衆議院

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第12号 平成24年8月7日(火曜日)

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平成二十四年八月七日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鉢呂 吉雄君

   理事 勝又恒一郎君 理事 黒岩 宇洋君

   理事 辻   惠君 理事 樋口 俊一君

   理事 稲田 朋美君 理事 棚橋 泰文君

   理事 熊谷 貞俊君 理事 大口 善徳君

      井戸まさえ君    緒方林太郎君

      大西 孝典君    川口  浩君

      桑原  功君    小室 寿明君

      竹田 光明君    橘  秀徳君

      玉置 公良君    中屋 大介君

      橋本  勉君    花咲 宏基君

      福島 伸享君    藤田 大助君

      皆吉 稲生君    山尾志桜里君

      山崎 摩耶君    吉川 政重君

      河井 克行君    城内  実君

      北村 茂男君    柴山 昌彦君

      平沢 勝栄君    森  英介君

      柳本 卓治君    相原 史乃君

      大山 昌宏君    金子 健一君

      樋高  剛君    中島 政希君

      横粂 勝仁君

    …………………………………

   法務大臣         滝   実君

   法務副大臣        谷  博之君

   厚生労働副大臣      西村智奈美君

   法務大臣政務官      松野 信夫君

   文部科学大臣政務官    神本美恵子君

   最高裁判所事務総局刑事局長            植村  稔君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  岩瀬 充明君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    舟本  馨君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    石井 隆之君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    稲田 伸夫君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    三浦  守君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    青沼 隆之君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           関  靖直君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           平山 佳伸君

   法務委員会専門員     岡本  修君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月七日

 辞任         補欠選任

  玉置 公良君     花咲 宏基君

  中屋 大介君     山崎 摩耶君

  山尾志桜里君     竹田 光明君

  相原 史乃君     大山 昌宏君

同日

 辞任         補欠選任

  竹田 光明君     緒方林太郎君

  花咲 宏基君     福島 伸享君

  山崎 摩耶君     中屋 大介君

  大山 昌宏君     金子 健一君

同日

 辞任         補欠選任

  緒方林太郎君     山尾志桜里君

  福島 伸享君     玉置 公良君

  金子 健一君     相原 史乃君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 刑法等の一部を改正する法律案(第百七十九回国会内閣提出第一三号、参議院送付)

 薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案(第百七十九回国会内閣提出第一四号、参議院送付)


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     ――――◇―――――

鉢呂委員長 これより会議を開きます。

 第百七十九回国会、内閣提出、参議院送付、刑法等の一部を改正する法律案及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長岩瀬充明君、警察庁刑事局長舟本馨君、警察庁交通局長石井隆之君、法務省刑事局長稲田伸夫君、法務省矯正局長三浦守君、法務省保護局長青沼隆之君、文部科学省大臣官房審議官関靖直君、厚生労働省大臣官房審議官平山佳伸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鉢呂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鉢呂委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局植村刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鉢呂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鉢呂委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平沢勝栄君。

平沢委員 おはようございます。自由民主党の平沢勝栄でございます。

 滝法務大臣が御就任されてからは私は初めての質問になるんです、法務委員会では何度も質問させていただきましたけれども。初めてでございますので、まず、大臣御就任をお喜び申し上げたいと思います。

 私は、何で民主党政権は滝さんを使わないのかなと何度も、この委員会でも言ったことがあるんです。私は滝法務大臣が消防庁長官のときに防衛庁審議官で、そのときに阪神・淡路大震災が起こったんです。あのとき、消防庁長官として縦横無尽の活躍をされたんです、滝さんは。その方が、三・一一の去年の大震災があったときに何ら枢要なポストで使われることなく、ど素人の、危機管理のイロハもわからない人が官邸を占めて、ああだこうだとやって、これは検証の報告書も出ました。これから、今、報告書について、内閣委員会でも報告書の責任者を呼んで質疑したいということですけれども、なかなか反対があって実現していないみたいですけれども、これはぜひ実現したいと思うんですけれども、なぜ滝さんみたいな方を使わないのか、本当に私は疑問だったんです。

 作家の塩野七生さんがこういうことを言っている。亡国というのは、人材が欠乏するから起こるんじゃない、人材を使うメカニズムがないときに起こると。まさに今の政権がそうじゃないかなという感じがします。

 いずれにしましても、滝さんには、法務大臣に御就任されて、今まで、たしか民主党政権で法務大臣というのは七人目でないかなと思いますけれども、今までは法の番人として首をかしげるような人が随分続いたんですけれども、私からすれば、やっと法の番人にふさわしい方が法務大臣になられたわけですので、ぜひ滝法務大臣には頑張っていただきまして、私たちも、もちろん応援するところは全力で応援させていただきたいなと思います。

 そこで、先週の三日、金曜日に、二人の死刑囚が死刑執行された。私は、ここで死刑の問題についても何回も取り上げさせていただきましたけれども、これは法にちゃんと書いてあることですし、裁判員も含めて、司法が苦しんで悩んで、その上決断したことなんです。それを粛々と、恐らく法務大臣もいろいろと悩まれたり苦しまれたでしょう。しかし、法治国家ですから、法の規定に基づいて粛々と命令を下された。私は、これは当然のことだと思います。いろいろ批判されている方もおられますけれども、しかし日本は法治国家なんですから、私は当然だと思います。

 そこで、まず法務省刑事局長にお聞きしたいんですけども、今死刑囚というのは、何人くらい確定囚がいて、そのうち、判決確定から六カ月たった人は何人いて、その六カ月たった人の中で再審請求が出ていない人、あるいは共犯者の裁判が行われていない人、そういう人は何人くらいいるんですか。教えてください。

稲田政府参考人 お答え申し上げます。

 昨日現在におきまして、当局において把握しております死刑判決の確定者数は百三十一名でございます。このうち、まず、現時点で再審請求中の者が、これも昨日現在でございますが、七十二名おります。

 ところで、今御指摘のございました刑事訴訟法四百七十五条二項との関係で申し上げますと、当局において把握している判決確定後六カ月を経過している者は百二十八名でございまして、ここから、今申し上げました再審請求中あるいは過去に再審請求をした者、あるいは恩赦の出願等があった者などを差し引くということになりまして、若干計算が難しゅうございまして、相当数ということで御理解いただければというふうに思っております。

平沢委員 法の四百七十五条は、訓示規定と誰が言っているのか知りませんけれども、訓示規定とか言っていますけれども、一応ここに書いてあるんですよ。今、相当数が、これは本来なら当然執行の対象にならなきゃならないのに、まだ執行されていない。やはり、これは法治国家として私はおかしいんじゃないかなと。

 滝大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、日弁連の会長はこういうことを言っているんですよ。要するに、今回の死刑の執行は極めて遺憾であり、強く抗議すると。これは日弁連の会長が言うことですかね、ほかの団体が言ったって構わないけれども。

 日弁連の会長が言うことは、死刑に反対でもいいんです、もちろん。だったらば、死刑というのは刑法に書いてあるんです、ほかの法律にも書いてあるんです。だから、その法律を改正しろと言うならわかりますよ、法治国家なんだから。法律を改正しろと言わないで、規定はそのまま置いておいて、死刑の執行を停止しろと言っているのは、日弁連の会長として私はこのコメントは論外じゃないかなという感じがします。

 反対するのは自由。だけれども、規定があるんですから。その規定に基づいて裁判所は、裁判員も含めて、本当に悩んで悩んで、そして判決を下しているわけです。ですから、日弁連が言っているのは、裁判所の、司法の判断を行政は無視しろ、ほったらかせと言っているんですよ。法律の規定、刑法とか何かの規定を無視しろ、こう言っているんです。これはどう考えてもおかしいと思います。

 ほかの団体が、民間団体が何を言おうと、これは自由です。だけれども、日弁連というのは法を守る立場でしょう。守る立場の責任者がこんなことを言っているというのはとても私には理解不能なんですけれども、大臣、どう思われますか。

滝国務大臣 日弁連の会長からの声明というのは、私も承知をいたしております。

 しかし、この問題について私の方から感想を申し上げるわけにはまいりませんので、御容赦いただきたいと思うのでございますけれども、基本的には、今委員が御指摘になったように、司法当局、裁判所当局が大変苦難を乗り越えて死刑という判決を下す、その結果をやはり行政当局としての法務省も尊重しなきゃいけない。よほどのことがない限りこれを無視するわけにはいかない。それがやはり法務大臣としての責務というふうに私は感じ取っているわけでございます。

平沢委員 今、大臣が言われたとおりだろうと思います。これは法務大臣の職責なんです。

 もちろん、死刑のあり方についてはいろいろな議論があるでしょう。ですから、私たちは今、刑法の危険運転致死について、これはちょっと改正しなきゃならないんじゃないかという議員連盟をつくってやっていますけれども、死刑がおかしいと言う方が国会にもおられます、外にもおられます。だったらば、法改正を言うのが筋ですよ。法改正については一言も言わない。そして、ただ、けしからぬけしからぬ、やめろやめろというのは、私はこれは法治国家のあり方としてはいかがかなという感じがします。

 ましてや、司法が決定したものを、行政がその判断を覆せと言っているわけですから、これでは三権分立が成り立たなくなっちゃう。これは私はおかしいんじゃないかな。繰り返しますけれども、ほかの方が何を言おうと勝手ですけれども、日弁連の会長が言うことでは私はないんじゃないかなと思います。

 そこで、今報道では、法務省の中では死刑の執行のあり方についていろいろと政務三役の会議で検討が進められているというようなことが言われています。刑法の十一条に絞首刑ということが書いてあるわけですけれども、これはまた、いろいろ検討するのはいいと思います。法改正するのはいいと思います。この検討状況はどうなっているか、教えてください。

滝国務大臣 法務省のいわば政務三役の中でいろいろな勉強をずっと続けてまいりました。死刑そのものの廃止問題も、当然いろいろな意見のある中で、法務省の当局としてもそれは勉強しておかなければいけない、こういうことでもございました。

 しかし、それ以上に、実は、執行のあり方についてもやはりいろいろな情報は承知をしておかなければいけない、こういうことで、例えば執行の告知、現在はその日の朝ということになっておりますけれども、日本でもかつては数日前に告知したこともございます。そんなことも含めて、告知のあり方。

 あるいは、今御指摘のありました執行方法、絞首刑がいいのか、あるいはアメリカのように、一部で取り入れられている薬物注射ということもあり得る、こういうような観点からの情報の収集、そういうようなこと。

 あるいは、死刑執行した後、関係者にどの範囲でもって通知をするのか、こういうことも、細かい話でございますけれども、重要な問題として意識をして検討を続けてきているというのが実態でございます。

平沢委員 これはぜひ検討を進めてもらいたいと思うんですけれども、法務省の中で検討を進めたら、ある程度の成案ができた段階で法改正が当然必要になってくると思いますので、法制審か何かにかけるんだろうと思いますけれども、めどは、いつころ成案を得て、いつころ法制審にかけられる予定なんでしょうか。

滝国務大臣 前大臣のときに、大体一年ぐらい、こういうようなことをことしの当初に申し上げているかと思います。一年以内でいろいろな情報が集まるかどうかというのもまだ見当がつきませんけれども、そんなに時間もかからずに資料としてはまとめて、それをやはり公開して、国民の間で共有の認識を持っていただくということは必要なことだろうと思っています。

平沢委員 それからもう一つお聞きしたいんですけれども、今、私たち、超党派で終身刑の議員連盟というのをつくっているんです。これは、死刑存置に賛成、反対、私みたいに賛成の者も入っていますし、亀井さんみたいに反対の方も入っています。

 なぜこれをつくった方がいいと思ったかといいますと、今、日本の刑は、死刑がありまして、その次は無期懲役なんです。無期は仮釈放が十年で可能になるんです。もちろん、法務省に言わせると、いや、仮釈放もだんだんと無期化してきたよ、平均すると三十年たっているよということを言いますけれども、これは最近のことですからね。規定上は十年で仮釈放は可能なんです。問題は、規定なので、担当者がかわれば、どんどんまたこれは短くなることだってあり得るわけです。

 ですから、死刑とそれから次の無期との間のギャップというのが余りにも大き過ぎるんじゃないか。その間にもう一つ、例えば終身刑、あるいは、終身刑がどうしても難しければ、仮釈放の十年を例えば二十年、三十年に上げるといったようなことも含めて、刑法の規定の十年を二十年、三十年に上げるということも含めて、これは見直しをした方がいいんじゃないかということで、今議員連盟でやっていますけれども、これについてはどうお考えになられますか。

滝国務大臣 確かに、死刑と無期懲役との間をどうやってつなぐかということは大きな刑事政策上の問題だという認識は持っております。

 そういう意味で、外国における終身刑というものも情報を収集しているわけでございますけれども、今の段階では、それにも一長一短がある。制度でございますから当然でございますけれども、そんなことも踏まえながら、御提案の終身刑の検討というものもあわせて検討していかなければいけない問題だと認識をいたしております。

平沢委員 ぜひお願いしたいと思います。

 それで、次の問題に移りたいと思いますけれども、危険運転致死傷罪、これは、もともと交通事件については業務上過失致死傷罪で摘発していたわけですけれども、悪質な交通事故が多いということで、悪質なものに限って危険運転致死傷罪というものを二〇〇一年に新たに新設しまして、最高刑を、業務上過失致死傷は五年だったものを二十年にしたわけですね。そして、二〇〇七年に、業務上過失致死の中から、危険運転致死に入らないけれども、自動車運転の過失致死傷罪についてだけ五年から七年に引き上げた。

 悪質な交通事件が多いというのが一つこの背景にあるわけですけれども、実際には、この危険運転致死傷罪というのは、法律はできましたけれども、使い勝手が余りにも悪いだけじゃなくて、現場で見ると、余りにも社会的な常識に、国民の常識に合わないところが多過ぎる。ですから、これはたてつけが悪過ぎたんじゃないかということで、見直しをしたらどうだという声が起こっていまして、今、私たちも議員連盟をつくってこの危険運転致死傷罪を見直そうと。民主党の大畠先生に会長をしていただいて、私が会長代行をさせていただいて、それで大口先生とか皆さん各党全部入っている。

 皆さん各党全部入って、この議員連盟で改正案までもうできているんです。議員立法として出す準備までしているところでございますけれども、私は、議員連盟で出すより、もし法務省なり、後で警察庁にも聞きますけれども警察庁がそれなりに動くならば、それは閣法で出してもらった方がいいんじゃないかなと思っているわけです。この点については、この前、先週も、大口先生初め皆さん方から質問が出たときに大臣は前向きの御答弁をされましたので、これについてまずお聞きしますけれども、その前に、まず、なぜ危険運転致死傷罪はこんなに適用が難しいのか。

 まず、被害者の御家族の方が怒っておられるのは、そして私たちもこれはおかしいと思っているのは、名古屋の事件なんです。名古屋の事件というのは、ブラジル人が酒に酔って無免許で、車は無車検、無保険、その車を運転して、まずは追突事故を起こす。追突事故で一週間のけがを負わせてそのまま逃げてしまう。そして、ライトを消して一方通行を逆走して、交通信号のない横断歩道を自転車で渡っていた大学生をひき殺して、大学生は交差点から二十メートル以上もはね飛ばされた場所で発見された。もう相当のスピードを出していたんでしょう。そして、そのまままた逃げてしまった。酒は、何かテキーラ六杯、ビール三杯飲んだと。これ以上の悪質なものはないでしょう。にもかかわらず、危険運転致死傷罪が適用にならない。

 ちなみに、これについて検察は論告で何と言っているかというと、殺人行為にも匹敵する極めて冷酷な被告人の人格、態度が見てとれる、論告でこう言っているんですよ。それから検察は論告で、危険運転致死傷罪にも比肩すべき前代未聞の悪質な自動車運転過失致死傷罪事件だ、厳罰をもって臨むことが絶対に不可欠、こうも言っているんですよ。判決では何と言っているかというと、走る凶器と化し、無謀で危険な犯行、こうも言っているんですよ。ここまで言っているものがなぜ危険運転致死傷罪の適用にならないんですか。法務省。

稲田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、前提といたしまして、個別具体的な事件における証拠の内容や、捜査機関の捜査処理にかかわる事項でございますので、その詳細についてお答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、今御指摘のありました名古屋市の事案というのは、事故の直接の原因が前方不注視であるとされておりまして、それらが、例えばアルコールの影響あるいは進行を制御する技能を有しないことなど、危険運転致死傷罪で定めているところの要件などによって生じたものではなく、死傷の結果と因果関係を有する危険運転行為とは認められないことから、危険運転致死傷罪の構成要件に該当しないと判断したものというふうに承知しているところでございます。

平沢委員 おかしくないですかというんですよ。

 では、次に行きますよ。京都の亀岡の事件。亀岡の事件は、一晩じゅう乗り回して、そして居眠り運転して、もちろん無免許で。一晩じゅう乗り回して、疲れているから居眠り運転して、そして子供たちの列に突っ込んだ。そして、三名が死亡して、あと七人がけがをしているという悪質な事故というより事件なんですけれども、これも、一晩じゅう乗り回しているから運転の技量はある、だから危険運転致死傷罪の要件には該当しないと。国民から見たらさっぱりわからない理屈で危険運転致死傷罪が適用されていないようですけれども、刑事局長、いかがですか。

稲田政府参考人 こちらも、お尋ねの点は、具体的な事件における証拠の内容や捜査機関の捜査処理にかかわることでございますので、詳細はお答えすることを差し控えさせていただきますが、この亀岡市の事案におきましては、居眠り運転ということが事故の直接の原因であるというふうに検察当局においては認定しているところでございまして、それらが、進行を制御する技能を有しないということを要件としている危険運転致死傷罪で言う危険運転行為とこの死傷の結果との間に因果関係が認められないと判断したものというふうに承知しているところでございます。

平沢委員 ですから、今の刑事局長が答弁されたのは、国民の常識と大きく離れているんですよ。

 ちなみに、その後、この判決があった後の各マスコミの報道を見てみますと、例えば、読売新聞は何と書いてあるかというと、要件の運転技能がないに当たらないということは疑問だ、居眠りが過失で少年に技能があっても、無免許運転は故意で、技能以前の問題であると、これははっきり書いています。産経は社説で書いています。免許の不正取得や無免許運転、不法な労務管理などが原因で重大事故を起こした場合には危険運転致死傷罪を適用できるように法を改正すべきだと。これが国民の声だと思いますよ。

 だって、もともと危険運転致死傷罪ができたのは、悪質な交通事件、これを厳罰に処さなきゃならないということでできたんでしょう。ところが、悪質なものが全部逃れちゃって、ほかのものが全部適用になる。使い勝手が余りにも悪過ぎる。何のためにこの法律をつくったのかがわからなくなってしまった。それは当時の国会の、私たちに大きな責任があるわけですけれども、そこで今、議員連盟で、そのギャップを埋めなきゃならないということでいろいろと、先ほど言いましたようにやっているわけなんです。

 そこで大臣、大臣は、先週でしたか、大口先生の御質問に対してのお答えだったと思いますけれども、乱暴な運転者でも法律のすき間があるというメッセージが世間に出ているというのは好ましくない、法改正が望ましい、こういうふうにおっしゃられました。私は大変に評価したいと思いますけれども、大臣、これがおかしいことは間違いない。これは社会の誰が見たっておかしい。きょう、午後、御家族の方も含めて議員連盟の総会がありますけれども、皆さん、みんなこれはおかしいと思っている。ですから、そこで、この法改正も含めて大臣が前向きに動き出したということで、皆さん歓迎しておられる。

 ちょっと、タイムスケジュールを教えてください。もう一回確認しますけれども、法務省の中でいろいろと検討している。これが例えば今月中に必ず出て、そしてその後、法制審にかける。法制審にかけて、それで法制審の結論が出るのは数カ月ということになりますと、来年の通常国会では間違いなく法改正案を出すということで理解してよろしいでしょうか。

滝国務大臣 現行の危険運転致死傷罪というのは、もとより制定する際に法制審の意見もいただいている問題でございます。法制審は、そういうかかわりを持って今日まで参りました。したがって、法務省としては、できるだけこの八月中に、どういう形で法制審に諮問をするのか、そういうことも含めて取りまとめを行い、九月早々にも法制審に諮問をしたい、そんなスケジュール感を持って臨んでまいりたいと思っております。

 したがって、初めての法案であれば、法制審も一から議論をするということにもなるのかもしれませんけれども、既に現行法は法制審でいろいろな議論をいただいておりますから、そういう意味では、何とか早目に答申がいただけるんじゃないか、こんな期待も含めて、九月中にはあるいは九月初めには法制審を開いていただけるか、これからの問題でございますけれども、そういうスケジュールを持って臨んでいきたいと思っております。

平沢委員 我々、議員立法で出す準備はもうできているんです。法案もできているんです。先ほど言いましたように、閣法で出されるならば、私たちは別に議員立法にこだわるわけじゃないんです。それで、お聞きしたいのは、来年の通常国会には間違いなく出されるということで理解してよろしいでしょうか。

滝国務大臣 法制審の答申がいただければ、当然そういうスケジュールを持って臨んでいきたいと思っております。

平沢委員 ぜひ来年の通常国会でよろしくお願いしたいと思います。

 そこで、この問題は法務省だけじゃなくて警察庁の道路交通法とも関係してくるので、警察庁、今回の名古屋の事件も京都の亀岡の事件も無免許運転なんです。無免許運転というのは最高刑が一年なんですよ。

 生活安全局長、まず聞きますけれども、警察が所管している古物営業とか質屋営業とか風俗営業、これは無免許でやったら何年になるんですか。

岩瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 古物営業の無許可につきましては、三年以下の懲役または百万円以下の罰金ということになっております。質屋営業の無許可につきましては、三年以下の懲役もしくは十万円以下の罰金、またはこれを併科ということで、風俗営業につきましては、二年以下の懲役もしくは二百万円以下の罰金、またはこれを併科ということでございます。

平沢委員 私も警察にいたから責任はありますけれども、風俗営業の無許可が二年、質屋や古物の無許可が三年、自動車の無許可運転が一年、これはどう考えてもおかしくないですか。走る凶器と言われている自動車を無許可で運転して一年。風俗営業、いいとは言わないけれども、そんなに大きな危害を国民に及ぼしているとは、それはいろいろなケースがあるでしょうけれども、しかしそれが二年、風俗営業が二年。そして、質屋、古物が三年。余りにもアンバランスだと警察庁は思いませんか。

石井政府参考人 無免許運転に対する罰則につきましては、悪質危険運転者対策の強化の観点から、平成十三年の道路交通法の改正によりまして、飲酒運転や救護義務違反に対する罰則の引き上げとともに罰則の引き上げが図られ、従来の六カ月以下の懲役または十万円以下の罰金から、一年以下の懲役または三十万円以下の罰金に引き上げられたところでございます。その後、飲酒運転による悲惨な交通事故が多発したことなどにより、飲酒運転撲滅に向けた社会的な機運の高まりを踏まえ、平成十九年の道路交通法の改正により、飲酒運転に対する罰則等についてはさらなる引き上げが図られたところでございます。

 無免許運転に対する罰則の引き上げにつきましては、最近の無免許運転による悲惨な交通事故の発生状況を踏まえまして、警察庁といたしましても、その罰則の引き上げについて早急に検討を進めてまいりたいと考えております。

平沢委員 いや、私が聞いたことだけ答えてくれればいいんです。

 要するに、無免許運転一年というのはおかしいんでしょう。では、交通局長、この後の改正のスケジュールはどうなっているんですか。聞いたことだけ答えてください。

石井政府参考人 無免許運転の罰則の引き上げにつきましては、先日、亀岡市における児童等多数死傷事故の御遺族及び名古屋市におけるブラジル人による死亡ひき逃げ事件の御遺族と松原国家公安委員会委員長が面会し、その罰則の引き上げ等について要望書の提出をいただいたところでございます。

 こうした御遺族の要望を重く受けとめ、国家公安委員会において議論いただくとともに、警察庁において、他の刑罰との権衡等を勘案しつつ検討を進めているところでありまして、今後、政府内における所要の調整を図る必要がございますが、次期通常国会を目指して道路交通法の改正案が提出できるよう努めてまいりたいと考えております。

平沢委員 法務省の方も次期通常国会を目指していると思いますので、警察庁の方も次期通常国会でぜひこの法改正をやっていただきたいなと思います。もし、警察庁、法務省がやらなければ、議員立法でこれはやります。今お聞きしますと、法務省、警察庁がやるような動きをしていますので、それであれば、私たちは必ずしも議員立法でやらなくても、動きを見守ってもいいかなと思います。これは私たち、きょうの午後、総会で諮りますけれども。

 そこで警察庁、もう一つ聞きたいんですけれども、最近、てんかんの持病による交通事故が多いんですよね。てんかんだけじゃなくて、いろいろな病気でいわば交通事故を起こすという方が多いわけですけれども、こういった方々について、例えばてんかんについては、もともと道交法ができたときには運転免許証を与えないということだったんですけれども、特に問題がないということで、これは二〇〇二年の道交法改正で与えられるようになったわけです。しかし、最近を見ただけでも、かなり重大な交通事故が起こっているわけなんです。

 もちろん、免許を取り上げろということじゃなくて、要するに、てんかんの患者については、例えば京都の祇園の事件なんかは、お医者さんが絶対運転はするなと言っていたにもかかわらず、御本人は運転されていた。本来なら、お医者さんが運転するなと言うんじゃなくて、警察が言わなきゃおかしいじゃないですか。お医者さんが絶対運転するなと言っていたにもかかわらず、本人は運転した。警察が言っていない。

 ですから、この辺については、今の制度のあり方を見直しする必要があるんじゃないですか、交通局長。

石井政府参考人 自動車運転に支障を及ぼすおそれのある一定の病気にかかっている方に対する運転免許制度のあり方につきましては、本年四月、鹿沼児童六人クレーン車死亡事故遺族の会から、制度の見直しに関する御要望が国家公安委員長宛てに提出されたところでございます。

 それを受け、本年六月から、一定の病気等に係る運転免許制度の在り方に関する有識者検討会を開催し、一定の症状を有する者を的確に把握するための方策、それから、症状の申告を行いやすい環境の整備方策などについて御議論をいただいているところでございまして、本年九月中をめどに、議論の結果を踏まえた提言を取りまとめていただく予定でございます。

平沢委員 それは、交通局長、提言をまとめた後は何らかの法改正に動くんですか。

石井政府参考人 提言の内容を踏まえまして、必要があれば法改正をいたしたいと思っております。

平沢委員 これは、てんかんの患者だからだめということじゃなくて、別に運転しても大丈夫な方もおられるわけで、それは医師の判断次第なんですよ。ですから、医師の判断をちゃんともらって、そして医師が大丈夫というんだったら運転させればいいわけで、その辺が今は、運転免許を交付するときに、本人がてんかんの患者かどうかというのは、これは自主申告なんでしょう。

 ですから、その辺のことも含めて、やはり全員がだめということじゃなくて、大丈夫な人と大丈夫でないというのは、これは警察が判断することじゃなくてお医者さんが判断することなので、お医者さんにしっかりと判断させる、そのための方策を警察庁にはしっかりととっていただきたいなと思います。

 そこで次に、これも先週いろいろ質問が出ましたけれども、大津市で昨年の十月に、中学二年生がマンションの十四階から飛びおりて自殺した事件についてお聞きしたいと思います。

 この自殺、これは事件と言っていいと思うんですけれども、聞けば聞くほど、非常に悪質きわまりない、陰湿きわまりないいじめが行われていたのと、これに対して、学校の対応も全くなっていない、教育委員会の対応も全くなっていない。もっと言えば、警察の対応も全くなっていない。これでは亡くなった中学二年生は本当にかわいそうだなという感じがします。

 そこで、まず文科省、きょうは来てもらっていますから、文科省は、いじめというのは定義はどうなっているんですか。それと、いじめとけんかと刑事事件、犯罪、これはどういう形で区別しているんですか。

神本大臣政務官 今回の大津で起きました中学二年生の、みずから命を絶つというこの事案につきましては、本当に痛ましい事案でありまして、私自身も、もと小学校の現場におりましたので、本当にあってはならないことだと心から思っております。改めて、亡くなられた男子生徒の御冥福を心からお祈り申し上げたいと思います。

 お尋ねの、いじめとけんかと犯罪行為との関係についてということでございますが、文部科学省におきましては、児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査におきまして、平成十八年度調査より、いじめられている児童生徒の立場に立って、いじめをよりよく認知しやすくするよう、いじめの定義を見直したところであります。そこでは、当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの、なお、いじめが起こった場所は学校の内外を問わないというふうに定義をしているところでございます。

 けんかにつきましては、一般的に、当事者が加害者、被害者という関係にはないと解されることから、けんかはいじめには含めないとしているところであります。いじめの中には犯罪行為に当たるものが含まれる場合があり、けんかについても傷害事件を初めとする犯罪行為に当たるものが含まれる場合があるというふうに捉えております。

平沢委員 今、何が何だかさっぱりわからないような説明をするから、現場が混乱しちゃうんですよ。いじめはいじめ、犯罪行為は犯罪行為とはっきり分けたらいいじゃないですか。

 大体、学校の現場は、いじめだったらば、こんなものは学校の中である程度許されると。要するに、子供たちの間では、ある程度こんなものは許されると。いじめと犯罪の違いというのは何かというと、犯罪は刑事事件だから警察が乗り出すんですよ。当たり前じゃないですか。子供たちの間のいじめだったらば、警察はそこまでは介入しないでしょう。だけれども、いじめじゃなくて犯罪行為があったらば、これは警察が乗り出すというのは当たり前じゃないですか。それを、いじめとか何かということを言うからおかしくなっちゃう。学校の中の問題は学校の中で処理しよう、警察には連絡しないでやろうとするからおかしくなっちゃうんじゃないですか。

 学校の現場におられたそうですけれども、では、今のそんな定義で学校の現場は混乱しませんか。何が何だか、私、聞いていてもさっぱりわからない。それでわかりますか、現場が。

神本大臣政務官 学校現場で、これはいじめなのか犯罪行為なのかということを判断する場合の、そのいじめというのはこういうものだということを先ほど申し上げたことでありまして、先生おっしゃるように、明らかに暴行で、これは傷害に当たるというようなものは、犯罪行為として警察に通報するというふうに文科省としても通知を発出しているところでございます。

平沢委員 いや、そうじゃなくて、実際に、学校の現場で犯罪行為と思われることがいろいろと行われていても、これはいじめの延長とかということで、結局、警察への連絡もしないで、それを内々に、もみ消しというか、内々にその中で処理をしようとしているんじゃないですかということを私は聞いているんです。

 文科省のいじめの調査の中にはこういうことが書いてあるんです。ひどくぶたれたり、たたかれたり、蹴られたりする。金品をたかられる。金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする。こんなの犯罪行為じゃないですか。こんなのいじめじゃないじゃないですか。こんなものは調べることじゃなくて、こんなものは刑事事件として、犯罪行為として警察に訴えることじゃないですか。学校の中だから、治外法権みたいにある程度のことは許されると思っている子供がいるから問題なんですよ、学校の先生がいるから問題なんですよ。

 だったらば、これは、学校の中でこういう犯罪行為が行われたら、では政務官、学校を一歩外に出てくださいよ。殴ったらどうなりますか。金品盗んだらどうなりますか。万引きしたらどうなりますか。これは警察に行くでしょう。何で、学校の中だったら金品盗んだのがいじめみたいな延長で、学校の中でまあまあで処理されるんですか。だから、こんな問題が起こってくるんですよ。

 学校の中でも外でも、法に触れることをやったら罰せられるということを教えるのが学校教育じゃないですか。もう一回答えてください。自分の言葉で、そんなメモなんか見ないで。

神本大臣政務官 文科省としましても、今おっしゃったような行動、学校では問題行動というような言い方をしておりますけれども、その中で、傷害や金品強要など、いわゆる社会的に犯罪行為と言われるようなことを行った場合には、きちんと警察に通報して、連携して対応をとるというふうに指導してきているところであります。

平沢委員 では、政務官にお聞きしますけれども、学校の中でこういう犯罪行為が行われたということで警察に通報したケースというのは何件あるんですか。

神本大臣政務官 先ほど申しました通知を踏まえて、学校において警察の協力を得て対応した取り組みを把握するために調査を行いまして、暴力行為の加害児童生徒に対する学校の対応のうち、警察等の刑事司法機関等と連携した対応をとった件数の報告を求めており、平成二十二年度で六千百二十件でございます。

 ただ、これにつきましては、いじめる児童生徒への対応のうち、児童相談所、警察等の関係機関と連携した対応ということで調べました件では、平成二十二年度で千二百六十七件でありますので、警察と連携した対応のケースまでは把握できておりません。

平沢委員 そうしたら、今度の大津の事件は、なぜ警察に連絡が行かなかったんですか。これは後から聞きますけれども、被害者の親から警察に相談があったというのは聞いていますけれども、学校側は、アンケートをやって、何か、いじめというより犯罪行為が行われたということは認識していたはずですよ。何で学校側は、アンケート調査をやった時点で警察に行かなかったんですか。何千件とか何か今報告していましたけれども、こんな重要なのが漏れている調査なんて、こんないいかげんな調査をやっているんですか。

 しかも、中学二年生が自殺しているんですよ。それでアンケートをやった。アンケートをやったら、いろいろないじめがあったということは出てきている。にもかかわらず、なぜ警察に行かなかったんですか。学校の側は何をやっているんですか。教育委員会は何をやっているんですか。

神本大臣政務官 正直申し上げまして、今回の報道に接しまして、学校は何をしていたんだろう、教育委員会はどうしたのかということは、個人的に私も思っております。

 この件に関しましては、文部科学省としましても、いじめだけではありませんけれども、子供の安全対策対応室というのを設置しまして、そうした事実関係も含めて、今後の指導について検討し、具体的に学校や地教委、県教委、教育委員会を支援していくことにしております。

平沢委員 子ども安全対策支援室か何か知りませんけれども、こんなものをつくったって、私は、そんなになくならないと思いますよ。大体、さっきのいじめの定義からして、全然、現場は混乱しちゃいますよ、これは。

 今、この対応については政務官もお怒りのようですから、お聞きします。

 これは現場の教育委員会も、それから現場の学校も、事実を隠蔽しようと。アンケート調査があったって、マスコミに発表したのはそのごく一部、重要なところは発表していない。こんな隠蔽が行われている。これが問題になったというのは、七月四日にこのアンケート調査も含めてマスコミに出てから大きな問題になったわけですよ。

 学校の先生、その担任だった学校の先生は今何をやっているんですか。

神本大臣政務官 当時二年生の担任で、今三年生、学年はそのまま上がられているらしいですけれども、担任は外れて、今病気休暇中だというふうに聞いております。

平沢委員 病気休暇中というのはよくわかりませんけれども、これは、処分はどうなるんですか。これは当然、事実関係が明らかになったところで厳しい処分をするのは当たり前です。学校長も含めて、そしてこの担任も含めて、教育委員会も含めて、処分は当然やるんでしょうね。

神本大臣政務官 そういったことも含めまして、今、事実関係をきちっと解明する、または未然防止、再発防止のために大津市の方で調査委員会を立ち上げられる。その設置について、文科省からも派遣をしまして、支援を今いたしているところでありますので、その事実関係がわかったところで処分等についても結論が出されると思います。

平沢委員 去年の十月十一日ですよ、自殺があったのは。アンケート調査をやったのは十月と十一月初めでしょう。七月四日にマスコミが大きく報道して、それからでしょう、動き出したのは。マスコミが報道しなかったら、これは結局そのままカバーアップして、隠蔽しようとしたんでしょう。もう今の時点だけで、これはいかに問題が多いか、学校校長以下、先生に教員としての資質がないということは明らかじゃないですか。教育委員会なんて完全に失格だということは今の事実だけで明らかじゃないですか。

 その先生は、一応あれですか、授業はできるんですか。やろうと思ったらできるわけですね、今、病気休養中とか言っていましたけれども。おかしくないですか、これ。

神本大臣政務官 十月三十一日まで病気休暇ということになっておりますので、授業はできないと思います。

平沢委員 では、十月三十一日が終わって、十一月一日からはできるんですか。

神本大臣政務官 できると思います。

平沢委員 私は、これをずっと見ていまして、やはりこういうところはきちんとけじめをつけておかないと、信賞必罰でやっておかないと、これはやはり、全国の見ている人たちに影響しますよ。ですから、こういう問題を起こしたときには、やはり厳しく、罰するところは罰する必要が私はあるんじゃないかなと思います。しっかりやってくださいよ。

 それから警察。警察も対応がおかしい。警察は、この被害者のお父さんから三回にわたって相談を受けたんでしょう。それで、その間に被害届を受理してほしいということを言われたにもかかわらず、断っている。

 なぜ、三回も来たのに被害届の受理を断って、そして七月四日にマスコミが騒いで、警察は慌てて動き出した。大々的な捜査体制を組んで、かつて私も警察庁少年課長をやったけれども、学校の中に強制捜査に入るというのは、もう異例中の異例だと思いますけれども、そういうことをやって、そして今真剣に取り組んでいるみたいですけれども、こんなことは去年やることじゃないですか。何で今ごろやっているんですか。ちょっと警察庁。

岩瀬政府参考人 お答えいたします。

 この件につきまして、御指摘のとおり、昨年、三回の相談を受けておるところでございます。

 この相談につきましては、まず、昨年の十月十八日と二十日に滋賀県大津警察署にお父様が訪ねられ、どうすれば男子生徒にいじめをしていた者を処罰できるか等の御相談を受けておりまして、署の担当課長がお話を伺ったところでございます。

 この二回の相談におきまして、その時点では警察として事案の有無について判断できず、引き続き学校等から事情聴取を行うというようなことで対応させていただいたところでございます。この御相談を受けて、大津署におきましては、学校関係者等から聴取するなどの対応を行ったところであります。

 三回目の相談は十二月一日でございました。この時点で、お父様の方から、被害届を提出したい旨等の申し出があったわけでございますが、この際においては、具体的な犯罪事実の認定には困難な部分があるなどの理由を申し上げ、やはり被害届の受理には至らなかったものでございます。

平沢委員 局長、おかしくないですか。具体的な犯罪事実の認定に困難があると。被害者が亡くなっているんだから、当たり前じゃないですか。だって、三回目のとき、私の聞いているところでは、担当課長は何と言ったかというと、遺書もなく、被害者が亡くなられているので、被害者から具体的な被害の状況やそのときの心境を初め、犯罪の立件で重要となる事柄を捜査できない、だからこれは難しいと。

 ばかを言っちゃ笑われますよ。こんなことをいったら殺人事件なんか全部できないじゃないですか、被害者は亡くなっているんだから。被害者が亡くなっているけれども、なぜ亡くなったのかを調べるのが警察の仕事じゃないですか。これはおかしくないですか。警察は何をやっているんですか。どう考えたって、警察の対応としては、余りにも不十分というより、これはもう不合格でしょう。

 警察庁、もうちょっとしっかりしなくちゃだめ。誤りは誤りとしてはっきり認めて、滋賀県警に厳しく指導しなきゃだめですよ。警察庁、もう一回答えてください。

岩瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のございました発言につきましては、三回目の相談の中で実際に担当課長から発言があったということで滋賀県警から報告がある部分でございます。

 犯罪の立件での隘路について御説明する中で申し上げた点だと思いますけれども、まさに、こういう発言等全体といたしまして、被害者、御遺族の立場に立つという観点からは、その気持ちを十分に受けとめていなかったと言わざるを得ないというふうに考えております。

 警察庁の対応についてお尋ねでございます。学校におけるいじめにつきましては、特に少年の生命身体の安全が脅かされているような重大事案であれば、捜査、補導等の措置を積極的に講じていく必要があるというふうに考えているところでございます。

 今回の大津の事案につきましては、みずから命を絶たれた男子生徒が学校でいじめを受けていたという大変痛ましい事案でありまして、被害者、御遺族の立場に立つという観点から、その気持ちを十分に受けとめていなかったというふうに言わざるを得ないと思いますし、また、より主体的、積極的に警察として必要な措置を進めていくという点において不十分であったというふうに考えているところでございます。反省すべき点の多々ある事案であるというふうに認識をしているところでございます。

 警察庁といたしましても、本件のような事案を二度と生じさせないために、被害者、国民の立場に立った警察活動を一層推進するよう、滋賀県警はもとより、全国警察を指導してまいりたいというふうに考えております。

平沢委員 警察庁、しっかりしてくださいよ。長崎のストーカー殺人事件だって、警察庁は被害届をたらい回しにしていたでしょう。あんなこともあった。

 それで、今度のケースだって、新聞が報道しなければ警察は動かない。そうじゃないんだよ。誰も動いていなくたって、事実を明らかにするために警察が動かなきゃならないんですよ。学校の中は聖域じゃないんです、治外法権じゃないんですよ。学校もそんなようなことを考えている。警察もそういうところはあるけれども、だめなんだよ。学校なんか聖域であるはずがないじゃない。

 では、政務官に聞きますよ。外国ではこういう事件が起こったとき、どうなっていますか。

神本大臣政務官 外国においての学校内の犯罪についてどのように対応しているかというお尋ねですが、全てを把握しているわけではございません。把握できた範囲内では、事例として、例えばアメリカのロサンゼルス市においては、学校の安全確保を目的とする学校警察、いわゆるスクールポリスが管区内の全ての学校に置かれて、学校警察官が各学校を巡回するなどして、騒乱や犯罪等の抑止等を行っているという事例があります。

 また、韓国においては、警察が運営する学校暴力申告センターを設置して、学校暴力事案の申告を受けつけて、その事案に対して警察等が迅速に対応する仕組みを設けている等の事例がございます。

平沢委員 外国では、学校と警察との間の垣根はないんですよ。日本は垣根があるんですよ。学校の中のことは学校の中で適当に処理してしまえと。そこで隠蔽とか何かいろいろ行われちゃうんです。

 私の子供はイギリスに行きましたけれども、イギリスの学校なんか全然ないですよ。警察は自然な形で学校と交流している。日本は、学校の中のことは学校がやるから警察は入ってくるなと。警察もまた、だめだ。警察も、学校の中のことは学校に任せようなんという空気が若干ある。そんなことはおかしいですよ。学校の中であろうと外であろうと、やはり警察は活動すべきときはちゃんと活動しなきゃだめなんだ。そこはしっかりやってください。

 それで、きょうは警察庁刑事局長にも来てもらっていますけれども、時間がなくなっちゃったですね。

 この前、暴対法の一部改正、内閣委員会で私が質問したときに松原大臣が、捜査手法の拡大、高度化をやる必要があるとはっきりと答弁してくれたわけです。具体的には、通信傍受の拡大とかおとりとか司法取引、こういったものをしっかりとこれから日本も外国と同じようにやらなきゃならないと。

 今、捜査の可視化、取り調べの可視化、可視化と言っている。外国でやっているからと言っている。そうですよ、外国でやっていますよ。そのかわり外国は、通信傍受だ、司法取引だ、刑事免責だ、おとり捜査だ、潜入捜査だと、いろいろなことが行われている。そっちのことを言わないで、こっちばかり言っている。これをやるんだったら、こっちもやらなきゃだめなんです。

 ですから、刑事局長、まず具体的に、この暴力団、本当なら暴力団対策法というのはおかしいんですよ。なぜならば、もともと暴力団を壊滅するためにできた法律だよ。ところが、全然壊滅できないで、まだ七万数千人いるわけですよ。私、内閣委員会でも言ったけれども、イギリスの内務省に行ったとき、日本が治安がいいなんてとんでもない、日本には何万人という暴力団が、ギャングスターがいるじゃないか、これを言われるんですよ。そのとおりなんですよ。イギリスには暴力団なんていないんですよ。そんな暴力団がいるということを前提にして暴対法ができることがおかしいので、暴対法なんというのは、そもそも要らない、要するに暴力団を壊滅しなきゃおかしいんですよ。

 それで、この前、内閣委員会での答弁では、なぜ壊滅できないかというと、それは結局捜査権限が限られているからだというような答弁を大臣が言われたんです。刑事局長、そうなんですか。

舟本政府参考人 お答えいたします。

 特に暴力団等の組織犯罪につきましては、現行法の枠内では、捜査権限といいますか、証拠収集に一定の限界があると認識をしております。

 特に、捜査手法のうちで、今委員申されました通信傍受制度につきましては、これはやはり暴力団犯罪を摘発する上で極めて有効であるというふうに考えておりますけれども、我が国におきましては、この通信傍受の件数は年間で二十件から三十件程度にとどまっております。一方で年間で数千件以上に上る米国や英国、数万件にも上るフランスやドイツ、さらには十数万件に上るイタリアといった諸外国と比べると、著しく少ない現状であります。

 これは、我が国の現行制度では、まず、通信傍受の対象となる犯罪が極めて限定されていること、また、その実施要件が極めて厳格であることなどに起因していると考えております。

平沢委員 今刑事局長が言いましたけれども、イギリスなんかは常時一万本の電話を傍聴しているんです。テロなんかだったら当然聞いています、テロ関係の疑いのある犯罪だったら。それから、もっと言えば、捜査権限でいえば、IRAのテロとか何かというのが物すごく頻発したときに、イギリスの捜査当局は、内部から先に自首してくる者がいれば、その者に対して刑事免責を与えるだけじゃなくて、大変な御褒美まで与えるんです。そういうことによって、グループの犯罪ができないように、あの手この手でいろいろな捜査手法を持っているんです。

 日本は、そういったものはがんじがらめになっているんです。そういう中で、可視化、可視化と、こればかり言っているわけですよ。可視化もいいですよ。だったら、外国が持っているような捜査手法も当然取り入れるべきなんです。

 法務省刑事局長、通信傍受は余りにも今使い勝手が悪過ぎる。これはもうちょっと拡大するべく、法務省が所管しているんだから、法改正くらい出したらどうですか。

稲田政府参考人 御指摘ございましたように、現行の通信傍受法におきましては、対象犯罪が薬物犯罪、銃器犯罪、組織的な殺人及び集団密航の四犯罪とされているところでございます。これは、立法過程におきましてさまざまな御議論があり、その中で、もともと政府原案にございました、殺人等、死刑または無期、懲役、禁錮の定めのある犯罪で組織的に行われることが多いもの、またはそれが想定される犯罪や、誘拐、逮捕監禁など、人命にかかわる重大な犯罪が対象犯罪とされていたところを、必要不可欠と見られる最小限度のものに限定したというふうに承知しているところでございます。

 この点につきましてでございますが、現在、お話のありました可視化の問題も含めまして、法制審議会におきまして、新たな刑事司法制度を構築するための法整備のあり方について御議論をいただいているところでございまして、先月までに十二回の会議が行われております。その中で、通信傍受など、客観的な証拠の収集のあり方につきましても論点として整理されており、御指摘の点を含めまして、その特別部会において議論が行われたところでございます。

 この点につきましても、今後とも法制審議会において早急に御議論いただくことになるというふうに考えておりまして、いろいろと幅広い観点から十分な調査審議を尽くしていただいて、その上で結論を得たいというふうに考えております。

平沢委員 外国では、通信傍受だけじゃなくて会話傍受も行われているんですよ。会話傍受というのは、車の中だ、相手の居宅だ、そういう中の会話傍受まで行われているんです。これは検討の対象になっているんですか。

稲田政府参考人 今御指摘のありました会話傍受につきましても、法制審議会における御議論の中で、そういうものもあるということが指摘されているところでございまして、今後の御議論の中で触れられることがあるだろうというふうには思っております。

平沢委員 では、時間が来ましたから、最後に大臣に。

 暴力団の犯罪について、福岡県知事初め、福岡の市長、北九州の市長などが要請書を出しているんです。その中で何を言っているかというと、通信傍受の要件を暴力団犯罪捜査のために拡大しろ、それから、司法取引とかおとり捜査とか、こういったものの捜査手法を認めろということを言っているんです。これは福岡県の人たちが言っているんです。それは大臣も御存じだろうと思います。

 今、刑事局長からありましたように、通信傍受、会話傍受も含めていろいろ検討している。それで、松原大臣は、やはり暴力団犯罪については、そういったいろいろな捜査手法の導入、高度化、拡大が必要だということを言っておられる。

 大臣、やはり今、可視化とかいろいろ言っていますけれども、こういったことをやった上でやるならわかりますけれども、これをやらないで可視化、可視化ばかり進めていて大丈夫なんですか。大臣、最後にお答えください。

滝国務大臣 今問題になりました通信傍受も年間二十五件程度、これは国会で報告をさせていただいているところでございますけれども、諸外国と比べて格段の差がある、御指摘のとおりだと思います。

 こういうことも含めて、法制審議会で具体的な捜査方法の一環として議論をしてもらっているところでございますので、法務省としても大きな関心を持ち、そして、その結果を警察庁当局とも相談した上で対処してまいりたいと思っております。

平沢委員 時間が来たので終わります。ありがとうございました。

鉢呂委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口でございます。

 今回、刑法等の一部を改正する法律案、薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案について審議することになったわけです。これは昨年の十二月一日、参議院で可決をされている。ここに来てやっと衆議院で審議をやるということでございます。

 そこで、この一部執行猶予制度の導入全般についてまずお伺いしたいと思います。

 非拘禁措置に関する国連の最低基準規則、東京ルールズとの関係において、これは一九九〇年の犯罪防止及び犯罪者の処遇に関する国際連合会議第八回の会議で採択された非拘禁措置に関する国連最低基準規則、東京ルールズがあるわけでありますが、この法律案はこれに沿って立案をされたものなのか、どのような改正点がこれに沿った施策となるのか、お伺いしたいと思います。

滝国務大臣 基本的には、今御指摘のように、非拘禁措置のための国際連合最低基準規則、これに沿った形で今回の法律改正をしようといたしているところでございます。

 中身的には、特に、社会貢献活動を新しい保護政策の中に入れ込む、こういうことが大きな一つのポイント、こういうように理解をいたしております。

大口委員 今回のこの改正案について法制審議会で議論された。平成十八年に諮問されて、平成二十二年に答申をされた。

 この諮問文を見ますと、被収容者の人員の適正化を図るとともに、犯罪者の再犯防止及び社会復帰を促進するという観点から、社会奉仕を義務づける制度の導入の当否、中間処遇のあり方及び保釈のあり方など、刑事施設に収容しないで行う処遇等のあり方等について意見を承りたいということであったわけです。

 ただ、この被収容者の人員の適正化の方は、PFI刑務所の整備ですとか、あるいは犯罪の検挙人数の減少等もあって、今のところ落ちついている。今回の一部執行猶予制度の導入などの改正というのは、社会内処遇の充実による再犯防止を主なテーマとしている、こういうふうに捉えているわけでございます。

 平成十九年版の犯罪白書だと、三割の再犯者によって約六割の犯罪が行われている、こういう事実が明らかになっておりますね。また、平成二十三年版の犯罪白書においては、平成二十二年における一般刑法犯の検挙人員に占める再犯者の比率は約四三%、刑務所への入所受刑者人員に占める再入者の比率は約五六%であって、いずれも近年、上昇傾向が続いております。

 やはり、犯罪の発生を防止するには、再犯をいかに防止するかということが大きなポイントであります。今回の改正によって、再犯防止の効果についてどの程度見込んでおられるのか、大臣にお伺いしたいと思います。

滝国務大臣 先般、法務省としても発表したわけでございますけれども、今後十年間で出所後二年以内の再犯を二〇%減らしたい、こういうことを一つのいわば基準設定という格好で発表をさせていただきました。したがって、今回の法案もその目標に沿う形でもともと立案をしている、こういうようなことでございます。

 基準設定は法案の作成以後でございますけれども、この法案をにらんだ上での基準設定、こういうふうに私どもは理解をいたしているところでございます。

大口委員 刑務所出所後二年以内に再び刑務所に入所する等の割合を今後十年で二〇%以上削減するということなんですけれども、この数値目標というのは、どういうことを根拠にされているんですか、今回の法改正も入っていると思いますけれども。

滝国務大臣 特に積み上げ計算をして予測しているわけではありませんけれども、現状の数値を比較すると、とにかく二〇%というのがいわば数値目標としてはぎりぎりのところかなと。余り高くてもこれは荒唐無稽ということになりますし、低くても目標になりません。そういうことで、現在押さえている数字が、いわば出所後二年以内に入ってくる数字が、二度目が大体二五%ぐらいでしょうか、それから一度目は一〇%、こういうことでございますので、そのようなところをにらんで、二十年間で二〇%を削減させよう、こういうことでございます。(大口委員「二十年間じゃない、十年間ですよ」と呼ぶ)十年間です。

大口委員 そういうことで、再犯者の約七割が無職ですね。また、刑務所再入所者のうち、前回出所時に適当な帰住先がなかった者の六割が一年未満で再犯を起こしているというデータがありますよね。

 そういう点では、出所後の居場所、住居、それから出番、就業の確保が非常に大事だ、こう思っていますが、この二〇%削減ということとの関係において、どう取り組んでいかれますか。

滝国務大臣 基本的には、まず住むところ、帰住先を確保してあげる、こういうことでございます。それから二番目には、当然のことながら、就労の場所を確保する。この二点を再犯防止という観点からは大きな目標として取り組んでいく、こういうようなことでございます。

大口委員 そこで、再犯防止を行うにおいて、刑務所内での処遇がしっかりと行われている必要があるわけです。これと、刑務所を出る前に就労先が確保されることも重要です。昨今、厳しい雇用また経済情勢にあって、就労先を確保するのも難しくなったと思われます。施設内処遇と社会内処遇を連続して行うために、こうした情勢においても就労先を確保していくことが必要です。

 刑務所出所者等の就労を支援するために、平成十八年からですか、法務省が厚労省と協力して、原則三カ月間、試用雇用の期間の賃金助成を行うというふうに聞いています。トライアル雇用というんですかね。

 そこで、厚労省にお伺いしますけれども、この施策の予算額の推移、実績、そして、今後さらにこれを強化していくべきだと考えますが、いかがでございますか。

西村副大臣 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、刑務所出所者等に対する就労支援につきましては、平成十八年度から、ハローワークと刑務所、そして保護観察所などが連携をいたしまして、職業相談や職業紹介、そして協力雇用主を対象とした求人開拓及び試行雇用奨励金、これがトライアル雇用でありますけれども、これの支給等を行う刑務所出所者等就労支援事業を実施してきております。

 本事業の平成二十四年度予算額は約二億六千万円となっております。事業を開始した平成十八年度が約一億七千万円となっておりましたので、一・五倍に増加しているということであります。この試行雇用奨励金、トライアル雇用の奨励金の支給実績は、平成二十三年度で二千七百万円となっております。これは平成十八年度の約四百六万円と比べますと約七倍ということになっております。

 厚生労働省といたしましても、非常に重要な課題だと思っておりますので、法務省と連携をいたしまして、引き続き、刑務所出所者等就労支援事業に取り組んで、刑務所出所者などの就労支援に、そこはしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

大口委員 だから、予算の一割ちょっとしか消化していないということですね。だから、本当に法務省、厚労省、しっかり力を入れて職場の確保ということをやっていかないと再犯の防止というのはできませんので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、保護観察対象者の増加に対応した保護観察官の増員ということが大事だと思いますね。今回、一部執行猶予の導入によって、保護観察対象者というのは、現在よりも二千数百名から三千数百名程度増加する、こういうことで参議院の法務委員会でも局長から答弁がありました。この保護観察対象者の増加に対応しながら社会内処遇を充実させ、その実効性を確保するためには、これを担う保護観察官の増員が欠かせません。

 また、今回、特に薬物事犯の再犯防止が重要なテーマとなっているわけですけれども、この薬物事犯の再犯者に対する刑の一部執行猶予制度と、これに伴う新たな薬物処遇プログラムも実施されることになるわけでありますが、これを実施するためには、薬物事犯の更生について、その専門性を有する保護観察官の養成、増員も欠かせないわけであります。

 平成二十五年度新規採用の抑制ということで、法務省でも五二・三%削減されると聞いているわけでありますが、この保護観察官、平成二十四年度は三十人の増ということですよね。平成二十五年度をどうするのか。施行までの三年間、この増員について、どういう方針で、どういう目標で増員していくのか、お伺いしたいと思います。

滝国務大臣 今委員の方から、薬物依存という問題を取り上げての御意見がございました。

 法務省としては、平成二十四年度で、保護観察官の定数を三十人増加いたしております。したがって、特に薬物事犯ということでこれから実務につくわけでございますけれども、そういったことをとにかく力を入れてやっていくということでございます。

 それからもう一つ。今政府としては、定数は定数として、新規採用抑制方針を打ち出しております。したがって、来年度新規採用がどうなるかというのはまだこれからの話でございますけれども、とりあえず、本年度、来年度、いずれにいたしましても、定数をそのまま採用するわけにはいかないというような事態が出てきた場合には、いわば再任用制度を使いながら、何とか実数としての保護観察官を確保していく、そうでなければ新しい法律改正には対応できない、こういう観点からの対応を進めてまいりたいと思っております。

大口委員 ですから、二十四年度は三十人ということなんですけれども、この三年間でそれをちゃんと整備しないと、二千数百名から三千数百名対象者がふえるわけですから、また、薬物の対応もあるわけですから、ある程度の方針、目標を立てて、それで、二十四年度は三十人だけれども、来年は抑制がされるから十五人とか、そういうことになるんじゃないかと心配しているんですよ。いかがですか、大臣。

滝国務大臣 まだ来年度の予算要求まで間がありますけれども、とにかくこの法律改正がフォローできるような体制は確保していかなければいけませんので、その辺のところもあわせて対応をしてまいりたいと思っております。

大口委員 また、保護司さんにも、前回も法務委員会で橘委員が質問をされておりましたけれども、大事な役割を担っていただいているわけであります。更生保護の体制を充実させるために、やはり、保護観察官の増員だけじゃなくて、保護観察官とともに更生保護を担っていただいておる保護司の人員の確保ということをしていかなきゃいけないです。

 最近の報道でも、保護司の体制は、法律上は定数が五万二千五百人、これに対して実員は約四万八千人。そして、新たな担い手の確保もなかなか大変で、昨年一年間で退任者が約二千八百人、これに対して新任者は過去十年間で最少の二千三百八十七人、こういうことで、退任者を大きく下回っている。中でも、都市部の担い手不足は非常に深刻で、東京では定員の六割にも満たない地区もある、こういうことでございます。

 都市部の場合、特に住民の入れかわりが激しいので適任者を探しにくいとか、マンション住まいの人が多いとか、保護司の自宅での面接が困難であるというようなことが掲げられ、これについては、更生保護サポートセンターというようなことも、かなり保護司の方に御負担をかけながらやっているという現状なわけですね。

 法務省は五月から、全国保護司連盟と連携して、全国八百八十六カ所の保護司会を対象にして、保護司の就任を依頼した際にどのような理由で断られたのかということについてのアンケート調査も行っているわけでありますが、しっかりとこういうものを分析して、そして対応していかないと、更生保護の体制が崩壊してしまう。非常にそういう点では危機感を持っておるんですが、大臣、どう対応されますか。

滝国務大臣 今委員の御指摘のとおり、現在、保護司の数は毎年少しずつ減り続けているというのが現状でございまして、四万八千人をちょっと超えるところまで落ちてまいりました。したがって、今お尋ねのように、ことしの五月に、保護司への就任依頼に関連してのアンケートを実施したところでございます。基本的には、異口同音にして、新しい保護司さんに委嘱するのが難しくなった、こういうことでございます。

 したがって、その穴をどうやって埋めていくかというのが喫緊の課題でございますので、これについても、このアンケート調査の結果を見て、私どもとしては、何とか保護司の実員を確保するようなお願いをして歩く、こういうことでございます。

 最終的には、今までも、足りないところは市町村役場にお願いをして、何とかもう一人確保してくださいとか、こんなようなことをお願いしながら確保してまいりましたけれども、それにも限界がありますので、どうしたら定数を確保できるのか、そんなことも新たに考えてまいりたいと思っております。

大口委員 保護司さんと懇談する機会もあるんですけれども、本当に保護司さんの善意でボランティア的に、しかも自腹を切ってやっておられるということをやはりしっかり対応していかなきゃいけない、このように思います。

 次に、現行刑法は、全部執行猶予または実刑、この二つしかないわけですね。今回、一部執行猶予というのが加わるということで、今回の改正は実は大変な改正なんです。これまでにない大きな改正になるわけであります。

 そういう中で、全部執行猶予と実刑しかない場合には、中間的な刑罰としての一部執行猶予を創設するとなれば、これまで全部執行猶予が選択されていた事例の一部が一部執行猶予になるのではないか、そういう指摘があるわけです。そういう点で、もしそうなれば、実質的には重罰化になるわけであります。

 参議院の審議で、平岡法務大臣が、「これまで全部執行猶予だった人について一部執行猶予を言い渡すといった運用がなされるとは考えにくく、厳罰化につながるという懸念は当たらない」こういう答弁をされているわけでありますけれども、これは、裁判員裁判の場合、このようなことについて懸念はないのか。

 この一部執行猶予の考え方について、しっかりこれは裁判員に理解していただかないと重罰化につながってくると思うんですが、どうでしょうか、大臣。

滝国務大臣 今委員が、この新法の適用によって重罰化が出てくるんじゃないか、こういう御指摘でございました。

 基本的には、裁判員裁判の扱う対象事件からすると、比較的重い犯罪が中心だろうと思いますけれども、しかし、御指摘のように、三年前後の罰則の適用ということも、それは当然あり得る話でございます。

 したがって、全部執行猶予にしていたものを一部執行猶予に切りかえるということについては、これはよほど裁判官会議できちんと、その辺の具体的なこれまでのあり方、それから、これからのあり方、みんなで議論をしてもらう。プロの裁判官がその解説をしながら進めるのでございましょうけれども、そんなことをきちんと裁判員にわかるような説明を加えていかなければいけない、それはもう御指摘のとおりだと思います。

大口委員 大臣、法務大臣としてはその程度のことしか多分答弁できないと思うんですが、これは最高裁初め、しっかり検討していただきたいなと思っております。

 それで、一部執行猶予とする場合のその判断の可能性について、判決時点では、その一年後あるいは二年後というような将来の施設内処遇の効果を予測することがなかなか難しいということで、判決の時点で裁判所が、施設内処遇と社会内処遇の連携を図るため、実刑部分は何年にして執行猶予期間は何年にすればいいのかというこの判断が非常に難しいと思うわけであります。

 そういう点で、情状の事実というものを、相当これに審理を充実させたものにしないとこれは非常に難しいと思いますが、法務大臣、この点どうお考えでしょうか。

滝国務大臣 これも委員が先ほど御指摘されていましたように、私どもからどうこうするということはなかなか言いにくい話でしょうけれども、裁判所は裁判所として、今までのいろいろな量刑の科し方の問題、それから執行猶予のつけ方の問題、こういったものの資料を当然集めておいでになると思いますから、そういう中で裁判所は裁判所としての具体的な対応をしていけるものと思っております。

大口委員 慎重論の意見ではそういうことが指摘されておりますので、確認をしておきたいと思っております。

 また、一部執行猶予にする際に、裁判官においては、実刑を何年にして執行猶予の部分はどうするのかということ、そしてまた、執行猶予期間を何年にして保護観察を付するかどうか、薬物の場合は必要的でありますけれども、こういう、個別事件について詳細に検討して判断しなきゃいけないという、非常に難しい判断になるわけですね。

 裁判員裁判においては、裁判員の量刑が裁判官の量刑よりも重い場合には、裁判官の量刑の中で一番重いところまで量刑が下がるわけでありますけれども、その場合の刑の軽重の関係がどうなるのか。例えば全部実刑と一部執行猶予の刑の軽重の関係について、二年全部実刑とすべきという意見と、刑期は二年四月のうち六月を執行猶予とするという意見があった場合に、どちらが重いのか、こういう問題が生じてくるわけですね。

 実際に刑務所に入っている期間をどう見るのか、あるいは刑期という全体をどう見るのかということでありますが、裁判員裁判になる場合、裁判員に対してこういう量刑の判断について相当説明しないと、我々だってどちらが重いのか軽いのかわからないわけですよね、それを一般国民の方に理解していただくには相当の説明を要すると思いますが、いかがでございますか。

滝国務大臣 これも法務省としてこういうことを言うのは少し行き過ぎかもしれませんけれども、今までの判例の中を見てまいりますと、今御指摘になりましたように、実刑の部分がどうなるかということが重いか軽いかという、要するに、実際の判決を受ける立場から見て、やはり実刑の期間が短ければそれはそれとして執行猶予期間が長くなっても軽いんだとか、そんなような裁判例がございますので、そういうことを恐らく裁判所に、具体的にはそういう過去の事例をもとにした説明をされた上で実際の裁判に臨む、こんな体制をつくっていただけるものじゃないだろうかなということを私どもとしてはいわば推測いたしているわけでございます。

大口委員 次に、薬物使用等の罪を犯した者に対する処遇のあり方についてお伺いしたいと思います。

 今回、刑法等の一部を改正する法律案において、更生保護法の改正として、薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案の対象者について、原則として、規制薬物等の使用を反復する犯罪的傾向を改善するため、専門的処遇を受けることを保護観察の特別遵守事項として義務づけていくことが盛り込まれているわけでございます。

 この件で、これは新たな薬物の処遇のプログラムということを検討されているようであります。これまで覚醒剤の処遇プログラムはあったわけでありますけれども、この点、薬物処遇研究会が本年三月まで開催されて、四月以降、この新たなプログラムの試行、検証等の実施をすると伺っているわけです。

 この新たな薬物処遇のプログラムの開発状況、それから、その内容の公表時期、そして、施行は三年ということでありますので、今後どういうスケジュールでこれを本格的なものにしていくのか、お伺いしたいと思います。

滝国務大臣 昨年度、薬物処遇研究会を開催いたしまして、新しい法律に対応するための薬物処遇プログラムを開発してまいりました。その中で、ことし十月から一部そのプログラムを実施してみよう、こういうようなテストに入ることになっているわけでございます。したがって、その結果を見ながら新しい法案の実施に踏み切っていくということでございますけれども、多少猶予期間が実際の実施までにありますから、その中でテストをやってみて、さらに改善をしていく、こういうことが当面のスケジュールとして予定をいたしているところでございます。

大口委員 これは非常に大事なことでございますので、今回の薬物関係についてこのプログラムは大変重要なことでございますので、その都度、やはりある程度、こういうことでやっていますということを報告というか公表といいますか、それはしっかりやっていただきたいと思います。大臣、どうですか。

滝国務大臣 できるだけ各方面からの意見も求めていかなければいけませんので、適当なときにあるいはそれを公表して、さらに改善をしていくということのきっかけになり得ればという感じはいたしております。

大口委員 次に、保護観察終了後あるいは出所後の薬物依存者の治療、社会復帰の支援についてお伺いしたいと思っております。

 保護観察中あるいは矯正施設収容中の充実した指導等が規制薬物等に対する依存から離脱させ、再度の薬物乱用を阻止するということで極めて重要であるわけですが、やはり保護観察も矯正施設への収容もいずれも期限があるわけでありまして、保護観察が終了したり矯正施設を出るということになった場合、薬物依存からの離脱や薬物の再乱用防止のためには、保護観察中あるいは矯正施設収容中の充実した指導はもちろんのこと、その指導と連携した形で保護観察終了後や矯正施設からの出所後、出院後における治療や社会復帰への支援が不可欠であると思います。

 この点について、私ども、ダルクの皆さんと懇談したことがあるんですが、ダルク等の民間団体あるいは国立精神・神経医療研究センター等の幾つかの機関が薬物依存からの離脱支援活動また薬物依存の治療に尽力され、大変力を入れてやっておられるわけであります。保護観察終了者や矯正施設からの出所者、出院者に対する治療、社会復帰支援について、これまでの民間団体、医療、保健、福祉の関係機関において支援活動や治療の充実、これらの団体、諸機関との連携や関係省庁間の連携の強化が重要だと考えます。

 現状、今後の取り組みについて、法務省と厚労省からお伺いしたいと思います。

滝国務大臣 これからの問題として、地域における支援、こういうことを意識した勉強もしていかなければいけない、こんなことで、今委員が仰せのとおり、薬物地域支援研究会を立ち上げて、そこで地域支援の立場からのガイドライン、こういうものをつくっていこう、こういうような試みを今やっておりまして、ことし、既に六月にその全体会議を開き、秋以降、さらに回数を重ねていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。

 当然、その中には専門家として各研究所のスタッフの参加も求めておりますけれども、今御指摘になりましたダルクが各地域で活動していらっしゃいますので、そのダルクの代表者も加わっていただいて、具体的なガイドラインを作成する、今こういう段階に入ってきているということでございます。

西村副大臣 今回の法改正によりまして、これまでの刑務所に入所中の回復プログラムに加えて、保護観察中の人に対する医療の提供及び社会復帰に向けた取り組みが行われることになっているというふうに認識しております。

 一方、こうした法務省関係の施策に加えまして、出所後及び保護観察終了後の薬物依存症については、地域の医療機関での支援、また社会復帰を支えるための支援機関による対応、こういったことが必要になるわけでありまして、厚生労働省として取り組んでいく必要があると考えています。

 厚生労働省では、これまで、地域における薬物依存症対策として、地域依存症対策推進モデル事業を実施し、また、民間、これは委員も言及されましたダルクでありますけれども、そういったところで行っております薬物依存症回復施設の職員に対する研修などを行ってまいりました。

 しかしながら、薬物依存症者に対する医療については、効果的な治療法が確立されていないこと、また、患者の背景もさまざまであり、画一的な治療が難しいこと、薬物依存症を専門に診る医療機関が残念ながら少ないこと、こういったさまざまな問題があると思います。

 このため、厚生労働省としては、今回の法改正も一つの契機といたしまして、当事者や有識者などから構成する検討の場をことしの秋を目途に立ち上げるべく準備を進めておりまして、地域における医療や社会復帰支援のために必要な施策についてさらに検討を行っていきたいと考えています。

大口委員 よろしくお願いしたいと思います。

 今回の改正で大きな柱として、社会貢献活動、これがあるわけですね。この社会貢献活動の中身は、公共の場所での清掃活動それから落書き消し、福祉施設における介護補助の活動、公園の緑化活動の三類型があって、おおむね五回程度、一回当たり二時間から五時間程度を想定している、こういうふうに聞いているわけですね。

 八月三日の当委員会で、橘秀徳委員が質問をされて、そこで、新たな取り組みとして、違法なポスターの撤去や使用済み切手の整理などが答弁で紹介されたわけであります。更生につなげていくためには、やはり継続性が必要だと思います。それから、他者からの感謝の念に触れられるような、こういう活動が好ましいというふうに思います。

 そういう点で、外国でどういう事例があるのか、あるいは日本でのこの社会貢献活動が広く受け入れられるためにどうすればいいのかとか、いろいろなことを調査したり検討しなきゃいけないわけでございます。

 そういう点で、一定の期間が経過して、ある程度の事例が積み重なって、社会貢献活動の効果を検証したり、改善更生に資するように運営を図っていく必要があるわけですが、私はやはり、大臣、この社会貢献活動というのは極めて重要なものと認識しておりまして、こういうものに、まあ、あり方検討会というのはいっぱいできていますよ、法務省に。ですから、この社会貢献活動におけるあり方検討会、こういうものを持って、法務省の役人だけじゃなく、やはり外部の有識者も集めて、いかに充実した社会貢献活動を実現していくかということについての検討会を設置すべきである、こういうふうに提案したいと思いますが、いかがでございましょうか。

滝国務大臣 社会貢献活動については、昨年来、一部、テストとして保護観察対象者の了解を得て行ってまいりました。したがって、そういう実績を見てということもございます。また、その際にいろいろなボランティアの人たちにも手伝ってもらっているはずでございますから、そういう中で、やはり、実際に実施するのは保護観察官だけでは無理でございますから、いろいろな応援を民間のいわばボランティアという格好で応援をいただく。そのためには、幅広く民間で持っている知識を活用していく意味では、今御指摘のような、御提案のような格好での、何がしかの、いわば審議機関といいますか、意見を聞く組織というものは必要だろうというふうに受けとめさせていただきました。

大口委員 もう既にこの社会貢献活動については先行してやっておられて、だんだんいろいろな事例も積み重なってきているわけですね。

 だから、大臣、そういうあり方検討会について、いつごろ設置されますか。今前向きの答弁だったので、さらに、いつごろかということをお伺いしたいと思います。

滝国務大臣 まだ省内で具体的に決めているわけじゃありませんけれども、今の御指摘も踏まえて、実績がとにかく出てきているところでございますから、そういうことも含めて、あり方検討会という御提案については受けとめていきたいと思います。

大口委員 再発防止の問題につきましては、あと、累犯障害者の問題ということで、長崎方式ということで、いろいろ対応もされているわけでございます。

 本当に刑務所が一番安心する場であるというような、非常に悲しい現実もあるわけでございまして、そういう点では、これは法務省と厚労省がしっかり連携をして、そういうことのないようにしていかなきゃならない、このように思っております。この件は通告しておりませんけれども、大臣、どうお考えでございますか。

滝国務大臣 とにかく、刑事施設に収容されている人たちについて、いわば社会福祉的な要素を相当入れていく、あるいは職業の確保もやっていく。これは、いわば、平成十七、八年ぐらいから、ようやく厚生労働省との協力関係が敷かれてきた問題でございます。

 したがって、今回のこの新法も、当然、厚生労働省の関係の皆さん方との、いわば知識を導入していかなければいけない問題。そういう意味では、新しいいろいろな試みをしていかなければいけない、そういうふうに認識をいたしております。

大口委員 時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。

鉢呂委員長 次に、城内実君。

城内委員 自由民主党の城内実でございます。

 本題に入る前に、まず滝大臣に一点、質問通告しておりませんが発言したいことがございます。

 先般、死刑の執行が行われました。これまで歴代の法務大臣は、この死刑の問題について、職責を放棄して、自身の個人的な価値観に基づいて、法務大臣として極めて不適切な形で死刑の執行を先延ばししておりました。それに対して滝大臣が、もちろん断腸の思いで、毅然として法務大臣として死刑の執行にサインをされた、私はこれを非常に高く評価するものであります。

 他方、歴代の法務大臣が放置した案件がまだまだ残っておりますが、滝大臣は、この点について今後どのようにお考えなんでしょうか、どのような形で対処なされるんでしょうか。

滝国務大臣 今委員から、法務大臣の姿勢についての御意見を頂戴いたしました。

 法務大臣として、やるべきことを当然のこととして、私は、やはり決断をしていく必要はこれからもあるんだろうというふうに思っております。

 要するに、司法当局、特に裁判所が大変苦悩して決めた判決を、法務大臣の最終的な権限だからといって握り潰すということは、これはやはり、裁判所が苦労した結果を、行政当局がそれを否定するようなことはできない。そういう基本的な姿勢というものは、法務大臣として、現行法体制の中では当然とるべき姿勢というふうに私は自覚をいたしているところでございます。

城内委員 私を初め、ほかの委員の先生方も、滝大臣は歴代の法務大臣の中で本当に立派な方だと。やっとまともな法務大臣が来たという発言をした委員の方もいらっしゃいますけれども、私もまさにそのとおりだと思います。これまでの歴代の法務大臣は、私からすると、法務大臣になるべきじゃなかったと思うんですよね。そういった個人的な価値観で、日本は法治国家であるにもかかわらず、そういう職務放棄、職務怠慢をずっと続けてきたわけですから。法務大臣にもし就任するのであれば、やはり法治国家日本の法務大臣として、その職責を粛々と、淡々と実施していただきたいと思っておったんです。ですから、再度、私は、滝法務大臣の、多分断腸の思いでのこの決断を高く評価するものであります。

 次に、本題に入らせていただきたいと思います。

 刑法等の一部を改正する法律案、薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案についてですけれども、私、両法案の趣旨については基本的に賛成します。他方、運用等の面で何点か確認したいことがございますので、質問させていただきたいと思います。

 まず、一部執行猶予制度について、大臣は趣旨説明で、「刑の言い渡しについて新たな選択肢を設けるものであって、犯罪をした者の刑事責任に見合った量刑を行うことには変わりなく、従来より刑を重くし、あるいは軽くするものではありません。」と述べられました。他方、これまで全部執行猶予となっていたものが一部実刑になり、その結果、量刑がふえるのではないかという懸念が呈されております。また、実刑自体の量刑は減って、かわりに執行猶予を長期間付すということで、量刑が減るのではないかという意見もございます。

 厳罰化なのか寛刑化なのか、ちょっと判断がつきにくいところがありますが、この点を踏まえて、法改正の趣旨について大臣からいま一度御説明いただきたいと思います。

 二点目は、刑務所を出たら後は御自由にどうぞというか、後は野となれ山となれということではなくて、一部執行猶予をつけることにより、再犯をすればすぐに刑務所に戻ることになるぞという意味での、いわば心理的な圧迫というか強制を課すことによって再犯を抑制しているのではないか、そういう見方もあるんですが、この二点について、大臣、御答弁いただきたいと思います。

滝国務大臣 今回の、刑の一部執行猶予制度というのは、今委員が御指摘になった趣旨を私も同じ思いで受けとめております。要するに、再犯防止あるいは改善更生、その役に立つような刑の選択肢をふやす、これが今回の法改正の目的でございます。したがって、いろいろなとり方があるだろうと思いますけれども、少なくとも厳罰化を目指すということとは相入れない、こういうふうに思っております。

 それから、もう一つ今お尋ねがございました。それも、今委員が御指摘になりましたけれども、私は、それについても恐らく委員の発想方法と同じくするだろうというふうには思いますけれども、もう一遍、ちょっと御指摘をいただくとありがたいのでございますけれども。

城内委員 二点目は、済みません、これはちょっと質問通告していなかったかもしれませんが、要するに、刑務所を出たら後は御自由にどうぞということではなくて、一部執行猶予を長期間つけることによって、再犯すればすぐに刑務所に戻ることになりますよという心理的な圧迫をもって、あるいは心理的強制を課すことによって、再犯を防止するということがあるんじゃないかなということですけれども、大臣はそれについてどう思いますかという質問でございます。

滝国務大臣 どうも失礼いたしました。

 執行猶予は、そういうことを目的として執行猶予をつけるということは一つの考え方として当然伴っているわけでございまして、何か執行猶予中に、自由の身になったからといってまた罪を犯すようなことがあったら、執行猶予もろとも、もとの、せっかくの裁判所が本人の再生を、更生を願ったこととは逆になりますから、当然、執行猶予も取り消すよ、こういうことが一つの要件になって、本人の、いわば社会の中で自由に行動できる、そういうことの圧力になる、こういうふうに考えているところでございます。

城内委員 わかりました。

 次に、保護司について質問させていただきたいと思いますが、先ほど大口委員、そして先週、橘委員からも質問がありました。

 保護観察の開始人員数についてですが、少子化に伴い、確かに、保護観察処分少年の数が減っております。また、他の類型の開始人員、例えば保護観察つき執行猶予者、仮釈放者、少年院仮退院者の数は、ここ五年間おおむね横ばいないし漸減となっております。

 したがって、統計上は、何か現場の保護司さんの負担は減っているようには見えるんですが、実際は全くそうではありません。

 先ほど大口委員が指摘されたように、本当に保護司さんたちは善意で、ボランティアで、しかも時には自腹を切って、実費弁償はあるものの、結構自腹でいろいろなところに交通機関を使って通ったりして、一生懸命、更生保護活動をしていらっしゃいます。また、都市部では、なかなかやり手がないという中で、本当に一人の方が四苦八苦していろいろな案件をやったりとかいうことがあるようでございます。

 このたびの法改正によって、保護観察つき執行猶予者の増加と薬物犯罪者の社会内処遇数の増加が当然見込まれるわけであります。また、最長五年の保護観察が想定され、よりじっくり保護司さんがかかわる、そういうことが当然想定されるわけですから、保護司さんの負担もかなり高まるのではないかなということが想定されます。

 現在、保護司法で定める五万二千五百人の定数には達しておりません。しかも、定年は七十六歳と、定年制をつくってしまったことによって、ますますなり手がいない。こういう中で、保護司さんの総数をふやしていくことについてどういった取り組みをしているのか、お答えいただきたいと思います。

青沼政府参考人 保護司のなり手につきましては、これまで、退任する保護司が地域の人脈等を生かして新任保護司を確保するということが一般的でございましたけれども、地域の人間関係の希薄化などによりまして近年それが困難になってきていることから、適任者確保のための方策の多様化を図ることが重要な課題となっております。

 そこで、現在、全国四百五十カ所に保護司候補者検討協議会というものを設置しておりまして、それらを通じて適任者の推薦をいただくなどしております。このような方法によって、幅広い分野の人材から適任者の確保を図っているところでございます。

 また、負担の軽減といった側面からもさまざまな取り組みを行っておりまして、例えば、対象者などから受けた物的損害等に対する補償制度については今年度創設いたしましたほか、保護観察対象者との面接場所などの機能を有する更生保護サポートセンターの設置を推進している状況でございます。

 さらに、保護司の活動を広く一般市民に理解していただくということが重要でございますことから、積極的な広報活動にも努めておりまして、社会を明るくする運動を通じて、保護司制度の意義について地域住民に訴えたり、保護観察所の職員が地方自治体を初め関係機関に赴いてその制度を説明するなどといったような広報にも努力しているといったところでございます。

城内委員 ありがとうございました。

 ぜひ広く一般市民にもっとPRをしていただきたい。知らない方が多いんですよね。やっていらっしゃる方々は、地元の名士さんとかあるいはお寺の住職さんとか、もう本当に善意で、自分の貴重な時間を削ってやって、そして、先ほど申しましたように、まさに時には自腹で払ってやっているんですね。彼らが言うのは、まさに私たちの仕事は、地味かもしれないけれども、いわゆる法務大臣、政府から委嘱されてやっている、そういった感謝状というか、そういうもの一つで喜んでやってくださっているんです。

 ですから、例えば、この後お話しする人権侵害救済機関のような、必要のないようなものをつくる予算があるのであれば、あるいは人員があるのであれば、そういったところにもうちょっと予算をつけて、もっともっとなり手が出てくるようにすべきじゃないかと私は思いますよ。

 これは本当に、保護司さんが、私もしょっちゅうお会いしていますけれども、何とかしてくれと言っているんですよ。ですから、今後は、定年制の問題もありますけれども、もっと若い人が積極的にこの問題に取り組めるようにやっていただけませんか。やっていくというのであれば、私は全面的に応援します。どうですか。

滝国務大臣 保護司のなり手がない、これはもう保護局だけじゃなくて、法務省全体としても考えていかなければならない問題だろうと思います。そういう意味では、若い人になってもらうことは本当に願ってもない話なのでございます。

 問題は、結局、保護司さんというのは、自分の自宅でいわば対象者と会うとか、そういうことも一つのネックになっているものですから、最近特に力を入れておりますのは、サポートセンターをつくって、そこで対象者と会う、こういうようなことを導入してきている。そんなことも恐らく、これからの保護司さんがなりやすいような環境整備ということも相まって、何とかこれまでの保護司さんの定数を確保していく努力はしていかなければいけないと思っています。

城内委員 保護司さんも常に危険と隣り合わせでありまして、自宅の器物を損壊されたり、あるいは火をつけられたりすることだってあるわけですから、まさに今の更生保護サポートセンター、お金はかかる話ですけれども、そういったものをちゃんとつくって、そういった安全な場所でしっかりとした保護活動ができるように、ぜひやっていただきたいと思います。

 次の質問ですけれども、このたび、薬物犯罪者に対する社会内処遇の事案がふえてくるものと想定されるわけですが、薬物犯罪者なんて、私だって、薬物の中毒患者なんて身近にいないですから、もし私が保護司さんだったら、どうやって対応していいかわからないわけですよね。

 こういった案件について、参議院の審議におきまして青沼保護局長さんが、保護司さんについても覚醒剤等の処遇についての取り扱いの研修を行っている、そういう答弁がありましたが、これだとちょっと具体性に欠けますので、再度、では一体どういう研修を年何回程度やっているのかということについてお答えいただけないでしょうか。

青沼政府参考人 お答えいたします。

 薬物事犯のある保護観察対象者への処遇によって保護司さんの負担がふえるのではないかというふうな御質問が前提としてあったと思いますけれども、これについては、専ら、保護観察官の方による専門的な処遇プログラム、具体的には、ワークブック等を活用した指導ですとか、簡易の薬物検出検査の実施等が中心となるというふうに考えております。

 一方で、保護司さんにつきましては、地域において薬物事犯のある保護観察対象者の日常生活の指導等を実施していただくことになるわけですから、保護観察官と全く同じような専門的知識を身につけていただくまでの必要はないというふうに考えております。

 そうはいいましても、保護司さんにつきましても、指導等に当たって、薬物事犯者の特性、例えば、どういった禁断症状が出るのかとか、あるいは家族に対してどういうふうに接したらいいのか、そういったものについてはある程度の知識を身につけていただくということは重要だと考えております。

 そこで、今後とも薬物事犯者の特性や指導方法等について保護司研修を体系的、効果的に実施してまいりたいと思いますが、具体的な回数については、まだ法案の成立を見据えて具体的に検討しているところでございまして、今現在やっている研修をさらに充実したものにしていきたい、こういうふうに考えております。

城内委員 もちろん、保護観察官と保護司さん、まさに一緒の研修を受ける必要はないですし、専門性からすると開きがあるわけですが、他方、何度も申しますように、薬物中毒患者の方のいろいろな特性というのは、実際に常日ごろ社会でかかわっているわけじゃありませんので、全くわからないわけですから、ぜひそういった観点から研修を充実させていただきたいなというふうに思います。

 次に、質問をかえますが、取り調べの録音、録画、いわゆる可視化の問題について質問させていただきたいと思います。

 去る七月四日、最高検から、検察が行った可視化についての検証結果というのが公表されたわけであります。私自身は、取り調べの録音、録画により捜査が円滑化し、また冤罪が減るという結果につながるのであれば、賛成であります。

 他方、自白の任意性、信用性に関して判断がしやすくなり、また、被疑者供述の客観性が増すことなどにより、裁判での審理が迅速化するというメリットがある反面、さまざまなデメリットがあるというふうにも聞いておりますが、その問題点、具体的にどういう問題点があるのか、お聞きしたいと思います。

滝国務大臣 最高検の検証で指摘している問題点というのは、大きく分けると三つぐらいになると思います。

 要するに、被疑者が緊張して、あるいは自尊心等の問題もあって、かなり心理的な影響を受ける。そういう意味では、自由な供述をしづらくなるような場合があるのではないかというのが一点です。

 それから、他方で、取り調べる側の方も、やはりなかなか、被疑者を前にして、画面だとか録音されると、取り調べる方も緊張するということで、十分な説得であるとか追及ができない、こういうことが二点目として挙げられております。

 それから、もう一つはやはり、画面あるいは音ということで、直接生の実際を捉えるものですから、プライバシーの問題というものをどう扱うかということで、この扱いが難しい。

 こういうような三点の問題が検証結果として挙げられているわけでございます。

城内委員 まさにそういった問題点があるんですが、私は、ここで、今大臣が御指摘にならなかった切り口がもう一つあると思うんですね。

 それは、いわゆる善良な市民という方と、あるいは犯罪組織に属している者とか、極左あるいは極右の活動家みたいな場合と、やはり分けるべきじゃないかと思うんですね。そういう、はっきり言うととんでもない人と善良な一市民と、同じ扱いでいいんでしょうか。

滝国務大臣 委員が御指摘されるようなことは当然あると思いますね。やはり、この種の取り調べというのはいろいろな種類の人たちを取り調べるわけでございますから、その中には、何回も犯罪を重ねている人もあるし、犯罪集団に属している人もおるでしょうし、それから、余り犯罪には、今回初めてというような、取り調べが初めてという人、そんないろいろなグループがありますから、それはそれなりに、私は、実際テストする方もそれは自覚して、当然それに合った録音、録画というものを心がけているはずであろうかと思っております。

城内委員 それで、八月三日の大口議員に対する大臣の答弁がありましたけれども、いろいろな問題をクリアするために取り調べの技術のレベルアップが必要だというようなことを答弁されたようですけれども、仮にレベルをアップすることで対処できるのであれば、レベルアップするまで、全過程の録音、録画を強制するということは必要ないんじゃないかと思うんです。レベルアップというのは、実際、具体的にはどういうレベルアップなんでしょうか。非常に抽象的で何かよくわからないんですけれども、大臣、どのようにお考えでしょうか。

滝国務大臣 基本的には、まだ録音、録画を始めて間もないわけでございますから、全ての取り調べに当たる検察官がいろいろな事件でいろいろな人に対応するときの経験というのは、いわば場数を踏んでいない。そういう意味では、取り調べる側の方の、研修をして、実際に場面に当たって物おじしないとか、あるいはもっと、録音、録画がされていないと同じような環境における取り調べというものがスムーズにできるような、それは一つの技術であるし、一つのテクニックというものをやはり検察官が共通して身につけていく必要がある。そういう意味でのレベルアップというふうに表現をさせていただいたわけでございます。

城内委員 今の大臣の答弁、ちょっと抽象的でよくわからないんです。実際に取り調べをされている検察官の方々、当然、五年、十年のベテランから、まだ経験が浅い人と、いろいろあると思うんですよね。ですから、それぞれの人たちはそれぞれ先輩方から教えてもらったりして研さんを日々積んでいるはずですから、だから何をもってレベルアップというのはよくわからないんですが、私は個人的に、そもそも、全面可視化による取り調べというのには反対なんですよね。限定的にやるべきだと思っているんです。

 伝えられるところによりますと、東京地検特捜部に逮捕されて取り調べを受けた男性の声として、担当検事から質問内容を事前に伝えられた上で録画のもとでの取り調べに応じたとか、別の元容疑者によれば、録音、録画がなければもっと突っ込んだ話ができた、発言に抑制が働いてしまったとか、さらに別の男性は、可視化されていると他の人について話したことが全部記録に残るので話しにくいと。そういう意見も当然ですよね。

 私は、先ほど申しましたように、善良な市民の方が疑われて、いきなり怖い検察官の人に机をどんとたたかれたら、それはびびって、何か頭の中が真っ白になる可能性はあると思いますから、そういった場合には可視化もいいと思うんです。しかし、前科三犯ぐらいの暴力団の人が来て、机をばんとたたいたら、おまえわかっているだろうなとか言われちゃうわけですよ。あるいは極左の過激派、完全黙秘、完黙をするとき、いいかげんにしろなんて机をたたいたら、たたきたくもなりますよね、そういう人には。だけれども、それができなくなるということもあるわけです。

 ですから、私は、しっかりと類型化して、限定的に可視化をするというふうにしてやらないと、悪いやつはどんどんふえて、例えば暴力団の場合は、じゃあ、おまえ、あと誰が関係しているんだといって、名前を出したら報復、海上保安庁のビデオだって流出するぐらいですから、そういうものが流れて殺されたら嫌だから、じゃ、もう言いませんという話になっちゃいますよね。

 そういう、何か非常に実態に合わない形でおやりになると、私は、幾ら一生懸命、警察官の方や検察官の方が法と正義にのっとっていろいろなことに対応しようとしても、もう何もできませんみたいになりはしないかと非常に懸念しているんですけれども、その点については大臣、どうでしょうか。

滝国務大臣 今、城内委員がおっしゃっているような問題は、それなりに現場ではあるんだろうと思います。ただ、いろいろなパターンがありますから、そういう意味で、そういうパターンにどうやって対応していくかというのは、やはり検察官の取り調べの技術というものがあるんだろうというふうに思います、それをどうやって高めていくかということが一つの課題。

 それからまた、本人一人では気がつかない問題も当然あるわけですね。これはもう人間ですから、取り調べをされている最中は、もうそこのことだけで集中していますので、ほかに余裕がない取り調べ方をする場合もあるだろうと思います。したがって、そういう場合にはどうするんだとか、いろいろなパターンに分けたレベルアップというのは必要だろうと思います。

 私は、先般、スウェーデンへ行って、少年の事件の取り調べの状況を見てまいりました。そうすると、別室でもって別のグループが、その取り調べている最中のモニターをしながら、今度は逆に取り調べ官にモニターを通じて、こういうことを聞いた方がいいとか、こういう取り調べ方をしろといって送り込むという場面もあることを見てまいりました。

 それぐらいにやはりいろいろなパターンの中でスキルアップというのは必要だろうということですから、今委員がおっしゃったように、いろいろなグループ分けということも当然その中に入ってくるだろうと思います。

城内委員 ぜひ、きっちりと類型化して、原則全面可視化というのではなくて、やはりどういう犯罪なのかによって類型化した上で適用していただきたいというふうに思います。そうしないと、先ほど申しましたように、あるいは犯罪組織、暴力団とか極左、極右活動家のような確信犯の人たちが、多分、早く成立しないかな、早くこういう制度を導入してくれないかと待っていると思いますよ、はっきり言うと、これは。そんなことでいいわけありませんので、そういった実態に合った形で、私は、何度も言いますけれども、可視化に反対なわけじゃないですよ、しかし、ケース・バイ・ケースでしっかりやってくれというふうに申し上げているわけであります。

 次の質問に移りますが、先ほど平沢委員も質問されておりましたけれども、この可視化をするという上で、やるのであれば通信傍受やおとり捜査など新たな捜査手法を当然導入していかないと、さっきも申しましたように、悪いやつがどんどんはびこるということになると思うんですね。

 したがいまして、可視化をすることによるマイナス分を新しい捜査手法の導入によって埋め合わせするということを担保していただかない限り、私は可視化については慎重という立場にならざるを得ないんですけれども、その点について大臣、どのようにお考えでしょうか。

滝国務大臣 我が国では、録音、録画の問題も、主としてアメリカにおける制度を導入してきたという経緯がございます。したがって、アメリカにおける録音、録画がいいからといって、そのまま日本でも適用できるというようなものではないというのが委員の今御指摘の趣旨だろうと思います。そういう意味では、当然、捜査手法という問題もあわせて見直していくということは、御指摘のとおりだというふうに認識をいたしております。

城内委員 先ほど、そういった諸外国と比べての件数が日本は非常に少ないということがわかったわけですけれども、私はやはり、さっき申しましたように、善良な市民の場合と組織犯罪に所属する者とでは当然分けて通信の傍受あるいはおとり捜査をやらないと、まさに悪いやつはどんどんはびこるわけですから、しっかりとその点について検討していただいて、それを前提として可視化を考えるということをやっていただきたいと思いますが、大臣、どうでしょうか。

滝国務大臣 当然、そういうことを視野に入れて、必要であれば、先ほども申し上げましたけれども、法制審の議論をしてもらうとか、いろいろなことを通じて、やはり可視化に伴う捜査手法の変化というものに対応できるような体制をとっていきたいと思います。

城内委員 大臣、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 次に、いじめの問題について質問させていただきたいと思います。

 先週、この法務委員会でも質問させていただきましたし、平沢委員もいじめ問題について本日質問されました。

 いじめ防止法のような個別法は必要でなく、現行法で十分対応できる、なぜなら、今回の大津少年自殺の事件は明らかな犯罪が存在するからだという意見もあるんですね。私は、いじめ防止法という個別法をつくったらいいという立場なんですけれども。

 犯罪が行われたら、当然捜査機関が学校内であろうと外であろうと立ち入って、犯罪者を検挙すればよいというふうに私は考えております。しかし、実態は、先ほど平沢委員とのやりとりでありましたけれども、そうじゃないんですね。であるにもかかわらず、滝大臣は、いじめを犯罪として捉えるのではなくなどという答弁もされたんですよ。あまつさえ、そのために人権侵害救済機関を設置する必要があるという問題のすりかえもありました。

 私は、いじめが犯罪なのではなくて、暴行、窃盗、器物損壊、教唆という犯罪行為があるのに、学校現場でこれらがいじめなどという定義不明瞭な平仮名の言葉に一くくりにされていることが問題だというふうに考えます。学校の外でこういったことが行われれば、これは犯罪行為ですから、当然、犯罪行為として対処されます。大臣、そういうふうに思いませんか、どうですか。

滝国務大臣 今の委員の指摘とはちょっと違うんですけれども、学校で犯罪行為が行われれば、当然犯罪行為としてそれは捉えるべきだというふうには思います。ただ、いじめの態様というものがどういうものかによって異なってくるというように理解すべき問題だというふうに思っているわけでございます。

城内委員 先ほど平沢委員とのやりとりもありましたけれども、日本は法治国家であるにもかかわらず、大学あるいは小中高といった学校内は、あたかも聖域のような形になっていて、公権力が介入しにくいという実態が厳としてあるわけですよ、現実にあるわけですね。したがって、今回の大津事件を教訓に、適切な公権力の学校内への行使ということは当然あってしかるべきだと思いますが、大臣、そうですよね。

滝国務大臣 今も申しましたように、当然それは否定すべき話ではないと思います。

城内委員 いや、否定すべき話ではないという答弁じゃなくて、そのとおりですというしっかりした答弁をしていただきたいんですが、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 次に、警察庁に質問したいと思います。

 先週、稲田議員も質問されましたけれども、滋賀県警が被害者の父親の被害届を三度受理しなかったことについてのペーパーというか調査報告が出されました。そのペーパーによりますと、滋賀県警は、今回の対応は配慮が足りなかったとか、あるいは、より主体的に警察として関与していくとの観点が不足していたとか、今回の反省を踏まえ、全職員への指導を徹底するとともに、捜査により事実関係を解明するよう努めていくというふうに書かれておりますが、滋賀県警のみならず全国の警察の問題として、今後は、被害者関係者からあるいは学校から通報があったら速やかに被害届を受理し、必要ならば学校にも捜査が入るということが当然あってしかるべきだと思います。

 滋賀県警については、グリコ事件で犯人を取り逃がして、当時の滋賀県警の本部長さんが自殺をされるという大変痛ましい事件がありましたけれども、また今回、こういうことで、三度ですよ、一回受理しなかったわけじゃなくて三度も受理しなかった、これは非常に大きな問題だと思うんです。この点について御答弁いただきたいと思うんですけれども、どうでしょうか。

岩瀬政府参考人 お尋ねの、滋賀県におきます中学二年男子生徒の自殺事案への滋賀県警の対応についてでございますが、御指摘のとおり、昨年十月に二回、それから十二月に一回、三回にわたりましてお父様から御相談をいただきました。

 一回目が十月の十八日、二回目が十月の二十日でございますけれども、署の担当課長がお話を伺ったわけでありますけれども、その時点では、警察として事案の有無について判断ができないということでありまして、その後、学校等から情報収集を進めていく、こういう対応をさせていただいたところであります。また、三回目の相談におきましても、お父様から被害届を提出したい旨のお申し出があったわけでありますけれども、具体的な犯罪事実の認定に困難な部分があるなどの理由を申し上げ、被害届の受理に至らなかったということでございます。

 滋賀県警察からは、これらの対応につきまして、御遺族のお気持ちをしっかりと受けとめた対応をとるべきであった、そのような報告を受けておるところでございます。

城内委員 結果責任という言葉がありますけれども、ぜひ、責任の所在を明らかにして、大変不幸なことでありますけれどもこういう結果が生じたわけですから、誰かがやはり責任をとる。そういうことをしないと、また同じことが繰り返されるわけですから、きちっと責任の所在を明らかにしていただきたいと思います。

 やはりそういうことを、滋賀県警、この調査報告に責任の所在を明らかにしてやりますと書いていないんですよね。何か、事実関係を解明するよう努めていくとか、こんなのは誰でも書けますよね。配慮が足りませんでした、申しわけなかったみたいなことは書いてありますけれども、そうじゃなくて、起こったことに対して誰がどのような形で責任をとるか。今現時点で言えないにしても、それを、そういう方向で今やっていますということを言っていただかないと、私が自殺した方の父親だったらもう怒り狂いますよ。何やっているんだ、ふざけるなという話になりますから、もうちょっと前向きな御答弁をいただきたいんですけれども、どうでしょうか。

岩瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、この相談における対応につきまして、被害者あるいは御相談者に対する思いが十分に至らなかったという点につきまして、滋賀県警におきましても、不十分な点があったという理解をしております。そしてまた、お父様に対してもおわびを申し上げているというところでございます。

 今回の問題については、現在、これまでの対応もございますが、これに加えまして、事案の全容を明らかにするために捜査をしているところでございます。この捜査につきましても、捜査をした後で、全般的な対応について、どのような点が問題であったのかということは改めて検証をする必要があるというふうには考えております。それを踏まえて、滋賀県警の方で適切に対応するものというふうに考えております。

城内委員 検証の結果、適切に対応するというんじゃなくて、検証を踏まえて責任の所在を明らかにさせていただきますという答弁を期待していたわけですが。

 いずれにしましても、この大津事件のみならず、そういった被害届の受理というのはどうも、いろいろ調べてみたら、極めて恣意的なんですね。そのとき警察署の関係者が忙しいと、まあいいや、これは後にしようとか。確かに、私は先週の委員会でも申し上げましたけれども、もっと検察官や警察官や自衛官、裁判官の人員をふやして、予算をつけて、まさに今社会で起きているいろいろな問題に適切に、スピーディーに対応するようにやるべきだ、それを財務省の論理で一律に公務員カットの対象にされているのが問題だということで、警察庁、検察庁の応援団としてそういう話をしたんです。

 少ない人員だということはわかりますけれども、ぜひ、被害届の受理というのはやはり適切にやっていただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。

岩瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 被害に遭われた方が警察を頼りにして来られている、その心情に十分思いをいたしまして被害届に対応するように努めてまいりたいと思います。事実関係を調査する等の時間が必要な場合もございますけれども、基本的には、被害届についてはできるだけ速やかに受理をする、これが原則だと思っております。

城内委員 ぜひお願いします。

 次に、文科省に質問させていただきたいと思います。

 いじめの範疇に、暴行あるいは窃盗など、明らかな刑法犯罪に当たる行為が含まれていますが、私は、なぜ、いたずらに等しい行為とこうした犯罪行為を一緒に定義するのかわからないんです。先ほど平沢委員も御指摘されていましたけれども、文科省の定義自体が非常に曖昧でわかりにくいんですね。一緒にして扱うから、現場の教員もいじめという一くくりに安易に判断して、警察に通報しないというふうに私は理解しているんですが、そうじゃないですか。

関政府参考人 私どもが調査をしております問題行動調査におきまして、毎年度調査を実施しておりますが、その中で、いじめにつきましても調査をしております。

 いじめにつきましては、さまざまな、冷やかしというレベルから、先生御指摘のような犯罪行為に当たるようなもの、暴行、傷害というようなものなどもあるわけでございまして、私ども、いじめにつきましては、学校生活内外におきまして、児童生徒の間におきます人間関係の中で、心理的、物理的な攻撃を受けたことによって精神的な苦痛を感じているものということで定義をしております。

 これは、平成十八年度にかなりいじめについての問題が生じ、これによる自殺というようなこともあったわけでございまして、当時、十八年度から、いじめはどの学校でも、どの子供にも起こり得るという認識のもとに、いじめの定義を、より被害者の心情に沿った、いじめを認知しやすいものに改めまして、いじめの兆候をいち早く把握して迅速に対応する、そういった趣旨で行っているものでございます。

 一方、御指摘のような犯罪行為の可能性がある場合につきましては、平成十九年の二月に通知をしておりますが、特に校内での傷害事件を初め、犯罪行為の可能性がある場合には、学校だけで抱え込むことなく、直ちに警察に通報し、その協力を得て対応することなど、学校における適切な対応を求めているところでございまして、こういった、いじめの早期発見、早期対応、それから、犯罪行為の可能性のある場合の警察との連携による対応、この両面からしっかり対応していく、そういったことを徹底していかなければならないと考えているところでございます。

城内委員 今御答弁ありましたけれども、実際、警察との連携といったって、なされていないんですよ、不十分なんですよ。ですから、文科省は徹底的に、全国に通達を出して、公権力の介入も含めて犯罪行為に対しては厳重に対応するということを、やはりきちっと指示を出していただきたい。

 そして、いじめというのはエスカレートするものなんですよね。最初はつねっていたのが、殴ったりとか、物をとったりとか、あるいは心理的圧迫とか、いろいろなことでエスカレートしていくわけです。これは、現場の教員が見て見ぬふりをするんじゃなくて、その芽を一つ一つ摘んでいくということをしなきゃいけないんですよ。

 ところが、何か教師の方の権利ばかり主張する某組合もありますけれども、何かそういうものについては、それは確かに私が教員だったら大変ですよ、そういう芽を雑草を抜くみたいにこっちへあっちへやったりするのは。しかし、やはりそれをやらずして、いじめはどんどんエスカレートするものなんですよ、撲滅できないんですよ。やはり、そういったことをまずやらずに何か今警察と連携しなんといったって、そんなのは絵に描いた餅ですから、実際にこういういじめをなくしてくださいよ。どうですか。

関政府参考人 先生御指摘のように、いじめの問題への対応につきましては、いじめられる子供を最後まで守り通す、そういったことを行う。児童生徒の生命身体の安全を預かる学校としては当然の責務でございまして、同時に、いじめる子供に対して、毅然とした対応と粘り強い指導によりまして、いじめは絶対に許されない行為であるということ、ひきょうで恥ずべき行為であるということを認識させる必要があると考えております。

 そういう中で、その毅然とした対応、指導という中で、犯罪行為の可能性がある場合には、学校だけで抱え込むことなく、直ちに警察に通報し、その協力を得て対応する、そういったことを平成十九年の通知でも指導しているところでございまして、そのことを徹底してまいりたいと思いますし、そういったことをしっかりやるためには、日ごろから学校、教育委員会と警察との連携、そして、具体的にそういった行為が行われたときに、状況を的確に判断して、ためらわずに関係機関と連携する、そういったことが必要であると考えておりますので、引き続きこういったことについての徹底に努めてまいりたいと考えております。

城内委員 具体的に言うと、いじめが行われている場合は、されている場合でもいいですけれども、実際に通報を義務化して、通報を怠る教員あるいは校長先生はしっかりと責任をとる、処分される、こういうシステムをつくれば、私はいじめというのは相当なくなると思います。

 と同時に、いじめをした子供の親が警察に呼び出される、そういうことがあれば、おまえ何をやっているんだと親は子供を指導する、そしてその子もやはりきちっと罰を与えられるということをやらないと、私はいじめというのはなくならないと思います。ぜひ通報の義務化をお願いしたいと思います。

 そして、次の質問に移りたいと思いますけれども、そもそも文科省は、学校内外での児童生徒に対するいじめについて、所管官庁として、今述べたきれいごとじゃなくて、もっと責任を持って、先頭に立って私は対応していただきたいと思います。

 実際、文科省のサイトにいじめに関する相談の窓口というのが載っていたんですね。見てみましたら、各都道府県、二十四時間いじめ相談ダイヤルというのがあります。そしてまた、法務省の子どもの人権一一〇番というのもあります。警察庁の都道府県警察の少年相談窓口というのもあります。四つ目に、厚労省の平成二十三年度全国児童相談所一覧というのもあります。五つ目に一般社団法人日本いのちの電話連盟、六つ目にNPOチャイルドラインとありますが、私がいじめられた子供だったら、どこにどうやって話を持っていくのか混乱しますよ。

 これは、窓口、文科省が中心になって、文科省ができないんだったら内閣府でもいいですけれども、どこかに一本化して、そこに駆け込めば、人権救済機関じゃなくて、そういうところに駆け込めばきちんと対応してくれる、そういうシステムをつくるべきだと思いますが、文科省さん、どうでしょうか。

関政府参考人 御指摘のように、文部科学省では、いじめ問題に悩む子供や保護者等がいつでも全国どこからでも相談機関に相談できるように、夜間、休日を含めた二十四時間いじめ相談ダイヤルを整備しております。この電話相談窓口につきましては、都道府県教育委員会におきまして窓口紹介カードを作成いたしまして、その中に関係の電話番号など、相談窓口などもあわせて掲載をいたしまして、児童生徒に配付をしているところでございます。

 各省庁が実施しております相談窓口といたしまして、法務省、警察庁、厚生労働省の相談窓口があると承知しておりますが、例えば法務省では、子どもの人権一一〇番として、人権擁護について理解のある弁護士などから選ばれた人権擁護委員の方が、子供をめぐるさまざまな人権問題についての相談を受けていると承知をしておりまして、私ども実施をしております文部科学省における二十四時間いじめ相談ダイヤルでは、教職経験者でありますとか臨床心理の専門家などが、いじめなどについての相談を受けているところでございます。

 この相談電話につきましては、おのおの、その設置の趣旨や相談に当たる方の専門性などが異なるということもございまして、これらを一本化することには慎重な検討が必要であると考えておりますが、その相談内容によって、やはり受けた相談のところから、窓口から、警察機関やあるいは児童相談所など関係機関と連携をしていく、そういう適切な対応を図っていくということも重要でございまして、今そういった取り組みも行われておりますが、なおそういった連携ということについても、十分これから相談窓口については考えていきたいと考えております。

城内委員 今、設置の趣旨が異なるから一本化には慎重というお立場を答弁されましたけれども、再度申し上げますけれども、私がいじめを受けた子であれば、本当にどこに相談したらいいかわからないわけですよ。ですから、やはり窓口は一本化して、こういった中身によって、ではこのケースはNPOチャイルドラインでいいんじゃないかとか、そういうふうにやっていかないと、まさにもう何だかわからなくなっちゃって、ではいいやと泣き寝入りすることが私はあるんじゃないかと思うんです。

 したがいまして、文科省はもっと当事者意識を持っていただいて、まず最初の受け手であるわけですから、現場は学校なわけですよ、学校の中なわけですから、そこできちっとまず初動をしていただいて、そしてきめ細かく対応していくということをぜひやっていただきたいというふうに思います。

 次に、法務省にお伺いしたいと思います。

 いじめについてですけれども、いじめ防止についてどのような啓発活動を行っているのか、質問させていただきたいと思います。

滝国務大臣 啓発活動と申しますと、大体三点ぐらいございます。

 一つは、全国中学生人権作文コンテストということで、中学生に対して、いじめ問題というか人権問題を中心にして作文を送ってもらう。それからもう一つは、人権教室ということで、これは小学校が対象でございますけれども、いじめ等についての、考えてもらう、体験してもらう、体得してもらうといいますか、そういうことをやっております。それから三番目には、花運動と称して、地域の人権擁護委員が小学校を訪問して、花の種あるいは球根、これを子供たちと一緒に植えて、人の命のとうとさ、こういうことを通じて人権に対する意識を培ってもらう、こんなことが小学校、中学生向けの啓発活動でございます。

城内委員 大臣、そういった人権作文コンテストとか、人権の花運動というんですか、大変結構なことだと思いますよ。しかし、私は、それは当然やるべきだと思いますけれども、そもそも、いじめを人権問題としてしまう法務省の切り口ではなくて、先ほど文科省に質問しましたけれども、やはり現場、現場の先生方、教員の方々がきちっと対応して事前に芽を摘むということをしないと、いじめはいつまでたってもなくならないというふうに思います。

 したがって、私は、省庁縦割りではなくて、文科省が中心になって、法務省を初めとする関係省庁と連携しながら対応していく。そのためにも、前回の質問で提言したいじめ防止法というのをそろそろ立法を検討していいんじゃないのかなと考えているんですが、その点について滝大臣の見解をお伺いしたいと思います。

滝国務大臣 いじめ防止法をどうするかというのは、当然今の課題だろうと思います。既に児童虐待法があるわけでございますけれども、これがいわばいじめの防止になっていない、こういうことであれば、それにかわるべき法整備というのは当然検討されるべき事項だろうとは思います。

城内委員 大臣、ぜひ検討していただきたいと思います。

 残り時間も少なくなりましたので、最後の質問に移りたいと思います。人権救済機関の設置についてですが、今回でたしか十三回目か十二回目か忘れましたけれども、これまでずっと質問してまいりました。

 八月一日付の産経新聞のこれはウエブ版ですが、こういう報道があって私はびっくりしたんです。「民主党の「人権政策推進議員連盟」の中野寛成会長らが一日、野田佳彦首相と官邸で会い、人権救済機関「人権委員会」を法務省の外局に新設する人権救済機関設置法案の今国会成立に向けて、早期に閣議決定するよう求める要請書を提出した。同席者によると、首相は「頭の整理ができたので、しっかりと対応したい」と答えた。」こういう報道がありました。

 この事実関係について大臣の御答弁をいただきたいと思いますけれども、事実ですか。

滝国務大臣 私もそれは報道を通じて知りました。

城内委員 大臣、何か野田総理から指示はありましたでしょうか。

滝国務大臣 その問題についての特段の指示はございません。

城内委員 報道によると、野田、ここには総理じゃなくて首相とありますけれども、野田首相は頭の整理ができたと。頭の整理、私、十三回ぐらい質問していまだに全然整理ができていないんです、問題点ばかり指摘していますが、全然納得していないんですけれども、何か知らないですけれども野田首相は整理ができたという答弁ですが、私は非常に信じられないんですね。

 一説に、ある人いわく、要するに、この時期に官邸に中野寛成さんという議員連盟の会長が赴いたのは選挙対策ではないかと。私はこれはうがった見方であればいいなと思うんですけれども、そういうことを言う方もいるんですよ。

 民主党の極めて重要な支援団体である部落解放同盟の松岡書記長、民主党の前参議院議員、松岡書記長は、人権委員会が差別や人権侵害を審議するとき、政府から独立していることが重要、日本では三条委員会が最も独立性が高い、また人権委員会は、さまざまな差別や人権侵害を相手にすることを考えれば、法務省ではなく総合性のある内閣府がよい、あるいは人権省や人権庁がよく、法案にもある五年後の見直しのときに実現させていくなどと述べているというのがあるんですが、大臣の方には何かそういった、人権侵害救済機関を早くつくってくれという、部落解放同盟のような、あるいはその他の団体から具体的な要請があるんでしょうか。何かそういう差し迫った必要性があるんでしょうか。

滝国務大臣 部落解放同盟ということだけではなく、いろいろなところから、私の方には、法務省の検討している人権委員会設置法案、あれを早く実現するようにしてくれ、こういうような要請はいろいろな団体から来ていることは事実でございます。

城内委員 しかし同時に、この人権侵害救済機関について、設置しないでくれ、やめてくれ、反対だという声は届いていないんでしょうか。

滝国務大臣 法務省に届いているかどうかわかりませんけれども、少なくとも、そういうような声も当然私どもにも来ています。

城内委員 いや、法務省に届いているかわからないといいますけれども、届いているんですよ。私の推測ですけれども、反対の要請の方が圧倒的に多いはずですよ。

 大臣、その届いているものをちゃんと読んでいただいて、全部じゃなくていいですから、一部でも二部でもいいですから読んでいただいて、そして、後で事務方に、推進派の人と反対の人のどちらの声が大きいかというのをちゃんと確認してください。約束してくれますか。

滝国務大臣 そういうことを言いますとファクスがとにかくとまってしまいますので、まさに機能停止に陥るわけでございます。議員会館の方も、ファクスが結局は停止しちゃうんです。

城内委員 わかりました。通常の業務が支障を来すということはよろしくないので、急にこれから来るものではなくて、逆に、さかのぼってどういうのが来ていたかというぐらいはチェックできるはずですから、それをぜひやっていただきたいと思います。

 きょうもこの問題について、あとたくさん質問する予定だったんですが、もう時間もないので、最後に一点だけ質問して終わりたいと思います。

 大臣に質問ですが、まさに人権侵害救済機関を設置する理由として、いじめとか、あるいは刑務官による問題だとかいうことが指摘されておりましたけれども、刑務所内で服役囚に対して人権侵害が行われ、それが明らかになると、法務大臣としても当然対応しますよね。

滝国務大臣 それは御指摘のとおりでございます。

城内委員 当然対応するわけですから、身内のかわいさで刑務官に対する処分を控えたり、もみ消したりすることは絶対ないわけですよね。大臣がおっしゃったとおりです。

 したがって、人権侵害救済機関を設置しないと刑務官によるそういった問題がなくならないということは全く説得力がないんじゃないですか。

滝国務大臣 ただ、そういうことだけでは済む問題ではない、いろいろなチャネルが必要だ、こういうことだと思います。

城内委員 いろいろなチャネルが必要だとしても、私は、三条委員会という強力な権限を持つそういったものを設置する必要はないという結論については全く変わりません。

 もう時間がないので、残された問題はまた次の機会に質問させていただきますが、冒頭述べましたように、今までの法務大臣とは違って、大変尊敬している立派な法務大臣でいらっしゃいますので、滝大臣におかれましては、人権侵害救済機関の設置については十二分に議論を尽くした上で判断していただきたいと思います。

 これで質問を終わります。

鉢呂委員長 次に、横粂勝仁君。

横粂委員 改革無所属の会、横粂勝仁でございます。本日も質問のお時間をいただきまして、ありがとうございます。

 刑法等の一部を改正する法律案及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案のうち、更生保護法の一部改正の部分についてお聞きしたいと思います。

 保護観察の特別遵守事項の類型に加えることになります社会貢献活動とは、どのような活動を想定しているのか。これまでも議論されてきたことではございますが、いま一度、具体的に明示してください。よろしくお願いします。

青沼政府参考人 社会貢献活動は、保護観察対象者に、社会に役立つ活動を行ったとの達成感を得させたり、あるいは、地域住民等から感謝されることなどを通じまして自己有用感を獲得させたりして、改善更生の意欲を高め、さらには他者一般を尊重し、社会のルールを遵守すべきことを認識させるといったことを目的としております。

 委員御質問の具体的な活動内容についてでございますが、活動が行われる各地域の実情に応じてさまざまなものがあるというふうに思われますけれども、例を挙げれば、公共の場所での清掃や落書き消し、福祉施設における介護の補助、公園の緑化等の活動のほか、例えば違法広告物の撤去、動物園での飼育補助、使用済み切手の整理などの活動が想定されております。

横粂委員 今、介護補助というものがございましたが、介護活動を社会貢献活動に含めてしまうことの是非について議論したいと思います。

 ごみ拾いですとか落書き消しというのは対物のものであって、介護となると対人、温かい心が必要な活動について社会貢献制度に含めることがいかがなものか。その前提として、まず介護補助という言葉がよくわからないんですが、介護補助とは具体的に介護現場で何をやることを指しているのか、教えてください。

松野大臣政務官 お答えいたします。

 介護補助というのは、基本的には介護福祉士がやるような専門的あるいは技術を習得しなければできないような、そういう資格のある人でないとできないようなものではなくて、あくまでもそれを支えるボランティアによるような活動領域のことを指しているものと思います。

横粂委員 そういった、ここでの議論では介護福祉士の専門性とは違うといっても、実際の現場に行って、では手伝ってください、どこまで手伝っていいのかよくわからない。介護福祉士、専門性のものがどこまでなのか。手伝えと言われたら、本当に人に対する対人的な、本来専門家がやるべきことまでやってしまうおそれというものがあるんじゃないかと思うんですが、その点については、いかがでしょうか。

松野大臣政務官 その点は、確かに御指摘のように十分配慮をしていかなければならないというふうに思いますし、また、福祉施設の介護福祉士も含め、いろいろなそういう専門家の職員の方々に事前に指示を受ける、あるいはやり方を習う、こういうようなことをきちんとした上で、可能な範囲で行うというものがふさわしいだろうというふうに思っております。私は、今までボランティアで行われているような軽微な補助的な活動として、例えば洗濯物を整理したり洗ったりするとか、シーツを交換するとか、あるいは車椅子の清掃をするとか、そういうものが望ましいのかなというふうに思っております。

横粂委員 ありがとうございます。

 今示された指針に基づき、しっかりとした役割分担を心がけていただきたいと思います。また、介護福祉士という専門職であって、これから高齢化社会において介護という役割が果たすものが大きくなっていく中で介護職につかれている方々の誇りというものに関しても損なうことのない配慮と、国民の皆様への周知もよろしくお願いをいたします。

 では、社会貢献活動の諸外国の例についてお聞きしたいと思います。

 アメリカまたはその他の国において社会貢献活動の具体的な実施例及びその際のプライバシーへの配慮について、まさに公衆の面前でそういった活動をするということはプライバシー面で問題が起こり得ると思うんですが、諸外国ではどのような活動をして、プライバシーに対してはどのような配慮をしているのか、お聞きしたいと思います。

松野大臣政務官 アメリカの例でありますが、例えばアメリカのカリフォルニア州では、幹線道路等の清掃それから落書き消しのような奉仕活動、こういうものが、これは独立の刑罰として科されている場合がございます。内容は遵守事項、特別遵守事項とそれほど変わるものではございませんが、保護観察の特別遵守事項というようなたてつけにするのか、あるいは独立の刑罰として科されるのか、それは各国によってまちまちのところがあろうかと思います。

 あとほかに、イギリスになりますと、これは遵守事項というような形でコミュニティーの壁の落書き消しだとか、あるいは教会や公園での清掃、こういったものが行われているということでございます。同じようなものはフランスでもドイツでも行われているということでございます。

 それからプライバシーの問題、これはそれぞれに配慮しなければいけない問題だと思います。

 一つの例として韓国のことを申し上げますと、韓国では、外部で作業を行う場合、その対象者には、社会奉仕、プロベーションオフィスというようなベストを着せることもあるというふうには聞いておりまして、これはプライバシーの観点でいろいろ御議論はあろうかと思いますが、各国とも、プライバシーにもいろいろと配慮しながら行っているというふうに承知しています。

横粂委員 具体例を提示いただき、ありがとうございます。

 プライバシーの面では、今、韓国での具体例を挙げていただきましたが、アメリカとかイギリスではどうなっているのか。どれぐらいの規模でやっていて、十名なのか百名なのか千名なのか。そして、服装が統一なのか。まさに外見上、あの人たち、罪を犯した者たちが清掃活動をやっているなとわかってしまうような状況なのか。たとえわかったとしても、文化的な問題として、そこに対して何らほかの方がとやかく言うようなものではないのか。

 外見上、明らかなのか否か、それに対する配慮があるのか、御回答いただければと思います。

青沼政府参考人 今、手元に具体的な諸外国のプライバシー配慮についての例というのを持っておりませんで、正確なところはお答えできないんですけれども、それぞれにおいて、プライバシーについて一定の配慮をしているというふうな状況があると承知しております。

横粂委員 それでは、日本においてこれからどうしていくのか、お聞きしたいと思います。

 やはり、諸外国よりもさらに、そういった社会福祉、社会貢献活動に対する認知ですとか広がりがまだまだ少ない、さらに言えば、プライバシーに関する侵害も多く指摘されている日本において、今後どうしていくのか。また、特にツイッターやフェースブックといったインターネットが普及してきて、今、罪を犯した方々が清掃活動をやっているぞということがインターネット上で回ってしまうことがないのか。そういったことへの配慮が必要かと思っております。

 まず、その前提として、日本で先ほどの、ごみ拾いですとか落書き消しをやるというときには、十名単位、百名単位、千人、どれぐらいの規模なのか。そして、どれぐらいの服装なのか。外見上、明らかにあの人たちだとわかる形でやるのかやらないのか、教えていただければと思います。

谷副大臣 お答えする前に、このプライバシーへの配慮の問題については、これは私どもも非常に重要視している課題の一つでございまして、そういう立場からお答えをいたしたいと思います。

 前提となります社会貢献活動、これは言うまでもございませんが、この社会貢献活動を通して改善更生の意欲を高める、あるいはまた、周囲にそういう一つの社会的な活動をすることによって自覚をさらに促していくというような大きな目的があると思っています。

 そういう中で、プライバシーを守ることで私どもがまず考えておりますのは、対象者といいますか、その社会貢献活動を行う対象者が住んでいる居住地、そういうところ以外の地域で活動していただくというようなことがまず一つ。それから、実際に活動する活動先の関係者に提供するその対象者の個人情報、これを必要最小限のものにして、具体的なそういう内容については、これをできるだけ明らかにしない方向で活動していただく。そういうふうな適切な管理を要請しまして、対象者のプライバシーの確保に十分配慮した実施方法をとっていきたい。インターネット等についても同様の対応でしてまいりたいと考えております。

横粂委員 プライバシーに関して十分に御配慮、そして検討いただいておりますことに感謝いたします。居住地以外の場所で活動してもらうとか、あと、関係者の方々へ情報のときも、なるべく情報を少なくといいますか制限的にお渡しするということが、考え得ることとして適切なことだと思います。

 ただ、今までの社会であればそれでよかったかもしれませんが、やはりインターネットメディアが発達してくると、知らない誰かであっても、とりあえずおもしろいから撮ってみよう、そしてそれが広がっていけば、いろいろな方々に拡散していくということもありますので、今のウエブメディア発展のこの社会において、より一層の配慮をいただきたいと思います。

 その上で、公道での写真撮影は、私生活への侵入、私事の公開とは言いがたく、プライバシー権の侵害とは言えないとするのが、京都府学連事件最高裁判決、昭和四十四年十二月二十四日ということで、判例の見解だと思うんですが、一般に歩いている方を撮っても大丈夫。でも、清掃活動中、社会貢献活動中の方々を写真撮影した場合、それは裁判上、プライバシー権の侵害になるのか否か、御見解を教えてください。

松野大臣政務官 具体的なケースについては、これはもう裁判所の御判断にまつほかはないと思います。

 基本的には、それぞれいろいろな事情を裁判所の方で考慮して、プライバシーの侵害に当たるか当たらないかということを判断するのが通例かと思いますので、一概にここで、当たるとか当たらないかというのは、ちょっと申し上げにくいと思っております。

横粂委員 もちろん、その裁判の個別具体的な判断に基づくということだとは思うんですが、ただ、立法側の立場として、やはりそういったトラブルが十件じゃなくて百件、千件、一万件起きるということは想定し得ることであって、それを放置してしまっていいのかということ。

 そして、裁判になったときに、その判例が出てくるまでに時間がかかりますし、それは一審、控訴、そして最高裁という形になったときに、最終的な判例が出るまでにまだ数年かかると思うんですが、それまでの間は完全に放置していていいのか。やはり法務省として、しっかりとした指針も示していただく、撮影はいけないということも含めて示していただく必要があろうかと思います。

 仮に、この法案が通った場合、いわゆるこの社会貢献活動、今は試行としてやっているとのことですが、本当に実際に行われるのは、何年後から行われることになるのでしょうか。お願いします。

青沼政府参考人 社会貢献活動を特別遵守事項の一つとして義務づける制度につきましては、施行後二年ということでございます。

横粂委員 通告をしてなくて恐縮ではございますが、その二年の間に、もう少し、今後起き得る、特にインターネットの発展という面を考慮したプライバシーへの配慮をお願いしたいと思っております。

 まだ裁判所においてこういった事件が今後ふえ得るということ、それに対して、前回の委員会において裁判官の増員等をいたしましたが、これがふえてきた場合に、裁判所において、事件数がふえてしまうことに対してはいかがお考えでしょうか。

松野大臣政務官 裁判所の判断において、今回の一部執行猶予というのはメニューがふえる。犯した犯罪によりふさわしい量刑というものについて、今までですと、全部実刑か、あるいは全部執行猶予か、この二つしかなかったのに、一部執行猶予が取り入れられるということで、メニューがふえるということになりますので、そういう意味では、選択がふえるというわけで、特段それによって裁判官をふやさなければいけない、それを理由に特段ふやさなければならないというようなものではないんではないかと思っております。

横粂委員 ありがとうございます。

 あと若干の時間がございますので、実施にかかる費用について、これも通告をしていなくて恐縮なんですが。

 先ほどからお聞きしている、十名規模でやるのか、百名でやるのか、千名でやるのか、私、いまだにまだイメージが湧かないんですが、例えば、本当に千人ぐらい集めて清掃活動をやりますということであれば、それに対する管理する方々、そして警備をする方々、そしてプライバシーシャットダウンする方々、いろいろなことが必要ですし、逆に言えば、十名規模でやっていくのであれば、個別設定して、本当にその人が来るのか来ないのか、その管理も含めて、さまざまな事務処理というものがふえてくると思うんです。

 いま一度、どれぐらいの規模でやられていくのか、そしてそれに対する人員、人件費等々、費用等についてお聞きしたいと思います。

青沼政府参考人 規模については、現在先行実施をしておりまして、まだ確定したものではございませんが、現在の想定としては、十名程度をまとめて実施するといったようなことを考えております。

 また、費用等についてということでございますけれども、現在の人員の観察官、あるいは保護司さんの御協力をいただく、あるいはボランティアのNPO法人、あるいは通常のボランティアの学生の活動ということにも協力をいただくというふうなことで対応していきたいというふうに考えております。

 それから、答弁の若干訂正ですが、先ほど施行後二年というふうに申し上げましたが、公布後二年の誤りでございました。訂正します。

横粂委員 ありがとうございます。

 さまざまな私の疑問点を今聞かせていただきました。趣旨として、まさに、罪を犯した方々が達成感を感じてもらう、そして社会で感謝されることを感じ取ってもらうということは意義あることだと思います。

 ただ、そこに対するプライバシー面も配慮するということ、そして、今試行で、十名ということで、これを全国でやっていくと、各地各地で設定をしてそれを本当に運用していくということは、まさに今言ったたくさんのボランティアの方々、理解していただける方々の支援というものが不可欠になっていくと思いますので、法務省が主体的に引っ張っていただいて、こういった新しい制度を社会に定着させていって、まさに再犯の防止、そしてより暮らしやすい社会の実現に向けて御尽力いただければと思っております。

 御質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。

鉢呂委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

鉢呂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。柴山昌彦君。

柴山委員 自由民主党の柴山昌彦です。

 午前中の平沢勝栄議員の大津いじめ事件問題に関する質問に、ちょっと補足してお伺いしたいことがあります。

 先ほど、事件当時の教師に対する処分がどのようになっているのかということが話題になりましたけれども、今回、被害届を受理しなかった警察当局の担当課の職員のその後の責任というのはどのようになっているんでしょうか。

 先ほど御説明をいただいたように、三度にわたって被害者のお父さんが警察にこのいじめ自殺について相談に行かれている。担当課長は、三度目のその相談では、遺書もなく、被害者が亡くなられているので、被害者から、具体的な被害の状況やそのときの心境を初め、犯罪の立件で重要となる事柄を確認できないと、通常の犯罪であれば、全く間の抜けたお話をされているわけです。

 しかも、一回目の相談においては、やはり担当課長から、現時点では事実の有無を判断できないので、立件は難しい状況にあるため、学校から情報収集を行いますなどと言って、みずからの職責を全く果たそうとされていないわけですね。

 こういった警察の対応は不備だとはお感じにならないんでしょうか。警察庁、いかがでしょうか。

岩瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 この本件の御相談に対する対応についての責任ということについて、まずお尋ねでございます。

 本件につきましては、三回にわたって御相談をいただいたということでございまして、十月に二回、十二月に一回ということで御相談をいただいたところであります。

 その中で、例えば、一回目、二回目であれば、どう処罰できるか等の御相談があったということでございますが、これについては、現段階では事実の有無がなかなか判断することができないので、学校等からの情報収集を行います、こういう答えをさせていただいたということでございます。それから、三回目につきましても、具体的な犯罪事実の認定には困難な部分があるなどの理由から、被害届の受理に至らなかったものでございます。

 こういう事案に対しまして、そもそも、学校におけるいじめ問題について、教育上の配慮ということもございます。まずは教育現場における対応を尊重する、こういう必要がありますけれども、当然、犯罪等の違法行為がある場合には、警察として必要な対応をとっていく、ましてや、生命や身体に危険のある場合には早急に必要な体制をとっていく、これが当然のことでございますので、そのような対応をとらなければならないということでございます。

 今回のこの三回の相談につきまして、どの時点で相談を受理すべきであったのかという議論もあるところでございます。被害を訴えてこられた被害者の方の意思を十分に尊重して、なるべく速やかに受理をすべきであるというのが基本的な考え方だと思っております。

 そういう意味では、滋賀県警察からは、今回の対応につきまして、御遺族の気持ちをしっかりと受けとめた対応をとるべきであった、そういう報告を受けておるところでございます。

 その処分の問題でございますけれども、この相談からその後の学校等への事情聴取を経まして、現在、七月十一日に捜索を行い、その後の捜査を今実施しているところでございます。全体の捜査につきまして、これから事案解明ということを進めていった上で、この過程について検証する、その中で、滋賀県警の方で処分という問題について適切に対応していくというふうに考えております。

柴山委員 きのう、警察庁の出した報告書を読ませていただきましたけれども、そこには明確に、警察として配慮が足りなかったということを明言されているわけですね。

 今申し上げたように、告訴を受理しなかった、被害届をしっかりと受理しなかったことによって、結局、対応がおくれ、この間、加害少年は引っ越しをしてしまい、そして今、学校は夏休み中なわけですね。それによって捜査に影響が出てくる側面も私は少なからずあるのかなという気もいたしますし、これがもし職務上しっかりとした行為を行っていないということになれば、当然、懲戒処分の対象になるのかなというように私は思います。

 この点については、今捜査中ということですけれども、しかるべき時を見て、しっかりとまた報告をしていただきたいというように思います。

 続いて、この関連なんですけれども、今申し上げた、加害少年あるいは加害少年の家族についての聞き取りあるいは情報把握、これを警察の方ではきちんとやっているんでしょうか。

岩瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 個々の関係者からの事情聴取の状況等、事件捜査の詳細につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思いますが、滋賀県警察におきましては、現在、学校の生徒を含む関係者からの事情聴取などを順次進めているところでございます。今後も引き続き、事実関係の解明に向けて取り組んでまいるものと承知をしております。

柴山委員 当然、目撃情報、周りの生徒に対して行う等々を通じて、また本人に対してもしっかりと事情を聞くというようなことが段階的に必要になってくるというように思うんです。

 この少年、実は転校しております。しかも、家族の方々もいろいろな報道がされています。そういう中で、やはり、罪証隠滅ですとか、あるいは、場合によっては逃亡ですとか、そういうおそれが出てくる可能性だってなきにしもあらずというように思うんですね。そういう場合には、どのような対応をしなければいけないんですか。

岩瀬政府参考人 個別の事案ですので詳細はお答えを差し控えさせていただきますけれども、今議員御指摘のように、順序というものがあります。順次、関係者につきまして、現在、事情聴取等の捜査を行っている状況でございます。当然、任意の捜査でございますので、相手方の御承諾をいただいて事情聴取を行う、こういう手順で捜査を進めているところでございます。

柴山委員 私の質問は、加害少年とされておられる方々あるいはその御家族の方々に、罪証を隠滅する、隠す、あるいは口裏を合わせる、あるいは逃亡のおそれがある、そういうような事例が生じた場合には、一体どうなるんですかということをお聞きしているんです。一般論で結構です。お答えください。

岩瀬政府参考人 お答えいたします。

 一般論でお答えせよということでございますので、そうさせていただきますが、逃亡のおそれ、罪証の隠滅のおそれ等がある場合には、身柄をとって捜査をするということも一つの選択肢となってまいることでございます。

柴山委員 身柄を拘束する、逮捕するということが望ましいということを必ずしも申し上げているわけではありません。しかしながら、これだけ初動捜査がおくれているわけですから、さまざまな事柄に対応できるような体制を警察にはとっていただかないといけない。それは、やはり、警察自身のこの問題の落ち度に対する責任でもあるというように私は思っております。

 続きまして、ちょっと逆のお話にもなるんですけれども、加害少年側のプライバシーについての対策、これは一体どのようになっているんでしょうか。

滝国務大臣 今回の事件については差し控えさせていただきますけれども、一般論としては、例えば、インターネットの場合でございますけれども、これについては、電気通信事業者団体で構成されておりますプロバイダーの責任制限法ガイドライン協議会というのがございまして、それに加盟しているインターネットのいわば提供者、これに対して被害者から削除要請などがございますと、法務局を通じて、どうしたらいいかとか、あるいは当該プロバイダーに対して直接法務局から要請をするとか、こういうようなことをして、専ら被害者からの要請によって行動するということにいたしているわけでございます。

柴山委員 プロバイダー責任法のガイドラインに基づいての処理というようにおっしゃいましたけれども、それに基づけば、今大臣がおっしゃるように被害者、被害者というのは今回でいえば人権あるいはプライバシーを害されている加害少年側ということになるんでしょうか、その当事者からの申請がなければ動かない。職権では動かない。どんなに問題としてひどいプライバシー侵害があっても、これに対して職権で動くことはできないということでよろしいんでしょうか。

滝国務大臣 そのとおりでございます。

 理由を申しますと、職権でやりますと、またそのプロバイダーがどういう反応をするかというのがつかみ切れないものですから、専らいわばインターネットの被害者からの要請によって、本人と相談した上で対応するというのを原則としているわけでございます。

柴山委員 ということは、今堂々と加害少年側あるいはその御家族の情報がインターネットを通じて流布しているというのは、本人側からの削除要請がないということなんですか。

滝国務大臣 恐らくそういうふうに思われます。

柴山委員 この問題についても、これからあるべき方策ということはある程度きちんと検討していかないといけないような事態になっているのかなというように思います。加害行為の悪質性と、それから、特に少年のプライバシーの問題、これは別個の問題だと思っておりますので、問題提起をさせていただきました。

 ちなみに、被害者の少年の父親に対して大津市長は謝罪をしたと報道で伝わっておりますけれども、嘉田知事はどのような対応をされているんでしょうか。

    〔委員長退席、樋口委員長代理着席〕

関政府参考人 滋賀県知事は記者会見におきまして、本事案がまことに残念であり、心が痛んでいることや、十分に対応できなかったということを反省している旨を述べていると承知をしております。

 県教育委員会から報告を受けているところでは、県教育委員会におきましては、昨年十月十一日以降、大津市教育委員会からの情報収集や、大津市教育委員会に対する指導助言、スクールカウンセラーの緊急派遣、各市町に対するいじめ問題への対応の再点検を求める指導などを行っていたと聞いております。

 また、本年七月四日以降につきましては、大津市教育委員会に対しまして、事実関係を確認し、説明責任を果たすよう指導助言するほか、県の職員やスクールカウンセラーを大津市教育委員会及び当該学校に常駐派遣いたしますとともに、県教育委員会、知事部局内の関係部局で構成をいたします、いじめから子どもを守る緊急対策チーム会議などを開催して、県内の市町に対する対策の徹底等を求めるとともに、今後、滋賀県知事を本部長とする滋賀県いじめ対策本部を立ち上げ、恒久的ないじめ対策を検討することとしていると承知をしております。

柴山委員 おかしくないですか。めちゃめちゃおかしいですよ。だって、大津市の教育委員会は今回の隠蔽の当事者なわけですよ。いわば、本来裁かれなければいけない、まないたの上のコイですよ。それに対して県の教育委員会が、何ですか、確認の聞き取りをする、カウンセラーを送る、そんなことで本当に実態解明はされるんですか。結局、身内同士の、第三者性を欠いた組織における隠蔽工作への加担になるんじゃないですか。

 現に、少年の父親は、今回立ち上がるという第三者調査委員会の議論の手続へのアクセスと、それから、調査への市職員の不関与を求めているということなんです。その被害者父親の要望は、一体どのように扱われるんでしょうか。

関政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの第三者委員会の会議の公開につきましては、七月二十五日に行われました大津市長と御遺族の面会の場におきまして、御遺族側から、プライバシー等の配慮により全面公開が難しいことは理解できるが、関係者への公開ができないかとの要望をされていたと承知をしております。

 また、御指摘のございました第三者委員会の調査への市の職員の関与についてでございますが、同じく、この面会の場におきまして、大津市側から、資料の整理や日程調整などの事務局的機能にとどめる内容の説明を行ったところ、御遺族側からも一定の評価をする旨の発言がなされていると承知をしております。

 これらの点を含めまして、第三者委員会のあり方につきましては、現在、大津市側と御遺族側との間で具体的な調整が行われているところであると承知をしております。

柴山委員 市の教育委員会の調査、それから県の教育委員会のこれに対する指導、それから文部科学省の国としてのさまざまな指導、三つのトリプルトラックになって、結局、物事の解明が進まないということになったら困るわけですね。ですから、やはり、この解明ということは、特に犯罪行為にかかわる部分については、しっかりと警察と連携をして、強制的な形で事案の解明を行い、そして、その情報が文部科学省にきちんとフィードバックされる中で、文部科学省から各委員会にきちんとした形での指導を行う。その指導が、場合によっては、強制的な権限がない場合には、法改正を伴ってでもそれに対してきちんと指導の実を上げていく、そういうようなことが私は必要になってくるというように思っております。

 いずれにいたしましても、やはり、今回の実態調査ということにゆめゆめ隠蔽が伴わないようにぜひお願いしたいというように思います。

 平沢議員の質問の関連については以上とさせていただきます。

 続きまして、六月十二日に大阪地検が起訴した、脱法ハーブを吸って女性をひき逃げした事件について伺います。

 と申しますのも、きょう議論をする法案は薬物事件の根絶を目指すものなんですけれども、こういった脱法ハーブが今、流行して大問題となっているからであります。

 まず、今申し上げた事案はいかなる犯罪で起訴されたんでしょうか。

稲田政府参考人 御指摘の案件は大阪市内で五月六日に発生した事件かと存じますが、これにつきまして、御指摘のありました六月十二日、大阪地検におきまして、危険運転致傷罪及び道路交通法違反、これは交通事故の場合の救護義務違反、報告義務違反などの事実により、大阪地裁に公訴提起したものと承知しております。

柴山委員 これも先ほど質問に出てきましたけれども、京都府亀岡市の、無免許無謀運転によって小学生、十人がはねられて死者も出た、一晩じゅう乗り回して居眠りまでしていたという案件では、今お話があった危険運転致死傷罪は適用されなかったのに、今回、脱法ハーブを吸って女性がけがをしたという案件については危険運転致傷罪が適用された。一体、これはどういう違いがあるんですか。

稲田政府参考人 お答え申し上げます。

 個別具体的な事件の内容にかかわるものでございますので詳細についてまでお答えすることは差し控えさせていただきますが、今申し上げました脱法ハーブの事案につきましては、薬物である脱法ハーブの影響によりまして正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ、よって人を負傷させたものと検察当局においては認定して、危険運転致傷罪の構成要件に該当すると判断したものと承知しております。

 他方で、亀岡市の事案につきましては、午前中の質疑の際にも申し上げましたが、検察当局の認定といたしましては、居眠りが事故の直接の原因であると認められたところ。危険運転致死傷罪につきましては、四類型あると言われておりますが、そのうちの、例えばアルコールまたは薬物の影響により、あるいは進行を制御する技能を有しないことなどによって生じたものではなく、この死傷の結果と因果関係を有する危険運転行為とは認められなかったことから、この危険運転致死傷罪の構成要件に該当しないと検察当局において判断したものと承知しております。

柴山委員 今申し上げたように、一般の感覚からすれば、やはり到底マッチしない擬律だと思っております。脱法ハーブを吸った運転が危険な運転で、無免許で居眠りをした運転が危険運転に当たらないというのは、やはりどう考えても均衡を欠くというように言わざるを得ません。

 先ほど滝大臣の方からは危険運転致死傷罪の改正についても御言及をいただきましたけれども、いま一度簡単にスケジュールを説明してください。

滝国務大臣 基本的に、八月中に、法制審議会に対して、どういうふうな改正をしていくのかということを目指した取りまとめをする、それに基づいて九月早々にでも法制審議会に諮問をしたいと考えております。

 まだ法制審のスケジュールを押さえているわけじゃありませんけれども、できれば九月中にそういう格好で諮問をする、そして、その結果はできるだけ早く、恐らく法制審も、最初の現行法案も法制審で議論をしていただいておりますから、この改正についても、いわばその下地の上で議論をしていただけるということも予想されますので、かなりのスピードでもって結論をいただきたい、そんなことを期待しながら、できるだけ早く法律改正に持ち込めればいい、こんなスケジュールを予定いたしているところでございます。

柴山委員 危険運転致死傷罪の改正については、なるべく速やかに、できれば通常国会にでも対応していただきたいというように思います。

 そして、今の質問については脱法ハーブの規制についてでありまして、そもそも脱法ハーブは大麻と同様の幻想あるいは妄想を生じさせる成分を含んでおります。

 今回はMAM2201という成分のようでして、こういったものを取り締まることができないのか。また、問題があっても、香料として売られればこれを取り締まれないというような実態もあるというように伺っているんですけれども、こういった実態の把握を厚労省の方では行っているんでしょうか。また、これについて、やはり刑罰化するということは考えていないんでしょうか。

平山政府参考人 お答えします。

 違法ドラッグにつきましては、それに含まれる化学物質が中枢神経系への作用を有し、人の体に使用された場合には保健衛生上の危害を発生させることもあるため、厚生労働省としても、監視、取り締まりをしっかりやっていく必要があると認識しております。

 このため、薬事法におきまして順次指定薬物を指定しておりまして、ことし六月には新たに九つの物質を指定しております。また、指定薬物のうち、流通が継続し、依存性が確認されたものにつきましては、麻薬に指定しまして規制を強化しているところでございまして、七月には新たに四つの物質を麻薬に指定したところでございます。

 指定薬物を指定いたしましても新たな類似物質が次々に登場するという状況に対応するため、薬事・食品衛生審議会指定薬物部会の開催頻度を増加させる、また、国内で流通していない物質でも、海外での流通が確認されたものについては先行して指定することや、化学物質が類似している特定の物質群を指定薬物として包括的に指定することについて指定薬物部会で議論すべく、科学的な根拠を含めた検討を進めているところでございます。

柴山委員 罪刑法定主義の壁があるということはわかるんですけれども、今お話があったように、やはり類似の作用をもたらすものが化合物の一部の部分だけを取りかえることによって容易にできてしまうというような実態もあります。ぜひこれは包括的な規制のやり方も含めて考えてほしいというように思います。

 また、これは先ほど私が質問したことにちょっとお答えをいただいていないんですけれども、薬事法の規制ということであれば、医薬品に該当しないような扱われ方、それこそハーブとかアロマとか、そういうような形で売られることには問題はないんでしょうか。

平山政府参考人 指定薬物につきましては、流通というか販売を禁止するということになりますので、指定薬物に指定すると同時に販売ができなくなるというふうに理解しております。

 そこの、指定薬物外の類似薬物につきましては、実態に応じて対応することになるわけでありますけれども、それを未然に予測するということが不可能でございますので、人体に使わないという形で販売されてしまうとなかなか規制が難しいというところですけれども、その面につきましても鋭意、販売できないような方向で関係者と協力して対応してまいりたいと思っております。

    〔樋口委員長代理退席、委員長着席〕

柴山委員 今お話のあった、グレーゾーン、類似薬物の部分がまさしく非常に大きな問題を引き起こしているわけですから、きちんと実態の調査をお願いしたいというように思っております。

 続いて、法案プロパーの質問はもう少し後でさせていただきますけれども、施行から三年を経過した裁判員制度についてお伺いしたいと思います。

 裁判員法は、附則で、施行三年を経過後に必要があれば所要の措置を講ずると規定されているんですけれども、法務省として、その三年目に当たる今、制度改革の必要を感じておられますか。イエスかノーかでお答えください。

稲田政府参考人 今御指摘ございましたように、裁判員法におきましては、施行から三年経過後に施行状況について検討を行い、必要に応じ所要の措置を講ずるものという規定がございます。

 法務省におきましては、まず、有識者の皆様から御意見を伺って裁判員制度に関する検討を行うために、平成二十一年九月に裁判員制度に関する検討会を設置し、これまで十一回の会合を開催し、制度の実施状況を把握しつつ、それに基づいて意見交換などを行ってきているところでございまして、今後引き続きこの検討会において必要な検討を進めていくということにしているところでございます。

柴山委員 多分、網羅的に、さまざまな課題について検討していただけることになると思うんですけれども、その中で、ちょっと幾つかお伺いしたいと思います。

 まず一つは、薬物絡みということで、薬物は薬物でも、薬物の密輸事件、特に否認事件で無罪となる案件が多くなっていることが報道上問題となっています。これは一体どういう実態なんでしょうか。実際にどのような形で何件ぐらい無罪が出ているんでしょうか。

稲田政府参考人 薬物密輸事犯は、御案内のとおり、裁判員裁判の対象ということになるわけでございますが、二十一年に裁判員裁判が実施されるようになりましてから今日まで、無罪判決が言い渡された被告人は、これはいずれも覚せい剤取締法違反被告事件についてのものでございまして、八人いるものと承知しております。

 これらの内容は、いずれも、密輸した者が、規制薬物であることの認識あるいは密輸についての共謀が否定されたというふうに承知しているところでございます。

柴山委員 共謀や故意が立証するのが非常に難しいということはいろいろな事例で私もよく理解をしているところなんですけれども、ただ、裁判員裁判を導入したことによって立証のハードルが高くなってしまったとすれば、それはやはり非常に大きな問題じゃないか、特に法益保護の観点から問題じゃないかというように考えております。

 そういう理解でよろしいんでしょうか。また、これに対する対策は法務省の方では何か考えておられるんでしょうか。

稲田政府参考人 裁判員裁判施行以降、先ほど、八人無罪判決が言い渡されたというふうに申し上げましたが、その間に裁判員裁判対象となりました覚せい剤取締法違反被告事件につきましては、三百五十三人に判決が言い渡されております。この無罪率が高いか低いかということにつきましてはいろいろ御議論のあるところだろうと思いますが、基本的には個別具体的事件の積み重ねでございますので、それらの裁判所の判断について所感に等しいことを申し上げることは差し控えさせていただきます。

 法務省、特に検察当局といたしましては、このような八件の無罪事件が言い渡されているという事実もあることから、裁判員裁判対象の薬物密輸事犯につきまして、より的確な立証のあり方などを実務的に検討する一種の勉強会などを開いて検討を進めているというふうに承知しているところでございます。

柴山委員 裁判員の方々にとっては、事件というのは一期一会なんですね。ところが、プロの裁判官の方々にとっては、もちろん、類似の事件についてさまざまな形で勉強したり、あるいは、御自分の経験も持ったりしているわけです。そこの違いというのはやはり私は看過できない、無視できないというように思っておりますので、これは、裁判所あるいは検察庁ともどもに、議論を誘導しろということでは必ずしもないんですけれども、きちんと正確な情報を一般国民から抽出された裁判員の方々に提供するという努力は行っていただきたいなというように思っております。

 そういうことも含めてですけれども、やはり、素人の方々を含む評議の客観化、あるいは量刑の相場についてどのような基準をつくり、そして裁判員裁判に生かしていくのか、このあたりについて、ぜひ裁判所の方から御説明をいただきたいと思います。

植村最高裁判所長官代理者 お答えをいたします。

 評議におきましては、裁判員と裁判官が話し合いをいたしまして、有罪無罪の事実認定、それから刑を決めることになります。

 量刑について申し上げますと、委員も御承知のとおり、法律で定められました刑の幅というのは非常に広うございます。例えば、殺人罪でございますと、死刑、無期懲役刑があるほか、五年から二十年の範囲の有期懲役刑が定められております。したがいまして、初めて刑事裁判に参加される裁判員の方々にとっては、このような幅広い刑の中で具体的にどのような刑を決めればいいのか、なかなか見当がつかないというのがあろうかと思っております。

 そこで、各裁判所では、裁判員裁判対象事件の判決を集積いたしまして、データベースをつくっております。裁判員量刑検索システムと申しておりますが、このシステムは、例えば今申し上げました殺人罪について申し上げますと、まず動機、これは怨恨であるとか、保険金目的であるとか、そういった動機を入れる。それから、犯罪の計画性も問題になりますので、計画的な殺人なのか、あるいは一時の激情に駆られた殺人なのか、こういったデータも入れる。あるいは、凶器を使っているのかどうか。使っている場合にはどのような凶器を使ったのか。さらに、単独犯か共犯か。共犯である場合とすれば、主犯格なのかどうか。あるいは、被告人と被害者とにどんな関係があったのか。こういった量刑上考慮すべき要素を抽出いたしまして、それを入力し、社会的に類似した事例においてどのような刑が宣告されてきたのかがわかるようにしてございます。

 そういうことをいたしますと、一定の幅を持って社会的な類型に沿った傾向が出てまいります。裁判員の皆さんには、こうした傾向を参考にしていただいた上で、具体的な事件についての刑について意見を述べてもらう、そういうことで充実した評議ができるようにということで努めているところでございます。

 ただ、このシステムの利用につきましては、あくまで一つの参考でございますので、これに縛られる必要はないわけでございまして、その点につきましても裁判員の皆さんには十分御説明をした上で使っているというふうに承知をしております。

柴山委員 ことしの七月に、司法研修所から平成二十一年度司法研究報告書が出てまいりまして、私の手元にもあるんですけれども、ここの中で、裁判員裁判にふさわしい量刑評議のあり方や判決書のあり方を考察、検討している、そういう書面であります。これについては、現場にちゃんとフィードバックされるんでしょうか。

植村最高裁判所長官代理者 お答えをいたします。

 今委員御指摘のとおり、先日、「裁判員裁判における量刑評議の在り方について」という司法研究報告を公表いたしまして、全国の裁判官の方にも配付をいたしまして、今、読んでもらって、執務の参考にしてもらおうというふうに考えているところでございます。

柴山委員 この前、殺人の現場写真を見て裁判員の方が卒倒したというようなこともニュースで流れていましたけれども、ともすると、そういうグラフィカルな事柄が表に出てくると量刑が厳しくなってしまうんじゃないかとか、そういうようなことも指摘をされています。ぜひ、冷静な形でしっかりと必要な考慮要素を裁判員の方に検討していただけるように、基準づくりに取り組んでいただきたいと思います。

 ただ、どんなにそういうことを行っても、やはりプロの感覚と一般の方々の感覚は違うんですね。それが如実にあらわれるのは、例えば性犯罪では量刑が厳格化する傾向があります。その一方で、現住建造物等放火ないし強盗致傷、非常に重罪と一般言われているものですけれども、こういう犯罪での執行猶予判決が増加をしているというような傾向も出ています。

 また、七月三十日には、大阪地裁で、発達障害を持つ被告が起こした殺人事件について、求刑の懲役十六年を上回る懲役二十年の判決が出て、障害が刑の減軽に寄与するという法曹の常識が覆されました。こういう場合は、長期間被告を刑務所に収容することが社会秩序に資するというような考慮があったのかなというようにも感じているんですけれども、大臣は、こういったプロと一般の方々の意識の乖離、ギャップについて、何か思うところはありますか。

滝国務大臣 もともと裁判員裁判というのは、プロと一般国民との意識のずれ、そういうものを何とか埋めていこうというところから出発していると思うのであります。

 ただ、具体的な、今の場合には、そのずれを修正することになるのかどうか、そういうような議論は必要だろうとは思います。

柴山委員 私も大臣と同じで、ずれがあるということは、多分どんなにしっかりと議論をしても埋まらない溝というのはあると思うんですね。ただ、そもそも、裁判員制度を導入したのは、そういった一般の方々の感覚が、やはり一般国民に対する規範意識あるいは抑止力、こういった刑罰の重大な機能を発揮させるために必要な試みであったというように思うんですね。

 ですので、これについてはぜひ、必ずしもマイナス面ばかりではなくて、積極的な面を正面から取り入れた上で、今行われているという裁判員制度の検証の中できちんと分析をするとともに、将来的にはこれを、これがまた量刑相場の新しいトレンドというものになっていくのかもしれませんし、場合によっては責任能力というものの根本的な概念の見直しということにつながっていくのかもしれません。弁護士会などにも恐らくさまざまな意見もあると思います。そういうことで、ぜひしっかりと検証していただきたいというように思っております。

 あと、済みません、裁判員制度でもう一問だけお伺いしたいのは、評議とかあるいは事件についての守秘義務の緩和が必要だという声をよく聞くんですね。裁判員の方々は、人の命を奪うような重大な犯罪について、全くこれまで経験したことのない重い判断をしなければいけない。さまざまな現場の証拠などもごらんになるわけですね。これを守秘義務の中で悶々と苦しみながらずっと経験を持ち続けているというようなことは、心理的にも負担になるんじゃないか。あるいは、さっき申し上げたような評議の客観化というところからも、やはり検証の足かせになる部分もあるんじゃないかというように思っているところです。こういった問題についてはどう検討されているでしょうか。

稲田政府参考人 裁判員につきまして守秘義務が定められておりますのは、事件関係者などのプライバシーを保護するとともに、裁判の公正さや裁判の信頼を確保し、評議における自由な意見表明を保障するためであるとされているところでございまして、現行の制度の趣旨からすれば、現在の守秘義務の規定については、基本的には適切であると考えているところではございます。

 ただ、この守秘義務のあり方につきましても、今御指摘もありましたようなさまざまな御意見がございます。先ほど申し上げました検討会におきましても、これに関する御意見が述べられているところであります。この問題につきましては、今後、この検討会の場やそのほかの場におきまして、必要に応じ、議論、検討がなされていくものというふうに思っているところでございます。

柴山委員 よろしくお願いいたします。

 遅くなりましたが、それでは、法案の質疑に入りたいと思います。

 刑法一部改正法案、一部執行猶予制度を導入したり、あるいは、保護観察中、社会貢献活動をさせたりというのは、私は、これは従来の刑罰概念に教育刑を導入するという意味合いがあるんじゃないかなというように思っているんですけれども、いかがでしょうか。

稲田政府参考人 御指摘のありました教育刑あるいは教育刑主義というのは、刑罰の目的を犯罪人の社会復帰のための教育であるというような考え方ではないかというふうに承知しているところでございます。

 今回導入いたします刑の一部の執行猶予制度は、あくまでもその犯した罪に対する刑罰の言い渡しの一環として、その刑事責任に見合った刑の範囲内において刑の一部の執行猶予を言い渡すことを可能とすることによりまして、その刑事責任を果たさせつつ、施設内処遇と社会内処遇を連携させて、再犯防止、改善更生を実現することを趣旨、目的としておりまして、再犯防止、改善更生のみを目的とするものではないというふうに御理解いただきたいと思います。

 今申し上げましたような観点からすれば、刑の一部執行猶予を言い渡すためには、刑事責任に見合った刑を科すという観点から相当性が認められることが一つの要件でありますし、このような要請にも応えながら、再犯防止、改善更生の要請にもよりよく応える刑の言い渡しの選択肢を新しく設けるものだということでありまして、刑罰制度の目的そのものを変更するというところまでは考えていないけれども、今申し上げたような考え方であるというふうに御理解をいただきたいと思います。

柴山委員 先ほど大口委員もお尋ねになっていたんですけれども、やはり刑事責任の範囲内でということで、教育を行っていく、あるいは再犯の防止を図っていくということじゃないかなと思うんですね。この制度が導入をされたからといって、本来あるべき刑罰を超えた形で何か苦役が科されるというような誤解を与えてはいけないと私は思うんです。

 これは先ほども質問に出ていたかと思うんですが、対象事件、軽い案件ではありますけれども、裁判員裁判は含まれるんですか。

稲田政府参考人 午前中の審議の際にもお話がございましたが、この刑の一部執行猶予の言い渡しは、三年以下の懲役または禁錮の言い渡しの場合とされているところでございますが、裁判員裁判におきましても三年以下の懲役が言い渡されることがあり得るわけでありまして、その場合につきましては、刑の一部執行猶予が適用可能であると考えております。

柴山委員 その場合に、裁判員に本当に適切な説明がされているのかということであります。今、現時点で制度は導入をされていないわけなんですけれども、導入がされた暁には、一部執行猶予等の制度について、なかなか内容的には、これからちょっと質問させていただくとおり、技術的に難しい問題もいろいろあると思うんですけれども、きちんと説明をすることはできるんでしょうか。あるいは、なされていくんでしょうか。

稲田政府参考人 裁判員法六十六条五項におきまして、裁判長は「評議において、裁判員に対して必要な法令に関する説明を丁寧に行う」というふうにされているところでございまして、これまでも裁判所においてはこの運用がなされてきているものと承知しているところでございます。

 今後、この新たな制度が導入されて、刑の一部執行猶予の言い渡しが問題となる事案では、裁判長から、そのような説明の一環として、裁判員に対しまして、制度の趣旨や適用の要件に加えて、社会内処遇であるとか保護観察の実情など、必要な説明を行っていただくことになるものと考えております。

柴山委員 次の質問に移ります。

 薬物犯に対応する問題です。

 薬物犯で、今度、累犯者にもこの一部執行猶予の制度が導入されることになったんですけれども、それはなぜでしょうか。

稲田政府参考人 確かに、今回の改正におきましては、刑法上の刑の一部執行猶予制度は、二度目以上の服役となる者については適用しないということにいたしております。

 他方で、薬物使用等の罪を犯した者につきましては、その者の薬物への傾向性を改善し、薬物の誘惑のあり得る社会内においてもこれを維持強化することがその再犯防止、改善更生のための共通の課題でありますし、現にそのための施設内処遇であるとか社会内処遇における処遇プログラムが存在しているところであって、一般的、類型的に、施設内処遇後に相応の期間の社会内処遇を行うことが再犯防止、改善更生のために必要かつ有用だと言うことができるのではないかというふうに考えられます。

 他方で、それ以外の事犯につきましては、やはり対象者ごとの個別的な事情によっていろいろと処遇の内容が大きく異なるのではないかということから、薬物使用等の事犯のものについてだけこのような制度を導入することにしたというところでございます。

柴山委員 私は、今の御答弁にはちょっと異論があるんですね。

 というのは、薬物犯でしかも累犯、つまり性懲りもなくまたやったという人、そういう方でも、社会内、つまり開放的な処遇の中で更生を図るべきプログラムというのが必要な場合がある。必要な場合があるということで、必ず社会内処遇しろというわけじゃない仕組みになっているわけですね。

 ただ、私、実は弁護士時代に、例えば国選弁護で、無銭飲食を二十回以上やったという方の弁護をしたことがあります。これはもう依存症なんですよ。立派な方なんです。社会的にしっかりとした地位を持った方なんですけれども、ほんの出来心で始めて、そして、それがどうしてもやめられない。結局、軽微な情状であっても、それを繰り返し繰り返し行うことによって、しゃばと刑務所の行ったり来たりを繰り返している、こういう案件だったわけです。

 無銭飲食はともかく、すりのような事例もありますね。すりは窃盗なわけですけれども、結局、このすり犯も、ほかに仕事ができないわけではないわけですよ。だから、更生プログラムを社会内できちんと行えば立ち直ることが場合によってはできるかもしれないけれども、そういった社会内の更生プログラムがないから、実刑、そして釈放、実刑、釈放と、しゃばと刑務所を行ったり来たりの生活、これで何十回も刑務所暮らしをしているという方を私は現に知っています。

 やはり、こういう一般の刑法犯にも今局長の方からお話があったような制度を導入する、少なくとも選択肢を与えていくべきだというように思うんですが、いかがでしょうか。

稲田政府参考人 御指摘のように、特に窃盗罪で同種事犯を繰り返す一種の依存症のようなタイプの犯罪者がいるということはまことにそのとおりでございまして、今回の法案のもとになりました議論を法制審議会の部会において行いました際も、このような窃盗罪を繰り返す者につきましても、薬物の事件と同様の類型として、この新たな制度を累犯者にも適用させてはいかがかという議論もかなりございました。

 ただ、いろいろ内部といいますか審議会の中で議論をしていく中で、一つは、薬物に比べると窃盗の方が犯罪類型の形といいますかそういうものがいろいろ千差万別であって、薬物ほど類型的な判断になじまないというところもございますし、処遇プログラム等につきましても、現在までにそこまできちんとしたものができているのかというようなことがございまして、なかなか現時点でこれを裁判所に御判断いただくのは難しいのではないかということで、取り入れないという結果になったものというふうに承知しているところでございます。

柴山委員 私は、すりなら必ずこの一部猶予制度を導入しろと言っているわけじゃないんですね。薬物の場合も、一部猶予を累犯事例で適用するかどうかというのは任意なわけですよ。確かに判決言い渡し時点においてそれを判断するのが難しい場合というのはありますが、何回も繰り返しているかどうかというのは裁判官が事実を見ればわかるわけですから、少なくともオプションをつくって任意的な選択肢として導入することは可能なわけですし、今の局長の答弁は、私は全然説得力がないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

稲田政府参考人 先ほども申し上げましたように、薬物の関係につきましては、これまでの施設内処遇あるいは社会内処遇における処遇プログラムというものがかなり存在しているという実態があるということがやはり大きい面がございますし、対象者ごとの個別的事情によって必要とされる処遇の内容がそれほど大きく異ならないという薬物に特有の特殊性もあるのではないかということから、現段階で、裁判所に判決時点でこの点を薬物以外について御判断いただくのがなかなか難しいのではないかというふうに考えているところでございます。

柴山委員 今の問題はまた議論させていただきたいと思います。

 それで、薬物事犯についてなんですけれども、薬物に対する依存の改善に資する医療を受けるために指示などができることと今度の制度でされているんですけれども、これは強制力はないんですか。

青沼政府参考人 薬物依存がある保護観察対象者の改善更生を図るためには、依存の改善に資する医療ですとか援助を受けさせることが必要な場合があるわけですけれども、現行法では、これらの医療、援助につきましては、いわゆる補導援護の一環として、援助的、福祉的措置を行うことができるのみでありまして、これらを受けるよう指示的に働きかける根拠に欠けているとされているものであります。

 そこで、今回の改正では、このような医療及び援助をより確実に受けさせることができるよう、指導監督上の措置として、医療、援助を受けることにつき、必要な指示をすることができるものとしたものでございます。対象者が指示に応じなかった場合には、個々の事案に応じ、観察官が面接などをして指示の趣旨や意図を十分に説明し、理解をさせるなどの対応を行っていくということになります。

 もっとも、この指示は特別遵守事項によって義務づけるものではございませんので、指示に従わなかった場合に直ちに執行猶予の取り消しなどの措置に結びつくものではございません。しかし、指示に反して医療や援助を受けなかった場合には保護観察所に出頭するよう指示することが考えられまして、この指示にも従わなかった場合には、一般遵守事項違反として、執行猶予の取り消し等の措置が検討されるということになると思います。

柴山委員 何か説明を聞いているとめちゃめちゃまどろっこしいんですね。

 要するに、これまでの医療を受けるためのさまざまなアドバイスが強制力が全くなかったということで一定の指示という形をとったということなんですけれども、結局、面接とか指導に従わないで、さっき稲田局長の方から薬物についてはちゃんとしっかりとしたプログラムが確立しているというようなお話があったんですけれども、薬物に関しては医療の問題が非常に重要なんですよ。ですから、この薬物に関する指導はやはり特別遵守事項というような形をとらないと、今お話があったように、それに従わなくて、しかも観察官の呼び出しに応じないとそこで初めて一般遵守事項違反みたいなことになるということにしたら、だったら観察官の呼び出しには応じて医療だけは受けません、そういうことを繰り返し繰り返しやっていたら取り消しにならないということじゃないですか。そうじゃないですか。

青沼政府参考人 委員御指摘のような意見もあるということは重々承知しておるところではございますけれども、医療ということになりますと、原則的に契約行為、あるいは本人の同意、医療機関との信頼関係ということを基礎としておりますので、なかなか直接的に指示をするということは難しいというふうに考えております。

柴山委員 何も対象者の腕をつかまえてきてそこで何か強制的な行為をしろと言っているんじゃないんです。要は、特別遵守事項として、医療に対するアドバイスに従わなかった者については、これは執行猶予を取り消せ、そういうことができないかということを私は言っているんであって、それがないということは、私はちょっとやはり画竜点睛を欠く制度じゃないかなということを言っているということだけはここで申し上げさせていただきます。

 時間が余りなくなってきたんですけれども、裁判員がなかなか理解しづらい問題として、改正刑法の二十七条の七という条文があります。一部執行猶予の猶予期間がめでたく満了した、経過したということの効果で、猶予されなかった実刑の期間を刑期とする執行を終わった日またはその執行を受けることがなくなった日において執行を受け終わったこととするという条文があるんですけれども、これは一体どういう意味を持つんでしょうか。また、この条文の効果は、一体どういう効果を持つんでしょうか。

松野大臣政務官 極めて技術的な条文で少しわかりにくいかと思いますが、具体的な例で申し上げますと、例えば懲役二年を言い渡す、今回からはそのうちの一部執行猶予できるということになりましたので、一年六月が実刑部分、そして六カ月部分が猶予部分というふうになりますと、刑の執行が終了する時期というのは、順調に、取り消されることなくいけば、実刑が終わったときということになりますので、つまり一年六カ月終了した時点でこの刑の執行は受け終わったというふうに判断されるということであります。

 そして、この刑の執行が終了という意味は、その翌日から五年が経過すればまた新たな執行猶予がつけられる、こういうような仕組みがあったり、あるいはいろいろな師業、例えば看護師さんあたりですと、刑の執行が終わって十年経過するとまた看護師の免許を取得できる、そういうような仕組みがあるわけですから、いつ刑の執行が終了したのかというのはそういう点でも意味を持つ、こういうことでございます。

柴山委員 ところが、条文には「又はその執行を受けることがなくなった日において、」執行を受け終わったとするというように書いてあるんですけれども、これは一体どういう意味なんですか。

松野大臣政務官 「又は」というのは、現実に刑の執行を終わった場合ではなくて、例えば恩赦によって刑の執行が免除されたという場合を指しているわけです。

柴山委員 裁判員にわかるように説明してください。

 続きまして、これは質問が幾つか出ていたんですけれども、これに伴って保護観察官の負担がやはり、執行猶予期間、これは一部猶予でも一年から五年という形で、かなり保護観察も活用されると思っております。人員、予算の拡大、これについて、局長からぜひしっかりと見通しを述べていただきたいと思います。

青沼政府参考人 委員御指摘のとおり、刑の一部の執行猶予制度が導入された場合は、薬物事犯者を中心に保護観察対象者が増加することが見込まれるほか、社会貢献活動の実施や、関係機関との連携した活動先の確保にも取り組む必要がありまして、保護観察官の業務負担は増加するものというふうに認識しております。

 これに対応しまして、平成二十四年度におきましては、東日本大震災の被災地における保護観察処遇体制の再構築のため二十五人のほか、薬物依存のある刑務所出所者等に対する再犯防止等の強化のための三十人の保護観察官の増員が図られたところでございます。

 今後も、刑の一部執行猶予制度及び社会貢献活動の実施を見据えて、保護観察官の業務負担などの状況を踏まえ、法施行までに、必要な実施体制の整備について適切に取り組んでいきたいと思っております。

柴山委員 時間は経過しましたが、最後、一問だけお伺いしたいと思います。

 この一部猶予の制度等によって、やはり、公的な監督がきちんと及ぶ範囲で、例えば社会内の身元引受人を確保するなどの措置がより図られてくるというようには思います。ただ、これは以前、滝法務大臣に対してお伺いしたと思うんですけれども、例えば大阪のあの心斎橋事件、要するに、覚醒剤で満期出所して、半月で結局、仕事がなくて、男女を刺殺してしまったというような、満期後の、公的監督が及ばない後の再犯防止ということは、さっき検討されているというようにはお話があったんですけれども、少なくとも、この法律ではカバーされないわけですね。先ほど、すりや無銭飲食の話もしましたけれども、ぜひ、そういった部分の対応ということを、大臣から一言だけお答えいただきたいと思います。

滝国務大臣 今回の法案のカバーできない部分、これについては、引き続き、やはり重大な問題として、関心を持って検討を続けなければいけないと思っております。

柴山委員 以上です。ありがとうございました。

鉢呂委員長 次に、熊谷貞俊君。

熊谷委員 国民の生活が第一・きづなの熊谷でございます。

 前回に引き続きまして質問に立たせていただきました。本日最後の質問になりますが、ひょっとしたら今国会最後の質問になるかもわかりません。

 前回も言いましたように、定員法、これも、日切れの扱いの定員法が、もう会期末ぎりぎりになるまで出されなかったとか、今回のような重要法案、国民の生活に直結する法案がほかの委員会でも多々あるにもかかわらず、消費税増税のみに突っ走って、他の法案審議がストップしても顧みない、こういう現政権に対しては、心から遺憾の意を表したいと思います。

 残りの時間、粛々と法案の質問をさせていただきたいと思います。

 執行猶予制度そのものでございますが、今回は、一部執行猶予という新しい刑法改正がなされようとしているわけでございます。そもそも、実刑あるいは全期間の執行猶予という制度がつくられているわけでございますが、執行猶予制度そのものについて、なぜそういう全期間にわたる執行猶予制度というのが設けられたのか、その意義、大変一般的な原理的な話でございますが、どのように考えておられるのか、お聞きいたします。

滝国務大臣 比較的短期の自由刑につきまして、刑務所に収容することではなく、社会復帰を促進する、こういう観点から執行猶予制度を設けている目的というふうに理解をいたしているわけでございます。その間、仮に執行猶予を取り消さなければいけないような新たな犯罪事実、そんな状況が出てくれば、当然、執行猶予は取り消されるわけでございますから、そういう心理的な強制をもって社会内で自発的に更生を図っていく、これが目的というふうに理解をいたしております。

熊谷委員 今回の改正によりまして一部の執行猶予ということがなされるわけでございますが、社会内処遇によって再犯防止あるいは改善更生を図るという趣旨は今までの執行猶予制度と同様である、こういう御答弁だったと思います。

 そういうことであれば、この一部執行猶予という新たな刑法改正ということを考えられているのは、今までの執行猶予制度と比べてどういうところが眼目であるか、お答えいただけますでしょうか。

滝国務大臣 今までの執行猶予は、結局、全部執行猶予ということでやってきたわけですね。執行猶予期間が過ぎれば、刑はそこでもって終わり。

 ところが、やはり、再犯防止という観点からいえば、それだけでは不十分な人もいる。そういうことでございまして、刑の一部を実刑にして、そして一部を執行猶予、こういうようなことで、要するに、施設内処遇と社会内処遇とを並行してというか、同時に一つの刑の中でやっていく。こういうような目的として、今回の再犯防止対策として打ち出したわけでございます。

熊谷委員 選択肢をふやすということが一つの目的である、こういうふうに思うわけでございます。

 そもそも、この法案の原点になりましたのが、平成十八年の、杉浦法務大臣の時代だったと思いますが、法制審の答申がありまして、ちょうどその当時、過剰収容ということが非常に問題になっていて、一〇〇%を超えるということが数年続いていた。特に平成十八年、十九年というのが、過剰収容が大変問題になっていた。そういうことを背景に、答申のそもそもの目的が過剰収容問題であった。その過剰収容を改善するという目的のために、再犯防止ももちろん入っておるわけでございますが、そもそもがそういう過剰収容問題から発生したこういう問題であった。

 施設の不備をもって量刑を考えるという、ひょっとしたら、非常に本末転倒の考え方に基づいてこういう刑の一部執行猶予なんということが考えられているとすれば、これは大変な問題である、私はそのように思います。

 もちろん、そういうことで、平成二十二年、当時の千葉法務大臣に答申されました大綱では、過剰収容というのが消え去りまして、要するに、再犯防止、改善更生ということを前面にうたった刑法改正である、そのように理解をしております。

 そういう刑務所等々のコストの問題、これはもちろん重要な問題であるわけでございますが、それに関しまして、滝大臣が、六月の二十六日でございますか、記者会見で、俳優の杉良太郎さん、特別矯正監という地位についておられるわけでございますが、一つの提案として、刑務所の株式会社化などというようなことでコスト削減を図ってはどうかというようなことについてのコメントを求められておられたように記憶しておりますが、この場で、そういうコスト削減というようなことについてのお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

滝国務大臣 杉良太郎さんは、今回も引き続き特別矯正監ということで全国の刑務所を回ってもらう、そういう役目をお願いしているわけでございます。その杉さんがおいでになったときに、網走刑務所では大変すばらしいポテトチップスが刑内作業として行われている、あれなんかはもっと全国に宣伝すれば相当収入があるんじゃないのとかというような話が出まして、その際に、杉特別矯正監の方から、もっともっと、要するに収入ということを前提にした刑事施設の運営を考えてもいいんじゃないのと、そういう意味で端的に刑務所を株式会社にする方法を考えるべきだということをおっしゃったわけで。

 名実ともに株式会社にするという趣旨じゃなくて、わかりやすい言葉で言えば、そういう感覚で刑務作業も捉えていったらどうかという御提案があった、御本人がそのまま記者会見でおっしゃったということでございまして、私どもは趣旨を体して、刑内作業もそういうことで評価をする余地があるなと、こういうふうに思っているところでございます。

熊谷委員 そういう経験をお持ちの方が現地に赴かれて、受刑者の出所後の社会復帰を念頭に置いた、徐々に社会化していくということの一環としてそういうところを指摘されたのではないかなと思います。

 この法改正の趣旨も一部そういうところが骨子として盛られていると私は解釈しているわけでございますが、量刑について、この改正案が示されたときに、これは刑が重くなるのか軽くなるのか、あるいは中立なのか、こういう議論がなされたように記憶しております。それについてお答えいただきたいんです。執行猶予期間も含めますと拘束期間が非常に長くなる、そういう意味で、これは厳罰化の傾向があるのではないかという指摘もあったかに思いますが、これについていかがでございましょうか。

松野大臣政務官 刑が重くなるのか軽くなるのか、これはいろいろと議論があったかと思いますが、この刑の一部執行猶予制度そのものは、別に厳罰化とか、あるいは寛刑化とか、そういうものを意図しているものではありませんで、あくまで犯罪者の再犯防止、改善更生、これに役立つ刑の選択肢をふやす、裁判所に新たなメニューもふやす、こういうことで設けられたわけであります。

 ただ、今御指摘のように、刑の一部執行猶予が言い渡される、その場合に、実刑の部分とそれから執行猶予部分の猶予期間を単純に合算をするということになると長くなるのではないか、こういう御指摘も確かにあります。ただ、全体として刑が軽くなるのか重くなるのかというのは、刑期全体の長短、それから実刑部分の長短、執行猶予期間の長短等々を、やはり総合的に考慮して実質的に判断されるというところでありまして、そう単純に、厳しくなったとか軽くなったとか、そこはそういうふうに言えるものではないと思っております。

熊谷委員 一方、自由刑、実刑ですね、これが期間が短縮されるということで、これは、ある意味、刑が軽くなったのではないかな、こういう御意見もあります。また、再犯防止という観点から実刑期間を短くしてと、こういう話が出ているわけでございますが、そもそも、刑務所の矯正施設としての機能、極端に言えば、ある意味、非常に厳しい環境下で、一度入ったら二度と入りたくない、こう思うのも再犯防止につながるのではないかな。余り刑務所が居心地がよ過ぎて、何回も繰り返し、むしろ入りたいというような、こういう不心得な人がいるかもわからないですね。

 そういう意味で、刑務所の矯正施設としての役割、これについてちょっとお尋ねしたいんです。

 刑務所内での規則違反、法律違反等々の実態はどうなっているのか、また、その懲罰について、どのように適正、厳正に行われているのか、お答え願えますでしょうか。

三浦政府参考人 刑務所、刑事施設の中における規律、秩序の維持ということでございますが、被収容者が遵守事項を守らず、あるいは、刑事施設の職員が、刑事施設の規律及び秩序の維持のために必要があるとして、被収容者の生活、行動について行った指示に従わなかった、こういったような場合には、刑事施設の長が被収容者に対して懲罰を科すことができるという法律の規定に基づいて懲罰が科されているところでございます。

 統計上、見てまいりますと、この五年間で見ますと、平成十九年から二十三年まで、おおむね七万件から六万三千、四千件程度の件数の懲罰が、各年、科されているというところでございます。

 法律の要件それから手続に従って、そういった違反行為があった場合には厳正に懲罰が科されているというふうに承知しているところでございます。

熊谷委員 この法案の目玉といいますか、今まで日本の刑法にも明記されていなかったのが、この社会貢献活動だと私は思います。

 これは諸外国でも、映画なんかでもよく取り上げられているわけですが、受刑者がガーデニングの喜びを覚えて全国で大会で優勝したとか、そういう感動的な映画を見たことがあります。

 一方では、この社会貢献活動は、執行猶予期間中のことでございますが、受け入れ側といいますか、一般の社会に対して、ある種の治安悪化というようなことで、不安を与える可能性もある。社会がきちっとそういうオープンな形で受け入れるような体制が整っているかどうか、これは極めて重要な問題だと思うんです。

 この社会貢献活動については、種々の活動形態が今考えられているようでございますが、期間中、大体どのぐらい、平均どのぐらいの活動を想定しておられるんでしょうか。また、それが義務づけといいますか命令といいますか、必ずしないといけない、こういう何か決まりがあるんでしょうか。

青沼政府参考人 社会貢献活動については、保護観察対象者の改善更生に必要かつ相当な限度において行うということを考えておりまして、回数については、今のところ、保護観察期間中に合計五回程度を想定しております。

 社会貢献活動は、社会に役立つ活動を行ったとの達成感を得させたり、地域住民等から感謝されることなどを通じて自己有用感を獲得させたりして、改善更生の意欲を高めさせることなどを目的としております。

 これらの処遇効果を獲得させるためには、対象者を活動になれさせた後、活動の狙いを意識して積極的に行動するよう促すということが重要ですので、相応の回数を実施することが必要だと考えております。

 他方で、実社会の中で、就労、就学に努めるなど、健全な社会生活を営ませることも一方で重要でございます。そうすると、対象者に過度の負担を与えると改善更生が妨げられるおそれがあることも考慮しなければなりません。

 これらを踏まえまして、教育学の専門家からの意見等を参考に、現段階では、五回程度が適当であると考えております。

 いずれにしましても、現在、保護観察対象者の同意に基づく社会貢献活動の先行実施を行っておりますので、今後、その実施結果等を踏まえて、標準的な回数を定めることを検討したいと思います。

 なお、今回の法案にあります社会貢献活動は、特別遵守事項として義務づけを図るということでございます。

熊谷委員 特別遵守事項としての義務づけを図る、こういう御答弁でございます。

 社会貢献活動、もちろんボランティア的な活動でございますが、私なんかは、むしろ、いっそ、こういう作業を通して雇用機会をふやす、社会貢献活動そのものが自分の生活の糧になっていくようなところまで踏み込めたら結構かな、そう思っております。

 よく映画とかで目にしますアメリカなんかでの社会貢献活動、受刑者が中心ですが、そういう観点から、通常の受刑者も含めて、量刑選択の一つとしてこういう社会貢献活動を取り入れられるお考えはお持ちでしょうか。いわゆる執行猶予期間中ということではなくて、量刑の一つとして。

谷副大臣 お答えいたします。

 この問題につきましても、法制審議会の場で、社会貢献を義務づける制度の導入の当否というテーマで御議論をいただきました。その際に、この当否等が議論をされましたけれども、しかしながら、一つは、懲役や罰金と比較して、制裁としての内容、輪郭が曖昧であるというようなこと、それからもう一つは、我が国であえて社会奉仕活動を独立の刑罰とすべき必要性が感じられない、こういうふうな意見が出されまして、必ずしも一致をした結論が得られなかった、こういうことでございます。

 一方、社会内処遇を充実させることによって再犯防止とか改善更生を図る観点から、保護観察の特別遵守事項としていわゆる社会奉仕活動を行う制度案について、これを支持する意見も多く見られたということでございます。

 以上のようなことを踏まえながら、社会貢献活動について、刑罰の一つとして導入することはせずに、保護観察の特別遵守事項の類型に加えることといたしたものでございます。

熊谷委員 将来は、やはり量刑制度も時代とともに改善していく。特に、今一番問題になっているのは、やはり再犯率の高さですよね。そういうのも含めて、受刑者の社会性を高める、そういうことで、社会貢献活動を積極的に量刑にも取り入れていくというのは、これは私は合理的な方向だ、こういうふうに考えております。

 最後ですが、薬物使用犯罪についての法改正についてお尋ねをしたいと思います。

 薬物事犯というのが、再犯率の極めて高い犯罪であるという特徴があり、また、派生した重大犯罪に結びつくということで、特に今回の改正で、実効性のある矯正、改善更生というものがきちっと担保される、こういうことが非常に大事かと思います。

 薬物、ほかのいわゆる窃盗犯も含めて、先ほど柴山議員からもありましたように、常習的な軽犯罪といいますか、三年以下のこういう犯罪は薬物事犯に限らずあるわけでございますが、特にこの薬物使用の場合だけ取り上げて刑の一部執行を可能にするということを考えておられるんですが、特別に薬物事犯を考えられた理由はどういうところにあるんでしょうか。

滝国務大臣 薬物使用についてのみ累犯者であっても刑の一部執行猶予を可能とするその理由、こういうお尋ねでございました。

 薬物の場合には、その他の刑と少し違いますのは、同じようなパターンで繰り返し行われる、こういうことでもございますので、一部執行猶予を再犯者についても行うことによって、いわば施設内処遇と社会内処遇をあわせて行うことがむしろ薬物の累犯者に対して効果があるんじゃなかろうか、こういうような判断のもとに、一般犯罪と違って、薬物だけは再犯者についてもこの制度を取り入れる、こういう判断をいたしているわけでございます。

熊谷委員 累犯者の対象として、通常の窃盗罪も含めた非常に、ある意味、依存的な犯罪を犯す人、こういうのはやはり対象者に広げていくのも趣旨からいえば妥当かな、こういうふうに私は思っております。

 薬物事犯の場合の基本的な量刑あるいは再犯率、これは具体的に他の犯罪とどういう有意の差があるかということをちょっとお示しいただけますでしょうか。

松野大臣政務官 一般的に申し上げると、薬物犯の方が再犯率は高い。一般刑法犯に比較しますと、薬物の方はどうしても、社会にまた戻ってくるといろいろな誘惑があり、その誘惑に負けてしまう、こういう傾向があることは否定できないかと思っております。

 例えば、平成二十二年の地方裁判所における覚せい剤取締法違反についての有罪人員の合計が一万八百二十五人でありますが、そのうち、四〇%が執行猶予、約六割が実刑とされております。

 そして、再犯率を見てまいりますと、大体その比率が七割を超えるというぐらいの程度になっている。この比率は、例えば窃盗で見ますと五六%、恐喝が五九%というぐらいになっておりますので、この数字から見ても薬物の再犯率は高いということでございます。

熊谷委員 薬物事犯が、執行猶予そのものを見ても、普通、四〇%程度執行猶予がつく、それから、再犯率は場合によっては七〇%を超える、こういう非常に特別な犯罪であるということでございますが、押しなべて、現行の薬物事犯に対する刑事政策は、こういうのを放置しているという意味では、極めて不十分、不完全なものである。

 ですから、満期者も含めて、今までもちゃんとした施設内での矯正、依存症に対する医学的な処置、こういうことがきちっとなされていたのか。また、これから、こういう刑の一部執行ということで、実刑期間を短くして社会に出ていく人に対して、施設収容するよりもむしろ効果があるんだ、再犯防止に、薬物依存症に対して、それを防止するだけのきちっとした手だてができているのかどうか、また、それをどういうふうにされようとしているのか。最後でございますが、お尋ねをしたいと思います。その覚悟といいますか、どういうふうに取り扱おうとしておられるのか、お聞かせいただけますでしょうか。

滝国務大臣 基本的には、薬物につきましては、そのプログラムを作成いたしているところでございまして、このプログラムによって、どう更生させていくか、こういうことがこれから行われようといたしているわけでございます。

 そういう意味では、薬物について新たな段階に入ってきた、こういうことがこの新法によって目的とするところでございます。

熊谷委員 再犯防止あるいは改善更生、それを通して新しい社会復帰が進み、ひいては社会の犯罪率の低下と安全に資する、そういう意味で、ぜひこの法案を実効あらしめるためのさまざまなほかの措置も含めて御努力いただきたい、このように思います。

 冒頭も言いましたように、滝大臣ともっと長く御議論をしたかったわけでございますが、こういう事態に立ち至りまして、まことに残念でございますが、私、質問が尽きましたので、これで終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

鉢呂委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十三分散会


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