衆議院

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第10号 平成26年4月8日(火曜日)

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平成二十六年四月八日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 江崎 鐵磨君

   理事 大塚  拓君 理事 土屋 正忠君

   理事 ふくだ峰之君 理事 盛山 正仁君

   理事 吉野 正芳君 理事 階   猛君

   理事 西田  譲君 理事 遠山 清彦君

      安藤  裕君    池田 道孝君

      小田原 潔君    大岡 敏孝君

      大見  正君    門  博文君

      神山 佐市君    菅家 一郎君

      木内  均君    黄川田仁志君

      小島 敏文君    古賀  篤君

      今野 智博君    新開 裕司君

      末吉 光徳君    橋本  岳君

      鳩山 邦夫君    平口  洋君

      福山  守君    三ッ林裕巳君

      宮澤 博行君    郡  和子君

      横路 孝弘君    高橋 みほ君

      大口 善徳君    椎名  毅君

      鈴木 貴子君    西村 眞悟君

    …………………………………

   法務大臣         谷垣 禎一君

   法務副大臣        奥野 信亮君

   法務大臣政務官      平口  洋君

   最高裁判所事務総局刑事局長            今崎 幸彦君

   最高裁判所事務総局家庭局長            岡 健太郎君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  辻  義之君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          小川 秀樹君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    深山 卓也君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    林  眞琴君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    西田  博君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    齊藤 雄彦君

   政府参考人

   (法務省人権擁護局長)  萩原 秀紀君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  榊原 一夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大西 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           古都 賢一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           有岡  宏君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 熊谷  毅君

   法務委員会専門員     矢部 明宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月八日

 辞任         補欠選任

  門  博文君     木内  均君

  小島 敏文君     福山  守君

  末吉 光徳君     新開 裕司君

同日

 辞任         補欠選任

  木内  均君     門  博文君

  新開 裕司君     大岡 敏孝君

  福山  守君     小島 敏文君

同日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     末吉 光徳君

    ―――――――――――――

四月七日

 国籍選択制度の廃止に関する請願(小川淳也君紹介)(第六〇九号)

 もともと日本国籍を持っている人が日本国籍を自動的に喪失しないよう求めることに関する請願(小川淳也君紹介)(第六一〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 会社法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百八十五回国会閣法第二二号)

 会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出、第百八十五回国会閣法第二三号)

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


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     ――――◇―――――

江崎委員長 早速、会議に入らせていただきます。

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長辻義之君、法務省大臣官房司法法制部長小川秀樹君、法務省民事局長深山卓也君、法務省刑事局長林眞琴君、法務省矯正局長西田博君、法務省保護局長齊藤雄彦君、法務省人権擁護局長萩原秀紀君、法務省入国管理局長榊原一夫君、厚生労働省大臣官房審議官大西康之君、厚生労働省大臣官房審議官古都賢一君、厚生労働省大臣官房審議官有岡宏君及び厚生労働省政策統括官熊谷毅君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江崎委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局今崎刑事局長及び岡家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江崎委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。初めに、三ッ林裕巳君。

三ッ林委員 おはようございます。自由民主党の三ッ林裕巳です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、深く感謝申し上げます。

 本日は、矯正医療体制の問題点について、また尊厳死法案についての二つのテーマで質問いたしたいと思います。先週、椎名議員も、尊厳死のことについては御質問がございました。重なる点があると思いますが、私は医師でありまして、その立場からも御質問させていただきたいと思います。

 まず初めに、矯正施設における医療、矯正医療といいますが、まさに崩壊、存亡の危機にあると言われております。

 本年一月二十一日、谷垣法務大臣に矯正施設の医療の在り方に関する報告書が提出されました。よくこんな状態で持ちこたえているな、これは、矯正医療の在り方に関する有識者検討会の委員の八名の先生方が、約半年間にわたる検討を終えた時点で抱いている共通認識であります。

 このような状況に至った大きな理由は、矯正施設が陥っている深刻な医師不足であります。

 矯正施設に勤務する医師、矯正医官といいますが、それ以外の医師、一般の医師と比べて劣悪な待遇にあること、非常に大きな負担がかかっている一方で、十分な社会的評価が得られていないことなど、問題を抱えております。

 また、大学病院が担ってきた地域医療機関への医師派遣機能の低下、矯正医官の研修が問題視されたことなどにより医師の確保が困難になったことから、現在、法務省や各矯正施設は、インターネットでの募集など、できる限りの方策をとっておられます。また、矯正医官の個人的なつながりによって辛うじて医師を集めるなどしておりますが、矯正医官の安定的確保にはほど遠い状況にあります。

 まず、最初の質問ですけれども、現在の矯正医療体制について御説明いただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。

西田政府参考人 お答えいたします。

 矯正施設の常勤医師につきましては、平成二十五年四月一日現在で申し上げますと、定員が三百三十二名のところ、現員が二百六十名、欠員が七十二名ということで、二割以上の欠員という状況にございます。

 全国の矯正施設は、まず刑事施設が、本所は七十七庁、支所は百十一庁の計百八十八庁、少年院が、本院が五十庁、分院が二庁、この五十二庁ございます。また、少年鑑別所は、本所が五十一庁で分所が一庁の五十二庁、婦人補導院一庁で、これが全てでございますけれども、常勤医師の定員のある施設のうち、常勤医師が一人もいないいわゆる医師不在庁、これが全部で三十一庁ございます。刑事施設、本所は十庁、支所は六庁、少年院が十二庁、少年鑑別所は三庁ということになっております。また、常勤医師はいますけれども定員に満たない医師欠員庁が二十五庁ございまして、その内訳は、刑事施設が十九庁、少年院が三庁、少年鑑別所が三庁という状況になっております。

 以上でございます。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 矯正医療の目的でございますが、矯正施設は、刑事事件または少年事件について、裁判の執行を受ける者を収容し、その人権を尊重しつつ、適切な処遇を行うことを目的としております。さらに、自由刑または保護処分などの執行を受ける者については、その改善更生と円滑な社会復帰を図り、再犯及び再非行を防止することを使命としております。矯正施設は、裁判による正義を実現し、もって社会の治安を維持し、国民の安全、安心を保持する最後のとりでとしての役割を果たさなければなりません。

 矯正施設がその収容目的を達成するためには、矯正施設に収容されている者に必要な処遇を受けさせることが必要であります。

 刑事施設に関する法律である刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律におきましては、「刑事施設においては、被収容者の心身の状況を把握することに努め、被収容者の健康及び刑事施設内の衛生を保持するため、社会一般の保健衛生及び医療の水準に照らし適切な保健衛生上及び医療上の措置を講ずるものとする。」と規定されております。

 先ほど御答弁のありました矯正医官でありますけれども、定員三百三十二名のところ現員二百六十名と、七十二名の欠員ということであります。定員の二割以上が満たされていない状況にあり、一人一人の矯正医官にかかる負担はますます増加しているのが現状であります。

 矯正医療のピラミッドの頂点にあります八王子医療刑務所でさえ、常勤医は所長を含めまして十一名、定数十八名に対して七名の欠員となっております。ほとんどの機能は非常勤医に支えられているということであります。

 次の質問ですけれども、現状の被収容者の疾病の状況、矯正医官の待遇及び矯正医療の特殊性、困難性を踏まえて、医療従事者の不足とその要因についてお答えいただきたいと思います。よろしくお願いします。

西田政府参考人 お答えいたします。

 今疾病の現状というお話がございましたけれども、現在、刑務所というのは、入る前に不規則な生活をしていたり、あるいは病気そのものが犯罪の原因であったりするといったことがございまして、今矯正施設におります収容者、これは休養患者、非休養患者というふうに分けますけれども、ベッドで横になっているような休養患者と、何らかの投薬を受けたり何らかの治療を受けたりしている者を含めますと、六七%が何らかの病気を持っているという状況でございます。

 これに対しまして、何とかしなきゃいけないということで、医師確保が最優先の課題でございますけれども、いろいろ理由がございますが、まず、給与が一般社会の医師と比べて低かったり、あるいは、相手が受刑者でございまして、やはりなかなか信頼関係を築きにくくて、医師としての勤務がしにくいこと、それから、国家公務員でございますので、いろいろと拘束されることがございまして、彼らにとって一番気にしなきゃいけないスキルが落ちる、医療的な技術が落ちる、これを防ぐために研修とか、外部へ行ってそういった臨床研修をしたいといったことがございますけれども、それもなかなかできないといった状況がございまして、どんどん減っているという状況でございます。

 また、やはり疾病自体もなかなか専門的になってきておりますので、医師としましては、細かい知識というか、技能を持ちたいという気持ち、そこにそぐいていないというところが当方としてもございます。

 そんなところがあって、どんどん減ってきているんじゃないかというふうに考えております。

 以上でございます。

三ッ林委員 御答弁ありがとうございます。

 本当にさまざまな要因がありまして、この検討会の結果も私も読ませていただきまして、やはり、かなり待遇が悪い、また矯正医官のなり手がいない。例えば大学とか、そういったところで、私も大学の教員、医学部の教員をしておりましたけれども、矯正医官、そういったものがあることすら多分学生は御存じないと思います。

 きのう、大学病院、また医学部の方へ行ってまいりまして、矯正医官の広報はどうなっているのかということを問いましたところ、そういった資料も、またポスターも張られていないような状況でありまして、まず根本の、医学部の学生の例えば授業とかそういったものにも、矯正医療、社会医学面での矯正医療、そういった授業も必要ではないか、この意識を持たせることが必要ではないか。

 また、実際に矯正医療を担っていただいている先生方、本当に御苦労が多くて、また社会的に、何でそういうところで働いているのか、そういったこともあります。こういったことを考えると、この点を改善していかなくてはならない、このように思う次第であります。

 このような矯正医官の現状等に対する社会一般の認知度が高いとは言えません。社会的な評価もされにくいという実情から、これまで矯正医官の安定的な確保のための方策が十分にとられてきたとは言いがたい状況にあります。

 なお、言うまでもないことでありますが、単に医師の数が満たされておれば済むものではなく、矯正医官として勤務する意欲が高く、十分な能力を有する医師の確保をすることが重要であると考えております。

 次の質問ですけれども、矯正医官修学資金制度、これは医学部の学生に貸与されているということでありますけれども、これについて御説明いただけますでしょうか。

西田政府参考人 お答えいたします。

 矯正医官修学資金貸与制度と申しますのは、大学の医学部ですとか医科大学に在籍する学生で、将来、矯正施設の医師として勤務し、矯正医療に従事しようとする者に対して修学資金を貸与し、もって医師たる矯正施設の職員の充実に資することを目的として、昭和三十六年から発足した制度でございます。

 同制度発足以降、現在までの間に修学資金を貸与した者は二百四十名ございまして、これまでに四十三名の者が貸与後に矯正施設に採用されております。

 なお、現在、修学資金の貸与を受けている者は三名という状況でございます。

 以上でございます。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 矯正医療施設に入る修学資金がたった三名という状況でありまして、やはり認知度が低いと言わざるを得ません。国の矯正施設にかかわる医師の確保というのは本当に崩壊寸前でありまして、先ほども申しましたように、医学部教育から、また広報活動、こういったものをまず徹底していただきたい、このように思います。

 また、修学資金、これは、ほかのものに比べて金額を多くするとか、なかなかそれはいろいろ難しい面があると思いますので、やはり広報活動と教育、このようなところに力を入れていくべきだと思います。

 また、現在、日本矯正医学会というのがあります。これは学会でありまして、ここの大橋理事長が昨年話した言葉があります。

 矯正医療が崩壊寸前にあるという今の状況からすると、民間病院を含めて普通の病院でも働けて、矯正施設の中でも働けるような制度に変更してもらうことが重要である。その形態、条件など、いろいろ技術的なこともあるでしょうが、いずれにしろ、スキルアップのことも含めて、あるいはやりがいも含めて、特殊な世界と一般的な世界の両方の場所で診療に従事できた方がよいし、必要なことですからね。ですから、それができるような制度を法務省あるいは国全体がよく考えて、つくってもらいたいなと思います。このようにお話しされております。

 これで、国家公務員の兼業の件なんですけれども、矯正医官を含む一般職の国家公務員は、勤務時間及び職務上の注意力全てをその職務執行のために用いることとされており、職務に専念する義務が課せられております。そして、一般職の国家公務員の兼業については、これによって、職務遂行がおろそかになったり、兼業先の企業、団体と利害関係が生じ、職務の公平な執行が阻害されるおそれがあるため、法令上厳格な制限が設けられております。

 しかし、医師は専門性、公共性を有する重要な職種であり、一般の医師は地域医療への協力等の目的から複数の医療機関で兼業することが多く、矯正医官に比して勤務の自由度が高いところ、矯正医官はこのような厳格な制限があるため兼業に支障を来しております。

 これが一つの問題でありまして、もう一つが定年であります。

 国家公務員の定年は六十歳と定めているところであります。病院、療養所、診療所等で人事院規則で定めるものに勤務する医師については六十五歳であり、矯正医官はこれに該当いたします。また、採用についても、定年前の六十五歳前に制限されることから、大学を定年退官した医師の確保等に支障を来しております。

 私は、この二点に早急に取り組むことが重要と考えております。兼業を認めること、また定年を延長することが矯正医官を本当に充実させるためにまずやるべきことである、このように思っております。矯正医療が崩壊しないようにお願いしたい、このように思います。

 この矯正医療に関して、最後に谷垣大臣にお伺いいたしたいと思います。

 矯正施設の医療の在り方に関する報告書におきまして、矯正医官の特殊性、困難性に鑑み、特例法の整備も視野に入れ、大胆かつ抜本的な解決策を検討すべき、このようにありますが、大臣の御見解をお願いいたします。

谷垣国務大臣 御自身が医師である三ッ林委員が、この委員会でこの問題を取り上げていただいたこと、大変ありがたいと思っております。

 それで、矯正施設は、国家権力でもって、収容者をその施設の中に入れておく、閉じ込めるわけでございますので、その中にいる間、社会一般の医療水準から見て適正な医療が受けられるようにするのは、これは国家の責務であると申さなきゃいけないと思います。ただ、先ほど来議論していただいているように、定員不足は甚だしいものがございまして、まさに崩壊の瀬戸際にあると言われるのも、それは決して誇張ではないことだと私も思っております。

 それで、昨年の七月に、医師や弁護士と外部有識者から成ります矯正医療の在り方に関する有識者検討会をつくり、ことしの一月に、矯正施設の医療の在り方に関する報告書として、私のところに提出をいただきました。

 その報告書で指摘をいただいておりますところは、要するに、公務員であるための身分規制といいますか、それがなかなか矯正医療に適合しているのかどうかという問題が多く取り上げられております。

 今委員が御指摘になりましたように、一つは、これだけ厳しい勤務で給与水準が低過ぎるのではないかという御指摘もいただきました。それから、お医者様は、御自分の医療の水準と申しますか、研究、研修というものを積み重ねて医療技術を保持していくということは職業上必要なことでございますが、なかなか矯正施設の医療機関ではその役割が十分に果たせない。それから、そういったことになると、兼業というようなことがあって、もう少し弾力的に運用されなければならないのではなかろうか。また、定年の問題もお触れいただきました。

 それに加えて、矯正医療だけではなく地域医療との連携をどう保っていくか、こういったところにも公務員であることの規制では必ずしも十分対応できない問題があるんだろうと思います。

 もちろん、公務員でございますから、ある意味での高い規律があるのはいたし方ない面はございますけれども、その報告書で御指摘いただいたようなことを具体化していくためには、政府の中でもいろいろなところと調整しなければなりません。

 具体的には、例えば、給与の問題にせよ、あるいは兼業の問題にせよ、人事院ときちっと話を詰める必要がございます。私自身、人事院総裁と何回かこのお話をさせていただきましたし、ほかに総務省や厚生労働省も大きく関係してくるわけでございますので、今そういったことを、具体的な協議を詰めているところでございます。

 それから、先ほど委員がおっしゃった中で、矯正医療の広報活動といいますか、今医学部で学んでおられるような方々に、なるほど、こういう分野があるのかと知っていただくことも私は必要だろうなと思います。必ずしも今までそういうことを上手にやってきたとは言えない面もあるように思いますので、その点も改めて指示をいたしまして、広報活動にも努めて、理解を深めていただく、こういうようなことをやってまいりたいと思っております。

三ッ林委員 大臣、ありがとうございます。ぜひ矯正医療の方の充実に努めていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 次に、尊厳死法案について質問させていただきます。

 尊厳死を法律で認めることには賛否両論があります。これまでの法制化の動きは進んでおりませんでしたが、安倍総理が、昨年の二月の参院予算委員会で、尊厳死について、最期は尊厳を持って人生を終わりたいということが実現するよう、医者の側も安心して対応できるような仕組みを考えていきたい、このように述べ、法制化に前向きな考えを示しました。

 現在、日本の年間死亡者数は約百二十万人で、その八割以上が病院もしくは施設で亡くなっている状況であります。そして、そこでは、治る見込みのない方に対して、延命治療と言える医療行為がなされております。その死亡者数は、二〇一五年に百四十万人、二〇二五年には百六十万人まで膨れ上がると予想されております。

 年々死亡者数が増加する中で、それに対応できるだけの在宅のみとりの実現ができているかといえば、追いついていないのが現状であります。今後も在宅みとりの件数がふえていくと思いますけれども、病院死をそのまま在宅でのみとり医療に移行できるほどのキャパシティーは現在ありません。

 大事なことは、死亡者数が年々増加している中で、終末期の医療の目的を、患者さんに苦痛を与え、尊厳ある生を侵す延命治療から、患者本人のQOLを重視した医療に転換することだと考えております。

 資料を提出いたしましたけれども、「日本老年医学会の立場表明二〇一二」というのが四枚目の資料にあります。三枚目は新聞で、昨年の暮れに、尊厳死法案が現実味を帯びてきた、こういったことが載っております。

 この「立場表明」が私は非常に重要であると思っております。年齢による差別に反対するということであります。「いかなる要介護状態や認知症であっても、高齢者には、本人にとって「最善の医療およびケア」を受ける権利がある。」

 この論拠は、「すべての人にとって、「最善の医療およびケア」を受ける権利は基本的人権のひとつである。どのような療養環境にあっても、たとえ高齢で重い障害があっても、「最善の医療およびケア」が保障されなくてはならない。したがって、胃瘻造設を含む経管栄養や、気管切開、人工呼吸器装着などの適応は、慎重に検討されるべきである。すなわち、何らかの治療が、患者本人の尊厳を損なったり苦痛を増大させたりする可能性があるときには、治療の差し控えや治療からの撤退も選択肢として考慮する必要がある。」

 このような「立場表明」を日本老年医学会が出したわけであります。

 そして、超党派の議連におきましてこの法案が今検討されているところでありますけれども、終末期を、適切な全ての医療措置を受けても回復の可能性がなく、死が間近と判定された状態と定義し、医師二人以上で判定するとしました。十五歳以上の患者が終末期の延命措置を拒否する意思を書面に残していれば、それに従った医師は法的責任も行政上の責任も問われません。現在のところ法案は二つありまして、第一案は延命措置を開始しないこと、第二案は延命措置の中止も含めております。

 これに対して、日本尊厳死協会は、法律ができれば医師は不安なく患者の意思を尊重できると賛成しておりますけれども、障害者や難病患者の団体、日本弁護士連合会などは反対の立場を表明しております。法制化は国が尊厳死を勧めることになり、社会的弱者の生存を脅かす、人の死に国家が介入するななどの批判があります。法案の中身についても、終末期というのは正確にはわからない、過去に書いたリビングウイルが現在の本人の意思と言えるのかなどの問題が指摘されております。

 日本医師会も慎重な立場であります。終末期医療について、厚生労働省や日本医師会、複数の学会が指針などをつくり、医師の免責こそ保障されないものの、延命措置の差し控えや中止を認めています。日本医師会は、終末期医療の現場は多様で、法律で縛って混乱を招くより、緩やかな指針の方が望ましいとしております。

 このような中で、医師は、ガイドラインがありますけれども、延命治療を続ける理由の一つとして、何もしなければ訴えられるのではないか、こういう不安があります。尊厳死法案は、患者さんの尊厳死を担保するだけでなく、何もしないでみとる医師の免責を保障するものであります。これをルール化することによって、医師は安心して患者さんが望む医療を提供することができます。

 私の考えを申し述べたいんですけれども、私も医師として、人工呼吸器を装着して、それを外さなくてはいけないような、そういう場面に遭遇したことがたびたびありました。

 一人は、急性肝炎で入院してこられた五十歳の女性でありまして、劇症肝炎という状態になりました。意識がなくなり、人工呼吸器を装着して全力で治療に当たりました。多臓器不全という状態で、いつ亡くなってもおかしくないような状態でしたが、五十歳という若さもありますし、心臓は非常に元気で、人工呼吸器装着をずっと続けておりました。

 大体三週間ぐらいたって、家族の夫から、先生、この人工呼吸器を外してくれないか、もう見るにたえないと。私も、その患者さんを診て、目から血は出ておりますし、口からも出ておりますし、出血傾向といいまして血が出ている状態、意識はない状態。家族の方は来るたびに、泣いて私に、もうやめてくれ、こういったことを、本当にすがるような思いで。ただ、私も上司の医師に相談して、これは外せないものなのかと言いましたけれども、今のところでは殺人罪に当たる、これは最後まで続けなくてはいけないと。

 とうとう、その患者さんは、三カ月間ずっと人工呼吸器をつけて、最後は心臓がとまって亡くなって、最後に言われた言葉は、まあ、よくここまでやってくれた、もうこの先生に対する恨みは忘れない、このように言われて、患者さんの尊厳は損なわれたばかりか、医師としての無念さといいますか、日本の医療がこういう状況にあるということを本当に悔しく思った次第であります。

 また一方では、脳梗塞で意識がなくなって倒れた八十四歳のおじいさんがおりました。この方は、意識が全くないんですが、一月に倒れられて、大体八月まで人工呼吸器をずっとつけられていた。その状況で、やはり外せないという状況でしたが、これは家族の方が、奥様が、夫の肌が温かいうちはずっとつけてください、こういったお話もありました。本当に多種多様であります。

 多種多様でありますが、先ほども言いましたように、老年医学会の「立場表明」にありますように、最善の医療をするための多くの選択肢を広げること、これは本当に重要でありまして、日本医師会または救急医学会等でガイドラインがありますけれども、全く国が担保していない、こういった状況にあります。

 これを担保するには、やはり法律をつくって、それで患者さんの尊厳を守り、また医師も選択肢が広がった中で家族と説明し合って最期のみとりを決めるということが私はいいように思います。障害者の方の御心配も本当にわかります。わかりますけれども、そこは丁寧に説明して、そういうことではないということをこれから説明していくことが重要であると思います。

 先週、椎名議員も同様の質問をされたかと思いますが、尊厳死に対する大臣の御所見をお願いしたいと思います。

谷垣国務大臣 今、三ッ林委員の御質疑を伺いまして、本当にお医者様も、尊厳死をどうするかというような問題では苦労されているんだなということを感じた次第でございます。

 この問題は、もちろん法的な側面もございますけれども、医学の面あるいは道徳、倫理、こういったものが幅広く関連してくる分野でございます。こういう分野は、まず行政が主導するというよりも、やはり本来、こういうことこそ国会の中で議論していただくべきことではないかなと私は思っておりまして、私どもの党の中でもプロジェクトチームが設けられていると伺っておりますが、それぞれの党もそれぞれお取り組みがあると思います。そういう中で、多様な議論をどのようにこなしていくかという議論をぜひとも進めていただければありがたい、このように思っております。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 質問は終わります。ありがとうございました。

江崎委員長 次に、池田道孝委員。

池田(道)委員 おはようございます。

 本日は、当委員会で二回目の質問の機会を与えられました。前回は参考人質疑ということで、実は、きょう初めて谷垣大臣、皆さん方に御質問させていただきます。よろしくお願いをいたします。

 質問に入ります前に、先ほど三ッ林委員の御質問を最後じっと聞かせていただいておったんですが、質問の時間にこんなことを言って申しわけないんですけれども、実は私もおふくろを九年半介護いたしました。

 介護といっても、先ほどのお話にもありましたけれども、脳梗塞で倒れまして、そのときに、たまたま私も朝おったんですけれども、すぐ救急車をお願いして、お二人のお医者さんに診ていただきまして、お一人の方は、もうだめです、もう一人の方は、救急車で再度大病院へ行かれますかと。

 そのときに、おふくろというのは生前は、テレビを見ながら、ああいう残酷な生きざまはしたくないと常々言っておりました。しかし、当事者としてその場に立ったときに、いや、もう治療はよろしいということはまず申し上げられません。救急車で違う大病院へ向かった途中に、池田さん、これはひょっとしたら息を吹き返すかわかりませんというお話もしていただきましたが、結局、九年半、植物人間と同じで、別に介護というほどではなかったんですけれども、実の母親が言っていたことと違う方向、治療方法をとったなと。

 もう一つは、私が政治家になったら絶対いけぬと言っていたんですが、それも言いまして、最後、葬式のときにはそのお話もさせていただきました。

 要らぬことを言いましたけれども、きょうは少年非行のことについてお尋ねをいたします。

 と申し上げますのは、後で詳しく申し上げますけれども、私の地元の岡山県が少年非行率というのが非常に高うございます、昔から危惧しているんですが。

 それについてお尋ねする前に、先般、少年法の改正についてこの場でも議論がなされました。もう可決もされましたけれども、少年が犯罪を犯したとき、より刑罰を重くするということでございます。

 昨年の自動車の運転等で人を死傷させる行為の処罰に関する法案の審議のときにも参考人の方に御質問させていただきましたが、一つの例をとりますと、昔、飲酒運転で五十万円の罰金にする、それでかなり多くの方々が、飲酒運転はできぬな、タクシーへ乗った方がいいなというようなこと、それでもなかなか減らなかった。その上に、百万円、そしてまた飲食を提供した方にも罰を与えるということで、飲酒運転そのものは極端に減りました。しかしながら、御承知のように、もう残忍きわまる飲酒運転による事故、被害者の方々に相当な苦痛を与えるという事故は減りません。

 そしてまた、少年につきましても、残念なことでございますが、ことしに入りましても、たまたま卒業式の翌日に少女を殺害した青年が逮捕されました。つい先般も、軽乗用車ですか、少年が急発進、それもバックして男性を殺害した。そうした考えられないような非常にむごい事件も発生をいたしております。

 少年法、前の人を死傷させる法律も一緒でございますが、どちらにしても、少年の刑を重くして、それが犯罪の抑止につながらなければ、これも一つの意味がございません。

 そうした中で、先般も議論されましたけれども、再度、そうした少年法の改正によっての犯罪の抑止につきまして、どういうふうな御所見をお持ちか、お尋ねをいたします。

谷垣国務大臣 今回の少年法改正は、今まで少年に判決を出しますときに、一方で、無期というのは選択肢であった。しかし、無期から不定期刑というのも非常にその差があり過ぎて、刑の選定にしばしば裁判官も不都合を感ずることがあった。その間を埋めようということでございますので、必ずしも重くするという発想でできているわけではありません。

 そこで、今、池田委員がおっしゃったように、では、そういうことをして抑止にどういう効果があるんだというお問いかけは、これはこの委員会でもしばしばございました。今のように、ある意味で、裁判所が適切な科刑をする、その選択肢を広げるということが第一の目的でございますので、必ずしもそれがすぐ抑止に結びつくということを考えたわけではございません。

 ただ、刑の機能というのは、いろいろ言われておりますが、犯罪行為に対して、その行為に応じて非難をする、罰を加える、そういういわゆる応報機能、それから、社会一般の人々が犯罪に及ぶことを予防する、こういうことをやると罰せられますよといういわゆる一般予防機能、それから、犯罪の実行をした人、特定の犯罪者に、将来再び犯罪を犯すことを防止しようという特別予防機能、こういう三つの機能があると言われておりますが、こういう機能はやはり適切な科刑があるということによって担保されるものでありますから、そういう意味では、私は、刑の抑止ということにプラスの効果はあるのではないかと思っております。

池田(道)委員 ありがとうございました。

 もう一点は、最長二十年ということに延長されました。少年法は、少年の保護、そしてまた立ち直りということを主眼にしておるわけでございますが、これも前、委員会でもお話がございましたが、二十年間の長期にわたって拘束された少年が、立ち直りというのができるかということも一抹の不安があるわけでございます。それと、今、矯正教育というのを当然やっておられますけれども、そうした中で、刑の延長も含めて矯正教育のプログラム等もまた新たに考えていかなければならないというふうにも思いますが、その点についてのお考えをお聞かせください。

西田政府参考人 お答えいたします。

 少年受刑者につきましては、やはり個々の問題性を十分に見きわめまして、少年の健全な育成ということを考えまして、その改善更生及び円滑な社会復帰に向けた効果的な処遇を行う、これが少年受刑者処遇の基本理念でございまして、これに基づいて処遇を実施しているところでございます。

 また、刑事施設におきましては、もっと具体的に申し上げますと、刑の長短にかかわらず、先ほど申し上げました少年受刑者の処遇の基本理念に基づきまして、処遇の個別化、処遇内容、方法の多様化といったものに努めております。犯罪行為に至った問題性というのはさまざまでございますけれども、それを分析しまして明確化をして、個々の少年受刑者の特性に応じた個別的な処遇要領、どういった処遇をするかというものでございますけれども、それを作成しまして、それに基づいた処遇を行っております。

 もっと具体的に申し上げますと、職業訓練とか、有用な作業をやらせるとか、あるいは教科指導、教育が必要な場合がございますので教科指導を行う、それから、薬物依存回復指導とか性犯罪再犯防止指導、被害者の視点を取り入れた教育といった個々の問題性に対応した改善指導、そういったこと、個別面接とか日記指導についても行っているところでございます。

 さらに申し上げますと、少年受刑者につきましては、各少年受刑者ごとに刑事施設の職員から一名ないし数名の職員を個別担任に指定しまして、面接ですとか日記指導ですとか、きめ細かい指導をするようにしております。それから、少年受刑者の特性としましては、家族との関係を切らないというのが大事なことでございますので、そういった個別担任から家族等との関係の維持改善を図るように働きかけをしたり、お互いにやりとりをするような指導をしたり、そんなことをやっているところでございます。

 そういった処遇でございますので、新たなプログラムということにつきましては今のところ考えておりませんけれども、そういった今やっておりますようなことをもっともっときめ細かく実施しましてやっていきたいと思っております。

 また、もし今後、必要性が生じた場合には、改めてプログラム策定についても検討させていただきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

池田(道)委員 ありがとうございました。

 先ほどの答弁の中にも少年の健全育成ということがございましたが、少年法が適用される以前の、子供たちを、健全な育成をする、子供たちにとりましては、我が国の将来、未来の金の卵でございますから、精神的にも肉体的にも心身たくましく育っていただきたい。いざ事件が起きますと、家庭が悪い、あるいは学校の指導が悪いということがありますけれども、社会全体でそれは育てていかなければいけないし、それがまた我々大人の責務だろうと考えておりますが、それでもなかなか少年非行が減らない。

 先ほど申し上げました岡山県というのは、二〇〇三年から十年この方、ワーストテンの中に入っておりますし、なおまだ残念なことに、昨年、二〇一三年、二〇一二年、二年連続で一位という、非常に恥ずかしいというか、裏返して言えば、岡山県警が優秀なのか、それとも報告の仕方が非常に生真面目なのか、そういうふうにも考えられないことはないんですけれども、どちらにしても、非常に不名誉な記録を残しております。

 警察の方へお尋ねをいたしたいんですけれども、県警独自の取り組みというのは非常にやっていただいているんですけれども、こうした非行につきまして、全体的な指針とかなんとかを出して、それを中心にやっていただいておるのでしょうか、非行防止についてはもう全て都道府県任せになっているのか、その点についてお尋ねをいたします。

辻政府参考人 お答えさせていただきます。

 都道府県任せということではなくて、警察庁の方で通達等を発出いたしまして、そして取り組みをさせていただいております。

 具体的には、例えば少年非行の要因として、私ども、少年自身の規範意識の低さとか、あるいはコミュニケーション能力の不足といったようなことが考えられますけれども、それを助長する要因といたしまして、家庭や地域社会の教育機能の低下や、少年がともすれば自分の居場所を生み出せず孤立し、疎外感を抱いているといったような現状があるものというふうに思料いたしております。

 こういったことから、私ども、通達を発出いたしまして、少年の規範意識の向上と社会とのきずなの強化を図るため、問題を抱えた少年やその保護者に対して指導助言を行ったり、少年警察ボランティアや関係機関等と協働し、社会奉仕体験活動や農業体験活動等への参加促進、就学、就労等の支援などを行う、少年に手を差し伸べる立ち直り支援活動を推進しているほか、低年齢少年やその保護者を対象とした非行防止教室を開催するなど、非行少年を生まない社会づくりを全国警察挙げて展開しようということで現在進めているところでございまして、今後とも、これらの取り組みをやってまいりたいというふうに思っております。

 なお、付言させていただきますと、議員からもございましたが、学校との連携というものも極めて重要でございまして、これは、私どもも県に指導しておりますし、また、文科省さんからも各県の方に、教育委員会の方に御指導いただいております。

 緊密に連携させていただいておりますが、議員からございました岡山県警察では、さらに、その非行の厳しい状況を踏まえまして、この四月一日から、本部の少年課に学校警察連絡室というものを設置いたしまして、強力な取り組みを推進させていただいているところでございます。

池田(道)委員 ありがとうございました。

 にもかかわりませず、少年非行の件数は確かに、これはもう少年の絶対数が減っているわけですから件数は減るんですけれども、再犯率というのはなかなか減りません。微増ぐらい、三〇パー以上になっておると思いますけれども、そのあたりのいわゆる再犯防止策等についてお考えをお聞かせ願います。

辻政府参考人 少年の再犯者率でございますけれども、昨年中の数字で申し上げますと三四・三%ということで、統計のございます昭和四十七年以降で最多ということで、再犯者の率が大変高くなっておるところでございます。

 その対策といたしましては、先ほども答弁をさせていただきましたけれども、非行に陥った子供たち、この子供たちに対しまして、その後、やはりその原因として、疎外感がありましたし、なかなか立ち直りができないというところがございます。そういうことで、少年に手を差し伸べる立ち直り支援活動ということで、非行で補導等いたしました後も、立ち直りのための支援などに努めさせていただいているところでございます。

池田(道)委員 ありがとうございました。

 先ほどお尋ねしようと思いましたが、局長の方からお話がございましたので。

 残念なことに、岡山県では学校警察連絡室というのをつくりまして、昔では、学校と教育委員会、警察が連携をとるとかいうことは考えられなかったんですけれども、そうした中で、警察の方も、厳正な摘発、補導に加えて、学校との連携を密にした対策を粘り強く進めるということで新しい組織をつくったところでございます。

 少年非行につきましては以上で終わります。ありがとうございました。よろしゅうございます。

 続きまして、人権擁護委員、人権擁護についてお尋ねをいたします。

 人権擁護につきましては、これも我が国特有の組織でございまして、いろいろな形で、最近の住民の方々のニーズというものは非常に広範囲になっております。そうした中で活動をしていただいておりますけれども、その人権擁護委員さんの置かれた立場、そしてまた我が国でどういうふうな成果が上がっておるのか、まずその点につきましてお尋ねをいたします。

奥野副大臣 まず初めに、池田委員の御夫人は人権擁護委員というふうに承っておりますが、大変御協力をいただいていることに心から感謝申し上げます。

 人権擁護活動、その人権という言葉が私は子供さんたちにとっては非常にわかりにくい言葉だなというふうに感じておりまして、できるだけ早く、わかりやすい資料をつくって皆さん方にお配りしなさいということを言っておりました。何かできたようでありますから、今そちらにあるものが、わかりにくいというものの象徴でありますけれども、多分、きょう、お帰りまでには皆さん方にお配りさせていただきたいと思います。

 人権擁護活動というのは、人間として互いに尊重し合い、楽しく、そして幸せに安心して暮らせる社会をつくる、そういうための活動というふうに私は認識しております。特に、弱い立場の子供さんや女性やお年寄り、そういった方々の立場を救済するといいましょうか、そういったことを考えていきながら活躍していただいているのが人権擁護委員だろうと思います。

 そして、人権擁護委員というのは、後で細かい数字を言うようでありますが、全国で一万四千人ぐらいの方がいらっしゃいます。特に、社会経験豊富で成功された方、具体的なことで言うと、会社の役員さんとか団体役員さんとか、あるいは崇高な理念の持ち主であるいわゆる宗教家、そういった方々に多くついていただいているわけであります。そんな中で、人権擁護委員は、池田夫人を入れて女性は四割だそうであります。

 その人権擁護委員の方々にお願いしている活動は、人権啓発活動として、大体三つのタイプの仕事をしていただいております。一番は今申し上げた人権啓発活動、二つ目が人権相談、三つ目が人権侵犯事件の調査、こんなようなことであります。

 具体的に言いますと、人権啓発活動というのは、小さい小中学生等を対象にして、いじめ等について考える機会を与える人権教室、こういったこと、これは年間に一万五千回ほど開いているようであります。それから、子供さんたちを対象に、花の育成を通じて豊かな心を育み、生命のとうとさや優しさを体験させる人権の花運動というのもやっているようであります。これは大体年間五十万人の方が参加しているようでありまして、できたお花を親御さんやお年を召した方々にお届けして、心の通わせ方というのを学んでいただくんだろうと思います。

 それから、人権相談というのは、大体年間に二十五万件ぐらいの相談を受けているようでありますが、私は、沖縄へ行ったときに人権擁護委員の方たちと話をさせていただきました。具体的にどんなことをやっているかというと、今、法務省では全国の小中学校に子どもの人権SOSミニレターというのをお配りしているんですが、それに自分の悩み事を書いてもらって、人権擁護委員が回答する、そして解決に向けてそれぞれの立場で努力しなさいということを言って、事例を逆に折り返してもらう、こんなことで、非常に充実した形ができ上がっているようであります。

 それから、人権侵犯事件の調査処理についても、法務局の職員たちと人権擁護委員さんが御協力いただきながら、世の中にはびこっておりますいじめ、セクハラ、虐待、DV、差別、誹謗中傷、そういったものの相談を受けているようであります。

 これだけいろいろ活躍していただいております。国の仕事であって、国に協力して社会貢献活動をしていただいているわけでありますから、それなりの見返りといいますか報いを国の方から御提供するという手段を講じているわけでありますが、余りにも限られた人たちにしかそれが提供できていないというところに問題点はあるように感じております。大臣表彰とか褒章とか叙勲とか、そういったことが少し数が少ないものですから、もう少し幅広い方々にそういった恩恵が行き渡るように、私どもも今、検討しろということで、役所の中で議論をしているところであります。

 大体、今申し上げたことが人権擁護委員に関する仕事の実態というふうに申し上げていいと思います。

池田(道)委員 ありがとうございました。

 副大臣の方から先に言われましたので、この擁護委員の候補というのは、人格識見が高く、広く社会の実情に通じ、人権擁護について深い理解のある人というふうに書いてありますので、改めて、私の家内もそうかなと思って、これを見て、今度は頭を下げにゃいけぬかなというふうに思っております。

 人権擁護委員、ちょっと時間がありませんので、あわせて御質問させていただきますけれども、先ほど副大臣の方からも答弁がございました、人権擁護というのは皆さん方御理解はいただいておると思いますけれども、今の地域、住民の方々のニーズ等の中で、例えば高齢者への虐待等については、地域におられる民生委員さん方との仕事の範疇というんですか、重なる部分が出てくるわけでございますけれども、民生委員さんというのはもう地域でも認知されておるわけですね。人権擁護委員さんという方がおられて、活動をされておられるというのは、なかなか広く認知をされていないのではなかろうかなと。

 そのあたり、先ほどのお話にもありましたように、PR不足が一点あるのではなかろうかなということと、これだけの新しいいろいろな悩み事というのが出た中で全国で一万四千人程度というふうにしか思えませんが、今の定数というのがどれぐらいになっているのかわかりませんけれども、一万四千人では、まだ活動をされる委員さんが少ないのではなかろうかなと。どちらにしても、全くボランティアでございますから、なかなかそういうふうな条件に合った方もおられないと思いますけれども、そのあたりの体制についてのお考えをお尋ねいたします。

萩原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員に御指摘いただきましたとおり、人権擁護委員の活動に期待を寄せる声は大きくなっておりますが、いまだ人権擁護委員の存在や役割につきまして社会一般に知られていない状況でありますので、法務省としては、人権擁護委員制度の周知、広報の必要があることは十分に認識しております。

 現在でございますけれども、法務大臣は、人権擁護委員を委嘱したときは、人権擁護委員の氏名と職務をその地域住民に周知するよう適切な措置をとることとされておりますので、現在、市町村の広報誌等におきまして、人権擁護委員が委嘱されたときは、その氏名等を掲載するなどの周知を図っているというのが一点でございます。

 次に、六月一日の人権擁護委員の日におきましては、人権擁護委員制度を周知し、人権尊重の大切さを呼びかける機会といたしまして、人権擁護委員において各種啓発活動を行うとともに、特設相談所を開設して、地域住民からの相談に応じるなどしております。

 また、先ほど副大臣の答弁にもありましたとおり、人権擁護委員は、人権教室や人権の花運動など各種人権啓発活動の機会や、学校に対して子どもの人権SOSミニレターの取り組みについて説明する際などの活動において、人権擁護委員の存在や役割について広報しているところでございます。

 また、法務省としては、人権擁護委員制度の周知用のポスター、それから人権擁護委員の活動をわかりやすく説明した冊子などを作成して、教育関係者、保護者、児童生徒に対してこれを、活動が周知されるよう、また、学校内に先ほどのポスターを年間を通じて掲示していただくよう、広報の強化に取り組んでいるところでございますが、今年度は新たに人権擁護委員制度周知用のチラシを作成することになりましたので、これを広報活動に利用することとしております。

 また、人権に関する各種講演会や街頭啓発のほか、テレビ、ラジオ、マスコミに取り上げてもらうように広報を行うこととしております。

 もう一点でございますが、人権擁護委員の員数の関係でございます。

 人権擁護委員の定数は、人権擁護委員法によりまして、二万人を超えない範囲で、法務大臣が、その土地の人口、経済、文化その他の事情を考慮して定めるものとされておりますが、具体的な定数は、人権擁護委員定数規程に基づいて、市町村の人口に応じて定められており、現在、先ほど副大臣の答弁にもありましたとおり、全国で約一万四千人の人権擁護委員が配置されております。

 法務省としては、そういった人権擁護委員の活動状況を注視しながら、法務局の職員が十分に連携協力することにより活動を進めるなどの対応に努めているところでございますが、今後もこの連携を強めるとともに、ただいま申し上げました法令の範囲内で、必要に応じて人権擁護委員の数の確保に努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

池田(道)委員 ありがとうございました。

 二万人の定数で一万四千人でございますから、これだけのニーズがあるわけでございますので、ぜひそのあたりは、PRを含めて、よろしくお願いをいたします。

 時間がもうほとんどありませんが、もう一点だけ、せっかくおいでいただいております入国管理局にお尋ねをいたします。

 今、外国人の研修生の受け入れ等のことが、延長も含めて、いろいろあるわけでございますけれども、なかなかこれも、地域によりましては、日本の方で、賃金の不払いであるとか、あるいは研修生が、たまたま私の隣の広島県でも殺害事件というようなことがございましたけれども、そうした事案について、どれぐらいの件数、殺害であるとか不払いであるとかということが、それ以下についてはまた次回お尋ねさせていただきたいと思いますけれども、その点についてだけお尋ねをいたします。

榊原政府参考人 不適正な受け入れが行われていたといたしまして入国管理局が実習実施機関等に不正行為を通知した数は、平成二十三年は百八十四機関、平成二十四年は百九十七機関、平成二十五年につきましては二百三十機関となっております。

 これらの事案の不正行為の内容につきましては、賃金不払い等の労働関係法令違反や本来の技能実習計画に基づく技能実習を行っていなかった事案などが多くなっております。

 以上でございます。

池田(道)委員 ありがとうございました。これで質問を終わります。

江崎委員長 次に、横路孝弘委員。

横路委員 私、法務委員会所属というのは今回が初めてなんです。それで、大臣の所信表明や各党の委員の皆さんの議論が非常に熱心に、犯罪の再犯防止、それから犯した人々の処遇改善、どうしたらいいか、刑務所の中の処遇や外に出てからの対応などについて大変熱心に議論されていますので、刺激を受けまして、少し犯罪白書とかいろいろ調べてみましたので、総括的な議論になりますけれども、話を聞いていただいて、御答弁いただければというように思います。

 特に外の、厚生労働省との連携のもとで、地域の生活定着センターでありますとか、ハローワークを中心とした就労のチームでありますとか、それから、この四月から始まりましたが、障害者に対する地域移行をするための相談事業所だとか、それから、これはまだモデル事業ですが、生活困窮者、これもやはり仕事と住む場所を探すというように、同じような目的を持って、対象者は若干違いますけれども、それぞれ特徴はありますけれども、事業が始まったということで、厚生労働省や総務省などとも連携して、さらに、今犯罪も減っていて、私も少年院や少年鑑別所に行ってきましたが、定員をはるかに下回る人ですから、先ほど答弁がありましたように、処遇もこれからマンツーマンでかなり丁寧にできるのではないかというように思って、期待をいたしておるところでございます。

 そこで、初めに、犯罪の動向についての総括的なこと。事務当局で結構でございます。

 犯罪は減っています。殺人事件なども戦後最低だと言われるぐらいに、アメリカなどの他国に比べるとはるかにやはり少ない状況でございます。しかし、他方でふえている犯罪もありまして、その一つが高齢者の犯罪ということになるわけでございます。高齢者の犯罪は、人口も伸びているからふえているという面もありますが、しかし、それ以上に大幅に伸びていて、しかも、中身は、無職の人間、無職でも年金受給者の犯罪がふえているんですね。

 これは、今、日本の社会というのは、社会的な犯罪の背景なんですけれども、年金だけで生活している人が大体六割ちょっとぐらいおります。他の収入が今だんだんなくなってきているんですね。貯蓄率が非常に下がってきて、六十代で二割ぐらいでしょうか、それから、七十代になるともう二割を超えて二四、五%、貯蓄ゼロという人が多いんですね。

 だから、高齢者犯罪の中での窃盗、男の場合は、生活困窮ということが理由になっていまして、お金を持っていない人が万引きをするというケースが多いんですね。女性の場合は何かちょっと違って、お金を持っていて万引きをするという人が多くて、それは、欲しかったとか、何か節約という項目が犯罪白書の中に出ていまして、何が節約なのかと。自分の持っているお金を節約するためにどうも万引きをしているらしいんですね。というのが女性の犯罪の場合の理由になっておりました。

 それから、高齢者の犯罪で、初犯の殺人事件の中に、やはり考えさせられるのは、介護疲れでの無理心中、これが大体三割ぐらい占めているというようなことが、統計、犯罪白書を見ますと高齢者犯罪の傾向でございます。

 大体こういうようなことで、今の高齢者の犯罪の現況ということについて、事務当局で結構でございますので、お答えいただければと思います。

西田政府参考人 お答えいたします。

 私の方からは、現在受刑中の者ということで申し上げますと、先生おっしゃいましたように、社会を映しているのかどうかわかりませんけれども、やはり高齢者がふえております。

 私どもとしましては、どういったふうにこれを実感するかと申し上げますと、やはり高齢者がふえてまいりますと、どうやってこれを社会復帰に向けてやるかとか、あるいは医療の関係が、どうしても医療がふえてまいりますので、これにどういうふうに対応するかということで、そういった感じで非常に実感するところでございます。

 それと一方で、おっしゃいましたように、女子刑務所における高齢受刑者につきましては、まさに窃盗と申しましても、単にそれだけの問題性ではなくて、ほかに生活上の問題、そういうものも含めたようなものがふえてきておるというふうに感じております。

 具体的な数字は今手元にありませんけれども、そんなふうに感じているところでございます。

横路委員 累犯の高齢者は特にそうなんですけれども、やはり住居が不安定である。それから、単身生活、ほとんど七割ぐらいが単身者ですね。それから、周囲、地域との連携というのがない。就労も不安定で低収入というようなことがありますので、では、そこを出た後どうするかということで、福祉的なバックアップというのが強化されるようになってきているんですね。

 これは、これからも高齢者はふえていきますから、ますます重要になってくると思いますが、やはりこの社会的背景というのを見ていかなければいけないと思います。

 それから、これはちょっと通告はしていないんですが、障害者の新しい受刑者を見ますと、これは法務省の矯正統計で、平成二十一年で二三%が知能指数七〇未満、新しい受刑者のうち二割というんですね、新規の受刑者の。これもまた大変大きな問題です。

 このごろは、ちゃんと入ってきた人に対するいろいろなテストをして、その点を掌握するように努力されているというように聞いていますが、この状況というのはどうなんでしょうか。この傾向というのはだんだんふえてきているというように思うんですけれども、いかがですか。

西田政府参考人 お答えいたします。

 入所時の処遇調査の結果がどうということはちょっと手元にデータを持ち合わせておりませんけれども、障害者手帳を有する者とかあるいは療育手帳を有する者につきましては、現在、二十四年末でちょっと古くて恐縮でございますけれども、身体障害者手帳を有する者は千百六十一名というふうになっておりまして、精神障害者保健福祉手帳を有する者は千九十九名、それからあと療育手帳を有する者につきましては三百七十六名ということで、徐々にふえてきているというふうに感じております。

横路委員 したがって、知的障害を持っている、必ずしも重いわけではない人もいるので、だから、そういう処遇をどうするかということがやはり大きな問題だと思うんですね。

 そして、少年事件なんですが、少年事件というのは従来貧困が理由だということでずっと言われてきて、その貧困率がだんだん減ってきて、今は余り貧困が理由というのではなくて、それはいろいろな要素のうちの一つである、こういうような説明を受けているんですが、しかし、少年院新収容者の家庭の生活程度という資料をいただいたんですが、これを見ると、平成二十四年でやはり貧困率は二八・七%ですね。

 それから、私は東京と大阪の少年鑑別所のデータをいただいたんですが、これを見ても、貧困家庭というのが大阪で二七・一、それから東京で二六・二、これぐらい、四分の一程度はやはり貧困ということがあるわけですね。

 他方、世の中の、例えば年収二百万以下という数字を調べてみますと、世帯で二百万以下という人が大体二割、一九%ぐらい、それから個人の所得で二百万以下というのは、男性で一〇%、女性で四三%なんですね。

 少年鑑別所の資料で、これはお配りすればよかったんですが、保護者のところを見ると、両親がいるというのは大阪で三四%、東京で四一%、母親だけという家庭、これが大阪で四二%、東京で三四%ということなんです。

 別に、これは統計上の話であって、もちろんみんな、片親であろうと子供たちは一生懸命頑張って、母親も一生懸命働いて、立派に育っているわけなんですが、こういう統計上の数字を見ると、やはり片親の子供が多い。

 資料を見ると、年収は二百万以下の家庭が多いということで、犯罪を見ると、大阪の子供たちの犯罪は窃盗が多いんですね、三八%。東京の方は二六%で、大分差があります。詐欺は東京の方が多くて一六・七%、大阪の方は二・四%ということで、犯罪の傾向も大阪と東京でかなり違います。

 それから、本人の教育程度というのを見ても、東京では中学在学と中学卒業が三一%なのに対して大阪は四四・七%と、非常に低年齢化して大阪の方の犯罪が多いんですね。それから、高等学校の在学、中退の人数は、東京の場合は五六%、大阪の場合は五〇%ということで、これは刑務所の中でのいろいろな教育に今度は関連してくるんですけれども、こういうことを考えますと、貧困という要素もやはり今なお少年犯罪の背景には非常に大きくあるんじゃないかなというように私は考えます。

 それからもう一つ、このごろ虐待事件が非常にふえていて、警察への通報だとか検挙人員も非常にふえています。その虐待と少年犯罪との関係、つまり虐待を受けた者が犯罪をするということがどうなのかということで調べたのが、一つ、厚生労働省の方の国立武蔵野学院の調査というのがありまして、平成十二年なんですけれども、十四歳、十三歳の子供が中心ですが、これで虐待を受けた経験者が六割いるんですね。平成十二年から見ると、今は虐待件数というのはウナギ登りでありますから、もっともっとこれは多分ふえているんだろうと思います。

 ここで一つ、事務局の方に質問ですが、家裁の調査官とか少年鑑別所で子供のいろいろな経歴の調査をやっていると思うんですね。そこで、そういう少年犯罪を犯した者の虐待経験というのがどうなのかということは何か、発表されているような報告だとか、調査はしていると思うんですが、まとめたものというのはあるんでしょうか。もしなければ、その分析を、別に今すぐということでなくてもいいので、一度やってみたら、今これだけ虐待件数がふえている中で、少年犯罪を探っていく上でも大事なことだというように思いますが、その点、いかがでしょうか。

岡最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 少年事件の中には、非行の背景に虐待の影響があるものがあることは、委員御指摘のとおりでございます。個別の事件におきましては、家庭裁判所調査官による調査が行われているところでございますが、最高裁事務総局において、家裁に送致された少年事件のうち、少年が虐待を受けていたものがどの程度あるかという統計はとっておりませんので、数値的には把握しておりません。

 ただ、委員御指摘のように、虐待の深刻化という問題がございまして、虐待が深刻化していくメカニズムの解明という観点ではございますが、平成十五年に、当時の家庭裁判所調査官研修所で行われた児童虐待が問題となる家庭事件の実証的研究というものがございまして、これは、少年事件だけでなく、虐待が問題となった家事事件も対象に、ある程度の数の事件を対象として研究を行い、その結果が報告されているというものがございます。

西田政府参考人 お答えいたします。

 少年鑑別所におきましては、先ほどおっしゃいましたように、そういった本人からの聞き取りとかいろいろな調査をしていまして、虐待経験の有無を確認はしております。ただ、少年鑑別所におきまして、どういった数の虐待があったかという統計をとっておりません。

 ただ、少年院に在院中の者について、本年二月末現在で調査した結果がございます。それによりますと、家族、これは保護者を含むのですけれども、から何らかの被害を受けたと申し出をした者は、約六二・二%いるという結果が出ております。

 以上でございます。

横路委員 つまり、少年事件、一般事件を含めて、虐待を受けている子供が今度は犯罪の側に回るというケースがやはり相当たくさん出ているんですね。これの詳細なさらなる分析が進むことを期待いたします。

 それで、法務大臣、このように高齢者事件とか障害者が受刑者の中にふえている、少年事件でも貧困というのはやはり今でも要素の一つであるというようなこの最近の犯罪状況について、今までの議論をお聞きになってどのようにお考えでしょうか。

谷垣国務大臣 私は、この法務大臣という職につきましてから、犯罪というのは、社会の問題性と申しますか、そういうものを拡大して、普通ではその問題点が余りあらわれないのが、犯罪の局面ではそれが拡大してあらわれてくるというようなイメージを持っております。

 今、横路先生が指摘をされました高齢者の問題あるいは少年虐待の問題、どこにその原因があるのかというのは、いろいろ難しいところがあると思いますが、やはり日本社会の持っている何かのゆがみというか問題性を拡大してあらわしているのではないか、こんな感じを受けております。

横路委員 やはり社会的な環境というのは、背景としては非常に大きな要素でございますので、したがって、環境を整備するということが大変大事な要素になるというように思います。

 それで、少年事件なんですが、今はまだ参議院で審議中でございますが、少年犯罪というのは、見てみますと、犯罪そのものは減っていますよね。人口比でも実は減ってきているわけです。家裁の保護事件も減少しています。それから、刑事処分相当の数も減ってきているんですね。そうやって事件そのものは非常に減ってきています。

 この傾向というのは非常に望ましい傾向なんだというように思いますが、今回刑罰を引き上げたということについて、厳罰化ではなくて適正化である、成人の刑との溝をなくすために、あるいは量刑の選択肢をふやすために必要なんだという御説明だったと思いますが、少年への科刑と成人への科刑というのは同じように考えるべきなのかどうなのかという点は、私はそうではないんじゃないかなというように思いますが、この点は、法務大臣、どうですか。

谷垣国務大臣 私は、少年というのは、いわゆる可塑性という言葉で言っておりますけれども、まだ人格が形成途上である、それだけまた逆に言えばいろいろな教育指導などが効果を上げ得る、そういうことがございますので、やはり弾力的な対応というか、フレキシビリティーを持った対応というのが必要なのではないかな、こんなふうに考えております。

横路委員 これからだんだん議論していきます。

 それで、少年の不定期刑ということなんですが、法制審でもいろいろ議論しましたが、これはこのまま維持をしていこうということで、そこは全く議論がなかったというように承知しています。

 それで、この不定期刑というものの今日的な意義と役割ということですね。不定期刑という制度そのものにどういうことを期待されているのか。これは、法務大臣、いかがですか。

谷垣国務大臣 法制審でいろいろ議論していただいたときも、もう不定期刑は余り意味がないんじゃないかという御意見もないわけではなかったんですが、全体としてはやはり必要だということで、残していこうということであります。

 それで、期待しているところは結局さっき申し上げたところでありまして、少年は改善もうんと効果を発揮し得る余地がある、こういうことで、フレキシブルにいこう、こういうことではないかと思います。

横路委員 裁判所の方にこの点についてどうお考えかをお聞きしたいんですが、不定期刑の長期刑、それぞれの性質というのはどういうものなのか、あるいはどう決定されるべきなのか。一般論で結構でございますので、不定期刑の意義というものも今日どのようにあるのかということも含めて、お答えいただければと思います。

今崎最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 現行の少年法に規定されております少年に対する不定期刑の長期と短期について、これをどのように定めるかということにつきましては、学説上は幾つかの考え方があるようでございます。また、個々の裁判体の法解釈に当たる事項でございますので、事務当局からは確定的なことを申し上げるということはできないことは御理解いただきたいと存じます。

 ただ、御質問でございますので、現場の裁判官がどういう意識でやっているかということを御参考までに申し上げますと、ただいま委員も引用されました法制審議会の少年法部会におきまして、委員である東京地方裁判所判事から、自分自身がこれまでこういうふうにやってきている、また、同僚裁判官のやり方を聞いても大体こういうところかなというぐあいに思っているところということを紹介するとして、被告人の犯罪行為にふさわしい刑事責任はどのようなものであるかという観点からまず長期の刑期を定め、次に、少年の更生可能性あるいは改善更生の見込みといった観点をも考慮して短期を定めるという考え方が述べられているところでございます。

 また、不定期刑の意義につきましては、これは立法当局の御判断でございますので、事務当局からの答弁は差し控えたいと存じます。

横路委員 現行法は、責任という面でも少年は成人に比べると未熟であるというように考え、それからまた、先ほど来お答えがありますように、可塑性に富んで、教育による改善や更生というのを期待できるということで、いわば弾力性を持たせるという意味でのやはり不定期刑で、できるだけ改善更生の検討から、ある意味でいうと、早期の社会復帰が図られるようにという趣旨もその長期、短期の短期の方に含まれているのではないかと思いますが、その点、いかがでしょうか。

今崎最高裁判所長官代理者 先ほど答弁申し上げたとおり、現場の裁判官の意識としてでございますが、今委員が申し上げたような意識であろうかというふうに承知しております。

横路委員 不定期刑を科す場合の長期刑というのは、酌量減軽まで入れて成人と同じように扱うというお話だったんですが、いろいろな要素も入れて、つまり、行為に対する責任ということと、情状もある程度入れて長期刑というのは言い渡すことになるんじゃないんでしょうか。そして、その上に、健全育成や更生という観点から、さらに修正して、軽い刑という意味での短期刑を決める。トータルで量刑での処遇に弾力性を持たせるという趣旨のように理解しますが、いかがでしょうか。

今崎最高裁判所長官代理者 繰り返し申し上げているとおりでございまして、具体的な、個々の法令解釈の詳細にわたる事項でございますので、そのような意見かどうかということについて、事務当局からこうだということはちょっと確定的には申し上げられないことを御理解いただきたいと存じます。

横路委員 私は、修習生のとき、もう大分昔の話ですが、森田宗一さんという家庭裁判所の裁判官からいろいろとお話を聞いたことがあります。そのときに島秋人という死刑囚の話を聞きました。

 この青年は、新潟県の出身で、中学を卒業してから集団就職で神奈川の方に出てきて、いろいろな過ちを犯して少年院なんかに入って、あるとき店に盗みに入って、二千円のお金を盗んで、逃げるとき家の人に見つかって、外に出たときに物置にあったまさかりでもって殺してしまったという、強盗殺人事件で独房に入れられたんですね。

 独房に入れられたときに、この青年は一人の先生のことを思い出したんです。父親に育てられた家庭の子供で、学校では、今はやっていないと思いますが、教室のみんなの机が並んでいる前に一人だけ机を置かされて教育を受けるというような感じだったんですね。九年間で一度だけ先生に褒められて、絵を描く先生に、おまえの絵の構図は非常にいいと褒められて、その先生に、こういうことをやりましたと手紙を出したんです。そうしたら、その先生は絵を描いて送ってくれて、奥さんが歌を詠む人だったものですから、短歌を送ってよこしたんですね。

 絵の具は刑務所の中に入りません。辞書は入るので、そこから勉強を始めました。毎日新聞の毎日歌壇というのがあります。当時の選者は窪田空穂という早稲田大学の先生で、だんだんそれで力を加えて、毎日歌壇賞というのは、半年に一度、優秀な歌に与えられるわけなんですが、そういうように非常に変わりました。

 「遺愛集」という歌集が出ているんですが、この話を聞いて、そのことを調べて、やはり青年というのは教育によって、環境によって変わるんだということを、私はこの事件を通じて本当に感じました。

 いい歌がたくさんあるんです。

 辞世の句というのは、この澄める心ありとは知らず来て刑死のあすに迫る夜ぬくしという歌です。

 処刑のときの祈りの言葉というのがあるんです。願わくば、精薄や貧しき子らも疎まれず、幼きころよりこの人々に、正しき導きと神の恵みが与えられ、私ごとき愚かな者の死の後は、死刑が廃止されても、犯罪のない世の中が打ち立てられますようにという祈りの言葉を発して処刑されました。

 本当に、こういう人を見ていると、非常に青年の可能性はやはりあるんだなと、私はこの「遺愛集」を読んで確信をいたしました。

 ということを申し上げ、機会があればぜひ、この「遺愛集」というのは今も出版されていますので、目を通していただければと思います。

 次に、不定期刑の運用について、資料もお渡ししましたが、それに基づいて議論をさせていただきます。

 不定期刑を言い渡された者の不定期刑仮出獄許可人員の刑の執行率、平成元年から今日までずっと出ております。

 これを見ると、短期経過前の仮釈放は、短期刑の三分の一を過ぎてからですよね。そして、三分の一を過ぎると、たしか、刑務所の中ではいろいろなその少年についての調査、審査を始めるというように聞いております。

 平成十三年からなくなりましたね。平成十三年というのは、これは二〇〇〇年改正の影響なんでしょうか。どうしてここからなくなったのか。事務当局で結構でございます。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 どうしてこの点の数字がなくなったかということは、申しわけありませんが、今ちょっと把握しておりません。

横路委員 これについて質問するというのは通告してあったんですが。ともかく、なくなっています。

 それから、執行率六〇%未満の者があらわれなくなり始めたのも平成十二年からですね。それから、平成十年から十六年を見ますと、執行率六〇から七九%の者が六、七割いたんですが、その後はそれが減って、むしろ執行率八〇%以上の者が平成十七年から五割を超えるようになってきています。平成十七年というのは、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律ができたときですね。更生保護法は平成十九年です。

 いずれにしても、これを見ますと、不定期刑を含めて、運用でいうと非常に厳しくなってきたということは間違いなく言えると思うんですが、いかがでしょうか。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十年から二十四年の間に不定期刑受刑者で仮釈放が許可された者は二百二十一人ございまして、その刑の執行率はいずれも長期を基準として、九〇%以上の者が七十一人、全体の三二%、八〇%から八九%の者が百十一人、全体の五〇・二%でありまして、長期を基準に執行率が八〇%を超える者がこの二十年から二十四年の間に八二・三%に上ったということは事実でございます。

横路委員 これは、厳しくなった理由は何ですか。

 例えば、では重大事犯というのがふえたのかということを見ますと、皆さんにお渡しした資料の罪名別人員のところを見ると、重大事犯というのは別に平成元年から特に最近ふえているわけではないんですね。そうすると、執行率が八割以上のところが非常に高まってきたというのはどういう理由なんでしょうか。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 個別具体的にどのようなものについて仮釈放を許可するかにつきましては、準司法機関であります地方更生保護委員会が個別具体的に判断される事項でございまして、確たることを申し上げることは困難でございますが、被害者を含む社会の感情が厳しい事案とか、それから相応の期間を要する施設内処遇が求められる事案が少なくないというようなことが考えられまして、こうした種々の要因が地方更生保護委員会の個々の審理に影響を与えているのではないかというふうに考えているところでございます。

横路委員 一人一人の処遇をどうするかというのは、地方更生保護委員会でいろいろ総合的に判断する、その累積の数字なんですが、おっしゃるとおりだと思うんですが、しかし、実際問題としてはこれだけ非常に変化してきているということで、資料の例えば刑期の方を見てみますと、二年以内の刑期というのは、平成五、六年ぐらいからずっと刑期も重くなってきていて、軽い刑期が減ってきているんですね。

 だから、刑期の面でもかなり重くなり、それから執行の面でも重くなっている、こういうことで、その中身がどうなるかという分析をやはりきちんとしていただければと思います。そうしないと、実は不定期刑をやっている意味がないんですね。不定期刑をやっている意味がなくて、ほとんど八〇%以上を刑務所の中に入れておくということでは、これは少年法の意味というものが実際の運用の中で反映されていないということでございます。

 犯罪が重くなったとも必ずしも言えない、それから、入っている人間の資質がどうこうということも必ずしもわからないということで、社会的な感情だけで重くするというのも、更生ということが一つの大きな目的でもありますから、そこから見ると、必ずしも社会的感情で重く入れているんだというのも余り説得力のある話ではないと思いますので、分析を一度しっかりやっていただければと思いますが、いかがでしょうか。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の点につきまして、基本的に、先ほど申し上げましたように、仮釈を許すかどうかというのは準司法機関である地方更生保護委員会がやっていることではありますが、その原因について、私どもで分析できる範囲で一度研究してみたいというふうに思っております。

横路委員 そこで、問題は受刑者の仮釈放の要件なんですね。

 この要件が、従来は四つの項目がありまして、悔悟の情、改善更生の意欲、犯罪をするおそれがない、あるいは保護観察に付することが相当である、社会の感情という四つの項目があって、それを総合的に判断するということだったんですね。

 法制審の中で、総合的にと言ってもわからないからはっきりしろというような議論もあったこともあるのかもしれませんが、その前からですが、規則の二十八条、悔悟の情及び改善更生の意欲があり、それから再び犯罪をするおそれがない、それから保護観察に付することが改善更生のために相当である、ただし、社会の感情が仮釈放を是認すると認められないときは、この限りでないという項目がついたんですね。だから、仮釈放の基準が変わったわけです。

 そこで、一つお尋ねしたいのは、悔悟の情があって、改善更生の意欲があり、犯罪をするおそれがなく、保護観察することが相当であると判断した場合でも、だめになることがあるということですね、この規定からいえば。それはどうなんでしょうか。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりでございまして、現行法では、まず、悔悟の情及び改善更生の意欲の有無、それから再犯のおそれの有無、それから保護観察に付することの相当性を順次検討いたしまして、仮釈放はこれらが全て認められるときに許すということにした上で、「社会の感情がこれを是認すると認められないときは、この限りでない。」という形でただし書きを置いておりまして、そういうふうな形の判断過程になるということでございます。

横路委員 だから、そこが問題なんですよね。本人も一生懸命改善しようと努力して、判断としても、犯罪をするおそれはない、しかも、改善更生に非常に意欲があるし、反省もしているといいながらだめになると。そのだめになる基準というのはどうなんでしょうか。

 つまり、ここがよくわからないのは、ただし書きのところで認められないという、その認められなかった件数というのはもともとどの程度あるのか、それから一体これはどういうことが根拠で、基準というのは何なのか。遺族の感情ということが一つあるということは従来から言われているわけでございますが、しかし、本人がそうやって意欲を持ってやってきても、遺族がだめと言ったら出られないのかということになって、それが本当にいいのかどうかということがあります。

 この辺のところは、基準はどうなんでしょうか。このただし書きのところの基準というのは一体何なんでしょうか。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 仮釈放が是認されるか否かという観点からの社会の感情を考慮するというふうにされているところでございますが、この点につきまして、さらに通達がございまして、社会の感情が仮釈放を是認するかどうかを判断するに当たっては、被害者や被害者遺族等の感情、その他の関係人及び地域社会の住民の感情、裁判官または検察官からの意見が表明されている場合には、その意見等を考慮するものというふうにされているところでございます。

 例えば、このうち、被害者の感情につきましては、更生保護法の規定によりまして、仮釈放審理に当たって被害者等が意見を述べることができるという制度が導入されているところでございます。

横路委員 今のお話で、地域の感情というのはどういうことなんでしょうか。つまり、本人が一生懸命改善する、犯罪を犯すおそれはない、改善していると。地域の感情というのはどういうことなんですか。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 一概に申し上げることは難しいんですが、仮釈放になると、当然、地域に戻るということになります。すると、犯罪の種類によって、地域の方でどの程度受容することができるか、そういったことも一つの、あくまでも一つの参考にするということであって、それで全てを決するということではないわけでございます。

横路委員 それは帰る地域を変えればいいだけの話で、それは可能だと思いますよ。施設もいろいろあるわけですから。

 それから、検察官、裁判官の意見というのは、規則の十条にもそういう規定がありますよね、たしか十条だったと思いますが。これは、裁判官からの意見を聞くというのはどういうことなんでしょうか。そういうケースというのはあるんでしょうか、釈放に当たって。

西田政府参考人 お答えいたします。

 おっしゃるとおり、刑事施設の長が仮釈放を許すべき旨の申し出をする際に、そういった規定がございます。

 個別個別のケースによって違うと思いますけれども、私どもが今把握しておりますのは、検察官に意見を聞いたというのは聞いておりますけれども、急ぎ調べてみたんですけれども、裁判官に受刑者の仮釈放について意見を聞いたということは、今のところ、まだ聞いておりません。

横路委員 これは、裁判所の方はどうですか。そういうケースというのはあるんでしょうか。

今崎最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 ちょっと通告のない質問でございましたので、私どもの方では詳細は把握しておりません。

横路委員 裁判所に聞くというのはおかしいと思いますね、判決を下した裁判官に聞くのかどうかわかりませんが。

 要するに、その三つの要件が整っていても、今言った、被害者、地域、それから検察官の意見でだめにするということがあるということなんですが、私はやはり問題点がそこにあるというように思います。

 遺族から意見聴取をした場合の仮釈放の審理事件の結果を見ますと、平成二十五年では、許可率は七七・七%で、ほかより大幅に減っていますよね。それだけ遺族感情、多分、遺族の感情を重点にやっておられるんだというように思います。不許可の件数がやはりかなりふえていますね。

 中に入って反省をして、早く社会に戻ってやろうといって努力している、そういう人の努力をやはりよく見てほしい。だから、入って何年か、五年とか六年たつ人間もいるわけで、その犯罪を犯したときと今は事情が変わっているということをよく遺族の人にも伝えるとか、そういう情報を遺族の方にも提供しないと、遺族の感情だけでもって、ノーと言ったからだめといって釈放を取り消すというのも残念なことだと思います。

 というのは、仮釈放と満期出所者の再犯率というのは、やはり圧倒的に違うんですよね。少年ばかりじゃなく、一般でも大体二割ぐらい違うんじゃないでしょうか。

 ですから、やはり仮釈放するということの意味というものを十分考えて、私は、そういう遺族に対する情報の提供などもしっかり、これはどこでやるのか、地方更生保護委員会でやるのか、審査機関がそこだからそこがやるんでしょうか、ぜひそういう努力もしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 更生保護におきましても、被害者対応ということで種々の制度を導入しております。その一つが、先ほど申し上げました、仮釈放に当たって、御希望される被害者の方々の意見をお伺いするという制度でございまして、また、これは保護観察中の者ではございますが、保護観察の状況なども被害者の方が希望があればお伝えするというような制度なども導入しております。そういう形で対応しているところでございます。

横路委員 先ほどお話しした森田裁判官が、当時よく、少年法は泣いているとか少年法は泣かされているとかいう話をしていました。保護観察官も家裁の調査官も一生懸命やっているのに、何かあると、悪いのは少年法だと言われてしまうということで、学者の中には、もう今や少年の不定期刑制度は消滅寸前の状態にあるというようなことを言う学者もいます。

 最後になりますが、運用の面で、やはり不定期刑の意味というものを考えて、先ほどの分析もしっかりしていただいて、本当に反省をして、改善の要あり、更生の意欲もあるし、その可能性があるんだという人間に対する対応は、やはりもっと柔軟に対応していただきたいな、それが不定期刑の意味だというように思いますが、大臣、いかがでしょうか。

谷垣国務大臣 最初に御答弁いたしましたように、少年の改善の可能性というのは、やはり我々はそれを生かしていかなきゃいけないと思っておりますので、適切な運用になるように、いろいろなところが関与しておりますから、私ができる範囲とできない範囲がございますが、私のできる範囲でそれは努力をしてまいりたいと思います。

横路委員 前の有識者会議の「仮釈放のあり方等について」という取りまとめの中に、仮釈放の運用が厳格化している状況を踏まえ、改善更生の意欲のある者は、現在の運用よりもさらに早期に仮釈放し、社会内処遇に適さないおそれのある者は、仮釈放の判断を厳しくするなど、めり張りのついた対応をすべきであるという答申があって、このとおりだと思うんですね。したがって、そういう精神でこれから運用をやっていただきたいと思います。

 時間がなくなってきましたので、そのほか通告している仮釈放に関連する問題、最高検通達などはちょっと省略をさせていただきまして、地域生活定着センターの方に問題を移していきたいというように思います。

 地域生活定着センターは、皆さん御承知のように、矯正施設の収容者のうち、高齢または障害があると認められる者、高齢というのは六十五歳以上ですね、それから矯正施設退所後に住居のないこと、退所後に自立生活を営む上で福祉サービスを受けることが必要であること、本人が希望していることという者を特別調整対象者として、社会復帰と地域生活への定着を支援して、再犯防止に資することが目的です。これはなかなかすばらしい制度、仕組みであるし、まだ始まって三、四年ですけれども、各地で皆さんが非常に努力をしてやっておられます。

 それで、まずこれは、矯正施設の方が、この取り扱いに対する支援が必要と思われる被収容者を保護観察所に通知して、そこで判断をして、選定をして、地域生活センターが受け入れ先の調整を行うというように制度、仕組みはなっています。

 センターの方からは、できるだけ早く特別調整対象者というのを教えてほしいということで、一応原則は六カ月前に選定するということになっています。その選定に当たっても、専門家が必要だということで、社会福祉士の資格を持った人間を非常勤で入れているということなんですが、これは全部の刑務所に配置されているんでしょうか。

西田政府参考人 社会福祉士の配置状況でございますけれども、二十六年度、本年度におきましては、市原刑務所とか一部の拘置所を除きました全ての刑事施設六十九庁に九十四名、それから少年院におきましては、障害または疾病を有する少年を収容する施設を中心としまして、十二庁に十二名の非常勤の社会福祉士を配置しております。

 また、これはあくまで非常勤でございますので、実は、新年度におきましては、社会福祉士または精神保健福祉士の資格を有する福祉専門官を刑事施設十二庁に十二名、これは常勤の職員として配置することといたしました。

 以上でございます。

横路委員 刑務所の収容人員も大きいですから、一人で全部やるというのもなかなか大変だと思いますので、これからもこれはぜひ充実をしていっていただきたいというように思います。

 そこで、これは富山県のケースなんですけれども、その特別調整を、センターと刑務所と保護観察所が協力して特別調査選定会というのをつくって、そこで、もちろん本人の同意のもとに、対象者としての要件を満たしているのか、どんなサービスが提供できるのか。サービスを求めていても、人によってどんなサービスが必要なのかというのは違います。これを選定の段階でやっているんですね。

 私は、これは必要なことではないか。要するに、いろいろな関係するところと連携を強めていかなきゃいけないわけなので、こういうやり方というのは、ほかにもあるのか、富山県だけなのか、御存じでしょうか。

西田政府参考人 お答えいたします。

 先ほどおっしゃいました特別調整につきましては、実は、九州の長崎刑務所で一番最初に、非常にいろいろな多機関が連携しまして、そういった協議、調整を始めたということがございます。それから、その後、高松刑務所におきましても、ちょっと仕組みは違いますけれども、同様なことを始めております。

 現在この二つでいろいろなことをやっておりますけれども、この取り組みを踏まえまして、いい取り組みもございますので、これから、新年度の早いうちに幾つかの庁で試行を始めてみたいようなことも考えておるところでございます。

横路委員 このセンターの役割というのは非常に大事で、支援というのは、例えば、障害者手帳を取得するとか、介護の認定を受けるとか、生活保護の申請をするとか、あるいは障害年金の申請をするとか、成年後見人の申し立てをするとか、高齢者、障害者でいろいろな人がいますから、大体今まで放置されていたのをしっかりやろうということなので、大変大事なんです。

 やはり最初の特別調整対象者を選ぶところが非常に大事なので、これを連携してやるような仕組み。いろいろな事例というのは、「更生保護」という雑誌なんかに報告されていますので、ぜひ、そういう事例を見て、いいなと思うものはやはり広げていくということが大変大事です。

 この連携、ほかにも、これから、自治体の福祉関係とか、それからもちろん福祉施設だとか、いろいろ連携しなければならないところはたくさんありますでしょう。あるいは、障害者の相談事業所ができると、今度はそちらの方で、ではちょっと一緒にやろうというようなことにもなると思うので、そういう点などもぜひ連携を強めるということを進めていただきたい。これがまた地域生活定着センターの方の要望でもありますので、そこをひとつぜひお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

西田政府参考人 お答えいたします。

 受刑者にとって、特別調整対象者となって出るような者につきましては、当初のどういった選定をするかということだけではなくて、出てからどういう生活ができるかというのは非常に興味もありますし、重要な社会復帰、改善更生に必要なことでございますので、ありとあらゆる当方に手を差し伸べていただけるような機関とは、ぜひ連携を深めましてやっていきたいと思っております。

 刑務所側としましても、やはりそういった引き取り手のいない受刑者というのは、我々の仕事としても難しいものがございますので、我々の仕事としても、そういった地域、いろいろな機関に連携してお助けをいただくことからも、頑張っていきたいというふうに思います。

横路委員 刑務所の中というのは、作業が原則なんですよね、作業が。しかし、どうするかというと、センターなどからの希望は、福祉的な処遇プログラムということも必要な人間がたくさんいる。この間、長崎地検の検事正が札幌地検に移ってきたんですよ。そして、すぐ福祉施設を集めていろいろなお話をされたというのを、福祉施設の方からお話を聞きました。

 出所者を預かってくれと言われても、一体どうなのかというのは、やはりなかなか不安もある。本当に日常生活がちゃんとできるのか、集団的生活になれるのか、コミュニケーション能力はあるのかというようなことをちゃんと教育してもらいたいというのが、福祉施設側の要望でした。

 そして、今確かに、福祉的な社会復帰支援の指導、そういうことをやっている刑務所も幾つかあるようでございます。しかし、まだまだ全体のものにはなっていないんですね。

 センターの方からの要望は、例えば、福祉施設がやっているそのためのいろいろなノウハウがありますよね。こういうことは刑務所の中は無理だろう、みんなでゲームをしたり、みんなで歌を歌ったりというようなことなんですが。いずれにしても、福祉施設のノウハウを学んで、そういう外に出てもなかなか大変な人に対して、福利施設に受け入れをこれからどんどん要請していく。

 長崎のように、起訴する段階でどうするかとか、判決の段階で判決をどうするか、では保護観察つき執行猶予にしようとか、起訴猶予にしようとか、起訴猶予にしても、そのまま外に出すのではなくて、その場合は更生施設の方でちゃんと受け入れますよということが事前に話ができていて、長崎なんかのケースはやっているんですね。

 これは、すぐどこでもできるというものではありません、周りの協力というものが必要ですから。しかし、この福祉的処遇プログラムの必要性というのは、確かに刑務所の中でも、今幾つかの刑務所でやっているのを広げていって、やる必要が絶対あると思うんですね。この点はいかがでしょうか。

西田政府参考人 現在でも、不十分ではございますけれども、全受刑者を対象に、一般改善指導として社会復帰支援指導というのを行っております。ただ、中には、問題性がやはり深い者がおりますので、特別調整の対象者とか、そのような者に対しましては、高齢受刑者等になりますけれども、現在、先ほど御指摘ありました、福祉施設の助けをいただきまして、福祉施設の職員による福祉制度に関する講話をやったり、また、そういった施設でやっております、作業療法士とか理学療法士とか言語聴覚士による実技指導で、ゲームではございませんけれども、いろいろ声を出して、そういった訓練をしたりといったこともやっております。

 それから、そもそも本人が、特別調整がどういうものかわからないで希望しない場合もございますので、地域生活定着支援センターの職員による特別調整についての話とか、そういったものもやっているところでございます。

 先ほど申しましたように、長崎とか高松だけで今非常に本格的にやっておりますけれども、こういったものを幾つか、周辺の人的、物的資源が必要になりますのでどこでもというわけにはいきませんけれども、何カ所か選定をしまして、そこでそういったプログラムを標準的なプログラムとして試行してまいりたいというふうに考えております。

横路委員 いや、それは、やる気になればできるんですよ。検事正が、かわっていった先で、同じような試みをやろうと思って努力しているわけですからね。

 しかし、やはり初めてのことで、そういう経験というのは、ほかに広がっていって、みんなが情報やそういう知識を共有するということがなければ、なかなかそうならないと思いますので、これはやはりちゃんと各地域の、地検の検事正がきっと中心になるんでしょう、そういう人に指示をおろして、そして福祉施設の側は、協力しようという意欲がある地域もありますので、できるところからやるということで、拡大をしていっていただければと思います。

 そして、もう一つ意見としては、矯正施設から直接福祉施設へ移るというのはなかなか難しい、そのとおりだと思います。集団生活なんかはコミュニケーションの問題もありますし、あるいは、ADLの正確な把握とか行動の特徴ということもなかなか問題があって、中間施設の利用中にそういう生活能力、行動特徴のアセスが可能になれば、比較的安心感を持って受け入れられるということで、例えば指定更生保護施設、こういうところに入ってやればいい。

 ところが、まだこれを運営していない自治体もありますよね。何か八つほどあるようなんですが、何でこれはないんでしょうか、その八つほどの自治体は。拒否しているわけですか、地域に反対があるわけですか。あるいは、少しお金や何かがかかるから嫌だと言っているのかな。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっとつまびらかではないんですが、委員御指摘のとおり、指定更生保護施設、八つの県について未設置になっております。その八つの県がどうして未設置なのかということにつきましては、例えば、そういう施設になるには、中を改造して高齢者を受け入れるような建物にしなければいけないとかいろいろな条件もございまして、そういうことでなかなか難しいような部分もあるのではないかというふうに推察いたします。

 ただ、現状で、全国五十七の指定更生保護施設において、未設置の県の対象者も含めて受け入れているところでございます。受け入れの実績状況を見ながら適切に対処してまいりたいというふうに思っております。

横路委員 更生保護施設は全国に百四もあるんですよね。そして、指定更生保護施設になると、専門家を配置するんでしょう。そして、いろいろと問題のある高齢者や障害者の一時的な受け入れをする。そこでトレーニングして、また今度は福祉の施設に行くかどうかということになるわけで、やはりそういう中間施設としては、ほかの更生保護施設にはまだそういう専門家の配置というのは成っていないんですよね。ですから、ぜひ、今のやっていない八つの県にこれをお話しして、指定更生保護施設の指定を受けるように努力してください。いかがですか。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ありがとうございます。ただ、予算等の問題もございまして、また、そういうことも踏まえて、できるだけ委員御指摘の方向になるように努力していきたいというふうに思っております。

横路委員 あと、居住という点で、最近、自立準備ホーム、これも全国で随分ふえていますよね。ただ、自立準備ホームの場合、住居を提供するということが中心になっていますが、例えば就労支援とかいうような観点はどうなっているのか。多分、出所して更生保護施設に入る人よりは軽い人でしょう、自立の可能性のある方が自立準備ホームに入るんじゃないですか。多分そういう扱いになっているんだと思います。

 これは、保護観察所に登録をするということのようで、NPOとか民間のいろいろな福祉法人などがあって、そこが持っている部屋があいている場合にそこに入れるという話でございますが、指導の方はどうなっているのか。就労支援や何かというのは自立準備ホームの方でもそういう努力をしているのか、ただ家を提供するだけなのか、その辺がちょっとよくわからないんです。本来ならば、やはりしっかりやれるような、これは一人当たり幾らというお金をたしか出しているんですよね。その辺のところはどうなっていますか。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 自立準備ホームにつきましては、更生保護施設の定員二千三百人で受け皿として必ずしも十分ではないということで、緊急的な措置ということで、平成二十三年度から、NPO法人とか社会福祉施設で宿泊施設があってあいているところ、そういうところについて審査をして登録しております。

 基本的には、宿泊場所と食事の提供をしていただくということですが、例えば、ことしの一月現在で二百七十四の登録事業者がございますが、福祉法人が二十五あるというようなことで、そういうところの中には、積極的にそのノウハウを活用して福祉的なサービスにつなげるというようなことをやっていただいたりしているところもございます。

 基本的に、自立準備ホームに入っている方に関する就労等の支援につきましては、当然、保護観察中ですので保護観察官もついておりますし、それから保護司もついておりますので、保護観察官が保護司と連携し、さらに協力雇用主の協力も得て積極的に進めるという方針を今とっているところでございます。

横路委員 そのかわり、自立準備ホームの方は、食事と住居を提供するだけで、それ以外のことは別にやっていないわけですか。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 自立準備ホームもいろいろございまして、非常に熱心に就労支援とか生活指導をやっていただいているところもございます。先ほど申し上げましたように、社会福祉法人が経営しておられるところなどは、また福祉的なサービスにつなぐとか、非常に熱心にやっていただいております。

 ただ、いろいろ、やっている内容が違うというところがございまして、基本的には、就労支援とか生活指導等は保護観察官と保護司、それから就労につきましては協力雇用主が連携して、もちろん自立準備ホームとも連携しながら進めているというところでございます。

横路委員 刑務所を出るときに、どこに住まうかというのは、生活保護の支給だとか、それから、今度の障害者総合支援法の中の相談センターが行う地域移行支援、定着支援という事業がありますよね。これはどうなんでしょうか。出た場所がということになるのか。意外と受け皿の町村で、いや、うちの方ではない、いや、そっちだとかという議論も若干あるように聞いていますが、その辺のところはどうなっていますか。

有岡政府参考人 お答えいたします。

 まず、生活保護制度でございますが、刑務所出所者が出所いたしまして住む場所、ここを所管します自治体が実施機関となります。また、地域生活定着支援センターの調整を受けまして、帰住予定地、住む予定地が確保された場合につきましても、その予定地を所管する自治体が実施機関となるところでございます。

 一方、障害福祉制度でございますが、矯正施設等の退所後、障害者支援施設あるいはグループホーム等に入所、入居する場合、あるいは、矯正施設等からの退所に当たって地域移行支援等の支援を利用する場合でございますが、これにつきましては、当該矯正施設あるいは障害者支援施設等の所在する市町村の支給決定事務あるいはその費用負担が過大にならないような配慮をしているところでございます。

 まず、矯正施設収容前に居住地を有していた障害者につきましては、その居住地の市町村が支給決定を行います。また、矯正施設収容前に居住地を有しない方あるいは居住地が明らかでない方につきましては、逮捕された場所、逮捕地の市町村において支給決定を行うこととなります。

横路委員 ちょっとなかなか難しいですね。出たところでやるというわけにいかないんでしょうか。

 例えば、北海道の刑務所に入っているのは、大体七割ぐらいは本州の人間なんですよ、刑務所がたくさんありますからね。そうすると、戻りたいという人もいます。そういう場合には、どこになるんですか。戻りたいというところの、前に住んでいたところがあればそこ、逮捕された場所というのは全国どこでもあるわけでしょう、そこでやるということになると非常に手続が複雑になりませんか。そういう連携はどうやってやるんでしょうか。

有岡政府参考人 先生おっしゃるように、福祉の場合は、実際に新しく住む場所の自治体がこれを行わない場合があるわけでございますけれども、これにつきましても、もとの住所地それから福祉施設、こちらの方で連携して、事務的には、現在のところ適正に行われているというふうに考えております。

横路委員 だから、出た場合に、そこの地域でまずは対応するということはできないのか。前の住んでいた場所とか逮捕された場所の市町村にかわって作業そのものは進めるということはできないんですか。

有岡政府参考人 これにつきましては、そういうお考えがあるというのも認識しておりますけれども、先ほど来申し上げておりますように、支給決定の事務あるいはその財政負担、これがどうしても過大になるということで、この点を配慮いたしまして、先ほどのような取り扱いをしているところでございます。

横路委員 もうきょうは時間がありませんから、後でゆっくりもう一度調べて。しかし、ちょっと複雑ですね。

 これは非常にいい事業だと思うんです。矯正施設の中に入っている人に、これは事前にも相談に行って、そして特に障害者の人たちが地域に住むためのいろいろな相談を受けてそれを行うという事業でございまして、この四月一日から対象になったんですよね。だから、これからということなんですが、やっていくうちにいろいろな問題も出るでしょうから、また改めてやりたいというように思います。

 それからもう一つ、ここで、さっきのセンターの方から、退所後に継続的な通院、入院が必要な者が大半で、受け入れ施設に入った途端、重い病気が発覚することがある、したがって、特別調整対象者として選ばれた者については余りそんなことのないように、結核だとか肝炎だとか皮膚の疾患だとか、そういうことについては検査をちゃんとやって、その上で渡してほしいと。受けたはいいけれども、受けた途端に大きな病気が発覚したというケースがやはりあって、受けた方で大変苦労しているケースもあるからというのがセンターの要望事項になっておりますので、この点もひとつぜひ御努力いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

西田政府参考人 お答えいたします。

 矯正施設におきましては、どういった場合でも一応健康診断をしまして、検査をして、どういった感染症を持っているかということを把握しますけれども、高齢者、障害者のように特に自立が困難な者、いわゆる特別調整の対象者につきましては、その者の医療上、保健上の観点から個別に検討しまして、必要に応じて、先に保護観察所の長に対して当該情報を提供する扱いとしております。

 また、中でも感染症に関する情報につきましては、帰住先ですとか保護観察所、地域生活定着支援センターへの確実な引き継ぎが非常に重要でございますので、既に判明している感染症の情報について引き継ぎますけれども、それ以外にも、必要に応じて、結核ですとかウイルス性肝炎、性病その他感染症に関する検査を実施して引き継ぐような取り扱いとしております。

横路委員 しっかりやってください。

 それから、センターの方なんですが、センターの方から、これは支援している件数が各県で全然違いますよね。非常に多い福岡みたいなケースもあるし、ほとんどゼロみたいなところがある。しかし、あれは一律にお金は支給されているんでしょう。そういう意味でいうと、支援が一定になっているんだけれども、多いところ、必要なところにやはりもうちょっと手厚く対応してほしいという要望があります。

 私のところの北海道も、札幌で函館や旭川を見ているんですね。旭川は割と重い人が入っていますが、函館が初犯が中心なので、函館の人に用があるんだそうですが、片道四時間かかるんですよね。だから、やはりなかなか大変なので支所を函館に置いてほしいという要望があります。

 ほかの地域でも幾つか、件数の多いところについて、このセンターの方の仕事も非常に今大変で、人数は四、五人でやっているんでしょう。みんな大変苦労しながら、しかし非常に使命感に燃えて仕事をしています。そういう、状況に応じた対応をぜひ考えていただきたいと思うんですが、いかがでございますか。

古都政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、地域生活定着支援センターというものが、当初、全ての都道府県に早期に設置できるようにということで、全国一律の補助基準、あくまでも、一カ所当たり、現在は二千五百万円を上限といたしまして、実情に応じて補助をいたしておるというところでございますが、当初は設置を推進したわけです。

 しかしながら、ただいま御指摘にありますように、全国に展開をされた結果、人口規模、あるいは県内に所在する矯正施設の数などに応じまして、センターの業務量に差が生じてきているということは御指摘のとおりでございます。

 特に、矯正施設が多く設置されております北海道でありますとか大都市圏に設置されているセンターの業務量は多くなる傾向がございますので、これまでも、センターの設置をお願いしている都道府県の要望に配慮してきたところでございますけれども、今後は、各センターの業務量も踏まえ、限られた予算の範囲内ではございますが、業務負担の重いセンターの業務が円滑に行われるよう対応を検討してまいりたいというふうに思っております。

横路委員 よろしくお願いします。

 時間がなくなりましたので、長崎の今のケース、現在行われていることについて少しお話をしたいと思うんです。

 これは、センターの人たちはみんな入り口支援と言っています。つまり、今までは出た後の話ですよね。ところが、その前の段階でいろいろと対応はできないだろうかと。つまり、刑務所ではなくて福祉施設で更生させる試みをということで、これは、最高検が中心になって、例の大阪の事件の後どうするかということを相談した中の一つとして出されてきたことでもありますし、あそこは田島さんという大変熱心な人がいて、彼の努力に負うところもあるのでございますし、福祉施設が非常に充実しているという環境もあります。

 入り口支援というのは、裁判中の、つまり被告人に対する支援、それから起訴段階、それから警察の捜査段階における、容疑者の段階における支援で、特に障害者についてです。

 弁護士が申し立てをすると、審査委員会というのがあって、そこで専門家が審査します。どういう処遇をしたらいいのかというのは、判定委員会があって判定をして、そして開発のプログラムをつくるわけですね。そうすると、この人はむしろ刑務所に入れるよりも施設の方で対応した方がいいということになると、検察官の方も、例えば累犯の障害者なんかの場合でも、起訴猶予にしてもまたすぐにやってしまう、そうかといって実刑判決をやっても、満期になって出てきたらまた犯罪を犯してしまう、そんなことのないように何とかできないだろうかということで、そういう仕組みをつくっています。

 この仕組みは長崎のケースで、ほかにはなかなか広がってはいないんですけれども、先ほど言ったように、長崎の地検の検事正が札幌に行って、札幌でそういう試みをやろうといって、やはりそういう提起がされれば協力しようという施設も出てくるわけでございまして、これからのことでございますが、大変いいことではないかと思います。

 この中で一つ、立会人ですね。障害者の取り調べについて、立会人、専門家をつけるということは長崎以外にも拡大しているようでございますが、この立会人というのは今どの程度の地検でやっているのか、わかれば教えていただきたいと思います。

林政府参考人 検察当局におきましては、知的障害によりコミュニケーション能力等に問題がある被疑者に係る事件について、取り調べについて立ち会いを求めたり、あるいは助言を求めたり、外部の専門家に求めるなどの試行を行っているところでございます。

 これまで、この助言、立ち会い、特に立ち会いについて実際に行っていただいた方々というのは、例えば、知的障害者の供述特性に精通している心理学を専門とする大学教授でありますとか、あるいは社会福祉士の資格などを有する社会福祉のアドバイザー、こういった人たちに取り調べに対しての立ち会いをお願いしている。あるいは、取り調べの前後に、取り調べに当たってのさまざまなアドバイス、助言をいただいているというようなことをしておると承知しております。

横路委員 これは今広げる努力はされているんですか、各地に、長崎だけじゃなくて。どういう状況でしょうか。

林政府参考人 これにつきましては、特に地域、検察庁を限定しての取り組みではございませんので、各地において、取り調べの立ち会いの試行、あるいは助言を求めるというようなことは、各庁の判断で行っております。

 もとより、外部の方のリソースのあるところ、ないところ、少ないところ、いろいろさまざまでございますが、各庁の実情に応じて行っているものと承知しております。

横路委員 もう時間がなくなりましたので、この長崎方式というのは研究に値するやり方だと私は思いますので、後ほどまた議論させていただきたい。

 最後に一つ。刑務所を出るなり、あるいはいろいろな保護施設を出ても、やはり職業を持っているか持っていないか、仕事をやっているかやっていないかでまた違うんですね。有職者と無職の人の犯罪の再犯率というのは非常に違っています。

 それで、最近はハローワークと一緒に支援チームができてやっているわけなんですが、刑務所の中において資格や免許の取得の作業をやっています。これはなかなかいい作業で、希望者も非常にふえて、合格者が二十三年度で六千三百七十六人いる。今、やはり必要な人間などもやっているんですね。

 この資格を持った人たちがどういうように仕事についたかどうかというのをちょっとお尋ねしたら、その調査はやっていないということだったんですね。非常に残念なことなので、それが明確に示されれば、まだ必要な資格、免許について拡大をして、そしてやることが、多分再犯を防ぐ上で非常に大きな要素になるというように思うので、お願いなんですが、これはぜひ調べて、美容師や理容師や、ホームヘルパーからボイラー技士から溶接の技能者からいろいろおって、今の時代で人手が足りないという分野もこの中にあります、その辺の関連を調べていただければというように思いますが、その点、いかがでしょうか。

西田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御指摘ありましたように、出所した受刑者全ての追跡調査というのはなかなか難しゅうございますので、何らかの工夫をしなきゃいけませんけれども、ただ、職業訓練を受けた者と受けていない者の再入率で申しますと、受講した者の方が受講していない者よりもはるかに再入率が低いという結果も出ておりますので、こういった結果を踏まえまして、実は、保護観察所等と連携しまして、何かうまい工夫をして御指摘のあったような調査ができないかということを考えておるところでございます。

横路委員 これは、刑務所の成果をちゃんと明らかにして国民に知らせるためにも、そういう調査はしっかりやってもらいたいと思いますし、どこが就職が多かったか、いわば多かったところの範囲を広げていけばいいわけでしょう。だから、そういう努力をやっていただきたいと思います。

 最後に、高等学校卒業程度認定試験というのをやっていますよね、矯正施設の中で。これも非常に大事なことなので。

 先ほどちょっと言いました、例えば東京で、高等学校の在学中あるいは高等学校を中退したというのが全体の少年の五六・五%、大阪で五〇%もいるんですね。こういうような子供たちに対して、やはり高等学校卒業程度認定試験というようなことで、頑張ってやったという結果が出れば、これもまた就職や何かについて大きなプラスになるんですね。ですから、この辺のところももっと充実してやってほしいなというように思います。

 大体人数は、出願者が九百人ちょっとぐらいですか。でも、これは、少しずつではありますけれども、ふえているんですね。これはもっとふやすことができるのか、今のこちらの方の体制でそれが難しいのか。私は、この辺のところを、ぜひ若い人を中心に、先ほど言ったような、犯罪を犯してしまうと、高等学校、特に公立高校はすぐ退学というようなことになってしまって、それは非常に残念なことなんですが、そういう実態がありますので、ぜひ、この卒業程度認定試験というんですか、これは非常に大事だというように思いますので、これも充実していただきたいというように思います。

西田政府参考人 お答えいたします。

 数で申しますと、先ほどおっしゃいましたように、二十五年度で、全国で九百三十四名が受験して、一科目以上の合格者が八百六十二名、うち三百二十二名が高卒認定合格者になっております。

 だから、これまでは矯正施設ということで難しゅうございましたけれども、平成十九年度から、文科省と連携しまして、刑務所の中で、少年院の中でこれが受験できるようになりましたので、これからもどんどん拡大して、推奨して、受けさせたいというふうに思っております。

横路委員 これで終わります。余り法務大臣にお尋ねできなくて、恐縮でございました。

江崎委員長 次に、西田譲委員。

西田委員 日本維新の会の西田譲です。

 よろしくお願いいたします。

 きょうは、二つのテーマで一般質問を行わせていただきたいと思います。一つは外国人労働者の問題、そしてもう一つはADR法についてという二点で質問させていただきたいというふうに思います。

 まず、外国人労働者の問題でございますけれども、この問題は、当委員会でも多くの委員の先生方から問題提起がなされているところでもありますし、本日も、先ほどの御質問でも、団体監理の不正事件についての御質問があったかというふうに思っております。

 まず、外国人労働者ですけれども、単純労働の受け入れということはもうないわけでございまして、西ドイツの例を出すまでもなく、一たび安易に外国人の労働者を受け入れてしまえば、経済情勢がよくて人手不足にあるときはいいんでしょうけれども、必ずしもそうでないときには、やはりさまざまな問題、負の遺産を抱えてしまって、逆戻りもできずに、ずっとその問題に対応しなければいけないという事例もあるわけでございますから、これは非常に慎重に考えていかなければいけない問題です。

 しかし一方で、では、全く外国人に対して冷たい国なのか、受け入れない国なのか。そうではないわけでありまして、きちんと決まった仕組みの中で限定的に、緩やかに緩やかに、時には後戻りをしながら受け入れていくというのが我が国の政策であるのかなというふうに個人的には思っているところでございます。

 昨年の委員会、三月二十二日の質問の際、外国人実習制度について取り上げさせていただきました。そこでは、この実習生制度、もとになりました研修生制度が、日本は当時、バブル期も後半でございますか、人手不足の中でどうしようかといった本音があった中で、しかし一方で、先ほど申したように、もう何でもいいから入れてしまえというのではない形で制定された。当時、谷垣大臣も自民党法務部会でこの議論をされたというお話も御紹介いただきました。

 しかし、二十年強運用されてくる中で、やはり制度の趣旨と実態の乖離ということの中で、さまざまな問題、ひいては殺人事件にまで発展するような事例もありました。私は、ここは、制度の趣旨というものがやはり非常に大事なのではなかろうかと改めて思っているところでございます。

 外国人研修制度、実習制度、これは技術移転による国際貢献というふうにうたっているわけでございます。しかし、実態は、企業にとってみれば安価な安定した労働力の確保、そして、来日する研修生、あるいは今であれば実習生にしてみればお金もうけ、出稼ぎ、そういった意図、それと制度の趣旨の乖離からさまざまな問題が起こってきているのではなかろうかということを思っております。

 そして、それを一年前の三月に御質問させていただいたところ、谷垣大臣からは、技術移転による国際貢献という制度の趣旨というのはそれなりの存在理由がいまだにあるんだというふうな認識を持っていらっしゃるという御答弁をいただきました。

 改めてお伺いしたいと思います。大臣は、この実習制度における制度の趣旨、技術移転による国際貢献という趣旨の存在理由はいまだにあるとやはり思っていらっしゃいますでしょうか。

    〔委員長退席、土屋(正)委員長代理着席〕

谷垣国務大臣 私はそう思っております。

 これは、この制度の利用の仕方はいろいろでございまして、中には困った事例というのもないわけではありません。

 しかし、おいでいただいた海外の方をきちっと教育して、その地域ともいろいろな連携をうまく図れるように工夫し、そしてまた、一度本国へ帰られた後もいろいろな意味での連携をとりながら、日本で覚えた技術をもって、例えば水産加工に従事しているような方ですと、日本からの水産物の加工品を受け入れる仕事をされているとか、いろいろなプラスの事例が、なかなかそういう事例は言っていただけないですね、どちらかというと、問題の事例がしばしば取り沙汰されるわけでございますが、うまくいっている事例もかなりあるんだろうと私は思っておりまして、そういうのを見ておりますと、まだ十分存在意義はある制度である、こういうふうに思っております。

西田委員 ありがとうございます。

 今大臣がおっしゃったとおり、私もいろいろな、ああ、これはいい事例だなと思うような事例もたくさん伺ったことがございます。例えば、受け入れた研修生が本国にまた戻ります。戻ったときに、日本での研修期間における活動によってさまざまな関係もできて、受け入れをしていた企業の海外進出のまさに足がかりとなって、本国に戻って活動をされたり、非常にそういったいい事例もたくさん聞いているわけでございます。

 しかし、これはあくまでやはり制度でございますから、こういう個人的に仄聞したというだけではなくて、やはり本当に検証がなされてきたのかといったことも一つ大事な観点かと思っております。

 そこで、きょうは入管局長にお伺いしたいと思うんですけれども、この制度は、本来の趣旨は、技術移転による国際貢献ということでございます。もう制度が始まって二十年強がたつわけでございますけれども、この技術移転による国際貢献がどの程度もしくはどういった形でなされているのかといったことの調査、検証といったものはどのようにされていらっしゃるのか、教えていただきたいと思います。

榊原政府参考人 お答えいたします。

 技能移転につきましては、当局で直接やっているわけではございませんけれども、これまで、公益財団法人国際研修協力機構、いわゆるJITCOにおきまして、帰国後の状況について調査を行っており、その結果によれば、一定程度、技能移転が図られているとの結果が出ているものと承知しております。

 また、JITCOは、昨年度におきましても、現行制度のもとで受け入れ、三年の技能実習を終了した者について同様のアンケートを実施しており、現在、その結果について取りまとめを行っているものと承知しております。

 いずれにいたしましても、法務省入国管理局におきましては、この調査結果なども踏まえまして、現在行っている制度の見直しの検討の中で、技能移転を確実に図るための方策についても検討してまいりたいと考えております。

西田委員 ありがとうございます。

 今、大幅な改正でまた準備をされていらっしゃる、そしてその中で技術移転ができるようなあり方も検討されていらっしゃるということで、これはまたお示しいただいた際に検討していかなければならないと思います。

 現在検討されていらっしゃるということの中で、やはりさまざまな、私は、この制度の趣旨に、余りにも国際貢献を重視してしまったばっかりに、運用上、実態でこれはどうかと思うような実情がたくさんあると思います。恐らくそれも把握していらっしゃると思います。

 例えば、職種の問題でございますね。先ほど大臣は水産加工の話を例に出されましたけれども、水産加工は認められているんですけれども、食品加工は認められていないわけでございますね。この六十八職種が一体どういう根拠なのかとか、やはり非常にわかりにくいところもあるわけでございます。

 また、あわせて、これは複合職種としての申請はたしかできなかったのではなかろうかというふうに思うわけでございます。例えば、紳士服の製造で申請をする人は、婦人服や子供服をつくるという業種、これはなぜか分かれているのでございますけれども、実態は一緒だと思うんですけれども、複合の申請ができなかったり、それ以外にもさまざまな問題もあろうかと思います。

 また、今は、一年、二年、一号研修、二号研修になっていると思いますけれども、一年だけ研修をして、二号研修に移らずに帰ってしまう方の割合が非常に多うございますね。この辺の問題点。一号研修だけして帰るというのは、これはほとんど我が国に単純労働、出稼ぎに来て帰るようなものに実態としてなっていやしないか、こういった懸念もあります。そういったことをきちんと整理した上での改正でなければならないというふうに思っております。

 その辺の具体的な点について、もし今の段階でお答えいただけるようなことがあれば、お聞かせいただきたいと思います。

榊原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のようなさまざまな意見が寄せられていることについては承知しておりますけれども、現在、法務大臣の私的懇談会であります出入国管理政策懇談会の下に設けられました分科会において、さまざまな意見を踏まえながら御討議いただいているところでございます。そういったさまざまな意見を踏まえまして、さらに検討を加えまして、この年央までに一定の方向性を出したいというふうに考えているところでございます。

西田委員 ありがとうございます。

 ちょっと視点を変えたいと思います。

 これまで、ほとんどこの割合というのは、中国人の研修生、実習生が多いのではなかろうかと思います。いただいた資料だと約七割でございましたか、研修生、実習生のうち、ほぼ七割が中国人だということでございますけれども、これも、なぜこう中国人が多いのかということについて、どう分析されていらっしゃるのか、その辺を教えていただければと思います。

榊原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、技能実習生の在留者数の割合が、中国人が約七割を占めていることについては事実でございますけれども、当局におきまして、中国人の技能実習生が多い背景については、詳細な分析をしたことがございません。そのために具体的にお答えすることはできませんが、技能実習制度の趣旨を踏まえますと、一般的には、技能実習生の入国者数は、我が国の技能等を習得したいとする送り出し国のニーズと、国際貢献制度である技能実習制度を活用したいとする我が国の企業等の側のニーズが相まって決まってくるものと考えております。

西田委員 ありがとうございます。

 恐らく、表面的ではありますが分析をすれば、送り出し国である中国側からの理由、もしくは、受け入れ国である日本側からの需要、そういったものの結果ということになろうかと思いますけれども、数字だけを見ると、これは、技術移転による国際貢献といいますけれども、言いかえれば、ここまで中国の割合が多いとなると、中国に対する技術移転による中国への貢献という制度に読みかえることが可能だと思うんです。

 この実態は、やはり私は問題だなというふうに思うわけでございます。中国という国と我が国の関係、やはり緊張関係もあるわけでございますし、いろいろな影響も起こってくるのではなかろうか。中国には国防動員法というものも制定されたやに聞いておりますし、この制度が、今の実態のように、中国への技術移転による中国への国際貢献、七割というほとんどの割合を占めるわけですから、そういう状況であれば、やはりこの制度のあり方、そういった面からも検討をしていかなきゃいけないのではなかろうかというふうに思います。

 その点について、もし問題意識等があれば、教えていただければと思います。

榊原政府参考人 技能実習制度におきます中国人の割合が多くなっていることにつきましては、当局といたしましては、一件一件の申請に対して審査を行ってきた結果でございますので、その点について分析したことはございませんので具体的にお答えすることはできませんけれども、そういった委員御指摘の問題点につきましても、今後の見直しの中で検討してまいりたいというふうに考えます。

西田委員 ありがとうございます。

 大臣、これは通告はしていなかったんですけれども、今のこの数字、中国の割合が多い問題であったり、また、もう新聞報道等では出ておりますけれども、これから、実習制度に至っては再研修を認めることで、三年プラス二年ということで五年に拡大がなされる方向であるという議論もされているやに伺っております。

 そうなっていきますと、今の現行制度上、つまり、制度の趣旨、技術移転による国際貢献という趣旨も維持したまま三年が二年拡大するということであれば、先ほどの私の言いかえをそのまま当てはめると、中国への技術移転による中国への貢献がこれまた拡大するということで、私はさらに問題が拡大するのではなかろうかというふうにも思うんですね。

 ですから、やはりこれは制度の趣旨と実態の乖離という問題点が一つ。それと、実際に国別の分布を踏まえても、中国七割、それから続くのはベトナム、インドネシア、あとフィリピンとかいったところがほんのちょこっとあるだけだと思います。そういった実際の内訳も踏まえて、やはりこの制度というのはどうあるべきなのかなと考えなきゃいけない時期に来ているというふうに思うのでございますが、御感想をお聞かせいただければと思います。

谷垣国務大臣 これはいろいろ考えようだと思うんですね。やはり日本周辺の国々を見ますと、人口の大きさから見ると、圧倒的な人口を持っているのは中国ですから、ある意味で中国の方が大勢見えるというのは自然なところがあるように私は思います。

 それから、今、中国と日本との外交関係が必ずしもうまくいっているばかりではないということは御承知のとおりでございますが、だから、技術移転が意味がないというふうに考えるのか。逆に言えば、例えば先ほど挙げた水産加工業なんかを見ましても、日本で技術習得をする若い女性たちが、中国へ帰って結婚して、自分の子供たちに、日本の町は中国の町なんかと違って全然きれいで清潔なんだ、すばらしい国だというようなことを、どこまで言ってくれているのかわかりませんが、かなりそういう事例も耳にしました。だから、そういうこともあるのかなというふうに思ったりしております。

西田委員 御答弁いただきまして、ありがとうございます。

 そうであれば、いらっしゃる実習生の方々には、日本をよりよく理解していただく教育のプログラムも必要なのではなかろうかというふうにも感想として思うわけでございます。

 さて、時間も限られていますので、次のADR法について質問をさせていただきたいと思います。

 ADR法でございますけれども、裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律ということで、平成十六年制定でございます。

 これも制定されて七年が経過するわけでございますけれども、当時、この制定時の議論等を見てみますと、ADR、いわゆる裁判外紛争解決手続ということであれば、いわゆる裁判所における民事調停、家事調停、そして行政が行っているものとしてのADR、例えば国民生活センターや消費生活センター、あるいは、私もこの委員会で議論していました人権救済であったり、そういったものが行政型、そして民間型といったものもあるということでございました。

 そういった中で、この法律は、認証ADRというものを設けて、つまり、法務大臣がADRのそれぞれの機関を認証できるようにして、そして一定の法的効果を付与したものであろうかというふうに認識をしているわけでございますけれども、施行後七年経過しておりますこのADR法の評価について、大臣の御意見をお聞かせいただければと思います。

谷垣国務大臣 西田委員がおっしゃったように、いわゆるADR法が施行されましてから、この四月で七年たったところでございます。

 そして、西田さんがおっしゃったように、あっせん、調停などの和解の仲介を行う民間事業者から申請があった場合に、法定の基準、要件を満たしているか否かを審査して、ちゃんと満たしているということになれば私が、法務大臣が認証して、それで、そこのADRを利用した場合には、時効中断効などの一定の法的効果も認めようということですね。

 それで、現在までに百二十八の認証紛争解決事業者が認証を受けまして活動しております。認証紛争解決事業者については、弁護士会などが行う民事に関する紛争全般を取り扱う者に加えまして、さまざまな特化した分野に及んでおります。取扱実績も、平成二十四年度で合計千二百八十四件に及ぶなど、全体として増加傾向にございます。

 余り個人の趣味に引きつけてはいけませんが、自転車何とか協会といいましたでしょうか、そういったところも、自転車の事故に対応するADRをやりたいといって、まだどこまで実績を与えたかよくわかりませんが、あそこならそういう問題に関しては相当知見もあるし、フレキシブルな解決ができるのではないかと思ったりしているわけでございます。

 それで、今申し上げたように、第三者の専門的な知見を反映して紛争の実情に即した迅速な解決を図る手続として大事なものであろうと思っております。裁判と並ぶ魅力的なものに育っていってもらいたいと思っております。

 これまで、各事業者を初めとする関係者の大変な御努力によりまして、創成期を経て、成長を続けてきた今や、定着期に入っているのではないか、そんなふうに感じております。

    〔土屋(正)委員長代理退席、委員長着席〕

西田委員 ありがとうございます。

 本当に、このADR法が施行されて、関係者の方々が、この法律ができたことによって、利用者の方々、利用していただける方々にどういったサービスが提供できるんだろうか、そういった観点でさまざまな御検討、御苦労があったことと拝察をいたします。

 しかし一方で、先ほど百二十八の認証機関、そして千二百件強、昨年は案件があったということでございますけれども、一方で、件数から見ますと、例えば民事調停の案件は五万五千件、一昨年ですか、そういう桁が違う件数でございますけれども、それに比べれば数的には圧倒的に少ないという中で、発展をして定着したというふうに大臣は御答弁されましたけれども、一方で私が思うのは、本当にこれは発展しているのか、定着しているのか。民事調停はこれだけ多いにもかかわらず、ADRの件数は千件ちょっとで、低迷をしているというふうに思えてしまうんですけれども、この背景はどのように分析されていらっしゃるのか、これは部長にお伺いをしたいと思います。

小川政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ございましたように、認証ADRの処理件数、千二百強ということでございまして、増加傾向にあるとはいえ、まだまだ伸び悩みの部分もございます。

 私どもの方も、検討会を開きましてその原因などを探っているところでございますが、やはりまだ国民に対する周知というものも十分でない点もございまして、そういったことも含めて、認証ADR制度を活用されない原因はまだまだあるところだろうというふうに理解しております。

西田委員 ありがとうございます。

 告知が足りないからなかなか使っていただけないという、一つの理由の側面の御説明があったかと思います。

 この平成十六年の立法当時なんですけれども、そもそも当時、ADR法をつくって、認証ADRを設けて、法的効果を与えてという必要性があったのか。当時、社会情勢の中でそういった需要、ニーズがあってこの法律ができたのかというと、私は必ずしもそうではなかったんじゃなかろうかというふうに思うんです。

 というのは、実際、七年施行して、そこまでふえていないと私は思いますし、一方で、この立法当初というのは、将来もしかしたらそういったADRというものがなければいけないんじゃないだろうかという将来予測であったり、もしくは、社会情勢で顕在化はしていませんけれども、潜在的に何かそういうニーズがあるのかとか、そういったところまで配慮して立法されたのではなかろうかなというふうに思うんですね。

 それで、これは質問としてお伺いしたいんですけれども、この立法されたときの当時の社会情勢として、ADRが本当に必要で、広く国民に認知されなければならないような社会情勢だったのかどうか、お答えいただけるようでしたら、お願いいたします。

小川政府参考人 お答えいたします。

 認証ADR制度の意義としては、よく言われますのは、厳格な裁判手続とは異なって、利用者の自主性を生かした解決が図れること、あるいはプライバシーですとか営業秘密を保持した非公開での解決、簡易迅速で廉価な解決、それから特に言われますのは多様な分野の専門家の知見を生かしたきめの細かい解決が図れること、さらには法律上の権利義務の存否にとどまらない実情に沿った解決を図ることが可能であること、こういったことが指摘されておりまして、いわば柔軟な対応が可能であるということをよく指摘されるところでございます。

 紛争解決のあり方についての国民のニーズは、立法当時からもちろん多様なものとなってきているところでございまして、認証ADR制度は、そういった国民のニーズに応える紛争解決のメニューの一つである、こういう認識に基づくものだというふうに理解しております。

西田委員 ありがとうございます。

 先ほど大臣の評価の中で、今認証が百二十八という数字の御提示がたしかあったかと思います。ADRを利用する側からの利用が余り多くないという点もそうなんですけれども、この認証機関の数も百二十八。

 私は、リストをいただいて見たんですけれども、どうも偏っているようなイメージを持つわけでございます。確かに、自転車もありましたし、当然自動車もありますし、あと多いのはやはり士業の方々が認証を求めていらっしゃるのも多かったりします。一方で、使う側としてみれば、職種のばらつきが非常に多い、対応していない職種が非常にまだたくさんある。例えばウエブ関係の職種なんて全くないわけです。

 そういった認証機関のばらつきが出ていることについてはどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

小川政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘ございましたように、認証機関、百二十八ございますが、いろいろな意味でばらつきがございます。

 先ほど申し上げました報告書の中でもそういった点を指摘してございまして、業種のばらつき、今もお話にありましたウエブなど、これまでに対象でなかったものをということも指摘してございますし、さらには、地域的なばらつき、とりわけ大都市部、東京に多くの紛争解決機関が集中しているというようなこともございまして、そういった指摘などもございます。

 いずれにいたしましても、これも、周知を広げることによって、より国民のアクセスが容易になるような形に持っていきたいというふうに考えておるところでございます。

西田委員 ありがとうございます。

 ばらつきもある、そしてさらに言えば、認証機関ごとの取扱実績にもまたばらつきがある、本当にばらつきだらけでございます。七年が経過して、取扱件数も民事調停に比べればはるかに桁数も違うという状況、そして、認証機関もばらつきがあり、それぞれの取扱実績にもばらつきがある。

 そして、おっしゃっているとおり、ADR法に関する検討会で報告書がことしの三月十七日に出されているわけでございまして、これを読んでみますと、これは恐らく法律制定当時のたたき台となった司法制度改革審議会の意見書の文言だと思うのでございますけれども、こう書いてあるんですね。「認証ADRが真に裁判と並ぶ魅力的な選択肢として更に発展・拡充するため進むべき方向性を示す」、そしてさらには、「これまで以上の政府の積極的な関与が必要不可欠であり、民間の自主性・多様性を害しないよう留意しつつも、政府においては、責任をもってこれらの施策を推し進めていかれたい。」というふうに結んであるわけでございます。

 私は、先ほど申したように、このADR法は、本当に国民のニーズが当時あって制定されたものというよりも、将来的にもしかしたらこういったものも必要なんじゃなかろうか、あるいは、潜在的にはもしかしたらこういった必要性もあるんじゃなかろうか、そういうことで、七年間通してやってみたけれども、意外と伸び悩むし、ばらつきもある。それではさらに、ADR法を使ってもらうために、今ここで述べたように、政府が積極的に関与して何かいろいろな施策をやっていきましょうよというような報告書になっているんですけれども、こういった議論を見てみますと、このADRというもののあり方というのは一体何なんだろうかというふうに思うわけです。

 ここで憲法にどうしてもひっかかるのでございますけれども、憲法七十六条でございますね。「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。」、そして第二項では、「特別裁判所は、これを設置することができない。」どうも、私、ADR法と憲法第七十六条が定めているものとの整合性が果たしてとれているのかというような疑問を持ってしまうわけでございます。そこについてどう整理をなされているのか、教えていただければと思います。

小川政府参考人 お答えいたします。

 司法といいますのは、具体的な争訟について、法を適用し、宣言することにより、これを裁定する国家作用をいうものと解されております。

 他方で、ADRとは、裁判以外の方法による紛争解決の手段、方法または手続一般をいいまして、また、ADR法が定めております認証ADR事業者が行います民間紛争解決手続と申しますのは、民間事業者が、紛争の当事者が和解をすることができる民事上の紛争について、紛争の当事者双方からの依頼を受け、当該紛争の当事者との契約に基づいて、和解の仲介を行う裁判外の紛争解決手続をいうとされております。

 このように、認証ADR事業者が実施いたしますADRは和解の仲介を行うものでありまして、具体的な争訟について、法を適用、宣言することにより裁定をするという国家作用ではございませんので、いわゆる司法権との関係での問題は生じないというところでございます。

西田委員 ありがとうございます。御説明いただいたのが半分ぐらいは理解できるのでございますけれども。

 私は、このADR法というのは、つくって、むしろ何か国民に押しつけているんじゃなかろうかというような印象をそれでも持たざるを得ないんですね。実際、そこまで伸びておりません。さらには、国民は鋭いですので、余り信用していないんじゃなかろうかと思うんですね。これは一方で裁判所に対する絶大な信頼の裏返しでもあって、大変喜ばしいことではなかろうかと思うんですけれども。

 使われないのであれば、もっと告知して使われるようにしよう。しかし一方で、この報告書に書かれていることは、さらに法的効果をもっと拡大すべきじゃないか、このADR法で形成した合意に対する執行力をきちんと付与した方がいいんじゃなかろうか、あるいは、時効中断効をさらに拡大すべきなんじゃなかろうか、さらには、財政基盤の強化のために予算措置が必要なんじゃなかろうか。ADR法の検討報告書を見れば、ADRをもっと国民に使ってもらうために、どんどん、もっとさらなるADRの合意に対する権限を付与して、そして、本来司法権が持っているようなものを行政が吸収して、司法権を縮小させていくような方向性になっていきやしないか、そういった懸念を持ってしまうわけでございます。

 そこで、最後に大臣にお伺いしたいんですけれども、検討報告書が三月に出されて、附則にもありましたとおり、これは五年を経過の後に検討し、その結果を踏まえて、必要であれば措置をとるということになっていたかと思いますけれども、今後、このADR法を、どういった形で措置を考えていらっしゃるのか。

 この報告書にあるとおり、どんどん、いろいろな法的効果の拡大、時効の中断の拡大、予算措置等をやっていけば、私はどう見ても、先ほど部長が答弁されまして司法権とはまた違うんだとおっしゃいましたけれども、法的効果も与えるわけでございますから、憲法七十六条との整合性がどんどんとれなくなっていくのではなかろうか、そういった懸念を持つわけでございます。

 今後の措置の方向性について、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

谷垣国務大臣 このADRにどういう法的効果を与えるかという議論はいろいろあると思いますが、私はまだ、すぐに、ではこういう法的効果を与えるべきだというようなことを必ずしも考えているわけではありません。

 先ほど、執行力ということをおっしゃったけれども、これは金銭問題の解決のADRであれば、例えば公正証書をそれでつくるということにすれば、そこで執行力が出てくるとか、いろいろなことがございますから、他の制度と組み合わせればかなりいろいろなことができるんじゃないか。もちろん、できない面もありますから、何が必要かということは考えていかなきゃならないと思うんですね。

 今、司法権の独立に抵触するんじゃないかというのが西田委員の根本的な御疑問じゃないかと思います。

 司法は、やはり法がなければ司法権は発動できないわけです。日本は成文法中心でありますから、やはり基本的に国会がつくった立法がなければ、司法権は発動できない。しかし、まだそこまで、どういう法をつくったらいいかわからないというような新しい事態が起きてまいりますと、そういうことがたくさんございます。そういう問題を解決していくのに使えるのは一体何なんだろうというようなことを考えますと、ADRは一つだろうと思います。

 今のADR、こう言うといけませんが、司法改革のときの議論を思い返しますと、司法改革は、行政府が政策決定を敏速にしていくようになっていくと失敗することもあるだろう、そうすると事後的な司法の救済というものがやはり必要である、そのときに多様な法的救済の仕組みというのをつくっておかなければいけない、中心にあるのが司法であることは間違いないけれども、もう少し多様なものを考えておく必要があるんじゃないかという当時は議論だったと思います。その議論が今必ずしもそのとおり体現されるかどうか、いろいろ御意見があるところだと思いますが。

 もう一つあるのは、やはり士業の方々の御熱意です。やはり、例えば弁理士さんであったりそういう方々が、そういう中で、自分たちが法の世界の中でもう少し貢献できることはないのかと非常に熱心におやりになった。

 そういう形になっておりますから、国民生活に本当に必要なものが必ずしも全部出てきているのかどうかもまだわからないところがあるように私は感じております。そういうあたりを含めて、どういうふうにしたら魅力的なものに持っていけるのかということは、西田先生のお話を聞いていると、どちらかというと余り好意をお持ちでないと言うといけないかもしれませんが、私は、もう少し好意を持って、どういうことに使えば国民のために役立つかということをもう少し工夫してみたいと思っております。

西田委員 ありがとうございます。

 ここは意見が多少違うのは当然でございますけれども、このADR法、そして、法務省が認証ADRという制度を設けたわけですね。これは、余りに、拡大すればいいというだけじゃなくて、行政権が裁判を吸収して、自由社会では絶対死守しなきゃいけない司法を縮小するような、そういったものになることは避けていかなければならない。この点については、恐らく専門家である大臣も同じだと思いますので、ぜひそういう視点でもADRを見詰めていただきたいと思います。

 私の質問を終わらせていただきます。

江崎委員長 本会議散会後直ちに委員会を再開することとし、この際、暫時休憩といたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時九分開議

江崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を行います。高橋みほ委員。

高橋(み)委員 日本維新の会の高橋みほでございます。

 きょうもどうぞよろしくお願いいたします。

 きょうは、四月二日のフジテレビ系のニュースで放送をしていました、遺言のデジタル化についてお尋ねしたいと思っております。

 これはどんな内容かといいますと、簡単に申し上げますと、東日本大震災の教訓から、公正証書としての遺言をデジタル保存する取り組みが全国の公証役場で始まったというものです。これを伺ったときに、公証役場で保管されている遺言がこの前の地震や津波などでなくなった場合、では実際、遺言はどうなってしまうのかというのを私はとても疑問に思いました。

 実際、東日本大震災では、遺言が保存されていた宮城・石巻市の公証役場にも津波が到達したことから、遺言を災害から守るための対策が必要となったということで、今回の、遺言をデジタル保存化する取り組みが始まったと伺っております。

 そこでまず初めに、公証役場に保管されてあった遺言がこういう津波などでなくなってしまった場合はどのような取り扱いになるのか、お尋ねいたします。

深山政府参考人 公証人が作成した公正証書遺言は、作成しますと、原本が、今お話しのとおり公証役場に保存されます。それから、法律的な効力が全く同じ正本というものが作成の当事者のところに行きます。

 ですから、今のお尋ねは、公証役場にあったものが仮に災害で失われたときに遺言の内容はどうなるかということですが、もちろん、正本があれば、それが法律的に効力は同じものがあるということですので、それに基づいて遺言が執行されていくということになります。

高橋(み)委員 本人が持っている正本がなかった場合はどうなるんでしょうか。

深山政府参考人 同一の災害で一遍に失われてしまうということは論理的にもちろんあり得るわけです。その場合のお尋ねですが、まさにそういう場合に遺言自体が失われてしまう、内容がわからなくなってしまうということに備えるために、今報道を紹介された二重保存の制度を今回公証人連合会の方で始められたということでございます。

高橋(み)委員 考えてみますと、それでは、今回かなりなくなってしまったという人が出たということになるのでいいでしょうか。実際になくなったということまではないということでよろしいでしょうか。

深山政府参考人 今回の東日本大震災において公証役場の原本が失われたということはございません。ただ、そういう危険があるということが明瞭に認識されたということから、今回の取り組みにつながったものです。

高橋(み)委員 ありがとうございます。それを聞いてとても安心しました。

 実際に、自分の財産がどうなるかというのを公証役場にきちんと届けて公正証書遺言にしてあったのに、それがなくなってしまったなどということが起こったら、本当にこの遺言の制度というのは根幹から崩れるような気がしましたので、ぜひ、このようなデジタル保存をする取り組みというのをもっとしっかり早目にやっていただきたいと思っております。

 ただ、このニュースで聞いた限りでは、遺言をスキャナーで読み取り、デジタル保存する取り組みだと伺っております。スキャナーで読み取ってデジタル保存するものではなくて、最初からデジタル保存をしておけばいいというようなイメージが私にはあるのですが、その点はいかがでしょうか。

深山政府参考人 公正証書遺言の制度というのは、公証人法で、書面でつくって、先ほど申し上げたとおり、できた原本は、公証役場の、しかもこれはどこでもいいということじゃなくて、倉庫その他のきちっとしたところで保管するということが義務づけられていて、他方、依頼者、嘱託人の方には正本が渡される。こういう現行制度が前提となっていて、さらに三つ目の保存手段としてデジタル化をしてということで、書面をなくすというわけにはいかないという性質のものでございます。

高橋(み)委員 それは、現行法上はそういうふうになっていることはもちろん存じ上げておりますけれども、これだけデジタル化が進んだ現在、やはり法制度もちょっと変えていくべきときにあるのかもしれないと私は思っております。この件につきましては、いろいろなところでちょっと検討をしていただければと思っております。

 次に、今回の本題に行きまして、成年後見人の制度についてお尋ねいたしたいと思います。

 この制度につきましては、皆さん、当然よく御存じだと思うんですけれども、高齢化が進む現在、高齢者の財産の保護というもの、守る制度と言われております。これは、最近特に多くなりました認知症、知的障害とか精神障害によって物事を判断する能力が十分でない方について、本人を守る援護者、援助者を選ぶことによって本人を保護する制度であります。

 先ほどお配りしました冊子を見ていただきたいんです。

 一ページ目の左側の図なんですけれども、これを見ていただければわかるのですけれども、成年後見人の申し立てが毎日かなり増加しておりまして、高くなっております。対前年比というのは一〇・五%の増加になっておりまして、前の年に比べて一〇・五%というのは、本当に年々この申し立てをすることがふえているということがわかると思いますので、この制度の重要性というのは皆様はわかっていただけるのではないかと思っております。

 例えば、最近では、やはり認知症になった人、認知症になりかけている人たちなどが振り込め詐欺に遭ったりするのを防止するというのもすごく必要なことでありますし、最近よくあるごみ屋敷というのも、精神的にちょっと正常な判断ができない人がそのまま荷物を散らかしてしまってごみ屋敷になったりとか、本人の保護プラス、やはり社会的にもちょっと問題を起こしているという状況にもなっているのではないかと思います。

 それで、この制度の活用というのが望まれるのですけれども、現在、申立人というのは、本人、配偶者、四親等以内の親族その他、市区町村が認められております。

 この市区町村長の申し立てというのが二ページ目の左側の資料五というところなんですけれども、ここを見ていただけるとわかるように、すごく地域的にばらばらというような印象があります。ちょっと見にくいんですけれども、例えば盛岡では八になっていたりとか、多いところでは、大阪の四百五十七、千葉の二百九とかになっておりまして、いろいろなばらつきがあります。

 それを考えますと、このように、法律上厳格に認められた人しか申立人になることができないんですけれども、この申立人を限定せずに、もう少し多くの人に、ケアマネジャーとか、そういう方たちにも認めていくべきではないかというふうにも思われるのですけれども、この点、いかがでしょうか。

谷垣国務大臣 今、高橋委員おっしゃったように、現行の制度のもとでは、成年後見開始の審判を申し立てられるのは、本人、配偶者、それから四親等内の親族、保佐人等、それから検察官及び市町村長というふうになっているわけですね。

 こういうふうになっておりますのは、本人はもちろん本人としまして、一定の親族とかあるいは保佐人といったお立場の方、本人の精神状態なんかを十分知り得るお立場にある、だから申し立て権が認められている、こういうことですね。それから、市町村長に申し立て権が付与されておりますのは、お年寄りに対してもいろいろな行政サービスをしなきゃならないとか、そういった行政サービスの提供を通じて、本人の状況を把握し得る立場にある。それから、検察官というのは、一応公益の代表者ということで検察官と書いてあるんだと思いますが、ちょっと聞いてみると、実際に、検察官がやっている例はほとんどないんじゃないかと思います。

 それで、成年後見をもっと広げたらどうかということですが、成年後見が開始されますと、本人は、いろいろ契約をしようとか、法律行為をするのに必要な行為能力が制限されてしまうわけですね。だから、成年後見開始の審判の申し立て権者、これは誰でもできるというのは問題なんであって、やはり私は、本人の精神状況を十分把握し得る立場にある方に限定するのが適当なのではないか、現行法はそういう考えに立っているんだろうと思います。

 そういう考え方に立てば、ほぼ必要十分な申し立て権者が法の上で定められているんじゃないかというのが現在の私の感じでございます。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 本当に重大な権利が制限されますので、誰でも認めてしまうというのは確かに無理があるとは思います。ただ、今現在、親族との関係が希薄化してしまっていて、実際に、御高齢者などのところに余り配慮をしない家族の方がいらっしゃる場合もありますので、私は、もう少し広げる、どの方にまで広げるかというのは難しいとは思うんですけれども、ちょっと考えてもいいかなというふうに思っております。

 二ページ目の右側のところを見ていただきたいんですけれども、ここには、「成年後見人等と本人との関係について」という資料を載せさせていただきました。これを見ていただければわかるんですけれども、谷垣大臣がおっしゃったように、やはり近くで見ている方が成年被後見人の人たちの状況がわかるということですので、家族、そういう方たちがすごく多いんですけれども、実は、現在、親族の後見人が減っているというふうに言われております。

 上のところの三行目なんですけれども、現在、親族が成年後見人等に選任されたものが全体の約四八・五%なんですけれども、前年は約五五・六%でした。少し減ってしまっております。制度の開始以来初めて親族が成年後見人に選任されたものを上回った、親族以外の者が成年後見人に選任されたものが初めて上回ったということです。

 これを考えますと、今までは親族に任せていればいいという考えだったんですけれども、これからは、やはり社会が何かもう少し手助けをしていかざるを得ないのではないかなというような印象を私は持っております。

 それによりまして、市町村では、現在、市民後見人という方たちをふやして後見人になってもらおうというようなことを始めたそうです。これはどういう制度かと申しますと、身近な住民が手助けをするものでありまして、民生委員さんなどと連携して地域の見守りをしている人たちに市民の後見人になってもらおうという制度だそうです。

 そこで、お尋ねいたします。

 現在、市民後見人養成というのはどのくらいの市町村で行われて、これからふやしていこうという意思があるのかをお尋ねしたいと思います。

有岡政府参考人 お答えいたします。

 平成二十四年度に施行されました改正老人福祉法におきましては、研修の実施あるいは後見人候補者の家庭裁判所への推薦等につきまして、これを市町村の努力義務として定めているところでございます。

 こういったことを踏まえまして、現在、国の補助事業で市民後見推進事業というものを行っておりまして、その中で、市民後見人養成講座というものを実施しております。直近の数字を申し上げますと、平成二十五年度におきまして、百四の市区町村でこれが行われているところでございます。

 今後ともこの事業については推進してまいりたいと考えておりますし、認知症施策の五カ年計画におきましても、将来的には全ての市町村で市民後見人の育成や支援組織の体制を整備するという目標を掲げておりまして、こういった取り組みを進めていきたいと思っております。

 また、障害者総合支援法におきましても同様な規定がございまして、これにつきましても必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 今のお話ですと、全ての市町村に推進していこうというようなことをおっしゃられました。私は、一般市民の方に後見人のような重大な役割を担わせていいのかなと実は思っております。

 今のお話にもありましたけれども、市民後見人になっていただくには、講座を受けて一般に勉強していただくから能力として担保が十分であるというようなお話もあるんです。それで、私は、一般的にどのような講座を受けていらっしゃるのかというのを調べてみました。

 これは一例なんですけれども、基礎研修というものと実践研修、体験実習というのに分かれているらしくて、基礎研修で二十一単位、この一単位というのは一時間だそうですけれども、二十一時間基礎研修をして、実践研修で十八時間、あと体験実習やレポート作成などをして市民後見人というふうに認定されるというふうになっているのが標準というか、一例だそうです。

 これを見ますと、三十九時間、例えば一日三時間の勉強時間だとしますと、十三回で終わってしまうということになります。民法の基礎を勉強するのでしたら、家族法で一単位、すなわち一時間、財産法で一単位、一時間で終了というようなカリキュラムがつくられていると伺いました。これでは、民法の家族法などの全体像を把握することは不可能ではないかと私は思っております。

 それで、市民後見人という制度をつくった場合、やはり市民後見人自身を支援、監督する体制というものが必要だと考えております。でも、残念ながら、そのような体制は現在ないと思っております。弁護士さんなどの専門職の方は所属団体の支援とか監督が期待できますことから、信頼性はある程度寄せることはできると思うんですけれども、市民後見人という方はそれら支援、監督を受ける体制がないことからすると、ちょっと問題なんじゃないかなというふうに思っております。

 そうしますと、安易に市民後見人、よく市民が皆で自助でやるというといいことに聞こえるんですけれども、そうではなくて、現在の士業をもっと活用して、利用を促進していく方がいいのではないかと私は思っております。

 それで、先ほどの御答弁では、補助事業としてお金を出していくというお話だったんですけれども、そこにお金をつくるならば、現在既にある民間の士業などをもっともっと利用するべきではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

谷垣国務大臣 今、高橋さんの御質疑を聞いて思い出したんですが、もう大分前ですね、まだ成年後見制度ができる前、禁治産者とか準禁治産者という制度のころですけれども、私の地元で、お年寄りで、何度も羽根布団を売りつけられて、幾つも幾つも羽根布団を買っちゃう。それで、その近所の方たちが心配して、中心になっていたのは特定局長さんですが、郵便局の特定局長さんがよく私の事務所に、先生どうしたもんだろうと。それは制度を利用するんだったら、準禁治産者とかそういうのを申し立てて、誰か保佐人につけなきゃいけないねというようなことをやっていたんですが、今から考えますと、市民の中にも、御近所でそうやって熱心に自分の近所の人を何か助けなきゃと思っている人もたくさんいらっしゃるだろうと思うので、適格な方がいないというわけではないだろうと思うんですね。

 それで、成年後見人の選任につきましては、家庭裁判所で選任していただくわけですが、欠格事由がないかどうかとか、成年被後見人の心身の状態あるいは生活、財産の状況、それから成年後見人となる者の職業、経歴、成年被後見人との利害関係の有無、成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮して適切に判断されているものと思っているわけですが、事案によっては、今も高橋委員おっしゃったように、かなり高度の法律知識が必要とされているようなことがあると思うんですね。そういう場合は、例えば裁判所も弁護士であるとか司法書士等々を成年後見人に選任するということが、そういうふうになさっているものだろうと思うんです。

 それからまた、物によっては、法律専門職の方でなくても、今おっしゃったような市民後見人のようなことで十分果たし得るというようなものがあるではないか、このように思っております。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 確かに、実際、今市民後見人になろうとされている方はとても人徳がある方で、地域からも信頼されている方が多いと伺っております。ですから、今はそれほど実は心配はしていないんですけれども、だんだんそういう制度が広がってくると、では僕もやろう、私もやろう、講習を受けましたという人がいろいろ出てきちゃうんじゃないかなというような危惧を実は持っております。

 もちろん、いい人ばかりであればいいんですけれども、そうじゃなくて、ある程度お年寄りを食い物にしようという人たちが出てくる可能性もなきにしもあらずかなというところを心配しております。

 ですから、ある程度、士業、弁護士さんとか司法書士さんとかが、今仕事が余りないといううわさもありますので、そういう方たちに仕事としてやってもらった方が、制度としてきちんとしているんじゃないかなと私は思っております。

 士業の後見人ということでお尋ねしたいんです。

 聞くところによりますと、行政書士さんが被後見人になろうとしている人たちと書類などをつくって持っていっても、ある程度金融財産を持っている場合には弁護士さんに任せなさいとか、それよりもちょっと低いけれども、ある程度持っていたら、今度は司法書士さんに任せなさいとか言われて、今までせっかく相談に乗っていたのに、行政書士ではだめで、お金をどのくらい持っているかによって弁護士さんと司法書士さんに振り分けられてしまう実態があるということをお伺いしております。

 これを伺ったときに、弁護士さんでも司法書士さんでも行政書士さんでも、悪いことをする人はやはり一定限度いるわけでありまして、行政書士だからだめで弁護士さんだからよいという話でもないのかなというようなイメージがありました。

 そこでお伺いしたいのは、実際にこのような資格によって後見人になれるかなれないかを内規などによって決めているのでしょうか、お尋ねいたします。

奥野副大臣 いずれにしても、成年後見制度を利用される方は、後見人を的確に選定するということが一番大事なことだろうと思います。そもそも被後見人の判断力が必ずしも十二分でないわけでありますから、後ろでバックアップする後見人こそ的確な判断力を持った人間でなくてはいけない。

 具体的には、家庭裁判所が個別具体的な事案に基づいて判断を下すということになるわけでありますが、例えば、財産管理が複雑な場合や背後に法的紛争を抱えている場合には、弁護士等の専門的な知識が必要になりますから、こういう場合には弁護士が選ばれるだろうと思います。また、介護契約の締結等の身上監護に関する法律事務が中心となる場合には社会福祉士等の福祉関係の専門職が選任されることが多くなるものと認識しております。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 確かに、いろいろな法律上の問題がある場合、争いがあったりする場合は弁護士さんを選ぶ、当然それは必要だと思いますけれども、今実際にはいろいろ、やはり資格によってランクを勝手に決めてしまってやっているという実情があるそうなので、それはちょっとどうなのかなと私は思っております。

 例えば、被後見人になっていく、認定を受ける、申請をしている人たちのやはり一番の問題は財産があるかないかだと私は思っております。財産があった場合、例えば弁護士さんでも行政書士さんでも司法書士さんでも、別にそれをきちんと見るか見ないかというのは、やはり人格というようなものになってしまうので、できるならば、ある程度お金を持っているならば、きちんと信託制度の利用というものをしていくべきじゃないかと私は思っております。

 最後の三ページ目につけたんですけれども、「後見制度支援信託の利用状況について」というものなんですけれども、信託した金銭の平均は約四千三百万円、結構財産を持っていると私からは思うんですけれども、平均でそのくらい持っている人だと信託制度を利用しているということでした。

 ですから、資格で後見人になるかならないかを決めるのではなくて、財産を持っていたら、財産は信託制度を利用するというような方向に行くべきだと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。

岡最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 ただいま委員からお話がありました後見制度支援信託というものは、御本人の金銭財産のうち、通常使用しない部分を信託銀行等に信託し、これを安全かつ確実に保護しつつ、その払い戻しの場合には家庭裁判所の発行する指示書を必要とすることにより、後見人による適切な財産管理を担保し、後見制度の適正で円滑な運用に資するものでございまして、平成二十四年の二月からその運用を開始しているところでございます。

 後見制度支援信託につきましては、御本人の生活状況や財産状況を踏まえ、その利用の適否が検討されるものでありますけれども、御本人の財産を確実に保護できる有効な方策でございますことから、委員御指摘のとおり、現在、各家庭裁判所におきましては、一定以上の財産を有する事案については、できる限りこの後見制度支援信託の利用を進める方向で運用しているものと承知しております。

高橋(み)委員 ありがとうございます。ちょっと安心しました。

 今誰が後見人になるという話、その最後なんですけれども、今法人が後見人として選任されるということができるようになっているそうです。ただ、現在ではまだ数が少なくて、成年後見人に選任されている法人として比較的多いのがリーガルサポート、各地の社会福祉協議会及び各地の社会福祉士会等を中心に、法人として後見人となっているというようなことを伺っております。

 この法人後見のいいところというのは、親族間に紛争がある事件など個人的に対応が大変な場合、知的障害者の方が利用する場合など長期間の支援を要する事件に対応できるということ、あと、身寄りも財産もないが成年後見制度を利用する際には利用しやすいので、法人が後見人として選任されるということがあるというふうに伺っております。

 しかし、デメリットとしましては、自然人のように顔が見えないので信頼関係が生まれにくい、意思決定に時間がかかる、機動的に活動できないということも言われているそうです。

 私は、法人が成年後見人になるということも、今申し上げましたように一定の利益はあるとは思うんですけれども、成年後見人等を活動することを目的として新たにNPO法人を設立するという動きがあるそうです。そのような場合、適格性というのがかなり大きな問題として出てくるんじゃないかなと考えているのですけれども、いかがでしょうか。

奥野副大臣 後見人の選定に当たっては、余り厳格な規制があるわけじゃなくて、今禁止されているのが、未成年者、家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人または補助人、破産者、被後見人に対して訴訟をし、またはした者並びにその配偶者及び直系血族、あるいは行方不明の者、そういうような人を除いては誰でもなれるというふうに書いてあるわけでありまして、それは、あとは家庭裁判所がしっかりとした判断で的確な人を選ぶということであります。

 ただ、私は、個人的に考えると、やはりNPO法人に、例えばその地域の人が、全部がそのNPO法人に集約されちゃった場合に、仕事の量が非常に多くなって判断力が若干揺れ動くということもあるものですから、そういう意味で、どんなケースでもそのNPO法人になるというようなことは避けた方がいいんじゃないのかな、こう思いますけれども、これはあくまでも家庭裁判所の判断によるところになると思います。

高橋(み)委員 確かに今おっしゃられたように、家庭裁判所がちゃんと決めるので、たとえ問題があるNPO法人があったとしても、それほど問題がないと言えるのかもしれないんですけれども、最近、NPO法人という名前に名をかりて何をやっているかちょっとわからないというような団体が出てきてしまっているんじゃないかなと私はちょっと危惧しておりますので、このような質問をさせていただきました。

 誰が後見人になっているかという話から次に行きまして、内容にちょっと入りたいと思っております。

 後見人を実際に務められていらっしゃる方にお伺いいたしますと、高齢になっているために医療機関を受診されることが多いんですけれども、その場合、医療の同意を求められることがあるそうです。それは、実際、大きな手術をするときに同意書にサインしてというふうに言われるのはその後見人にとって余りにも重いので、お医者さんに任せてしまうんだよというような話を伺いました。

 ただ、やはり御高齢者の方が多いので、命にかかわるような手術の同意が必要になるという場合がこれからすごく多くなってくるのではないかと思っております。ですから、後見人に医療同意を認めるべきではないかとも考えられるんですけれども、この点、いかに考えられているでしょうか、お尋ねいたしたいと思います。

谷垣国務大臣 法文の上では、成年後見人が被後見人の医療行為に同意できるかどうかということは何も書いてはありません。ただ、この制度は、法律行為に関するものとして立てられておりますので、そういう制度からすれば、成年後見人に医療行為の同意権はないんだとお答えせざるを得ないんだろう、つまり代理には親しまないものだと申し上げざるを得ないんだと思います。

 でも、そうすると、いろいろな問題が生じてくるおそれがないわけじゃありませんね。これは、お年寄りで少し痴呆状態になっておられるというような場合だけではなく、小さな子供でも、御両親がいないとか、いろいろな場合に、本人は十分な判断能力がないんだけれども、誰かがサポートしてあげないと困るというようなことがあり得るんだろうと思います。そういう場合の一例として、少し幅広い観点から議論をしないと、この制度だけで議論するのはちょっときついなという感じがいたします。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 これは、別にこの後見制度にかかわらず、幅広いものでありますけれども、いずれ、すごく必要になってくる議論だと思いますので、ぜひ議論を進めていただければと思っております。

 あと、これもよく言われることなんですけれども、当然、後見人は、被後見人が死亡したら代理権は消滅するというわけなんですけれども、死亡直後の代理の必要性というのも言われております。この点、いかに考えるかお尋ねしたいんです。例えば、遺体の引き取り、埋葬、医療費などの支払い、公共料金の支払いがあった場合とか、あと、いろいろなものの引き継ぎとかがあると思うんですけれども、その点に関していかが考えますでしょうか。

谷垣国務大臣 成年被後見人が亡くなったとしますと、成年後見はそこで終了してしまうというのが制度のたてつけでございますから、成年後見人は法定代理権も失ってしまう。その時点で、亡くなった方の例えば財産管理とかいうのは、本来、相続人に移るべきものということに制度としてはなっていると思うんですね。

 ただ、成年後見人は、成年被後見人が死亡された後も、緊急を要する場合には、相続人が事務を処理することができるようになるまで、必要な処分をしなければならない、これは、民法八百七十四条とかあるいは六百五十四条にそういう規定がございます。

 それから、成年後見人は、被後見人が亡くなった後でも、事務管理として一定の事務処理を行うことができるというふうになっておりまして、もちろん一定の限度ではあるんですが、成年後見人が、被後見人の死亡後もある程度のことはおできになれるわけです。

 しかし、成年後見人が、御本人が亡くなった後できる事務の範囲が不明確ではないかという問題は依然として残っておりまして、それが指摘されていることは事実でございます。

 それで、この問題については、現行法における対応で十分なのかどうか、不十分だとすればどういうことをやっていくべきか、まだ議論は煮詰まっておりませんが、検討していかなければならない課題でございます。

高橋(み)委員 ありがとうございます。ぜひ検討をしていただきたいと思います。

 最後の質問が、後見人の不正事例というのがふえているということがありまして、例えば、二十二年の六月から十二月までの七カ月間が、被害が十二億であった、報告された事件数が百二十三件であった。二十三年の一月から十二月までになりますと、今度は三百十一件、三十三億。次の年になりますと、六百二十四件で四十八億というように、後見人の不正行為というのがすごく多くなっているそうです。

 もう時間が来てしまいましたので、質問はしないんですけれども、今、後見人の不正事例というのが大変多くなっているという実情を踏まえまして、やはりもう少し制度をどうしていくかというのを考えなければいけない時期に来ておりますので、ぜひ御検討いただけたらと思います。

 きょうは、どうもありがとうございました。

江崎委員長 次に、椎名毅委員。

椎名委員 こんにちは。お疲れさまでございます。結いの党の椎名毅でございます。

 本日、三十分質疑時間をいただきまして、感謝を申し上げたいというふうに思います。

 本日は、雇用制度改革について伺っていきたいというふうに思います。

 その前に、先日の委員会で可決された、そして参議院に今継続中の外弁法の改正について、一つ聞き漏れたというか、もう一つ考えていたときに思いついたことがあるので、ぜひ伺えればと思って、一問だけ質問させていただきます。

 先日の外弁法の改正案でいうと五十条の十三の第二項というところですけれども、ここに、弁護士法三十条の二十五というのを準用しています。これは何かというと、この弁護士法三十条の二十五というのも、これも引用条文でして、会社法の条文をいっぱい準用しているんですけれども、私自身が少し問題に思ったのが、会社法の八百二十四条というのを準用しています。

 これは何かというと、会社の解散命令という裁判の申し立てなんですね。法務大臣やその他関係者の申し立てによって、裁判所が、公益を確保するために法人の存立を許すことができないと認めるときに、解散命令を出すことができるというふうになっているんだと思います。さまざまな理由というか要件があるんですけれども、一号ですと、例えば設立目的が不法な目的に基づいたときみたいな記載があるわけですけれども、こういった主観的な要件が入っているというところに私自身は少し危惧を覚えます。

 何かというと、弁護士自治との関係なんですけれども、弁護士自治というのもいろいろ議論のあるところだというふうに私自身も思います。私も個人的に、この弁護士自治なるものについて全て現状でいいというふうに思っているわけでは決してなくて、特に日弁連に対する強制加入というところについては結構いろいろな議論があるということについては、私自身も十分認識をしておりますし、それなりに意見を持っていますが、少なくとも、現行法上ですと、弁護士法によって、日弁連による懲戒権までを含めた弁護士自治というものが法的に制度的に担保されている状況だというふうに思います。

 しかし、一応、弁護士会に加入する当事者である弁護士法人も、当然、法人会員として弁護士会に加入して会費を払うわけですけれども、こういった法人会員である弁護士法人が、ともすると、法務大臣の申し立てによって、裁判によって解散命令を受けてしまうというところに若干の危惧があるというふうに思っています。さらに、その設立目的が不法な目的であるとか、そういった割と主観的なというか曖昧な要件によって判断されるというところに、少し弁護士自治との関係で疑問を抱くわけですけれども、ぜひ大臣の御所見をいただければというふうに思います。

谷垣国務大臣 弁護士法人は、いわゆる準則主義というか、要するに一定の基準を満たしていればそのまま設立が認められる、こういう仕組みになっておりますね。ですから、逆に言えば、その準則を満たしているというだけでは、いろいろな問題が生じないとも限らない。そういう弊害が起きた場合、是正するために、会社法上の会社と同様に、裁判所は、法務大臣等々の請求により、法人の解散を命じることができる、この制度はそういう制度ですね。そうなると、今、椎名委員がおっしゃったように、弁護士自治は大丈夫なのかという御議論があるかもしれません。

 それで、裁判所の解散命令は、法人が形骸化している場合とか、あるいは法人形態を濫用している場合等々、公益を確保するため法人の存立を許すことができないと認められる場合に限定されております。つまり、弁護士業務のあり方自体を問題にしたり、それから、弁護士法人の本来の業務遂行を左右するものではありません。だから、私は、弁護士自治を侵害するものではないというふうに考えております。

椎名委員 ありがとうございます。

 今の大臣の御答弁が記録に残るということは、それなりに意味のあることだというふうに思います。なので、大変助かる答弁だったなというふうに私自身も思います。

 ただ、私自身も少し懸念は持っていて、あくまでも法人が形骸化した場合というふうにおっしゃっていまして、それは趣旨としては十分理解をしています。なので、弁護士の業務に対する不当な侵害にはならないだろうというふうにおっしゃっていただいたのも非常にありがたく思っています。

 ただ、最初に私が申し上げたように、法人も会員であって、弁護士会というところの中に会費を払っているものなわけですけれども、そうだとすると、公益目的に資するかどうかといったところまで含めて、もしかしたらその判断をする権限を持っているというのが弁護士会の懲戒権なのかなというふうに思うと、やはり少し議論のあってしかるべきところだというふうに思います。

 恐らく、これは日弁連でも余り議論をされていない問題のような気がしているので、私自身も、弁護士会の中でもこれから議論が進んでいくことを期待しながら、見守ってまいりたいというふうに思います。

 さて、きょうの本題に入りたいというふうに思います。

 きょうの本題は、大臣に聞く内容も余りないんですけれども、ちょっと雇用改革ということでさせていただきたいというふうに思います。

 私自身も、政治家になった大きな気持ちの一つに、我が国の経済を再生させて、成長させていこうというふうに思っているわけです。そのためには、我が国全体の潜在成長率を上げていくということが非常に重要ではなかろうかというふうに思っています。

 そのうち、潜在成長率を上げるというためには、労働生産性というもの、要は労働の質なんだというふうに思いますが、特に、時間当たりの労働生産性というものを上げていくということ、これに我々は注力をしていかなければならないんじゃないかなというふうに思っています。すなわち、何かというと、従業員一人当たりどれだけの付加価値を生み出しているか、さらには時間当たり幾らかというところ、こういうところかなというふうに思っています。

 試しにいろいろ検索をして探してみると、現在、日本はOECD諸国で二十番目ということですね。一人が一時間当たりに稼ぐお金は、大体四十・一ドル、四千円ぐらいというふうに評価をされているそうです。ちなみに、ノルウェーが一番で八十六・六ドル、米国が四番で六十四・一ドル、ドイツが五十八・三ドルで九番目というのが直近のお話のようです。

 時間当たりの労働生産性というのは、先ほど申し上げたように、従業員一人当たり、一時間当たりどの程度の付加価値を生み出しているかという話なので、これを上げるというのは決して簡単な話ではないんだというふうに思います。

 高付加価値化事業に産業構造の転換を図っていくとか、これが恐らく本筋なんだろうというふうに私自身は思っていますが、他方で、人の働き方というか、労働時間を減らすことというか、そういったことも含めていろいろ考えていくことも必要なのかなというふうに私自身は思っています。

 そこで、いわゆる日本型雇用慣行というふうに言われている労働のあり方について聞いていきたいというふうに思っています。

 まず、いわゆる日本型雇用慣行というふうに言われていますけれども、あくまでも入り口論なんですけれども、これがそもそも何なのかを定義しないと議論は始まらないと思いますので、この日本型雇用慣行とは何ぞやというのと、要はその特徴は何なのかというところを、厚生労働省の参考人にいらっしゃっていただいているので、伺えればと思います。

熊谷政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる日本型雇用慣行でございますけれども、新規学卒者の定期採用と定年制のもとでの長期間の雇用、二つ目には、仕事の習熟度や経験年数等を考慮した年功的な賃金制度、三つ目には、企業単位で組織される企業別労働組合といった特徴があるものと考えております。

 また、職務や勤務地を限定されずに採用されることや、幅広く配転や出向が行われることなどが典型的な日本企業に見られる人事労務管理の特徴として指摘されることが多いものと承知しております。

椎名委員 ありがとうございます。

 まさに今、参考人からおっしゃっていただいた、いわゆる三種の神器という表現をされるようですけれども、終身雇用、年功賃金、それから企業別組合というのが日本型雇用慣行の三つの特徴みたいです。

 これがどこから導かれてくるのかと頭を悩ませて、いろいろ考えてみたり、いろいろ調べてみたりしましたけれども、やはり本質はどこにあるのかというと、私自身は二つだというふうに思っています。二つというか、一言で表現しますけれども、二つだと思っています。

 それは何かというと、期間の定めのない、かつ、職務の定めのない雇用契約なのではないかというふうに思っています。これを前提とすることによって、終身雇用なるものが担保されているんだというふうに思いますし、終身雇用というものが担保されることによって、先ほどおっしゃっていただいたような特徴ですけれども、配置転換、転勤命令とかが許される、非常に強い人事管理が行われる。その背景には、主に就業規則が基礎になっている。これを俗に表現すると、いわゆるメンバーシップ型というふうに表現をされることが最近は多いようです。

 すなわち、何かというと、職業という何か特定の仕事につくのではなくて会社に入社をする、会社のメンバーになるという意味で、そういった特徴を持つことからメンバーシップ型というふうに表現をされるようでございます。

 これに対して、特定の仕事、例えば法務の仕事なら法務の仕事とか、経営企画、会社の戦略を立てるものならそこだけに特化した仕事という意味で、特定の仕事につくというのはジョブ型というふうに表現をするようでございます。

 最近、こういった用語がはやり始めているようでございますけれども、いわゆる日本型雇用慣行として表現されるメンバーシップ型の働き方、これは先ほど参考人が御指摘いただいたように、強い人事権というものが基礎づけられているというふうに思っています。

 その結果として、長時間労働、それから配置転換、転勤命令といったように無限定な働き方をするという形の特徴が指摘されるようですけれども、こういったところについてやはり問題があるんじゃないかというふうに思うんですけれども、その辺についてどのようにお考えであり、要するに、問題として認識しているのかということと、それについて改善を果たしていくべきであるかという、厚生労働省の認識としてはどう思っていらっしゃるか、教えていただければというふうに思います。

大西政府参考人 今委員御指摘いただきましたように、今非常に少子高齢化ということで、仕事と育児、介護の両立とか、そういう働く方々のワーク・ライフ・バランスというのも非常に大きくクローズアップされてきているのではないかと思います。

 そういった多様なニーズに応える働き方、やはりこれを実現をしていくというのは、私ども厚生労働省といたしましても非常に重要な課題であるというぐあいに認識しております。

 御指摘ありました、長時間労働や転勤などが求められているいわゆる正社員と、あるいは逆に、雇用が不安定な非正規雇用労働者と言われる方々、こういう働き方の二極化、そういうようなお話もあるところでございまして、そういうようなものを解消するということは非常に重要な課題だというぐあいに考えております。

 このため、改善の方の御指摘もございましたので、私どもといたしましても、いろいろな取り組みをしておりますので、そういったところをちょっと御説明させていただきたいと思います。

 例えば長時間労働でございますけれども、これは、法令違反がありましたらもちろん労働基準監督署がしっかりと指導するわけでございますが、そうでなくて、労使の自主的な取り組みを促進して、いわゆる正社員のワーク・ライフ・バランスを実現するための取り組みもやっております。

 また、何といいますか、非正規労働者の方、非常に雇用が不安定なんですけれども、そういった方のキャリアアップをするために、委員の御指摘の中にもありましたけれども、例えば勤務地とか労働時間などが限定された、多様な働き方、多様な正社員の普及促進というようなことも重要であり、そうした働き方を見直していくというような観点からの取り組みも行っているところでございます。

 これは現在、具体的に、昨年九月から有識者の懇談会を設置いたしまして、多様な正社員制度をとっている企業からヒアリングをしたりして、円滑な導入とか運営に資する雇用管理上の留意点について現在御議論いただいておりまして、平成二十六年度のできるだけ早い時期に取りまとめたい、そういうようなことを考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、ワーク・ライフ・バランスとか多様な正社員、こういったことにつきましては、厚生労働省といたしましてもしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

椎名委員 ありがとうございます。

 いろいろな現状を教えていただきましたけれども、一番最初にまず申し上げたいのは、正規、非正規という言葉は使わない方がいいと思うんですね。正しいという言葉が入っている時点で既にこれは価値判断を含んでいます。正社員か非正規社員かということによって、まるで正社員が正しい働き方で非正規社員がそうではない働き方であるかのように聞こえるわけですね。

 これを事務方の方々とお話をしたところ、総務省の統計で使っていた呼称だというふうにおっしゃっておりましたけれども、しかし、統計上の呼称を政策判断に使うというのは絶対に正しくないと僕は思っていて、正規と非正規というのをワーディングとして使うのを絶対にやめた方がいいと思うんですね。

 何が正しくて何が正しくないかは全て働く人が決めることなんですね。それをあたかも、正社員と言うことによって、これは完全にギルド化しています。労働組合という人たちは正社員の集合体ですけれども、こういった人たちが自分たちの利益を確保するために完全にギルド化して正社員という言葉を使っている、私自身はそう思っています。なので、それは結局、裏を返すと何かというと、非正規社員に対する無形の差別が行われているというふうに私自身は思っています。

 こういった、正規、非正規の二極化ではなくて、本当に多様な働き方を確保するのであれば、まずは、雇用契約のあるべき姿というのを見据えていくべきなんだろうというふうに思っています。

 私が一番冒頭に、日本型雇用契約の特徴として、期間の定めのない雇用契約と職務の定めのない雇用契約という言い方をしたのは、あえて、その正規、非正規というワーディングを避けたかったからなんですけれども、恐らく、期間の定めがある雇用契約であり職務の定めのある雇用契約がパートであり、バイトであり、かつ派遣労働契約なんだというふうに思うんですね。そういった方々に対する施策を打っていくということがこれからは望ましいのかなというふうに私自身は考えています。

 今おっしゃっていただいた二点目、多様性の確保というところについては、それは本当にそのとおりだと思っていまして、いわゆる正社員と呼ばれている、期間の定めがなく、かつ、職務の定めのない雇用契約によって、いわゆるメンバーシップ型と申し上げた、会社に入社をした人たち、こういった方々は、長期雇用契約を前提として、さまざまな会社の就業規則に基づく指示に対して従っていかなければならない、そういうことがあるわけですね。

 ジョブ型という働き方については、入社前というか、会社に入る前に、ジョブディスクリプションと英語では言いますけれども、大体、特定の仕事を明示されて、その仕事をやるというふうに決められているわけですから、そういった働き方も徐々に広めていくということ、これをしていくことによって、将来的にどういった効果が見込めるのかというと、やはり人材個人のキャリア設計というものを見越した労働政策を打っていくことができるんじゃないかというふうに私自身は思っています。すなわち、何かというと、特定の専門性を高めていくことによって、流動性の高い人材をつくり上げていくことが可能になるのではないかというふうに私自身は思っています。

 長期雇用契約であり、日本型雇用慣行の問題点として、私自身は、もう一つ大きな問題が実はあると思っています。それは何かというと、簡単に雇用調整ができないということだというふうに思っています。

 新卒一括採用をし、長期雇用契約が前提となっているので、なかなか首にできないわけですね。そうすると、雇用調整をできないので、企業としてはどういった雇用調整の仕方をするのかというと、不景気のときには大体新卒一括採用を絞るかやめるかということをするわけですね。これはかえって若年層の就職難を招くだけであって、現状既にメンバーになっている、先ほど私はギルドと申し上げましたが、ギルドの権利をかえって保全することになり、新しく労働の社会の中に入っていく人たちの権利を制約している、そういう状況になるんだというふうに思います。こういった問題があるというふうに私自身は思っています。

 次に、少し法務っぽいことを大臣に一つ伺いたいと思いますけれども、こういった日本型雇用慣行というのは、必ずしも民法の雇用契約に関する部分だったり労働三法だったりというところから直接的に導かれてつくられてきたものではないというふうに正直思っています。むしろ、判例の果たしてきた役割というのが非常に大きいというふうに思っています。

 先ほど来指摘をしている就業規則というものも、本来であれば就業規則の上位概念として労働協約というものがあるはずでございますけれども、しかし、判例の中で、それから企業の実務の中で、労働協約というものの役割が非常に制約されてきて、就業規則の役割が強くなってきて、それを判例で現状追認するとか、労働時間の上限規制についても、例えば法律上は一日八時間、週四十時間という決めがあったとしても、結局三六協定を結ぶことによって、これは結局残業代という割り増し賃金を払うための時間基準でしかなくなっているという現状。

 そして、これを判例が追認してきたとか、解雇についても、長期雇用契約が前提となっているということ、こういう事実を前提とすると、なるべく解雇、整理解雇は認めないようにということで、判例で解雇に厳しい要件をつけてきたという形で、日本型の雇用慣行はどこがスタート地点で、どこが鶏でどこが卵かというのはもちろんあると思うんですけれども、これが形成されてくる過程の中で、判例が果たしてきた役割というのは非常に大きいというふうに思っています。

 一番最後に申し上げた解雇の話なんですけれども、解雇権濫用の法理というのがあります。民法一条三項ですけれども、権利濫用法理に基づいて整理解雇というのが非常に限定的に解釈されて、行うことができない。そして、労働契約法十六条という法律で、これを立法によって追認がされているわけですけれども、こういったものがあることによって、企業は当然解雇をすることをちゅうちょするわけですね。なぜなら、条件が余り明らかではないからですね。

 法律上定められている期間の定めのない雇用契約というのは、労働者側からは二週間、それから使用者側からは一カ月前に通知をして解約をすることができるというのが原則なはずなんですけれども、判例によって大分変わっているというふうに思います。これは正直、裁判所による事実上の法創造だというふうに思います。裁判所が労働政策の形成に過分に大きな介入をしてきているのではないかというふうにも思えるわけです。こういったことによって、人材の流動性というものを高めていく中で非常に大きな問題があるのではないかというふうに私自身は問題意識として持っています。

 こういった、少し一般論みたいな話にはなってしまいますけれども、司法機関による事実上の法創造によって政策的に誘導されていくということ、これについて問題があるんじゃないかというふうに思うんですけれども、大臣の御所見をいただければというふうに思います。

谷垣国務大臣 今、椎名さんがおっしゃった解雇権濫用の法理は、民法の一般条項を個別の事件に適用して裁判所が法創造を行ってきた顕著な事例といいますか、労働法の講義を聞けば必ずそういうことを教わるということですよね。

 それが問題があるのではないかという問題意識をお持ちのようですが、一般論として言えば、裁判所がこういう形で法創造をしていくということは広く認められていることだろうと思いますし、あとは、法務大臣の立場ですが、裁判所が個別の事案で積み重ねてつくってこられた判例法理に問題があるかどうかは、私は差し控えさせていただきたいと思います。

椎名委員 ありがとうございます。

 大臣のお立場として、今はそこまでしかおっしゃることができないのはよくわかっております。

 とはいえ、法の意味が明確ではない部分について裁判所が解釈を埋めてくるというのは、当然、裁判所のやるべきことであることは間違いないわけですけれども、他方で、やはり解雇権濫用法理というのができたのもかなり昔なわけですね。例えば、解雇権濫用法理に関する結構重要な判例として言われるのが東洋酸素事件という事件で、これも昭和五十四年とか、そういう時期なわけです。それから時代は大分変わっているわけです、平成二十六年の現在。

 しかし、時代が変わっているにもかかわらず、これが立法府による立法であれば、時代の変化に応じて条文を変えるとか要件を変えていくということができるわけですけれども、相も変わらず、結局、裁判によって決められているということなので、訴訟が起こされて、裁判所が受け身になって、最終的に最高裁の大法廷で判決を出して判例変更しない限りは、引き続きこういう考え方が続いていくということになってしまって、予測可能性も非常に低いですし、時代の変化に合わせていくという意味でいうと、なかなか難しいと思うんですね。だからこそ、やはりこういうのは法律でつくっていくべきものであろうというふうに私自身は思っております。

 そういった観点から、人材の流動性を高めて、ある程度、やはり解雇法制というものについて比較的融通のきく形で整理解雇を行っていくことができるような、そういったルールづくりをしていくことが必要であろうというふうに思います。

 労働生産性を高めるという意味でいうと、やはり人材が行き来をし、そして自分たちが望ましいキャリアを自分たちでつくっていく、そういう制度設計をしていかなければならないだろうというふうに私自身は思っています。

 整理解雇自由化というふうに表現をしてしまうと、反対派の人たちが強い反対をしてしまうので、そういう表現はしたくないんです。しかし、解雇法制を改革して、より使い勝手のいい制度をつくっていき、かえって人材の流動性を高めていき、日本の経済の発展に資するような、そういう制度設計をしていくためには、やはりこれを立法化し、融通のきくようなものにしていくべきじゃなかろうかというふうに思います。

 厚生労働省の参考人にぜひ伺いたいんですけれども、今こういった問題についてどういう議論がなされていて、どういった検討がされているんでしょうか。

大西政府参考人 解雇法制のお話と、あと人材の流動性で、二点御質問いただきました。

 解雇権濫用法理につきましては、もう本当に先生御承知のとおりでございます。民法の期間の定めのない雇用につきまして、使用者が解雇権を行使できるということが出発点でありますけれども、法の一般原則である権利濫用法理のもとで、個々の人事労務管理の実態に応じまして、労働者の継続雇用に対する期待が保護されるのかどうか、そういったものが個別のケースごとに総合的に判断されている、司法でそういう判断がされている、こういう実態にあるわけでございます。

 これにつきましては、いわゆる人事労務管理の実態を変えることなしにこのルールを変えるというのは、ちょっとなかなか難しい点が多いんじゃないかと思いますし、解雇のルールにつきましては、先生御指摘ありましたように、多くの労働者の方が賃金によって生計を立てているわけでございますし、また、やはり雇用を通じていろいろな社会と通じているということで、いろいろな不安もあるということで、労使の間でやはり非常に十分な議論が尽くされるべき問題ではないのかなというぐあいに考えております。

 また、もう一つの人材の流動性のお話でございますけれども、これにつきましても、私どもといたしましてもいろいろな議論をしておるところでございます。

 現在は、昨年の六月に日本再興戦略というのができまして、いわゆる成熟産業から成長産業に円滑に人材を移動するというのが非常に重要であるという認識のもとで、いわゆる失業なき労働移動ということを実現するということで、こういう労働移動、人材の流動化の労働移動を支援する助成金を抜本的に拡充する、そういうような対応策を現に打ち出しているところでございます。

 そういうようなことでございますので、ちょっと解雇されて失業者がふえるということではなくて、円滑に新しい職場に移動できるような、そういうような人材の流動性を高めるというのを本当に一生懸命取り組んでまいりたいと考えております。

椎名委員 時間も来ましたので終わりますけれども、ぜひ頑張ってください。

 それで、先ほど、入り口論としての働き方の話とそれから出口論としての解雇の話は完全に連動しているというのは、おっしゃるとおりだというふうに思います。両方改革をしていかないと多分いけないと思います。

 ただ、解雇規制の自由化というか、流動性を高めるという意味でいうと、解雇規制の話は、必ずしも、解雇規制自体を使い勝手のいいものにすることがすなわち労働者を首にすることではないんだということ、これはきちんと打ち出した方がいいと思うんですね。そういう選択肢を認めるというだけの話なんだということはきちんと宣伝をしていただいて、やはりそれで労使交渉の中で使ってもらえるような素材をつくっていくことが大事かなというふうに思っています。

 引き続き、この問題は大事だと思いますので、私自身取り組んでまいりたいというふうに思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

江崎委員長 次に、第百八十五回国会、内閣提出、会社法の一部を改正する法律案及び会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。谷垣大臣。

    ―――――――――――――

 会社法の一部を改正する法律案

 会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

谷垣国務大臣 会社法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 この法律案は、株式会社をめぐる最近の社会経済情勢に鑑み、社外取締役等による株式会社の経営に対する監査等を強化し、また、株式会社及びその属する企業グループの運営の一層の適正化等を図るため、会社法の一部を改正しようとするものであります。

 その要点は、次のとおりであります。

 第一に、取締役会の業務執行者に対する監督機能を強化した株式会社の新たな機関設計として、社外取締役が過半数を占める監査等委員会が、取締役の職務の執行の監査を行うとともに、株主総会において取締役の選解任及び報酬について意見を述べることができるものとする監査等委員会設置会社制度を新設することとしております。

 第二に、社外取締役等の業務執行者に対する監督機能の実効性を高めるため、社外取締役等の要件として、株式会社の親会社の取締役等でないこと及び株式会社の取締役等の近親者でないことを追加するなど、その要件を現行法の規律よりも厳格化することとしております。

 第三に、会計監査人の取締役からの独立性を強化するため、会計監査人の選解任等に関する議案の内容の決定権を取締役または取締役会が有するものとしている現行法の規律を改め、その決定権を監査役または監査役会に付与することとしております。

 第四に、企業グループにおける完全親会社の株主の利益を保護するため、完全親会社の株主が、代表訴訟により、完全親会社の取締役等の責任だけでなく、その完全子会社の取締役等の責任も追及することができる制度を新設することとしております。

 第五に、株式会社が法令または定款に違反する組織再編等を行うことにより株主の利益が害されることを防止するため、株主による組織再編等の差しとめ請求制度を現行法の規律よりも拡充することとしております。

 第六に、優良資産を承継会社に移す会社分割によって分割会社に残された債権者が害される事例が見られることから、そのような債権者を保護するため、詐害的な会社分割において分割会社に残された債権者が分割会社だけでなく承継会社に対しても債務の履行を請求することができる旨の規定を新設することとしております。

 続いて、会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 この法律案は、会社法の一部を改正する法律の施行に伴い、商法ほか九十四の関係法律に所要の整備を加えるものであります。

 以上が、これら法律案の趣旨でございます。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに可決していただきますようお願いいたします。

江崎委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十一日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十一分散会


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