衆議院

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第13号 平成25年5月17日(金曜日)

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平成二十五年五月十七日(金曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 石田 真敏君

   理事 江崎 鐵磨君 理事 奥野 信亮君

   理事 土屋 正忠君 理事 ふくだ峰之君

   理事 若宮 健嗣君 理事 田嶋  要君

   理事 西田  譲君 理事 遠山 清彦君

      安藤  裕君    池田 道孝君

      小田原 潔君    大見  正君

      門  博文君    神山 佐市君

      菅家 一郎君    黄川田仁志君

      小島 敏文君    古賀  篤君

      今野 智博君    末吉 光徳君

      鈴木 憲和君    武部  新君

      林田  彪君    藤井比早之君

      三ッ林裕巳君    宮澤 博行君

      盛山 正仁君    階   猛君

      辻元 清美君    中丸  啓君

      西根 由佳君    西村 眞悟君

      松田  学君    大口 善徳君

      椎名  毅君    三谷 英弘君

    …………………………………

   法務大臣         谷垣 禎一君

   総務副大臣        坂本 哲志君

   法務副大臣        後藤 茂之君

   法務大臣政務官      盛山 正仁君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 佐々木克樹君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 大塲亮太郎君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          小川 秀樹君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    深山 卓也君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           毛利 信二君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   鈴木 正規君

   法務委員会専門員     岡本  修君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十七日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     鈴木 憲和君

  門  博文君     武部  新君

  神山 佐市君     藤井比早之君

  今井 雅人君     松田  学君

  西村 眞悟君     中丸  啓君

  椎名  毅君     三谷 英弘君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 憲和君     小田原 潔君

  武部  新君     門  博文君

  藤井比早之君     神山 佐市君

  中丸  啓君     西村 眞悟君

  松田  学君     今井 雅人君

  三谷 英弘君     椎名  毅君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法案(内閣提出第四九号)

 被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第五〇号)


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     ――――◇―――――

石田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法案及び被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官佐々木克樹君、法務省大臣官房審議官大塲亮太郎君、法務省大臣官房司法法制部長小川秀樹君、法務省民事局長深山卓也君、国土交通省大臣官房審議官毛利信二君及び環境省大臣官房長鈴木正規君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今野智博君。

今野委員 おはようございます。自由民主党の今野智博でございます。

 本日は、このような質問の機会を与えていただき、まことにありがとうございます。

 また、谷垣大臣は、私が選挙区支部長に選任されましたときの総裁であられまして、また、法曹としても大先輩でございますので、このように質問をするということは大変恐れ多い感じがいたしますけれども、本日はよろしくお願いいたします。

 では、余り時間もございませんので、早速質問に入りたいと思います。

 本日は、大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法案、そして、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法の一部を改正する法律案ということで議題となっておりますので、まず、大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法案についてお尋ねをいたします。

 法案名が長いですので、これを被災借地借家法というふうに省略をさせて、以後、呼んでいきます。

 まず、この被災借地借家法の七条です。七条に、新たな借地権の制度として被災地短期借地権というものが創設されてございます。

 私も、七年間、弁護士として実務経験がございましたけれども、東日本大震災の直後、一カ月たたないうちに、我々弁護士の有志を募って、当時、岩手県の大槌町そして山田町の方に行きまして、そして、ボランティアとして法律相談を受けるという機会をいただきました。

 その際、約三日間で七十件ほどの相談を受けたんですけれども、やはり住まいに関する相談が大変多く寄せられております。家の権利書をなくしたのでどうすればいいかとか、あるいは、借家人の方で、大家さんとの連絡がとれないので、今後どういうふうな形で契約を継続したらいいのかとか、いろいろとそういった相談が寄せられまして、やはりそういった被災地においては、衣食住、特に住の部分で、被災された方々においても心配される部分が多々あるのかなというところを改めて感じて、思い出したわけでございます。

 今回の法案に関しましては、そういった点を、いわば転ばぬ先のつえとして、今後の万一の事態に備えて、そういった被災に遭われた方々が不安を感じることがないように、あるいは復興復旧が速やかになされるようにという点から、大変意義のある重要な法案ではないかなというふうに感じているところでございます。

 ただ、こうした新しい制度等、条文ができた段階で、これを運用するに当たっては、それが実際に現場でスムーズに適用されなければ効果が半減してしまいますので、私がこの条文を読む限りで若干気になる点について、谷垣大臣等にこれから御質問をさせていただこうと思います。

 それで、先ほど挙げました第七条の被災地短期借地権という制度、これが新たな制度として創設されたように思いますので、まず、この点について、この制度の趣旨及び創設された理由について大臣にお伺いをいたします。

谷垣国務大臣 今野委員が大槌や山田で実際に弁護士として相談に乗られた、そういう経験を踏まえてきょう御質問に立たれた。私も一生懸命答弁させていただきたいと思います。

 それで、今おっしゃった七条、被災地短期借地権制度ですが、これはもう委員には釈迦に説法ですが、借地借家法においては、借地権の存続期間は原則として三十年以上とされているわけですね。しかし、これだけ長期のものだと、大規模な災害が発生した被災地では、仮設住宅とか、あるいは仮設店舗、暫定的な土地利用でとりあえずここを今しのがなきゃいかぬ、そういう需要がやはり高まるんだと思います。今までの借地借家法だけですと、こういう被災地特有の需要に的確に対応できない。

 そこで、存続期間を五年以下として、契約の更新は認めない、五年以内だということで、短期の借地権の設定を可能とする制度をつくろう、こういうことでこの条文ができたものでございます。

今野委員 ありがとうございます。

 そうしますと、短期借地権ということで、被災地における土地の有効活用を図るという制度趣旨だと思いますが、借地権の存続期間が上限五年というふうにされております。この五年という期間が適当なのかどうか、いろいろ議論等あるところだと思いますけれども、まず、上限を五年とする理由、そしてその妥当性についてお伺いをいたします。

深山政府参考人 お尋ねの被災地短期借地権は、今大臣から御答弁申し上げたとおり、被災地における暫定的な土地利用に対する需要に的確に応えるという目的で設けられたもので、この存続期間の上限も、このような制度趣旨に照らして定められたものです。

 具体的に申し上げますと、被災地短期借地権の存続期間を余り長い期間にしてしまうと、暫定性が乏しくなってしまって、土地の所有者としては借地権を設定することにちゅうちょすることが考えられます。他方で、存続期間の上限を余り短い期間としてしまいますと、借地権の設定を受けようとする者の暫定的な土地利用の需要に応えられなくなる。そこで、このような土地所有者と借地権の設定を受けようとする者の利害のバランスを考慮する必要があります。

 また、二点目として、これも御案内のとおりですが、民法上、賃貸期間が五年以内の土地の賃貸借は、いわゆる短期賃借権で、処分について行為能力の制限を受けた者または処分権限を有しない者でもすることができる、こういうことになっております。これは、存続期間が五年以内であれば土地を長期間にわたって拘束するものではないということで、土地の処分には当たらないと評価できるという法の立場を明らかにしているものだと思います。

 さらに、阪神・淡路の大震災において、震災発生からおよそ五年後に仮設住宅からの入居者が全て退去した、こういった事実もございます。

 こういったさまざまなことを勘案して、被災地短期借地権の存続期間の上限を五年と定めたものでございます。

今野委員 ありがとうございます。

 いろいろそういった理由から借地権の存続期間の上限を五年とするということで、もちろん五年に満たない期間で被災地短期借地権を設定するということもあろうかと思いますけれども、私がちょっと気になったのは、仮にですけれども、五年という契約期間を定めてもう更新はされないということがこの被災地短期借地権の建前となっておりますが、そうはいっても、五年を超えて当事者間でさらに契約の更新をしたい、あるいはまだ建物等の使用、利用が必要だという場合に、五年では足りないという事態も起こり得るのではないかなと思っていまして、その場合に、この借地権の更新の必要というのがどうしても生じてしまうのではないかという点が懸念されるんですけれども、そうした場合にどのような対処法があるのか、それについてお伺いいたします。

深山政府参考人 ただいま御指摘があったとおりで、被災地短期借地権は、当事者が合意により契約を更新しないということを定めることが要件となっておりますので、更新はできません。存続期間が満了した場合には、更新ができずに、借地関係は一旦そこで終了することになります。

 もっとも、当事者間がまだ賃貸関係を続けたいという場合に、当事者の合意によって、その存続期間が一旦終わった後、目的の土地について新たに借地権を設定することはもちろんできます。ただ、その場合には、通常のルール、つまり借地借家法の定めるところによって改めて借地契約を締結することになる、こういうことになると思います。

今野委員 ありがとうございます。

 被災地短期借地権という制度が新たに設けられましたので、これによって土地の有効活用が図られていくということで、今後これが活用されていくのかなという気がいたしますけれども、それと並びまして、今回、法案の中に、第八条として、従前の賃借人に対する通知という、これも目新しい制度が設けられてございます。

 いろいろこの条文を読むと要件がございますけれども、恐らくこれは罹災都市借地借家臨時処理法が廃止されることに伴って創設された条文なのかなという気がするんですけれども、まず大臣に、この通知制度が設けられた趣旨等について御説明をお願いいたします。

谷垣国務大臣 従前の罹災都市借地借家臨時処理法、これは、災害によって建物が滅失した場合には、建物が再び建てられた場合に、今までの借家人が新しく建てられた建物を強制的に賃借することができる優先借家権制度というのが設けられていたわけなんですね。これは御承知のとおりでございます。

 しかし、再築された建物を強制的に賃借することができるというのはかなり強い権利でございますので、被災地においては賃貸人もみずからが被災者であるという場合も、極めてそういう確率は高いわけですね。余り重い義務を負わせますと、それなら新しい建物を再築するのはやめようかというようなちゅうちょが生ずるおそれもある、こういう問題点が従前から指摘されておりました。

 そこで、今度の被災借地借家法案においては、こういう優先借家権制度は廃止しようということにしたわけですが、今までの賃貸人に過重な義務を負わせることなく、借家人の保護も図るということが必要だろう、災害により建物が滅失した後、従前の賃貸人が建物を再築して、また賃貸しようとする場合には、従前の賃借人のうち、どこにいるか所在がわかっている人に対しては、その旨を通知することとして、今までの賃貸人と賃借人の間で任意の交渉を促すことにしよう、これが今度の趣旨でございます。

 こういう制度が設けられまして、従前の賃借人は、今までの賃貸人と再締結に向けた交渉の機会を得ることができる、建物が再築されたことを知らないまま従前の居場所に戻る機会を逸してしまう事態を防ぐことができるのではないか、そして、従前の賃借人が再築された建物に戻ることは、コミュニティーの維持、あるいは被災地の健全な復興ということにも資するのではないかというのが、今回のこの立法の趣旨でございます。

今野委員 ありがとうございます。

 この八条の条文を読みますと、「自ら使用していた賃借人」とか、あるいは「知れている者に対し、」ということで、いろいろな要件がありますけれども、知れている者に対しといったところで、条文上、必ずしも明確にならないので、どの程度知れているといったところで実際の状況を想定されているのか。

 あるいはまた、その通知制度があることによって、いわば難癖をつけるような形で、通知を受けなかった賃借人らが賃貸人に対して不当に金銭の要求をしていくというような、ある意味、制度が悪用されるおそれが若干ありはしないかという危惧があるわけですけれども、その点について、ちょっと御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

深山政府参考人 被災借地借家法案第八条に「知れている者」という言葉があります。この「知れている者」の意味ですけれども、従前の賃貸人が再築した建物を賃貸しようとするときに、所在がわかっている者をいいます。賃貸人に従前の賃借人の所在を調査する義務を負わせる趣旨ではなくて、既にわかっている人という意味です。これは、調査義務まで課すということになりますと、従前の賃貸人に過重な義務を課すことになるんじゃないかということから、調査義務は課さないで、わかっている人には通知をしなさい、こういう制度にしているわけです。

 また、通知を受けてしかるべきなのに通知がないといって、いろいろ難癖をつけるというような悪用はあり得るのではないかという御指摘がございましたけれども、これはあくまで、これまで賃貸借関係があった人であって、建物が滅失した当時に賃貸していた賃借人、転借人も含むということになっていますけれども、に通知相手が限られております。したがって、災害が発生した後になって、この制度を悪用しようという意図を持って、通知を受けるべき地位を譲り受けるといったような行為はできない、そういうことをする余地はございません。したがって、この制度の悪用がされるおそれというのは、それはさほどないのではないかというふうに思っております。

今野委員 ありがとうございます。

 大分時間がなくなってきましたので、次に移りたいと思います。

 被災地の区分所有建物再建に関する特別措置法ということで、被災マンション法というふうに略称させていただきますけれども、この制度は、第二条のところで、ちょっと複雑で恐縮なんですが、「区分所有建物の一部が滅失した場合」で、括弧されて「区分所有法第六十一条第一項本文に規定する場合を除く。」という規定がございますので、原則として、建物価格の二分の一を超える部分が滅失した場合に、大規模一部滅失ということで取り壊し決議等の対象になってくるという条文構造になっているんです。

 この取り壊し決議の前提となる二分の一超の滅失という部分が、基準として実際わかりにくいのではないかという批判があるんですけれども、その点について、どうしてこういった基準を用いるのか、御見解をお願いいたします。

深山政府参考人 御指摘のとおり、改正被災マンション法案における「一部が滅失した場合」というのは、区分所有建物の一部が滅失した場合のうち、建物の価格の二分の一を超える相当部分が滅失した場合、つまり大規模一部滅失ですけれども、を意味しております。滅失の程度をあらわす概念ではあるわけですけれども、既に現行の建物区分所有法に存在する概念でございます。

 先ほど委員が指摘されたところも、建物区分所有法の条文を引いて定義をいわば打っている条文です。滅失部分を復旧するための要件を画する場で現行の建物区分所有法では用いられている概念です。

 このように、既に滅失の程度をあらわす概念が現行法上存在するにもかかわらず、それと異なる概念や基準を特別法に当たる被災マンション法で用いますと、法律関係に混乱を生ずるおそれがあるのではないか、そういうことで、この改正被災マンション法案においては、区分所有法と同じ概念を用いて、大規模一部滅失した場合について特別の措置を適用することとしたものでございます。

石田委員長 今野智博君。もう時間が参っておりますので。

今野委員 はい。

 ありがとうございます。

 ただ、この二分の一超という基準をマンションの住人が判断するに当たっては、なかなか実際上難しい点がございますので、できるだけそういった住民間の紛争にならないように、これから政府としても基準について明確化していく御努力をしていただけますようにお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

石田委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。

 今回は、私が質疑を行うに際しまして、多くの委員の皆様に御配慮をいただきましたこと、質問の順番を含めて、その点についてまずは御礼申し上げさせていただきます。ありがとうございました。

 それでは、私、三谷英弘、十年間弁護士として仕事をしてきたその経験を生かしまして、質問に移らせていただきたいというふうに思います。

 まず、この被災二法の内容について伺わせていただきます。

 この被災二法のうち、大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法案について伺いたいと思います。

 まず、事実関係について、念のため確認させていただきたいと思います。今回廃止の対象とされております罹災都市借地借家臨時処理法ですけれども、これは今回の東日本大震災で適用されたのかどうか、そして、前回、阪神・淡路大震災で適用されたのかどうか。この点、通告にはございませんでしたけれども、念のため確認させていただきたいと思います。

深山政府参考人 今の適用関係は、東日本大震災には適用されておりません。それから、阪神・淡路大震災には適用されております。

三谷委員 前回の阪神・淡路大震災においての反省を生かすというような観点もあって、今回、東日本大震災では適用を避けたというようなところがあったかというふうに話を伺っております。

 ただ、この罹災都市借地借家臨時処理法、いわゆる罹災都市法、そもそもこれの制定された趣旨というのは、借家人、借地人、そういったものをしっかりと保護していかなければならないというようなことにあったというふうに理解をしております。

 もともと、震災もそうですけれども、大災害も、誰のせいでもないというようなものを、では一体誰の責任、誰に損失を負わせてそういった利害関係を図っていくのかというようなことですから、もちろん、いわゆる罹災都市法、そこの言う借家人、借地人、そういったものを保護するという観点というのはそれはそれで重要だったというように考えているところですから、本法案、本件の借地借家に関する特別措置法案というものが罹災都市法にかえて制定されるというのは非常に喜ばしいことだというふうに私も考えております。

 ただ、先ほど申し上げたとおり、罹災都市法の趣旨でございます、家を失った借家人の保護というようなものが今回の法律でどこまで考慮されているのかというのは若干心もとないところもあるわけでございます。今回のように、いわゆる借家、借りている家が滅失した、そういう憂き目に遭った借家人においてはどのような保護を受けられるのかということについてお答えいただきたいと思います。

深山政府参考人 今御指摘のとおり、この法律で罹災都市法は廃止をしております。その大きな理由が、過度に借家人の保護に傾いている、現時点ではそういうふうに評価せざるを得ないんじゃないか、こういうのが廃止の大きな理由でございます。

 ただ一方で、では借家人に対する配慮は何も要らないかというと、そういうことではもちろんございませんので、今回の被災借地借家法案では、借家人の保護を図るための制度として、大規模災害によって借家が滅失した場合に、従前の借家人が従来住んでいた場所に戻る機会を得られるようにするために、従前の賃貸人が建物を再築してまた賃貸目的で使うというときには従前の借家人にその旨を通知するという制度を創設しております。この通知制度については先ほども少し議論になりましたけれども、従前の借家人が従前の賃貸人との間で再度賃貸借契約の締結に向けた交渉をする機会を得られる、こういうことで、この限度ではありますが、借家人の保護は図られると思います。

 それからまた、罹災都市法が制定された昭和二十一年当時とは大きく異なりまして、現在では、被災地においては仮設住宅や公営住宅といった公的な支援も充実しつつあるという実情にございます。また、こういった公的支援によっても借家人の保護が、私的な、私法のレベルでは別ですけれども、図られることが十分に考えられる。

 こういったことを総合的に考えると、現在から見ると、やや借家人保護に過度に傾いていた罹災都市法を廃止して今回の法律に置きかえても、借家人の保護が、現在の時点で見ると相応な保護という意味では図られているのではないかと思っております。

三谷委員 ありがとうございます。

 今おっしゃられた通知の部分でありますけれども、こういう震災の場合に、誰に通知をしたらいいのかわからないというようになることが数少なくないわけであります。

 今回、被災二法というふうに言われておりまして、この二つの法律を比較検討すると、お互いの違いとか類似点が非常によくわかって本当に勉強になるなというふうに思うところではございますけれども、もう一方の区分所有の方では、通知をする場合に、誰に通知したらいいかわからないという場合には、最終的にはその場所に掲示をするということを求めているわけであります。今回の借地借家の特別措置法の方については、例えば震災で亡くなりましたという場合には、さまざまな法定相続人が出てきます。それぞれがどこに住んでいるかわからないというときに、事実上、通知をするというこの規定が空文化してしまうのではないかというようにも思うんですけれども、その場合にはどのように保護を図っていくというふうにお考えでしょうか。

深山政府参考人 確かに、通知先と法律上されている従前の賃借人、借家人が亡くなってしまって相続になってしまったということになって、そのために、賃貸人において通知先がわからないということがあり得ると思います。

 ただ、この法律の建前でいくと、それは実際知らない人に通知をする義務は課しておりませんので、知らなければ通知をする義務が生じないということになります。

 この通知制度が実現しようとしているのは、同じところにもう一回建物が建って賃貸用として使われるのであれば、従来の賃借人にまず連絡して借りる意思があるかどうか交渉してみましょう、そういうチャンスを与えましょう、こういう制度ですので、もうその方が亡くなってしまって相続になってしまったということになると通知はされないわけですけれども、それはそれで、制度の趣旨から見てもやむを得ないと言えるのじゃないかと思います。

三谷委員 ありがとうございます。

 本当にその通知をされるされないということによって何が変わってくるかということにも若干言及させていただきたいというふうに思うわけです。

 この新しくできます借地借家の特別措置法ですが、これは、現実問題として、東日本大震災というものそのものに適用されるわけではありません。これを今制定することによって何を想定しているかということを考えると、例えば、日本ですと、南海トラフ地震が起きるですとか、ここ東京において直下型地震が起きるという場合にいろいろな建物が損壊または滅失する可能性が極めて高いということに備えて、今この法律をつくっているということになろうかと考えております。

 阪神・淡路大震災のときに起きたことは何かといえば、もちろんそれ自体は非常に不幸な震災ではありましたけれども、震災があってさまざまな家、建物が滅失したということによって、ピンチをチャンスにということではありませんけれども、逆にそのことによって地域が非常に区画整理が進んで、非常に再開発等々のことがやりやすくなった。事実上、そういった震災が起きたということによって、もちろん不幸なことではあるんですけれども、地権者の持っているその土地の価値というのは極めて上がったというような過去の実例があるわけであります。

 その意味で、今回、これからどこかのタイミングで起きるだろうと言われておりますここ東京においての直下型地震というものが起きたときに、それによって再開発が進むというその利益を地権者がひとえに得ていくことにもなりかねないというところで、何とかそういったことを踏まえて、賃借人というのにももうちょっと利益をというようなことも考えてもいいのかなというふうには考えておるんです。

 それはさておき、その観点を踏まえてもう一つ伺いたいと思います。

 今回は、借地借家、借りている建物が滅失をした場合にこの制度を適用していくことができるというふうに言われておりますけれども、被災二法のもう一個の区分所有の方は、一部損壊の場合にもその制度を適用するということができるわけです。建物としては価値がなくなってもまだ住めるんだという人に対しても、事実上、出ていってくれということはできるわけですけれども、例えば、いわゆるおんぼろアパートというものを想定したときに、それが半壊したというような状態で、それが滅失したといって出ていってくれというようなことができるのかどうか。ここの法律で言う滅失の程度ということについてお伺いしたいと思います。

深山政府参考人 借地借家法の方の滅失の概念ですけれども、これは物理的に全く滅失してしまって瓦れきになってしまった場合が含まれるのはもとよりですけれども、外形的には一部残っていても、経済的、社会的に見て、アパートならアパートとしての効用をもう喪失しているということになれば、滅失に当たるということになると思います。

 そういう意味では、瓦れきに全部なってしまうという物理的な滅失のみならず、いわば価値的な滅失も含むということでございます。

三谷委員 当然ながら、そのときには、できれば、古いアパートを管理している大家さんの側からすれば、もうそれは滅失したんだといってそれを取り壊したいというふうに言うわけでしょうし、一方で借りている方からすれば、いやいや、これは一部損壊にすぎないんだからというようなことを、当然ながらそういったせめぎ合いが出てくるようなこともあろうかと思いますので、そのあたり、法律を施行するに、もちろん成立した後ですけれども、そこら辺の議論というのを深めていただければというふうにお願いを申し上げます。

 それでは、この法律に関して、第八条絡みでもう一点伺わせていただきたいと思います。

 第八条では、通知の対象というものがいわゆる賃借人になっておりますけれども、ここでいうと、一時使用のために賃借をした者を除くというような規定がございます。ここで恐らく想定されているのは、張りぼてのような、プレハブですとかそういったものが一時的に設置されているというようなものに対して、全部通知するということは求めていないよという趣旨ではないかというふうに思われるんですけれども、一度、念のため、ここの点について伺います。

 この一時使用のための賃借というものの定義の中に、定期賃貸借というものが含まれるかどうか、お伺いしたいと思います。

深山政府参考人 今お話に出た一時使用目的の賃貸借と定期賃貸借は、これは借地借家法上で御案内のとおり別類型のもので、含まれません。

三谷委員 定期賃貸借、定期借家人に対する通知というのは不要という理解でよろしいんでしょうか。

深山政府参考人 ただいまお尋ねの点は、被災借地借家法案の八条で通知先の規定がございますけれども、「当該滅失の当時旧建物を自ら使用していた賃借人」となっていて、括弧書きがあって、「転借人を含み、一時使用のための賃借をしていた者を除く。」となっておりまして、一時使用目的の賃借をしていた者は通知先から除かれるということになっております。

三谷委員 ごめんなさい、今の点、ちょっと重要なので。

 定期賃貸借の契約に基づいて借りている者に対して通知をする必要がないという見解でよろしかったでしょうか。

深山政府参考人 今私が申し上げたことを少し整理して申し上げますと、一時使用のための賃借人は通知先から除かれます。しかし、借地借家法上、一時使用のための賃貸借と定期賃貸借は別類型の賃貸借でありますので、定期賃貸借の賃借人には通知はしなくちゃいけないということにもちろんなります。

三谷委員 失礼いたしました。

 そうなんです。定期賃貸借に基づく借地人、借家人に対してもこれを通知しなければいけないというような規定になっているという理解だったかと思っておりました。

 それで、そういった通知をしなければいけないということなんですけれども、実は事実上、現実のビジネスの世界では非常にこれはかぶっているというか、もともと一時使用だ、潜脱だというふうに見える部分もあるんですけれども、定期賃貸借制度というものが導入されて以降も、例えば海外に赴任しますということで三年、四年海外に行ってきます、でも、いつ帰ってくるかわかりません、でも、帰ってきたときには明け渡してほしいですというようなことを前提に、この一時使用目的の賃貸借契約というのが定められているということが実は結構あるわけでございます。

 そういう意味で、ここの定期賃貸借というものと、先ほど申し上げた、長期の一時使用目的の賃貸借というものを明確に区別する必然性というのがどこまであるのかというのはわからないんですけれども、その点を教えていただきたいと思います。

深山政府参考人 これは直接的には借地借家法の解釈になるわけですけれども、一時使用目的の賃貸借かどうかというのと、先ほど言いました定期賃貸借は別類型です。

 定期賃貸借は、文字どおり、一定期間賃貸借をしてそれ以上続けないという最初からの約束のもとで賃貸をするわけですが、一時使用の場合にはその目的に応じた期間だけ一時的に使うということで、概念的には区別される。

 ただ、委員の御指摘は、実務上はそこの境界線がやや曖昧ではないか、それはそういうことはあり得ると思います。ただ、最終的には、一時使用目的だと思っていても、それが争われれば、最後の話ですよ、最後の最後は裁判で、一時使用目的と認定されるかどうか。時に、裁判所でも、一時使用目的かどうか、当事者間で最終的には争いになってしまって微妙な認定が必要な場合もありますけれども、そういう形で争われることがあるぐらい、やや微妙な問題であるのはそのとおりでございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 ぜひとも、そこについても議論を今後深めさせていただきたいというふうに考えております。

 続きまして、被災二法のうちの区分所有の方の特別措置法について議論させていただきたいと思います。

 この被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法の一部を改正する法律案というのは、正直なところ、私も、できるだけ使い勝手をよくしていくべきだというふうに考えておりますので、その観点からちょっと伺っていきたいというふうに思っております。

 先ほども議論にあったかと思いますけれども、これは、どういう損傷を受けた建物がこの対象になるのか、一部居住可能なものを含むのかという点について伺いたいと思います。

深山政府参考人 今お話にありましたとおり、この改正被災マンション法案のさまざまな決議の適用対象というのは、区分所有建物の一部が滅失した場合のうち、建物の価格の二分の一を超える相当部分が滅失した場合、いわゆる大規模一部滅失と言っておりますが、この場合でございます。

 この大規模一部滅失の場合に居住可能な建物がある場合が含まれるかということですが、この判断の基準は建物の価格でございますので、滅失前の状態における建物の価格と滅失後の状態におけるそれとを比較して後者が前者の二分の一以上であるかどうかということで決まります。

 したがって、区分所有建物全体のうちの一部について居住可能であるという建物であっても大規模一部滅失と判断される場合もあり得ると思いますが、そういう場合が多いかというと、一般的には、大規模一部滅失したと判断される区分所有建物はそのままの状態では居住がなかなか難しいというのが多くの場合だろうとは思います。

三谷委員 続きまして、今回の区分所有の再建に関する特別措置法の中で、決議要件として五分の四というものが定められております。

 これは、震災である以上、先ほども申し上げましたけれども、もちろん、亡くなる方もいらっしゃいますし、また、相続人がどこにいるかわからないから連絡をとりにくいというような状態になっている可能性も極めて高いというふうに思っておりますけれども、この決議要件として、五分の四というものが重いのではないか。先ほども申し上げたとおり、これはできるだけ前へ前へと進めていくというためには、三分の二というような緩和、一般的な区分所有の建物に関するそういった決議要件よりも緩めるということについては、いかがでしょうか。

深山政府参考人 御指摘のとおり、この法案で新設される各種の決議は、いずれも多数決要件を五分の四以上としております。

 その理由は、まず第一に、区分所有建物とその敷地の売却あるいは区分所有建物の取り壊しというのは、民法の原則に立ち返れば、それらの共有の規定に従って、区分所有者全員の同意が必要な行為です。それを、特別な場合だということで多数決原理を導入するにしても、反対者の意思を押し切って決議を実行するということを許容する制度を設けるわけですから、その正当性を担保するためには、原則が全員合意だというところから出発すると、多数決要件は相当重いものでなくちゃいけないというふうにまず考えられます。

 それから、これも既に委員が言及されたところですけれども、現行の建物区分所有法上、個々の区分所有者にとって区分所有権の処分を伴うこととなる、いわゆる建てかえについて、五分の四という多数決の要件になっております。今回設ける売却あるいは取り壊しというのも、区分所有権の権利の処分であるという点で、建てかえに類するものと言うことができると思います。したがって、これと同程度の多数決要件とするのが合理的ではないかと考えられるところです。

 また、さらに言いますと、各決議の制度はあくまで区分所有者間での意思決定をするにすぎないわけでして、決議成立後は決議に基づいた売却とか取り壊しといった事業を現実に実行しなくちゃいけません。決議の内容が円滑に実行されるためには、できるだけ多くの区分所有者が決議に参加していないと、反対者の権利を買い取って全員一致の状況に持っていくまでに物すごくコストや手間がかかるということになりますので、こういう観点からも多数決要件というのは相当高いものにした方がかえって事業が進むということがあります。

 こういった事情を総合的に考えて、多数決の要件を五分の四以上としたものでございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 続きまして、区分所有建物に居住されている方が亡くなったという場合を前提に、二つ質問させていただきたいと思います。

 この建て壊しを行う際の、集会を行う際の通知ですけれども、これは、最終的に連絡をとれない、連絡先がわからない場合には掲示を行うというふうになっておりますけれども、亡くなっている場合というのは、法定相続人がいて、まだまだ震災の跡を引きずっているというようなこともあると思いますから、必ずしもその掲示を見ることができないというふうに思います。そういった場合にも、ふと気がついたら、もう既に建物が取り壊されてしまっている、または買い取られて売られてしまっているというようなこともあり得るかと思いますけれども、そういった場合についての保護というものは何か考えられますでしょうか。

深山政府参考人 確かに、震災時のことですから、区分所有者の所在がわからなくなったり、あるいは相続が発生してしまうということで、集会の招集通知を掲示で行うといっても、その掲示を見ない場合があるのではないか、こういうお尋ねだと思います。

 この掲示による通知が認められるのは、その集会の招集者において、合理的に期待される程度の所在調査を尽くさなくちゃいけないというルールになっています。この点に過失がありますと、掲示による通知の効果は生じないという明文の規定が置かれておりますので、そうしますと、決議の成立を図って集会の招集をしようとする者は、例えば相続人であれば、相応の手段をとれば相続人を確定することは可能だと思います。行方不明者については、本当の意味で行方不明者であると、これは幾ら捜しても出てこられないということがあるのかもしれませんけれども、その限度で、招集する側にも一定の負担を課して、自分の権利が知らないうちに多数決によって変更されてしまうということがなるべくないように、かといって、できないことまで全部やらせる義務を負わせるとなると、今度は集会を招集する側に過重な負担になってしまう、そこらのバランスをとって、今言ったような制度にしているところでございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 そして、もう一つなんですけれども、実際、もう既に自分の持ち分が買い取られて、そしてもうその敷地、建物が第三者、ディベロッパー等々に売られてしまっているというような場合もあるかと思いますけれども、そういった場合に、ふとそれを気がついたときには、ある意味、その売却代金、それは誰から受け取ればよいというふうに考えていらっしゃいますでしょうか。

深山政府参考人 これは、お尋ねの趣旨は、恐らく区分所有者が所在不明に一時期なっていて、その間に決議が成立をして、さらに、売却なら売却まで行われてしまった後にその行方不明者が出てきたときに、自分の権利はもうなくなって、売られてしまって、お金に変わっておるわけですけれども、誰からもらえばいいのか、こういうお話だと思います。

 まず、不在者がいても、多数決の五分の四以上で売却が決まるという、決議が成立することはもちろんあります。しかし、反対者あるいは賛成していない人の分については、賛成者の側で買い取り請求をして買い取って、全員が賛成者の状態に権利関係を持っていかなければ売れないということになります。

 そうすると、その行方不明者の分も誰かが手を挙げて、じゃ、私が時価で買いましょうということでお金を出して、その人の分を買います。といっても、買い取り請求自体は、請求をすると形成的に売買契約の効力が生ずるわけですけれども、相手が行方不明です。したがって、代金の支払いができませんので、代金を受領不能で供託することになると思います。

 その上で、登記を戻してもらわないと売り先が買ってくれませんので、移転登記請求をする、公示送達か何かですることになると思います。それで、登記を買ったんだからと自分のものにして、それで全員が賛成者だという権利状態にした上で売ってしまう。

 その後、行方不明者がひょっと出てきたということになりますと、その人の代金請求権は供託金の還付請求権に変わっているということで、もとの区分所有者に聞くと、あなたはこういう経緯でこうなってこうなって、今あなたの持ち分の時価は供託されているということで、その供託金から時価を受け取る、こういうふうに最終的にはなるんだろうと思います。

三谷委員 今の回答は、本当に心強い回答だったかと思います。事前にこの内容について伺ったときには、亡くなった側、追い出される側が、ある意味、無資力なリスクを負わせられるというような話を聞いたものですから、それは困ったなと思ったんですけれども、供託をされるということであれば、そういった部分もしっかりと手当てをされていくのではないかというふうに考えておりますので、そういう方向で実務を運用していただきますよう、もしくはそのための規則等々をしっかりとつくっていただければというふうに考えております。

 そして、この点について最後の質問なんですが、一部滅失の場合、もちろんその中には、全部自分の持ち分が含まれてしまっている場合というのもあれば、ほとんどぴんぴんしているというようなものもあるかと思います。そういった場合に、第三者に売却した後の売却代金というものはどういうふうに分配すればよろしいんでしょうか。

深山政府参考人 建物敷地売却決議の制度について、この決議をするに当たっては、集会で売却代金の分配に関する事項も定めなければならないというふうなことになっています。売却代金の分配は、各区分所有者間の衡平を害しないように定めるということもルール化されております。

 建物敷地売却決議の対象になるのは災害によって重大な被害を受けた区分所有建物ですので、建物の価値自体はほとんどないという場合も多いと思います。そうすると、敷地の価値が大部分を占めると考えられますので、したがって、通常は、売買代金の分配というのは、敷地所有権あるいは利用権の持ち分割合に従って分配するのが衡平にかなうということで、そういうふうに決議の際に決められるというのが多いと思います。

 ただ、事案によっては、一部はちゃんと使える部屋が残っている人がいる、他の人は全く使えなくて本当の敷地だけということもあり得ます。こういった事情があるために衡平を害しないというルールが入っていて、機械的に平等にやることを義務づけておりません。

 これは要するに、単純に敷地の利用権の持ち分に従った分配をするのが相当でない場合があって、そういう場合には、そういう事情も勘案して、実質的な意味での平等に反しなければ決議として有効ですよ、こういうことをルール化しておりますので、事案事案に応じて、敷地利用権の割合を原則としながら、建物の利用状況、使えるか使えないかみたいなことも織り込んで、分配の基準を必ず決議のときに定めるということになるんだと思います。

三谷委員 ありがとうございました。ぜひとも、今回の法案を成立させていただいた後は、東京における直下型大震災、そして南海トラフというところにしっかりと生かしていただければというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、続きまして、別の観点の質問をさせていただきたいと思います。アジアにおける法整備支援について、若干だけ御質問させてください。

 日本は古くから、アジアにおける法整備支援、これを物すごい力を入れてやってまいりました。そこで、この具体的な法整備支援、どういったことをやってきたのかということにつきまして、それに対してどれぐらいの人数を割いてきたのかも含めてお答えいただければと思います。

大塲政府参考人 お答えします。

 法務省では、平成六年以降でありますけれども、東南アジアを中心とする諸国に対しまして、外務省、最高裁、日弁連、国際協力機構、JICAでありますけれども、こういった関係機関と協力いたしまして、対象国の実情、ニーズも踏まえながら、基本法令の起草とその運用、人材育成までを見込んだ法制度整備支援を実施してきております。

 これまでの実績でありますけれども、支援対象国といたしましては、ベトナム、カンボジア、ラオス、インドネシア、ウズベキスタン、中国、中央アジア諸国、ミャンマーなどであります。

 主な支援の内容でありますけれども、ベトナム、カンボジアにつきましては、民法や民事訴訟法の起草、ラオスにつきましては、判決書マニュアル、民商法の教科書の作成、インドネシアにつきましては、和解、調停に関する最高裁規則の起草、ウズベキスタンに関しましては、倒産法注釈書の作成などを行っております。

 実績の数等でありますけれども、法制度整備支援に関連いたしまして、法務省及びJICAにおきまして行った研修の実施実績でありますが、平成六年からことしの三月までの間に、実施回数につきましては計百七十九回、参加人数につきましては千六百十二人という実情になっております。

三谷委員 ありがとうございます。

 本当にそれだけの多くのいわゆるアジアでの法整備支援に携わられてきたということに対しては敬意を表したいというふうに思っておりますけれども、その法整備支援は非常に意義のあることなんだけれどもというような注釈がつきながらも、実はまだまだ足りていないんだというような観点の話を聞くことが少なくありません。それは何かといえば、法整備を行うけれども、そこで事実上終わってしまうという、そういった声です。

 せっかく日本と同じような法律をつくり、また日本と同じような裁判制度をつくるということをしたわけですから、できることであれば、日本のそういった企業ですとか、そういったビジネスマンが現地に行って日本と同じようにビジネスを行っていくということに何とかつなげていただきたいというふうに考えているんですけれども、実は、今のところは、日本がそういった法整備支援を行った国々においては、残念ながらその時点で終わってしまう。そして、オーストラリアですとか韓国から出てきた人たちが、事実上ビジネスを牛耳ってしまうことが少なくないというような話を伺うことが多いわけでございます。

 そこで、ぜひとも伺わせていただきたいと思います。法務省において、今回の法整備支援というものを受けて、今までそれをどのようにビジネスにつなげていくかというような観点で施策を講じられていらっしゃったのか、そして、これからどういうふうなことを考えてビジネスにつなげていくというようなことを、施策を打っていく、または打っていくことについて検討をされていくのかについて、お答えいただきたいと思います。

谷垣国務大臣 三谷委員の所属しておられる事務所は、アジアで日本の弁護士がどう活動していくかということについて、大変意欲的な事務所に属しておられると伺っております。そういう観点から、大変実践的な御関心をお持ちなんだろうと今伺っておりました。

 それで、今の前提ですが、何のために法整備支援をやるのかということ、これは幾つか目的があると思うんですね。まず、相手国との間で、自由主義、民主主義といいますか、あるいは基本的人権、さらに言えば、法の支配をできるだけ貫徹していくというような仕組みをお手伝いしようということもありますね。それからもう一つは、相手国の持続的成長に資する環境を整備して、さらに言えば、国際的なルールの遵守ができるようにというような、この二つは、どちらかといえば普遍的な目標に使えるものだと思います。

 しかし、日本がやるという場合に、普遍的というだけでは少し物足らないところもやはりあるんだろうと思うんですね。相手国との間で我が国の経験や制度を共有するということによって、我が国との経済連携を強くするということもやはり考えていかなきゃいかぬことだろうと思いますし、さらに言えば、我が国の企業の海外展開にいかに資することができるか。貿易・投資環境整備等々に結びつくようなことも考えなきゃいかぬということだろうと思いますし、さらに言えば、これはどちらかといえば普遍的なことかもしれませんが、相手国のガバナンスを強化して、我が国が実施するその経済協力の実効性の向上であるとか、あるいは国際開発目標の達成に資する、こういう多様な目的があると思うんですね。

 ちょっと委員の御質問をもとに引き戻しちゃったようなところがあるかもしれませんが、しかし、委員の事務所なんかが非常に熱心に取り組んでおられますように、法曹を充実しようということでこれだけ制度改革をした背景には、やはり我が国の弁護士が海外で業務を展開するというようなことももっと支援していかなきゃいかぬ、もっとそういうところを頑張ってもらわなきゃいかぬということもあるんだろうと思います。

 それがどれまでできているかというのは、我々もよく点検しながらやらなきゃならないことですが、今、海外展開総合支援協議会というのを関係団体あるいは関係機関と一緒に開催しておりまして、こういうところと連携しながら、我が国の法曹が新しい分野で活躍できる、活動できる道を切り開いていくように、法務省としても力を入れていきたい、このように思っているところでございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 実は、法律そして法律事務所、弁護士というものも、できれば一つの産業として見るという観点も必要なのかなというふうに思っておりまして、一つの輸出産業として成り立ち得るというようなことも考えているわけでございます。私の所属している事務所に限らず、いわゆる大手四大事務所というところも、このアジア諸国での事務所というのを次々と開設しているところもございます。

 そういった動きというのがありますのは、その背景には、やはり、例えば電車システムというのを海外に輸出します、水道のシステムというのを海外に輸出します、そのことによって、日本のプレゼンスを高めるだけではなく、日本の産業につなげていく、ビジネスにつなげていくという側面もあるわけですから、ぜひともそういった延長線で、法律システムを輸出していく、それに携わる人を支援していくというような観点で、法務省の本来的な役割ではないのかもしれないんですけれども、そういったビジネスにつながる法律というものも、ぜひともこれから検討していただきたい、今まで以上に検討していただきたいというふうにお願いさせていただきます。

 続きまして、残り時間わずかとなってまいりました。残り二点だけ質問させていただきます。

 民法の債権関係に関する改正について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 現在は、この中間試案が出て、それに対するパブリックコメントを求めている状況だというふうに認識をしておりますけれども、この民法の改正というものは、どのようなニーズに基づいて、何を目指して改正を進められているのかについてお答えいただきたいと思います。

谷垣国務大臣 民法は、もう申し上げるまでもなく、取引の一番基本的な法律でございますし、安定したものでなきゃいけない。それと同時に、社会の現実に即したものでなければいけないということもございます。

 それで、民法については、明治二十何年でしたか、制定されましてから、全般的な見直しはなされないままに今日まで期間が継続しております。その間の社会経済の変化、もう今さら申し上げるまでもありません。そして、現に民法の見直しを求める声もございまして、まず第一に、社会経済の変化に対応するという観点からの見直しが必要だろうと思っております。

 今、私は法制審議会にいろいろ御議論をお願いしている立場でございますが、今パブリックコメントにもかけて精力的にやっていただいております。大変精通した方々に議論をしていただいておりますので、取引実務に混乱を生じないような観点からも、十分な議論をして、詰めていただきたいと思っているところでございます。

三谷委員 まさにその取引実務に混乱を生じさせないというところが一番重要なところかなというふうに考えております。

 今まで、民法を前提にさまざまな判例法理が積み重なってまいりました。その判例法理に基づいて、今、予測可能性が極めて高いというような状況にありますけれども、今までの判例を前提に新しく条文をつくっていくということになっても、ワーディング、言葉の選び方一つで、射程ですとか内容が若干変わってくる可能性があるということについては、前回の会社法の改正というところにおいても見られたところかなというふうに理解をしております。

 そこで、これはもう答弁はいただきませんけれども、今回の民法改正によって新しく条文ができましたというときに、何が起きるかといえば、判例に基づいて事案を解決していく、条文に基づいて事案を解決していくというだけではとどまらない。新しくつくられた条文については、それを具体的にどういうふうに適用されていくのか、適用範囲がわからないわけですから、結局は立法官の解説というものが大きな影響力を持ってきてしまう。学者なのか行政官なのかわかりませんけれども、そういった方が書く条文解説、コンメンタール的なものが、事実上、その法律の適用範囲等々を左右していく。

 これは、法の支配という観点からすれば必ずしも望ましくないというふうに思っておりますので、ぜひともそういった懸念を払拭していただくような方向で民法改正というのは進めていただきたいというふうに考えております。

 実は、もう一点質問したいことがあったんですけれども、持ち時間が終了いたしましたので、これにて終了させていただきます。ありがとうございました。

石田委員長 次に、松田学君。

松田委員 日本維新の会の松田学でございます。

 私、特に法務省の案件について詳しい人間じゃないんですが、日本維新の会が進めている道州制あるいは統治機構の改革との関連、特に道州制は、中核となる都市の集積といいますか都市の再生というか、それと一体となって進められるべきものだと思っておりまして、その観点から、今回のこの法案、改正案についても、直接ではないんですが、基本的には同じ、共通な課題を抱えているんじゃないかという観点から、質問に立たせていただいた次第であります。

 まず、道州制をこれから進めていくというのは我が党が標榜しているところでありますけれども、かなり経済的な必然性があると思っております。

 やはり、日本が人口減少社会に入っていって、一つはグローバル化ということもあります。広域経済圏をつくって、一つの中核都市にいろいろな集積を起こしていく、その裾野を広くとっていってですね。やはりこれからの世界のグローバル競争社会というのは、集積を競い合うといいますか、いかに経済活動を呼び込んでいくか。人口集積、インフラ集積、情報集積とか、そういった核を全国あちこちにつくっていくということで、広域経済圏がグローバル競争していく。

 それからもう一つは、人口減少していきますと高齢化が進んでいって、今までは都市から地方へと、あるいは居住が外延化していったんですが、そういったところが、人口減少、高齢化で一人当たりのインフラコストがだんだん高くなってくるとどうしても持続可能でなくなるということになりますと、むしろこれからは都市の方に、戦略的に撤退して都市に集中させていく、ある程度そういったモビリティーのある人口移動ということを考えていかないと、やはりこれから耐えていけないんじゃないか。

 そういった意味でも、都市を中心とした経済成長、規模の経済もありますし、あるいは収穫逓減、逓増とかそういったことを起こしていく、あるいは社会保障のコストもできるだけ小さくしていく。日本の経済成長は都市にかかっていると言う学者もおられますけれども、そういう意味で、いかに魅力ある都市をつくっていくか。まず、そこに向けて、インセンティブをつくって集中を起こしていく。

 私は、そういった意味で、これからの日本の課題というのは、都市のリフォームというか、そういったことが起こりやすい環境を法制度面でもつくっていくということがあろうかと思っております。今回の改正案も、基本的な考え方、リコンストラクションというのは、別に被災地だけでなくて全国いろいろな都市でも必要なことではなかろうかという観点から御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、今回の被災マンション法改正案で検討されております区分所有建物の決議要件につきまして、これは大規模な災害のケースだけではなくて、こうした方向での緩和というのは、今、例えば建てかえというのは五分の四ですか、賛成が必要とかいうのがございますが、結構、現実に、マンション建てかえにしても管理人の方が大変な苦労をしているというようなこともございますので、例えば老朽化したマンションの解体等、別に災害とかそういうのにかかわらず、そういうことについてもう少し緩和を検討すべきではないかという意見も出ているようですが、その点について大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

    〔委員長退席、土屋(正)委員長代理着席〕

谷垣国務大臣 今回の被災マンション法が、大都市の一般のマンション等々が老朽化したときどうするかということに考え方として資する面があるんじゃないかというお問いかけだったと思うんですね。

 今回の法案そのものは、被災地の早期の復興を図る、そのために現状を放置すべきではないという観点からつくられておりますので、直ちにこれが老朽化マンションを、一般にこのまま適用するということを考えているわけではありません。

 しかし、他方において、マンションは、適時適切に修繕がされていた場合でも、いずれかの時点で、もうやはりこれは使えない、社会的な効用を失ってしまうということがあるわけでございますし、やはり我が国のマンションブームの時代を考えますと、我が国においてもいろいろな問題が生じてきている、劣化をして何らかの手を打たなきゃならないマンションが都会ではふえてきているのであろうと思います。法務省としても、こういう老朽化マンションについて適切な対応を講ずる、これは今非常に重要な課題ではないかと意識はしております。

 ただ、少し細かに申し上げますと、一口に老朽化マンションと言っても、建物の継続に何ら問題のないものもございますし、また、もうとてもこれはだめだというものもあるわけでございまして、周辺に物理的な影響、こんなのがあったら危なくて周りに住めないというものまであると思います。それから、老朽化マンションにどういう措置を講ずるかというのは、これはまさに区分所有関係のあり方そのものにかかわってまいります。

 そこで、これは所在する区域の都市計画をどうしていくか、まさにさっきおっしゃったこともそれにかかわってくるんだと思いますが、それから住宅政策全体をどうしていくかということにもかかわってくる問題でございますので、個々のマンションの所有者の中での合意形成というだけでは、事柄の解決にはなかなか向かっていかないということがあるんだろうと思います。

 そこで、公法上の規制とか、要するに私法的な問題だけではなく公法的な規制、あるいは公的な支援をどうしていくかということもないと、今の委員のお問いかけにはなかなか答えられないところがあるのではないか。

 そういうことで、法務省としては、基本法を所管している立場からもちろん問題意識を持っておりますが、国土交通省等々と十分腹合わせをしなければいけない課題だ、こんなふうに考えております。

松田委員 私も、認識はそのとおりだと思います。

 もう一つなんですが、野口悠紀雄さんという経済学者が一九四〇年体制ということで大分前に提言されて、なるほどという面が多々あるんです。

 日本は、一九三七年、中国との戦争に入って、一九四〇年に向けて、軍事的な意味から統制型の国家に入っていった。それが戦後そのまま引き継がれて、かなり統制色の強い状況で、日本は、戦争目的から経済成長に目的こそは変化したものの、基本的な体制はずっと今日まで維持されている、こういう議論だったと思います。そういった中で、例えば、今でもその流れが残っている一番わかりやすい例というのは、源泉所得税ですね。あれも、いわゆる軍事資金のために、資金を国家に集中するために、国が所得税というものを徴収しやすくするための制度としてつくられたんだというのが野口さんの御説なんです。

 そういった意味で、戦後の日本をいろいろつくり上げた戦時体制というものの残滓として、借地借家法ということが指摘されております。

 戦地に赴いた兵隊さんの御家族が追い出されないように借地人、借家人を非常に保護するということで、貸し手の方の解約権というのを国が制限して、正当な事由がなければ借地借家人の希望により契約を延長できるということになった、当時、いわゆる国による社会政策的な制度として導入されたものが、戦後も、住宅難の中で、裁判では正当な事由というのを極めて狭く解釈して、なかなか解約というかそういうことができない。

 その結果、駅前の優良な土地なんかはなかなか再開発が進まなくて、戦後の日本の駅前は、低い建物があって、猫の額のようになっていて、郊外に、遠いところにどんどんマンションをつくったり、あるいは持ち家というのをやっていって遠距離通勤を余儀なくされたりとか、一般の国民にとってもいろいろ不便な状況ができ上がっていったというようなことも指摘されている状況であります。

 それについても、借地借家法についてもいろいろな見直しがなされたと思いますが、私は、冒頭申し上げたように、これから都市集積をつくっていって、都市のリフォームというのを進めていく上に当たっては、やはり、借地法、借家法のやや硬直的、今は借り手にとっても貸し手にとっても硬直的ということが言われているかと思うんですが、この点についてもう少し弾力化していかないと、なかなか、その障害になってはいけないんじゃないかという問題意識からの御質問をさせていただければと思っております。

 まず、借地借家法の正当事由ということについてなんですが、これも、言われておりますけれども、建物の老朽化とかあるいは耐震性の不足、そういった具体的な正当事由の中身を明示して、要件緩和に向けて少し見直しを進めるべきではないか、こういった意見が出ております。

 また、正当事由が必要とされる理由づけとして、借り手の方が社会的弱者であるという社会通念があるようなんですが、本当にそうなのかどうか。いろいろな契約の実態とかを法務省の側でも調査して、実態に合わせた改正に向けた動きをしていくべきだと思うんですが、その辺も含めて御答弁いただければと思います。

谷垣国務大臣 正当事由というのが余りにも硬直的に使用されているのではないかというお問いかけですね。

 私も、初めて大学に入って法律学を勉強した当時、やや古い文献を読みますと、委員がおっしゃったように、かなり、イデオロギー的と言うとちょっと言い過ぎかもしれませんが、弱者保護に非常に、そこを強調した議論もなかったわけではございません。しかし、結局、借地権、借家権を解約するかどうかというときには、賃貸人、賃借人の利益調整を図らなきゃなりませんので、そのための概念が正当事由という概念になっております。

 ここは、政治の世界で生きてきた私よりも、民事局長や何かが実務の上でどう見ているかを答弁してもらった方がいいのかもしれませんが、そういう意味では、正当事由というのも、やはりそのときの社会情勢や社会思潮と無関係にあるわけではなくて、調整の原理として、例えば昭和三十年代と平成に入ってからというようなことでは、裁判所がここに何を込めるのかもかなり移ってきているのではないか、私はこのように考えておりまして、今のような老朽化とか耐震性ということももちろん正当事由の中に十分入れて考えなければなりませんし、それだけというわけにはもちろんいかないと思います。

 もう少し、私の見方が正しいかどうか、民事局長から何か御答弁があれば、それを聞いていただくのもいいと思います。

深山政府参考人 大臣の御答弁に引き続いて、少し実務的な経験に基づく個人的な感想を言わせていただきますと、正当事由をめぐる裁判例というのは非常に多い、かつては極めて多い、現在でもそう珍しくないタイプの紛争でございます。

 ただ、大臣も一般論として申し上げたとおりですけれども、かつては、戦後に近ければ近いほど、この正当事由の枠組みというのは、枠組み自体は、賃貸人側の事情と賃借人側の事情を総合勘案しましょうということで、途中で法改正があって、考慮事情などをある程度明確化するというような改正もされていますが、基本的な制度は一貫しておりまして、両方の事情を考えてバランスよく利害調整しましょうと。

 ただ、調整するときの結論が、正当事由制度のもとで、借りている側の保護に非常に厚い結論が長い間出続けてきた。それが、需給状況が緩和して今はむしろ賃貸物件が余っているような時代ですので、現在は、同じ枠組みを使いながらも、やはりそういった経済状況や賃貸用の居住建物の需給状況の違い、あるいは権利意識の違い、代替建物、代替物件の発見のしやすさ、いろいろな変わった事情を織り込んでいますので、この枠組み自体の問題というよりは、枠組み自体は同じであっても、かつて言われたような一面的な賃借人保護をこの制度が実現しているのではないかという批判は現在の運用は当たらないのではないかというふうに考えております。

    〔土屋(正)委員長代理退席、委員長着席〕

松田委員 日本の国がもう少しモビリティーのある社会に向かうというのは、非常に私は重要なことだと思っていまして、例えば、今回、マイナンバー法案が今国会で成立しそうですけれども、今まで以上に特定の個人をアイデンティファイできるようになると、逆に移動しやすくなるといいますか、居住も変えやすい、職業もかえやすい。それによって日本の社会の生産性を上げていくという意味でも、あるいは、地方の自立を図っていく、そのための都市集積を起こしていくという意味でも、そういった方向に日本を少し改革していかなければ、なかなか持続可能社会が描かれない。そういった方向に向けて法務省としてもいろいろな努力をしていただければということをちょっと申し上げて、御質問させていただきました。

 それから、地方の活性化という点では、海外の経済活力を取り込んでいくということも重要な課題になっていて、よくこれは言われることですが、IRと。IRの中核、統合型リゾートの中核としてカジノということがよく言われているんですが、法務省は割とこの辺は態度がはっきり示されていないという話も聞いておりますけれども、大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

谷垣国務大臣 私個人の考えというよりも、法務省の伝統的な答弁になってしまうかもしれません。

 カジノは、刑法の賭博罪、それから賭博場開張等図利罪というんでしょうか、それが成立し得るものでございます。特別法を制定すれば、賭博罪が設けられた趣旨に反しない制度がそこで構築されれば、その範囲内で刑法上違法性が阻却されるということがあり得るということでございます。

 刑法を所管している立場から申しますと、こういう賭博罪などで禁じている理由は、国民のいわば射幸心を助長して勤労の美風を害するのではないかとか、あるいは、副次的犯罪を誘発して、さらに国民経済の機能に重大な障害を与えるのではないかということが伝統的に言われました。こういう法律を所管している立場からいえば、あくまでやはりそういう弊害を乗り越えられる制度をつくるということが、やるとすれば肝要なことではないかと思います。

松田委員 それ以上の御答弁はいただけないものと予想しておりました。

 もう一つ、今回のいわゆるモビリティーのある社会という観点、あるいは国民の利便性という観点も一つつけ加えて言うならば、せっかくマイナンバー制度でいろいろな利便性が高まるのであれば、この際、法務省関係でいうと法務局、出先機関改革として、これはいろいろなところから言われているようですけれども、登記事務はもう地方に移管してもいいんじゃないか。国の基盤にかかわる財務省であるとか防衛省であるとか外務省であるとか法務省であるとか、これは基本的には、仮に将来道州制になっても国に残るものだという整理が我が党でもなされていますけれども、ただ、この登記事務は何も法務省の出先がやらなくても、出先機関改革の一環として地方にやって、地方でむしろワンストップ化をした方が住民にとっても利便性が高まるんじゃないかというふうにも思われるんですが、この点についていかがでしょうか。

谷垣国務大臣 これにつきましては、かつてからも随分議論をされてまいりました。

 それで、私は、現在の結論、私の考えを申し上げますと、登記はなかなか地方に移管しにくいのではないか、難しいのではないかというのが私の今の気持ちでございます。

 と申しますのは、私もかつて弁護士として登記等々幾つか問題のあるのをやったことがあるんですが、これはなかなかわからなくて、登記官にいろいろ聞きながらというような、かなり専門性が高い領域ではないかと私は感じております。

 したがいまして、そういったことを地方に持っていった場合に、それは市町村に行くのかどういうのか、あるいはそのとき道州制がどうするのかということもあるのかもしれませんが、地方で果たしてそれだけの専門性を持った方を養成、維持できていくのかなと私は実は感じております。

 それで、各自治体等からもいろいろ今まで御意見をいただいているんです、こういうのは地方に移管せよとか。しかし、この件につきましては、なかなか各市町村でも、人のコストとか何かいろいろあるからむしろこれは国で置いておいてくれというような御陳情をいただいていることが、別に法務省がやらせているわけじゃないんですが、そういうことがございまして、現時点での私の考え方は、少しこれは難しいかなというのが私の考え方でございます。

松田委員 ほかにもいろいろ聞くことがあったんですが、時間が来ましたので。

 やはり法務省は、私のおりました財務省とともに、どちらかというと守りの役所だということだと思いますが、それゆえに、政治のリーダーシップで新しい仕組みをどんどん出していって、財務省や法務省を説得していくのが大事かなと思っております。これからのグローバル化あるいは人口減少社会を見据えた日本の改革に向けて、法務省としても鋭意取り組んでいただければということを期待申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

石田委員長 次に、中丸啓君。

中丸委員 日本維新の会、中丸啓でございます。

 本日は、このような質問の機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。本日議題として上がっております二案につきまして御質問をさせていただきます。

 両法律案の今回の検討に当たって、東日本大震災から得られた教訓、これをどのようにこの内容に生かすことができているのか、まずお答えいただければと思います。

谷垣国務大臣 この両方の法律案の検討に当たりましては、法制審議会の専門部会で御議論をお願いしたんですが、部会の委員に仙台弁護士会の方であるとか、あるいはNPO法人東北マンション管理組合連合会の方々等に入っていただきまして、被災地の実情の紹介、あるいはそれを踏まえた御意見をいただきまして、これを相当反映させたつもりでおります。

 そして、被災借地借家法案につきましては、前身となるのは昭和二十一年でしたかにできた罹災都市借地借家臨時処理法でございますが、これは東日本大震災の被災地から復興の妨げとなるというので、こんなものは今回、こんなものはと言うといけませんが、結局、この法案審議とは直接あれではありませんが、要するに、東北には適用しないでくれという御意見もございましたので、そういう復興の妨げとなると言われている、御指摘を受けたような制度は廃止しようということでございます。

 それから、他方で、大規模な災害の被災地では、仮設住宅等々、暫定的な土地使用といったものが必要でございますから、こういったものに応えられるような、短期の借地権の設定を可能とするような制度を入れていこうというようなことで、この被災借地借家法の方はやらせていただいた。

 それから、被災マンション法の方ですが、これは、東日本大震災においては、重大な被害を受けた区分所有建物について、全員の合意がなければこれを取り壊すことができない、従前のあの阪神・淡路のときにつくった法律、全員の合意でなきゃできないというんじゃ再建ができないよという御意見がいろいろございました。

 そこで、五分の四以上の多数で取り壊したり敷地を売却したりすることを可能とする制度を入れようということで、私どもといたしますと、東日本大震災からの教訓というのをできるだけ取り込んでこの法案をつくったつもりでございます。

中丸委員 ありがとうございます。

 しっかり取り組んでいただいて、教訓というのは、普通、やはり反省をもとに教訓ということで、今、大臣の方から御答弁もいただきましたように、その以前のことも踏まえて御考慮いただいたということはよく理解させていただきました。

 その中で、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法の一部を改正する法律案の方についてお伺いします。

 大規模災害、先ほど阪神・淡路のお話もいただきましたけれども、そういった中で今回五分の四にしましょうということだとは思うんですけれども、五分の四、メリットは、全員一致じゃなくて五分の四にするというところ自体はわかりやすいんですけれども、単純に、五分の四という数値になる根拠とか定義があれば、お聞かせ願えればと思います。

谷垣国務大臣 先ほどの質疑の中でもいろいろ御議論があったところですが、まず、区分所有建物とその敷地の売却あるいは取り壊し、これは、民法の原則でいけば、区分所有者全員の合意が必要であるということになります。

 そういう前提の中でどういう数字をつくっていくかということになりますと、反対する者の意思に反してでも決議を実行することの正当性を担保するためには、単なる多数決というわけにはいかないだろう、要件の厳格性が必要だろうということになると思います。

 それから、区分所有法上は、個々の区分所有者にとって区分所有権の処分を伴うこととなります建物の建てかえについては、五分の四以上の特別多数決でできるということになっておりますので、これも建てかえに類するものでございますから、これと同程度の多数決要件とすることが相当だろうというのがもう一つの考量材料でございました。

 それからさらに、こういう決議制度は、あくまで、区分所有者間で意思決定をするのに五分の四でやれ、こういうことでありますが、決議が成立した後、決議に基づいて取り壊しをしていく、あるいは売却していくといったことになりますと、この事業を実行しなきゃならない。決議の内容を円滑に実行していくためには、できるだけ多数の同調者といいますか、決議に賛成する方がおられませんと、なかなかいかない。そういうことをあれこれ考えまして、五分の四というところになったということでございます。

中丸委員 ありがとうございます。

 例えば、半分では、多数決だけではというお話もあったと思うんですが、三分の二というのも一つの考え方としてあると思うんです。

 もともと五分の四だった、同程度に合わせたということなんですけれども、五分の四の同程度に合わせて今回も五分の四という中で、その検討をする中で、数値に関しての見直しのお話とか、そういうことは何かございましたでしょうか。

深山政府参考人 法制審議会でこの法案の前提となる要綱案を審議する過程では、区分所有法の建てかえ決議の五分の四をそのまま持ってくるのではなくて、被災地であることを考えてもう少し緩和するという考えの方もおられました。しかし、いやいや、やはりそれは同じ方がむしろ法制度としてはバランスがいいと言う方もおられましたし、逆に、もう少し厳しくてもいいという意見の方すらおられましたので、さまざま意見はございましたけれども、結局、大勢の一致するところは、先ほど大臣から御答弁申し上げたとおり、いろいろな事情を考えると五分の四がいいのではないかということになったものでございます。

中丸委員 ありがとうございました。

 それでは、今、五分の四というお話があったんですが、取り壊しや売却など、そういった事業を円滑に実施していくにはできるだけ多くの区分所有者の合意形成が必要だということで五分の四だと思うんですけれども、この合意形成をつくっているのが、特にマンション、私もマンションの管理組合の理事長とかを何年かさせていただいたことがあるんですけれども、皆さんそれぞれの生活を持たれている集合住宅の中で、まず、一堂に会するというのが非常に大変。それから、委任状をそのためにとるわけですけれども、またこの委任状を出す人と出さない人がいたり、こういった回収。通常の二分の一であれば、それでも結構そういった総会等で進んでいくんですけれども、いろいろな細かいことも含めて決めるのに当たって、五分の四というのは結構な労力が要るんです。

 というのも、当然、自主管理をやっている組合なんかで専任の人を置かれているところもありますけれども、通常は、自分たちでやりながら、管理会社にアドバイスをいただいて書類の作成を手伝ってもらったり、そういった管理になっていると思うんです。はっきり言ってしまえば、理事長も持ち回りで、住んでいる人が交代でやる。そういう素人の方、一般の方が進めていくに当たって、なかなか合意形成のような、住んでいる所有者の皆さんから納得をいただく作業というのは非常に難しいところが実際あると思うんです。

 そういう中で、区分所有者の納得を得られるような、話が進みやすくなるような措置というものが何か整備されていたり反映されたりしているところがあれば、教えていただきたいと思います。

深山政府参考人 この法案では、取り壊しや売却などの決議制度において五分の四以上という多数決要件を定めておりますけれども、御指摘のように、決議が成立した後に、決議された処分を円滑に実施するというところまで考えますと、法律上の多数決要件を超えて、さらにできるだけ多くの区分所有者が処分に参加する、賛成するということが重要だと思っております。

 こういった観点からは、集会の議案について事前に十分に情報を与える機会を設けて、区分所有者が熟慮して決議の賛否を決することができるような手続を設けるということが必要だと思っております。

 そのために、この法案では、まず、集会の招集通知を集会が開催される日の二カ月前までと、たっぷり時間をとって発しなければならないものとしておりますほか、集会の招集通知に、これこれの決議をしたいという議案の要領、これは当然書くわけです。それに加えて、この提案されている決議に係る処分をすることが必要な理由を通知しなければならないということで、通知事項を手厚くしている。また、区分所有者が議案の要領等について提案者の説明を聞く、あるいは質問をするという機会を事前に設けるという趣旨から、集会の招集者は集会の開催に先立って説明会を別途設けなくちゃいけない。

 つまり、二カ月以上の期間を設けて通知が来て、そこには、どういう決議をしたいかということだけじゃなくて、なぜそういうことをするのかという提案者の理由も書いてある。それについて問いただしたいというニーズがあるだろうから、実際の本番の集会の前に説明会を必ず開いて、そこで十分提案者と区分所有者との議論をして、その上で決議をする本チャンの集会が来る、こういうような手続を整備することによって、十分な議論の上でなるべく多くの人が合理的なものであれば賛成していただけるようなルールにしている、こういうことでございます。

中丸委員 ありがとうございます。

 そういったところも整備されているということはわかるんですけれども、例えば、きょうの今のやりとりをインターネットで見ておられる実際の被災地のそういった、先ほども申し上げた、一般なんだけれども管理組合の役員とかをやられている方が見たときに、今の御答弁を私がここへ座って聞かせていただくだけでも、何かいろいろ大変そうだなという感じは正直受けられると思うんです。

 それで、復興に携わっておられる各基礎自治体の皆さんとかに、法律を決めて、法律ができたよではなくて、その後の、もちろん、そうなればそれは法務省さんの管轄ではないかもしれませんけれども、やはりきちんとアナウンスをしていただいて、それが実際にできるような指導体制というかアドバイス体制というか、そういうところまでぜひ御配慮いただきたいと思うんですけれども、その辺、いかがでしょうか。

深山政府参考人 この法案が法律として成立した暁には、条文だけではなかなかわからない今御指摘のような実務運用をどうしていくか、より踏み込んで、実際にやるときにはどんな配慮や工夫が要るかというような点も含めて、いわゆる法律の解説的なものを広報する、周知するというのも、これは提案をした法務省の責任だと思っておりますので、できる限りの実務的な、検証にたえられるような解説、説明というようなものを広く広報する手段を講じていきたいと思っております。

中丸委員 ありがとうございます。

 ぜひ、その際には、一部挿絵というか漫画が入っていたりとか、非常に一般の方にわかりやすいように、実際の運営現場というのはそういう現場であるということをぜひ御理解いただいた上で御配慮いただければと思います。

 それでは、もう一つの方の借地借家法案についての御質問をさせていただきます。

 まず、そもそも、今回、この法案に関しては、もともとの法案自体は廃止して新しい新法を制定するということなんですけれども、現行法を改正でなく廃止というふうにされた理由を簡潔で構いませんので教えていただければと思います。

深山政府参考人 この被災借地借家法案では、優先借地権制度を初め罹災都市法の定める多くの制度を廃止した上で、借地人からの借地契約解約制度とか、先ほど来話に出ている被災地短期借地制度といった新しい制度を創設しておりまして、もともとの罹災都市法の内容を全面的に見直しております。

 また、罹災都市法は、もともとが第二次世界大戦によって被災した借地人、借家人を保護するために昭和二十一年に制定された時限的な立法でして、その後の法改正でこれが自然災害や火災にも適用されるように改正がされておりますけれども、この法律案が災害時における借地借家関係を規律する一般法であるということを明確に示すためには、この際、罹災都市法を全面的に見直してしまって罹災都市法の全面改正法案とするよりも、新法を制定する方が国民にとってわかりやすいし、望ましいのではないか。こういうような考慮から、罹災都市法の全面改正ではなくて、これを廃止して新法を制定することにしたものでございます。

中丸委員 ありがとうございます。

 私、先週、宮城県の被災地を三、四回らせていただいたんですけれども、そういった中で、宮城でも、仙台みたいに復興がかなり進んでいるところもあれば、山元町とか、非常に大きな被害があって本当にそのままのところで、これをどう活用していけばいいのかというような場所もあったりするんです。

 そういう中で、今回、復興を促進するという意味では非常に大事な法案だと思うんですけれども、この借地借家に関する特別措置法、これが可決すれば、簡単に一言で、被災地の人たち、復興に携わっている人たちに、こんな場所でこんなに復興が促進するんだということがあれば教えていただければと思います。

深山政府参考人 実は、この被災借地借家法案は、今後あるであろう、いつかは来るであろう大規模な災害に備えた恒久的な立法として、大規模な災害があった場合の借地借家の特例を定める一般的な法律として、先ほども申し上げたように新法としてつくったものでございまして、もちろん、制度の検討をする契機は、その多くが今回の東日本大震災から教訓を得ているわけですけれども、これを東日本大震災に適用しようということで検討したわけじゃなくて、今後起こった災害に万全の備えをするという観点からつくったものです。

 ただ、どの災害に適用するかは、法律が成立した後に政令で指定することになっております。しかも、政令で指定する際には、災害を特定するとともに、どのような措置をどの地区に適用するかということを指定することになっておりますので、法律成立後に、実際にこの制度は今でも、東日本大震災の現地で必要だというニーズが的確なものとしてあれば、それは共管する国土交通省と相談の上ですけれども、政令でそこの部分だけ指定するということはあり得ると思っていますが、現時点でこの措置をこの地区にということを考えているかというと、そういうことはございません。

中丸委員 ちょっと先ほどのいわゆる区分所有の方に戻るんですけれども、その中で、五分の四という話の中で建物敷地売却決議、要は、土地と建物の区分所有分を一緒に決議ができると。これは、非常に復興のスピード、何回も言いますけれども、管理組合の中で決議をしていくための決議の項目数が減るわけですね。

 現状、今おっしゃったように、今回すぐ東日本のどこかに適用するというふうにはなっていないというお答えなんですけれども、やはりこれも同じように現地にしっかりとアナウンスしていただいて、今回こういうのがあるので、ぜひとも使えるところは使ってほしいと。実際、建てかえができずに半壊状態で住んでいる建物とかがいまだにやはりあるので、その辺のところもぜひ広報活動に力を入れていただければと思います。

 それでは、時間もなくなりましたので、最後に一つ。

 東日本大震災に絡んでなんですけれども、平成二十三年三月十一日に震災が起きまして、今回の法案に行き着く道筋、ロードマップとして、二十三年の九月、見直しの指示が出るまで何と六カ月もかかっているんです。その間にさまざまなことがあったんだろう、当時政府は混乱していたんだろうと思うんですが、見直しの指示まで六カ月経過して、初めてその後に論点整理、合計十回、それから意見聴取というのを行っているんですけれども、これも平成二十三年十一月から平成二十四年五月まで、またここで六カ月。

石田委員長 中丸委員、時間が参っておりますので、簡潔にお願いいたします。

中丸委員 はい、済みません。

 そういった非常に時間がかかっているんですね。今後の教訓ということでこれが起こっているということなので、スピードアップに対しての、特に初めの六カ月、何でこんなにかかったのか、もし情報をお持ちでしたら教えてください。

深山政府参考人 法律案の検討までもう少し早くできなかったのかという御指摘については、それは、一生懸命やったつもりではありますけれども、真摯に受けとめざるを得ないと思っています。

 ただ、最初の六カ月間、二十三年の三月から九月までの六カ月間は、実は、罹災都市法を東日本大震災に適用するかしないかということについて検討しておりました。結果としては、自治体からも要望されない、むしろ適用しないでほしいという要望が集まってきて、六カ月間たったところでもう罹災都市法を適用しないということにした。その六カ月間は、いわばそれをするしないということを検討していたために経過してしまったということでございます。

中丸委員 ありがとうございました。

 状況はわかります。当時は与党も違いますし、仕方のない面もあろうかとは思いますけれども、今後もしこのようなことがあれば、ぜひとも早急な手だてに尽力をしていただきたいということをお願いして、中丸の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

石田委員長 次に、階猛君。

階委員 民主党の階猛です。きょうもよろしくお願いいたします。

 最初に、ちょっと前回の続きなんですけれども、きょうお配りしている資料一なんですが、「捜査報告書」というのを出させていただきました。

 前回の理事会で、捜査報告書そのものを出そうと思ったんですが、これは原本と同一性が確認できないので、田代検事が作成した捜査報告書として提出するのは誤りだということで却下されたわけですけれども、きょうは、出典は普通の本からだということで、しかもその同一性が確認できないので、かぎ括弧つきということで認めていただきました。その点については、ありがとうございます。

 ただ、この問題の本質は、やはり、捜査報告書そのものと、その前提となる取り調べのやりとりを録音した録音の翻訳書、これを対比することによって、客観的に、どの程度やりとりと報告書の中身がずれているかということを把握できるわけです。また、そのずれが把握されなければ、前回お示ししました最高検の報告書というものが、適切に検証が行われているのか、必要十分な検証が行われているのか、これが一般にはわからないわけです。

 したがって、最高検としては、あの検証報告を出すときに、今申し上げました捜査報告書の写しと取り調べの録音翻訳書を添付資料として公開すべきではなかったかというふうに考えております。この点、大臣、いかがでしょうか。

谷垣国務大臣 まず、これは現在、また再捜査が行われるということでございますので、個別具体的事件の証拠の内容を明らかにするということは、これは刑訴法四十七条でそうしてはならぬ、もちろん、ただし書きがございまして、例外も全くないわけではありませんが、そういうふうに決められております。

 本件については、裁判所からもいろいろな御指摘がありましたし、報道や国会でも大きく取り上げられたことがございました。そして、当事者や監督者に対しまして人事上の処分も結局行った。そういうことも踏まえまして、最高検が去年の六月でしたか、説明責任を果たす必要があるということで開示をしたわけでございますが、先ほど申しましたように、現に再捜査の必要がある中で、今委員のおっしゃったようなことは私どもとしては難しい、こういうことではないかと思っております。

階委員 今、刑訴法四十七条を引用されて御答弁がありました。まさしくその刑訴法四十七条本文では、原則、公判開廷前における非公開ということであります。

 資料二というのをごらんになっていただきたいんですが、これは刑訴法四十七条ただし書きの解釈について法務省の方から提出いただいた回答文書なんですけれども、ただし書きの方では、先ほどの原則の例外として、「公益上の必要その他の事由があって、相当と認められる場合は、この限りでない」、すなわち公開はできるということなんですが、その「この限りでない」という場合に当たるケースとしては、「非公開とすることによって保護される公益に優先する他の公益上の必要があると認められる場合」だということがこの資料二の2のあたりに書いております。

 その上で、本件についての当てはめがその下二行なんですが、「本件捜査報告書については、その内容が、」云々かんぬんと次のページにかけて書いております。

 ここで言っているのは、まさに非公開とすることによって保護される公益の話です。一方、それに優先する公益上の必要があるやなしやについては何も書かれておりません。

 そこで、私が考えますに、私は、これを公開することで得られる公益というのは、やはり、検察がちゃんとこういう問題については真摯に向き合っているんだ、これを国民に示すことで検察の信頼回復が図れる、こういう公益があると思っています。

 先ほど、公開しないことによる公益ということでいえば、もう実は、この録音翻訳書であるとか捜査報告書については、インターネットを通じて見ようと思えば見れますし、また、最高検の報告書自体も、前回やりとりしましたけれども、これは関係者にしか見せないんだという限定つきのものですから、添付資料という範囲で公開する分には、私はこの四十七条ただし書きの解釈としても全く問題ないと考えております。この点について、大臣から御答弁をお願いします。

谷垣国務大臣 今、法務省からお出しした回答、それを踏まえて御議論でございました。

 御指摘の捜査報告書につきましては、その内容が、検察官の取り調べにおける取り調べ対象とのやりとりを具体的に記載したものと言われているわけですね。それで、類型的に関係者の名誉あるいはプライバシーへの配慮が強く求められる分野のものであるというふうに私は思います。

 それから、公開することによりまして、特に対象者とのやりとりということになりますと、捜査の中にはいろいろなことがあると思います。これは私も、直接自分で捜査というようなことは修習生のときにしかしたことがありませんからわかりませんが、やはりいろいろ聞きますと、この検察官を信頼して話したのにとか、そういうようなこともいろいろ私はあるんだろうと思います。

 したがいまして、今後の捜査や公判、一般への影響ということも私は考えなきゃならないんだろうと思います。これは四十七条の解釈としてもそうではないかと思います。

 加えまして、現に、検察審査会による議決がなされて再捜査が行われているという案件でございますから、これは私は、やはりそのことも非常に大きいというふうに申し上げざるを得ないということを御理解賜りたいと思っております。

階委員 本題から外れますのでもうこのあたりにしておきますが、せっかく提出した資料一をちょっとだけごらんください。

 特に問題になっているのは、この二ページ目で3というのがありまして、「そこで、石川に対し、「これらの点に関し、」云々かんぬん「「うーん。」と唸り声を上げて暫く考え込んだ後、本職と以下のやりとりをした。」ということで、以下、問答体でずっと、ここだけなぜか問答体になっているんですが、ずっと二、三ページにわたってやりとりがあります。

 このやりとりが、録音翻訳書、私が入手したものと対比しますと、ほとんどこういうやりとりはないんですね。逆に言うと、こういう実際にはなかったやりとりを検事が頭の中で想像して書けるというのはすごい恐ろしいことだなと思っています。しかも、これは虚偽ではないかと言われたときに、記憶の混同だという一言で片づけられてしまうということは、私は到底納得できません。

 付言しますと、きょうは、この委員会の一委員であります石川代議士が、本日付で議員辞職されました。私は、石川さんという人は、人格的にも、また能力的にも国会議員として大変立派な方だったと思っていて、この事件と直接リンクするかどうかということはおくとしても、いろいろなこれまでの事件との絡みで辞職に追い込まれると。

 ただ、御本人は、議員辞職をして、でも裁判は争うと。つまり、議員辞職をしたことは罪を認めたからではないんですね。このまま、裁判で争うために、いろいろな党に迷惑をかけるとよくないということで、あえて自分で辞職して裁判に専念しようということで、私は、個人的な見解ですけれども、石川さんをぜひ温かく見守りたいですし、せっかくこの法務委員会で同じ席を並べた議員の皆様にも、こういう問題があったということは認識していただいて、人ごとではない、自分の問題なんだということはぜひ共通認識として持っていただきたいなというふうに思っております。

 本題に入ります。

 きょうは、改正被災マンション法ということが議題になっております。これに絡んで、改正被災マンション法に基づいて取り壊しして再築するということになりますと、個々の区分所有者の方は、新たに制度融資を受けたり、民間から住宅ローンを借りたりということになるわけですが、その際に、罹災証明書というのが当然必要になってくるわけです。

 例えば、資料三というもの、手書きの番号でいうと十七ページをごらんになってください。十七ページの真ん中あたりに、罹災証明書が必要とされる制度ということで、生活再建支援金に始まりまして、多々並んでおります。貸し付けということで、災害復興住宅融資とか、金融機関による貸し付けということも入っております。

 そこで、この被災マンション法を円滑に運用していくためにも、罹災証明書をこれからどうやってきちんと発行できるようにするかということが重要になってくるわけです。そこで、罹災証明書に絡んでお尋ねします。

 実は、罹災証明書はこれまで法令に定めがなくて、各自治体がそれぞれ独自の判断で、独自のフォーマットでつくっていた。その結果、発行する時間も長くかかるところもあったりしたということで、今回の東日本大震災に関してさまざまな問題が指摘されました。総務省さんの方でこの罹災証明書の問題についてきちんと調べていただいて、改善策などを提言していただいた。

 私も実は、昔、総務大臣政務官をやっていたときに行政評価局の担当をしておりまして、こういう行政監視、行政調査ということを一生懸命やってきたつもりですけれども、こういったことについて、引き続き新しい政権でも取り組んでいただきたいなと思っているわけです。

 他方で、今、別の委員会で審議中だと思いますけれども、災害対策基本法の改正の中で罹災証明書についても言及されていたと思います。この改正災害対策基本法の中で、罹災証明書のフォーマットを統一化する。例えばこれまで、自治体によっては、被災された住居とか家屋、不動産については被害状況が書かれていたんですけれども、動産が書かれていなかった。動産が書かれていなかったことによって、例えば特別貸付制度を使えなかった、こういう問題があったわけです。

 したがって、今回法改正するのであれば、統一のフォーマットに動産等についても書き込めるようにすべきではないかというふうに考えております。内閣府の方から御答弁をお願いします。

佐々木政府参考人 罹災証明につきましては、御指摘のような問題があったことから、現在、災害対策基本法の一部改正を国会に提出させていただいておりまして、その法制化を図ろうというふうにしているところでございます。

 罹災証明につきましては、これまでも、自治事務として、各市町村、自治体がさまざまなその地域の実情に応じて取り組まれてきたという経緯がございまして、今御指摘のような問題も私どもも認識いたしております。ただ、そういった中で、直ちに統一のフォーマットをつくるということについては、各市町村の実情なり、あるいはシステムをそれぞれ開発しているというようなところもございますので、直ちには難しいところもあるのかな、こう思っております。

 しかしながら、災害対策というのは非常に現場主義でありますし、この罹災証明に関する制度につきましても、今後、法律が成立した暁には、その施行状況も踏まえまして、現場の声も聞きながら、御指摘の点も含め検討してまいりたいというふうに考えております。

階委員 罹災証明書を法的に位置づけるというのは大きな前進だと思いますが、それを血が通ったものにするためには、今回資料でおつけしています総務省の所見をぜひ生かしていただきたいと思っています。

 資料の十五ページから十六ページにかけて、今申し上げました総務省の調査の結果の所見がいろいろ書かれております。内閣府は、市町村に対し、以下の技術的助言を行う必要があるということで、1として「罹災証明に関する規程やマニュアルの作成などの事前の準備を促進すること。」以下割愛しますけれども、4まで書かれております。これは重要な所見だと思います。

 きょうは、総務副大臣、おいでいただいていますけれども、このフォローアップをぜひきっちりとお願いしたいと思います。御決意のほどお願いします。

坂本副大臣 階委員におかれましては、総務省の政務官もしていただきまして、しかも被災地の一員ということで、この問題に対して精力的に取り組んでおられますことにまず心から敬意を表したいと思います。

 御指摘のように、三月一日に総務省は、内閣府に対しまして、震災関連の申請手続負担軽減調査をもとに勧告をいたしました。罹災証明の迅速な発行と信頼性を確保するための勧告でございます。

 内容は、必要とする罹災証明書を遅滞なく交付すべきことを法的に位置づけるということと、それから罹災証明に関する規程やマニュアルの作成などの事前の準備を促進するよう市町村に技術的助言を行うというようなことなどが中心でございます。

 総務省といたしましては、今後、内閣府においてとられる改善措置につきまして十分フォローアップを行い、被災者支援というものを実りあるものにしていきたいというふうに決意をしているところであります。

階委員 ありがとうございました。

 副大臣、ぜひよろしくお願いします。ここで御退室いただいて結構でございます。ありがとうございました。

 それでは続きまして、法律の内容に入っていきます。

 改正被災マンション法ですけれども、先ほどもやりとりの中でありましたが、東日本大震災にやはり適用すべき部分もあり得ると思っています。

 と申しますのも、全壊のマンションが以前の報道ですと仙台市だけでも百棟を超えている。また、今回、大規模一部滅失という概念が生まれたことによって、新法が適用されれば取り壊しや再建や敷地売却などが進む物件というのは相当あるのではないかというふうに考えております。

 私は、東日本大震災の被災地の状況をよく調査した上で、ニーズがあるということであれば、積極的にこの新法を適用していくべきではないかと考えております。この点については、大臣、いかがでしょうか。

谷垣国務大臣 実は、私どもも、今までの認識は、東日本大震災で大きな被害を受けた区分所有建物、これは大体、区分所有者全員の合意を得て取り壊すことができたというふうに聞いておりまして、これまで、この法律を適用する必要は必ずしもないのではないかというような認識でいたわけです。

 ところが、ことしの四月になりまして、これは宮城県のマンション管理士会から伺いました御要請は、被災地から、区分所有建物を取り壊した後の敷地の売却が進んでいない、今委員が指摘されたことだと思います、ですからこの改正被災マンション法を東日本大震災に適用してほしいという要望が出てまいりました。

 もちろん、政令で指定すればこれは十分そういうことが可能なわけでございますから、被災地における実情を早急に調査して結論を早く出す必要があると思っております。

階委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 その上で、解体は大体終わっているというようなお話もあったかと思うんですが、仮に新法が適用されて建物の解体をする必要が出てきた場合、以前、震災直後は、建物の解体に関しては公的な補助制度というのがあったわけですね。先ほども申し上げましたように、区分所有者は、ただでさえ過去の借金と建てかえるときの借金と二重ローンの問題がある中で、解体の費用ぐらいはやはり国で面倒を見てあげてもいいんじゃないかと私も思うわけです。

 したがって、今現在は公費解体制度というのは期限が終わっていると思うんですが、環境省、きょう来ておられますけれども、新法が適用されるという暁には公費解体制度も適用してあげていいんじゃないかと思っています。その点、いかがでしょうか。

鈴木政府参考人 環境省では、災害等廃棄物処理事業に対する補助制度を持っておりまして、これは、市町村が災害その他の事由のために実施した生活環境の保全上特に必要とされる廃棄物の収集、運搬、処分に係る事業を補助対象としております。

 その上で、東日本大震災につきましては、特例としまして、市町村が解体の必要があると判断した家屋、事業所等であって、災害廃棄物として処理することが適当と認められるものについては、市町村が行います解体につきましても補助対象とするということで運用しているということでございます。

 したがいまして、今回の改正被災マンション法の適用のいかんにかかわらず、この東日本震災の被災地において、市町村が生活環境の保全上特に必要と判断した上で、災害廃棄物として処理することが適当と認めた場合については補助対象になるということでございまして、今年度末までは当然そういうふうな対象になるということでございます。

階委員 対象にはなるということでよろしゅうございますね。

鈴木政府参考人 ただいま申し上げましたように、市町村がそうした事業として今年度末までに行う事業については対象になるということでございます。

階委員 それでは、市町村がそのように決した場合には、環境省としてもしっかり公費の手当てをするということでお願いします。

 次の質問は、実は、五分の四の規制、五分の四に改正したことで、反対した五分の一の方の権利をどう守るかということだったんですが、この間の議論の中でも出ておりますので割愛させていただきます。

 その上で、次の質問は、今回の津波の被害のように、区分所有者がたくさん行方不明になられたりお亡くなりになられた場合に、もうその段階で五分の一を超える人がいなくなっちゃったという場合に、物理的にもう五分の四の要件は満たせないわけですね。そういう場合にどうやって五分の四を満たすかというと、法律的には、財産管理人を選任してもらって、その人が善管注意義務に基づいて賛成するか反対するか、こういう話になると思うんです。

 ところが、善管注意義務をその文言どおりやろうとしますと、先ほどもどなたかおっしゃっていましたけれども、自分の区分所有部分については全く無傷です、でも、全体は全壊判定なので建てかえしないと困ります、要するに、個々の利益と全体の利益が衝突する場合がありますね。その場合に、個々の利益を優先されると、これは法律上は善管注意義務を果たしたということになるかもしれませんが、私は、現に住まいがなくなって困っている人たちの利益というものをこの局面では優先した方がいいのではないかなと思うんですね。

 したがって、言いたいのは、財産管理人が選任された場合に、どういうふうに賛否について判断すべきかというような指針みたいなものを可能であればつくったらいいんじゃないかなと思うんですが、この点、いかがでしょうか。

谷垣国務大臣 階委員がおっしゃったように、不在者財産管理人を選んで、その者が善管注意義務を守りながらやっていくということなんですが、不在者財産管理人として、善管注意義務、善良なる管理者として、決議を、賛否を決することになる。さてそこで何を考えるかというのは、実は個別具体的な事情と言わざるを得ないんだろうと思うんです。御指摘のような指針を示すということは、これは極めて困難だなと思います。

 やや一般論になるかもしれませんが、結局、不在者財産管理人というのは、保存行為はできますけれども、この権限を越える行為については、裁判所の許可を得なければ行えないわけですね。結局、決議に賛成して売却ないし処分をしていくということになりますと、裁判所の許可を、判断を仰ぎながらやっていくということになるとお答えせざるを得ないんじゃないかと思います。

階委員 わかりました。裁判所の許可のときにどういう事情を考慮するかという問題になるということですね。

 それでは、時間がなくなってきましたので、もう一つの借地借家特措法についてお尋ねします。

 一点目に、対抗要件をしばらく不要にするということと、被災地短期借地権を設けるということで、その両方を認めることでジレンマが生じるケースがあるんじゃないかということをお尋ねしようと思ったんです。

 要は、対抗要件をしばらく整えない間であっても、地主さんにしてみると、困っている人がいるので短期に貸してあげたいという場合があると思います。そのときに、もともとの借り主さんは当時行方不明とかになっていた場合に、後からあらわれてきたりすると、二重に賃貸したようなケースが生じ得るのではないかということで、そのようなリスクを減らす方策というのも講じるべきではないかと考えていますが、この点はいかがでしょうか。ちょっとテクニカルな話で恐縮です。簡単で結構です。

深山政府参考人 被災地で、地主さんが行方不明になった借地人との借地契約を解除しないままに新たな借地契約を締結すると、二重賃貸借ということになってトラブルが生ずるのではないかという御指摘でございます。

 ただ、ごく通常の場合を考えてみますと、借地人が行方不明になってしまうと、借地人から地代が支払われない状態が継続することになります。直ちにということではありませんが、ある程度の期間、地代の不払いが続きますと、賃料不払いを理由として債務不履行解除をして、契約関係を解消する。これは、対抗要件の問題とは別に、もとを解消してしまう。その上で新たな契約を結ぶと、二重賃貸借が避けられるということになります。

 ただ、被災地で、必ずしも法律に明るくない地主の方が、そういう法的にきちっとした手続を踏めない場合もないわけではないと思いますけれども、そういう点も含めて、借地借家法あるいは今回の被災借地借家法案の内容を周知、広報していく中で、こういうことになるんですよということもできるだけお伝えするような努力をしたいと思います。

階委員 資料の最後のページを見ていただきたいんですが、従前の借家人への通知制度というのが今回設けられました。

 ここで従前の借家人と書いていますけれども、実際の法文上は「賃借人のうち知れている者」ということで、知らない人には通知しなくていいよというふうに読めるわけです。一方、では、賃貸人の方は、賃借人がどこにいるか調査義務を負うかというと、そこまで法律では要求されていません。

 したがって、通知漏れのリスクというのはかなりあるわけですけれども、通知漏れを防ぐための方策、これをどのように考えているかということを御答弁お願いします。

深山政府参考人 今の通知制度でございますけれども、従前の賃貸人に過重な義務を負わせることがないように、所在がわかっている従前の賃借人に通知すれば足りるものとしておりますが、こういう制度が現に成立いたしますと、従前の賃借人としては、自分の所在を従前の賃貸人に伝える、今ここに避難している、ここに身を寄せているということで、再築されたときに自分に通知が得られるように賃貸人に自分の所在場所を明らかにしておくというような行動をとるということが期待されます。

 もっとも、こういった運用がされるためには、賃貸人、賃借人双方がこの制度の内容を十分わかっていなければ、何のためにそんなことを教えるのかもわからないし、何のために伝えるのかもわからないということになってしまいますので、この法案が成立した暁には、この制度の内容を被災地の当事者の方々が十分に理解できるような周知、広報をしていかなくちゃいけないと思っております。

階委員 最後、一点だけお願いします。

 最後の質問ですけれども、通知が賃借人にされたという場合であっても、新たに借家契約を締結するかどうかは当事者の交渉に委ねられていますということなんですが、契約自由の原則ということで片づけられてしまうと、再築される建物については、従前の賃貸借契約よりもかなり高額な家賃が提示されるというおそれがあるかもしれません。それで結果的に借家契約が締結されないということもあり得るような気がします。

 先ほどの資料の最後のページに、借地借家条件の変更命令制度というのが一番下に書いておりまして、今回の法案で廃止になったことで、不当な賃貸条件を裁判所の判断で変更するという制度がなくなりました。

 そこで私が考えるのは、再築される建物について、暴利行為がされないように、賃借人を不当な不利益から守るために、賃貸人に何らかの義務を課すべきではないかと思っています。大臣、お願いします。

谷垣国務大臣 これは、今の委員の問題提起はなかなか難しいなと実は思います。

 といいますのは、やはり前の法律ではだめだ、それだけ過重な要件を課すると建物の再築等がちゅうちょされる、やはり再興等を考えたときは、そこをもう少しスピーディーに、スムーズに進むような制度をつくってもらいたいというのが背景にございましたので、従前の賃貸人に重過ぎる義務を課さずに、そして借家人の保護を図るという観点から何があるかということで、このような制度をつくったわけです。そこでやはり任意の交渉をしていただこうということでございます。

 それ以上の義務を課していくということになると、ここはなかなか悩ましいところではございますけれども、迅速な復興とかそういうものにやはりどうなんだろうという感じがいたしまして、委員の問題提起に今にわかに、それではこれでということは、ちょっとお答えが難しいのかなと思います。

階委員 どうもありがとうございました。

石田委員長 次に、田嶋要君。

田嶋委員 田嶋要でございます。

 きょうの二法でございますけれども、今大臣から、前の法律ではだめなんだ、今の法律ではだめなんだという一言がございました。まず、そういう意味では、前半、借地借家に関係する御質問をさせていただきます。

 この既存の法律が古い法律として今日まで存続して、そういうような御評価を今大臣もされておるわけでございますが、この法律にはメリットがなかったのか。これまで適用事例もあったかと思いますけれども、どういったメリットがあるとすれば存在したのか、まずその点を確認したいと思います。

谷垣国務大臣 確かに、今のようなデメリットの指摘があったことは事実でございます。この背景には、やはり借地借家に関する実情が前の罹災都市法制定時から大きく変化したということがあるのではないかと思います。

 要するに、当時は、第二次大戦後のときには、まだこういう被災地に対する公的支援制度などもほとんどありませんでしたし、また、全体の住宅の不足も甚だしいものがあったということが背景にあったのではないかと思います。その後、居住用建物の供給量もふえてきた。つまり、需給関係も変化した。

 それから、借地権の経済的価値がかつてより非常に高くなってきているので、過重な負担を負わせると再興に、再建に支障になるというような、先ほどから指摘されていることはそういう中から明確になってきたのではないかなというふうに思います。

 それから、一戸建てや長屋を想定していた立法当時とは異なりまして、そういう集合的、例えばマンション、区分所有建物のあり方も大きく変わってきた。

 かつてメリットがなかったとは私は申しません。

田嶋委員 どんなメリットがあったんでしょうか、かつて。

谷垣国務大臣 それは、先ほども申し上げたところでございますが、極めて今よりも劣悪な住宅事情、それから公的関与等も非常に手薄であった時代に、賃借人の地位を保護するというメリットがあったんだろうと思います。

田嶋委員 過去の適用された災害の一覧表の資料を見ておりますと、確かに、昭和二十年の九州の風水害から始まって、風水害や火事、大火、そういったものへの適用がずっと昭和五十四年まで続きます。その後、平成七年まで飛んで、まさに平成七年の阪神・淡路、そして平成十六年の新潟県中越地震ということで、これを見る限り、だんだん適用事例が減ってきたのかな、そういう印象も受けるわけでございます。

 この平成七年と十六年の、まさに記憶に新しいところの大震災において、適用は、具体的に、この資料では、二十一市町、あるいは十市町村というふうに書いてございますけれども、適用を望まなかった、適用されなかった自治体の数も含めて御答弁いただきたいと思います。

毛利政府参考人 御質問の件につきましては、平成七年の阪神・淡路大震災の際でございますが、兵庫県下で十市十一町、大阪府下で十二市、合わせて二十二市十一町を政令で地区指定させていただきました。全壊、半壊のありました市町村のうち、東大阪市を初めとする二市一町は地区指定を行っておりません。

 また、平成十六年十月の中越地震の際におきましては、県下で七市三町村を政令によって地区指定いたしましたが、同じく、全壊、半壊のありました市町村のうち、南魚沼市を初めとする二市七町は地区指定を行っていないところでございます。

 政令で地区を指定するに当たりましては、その被災地の実情を調査いたしまして、地元被災市町村の要望等を確認いたしまして、法務省とも相談いたしまして、総合的に判断いたしまして適用地区を決定いたしているところでございます。

田嶋委員 平成七年も十六年も、今のお話で、自治体が手を挙げて、平成七年には大半の自治体が適用地区になった、そして、平成十六年も半分ぐらいの地域が適用されたということでございます。

 では、適用地区の中で具体的な適用事例はどんなだったか、そこを御報告ください。

深山政府参考人 地区指定があった地区で具体的に罹災都市法の特則が何件適用されたのかということは、手元に統計はございません。これは法律の適用ですので、私人間に特則が適用された一個一個を拾い上げて数えるということになるんですが、そのような形の統計はとっていないということでございます。

田嶋委員 ちょっとよくわからないんですけれども、今回、この既存の法律はもうよくないということで、廃案にするということで新法ということでございますけれども、では、一番直近の大災害、平成七年と平成十六年、この統計を見る限り、適用地区としては相当あるわけですね。これは、地区面積、住宅の戸数ということでは圧倒的な部分が、実際に直近のこの二例でも適用地区になっているというわけでございます。

 では、実際にこれらが適用地区の中で活用されたのかどうか、その部分に関して国土交通省は何らかの把握をされていないでしょうか。

毛利政府参考人 私どもが把握している資料でございますと、今御指摘のように、阪神・淡路大震災におきましては全壊が十一万一千棟、中越地震におきましては全壊が三千百棟以上ということで、かなりの災害が起きておりますけれども、その中で、阪神・淡路につきましては今手元に統計がございませんけれども、中越地震につきましては、本件が適用された事例はないというふうに伺っております。

田嶋委員 本件適用事例は、では、地域としては、先ほどのお話で、十市町村が適用地域になりましたけれども、適用事例は一つもない、そういう御答弁ですか。阪神・淡路に関しては把握をしていないということでよろしいですか。

 印象として、今回、この法律を廃止する、しかし、私人間であるからということをおっしゃいましたけれども、実際にこの法律がどの程度役立ってきているのか、古い法律だから、時代が変わったから、いろいろ欠点の方が目立ってきたというお話でございますけれども、現場での情報を余りしっかり把握していない中で、本当にこれを廃止ということを結論づけるその手続に私は若干心配な感じを受けるわけでございますが、大臣、今の話を聞いていて、どのような印象を受けますか。

谷垣国務大臣 確かに、私、いろいろこの議論を聞きまして感じますのは、先ほど申し上げたように、だんだんメリットよりデメリットが大きくなったということが客観的にはあったんだろうと思うんですが、阪神・淡路で適用しようということで適用した、それで、では、そのデメリットが大きくなっているということをいつ認識したのかということになりますと、そこは今もはっきりはわからないんですが、ある程度、阪神・淡路の対応に、みんな、大わらわでやって、その結果が少し出てきてから、やはりこれはまずかったね、ちょっと問題があったねということがわかってきたんじゃないかなというような認識を私は持っているわけです。

 もちろん、その間、新潟の中越地震、これは平成十六年、被災地からの要請を受けて指定したわけですが、結局、ある程度そういったいろいろなお声が、今回に、いや、むしろ適用しないでくれという声になって、我々もこれはちょっと時代におくれているんだということを具体的に認識したのは、適用しようとして、適用しないでくれと言われたときが、これは我々の政権時代になかったんですが、やはり全体の認識はそういうことだったのではないか。

 ですから、その辺の実情と具体的なニーズがどこにあるのかということはもう少し早く捉えられていてもよかったなという気はするんですが、今現在、私が申し上げられるのは、そのぐらいのことと言うと大変失礼な答弁ですが、そんなふうな認識を持っております。

田嶋委員 基本的に民民の話だからというのは、私は少し言いわけのような印象を受けます。やはり、一つの法律を廃止していくということであるからには、では、実際その法律は役に立たなくなってしまったのかどうか、そのところの実態をもう少し平成七年あるいは平成十六年の後に調査するということも必要だったのではないかという印象を受けます。

 そこで確認でございますが、この法律は、いずれにしても、自治体が手を挙げて国が指定をするというやり方でございますから、これは何も廃止にせずとも、残したままというやり方はとれないのかどうか、選択式だということでありますから、そういう形はとれないのかどうか。その点、いかがでしょうか。

谷垣国務大臣 これは従前の罹災都市法といろいろ比較検討、かなり議論をしたと聞いております。

 それで、復興の妨げとなると指摘される等々、現在において存続することが相当でないなという制度、先ほどのような優先借地権というようなものはまず廃止しよう。それから、現在においても必要と考えられる制度、これは手直しが必要なところももちろんあると思いますが、借地権の対抗力等々は、若干手直しをしましたけれども、やはりこういうものはなきゃ困るだろうということでございますし、それから、今のニーズを織り込む必要もあるだろう。今のニーズというのは、例えば借地契約の解約等の特例も考えなければいけないかもしれないし、短期の借地権というのも要るだろう、そういうものを入れていこう。

 こういうふうに、何が必要で何が不必要で何を存続すべきかというようなことを分けて考えますと、私は、前の法律よりも今回の方が進歩しているというふうに考えているわけでございます。

 それで、もう一つは、しかし、委員の御指摘のように、前の法律だってメリットがなかったわけではあるまい、両方併存させて選択させるというのもあるではないかと。これは、わあっと災害等が起こってやっておりますときに、一応こういう制度があるからこれを利用しようかしないかということで、まだ実際に決定する前に動いていくというところがあるんだろうと私は思うんです。両方あるぞということになると、そこのところも、事実上、では、あれを利用しようかということで動くものも迷いが生ずるというようなこともあるのではないかなという感じが私はいたします。

田嶋委員 今回、そういう御判断をされて、新法ということでございますが、では、結論的には、現法のメリットもある程度のところは新法の中で進化させて反映をさせている、しかしながら、結論的に言えば、借地人、借家人の保護はこれまでに比べたら弱まる、そして、貸し側の保護はこれまでに比べたら強まる、そういう中身の法律だということに言ってよろしいですか。

谷垣国務大臣 田嶋委員の割り切った御提起には若干、何となく抵抗感も感ずるわけでございますが、確かに、過大な権利を与えると進まないというところがありますから、委員のおっしゃったような面があることはあるだろうと思います。

田嶋委員 もう一点だけ、この法律に関しまして、原発災害への適用ということをお伺いしたいと思いますが、基本的にこれは想定をしておるのかどうかということ、それから、その場合の滅失ということはどういうふうに考えているかということを御答弁ください。

谷垣国務大臣 これは、災害の原因が人為的なものであろうと、あるいは自然によって生ずるものであろうとを問わずに適用されるわけでありますから、原子力発電所の事故による災害についても政令で指定をして適用していくということは可能でございます。

 その場合、滅失した建物というのが条文上あるわけでございますが、それは一体何なのかということですが、物理的になくなったという場合に限られるわけではありません。要するに、社会的、経済的な効用があるのかないのかということになりますから、社会的、経済的な効用が全体として失われたという場合には当然含まれるということになるわけでございます。

 そこで、もう少し具体で申しますと、放射線量の数値が高くて近づくことができない、そういう建物が滅失したことに当たるのか否かというような問題が当然起きてくるわけですが、これはもちろん、具体的に除染すれば直るのかどうかとか、いろいろな問題がありますので、一概に今申し上げるのも難しいんですが、結局、社会的、経済的に見て、建物としての効用を失ったかどうかということになるのではないかと思います。

田嶋委員 それでは、区分所有の方に関して質問に移らせていただきます。

 幾つかもう既に答弁がございましたが、これはあくまでも被災マンションに関しての法律だという話がございました。しかし、私も、一つ出ましたけれども、やはり老朽化マンションについての問題意識を持ってございます。というか、戦後、古いマンション、大臣、どのぐらい古いマンションが日本にあるか御存じですか。日本で一番古いマンションは築何年ぐらいか。

谷垣国務大臣 ちょっとよくわかりません。同潤会等が一番古いのかなと思いますが、ちょっとはっきりいたしません。

田嶋委員 賃貸はそういうことだそうですが、九十年を超えている。それから、分譲は、やはりこれも六十年を超えているそうでございます。

 時々、日本の建築物は欧米よりも回転が何か早いとか、そんな話も聞くわけでございますが、私の選挙区も、実は、お配りした資料の二枚目をごらんいただくとわかるんですけれども、特に古い耐震マンションの戸数ランキングというのが出ておりまして、実は、十一番が私の選挙区でございますが、全国一の旧耐震シェアでございます。これで液状化も、今回、浦安市と並んでいろいろ起こったわけでございます。

 私は、今回の五分の四ということでマンションの権利関係を早く確定させて、そして復興に後押しするというのはいい中身だと思っております。しかし、同時に、ぜひこれから検討を急ぐべきは、古いマンションは地震がいざ起きたらやはり被害に遭う確率が高いわけでございますので、首都圏直下型とか言われているときに、全国、特に大都市部はマンションが多いわけでございます。そうすれば、一たび地震が起きれば、こういった古いマンションが恐らくは被災マンションになっていく可能性が高いということでございますので、今回のこの法律はその適用を想定していないというお話でございますけれども、今後、老朽化マンションに対してどのように政府として取り組んでいかれるか。

 これは時間軸も切って、いつやってくるかわからないわけでございますので、幸い、三・一一の場合にはどちらかといえば農村部が中心だったという印象もありますけれども、次に備えて、ぜひともこれはこの法律とは別に検討を急いでいただいた方がいいんじゃないかというふうに思っておりますが、その点、大臣の御所見をいただきたいと思います。

谷垣国務大臣 老朽マンションに関しては、先ほどもやや長々と御答弁しましたので長々申し上げることは差し控えますが、もうじき、今のような震災の恐怖、震災のおそれも言われております。それから、やはり大量にマンションを建てた時期というのがやはり高度経済成長の時代にございまして、それがそろそろ非常にいろいろな問題が起きてくる時期になってくるという認識も持っております。

 それで、先ほども申し上げた、ここは繰り返しになりますが、単なるこういう区分所有建物をどうしていくかという問題だけではなくて、公法的な規制やそういったもののあり方等々、あるいは都市計画のあり方等々も含めて考えなければならない問題だと思いますので、国交省と御一緒になって議論を進めなければいけない、このように考えております。

田嶋委員 ぜひ必要な法整備を検討いただきたいと思います。ありがとうございました。

石田委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、来る二十一日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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