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第7号 平成26年11月4日(火曜日)

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平成二十六年十一月四日(火曜日)

    午前十時十五分開議

 出席委員

   委員長 奥野 信亮君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 柴山 昌彦君

   理事 土屋 正忠君 理事 ふくだ峰之君

   理事 盛山 正仁君 理事 柚木 道義君

   理事 井出 庸生君 理事 遠山 清彦君

      安藤  裕君    池田 道孝君

      岩田 和親君    小田原 潔君

      大塚  拓君    大見  正君

      門  博文君    神山 佐市君

      菅家 一郎君    黄川田仁志君

      今野 智博君    末吉 光徳君

      鳩山 邦夫君    平沢 勝栄君

      堀内 詔子君    三ッ林裕巳君

      八木 哲也君    菊田真紀子君

      階   猛君    横路 孝弘君

      河野 正美君    丸山 穂高君

      國重  徹君    西田  譲君

      鈴木 貴子君    西村 眞悟君

    …………………………………

   法務大臣         上川 陽子君

   法務副大臣        葉梨 康弘君

   法務大臣政務官      大塚  拓君

   法務委員会専門員     矢部 明宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月四日

 辞任         補欠選任

  小島 敏文君     堀内 詔子君

  古賀  篤君     岩田 和親君

  宮澤 博行君     八木 哲也君

  郡  和子君     菊田真紀子君

  高橋 みほ君     河野 正美君

  大口 善徳君     國重  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     古賀  篤君

  堀内 詔子君     小島 敏文君

  八木 哲也君     宮澤 博行君

  菊田真紀子君     郡  和子君

  河野 正美君     高橋 みほ君

  國重  徹君     大口 善徳君

    ―――――――――――――

十一月四日

 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)

 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、第百八十三回国会閣法第三〇号)


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     ――――◇―――――

奥野委員長 これより会議を開きます。

 第百八十三回国会、内閣提出、公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する横路孝弘君外一名提出の修正案を一括して議題といたします。

 本案及び修正案に対する質疑は、去る十月三十一日に終局いたしております。

 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。階猛君。

階委員 私は、民主党・無所属クラブを代表し、内閣提出の公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案、以下、政府案と言います、に対する我が党の修正案、以下、修正案と言います、に主位的かつ積極的に賛成、政府案には予備的かつ消極的に賛成の立場から討論を行います。

 初めに、きょう十一月四日は、私の地元盛岡市出身で平民宰相として知られる原敬が、九十三年前に東京駅構内でテロリストの凶刃に倒れ、六十五歳の生涯を閉じた日でもあります。政党政治の礎を築いた偉大な先人の御冥福をお祈りいたします。

 あわせて、みずからの主義主張を、民主的手続によらず、暴力や暴力による脅威によって実現せしめんとする卑劣きわまりないテロリズムを許してはなりません。原敬閣下の悲劇を繰り返さないためにも、我が党は、各党各会派の皆様と協力し、国内外のテロ廃絶に向け、全力を尽くすことをここに誓います。

 本題に入ります。

 政府案は、国際機関であるFATFが主導するテロ対策の国際的取り組みに日本も参加し、きめ細かい包囲網を構築しようという目的に基づいています。かかる目的は是認できますが、FATFの意見が全て正しいとは限りません。目的の正当性と手段の相当性は別であり、前者が認められても後者が認められない場合は往々にしてあります。特に本件のように刑事罰の範囲を拡大する場合には、国家権力が過度に国民の身体や行動の自由を制約しないよう、目的が正当であってもそれを達成するための手段が相当であるかにつき、慎重な検討が必要です。

 かかる見地から政府案を検討するに、政府案は、現行法に定めるテロの予備行為の幇助のみならず、その幇助、そのまた幇助と、刑法の共犯規定が想定していない行為類型を独立罪として処罰しようとするものです。処罰範囲が余りにも広過ぎ、行為者にとって不意打ちとなる危険があります。刑罰法規の謙抑性と明確性の原則に反し、国家権力が過度に国民の身体や行動の自由を制約するおそれがあります。

 他方、修正案は、テロ企図者への支援行為を厳格に取り締まりつつ、国民の身体や行動の自由にも配慮する見地から、いわゆる第一次協力者及び準第一次協力者の行為に限って従来よりも処罰範囲を拡大しようとするものであります。

 なお、修正案のもとでも、第一次協力者がテロ企図者によるテロ行為を容易にするための資金等の提供行為に着手すれば、第二次協力者以降の者は刑法に定める幇助等の共犯規定で処罰可能であり、改正の目的は十分に達成できます。

 逆に、第一次協力者が実行に着手しなければ、テロ支援の具体的危険が現実化しているとは評価できず、第二次協力者以降の者を処罰する必要性はないと考えます。

 また、今国会において内閣から別途提出されている、いわゆるテロ資金凍結法案につき、我が党も現時点で賛成の方向です。政府としては、同法案と修正案の可決成立をもってFATFと折衝し、了解を得るべきです。

 さらに、現行法の成立当時には存在しなかった特定秘密保護法の施行が目前に迫っていることも考慮しなくてはなりません。政府案で新たに処罰対象となった事件の刑事司法手続においては、テロ企図者によるテロ予備行為の方法や態様に関する事実が重要な争点となることが想定されます。

 しかし、本委員会での政府答弁によると、かかる事実も特定秘密に指定される場合があり、仮に公判前整理手続が行われて裁判所から証拠開示命令が発せられても、特定秘密に指定された証拠資料は開示しない場合があるとのことです。

 政府は、検察官は有罪を得るために公訴を提起しているのだから、必要な証拠は積極的に開示される旨の答弁をしましたが、無罪を得るための証拠が開示されなければ、被告人や弁護人にとって意味がありません。このような恣意的な証拠開示の可能性が残ったままで政府案を成立させることは、適正手続の保障を定める憲法三十一条との関係でも問題があります。

 これに関し、上川法務大臣は、裁判所の訴訟指揮や検察官の開示命令への対応が適切になされるから問題ないというような答弁をされました。しかし、上川大臣は、公職選挙法の恣意的かつ独善的な解釈によって法の運用に不信と混乱を生ぜしめた松島前大臣の後任です。にもかかわらず、法のグレーゾーンを積極的に解消しようとせず、安易に運用に委ねるのであれば、余りに無自覚、無責任だと言わざるを得ません。

 以上の諸点に鑑みれば、修正案こそ、立法目的を達成するための相当かつ最善な手段を定めており、松島前大臣のもとで失われた法務省の名誉を回復するためにも成立させるべきものと確信します。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願いいたします。

 なお、修正案が不幸にも否決された場合には、上川大臣を初めとする政府関係者において、我が党が提起した問題点に誠実に向き合い、参議院での審議を通じ、修正も含めた柔軟な対応をとることを強く要請しつつ、政府案に、不本意ではありますが賛成することといたします。

 以上で終わります。(拍手)

奥野委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

奥野委員長 これより採決に入ります。

 第百八十三回国会、内閣提出、公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、横路孝弘君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

奥野委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

奥野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

奥野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

奥野委員長 次回は、明五日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時二十三分散会


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