衆議院

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第19号 平成27年6月2日(火曜日)

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平成二十七年六月二日(火曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 奥野 信亮君

   理事 安藤  裕君 理事 井野 俊郎君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 柴山 昌彦君

   理事 盛山 正仁君 理事 山尾志桜里君

   理事 井出 庸生君 理事 漆原 良夫君

      青山 周平君    大塚  拓君

      門  博文君    神山 佐市君

      菅家 一郎君    今野 智博君

      辻  清人君    冨樫 博之君

      藤原  崇君    古田 圭一君

      宮川 典子君    宮崎 謙介君

      宮澤 博行君    宮路 拓馬君

      簗  和生君    山口  壯君

      山下 貴司君    若狭  勝君

      黒岩 宇洋君    階   猛君

      鈴木 貴子君    柚木 道義君

      重徳 和彦君    大口 善徳君

      國重  徹君    清水 忠史君

      畑野 君枝君    上西小百合君

    …………………………………

   法務大臣         上川 陽子君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 山谷えり子君

   法務副大臣        葉梨 康弘君

   法務大臣政務官      大塚  拓君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   最高裁判所事務総局刑事局長            平木 正洋君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  北村 博文君

   政府参考人

   (警察庁長官官房総括審議官)           沖田 芳樹君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    三浦 正充君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    高橋 清孝君

   政府参考人

   (警察庁情報通信局長)  川邉 俊一君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    林  眞琴君

   法務委員会専門員     矢部 明宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二日

 辞任         補欠選任

  辻  清人君     青山 周平君

  山下 貴司君     神山 佐市君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     辻  清人君

  神山 佐市君     山下 貴司君

    ―――――――――――――

五月二十八日

 治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(小川淳也君紹介)(第一一九〇号)

 同(田島一成君紹介)(第一一九一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一一九二号)

 同(堀内照文君紹介)(第一一九三号)

 同(真島省三君紹介)(第一一九四号)

 同(宮本徹君紹介)(第一一九五号)

 同(本村伸子君紹介)(第一一九六号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第一二二三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一二二四号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一二二五号)

 同(田島一成君紹介)(第一二二六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一二二七号)

 同(宮崎岳志君紹介)(第一二二八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一二三八号)

 同(横路孝弘君紹介)(第一二三九号)

 同(大平喜信君紹介)(第一二五六号)

 同(清水忠史君紹介)(第一二五七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一二五八号)

 同(辻元清美君紹介)(第一二五九号)

 同(篠原孝君紹介)(第一二六九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一二七〇号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第一二七一号)

 同(吉川元君紹介)(第一二七二号)

 選択的夫婦別姓制度導入の民法改正を求めることに関する請願(穀田恵二君紹介)(第一二二九号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一二三〇号)

 同(寺田学君紹介)(第一二三一号)

 同(横路孝弘君紹介)(第一二四〇号)

 別居・離婚後の親子の断絶を防止する法整備に関する請願(豊田真由子君紹介)(第一二四一号)

 同(保岡興治君紹介)(第一二四二号)

 同(亀岡偉民君紹介)(第一二六〇号)

 同(富田茂之君紹介)(第一二七三号)

六月二日

 治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(阿部知子君紹介)(第一三三六号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一三六二号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第一四五九号)

 選択的夫婦別姓制度導入の民法改正を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第一三三七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一三三八号)

 同(前原誠司君紹介)(第一三六三号)

 法務局・更生保護官署・入国管理官署及び少年院施設の増員に関する請願(大口善徳君紹介)(第一三六一号)

 同(漆原良夫君紹介)(第一四六二号)

 別居・離婚後の親子の断絶を防止する法整備に関する請願(工藤彰三君紹介)(第一三六四号)

 同(大西健介君紹介)(第一四六〇号)

 同(長尾敬君紹介)(第一四六一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 刑事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)


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     ――――◇―――――

奥野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、刑事訴訟法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官北村博文君、警察庁長官官房総括審議官沖田芳樹君、警察庁刑事局長三浦正充君、警察庁警備局長高橋清孝君、警察庁情報通信局長川邉俊一君及び法務省刑事局長林眞琴君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

奥野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

奥野委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局平木刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

奥野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

奥野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。階猛君。

階委員 おはようございます。民主党の階猛です。

 きょうはいよいよ、取り調べの可視化を含む刑事訴訟法、そして通信傍受法の改正案の審議ということで質問に立たせていただいておりますけれども、内閣の法制局に来ていただいていますので、まず、そもそも論を御質問させていただきます。

 憲法四十一条で、国会は唯一の立法機関であるということが定められています。そういう中で、内閣には法案提出権があるのかということは憲法解釈上の一つの論点でありますけれども、今の通説は、明文規定はないけれども、内閣には議案の提出権があるので、その中で法案提出権も認められるということで、こういう、明文規定がないということであるとか、議案提出権に付随するものだということからすると、あくまで従属的なものだということで、立法権の主体である国会の審議権を奪うようなことがあってはならないと思っています。

 そういう中で、今回の法案ですけれども、安保法制もそうですけれども、いわゆる一括法案、いろいろな種類の法案がまざった法案になっております。そして、その上で一括して国会に賛否を問うということなので、これは、そもそもの内閣の法案提出権の位置づけからして、憲法上問題はないのかどうかということについて、まずは法制局長官にお尋ねします。

横畠政府特別補佐人 複数の法律の改正を一つの法律案で行う場合には、従来から議論がございまして、一定の基準のもとで運用してございます。

 その基準と申しますのは、一つ目が、法律案に盛り込まれた政策が統一的なものであり、趣旨、目的が同じであること、二つ目が、法律案の条項が相互に関連しており、一つの体系を形づくっていること、三つ目が、できる限り同じ委員会の所管に属する事項に関するものであることが望ましいことの以上でございます。

階委員 今、三つの基準を挙げていただきましたけれども、私がひっかかるのは、政策の趣旨、目的が同じであるという一つ目のことなんですね。

 ところで、通信傍受法というのは、今までよりも捜査機関の権限を強化するという話です。他方で取り調べ可視化の方は、むしろ、取り調べの適正化を図るために今までよりも取り調べにブレーキをかけようということで、言うなれば権限について抑制的な方向である。趣旨、目的が違うのではないかと思います。

 法務大臣に、この点について、なぜ趣旨、目的が同じで一括法案にできるのかということをお尋ねします。

上川国務大臣 今回、御審議をお願いいたしております刑事訴訟法の改正ということでございますが、取り調べ及び供述調書への過度の依存ということに対して、これを改めるということ、そしてそのためには、証拠収集手段の適正化、多様化を図るとともに、公判審理の充実化を図るということが大事であるということ、その意味で、政策が統一的なものであることというこうした趣旨、目的については、先ほどの基準に合致するというふうに思っております。

 法律案の条項が相互に関連をしておるということ、そして一つの体系をつくっているということから、その意味で申し上げた考え方でございますが、政策が統一的なものであるということで、趣旨、目的が一つであるというふうに考えているところでございます。そういう考え方のもとで、これを一本の法律案として御提出させていただきました。

 今回の法律案につきまして、先ほど御指摘があった、国会の審議権というものを制限するというものではなく、もとよりそのような意図を持って提出したものでもないということでございます。

階委員 ちょっとわからないんですが、では、通信傍受法と、取り調べの可視化の制度を設けるという法案とは、政策の趣旨、目的が同じだということをおっしゃったという理解でよろしいですか。確認させてください。

上川国務大臣 今回の法律案の改正につきましては、先ほど申し上げたとおり、取り調べ及び供述調書への過度の依存を改めるということを目的といたしまして、そのためには、証拠収集手段の適正化と多様化を図るということ、そして公判審理の充実化を図るということ、これがその目的に資するということでございまして、その目的ということで共通をしているというふうに認識しているところでございます。

階委員 私は、そもそも、この法案が出されるに至った過程では、厚労省の村木元局長初め冤罪事件があったり、あるいは証拠の捏造があったりと、さまざまな検察の不祥事があったことで、検察の在り方検討会議などがつくられて、そういう中で刑事司法制度を見直そうということからきているわけですから、冤罪の防止というのが政策の趣旨、目的ではないかと思っておるんです。

 今お話を聞いていると、取り調べへの過度の依存を改めるというのが趣旨、目的なんだというお話でしたけれども、冤罪の防止というのは今回の趣旨、目的には入っていないということでよろしいですか。

上川国務大臣 この議論のスタートの背景にあった問題につきましては、委員御指摘のような事件があったということ、そしてその上で、そうした事態を乗り越えていくためには、取り調べ及び供述調書への過度の依存があったためにそうした事態に陥ったのではないかという問題の共通認識のもとで、それを改めるということを含めて考えると、証拠収集手段の適正化、多様化ということが図られ、なおかつ公判審理が充実化するということが目的に照らして合致するのではないか、こういう趣旨で、この間、一連の御議論がなされてきたというふうに考えております。

 今回、そうしたことでありますので、取り調べ、証拠収集手段の適正化、多様化、あるいは公判審理の充実化に資するさまざまな制度につきまして、これを、相互に関連しているものとして一体の体系として御議論いただくということで、今回のところに至った次第でございます。

階委員 私はシンプルなことを聞いているんです。冤罪の防止は今回の法案の趣旨、目的に含まれるか、はいかいいえだけで結構です、結論だけでいいので、その点を答えてください。

上川国務大臣 先ほど、検察の在り方検討会議の御提言ということで御指摘がございましたけれども、国民の安心、安全を守りながら、冤罪を生まない捜査、公判を行っていくためには、抜本的、構造的な改革を必要とすること、そして、追及的な取り調べによらずに供述や客観的証拠を収集できる仕組みを早急に整備し、取り調べや供述調書に過度に依存した捜査、公判から脱却するよう、そのあり方を改めていかなければならない、これは検察の在り方検討会議の提言ということであったわけでございます。この御指摘を受けまして、当時、法務大臣から法制審議会に諮問が発せられた上で、法制審議会において答申が採択されたというふうに考えております。

 その意味では、先ほど申し上げた、取り調べ及び供述調書に過度に依存した捜査、公判のあり方を改めて、より適正で機能的な刑事司法制度を構築する、こうした趣旨にのっとって今回の法律案を提出したということでございます。御指摘の、国民の安全、安心を守りつつ、冤罪を生まない捜査、公判を行っていくというところ、これは大変大事な目的でございます。

階委員 最後のところ、重要だと思います。冤罪を生まないということが重要な目的だとおっしゃいました。そこに資するものかどうかということをこれからちゃんと我々も問うていかなくてはいけません。

 また法制局長官にお聞きしますけれども、一括法案というのは複数の法案をまとめて出すという場合ですけれども、一つの法案、例えば憲法とかでも、いろいろな条項があるけれども、それぞれの条項が余り関係ない場合、統治機構と人権の部分をそれぞれ改正しようという場合、こういう場合、国民投票法ではどうなっているかというと、国会のそれぞれの議院で三分の二以上の賛成があって憲法改正案を発議するという場合は、内容において関連する事項ごとに提案され、それぞれの改正案ごとに国民に賛否を問うということで、一括して憲法改正案ということで賛否を問うことになっていないわけですね。

 私が、今回の法案、刑訴法改正の部分だけを見ますと、取り調べの可視化というまさに被疑者、被告人の人権に配慮する方向性の部分と、一方で、司法取引という他人を売って自分は罪を免れようとする部分、これは内容的に異質なものではないかと思っているんですね。こういう内容的に異質なものであっても同じ法案に含まれ得るということで、何でもかんでも一つの法案の改正ということで処理していいのかどうか。

 これも憲法四十一条の唯一の立法機関との関係で議論があり得るのではないかと思いますが、そのあたりについての御見解を伺えますか。

横畠政府特別補佐人 刑事訴訟法は、その第一条に「刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする。」とあるとおりでございまして、刑事訴訟法自身が、単に人権を保障すればいいというものではなく、やはり公共の福祉の観点からの真相解明ということも目的としております。

 複数のというか、一見矛盾、対立するかもしれないそういった両方の目的を適正に実現していくというのが刑事訴訟法そのものの目的、あり方でございますので、単に、人権の保障の方向での改正と、捜査の適正化あるいは立証の多様化、証拠収集の多様化といいますか、そういったものがあわせて行われる改正というのを一緒に提案するということが、先ほど申し上げた、政策が統一的なものであるということと矛盾するものとは考えられないと思います。

階委員 今、最後の方をお聞きしておりますと、私が一番最初にお尋ねした一括法案、すなわち複数の法案を一括で出す場合の三つの基準が、一つの法案で複数の内容を改正する場合の基準と同一であるようにおっしゃったんですが、一つの法案で内容的に異質なものを含む場合も、さっきの一括法案と同じ基準が当てはまるということでよろしいですか。

横畠政府特別補佐人 先ほどお答えいたしました趣旨は、別の法律であったとしても、先ほど申し上げたような要件があれば一括できるということでございまして、ましてや一つの法律でありますので問題はないだろうということを、その趣旨で申し上げたものでございます。

階委員 つまり、政策の趣旨、目的が同じであることが、やはり、一つの法案の中で複数の事項について改正する場合、トータルで一つの改正案として出せる条件だということをおっしゃったわけですか。

横畠政府特別補佐人 若干誤解を招いたとすればおわびいたしますけれども、既に一つの法律であるということからすれば、一定の趣旨、目的でまとまった法律であると理解されます。その意味で、一つの法案について複数の改正を行うときに、それを分割しなければならないという理屈はないであろうと思います。

階委員 ところで、これは法制局長官に聞くのがいいのか、それとも提案者である法務大臣に聞くのがいいのか、ちょっとわからないので、適宜お答えいただきたいんですが、この法案が入っている資料を見ますと、新旧対照条文というところを見ると、取り調べ可視化の部分は改正法の第一条関係、それから司法取引などの部分は改正法の第二条関係ということで、わざわざ分けて新旧対照表などもつくられているんですね。

 今の長官の御答弁からすると、同じ法案であれば趣旨、目的は同じなんだから、全部まとめて何でもかんでも改正してもいいようなことであると、わざわざ分けて記載している理由というのは何なんですか。

横畠政府特別補佐人 これは、大変技術的な問題であると御理解いただきたいと思います。

 すなわち、同じ刑事訴訟法の改正でございますけれども、我々、二段ロケットなどと言いますけれども、まず第一弾の改正を行い、さらに施行期日を異にする第二弾の改正を行う、そのような場合に、改正法の本体でも第一条と第二条に分かれておりまして、それはそれぞれ施行期日が異なっております。そのような関係で、新旧対照表も別の表となっております。

階委員 なるほど。つまり、施行期日が違うから、わざわざ新旧対照表も分け、改正法の中の条文の位置も分けているということですね。施行時期が違うのであれば、なぜ同じ日に審議する必要があるのかという疑問もあるわけですけれども。

 法制局長官にお尋ねしますけれども、我々立法府である国会としては、審議の過程で、一括法になっているもの、あるいはこの刑事訴訟法のように時期がずれているもの、そういったものを、関連する事項であるとかあるいは施行時期といった分類で分けて、別個に採決する権利が国会には当然あると思いますけれども、そういう理解でよろしいですか。

横畠政府特別補佐人 そのあたりは、国会における御審議あるいは意思決定のあり方の問題でございますので、私どもから具体的に申し上げることは差し控えたいと思います。

階委員 ところで、この法案について事務方になぜ分割して出さないのかということを質問すると、これは不可分一体のものだからということをよく言われるんですが、こういう言い方は立法権の侵害にならないんですかね。立法府の権限として、出されているものを合理的な範囲で分割するのは当然だと思うんですが、内閣からそういうことを言われるのは私は立法府として納得がいかない気がするんですが、そういうことを内閣が言うということについては問題ないんですか。

横畠政府特別補佐人 一般論として申し上げれば、政策が統一的なものであるのかどうかというのは、まさに政策の問題でございます。

 今回の法案につきましては、刑事手続における証拠の収集方法の適正化及び多様化並びに公判審理の充実化を図るということで、その意味で、政策として一体的、統一的なものであるというふうに政府としては認識しているということでございます。

階委員 ただし、それを国会に強制する権利はないということでよろしいですね。

横畠政府特別補佐人 政府の認識に基づいて法案として取りまとめさせていただいておりますが、国会における御審議につきましては国会の問題であると理解しております。

階委員 それでは、法務大臣、今の長官の答弁どおり、事務方からは、これは不可分一体なので分割はできないんですよということをよく言われるんですが、これは私は立法府に対して不当な干渉だと思いますよ。そういうことを言わないように御指導いただけますか、大臣。

上川国務大臣 今回お願いをいたしております刑事訴訟法の改正でございますが、これは、先ほど少し触れさせていただきましたけれども、その審議の出発点でございますが、検察の在り方検討会議の御提言、また法制審議会での答申でも御指摘いただいている状況を踏まえた上で、今回、取り調べ、供述調書に過度に依存した状況にある、その意味では、取り調べにおける手続の適正確保が不十分となったり、また事実誤認、誤らせるおそれがあるということでございまして、このような状況を打破していくためにも、証拠収集手段の適正化、多様化と同時に公判審理の充実化を図るということで、これを一つにして刑事司法制度に取り入れることについてのパッケージとしてお願いをしているところでございます。これは政府の方からお願いをしているところでございます。今、立法府の中の審議に付させていただいているところでございます。

階委員 審議の結果、国会から、法案を分割して採決に付すべしということになれば、当然これは立法府の権限だということを申し上げたいと思います。

 その上で、また別の合憲性の論点に移りますけれども、取り調べの録音、録画制度について、今回は、対象事件が全刑事事件の中の一部ということになっております。すなわち、裁判員裁判対象事件と検察官の直受事件ということなんですが、これを被疑者、被告人の側から見ると、そういう対象事件に含まれた人は、録音、録画によって取り調べの適正が担保されたりとか、いざとなれば、録音、録画の部分を裁判に証拠として出して任意性を争うこともできるというメリットが与えられているわけです。

 しかしながら、対象事件じゃない被疑者、被告人にとってみるとそういうメリットというか恩典はないわけでありまして、このあたり、憲法十四条一項、法のもとの平等という規定がありますね。この法のもとの平等には法内容の平等というのも含まれるというのが通説だと思いますが、それを前提とした場合、今回の法案で対象事件を限定しているということについて、憲法十四条一項との関係で問題はないのかどうかということを長官にお尋ねします。

横畠政府特別補佐人 この録音、録画制度につきましては、供述の任意性の的確な立証を担保するとともに取り調べの適正な実施に資する、そういう見地から導入しようとするものであるというふうに聞いております。

 御指摘の被疑者の利益という観点から申し上げますと、この制度が被疑者にとって必ず有利であるか不利であるかという点では、中立ではないかと考えております。

 任意性を争う機会という御指摘がございましたけれども、録音、録画制度によって、むしろ任意性を争うことができなくなる場合ももちろんあるわけでございます。そういう意味で、被疑者の利益のための制度というふうには解されないわけでございまして、その意味で、憲法十四条が問題になるということではなく、あくまでも、政策上どのような範囲の被疑者を対象にするかということであろうかと考えられます。

階委員 利益になる制度ではないと言われるのにはちょっと驚くところもありますけれども、利益か不利益かはおいておくとしても、取り扱いに違いを設けるということについては憲法上問題はないんですか、法のもとの平等との関係で。

横畠政府特別補佐人 取り調べそのものの中身に差を設けるということではなくて、あくまでも、録音、録画という、供述の任意性の的確な立証を担保するとともに取り調べの適正な実施に資するという、そういう一種補助的な手段でございますので、この録音、録画制度の対象になるかならないかということで、やはり憲法十四条の問題にはなかなかならないのではないかと思います。

階委員 補助的なものかどうかで憲法十四条一項に反するかどうかが決まってくるというのはどういう理論なんでしょうかね。私、そういう理論は初めて聞いたんですけれども、本質的じゃなくて補助的なものだからというのはちょっとよくわからないんですが、もう一回御説明いただけますか。

横畠政府特別補佐人 権利の実質にかかわるというよりも、手続的なものであるという趣旨でお答えしたところでございます。

階委員 手続上の権利も重要な権利であって、まさに憲法三十一条で、デュープロセス、適正手続の保障で、実体法の適正と手続法の適正というのが要求されているわけですから、今の話は手続の適正について軽視するような発言で、今度は三十一条との関係で問題になると思いませんか。

横畠政府特別補佐人 先ほどお答えしたとおり、取り調べの録音、録画の制度は被疑者の権利として設定するものではないというのが前提でございます。

階委員 手続の適正は被疑者、被告人の権利だと思うんですけれども、今回の法案というのは、そうすると、手続の適正はしっかり守られて、憲法上の平等原則にも反しないという結論となるわけですか。

横畠政府特別補佐人 手続の適正を担保する、さらにそれを立証するということに資する制度であろうかと思います。

階委員 だからこそ、全ての事件について適用すべきではないかということを今申し上げているわけですね。

 そこで、法務大臣にも国家公安委員長にもお尋ねしたいと思うんですが、私は、将来的な全事件可視化という方向性が、今の憲法の問題にとってもプラスであるし、また、法制審の特別部会の有識者の方々からも、そういう立場から、取りまとめに当たっての見解というものが出されていたはずです。

 今手元に用意しておりますけれども、法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会というところに委員として参加された五人の一般の有識者の方々から出された見解ということで、五人は、録音、録画に関して、さきに次の四つの評価基準を提示した。第一に、将来的な全事件の可視化の方向性に沿うものであること、第二に、それに向けた道筋が一定程度明確になること、第三に、段階的実施のスタートとして相当程度の規模を持ち、また、取り調べ側の恣意性が入り込まない可視化の取り組みが担保される仕組みを実現すること、第四に、一定期間経過後に運用状況の検証を行い、それに基づく見直しを行う手続を具体的に盛り込むこと。

 こういう四つの評価基準に照らしたとき、今回の取りまとめについては、義務化をされる事件以外でも、検察において基本構想における共通認識や本答申に沿った録音、録画の運用が始まることであるとか、法施行後の見直しに関し、同じく基本構想における共通認識や本答申を踏まえて行うとの一定の方向性が示されたことをもって、これらの四つの基準の一定部分はカバーされたと判断し、大きな改革の第一歩になると理解して、多くの課題は残るものの、速やかに第一歩を踏み出す方向にかじを切るべきとの判断に至った。

 ということで、今回の録音、録画の義務化の範囲が狭いことは残念だけれども、第一歩になると理解してこれをよしとしたという趣旨なわけですよ。

 ところで、見直しについてなんですけれども、附則の九条に見直しのことが書かれてありますね。附則の九条は、今の有識者の見解にあるとおり、将来的な全事件の可視化の方向性に沿うものであると言えるものでしょうか、まず法務大臣にお尋ねします。

上川国務大臣 今回、取り調べの録音、録画制度について大変多くの御議論があり、そしてその上で、今回のような形で、新しい制度ということもございますので、二つに要件を絞って、そして二つの対象事件ということでお願いをしているところでございます。

 附則の九条ということでございますが、施行後三年経過後の必要な見直しを行う旨の、いわゆる検討条項ということでございます。このことにつきましては、この制度そのものがこれまでにない新しい制度であるということ、また、その効果、課題につきましては、やはり実際に制度として運用してみなければわからない点も少なくないということ、そこで、現段階で、対象事件のあり方も含めましてどうこうする、見直しの方向性について定めるということにはしておりませんけれども、しかし、実施状況等をしっかりと勘案しながら、この制度の趣旨を十分に踏まえた検討を行うことが重要ではないか、こうした問題意識の中で附則第九条をお願いしているところでございます。

階委員 将来的な全事件可視化の方向性というのはこの附則九条に書かれているという理解でよろしいですか。

上川国務大臣 現段階で、その以降の方向性について明示しているというところではございません。

 したがいまして、三年、しっかりと検証を加えていただきながら、さまざまな御意見がこの議論の中でもあったということ、そして、実際に運用した段階で、さまざまな効果あるいは課題ということについても、やはりやってみないとなかなかわからないということもございますので、そういったところについてはしっかりと検証することができるという部分をこの附則の九条というところに盛り込ませていただいたところでございます。

階委員 では、大臣御自身として、先ほどの村木さんを初め有識者の方々、取り調べの可視化について大変な思いを持っておられた方々が、本当は納得いかないんだけれども、第一歩だということで、将来的な全事件の可視化の方向性に沿うものであればということで、この取りまとめを了としたわけですね。その思いを大臣は酌み取っていただいているんでしょうか。つまり、将来的な全事件可視化の方向性ということを大臣は目指しているのかどうか、その点をお答えください。

上川国務大臣 録音、録画制度を今回法制度ということでお願いしているわけでございますが、実際、さまざまな形で運用ということも試行しながらやらせていただいているところでございます。

 法制度として制度化した上で、この検証をしっかりとしていく、そしてその上で見直しの方向性についても御検討いただくということで、今この場で、見直しの方向性というものを出すということを前提にしてこの附則の九条ということについては、やはり実施していく段階でいろいろな知見が得られるというふうに考えておりますので、そういう意味で、附則の中には方向性まで含めているというふうには考えておりません。

階委員 附則の九条の解釈を聞いているのではなくて、大臣の考えを聞いているんですが、大臣はどうなんですか。

上川国務大臣 こうした取り組みそのものを適正に、その趣旨にのっとってしっかりと果たしていくことができるようにしていくためには、やはり新しい制度ということもありますので、検証に検証を加えていただくということが非常に大事だというふうに思っております。

 運用のところでさまざまな試行も行っているというところでございますので、そういった運用の状況も踏まえた上で、どこまで録音、録画をお願いするかということについては、その時点での御判断を仰ぎたいというふうに思いますが、そうした試行のことも考えてみますと、大変大事な御指摘を委員の方からもいただいているということでございますので、ここのところにつきましては、しっかりとその御意見を踏まえて対応していくことが大切であるということを肝に銘じているところでございます。

階委員 そうはいっても、全事件可視化の方向性というものは大臣はまだ持っていないということになるわけですね。どうですか。

上川国務大臣 この間、運用あるいは試行の中で検証しながら進めてきている、その方向の中で新しい制度を導入するということであります。

 委員の先生方からも、スタートを切るということで、こうした制度導入をしっかりとしていくようにという、そうした大きな御意見もいただいているということでございます。この思いについては、大変重たいものであるというふうに私は考えております。

階委員 だから、全事件可視化の方向性ということまでは大臣は言われませんので、それは、思いを受けとめるといっても、最後どうなるかはまだわかりませんよということでよろしいですか。

上川国務大臣 現時点でそうした方向性について明示をしていくということにつきましては、やはり制度そのものに対して謙虚にその実施を見守っていくということがまず大事なことではないかと思います。

 しかし、その趣旨ということを考えてみますと、先ほど御指摘をいただきました委員からの御指摘というのは大変重たいものがあるというふうに思っておりまして、私は、そういう意味で、肝に銘じているというふうに申し上げたところは、そうした御意見そのものが大変重いものであるというふうに認識をしているということでございます。

 制度というものがその運用の中でしっかりとその理念を体現することができるようにしていくという努力も含めまして、検証をしっかりとしていくという意味で、附則九条にその旨をしっかりと設けさせていただいたところであるというふうに考えております。

階委員 しかし、この附則九条は、よく文言を見てみますと、将来的な全事件可視化の方向性に沿うどころか、むしろ、今回の第一歩が最後の一歩、そしてこれが後戻りしかねないような書きぶりになっていますよ。

 「政府は、取調べの録音・録画等が、被疑者の供述の任意性その他の事項についての的確な立証を担保するものであるとともに、取調べの適正な実施に資すること、取調べの録音・録画等に伴って捜査上の支障その他の弊害が生じる場合があること等を踏まえ、この法律の施行後三年を経過した場合において、」云々かんぬんとあって、「必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずる」ということになっていまして、「録音・録画等に伴って捜査上の支障その他の弊害が生じる場合があること」ということも書き込まれていますから、場合によっては、これは第一歩ではなくて最後の一歩で、この先これが後退することもあり得るように読めるんですが、そういうことじゃないんですか、法務大臣。

上川国務大臣 制度の検証をどういう枠の中でやっていくのかということについては、さまざま御検討をしていただきながら進めていくということだというふうに思います。この制度を導入していくという御議論の中でもさまざまな御意見があったということでございますので、いろいろな視点からこの制度そのものをチェックしていくということ、そしてその上で、理念にしっかりと沿う形に、よりよいものにしていく、その一歩であるというふうに私は認識をしているところでございます。

階委員 だから、どういう一歩かというのが問題であって、有識者の皆さんは全過程可視化に向けての一歩だと言っているんですが、今の大臣は、全過程可視化に向けての一歩ではないというふうにお聞きしたんですけれども、それでよろしいですか。

上川国務大臣 新しい制度の導入に当たりましては、やはり丁寧に、またしっかりと真摯に、また、さまざまな御議論も踏まえましてスタートするわけでございます。三年という検証期間を設けるということそのものの意味は大変重たいというふうに思っております。その際、さまざまな視点をあわせ持って検討していくということでございます。

 この制度を導入していく、そこのところの意見については、先ほど委員から御指摘をいただきました思いということ、そしてそれへの大きな前進ということで一歩を踏み出す、このことについての評価をいただいているということでありますので、そのことの理念に照らしてしっかりと取り組んでいくことができるようにしていくということがこの運用の段階で何よりも大事であるし、また、その方向性につきましても、そうした検証の結果を踏まえた形で進んでいくものと私は考えているところでございます。

階委員 運用とか検証といった場合に、国家公安委員長、当然、警察の取り調べの可視化状況なども対象に入ってくると思いますが、国家公安委員長としては、取り調べの録音、録画義務、三年後に見直しとなっていますけれども、有識者の方々が言われたように、将来的な全事件可視化の方向性に沿う形で見直しをするのかどうかということについて御見解をお願いします。

山谷国務大臣 録音、録画は、被疑者から供述を得られにくくなる弊害を不可避的に伴うものであり、例外事由を定めたとしても、被疑者の供述が得られにくくなる弊害を完全に回避することはできないことから、そもそも制度の対象事件は、録音、録画の必要性が特に高い裁判員事件に限定すべきであるというふうに考えております。

 さまざまな御意見、御議論があったことは承知しております。対象事件のあり方を含め、見直しの方向性について定めるということは、現段階においては不適当であると考えております。

階委員 いやいや、方向性を定めることは不適当と言いながら、いきなり弊害事由から述べられたわけで、今の国家公安委員長の答弁を聞いていると、三年後の見直しのときに今の制度よりも後退するのではないかという感じもするわけです。

 今の制度は本当に第一歩なのかなと思うんですけれども、これが後退することも場合によってはあり得るという趣旨を今おっしゃったということでよろしいですか。

山谷国務大臣 そういうことではございませんで、今、上川法務大臣が言われたように、まずこれでスタートをしていく、そしてさまざまなことを見ていく、そして判断をしていくということでございます。

階委員 国家公安委員長は志布志事件というのを御存じだと思いますけれども、先日、国家賠償請求訴訟で、第一審で国家賠償が認められて、それに対して警察側は上訴を断念したということが報じられました。

 この取り調べの実態、国家公安委員長は御存じですか。

山谷国務大臣 報告を受けております。

階委員 可視化していたら、こういうことは起き得たでしょうかね。どう思われますか。

山谷国務大臣 仮定の御質問については答弁を差し控えますけれども、しかしながら、一連の無罪判決等を受けまして、警察の意識改革を進めているところでございます。

階委員 いや、ですから、こんな不祥事を起こしておきながら、可視化すると捜査上の支障が起きるというのは、本当に私は手前勝手な議論だと思いますよ。不祥事を起こした警察のトップである国家公安委員長として、もっと、この取り調べの可視化については、反省の意味も込めて、前に進めていくということを言うのが私は当然だと思いますよ。政治のあり方として当然だと思いますが、なぜ方向性を示すことができないんですか。

山谷国務大臣 志布志事件の問題点、そしてまた再発防止策をどう考えていくかということについてでございますが、この事件の捜査においては、取り調べ、供述の信用性の吟味、客観証拠による裏づけなどの問題点が認められたものと承知をしております。

 警察庁では、お尋ねの事件等を受けて策定された警察捜査における取調べ適正化指針を踏まえ、取り調べ監督制度を開始したほか、犯罪捜査規範を改正し、原則として深夜または長時間にわたり取り調べを行うことを避けることなどを定めるなど、適正な取り調べを徹底するための施策を講じるとともに、警察大学校等における教養等を通じて、捜査幹部はもちろん、第一線の警察官に対しても、その浸透、定着を図り、不適正な取り調べの防止に努めているところでございます。

階委員 先ほど、検察や県が上訴を断念したという裁判の中で、「判決は県警について「虚偽の自白を強要した」、検察についても「漫然と起訴や公判を継続した」などと指摘し、いずれも違法性を認めた。」というふうに報道では出ておりますね。

 もっと過激なことを言ってもいいんですが、あえてここでは言いませんけれども、まず、大臣は、そのことについてもっと反省してしかるべきではないですか。ここで冤罪になった方々、十三人が起訴されて、たしかお一人の方が亡くなって、十二人が多分有罪になったんですかね。いずれにせよ、十二、三人の方が一回有罪判決を受けて、その後無罪になったということなんです。とんでもないことですよね。

 このことについて、冤罪の被害に遭われた方々に対して、大臣から謝罪の言葉もないんですか。

山谷国務大臣 大変重く受けとめております。警察においては、過去に発生した無罪事件により、警察捜査に対する国民の信頼が揺らいだということを大変重く受けとめております。

 被疑者取り調べ監督制度の導入や、取り調べ時間の管理の厳格化など、再発防止に向けた取り組みを推進しているところでございます。

 新たな刑事司法制度は、取り調べや供述調書に過度に依存した捜査、公判のあり方を改め、証拠収集手段の多様化を図るなどの理念に基づいて構築されるものでありまして、同制度のもとでも適正捜査が徹底されるように、警察を指導してまいりたいと考えております。

階委員 普通、企業のトップなども、組織で不祥事が起きた場合は、まずおわびから入るんですよ、今後の対策より前に。

 大臣、おわびの言葉はないんですか。

山谷国務大臣 鹿児島県警察としては、事件の捜査によって元被告人の方々に御負担をおかけしたことについて、無罪となった元被告人の方々に対して、鹿児島県議会等の場で県警察本部長が組織を代表して謝罪をしてきたものと承知をしております。

階委員 国家公安委員長はその上に立つわけですから、組織のトップですよね。組織のトップの謝罪の言葉を聞いているんですよ。

 人ごとのようにおっしゃっていますけれども、大臣は謝罪の言葉はないということでいいんですか。

山谷国務大臣 警察庁としましても、本件については、組織として反省すべき事案と認識しております。刑事事件の判決で示された捜査上の問題点を教訓として、今後の捜査に生かし抜いていきたいと考えております。

階委員 今後の捜査でこういうことがないようにするためにも、取り調べの可視化というのは、今回対象になった事件だけでなくて、広くやっていかなくてはいけないということなんですよ。だから、国家公安委員長にも今後どういう方向性を考えているのかと言っているんですが、いきなり最初に可視化の弊害から述べられた。それを聞くと、事件を広げるどころか、むしろ狭めて、あわよくば可視化をなくしてしまうのかなという危惧さえ抱きかねないわけですよ。

 実際、第九条も、見直しの方向性ということについては何ら拡大ということは言っていませんで、場合によっては縮小することもあり得るように読めるんですが、今回の不祥事なども踏まえると、国家公安委員長、到底そんなことはお考えになるはずもないと思っていますし、べきでもないと思います。

 国家公安委員長、今後の取り調べの可視化の方向性について改めてお聞きしますけれども、不祥事を起こした責任としても、ちゃんと全過程可視化の方向性で考えるべきではないですか。お答えをお願いします。

山谷国務大臣 先ほどもお答えいたしましたけれども、対象事件は録音、録画の必要性が類型的に高い裁判員事件とすることが適当と考えておりまして、現段階でどのようにするかということではなく、まずこれで始める、そしてきちんと丁寧に検証していきながら、またよりよい形を考えていくということが大切ではないかと考えております。

階委員 では、よりよい形の中には全過程の可視化も含まれるという理解でよろしいですか。

山谷国務大臣 現段階で仮定の質問にお答えするのはなかなか難しゅうございます。まず、さまざまな現象を見ながら考えていきたいと考えております。

階委員 いや、別に決めつけるわけではなくて、よりよい形とおっしゃるから、その中にいろいろな形があると思うんですが、その例示として、よりよい形の選択肢の一つとして全過程の可視化も入っているということを確認までに聞いているんです。それとも、よりよい形の中には全過程の可視化というのは入らないのか、最初からその選択肢はあり得ないのか。そのどちらか。これは簡単な質問だと思いますよ。

山谷国務大臣 まずは、さまざまな、何が問題なのかということを検証しながら考えていくということが大切ではないかと考えております。

階委員 そういうことを聞いていなくて、よりよい形とおっしゃるので、よりよい形というのは具体的にどういう形なのか、その中には全過程の可視化ということも選択肢として含まれるか含まれないか。

 含まれるか含まれないか、その一言、お答えください。

山谷国務大臣 現実の中でさまざまな形を考えていくということが大切だと考えております。(発言する者あり)

奥野委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

奥野委員長 では、速記を起こしてください。

 山谷委員長、私からちょっとお尋ねしますけれども、いろいろな策がその中には入っているというわけですから、まだ今の段階で結論が出るわけじゃないですけれども、全過程可視化というのも一つのチョイスの中には入っているというふうに理解していいんですか。それとも、それは全くネガティブというか、排除されているものなのか。それだけちょっと言ってもらわないと、前へ進まなくなっているので。

 山谷委員長。

山谷国務大臣 録音、録画には、被疑者から十分な供述を得られにくくなる等の問題があり、現段階で、対象事件のあり方を含め、見直しの方向性について定めることは不適当であります。一定期間経過後、実施状況等を勘案しつつ検討すべきものでございまして、入っているのか入っていないのか、それはネガティブなのかどうなのかということを答えるのは適切ではないのではないかと考えます。(発言する者あり)

奥野委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

奥野委員長 速記を起こしてください。

 では、山谷委員長、全過程の可視化ということを言葉として使うのではなくて、要するに、今の可視化、制限されている領域を広げるかもしれないし、減らすかもしれない。(発言する者あり)だめなのか。全過程と言うから答弁できないんだろう。(発言する者あり)

 速記をとめて。

    〔速記中止〕

奥野委員長 では、速記を起こしてください。

 山谷大臣、もう一度答弁してください。

山谷国務大臣 見直しの方向性について定めることは不適当でありまして、ただ、一定期間経過後に実施状況等を勘案しつつ検討すべきだというのは、先ほどもお答えをいたしました。

 そうした実施状況の中で、さまざまな議論がまた出てくるんだろうというふうに思います。議論を排除するものではございません。ただ、予断を避けるために、具体的な例示というのは避けるということでございます。

奥野委員長 それでいいでしょう。(発言する者あり)いや、今のでいいでしょう。だって、今のが一番皆さん方の要求に合った答えじゃないですか。(発言する者あり)とめる必要はない。(発言する者あり)いや、おかしくないよ。

 そうじゃなくて……(発言する者あり)当たり前ですよ。だから、どこまでいくかは……(発言する者あり)ちょっと待ってください。どこまでいくかは……(発言する者あり)いやいや、とめる必要はない。そんなこと、必要ない。

 これから議論をしていく過程で、最終結論を言うということは予断を与えることになるから、今はそこは言わない。それで、広げるかもしれないし、縮めるかもしれないし、それは皆さん方の意見、実績を見た上で判断しますと言っているわけだから、それは正しい。(発言する者あり)言っていることはそういうことでしょう。

 階さん、それでいいでしょう。

階委員 委員長、では、私から質問します。

 だから、いろいろな検討があり得て、いろいろな可能性は排除しないという趣旨ですから、私は、当然、取り調べの全事件、全過程の可視化の可能性も排除しないという趣旨に受け取りましたけれども、予断を生むからそれを言えないというのは私は理解できなかったんですね。

 予断も何もないじゃないですか。私は、その一つの選択肢の中に含まれるかどうかということを聞いているわけで、選択肢に含まれたからといって、それをやるというわけでもないんだし、選択肢の中に含まれるというふうに単純に言ってくれればいい話ですよ。別に、それと予断が生まれるとかというのは関係ないと思います。そこだけ理解できないんですよ。

 排除しないというところまで言ったのは私も了としますよ。だけれども、予断を生むから全過程の可視化が選択肢に含まれないんだと言ったところは私は理解できないんです。そこだけ。予断は関係ないんじゃないですか。選択肢に含まれると言ってください。

山谷国務大臣 議論を排除するものではございません。

階委員 全過程の可視化の議論も排除するものではないということでお答えをいただきました。

 さて、そこで、どこまで行ったか、ちょっと私も忘れてしまいましたが、今、憲法十四条との関係で、取り調べ可視化の対象事件を限定するのは問題じゃないかと言いましたけれども、もう一つ、対象事件を限定するといえば、証拠収集等への協力及び訴追に関する合意制度、要は、被疑者、被告人が、ある特定の範囲の事件について、他人を売って、その人に不利なことを言って、その人を訴追して有罪に持ち込むことができるような制度というのができました。その人を売った被疑者、被告人の方は、見返りとして、不起訴になったり、刑が減軽されるような処置をとっていただけるということなんです。

 この対象事件も限定されていますけれども、これは被疑者、被告人にとって明らかにメリットになる制度ですよね、ほかの人、そういう対象事件じゃない人に比べれば。これは、そういうメリットがある人とメリットのない人との間で平等原則に反しないのだろうかということについてお尋ねします、法制局長官。

横畠政府特別補佐人 協力、訴追に関する合意制度の対象事件としては、経済犯罪であるとか薬物、銃器犯罪など一定の類型の犯罪に限定されておりまして、特に死刑、無期のような事件は除外するというのが大きな点だと思いますけれども、やはり、死刑、無期といった重大な犯罪について、このような形で実際に重大犯罪を犯している者が刑罰を免れるということが正義にかなうのかという大きな問題はあるのではないかと思います。

 やはりどこかで線を引くということになるのだと思いますけれども、その辺の、犯罪を犯した者が確かに処罰されるべきであるという考え方と、共犯者の犯罪立証のために協力をいただくという、そういうところの兼ね合いというところでどこかに線を引くということの、一種政策的な線引きということではなかろうかと思います。

階委員 今、重い犯罪についてこの合意制度を導入するのは問題だというようなことをおっしゃいましたけれども、別に、軽い犯罪であれば全部対象になっているかというと、そういうわけでもありませんね。軽い犯罪の中でも対象になったりならなかったりするわけですけれども、こういう、被疑者、被告人が合意によるメリットを受けられたり受けられなかったりすることは平等原則に反しないのかということをもう一度お答えいただけますか。

横畠政府特別補佐人 やはり、この制度の対象とする事件としては、組織的、密行的に行われることが多く、事案の解明に困難が伴うことからその必要性が高いということ、そういうことが大きな考慮要素であろうかと思います。これはやはり手続上の問題でございまして、制度にかなうものはこの手続の適用を受け、要件にかなわない場合には対象にならない、そういうことでございまして、それが憲法十四条の問題になるということではないと考えられます。

階委員 今、捜査機関側の事情をお話しになられたわけですけれども、被疑者、被告人にとってみると、たまたま対象事件に当たったかどうかによって、合意制度による訴追を免れたりとか、そういうことが可能となるというのは、そもそもなぜそういうことが可能なのかということも含めて、私は疑問に思っています。もしこれを入れるのであれば、せめて、対象事件というものについて、平等原則に照らして、恣意的に事件を選ばないような仕組みが必要ではないかと思っています。

 今、首を振っていますけれども、平等原則の論点というのは全く出てこないというのが長官の理解ということでよろしいですか。そこは論点にすらならないということをお考えですか。

 私は、平等原則に反しているんじゃないかと。それは、被疑者、被告人の立場から見た場合ですよ。捜査機関の立場から見れば、一定の犯罪についてはこういう制度があった方が捜査をやりやすいということだから、一定の犯罪ということで絞るのはわかるんですけれども、被疑者、被告人の立場からすると、たまたま対象事件にあったかなかったかによって合意制度によるメリットが受けられたり受けられなかったりということになりますから、私は、平等原則の関係で問題になり得ると思っていますけれども、首を振っていらっしゃるので、そもそもそれは憲法上問題になり得ないということで考えているのかどうか、お答えいただけますか。

横畠政府特別補佐人 御議論いただくことはもちろん排除いたしませんけれども、手続でございますので、例えば略式手続などという制度もございまして、公判によらないで簡易の手続で罰金刑で裁判を受けられる、その辺の一定の線引きがございますし、また、裁判員制度につきましても、裁判員制度の対象になる事件というものも一定に限定されているということでございまして、そのような、一定の手続の対象になる、ならないというところで、直ちに憲法十四条の問題になるということではないと考えております。

階委員 そもそも、裁判員裁判で対象事件をどの範囲にするかというのも憲法上は議論があったような気がしますね。

 それと、今、略式手続。あれは、被疑者、被告人の同意があって初めてできるわけでして、今の話は違いますよね。今の話の例示としては不適切だと思いますよ。長官、それでいいんですか。

横畠政府特別補佐人 略式手続について申し上げれば、幾ら本人が同意しても略式手続に乗らない、そういう線引きがあるということでございます。

階委員 略式手続を得られるのは同意がある場合なんだけれども、そもそも略式手続に乗らない事件があるということを言われたということで、それは理解しますよ。

 ただし、やはり合意制度というのは、私は、感覚的に、道義的に物すごく違和感がある制度なんですね。こういうメリットをそもそも与えていいんだろうかと思うわけですよ。だって、自分と何の関係もない赤の他人を罪に陥れて、自分は自分が犯した罪を免れることも可能となる制度ですから、そもそもそういうおかしな制度だと思っていますけれども、それを適用されるのが一部の事件にとどまって、一方では適用がない人もいて、そこにまた格差が生じているというのもおかしな話だと思って、二重におかしな話だと思っています。

 司法取引については、また個別の審議の中でじっくり取り上げますけれども、今はそれぐらいにしておきます。

 それから、刑事免責制度というのもありますね。裁判所の決定により、免責を与える条件のもとで、証人にとって不利益な事項についても証言を義務づけることができるようにする制度だということになっています。

 憲法の三十八条一項ですか、「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」これは、裁判所の決定で強要されることになるんじゃないですか。三十八条一項との関係で問題はないんでしょうか、長官。

横畠政府特別補佐人 御指摘の制度におきまして、証人は、刑事訴訟法第百四十六条の証言拒否権を援用することができなくなるわけでございます。他方で、証人が尋問に応じてした供述及びこれに基づいて得られた証拠は、一定の例外を除きまして、証人の刑事事件において証人に不利益な証拠とすることができないということが明らかにされており、また、この手続は裁判所において行われるものでございます。

 御指摘の、自己に不利益な供述を強要するものではないかということでございますけれども、その意味で、つまり、証人の刑事事件において不利益な証拠とすることができないものでございますので、自己に不利益な供述を強要するということには当たらないと考えられます。

階委員 しかし、不利益な証言を証拠にはできないけれども、不利益な証言に係る犯罪でもって刑事訴追することまでは妨げられていませんよね。刑事訴追はできるわけですよ。だから、そこで言ったことは証拠としては使われないけれども、訴追されて、その中でいろいろな証拠が出てきて、結局、証人となった人が裁判において有罪になる可能性は排除されていません。

 そういう問題がある中でこの免責制度を入れるということですから、私は、この免責制度が憲法との関係で合憲と言えるためには、訴追権までなくするというところまで行かないと、不利益な供述を強要されないというところには反するのではないかと思いますけれども、訴追権が排除されなくてもこの免責制度は合憲ですか。

横畠政府特別補佐人 憲法上は「自己に不利益な供述を強要されない。」というところで、それが憲法の要請でございます。

 そこで、この制度におきましては、証人が尋問に応じてした供述だけではなく、それに基づいて得られた証拠まで、その一体のものを証拠として用いることができないということを明らかにしておりまして、およそその他の明白な証拠がある場合にも刑事責任を免れるということになる、訴追を免除するというところは過剰であろうかと思います。

階委員 訴追を免れるとすると、逆に過剰となって、憲法ではそこまで要求していないというのが解釈になるわけですか。そこは私はちょっと認識が違いますけれども、ここも後で刑事免責制度のところで確認していきたいと思います。

 最後に、通信傍受の対象事件を拡大することの合憲性についてもお尋ねしますけれども、憲法三十五条一項で令状主義が定められておりまして、捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、何人も、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利を持っていて、それは侵されないんだということが三十五条一項に示されています。

 しかし、この通信傍受の対象事件を拡大することによって、極めて広い範囲で、しかも長い時間、通信傍受が可能となることによって、この三十五条一項との関係で抵触するのではないかと思いますけれども、この点について最後にお尋ねします。

横畠政府特別補佐人 通信傍受の制度につきましては、平成十一年十二月十六日の最高裁判所決定におきまして、次のように示されております。

  電話傍受は、通信の秘密を侵害し、ひいては、個人のプライバシーを侵害する強制処分であるが、一定の要件の下では、捜査の手段として憲法上全く許されないものではないと解すべきであって、

中略、

 重大な犯罪に係る被疑事件について、被疑者が罪を犯したと疑うに足りる十分な理由があり、かつ、当該電話により被疑事実に関連する通話の行われる蓋然性があるとともに、電話傍受以外の方法によってはその罪に関する重要かつ必要な証拠を得ることが著しく困難であるなどの事情が存する場合において、電話傍受により侵害される利益の内容、程度を慎重に考慮した上で、なお電話傍受を行うことが犯罪の捜査上真にやむを得ないと認められるときには、法律の定める手続に従ってこれを行うことも憲法上許されると解するのが相当である。

とされております。

 今回の対象犯罪についてのお尋ねでございますけれども、詐欺、窃盗等を追加してございますけれども、これら詐欺、窃盗等の罪一般ではなく、あらかじめ定められた役割分担に従って行動する人の結合体により行われるものに限るなど、まさに最高裁判所が示した要件にかなうような内容の法律案になっているものと理解しております。

階委員 また追って、そこは精査させていただいて、質問させていただきます。

 ありがとうございました。

奥野委員長 次に、黒岩宇洋君。

黒岩委員 おはようございます。民主党の黒岩宇洋でございます。

 きょうは、せんだっての代表質問、また三月の大臣の所信質疑に私も質問させていただきましたけれども、引き続きまして刑訴法等一部改正案につきまして、上川法務大臣、そしてきょうは山谷国家公安委員長にも何点かお聞きをしたいと思っております。

 改めての確認なんですけれども、最初、やはり検察改革ということについて総論的に話を進めたいんですけれども、この検察改革、検察の在り方検討会議等が設けられたり、今般の刑訴法の制度化を議論することになった契機、きっかけは一体何だったのか、改めて確認のためお聞きいたします。法務大臣、お願いいたします。

上川国務大臣 検察改革におきましての経緯ということでの御質問でございます。

 いわゆる厚生労働省の元局長の無罪事件ということを契機にいたしまして、委員御指摘の検察の在り方検討会議というのが設置され、そしてそれにおいて「検察の再生に向けて」ということ、さらには法務大臣訓示、「検察の再生に向けて」の取り組みを含めまして、さまざまな検察改革が行われている、そしてまだ行われているという、進行形の段階にあるというふうに考えております。

 この検察の在り方検討会議、また、そうした事件を受けてのさまざまな検討を踏まえて、検察改革をしっかりと実現するように、こういう中で今改革しているところでございます。

黒岩委員 改めて確認したのは、今、郵便不正事件、無罪事件だと。ただ、ちょっと言葉が抜けていたんですけれども、それに関して証拠改ざん事件があったという、やはり重大事件があったわけですよね。今から四年半前に露見した。

 私は何度も指摘しているんですけれども、やはりそのときの本当の危機意識というものが、今、法務省もそうですし、それが国民に伝わっているのか、共有できているのか、これが大変大きな、私の危惧している点なんですよ。

 きょうは私、「検察の再生に向けて」という、検察の在り方検討会議の提言書というものを改めて持ってきました。昔、自分も作成にかかわった人間ですから読み込んだんですけれども、改めて読み込んでみまして、きょう、ちょっと皆さんにお配りするには大部だったもので、大臣と国家公安委員長にはお手元に配付をしております。

 これは、事件後、半年後にまとめられたものなんですけれども、それでも、相当厳しい危機感を持っているものなんですよ。ぜひ今のこの法務委員会の委員の皆様とも共有したいと思いまして、まず一ページ目、「はじめに」、この冒頭の部分だけちょっと読ませていただきますね。

  大阪地検特捜部における、いわゆる厚労省元局長無罪事件、同事件の主任検察官による証拠隠滅事件、さらには、その上司であった元大阪地検特捜部長及び元同部副部長による犯人隠避事件という一連の事態は、国民に大きな衝撃を与えるとともに、巨悪を眠らせず、公正な社会の実現に向けた役割を期待されてきた特捜部に対する信頼を根底から失墜させた。

これは本当に厳しい指摘なんですよ。

 そればかりではなく、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、的確に犯罪を認知・検挙し、公正な手続を通じて事案の真相を明らかにし、適正かつ迅速に刑罰権の実現を図ることにより、社会の秩序を維持し、国民の安全な生活を確保することを目的とする刑事司法の重要な一翼を担う検察の捜査・公判活動全体への不信を招くことにもなった。「検察の在り方検討会議」は、この極めて深刻な事態を受け、失われた検察の信頼の回復を図るべく、幅広い観点から抜本的に検察の在り方について検討し、

そのことのために法務大臣のもとに設けられましたと。

 この後が大事なんですけれども、

  自由かつ公正な社会にとってその最後の安全装置である刑事司法への信頼が揺らぐことは、国民にとって不幸な事態である。この信頼を再び取り戻すことは決して容易な道のりではない。最高検が検証作業に着手し、自ら改善策の実施に踏み出したことは、その第一歩であるとは言える。しかし、歩みを止めることなく、自らの使命・役割を問い直し、更なる再生の道を進むことが求められる。

 ここまでの危機意識。私が何度も言っていた、このままでは検察、刑事司法に対する信頼というものは完全に損なわれて失墜するんですよ、そうなったら国民生活の安寧というものは図られないんですよと。

 それだけの危機感を持って、その後、この提言がまとめられてきてから四年間、検察改革に取り組んできたと承知しておるんですけれども、大臣、せんだっての代表質問でも、三月の所信質疑の答弁でも、私は、残念ながら、大臣自体のその危機意識というものは伝わってこない。そして今、国民にも全然その危機意識が伝わっていない。

 このときの危機意識と現在とのこの大きな乖離について大臣はどうお考えか、まずは、その根本の、第一歩の認識からきっちりとお答えいただきたいんですよ。

上川国務大臣 社会の中での検察の大変大きな位置ということについては、司法全体の中でも大変重たいものがあるという中で、これに対して事件が発生し、そして検察の中にデータ改ざんという極めてゆゆしき事態が発生し、そうしたことを踏まえて、検察の在り方検討会議におきましても検討を進めていただきながら、累次のさまざまな改革を不断にしていく。そうした背景の中で、まずみずからがその意識を持って改革をしていく、そうした姿勢を打ち出していくということ、そしてその中で四年間が経過しているというふうに思っています。

 さまざまな事件が今も起きているわけでありますが、司法の中で、そうした真相の究明、あるいは、適正な形で公判を実施し、そして刑事司法の目的に照らしてしっかりとその任務を果たしていくためのたゆまぬ改革については、先ほど委員御指摘がありました、その一番のどん底の状態ということを、どのくらい日常の中でも常に真ん中に据えて取り組んでいくことができるかどうか、こういうことだと私は思っています。

 それぞれの検察官が、司法の中での独自の位置づけの中で、まずみずからのそうした立ち位置についてしっかりと認識をし、そして国民の皆さんから信頼をしていただくことができるようにしていく。ここは、絶えずこうした事件が起きてきたということに、原点に立ち返りながら取り組んでいくことが大事だということを、私も、任命された後も含めて、そうした姿勢を一人一人が貫いていただくことができるように、検察の理念が集約された形で報告書が出ているということでありますが、それぞれみずからの問題として問いかけていくということを絶えずやっていただくことができるようにということを、私自身、自分自身も肝に銘じながら活動しているところでございます。

黒岩委員 大臣の意気込み、決意というのは何度かお聞きしているんですけれども、やはりそれがどれだけ今時点で具体化していっているのか、進捗していっているのか、そういったことをつまびらかに、これからの審議を通じて、やはり我々、そしてまた国民にも理解をしていただかなければいけないと思っています。

 若干また上になりますけれども、提言の四ページ目。これは、最初の一章が、「第一 検察の使命・役割と検察官の倫理」、四章から成るんですけれども、一章はここからスタートしますね。その一項が「検察の基本的使命・役割」、こういう項立てから成ります。

 そこに、この四ページ、ぜひ皆さんにも御理解いただきたいのでお読みしますけれども、

  厚労省元局長無罪事件において、元局長に有利な証拠の存在には目を向けず、中央省庁幹部の逮捕・訴追にひた走ったとしか思えない大阪地検特捜部の有り様は、真実の解明ではなく、社会的影響が大きい事件を立件することが第一の目的と化していたものと評されてもやむを得ない。また、起訴された三人の元検察官が証拠の改ざんやその隠蔽に及んだとされることについても、社会正義の実現より、自己の立場の保持や検察組織の体面を優先させたものと見るほかない。

  こうした姿勢は、検察が自ら標榜してきた「厳正公平」や「法と証拠に基づく事案の真相解明」といった理念とは全く逆のものである。このような事態が検察内部でも枢要部署と言える大阪地検特捜部において生じ、かつ、組織内で重要な役割を任されていた検察官らが不祥事の当事者となっているという事実は、今回の問題が、偶発的で一過性のものではなく、これまで東京地検特捜部等について指摘されてきたことにも関連する根の深いものであることを示している。

 最後にこう締めくくっています。

  検察は、その基本的な使命・役割、つまり、「検察は何のためにあるのか」という存在理由すら見失ってしまっているのではないか、

すごい指摘ですよ。

 また、個々の検察官においても、自らの行動を律する指針を明確に認識し得なくなっているのではないかという懸念を覚えざるを得ない。

 これが、あれだけ時間をかけて取りまとめた、そのときの大きな大きな危機意識なんですよ。

 そこで、大臣、三月にお聞きしました。あのときは大臣が就任して五カ月です。あれから二カ月たって、七カ月たちましたね。この中で、大臣、検察は何がどう変わったんですか。大臣の肌合いで感じた実感というものを、大臣の言葉で、わかるように、この七カ月間、何がどう変わったんですか、検察が。そして、ここに指摘されているように、検察官がみずからの使命、役割すら見失っちゃったんだと。では、それが、今の時点で何がどう変わったのか、大臣、わかるようにここで説明していただけませんか。

上川国務大臣 今読み上げていただきました、平成二十三年のこの時点ということで、大変な信頼を失墜していた、どん底の状態であったということでございます。そこから、国民の皆さんから信頼していただくために、刑事司法の現場の中ではさまざまな改革をとり行ってきたというふうに私は思っておりまして、相当の進展も図られているのではないかというふうに思っているところではございますが、しかし、検察官の意識改革という観点からすると、まだまだ道半ばであるというふうに思うところでございます。

 さまざまな事件が起き、また無罪事件も起きというようなことになってきますと、それについてしっかりと検証していく姿勢、そしてその検証結果については、それを教訓として、二度とこうしたことが起こらないために何をすべきかということについて、しかし、繰り返しまた同じような反省をしながら進んでいくということではなく、本当に根本的なところから、御指摘をいただいたところの原点に立ち返って進んでいくことができるようにしていく、このことについては、組織の中でたゆまぬ改革をしていかなければいけないというふうに思っているところでございます。

 検察の一人一人が独立したところで裁判体の中に参加をするわけでございますので、こうした意識改革が私は何よりも大切だというふうな思いで見てきておりますけれども、そうした気風も含めて改善ができるように、改革が絶えずできるようにしていきたいと思っておりましたし、この間、そうした思いで臨んできたところでございます。

黒岩委員 大臣、途上であるとか、そういう抽象的なことをお聞きしたいんじゃなくて、途上であるならば、一体どの時点から何がどう変わったのかというようなことをお聞きしたいんですよ。

 私、申し上げましたよね。最初にこの事件が起きて、検察の在り方検討会議で視察に行ったときに、ある地検の検事が、足を投げ出して、何で俺たちがこんな聴取を受けなきゃいけないんだ、何で取り調べの可視化に協力しなきゃいけないんだ、こういう態度でしたよ。当時の検察のおごり、一部の特定の検察官が起こした事件で何で俺たちがこんなことをやらなきゃいけないんだと、あからさまでしたよ。くどいようですけれども、後で地検の幹部から叱責されたようですけれども、そんなところからスタートしたんですよ。

 あれから四年たって、いやいや、取り調べの録音、録画もうまくいっている、何でもうまくいっている、そういうような説明で、今回いきなり、先ほど議論になったような、新たな捜査手法が盛り込まれたような刑事訴訟法というのがすんなり出てくるというのは、私は、こういった、あのころの問題意識とその後の対応が非常にかけ離れていることに、違和感以上に、さっきから危惧だ危惧だと言っているんですよ。

 大臣、七カ月もたっているんですから、相当検事と現場も見てきたでしょう。その間で刻一刻と変わらなければ、いいですか、この提言書では、どん底まで落ちたと言われているわけですよ。今、具体的にどこら辺まで来ているんだ、では、どこまで今検察は意識が変わってきたのだ、改革が進んでいるんだ、そういったことを大臣の言葉で、肌合いで、具体的に聞きたいんですよ。

 もう一度御答弁をお願いします。

上川国務大臣 検察の現場につきましても、私も、さまざまな意見を聞くという機会もございますし、また現場も見てくるということで、私自身も現場感覚をモットーとしておりますので、絶えずそうした心がけでいるところでございますけれども、やはり私として組織の中で大変大きな役割を担ってほしいなと思うのが、検察改革推進室という形で、検察の中に改革を推進する組織体を設けたということも一つでございます。

 それぞれ現場の中のさまざまな課題について、新たな組織を設置して、改革の推進あるいは進捗、あるいは一人一人の意識を改革するために、さまざまな勉強会あるいは研修会、あるいは訓示なども含めまして、一人一人にまで、今の御指摘もいただきながら、みずからの問題として改革をしていくという、このたゆまぬ改革を推進していくためのさまざまな施策についても、そうしたところを中心として、全国の現場にしみ渡ることができるようにしていく、その中心的な役割として検察改革推進室も設けられたということでございます。

 こうしたところにつきましての現状そして課題等につきましても、しっかりと把握をしながら進めてまいりたい、そういう方針で今も進んでいるところでございます。

黒岩委員 大臣、こういう不祥事や大問題が起きたら、大体、それ相応の部署というのはできますよ。それはつくらないと話にならない。初代の検察改革推進室長はそこにいる林刑事局長ですからね。わかりますよ。当初はわずか五名からスタートして、今、八名ぐらいでやっている、そういうことも知っています。当たり前のことです。

 組織をつくっただとか、そういうことではなくて、大臣の肌合いとして、私はわかると思うんですよ。私だって、わずかの期間だけれども、法務省、検察、検事、いろいろな議論も酌み交わしたし、いろいろな話もして、あのときは本当に、このままいったらどうなるんだ、そこからどうやって立ち直っていくかというのが少しずつ見えてきた。それが、では、この四年間で何か本当に立ち直ったという話なのか、それとも、まだまだとてもじゃないがそういう状況ではないのかということをもっと具体的に大臣にお聞きしたいという思いで、ずっと、しつこくでも再三再四お聞きしてきたんですけれども、なかなか私が合点がいくようなお答えがいただけない。私は非常に残念だと思っています。

 時間の制約の中で、きょうは総論でしか聞きませんけれども、先ほど「はじめに」の部分を言った。これは何十ページとあるので、三十四ページ、もう第一章、二章、三章、四章は飛ばしちゃいましょう。最後の「おわりに」という締めくくりの項があります。

 この「おわりに」、一、二、三、四、五まで、結論づけたものが書かれているんですけれども、三を見てください。

 「今後、検察の改革の過程について、」「検察においては、適切な時期に国民に対して改革の進捗状況を取りまとめ、公表するなど、透明性・公開性を十分に確保しながら、改革を推進すること、また、法務大臣にもそのために適切な指示をされるよう望むところである。」こう書いてあります。これは重要なことです。やはり国民に対する透明性、公開性の確保というのは大変重要なことであります。

 では、この確保のために、検察改革の進捗状況を、今時点、そして今まで、どうやって国民に知らしめるために公表してきたんですか。そのことについて教えてください。

林政府参考人 まず、検察の在り方検討会議の提言を受けまして、当時の法務大臣がその年の四月八日に検察に向けて指示を出されました。

 その中では、各項目について期限を持って対応するようにという形で指示がございましたので、その都度、例えば二十三年の四月以降でいいますと、二十三年の七月に、当面、それまで三カ月間で行った改革について取りまとめて公表いたしました。それから、一年後の検証をせよということがございましたので、一年後にも取りまとめて検証して、それを公表いたしました。またさらに、三年後の検証ということで、それまでの三年間の経緯全てを公表したところでございます。

 その他、検察の改革の中では、検察運営全般に関する参与会というものがございますが、その中で外部の方々にいろいろな意見を聞く中で、その機会を捉えて、その時点での検察運営についての状況を公表しているところでございます。

黒岩委員 今、局長の話でも、公表といっても、現実には、その都度マスコミに発表したり、これは検察のホームページで公表しているということを伺っておりますけれども、大臣、見たことはありますかね。私も引いてみましたけれども、結局、この事件が起きて、在り方検討会議が取りまとめられてからは、ある程度の回数、といっても七、八回ぐらいかな、ホームページでその時々の取りまとめを書いている。

 しかし、残念なことに、昨年、二〇一四年ですと一回だけですよ、ホームページに書き込んであるものでさえ。ことしになると、これも一回。それも、さっき局長がおっしゃった参与会なるもの、これは、できてからもう四年ぐらいたちますよね。なぜか、ことし一回だけですよ、ホームページに載っている国民への公表、透明性、公開性の確保という意味で。その中身は、今言った参与会というのは毎回毎回やっているんですよ、外部の参与の方が議論する。それが、なぜかその第八回目というものだけがぽつんと切り取られて、今まで一回目から七回目というのがどこにあるかさっぱりわからないんだけれども、第八回目というものが、A4にして二ページ半、ほとんど概要が書かれているだけ。今、こんな状況なんですよ。

 先ほど、この提言のように、検察はどう変わっていくか、改革しているかどうかの透明性、公開性を確保するために、法務大臣に公表してくれと提言書は提言しているんですよ。今言った公表内容が、去年一回、ことし一回。ことし一回は、なぜか知らないけれども、第八回目の参与会、しかも、読んだだけでも二ページ半で終わっちゃった。これで、今、検察が変わっているということを国民が透明性、公開性を持って御認識されていると、大臣、本当にそうお考えになりますか。

上川国務大臣 先ほど来申し上げた、たゆまぬ改革をしていく、その一番の大事な意識改革も含めて、その評価、検証も含めて、たゆまぬ改革を推進していく、このプロセスの中で推進していることを国民の皆さんに理解をしていただくための大変大事な手段としてホームページがあるということでございまして、その中で、今のように記述が大変少ないということについては、やはり御理解をいただくには十分ではないというふうに思います。

 今、ホームページそのものも含めて、いろいろな部分はありますけれども、御理解をいただくための手段ということで、一つの御指摘をいただきました。そのことについては私も不十分であるというふうに思っておりまして、これは、御理解をいただいてこそ初めて、御関心を持っていただいてこそ初めて、法務省の活動そのものについても信頼していただくことができるきっかけになっていくというふうに思っておりますので、そこにつきましては、広報も含めてしっかりと対応することができるように、真摯に取り組んでまいります。

黒岩委員 当然の、あるべき大臣の姿勢だと思います。

 大体、大臣、ホームページというのは貴重なツールかもしれませんけれども、残念ながら、それを見ている人の割合なんて低いわけですよ。役所に聞くと大概、いやいや、ホームページに載せているからと。でも、実際には、ホームページにアクセスしない方というのが多数いらっしゃいますよ。これは高齢、年配の人ほど多いわけですし、そういう方たちからすれば、そこに載せているから知らないあなたがいけないんでしょうなどというようなことをまさか言わないですよね。

 でも、大臣、役所というのは、ともすると、言葉は悪いけれども、アリバイづくりみたいにホームページにだけ載せている、知らない国民、アクセスしない国民が単に知らないだけじゃないかと。こんな不誠実なやり方で済まされるわけがないでしょう。

 今言った、四年前、これだけの危機意識を持ってきているわけですから。それが、ことし一年間見てみたら、一回記述されていて、それも、連綿と行われている第八回の会議の、しかも二ページ半だけ載っている。国民が仮にアクセスしたって、一体、何が、どう検察の意識が変わったのか、改革されているのか、わかるわけがないでしょう、大臣。

 もう一回これをじっくり読んでいただいて、あのときにどういう危機意識を持ったのか、そして今何をしなければいけないのか。大臣、検察改革というのは、制度を変えるとか組織をつくるとか、ましてや、ある法案を改正するとか、こんなことだけで済むものではないんですよ。これは、ある意味、仏つくって魂入れずみたいな話になるわけですよ。

 大臣、魂を込めて、あそこまで大問題を引き起こした、ここにも書いてある、大阪地検という枢要部署で、そして東京地検に対しても今までも問題がさまざまあったんだ、そしてそれだけではないんだ、一過性のものではないんだ、検察そのもの自体に、ともすればよどみと、ともすればうみもたまっているんだ、そこまでの指摘が連綿と書かれているんですよ。そこからの改革という意味においては、大臣のおっしゃる不十分どころではない、甚だ不十分であるというところからスタートしなければ、今回、まるでていのいい金看板を掲げて刑訴法の改正案が出てきたけれども、これだけで何か検察が変わっていくのかというものではない。これは、大臣、御認識いただけますよね。

 ここからスタートしなかったら、この法案の議論なんて一歩も進まないんですよ。この点だけは十分に御留意をいただきたいと思います。

 今、検察改革についてもっともっと重要なことを指摘したかったんですけれども、ある程度の認識を共有させていただきたいと思って議論をいたしました。

 その次に、これも、代表質問でも、先ほど階議員からも指摘がありましたけれども、一括してくくっていく、制度の一括提案、一括審議、これについてもやはり大変問題があると思っております。

 そして、この問題は、この提言書にも実は提起されているんですよ。では、先ほどの「はじめに」に戻りますけれども、二ページ目中段、まず最初の書き出し、「はじめに」の三、ちょっとここを見ていただけますか。

 これは途中からですけれども、「検察にとっての再生とは、」「二十一世紀を迎え、グローバル化、IT化など、大きな変貌を遂げつつある社会に目を向け、」先ほど出てきた重要なキーワードです、「「公開性」、「透明性」などが求められる社会の風を肌で受け止め、自ら未来志向で検察の果たすべき使命・役割、検察の「正義」とは何であるのかを問い直すことである。」

 これは私は、立派な、そして深い指摘だと思っております。

 公開性、透明性という意味において、今回、先ほど申し上げた取り調べの録音、録画、それ以外に合意制度等の導入、ここには刑事免責も入っています。さらには、通信傍受の合理化、効率化という名のもとの拡大、そのほか、被疑者弁護制度の拡充とか、もうありとあらゆるものが詰め込まれて、この一括提案の手法自体が、今言った、この提言書で指摘されている、公開性、透明性を保つという観点からして適切であるとお考えかどうか、大臣、お答えください。

上川国務大臣 刑事司法改革の中で、今回、刑事訴訟法の改正ということでお願いをしているさまざまなことにつきましては、冒頭の御質問にありましたけれども、さまざまな事件がございまして、その反省の上で、捜査手法の多様化とかを図りながら、また公判におきましても適正に行うことができるように、大変基本的な部分が非常に問題となった上で、検察に関してのさまざまな改革、さらには法制審議会で御議論をしていただきながら、この制度については一体として進めていくことが大事だという御指摘も踏まえた上で、今回お願いをしているところでございます。

 もとより、公開をしていくこと、透明化を図るということそのものは、国民の皆さんに理解をしていただき、そして協力をしていただく上でも大変大事なことでございますので、絶えずその部分については、この制度の中でもしっかりと取り組んでいく必要があるというふうに考えているところでございます。

    〔委員長退席、柴山委員長代理着席〕

黒岩委員 大臣、私の質問に的確に答えてください。

 今申し上げたさまざまな制度を、しかも、憲法上も、その趣旨、目的上、疑義もあるかというような議論も先ほどされていましたけれども、そういった内容のものを、趣旨、目的等がこれだけさまざまで、なおかつ、非常に中身が難しい複雑なものを、九本の柱で一括して提案すること自体が、公開性、透明性を高めるための手段として適切なのかどうか、イエスかノーかで答えてください。

上川国務大臣 この法律を一括して御審議いただくということでございますけれども、それは、現在の刑事司法そのものが、捜査、公判の面におきまして取り調べ及び供述調書に過度に依存した状態であるということ、このことが、大きな御指摘があった上で、証拠収集手段の適正化と公判審理の充実化を図るものという形で、この制度のそれぞれの役割をお願いしているところでございます。

 まさにこの目的に照らして考えてみると、それを一体的に御審議いただいて、迅速にそれを運用していくということ、そして、皆様にも御理解をいただくことができるように、きちっとした形で運用していくことが非常に大事だというふうに思います。

黒岩委員 申しわけないですけれども、理解不足で、今の大臣の答弁、私には承知しかねます。

 国民にとって公開性、透明性ということは、国民が理解しやすい、国民がわかりやすい、このことをこの提言書は大臣に要求しているんですよ。その要求されている大臣として、閣法として、刑訴法等一部改正案として、これだけ趣旨、目的の違う制度を、これは一つ一つ提案すればいいだけじゃありませんか。

 何度も申し上げますけれども、もともとは検察官の証拠改ざん事件という問題からこの改革がスタートしたということを最初に私は確認しましたよね。ということは、当然、当時、法務省も、国民からの要請も、まずは、こういった事件は二度と起こさない。そして、この事件によって冤罪が引き起こされる可能性が高かったわけですよ、たまたま一審で無罪で、上訴を断念したわけですけれども。ですから、冤罪を防止しなければいけない、これが法務省の考えであり、国民からの要請だったんですよ。

 だったら、まずそこから制度論をスタートさせることが本義であり、そして、それこそまさに国民に対する公開性、透明性の確保につながるんじゃないんですか。大臣、イエスかノーかでお答えください。

上川国務大臣 今回、一括して御審議をいただく、そして、今回の御審議をいただいているそれぞれの制度については、一括して御審議いただくということの中で、先ほど申し上げたとおり、捜査、公判が取り調べ及び供述調書に過度に依存した状態であるという大変重たい御指摘をいただいた上で、この部分を改革していくため、改めるためには、証拠収集手段の適正化を図るということ、また公判審理の迅速化を図るということ、これが非常に大事だということで、この目的に照らして考えたときに必要なもの全てが一体として刑事司法制度の中に取り入れられることによってこそ、初めて取り調べ及び供述調書に過度に依存した状況が改められて、同時に、それによって適正な刑事司法の制度を構築することができる、こういう認識に立っているものでございます。

 まさに委員御指摘のように、スタートのところについての大変大きな問題、そしてそれに対して、今回の、刑事手続の中でのさまざまな制度を一体として盛り込むということについては、当初の目的に照らして考えていくということを念頭に置いた形でお願いをしているところでございます。諸制度につきましては、ぜひ一括して御審議をいただくことが必要であるということでありますので、充実した御審議をしていただきながら、本法律案につきましてできるだけ十分に御議論をしていただくことができるように、私どもとしても最大限御説明をさせていただき、また御理解を得るべく努力を丁寧にさせていただきたいということを改めて申し上げるところでございます。

黒岩委員 大臣、まさに将棋の千日手みたいなもので、ずっと同じ手を打っていても話が進まないんですよ。これは、国民だってインターネットも含めて見ているんですから、国民に語りかけていただきたい。

 では、別の角度から聞きますけれども、大臣が何度も何度も先ほど答弁に用いた、取り調べと供述調書に過度に頼る刑事司法からの脱却という課題というのは、これは刑事司法にとって一体いつからあるんですか。いつからこの課題があるんですか。ホームページがどうとかじゃなくて、いつからあるんですか、刑事司法にとって。

上川国務大臣 法務大臣から法制審議会に対しまして、九十二号の諮問ということで、新たな刑事司法制度を構築するための法整備につきまして発せられたところでございます。法制審議会において御議論をしていただいた上で、答申を採択していただいたところでございます。

 この九十二号の諮問でございますが、「近年の刑事手続をめぐる諸事情に鑑み、時代に即した新たな刑事司法制度を構築するため、取調べ及び供述調書に過度に依存した捜査・公判の在り方の見直しや、被疑者の取調べ状況を録音・録画の方法により記録する制度の導入など、刑事の実体法及び手続法の整備の在り方について、御意見を承りたい。」こうした諮問を発せられたわけでございまして、これに基づいて御議論をいただき、そして、答申をいただいたものを、丁寧に御議論いただいたことを踏まえて法律案にしたところでございます。

 この諮問というのは、法務大臣のもとに検察の在り方検討会議が設けられた、その提言に基づきまして、まさに法制審議会の中でそうした諮問をした形で審議をしていただくということで、法務大臣から要請を受けて答申がなされたというふうに考えております。

黒岩委員 大臣、では、この課題は、今からわずか四年前に初めて刑事司法というこの世界に生まれた課題なんですか。

上川国務大臣 刑事司法のあり方については、その適正な運用も含めまして、適正に運用することが大変大事だということであります。

 そういう中で、一連の事態、いわば大変ゆゆしき事態が発生したということ、これが大きなきっかけになって、そして検察の在り方検討会議が開催された上で、答申において、先ほど申し上げたような、これに対してはあり方そのものを見直していかなければならない、こうした大きな問題提起を実質的にいただいたというふうに考えております。

 さまざまな御議論については、あるそのときから始まったということでは必ずしもないわけでありますが、そういう意味での、運用を適正化していくというたゆまぬ努力、しかし、こうした事件が起きたということ、そしてその事件も大変刑事司法の根幹にかかわるものであるということを真摯に受けとめながら、その当時、法務大臣として諮問をしたというふうに理解をしているところでございます。

黒岩委員 少なくとも、四年前からだけではなく、それ以前からの問題であったというニュアンスの答弁はありましたが、当然ですよ。少なくとも刑事司法に携わっている人間だったら誰でもわかっている。ましてや、法曹資格者なら、法務省の関係者なら誰でもわかっている。

 刑事司法において、取り調べと供述調書に過度に頼る刑事司法からの脱却などというものは、何十年も前からの根源的な課題ですよ、常に。違いますか。

上川国務大臣 そうした傾向が、極めて日本独自の捜査手法という形で、最終的には大きな事態に至ったというふうに私も認識しているところでございます。

黒岩委員 そのとおりですよね。それは同じ認識です。だから、私は、非常に問題があると言っているんですよ。

 大臣、きょうの三十数分の中で、論理的な帰結がもう見えてきていますでしょう。今現在の改めての検察改革、そしてその延長線としてのこの刑訴法等一部改正というのは、一体何が発端だったんですかということを改めて聞きました。それが、あの郵便不正の無罪事件であるし、そして証拠改ざん事件だ。時間軸がはっきりしているわけですよ。まさに四年半前、二〇一〇年九月二十一日に露見して、ここからスタートした。だから、改めての検察改革なんですよ、改めての。改めての法制度の改革なんですよ、その先の。

 であるからゆえに、当初、法務省のみならず、国民もそうでありますが、外部有識者も、当然、冤罪を防止する、そのための施策をどう講じていくかというところからスタートしたと言っているわけですよ。それがなぜか、何十年も前からの刑事司法における大きな大きな課題の看板だけくっつけちゃって、そこに幾つもの柱をくっつける、そこにぶら下がらせる。それでは、今までの経緯、時間軸、何が問題であって、そのときには何を問題共有して、そして何を危機意識として持って、そしてそれに対して何を対策する、そしてそのことを国民にどう伝える、このことがぶれちゃって、わかりづらいんじゃないですかと。そのことに対して真っ正面から答えてくださいよ。

上川国務大臣 まさにその大きな事態に至ったということが非常に大きなきっかけになって、こうした、ある意味では根本、根源的なところでの改革の問題提起をしていく、そういう事態だったというふうに思っております。

 長い間、日本の刑事司法の特徴ということについては、さまざまな学説とか、あるいは研究も行われてきているというふうに思っておりますが、そして現場の中でも、そうした先にさまざまな極めて重大な事件も起きてしまった。このことをしっかりと反省しながら改革について前進していくことが必要である、こうした決意も込めて、当時の法務大臣が法制審にそうした諮問をしたものというふうに理解をしているところでございます。

 その後、さまざまな大臣がその任に当たりながら、検察の改革についても手綱を引き締めながらやってきていただいているというふうに思っておりますが、私も、そうした当初の大きな問題提起については正面から向き合って取り組んでいくこと、そしてその上で、御議論いただいた今回の法制審での結論を踏まえて刑事訴訟法の審議をお願いしているところでございますので、そうした全体観の中で、この法律改正についてもしっかりと御理解をいただくことができるようにしていくということが私の責務だというふうに改めて感じているところでございます。

 これから、それぞれの制度も含めましてさらに審議が行われるということでございますので、その際にも、その改革の一番大事な根本的な問題というところにもしっかりと踏み込んだ形で答弁ができるようにしてまいりたいというふうに改めて決意をしているところでございます。

黒岩委員 大臣、法制審からの、特別部会からの答申だという、そんな紋切り調の答弁を聞くために今議論しているんじゃないんですよ。それだったら、そのまま法案を通せばいいだけじゃありませんか。違いますでしょう。

 もともとこれだけの問題意識があると。私、刑事司法特別部会の提言書を読みましたが、あれはもう結論が書いてあるだけですよ。あれがそのまま法案の概要になって、骨子になって、要綱になっていく。それまでのプロセスは段ボール箱三個分ありますと言われて、さすがに全部は読めなかった。プロセスも何も入っていない。

 この在り検、在り方検討会議の提言書には、プロセスやら悩みやら危機意識がここに入っているから、そのときのリアルな問題意識をきょうあえて読ませていただいた。それが、答申になったら、そんなものは全部そぎ落ちて、結局は九本一括してまとめることが目的で、そのための手段を見つけたら、どこかから、まさにもう何十年も前から語られている、取り調べと供述調書に過度に頼る刑事司法からの脱却という、誰もが何十年も前から知っている看板だけがかけられて、きょうの答弁でも、これがあるから、どんなに制度の趣旨が違えど、この法案の中に入っていいですなどという、そういう答弁になっちゃうんですよ。

 大臣、何がきっかけで、どういうプロセスがあって、どういう見解があって、そして今我々がこの地点に立っているのか、そのことを認識して、法案提出者なんですから、自分の意思で、では、この制度について、公開性、透明性を図るために提案をしていく、そしてそれに対してまさに丁寧な質疑をする中で国民に理解をしていただく、こういう姿勢を持っていただくのが法務大臣じゃないんですか。そのことがこの提言書で求められているんじゃないんですか。大臣、いかがですか。

上川国務大臣 大変基本的なところについての御指摘をいただいたものというふうに重く受けとめさせていただきます。

 これから、きょうもそうでございますけれども、委員からの御指摘等、それぞれの制度そのものに対してもさまざまな御議論をいただきながら、そこに至るプロセスにつきましてもさまざまな意見があった上で、今回、制度改正に向けての御提言をいただいた。私は、その法制審議会の結論だけが最後ということではなく、そのプロセスそのものも公開されているということでございまして、そのやりとりにつきましても、委員もいろいろな御意見がある方々が入って、大変大きな論議をしていただいた上で答申をいただいているということ、これは極めて重たいものというふうに考えているところでございます。

 国民の皆さんに御理解をいただくために、透明性高く、また公開性のところも含めまして、この国会の法務委員会での御審議にしっかりと対応してまいりたいというふうに思っております。

黒岩委員 この議論だけでももうきょうの質疑時間が終わっちゃいそうなので、大臣、その御認識を強く持ってこの法案審議に当たっていただきたいのは当然ですし、私、代表質問で伺いました、一括提案自体も大問題ですし、では、一括審議するならば相当の慎重な審議が必要でありますよね、大臣も当然そのことを本院、本委員会に求めますよねと。その答弁がこういう答弁でした。慎重な審議の上、本法案をできる限り早期に成立させていただきたいと。

 一般の日本人が聞いたら矛盾する、充実した審議の上、でも、できる限り早期だと。私は、大臣に、できる限り早期に成立ではなく、できる限り国民の理解を深めた上で成立を図っていただきたい、こう答弁していただきたかったんですよ。

 ここでは、大臣、当然、時間もかけますし、中身も深く詰めますし、そして国民にも発信していきますし、それほど相応な時間と丁寧な審議が必要であるという、それは当然、大臣、同じく共有いたしますよね。

    〔柴山委員長代理退席、委員長着席〕

上川国務大臣 この法務委員会、まさに刑事訴訟法の改正をお願いしている、その根本のところにある大変根源的な問題ということでございますので、私も、委員御指摘のように、慎重に、また御理解をいただくべく丁寧な審議をしていく、またその覚悟でおります。

黒岩委員 その覚悟をお聞きしましたので、委員長にもお願いしますし、各理事にもお願いします。

 提出者である法務大臣の方から、ここまで慎重に丁寧に、国民に公開性を求めて審議をしてくれという要求がありましたから、当然、当委員会としても、その意思をしっかりと受けとめ、慎重に、一つ一つの議論を、そして論点を整理しながら、国民の皆様にこの委員会を通じてできる限り理解を深めていただくように、私たちも大臣の要請でありますから努力をいたしますし、委員会全体としてもしっかりとその大臣の要請に従っていきたいと思います。

 委員長におかれましても、整理、指揮命令において、今の大臣の意を酌んでいただくことをお願い申し上げます。

 それでは、時間がなくなってきましたので、聞きたいことはたくさんあるんですけれども、新たな捜査手法の導入というものが今回の法改正に入っております。またこの提言書に戻るんですけれども、これは短いですから。「はじめに」の一ページ目、一番最後の部分です。二行ほど読みますね。「検察においても、今後の改革に当たり、」検察においてもですよ、「本検討会議を通して示された国民の声に真摯に耳を傾けることを願うものである。」これは、ごくごく、至極当然の要請がこの提言で下されております。

 そこで、お聞きしたいんですけれども、先ほどから出ている、我が国で初めての司法取引制度の導入ということに対して、国民の声に真摯に耳を傾けるためには、当然、まずは国民に真摯に説明をしていく必要があるわけです。真摯に説明をしなければ、国民から真摯な声を聞くことはできない。では、この司法取引制度の導入ということに対して、大臣は、真摯に国民に説明責任を果たしてきたのか、そして今時点で果たせているのか、その点について御認識をお聞かせください。

上川国務大臣 まさに、この法務委員会で今回御審議をいただいている証拠収集等への協力及び訴追に関する合意制度についてでございますけれども、この部分につきましても、この間の一連の御議論を踏まえた上で、取り調べ及び供述調書への過度の依存からの脱却ということでございまして、その意味で、証拠の収集方法の適正化、多様化と公判審理の充実化を図ることが必要である。この意味で、合意制度につきましても、証拠の収集方法の適正化、多様化に資する方策の一つとして必要かつ有意義なものというふうな問題意識のもとでお願いをしているところでございます。

 過度の依存を生じた理由は何かということでございますが、組織的な犯罪等において、首謀者の関与状況等を踏まえた事案の解明が求められるということもございます。また、解明につきましては、末端の実行者など組織内部の者から供述等を得なければ極めて困難である、こういうことがございまして、現行法の中でさまざまな課題、問題もあるということを踏まえた上で、今回、証拠収集等への協力及び訴追に関する合意制度につきまして、これに資する方策としてお願いをしているところでございます。

黒岩委員 大臣、今のような答弁で、特に合意制度という言葉、これは一般の方々が耳で聞いてわかると思いますか、法律の専門家でない方が。そしてまた、合意制度等といって、この等は、ふたをあけてみれば刑事免責制度が入っている。刑事免責制度といったって、法律の専門家以外の方にはわかりづらいわけですよ。ましてや、合意制度の説明に、捜査・公判協力型だとか自己負罪型だとか、こんなことで説明していて、これは法務省全体もそうですよ、大臣もそうですよ、こんなことで、国民が、この刑訴法改正で初めて我が国に司法取引制度が導入される、そのことにお気づきだ、皆さんが認識している、そう思っているんですか、大臣。

 私、いろいろなところで説明しても、百人中百人が驚きますよ、ええっと。大臣、こんな状況で、先ほどの提言書にある国民の声に真摯に耳を傾けようといったって、国民に説明が真摯になされていなければ、国民からは真摯な声は返ってこない。返ってきたのは、今、ええっという驚いた声ばかりですよ。

 これで、今、大臣、国民にきちんとした説明ができ、国民の合意形成のもとこの法案が制度化できる、本当にそう思っているんですか。

上川国務大臣 今回、合意制度という言葉そのものも含めまして、日本の刑事司法の中に初めて取り入れる制度でございますので、そういう意味では、第一反応として、それはどういうことかというような御懸念も、御質問というか、あろうかというふうに思っております。まさに、そうしたことも含めましてこの法務委員会の中で御審議をいただく、大変大事な御審議だというふうに思っております。

 証拠の収集方法の適正化、多様化の中で、各国でもさまざまな取り組みもされている。いろいろなことを調査、検討した上で、また法制審議会の中でも十分な御議論をいただきながら、今回、刑事訴訟法の改正の中に、この合意制度について、証拠の収集方法の適正化、多様化に資する方策の一つとして必要かつ有意義であるものというふうなことで盛り込ませていただいているところでございます。

黒岩委員 これは私、代表質問でも指摘しましたけれども、法務省に聞いたところ、これが日本版司法取引だということは全く否定しないと。当然ですよ。

 司法取引には二つの制度があって、捜査・公判協力型と自己負罪型がある、この説明を聞いたって、国民の方はなかなかわからない。そのうちの捜査・公判協力型、私はあえて捜査・公判別件協力型だと。まさに他人を巻き込むことがある司法取引制度が入るんだということを国民に説明するためにも、合意制度というわかりづらい言葉を使うのではなく、司法取引制度という言葉を大臣もこれから必ず使うようにしていただきたいと思います。

 それでは、その先に進みますけれども、通信傍受。これも、今から十六年前に、当時は新聞、マスコミなどでは盗聴法と書かれていた。まさに国会が大激論となって成立した制度でありますよ。これが十六年ぶりに初めて改正される。それも、特に犯罪の類型が、今まで銃器や薬物だけの四類型に限られていたものが、今回は窃盗や傷害なども含む二十二の対象犯罪がふえているという、この通信傍受の拡大ということについても、多くの国民はなかなか認識なされていない。これも、私が説明すると、まさに、えっという言葉が返ってくる。

 これは法務大臣と国家公安委員長にお聞きします。

 この通信傍受法の十六年ぶりの改正、そして対象犯罪のここまでの拡大という、この点について、まさに真摯に国民の声を聞くために、真摯に国民に、今、どこまで説明してきたのか、どこまで国民に理解をしてもらっているのか、それについて、法務大臣そして国家公安委員長、お答えいただけますでしょうか。

上川国務大臣 今回の通信傍受法の対象範囲につきましては、対象犯罪の拡大をお願いしているところでございます。

 現在の捜査、公判におきまして、取り調べ及び供述調書に過度に依存した状況にあるということを踏まえ、こうした状況から、取り調べ手続の適正確保が不十分であったり、事実認定を誤らせる、そうしたおそれもあるということでございます。

 そこで、そうした過度の依存からの脱却を図るための一つの方法として、通信傍受法の改正によりまして適正な取り調べができるようにしていくということで、これも必要かつ有意義なものであるというふうに考えているところでございます。

 今回は、通信傍受法の施行後の犯罪情勢の変化あるいは技術の発展ということを踏まえまして、この通信傍受の対象犯罪を拡大すると同時に、手続そのものも合理化、効率化することによりまして、組織的な犯罪というところに大きな焦点を当てながら、事件の解明に資するような、そうした客観的な証拠をより収集するということを目的として今回お願いをしているところでございます。

奥野委員長 時間が来ているんですが、民主党の時間の中で処理しますから、山谷大臣、今の質問に答えてください。

山谷国務大臣 今回の法案に盛り込まれた制度案のうち、警察に関係の深い通信傍受法の見直しについてでございます。

 近年、特殊詐欺の被害は過去最高を更新し続けているほか、暴力団等による一般人を標的とした襲撃事件が多発し、その多くが未解決であるなど、組織犯罪の脅威が深刻さを増しておりますが、その背景には、真に摘発すべき犯罪組織中枢の検挙が特に困難であるという捜査の実情がございます。

 今般の通信傍受法の見直しは、対象犯罪の拡大により、現に一般国民にとって重大な脅威となり、社会問題化している組織的な犯罪の捜査において、その全容解明に資する客観的な証拠の収集を可能とし、安全かつ確実なIT技術を活用し、通信傍受の手続を合理化、効率化することにより、現行法のもとでの立ち会いに伴う通信事業者の負担を軽減するとともに、機動的かつ効果的な捜査を可能とするものでございます。

 国民の皆様への丁寧な説明というのは大切なことだというふうに思います。新たな制度のもとでも、通信傍受を適正かつ有効に活用し、安全、安心を求める国民の期待に応えられるように、私としても努力してまいりたいと思いますし、また、国会報告ということもございますので、国民にその実情を広く承知していただくという観点から、国会報告の制度が法定化されているわけでございます。これに従って、傍受令状の発付件数や罪名、傍受を行った通信手段の種類、実施期間等を確実に報告しているところでございます。

黒岩委員 法務大臣も、通信傍受の拡大だと言う。今まさに国家公安委員長が重大な脅威と言ったのは、これは犯罪のことも脅威かもしれませんけれども、通信傍受の拡大自体もともすれば国民にとっては重大な脅威かもしれないということを説明しているんですかという質問に対して、何にも答えていない。

 きょう、ありがたくも法務大臣から、徹底して国民に理解を求めるよう慎重審議を要請されましたから、徹底した慎重審議をしていきましょうよ。このことを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

奥野委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 民主党の柚木道義でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず冒頭、これまで同僚委員二人にわたりまして、それぞれ、法務大臣、国家公安委員長に御答弁いただいてきているわけですが、それも踏まえて、ちょっとお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、山谷国家公安委員長、先ほど階委員とのやりとりの中で、志布志事件に対する認識、今後どういった形でこれを警察改革、もちろん検察改革も含めて生かしていくのか、こういった視点のやりとりがあったと思うんですが、私は、どうしても先ほどの公安委員長の御答弁で納得しがたい部分があるんです。

 それは、私の理解ですと、反省している、そしてまた今後の対応に生かしたい、こういうことだったと思うんですね。それはそのとおりですよ。

 ただ、やはりこの志布志事件、御承知だというふうに御答弁もありましたが、これは本当に死者が何人も出てもおかしくないような捜査状況の中で、例えば、三人が自殺未遂をされた、三人が意識不明となって倒れて、五人が救急車で運ばれたとか、容疑者の方が自殺を図って、付近にいて助けた人が事情聴取を受けて、自殺未遂をされた方が死んでおわびすると言ったという調書を捏造され、抗議したところ、逆に、警察から何時間にもわたり拘束を受けたり、おどしを受けたり、うその調書にサインをさせられるとか、そんなさまざまなことがあって、そして、五月三十日午前零時に原告勝訴確定、こういう事件だと私は認識するわけです。

 これはやはり、反省、そして今後の捜査に生かすとともに、県警本部長が謝罪をされているんですよね。原告の皆さんに御負担をおかけしたことを本当に心からおわびを申し上げたいと、明確に県警本部長は謝罪されているんですよ。

 そのトップとしての国家公安委員長、やはりこれは謝罪をされるべきじゃないですか。いかがですか。

山谷国務大臣 本件につきましては、組織として反省すべき事案と認識しております。今後の捜査に生かすべきものを徹底的に生かし抜いていきたいと思います。

柚木委員 私がお尋ねした趣旨をおわかりではないんですかね。そのことは理解しているんですよ。反省もし、そしてまた今後に生かす、これは当たり前のことですよ。

 しかし、国家公安委員長、拉致問題を含めて人権のことに対して本当に熱心に取り組んでこられている、そういう方だと思いますよ。これはまさに大変な人権侵害じゃないですか。何で、反省して今後に生かすだけなんですか。国家公安委員長として、謝罪の言葉は言えないんですか。いかがですか。

山谷国務大臣 どのような形で謝罪を行うかについては、実際に捜査を行った鹿児島県警察において判断されるべきものと承知しております。

柚木委員 山谷国家公安委員長、これは確かに鹿児島県警の本部長が謝罪、その県警の捜査の過程の中でこういったことが起こっているわけです。では、全国で同じようなことが起こって、どこの県警でもいいですよ、本部長が謝罪をした、その場合は、そのトップである国家公安委員長は謝罪をする必要はない、そういう認識ですか。

山谷国務大臣 謙虚に重く受けとめなければならないと思います。そして、今後、緻密かつ適正な捜査の推進に取り組んでいく所存でございます。

柚木委員 いや、本当にちょっと、私も公安委員長とやりとりをさせていただくのはこれまで余り機会がなかったと思うので、これは今、本当に残念な答弁が続いていると思いますよ。(発言する者あり)今、残念どころじゃないという、本当にそうですよね。

 謝罪はされないというのは、これは、私はきょう、まさに冒頭は、警察改革、検察改革の現状、これまでの進捗、評価、認識を伺うという問い立てをしていたと思うんですが、その問い立ての前提からしてそういう認識で、今後、改革はどういう視点でされるんですか、どの立場に立って改革されるんですか。

 まさに、この委員会でもきょうも議論されているように、冤罪の防止、再発防止、もちろん真相の究明は当然ですが、しかし、その真相の究明の中で、罪を犯していない方が罪を犯したというような形があってはならない。そういうことで、今、この間、法制審も含めて議論をされている部分の視点が欠落しているんじゃないですか。

 これは、全過程の可視化についても議論は排除しないと。当然ですよ。今のような認識でいまだおられるのであれば、むしろ全面可視化しないと今後どんなことがまた起こるのか、そういう認識になってしまいますよ。

 何で入り口のところで、そこまで謝罪をされないということにこだわるんですか。説明いただけませんか。なぜこだわるんですか。

山谷国務大臣 冤罪はあってはならないと考えております。

 また、謝罪につきましては、実際に捜査を行った鹿児島県警察において判断されるべきものと承知をしているところであります。

柚木委員 悪いのは現場だ、そういう答弁ですよ、今。

 こういう認識でこれから議論を進めていくということを、国民の皆さん、あるいは冤罪被害を受けられた方がどういう思いで聞かれているか。本当にちょっと、私は冒頭から唖然としておりますよ。

 これは本当に今のままでよろしいんですか。謝罪はされないということでよろしいんですか。

山谷国務大臣 悪いのは現場だと言っているわけではございません。

 警察庁では、お尋ねの事件等を受けて策定された警察捜査における取調べ適正化指針を踏まえ、取り調べ監督制度を開始したほか、犯罪捜査規範を改正し、原則として、深夜にまたは長時間にわたり取り調べを行うことを避けること等を定めるなど、適正な取り調べを徹底するための施策を講じるとともに、警察大学校等における教養等を通じて、捜査幹部はもちろん、第一線の警察官に対しても、その浸透、定着を図り、不適正な取り調べの防止に努めているところでございます。

 組織として精いっぱいやってまいりたいと思います。

柚木委員 その後の対応についてずっと今もるる答弁されましたが、本当の意味での対策、これは、心からの真摯な謝罪なきところに対策が実効性のある形で成り立ち得るんですか。(発言する者あり)自民党政権はそういう考え方なんですか、今のやじも。冤罪の被害を受けられた方々の気持ちに寄り添うということはないということですか。謝罪をしないということですよ。

 法務大臣、今、法務省と警察庁とそれぞれ連携をして進めていかなきゃいけない中で、こういう認識でこの議論をすること自体が、非常に危うい前提の上にこれから議論しなきゃいけないと、私は本当に危機感をさらに強めております。

 実は私がなぜ最初にそういうことにこだわって質問したかというと、これまで、もちろん、有罪の場合も含めてですけれども、それぞれ本当に二度と同じ人生のない中で、取り返しがつかない、そういう冤罪被害の方がたくさんおられる中で、これは検察の捜査の手法はもとより、姿勢にも非常に問題があったと思っているんです。

 法務大臣には、検察改革の現状、進捗、評価ということで問いをしていると思うんですが、冤罪事件、今の志布志事件も含めて、本当に、当事者や家族の方、自殺未遂あるいは本当に自殺される方、これまでも出てきた。そういう中で、私、本当に驚いたのは、検察の中で、これは特捜ですけれども、自殺者が出る事件は筋がいい、こういう言葉があると。これは元検察の方がそういう紹介をされていますけれども、自殺者が出る事件は筋がいい、大臣、この言葉を御存じですか。

上川国務大臣 今おっしゃったこと、文字どおりという言葉であったとするならば、聞いたことがございません。

柚木委員 私も驚きましたよ、そんなばかなと。しかし、これは元検察の方が言っているわけで、やはり、そういう言葉が内部で、合い言葉という紹介がありましたけれども、語られるような組織の中で、本当に、冤罪防止を含めて、その冤罪の中で犠牲になられた方も含めて、どの視点に立って検察改革を進めていくのかという認識をしっかりと持っていただいた上で、これまでの答弁の上に重ねてになりますけれども、現状の検察改革、そして進捗、評価について、短目で結構ですから、御答弁いただけますか。

上川国務大臣 検察改革の大変大きな契機となったいわゆる厚生労働省元局長の無罪事件、こうしたことが契機になって、検察の在り方検討会議が開催され、そして、提言において、「検察の再生に向けて」ということで、先ほど読み上げていただきましたけれども、そうした大変大きな問題が発生したことを受けて、これに対して不断の改革を現場の一人一人の意識改革も含めてしていくことが、国民の皆さんの失墜した信頼を回復するために何よりも大事だということでスタートしているというふうに考えております。

 検察におきましても、検察の使命とは何ぞや、また役割は何かということについて、しっかりと指針を設けて、そして理念を策定し、そして、それを現場の一人一人がしっかりとみずからの問題として位置づけることができるようにしていくためのたゆまぬ研修あるいは活動、また、組織の中でもそうしたことをしっかりと監察することができる体制の構築、こういうことで進めてきているところでございます。

 先ほど申し上げたように、私も今、それでは改革はどこまで進んでいるのかというようなことを問われれば、それに対して本当に道半ばであるということ、そして、これに対して絶えず意識をしていかなければいけないということを改めて強く感じているところでございます。

 今回の刑事訴訟法の改正におきましても、そうした背景の中で改革を進め、同時に、さまざまな制度におきましての改革もしていくということ、こうしたことを適正に運用していくこと、これによりまして、冤罪が二度と起こらないように、また同時に真相の解明にも資し、そして国民の皆さんからしっかりと信頼をしていただき、また御協力をいただくことができるような、そういうものにしていくということが検察組織全体の大きな課題であるというふうに強く認識をしているところでございます。

柚木委員 改革はまだ道半ば。道半ばというよりも、本当にこれは、この法案がどういう扱いになるかによって、半ばどころか、逆行しかねない、つまり、冤罪被害防止とか人権、プライバシーに逆行しかねないと私は思いますよ。

 先ほどの黒岩委員とのやりとりの中で、司法取引と言われればイメージできるけれども、合意制度といって、これは国民が本当にイメージできるのか。通信傍受と言うと、普通に何かやっていることを聞いているというふうに何となく字面から聞こえるけれども、これは実際には、大臣もこの間のやりとりで、自分がもしされたら本当に不快だという答弁をされていましたけれども、事実上は盗聴と言った方がわかりやすい。

 そういう中で、私、改めて聞きますけれども、この法案名ですよね、刑事訴訟法等の一部を改正する法律案。刑事訴訟法等の一部を改正する法律案と国民の皆さんが聞いたときに、盗聴法とか司法取引とかいうことが含まれているというふうにわかる国民の方はおられると思いますか、大臣、一般国民の方で。

上川国務大臣 まさに刑事訴訟手続について、大きな骨格に係るさまざまな制度について審議をしていただいているということでございますので、一番大きな刑事手続について改正をしていくということについては、まさにそのことを国民の皆さんにも御理解いただくということがまず大事ではないかというふうに思っております。

柚木委員 私がお聞きしたのは、理解をいただくためにそれはもちろん法案を出しているわけですけれども、この刑事訴訟法等の一部を改正する法律案という名前で、盗聴とか司法取引、これは司法取引を、私もちょっとどういうふうに言ったら伝わるのかなといって、地元の方とやりとりするときに、いわば人を売ることで自分が罪が軽減されるという仕組みだとすれば、これは密告奨励型とでも言えばわかりやすいんですけれども、この法案名で、盗聴とかこういう形の司法取引というものが含まれているということを国民の皆さんは認識できますかと聞いているんです。

上川国務大臣 今の御質問に直接お答えするとするならば、この刑事訴訟法等の一部を改正する法律案という文言だけでは、今おっしゃったようなことについては、もちろん、御理解をいただくということ、これは大きなメッセージでありますので、そういうことにはならないというふうに思います。

柚木委員 今そうお認めいただいたということはやはり大きなことで、盗聴法は、九八年、九九年と、その当時もう議員であった方もおられると思います、徹夜国会で日をまたいで、本当に大変な議論の中で、まさに強行採決、そういう形。盗聴法だけでですからね。

 それに加えて、きょうも議論になっているさまざまな、これは可視化に対しての新たな捜査手法の導入という側面があるにしても、やはり国民の皆さんからしてみれば、私も黒岩委員と全く一緒ですよ、先週末、今週末、こういう法律があるんですよと聞いても、誰も、えっという話ですよ、本当に。

 そういう形で、きょう私は資料をつけておきましたけれども、これは、「横行する一括法」「問題点隠し 審議形骸化」。

 一括法というのは政府にとっては確かに便利な手法かもしれませんが、これは国民にとってはどうなんですか。

 これまで成立法案に占める一括法の割合は、五〇年代までは一〇%程度だったのが、六〇年代ごろから上昇し、最近十年では三〇%程度。今国会に限れば、これは閣法七十三件のうち、四八%に当たる三十五件が一括法案、約半分になっているわけですね。つまり、戦後からずっと今日、特にこの国会において五倍、約半分まで一括法という形になってしまっているわけですよ。

 しかも、名は体をあらわすべきだと私は思いますよ、法律というのは。しかし、今大臣がお認めになったように、刑事訴訟法等の一部を改正する法律案では、盗聴法とか司法取引とかが入っているというのは国民の皆さんはやはり御理解いただけない。そこからのスタートなわけですから、これは本来ならば、私は、やはり個別に一つ一つ丁寧に議論をしていくことが国民目線、あるいは冤罪の再発防止に資する、そう思いますよ。大臣、そう思われませんか。

上川国務大臣 今回の刑事訴訟法の改正をお願いしている背景について先ほど来御議論がございましたけれども、まさに、この刑事手続におきまして、冤罪を防止し、さらには刑事手続そのものが時代にふさわしいものであるようにさまざまな改革をしなければいけないという諮問、あるいは検察のあり方に対しての御提言ということも含めた上で、時間をかけて専門家の皆様、またさまざまな国民の皆様からも御議論をいただいた上で、このような形でお願いをしているところでございます。

 まさに刑事手続そのものの基本にかかわるさまざまな改革をお願いするということでございますので、この法律そのものがそうした大変大きなものであるという意味で、この刑事手続につきましての御理解を深めていただく、そして、その中のさまざまな制度を新しくしていく、あるいは、それに対してまた改正をしていただく、このことにつきましても丁寧に御審議をいただいて、これを刑事手続の大きな改革の総合的な一体化としての取り組みの中で、適正な公判あるいは適正な証拠収集手続が実現することができ、また真相解明にも資することができるようにしていくという刑事訴訟の大変大事な目的を実現するために、そういう意味では大変大きな改革をお願いしているというふうに思っております。

 また、内容についてはさまざまな要素があるということでございますので、実際にもう既に運用している事例もありますし、また制度として今回初めてお願いすることもあるということでありますので、そうしたことを一体として御審議をいただき、そして大きな刑事訴訟の手続の改正に結びつけ、その運用においても、二度と冤罪等の事態が起こらないようにしっかりと対応していく必要があるというふうに思っております。

柚木委員 おっしゃられる思いはわかるんですが、私が申し上げたのは、その思いをやはり丁寧にやっていくということから考えると、資料もつけましたけれども、この一括法というのは、これは本当に政府にとっては便利なやり方かなというふうに思いますね。でも、本当に国民にとってどうなのかということを私は問いたいわけです。

 これは安保法制もそうですけれども、もう何でもかんでもまとめて出して、一定の審議時間で前へどんどん数の力で進めていくというような手法は、「審議形骸化」とここに記事が出ていますけれども、本当にこれは国会の自殺行為だと思いますよ、そういうやり方を今後どんどんとっていくというのは。そのことを私は申し上げているわけです。

 きょうは、それぞれ入り口、通信傍受については若干中身を聞きますが、例えば、可視化についても、きょうも触れられていますように、全事件の中でいえば三%、二%とか、本当に限られた範囲での取り調べ過程の録音、録画しか対象にならない。これは逆に言うと、九七パー、九八パーとかが、この可視化によっての、例えば冤罪の発生を防止するとか、そういう対象からは外れるわけでありまして、これは法制審でも、村木さんを初めメンバーの方から全面可視化という意見も強くありながらも、こういう現状になっているわけです。

 これは、ちょっと私、国家公安委員長、先ほどの答弁を伺うと、やはりどうしてもお尋ねをさせていただく必要があると思うんですね。これは、先ほど階委員とのやりとりの中で、階委員の問い立てとしては、将来、全過程の可視化も含めて対象が広がり得るのかということに、議論は排除しないということなんですが、排除しないのは当たり前なんです。これは仮に、現状の法制審で示されているような本当に極めて限定的な可視化で、では、可視化対象でない部分における事案で、可視化していればある意味防げたかもしれない冤罪が仮に起こったとき、国家公安委員長、その冤罪が起こったことに対して責任を負えますか。いかがですか。

山谷国務大臣 冤罪はあってはならないというふうに思っております。そしてまた、今後、さまざまな実態を検証しながら、さまざまなことが議論の対象になるというふうに考えております。

 いずれにせよ、取り調べの適正確保の取り組みを強力に推進してまいりたいと考えております。

柚木委員 これまで、あってはならないことが起こっているから、聞いているんです。あってはならないのは当たり前ですよ。しかし、これだけ冤罪事件が、その方々の人生は本当に取り返しがつかないわけですよ。取り返しがつきません。ということは、起こると責任を負えないわけですよね。だからこそ、この可視化の対象拡大が重要じゃないですかということで議論をさせていただいているんだと認識していますよ。

 先ほどの答弁で、議論は排除しないと。これは当たり前なんですが、ぜひ、対象の拡大、全面可視化も含めて、今後の検証プロセスの中で、しっかりと見直しのタイミングも含めて前に進めていただきたいと思います。

 それで、ちょっと個別の部分にも入ってまいりますが、通信傍受について幾つかお伺いをさせてください。

 これは、取り調べの可視化に対して、通信傍受拡大あるいは司法取引とか、こういったものが一体となって議論をされてきたわけですが、私自身は、本当にそういう見合いの議論で大丈夫なのかなと。真相究明はもちろん重要なんですが、余りにもその負の側面というものが逆に顕在化しないかな、そういう懸念、危機感を持っているわけです。

 この間も議論になりましたが、共産党の国際部長の家の盗聴事件、これは判決が出ているのに、いまだに組織としては認めていない。そういう、ある意味では起こったことは認めない。

 そして、私自身がきょう資料にもつけておりますが、三ページ目、四ページ目、少し前の事件ですから御記憶の方もあると思いますよ、小学校四年生の女の子の誘拐未遂容疑で巡査が逮捕された。これも本当に、私もそうですし、皆さんの中にも、同年代の女の子を持つ親御さんはおられると思いますよ。近所の交番のお巡りさんですよ。一番信頼、信用している人ですよ。その人がこういうことをやって、下校してきた女の子に、父親の知り合いを装って、パパが交通事故に遭って病院に運ばれた、すぐに来てほしい、それが実際にはうそだった。これは、車に乗せられて、もし本当に連れ去られていたら、どんなことが起こっていたのか。

 これは、なぜこんなことが起こったかといえば、世帯別案内簿という、巡回の際に住民から任意で氏名や家族構成、緊急連絡先などを聞き取る、そういった名簿なわけですよね。

 ということは、可視化に対して通信傍受や司法取引が加わっていくという議論の中で、情報の管理、流出、こういったことが非常に重要になってくるわけであります。

 これは、ごめんなさい、警察庁に経緯をお尋ねしていたんですけれども、ちょっと時間があれなので、警察庁にも個別の質問で伺います。

 この情報管理について、まさに昨日起こった年金の記録百二十五万件ですか、これも本当に、私、名簿化されて情報の悪用が懸念されるとか、実際に一度情報が流れると取り返しがつかない、自分の名前や年金番号が想像もつかない形でひとり歩きすることにならないかとか、いろいろなことが懸念される報道がきょうも出ているんです。この情報管理について、これは警察、検察それぞれしっかりとしていただかないと、今後、司法、警察捜査の中で、さまざまな情報が、ともすれば犯罪に無関係であっても調べられ、また、場合によってはそれが流出をし得るわけであります。

 こういうことが起こらないように、これは、未遂事件も含めて、警察、検察に対する例えばサイバー攻撃に対する対応はどういうふうに今後していくのか、今しているのか。あるいは、データベース化された多くの情報、端末から参照可能な情報ほど流出可能性が高いとも言われるわけですが、そういった管理についての現状と、昨日年金情報の流出も起こっているわけですが、今後どういった管理を行っていくのか。御答弁をいただけますか。

川邉政府参考人 まず、警察庁に対するサイバー攻撃の状況につきましてお尋ねがありました。

 警察庁に対するサイバー攻撃といたしましては、平成二十二年九月と平成二十三年七月に発生しておりますが、DDoS攻撃にとどまっておりまして、個人情報の流出はございませんでした。

 それ以降、不審メールの受信はございましたが、既遂に至ったものは確認されていないところでございます。

 次に、どのような情報がどのぐらいかとのお尋ねがありました。

 警察庁が保有する情報の種類や量につきましては、それをつまびらかにした場合、今後の警察活動に支障を来すおそれもございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 最後に、どのような管理をしているかについてお尋ねがあったと思います。

 警察におきましては、個人情報を初め多くの要機密情報を保有しておりますが、それらを取り扱う業務に用いるネットワークは、インターネット等とは接続しておりません、アイソレーションしております。一方、インターネットに接続するネットワークは別に構築しているところでございます。

 その上で、さらに、情報セキュリティーを確保するため、警察情報セキュリティポリシーを定め、技術的環境の整備及び職員の規範意識の徹底を図っているところでございます。具体的には、例えば、外部記録媒体に保存する情報を自動的に暗号化する機能の導入、職員が担当業務以外の情報に決してアクセスできないようにする厳格なアクセス権の設定、また、過去の事案等を議題としたグループ討議等による教育による職員の規範意識の徹底等でございます。

 今後とも、情報セキュリティー対策の徹底を図っていく所存でございます。

柚木委員 もちろん徹底を図っていただく必要があるわけですし、これはなぜ聞いたかというと、通信傍受にかかわってくると思っているから聞いているんです。今後、例えば、傍受をした内容が、その暗号が解読をされてハッカーに情報が盗み見されるようなことだって、これは絶対にリスクがゼロだとは言えないと思うんですよね。そういう中で、この制度が導入、まさに対象も拡大をされて、通信事業者の立ち会いもなく、いわば好きなときに好きなだけ盗聴できる、こういうことが可能になるわけですよ、捜査の手法といえども。令状もほぼ一〇〇%出るわけですよ。

 そういうような中で、私は、今あえて警察庁に確認をさせていただいたのは、いろいろな、もちろんサイバー攻撃に対するセキュリティー等もやってもらわなきゃいけませんが、通信傍受をされた内容が流出をするリスク、仮に流出した場合、これは、法務大臣、通告していませんから、可能な範囲でちょっとお答えいただきたいんです。先ほどのやりとりを聞いていて、これはちょっと確認をさせていただきたいと思ったんです。

 それは、法制局長官が、そもそも通信傍受自体は憲法違反ではないかという議論の、そのバランスの中で、捜査のプロセスの中で、一定の要件の中で憲法上全く許されないものではないと。つまり、他の捜査手法をもって捜査を進めることが著しく困難な場合とか幾つかの条件をつけて、そういう御答弁をされたんです。

 私は、その御答弁を聞いていて、今の対応ももちろんやってもらうし、しかし、情報流出のリスクがゼロでない、きのうだってとんでもないことが起こっているわけですから、仮に情報が流出した場合には、その流出した情報の扱われ方によっては、これは、無関係な方の情報がどんな悪用のされ方をされるかも含めて、通信の秘密が守られずに、しかも、その結果、流出した情報によって不利益をこうむる、まさに憲法違反という状況が起こり得るのではないかという懸念を持つわけですが、そういう懸念は大臣はお持ちになられませんか。

上川国務大臣 この通信傍受法におきまして傍受した記録ということでございますけれども、それにつきましては適正に管理をするということでございまして、この点について、リスクはゼロではないというふうな御指摘がありましたけれども、このリスクが限りなくゼロに近い形に、技術的にも、また仕組み的にもしていくということが非常に大事だというふうに思っております。

 今、いろいろな事案がサイバー関係では起きているということも大変新しい事態というふうに考えておりまして、そのところにつきましては、最新の、最先端の状況の中でセキュリティーについてしっかりと適正管理ができるようにしていく、その手法あるいは技術的な対応、このことはまさに非常に大事な課題だというふうに思います。

柚木委員 リスクがゼロでないという前提に立ってやはり議論をしないと、これは安保法制もそうだと思いますが、なかなか議論は深まっていかないと思います。ぜひ、この議論を進めるときに、リスクがあるという前提で、さまざまな問題がやはり内包されているということをお認めいただく中で、今おっしゃられているような対応もとっていただきたいと思うんですね。

 それで、通信傍受法については、先ほど申し上げましたように、九八年、九九年提出、そして審議のときに、非常に大変な議論のプロセスをたどったわけです。これは本当に、当時は、対象犯罪を限定される前は、そうじゃない形で原案があったのを、やはりいろいろな世論の批判や国民の懸念もあって、四分野に限定、こういう流れもあったわけであります。これは当時、今、連立与党の公明党さんも当初は明確に反対していたところ、いろいろなプロセスの中で、修正の結果、賛成という立場になられたことからすると、やはりいろいろな議論の中での懸念、問題点は共有されていたんだと思っているんですね。

 しかし、それが今回、こういう、ある意味では当初と同じような形に加えて、その他の一般犯罪も加えた形で盗聴対象の案として出てきているということであるわけです。これは私は、その議論のプロセスについても今後の法案審議の中では詰めていかなきゃいけないと思っていますが、これはなぜ、当時の法案の与党修正の根幹が、対象犯罪を暴力団が関係することが多い四分野に限定、事業者の常時立ち会いであったのを、憲法違反との指摘もされる中でこういう形で出てきたのかについて、法務省から簡潔に御答弁をお願いいたします。

林政府参考人 現行の犯罪捜査のための通信傍受に関する法律でございますけれども、国会審議の過程で対象犯罪の範囲や通信事業者による常時立ち会いの要否などが議論されまして、結局のところ、修正を受けまして、対象犯罪が四罪種に限定される、あるいは通信事業者による常時立ち会いを必要とする、こういった形で修正されました。これは与党三会派による修正であったと承知しております。

柚木委員 私も、その当時のさまざまな審議のやりとりも確認をさせていただく中で、今御答弁があったんですが、私は、この法案の議論というものは、当時の懸念が本当にどうなっているのかの評価、検証なくして進めていくということにはならないと思っているんです。

 その上で伺うと、捜査機関による盗聴の濫用防止策としてまさに標榜されていた裁判所による傍受令状の発行、これは清水委員のやりとりの中でも、そこの内容についてちょっと確認があったんですが、私も改めてもう少し踏み込んで確認をさせていただきたいんです。

 これは、法施行後、全件で二百八十三件の請求。資料の中にも最後から二ページ目におつけしておりますが、請求された二百八十三件に対して、発行が認められなかったのは二件のみ。つまりは、九九・三%が令状発行されている。これは、平成二十三年、別表三号、拳銃、実弾所持事件での請求四件に対しての二件のみが、この事件というのは、二十日間、百七十四回盗聴したわけですが、傍受すべき、盗聴すべき、つまり違法性のある通話はなくて、逮捕人員もなし、こういった事案だったわけですが、その二件のみが発行が認められなかったというふうに承知をしております。

 これは、五月二十二日に清水委員がやりとりされているんですが、私はぜひここは確認をさせていただきたいんですが、この二件というのは、どの段階での請求で、どのような理由で認められなかったのか。形式要件の不備なのか、さらなる傍受延長が認められなかったのか、その点について、私はぜひ確認をさせていただきたいと思います。

平木最高裁判所長官代理者 裁判所では、通信傍受令状を含む各種の令状の請求件数等につきましては、司法統計上、幾つかの令状をまとめて請求数や発付数等の合計を集計しておりますが、通信傍受令状についてのみ切り分けて集計をしておりませんので、どのような事例で発付が認められなかったのかということや、その理由につきましては、把握しておりません。

柚木委員 いや、私がなぜこの質問をそもそもしたかというと、まさに捜査機関による濫用防止策として本来機能すべき傍受令状の発行についてほぼ一〇〇%発行されている中で、では、せめてこの二件については、いわゆる濫用防止機能が作用したのか、そういうようなことも含めて確認をさせていただけると思ってお聞きをしたらば、集計もしていないから理由はわからないと。こんなことで濫用防止機能が作用すると言えるんですか。

 大臣、こういう状況で本当に濫用防止機能は作用するんですか。

上川国務大臣 濫用防止機能の一つとしての令状ということでございますけれども、裁判官におかれましては、傍受令状の請求を受けたときにつきましては、疎明資料についてしっかりと精査をし、そして傍受令状を発付するための厳格な要件をしっかりと満たしているかどうかということについては慎重に検討した上で、発付するか否かを判断しているというふうに考えております。

 結果として、申請されたけれども発付しなかった件数が二件ということでございますが、適正な手続にのっとって慎重にしっかりと審査をした上での結果であるというふうに認識をしているところでございます。

柚木委員 いや、それは、今の答弁は当たり前の話で、私が今確認をさせていただいたのは、捜査の中において、一定の要件のもとであれ、これは憲法違反ぎりぎりの、はっきり言えばプライバシーを侵害されるわけですよ、そういう中で一つの捜査手法として行われる中で、この令状の発行の部分でどれだけ歯どめがかかるか。こういう部分について、慎重に議論をしてそうなっているのは当たり前なんです。

 これは、件数とか事件の種別だけは公開されているわけですが、では、二件については発行が認められなかった、これは別に捜査の妨げとかになるようなことではないと思いますので、その理由をちゃんと調査して公開する、こういう形で集計いただくように、大臣、これはぜひ御検討いただけませんか。

上川国務大臣 この二件についてということでの御指摘でございますが、これは個別事件ということでございまして、捜査の具体的内容にかかわることでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

 一般論ということで先ほども少しお話をさせていただきましたけれども、捜査機関におきましても大変厳しい要件でございます。そして、それをしっかりと運用のところで適用することができるかどうかということについて、つまり、犯罪に関連する通信が行われると疑うに足りる状況等の要件ということを慎重に検討した上で、この要件を充足するという判断に基づいて令状を請求しているという状況でございます。

 裁判官が適正に判断をするということは当たり前ということであるわけでありますけれども、そうした、仮に捜査機関とは異なる判断のもとでということになったとしても、当該令状の請求を却下する場合もあり得るということでございます。

 適正な手続のもとで取り組んでいくということでございまして、それに尽きるというふうに考えております。

柚木委員 私が申し上げたかったのは、事件を特定される形で明らかにしてという趣旨ではなくて、この表を見ていただくと、これだけではわからないわけですよ、何を、特定の事件を指しているのか。

 そういう中で、今回は二件が発行されなかったということですから、その発行がされなかった理由については個別の事件としての言及とかそういうことではなくて、その理由については公開できる手法、やり方があると思うんですね。そういうことがないと、ただ単に二件発行しませんでしたというだけでは、なぜなのかというところがわからないので、どのように濫用防止機能が作用しているのかがわからないんじゃないでしょうか。

 そういう視点で申し上げたので、公開の仕方については研究いただければ結構ですから、ぜひ、どのように濫用防止機能が作用しているかがわかるような形での公表のあり方を御検討いただけませんか。

上川国務大臣 今御指摘の、二百八十三件請求し、また発付されたものが二百八十一件ということでございます。

 通信傍受に関しましては、国会の報告をしていくということが手続的にも求められているということでございます。この二件につきまして、平成二十三年の事件でございますが、国会報告に記載されたことにつきましても、鉄砲刀剣類所持等取締法違反、そうした被疑事件であるということで、それにつきましては請求が却下された例がある、これは国会報告ということで公開をされているものでございます。

奥野委員長 柚木さん、ちょっと、一回、最高裁判所に、努力してみますとか、何かそういうふうに言ってもらった方がいいんじゃないの。(柚木委員「答弁できますか」と呼ぶ)

 最高裁判所平木局長。

平木最高裁判所長官代理者 傍受令状を発付しない場合の理由について報告を求めていないという点につきましては、現時点では、通信傍受法施行当初の資料が残っておらず、明らかではないのですけれども、令状事務は、その性質上、短時間で多くの事件を迅速に処理することが求められていることや、判断をした場合は直ちに記録を捜査機関に返還する必要があること、発付をしない理由についてもさまざまなものが想定されまして、定型化して集計することが困難な面があることなどから、発付をしない理由についてまで報告を求めていないという扱いになっているものと考えております。

 現状におきましても、ただいま御説明しましたような令状事務の特性からしますと、発付をしなかった理由につきまして報告を求めるということにつきましては、慎重に検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。

柚木委員 なぜこういう質問をしているかというと、次の質問等にもつながっていくんですね。もう少しこの質問をやりとりさせていただいた上で、ちゃんと御検討いただきたいのは、例えば、この傍受法の中の二十六条によって、傍受された側による不服申し立て、この状況について、最高裁、御答弁できますか。

平木最高裁判所長官代理者 通信傍受法二十六条による不服申し立てにつきましては、裁判所の統計では、刑事訴訟法四百二十九条などに基づく裁判官の裁判に対する不服申し立てと、刑事訴訟法四百三十条に基づく検察官や司法警察職員等の処分に対する不服申し立てという二つの項目で大きく分けて集計することとなっておりまして、それ以上に細かく分類しておりません。したがいまして、統計上、通信傍受法二十六条による不服申し立て件数のみについては把握できません。

 ただ、委員からお尋ねが事前にございましたので、事務総局内で参考になる資料がないか調べましたところ、通信傍受法の開始当初から五年間は、先ほど申し上げました正式の統計とは別に、二十六条の不服申し立てについて個別に報告を求めておりました。その結果では、五年間で一件あったとのことでございますが、現在は文書保管期間を経過しており、詳細はこれ以上わからないというところでございます。

柚木委員 当然、捜査の手法として、真犯人を検挙して法的な対応をとる、こういうプロセスと、先ほど来話があるように、プライバシーの侵害というものが、本当に限定された中で、憲法の通信の秘密とぎりぎりの兼ね合いの中でなされているということから考えれば、先ほど申し上げたように、傍受令状の発行の段階、あるいはこの不服申し立ての段階、それぞれの段階で、やはりプライバシーの保護についてのちゃんとした手当てなり、あるいはその不服があった場合への対応なり、それをきっちりと把握をして、今後の捜査の中に生かしていく。そういう形をとっていただかないと、捜査の立場にのみ比重を置いてこの通信傍受についての議論を今後進めていくということであっては、これは、対象も拡大される、事業者も同席しない、相手に通知もしなくていい、そして流出をすればどんなことになるかもわからない、こういうリスクを国民の側だけが負うというのは非常にバランスを失するという問題意識で私はお尋ねをしています。

 もう一点、ちょっと具体的に伺うんですが、通信傍受についての全件についてですけれども、傍受法二十三条二項による傍受の通知を延長した件数、当該延長の該当要件について、これは警察庁の方で把握をされておられますか。

三浦政府参考人 平成二十六年に通信傍受を実施した十事件の通知の実施状況は、通知の対象となる当事者が合計二百九十一名でございまして、その内訳は、平成二十七年四月一日時点で、通知を実施済みの当事者が百五十名、人定を特定できない当事者が百二十九名、所在が明らかでない当事者が五名、裁判官により、捜査が妨げられるおそれがあると認められて通知を発しなければならない期間が延長されている当事者が七名でございます。

柚木委員 今の御答弁、私としての理解は、平成二十六年に実施した十事件での通知状況、通知対象当事者二百九十一名、二十七年四月一日時点では、通知実施が百五十名、人定できない当事者が百二十九名、所在不明五名、捜査の関係で未通知七名。これはかなりの数の方に未通知、半分ぐらいの方と言ってもいいぐらいの未通知ですよね。

 これは、私は驚いている部分があるんですが、つまり、人定できない当事者は百二十九名であるということは、特定できないということは、仮に捜査の過程の中で検挙、逮捕しようとしても、特定できないと逮捕できないんじゃないですか。どうですか。

三浦政府参考人 これは、傍受記録に記録をされる通信当事者についてということで、要するに、被疑者のある特定の、例えば携帯電話等について傍受を実施する場合、それにかかってきた電話の当事者が誰であったか、この当事者に対する通知というのは両当事者に対して行われるものでございますので、誰がかけてきたかがわからなかった、こういったケースがあるわけでございます。

 また、先ほど申し上げた数字は本年の四月一日時点ということでございますけれども、もちろんその後明らかになってくるというケースもございますので、暫定的な数字ということで御理解をいただければと思います。

柚木委員 今の御答弁だけでやはり私の中では解決されないと思うんですが、この問題についてはまた、今後、個別に確認させていただきたいと思います。時間がもう限られてまいりましたので。

 この法案の中には、先ほど来話が出ておりますように、今通信傍受のことについて伺った部分がありますが、例えば司法取引についても、どういう言い方をするかは別として、さまざまな問題をはらんでいる部分があると思っています。

 それで、村木さんの事件の中で、フロッピーの改ざんとかいろいろな問題が起こったわけですが、無罪となるプロセスの中で重要なプロセスは、実際に捜査段階で供述をしたさまざまな、厚労省の職員の方々に関することですから職員の方々が、それまでの供述を覆すというか翻して、自分はこうだというようなことを証言されるということが実際にあったわけですね。それで、結果的に村木さんは無罪というようなことも含めて、我々もみんな知っている方でもありますし、社会的にも非常に大きな、そういう意味では波紋を呼んだこの事件だったわけです。

 今回、司法取引によって、まさに他人の、これは証言買収的な手法と言う方もおられますが、虚偽を防ぐためには、まさに虚偽罪によって五年の刑が科されるという部分も含めて、それが歯どめになるということを大臣は再三御答弁されているんですが、例えば、この村木さんの事件の中で、実際に証言したことを公判の中で翻すということだと、現行法においてはこれは罪に問われないと思うんですが、今後、法改正後は逆に罪に問われることになると私は理解するんです。

 それがそうでないのであれば、そうおっしゃっていただきたいんですが、仮にそうであるならば、逆に真相究明が損なわれる、ゆがめられるおそれがあると思うんですが、その点についてはどのように認識されますか。

上川国務大臣 御質問の意味ということでありますけれども、偽証をした場合については、今回、新しい制度になりますと、新設の罰則による処罰の対象となるということで、先ほど村木局長の事件に照らして考えたときということでありますけれども、そのケースにのっとってということについては、個々のところになろうかと思います。

 今回お願いしているものにつきましては、協議の開始から合意の成立に至るまで弁護士がしっかりと関与しながら、そして、合意に基づく供述が他人の公判で使われるときには、その合意内容も裁判所においてオープンにされるということであります。そして、合意をした者が捜査機関に虚偽の供述をするということになりますと、これについては罰則の対象になる、こうした内容になっているところでございます。

柚木委員 済みません、ちょっと今の答弁だと本当にそうなのかなと心配になるんですが、大丈夫ですか。おっしゃっていることは理解したんですが、私が申し上げたのは、これまでの証言を公判の過程の中で覆した場合には、これは別に村木さんの件じゃなくて結構なんですよ、村木さんの場合もそうなるなと思って例示しただけなので、現行法では罪になる部分がないんですが、今回の法改正後は罪に問われることになるんじゃないですか、こういう質問をしたので、それに対して、イエスかノーか、お答えいただければと思うんですが。

上川国務大臣 この証言ということについて、その方の持っている記憶に従って供述するということになりますと、その方については、その方の記憶の中で証言をするわけでありますので、その限りにおきまして処罰はされないという状況でございます。

柚木委員 つまり、先ほど横から副大臣も言われていたんですけれども、虚偽かどうかという部分が、それは当然裁判の中で明らかになってということが、村木さんの例でもそうなので、その場合には証言を覆してもこれは罪には問われない、そういう御答弁だったということでよろしいんですね。よろしいですね。

上川国務大臣 そのようなことでございます。

柚木委員 最後の質問になると思いますが、資料の最後に、GPSの捜査利用について、報道をつけております。

 これは、もちろん、GPS情報の捜査利用というものは、必要性については私も認識をいたします。私の地元でも、小学校五年生の女の子の誘拐事件、これは皆さん記憶にある方がおられると思います、岡山県倉敷市です。携帯電話を随分探したんですね。本当にそういう部分が決め手になることもあれば、あの例は違う方の情報提供によって犯人が検挙されましたが、その利用する部分の必要性や有効性については私も理解をするところではあります。

 他方で、ここにも書いてありますように、やはり、これはある意味、通信傍受もそうなんですが、まさにプライバシーの部分も含めて、一定の歯どめの議論も同時に必要だというふうに私は思っております。

 ぜひ、このGPSの位置情報の捜査利用に関しては、これはもう時間がないので法務大臣にだけ最後に伺いますが、濫用の防止や対象犯罪や相手への告知も含めた運用方法については、この国会で議論をして、関係省庁も含めてそれぞれ議論をして、そして、私は、やはり法律で一定の歯どめといいますか厳格な要件を設けるべきだと考えますが、大臣、いかが御認識でしょうか。通告しておりますので。

上川国務大臣 この新しい技術でありますGPSの位置情報を捜査にどう利用するかということについて、電気通信事業者から携帯電話のGPS位置情報を取得して捜査に利用する場合と、GPS発信装置の取りつけで得られた位置情報を捜査に利用する場合ということで、大きく二つに分けられるわけでございますが、いずれにおきましても、現行の刑事訴訟法で対応をすることができるというものでございます。

 前者につきましては、裁判官が検証許可状を発した場合にはこれを行い得るということでありますし、また、後者につきましては、裁判例がございます、一定の範囲で任意捜査として許容されるということでございます。

 その意味では、刑事訴訟法の改正が必要とは考えておらないところでございます。

柚木委員 きょうのところはこれで終わります。

 ありがとうございました。

奥野委員長 本会議散会後直ちに委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。

    午後零時三十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十六分開議

奥野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。鈴木貴子君。

鈴木(貴)委員 午前に引き続き、大臣初め皆さん、そしてまた委員の皆さんにおいても長丁場だと思いますが、重要な法案でありますのでしっかりとした議論を尽くさせていただきたい、このように思っております。

 まず、法案の質問に入る前に、きょうのニュースなんですけれども、袴田事件、警察官がうその証言か、取り調べ音声入手、こういったニュースが報道されております。

 袴田事件、もう皆さんも御存じかと思いますので、中身に関しては割愛をさせていただきます。

 弁護団によると、袴田巌元被告が当時取り調べを受けている最中にトイレに行きたいと要望したにもかかわらず、取り調べ室で用を足させていた様子が録音されていた。袴田元被告、小便行きたいんですけどね。警察官B、トイレとってきますか。警察官A、便器持ってきてここでやらせろ。

 これは何が問題かといいますと、もちろんそのこと自体も問題なんですが、四十七年前に静岡地裁で開かれた裁判記録には、元被告を取り調べた警察官は法廷で、元被告に、つまり袴田さんに便器を持ってくるよう頼まれたから持ってきたと証言をしているんです。しかしながら、今回の証拠開示によって出された取り調べの音声、テープを再生してみますと、実際には警察官が便器を持ってきてここでやらせろとはっきりと言っていた。つまり、簡単に平たく言えば、警察官がうその証言を裁判でしていた、この可能性が明らかになった、こういった報道がなされております。

 この報道に対して、そしてまた警察官がうその証言を裁判においてしていた、この可能性が明るみになったことに対して、まず大臣のお考えを伺わせてください。

上川国務大臣 ただいま即時抗告審係属中の案件でございまして、お答えにつきましては差し控えさせていただきたいと存じます。

鈴木(貴)委員 同じ質問を山谷国家公安委員長にもお願いします。

山谷国務大臣 即時抗告審係属中の刑事事件にかかわる事項であり、お答えを差し控えさせていただきます。

鈴木(貴)委員 そういった、答弁を差し控えさせていただくという答弁が来るであろうということは、私も経験則で想定をしておりました。

 しかしながら、あえて申し上げさせていただきますが、これは実際に裁判の中身にかかわることではないわけであります。それに対して答弁を差し控えさせていただくというのは、私は、答弁拒否にも当たるのではないのかなと思いながら、これは通告はしていなかった質問ですので、この点だけ指摘をさせていただいて、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 まず、先ほど来から他の委員の先生方の質問にも出てきておりますが、やはり、刑事訴訟法、今回の法案について審議をする上で、その答申の根底となった法制審議会そしてまた特別部会について、しっかりとした共通認識、そしてまた事実確認をしなくてはいけない、このように思っております。

 そこで、平成二十三年五月十八日に、「近年の刑事手続をめぐる諸事情に鑑み、時代に即した新たな刑事司法制度を構築するため、取調べ及び供述調書に過度に依存した捜査・公判の在り方の見直しや、被疑者の取調べ状況を録音・録画の方法により記録する制度の導入など、刑事の実体法及び手続法の整備の在り方について、御意見を承りたい。」諮問第九十二号がこうして出てきたわけであります。

 この諮問第九十二号に言うところの、一番最初の冒頭の部分です、「近年の刑事手続をめぐる諸事情」とは一体何を指しているのか、そのお考えを上川法務大臣にお尋ねします。

上川国務大臣 ただいま、諮問の九十二号ということで、その冒頭にあります、「近年の刑事手続をめぐる諸事情に鑑み、」というところでございます。

 いわゆる足利事件等によりまして、捜査等に対するさまざまな問題が指摘されてきたわけでございますが、さらに、厚生労働省元局長無罪事件及びこれに関する一連の事態が発生したということを受けて、法務大臣のもとに検察の在り方検討会議が設けられ、その会議におきまして平成二十三年の三月に提言が取りまとめられたところでございます。そして、その提言におきましては、刑事司法制度が抱える構造的な問題点として、取り調べ及び供述調書への過度の依存が指摘されたということでございます。

 そして、捜査、公判のあり方を抜本的に見直し、新たな刑事司法制度を構築するための検討を行う必要がある、こうした御提言の中から、二十三年五月に、法務大臣から法制審議会に対して、御指摘の、新たな刑事司法制度を構築するための法整備についての第九十二号の諮問が発せられたものと承知をしているところでございます。

鈴木(貴)委員 今の大臣の答弁を受けて、何点か気になった点を追加質問させていただきたいんです。

 今、大臣は答弁の中で、足利事件、そしてまた村木事件、個別の事件でいうとこの二つの名前を挙げられたかと思います。また、足利事件等にという、複数、まだほかにもあるという言い方をされておりましたが、その等というのは、ほかにどういった事件のことを指していらっしゃるのか。また、一連の事態の一連というのは具体的にはどういったことを指すのか。お答えいただけますでしょうか。

上川国務大臣 氷見事件、そして志布志事件、そうした事件が発生したということでございますし、また、厚生労働省元局長の事件ということでございますけれども、その後、捜査情報についての改ざんということの事態も起きたということ、そうしたものを指しているということと理解をしているところでございます。

鈴木(貴)委員 今委員会で初めて、氷見事件、志布志事件、これについて大臣の方からみずから発言をいただいたのではないのかな、このように思っているところであります。

 すなわち、足利事件、今大臣がおっしゃっていただいた氷見、志布志、そして村木事件と、近年だけでもこれだけの再審無罪、いわゆる冤罪事件が起こっている。こういったことを踏まえて、まさに大臣がおっしゃったように、法制審議会、これが出てきたわけであります。

 そしてまた、先ほど大臣の答弁の中で、供述調書に過度に依存した捜査のあり方、こういったものは変えていかないといけないという提言をいただいたとの答弁があったかと思うんですけれども、それは答申での提言でなくて、そもそも論として、法制審議会を開くに当たって、立てるに当たって、「取調べ及び供述調書に過度に依存した捜査・公判の在り方の見直し」、もう既に諮問第九十二号の中で出ているわけであります。ということは、やはりここが、大臣の言葉、ふだんお使いになっていらっしゃる言葉をかりるのであれば、抜本的な改革の中の大きな柱だ、このように思うわけです。

 午前中にも、階委員また黒岩委員の質問の中でも指摘がありましたが、であるならば、やはり捜査権力、権限の拡充とも考えられる通信傍受であるとか司法取引、こういった性質の違うものを一緒に抱き合わせて、一本の法案として出してくるというのは、私は、これはそもそも論として諮問に見合っていないと思うのですが、大臣のお考えを伺わせてください。

上川国務大臣 法制審議会諮問九十二号ということで、大変大きな課題が法制審議会で審議されたところでございます。

 そして、その審議会のもとに、さらに、新時代の刑事司法制度特別部会が設けられまして、そこで、取り調べ及び供述調書に過度に依存した状況、こうしたことがさまざまな事案の原因にもなっているのではないかということを受けて、さらに、時代に即した刑事司法制度の構築をする、この諮問の趣旨に沿いながら、幅広い観点からの調査審議が行われたというふうに承知をしているところでございます。

 そして、その結果でありますが、この部会におきましては、答申案に掲げられた諸制度が一体として現行制度の中に組み込まれることによって、答申のまさにテーマであります時代に即した刑事司法制度が構築されるという御意見で一致を見たものというふうに承知をしているところでございます。

 法制審議会の総会あるいは部会における採決につきましても、さまざまな御議論の上で、皆さんの総意によりまして、結果、全会一致で取りまとめが行われたということで、そうした御審議の上での結果ということにつきましては、大変重い御決定をされたというふうに受けとめているところでございます。

鈴木(貴)委員 重い決定がなされたということであります。

 つまり、今回、答申でも出てきたさまざまな提案、提言、これはもちろん、先ほど大臣が例に挙げられた、過去の事例ではなく、今後の捜査に対してそういった姿勢で挑んでいく、公平公正な、適正な捜査をしっかりとしていくということのあらわれだということは私も期待をし、そしてまた、それについては共通の認識を持たせていただいていると思います。

 先ほど、志布志、氷見、足利、村木とるる過去の冤罪事件を列挙させていただいたんですけれども、この答申が出るまでの間には、ほかにも、いわゆる東電OL事件であるとか、あとは四十八年間自由を奪われていた袴田さん、これも再審決定がなされたわけであります。

 ここで改めてお尋ねをしたいんですけれども、いわゆる問題意識の置きどころについて、上川法務大臣と山谷大臣、両大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 強圧的な過度な取り調べ、不適切な取り調べというのは、これまでの取り調べの制度に問題があったのか、もしくは運用において問題があったのか。運用面の問題か、制度面の問題か、どのように考えていらっしゃるかを両大臣にお尋ねします。

上川国務大臣 刑事訴訟の手続そのものが適正に運用されるということ、そして、それに基づいて真相が解明されていくということ、そして、そうした全体像の中で皆さんから信頼される刑事司法手続が実現していくということ、そのことを考えますと、制度が問題、そして運用が問題という、そのどちらも非常に大事なことでございまして、あらゆる方向でその改革をしていくということの御答申をいただいたということを考えてみますれば、その両方、いずれもいろいろな形で課題、問題があったのではないか、こうした御指摘がなされたというふうに真摯に受けとめているところでございます。

山谷国務大臣 取り調べの適正確保というのは、運用面、制度面、両方大事であるというふうに思っております。

 現在、被疑者取り調べ監督制度の導入や取り調べ時間の管理の厳格化、その他適正な取り調べを担保するための措置を講じております。警察大学校に取調べ技術総合研究・研修センターを設置するなどして、心理学的知見に基づく取り調べ技術習得のための教育訓練や適正捜査に関する教養を行うなど、同種事案の再発防止に向けた取り組みを推進しているところでございます。

鈴木(貴)委員 言葉をかえて同じ質問をさせていただきたいんですね。

 例を挙げると、志布志事件の取り調べで、いわゆる踏み字、踏み絵の問題がありました。当時の被疑者とされていた人の足をつかんで、お孫さんが描いたであろうその方の絵だとか、早く帰ってきてね、正直なことを言ってね、おじいちゃんと書いてある字をわざと踏ませるであるとか、そういった非常に不適正な捜査といいますか取り調べが、これはもうはっきり明るみになっているわけであります。

 こういった不適切な取り調べというのは、制度上の問題なのか、運用上の問題なのか。もっと平たく言えば、組織の問題なのか、取り調べに当たっていた個々の捜査官、検察官もしくは警察官の個々の問題なのか、どのようにお考えでしょうか。両大臣に。

上川国務大臣 事案の解明に向けて証拠をしっかりと収集していくということ、取り調べ等も含めまして事案の解明に資する証拠を収集していくということが必要であるということでございますが、捜査におきましては、証拠収集に当たって、被疑者の取り調べによって供述を得ることを過度に重視する余りに、さまざまな適正な手続によらない取り調べがなされてくるということもあり得るし、また、制度につきましても、それこそ密室におきましての取り調べによって、なかなかその状態がわからないということが出てきたという事案もあって、いろいろな角度の課題があるということで考えているところであります。

 その意味では、制度の方の問題なのか、その運用の部分の問題なのか、あるいは意識も含めてその人の問題なのか、この点につきましては、検察の在り方検討会議におきましても、また御提言の中でも、時代に即した新たな刑事司法制度についてさまざまな提言をいただいているところでありますが、いろいろな課題について御指摘をいただいているということでございます。

 どれも大変大事な御指摘をいただきながら、その課題の解決をしながら改革を進めていく必要があるというふうに認識をしているところでございます。

山谷国務大臣 事件の捜査においては、取り調べ、供述の信用性の吟味、客観証拠による裏づけなどの問題点が認められたものと承知しております。

 踏み字というのは適切ではないと考えております。

鈴木(貴)委員 重ねて、上川大臣に、提言としてもいただいているということなんですけれども、であるならば、制度上どういった問題があるという提言が来ているのか、運用上どういった問題があるという提言が来ているのか、具体的に教えていただけますでしょうか。

上川国務大臣 これは、検察の在り方検討会議の提言ということでございますが、例えば、「取調官が自白を求めるのに熱心なあまり過度に追及的になったり、不当な誘導が行われたりして、事実とは異なる供述調書が作成される結果となる危険性も内在する。」こうした御指摘もいただいているところでございます。

 こうした課題、問題に対してどういう解決をするかということを御審議いただくに当たっても、そうした現状の問題点を今のような形で把握していただきながら、そして、しっかりと制度、さらには運用の適正化を図って、総合的に取り組んでいく必要がある、こういうことでの御提言をいただいているものと思っております。

鈴木(貴)委員 その行き過ぎた取り調べというのも既に問題は明らかになっているわけであって、それに対して、いかに二度とそういったことを繰り返さないかという議論を、特別部会によって、さまざまな立場の方々から、さまざまな視点を持って議論をいただいた、このように思っております。

 そういった中で、その議論の中で、私も議事録といいますか、もちろん読ませていただきましたけれども、当時の取り調べ官の一個人の問題として、例えば志布志事件、そういう踏み字のことが起こったのか、もしくは、それをよしとしてしまった風紀というか雰囲気、そういったものも含めて問題の指摘があったのか。どのように大臣は読んでいらっしゃるんでしょうか。

上川国務大臣 大変厳しい御指摘の上で、御提言もいただいたわけでございますが、検察の理念でありますとか、あるいは検察の改革というところに向けて、まさに御指摘いただいた、それぞれの現場の中で捜査に当たる一人一人が、こうした問題が発生することのないように、しっかりとみずからの問題として戒めながら、そして適正に取り調べを行う、あるいは捜査を行う、そうした基本的なところでの意識を改革し、なおかつ、さらには環境、そうした気風をしっかりと風土として定着させるべく、総力を挙げてこの問題に取り組む。

 そうした中で、検察の理念あるいは改革がなされ、今はまだ道半ばと申し上げる残念な結果ではありますが、今はまだ道半ばということで、さらに努力をしていく必要がある、こうした認識をしているところでございます。

鈴木(貴)委員 つまり、まとめますと、捜査機関の構造的な問題を抜本的に改革していかなくてはいけない、そういったお気持ちを持っていらっしゃる、こういう理解でよろしいでしょうか。

上川国務大臣 この一連の諮問に至る過程の中でも、また、諮問を経た上で提言がまとめられ、またその上で、今回、刑事訴訟法の改正という形の中で御議論をいただいているところでございます。

 国民の皆様からの信頼から成り立っている刑事司法というところについて、大変厳しい状況に至っているというところをしっかりと原点に置きながら、改革については、これは継続してし続けるということだけではなく、まず第一に、信頼を回復するために最大限の努力をするということ、これも一人一人の意識の中でそれをしていただかなければいけないということでありますので、組織の面におきましても、絶えず、真摯にさまざまな事象を勉強し、研究を重ね、そして改革の意思をしっかりと実現することができるように、総力を挙げて取り組んでいくべきというふうに考えているところでございます。

鈴木(貴)委員 大臣、私は、個々人の捜査官の問題なのか、それとも捜査側の捜査機関の問題として考えていくのか、問題の根源というか置きどころはどちらかという質問を今させていただいているんですね。大臣の先ほどの答弁を聞いていると、これは風土的な、捜査側の体制的な、構造的な問題だというようなお話をされていて、ああ、今、一歩話は進んだな、このように私は思っていたんです。

 大臣、改めて聞きます。個々人の問題で冤罪が起きたんでしょうか。それとも、組織としての体制に問題があったから冤罪は起こってしまったんでしょうか。

上川国務大臣 一つずつの事案について、その原因が何かということについてはそれぞれ状況が異なるというふうに思いますので、今のように、こっちがこっち、こちらがこっちということを一つであるというふうに申し上げるのはなかなか難しいなと思いながら、今、答弁をさせていただいているところでございます。

 もちろん、一つずつの事件に当たる、捜査を担当する一人一人の意識が、そうしたことをしっかりと持って取り組むということでなければ、適正な、また真相究明にもしっかりと至らないし、また、そうした状況をつくり出していく日本の刑事司法の流れ、つまり、取り調べあるいは供述調書に過度に依存するという形の中で捜査、公判が行われているという、これは一人一人というよりも、むしろ組織的というか、制度的な問題も含めての組織的な問題であると私は理解しております。

 そういう意味では、現場の中でも、また全体の中の制度ということにつきましても、この間御指摘があった、過度に依存した捜査、公判から脱却をしていくためのあり方、まさに答申をいただいたこと、このことに対して取り組んでいくということが大事であるというふうに思っております。

 ちょっと御質問が、どっちかというふうな形でおっしゃられると今のようなことでありまして、ある意味では総合的にいろいろな課題があるというふうに理解をしておりますので、そういう意味では、大変難しい改革の中で、一つずつ努力をして、真摯に向き合いながら、国民の皆様からの御理解をいただくべく、また協力いただくべく、そして信頼を回復していくための努力、前進ということについては、これはやってもやってもやり切れないぐらいの、そういう状況ではないかというふうに思うところでございます。

鈴木(貴)委員 今、大臣、非常に言葉を尽くしていただいたと思うんですけれども、私は、これは答弁としてははっきりしていると思うんです。

 これは、組織として内省をしなくてはいけない、反省をしなくてはいけない、ゆえに改革をしなくてはいけない、ゆえに法案が今出されているんじゃないでしょうか。これは、個人の捜査官の責任であった、もしそういうことであれば、上司がその捜査官に対して処分を直接下す、それで終わるんじゃないでしょうか。

 そういうことではなくて、まさに今これが閣法として上がってきたということは、個人の問題ではないんだ、そういったことも、ちりも積もって、組織として今まで過度な取り調べをよしとしてきてしまった、冤罪を生む温床をつくってしまった、これを反省しようじゃないか、二度と繰り返さないようにしようじゃないかという上での法案だと。大臣のその思いのほどを私は伺いたかったなと、今、非常に残念に思っているところであります。

 時間も限られていますので、次の質問に、ちょっと視点を変えて伺わせていただきます。

 この特別部会の委員のメンバーについてなんですけれども、この選択基準はどのように置かれていたのでしょうか。

上川国務大臣 法制審議会における委員及び幹事ということでございますが、これは法制審議会令がございまして、これにのっとって、学識経験のある者のうちから法務大臣によって任命されるものとされているところでございます。

 この当時の諮問の趣旨そして内容からして、法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会ということで特別部会を設けたということでございますが、この点につきましては、刑事司法制度全般のあり方に関する調査審議が行われることが必要であるということ、また、専門的見地のみならず、広く国民の皆様の声を反映した調査審議を行うことが期待されたということから、この部会におきましては、刑事法の実務家、さらに刑事法関係の研究者のみならず、犯罪被害者の皆さんや無罪判決を受けた方、経済界、労働界、マスコミ関係の方など、多様な立場の方々が当時の法務大臣によりまして委員、幹事として任命されたものと承知をしているところでございます。

鈴木(貴)委員 犯罪被害者の方々も含まれていた。方々というのは、このリストもホームページ上で公開されていますので、私の知るところでいえば、冤罪被害者でいうと、まさに今の村木事務次官が入っていたのは知っておりますが、ほかに犯罪被害者の当事者の皆さんは入っていらっしゃいますでしょうか。

上川国務大臣 この委員会の中には、犯罪被害者の御遺族で、息子さんを交通事故で亡くされた大久保恵美子さんが入っております。

鈴木(貴)委員 承知しました。

 そこで、今回、先ほども質問しましたが、諮問第九十二号、これを鑑みても、いわゆる冤罪を二度と繰り返さない、この強い思いがある。大臣も何度となく答弁いただいております。

 そういったことを鑑みますと、まさにいわゆる冤罪被害者、犯罪被害者の方の意見というのがもちろん大事です。しかし、冤罪被害者の方々の声を十分取り入れるという視点が十分ではなかったのではないか、こういった指摘もありますが、その指摘に対して大臣はどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

上川国務大臣 無罪の判決を受けた方ということで、村木局長におかれましては、そうしたお立場で、さまざまな御審議をいただく中におきましても御意見を伺ったということでございます。

 先ほど申し上げましたけれども、犯罪被害者の方や無罪判決を受けた方、また経済界、労働界、マスコミ関係の方など、さまざまな立場の方々ということで、当時の法務大臣によりまして委員、幹事として任命をされたということだと承知をしているところでございます。

鈴木(貴)委員 そのメンバー構成の中で、いわゆる警察そしてまた検察、身内の割合というのはいかほどでしょうか。

上川国務大臣 これは公開をされているものでございますので、何名中何名ということで、御質問ということでありますので、申し上げたいと思います。

 委員、幹事四十名でございます。法務省職員を含めての捜査機関に関係する者ということで十四名、三五%ということであります。また、委員二十六名ということで限定をいたしますと、捜査機関に関係する者につきましては六名ということでございます。(鈴木(貴)委員「ごめんなさい、最後」と呼ぶ)六名です。

鈴木(貴)委員 今の数字を聞いても、これは身内が非常に多いのではないか、このように思うのは、一般常識的価値観で私は申し上げているんですけれども、身内の非といいますか、過去を改めるに当たってつくられた議論の場において、結局、身内同士で傷をなめ合うような場になるのではないかと逆に指摘をされるのは、これはもったいないんじゃないでしょうか。そういう観点からも、この四十名のうちの三五%というのは、私は、これは平等なというか、適正な割合、数ではないと思っています。

 そして、実際に、周防正行監督、痴漢冤罪をベースにして映画をつくられた周防監督もこのメンバーの一人に名を連ねていらっしゃるんですけれども、周防監督がこういった発言をされていらっしゃいました。警察関係者はきっぱりと、録音、録画なんかしたら誰も本当のことを言わなくなる、真相解明にとって大きな障害となると言うのですが、そんなことを言うのなら、そういうことを研究している心理学者などに話を聞けばいいじゃないですか、専門家をメンバーにしたらよい、こういった発言をされていらっしゃいます。しかしながら、最後までそういった心理学の専門家の先生などはメンバーに入っていない。

 新たな時代に合わせた抜本的な構造的な改革をする、そこまで大きく旗を掲げたのであれば、まさに、この部会のメンバーを決める上でも、今までは確かにそういったことはなかったかもしれませんが、そういった提言をしっかりとその場その場で入れていく、そういった不断の努力というものが必要だったと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。

上川国務大臣 先ほどの御質問で、法制審議会のメンバーということでございました。

 法制審議会令がございまして、法制審議会のメンバーにつきましては、学識経験のある者のうちから法務大臣によって任命される。今回はその特別部会ということで、刑事司法全般のあり方に関する調査審議が行われる。この必要性に鑑みまして、それにふさわしい方につきまして、先ほど申し上げたような犯罪被害者の皆さんの代表として大久保さんに来ていただく、あるいは無罪判決を受けた方ということの代表として村木さん、また一般有識者という形で来ていただくというような形で委員をお願いしながら、さらに、経済界、労働界、マスコミ関係の方々も含めまして、多様な立場の方々が委員、幹事として任命をされたものと承知をしております。

 当時の法務大臣が、そうした御議論を踏まえた上で、特別部会という形でこの構成をしたこと、そして、その中にはさまざまな立場の方を指名し、長い御議論を御自分の立場から非常にしっかりと御主張いただいてきたこと、そして、そういう積み重ねの中で最終的な答申がなされたということ、このことを私自身は重く受けとめさせていただきたいというふうに思っております。

 そのパーセントについて、それがどうかというような評価も今、鈴木委員からいただいたということでございまして、これからさまざまなことを考える上で大変得がたい御指摘をいただいたというふうに思うところでございます。

鈴木(貴)委員 そして、この答申が出る前にも、実際に冤罪被害者の皆さん方が法務省を訪れまして、その特別部会に対して、全過程の可視化の要望書、こういった申し入れなども実際にされているわけです。

 この冤罪被害者の皆さんのそういった直接的アプローチであるとか、生の声、実情、こういった声は答申のどういった部分に組み込まれたのか。もしくは、全くその声を取り入れられていないのであれば、取り入れられていないと簡潔にお答えを願います。

林政府参考人 法制審議会は長きにわたり開催されておりまして、いろいろな御意見が寄せられました。それについては、各委員、各幹事に対しまして、そういった声があることについては周知させていただいたところでございます。

 また、法制審議会の中でも、例えばヒアリングというようなものをやりますけれども、ヒアリングで誰を呼ぶのかというようなことも、当然、結局は法制審議会の委員の方々の御議論の中で決まっていくものでございますが、その中でも、法制審議会のヒアリングの中で、例えば志布志事件の元被告であった方も参加していただいたということがございます。

鈴木(貴)委員 十分なことをやってきた、今そういったことを述べていらっしゃるのかな、こう思うんですけれども。

 実際、皆さんもレクを受けるときなんかにA4のポンチ絵つきの紙をよくごらんになっているかと思うんですが、そしてまた、先ほど来から大臣も、取り調べによって得られた供述に過度に依存をしないように、このように言っておられます。

 過度に依存をしないというのであれば、少々依存をすることはいいんでしょうか。上川法務大臣と山谷大臣、お二方に。

上川国務大臣 取り調べ及び供述調書への過度の依存ということでございますけれども、まず、捜査におきまして、事案の解明に向けて証拠を収集するということに当たりまして、被疑者の取り調べによって供述を得る、その得ようということを過度に重視していく、こうした行き過ぎにつきましての問題が発生し、また、公判におきましては、事実を立証するに当たっても、取り調べを通じて作成した詳細な供述調書を過度に重視している、このことが大きな問題点として提起をされたところでございます。

 そして、この過度に依存している状況に至った背景といたしまして、時代に即した新たな刑事司法制度の基本構想において、取り調べは、ほかに有力な証拠収集手段が限られている中で、事件についての知識を有する者から供述を機動的に得る手法として、事案の解明を目指す捜査におきましては中心的な機能を果たしてきた、そして、供述調書につきましては、取り調べの結果得られた供述について争いのない事件におきましては、これを効率的に公判に顕出させて供述内容を立証する手段として機能するということでございます。

 こうしたさまざまな適正な形で、捜査あるいは公判におきまして、しっかりと立証することができるようにしていくということ、そのために、過度の依存ということについては極めて大きな問題だというふうに位置づけられたものと思っております。

山谷国務大臣 取り調べや供述調書に過度に依存した捜査から脱却するということが本改正の理念であります。証拠収集手段の適正化、多様化を図ることなどを目指した各種制度が多角的に検討されたところであります。

 その一方で、捜査の手法は、刑事訴訟法等においてさまざまなものが設けられているところでありますが、その中でも、被疑者の取り調べは、故意や目的といった犯罪の主観的要素や、共犯関係における謀議の状況等の解明、真犯人のみが知り得る犯罪の全容の解明、供述によって新たな客観的証拠の発見に至ることなど、事案の真相解明のため非常に重要な役割を果たしているものであり、適正な手続のもとで被疑者の取り調べを行うことや、それによって供述調書を収集することは、引き続き重要なものであると考えております。

鈴木(貴)委員 山谷大臣に重ねて質問させていただきます。

 つまりは、捜査の柱に置くこと自体については従前どおり肯定をされている、そういう認識でよろしいんでしょうか。

山谷国務大臣 過度に依存した捜査から脱却するということが本改正の理念であります。

 一方で、適正な手続のもとで被疑者の取り調べを行うことや、それによって供述調書を収集するということは引き続き重要なことであると考えております。

鈴木(貴)委員 山谷大臣にまた重ねてお尋ねします。

 過度に依存した供述というのは、その過度のラインというんですか、どこからが過度で、どこからがちょっと過度、ほんのちょっとだけ過度、その過度というものの定義を制度上としてしっかりと担保しないといけないと思うんですね。

 なぜならば、過度な取り調べ、過度に依存した供述調書によって、まさに我々はそのためにも今この議論をしているわけです。過度の定義をぜひとも教えてください。

山谷国務大臣 過度の定義というのを何か言葉であらわすというのは難しいものもございますが、ただ、被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則というのを、さまざまな冤罪等の事件を受けまして策定いたしました。

 「監督対象行為」として、「やむを得ない場合を除き、身体に接触すること。」「直接又は間接に有形力を行使すること。」「殊更に不安を覚えさせ、又は困惑させるような言動をすること。」「一定の姿勢又は動作をとるよう不当に要求すること。」「便宜を供与し、又は供与することを申し出、若しくは約束すること。」「人の尊厳を著しく害するような言動をすること。」等々を、不適正な取り調べにつながるおそれのある行為として定めたところでございます。

鈴木(貴)委員 今、山谷大臣、いわゆる取り調べ全般についてのことをお話しされたと思うんですけれども、私は、供述について、一点に絞って今お尋ねをさせていただいております。

 取り調べによって得られた供述に過度に依存しないようにすべき。では、言葉をかえると、これは、取り調べによって得られた供述に少しだけなら依存してもよい、こういうお考えでしょうか。

山谷国務大臣 適切な取り調べのもとにきちんとしたことがなされていくということが重要だと思っております。

鈴木(貴)委員 これはずっと水かけ論で、私は多分これだけで一時間ぐらいやれる自信が今あるんですけれども、それをやってしまっては建設的にならないので。

 これは、例えば、今現在、取り調べによって得られた供述に過度に依存しないように、こういう文言をよく使われます。私は、提案、提言として、これを、取り調べによって得られた供述に依存しないようにすべきと。過度という言葉をネグっちゃうということはできないんでしょうか。過度という言葉が定義ができない、こうおっしゃるのであれば、過度という言葉をネグっちゃう、これはできるんじゃないでしょうか。

山谷国務大臣 取り調べによる事案の解明を追求する余り、取り調べにおける手続の適正確保が不十分となりかねない等々、不適切なことがないように、適正な手続のもとで被疑者の取り調べを行うことや、それによって供述調書を収集することは引き続き重要だと考えております。

鈴木(貴)委員 山谷大臣に引き続きお尋ねをさせていただきます。

 平成十九年なんですけれども、まさに鹿児島県警におきまして、「いわゆる志布志事件の無罪判決を受けた再発防止策について」、こういったものがペーパーとしてリリースをされております。

 この法務委員会などでも上川法務大臣も、たゆまぬ努力が必要だというふうによくおっしゃっていただいているんですけれども、この再発防止策、山谷大臣も、まさにそのたゆまぬ努力のためにも、今後もしっかりと検証結果であるとかを引き継いでいかれるべきだとお考えでしょうか。

山谷国務大臣 しっかりと検証結果を踏まえながら行ってまいりたいと思います。

鈴木(貴)委員 であるならば、お尋ねをします。

 これは平成十九年にまとめられて、そのときに鹿児島県警のホームページに上げられていたんですね。ちなみに、上げられ方はPDFファイルで上がっておりました。しかしながら、いつかわからない、何年の何月何日かわからないんですけれども、今はそのPDFのファイル、ホームページから削除されているんです。

 今大臣がおっしゃったように、志布志事件、しっかりと今後も、そこでの検証、そして反省すべき点について引き続き見ていくんだ、注視をしていくんだというのであれば、これはなぜホームページから削除されてしまっているんでしょうか。

三浦政府参考人 鹿児島県警のホームページから削除されたという事実関係につきましては、ちょっと突然のお尋ねでございまして、定かではございません。

 ただ、この志布志事件の反省、教訓というものは極めて重要なものでございまして、先ほど大臣からも御答弁がありましたように、まさにこの志布志事件、また並行してございました氷見事件、こうした事件の検証の結果を踏まえて、先ほど来御説明をしている取り調べの監督制度というものが新しくでき、また犯罪捜査規範が改正をされて、深夜また長時間にわたる取り調べを避けるといったことが明記をされる、また、警察大学校等での教養についてもかなり新しいものが始まったというようなことで、まさにこの事件の反省を受けて、今につながるさまざまな制度が構築をされているものというふうに認識をしています。

鈴木(貴)委員 この質問をするに当たって、きのうもそうですし、きょうも本会議と委員会の間にも、私は改めて鹿児島県警のホームページをのぞいて必死に捜し、そしてまた、リンクと言われる、ここからクリックしたらそこに飛べる、あれも全てリンク切れにやはりなっているんですね。もちろん、法務委員会のしかるべき場でありますから、私も、うそといいますか偽った情報をあえて発言するようなことはいたしておりません。

 そういった意味で、大臣、もし実際に鹿児島県警ホームページ上から削除していた、今ホームページ上にない、こういったことがわかった場合には、大臣の方から、戻すべきでないか、このように進言すべきだと私は思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

山谷国務大臣 事実関係がわかりませんので、ちょっと調べさせていただきます。預からせていただきたいと思います。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。調べていただいた上で、また、その際の対応についても、私どもとしても確認をさせていただきたいな、このように思っております。

 そして、上川大臣にもあえてちょっとお尋ねをさせていただきたいんです。

 最高検もまとめをしているんですね、この志布志事件に関して。その最後のページなんですけれども、「検察としては、自らが適正な捜査に努めることはもとより、警察における被疑者の取調べを始めとする捜査状況をも的確に把握し、問題があれば直ちに是正するなどの措置を講じる必要がある。」こういった記述がされております。

 事実関係を把握した上で結構ですが、法務大臣としても、この鹿児島県警のホームページ上の取りまとめの削除、事実か否かの確認と、そしてまた削除がされていたときにはしかるべき対応をとるようにという指示を出していただきたいと私は思っているんですが、大臣、答弁願います。

上川国務大臣 ただいまの件につきましては、山谷大臣が責任を持って対応するということでございますので、そうした取り組みがしっかりやられるということをなさるというふうに思っております。

鈴木(貴)委員 ぜひ大臣としても、取りまとめにしっかりと「問題があれば直ちに是正するなどの措置を講じる」、このように書いてあるわけでありますから、しっかりとその職責を果たす意味合いでも、お願いをさせていただきます。

 私は、前回の質問の際に、答弁の中で、これは林刑事局長なんですけれども、氷見事件及び志布志事件の捜査、公判活動について問題を検証している、問題点を検証して、その結果等を公表したという答弁をいただきまして、私もすぐにその資料を手元に取り寄せまして、読ませていただきました。

 そこで、「再発防止のための方策」というものが最後のページにあるんですけれども、全体でこの取りまとめは十数ページにわたっているんですが、びっくりしたのが、「再発防止のための方策」というのがこの中の一ページ半もないんです。

 そして、その「再発防止のための方策」、大きく分けて五つあったんですね。例えば、証拠の吟味と総合的評価の重要性、警察捜査に対する早期の積極的関与、捜査指揮に当たる検察官の事件担当検察官に対する指揮、指導、事件に応じた捜査態勢を構築すべき、長期公判を避け被告人の身柄拘束期間の適正化を図る。

 これは、五点挙げられているんですけれども、何一つ真新しいものがない。これで果たして適正に問題点の検証を行ったと言えるのか。

 検察が真摯に再発防止策というものを考えるのであれば、私は、本来であれば、平成十九年八月に最高検察庁によって出された、「いわゆる氷見事件及び志布志事件における捜査・公判活動の問題点等について」というこの紙において、積極的にみずから、検察庁の側から、取り調べの全過程の可視化、こういったことが提言として上がってきて妥当である、このように思うんですが、建設的な、具体的な提案が何一つなかったことに対して、林刑事局長、何か答えられることはありますでしょうか。

林政府参考人 氷見事件、志布志事件につきまして検証を行った結果、全て、基本に忠実な捜査というようなものについてそれが励行できていたのかということがやはり問題点として明らかになったために、このような形での再発防止策、特に指摘すべきところ、そういったところに焦点を当てて、その記載がなされたものと思っております。

 基本に忠実な捜査というのは、結局のところ、消極、積極、両方の証拠について、総合的に真摯にその判断をするというのがまず第一点でございますし、そこに至る証拠収集の手段についても適正なものでなくてはいけないということ。あるいは、やはり、こういった事件については、警察から送られてくる事件でございます、実際に立証に責任を負う検察官としましては、警察における捜査の状況というものについてもしっかりと把握した上で全体の証拠判断をしなくてはいけない。あるいは、今回、この事件においては、身柄の勾留期間が長期にわたった、そういったものについても審理計画等の策定に当たって考慮すべきであった。このようなことを指摘されていたものと思っております。

鈴木(貴)委員 今の刑事局長の答弁を聞いても、私が一番問題意識を置いている、いかほど反省をし、そしてまた二度と起こしてはいけないんだということへの危機感、こういったものがなかなか答弁から感じられない。

 そして、多分刑事局長のお手元にもその取りまとめがあるかと思うんですが、最後から四ページ目、右上の方なんですけれども、「五 捜査の問題点」の「6 取調べの問題点」、そこにこういった文章があるんです。「もとより、被疑者に真実を語らせるためには、時には追及的な取調べを行う必要があることは言うまでもないが、そうであったとしても、被疑者から自白を引き出す上では、被疑者との信頼関係を構築する必要があり、それなくして、単に追及的な取調べを行うのみであれば、真実の自白を得ることはできず、」こういって書かれているんですね。

 まず、「時には追及的な取調べを行う必要があることは言うまでもない」と言い切っているところも非常に驚いたんですけれども、「被疑者から自白を引き出す上では、」なぜここで自白という言葉が使われているのか、私はここに大きな疑問を持っているんです。

 自白というのは、いわゆる被疑者がみずからの罪を言葉にしていくことを自白というと思うんですね。被疑者であるということは、グレーなときは、まだ罪人ではないはずなんです。しかしながら、密室での取り調べ、おまえがやったんだろうという強圧的なものがあったというのは、既にあたかも犯罪者であるかのように捜査官側が一方的に決めつけていた、そういったことも私は背景の一つにあると思うんです。まさにその思いが、今のこの言葉、「被疑者から自白を引き出す上では、」

 取り調べというのは、自白を引き出す場なんでしょうか、それとも真実を語らせる場なのか、どちらなんでしょうか。

林政府参考人 取り調べは、真相を解明するためでございます。したがいまして、自白を引き出すこと自体が目的とされるものではございません。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。さすが林刑事局長です。こういった答弁を待っておりました。

 ということであれば、平成十九年八月に最高検が出されたこの資料、これは書き直した方がいいんじゃないでしょうか。林刑事局長、書き直した方がいいんじゃないでしょうか。答弁をお願いします。期待しています。

林政府参考人 この検証の結果についての記載につきましても、これは取り調べにおいて自白を引き出すこと自体を目的とするということを前提として書いているものではございません。

 あくまでも、そういった取り調べの中で、適正な取り調べをする中で、真相に迫るために時に追及的な取り調べを行う必要があるということについてはそのように記載されております。実際、取り調べでございますので、真相の解明について追及的な取り調べというものがなされることはございます。ただ、それが真実でない自白を引き出す、あるいはそれに向けての適正を欠く取り調べになってはいけないことは当然のこととして、ここに記載されているものと考えております。

鈴木(貴)委員 今の刑事局長の答弁は、私はやはり納得いかないんですね。なぜならば、この最高検の取りまとめ、つくったのははっきりしています、最高検です。誰のためにつくったんでしょうか。これは、こうして実際にオープンにもなっているものなんです。国民がアクセスしようと思ったら、もちろん読めるわけです。

 そういう意味では、まさにこの間の裁判員裁判の話でもないですが、国民一人一人にわかりやすい言葉で、林刑事局長が間違ったことを言っていない、しっかりと反省しているんだというのであれば、それをしっかりと示すためにも、誤解を与えないためにも、「被疑者から自白を引き出す上では、」の自白という言葉を、真実を語らせるという言いぶりに直す方がより国民の皆さんからの理解も上がる、ひいては、今、皆さんが一番求めている国民からの信頼回復にも資する、このような観点で私は提案をさせていただきたい。

 林刑事局長、「自白を引き出す」の自白、検討をしていただける余地はあるのか、ぜひ答弁を願います。

林政府参考人 今回のこの記載について、法務当局からこの問題について指摘をすることはできないと思っておりますけれども、この記載の中でも、やはりその後に「真実の自白を得る」というところの記載もございまして、当然、この自白というものが真実の自白であるということを前提にしてここでは記載されているものだと思います。

 もとより、追及的な取り調べというものは、ここにも書いてございますが、「追及的な取調べを行うのみであれば、」「ひいては、その任意性や信用性に疑いを招くような事態になりかねない。」という指摘もございまして、取り調べにおいて追及的な取り調べというもの自体を否定するものではないけれども、追及的な取り調べのみを行うのであれば問題が生じ得るという問題認識がここに出ておりまして、この問題認識は、検察の在り方検討会議においても同じく、ともすれば追及的な取り調べからいろいろな問題が生じ得るという問題認識に立った上でさまざまな提言がなされてきていると理解しております。

奥野委員長 時間が来ています。

鈴木(貴)委員 はい。

 今の答弁、また改めて今後の質問で追及をさせていただきたい、このように思っております。

 ありがとうございました。

奥野委員長 次に、井出庸生君。

井出委員 維新の党、信州長野の井出庸生です。

 きょうは、大臣、そして国家公安委員長、よろしくお願いをいたします。

 概括的な質疑ということで、まず、法案の肝である可視化のところから伺っていきたいのですが、可視化は、端的に申しますと、裁判の立証においてはいい、しかし、取り調べ上支障がある、そういうことがずっと言われてきて、特に警察サイドですね、取り調べの支障というところをずっと言われてきておるんです。

 改めてわかりやすく伺いたいので政府参考人でも構いませんが、可視化が取り調べに一体どういう支障があるのか、ちょっとわかりやすくお答えいただきたいと思います。

林政府参考人 取り調べの録音、録画につきましては、一方で、供述の任意性等の的確な立証、判断に資する、あるいは取り調べの適正な実施に資するという有用性がある一方で、やはり録音、録画のもとでは自分の記憶に基づいた十分な供述ができない場合があり得る、そういうある意味での問題点というものが指摘されていると承知しております。

井出委員 さきの本会議でも同じところを質問させていただきまして、また、ほかの党の先生も、可視化の取り調べへの支障というところで、本会議の答弁では、やはり今、林局長からお話があったようなことですとか、また、交友、交際関係ですとか、そういう話しにくいところも出てくるというようなお話がありました。

 私はこの問題をずっと見てきまして、一言で言われるのが、捜査員また取り調べの検察官と被疑者との信頼関係が築けない、そのことを捜査当局から言われてきたんです。その信頼関係というもの、前の本会議では明確な答弁をいただけなかったと思うんですけれども、信頼関係が築けない、損なわれるというこの意見について、警察庁の刑事局長から少しわかりやすい御説明をいただきたいと思います。

三浦政府参考人 被疑者の取り調べにおきまして、被疑者は、罪を犯し、どうしてもそうした罪から逃げたいといったような心理も働くわけでございます。

 そうした中で、取り調べ官が情理を尽くして、被疑者にある意味では心を開かせて、この調べ官のもとで供述をしよう、そういう気持ちを生ぜしめて、そして真実の供述を得るに至る。そういったためには、ある程度時間をかけた被疑者と調べ官の間でのさまざまなやりとり、単に事件のことだけを聞くというのではなくて、例えばお互いの生い立ちであったりとか、そういったプライベートにわたる部分も含めてさまざまなやりとりをしながら、そうした中で被疑者がかたく閉ざしていた心を開く、そういった作業が間々行われることがございます。そうしたことを一言で信頼関係と言っているものと理解をしております。

井出委員 被疑者とさまざまな話をしていく。もちろん、被疑者が心を開くことが、真相を、被疑者しか知らないことを話させる一つの方法だとは思うんですけれども、それを、取り調べの録音、録画、可視化ですとか、私が本会議でお話をしましたICレコーダーの録音でもいいんですけれども、特に取り調べの全過程を録画、録音などする際、裁判員対象事件はそうだと思いますけれども、全てを録音、録画する分には、録音、録画という存在が、場面、場面だけを撮影するというのであればカメラを意識して話ができないということもあるかと思うんですけれども、全てもうずっと撮っています、常設でカメラがあります、そういう状況であれば、信頼関係というところの懸念は、当初、可視化に試行で取り組んでこられたころよりも、カメラの存在が被疑者の妨げになるという状況ではなくなってきているんじゃないかと思うんですけれども、警察庁の三浦刑事局長に伺いたいと思います。

三浦政府参考人 これは、ケース・バイ・ケースということもあると思いますけれども、やはり録音、録画のもとでは、供述内容や態度が直ちに記録をされてしまう、そのまま残ってしまう、そうしたことに対する警戒心というものがややもすれば働いて、なかなか真実の供述、素直な供述をしてもらうことが難しいといったような傾向があるように理解をしています。

 ちなみに、警察におきましても、平成二十一年度から、裁判員裁判対象事件等についての録音、録画の試行というものを全国で実施しております。この中で、平成二十五年七月に取りまとめられた施行状況の検証というのがありますけれども、そうした中で、例えば、録音、録画をしていないときには積極的に供述をしていた被疑者が、カメラを前にして、言葉数が少なくなるなど供述や態度が変化した、また、録音、録画をしていないときには共犯者を含む事実について供述していた被疑者が、カメラを前にすると共犯者をかばう供述になったといった取り調べ官の意見が報告されているところでありまして、事案によっては、やはり録音、録画によって供述が得られにくくなるという場合があるものと認識をいたしております。

井出委員 今度は林局長に伺いたいんですが、検察庁の方は、試行、運用で取り調べの録音、録画をかなり進めてきている、さきの与党の質問、若狭委員の御質問の中にも、かなりの範囲で運用してきているというところが冒頭に指摘があったと思うんですけれども、私は、取り調べの支障になる、信頼関係、心を開かない、そういうことをずっと言われてきていますけれども、検察は、それに対する調べの変化、可視化されてもきちっとしゃべってもらえるように調べのあり方を変えていこう、そういうことをやって、可視化が支障になるというところを一定程度乗り越えてきたから、可視化が検察庁の中で大きく広がってきている一つの要因ではないかと思いますけれども、そのあたりの変化、林局長、ずっと試行、運用されてきて、感じられていますでしょうか。

林政府参考人 先ほど来、録音、録画化で信頼関係をどのように構築するか、あるいは、一部分を撮っているだけではなかなか信頼関係ができないけれども、全体を撮ってしまえば、非常に長い期間撮っていると、調べる側も調べられる側もある意味録音、録画になれる形で、そういった録音、録画のもとでも信頼関係というのができるのではないかというような御指摘だったと思います。

 一面、確かに、録音、録画というものを試行して、しかも、その試行の仕方も、一部分だけではなくて、事件によっては全過程を録音、録画するようになると、そういった面で、取り調べる側も調べられる側も、ある意味、ある程度そういった状況になれるというような状況が生じる場合があるというのはそのとおりだと思います。

 他方で、では、今、試行している中で、録音、録画のデメリットというものを完全に乗り越えられているのかということについては、それは、必ずしも乗り越えられているというふうな形でお答えすることはなかなか難しい問題がございまして、結局、やはり録音、録画をする取り調べの事件の中で、全部ではないにしても、事件の中では、ある特定の事件であるとか、あるいは、ある人の取り調べの中でもある回の取り調べについてとか、そういった中で、やはり録音、録画がデメリットになる事案というのは当然あるわけでございます。

 例えばそれは信頼関係をつくるつくらないというようなことだけではなくて、むしろ、やはり羞恥心とか自分の自尊心等の心理的影響であるとか、自分のプライバシーあるいは他人のプライバシー、あるいは共犯者等への配慮とか、こういったことから、録音、録画のもとでは供述しづらくなるという実態は、個々のケースの中ではあろうかと思っております。

 そういった場合に、それを今回、例外事由というような形で制度化して、そういった問題点をクリアしようとしておるわけでございますけれども、今の検察の試行としての取り組みの中では、それはさまざまな対応があって、多少難しい状況があっても録音、録画している場合もあれば、やはりその部分については録音、録画しないというような対応もあろうかと思います。

 したがいまして、今の結果として、そういったデメリットの部分をどのように乗り越えているかということについては、ちょっとお答えできない部分がございます。

井出委員 一点、端的に伺いたいんですが、可視化を進めて、多くの検察官が、立証上役に立ってる、有効であるというようなアンケートもありますし、実際の裁判で任意性を争うようなもの自体が減ってきた、千件に一件ぐらいの割合だ、かつてに比べたらうんと減ってきているという話は聞いておるんです。

 では、逆に、ある程度証拠も固まっていたんだけれども、カメラのせいで供述がとれなくて事件が潰れちゃった、不起訴になっちゃったとか、そういう統計とか数字というのはあるんですか。

林政府参考人 やはり録音、録画について、そういったことの有用性とか問題点を検証しようとするときに、例えば、事件がうまくいかなかったかどうか、あるいは、起訴できなかったか起訴できたかとか、そのあたりでデータを捉えて検証するというのは非常に難しい問題があります。当たり前のことでございますが、それが直結してその事件が起訴できなかったのか、それとも、もともと起訴できない事件であるのか、さまざまな問題がございますので、そういった形で、検証するときの、起訴ができたかできないか、それが録音、録画とどういう関係があったかということについては、全くデータは持ち合わせておりません。やはり、これまでの検証の中では、どうしても、そういった場合での実際の取り調べに当たっている検察官からの意見等を集約して、それを一つのデータとしているというところがございます。

井出委員 今おっしゃったように、何か確たる数字というものはありませんし、それを出すことも難しいと思うんですよ。現場の方のそういう苦労があったというお話を検察庁も聞かれた上で、それでも可視化に取り組んできた。

 さきの委員の先生との話でも出ていますけれども、検察庁は、平成二十六年六月に取り調べの録音、録画の実施について通知を出して、その中で、公判立証に検察官は責任を負わなきゃいけない、そういうことに留意して録音、録画をやるということで、録音、録画の対象も、身柄事件であって取り調べ状況で争いが生じる可能性がある、被疑者の取り調べを録音、録画することが必要であると考えられる事件をやっていこう、また、被害者や参考人の供述が立証の中核となるようなものもやっていこう、そうやって積極的に取り組みをされているわけですね。

 警察庁の刑事局長に伺います。

 検察と警察で可視化の取り組みに大きな差がついている。本会議で指摘をしましたように、それが、組織の規模、コストの問題、事件数の多さ、そういうところは私も納得をしておりますが、取り調べの支障については、検察は検察で努力してきていると思うんですよ。そこの部分については、私は、検察と同じようにそこを言いわけにしてほしくないんですけれども、いかがでしょうか、警察庁。

三浦政府参考人 確かに、取り調べを行うという点においては、警察、検察で共通する部分も多々あるわけでありますけれども、警察の場合には、やはり第一次捜査機関としまして、まだ犯罪の成否というものが明らかではないという段階でも事件の端緒があれば捜査を開始いたしまして、被疑者等の事件関係者の供述内容でありますとか、順次収集されてくる証拠などとも照らし合わせながら、ある意味では紆余曲折を経ながら事件を解明する、そういった立場にございます。そのために、取り調べの時間や回数なども必然的に多くなる傾向があるわけでありまして、幅広くかつ詳細に、被疑者を初めさまざまな関係者からの聴取や証拠収集を行うということもございます。

 この点においては、特に警察送致事件に関しましては、一定期間の捜査活動を経て警察が集めた関係者の供述でありますとか鑑定結果などの客観証拠がある程度出そろった状態で、警察は事件を検察庁に送り、検察官が取り調べをするということになりますので、そうした意味では、やはり警察と検察の取り調べ、例えば時間でありますとかボリュームという点においてかなり大きな違いがあるというように感じているところであります。

井出委員 組織や事件の規模で取り調べの可視化が検察に追いつかない、また、第一次捜査に当たる、紆余曲折があるというようなお話がありましたが、私は、事件数が多いとか、そういう物量的な問題であればまだ仕方がないかなと思うんです、可視化を始められたのも検察庁の方が早かったですから。

 だけれども、第一次捜査権があって紆余曲折があると、取り調べの部分についての御苦労を言われているんですけれども、私は、裁判になったときに、検察庁の方では録音、録画しているけれども、大事な調べは警察が最初にやっていて録画していませんでした、裁判所で、録画の映像がなければだめですねと言われてしまう。それをやってしまったら、録音、録画してなくても、そのとききちっと供述をして、その後、公判で、何かやはり急に罪から逃げたくなって否認を始めたとか、そういう、本当の犯人を裁判で利することになりますし、警察の努力が無になると思うんですよ。

 ですから、捜査の取り調べへの支障というところは、取り調べに支障があるといって可視化をはねつけるんじゃなくて、可視化をしても、可視化と裁判で出す供述がきちっと合うような取り調べに取り調べの方法を変えていかなきゃいけないんじゃないですか。いかがでしょうか。

三浦政府参考人 先ほど申し上げた答弁は、警察と検察の取り調べの違いというところに少し焦点を当てて、強調して申し上げたわけでありますけれども、そもそも警察としましては、取り調べの録音、録画につきましては、これまでも申し上げておりますとおり、一面、任意性の立証等に資するという側面もあるとともに、やはり被疑者から供述が得にくくなるといった側面があるというふうに認識をしております。

 したがいまして、要するに、全過程の録音、録画の義務づけの対象事件をどうした範囲にするか、その点については、やはり録音、録画のメリットとデメリットというものを総合的に勘案して、そのバランスの中で制度設計を図るべきであるというように考えているところであります。

 そうした意味では、裁判員裁判対象事件というものが、裁判においてわかりやすい立証が求められるといった事件でありますので、全過程の録音、録画の義務づけという制度化を図るとすれば、その範囲であることが適切ではないかと考えているところであります。

 もとより、それ以外の事件について一切録音、録画をしないということでは必ずしもないだろうというように思います。裁判員裁判対象外の事件につきましては、個別の事件ごとに、その事案の内容でありますとか証拠関係等を考慮しまして、また、その供述証拠の必要性といったようなものをもろもろ考慮しまして、個別に録音、録画の実施を判断するということはあり得ることだというふうに考えております。

井出委員 私がお願いしたいのは、本会議でも申し上げましたけれども、今、裁判所は、供述の任意性に関しては、録音、録画の提出されたものが最良の証拠であるという共通認識が全国の裁判官の中でできているんですよ。それは、対象事件じゃなくてもそういうことになっていくだろう、そこまで法制審で言っているんですよ。警察だけおくれちゃうということを、それに何とかついていかなきゃいけない。そのためには、取り調べの中身を変えなければいけない。

 国家公安委員長に伺います。

 本会議でも伺ったんですけれども、可視化は取り調べの支障になる面があるとずっとおっしゃっていますけれども、可視化をしても大丈夫なように取り調べのあり方を変えていかなければいけない、その問題意識を強く持っていただきたいんですけれども、国家公安委員長、いかがでしょうか。

山谷国務大臣 警察では、警察大学校に設置された取調べ技術総合研究・研修センター等において、心理学的知見に基づく取り調べ技術習得のための教育訓練を全国において実践させるため、各都道府県警察の取り調べ指導担当者等に対し、心理学的知見を取り入れて取り調べに関する教育を行うとともに、取り調べ技術のさらなる体系化及びその習得のための教育訓練の方法に関する調査研究も行っているところであります。

井出委員 その中身は、いずれ、もう少し細かく、また時間のあるときに資料等をいただければと思います。

 検察庁が、平成二十四年に、取り調べについて、「検察講義案」というもの、司法研修所検察教官室編というものがあるんですけれども、その中で、被疑者の取り調べ上の注意をよく読むと、信頼関係なんて言葉は一言も出てこないんですよ。あらかじめ何について被疑者に供述を求めるかとかを十分考えておく、入念な準備作業をする、そういうことが書いてあって、例えば、被疑者が自白した場合にもその信用性についての十分な吟味が必要であると。これが問題になったのがパソコンの遠隔操作の誤認逮捕の一端だと思いますけれども。

 これを見る限り、やはり取り調べというものは、私は、信頼関係とかいう抽象的な言葉ではなくて、被疑者のこと、あらゆることを考えて事前に準備をしておくことが大切だと思いますし、ぜひそっちの方に方向転換をしなければ、警察だけ、せっかく取り調べ段階で真実を引き出しても、録音、録画をしていませんでした、では裁判でだめですと、そういうことで警察の努力が無にならないように、意識を変えていただきたいと思います。

 先ほど三浦刑事局長が、全過程の録音、録画は少しメリット、デメリットがあるという話がありまして、法制審の審議を私ずっと見てきたんですけれども、警察は、特に全事件、全過程、録音、録画の範囲を義務づけられることはやはりよくない、ちょっと反対だ、むしろ裁量があった方がいい、我々に任せていただきたい、そういうことを何人もの警察の代表の方が主張されていますが、そういったお考えは今も変わりがないのかどうか、伺いたいと思います。

三浦政府参考人 取り調べの全過程の録音、録画ということにつきましては、やはり取り調べの真相解明機能との関係で慎重に考える必要があるという考え方は、今も変わってはおりません。

 ただ、先ほど申し上げたように、裁判員裁判対象事件はやはり素人の裁判員の方にわかりやすい立証をしていく必要がある、そういった必要性等も総合的に勘案をいたしまして、裁判員制度の事件につきましては、全過程についての録音、録画という制度に最終的には警察としても賛成をさせていただいた、こういう次第であります。

井出委員 私もその議論を読んでおりまして、確かに捜査員に任せる部分も必要じゃないかなと、自分の中で少し発想の転換をしてみて、ちょっと考えてみたんですが、そのとき、先ほど申し上げました検察が出した通知ですね、争いとなるものはできるだけ撮っていく。もちろん、例外規定もありますので、これも全ての事件ではないんですけれども、これは、ある程度立証のリスクに対して自分たちの裁量で積極的に備えていこう、そういう趣旨かなと受けとめております。

 刑訴法改正の法律なんですけれども、三百一条の二のところ、対象事件をるる挙げて、そういうもので被告人や弁護人が請求したときはその記録媒体を出さなければいけない、その後に、それをしないときは、裁判所は、書面の取り調べ、調書の取り調べ請求を却下しなければいけないというのがあります。

 私がきょう問題提起をしたいのは、全ての事件を全過程撮れとは言わない、しかし、この三百一条の二のこの二つの条文をもっとシンプルにして、弁護人や被告人が請求してきたものに対しては録音、録画を出さなければいけない、それができないときは裁判所はそれを却下する、この二つだけシンプルに残しておけば、犯罪者を立証するという責任、そのために、検察も警察も、それぞれの裁量で罪を償ってもらう、正義を果たすためにありとあらゆる手を尽くされると思いますし、そうすれば、警察にも、警察の望む裁量、責任を果たしていただければ、それは十分警察側の考えにも沿うかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

 では、局長、お願いいたします。

林政府参考人 供述調書について、取り調べ請求義務に係る録音、録画記録の提出義務というものを全般的な事件に課すというような御意見だと思いますけれども、いずれにしても、それは、実際の公判におきまして、全ての事件について、録音、録画記録というものが任意性の立証に資するということはもちろんそのとおりでございますけれども、それがなければ任意性の立証ができないかというと、必ずしも個々の事案ではそうではないわけでございますので、それを一律の義務とすることについては問題があろうかと思っております。

 もとより、委員の御指摘される、供述調書を請求する際に録音、録画記録をあわせて提出しなくちゃいけないという意見の根底にある発想につきましては、裁判の実務自体が、実際の取り調べの任意性を立証する最良の方法は現時点ではやはり録音、録画ではなかろうか、こういった認識が随分共有されてきて、実際の裁判実務はそのようになっている。

 そういったことを踏まえながら、検察においては、立証責任を果たす検察官として、今回の対象事件以外のところでも、やはり立証上非常に重要な取り調べについては、そういった観点に立って、自分たちの立証責任を果たすという観点から積極的に録音、録画を行っていこう、そういうふうに考えているものでございます。

    〔委員長退席、柴山委員長代理着席〕

井出委員 今、非常に、うまいと言ったら失礼ですけれども、全般的という表現をお使いになられたと思うんです、全般的に録音、録画することになると。私は、全事件、全ての過程とは申し上げていないんですね。ですから、全般的というお言葉で返されたのかもしれないんですけれども。

 裁判員裁判事件を対象にする、全過程を撮る、例外もありますけれども、そういう義務感が、例えば警察の方でまだ、賛成はしたものの、なかなか、検察庁よりは少し思うところがおありかなと思うんですけれども、私は、今申し上げた、林局長の言葉をかりれば、全般的に録音、録画するということは、全てを撮れという話じゃないんですよ。飲酒運転で事故を起こして捕まった人は、飲酒の数字が出ていて、争いにならないことは火を見るより明らかだ。そういうものはむしろ撮らなくてもいい。ですけれども、目の前にどなたかの御遺体があって、致命傷もない、これは難しい事件になりそうだぞ、そういうものはやはり少し広く撮っていただくとか、そういう方向が、私は、録音、録画の最終的に目指していくところなのかなと思っております。

 録音、録画、可視化の今の問題意識を述べさせていただきました。きょうは一時間しかないので、少し話を前に進めていきたいんですけれども、この可視化の法案で、通信傍受と司法取引のセット、一体的にということが言われております。供述に頼らない、供述調書に過度に依存しないと。私、そこも、ちょっと頭をやわらかくして、そのとおりだ、政府のおっしゃるとおりだと。

 まず、そういう観点に立って伺いたいんですが、山谷国家公安委員長に伺います。

 供述調書に依存しない、客観的な、脱供述偏重にふさわしい、通信傍受と司法取引、どちらが優位性があるとお考えでしょうか。

山谷国務大臣 どちらが優位性というお尋ねでございますが、今回の法案に盛り込まれた制度案のうち、まず、通信傍受法の見直しについて申し上げますと、近年、特殊詐欺の被害は過去最高を更新し続けているほか、暴力団等による一般人を標的とした襲撃事件が多発し、その多くが未解決であるなど、組織犯罪の脅威が深刻さを増していますが、その背景には、真に摘発すべき犯罪組織中枢の検挙が特に困難であるという捜査の実情があります。

 今般の通信傍受法の見直しは、対象犯罪の拡大により、現に一般国民にとって重大な脅威となり、社会問題化している組織的な犯罪の捜査において、その全容解明に資する客観的な証拠の収集を可能とし、安全かつ確実なIT技術を活用し、通信傍受の手続を合理化、効率化することにより、現行法のもとでの立ち会いに伴う通信事業者の負担を軽減するとともに、機動的かつ効果的な捜査を可能とするものであります。

 また、訴追に関する合意制度についても、組織的な犯罪について、末端の実行者などから、より処罰の必要性が高い上位者や背後者の関与を明らかにするための供述を得るなどして事案の全容を解明する、密行性が高い犯罪について、事情を知る者から捜査の端緒となる供述を得て捜査を進展させるなどの効果が期待されるところであります。

 これらの捜査手法については、いずれもその必要性が強く求められ、全て一体として制度化、導入すべきものでありまして、それぞれの捜査手法について優先順位をつけることは難しいと考えています。

 いずれにせよ、新たな制度のもとでも通信傍受や訴追に関する合意制度を適正かつ有効に活用して、安全、安心を求める国民の期待に応えられるように努力してまいりたいと思います。

井出委員 今の御答弁を法務大臣が言っていただく分には、立案の責任者ですから、まあ、よくはないんですけれども。

 私が申し上げたいのは、警察は、これはもう明確に、司法取引については最初は物すごく慎重姿勢なんですよ。むしろ最初のうちは、賛同しかねると。だけれども、警察が少し関与できるようになって、最後は賛成すると。

 逆に、通信傍受に関しては、たしか、法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会、第二十一回、平成二十五年十一月かと思うんですけれども、元警察庁長官の佐藤委員がるるお話を挙げた中で、「せめて通信傍受ぐらいは使い勝手の良いものにしてやらないと、捜査の現場は誠につらいという現実があるということを申し上げ、」と。

 供述に頼らない、別の客観的な証拠を収集すると。今度は局長にちょっと伺いたいんですけれども、もう審議時間がない、通信傍受と司法取引両方は審議できないからどっちか一個だけ考えてくれと言ったら、警察はどっちをお求めになりますか。

三浦政府参考人 どちらを選ぶという質問につきましては、やはりこれはちょっとお答えを控えさせていただきたいというように思います。

 ただ、通信傍受につきましては、既にある制度でございまして、十年来、警察としても運用してきた制度でございます。そうした中で、いろいろな問題点でありますとか、対象犯罪の狭さであるとか、いろいろな具体的な問題点というものを認識していたというところもございますので、よりよい制度にしていただきたいという思いが強かったというようには認識をしています。

 ただ、司法取引制度につきましても、これはまだ本当に新しい制度でございますので、実際どのように運用していくのかというところについては、まだまだこれからいろいろと検討、研究を要するというところもございますので、そういった意味で、法制審議会の場においても、そういった警察サイドからの意見もあったかというようには認識をしておりますけれども、今現在、刑事訴訟法等の一部改正案ということで、これは一括をして成立させていただきたいということで御提案を申し上げているものというように認識をしているところであります。

井出委員 司法取引は、まだ少し検討の部分もあると。通信傍受はもともとありますし、その必要性もずっと感じられてきたと思うんですけれども、この法律は、可視化については法律ができてから三年後、そして司法取引はたしか二年後からやると。通信傍受だけ、法律が成立してから半年後でやっちゃうんですよね。しかも、今回、立会人をなくす、暗号化してきっちりとそこをやっていくんだと。その暗号化については、用意が追いつかないのか、三年後になりますと。

 私は、法律が成立するのがいつか知りませんけれども、その後のそれぞれの取り組みの実施状況で、傍受が六カ月後、それも暗号の部分をおいて始まっちゃうよという部分を見ても、これは通信傍受というものに相当の重きを置いているのかな、そういう問題意識を持っております。

 通信傍受について伺っていきたいのですが、専門的なところはまた他党の先生に勉強させていただきながら議論を深めていきたいんですけれども、きょう私が伺いたいのは、資料をお配りしております、特定秘密と通信傍受の関係であります。

 通信傍受は、もともと四つの犯罪に、これからさまざまなものが加わる。一方で、特定秘密、対象となる別表の第三、第四号。特定有害活動、スパイですね、別表第三。別表第四はテロリズムなんですけれども、これは、改めて特定秘密の別表を読んでみたら、別表第三も第四も、スパイとテロリズムという、文字が違うだけであとは一緒だからこうやって同じように表現をさせていただいたんですけれども、私は、これは皆さんにわかりやすいイメージということでつくってみたんです。

 端的に申し上げたいのは、組織的殺人ですとか集団密航、もともとあったものですね。これから加わる爆発物の使用の罪や誘拐、時には窃盗なんかもあると思うんですけれども、これがテロを目的としてやられた場合、これがテロ捜査の対象となれば、特定秘密の情報と通信傍受の捜査で得られるものは明確に重なってくるんじゃないかというところをまず伺いたいと思います。

 警察庁と、あと北村さんがよろしいですかね、お願いします。

    〔柴山委員長代理退席、委員長着席〕

北村政府参考人 お答えいたします。

 特定秘密保護法におきましては、先ほど御指摘がありましたように、特定秘密の指定の要件といたしまして、法律の別表に掲げております四分野、防衛、外交、特定有害活動の防止、それからテロリズムの防止、この四分野の二十三項目のいずれかに該当する事項に関する情報であるというのが一つ目、二つ目に、公になっていないものであること、三つ目に、その情報の漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるという三つの要件を定めまして、この三つの要件に該当する情報を行政機関の長は特定秘密として指定するということとなっております。

 この特定秘密保護法でございますけれども、特定秘密に指定される情報の収集について何ら触れるものではございませんで、行政機関が保有している情報の保護について定めるものでございますので、現実の問題といたしまして、委員御指摘の、通信傍受により得られた情報というものが特定秘密になるかどうか、また、なるとしてどのような情報が特定秘密に指定され得るかどうかということにつきましては、実際に得られた情報につきまして行政機関の長が個別具体的に判断するということが必要でございますので、御指摘の点につきまして一概にお答えすることは困難であろうというふうに考えております。

 お示しいただきました図でございますけれども、特定秘密保護法につきましては、先ほど申し上げましたように、収集の方法について触れるものではございません。他方、通信傍受につきましては、犯罪の捜査のために通信傍受法に基づいて行われるものということで、その射程とするところは明確に異なっておりますので、同じ平面におきまして、両者の包含関係といいますか、それを論ずるというのは必ずしもなじまないのかなというふうにも感じておるところでございます。

井出委員 今、北村さんから、指定する各省庁の判断ということで、本当は警察庁長官に伺うべきところなんですけれども、私は、通信傍受の捜査をしている中で、特定秘密と重なる情報を入手することもあると思うんですよ。特定秘密として指定すべきような情報をとるようなこともあり得るんじゃないか。

 また、現に、通信傍受に関する法律は、第十四条で、例えば、ほかの犯罪、令状をとったもの以外の犯罪の実行を内容とする通信の傍受も認めておりますし、そこは、警察としては、この重なり合う認識を持っているのか、それをまた区別できるすべがあるのか、どのように考えられているのかを伺いたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 通信傍受の際に特定秘密である情報を傍受することがあるのかという御質問でありますけれども、実際、なかなかまだ想定しがたいものがありますけれども、一般論として申し上げれば、通信傍受法に基づき傍受すべき犯罪関連通信に特定秘密として指定されている情報が含まれている場合には、これを傍受することもあり得るものというふうに考えております。

井出委員 今、あり得るというお話があって、北村さんに伺いたいんですけれども、先ほど、特定秘密保護法というのは情報の収集じゃない、情報の保護、管理の仕方なんだというお話があったんですけれども、別表を見ますと、ハの部分なんですけれども、「情報の収集整理又はその能力」、二行下に行って、「aからcまでに掲げる事項に関する情報の収集若しくは分析の対象、計画、方法、情報源、」と。

 私が伺いたいのは、通信傍受で特定秘密のある情報をとることがあり得る。そのときに、とった情報は特定秘密になるんでしょう。その方法として通信傍受でその情報を得たこと自体も特定秘密になるのかならないのか、北村さんの見解を伺いたいと思います。

北村政府参考人 お答えいたします。

 ここの資料に示されておりますロとハの行につきましては、特定秘密保護法の別表の記載でございます。今お示しになりましたaの部分と、ハの下から始まる「ロaからcまで」と書いてある部分は、特定秘密保護法の運用基準の表現でございます。

 それを前提として御答弁いたしますけれども、これらにつきましては、別表の二十三項目、運用基準も入れますと五十五項目ございますけれども、これらに該当するものを行政機関の長が特定秘密に指定することができるわけでございますけれども、現実にどのような形で特定秘密を指定するかということは、個別の指定を見ていく必要がございます。

 したがいまして、警察庁でいいますと、警察庁が個別の特定秘密の指定をしたものの中にそうした情報収集の方法、ここで言う方法といいますのは、情報収集の要領でありますとか技術でありますとか手法というようなことでございますけれども、これらについても特定秘密にしますというふうに指定をしておれば、おればということでございますが、それは特定秘密になり得るということであろうと思っております。

 なお、ロの部分につきましては、こちらの収集、保有しております情報の中身に着目しておる指定の対象事項がロでございまして、ハといいますのは、情報収集の対象ですとか手段といった観点から特定秘密とされる情報ということでございますので、そういう意味では、先ほどの局長答弁のように、通信傍受の結果得られた情報が特定秘密にされることがあったとして、その中身につきましては、ハではなくしてロの方で特定秘密になり得るのであろうというふうに考えております。

井出委員 もう一度、通信傍受で得た情報が特定秘密になり得る場合に、通信傍受というその手段も特定秘密になるのかならないのか、そこだけもう一回お願いします。

北村政府参考人 お答えいたします。

 具体的な個別の指定におきまして、その収集方法というものが、通信傍受であるのか、例えば追尾とか監視とか、あとは人的情報源によるとかということも含めまして、特定の指定がされているということであれば、ここの「方法、」で読み得るということになると思います。

井出委員 ここはすごく大事なところだと思います。特定秘密保護法ができたときに、これはイメージの問題で語られてきた部分もあるんですけれども、政府はいろいろなことを情報収集して、それを全部秘密にするんじゃないか、そういう話があって、それに対して、そういうことはないと、当時、森大臣も、何かやましいようなものを秘密にすることはないということははっきりと言ってきたんです。

 通信傍受に関して言いますと、現に共産党の幹部が盗聴された事件があるわけです。あれは、捜査令状があったわけでもない、何かの捜査だったのか、それとも、捜査とは全然関係のない、いわゆる政府なり行政機関の情報収集だったのか、そのぐらいで語られなければいけないレベルの、よくよく検証しておかなければいけない事件だったと思います。

 また、スノーデン氏がアメリカの情報機関の盗聴の実態を暴露した件などを見れば、特定秘密保護法の議論のときに、アメリカがやっていて、日本だって少しは情報収集でそういうことをやっているんだろう、過去には共産党の幹部の事件もあっただろう、そういう懸念の声というものが上がりまして、さらに通信傍受の対象の犯罪が拡大することで、私は、この特定秘密と、盗聴とは言いませんけれども、この通信傍受が重なり合って、捜査の情報、警察がやるのは基本は捜査なんですよ。だけれども、特定秘密というものは、捜査だけではなく、政府の情報収集の部分もあるんですよ。そこが、ここの重なり合いの部分の懸念というものが、通信傍受の犯罪の罪種の拡大によって、ここは極めて不安であって、ここをよくよく見ていかなければいけないと思います。

 大事な問題ですので、大臣から答弁をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

上川国務大臣 政府によりまして情報収集活動したものではありますけれども、これは、法令をしっかりと遵守して適正に行われるということでございます。ですから、違法な情報収集活動それ自体、法令違反ということで否定されるべきものというふうに考えておりまして、その結果として得られた情報につきましては、特定秘密に指定しなければよいというものでは必ずしもないというふうに考えているところでございます。

 御質問の中で、今、証言という形で問題を提起されたところでございますけれども、そもそも、今回の通信傍受につきましては、これは、犯罪の捜査ということを専らの目的としてなされるものでございまして、この目的に照らして適正に運用していく。このことと、それから、特定秘密保護法というのは、そもそも目的そして理念が違うということでございますので、その意味では、法律そのものが融合している、二つのものが重なり合うというような、そういう問題につきましては、もともと目的が違うものであるということを明確にしていかなければいけないというふうに思っております。

井出委員 警察庁の方の御答弁で、通信傍受の捜査の過程で特定秘密となり得るものをキャッチするといいますか、そういうことはあり得るということはおっしゃっていただいて、今大臣から、特定秘密というものは何か違法な情報収集をするものではない、そして犯罪捜査と特定秘密の法律は理念が違うんだとおっしゃったんですけれども、それを明確に分けるすべがないと思うんですよ。分けるすべもないし、きちっと分かれているかを我々は一切知るすべがない。そこにどう向き合うのかを教えていただきたい。

上川国務大臣 先ほど、通信傍受をしている過程でキャッチされた情報そのものが特定秘密に指定されている情報である、こうしたことについては現実的にはあるわけでございます。

 しかし、それはそれとして、特定秘密の目的に照らして指定をされた情報そのものが通信傍受でたまたまとり過ぎたということでございまして、そのことについては、そういう現実は起こり得るということではございますけれども、通信傍受をしていたものの中でその指定をするというようなことについて、これは、目的に対して考えてみると、この目的ではないというふうに私は考えております。

井出委員 特定秘密を所管されている上川さんでもありますから今ちょっとお話を伺ったんですけれども、国家公安委員長に伺いますが、実際、警察の捜査、通信傍受の拡大によって、特定秘密になり得るものがそこでキャッチされることがある。ただ、上川大臣おっしゃったように、捜査の目的でやるのが通信傍受だ、令状をとってやると。

 特定秘密というものは、それはテロ捜査もありますけれども、その中には政府の行政としての情報収集、むしろ外交、安全保障ですから、そっちの意味合いが強いんですね。我々は、それをどうやって分けているのか、ちゃんと運用しているのか、どんなに知ろうとしたって、大事な秘密をきちっと管理するのが特定秘密保護法でしょうから、それを検証するすべもなく、山谷さんですとか警察庁長官、警察側はそこをどのように取り組まれるのか、伺いたいと思います。

高橋政府参考人 警察における情報収集の手段として通信傍受を用いることはあり得るのかという御懸念だと思いますけれども、通信傍受法に基づく通信傍受は、具体的な犯罪が発生した場合に、これに関連する捜査として行うものでありまして、犯罪発生の将来のおそれのみに基づいて通信傍受を実施することはできないものと承知しております。

井出委員 具体的な捜査に基づいて通信傍受を始めて、その中で、思いも寄らない、特定秘密に類するようなものも出てくるかもしれませんし、厳密に言えば、事件化されなかったとか、裁判所に原記録は提出されますけれども、事件として日の目を見なかったときに、実際に犯罪が進行しているかどうかは、やはり我々からすれば非常にそこはわかりにくいと思うんですね。

 ですから、この問題、時間なので、また次回、金曜日にやらせていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

奥野委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 維新の党の重徳和彦です。本日もよろしくお願いいたします。

 前回、私は、日本の刑事裁判手続が国際的にさまざまな指摘を受けているということについて、問題を取り上げさせていただきました。それが、ひいては日米の間の、特に駐留米軍の兵士の犯罪の取り扱い、治外法権的な取り扱いに対しても影響が及んでいるんじゃないかとか、さまざまなところに問題が波及している、こういう問題を指摘させていただきました。

 前回の外務省の岡田審議官の御答弁を本日は少し引用させていただきながら、この問題について少し掘り下げてまいりたいと思います。

 日本は、人質司法なんと言われて、身柄拘束のルールが、捜査当局側の手の中に被疑者が置かれるという状況が劣悪な状況にあるんじゃないか、こんなことを言われております。

 私は、そういう状況にあることも確かに問題でしょうけれども、それ以上に、日本という私たちの誇るべき国家が、世界から、野蛮な国だ、人権侵害の国だ、このように指摘を受けること自体が非常に許しがたい状況にあると思っておりまして、それに対して、そうじゃないものについてはそうじゃないと国際的に言っていくべきだと思いますし、仮に改めるべき部分があるのであれば、それは直ちにその努力に入るべきだ、このように考えております。

 前回、岡田審議官に、最近、国連だとか米国国務省から指摘をされている日本の刑事裁判手続に対する問題点、どういうようなことが指摘されているのかということをお聞きしました。

 資料一の議事録にありますけれども、昨年八月、国連自由権規約委員会から公表された最終見解におきましては、我が国の起訴前の保釈の権利、国選弁護人選任の権利がないこと、代用監獄、代用監獄という言われ方ですけれども、代用監獄での自白強要の危険性、取り調べに関する厳格な規制がないこと等に懸念が表明されていると。その上で、我が国への勧告といたしまして、起訴前の勾留期間の保釈等代替手段の検討、被疑者の弁護人を依頼する権利の保障及び弁護人の取り調べ立ち会い、取り調べ時間の制限、方法を規定する立法、それから不服審査メカニズムを保障するためのあらゆる措置をとるべきこと等が勧告されていると。

 それから、米国国務省からも、警察による同一被疑者の再逮捕の手法が使われているとか、取り調べ時の心理的な強制による自白獲得が行われている、取り調べが当局により選択的に録画、編集され、裁判所が心理的強制を確知できない場合がある、そして誤認逮捕は強制による自白であったというような事例も指摘をされています。

 こういうふうにもろもろ厳しく指摘をされているんですが、まず確認なんですが、代用監獄という表現で指摘をされている自由権規約委員会の最終見解なんですけれども、まず、勾留決定をしたときのルールなんですが、本来の原則はやはり拘置所、つまり警察じゃなくて検察の司法の手続に入っていく、裁判待ちの状態に持っていく、これが本来だと思うんですが、我が国では実際に勾留先が警察署の中の留置場であることが多い。ということは、やはり警察の手の中にある、そして警察が引き続き取り調べを続ける、こんなことになるのではないかということが指摘されていると思うんですが、これは問題ないんでしょうか。

沖田政府参考人 お答えいたします。

 我が国の刑事司法制度のもとにおきましては、被疑者の身柄拘束期間は短期間となっておりますので、この間に、被疑者の取り調べあるいは証拠品の提示等々、所要の捜査を迅速、適正に行う必要がございます。

 このため、全国的にきめ細かく設置されております警察の留置施設に被疑者を勾留することが現実的な方法であり、現制度下におきましては、いわゆる代替収容制度が重要な役割を果たしていると認識しております。

 警察におきましては、昭和五十五年から、被留置者の処遇を捜査部門とは組織的に分離された留置部門が行うこととするなど、組織上も運用上も捜査と留置の分離を図っておりますことから、留置施設に勾留されることをもって捜査機関に特に有利になっているというものではないと認識いたしております。

 なお、いわゆる拘置所と警察の留置施設のいずれの場所を被疑者の勾留場所とするかにつきましては、これは裁判官が個々の事件ごとに判断し決定するものでございますが、その際、いわゆる拘置所が原則で、留置施設が例外であるとの規範が特に存在しているものとは承知いたしておりません。

 いずれにいたしましても、今後とも捜査活動と留置業務の分離の徹底を図るとともに、留置施設における人権保護に万全を期していく所存でございます。

重徳委員 留置場がきめ細かく全国津々浦々にある、拘置所というものは数が少ない、これは現実問題そうだということだと思いますので、それが理想的なあり方かどうかはまた別のことだと思いますし、その点も含めて指摘をされていると思うんですね。

 気になるのは、代用監獄と批判的に言われたり、今御答弁では代替収容という言い方を政府側はしているということでありますけれども、この留置場というのは、実際、施設面、処遇面、どうなんでしょうか。

 よく批判的に言われるのは、例えば医療、何か病気、体調不良になったときの手当てが十分できるような医療体制が整っていないんじゃないかとか、トイレを含む衛生面、健康面のやはりこれまた施設、対応が十分じゃないんじゃないかというようなこと。一方で、留置場というのは割と近くに、警察署にあるわけですから、警察はもちろん、司法当局の人もアクセスしやすいし、弁護人にとってもアクセスしやすい。

 こういう現実的なメリットもあるとは言われておりますが、実際、留置場というものは拘置所に比べて何か劣悪な環境、なぜならそれは本来短期間だけいることが想定されているから、そういう、より条件の悪い場所になっているんじゃないか、こういう指摘についてはどのような状況と認識されていますか。

沖田政府参考人 刑事施設と留置施設とでは、その組織系統ですとか設置場所、施設の規模等に差異がございますので、今委員御指摘になりましたとおり、例えば刑事施設では常駐する医務官が被留置者の診察を行うことができますが、留置施設につきましては、外部に委嘱した医師がそうした診察を行うということでございます。しかしながら、一方では、例えば冷暖房施設が、留置施設ではほぼ一〇〇%完備しておりますが、刑事施設はまだそこまでにはいっていないというふうに認識しております。

 いずれにいたしましても、被拘禁者は、その身分と拘禁の性質に応じて適正に処遇されるべきでありますから、収容される施設のいかんにかかわらず、同一の処遇がなされることが望ましいわけでございまして、実際、施設面でも処遇面でも、両者はほぼ同一の水準になっているものと認識いたしております。

重徳委員 居心地のいい留置場がいいかどうかというのは、あるいはこれは刑務所でも何でもそうなんですけれども、逆の指摘も当然あって、住みたくなるような刑務所だとか拘置施設では困ってしまうというようなことはもちろんあるんですけれども、ただ、国際的な批判に対する答えとしては、やはり人権への一定の配慮というのが必要だろうということでございます。

 今の御答弁の中では、代用監獄だからといってそんなに劣悪とは一概には言えないというような御答弁だったと思いますが、山谷国家公安委員長にお尋ねしたいんです。

 実態面ではこうなんだということは、本当に、国連とかアメリカの当局の方に実際視察をしてもらうとか、そういうような努力も含めて必要なのではないかと思います。

 一方で、やはり同じ警察の中で、先ほど捜査側と留置側は組織が明確に違うという御答弁がありましたけれども、それにしても、はたから見れば明らかに同じ警察の署長さんのもとにいるわけですから、捜査の便宜のために、留置場側が本来のルールを逸脱するようなことでもしかしたら取り調べが行われるかもしれないとか、さまざまな懸念は、同じ組織の中、同じ建物の中、いわば密室の中ですから、組織が一つ、場所も一つ、一体であるという限りにおいては、そういうような疑念はなかなか晴らせないんじゃないかと思うんです。

 国際的なこういう指摘に対して、今の制度上の区分けによって十分答えられているとお思いになりますか。もう少し乗り越えなきゃいけない壁があるんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。

山谷国務大臣 警察においては、捜査と留置の分離を図っておりまして、刑事収容施設法及び犯罪捜査規範にも捜査と留置の分離の原則が明記されているところであります。

 この捜留分離の原則は、昭和五十五年に確立されて以来、警察においては十分に浸透し、定着したものとなっているものと認識をしております。

 その趣旨を担保するために、留置施設視察委員会、不服申し立て制度等による施設運営の透明性の確保が図られているものと承知をしております。

 今後とも、捜査活動と留置業務の分離の徹底を図りまして、留置部門における被留置者の適切な処遇について、いささかの疑念も持たれることのないように警察を指導してまいりたいと考えております。

重徳委員 山谷大臣のお立場は指導していくというお立場だとは思うんですけれども、この間、外務省の岡田審議官から紹介があった去年の自由権規約委員会最終報告においても、依然として代用監獄が使われているということは問題だという指摘があるわけなんですよね。

 私、もう少し調べてみましたら、「遺憾に思う。」という日本語訳になっているんですけれども、何で代用監獄の利用が正当化され続けているかというと、利用可能な資源の欠如、つまり、先ほどの御答弁で、現実問題、留置場しかないんだ、拘置所を今すぐ整備しろといったって難しいんだというようなことを理由とする、あるいは犯罪捜査に効率的だというようなこともおっしゃっておられるんですかね、国際的に。何か、犯罪捜査に効率的だ、アクセスもしやすいとか、そういうことを一生懸命説明しても、これはなかなか答えにならないと思うんです。

 山谷委員長が言われた、いろいろと透明性を図っていくんだということはもちろんいいんですが、もっともっと国際的に、日本がこんな、言われるようなひどいことではないんだと言っていけるような論拠ももちろんつくりつつですけれども、実際の運用は間違いないんだということが自信を持って言えるのであれば、国際的にも伝えていくべきじゃないかと思うんですが、その点、いかがでしょう。

山谷国務大臣 昨年八月に国連自由権規約委員会から公表された最終見解でございますけれども、さまざまな指摘があったわけでございまして、国際的にも、きちんと日本の立場、現状を発信していく努力をしたいと思っております。

重徳委員 ちょっと一般的な御答弁ですけれども。

 これは、私も、これからこの委員会でも視察に行ったりとかいろいろな形で現場を知る機会もあると思いますので、そういう中で、よりフェアなやりとりが国際的に行われる、一方で、もちろん直さなきゃいけない部分はきっちりと国内問題として取り組んでいくように、これからも問題意識を持ち続けてまいりたいと思っております。

 さて次に、前回のやりとりの深掘りの二つ目は、勾留期間についてなんですね。勾留が長過ぎるということです。

 それから、前回は、これは林局長の御答弁でしたけれども、現行法上、被疑者の勾留というのは、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、かつ住居不定、罪証隠滅のおそれ、または逃亡のおそれがあると認められる場合に限り、裁判官の決定により、原則として十日間、やむを得ない事由があるときはさらに十日間を限度として延長が認められるという御答弁が行われました。

 私は、ちょっとこれはそもそも論なので、これまで長らくずっとこれで運用されてきたわけなんですが、取り調べのために勾留するわけではないんだというのが何か建前に過ぎる感じがして、実際には取り調べをしているわけですし、それから、米国務省から指摘されているように、例えば再逮捕という手法で、これはそうだとお認めにならないでしょうけれども、事実上、勾留期間を延ばしていき、取り調べをその分じっくりと何十日にもわたってやるという運用が行われている。

 だけれども、これも見方によっては、もし本当に取り調べにそれだけの期間が必要なのであれば、取り調べのために身柄拘束をするんだ、こういうふうに堂々と言えばいいと思うんです。そうじゃなくて、何か、住居がわからないとか逃げるかもしれないとか、そういう別の理由で拘束しておいて、やっていることは取り調べだ、そういうような疑いすらかかっているということだと私は思うんです。

 これは私の個人的見解ですけれども、このあたり、どう説明をなさるんでしょうか。

林政府参考人 起訴前の被疑者の身体拘束は、刑事訴訟法上、犯罪の嫌疑があることを前提といたしまして、被疑者の逃亡あるいは罪証隠滅のおそれがあるときに認められるものでございます。

 では、そういったことと離れて、取り調べをするために身柄拘束を認めるという制度、これについては、諸外国においては、そういった形で、無令状での拘束等もございますので、取り調べをする間拘束をするとか、そういうことが許される場合がございますけれども、我が国の刑事訴訟法では、あくまでも、取り調べの必要があったとしても、先ほど申し上げたような要件、逃亡のおそれ、あるいは罪証の隠滅のおそれがなければ勾留というものはできないという意味におきまして、やはり、この身柄拘束は、取り調べを行うこと自体を目的として拘束するということは我が国の法では認められていないものでございます。

重徳委員 今の御説明では、認められていないから認められないんだとしかおっしゃっていないと思うんです。

 外国では、令状がない形での拘束だから、それは認められ、日本ではなぜ認められないんでしょうか。取り調べのための拘束というものがなぜ認められないということなんでしょうか。

林政府参考人 刑事訴訟法上の勾留の要件というものが、取り調べの必要というものが要件とはなっていないからでございます。

重徳委員 法律を執行する側の局長さんの認識をこれ以上問うてもいけないのかもしれません。

 つまり、何で法律がそうなっているかということをお聞きしても、それはお答えできないということなんでしょうか。その立法趣旨をどう受けとめていらっしゃるんでしょうか。

林政府参考人 立法趣旨といいますか、やはり身柄拘束というものについては重大な権利制約になりますので、我が国の刑事訴訟法では厳格な要件が定められているということとなろうかと思います。したがいまして、その要件がなければ、それは在宅という形で事件の捜査をするわけでございまして、当然、身柄拘束をしないで、かつ任意での出頭を求めて取り調べを行うという手法をとらざるを得ないわけでございます。

重徳委員 これは、原則として十日間、やむを得ない事由があるときにさらに十日間、このやむを得ない事由の中にも、当然、取り調べのためやむを得ないという趣旨は入らないということですよね。それはそれでいいと思うんですけれども。いいというか、そういうことなんでしょうけれども。

 ただ、実際、どうなんでしょうか。これは非常に感覚的な話なんですけれども、もし取り調べのために拘束するというルールに仮になっていた場合に、本当に十日間、二十日間も拘束する必要があることがあるんですかね。今、限度が二十日間ということであるので、実際に拘束されているのはもっと短いケースもあると思うんです。ただ、取り調べは終わったけれども、逃亡するかもしれないから拘束するんだということもあるでしょう。だから、取り調べをするためだけだというふうに限定した方がより拘束する日数は短くなるのではないか、長くなる場合もあるかもしれないけれども。

 でも、取り調べのためならいいかとはならないというお話なんでしょうけれども、どうでしょうね、いろいろな理由をつけて拘束期間を長くしているというようないわば指摘なわけですから、本当に取り調べのためだけだという理由で拘束されている期間というのはもっと短いんじゃないか。これは若干当てずっぽうですけれども、そんなことはないんでしょうか。ちょっと感覚的なことで済みません。

林政府参考人 取り調べの必要性だけをもって、それを要件として身柄拘束ができるという制度の場合に、やはり取り調べの必要性というのが捜査機関において当然判断されるわけでございまして、それは身柄拘束ということを行う制度として十分に、例えば短い方向に必ず働くのかということについては、当然、別の意見も出てこようかと思います。いずれにしても、身柄拘束中に当然取り調べというのはできるわけでございますし、実際に行われております。

 ただ、一方で、起訴前の身柄拘束の中で、取り調べ以外にも、やはり当然裏づけ捜査等を行っているわけでございます。そういった形で、身柄拘束の期間として、厳格な要件のもとで身柄拘束がなされている中で、当然、事件によっては連日調べをするような事件もございますけれども、取り調べ自体は連日ではないにしても、その間、必要な客観的な裏づけ捜査をしているというふうなこともございます。

重徳委員 それではここで、前回、大塚政務官に幾つか御質問を申し上げましたけれども、その中でちょっと実はよくのみ込めなかった御答弁がありまして、それは何かといいますと、国際的に見て、拘束、勾留の期間はさまざまだという解説がありまして、こういうふうにおっしゃっています。日本の場合は、逮捕に至るまでにかなり厳密に調べて令状をとって逮捕していくということになっているので、その前段階で相当絞り込みをされているということがあろうかと思います、こうした制度の全体のバランスを考えたときに、やはり、十日から二十日といった期間は取り調べで必要ではないかと。

 つまり、私が、ちょっと十日、二十日は長いんじゃないですかと言ったときに、いや、十分絞り込みをした上でやっているからこそ、ちょっと長い、十分な期間が必要なんだというようなことをおっしゃったんですが、逮捕するまでに十分絞り込んであるのであれば、その後、そんなに必要なんでしょうか。逆にもっと短くていいんじゃないかという議論になりませんかね。どういう御趣旨だったんでしょうか。

大塚大臣政務官 前回御答弁を申し上げましたのは、要するに、制度全体のバランスとして、いろいろな国情に合わせていろいろな制度がございますよということで、たしか、無令状逮捕というようなことが外国では結構なされている、だから、その間口、入り口のところでかなり身柄拘束というのを幅広くやっていますよということをまず申し上げたと思うんです。

 ちょっと調べてみましたところ、数字で見ると、逮捕、勾留に至るのが、日本の場合は、平成二十五年で約十一万人だったわけですが、フランスだと、五十七万七千八百人ということで、人口比で見ると日本の八・八倍、イギリスの場合は、百三十六万人ということで、人口比で日本の二十四倍、アメリカに至っては、千二百十九万六千九百人ということで、人口比で日本の三十九倍という形で、まず身柄拘束というような感じが日本と比べるとかなりあるんだと思うんです。

 日本の場合は、原則、裁判所の審査に服して、令状をとって身柄をとっていくということになりますので、その時点で制限的というか、簡単に身柄をとるというような仕組みにはなっていませんよということを申し上げたわけです。さはさりながら、実際に事案の解明をしっかりして、起訴し、公判にたえるだけの証拠をしっかり集めていく、そういったことのためには、当然、逮捕に至るまで、令状をとるまでというだけではやはり十分ではないであろうというふうにも考えてございますので、これは、身柄拘束後、調べる期間がやはりそれなりに必要だということは、私も必要だろうというふうにも思うわけでございます。

重徳委員 まあ、わからぬでもない御答弁なんですが、ただ、今図らずも政務官が言われたように、やはり、何ぼか取り調べで必要じゃないか。前回言っちゃっているんですよね、十日から二十日といった期間は取り調べで必要ではないかというふうにおっしゃっているんです。

 でも、これは別に取り調べのための期間じゃないという説明からすると、やや揚げ足取りのようですけれども、取り調べもやっているかもしれないけれども、取り調べのために十日、二十日が必要ではないという建前である以上、その取り調べに必要じゃないかという説明は若干矛盾していたんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

大塚大臣政務官 勾留の原則、刑事訴訟法で、これは逃亡、罪証隠滅のおそれがあるようなケースということに限定をされておりますけれども、身柄を拘束されていることについて国際的にどうか、こういう議論の中での前提でしたので、身柄を拘束された中での取り調べという前提で私もお答えしたというふうに記憶をしておりますけれども、当然、身柄をとらないで取り調べをしているケースもあるというふうに思っております。

重徳委員 この点は私ももう少しいろいろと調べた上でまた議論させていただきたいんですけれども、何せ、国連自由権規約委員会から、起訴前の勾留期間、もっと保釈などの代替手段の検討をすべきだという勧告も出ております。こういうことに対してどのように反論をしていくのか。これもきちんと、堂々と反論すべきは反論すべきだと思いますが、改善すべき点は改善手法をよく考えて検討していくべきではないかと思います。

 さて、次に、資料三に先に行きたいんですけれども、「人質司法 冤罪の温床 身柄拘束 罪を認めるまで」という、これは朝日新聞の記事でございます。

 これも国際比較が若干載っておりますので、線が引いてあるところをごらんいただきたいんですけれども、先進地の韓国、これは、軍事独裁の時代に多くの政治犯が拷問を受けたという反省から、やたらと身柄拘束するのは控えよう、こういう経緯があるという解説になっております。特に、経済犯罪や窃盗などの財産犯は自宅から取り調べに通う例が多い。つまり身柄拘束はしないと。これは、日弁連の報告書によりますと、身柄を拘束されたまま起訴された人の割合は、日本は約八〇%、韓国は一四%、大幅に違うわけですね。

 身柄拘束されたまま起訴、つまり、起訴するまでずっと身柄拘束されて供述を求められる状況にあるということだと思うんです。これまた国際的に制度のバランスが、体系が違うという前提もあるのでしょうけれども、それにしても違うなという感があるんです。

 この点につきまして、法務省としてどのように認識をされていますでしょうか。

林政府参考人 御指摘の記事のうちで、身柄を拘束されたまま起訴された人の割合が約八〇%であったという点、韓国との比較でございますが、どのような根拠に基づく数値であるかが、私どもとしてはまだ不明でございます。したがいまして、これについて何らかのコメントをすることはできないのでございます。

 いずれにいたしましても、こういった起訴前、捜査段階での勾留につきましては、個々の事件で、勾留の要件の有無を検討して、勾留請求を行うかどうかを適切に判断しているものと承知しております。

 また、裁判所において、個々の事件について、それを受けて勾留するか否かについての判断がなされた結果であろうかと思っております。

重徳委員 ちょっと建前の御答弁ですけれども。

 では、この二段下にあります、最近の日本の裁判所にも変化はうかがえると。これは裁判官のコメントでありますが、罰金刑が多い初犯の痴漢などでは拘束しない例もふえたが、支障は感じないというコメントがあります。

 この点につきましても、適切に対応した結果だとおっしゃるのかもしれませんけれども、こういった傾向というのは、数字上、あるいは感覚的なことでもいいんですが、実際こういうふうに拘束しないで起訴するというケースもふえてきているんでしょうか。

林政府参考人 実際に、ここで言われている罰金刑が見込まれるような事件ではどうかといったような形での傾向というものは、把握しておりません。

 いずれにしましても、個々の事案で、例えば、痴漢であれば、罰金刑が見込まれるような場合でも必ず勾留請求するとか、あるいはその逆で、罰金刑が見込まれるような場合であったらもう勾留請求はしないのかというような形での判断というものは必ずしもできないわけでございまして、やはり、その事件事件での罪証隠滅、逃亡のおそれというものを個々に判断していくしか、こういった勾留請求の運用というものはできないものだと考えております。

重徳委員 非常にかた目の答弁なんですが。

 しかし、何せ、世界から指摘をされているという状況ですから、それは個々の事件ごとの判断は当然あってしかるべきですが、結果としてでもいいですし、あるいは最近の傾向としてでも、数字として把握をしていないということじゃなくて、やはり、これだけ日本においても、そういう指摘に対して、見れば改善されてきているんだということは、もし本当にそうなのであれば堂々と主張するべきだと思いますし、そういうことを言っていかない、あるいはそう言っていく根拠もないものだから言われっ放しだということじゃないんでしょうかと指摘をさせていただきます。

 続きまして、取り調べの時間帯についても、前回これも大塚政務官から御答弁いただきましたけれども、これもちょっと御答弁を精査しましたところ、警察の方では、夜十時以降、早朝五時以前に取り調べをするようなことのないようにと通達を出しているということですが、検察の方については通達とかそういう明文化されたような御答弁じゃなかったんですけれども、ここは、警察庁、法務省、それぞれどんな状況なんでしょうか。

三浦政府参考人 取り調べが不当に長期間にわたらないように注意すべきであることは当然でありまして、犯罪捜査規範第百六十八条第三項では、「取調べは、やむを得ない理由がある場合のほか、深夜に又は長時間にわたり行うことを避けなければならない。」と定めております。

 また、被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則第三条第二項では、午後十時から翌日五時までの間に被疑者取り調べを行うこと及び一日につき八時間を超えて被疑者取り調べを行うことについて、警察本部長または警察署長の事前の承認を受けることとしております。これを怠れば監督対象行為とみなされるものとして定めているところでございます。

重徳委員 警察は一応規範あるいは規則というものが存在するということですが、検察の方はいかがでしょうか。

林政府参考人 検察官が行う取り調べに関しましては、最高検察庁において、平成二十年五月一日、取り調べに当たっての配慮を内容とする依命通達及び通知を全国の検察庁に向けて発出しているものと承知しております。

 この通達において、取り調べに当たっての配慮といたしまして、逮捕、勾留中の被疑者の取り調べに当たり、捜査の必要性を考慮しつつ、刑事施設または留置施設において定められている時間帯に就寝、食事、運動または入浴ができるように努め、その時間帯にこれらができなかった場合には、その補完措置がとられるように配慮すること、また、やむを得ない理由がある場合のほか、深夜にまたは長時間にわたり被疑者の取り調べを行うことを避けること、また、被疑者の取り調べにおいては少なくとも四時間ごとに休憩時間をとるよう努めること、こういったことが定められているものと承知しております。

重徳委員 ということは、最高検の方から通達が出されているということでございます。

 であれば、上川大臣、こういうこともちゃんと言っていかないと。こういうことをやっている、通達あるいは規則を出されているのに、何か、地獄のような、拷問のような取り調べが行われているということばかり言われて、当たっている部分もあるのかもしれませんけれども、当たらない部分はちゃんと言っていかないと、いつまでたっても、日本は後進国、野蛮な国と言われてしまいます。

 だから、直すべき部分は直し、主張すべきは主張すべきだと思うんですけれども、この点、取り調べの時間帯について何かコメントがあれば、お願いします。

上川国務大臣 取り調べが適正に行われなければならないということの中で、適正を一層確保する方策ということで、ただいま局長の方から答弁したとおりでありますので、この最高検察庁次長検事の通達によって全国に指示をしているところでございます。時間帯のこと、またさまざまな配慮すべきことについて、しっかりと適正に行われることが非常に大事であるというように考えます。

 また、そうした実態につきましても、ただいまそうした御質問をいただいたということもありまして、公になった、そうした御指摘でございます。もっともだというふうに思います。国内、国際問わず、そうした実態についてしっかりと取り組んでいるということにつきましては公表し、また、そうした御理解をいただくべく努力をしてまいりたいというふうに思っております。

重徳委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、弁護人の立ち会いという、これは実現できていないテーマだと思いますけれども、これも前回の質疑では、軽く一問一答をやっただけだったんですけれども、前回、上川大臣の答弁は、法制審の特別部会において議論がなされたけれども、取り調べのあり方を根本的に変質させるものであり、機能を大幅に損なうおそれが大きいという意見もあって、具体的な検討対象とならず、答申にも盛り込まれなかったという御答弁がありました。

 この具体的な意見の中身をちょっと確認したいんですけれども、局長の方からよろしいでしょうか。

林政府参考人 取り調べへの弁護人の立ち会いの場合の問題点として、取り調べの機能を大幅に損なうといった点につきましては、法制審議会の新時代の刑事司法制度特別部会の議論におきますとすれば、例えば、被疑者の取り調べに弁護人の立ち会いを認めた場合、弁護人が取り調べに介入して取り調べ官の質問を遮ったりすることが可能になり、また、そうすると、必要な説得、追及を通じて被疑者からありのままの供述を得ることは期待できず、弁護人の助言によって被疑者が質問の一部または全部に対して黙秘する中で、被疑者の供述が真実であるのかどうかということを判断することも困難となって、取り調べというものが現在の姿を全く変えてしまうことになると思われる、こういった意見が出されたところでございます。

 取り調べへの弁護人の立ち会い制度については取り調べの機能を大幅に損なうおそれが大きいという点は、このような意見を踏まえたものだと承知しております。

重徳委員 これも、今の制度に無理に突っ込んだ方がいいかどうかというのはもちろん慎重であるべきかもしれませんけれども、ただ、私は、前回議論させていただきました、アメリカ人の軍人軍属の被疑者に対しては、これは弁護人という趣旨ではないということではありますが、被疑者の取り調べに米軍の司令部の代表者が同席することが認められる。つまり、アメリカ人の方は、何かそういうものが、同席が認められて、日本人の方はそうじゃない。やはりバランスが、アメリカから見ると、野蛮な取り調べから、かわいそうな重要犯罪米軍人を守るためにぐらいの、非常に皮肉な状況が生まれてしまっているという見方もできると思うんです。

 これは、実際に今局長が言われたこともわからないでもないんですけれども、弁護人がどんどん介入して取り調べを遮るようなことはしちゃいけないルールに、それこそ可視化もあるわけですから、お互いさまだと思うんですよね。

 だから、やはりこういったことも、今までのやり方からするとあり得ないみたいなことじゃなく、可視化がされて、誰が見ても、取り調べる側にとってもおかしいことが是正されるかもしれないけれども、あるいは、被疑者側も、弁護人が仮に立ち会ったら、立ち会った側もおかしいよねということも可視化されるわけですから、そういった総合的な見直しというものを今後も引き続き検討していくべきではないかというふうに私は思います。

 これもやはり国連から勧告を受けているテーマでありまして、こういったことについても、いずれ何かしらの答えを出していくなり、努力が必要なのではないかと思います。

 さて、次に進みます。

 資料の二の方に戻りますが、今度は可視化ですね。可視化についての、去年の日経新聞の資料です。

 これは、今回の可視化の議論では、我々質問する側はほとんどが、もっともっと可視化すべきだという意見が大体大勢を占めているわけなんですけれども、そうはいっても、もともと、捜査機関側は、いろいろな弊害あるいは副作用といったものも出てくるんじゃないか、捜査がしにくくなるような意見も出ていたわけです。そこに対して、ちゃんと対応が必要だということもあると思います。

 それから、一つ、私が少し感じたのは、この資料、新聞記事でいうと下の方にありますけれども、ベテランの東京地検の検察官のコメントがあるんですね。可視化拡大や調書離れといったものによって捜査能力低下への懸念がくすぶると。例えば、「「容疑者の矛盾した供述に疑問を持たない若手もいる。カメラを意識しすぎて、調書を作る作業が、単に「お話の聞き役」になっている」と憂慮する。「いい調書を書く技術は捜査力とつながっている。調書は不要という風潮が広まるのはよくない」。」

 これは確かに、現場に思いをいたすと、私は取り調べをしたことはありませんけれども、しかしながら、自分の頭の中で論理立てをして、きちんと論理を組み立てながら調書を書いて、そしてそれをわかりやすく論理的説得力のある証拠、供述調書として裁判所に提出する、これは全て否定されるようなことではないとは思っています。

 だから、検察官、特に若手の方が、詳しくは全部ビデオを見てくださいと言うようになってしまったら、本当に老練な、百戦錬磨の被疑者にそれこそ逆にだまされてしまうようなことだってあるわけですし、やはりそういった調書をきっちりつくるということも、一つ、正義を代表する検察官に必要な能力だと思うんです。冤罪というのはもちろん困りますけれども、しかし、不当な無罪放免というのもこれは社会的に非常に問題になり得る話でありまして、頼りない警察、検察になってしまったら困るという面もあります。

 あえて聞きますが、こういった意味での可視化のデメリット、そしてそれに対する対応、対策というものについてどのようにお考えでしょうか。

林政府参考人 この資料では、こういった録音、録画下での捜査能力の低下といったものが一つ指摘されているわけでございますが、実際に、検察におきましては、録音、録画について積極的に取り組んでいる中で、録音、録画下においての取り調べのあり方というようなものについては、各検察庁の現場におきまして、種々研修、講義等を行っているところでございます。

 実際に、録音、録画下におきましても、やはり、取り調べというものが否定されるわけではございませんので、取り調べをする場合に、単に被疑者の供述を聞いているだけでは当然取り調べとはなりません。その場合には、やはり周到に準備をして、いろいろな面でのほかの客観的な証拠も踏まえて、その上で、その供述について疑問があれば、それは取り調べの中で指摘する、それに対してまた供述を求める、こういった合理的な適正な取り調べというのは非常に重要でございます。

 そういった形で、いかにして取り調べに当たって必要な準備を行うのか、また、録音、録画下での発問の方法というものはどのようなものがよろしいのかというようなことについては、もちろん、取り組みを始めてからそんなに歴史があるわけではございませんので、そういったことについては、日々の現場、検察庁において、そういった演習なり研修などが行われているものと承知しております。

重徳委員 進めるとなったら本当に前に進んでいくしかないと思いますので、いろいろと心配、懸念の点はあったとしても、可視化をした結果、捜査能力が落ちたなどというようなことのないように取り組んでいただきたいと思います。

 それから、これも可視化に関する質問なんですけれども、可視化をもっと全面的にやるべきだという意見の中で、特に、今回義務づけにならない事件についても、全過程についての可視化対象事件数をふやしていくべきだ、こういう意見がよくありますね。それに対して、いやいや、全面可視化は、全過程の可視化はちょっと待ってくれと。こういうような向きに対しましては、いや、それは捜査機関にとって都合の悪いところは可視化しないなんということをやるんじゃないかなんという意見もある。だからこそ全部義務づけするべきだという意見もあるんですけれども、そもそも、捜査機関にとって都合の悪い部分だけ隠す、可視化しないということというのは考えられるんでしょうかというのは変な言い方ですけれども、どう考えたらいいんでしょうかね。

 つまり、逆に疑われますよね。今の実態も含めて、今、全過程じゃなくて、一部可視化していないような運用があるんだとすれば、それはどういう場合に一部可視化という形をとっているんでしょうか。ちょっとつかみどころのない質問かもしれませんが、いかがでしょうか。

林政府参考人 現在は、検察におきましても、法制度のもとではなくて、運用の中で録音、録画に取り組んでいるわけでございますが、そういった場合でも、もちろん、今までの事案を見ますと、全過程について録音、録画している事件数もかなり相当数に上っております。他方で、一部にとどまっているような場合もございます。

 そういったことにつきましては、今回の法案でも例外事由というのを設けてございますけれども、法案における例外事由に当たるようなものについては録音、録画をしない場合が当然ございます。実際に、この運用の中で、そういった判断をして録音、録画を一部にとどめているというような事案も多うございます。そういったものは、不都合であるから録音、録画しないという発想ではなくて、それは、録音、録画をすると十分に供述ができないと思われるような場合にそういった録音、録画をしていない場合があるわけでございます。

 逆に、不都合であるからというような理由で録音、録画をしないとなりますと、一旦そのもとで被疑者の供述調書が仮に作成されたとした場合に、その後の公判におきまして、今後は、供述調書の任意性というものを立証しなくちゃいけない場合がございます。そういった場合に、もし不都合なものを隠すというような録音、録画の運用をしていますと、やはりそれは立証という観点では非常にマイナスに働くというようなことがあります。

 そういった形での例外、録音、録画を実施しないというようなことではなくて、事件の中身で例外事由に当たるような場合については録音、録画をしない場合があり得る、もちろん全過程での録音、録画も多数ある、こういったようなことが今の実態であろうかと思います。

重徳委員 任意でこれまでも、そしてこれからも取り組まれる可視化事件について、不都合であるというその言葉自体がちょっと不適切なのかもしれませんが、しかし、では、今局長が言われたように、可視化をすると供述がとれないおそれがあるという理由で可視化しなかったということも、これもケースによっては曖昧な場合、任意性が問われるようなケースも当然出てきてしまうと思うんです。ですから、だからこそルール化をして、本当に例外として認められる場合はこういう場合だということをルール化した上で取り組む必要があると思うんです。

 この委員会でもたびたび、例えば痴漢みたいな、度合いとしてはそれは殺人事件などほど重くはないかもしれないけれども、冤罪の温床、冤罪となるような事件、なり得るような事件もあるじゃないか、こんな指摘もあるわけであります。もし今局長が言われるように、一言で言うと、そんな、不都合だから可視化しないなんということはないんですよというお話であれば、だったら、どんどん広げればいいじゃないの、こういう話にしかならないと思うんですけれども、もう少しそういった観点からも御答弁がありますでしょうか。

林政府参考人 検察当局において、昨年の十月以降、新たな録音、録画の試行に取り組んでいる考え方は、やはり公判立証に責任を負う立場の検察官として的確な立証ができるようにするために、ふさわしい事件というものについては録音、録画に積極的に取り組んでいこう、こういうことがございます。

 すなわち、検察当局におきましては、必要な録音、録画というものを行わない場合には、供述の任意性等をめぐって争いが生じた場合に、結局、的確な立証ができなくなるというリスクを負っている立場にもございますので、そういったことから、実際にその供述が立証上非常に重要な地位を占める、そういうふうに見込まれる事件につきまして、公判請求が見込まれる事件については積極的に録音、録画に取り組んでいるものと承知しております。そのような考え方に立った現在の試行であろうかと考えております。

重徳委員 資料二の記事に戻りますけれども、今、林局長から、積極的に取り組むような状況になってきた、任意性を逆に問われるというリスクも出てき始めたという御答弁がありました。

 この記事の中段にありますけれども、同じようなことを言っているんですね。「「調書離れ」検察動かす」というタイトルでありますが、検察が可視化に対して消極姿勢だったのが積極的になってきた、その変わってきた最大の要因が裁判所の変化だというわけですね。

 「「裁判官が検察が作った容疑者の供述調書を証拠採用しなくなってきた」。検察幹部は口をそろえる。」とありますが、この点、裁判所としては、この傾向についてどのように捉えていらっしゃいますでしょうか。

平木最高裁判所長官代理者 供述調書の証拠採用の傾向に変化があるかにつきましては、供述調書の証拠採用に関する統計をとっておりません。

 したがいまして、証拠採用の傾向の変化につきまして、事務局から一定の見解を示すことは困難でございます。

重徳委員 統計のとりようもないのかどうかわかりませんけれども、ここをよく見ると「検察幹部は口をそろえる。」というので、裁判所じゃないということかもしれませんね。

 では、むしろ林局長に聞いた方がいいのかもしれません。裁判所において証拠採用を余りされなくなってきたという感覚はありますか。

林政府参考人 録音、録画との関係での傾向という意味でのお答えではないんですけれども、例えば、裁判員裁判において、よく人証と言いますけれども、実際の公判廷での供述、それに対して、書証と言いますけれども、供述調書という捜査段階での供述、こういった形での証拠採用の傾向としては、人証が重視されるようになっている、非常に大ざっぱなお答えになって申しわけございませんけれども、そういったことの傾向が見られるということはあったように思います。それが録音、録画との関係であるという形でのデータではございません。

重徳委員 わかりました。

 きょうは、特に国際的な、世界から指摘をされ続けている日本の刑事裁判手続について議論させていただきました。

 冒頭申し上げましたように、途中で上川大臣からも、取り調べの時間帯については再認識をしていただいたような感じがするんですけれども、こういった、やっていることはちゃんとやっているんだということを言う必要はあると思います。

 何しろ、私は、これだけぼろぼろに日本の国が言われているということ自体が本当に許せない、こういう状況が許せない。ですので、その原因がもし日本の制度にあるんだったら制度は真摯に見直さなきゃいけないと思うし、統計をとっていないようなこともきょういろいろな御答弁の中でありましたけれども、その反論の材料すらないというのではやはり困ります。やはり、ちゃんと訴えるべきは訴えられるだけの材料をそろえて、世界に訴えていっていただきたいと思います。こういったテーマについても、今後、引き続き指摘をさせていただきたいと思います。

 本日はありがとうございました。

奥野委員長 次に、清水忠史君。

清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。

 皆さん、大変お疲れさまです。七時間は長いですね。集中してやるというのも、本当に皆さん、気力、体力ともに要ると思うんですね。取り調べじゃなくてよかったなと。ここは可視化もされておりますし、追及的な質問もあったかもしれませんけれども、政務官や副大臣という心強い立会人もおられますので、上川大臣また山谷国家公安委員長につきましては、最後までよろしくお願いをいたします。

 きょうは、概括的な質疑ということでございますので、細かい議論には入りません。刑事訴訟法等の一部を改正する法律案について概括的にお伺いをさせていただきたいと思います。

 初めに、上川陽子大臣の行った刑事訴訟法等の一部を改正する法律案の趣旨説明についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 既にこの委員会でるる出されておりますが、改めて確認の上で、このたびの刑事司法制度改革の契機、きっかけについて伺いたい。どのような国民の要請に応えるものだったというふうに御認識されているでしょうか。

上川国務大臣 今回の刑訴法改正に至るきっかけになった大変大きな事件がございました。厚生労働省の元局長無罪事件、またこれに係る一連の事件ということでございまして、このほかにもさまざまな事件が指摘をされ、そのような全体的な大きな動きの中で、現状につきましては、極端な取り調べあるいは供述調書偏重の中での出来事という、そうした御指摘もございました。

 法務大臣のもとで検察のあり方そのものをしっかりと検討するということで検討会議が設けられたところでございまして、そしてその中で、提言という形で、今般の事態に至った原因につきましては、「極端な取調べ・供述調書偏重の風潮があったことがうかがえ、この点に本質的・根源的な問題がある」、こうした指摘がなされたわけでございます。「国民の安全・安心を守りつつ、えん罪を生まない捜査・公判を行っていくためには、抜本的・構造的な改革として、追及的な取調べによらずに供述や客観的証拠を収集できる仕組みを早急に整備し、取調べや供述調書に過度に依存した捜査・公判から脱却するよう、その在り方を改めていかなければならない」、こうした大変重たい指摘がなされたところでございます。

 この法律案につきましては、この在り方検討会議を受けて法制審議会に諮問をされた九十二号、それを受けての答申に基づくということでございますが、取り調べ、供述調書に過度に依存した捜査、公判のあり方の見直しのための法整備のあり方につきまして幅広い観点から大変真剣な御議論をいただいた結果として、二十六年の九月に答申が出されたということでございます。

 この法律案につきましては、この答申に基づくものでございまして、誤判等が生じる要因となりました取り調べ及び供述調書に過度に依存した状況を改めるため、証拠収集手段の適正化そして多様化と、公判審理の充実化を図るというものでございます。

清水委員 「検察の再生に向けて」、検察の在り方検討会議の提言、私も読ませていただきました。村木事件を初め、やはり冤罪事件を契機として、これを防止することが検察の再生の一つに位置づけられていたということは明らかだというふうに思います。

 今、上川大臣も述べられましたように、例えば、密室における追及的な長時間の取り調べあるいは不当な誘導が行われることによって、事実とは違う虚偽の供述調書が作成される、こういうことが大変問題視された、このことが契機だというふうに思うんですね。

 改めてお伺いするんですが、今大臣自身も述べられた、過度に追及的な取り調べをしたり、捜査官が不当な誘導を行ったり、さらには事実と異なる供述調書を作成していた、こういうことが冤罪の原因になっていたというふうに御理解されていると、今の答弁から私、理解したんですが、それでよろしいでしょうか。

上川国務大臣 さまざまな事件の原因については、いろいろな角度から真摯な御検証をしていただきながら、そしてまた、在り方検討会議におきましても、そうした原因をしっかり分析していただきながら、また、その後の検察改革におきましても、さまざまな御提言を踏まえた上で、原因の分析をしていただきながら、改革の方向性ということについてまとめられてきたものだというふうに思います。

 その意味で、その課題、問題につきましては、ただいま委員が御指摘になったような事態というものが存在したということを踏まえてのさまざまな分析の結果の上で、その課題ということについても明確にされたというふうに理解をしているところでございます。

清水委員 この「検察の再生に向けて」の「はじめに」というところでも、村木事件を挙げた上で、「一連の事態は、国民に大きな衝撃を与えるとともに、」「特捜部に対する信頼を根底から失墜させた。そればかりではなく、」「刑事司法の重要な一翼を担う検察の捜査・公判活動全体への不信を招くことにもなった。」とあります。

 厚生労働省元局長の村木厚子さんの事件では、こうおっしゃっておられます。供述調書は、たくさんの人の調書が一致をしたきれいなストーリーとなっていたと述懐されておられまして、部下の自宅から押収されたフロッピーディスクが無罪を証明する大切な証拠であったにもかかわらず、その存在を全く知らされなかったということ、さらに、村木さんを犯人に仕立て上げるために、その証拠物件を検察内部で改ざん、隠蔽していたということが大問題になった事件でしたね。

 志布志事件については、これは公選法違反をでっち上げた事件でした。体調不良で点滴後、問いかけがあれば目を開くという衰弱した状態の女性に、警察署管内の簡易ベッドに横になったまま任意聴取をし、また、ほかの男性には、認めれば地獄に行かずに済むが、認めなければ地獄へ行く、こう恫喝、また、別の女性には、交番の中から窓の外に向かって、二万円と焼酎二本はもらったけど、それ以外はもらっていませんと大きな声で叫べと強要されるということが明らかになりました。

 志布志事件は、先般五月十五日、県、国に対して、社会通念上許されない違法捜査だったと鹿児島地裁により断罪され、賠償が命じられたところです。

 それだけじゃありませんね。足利事件では、殺害された女児に付着していたDNA型と菅家さんのDNA型が一致したとして実刑判決を受け、十八年後の再鑑定で一致しないということが判明をする。

 菅家さんに対しては、髪の毛を引っ張ったり、体を揺すったり、足で蹴飛ばしたりという暴力だけではなく、取り調べに応じるか否かは任意であることや黙秘権の告知、弁護人の援助を受ける権利について一切説明しないままに、うその自白の維持を強要していたことまで白日のもとにさらされております。

 氷見事件。まだあるんですね。婦女暴行未遂容疑を初め二件の容疑で二度にわたって逮捕された柳原さんが、知りもしない被害者の家の見取り図を描けと言われ、最初から鉛筆で下書きされた用紙が取り調べ官から渡されると、それに描かされる、こういう取り調べもありまして、懲役三年の刑に服した後、一連の暴行事件の真犯人が見つかったということなんですね。

 まさしく捜査機関に問われているのは、このような冤罪事件を二度と生み出してはならない、これが国民の要請だというふうに思うんです。

 今回、上川大臣の趣旨説明を読みましたけれども、ここに、例えば、冤罪を生み出さないとか、冤罪を防止しますとか、あるいは被疑者の人権を守るためにとか、そういう文言が全く見当たりません。

 改めて私はお伺いするんですが、今回の刑訴法の改正の目的が、先ほど私、最初に答弁いただきましたが、こうした冤罪事件をなくすためのものであるということに間違いありませんね。

上川国務大臣 今回、さまざまな事件が発生をし、そして誤判あるいは不当な取り調べ等によって大変ゆゆしき事態が起きたということの反省の上で、さまざまな検討が行われて、そしてさらに刑事司法制度そのものについても改革をしていく必要があるという大きな御指摘があったところでございます。

 さまざまな制度そのものも、取り調べ及び供述調書に過度に依存するという状況から脱却をするにはさまざまな取り組みが必要であるということの中の、証拠収集手続の適正化、多様化、また公判におきましての適正化が図られるようにということでございまして、そういう目的に照らしたときにどういう捜査の手法があるのかということについて、さまざまな専門のお立場、被害者のお立場、あるいは無実の罪で苦しまれた方のお立場、いろいろなお立場の方の御意見を、本当に長年にわたって御審議をいただいた結果として答申がまとめられたということでございます。

 そうした目的の背景にある大変大事な問題の所在ということについては、そこのところについてしっかりと踏まえた上で、さらにこの制度の御審議をいただき、また運用についても適正手続で、またさらに、真相解明ができるようにしていくという刑事司法の目的をしっかりと実現するために、真剣にこの制度の運用にも当たるということをある意味では全体像として、今回審議に付しているという状況でございます。

清水委員 今、大臣の答弁に、無実の人の思いにも立ってという文言がありました。まさしく、冤罪事件を二度と生み出してはならないということが国民の願いだというふうに思うんですね。

 今大臣自身も述べられましたが、趣旨説明の中で、「刑事手続における証拠の収集方法の適正化及び多様化」とおっしゃられました。その後に続くのが、「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律、」と。つまり、検討会議から、冤罪を生み出してはいけない、検察の信頼を取り戻すためにということでさまざまな提言がなされ、法制審の特別部会がつくられてきたわけですが、その適正化を図るというところから唐突に、通信傍受の法律云々、こう出されております。

 それで、私、ちょっと素朴な質問をさせていただきたいと思います。なぜ適正化及び多様化の結論が盗聴法の運用拡大なんでしょうか。上川大臣、お願いします。

上川国務大臣 先ほど申し上げたとおりでございますが、取り調べ及び供述調書に過度に依存した状況から脱却をする、そのところの大きな目的に合致する目標として、証拠収集手段の適正化、多様化ということについて大きな目的に掲げられているというところでございます。

 通信傍受法の改正ということでございます。

 先ほど山谷大臣からも御答弁があったところでございますが、近年、暴力団によりましての殺傷事犯、あるいは特殊詐欺などの組織的な犯罪につきまして、適正な手続を担保しつつ、犯罪の全容解明のために直接的かつ客観的な証拠を機動的かつ効率的に収集することを可能とするということでございまして、これは、証拠収集手段の適正化また多様化という目的に対しても、これに資するものというふうに考えているところでございます。

清水委員 私が聞いたのは、なぜ捜査手法の適正化、多様化の結論が盗聴法なのか、これで本当に検討会議の求めた要請に応えられるのか、素朴な疑問なんですね。

 証拠収集の方法といいますと、私は素人ですけれども、聞き込み、張り込み、現場検証等々あると思うんですよね。もちろん、取り調べ、それから供述調書の作成。結局、新たな捜査手法を幾らつくろうとも、取り調べ自体がなくなるわけじゃない、供述調書というやり方が変わるわけではないんですよ。いろいろ証拠収集方法はあると思うのに、もともとこの「検察の再生に向けて」というところでは通信傍受という言葉は一言も出てきていないのに、今回、法改正に出ている。そこに素朴な矛盾を感じるわけなんですね。

 では、聞き方をちょっと変えますけれども、今、私は、村木事件、志布志事件、足利事件、氷見事件を紹介させていただきました。このような冤罪事件は、通信傍受法を拡大することによって防止できるということの関連性は説明できますか。

上川国務大臣 ただいま委員の方から、具体的な事件、そうした事件についてはさまざまな課題があったということでありますが、そこの原因をきちっと構造的にも正していく、そして新しい時代にふさわしい刑事司法手続そのものをしっかりと国民の皆さんに信頼していただき、そして真相解明にも資するということの中で、一体としてお願いしているわけでありますが、そうした捜査手法の一つとして、今さまざま御指摘いただいたようなこと、これについては、いろいろなバランスをとりながら、しかし真相究明にも資するものでなければならないということでございますので、司法の大原則であります真相究明、しかし適正手続にのっとって、こうしたことをしっかりと担保しながら取り組んでいくということでございます。

 今、これについて、ある手段がそれに効果があるのかないのかというようなことを一対一でお答えするというのは、私もその能力がございません。しかし、真相究明の中の、ある組織的な事件についての取り組みということについては、通信傍受制度そのものは現在も運営されているし、また、今申し上げたようなさまざまな事案がこの間発生しているということを考えると、やはり時代にふさわしい刑事手続の、一つの捜査の手法として今回お願いをしているというところでございます。

清水委員 法案提案者は上川大臣ですから、やはり冤罪防止、国民の信頼を取り戻す、その適正化がなぜ通信傍受とリンクするのかということについて、もう少し国民に向けてわかりやすい説明をしていただかないと、なかなか理解されないんじゃないかなというふうに思うんですね。

 この「検察の再生に向けて」ではこのように指摘しているんですね。「検察官の心証に合致する供述さえ獲得できればよい、さらには、そのような供述調書さえ作成できればよいという、極端な取調べ・供述調書偏重の風潮があったことがうかがえ、この点に本質的・根源的な問題がある」。このことと盗聴の拡大がなぜリンクするのかというところに非常に疑問を感じざるを得ません。

 本来求められていたのは、糾問的な取り調べを行い、虚偽の自白をとってきたことが今般の事態の原因、村木事件以降の冤罪事件だというふうに指摘しているわけですから、通信傍受を拡大してくださいなどということはどこにも報告されていません。

 実際、村木厚子さん初め、参考人として呼ばれた方々や、この検討会議に出た方から、私たちの冤罪を晴らすためには盗聴法を拡大してもらわないと困るとか、司法取引を導入してもらわないと困るとか、そういうことではなくて、取り調べの全面可視化が重要だということだったと思うんですね。ですから、この刑訴法改革の入り口は冤罪防止だったのに、出口のところで盗聴法だとか司法取引というのが出てきている。

 盗聴法に関して言えば、この間の私の代表質問や二回の一般質疑の中で、八五%の盗聴の通信が犯罪と無関係だったということを明らかにしました。二〇一一年の四号事件では、二千七百二十一回も盗聴して、一つも犯罪にかかわる通話がなかったということも明らかにさせていただいております。適正な手続が行われていると言うが、令状発付率はほぼ一〇〇%。きょうの質疑では、民主党の柚木議員の質疑の中で、その発付されなかった二件について検証できないのか、これはできないという最高裁からの答弁もありました。

 これで本当に適正が担保されているのかというふうに思うんですよね。必要最小限、あるいは厳格な要件と手続によるものであるから憲法違反でないという答弁は、もはや国民には通用しないのではないかというふうに言わざるを得ません。

 改めて、上川大臣、国民の通信の秘密を侵してはならないという憲法で保障された基本的人権の保護に鑑みて、盗聴という捜査手法を拡大するのはもってのほかであり、むしろ、これをやめるということの方が本来の国民の要求にかなうものだと思うんですが、いかがでしょうか。

上川国務大臣 私は、検察の在り方検討会議の御提言の中にありますところの「国民の安全・安心を守りつつ、えん罪を生まない捜査・公判を行っていくためには、抜本的・構造的な改革として、追及的な取調べによらずに供述や客観的証拠を収集できる仕組みを早急に整備し、取調べや供述調書に過度に依存した捜査・公判から脱却するよう、その在り方を改めていかなければならない」、この御指摘は、検察の在り方検討会議の大変肝の部分であるというふうに考えているところでございます。

 その意味で、取り調べや供述調書に過度に依存した状況からの脱却ということで、そのために、証拠収集手段につきましても、取り調べや供述調書に過度に依存しない、さまざまな手段の適正化あるいは多様化を図るという意味で、大変必要なものであるというふうに考えております。

 今回、さまざまな新しい制度あるいはその拡大ということでお願いをしているところでございますが、いずれもこうした一連の流れの中で位置づけられるべきものであるというふうに考えておりまして、さらには、そうした適正な手続の中で真相の究明に資するということによって、供述調書のみに依存するやり方からの脱却を図ることができるものというふうに考えております。

 先ほどちょっと申し上げたところでございますが、通信傍受法の改正につきまして御議論をいただきたいということでお願いをしております改正でございますが、昨今、暴力団によりましての殺傷事犯、また、特殊詐欺などの組織犯罪につきまして、適正な手続を担保しながら犯罪の全容を解明するための直接的、客観的な証拠ということで、それを機動的かつ効率的に収集し得る手段ということで、それを可能にする手段として、今回、この制度そのものの拡大をお願いしているところでございます。

清水委員 盗聴という捜査手段をもっと重く受けとめていただきたいと思うんですね。適正化、多様化ということを口実に、これまで憲法の制約を最小限にということで設けられていた、犯罪対象の拡大だとか、あるいは立会人を外すだとか、そうしたことが含まれておりますので、このことと、もともと求められていた検察のあり方とが、どう考えてもリンクしないわけなんです。

 このことについては今後また具体的に聞いていきたいと思うんですが、山谷えり子国家公安委員にお伺いします。

 私、代表質問でも一般質疑でも聞いたんですけれども、警察は、例えば緒方宅盗聴事件について、いまだに盗聴を認めておりません。過去にもこれからも盗聴という違法行為はやらないというふうに、裁判で断罪されているにもかかわらず、認めていない。そういう警察にさらなる盗聴の自由を認めていいのかというのが大問題だと私は思うんですね。

 警察庁を管理する立場として、これからもこの盗聴法は、今、上川大臣が述べたように、捜査手法の適正化という名のもとに拡大していくという立場ですか、お答えください。

山谷国務大臣 通信傍受法は、犯罪捜査という公共の福祉の要請に基づいて、通信傍受の要件を厳格に定めるなど、必要最小限の範囲に限定して傍受を行うものでございます。

清水委員 その必要最小限になっていないということは、私のこの間の質疑で、関係のない通信をたくさん盗聴していたということで明らかになっていると私は強く申し上げたいと思います。

 資料をごらんください。二枚目。

 これは、西暦二〇〇〇年、平成十二年、第百四十九回通常国会におかれまして、刑事訴訟法の一部を改正する等の法律案ということで、これは、民主党、共産党、社民党などによって、通信傍受法、盗聴法の廃止法案が提出されたものでございます。

 資料の四ページを見ると、その賛成者の中に、下段、左から二番目、山谷えり子と名前がございます。国家公安委員長、これはあなたのことで間違いございませんか。

山谷国務大臣 平成十二年、私が民主党にいたときのことでございまして、私は、考え方がいろいろ合わないことがありまして、離党いたしました。

清水委員 考え方が民主党と合うか合わないかを聞いたのではありません。この名前は山谷大臣で間違いないですかというふうにお伺いしました。間違いないなら、間違いないと答えてください。

山谷国務大臣 間違いございません。

清水委員 この資料の一番後ろの七ページを見ていただきたいと思うんですね。廃止法案の理由が書かれております。「国民の基本的人権の保護の必要性にかんがみ、通信の当事者のいずれの同意も得ないで電気通信の傍受を行う強制の処分の根拠を定める規定を削るとともに、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律を廃止する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。」

 この当時、山谷大臣は、この趣旨に従って賛成者に名前を連ねたということで間違いございませんか。

山谷国務大臣 繰り返しになりますけれども、平成十二年、民主党にいたときのことでございます。

清水委員 民主党におられたことは、私、十分承知しております。

 山谷国家公安委員長自身が、その当時、この盗聴法の廃止法案に賛成者として名前を連ねたわけなんです。

 提案理由については、私、今紹介させていただきました。その趣旨で賛成したということに間違いないですかという確認です。お願いいたします。

山谷国務大臣 こういう名前は、いろいろ書かれたんだと思いますけれども、記憶を呼び戻したいと思います。

清水委員 今、それはちょっと無責任な答弁だと思いますよ。

 まさしく盗聴法の拡大の審議をやっているんでしょう。国家公安委員長自身が過去に廃止法案に名前を連ねているわけですよ。それで、私がその廃止法案の趣旨を読み上げて、これで間違いありませんねというふうに確認しているわけですから、その確認を、委員長の方から、ちょっと答弁をお願いできませんか。

奥野委員長 今、ちゃんと答弁しているじゃないですか。当時民主党にいて、私は賛成しましたと言っているんだから。民主党から自民党へ行ったり、自民党から民主党へ行ったりする人、いっぱいいるじゃないか。(清水委員「それはわかっていますよ」と呼ぶ)そうだろう。(清水委員「そんなことを言っているんじゃありませんよ」と呼ぶ)

 清水君。

清水委員 私、政党をいろいろかわったということを問題にしているんじゃないんです。山谷えり子さんという国会議員がこの廃止法案に賛成をしたということの事実、そしてその提案理由、これは間違いないですね、そういう思いで当時、今は自民党におられるのは私、知っていますよ。考え方も変わったのかもしれません。でも、この当時はそうだったんですねという確認をさせていただいているんです。

 もう一度、明確な答弁をお願いします。

山谷国務大臣 私の価値の体系は変わりませんで、考え方が民主党と合わないことがあり、離党いたしました。

清水委員 いや、今、非常に重要な答弁だと思うんですよ。価値の内容は変わらない、民主党との考え方が合わなかったと。何で私がこんな話を説明せなあかんのかというふうにも思いますけれどもね。

 では、価値が変わらないということは、当時、この盗聴法の廃止法案に賛成したときと、今も山谷国家公安委員長の価値は変わらないということでいいんでしょうか。

山谷国務大臣 適切な手続のもとに通信傍受が運用されていると承知しております。

清水委員 どう聞いたらいいかな。価値は変わっておられないというふうにおっしゃられて、しかし、今は通信傍受が適正に運用されていると。

 しかし、この二〇〇〇年当時だけじゃないんですよ。もっと言えば、山谷大臣は、百四十九回だけじゃなくて、百五十回臨時国会、百五十一回通常国会、三回続けて廃止法案に名前を連ねておられるんです、実は。これは、信念は強いと思うんですよ。

 このときに廃止を求めていて、今は適切に運用されている。これは、立場が変わったんじゃないですか。

 ちょっと、ここがはっきりしないと盗聴法の審議ができないですよ。国家公安委員長自身の盗聴法に対する当時と今の認識を問うているわけですから。

奥野委員長 今は変わっていると言っているわけでしょう。(清水委員「明確には言っていません。変わっていないと言ったんですよ」と呼ぶ)変わっていないとは言っていないよ。変わっているんだよ。(清水委員「ちょっと、速記をとめるか何かしてください、答弁しないんだったら。時間がないんだから」と呼ぶ)

 では、山谷さん。

山谷国務大臣 当時は残念なことでありました。

清水委員 当時は残念なことでありましたというふうな答弁ですけれども、私は、この盗聴の拡大というのは、プライバシーの侵害、基本的人権の問題から、非常に大問題な法律だと思うんですね。対象犯罪を大幅に拡大しようとしている、歯どめとされていた立会人、通信事業者の常時立ち会い、これも外す、令状審査についても一〇〇%発付している。こんなことで盗聴の自由を与えていいのか。そもそも冤罪事件をなくすという出発から出てきて、出口ではこんなことになっている。

 そして、国家公安委員長、山谷えり子さん自身の過去の認識と今の認識を聞きましたら、過去は残念なことでございましたと。ということは、立場が変わったということだというふうに思うんですね。

 私は、今回の刑訴法の一部改正案というものは、もともと国民から要請されていた冤罪防止、被疑者の人権擁護、適正な捜査の実施、こうした目的から大きく逸脱し、憲法違反の盗聴法を拡大、さらに新たな冤罪を生み出す司法取引の制度まで一括して審議をしようとしている。もう重大問題だと言わなければなりません。どの問題も徹底して時間をかけて追及し、審議をしていきたい、この決意を申し上げまして、本日の質問を終わります。

奥野委員長 次回は、来る五日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十六分散会


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