衆議院

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第2号 平成24年3月2日(金曜日)

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平成二十四年三月二日(金曜日)

    午後一時二十分開議

 出席委員

   委員長 小林 興起君

   理事 熊谷 貞俊君 理事 黒岩 宇洋君

   理事 階   猛君 理事 辻   惠君

   理事 樋口 俊一君 理事 稲田 朋美君

   理事 棚橋 泰文君 理事 大口 善徳君

      井戸まさえ君    大西 孝典君

      大山 昌宏君    加藤  学君

      勝又恒一郎君    川口  浩君

      京野 公子君    桑原  功君

      高井 崇志君    滝   実君

      橘  秀徳君    玉置 公良君

      中屋 大介君    平山 泰朗君

      皆吉 稲生君    河井 克行君

      城内  実君    北村 茂男君

      柴山 昌彦君    平沢 勝栄君

      森  英介君    柳本 卓治君

      漆原 良夫君    中島 政希君

      横粂 勝仁君

    …………………………………

   法務大臣         小川 敏夫君

   法務副大臣        滝   実君

   法務大臣政務官      谷  博之君

   法務委員会専門員     岡本  修君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二日

 辞任         補欠選任

  大谷  啓君     大山 昌宏君

  小室 寿明君     高井 崇志君

同日

 辞任         補欠選任

  大山 昌宏君     大谷  啓君

  高井 崇志君     小室 寿明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


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     ――――◇―――――

小林委員長 これより会議を開きます。

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、法務行政等の当面する諸問題について、法務大臣から説明を聴取いたします。小川法務大臣。

小川国務大臣 このたび法務大臣に就任した小川敏夫です。どうぞよろしくお願いいたします。

 昨年九月まで法務副大臣として法務行政に携わっておりましたが、今度は法務大臣としてその重責を担うこととなり、身の引き締まる思いでございます。

 法務行政は、社会の法的基盤を整え、国民の生活を支える重要な役割を担っており、法秩序の維持と国民の権利利益の擁護を通じて、国民が安心して生活できる社会をつくることがその大きな役割であると考えております。

 法務行政はさまざまな分野で課題を抱えており、一つ一つの課題に対して丁寧に向き合う必要があると考えております。国民の皆様からの御意見や国会等における御議論などを真摯に受けとめ、政務三役及び省内でも十分に検討した上で、政策に反映させていきたいと考えております。

 広島刑務所逃走事件について。

 さて、本年一月十一日に広島刑務所において発生しました受刑者の逃走事件につきましては、施設の近隣住民の皆様を初めとしまして、国民の皆様に多大な御迷惑と御心配をおかけいたしました。心よりおわび申し上げます。

 被収容者の身柄の確保を責務とする刑事施設において逃走事件が発生したことは極めて遺憾であり、矯正局の検証チームにおいて、原因の究明に努めるとともに、講じるべきと認められた再発防止策については既に講じてきたところでございますが、今後とも、このような事件の絶無を期すべく、取り組みを進めてまいる所存でございます。

 検察改革については、これまでに検察の再生に向けた種々の具体策を策定、実施しているところであります。刑事司法において重要な役割を担う検察が、その存立の基盤ともいうべき国民の信頼を取り戻し、その使命を全うすることができるよう、引き続き検察改革に取り組んでまいります。

 現在の刑事司法制度が抱える問題点に向き合い、被疑者取り調べの可視化を含む新たな刑事司法制度の構築に積極的に取り組んでまいります。この点については、現在、法制審議会において審議が進められており、その審議における実証的な検討に資するよう、検察において被疑者取り調べの録音、録画の試行を行っているところであります。今後とも、この試行を積極的に実施し、その結果を踏まえた検証を行うなどの取り組みを進め、時代に即した刑事司法制度の構築に向けて、充実した審議が行われ、できる限り早期に結論が得られるよう尽力してまいります。

 国民主権の理念に従い、国民にとってより身近で、より利用しやすい司法を目指した司法制度改革は、各制度の実施段階に入っております。今後は、その運用状況を見定めながら、さらに制度の成熟に向け努力してまいります。

 法曹養成制度の検討でございますが、司法制度改革において新たに導入した法曹養成制度については、質、量ともに豊かな法曹を養成することを目指したものでありますが、各方面からさまざまな問題点が指摘されており、司法制度改革の理念を踏まえつつ、広く制度のあり方全体について検討を行うため、内閣官房、総務省、財務省、文部科学省及び経済産業省と共同して、法曹の養成に関するフォーラムを開催し、検討を行っています。

 衆議院において継続審議中の裁判所法の一部を改正する法律案につきましては、十分に御審議の上、速やかに成立させていただきますようお願いいたします。

 また、今国会においては、司法の中核をなす裁判所の体制の充実強化等を図るため、判事の増員等を内容とした裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を提出しているほか、外国法事務弁護士による法人の設立を認める外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案を提出する予定です。十分に御審議の上、速やかに成立させていただきますようお願いいたします。

 日本司法支援センター、愛称法テラスは、民事法律扶助業務や国選弁護等関連業務など、国民への法的支援の中心的機関として大きな役割を果たしております。また、東日本大震災の被災地に臨時出張所を設置して現地のさまざまな法的ニーズに対応するなど、被災者の法的支援業務にも精力的に取り組んでいます。今後も法テラスの業務体制の一層の充実に努め、法テラスが行う国民のためのさまざまな取り組みを支援してまいります。

 裁判員制度につきましては、裁判員の方々の誠実な取り組みにより、国民の間に定着しつつあります。引き続き、この制度が国民の御理解を得ながら円滑に実施されるよう、関係機関とともに尽力してまいります。

 法的な物の考え方を身につけるための法教育は、自由で公正な社会の担い手を育成する上で不可欠なものでありますが、社会の複雑多様化に伴い、その重要性はますます高まっております。

 我が国の未来を担う若者が法や司法に対する理解を深めることができるよう、子供たちへの法教育を推進いたします。

 犯罪対策の中で、刑務所出所者等の再犯を防止することは非常に重要な課題であり、政府の新成長戦略にも掲げる刑務所出所者等の社会復帰支援をさらに推進してまいります。

 具体的には、まず、刑務所等での改善指導や職業訓練、保護観察中のプログラム等の処遇や教育を一層効果的なものにするとともに、刑務所出所者等の住居や就労の確保等の社会復帰支援対策を充実させてまいります。また、そのための体制整備として、刑務所等の施設整備、保護司の方々に対する支援の拡充を進めます。

 さらに、今後は、犯罪対策閣僚会議のもとに設置されている再犯防止対策ワーキングチームにおいて、関係府省との協力関係を密にしながら、中長期的な視点に立った総合的な再犯防止対策を検討、推進してまいります。

 なお、衆議院において継続審議中の刑法等の一部を改正する法律案及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案について、十分に御審議の上、速やかに成立させていただきますようお願いいたします。

 少年矯正につきましては、社会に開かれ、信頼の輪に支えられる少年院、少年鑑別所を目指して諸改革に取り組んでいるところですが、少年の健全育成を図るという少年矯正の理念にふさわしい法的基盤を整備するため、少年院法案、少年鑑別所法案とそれらの整備法案について閣議決定し、今国会に提出することといたしました。

 民事基本法の整備につきまして、民事基本法についても、国民の意識や社会情勢の変化に対応し、必要な見直しを進めてまいります。

 今国会においては、国際的な子の連れ去り問題に対処するため、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約、いわゆるハーグ条約を実施するために必要な法律案を外務省とともに提出する予定であります。

 また、現在、法制審議会においては、民法の債権関係及び会社法制について、それぞれ見直しに向けた審議が行われております。今後、これらの審議結果を踏まえて、必要な法的整備を行ってまいります。

 東日本大震災からの復興のため、倒壊した建物の職権による滅失登記の実施や地図の修正等の施策を推進してまいります。また、全国的に取り組んでいる登記書備えつけ地図の整備についても、引き続き積極的に取り組んでまいります。

 政府からの独立性を有する新たな人権救済機関の設置については、これまでの政務三役が築いてきた検討の成果を踏まえ、国民の理解を得られるような制度の構築を目指し、今国会での法案提出に向け作業を進めてまいります。それとともに、国民の人権が保障され安心して暮らせる社会をつくるため、引き続き、人権啓発活動の効果的な実施に努めるほか、人権侵犯事件の調査・救済活動を適正に行ってまいります。

 また、人権諸条約に基づく個人通報制度の導入については、通報事案への具体的対応のあり方や体制整備について、関係府省とともに検討を進めてまいります。

 北朝鮮関係については、金正日総書記の死去後の情勢等、その動向の把握に努めるとともに、日本人拉致問題等の重大な問題の解決にも資するよう、関連情報の収集、分析等を積極的に行ってまいります。国際テロについては、調査を一層充実することにより、その防止に努めてまいります。また、オウム真理教については、団体規制法に基づく観察処分の四回目の期間更新がなされました。引き続き、観察処分を適正かつ厳格に実施することにより、公共の安全の確保に努めてまいります。

 東日本大震災からの復興や我が国の経済成長のためにも、外国人観光客や我が国の活力となるべき外国人の円滑、適正な受け入れの促進が重要な課題であると認識し、適切な対応を進めてまいります。

 これまで新成長戦略にのっとり、観光立国の推進の観点から円滑な出入国管理を進めてまいりましたが、さらにその取り組みを推進するとともに、昨年末に基本的枠組みがまとまった、優秀な海外の人材に対して出入国管理上の優遇措置を講じるポイント制について、その導入の準備を着実に進めてまいります。

 他方、国際的に依然として脅威となっているテロを防止する等の観点から、バイオメトリクスの活用等により、違法行為をもくろむ外国人の入国を水際で確実に阻止してまいります。

 また、本年七月には、新しい在留管理制度がスタートすることとなっております。昨年十二月には新しい在留管理制度に関する政省令を公布しておりますが、引き続きその円滑な施行に向けた準備を着実に進めるとともに、退去強制事由該当者についても、その摘発の推進や自発的な出頭を促す等して一層の減少に努めてまいります。

 さらに、昨年の第百七十九回国会では、難民の保護と難民問題の解決策への継続的な取り組みに関する決議が衆議院本会議及び参議院本会議において全会一致で採択されました。法務省としましても、その趣旨を十分に尊重いたしまして、難民調査官の育成や、より適切な制度運用、パイロットケースとして実施されている第三国定住による難民の円滑な受け入れなど、難民問題への対応に引き続き積極的に取り組んでまいります。

 国際貢献に関しては、現在、国際連合と協力し、我が国と関係の深いアジアの国々等の刑事司法実務家を対象とする国際研修等を行っています。また、開発途上国の基本法令の起草や法律家の人材育成等を柱とする法制度整備の支援も行っています。これらの国際協力は、各国における法の支配の実現に貢献するものとして関係諸国の期待も高まっておりますので、その期待に応えるため、より一層積極的に取り組んでまいります。

 結びとしまして、委員長初め委員の皆様方には、平素から法務行政の運営に格別の御尽力を賜っております。安心、安全な社会の構築に向け、法務大臣として、滝副大臣、谷大臣政務官とも協力し、さまざまな課題に全力で取り組んでまいりますので、より一層の御理解と御協力をいただきますよう、よろしくお願いいたします。(拍手)

小林委員長 次に、平成二十四年度法務省関係予算の概要について説明を聴取いたします。滝法務副大臣。

滝副大臣 平成二十四年度法務省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 まず、法務省所管の一般会計予算額は七千三百二十五億八百万円となっており、前年度当初予算額七千五百七億九千五百万円と比較しますと、百八十二億八千七百万円の減額となっております。

 また、法務省所管の東日本大震災復興特別会計予算額は八十三億六千八百万円となっており、一般会計との合計額は七千四百八億七千六百万円となっております。

 次に、一般会計予算の内容について御説明申し上げます。

 まず、主要事項の経費について御説明申し上げます。

 第一に、法秩序の確立による安心、安全な社会の維持につきましては、四千百七十二億二千七百万円を計上し、前年度当初予算額と比較しますと、十九億九千八百万円の減額となっております。

 その内容について申し上げますと、まず、検察関係では、検察活動の充実を図る経費として一千六十五億三千五百万円を計上しており、この中には、被疑者取り調べの録音・録画システムの整備など検察の再生に向けた取り組みを実施する経費が含まれております。

 矯正関係では、刑務所等矯正機能の充実を図る経費として二千二百七十七億五千三百万円を計上しており、この中には、再犯防止のために施設内処遇を強化する経費が含まれております。

 更生保護関係では、保護観察活動の充実を図る経費として二百三十六億八千一百万円を計上しており、この中には、再犯防止のために社会内処遇を強化する経費が含まれております。

 入国管理関係では、出入国管理機能の充実を図る経費として四百五十一億九千二百万円を計上しており、この中には、成長の基盤となる出入国管理体制を強化する経費が含まれております。

 第二に、国民の権利擁護につきましては、一千二百八十九億一千万円を計上し、前年度当初予算額と比較しますと、六十八億九千万円の減額となっております。

 その内容について申し上げますと、まず、登記関係では、登記事務の適正、円滑な処理を図る経費として一千二百三十六億二千八百万円を計上しており、この中には、成長の基盤としての登記行政を充実する経費が含まれております。

 また、人権の擁護を図る経費として三十二億九千三百万円を計上しております。

 第三に、司法制度改革の推進に関係しましては、三百四億六百万円を計上し、前年度当初予算額と比較しますと、十六億六千二百万円の減額となっております。

 その主な内容は、総合法律支援の充実強化を図る経費として二百九十七億九千九百万円を計上しており、この中には、日本司法支援センターにおける国選弁護等関連業務を強化する経費が含まれております。

 第四に、施設の整備につきましては、矯正収容施設等の整備を図る経費として二百二十五億六千四百万円を計上し、前年度当初予算額と比較しますと、二十二億三千八百万円の減額となっております。

 次に、定員の関係でありますが、平成二十四年度の増員は九百六十四人となっております。

 その主な内容を組織別に申し上げますと、一、検察庁で、検察体制の充実強化のため二百十六人、二、矯正官署で、刑務所等保安業務体制等の充実強化のため五百四十二人、三、更生保護官署で、保護観察体制等の充実強化のため五十三人、四、地方入国管理官署で、出入国管理体制の充実強化のため百十八人、五、公安調査庁で、公安調査体制の充実強化のため二十六人、六、法務局で、地図整備事務体制の充実強化等のため九人となっております。

 他方、平成二十一年七月一日の閣議決定に基づく定員合理化計画等により、平成二十四年度においては九百六十七人を減ずることとなっており、増員との差し引きにより、前年度定員と比較しますと、純減三人となります。

 次に、東日本大震災復興特別会計予算の内容について御説明申し上げます。

 まず、経費の関係でありますが、震災に起因する民事法律扶助業務の実施、登記事務の適正、迅速な処理、矯正施設等の耐震対策や法務省における災害時の対処能力の強化を行う経費等として、八十三億六千八百万円を計上しております。

 次に、定員の関係でありますが、九十六人が増員となっております。

 その内容を組織別に申し上げますと、一、法務局で、大規模被災地における土地の境界の復元等のため二十五人、二、矯正官署で、被災地域の復興に向けた労働需要に対応するための刑務作業の実施体制の強化のため四十二人、三、更生保護官署で、被災地域における保護観察処遇等の体制の再構築等のため二十九人となっております。

 以上、平成二十四年度法務省所管の予算概要を御説明申し上げました。

小林委員長 なお、平成二十四年度裁判所関係予算につきましては、お手元に配付いたしております関係資料をもって説明にかえさせていただきますので、御了承をお願いいたします。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時三十九分散会


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