衆議院

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第18号 平成26年5月21日(水曜日)

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平成二十六年五月二十一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 江崎 鐵磨君

   理事 大塚  拓君 理事 土屋 正忠君

   理事 ふくだ峰之君 理事 盛山 正仁君

   理事 吉野 正芳君 理事 西田  譲君

   理事 遠山 清彦君

      安藤  裕君    池田 道孝君

      小田原 潔君    大見  正君

      門  博文君    神山 佐市君

      菅家 一郎君    黄川田仁志君

      小島 敏文君    古賀  篤君

      今野 智博君    末吉 光徳君

      橋本  岳君    鳩山 邦夫君

      平口  洋君    三ッ林裕巳君

      宮崎 謙介君    宮澤 博行君

      郡  和子君    田嶋  要君

      横路 孝弘君    高橋 みほ君

      大口 善徳君    椎名  毅君

      鈴木 貴子君    西村 眞悟君

    …………………………………

   法務大臣         谷垣 禎一君

   法務副大臣        奥野 信亮君

   法務大臣政務官      平口  洋君

   最高裁判所事務総局家庭局長            岡 健太郎君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    西田  博君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    齊藤 雄彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           義本 博司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鈴木 俊彦君

   法務委員会専門員     矢部 明宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十一日

 辞任         補欠選任

  門  博文君     宮崎 謙介君

同日

 辞任         補欠選任

  宮崎 謙介君     門  博文君

    ―――――――――――――

五月二十一日

 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 少年院法案(内閣提出第三八号)

 少年鑑別所法案(内閣提出第三九号)

 少年院法及び少年鑑別所法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第四〇号)


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     ――――◇―――――

江崎委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、少年院法案、少年鑑別所法案及び少年院法及び少年鑑別所法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として法務省矯正局長西田博君、法務省保護局長齊藤雄彦君、文部科学省大臣官房審議官義本博司君及び厚生労働省大臣官房審議官鈴木俊彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江崎委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局岡家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江崎委員長 これより各案を一括して質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。初めに、古賀篤委員。

古賀委員 おはようございます。自由民主党の古賀篤でございます。

 本日は、質問の機会をいただきましてありがとうございます。

 まず冒頭に、私の地元にあります福岡少年院、先日、入院中の少年が自殺をするという痛ましい事件がございました。少年の冥福を心からお祈り申し上げるとともに、御遺族に対して心からお悔やみを申し上げたいと思います。法務省におかれましては、再発の防止を図っていただきたいと思います。

 さて、今週月曜日、十九日でありますが、委員会の視察がございました。八王子少年鑑別所、そして多摩少年院に行かせていただきまして、私も参加をさせていただきました。また先週末は、地元のその福岡少年院にも伺う機会をいただきました。今回のこの法案の審議に当たりまして、非常に時宜を得た、現場を知るよい機会になったというふうに思っております。法務省、最高裁判所、また衆議院事務局、委員長初め理事の皆様、関係者に心から感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。また、委員の皆様方もお疲れさまでございました。

 さて、法案の審議に入らせていただきたいと思います。

 現行の少年院法は昭和二十三年に制定されておりまして、六十六年が経過しております。今回の法案、少年院法については、刑事収容施設法、これは監獄法の百年ぶりの大改正となったわけでありますが、それに倣っての法律の充実、そして新たに個別に少年鑑別所法をつくる、大きく申し上げると、そういう法案になっているんだろうというふうに思っております。

 こうした中で、法案の論点というのは幾つかあるかと思いますが、この後ほかの委員の方も質問に立たれるということですので、論点を絞って質問させていただきたいというふうに思います。

 先日の多摩少年院で、生活技能訓練、SSTと呼ばれるものですが、その訓練の場を拝見し、そして座談会という機会もいただきました。少年たちといろいろな言葉を交わす機会もいただいたわけであります。二度と過ちを繰り返さない、少年院には戻ってきたくないという少年たちのかたい決意を聞いて、頑張れと、委員の皆様方もエールを送られたことと思います。

 あの少年たちは、決して戻ってこないで、立派に更生を果たし、そして社会復帰をしてくれるんだと信じておりますけれども、一般的に申し上げると、残念ながら、再入院をする、もしくは事件を起こして刑事施設に収容されるというような少年がいるのもまた事実であります。少年院出院者の再入院等の割合、また、保護観察対象少年の再処分率というのは一割を超えるというふうにも聞いております。

 お手元に資料を配らせていただきました。

 資料の一というものをごらんいただければと思います。

 これは、保護観察処分少年、また少年院仮退院者の再処分率を、就学・就労状況別に記した、割合をあらわしたものとなっております。ごらんいただくとわかるように、いずれも、学生生徒、もしくは職を持っている有職の少年の再処分率というのは一割台ということになっております。一方で、職を持っていない、無職の少年の再処分率は五割を超えている、極めて高い処分率となっているわけであります。

 そこで、まず法務省にお伺いしますが、少年の再非行について、現状分析ですとか今後の取り組みについて、お聞かせいただきたいと思います。

西田政府参考人 お答えいたします。

 おっしゃいました再非行の現状についてまず申し上げますと、少年院を出院した年を含む二年以内の再入院率と申しますのは、平成十五年以降に出院した者について一〇%から一二%の間で推移しております。一方、少年院出院者が出院した年を含む二年以内の刑事施設の入所率は、平成十五年度以降に出院した者につきまして〇・八%から一・六%の間で推移しているという状況でございます。

 この現状分析でございますけれども、再犯、再非行に至る要因を一律に特定するのは難しいものの、本人の資質とともに、家庭とか学校とか職場、地域社会といったレベルを異にする環境上の問題等さまざまな問題が多重的、複合的に関係しているものと思っております。

 このような問題の克服には、規範意識の涵養ですとか、就労の確保、不良交友からの離脱支援及び家族による監督、監護の強化等のさまざまな働きかけが重要であると考えておりまして、少年であることに配意したきめ細かい各種指導や就学、就労支援はもとより、家族との関係調整、保護者への働きかけ等にも努める必要があるというふうに思っております。

 今後とも、そういった各種施策を進めてまいりたいというふうに思っております。その際、矯正教育とか社会復帰支援ですとか鑑別等の適切な実施を図る上で、今御審議いただこうとしております少年院法案とか少年鑑別所法案等に規定された内容も踏まえまして、再犯、再非行防止の実効を上げるように努めてまいりたい、そういうふうに考えております。

古賀委員 ありがとうございました。

 恐らく、少年一人一人の非行を起こした原因というのは違うんだろうというふうに思います。それは答弁されたとおりだというふうに思います。なるべく一人一人の少年の非行原因、そして、それに対応した処遇をしっかりと行っていただいて、さらに取り組みを進めていただくことを期待したいというふうに思います。

 今の答弁の中にもございました、少年が再び非行を起こさないための大きな要素として、就労、職につくということがあると考えております。

 今回の少年院法の第五章に矯正教育という章がございまして、その中の第二十五条には職業指導の規定がございます。職業指導の目的としてこの二十五条には、勤労意欲を高める、また、職業上有用な知識及び技能を習得させるという目的が書かれております。

 時代をさかのぼらせていただきますと、戦前、大正十一年に当時矯正院というものができて、矯正院法も公布されたわけでありますが、この戦前の時代から実業教育という位置づけで農業ですとか園芸、木工、印刷というような種目の教育が行われていたというふうに聞いております。

 その後、戦後、昭和三十年代、高度経済成長時代に職業指導の充実というものが図られまして、職業訓練修了者には当時の労働省の担当局長名で職業訓練履修証明書の交付がスタートしたというような取り組みもあって、こうした取り組みは少年の社会復帰の大きな後押し、自信にもつながってくるんじゃないかというふうに考えるところであります。

 お配りした資料の二をごらんいただきたいと思います。

 これは、協力雇用主の方のデータでございます。上は業種別の協力雇用主の数ということでありまして、左から、建設業が四七%、以下、サービス業、製造業が一五%と続いているところであります。これを、被雇用者数という下の表をごらんいただければと思いますが、建設業の割合がさらにふえまして七七%、以下、サービス業、製造業と続いているわけであります。

 もちろん、少年が出院後、協力雇用主だけに雇われるわけではなくて、いろいろな企業に就職されるわけでありますが、一つの目安ということになるかと思います。

 先日視察を行いました多摩少年院では、パソコンですとか金属加工の指導が行われておりまして、我々委員も、実際に子供たちに話しかけたり、その指導の様子というのを拝見して、わあ、すごい、いろいろな訓練がされているなというふうに学ばせていただいたところであります。

 また、福岡少年院についても、介護サービス科ですとか自動車整備科、この自動車整備科というのは西日本に一つだというような御説明も受けまして、非常にしっかりした設備でこういった指導が行われているなということを感じたわけであります。

 しかしながら、全国的に見ると、必ずしも多摩少年院とか福岡少年院のような指導が行われているところばかりではないというふうに承知しております。

 そこで、資料の三をごらんいただきたいと思います。

 この資料の三は、少年院別に、職業補導がどういった指導が行われているかというものをあらわした表になっております。横の欄は各補導の科目が並んでおりまして、縦には各少年院の内訳、数字が書いてあるという資料になっております。

 一番上に総数、全体の数がございまして、その割合もこちらではじかせていただきました。農業が一番多くて二三%、次いで木工や窯業、溶接といったものが一一%、あと園芸が九%ということでありまして、私たちが拝見したような、例えば事務・ワープロというものは六%、また情報処理も二%、介護サービスも二%ということで、決して高くない割合になっているわけであります。

 また、さらに下に、皆様方、ぜひ地元の少年院の状況というのをごらんいただければと思います。例えば、上から順に申し上げますと、仙台管区にある山形の置賜においては農業が全体四十八のうちの四十三、東京においては小田原少年院が木工が八十六、大阪管区播磨が農業が九十二のうちの八十八、大宗を占めております。高松管区も松山が四十九のうちの四十三が農業、福岡管区佐世保においては総数百十七のうちの百四が窯業ということになっておりまして、ちょっと偏りがあるのかなというふうにも感じております。

 職業指導というのは、先ほど二十五条でも申し上げたように、そもそも就労意欲を養う、さらには人間形成ですとか鍛錬の場だというような位置づけがあるということは理解しておりますし、職業として今申し上げたような農業とか窯業とかいうのが、決して私は、悪い、こういうのはやめるべきだと申し上げているわけではないわけであります。

 しかし、例えば農業、今就農者がどんどん減ってきている、新規就農者をふやさなければならないというような課題もある中で、農業を学んだ少年たちに出た後に就農の案内をするとか、そういった取り組みがされているのかということも気になるわけであります。

 また、協力雇用主の方の調査によりますと、身につけてほしい知識とか能力として、社会常識というのがトップに挙げられております。次いで資格、免許、またはビジネスマナーというものが続いているというように聞いております。

 少年院で行われますそういった職業指導については、手に職をつけるといった観点、出院後をにらんだ職業訓練といった観点から、今申し上げたような協力雇用主の調査を受けたような、社会人としての常識、ビジネスマナーの習得といった観点、また社会の雇用ニーズも、例えば介護についても介護士不足等の問題もありますので、そういったニーズを踏まえた種目の見直しというものを柔軟に図っていただくことが、少年の更生、少年の力にもなるんじゃないかというふうに考えておりまして、職業訓練といったところにより重点を置く必要があるのじゃないかというふうに考えるところであります。ぜひ法務省の見解を伺いたいと思います。

西田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど言われましたように、職業補導、職業指導につきましては、少年院の処遇の中でも中核をなすものでございますので、いろいろな意味で雇用ニーズとかそんなことが必要だということはよく承知しております。

 また、今御指摘ありましたように、職業補導と申しますのは、勤労意欲を高めたり、職業上有用な知識及び技能を習得させるといったことで非常に重要な矯正教育でありますけれども、一方で、御指摘ありましたとおり、職業人としての基本的な職業マナーですとかあるいは礼儀、社会常識を習得することも、出院後の就労生活を持続させる意味では非常に重要だというふうに考えております。在院者の中には、正規の就労経験もなく就労のための基礎的な態度に欠ける者も多いということがございますので、こういった取り組みを充実強化することも非常に必要であるというふうに考えております。

 この点につきましては、少年院では幸い、非常に閉鎖された空間でございまして、個別指導と集団指導と適宜組み合わせまして、日々の生活指導の中で社会人としての生活習慣、常識を涵養させるということができているというふうに思っております。

 それから、先日ごらんいただきましたように、SST、いわゆる社会適応訓練プログラム、そういったものを通しまして、対人関係とか集団行動を上手に営んでいくための技能の習得とか、社会人として必要な基本的なスキルを習得させていきたいと思っております。

 それから、もう一つございました、雇用ニーズに見合った職業訓練ということでございますけれども、介護、建築業等の職種につきましては、収容少年が結構希望するものでございますので、そんなことも鑑みまして、雇用ニーズに対応した職業補導種目の充実、見直しを図って、社会人として職場に定着できるように、いろいろ検討してやってまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

古賀委員 局長、ありがとうございました。

 しっかりした幾つかの観点に基づいて少年院の運営が行われているということは十分承知をいたしました。

 私も、繰り返しですが、ニーズがあるものだけをやればいいと申し上げているわけでは決してなくて、そもそも戦後、本当に敗戦の中で非行少年がふえて、そういった中で、いろいろな軍用施設ですとか少年の保護施設というものを使いながら少年院が戦後立ち上がっていった、ふえていった、そういう中で、地域の中の人の理解なり、一緒に取り組んで少年院が運営されているということも十分理解しておりますし、そういう中で農業があったり窯業があったりするんだと承知しております。

 ぜひ、引き続き、地域の方の理解を得ながら、協力を得ながら、より充実した少年院の運営をしていただきたいというふうに思います。

 就労支援、今申し上げた就労支援は、本当に少年の立ち直りに大きな後押しになっているというふうに感じておりまして、我が自民党もこういった取り組みを積極的に後押ししていきたいと考えております。

 そこで、党の中では、刑務所出所者等就労支援強化特命委員会というものを開いておりまして、先月、四月には緊急提言を行わせていただきまして、大臣のところにも委員会のメンバーがお話に伺わせていただいたと思っております。

 この提言においては、協力雇用主に雇用される刑務所出所者等を現状の二千人から四千人に倍増させる、また、就労、職場定着後も継続して長期的かつ安定的に雇用を創出するといった目的で、就労して職場に定着をした、さらに就労が継続したという場合に協力雇用主の方に奨励金を支給するといったような制度の創設を提言させていただいております。

 更生保護の世界は、保護司を初めボランティアの方によって成り立つ部分というのはたくさんあって、ただ、保護司の方にも、活動費として実費弁償金というものがございますし、いろいろな形でお金がかかるものであります。協力雇用主の方も、自己負担でその少年を受け入れて、そして住居を確保したり、いろいろな形で自己負担も伴いながら支援をしているという実態がございます。

 これに対して、奨励金を支給するということは、私は雇用拡大という意味で大きな効果があるんじゃないかなというふうに感じておりますが、ぜひ、この奨励金について大臣の御見解をお聞かせいただければと思います。

谷垣国務大臣 自民党の方で、刑務所出所者等就労支援強化特命委員会、古賀委員も中心的なメンバーとして緊急提言をまとめていただきました。

 その中で、今おっしゃったような協力雇用主に対する就労・職場定着奨励金支給制度、それから就労継続奨励金支給制度の創設を提言していただきました。これはいろいろ研究していただいて、日本財団なんかがやっています職親プロジェクト等々を参考にしながらお考えいただいた。私は、これは非常に効果のある施策ではないかと思っております。

 ただ、悩みは、古賀委員も財政事情はよく御存じで、財政当局でこの分野のお仕事もしていただいていたわけですが、厳しい財政事情の中で支給額や支給期間等々、どうしていくかという乗り越えなければいけない課題も多いと思います。

 法務省としても、十分気合いを入れて隘路を突破していかなきゃいけないと思っておりますが、またいろいろ示唆等いただければありがたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

古賀委員 大臣、ありがとうございました。大臣に御理解いただいている、かつ、御決意も聞かせていただいたというふうに理解しました。

 やはり、おっしゃるように財源の問題もございますが、奨励金の効果とそれによるコストを削減できる部分もあると思いますので、そういった総合的な観点からこの奨励金が実現するように取り組んでいきたいというふうに思っております。

 特命委員会では、協力雇用主に対する奨励金だけではなく、例えば保護司の方、更生保護施設の取り組みのさらなる支援ですとか、また、文科省等も絡んできますが、高校中退者等に対する就労支援、また住宅確保等々、総合的な支援策を今検討中でございまして、近々第二弾の提言もさせていただきたいと考えております。

 次に、観点が変わるわけですが、今、非行少年については、処遇記録という少年の非行について対応した記録というものがとられております。そして、その処遇記録というのは、少年の動き、送致に合わせて書類が動いていくというふうに聞いております。例えば、鑑別所から少年院へ、また少年院から保護観察所へという形で書類の引き渡しがされているというふうに聞いております。

 また、この処遇記録というのは行政文書となりますので、十五年間の保存期間があって、その間に再非行がないとか再犯が行われないということであれば書類は処分されるというふうにも聞いているところであります。

 私は、この処遇記録というものは非常に大事なデータじゃないかというふうに考えているところであります。今IT化の時代でありますので、こういった書類、データをもっと有効に活用できるんじゃないかなというふうに考えております。

 具体的には、鑑別所や少年院、保護観察所や保護司、さらには刑事施設といった関係者で、こういったデータを電子化した上で共有する。少年が、今回の法案では、少年院に問い合わせですか、少年院を出た後も連絡がとれるような規定もございますが、その対応した教官だけではなくて、およそ全国の少年院、少年も移動するでしょうから、そういう少年院で、少年が尋ねてきたときに適切な対応ができるように、そういった処遇記録をみんなで共有するということは私は有効なんじゃないかなというふうに考えております。

 こうした処遇記録の取り扱いについて、ちょっと大臣の御見解を伺えればと思います。

谷垣国務大臣 非行少年の再非行防止あるいは社会復帰支援、これは関係者がやはりばらばらに対応していたのではうまくいかないので、今委員のおっしゃった情報の適切な共有、もちろんこういう情報でございますから、プライバシーの保護とか守らなければならないものはありますけれども、情報を適切に共有して効果を上げていくということが極めて大事ではないかと思います。

 今、少年鑑別所では、個々の少年について少年簿というのをつくっておりまして、その中で、少年の家庭環境であるとか生活史、あるいは問題となっている非行、それから矯正施設における処遇のあり方等々を記録しておりまして、これは、少年院や保護観察所で処遇をするに際して活用しているわけですね。

 それから、少年簿を保護観察所やあるいは保護司さんに見ていただくわけですが、今のようなこの電子化等をどうやっていくかという問題があるわけですけれども、少年が少年鑑別所から保護観察所に行ったようなときに、できるだけ早く保護観察所も情報が必要だということで、初回の面接に間に合うように鑑別結果通知書等、写しを送っているとか、それから少年院で矯正教育の実施状況を仮退院前に保護観察所に伝達する、これは今試行でありますけれども、こういうことを始めております。

 それから、少年院を出所した者が刑事施設に入所するということもありますので、少年簿は刑事施設にも送って、そこでの処遇にも活用するということをやっております。

 それで、今度の少年院法それから鑑別所法の案では、関係機関で協力を求めることについての条文も設けておりまして、矯正教育の実施の状況等に関して、それぞれの関連のところで適正な情報共有に努める、それから、必要に応じて、個別事例についての検討会や処遇協議等などにも活用するということをして、専門性を生かしながら、的確に意思疎通のできる、顔の見える連携というようなことを現場では言っておりますけれども、そういうものに一層力を入れていきたいと思っております。

古賀委員 大臣、ありがとうございました。

 各施設でしっかりと連携を図って取り組みをされている、さらに、いろいろな新たな試みもされているということもわかりました。本当にありがとうございます。ぜひ進めていただければというふうに思います。

 少年鑑別所法案についても一つお伺いをしたいと思います。

 第百三十一条には、非行及び犯罪の防止に関する援助として、少年鑑別所長が、少年や保護者、または非行及び犯罪の防止に関する機関や団体、一般の方に、助言や援助を行うといった規定がございます。

 視察を行った八王子少年鑑別所でも、敷地内に、その鑑別所の建物とは別に一軒家があって、そこでくわのみ心理相談室というものが置かれ、そして、少年や保護者からの相談に応じているというような御説明を受けました。現行では、時間の制約があるので、その制約の中で対応されているというお話だったので、相談件数も年間四十件程度というようなことでありました。

 少年の非行の未然防止の観点、つまり、少年鑑別所に実際少年が来て少年鑑別所のお世話になるという前に、八王子でいえばくわのみ心理相談室といったようなところで、少年や保護者、さらには学校の関係者等々としっかりと未然の防止を図られれば、私は非常に大きな意味があるんじゃないかなというふうに思っておりますが、今後、こういった一般相談的なものをより積極的に行う必要があるんじゃないかと考えておりますが、ぜひ今後の取り組みについてお聞かせいただければと思います。

西田政府参考人 お答えいたします。

 今お話がございましたいわゆる一般相談というものは、現在もできる限りやっているところでございますけれども、現行の少年院法第十六条の二第一項の規定によって、本来の業務に支障がない範囲でやるというふうなことがございまして、どうしても、今御指摘がございましたように、積極的にどんどんというわけにはいかない、限界が少しございます。

 今回御審議いただきます少年鑑別所法におきましては、これを、鑑別と観護処遇と一緒に正規の業務として、鑑別所の業務としてというふうにさせていただこうと思っております。

 やはり、現在、親御さんですとかあるいは学校関係者とか教育関係者が、非常にそういった相談をしたいという事情もございますので、そういった意味では、少年鑑別所は、これまでの実務を通じて蓄積してきました技能とか知識とか、そんなものをぜひ活用いただいて、さっきおっしゃいました非行の未然防止、これにもお役に立てればというふうに考えているところでございまして、きちんと正規の業務として規定していただきまして、これからどんどんこれも進めていきたいというふうに考えております。

 以上です。

古賀委員 西田局長、ありがとうございました。

 法案について、過去、歴史を振り返ってみますと、戦前の矯正院法から戦後の少年院法、そして六十年以上たって今回の法案という歴史があるわけであります。その過去において、本当にいろいろな方々が関与され、少年の更生に尽力されたという歴史も十分承知しておりまして、これから、本当に、少年が非行を繰り返さない、非行を起こさないという体制づくり、また協力を続けていきたい、各種取り組みの支援も行っていきたいと思っております。

 引き続き皆様方の御尽力を心からお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

江崎委員長 次に、遠山清彦委員。

遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。

 本日議題の少年院法の改正は、昭和二十四年の施行後、約六十五年ぶりということでございまして、また、少年鑑別所法案についても、大臣御承知のとおり、新法ということでございます。極めて重要な歴史的な法改正でもございますし、鑑別所はずっと存在してきたわけですけれども法律がなかったということで、少年院法の中に若干あったというだけの希薄な法根拠のもとに運営されてきたわけでございますが、今回、歴史的に非常に重要な法改正だと認識をしております。

 公明党としても、この法改正を歓迎し、また、成立後に、法務省の皆さんと協力をして、少年の再犯防止、非行対策あるいは更生支援といったものに全力で取り組んでまいりたいということを冒頭申し上げさせていただきます。

 まず、今回の法改正に向けまして、本年の二月二十六日に、公明党の法務部会として、神奈川医療少年院、八王子の少年鑑別所を視察させていただきました。

 特に印象が強かったのは医療少年院でございまして、ここに、知的障害や発達障害、また情緒的に未成熟で社会への不適応が著しい少年を収容している施設であるため、私が直接お会いをした入所者の皆さんの中には、基本的な生活習慣、例えば、歯磨きがちゃんとできないとか、あるいは着がえ、また、極端なケースでは、排せつの方法まで中で教えなければいけないという少年たちもいるようでございます。そういう場所でございますので、他の少年院とは違う御苦労を職員の皆様がされているということを目の当たりにいたしました。

 そしてまた、いろいろ現場でお話を伺いますと、入所している少年たちの家庭環境が複雑で、率直に申し上げて、医療少年院に入所してから初めて人間らしい扱いを受けたとか、初めて笑顔が出たというような話も伺いまして、本当に、変な話、私も行く前に、それは矯正施設でございますので、閉じられた空間の中でいろいろな矯正教育を受けているわけですけれども、ある意味、外の社会にいるときに全く人間扱いされずに、いじめられたり、いろいろなことがあって犯罪、非行に走った子供たちが、医療少年院に入って、入所後に初めて人間らしい扱いを受けて生活をしているという現実を知らされて、一部胸に迫るものが正直ありました。

 そこで、これは西田局長にお伺いしたいんですが、そういう医療少年院は非常に大事だと私は感じたわけでございますし、また、私、視察は場所的にかないませんでしたけれども、女子少年院も非常に大変な施設だと伺っております。

 こういう少し特殊な施設では、職員の負担感というものが大きいと現場で伺いました。いろいろな少年院を回られている職員のお話によりますと、普通のと言ったら語弊があるかもしれませんけれども、他の少年院と比べると、こういう医療少年院とか女子少年院で働いている方々の現場の負担感というのは、他の施設で働いたときと比べると数倍大きいということでございます。

 私がまずお聞きしたいのは、こういった施設にやはり職員の配置を重点的に、めり張りをつけてやるべきではないか、こう考えているわけでございますが、法務省の御見解を伺いたいと思います。

西田政府参考人 お答えいたします。

 まず、先ほどありました医療少年院と女子少年院の実情を少しだけ紹介させていただきたいと思います。

 御指摘のとおり、医療少年院とか、特殊教育課程と申しまして特別な扱いをしなきゃいけない課程を持つ少年院におきましては、心身に障害を持つ少年とか発達上の課題を抱えた少年を収容しておりまして、こういった少年の処遇には、医療との連携はもちろんですけれども、非常に個別的で、かつ複雑な対応が求められるということがまずございます。

 それから、女子少年院におきましては、一般的に、被虐待体験を持つ者とか、厳しい生育環境の中で成長したことを背景にしまして情緒が非常に不安定であったり、それから、リストカットをしたりという自傷癖があったり、摂食障害を有する者が多く収容されておりまして、これはまた違った意味できめ細かく複雑な対応をしなきゃいけないという状況にございます。

 そこで、今お話ございましたように、これら少年院はその負担感というものは物すごいものがありますし、質が違う負担感がございますので、その対象少年の処遇の難しさを勘案した職員配置は一応しているつもりでございますけれども、それだけではなくて、非常勤でありますけれども、精神保健福祉士ですとか社会福祉士を配置したり、あるいは、本年度はこういった少年院に心理学の専門的知識を持つ心理技官、法務技官を配置するといった、それぞれ、少年院の特殊性に配慮した処遇ができる体制の整備に努めたところでございます。

 現在、そういった施設でのさらなる処遇、矯正教育の充実に向けてやっているところでございますけれども、今言われましたその所要の職員の確保、これも必要でございますし、それも含めまして処遇体制の充実を図ることを重要な課題と認識しておりまして、引き続き努力をしてまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

遠山委員 西田局長、ありがとうございます。

 大臣、御答弁は要りませんけれども、もちろんこの医療少年院にいる少年少女たちもいずれは外に出ていかなければならない、自立しなければならないということでございますので、後ほど時間があれば御質問しますが、退院後、退所後の相談体制も充実させながら、また、社会の中にある福祉施設等でしっかり受け入れていただいて、本人が立派な人生を送れるように支援できる体制を整えていただきたいということだけ要望させていただきます。

 続いて、少年非行対策の関連で、私は当委員会で何度か取り上げてまいりました、北九州市で非行少年、非行少女を累計百人以上雇用してきた、福岡県協力雇用主会の会長でもあります野口社長さんでございますが、まだ大臣は直接お会いをされていないと聞いておりますけれども、法務省の齊藤保護局長が現地に赴いていただきまして、野口会長の取り組みを直接聴取したと伺っております。

 やはり、非行少年の更生につきましては、民間で、この野口さんのように積極的に雇用の場を与えて自立を支援してくださる経営者の存在というものが大変重要だと考えておりますが、ぜひ、この委員会の場で、現場の声を聞いてきた齊藤局長から、所感も含めて、今後の方向性について御答弁いただければと思います。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員からお話がございましたように、野口さん、北九州でガソリンスタンド数店舗を経営されておられまして、これまで百人以上、恐らく百二十人、百三十人といった非行少年少女を直接雇用されまして、その社会復帰の支援をされてきたという方でありまして、福岡県の協力雇用主の連合会の会長としても御活躍していただいている方でございます。

 委員の方から、昨年、法務委員会で野口さんの御活躍のお話もありまして、私、もちろん野口さんのことは知っていたんですが、委員のお話も聞きまして、ぜひとも直接お話もお伺いしたいし、現場を見せていただきたいということで、ちょうどことしの一月、福岡へ出張する機会があって、寄らせていただきました。

 いろいろお話をお伺いしました。やはり、いろいろな御苦労がおありですが、少年少女たちを信用する、信頼する、それが全ての前提だということで、一生懸命やっておられるということでありました。

 それから、野口石油には、野口さんの奥様、この方は保護司もされています。それから、息子さん、娘さん、それから息子さんのお嫁さん、そういう方もおられますが、そういう御家族一丸で少年少女たちを支援しているということでありまして、非常に感銘を受けました。

 それからさらに、野口石油で雇用してもらって立ち直った少年たち、それが働いているんですね。その子たちがまた、野口さんや御家族と一緒になって、一生懸命、その後輩の、今雇用されている人たちの支援をしている。一丸となってやっているということで、本当に頭の下がる思いがした次第でございます。

 そういうことで、非常に感銘を受けまして、その場で皆さんの御了解を得て、私どもの感謝の気持ちをお伝えしたいということで、野口石油の従業員の皆さんを対象に、私の名前で特別感謝状というものも後日出させていただいた次第でございます。

 野口さんを初め、非常な困難があるということをわかりながら、協力雇用主になって雇用してくださっている方がたくさんおられます。そういった方々の思いに応えるべく、今後とも協力雇用主に対する物心両面にわたる所要の施策を推進してまいりたい、そういうふうに思っております。

遠山委員 齊藤局長、いつもとは違って、大変率直な、文章を読まない御答弁、ありがとうございました。私も、聞いていて大変感動いたしました。大臣も、福岡に行く機会がありましたら、ぜひ野口会長にお会いをしていただければと改めてお願いを申し上げたいと思います。

 この野口さんのような方が全国でふえてくれば、本当に多くの非行少年少女の更生、矯正もまた進むのではないかと期待をしているところでございます。私も、衆議院議員の立場で何ができるかできないかといろいろありますけれども、こういった貢献している方々のお話をいろいろなところに伝えて、どんどん全国で第二、第三の野口さんがあらわれるように頑張ってまいりたいと思っております。

 さて、きょうは文科省の審議官に来ていただいておりますが、これは福岡県内の、もちろん一部の高校での話でございますが、私も現場を回っておりまして聞いた話で、これはゆゆしいことだなと思いまして、きょう取り上げさせていただきます。

 一部の地元の高校の学生の会話の中で、高校を卒業した後に、変な中小零細企業に就職するよりも、反社会勢力、反社会団体に入る方がいい暮らしができるという会話を公然としているということを聞きました。

 もちろん、こういう話に青少年が影響されないように努めるのは、一義的には家庭教育というか家族の問題だとは思いますけれども、詳しくはきょう申し上げませんけれども、私も、内閣委員会にいるときに、暴力団対策法の審議なんかでデータを見ましたけれども、今は、構成員よりも準構成員の方が人数が多いんですね。準構成員だと暴対法に基づくいろいろな規制から逃れられるということも背景にあるようでございます。

 いずれにしても、高校生あたりが、よく世の中をわかっていない状態で、そういう団体に入った方がいい暮らしができるよなんということが公然と語られているというのは非常に問題だなと思っておりまして、もちろん政府でやれることというのは限界があるわけですが、文科省として、学校教育の現場でこういう誤った風潮が出ているということに対して、もちろん地域で濃淡のある話ではございますけれども、どういう対応をされているか、ちょっと簡潔に御答弁ください。

義本政府参考人 お答えさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、今お話を伺った事案は、一部かと思いますけれども、かなり深刻な問題でございます。私どもとしてはしっかり受けとめないといけないと思っております。

 児童生徒が善悪の判断など規範意識を身につけるためには、学校教育において規範意識や倫理などをしっかり培うとともに、豊かな人間性を育む教育が大事でございますけれども、その際は、学校だけではなくて、先ほどお話ございました民間機関も含めて、関係機関と連携をして、学校全体を通して取り組んでいくということが必要だと思っております。

 学校現場での生徒指導におきましては、生徒が社会の決まりを守り、社会的に自立できるように、教員の指導に加えまして、警察官が外部講師となり、非行事例等を児童生徒にわかりやすく直接語りかける授業を非行防止教室として実施しているところでございまして、こうした取り組みを通じて、犯罪防止、被害の防止を含めた非行防止の指導を行っておるところでございます。

 また、決まりを守れない児童生徒の問題行動につきましては、個別の問題としまして、毅然とした粘り強い指導を行い、早い段階からの子供たちの立ち直りを支援するという取り組みを文科省としても学校現場に対して奨励しているところでございます。

 さらに、非行や犯罪被害等の問題を抱えた少年を支援するためには、教育委員会、警察、児童相談所等の少年の問題行動に関する関係機関がしっかり連携協力していくことが大事でございます。

 こういう観点から、文科省と警察庁との共催で、各地域のこれらの機関が率直な意見交換を通じましてさらなる連携強化をするための場としまして、問題行動に関する連携ブロック協議会というのを毎年各ブロックで開催しているところでございます。

 御指摘のありました福岡県でございますけれども、平成二十一年に福岡県暴力団排除条例というのを制定いたしまして、その中でも、県の役割としまして、学校におきましてしっかり取り組みをしていくということについては明記しているところでございまして、県の方におきましては、例えばでございますが、先ほど申し上げました非行防止教室の取り組みに加えまして、警官によりまして、暴力団の排除のための講話を行うということとともに、暴力団に入ることによりまして人生が大きく狂ってしまうということをわかりやすく、漫画というふうなメディアを使いまして、紹介し、それを発信するなど、暴力団の犯罪に遭わない、暴力団にならないといった意識づけの醸成ができるような、暴力団の排除に対する教育を実施していると聞いているところでございます。

 そういう中におきましてもこういうふうな課題が生じるわけでございますので、その点については、粘り強く、いろいろな方法をとりまして取り組んでいくことが大事だと思っておりますので、文科省としましても、そういうふうな事例をよりよく共有しまして、全国の現場の方にいろいろな機会を通じまして発信し、取り組んでいただけるように、関係機関と連携しながら取り組んでまいりたいと思います。

遠山委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 次の質問は大臣にお答えをいただきたいと思います。

 今もずっといろいろ非行少年の自立支援等をお話ししてきたわけでございますが、再犯防止全般で、雇用先の確保と帰住先の確保の重要性というのが繰り返し当委員会で指摘をされてきたわけでございます。

 法務省における再犯防止策の実効性を高めるためには、やはり協力雇用主やNPO法人など、民間の力をさらに活用することが重要であることは論をまたないわけでございます。

 ただ、この問題意識を共有して、協力をしたいと言っている民間会社や団体はあると思いますけれども、やはり欧米諸国と比較いたしますと、まだちょっと広がりに欠けている部分が日本はございます。やはり矯正とか自立支援の分野に進出するというのはいろいろなリスクがあるわけでございますし、財源の問題もあるわけでございます。

 そこで、きょうは資料で一枚配らせていただいておりますけれども、PFIという手法を開発したのはイギリスでございます。一九九二年、イギリスで始まりました。

 今、この別紙の資料に書いてありますように、二〇一〇年にまたイギリスで新たな社会的投資スキームとしてソーシャル・インパクト・ボンドというスキームが出てきておりまして、欧米社会の一部で注目を浴びております。

 これは、生産性を上げたい従来の行政サービスが対象になるものでございまして、行政と中間支援組織のファンド、ここが成果報酬型の行政サービスの民間委託について複数年契約を結ぶ。投資家は、この中間支援組織を通じて、民間のお金もその事業に出す。官の方は、行政の方は、今までコストが一〇〇かかっていた行政サービスを削減できた場合、それを成果とみなして、その削減幅の中から一部リターンを出す。それが収益になりますから、そもそも民間から投資をした人たちに少しリターンが戻るというスキームだそうでございます。

 時間がありませんので全部詳しく御説明いたしませんが、この紙に書いてありますとおり、既にイギリス、米国、それからオーストラリアで、ソーシャル・インパクト・ボンド方式を使って、従来の行政サービスの一部が民間によって担われているわけでございます。

 大臣、イギリスを見ていただいても、対象になっている事業が、受刑者社会復帰、児童養護施設、これは両方とも日本でいうと法務省所管の行政サービスです。米国は、低所得者層向け住宅、職業訓練、これはどっちかというと厚生労働省的なお仕事でございますが、右のオーストラリアはまた、児童犯罪防止、児童保護、里親プログラムと、法務省所管の行政サービスに使われているわけでございます。

 私、先日、環境省に行きまして、このソーシャル・インパクト・ボンド方式を使って、犬猫の殺処分ゼロのためのスキームとして活用したらどうかという提案をしたばかりでございます。実は法務省の方も、きょう初めて私は委員会では提案をさせていただくわけでございますが、こういった新たな社会投資スキームもちょっと調査研究をしていただいて、ぜひ、民間の力をこの分野で生かすために法務省としても真剣に検討していただけないか、こう思うわけでございますけれども、いかがでしょうか。

谷垣国務大臣 今、遠山委員から、ソーシャル・インパクト・ボンドという新しい取り組みを御紹介いただきました。私も十分承知しているわけではありませんが、英米あるいはオーストラリアで取り組みが始まっていると。この英国のところに、遠山委員が指摘されましたように、受刑者社会復帰とありまして、これは聞きますと、短期刑の収容者、これが、施設内にいるときあるいは出所した後、官民のノウハウを駆使して再犯率を低めていこうという取り組みだと聞いております。

 我々も、今まで、例えばPFIを活用して刑務所等々をやってまいりまして、あれでかなりいい成果も出ていると思います。そのいい成果というのは、やはり官民の力を利用することによって、単に刑務所を建てるというだけではなくて、その後の処遇についても官民の連携に新しい可能性を開いたようなところもあるんじゃないかと思うんですね。

 そこで、我々も特に出所後の社会復帰というようなことを考えますときに、官民のうまい協力関係というのはつくっていかなきゃなりませんので、こういうスキームを活用することによって、単に資金を得られるというだけではなくて、官民の何か新しい協力のあり方というものも展望が開けるかもしれないというような感じも受けておりまして、十分私たちもこれは研究したいと思っております。

 もちろん、我々の仕事はなかなか収益等が見込めるものではありませんので、こういうスキームはぴたっといくのかどうかというのも十分研究しなきゃいけないと思いますが、私どもの中でも大いに情報を集めて勉強したいと思っております。

遠山委員 大臣、よろしくお願いいたします。

 時間もだんだんなくなってきました。次の質問は、これも、少年院で働いている職員の方々の現場の声も少し交えた形での質問になるかと思います。

 今回の少年院法の抜本改正、これは非常に大事なことなわけでございます。しかし、これまで六十五年間、二十数カ条しか規定がない法律で運用してきたわけでございますので、当然、法律が小さいですから、省令、訓令、通達等で柔軟に現場の問題に対応しながらやってきたんだと思います。

 今回、しっかりした法律ができるということは、法律上の制度として位置づけが明確になるというメリットはあるものの、逆に、これまで運用の改善で柔軟に対応してきたことができなくなったり、これは今までやってきたけれども今度の法律上できるのかどうか、こういった多少の混乱があるのではないかと私は予想をしております。

 そういうことも少し踏まえまして、これは法律が施行されてからしばらく時間を置いた方がいいと思いますけれども、運用上混乱がないか、現場の職員が困惑していないか等々について、大臣みずから現場も行っていただいて、把握をされて、この新しい法律に合った形での現場の運用の仕方というものをしていただきたい。

 ちょっと先回りしたような質問で恐縮でございますけれども、ということを要望させていただきたいと思いますけれども、少し御見解をいただければと思います。

谷垣国務大臣 今委員のおっしゃった御心配は、新しい法体系でやっていく場合に全く払拭し切れるものではない面もあると思います。

 ただ、今まで、おっしゃったように条文も少なくて、そこで、ある意味では自由にできる面もあったかもしれませんが、結局、在院者の権利義務であるとか、あるいは職員の権限等に関する規定も十分ではなかったから、これは省令とかあるいは通達なんかで補って何かやりくりをしてきたわけでございますので、職員が職務執行する場合に必ずしも根拠なり判断基準とかが明確にならない、そういうおそれというか欠点があって、それを何とか補いつつやってきたということだと思います。

 今回の法案は、それを乗り越えなきゃいけない。今までの経験も基礎に置きながら、今まで経験によって補ってきたもの、矯正教育やあるいはその体系といったものを踏まえながら、改めて法律に規定していくという趣旨でつくられておりまして、そのほかにも、外部交通、外部とのいろいろな通信、面会とか、あるいは書籍などをどう閲覧するのか、あるいは在院者の権利義務の範囲、こういうものを明確にしていこう、それから、制止とか、あるいは保護室への収容といった職員の権力的な職権をどうきちっとコントロールしていくかというのは整備をしていくわけですので、判断基準を明確にしていくという意味があると思います。

 しかし、委員がおっしゃるように、今後、運用の過程でそういう混乱が起こっていないかどうかというのは十分よく注意をしていく必要があると思いますので、現場等の状況もよく見ながら、この法改正によって少年の矯正というようなものがよりよい軌道に入っていったというふうにするように努力をしたいと思います。

遠山委員 ありがとうございます。

 最後の質問、簡潔に西田局長から御答弁いただきたいと思いますが、今回の少年院法の第二十四条三項におきまして、在院者に生活指導を行うに当たりまして配慮しなければならない事情が三点挙げられております。その二点目が、まさに最も深刻な問題だと私は思っております麻薬、覚醒剤その他薬物に対する依存という事情に対する配慮だというふうに思っております。

 これは、私が申すまでもなく、今報道で脱法ハーブだとか脱法ドラッグ等々の薬物依存の話、最近も著名な芸能人の方がまた逮捕されるということもございました。

 いろいろ聞きますと、やはり在院中は薬物を絶てても、また出てからしばらくたって依存に戻ってしまうケースが後を絶たないと言うと言い過ぎかもしれませんけれども、ケースとして多いというふうにも伺っておりますので、ぜひ簡潔に、最後に、この薬物依存の再発防止について、新たな法律を受けてどういうふうに取り組んでいかれるのか、御答弁いただきたいと思います。

西田政府参考人 お答えいたします。

 少年の改善更生とか円滑な社会復帰には、薬物依存というのは非常に重要な課題だというふうに考えておりますので、細かい内容までは申し上げませんけれども、今後、プログラムをちゃんとしたものをつくりたいと思っておりますので、まず、二十三年度に矯正プログラムを開発いたしまして、二十四年から、重点指導施設を四庁選定しまして、そこで試行しております。それをした上で、平成二十五年、昨年度から、全庁、全施設において導入しておりますので、これの導入状況とか実施状況を見て、また見直しをしたり、強力に進めていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

遠山委員 ありがとうございました。

 ちょっと、副大臣、時間がなくて、そこまで行かなくて、申しわけございません。

 ありがとうございました。

 終わります。

江崎委員長 次に、横路孝弘委員。

横路委員 広島事件を踏まえて少年矯正を考える有識者会議というのが設けられまして、その提言を受けて、今回の少年院法、少年鑑別所法となったわけです。

 この会議の議事録を読ませていただきまして、現場の声も非常にしっかりと聞いているし、率直な意見交換が行われたと評価をいたしております。これがいわば本当の有識者会議なんですね。

 そこで、今回の少年院法は、非常に評価のできる点がたくさんございます。まずその点を指摘したいと思うんです。

 一つは、少年院の種類の名称の変更をいたしました。これは、この施設に入っている人間や出た人間が、名称によって差別や偏見を抱かれないようにするためでございます。

 それから、少年院視察委員会を設置しました。刑事施設においては既にありますが、少年院については今回初めて決められて、提案箱だとか、あるいは収容されている人の申し出によって面接などが定められておりますし、既に少年院は先駆けて意見ポストなどをつくってやっておられるようです。

 それから、救済の申し出と苦情の申し出ということで、これは従来から子どもの権利条約、子どもの権利委員会の総括所見でいろいろと国際的には指摘をされていた点でございますが、このことが正式に法律事項とされ、さらに秘密の申し出や不利益取り扱いの禁止なども規定されたということは評価のできるところです。

 それから、人権尊重と規律及び秩序の維持ということで、人権の尊重が目的規定にも入りましたし、ほかの条文にも、広島事件の反省を受けて、再発してはならないという趣旨の意欲が非常に見られると思います。

 遵守事項が定められて、特に実力行使の可能性が高くていろいろと問題を起こしやすい身体の検査とか制止の措置とか手錠の使用とか保護室への収容について、その要件などが明文化されたということも大変大事な点だと思います。

 それから、先ほども議論がありましたが、今までは、処遇について、法務省令、あるいは少年院の院長も細則を決めることができるというようになっていましたが、今回、新たに法律として正式に規定されたというのも評価されるところであります。

 それから、少年院における出院者等の支援。出た人は、やはり孤独なんですね。そのときに頼りになるのは、長い間一緒にいた教官との関係というのは、いい関係を持っている人が多いわけで、やはり何かあれば相談したいということで、そのことも明記されました。

 それから少年鑑別所、これは法的地位がそれぞれ違う人がたくさんいるわけですね。一律に預かっていたのを、法的地位の違いによって対応する処遇を決めたという点も評価できることでございます。

 それから、少年鑑別所も非行や犯罪防止の専門機関としての役割を果たそうということで、いろいろなところからの、団体そのほかからの相談に乗るということになったことも評価できることです。もっとも、最近、少年鑑別所、入っている人が少なくて、中にはゼロなんというところもあります。しかし、大事な仕事だというように思います。

 それから、電話における通信なども認められたというように、今回の少年院法は、全体としては大変評価できる法律になっているというように思っています。

 そこで、法務大臣に、広島事件の前から苦情の申し立て制度というのをつくってやっていましたね。平成二十一年から二十五年までで調べましたら七百件ございまして、そのうち、認めたものが、十六件採択になっているんですね。この内容はいろいろとお話を聞いていますからいいんですが、やはりたくさんの人間がいますし、懲戒対象になっているのもたくさんいます。

 そういうことでございますけれども、大変立派な法律ができたわけでございますので、これからの運用をしっかりと、法律に基づいて、運用の中でこの法律が生かされることを心から期待いたしたいというように思いますが、法務大臣の見解を。

谷垣国務大臣 今、横路先生から、今回の改正法について評価できる内容だと言っていただいて、大変ありがたいと思っております。先ほどの遠山委員の御指摘にもありましたように、今まで余りにも簡単な法律でやっておりましたので、新しいものはずっとよくなっていくと思いますが、従来の運用とぎくしゃくしたところが生じないように、それから、この精神がうまく浸透していきますように頑張りたいと思っております。

 それから、先ほど苦情の申し立てについてお尋ねがございました。これは、平成二十五年に少年院在院者から提出された法務大臣に対する苦情の申し出というのは百九十九件ございますが、うち三件について、施設の措置に違法、不当な点があるということで採択を決定したわけでございますが、こういった在院者の人権の配慮というようなこと、苦情の配慮、十分これからも意を用いてまいりたいと思っております。

横路委員 少年に対する扱いについては、子どもの権利条約を初め、ハバナ・ルールズとか北京ルールズとかリヤド・ガイドラインとか、自由を奪われた少年の保護に関する国連規則とか国連の最低基準規則とか国連のガイドラインとか、いろいろあるわけですね。

 一つ、これがさらに規制されていたらよかったなと思うのは、今回の法律というのは広島少年院事件を教訓にしているわけでございますので、職員の勤務規範をしっかり規定するということがあればよかったかなというように思っています。

 それはどういうことかといいますと、お配りした資料の最初、児童の権利に関する条約とハバナ・ルールズをちょっと引用してありますけれども、例えば、差別の禁止、体罰の禁止、品位を傷つけるような取り扱いの禁止、プライバシー名誉の保護ということなど、権利条約とこういう国連の規則に基づいて、職員に対する服務規律のところにこれらのことが規定されればなおよかったかなというように思います。

 ただ、最善の利益の考慮とか意見の表明という子どもの権利条約の三条、十二条の規定というのは、今回、少年院法の十五条の二に規定されまして、ここを入れたことは非常に評価できるところだというように思っております。

 いずれにしても、今後とも、職員の勤務規範というのは、なかなか御苦労も多いので大変だと思いますけれども、しっかりこれらのハバナ・ルールズの趣旨に沿って仕事をされますように、心から期待をいたしたいというように思います。

 それで、きょうは、最近の少年犯罪の動向と具体的な処遇、それからさらに、今の少年院のあり方といったことについて少し議論をさせていただきたいというように思っています。

 少年犯罪そのものは、警察の資料でも、刑法犯の検挙人員というのは非常に減少しているんですね。ただ、問題なのは、再犯者率が上がったり、年齢が低年齢化しているというような傾向は見られるわけでございます。不良行為少年とか虞犯少年、触法少年、いずれも非常に減ってきています。

 皆さんにお渡しした資料の二ページを開いていただきたいんですが、これは少年鑑別所のデータです。東京、八王子は別です、それから名古屋、大阪、京都、那覇と五つの少年鑑別所の平成二十五年の速報値でございます。

 これを見ると、今の子供の犯罪の傾向と背景にあるものが見えてきていまして、家族の生活程度が貧困というのは大阪、京都が高いですね。大体四分の一ぐらいが貧困家庭。

 それから、やはり親、家庭環境ですね。実際の両親と一緒に住んでいるというのは、東京、名古屋が四〇%を超えていますが、大阪、京都、那覇は三分の一ですね。そして、誰と住んでいるのが多いかというと、母親と住んでいるというのが大阪で四二、京都で四六、那覇で四〇%という状況になっています。

 それから、少年鑑別所を退所したときの年齢でございますけれども、これも十四、十五は大阪、京都が高いですね。

 それから、中学の在学と、在学と卒業の合計というのを見てみますと、中学に在学中というのも大阪、京都が高いです。東京一八%に大阪三二、京都二六ですね。それから、中学を卒業したという者と在学と合わせた数字は、那覇が六八、名古屋が五二%ということです。

 犯罪は、窃盗が多いということと、あとは道路交通法違反が京都、那覇で多い。それから、詐欺は東京が多いというような、やはり地域差も非常に出てきています。

 あと、その詳しい中身は、三、四、五に東京、大阪と那覇の鑑別所の数字を入れてありますが、これを見てみますと、やはり四分の一、貧困家庭が多い。それから、家庭環境ですね。家庭の監護力が非常に低下しているなと。母親と暮らしている人が多いわけですけれども、今の母親の収入というのは、多分年収二百万以下の人が圧倒的に多いんじゃないかというように思います。それから、やはり非行少年の年齢が若いですね。大阪や京都を見ますと、十四歳から十五歳というところが一番、三八とか三三%もいるということでございまして、これは、例えば、最近の児童自立支援施設への送致年齢を見ますと、十三歳以下がふえているんですね。それから、保護処分をした少年も十五歳以下がふえているんですね。年齢が非常に低年齢化しているというのが非常に大きな問題ではないかと思います。

 あと、子供シェルター、カリヨン子どもセンター、今弁護士会が中心になって各地で子供のシェルターづくりを一生懸命やっております。ここが、最初二〇〇四年から始めて八年間ですから、入った人間百六十二人の分析をしたものを見まして、今の傾向がやはりこうなのかなと思いました。

 それは、親と離れた経験というのは百六十二人のうち百二十人おりまして、七四%ぐらいで、しかも、それはいつ離れたか、乳幼児期に離れているのが三分の一ぐらいいるんですね。それから、小学生のときに離れているというのが非常にふえているということが一つですね。それから、虐待と暴力を受けたという経験が八割ですね。しかも、それはいつから受けたかというと、乳幼児期や小学生のときから受けているということで、精神疾患が三人に一人ぐらいということです。

 そして、シェルター以前に他の施設に入ったという人間がやはり半分ぐらいいまして、いろいろなものを見ていたら、例えば、乳児院に入って、児童養護施設に入って、少年院に行って、また児童養護施設に戻って、少年院に行って、ひとり暮らしをして、シェルターに来たとか、わずか二十年そこそこの中でこれだけ子供のときから経験している、やはりそこで犯罪を犯しちゃっているという人もいるわけですね。

 こういう傾向というのはやはり最近の大きな特徴だと思うんですが、最初に、児童相談所。児童相談所の方も非行問題を扱っていますので、どんな状況なのか、最近の傾向について、児童相談所を通して見える姿というものをちょっとお答えいただければと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 児童相談所におきまして対応いたしました非行相談についてでございますが、平成二十四年度で一万六千六百四十件でございまして、過去五年間、ほぼ横ばいの状況でございます。受け付け件数を児童の年齢別に見てまいりますと、十二歳から十五歳がその大部分を占めておりまして、特に、その中で十三歳が最も多くて五千七十九件、全体の三一%になってございます。こうした傾向は、やはり過去五年においてさほど変化をしておりません。

 非行相談の内容でございますけれども、いわゆる虞犯行為等の相談、例えば家出、乱暴等の虞犯行為、あるいは飲酒、喫煙等の問題行動のある子供に関する相談が八千六百四十二件。それから、いわゆる触法行為等の相談、触法行為があったということで警察署から通告をいただいた、あるいは犯罪に関して家庭裁判所から送致があった子供、こういうものに対する相談が七千八百七十五件でございます。

 さらに、相談のより具体的な内容ということでございますけれども、例えば、東京都の児童相談所におけます二十四年度の状況、これを見てまいりますと、非行相談千六百二十二件のうち、盗みが四百七十七件、約三割、それから粗暴が二百九十五件、約二割、家出、外泊が二百七十四件、一七%程度となっております。これらの傾向も、過去五年間、さほど変化がないというような状況でございます。

横路委員 それで、お願いしておきたいんですが、少年鑑別所の方は、お渡ししたデータを見ていただくとわかるんですが、どういう家庭状況かどうかということを詳細にいろいろ調べています。児童相談所の方は必ずしもそういう統計をとっていないということなので、実は少年犯罪が非常に低年齢化している、しかも、最初に若いときにやった人の方が再犯率が非常に高いというようなことで、児童相談所の果たす役割というのは私は非常に大きいと思うんですね。これは後で議論しますが、必ずしも法務省サイドとのさまざまな施設の連携というのが十分ではなかった点もあります。

 今、児童虐待などで忙しいとは思うんですけれども、少年非行のところを扱った部分について家庭はどんな環境なのかとかいうようなことについての分析も、どこか一、二カ所、モデル的なところをとっていただいて、児童相談所もぜひそういう分析もやってもらいたいというように思います。これはお願いでございますから、御答弁をひとつよろしくお願いします。

鈴木政府参考人 今先生から御指摘いただきました状況につきまして、法務当局ともいろいろ御相談しながらでございますけれども、サンプルなども含めまして、把握するようにまた努めてまいりたいと思っております。

横路委員 家庭裁判所の方はどうですか、最近の経緯。

岡最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 少年保護事件の新受人員は、平成十四年以降減少しており、平成二十五年、速報値で十二万一千二百八十四人、前年比約八・二%の減少、十年前の平成十五年からは約五五・二%減少しております。

 なお、一般保護事件の終局人員中、行為時に十四歳未満の触法少年は、平成二十五年が百九十八人であり、十年前の平成十五年からは約九六%増加しております。また、行為時に十四歳または十五歳であった年少少年は、平成二十五年が一万七千百十八人で、一般保護事件終局人員全体に占める割合が約四二・六%でございまして、この割合は十年前の平成十五年から微増傾向にございます。

 また、平成二十五年の一般保護事件の終局人員中、再非行少年の割合は約三九・一%であり、過去十年間を見ると、再非行少年率は四割前後で推移しているところでございます。

横路委員 大体、少年鑑別所の分析と同じような分析だったというように思います。

 そこで、法務省の方にはまたさらにいろいろとお尋ねしたいと思います。

 処遇についてなんですけれども、この懇談会の中でも、現場から非常に処遇に困難を要する、そういう少年がふえたということを皆様方は本当に挙げておられます。

 確かに、そういう意味でいうと、少年の質も多様化してきています。発達障害など精神障害を持っている者もいますし、虐待を受けた子供だとか、あるいは放任された家庭でわがままに育った少年とか、あるいは、口うるさく子供に干渉ばかりしている教育虐待という言葉があるんだそうですが、そんなこととか、あるいはまた逆に、非常に家庭や生活が荒れて、貧しい環境の中で育ってきた子供たちというように、みんな一人一人違っていて、しかもボーダーラインの子供もいて、どう考えてどう処遇していいのか、正直、なかなかわからない子供もいるというように言われています。

 医療少年院は精神疾患で入院する重症の少年をターゲットにしていますので、繊細なトラウマを抱えて、それが非行に関係あるというような子供は結局一般少年院へということです。少年鑑別所の方でいろいろと処遇の方針を出して、審判で決めるんですけれども、必ずしもそのとおりになるわけでもありません。裁判所は裁判所の判断でやるわけでございます。特に、発達障害っぽいけれどもその程度が低い、そうすると、一体どこに送ったらいいんだろうかという悩みがあるわけでございます。

 しかし、結局は一般の少年院に送る。しかし、それはなかなか対応が難しいということで、一人一人の処遇プログラムをつくって、個人別矯正教育計画をつくるというのも大変だと思うんですね。生活環境を変えるための生活指導やしつけも必要ですし、教育あるいは職業訓練、社会に出ていく力をつけることなど、再犯防止をするということで、少年院初め関係の皆さん、本当に努力をされていると思います。

 こうやって、入ってくる少年の方は非常に多様化してきて処遇困難な者が多い。受けとめる方が相変わらずでは困るわけですね。多様化し、処遇が困難な少年が増加しているこうした現実をどう見るのか。この傾向はますます強くなっていくのじゃないかと思いますので、事務当局からお答えいただければと思います。

西田政府参考人 お答えいたします。

 おっしゃるように、非常に処遇困難な少年というのはふえておりまして、現場職員からもそういった意見が強いことは承知しております。特に最近、顕著にそういった意見が多いのは、発達障害またはそれに類似するような特性を有する在院者ということについては非常に声が多いということでございます。こういった者につきましては、基本的には他の少年と一緒に集団を編成しまして、他の者とのコミュニケーションとか、あるいは社会性の涵養も必要となりますので、そういったことになっております。

 ただ、おっしゃるとおり、こういった者につきましては非常に手間がかかります。手間がかかって、人数もふえているということで、受け入れ側の体制としましても、今のままではいけないということを考えておりまして、こういった者を主に収容する特殊教育課程というものを持っている少年院につきまして、これまでは神奈川医療少年院とか幾つか、三庁ぐらいしかございませんでしたけれども、これをふやしまして、そういった少年を収容するキャパをふやすということをまずやりました。

 それから、キャパをふやしただけではだめでして、それをどういうふうに処遇するかでございますので、精神科医師を配置したり、社会福祉士を配置したり、あるいは、先ほども申し上げましたけれども、本年度はこういった施設に新たに心理技官を全て配置する、そういったことをやりまして、所要の体制を遅まきながら整えて、ちゃんと少年に当たっていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

横路委員 御答弁があったように、数年来どんどんふえてきているわけですね。これに対する職員の方も、なかなか今まで対応したことのないような子供がふえてくるということで、一緒に生活する、今お話あったように、集団的な指導ということでやっておられるわけです。それももちろん必要ですが、同時に、やはりその子の特性に応じた個別対応も大事になってくるわけですね。そうしないと、今はやはり職員の人たちも神経的に参ってしまっているという声が現場から非常に強く上がっております。

 結局、どんなことになっているかというと、自分の感情をうまくコントロールできない、我慢もできない、人に対する思いやりや人の痛みに対する理解力、想像力に乏しい、対人関係を円滑にするスキルを全く持っていないというようなことです。だから、確かに集団指導は必要なんです。社会に出た場合に、社会生活の中で、やはり集団の中で生きていかなければいけませんから、それが大事なんですね。

 しかし、それだけで本当にいいかというと、例えば発達障害なんかの場合、集団にいるのが苦痛な人間もいるわけですよ。それを無理やり集団の中に入れると、苦痛が強まるだけで、爆発しちゃったり騒いだりすることになるわけですね。そういう経験をみんな持っています。

 先ほども議論されていましたが、集団指導と個別指導の処遇のバランスというのは非常に難しいと思うんですね。そういう意味でいうと、発達障害を持っている子供に対する処遇の基本的な方針、今、対応できる少年院をふやすとか専門家の配置というお話がございました。それは全くそのとおりなんですが、基本的に、こういう者にどういう処遇をしているのか、その辺をちょっとお答えいただければと思います。

西田政府参考人 お答えいたします。

 集団処遇は基本でございまして、各少年の特性に応じていろいろやらなきゃいけないんですけれども、まず、少年鑑別所における鑑別の結果、これに基づきまして、必要に応じて個別処遇をしなきゃいけない少年もおりますので、そういった者につきましては、その特性に応じた教育上の配慮を行っているところでございます。

 もっと具体的に申し上げますと、就労に必要となる基礎的なスキルとか心構えとかマナー等、そういった指導とか、社会適応能力の付与とか、そういった発達障害、また類似した少年に向いたような指導プログラムをきちっと開発して、これを実施していかなきゃいけないというふうに考えております。

 なかなか、体制と申しましても、先ほど御指摘ございましたように、専門的な職員を配置することもしなきゃいけませんし、物理的に、単独処遇が必要な子供のためには単独室が必要になってきたりしますので、そういった意味で、できるだけキャパをふやして、まず体制を整えまして、今申し上げましたような少年鑑別所で鑑別しました処遇指針、処遇方針に基づく個別的な、具体な処遇をしていきたいというふうに考えております。

横路委員 日本としても、発達障害の基本法ができまして、センターなども地域にできて、ようやくスタートしたところでございますが、専門家の話を聞きますと、幾つかの種類があるようで、特に広汎性発達障害、アスペルガー障害などもそういうものの一つです。

 専門家の話によると、病気というよりも、生まれつきの独特の資質の特性だというんですね。だから、社会性の根幹部分がなかなか育ちにくい。対人関係、相手の考え、感情を受け取る、それからこちらの方の思いを伝えるというようなコミュニケーションの障害がある。それから、一度関心を持つと、その物事に強くとらわれて、もうそれしか頭に入らなくなるというようなことで、独特で不可解な行動、特に苦境に追い詰められたときに一般の少年とは異なる思考回路をとって、よくわからない、社会常識から見ると考えられないような行動をするというようなことですので、今お話があったように、やはり専門家が必要なんですね。

 専門家の配置、資料の六を見ていただきたいと思います。

 これは少年院の新収容者の処遇課程等別精神診断で、「その他の精神障害」というのは大体発達障害と見ていいと思うんですが、ここがふえてきているんですね。

 それで、配置を見ていただきたいんですが、医師の配置は五十二の少年院のうち四十九、これは、支所みたいになっているところが、ないところもあるんですが、大体配置されています。精神科医は、常勤の精神科医は五十二の少年院のうち六つですよね。児童専門というのはたしか二人ぐらいというように聞いています。非常勤は、五十二の少年院のうち五つの少年院だけですね。社会福祉士が十二。精神保健福祉士が二つの少年院。それから心理の技官が十二少年院ということです。

 これではとても、今どんどんふえている、なかなか難しい子供たち、発達障害ばかりではなくて、例えば虐待を受けている子供たちというのも、非常に扱いづらいというか、少年院の中で突然暴行したり、物を壊したり、投げたりする、家庭歴を調べると、少年のときに家庭の中で非常に重い虐待を受けたという人が多かったという報告もあるわけでございます。

 いずれにしても、子供たちが多様になってきている中で、やはりここの専門家ですね。これは法務大臣に、どうですか、もうちょっと努力されて。なかなか今、医師を獲得するのは難しいと思いますが、外部との提携だって大事なことだと思いますよ。どうしたって無理ならば外部と提携して、専門家の医者と提携してしっかりやるということが必要なので、この数字、特に精神科、それから心理の技官だとか社会福祉士や精神保健福祉士、こういった専門家の配置を、同時に職員の研修も必要ですが、ぜひ増員をやっていただきたい。我々も応援して、きょうも財務省を呼べばよかったんですが、努力していただきたいというように思いますが、法務大臣、いかがでしょうか。

谷垣国務大臣 少年院に限らず、矯正全体で医官をどう確保するのかというのが極めて大きな問題でございまして、なかなか常勤の医師を得ることが難しくなってきております。これは、矯正だけではなく、田舎の方の自治体なんかでもみんな苦労をしているわけですけれども、これはやはり、処遇のあり方、あるいは、お医者様もキャリアを積んでいく、そのキャリア形成をどうしていくのかとか勤務体系の問題とか、いろいろな問題があると思います。

 有識者に提言をいただきましたので、今それを関係当局とも詰めているところでございますが、そういう努力は、また御支援もいただいて、さらに、今のあれを打開していきませんと、矯正全体が半身不随みたいなことになりかねないと心配をしておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

横路委員 これは、みんなで応援して、本当にしっかりした体制をとらなければというふうに思います。

 例えば、発達障害の場合、専門家の意見は、やはり障害とうまくつき合えるようにする、だから、本人が自覚することが必要なんだそうですね。わあっと騒いだときは、静かに見守っていて、落ちついてから、何があってそういう行為に走ったのかというのは、本人とじっくり話をして、そして、周りの理解と周りの環境整備も非常に大事だということが言われています。

 これらの子供を扱った「レインマン」という、大臣は見たことはありませんか、有名なダスティン・ホフマンの映画があります。今「シンプル・シモン」という映画をやっています。これはスウェーデンの映画なんですが、その子供は、私はアスペルガー障害があるんですと胸に張って、人がみんなわかるようになっている。

 発達障害の子供というのは非常に能力がある。IQが結構高い子がいて、ある種の分野では物すごく発達していますから、専門家とか研究者の中にはいます。映画監督のスピルバーグも、そういう診断を受けたということを自分で認めている一人なんですね。

 今やっている「シンプル・シモン」という映画は、人にさわられると爆発しちゃうんですね。そういう特性なんですね。だから、それをよく知っている人間が周りにいて、周りの人間も理解するとちゃんと日常生活は普通にできるということで、非常に難しいわけでございます。やはり専門家の対応というのは非常に大事でございまして、わからないでほかの少年と同じような対応をやってしまうと、全くピントが外れてしまうということになりますので、この辺のところをぜひしっかりバックアップしていただければと思います。

 先ほどの大臣のお言葉の中で、結局、今の少年院全体をどうするか、処遇のプログラムをつくる、処遇コースも何か新しくつくられる、薬物と、先ほどの答弁ですと、この発達障害の部分についてですね。

 これは非常に必要なことなんですが、それをちょこちょこやるのではなくて、全体として、今少年院に入っている子供は非常に減っていますし、古い施設もあるのでそれを直していかなきゃいけませんが、そういうときに、やはり処遇プログラム全体をどうするのかということも非常に大事なことなので、検討しているのはその二つだけですか。それ以外についても、処遇のプログラムをどうするかとか、あるいは処遇のコースというのをどうするかというようなことを御検討されているんでしょうか。

西田政府参考人 お答えいたします。

 現在御審議いただいております少年院法案におきまして、矯正教育課程というものを、まず、大きな処遇の期間と処遇の大まかな内容をつくりまして、それを各施設、各少年院に指定いたしまして、この施設は職業補導をやるんだというふうな指定をいたしまして、その指定を受けた少年院において、より細かく、そこで持っている物的な資源ですとか人的な資源ですとか周囲の協力の得られるぐあいとか、そういうのをやりまして、今度は各少年院ごとの矯正教育課程というものをつくるようにしております。

 したがいまして、今あります処遇課程ですとかそういったものにつきましては、矯正教育課程と統合しまして、まず大きなところからおろしてきて、各少年院に、おおむね、今各少年院でやっている処遇課程、これが踏襲されると思いますけれども、見直しをしながら、もう一度体系的に見直しをする予定でおります。

横路委員 そういう状況の中で、再犯防止をどうするかということなんです。

 再犯率は、やはり非行の初発年齢の低いほど高いんですね。だから、児童相談所の機能が非常に大事になってくるわけです。それから、もちろん無職者の方が有職者より再犯率は高いですし、満期の釈放者の方が仮釈放の人よりも再犯率は高いというわけですね。

 法務省の犯罪白書でしたか、少年院を出て犯罪を犯していない、本人がどういう状態であったのかという分析をしているのを見ますと、やはり働いているときですね、就労しているとき、それから、監督者と生活しているとき、親でも何でも、そういう監督する人間と一緒にいるときということですね。更生の支援者がいるかというのは、やはり親が八割ぐらいで、あと配偶者や、雇用主も一三%ぐらい数字が上がっています。やはり保護処分歴のある者の刑事処分率は高い。それから、児童自立支援施設などの送致歴のある者も結構高いというような状況になっています。

 そこで、一つは、やはり家庭とか家、親の役割というのは非常にウエートは高いわけですね。これは、経済的な困窮とか、居住環境が悪いとか、親が精神疾患を持っているとか、親に対する支援もやらないといけないわけですね。この支援をどうするかというのがあります。最近は生活困窮者支援というのを自治体が始めておりますので、こういうところとの連携も必要になってくると思いますし、さまざまな社会制度を活用することも必要でしょう。

 いずれにしても、予防的観点と早期発見、早期介入、これがやはり必要なので、ファミリーソーシャルワーカーといいますか、地域を基盤として展開していかなきゃいけないですね。そういう地域力もなくなってきているというところも問題なんですが、一つはやはり親の関係だと思います。

 それから一つは、非行少年の分析、個別処遇ですね。非行のどこにその問題があるのか、この子供の長所は何で、短所は何なのかというような分析ですね。これは少年鑑別所や家庭裁判所の調査官などがしっかりやっていることだというように思います。

 そうすると、要するに、家庭裁判所、少年院、少年鑑別所、あるいは児童相談所も含めた連携、これがやはり必要になってくるんじゃないかなというように思っております。

 今度は、出所した後の体制をどうするか。保護司だとか保護観察官だとかいうようなところで、本当にトータルにさまざまな分野の人との連携、提携というのが非常に大事になってきています。

 そこで、副大臣にこの再犯防止、幾つかの点を御指摘申し上げましたけれども、やはり今だんだん犯罪も多様化してきて処遇が困難な子供たちがいる中で、さらにそういう人たちに対して再犯しないような、矯正教育を含めたあり方についてどのようにお考えでしょうか。

奥野副大臣 横路委員のお話、私もまさしくそのとおりだろうと思って今聞かせていただきました。

 率直に申し上げて、私は、今、横路委員がお話しになったいろいろな施設等々は全部国の施設あるいは公の施設が多いんですけれども、民間の施設というのも、ばかにできないと言ったら表現が悪いかもしれませんが、民間の施設でどういうことをやっているのかというのを我々がもっと勉強していないと、具体的な対応が難しいんじゃないかなというふうに感じてお聞きしておりました。

 例えば発達障害の人の学校は、私の知っている限りにおいては、武蔵野市に立派な学校が一つあるんです。そういった施設を、もっと我々が手をかけ、お金をかけて、どんどん全国にふやしていく。その施設でどういうことをやっているかということを我々が学んで、それを官の施設の方へ持っていくなり導入していくなりということも考えなくてはいけないんだろうと思います。

 あるいは、いわゆるドメスティック・バイオレンスというんですか、そういったところで、非常に不遇な子供たちがNPO法人の中でいろいろと対応していただいているケースもあります。そういったときに、公の乳児院だけじゃなくて、NPO法人がどういうふうな形で子供さんたちの成長を見守っているかというようなことも勉強した上で、我々の法律の方へはね返していかなくてはいけないのかな、こんなふうに感じて聞かせていただきました。

 いずれにしても、再犯を防止するためには、おっしゃるとおり、家庭であり、それから仕事を持つこと、それから心身とも健康体であるということが、僕は三拍子、必要なことだろうと思います。

 そういうようなことで、我々の方の考え方ももっとオープンマインドで、いろいろと新しい発想で新しい考え方をつくり出していかないとなかなか再犯防止につながっていかないのかなというような気がしますが、私のところでできないことの一つを申し上げると、家庭というのがどうやって子供さんたちを成長させていくかというときに、私の個人的な感覚からいえば、三世帯住宅というものをもっと国の中につくり出していかないと、親だけでは面倒を見切れなくて、おじいちゃん、おばあちゃんがやはり子供の成長を見守っていくというような家庭をつくっていくことも一つかなというふうに思います。

 ちゃんとした答えになっているかどうかは知りませんが、そんなことを感じます。

横路委員 ありがとうございました。

 そこで、きょう、ちょっと児童相談所との関連で、例えば、十八歳未満で退院した少年を親元に戻すことができない。そうすると、児童相談所の保護対象になるんですね。だから、児童相談所は自立援助ホームや児童養護施設への入所措置をとるべき責任を負っているわけなんですが、司法が関与すると児相は引いてしまうという言葉があるんですね。いや、それはもう保護観察所の方にお任せします。こういうことになってしまう。少年院から相談があった、では、その少年の記録を下さいといったら、少年院の方は記録は渡せないということになっています。

 例えば、記録でいいますと、普通は、保護観察になった場合に、少年簿みたいなものは、少年院に行くときに、一緒にそういうものをつけてやるわけですね。ところが、児童養護施設や児童自立支援施設に例えば審判で行ったという場合には、そういう鑑別所の資料なんかは行かないんです。それは、やはり法務省と厚生労働省と違うからなんですね。

 これは、やはり児童相談所の方の情報というのは子供の情報ですから、割と小さいときの、親の関係とかなんとか、いろいろな情報をたくさん持っているわけですね。だから、これをもうちょっと何かうまく児童相談所の方と、厚生労働省と法務省との話をして、情報の交換をもうちょっとスムーズにちゃんとやるということ。

 もちろん、児童相談所で家裁に送致したときには、家裁には児童相談所の資料は行くわけですから、その家裁の資料の一部は、少年鑑別所なんかでは多分、そのものかどうかは別にして、見ることはできるようになっていると思いますが、なかなか少年院までは行かないというような問題などがございまして、その辺のところ、ぜひ一度、その児童相談所との関係、連携を強めて情報交換そのほかを行うということについて、ぜひ大臣に御努力いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

谷垣国務大臣 やはりこれはお互いに情報を共有して協力し合っていくということが私は必要だと思います。もちろん、プライバシーの問題とかいろいろなことがございますけれども、大きな目的で協力できるところは協力していくということで、今何が足りないかということをよく検討したいと思います。

横路委員 厚生労働省の方も、司法が関与すると児相は引いてしまうなんという言葉が一般的に言われないように、法務大臣から今そういう御発言がありましたので、ぜひ協力していただきたいと思います。いかがですか。

鈴木政府参考人 先生御指摘のように、少年院あるいは鑑別所を退所した児童が適切な居場所を確保する、これは大変に大事なことだと思っております。その上で、法務当局ともいろいろ情報をやりとりして、個別のケースに即応して対処していかなければならないと思っております。

 今御指摘ございましたように、平成二十二年の有識者会議の中では、確かに、児童の現場を預かる責任者が、司法が入ってくると児相は引いてしまいがちになるというような御指摘もございました。

 そうしたことも受けまして、基本的に、児童相談所が児童の入所を決定するに際しまして、例えば、少年院と個別に協議を行って児童に関する必要な情報提供を受ける、こういった取り組みでございますとか、あるいは、児童が自立支援施設に送致されることになった場合に、援助方針あるいは支援体制を検討するということが必要になってまいります。そういった場合に、少年鑑別所と自立支援施設あるいは児相が事例検討会というものを実施する、こういった取り組みがだんだん行われ始めているわけでございまして、私どもも、こういったものの好事例を提供いたしまして、関係自治体にこれを広めていくように要請をしているところでございまして、引き続きこれは努力をしてまいりたいと思っております。

横路委員 最後に、就労支援について。

 総務省から、刑務所出所者等に対する社会復帰支援に関する行政評価・監視結果というのが出ました。その中で、私、これはやはり問題だなと思ったのは、重点的就労支援というのを指定して支援をするということになっているわけですね。これがどうだったかといいますと、全国で重点的就労支援として指定したのが三百八十四人で、そのうち就職に至った者は七人なんですね。そして、本来やるべきこと、重点的な就労を支援した場合にどうするかというと、いろいろな資格取得や何か、あるいは、そのほかのさまざまな支援ということがちゃんと書かれているわけですけれども、中心でやるのは、刑務所の中にいる就労支援スタッフがやるわけなんですね。そこから外の支援機構の方に話が来ることもあって、しかし、それは三カ月ぐらい前にしか来ないということで、これはよく中身を調べていただいて、三百八十四人指定して七人というのはやはり幾ら何でもひどい数字だというように思います、いろいろな御苦労はあるんだろうと思いますけれども。

 総務省の今回の行政評価・監視結果の報告書を受けてしっかり対応するように、更生保護施設の問題もありますし、就労の問題もありますし、満期釈放者に関する問題だとか、さまざまな問題が指摘されておりますので、これをぜひ検討されて、御努力いただきたいと思いますが、まず最初に、この重点就労支援者、何でこんなにひどいのかというのは、どなたかわかりますか。

西田政府参考人 お答えいたします。

 まず、この重点的就労支援者と申しますのは、入所時に処遇調査をやりまして、特に重点的な就労支援を行うことが必要であり効果的であるという者にターゲットを絞って、おおむね一年以上の期間、専門のスタッフによる助言指導等をやってきた者でございます。

 それで、今御指摘ありましたように、非常に数が少ない、物になった数が少ないということで、その原因をいろいろ、御指摘もいただきましたし、我々内部でも検討いたしましたところ、やはり、関係している内部のいろいろな部署があるんですけれども、この間の調整不足があったり、あるいは連携が弱かったり、そういったことが最大の原因で、そんなふうなことを総務省の方からも御指摘いただいております。

 もっともっと内部としてどういったことが原因なのかというのを調べまして、全国の施設にその内容も伝えて、少し改善して見直しをしたいというふうに思っております。

 以上でございます。

横路委員 大臣もぜひこの総務省のものに目を通されて、非常に詳細なレポートになっています。少し改善と言いましたが、ちゃんと抜本的に改善をやっていただきたい。そのことをお願いして、質問を終わります。

江崎委員長 次に、高橋みほ委員。

高橋(み)委員 日本維新の会の高橋みほでございます。

 きょうもどうぞよろしくお願いいたします。

 先ほど横路委員が、今回の法改正につきましては評価できるというふうにおっしゃっていらっしゃいました。私も、法律としてきちんと今回整備するということはかなり前進ではないかと思っております。ただ、せっかく改正するならば、ほんのちょっとでもいいので、よい方に持っていけるように、私も頑張って質問したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 今回の、法律化にきちんとしたという意味があるのは、「目的」という一条のところにあらわれていると思っておりまして、在院者の人権をもっともっと尊重していくんだというところ、そして特性に応じた矯正教育をしていくんだというところ、そして少年の社会復帰を図っていくんだというところに、大きな山というか目的があると思っております。

 ただ、人権を尊重したりとか社会復帰を図るというふうにおっしゃっていても、ではそこに実際に収容されている少年たちというのが、自分にどのような権利があって、どのような処遇を受けるのが妥当なのかとか、いろいろなことを知る機会というものがないと、例えば、こんなことはあってはいけないんですけれども、職員の方からいじめに遭ったりとかそういう場合に、ではそれを受け入れなければいけないのかと間違って考えてしまったりするというような場面も想像できると思います。

 そこで、今回の法改正にもありました、人権を本当に尊重していくというところが、少年の立場から見まして、どのように権利があるのかということなどを知ってもらうような機会をつくっているのかということについて、まずお尋ねしたいと思っております。

西田政府参考人 お答えいたします。

 現在の法律のもとにおきましても同様でございますけれども、在院者に対しまして、少年院に入院したすぐに、余り時間をあけないで速やかに、少年院における生活の決まりですとかいろいろなことを記載した冊子を交付いたしまして、それを居室、彼らが生活する場所に備えつけるなどした上で、この冊子を用いまして、職員が権利義務に関する事項などを口頭で告知して説明するというような扱いをしております。

 今御審議いただいております新しい少年院法案におきましても、基本的には同様の運用を想定しておりますけれども、今回は、法律上、在院者に対して、その入院に際し、面会及び信書の発受に関する事項、懲戒に関する事項など、収容中の権利義務に関する事項について告知を行うこととはっきり明示をしておりまして、そのとおりやらせていただこうと思っておりますし、また、その告知にしましても、相手は子供でございますので、平易な表現を用いて書面を使ってやりたいというふうに考えております。

 いずれにしても、おっしゃるとおり、どういった権利義務があるかということをわかってもらうことは非常に大事なことですので、そんな方法をとりたいというふうに思っております。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 生活ノートなどにいろいろときちんと書いてあるということですので、今回の法改正を経まして、もっともっとわかりやすく書いていただけるようにお願いしたいと思っております。

 次に行きまして、不服申し立ての制度についてお尋ねしたいと思っております。

 今回、今まで規則とか訓令にありましたものを法律化したということで、不服を申し立てる場合には、法務大臣に対する救済の申し出と、監査官または施設長に対する苦情の申し出というものが、二本の柱としてあるというふうに伺っております。

 これはどう違うのかなというふうに見たとき、一番違いがわかるのが、誰に対して出すのかというところが一番大きな違いだと思います。法務大臣に出すのか、監査官に出すのか、施設長に出すのかという違いがあると思うんですけれども、それを選ぶ少年にとって、どっちに出せばいいのかな、どちらに出したらどう違うのかなというのが実際よくわからないんじゃないかなというような印象を私は持ちました。

 今国会では、総務委員会で行政不服審査法の改正について話し合われました。そのとき、裁判と不服申し立ての違いというのは、裁判は公正中立である、不服申し立てはそうじゃないかもしれないけれども、不服申し立ての場合はどちらかというと迅速で安価でできるからいい利点があるんだよというお話。ただ、裁判は公正中立だけれども、時間もお金もかかるかもしれないよというような差がある。

 一般に、不服申し立てをしたい人は、裁判に出るのか不服申し立てに出したいのかというのが、ある程度大人ですし、よくわかるんですけれども、今回の不服申し立ての制度というのは、もちろん裁判ではなく、法務大臣と主に施設長というところの違いが二つあると思うんですけれども、では、子供たちにこれはどう違うんだというような説明をするつもりなのか、そこをまずお尋ねしたいと思います。

西田政府参考人 お答えいたします。

 まず、どういうふうな理解をさせるかという点だろうと思うんですけれども、先ほど申し上げましたように、少年院におきましては少年院入院時に、少年鑑別所におきましてはその入所時に、平易な表現で冊子を渡してという説明をしましたけれども、この不服申し立てにつきましては、大事な事項でございますので、よりくどくと申しますか、より詳しく少年に、こうこうこういった場合はこういうことができるんだよというようなことを説明いたします。

 それによりまして、基本的に今回の制度は何についても申し出をしてもいいという制度設計にしておりますので、そんな点では、内容につきましてはそれほど迷うことはないんじゃないかと思っております。

 出す先の話につきましても、ちゃんと説明をしますけれども、それとあわせて、職員の中で一人、処遇に関係していない職員も相談員として指名する制度もつくろうとしておりますので、その相談員に聞いて、その相談員から説明をさせて、子供本人が納得するまで説明をして選択させようということを考えております。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 納得するまで説明するということなんですけれども、では、違いというのは結局あるのでしょうか。例えば、法務大臣の方が客観的な目で見られるよと言うのか、施設長というのは内部の人間だからもしかしたら公正中立じゃないかもしれないねなんという説明なんかしないと思っているんですけれども、これはどういうふうに区別させるつもりなんでしょうか。

西田政府参考人 お答えいたします。

 もっと具体的に申し上げますと、法務大臣にこういったこれこれができますよといった場合には、これも、特に内容はこれじゃなきゃいけませんよというわけではなくて、処理の仕方として、法務大臣にこれをやったら、法務大臣とその部下の人が調べをして、ちゃんと調査をするんだよと。それから、監査官、これは監査に年一回となっていまして、その監査官に口頭あるいは書面でもやってもいいよ、これも、この施設の人じゃない、こうこうこういった人が来て、君の話を聞いてくれて、その人が調べるんだよというふうな説明をします。それで、少年院長とか鑑別所長については、ここの施設の中の一番偉い人にこういったことを言って、その人に調べてもらうんだよというような言い方をして、やはり、結果とその調べ方とかその後のことを説明してやるということになろうかと思います。

高橋(み)委員 ありがとうございました。

 それでは、申し立てたい人がかなり重大な人権侵害があると言っているときは、なるべくなら法務大臣に対する救済の申し出をした方がいいねというアドバイスをされるのかなというように私は勝手に理解しました。

 この質問はちょっとおいておきまして、申し出のときに代理を認めないということを伺っております。理由を聞きましたら、申し出というのは簡単なものですので代理人をわざわざ立てる必要性はないというお話だったんですけれども、そもそも未成年ですので、普通、法律行為などをするときは代理人が当然立てられる、代理人が行為をするというのは当然だと思っているんですけれども、なぜこの申し出の代理を認めないのかということについてお尋ねしたいと思います。

西田政府参考人 お答えいたします。

 代理を認めないと申します最大の理由は、やはり迅速で実効性のある救済をしたいということに尽きると思います。

 と申しますのは、例えば、少年鑑別所でありますと、二週間ですとか四週間しか中に収容されておりませんし、それがわかったときに、できるだけ早く彼らが申し出をして、こっちがなるたけ早くそれに対応できるといったことになろうかと思いますので、その時点で代理人を置いていたりしてそこで時間を食ってしまいますと、もう収容期間を過ぎて出てしまう、そういったことにもなり得ます。

 かといって、代理人を認めるということは、精神的に未熟で余り経験もない少年にとっては、申し出をしやすい環境をつくるということになろうかと思いますけれども、その一方で、やはり、先ほど申しましたように、もし申し出があった場合に、これじゃなきゃいけないとか、こんなことは申し出をしちゃいけないとかいうわけじゃなくて、子供ですので、何を申し出してもいいですよということにしておりまして、それについて大臣が早く、迅速にこれを調査するということがございますし、申し出も簡便でございますので、そういった意味で、そういった時間をとるよりも、なるたけ早くこっちが問題があるならあるで把握をして、なるたけ早くこれに対処するということを考えまして、代理ということを認めないということにしたわけでございます。

 ただ、本人が、面会のときとか手紙とかで家族とかそういった知り合いに相談したいことがあれば、それはそれで何もこっちは束縛するつもりもございませんので、そういった方法もできますので、そういったことでこのような制度設計になったというふうに御理解いただければと思います。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 確かに、鑑別所の場合は収容されている時間というのはとても短いと思うんですけれども、少年院の場合はそうでもありませんし、迅速、実効性を重視したいというお話なんですけれども、それならば、代理をつけてもつけなくても構わない、つけることもできるというような制度にすれば、本当に自分がひどい扱いを受けたという場合は、やはり代理人と相談しながらというような制度もつくった方がいいんじゃないかなと私は考えました。

 次に、今回、相談員という人をきちんとつけて、在院者に対して救済の申し出に関する相談をするというようなことにしたと聞いているんですけれども、この相談員という人は、内部の仕事として相談員というようなことをすると聞いているんですけれども、どちらかといいますと、やはり外部的な人に相談員として来ていただくという方が、相談する少年にとっては相談しやすいのではないかと私は考えるのですけれども、相談員を外部登用しないという理由は特にあるのでしょうか。谷垣大臣にお伺いいたします。

谷垣国務大臣 今度の法案にあります救済の申し出は、簡易迅速ないわゆる行政救済を受ける機会を保障しようというものですが、そのときに、相談員がその申し出の記載の仕方あるいは手続についてアドバイスをする、その他の相談に応ずる、こういうことです。

 そこで、確かにおっしゃるように、外部の方に相談員になっていただくという場合には、変な表現を使えば、内部でうやむやにしてしまうというようなことが起こりにくい。そういう意味で、救済の申し出がされやすい環境を整えるという意味はないわけではないだろうと思いますが、ただ、外部の方に相談員になっていただきますと、少年院や少年鑑別所に常駐していただくということが非常に難しいわけなんですね。そうすると、どうしても相談する機会が減ってしまって、速やかな申し出の機会、迅速な行政救済というのにならないのではなかろうか。

 それから、外部の方は、必ずしも少年に関する処遇現場の実情を御存じない場合もありますので、的確な相談業務をなし得るのかどうかというようなこともあると思います。

 そこで、在院者あるいは在所者が求めるときに、いつでもすぐに的確な相談に応ずるという面からは、少年院または鑑別所の職員であるということがぐあいがいいのではないか、そういうふうに考えまして、こういう制度にいたしました。

 ただ、全くそこの処遇に当たっている者が同時に相談員であるということでは、危惧されているような点があるかもしれません。相談員には法律上の守秘義務を課した上に、処遇を行う部門に属さない少年院または少年鑑別所の幹部職員を相談員にするという予定にしております。

 こういう配慮をして、内部の相談員を十分活用できる体制をつくっていきたいと考えております。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 確かに、常駐する人を確保するというのは大変なことだと私も理解しております。ただ、定年退職後にお時間がある人が保護司さんをやったりする人がいらっしゃいますので、交代でボランティアとして常駐する相談員みたいなものもつくったらどうかなというようなイメージが私はありますので、ちょっと質問させていただきました。

 また、処遇外の人だからいいんだ、相談しやすいんだという意見は、もちろんそうだとは思うんですけれども、少年から見て、施設側の大人というのは結構同じに見えてしまう可能性もあるかと思いますので、なるべく、同じ施設側の人間じゃないんだよ、自分をいじめた人間じゃないんだよみたいなことが思われるような外部的な人の登用というのも、この今回の相談員に限らないんですけれども、ぜひ配置するような方向というのも考えていただければなとは思っております。

 今回、不服の申し立ての制度についてお話しさせていただいたんですけれども、実際、今までどんな苦情があって、どのように対処されていたのかなということをちょっと調べさせていただきました。

 配付した資料を見ていただきたいんですけれども、平成二十五年は、院長申し立てが三千七十四件、監査官に対する苦情の申し出が六十二件、そして法務大臣に対する苦情の申し出が百九十九件ということでした。

 やはり院長に申し立てるということが一番多いんだと思うんですけれども、私が聞いたのがきのうの遅くということだったので調べ切れなかったのかなという気もするんですけれども、院長に対する申し立ての内容はわからないというような御答弁をいただいております。

 院長に対して、件数だけは、何件申し立てがあったかというのがわかっても、内容が不明では、実際どのようなことが起こっていたのかというのが全くわからないんじゃないかなというような印象を受けて、内容がわからないということに対しては、ちょっとおかしいんじゃないか、ちょっと間違っていて、直すべきじゃないかなと思いました。

 ただ、これは時間が少なかったということで、もしかしたら将来的にわかるということなのかもしれないんですけれども、そこの連携というものをどう考えているのか。法務大臣に言った場合は、国で、法務省できちんとわかっているけれども、院長の申し立ての場合、わからないという現状があるのか、ちょっとそこを伺えればと思っております。

谷垣国務大臣 今、苦情の内容がわからないという御返事をしたのがちょっと私よくわからないんですが、私のところに来ております報告は、現行の苦情の申し出制度は、法務大臣または監査官に対する苦情の申し出と、それから少年院長または少年鑑別所長に対する申し立てというものがあるわけで、先ほどお示しになったような数字ですね。

 苦情の内容としては、一つは職員の言動に関すること、それからもう一つは、懲戒処分みたいなのを行いますが、その懲戒に関して苦情があるというような事例、それからもう一つは、医療措置に関して不満や何かがあるという申し出でございます。

 それで、申し出に理由があるとされた苦情には、例えば、職員が少年に対して非常に不適切な言動をしたとか、そういうものがございまして、施設長によるその職員への指導あるいは再発防止策の実施等、そういうものをやってきた。

 今度の新しい制度では、申し出の対象や手続を、今までは余り手続が明確ではなかったんですが、法律上明確化して、申し出を受けた法務大臣等々は、それを誠実に処理して、原則として処理の結果を申し出者に通知するということを義務づける。それから、秘密申し出の保障や、申し出をしたことを理由とする不利益扱いの禁止ということも規定しております。

 ですから、新しい不服申し出制度で、今までの運用にはっきりしていなかったところが明確になって、その精神を体して運用していきたいと考えております。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 今、谷垣大臣がおっしゃっていただいたのは、大臣に対する苦情の申し出と監査官に対する苦情の申し出ということの内容ということでよろしいんでしょうか。

谷垣国務大臣 そうではございませんで、全体の数字を、どういうことが出てきたかというと、こういうことだということです。

高橋(み)委員 わかりました。私には、きのう、院長の申し立ての内容については把握していないという法務省さんからのお返事だったので、どうなっているんだろうと思いまして質問させていただきました。

 今、谷垣大臣におっしゃっていただいた内容について、ちょっとお尋ねしたいんです。

 二十五年は、百九十九件申し出の件数があり、決定をしたのが、採択されたのが三件、不採択が七十一件、ほとんど採択されないというような事情があります。あと、私がちょっと興味深いなと思ったのは、不決定として取り下げをしたというのが四十三件ほどございました。

 普通、申し立てをした、申し出をした後に取り下げをするということは、余り主体的に考えられないことで、周りの人が取り下げた方がいいよねというようなことを言って取り下げた、つまり周りの圧力があったんじゃないかなというような印象もございます。

 実際、子供たちが、少年たちがどんなことで申し立てをするのか。大体、先ほどもおっしゃっていたように、職員の言動、服務とか言葉遣いが悪いとか、そういうようなことが多いと伺っているんですけれども、そういうことに対して、結局、採択が三件しかない、取り下げが四十三件もあって不採択が七十一件もあるというのは、本当にそうなのかなというような印象を私としては受けてしまいます。

 これに関しては、当然適正に決定されているのかということを谷垣大臣にお尋ねしたいんですけれども、谷垣大臣は、実際、こういう内容というのは今回に限らずチェックはされているのか、その点をちょっとお尋ねしたいと思います。

谷垣国務大臣 これは、要するに、少年院や何かではなく、私のもとに矯正局がございます。その矯正局の中にこれを専門にやる部局がございまして、私はその報告を受けているということでございます。

 それで、今おっしゃった三件の内容ですが、これは、一つは、職員が在院者に不適切な言動をしたもの、それから、懲戒を科す際の事実認定等に問題があったというもの、それから、手紙の内容に関する指導等に問題があったということで、三件について施設の措置に違法、不当な点があるとして採択の決定になった、そういうことでございます。

高橋(み)委員 採択されたというのは、問題がなかったというか、それは適正にこれからなすということだと思うんですけれども、そうじゃない不採択のものとか取り下げられたものという方が本当は問題じゃないかなと私は思っております。

 ただ、これは言っても、実際そうだった、正しい取り扱いがされたということの水かけ論になってしまうと思いますので、次に行かせていただきたいと思います。

 今回、視察委員会というものができたということで、すごくいい制度だなと私は思っているんですけれども、こういう委員会がうまくいくのには、やはりどんな人が委員に選ばれるかというのが一番大事ではないかと思っております。

 その点、法律上は、人格が高潔であり、少年の健全な育成に関する識見を有し、少年院の運営の改善向上に熱意を有する、そして法務大臣が任命ということであって、私から見ると少しアバウトで、もう少し法律上にどんな人が必要かというのを明記した方がいいのではないか。例えば、法律の知識を有している人とか、医師的な、医者の、医術の心得がある人とか、そういうふうに少し詳しく書いた方がいいのかなというようなイメージもあるのですけれども、その点、いかがでしょうか。

西田政府参考人 お答えいたします。

 ある程度具体的にということでございましたけれども、具体的にどんな仕事ならいいというのも出すのがなかなか難しゅうございますので、実際の運用といたしましては、部外の公私の団体から推薦を受けてそれを任命するといった方法とか、あるいは地元の、施設が所在しております町内会の人ですとか学校関係者の人ですとか、そんな格好で選びたいと思っておりますので、そういった点は少し具体的に書くのは控えて、柔軟な対応をさせていただきたいということで、こういうふうになりました。

高橋(み)委員 ありがとうございました。

 確かに、柔軟性というのは大事だと思うんですけれども、本当にいい人が選ばれているかというのは随時チェックしていただければなと思っております。

 私がちょっと問題というか思ったのは、この委員会がいろいろ調査をして少年院の長に述べた意見というものと、それを受けて少年院の長が講じた措置の内容というのを取りまとめて、概要だけ発表すればいいという規定になっているようです、十一条なんですけれども。私は、できましたら、こういうのは概要だけではなく、もっと本当にきちんと、例えば全てでも公表した方がいいのではないかと考えているのですけれども、この点、概要にとどめた理由というものをお伺いできればと思っております。

谷垣国務大臣 今度の法案では、概要を公表するとなっているんですね。これの趣旨は、委員会が述べる意見、あるいはこれを受けて施設長が講じた措置の内容ということについては、特定のこういう在院者がこうこうだったという識別することができる情報等々を公表することは適切ではない場合がしばしばあるものですから、そういう意味で概要ということを言っているわけです。

 それで、今まで、刑事施設視察委員会、これは既に行われているものですが、ここで出た意見は法務省のホームページで、施設名とか、それから委員会の意見、講じた措置、こういったものを被収容者のプライバシーを配慮しながら個別的に公表しているんですが、それをごらんいただくと、今の具体的という委員のイメージがどういう事柄までお感じなのかわかりませんが、相当程度具体的でございます。

 ちょっと眼鏡を外さなきゃ小さくてよく見えませんが、例えば、カレー、シチューを給与する際、スプーンを貸与してくれ、そしてその回答は、スプーンにかえてれんげを貸与したとか、通信教育の資料請求用として雑誌の折り込みはがきの使用を認めていただきたいとか、必要ある場合は作業時のマスクの着用を認めるようにしてもらいたいとか、かなり問題の指摘は具体的に書いてございます。

 もちろん、少年院、少年鑑別所でも刑事施設と同じような運用を考えておりますので、そこでどういう声が出てきてどういう対応をしているのかというのは、相当程度具体的におわかりいただけるのではないかなと思っております。適正に視察委員会のお考えが伝わりますように、我々も注意してまいりたいと思います。

高橋(み)委員 ありがとうございました。

 それだけ個別具体的に運用もされるということなので、安心しました。

 ただ、私がなぜこのことを言ったかというと、概要といって、本当は全部というふうにしないと、ある本当にちょっとした、結構大事なところだけぽこっと抜けちゃってしまう可能性というものがあるのかなと思いましたので、できれば、プライバシー、名前とかを伏せるだけで、一応全てを公表した方がいいのではないかなという私の考えでしたので、ちょっと御質問させていただきました。

 最後のところに行きたいんですけれども、私は、職員の方たちというのは、私も少年院とかいろいろな鑑別所とかに行きましてお話しさせていただいたとき、少年の更生にかける熱意というのはすごくすばらしいものがあって、待遇はそれほどよくないとは聞いていますけれども、頑張っていらっしゃるなというようなイメージを持ったんです。

 ただ、平成二十一年の全国の少年院在院者に対する調査についてというものの回答を見させていただいたんですけれども、そのとき、職員さんがみんなに対して平等に扱っているかというような質問をされたときに、そう思う、まあまあそう思うという人が五八・四%、過半数いるんですけれども、みんなに平等でないな、まあそうだね、平等ではないという人たちが四〇・一%いました。

 若いころというのは、自分がひいきされていないとか、ひいきされているというところに、すごく関心がある年代でありまして、このひいきされている、ひいきされていないというのは、例えば、正しい処遇をしたとしても、受ける側にとってそれを受け付けないというような、いろいろ問題をはらんでくる問題じゃないかなと思っております。

 今は立派に更生されている、もと少年院にいらっしゃった方にちょっとお話を聞いたんですけれども、やはり、少年院の時代、えこひいきされている人がいたということをおっしゃっていました。

 本当に、人間の好き嫌いの範囲でいう、えこひいきというふうに主観的に思われる方がいるというのは、一〇〇%根絶するというのは難しいかとは思うんですけれども、その方が言ったのには、特に暴走族のヘッドとかそういう人たちに対してはちょっと甘いような処遇をする、暴走族以外の人たちにはそうではないような処遇をされていたというようなことを伺いました。それが本当かどうかはわかりません、その人が思っていたことですので。

 ただ、こういうような、えこひいきというか、平等ではないというような印象を少年たちに持たれるということは余りよくないことで、根絶しなければいけないかなと思っているんですけれども、その点、実際には職員さんのそういう点での教育というのはどういうものになっているのか、お尋ねできればと思うんです。もう時間が来てしまったので、ぜひ奥野副大臣にその点についてお話を伺えればと思っております。

奥野副大臣 少年院とか刑務所に入っておられる方というのは、かなり制限された行動があると思います。行動上制限されているということですね。それなりにやはり欲求不満もあるだろうし、何でも言って、生活を改善してほしい、そんなリクエストもあるんだろうと思います。

 そうしたときに、そこにいる職員がどう対応するかということが一番ポイントになってくるだろうと思うんですけれども、やはり、この人にはこう対応すればいいな、この人にはこういう対応をした方がいいな、そんなことを職員の方がしっかり把握しているということが一番大事だろうと思います。

 ですから、そこへ送致されてきた少年がどういう環境でどうなってきたかということをよく見きわめながら、適正な対応をしていけるようにしなくてはいけないけれども、それは、常日ごろの自分の勉強というものも関係すると思います。

 だから、職員の方が欲求不満があるようではけんかになるわけですから、そこら辺をどう自分なりに自分を磨いていくかということも職員のサイドも考えなくちゃいけない、そんなことではないかと思いますが、そうやって考えていくと、やはり、職員をどう処遇しているかという、法務省のそういう職員の処遇についても考えていかなくてはいけないんだろうなというような気もします。

 いずれにしても、基本的には、そこへ送致されてくる人たちというのはそれなりに制約された中での生活ですから、これは、一部の北欧の国では全く社会一般と同じように生活させているという国もあるようですけれども、日本はそうじゃないわけですから、そういう意味で、やはりお互い相手のことを理解しながら仕事をしていくということを学んでいかなくてはいけないのではないかな、そのためには、やはり我々の方がしっかり職員の教育というものもしていかなくてはいけないのではないかなと感じました。

 直截な答えではないかもしれませんが、済みません。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 法務教官の処遇がよければよいほど、心にゆとりもあって、不平等な扱いをしないというのは確かだと思っております。ただ、やはり資質とかいろいろ、こういう場合にはこう扱った方がいいというような行動のマニュアルというのが今はいろいろあると思いますので、ぜひそのあたりの教育の制度というのも充実させていただければと思っております。

 最後に谷垣大臣に時代に合わせた矯正教育ということを質問する予定だったんですけれども、時間が参ってしまいましたので、今回は済みません、また次回によろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

江崎委員長 次に、西田譲委員。

西田委員 引き続き、維新の会、西田譲でございます。

 どうぞよろしくお願いいたします。

 私の選挙区にも少年院が一院ございまして、八街少年院でございます。ピーナツで有名な八街市、先週ちょうどスイカの品評会が行われて、早くも夏かなということでございますけれども、八街少年院に昨年九月に参りましたときに、当時、収容人員、入院者数が五十九名で、職員が四十七名でございました。

 また、例えば盆踊りであったり観桜会、桜を見る会、八街市の保護司会の方々もしくは育成の後援会の方々と、地域の方々をお招きして、そういう地元との共催でのイベントもやっていらっしゃる。そういった意味では、本当に地域との連携もしっかりとやっていらっしゃって、また一方で、この八街少年院、少年院に在院しながら大検を目指されて、そのとき伺ったのが、九名大検を目指されて五名が合格されたというようなことでもございまして、本当に職員の方々の熱意であったりそういったものをひしひしと感じました。

 一方で、実は、再入院の方が何名いらっしゃるのかということをお聞きしましたら、五十九名のうち三十四人が再入院だということで、やはり再入院率といいますか、その数の多さには驚きを禁じ得なかったところでもございました。

 さて、今回の法改正でございますが、先ほど遠山委員の御説明にもありましたとおり、旧法が二十条と簡素な中で、これまで法務省令や規則等によって細かく規定されていたものが、今回、百四十条近い条文となって、少年院法として全面改正されたわけでございます。本当に、少年の更生改善、そして社会復帰ということが全面改正によってさらに強化充実されていくことを期待するものでございます。

 質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、一般的に、やはり報道等でもそうですし、最近は少年犯罪が増加しとか、少年犯罪が凶悪化してきとかいうような報道を目にすることも多いわけでございますし、我々政治家の演説、私はしませんけれども、時折、最近は少年犯罪が多くとか、治安が悪化し、そういったものに断固として立ち向かうことで安全、安心を確保してまいりますなんというもっともらしい演説が選挙のときによく聞こえてくるわけでございますけれども、実際に、では、少年犯罪の数はどうかといいますと、ふえていない、むしろ減少傾向にあるわけでございます。

 よく、昔はよかった、「三丁目の夕日」じゃございませんけれども、家族のつながりや地域のつながりが強固で、あの映画のように、本当に昔はよかったなんてノスタルジーを感じるような発言も多いわけでございますけれども、一方で、統計を見てみると、むしろそのころの方が少年犯罪は一番多いわけでございます。やはりきちんとした現状認識というのは大事だろうなというふうに思うわけでございます。

 いま一度確認でございますが、少年非行数の推移について、当局からの御答弁をお願いしたいと思います。

西田政府参考人 お答えいたします。

 二十五年版の犯罪白書によりますと、少年の刑法犯の検挙人員につきましては、昭和五十九年以降、平成七年まで減少傾向にございました。また、その後、一旦増減をいろいろ繰り返すんですけれども、平成十三年以降増加しておりましたけれども、平成十六年からは再び減少傾向にあるということでございまして、少年人口当たりの検挙人員の比率についても同様でございます。

 それから、お話ございました凶悪重大事犯の検挙人員につきましても、まず強盗は、平成十五年をピークに、その後おおむね減少傾向、それから殺人につきましては、近年においても顕著な増減の傾向は見られないということでございまして、少年による凶悪重大事犯は相当数発生しておりますけれども、全体としてはおおむね減少傾向にあるというふうに思っております。

西田委員 ありがとうございます。

 決して増加しているわけでもないし、凶悪化といった状況であるわけでもないわけでございます。実際、少年院の入院者数を見てみましても、年々減少してきているわけでございます。

 一方で、少年院を視察しましてもそうですし、少年院の問題を考えるときに必ず出てくるのが、職員の人的資源、つまり、人員不足で大変だ大変だというお話が必ず出てくるわけでございますが、収容人員は減少してきているわけでございますから、そういった意味では、近年、いわゆる以前ほど人員面で大変だ大変だという状況はむしろ、あくまで数字上ですけれども、緩和されているんじゃなかろうかというふうに数だけ見れば思うんですが、それについて、局長の御見解を伺いたいと思います。

西田政府参考人 お答えいたします。

 まず、数字を申し上げますと、少年院の一日平均収容人員は、おっしゃるとおり、平成十六年は四千五百八十五人であったところ、平成二十五年には三千五十四名に減っております。その一方で、職員の数というのはおおむね変わっておりません。

 数だけ見ればそうでございますけれども、実は、少年院に新たに入ってくる収容者と申しますのは、個別の対応をとにかく必要としておりますような知的障害とか発達障害など精神障害を有する者というのは増加傾向にございます。また、未熟であるために処遇に慎重な対応を必要とする年少少年という割合も減少しておりません。

 そのため、職員は、昼夜を分かたず必要な指導助言を行う、しつこくやらなきゃいけないということもございますし、また、在院者の特性に応じた処遇プログラムにつきましてもきめ細かくやらなきゃいけないということが必要になっております。

 また、現場では、対象少年の特性に応じた柔軟な処遇ということで、多様な処遇を駆使しなきゃいけないということがございますので、実際には、業務量は、現場の職員の感覚としましては、むしろ忙しくなっているものだろうと思います。

 また、矯正施設、収容施設でございますので、必ず二十四時間の交代制勤務をやらなきゃいけないということがございまして、これが例えば五十人が四十人になっても、その交代制勤務というのは何ら変わりません。それで、少年院におきましては、おおむね五日に一回ぐらいの頻度で昼夜間勤務をしなきゃいけない。

 こういった事情がございまして、勤務環境というのは決してよくはなっていなくて、厳しくなっているというふうに感じられるわけでございまして、実際に、年次休暇の取得日数を我々はよく見るんですけれども、これでよくなったか悪くなったか見るんですけれども、少年院につきましては、平成二十五年の実績で、一年間に七・二日。国家公務員全体の平均取得日数は十三・三でございますので、決して楽な勤務状況ではないというふうに思っております。

西田委員 御答弁ありがとうございました。

 七・二日の休暇ということで、本当に大変な状況に職員の方々が置かれている、決して収容人員が減ったから楽になっているということではないということでございまして、重々理解をするところでございます。

 さて、先ほど私、八街少年院の再入院のお話をさせていただきましたけれども、やはりこの再入院あるいはいわゆる再犯をいかに減らしていくのか、これはまさに一番重要なポイントであろうというふうに思うわけでございます。

 まず、現状認識からなんですけれども、少年犯罪もしくは少年非行を犯した方の再犯率といったものについて教えていただきたいと思います。

西田政府参考人 お答えいたします。

 私どもがわかっておりますのは、再入院率とか再入所率がございますので、それで答弁させていただきたいと思います。

 少年院出院者の出院した年を含む二年以内の再入院率、再び少年院に入ってくる者の率でございますけれども、平成十五年以降に出院した者につきましては一〇%から一二%の間で推移しております。

 また、少年院出院者が出院した年を含む二年以内に刑務所等いわゆる刑事施設に入所しました率、これにつきましては、平成十五年以降出院した者については〇・八%から一・六%の間で推移している、そういう状況でございます。

西田委員 済みません、ちょっと通告していなかったんですけれども、今御答弁で二年の数字を挙げられた理由は何かあるんでしょうか。これは、犯罪白書等によると、トータルで見るともっとあるわけでございますよね。

西田政府参考人 お答えいたします。

 今まで、私ども、よく五年間の再入院率とか再入所率とかいうことを申し上げておりましたけれども、出院してから年数がたちますと、実は当方のやったことの効果というよりもそれ以外の要素が非常にふえてまいりまして、我々ではなかなか想像できないような再入院、再入所の要素も出てくるものですから、二年ということで一応お答えいたしました。

西田委員 ありがとうございます。五年もしくはもっと長い年数で見ると、当然ふえていくわけでございましょう。

 今おっしゃったとおり、少年院への再入院率が、おおむね一〇%から、トータルで見ると一六とか一五とかでございますよね。刑事施設、つまり、少年院ではなく、恐らく年齢の関係でしょうか、いわゆる刑務所に入る方々が、これもトータルで見ると大体一七%とかになってくる。これは当然、合算すると三三%とか、三〇%を超えてくるわけでございます。

 今おっしゃったとおり、少年院の再入院もしくは刑事施設への入所でしか数字を把握していらっしゃらないということでございましたけれども、一方で、そこにさらに考えなきゃいけないのは、不起訴になった方もいらっしゃるでしょうし、罰金刑ということもあろうと思いますし、執行猶予、これも数に入っていないですけれども、いわゆる再犯ということには入るのではないかというふうに思うわけでございます。

 こういった統計をとっていらっしゃらないというところ、私、実はここに問題意識を持つわけでございまして、先ほども申したように、いかに再犯を防ぐかといったことの現状認識をするに当たって、実はまだ現状認識すらできていないんじゃなかろうかというふうに思うわけです。

 再入院、そして刑事施設への入所だけではなく、私、さっき言ったように、罰金、執行猶予、不起訴、いろいろありますけれども、やはり退院した方々がまた犯罪を犯すというものをトータルできちんと把握すべきだと思いますので、まず指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 再入院、そして刑事施設への入所、合わせて三割を超える方々がやはり再犯に及んでいる。恐らく、もっとふえるはずですね。やはりこの数字をどうするかということが、このせっかくの全面改正の機会を捉えてですけれども、考えていかなきゃいけない大事な論点であろうかというふうに思います。

 誰の言葉かは、ちょっと私、失念したんですけれども、世の中で、犯罪ゼロの世の中はむしろ異常であると言っているんですね。そのとおりだと思って、犯罪がゼロの世の中なんかないわけでございます。文明社会三千年以上の中で一向に犯罪は減らないわけでございますから、犯罪がゼロという社会はむしろ異常、そのとおりであると思いますけれども、いかにしてこれを減らしていくかという努力というのは当たり前のことでございますし、取り組んでいかなきゃいけない一番のテーマ、だからこそ、この数字にこだわったわけでございます。

 そこで、恐らく、今全面改正の中でも、これまで省令や規則等で定められたいろいろなことが盛り込まれているわけでございますけれども、いかにして再入院や再犯を防ぐための施策を行っていくか、さまざまな観点があろうかと思います。

 順々にいきたいと思うんですけれども、先ほど来、入所者の状況が多様化しているというお話がありました。当然、それだけ多様化しているのであれば、処遇のあり方も多様化しなきゃいけないわけでございます。

 実際、第三十四条では、個人別矯正教育計画といったものがきちんと定められておるわけでございますし、一方で、私思うんですけれども、当然、それをやるに当たっても、例えば、処遇の分類、今は、G1、G2、G3とか、H1、H2とか、E1、E2とかいろいろありますけれども、そういった処遇の分類もまずもう一度抜本的に見直す必要だってこれはありだというふうに思いますし、再入院をしてくる人がこれだけ多いんですから、再非行の要因が本当はどこにあるのかといったことはそれぞれ違うわけでしょうから、そういったことにきちんと焦点を当てた個別の処遇、教育の計画といったものが必要かというふうに思います。

 こういった観点ですけれども、どういった点を今全面改正を機に強化されていこうとされるのか。処遇の分類であったり、個別の、態様別の矯正教育のあり方、そういった面について、まず御答弁をお願いしたいと思います。

西田政府参考人 お答えいたします。

 やはり少年院におきましては矯正教育というのが中核でございますので、これをどういうふうに体系づけて、組織系統的に実施するかということ、今回御審議いただいております法案でも非常に考えたところでございます。

 まず、在院者の年齢とか、心身の状況とか、犯罪的傾向の程度、その他社会生活に適応するために必要な能力、そういったものを勘案しまして、一定の共通する特性を有する在院者の類型ごとに、矯正教育の重点的な内容及び標準的な期間を定めた矯正教育課程というものを決めまして、これを各在院者に当てはめるということを考えております。

 これを受けまして、各少年院の長は、同じ矯正教育課程でも、少年院によって持っているものが、資源が違いますので、各少年院に応じた矯正教育課程、少年院矯正教育課程というものをつくりまして、それに見合った必要な事項を決めまして、個々の少年に当てはめていくということになろうかと思います。

 その次に、最後の段階としましては、今御指摘ございましたように、個々の少年が持っている問題性も違いますし、特性がございますので、それと、少年院ですから当然でございますけれども、入所がばらばらで、出るのもばらばらといったこともございますので、必ず個々の少年ごとに個人別矯正教育計画というものを定めて、これに、各少年が必要な履修すべきノルマと申しますか、到達目標をそれぞれ設けまして、処遇の個別化を図りまして、個々の少年に対して必要な問題性に対する処遇とか、そんなことをやっていく、そういったことを考えております。

 今申しました、処遇課程とか処遇区分とか今現在ございますのを、おおむねそれを踏襲、中身はいろいろ変えますけれども、大きな考え方としては、矯正教育課程にそれをはめ込んで、もうちょっと体系的、組織的に実施していきたいというふうに考えております。

    〔委員長退席、盛山委員長代理着席〕

西田委員 ありがとうございます。

 恐らく、処遇の個別化といいますか、全体を統一的にということも当然管理の面であろうかと思いますけれども、処遇に関しては個別化を推進していくということであろうかと思うわけでございます。

 そうなってくると、私、まず入り口であります鑑別というものの重要性、これまでも重要だったんでしょうけれども、引き続き、この鑑別というものに対して物すごく力を入れていかなきゃいけないんだろうというふうに思います。

 今回新しく少年鑑別所法ができるわけですけれども、実際に現場でその業務を行う方々に求められるスキルというのは恐らく非常に高うございますね。法律にも書かれていますけれども、第十六条等でも「専門的知識及び技術に基づき、」とか、これは観護処遇に対してですけれども、もしくは、鑑別を行うに当たっても、「医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識」とか、本当に物すごいスキルがやはり求められていく、その職員の方々の質的な向上が図られなければならないことが明記されているわけでございますけれども、そういったことがきちんと担保できるのか、まずお聞きしたいと思います。

西田政府参考人 お答えいたします。

 そういったスキルを持ってどんどん発展させなきゃいけないというのが、やっております鑑別技官、心理技官の当然の宿命でございますので、彼らは、やはり常に日々自分でそういった勉強をするということもあると同時に、どうしても、たくさんのケースに当たりませんと習熟してまいりません。したがいまして、特定の鑑別所を設けまして、そこで実際にケースに当たって自分の知識とかスキルを上げていくということをやらせなきゃいけないというふうに考えております。

 一方で、こちらとしましても、今までどおりの考え方で資質鑑別、調査するのではなくて、平成二十五年八月から、法務省ケースアセスメントツールというものを開発しまして、これは、鑑別所に入所した少年の再非行の可能性等を把握して、何を目標として働きかけをすれば再非行を防止できるのかを明らかにするためのものでございますけれども、こういったものを開発するとか、やはりそういったこちら側で開発しなきゃいけないものもありますし、各個人もそういった不断の努力をする、そんなことがないと、なかなか今おっしゃいましたような要請に応えられないというふうに思っておりますので、それはこれからもずっとやらせていきたいと思っております。

西田委員 ありがとうございます。

 まさにこの法律が求めるだけのスキルの醸成に努めていただきたいというふうに思うんです。

 入り口での鑑別の重要性といったことについてお話ししましたが、同時に、私は、入り口だけじゃなくて、継続的に鑑別所が果たすべき役割があろうかというふうに考えるわけでございます。

 法律を見ますと、少年院の長等が求めれば再びまた鑑別ということになるわけでございますけれども、私は、一律に継続的な鑑別であったり、もしくは途中での鑑別を必修にしてもいいのではなかろうかと思うぐらいでございます。こういった考え方についてはどう思われますか。

西田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘ございましたとおり、最初にやる鑑別も非常に重要でございますけれども、実際に少年院に保護処分で送致されまして、少年院に入院しまして、それからいろいろ処遇を受けるわけでございますけれども、その時点でどういうふうな変化をもって、どういう経過で、どんなふうになっていったかということをきちんと把握するのもやはり処遇する上で非常に重要でございます。

 そういった意味で、今まで再鑑別というような言い方をしておりましたけれども、これからは、必要があれば、少年院に収容中でも、一定期間、短期間、少年鑑別所に移送して、少年鑑別所で専門的な再鑑別をもう一回して、よりよい、もっといい処遇ができるんじゃないかとか、あるいは、先ほど申しました個人別矯正教育計画についても前向きな変更ができるようなこととか、そんなことも活用しなきゃいけませんので、それはやはり少年院と少年鑑別所の連携ということになりますけれども、これはずっと続けていかなきゃいけないことだし、双方が、やはり興味というかそういう気持ちを持って、お互いを利用し合うというか活用し合う気持ちが必要だというふうに思っております。

西田委員 ありがとうございます。

 法律上の条文では出てきませんでしたけれども、再鑑別の必要性、そしてこれをもう少し活発に行っていくということの意義は今御答弁いただいた中で私も理解をするところでございます。

 さて、次でございますけれども、不服申し立てについて何点か質問が交わされておりましたけれども、私の方からも指摘をしたいと思います。

 もう一度、申し立てと採択の数について、これは近年で構いませんので、教えていただければと思います。

西田政府参考人 お答えします。

 少年院在院者の法務大臣に対する苦情の申し出の状況につきまして、具体的に申し上げます。

 運用を開始しましたのは平成二十一年九月からでございますけれども、その運用開始後、本年三月末までの総件数は七百三十二件、申し出事項数、つまり一件で何件も申し出しますので、それを申し上げますと八百三十三件ということでございます。

 このうち、平成二十五年に提出された苦情の申し出は百九十九件、申し出の事項数は二百八件でございまして、その処理の内訳につきましては、施設の措置が違法、不当と認められる、採択と申しますけれども、これが三件、それから、施設の措置に違法、不当はないと認められるもの、不採択、これが七十三件、取り下げ等による不決定が百三十二件、こういうふうになっております。

西田委員 ありがとうございます。

 百九十九件の申し立てがあって、採択はわずか三件ということでございました。

 いわゆる刑務所に関してですけれども、これは平成十八年の法改正でございますか、この法改正の評価といったものを考えたときに、よく聞くのが、これによって入所者の中での人権バブルといいますか、人権のインフレが起きてどうしようもないんだという話をまことしやかに聞くことがあるわけでございますけれども、同じようなことが少年院で起こっていやしないかと危惧するわけでございます。

 というのは、百九十九件不服が出るわけですけれども、実際、なるほどということで採択されるのはたった三件でございますよね。残りの百九十六件はそんなのは不服に当たらないということでございますから、それを考えると、どうも私は人権インフレが少年院で起きているんじゃなかろうかというふうに危惧をするところでございます。

 確かに、不適正処遇をいかにしてなくすか、これがもう第一でございますし、そのためにいろいろな施策を行っていかなければならないわけでございます。しかし一方で、職員の方々が萎縮をするようなことがあっては本末転倒でございますから、このバランスが非常に難しいというふうに私は思っております。

 私は、不服申し立ての制度があるということは大事かと思いますけれども、不適正処遇というものに対してはきちんと正面から取り組んでいくべきではなかろうかと思います。

 そういった中で、法改正に先立って行われた有識者からの提言、いろいろなことも書かれておりました。例えば複数職員体制の導入であったりとか、そうすることによって不適正処遇をなくしていこう、あるいは設備面でございますけれども、例えば監視用のカメラのさらなる導入とか、いろいろな提言がなされておりまして、なるほどと思うことばかりでございます。

 そういったことを採用することを含めて、この不適正処遇に対しての今後の取り組みについて教えていただきたいと思います。

西田政府参考人 不適正処遇はやはり我々の仕事にとりまして一番恥ずべきものでございますので、絶無を期したいと思っております。

 いろいろな方法があろうかと思います。いろいろな研修をして、してはいけないこと、していいこと、そんなことを言うことも必要ですし、やはり職員が自分に自信と誇りを持って勤務するようになれば、そういった不適正処遇というのはなくなるものじゃないかと私は考えております。

 したがいまして、今回の不服申し立てのこともそうでございますけれども、たくさん不服申し立てをされたとしても、やはり胸を張って、間違ったことをしていないのであれば、これは百件でも千件でも出してもらっても構わないというふうに思っております。

 大事なことは、やはりその百件、千件の中から一件、二件に不適正処遇があってはいけないということですので、職員の大部分は一生懸命真面目にやっているわけですから、胸を張って勤務をして、胸を張って不服申し立てもしていただければいいんじゃないかと私は思っております。

 以上です。

西田委員 ありがとうございます。力強い御答弁でございました。

 時間がなくなってまいりました。大臣にお伺いをしたいと思います。

 その前に、その力強い答弁、今回、全面改正で、ある意味、例えば職員の方の権限にしたって、入院者の方の権利義務の関係であったり、そういったものはこれまで以上に明確に法律で書かれているわけですので、これはやはり一つの契機だと思いますので、ぜひしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 大臣にお伺いをしたいと思います。大臣には一問だけでございますけれども。

 まさに職員の質の面でもそうですし、量の面でも拡充をしていかなきゃならない状況にあるというのは、もう論をまたないところではなかろうかというふうに思います、これまでの議論の中でもそうですし。

 あわせて、職員面だけではなくて施設面でも、先ほどの設備しかり、老朽化の問題も多くの方が指摘をするところでございますし、今回、法整備をするというのは一つの車輪でございますけれども、もう片方の車輪であるお金でございます予算、これがなければ、せっかく法整備はしたけれども実態がついていかないぞということになってしまいます。

 谷垣大臣におかれましては、財務大臣もなされた大臣でございますし、国家予算が百兆に及ぶ中で、法務省予算、本当に七千二百九十九億という少ない予算の中で何とか頑張っていらっしゃる。とても大事な分野なんですけれども、予算面で見れば一%に満たないわけでございます。

 この法改正とあわせて、来年に向けての予算の拡充といったものについての意気込みを、ぜひ大臣にお聞かせいただければと思います。

谷垣国務大臣 予算、何をするにしても先立つものは予算でございます。

 今回の少年院あるいは少年鑑別所、これで新しい法制度をつくっていくわけですが、それに関連しましても、先ほど来の御議論のように、やはり問題のある子供たちがふえている、いわば育て直しみたいなことをしないとなかなかうまくいかないという場合が多い。

 そうすると、やはり専門的知識を持った職員もふやしていかなきゃならない。お医者さんはもちろんです。それから、そういう専門性の上に、やはり個別にきちっと対応できるようなプログラムをつくっていかなきゃいけない。それからさらに、出所した後の今度は相談というようなことも本来業務に加わってくる。それから、地域との連携ということも考えていかなきゃいけない。

 それから、今ちょっと触れられましたけれども、少年院の施設も随分老朽化したものがたくさんございまして、耐震性等、不安を感ずるものもございます。

 それから、今回の法の中に幾つか新しい制度も入れておりまして、例えば視察委員会みたいなものも新たに設ける等々を考えますと、やはり予算をきちっと裏打ちをとって、この施策を進めていくということをしなければなりません。

 これについては、私も先頭に立って頑張らなきゃいけないと思いますが、また当委員会におかれましても御支援をお願いしたいと思っております。

西田委員 我が党は、毎年といいますか、去年とことしと予算修正案を出して、大体カットが多いんですけれども、ここはプラスをことしも主張しておるところでございます。矯正予算は、七千二百九十九億のうち、本省分とか施設整備を入れて二千三百億ぐらいでございますか。これから予算策定に入られると思いますが、来年は大幅増を期待するものでございます。どうぞよろしくお願いします。

 最後、時間がありますので、矯正局長にいま一度御答弁をお願いしたいと思うんです。

 こうやって全面改正になりました。そして、今大臣から力強く、予算も拡充する、頑張るということがありました。西田局長におかれましては、これまでの御経歴を見るにつけても、もうまさに矯正の父と言われていらっしゃるほど、この矯正に情熱、そして意欲を燃やしていらっしゃる方だと存じております。

 先ほどの答弁でもかいま見られたところでもございますが、最後、西田局長に意気込みをお聞きして、質問を終わりたいと思います。

西田政府参考人 失礼します。

 父でも何でもございませんけれども、ただ、今回のことについて、少年院の職員が約二千五百人、鑑別所の職員が千二百人、合計三千七百人の法務教官と法務技官が、先ほど言いましたように、厳しい勤務環境の中で、非常に強い使命感と高い士気を持って日々頑張っております。

 やはり再犯、再非行を防止するには、彼らが自信と誇りを持って勤務することは何よりも大事だろうと思うんですけれども、今回御審議いただいておりますこの法案につきましては、今までは、そういった職員には、勤務でよるべき基本法というものがなかったり、あるいは古かったりしたものですから、現場の職員にとっては、そういったよるべき基本法ができることというのは悲願だったんだろうと私は思っております。

 そういった意味では、今回、こういった議論をしていただくこと自体が現場の職員には非常に励みになって、またあしたから頑張ろうという気持ちを持ってくれるものだと思って、私も、三千七百人の職員をそうさせたいと思って頑張りたいと思います。

 どうもありがとうございました。

西田委員 以上で質問を終わります。

盛山委員長代理 次に、椎名毅君。

椎名委員 こんにちは。お昼になりました。結いの党の椎名毅でございます。

 本日、少年院法改正案、それから少年鑑別所法案、そして関係法整備案、三法案に関して、質疑時間三十分いただきました。感謝を申し上げたいというふうに思います。

 また、一昨日、法務委員会の視察ということで、八王子少年鑑別所、それから多摩少年院を伺うことによって、現場の運用状況をきちんと伺うことができたので、非常に有意義だったというふうに思います。

 これを踏まえて、大臣に幾つか質問をさせていただきたいというふうに思います。

 済みません、通告していた順番と多少変わりますけれども、まず最初に、視察に関連して十番というところから伺ってまいります。

 今、私の直前に西田先生が最後に予算の話をされましたけれども、それに関連して、少し予算の話をしたいと思います。

 八王子の多摩少年院に行ってまいりましたけれども、多摩少年院ができたのが昭和三十九年ですか、築五十年をはるかに超えているということで、かなり老朽化しているという状況だったというふうに思っています。

 在院者が寝泊まりをする部分の建物、学寮と呼ばれている部分ですけれども、そこの学寮の部分でも、一部風通しが非常によ過ぎて、穴をガムテープで塞ぐとか、そういうような状況にもあったというふうに伺っております。さらには、メーンの本棟のところ、そちらも雨漏りがするので、そこは緊急に修繕をしたというような、そういう状況だったというふうに聞いています。

 さらに、築五十年ということで、新耐震基準にも合致をしていないということで、耐震性に非常に不安があるというふうに伺っております。

 それに関連して、少年院それから少年鑑別所等の施設整備に関する予算というのは大体どのぐらいなんだろうと思って、事務方にきのう聞いてみたら、去年が大体三億四千万、ことしが一億六千万と、甚だ心もとないなというふうに思っていたりはします。

 そこで、大臣に今後の状況を含めてぜひ伺いたいんです。

 法務省は大体予算が少ないわけですけれども、輪をかけて、この少年院に関する施設整備というのは、一桁億程度ぐらいずつということなので、かなり小さいなというふうに直観的に思っております。しかし、新耐震基準を満たしていないというか、それよりも前に建築をされた少年院というのも結構あるやには聞いているので、耐震化を進めていかなければならないだろうというふうに思います。

 こういった点を含めて、今後の耐震化をどう進めていくかということを含めて、施設整備をどのように行っていくか、そんな事業計画みたいなものがあれば、ぜひ教えていただきたいなというふうに思います。

谷垣国務大臣 御指摘のように、少年院施設は、老朽化が極めて激しくなっているもの、それから、現在の耐震基準に適合していないものが随分ございます。それで、ほっておきますと、大規模災害が発生したような場合には、収容されている少年だけではなくて、職員あるいは来庁者の身体安全、不安な状況、これが払拭できないわけでございます。あるいは、少年の逃走等々も発生するおそれがあるということでございます。

 それで、耐震基準も順次変えられてきておりますが、特に昭和五十六年以前のものは、やはりちょっと心配が大き過ぎる。それ以降のものはいろいろ補修をする等々によって長寿命化を図っていくことができると思いますが、それ以前のものは順次建てかえなければしようがないんだろうと思っておりまして、五十六年以前のものは順次建てかえていく、それ以降のものはいろいろ補修等を施して長寿命化をしていこう、大体こういう考えでやっております。

 それで、先ほどちょっと、二十五年、二十六年の予算が一億台であったり三億台であったりという数字をおっしゃいました。これはやや特別な例でございまして、実際にこの年は設計とかそういうものしかなくて、実際の、たまたまそういう順番に来ていなかったということでございますので、数字は今後、例年であればもう少し大きな数字になると思います。

    〔盛山委員長代理退席、委員長着席〕

椎名委員 ありがとうございます。

 今後の少年院に関する施設整備、事業計画をつくって、ぜひ予算を獲得していくという方向でお願いしていきたいなというふうに思います。

 少年院に伺ってみて、寮だったり教室だったりという施設が多いので、壁が多いので、必ずしも一概に、一般的に言われている新耐震基準に適合していない建物と比べても、多少はそれでも強いのかなというふうには直観的には思いますけれども、やはり昔の基準のまま設計されているものということなので、随時建て直しの事業計画をつくっていただいて、ぜひ予算を獲得していくという意気込みで大臣にはお願い申し上げたいというふうに思います。

 それでは、法案の話に入ってまいりたいというふうに思います。

 今回の法案に関しましては、広島少年院の暴行事案という事案を受けて、有識者による見直し検討会というのが行われて、それを受けてということで全面改正だという理解をしております。

 この中をいろいろ拝見してみましたけれども、少年の権利に対する配慮というのが非常に多くなされていて、非常に肯定的に私自身も評価をしています。先ほど西田先生が、人権バブルになっているんじゃないかという御指摘もあったところではございますけれども、在院者の、中にいらっしゃる少年も一定程度権利をきちんと保障していくというのは、やはり施設を維持していくに当たって最低限度の条件だろうというふうに思うので、まずは在院者の権利に対する配慮ということが明文化されているというところについては非常に肯定的に私自身は考えております。

 特に、不適正事案を防いでいくという意味でいうと、心身を傷つけられない権利だったり、差別的取り扱いを受けない権利だったり、それから、きちんと発達し成長する権利とか、意見を表明する権利とか、プライバシーの権利とか、先ほど横路先生が御指摘いただいていましたが、児童の権利条約だったりハバナ・ルールズだったりみたいなところで指摘をされている、こういったところの権利にきちんと配慮をしながら運用していくということが非常に重要だというふうに思っております。

 他方で、矯正施設である以上、矯正教育のために規律維持ということも十分必要であり、目的達成のために人権制約をされるということはいたし方ないわけですが、広島少年院の暴行事件もありましたし、茨城少年院で法務教官が少年に対して性的な行為をしたというような不適正事案もあったというふうに聞いておりますが、こういった不適正事案が起きないようにしていくためには、いろいろなところを意識しなければならないんですけれども、特に職員の権利意識というところについての問題意識を持たせていくということが重要なのではないかというふうに思います。

 今回、法改正で、法案を見ると十四条というところに職員の人権意識を高めていくというようなことが書かれておりますけれども、不適正事案を防いでいくために、どういった形で職員の人権意識涵養のための研修等を行っていこうというふうにお考えでいらっしゃるか、そのあたりをぜひ伺えればというふうに思います。

谷垣国務大臣 今委員から、広島少年院の事件、これは、暴行事件、大変ショッキングなものでございました。それから、茨城の方は、これは私が法務大臣になってからの事件でございますが、入所している者にみだらな行為をしたという事件で、大変私もショックを受けたわけでございます。

 こういうことが少年の処遇というか矯正に関して極めてマイナスのイメージをつくってしまうのは甚だ遺憾なことでございまして、これは、今までも随分有識者にいろいろ御意見をいただいたりしてきたわけですが、きちっとそれを踏まえて今後ともやっていかなければいけないと思っております。

 そこで、今、それに関連して、十四条に規定されました人権意識でございますが、少年院の職員は、職務上、在院者の身体等に関する直接的な有形力の行使といいますか、その性質上、在院者の人権に対する配慮が求められるものが多いわけですね。そのため、十四条で今度は在院者の人権に関する理解を深めさせて、そういう深めさせるための研修等の実施について法律上も規定をしたということでございます。

 それで、現行の少年院法下におきましても、在院者の人権の尊重を図る観点から、憲法それから人権に関する諸条約を踏まえた在院者の人権に関する講義、あるいは行動科学的な視点を取り入れた研修等を行っております。

 今度は明文に規定をされるわけでございまして、基本が変わるわけではございませんが、きちっとやっていきたい、このように考えております。

椎名委員 ありがとうございます。

 現行でもきちんと運用されているというのは非常に心強いところでございまして、まさに、明文化することによって、運用でやっていたものを職員の皆様方においてもきちんと認識をしていく、そういう契機には恐らくなるでしょうし、きちんと認識を共有していく一つのツールに恐らくなるんだろうと思いますので、ぜひ、それを踏まえて、さらなる研修、さらなる人権意識の向上等に努めていただきたいなというふうに思っております。

 少年院は少年非行を犯した方々が入る場所でして、こうやって少年院の非行少年等の権利意識の話ばかりすると、被害者の問題というのは当然出てくるわけですね。やはり、犯罪を犯した、その犯罪の被害者というのは最も尊重されなければならない人たちですし、その犯罪被害者に対して可能な限りきちんと非行を犯した方々が贖罪をする、そして反省をしていただくというのが非常に重要なことだというふうに思っております。

 今回、少年矯正を考える有識者会議の提言書の中でも取り上げていただいたと思いますけれども、被害者の視点を取り入れた教育のあり方というようなことについて、これを推し進めていくべきであるというような話があったかというふうに思いますけれども、在院者に、実際に被害者に対する贖罪感情をきちんと涵養して、今後、被害者に対してどのように対応していくか、被害者のことをどう考えていくべきなのか、こういったことを退院した後も実践していくことができるようにするために、まさに被害者の視点を取り入れた教育、これをどう具体的にやっていくのかというところについて、大臣のお考えをいただければというふうに思います。

谷垣国務大臣 被害者の視点を取り入れた教育というのは、少年院においては、入院から出院するまでの全過程で体系的に行わなきゃならない、そういうわけでございますので、全少年院において実施をするということでございます。

 これは、結局、入ってきた者が、自分のやったこと、みずからの非行と向き合って、そして、犯した罪の大きさであるとか、あるいは犯罪被害者等の心情、古い言葉でございますが、やはり人に対する惻隠の情がなきゃいけない。被害者に対しても、自分が犯したことによってどういう苦しみを与えているか、そういう気持ちがなきゃいけない。そして、被害者に対して誠意を持って対応していくということ。

 そういうことを目的として実施をしているわけですが、当事者である犯罪被害者や、あるいはその支援団体等の関係者による講話、話を聞く、それからグループワーク指導、それから少年個々の犯した事案に応じた個別指導というものを実施しているほか、教育内容を企画するに当たっては、被害者団体や支援団体からのいろいろな御意見も取り入れて組み立てているわけでございます。

 今回は少年院法案の二十四条三項第一号に規定が入ったわけでございますが、それを踏まえて、犯罪被害者それからその家族または遺族の心情を理解しようとする意識が低い在院者に対しては、自己の行為を直視させて非行の重大性や被害者の現状をよく理解させる、謝罪も含めた償いを具体的に考えさせることを目的とした特別プログラムで手厚く指導していくということでございます。

椎名委員 ありがとうございます。

 非常に重要なところだというふうに思います。まさに、やはり少年の可塑性が高いということで、ここできちんと反省をしていただいて社会復帰をしていただくためにも、被害者に対する意識をきちんと忘れずに考えていくということは本当に重要だと思います。

 そして、少年の人生という意味でいうと、少年院退院後も、恐らく、長生きするのであれば五十年、六十年と生きていく可能性があるわけですね。その中で、きちんと犯罪と向き合っていただかないと再非行ということにまた向かってしまうかもしれないところがあるわけですから、やはりここはきちんと向き合って反省していただく、そのためのプログラムを充実させていただくということが非常に重要だというふうに思っております。ぜひ、その運用の適正化というか、きちんと運用されることを私自身も期待申し上げたいというふうに思います。

 引き続き、通告三というところを伺います。

 少年非行の流れ、少年非行が発生するには、いろいろな個別具体的な各少年の事情というのがあるだろうというふうに思っております。遊び型非行と呼ばれる形で、悪い友人に誘われて悪気なくやってしまうということもあろうかというふうに思いますが、家庭の事情によって、家庭に帰りたくないから非行を犯す、そういう方々もいらっしゃるかというふうに思います。

 この家庭環境の問題というのは非常に重要なんだというふうに思うんですけれども、実際に退院した少年たちが、退院した後、家庭で、家族との関係をきちんと再構築していくことというのは非常に重要なテーマではなかろうかというふうに思います。むしろこれがうまくいかないから再非行に走ってしまうということも懸念されるところではないかというふうに思うんですけれども、そういう意味で、問題が必ずしも子供だけではなくて親にもあったりすることもあるんじゃないかというふうに思います。

 この家庭環境の調整とか、親の教育というか親の再教育、こういった問題というのは、少年院でできることかと言われるとなかなか難しいところだとは思いますが、やはり親に対しても何かしら教え導いていくということは非常に重要ではなかろうかというふうに思います。

 今般法改正された十七条で、保護者との関係、「保護者に対する協力の求め等」というところが条文で明文的に規定されたわけで、親の協力を仰いでいくという少年院のスタンスは非常に望ましいと思いますけれども、まさにこの親の再教育、それから家庭環境の調整といったところについて、これから少年院としてどういうことをやっていくべきなのかというところについて、大臣の御意見をいただければというふうに思います。

谷垣国務大臣 先ほど横路先生の御議論の中で、現在の少年非行のどこに問題があるのかといういろいろ分析をなさいました。それを聞いておりましても、やはり家庭に問題のある子供、家庭の問題を抱えている子が非常に多いと思いますね。

 本来、保護者は、在院者の権利、少年の権利や、あるいはその利益の擁護者であると同時に、少年院の職員と一緒になって、在院者の更生といいますか、円滑な社会復帰に向けて働きかける立場にあるわけですが、保護者がそういう十分な能力を持っていないという場合も必ずしも少なくない、こういうことがあるんだろうと思います。ですから、矯正教育の実効性を上げていこうとすると、少年院として、在院者の保護者とうまく協力関係を築いていくということが極めて大事なのではないかなと思います。

 こういう認識のもとで、少年院では、面会等々の場面を利用して、中に入っている少年と保護者との関係の調整に努める、それから、保護者面談等も実施して、保護者の監護意欲あるいは監護能力の向上のため、やはり働きかけを積極的に実施する必要があるのじゃないかと考えて、現にそれは実施しております。

 それで、今度の法案で、保護者に対する働きかけの方法を明確に規定いたしました。保護者会等々で在院者の処遇に関する情報を提供する、あるいは教育、保育の専門家を招いた保護者講習会、それから少年院で親子参加型の教育活動を実施する、こういったものの充実を図っていかなきゃいけないと思っております。

 それから、これに加えまして、百四十六条で退院者等々からの相談の規定を設けておりますが、交友関係あるいは進路選択等々に関する悩みをいろいろ保護者も抱えて、相談に乗ってほしいということがございますので、そういう相談に応じられるようにする等々、保護者に対する働きかけと連携を一層強めていきたいと思っております。

椎名委員 ありがとうございます。

 本当に保護者の、親になる資格がないと言ってしまうと語弊があるかもしれませんけれども、保護者の再教育をして、親になり切れていなかった方々というのをきちんと育て上げていくというのも、もしかしたら、これから少年院の本来的業務としてやっていただくということになるのかもしれないなというふうに思っています。

 他方で、親の側で受け入れが難しくなるということもございましょうから、先ほど横路先生の御質疑の中でも御指摘いただいていましたけれども、福祉というところとの連携というのが非常に重要になってくるだろうというふうに思っています。特に、児童相談所それから児童養護施設、こういったところときちんと連携をとっていくということの重要性というのを指摘すべきかなというふうに私自身は思っています。

 ちょっと時間もないので、幾つか飛ばしてまいりたいと思います。通告七というところで通告をさせていただいた、不服申し立ての話をさせていただきたいというふうに思います。

 私自身も、新聞報道ベースですけれども、広島少年院の事件等で被害者となった、被害者というのはここで言う暴行陵虐事件のという意味ですけれども、被害者となった、すなわち在院者の少年のコメントなんかも書かれていましたけれども、不服申し立てをしたり苦情を申し立てたりするとかえって処遇が悪くなるのではないか、抵抗すると処遇が悪くなる、こういう不安があったというようなコメントも見かけたことがございます。そういう結果として、やはり法務教官に逆らうことができないというか、なかなか不服を申し立てるということも難しいのではないかという懸念もあったりします。

 この不服申し立てというのは、基本的には、行政不服申し立てと同様だと思いますけれども、処分庁であります少年院、その少年院に対して基本的に上級庁であります法務大臣に対して申し立てをする、さらには、それ以外の制度として、少年院の中で申し立てをする、こういった制度だというふうに思っています。簡易迅速であるとは思いますけれども、他方で、常につきまとう疑問ではありますけれども、独立性、中立性というところについては若干疑義があるというところかなというふうに思います。

 こういった不服申し立てについて、第三者機関というところにまさに救済申し出の審査をしてもらうなどして、なるべく公平かつ中立な不服申し立てをするという制度設計も検討の余地はあるんだろうというふうに思います。

 今回の法制度の中にはそういった規定が特段なかったわけですけれども、今回の不服申し立てで、実際に不服申し立てをしてきちんと機能していくのかというところ、それから、こういった今申し上げたような第三者機関による審査といったところについて御検討の余地があるのであれば、大臣の意見をいただきたいなというふうに思います。

谷垣国務大臣 広島事件のような不祥事、結局、原因は、原因というか問題点は、不服申し立て等々がうまく機能しなかったということが一つあります。それから、やはり閉鎖的な環境で、なかなか外部の目が行き届かないというようなことがあったと思うんですが、そういう意味で、今回、不服申し立て等についてかなり明文で規定をした。

 実は、では、不服申し立てみたいなことをすると、成績が悪くなって、にらまれちゃうんじゃないかというようなことですね。

 今回は、法律上に不服申し立てをする者への配慮を明確に規定いたしまして、不服申し立てしたことを理由とする不利益取り扱いの禁止、それから不服申し立ての内容を施設の職員に秘密にすることができるよう必要な措置を講ずる、それから不服申し立ての書面の検査を禁止する、それから相談員の守秘義務等々を規定しまして、こういう事項を、先ほど矯正局長からも、最初のパンフレットというか、そういうので説明ということを申しておりましたが、少年に周知していく。そういうことで、萎縮することなく不服申し立てができる環境を整えていきたいと思っております。

 それから、第三者機関をどうかというお話がございました。今回は、この第三者機関という形はとっておりません。

 ただ、刑事施設では、法務大臣に対する再審査の申請それから事実の申告のうち、被収容者の不服に理由がないと判断しようとするものについては、外部の有識者による刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会というものがございまして、一定の範囲で第三者の意見を反映する仕組みになっております。

 今回、少年院に関してはそのようなことは用意してございませんが、今後、運用の状況を踏まえて、そのようなことも検討してまいりたいと思っております。

椎名委員 ありがとうございます。今の第三者機関の話は、本当にぜひお願いいたします。

 刑事施設、いわゆる刑務所の中で実際に行われている不服申し立てに対して、一応、大臣に対する諮問機関ということなのかもしれませんけれども、第三者機関的にチェックをする場所があるということであれば、少なくとも、応報刑を科されている刑務所の中の受刑者と保護処分を受けている少年院の中の少年という意味でいうと、少年の方がより権利を尊重するというか、教え導くことができるという関係上、やはりそういった制度設計を今後ぜひ検討していただきたいなというふうに思います。

 時間も来たので終わりますけれども、今回の法改正について、少年の権利が保障されていて、かつ、現状の運用というものをきちんと明文化して、さまざまな形で制度化されているという意味で、非常に肯定的に私自身も評価をしております。さらに、この運用によって少年院の矯正教育の運用がよりよくなっていくことを期待申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 本日は、ありがとうございます。

江崎委員長 次回は、来る二十三日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十分散会


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