衆議院

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第3号 平成26年10月22日(水曜日)

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平成二十六年十月二十二日(水曜日)

    午前十時一分開議

 出席委員

   委員長 奥野 信亮君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 柴山 昌彦君

   理事 ふくだ峰之君 理事 盛山 正仁君

   理事 柚木 道義君 理事 井出 庸生君

   理事 遠山 清彦君

      安藤  裕君    池田 道孝君

      小田原 潔君    大塚  拓君

      門  博文君    神山 佐市君

      菅家 一郎君    工藤 彰三君

      小島 敏文君    古賀  篤君

      今野 智博君    末吉 光徳君

      田畑  毅君    平沢 勝栄君

      三ッ林裕巳君    宮澤 博行君

      黄川田 徹君    郡  和子君

      横路 孝弘君    高橋 みほ君

      丸山 穂高君    大口 善徳君

      西田  譲君    鈴木 貴子君

    …………………………………

   法務大臣         上川 陽子君

   法務副大臣        葉梨 康弘君

   法務大臣政務官      大塚  拓君

   法務委員会専門員     矢部 明宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十二日

 辞任         補欠選任

  大見  正君     工藤 彰三君

  黄川田仁志君     田畑  毅君

  階   猛君     黄川田 徹君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     大見  正君

  田畑  毅君     黄川田仁志君

  黄川田 徹君     階   猛君


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     ――――◇―――――

奥野委員長 これより会議を開きます。

 この際、上川法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。上川法務大臣。

上川国務大臣 法務大臣の上川陽子です。

 為政清明、明治の元勲であり、我が国の基本的な枠組みをつくり上げた大久保利通は、この言葉を座右の銘としておりました。

 大久保は、この言葉を通じて、現代に生きる私たちにも、政治に参与する者は、心が明るく、澄んでいなければならないと訴えているように思います。大久保のこの姿勢こそ、政治家にとって、また法務大臣として、基本としなければならないものと考えております。

 また、法務行政は、国民の皆様の生命、身体、財産、そして安心、安全を預かる国の礎となる職務であると考えています。それだけに、多くの国民の皆様の声に真摯に耳を傾け、そして、まさに澄み切った心で予断なくそれを受けとめ、次代を見越した施策に生かしていくことが必要と考えています。

 ところで、法務行政は、現場の職員ばかりでなく、保護司、協力雇用主、篤志面接委員、人権擁護委員といった地域のボランティアの方々に支えられています。こうした地域の方々の活動を支援し、そのとうとさや重要性を世の中にお伝えすることも法務大臣の大切な仕事と考えております。

 そして、法務行政を支える職員、ボランティアの方々の中には、多くの女性がいらっしゃいます。女性が輝く社会を推進する安倍政権の一員として、私は、法務行政に携わる女性の働く環境を整えるとともに、ワーク・ライフ・バランスの普及促進にも力を尽くしたいと考えております。

 さて、現在、法務行政には多くの課題があると聞いております。今回、臨時国会開会中に松島みどり前法務大臣を引き継ぐ形で法務大臣に就任いたしましたが、政治も国会審議も停滞することなきよう、葉梨康弘副大臣及び大塚拓大臣政務官と協力し、また、職員とともに明るく前向きに幾多の課題に立ち向かい、また、国会審議においては、所管する事項につき真摯に説明に努めてまいる所存ですので、委員長を初め委員の皆様、御理解、御協力をよろしくお願い申し上げます。

 次に、当面する法務行政の重要施策につきまして所信の一端を申し述べ、委員の皆様方の御理解と御協力を賜りたいと存じます。

 世界一安全な国日本をつくる、これは、安倍晋三総理大臣が掲げている大きな政策課題です。政府の責任として、国民の安心、安全を守り、暮らしやすい国、地域をつくることはもちろんですが、内外から我が国が世界一安全な国であると認められることは、海外の多くの観光客の方々が我が国を観光先として選ぶのに大きなインセンティブとなるでしょうし、また、治安がよいことは、投資環境を整えているという点で、我が国の企業に海外から投資を呼び込み、我が国経済の成長を支える上でも重要な要素となっていると考えられます。

 今や、我が国は、国境を越えて、風通しよく世界と接する時代を迎えています。

 海外から多くの方が我が国を訪れ、東京のみならず地方各地にも足を運び、我が国の文化、習慣に触れ、我が国の魅力、とりわけ地方特有の魅力を知っていただける大きなチャンスとなる二〇二〇年開催のオリンピック・パラリンピック東京大会まで既に六年を切りました。

 こうした時代認識と将来への見通しから、私は、現下の法務省の課題として、治安の維持向上を図るため、再犯防止対策、組織犯罪対策及びテロ対策の推進並びに出入国管理行政の一層の充実、迅速化等が重要であると認識しております。

 刑務所出所者等の再犯を防止するためには、刑務所や保護観察所等の関係機関が連携して、施設内から社会内における処遇まで切れ目のない一貫した指導、支援を行うことが重要です。そこで、薬物依存者や少年、女性、高齢者、障害者といった対象者の特性に応じた指導、支援や、就労支援、住居の確保などを柱とする総合的な再犯防止対策を、関係省庁や保護司、協力雇用主等、民間の方々とも連携して推進いたします。

 また、これらの取り組みの基盤となる法務省施設の老朽化等を解消するため、建てかえや耐震改修などを促進してまいります。

 組織犯罪については、国民の安全な生活にとって大きな脅威となっていますので、関係機関とも協力、連携の上、必要な対策を講じてまいりたいと思います。

 なお、オウム真理教については、引き続き、団体規制法に基づく観察処分を適正かつ厳格に実施することにより、公共の安全の確保に努めてまいります。

 テロ対策については、テロの未然防止に向けて、不穏動向等の早期把握、情報収集・分析機能の強化に一層努めてまいります。

 テロリズムに対する資金その他の利益の供与の防止のための措置を万全のものとするため、衆議院において継続審議中の公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案について、十分に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。

 北朝鮮関係については、引き続き、核、ミサイルをめぐる動向や、金正恩体制下の国内情勢等の把握に努めるとともに、日本人拉致問題等の重大な問題の解決にも資するよう、公安調査庁を中心として、関連情報の収集、分析等を積極的に行ってまいります。

 尖閣諸島関係については、我が国の主権にかかわる事案の相次ぐ発生を踏まえ、関係機関と連携し、関連情報の収集、分析に尽力いたします。

 政府全体として二〇二〇年に訪日外国人旅行者数二千万人の高みを目指しているところ、法務省といたしましても、観光立国の実現に向け、外国人の出入国審査の円滑化、迅速化が重要な課題となっています。

 そこで、計画的に出入国審査体制を整備するとともに、日本人の出帰国審査の合理化、外国人の出入国審査のさらなる迅速化を図るため、顔認証技術を活用した自動化ゲートの導入について、さらに検討を進めてまいります。また、前国会で改正された出入国管理及び難民認定法を円滑に施行してまいります。

 また、出入国を円滑にするのみならず、国内の治安を守るため、個人識別情報の活用や空港等におけるパトロール等の励行により、不法行為をもくろむ外国人の入国を水際で確実に阻止いたします。

 技能実習制度の抜本的な見直しを初めとして、本年六月改定の日本再興戦略に掲げられた施策の実現により、日本経済の活性化に資する外国人の受け入れの促進に努めてまいります。

 また、現在、難民認定制度のあり方の検討が進められています。近年の難民認定申請者の増加を踏まえ、速やかな検討を進めるとともに、引き続き、難民認定手続の適正かつ迅速な実施に努めてまいります。

 外国人の受け入れについての検討を進める一方、忘れてならないのは、我が国に潜伏する不法滞在者や偽装滞在者への対策です。これらについては、摘発を積極的に推進し、また、自発的な出頭を促すなど、的確に対処をしてまいります。

 私のこれまでの法務行政とのかかわりで忘れられないのは、犯罪被害者等基本法の制定に向け全力を注いだことです。その過程で多くの犯罪被害者や御遺族の方々のお声をお聞きし、国家が国民生活の安心、安全を守るということがどれだけ大切かを痛感いたしました。そのときの経験が政治家としての私の出発点になっていると言っても過言ではありません。

 犯罪被害者等の保護、支援については、今後も重要な課題として取り組みます。私も制定にかかわった犯罪被害者等基本法の理念にのっとり、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための各種制度を適切に運用し、きめ細やかな対応に努めてまいります。

 社会的関心を集めている、子供たちに対するいじめを初め、外国人に対する人権問題や、インターネット上の人権問題への対応を含め、人権啓発活動の効果的な実施に努めるほか、人権侵犯事件の調査・救済活動を迅速かつ適正に行い、一人一人の人権が尊重される豊かで成熟した社会の実現を目指してまいります。

 今般、大臣就任に当たり、安倍総理から、国民に身近で頼りがいのある司法の実現に向けて、司法制度改革を推進するよう御指示を受けました。私も議員として携わった司法制度改革ですが、中でも印象深い取り組みの一つは、新たな法曹養成制度の導入や日本司法支援センター、法テラスの創設等に携わったことです。司法制度改革について、その運用状況を見定めながら、各制度のさらなる成熟に向け努力してまいります。

 法曹養成制度については、各方面からさまざまな問題点が指摘されております。その制度のあり方について、内閣官房に置かれた法曹養成制度改革推進室が検討を進めており、法務省といたしましても、法曹養成制度改革推進会議の一員として、質量ともに豊かな法曹を養成する制度の構築に向けて引き続き検討を進め、迅速に施策を実施してまいります。

 国民への法的支援の中心的機関として創設され、愛称の法テラスで知られる日本司法支援センターは、東日本大震災の被災者に対する援助のための日本司法支援センターの業務の特例に関する法律に基づく被災者の支援を実施するなど、東日本大震災からの復旧復興においても大きな役割を果たしております。

 また、法テラスでは、超高齢社会の到来を念頭に、自治体及び福祉機関等と連携して、特に手厚い援助を要する高齢者、障害者といった方々の法的なニーズを掘り起こし、総合的な問題解決を図る、司法ソーシャルワークと呼ばれる取り組みを行っております。

 今後も、法テラスの業務体制の充実に努め、法テラスが行うさまざまな取り組みを支援してまいります。

 東日本大震災からの復興のため、住宅再建・復興まちづくりの加速化等に係る登記嘱託事件等の適切かつ迅速な実施に努めるとともに、全国的に取り組んでいる登記所備えつけ地図の整備についても、引き続き積極的に取り組んでまいります。

 国の制度のあり方や政策の根幹等に重大な影響を与える訴訟に適切に対応していくことは、国としての喫緊の課題であると考えます。法務省といたしましても、こうした訴訟に適切かつ迅速に対応するため、あるいは、紛争を未然に防止するという観点からの予防司法を充実させるため、政府の一員として、訟務機能の充実強化に取り組んでまいる所存です。

 法務省では、長年にわたり、国際連合と協力し、我が国と関係の深いアジアの国々等の刑事司法実務家を対象とする国際研修等を実施し、また、開発途上国の基本法令の起草や法律家の人材育成などを柱とする法制度整備支援を実施してまいりました。

 こうした取り組みは、我が国が尊重してきた法の支配の理念を国際的にもあまねく広め、各国と共有し、外交や国際経済における我が国の地位や影響力を高める役割を担っており、今後も積極的に推進してまいります。

 法務省の大きな役割の一つに、基本法制の維持及び整備があります。

 国民生活の基礎をなす基本法制については、定着したルールも多く、その変更にあっては、国民生活への大きな影響があり得るため慎重な検討が必要ですが、私は、法務行政の責任者として、国民の皆様の声に耳を澄ませ、真に必要な法整備、既存の法制度の改正については、できる限り迅速に対応してまいります。

 松島前大臣の御指示を受け発足した性犯罪の罰則に関する検討会についても、今後、議論を見守ってまいります。

 裁判員制度については、裁判員の方々の誠実な取り組みもあり、国民の間に定着してきているものと認識しております。

 この制度が我が国の司法制度の基盤としての役割を十分に果たすことができるようにするため、審判に著しい長期間を要する事件等を裁判員制度の対象事件から除外することを可能とするほか、裁判員等選任手続において犯罪被害者の氏名等の情報を保護するための規定を整備することなどを内容とする裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部を改正する法律案を今国会に提出する予定です。

 民事基本法については、国民の意識や社会情勢の変化に対応し、必要な見直しを進めてまいります。

 今国会においては、国際条約の改正に伴い、海難事故等の場合に船舶の所有者等が負う責任の限度額を引き上げることを内容とした船舶の所有者等の責任の制限に関する法律の一部を改正する法律案を提出しましたので、十分に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。

 このほか、法制審議会においては、民法の債権関係について、社会経済の変化への対応を図るとともに、国民にわかりやすいものとする等の観点から、制定以来約百二十年ぶりの見直しに向けた検討が具体性を増しつつ着実に進められております。

 また、商法等のうち運送、海商関係を中心とした規定の見直し等について、法制審議会において審議が行われており、今後、これらの審議結果を踏まえて必要な法整備を行ってまいります。

 時代に即した新たな刑事司法制度を構築するための法整備のあり方については、先般、法制審議会から、被疑者取り調べの録音、録画制度の導入や通信傍受の合理化、効率化など多岐にわたる内容を含む答申をいただきました。証拠収集手段の適正化、多様化及び公判審理の充実化に向け、この答申に掲げられた制度を一体として刑事司法制度に取り入れるため、必要な法整備を進めてまいります。

 また、刑事司法制度を国民からより一層支持、信頼されるものとするため、検察改革のための取り組みを着実に実施してまいります。

 矯正施設は深刻な医師不足に直面しております。本年一月二十一日に、医師や弁護士等外部有識者から成る矯正医療の在り方に関する有識者検討会から報告を受けておりますので、それを踏まえ、矯正医官の待遇改善や地域医療との共生、連携強化のあり方などにつき、現在、関係省庁とも協議を進めております。今後、法整備を含め、矯正医療が抱える問題の解決に向けて全力で取り組んでまいります。

 さらに、今国会においては、一般の政府職員の給与改定に伴い、裁判官の報酬月額及び検察官の俸給月額を改定するための裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を提出しましたので、十分に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。

 委員長を初め委員の皆様方には、日ごろから法務行政の運営に格別の御尽力を賜っております。今後も、さまざまな課題に対し全力で取り組んでまいりますので、より一層の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。(拍手)

奥野委員長 副大臣、政務官は何かありますか。

 それでは、きょうの議事は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時二十一分散会


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