衆議院

メインへスキップ



第3号 平成23年12月2日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十三年十二月二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小林 興起君

   理事 熊谷 貞俊君 理事 黒岩 宇洋君

   理事 階   猛君 理事 辻   惠君

   理事 樋口 俊一君 理事 稲田 朋美君

   理事 棚橋 泰文君 理事 大口 善徳君

      井戸まさえ君    石井登志郎君

      大谷  啓君    大西 孝典君

      加藤  学君    京野 公子君

      桑原  功君    小室 寿明君

      滝   実君    橘  秀徳君

      玉置 公良君    中島 政希君

      中屋 大介君    平山 泰朗君

      三輪 信昭君    皆吉 稲生君

      宮島 大典君    河井 克行君

      北村 茂男君    柴山 昌彦君

      平沢 勝栄君    森  英介君

      柳本 卓治君    園田 博之君

      城内  実君    横粂 勝仁君

    …………………………………

   法務大臣         平岡 秀夫君

   内閣府副大臣       中塚 一宏君

   法務副大臣        滝   実君

   法務大臣政務官      谷  博之君

   最高裁判所事務総局刑事局長            植村  稔君

   最高裁判所事務総局家庭局長            豊澤 佳弘君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    草桶 左信君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    稲田 伸夫君

   法務委員会専門員     岡本  修君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月二日

 辞任         補欠選任

  勝又恒一郎君     石井登志郎君

同日

 辞任         補欠選任

  石井登志郎君     宮島 大典君

同日

 辞任         補欠選任

  宮島 大典君     勝又恒一郎君

    ―――――――――――――

十二月二日

 裁判所法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)

十一月二日

 国籍選択制度の廃止に関する請願(寺田学君紹介)(第五二号)

 同(浅尾慶一郎君紹介)(第一四三号)

 同(石川知裕君紹介)(第一四四号)

 同(京野公子君紹介)(第一四五号)

 同(池坊保子君紹介)(第一七五号)

 成人の重国籍容認に関する請願(寺田学君紹介)(第五三号)

 同(石川知裕君紹介)(第一四六号)

 同(京野公子君紹介)(第一四七号)

 同(池坊保子君紹介)(第一七六号)

同月二十九日

 司法修習生の給費制の存続を求めることに関する請願(漆原良夫君紹介)(第二一〇号)

 同(大口善徳君紹介)(第二一七号)

 国籍選択制度の廃止に関する請願(鳩山由紀夫君紹介)(第二二九号)

 同(稲見哲男君紹介)(第三二六号)

 同(山崎摩耶君紹介)(第三四〇号)

 成人の重国籍容認に関する請願(鳩山由紀夫君紹介)(第二三〇号)

 同(稲見哲男君紹介)(第三二七号)

 同(山崎摩耶君紹介)(第三五八号)

 青少年健全育成のため児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の早期改正を求めることに関する請願(竹下亘君紹介)(第二三二号)

 治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二七五号)

 同(田島一成君紹介)(第二七六号)

 同(松本龍君紹介)(第二七七号)

 同(向山好一君紹介)(第二七八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二七九号)

 同(重野安正君紹介)(第二八八号)

 同(中島隆利君紹介)(第二八九号)

 同(工藤仁美君紹介)(第三〇四号)

 同(篠原孝君紹介)(第三〇五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三〇六号)

 同(服部良一君紹介)(第三〇七号)

 同(宮崎岳志君紹介)(第三〇八号)

 同(京野公子君紹介)(第三二八号)

 同(土肥隆一君紹介)(第三二九号)

 同(近藤昭一君紹介)(第三四一号)

 同(鳩山邦夫君紹介)(第三四二号)

 同(井戸まさえ君紹介)(第三五九号)

 司法修習生の給費制の復活を求めることに関する請願(横粂勝仁君紹介)(第三五七号)

十二月二日

 治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(宮本岳志君紹介)(第三六四号)

 同(村田吉隆君紹介)(第四二八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四六二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四六三号)

 同(阿部知子君紹介)(第四八九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五二五号)

 司法修習生の給費制の復活を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四六四号)

 同(笠井亮君紹介)(第四六五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四六六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四六七号)

 同(志位和夫君紹介)(第四六八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四六九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四七〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四七一号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四七二号)

 国籍選択制度の廃止に関する請願(相原史乃君紹介)(第五二三号)

 成人の重国籍容認に関する請願(相原史乃君紹介)(第五二四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判所法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

小林委員長 これより会議を開きます。

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として消費者庁審議官草桶左信君、法務省刑事局長稲田伸夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小林委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局植村刑事局長及び豊澤家庭局長からの出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大口善徳君。

大口委員 公明党の大口でございます。きょうは一般質疑をさせていただきます。

 まず、近年、著名な大企業の不祥事が相次いでおります。例えば、大王製紙につきましては、井川前会長による子会社からの百億円超の借り入れがなされた、それがカジノ等のギャンブルに使われた、特別背任で逮捕されている。

 あるいは、オリンパスにつきましては、内視鏡で世界のシェアの七割を占めている優良企業でありますが、これにつきましても、一九九〇年代の有価証券投資の損失、飛ばし、これを穴埋めするために、イギリスの医療機器メーカー、ジャイラスグループを二千百億円で買収をして、助言会社に対して六百六十億、また国内企業三社に対して七百三十四億円の買収をしたということによって損失隠しをした。第三者委員会の調査の過程で判明をした。そして、十一月十四日には第二・四半期の決算が発表できませんで、監理銘柄となって、十二月十四日に公表しなければ上場廃止という状況にあるわけでございます。

 上場企業の外国人の持ち株比率というのは二六・七%、二七%ですね、株式の売買シェアは六十数%ということで、外国人投資家も、ただ単に個別の企業ということではなくて、日本の企業に対して、国際的な信用を失わせる、こういうことになってきています。

 そして、株価を見ましても、オリンパスは、ちょうど社長の退任の前日は二千四百八十二円、それが一時期、四百二十四円までなって、今また戻ってきている。乱高下ということでありますし、大王製紙も、七百円台半ばであったのが、四百三十三円になり、また少し戻している。前会長が逮捕されて株価が上がった、こういうことでございまして、やはり世界が日本の企業統治のあり方について注目をしている。

 エンロン事件が二〇〇一年、そして一年後にはSOX法ということで対応したわけでありまして、そういう点でも、今、法制審議会において企業統治のあり方を含めて会社法制の見直しが審議されているわけですが、法制審議会における現在の検討状況、今後のスケジュールについて、法務大臣にお伺いしたいと思います。

平岡国務大臣 今、大口委員の御質問でございますけれども、法制審議会会社法制部会というのがございますけれども、会社法制の見直しにつきましては、昨年の二月、平成二十二年の二月に法制審議会に対して諮問を行ったところでございます。現在、この法制審議会の会社法制部会において、鋭意、調査審議が進められているわけでございますけれども、その中には、企業統治のあり方、そして親子会社に関する規律の見直しというものを中心に審議等が行われているということでございます。

 今後の審議日程ということでありますけれども、今月開催予定の会議におきまして、中間試案というものを取りまとめる予定であるというふうに承知をしております。その後、この中間試案をもとにいたしまして、法務省としては、これをパブリックコメントの手続に付していきたいというふうに思っております。そのパブリックコメントにおいて各層の意見を幅広く聴取した上で、さらに、会社法制部会において、そうしたパブリックコメントにおける意見等も踏まえて十分な調査審議が尽くされていくものというふうに思っているところでございます。

大口委員 十一月二十六日の朝日新聞の一面に、「社外取締役 義務化へ」「取引先は除外 検討」、政府・民主党は二十五日、方針を固めたと。そして、「社外取締役には、親会社や取引先など利害関係がある人がなるのを禁じることも検討する。」ということで、法律の改正ということで来年の秋には国会に提出する、こういうことまで報道されているわけですが、これについてはどうでしょうか。

平岡国務大臣 この報道があることは承知はしておりますけれども、具体的な日程ということについて言いますと、先ほど、パブリックコメントに付し、そしてその後に法制審議会の会社法制部会でさらに十分な調査審議を尽くしていただくということを予定してきております。

 そういう意味で、法制審議会のこれからの調査審議の動向いかんということが大変大きな影響を持つわけでございますけれども、我々として承知しているところによれば、法制審議会の会社法制部会においてもいろいろな意見が出て、なかなか一つの方向性がまとまった形で中間試案ができるということではなくて、いろいろな意見が出ている中でパブリックコメントを求めていく、そういう状況になりつつあるというようなことも聞いておりますので、パブリックコメント後の法制審議会の審議というのもそれなりに時間がかかるのではないだろうかというふうには思っています。

 そういう意味では、我々の方で、今、いつの時点で法案を提出できるのかということについては、法案提出の是非といいますか、法案提出しなければならないような中身になるのかどうかということも含めて、今我々の方で確たることが申し上げられるような状況ではないというふうに考えているところでございます。

大口委員 そうしますと、この十一月二十六日の朝日新聞は一面で報道されているわけで、その中では、改正案を来年の秋に出すということまで決定した、こう書いてあるわけですね。今の大臣のお話ですと、改正案を出すかどうかもわからない、時期についても言えない。ということですと、全くこれは事実と違う報道がなされた。なぜこういうのが出てくるんですか。

平岡国務大臣 これは、報道される側がどういう情報に基づいてこういうふうな報道をされたのかということも我々としてはつまびらかにしていないわけでございまして、我々としては、なぜこういう報道になったのかということについては確たることは申し上げられないという状況でございます。

 いずれにしても、来秋の国会にも改正案を出すというふうに報道されていることについては、我々としては、そういう具体的な日程を今持っているわけでもないし、先ほど来から申し上げているように、これから法制審議会の方で議論する過程の中で、法案を出す必要があるのかどうか、あるいは、出す必要がある場合にいつのタイミングになるのかということについては、今確たることが申し上げられるような状況ではないということは言えることだというふうに思います。

大口委員 世界の投資家が注目しているわけでありますので、正確な情報を法務省からも発信していただきたい、こういうふうに思うわけであります。その上で、やはりこの件につきましては、しっかりとした対応をしていくということが大事であります。

 そういう点で、今回の法制審議会は企業統治と親子会社関係について諮問の対象ということでありますけれども、こういうふうに不祥事が相次いでいるわけでありますから、やはり法制審議会で、すべての課題について結論が得られなくても、現時点において一定の方向性を示される課題については前倒しで審議をしていただいて、そして答申を出していただく、こういうことを求めていく必要があるんじゃないか、こういうふうに思いますが、いかがでございますか。

平岡国務大臣 今の法制審議会の会社法制部会での議論の進め方といいますか、今後の予定については、先ほど申し上げたとおりでございます。

 そういう中で、我々としては、この会社法制部会においてしっかりと調査審議をしていただけるというふうに思っております。その過程の中でどういう議論がなされるのかということについては、我々が知ることはできないわけでありますけれども、今委員が御指摘になったような問題意識は当然持った上で審議をしていただけるものというふうに考えております。

大口委員 大臣も、法制審議会に出席していろいろ思いを述べられるということも大事だと思いますし、しっかりやっていただきたいと思います。

 私どもは、この企業統治のあり方について、やはりしっかり議論していかなきゃいけないと思うんですね。企業はだれのものなのか。企業統治ということは、企業が社会倫理を守りつつ、利害関係者に対してその企業価値を最大化するための枠組みであるということで、大臣に、企業というのはだれのためにあるのか、会社はだれのためにあるのかについてお伺いしたいと思います。

平岡国務大臣 大変難しい御質問をいただきました。

 いろいろな考え方があろうかというふうに思いますけれども、私自身としては、企業というものが実際にこの世の中に存在している、その存在というのはあらゆるところに影響があるというふうに思います。そういう意味では、だれが所有しているのか、だれのために企業が動いているのかということ等も含めて、その存在というのはあらゆるところに関係をしてきているというふうに思っておりまして、そういう視点から会社法制のあり方についても検討していただけるということを期待したいというふうに思っております。

大口委員 それだとちょっとあいまいなんですよね、そういう答弁の仕方は。

 企業は株主のものであるのか、あるいは社員のためのものであるのか、そこら辺、はっきりしてください。

平岡国務大臣 それについては、私がこの場で申し上げるということは適当ではないというふうに思います。

 先ほど私が申し上げたように、だれが所有しているのか、企業はだれのために動いているのか、企業が動くときにどういうところに影響があるのか、そういう問題というのは大変幅広い問題だというふうに思っておりますので、私は、そういう視点から議論していただきたいということで、私がどちらかを決めつけるような、そういうことを今この場で答弁することは適当ではないというふうに思います。

大口委員 企業統治について御見識が全くないということで、今の答弁では、これから前に議論を進められませんよ、これ。(発言する者あり)

小林委員長 法務大臣、少し突っ込んで話してください。

平岡国務大臣 私は、今の法制審議会の議論というのが、いろいろな専門家の方々が集まってやられている中でも、企業はだれのものなのかという非常に根本的な、原則的な問題についてはいろいろな考え方があろうかというふうに思います。その考え方はその考え方でしっかりと議論していただきたいと思いますけれども、私として思っているのは、企業という存在がどういうものであるのかということについては、いろいろな角度から問題があるので、そういう角度はしっかりと踏まえた議論を法制審で行っていただきたいということを申し上げているのであって、このこと自体が私は見識がないということではないというふうに思います。

大口委員 大体、企業は所有と経営の分離ということで、株主のものなんですよ。その上でステークホルダーに対していろいろな配慮をしていくということであって、企業は株主のものであるというのは当たり前のことで、そこから企業統治ということは出てくるんじゃないですか。皆さん、民主党の皆さん、みんなうなずいていますよ。

平岡国務大臣 私が答弁で申し上げたのは、企業はだれのものなのかというその所有関係について言えば、先ほども申し上げたように、株主が所有しているということでそれはいいと思います。ただ、企業はだれのものなのかという、そういうその所有関係以外に、やはり企業が果たしている役割というものはいろいろあるということでありますから、だれが所有しているのかというふうに単純に聞いていただければ、それは株主が所有しておりますというふうに私もちゃんと答えます。

 そういう、何といいますか、質問との関係において、私は、もっと幅広く考えて法制審議会でも議論をしていただきたいということを申し上げたということでございます。だれが所有しているものなのかという御質問であれば、それは株主が所有しているものであるというふうに私も答弁申し上げたいと思います。

大口委員 こういうことで時間を無駄にしたくないんですけれども、余りにも、企業統治のあり方について聞いているわけですから、こういうことが論点だということは当然法律家である大臣はわかっているはずなんですけれども。こういう形だと本当に困ります。抗議しておきます。

小林委員長 大臣も丁寧に答えるように。(発言する者あり)場外、委員とやっているわけじゃないので。(発言する者あり)はい、では、とにかく不規則発言は余りしないようにしていただいて。大事な質問の質疑時間ですので、不規則発言はできるだけ抑えて。(発言する者あり)こちらの答弁者が答えたわけじゃないので。場外。(発言する者あり)どんどん質問して。いいですよ、大口さん。

大口委員 だから、理事会でちょっと検討してください。

小林委員長 では、後で理事会で話をするということね。

 では、大口君。

大口委員 まあ、これはもう本当に基本中の基本についてお伺いしたんですが、残念なことでございます。

 そういう中で、日本の企業統治というのはいろいろな問題点があるわけですね。また、日本の企業統治というのはいろいろな特色があります。

 アメリカでは、企業の運営に関する権限というのは、非常に大きな部分が取締役会にある、ゆだねられている。取締役会は業務執行の監督機能を果たすのみで、実際の業務執行の責任は負わない。取締役会は外部者が構成員の多数を占めているということでございまして、そういう点で、企業の各部署の執行責任を負っている内部者は、取締役会の中には一人だけ、CEOしかいないというふうに言われておるわけですね。日本の場合はどうかというと、委員会設置会社もあります。しかし、それは大体二%ぐらいです。ほとんどは監査役設置会社ということであります。そういう点で、かなり日本の企業とアメリカの企業は違うというような状況であります。

 それから、そういう点では、日本の企業というのは取締役がほとんど内部者であるということから、やはり会社の経営者の意向を反映した人事になるという点では、企業統治という観点からいきますと、なかなか企業統治というものが十分きかない、取締役会のチェックがきかない、あるいは監査役会のチェックがきかない。このことが今回の問題にも発展してきているわけであります。

 そういう点で、今回の大王製紙を見ますと、ガバナンス体制は、社外監査役は全監査役五名のうちの三名ということでありますが、社外取締役については一名も選任されていない、こういうことです。あるいはオリンパスにつきましては、社外監査役は全監査役四名のうちの二名、それから、社外取締役も三名いるんですが、この三名の社外取締役も会社との関係性が非常に濃厚な三名であって、結局は、今回、企業統治という点におきまして、取締役会あるいは監査役会が十分機能していない、こういう状況であります。

 そういう点で、今会社法の審議がなされているわけでありますけれども、そういう点ではしっかりこれは対応していかなきゃいけない、こういうふうに思うわけであります。

 それで、今回、法制審議会でいろいろと議論がなされているわけでありますけれども、一つは、社外取締役の選任の義務づけということについてどういうふうに考えておられるのかということが一つ。そして、監査・監督委員会の設置、これについてどういうふうに考えておられるのか。この二点についてお伺いしたいと思います。

平岡国務大臣 今、大口委員が御指摘になった社外取締役の選任の義務づけの問題あるいは監査・監督委員会設置会社制度の問題、これはいずれも、法制審議会の会社法制部会において調査審議されている重要なテーマでございます。私がお聞きしている限りにおいては、会社法制部会においてもいろいろな議論が出てきているということでございまして、今月開かれる会社法制部会においても、かなり議論がいろいろな視点に分かれるのではないだろうかというふうにも私としては見ております。

 そういう意味において、これが重要な問題であり、そして意見が分かれている、議論の大変活発に行われている部分であり、これからまたパブリックコメントにも付していくという問題でもございますので、私が今ここでこれについての方向性ということを言うことは適当ではないというふうに思っております。

 そういう法制審議会におけるさまざまな手続を経て、慎重に審議していただいて、結論を出していただきたいというふうに考えているところでございます。

大口委員 委員会設置会社、大臣御存じですよね、これは二%ぐらいしか設置されていないということですね。そういうことからいくと、指名委員会、報酬委員会、監査委員会、そして委員の過半数が社外取締役だ、こういう厳格な委員会設置会社、これは日本の企業ではなかなか受け入れられていない。ですから、もう少し使い勝手のいいもの、それでガバナンスのきいたものということで、監査・監督委員会設置会社というものを今検討しているわけですね。

 この今の日本の、なかなか委員会設置会社が広がらない、そして今回こういう大きな問題があったということにおいての監査・監督委員会設置会社の検討がされている、この件についてお伺いしたいと思います。

平岡国務大臣 まさに大口委員が御指摘になった問題意識というものは、多くの方々が共有しているものだというふうに私は思います。ただ、これをどういうふうにしていくのかということについては、まさに法制審議会会社法制部会の方で今議論をし、そしてこれからパブリックコメントにも付していくという状況でございますので、私の方からどうあるべきかということについての御答弁は差し控えさせていただきたいというふうに思います。

大口委員 大臣が発言しても、法制審議会には影響されませんから、そんなものじゃないですから。大臣の御見識を、やはり世界のマーケットは見ているわけですし、会社法について真剣に議論しているわけですから、例えばこういう委員会設置がなかなか広がらないことについてちょっと御見識を披露していただくとか、それぐらいの答弁はしていただかないと。どうも何か、平岡大臣、大臣になってから物言わぬ大臣になられたような感じで、本当にちょっと失望しているんですがね。

 それから、会計監査人の独立性の問題につきましても議論されています。

 それで、今、現行法上は、この会計監査人について、選任について同意権がある、それから報酬についても同意権がある。それから、選任については提案権も監査役会にあるということであるわけですね。監査役会は、選任について同意権と提案権、報酬についての同意権があるということでございます。今回、これについては、A案、B案、そしてC案、見直さないものとする、こういう選択肢もあるわけでありますが、やはりこの会計監査人の独立性ということは非常に大事なことでございまして、今、インセンティブのねじれという状態が続いているわけでございます。

 これについて大臣の御見識をお伺いしたいと思うんですが、監査基準、あるいは公認会計士法で公認会計士の独立性ということは規定はされておりますけれども、さらに、インセンティブのねじれ現象、これを解消するということについて、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

平岡国務大臣 今、会計監査人の重要性については大口委員が触れられたとおりでございますし、現行法上の仕組みについても今委員の質問の中にも入っておったというふうに思います。

 今、法制審議会の会社法制部会においては、会計監査人の選解任等に関する議案等及び報酬等についての決定権を監査役に付与することの当否について、調査審議の対象となっているというふうに承知をしております。これについても、法制審の会社法制部会においては議論が分かれている状況にある。つまり、これも、大口委員が御指摘になったような、A案、B案、C案といったような形に今なっているということも聞いているところでございますけれども、そういう意味では、一定の方向性が決まっている状況ではないというようなことであります。

 こういう状況の中で、またこれからパブリックコメントに付していくということでございますけれども、そういう手続の中でしっかりと議論をしていただきたいというふうに私としては考えているところでございます。

大口委員 現状を変えないという選択肢は、私はないと思うんですね。ですから、やはり大臣もリーダーシップを発揮していただきまして、今回の問題についてしっかりこれは対応していただきたいと思っております。

 金融庁にお伺いします。

 金融庁は、証券取引所等の所管でもありますし、また、公認会計士あるいは監査法人についても所管をしているわけであります。そういう点で、上場企業の情報開示を充実させるため、企業会計基準あるいは監査基準の改定。それからまた、証券取引所などにおける株式上場を廃止する基準、これを厳しくしていくこと。あるいは、社外取締役の確保の義務づけ。

 これは、この三月から、東京証券取引所有価証券上場規程四百三十六条の二で、独立役員、一般株主と利害相反が生じるおそれのない社外取締役または社外監査役というものの確保の義務は規定されているんですが、さらに踏み込んで、これは独立役員または社外監査役ということで、社外監査役を置けばいいことになっているんですが、そうではなくて、社外取締役の確保の義務づけ、こういうものについてどう考えておられるのか。

 さらに、今回の件も含めまして、公認会計士や監査法人の懲戒処分というのができるわけですね。これについての厳格な対処についてのお考えをお伺いしたいと思います。

中塚副大臣 先生から数々のお尋ねをいただきました。先ほど来御質問になられておりますオリンパスや大王製紙に関するこういった問題については、本当に内外の投資家から、我が国の市場の公正性、透明性に対して疑念を持たれているということであって、極めて憂慮すべきことだと金融庁としても考えておるところであります。異例のことではあるんですが、先月の十一日になりますが、私どもの自見金融担当大臣の英語のステートメントもホームページ等に掲載をさせていただいたということでございます。

 さて、たくさんお尋ねをいただきました。例えば、情報公開を充実させるための会計の開示基準の中身の見直しでありますとか、上場廃止基準の厳格化とか、あと、独立役員制度にもお話をいただきました。公認会計士の懲戒等の処分のことについても言及をいただいたわけであります。

 いずれにしても、今、大王製紙は、もう調査委員会は報告書を出したわけですけれども、元会長が捜査を受けているということでございます。オリンパスにつきましては、けさ私も報道で知りましたが、来週には第三者委員会が調査報告書をまとめるということであります。今調査中ということですが、そういったものを子細、詳細に検討をいたしまして、私どもとしては、本当に今回のことを深刻に受けとめておりますから、事実の解明を通じまして、先生が御指摘になられたいろいろな点について、改善すべき点がある場合には、過去もやってまいりましたが、きちっとスピード感を持って対応していきたい、そう思っております。

大口委員 これも、マーケット、世界が注目していますので、緊張感を持って金融庁としてやっていただきたい、こういうふうに思います。

 震災関係についてお伺いしたいと思います。

 東日本大震災から、もう九カ月近くになりました。被災地において、原発の損害賠償の問題を抱えている方々、あるいは二重ローン、今回、支援機構法もようやく、遅まきながら成立したわけでありますが、そういうこと。そしてまた、解雇された方がいらっしゃる、借金を相続した被災者の方もいらっしゃる。法的支援を必要とする方が相当数存在して、これからますますそういう点では需要が多くなる。

 このような法的支援を必要とする被災者に対して、現行の総合法律支援法では、法律相談、代理援助等の支援を受けるに当たって、法テラスの民事法律扶助では資力要件がある。これは三十条ですね。資力があると判断された場合は支援の対象外となっているわけです。地震保険については、家財についているのは二百万ぐらいなんですが、建物については一千万ぐらいになるわけです。こういう地震保険を受けた場合は、資力があるということで法律相談あるいは代理援助等の法的支援を受けられなくなる可能性があるわけであります。

 ですから、本当にすべてを流された被災者に対して、法テラスの出張所に相談されてきた方に一々、地震保険はどうですかとか、そこでもらっているということになると相談も受けられない、こういう事態が起こっていまして、法テラスの方も弁護士会の方も、あるいは司法書士さんの方も、現地に沿岸部に出張所をどんどん開設していっている状況の中で、この資力要件ということが非常に障害になっているということでございます。

 そういう点で、この支援の対象というのは主に民事裁判に限定されているし、二重ローンの問題の解消とか、あるいは原発事故の迅速な被害回復のために国が創設した解決手続、以前にも私は質問しましたけれども、この支援が難しい場合が出ている。そして、民事法律扶助というのは、小規模な法人からの相談とかあるいは代理援助というのはできないことになっているわけであります。そういうことで、現行の総合法律支援法では被災者の支援に限界があるということでありますので、やはり新たな法的支援事業、これを創設する必要があるというふうに考えているわけであります。

 例えば、資力を問わない無料法律相談の実施でありますとか、あるいは個人債務者の私的整理に関するガイドラインの利用促進でありますとか、あるいは小規模の事業者や法人からの法律相談や代理援助、また、東日本大震災以外の他の災害においても必要な法的支援を迅速に実施する、こういう必要性はあるわけでありまして、我々立法府としてもこれは待ったなしではないかな、こういうふうに思っておるわけですが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

平岡国務大臣 大震災からの復旧復興というのは、野田内閣でも最優先の課題であるということでこれまでも鋭意取り組んできているわけでございますけれども、その中でも、被災者の皆さん方の支援ということは大変大事な政策課題であるというふうに私も認識をしておるところでございます。今大口委員が御指摘になられた問題についても、いろいろお困りになっている方々がおられるという中で、関係者の方々の中に何とかこれを救済できないだろうかという動きがあるということも、私としては断片的に話としては伺っているところでございます。

 さはさりながら、今大口委員の方から御指摘のありました総合法律支援法というもののたてつけといいますか基本的な考え方というものがやはりあるわけでございますけれども、私からあえて申し上げれば、この法テラスの民事法律扶助制度というのは、資力が乏しいために弁護士等に依頼することのできない方の裁判を受ける権利を実質的に保障するためのものであり、そのため、その利用に当たっては、先ほど来から御指摘いただいているように、資力要件が定められているということでございます。そうした資力要件を問うことなく法律相談、援助などの民事法律扶助を実施する制度を創設することについては、現行の民事法律扶助制度の根幹にかかわるものであるというふうに思われますので、我々としては、慎重な検討が必要であるというふうに考えているところでございます。

 さはさりながら、大口議員が御指摘になられた、現実の状況というものが大変厳しい状況であるということについては、しっかりと認識をしてまいりたいというふうに思っております。

大口委員 これは立法府としてもしっかりやらなきゃいけないな、こう思っております。

 次に、東日本大震災による被災者からの相談対応について。

 これは、日本司法支援センター、法テラスや、あるいは日本司法書士会連合会が今、被災地に事務所を設けて体制を構築する動きがあると聞いております。消費者庁あるいは独立行政法人国民生活センターが実施している専門家派遣事業を活用した支援はできるのか、お伺いしたいと思います。

草桶政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、日本司法支援センター、法テラスが開設した出張所、宮城県の南三陸町と山元町でありますが、これについては、被災地の自治体からの要請を受けまして、消費者庁と国民生活センターとで進めております専門家派遣事業によりまして、司法書士を初めとする各分野の専門家を派遣しているところでございます。本事業につきましては、被災地域のニーズを踏まえた自治体からの要請を前提としまして、相談窓口に各種の専門家を派遣するものでございます。

 したがいまして、日本司法書士会連合会の取り組みにつきましても、地域との連携を深めまして、自治体からの要請を前提に、本事業を活用して支援することが可能でございます。

大口委員 しっかり対応していただきたいと思います。

 次に、大臣は少年法についてはいつも関心を持っておられるわけでありますが、平成二十年の少年法の改正によって、殺人事件等、一定の重大事件の被害者等から申し出があって、家庭裁判所で少年の年齢及び心身の状態、事件の性質、審判の状況その他の事情を考慮して、少年の健全な育成を妨げるおそれがなく、相当と認めるときは、被害者等が少年審判の傍聴ができることになっているわけですね。これは、平成二十年の十二月十五日からこの改正少年法が施行されて、間もなく三年になるわけであります。

 これまでの実施状況がどうなっているのか。すなわち、申し出の対象事件の数、申し出のあった事件の件数、申し出をした者の人数、そのうち傍聴を許したのは何件、何人なのか、また、傍聴を認めなかった理由はどういう理由かについて、そして、それについて被害者等へどういうふうに周知をされているのか、お伺いしたいと思います。

豊澤最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 平成二十年改正少年法の施行日である平成二十年の十二月十五日から昨年の十二月末までの実施状況に関する数値につきましては、最高裁判所のホームページにおいて既に公表しているところでございます。ここでは、本年の十月末までの、これは速報値ではございますが、最新の数字をお答え申し上げます。

 この十月末までの約三年弱の間の、傍聴の対象となる事件は五百三件でございます。そのうち、申し出のありました事件の件数は二百三十五件、申し出をした者の人数は四百七十六人でございます。そのうち、傍聴が認められましたのは二百四件、四百六人でございます。傍聴が認められませんでしたのは二十七件、五十七人でございます。

 その理由につきましては、審判が開始されずに事件が終局したことによるものが十三件、被害者を傷害した事件においてその生命に重大な危険を生じさせなかった、そういうふうな判断がされたものが九件、傍聴についての相当性がないと判断されたことなどによるものが四件、傍聴対象事件に当たらないとされたものが一件という内訳になってございます。

 それから、傍聴制度の周知の関係でございますけれども、傍聴対象事件が家庭裁判所に送致されてまいりました際、まず、被害者の方は、家裁に送致されたかわからない方もおられることに配慮して、家庭裁判所の方から被害者の方に対して、傍聴制度やその他の被害者配慮制度を簡潔に説明したリーフレットを送付して、その制度内容の案内を行っております。

 また、傍聴対象事件におきましては、多くの事案において、家庭裁判所調査官が被害者の方と直接お会いして、被害の状況やその心情などをお聞きしているところでございます。その際にも、改めて傍聴制度等の被害者配慮制度についての説明を行っております。

 こういった形で、さまざまな機会を通じて制度の案内を行っているところでございます。

 以上でございます。

大口委員 これは三年の見直しということですので、平成二十三年十二月十五日には見直しをするかどうかということを決めなきゃいけない。

 当初心配されていた萎縮効果というのは、これは必要的付添人でありますので、そういう努力もあって、あるいは審判官もいろいろ配慮されて、弊害がそうないとも聞いておりますが、この見直しについて、大臣の方から御所見をお伺いしたいと思います。

平岡国務大臣 見直しについてでありますけれども、委員が御指摘になったように、法律の附則の中でしっかりと書かれているわけでありますけれども、これから審判傍聴制度の運用状況を分析した報告書が最高裁の方から作成されるというふうに聞いております。その結果を参考にして、また、最高裁判所あるいは日弁連といったような関係者ともよく協議をしながら、幅広く運用の実情を把握し検討していきたいというふうに考えているところでございます。

大口委員 時間が参りましたので、以上で終了したいと思います。

 ありがとうございました。

小林委員長 次に、辻惠君。

辻委員 民主党・無所属クラブの辻惠でございます。

 お手元に資料が配付される予定でございますけれども、一昨日、十一月三十日に名古屋高裁の金沢支部で、福井女子中学生殺人事件について再審開始決定がなされたという報道があります。これは事実、再審開始決定がなされたわけでありますけれども、この問題を取り上げるに際して、私は、今の司法全般について、極めて根本的なところで深い危機が進行している、とりわけ刑事司法の領域においてその危機は深いというふうに感じているものであります。

 検察のあり方について村木裁判で問題になった点が一向に改善の見通しが立たないような中で、また、裁判が本当に納得のいく形で行われているのかどうなのか。証拠裁判主義という日本の刑事司法の原則から大きく逸脱するような判決も出るような事態があって、それに対して法曹界で疑問の声や危機感が大きく沸き上がらないというような状況について、危機感を深めております。

 そういう中で今回の再審開始決定。布川事件も足利事件も氷見事件も再審開始決定で再審無罪になっているという状況の中で、この福井の事件にとどまらない、現に名張の毒ブドウ酒事件でも、最初の再審開始決定が破棄されて、最高裁で今度はそれをまた破棄差し戻しになるということで、再審開始決定に向かっているというような状況があります。

 恐らく裁判所当局も検察・法務当局も、厳粛に受けとめるというふうにおっしゃると思うんですが、単に言葉で厳粛に受けとめるということではなくて、この案件は、一審は無罪判決が出ているわけですね。高裁で有罪になって懲役七年、そして最高裁でも上告棄却。

 もともと、再審審で証拠が開示をされて、死体の解剖書とか関係者の供述調書がどんどん証拠開示されて、それをもとに、やはりこれは真犯人ではなかったんだということで再審開始決定になっているわけですから、そういう事実経過も含めて、具体的に、どういう危機感に基づいて、どういう問題点があってこの事件を厳粛な立場で受けとめるのかということについて、法務・検察そして最高裁、両者からそれぞれ御所見をいただきたいと思います。

滝副大臣 ただいま辻委員から見せていただきましたけさの新聞には、今度の事件の要約がそれぞれ報道されているわけでございます。

 法務省としてどういうような受けとめ方をしているか、こういうお尋ねでございますけれども、基本的には、報道されておりますように、証拠開示のあり方の問題ということが恐らく問われてきたんだろうというふうに思います。

 ただ、この問題につきましては、一般論として申し上げれば、平成十六年の刑事訴訟法の改正によって証拠開示のあり方も大分変わってまいりました。そういう中で、今回の問題も、ずばり、一審じゃありませんから、再審決定でございますから、十六年の改正とは基本的には結びつかない話でございますけれども、流れとしては、証拠開示のあり方というものをもう少し、第一審の段階で変える努力が平成十六年の刑事訴訟法の改正以来続いてきたんだろうというような中で、この問題をこれからも問題として、一つの戒めとしてどう考えていくか、こういうことだろうと考えております。

植村最高裁判所長官代理者 お答えをいたします。

 今回の福井女子中学生殺人事件については、これは個別の事件でございますので、直接のコメントは差し控えさせていただきますが、委員も御指摘のとおり、足利事件さらに布川事件ということで、再審事件で無罪判決が言い渡されております。

 裁判所といたしましても、このようなことについては重大なことと受けとめております。裁判所としても、無実の人が服役するようなことは絶対あってはいけないという気持ちでございます。

 個々の事件におきまして、当事者からいろいろな主張が出され、いろいろな証拠が出されるわけでございますが、最終的に、検察官において合理的な疑いを超える立証がなされたかどうか、そこを慎重に吟味する必要があるというふうに考えております。

 それから、証拠開示の点が問題になりましたけれども、これも立法がされまして、現在、以前とは違った形でやっておりますが、それを現場の裁判所がきちんとやっていくということだろうと思っております。

辻委員 この件は、一審の福井地裁は無罪なんですよね。それで、高裁の金沢支部で有罪に逆転をして、最高裁も上告棄却。再審開始決定がなされたにとどまっていますから、まだ確定しているわけではありませんから、軽々に断ずることはできませんけれども、やはり裁判所の裁判機能ということについて、これはどこか根本的に問題があるのではないかというふうな疑念を私は抱きます。

 最近、東電のOL殺人事件があって、これも再審開始に向かって大きく動いておりますけれども、この東電のOL事件も一審は無罪だったんですよ。それで、高裁で破棄されて、また上告審は棄却している。ある意味では、裁判所の目は、高裁、最高裁は節穴に近いのではないかというような疑念すら出てくるような状況です。

 そこを本当に真剣に受けとめているのか。一人の無辜も処罰することがあってはならないという刑事司法の大原則が揺らいでいるのに、当事者が、やはり当事者感覚が非常に薄い、旧態然としたことを、ただ同じことをつけ加えているだけ。

 確かに、二〇〇五年に、裁判員裁判に関連して公判前整理手続というのが認められて、刑事訴訟法上、一定の証拠開示の幅が広がったということがありますけれども、問題は、検察官が公判に、自分の立証に必要だと思う証拠については開示します。それに関連して、類型証拠ということで開示の幅が広がったのは事実だけれども、被告人側に有利な証拠も、捜索、押収も含めて国家権力の力で収集した証拠が、被告人側に有利なものが法廷に出てくるという構造、仕組みになっていないわけなんですね。

 そういう意味で、証拠開示制度が、二〇〇五年に改正されたからそれで事足れりということではなくて、もっと根本的にどうすべきなのかということを、やはり当局者の意見を言っていただきたいなというふうに思うわけであります。

 これに関連して、検察のあり方をめぐって、検察の在り方検討会議がことし三月三十一日に提言を出していて、それに基づいて検察改革ということがいろいろ問われているわけなんですが、配付資料をごらんいただきたいんです。一番下段ですね、「名古屋高検の野々上尚・次席検事は「決定内容を慎重に検討し、対応を決定したい」」、ありきたりのことを言っていますが、その上の四段記事で、「検察幹部、不満あらわ」と。

 これは何なんでしょうか。厳粛な再審開始決定が出て、一人の無辜も処罰してはいけない、そういう意味では検察なり裁判所のそれまでの経過はどうだったのかと厳粛に受けとめて反省をしなきゃいけないときに、「検察幹部、不満あらわ」と。これは、法務・検察としては、こういう態度をとることは許されるんでしょうか。いかがですか。

滝副大臣 報道でだけしか私どももまだ情報を持っておりませんから、どういうような立場で、どういうようなことで発言がされたかということはよくわかりませんけれども、基本的には、裁判所の決定ということでございますから、それに基づいて謙虚に受けとめていくというのが検察としての基本的な姿勢でなければいけないというふうには思っております。

辻委員 謙虚に受けとめていくと、言葉上、いろいろなところで語られます。今まで、冤罪事件で確定したときなどについて、いろいろ、厳粛に受けとめていくという言葉が語られているけれども、実質が伴わない。この記事の「検察幹部、不満あらわ」というのは、言葉でも語っていないんですね、厳粛に受けとめるということを。こんなのはおかしいよというふうに、その開始決定を見てすぐに反応して記者に言っているわけですよ。

 だから、事実関係の詳細は明らかではありませんけれども、これは検察改革をうたっている検察庁のありようとして、やはり許されない範疇の言動だと思います。そういう意味で、やはりこれは徹底して、だれがどういう発言をしてどういう対応をしたのか、その事実関係を調査していただいて、そして、しかるべき指導をきちっとやっていただきたいと思います。この点、いかがでしょう。

滝副大臣 お話しのように、「検察の理念」ということで、改めて、検察庁が検察全体の意見としてまとめた中に、一人の無実の罪人もつくらない、こういうようなことを十項目の中で一項目、打ち出しているわけでございますから、今、辻委員御指摘のように、そういう流れの中で、検察が検察として、やはりきちんとした理念に基づいた執行をしていくというのは当たり前でございますから、その辺のところは検察当局も、当然、フォローアップしなければいけないというふうに思います。

辻委員 今副大臣おっしゃったように、「検察の理念」というのが発表されています。これは、検察の在り方検討会議の提言を受けて、九月二十八日に最高検において、基本規程、「検察の理念」というのを制定されたというものであります。

 これを見ると、「刑罰権の適正な行使を実現するためには、事案の真相解明が不可欠であるが、これには様々な困難が伴う。その困難に直面して、安易に妥協したり屈したりすることのないよう、あくまで真実を希求し、知力を尽くして真相解明に当たらなければならない。 あたかも常に有罪そのものを目的とし、より重い処分の実現自体を成果とみなすかのごとき姿勢となってはならない。」と。「各々の判断が歪むことのないよう、公正な立場を堅持すべきである。」ということを理念としてうたっています。

 また、今御紹介がありました十項目のうち、三項目めでは、「無実の者を罰し、あるいは、真犯人を逃して処罰を免れさせることにならないよう、知力を尽くして、事案の真相解明に取り組む。」ということを、九月の二十八日、最高検が制定しているのにかかわらず、「検察幹部、不満あらわ」というような、これは被害者の方から、いや、被害者もそうですけれども、被告人となって有罪が確定して実刑で服役をした被害者、そういう意味では被害者になると私は思いますけれども、その方からすれば、こんな言葉を検察の幹部が言うこと自体、耐えられないことだと思います。だから、本当に調査をしっかりしていただいて、しかるべききちっとした指導をしていただくということを申し入れておきたいと思います。

 それで、冒頭で私が申し上げましたように、やはりこれは、検察が点数稼ぎで、有罪にすればポイントが上がるような発想が根深くあるのではないかというところについて、どういうふうに正していくのかということは、それはそれでもっと突っ込んで検討していきたいというふうに思いますけれども、一方で、やはり裁判所がどうなっているんだと。一審が無罪になっているのに高裁でひっくり返って、そして、最終的にこういうふうに再審開始決定を受けるような状況になっている。

 では、裁判所として何が問題なのか。この個別の案件に限らずですよ。今まで、足利事件についても布川事件についても、いろいろなところで事実が問われているのに、厳粛に受けとめるという言葉以上出てきていないわけなんですよ。本当にやる気があるのか。司法が今揺らいでいるわけなんですね。裁判に対する信頼が大きく揺らいでいるわけですから、そこの点についてもう少し踏み込んだ、本当に当事者としての切実感ある言葉をいただきたいと思います。いかがですか。

植村最高裁判所長官代理者 足利事件とか布川事件のような事件について深刻に受けとめていることは、先ほど申し上げたとおりでございます。

 裁判所といたしましては、足利事件では、DNA鑑定が問題になったわけでございます。そこで、より広い視点に立ちまして、裁判における科学的証拠のあり方について、この際、広く検討することが必要だと考えまして、司法研修所で行っております司法研究の中でこの問題を取り上げて、今研究しているところでございます。

 委員も御承知のとおり、平成二十一年に裁判員裁判が入りまして、大分審理の仕方が変わりました。委員も御指摘のあった検察の在り方検討会議でも、科学的証拠の重要性というのが指摘されました。私どもとしても、今後、刑事裁判では、科学的証拠の重要性というのが一層高まっていくと考えております。

 そういうこともございましてこの研究を開始したわけでございますが、DNA鑑定の精度は、これは委員も御承知だと思いますが、現在、必要十分な鑑定資料があれば、かつてとは比較にならないほど高い精度で同一性の鑑定ができるようになっております。しかし、それだけに、危険性が実は高いものであると思っております。と申しますのは、犯罪現場等にいろいろな資料が残されるわけですが、それが本当に犯人に由来するものであるかどうか。そこで間違いが起きますと、その後でDNA鑑定をやっても、本当に間違えた裁判結果になってしまうわけでございます。

 したがいまして、この研究では、DNA鑑定の原理や精度といったもののほか、委員御指摘のとおり、DNA鑑定が利用されることによって誤判が生じるといったことがないように、そのあたりについても研究していると承知しております。

辻委員 いやいや、DNA鑑定の問題については、それは全体の中のほんの一部です。東電OL殺人事件についても、問題があるわけですから、もっと根本的な、制度的な問題としてとらえていただきたい。

 実は、私は、二〇〇五年の六月八日の法務委員会で八十分間にわたって再審問題について質疑を行って、当時、滝副大臣がやはり副大臣でいらっしゃったときでありますけれども、そのときもいろいろ質疑をさせていただいて、まだまだ解明されていないことがあります。

 時間が余りないので、さらに進んでいきたいと思いますけれども、当時の私の質疑のときに、結局、自白調書の扱いとか、こういうことは問題があるのではないかという質問をしたところ、当時の大谷最高裁判所長官代理者が、要するに、事例研究、司法研究として過去の事例などに基づいて事実認定の方法等については研究をやって、そういう本も出しているんだ、詳細に分析しているんだから、努力しているんだというふうにおっしゃったわけですよ。だけれども、そういう努力が果たして本当に具体的に実になっているのかということが今回の再審開始決定でも問われております。

 同じ回答をされるんでしょうか。この点、いかがでしょう。この司法研究の内容については、どのように今評価されているんでしょうか。

植村最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおり、過去の司法研究で自白の信用性などについて研究をしていただいたことがございます。その中で取り上げた事件の中で、後になって、御承知のとおり、残念ながらと申しますか、まことに申しわけないわけでございますが、再審開始決定、それで再審で無罪となったものもございます。

 ですから、その当時の研究としてはそれは意味があったと思いますけれども、今となっては、それは結果的に、新しい証拠が出てきたということもございますけれども、間違っていたわけでございますから、委員御指摘の点について、一部その司法研究の中身、それを今どうするかについて検討中でございまして、これは司法研究の執筆者の意向もございます、その意向も聞いた上で決めるように聞いております。

 ただ、裁判所としては、繰り返しになってまことに恐縮でございますが、やはり個々の事件についてこういう再審無罪事件が出てきている状況にかんがみまして、個々の裁判官が本当に誠心誠意、当事者の証拠、主張を吟味して正しい結論に到達するように努力するということを、本当に一人一人の裁判官がやるということ以外にはないというふうに思っております。

辻委員 一人一人の裁判官は悪意で職務をやっているわけではないと思います。誠実に目の前のものを自分はやっているというふうに思います。だけれども、大きく誤った判断に至ってしまう根本的な構造がある。

 その中の一つが、今私が質問しましたけれども、お答えいただいた、この法曹会の「自白の信用性」という、これが事実認定のいわば教本にされているわけですね。これを学んで刑事裁判官はその適正な判断ができるようになるんだということでこれはなっていますけれども、この中で、有罪の事例はこういう事例があったんだ、だからこういう認定の方法を考えるべきなんだということで紹介されていて、その中に布川事件が入っている、名張毒ブドウ酒事件が入っている、狭山事件が入っている。名張も狭山も今、再審開始決定に向けて、再審審で証拠開示の問題が一定程度進んでいるわけですよ。布川事件は明らかに確定しているわけですね。

 そういう事件も含めてこれは有罪確定の案件なんだ、これをもとに事実認定の方法はこうするんだというようなことを教本をつくって、それでこれを教え込む、それで現場の裁判官は自分の判断の基準をつくっているわけですよ。確かに、秘密の暴露とか自白と客観証拠との符合性とかいうような言葉でまとめられているけれども、そのまとめ自体が根本的に問い返されなきゃいけない。

 昨年の九月十日の村木裁判の大阪地裁の判決は、まさにこの事実認定の方法に対して疑念を出しているわけですよね。あたかも真実性、迫真性があるような供述が全般的にあったとしても、一つでも客観証拠と合致をしないものがあればそれは疑うべきなんだという、私は画期的な判決だったと、去年の九月十日、思います。

 そういう意味で、著者の意向もあってどうするのか、そういうレベルの問題じゃないわけですよ。全面的にこれは見直すべきでありますし、ある意味では、そういう既に確定した再審無罪案件を含めて、これは第三者機関的なものを設けて、その再審問題の究明、再発防止でも、名前は何でもいいですよ、そういう委員会をつくって、内部だけでやっていたら、これはもう同じ発想で取り組まれていますから、そういう第三者機関的なものをつくって研究すべきだ、その中でこういう教本も見直すべきだと思いますが、最高裁、いかがですか。

植村最高裁判所長官代理者 委員が最後に御指摘になりました第三者委員会、外部の委員も入れてということでございますが、最高裁といたしまして、具体的にどんなものなのかはちょっとよくわかりませんのでお答えしにくいのでございますが……(辻委員「いや、自分で考えてくださいよ、それは」と呼ぶ)

 個々の事件を対象にいたしまして、その当時の、例えば証拠決定が正しかったのかどうなのかとか、そこに踏み込んで最高裁の事務当局がやるということは、やはり裁判官の職権の独立との関係で問題があると思っております。

 以上でございます。

辻委員 それはやらないということを言っているのであって、もっと方法を考えるわけですよ。それは、いろいろな理念なりそういう問題点との調整はあったとしても、そういう問題をやはり研究、検討するという、開かれた形で取り組もうという姿勢を持つかどうかですよ。具体的なやり方は工夫の問題ですよ。それは最高裁内部で御自分で考えていただければいいと思います。いかがですか。

植村最高裁判所長官代理者 繰り返しになりますが、大きな枠の話として、最高裁の事務当局が音頭をとりまして個々の再審事件の問題点について分析をするという手法は、裁判官の職権の独立の点から見て問題があるというふうに思います。

辻委員 全く前向きの発言がない。真剣に、裁判の機能が本当に壊れているんですよね。刑事裁判で冤罪をつくり出すというのは、これはもう断固として排除しなければいけないことでありますけれども、それが陸続として起こっているわけですよ。それについてどうするのか。内部にやはり欠陥があり、いろいろな思考方法に問題がある、そこをどういうふうに検討するのかというときに、それはプライバシーの問題とかいろいろな問題がありますから、どこまで過去の証拠を開示して第三者との間で検討会をやるのかというような問題はありますけれども、利害関係がある場合には確定記録の閲覧だってできるわけですよ。制度上できることになっているわけですよ。

 だから、そういうことも含めて、検討するという姿勢がそもそもないことに問題があるんだ。本当に、硬直している官僚主義の権化に最高裁はもうなり果てているんじゃないかというふうに私は思わざるを得ない。そのことをどう改善していくのかということについて、私の方も、いろいろさらに検討をし、また御提案もしていきたいというふうに思います。

 この点については、繰り返しになりますけれども、小川秀世さんという弁護士さんが、現在の刑事手続は二つの病理的問題を抱えている、一つは無法地帯の取り調べ、もう一つが悪魔の判決教本だと。

 無法地帯の取り調べというのは、まさに、可視化されない密室の取り調べのことを言っているんです。権力者が、自分が法律なんだということで、一方的に被疑者を取り調べることができる、どこに法があるのかということが指摘されて久しい。

 また、悪魔の判決教本というのは、この本では、有罪事例で取り上げた布川事件、それも一つに、もとに認定方法を決めているんだけれども、これが教本となっているんですね。これに依拠していれば、裁判官は、自分の身分は安定なんですよね。目の前にある被告人が冤罪で苦しもうが、その人は何ら傷つかないわけですね、裁判官は。やはり、こういうことの根幹にこんな判決教本をなお存置していること自身について、一刻も早くこれをかえることを私は強く要請したいというふうに思います。

 これらの問題をもっと本格的に解決していくためには、やはり証拠開示ということが重要なんですね。この福井女子中学生事件でも、証拠開示が再審審になって出てきた、何で一審のときに出ないんだと。さっきおっしゃったように、二〇〇五年の刑訴法改正で一部広がったけれども、原則と例外のところで、被告人側に有利な証拠が出てきていないという現実があります。

 これは二〇〇五年の質疑のときに私は指摘しましたけれども、宇都宮東警察で誤認逮捕事件が二〇〇四年の八月にあって、やや知的障害の方が二〇〇四年八月に起訴されて、同年十二月に七年の論告求刑、そして、十二月下旬の判決公判のときに無罪を主張したから延期になったところ、翌年の一月十七日に別の人物が別件逮捕された、それが真犯人だったということなんです。これは新聞報道によれば、赤いサングラスとか包丁とか足跡とか、そういう物証がある事件なんだよというふうに言われていたのに、起訴されたときに出てきた証拠は供述証拠だけなんですよ。それは無罪の論告で無罪になりましたけれども、真犯人の裁判では、こういう赤いサングラスとか足跡とか、そういう物証が証拠に請求されているわけですよ。もし真犯人が出てこなければ、そういう客観的な証拠抜きに自白だけで有罪にされた可能性があるし、客観的な証拠は隠されていたわけですよ。

 この点について、検察庁はどうなんですか。当時のその検察官の訴追裁量のあり方として問題があったというふうに考えているのか、この検察官に対してどういう指導をしたのか、その点はいかがですか。

滝副大臣 この事件の判決直後からの問題については私も余りつまびらかにいたしておりませんけれども、しかし、昨年来のいろいろな事件にかんがみまして、検察当局もいろいろな機会に、改めて、客観的な証拠、そして自白の強要に及ばないような、そんな取り調べの根本的な見直しというものに取り組んできておりますので、私たちはやはり、今、辻先生がおっしゃるように、基本的に、証拠開示の問題あるいは取り調べの過程の問題、そういうものについて全面的に考え方を改めていくというふうな取り組みが進められるということを目指しているわけでございます。

 現実に、ことしの八月八日、法務省の勉強会におきましても可視化に向けて改めて確認をさせていただいておりますので、そんなことも加えながら、刑事事件の全過程についてどう手続を改めていくかということが問われているというふうに認識をいたしているところでございます。

辻委員 時間が参りました。組織自体の問題と、やはり、そこに所属する個々の人の行動原理、意識を問題にしなきゃいけない。そういう意味で、匿名性の陰に隠れてやり放題で、そのままじゃだめだと思うんですね。信賞必罰、きちっと間違いは間違いとして正して注意をする、指導するということを徹底させていただきたいということを最後に申し上げて、私の質問を終わりとします。

 ありがとうございました。

小林委員長 次に、柴山昌彦君。

柴山委員 自由民主党、影の法務大臣の柴山昌彦でございます。

 大臣に、先ほど大口理事から質問のあった大王製紙、オリンパス問題について、関連でお聞きしたいと思います。

 この問題は、私ども自由民主党も、法務部会、財務金融部会、経済産業部会、合同で調査をしておりまして、この後も十一時から、私ども会議をすることとなっております。

 先ほど大口理事から、企業はだれのものかという極めて重要な問題提起がありまして、これについて大臣が言いよどんだことは、わからなくはありません、いろいろな考え方はあると思います。しかし、極めて基本的、かつ古典的な疑問であって、先ほどおっしゃったように、所有について解釈すればというように、むしろ、この質問を予想して、大臣の側からしっかりとした答弁をしてもらえたらよかったのかなというように思っております。

 しかも、これについて、聞き方が悪いというやじは、私は言語道断だと思っております。これについて我が党の理事が抗議をしたときに、委員長もしっかりと議事整理をしてほしかったというように、残念に思っております。

 大臣にお伺いします。

 これらの問題の本質的な、根源的な原因というものは一体何だとお感じになりますか。

平岡国務大臣 お答えしたいと思いますけれども、今、これらの問題というのは、会社法の問題でしょうか。はい、わかりました。

 これは、やはり制度の問題もあるだろうというふうに思いますし、それから制度の中で行われているガバナンスの問題でもあるだろうと思いますし、さらには個々の経済人の心構えというものもあるだろうと思いますし、いろいろなものがあるだろうというふうに思います。

 本質は何かと言われれば、これだというふうに決めつけるということはなかなか難しいわけでありますけれども、多くの企業がある中で起こってしまったということについて言えば、やはり個別的な問題というのもあったのではないだろうかなというふうには思います。

柴山委員 個別的な問題というふうにおっしゃいましたけれども、私はそれは極めて認識が甘いと思っています。

 社員という言葉は、大臣、御存じでしょうけれども、社員というのは法律的に一体どういう概念でしょうか。

平岡国務大臣 多分、社員という言葉以外に、従業員というような言葉とか、あるいは労働者、勤労者というような言葉とか、いろいろあるんだろうと思いますけれども、社員というのは、社がついていますから、会社あるいは何とか社とついたようなところで雇われて働いている方々のことではないのかなというふうに思います。

柴山委員 今の答弁が根本的な誤りを内包しているわけです。今大臣が御答弁になったのは、従業員なんです、先ほど御答弁になったとおり。

 いま一度答弁を求めます。

平岡国務大臣 ちょっと質問の趣旨を私が十分に理解していないような気もいたしますので、どういう御質問の趣旨なのかをちょっと教えていただければというふうに思います。

柴山委員 極めてわかりやすい質問だと思います。社員とは一体どういう概念ですかというふうにお聞きしているんです。

平岡国務大臣 先ほど答えましたように、何とか社というふうに、株式会社、有限会社、合資会社、いろいろあろうかというふうに思いますけれども、そういう何とか社において雇われて働いている方々を社員というのではないだろうかというふうに思います。(発言する者あり)

柴山委員 今、我が党の理事からさまざまな形で声が上がっておりますけれども、基本的に、法律的な会社法の概念で社員というと、会社に出資してその持ち分を構成しているもののことを社員というわけです。株式会社になれば、いわゆる株主が社員。だからこそ、先ほど大口理事の方から話があったように、企業というのは、本来、出資者であるオーナーのものであると。そして、そこから経営陣が経営の委託を受け、そして、経営陣は、従業員を雇って、そのオーナー、社員あるいは株主の利益が最大になるようにさまざまな仕事をするというのが会社法の仕組みであるはずなんです。

 今大臣が御指摘になったように、社員というのはまさしく我が社の従業員だと。我が社のということが会社の経営者あるいは社員の認識であるからこそ、株主あるいは本来的な社員を軽んじるような経営というものが出てきてしまっているのではないか、また、ワンマン企業が物言えぬ雰囲気をつくり出しているんじゃないか。やはり、そこの意識改革をしっかりとやらなければ、どのような制度構築をしても、それはもうすり抜ける対象でしかないというようなことになりかねないわけですから、会社法の改正だけでなくて、例えば公益通報制度も含めて幅広い議論をしなければいけないというように考えておりますので、ぜひしっかりとした検討をお願いしたいと思っております。

 続きまして、平岡法務大臣の政治姿勢について伺います。

 この委員会あるいは予算委員会でも取り上げられた、大臣秘書官と公設秘書との給与二重取り問題についてお伺いします。

 大臣、あなたは、今回の二重取り問題、制度の欠陥だからしようがないという考えでよろしいんでしょうか。

平岡国務大臣 制度の欠陥というふうに呼んでいいのかどうか、私もそこは、本当に皆さんが欠陥だと思われているのであれば、制度は直さなければいけない。ただ、これまでこうした仕組みがずっと続いていたということについて言えば、やはりそれなりの理由あるいは事情というものがあってこういう状況になっているのではないだろうかというふうに思います。ただ、制度が欠陥であるということであるならば、その欠陥はしっかりと正していかなければならないというふうに思います。

柴山委員 制度的欠陥論以前の問題ではないでしょうか。

 大臣が予算委員会で、いや、二重取りではない、公設秘書が例えば九月二日で辞職をして、後任の公設秘書は九月分の給料は取れませんというふうにお答えになりましたけれども、これはもう当たり前のことであります。問題は、九月一日に公設秘書として採用し、そして二日からその方を大臣秘書官として登用し、そして秘書官としての給与と公設秘書の月割りの給与を二重取りにされてしまって、大臣秘書官としての給与は返納が可能であるにもかかわらず、その返納処理をしなかったということが一般の常識に反するのでないかということが問題とされているわけですけれども、そういう処分をとるように大臣の方から働きかけをしなかった根拠をお聞かせください。

平岡国務大臣 今の御質問、大臣秘書官としての給与を返済しなかったというようにちょっと私には聞こえたんですけれども、大臣秘書官の給与については、私の承知しているところによりますと、日割り計算でございますから、一月分まとめていただいた分については、たしか、彼が勤務しなかった月の残りの部分、働いていない部分に対しては返納をしたというふうに聞いております。

柴山委員 大臣秘書官が辞職をしたのは十月の何日だったんですか。

平岡国務大臣 十月の十九日であったというふうに記憶しております。

柴山委員 今大臣が返納をしたのではないかというようにお答えになったのは、つまり、十月十九日、辞職をした後の、十月十七日振り込みだったかと思いますけれども、一カ月分の給与のうち働いていなかった分の給与を返納したというだけにすぎないわけです。

 公設秘書として九月、そして九月の大臣秘書官としての給与を、二カ月分受け取り、そして十月分の大臣秘書官としての給与をしっかりと、十月一日から十月十九日の勤労の分を受け取っている。それで本当に世間常識が納得するかという質問なんです。

平岡国務大臣 ちょっと今、私、聞き間違ったのかもしれませんけれども、公設秘書の給与を二カ月分受け取っているというふうに言われたような気がしたんですけれども……。(柴山委員「いや、それは違います」と呼ぶ)それは九月分の一カ月ということですね。

 その点については、棚橋委員を初めいろいろな方々から、この委員会あるいは予算委員会でも御質問をいただきまして、私の方からも答えさせていただいておりますけれども、これまでの取り扱いということがそういうことであったということであり、これは野田総理も答弁をしておられますけれども、制度の問題というものがあったということもこういう事態が生じた一つの原因であったというふうに認識をしておるところでございます。

柴山委員 驚きですよ。

 今申し上げたように、秘書給与は九月分、そして大臣秘書官としての給与は九月分と十月の一日から十九日分、都合三カ月分、当該秘書の方は受け取り、そして、二重取りの部分は、大臣秘書官分については理屈の上では返納が可能なんです。

 これについて、返納をアドバイスしていない、制度の問題として何らそのままにして放てきしているということでよろしいんでしょうか。

平岡国務大臣 大臣秘書官分は返納可能であるというふうに今御質問がありましたけれども、大臣秘書官として働いていない部分については、これは返納をしました。ただ、これまで問題となっている公設秘書の分については、返納という仕組みがないということも確認をしております。

 ですから、これを本当に皆さん方が指摘しているような形での事実関係を発生させようと思えば、返納という仕組みではなくて、国庫に対して寄附をするという仕組みで対応せざるを得ないという状況になっている。これも予算委員会で私は答弁させていただいたところでございます。

柴山委員 予算委員会でのテレビ中継入りの棚橋理事からの質問で、公設秘書としての給与については返納という仕組みがない、これは大臣が衆議院の議員課の方に問い合わせをしたところをそのように答えられたということなんですけれども、私が今聞いているのは、大臣秘書官としての九月二日から勤務をしていた分の給与については、公費ですから、何らかの形で返納ということができるのではないかと。棚橋理事も、何らかの形でその部分については返納ができるのでないかということをテレビ中継入りのときにおっしゃっていたと思うんですけれども、これについて検討はされたんですか、されなかったんですか。

平岡国務大臣 九月二日からの九月分の大臣秘書官としての給与については、勤務の実態がございますので、それを返納するということは筋としておかしいのではないかなというふうに私は思いますけれども。

柴山委員 それが一般常識とかけ離れているというんです。

 勤務の実態は確かに大臣秘書官としてはあったかもしれないけれども、でも、公費としては、九月一日の公設秘書としての勤務の分と、それから九月二日以降の秘書官としての給与の分と、これは一本なんですね。にもかかわらず、九月二日から九月末日までは、公設秘書としての給与と大臣秘書官としての給与を二本分丸々もらっているわけです。これがおかしいというように感じられませんか。大臣秘書官としての勤務の実態がある以上、何ら手当てをしなくていいんですかということが棚橋理事の問題提起であったかと思います。

 もう一つ問題があります。

 私が先日この委員会で指摘をさせていただいたとおり、いわゆる公費の詐欺で有罪判決を受けていたことが発覚をしたのは九月下旬であります。九月下旬に発覚しながら、給料日である十月十七日の後の十月十九日に辞表を受理した。そして、翌十月二十日からこの臨時国会が始まり、そこでいろいろな形で追及を受けることが予想された。

 まさしく、臨時国会対策として、そして、給与日をまたいで、その給与をもらうために辞職を引き延ばさせたというふうに疑われても仕方がないんじゃないですか。

平岡国務大臣 柴山委員の今の御指摘について言えば、私が、給与日をまたいで、給与を支給させるために引き延ばしたとかいうようなことは全くございません。これも委員会で答弁させていただいた記憶がございますけれども、私としては、当時、大臣秘書官であったものの、事実関係というものを自分なりに確認をしなければいけない、そういう確認作業等をしなければいけないという状況の中で判断をしてきたということでございます。

 確かに、臨時国会が始まってからそういう事態にならないようにという気持ちを持ってやっておりましたのでタイミングとして十九日ということになったかもしれませんけれども、ただ、十九日にそういう発令を出すためにはもっと前の段階で意思決定をし、そして手続を進めなければならないということもあるわけでございますので、その点は真摯に対応してきたということで御理解をいただきたいというふうに思います。(発言する者あり)

柴山委員 今我が党の議員からも指摘があるとおり、これはかなり古い事件のはずです。そして、既に裁判が終了しているわけですから、一件記録を本人から出させて、本人から事情を聞けば、一カ月かかるはずがないじゃないですか。

 今大臣がいみじくも答弁されましたけれども、十月二十日から臨時国会が始まるということもあったかもしれませんがというようにおっしゃいましたけれども、結局、そういった調査とは関係ない諸事情によってこういった辞職のおくれということがあったんじゃないんですか。もう一度答弁を求めます。

平岡国務大臣 何回も繰り返しになりますけれども、決して、給料日をまたぐためにとか、あるいは少しでも長くいさせてやりたいからとか、そういうことではなくて、自分なりに今度の処分をどうしていくべきなのかということをしっかりと考えていくという中であった話でございます。

柴山委員 全く説得力がない。多分、この委員会質疑をインターネットでごらんになっていらっしゃる方々もそう思われるんじゃないかと思います。

 次の質問に行きたいと思います。

 十二月一日に、堺市で象印マホービン元副社長の尾崎宗秀さんが亡くなった。手足を縛られ、ラップを顔に巻かれるという大変痛ましい事件だったわけですけれども、この事件について大臣はどのように思われますか。

平岡国務大臣 個別事件のことについては、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

柴山委員 私は、それが大臣の犯罪とか犯罪被害者に対する基本的な考え方のあらわれであろうかと思うんです。もちろん、私が聞いているのは、この事件の実態がどうだとか、それに対する刑事処分をどうするべきとか、そういうことまで突っ込んでお話を聞こうとしているわけじゃないんです。こういった凶悪事件があったときに、それに対して、まず、大臣の職責と矛盾しない範囲で、人としてどう感じるのかと。そのことが全く大臣の口からは聞こえてこないんですよ。

 もう一度お伺いします。この事件についてどうお考えなんですか。

平岡国務大臣 報道されている中身は私も承知しておりますけれども、大変痛ましい事件だとは思います。さらに、職責としていえば、こうした犯罪が起こらないような、そうした社会をつくっていくということは、法務大臣、閣僚の一人として与えられている使命であるというふうに思っております。

柴山委員 この委員会で取り上げた、四年前の「太田光の私が総理大臣になったら」というテレビ番組で、息子を少年のリンチで殺害された被害者のお母さんの目の前で、加害者にもそれなりの事情があった、子供たちにどうなってもらいたいのと発言された問題で、大臣はお母様のもとに謝罪に行かれたんですか。

平岡国務大臣 柴山委員の御質問がいつの時点の話をされているのかちょっと私も定かではありませんでしたけれども、お母さんのもとに謝罪に行ったのかという質問であるならば、参りました。

柴山委員 いついらっしゃったのか、その日時をお答えください。

平岡国務大臣 十一月の十三日の日曜日であったというふうに思います。

柴山委員 ことしの十一月。これは私が申し上げるまでもなく、この委員会で同僚の平沢勝栄委員が十月二十五日に質問をして、四年前のその番組で共演をした元同僚の大村秀章議員が、その後、このお母様のところにお線香を上げに行かれたということを指摘されて、それで大臣が新幹線の中から電話一本で済ませたということについて問いただしたのに対して、謝罪に行きますということを約束され、そしてその後行かれたんじゃないかなというように思います。

 ただ、このお母様が大臣の謝罪に全然満足していないんですよ。早く帰ろうという気持ちがありありで心がこもっていなかった、あのときのテレビの自分の発言の言いわけに終始していたと。私は、これはあんまりだったんじゃないかなというように思うんです。

 ちなみに、大臣、この日はお一人で謝りに行かれたんですか。

平岡国務大臣 一人ということではございませんけれども、運転をする者、警護をする者、そういう人たちもおられました。そういう意味では、一人ではございません。

柴山委員 SPさんや運転をされる方を連れてぞろぞろと行かれて、しかも、いろいろとお忙しいのはわかりますけれども、後の日程を気にしてそわそわ、そういったお気持ちは相手に伝わるんです。本当に心から謝罪をされていたのかどうかということについて、かえって御遺族を悲しませる、あるいはいら立たせる、そういうきっかけになってしまったことは、私は非常に残念だと思います。

 大臣のこういった凶悪犯罪に対する考え方、引き続いてお伺いいたします。とりわけ死刑の執行です。

 大臣は、私の先日、十月の質問で、千葉景子元法務大臣が法務省内に設置した勉強会において大臣御自身の考えを整理されている間は当然死刑執行の判断はできないと就任のときの記者会見でおっしゃったということにつき、間違いありませんというようにお答えになりました。そのお考えに変更はあるんですか、ないんですか。明確にお答えください。

平岡国務大臣 今の委員の御指摘については間違いございませんけれども、ただ、私も、この記者会見の模様というものをしっかりと調べさせていただきました。

 確かに私は、勉強会で考えている間は死刑執行をしないのかという点については、勉強会そのものが結論を出すという性格のものでないというものであるとするならば、考えている間は当然判断ができないだろうと思います、その後、ただ、勉強会が結論を出すという性格のものでない以上は、勉強会でやっていることを踏まえて私なりに結論を出していくということはあるのかもしれないというふうに思いますというふうに、ここまでが私の言葉でございまして、今委員が指摘されているのはその前段部分だけを取り出して言われているので、その後の私のいろいろな予算委員会あるいは法務委員会での質疑のときに、何か今まで言ってきたことと違うじゃないかというふうに御指摘をされているという点だろうというふうに思います。

 先ほど私が冒頭に申し上げたところが私が初登庁後の記者会見で申し上げた全体像ということで御理解をいただきたいというふうに思います。

柴山委員 その後、いろいろ質疑を、その後というのは大臣就任後、いろいろと質疑ですとか法務省の仕事をしていくに従って、今お述べになった後段の部分、すなわち、勉強会をやっている間にも死刑執行について職務命令を下す可能性がある、あるかもしれないというより、あるというような形で、慎重ながらこれを進めていく余地が明確にあるということに変わっていったということでよろしいんでしょうか。

平岡国務大臣 表現ぶりは確かに最初の記者会見のときの言い方とは違ってきているかとは思いますけれども、考えている基本は同じだというふうに思っています。制度は制度の勉強として、私は、しっかりと国際的な動向等も踏まえて勉強していかなければならない。そういう勉強会というものが今法務省の中に千葉景子元大臣がつくられたものがあって、まさにやっているわけですから、その制度の勉強もしっかりとやっていかなければいけない。

 ただし、その勉強会というものが死刑制度について何らかの結論を出すという性格のものでない以上は、個々の死刑の取り扱いの問題については私なりに考えていかなければならないという可能性があるというふうな認識を持っているということは、基本の路線として、私は、基本の考え方としてずっと持っているところであり、その考え方に従って、質問の角度といいますか、質問の視点に応じて私が答弁をさせていただいたというふうに考えているところでございます。

柴山委員 何が核で何が周辺なのかよくわかりませんけれども、私は、ただ、大臣の基本的なスタンスが変わっているとは実は思えないんです。それをうかがわせるのが、先日、オウム真理教の遠藤誠一被告の上告審判決が出た十一月二十一日、この後の大臣のコメントなんです。このことに関して大臣が、一般論だが、死刑については慎重に判断していかなければいけない問題だというように述べておられるんですね。

 日本の犯罪史上、最悪のテロを巻き起こして、二十五人以上の死者を出した団体の代表である松本智津夫を含めた幹部の者の処分について聞かれて、このような一般論に終始した慎重なコメントを出すというのは、私は、余りにも法秩序あるいは死刑制度に対する見識の低さをあらわしているんじゃないかなというように思うんですが、いかがでしょうか。

平岡国務大臣 これは何度も答弁したことがございますけれども、死刑というのが極めて重い刑であるということを考えたときには、慎重に判断をしていかなければいけないということは私は間違っていないというふうに思います。

 そういう意味で、法律の規定の中でも、いろいろと死刑執行に当たって考えなければならない要素というようなものも書かれているわけでございます。そういう意味で、私は、執行に当たっては慎重に考えていくということは間違っていないというふうに思っています。

柴山委員 全くお答えになっていません。刑訴法四百七十五条で、今大臣がおっしゃったように、死刑執行に当たっていろいろと考慮しなければいけない問題というのは確かに書かれていますよ。しかし、その一般論をこの上告審判決のときに述べることが果たして対外的なメッセージとしてふさわしかったんでしょうか。私は、このコメントを聞いた、二十五人を超える犠牲者の方々あるいは地下鉄サリン事件で負傷された六千人を超える方々、非常に納得がいかなかったと思うんです。今の御答弁で本当に国民に対して正確なメッセージが発信できたというように大臣はお考えになるんですか。

平岡国務大臣 これも繰り返し御答弁申し上げているところではございますけれども、個々の事案についての死刑執行の問題については、検討しているかどうかも含めて、お答えすることは従来から差し控えさせていただいているという中で、一般論として申し上げたということで御理解いただきたいというふうに思います。

柴山委員 一般論として、あるいは個別の事案については答えられない、それで辞職をした法務大臣もいますけれども、もし大臣が誠実に刑事訴訟法どおりに職責を全うしているのであればそういった答弁もあるいは受け入れられるかもしれませんけれども、大臣のこういった職責に対する姿勢が一向に見えてこないというよりは、逆に非常に後ろ向きである。先ほど私が申し上げたように、直近の凶悪犯罪について、あるいは御自分の被害者の方への対面の姿勢について、そういうところから私は、平岡大臣がこの治安の維持ということについて極めて関心が薄いのでないかというように感じざるを得ないわけです。

 そこで、お伺いします。このオウム真理教の地下鉄サリン事件、発生から十六年余りたちます。平岡大臣は、法務関係のお仕事をされて長いわけですけれども、この地下鉄サリン事件の遺族であられる高橋シズヱさんと何度お話しになったことがありますか。

平岡国務大臣 このオウム真理教の地下鉄サリン事件が発生したときは私もまだ役所に勤めていたときでございまして、平成七年だったというふうに思います。そういう事件というので、大変私も、大きな事件が起こったということで自分自身もショックを受けたわけでありますけれども、今御指摘のあられた高橋シズヱさんについては、お会いしたことはございません。

柴山委員 それでは、犯罪被害者が構成するさまざまな団体がありますけれども、その団体の方ですとか、あるいは被害者の会の岡村勲弁護士とは、これまで何度お目にかかったでしょうか。

平岡国務大臣 岡村弁護士とは、たしか法改正のときの参考人として来ていただいたときに、いろいろとお話を伺ったことがございます。

 犯罪被害者の方々について言えば、犯罪被害者週間がきのうまであったわけでありますけれども、そういう機会にもいろいろな方々にはお会いさせていただいているところでございます。

柴山委員 私は若輩でありまして、平成十六年が初当選です。しかし、私は、この方、当選してからこのわずかな期間に、高橋シズヱさん、そして今お名前を紹介した岡村勲弁護士、あるいは交通被害者の方を初め被害者団体、もう何十回もお目にかかっています。もちろん、弁護士会の方々ともお会いしておりますので、自分として被害者の方々に偏ったさまざまなヒアリングをしているとは思いません。

 ただ、この間、犯罪被害者の救済ということが、今も御紹介があったように国会の場でも議論をされ、そして、民主党の中でもこの法案をめぐってさまざまな取り扱いがされ、そして、平岡大臣も法務委員会の理事をお務めになられる中で、高橋シズヱさんとは全く会ったことがない、岡村弁護士とはこの法改正のときの参考人の質疑でお会いしただけだ、また、大臣になってから被害者週間で犯罪被害者の方々とお会いになっただけだというのは、私はちょっと、これまでの御経歴としてはいささか偏っているんじゃないかなというように思います。

 私と大臣とどちらがその席に座るのにふさわしいかということは、いずれ民意が判断することかというように思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 この私の質問が決まったのが実はついきのうでしたので資料としてお配りするに至っていないんですけれども、ここにあるのは、二〇一〇年五月二十三日、見直せ米軍再編五・二三岩国大集会、来るな艦載機、要らない愛宕山米軍住宅、連帯しよう沖縄・全国と、この集会に冒頭でごあいさつをされている平岡大臣のお姿でございます。

 説明書きがあります。一番手の平岡さんが登壇するや、民主何やってんだ、公約守れと怒号で騒然。平岡さんは岩国出身だそうで、断腸の思い、岩国の意思は総理に必ず伝えますと苦渋の表情であいさつしよったけんど、参加者は冷ややか。一人激高して壇上に上がろうとし、警備の人に連れていかれてしまうという一幕もという説明書きがあるんですけれども、これはホームページからの出典でございます。

 この事件について、平岡大臣、御記憶ですか。

平岡国務大臣 記憶はございます。

柴山委員 このときの平岡大臣の御感想を、あるいは今の時点で結構ですので、お伺いしたいと思います。

平岡国務大臣 民主党が今から二年前の総選挙を戦うときに、米軍再編については、その基地のあり方を含め、見直しの方向で臨むということを申し上げておりました。当時の鳩山代表も、そういう観点に立って普天間基地の問題についてもいろいろと発言をされておられたというふうに思います。私も、民主党政権になってすぐに、そうした見直しの方向で臨むという方向でいた当時の民主党政権に対して、私は政府に入っておりませんでしたので、関係する大臣、外務大臣、防衛大臣等に対して、岩国の問題について、かつての政権ではこういうことが行われている、なぜこんなことになったんだろうかということについてしっかりと検証してほしいという、二十六項目の検証項目というものを提示して取り組んできたわけでございます。

 そういう一連の活動があった中で、最終的に、鳩山内閣の判断として、普天間基地については国外、県外は難しいという判断をされたということに対して、私自身も大変に残念に思いましたし、これに対しての地元住民の皆さんあるいはこれまで運動にかかわってこられた皆さんから私たちに対して厳しい御批判があるということもまたこれはやむを得ないというか、批判は甘受しなければならない、そういう思いでその集会に出させていただいたということでございます。

柴山委員 これまでの大臣のさまざまな活動に照らして、断腸の思いだったということなんですけれども、それでは大臣にお伺いします。

 一川防衛大臣が、つい先ほど、平成七年の九月に沖縄で少女を暴行したという有名な三米兵の事件について聞かれて、この事件について知らなかったというような発言をしたということなんですけれども、平岡大臣の感覚からいって、この一川大臣の発言をどう思われますか。

平岡国務大臣 ちょっと詳しい状況、一川大臣がどういう状況のもとで言われたのかということも私ちょっとわかりませんので、私のコメントは控えさせていただきたいと思います。

柴山委員 中身を知らなかったというコメントだったんです。これについて平岡大臣は、日本の防衛、特に米軍再編について責任あられる防衛大臣としてどのように受けとめていらっしゃいますか。

平岡国務大臣 柴山委員の言われていることを別に疑うわけではないんでございますけれども、どういう状況のもとでどういう表現を使われてどうなのかということがわからないということもございますので、私としてはコメントは差し控えさせていただきたいというふうに思います。(発言する者あり)

柴山委員 今、同僚の稲田理事の方からも話がありましたけれども、支援者はがっかりすると思いますよ。

 最後に、大臣、このときの、というのは五・二三岩国大集会のときのいわゆる五団体との懇談会についての大臣の御発言を紹介しておきます。これもホームページが出典です。私は日本に外国の軍隊が居続けるのはおかしいと思う、あなたはこのように支援者の方々の前でおっしゃっているわけですよ。あなたのこういったスタンスと今のさまざまな答弁の食い違いというものを決して有権者の方々は見過ごさないであろうということを最後に申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小林委員長 次に、城内実君。

城内委員 国益と国民の生活を守る会の城内実でございます。

 本日は、前回に引き続き、人権救済機関について質問させていただきます。また、時間がありましたら、先ほど柴山委員からも質問がありましたけれども、死刑廃止問題について、さらに司法修習生の給費制問題についても時間があれば質問させていただきたいと思います。

 本題に入る前に、実はきょう、ある新聞記事を見つけまして、これはきのうの、一日付の産経新聞の記事なんですけれども、企業・団体からの献金を受けている民主党の閣僚のリストであります。その中に、平岡法務大臣が二十万円という額を受領しているということが報道されておりますけれども、それは事実でしょうか。

平岡国務大臣 それは政治資金収支報告書に記載してあることでございますので、事実でございます。

城内委員 事実だと今おっしゃいましたが、もし差し支えなければ、どこから、どのような企業あるいは団体から二十万円の献金を受けたか、お答えいただけないでしょうか。

平岡国務大臣 それも政治資金収支報告書に書いてあることでございますけれども、名古屋にある企業でございます。この場で名前を出すことがいいのかどうか、ちょっと私も、正確な名前を間違ってしまってはいけませんので、ちょっと差し控えさせていただきたいというふうに思います。

城内委員 大臣は企業・団体献金についてどのような考えをお持ちでしょうか。企業・団体献金は将来やめるべきなのか、それとも継続するべきなのか、そのお考えを述べていただきたいと思います。

平岡国務大臣 これは閣僚としてということではなくて、従来から私が申し上げていた話としては、これは、企業・団体献金はみんなでやめていくという方向でいいんではないかということを申し上げてきたところでございます。

城内委員 であれば、私の承知している限りでは、民主党は政権公約で、政治資金規正法を改正し、三年後に企業・団体献金を廃止すると明記されておりますけれども、今おっしゃったように、大臣は廃止すべきであると言いながら何で受領しているのか、私は全くわからないんですね。

 大臣自身が、しかも法務大臣ですよ、率先して何か公約違反をしているようにしか見受けられないんですが、その点について、大臣、どのようにお考えでしょうか。

平岡国務大臣 今、城内委員が読み上げられたことの中には、直ちにやめるというふうに書いていたわけではないと思います。そういう意味では、公約違反という言葉は当たらないというふうに思います。

 一つの考え方として言えば、企業・団体献金といえども浄財でございます。そういう資金を我々は本当に貴重な財源としていただいて活動しているわけでございますので、そこはやはり政治家全体の問題として考えていかなければならない問題であるというふうに私は思っております。(発言する者あり)

城内委員 いや、まさに、今、棚橋理事もおっしゃっているように、さっきの答弁と全然違うんですよね。

 だから、やめるべきだったら、三年後というのじゃなくて、すぐ、大臣が率先して、もう受け取らないというふうにすべきじゃないですか。額も少額ですから。私は、何で受領したかよくわからないんですが、来年は、もし企業・団体献金があったら、大臣はお受けになるんですか。

平岡国務大臣 私としては、この問題は、やはり制度の問題としてしっかりと取り組まなければならない問題だというふうに思っております。そういう意味で、個別の問題としてどうするかということについては、発言は差し控えさせていただきたいと思います。

城内委員 何かもう全く理解のできない答弁で、これ以上時間を消費したくないので、この問題については、また質問させていただきたいと思います。

 前回、十月二十五日の法務委員会で、私は人権救済機関について質問させていただきました。残念ながら、大臣が余りこの問題について詳しくない、大変失礼な言い方をしますと、勉強不足であるというような印象を受けました。その間、一カ月以上たっているわけですけれども、この問題については、大臣も所信で非常に重要な案件だとお認めになっているわけですから、かなり深く勉強されたと思うんですが、いま一度、前回と繰り返しになりますけれども、この問題について質問させていただきたいと思います。

 まず、大臣に質問ですが、人権救済機関を設置する必要性について、政府としての見解を質問したいと思います。所信の立場と現在もお変わりないのでしょうか。

平岡国務大臣 変わっておりません。

城内委員 では、大臣は記者会見で、これは九月二日の大臣就任の記者会見です。先ほど野田総理から六点の重要課題について御指示を受けたと。その中の三番目の項目として、新たな人権救済機関の設置というふうにおっしゃっておりましたけれども、野田総理からどういう指示を受けたのでしょうか。お答えできますでしょうか。

平岡国務大臣 正確な一言一言を覚えているわけではございませんけれども、新たな人権救済機関の設置に向けて仕事をしてくれということであったというふうに思います。

城内委員 私は、野田総理は常々、この問題については、どちらかというと慎重派であったというふうに理解しているんですけれども、本当にそういう指示が総理からあったとはにわかに信じられないんですが、具体的にはどういう形式で指示を受けたのですか。口頭ですか、それとも文書ですか。

平岡国務大臣 これは文書に基づいて、口頭で指示もいただきました。今、ちょっと手元に、そのときのものが入りましたので、申し上げたいと思います。

 総理からは、国民の人権が保障され、安心して暮らせる社会をつくるため、新たな人権救済機関の設置に向けた具体的作業を進めるということの指示をいただいたわけであります。

城内委員 要するに、野田総理から、そういう文書で指示を受けたということですね。

 次の質問に移りますけれども、大臣が以前、記者会見で、来年の通常国会での法案提出に向けて今作業を進めているというようなことをおっしゃっておりましたけれども、その中で、国民の理解を得られるような制度の構築を目指しというふうにも述べておられるんですが、私も国民の一人なんですが、全く理解が得られていないんですね。

 この点について、現在の進捗状況というのをお答えいただきたいんですけれども、今どういう状況なんでしょうか。

平岡国務大臣 これは前の政務三役の体制でございましたけれども、人権救済機関についての基本方針というものが出されました。それに基づいて、今、関係する省庁あるいは関係する団体等との間でいろいろな具体的な詰めを行っているというような状況でございます。

 先ほど委員の方から法案提出の話にちょっと触れられましたけれども、そのときは、個人的には遅くとも来年の通常国会には提出したいというふうに申し上げたような記憶がございますけれども、この段階に至っておりますと、遅くともという言葉が多分もう実務的にも事実上も難しい状況になってきているのかなというふうには考えております。

城内委員 TPPもそうなんですけれども、私も手元に法務省政務三役の基本方針がありますけれども、プロセスを全部明らかにしろとは言いませんけれども、この政務三役の基本方針の二枚紙が公開されただけで、全く、だれがどこでどのような議論をしているかというのがわからないんですね。これは、まさに先般のAPECにおけるTPP参加表明と同じように、もう最初から結論ありきで、そのプロセスについては一切知らされてない。私は、どちらかというとこの人権救済機関については常にアンテナを張って情報収集をしているんですけれども、本当に断片的なものすら入ってこないんですね。

 ですから、これは本当に、一億二千万人を超える日本に住んでいる国民あるいは外国人すべてが対象となるわけですから、こういった議論というのはむしろ積極的にオープンにして、今法務省ではこういうふうに検討しています、どうでしょうかということを、今ホームページ、インターネットの時代ですから、一般の国民の皆さんに意見を問うたらどうですか。大臣、それをおやりになりますか。

平岡国務大臣 委員御指摘の点については、私も、できる限り、国民の皆さんにこの議論に参加していただけるようにといいますか、議論が深まっていくような努力をすべきであるというふうに思っています。

 実は、基本方針を出しましてから、いろいろな問い合わせが法務当局の方に来ているようでございまして、そういう問い合わせの中で、ちゃんとこれは、もう少し詳しく説明しなければならないんじゃないかとか、あるいは、場合によっては誤解をされている面があるかもしれないので、もうちょっときちんと説明しなければいけないんじゃないかということについては、この基本方針をしっかりと説明するようなものをつくりました。たしか来週の初めぐらいにでもそれをホームページに立ち上げて、この基本方針で考えていることが具体的にどういうことなのかということをもっと説明するものを出したいというふうに思っております。

 ぜひ、そういう作業も通じて、国民の皆さんとしっかりと対話といいますか議論を深めていきたいというふうに思っておりますし、これはいずれ法案という形で国会で御審議をしていただくということにしたいというふうに思っていますけれども、その立法作業の過程の中でも、できる限り国民の皆さんの意見が聞けるような、そういう努力はしてまいりたいというふうに思います。

城内委員 重ねて申し上げますけれども、この問題というのは国民すべてが対象になる非常に重要な案件ですので、十分やはり議論をしていただきたいと思います。

 今、基本方針のお話をされましたけれども、ちょうど九月二日の大臣の初登庁後の記者会見で、大臣はこういうことをおっしゃっているんですね。野党の方々に理解をしていただけるような内容に、少しマイルドなものにしていくというようなことも考えなければならないと。マイルドなものにするというのは、そもそも原案が劇薬のように大変危険であるから、野党ものんでもらうためにマイルドにしたというふうにしかとれないんですね。

 私、基本方針を持っておりまして、見たところ、七の特別調査については、本来ならば調査拒否に対する過料等の制裁を想定されていたんでしょうけれども、当面置かないこととする、改めて検討すると。八の救済措置についても、訴訟参加及び差しとめ請求訴訟の提起については当面導入をしないということで、マイルドなものにしたと。一番問題なのは九の「その他」で、「制度発足後五年の実績を踏まえて、必要な見直しをすることとする。」と。

 これはもう要するに、子供だましじゃないですけれども、マイルドなものにして野党にも賛成させて、何か民主党のPTでも発言があったらしいですが、小さく産んで大きく育てると。最初はマイルドなようなものに見せておきながら後で劇薬にするということじゃないかと思うんですが、この点について、大臣、どのようにお考えですか。

平岡国務大臣 委員が、もともとのものは劇薬でなかったのか、そういう御発言でございますけれども、実はまだ民主党政権になって具体的なものを発表したことはございません。あくまでも、この基本方針の中でいろいろるる語っているのは、平成十三年の人権擁護推進審議会の答申で出されたものを踏まえて、当時の政府から法案が提出されています。その法案の中に、ここに書いてあるような、今議員が御指摘になったようなことがるる書いてあるわけですね。そういうことについての議論もいろいろあったという理解のもとに、先回の、前の政権が出された法案で検討されていたこういうものについては、今回我々の法案の中ではこういうふうにしていこうよというふうにしたということであります。

 それともう一つ、九番目の、見直しなんですけれども、これは、小さく産んで大きく育てるという人もいるかもしれません。でも、そうじゃなくて、こういう仕組みをつくるときには、通常、何年間かたってしっかり見直しをするというのは従来からよく行われている話でございますし、こういう委員会制度をつくった前例となるものにもこうした見直し規定というものが入っているということなので、我々としても、やはり改めるべきは改めるという姿勢は常に持ちながら、こうした重要な法案について取り組んでいきたいということをお示しさせていただいたというふうに思います。

城内委員 私は、とりあえずつくって見直しというんじゃなくて、そもそもこういう機関は必要ないんじゃないかということを極めてこれまで論理的に述べてきたつもりであるんですけれども、やはり最初から設置前提ありきで、小さく産んで大きく育てるということを大臣はまさにおっしゃったわけですけれども、違いますか。(平岡国務大臣「いやいや、そういう人もいるかもしれませんと言っただけです」と呼ぶ)

 まあ、もう時間が余りないので、次の質問に移らせていただきます。

 まず、人権救済機関を設置しないと救済できない人権侵害事案の具体例について、大臣は前回、十月二十五日の質問で、雇用の場面以外での差別とおっしゃいました。その一例として、大臣は、学校における体罰、いじめ、これはまさに私としても看過できない大きな人権侵害事案だと思いますけれども、これこそ、個別法をつくったり、あるいは教育の現場でしっかりと指導をするとか、そういう対応が私はより現実的だと思いますけれども、大臣はどのように考えていらっしゃいますか。

平岡国務大臣 この前も、個別法による対応ということを委員の方からもいろいろと御指摘がございました。

 我々としては、個別法による救済制度が重要であるということは当然だとは思いますけれども、個別法による救済制度の整備されていない分野というのは、先ほどの御指摘があったような点については整備されていないということでございますけれども、これからどのような人権問題が発生してくるのかというのは、時代の推移によってもいろいろ変わってくるという点もあると思いますし、あるいは、この問題についてはどこに言ったらいいんだろうかというような点について、国民の皆さんにとって幅広い窓口となっている、利用のしやすさというような問題もあろうかというふうに思います。

 さらに言えば、例えば、個別問題でつくれば、それによって、またそれに対応する組織というものをつくっていかなければいけないといったような問題もあろうかというふうにも思います。そのこと自体は、行政のスリム化というような点からも問題があるというふうにも思います。

 そういうことを考えますと、やはり我々が今提案させていただこうとしている人権救済機関というのは存在意義があるというふうに考えているところでございます。

 なお、この点については、先ほど私が申し上げました人権擁護推進審議会、平成十三年の五月に答申をいただいておりますけれども、その場においても同じような考え方で指摘がされているところでございます。

城内委員 今まさに、大臣、個別法をつくっていけばまた新たな組織をとおっしゃって、行政のスリム化が重要だと。私は、まさに、人権侵害救済機関をつくることが行政のスリム化に逆行するということをこれまで何度も指摘させていただいたんです。別に、個別法をつくっても、人権擁護局という立派な組織があるわけですから、そこで新たな組織をつくらずにきちっと対応できると私は思いますので、その点は、大臣がおっしゃっていることは全く理解に苦しみます。

 ですから、機関を設置しないと救済できない人権侵害というのは何かあるんですかね。そういうニーズがあればいいですけれども、これから将来そういうものが出てくるという非常に不確実な状況において、とりあえずつくっておこう、そして大きく育てていこうと、何かこれこそまさに行政のスリム化に逆行すると思います。

 では、いじめ以外に具体的に何かあるんですかね、そういう機関を設置しないと救済できないと大臣がおっしゃる人権侵害事案があるんでしょうか。あったら教えていただきたい。

平岡国務大臣 個別法により救済制度が整備されていない分野としては、先ほど、雇用の場面以外の差別ということの例の一つとして、学校における体罰、いじめというふうに言われましたけれども、実は、学校における体罰、いじめという範疇も当然含まれる場面がありますけれども、雇用の場面以外の差別というものとして、例えば女性に対するもの、高齢者に対するもの、障害者に対するもの、同和関係者に対するもの、外国人に対するものといったようなもので、かつての人権侵犯事件として取り上げたものもございます。それから、名誉毀損、プライバシー侵害ということで、これまで人権侵犯事案として取り上げてきたものがあるということでございます。

城内委員 今の御説明を聞いて、やはり人権侵害救済機関というのは設置する必要がないんじゃないかというふうにしか一般の国民は理解できないと思うんですね。

 差し迫った、次から次へと新たな形態の人権侵害というものが続出しているという現状があればまだしも、私の承知している限りでは、年に二万件ある人権侵犯事案のうち、ほとんど、九九%以上が適切に処理されて、それはやはり、全国に散らばっていらっしゃる人権擁護委員の方々が適切に対応しているし、また人権擁護局も人権啓発に努力しているから、こういう、国際標準でいえば非常にいい成績がある、状況であると私は思っています。

 本当に救済できない人権侵害というのは事実上ないと私は思うんですが、ちょっと質問の切り口を変えます。

 先般、外国における人権救済機関の点について、大臣は、よくわからないということで、事務方から何か紙をもらって読んでいましたけれども、その後、相当勉強されたと思います。例えば、米国やスウェーデンの人権救済機関というのは、人権侵害の被害者のタイプに応じてきちんと整理してやっていて、日本の、まさに大臣が目指している、何でもありの化け物のような人権侵害救済機関というのはほとんどないというふうに私は理解しているんですけれども、大臣、どうでしょうか。

平岡国務大臣 その点についても、いろいろ調査もさせていただきました。

 委員が御指摘の、何でもありの化け物というのはないというお話なんですけれども、実は、人権委員会等については、どういう権限のもとにどういう分野を扱うのかという点がまさに重要でありまして、委員が御指摘になっているものについては、分野を限定して書いてあるような部分については、権限がかなり強い部分についてそういうふうに書いてあるというような状況になっておりました。

 手元に私が持っているものの中で、国連人権高等弁務官事務所、OHCHRが平成二十一年に調査結果を出したものを見ますと、これは、百カ国を超える国内人権機構にアンケートをし、六十一機関から回答を得たというものでございまして、それについては、その八五%、四十七機関が、個人からの申し立てを取り扱う権限というのはすべての個人の権利をカバーしているというふうに回答をしているというものがございます。

 諸外国の機関が取り扱う人権侵害の範囲を法律上限定しているような形で書いているのは、法律に明記された権限が限定されていることを意味するにすぎませんで、法律に列挙された人権侵害以外の人権侵害についても、行政指導等の任意的な手法により、個人からの申し立てに対応している機関が存在しているというふうに考えているところでございます。

城内委員 であれば、大臣、諸外国でそういう機関がある、だから日本もそういう機関を設置する必要があるとおっしゃっているんですか。

平岡国務大臣 これは諸外国の例を参考にして議論をしているということでありまして、諸外国がそうだから日本もこれがということじゃなくて、やはり日本においても、これまで、人権問題については法務省の人権擁護局というのが、まさに法務大臣の指揮下のもとに取り扱ってきたわけでございます。

 パリ原則によりましても、そういう人権を担当する組織というのは政府からできる限り独立した存在でやはり取り扱うべきである、こういう考え方があるわけでありまして、我々は、今まで人権擁護局でやってきた、これは六十年以上にわたる歴史を持ってやってきた、このことを、法務大臣がその権限のもとに行うというよりは、むしろ政府から独立した第三者機関という立場に立った人たちが中立公正な立場で物事を進めていくということをまず第一に考えたい。

 権限について言えば、本当にありていに言えば、今まで人権擁護局がやってきたものについて言えば、法律的には設置法の根拠しかないような状況になっているわけですね。そういうものもしっかりと法律的な位置づけを明確にして、しかしながら、基本方針にも書いてありますように、強制的な権限を持ってやるとか、あるいは強制的な措置を講じるとかというような部分は、できるだけ今までやってきたことと並びの形で整理をしていきたい、こういうふうに考えているということでございます。

城内委員 大臣は今、政府から独立したとおっしゃいますけれども、まさに法務省の外局ですよね。そして、いわゆる三条委員会という相当強い権限をもって、日本に住んでいるあらゆる人たちを対象にするわけですね。これは本当に、暴走をして、非常に危険な機関になる可能性があると私は思います。

 また、独立したとおっしゃいましたけれども、法務省の職員の方とかを配置がえして、あるいは先ほど窓口という話をされましたけれども、一本化された窓口が必要であると。そういう窓口というのであれば、地方の法務局が当然その窓口になると思いますけれども、別に抽せんで例えば人権委員会の委員を選ぶわけじゃなくて、国会の同意人事ですよね。そうしたら、当然、場合によっては与党の御用学者みたいな方が選ばれる可能性だってあるわけですから。

 私からすると、本当に政府から独立した機関をつくるのであれば、まさに裁判員のように、一般国民から募集するようなことであればまだしも、全然独立でも何でもなくて、法務省の影響が非常に強い、一見独立しているようだけれども独立していない、極めて強い権限を持っている三条委員会の機関にしか見えないんですけれども。反論していただけますか、私の今述べたことに対して。

平岡国務大臣 委員の御指摘も、いろいろな角度から見た場合にはあるのかもしれませんけれども、例えば、今の日本にある三条委員会の委員の構成というものが、本当に特定の政党の、あるいは特定の政治勢力の強い影響下のもとに選ばれた人がそういう方針に基づいてやっているのかといえば、私は決してそんなことはないだろうというふうに思います。そこは、今までの三条委員会の委員の選任についての長年の蓄積の中で、やはりこういう組織にはこういう人がふさわしいんだという多くの方々の賛同が得られた方がついておられるということで御理解いただきたいというふうに私は思います。

 それから、三条委員会という強い権限を与えてというふうに言われましたけれども、三条委員会がどういう権限を持つのかという点について言えば、これはまた法律で具体的に規定をしていくわけですね。その中で、こういう組織の三条委員会にこういう強い権限を与えるのはおかしいじゃないかということであるならば、その権限はまた法律で弱めていくとか、あるいは与えないでいくとかいうこともそれは当然あるわけでありまして、基本方針の中に示させていただいている三条委員会が持っている権限というのは、私は、そんなに強い権限を与えてはいない。調査をするのに罰則で担保してやるとか、あるいは強制的な措置をさせるとかというようなことについては、それは中には含めさせていただいていないということでございます。

 さらに、こういう点について問題だということがあれば、それはまたしっかりと議論をさせていただきたいというふうに思います。

城内委員 今そういうことをおっしゃいましたけれども、三条委員会でやること自体がやはり権限が強いんですよね。今、大臣が、特別調査とか救済措置については当面やらないと。だから大丈夫だということにはならなくて、これは悪意を持って、将来、まさに特高警察じゃないですけれども、こういう機関を使ってレッテルを張って、おまえは人権侵害をやった者だというのを恣意的にレッテル張りをして、政治生命を奪うようなことだってあるわけですよ。そういう可能性はあるわけですよ。

 私はドイツにおりましたけれども、ナチスの経験があるから、こういう危険な機関をつくるときには、非常に、例えば人権の定義を本当にしっかりして、利用されないようにするということをやはり歴史から学んでいるわけですから、本当にその点をよく検討していただきたいと思います。

 まだまだ質問したいことはたくさんありますけれども、もう時間がないのでこれで終わりますけれども、また次の機会に、この人権侵害救済機関について質問させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

小林委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、裁判所法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。平岡法務大臣。

    ―――――――――――――

 裁判所法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

平岡国務大臣 裁判所法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。

 この法律案は、司法修習生がその修習に専念することを確保するための修習資金を国が貸与する制度について、修習資金を返還することが経済的に困難である場合における措置を講ずるものでありまして、その内容は、最高裁判所は、修習資金の貸与を受けた者について修習資金を返還することが経済的に困難である事由として最高裁判所の定める事由があるときは、その返還の期限を猶予することができるようにするものであります。

 以上が、裁判所法の一部を改正する法律案の趣旨であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。

小林委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

小林委員長 この際、本案に対し、大口善徳君から、公明党提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。大口善徳君。

    ―――――――――――――

 裁判所法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

大口委員 ただいま議題となりました裁判所法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。

 司法修習生に対する経済的支援のあり方については、昨年の裁判所法の一部を改正する法律の委員会決議を受けて法曹の養成に関するフォーラムにおいて検討が行われ、修習資金の貸与制を開始し、経済的理由による返済猶予を規定する政府案が提出されたところであります。

 しかしながら、法曹の養成に関する制度について、法科大学院の志望者の減少、司法試験の合格率の低迷を初めとするさまざまな問題点が指摘されている現状を踏まえれば、制度全体の見直しを早急に行う必要があります。貸与制についても、この全体の見直しの中で、法曹の養成における司法修習生の修習の位置づけを踏まえつつ検討が行われるべきであり、その間については、貸与制への移行を停止し、給費制を復活、維持すべきと考え、本修正案を取りまとめた次第です。

 本修正案の概要としては、第一に、裁判所法の一部を改正し、平成二十五年十月三十一日までの間、貸与制を停止し、暫定的に司法修習生に対し給与を支給することとしております。また、貸与制については、法曹の養成に関する制度についての検討において、法曹になろうとする者が経済的理由から法曹になることを断念することがないよう適切な財政支援を行う観点から、司法修習の位置づけを踏まえつつ、検討するものとしております。

 第二に、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律の一部を改正し、政府は速やかに、法曹の養成に関する制度について、別に法律で定めるところにより合議制の機関を設置し、その意見を聞いて検討を加え、その結果に基づいて平成二十五年十月三十一日までに所要の措置を講ずるものとしております。

 以上が、本修正案の趣旨及び概要であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

小林委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十八分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © 2014 Shugiin All Rights Reserved.