衆議院

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第3号 平成28年3月9日(水曜日)

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平成二十八年三月九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 葉梨 康弘君

   理事 安藤  裕君 理事 井野 俊郎君

   理事 城内  実君 理事 鈴木 馨祐君

   理事 吉野 正芳君 理事 井出 庸生君

   理事 逢坂 誠二君 理事 國重  徹君

      あかま二郎君    大塚  拓君

      奥野 信亮君    門  博文君

      上川 陽子君    今野 智博君

      笹川 博義君    助田 重義君

      田所 嘉徳君    武井 俊輔君

      辻  清人君    冨樫 博之君

      藤原  崇君    古田 圭一君

      宮川 典子君    宮澤 博行君

      宮路 拓馬君    若狭  勝君

      階   猛君    山尾志桜里君

      山井 和則君    大口 善徳君

      吉田 宣弘君    清水 忠史君

      畑野 君枝君    木下 智彦君

      上西小百合君    鈴木 貴子君

    …………………………………

   法務大臣         岩城 光英君

   法務副大臣        盛山 正仁君

   法務大臣政務官      田所 嘉徳君

   防衛大臣政務官      熊田 裕通君

   最高裁判所事務総局人事局長            堀田 眞哉君

   最高裁判所事務総局経理局長            笠井 之彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  田中 勝也君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房独立公文書管理監)        佐藤 隆文君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 河合  潔君

   政府参考人

   (法務省大臣官房長)   黒川 弘務君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 高嶋 智光君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          萩本  修君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    小川 秀樹君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    林  眞琴君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    小川 新二君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    片岡  弘君

   政府参考人

   (法務省人権擁護局長)  岡村 和美君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  井上  宏君

   政府参考人

   (公安調査庁次長)    杉山 治樹君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           伯井 美徳君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉本 明子君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  前田  哲君

   法務委員会専門員     矢部 明宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月九日

 辞任         補欠選任

  門  博文君     武井 俊輔君

  笹川 博義君     助田 重義君

同日

 辞任         補欠選任

  助田 重義君     笹川 博義君

  武井 俊輔君     門  博文君

    ―――――――――――――

三月八日

 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


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     ――――◇―――――

葉梨委員長 これより会議を開きます。

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官田中勝也君、内閣府大臣官房独立公文書管理監佐藤隆文君、警察庁長官官房審議官河合潔君、法務省大臣官房長黒川弘務君、法務省大臣官房審議官高嶋智光君、法務省大臣官房司法法制部長萩本修君、法務省民事局長小川秀樹君、法務省刑事局長林眞琴君、法務省矯正局長小川新二君、法務省保護局長片岡弘君、法務省人権擁護局長岡村和美君、法務省入国管理局長井上宏君、公安調査庁次長杉山治樹君、文部科学省大臣官房審議官伯井美徳君、厚生労働省大臣官房審議官吉本明子君及び防衛省防衛政策局長前田哲君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

葉梨委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局人事局長堀田眞哉君及び経理局長笠井之彦君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

葉梨委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。逢坂誠二君。

逢坂委員 おはようございます。逢坂誠二でございます。

 いろいろな委員会に出ていますけれども、こんなに拍手の多い委員会は初めてで、びっくりしました。ちょっと発言が滞ってしまいました。

 大臣、きょうはよろしくお願いいたします。きょうから本格論戦ということになるわけですが、法務省を初め関係機関の皆様には、いろいろとまた御指導いただきますよう、よろしくお願いしたいと思います。

 きょうは所信の質疑でありますので、少し記者会見的なというか、個別のことをぱんぱんと聞くような場面もあろうかと思いますけれども、よろしくお願いします。それから、多少順番が入れかわるかもしれませんけれども、御容赦いただきたいと思うのです。

 大臣、最初に、所信の冒頭でお話しになったところについてお伺いをしたいんです。

 所信の冒頭で、「法務省の任務は、」ということで幾つか並列されているわけですが、その中の二番目で、法秩序の維持ということを述べられているわけであります。その前段には基本法制の維持及び整備、それからその次には国民の権利擁護、その次は、国の利害に関係のある争訟の統一的かつ適正な処理並びに出入国の公正な管理を図ることと、今の法秩序の維持以外のところは国民の皆様にも割とイメージの湧きやすいものなのかなと思うんですが、法秩序の維持という言葉、なかなかこれは国民にストレートには伝わらないだろうと思うので、この法秩序の維持というのは、法務省の任務としてどういうことを念頭に置いて、どういうことをされるのか、御説明いただけますか。

岩城国務大臣 お答えいたします。

 私の所信の冒頭におきまして、法務行政の責任者として全うすべき任務を掲げるべきであると考えました。そこで、法務省設置法第三条が規定する法務省の任務を引用したところであります。その中に、御指摘の法秩序の維持が含まれております。所信における法秩序の維持につきましては、同法の定めるそれと同義であります。

 具体的に申し上げますと、法秩序の維持とは、国家の刑罰権を適正迅速に実現し、犯罪者らの改善更生と犯罪の防止を図ることなどを通じて、法により規律された社会の秩序を維持、確保するとともに、取引と身分関係に関する基本的な法制度を整備し、これを適正に運営することにより、私的自治の基盤を支えることなどを意味しているものと理解をしております。

 まさに、法秩序の維持とは、国民の皆様の安全、安心を守る基盤として基本的、根源的なものである、そのように認識をしております。

逢坂委員 この法秩序の維持という法務省の任務でありますけれども、この任務があるがゆえにといいましょうか、この規定があるからこそ、法務省というのは、自分がまさに所管する法律だけではなくて、やはり法全体に目配りをする役所なんだろうというふうに思います。この法秩序の維持という任務は非常に重要な重たいものだろうというふうに私は思っていますので、今述べたことも含めて、これからこの点についてはもう少し議論を深めていきたいというふうに思っております。

 さて、そこで、きょうは防衛省にお越しをいただきました。防衛省にお伺いしたいんですが、日本国内に外国の軍隊、米軍の基地があるということでありますけれども、私、どうもこれの根拠を必ずしも国民の皆様がよくわかっておらないのではないかというふうに思うわけです。国会でもこれまでたびたび答弁はされておりますけれども、日本に米軍基地が存在できる、その法の根拠をまずお示しいただきたいと思います。

前田政府参考人 お答えいたします。

 日米安保条約でございますが、この安保条約は、第六条におきまして、米国に対して、我が国の安全及び極東の平和と安全の維持に寄与するために、我が国の施設・区域を使用することを認めております。すなわち、同条に基づきまして、我が国に駐留する米軍に施設・区域を円滑かつ安定的に提供すること、これは我が国の条約上の義務と考えてございます。

 一方、個々の具体的な施設・区域の提供につきましては、日米間で協議の上、日米地位協定の定めるところによりまして日米合同委員会において合意が行われる、このようになってございます。

 以上のことから申しまして、在日米軍施設・区域の提供は、日米安保条約及び日米地位協定を根拠として行われるものであるというふうに認識をしてございます。

逢坂委員 お手元に私の資料を用意させていただきましたけれども、今説明をいただいた日米安保条約第六条、日本の安全に寄与し云々かんぬんということが書いてありますけれども、最終的には、「アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」このことによって日本国内に米軍が基地を置くことができるんだと。それから、その個々の区域などについては、日米地位協定の第二条によってこれが規定されているという説明であります。

 私は、この説明は、確かにこれはこれで、日本とアメリカの関係においてはこの二つで場合によってはアメリカも納得をするんだろうというふうに思うわけですが、日本国民と日本政府の間で、果たしてこれで皆さんが納得できるのかどうか。政府間ではこういう話をした、基地を使用することを許しますよ、基地の個々の区域などについてはお互いが話し合って決めますよ、これはそれでいいでしょう。だがしかし、国民との関係において、私は、少し抜け落ちがあるのではないか。国民はこれで納得できるのかどうか、あるいは、国民主権の観点から、国民は一体このことについてどこでどうかかわってよいのかというところなわけであります。

 このあたりについて、まず最初に基本的な認識だけをお話しさせていただきますと、条約と憲法の関係でいうならば、憲法が条約に優位をする、これは一般論としてよく言われること。ただし、法律と条約の関係でいうならば、条約が法律に優位をする。だから、条約さえ結んでしまえば仮に国内法の整備がなくてもそれはそれで有効なんだという考え方も私はあるのだというふうに思います。

 しかしながら、国民にとってみると、条約さえ結んでしまえば国内法が必ずしも整備されていなくてもそれで大丈夫なんだと言われても、国内法秩序の維持という観点からしてみると、私は、これは褒められたものではないだろうというふうに思うわけですね。

 そういう観点から、日米安保条約に限らず、ほかのいろいろな条約、例えば、有名なハーグ条約でありますとか、あるいは障害者の権利条約でありますとか、こういう条約を結ぶときは、必ず国内法の整備と一体化して条約の批准ということが行われる。場合によっては時期がずれることもあります、あるいは国内法の整備が追いつかないので条約の批准に至らないなどということも場合によってはあるんだろうというふうには思いますけれども、必ず何らかの国内法とセットになっているケースが非常に多いわけであります。

 そのような観点で、安全保障条約に関して国民がどう関与できるかとかいったような、さまざまな観点からの国内法の整備といったようなものはあるんでしょうか。現にこれは存在しているんでしょうか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 国内法があるのかという御質問でございますけれども、先ほど御説明をしました安保条約あるいは地位協定、包括的にその下に国内法があるかというお尋ねでありますれば、それはないんだろうと思います。また、これに関連をする国内法がどうかということでありますれば、例えば駐留軍用地特措法といった法律が、これは全くないわけではございません。

 ただ、先生の御質問の趣旨にお答えするとすれば、繰り返しになりますけれども、在日米軍への施設・区域の提供の根拠ということでありますれば、これは、基本的には、先ほど申しましたように日米安保条約及び地位協定を根拠として行われている、このようになろうと認識しております。

逢坂委員 それであるならば、日米安保条約が締結された、この間ずっとそのもとで我が国が進んできたわけですので、それはそれで認めるとしても、国民がこれにどうかかわるのかというところが非常に曖昧ではないかというふうに私は思うんですね。国民や国会、国民だけではなくて国会も、それでは、例えば、どこぞに米軍の基地をつくりますよ、そのことに対してどう関与していけるのか、ここが非常に希薄なのではないかという気がするわけでありますけれども、この点、防衛省、いかがでしょうか。

熊田大臣政務官 日米安保体制の中核要素であります在日米軍の駐留は、我が国防衛のために不可欠な抑止力として機能しております。

 防衛省といたしましては、在日米軍の施設・区域の機能、必要性、設置場所等については、国会審議等を通じて明らかにするとともに、防衛白書や省ホームページを通じた対外発信を行い、国民の理解を得られるように努めておるところでございます。

 一方、在日米軍の施設・区域が所在する地元では、住民の生活に影響を及ぼす騒音等の障害のほか、自治体にさまざまな苦情対応等の御負担などがあるということも認識をしております。より一層丁寧な対応が必要であることも承知しておりますが、こうした観点から、我々政務も、必要に応じて地元に足を運び、理解と協力を求めてきたところでございます。

 私といたしましても、今後とも、さまざまな機会を通じて、在日米軍の施設・区域に関する国民と地元の理解と協力が得られるように力を尽くしてまいりたいと考えております。

 以上です。

逢坂委員 今、二点のことをおっしゃられました。国会審議を通じて国会でもさまざま議論をしていただく、もう一つは、地元に対しても足を運んで説明して理解してもらう、二点のことをおっしゃられましたので、あえてもう少し突っ込んで聞きたいと思います。

 国会審議をして国民の皆様にも広くというような発言でありましたけれども、それは法の規定があってやられていることでありましょうか、あるいは、法の規定はないけれども、そういうものについては政府の方が何か自発的に提案をするといいましょうか提出をするといいましょうか、そういう性質のものでありましょうか。これはいかがですか。

熊田大臣政務官 先ほど局長がお話ししましたように、法の規定がございません。その中で、国民の代表である国会の皆様に、国会の審議を通じて丁寧に御説明を申し上げておるということでございます。

逢坂委員 これは必ずしも詳細に通告しておりませんでしたので、もし不都合があれば事務方の答弁で補足していただいても構いません。

 今、国会審議を通してやっていただくんだということでありますが、その国会審議は、要するに、議員の側がみずから自発的に、質問する側がこの問題がありますよということを言わなければ、政府の方としてはこれについては説明をしないということなんでしょうか。それとも、もっと踏み込んで、実は積極的に政府の方は説明をする、必ずしも国会で審議する議案ではないけれども、政府の方は案件として持ち出してくる、そういう意味なんでしょうか。この辺はいかがでしょう。事務方でも構いません。

熊田大臣政務官 先ほども申し上げましたように、国会審議等でそういったことを説明することは当然でありますけれども、防衛省といたしましては、国民の皆様に、防衛白書そして防衛省のホームページ等で対外発信を行っておるというところでございます。

逢坂委員 今の話からすると、決められたルールは基本的にはない、だけれども、防衛白書とかさまざまなもので説明をするということ、それから、地元に対しては足を運んで説明して理解を得るようなことをやるということであります。

 もし仮にある県に米軍の基地をつくるとなったときに、その県の皆さんが、ストレートな例で言いますと反対をする。しかも、その反対というのは漠然とした反対ではなくて、それを推進する、米軍基地はいいよ、賛成するよという知事候補と、それには反対だという知事候補が選挙をやる。選挙をやって、仮に、反対をする知事候補の方が圧倒的多数で勝利を得た。これはある種その県の民意だろうというふうに思うわけですが、こういうような反対があった場合、それは政府としてどう捉えるべきなんでしょうか。

 確かに、国家全体を見て国の行く末を考え、ここに基地が必要なんだ、そういう判断も政府の側にはあろうと私は思いますけれども、一方、国民主権という観点からいうと、民意というものも大切にしなければいけないというふうに思うわけです。このぶつかり合いがあったときに、これはどのように判断をすべきというふうにお考えでしょうか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御説明申し上げましたように、日米安保条約の第六条におきまして、米国に対して、我が国の安全及び極東の平和と安全の維持に寄与するために我が国の施設・区域を使用すること、これを認めてございます。

 これに基づきまして、個々の具体的な施設・区域を提供していくときのもう少し具体的な手続について御説明をさせていただくと、実は合同委員会というものがございまして、アメリカ側から、この合同委員会の下にございます施設分科委員会、ここを通じて、使用を希望する施設・区域について提案がなされてまいります。これがなされますと、これを受けて防衛省から、国の関係地方機関、あるいは土地の所有者、あるいはまた関係の地方公共団体等に対しまして意見照会を行うこととなります。これらの意見照会先から提供同意あるいは使用条件について回答がなされてくるとしますと、これをさらに米側に申しまして同意をとっていく。その上で、施設分科委員会から合同委員会を経て閣議決定を行っていくわけであります。また、あわせて、日米両政府間では、協定を締結し、提供が決定された旨を官報告示していく、このような手続を踏むわけであります。

 この手続におきまして、土地の所有者の方々あるいは関係地方公共団体等に対しまして丁寧な調整を行っているということでございますし、また、先ほど政務官から御答弁しましたように、官報への告示のほか、ホームページ等々において対外的な説明も行っているということであります。

 私どもとしましては、こういったプロセスを通じまして、米国に対して施設・区域を提供するに当たって国民の皆様の理解と協力が得られるように努めている、こういうことでございます。

逢坂委員 プロセスについて丁寧に御説明いただきましてありがとうございます。

 今のそのプロセスの中で、地元の意見を聞く、あるいは関係者の意見を聞くという手続があったようにお聞きをしましたけれども、その際に、反対である、土地は提供しない、あるいは、そもそも県など関係自治体の意見を聞いて、これには反対であるといったような場合は、これはどう判断されるんでしょうか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 御説明申しましたように、国と国との関係ということでございますと、日米安保条約及び地位協定に基づきまして、日本国として提供の義務がございます。実際に行っていく手続を今御説明申し上げたわけですが、そのときに出されました御意見等々を踏まえて、そこは、国全体としてさまざま総合判断をした上で決定をしていく、このようなことになろうと思います。

逢坂委員 実は、今回この問題を私が持ち出したのは、私も長い間、自治の現場におりまして、住民の皆さんに、民主主義を考える上で、自分たちみずからが自分たちの地域のことを考えていろいろと判断をしていくことが大事だ、その前提として情報がしっかり公開されていることが必要である、とにかく、住民参加という言葉も自治の世界ではいろいろありますけれども、そういうことを通して物を決めていく、自分たちみずからが判断をして責任を持っていろいろなことをやっていくことが大事なんだという話をずっとしてきたわけであります。

 しかし、事この基地の問題になると、実は、住民自治が全く機能しない場面が出てくる。どんなに声を上げても主権者である国民としての声が取り入れられないのではないか、そういう場面に私も幾つか遭遇をいたしました。

 具体的に念頭にあるのは特に沖縄県でありますけれども、沖縄の大学などへ行って自治の講義などをする。住民自治が大事だ、住民参加が大事だという説明をしても、逢坂さん、そんなのは沖縄に来たら通用しないんだよ、もう全然自治が機能していないじゃないか、国民主権なんか全然守られていない、そんなものは保障されていないというような声を聞くわけですね。

 実は、この問題は私にとっても非常に大いなる悩みでありまして、このぶつかり合い、国家として他国といろいろとお約束をした、国家にもそれは義務がかかっている、政府に義務がかかっている。でも、そのことと、国民主権、地域の自治、そのせめぎ合いをどうやって調整するのかというところがまだまだ不十分なのではないかなという気が私はするわけですね。

 だから、ここの問題をどうやって乗り越えていくのかというところを、法制度上といいましょうか、法治国家としてもう少し丁寧にやる必要があるのではないかというふうに私は思っております。

 その際に、例えば、米軍基地に限らず、地域にとっては非常に大きな影響を与えるものの設置をする際に、何らかの一般的なルールを定めておく、そういう一般法をつくっておいて、国会も関与できるし地域も関与できるというようなことが一つの例としてもしかすると考えられるかもしれない。あるいは、基地でありますから、その直接的な影響というのは地域限定的なものでありますから、その地域に基地を設置するんだということにおける特別法のようなものをつくって国会でも承認をする。あるいは、特別法になれば、地方自治特別立法ということになれば、憲法九十五条の住民投票といったようなものも場合によっては必要になるかもしれない。

 それは何がいいのか、私はきょうこの時点では必ずしも結論を持っているわけではないんですけれども、この国家主権と国民主権のせめぎ合いみたいなものを調整するというようなことについて、やはり我々はもっと丁寧に考えておくべきではないかなという気がするわけであります。

 あえてきょう法務委員会でこの問題を持ち出しましたのは、岩城大臣も、市議会議員、県議会議員、そして市長を務められて、自治の現場に長くおられましたので、多分、私の気持ちはわかっていただけるのではないかなという、そういう淡い期待も持ってこの質問をさせていただいたわけでありますけれども、大臣、今の議論を聞いて、これをどう乗り越えればいいのか、何かお考えといいましょうか感想などありますでしょうか。

岩城国務大臣 逢坂先生が地方自治について豊富な経験そして識見をお持ちでありますことは、常々敬意を表しておりました。私も、とりわけ短い期間でありましたが、市長という仕事をさせていただきまして、国と地方自治体のかかわりは身をもって感じてまいりました。ですから、先生と認識を同じゅうすることはたくさんあるものと思っております。特に地方自治あるいは国民主権は極めて大切なことだと思っております。

 そうした中で、私自身も市長のときに、やはりもっともっと地方の視点から国に考えてほしいなというふうに感じたことも具体的に何度もありました。間に県という組織が入りますから、余計それが複雑になっていくわけでありますし、また、国と県の意向が同じならいいんですけれども、そうじゃない場合もございましたし、そんなはざまの中で非常に苦労させていただいたこともございました。

 そして、御指摘の米軍基地建設のあり方につきまして、これは、法務省の所管ではありませんので私からお答えする立場にないことは御理解いただきたいと思いますが、一般的に申し上げまして、こういった、国が判断して国の責務で行うもの、そういった施設等がその地域に設置される場合に、やはり基本的には、一般的に申し上げますと、その地域の住民の皆様方の御理解をいただく、そしてその上で御協力いただく、これが基本ではないかなと思っております。

 ただ、そういった手法といいますかルールというものが、先生のお言葉をかりれば、まだ確立されていないということでありますので、共通の認識を持ちながら、私もこれからいろいろと考えていかなければならないかな、こんなふうに思っているところでございます。

逢坂委員 私は、例えば地方自治の世界でしたら、NIMBY、ノット・イン・マイ・バックヤードということで、迷惑施設のようなものは自分の家の裏庭にはつくってほしくないというようなことがあるわけです。それから、私が自治体におりましたときには、忌避政策、住民の皆さん、市民の皆さんからすると嫌な政策であっても、これは市町村であれ都道府県であれ国であれ、やらざるを得ない、やらなければならない場面がある。その忌避政策、市民の皆さんが忌み嫌って避けるべき政策をどうやって丁寧に手順を踏んでやっていくかということが、私は、これは日本の行政の、ある種、きちっとやらなければならないことだというふうに思うわけです。

 ただ、私は、米軍の基地ということになりますと、先ほど防衛省からいろいろ御説明はいただきましたけれども、このあたりが必ずしも丁寧ではないのではないかという気がするわけですね。それは、これまでのさまざまな歴史もありますでしょう。戦争に敗れたということもあって、そこは必ずしも通常の状態ではない中で今の仕組みになってきているということも半分は理解しつつも、丁寧にそのプロセスを踏んでいく、国が海外に約束したことと国民主権、この間をうまく調整するということについては、これからもっともっと私たちが心を割いていかなければならない問題であるということをきょうは改めて指摘させていただきたいと思います。

 きょうこの問題に結論が出るとは思っておりませんけれども、問題提起をさせていただいて、この点は質問を終了したいと思います。防衛省の皆さん、ありがとうございました。政務官もありがとうございました。御退席なさって構いません。

 それでは次に、私は、民主主義を考える上でもう一つ大事なことについてお話をさせていただきます。それは公文書の管理であります。

 御案内のとおり、我が国においては、二〇一一年の四月に公文書管理法が施行されたわけでありますけれども、実は公文書管理法が二〇一一年までずっと存在していなかったというのは、これは非常に驚くべきことなんだろうというふうに思います。

 実は、私がこの公文書管理に関心を持つようになりましたのは、昭和の終わりか平成の元年だったと思いますけれども、スウェーデンから友達が遊びに来て、彼は外交官でありました。外交官である彼が、日本の役所を見たいということで、当時の厚生労働省へ私が連れていきました。当時は厚生省だったかな、まだ厚生労働省ではなかったかもしれませんが、当時、まだ私は町役場の職員だったわけでありますけれども、厚生省へ連れていって、これが日本の役所だと言うと、彼はびっくりしたんですね。逢坂、ここはブルーワーカーの働いている場所かと言うわけですね。いやいや、違う違う、日本でもトップクラスのエリートの官僚が働いている場所なんだよ、日本でもトップクラスの頭脳集団だと言ったら、彼はびっくりして、だって、何かこんなに書類が山積みになっていて、これは倉庫だろう、ここから自分が書類を持っていったってわからないだろう、しかも、こんなに書類が山積みになっていて、どのように分類されているのかだって誰もわからないじゃないか、これは何か書類を整理する前の一時置き場なのかみたいな話をされたわけであります。

 それを聞いて私は、いや、なるほどなと。要するに、公文書の管理とか文書主義というものがある種日本よりもしっかりしている国の人から見たら、これは倉庫に見えるんだなということを、約三十年ほど前でありますけれども、痛感させられまして、頭をがつんとぶん殴られたような気がして、以来、この公文書の管理ということについては自分自身でも相当に力を注いできたつもりであります。

 しかし、公文書の管理というのは、実は大変な仕事なんです。一般的に、通常の事務も抱えて役所の皆さんは仕事をしているわけですね。それにあわせて公文書の管理をやるということになると、もう二度手間というか、何でこんな余計なことをしなきゃならないんだということになるんです。

 しかしながら、ちゃんとした公文書の管理をすると、私の経験からいうと、それは究極の行政改革になるというふうに思っています。例えば、書類を検索する時間も減りますし、自分の仕事の整理もつきますし、他人に説明するときにも物すごく素早くやれますし、何よりもかによりも、役所のスペースが非常に広く快適に使えるというようなこともあるわけですね。それから、国民への説明責任を果たすという観点でも、この公文書の管理というのは非常に意味があることだと私は思っています。

 ただし、長い間、旧来の公文書に対する接し方でやってきた人に一気にこれを変えろと言っても、なかなか変えることはできない。ある種、公務員の遺伝子を入れかえるような作業が、私は、この公文書の管理を新たなものにしていくために必要なんだろうというふうに思っています。

 そこでなんですが、法務省の公文書の管理は一体どうなっているのかというところをちょっとお伺いしたいのであります。

 お手元に資料を用意させていただきました。そこに法律名が幾つか書いてあります。そして、成立年月日というのが書いてありますけれども、これは、法務省がおよそ三十年前にかかわった法律、新規制定した法律が二本、それから改廃した法律がここに、二十本ぐらいでしょうか、書かれているわけでありますけれども、法務省の公文書管理の規則を見ますと、一番保存年限の長いものは三十年ということになっているようであります。三十年たてば、今の公文書管理のルールでは、公文書館へ移管をするか廃棄をするか、これを決定せねばならないということになっているわけです。

 そこで、この法務省の公文書についてお伺いをしますが、まず一つ、株券等の保管及び振替に関する法律、これは、成立が一九八四年でありますから、当然、三十年以上たっている文書だということになります。この法律に関する文書についての扱いは現時点でどうなっているのか、お知らせいただけますか。

黒川政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の株券等の保管及び振替に関する法律に関する文書につきましては、平成二十六年十二月三十一日にその保存期間が満了いたしました。その後も、職務の遂行上必要があるとして担当局において現在保管している状態でございますが、保存期間満了に伴うシステム上の延長または移管の手続がなされておらず、事実上延長して保管している状況にございます。

逢坂委員 すなわち、公文書管理法に規定する保存年限が過ぎたら移管であるか廃棄であるかを決定しましょうねというルールを適用せずに置いておいたということでありますね、平たく言えば。うなずいておりますので、それでよろしいかと思います。

 それから、次。下の改廃した法律の中で、船舶の所有者等の責任の制限に関する法律の一部を改正する法律、それからもう一つ、刑事補償法の一部を改正する法律、この文書についてはどのような扱いになっているでしょうか。

黒川政府参考人 お答えいたします。

 まず、船舶の所有者等の責任の制限に関する法律の一部を改正する法律に関する文書につきましては、平成二十五年十二月三十一日の保存期間満了後も、職務の遂行上必要があるとして担当局において保管しておりますが、保存期間満了に伴うシステム上の延長または移管の手続がなされておらず、事実上延長して保管している状況にございます。

 一方、刑事補償法の一部を改正する法律につきましては、こちらも平成二十四年三月十二日の保存期間満了後でございますが、法令の改廃に必要なため、平成二十六年四月三日にシステム上の延長手続を行い、当省において保管している状況にございます。

 以上です。

逢坂委員 ということは、今、三本の法律を例に出しましたが、星取り表ではありませんけれども、一勝二敗という感じでしょうかね。最後の刑事補償法の一部を改正する法律については、保存期間が満了したのでどうするかという判断をして、システム上もちゃんと延長して保管をしている、あとの二本の法律については残念ながら手つかずであったということでよろしいでしょうか。うなずいておりますので、そのようであります。

 すなわち、せっかく法律ができても、ちゃんとした対応をしていなければ法律は絵に描いた餅になってしまいますので、これはやはりしっかりやってもらわなければならないというふうに思います。

 そこで、もう少しお伺いをしたいんですが、法務省では、公文書等の管理に関する法律の規定に基づく法務省行政文書管理規則というものをお持ちになっておられます。これは、実は各省が持っているものです。そこで、ここの各条文に定めるチェックなどについて、ちゃんと行われているかどうかを確認させていただきたいと思います。

 まず、第二十一条、「文書管理者は、少なくとも毎年度一回、管理する行政文書ファイル等の現況について、」「行政文書ファイル管理簿に記載しなければならない。」これは二十一条に規定がございます。これについてはきちんとやられているでしょうか。

黒川政府参考人 お答えいたします。

 法務省におきましては、公文書等の管理に関する法律等関係法令等に基づきまして、文書管理者である各局部課の課長等において、文書管理システムに入力してあるファイルデータにつきまして、毎年度一回、現況のファイルと突き合わせてこれを反映する作業を実施して、行政文書ファイル管理簿への記載を行っているところでございまして、今委員御指摘の法務省行政文書管理規則第二十一条に沿う事務はとっております。

 しかしながら、その適切な運用に努めているところではございますが、今般、保存期間満了に伴うシステム上の延長手続がなされておらず、事実上延長して保管したまま現在に至っているものが発見され、徹底していないことが判明した次第でございます。

逢坂委員 すなわち、一応、二十一条に定める行政文書ファイル管理簿に記載はしていたけれども、内容が伴っていなかったということであろうかと思います。

 引き続き、二十五条であります。

 監査についてでありますけれども、「監査責任者は、行政文書の管理状況について、少なくとも毎年度一回監査を行い、その結果を総括文書管理者に報告するものとする。」これは年一回きちんと行われているでしょうか。

黒川政府参考人 お答えいたします。

 こちらも、法務省における行政文書管理監査は、関係法令及び法務省行政文書管理規則に基づき行政文書の管理が適切に行われているか、検証及び評価を行うものでございます。そして、法務省におきましては、監査責任者である大臣官房秘書課長が、監査主任者とされている各局部課の長等に監査の実施を指示し、各局部課の長等が監査を実施しているところでございます。

 監査におきましては、行政文書ファイル管理簿の記載及び更新状況の確認や、紛失、誤廃棄への対応状況の確認などを行っているところでございます。監査責任者である大臣官房秘書課長は、各局部課の長等から監査結果の報告を受け、これを総括文書管理者である官房長に報告しているところでございます。

 文書管理規則に定められた事務はとっておりますが、これも同様のお答えになりますが、残念ながら、今回、不適切事例が発見されたということでございます。

逢坂委員 それでは、引き続いて、規則の第二十六条ですが、「文書管理者は、自ら管理責任を有する行政文書の管理状況について、少なくとも毎年度一回所要の点検を行い、その結果を総括文書管理者に報告するものとする。」これが二十六条の規定です。

 それから、あわせて二十九条、「総括文書管理者は、行政文書ファイル管理簿の記載状況その他の行政文書の管理状況について、毎年度、内閣府に報告するものとする。」

 二十六条と二十九条の対応についてはいかがでしょうか。

黒川政府参考人 こちらも、文書管理規則にのっとりまして、それぞれ対応する責任者において事務はとっております。

 こちらも同様のお答えになりますが、適切な点検等に努めているところでございますけれども、今般、残念ながらそういった例が発見されて、私どもの事務が徹底していないことが判明いたしました。この点につきましては、大臣から既に御指示をいただきまして、早急に対策を講じることとしているところでございます。

 よろしくお願いいたします。

逢坂委員 個別の条文について聞くのはこれで最後です。私、この条文が実はすごく大事だと思っておりまして、第三十一条に「文書管理者は、総括文書管理者、主任文書管理者及び国立公文書館その他の機関が実施する研修に職員を積極的に参加させなければならない。」との規定があります。

 職員研修に積極的に参加させなければならないという、このことについての実施状況はいかがでしょうか。

黒川政府参考人 お答えいたします。

 法務省におきましては、毎年度、総括文書管理者である官房長において行政文書管理の全体研修を実施しているほか、主任文書管理者である各局部課の長等においても随時研修を実施しております。また、国立公文書館等が実施する研修についても、法務省の職員を積極的に参加させているところでございます。

逢坂委員 研修については積極的に参加をさせているということで、ぜひ頑張っていただきたいと思うんですが、冒頭にも申し上げましたとおり、私は、今回、法務省の文書について必ずしも適切ではない状況があったということを殊さらあげつらって、それが悪い悪いと言うつもりは必ずしもございません。

 その理由は何かというと、公文書管理というのはやはり行政のスタイルを変えていくことですから、あしたからそっちへすぐ変えなさいと言っても、これはなかなか簡単にやれないんですね。だから、途切れのない不断の取り組みが必要であり、しかも、そのことについて多くの人たちが常に注意を払っていくということが必要だというふうに思います。

 実は、私の経験で、公文書管理を徹底したいということで、私が自治体の長を務めておりましたときに、相当激しくこれをやりました。そうしたら、職員の中から、こんなに自分の仕事のスタイルを変えさせられるのならもう役所をやめる、そうまで言ってくる者がおりました。あるいは、涙を流して私に抗議をしてくる者もおりました。自分は役所に入って以来二十年も三十年もこのスタイルで仕事をしてきているのに、おまえみたいな若造に何を言われるんだ、そういうようなこともあったんですけれども、実は、公文書管理のスタイルを変えていくということは、やはりそれぐらい大変なことなんだというふうに思います。

 しかしながら、冒頭に言いましたとおり、公文書管理をしっかりやるということは、さまざまな面でプラス効果がありますし、後になって物すごく大きなプラス効果が出てくるというふうにも思いますので、ぜひこの点は、法務省、率先垂範をして他の役所に負けないように頑張ってやっていただきたいと思うのでありますが、大臣、御所見はいかがでしょうか。

岩城国務大臣 逢坂先生から種々温かい御指導をいただきました。とりわけ、公文書の管理が究極の行政改革であるという御指摘、目の覚めるような思いであります。

 行政機関には、行政文書の適正な管理を通じ、行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国の諸活動を現在及び将来の国民に説明していく責務があるものと承知をしております。そのために、行政文書の管理を適切に行うことは、非常に重要なものでございます。

 法務省におきましては、公文書等の管理に関する法律に基づいて法務省行政文書管理規則等を定め、これらの各規則に従い行政文書の点検や監査を行っているほか、研修などの機会を利用して、職員に対して、文書管理の重要性の啓発、注意喚起を行っております。職員研修への参加もより促していきたいと思っております。

 こうした中、行政文書の保存期間の延長手続が適切に行われていなかったものがあったことは、まことに遺憾であります。今回、このような事態が判明したことから、早急に対応策を検討させます。

 いずれにいたしましても、公文書等の管理に関する法律施行後五年が経過しようとしており、行政文書の適正な管理の重要性は一層高まっているところであります。今後、法務省の職員各自が、関係法令等を遵守することはもとより、責任感を持ってより適切な行政文書の管理に配慮するよう努めてまいりたいと存じます。

逢坂委員 大臣、ぜひよろしくお願いいたします。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。次は、大臣の基本姿勢にかかわるところについて少しお伺いをしたいと思います。

 まず、法務大臣に就任されれば必ず聞かれることで、記者会見でも聞かれていたというふうに承知はしておりますけれども、改めて聞かせていただきたいと思いますが、岩城大臣は死刑に対してどのような認識をお持ちなのかというところであります。

 昨今の日本の裁判の状況を見ると、冤罪といったようなこともあります。それから、人間は、場合によっては間違うということもあるわけです。ただ、死刑だけは、一回執行してしまいますと取り消すことができないという本当に残酷な側面を持っているわけであります。私は、どちらかというと、個人的には、死刑についてはそろそろ少し見直すべき時期ではないかなというふうに思っているわけですが、大臣の基本認識をお伺いします。

岩城国務大臣 お答えいたします。

 死刑制度の存廃は、我が国の刑事司法制度の根幹にかかわる重要な問題でありまして、国民世論に十分配慮しつつ、社会における正義の実現等、種々の観点から慎重に検討すべき問題でございます。

 そして、国民世論の多数が、極めて悪質、凶悪な犯罪については死刑もやむを得ないと考えておりまして、凶悪犯罪がいまだ後を絶たない状況等に鑑みますと、その罪責が著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対しては死刑を科することもやむを得ないのであり、死刑を廃止することは適当ではないと考えております。

 その上で、死刑の執行について申し上げますと、死刑は人の命を絶つ極めて重大な刑罰でありますから、その執行に際しましては、慎重な態度で臨む必要があるものと考えております。

 と同時に、法治国家におきましては、確定した裁判の執行が厳正に行われなければならないことは言うまでもないところであります。特に死刑の判決は、極めて凶悪かつ重大な罪を犯した者に対し、裁判所が慎重な審理を尽くした上で言い渡すものでありますので、大臣としましては、裁判所の判断を尊重しつつ、法の定めるところに従って慎重かつ厳正に対処すべきものと考えております。

逢坂委員 丁寧に御答弁いただきましてありがとうございます。大臣としては、慎重に判断をした結果、死刑についても場合によっては執行する場面もきっとあるのだということだと。うなずかれておりますので、そういうことだと理解をいたしました。

 それでは、次でございますけれども、大臣の所信の中で難民に関するくだりがございました。近年、難民認定申請が急増する、だがしかし、その中には、専ら我が国での就労等を企図して申請したものもあると。「我が国における難民認定手続の適正かつ迅速な実施に努めてまいります。」ということを所信で述べておられますけれども、難民に対する考え方は、大臣、どのようにお持ちでしょうか。そしてさらに、所信で述べられております「適正かつ迅速な実施」ということについてはどういう内容なのか。あるいは、今、国際社会の中で難民が大量に発生をしているという現状もございますので、これらも考え合わせて、難民に対する大臣の考え方を総合的にお聞かせください。

岩城国務大臣 難民の受け入れについてのおただしだと思いますが、難民認定手続は、国際的な取り決めであります難民条約等に規定されている難民の定義にのっとり、申請者が難民に該当するか否かについて個別に審査を行い、判断していくものであります。この手続を通じまして、条約上の難民として庇護を必要とする者を迅速かつ確実に認定し、我が国において適切に保護することは、国際条約に定める義務を履行するものとして極めて重要であると認識をしております。

 しかしながら、現状におきましては、専ら就労等を意図した者によって難民認定制度が繁用されたと思われる事案が数多く含まれておりまして、真に庇護を求める者の迅速かつ確実な保護を損なう状況がございます。

 そこで、具体的に申し上げますと、難民の蓋然性が高い案件か、逆に、およそ難民の可能性がない案件かなど、案件の内容を早期に見きわめ、事実の内容に応じた適正な審査を実施することにより、真に庇護すべき人についての審査をより迅速に行い、確実に庇護していきたいと考えております。

逢坂委員 あわせて、今、難民申請の中で就労を目的にする難民申請があるということでありますが、今度は所信の中で、外国人材の受け入れについても言及をされているわけですね。

 今、日本は少子化社会であります。人口が減っていくということで、日本の経済の活力を維持するためにはどうしたらいいかとさまざまな取り組みがされているわけであります。

 諸外国の例を見ると、その際に、今度は難民ではなくて移民ですね、移民政策によって活力を維持し、労働力を確保しようというような考え方もあるわけでありますので、この移民については、大臣、どのようにお考えでしょうか。

 確かに日本は少子化社会でありますけれども、各国のさまざまな移民政策あるいは現状を見ておりますと、必ずしも円滑に行っているというふうには私は思ってはおりません。

 私の経験で、二十七、八年前ですか、ベルリンの壁が落ちた直後に、ベルリンあるいはフランクフルト、あの辺を歩いていたんですけれども、そのときに、当時、ドイツは西ドイツの時代ですね、中東からいろいろな方々を受け入れて移民政策のようなことをやっていたわけですが、東西の壁が落ちた直後だったということもあって、あれはフランクフルトの駅のそばの公園でありましたけれども、そこで、ドイツのもともとの国民の皆さんと移民の方が、激しいせめぎ合い、殴り合いというか、そういうようなことをやっているのも目撃しまして、ああ、これはなかなか大変なことなんだなということを自分なりに実感した経験があるんですが、移民について大臣はどのようにお考えでしょうか。

岩城国務大臣 まず、昨年六月に閣議決定されました日本再興戦略において、中長期的な外国人材受け入れのあり方につきましては、真に必要な分野に着目しつつ、総合的かつ具体的な検討を進める、それから、移民政策と誤解されないような仕組みや国民的なコンセンサス形成のあり方などを含めた必要な事項の調査、検討を政府横断的に進めていくとされているところであります。

 そこで、移民政策と誤解されない形でということでありますが、このことにつきましては、移民の受け入れは我が国社会に与える影響が大きく、国のあり方にもかかわる問題でありまして、国民的なコンセンサスが得られている状況にはないことでありますので、政府全体として、今後の外国人材受け入れの検討は、移民政策と誤解されないよう十分留意しながら行ってまいりたい、こういうふうに示されているところでございます。

逢坂委員 政府の基本姿勢としては、慎重であるということだと理解をいたしました。

 さて、そこで次です。

 これも所信の中でありますけれども、法教育のところなんですが、法教育をどうするかということは、実は先日、質問主意書を出させていただきまして御回答いただいておりますので、法教育そのものについてここでどうこうというよりも、この際に、政治的中立性というか、そういうことについて議論になる、私はそう思っているんですが、政治的中立性のあり方というのは結構難しいというふうに私は思うんですね。

 それで、今、日本社会を見ると、政治的なことに言及しないことが政治的中立性であるとか、あるいは、私はこれに賛成だとか、私はこの考え方だということを言わないことが政治的中立性であるかのように受けとめられている場面が多いような気がしていて、私、これはちょっと逆に危険なんじゃないかなという気がするんですね。

 やはり、政治的中立性をきちんと発揮するということは、私はこういう考え方である、だけれども世の中にはこういう考え方の人もいる、君たちはどう思いますかとか、あなたはどう思いますか、例えばこういう議論ができるということが本当の政治的中立性ではないかという気がするんですが、大臣、この政治的中立性についてはどのようにお考えでしょうか。

岩城国務大臣 まず、おただしのありました法教育の位置づけを述べさせていただきたいと存じますが、法や司法制度、これらの基礎になっている価値を理解させて法的な物の考え方を身につけさせること、また、人によって見方や評価がさまざまになり得る課題につき、みずから考え、みずからの意見を主体的に述べたり、他人の主張を公平に理解しながら、多様な意見を調整して合意を形成し、法やルールにのっとった適正な解決を図ったりすることのできる資質や能力を養うことを目指しております。これは、法教育としましては、特定の政治的な主張等、政治的な何かに依拠した内容を教育するものでないことは先生御存じのとおりだと思います。

 そこで、政治的中立性、これは非常に難しい課題だと思います。やはり、自分の意見を明確に述べる、相手の意見もしっかり聞くといったことを法教育を通して自然と養っていただくことかなと考えておりますが、非常に留意をしなければならない課題だと存じ上げております。

逢坂委員 私は、最近、日本の社会を見ていますと、どちらかというと、やはり議論になりそうなことを避けるというような風潮が感じられるわけですね。

 大学の学祭というんですか学校祭で政治的な議論をしてはいけないということを言っている大学があると聞いて、私はちょっと驚きまして、学生時代に政治的な議論をしないで一体いつやるんだという気がするんですね。学生時代は政治的な話をしちゃいけない。では、社会へ出て、この雑菌まみれのといいましょうか、そこへもう免疫力も何もないまま出てくる、それで本当にいいのかという気がするわけでありまして、学生時代だからこそ、不十分かもしれない、未熟かもしれないけれども、口角泡を飛ばして、場合によっては酒でも飲みながら、政治的な議論をするというのがあるべき姿なんだろうというふうに私は思うんですね。

 あるいは、法務委員会には直接関係ございませんけれども、主権者教育ということで、ことし七月の参議院選挙から選挙権年齢が十八歳に引き下げられるわけでありますけれども、その中でも、例えば、学校において先生が、政治的中立性という観点から、どちらかに偏った話をしてはいけないかのようなことを言われているわけであります。

 例えばスウェーデンの学校教育なんかを見てみますと、先生もやはり自分の政治的スタンス、立場を明確にするんですね、私は実はこういう政策を支持しているとか、私はこんな考えであるんだと。だけれども、世の中にはこんな考えの人もいるし、実は私と全く違った考え方の人もいるんだ、君たちはどう思うみたいな授業をやられているということであります。

 この政治的中立性というのは非常に多様なあり方があるんだということをぜひ多くの人に私は知っていただきたいと思いますし、ぜひ大臣も、法教育を今までもやってきたし、これからもやっていくという意味において、政治的中立性のあり方、そこを小さく小さく捉えるのではなくて、幅広に、まさに多様な価値観を共有できるようなことを目指していただきたいというふうに思います。これはお願いしたいと思います。

 それでは、次でございます。

 次に、先般、最高裁で、昨年の十二月でありますけれども、女性の待婚期間について、百八十日というのは憲法に反するんだという判決が出されました。そのときに、あわせて選択的夫婦別姓の問題も出されたわけであります。

 そして、これはタイミングがいいのか悪いのかわかりませんけれども、たまたま七日の日に、国連の女性差別撤廃委員会から、日本政府に対する勧告を含む最終見解が公表されているわけであります。この中で、夫婦同姓については改正を求める、すなわち、夫婦別姓を認めよというようなことが国連の女性差別撤廃委員会から日本政府に勧告されているようでありますけれども、この選択的夫婦別姓について大臣はどのようにお考えでしょうか。

岩城国務大臣 お答えいたします。

 お話がありましたとおり、最高裁大法廷判決におきましては、夫婦同氏を定める現行制度が憲法に違反するとの少数意見を述べた裁判官が五名おり、三名の女性裁判官全員がそのような意見でありました。他方で、最高裁判決の多数意見は、夫婦同氏を定める現行制度は合憲であるとした上で、選択的夫婦別氏制度の導入の是非については、国会で論ぜられ、判断されるべき事柄であると指摘されております。

 また、これも御指摘がございましたように、女子差別撤廃委員会は、今般、我が国に対し、婚姻前の氏を引き続き名乗ることができるようにするために、夫婦同氏制度を定める民法の規定を遅滞なく改めるよう勧告したものと承知をしております。

 各方面から選択的夫婦別氏制度を導入すべきとの意見があることは十分に承知をしております。一方、現在の法律を改めるべきでないという声、意見もあるものと承知しております。

 選択的夫婦別氏制度の導入は、我が国の家族のあり方に深くかかわる問題でありまして、国民の大方の理解を得て行うべきものと考えております。最高裁判決において指摘されておりますように、国民各層の御意見あるいは受けとめ方や、国会における議論の動向も踏まえながら、慎重に対応を検討する必要があるものと考えております。

逢坂委員 そうですね。これはなかなか難しい問題だと思います。

 社会の中では、やはり夫婦が同じ姓を名乗らなければいけないということで、特に日本においては、女性の方が従前何らかのことで仕事をしていた、そして自分の名前、いわゆる旧姓がその仕事の中でもう通用している。だけれども、結婚すると旦那さんの名前に変えることの方が多いわけでありますけれども、そうなると不都合だというようなケースもたくさん聞いている、これも事実であります。ただ、家族制度にかかわる問題だという指摘も、それもそうだというふうにも思いますので、この問題は、またさらに別途議論をしたいというふうに思います。

 そこで、このこととは直接関係ないのでありますけれども、婚外子については、大臣、どのようにお考えでしょうか。フランスが少子化のときに、婚外子についてもある種、幅広に容認するような方向だったように私は記憶をしているんですけれども、この点、どのようにお考えでしょうか。

岩城国務大臣 お話がありましたフランスでは、嫡出でない子の国際比較で見ますと、五六・七%と極めて多いので、私も正直驚いております。

 そこで、まず用語の整理からさせていただきます。婚外子とは婚姻関係にない男女の間に出生した子を意味するものと理解いたしますが、民法上は、嫡出でない子、このように呼称されております。

 平成二十五年の第百八十五回国会におきまして、嫡出子と嫡出でない子の相続分が同等とする旨の民法の一部を改正する法律が成立いたしました。これにより、相続分については、嫡出子と嫡出でない子の区別がなくなりました。

 もっとも、嫡出子と嫡出でない子とでは、依然として次のような区別があります。

 まず、嫡出子であれば、法律上の父子の関係は当然に生ずるのに対し、嫡出でない子の法律上の父子関係は、父が子を認知することによって生じます。

 また、成年に達しない嫡出子は、父母の親権に服し、父母の氏を称して父母の戸籍に入るのに対し、嫡出でない子は、父の認知があっても、原則として、母の親権に服し、母の氏を称し、母の戸籍に入ります。

 こうした嫡出子と嫡出でない子とが区別されている背景には、我が国の民法において法律婚主義がとられていることが挙げられると思います。我が国におきましては、法律婚を尊重する意識が国民の間に幅広く浸透しておりまして、このことは、嫡出子と嫡出でない子の相続分の区別を違憲とした平成二十五年の最高裁判所決定においても指摘をされているところであります。このように、嫡出子と嫡出でない子の区別は、家族制度の根幹に根差しているものと考えております。

逢坂委員 これも非常に難しい問題でありまして、フランスが五割を超えているというのは本当に驚きの事実なのでありますけれども、これからこの問題も、どう捉えていくのか、我々に大きな課題を突きつけられているというふうに私も思っております。

 この点、私も、こうやって質問をしながら、どうすべきなのかというのは、必ずしも十分に答えを持ち合わせてはおりません。ただ、この案件が小さくなっていくのではなくて、これは場合によっては社会の中で大きくなっていく可能性も否定できないと思いますので、私もしっかり心にとめていきたいというふうに思います。

 次に、特定秘密保護法についてお伺いをしたいと思います。

 まず第一に、特定秘密保護法の十条一項の規定、行政機関が安全保障に著しい支障があると判断すれば特定秘密の提供を拒否できるというのが特定秘密保護法の十条の第一項であります。片や一方で、憲法には、九十条の会計検査院に関する規定で、国の収入支出を全て検査するとうたっているわけであります。

 これは、実務上どうかということとか、大臣の答弁をどういただくかとか、そういうことを私は聞きたいのではなくて、まず、法令上この二つの条文は少しそごがありますね、ぶつかり合いがありますねというところについては、法文上そう認めざるを得ないと私は思うんですけれども、この点、まずいかがでしょうか。

岩城国務大臣 憲法上の会計検査院の役割の重要性については、政府は十分に認識をしております。そして、会計検査院への秘密事項の提供に関する取り扱いについては、特定秘密保護法の施行により従来と何らの変更が生ずるものではございません。すなわち、会計検査院の検査に必要な資料の提供は、公益上特に必要と認められる業務を行う者への特定秘密の提供を定める法第十条第一項第一号を根拠として行われます。

 我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたときに限り提供されるという限定が、御指摘のありましたとおり、法文上適用されることとなるものの、実際にこの規定により特定秘密の提供が行われないということは、実務上、およそ考えられません。従来の取り扱いと何らの変更がないことについては、法案の作成時において内閣官房と会計検査院との間で確認し、さらに昨年末、改めて関係行政機関に徹底をいたしました。

 このように、特定秘密保護法の施行により、特定秘密であることを理由として、検査上の必要があるとして求められた資料の提出がなされないという問題は生じないものと考えておりまして、憲法第九十条に違反するものではないと思います。したがいまして、会計検査院との関係において、特定秘密保護法と憲法とがそごしているという御指摘は当たらないものと考えております。

逢坂委員 きょういろいろ議論をしてきて、何か、初めてここでぶつかり合う、そごが生じたような気がするのでありますけれども。

 私は、条文をストレートに読むと、やはり条文上そごが生じているような気がするんですよね。行政機関が安全保障に著しい支障があると判断すれば特定秘密の提供を拒否できるという規定でありますから、それでは拒否できるわけですよね。でも、会計検査院、憲法の方は全て検査すると書いてあるわけですね。こういう規定があっても、会計検査機能を発揮させるためにこの規定はあるけれども、文書は、会計検査院が求めるものは途切れなくきちんと出すんだということは実務上あると私は思いますよ。実務上あると思いますけれども、法文上、これはやはりぶつかっていると読まざるを得ないんじゃないでしょうかね。

 もし、いや、これは条文上整合性がとれていますということを法教育でやったら、法学部の学生は、はてな、はてな、はてなとなるんじゃないかなという気が私はするんですけれども、法文上そごはございませんかね、これは。どうでしょうか。

岩城国務大臣 これは先ほども申し上げましたとおり、会計検査院から求められた資料等につきましては提出をさせていただくことになるわけでありますので、法文上のそごというものはないものと私どもは認識をしております。

逢坂委員 ますますそごが広がっているような気がするんですが。

 私はきょう、ここをぎりぎり詰めたいということを必ずしも思っているわけではないんですが、これは私の考えでありますけれども、やはりこの二つの条文は、法文上どう見てもそごがあるというふうに言わざるを得ない、私はそう考えます。

 だとするならば、私は、やはり特定秘密保護法を手直しすることが妥当なんだろうと思うんですね。実務上そごのないように、これはぶつかりがなくちゃんとやれるんだということでありますけれども、こういう法の運用をすることは、法秩序にもとるような気がするんですよね。法務省の言うところの法秩序ではなくて、日本語としての法の整合性というか倫理といいましょうか、そういうものにもとるような気がするんです。

 私は、まず一つは、やはりこれは法文上ぶつかり合い、そごがあるんじゃないですかということの指摘と、それを解消するためには特定秘密保護法の条文を手直しする必要があるんじゃないですかということを指摘したいんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

岩城国務大臣 会計検査院法の規定と特定秘密保護法の規定との関係については、法案作成時の協議の際に、内閣官房と会計検査院との間で、それまでも、各行政機関においては、秘密事項について会計検査院から検査上の必要があるとして提供を求められた際には、これに応じて提供を行う取り扱いをしてきていたところ、特定秘密保護法の施行によりこの取り扱いに何らの変更を加えるものではないことが確認されておりまして、両方の規定が矛盾するものではないことが確認されていると考えております。

 その上で、この法律を直すべきではないかということのおただしでありましたので、お答えを申し上げますけれども、我が国の安全保障以外の公益上の必要により特定秘密が提供される場合について、特定秘密保護法第十条第一項第一号において、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めるときという要件が定められているのは、まさに、我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものを的確に保護するという、本来の目的を損なう形で情報が提供されるようなことがないということを制度的に保障するための法律上のたてつけでありますので、会計検査院に対する提供をその適用の例外とするといった法律の見直しは、する必要がないものと考えております。

逢坂委員 私は、法律というのは、いろいろ不都合なところというか、いろいろな法律を見ると、不都合なところがある法律というのは世の中にはあると思っています。この条文とこの条文はちょっと別なことを定めているなというようなものも中にはあると思うんですけれども、今回の憲法と特定秘密保護法の関係については、やはりもう少し誠実に条文に向き合うべきだろうというふうに私は思います。これはやはり日本の根幹にかかわる部分だというふうにも思いますので。

 私、大臣のおっしゃりたいことはわかるんですよ。従来と変わらないようなことになりますからというふうにせざるを得ないのも、私はそれは事実だと思うんですけれども、ただ、法を扱う専門家としては、この問題については、やはりもっと丁寧に向き合った方がいいというふうに私は思います。これを認めてしまったら、憲法の存在が一体何であるかが非常に曖昧になりますし、法規範というものが一体何であるかということが非常に曖昧になるような気が私はしますので、ここまで問題が顕在化している、みんなに指摘されてわかっていることでありますから、これはもう少し丁寧にお考えいただきたいなというふうに思うんですね。

 きょうはこれで答弁はよろしいです。多分、これからまたいろいろなところでこの問題は出てくるのではないかというふうに思います。

 それでは、次でありますけれども、憲法九十九条についてなんですが、私、この条文はすごく大事な条文だと思っていまして、御案内のとおり、大臣、公務員、裁判官、それから国会議員、天皇、摂政も含まれておりますけれども、憲法を擁護し尊重する義務があるということであります。

 この条文がなぜ設けられているのかというところについては、大臣、どう御認識しておられますか。

岩城国務大臣 憲法第九十九条が定める憲法尊重擁護義務、この条文が定められている理由でございました。

 これは、当然のことながら、私ども、憲法に従う義務があるということだと存じます。

逢坂委員 今、憲法に列挙されている国会議員、大臣、公務員、裁判官、これらの人たちは、私も含めてでありますけれども、平たく言うと権力者なんですね。どういう意味での権力者かというと、法を通じて国民の自由を制限する力を持っているわけですね。

 国会議員は、唯一の立法機関である国会で法律を制定する力を持っているわけです。公務員や大臣は、定められた法に従って法を執行するという力を持っている、その法の執行を通して国民の自由を制限する力を持っている。そして裁判官は、法に定められたルールに従ってちゃんとそれが行われているかどうか、法の枠を超えていないかどうか、法に触れていないかどうか、それをチェックすることで、先ほども例に出ましたけれども、究極の自由の奪い方として死刑ということまで言える、そういう力を持っているわけですね。

 だから、国会議員、裁判官、公務員、大臣、これらの人たちというのは、法を通して国民の自由を制限する力を持っている。だからこそ、その人たちに青天井で国民の自由を制限するということをやられてはかなわないので、それは必ず憲法の枠内でしかやれませんよ、法によって国民の自由を制限するということは憲法の枠の中でしかできませんよという意味での憲法を擁護し尊重する義務だというふうに私は理解をしているんです。

 その意味での九十九条だと思うんですが、そういう九十九条であるにもかかわらず、今の政治家が本当にこの憲法を擁護し尊重するという気持ちを持っているかどうかというのは、私、非常に心もとないというふうに思うんです。その端的な例が安倍総理でありまして、例えば、現行憲法のことを、GHQの素人がたった八日間でつくり上げた代物という言い方をするわけですよね。これは、現行憲法を擁護し尊重しているとは私には思えないんですね。

 総理御自身が現行憲法に対してどんな考えを持とうが、それは私は自由だと思いますし、私はこういうふうに憲法を変えたいと思う、それは私は全く自由だと思うんです。だがしかし、総理という立場にありながら、現行憲法を擁護し尊重するという姿勢には思われないような発言が多過ぎるような気がするんですよ。

 私はきょう、ここは、何かあれば御答弁いただきたいとは思いますが、もうこれ以上言うのはやめにしますけれども、少し九十九条がないがしろにされている、この現状は相当危ういというふうに思いますので、大臣、改めてこの九十九条を、大臣自身も、私ももちろんそうですけれども、これをしっかり守るんだというか、これを心に刻んで国会活動や法務省での仕事をやるんだということ、そのことについて御見解はいかがですか。

岩城国務大臣 おただしのありましたとおり、憲法を尊重し擁護する、そういった義務を私どもは負っているわけでありますので、それに従いまして適切な行動、言動をとってまいりたい、そのように考えております。

逢坂委員 それでは、今度、またこれも基本的認識なんですが、憲法二十一条に定められている知る権利についてお伺いをしたいんです。

 最近、国会でこういう質問をすると、クイズのようだ、クイズのようだと言われて、ちょっと困っちゃう場面があるんですが、知る権利は優越的人権というふうに法学部なんかではよく教えられるんですけれども、なぜ知る権利が優越的人権だというふうになっているか、大臣、御存じですか。

岩城国務大臣 表現的自由という形でよろしいですか。(逢坂委員「失礼いたしました、表現の自由です」と呼ぶ)はい、わかりました。

 表現の自由についてのおただしでありますけれども、憲法の規定のあり方を一般的に問うものであれば、これは私としてお答えする立場にはないわけであります。

 しかしながら、一般的な解説等によりますと、おおよそのところ、表現の自由の制限は、経済的自由権よりも特に厳しい基準によって審査されなければならない、そういった意味で用いられているものと承知をしております。

 その理由につきましては、経済的自由権が不当に制約された場合、民主制の過程によって是正可能であるが、表現の自由については、国民が主体的に政治的意思決定に関与する上で不可欠の言論活動や情報の取得の前提となるものであり、これが侵害されると民主制の過程自体が損なわれることになることが挙げられているものと承知をしております。

逢坂委員 そうなんですね。経済的自由の保障というのは何らかの手だてによって回復できる可能性はあるけれども、先ほど知る権利などと言っちゃって大変申しわけございませんでしたが、表現の自由というのは、それが阻害されると、それを回復する手だてというのはないんですね。

 そして、特に表現の自由が制限されると、時の権力者、平たく政府と言ってもよいかもしれませんけれども、政府に対して、私はそれと違った意見を持っていますというようなことを場合によっては言えなくなってしまう。そうなってしまうと民主政治というものは成り立たなくなってしまうわけですので、だからこそ、表現の自由というのは他の権利よりも優越的で、これは大切にされなければいけないのであって、これを突き崩してしまったら、もういわゆる民主主義は成り立たないんだというところが原点にあるんだと思うんですね。

 そこで、明治憲法の例を見ると、明治憲法にはこういうふうに書いてあるわけですよね。法律の範囲内で表現の自由を保障するということが明治憲法の規定なわけですね。要するに、表現の自由に留保がついているわけですね。一方、現行日本国憲法というのはその留保がないわけであります。留保がなくて、まあ、全く自由というわけでは必ずしもないんですけれども、条文上は、留保なしの表現の自由を保障しているわけであります。

 この表現の自由について留保条件をつけるということについては、大臣、どのようにお考えですか。

岩城国務大臣 お尋ねの件は、憲法の規定のあり方を一般的に問うものでありますので、これは法務大臣としてお答えする立場にないことを御理解いただきたいと存じます。

逢坂委員 憲法の規定というよりも、表現の自由ということに留保をつけることについてどう思うかということを聞いたわけですね。

 明治憲法、大日本帝国憲法は、「日本臣民ハ法律ノ範囲内ニ於テ言論著作印行集会及結社ノ自由ヲ有ス」というふうになっているわけですね。一方、現行日本国憲法は、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」という言葉になっていて、大日本帝国憲法は、「法律ノ範囲内ニ於テ」という留保がついている。

 留保をつけるということについて、改めてどう思われますか。

岩城国務大臣 大変難しい課題になってまいりましたけれども、先ほども申し上げました、その上でお話を申し上げますけれども、憲法の規定のあり方につきましては、国会を中心に、政党間や憲法審査会の場などで御議論いただくべき事柄であると考えておりますので、御理解いただきたいと存じます。

逢坂委員 私は、やはり表現の自由というのが優越的人権だと言われているのは全くそのとおりであるというふうに思っていまして、これに留保をつけることで社会が随分と変な方向に変わってきたという過去の歴史も私なりに学んでいるつもりでありますので、表現の自由については留保をつけるべきではないというふうに思います。そのことだけを言わせていただきます。

 それでは、多分最後になろうかと思いますけれども、大臣の所信の中に、なるほどなというか、大変だなと思うところがございました。それは、大臣の所信の中の、治安の確保、国民生活の脅威への対策というくだり、あるいはその前のくだりも若干関係ありますか、入国審査のところにもございますけれども、例えば、「出入国管理インテリジェンス・センターを中心に出入国管理に関する情報収集・分析を強化する」というふうに書いてあるんですね。それから、同じくテロ対策についても、「情報収集・分析機能の強化に努めてまいります。」とあるわけですね。それから、北朝鮮に関するくだりのところにも、「関連情報の収集・分析等を進めてまいります。」ということが書かれております。それから、尖閣についても、「関連情報の収集・分析に尽力するなど、」ということが書かれているわけです。

 すなわち、これほど出てくるわけですから、情報収集、分析というところが実は法務省の仕事の中で非常に大事な柱なんだろうというふうに私は理解をします。

 実は私は、先ほどの公文書管理と同様に、日本の情報収集、分析、法務省に限らず日本政府のというふうに言ってもよいかもしれませんが、英語で言うところのインテリジェンス機能ですね、これがやはり相当に脆弱だろうというふうに思っております。だから、情報を収集し、分析し、それを利活用していくという機能については、まだまだ我々は勉強しなきゃならないというふうに思っているんです。

 法務省でこれほど情報収集、分析ということをたくさん挙げられているんですが、具体的にどんな手だてを、あるいはどんな対応をされているのか、あるいはICT等の利活用などということも場合によってはあるかもしれませんけれども、その辺、どのようにお考えなのか、お答えいただければと思います。

岩城国務大臣 関連情報の収集、分析、これはそれぞれの分野で大切な課題となっております。

 まず、その具体的な内容についてということでありますので、それぞれ申し上げます。

 国際テロに関しましては、公安調査庁において、テロの未然防止に向け、国際テロ組織等の動向に関する情報の収集、分析、国内において国際テロ組織とのかかわりが疑われる不審人物や組織の有無、及びその不穏動向に関する情報の収集、分析、テロの標的となるおそれのある施設に関係する不穏動向に関する情報の収集、分析などを行っております。

 それから、北朝鮮に関する関連情報の収集、分析でありますが、核開発や弾道ミサイル発射、大量破壊兵器の保有、拡散、韓国に対する武力挑発などの諸問題のほか、日本人拉致問題も解決されないままの状況であることから、これら北朝鮮をめぐる諸問題に関し、同国の内政、外交、軍事情勢や朝鮮総連の諸動向など、各種の情報の収集、分析に努めております。

 尖閣諸島に関しましても、我が国の主権にかかわる重要な問題であるとの認識のもと、国外における領有権主張活動などに関する各種情報の収集、分析に努めております。

 これら公安調査庁において収集、分析した情報については、政府の重要施策の推進に貢献するため、必要に応じ適宜適切に関係機関に提供されているものでございます。

逢坂委員 質疑時間が終了しましたのでこれで終わりたいと思いますが、大臣、きょうはどうもありがとうございました。特定秘密保護法と憲法に関する見解、大臣と私のそごが埋まらなかったのが非常に残念でありますけれども、これからもよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

葉梨委員長 以上で逢坂誠二君の質疑は終了いたしました。

 次に、井出庸生君。

井出委員 維新の党、信州長野の井出庸生です。本日もよろしくお願いをいたします。

 きょう、私もまず大臣の所信、法務行政に係るところから入ろうと思ったんですが、予算委員会の大臣の答弁を聞いておりまして、先ほど逢坂先生からも御質問ありましたが、特定秘密のことが今回話題になっておりまして、大臣、担当大臣でもありますので、私からも、まずその点から伺ってまいりたいと思います。

 再三取り上げられてまいりました会計検査院と特定秘密との問題ですが、今御答弁いただきましたように、会計検査院も特定秘密保護法の適用の範囲ではあるが、ただ、会計検査院に必要な資料を提出しない、その検査を拒むということはおよそ考えられない、そういうお話がありました。

 そこで、一点そのことで伺いたいのですが、実は似たようなことが、昭和四十三年の五月十三日、決算委員会の中でも当時の佐藤総理大臣が同じような話をしておりまして、そのときはまだ特定秘密保護法がなかったわけですが、そのときの佐藤総理大臣の答弁の中で、「いわゆる機密事項であろうが何であろうが、会計検査の検査を断わるというようなものは全然ないのでございます。必ず検査はやらなければならない。」そういうお話をされております。

 この佐藤総理の当時の見解と、特定秘密保護法が始まりまして今大臣が述べられている見解と、その実質の内容に変わりがないかどうかを改めて確認したいと思います。

岩城国務大臣 何回も御答弁していることでありますが、会計検査院それから内閣官房との間で、これまでも、秘密事項について会計検査院から検査上の必要があるとして提供を求められた際には、これに応じて提供を行う取り扱いをしてきており、特定秘密保護法の施行により、この取り扱いに何らの変更を加えるものではないこと、これが確認されております。

 したがいまして、先ほどおただしのありました、当時の佐藤総理ですかの答弁と同じ内容である、そのように承知をしております。

井出委員 ありがとうございます。

 今、そういうことでお話を伺いましたが、この法律、特定秘密保護法ができるときに、会計検査院から、法案作成担当部局と、この法律ができたときの懸念についてやりとりがあったと。それは、聞くところによりますと、三回ほど検査院側と内閣官房の方で文書をやりとりして、恐らく、今御答弁されているような、実務上の変更はないということは確認されたということだと思うのですが、当時は、なぜ会計検査院の求めていた通知、通達ではなくて逐条解説、これも予算委員会で答弁があったかと思ったのですが、逐条解説をもって通知をした、通知には至らなかった、そこには何か理由があるのか、伺いたいと思います。

田中政府参考人 ただいま逐条解説と通知につきましてお尋ねがございました。

 まず、逐条解説でございますが、これは特定秘密保護法の施行前の平成二十六年十二月九日、当時の内閣官房特定秘密保護法施行準備室が作成いたしまして公表したものでございます。その中の第十条第一項第一号の解説におきまして、特定秘密を提供するものとする、公益上特に必要があると認められる業務の例として、会計検査院の会計検査を挙げているものであります。

 一方、通知でございますが、昨年十二月二十五日に内閣情報調査室次長から、特定秘密の指定権限を有する二十の行政機関の担当局長等宛てに、秘密事項について会計検査院から検査上の必要があるとして提供を求められた際には、これに応じて提供を行う取り扱いをしていると承知していますが、法の施行により、この取り扱いに何らの変更を加えるものではない、その旨改めて通知したものでございます。

 この二つの文書でございますが、いずれも、特定秘密保護法の制度に関する事務を担当する内閣官房が作成し、その解釈を示したものでありますが、通知は、年末の報道等を踏まえまして、改めて確認的に発出したものでございます。

井出委員 今、報道等を踏まえてというお話がありましたが、逐条解説と通知、通達というものは、私の素人ながらの思いですと、やはり省庁に与える効力といいますか影響力は違うのではないかなと。逐条解説と、逐条解説をもって通知ということは、それは同等に成り立つのかどうかというところを教えてください。

田中政府参考人 先ほど大臣もお答えいたしましたが、法律の立案時におきまして、内閣官房と会計検査院の間で、従来の取り扱いに変更がないこと、これにつきましては確認をいたしたところでございます。

 そういった背景がございますので、逐条解説をもちまして足りると当時は考えていたわけでございますが、昨年十二月ごろの報道を見まして、改めて、誤解でありますとか懸念でありますとか、そういったことを払拭するために通知を出したものでございます。

井出委員 重ねて田中審議官に伺いますが、たしか、報道があったのは十二月の八日だったと承知をしております。その後、二十五日までの間にどのような経過で通知をするに至ったのか、もう少し具体的に教えてください。

田中政府参考人 繰り返しの御答弁になりますが、私ども内閣官房といたしましては、逐条解説をもちましてこれで法律の趣旨につきまして徹底したものと思っておったわけでございますが、報道を見まして、改めて、誤解、懸念があるかもしれない、そのように思いまして通知を発出したものでございます。

井出委員 大臣に伺いたいのですが、岩城法務大臣は特定秘密の御担当も兼務ということになっておるかと思いますし、たしか、法務大臣になられたときに、総理から特定秘密も担当するようにと御指示があったというようなことは、会見で一文述べられているのは会見録を見させていただいておりますが、なぜ特定秘密の事務担当が、法務大臣である岩城さんがその任にあるのか、そのことについて何か御見解、お考えがあれば教えていただきたいと思います。

岩城国務大臣 基本的には総理の御判断であります。

 まず、内閣の担当大臣とは、内閣全体として集中的に取り組むべき重要政策課題について、内閣法第三条第二項に基づき、その時々の内閣総理大臣の判断により置かれる大臣をいうものとされております。

 私も、内閣の担当大臣としての立場で、総理から、内閣情報調査室の事務のうち特定秘密の保護に関する制度に関する事務を担当させる旨の指示を受けて、特定秘密の保護に関する法律の制度を担当しているもの、そのように考えております。

井出委員 田中審議官に伺いますが、今、岩城大臣からそのようなお話がありましたが、特定秘密の担当大臣というものは、法律が国会で成立してから、松島元法務大臣、上川前法務大臣、そして岩城大臣ですね。審議中は森担当大臣がいらっしゃったと思いますが、この法律が成立してから、なぜ法務大臣がいずれもこの担当にあるのか、内閣官房としてお考えを教えてください。

田中政府参考人 大臣からも御答弁がございましたように、これは基本的には総理の御判断かと思います。事務方から何か申し上げるというのは適当でないと思っております。

井出委員 重ねて伺いますが、この特定秘密の事務を担当する大臣というものは、法務大臣に任ぜられているんでしょうか。それとも、岩城さん個人が特定秘密の担当大臣として任命を受けているのか。そこの御見解があれば教えてください。

田中政府参考人 先ほど大臣から御答弁がございましたが、内閣法の規定によりまして、国務大臣としての岩城国務大臣が担当になられている、そのように承知をしております。

井出委員 恐らく、これまでの問題意識を整理しますと、総理大臣が、岩城大臣御本人の個人の資質として、法務大臣だから特定秘密もやってくれということではなくて、特定秘密は岩城大臣にお願いしますということでの任命だと思うんです。

 もう一度田中さんに伺いたいんですが、特定秘密は、きょうここに来ていただいておりますから、内閣官房がメーンだと思うんですけれども、そうすると、私は、ですから、自然に考えれば、官房長官なり総理がやはりそれをしっかりやるべきじゃないかと。

 さすがに総理大臣が全ての特定秘密に係る仕事をというところを譲ったとしても、特定秘密の担当大臣が三代続けて法務大臣になっている。法務大臣は大変忙しい、ほかのさまざまな分野があって、岩城大臣はトライアスロンの第一人者でありますから、どんな分野が来ても何でもこなされると思うんですけれども、私は、この特定秘密の担当大臣が三代続けて法務大臣というのは、これはそろそろ見直した方がいいと思いますけれども、いかがですか。

田中政府参考人 先ほどの御答弁と重複する部分がございますけれども、内閣法の規定によりまして担当大臣を置くことができるというふうにされておりまして、その規定に基づきまして総理の御判断により置かれているというふうに承知をしております。

井出委員 いつか総理と議論することがあったら総理にも直接言いたいと思っているんですが、実際、予算委員会で、この会計検査院の問題でかなり議論、やりとりがあったかと思います。

 また、最初にこの特定秘密の担当大臣になった松島さんは、任命された後の最初の会見で、特定秘密の担当でもある、これから法律が始まるがと聞かれて、御本人は、こういうことは大変言いたくないんだけれども、まさにこれから勉強していきますというようなことを言われているんですね。あの方は、私が推察するに大変負けず嫌いだと思いまして、その後大変な勢いで勉強されたというのは聞いておるんですけれども。

 やはりこれは適材適所の人選を、松島さんであったり、上川さんであったり、岩城さんの個人の資質としては適材適所かもしれませんけれども、特定秘密の担当が法務大臣に負うということは、これはどう考えても、これから法務大臣が、またいろいろな方がおやりになると思いますけれども、そのたびに一からということになってくると、やはり特定秘密の運用ということを考えれば、それは少し考え直した方がいいのではないか。それは総理の御判断ではなくて、実務上の問題として伺いますが、いかがでしょうか。

田中政府参考人 たびたび御答弁申し上げておりますが、総理の人事でございますので、事務方からあれこれ申し上げるのは、いささかのりを越えているというふうに思います。

 私ども事務方といたしましては、精いっぱい補佐をさせていただきたい、そういうように思っております。

井出委員 実は昔、内閣委員会で菅官房長官とこの問題をやったことがありまして、上川大臣がなられた直後だと思うのですが、そのときも官房長官は、八回答弁に立たれたうち六回、総理の御判断というお話をされて議論が深まらなかったんですが、この問題は、いずれどこかの場で総理と直接やらせていただかなければいけないと思いますが、問題意識を持っておいていただきたいと思います。

 大臣に伺いたいんですが、特定秘密の担当とは、具体的にどういうものを担当されていると御認識か、教えていただきたいと思います。

岩城国務大臣 私は、特定秘密の保護に関する制度に関する事務、これを担当いたします。そしてまた、内閣保全監視委員会、この組織は内閣総理大臣による行政各部の指揮監督を補佐するという役目も担っておりますが、それも担当しております。

 すなわち、特定秘密保護法に関する基本的方針や運用基準に関する企画立案や総合調整を行う、こういう任務を担っておるところでございます。

井出委員 昨年の十二月十七日に内閣府の独立公文書管理監から、特定秘密を一年間かけてチェックをした、その報告をしますということで報告書が出ておりますが、これにも大臣は責任者としておかかわりがあるのかないのか、教えてください。

岩城国務大臣 独立公文書管理監と私とのかかわりでございますか。

 独立公文書管理監は内閣府にございますが、担当される大臣は河野内閣府特命担当大臣でございます。

井出委員 田中さんにちょっと御確認をしたいんですが、公文書管理監の監督責任といいますか、トップは今大臣がおっしゃったように河野さんであって、私の認識ですと、独立公文書管理監がさまざまな省庁に特定秘密についての照会をかける、調査を進める、その応対の、省庁が応対すると思うんですが、その特定秘密全般の制度ですとかその統一的なところの部分の対応責任というもののトップは誰かといえば、私は法務大臣じゃないかと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。

田中政府参考人 独立公文書管理監への対応ということでございますけれども、それぞれの特定秘密の指定に関してよしあし、そういったことにつきましては各行政機関で対応いたします。

 一方、岩城大臣以下私どもの方では、法律の施行につきまして責任を負っておりますので、その観点から、斉一性の確保でありますとか、そういったことにつきまして責任を負っております。

井出委員 もう一度伺いますが、法律の適正な運用、そういうところで岩城大臣をトップにされていると思うんですけれども、独立公文書管理監ですとか、あと、国会にあります情報監視審査会、そういったチェック機関に対する特定秘密保護法の制度全般の説明ですとか統計的なデータですとか、そういう部分の説明という意味では、岩城大臣をトップに皆さんもかかわられているということでよろしいですか。

田中政府参考人 例えばでございますけれども、国会に対しまして毎年この法律の運用状況、施行状況につきまして報告するということがございますけれども、それにつきましては、私どもの方で取りまとめまして、国会に対しまして報告をするという手続をとってございます。

井出委員 確かに、国会報告は、当時ですから上川大臣だったやに記憶をしております。

 独立公文書管理監の佐藤さんに伺いますが、公文書管理監の全ての調査というものは、基本的には各省庁が責任を持って応対する。制度全般ですとか数字の積み重ねですとか、そういう部分で岩城大臣筆頭に内閣官房が対応する部分というのはございますか。

佐藤政府参考人 委員御指摘のとおり、私ども独立公文書管理監あるいは情報保全監察室といたしましては、任務を遂行するに当たっては、基本的に各行政機関の長それぞれが特定秘密の指定をしておりますので、それに対してさまざまな質問をしたり、あるいはヒアリングをしたりという形で任務を遂行しているところでございますけれども、その過程で制度全体にかかわるようなことが出てくれば、それは参考的に内閣官房の方に確認するということは、事務的にはございます。

井出委員 そうしますと、余り公式というか正式には岩城大臣を筆頭とする内閣官房の特定秘密担当部署とは、この調査は公式的には各省庁とやりますということなのかなと思うんですが、岩城大臣は、十二月十七日に独立公文書管理監が出された報告の中身というのは把握をされていますか。

岩城国務大臣 内容については報告を受けております。

井出委員 その内容について佐藤独立公文書管理監に伺いたいのですが、私がいただいた文書を読ませていただきますと、平成二十六年の十二月十日から二十七年の十一月三十日まで調査をして、その分について十二月十七日に報告をした。指定をした十の行政機関について、特定秘密の指定が適正に行われているか、特定秘密を記録する文書の内容が指定と整合しているか、その表示が適正に行われているかなどについて行ったと。

 その結果を見ますと、多少の整合しないものもあったものの、全ての指定について特定秘密保護法に従って適正に行われているものと認められたと報告されておりますが、なぜ、全ての指定について、特定秘密保護法について適正、そうはっきりと見解を出せるのか、それについて理由を教えてください。

佐藤政府参考人 今御指摘のありました特定秘密の指定の適正ということに関しましては、指定の三要件というのがございまして、別表該当性、非公知性、そして特段の秘匿の必要性、この要件を満たしていなければ不適正ということになるわけでございますけれども、このような要件も満たしているということを結果として判断したという次第でございます。

井出委員 調査の概要を見ますと、特定秘密の指定の管理簿ですか、これは全部ではありませんが、一〇〇%ではありませんが、情報公開をすれば開示をされると聞いております。また、特定秘密の指定書をごらんになった、物によってはその特定秘密もごらんになったということがこの報告書に書かれているんです。

 何か特定秘密の指定の管理簿ですとか指定書ですとか、そういった書面によるチェックというものは全てなされたのではないかなと、この報告書を理解しているんですね。

 それから、実際に特定秘密の文書もごらんになっているとこの報告書には書いてあると思うんです。特定秘密のうち九十一件について検証、監察を行ったということが報告書の八ページに書いてあるんですが、この九十一件というのは、特定秘密が指定されているものの全てではないと私は思うんですよ、たしか四百件近く指定されていると思うので。九十一件というものは、これは作業は完了しているのか、それとも、まだ引き続き見ていく、見なきゃいけない、調査したい特定秘密もあるんだけれども、一旦期限を区切って報告をしたのか、そこのところを教えてください。

佐藤政府参考人 まさに委員御指摘のとおり、我々、今回の報告に入れる活動の対象期間というのを区切った関係がございまして、その間にやったことについて、十一月三十日ということで区切ったわけでございますが、そのことについて十二月十七日に報告したという次第がございます。

 したがいまして、我々の検証、監察の中で、既に終了したということで結果をオープンにした、公表したということもございますし、その過程をオープンにした、公表したということもございます。

 委員御指摘の今の九十一件ということは、あくまで表示の確認ということの関係で文書を確認したものでございまして、それはまだ過程にございます。おっしゃるとおりでございます。

井出委員 この報告書を見ますと、特定秘密の指定件数は三百八十二件である、特定秘密を記録する文書等の確認件数は百六十五件であるというところがあって、公文書監としては百六十五件を、実際の特定秘密の書類、特定秘密と判この書いてあるものを確認したいんだけれども、百六十五分の九十一まで進んでいるということでよろしいんですか。

佐藤政府参考人 何分の一ということになりますと、分母に対して分子ということになろうかと思いますけれども、九十一件というのはあくまで指定された特定秘密の件数を数えております。したがいまして、全体の特定秘密の数は三百八十二ということでございます。

 もう一つの御指摘の文書の方は、こちらの方は、百六十五というのは実際に見た文書の数を申しておりますので、そういう意味では、特定秘密自体は情報をあくまで指定するということでございますけれども、我々が情報に結びついた文書を確認した件数が絶対数にすると百六十五だということで、ちょっとこれは別の観点でございます。

井出委員 簡単に言いますと、恐らく、特定秘密というものは三百八十二件あって、一枚一枚の書類というものは星の数ほどある。今のお話ですと、その特定秘密三百八十二の項目のうち、九十一件の項目についてチェックをして、その九十一件の中で実際確かめた特定秘密とそれぞれ印鑑が押してあるものが百六十五ということなのかと思うんですが。

 そうしますと、質問をかえますが、九十一件見て、過程であると。これは、三百八十二件の中の、星の数ほどある文書を全部見るのは到底私は無理だと思いますけれども、この三百八十二件について最終的にしっかり見ていく、そのうちまだ九十一件だという理解でよろしいでしょうか。

佐藤政府参考人 今御質問の件は、先ほど来委員が御指摘の、検証、監察の手法というか、やり方というところにかかわってくることだと考えております。

 それで、先ほど委員も御指摘ありましたけれども、我々、三百八十二の特定秘密の指定、みなしも含めてでございますけれども、その関係で判断する材料としては、まず特定秘密指定管理簿の提出を受けたり、あるいは特定秘密指定書、より詳細なものの提出を受けたりしているということはまさに御指摘のとおりでございます。

 さらに、その後に、報告書の方でも記載してありますけれども、それぞれの指定の内容というものを我々が正確に理解するというために、説明の聴取ということを繰り返し行っております。それは三百八十二の指定それぞれについて行っておりますし、どの省庁について何回行ったということも報告書に織り込んでおります。その結果、指定自体の適否については、説明聴取の結果、納得して、前提となる事実関係を調査を了として、最終的に報告として結果を出す状況に至ったということでございます。

井出委員 実際に、その九十一件、整理すると、三百八十二件のうち九十一件まで調べて、それについては適正だということですか。

佐藤政府参考人 いえ、あくまで、「検証・監察結果」のところに、報告書に記載してありますけれども、全てについて適正に行われているものと認められているものは、平成二十六年中に指定された特定秘密全てについてという意味でございます。

井出委員 その検証、監察、三百八十二件を調べられて、まず適正だとお話しになって、その一方で、九十一件についてはもう少し突っ込んだ調べをしているという認識なのかなと思うんですが、その九十一件というものは、先ほどの御答弁でも、まだ調査の途中ですというお話だったんですけれども、調査の途中なのに、特定秘密の指定は適正だったと、それはどうして言い切れるんですか。

佐藤政府参考人 この点は、何を調査の対象というか検証、監察の対象としているかという、検証、監察事項にかかわる御質問だと理解いたしました。

 指定自体というのは、まさに行政機関の長が行う行為で指定行為というのがございまして、それはある種、指定書ということで完了しているわけでございまして、これは情報を指定しているわけでございます。その件については、検証、監察を二十六年分については終了したということで公表しているところでございます。

 一方、九十一件というのは、まさに委員も御指摘のように、膨大な文書、何十万という単位の文書があるところに、個々の文書にその指定が適正に反映されて、これは特定秘密だということがその文書に表示されているかという文書単位に見ていくことでございますので、この二つは我々としては分けて、手法としても分けて考え、結論としても分けて判断しているというところでございます。

井出委員 そうすると、この報告書は、特定秘密の指定行為、手続と言えばわかりやすいのかと思うんですけれども、そこについては適正。だけれども、まだ作業の途中である、実際、その特定秘密の文書がきちっとなっているかというところは途中であって、ですから、私の感覚ですと、その二つの、九十一件の方の作業が終わって初めて、適正であったら適正と言っていただいて、これだったらまだ作業は続行中と言っていただいた方が、私、これを読んでいた感じだと、そっちの方がわかりやすいと思うんですけれども。

 これが出たときに、次の日、新聞に小さく、指定は適正だったと見出しが出て、何で適正なのかというところは余り新聞も書いていないんですよ。よくよく聞いてみると、ですから、その手続のところは確認されたんでしょうけれども、実際の実態の中身、最後まで確認している検証作業についてはまだ途中であるわけですから、やはり途中であるということもしっかり言っていただいた方がよかったんじゃないんですか。

佐藤政府参考人 検証、監察の手法と、その結果どのような判断をして、どのタイミングでどういうことを公表するかということも、我々も全く前例もなかった世界でございましたので、さまざま検討しつつやってきたわけでございますが、そういう意味では、いろいろな御批判はあろうかとは思います。

 ただ、我々といたしましては、あるいは私といたしましては、指定の適否ということは、先ほど申し上げたような説明の聴取等で、納得がいくまで、疑問が残らないところまで確認しているということで、そういう意味では、行政機関の長としての情報の指定ということについては、他の情報と区別ができるように、範囲が明確になるように、そういう意味で適正に指定がなされていると、そこは結論に至って判断したところでございます。

 判断が終わっていないというか、まだ途中だということはあくまで報告書にも明示しておりますけれども、それは、一つ一つの文書、我々が指定に結びつく典型的な文書ということで確認しておりますけれども、それはまだ途中である、こういうふうに分けて考えているところでございます。

井出委員 例えが余り思い浮かばないので、政治と金の問題で例えますが、恐らく、収支報告書は適正であった、だけれども、その事務所の通帳とか帳簿まではチェックがまだ終わっていません、そういう監査なんじゃないですか。違いますかね。

佐藤政府参考人 なかなか私どもの立場で政治資金の関係との比較ということではちょっとお答えしにくいところではありますけれども、我々は、特定秘密保護法、そして政令、さらには運用基準ということで、特定秘密保護法の世界の中での判断ということでは、先ほど申し上げたような手法をとったわけでございます。

井出委員 三百八十二件の指定の手続の部分は全部適正であったと。ただ、その中に、外務省と海上保安庁、外務省二件、海上保安庁一件、記述が整合していないから修正することが望ましい、修正すれば中身は別に問題ありません、説明には納得していますというような話だと思うんですけれども、この三件については、きちっと最終の特定秘密のところまでチェックをされたかどうかというところは教えてください。

佐藤政府参考人 この点は、あくまで、先ほど申し述べた監察事項ということの中では、特定秘密の適正かどうかというところの判断の過程でしております。

 結論的には、委員が御指摘になったとおり、三つの指摘事項があった点も含めて適正だと判断したということで、その点は報告書にも記載していることでございます。

 ただ、適正ではあるけれども、つまり、不適正ではないけれども整合していないので修正することが望ましいと判断されるものということで指摘しているものでございますので、その判断に至る過程というか手法については、先ほどの指定行為自体を判断する過程と同様にしております。

井出委員 三件については修正が必要だったわけですよね。その修正は説明で納得したわけですよね。ただ、その三件というものは表記に修正の必要があるということは、私は、それは少なくとも特定秘密まで、三点についてはきちっと最終までチェックするべきじゃないかなと。

 特定秘密の最終までその三件は見たのか見ないのかというところを、もう一度教えてください。

佐藤政府参考人 先ほどまで検証、監察の手法とか結論とか申し上げてまいりましたけれども、個別の案件一つ一つの指定について、その判断に至る過程でどのような資料を入手したかということにつきましては、その点を明らかにいたしますと検証、監察に及ぼす影響ということが考えられるところでございまして、その点について慎重に検討した上で判断すべきものと考えております。

 したがいまして、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

井出委員 細部の説明まではしかねるけれども、佐藤さんのお立場からすれば自信を持って適正と言える、そんな話なのかなと思うんです。

 少し一般論で伺いたいんですけれども、皆さんがやっている特定秘密のチェックというのは、私は、その指定に係るまさに手続の部分の適正と、あと、今言った検証が途中であるという、分けておられるというところから見ても、法にのっとった手続の部分にかなり重きを置かれているのかなと思うんです。

 さっきの会計検査院の話とも少しかかるんですけれども、特定秘密にかかわるお金の問題ですね。例えば情報をとるのにお金がかかるかもしれないし、情報にいろいろなお金がついて回るということは、何か情報に必要なものを購入したりということもあるかもしれないですけれども、そういうお金の部分は公文書監ではチェックはされない。

佐藤政府参考人 御指摘のとおり、私どもはあくまで運用基準に定められた任務を遂行しているところでございまして、まずは特定秘密の指定行為自体が適正になされているかどうか、さらにはファイルの管理等の所掌事務がございまして、その範囲内で事実を確認し、資料を確認し、そして判断をしているというところでございます。

井出委員 田中審議官に伺いたいんですが、いろいろな情報業務ですので、情報をとったり、ハードとかソフトとかいろいろ含めてお金もかかるかと思うんですけれども、そのチェックというものは、恐らく今のお話ですと独立公文書監はされないと思うんですよね。それは何かチェックするようなところはあるんですか。

田中政府参考人 ちょっと、あらゆる機関につきまして私の方からお答えするのは適当ではないと思いますが、私どもといたしましては、特定秘密保護法の施行を適正に行うという観点から各省とやりとりをしていますので、すなわち、指定でありますとかその解除でありますとか、そういったことが適正に行われるようやりとりをしているということでございます。

井出委員 余り答えになっていないなというのが感想でありますが。

 実は、昨年二月四日に私が特定秘密のことを安倍総理に質問したときに総理がおっしゃったんですけれども、特定秘密保護法という新しい法律ができたことによって、新しい仕組みをつくったという意味においては、まさに、秘密について国民の命を守るために正しく管理されるようになったというような話がございまして、私は、この秘密を正しく管理というものが大分ひっかかっております。

 独立公文書監がおっしゃっているような書面上の確認だけで、果たしてそれが正しい管理と言えるのか。また、情報の共有ですとか秘密の正しい管理というものは一体どういうことなんだろうなと思うんです。

 岩城大臣は、この秘密の正しい管理というものについて、本当に急な質問で恐縮なんですけれども、正しい管理ということについて何かお考えがあれば教えてください。

岩城国務大臣 お答え申し上げます。

 特定秘密保護法は、秘密保護に関する共通ルールを整備し、安全保障上の秘密情報を統一的に取り扱うためのルールを確立することによって関係国から質の高い情報をこれまで以上に受けられるようにし、関係省庁間の情報の共有を促進する基盤を整備するものである、そのように受けとめております。

井出委員 きょう、資料を一枚配付しておりまして、私の汚い字でその資料の出典を書いている面が表なんですが、これは「トップシークレット・アメリカ」という本の一部をコピーしたものなんです。

 端的に言いますと、アメリカでは九・一一のテロの後に膨大なトップシークレットを扱うようになって、千二百を超える政府組織、二十五万人以上のそれに関する従業者、そして政府から業務を請け負う民間会社の人員を含めると、実に八十五万人以上の人間が何らかの最高機密にアクセスしているという事態になっている。

 これはアメリカ政府の公式な発表ではなくて、ピュリッツァー賞をとった方ですとかの取材に基づくものですので、あくまでも事実の一端ではないのかなと私は思うんですが、事実の一端であったとしても、この表面の紙は、これだけたくさんの情報収集取扱機関があって、また、活動が重複をしているものもあると。

 裏面に行っていただくと、アメリカ全土なんですけれども、いろいろ、点々点々とあるんですが、これはトップシークレット業務を行う企業、関係する企業、それがこれだけ広がっているよという話でして、この本を見ていますと、テロに対する備えというものは大変重要で、私もわかるんですが、その秘密、その必要性に応じていろいろな情報収集組織ができて、それに関係する人が出てきて、また、実際、共有もできない、それぞれで同じような情報を保有している、そんなような状況に陥っているというようなことがこの本に書かれております。

 私も、情報収集の機関をつくったり、テロに備えをやっていくということは必要かと思うんですけれども、情報の管理ということを考えたときに、特定秘密保護法で統一的な、確かに海外から情報を受けられるというところは一定の成果があるかもしれないんですけれども、情報共有できる基盤整備というのが果たして本当にできるのかなという思いがあります。

 田中さんに伺いたいんですけれども、特定秘密保護法は罰則も大変厳しいですし、佐藤公文書管理監のチェックもありますし、また国会のチェックもございます。ですから、本当に秘匿性の高い秘密のものが必ず特定秘密とイコールになっていくのか。特定秘密に指定をすると、全省庁で共有をしなきゃいけない。共有すらも許されないような秘密があってもおかしくないと私は思うんですね。秘密ですから、秘密というものはどんな秘密でもかかわる人間をやはり少なくしたいというのが、これはどの立場の、どの時代の、いつの人間でもそうだと思うんですけれども、果たして、特定秘密保護法で私が懸念しているようなことについて御議論、お考えされたことがあるかどうか、伺いたいと思います。

田中政府参考人 特定秘密保護法におきましては、行政機関の長は、法律で定める三つの要件を満たす情報を特定秘密として指定するものとする、これは法律の三条一項でございますが、そのようにされておりまして、要件を満たす情報が指定されないことは想定されていないというふうに理解をいたしております。

 また、この法律の運用基準におきまして、行政機関の長が特に遵守すべき事項といたしまして、三つの要件の該当性の判断は厳格に行い、特定秘密として保護すべき情報を漏れなく指定することを明記いたしております。

 さらに、この運用基準におきまして、国の行政機関や都道府県警察の職員は、特定秘密に指定すべき情報を知ったときは、直ちに指定されるよう関係職員に通報するなどの措置を講ずるものとしております。

 したがいまして、特定秘密として保護すべき情報が指定されないような事態は生じない、そのように考えております。

井出委員 特定秘密の指定の三要件の別表該当性というものは、一定の基準にはなると思います。それから非公知性、公になっていない。これはなかなか、秘密指定にかかわらない者からすると、検証しづらいところがあるんですが。

 一番の問題は、やはり特段の秘匿性なんですよ。特段の秘匿性というものは、省庁によって、省庁の責任者の判断によって、そこは主観的になると思いますし、特定秘密保護法ができたことによって、大臣がおっしゃったように、本当に日本の安全保障にかかわる重要な情報が、田中さんもおっしゃったように、漏れなく指定されて、それを必要なときに政府が使えると。もしそうだとすれば、この法律がある意味はあるかなと思うんです。

 私は、先ほども申し上げたんですけれども、やはり秘密というものは関係者が少ない方がいいんですよ。上には報告するけれどもどこから来た情報かは報告しない、これは口頭で報告しておこうとか、そういうことは幾らでもあったと思うんですね。

 ですから、そういうことを考えたときに、特定秘密保護法の、情報共有が図られてみたいなことが実際きちっとなされているかどうかというのは、一体どこが検証していくんですかね。私は、先ほどの佐藤公文書管理監とのやりとりだと、そこまで高度になってくると、独立公文書管理監の範疇ははるかに越えるんじゃないかなと思いますけれども、いかがですか。

田中政府参考人 先ほどの大臣の御答弁と重複する部分がございますけれども、特定秘密保護法は、安全保障上の秘匿性の高い情報の漏えいを防止し、国と国民の安全を確保することを目的とするものであります。この法律は、我が国の安全保障に関する情報の中で特に秘匿することが必要なものを保護するため、特定秘密の指定や解除、特定秘密の漏えいを防止するための適性評価や罰則、そして適正な運用を図るためのルール等について定めているものであります。

 したがいまして、特定秘密に指定されたからといって、当然に一定の範囲に情報が広がるということを予定しているものではないというふうに理解しておりまして、情報が効果的に運用されているかどうかということをどうやってチェックするかというのはなかなか難しいお尋ねでございますけれども、やはり、情報を入手し、それから活用する者がそれぞれ最も効果的なやり方を考えていくべきものというふうに考えております。

井出委員 特定秘密保護法が本当にその法律の趣旨のとおりされているのかということについては、私は、今のチェック体制ではなかなか、全省庁横断的に調査をしても、きちっと答えるところと答えないところも、そこも省庁の判断だと思います。

 そういう意味では、特定秘密保護法が二十六年の十二月十日から始まって、まず軌道に乗せる、しっかり登録をして、やる。そこのチェックを公文書管理監もされたと思うんですけれども、では、果たして本当に、この法律をつくったときに目的としていたものが、情報の共有とか、田中さんがおっしゃったように、本当に必要なものは漏れなく特定秘密になっているとか、そういうところをそろそろチェックする、見直す時期に、滑り出しの時期から、本当に法律の目的を達しているかどうか、そこをしっかり見ていく時期にこれはもう来ているんじゃないかと思いますけれども、それは大臣、いかがでしょうか。

岩城国務大臣 ただいま御指摘がありましたことも踏まえまして、適切に運用されるよう、なお意を用いていきたいと考えております。

井出委員 これはこの法務委員会だけで議論していてもなかなか広がらないと思いますし、私もいろいろなところで問題提起はしていきたいと思うんですが、大臣は特定秘密の御担当でありますので、ぜひ、今お話しいただいたような問題意識を持っていただきたいと思います。

 ちょっと聞き漏らしがあって、佐藤さんに伺いたいんですが、独立公文書監のチェックは、文書の指定期間、指定の解除、この特定秘密は指定期間が一年とか二年とか三年とか四年とか五年とか、その辺のチェックというものは今回きちっとされているのかどうか、教えてください。

佐藤政府参考人 御指摘の点は、先ほど委員がおっしゃったし、私の方でも申し上げた、幾つかの検証と監察の対象事項のうちで、我々の権限の中では特定行政文書ファイル等の管理という部分に入ってくることかと思います。

 あくまでこれはファイルでございますけれども、ファイルの管理の関係につきましては、この報告書にも載せておりますけれども、今後着手していくということでございます。

井出委員 特定秘密の指定というものは、たしか、指定は五年だ、それで延長していく、そういう法律上の決まりになっていたかと思うんですけれども、法律の議論のときに、特定秘密の五年という指定期間、また文書の保存期間、端的に言いますと、例えば五年で指定した、五年で指定したものの中に三年、四年で文書の保存期限が切れてくるものもある、その扱いはどうなるんだというようなことが国会で議論になったと思うんです。

 文書の保存期間が来たから廃棄するとかしないとか、そういうところは、佐藤さんのもとでのチェックというものは今まであったのか、これからあるのか、教えてください。

佐藤政府参考人 失礼いたしました。

 先ほどはあくまで管理ということで申し上げましたけれども、まず、特定秘密の指定については、御指摘のとおり、有効期間を定めなければいけないことになっておりまして、それは最大で五年ということですが、最小限の期間ということでルール化されておりますので、そういう意味では、我々も、この三百八十二の指定ということについて有効期間が適正に設定されているかどうかは、ここは既にチェック済みというか、その結論も含めて報告済みでございます。

 ただ、御指摘の方の、実際にそれが文書なりファイルなりになっていったという部分について、我々の所掌としてはファイルの管理ということになりますけれども、ファイルの保存期間が満了した後どのような措置をとるのかといったことについては、この報告の対象期間ではまだ着手していなくて、今後ということでございます。

井出委員 この法律は、三十年たてば特定秘密の指定は解く、延長しても六十年までだ、六十年でも、よっぽどのものがあれば指定を解かないというようなつくりだったと思うんですけれども、私は、先ほど申し上げた情報の正しい管理、安倍総理がどういう思いでおっしゃったのか、いま一つまだ腑に落ちていないんです。

 私は、情報というものは、いつか公開されるということが一番その正しい管理につながっていくと思っています。ですから、文書の保存期間が来て廃棄する部分、その調査というものはぜひ、これから着手というお話ですけれども、しっかりやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 御指摘の点につきましては、公文書の管理ということにもかかわることでございますけれども、特定秘密保護法を受けた運用基準でも、公文書管理法をきちんと適正に運用していくといいますか、その趣旨にのっとってということがうたわれておりますので、我々としても、所掌事務の範囲内ではございますけれども、遺漏のないようにやってまいりたいと思っております。

井出委員 では、特定秘密の方は終わりますので、佐藤さんと、田中さんも特定秘密のみですかね。では、結構です。ありがとうございます。

葉梨委員長 では、お二人、どうぞ御退席ください。

井出委員 次に、難民の関係について伺いたいんです。

 岩城大臣、二月二日の記者会見で、記者から、大臣が難民について、「「偽装・濫用防止策」という言葉を使いましたが、今までは「濫用・誤用に基づく申請」という表現だったと思います。法務省として、偽装難民がいるという認識があるのでしょうか。お願いします。」という問いがありまして、大臣から、「偽装難民と思われる者がいるという考えです。」というお話があったんですけれども、この偽装難民というものは、個別にはいろいろあると思うんですけれども、一般的に、最低ラインで結構なんですが、これをやったら偽装難民だというものが、もしお考えがあれば教えてください。

岩城国務大臣 偽装難民とは何かということから考えをお話ししたいと思います。

 偽装難民とは、みずから難民でないことを十分に認識しているにもかかわらず、あえて難民を装う者をいいます。その難民を偽装する理由は、経済的な事情、すなわち、貧困から脱出すること、あるいは、より豊かな生活を送ることを求めて本国を離れた者、その国での出稼ぎや定住を目的とする者が多いものと思われます。この難民の偽装という意図を有する者が実際にとる手段が、難民認定制度の濫用ということとなります。

 具体的には、難民申請中の者の取り扱いといたしましては、在留許可を有する外国人から難民認定申請があった場合は、当該申請から一定期間を経過後、難民認定手続が完了するまでの間、我が国での就労活動が制度運用により認められております。

 また、在留許可を有しない外国人から難民認定申請があった場合は、難民認定手続が完了するまでの間、退去強制手続そのものを停止するか、国外送還を停止することが入管法の中で定められております。

 これらにより、出稼ぎや定住を意図した者によって制度が濫用され、明らかに難民とは認められないような申し立てを行い、あるいは同一の申し立て内容により難民認定申請を繰り返す者が現実に相当数存在し、この制度の本来の趣旨を損ねているもの、そのように考えております。

井出委員 難民の定義というものは恐らく難民条約で決められていると思うんですが、空港で配られているようなリーフレットを見ますと、難民というものは、人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であること、また、政治的な意見を持っている、こうしたことを理由に出身国で迫害を受ける恐怖があったり、客観的に迫害を受けることがわかったりで、出身国の外にいて出身国の保護が受けられない、保護を受けることを望まないと。

 今、偽装難民について、難民でないことの十分な認識があって、それをあえて装うと。そこは恐らく条約上の人種、宗教、国籍云々かんぬんというところだと思うんですけれども、あえて装う目的が、経済的事情、貧困の脱出、出稼ぎ、より豊かにというようなことが考えられるというお話があったんですけれども、私は、貧困の脱出というのは、難民の出身国のそういう政治的な情勢とも少なくとも関係が一〇〇%なしとは言えないんじゃないかなと思っております。

 まあ、いいんですよ、来ていただく難民の方がもうみんな飛行機なり船に乗ってきて、そこにおり立って、難民ですと申請してくれれば話は早いと思うんですけれども、実際そうではないと思うんですね。

 ざっくばらんに申し上げれば、何とかしてとにかく一度日本に入ってから説明をしようという人の方が私は多いと思うんですけれども、そういう意味で、確かに、繰り返しの申請ですとか、難民の審査に当たっている方が有識者の意見交換の場で言っているような話を聞くと、悪質なケースも多いということは承知しているんです。

 ただ、さはさりながら、この偽装難民、最近、新聞でも偽装難民、偽装滞在ということが出てきておりますが、この言葉の扱いについては非常に慎重でなければいけないなと、私はそういう思いでいるんですね。そこについての認識を改めて伺いたいと思います。

井上政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、偽装難民という言葉ははっきりとした定義が定まった言葉ではございませんで、どこまでを射程にして用いるかということは必ずしも固まっていない部分があるのかもしれません。しかし、明らかに、先ほど大臣も答弁されたように、難民申請中の地位を濫用するために申請するような者が偽装難民に当たるということは間違いなくて、そういう、本当に悪質で、濫用対策をしなければ制度全体の維持ができないような部分の人がいることは確かでございます。

 ただ、周辺の部分がどこまでかというところは、確かに委員御指摘のように曖昧なところがございますので、そういう意味で慎重な言葉遣いを求められるということも私は理解いたします。

井出委員 今、慎重な言葉遣い、理解すると局長は言ってくださったんですけれども、今の答弁を踏まえて、改めて大臣からも、私も偽装難民という言葉の使いようというものは非常に慎重にされた方がいいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

岩城国務大臣 おただしがありましたように、やはり慎重にその辺のところは捉えるように努めていかなければいけないと思います。

井出委員 偽装難民の関係で局長にちょっとお尋ねをしたいんですが、先ほど私申し上げたんですが、空港に来て、港に来て、いきなりぱっと難民ですと申請するという人はほとんどいないと聞いているんですね。日本が島国ということもあるのかもしれないんですが、ちょっと手元にある資料でそういう数字を調べたんですが、平成二十六年に、難民の申請は五千人だったと。そのうち、空港や港で申請をした人は百十七人だと。だから二・三%ですね。平成二十五年も、三千二百六十人の申請に対して、空港などで申請した人は八十六人だと。二・六%ですね。だから、五十人に一人ぐらいなんですよね。

 ほかの方は、恐らく何かしらの形で日本に入られて、それからの難民申請だと思うんですけれども、そうすると、先ほどの入国の手続、正規にきちっと入れればいいんですけれども、本当に、国の状況によっては旅券を持って出ることすらもままならない、だから偽造した旅券で来る人もいるかもしれません。

 また、これはこれからの議論にもかかってくるんですけれども、日本には短期の滞在ですとか、あと技能実習がありますよね。そういうものを使って、とにかく日本に行くことが大事なんだと。本当の趣旨は、日本に助けてほしいんだけれども、自分の国にいたら迫害されるおそれがあるんだけれどもと。

 そういうことを考えますと、確かに、大臣がおっしゃるような、繰り返し申請したり、事情を聞こうと思って呼び出しても来ないとか、そういうケースもあるということは承知しているんですけれども、何とかして日本にという部分の扱いについて慎重に考えるということを思うと、入国の審査、入国の手続のところだけをもって偽装難民としてしまうということは私はちょっとどうかなと思うんですけれども、入国の手続と偽装難民というものがどこまでリンクすればよいものか、今の御認識を伺いたいと思います。

井上政府参考人 具体的な数字は今ちょっと手元にないので、空港でどの程度の申請があるかはちょっと、それほど多くないということは確かでございますけれども。ただ、今、空港での上陸の審査に当たって、偽装難民であるからはねるということは原則的にはないようになっております。

 委員御承知のように、短期滞在でございますとか、あるいは技能実習、留学とか、ビザをもらって日本に入ってから申請される方が多いということも事実でございます。

 ただ、正規に日本に来るための旅券を得られないとか査証を得られないとか、そのような人はどうやって日本に助けを求めるかといいますと、空港までともかく来れば、そこで私は難民の申請をしたいと言いますと、一時庇護上陸という特例上陸の制度がございます。これは、条約上の難民に当たる、あるいはこれに準ずる者ということで、条約難民の認定よりも少し広目の要件で、広目にすくって、とりあえず一時庇護ということで上陸を認めて、その後難民性の審査をするという手続に進めるようにしてございますので、そういう意味で、本当に真に庇護を要する難民については、一応、保護して、上陸して庇護を与えるための制度というものは現行法上も整備されていまして、それも使われておるところでございます。

井出委員 ありがとうございます。

 難民の問題だけじゃなくて、日本に外国人が入ってこれる方法、いろいろな滞在の資格ですとか、これからやる技能実習もそうなんですけれども、取り締まる側からすれば、抜け道に利用されているというところもあるかもしれないんですが、来る人間からすれば、何としてもという思いも中にはあるかもしれませんし、多分、実際はそんな甘いものじゃないんですよとお思いだと思うんですけれども。

 ですから、偽装難民という言葉を慎重にということと、外国人の入国受け入れという全体の問題の中で、少しこれからまた後の委員会で議論を続けていきたいと思います。

 最後に、犯罪白書についてちょっと伺いたいのです。

 犯罪白書、大変いつも毎年厚みのあるものを出していただいて、それが、こういう傾向が出てきた、治安に対するいろいろな問題提起をその時々でいただいてきていると思うんですけれども、私は、どうしても何となくギャップを感じるのは、刑法犯の認知の件数ですとか検挙人員の件数ですとか、少年犯罪もそうですが、件数はどんどん減ってきているんですよね。だけれども、本当に目を耳を覆いたくなるような事件がありまして、そういうものへの対策も必要だというようなことで、いろいろな法律整備とか議論があったかと思うんです。

 私は、犯罪白書の刑法犯認知ですとか検挙人員というものが、日本の治安の状況と全くリンクするものなのかと。刑法犯の認知件数が多ければ、もうそれは日本は治安が悪い、犯罪が多いんです、減ってくれば、少ないんです、平和なんです、そう言えるかどうかというところの、どういうタイプのデータであるかというところをまず確認させていただきたいと思います。

高嶋政府参考人 お答えいたします。

 犯罪白書で扱っている数字というのはいろいろなものがございますが、統計としましては、警察などの捜査機関における犯罪の認知や検挙、これは警察で持っている数字でございます。それから、検察における起訴人員、それから、裁判所における有罪人員、矯正施設における受刑者の収容人数、いろいろな数字がございます。

 委員御指摘の、国民の治安の状況に対する感覚とマッチしているかどうか、こういうものでございますが、これらの数字は、現に、警察であれば受理した件数でありますし、検察であれば起訴した件数、こういうことになるわけですが、このほかに犯罪の暗数というものがございます。これがどのくらいあるかというのが常に一つの問題であります。これは実際には取り扱っていない数字になりますので、いわば推計的にやるほかないのですが、時々この推計はしているところでございます。ただ、これは、いずれにしても実際の実数ではございませんので、推計、こういう性質のものでございます。

 このほか、委員の御指摘の、我が国の国民の安心、安全という感覚からすると何が大事かというと、数字だけではなくて犯罪の質ということが常に問題になるかと思います。これは、犯罪白書でも時々どういう犯罪がふえているのかということについて指摘しておりますので、ここら辺の総合的な判断ということが大事になってくるのかなというふうに思います。

井出委員 今、暗数を時々というところをまず少し伺いたいんですが、本当に治安が、身の回りで事件が多いのか少ないのかというのは、突き詰めると、国勢調査にでも何か項目をプラスして、あなたは何かの犯罪に巻き込まれたことがありますかみたいなことをやらない限りは恐らく出てこないと思うんですね。

 刑法犯の認知件数は被害届を受理した件数ですから、警察がどれだけ受理するか、あと、受理する側の問題もあると思います。例えばストーカーですとか、昔だったら被害届を出さなかったものを出すようになってきたとか、いろいろなものもあると思います。検挙人員なんかはまさに警察が検挙した件数ですから、警察の活動実績そのものだと思うんですね。

 ですから、本当に治安の実感というものを示すのであれば、時々やっている暗数というもの、そこをもう少し、どのぐらいの頻度でどんな形でやっているのかを教えていただきたい。

 あともう一つ、犯罪白書のテーマ設定なんですけれども、いろいろな犯罪の特集をされていますけれども、あれは一体どういう選定で、この間のはたしか性犯罪だったと思いますけれども、どういう理由でその時々のテーマを選定されるのか、教えてください。

高嶋政府参考人 お答えいたします。

 まず暗数調査でございますが、これは平成二十年と平成二十四年に行っております。

 それから、特集のテーマでございますが、これは、犯罪白書の作成を所管しております法務総合研究所が中心になりまして、その時々の犯罪情勢等を見ながら、どういうテーマで研究してこれを報告するのがいいのかということを考慮して最終的には決めている、こういうことでございます。

井出委員 二十年と二十四年にやっているものについては、また別の機会に、ちょっと詳しく、個別に教えていただければなと思うんです。

 犯罪白書の特集なんですけれども、犯罪白書にその特集が出て、大きく記事が報道されて、それに対して国民の関心というか意識が高まって、では、それの対策をやろうかというような、本当に物すごい影響力を持っていると私は思うんですね。

 例えば、この間のは性犯罪だった。前の松島大臣が性犯罪に対して思いを持って、それもいずれ結論は出てくると思うんですけれども、私は、性犯罪なんかは特に、被害を親告もできないような方もいらっしゃるような犯罪であると思いますので、そのことを議論すること自体は全くよしとはしているんですけれども。

 犯罪白書のテーマ設定というものは、かつて、平成十四年に刑法犯の認知件数が戦後最悪になったときは、そういう方向性でいろいろな議論もあったと思いますし、本当に日本の刑事司法の流れをつくっているぐらい物すごく大事だと私は思うんですよ。法務総合研究所というものが一体どういうふうにお決めになっているのかわからないんですけれども、そこは何か、有識者ですとか、政府、行政の関係以外の方の意見というものもきちっと入るような流れになっているかどうか、教えてください。

高嶋政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、特集のテーマというのは、その時々の犯罪情勢、それから今後、再犯防止等に向けてどういう対策を組んだらいいのかということにとっては非常に大事なものになります。

 それで、その決め方でございますが、近時は再犯防止関係のテーマになることが何度かございましたが、大事なテーマの一つでございます。その決め方ということにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、法務総合研究所が中心になりまして、それで、法務省の中には刑事事件に関連する局がございます。刑事局、矯正局、それから保護局がございます。その担当者からも意見を聞き、また、学識を有する経験者を集めた会議等を開きまして、今後どういうテーマで研究し、また白書を作成していったらいいのかということの意見を聞いた上で、最終的には法務総合研究所が法務省とともに決める、こういう流れになっております。

井出委員 先国会の刑訴法なんかもそうだったんですけれども、やはり実際、捜査権限を広げるほど、例えば治安が悪化しているのか、量的な問題、質的な問題もありますが、犯罪白書というものは、私は、基本的には、数字は捜査機関の活動実績というものなのかなと思っているんですよ、一般的な治安の概念よりも。

 先ほどの暗数というものは一つ身近なデータかなと思いますし、またテーマ設定というものも非常に大事ですし、そこに対していろいろ議論をするのはまさにこの場なのかもしれませんが、そういう認識を持ってこれから刑事関係の問題を議論していきたいと思います。とにかく、大臣はトライアスロンの達人だと聞いておりますので、いろいろな分野でまた議論させていただきたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

葉梨委員長 以上で井出庸生君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

葉梨委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。清水忠史君。

清水委員 日本共産党の清水忠史です。

 私は、司法修習生への給付のあり方、貸与から給費へと皆さんの願いを実現させる上で質問させていただきたいと思います。

 裁判官、検察官、弁護士など、あすの法曹界を目指す司法修習生への経済的支援について質問したいと思います。

 ことし二月九日、日本弁護士連合会が主催する、司法修習生への給費の実現と充実した司法修習に関する院内交換会が行われました。与野党各議員から、司法修習生への給費制度について早期に実現すべきという意見が出されるとともに、経済的理由から法曹になることを諦めざるを得なかった若者たちの過酷な実態が紹介されるなどいたしました。

 この集会には、国会議員三百七十一名、つまり、過半数を超える衆参議員の方々から応援、賛同のメッセージが寄せられております。いよいよ、これまでの貸与制を乗り越えて給費を実現する、その機運と行政の責任が高まっていると感じています。

 岩城光英法務大臣の所信の法曹養成制度の部分においては、次のように表明しておられますね。質量ともに豊かな法曹が輩出されるよう、法曹養成制度改革推進会議決定に掲げられた各取り組みを速やかに、かつ着実に進めてまいりますとあります。

 そこで伺いますが、推進会議決定が出されたのが昨年六月三十日です。この間、どのような検討と取り組みが行われてきたのか、説明していただけるでしょうか。

岩城国務大臣 お答えいたします。

 昨年六月の法曹養成制度改革推進会議決定において、「法務省は、最高裁判所等との連携・協力の下、司法修習の実態、司法修習終了後相当期間を経た法曹の収入等の経済状況、司法制度全体に対する合理的な財政負担の在り方等を踏まえ、」検討するものとするとなされました。

 法務省では、文部科学省とともに、最高裁判所及び日本弁護士連合会の参集を得て法曹養成制度改革連絡協議会を開催し、ただいま申し上げました司法修習生に対する経済的支援のあり方の検討を含む、推進会議決定に掲げられた各取り組みを進めるに当たって必要な連絡協議を行っているところでございます。

清水委員 それでは、ちょっと個別に伺います。

 法曹養成制度改革連絡協議会、これはことし一月十八日に第二回が開かれておりますが、司法修習生に対する経済的支援のあり方についてどのような協議がなされたのでしょうか。私、まだ議事録を手に入れておりませんので、わかる範囲で、これは政府参考人でも構いません、お答えいただけますか。

萩本政府参考人 今委員から御指摘がありましたとおり、法曹養成制度改革連絡協議会の第二回が本年の一月十八日に開催されました。

 この第二回では、出席の各機関、法務省、文部科学省、最高裁、日弁連の四機関ですが、それぞれから、推進会議決定に掲げられました各取り組み、法曹人口、法科大学院、司法試験、司法修習の各テーマについて報告がされたわけですが、特に、今議題に上がっております司法修習生に対する経済的支援のあり方につきましては、出席者の間で、大臣から答弁がありましたとおり、検討に当たって考慮すべき三つの要素それぞれについて今後どのような調査を行う必要があるかについて意見が交わされました。

 その結果、今後、具体的な調査項目を整理する必要があるけれども、その調査項目を整理した上で、関係者間で協議が調い次第、速やかに調査を実施する旨の合意がされたところでございます。

清水委員 調査項目について、私は、改めて検討するまでもなく、実態ははっきりしているんじゃないかというふうに思うんですね。

 具体的に検証していきたいと思います。

 まず、司法修習の実態という検討項目についてです。

 なぜ司法修習生には貸与ではなく給費型の支援が必要なのか。一つには、法曹というものは公共的な役割を持つ存在だからだと思うんですね。

 例えば、国民の人権や権利を擁護するということもありますし、高齢者あるいは障害者に対する法律相談、成年後見もそのうちの一つだと思います。それから、冤罪被害者への対応、犯罪被害者への支援、DV、ストーカー相談、さらには消費者被害に対する専門性もしっかり持っているわけですし、少年事件の付添人もそうだと思います。非常に大きな公共的役割を担っていると思うんですね。

 間もなく五年目を迎える震災復興、大臣も地元の出身であるということですが、このときにも、多くの法曹が復興や生活再建に向けた相談活動に、それこそ報酬の多寡にかかわらず、手弁当で献身的に取り組んできたわけであります。

 大臣におかれましても、このような法曹、弁護士を含む彼らの公共的な役割については、当然これは認めるべきところだと思うんですが、その辺の御認識はいかがでしょうか。

岩城国務大臣 お話がありましたとおり、東日本大震災の被災地におきましては、弁護士の先生方初め法曹の皆様方に精力的に活動していただいております。

 例えば、被災三県の複数の自治体において弁護士が任期つき職員として職務に従事する。それから、被災三県以外の弁護士会からも多くの弁護士が被災地に赴き、被災者からの法律相談に応ずる。これは、弁護士以外の方々にもさまざまな相談に応じていただいておりますことは、私の福島でも身近にお伺いしているところでございます。

 とりわけ、弁護士の皆様方初めそういった法曹の方々は、基本的人権を擁護し社会正義を実現するというその使命を果たすために、ただいま申し上げたような被災者への法的な支援を含めて、その職務に尽力されているものと認識をしております。とりわけ、福島出身の私といたしましては、感謝を申し上げたいと存じております。

清水委員 そうした献身的ボランティア精神を発揮して法曹の方々が頑張ることができるのも、やはり国に育ててもらったという意識のもと、公共的な役割をしっかり発揮しようという精神からだというふうに思っております。

 例えば、司法修習生に貸与ではなく給費を実現しようという賛同署名に、日本医師会、日本歯科医師会、消費者団体連合会、青年会議所、あるいは農協を含めて多種多様な団体が、やはり給費の実現が必要だというふうに賛同されているわけですよね。ただ一つのカテゴリーの職種に対して何か便宜を図るということではなくて、公共的な国のインフラ、司法のインフラを担うべき存在だからこそ、こうした声が上がっているというふうに思うんです。

 それで、お伺いします。これは最高裁の方に聞かせていただきたいと思います。

 司法修習の実態について、もう一つの観点から、司法修習生というのは、修習に専念するためにさまざまな公的な義務を負うことになっていると思うんですね。どのような義務を負い、また、例えば修習に当たる時間は土日を除いて平均何時間拘束されるのか等々について、わかる範囲で教えていただけますか。

堀田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 司法修習が法曹養成の必須の課程として国家によって運営される制度であり、一年間という限られた期間内に高度に専門的な内容を身につけなければならないこと、及び、司法修習が実際の法律実務活動の中で行われるものであり、実際の法曹と同様に、中立公正な立場を維持し、利益相反活動を避けたりする必要がありますことから、修習期間中は修習に専念すべきものとされております。

 司法修習生は、司法研修所における導入修習や集合修習では、おおむね午前九時五十分から午後五時まで講義を受けるなどしておりまして、また、分野別実務修習及び選択型実務修習では、配属先の裁判所、検察庁、弁護士事務所の実情に応じまして、おおむね午前九時三十分から午後五時ころまでの時間帯で修習を行っているものと承知しております。

 加えて、これらのほかの時間でありましても、修習生は自主的に学習することもあるものと承知しております。

清水委員 今お聞きいただいたように、拘束時間というのは、それこそ、朝の九時半から五時まで、公務員並みなわけですね。しかも、それが終わったからといって、例えば大学生のようにサークル活動だとかアルバイトにいそしむというわけではなく、修習期間である間は、やはり修習に専念するという義務が修習生にはあります。そこがやはり大きなポイントだと思うんですね。

 私、去年八月二十八日にこの委員会の場で、最高裁判所が司法修習生の身分について、国家公務員ではありませんがこれに準じた身分にあるものとして取り扱われるとホームページに書いているものですから、間違いないかと聞いたところ、間違いないと。つまり、公務員ではないけれども、それに準じた身分だというふうに記載されているわけです。

 今、最高裁から答えていただきましたように、修習専念義務を初め、公務員の規律と類似する、そういう側面を持っていると思うんです。守秘義務違反の場合は罷免されることもあるわけで、これは大臣も認めるところではありませんか。

岩城国務大臣 まず、司法修習生は公務員ではございません。しかし、今お話がありましたとおり、兼業、兼職が禁止され、修習専念義務や守秘義務を負うことのほか、最高裁判所において採用され、一定の事由が生じた場合には罷免されることがあるといった点につきましては、公務員の規律に類似する側面があるもの、そのように認識をしております。

清水委員 今、明確に、公務員の規律に類似する側面があるという御答弁がございました。

 かつて貸与制に移行する際に、公務員でない者に給料を払うのは異例などという意見が出たということなんですが、これはやはり全くの的外れではないかと思います。やはり、国に育ててもらったという意識があるからこそ、先ほども言いましたように、公共的な役割にも取り組むことができますし、一年目、二年目から返済のことを考えずに人権問題に一生懸命取り組むことができたという、かつての給費の時代の弁護士の方からのお声も聞かせていただきました。

 そこで、そういう法曹を今後どういう目標で養成していくのか、輩出していくのかということについて、大臣にお伺いいたします。

 推進会議決定で、法曹人口についてどのような目標を持ち、取り組みを進めていくおつもりでしょうか、端的にお答えいただけますか。

岩城国務大臣 法曹養成制度改革推進会議においては、法曹の輩出規模についての危機感が示されております。

 それを踏まえて、推進会議決定では、法曹人口のあり方について、司法試験合格者数でいうと千五百人程度が輩出されるよう必要な取り組みを進め、さらには、これにとどまることなく、今後もより多くの質の高い法曹が輩出され、活躍する状況になることを目指すべきであるとされたものと承知をしております。

 そこで、法務省といたしましては、この決定を踏まえまして、今後、関係機関、団体の協力を得ながら、法曹人口のあり方に関する必要なデータの集積を継続して行うこととしております。そして、これらのデータの集積とともに、高い質を有し、かつ、国民の法的需要に十分応えることのできる法曹の輩出規模について、引き続き検証を行ってまいりたいと考えております。

清水委員 当面千五百名を目指す、そして、それにとどまることなく、より多くの質の高い法曹が輩出されるように取り組んでいくということでした。

 しかし、この間、法曹志願者というのは、一貫して減少している傾向にございます。

 日本弁護士連合会が第二回の連絡協議会で提出した資料を読みますと、例えば、日弁連法務研究財団が実施する適性試験受験者数というので見ますと、二〇一一年度には七千二百十一名いたのが、二〇一五年度には三千五百十七名と半減しております。さらに、法科大学院の入学者数も、二〇一一年度には三千六百二十名あったのが、二〇一五年度には二千二百一名まで減っております。

 さらに、私は文科省の方にも確認させていただきまして、例えば二〇〇八年度と二〇一四年度を比較した、法学部を含む大学の法学関係部の入学志願者数は八六%に減少し、実際の入学者数も九二%に減少している。押しなべて減少傾向にあるということなんですね。

 その背景に何があるかということなんですが、同じアンケートを見ますと、例えば六十八期生にとったアンケート結果を見ますと、やはり経済的な状況に不安を感じ進路選択を迷った、こういうふうに答えた方は六五%あったということですし、自分の身の回りに、経済的な理由で法曹になること、司法修習生になることを諦めた人がいるかという問いに答えては、七三%がいたと答えているわけですね。

 六十七期生のアンケート結果からも、修習生に行くにしても貸与金を借りなきゃならない、やめようかなと考えたことがある、そういうことが結果として出ているわけです。

 これは第二回の連絡協議会で出された資料なので、このアンケートの中身については当然御報告を受けていると思うんですが、知っておられますか、大臣。

岩城国務大臣 大変申しわけございません、その中身について報告を受けていないものですから、私の方からお話をすることは差し控えさせていただきます。

清水委員 詳しく報告が出ておりますので、見ていただければ、司法修習生になるためにいかに経済的な不安がつきまとい、目指しているけれども諦めようと思った、あるいは周りに諦めた人がいるということが現実にあるということを理解していただけると思います。

 それで、この検討項目の中に、いわゆる弁護士の収入が今どうなっているかということもあると思います。昔は、医者や弁護士といえば花形職業で、それこそたくさんの報酬、所得を受け取っているのではないかという一般的なイメージがありましたけれども、法務省に伺います。

 二〇一一年に法曹の養成に関するフォーラムにおいて収入についての調査が実施されているんですが、それ以降、この直近、政府において、法曹の収入の経済状況について数字を持ち合わせておられますか。

萩本政府参考人 先ほど御答弁いたしましたとおり、連絡協議会において、この後、速やかに、弁護士の収入、所得も含めた経済状況について調査することを予定しておりますけれども、今委員御指摘の、法曹の養成に関するフォーラムが平成二十三年に経済状況について調査を行った後は、現在まで調査は行っておりません。

清水委員 つまり、直近は行っていないわけなんですね。私は、行わないということが果たしてどうなのかなというふうに疑問を呈さざるを得ないんです。

 これも日弁連の資料から見ますと、例えば、二〇〇八年に平均所得の中央値が一千百五十万円であったものが、二〇一四年には六百万円というふうに半減しております。

 これは、国税庁の資料で私が独自に調べました。二〇一四年度の確定申告を見ましても、弁護士が三万三百五十七人、この事業所得を把握したところ、何と、所得階級七十万円以下と公表している者が五千二百二十一人、全体の一七%も七十万円以下の所得で公表しているということなんですね。

 ですから、私は、こういう状況を見れば、今の法曹の収入実態がいかに過酷かということは、改めて調査するまでもなく、もう明らかだと言わなければならないと思っております。

 ここで辞退者の声を紹介したいと思うんですね。二〇一五年度に司法試験に合格しながら司法修習を辞退した横浜市の二十代女性の声です。

 現在の司法修習は貸与制であり、私の家庭の状況では、司法修習へ行くとなればお金を借りなければならず、法曹として働き始めるころには六百万円程度の借金を背負うこととなります。近い将来のことを考えたときに、私は、ある程度の生活をし、きちんと借金を返していけるのかと本当に不安になりました。不安というよりも、もはや将来に対する恐怖に近いものを感じました。

 法曹を目指す人が、不安だけじゃなく経済的な問題で恐怖まで感じるというのは、私は異常な事態だというふうに思っております。

 田所政務官に伺います。

 二〇一六年二月九日の院内集会に寄せられた田所政務官の応援メッセージにはこう書いておられますね。「貸与制度にとどまるのでは、法曹を目指す人達にとってたいへん酷であると考えています。しっかりと対応させていただきます。」と決意を述べられているんですが、どう対応されるつもりなんでしょうか。

田所大臣政務官 確かに、先ほど言われましたように、適性試験を受ける人も、あるいは法科大学院に入る人も大変少なくなって、有為な人材が必要な法曹界に非常に問題であるということは感じているわけでございます。

 そういう中にあって、公共的役割を果たすということもありますし、法治主義を担う、大変大きな役割を担う法曹でありますから、すぐれた人材がやはり積極的に入っていくような、そういう形にしていかなければならないんだろうと思っております。

 そういう中にあって、修習専念義務や守秘義務等、あるいは罷免等、そういった制度で縛られている大変なところもあります。ですから、窓口から、最初から法曹を目指すような人をつくっていく。それから、修習における負担がどういうふうな抑制するような形になっているのかということもやはりよく調べる必要もあるんだろうというふうに思っております。

 そういうものを踏まえて、政府等においても、これまでの附帯決議を踏まえた、例えば、転居費用の支給とか修習期間中の入寮とか、あるいは兼業のところの緩和とか、いろいろ考えているわけでありますが、そういうもの等を含めて、いわゆる負担というものがどう軽減されて効果に結びつくのか、これを調査の上、やはりしっかりとそれに対応した措置をとっていくことが必要であるというふうに思っております。

清水委員 今の答弁では、酷だというところからなかなか脱却することができないと思うんですよね。これまでもやられた経済的支援ではなかなか実態に合わないということが今問題になっていますので、もう少し認識を持っていただきたいというふうに思います。

 それで、今、検討、調査している段階なのかということだと思うんですね。同じメッセージに、盛山副大臣はこのように述べられておりますよ。「結論をまとめていきたいと考えております。」私もおっしゃるとおりだと思うんですね。そういう決意を語っていただけますか。結論を出していただきたい。(発言する者あり)

盛山副大臣 ちょっと不規則発言があったようでございますが。

 附帯決議、そしてそれ以外にも、いろいろな場で、議員会館に、あるいは副大臣室へ、いろいろな方々が本件について御要望をお申し出になっておられます。大変厳しい状況だということは私も認識しております。

 そしてまた、有為な人材の方が経済的な理由で断念されるということは大変残念である、やはり立派な方ができるだけたくさんこの法曹の世界に入っていただきたい、私もそんなふうに考えております。

 先ほど大臣もお答えになっておられたとおり、現在、協議会の方で検討している最中でございます。この検討結果を受けまして、できるだけ前向きな形になるように努力していきたいと思っております。

清水委員 お待たせしました。岩城大臣、最後の質問です。

 前向きに結論を出していきたいという副大臣の力強い答弁もあったんですが、やはり事ここに至りましては、七十期の修習が始まるのがことしの十一月なんですよね。経済的な理由から、本当に才能豊かで、そして社会正義の実現を目指すという希望に燃えた人が断念するというようなことをこれからは生み出さないという点では、決断すべき時期に来ているんだろうというふうに思います。

 ぜひ一日も早い給費型の経済的支援のあり方を実現していただきたいというふうに思うんですが、最後にどうぞ。

岩城国務大臣 私といたしましても、有為な人材が経済的な事情によって法曹への道を断念することがあってはならないと認識をしております。

 そのような観点も踏まえまして、法曹志望者数を回復させ、新たな時代に対応した質の高い法曹を多数輩出していくために、推進会議決定に掲げられた各取り組みを速やかに、かつ着実に進めてまいりたいと考えております。

清水委員 ぜひその実現のために努力していただくことを強く求めまして、質問を終わらせていただきます。

葉梨委員長 以上で清水君の質疑は終了いたしました。

 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 昨年十二月十六日の最高裁判決を受けて、昨日、民法の再婚禁止期間の改正案が閣議決定されました。再婚禁止期間百日への短縮を行い、離婚時に妊娠していない場合は適用除外とするなど、例外規定を設けるものとしています。

 再婚禁止期間百日への短縮は、二十年前に出された法制審議会答申に既に盛り込まれていたものです。それなのに、最高裁判所の判決を受けなければ民法の改正を行わないという政府の姿勢が問われていると思います。

 同時に、女性だけに課せられる再婚禁止期間は差別的規定であり、廃止すべきという声が大きく起こっております。法律に残された女性への差別は、世界から見ても異常な、日本の男女平等への改善のおくれ、民主主義のおくれを示す大きな問題点の一つでありまして、廃止を求める声は当然だと思います。

 きのう三月八日は国際女性デーでございました。法制審議会答申以来の二十年、再婚禁止期間について民法改正に着手しなかったことをどのように思われますか。岩城法務大臣の御認識を伺います。

岩城国務大臣 御指摘がありましたとおり、法制審議会は、平成八年の二月に、女性の再婚禁止期間を百日に短縮すること等を内容とする民法の一部を改正する法律案要綱を答申されました。

 そこで、法務省は、平成八年そして平成二十二年に、法案の提出に向け、法制審議会の答申を踏まえた改正法案を準備いたしました。しかしながら、この答申の内容につきましては、国民の間にもさまざまな御意見があったほか、与党内においても異論があったことなどから、改正法案の提出にまでは至らなかったものと認識をしております。

 もっとも、女性の再婚禁止期間を定める民法の規定につきましては、このたび、違憲立法審査権を有する最高裁判所において、再婚禁止期間のうち百日を超える部分は憲法に違反する旨の判断が示されたわけでありますので、速やかに違憲状態を解消する措置を講ずる必要があるものと認識をしております。

畑野委員 法制審の答申が出てから、本当に多くの女性たちの、また国民の法改正を求める声が出されてきて、裁判も行われてきたわけですね。そういう点では、二十年間、法改正に着手されなかったということは、国民、女性にとっても本当に大変な問題だった、苦しみだったということをぜひ知っていただきたい。御存じのことだと思いますけれども。

 ある女性の方は、当時の夫の暴力を逃れて別居して、夫は離婚に応じないので、女性が裁判を起こして、離婚が成立したのは約一年半後だったと。女性は、離婚の直前に現在の夫との子を妊娠して、再婚して、生まれてくる子と一緒に新しい家庭を築けると思ったけれども、民法の再婚禁止規定が壁となって、子供が無戸籍になる問題にも直面したと。こういう多くの皆さんの声と運動があったわけでございます。

 さて、この問題につきまして、国連女性差別撤廃委員会は、女性差別撤廃条約に基づいて、締約国の差別の是正状況を審議してまいりました。前回二〇〇九年から七年ぶりのことしの審議には、日本から多くの女性団体や日本弁護士連合会の代表約百人が代表団として参加して、女性差別撤廃委員会は、二月十五日にはNGOから意見を聞く、十六日には日本政府からの報告を審議したわけです。中でも再婚禁止期間については、女性差別撤廃委員会からことしも勧告を受けております。

 伺いたいんですが、この問題については、以前にもこの委員会から何度も勧告を受けております。これまでどのような指摘と勧告を受けてきたのでしょうか。また、この二月に行われた女性差別撤廃委員会での第七回、第八回政府報告審査ではどのような質疑応答があったのか、お答えください。

小川(秀)政府参考人 お答えいたします。

 我が国は、女子差別撤廃委員会から、民法の規定に関しまして、平成十五年、二〇〇三年と、平成二十一年、二〇〇九年に勧告を受けております。

 このうち、平成十五年に受けました勧告の内容は、民法に依然として存在する差別的な法規定を廃止し、法や行政上の措置を条約に沿ったものとすることを要請するというものでございました。

 また、平成二十一年に受けました勧告の内容は、婚姻適齢を男女ともに十八歳とすること、女性に係る六カ月の再婚禁止期間を廃止すること、選択的夫婦別氏制度を採用すること、これらを内容とする民法の改正のために早急な対策を講ずるよう要請するというものでございました。

 ことしの状況でございますが、本年二月に行われました審査では、再婚禁止期間の廃止を含めた民法の改正について、政府の対応状況を問われたところでございます。これに対しまして、法務省担当者からは、昨年十二月の最高裁判決を踏まえ、速やかに違憲状態を解消するため、再婚禁止期間を百日に短縮することなどを内容とする法律案を、これは二月の時点でございますので、今国会に提出すべく検討を行っているということを御説明させていただきました。

畑野委員 国連女性差別撤廃委員会の日本審査の内容というのは、国会にも報告するべきものだということで、きょうも御報告をしていただきました。民法改正のおくれについて厳しい指摘が二月の十六日にもされたわけですね。人権問題、女性差別問題として、本当に解決を図る必要があると思うんです。

 そこで、さらに伺いますが、先日の三月七日、国連女性差別撤廃委員会から日本政府に対して、勧告を含む総括所見、すなわち最終見解が公表されました。再婚禁止期間についてどのような見解、勧告が出されたかということを重ねて伺います。

小川(秀)政府参考人 女子差別撤廃委員会は、本年三月七日に公表されました最終見解におきまして、我が国に対し、女性の再婚禁止期間そのものを廃止する旨の民法改正を遅滞なく行うよう勧告したものと承知しております。

畑野委員 即時措置を再び勧告したということですよね。

 そこで伺いたいんですが、再婚禁止期間について世界の状況はどうなっているかということです。世界の主要な国々の現状について、岩城法務大臣に伺います。

岩城国務大臣 法務省が行いました調査によりますと、再婚禁止期間に関する規定がある国としては、イタリア、トルコ、タイ、イスラエル、インド、サウジアラビアなどが挙げられます。その期間は、九十日や三百日など、それぞれの国によって異なっております。

 一方、イギリス、ドイツ、フランス、オランダ、中国、韓国などには、再婚禁止期間に関する規定はないものと承知をしております。

畑野委員 廃止したという国も、北欧諸国などですね、ずっと進んでいるわけです。

 さらに伺いますが、再婚禁止期間について、国連女性差別撤廃委員会の総括所見、すなわち最終見解を受けて、岩城大臣の御認識はいかがでしょうか。

岩城国務大臣 女子差別撤廃委員会は、今般、我が国に対し、再婚禁止期間そのものを廃止するよう勧告したものと承知をしております。

 もっとも、再婚禁止期間を設けた趣旨は、嫡出推定の重複を回避し、父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐことにあり、嫡出推定の重複を回避するために必要な百日については、合理的なものであると認識をしております。

 仮に再婚禁止期間そのものを廃止した場合には、前婚の夫と後婚の夫の嫡出推定が重複し、DNA鑑定等によらなければ法律上の父親を確定することができない事態が生じ得ることとなり、それは子の利益を害するおそれがあるものと考えられます。

 女子差別撤廃委員会に対しましては、今後も、このような我が国の立場や状況について十分に説明をし、理解が得られるよう対応してまいりたいと考えております。

畑野委員 今回、例外措置ということで、離婚時に妊娠していない場合は適用除外ということを入れたわけですね。これは、最高裁の判決の中でそういう意見もあったということで入れられた。ですから、実際的にはほとんどかかわらない状況になるんですよ。しかも、これは、医学の問題ではなくて、人権の問題だと国連からは指摘されているんですね。

 ですから、この点を含めてまた深い議論は続けさせていただきますけれども、実際には廃止の可能性があるんだということが多くの皆さんから言われております。

 さて、次に、夫婦別姓について伺いたいと思います。ことしの国連女性差別撤廃委員会でどのような質疑応答があったのか、伺います。

小川(秀)政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきました女子差別撤廃委員会による本年二月の審査におきましては、委員会のメンバーから、我が国の最高裁判所が現行の夫婦同氏制を合憲としたことに対しまして、夫婦同氏制度を定めた民法の規定を早期に改正すべきではないかという質問がございました。

 これに対しまして、法務省の担当者からは、選択的夫婦別氏制度の導入を含む民法改正は、我が国の国民の家族関係に深くかかわる問題であるため、国民の大方の理解を得て行うべきものと考えているが、直近の世論調査の結果を見ましても、この問題についての国民の意見が大きく分かれていることなどを説明した上で、政府としては、国民的な議論や国会における議論の状況を引き続き注視しながら今後の対応を慎重に検討してまいりたい旨お答えしております。

畑野委員 女性差別撤廃委員会がこの間繰り返し言っていることがあるんですね。それは、締約国が、差別的法規定の撤廃が進んでいないことを説明するために世論調査を用いていることに懸念を持っているということなんですね。これは人権問題ですから、世論調査で多い少ないという問題ではないんだということを言っているわけなんです。

 そこで、この夫婦別姓の問題について岩城大臣の御認識を伺いたいんです。

 女性差別という観点から、女性差別撤廃委員会から大変厳しい内容の勧告がされておりますが、その総括所見、すなわち最終見解についてどのような御認識でいらっしゃいますか。

岩城国務大臣 女子差別撤廃委員会から勧告がありましたことにつきましては、もう説明があったとおりだと思います。

 いずれにしましても、選択的夫婦別氏制度の導入の問題は、我が国の家族のあり方に深くかかわるものであります。また、国民の間にもさまざまな意見があることから、慎重に対応を検討する必要があると考えております。今後、国民的な議論や国会における議論の深まりを関心を持って注視しているところでございます。

 国連の各委員会に対しましては、今後も、このような我が国の立場や状況について十分な説明をし、理解が得られるよう適切に対応してまいりたいと考えております。

畑野委員 最高裁の判決の中で、ある裁判官の意見として、夫婦同氏の強制は、憲法第二十四条に言う個人の尊厳と両性の本質的平等に違反すると説示をし、家族の中での一員であることの実感、夫婦親子であることの実感は、同氏であることによって生まれているのだろうかと疑問を投げかけております。まさにこれは、憲法の二十四条に基づいて解決しなくてはいけない問題だというふうに思うわけでございます。

 大臣に幾つか伺ったんですが、これは、本当に受けとめて進めていただきたいんです。なぜかといいますと、この女性差別撤廃委員会の勧告というのは、フォローアップというのがあるんですね。進まないと、どうなっているかと二年ごとに催促が来るわけなんです。

 しかも、先ほどお話があったように、再婚禁止期間の問題も、これから閣議決定されて法案の審議が進もうというふうになるわけですけれども、百日にとどまらず、廃止すべきだということが今回国連女性差別撤廃委員会から言われて、もう何回も言われているから、今回は、すぐやりなさいというふうに言われております。これは、国会の中で、委員会の中で議論をさらにしていかなくてはなりませんけれども、そのことを重ねて申し上げておきたいと思うんです。

 それからもう一つ、選択的夫婦別姓の問題です。

 この問題については、岩城大臣とも、この間の一月十三日にも議論をさせていただきました。今回言われているのは、昨年の最高裁が合憲とした夫婦同氏について、実際には女性に夫の姓を強制しているという指摘があって、そして改正するようにというふうに求められているわけなんです。

 これは私、この間の一月十三日のときに法務省から答弁いただきましたけれども、二〇一四年の調査で、婚姻届のあった夫婦のうち、夫の氏を選択した夫婦は九六・一%だと。結局そういう実態になっているということを国連の女性差別撤廃委員会もよく知って、これもちゃんと改正するべきだということなんです。

 ですから、この間言われたように、世論調査がどうかということではなくて、人権の問題としてやりなさいということを言われているわけなんですね。そういう点では、国会の議論をというふうに最高裁に言われているわけですけれども、国会はもちろん、委員長にこの間お願いして、ぜひ議論しようと。私、参考人などもお招きして大いに議論したらいいと思うんですが、このように国連から、締約国として女性差別撤廃委員会から言われているわけですから、国としてはもっとイニシアチブを発揮するべきだというふうに思うんですが、岩城大臣、いかがでしょうか。

岩城国務大臣 選択的夫婦別氏制度の導入につきまして各方面から意見があることは承知をしております。導入すべきだという意見ですね。他方で、現在の法律を改めるべきではないとの意見もあることも承知をしております。

 選択的夫婦別氏制度の導入は、先ほども申し上げましたけれども、国民の大方の理解を得て行うべきものと考えております。我が国の家族のあり方に深くかかわる問題でもあります。したがいまして、最高裁判決において指摘されておりますように、国民各層の意見、受けとめ方や、国会における議論の動向を踏まえながら、慎重に対応を検討してまいりたいと考えます。

畑野委員 終わりますけれども、人権の問題だということで、これは本当に、一人であっても解決しなくてはいけない問題。そして、そういう点では、引き続き大きな国民的議論ももちろん国会で起こしていきたい、そのことを申し上げまして、質問を終わります。

葉梨委員長 以上で畑野君の質疑は終了いたしました。

 次に、木下智彦君。

木下委員 おおさか維新の会、木下智彦でございます。

 本日も質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 では、早速始めさせていただきたいと思います。きょうは、大臣の所信にかかわる質疑ということで質問させていただきます。

 大臣の御所信の中で、私ちょっと、ううんと思いながら聞いていた部分があります。そこは何かというと、一番最初の部分で「法務省の任務は、」というふうなお話をされておりまして、全部は読みませんけれども、冒頭の部分だけですが、基本法制の維持及び整備、法秩序の維持、国民の権利擁護その他云々というふうなところを最初に述べておられます。

 その観点できょうの質問をさせていただきたいというふうに思っているんですけれども、特に法秩序の維持という部分かなというふうに私は感じているんです。

 大臣は、御就任されたのが昨年の十月だったと思います。もう既に五カ月ほどたたれているわけですけれども、その間に死刑の執行命令というのを、私の知る限りでは二回出されている。その中には裁判員裁判で判決が確定したものも案件としては初めて含まれているというふうに理解しております。

 ちょっとその辺の話をさせていただきたいと思っているんですけれども、最初にお話ししたいのが、私は、判決が確定したものは法律の取り決めに従って執行されることが極めて重要だろうと思っていて、それは、死刑判決であろうがなかろうが、違う判決であってもそうだと思うんですけれども、法秩序の維持につながるものだ、判決が確定したものについての執行という意味ではそうだと考えている。さらには、基本法制の維持そのものではないかなというふうに考えていて、そういう視点で質問をしたいというふうなことなんです。

 というのは、きょうこういう質問をしますというふうにきのう通告をさせていただいたら、事務方の方から、木下先生はどういうスタンスで死刑制度を考えていらっしゃるんですかと非常に御心配されたようなんですね。なぜかというと、やはり、絶対的に反対だとかそういう価値観で物を言うような人も国会議員の中にも当然いらっしゃるというところで、そういう警戒をされたのかなと思っているので、私は、きょうの質問は、特に死刑制度の賛否などの評価をしたいというのではなくて、最初に述べたように、法の秩序の維持というものはどういうものなのかな、そういう点で質問をさせていただきたいと思います。

 そこで、死刑執行の判断という話をしたいんですけれども、その前に、ちょっと私の方で調べさせていただきましたら、ここ数年、すごくたくさんの先輩方、先生が法務大臣の職に任じられておりまして、死刑執行の命令を出された方をずっと上から見ていったんですね。

 そうすると、二〇〇七年の後半ぐらいから、鳩山邦夫先生が、就任の期間にもよると思うんですけれども、十三名執行されている。保岡先生が三人、森英介先生が九人。そこから民主党政権になりまして、千葉先生が二名、その後ずっと、柳田先生、仙谷先生、江田五月先生、平岡先生と、そこまでゼロが続いております。そして、小川先生三名、滝実先生四名、田中慶秋先生ゼロ、また滝実先生ゼロということです。ここから自民党政権に戻りまして、谷垣先生十一名、松島みどり先生は短かったのでゼロ。上川先生も一と。それで、今の岩城大臣が今の時点で二名というふうなところでございました。

 まず、そこを、今の数字で、過去のことはあれですが、私の調べたところで今二名ということなんですけれども、この二名で間違いないでしょうか。それだけちょっと。

岩城国務大臣 そのとおりでございます。

木下委員 ありがとうございます。

 なかなかこの数字が本当に正しいのかどうなのかを調べる手だてが余りなかったもので、しっかり確認させていただきました。

 そこの中で重要だと思うのが、刑事訴訟法の中に死刑について書かれております。その中で、判決確定後いつまでに執行しなければならないというふうにしているかという点についてお話しいただければと思います。

林政府参考人 刑事訴訟法の四百七十五条の第二項本文におきまして、死刑の執行の命令は判決確定の日から六カ月以内にしなければならないと規定されております。

木下委員 では、今現在、裁判の判決が確定していて上訴権がなくなった確定死刑囚、この方々でこの六カ月を超えているのは何人おられるかというところをお願いします。

林政府参考人 昨日、三月八日現在で当局で把握している限りで申し上げますと、判決確定後六カ月を経過している者は百二十五名おります。

木下委員 何度も申しわけないですけれども、百二十五名もいると。

 では、逆に、六カ月以内で執行された方というのは、ここ数年、今どうこうというのではこれは数字を出せないと思うんですけれども、何か指標みたいな数字はあるんでしょうか。今までの中で、確定判決されて六カ月以内で死刑執行が実際にされた方というのが何名ぐらいいるのか。およその数字でも結構ですので、教えていただけますか。

林政府参考人 死刑の執行につきましては、以前はその執行を公表しておりませんでした。公表した以後について申し上げますと、これまで確定後六カ月以内の執行というものはなかったものと承知しております。

木下委員 そうなんですよ。百二十数名いた中で、刑事訴訟法の中に六カ月以内に執行するべきとか執行するというふうに書いてあるにもかかわらず、実際に執行されているのが、公表されるようになってからゼロ人だと。これはどういうふうに捉えればいいのかなと思いまして。

 これは大臣、この辺の御所見、どう捉えるべきなのかといったところを教えていただければなと思うんですけれども。大臣の御所見で結構です。

岩城国務大臣 刑事訴訟法第四百七十五条第二項本文は一般に訓示規定であると解されておりまして、六カ月以内に死刑の執行の命令がなされなくとも、それは人の生命を絶つ極めて重大な刑罰の執行に関することであるため、その執行に慎重を期していることによるものであることから、違法であるとは考えてございません。

木下委員 ありがとうございます。

 そうですね。これは、一九九八年三月二十日に東京地方裁判所で今大臣がお話しされたような判決が出ておりまして、訓示規定だというふうにあったんですね。それをそのまま言われたんだというふうに私は思っております。それこそが今の法秩序が守られていることにもつながっているんだとは思うんです。

 でも、ちょっとどうなんだろうなとやはり思わざるを得ないと思うんですね。今の状態で百二十何名いて、全員が六カ月超えているかどうなのか今わからないですけれども、六カ月以内でやられたのが、ここ十年ぐらいですかね、十年もたっているかなぐらいの間に誰もいない、そういう状態になっている。これは、判決でこういうふうになっていて、訓示規定だというふうに言いながら、さてそれがいいのかなとどうしても私は思ってしまうんです。なぜなら、刑事訴訟法によって犯罪を犯した人は罰せられ、そしていろいろな形で刑の執行がされる。その中に、逆に政府側が判断すると言っていいのかどうかわかりませんけれども、死刑執行に関しては、判決が出ていても訓示規定だから別にいいんだと。

 これは、法の秩序の問題からも実際にどうなんだろうと思わざるを得ないと思うんですけれども、大臣は、そういう点についてどうあるべきなのか。お立場から、そこまで答えられるかどうかはあれですが、過去にはやはりそれなりのお答えをされている大臣の方々もいらっしゃいましたので、大臣の御見解をいただけますでしょうか。

岩城国務大臣 先ほどのお答えと重なる部分がございますが、御了解願いたいと思います。

 刑事訴訟法第四百七十五条は、その第一項において、「死刑の執行は、法務大臣の命令による。」と規定しておりますが、その趣旨は、死刑が重大な刑罰であり、その執行に際しては慎重な態度で臨む必要があるという点にあると考えられます。

 一方、同条第二項において、死刑の執行の命令が判決確定の日から六カ月以内になされなければならないと規定されておりますのは、確定した判決についてはできる限り速やかに執行されるべきであるという要請があり、死刑については慎重な態度で臨むべきであるという考え方と調和しようという点にある、こう考えられます。

 そこで、判決確定の日から執行までの期間が長くなっている例があることは事実でございますが、六カ月以内に死刑の執行がなされなくても、それは人の命を絶つ極めて重大な刑罰の執行に関することであるため、その執行に慎重を期していることによるものであって、私といたしましては、御指摘の判決にもありますように、刑事訴訟法第四百七十五条第二項が一般に訓示規定であると解されている点につきまして、問題があるとまでは考えておりません。

 いずれにいたしましても、死刑の執行に際しまして、法務大臣として私はその職責を果たしてまいる所存でございます。

木下委員 ありがとうございます。

 そういう意味では、これは私の感覚ですけれども、岩城大臣はその職責をしっかり果たされているんだろうなというふうに今の時点で思っております。

 ただ、ちょっとやはり解せないところがあって、要は判決が確定されていて、それを執行する、そこに、人の命にかかわることだから慎重を期する、これはどういうことなのかがどうしても私には理解できないんです。

 というのは、人の命にかかわることだから慎重を期するのは、その慎重を期しているのは何かといったら、裁判なんじゃないんですか。裁判によってそこもしっかりと判断されて、特に大臣は、裁判員裁判での確定判決によって、そういうふうな確定判決が出たものについて執行命令を出されておりますので、裁判員裁判で極めて慎重に死刑を確定したものだと私は思っています。

 そのものを、逆に言うと、確定判決しても、確定判決から六カ月の間、実際何を慎重を期すものがあるのかなと。大臣の、もしくはその後の政府の役割というのは何なのかなということが、私はどうしてもわからないんです。

 そこで、もう少し整理して、事務方の方からこれはお答えいただきたいんですけれども、裁判が行われます、判決が出ます、確定判決となります。そうなった後に、どういう形になって大臣の方に、こういうふうな判決が出たので死刑執行をお願いしますというふうな、そういうものが来るんでしょうか。そこら辺の流れを少し説明していただけますでしょうか。

林政府参考人 まず、手続的に申し上げますと、死刑が確定いたしますと、その刑の執行指揮をすべき検察官の属する検察庁の長が法務大臣に対しまして死刑執行の上申をします。この上申というものは、実際の刑事確定訴訟記録と、その確定した裁判書等の謄本をつけて上申してまいります。

 その上で、それ以降は法務大臣における手続ということになるわけでございますが、法務大臣におきまして、死刑の執行に際しまして、関係記録を十分に精査して、その刑の執行停止でありますとか、再審、非常上告の事由、あるいは恩赦を相当とする事情の有無等について慎重に検討いたしまして、これらの事由等がないと認めた場合に初めて死刑執行の命令を発するということになっております。

木下委員 そうですね。簡単に言うと、検察庁から死刑執行の上申書が大臣の方に送られる、それによって、その中で慎重にというところは恩赦とかそういうのも含めて検討されるというふうなことなんですけれども、それをするための期間というのが定められたのがこの六カ月なんですよね、恐らく。

 この六カ月間に、では逆に聞きますけれども、そういう上申書が大臣に出されているにもかかわらず死刑が執行されなかった件数というのは、公表後で構いませんので、数字を出していただけますでしょうか。

林政府参考人 まず、昨日、三月八日現在で法務省で把握しております死刑判決の確定者は百二十六名でございます。

 そして、それを踏まえまして、一般論として申し上げますと、そうした死刑の判決が確定した場合には、先ほど申し上げましたが、その刑の執行指揮をすべき検察官が法務大臣に宛てて死刑執行に関する上申というものを手続的に行ってまいります。その中で、現時点で未執行の死刑確定者というものが百二十六名おるということでございます。

木下委員 そうですね。では、全員ですよね。全員、上申書を出されていて、恐らくもう六カ月以上たっているわけですから、違いますかね、今、首を振られているけれども、合っていますか、大丈夫ですか。百二十六名いて、もう六カ月以上たっているわけですから、その辺の極めて慎重なものというのは現実問題としてなされているはずなのに、そういうふうな執行命令が出されていない。

 ということは、そのときの大臣、徐々に岩城大臣はそういうことをしっかりと執務として執行されていくんだと私は信じておりますけれども、その時々の大臣は何をしていたんですかね。今、大臣になられていろいろ引き継ぎ等々あられると思いますけれども、大臣、それはどういう想像をすればよろしいですか。大臣はどう御理解されていますか、その時々の大臣がどうしていたか。

岩城国務大臣 大変お答えするのは難しい問題だなと思っております。

 それぞれの大臣の判断があったんだと思いますけれども、理由については私は拝察できませんが、そういう意味で私がこのことについて物を申し上げる、コメントする立場にはないことはどうか御理解いただきたいと思いますが、死刑執行命令は、私は、法務大臣の職責であり、そのように捉えておりますので、私自身はその責任を果たしてまいりたいと考えております。

木下委員 そうです。私は、そのお答えを期待していたというのか、何も死刑をしろしろというふうなことではなくて、法務大臣としての職責は何なのかということを聞きたいだけなんですね。

 大臣は、職責として、ほかのことも含めてだと思いますけれども、法の秩序を守るための職責という形だと思いますが、当然のことながら、確定判決したものについてはしかるべき調査等々のプロセスを経ながらやられる、これが普通の、大臣として期待されている部分だと思うんですね。

 きょう、大臣からそういうお話を聞かせていただきましたので、そういう面では、岩城大臣はすばらしいなと。ただ、やはりそう思えば思うほど、今までの方々は何をしていたのかなというふうなのが、どうしても首を振らざるを得ないなというふうに思っているんです。

 時間もあれなんですけれども、きょうはそういうお話で、今のお話でほとんど終わりです。

 ただ、ちょっと見てみると、冒頭の、数字を読み上げさせていただいたところで、私が言うのも本当に恐縮なんですけれども、鳩山邦夫先生、元大臣が二〇〇七年八月から三百四十二日間、大臣をされていたとき、直近の中で一番死刑執行の人数が多いんですね。十三名というふうに私の手元にあります。そのときの大臣、鳩山先生が言われている言葉が、きょうの大臣がおっしゃられたのとすごく似ているなと思うんです。ちょっと行き過ぎな部分もあるんですけれども、法務大臣が絡まなくても、自動的に死刑執行が進むような方法があればと思うことがある、こういうことを言われているんですね。

 それはどうかな、慎重を期さなければならないけれども、職責として、確定判決に対して注文をつけられるかどうかという問題はあるので、それをちょっと誇張した表現をされているのかなと。

 それ以外にも、死刑執行は刑確定から半年以内という規定については法律どおり守られるべき、これは法律どおり守られるべきだということを書いていらっしゃいます。それ以外にもいろいろ書いていらっしゃるんですね。

 そういうことでは、決められたことを決められたようにやられるのが当然の職務だというふうなことでは、非常に、それなりのことを言われているな、私が言うのも恐縮ですけれども、そうだと思ったんですね。

 でも、ここで言ってしまってもあれなんですが、最後に、退任された後なんですけれども、東京、埼玉連続幼女誘拐殺人事件、もう死刑にされた方なので名前はあえて言いませんけれども、世の中を騒がせた事件です。その方の死刑執行をされたんですね。それを退任された後に、テレビか何かの番組のインタビューの中で、最も凶悪な事犯の一つだと思うから死刑執行すべきだと思うが、検討しろというふうにそのとき大臣は言われたというふうに言われたんです。

 これはこれで問題があるんじゃないかなと私は思うんです。世間を騒がせたから、それから凶悪だから、そういうふうな評価を大臣がするものなのかどうなのか。これは三権分立の考え方からしても裁判の確定判決に任せて、そのことを検察庁が上申書を上げてきて、大臣が最終的な、そこの検討というのは何があるのかというと、やはりちょっと難しいところもあります。恩赦というのはちょっと納得できるところもありますけれども。

 そういう意味で、大臣、こういうふうに言われることはないでしょうか。こういう思いはあられないでしょうか、凶悪なものについてはそうするべきだとか。これは大臣としてはあってはならないと私は思うんですけれども、先に答えを出しながら聞いていますけれども、ぜひ教えてください。

岩城国務大臣 歴代の大臣の判断につきまして私がコメントを差し上げることは控えさせていただきたいと申し上げました。そして、個別の執行にかかわる事柄につきましても差し控えたいと存じます。

 ただ、一般論として申し上げれば、死刑の執行に際しては、関係記録を十分に精査し、刑の執行停止、再審、非常上告の事由あるいは恩赦を相当とする事情の有無等につき慎重に検討し、これらの事由等がないと認めた場合に初めて死刑執行命令を発することになるものだ、そのように考えております。

木下委員 ありがとうございます。

 きょうなぜこれをお話しさせていただいたかというと、またここは手前みそで申しわけないんですけれども、最後に一言言わせていただきますが、実は大阪で、我々おおさか維新の会、もともとつくった橋下徹が、今の私どもの法律顧問ですけれども、彼が首長時代に最初にやったのは、君が代起立条例という条例を出したんですね。すごく評価が分かれました。

 でも、あれは何がやりたかったかというと、決して、国歌を敬うべきだとか、国旗を敬うべきだからとか、国旗にちゃんと礼をしなさいというのは、その価値観の押しつけをしたかったのではないんです。これは何かというと、教育委員会で、学校の先生、校長に委ねているんですけれども、ちゃんと決められたものというふうにしてやりながら、守っていない人がいる。決められたものは守りなさいよということを条例化してやっただけ。これをちゃんとやっていくのが政治家であり、それから法務関連に携わられている方のやるべきことだというふうに思っておりまして、そういう意味で最後につけ加えさせていただきました。

 どうもありがとうございます。

葉梨委員長 以上で木下君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮川典子君。

宮川委員 自由民主党の宮川典子でございます。

 きょうは、法務委員会で二回目の質疑の時間を頂戴いたしました。先生方に感謝を申し上げたいと思っております。

 大臣が参議院へ行かれるというお話を伺っておりましたが、ぎりぎりまで残っていただけるということで、改めて感謝申し上げたいと思っております。

 きょうは大臣所信に対しての質問ということでありまして、法教育と、あとは、矯正教育というか再犯防止に関して、そして国内の治安確保について質問をさせていただきたいと思っております。

 まず一つでありますけれども、今、木下先生がいい流れをつくってくださったのかなと思っていますが、やはり決められたルールをしっかり守るというのは、法治国家に生きる者として当然であって、また、しっかり遵守していかなければいけない最低限のルールだと私は思っております。

 その点で、法務省は、ここ数年にわたって法教育に大変力を入れてきていただいております。また、法律関係者の皆様も、出前授業で各学校にしっかり足を運んでいただいて、まさに国民に近い、そして子供や若者に近いところで法教育に携わってくださっております。そのことは、とてもありがたいことと私は思っております。

 改めてですが、法教育の目的とその内容について伺いたいと思います。まず目的について伺います。

萩本政府参考人 法務省におきましては、法律専門家ではない一般の人々が、法や司法制度、これらの基礎になっている価値を理解し、法的な物の考え方を身につけるための教育、これを法教育と位置づけております。

 この法教育は、社会の中で人々がお互いを尊重し合いながら生きていく上で法やルールが不可欠なものであることを理解させること、多面的、多角的な課題についてみずから考え、みずからの意見を主体的に形成して表明すると同時に、他人の主張や意見にも謙虚に耳を傾け、それを公平に理解し、多様な意見があることを前提に、それらを調整して合意を形成したり、紛争やトラブルを法やルールにのっとって適正に解決したりすることができる資質や能力を養うこと、そして自由で公正な社会の担い手として法的な物の考え方を育むこと、これらが法教育の目的であると考えているところでございます。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 法教育につきましては、児童生徒に、社会生活における法や決まりの意義あるいは法に基づく公正な裁判などについて理解させるために、学習指導要領に基づきまして、例えば社会科では、日本国憲法を初めとする具体的な法制度や司法制度について理解させる、道徳では、約束や決まり、法の意義を理解し、それを守るということを理解させる、あるいは、児童会、生徒会活動等を通じて、意見をまとめるなどの話し合い活動や、自分たちで決まりをつくって守る、そういう活動について、小中高等学校の児童生徒の発達段階に応じて指導することといたしております。

宮川委員 ありがとうございます。

 目的と内容については今お話をいただきましたけれども、まさに、どの教科にということではなくて、多元的に、さまざまな教科を横断的に、法教育というのは大変重要なものであるということが今の文科省のお話からもよくわかったところではないかなというふうに思っております。

 例えば小学校であれば、体育科も含めて、道徳の時間や特別活動の時間、総合的な学習の時間も踏まえると、たしか七分野か八分野にわたってやっていらっしゃると思いますけれども、それだけ、法というのは自分たちに大変身近なものであるということを子供たちにしっかり教えていくのはとても重要なことだというふうに思っております。

 しかし、私が元中高教師として思っているのは、実は、中学生、高校生になると、突然彼らは、もう一つの法律というかルールに縛られるようになります。それが校則です。小学校まではそんなに厳しくありませんけれども、中学、高校になると突然、髪を耳の上で切りなさいとか、二つに縛ってきなさいとか、規律を守るためにいろいろな校則がそれぞれの学校にあると思います。そのときに、彼らが、多分、ここにいる委員の先生方も一回は壁に当たったことがあるんじゃないかと思いますが、何でこんなことを守らなきゃいけないんだというような思いになることがあるんだというふうに思います。

 ただ、悪いというわけではなくて、校則はあった方がいいと元生徒指導の先生としては思うわけですけれども、しかし、一般的な社会のルールと、そして自分たちがいるコミュニティーというか団体、もしくは一つの輪の中のルールというのは、必ず二元的に人間は生きていかなきゃいけないんじゃないのかなというふうに思っています。私たちも、一般的なルールがありますが、国会議員としてのルールもあるわけでありまして、国会の中のルールもあります。常に、法律というと一つかもしれませんが、ルールや決まり、約束事というと二元的であるというふうに思います。

 その二元的、またそれ以上、多元的であるという法の世界に接するのは、まさに中等教育に入ってからだというふうに思います。だとするならば、今申し上げたように、小学校段階、初等教育までの法教育というのが大変重要ではないかなというふうに思いますが、その重要性についてどのようにお考えか、見解を伺いたいと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 小学校における法に関する教育につきましては、社会科とか道徳、あるいは特別活動、特に児童会活動などを中心に実施しておりまして、法や決まりの意義、あるいは、これに加えてそれを守ることの必要性ということについて、発達段階や特性に応じて指導をしているところでございます。

 例えば道徳におきましては、低学年では、身近な約束とか決まりを取り上げて、それらはみんなが気持ちよく安心して過ごすためにあるものなんだということを理解し、しっかり守る。中学年では、さらに、一般的な約束とか社会の決まりということの意義やよさについて理解して守る。高学年では、今度は、他人の権利を理解、尊重し、自分の権利を正しく主張するとともに、自分に課された義務についてもしっかり果たそうとし、他人の権利も守る。

 そういうような段階を追った指導をし、小学校の段階から法や決まりを守るということの意義を教えていくことは非常に重要であり、それがまた、今後の学校生活のみならず、社会で生きていくために必要な力であるというふうに考えているところでございまして、引き続き適切な指導が行われるよう取り組んでまいりたいと思っております。

宮川委員 今の答弁の中に非常に重要な文言があったと思います。

 高学年になってきて、権利を主張しながら、しかし、ルールを守って他者の権利も守る、ここまで実はしっかり身につけなければいけないということでありますけれども、最近、社会を見渡してみても、また、いろいろな犯罪が起きた経過を聞いてみても、自分の権利は主張するけれども、その他の人たちの権利を守る、もしくは、それをしながらもルールを守るという感覚が大変欠如しているんじゃないかなというふうに思っております。

 特に、若い人たちと接してきた経験の中で、法律やルールというのは自分を縛るもの、自由を縛るものというふうに何か考えてしまいがちでありますけれども、しかし、本来は、ルールというのは、自分を守って、しかも、自分の権利を主張したときにしっかりルールにのっとって言えばそれを認めてもらえる、自分を守るものであり、また他者を守るものである、この感覚というのがとても重要だというふうに思います。

 これはまさに世の中で生きていく限りに必要な感覚であり、また、すごく初歩的な犯罪の防止にもつながるんじゃないのかなというふうに思いますが、この法意識の醸成について、今後、法教育の中でどのような工夫、改善をされていくようなお考えがあるのか、見解を伺いたいと思います。

萩本政府参考人 先ほど、法教育の目的の一つとして、社会の中で人々がお互いを尊重し合いながら生きていく上で法やルールが不可欠なものであることを理解させることがあると考えているというように御答弁いたしましたけれども、今まさに委員御指摘のとおり、法やルールといいますと、ともすると、規制をする、あるいは権利や自由を制約するもの、そういうように受けとめられがちだと思いますけれども、実際には、多数の人々が共存しなければならない社会において、法やルールがあるからこそ、逆にみずからの権利や自由が守られている、権利や自由が保障される、それこそが法やルールの意義や役割であるということを法教育を通じて理解してもらうことが極めて重要であるというように考えているところでございます。

 したがいまして、先ほども申し上げましたが、自由で公正な社会を実現していくためにもこうした法教育を充実させることが大切であると考えておりますので、引き続き、法教育のさらなる普及推進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

宮川委員 ぜひそのようにお願いしたいなと思っております。

 自由で公正な社会をつくるには、まず自分たちが、法たるは何であるかということをしっかり学ぶということがとても重要でありますし、これは、幼いころから、学齢期のときにしっかりと身につけるべきだというふうに思いますので、法務省と文部科学省が連携してぜひ強化をしていただきたいと思いますし、また、法律にかかわる全ての皆様には、ぜひそういう教育現場へのお力添えも改めてお願い申し上げたいと思っております。

 それでは二点目ですが、再犯防止に関して、また、立ち直りに関してというところでありますけれども、今、法務省が力を入れて進めていらっしゃいます社会を明るくする運動の目的について伺いたいと思います。

盛山副大臣 今、宮川委員からお尋ねの社会を明るくする運動につきましては、全ての国民が、犯罪や非行の防止と、一旦罪を犯した人たちの更生について理解を深めて、そしてそれぞれの立場において力を合わせ、犯罪や非行のない安全、安心な地域社会を築こうとする全国的な運動のことでございます。

 先月、二月三日でございますが、総理大臣官邸において、社会を明るくする運動のフラッグアーティストとして協力をいただいております谷村新司さんを初め、さまざまな分野で犯罪や非行をした人の立ち直り支援に熱心に取り組まれている民間の方々と安倍総理が対話する、立ち直りを支える方々と語る会を実施しております。その席上で、総理から国民の皆様に、本運動への協力を求めるメッセージを出していただいたところであります。

 全国の各地域におきまして、地方公共団体の参画も得て推進委員会が組織されております。保護司の方々を中心に、小中学生を対象とした作文コンテストのほか、街頭の啓発活動、非行防止教室などが行われており、これらの活動回数は全国で年間六万回を超えているところであります。

 今後とも、社会を明るくする運動をより一層推進し、犯罪や非行からの立ち直りを見守り支えていく地域づくりに取り組んでまいりたいと思いますし、また、宮川委員にも御参加をいただければ、宮川委員がおられるだけでその地域が明るくなっていく、そういうことにもつながるかと期待しております。よろしくお願いします。

宮川委員 過分なお言葉をいただきました。一生懸命、社会を明るくする運動をしていきたいと思っております。これからは、笑顔を絶やさずに頑張りたいと思っております。

 今、まずは更生を皆さんで支えるということと、再犯防止、非行防止にこの運動が大変重要であるということで、年間六万回、全国でさまざまなイベントがなされているということですので、まさに、これも一つ、一億総活躍につながる、またそういう気持ちを皆様の中に醸成するというためにも、とても重要じゃないかなという思いを持ちました。

 私がこの法務委員会に所属するようになってから、矯正施設に入っていらっしゃるいろいろな方と触れ合いを深めてまいりました。その方たちがやはり一番不安に思っていらっしゃるのは、施設を出た後に、しっかり住む場所があるか、働けるか、この二点にその不安は集中しているように思っております。

 そうしますと、矯正施設内での職業教育というのがとても重要だろうなというふうに思うわけですが、しかし、ややもすると、私、矯正展なんかに行きますけれども、革のクッションがあったり木工があったり、プレハブを建てていたり、一体どの職業にどうつながるのかわからないような、また、それはある意味では刑に向き合うときの職業教育でもありますので、多面的な意味を持っているんだというふうには思いますけれども、現実問題、例えばITの力がなければいけませんでしょうし、もっと先進的な技術も持っていないと、例えば工業分野に行こうが商業分野に行こうが、なかなか実際的な仕事に結びつかないんじゃないかなと思います。

 矯正施設の中での職業教育というのがまさに今の時代にアップデートしているのか、キャッチアップしているのかということについて、今の取り組みを伺いたいと思います。

小川(新)政府参考人 矯正施設におきましては、生産作業のほかに、刑事施設の受刑者あるいは少年院の在院者に対しまして、職業に関する免許、資格の取得、あるいは職業に必要な知識、技能の習得ということを目的にしまして、職業訓練あるいは職業指導を実施しております。これらをできるだけ充実させることが、受刑者等の改善更生及び円滑な社会復帰を図る上で極めて大事だというふうに認識をしております。

 職業訓練等につきましては、できるだけ出所後に役立つ実践的なものにすべく努力をしておりますけれども、多々課題があるのも事実でございます。この点、矯正当局といたしましては、訓練科目の有効求人倍率であるとか、出所者等の雇用に意欲的な民間企業を対象に行ったアンケート調査の結果であるとか、あるいは、こういった企業等との検討会の意見を踏まえまして、訓練科目の追加、廃止、あるいは訓練人員の拡大等の見直しを毎年実施しているところでございます。

 具体的に申し上げますと、近年は介護関係であるとか建設関係の雇用ニーズの高まりということがありますので、これを受けて、関連する訓練科目の実施施設数を拡大しております。また、初歩的なパソコン操作を習得するビジネススキル科というものにつきましても実施施設数を拡大しているところでございまして、平成二十七年度につきましては、フォークリフト運転科や介護福祉科なども同様に拡大しているところでございます。

 また、科目のほかに、職業訓練等の充実を図るために、最近では、民間から指導者を招聘しまして、最新の知識、技術を習得できるように配慮しておりますし、また、職業訓練を受けてから実際出るまでに時間があいてしまうということもありますので、受刑者の出所前にフォローアップ訓練を実施することも検討しているところでございます。

 今後も、御指摘を踏まえまして、改善更生及び円滑な社会復帰を図るために、職業訓練等の充実に努めていきたいと考えております。

宮川委員 伺って、少し安心いたしました。やはり、出ていった後に有効求人倍率が高い職業につく可能性が高いと考えると、その職業に必要な職能というのは絶対につけなければいけないというふうに思っておりますけれども、今、受刑者の皆さんが、それが一体何につながっているのかわからないような、刑に向き合う中での一つの職業訓練だけではなくて、もう一つは、やはり実際的な職業訓練、また資格の取得であるとか技能の取得というのを施設の中でしっかり進めていかなければいけないというのは、改めて思いは共有したところだと思っております。

 それともう一つ、受刑者の皆様にお話を聞くと、やはり感じているのが、いきなりその施設を出て、自分で真に自立して生活ができるかどうか大変不安だというお話を伺います。もちろんこれは男性の受刑者も同じですけれども、女性の受刑者は余計にそんなことを思っている。また、発達障害を抱えていたりさまざまな障害を抱えている人、医療が必要な方、まだ心の病なんかを乗り越えていない方、それぞれいろいろな背景を持っております。

 そうすると、いきなり自分がそうやって、もとのようにというか昔のように、この変わり行く世の中でいきなり生活ができるかどうか、ここは大変不安であって、その方たちが、不安を抱えながら表へ出ていくというか、もう一度社会復帰をするということに決していい環境であるとは私自身は思っておりません。

 そうすると、矯正施設を出た後、真に独立した生活が始まるまでの、この間のウオーミングアップ期間というのは絶対に必要なんじゃないかなというふうに思っております。そこには、今申し上げたように、医療や福祉や教育や職業訓練や、さまざまな環境が与えられるような場所というのが絶対的に必要だと思います。

 以前、私は、発達障害を抱えて医療少年院から出てきた子供たちにとって、施設から出た後、療育コミュニティーというのが必要だということで、この委員会で質問をさせていただきました。ここは私が非常にこだわっているところなんですが、やはり、社会の中に出てきて、いろいろな差別も受けると思います。そういうことも含めて、心も体も、心身ともに真に独立した生活、自立した生活に向けて準備をしなければいけないとなると、このようなコミュニティーだったり、また、それを受け入れてくれる場所、会社、団体、そういうものとの連携というのも大変重要だというふうに思いますけれども、今、このことについてどんな取り組みをなさっているのか、もし取り組みがあれば教えてください。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど社会を明るくする運動について御指摘をいただきまして、また、今は、療育コミュニティーという御指摘をいただきました。

 まさに、更生保護の分野におきましても、刑務所から出所した後、いずれは地域社会に溶け込んで社会復帰を図る必要があるわけですから、その地域のコミュニティーにまず御理解と御協力をいただくということが大事だという理解のもとで、当然、社会を明るくする運動もそういう意味で運動しているわけですが、最近、そういう意味では、何よりも地方自治体の御理解、御協力が必要だということで、法務大臣以下政務三役を含めまして、地域の、特に首長さんにお願いに伺うというような取り組みも進めております。

 そしてまた、具体的な個別の類型になりますが、受刑者の中で、特に高齢者あるいは障害をお持ちの方が割合的にもふえてございます。そういう人たちは、今御指摘のように、出所してすぐ独立して社会生活を営めるというわけではございません。かといって、出所してからいろいろな支援を行うということでは、なかなか時間がかかる、あるいは遅きに失するということにもなりかねませんので、受刑中の段階から、出所後の環境を整えるための、我々は特別調整と呼んでおりますが、そういう特別調整の対象者に指定しまして、関係機関としましては、地域生活定着支援センター、これは厚生労働省系の組織になりますが、そこと連携しまして、特に、出所後直ちに福祉サービスにつなげるように、施設への入所あるいは生活保護の受給等ができますように、受刑中の段階から進めるという取り組みを行っております。

 それから、あと一つ、数の上でもあるいは処遇の面でも悩ましいのが、覚醒剤等の薬物依存の関係者であります。

 これは、今御指摘のように、出所後に家があって仕事があっても、生活が安定すると逆に油断してまた薬物に手を出すということで、これは、正面から、薬物依存症という病気だという認識を対象者もあるいは関係機関も持ちまして、治療が必要だ、治療と並行して保護観察を行うというような指導を行っていく必要があると思っております。

 課題としましては、依存症治療で専門的にきっちり行っていただいている機関が、拠点機関という位置づけとしては全国五つの都道府県しかございません。これは法務省というより厚生労働省にお願いをしないといけないことですが、そういう拠点機関という専門的な医療機関が全国に設置されますように、厚生労働省と連携しまして、今後とも薬物依存症への対策を進めてまいりたいと考えておるところです。

宮川委員 先ほど副大臣が、まさに地域づくりということをおっしゃいました。受け手側の地域がどのように動いてくれるかというのが大変重要なことでもありますし、まさに法の中で生きている私たちにとっては、罪を憎んで人を憎まずみたいな、やはりそういう思いも大変重要なのではないかなと思います。ぜひ、こういうコミュニティーをつくっていくということで政策を進めていただいて、社会を明るくする運動を私も一生懸命お支えしていきたいと思っております。

 ただ、その中で一つ気になりますのは、これは犯罪被害者の皆様の問題とも通ずるものがありますけれども、犯罪加害者に対しても、余りにも過度なプライバシー侵害があり過ぎるのではないかなという考えも私自身持っております。マスメディア、ブン屋さん、そしてインターネット、これは本当に目を覆うような文言が書いてありますけれども、やはりその後に、その方たちにも更生した後の人生があるということを考えたときに、もっとこういう報道に対しても、しっかりと抑制をしていくなり、一つのルールづくりはしていかないと、ちょっと余りにもひど過ぎる。また、人権、人権と言いながら、被害者ももちろんですが、加害者本人、またはその周りの方たちの人権侵害も著しいというふうに思います。

 今、法務省でこれについて対応していることがあったら、取り組みを教えてください。

岡村政府参考人 マスメディアの報道やインターネット上の書き込みなどで個人のプライバシー侵害、名誉毀損などの人権侵害があれば、人権擁護上看過できない問題と認識しております。

 法務省の人権擁護機関では、プライバシー侵害や名誉毀損を含む人権問題について、全国の法務局の窓口、電話等で人権相談を行い、人権侵害の疑いのある事案を認知した場合は、調査を開始し、事案に応じた適切な措置を講じるなどしております。

 例えば、人権相談等でインターネット上の人権侵害について被害の申告を受けた場合には、被害者に当該情報の削除依頼の方法を助言するほか、調査の結果、プライバシー侵害や名誉毀損等の人権侵害に該当すると認められるときは、法務局が当該情報の削除をプロバイダー等に要請するなど、適切な対応に努めているところであります。

宮川委員 インターネットはそのようにしていただかないと、まさに中傷ビラを路上に敷き詰めているようなものであります。ですから、一刻も早くそういう削除をしていただくのはもちろんですけれども、報道の自由と表現の自由のはざまにはやはり守らなきゃいけないものがあるんだということも、先ほど申し上げたことなんですね。法律はやはり人を守るものであるということ、どこかでそれがわかるような施策も今後必要じゃないかなと思います。引き続き、私はこの問題について取り組んでいきたいと思っております。

 それでは、最後でありますけれども、国内の治安確保についてであります。

 これから、ワールドカップがあったり、また東京オリンピック・パラリンピックがあったり、そしてインバウンドの外国人観光客がこれだけ多くなっている中で、やはり私たちは、治安の確保ということをしっかりやっていかなければいけないと思っております。しかし一方で、海外では、宗教をベースとしたというか、いろいろな暴力的な行為に及ぶテロリストがいたり、また国内でも、過去には、暴力破壊行動をした、例えばオウム真理教のような団体がございます。

 私は山梨県ですので、まさにあのサティアンがあった県に住んでおりました。皆さんがどうやってあの時代を過ごしていたかと振り返ると、皆さんで監視小屋をつくって、二十四時間態勢で村とか町の議員さんたちが交代交代で監視をしたり、また、いろいろなことを警察に訴えるんだけれども、なかなかそこの中に入ってもらえなかったとか、自分たちが感じる異常というのがなかなか認めてもらえなかった。そして結果、まさに霞が関ですよね、ああやって人が亡くなるような大きなサリン事件が起きてしまったということで、私たちは、本当にそのときに、住民として生活が脅かされているというのを今まで実際的に感じてまいりました。

 また、では、今、その地域、富士ケ嶺という地域ですけれども、そこがどうなっているかといったら、サティアンがあったということだけで、風評被害で産業も潰れてしまいました。そこに住む人たちも、いつも、何かその関係者じゃないのかということで疑いの目を向けられて、富士山が非常にきれいに見える風光明媚なところなんですが、これだけ観光、観光といって我が県も振興しているのにもかかわらず、富士ケ嶺の皆さんたちだけは、自分たちはひっそりと殻に閉じこもって暮らすしかないということで、あれだけの暴力破壊行為をされた、さらにその後に風評被害でも被害を受けている。これは、安全に暮らしたいと願っていた人たちこそこういう被害を受けるということなんですね。ですので、こういう問題は看過してはいけない。

 そして、日本国内において、そういう問題行為に及びそうな団体、またそういうグループがあった場合には、しっかり事前に早目の対処をしていくということが私は何よりも重要だと思っております。

 ここでは、ぜひ、オウム真理教について今どのような対策をしていらっしゃるのかということと、もう一つは、これから、さまざまな国際的な行事、サミットもございます。そういうことに向けて、国内の治安確保について強化策をとっていることがあったら、教えていただいて、質問を終わりにしたいと思います。

葉梨委員長 杉山公安調査庁次長、簡潔にお願いいたします。

杉山政府参考人 お答えいたします。

 まず、オウム真理教に関することでございますけれども、オウム真理教に対しましては、団体規制法に基づく観察処分を実施しておりまして、立入検査等を行うことにより危険物等の取得、保管を困難にさせるということなど、凶悪事件発生の未然防止に努めているところでございます。

 先ほど先生御指摘のように、こういったオウム真理教が引き起こした一連の凶悪事件のような事件の発生、これを未然に防止するということが非常に重要だと思います。そういった観点から、当庁においては、破壊活動防止法及び団体規制法に基づいて、破壊的団体、及びこれに影響を及ぼす内外の諸動向について必要な調査を実施するとともに、その結果について適時適切に関係機関に情報提供するということに努めているところでございます。

 それから、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会等に向けましては、テロとのかかわりが疑われる不審人物や組織の有無を含めて、不穏動向に係る情報収集、分析の強化に取り組むとともに、国内外の関係機関との連携強化を図っているところでございます。

宮川委員 以上で終わります。ありがとうございました。

葉梨委員長 以上で宮川君の質疑は終了しました。

 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 公明党の吉田宣弘でございます。

 私も、主権者教育についてまず最初に質問をさせていただきたいと思っております。

 ことしの参議院議員選挙から十八歳選挙が実施されるわけでございますが、高校生が投票に行くということになります。そういった意味においては、選挙とは一体どういうことなのか、そういった意義について高校生にしっかり理解をしていただきたいなと思っておりますし、その意味におきましても、文科省と総務省で、しっかりこの主権者教育の取り組みというものについて今準備がなされているというふうにお聞きをしております。

 その中でも、例えば個人の尊厳を究極の価値に捉えるような法の支配、また国民主権、民主主義、議院内閣制など、できる限りそういった点について理解をされて、その上で投票に行っていただきたいなと思うんですけれども、そういった意味においては、文科省と総務省さんが今やっております、それについてしっかり期待をしたいと思っております。

 今申し上げた法の原理の中でも、法の支配の精神ということについて私は特に大切だなと思っておりまして、それは、国民が一人一人、心の中に規範意識という形で内面化していく大切なことではないかなというふうに思っております。

 私には五歳の娘がおりますけれども、例えば一緒に買い物に行くときに、信号のある交差点に行ったら、赤信号では渡ってはいけないわけですけれども、子供だからよくわかっていなくて、車が来ていなかったりすると行きそうになって、危ないことになってしまう。でも、やはり赤信号はしっかりとまって、青信号になるまで待ってねというふうなことを教えるわけですけれども、それは一つ、やはり自分がそういうふうにして行きたがっているところに対する制約ではあるけれども、一つの規範として、彼女の中にいずれしっかり身についていくのかな、そういった規範意識というものが身についたときに、実は規範ということを守ることが自分を守ることにつながる。

 今の赤信号の例でいうと、交通事故から自分の身を守るということにもつながるという意味で、私は、この規範意識を養うことというのが極めて大切だというふうに思っております。

 この点、岩城法務大臣、きょうは残念ながら今この場にはおりませんけれども、所信の中で、この法教育にしっかり取り組んでいくというふうなことも表明されたところでございます。

 そこで法務省にお伺いしたいんですけれども、この主権者教育について、具体的に小学校、中学校、高校においてどのように取り組まれていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。

萩本政府参考人 法教育につきましては、もともと、平成十三年の司法制度改革審議会意見書で、国民の司法参加などとあわせて、「学校教育等における司法に関する学習機会を充実させることが望まれる。」とされたところから、その推進に向けた取り組みをスタートさせたものでございます。

 それ以来、法務省としましては、法教育についての検討や取り組みを進めているところでございますが、平成十七年に、法律関係者や教育関係者、有識者のほか、文部科学省の担当者の参画も得まして、法教育推進協議会を立ち上げてからは、この協議会を中心に、具体的な法教育の普及推進に向けた検討や必要な取り組みを進めているところでございます。

 具体的には、平成二十年及び平成二十一年に改訂された学習指導要領で、法教育に関しまして、例えば小学校の社会科では、社会生活を営む上で大切な法や決まり、国民の司法参加、中学校の社会科では、裁判員制度や契約の重要性、高等学校の公民科では、法の支配と法や規範の意義及び役割、司法制度のあり方、法に関する基本的な見方や考え方などがそれぞれ教育内容として掲げられているところであります。

 法務省としましては、これを受けまして、平成二十四年度から二十七年度にかけて、小学校、中学校、高等学校における法教育の実践状況に関する調査を実施するとともに、その調査結果を踏まえて、小学校向けの法教育教材、中学校向けの法教育教材を順次作成の上、全国の小学校、中学校のほか、教育機関に配付いたしました。

 また、全国の小学校、中学校、高等学校に法務省の職員等を講師として派遣して法教育授業を実施する、法教育に関する取り組みを促すためのリーフレットを作成して教育委員会等に配付する、こういった取り組みを行っているところでございます。

 こうした取り組みに加えまして、今後、高校生向けの法教育教材の作成、あるいは、法教育の授業で活用していただけるのではないかと考えられるような視聴覚教材、こうしたものの作成も予定しているところでございます。

 法務省としましては、こうした取り組みを通じ、法的な物の考え方が社会に根づくように、今後とも、関係機関、団体と連携しながら、法教育の普及推進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 御説明ありがとうございます。

 先ほど述べた主権者教育、これは法務省は携わっていないということ、ゼロとまでは申し上げませんが、そういったことだと思います。

 私は、今御説明があった法教育というものと主権者教育というものは接続させていくべきではないのかなというふうに考えております。そうすることによって主権者教育というものはますます充実をして、十八歳の投票率の向上に私はつながるんじゃないかというふうに考えておりますが、主権者教育に取り組む文科省と、それから法教育に取り組む法務省について、それぞれ、このような考えについてお聞かせいただければと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 公職選挙法の改正法が成立いたしまして、選挙権年齢が満十八歳以上に引き下げられることを踏まえまして、今後の我が国のあり方に責任を有する国民として必要な資質、能力を育むために、政治や選挙等に関する副教材を総務省と連携して作成するなど、いわゆる主権者教育を進めているところでございます。

 一方、御指摘いただきました、法や決まりを理解するという法教育につきましては、社会や政治にかかわるための前提であるということとともに、将来、主権者として法や決まりのあり方にも責任を持つこととなる。そのような観点からも、法教育と主権者教育は、ともに、国家、社会の形成者となるために必要な資質、能力を育成する教育として密接に関連するものであろうというふうに考えております。

 現在、文部科学省におきましては、学習指導要領の改訂について検討を進めているところでございます。

 これはまだ仮称ではございますが、高等学校に新たな必履修科目、公共を設けることとしておりまして、当該科目におきましては、法的主体、政治的主体あるいは経済的主体など、子供たちが将来自立した主体として社会に参画して、他者と協働するための力を育成していくことを目指しているところでございます。

 こうした観点からも、今後、主権者教育を推進していくに当たりましては、総務省はもとより、法務省とも必要に応じて連携をしながら、充実に努めてまいりたいと考えております。

萩本政府参考人 先ほど宮川委員の御質問に対する答弁の中で、法教育の目的の一つとして、多面的、多角的な課題についてみずから考え、みずからの意見を主体的に形成して表明すると同時に、他人の主張、意見にも謙虚に耳を傾け、それを公平に理解し、多様な意見があることを前提に、それらを調整して合意を形成したり、紛争やトラブルを法やルールにのっとって適正に解決したりすることができる資質や能力を養うこと、これがあると考えている旨申し上げましたけれども、このような法教育の目的は、みずから考え、みずから判断する主権者を育てるという主権者教育の目的にも通じるものがあると理解しております。

 法務省では、これまでも、例えば、先ほど御紹介しました法教育推進協議会の委員として文部科学省の担当官にも参画していただいて貴重な御意見を頂戴しておりますし、文部科学省が作成する学習指導要領に沿った内容の法教育教材を作成するなど、文部科学省と連携しながら法教育を推進しているところでございます。

 今後作成予定の高校生向けの法教育教材につきましても、文部科学省における主権者教育の状況も踏まえつつ、具体的な内容も含めて、同省と連携しながら検討してまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 よろしくお願いいたします。

 私は、法教育ということ、規範意識というのは幼児期からでもできるのかなというふうに思っておりますし、そういったことになれば、個人の尊厳を最大に尊重するような良識ある人間として社会に役立つ人材へと健全に成長できるのじゃないかというふうに思っております。

 そういった意味におきましても、この法教育について私は大変に一生懸命応援させていただきたいと思っておりますけれども、今までのやりとりを受けて、どのような思いがございますでしょうか。盛山副大臣でしょうか、御答弁いただければ。

田所大臣政務官 先ほど来吉田委員言われるとおり、まさに法教育は重要なものであるというふうに捉えているわけであります。

 法教育とは、個人の尊厳や法の支配などの憲法や法の基本原理を理解させ、自律的で責任ある主体として自由で公正な社会の運営に参加するために必要な資質や能力を養うこと、また、法が日常生活において身近なものであることを理解させ、日常生活においても十分な法意識を持って行動しし、法を主体的に利用できる力を養うことを目的としております。このような法教育を普及推進していくことは、自由で公正な社会を実現していくために大変重要であるというふうに認識をしております。

 我が国の未来を担う若者にとって、子供のころから法教育を受けることの重要性はますます高まっていると考えております。法務省としては、今後とも、法教育のさらなる充実に向け、関係機関、団体としっかりと連携をして、法教育教材の作成や配付、そして法務省職員等による法教育授業の実施、法教育授業で活用できる視聴覚教材の作成等の取り組みを積極的にこれからも進めていきたいというふうに考えております。

 以上です。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。しっかりお願いしたいと思います。

 少し話は変わりますが、先日、この質問に臨むに当たって犯罪白書というものを少しひもといておりましたら、近年、犯罪が非常に減少しているというふうな傾向を見させていただきまして、非常にうれしく思った次第です。法教育が功を奏しているのかなというふうな気がしないでもないんですけれども、一方で、厳然と犯罪というのは発生しているわけであって、その陰で法益を侵害された被害者の存在があるわけでございます。

 犯罪が発生したときに、第一義的には、刑事作用それから司法作用という形で国家の責務が果たされていくことというふうに承知しておりますが、一方で、今述べました法益を侵害された被害者がいるのも事実で、この点に関して救いの手を差し伸べていくのも国の仕事ではなかろうかというふうに思っております。

 犯罪被害者というのは、その法益の侵害された内容によって考えると、経済的な侵害を受けた場合、それから精神的な侵害を受けた場合、そういうふうな二つの方向からの、いわゆる侵害された法益に対するリカバリーというか回復というものが考えられると思うんですけれども、そこでお聞きしたいのは、この犯罪被害者に対する損害の回復、経済的支援等についての取り組みをまず法務省からお伺いしたいと思います。

高嶋政府参考人 お答えいたします。

 犯罪被害者が経済的な損害をこうむることは非常に多くございますが、その場合に、法務省の取り組みとしましては、法務省が所管しております日本司法支援センター、通称法テラスというふうに呼んでおりますが、この法テラスにおきまして、民事法律扶助業務として、犯罪被害者等を含む経済的に余裕のない方が損害賠償請求訴訟を起こすときの弁護士費用、これを一定の条件のもとで、まず無料法律相談も行い、かつ弁護士費用の立てかえも行う、こういう支援をしているところでございます。

 それから、ちょっと特異なケースではございますが、刑事手続におきましては、証人とか参考人として裁判所や捜査機関で協力いただく方がございます。必ずしも当初は被害者じゃないわけですが、そういう方が、そこで証人として証言したり、あるいは捜査機関に供述したこと、これを理由として生命身体に害を加えられる、こういう場合もございます。そういう場合につきましては、これは証人等の被害についての給付に関する法律、古い法律でございますが、そういうのがございまして、その場合には療養給付等の給付を受けることができる、こういう仕組みがございます。

 以上でございます。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。

 次に、精神被害というものについても考え得ると思いますけれども、この取り組みについて法務省からお伺いしたいと思います。

高嶋政府参考人 お答えいたします。

 精神的な被害としましては、まず、犯罪被害を受けて気持ちとしては非常につらい思いをしたり、この犯人はどういうふうに処罰されるんだろう、そういうことに対して強い関心を寄せられる場合がございます。

 通常、そういうことで、犯人が検察庁においてどういう処分になったのか、裁判の行方はどうなのか、それから、刑務所に行ったのか行かないのか、釈放をいつされるのか、これらの事項は非常に重大な関心事でございますが、これらについて検察庁から犯罪被害者の方に通知する、こういう制度がございます。もちろん本人の希望を聞いた上で通知する、こういう制度がございます。

 それから、精神的な被害と言えるかどうかは若干限界がわかりにくいところでございますが、刑務所から出てくることに対して非常に強い不安を覚える被害者の方がいらっしゃいます。そういう場合に、刑務所から出てくる日がいつごろなのかということを通知する制度もございます。これも、もちろん本人の希望によって通知する、こういう仕組みでございます。

 また、これは直接的なものではございませんが、犯人がどういう気持ちで犯罪をやったのか、被害者に対する思い至らなさということが一つの犯行の原因だったりすることがあるわけですが、最近、刑事施設内、刑務所内あるいは少年院内におきまして、被害者の視点を取り入れた教育というのをやっております。

 人の命を奪ったり重大な障害をもたらすような犯罪をする者の中には、被害者がどういう気持ちで、どんな悔しい思いをしているのか、痛い思いをしたのかということに思い至らない、そういう者もおります。そういう観点から被害者の視点を取り入れた教育というのをやっておりまして、これも間接的には、そういう教育によってこの人が更生すれば、被害者の方においても気持ちが和らぐのではないか、こういうふうに考えられるところであります。

 このほか、先ほど説明させていただきました法テラスにおきまして、さまざまな情報提供それから支援を行っております。その中に、関係機関、団体の窓口を紹介するなどしておりまして、こういう業務を紹介しているところでございます。

 以上でございます。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。

 今御説明があった法務省の取り組み以外にも、他の省庁において広く被害者支援の施策があるというふうにお聞きしております。時間がないのでここではお聞きしませんけれども、その中で一つ、法務省の取り組みの中に被害者ホットラインの設置というふうな取り組みがあるとお聞きしました。この被害者ホットラインの設置について、具体的な中身、アドバイスがどのような形で行われているのか、それについてお聞かせいただければと思います。

林政府参考人 検察庁におきましては、犯罪被害者の方が、検察庁に気軽に、電話やファクシミリによりまして被害相談あるいは事件に関する問い合わせ、こういったものを行うことができるように、今御指摘のありました被害者ホットラインというものを全国の検察庁に設けております。

 この利用状況でございますが、ホットラインの利用を含む電話とかファクシミリによる支援につきましては、例えば、平成二十七年四月から十二月までの九カ月間で見ますと、全国の地方検察庁において合計二万八千六百六十八件に上っていると承知しております。

 こういった電話等による支援の具体的な中身といたしましては、もちろん被害者等からの相談を受理することでございますが、それ以外に、被害者等に対する各種情報提供、被害者支援としてどんな制度が用意されているのかという情報提供でありますとか、被害者支援機関、団体というものは検察庁以外に他に幅広くございますので、そういった関係機関を紹介いたしましたり、あるいはその連絡調整に当たる、こういったことでこのホットラインが運用されていると承知しております。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。

 今教えていただいたようなホットラインの設置、これも広く周知徹底していただきたく、ここはお願いでございます。よろしくお願いしたいと思います。

 少し質問を飛ばさせていただいて、今度は話題を、オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、これから多くの外国人の方が日本に訪れるというふうなことを踏まえまして、お聞きしたいと思います。

 多くの外国人が日本に来てくださるということはすばらしいことで、もう大歓迎でありますけれども、一方で、国際情勢を見てみると、皆様御承知のとおり、フランスのパリで同時多発テロが行われたりとか、また、このテロを指導したISというものが日本人も標的にするようなことを表明したりとか、日本人がテロの危険にさらされる、そういった事態も予想されております。

 そういった意味においては、法務省におきましては、外国人の方にたくさんお越しいただくことに対する体制、それからテロを絶対に起こさせないというふうな入国管理行政の厳格化、そういったものが求められていると思いますけれども、それぞれについて法務省から御説明いただければと思います。

井上政府参考人 法務省といたしましては、急増する訪日外国人旅行者の円滑な受け入れと、テロリスト等を入国させない厳格な入国管理の両方を実現させる必要があるとの認識のもと、体制整備や各種施策に計画的に取り組んでおります。

 まず人的体制の整備といたしましては、本年度、入国審査官二百二人の増員が措置されたほか、年度途中の昨年七月と十二月に、それぞれ審査官三十五人と五十七人の緊急増員の措置をいただいております。

 また、平成二十八年度政府予算案におきましては、入国審査官と入国警備官、合わせて百九十六人の増員を計上しております。

 次に、訪日外国人旅行者を円滑に受け入れるための施策といたしましては、上陸審査場での審査待ち時間を短縮等するために、審査待ちの行列をしている間に指紋や顔写真の提供を受ける、そのような機械、これはバイオカートと通称しておりますが、そのような機器の導入でございますとか、出入国管理上のリスクが低い者、リピーターの者ですね、トラステッドトラベラーといいますが、この外国人を自動化ゲートの対象とする制度の導入などに取り組んでまいります。

 また、テロリストを初めとする我が国への入国を認めてはならない外国人の入国を水際で確実に阻止するための施策としましては、まず、テロリスト等の顔画像を集めた上、これをブラックリストに登載して、上陸審査のときに取得する顔画像と機械的に照合して、テロリスト等の発見につなげる顔画像照合機能の活用強化、さらには、一般的に各種の情報の収集と分析を強化いたしまして、その情報を活用した精度の高い入国審査の実施などに取り組んでまいります。

 今後とも、人的、物的体制の充実強化に取り組み、あわせて、さまざまな新しい技術の導入、各種情報の活用によりまして、業務の質的向上、高度化を図ってまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 必要に応じて物的、人的なところを充実させて、先ほど私が申し上げたような状況に対応していただきたいというふうに思います。

 公務員の人員配置という点に関しては、必要なところにはきちっと重点的に置いていただきたいというふうに思うのですけれども、最近、法務局の職員の方について、平成十年から平成二十七年にかけて三千五百七十九人の職員が純減をされたというふうにお聞きをしています。その間、特に平成十八年から平成二十二年度にかけては千八百三十人、実に法務局の定員の一万一千六百二十二人の約一五・七%が純減されたというふうにお聞きしておりまして、福岡法務局管内の純減傾向というのはほかの地方と比べるともっとひどいということで、九州・沖縄比例から選出されている私としては、ちょっと心配をしているところでございます。

 そこで、平成十八年から平成二十二年の五年間に一五・七%も削減されるという事態は、私は合理性があるのかなと若干疑問に感じておりますが、その理由について法務省から御説明いただければと思います。

小川(秀)政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、法務局におきましては、平成十八年度から平成二十二年度までの五年間に、平成十七年度末定員の一五・七%に当たります千八百三十名の定員が純減されております。

 政府におきましては、厳しい行財政事情を踏まえて定員の合理化に取り組んできたところでございますが、御指摘の五年間においては、それまでの定員合理化計画に加えて、平成十八年六月三十日の「国の行政機関の定員の純減について」という閣議決定がございまして、これにより、国の行政機関の定員につき五・七%以上の純減を確保することとされたわけでございます。

 法務局では、こうした政府全体の方針を踏まえ、登記簿等の公開に関する事務の包括的民間委託、登記所の統廃合、登記申請のオンライン利用率の向上などの施策を実施すること等によりまして、先ほど申し上げました千八百三十人の定員の純減を行ったものでございます。

吉田(宣)委員 ちゃんとした理由があって、それが合理的であれば私は何も心配しないのですけれども、その判断というのは結局どういうふうな形でなされるのかよくわかりませんけれども、ただ、私が少し心配するのは、法務局の人たちを減らされると、登記申請の処理、その中で、住宅取得や住宅建設がおくれたりとか、登記手続の関係で金融機関からの融資がおくれたりとか会社の設立がおくれたりとか、そういった側面における経済活動が阻害されたり。また、法務局備えつけの地図がありますね。こういった地図の整備、筆界特定などがおくれれば、これは都市再生の阻害や防災事業の困難化、また、何といっても、復興事業のおくれがやはり心配もされます。

 加えて、昨今問題となっている空き家対策においても、空き家が放置されて倒壊をしたりとか、また火災になったりする。また、高齢者対策として、空き家を活用するような施策というのを私はお聞きしておりますが、こういったものもおくれてしまう。さらに、無戸籍問題ですね。戸籍がないような人たちへの対応というのも放置されてしまいかねない。

 そういった意味においては、こういった法務局が担うべき行政において、国民が受けるべき利益、そういったものというのが損なわれてはいけないと私は考えておりまして、その点については、このような事態には陥らないんだというふうなことの決意を含めて、岩城法務大臣から御所見をいただきたいと思います。

岩城国務大臣 法務局は、国民の権利の保全や取引の安全、円滑にかかわる重要な業務を所掌しており、事務を遅滞させることなく遂行していく必要があると考えております。

 そこで、委員から御指摘がありましたとおり、近年では、都市再生、震災復興の加速化、経済の活性化などの観点から、さまざまな社会的要請が高まっております。

 法務局は、引き続き業務改革等によって総人件費の抑制に努めていく必要がありますが、その機能を十二分に果たし、国民の期待に応えるためには人的体制の確保が必要と考えております。平成二十八年度予算政府案におきましても、先ほど申し上げたさまざまな社会的要請に応えるため、業務上必要となる増員を計上しているところでありますが、今後とも必要な人的体制が確保できるよう努めてまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。しっかりお願いしたいと思います。

 昨今、公務員の人員配置について機械的に何か考えるような方針が打ち出されたりして、いわゆる機械的な数字の判断というのはそれはそれでいいのでしょうけれども、やはり内実を踏まえた考え方をしっかりやっていただかないとと私は思っておりまして、そういった意味においては、今後また機械的に考えたりするような意見が出されるときがあるかもしれませんが、そういったところについては、我々はしっかりその内実を見て、実情に応じた公務員の人員配置というものに努めるよう、私も勉強して、皆様と力を合わせて頑張っていきたいと思います。

 そのことを申し述べて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

葉梨委員長 以上で吉田君の質疑は終局いたしました。

     ――――◇―――――

葉梨委員長 次に、内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。岩城法務大臣。

    ―――――――――――――

 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岩城国務大臣 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 この法律案は、下級裁判所における事件の適正かつ迅速な処理を図るため、判事の員数を増加するとともに、裁判所の事務を合理化し及び効率化することに伴い、裁判官以外の裁判所の職員の員数を減少しようとするものでありまして、以下、その要点を申し上げます。

 第一点は、民事訴訟事件及び家庭事件の適正かつ迅速な処理を図るため、判事の員数を三十二人増加しようとするものです。

 第二点は、裁判官以外の裁判所の職員の員数を三十六人減少しようとするものであります。これは、民事訴訟事件及び家庭事件の適正かつ迅速な処理等を図るため、裁判所書記官等を四十人増員するとともに、他方において、裁判所の事務を合理化し及び効率化することに伴い、技能労務職員等を七十六人減員し、以上の増減を通じて、裁判官以外の裁判所の職員の員数を三十六人減少しようとするものであります。

 以上が、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

葉梨委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十二分散会


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