した場合や死別した場合が該当するというふうに考えられますが、さらにそのほかに、婚姻の実態が存在しない場合が想定されます。委員御指摘の偽装婚の事案、これも婚姻の実態が存在しない場合に当たるということになります。

 ただし、配偶者の身分を有する者としての活動を行っていない場合といっても、個々の事案によってさまざまな事情がありますので、在留資格の取り消しを行うに際しましては、外国人本人から意見を聴取するなどして事実関係を正確に把握し、取り消し事由に該当するか否か、また取り消しを行うべきかについて適切かつ慎重に判断してまいる必要があるというふうに考えております。

加藤(公)委員 ちょっと細部にわたって局長にもう一度確認をいたしますけれども、DVは典型的でありますが、それ以外にも、例えば日本人である夫の方の不貞によって別居しているというような場合もあるわけでありますし、このような場合、その外国人御本人には責任がない。そんな場合に、定住などほかの在留資格への変更がなされれば在留を継続できるということになるわけでありますが、現在でも離婚調停中に在留期限が切れるというようなケースがありまして、その都度問題になっているというふうに仄聞をしております。

 どのような場合にこの在留資格が定住に変更が可能になるのか、あるいは今回の法改正によってその運用が変わるのか変わらないのか、局長から御説明を求めます。

西川政府参考人 日本人の配偶者と離婚調停中になされた在留期間更新許可申請または在留資格変更許可申請があった場合、個々の事案により具体的な事情は異なりますけれども、例えば入国の経緯及び在留状況、今後の在留目的、それから生活設計、実子がいれば実子の状況等を総合的に判断した上で、引き続き我が国に居住を認めるべき事情がある場合、その他引き続き在留を認める相当な理由があるときは、定住者その他の適切な在留資格により在留を認めることとしております。これは、本改正によってもその運用について変更はございません。

加藤(公)委員 例えば、オーバーステイの状態になってしまってから定住ビザを獲得するというところまでかなり時間がかかって、その間、在留資格のない状態が続くことになります。それをもって非常に不安に思う方が多いということでありますけれども、局長、この点はいかがでありますか。

西川政府参考人 御質問の趣旨は、恐らく、日本人の配偶者等で在留をしていて在留期間が切れそうになった、その場合で、例えば更新等の申請がなされる、ところが期間を徒過してしまって決定が出ない、このような場合を想定されておるんだというふうに思います。

 日本人の配偶者等の在留資格から定住者への在留資格の変更許可申請につきましては、確かに審査結果が出るまで相当の時間を要していたという事例もございまして、その間の本人の在留資格が不安定になった、こういう問題が生じておりました。

 今回の改正によりまして、在留期間の満了の日までにその申請がなされまして、これに対する処分が在留期間の満了までになされないときは、直ちに不法残留の状態となるのではなく、在留期間経過後も、処分がなされるべき、または従前の在留期間の満了の日から二月を経過する日のいずれか早い日まで、引き続き当該在留資格をもって本邦に在留することができるということになります。これは、改正入管法の方でそういう措置をとっております。

 また、この規定の施行に合わせまして、入国管理局としては、遅くとも本来の在留期間経過後、この二カ月以内について処分を実施するということにし、離婚調停中の在留資格変更許可申請等申請中の者が、申請中で在留資格がないという状態にならないよう、適切に審査を行うということにしております。

加藤(公)委員 局長からいろいろ御説明をいただいて、多少なりとも不安が解消された方も当然いらっしゃると思います。

 大臣にまとめてちょっと確認をさせていただきたいんですが、今の第七号というところが新設をされることによって、DVの被害者の方などが在留資格の取り消しというのを恐れて、避難をしたり、あるいは身を隠したりということができなくなるのではないか、こんなことを不安に感じていらっしゃる方もおありでありますけれども、この点、心配がないのかどうか、大臣から明確にお答えをいただきたいと思います。

森国務大臣 まず、DV被害者が加害者に所在を知られないようにするため住居地の変更を届け出なかった場合は、入管法第二十二条の四第一項第九号の「届出をしないことにつき正当な理由がある場合」に該当するものと考えられます。したがって、在留資格の取り消しを行わないことになります。

 また、DV被害者につき定住者等の他の在留資格への変更が可能であれば、在留資格変更許可申請をさせた上で引き続き在留を認めることとなります。この点、修正案では、このことを明らかにするため、在留資格の取り消しの際に、在留資格の変更の申請の機会を与えるよう配慮することを明文をもって定めたものと理解をしております。

 このように、DV被害者については、在留資格の取り消し手続において十分な配慮をする取り扱いをすることとしており、御心配には及ばないと考えております。

加藤(公)委員 では、修正案の提出者に伺います。

 修正案におきましては、この取り消しをしようとする場合には、在留資格の変更の申請の機会を与えるよう配慮しなければならない、こう規定をしておりまして、正当な理由がある場合を除外するということと、期間を三カ月から六カ月に延ばすという修正をすることになった、こう規定をされておりますが、この提案の趣旨についてお伺いをいたします。

細川委員 配偶者の身分を有する者としての活動を行っていない場合でも、例えば日本国籍を有する子供の親権を争って離婚の調停中とか、あるいは先ほど出ましたような配偶者からの暴力が原因で離婚したような場合、こういう場合もございまして、このような外国人の保護の必要性というものは、この委員会の質疑でたくさんの委員から質問があったところでございます。そういう経過も踏まえまして、この修正案は、このような外国人の保護の必要性を配慮して修正をしたものでございます。

 まず、配偶者の身分を有する者としての活動を継続して行わない期間の問題、これを三月から六月に伸長いたしましたのは、配偶者の身分を有する者としての活動を認められた者については、就労資格などで在留している者と比較いたしますと、一般にその後、日本社会とのつながりが深くなっておりまして、その取り消しの可否というものについてはより慎重にしなければならない、こういうことであります。

 また、在留資格取り消し手続におきます意見聴取の際に、配偶者の身分を有する者としての活動を行わないことについて正当な理由があるということが判明をいたしましたならば、在留資格の取り消しはしないということになりますけれども、このような趣旨を明らかにする、そういうことで、正当な理由がある場合は除外をする、こういうことを明文で定めることとしたものでございます。

 このような事案につきましては、外国人からの申請があれば定住者などへの在留資格の変更が許可をされる、こういう見込みがある場合も当然あるわけでございます。このような場合には、在留資格の取り消し手続における意見聴取の際に、その外国人本人にその意思がある場合には在留資格変更を許可するのが相当であるという観点から、この趣旨を明らかにするために、在留資格の変更の申請の機会を与えるように、そういう配慮をするようにということを明文をもって定めるということにしたところであります。

加藤(公)委員 同条の八号、九号について今度伺いますが、八号では、上陸許可日から九十日以内に住居地の届け出をしない場合、それから九号では、住居地移転の日から九十日以内に新しい住居地の届け出をしない場合、それぞれが在留資格の取り消し事由となっているところであります。七十一条の三では、これに対して二十万円以下の罰金という刑事罰を規定しております。この規定は、特別永住者に対しても、入管特例法の三十二条で同様に二十万円以下の罰金を規定しております。一方、住民基本台帳法では、住居移転の届け出をしない場合は過料の規定を設けておりまして、これについては日本人も外国人も同様であるということであります。

 本来、住居移転の届け出違反というのは、刑事罰を科すようなことだとは思いませんし、また、さらに言えば、在留資格の取り消しという重い処分が適当かどうか、この点も疑問に思わざるを得ないところであります。この条項を安易に適用するということになりますと、下手をすると人権侵害にもつながりかねない、そんな不安もあるところでありまして、その点では、正当な理由のある場合を除くものとした修正案というのは評価できると考えております。

 大臣にいま一度伺いますけれども、よほど悪質な場合を除いて、刑事罰を科したり、あるいは在留資格取り消しの事由としたりしないといった運用がなされるべきではないかと思いますが、いま一度お考えをお聞かせいただきます。

森国務大臣 在留資格の取り消しや入管法違反に係る刑事罰の適用につきましては、硬直的に行うのではなくて、事案の実態に即して適切に行うべきものと考えております。

 例えば、配偶者からの暴力が原因で離婚したような事案では、申請があれば定住者等の在留資格への変更の許可が見込まれる場合があり、在留資格取り消し手続における意見聴取の際に、外国人に対して、在留資格変更申請を行う意思があるか否かを確認し、在留資格変更を許可するのが相当である場合には、在留資格取り消し手続を終了させて、外国人の在留資格は取り消さないこととなります。この点については、修正案において明文をもって明らかにされているところと承知をいたしております。

 また、配偶者からの暴力が原因で住居地の変更届け出ができないことが判明した場合には、「届出をしないことにつき正当な理由がある場合」に当たり、在留資格の取り消しは行わないことになります。なお、この場合においても住居地の届け出義務違反の刑事罰には形式的に該当することにはなりますが、この場合にあっても、そのすべてを硬直的に処罰するのではなく、捜査当局において事案の実態に即した処分が行われるものと思っております。

 このように、在留資格取り消し等の運用におきましては、外国人からの意見聴取等によって事実関係を正確に把握し、事情に応じた弾力的な対応をしてまいりたいと考えております。

 要は、長々と申し上げましたけれども、おおむね委員の御趣旨に沿った運用がなされるものと思っております。

加藤(公)委員 ありがとうございます。

 最終的に、ちょっと個別具体的なところで、こんな例はどうなるのかということを局長にお答えいただきたいと思いますが、九号の「正当な理由がある場合を除く。」というただし書き、その正当な理由に何が当たるのかという、今までの御答弁の中にもありましたが、三点伺いたいと思います。

 一つは、先ほどから御指摘をしている、DVの被害に遭って身を隠しているようなケース。二番目には、派遣労働等で頻繁に住居地を変えていて、なかなか届け出がなされない、できないという場合。そして三つ目は、届け出そのものを失念して九十日が経過をしてしまった場合。それぞれについてどう対応されるか、局長に承ります。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 個々の事案における判断だということで一般論で申し上げますが、まず、DV被害により夫から身を隠しており、加害者に所在を知られないようにするため住居地の変更を届け出なかった場合、これは、通常は入管法第二十二条の四第一項第九号の「届出をしないことにつき正当な理由がある場合」に当たるというふうに考えられますので、在留資格の取り消しは行わないということになろうと思います。

 次に、派遣労働などで頻繁に住居地を変えているためなかなか届け出ができない場合、それから、届け出ることを失念してしまって九十日が経過したという場合でございますが、これは、住居地の届け出自体は市区町村で実施することができて、容易に行うことができるわけでございますから、通常は、これらの事情があるだけで正当の理由がある場合に該当するというふうには考えておりません。

 しかしながら、委員御指摘のとおり、これらの場合、常に在留資格の取り消しを行うというのは必ずしも相当なわけではないというふうに考えておりまして、在留資格の取り消しに際しては、外国人の意見聴取手続においてそのさまざまな事情をしんしゃくする、その悪質性に応じた運用をしていくということで、硬直的な運用に陥らないようにしていくのが相当というふうに考えております。

加藤(公)委員 大臣、局長、それぞれから御答弁いただいたように、余りしゃくし定規にならずに、ぜひ弾力的に運用をお願いしておきたいと思います。

 では次に、技能実習制度の問題について御質問をいたします。

 技能実習制度においては、一年目から労働基準法あるいは最低賃金法が適用されるということになるのは労働者保護の観点からは一歩前進だというふうに認識をいたしておりますが、一方で、一年目から労働者として認めるということになりますと、結局のところ、単純労働者としての受け入れということに近づいたのではないか、こういう危惧も覚えるわけであります。

 そして、現在行われている技能実習制度が、本来、海外への技術移転という趣旨であるはずなのに、それから現実はほど遠くなっていて、単純労働者を低賃金で雇うための抜け道として使われているのではないかという問題を改善せずに、かえって悪化させるのではないかという危惧を覚えるわけであります。

 現状では、一次受け入れ機関である協同組合などが二次受け入れであるところの事業者と結託をして、外国人実習生から中間搾取をしたり、あるいは強制預金をさせたりという違法行為が実際に発生をしているわけでありまして、労基法が適用されたとしても、その法の網の目を縫って外国人搾取が続いてしまうのではないかということが懸念されるわけであります。

 残念ながら、抜本的な制度変更というのは別の機会に譲るしかありませんけれども、今回の改正の中でも、さらに外国人実習生の権利というものが守られるような仕組みが必要ではないか、こう考えているところであります。

 とりわけ、団体監理型の技能実習制度については一次受け入れ団体にも責任を負わせるような制度設計が必要ではないか、こう考えるわけでありますし、本改正案作成の際にも一次受け入れ団体に対する許可制の導入というのが検討されたという話を聞いておりますけれども、結果的に今回はそれは採用はされておりません。

 そこで、局長に伺いますけれども、今回の改正を経て、省令改正等で受け入れ団体の指導、監理、支援体制の強化を図るということでありますけれども、これは具体的にどのように実施をしていくおつもりか、お答えをいただきたいと思います。

西川政府参考人 今回の改正におきましては、委員御指摘のとおり、法律以外に、第一次受け入れ団体の指導、監理、支援体制の強化等について法務省令等で規定をしていて、その監理、支援体制の強化を図るという予定にしております。

 具体的な内容といたしましては、まず、受け入れ団体の職員等が一月に一回以上、企業に赴いて技能実習の実施状況を確認、指導すること、受け入れ団体が三月に一回以上は監査を実施して、その結果を地方入国管理局へ報告すること、三つ目としては、相談員の設置などにより受け入れ団体が技能実習生からの相談に対応する措置を講じるということ、四番目としては、受け入れ団体が費用を徴収する場合には、その金額及び使途を明示すること。このようなことを要件として、法務省令で規定していくというふうに考えております。

加藤(公)委員 次に、修正案の提出者に御質問いたしますが、修正案の中では、受け入れ団体の監理に加えて責任ということも明記をしているわけでありますが、このことによってどのような法的効果が期待できると考えていますでしょうか。

細川委員 外国人技能実習制度につきましては、技能実習の在留資格で在留する外国人の受け入れ団体が、外国人を雇用する機関と結託をしたりして中間搾取などを行うような、そんな違法行為に及んでいるというような事例の報告もされております。

 そこで、今回の法改正によりまして、外国人の技能実習は受け入れ団体の監理のもとに行われるということになりましたけれども、修正案では、さらに責任という文言を明記することによりまして、受け入れ団体の責任を法文上も明確にしたものでございます。

 このような文言を明記することによりまして、受け入れ団体の法令の遵守、これがしっかり進んでいくとともに、先ほども申し上げましたような中間搾取等の違法行為の抑止がされる、あるいはまた、受け入れ企業とのトラブルなどが起こったような場合は外国人の研修生、実習生などの処遇の改善もなされるというふうな期待もしておるところでございます。

加藤(公)委員 外国の送り出し機関等に対しての問題というのがあるわけでありますが、これについて政府として今後どう対処をしていくのか。そしてまた、仮に不適正な実態というものが発覚をした場合にどうされるおつもりか。局長から御答弁を求めます。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 外国の送り出し機関の一部には、不当に保証金等を徴収したり、保証金の一部を不当に返還しないといった不適正なものが存在することが指摘されております。このようなことは、適正な研修生、技能実習生の受け入れを阻害するものと考えております。

 このような観点から、入国管理局としましては、これまでも、送り出し国政府との領事当局間協議の場等を通じ、機会あるごとに、送り出し国政府に送り出し機関の適正化について申し入れを行っているとともに、入国管理局における審査の過程で不当な行為を行う送り出し機関が判明した場合は、その機関からの研修生の受け入れを認めないことにするなどの対応を行ってきております。

 さらに、今回の法改正に合わせまして、関係省令の改正等により、入国審査の際に送り出し機関と本人との間の契約書の提出を求め、当該契約に不適正な取り決めがないかを確認するなどし、不当な行為を行う送り出し機関からの受け入れをより確実に阻止することを予定しており、今後とも、このような送り出し機関に対して厳格に対処し、研修・技能実習制度の適正化に努めてまいりたいと考えております。

加藤(公)委員 大臣にお尋ねをいたしますが、先ほど来申し上げておりますように、この技能実習制度というのは、その理念と、実際、現実との間に大変大きな乖離が生まれてしまっているというのが私どもの認識でありますし、今回の改正で確かに多少手直しはされるんだと思いますが、やはりびほう策の域を出ておりませんから、これらは根本的には解決は図られないだろう、こう思っております。

 そこで、もちろん我々政治家の側もそう、立法府の側もそうでありますが、政府としても、この技能実習制度の抜本改正に向けて議論を重ねて速やかに結論を出していくべきではないか、そのように努力すべきではないかと考えますが、大臣の御認識を承りたいと思います。

森国務大臣 この制度の抜本改正の前に、今回の見直しについて少々申し上げますと、今回の研修・技能実習制度の見直しは、実務研修中の研修生に対する労働関係法令の適用や技能実習生の法的地位の安定化など、研修生、技能実習生の保護の強化のために早急に対処すべき事項について措置をするものであります。

 研修・技能実習制度のあり方そのものについては、専門的、技術的分野に属しない外国人労働者の受け入れの問題とも関係して、関係各界にさまざまな意見があるというふうに思っております。

 元来、この制度が、やはり日本の今の状況と、要するに外国人との双方の利益の一致というか苦肉の策みたいなところがあって、しかし、そこにおいても、やはり国際貢献とか技術移転とかいう本来の理念、旗はおろすわけにはいかないと現時点においては私は思っております。

 いずれにしても、さまざまな御意見があるわけでございますから、そういったことに謙虚に耳を傾けて、法務省としても、関係機関、関係団体とも協力しつつ、多様な観点から検討を進めてまいりたいと思います。

加藤(公)委員 ぜひ積極的に御検討をいただきたいと思います。我々政治の側もそれは努力をしなければいけないことだというふうに思います。

 では、修正案の提出者に御質問を申し上げます。

 今回の修正案の中では、附則で見直し規定を加えております。当然、この技能実習制度についても、きちんとした検証のもとに見直しが図られるべきではないかと考えますけれども、いかがお考えでありますでしょうか。

細川委員 今回の修正案によりまして、外国人の技能実習制度につきましては、受け入れ団体の責任及び監理のもとで行われるようになりました。この措置につきましては、外国人研修生及び技能実習生の保護の強化などのために早急に対処すべき事項ということについての必要な措置にとどまるものであると認識をしております。

 そこで、附則の六十一条におきまして、このような附則の内容の修正であります。「政府は、この法律の施行後三年を目途として、新入管法及び新特例法の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、これらの法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」旨の定めをいたしまして、外国人研修・技能実習制度のあり方のさらなる抜本的な見直しについても、できるだけ速やかに結論を得るように、政府において、外国人研修生、技能実習生の保護、我が国の産業構造等の見直しの観点から総合的な検討を行っていくべきこととしたものでございます。

加藤(公)委員 次に、入国者収容所等視察委員会、この問題について御質問を申し上げます。

 従来、収容施設というのがいわばブラックボックス化されておりまして、収容者の人権侵害に対して何ら有効な異議申し立て手段がなかったということが問題視されておりました。刑事施設同様、視察委員会が今回つくられるということは高く評価をしたいと思いますが、ただ、聞き及んでおりますところ、委員会の設置というのが東西二カ所のみというふうに聞いておりますし、収容所の数あるいは規模を考えると、これでは多少心もとないのではないか、こう考えるわけであります。

 そこで、比較的大きな収容施設にはおのおの視察委員会を別途設けるべきではないか、こう考えますけれども、局長のお考えをお聞かせいただきます。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 入国者収容所等視察委員会の対象となる施設は全国に二十二施設ということですが、これらの施設の収容の定員は八百人から八人までと極めて多岐にわたっているほか、常時開設されている施設もあれば、そうでない施設もあります。

 また、地方入国管理局の収容場では比較的収容期間の短い者を収容し、入国者収容所では送還を忌避する者など収容期間が中長期に及ぶ者が多数いるなど、収容施設の性格も異なっております。

 そのため、特定の入国者収容所あるいは大規模な収容施設を有する地方入国管理局だけを見ていただくのではなくて、同じ委員の方々にさまざまな規模の地方入国管理局の収容所を、また入国者収容所のいずれをも視察していただくことにより、入管行政における収容施設の実態の全容を御理解いただいた上でそれぞれの施設の運営について検討いただくのが現段階では適当というふうに考えております。

 このような観点に加えまして、委員会運営の効率性などにもかんがみまして、当面は、全国を東西で二分して、東西の各視察委員会にそれぞれの地域の入国者収容所を担当していただくことを構想しておりますが、その運用の状況をまた見ていきたいというふうに考えております。

加藤(公)委員 せっかくつくるのであれば、ぜひきめ細かく、実際に機能するように御配慮をいただきたい、こう思います。

 もう一つ、この委員会を機能させるために大事なこととして、実際の視察委員の人選という問題があろうかと思います。これは私は、弁護士会あるいは医師会あるいは関連のNGOなどから推薦を受けた委員で構成をするべきではないか、こう考えておりますが、まず、ここについてどうお考えか承りたい。

 あわせて、その視察委員がすべての資料の閲覧あるいは調査の権限というものを行使できるようにするべきじゃないか、こう考えておりますけれども、あわせて局長からお考えをお聞かせいただきます。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 入国者収容所等視察委員会は、入国者収容所等の適正な運営に資するため、その運営に関し、入国者収容所長等に対して意見を述べていただくというためのものであることから、その委員につきましては、刑事施設の視察委員会等の運用状況も参考にしながら、学識経験者、法曹関係者、医療関係者、NGO関係者などの幅広い分野の有識者から任命することを考えております。その際、委員御指摘のような団体から推薦を受け、あるいは、少なくとも、このような団体に御相談させていただくことを検討しております。

 視察委員に対しましては、施設の実情等を把握できる資料の提供のほか、視察及び被収容者との面接について十分な協力を行ってまいりたいというふうに考えております。

加藤(公)委員 ぜひそのようにお願いをしたいと思います。

 次に、拷問等禁止条約等の送還禁止規定の明文化の問題についてお聞かせをいただきます。

 退去強制を受けるということになった者を送還する場合の送還先に拷問等禁止条約等に規定する国を含まないということを規定したことについては当然評価できるわけでありますが、しかし、どうやってこの規定の実効性を担保するのかという点については、まだ多少の問題が残っていようかと思います。実効性を担保するためには、手続規定を設けて、難民調査官あるいは難民審査参与員が送還禁止に当たるか否かを判断する審査に関与するようにして、その手続を適正なものにするなど、いわば多方面から慎重に調査をするべきではないか、こう考えるところでありますが、局長のお考えをお聞かせいただきます。

西川政府参考人 委員お尋ねの、送還先がいわゆる拷問禁止条約が定める送還禁止規定に抵触するか否かにつきましては、退去強制手続の各段階、すなわち、入国警備官による違反調査、入国審査官による違反審査、特別審理官による口頭審理、さらには、異議申し立てに係る調書において必要な供述を得るなど関係資料を収集した上で、最終的には主任審査官が現在もその判断をしていますし、これからもすることになります。

 このように、送還先の決定は適切に行われているものとは考えておりますが、確かに、委員御指摘のとおり、事案によっては、難民審査参与員など送還候補地の事情に精通した専門家の意見を聞くなどすることが適当であるという場合も十分考えられるということであろうと思います。

 送還先の決定に係る手続につきましては、いま一度検討の上、地方入国管理官署に対して指示を徹底するなどして、今後も一層適切な対処に努めていきたいと考えております。

加藤(公)委員 ぜひその線でお願いをしておきたいと思います。

 では、在留合法化策についてお聞かせをいただきます。

 今回の改正で、在留管理が強化をされる、そのために、下手をすると不法滞在者がさらに潜行してしまう、潜り込んでしまうのではないかという懸念があることは先ほども指摘をさせていただきました。特に、これまでは外登証の交付を受けていた者が今度は住基台帳に載らないという点も問題視されているところでありまして、その点では、今回の修正案で、在留資格のない者の出頭を促進させるための方策を講ずることの検討が規定されているということは大変意義が大きいと思います。

 そこで、大臣に伺いますけれども、この改正法施行までの間に具体的にどのような措置をとるおつもりか。在留特別許可の要件の透明化なくしては不法滞在者の出頭の促進というのは困難ではないかと思いますけれども、その点、お考えをお聞かせいただきます。

森国務大臣 ただいまの加藤委員の御指摘は、この法案施行に向けての最も重要なポイントであろうというふうに思います。

 今回の入管法改正案のうち、新たな在留管理制度に関する部分は、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行されることとなっておりますが、それまでの間に、平成二十一年一月一日現在で約十三万人いる不法滞在者については、そのさらなる減少に努めていかなければなりません。

 具体的には、効率的な摘発を行うとともに、不法滞在者の自発的な出頭を促し、個々の事案に応じて、退去強制すべき者は退去強制しますが、在留特別許可を認めるべき者は認めるということにすることを考えております。

 その際、制度の円滑な移行のためには、外国人登録をしている不法滞在者を減少させることが急務と考えられることから、こうした不法滞在者について重点的に減少のための施策を講ずることを予定しております。

 ところで、在留特別許可につきましては、これまでも、個々の事案ごとに諸般の事情を総合的に勘案し、その許否の判断を行ってまいりましたが、御指摘のとおり、入管法違反者の出頭を促すためにも、その透明性を確保することは重要であると認識しております。

 このような観点から、在留特別許可された事例及び在留特別許可されなかった事例のさらなる公表を行うとともに、既に公表済みの在留特別許可に係るガイドラインの内容についてもいま一度吟味をしてみたいと思っているところでございます。

加藤(公)委員 今のはぜひその線でお願いを申し上げたいと思います。

 では、あわせて修正案の提出者に伺いますけれども、今回の修正案、附則を見ますと、不法滞在者の縮減をどのように図っていくのかという点がいま一つ明確ではないのではないかと思われますが、この縮減策についてどういう方向で検討されるのか、御答弁を求めます。

細川委員 修正案の附則第六十条第二項は、在留資格なくして本邦に在留しているいわゆる不法滞在者について、在留特別許可の運用の透明性をさらに向上させるなどその出頭を促進するための措置を初めとする不法滞在者の縮減に向けた措置を講ずることと規定をいたしております。

 ここに言う不法滞在者の縮減の措置に関しましては、もちろん、今大臣も言われましたように、退去強制の制度も現行法上は存在をしておりますけれども、しかし、私どもの強い主張で、在留特別許可の運用の透明性をさらに向上させる、この例示が特に入りまして、この例示が特に入ったことを踏まえますと、第一義的には在留特別許可の運用ガイドラインがより明確に示されまして、該当者による自発的な出頭がふえて、結果的には不法滞在者でなくなる事態が最も望ましいものと言えるものでございます。

 法務大臣におかれましては、このような修正案提出者の意思を最大限尊重して検討をしていただき、しかるべき措置が講ぜられることを強く期待しているものでございます。

加藤(公)委員 では、本法案の、あるいは修正案の確認という意味では最後のテーマになるのでありますが、定着性の高い永住者の方々に対する問題点について承りたいと思います。

 今回の修正案で、特別永住者証明書の常時携帯義務と過料がこれから削除される、旅券の携帯義務及び過料が削除されたということについては評価をしたいと思います。戦中から継続的に我が国に居住をし、日本人と同様に生活をしている特別永住者について常時携帯義務を外すということについては、本来であればもう少し早くこれを実施してもよかったのではないか、こう思うわけであります。

 しかしながら、この措置によりまして特別永住者と一般永住者の間にさらに大きな差ができたということも一方では事実でありまして、もちろん一般永住者といっても本当にさまざまでありますから、最近では短期でもそれを取得できるということも聞いておりますが、しかし、その中でも特に我が国に定着性が高い人たちについてどう対処すべきかということを少し伺いたいと思っているわけであります。

 例えば、戦前から日本に住んでいたけれども、戦争末期に一たんふるさとに疎開をされた、終戦後間もなくまた日本に来られた、その後日本で継続して生活をしていらっしゃる、そういう方あるいはその子孫の方々の場合、特別永住者の要件は備えておりませんから一般永住者扱いになっているわけであります。また、母親が日本人であって、講和条約前に生まれたけれども、条約発効後に朝鮮籍である父親が認知をした、その際に日本国籍を離脱したという場合も同様であります。歴史的背景からこのように特別永住者と同様に扱うべきではないかと考えられる人以外にも、戦中から日本で暮らしている大陸出身の中国人の方、あるいは日本人の配偶者や特別永住者の配偶者のように、法の趣旨からすると特別永住者と扱うのは困難だけれども極めて定着性の高い方々というのもいらっしゃいます。

 非常にいろいろな方々がおられるわけでありますが、こうした方々について、在留管理について何がしか考慮をすべき点はないのかどうか、ここは一つの論点としてあるだろうと思います。

 そこで、法務省に伺いますけれども、特別永住者と一般永住者あるいは日本人の配偶者などで在留管理の面でどのような相違点があるのか、まずここからお聞かせをいただきたいと思います。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、新たな在留管理制度が導入された後の特別永住者と一般永住者あるいは日本人の配偶者等との在留管理面での取り扱いの差異についてお答えいたしますと、先ほど委員御指摘のとおり、まず、特別永住者証明書または在留カードの常時携帯義務違反における罰則内容、これは修正案によれば特別永住者証明書については当該義務自体はないということになっておりますので、ここで差が生じております。

 そのほかにも、例えば氏名等の変更届け出や特別永住者証明書または在留カードの有効期間の更新等の手続におきまして、特別永住者は市区町村で実施をするが、一般永住者は地方入国管理局で手続を行う、このような局面が生じておりますし、再入国許可の有効期間も差異が生じておりますし、それから、再入国許可のみなし制度が今回の改正で設けられますけれども、これの期間についても差異があるということでございます。そのほかに退去強制事由や上陸拒否事由でも差異がございます。

 以上です。

加藤(公)委員 実際、特別永住者と一般永住者あるいは日本人の配偶者等の間ではかなり相違点がある、格差が生まれるということになるわけでありますが、そこで、今回修正案が提出をされておりまして、その附則においては、こういった問題を検討する規定を設けるということになっております。その趣旨について修正案の提出者からお聞かせをいただきます。

細川委員 特別永住者と一般永住者の取り扱いにつきましては、先ほど局長が答弁いたしましたように、いろいろな差異があるわけでございます。

 しかし、一般永住者の中にもこれまたさまざまな方がおられるのも確かなことでございまして、私どもの修正の附則で明らかにいたしておりますように、一般永住者の中でも我が国への定着性が高い方、この方について、特別の歴史的背景を踏まえて、在留管理のあり方について検討を進めていくべきとの趣旨でこの検討規定を置いたところでございます。そして、その検討に当たっては、本邦における生活の安定に資するという観点から検討をすべきことと規定しております。

 提案者といたしましては、常時携帯義務を含めた在留管理のあり方全般につきまして、永住者について、同様の観点から置かれておりますさまざまな措置の内容を踏まえまして、幅広く検討を行うべきだというふうに考えて提案をしたところでございます。

加藤(公)委員 残りの時間、限られておりますが、わずかな時間ではありますけれども、その分、昨今大変大きな問題になっております冤罪の問題について、大臣と率直に議論をさせていただきたいと思います。

 冤罪があってはならないということは、これはもう議論の余地のないところであります。無実の人を長期間にわたって苦しめるだけではなく、その御家族にも、あるいは周囲の方々、すべての関係者の方々に取り返しのつかない被害をもたらすわけでありますから、これは絶対に避けなければいけない。そして一方では、何よりも、真犯人は何ら罪に問われることがなく社会生活を続けてしまう。極めて深刻な問題であります。こんな社会正義に反したことはありませんし、政府の信頼、司法の信頼、あるいは治安の維持、さまざまな観点から考えても絶対にあってはならない問題だと私は認識をいたしております。

 しかし一方で、現実に発生をしてしまっている。この事実を考えますと、やはり政府として、国としても、さらに再発を防止するための対策というのを強化し、早急にそれを打ち出していく必要があるのではないか、こう思います。そのためにも、過去の失敗、過ちについては真摯に受けとめて真実を明らかにしていくという姿勢が当然求められるだろう、それこそが第一歩ではないか、私はそう認識をしているところでありますので、その立場に立って大臣に御質問申し上げます。

 再審が開始されるかどうか、正式には二十三日でありますけれども、事実上もうそれが決まっていると申し上げてもいいと思います、せんだっての足利事件についてでありますが、真犯人でもない菅家さんを無実の罪で十七年半にもわたって服役させてしまった。なぜこれほどの事件が起きてしまったのか、原因はどこにあったのか、大臣の率直な御見解を承りたいと思います。

森国務大臣 私としましても、今回の事態はまことに遺憾なことで、まさにあってはならないことが起こってしまったと思っております。

 このような事態に至った原因も含めまして、本件につきましては、去る六月四日に最高検察庁において発足した検証チームが、その捜査、公判の問題点を早急に検討することになっているというふうに承知をしておりまして、その検討を踏まえて問題点が明らかにされるものと思います。

 この検証チームの検討がなされる前に法務大臣たる私がその原因を推測して申し上げるのは、いささか適当ではないと考えております。私としては、この検証チームに本件の問題点をしっかりと洗い出してもらいまして、今後同じようなことを繰り返すことのないように切に願っているところでございます。

加藤(公)委員 大臣のお立場ですから軽々に発言できないというのは、善意でそう解釈をいたします。

 もちろん私も全容をすべて理解しているわけじゃありません。これから検察の方の検証を待つということに当然なるわけですが、少なくとも今の段階で私として思いますには、これは検察だけの問題ということではなくて、一連の足利事件全体で思いますのは、一つには、警察の捜査段階で非常に思い込みの強い、決めつけの捜査がなされていたということを私は感じます。そしてまた、強引な取り調べによって自白が強要された。そしてまた、極めて科学的な証拠が非科学的に扱われていた、この問題。そして、実は弁護士の方にも反省すべき点があるだろう。私は、この四つぐらいは問題点があるということを今既に認識をしているわけであります。

 その中で、きょうは時間が限られていますから十分な議論はできませんけれども、科学的な証拠が極めて非科学的に扱われていたという点については、ぜひ大臣に御意見をお聞かせいただきたいと思っているところであります。私も理系の端くれですけれども、大臣は工学博士号を持っていらっしゃるわけでありますし、こういう方が法務大臣の職にあられるというのはそうそうあるケースではありませんので、ぜひこのタイミングでこそ御決断をいただきたいと思っているんです。

 これは、科学の常識として、再現性が担保されていない限りそれが信用に値しないというのは申し上げるまでもないことだと思うんですが、過去のDNA鑑定、これが証拠として採用されたときに、例えば、そのサンプル、試料がすべて最初の鑑定の段階で使い切られてしまって、後々再鑑定できないというようなケースが既に発生しております。足利事件と同様に問題視されておりました飯塚事件などはその典型でありまして、このことが冤罪を生んでしまう一つの原因にもなっているのではないか、私はこう考えているわけであります。

 そこで、このDNA鑑定という極めて科学的な証拠の扱いが余りにも非科学的ではないかという私の考え方について大臣としてどうお考えになるか、率直な御感想を承りたいと思います。

森国務大臣 そのことも含めまして検証チームの検証の結果を待ちたいと思いますけれども、足利事件に関して、その検査について言いますと、捜査段階で行われたMCT一一八型検査法は、起訴時、その出現頻度は、血液型検査の結果も合わせると千人中一・二人であるものと計算されていたということであります。振り返ってみれば、最新のSTR型検査法によるDNA型鑑定と比べ、その個人識別精度はかなり低いものであったということは事実であります。

 しかし、同事件の確定審の上告審決定においては、「その科学的原理が理論的正確性を有し、具体的な実施の方法も、その技術を習得した者により、科学的に信頼される方法で行われたと認められる。」またさらに、「鑑定の証拠価値については、その後の科学技術の発展により新たに解明された事項等も加味して慎重に検討されるべきであるが、なお、これを証拠として用いることが許されるとした原判断は相当である。」こういう判示がされていると理解をしております。

 したがって、捜査段階で行われた本件DNA型鑑定について、振り返って非科学的だったという御指摘は必ずしも当たらないのではないかというふうに私は思っております。

加藤(公)委員 時間ですからまとめますけれども、今大臣がおっしゃったように、千分の一・二と。一・二パーミリですよね。一・二パーミリというのが科学的にどれほどその個人を特定できることかというのは、私の感性からいったら、それで死刑判決を出すなどということはあってはならないことだと私は思います。極めて非科学的だ。私は科学者でも何でもありませんけれども、理工学部を出た者の端くれとして、工学博士号を持っていらっしゃる法務大臣にはそのことは明確に意識をしていただきたいし、森さんだからこそ決断できることがあるんじゃないか。再現性のない証拠というものは適用されないようにルール設定をするべきではないかと私は強く思っております。

 今理事会などで一般質疑等も協議をされているところでありますので、その機会が与えられれば、また時間があれば改めて議論させていただきたいと思いますが、大変大きな問題意識を持っているということをきょうは申し上げて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

山本委員長 次に、保坂展人君。

保坂委員 社会民主党の保坂展人です。

 ただいまの加藤委員の指摘どおり、足利事件十七年、しかし、飯塚事件はもう処刑をされてしまった、戻ってこないわけです。この点については徹底的に当法務委員会で集中審議を求めたい。菅家さんにもぜひ来ていただいて、思いのたけを語っていただきたいと思います。

 法案についての質問に入ります。

 まず、修正を提案されている提案者の方に伺っていきたいんですが、項目の二番目ですが、在留カードの番号について修正がされております。番号を交付あるいは再交付ごとに異なる番号にしていくんだということですが、このことでどのような利益が当事者にもたらされるのか。旧データと新データは容易につながるというふうに私は思うんですが、この点について認識はいかがでしょうか。

細川委員 外国人の場合、同一国籍、同姓同名の人が多く見られる上に、生年月日が不明なために便宜的に一月一日とするような例もあるなど、国籍、氏名、生年月日等の身分事項だけでは個人の識別に支障が生ずる可能性が強くて、何らかの番号を使用して個人の識別を行う必要があるから、在留カード番号については、券面記載事項として説明をされております。

 他方、個人識別番号をキーとした個人情報のデータベースの作成には、さまざまな情報を少しずつ収集する必要があることから、一定の期間が必要であるとも言われております。

 以上の事情を勘案いたしまして、これらの在留カード番号が適時変更される制度を採用することによりまして、在留カード番号をキーとした情報の集積が困難となり、個人データベースの構築を防ぐ効果があると考えられております。

 なお、新番号を付す際に旧番号を記録しておけば個人情報のデータマッチングは可能ではないかというようなことも危惧されるところもあるようでございますけれども、法務大臣は、法令に基づく場合を除いて、利用目的以外の目的のために保有個人情報をみずから利用し、または提供してはならない、これは行政機関の個人情報保護法でございますけれども、そういうものとされておりますし、また、私どもは、この点をより一層明確に担保するために、第十九条の十八第三項を追加修正することによって、「法務大臣は、」「当該情報の取扱いに当たつては、個人の権利利益の保護に留意しなければならない。」こういうことにしたものでございます。

 以上の事項を法務大臣が厳格に遵守する限り、法務大臣以外の者による個人情報データマッチングは、この場合は防止し得るものだと考えております。

保坂委員 今細川さんの御説明になった法務大臣以外の者ということなんですが、実は、法務省では、現在も入国管理システムにおいてさまざまな情報をマッチングして当然使っているわけです。

 今回、住基カードとつながるということで、その懸念が極めて大きいのではないかということで、いろいろ調べました。本来はもう少し時間があれば丹念に聞いていただきたいんですが、三、四年前から、私は、こういった法案というのは法務省のお役人の方がつくっているということでは必ずしもなくて、やはり大きな情報、官公庁ベンダーというんですか、こういったコンピューター会社の方が法務省と丹念に打ち合わせて、実は二十回以上今回はIBMの方と打ち合わせがされたということで、その成果物としてこちらの方、一部ですけれども、法務省から開示をいただいたわけなんですね。

 入管局長にちょっと具体的に伺っていきますけれども、外国人の入国に対して、指紋、顔写真の収集を義務づけた入管法改正がありましたね。この時期にアクセンチュアという会社が関与して大体将来設計をした、その設計どおりにどうもいっているんじゃないかという気がいたします。

 入管局長の手元にありますかね、これは。このIBMの中には、「将来体系」というのがあるんですね。この「将来体系」という中に、いろいろ見ていくと、「スマートカード情報(日本人)」、これが入っております。スマートカードというのは余り聞いたことがないんですが、このスマートカードというのは何なんでしょうか。そして、さらに見ていくと、日本人ですよ、これは。「スマートカード情報(日本人)」の「個人ID」「カード番号」「指紋マスタ」「静脈マスタ」、静脈かと。これは静脈は全然法律にも何にもなっていない、これをずっとやっているんですね。これをお答えいただけますか、入管局長。どういうことですか。

西川政府参考人 委員御指摘のありましたIBMの提案書、これは、出入国管理業務及びシステムの最適化についての提案であるということで、もちろん今後の内容を十分に精査した上で参考にはさせていただくということでございますが、業務・システム最適化計画について要点だけ説明しますと、これは平成十五年に始まって……(保坂委員「それはいいんです、その後が大事」と呼ぶ)

 私が申し上げたいのは、IBMは確かにいろいろな提案をされておりますが、その中には、システムの効率化という面でこれから取り入れていかなければならない面もございますけれども、私どもとしては、もちろん取り入れていく予定がないものも含まれているということでございます。システムの効率化とあわせて個人情報の問題、これをバランスをとった上で私どもはシステムを構築していくというふうに考えております。

保坂委員 これは大変な問題ですよ。我々は、外国人の人権ということでこういう入管法を考えますけれども、どうも、国際的なグローバル企業の、これはイギリスがモデルなんですよ。イギリスでは今やはり大きな議論になっているんです。カードを全員国民に持たせるという、そこに指紋から何から、バイオ情報から、みんな入れる。しかし、これは問題だということで、イギリス国内でもかなり議論になっているんですね。

 これを見ると、スマートカードというのは何だということについて答えていないし、実はこれは四年前からあるんですよ、日本人、静脈というのは。これは一体何なのと聞いたけれども、ずっと将来はやるんだということでやっているんじゃないですか、これは。違うんですか。やらないのなら削ったらいいじゃないですか。スマートカードというのは何ですか。

西川政府参考人 これは、IBMの方にスマートカードについて詳細まで確認しておりませんけれども、日本人のスマートカードというのはもともと入国管理局に関係ございませんので、当方の方でそのようなものを予定しているとか計画しているというようなことはございません。

保坂委員 いいですか、入管局長。これはIBMと三月まで二十回近くやっているんですよ、入管局の人と。それで、これはいかぬ、これは削ろうと。だって、IBMも法律の専門家じゃないから、それから入管局はコンピューターシステムはわからないから、毎日会議をやっているんですよ。だから、法律はこうなっているからこうしよう、ああしよう、こうしようと議論しているわけですよ。それを出してきているわけです。これは幾らかかっているんですか。結構大変な金額で契約しているんですよ。

 スマートカード、日本人、静脈をとる、こういうことまで計画に入っているのかどうか。四年前も私はこれは指摘しているんですよ。一向に変わっていない。ここはちゃんと認めなきゃだめですよ。

西川政府参考人 何回も同じ答えで恐縮でございますが、日本人の管理等については出入国管理の対象に全くなっておりませんので、そのような予定はございません。

保坂委員 時間がないので。

 では、何で大金を払った成果物に、「将来体系」、日本人、スマートカード、指紋も静脈もとっちゃえということで、システムに組み込まれているんじゃないですか。恐らくグローバル企業の戦略としては、これから開発するのは世界じゅうこういう方向ですよといって、たくさん予算をつけていくわけですよ。予算を要求していくわけですよ。だから、こういったベンダーの言うとおりやっていたら、入管局の予算なんて幾らあったって足りませんよということを指摘します。

 もう一点、今回、カードについて、法律に所定された情報が入管局、局長、いいですか、いろいろ掲載をされるということですが、やはりこのIBMの出しているのを見ると、法律外の事項の中に組織情報というのもカードに入ることになっているんですね。この外国人の組織情報というのは何ですか。

西川政府参考人 IBMの先ほどの提案の中にそのような記載があるということでございますけれども、申し上げましているとおり、今回の法律におきましては、在留カードで記載する事項につきましては、在留カードの券面に記載されている事項ということが決まっておりますので、それ以上の情報を盛り込むという予定はございません。

保坂委員 これはぜひ検証させていただきたいと思います。法律で出していることがシステムの一部分であって、これは、では次の法改正でやろう、しかし、次の法改正のときにシステムを組むのでは効率が悪いから今入れておこう、こういうことだとすれば、国会の審議は無意味なものになってしまいます。その点を指摘しておきたいと思います。

 修正の提案者にもう一問。

 所属機関の届け出義務について、これは届け出義務を努力義務に変更されたということなんですが、これまで、大学とか宗教法人も含めて、公権力からの独立性を担保されていたはずの機関で、やはりここに、努力義務とはいえ、内容は法務省の政令に委任をされているということで、いわば外国人の個人情報を国を代理して収集ということになってしまうんじゃないか。

 ここの点について、努力義務について拒否できる場合は拒否できるとか、そういう周知などは考えていらっしゃるのかということについてお願いします。

細川委員 中長期の在留者の所属機関による受け入れ状況の届け出につきましては、現在も自発的な協力がなされるところもあるものと承知をいたしております。

 今回の法改正によりまして、これらが法律上の義務とされまして、大学などの受け入れ機関が当局に対する届け出を強制されるということについて懸念があったわけでございます。したがって、私どもの強い要求によりましてこれが修正をなされたものでございます。すなわち、所属機関の負担を考慮いたしまして、その自発的な意思を重視する観点から、原案では義務規定であったものを努力規定というふうに修正したところでございます。

 また、所属機関による届け出の内容が無限定に拡大するとかいうような御心配、御懸念もあったようでございますが、これも修正によりまして、所属機関による届け出を含めた情報の取得については、在留管理の目的を達成するための必要な範囲を超えてはならないという旨の規定を置いております。提出者としましては、この規定に反するような、本来の趣旨を超えた届け出制度の運用がなされることがあってはならないと考えております。

 さらに、所属機関による届け出の努力義務の周知についても、私ども提出者といたしましては、入管当局において、本修正の意義を十分に踏まえまして、届け出があくまでも努力義務にとどまるものであるのだというようなことでありまして、決して法的な義務づけが行われているというわけではないということについて誤解を招くようなことのないように、これはきちっとしていただきたいというふうに考えております。

保坂委員 次の点について、入管局長に時間がないのですが聞きたいのです。

 この間、この法案の審議はかなり長いことストップをしました。このストップをした点は、外の方には余りわからないんですけれども、やはり住民基本台帳のシステム、いわゆる地方自治の住民サービスという考え方と、今回の入管法改正における、いわば不法滞在者以外の方にカードを持ってもらうんだということ、そこはどういうふうに組み合わせができるのか、では仮放免をされた方が九十日たてばどうなるのか、そこをめぐった議論だったと思います。

 そこで入管局長に聞きたいんですが、きのう総務委員会で私が聞いたところ、佐藤大臣は、住民サービスは変わらないんだというふうに断言するんですね。そうであれば、しかし入管法は変わっているので、実は変わるんじゃないか、カードを持っていない方については住民サービスを受けられない、こういうことにならないか。この点について簡潔に、いかがでしょうか。

西川政府参考人 今の御質問の前に、情報の提供を求める受け入れ機関という中で、報道機関と宗教法人というのが先ほどの発言の中にあったと思うんですが、この両者については届け出の対象にするという予定はございませんので、その点は付言させていただくということでございます。

 それから、行政サービスの提供、不法滞在者について行政サービスが提供されるか否かというのは、各サービスの目的によって定められるということで、それぞれの所管の行政庁が定めているということであります。

 今回の法改正によって直ちに今まで受けられていた行政サービスが受けられなくなるというものではなくて、法改正後も基本的には変更がないものというふうに承知をしております。

保坂委員 大臣に伺いますけれども、総務大臣は住民サービスは変わらないと。これまでは、仮に非正規、オーバーステイの住民であっても住民サービスはしてきたわけですね。変わらないと総務大臣は言っておられる。法務大臣においてはどうなのかという点が一点。

 時間がないので、大臣、これはほんの一部なんですね。もっといっぱいあるわけですよ。実は、このコンピューター時代、法案作成もこういったコンピューター企業との共同作業になるということですね。しかし、その中で、今局長とやりとりがあったように、法務省が予定もしていないようなことが入っている。静脈、しかも日本人からとる、日本人にIDを振る、こういう計画を法務省は持っているんじゃないかと、これを見れば疑うわけですね。

 そういうことについてきちっとガバナンスをきかす。同時に、費用も膨れ上がりますよ、入管局の人件費以外の半分以上がこの電子政府予算ですからね。そういう意味で、ガバナンスをしっかりきかすということはぜひ早急にやらなければいけない。

 そして、日本人、スマートカード、静脈とるなんという計画があるのかどうかも一応調べていただきたい。いかがでしょうか。

森国務大臣 まず最初の御質問でございますけれども、今回の法改正によって直ちに今まで受けられていた行政サービスが受けられなくなるというものではなく、不法滞在者が受けられる行政サービスの範囲は、法改正後も基本的に変更がないものと理解しております。

 今の後段についてでございますが、その検討について私は詳細を、詳細というか全く承知しておりませんし、また、民間企業がどんな提案をしようとも、それは民間企業の自由意思であって、それをどういうふうに採用するかというのは発注側のそれこそガバナンスでございますから、それについては、直ちにその提案が実現するとは思っておりません。

保坂委員 大臣、ぜひ理解していただきたいんですが、この出入国管理業務のシステム最適化計画、これは要するに、役所の中の電子政府計画でやっているんですね。これは発表されて、これの改定を今回はIBMと一緒にやっているんですよ。

 ですから、そういう法務省の方針も、いわゆるシステム的にできるかどうかということの検証も含めてやっているわけです。お金もうんとかかっています。ですから、これはそういう性格のもので、より徹底的に究明しなければいけないということ。

 なお疑問が残りますが、時間になったということなので、終わります。

山本委員長 これにて原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。保坂展人君。

保坂委員 社民党を代表して、入管法、入管特例法改正案に対して、原案反対の立場から討論を行います。

 この法案の提出理由には、外国人の公正な在留管理、適法に在留する外国人の利便性の向上、外国人研修生の保護の強化という言葉が並んでいますが、実際の内容は、外国人を住民、権利の主体と認めない一方で、外国人の管理、監視をさらに強化しようというものになっています。

 国が外国籍住民の生活の細部に立ち入って監視を強化し、外国籍住民の負担をふやし、外国人が犯罪の温床であるかのような偏見、差別を生み出し、さらに、非正規滞在者など一部の外国籍の住民を社会から排除する、極めて重大な問題の多い制度設計になっており、賛成することはできません。

 問題の第一は、中長期在留者に対して在留カードの常時携帯を義務づけ、所属機関の変更届や住居地の変更届など、刑事罰と在留資格取り消しをもって強制をしているということです。このことは、在日外国人の居住実態、生活実態を考慮しない、法務省による恣意的な在留資格取り消し、在留更新不許可処分につながると言わざるを得ません。

 第二に、中長期在留者のあらゆる個人情報が入管局に集中されていくということです。また、取得個人情報の対象事項が法文ではなく省令に委任されているということから、恣意的に拡大する懸念があり、在留カード及び特別永住者証明書の番号をキーとして個人情報の収集、統合、一元化を行うのではないかという重大な懸念は、審議を経てもぬぐい去ることができませんでした。

 第三に、公的部門が良識、責任を持って行うべきシステム構築が、新自由主義のもとで、グローバル資本による、企業による飽くなき利潤追求の対象にされ、一私企業の提案に乗る形で国家による管理、監視強化の法案が作成されるという構図があることです。この問題は、今提示をした日本IBMが法務省に納入している成果物によっても明らかです。

 第四に、自治事務の住民基本台帳事務が在留管理という国の事務に従属させられているということです。住民基本台帳制度を在留管理制度の一環とすることは、住民基本台帳法の目的を逸脱するものです。また、難民申請者や非正規滞在者が社会保障、医療、教育の機会を奪われる懸念もぬぐえません。

 近い将来、多くの外国人を日本が迎え入れていくことは不可避の方向性であります。そうであれば、外国人と共生を図る基本法のような法律の制定に向けて、本来であれば議論を始めるべきときだと思います。

 以上の理由から、本法案には反対、そしてまた修正案の提示については、大変な努力と一定の前進があったということで賛成という立場を申し上げて、私の討論にかえます。

山本委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、塩崎恭久君外三名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、塩崎恭久君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。細川律夫君。

細川委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

 一 永住者のうち特に我が国への定着性の高い者についての在留管理の在り方の検討に当たっては、その歴史的背景をも踏まえ、在留カードの常時携帯義務及びその義務違反に対する刑事罰の在り方、在留カードの更新等の手続、再入国許可制度等を含め、在留管理全般について広範な検討を行うこと。

 二 在留カード及び特別永住者証明書の番号については、これらの番号をマスターキーとして名寄せがなされることにより、外国人のプライバシーが不当に侵害されるという疑念が生じないよう、外国人の個人情報の保護について万全の配慮を行うこと。

 三 所属機関の届出に係る努力義務については、的確な在留管理の実現に留意しつつ、その履行が所属機関の過重な負担となることのないよう、また、届出の内容が出入国管理及び難民認定法の目的の範囲から逸脱することがなく必要最小限のものとなるよう、その運用には慎重を期すること。

 四 法務大臣が一元的かつ継続的に把握することとなる在留外国人に係る情報が、いやしくも出入国の公正な管理を図るという出入国管理及び難民認定法の目的以外の目的のために不当に利用又は提供されることがないよう、当該情報の取扱いに当たっては個人の権利利益の保護に十分に配慮すること。

 五 配偶者の身分を有する者としての活動を継続して六月以上行わないで在留していることにより在留資格を取り消すことができる制度については、その弾力的な運用を行うとともに、配偶者からの暴力等により当該活動を行わないことに正当な理由がある場合には、在留資格の取消しの対象とならない旨の周知徹底を図ること。

 六 新たに中長期在留者となった者が、上陸許可の証印等を受けた日から九十日以内に住居地の届出をしないこと及び中長期在留者が、届け出た住居地から退去した場合において、当該退去の日から九十日以内に新住居地の届出をしないことにより在留資格を取り消すことができる制度については、その弾力的な運用を行うとともに、正当な理由がある場合には、在留資格の取消しの対象とならない旨の周知徹底を図ること。

 七 本法の施行による不法滞在者の潜行を防止する必要性があることにかんがみ、在留特別許可の許否の判断における透明性を更に向上させるため、公表事案の大幅な追加、ガイドラインの内容の見直し等を行い、不法滞在者が自ら不法滞在の事実を申告して入国管理官署に出頭しやすくなる環境を整備すること。

 八 外国人研修生・技能実習生の受入れについては、本法律案が提出された趣旨にかんがみ、専ら低賃金労働力としての活用が横行することや、外国人研修生・技能実習生が劣悪な居住環境・就労環境に置かれることのないよう、入国管理官署、労働基準監督機関等の連携の下、人的体制を充実・強化し、法令違反、不正行為等について厳格な取締りを行うこと。

 九 外国の送出し機関が外国人研修生・技能実習生から徴収する保証金等については、外国人研修生・技能実習生を不当に拘束する面があることにかんがみ、その徴収を行う外国の送出し機関からの外国人研修生・技能実習生の受入れを認めないことを含め、必要な措置を講ずること。

 十 本法による外国人研修・技能実習制度の見直しに係る措置は、外国人研修生・技能実習生の保護の強化等のために早急に対処すべき事項についての必要な措置にとどまるものであることにかんがみ、同制度の在り方の抜本的な見直しについて、できるだけ速やかに結論を得るよう、外国人研修生・技能実習生の保護、我が国の産業構造等の観点から、総合的な検討を行うこと。

 十一 入国者収容所等視察委員会については、専門性にも配慮しつつ幅広く各界各層から委員を選任するとともに、委員会が十全な活動を行えるよう、その活動に係る人的・物的体制を整備し、委員会に対する情報の提供を最大限行う等の特段の配慮を行うこと。

 十二 本法により、退去強制を受ける者を送還する場合の送還先に、拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約第三条第一項等に規定する国を含まないことが明確に規定されることとなったことを踏まえ、退去強制を受ける者をその者の国籍等の属する国等に送還することの可否について、退去強制手続及び難民認定手続において、多方面から慎重な調査を行うこと。

以上でございます。

山本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。森法務大臣。

森国務大臣 ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

山本委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

山本委員長 次回は、来る二十六日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十九分散会


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