衆議院

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第11号 平成28年4月15日(金曜日)

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平成二十八年四月十五日(金曜日)

    午後零時三十三分開議

 出席委員

   委員長 葉梨 康弘君

   理事 安藤  裕君 理事 井野 俊郎君

   理事 鈴木 馨祐君 理事 吉野 正芳君

   理事 井出 庸生君 理事 逢坂 誠二君

   理事 國重  徹君

      あかま二郎君    青山 周平君

      大塚  拓君    大西 宏幸君

      奥野 信亮君    勝俣 孝明君

      門  博文君    今野 智博君

      助田 重義君    田所 嘉徳君

      辻  清人君    冨樫 博之君

      藤原  崇君    古田 圭一君

      宮川 典子君    宮澤 博行君

      宮路 拓馬君    階   猛君

      柚木 道義君    大口 善徳君

      吉田 宣弘君    清水 忠史君

      畑野 君枝君    木下 智彦君

      上西小百合君    鈴木 貴子君

    …………………………………

   法務大臣         岩城 光英君

   法務副大臣        盛山 正仁君

   法務大臣政務官      田所 嘉徳君

   厚生労働大臣政務官    三ッ林裕巳君

   最高裁判所事務総長    今崎 幸彦君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  井上  宏君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          宮川  晃君

   法務委員会専門員     矢部 明宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十五日

 辞任         補欠選任

  上川 陽子君     勝俣 孝明君

  笹川 博義君     青山 周平君

  若狭  勝君     大西 宏幸君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     助田 重義君

  大西 宏幸君     若狭  勝君

  勝俣 孝明君     上川 陽子君

同日

 辞任         補欠選任

  助田 重義君     笹川 博義君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案(内閣提出、第百八十九回国会閣法第三〇号)

 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百八十九回国会閣法第三一号)


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     ――――◇―――――

葉梨委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。

 このたびの熊本県を震源とする地震によりお亡くなりになられた方々とその御遺族に対しまして、深く哀悼の意を表します。

 また、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げるとともに、負傷された皆様の一日も早い回復をお祈りいたします。

 これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。

 全員御起立をお願いいたします。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

葉梨委員長 黙祷を終わります。御着席願います。

     ――――◇―――――

葉梨委員長 第百八十九回国会、内閣提出、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。岩城法務大臣。

    ―――――――――――――

 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岩城国務大臣 法律案の趣旨説明に先立ちまして、一言申し上げさせていただきます。

 昨晩、熊本県熊本地方において発生した地震によりお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、被災されました方々に心よりお見舞い申し上げます。

 法務省としても、被災地におけるその職責を果たすべく、全力を挙げてまいります。

 それでは、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 近年、高齢化の進行等に伴い、質の高い介護に対する要請が高まる中、外国人留学生が日本の高等教育機関を卒業し、介護福祉士の資格を取得した場合に国内での就労が可能となるような制度をつくることが求められております。また、これまでの水際対策の強化や摘発の推進等により、不法残留者は大幅に減少しましたが、他方で、虚偽申告や虚偽文書の行使等によって身分や活動目的等を偽り、不正に在留資格を取得して在留する者などのいわゆる偽装滞在者の存在が問題となっております。

 この法律案は、以上に述べた情勢に鑑み、所要の法整備を図るため、出入国管理及び難民認定法の一部を改正するものであります。

 この法律案の要点を申し上げます。

 第一は、介護の業務に従事する外国人を受け入れるための新しい在留資格を創設するものであります。すなわち、我が国の介護福祉士の資格を有する外国人を対象とする介護という名称の在留資格を設け、介護または介護の指導を行う業務に従事する活動を行うことを可能とするものです。

 第二は、いわゆる偽装滞在者の問題に対処するため、罰則の整備、在留資格取り消し事由の拡充等の措置を講ずるものであります。すなわち、罰則の整備として、偽りその他不正の手段により上陸の許可等を受ける行為及び営利の目的でそれらの行為の実行を容易にする行為をした者に対する罰則を設けるほか、在留資格取り消し事由の拡充等として、正当な理由がないのに在留資格に応じた活動を行っておらず、かつ、他の活動を行いまたは行おうとしている外国人に対して、その在留資格を取り消すことができるようにするとともに、当該外国人が逃亡すると疑うに足りる相当の理由がある場合には、出国猶予期間を指定せず、直ちに退去強制手続に移行することとするものです。

 その他、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の趣旨であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

葉梨委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 岩城大臣には、震災対応のため、どうぞ退室してください。

    ―――――――――――――

葉梨委員長 次に、第百八十九回国会、内閣提出、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案及び出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として法務省入国管理局長井上宏君及び厚生労働省職業能力開発局長宮川晃君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

葉梨委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮路拓馬君。

宮路委員 冒頭、委員の皆様のお許しをいただきまして、私からも、このたびの熊本県における地震でお亡くなりになられた方々、そしてその御遺族の皆様にお悔やみ申し上げますとともに、そしてまた、今回被災された皆様方にお見舞い申し上げたいと思います。

 現在においても引き続き救助あるいは復旧に当たられている多くの方々、一刻も早い救助、復旧がなされますよう、強く御祈念申し上げます。

 このたびは、質問の機会を頂戴いたしました。私からは、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案について質問をさせていただきたいと思います。

 技能実習制度につきましては、グローバル化の進展とともに世界的に技術が普及した昨今においては、技術移転を通じた国際貢献という制度の趣旨、目的がもはや現実にそぐわなくなっているのではないかという批判もあるところであります。

 ただ一方で、私、地元は鹿児島でございます。選挙区内に枕崎という地域を抱えております。御案内の方もいらっしゃると思いますが、日本一のかつおぶしの生産量を誇る町であります。そして、そのかつおぶし製造工場、つまり水産加工工場においては、多くの外国人技能実習生の方にお力を発揮していただいております。

 そしてまた、同じく枕崎は、農林水産大臣賞をかつて受賞した電照菊という、花卉栽培が非常に盛んな地域でもありますが、そうした施設園芸におきましても、外国人技能実習生の方々の力というのは今や不可欠であるという状況にございます。

 そしてまた、私が知る限りにおきましては、枕崎においては、そうしたいわゆる実習実施機関、実習実施者の皆様方と、そしてそこで働かれている技能実習生の方々、非常に良好な関係のもと、そしてまた、水産加工につきましては、我が国の衛生管理あるいは品質管理、非常に高度なものがございます、誇るべきものであります。そしてまた、花卉栽培につきましても、我が国の農業自体が、狭隘な地域において、農薬やあるいは肥料、そしてまた農業機械、そうしたものを高度に駆使して行っている農業、それについて非常に学ぶべき点が多い。そうしたものを身につけて母国、祖国に帰られて御活躍いただいているというような状況でありますので、私は、先ほど申し上げたように現実にそぐわなくなっているのではないかということはなく、現在においても制度の必要性というのは何ら変わることはないというふうに考えております。

 そうした中で、お伺いいたします。

 このたびの制度改正におきまして、そうした趣旨、目的、つまり技能移転を通じた国際貢献という制度の趣旨、目的をより確かなものとするために、このたびの制度改正においてどのような措置が講じられることとなるのか、これについてお伺いしたいと思います。

三ッ林大臣政務官 宮路委員にお答えいたします。

 今般の技能実習制度の見直しにおきましては、開発途上国等への技能等の移転を図り、その経済発展を担う人づくりに協力するという制度趣旨に沿った運用の確保を図ることとしております。

 このため、対象職種の追加に当たりましては、制度趣旨を踏まえ、送り出し国の実習ニーズに合致することを大前提とするとの現行の取り扱いを踏襲することはもとより、さらに、本法案により、監理団体や実習実施者に対し実習期間を通じた指導監督を行うため、監理団体の許可制や技能実習計画の認定制といった行政上の枠組みを設け、あわせて、許認可に係る事務や実地での検査などを担う外国人技能実習機構を新設することとし、また、技能実習生に対しましても、技能修得等の各段階においてその効果を適切に測定、把握するため、第一号、第二号及び第三号、それぞれの技能実習修了時に技能評価試験の受検等を義務化することとしております。

 これらの措置により、制度趣旨に即した、より実効性のある実習が可能になるものと考えているところでございます。

宮路委員 このたびの制度改正におきまして、非常に体系的にその制度趣旨を全うする実効的な仕組みが導入されるものと期待をしております。

 ただ、その制度趣旨を全うしているかどうか、それを最終段階において確認するための手段として、実習生の帰国後のフォローアップ調査、これは現在も行われているというふうに認識しておりますが、非常に重要であると考えます。

 ところが、その回収率につきましては、平成二十六年でわずか九・二%と、低迷しているというふうに私は聞いております。やはり最後、それがしっかり制度趣旨を全うし、そして、帰国された実習生の皆様方がそれを母国において発揮していただいているということを確認すること、これは非常に大事であると思います。

 このたびの制度改正によりまして、現在低迷している回収率を上げるためにどのような措置が講じられることとなるのか、お伺いしたいと思います。

宮川政府参考人 お答えいたします。

 フォローアップ調査の回収率を高めるための取り組みでございますが、今後は、例えば、送り出し国との二国間取り決めなどを通じまして、送り出し国政府及び送り出し機関などにも協力を求め、帰国後の実習生に回答、返信を働きかけてもらうなどによりまして、回収率の向上が図られるよう努めてまいりたいと考えております。

宮路委員 今御答弁いただいた内容で九・二%の回収率がどこまで上がるのか。当然、満足して帰っていただく、そして活躍していただくことがこの制度趣旨にまさにかなったものとなりますので、その確認については、より一層要請を強めて、回収率が上がるように御努力いただきたい、このように思っております。

 続きまして、私も、今回質問させていただくに当たりまして、多くの新聞報道等に目を通させていただきました。その記事を読んでいて、非常に心が痛むものがございました。ヤギを盗んで食べたといったような記事も、先日この委員会で資料として配付されたものを私も熟読させていただきましたが、ヤギの味を思って、何というか、私も心が痛むものがございました。

 そうした賃金の不払い、あるいは強制的な長時間労働、そしてまた、トイレのようなところで生活させられているだとか、あるいはまた、小屋のようなところで、しかも布団、毛布等についても料金を徴収されている。それ自体、決しておかしいことではないのかもしれませんが、得られる収入からすると非常に高い割合のそうしたレンタル料を取られているといったようなケースも見受けられます。まさに、人権侵害あるいは不法行為といったいわゆる不正行為がそうした記事に取り上げられていたわけでございます。

 ただ一方で、昨年のそうした監理団体あるいは実習実施機関、監理団体につきましては約一千九百程度でしたでしょうか、あるいは、実習実施機関につきましては三万五千程度の機関があるというふうに認識しておりますが、その中で、不正行為につきましては二百七十三件程度であったということは、記事で私もそうしたものを読み込みましたので、えらい悪いことばかりしているんじゃないかというふうにイメージを持ったところでありますが、冷静に全体の中の割合を考えますと、真面目に取り組まれている方々がほとんどの中、そうした目立つような不正事例が、国民の皆様方あるいは国外、国際的なこの制度への信頼を損ねているところがある。やはりそうした事例は一刻も早く根絶しなければならない、こういう思いでいるところでございます。

 今回の制度改正によりまして、そうした賃金の不払い、強制的な長時間労働といったような不正行為、これがどのように防止されるのかについてお伺いしたいと思います。

井上政府参考人 本法案におきましては、技能実習制度を適正化するために、監理団体の許可制や技能実習計画の認定制、主務大臣による立入検査、改善命令、監理団体の許可取り消し、技能実習計画の認定取り消し等の権限を定めるほか、技能実習生に対する人権侵害行為につきましては、禁止規定や所要の罰則を定めております。

 また、法令に基づいて新たに外国人技能実習機構を設立し、法令の主務大臣であります法務、厚労両大臣の権限を委任いたしまして監理監督業務を行わせることとするなど、国と機構が監理団体や実習実施者をしっかりと監督する仕組みを整えることとしております。

 これらのことによりまして、認定された技能実習計画がきちんと行われ、そこで予定されているように、実習の時間でありますとか待遇等が適切に遵守されるようにしたいと考えております。

宮路委員 非常に論理的に御説明をいただきましたが、何となく具体的なイメージが少し湧かないところがございまして、私の理解不足、能力不足というのもあろうかと思いますが、もう少し具体的に、今御答弁いただきました監理団体の許可制あるいは技能実習計画の認定制の導入、これがどのように不正行為等の根絶につながるのか、現行制度との違いを明確にして御答弁いただければそれがわかりやすいのではないかと思いますので、そうした観点からお答えいただければと思います。

井上政府参考人 お答えいたします。

 現行制度におきましては、技能実習の内容でありますとか、監理団体や実習実施機関についての基準等は入管法の省令の中で規定されておりまして、それは、位置づけとしてはあくまで技能実習生が日本に入国する際の条件として規定されていることになりますので、技能実習の内容や監理団体に関する基準が満たされていない、そういうときも、当該申請に係る技能実習生の入国を認めるか認めないか、そういう入管法上の処分をする形でしか示すことができず、いわば間接的な規制にとどまっておりました。

 そこで、本法案におきましては、監理団体の許可制でありますとか技能実習計画の認定の制度を設けまして、法律に基づく立入検査のほか、改善命令でございますとか許可取り消し、認定計画の取り消し等の権限を規定いたしまして、監理団体や実習実施者を直接に規制するという技能実習の新たな法的枠組みを構築し、技能実習制度の一層の適正化を図ることにしております。

宮路委員 要は、そうした制度改正がしっかりと監理団体そして実習実施者に周知徹底され、そうした不断の適正な監理のもと行われることが不正行為の根絶につながっていくと思いますので、その点をぜひともしっかり機能させていただきたい、このように思っております。

 一方で、人権侵害等の不正行為の把握におきましては、実習生からの相談、これは、それを把握するための非常に重要な契機、きっかけとなるというふうに考えております。一方で、実習生にとってその相談は決して容易なものではない。やはり、実習生の置かれている環境あるいは実習実施機関との関係において非常に不利な立場に立たされている実習生については、相談も容易ではないという話もお聞きするところであります。また、実習先で不正行為等、人権侵害等に遭ったとしても、別途新たな実習先を確保できなければ、在留資格を失い、結果、強制送還されてしまうということを恐れ、当該人権侵害等が明るみに出ないのではないかといったような話も聞くところであります。

 今回の制度改正におきまして、そうした相談、あるいは実習先で実習ができなかったときの新たな実習先の確保、これらの点についてどのように改善されるのかについてお伺いしたいと思います。

宮川政府参考人 お答えいたします。

 これまでの委託事業では、母国語相談を通じまして法違反が疑われる事案を把握した場合には、実習実施者などを訪問し指導するなどの取り組みを実施してきたところでございますが、これらにつきましては、法的根拠がなく、実効性に限界があったのは事実でございます。

 こうしたことから、新しい制度では、新たな機構といたしまして外国人技能実習機構が母国語相談を行い、法違反が疑われる事案につきましては、法的根拠に基づいたより実効性のある実地検査につなげるとともに、実習生本人の御希望も踏まえつつ、新たな実習先を確保するための連絡調整等の支援を実施するということを予定しておりまして、これらを通じまして、実習生に対する相談体制あるいは実習先変更支援の充実に取り組んでまいりたいと考えております。

宮路委員 これまでの答弁をお聞きしておりますと、今回の制度改正の要点というのは、不正行為等の根絶に向けて、今回新設される外国人技能実習機構が行う監理団体、実習実施者への報告徴収あるいは技能実習生の相談受け付け、そしてまた新たな実習先の確保の支援、そうしたものを確実に機構が行えることが非常に重要なことであると考えますけれども、それを十分に果たすだけの体制、人的なリソースですね、そうしたものが十分に確保されているのかについて、今後、その機構が設立されるということで、今後の予算措置等で詳細は決まっていくことになると思いますが、現時点でどのようにお考えなのかについてお聞きしたいと思います。

宮川政府参考人 お答えいたします。

 外国人技能実習機構は、技能等の適正な修得等の確保及び技能実習生の保護を図るため、今先生御指摘のような各種の業務を実施することとしております。

 具体的には、例えば実地検査につきましては、監理団体に対しては年一回、実習実施者に対しては三年に一回程度の頻度で行うことを想定しております。こうした各種の業務に十分対応できるよう、本部のほかに全国十三カ所の地方事務所などを設置することとし、本部約八十名、地方事務所約二百五十名、合計三百三十名程度の体制を予定して事に当たろうと考えているところでございます。

宮路委員 欲を申し上げれば、監理団体の年一回、これは最低限やっていただきたいというふうに考えておりますが、実習実施者、機関について三年に一度、できることであればこちらも年に一回というふうにあるのが望ましいと思います。とはいえ、制度がスタートして、実際に効果を検証しながらその充実に取り組んでいただけるよう、私も法務委員の一員としてその予算確保等に向けて尽力してまいりたい、このように思っております。

 続きまして、先ほど来御質問いたしております技能実習生への人権侵害等の不正行為等につきましては、技能実習生と本国の送り出し機関との間に保証金あるいは違約金といったような契約があることによってそうした人権侵害等の被害を申告しにくくなっているという、いわゆる送り出し機関の問題もあるというふうに理解しているところであります。これは非常に重要な点だと思いまして、私が読み込んだ記事についても、そうした送り出し機関との契約が常に頭にあって、怖くて相談もできない、あるいは、帰るところもなくなり路頭に迷う、そうした技能実習生の方々もいらっしゃるということでありました。

 やはりこの点は非常に大事でありまして、今回の制度改正においてそうした送り出し機関の適正化についてどのような改善措置が講じられるのかについてお伺いしたいと思います。

井上政府参考人 外国の送り出し機関の適正化のために、各送り出し国との間で取り決めを作成いたしまして、各送り出し国政府において自国の送り出し機関の適格性を個別に審査し、保証金の徴収等を行うような不適切な送り出し機関を排除して、適正なもののみを認定する仕組みに順次移行してまいりたいと考えております。

 具体的に申し上げますと、この取り決めにおきましては、送り出し国政府において、帰国した技能実習生からの聴取を通じた送り出し機関の不正の実態の調査、不正が疑われる特定の送り出し機関の調査、あるいは不正が認められた送り出し機関の確実な排除、さらには失踪者を多く出している送り出し機関の調査や排除なども求められるような内容を盛り込む方向で交渉してまいりたいと考えております。

 これらの取り組みによりまして、不適正な送り出し機関を排除する努力をしたいと思っております。

宮路委員 今、現状では、送り出し国、中国が一位、そしてその後はベトナムだったでしょうか、そしてフィリピン、インドネシア、タイ、そういった国々。外交事ですからいろいろな国の関係はあろうかと思いますが、技能実習生、人間の保護という観点では、我が国ももちろんのことながら、そうした国々も考えは変わらないと思います。政府間取り決めについては、真摯に、そして着実にそれがなされるよう御尽力いただきたい、このように考えております。

 では、続きまして、少し毛色が変わります。

 鹿児島は、皆さん御承知のとおり、農林水産業が盛んな県であります。農業だけではなく漁業も盛んでありまして、先ほど申し上げたとおり、枕崎の水産加工、あるいは、マグロ漁船船籍数日本一の市も我が選挙区内に抱えているといったようなところでございまして、余り知られていないかもしれませんが、漁業も非常に盛んなんです。皆さん、ぜひよろしくお願いします。(発言する者あり)ぜひ法務委員会で参りましょう。

 その漁業なんですけれども、皆さん御案内のとおり、外国人技能実習制度、これも漁業に非常にかかわりのあるところでございます。今回の制度見直しについては、漁業関係者も大きな関心を有しているところであります。

 これまで触れてきてはおりませんでしたが、制度の拡充策として、優良な監理団体等において実習期間が延長される内容であるとか、受け入れ人数枠の拡大、あるいは対象職種の拡大といったような措置も講じられることになる。それについての期待はある一方で、漁業関係者の中には、今回の制度改正、若干懸念しているところもあるということを申し上げたいと思います。

 御案内のとおり、漁業につきましては、いつ魚群が回ってくるかわからない一方で、漁獲作業中に終業時間が来たからといってやめるわけにはいかない。やはり地上の業務とはかなり違う特殊性を有しているわけであります。

 今回の制度改正におきましては、これは非常に重要な点で、ここはしっかりやるべきだと思うんですが、待遇についても技能実習計画の認定の要件の中に入っているということで、そうした外国人技能実習生の皆様方の待遇、労働時間、休息、休日も含めた待遇もしっかりコントロールされることになる、適正化されることになるというふうに理解しておりますが、ただ、そうしたものが一律に、十把一からげに全て同じということであっては、先ほど申し上げた漁業の特殊性に応えることができないということもございます。

 現在、漁業につきましては、日本人、外国人の別を問わず、そうした労働基準の規制については、労働時間、休息、休日は労働規制法制の適用除外となっているところでございます。同じ船で日本人と外国人が働いている中にあって、今回の制度改正によって外国人だけが別の取り扱いになるというのは、これはある意味、効率的な操業あるいは安全な操業という観点からも問題が生じてしまうのではないか、そういう懸念であります。

 今回の制度改正におきまして、待遇がしっかりされることはいいんですが、そうした、例えば漁業の特殊性に応じた配慮がなされるのかについて、お答えをいただきたいと思います。

宮川政府参考人 お答えいたします。

 技能実習制度の一部につきましては、国内外から批判がある中で、実習生が適正に技能修得できる環境の確保ということを徹底することが重要であると考えております。

 技能修得の環境を確保するための具体的な基準につきましては、今法案が成立した場合に主務省令で規定していくことを想定しております。その際には、漁業分野においても適正な技能修得の環境が確保されるよう、水産庁等の関係省庁と連携し、適切に対応してまいりたいと考えております。

宮路委員 全国の漁業関係者、特に技能実習生の皆さんの御活躍いただいているようなところについては、非常に注目している分野であります。我が国の漁業も、世界に誇る魚群探知レーダー、あるいは資源管理もしっかり考えた漁業ということで、各国からの技能移転についての期待は非常に大きいと思います。その漁業がしっかりと機能するように十分な配慮をお願いしたい、このように考えております。

 最後の質問になりますけれども、そもそも今回の制度改正により、我が国で人材のニーズが非常に高まっております介護、これは先ほど趣旨説明で、入管法の改正の方でも別途の仕組みとして介護の在留資格を新たに設けるという話もございましたけれども、この技能実習の制度におきましても、介護の分野について新たに対象職種として加えるべく検討しているといったような状況もあるというふうに理解しております。

 そのほかにも、最近、インバウンドで非常に外国人旅行者がふえてきているのはいいことなんですけれども、一方で、旅館業に携わる皆様方からお聞きするのは、旅館業、従業員の確保がなかなか大変だ、そしてまた、インバウンドの方々が来られたときにそうした言語に対応する人材も欲しいという声が非常に高まっております。

 そうした状況にある中で、冒頭もありましたけれども、そもそも、国際貢献という制度の目的と、単純労働力あるいは低賃金労働力の確保のニーズという世間の声、実態との乖離が生じているというふうにも言われているところでありますが、その根本的な原因は、やはりそうした実習の現場における労働力の不足にあるというふうに考えております。その解消を図るには、正面から外国人労働者の受け入れを認める制度の導入が必要であるという意見もあるところであります。

 そうした点について、今回の制度改正、新法制定においても検討が行われたのか、あるいは行われているのか、この点について最後にお聞きしたいと思います。

田所大臣政務官 外国人労働者の受け入れの制度についてお尋ねがありました。これにお答えをしたいと思います。

 まず、専門的、技術的分野の外国人については、我が国の経済社会の活性化に資することから、積極的に受け入れることといたしております。

 他方、専門的、技術的分野とは評価されない分野の外国人の受け入れについては、ニーズの把握や経済的効果の検証のほかに、日本人の雇用への影響、産業構造への影響、教育、社会保障等の社会的コスト、治安など、幅広い観点から、国民的コンセンサスを踏まえつつ、政府全体で検討していく必要がある問題であると認識をしております。

 特に、我が国は少子高齢化あるいは人口減少が著しい中にあって、外国人労働者の受け入れのあり方について国民各界でさまざまな意見があると承知をしております。政府としても、その検討を進めていく必要があると考えております。

 中長期的な外国人材の受け入れのあり方については、昨年六月に閣議決定された日本再興戦略において、特に必要な分野に着目しつつ総合的かつ具体的な検討を進める、移民政策と誤解されないような仕組みや国民的なコンセンサス形成のあり方などを含めた必要な事項の調査、検討を政府横断的に進めていくとされているところであります。

 法務省としても、出入国管理を所管する立場から、この検討に積極的に参加してまいりたいと考えております。

宮路委員 私も、正面からその議論を行っていくべきだと思います。

 まさに国民の皆様方はいろいろな考えをお持ちです。私も、一国会議員として地元の有権者の皆様方と語る際、有権者じゃなくても子供の皆さんも大事ですね、そうした地元の皆様方と語る際、こうした点についても忌憚なく意見交換をし、そしてまた、それが国民的な議論の醸成につながっていくよう努力してまいることをお誓い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

葉梨委員長 以上で宮路拓馬君の質疑は終了いたしました。

 次に、國重徹君。

國重委員 公明党の國重徹でございます。

 私の方からも、まず初めに、昨夜、熊本県熊本地方を震源とする地震によってお亡くなりになられた方々、御遺族の皆様に衷心よりお悔やみ申し上げますとともに、御冥福をお祈りいたします。また、被災に遭われた皆様に心からのお見舞いを申し上げます。

 我が党も、地震発生後、直ちに対策本部を立ち上げましたけれども、政府の対策本部と緊密な連携をしながら万全の対応をしていきたい、そう決意をしております。政府としても、被災に遭われた方の救命救助を最優先に、全力で災害応急対策に取り組んでいただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。

 では、質問に入らせていただきます。

 今回の技能実習制度、これは国際貢献という目的が高らかに掲げられておりますけれども、私は、送り出し国と日本との関係、こういったものにおいても非常に重要な制度だと思っております。

 技能実習生というのは、若い人が非常に多い、送り出し国のこれからの将来を担っていく人たちです。その人たちが日本に対して持つ感情、プラスの感情を持つのか、マイナスの感情を持つのか、これが将来の両国関係の基盤になっていくというふうに思います。せっかく日本に来てくれたのに反日になって帰るような、こういった技能実習制度であっては絶対ならないというふうに思っております。

 現在さまざま指摘されている問題点の徹底的な改善を図る、このことは有識者懇談会の報告書にも書かれておりますけれども、この徹底的な改善を図るということがまず何よりも大事だと思います。

 この点、技能実習生の賃金、現在は最低賃金レベルに張りついていて、多くの実習生の賃金が高卒の初任給を大幅に下回っているという現状がございます。

 しかも、私、軽く検索をして、ある協同組合のホームページを見ましたら、外国人技能実習生受け入れのメリットとしてどんなことが書かれているかといいますと、通常の人員確保に要するコストより格段にコストパフォーマンスにすぐれています、こんなことが堂々と書かれております。全く技能実習制度の目的がわかっていない。それが堂々と書かれて放置されているわけですね。

 今回の法案では、九条九号に「技能実習生の待遇が主務省令で定める基準に適合していること。」と規定され、省令に委任されておりますけれども、具体的にどのような基準を設けていくのか、また、その基準を確保するためにどのようなチェックをしていくのか、答弁を求めます。

宮川政府参考人 お答えいたします。

 実習生の賃金につきましては、現在、入管法令におきまして、「日本人が従事する場合の報酬と同等額以上であること。」という要件を規定しております。

 新制度におきましては、本法案において、技能実習計画の認定基準として、技能実習生の待遇が主務省令で定める基準に適合していることを規定しておりまして、当該主務省令に、現行の入管法令に規定している内容と同様の要件を盛り込むこととしております。

 また、実習実施者には、実習生の賃金が日本人が従事する場合と同等額以上であることについての説明責任を課しまして、技能実習計画の認定等の際にそのことを確認することにより、実効性を担保することとしております。

國重委員 今、説明責任を課すという答弁がありました。これまでとはそこが違うということになるかと思いますけれども、その説明責任が果たされなかった場合、また日本人の賃金と異なる賃金になっている場合、また、言いわけがましいことを書く実習実施者もいるかもしれませんけれども、合理的な説明がされなかった場合、どのような取り扱いになるのか、答弁を求めます。

宮川政府参考人 御指摘の説明責任が果たされていないと判断される場合には、是正指導あるいは改善命令を行うことといたしておりまして、仮にこれに従わない場合には、技能実習計画の不認定あるいは既に認定を受けた計画の認定取り消し等の措置を講ずることとなります。

 なお、これによりまして計画が不認定または取り消しとなった場合には、実習生の受け入れや技能実習の継続ができないこととなるわけでございます。

國重委員 法文上、新制度においてはそのような運用になるわけでありますけれども、先ほど申し上げましたとおり、ある協同組合のホームページでは、たまたま見たものです、すぐに検索してヒットしたものですけれども、そういうようなものが載っている。ほかにもたくさんあると思います。こういったところを駆逐していくためにも、ぜひ厳しい運用をよろしくお願いいたします。

 続きまして、先ほど宮路委員の方からもありました人権侵害、労基法違反、こういったことが絶えないという現状がございます。こういったことについて国際社会からも厳しい指弾がされておりますけれども、こういったことが絶えない原因、どのように分析されているのか、答弁を求めます。

井上政府参考人 お答えいたします。

 技能実習生に対する人権侵害行為等の不適正な事案がなくならない原因でございますが、一つには、制度の趣旨を十分に理解せずに、技能実習生を低賃金労働者として扱う監理団体や実習実施機関があるということ、もう一つには、入管法令や労働関係法令の遵守等につきまして、監理団体や実習実施機関などに対する指導監督が十分でないということの問題があると考えております。

 それぞれの問題が生ずる背景といたしまして、まず一つには、三年間の技能実習終了時の技能実習の評価試験の受検が義務づけられておらず、技能修得の最終結果が検証されないまま技能実習生が帰国しているという実情を挙げることができると考えております。

 また、指導監督が不十分な問題につきましては、現行法令上、監理団体の体制等に関する規定が十分でなく、監理団体による実習実施機関に対する指導監督が十分に行われていないということや、国からの委託事業として巡回指導を行っている国際研修協力機構による指導監督の実効性に限界があるということなどが挙げられると思います。

 そのほか、技能実習生からの諸々の問題につきましての相談に応じる体制が不十分であるということでありますとか、送り出し国による不適正な行為を防止するための有効な仕組みができていないことなどの問題があると考えております。

國重委員 今るる答弁がありましたけれども、冒頭には、こういった人権侵害等が絶えない原因として、技能実習制度のそもそもの目的である国際貢献ということを全く理解せずに、労働力の確保として扱っているというようなことが原因であるという趣旨の答弁があったかと思います。

 国際貢献の理念に沿ってしっかりと制度の適正化を図っていくためには、まず入り口で、不適切な企業に技能実習を行わせないようにする仕組みを整えていくことが大事だと思います。入ってから相談するとかではなくて、そういう悪質な業者については入り口ではじいていくということが極めて大事になってくると思います。

 違法な長時間労働等で若者を使い捨てにするいわゆるブラック企業、これについては、その監督指導強化に向けて、今、政府としても積極的に取り組んでいるところだというふうに認識、理解をしております。

 例えば、ことしの三月一日から、ハローワークでは、一定の労働関係法令違反があった事業所の新卒求人を一定期間受け付けないという取り扱いにしております。日本人でさえ使い捨てにするようなブラック企業が外国人の技能実習生を受け入れた場合に、国際貢献で受け入れる場合がないということは推して知るべしであって、こんなところには絶対に受け入れさせてはならないと思います。

 今回の法案では、十条八号におきまして、技能実習計画の認定を申請した日から五年前以内に出入国または労働に関する法令に関し不正または著しく不当な行為をした者は認定を受けることができない、認定の欠格事由に当たる、こう定められております。これを厳しく運用して、いわゆるブラック企業についてはそもそも技能実習計画が認定されない、技能実習を行わせない、こういった厳しい運用によって、しっかりと入り口ではじいていくべきだと思いますけれども、これに関する盛山副大臣の見解をお伺いいたします。

盛山副大臣 今委員が御指摘したとおりでございまして、この法案では、一定の前科があることや、過去五年以内に技能実習計画の認定の取り消しを受けたことなどを技能実習計画の認定の欠格事由として定め、これに該当する者については技能実習計画の認定を受けることができないものとしております。

 先ほど委員が十条八号をお読みいただきましたけれども、日本人労働者に対する労働関係法令違反を繰り返したことが判明すれば、それは明らかに欠格事由の一つとなります。そういうことで、技能実習計画の認定を行わないということによりまして、技能実習を実施させない仕組みにこの法案はしてございます。

 技能実習生に対する人権侵害は決して許されるものではありません。誰に対する人権侵害でも許されるものではないわけでございますけれども、この法案では、このように、技能実習生に対して労働関係法令違反行為を行う事業者だけではなく、日本人労働者に対して悪質な労働関係法令違反行為を行うような事業者についても排除することとしております。

 委員御指摘のような、悪質な事業者によって技能実習生に対する人権侵害が行われることを未然に防いで、そして技能実習の適正な実施を確保することとしたい、こう考えております。

國重委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 私は、今言ったような、入り口ではじいていくということが極めて重要になるかと思いますけれども、大卒者、高卒者、日本人の新卒者でもなかなか三年以内の離職率というのが高いんですね。この最大の問題点というのはマッチングの問題にあるということも聞いております。

 こういったことから、まず、不正なところに関してはしっかりと入り口ではじくという上で、現在、新卒者の募集を行う企業というのは、応募者の求めに応じて、離職者数とか、また労働時間などの情報提供が義務づけられることになりました。技能実習についても、こうした情報を開示するなどして、少しでも、外国人の方が日本に来たときに適切な職場環境選びができるようにしていくことも大事かと思います。

 前回の審議のときに、外国人の方が三年間しっかりと一つのところで計画的に実習することが一番効率的なんだ、それも事前にしっかりと、どういうところで働くかという情報提供をしているから大丈夫なんだというのがあったんですけれども、これは、もちろん技能を修得する内容のこともそうかと思いますけれども、例えば、今言った離職数とかこういったことも、もちろん、離職する原因もさまざまですので、これは慎重に検討していかないといけないとは思っていますけれども、今後、また政府の方でも検討をいただければと思います。

 こういった入り口ではじいていく、それでも、実習生の方が来られた、その中で働いているときに人権侵害があった、不当な労働関係法令違反行為があった。こういった場合に、しっかりとした相談体制を整えていくことも重要ということで、先ほど、これに関しては宮路委員の方からもございました。

 私の方からも相談体制を聞こうと思いましたけれども、もうありましたので、ちょっと角度を、エッジをきかせて、細かいところになりますけれども。今、相談体制、母国語でも電話の相談ができるようになっておりますけれども、この電話の時間帯を拡充したり、また、電話だけではなくて、例えば寮とかに住んでいて、周りが気になって電話をしづらいという実習生もいるかもしれません。こういった方たちのために、例えばメールで相談できるような体制をつくっていくとか、その場合には、技能実習生手帳というのがありますので、ここに、今相談先の電話番号を書いていますけれども、相談先のアドレスを記載するとか、こういったさまざまな細やかな対応が必要になると思います。

 例えば、今言ったメール等の相談、これについて今後検討していくべきだと思いますけれども、これに関する見解を伺います。

宮川政府参考人 お答えいたします。

 現在、御指摘のJITCOにおける委託事業におきましては、母国語相談ということで、主に電話で対応が行われているということでございますので、そういう点で、今先生御指摘のとおり、対応時間等の面で利便性などに改善の余地があったのではなかろうかと思っております。

 その点で、今後、新しい外国人技能実習機構におきまして母国語相談ということを考えまするに、従来からの電話による対応、これも利便性を確保していくという観点で行いつつも、先生今御指摘のような、メールアドレスというようなものを例えば手帳に明示していくなど、専用メールアドレスの新設などについても検討してまいりたいと思います。

國重委員 今、メールについても相談窓口を新設していきたいというような答弁があったかと思います。実習生の方、日本人が人権侵害また労働関係法令違反行為を受けている場合よりも、よりしんどい、弱い立場に置かれている実習生の立場というのに鑑みて、本当に相談しやすい体制づくりというのをぜひよろしくお願いいたします。

 続きまして、技能実習生が、その意に反して、不本意で強制帰国される場合もあるというふうに聞き及んでおります。

 そこで、技能実習生が実習期間の満了前に技能実習をやめて途中帰国する場合には、せめて出国手続の際に、監理団体とか実習実施者とかがいないところで、途中で帰る実習生に、本当に本意で帰るのかどうなのか、そういった意思確認をしていくことが重要になってくると思いますけれども、これに関する見解をお伺いいたします。

井上政府参考人 お答えいたします。

 技能実習生が、御指摘のように、その意に反して帰国させられるような場合も、空港の審査ブースにおきまして出国の確認をとるということになってございます。

 その際、そのような場合は、通例、在留期間が残っているのに、単純にもう再入国の予定がないということで出ていく場合でございますので、そのようなケースにつきましては、残りの在留資格が失われてしまいますので、本当に帰るんですか、戻ってくる予定はないですかということを確認する取り扱いを現在もしております。

 そのような中で、技能実習生に本当に帰るつもりなのかということについて確認することができますので、技能実習生はその場を使って審査官に訴えれば、審査官の方から関係のところに通報するなどして、適切な対応をとることができます。

 それで、今後は、そのようなことができるということをまず技能実習生によく周知して、いざというときには使えるようにしてもらうということと、また、審査官の方におきましても、そういうことが言いやすいような適切な声かけをするようなことにつきまして、効果的にできるように検討してまいりたいと思っております。

國重委員 ここも非常に重要なところだと思います。まず入り口ではじく、相談しやすい体制をつくる、それでもその意に反して強制帰国される場合もありますので、そこのところで、しっかり水際の、出るところでそういった意思を確認して、徹底した適正化に向かうような対策をよろしくお願いいたします。

 続きまして、新制度では、技能実習生に対する人権侵害、こういったものがある場合などは技能実習先の移籍を認めるというふうに聞いておりますけれども、移籍を認めるかどうかの判断は誰が行うのか、伺います。

井上政府参考人 お答えいたします。

 新制度では、人権侵害等に関する情報が寄せられた場合には、その事実関係を明らかにするために、まず第一次的には外国人技能実習機構の方で報告の徴収や実地検査など必要な調査を行うほか、必要に応じまして主務大臣も関与いたしまして、しっかりと事実を確認するということから始まってまいります。

 その結果、事実関係が判明して技能実習の継続が困難である、その原因が技能実習生の責めによるものではないと機構または主務大臣において確認できた場合には、転籍の支援を開始する、そのような運びになってまいります。

國重委員 この転籍の支援というのも、できる限りスムーズに、迅速的確にやっていく必要があると思います。技能実習生ですから、貯金とかもそれほど多くないかもしれない。そこで技能実習、稼働できなくなれば収入が途絶えるということになって、では、次、転籍するまでの間、それで日本にいることができるのかといったような課題も出てくると思いますので、できるだけスピーディーに、的確にこういった判断をしていただきたいと思います。

 続きまして、では、移籍が認められるまでの間、技能実習生に対してどのような保護をしていくのか。今般の新法の八十七条二号で、機構は、技能実習生からの相談に応じ、必要な情報の提供、助言その他の援助を行うということになっておりますけれども、具体的にどのような援助等をしていくのか、お伺いいたします。

宮川政府参考人 お答えいたします。

 実習実施者や監理団体による人権侵害などが認められ、当該実習実施者あるいは監理団体のもとでの実習継続が困難と判断される場合には、外国人技能実習機構におきまして、一つは、実習生本人の希望も踏まえつつ、新たな実習先を確保するための連絡調整等の支援を実施する。

 あわせまして、実習生がそれまでの実習実施者あるいは監理団体が用意した宿舎に滞在し続けることが困難な事情があると認められる場合には、新たな実習実施者による宿舎の確保等までの間、一時的に利用することができる宿泊先を確保、提供するということの援助を予定しているところでございます。

國重委員 実習実施者等の用意した寮等、そこで宿泊することが困難な場合とありましたけれども、労基法違反とか人権侵害等がある場合は、当然、そこに継続して住むということはできないというのはもう当たり前のことですので、今言った、シェルター等に当たるんだと思いますけれども、こういった適切な措置をぜひよろしくお願いいたします。

 続きまして、先ほど宮路委員から、フォローアップ調査について質問がありました。私も用意しておりましたけれども、これに関しては先ほど委員から質問がありましたので飛ばすことにしたいと思いますけれども、このフォローアップ調査の改善、本当に回収率が低いですので、これをまずしっかりやっていただく。

 それとともに、私が大事だなと思うのは、フォローアップ調査というのは、確かに目的が国際貢献、またその送り出し国に対する日本の技能の移転ということを目的とするので、帰国した後にするのもわかるんですけれども、やはり、今回、適正化を徹底してやっていかないといけないという観点に立つならば、私は、帰国する前に、技能実習の途中にアンケート調査とかをやっていってもいいんじゃないのか、やるべきなんじゃないかというふうに思います。

 例えば、技能評価試験、特にほぼ全ての技能実習生が受検する基礎二級の試験時に、あわせてアンケート調査を実施するというのも一つだと思います。その前提として、技能実習生が正直に回答できるよう、試験が第三者のもとで客観的に行われるように環境を整備することも必要になるでしょうけれども、技能実習が適切に行われているのか、問題解決の端緒をふやすためにも、今後ぜひこういったことを検討していっていただきたいと思いますけれども、これに関する見解をお伺いいたします。

三ッ林大臣政務官 お答えいたします。

 帰国後フォローアップ調査につきましては、実習生本人の自由意思に基づく回答を担保するため、帰国後に、みずから調査票を記入し、監理団体や実習実施者を経ずに直接調査者に返送していただくこととしており、帰国後の就職状況や日本で修得した技能等の活用状況などの把握のために重要な役割を担っていると認識しております。

 他方、先生御指摘のように、実習途中で技能の修得状況などを確認することも意義深いものと考えられることから、今後、手法や実施時期なども含めてさらに検討してまいりたいと考えております。

國重委員 前向きな答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 帰国してからだと、先ほどのように、一〇パーから二〇パーぐらいの回収率ということですけれども、日本国内にいれば回収率は非常に高くなるでしょうし、また、当然、実習実施者とかが見るということであれば恐れおののいて、人権侵害とかされている、仮にそういう実習生がいれば、これは正直なことを書けないと思いますので、その点は十分配慮した上でそういった調査をやっていくことが、本当の意味での我が国が目指している国際貢献という技能実習に見合うものになる一つの手段、ツールになると思いますので、ぜひ、今後、検討をよろしくお願いいたします。

 続きまして、今回の新制度では、優良な実習実施者、また監理団体、また技能実習生、こういった一定の要件を満たす場合には、実習期間の延長とか受け入れ人数枠の拡大、こういったものがされることになっておりますけれども、ここで重要になるのは、優良とは何を意味するのかということでございます。

 法案では、「技能等の修得等をさせる能力につき高い水準を満たすもの」、「業務を遂行する能力につき高い水準を満たすもの」とされておりますけれども、では、高い水準というのは具体的に何を指すのか、高い水準の判断基準について答弁を求めます。

井上政府参考人 お答えいたします。

 実習実施機関や監理団体の優良性の基準につきましては、この法案では、ただいま委員御指摘されたような観点が記載されておりまして、具体的には主務省令で定めることとしております。

 その定め方につきましてですが、法務省と厚生労働省の合同有識者懇談会の報告書におきまして、優良と判断する際の視点といたしまして、過去三年間の実習生の技能評価試験での合格率でございますとか、実習生に対する適切な相談体制とか指導体制の整備の状況、あるいは行方不明者が発生していないことなどの例が示されているところでございます。

 このような有識者懇談会の意見も踏まえながら、適切に定めてまいりたいと考えております。

國重委員 ぜひ、ここも重要だと思いますので、よろしくお願いいたします。

 これはもう、最後、質問じゃないですけれども、提案といったものとして、こういった不適切な実習実施者については本当に厳しく取り締まっていかなければならない。でも、逆に、本当に国際貢献に資するような実習実施者に対しては、やはりインセンティブ、何らかの評価を行っていくというのは極めて重要だと思います。

 今のような、受け入れ人数枠の拡大とか期間の延長とか、こういったものも重要かとは思うんですけれども、例えば、子育てサポートに力を入れている企業は、くるみん認定企業があります。若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業はユースエール認定企業と認定するとか、今もすぐれた企業を見える化する取り組みがされております。

 この優良な実習実施者に対しても、国際貢献しているわけですから、これを対外的にアピールできるような、広告等に使えるような、今後そういったマーク等もぜひ検討していっていただきたいということを申し述べまして、私の本日の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

葉梨委員長 以上で國重徹君の質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

葉梨委員長 この際、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総長今崎幸彦君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 今崎事務総長から発言を求められておりますので、これを許します。今崎最高裁判所事務総長。

今崎最高裁判所長官代理者 四月七日付で最高裁判所事務総長を命ぜられました今崎幸彦でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 初めに、恐縮でございますが、この場をおかりいたしまして、昨日の熊本地方におきます地震によりまして亡くなられた方々に対しましては心より哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた方々に対しましても心よりお見舞いを申し上げたいと存じます。最高裁判所といたしましても、九州地方各地の裁判所と十分に連絡をとりながら、司法機能が万全となるよう尽くしてまいりたいと考えております。

 さて、委員長を初め法務委員会の委員の皆様方には、平素から私ども司法の立場につきまして深い御理解と格別の御配慮をいただきまして、まことにありがとうございます。改めて、厚く御礼を申し上げます。

 個々の事件の適正、妥当な判断と解決という裁判所の役割を十分に果たし、国民の期待と信頼に応えていけますよう、さまざまな司法行政上の課題に取り組んでまいる所存でございます。

 法務委員会の皆様方には、今後とも裁判所の運営の充実強化のために一層の御支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 甚だ簡単ではございますが、以上をもちまして私の就任の御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)

葉梨委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時四十三分散会


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