衆議院

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第4号 平成22年11月12日(金曜日)

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平成二十二年十一月十二日(金曜日)

    午前十時三分開議

 出席委員

   委員長 奥田  建君

   理事 京野 公子君 理事 階   猛君

   理事 滝   実君 理事 辻   惠君

   理事 本多 平直君 理事 稲田 朋美君

   理事 平沢 勝栄君 理事 大口 善徳君

      阿知波吉信君    相原 史乃君

      井戸まさえ君    小野塚勝俊君

      川島智太郎君    木内 孝胤君

      熊谷 貞俊君    黒岩 宇洋君

      桑原  功君    小宮山泰子君

      高邑  勉君    橘  秀徳君

      津島 恭一君    中島 政希君

      早川久美子君    牧野 聖修君

      森本 哲生君    湯原 俊二君

      横粂 勝仁君    石田 真敏君

      河井 克行君    北村 茂男君

      棚橋 泰文君    森  英介君

      柳本 卓治君    漆原 良夫君

      園田 博之君    小泉 龍司君

    …………………………………

   法務大臣         柳田  稔君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 岡崎トミ子君

   法務副大臣        小川 敏夫君

   法務大臣政務官      黒岩 宇洋君

   外務大臣政務官      山花 郁夫君

   文部科学大臣政務官    笠  浩史君

   国土交通大臣政務官    市村浩一郎君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    金高 雅仁君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         小谷  渉君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    原   優君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    西川 克行君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          山中 伸一君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    鈴木 久泰君

   政府参考人

   (海上保安庁次長)    城野  功君

   法務委員会専門員     生駒  守君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十二日

 辞任         補欠選任

  小宮山泰子君     津島 恭一君

  竹田 光明君     森本 哲生君

  柴山 昌彦君     石田 真敏君

  城内  実君     小泉 龍司君

同日

 辞任         補欠選任

  津島 恭一君     小宮山泰子君

  森本 哲生君     木内 孝胤君

  石田 真敏君     柴山 昌彦君

  小泉 龍司君     城内  実君

同日

 辞任         補欠選任

  木内 孝胤君     竹田 光明君

    ―――――――――――――

十一月十一日

 裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)

 検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)

 裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)

 検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)


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     ――――◇―――――

奥田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長金高雅仁君、警察庁刑事局組織犯罪対策部長小谷渉君、法務省民事局長原優君、法務省刑事局長西川克行君、文部科学省初等中等教育局長山中伸一君、海上保安庁長官鈴木久泰君、海上保安庁次長城野功君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

奥田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

奥田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横粂勝仁君。

横粂委員 民主党の横粂勝仁です。本日は質疑の時間をいただきまして、まことにありがとうございます。

 さて、本質疑は、当初、十一月二日に行われる予定でございましたけれども、国会、永田町の事情というものにより、こんなにも延びてしまいましたし、予算委員会におきましては、予算委員会という名前にもかかわらず、予算以外のことが審議されているという、永田町、国会の慣習、不思議さを感じている、違和感を覚えているところでございます。本委員会におきましては、法案審議がしっかりと充実したものが行われることを心より祈り、私の質問を始めさせていただきたいと思います。

 それでは、民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法律案、国際管轄を決めるこの法律案について質疑をさせていただきます。

 本法律案は、去る五月二十一日、本委員会において質疑、採決され、全会一致で可決されましたが、最終的には廃案となってしまいました。当時から大臣も委員の構成も変わっておりますので、若干重複もあろうかと思いますが、基本的なことから発展的なことまで質疑させていただけたらと思っております。

 まず、明文化の意義についてお聞きします。

 本法律案は、国際管轄、国際裁判管轄について、具体的かつ明確なルールを定めるものでございます。これまではこういった明確な明文規定というものがなく、個別の案件に応じて裁判所が判例に基づいて個別に判断していた。そういった、これまでと異なって明文化することで、どのようなメリットがあるのか、利点があるのか、教えていただければと思います。

黒岩大臣政務官 横粂委員の質問にお答えさせていただきます。

 本法案は、訴えの類型ごとに日本の裁判所が管轄権を有する場合を定める規定を新設しております。国際裁判管轄に関するルールを明らかにすることにより、当事者の予測可能性が向上する。そして、国際的な民事紛争の適正かつ迅速な解決に寄与するものと考えております。

 以上でございます。

横粂委員 ありがとうございます。

 経済活動のグローバル化に伴い、国際的な民商事紛争を迅速に解決する必要性が高まっているこの現状において、本法案の可及的速やかな成立は時代の要請であると私自身も信じております。

 それでは、個別の規定についてお聞きさせていただきます。

 第三条の三第三号におきまして、財産上の訴えは、請求の目的が日本国内にあるとき、または、当該訴えが金銭の支払いを請求するものであり、差し押さえることができる被告の財産が日本国内にあるときは、日本の裁判所に提起することができるものとしておりますが、その財産の価額が著しく低いとき、その差し押さえの財産が著しく低いときを除くと括弧書きで書かれております。

 先ほど御説明ありましたような明確、具体的、そして予測可能性を高めるという観点からすれば、この著しく低いとはどれぐらいなんだろうと私は疑問に思ってしまいます。昔、カップラーメン一杯の値段が幾らかと話題になったかと思うんですが、やはり私を含めた一般人の感覚と総理大臣経験者の方の金銭感覚も異なるかなと。

 一万円が高いのか安いのか、百万円が高いのか安いのかわかりませんので、この著しく低いときというのが具体的にどれぐらいなのか、教えていただければと思います。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のありました本法律案の第三条の三の第三号の規定でございますが、この規定は、金銭の支払いを請求する財産権上の訴えにつきまして、差し押さえることができる被告の財産が日本国内にあるときは、日本の裁判所に当該訴えを提起することができることとしております。これは、被告の差し押さえ可能財産が日本国内にある場合には、債権者である原告が債務名義を得て、その財産に対して強制執行をすることができるようにするのが相当であるというふうに考えられたからでございます。

 他方、この第三号の括弧書きの規定は、差し押さえることができる被告の財産の価額が著しく低いときは、この第三号の規定を適用しないとしております。これは、被告の差し押さえ可能財産が日本国内にある場合であっても、その財産の価額が著しく低くて、強制執行をしても債権の回収の見込みがほとんどないような場合にまで日本の裁判所の管轄権を認めるということになりますと、名目的な財産の所在を理由とする行き過ぎた管轄を認めることになるということで、適当ではないと考えられたからでございます。

 なお、この財産の価額が著しく低い、その具体例としましては、商品の見本や身回り品等を挙げることができます。

横粂委員 ありがとうございます。

 規定の趣旨について理解させていただきましたし、具体的な品目について、どんなものが著しく低いとされているのか、今までの判例については今御説明をいただきました。

 しかし、これから日本の裁判所に裁判を起こそうかなと思うときに、ではどれぐらいだったらいいのかなと、やはり不明確になってしまうかなと私は危惧しておりまして、私の提案として、訴額の何%未満、訴額の例えば一%とか五%、〇・一%、わかりませんけれども、訴額の何%未満のときは除くということで具体的に明示することが必要なのかなと思っているんですが、その点に関する御見解をお聞かせいただければと思います。

原政府参考人 先ほど御説明しましたように、この第三条の三第三号の括弧書きの規定は、日本国内にある財産に対して強制執行をして債権の回収を図ることができるようにするという趣旨に照らしまして、名目的な財産の存在を理由とする行き過ぎた管轄を認めることを防ごうという趣旨で設けられたものでございます。

 したがいまして、財産の価額が著しく低いときとは、当該財産が強制執行をして債権の全部または一部を回収するだけの価値を有するかどうかという観点から判断されるべきものと考えております。

 今議員御指摘のように、財産の価額が著しく低いときに当たるか否かを訴額を基準として判断するとした場合には、確かに判断基準としては明確になります。しかしながら、訴額を判断基準といたしますと、訴額が大きい場合には、強制執行により債権の一部を回収することが可能な場合にも日本の裁判所に訴えを提起することができなくなるおそれがございます。そこで、本法律案の第三条の三第三号は、財産の価額が著しく低いかどうかの判断を個々の事案ごとの裁判所の判断にゆだねることにしたわけでございます。

横粂委員 ありがとうございます。

 わかりやすく御説明していただき、私も納得させていただきました。国民の皆さんも説明に納得されるものだと思っております。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 以前の、五月二十一日の審議におきまして、この法案を審議する中で、本来であれば、本法案のように、一国、日本だけの国内法で定めるという形ではなくて、国際裁判管轄に関する包括的な多国間条約という形が望ましい、そしてそれに向けた取り組みが今までされてきたが、それが頓挫してしまった、頓挫してしまったがために、いたし方なく、しようがなく国内法の整備に向かったという趣旨の発言があったと思っているんですが、ヘーグ国際私法会議における取り組みが頓挫した理由、そしてその理由としては、英米法系諸国と大陸法系諸国との間に幾つか対立点があったと聞かされましたが、ではその最も大きな対立点、一体どんなことが対立して、食い合わず頓挫してしまったのか、わかりやすく御説明していただければと思います。

原政府参考人 委員御指摘のとおり、ヘーグ国際私法会議におきまして包括的な多国間条約の採択ができなかった主な理由は、条約交渉に参加しておりました米国と欧州諸国の考え方の隔たりが大きかったということにあるということでございます。

 具体的に申しますと、米国の場合には、被告と法廷地との関連性に着目して管轄権の有無を定めるという考え方を基本としておりますのに対しまして、欧州諸国におきましては、請求権ごとに管轄権の基準を定めるということを基本としております。

 このように、国際裁判管轄に関する基本的な考え方が異なることもありまして、合意に至ることができなかったということでございます。

横粂委員 御説明ありがとうございます。

 私個人としては、大学におきまして法律を学んだ身として、この違いというものもわかりますが、国民の皆様からしてみれば、英米法系と大陸法系という違いは何だろうという方が多くいらっしゃって、その二つが相反するものなのか、ちょっと似ているのか、その辺もよくわからないなというのが実情かなと思っております。

 そして、英米法系の話と大陸法系の話をするときに、日本はどっちなんだろうと。この話を聞いたことがないし、国会で議論されたことも余りないのかなと。どちらか難しいのかもしれませんけれども、日本は英米法系なのか大陸法系なのか、どちらかといえばどちらなのか、教えていただきたいと思います。

原政府参考人 我が国の場合には、主としてドイツなどの欧州の大陸法諸国の法制を継受したという歴史がございますので、基本的には大陸法系に属するものと考えております。

横粂委員 ありがとうございます。

 それでは、お隣の中国、韓国。中国と韓国は英米法系なのか大陸法系なのか、興味本位でもありますけれども、この二つの国がどうなのか、多分国民の皆さんも知らないと思いますので、教えていただければと思います。

原政府参考人 お尋ねの中国と韓国の法制についてでございますが、まことに恐縮でございますが、十分な知見を持ち合わせておりませんので、お答えを差し控えさせていただきます。

横粂委員 他国のことなので難しいことだとは思うんですが、恐らく、正直なところ、どちらか判別するのは難しいと。そして、かといって日本と全く同じか、欧米と全く同じかというと、また異なっているところもある独自の法体系、特に中国であれば、最近、知的財産権の問題でまだ整備されていないという指摘があったりとか、まだまだ未整備なところも多くあるのかなと思っております。

 そんな中、今回のヘーグ国際私法会議というものがアメリカの提案によってどうにか妥協点といいますか一致点を図ろうということで始まった、でもそれが頓挫してしまったという認識でおるのですが、では、頓挫したままでいいのか。理想としてはやはり多国間の条約という形が理想であるというのであれば、ここは日本が提案をして、ヘーグじゃなくて、私の地元の横須賀という名前をつけていただいて、横須賀国際私法会議でもいいですし、やはり日本が主体的に大陸法系と英米法系をつなぐ役目として日本の役割を果たしていくべきなのではないかと思っているんですが、その点に関する、多国間条約の成立を目指す取り組みについて、法務省の見解そして御意思についてお聞かせいただければと思います。

黒岩大臣政務官 今横粂委員の御指摘も大変重要な御指摘だと思うんですけれども、国際裁判管轄に関する包括的な多国間の条約については、平成六年から十年以上にわたってヘーグ国際私法会議において交渉が行われました。しかし、残念なことに、関係国間の意見の対立があって世界各国の意見集約ができなかった、包括的な多国間条約が採択できずに、平成十七年、管轄合意に関する小規模の条約が採択されるにとどまったということを踏まえまして、今我が国として考えているのは、我が国がたとえ主導したとしても世界規模の多国間条約が成立する見込みは少ないであろうと考えているところでございます。

横粂委員 御説明ありがとうございます。

 今の御説明により、世界で一致した法体系といいますか取り組み、それは難しいという認識を私は今教えていただいたんですが、では、東アジアでまとめることができないのか。先ほどから申しております中国、韓国、そして日本、こちらをまとめることができないかという私の提案でございます。

 その点に関しまして、外務省として、東アジア共同体構想というもの、東アジア共同体の創設を目指すと表明されていると思うんですが、これがやはり、歴史も文化も違う東アジア、EUとは違って歴史も文化も違うから難しい、でも一歩一歩進んでいくという構想であると思うんですが、まず経済から、経済の一体化から進めていく。でも、その先には、法体系というものも一致させていくことによって本当の意味での共同体ができるかなと思っているんですが、外務省の東アジア共同体構想の中に法体系の一体化というものも視野に入っているのか、もし入っていればどのような取り組みを具体的にされているのか、聞かせていただきたいと思います。

山花大臣政務官 委員御指摘のとおり、我が国は、東アジア共同体構想を長期的なビジョンとして掲げております。この中で、経済連携だとか人的交流、あるいは環境、エネルギーなどの分野で、ASEANプラス3であるとか東アジア首脳会議等の枠組みを活用して、地域協力ということを一歩一歩進めてきているところでございます。

 一般論として申し上げますと、国家間で法律の制度について一定の調整が図られるというのは望ましいことであるとは考えておりますけれども、東アジアの法律、あるいは政治の制度だとか経済の発展度だとか、あと、法制度に影響してくる要素として、大陸法、英米法というのもあるんでしょうけれども、宗教的なバックグラウンドであるとか文化の多様性などございまして、東アジアの法体系の一体化に向けた協力を今の時点で具体的に検討しているかと問われると、今の時点ではしておりませんということになります。

 ただ、日本の外務省としては、もしそうした構想を立てるのであるとすると、やはりできれば日本がリードしてという思いになろうかと思いますので、ただ、そういった条件が整うというためには、やはり経済的なボリュームなんかでも、日本がある程度ほかの国との連携でもふやしていくとか、そういった前提条件が整っていくことが重要であります。

 いずれにしても、東アジア首脳会議等の枠組みを一層活用していくということが外交的には大事な取り組みではなかろうかと思っております。

横粂委員 ありがとうございます。

 山花政務官におかれましては、法務委員会までお越しいただきまして外務省の見解を御説明いただきまして、ありがとうございます。

 今御説明ありましたように、政権交代後、外交におきましても、私は、大きな大きな変化、一歩一歩ではあっても、東アジアの共同体に向けて進んでいるこの外務省の取り組みに関して敬意を表しますし、今後に期待しているところでございます。そして、今御指摘もありましたように、宗教的な違いもあるんだなと私は大きなことも今気づかされまして、文化的、歴史的だけじゃなくて、宗教の違いも乗り越えていくことの大変さ、やはり大変な構想なのかなとも思っております。

 でも、やはりこの中国、韓国というところを世界のほかに取り込まれるといいますか巻き込まれるよりも、まず日本が主体的になって東アジアで経済をつくっていく、法体系もつくっていく、そして発展的に東アジアで盛り上がっていこうという構想は、今後も、もっともっと、十年単位、二十年単位、三十年単位であっても進めていっていただきたいと思っておりますので、期待しております。

 ありがとうございます。

 それでは、あと五分少々ありますので、本法案とは少しずれてしまうんですが、法務局登記事務の地方移管について、地方に移管する、そういったお話がありますので、これを私はちょっと聞いてみたいなと思っておりまして、質問させていただきます。

 知事会の国の出先機関原則廃止プロジェクトチームが結成されて、そこで、法務局は、事務の大半を占める登記事務など九事務を地方移管すべきだと仕分けされて、政府も、知事会の意見を尊重するとして、六月に閣議決定した地域主権戦略大綱に盛り込んだとされております。

 この地域主権というものは、趣旨としては私は大いに賛成する。それは、地域で特性を生かせる、地域で工夫をして、地域のニーズにこたえられ、地域の方々のメリットになるものであればいい。でも、この登記事務というものは、やはり国民の権利、義務に直結するもの、さらに言えば、日本全体で同一の取り組み、同一の事務が行われる必要性、専門性の高いものであることから考えると、地域に移すことが果たして意味があるのか、移してしまっていいのかと危惧を持っているところでもあります。

 この点に関する法務省の見解と、あと、今後これがどのように本当に移されるのか、決まっていくのか、スケジュール、手続といったものを、把握している限りで教えていただければと思います。

柳田国務大臣 法務省としても、委員の考えとほぼ近いというところで進めているわけでございますけれども、内閣全体から見ますと、委員が御指摘の地域主権もありますし、財政的な問題ということもありまして、内閣全体としてはいろいろな取り組みをしているところであります。我々の考えを委員がバックアップしてくれているのかなと思わない面もないんですけれども、今後とも内閣の方針で進めていくというのが今の状況であります。

 年内を目途にアクションプランというのを策定されるというふうに聞いておりますので、これに従って進めるもの、そういうふうに承知をいたしております。

横粂委員 ありがとうございます。

 私も、バックアップというほどの力もないですけれども、法務行政、弁護士として法務にかかわってきた体験から、やはり国がやるべきだという主張は通していきたいと思っております。

 そして、この知事会の方々の提案、そして政府、やはり、地方主権というものが、どちらかというと上で決められている。トップの方々、政府だったり知事会、知事というと多分トップの方々。例えば、登記事務が来るとしたら市町村に来ると思うんですが、その市町村の首長の方々が本当に登記事務が欲しいと思われているのか、登記事務が来たときに、ではそれをだれがやるのか、登記官の方々の専門性を持っていない方々がやろうと思うと、そこに異動してきた方々の専門性を高める教育が必要なのか、そこに人員が必要なのかというと、国のいわゆる人件費は減っても、地方の人件費だったり手間だったりがふえてしまうんじゃないか。

 国がやっているものは全部地方でできるんだから全部やっちゃえという結論先にありきでなく、冷静に地域主権に取り組んでいただきたく、その内閣の一員として、柳田法務大臣、手腕を発揮していただいて、ぜひ国民の皆様のための法務行政を守っていただければと思います。

 あと二分ほど残してではございますけれども、法務大臣の今後のさらなる手腕の発揮、法務行政を引っ張っていただけることを強くお願い申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

奥田委員長 次に、平沢勝栄君。

平沢委員 自由民主党の平沢勝栄でございます。

 まず、民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法律案でございますけれども、これは前国会で成立直前まで行った法律でございます。したがいまして、特にこちらから詳しく質問することは避けますけれども、一つだけ、民事局長が来ておられますので御質問させていただきたいと思います。

 国際的な民事紛争が今増加しているわけですけれども、そこで、日本の裁判所で扱うことができる要件などをあらかじめ定めて裁判手続を迅速にするのがこの法律のねらいと聞いておりますけれども、国際的な民事紛争はどの程度増加しているのか、そして、この法律案が成立すれば、裁判などの短縮がどの程度なされるのか、これについてお答えいただけますか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、国際的な民事紛争がどの程度増加しているかということでございますが、まことに恐縮ですが、統計資料もなく、把握することが困難な状況でございます。

 ただ、経済のグローバル化の進展に伴いまして、企業間の国際的な商取引は急速に拡大しております。また、インターネットの発達、普及によりまして、企業間の電子商取引が拡大しておりますし、消費者がインターネット上から海外の企業の商品を購入する、そういう機会も増加しているわけでございます。したがいまして、国際的な民事紛争は相当程度増加しているものと考えております。

 次に、訴訟の審理期間についてでございますが、この点は事案ごとに異なりますので、本法律案が成立した場合にどの程度審理期間が短縮されるかにつきましては、具体的にお答えすることは困難な状況にございます。

 ただ、本法律案では、訴えの類型ごとに日本の裁判所が管轄権を有する場合を明文で規定しておりますので、本法律案が成立した場合には、国際的な民事紛争において日本の裁判所の管轄権が争われたとしても、裁判所がその訴えについて管轄権を有するか否かの判断を迅速にすることができるようになるものと思われます。したがいまして、本法律案が成立することによりまして、国際的な民事紛争が迅速に解決されることにつながるもの、こう考えております。

平沢委員 民事局長、ありがとうございました。民事局長、どうぞ、もう結構です。

 そこで、今回の中国船の船長の問題について、鈴木長官もおいでいただきましたので、これから質問させていただきたいと思います。

 今回の件は、大きくやはり二つ間違えたんですよ。大臣おられますけれども、一つは、なぜビデオを早く公開しなかったか。それから、二つ目の間違いは、なぜ船長を途中でわけのわからない理由で釈放したのか。この二つが大きなミスなんです。

 まず、ビデオの公開について言えば、私が後藤田官房長官の秘書官のときに、大韓航空機の撃墜事件、あのとき随分どうするかともめた。だけれども、まさに政治責任で、政治判断で、あの交信記録を、日本にとっての若干のマイナスはありますよ、それは傍受能力が出てしまうわけですから。政治決断であれをやられたわけです。今回はビデオの公開を、いろいろなことを言われましたけれども、結局控えた。

 そこで、きょう鈴木長官が来られていますけれども、かつて能登半島沖で不審船を追いかけたときに、海上保安庁はその直後、記者会見で写真を見せて、そして同時にビデオも公開しているんです。あれは一九九九年ですか。それから、たしか二〇〇一年の十二月にも、奄美大島沖で北朝鮮の不審船と銃撃戦になったときも、これも記者会見で直ちに写真を見せて、同時にビデオを公開しているんです。過去にそういった事例があるんです。

 今回は、当初、当時の前原国交大臣は何と言ったんですか、極めて悪質な事件だと言ったんですよ。悪質な事件と言ったこの事件、そして、だからこそ逮捕したわけでしょう。この事件で、過去に例があるにもかかわらずビデオを公開しなかった理由をちょっと教えてください、鈴木長官。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 まず、今回の事件につきまして、ビデオを公開しなかったということにつきましては、検察当局と私ども海上保安庁が協議をして、公開しないという取り扱いにしたわけでありますが、これは刑事事件の証拠となるものでありまして、特に当時、近接して撮影した衝突の映像というのは重要な証拠だと考えておりましたので、公開しないこととしたわけであります。

 北朝鮮の不審船事案、委員御指摘の二回の事案につきましては、私どもが、一回目は威嚇射撃をしながら追跡をした、あるいは二回目につきましては、威嚇射撃をし、さらに船体に向けての威嚇射撃をしたところ、相手方が撃ってくるというような事態に対して、こちらがさらに正当防衛射撃もするというような事案でありましたので、これは極めて異例の事態ということで、しかも、私どもが撃って立ち向かったことの正当性も公開するということで、公開に踏み切ったと承知しております。

平沢委員 今、鈴木長官は、こちらの正当防衛を主張するためにあれしなきゃならなかったというようなことを言っておられました。

 今、この関係で、きょうのスポーツ紙に出ていますけれども、中国語の捏造の動画が出ているんです。きのう、私、これをネットで見てみたんです。ユーチューブに出ているんです。そうしましたら、これは捏造だと思いますよ、何か中国船を日本の海保が両方で囲んでというような形の、今までネットに流れているのとは全く別な形の動画が流れて、それで、途中でこれは消されちゃったんですよ、保存をしてありますけれども。こういう形で、誤った形のネットでの動画がどんどん出ているんですよ。まさに日本の国益が失われちゃうじゃないですか。

 こういう形で、今回の件は中国は何と言っているんですか。中国は、日本の船が中国の漁船にぶつかってきたということを言っているんでしょう。だったら、今、要するに、北朝鮮の不審船の場合は正当防衛ということをきちんと主張しなきゃならないからビデオを公開したと。何で今回は公開しないんですか。もう一回、鈴木長官。

鈴木政府参考人 これは、あくまで検察当局と私どもが協議をいたしまして、海上保安庁の警備、取り締まりにおける秘匿性の問題、あるいは関係者の名誉、人権の問題と、それからさらには、まだ今、処分保留の段階でありますので、そういうことも含めまして総合的に判断したものでございます。

平沢委員 長官、ちょっと語尾がはっきりしないから、語尾をはっきり言ってくださいよ。

 それで、もし百歩譲って刑事事件ということであれば、九月二十五日の未明に石垣空港を、あけてはいけないあれをわざわざあけさせて、そして特別の待遇で帰しちゃったんでしょう。もうこれは事件になるはずないじゃないですか。三〇〇%事件になる可能性はないじゃないですか。だって、もう被疑者がいなくなっちゃったんだから。そうしたら、もうビデオを公開してもいいじゃないですか。これはどうなんですか。これは刑事局長でもいいです。

西川政府参考人 まず、大前提として、刑事訴訟法四十七条ということになりますが、この訴訟に関する記録ということになりますけれども、法律は、公判の前には公にしてはならない、こういうことになっております。

 この射程距離というのは、起訴された事件だけを対象にしているわけではございませんで、処分保留中の事件、それから不起訴になった事件も含めて、基本的に、刑事の事件記録それから証拠を含めて、そういうものについては不開示である、これが大原則である。ただ、ただし書きがついている、こういうことになっております。

 これを前提に、今回、この事情に、さらに海保さんの検挙等に与える影響そのほかを考慮して、しかし、公益上の必要ということで衆議院の方の予算委員会から要請を受けましたので、考慮して、六分五十秒に編集して出させていただいた、こういう経過でございます。

平沢委員 さっぱりわかりません。事件は終わっているんですよ、相手がいなくなったんですよ。刑事局長、それは苦しい答弁だけれども、刑事局長も心の中ではおかしいと思っているでしょうから、それはそれ以上あれしませんけれども。

 そこで、きょうは警察庁も法務省も来てもらっていますからあれしますけれども、今回、この動画の流出で神戸の保安官が今、調べを受けています。これは国民から見たら、一番悪い中国人は帰しちゃって、そして今、動画を流出したあれを一生懸命、大々的にやっているんですよ。どうもこれは違和感がある。流出していいということは言わないけれども、しかし、一番悪い中国人の船長は帰しちゃって、何でこんな大々的な捜査をやるのか。

 そこで、まず聞きたいんですけれども、警察、これはどういう告発を受けたんですか。それで、罪名は何なんですか。それで、警察と検察と同時に告発しているなんという例は今まであるんですか。ちょっと教えてください。

金高政府参考人 お答えいたします。

 告発は、国家公務員法違反それから不正アクセス禁止法違反等の疑いということで告発を受理しております。

 それから、検察と警察の両方での捜査ということでございますが、連携協力しながら捜査に当たっているということでございます。(平沢委員「そうじゃなくて、告発が両方に同時になされるということはあるんですかと聞いている」と呼ぶ)

 これまでは、過去に例がないわけではございません。金融犯罪において、同一事実で検察と警察の双方に告発がなされたケースはございますけれども、一般的には非常にまれなケースというふうに考えております。

平沢委員 では、法務省に聞きます。

 検察庁にも告発が出ているんですけれども、今警察が言ったのと同じような罪名でしょうか。

 それで、法務省も、こういう告発が、今言ったように国家公務員法だとか不正アクセス禁止法だったら、何で同時に告発するほどの大々的な捜査体制でやるのかわかりませんけれども、ともかく、今まで両方に、これは捜査機関の連携も非常にややこしくなってくると思うんだけれども、そういう例を聞いたことがあるのか。刑事局長、どうですか。

西川政府参考人 まず、同一の事件について複数の捜査機関に告発を行うこと、これについては特段の規制はございません。

 それから、結論から申し上げますと、例えば警察と検察庁双方に告発が行われて、連携して捜査をした、こういう例はございます。

平沢委員 例はあるというのは先ほども警察庁が言ったんですけれども、それは普通のことなんですか。

 だって、両方にやられたら、両方の捜査機関が全く知らないで別々にやっていったらどうするんですか。捜査の無駄になっちゃうじゃないですか。片っ方は片っ方で捜査をしている、片っ方は片っ方で捜査をしている、これはどうなるんですか。どこで一致するんですか。初めから合同捜査でやるなら、連携捜査でやるならわかりますけれども。刑事局長、もう一回。

西川政府参考人 網羅的に把握しているわけではございませんけれども、両方にというのは、例としては少ないというふうに思います。

 それから、そういう場合については、当然のことながら、捜査に無駄が生じないように、連携をして、どの部分は主にどちらがやるということを協力しながら進めるというのが通常だというふうに理解しております。

平沢委員 そこで、海保の鈴木長官。極めてこんなケースは異例なんですよ、双方に告発する。しかも、今回は、検察の方は、場合によっては中に流出した人がいるかもしれないと言われているわけでしょう。そういう中で、両方に告発をした、この理由は何なんですか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 本件映像は、刑事事件における証拠と同様の内容であり、その映像が流出することは、本件の捜査のみならず、今後の同種事件の捜査及び海上警備・取り締まり活動に重大な影響を与えるものであります。

 しかしながら、私どもとしてまず内部調査を行いましたが、本件にかかわる事実関係を早急に明らかにすることについては限界があるため、刑事告発して、刑事手続をして、徹底的に調査する必要があると判断いたしました。この事案の重大性にかんがみまして、徹底的な捜査を行うために、海上保安庁本庁でまず告発を行うこととし、在京の警視庁と東京地検双方に告発を行ったものでございます。

平沢委員 私のに答えてくださいよ。それは、事案が重大だと今長官は言われた。事案が重大だと。重大だから検察に告発する、あるいは警察に告発する、これでいいじゃないですか。何で両方に、今までほとんど例がないような形で両方に告発したのかと私は聞いているんです。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたように、事案の重大性にかんがみ、徹底的な捜査を行っていただくために、警視庁と東京地検の双方に告発させていただきました。

平沢委員 全く答えになっていないです。ということは、これは、事案が重大なときは、今度から両方に告発しなきゃならないということになりますよ、今の鈴木長官の言葉でいえば。そうじゃないんですよ。それは、検察に告発しようが警視庁に告発しようが、両者はお互いに助け合って、協力して、連携していろいろやるでしょう。なぜ両方にやる必要があるのかということを聞いているんですから。

 では、例えば検察に告発したら、これは重大だから両方にやるんですか。では、これから重大なものは全部両方にやるんですか。では、片っ方だけに告発したら、これは重大じゃないということですか。もう一回答えてください。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますが、これだけ国民の関心も高い重大な事案でありますので、徹底的に捜査を行っていただくために、警視庁と東京地検の双方に告発をさせていただきました。

平沢委員 これ以上聞いてもしようがないけれども、鈴木長官に言っているのは、事案が極めて重大だから、徹底した捜査をやるには両方に告発しないとできないというふうにも聞こえるんだけれども、そんなばかなことないですよ。これはこれでいいですが。

 では、警察。今、どんな体制でやっているんですか、この捜査。

金高政府参考人 警視庁と沖縄県警察によるおおむね六十名体制の合同捜査本部を設置して捜査を行っております。

平沢委員 六十名の合同捜査本部だそうですけれども、警察庁刑事局長、合同捜査本部をつくるような事案というのは、通常どういう事案をいうんですか。

金高政府参考人 合同捜査本部の設置につきましては、犯罪が複数の都道府県にまたがる場合で、捜査を効率的に進めるために必要と判断されるときに、いずれかの警察本部の主管部長を捜査指揮官とする合同捜査本部を設置して、統一的に捜査を行うというものでございます。

平沢委員 法務省の方はどういう体制でやっていますか。

西川政府参考人 検察当局におきましては、告発を受けた東京地検、ここの検事、事務官だけではなくて、その他の検事、事務官の他庁からの応援も得まして、二十人弱ぐらいの体制を組んでおります。

平沢委員 異例の捜査体制でやっているんですよ。今、法務省は二十人弱で体制を組んでいると。検察庁で二十人体制といったら、余り例がないですよ。警察も、沖縄と警視庁が合同捜査本部をつくっている。それだけ重大な事件だということを言っているわけでしょう。

 これだけ重大な事件の一番の張本人はその船長じゃないですか、今の話を聞いていると。何でそんな、重大な事件、重大な事件ということをずっと今捜査当局が言っている、その重大な事件の張本人の船長は帰しちゃうんですか。おかしくないですか。しかも、わけのわからない理由で帰しちゃった。これはおかしくないですか。

 海保の長官に聞きますけれども、これは刑事告発すると。刑事告発しなくたって、例えば国家公務員法は、八十二条で懲戒というのができますね。この懲戒の中には、例えば、国家公務員にふさわしくない行為をした場合には、免職だとか停職だとか減給だとか戒告だとかの処分が国家公務員法の八十二条に書いてあります。こういう国家公務員法じゃなくて、告発して刑事事件で徹底的にやれと。これは鈴木長官の判断なんですか、馬淵国交大臣の判断なんですか、仙谷官房長官の判断なんですか、総理の判断なんですか。だれの判断なんですか、告発して徹底的にやれというのは。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 本件ビデオ流出事案を私ども察知いたしましたのが十一月五日の未明、一時ごろでございまして、その後、直ちに沖縄向けの朝の第一便で担当官二名を派遣し、さらに六名を追加して派遣して、合計八名で、土日も返上して現地の調査をいたしました。

 徹底的にやりましたが、私どもが作成して那覇地検に提出したビデオとほぼ同一の内容のビデオが流出しているという事態は把握いたしましたが、流出経路については特定できませんでした。パソコンのデータの解析等もやったわけでありますが、その解析作業が大変膨大な作業になりますので、これ以上の内部調査は限界であるということで、月曜日に、八日に、警視庁と東京地検に私の名前で告発するということになったわけであります。

平沢委員 それは鈴木長官の名前で出たことはわかっていますよ。長官、私のに答えてください。告発する、徹底的に捜査しろということの判断は、鈴木長官単独の判断なんですか、それとも上の指示があったんですかと私は聞いているんです。もう一回答えてください。

鈴木政府参考人 海上保安庁として判断し、私の名前で告発状を出させていただきました。

平沢委員 では、これについては、鈴木長官、国交大臣には、あるいは官房長官、総理には報告したのかしなかったのか、そのときはどうだったのか、それをちょっと答えてください。

鈴木政府参考人 御報告はしております。

平沢委員 今回の件を告発しろという指示とかそういうものは一切なくて、それは鈴木長官の単独の判断ということでいいですか、もう一回確認します。上から、これを告発しろとかという、特にそういったあれはなかったということでいいですか。

鈴木政府参考人 私どもの内部調査の状況等について御報告はしておりましたが、告発については私どもの判断でやらせていただきました。

平沢委員 官房長官は何と言っているんですか、極めてこれはゆゆしき事態だということを言っているじゃないですか。官房長官は流出がゆゆしき事態だと。それで、今、鈴木長官は極めて重大な事案だ、こう言っている。こうした事案の張本人は、わけのわからない理由で帰しちゃったんです。

 では、鈴木長官、聞きますけれども、私は国民の声が常に正しいとは思いませんよ、だけれども、今回の件で国民は相当怒っていると思います。今、海保に国民からどういう声が寄せられているのか。いろいろな声が寄せられているというのは新聞で散見しますけれども、電話でもメールでも何でも、今の海保にどのくらいの意見が、国民の声が寄せられているのか、ちょっと大体の内訳を教えてください。これは通告してありますよ。

鈴木政府参考人 失礼いたしました。

 今回の映像流出に関しては、十一月五日以降、電話は約千件、メールは約二千三百件が海上保安庁本庁に寄せられております。

 ただ、さまざまな意見が寄せられておりますので、膨大でありますので、これを一律に分類するというのは難しゅうございます。さまざまな意見ということで御理解いただきたいと思います。

平沢委員 では、新聞に出ているのは海保が出したんじゃないんですか。海保に寄せられた点の多くは、今の流出したとされる保安官を擁護する意見が圧倒的に多数寄せられていると新聞に出ていますけれども、それは海保から出たんじゃないんですね、新聞が勝手に書いたんですね、今、全然分類していないと言っているんですから。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 ただいまもお答えいたしましたとおり、電話が千件、メールが約二千三百件と……(平沢委員「いや、それはわかった。その大体の内訳ですよ」と呼ぶ)その中身も、いろいろな文章でありますので、これを一律に色分けして分類するということは難しいと考えております。(平沢委員「では、新聞に出ているのはどうなの」と呼ぶ)そこは、私は承知しておりません。

平沢委員 マスコミの人、ぜひ聞いてください。海保に寄せられた声はこういう声だということで分類した形で報道していますけれども、今、鈴木長官は知らないと逃げているんですよ。

 鈴木長官、今の政府は、あなたの首をとって政治家は責任をとらないことにしようとしているんですよ。後藤田さんは何と言ったか知っていますか、何かあったら政治家が責任をとるんだと言っていたんですよ。今の政府は、あれを聞いてくださいよ、今の仙谷官房長官、何と言ったんですか、執行職と政治職は違うんだと。あなたの首をとって、ほかの人の責任は、政治家は責任をとらないで逃げようとしているじゃないですか。これはひきょうじゃないですか。それをちゃんと言いなさいよ。それで、あなたは政府をかばおうとしているんじゃないですか。

 どう考えたっておかしいでしょう。仙谷官房長官の言っているのはおかしいんですよ。なぜならば、かつて政治職で責任をとって、例えば、国家公安委員長いませんけれども、事件が起こって、国家公安委員長が責任をとってやめたケースだってあるんですよ。ライシャワーさんが傷つけられたときだって、国家公安委員長が責任をとったんですよ。だから、何も政治職の方は責任をとる必要はないようなことを仙谷官房長官が言っていますけれども、あれは極めてとんちんかんな発言ですよ。あなたの首だけとろうとしているの、それはおかしいと私は思うよ。

 もう一回答えてください。それは、声があるんでしょう。どんな声が寄せられているのか、鈴木長官。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、大変多数のメールが寄せられておりますので、その中には激励のメール等も入っておると承知しております。

平沢委員 鈴木長官も立場上、しかもここにみんながいるところで言いにくいんでしょう。

 それで、大臣にお聞きしますけれども、私が最初に申し上げましたように、今回はやはり大きな判断ミスをされているんですよ。それは、この事件が起こった直後に、かつて能登半島沖あるいは奄美大島沖事件のときのように、ビデオを公開すればよかったんです。そうすれば何ということはなかった。その後の展開は随分違ったでしょう。そして、逮捕したら、あんなわけのわからない理由で、しかも、勾留延長したその途中で釈放する、こんなばかなこともしちゃいけなかった。

 それで、船長は帰っちゃった、そういう中で、今流した。それは流したことを私は是認するわけではないです。これは、しかし、これからどこが秘密に当たるのかとかいろいろ問題になるでしょう。これからいろいろと、これはどうなるか、事件の展開だからわかりません。しかし、こちらが凶悪犯人みたいな形で大々的な捜査本部をつくって、警視庁もそれから地検の方も大々的に投入して、まさに超凶悪犯人をとっ捕まえるような、極悪犯人を捕まえるような形で今捜査をやっている。そして、張本人は中国に逃げていってVサインを出している。どう考えたって、国民の感覚からしたらおかしくないですか。バランスを失していませんか。法務大臣、どうですか。

柳田国務大臣 先生のお考えは、しっかりと聞かせてもらいました。

 私は、当局は、法と証拠にのっとって適切に判断したというふうに考えております。

平沢委員 これではどうしようもないですね、この国の先は。あんなコメントしか出てこないんじゃ。

 海上保安官は、現場で命をかけて闘っているんですよ。その海上保安官が、ぶつけた船長を捕まえたわけでしょう。これから、海上保安官、現場でどうやって取り締まりしたらいいんですか。自分たちが一生懸命取り締まりして、そして、そこで不法行為をした者がいたって、わけのわからない理由で政府は釈放してしまうということになったら、もうばからしくてやっていられなくなりますよ。命を張って現場で頑張ってくれているわけですから。

 では、これからの取り締まりにどういう影響が出ると大臣は思われますか。もう一度答えてください。

柳田国務大臣 取り締まりを行うのは私の所管ではありませんけれども、しっかりと今後もやっていただけるものと私は期待をいたしております。

平沢委員 時間が来たから終わりますけれども、大臣、もうちょっとしっかりしてくれないと困りますよ、この国がおかしくなっちゃう。私は、大臣、もうちょっと頑張ってもらわないと、大臣はやはり治安の責任者なんですから。それで、海保のこの問題についても、やはり検察として大きな関係があるわけですから、その責任者なんですから、しっかりやってもらいたいなと思います。

 きょうは、大臣に拉致の問題も聞こうと思ったんですけれども、時間がなくなっちゃいまして、海保の長官が、言いたくないものだから、なかなか答弁を余り言ってくれないものだから、時間がかかっちゃってできませんでしたけれども、次回は、今度は拉致を聞かせていただきたいと思います。

 これで終わります。

奥田委員長 次に、稲田朋美君。

稲田委員 自由民主党の稲田朋美でございます。

 ただいまの平沢議員の質問を、私も大変共感を持って聞きました。

 そこで、私も大臣に冒頭お伺いをいたしたいことがあります。私、予算委員会、それから当法務委員会での質疑に対する大臣の答弁を、きょうの答弁も含めましてずっと聞いているんですけれども、何か他人事。ビデオも見ない、そして釈放も、そしてビデオの公表についても、また、那覇地検から送られてきたビデオの編集についても、大臣は常に、検察独自の判断であるとか、法と証拠に基づいてとか、その答弁をオウム返しのように繰り返しておられるんです。

 私が聞きたいのは、法務大臣、国民の生命、身体、財産、領土、名誉、それを守る法務大臣として、この中国人船長の問題について、釈放やら、ビデオ公表やら、そしてビデオの編集やら、今回のことについて、一体、どのような意思でもってどのような判断をし、どのような意向を持ってこの問題に取り組んでおられたのか、その点について、冒頭、お伺いをしたいと思います。

柳田国務大臣 私としては、法を守る、法秩序を守る、同時に、国民の生命財産を守る、それを旨として、これからも頑張っていく所存であります。

稲田委員 それが私はわからないんですよ。こんな重大な事件が起きて、そして、法務大臣がそういう抽象的な、教科書に書いてあるみたいな、教科書にも書いていないかもしれない、そんなことで答弁を終わられているということが、私は信じられない。

 というのが、検察の判断、私は、検察が今回、外交問題やら国民の生活に対する影響を考えて、まさしく超法規的に中国人船長を釈放したこと、これは、もしそれが検察の判断だとすれば、検察の越権行為だと思っております。そして、その判断にも問題があったと思っております。

 ただ、その最終的な責任をとるのはだれなのかといえば、検察の判断について指揮権を行使することができるのは、実は法務大臣、あなたなんですよ。あなたが検察の判断について最終的な責任をとる立場にあって、そして、ビデオも見ない、今のような抽象的なお答えに終始をされている。これは、私は本当にこの国の法務行政を含め、一体どうなっちゃうんだと、非常な危惧を持っているということを冒頭お伝えいたしたいと思います。

 その上で、本法案についてなんですけれども、本法案は、国際的な民事裁判の管轄を定めたものであります。

 今回の尖閣での中国の衝突事件に関して、我が国の巡視船である「よなくに」と「みずき」、二隻の船に損害が生じております。官房長官は、これは外交上じゃなくて、中国人船長は私人なんだから、私人に請求しなきゃいけないんだというような答弁をされておりましたけれども、だとすれば、この中国人船長に対して、「よなくに」、「みずき」、この二隻の損害賠償請求をするとすれば、管轄はこの法案でどこになるのか、そしてまた、この二隻の「よなくに」と「みずき」の損害賠償請求を提起する意思があるのかどうか、この二問についてお伺いをいたします。

柳田国務大臣 本法律案の規定によりますと、一般論としては、日本の領海内で、外国の船舶が日本の船舶に衝突して、日本の船舶が損害をこうむった場合、損害賠償の訴えを日本の裁判所に提起することは可能であるというふうに考えております。

 そのような訴えをすることができるのかということでありますけれども、その財産を管理する行政庁が判断すべきことだというふうに考えておりますので、私の方のコメントは控えさせていただきます。

稲田委員 それが人ごとなんですよ。今の答弁が人ごとなの。

 この法案で日本の国に管轄権があることはわかりました。そしてまた、「よなくに」と「みずき」の二隻について損害が生じているんです。ただ、その損害額がどれだけかということを今鑑定しているんだという答弁がありました。鑑定結果が出れば、損害賠償、小さくありませんよ。それを、この国の法務大臣として、損害賠償を請求する意思、これを、管轄じゃないから答えられない、もうすべてがそうなんです。私は、そういうお答え自体がおかしいと思っております。ぜひ検討いただきたいと思います。

 さて、国家公安委員長、前回に引き続いてお越しいただき、ありがとうございます。

 冒頭、秋田の弁護士殺害事件についてお伺いをいたします。

 十一月四日に、秋田の弁護士が刺され、殺害されるという事件が起きました。この事件については、駆けつけた警官が、当初、被害者と加害者を間違って取り押さえられたというような報道もされております。結果として、弁護士さんが被害に遭われて、命を落とされたわけでありますけれども、国家公安委員長、簡単に、この事件についての御感想と、また反省点などについてお伺いをいたしたいと思います。

岡崎国務大臣 稲田委員にお答えをいたします。

 まず、今月四日午前四時五分ごろに、被害者の奥様の方から、主人のことを殺すと言っている男がいる旨の一一〇番通報がございました。機動捜査隊員が午前四時十一分、およそ六分半後ぐらいですね、現場に到着いたしまして、廊下でもみ合っている二人を、男性を発見して、その二人をまず引き離しをした。しかし、その際、一人がけん銃を手にしていることを発見して、これを取り上げようといたしましたけれども、けん銃を手にしていた男性が被害者であるということが判明いたしました。

 そこで、そのもみ合っているところから、この被疑者は真っ暗い応接室の方に逃げ込んでしまったわけですけれども、その男を逮捕しようと応接室に入ろうとしたときに、持っていた剪定ばさみ、それを持って、刃物を向けながら、真っ暗い応接室から飛び出してきた。そこで警察官は身をかわした、とっさのことですから。大体一分半ぐらいのことなわけなんですけれども、被疑者が突進していったということで、そのまま、それが被害者に対して命を奪うということになり、命を守ることができなかった。

 しかも、けん銃を取り押さえるということで、まず、そこの引き離しなどは、一生懸命、その場でやりましたけれども、残念ながら命を守ることができなかったその一分半の出来事について、やはりそのときにしっかりと、例えば防護服のものですとか、警棒ですとか、そういうものは着用しておりませんでしたし、持っていっていなかったというようなこともございました。

 ですから、大変短い時間のことではありましたけれども、結果として、大変に申しわけない結果だったというふうに遺憾に思っているところでありますし、大変残念な結果を引き起こしてしまったというふうに思っております。

稲田委員 事実関係をぜひ精査いただいて、反省すべき点を反省して、これからの事件に生かしていただきたいと思っております。

 さて、この事件の犯人は、けん銃を数年前に中国人から購入したと言っているようですけれども、外国からけん銃を入手する経路についてどのような捜査をしているのか、お伺いをいたします。

小谷政府参考人 お答えをいたします。

 けん銃の入手経路の捜査状況でございますので、お答えをさせていただきます。

 この事件のけん銃について、被疑者の方から、けん銃を中国人から入手したというような報道があることを承知しておりまして、現在捜査中でございますので、詳細、お答えは差し控えさせていただきますが、一般論で申し上げますと、けん銃の入手経路につきましては、被疑者に対する取り調べを徹底するほか、押収したけん銃に対する鑑識活動あるいは製造国に対する照会等を行いまして、解明に努めているところでございます。

稲田委員 国家公安委員長、この間、平沢議員が予算委員会で、国家公安委員長がかつてトミ子マガジンで発言をされた内容について質問をされました。私も読みましたけれども、その中で、入国管理局が外国人犯罪を契機に中国人の入国審査を厳格化していることを批判されております。また、外国人犯罪がふえていると言いますが、日本人が犯した場合には立件もされていないような軽微な犯罪が多いということを書かれております。

 まず、政府参考人にお伺いをいたしますけれども、外国人だからといって軽微な事件を立件するというようなことがあるのでしょうか。

小谷政府参考人 お答えをいたします。

 警察におきましては、違法行為がありますれば、日本人、外国人を問わず、公正に取り締まりを行っていると承知いたしております。

稲田委員 国家公安委員長にお伺いをいたしますけれども、今の政府参考人の答弁を聞かれて、私もそのとおりだと思っているんですけれども、かつてあなたがこのマガジンの中で書かれた、外国人だからといって軽微な犯罪でも立件されているんだというような認識については改められたでしょうか。

岡崎国務大臣 立件されるような問題について、私はそれを軽微だというふうに思っているわけではありません。

 当時、犯罪で調べてみますと、総検挙の推移、メルマガは平成十六年のことでございましたけれども、平成十五年に二万人を超える、あるいは平成十七年には二万一千人を超える、現在は一万三千二百五十七人ということで、総検挙の人数というのはそういうようなことになっておりますけれども、そのときに、外国の人たちの問題を訴えられた方が部屋にいらして、それについてそういうようなことがありますという御指摘を受けたものですから、そのことをメルマガに表現をいたしましたけれども、今御答弁がございましたように、警察においては、違法行為があれば、日本人、外国人を問わず公正に取り締まりを行っていく、このことを私も今踏まえているところでございます。

稲田委員 今の答弁を聞いて、意味がわかりません。

 私が聞きたかったのは、あなたはかつて、日本人が犯した場合には立件されていないような軽微な犯罪で外国人は立件されているんだ、だから外国人犯罪がふえているんだということを書かれているので、それは間違っていますねというその認識をお伺いしたわけであります。

岡崎国務大臣 今のように誤解を与えるような表現になっていたということについて、申しわけなく思います。

稲田委員 それでは、日本人が犯した場合には立件されないような軽微な事件で外国人は立件されて、それで外国人犯罪がふえているという認識をかつてマガジンに書かれていたけれども、それは誤っていた、そして認識を改めたということをこの場で述べていただけますか。

岡崎国務大臣 当時のメルマガは、御指摘をいただいたということについて書いたものでございました。

稲田委員 あなたのメルマガに、そのように指摘されていると書いて、そうだという趣旨で書いているんですよ、前後を読めば。

 今も、それは誤解を与えたとおっしゃって、今はその認識ではないというのであれば、ここで訂正をしていただきたいわけですけれども……(発言する者あり)ですから、この点について、誤解をと言うのが私はおかしいと。

 では、このマガジンの時点では、あなたはそういうふうに認識をしていたんじゃないんですか。(発言する者あり)

奥田委員長 御静粛に。

岡崎国務大臣 確かにわかりにくい不十分な表現であったということを思っております。指摘をされたそのものを私はメルマガに表現をしておりました。

稲田委員 指摘をされたことに同意をされたから、わざわざこのマガジンに、外国人犯罪がふえていると言いますけれども、日本人が犯した場合には立件もされていないような軽微な犯罪が多いことが指摘されているんです、そのようにあなたの認識を書かれているんですよね。でも、ここであなたがそれを誤解だったと言い張って訂正をされないということ自体、私は国家公安委員長としての姿勢に大変疑問を持ちます。

 次に、前回ここで大臣とも討論になりました反日デモのことなんですけれども、前回の私の質問に大臣は、反日デモに参加したことは、それは国益に合致するんだ、ただ、それを反日と誤解されたことを反省しているという答弁をなさいました。ということは、あのデモに参加されたこと自体については、それは国益に合致するんだということをおっしゃったわけであります。

 そして、あなたは、自分は知らなかったとおっしゃっておりますけれども、日本反対、そして日本の国旗にバッテンのあるポスターの前で、日本大使館に向けて、いわゆる従軍慰安婦に対して補償せよとこぶしを上げて叫ぶということをなさっていたわけでありますけれども、私の質問の後に、参議院の西田議員の質問に答えて、そのデモの中での報告の内容は、当時、あなたが成立に向けていた活動の法律についての報告であるとお答えになっていて、その法律には慰安婦の方々に個人補償をするべきだということが書かれております。

 本日お伺いをしたいことは、大臣は、日本国政府がいわゆる従軍慰安婦と言われる方々に個人補償をすべきであるというお考えに立っていらっしゃいますか。

岡崎国務大臣 私どものこの法案の説明に、私はこの集会に参加をしたわけですけれども、戦争の被害者である女性たち、今、八十代、九十代になんなんとする皆さんたちに寄り添って、過去の問題について取り組むことが大事だと慰安婦問題について取り組んだわけでございます。

 先日の答弁は、議員立法の内容を問われましたので、その名誉回復のために金銭の支給を含むことになっているということで説明をいたしました。法案では、個人補償という言葉は使っておりません。そして、私自身、条約で解決済みとなっている政府の立場などは承知しているところでございます。

稲田委員 質問時間が限られております。ですから、私は端的に、あなたは、日本国政府が、戦争犯罪の、いわゆる従軍慰安婦に対する、戦争被害者に対する個人補償をすべきであると考えていますかという質問について、どうしてお答えになっていただけないのでしょうか。(発言する者あり)

奥田委員長 御静粛に。

岡崎国務大臣 私の所管の、議員立法をこの法務委員会でお答えする立場ではないわけですけれども、その法案の中身は、名誉の回復の措置として金銭を含むものとするとなっておりますけれども、法案では個人補償というふうな表現をしておりません。名誉の回復、回復の措置、そのことに尽きるのではないかというふうに思っております。

稲田委員 あなたの、内閣委員会、平成十四年七月二十三日の議事録があるんです。そこに、名誉回復の措置なんです、自分の人間の尊厳、名誉を回復する、名誉の回復の措置として当然それは個人補償もついてくると。個人補償という言葉を使って法案のことをおっしゃっているんですから、個人補償は入っているんですよ。ですから、個人補償をすべきであるという考えをあなたは今もお持ちなんです。それは間違いがないことだと思います。

 法務大臣にお伺いをいたします。

 多くの戦後補償裁判が提起されておりますけれども、中には慰安婦であった人からの裁判も起こされていますが、戦後補償裁判における国の訴訟方針についてお伺いをいたします。

柳田国務大臣 個人の損害賠償請求は、法的根拠がなく、認める必要はないと考えております。

稲田委員 この点については最高裁判例もあり、国同士の平和条約の賠償によって決着がついている戦争被害について個人補償をすることは、国際法上における正義に反していると私は考えておりますけれども、この点についての岡崎大臣の見解をお伺いいたします。

岡崎国務大臣 私は、政府の方針でありますサンフランシスコ条約、あるいは二国間条約で解決済みであるということを承知しているところでございます。

稲田委員 ということは、あなたもそれはお認めになる、そういう趣旨でございますね。

岡崎国務大臣 私どもの法案は……(稲田委員「いや、法案じゃ……」と呼ぶ)いや、でも、法案が一番、これまで訴えてきたのは、その法案をもとにしてやってまいりました。その法案は、条約で解決済みであるということを認めた上で、人権のための法案でございます。もうそこに集約をされておりますので、名誉回復、尊厳の回復の措置としてというふうに繰り返し申し上げておりますのは、法的な解決済みということを承知しているところでございます。

 しかし、私は、前にも申し上げましたけれども、福田官房長官の時代に内閣委員会で質問をいたしましたけれども、法律で解決されたそのままであっていいかどうかということについて考えなければいけないということをおっしゃっておりました。

 そもそも、法案をつくる前提のところでも、憲法には全くかかわりがないところなのでと、野中官房長官の時代にも、小渕政権の時代ですね、その時代にもそのようなことを言って、法案をつくるということに関しましては、それはやってよろしいというようなことでございました。

 その前に、稲田委員も御存じのように、九三年の河野官房長官の談話がしっかりあり、自民党政権も、それぞれの首相は、そのことをきちんと踏まえてということについて答弁をしていると思います。

稲田委員 答弁が長かったんですけれども、結局、あなたは、法的には決着しているけれども個人補償はすべきであるという考えであり、それは、戦争被害についての戦後補償はしないという政府の方針に違反している、内閣内でその点については不一致があるということが今の答弁でわかったと思います。

 それでは、次の質問をいたします。

 朝鮮学校に高校授業料無償化が適用されることになりましたけれども、きょう、笠政務官にお見えをいただきました。

 新聞報道では、昨日、家族会の方と高木文部大臣が面会になって、既に十一月五日に朝鮮学校に対する高校無償化の指定は教育内容は問わないという内容になっているんですけれども、その教育内容の是正について何らかの措置をとるというような内容の話し合いが行われたという報道がありますけれども、その点についてお伺いをいたします。

笠大臣政務官 稲田委員の質問にお答えをいたします。

 昨日、今ありましたように、私も同席をいたしまして、家族会の飯塚代表、また増元事務局長、そして横田早紀江さん、それと救う会の方々が来られまして、お会いした次第でございます。

 この中で、特に家族会の皆様方からは、今回のこの無償化、北朝鮮の朝鮮学校を指定するのか、この拉致問題を抱える中で、特に巷間言われている翻訳本が、今ごらんになっていると思いますけれども、その中における拉致問題等々に対する表現あるいは中身について大変な憤りをお示しになっておりました。

 私ども、高木大臣の方から、この拉致問題が国家の最重要課題であると考えていることは当然のことでございますし、その上に立って、この教材の内容についてもしっかりと、政府見解などと異なる記述がある場合には自主的な改善を強く求めていく、繰り返し求めていく、そのことをお伝えをし、また御案内のとおり、朝鮮学校のある都道府県、この知事さんたちも、補助金を長く出しておりますので、そうした都道府県にも同じような協力を呼びかけながら促していきたいというようなことをお話しさせていただいた次第でございます。

稲田委員 ただ、指定前に改善の要求をすることについては法的な根拠もなく、そして、それに従わなかったとしても指定そのものをしないということにはなっていないわけであります。

 そこで、法務大臣にお伺いをいたします。

 法務大臣は、ずっと一貫して、朝鮮学校の教育内容に問題がある、大韓航空機事件はでっち上げだと書かれていたり、拉致問題が反朝鮮人運動だと書かれている、その内容については承服できない、このままで無償化することについても承服できないという趣旨の発言をされてきたわけですけれども、大臣は、今回のこの文部科学大臣談話に対してどのような感想をお持ちでしょうか。

柳田国務大臣 法務大臣としてコメントを述べたことはございません。

 私が拉致担当大臣も兼務しているということで、拉致担当大臣としての御意見を、家族会やいろいろな人と話をしながら、それが当然だという思いに立ち至りましたので、拉致担当大臣としてお話は申し上げました。

 当委員会で拉致担当大臣としてのコメントを言うのはどうなのかと思っています。

 というのは、私も十九年近い国会生活をしていますけれども、先例によって、当該の大臣が答弁をするようにというふうに聞いておりますので、私がここで答弁するのはどうかなと思うのでありますけれども、稲田委員におきましては、私が今日まで言ってきたことを理解していただいて私の考えを理解してもらえれば、そう思います。

稲田委員 情けないですよ、法務大臣、今の答弁。私は、こんな人がこの国の閣僚であるということを非常に情けなく思います。

 法務大臣であって拉致担当大臣ではないので、ここは答えるべきではないとか、そういう問題じゃないんですよ。この拉致問題というのは、我が国の同胞が連れ去られているという重大な人権侵害事案であって、しかも主権侵害なんです。どの大臣であっても、どこの場であっても、この問題について発言すべきなんですよ。それを、法務大臣としてここでは答えるべきではないとか、何だとかかんだとか、そういう発言をされること自体がこの国の閣僚としておかしいと私は思います。

 尖閣問題もそうなんです、拉致問題もそうなんです、菅内閣すべてがそうなんですよ。この国の国民の生命、身体、財産、領土、名誉、それを守る覚悟で真剣に政治をしてもらいたいと思います。

 終わります。

奥田委員長 柳田法務大臣、最後の答弁とさせてください。

柳田国務大臣 国会のルールなり先例を守るのは、私は、私の務めだと思って、その立場に立って答弁をさせていただいた次第であります。

奥田委員長 以上で質問時間が終了しました。(稲田委員「私は、政治家としての発信をしてくださいということを言っているんですよ」と呼ぶ)質問を終了してください。

 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口でございます。

 ちょっと海保の長官の関係で質問順序を入れかえますので、よろしくお願いいたします。

 まず、民事訴訟法、民事保全法の一部を改正する法案、これにつきましては、私どもも賛成をしております。また今回同じものが出されましたので、賛成をいたします。

 そういうことでございますけれども、これは、平成八年の民事訴訟法の改正がありましたが、そのときに今回と同じようなことも検討されたようでありますけれども、ヘーグの国際私法会議での国際裁判管轄に関する国際的な統一ルールを定める条約が協議されているということもあって、待っていた。しかし、なかなかそれがまとまらないということで、今回こういう法律が提出されたということであると思います。そこで、こういうルールというのは、EUのようにできるだけ多国間で締結することが望ましい、こういうように思います。

 そこで、大臣に、こういう国際裁判管轄に関する国際的なルールを定める多国間の条約、あるいは地域的枠組みの中での統一ルールを策定するような協定、また、それが難しい場合は、我が国との交流が深い国との二国間条約、こういうものの締結について努力すべきだと思います。ちょうど折も、APECの首脳会議もあした、あさってとあるわけでありますから、その点について御見解をお伺いしたいと思います。いや、大臣で結構です。そんなに難しい話じゃないですから。

柳田国務大臣 先ほども黒岩政務官がお答えしましたので、今度は簡潔に言わせてもらいたいと思います。

 ASEAN等の地域内で国際裁判管轄に関する多国間条約を締結するというのも一つの考えであるというふうには思いますけれども、アジア諸国は、国ごとに司法制度や民事訴訟手続、先ほどは外務省の方からは宗教も違うというお話もありましたけれども、いろいろな面で異なることから、そのような条約の締結の可能性については慎重に検討することが必要なのかな、そういうふうに考えております。

 そして、そうはいっても、今度は二国間でという御質問でございましたけれども、二国間の締結につきましても、本法律の施行状況などを踏まえ、その必要性や両国の司法制度及び民事訴訟手続等の差異を考慮しつつ、慎重に検討すべきというふうに考えております。

大口委員 次に、検察の在り方検討会議、いよいよ、十一月十日に第一回の会合がありました。メンバーも決まって、動き出しました。大臣も出席されました。政務三役もできるだけこれに出席をするということでございます。検察の在り方検討会議、これは政治主導でしっかりやっていただきたい、こう思っています。年内は数回開き、年明けは週一回のペースで議論を行う、年度内に提言をまとめる方針である、こういうふうに聞いています。

 柳田法務大臣、どういうスタンスでこの検討会議の人選を行ったのか。特に、この会議のメンバーには、この前の前、だから今の検察組織に責任のある元検事総長も入っていますし、また元警察庁長官も入っている。この元検事総長については、例えば、検察のあり方に批判的な意見に対して検察を擁護する意見を出すのではないか、こういうふうに国民から疑念を抱かれる可能性だってあるわけです。そしてまた、元警察庁長官に至っては、何のためにここに入れるのかが、趣旨が不明でございます。

 そこで、なぜこの二人をメンバーに入れたのか、理由についてお伺いしたいと思います。

柳田国務大臣 御指摘のとおり、十日、第一回目の検討会議を行いました。

 その際、各委員の方から、自分の思いを、考えをお話ししていただきました。その際に、佐藤元警察庁長官、いろいろな自分の考えをお話しになりました。そのことを少し披露してもよろしいですか。(大口委員「いや、時間がないです。選んだ理由を言ってください。質問にちゃんと答えてください」と呼ぶ)はい。

 佐藤委員につきましては、検察と非常に密接な関係にある捜査機関、このことを熟知されておりますので、警察という立場から見たときの御意見がいろいろあるのではないか、そういうふうなことで決めさせていただきました。

 そして、元検事総長であります但木さんにつきましては、いろいろと今日までの経験を踏まえて、いろいろな御提言をされていただくものと。先日は、いろいろと反省することもある、考えるところもあると但木さんもおっしゃっていますので、いろいろな御提言がなされるものと私は期待しております。

大口委員 その上で、本来、むしろヒアリングの対象になる人ですよ。いろいろと、今まで形成してきたことについて、反省も述べていただきたいし、そういう対象にある。ある意味では、被告席とまで言いませんけれども、その辺に近いところに座っていただかなきゃいけないこの但木元検事総長をメンバーに入れる、そしてこの検討会議の意思形成などに加わる、そして、提言を出すわけですから、それに対して、議決権といいますか、こういうものを与えるというこの感覚がわからないと言っているんです。

 ヒアリングの対象でいいじゃないですか。なぜメンバーに入れるんですか。

柳田国務大臣 第一回目の会合のときも、いろいろと、過去の自分のやってきたこと、反省をしながら今があるのではないだろうか、この現状を何としても変えなきゃならないという強い思いもありますので、私は、メンバーに参加をしていただいて、過去の経験をもとに、いい提言をしていただければ、そう思っております。

 なお、検討会議におきましてどういう取りまとめになるか、今委員の皆様で検討してもらっておりますけれども、議決になるのかどうなのか、それとも両論併記なのか、三つ出るのか、よくはわかりませんけれども、いずれにしても、今の検察を国民が信頼たり得るものにすぐにでも変えていかなければならない、そういう思いで、全員が強い思いを持って参加しているものと私は考えております。

大口委員 今、両論併記だとかそういう言葉が出てきました。千葉座長は、できるだけ一つの意見にまとめたい、こういうふうにおっしゃっていました。一つの意見にまとめなきゃ提言にならないわけですよ。両論併記ということじゃなくて、一つの方向で、こういう形でいくということでなければならないんじゃないですか。大臣、今の答弁はおかしいんじゃないですか。

柳田国務大臣 委員の御指摘のように、でき得れば、全員が一致して、御意見が統一して、改革案なりをまとめていただければありがたいんですけれども、いろいろな分野を多分議論することになるかと思うんです。その際、まとめ切れなかったという場合も出るかもしれない。その際に、議決をするということはないであろう、そういうことを申し上げた次第であります。

大口委員 元検事総長というのは利害関係人なわけですよ。そういう方は普通は議決に参加しないわけです。ですから、そういう、状況を聞くとかいうことはヒアリングでもよかったわけでありますので、ここはやはり一つの方向でまとめないと、両論併記では何とも提言にならないんですよ。今回の検察の改革ということを深刻に考えてくださいよ。両論併記で意見がばらばらであった場合、どういう方向へ進むんですか。意味がないじゃないですか。そのことを言っているわけでございます。

 さて、この検討会議では、コンプライアンス、それから検察官の昇進や特捜部の人事などの人事システム、検察の決裁システム、また特捜部の存廃を含めた検察の組織のあり方が一つあります。もう一つは、取り調べの可視化、取り調べメモの保管、手持ち証拠の全面開示などの捜査のあり方について、これは法改正を含めた検討をされるのか。

 そして、千葉座長さんは、刑事司法制度や検察審査会はちょっとこの対象ではないということでありますが、その確認をしたい。

 検察と報道のあり方、これについてはどうされるのか。

 そして、特に取り調べの可視化については、検討会議が一定の方向を出した場合、その内容を最大限尊重し、政務三役の勉強会の検討を経、早急に反映させる結論を出し、実行するのか。また、提言後のステージについてお伺いしたいと思います。

柳田国務大臣 具体的に、どれを議論するか、いつ議論するかというのはこの検討会議の皆様でお決め願いたい、そういうふうに考えております。その上で、この衆議院の法務委員会で大口委員が御指摘されたような点についてもしっかりとした検討がなされるものだと私は考えております。

 特に、その中でも可視化についてという御質問がありましたけれども、今回は特捜の捜査ということについての御議論にはなろうかと思いますし、いい提言がまとまればと私は期待をしているところであります。

 それと、その他の可視化については、従来から申し上げていますとおり、来年の六月、できるだけ早い段階でというふうに申し上げておりますけれども、その際にも、今回の特捜の可視化についての議論、答え、答申、その辺はいろいろな参考になるのではないかと私は考えておるところでございます。

大口委員 この検討会議の議論については、議事録も顕名で速やかな公開を行うようになった、こういうふうに聞いています。それは評価したいと思います。ただ、議事の傍聴や同時中継など、会議を公開し、議論の経過を国民にわかりやすく明らかにすること、これは検察への不信の払拭や検討会議の結論の妥当性を裏づけることのためにも必要だと思うわけであります。そういう議事の傍聴とか同時中継についてはどういうお考えなのか。

 そして、検察からのヒアリング、あるいは村木さんからのヒアリングなども行うと思います。これについての公開はどうなのか、お伺いしたいと思います。

柳田国務大臣 御指摘の公開につきましては、この場でも原則公開をお願いしたいというふうに申し上げておりますし、千葉座長としてもその方向の考えは同じであろうと思っております。

 ただ、いずれにしても、検討会議の皆さんの御意見を賜った上で公開についてはお決めになるだろうと思いますが、先日の第一回目では、議事録は公開をすると。傍聴等につきましては、審議の内容が、公判中のものが含まれる場合もあるでしょうし、その前のものも含まれる場合もあるし、もっと言うと、プライベートの件も含まれることもあるかもしれないので、その辺については委員の皆様の判断を仰ぎたいと思っております。

 それと、検察並びに村木さんの名前が出ましたけれども、先日、千葉座長ともいろいろ話をしました結果、そういう人たちについても前向きにお話を聞くことにした方がいいなというふうなことは話をさせてもらっております。

大口委員 次に、尖閣諸島沖の中国漁船の映像の流出事件についてお伺いをしたいと思います。

 これは、警視庁あるいは東京地検に海上保安庁が刑事告訴をしたということでございますが、それは国家公務員法違反と不正アクセス禁止法違反容疑だということが今答弁にございました。

 国家公務員法第百条の一項は、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」こう規定がございます。罰則については、第百九条で、一年以下の懲役または五十万円以下の罰金が定められています。この百条第一項で言う秘密については、守秘義務違反に関する昭和五十二年の最高裁決定がございまして、非公知の事実であって、知られていない、そして実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるものをいう、だから、形式秘ではなくて実質的に保護に値するもの、こういうことが示されているわけでございます。

 そこで、今回のこの件につきましては、今、本当に政府は、警視庁の公安部外事第三課の内部資料の百十四点の流出等々、非常に危機管理、情報管理がなっていないわけでございますけれども、本件についても同じことが言えるわけでございます。そういう中で、やはり政府と公務員の信頼関係がだんだん崩壊しつつあるんじゃないか。この国の危機を私は本当に感ずるわけでございます。

 それはそれといたしまして、解釈論をちょっとお伺いしたいと思います。今回の映像の流出が国家公務員法の百条第一項の秘密に該当するかどうかということでございます。

 まず、これはいろいろ報道もされていますけれども、国会で、六分五十秒のビデオで、公開対象を限定したとはいえ、予算委員会で二回放映されている。ビデオを見た国会議員がメディアにその様子を図で示し、つぶさに発表し、報道されている。また、記者会見で海上保安庁等も公表しているわけでございます。このような場合、今回流出した映像が一般に知られていない秘密とまで言えるのか、お伺いしたいと思います。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の点が、まさに今、東京地検及び警視庁における捜査の対象ということになっておりまして、先ほど判例の紹介がありましたが、非公知の事実であること、それから実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるものであること、この要件を満たすかどうかということを今まさに捜査をしているということでございます。したがって、今、端的に、ビデオのこれが当たるのか当たらないかということについては、お答えを差し控えざるを得ないと考えております。

 ただ、考慮すべき事情といたしましては、まず、基本的に、今回、本件については刑事訴訟の記録であるということでございまして、これは公にしてはならないという規制が一般的にかかっている。それから、国会の要請を受けまして六分五十秒のビデオが提出されておりますが、それについても、さまざまな要請からこうこうこういう要望等をなされていて、国会の方もそれに現在までのところ配慮されたような扱いがなされている。このような点は、やはり秘密性の判断について考慮され得るものというふうに考えております。

大口委員 また、本件映像は、公判請求されれば、まあ、事実上されないわけでありますが、これは公開される予定のものなんですね。そういう点で、政府が秘密にすべきだと指定しただけでこれが守秘義務の対象となる秘密にはならないわけで、実質的に秘密として保護に値するか、これも大きな論点だと思います。

 そこで、長官が来られましたのでお伺いしたいと思います。連日御苦労さまでございます。

 そういう中で、長官、今、平沢議員から、長官が今回、警視庁そして東京地検に刑事告訴したということでございますが、これが長官の独自の判断だ、こういう答弁でした。しかし、これは海上保安庁法十条の二項では、当然、国交大臣の指揮監督を受けてやるわけです。しかも、私も国交大臣の経験者二人からいろいろ話も聞いていますが、逐次報告をしているわけです。当然、この告訴について、大臣にちゃんと了解を得て告訴したというのが普通だと思うんです。お答えください。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 先ほどもお答えいたしましたとおり、私ども、まず内部調査を徹底して行いましたが、その結果、流出経路の特定には至りませんでした。それで、限界であるということで告発するに至りましたが、当然、内部調査の状況及び告発をせざるを得ないという方針につきましては、大臣にも報告の上、告発に踏み切ったということでございます。

大口委員 だから、大臣に報告して、了解を得て告発をしたということでよろしいですね。そこだけもう一回確認したい。

鈴木政府参考人 報告の上、告発いたしましたが、最終的な判断はあくまで私どもでやらせていただきました。

大口委員 だから、了解したからでしょう。了解しなければ告発しないんだから、指揮監督を受けているんですから。もう一回。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 方針については御了解をいただいたものと考えております。

大口委員 そして、平沢議員も紹介されましたが、二〇〇一年には、奄美大島沖の北朝鮮工作船事件で、生々しい銃撃戦の映像を事件発生後二日で公開しているんですね。

 これも大臣経験者から聞きました。海保の慣行では、海上における職務については常に公開前提で映像を撮り、一定の幹部が共有している、これが海保の慣行だということでございまして、当たり前のようにそういう形でやっていた。

 ですから、今回、石垣海保そして第十一管区の事件発生であったわけですが、第五管区の神戸海保の保安官がこれを見ている、こういうふうに供述しているわけであるし、石垣には行っていない、映像はだれでも見られたということで、艇内の共有のネットワークにアクセスしたか、あるいは庁内にアクセスしたか、いろいろ供述があるわけでありますけれども、こういう形で接することができた。

 こういう海上の映像というのは、皆さん命がけで海上保安庁の保安官は仕事をしているわけですから、大変参考になるものです。本来見るべきものですね。ですから、当然のようにこれを見て、ある一定のレベルまで広がったというふうに考えるのが私は自然だと思うんですが、こういう慣行があったかどうか、長官、お伺いしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 今回のビデオ映像は、まだ捜査中の事件にかかわる映像でございますので、それは捜査担当の者が見るべきビデオだと考えております。

大口委員 そうすると、現実にいろいろなところでそういう証言が出ているんですが、これはどういうふうに説明されますか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の点につきましては、現在、捜査当局で捜査を進められている状況でありますので、お答えは差し控えさせていただきます。

大口委員 ですから、本当に秘密の概念にこれは当たるかどうかということも私は疑問に思っているわけです。

 今回、公務執行妨害罪を犯した中国漁船の船長は釈放された。これは刑法九十五条一項によると、三年以下の懲役または禁錮または五十万円以下の罰金なんですね。こっちは三年ですよね。ところが、事実上罪に問われることはないわけです。ところが、海上保安官は、これは職務違反ですよ、だから懲戒処分の対象になると思いますが、国家公務員法の守秘義務違反というのは懲役一年以下または五十万円以下の罰金ですね。重い方が釈放されて、そして軽い方がこれから処罰を受けるというようなことは、これは国民の感情からいってもなかなか理解しがたい。

 果たして可罰的違法性があるとまで言えるのか。法務省、お伺いしたいと思います。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 可罰的違法性、形式的には構成要件に当たっても、処罰に値するだけの悪質性を欠く、そういう理論があることは承知しておりますが、先ほど御指摘があったように量刑上の差異があるということはそのとおりでございますけれども、片や公務執行妨害、片や公務員による秘密漏えいということでございます。後半についてはまさに今捜査が進行中であって、どの程度の背景を持つのか、どの程度の悪質性を持つのか、そういうことをこれから検討しなければならないということで、一概に比較するということはなかなか困難ではなかろうかと思っております。

大口委員 ところで、仙谷官房長官は十日の記者会見で、国土交通大臣と、それから海上保安庁法第十条の二項の国交大臣の指揮監督を受ける海上保安庁長官の責任について、政治職と執行職のトップでは責任のあり方が違う、強制力を持った執行部門はそれなりの強い権限があるかわりに重い責任を負うと述べているわけですね。この仙谷長官の発言というのは、要するに、政治職の方はそんなに責任がない、海上保安庁長官の方は強制力を持った執行機関で強い権限があるから重い責任がある、こういうふうに言っているんですね。政治主導というのは一体何なんですか。

 また長官は、政治職は企画立案の方をやる、それから執行職の方は執行の方をやる。そうじゃないでしょう。今、執行についても、電卓たたきながらやっているのが今の民主党政権、政務三役じゃないですか。当然、執行についても責任があるわけであります。しかも、こういう形で政治職と執行職を切断をする。

 今回の問題も、本来、政治が判断すべきことですよ。実際には、陰で政治判断しているわけです。ですから、釈放のことでありますとか、あるいはビデオの公開についても、これは公開しないというのも政治判断です。そこから今回こういう事件も誘発したわけであります。

 しかも、これは私も大臣経験者二人から聞いていますけれども、こういう映像というのは、海上保安庁の保安官というのは命がけでやっているわけですから、こういう海上における職務の映像というのは教材としても非常に必要なものであって、お互いに勉強していくべきことは慣行になっているわけであります。一定の幹部まではそれは見られるようになっているわけです。

 それが当たり前という現場の慣行を、結局、国交大臣が知らないで、そして九月七日、事件が発生して、前原さんそして馬淵さんと大臣がかわったわけでありますけれども、十月十八日になって、四十一日目にビデオの管理の厳格化を通知したというような、本当に、ビデオを公開しないという政治判断をしておきながら、結局、現場のことを知らないために、おくればせながら厳格化をした。その結果、こういうことになっているわけです。

 だから、これは政治職が相当いろいろ、今回の問題を全部判断したのは政治職なんですよ。そして、現場は命がけで頑張っている。現場がそういう形で責任を押しつけられて、そして海保の長官を更迭するなんということを言っている。しかし、政治家の方は全く責任をとらない。こういうことであれば、海上保安官が命がけで頑張っている、それに対する思いが余りにもないじゃないですか。

 私は、この仙谷長官の発言というのはとんでもないことだ、こういうふうに思いますが、法務大臣、これはある意味では執行機関の検察庁を持っている法務大臣としてどうお考えなのか、お伺いしたいと思います。

柳田国務大臣 官房長官の記者会見の談話というのは承知をいたしております。

 私が、国土交通が今こうだからというお話でどう思うかと聞かれましても、その立場にはないと思っておりますが、ただ、大口委員のおっしゃることはいろいろと身にしみるものがあります。

大口委員 実は、このビデオの公開の問題も、参議院では、昨日、これは参議院の予算委員会が、この委員長というのは民主党の前田委員長ですよ、全会一致で、インターネットに流出した映像記録については、もはや秘匿する意義が薄れていることにかんがみ、参議院予算委員会に提出の上、直ちに国民に公開すること、こういうことを全会一致で参議院の予算委員会、民主党さんも入ってこういうことを要求している。そして、海上保安庁が所持していた映像記録に関して、まず、どのようなものか、そのリストを直ちに参議院予算委員会に提出すること、こういうことを要請しているんですね。

 衆議院と参議院で民主党がばらばらだというのは僕は驚きなんですけれども、我が法務委員会におきましても、私ども、このビデオについては、インターネットに流出した映像記録、これをこの法務委員会にも出していただきたい。そして、この映像記録についてはどのようなものがあるか、そのリスト、これにつきましても法務委員会で出していただくことを要求いたしたいと思いますが、よろしくお願いします。

奥田委員長 ただいまの大口議員からの申し入れは、理事会の中で、筆頭間の協議を中心に協議を続けているところですので、また再度、リストの件も含めてお諮りをさせていただきたいと思います。

 以上で質疑を終わります。

大口委員 どうもありがとうございました。

奥田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

奥田委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

奥田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

奥田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

奥田委員長 次に、内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。柳田法務大臣。

    ―――――――――――――

 裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案

 検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

柳田国務大臣 裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案について、その趣旨を便宜一括して御説明いたします。

 政府においては、人事院勧告の趣旨等にかんがみ、一般の政府職員の給与を改定する必要を認め、今国会に一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案を提出いたしておりますが、裁判官及び検察官につきましても、一般の政府職員の例に準じて、その給与を改定する措置を講ずるため、この両法律案を提出した次第でありまして、改正の内容は、次のとおりであります。

 一般の政府職員について、平成二十二年の民間の賃金水準に合わせて俸給月額を引き下げることといたしておりますので、裁判官の報酬月額及び検察官の俸給月額についても、おおむねこれに準じて引き下げることといたしております。

 また、今回の改定に伴い、平成十七年の改正法において定められた経過措置についても所要の改正を加えることとしております。

 これらの給与の改定は、一般の政府職員の場合と同様に、公布の日の属する月の翌月の初日、ただし公布の日が月の初日であるときは、その日から施行することといたしております。

 以上が、裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案の趣旨であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

奥田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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