衆議院

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第15号 平成28年5月10日(火曜日)

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平成二十八年五月十日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 葉梨 康弘君

   理事 安藤  裕君 理事 井野 俊郎君

   理事 城内  実君 理事 鈴木 馨祐君

   理事 吉野 正芳君 理事 井出 庸生君

   理事 逢坂 誠二君 理事 國重  徹君

      あかま二郎君    大塚  拓君

      奥野 信亮君    門  博文君

      門山 宏哲君    上川 陽子君

      今野 智博君    笹川 博義君

      田所 嘉徳君    辻  清人君

      冨樫 博之君    長尾  敬君

      藤原  崇君    古田 圭一君

      宮川 典子君    宮澤 博行君

      宮路 拓馬君    若狭  勝君

      階   猛君    柚木 道義君

      大口 善徳君    吉田 宣弘君

      清水 忠史君    畑野 君枝君

      木下 智彦君    上西小百合君

      鈴木 貴子君

    …………………………………

   法務大臣政務官      田所 嘉徳君

   参考人

   (特定非営利活動法人移住者と連帯する全国ネットワーク代表理事)      鳥井 一平君

   参考人

   (法政大学社会学部教授) 上林千恵子君

   参考人

   (愛知県労働組合総連合議長)           榑松 佐一君

   法務委員会専門員     矢部 明宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十日

 辞任         補欠選任

  若狭  勝君     門山 宏哲君

同日

 辞任         補欠選任

  門山 宏哲君     長尾  敬君

同日

 辞任         補欠選任

  長尾  敬君     若狭  勝君

    ―――――――――――――

五月九日

 国籍選択制度の廃止に関する請願(浅尾慶一郎君紹介)(第一六八四号)

 同(西村智奈美君紹介)(第一六八五号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第一六九六号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一七六五号)

 もともと日本国籍を持っている人が日本国籍を自動的に喪失しないよう求めることに関する請願(浅尾慶一郎君紹介)(第一六八六号)

 同(西村智奈美君紹介)(第一六八七号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第一六九七号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一七六六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案(内閣提出、第百八十九回国会閣法第三〇号)

 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百八十九回国会閣法第三一号)


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     ――――◇―――――

葉梨委員長 これより会議を開きます。

 第百八十九回国会、内閣提出、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案及び出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 本日は、両案審査のため、参考人として、特定非営利活動法人移住者と連帯する全国ネットワーク代表理事鳥井一平君、法政大学社会学部教授上林千恵子君及び愛知県労働組合総連合議長榑松佐一君、以上三名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に委員会を代表して一言御挨拶申し上げます。

 本日は、御多忙の中御出席を賜り、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜れれば幸いに存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、鳥井参考人、上林参考人、榑松参考人の順に、それぞれ十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。

 なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得て発言していただくようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。

 それでは、まず鳥井参考人にお願いいたします。

鳥井参考人 おはようございます。

 移住連の代表理事を務めています鳥井一平と申します。特定非営利活動法人移住者と連帯する全国ネットワーク、略称移住連といいます。

 本日は、このような場で発言をさせていただくことに、冒頭まず感謝申し上げます。加えて、私は少し悪声でございます。多少お聞き苦しい点もあるかと思いますが、どうか御辛抱いただきたいと思っております。

 さて、私たちの移住連は、一九八〇年代からこの日本の労働市場の求めによって急増した移住労働者とその家族、ニューカマーの人々に対する差別、人権侵害や労働問題に取り組んできた全国各地のNGOや労働団体によって一九九七年につくられた全国ネットワークで、昨年、NPO法人として再スタートしています。

 また、私自身は、個人加盟の労働組合、全統一労働組合の特別中央執行委員であり、バブル経済下のニューカマーの外国人労働者の労働問題に取り組んだのが一九九〇年からですので、もう二十五年を超えております。そして同時に、外国人技能実習生権利ネットワークの運営委員をスタート当初から務めています。

 外国人技能実習制度、二〇一〇年までは外国人研修・技能実習制度と言っていましたが、この制度の問題、労働問題や人権問題に私自身が直接にかかわってまいりましたのが一九九八年からです。当時、千葉県銚子市で、研修生や技能実習生からの強制貯金を協同組合の理事長が使い込んだ上に、経営破綻する事件をきっかけに、パスポートの取り上げや低賃金、劣悪な労働環境、劣悪な住環境などが明るみとなりました。そして、KSD事件と絡まって、インドネシアからの研修生、技能実習生をめぐる利権構造も問題となったわけです。

 当時、パスポートの取り上げ問題などは一定の改善を見たというふうに受けとめていたのですが、事態は深く巧妙に潜行しつつ、労働条件や人権問題は悪化していたのでした。

 そのことが一挙に噴出したのが、二〇〇五年の岐阜事件、私たちの側からは岐阜行動と呼んでいますが、縫製業を中心に、時給三百円の実態、奴隷労働ともいうべき実態が明らかとなり、社会問題ともなっていったわけです。その後、岐阜県や福井県、茨城県の労働局が積極的に動かれ、法違反の実態も報告されてきました。

 また、山梨県甲府市における強制帰国事件は、中国国内世論にも大きく反響し、中国政府外務部が二回にわたって声明を発信することもありました。

 私がかかわった個別の事例を挙げると切りがありませんので、別の機会にいたしますが、外国人技能実習制度における労働問題、人権問題は、今日まで変わることなく、日々寄せられているのが事実であります。

 なお、私たちが指摘している事例について、極端な悪質事例と受けとめられる方々もおられるようですが、これらは極端な事例ではなく、典型的な事例であると御認識いただきたいと考えます。そして、私たちが救済できているのは氷山の一角であり、泣き寝入りをせざるを得ない技能実習生たちが多くいることに心を寄せていただければと考えます。

 国際社会も、外国人研修・技能実習制度における人権問題に強い関心と注意喚起を行ってきています。アメリカ国務省の人身売買年次報告書二〇〇七年版での指摘に始まって、二〇〇八年、自由権規約委員会、二〇〇九年、女性差別撤廃委員会、二〇一〇年、人身売買に関する特別報告者、二〇一一年、移住者の人権に関する特別報告者、二〇一四年、再び自由権規約委員会から。また、アメリカ国務省人身売買年次報告書では、二〇〇七年以降毎年、労働搾取や人身売買の観点から研修・技能実習制度に対する懸念が表明され続け、現代の奴隷制度と指摘されているのです。

 なお、私は、二〇一三年六月、ワシントンにおいて、アメリカ政府、ケリー国務長官から、TIPヒーロー賞を授与されております。

 さて、今回の技能実習法案は、今述べました国際社会からの批判にも対応するものだと言われています。しかしながら、実際には、批判を真摯に受けとめたものとは言えず、ただ批判をそらすためにではないかとの疑念さえ抱かずにはいられません。

 次に、法案審議の中で研修と技能実習の用語の混乱があるように思われますので、まず、法務委員会の皆さんと事実認識についてしっかりと共有させていただきたいと思います。

 それは、二〇一〇年以降、研修と技能実習は分離しているという事実です。当たり前のようで、意外といまだに混乱しているようです。まあ、用語の混乱は、この制度の問題の本質の一つでもあります。つまり、制度そのものが理屈の合わない矛盾だらけの虚構そのものであり、それゆえにわかりにくくしているとも言えます。

 話を戻しましょう。

 二〇〇九年の入管法改正の最大の成果の一つが、この研修と技能実習の分離です。ただ、同時にそれは、技能実習制度の矛盾がきわまったということでもあり、労働者受け入れ制度となっている実態に開き直ったとも言えることになったわけです。

 ここでグラフをごらんください。二〇一〇年の制度改定で研修がどうなったのかということです。研修生の新規入国者が激減しました。JITCO関連でいうと、二〇〇七年ピーク時に七万人を超えていた新規入国者が六百五十五人に一挙に減っています。

 私は、外国人研修・技能実習制度の問題を指摘する際に、本当の研修は五%ぐらいじゃないかと、現場での実感も含めてかねがね発言してきました。この数字を見ると、JITCO関連だと一%もいなかったことになります。

 では、その大多数の研修生はどこへ行ったのかというと、技能実習一号へと移動していったというか、移動させたのでしょう。つまり、これが技能実習の実態です。

 国籍分布を見ればこれもまた一目瞭然で、研修は、二〇一〇年以降、開発途上国を中心にさまざまな国に分布し、本来の形に戻ったと言えます。つまり、開発途上国などへの技術移転という本来の国際貢献制度に戻ったわけです。

 しかしながら、技能実習制度の方は、特定の国籍に偏っているということに変わりありません。少し分布が変わったのは、中国が減り、ベトナムがふえているということだけでしょう。

 この事実、技術移転、国際貢献には研修があるということをしっかりと認識共有させていただきたいわけです。

 その上で、今回の法案審議における、技能実習制度のいい側面もあるとの答弁が何度か出ていることを検討します。

 私なりに整理させていただくと、技能実習制度のいい側面とは、技能実習生、若い労働者が元気に働く、企業の活性化につながるということですね。労働者が帰国後に広い意味で経験を生かす、労働者がしっかり稼いで帰る、友好関係が深まることもある、こういったところでしょう。

 しかしながら、このいい側面に惑わされてはいけないと考えるわけです。議論を幻惑するものです。

 つまり、このいい側面は、技能実習制度固有のものではなく、労働者受け入れ制度として結果的にもたらされる効果というべきものです。歴史事実を見れば、出稼ぎ労働者の社会的価値、経済的価値、技術、科学の伝承の効果というべきものではないでしょうか。その効果を、あたかも外国人技能実習制度のいい側面と言うのは詭弁です。

 制度としての開発途上国への技術移転という役割は、研修にこそあれ、技能実習制度では既に終わっています。外国人技能実習制度を廃止し、あえて言うならば、一日も早く、正面から受け入れる外国人労働者受け入れ制度へと衣がえするべきでしょう。

 以上述べましたように、虚構の上での適正化であるとの批判を持つ立場ですが、次に、法案の具体的問題も指摘させていただきます。

 お手元の資料も御参照ください。

 技能実習法案は、従来の技能実習制度の基本構造を維持したまま、外部的な規制により改善を図るとともに、大幅な制度拡大を実現しようとするものです。したがって、制度の建前と実態との乖離を解消することは全く困難であると言わざるを得ません。

 法案では、諸規制として、実習実施計画の認定制、監理団体の許可制、罰則の整備、外国人技能実習機構の設立、政府当局間取り決め等、従来にない手法を取り入れてはいます。しかし、根本的な改善は難しいと言えます。

 低賃金労働についてです。

 実習生の賃金が日本人が従事する場合の報酬と同等額以上であることの説明責任を課すとしていますが、客観的な基準をつくろうとしないため、結局は、最低賃金レベルである現状の改善につながりません。

 強制帰国です。

 見直しの議論の中で、強制帰国に関する検討の跡が見られません。そのため、罰則規定の対象ともされず、出国時の窓口対応程度しか答弁されていません。強制帰国は、奴隷労働構造の典型的な著しい人権侵害です。厳格な事前チェックを初め、罰則を含む本格的な規制が必要です。

 送り出し機関及びその関係者は、罰則規定の対象外とされています。また、送り出し国との政府間取り決めには法的な拘束力はなく、また、取り決めがなくても技能実習生の受け入れを継続するというのでは、全く実効性を欠いています。

 法案では、拡大策のほとんどが省令にほぼ白紙委任されています。

 技能実習三号を設けて、二年間までの延長が可能とされています。ただ、優良な実習実施機関、監理団体であり、優良な技能実習生に限られています。そこで、優良の判断基準が重要となってきますが、実質的には省令にほぼ白紙委任されています。主要な判断基準は法律に明記すべきです。

 受け入れ人数枠について「主務省令で定める数を超えないこと。」とされるのみで、これもまた省令に白紙委任されています。現行の三倍でも四倍でも、省令次第で可能となってしまいます。受け入れ人数枠の上限を法律で明記すべきです。

 技能実習職種の拡大については、法令事項とされていません。少なくとも、厚生労働省に設置されている専門家会議の公開を定め、送り出し国のニーズについては、現地調査を含め客観的に確認する手続をとるべきです。

 具体的な指摘の最後に、入管法二十二条の四についてですが、改正の理由については、専ら技能実習生の失踪を念頭に置いているようです。しかし、外国人技能実習制度の構造的問題、人権侵害に対する被害者救済の視点が欠落しています。強制帰国、失踪、逃亡、保護は相互に連関している事実を見落としてはいけません。奴隷労働への拘束性を高める改悪です。このような視点ではなく、被害者救済のためのシェルターの建設や賃金未払いに対する労働債権の担保や補償が制度として求められています。

 また、全体を通じて、NGOからの意見採用や連携の視点が欠落しています。

 最後に、まとめさせていただきます。

 外国人技能実習制度が労働者の受け入れ制度として機能していることは、誰もが知っている事実です。この事実に対して、ありもしない建前を強弁することは、この社会をゆがめます。

 時給三百円やセクハラ、人権侵害、暴行などの事例がなぜ繰り返されるのかということです。私が重ねて声を大にして訴えたいことは、制度を理解しない一部の不心得者など存在しないということです。この制度が人を変えてしまうという事実です。

 善良な経営者を善良たらしめる制度とするべきです。優良な企業を優良たらしめる制度とするべきです。労働者を労働者として受け入れることこそが、多くの人々が求めていることであり、民主主義の深化にふさわしい方法です。

 人手不足の事実から逃げて、移民政策と誤解されないために労働者と呼ばない外国人技能実習生をふやしていくという虚構は、民主主義の深まりから遠ざかるものです。

 出稼ぎ労働そのものは歴史的価値があり、経済格差、科学進歩の格差など、地域差を背景にして存在します。しかし、その出稼ぎ労働を奴隷労働とするのか否かは、受け入れ国にとって重大な課題です。民主主義社会は、奴隷労働との対決、決別なくして深化しません。

 外国人労働者の受け入れは、出入国管理の立場だけでは考えつかない、民主主義社会をどう形づくり、深めていくかという課題です。日系ビザ導入の安易さの教訓を私たちは想起するべきでしょう。

 技能実習制度は、虚構に虚を重ねるゆがんだ移民政策と言えます。外国人労働者の受け入れと移民政策のあり方の検討が軌を一にすることは自明です。移民政策と誤解されないとする主張は、これもまた虚構であり、歴史の事実や、まさに今ある人手不足と移民の活躍という事実、現状への認識からの逃避であり、虚言、まやかしと言わざるを得ません。

 技能実習制度下では目的と実態が乖離しているため、優良も善良も虚構、欺瞞でしかありません。

 外国人技能実習制度が廃止されると、善良な、優良な監理団体、実習実施機関、社長さんたちが報われない、困るというのはデマであり、まやかしです。ほとんどの優良なあるいは普通の経営者は、労働者受け入れ制度でこそ経営者としての活躍、真価発揮が期待されます。そして、この社会にとって何より有益です。

 重ねて言います。監理団体関係者そして実習実施機関、つまり企業や農家などの経営者、使用者を普通のあるいは善良な人々たらしめるには、技能実習制度の廃止しかありません。

 技能実習法案の実質的審議冒頭の四月六日、与党議員からも、外国の方々に対してどういうふうな方向性で接していくか、受け入れていくかということが決められたということが後世言われるような重要な時期と発言されています。そのとおりです。

 私たちは今、重大な岐路にいます。民主主義を深化させるのか否か。奴隷労働と対決、決別するのか否か。まやかしの外国人技能実習制度を続けるのか否か。労働者を名実ともに労働者としてこの社会に受け入れる、真っ当な移民政策こそが求められています。

 戦争という大きな失敗を教訓化してきた七十年がある私たちにこそ、地球規模的共通課題である移民政策を正面から議論し、労使対等原則が担保された多民族・多文化共生社会、つまり民主主義社会の深化が実現できるはずです。

 今、チャンスです。二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを契機に実現するべきことはこのことのはずです。

 多民族・多文化共生社会は既に始まっています。移民は既にこの社会で活躍しています。違いを尊重し合う労使対等原則が担保された多民族・多文化共生社会は必ず実現できます。皆さんの決断で必ず実現できます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

葉梨委員長 ありがとうございました。

 次に、上林参考人にお願いいたします。

上林参考人 上林でございます。現在、法政大学で産業社会学を教えております。

 本日は、参考人としてこのような機会をいただき、まことにありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、これまで、フィールドワークという方法を利用して、外国人労働者問題を研究してまいりました。二〇〇六年から二〇〇八年にかけては厚生労働省の技能実習制度研究会に参加し、その報告書は、在留資格「技能実習」の創設につながりました。

 さて、本日は、技能実習生の送り出し団体に関する御報告をしてまいりたいと思います。

 本来、技能実習制度は送り出し国と我が国との両者にかかわる制度ですが、送り出し国の事情についてはなかなかわかりづらいところがございました。そこで、二〇一五年三月に、中国山東省の二つの送り出し団体を訪問し、ヒアリングを実施してまいりました。ヒアリングの内容は、実習生の送り出しプロセス、技能実習生の出身家庭、渡日前のキャリア、帰国後の仕事、今回の法案に関する意見などです。

 こうした調査を受け入れてくださいます企業は優良企業に限られておりますので、本日の御報告はあくまでも優良事例であることをあらかじめお断りしておきます。

 それでは、配付した資料をごらんください。A4で二枚のホチキスどめになっております。

 送り出し団体は中国の山東省にあります。山東省は人口が約一億人、日本に近く、日系企業や韓国企業が多く進出している地域で、海外への労働者送り出しの歴史も長く、日本には、大連のある遼寧省、上海近郊の江蘇省と並んで受け入れ実習生の多い地域です。

 訪問企業を仮にA社、B社としますと、両社とも、二〇〇〇年代に入ってから設立された、比較的歴史の浅い企業です。

 まず私が驚きましたのは、送り出し実習生の人数の多さで、A社が送り出している実習生の人数は二百六十人、B社では九百人となっています。日本側では中小企業が受け入れの中心であるため、その受け入れ人数は一社当たり多くても十数人であることが多いのですが、送り出し側から見ると、一社当たりの送り出し人数は非常に大きいことがわかります。

 その意味では、A社もB社も、実習生に関する法令や日本のマーケットの動向について、アンテナを張って注意していました。国境を越えて人を送り出す業務は、相手先国の言語のみならず、法制度、商習慣、安全性などについて知る必要がありますので、A社、B社の主要メンバーはそれなりのノウハウを蓄積しているようでした。

 第二に、今回の実習生適正化法案についてです。

 この法律は昨年度に既に法案として発表されておりましたので、その法案のポイントを中国語に翻訳して先方に御説明しました。その結果ですが、A社、B社とも賛成でした。

 賛成理由の一つは、この法案によって技能実習生の業界が適正化されれば、業界自体の評価が上げられるとのことでした。既に法律を遵守して業務を行っている団体にとっては、悪質な団体が排除されることは望ましいという判断でした。

 賛成理由の二つ目は、技能実習制度の拡充は企業にとって業務拡大の大きなチャンスとみなせる、そういうことでございました。

 第三に、帰国後の実習生の状況です。

 今回の訪問先には縫製業の実習生は見られませんでしたが、二〇一二年当時に別の送り出し団体を訪問した際には、帰国後に自宅で縫製工場の下請仕事を開業している女性の元実習生もいました。

 また、A社、B社に共通して見られますが、日本語能力が高かった場合には、送り出し団体で日本語教員や事務員として雇用されている人もいます。地元の日系企業に雇用先を見つけたという人もいました。

 また、再度、シンガポールや韓国に出稼ぎに行く人もいます。故郷の農村に戻った場合は、送り出し企業の通信員というような形で、副業として実習生のリクルーターとして送り出し団体とのつながりを生かしている人もいました。また、日本で相当の額の貯金を得たので、しばらくはきつい仕事から離れて、次の仕事の機会を探そうとする人もいました。

 第四に、技能実習生候補者の募集プロセスです。これは、B社でのみヒアリングが可能でした。

 実習生として日本へ来たい人は、まずB社のような人材派遣会社に登録をします。今回調査では、農村に住んでいる実習生送り出し家庭を訪問しましたが、その際、村には市の海外労務輸出センターが印刷しました海外雄飛のためのポスターが張られており、市政府の後押しを感じました。人材募集のプロセスは、お渡ししました資料の二ページ下の段に書きました。人材募集には、学力検定のほか、体力測定、身体検査、歯科検査、身分確認、家庭訪問とさまざまなプロセスがあり、最近は中国現地での賃金が以前より高騰していることが伝えられておりますけれども、個別の事例を見ますと、まだまだ実習生の選考は狭き門であるという感想を持ちました。

 今回の調査では、A社、B社ともビジネスとして技能実習制度にかかわっていました。ビジネスだから違法ということではなく、技能実習生送り出し事業がビジネスだからこそ、送り出し企業として世間からの信頼が必要であり、法も遵守するということです。

 しかしながら、A社、B社という優良な個別事例を離れて技能実習制度のことを考えますと、一般論として、この制度をビジネスとしての側面だけから考えてはいけないと思います。ここには人間の受け入れと送り出しがかかわっておりますので、人権の問題が極めて重要になってまいります。歴史的に見ましても、また他国の例を見渡しましても、人間そのものがビジネスの対象となる場合には、常に人権の問題が発生しております。今回の法案の趣旨が技能実習生の人権保護に置かれておりますのも、極めて当然のことと思います。

 これまで、技能実習制度に問題が生じたとき、その問題を適切に管理する機関がないことが問題となりました。JITCOさんには査察する権限はありません。また、受け入れの監理団体も、団体の維持費用と収益は実習生受け入れ企業からの費用に依存していますから、厳しく監査できる立場にはありません。

 そうなると、技能実習制度が円滑に運営されるためには、利害の立場を超えた第三者機関がどうしても必要とされます。今回の法案で、新たに外国人技能実習機構が設立されるのは望ましいことと考えます。

 さて、技能実習制度は、元来、近隣諸国への技能移転を目的としたものです。しかし、技能移転とはいっても、実際には、自分の生活が成り立たなければ技能の修得もままなりません。来日した技能実習生が来日生活の第一の目的はお金を稼ぐことと考えたとしても、それは当然のことと思われます。就労の目的の一つは誰にとってもお金を稼ぐことであり、実習生がそうした目的を持って来日しても、それを否定することは不都合と思われます。

 その上で、三年間、日本に滞在している間、それぞれの職場での就労が各実習生のために役立つならば、単に出稼ぎで来日するよりも、本人の将来のためになることと思われます。ただ、母国の出身地域での雇用事情を考えますと、日本での経験が生かせるとは限りません。その場合、実習生はどのような職業能力を身につけたと言えるのでしょうか。

 それは、時間を守る、作業中に持ち場を離れない、私語をしない、作業指示書どおりに作業をするなど、職業規律や生活規律にかかわる領域の訓練と能力ではないかと思います。農村に生きてきた人々を近代的な工業労働力に転換するという意味では、技能実習制度の中に広義の教育訓練課程が組み込まれているのではないかと考えます。

 以上、簡単ではございますが、これで私の意見陳述とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

葉梨委員長 ありがとうございました。

 次に、榑松参考人にお願いいたします。

榑松参考人 おはようございます。愛知県労働組合総連合、愛労連という労働組合で議長をやっています。

 私が外国人実習生問題にかかわるようになったのは、二〇〇七年の豊田技術交流事業協同組合、この不正で百人ものベトナム人実習生が、当時は帰国指導というふうに言っていましたが、帰国させられることになった。以来、ベトナム人を中心に二百件以上の相談を受けてきましたが、その多くは名古屋入管の協力で円満に解決をしてきました。

 二〇一〇年の制度改正以後、愛知での相談は減っていますが、今は全国から労働相談が来るようになっています。近年の特徴は、建設業からの相談が多いことと失踪者の増加です。また、送り出し国が多様化し、昨年は初めてネパール、ミャンマー、カンボジアからの相談がありました。ブローカーが巧妙化し、受け入れ機関も不正に加担している場合は、実習生は強制帰国を恐れて逃げるしかありません。

 今回の新法案で、受け入れ機関に対する監督が制度化され、実習生に申告権が与えられることはとても重要だと思います。しかし、既に申告権がある労働基準法での申告件数は、全国で最も実習生の多い愛知県でも年間十件程度にとどまっています。これは定期監督で違反があった事業所、約一割を定期監督していますが、その二百十六件に比べて、数%にしかなりません。

 平日の日中に労基署に出頭したり、電話で相談することは、会社にばれるおそれがあります。私への相談も、大半が深夜か土日に、スマホにSNSで資料が送られてきます。これには当局からも前向きな回答がありました。

 きょうは実習生の皆さんが傍聴に来ていただいています。この法案が本当に実際に役に立つのか、きょうは事例を挙げてお話をしたいと思います。

 資料を用意させていただきました。この一年間の相談では、十二件のうち八件が建設業でした。建設の中でも土木だと、雨が降ると休みになったり、年末年始で工事が少なくなると収入が半分になることもあります。

 東京から来たフィリピン人実習生の給与明細がついていますが、手取りは二万四千八百八円でした。東京から名古屋まで逃げてきました。余りに少ないので、作業服や道具代など、未回収になっています。会社のトラックに乗って工事現場まで行く時間や一斉休憩の時間が無給になっている場合もあります。土日に出勤することもありますが、建設労働者というのは大体が日給制ですので、割り増しというのがありません。休憩時間が百二十分になっているので、聞きましたら、ペンキが乾くまでの時間は無給、こういうことになっていました。

 そんな中で、逃げてくる実習生もふえています。

 愛知のベトナム人実習生は、解体・産廃業で勤務態度が悪いと殴られて、茨城県にある講習施設に送られました。二カ月間たった今も仕事を紹介してもらえません。後でも紹介しますが、実習計画書に就業場所を受託現場として入管に届ける、そうすると、全国で働かせることがあります。

 先日深夜に、同じように、放射能が怖い、〇・七マイクロシーベルトあるのにと、どこにいるんだというふうに聞きましたら、彼は、千葉県の内装業者にもかかわらず、ネットで今、場所はチェックできますよね、福島県大熊町の電力会社の寮の建設現場、居住制限区域で仕事をさせられておりました。放射能が怖くて逃げたら、これは本当に正当な理由になるのか、問われていると思います。

 法務省にはすぐに連絡をしました。その結果は、その訴えを取り下げる、ごめんなさい、会社に怒られましたと。入管に連絡したら、会社に怒られて、その訴えを取り下げると。しかし、居住制限区域に、拒否できない実習生をそこで働かせるということが、技能実習制度として、国際貢献として本当に適切なのか、問われていると思います。これで、逃げたやつが悪い、本当にいいんでしょうか。

 ことしになって、対象職種に自動車座席シート縫製というのが追加されました。ここに入っています日本ソーイング技術研究協会が試験機関に認定をされました。協会の筆頭理事の名前を見て驚きました。私がこの事件にかかわるようになった、不正を起こした豊田技術交流事業協同組合の理事長Iさんが筆頭理事になっておりました。

 そこの系列企業には、ソーイング研究会に加入するように通知がずっと出ています。下請企業に対して出ています。そこには、ホームページにありますが、この試験は技能実習の指導員資格の目安の一つともなっておりますと。こうして、下請に対して試験を受けるようにされています。厚生労働省に受検料は届け出されておりますが、一人六万円。これまでの試験に比べると三倍になっています。

 私は愛労連で労働組合をやっていますが、トヨタ紡織の末端下請は、今、下請単価の引き下げが相次いでいて残業代の割り増しが払えない、単価は一・〇、一〇〇%しか来ませんから、割り増し分が払えない、労基署からたくさん指導を受けています。その上この六万円が払えなくて、大変困っています。

 果たして、このように下請企業に対して影響力を持つところが試験機関として適切なのか、このことが問われていると思います。

 さきのペンキ屋の実習生ですが、労基署に申告しました。組合にいたく叱られました。さらに、二号ロへの受検料は三万円、自己負担と言われて、結局、彼は帰国することになりました。

 また、最近は、一部屋に九人入れて四万円の寮費を取る、現在二十七人いますから、百万円以上の寮費を荒稼ぎしている企業もあります。

 このペンキ屋やこういう会社のように、さらに受検料を本人負担にさせた場合に、本当にこれは大丈夫なのかというふうに思います。

 さて、今回、一つ事件を報告します。

 昨年六月、宮城県気仙沼からベトナム人実習生のタンさんという方が逃げてきました。詳細は、この東京新聞が詳しく報道をしてくれております。東京でもこういうふうに報道されました。福山市内で一カ月間の講習を受けた後、鳥取県米子市の建設会社N工業に入って、ここで一週間ほど鉄筋を縛りました。その後は、島根県で清掃員として一カ月、その後、東北を回って土木作業員として働きました。

 彼は、ベトナムでは短大を卒業して学歴があります。エアコンの工場で働いていました。日本に来るための試験は溶接でした。ところが、実際に働いているのは土木作業員でした。

 彼は、担当と言われているTさんに電話をして、ベトナム大使館にもメールをしました。この行動が目をつけられて、強制帰国されそうになったので、一月に寮を出ました。彼は、友人をたどって、やっと六月にベトナム人を支援している愛労連にたどり着きました。ベトナム人の支援団体はそんなにたくさんありません。愛労連は直ちに名古屋入管に連れていって、調査をお願いしました。

 資料の三ページをごらんください。

 彼が受け取っている雇用契約書には、もちろんサインがありますが、その職歴欄には鉄筋施工と日本語のみで書かれていました。タンさんは、これを溶接というふうに聞いていました。履歴書の経歴欄は、エアコン工場ではなくて、日本語のみで、建設有限会社で鉄筋施工三年半と書かれています。

 受け入れ機関は、面接をした際に、B協同組合と説明をしましたが、入管に来ましたら、いや、そこではない、Wという別の組合だというふうに言われました。私はタンさんに聞いたら、いや、その人とは日本に来てから一度だけ食事をしたことがある、後は会ったことがないというふうに言っていました。

 その後、ベトナム政府が失踪通知書を発行しました。これはベトナム語で書いてありましたが、見ると、受け入れ機関はB協同組合と書いてありました。そして、職種は機械保全。彼はエアコンの溶接をしていたので、機械保全で、作業は溶接。彼の言うとおりでした。

 彼は、日本に入って一カ月間、福山市内のKという会社で講習を受けました。その本社の三階、四階が寮になっています。この団体の代表は、初めての受け入れだったので、これは全てこのK社に任せてあったんだ、こういうふうに言っておりました。

 K社の社内には幾つもの会社があります。この資料の最後の七ページくらいに図がついていますが、五つ、六つ、このK社の中に受け入れ企業が存在をしています。全て登記簿をとって、移転ぐあいをずっと見ました。K社の中をぐるぐる回っています。理由はわかりません。

 そして、驚くことに、送り出し機関の広島支部というのもこのK学園の中にあったんです。しかも、そこには日本人が代表を務めている送り出し機関とちゃんとホームページに書いてあって、ホームページに全部出ているわけです。しかも、昨年の夏には、ホーチミンに新しい送り出し機関をつくりました。これも資料に入っております。求人票も入っております。そこの社長の名前を見せたところ、これはもとの、別の送り出し機関の人だと。よく字を見ると、そこのメールアドレスに前の会社の名前が残っているんですね。メールアドレスを変更する時間がなかったんですね。

 つまり、このように、受け入れ機関と送り出し機関を一つの派遣会社の中に置くことによって、書類の偽造が可能になってくるんですね。これだけではないんです。送り出し管理費を水増し請求してもこれはわからない、こういうふうになるんだと思います。帰国後に保証金を返さない、こういうことも可能になると思います。

 実際に、非営利団体であるはずのO協同組合というのがこの社内にありましたが、昨年九月に役員三人が逮捕されました。NHKのニュースで出ております。そして、ことし、二千万円の横領、不正で起訴をされています。ですから、間違いないと思います。

 どうして、非営利団体である受け入れ機関が短期間のうちに二千万円の利益を上げられたのか、このことを私は調査する必要があると思うんです。少なくとも、今度の新法案で、送り出し国との取り決めをする際に、送り出し機関に対する規制をどういうふうにするのか、取り決めではなくて、送り出し機関をきちんと監督できる二国間協定は最低限必要だというふうに思います。

 さて、前回の法改正、私はそれにもかかわりましたが、名目のみ監理団体は不適正というふうになりました。しかし、二〇一二年、参議院の方でこの委員会にかけてもらいましたが、当労働組合は派遣会社を告発しました。そのときには、派遣会社の社長が受け入れ機関の非常勤専務となっていました。私が専務だと電話がかかってきました。彼が、入国から日常管理、不払い賃金の清算、強制帰国の切符の手配、全てこの会社の名前で行っていましたが、不正になりませんでした。

 法務省は、「外部の機関を指揮命令しながら業務の一部を分担させていた場合は必ずしも不正行為に該当するものではありません。」と国会で答弁をされています。つまり、派遣会社の社長が受け入れ機関の専務ですから、おい、指示しろと言えば、いつでも、常時指示ができることだと思います。

 ところが、今回の事件では、タンさんはK社で講習を受けて、T氏がN社に連れていきました。困ったときはT氏に連絡するようにという携帯電話の番号をもらっているんです。ですから、私は、当然この方は組合の人だと思いました。ところが、広島入管から、榑松さん、このTさんというのは誰ですかというふうに聞かれました。このTさんというのは、Bの協同組合でもなければ、Wという協同組合でもない、またK社の社員でもない、果たして一体何者なんだということですね。

 これは、彼は、実は別の組合でN社を担当していたんですが、そこが受け入れられなくなって、N社を持ってK社に来たという方です。業務委託という形で実際には監理をしているということなんです。ところが、実際には、監理をされていたWという協同組合、名目の組合も、そのTさんも気仙沼まで行っていないんですね。一度も行っていない。月に一回行かなければいけないところを一度も行っていないということで、不正認定を受けています。

 問題は、監理を業務委託するということが、この仕組みによって、さまざまな営利団体が介入できるようになる。委託費用に不正な利益を上乗せしても、受け入れ団体の決算書を見ただけでは、委託企業になっているのでわからないと思います。

 さて、一方で、この不正を告発したタンさん、去年の六月に告発をしました。ところが、いまだに失踪の正当な理由というのが明らかになっておりません。既に十カ月たっていますが、法務省は調査中と言っています。

 三月に法務省はこの受け入れ機関を不正認定で措置した、このことによって、失踪の理由はもうこれでいいですというふうに私は聞きました。ところが、先日、五月二日に法務省から電話が入ってきました。いや、失踪の理由についてはまだ明らかでない、受け入れ機関を不正行為認定したからといって、失踪の正当な理由に至るとは一概に言えないというふうにお答えされました。私は録音するけれどもいいかと言いましたが、いいですと言うから、こういうふうに言われました。現在は失踪の正当な理由も含めてこの間の在留状況を調査しているということで、十カ月間たっています。

 皆さん、技能実習制度について、技能職種が違っていたら技能実習になりません。給料がちょっと安いとかは、まだ是正すればいいんです。職種や経歴が違っていたら技能実習にならない。

 四月六日の法務委員会で井上局長は、技能実習を行おうとする職種と同種の経験があることが必要となっております、こう答弁しました。さらに、これからどういう仕事で、どういうところで、どういう条件で働くんだというところは全く誤解がないように、今もしているんですが、二カ国語で併記した契約書とかそういうものを示すようになっていると。

 この三ページにありますが、日本語でしか書いてありません。溶接と書いてありません。鉄筋施工と日本語で書いてあります。普通の契約書は、これはフィリピン人のものですが、塗装、建築塗装作業、コンストラクションペイントと書いてあります。これが普通の契約書です。今回職種を偽装したところでは日本語しか書いていないんですね。入管局長がこういうふうに言っている、この答弁と全く反する事態があると思います。

 この問題を昨年の六月に名古屋入管に告発して、今渡した資料は全て法務省に届けてあります。どうして、いまだ、十カ月たっても、この職種違反が失踪の正当な理由にならないのでしょうか。

 二月一日に新しい受け入れ機関の在留申請を提出しました。課長から、新しい受け入れ機関があれば特別に在留を認めることがあるというふうに聞きましたので、半年かかりましたが、新しい会社にお願いをして、うちで受け入れてもいいということで、二月一日に申請をしました。

 そのときに、一週間か二週間でおりるはずですと言われたのに、二週間たっても許可がおりないので、法務省に確認をしました。メールには、通常どおり審査しており、遅くとも在留期限内には判断する、こういう返事が来ました。ところが、さらに一カ月過ぎて、三月十六日にもう一カ月延長するというふうに言われました。そしてまた一カ月たって、四月十四日にもう一度申請をしています。

 三月十六日に延長した直後に法務省から言われました。三月二十二日に、いわゆるガサ入れですね、友人のところに名古屋の入管が入りました、そして、三月二十四日に法務省から、彼の退去理由が見つかりましたというふうに言われました。つまり、審査期間を延長していたのは、退去理由を見つけるために期間をずっと延長しているということだと思います。

 四月十四日の申請から、またさらに一カ月がたちます。私たちの支援も限度があります。本当に苦しくなっています。タンさんが苦しくなってみずから出国するのを法務省は待っているのではないかというふうに思います。

 結論です。一度逃げたら、どんなに正当な理由があっても、職種偽装という正当な理由があっても、もう、一度逃げた実習生の在留は認めない。受け入れ企業が見つかっても、許可も不許可もせずに、本人が帰るまで待たせる。この事件は、実習生が正当な理由を認めさせるのがいかに困難かを示しています。直ちに在留資格を取り消すことができるという今度の入管法改正案、不正をなくすのではなくて、逃がさないようにする、これが法務省の本音ではないでしょうか。

 四月二十七日の法務委員会で階先生が、制度を運用する役所の側、法務省を含めてですけれども、そこがちゃんと制度を運用する人権感覚があるかどうか、こういうふうに指摘をされました。そのとおりだと思います。

 在留審査の標準期間は一週間から長くて一カ月とされており、このような法務省の引き延ばしは行政の不作為であり、人権侵害のそしりを免れません。愛労連は、愛知県弁護士会の前会長そして元会長の賛同を得て、法務省の不作為を、日弁連に人権救済申し立てを行いました。

 今、地方の入管担当者は、少ない体制の中で、実習制度の適正な運用に懸命に努力をされています。しかし、法務省に人権感覚がないようでは、新しい機構ができても、外国人実習制度はいつまでも奴隷労働のそしりを免れないと思っています。問われているのは法務省の人権感覚だと思います。

 これで終わります。ありがとうございました。(拍手)

葉梨委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

葉梨委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井野俊郎君。

井野委員 自由民主党の井野俊郎でございます。本日は、参考人の皆様、貴重な御意見をありがとうございました。

 早速ですが、幾つかの質問をさせていただきたいと思います。

 るる例をとりまして、さまざまな問題点の実態等をお伺いしました。

 まず一つ、こういった、不当労働といいましょうか、大変問題がある企業の相談件数といいましょうか、今まで皆さんは、いろいろある中で、何万人の方が実習生で来ている中で、年間で大体どれくらいの割合で不当労働みたいな問題が起きているのか、それぞれ三人の皆様の感覚といいましょうか、もしわかれば数字等も出していただきながら、割合を教えていただきたいと思います。

鳥井参考人 参考人の鳥井です。御質問ありがとうございます。

 一つは、私は、先ほど申し上げました移住連ですけれども、同時に技能実習生権利ネットワークという事務所をやっておりまして、全国的には、相談がとりあえずは電話で私どものところへ来るということがありまして、年間では二百件から三百件ぐらいは相談があります。

 これは、比率からいいますと、私どもは、先ほど意見を述べさせていただきましたが、氷山の一角だというふうに考えております。労働局が調査を随時やっておりますが、この数字が明らかになっていると思います。これはまた、厚生労働省の方からもこの委員会の中でもたしか示されているのかと思いますけれども、七割から八割、立入調査が入った事業所は法違反がある。これは労働基準法違反ですから、それ以外のいわゆる不正行為となりますと、非常に多くあるんだろうというふうに実感しております。

上林参考人 私は研究者ですので、不正の駆け込みを受け付けているわけではありません。ただ、技能実習生にインタビューをしたときに、どこに援助を求めるかという質問のアンケート調査をしたことがあります。

 そのときに、幾つか考えられる機関を全部書いてみたんですが、割合中卒の方が多いですから、技能実習生にとって抽象的なところに対しての信頼をなかなか持っていない。一番持っているのが家族です。その次に、家族の次に送り出し団体に相談するということが多いんですね。それは、私が会った方は中国でしたから、同じ中国人で自分の故郷のことを知っている、家族のことを知っている、そういう形で相談しているようです。

 ですから、公的な機関に来る相談というのは、いろいろな相談の中でも最も重いというか先鋭的な相談だし、そこへ駆け込む人は、それなりに法とかいうものを知っている人かなと思っています。

 以上、印象で申しわけありませんが、そういう印象を持っております。

榑松参考人 私、先ほど報告しました九年で二百件ですが、この一年間は十二件になっています。

井野委員 氷山の一角という鳥井さんのお話もありましたけれども、実は私の地元にも、農業だったり、中小企業さん、板金業、もしくは、今ベトナムからホテルのスタッフとして来てもらっているんだという建設会社の社長さんもいたりして、そういう人たちに私が直接聞くと、大変優秀な方が来てくれているという話をしています。

 では賃金はどうなんですかとお伺いしましたら、それは当然日本人と同じだけ出していますと。逆に、彼らが余りに真面目で一生懸命やってくれるものだから、かえって日本人に対して大変いい刺激になっているんですよというような話を聞くものですから、私の身近なそういう会社さんを見ていると、多分、鳥井さんのところとか榑松さんのところに行くような方とはまた違った方々が多いのかなという気はするんですけれども。

 これは、業種によって、皆さんのところに駆け込む、ないしは、例えばこの地域が多いだとか、相談に来られる業種、例えばこういう会社が多い、そういうのはあるんでしょうか。そういう問題が起きやすい業種、職種、地域とかはあるんでしょうか。

葉梨委員長 これはどなたが……。

井野委員 では、お二人にお伺いします。

葉梨委員長 鳥井参考人、お願いします。

鳥井参考人 これをごらんいただきたいんですけれども、これは、技能実習生数の国籍別、二〇一五年六月です。例えば、これは、中国が五三%で、ベトナムが二四%になっております。ただ、新規入国者数で見ますと、これをごらんください、昨年の新規入国者数は、ついにベトナムが三三・七%、中国が三九%になっております。

 何を言いたいかと申し上げますと、やはり国籍の比率で相談というのはふえるんです。最近はやはりベトナムの相談がすごく多いんですね。これは、総数がふえてくると当然ふえてくるということですね。ですから、そこの問題は構造的な問題ですので、そういうことが起きる。

 それから、業種については、技能実習生の業種というのは、ここのところ少しふえましたのは、やはり建設が、この長い間の中で建設は一〇%からふえることは余りなかったんですね。しかしながら、ここのところ一〇%を超えてまいりました。これは、やはり建設需要が非常に大きいということですね。そうすると建設の相談はふえるんです。

 職種的に、私の実感として、あるいは客観的に私が受けている数字から見ても、確かに縫製業、農業というのは多いんですけれども、ただこれも、全体数としても多かったということですね。縫製業はここのところ少し比率が落ちております。農業は、一九九八年に初めて技能実習として認められて、一番最初は十一人だったと思います。それ以降、今、どんどん伸びて一〇%を超えているわけですね。ですから、そこにおいていろいろな矛盾が起きて、相談がふえてくるということになっています。

 私が先ほど申し上げましたように、このいい側面というのは、労働者で受け入れていることによって企業が活性化するといういい側面を持っておるわけですね。ただこれは、国際貢献という技能実習制度ということでのいい側面ではないということは改めて申し上げておきたいなというふうに思っております。

葉梨委員長 地域というのは国籍ということなんですか。(井野委員「いや、日本国内です」と呼ぶ)

鳥井参考人 ごめんなさい、地域も、やはり受け入れの多い県が多いですけれども、私どもがこれまでやってきたものとしては、例えば茨城県の農業、それから愛知県あるいは岐阜県における縫製業、広島県における養殖業、こういうところが、地域と業種とのいろいろな特色といいますか、それが非常に反映しているかなというふうに思っております。

榑松参考人 お尋ねの件ですが、入管が、この平成二十七年不正行為認定、これを毎年出されております。

 それから、地域による違いですが、愛知の労働局が実習生のデータをずっと出しております。それから、岐阜の労働局も同じくこういうデータを出しています。

 それで、愛知と岐阜では、愛知県が全国で一番多い一万九千人いるんですね。ところが、事件的には、きょうは岐阜の実習生が来ていますが、岐阜の違反事例が物すごく多くて、岐阜の労働局いわく、二〇一〇年の改正前とほとんど変わっていません。

 それから、違反の内容が、愛知では最賃違反というのはほとんどないんです。最初から三百円というのは愛知ではありませんが、岐阜県では相変わらず、いまだに最初から三百円。もう一つは、割り増しの不足ですね。一二五%が払えていないという、三十二条、三十七条の違反が多いというのは岐阜県の特徴です。

 これは、やはり職種で、子供服とか婦人服をつくっています。我々はつるしですね。岐阜県の場合は、子供服は女性が国内でつくっているので、そこで多い。それからもう一つは、先ほど言いましたが、自動車のシートは、今、子供服の業者が自動車シートに移ってきていて、そこで最低賃金違反が監督署でたくさん摘発されています。

 以上です。

井野委員 では、上林さんにお伺いさせていただきます。

 上林さんが、送り出し機関の方を視察というか、その点について大分詳しく御説明いただきました。鳥井さんと榑松さんの方から、送り出し機関の方も規制すべきじゃないかというお話がございましたけれども、上林さんのお話によると、送り出し機関は、この法案改正についても大分評価していますし、一生懸命というか適切にやっているようなお話を受けるんですけれども、まず、その送り出し機関の方の、不正の温床と言ったらおかしいんですけれども、昔で言ったらブローカー的な、そういう団体がやはりまだ多々あるのかどうなのか。はたまた、真っ当にと言っておかしいのかわからないですけれども、こういう視察されたようなところに対しての規制は必要なのかどうなのかというか、そういうところについてちょっと詳しくお聞かせいただけますか。

上林参考人 送り出し機関に対する規制は、海外の機関ですので、日本国としてはできないと思います。

 ただ、中国の政府も、また中国の省も市も、送り出し機関の信用を高めたいという努力をずっとしておりますので、B社というのは、中国対外労務合作AAA級信用企業というのがあって、もう随分かねてより、送り出し国は、国の単位でも、送り出し機関に対して、AAAかAAかA一つだけかという形の認定を行っていますし、これが、単に国だけではなくて、省政府もやっています、市もやっています。そういう形で、要するに、政府として送り出し機関の信用を高めてたくさん送り出したいという努力をやっていますので、そこに日本政府として何か言うことができるかというと、返事は、十分やっているという返事しか返ってこないのではないかと思います。

 あと、それでは悪徳機関がないのかというと、そんなことは決してありませんで、日本国で厳しくなれば向こうの送り出し業界の悪い企業が淘汰されるので好ましいという言い方にあらわれていますように、悪質な送り出し機関は山ほどあります。

 なぜかというと、送り出し事業というのは、まともにやっても結構利益を得ることができますので、マージンを小さくしてもうけを少なくすればそれなりにやっていけるということで、常に値引き競争が行われているというのが実情でして、それを日本側の受け入れ機関だって知っているわけですから、そこに常にダンピングの機会が出ている。人材派遣というのはそういうシステムだというふうに理解せざるを得ないと思います。

 以上です。

井野委員 今回は、私の認識としては、確かに、これまでこの外国人技能実習生については、不当労働、賃金とかの問題がいろいろあったにしても、私的には、改善へ一歩でも二歩でも前に進むような内容なのかなと。もちろん、そういう不正をする人、不正な送り出し機関、先ほど上林さんがおっしゃったようなものはまだまだあるにしても、とりあえず前に進める第一歩ではないかなというふうに私自身は考えているところではあるんですけれども、さらに、鳥井さんにしても、いろいろな提案をいただいております、規制についてはもっとこうすべきじゃないかと。

 こういった点については、今後の課題として私も考えていきたいとは思っておりますけれども、せっかくですのでぜひ三人の先生方にお伺いしたいのは、では、この評価すべき点と、もうちょっと、これ以外に、例えば、先ほども上林さんのお話があったとおり、送り出し機関への規制というのは、相手国もありますので、なかなかこれは厳しい問題があるかと思います。また、不当労働というのは、それぞれ個々の会社の問題にもなってくるものですから、国としてこの技能実習制度を真っ当にやっている会社と悪徳会社を選別できればいいですけれども、なかなか法律としてがさっとできるということはなくて、やはり個別的に、皆さんのような活動を通じて、裁判なりそういったものを通じながら改正というか是正していかざるを得ないと思うんです。

 そういった意味で、全体的に見て、この点はぜひ今後の課題として検討してほしいということがありましたら、皆さんから一言ずつお伺いしたいと思っています。

葉梨委員長 では、お三方から。時間が迫っています。簡潔にお願いいたします。

 鳥井参考人、お願いします。

鳥井参考人 鳥井です。

 この図をごらんください。これは技能実習制度の構造を示している図なんですが、これは、研修・技能実習制度から全く変わらないわけですね。

 本来ならば、農家や企業と労働契約を結びます。ここで労働条件が決定されるべきものであるにもかかわらず、さまざまな契約が実習生をめぐって周りに存在して、そのことで、全体的に実習生の劣悪な労働条件というのはつくり出されてしまう。

 つまり、労働契約で、一カ月幾らだとかというふうに決まるんです、あるいは一時間幾らと決まるんですが、実際は、出てくるときに、三年間で三百万、四百万稼げるよという契約で来てみたら、それが、一カ月三百時間、四百時間働かないと結局稼げない、あるいは残業がなければ稼げないので、約束が違うというのでトラブルになる。この構造を何とかしなければならないということに尽きるかと思っておるわけです。

 このことを考えますと、やはり、労働者が労働者として働くための制度として純化していくといいますか、そういうことが求められているんだろうというふうに思っておるわけです。

上林参考人 一点だけ。

 送り出し機関の意見では、これはビジネスチャンスが大きくなる法案だという発言がありました。どういう形でどういうふうに延長とか職種の拡大が許されるのか、その点について、ぜひ透明性と公平性と予見可能性を盛り込んでいただきたいと思っています。

 以上です。

榑松参考人 私は幾つかありますが、一つは、多国籍化していると思います。

 今度、介護が始まりますが、この前おりたら、ベトナム人と中国人とインドネシア人と、四カ国、五カ国ぐらいが福祉専門学校の前を歩いていました。去年は、カンボジアは本当に困りました、何語をしゃべるんだと。徳島に行ったら、徳島大学にカンボジア人は一人しかいなかった。だから、受け入れるに当たって、どこの国から受け入れるかということはやはりきちんと考える必要があると思います。

井野委員 ありがとうございました。

葉梨委員長 以上で井野俊郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、井出庸生君。

井出委員 民進党、信州長野県の井出庸生です。きょうは、三人の先生方、ありがとうございます。

 早速伺ってまいりたいんですが、まず、報酬の件で鳥井さんにお尋ねしたいんです。

 現在、省令で日本人と同等以上ということがありまして、果たしてその日本人と同等とは何なのか。日本人だって、給料は、人によって、地域によって、会社によって違うわけであります。最低賃金をもってしても、地域性がございます。最低賃金の全国平均をとるのか、非常にその線引きというものが難しいと思っておりまして、この日本人と同等以上というものは、言葉としては大変結構な言葉だと思うんですが、一体その実態をどうしていくべきなのか、そこについてちょっと、ヒントというか、御示唆、お考えを伺いたいと思います。

鳥井参考人 御質問ありがとうございます。

 これは、実は私ども、この社会がそれなりにデータを持っておるんですね。例えば、厚生労働省の関連だけを見ましても、毎月勤労統計調査というのをとっております。それから、賃金構造基本統計調査というのもあります。あるいは、総務省が労働力調査の中でそのことを示していますし、人事院や人事委員会が職種別民間給与実態調査というのも出しております。それから、国税庁が民間給与実態統計調査というのを出しております。これらを見ますと、それなりの数字が出ておりまして、このことによるということは一つの方法としてあるかなと思っています。

 御指摘のように、実態は、受け入れ側が既に、監理団体の中には、最低賃金で受け入れることができますよなんということをうたい文句にしておるものですから、日本人と同等といいましても、最低賃金の方にずっと寄っています。あるいは、寮費とか、そういういろいろな名目をとってぎりぎりのところに持っていくというようになっていますから、今申し上げたようなデータを活用するという手があるのではないかなというふうに思っております。

井出委員 ありがとうございます。

 次に、榑松さんにお尋ねしたいんですが、先ほど入管法改正のところで、これは、取り締まりを強化する、有無を言わせず実習生を帰すためのそういう意図だというようなお話もあったんですが、一つ、この制度で言われているところで、実習生の移動、一カ所目、実習先で何かあったときにほかのところに移ることができない。これは、政府の答弁でも、基本的には一カ所で計画に沿ってやってほしいというような答弁もあって、原則一カ所でやる。

 ただ、さはさりながら、これまでの議論をしておりますと、法務大臣が、全てではないが、実習受け入れ先と実習生との間の相性の問題ですとか、もちろん、法令違反、人権侵害、倒産、不正行為、そういうものは転籍の理由になり得るという話もございます。

 ただ、その一方で、現在の法務省の指針を見ますと、実習生本人の責めによらない、本人に責任がないときに、転籍に向けたいろいろな指導、手続、援助を始める、それが望ましいというような指針もあるんですが、そこを私、もう少し個別個別の事情に向き合って、やむを得ない場合は、実習に来ているわけですから、途中で追い返すよりも、もう一カ所でも行って、できるならそこで実習を続けた方がいいんじゃないか、そういう議論をさせていただいてきたんです。

 例えば、倒産をしてしまった、不正行為があった。そうすれば、仕事がありません。現行でも、そういうときは次の実習先を探すということになっているんですが、ただ、事実上、倒産した実習受け入れ先がほかの実習先を探せるのかという問題もございます。

 また、人権侵害ですとかパワハラ、人間関係というものは非常に線引きが難しくて、我慢強い人は我慢しちゃうかもしれない、泣き寝入りというお話もありましたが。これは、客観性を持たせるところが非常に難しい。

 政府がよく繰り返しているのは、高いお給料のところに行きたい、そういうのはだめなんですというようなことを言われておりまして、私は、転籍をめぐるいろいろな問題、諸々の問題というものは、やはり受け入れ側と実習生の、待遇とか労働環境とか、聞いていた話と違うとか、そういうところに多くの問題があって、今のように本人の責任がないときにおいては実習先を探すではなくて、もう少しそこに向き合って、ああ、もうこれはやむを得ないな、そういうときは転籍を認めようと。監理団体だってあらかじめ幾つかの実習先を持っているわけですから、余力のあるところを事前に調べておけば、ここで受け入れてくれというようなことも私は可能だと思うんです。

 それは、一カ所目できちっと計画どおり仕事をして、対価ももらって、お互いが満足して帰るのが一番ベストだと思うんですが、そうではないことが多数あると思いますので、やむにやまれぬ事情があって移動、転籍をする、そのやむにやまれぬ事情というところをどういうふうに考えていったらいいのか。さまざまな実習生の支援、救済をされてきたと思いますので、そうした御経験を踏まえて、少し忌憚のないところをお話しいただければと思います。

榑松参考人 難しい話ですね。

 私は、端的に言って、監理団体の中に余りにもレベルの差があり過ぎるんだと思います。それぞれの企業の実態をきちんと踏まえてやれば、例えば同じ金属であれば、企業をかわってもそんなに実習に差しさわりはないと思います。今の実習生の仕事で、この会社でなければ教えることができないという技術を特殊に学びに来るということはそんなになくて、A社がB社であっても、同じトヨタさんの下請で部品をつくっていれば、みんな下請というのは幾つも持っていますから、そんなに難しくないんだと思うんですね。

 ところが、今ふえている建設業ですと、監理団体そのものが全く建設業を理解していないで、ただ製造業と同じように届け出を入管に出しますね。そうすると、雨が降ったら休み、これで二万四千円で、これが正当な理由になるのかというのはなかなか実際は難しいんですよ。年間変形労働時間制になっています、休憩時間は百二十分です、年末年始は仕事がないのは土木業界では当たり前です、こういうふうに言われたときに、なかなか難しいですよね、これは。多分、入管の方では判断ができないと思うんです。

 実は、二万円台はまだ別に三件来ていて、ゼネコンさんが仕事をずっと送るので、仕事が来たときに必ず人数がいるようにキープしておいてくれというふうに言われているんですね。ところが、人手不足でいないので、外国人実習生だけをキープしてあるわけです。そうすると、仕事がないので二万円。

 だから、親方にはいろいろな考え方があっても、組合がきちんとそのことを監理できていて、社長に対して、そんなことではだめですよというふうにならないといけないんですが、愛知県内だけで受け入れ団体は二百ありますので、とてもいろいろなところがあって困っています。

井出委員 ありがとうございます。

 鳥井さんにも同じ趣旨の質問をしたいんですが、やむを得ず転籍をしていくということの方が、よし、では三年間日本に行って、技能を学んでこようなのか、上林さんがおっしゃったようにお金を稼いでこようという方が大半だと思うんですけれども、であれば、やはり本人も、三年行こうと決めたら三年きちっとやれるというのが望ましいのではないかと思うんですが、転籍を、どういう線引きといいますか、考えに沿って判断をしていけばいいのか、そこについてのお考えをちょっといただきたいと思います。

鳥井参考人 先生御指摘のとおり、移動の自由というのはこの制度の健全化のかなめだというふうに私も考えております。

 つまり、国際社会から批判されている、指摘されている、奴隷労働と言われることの一番大きなポイントは、非常に拘束力が高いということですね。この拘束力が高いことに対して、どうしても使用者の側が慢心をしてしまう。そのことによって、私は重ねて申し上げるんですけれども、いい人が、人が変わってしまうということなんですよ。

 これは、労働条件が悪ければ、あるいは使用者が、自分の対応が悪ければ労働者がどこかに行ってしまうんじゃないかという不安といいますか心配があったら、丁寧に取り扱うと言ったらおかしいですけれども、対応するわけですね。しかしながら、これはどっちにしろどこにも移動できないんだ、だから言うことを聞け、働く側も言うことを聞かざるを得ない、こういう関係になっていることが非常に大きな問題だと思います。

 ですから、一つは、監理団体が新しい受け入れ機関を見つける、あるいは新しい受け入れ実習実施機関があるということがあれば、移動することができるというふうにするべきだろうというふうに思っております。

 この審議の中でも、高い賃金を求めて自由気ままに移動するのは困ると。いや、そんなことをする実習生はおらないんですね。そもそも、高い賃金と言いますが、今ある賃金がとても低い賃金だから、これは全然約束が違う、借金が返せない、こうなりますと、感情的なトラブルも起きる。これは、刑事事件なんかも一つの理由としてはそういうことで起きているわけですから、受け入れ実施機関があれば移動することができるというふうにするのがこの制度の健全化の大きな道につながるだろうというふうに思っております。

井出委員 ありがとうございます。

 次に、上林さんに伺いたいのですが、きょう、送り出し機関のヒアリングを聞かせていただきまして、これは大変な優良事例ということで御説明があったわけです。例えば、私の地元などでも農業でかなり実習生が来ておるんですが、きょうのお話の中で、やはり送り出し側は相当な人数をもってそれをやっていると。それは御著書にも同じようなことが書いてあったのかなと思います。

 優良事例、そういうところがこの制度の充実、発展を望んでいるというのはきょうお話があったとおりなんですけれども、私は、今回の法制度で二国間取り決めをやっていく、二国間の取り決めはどうも条約とまではいかないようなんですが、二国間取り決めをできるだけ早く作成して、それも公表したらどうだという議論も大分させていただいているんです。

 私は、この二国間取り決めというものをきちっとやっていった方が、優良事例のお話を聞いておりますと、優良事例もビジネス、信頼関係もありますから、むしろそういう優良事例の方にとっては、二国間取り決めというものをやって、こういうものを結んで、こういうものが日本でも公表されている、当社はこれに沿ってやっていますと。ですから、二国間取り決めをきちっと結んでいただく方がいいんじゃないかというところがまず一点。

 あともう一点は、これも相手側の意向もあるのでというような話もちょっと出てきてしまうんですけれども、私は、これは別に、何か、二国間取り決めは、黙っておかなきゃ将来、後でえらいことになるような、外交交渉とかそういうものとは違うと思うんですよ。その国の事情に応じて、こことはこういうことを結んでおりますというものはもうはっきりと公表して、その上で、そういう優良な送り出し機関がむしろそれを信頼の一つに加えてやっていけるようなことが望ましいと考えているんです。

 この、二国間の取り決めをきちっとやっていくこと、また、それを公表していくことについて先生のお考えを伺いたいと思います。

上林参考人 以前、ヨーロッパの受け入れについてヒアリングをしましたときに、イタリア政府は二国間協定で労働者を受け入れています。そのときに、やはり二国間の協定だからこそ非常にきめ細かに決められて、また、強制帰国をさせるような場合にはどういう条件でしてほしいというようなことを例えばルーマニア政府とイタリア政府の間で取り決めたり、そしてまた、それがほかの分野の外交交渉とも関連して、人の受け入れが交渉の一つの材料になっているわけですね、TPPと似たようなところがありまして。

 その方が、私も、まだ人数が少ないということを前提にそもそも技能実習生をつくりましたけれども、もう十九万の受け入れになりまして、受け入れ国が多様になってきました場合には、送り出し責任と受け入れ責任をお互いに自覚するという意味でも、二国間協定できめ細かく決めていくのは賛成です。

 以上です。

井出委員 ありがとうございます。

 もう一つ上林さんに伺いたいんですが、鳥井さんは先ほど、この制度は早く廃止をして労働者として制度をやっていくべきだというようなお話もありました。

 私、先日、ベトナムとおつき合いのある介護施設の方のお話を聞いたんですけれども、EPAの話が出まして、私もこの間、優良事例を視察に行ってきたんですけれども、その方にベトナムの事情を聞きますと、EPAというのは、そもそも経済的に豊かな人がこの制度に乗っかってくると。だから、日本人もそうなんですけれども、豊かな家庭の方からどこかの国に勉強に、留学に行けば、親も、技術を学んで帰ってこい、別に日本でそんなに苦労する必要もない、ちゃんと学ぶものを学んで帰ってこいと。そうすると、ちょっとEPAの趣旨と違っちゃうんじゃないのかなと。

 むしろ、この技能実習というのは、家庭、経済状況は貧しいけれども、先ほど、日本に行ってお金を稼いでくるという欲求は認めなきゃいけないというお話が先生からありましたけれども、そういうものを持っているし、ですから、私ももともとは、鳥井先生のおっしゃるように、全部在留資格を細かくやって、もうこの制度はなしにした方がいいかなと思っていたんですよ。ただ、その一方で、この制度も、将来まだ、ある分野においては存続するような、そういう道もあるのかどうか。

 先生の本を読ませていただくと、大変この制度について長く研究をされてきていると思いますので、この制度の将来像について、先生から少し御意見をいただきたいと思います。

上林参考人 非常に難しい御質問です。

 EPAの介護士については、ちょっと今、勉強を始めたばかりで、私の勉強が今度の法案の改正に追いつかなくて、もうこんなに早く変わってしまうんだというのが印象でございますので、それについてもう少し、まだベトナムにも行ったことがありませんし、行かなきゃいけないと思っておりますが、ちょっとそのことは……(井出委員「介護に限らず制度全体ではどうですか」と呼ぶ)制度全体としては、この間、五年範囲でこの法律を考えるというふうにおっしゃっていましたから、五年たった後では、もう少し労働者受け入れの性格が強くなるのではないかなと思いました。

 というのは、一号、二号、三号と、一号を決めたときに三号という名前があることが予想されていたのかなと今思っているところですので、三号というのは労働移動のことを前提にした資格ですから、労働者に相当近いものになりますので、そうした形で、実習という性格は、十年単位でいえば徐々に薄まっていくのではないかというふうに考えております。

井出委員 重要な問題で貴重な御意見をいただきまして、きょうは本当にありがとうございました。

葉梨委員長 以上で井出庸生君の質疑は終了いたしました。

 次に、國重徹君。

國重委員 おはようございます。公明党の國重徹でございます。

 本日は、三名の参考人の皆様に当委員会までお越しいただきまして貴重な御意見を賜りましたこと、心より感謝と御礼を申し上げます。

 きょうは政府に対する質疑ではなくて参考人に対する質疑ですので、できるだけ皆様の忌憚のない御意見を伺えればと思っております。

 まず初めに、鳥井参考人と榑松参考人にお伺いいたします。

 お二人の参考人は、外国人の技能実習生の相談をこれまで精力的に受けてこられたということです。先ほど井野委員の質疑に対する答弁で、鳥井参考人は、年間大体二百件から三百件の相談を参考人として受けてきた、また、榑松参考人は、九年間で二百件程度の相談を受けてきたということでした。

 外国人の技能実習生には外国人技能実習生手帳というのが配られて、そこにはJITCOの連絡先が書いてある。そこには母国語相談ホットラインというのも書いてあって、日本語だけではなくて母国語で相談できる体制も整えられていると。

 では、そういう手帳にJITCOの連絡先が書いてあるにもかかわらず、なぜお二人のところにかかってくるのか。それは、JITCOに電話をかけて解決できないからお二人のもとにかかってくるのか、それともダイレクトにかかってくるのか。また、お二人の連絡先なんというものはその手帳には載っていない。では、どのようなルートで、何を見て、何を聞いて、お二人のもとに連絡が来るのか。そのあたりについて具体的にお伺いできればと思います。

鳥井参考人 先生、どうもありがとうございます。

 一つは、これは非常にびっくりするようなお話ですけれども、お伝えしなければいけないのは、技能実習生の間では、JITCOには連絡をするな、相談するな、そういう話がずっと伝わっています。それはなぜか。JITCOに相談すると社長に話が行ってしまう、だから危ないと。

 受け入れている使用者の方は、JITCOに相談されることはあるかと思います。つい先日も、私どもに相談に来た実習生について会社側に申し入れをしたら、会社はJITCOに相談する、JITCOは、それはすぐ弁護士をつけなさいということで、問題がちょっと複雑になってしまったような事例がありますけれども、それが技能実習生の間で言われていることです。

 私たちの連絡先というのは、やはり今はインターネットの社会なんでしょうか、非常に横のつながりというのがありまして、その中に私たちや榑松さんたちのようなところの連絡先がある。それから、各地に、やはり中国人だったら日本に住んでいる中国人の方、あるいは日本に住んでいるベトナム人、この方々がボランティアとして相談に応じる、その相談を受けて私たちのところに来るというようなことが多いかなというふうに思っております。

榑松参考人 ありがとうございます。

 私もどうやって私の電話番号を知っているかはわかりませんが、とにかく、ある日突然ここに電話がかかってきて、榑松さんですか、あんた暇か、私、問題がありますと。つまり、アイ・ハブ・トラブルですね。あんた暇かと。はいはい、暇だよといって、駅で手を振って待ち合わせる。こんな感じでやっているので、どこからどうやって来ているかはわかりませんが、でも、今はフェイスブックの中にベトナム人相談室と中国人相談室とフィリピン人相談室があるので、やはり圧倒的にその中のどこかから入ってきているんだと思います。

國重委員 それでは、引き続いて両参考人にお伺いいたします。

 これまでの相談案件の経験を通しましてお答えいただきたいんですけれども、今回の法案では、これまでのようにJITCOではなくて、外国人技能実習機構という新たな機構が外国人技能実習生の相談とか援助をするということになっております。今後の相談体制について、お二人の経験を踏まえて、今後どのようなことに留意していけばいいとお考えか、お伺いしたいと思います。

鳥井参考人 今度の法案での技能実習機構ですか、これは確かに、労働基準監督署の監督官が出向するなど、改善があるかなというふうに思っています。監督官の方々だとそれなりの経験がおありでしょうから、一つの大きなポイントである技能実習生自身の相談者のプライバシーといいますか、保護する、救済するという立場をしっかり持っていただく。

 そして、もう一つ大切なことは、これは全体を通じてなんですけれども、労働組合やNGOと連携する窓口、これをぜひつくっていただきたい。

 私、移住連として、この間、建設就労者の受け入れ事業について、国交省の方からアドバイザーとして依頼をされるということもありました。こういうことは非常に大切だと思います。

 ちょっと経験を申し上げますと、先ほどのアメリカ国務省のヒーロー賞の表彰に際して、アメリカのNGOとFBI、それから各市警、検察庁、弁護士団体を回りました。そのときにFBIや警察が言っておりましたのは、NGOとの連携は、奴隷労働だとか人身売買については非常に大切なポイントなんだと。私たちは会社の中に入っていくのはなかなかできない、しかしNGOは情報収集ができる、だからNGOとの連携を通じてそういう被害者救済ができるんだということを聞いたときに、非常に衝撃を受けました。

 今回、この法案の中で、被害者救済といいますか技能実習生保護のいろいろな手だても考えられているかと思いますが、このときに、NGO、民間からの意見聴取といいますか、あるいは連携というのをどのように探っていくのかというのが大切なポイントではないかなというふうに思っております。

榑松参考人 私は、相談ではなくて、申告をきちんと受理できる体制をつくらないとだめだと思います。

 相談ですと、今は、労働基準監督署でも相談がほとんど水際作戦で、相談に来たら、帰ってくださいがほとんどなんですね。今回は申告権ができるわけですから、実習生からの申告を受けて、申告は不利益扱いができませんから、これはかなりのポイントだと。実際に、母国語で来て、僕は、タガログ語とかベトナム語で全部そのまま、本人にここにサインしろということで、労基署にも全部直接申告をかけていますが、やはり申告を受理するということが必要だと思います。

 あともう一つは、強制帰国ですね。名古屋入管の場合は、名古屋入管に全部出しますから、帰国しないように全部在留カードの番号でとめてくれていますので、その連携は必要だと思います。

國重委員 両参考人、ありがとうございました。勉強になりました。

 続きまして、上林参考人にお伺いしたいと思います。

 先ほど上林参考人は、諸外国の外国人労働者の受け入れについてお話をされた際に、人権の点にも光を当てていくことが大事なんだというような趣旨のお話をされたと思います。また、先ほど、委員の質問に対する答弁で、ヨーロッパの受け入れについても調べたことがあるというようなお話もされたかと思います。

 そこで、お伺いいたします。

 欧米諸国の外国人労働者の受け入れ、これにもさまざまな問題等があったと思います。そこから見えてくる教訓、そこで感じる教訓について、より具体的にお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。

上林参考人 非常に難しい質問です。

 というのは、例えばイギリスでもフランスでも、大抵、移民の問題は、政党のイデオロギーにかかわらずテーマにしないんですね。できないんです。というのは、常にもう既に定住した人たちがいますから、その人たちが選挙権を持っていて、かつ、国内に入ってきた移民のエスニシティーグループと対峙するグループがあって、その両者から支持を得なければ政治が進められないときに、最も利害に敏感にならざるを得ない移民の受け入れに関して何らかの発言をするということは、どちらかの支持を失うということになっています。

 誰もが賛成するのは、不法移民は反対です、これは、どういう方でも、不法は合法ではないのだから反対ですというふうに発言するんです。そのとおりなんですけれども、では、不法の方を削減できますかというと、これが非常に難しい。

 一つは、既に不法の人を受け入れている人たちが十分存在するということと、それから、その不法の家族が既にいますので、そうした不法の人をさらに受け入れたいという有権者がいるわけですね、家族を呼び寄せるという形で。それから三つ目に、NPOとか、特に宗教団体がありまして、この宗教団体の発言というのは常に国家と反することがあって、国家と宗教団体というのは、これまで長い間けんかしてきた歴史があって、教会に逃げ込んだ人たちをどういうふうに考えるかというのは国家そのものの問題として取り扱っていかなきゃいけないので、非常に厄介な問題としてヨーロッパでは外国人問題が取り上げられています。

 ですから、今、日本では受け入れがほんの少し始まったばかりですけれども、長期的に見ると日本もそういうことを考えなきゃいけない段階になったのかなというのが私の印象でございます。

 以上です。

國重委員 難しい質問に対してありがとうございました。

 引き続き上林参考人にお伺いしたいと思います。

 今のお話、また、諸外国の研究もこれまでされてきたことを踏まえて、今回の法案を踏まえた我が国の外国人技能実習制度について、諸外国との比較でどのように評価されているのか、お伺いしたいと思います。

上林参考人 送り出し国の方から見ますと、これは、明らかに労働者を送り出しているという自覚のもとに送っていると思います。

 それから、韓国は日本の技能実習制度をまねして産業研修制度をつくりましたが、その制度自体が、逃亡者が多かったので崩壊して、外国人受け入れ制度に制度を変更せざるを得なかった事情がございます。

 韓国の方にお伺いしますと、日本の技能実習制度は、技能実習という看板を掲げられているだけ、まだ労働力不足が深刻ではないので、余裕があるんですねというようなコメントを伺ったことがあります。

 以上です。

國重委員 ありがとうございました。

 今、韓国の雇用許可制度についてお話が出たかと思います。韓国でも、先ほど先生がお話しされたとおり、日本と似ている、外国人技能実習制度のような似た制度があったけれども、二〇〇四年の八月から、それまでの民間主体の受け入れ体制から、政府が主体となった受け入れ体制の雇用許可制度へと百八十度転換した。これは、韓国人を対象に募集して集まらなかった職種のみ、国が外国人労働者を募集する、韓国人に対するのと同じ給与条件で募集するという内容になっているそうです。

 政府が責任を持って受け入れる外国人労働者を人材データベースに登録して、企業が希望する条件と合致する人材をその中から紹介する。実際に働くようになってからのトラブルにも、政府機関が間に入って対応する。就労期間も最長で九年八カ月ということで、また、転職も、一定の要件のもとに、韓国では三回まで認められているということでありますけれども、これについて、今、上林参考人から若干お話がございました。

 鳥井参考人、榑松参考人に、この韓国の雇用許可制度についてどのように評価されるのか、また、我が国が今後、今は技能実習制度ですけれども、先ほど来、鳥井参考人も、真正面から労働者の受け入れというのを議論していくべきだというようなお話がありました。急激な変革というのはなかなか大変なことにもなるかと思いますけれども、では、どのような制度設計のもとに我が国は労働者を受け入れていけばいいのか、このあたりについて、鳥井参考人、榑松参考人にお伺いしたいと思います。

鳥井参考人 韓国の雇用許可制度は、確かに私たちこの日本社会は、モデルとして非常に参考になると思います。つまり、二つの国、送り出し国と受け入れ国が二国間で協定を結ぶ、こういうことです。

 この日本社会は非常にいいシステムを持っています。それはハローワークです。このハローワークでは、有効求人倍率を常に出しております。つまり、どこの職種、業種で人手が足りないのかということを出しているんですね。この有効求人倍率を活用するという手があるのかなというふうに思っています。

 ハローワークを使う、つまり、民間のブローカーではなくて国のハローワークを活用していく。このことで、送り出し国と日本との間で二国間協定を結び、そのことで、いわゆる市場テストと、それから、いわば国としての受け入れですので、総量規制、このことによって新しい方法が工夫できるのではないかなというふうに思っています。

 誤解を恐れずに申し上げますけれども、この技能実習制度は衣がえをするべきだというふうに私は考えておるわけですね。つまり、いつまでもこの技能実習生という言葉を使っていること、このことがやはり虚を生み出す。労働者を受け入れるための工夫は、今私たちがこの社会で持っているさまざまなシステムを使えばできるのではないかというふうに考えている次第です。

榑松参考人 私も、韓国の制度には非常に関心があります。

 それで、一言ですが、現在は異業種協同組合が中心で、ほとんどいろいろな業種を集めてやっていますが、私は、韓国のように、きちんと産業別に産業政策をつくった上で、どういう支援が必要なのか、人的に労働力の受け入れが必要なのか、例えばTPPで農業問題が出ますが、その業界、産業をどう育成するのかというところに合わせて人の受け入れも決めるというふうに、やはり産業政策と一致させるということが必要で、ただいろいろなところから入れるということではないというふうに思います。

國重委員 では、最後の質問にしたいと思います。上林参考人にお伺いいたします。

 上林参考人のいろいろな文献、論文等を読ませていただいた際に書いてあったこととして、EPAのような入念な制度設計のもとに行われる介護士候補者受け入れにもさまざまな問題が伴う、今後予定されている技能実習制度による外国人介護労働者受け入れは、EPAによる受け入れより日本語能力などの点で受け入れ基準が緩いのであるから、受け入れた実習生に対してどのように教育訓練機会を担保していくかがEPAによる受け入れ以上に大きな課題となるだろうとありました。

 具体的にどのような教育訓練の機会を担保していくことが適切とお考えか、御知見がありましたらお伺いしたいと思います。

上林参考人 介護についてはまだ勉強し始めたばかりなんですが、EPAのときに、受け入れ機関から見ますと、一人受け入れるのに四百万円かかってしまった。結局、いつも教育訓練というのはお金がかかる、その間、勉強している間は働けませんからお金がかかるということですので、やはりある程度お金をかけるという覚悟で日本語教育をやる必要がある。

 何か、技能実習制度を見ても、教育というのはお金がかかるんだというのが余り合意されていないように思うんですけれども、特に介護については、日本語教育、それから清潔さに対する感覚、こういったものをきちっと教えていただきたいなというふうに思っております。

 以上です。

國重委員 以上で質問を終わりたいと思いますけれども、きょうは、三名の参考人の皆様、貴重な御意見、ありがとうございました。

葉梨委員長 以上で國重徹君の質疑は終了いたしました。

 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 本日は、鳥井一平参考人、上林千恵子参考人、榑松佐一参考人の皆さん、大変貴重な御意見をいただき、ありがとうございます。

 この委員会でも、外国人技能実習生がみずからの意思で実習先を移動することができない、あるいは、保証金など、多額な母国での負担、そして強制帰国の問題などが議論されてきたところでございます。

 まず初めに、鳥井参考人にお伺いします。

 外国人技能実習生がみずからの意思で実習先の移転をすることができない、このことによって監理団体や受け入れ企業の言いなりになってしまうということが指摘されております。また、生活の全てについて管理されているという例も伺います。実習先の移転ができないということが技能実習生にどのような影響を与えているのか、また、実習先のみずからの意思による移転の自由、このことをどういうふうにするべきとお考えか、伺いたいと思います。

鳥井参考人 この移転の自由というのは、先ほども述べましたが、非常にポイントは辛目ですね。

 つまり、やめろということは帰れということになってしまうわけです。このことは非常に恐怖なわけです。先ほども申し上げましたけれども、大体の技能実習生は、大小ありますけれども、借金を抱えて来ておるわけですね。この借金が返せなくなる。三年間働くことによって返していくんだという計画があるわけです。技能実習生はそれぞれ計画を持って働いているわけですけれども、これが、口答えをする、生意気だということだけで帰れということになりますと、非常に困るわけですね。ですから、どうしても黙ってしまわなければいけない。このことが非常に大きなストレスを生み出すということで、さまざまなトラブルにもなるということになろうかと思います。

 ですから、やはり先ほど申し上げましたけれども、受け入れ先が確保されるのであれば、移動する自由があるということが担保されると、労使関係が非常に円滑に、健全になるかと思います。

 私は、これも繰り返し申し上げていますが、例えば時給三百円だとか労働時間がひどい、そういうところに伺うと、社長さんたちに会いますと、そんなに悪い人はいないんです。会ってみると、みんな普通のいい人なんですよ。冷静に考えましたら、斜陽産業だとか大変な製造業あるいは農業を一生懸命やっている社長さんたちやおやじさんたちなんですよ。そんなに悪い人はいません。とんでもないのが中にはいますけれども、ほとんど普通のいい人たちなんですよ。

 なぜその社長さんが時給三百円なんということをやってしまうのか、あるいはセクハラをやってしまうのか。これは、移動の自由がない中での拘束力が高まっている、そういう中で起きているという実態をぜひ御理解いただきたいなというふうに思っております。

畑野委員 引き続き鳥井参考人に伺いますが、実習生の自由が奪われている理由の一つに、先ほど申し上げた、保証金を母国の送り出し機関に払わなくちゃいけないという問題が指摘されているんですけれども、これは二国間取り決めで解決することができるんだろうかということを伺いたいんです。

 それで、先ほど言ったように、借金を背負ったまま日本で技能実習するということで、これが具体的にどんなふうな影響を及ぼしているのか、また、どうすれば保証金の問題などを解決することができるのかということについて伺いたいと思います。

鳥井参考人 二国間協定で全てが解決されるとは思いません、確かに。ただ、送り出し国政府の責任というのを明確にするということがあれば、何らかの解決につながるというふうには思っております。

 それから保証金、借金といいますか、名前は別に必ずしも保証金ではないわけですね。出稼ぎ労働というのがなぜそのような、いわばコストがかかるのかということなわけで、私たちは、労働者の受け入れに当たっては、個人の労働者のコストがかからないようにしていく、このことは、無用なブローカーを介在させない、そういう意味では、二国間協定というのは非常に大切な役割を持つのかなというふうに思っております。

畑野委員 引き続いて、上林参考人に伺います。

 先生もいろいろな論文を書かれていらして、労働移動の自由ということについても書かれていらっしゃいます。実習先の移動の自由とそして強制帰国の問題について、もう少し具体的な事例など研究のお話を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

上林参考人 私は余り、失踪した人については知りませんが、労働条件を上げたい、あるいは労使関係で交渉するときに、一番最初にみんな、交渉する前に、嫌ならやめてしまうというのが日本人の普通の行動ですよね。何か交渉するのは面倒くさいし、難しいことはわからない。やはりそれができない、禁じられているというのは、労働条件の交渉をそもそも行えないし、できないことかなというふうに思っています。

 今回について、余り申し上げませんでしたけれども、労働条件の向上を求めて移動の自由ということと失踪というのが、ある意味では同じような現象になってしまうところが非常に難しいところで、失踪してしまうと、結果としては不法就労者ということになってしまいますね。

 この辺は、何を不法というのか難しいですが、アメリカの例を見ますと、受け入れた後に、必ずもっと高い賃金で雇って不法就労を促進したいという人たちがいて、それは、受け入れ費用に関する、送り出しの費用とか訓練費用とかというものを次に不法で雇う人は負担しませんので、フリーライダーが出てくるんですね。この問題と移動の自由というのは二律背反の問題なので、どう考えるのか、今私も非常に迷っているところです。

 以上です。

畑野委員 引き続き伺うんですが、先ほど母国の方のビジネスチャンスという、中国の話がありました。ビジネスチャンスというのは、人材派遣会社にとってのビジネスチャンスということなのか。それでは、実習生にとってはどうなのかというのを伺いたいんです。

 なぜかというと、いろいろと問題が指摘されているんですけれども、それが今後拡大されるということが今度の法案でもあるんですね。それで、私は、今の問題そのものを解決しなくてはならないというふうに思っていて、それをしないで拡大ということについてどうなのかというふうに思うわけなんです。

 先ほどの話に戻りますが、ビジネスチャンスと相手方が言っていらっしゃることと、そもそも法律のこれまでのたてつけが外国への技能移転と国際貢献と言っていることと、ビジネスチャンスというふうに受けとめられているというその問題についてどのようにお考えになるのか、実態などを含めて教えていただければと思います。

上林参考人 送り出しの派遣企業としては、派遣期間が長くなる、派遣先の職種が拡大するというのは、派遣人数の拡大につながるので、これはビジネスチャンスというふうに考えるんだと思います。それは、民間企業がやっているので、派遣人数を多くしたいと考えるのは当然のことではないかと思いました。

畑野委員 続いて、榑松参考人に伺います。

 建設業の相談が増加しているというふうに伺いました。それで、建設業での技能実習生の状況について、もう少し伺いたいと思うんです。

 例えば、タンさんの例ですけれども、各地を転々と遠いところまで行っている問題、あるいは福島の問題など、そういう、自分の意思でここには行きたくないとかそういうことが言えないのかどうかを含めて、先ほどの実習先の移転の自由等を含めて、実態を教えていただけますか。

榑松参考人 これまでの相談はほとんど製造業だったので、せいぜい本社工場から別の工場に行くくらいだったんですね。この一年間、建設業が急にふえてくる中で、タン君はどこから来たんだと言ったら、気仙沼だという話だったんですね。それで、聞いたら、実習計画書は受託現場と書いてある、しかし、雇用契約書は鳥取県の会社が書いてある。

 入管的に言うと、受託現場と書いてあれば、普通は、工事ですから、土建屋は会社の中で工事はしていないので、みんなその辺で普通しているので、それは受託現場でいいと思うんですが、現在、東北と関東での建設業での人手不足がこの一年間すごく顕著で、そういう方面に飛ばされる。

 簡単に言うと、タン君は七百五十円の七時間半で働いていましたけれども、私、宮城の労働組合で調査をしていますが、宮城県では最低一万円は払わないと土木作業員は集まらないです。関東近辺も、今、オリンピックで建設業が物すごく不足しているので、やはりアルバイトでも九千円は払わないと来ないです。そうすると、差額が大体四千円くらいになりますね。二十二日だと、四千円を掛けると八万円とか十万円とか、口ききで十人派遣すると八十万円くらい社長のところに差額が入ってくるわけですね、寮費も取るから。そういう動機づけがある。

 もう片方で、電力会社の話、入管にすぐ連絡しました。三日後に、社長に怒られた、取り下げてください、入管が会社に来た、私が悪かったですと。つまり、本人は放射能が怖くても断れない制度なんですね。いや、実習計画書に何と書いてあるかは僕は見ていないので、入管の方は見ていると思うんですが、福島の大熊町で実習なんだと書いてあるのかもしれませんが、少なくとも、そうやって書いてあればセーフなんです、この制度は。

 果たして今の建設業の受託現場というのは本当にこれでいいのかというふうに思って、それにさらに、先ほどの賃金の問題とか建設業特有の問題が今出ているので、早急に対応する必要があると思います。

畑野委員 引き続きお伺いします。

 法案では、外国人技能実習機構が新設されることになっております。この新機構が、果たして技能実習生の過酷な実態を本当に改善すると言えるのか、その点についてはいかがでしょうか。

榑松参考人 先ほど言いましたが、受け入れ機関に対する監督、調査ができるようになる、それから、実習生そのものに申告権があるというのがすごく重要なんです。今、タンさんが不正を申し立てました。しかし、実習生には申告権がありませんから、受け入れ組合を処分したということは、入管からは本人に伝わらないんです、申告権がないですから。

 それで、いつも入管で言っているんですね。僕が不正を告発するでしょう、結果はどうなりますかと言うと、榑松さんには申告権はありません、実習生本人にも申告権はありませんので、あなたに答える必要はありません。不正認定されても本人には伝わらないんです。そういう点では、申告権ができるということは、少なくとも本人には伝わるんですね。

 しかし、実は巧妙ですので、間にブローカーがいっぱい入ってくるとそう簡単にはいかないですね。一回目調べたくらいでは出ません。先ほどの、ネパールの事件なんかはそうですね。技能実習生、富山のネパール人五十人が捕まった事件が報道されました。手配した日本の業者はいるんですが、その会社は出てきません。書類上の派遣会社だけが処分をされています。あっせんしたやつは全然関係ないです。本人たちは結構喜んでいて、これまでは最低賃金だったのが、新しいところに行ったら九百円だったというんですね。そういうなかなか複雑な問題について、今回の機構ができるのか。

 それから、実は名古屋入管の担当だから僕は知っているんです、富山から名古屋入管に送られてきたから。今回の機構でも、名古屋に多分十人体制だと思うんですが、果たして十人で名古屋から富山まで担当できるのか。

 名古屋だけでも二百あるんですよ。言葉はしゃべれるのかといったら、そんな言葉をしゃべれる人はほとんどいないでしょう。実習生は母国語で申告ができて、それに対応できなければ、できない。今度の機構は全ての言葉に対応できるのか、これは問われていると思います。

畑野委員 それでは、参考人の皆さんにそれぞれ最後に伺いたいと思うんです。

 この間の議論の中で、あるいは前回の参考人質疑で伺いましたけれども、外国人技能実習生の制度の建前と現実がかけ離れていると指摘されました。つまり、技能移転を建前としているんだけれども、現実は安価な使いやすい労働力として扱われているという問題がある。

 それで、この間、多くの技能実習生の皆さんの相談に乗られる、あるいは海外の研究などを実際にされてきた皆さんが、技能実習生の皆さんはそもそもどういう思いで日本にやってくるのか、あるいは諸外国、二国間でいえば、海外の方はどういう思いでこの日本に送り出してきているのか。生活の実態、あるいは海外の思いなど、その点について伺いたいと思います。

鳥井参考人 先ほど申し上げましたけれども、これは誰もが知っている事実なんですね。つまり、これは労働者受け入れ制度である、あるいは労働者送り出し事業であるということは、誰もが知っている事実だというふうに思います。そのことは、もう二〇一〇年の制度改定で、ある意味でいうと技能実習制度は純化してしまった、研修制度とは分離したんだというふうに思います。

 私は、ベトナム、それからフィリピン、中国、そしてそれぞれの送り出し機関と、現地を訪問して話もしましたけれども、ある意味でいうと、優良な送り出し機関というのはやはり地域での信頼というのがありますから、送り出した実習生が日本でちゃんと働けているのか、保護されているのかについて心を配る送り出し機関もありますが、それらも全て、やはり出稼ぎ労働としてどのように守っていくのか、そのことで、稼いだお金を国に持ち帰ってどのように貢献されるのかということだろうというふうに思います。

 そういう意味では非常に正直なところだと思いますので、私は、このような、表向き、いわゆる開発途上国に技術移転というようなごまかしは早くやめるべきだ。働く人に対してはしっかりと働いてもらい、企業はそのことをしっかりと受けとめて、企業の発展にも寄与してもらうということでやっていくということが大切なんじゃないかなというふうに思っております。

上林参考人 技能実習生について感じることは、昔の日本にあったような、孝女とか孝行息子という形で、自分で稼いだお金を自分で使わずに家族のために送金するという姿が、一昔前の日本かなという印象を持ちました。

 以上です。

榑松参考人 私は、フィリピンとベトナムを調査に行きましたが、それぞれ両方とも世界じゅうに労働者を派遣していて、日本だけがこの仕組みというのはなかなか理解されにくいと思います。やはり、世界的にも海外での移住労働というのは進んでいるので、同じような保護の体制は必要だと思います。

畑野委員 きょうは貴重な御意見をいただきまして、参考人の皆さん、ありがとうございました。

葉梨委員長 以上で畑野君枝君の質疑は終了いたしました。

 次に、上西小百合君。

上西委員 上西小百合でございます。

 まずは、お越しくださった三名の参考人の皆様方に心から感謝を申し上げたいと思います。

 参考人の皆様方からの御意見をできる限りたくさんいただきまして、慎重にこれらの審議を進めていかなければならないと思っておりますので、私、最後の質問者ですから、少しお疲れかもしれませんけれども、ぜひとも忌憚のない御意見をお聞かせいただければと思っております。

 さて、現在、二つの法律案が今この法務委員会で審議をされているわけなんですけれども、審議を進めていけばいくほど、光と闇といいますか、本音と建前といいますか、こういったものが複雑に絡み合っているんだなと。そして、審議を進めるほどに難しい課題が表面化してくるものだなというふうに感じておりますので、きょうは私からそういった矛盾も入りまじった中で質問をさせていただくことになるかと思いますけれども、ぜひともよろしくお願い申し上げます。

 まず、先ほどから本当にたくさん質問も出ていますけれども、ちょっと私、別の角度から。先日の法務委員会の視察で、介護施設を訪れました。EPA制度を採用されている介護施設にお邪魔させていただいたときに感じた、今回の法律案を整備する上で気になる点を三名の皆様方にお伺いさせていただきたいと思います。

 EPA、先ほどから出ていますけれども、インドネシア、フィリピン、ベトナム、この三カ国で受け入れ人数の上限をそれぞれ定めていますから、限度がありますので、さぞかし今回、技能実習生に追加項目されることで、日本の国際貢献の幅が広がる、よりたくさんの外国人の方が日本に来て、技能を修得いただける機会がふえるんじゃないかなというふうに私は考えていたわけなんですけれども、介護施設にお邪魔をさせていただきますと、採用される介護施設の職員の方々、そして、される側の外国人の方々から意見を聞きますと、ちょっとまた違った現状を聞くことができました。

 EPAは、日本に来る前に、一定の日本語であり介護、看護の知識を既に習得されてきている。ですので、入国後はOJTで勉強しながら、日本で国家試験に合格をすれば、本人の希望で在留資格更新をして、日本で勤務し続けることができる。そうなると、介護施設としても人手不足の解消につながるのでありがたい、助かりますよという話で。

 一方で、技能実習生を受け入れるとなると、ほぼ一からですよね、日本語であったり技能であったりを教えなければならない。そして、三年から五年で母国にお帰りになるということであれば、体力的にも大変だ。そうなると、EPA制度は使いたいんだけれども、技能実習制度はちょっと二の足を踏んでしまうなということを御意見でいただきましたので、非常に気になったわけなんですね。

 そういうふうな意見を聞くと、いやいや、そうじゃなくて、この制度は国際貢献なんだから労働力なんて期待しちゃいけないんだよ、働いてほしいなんて、ずっと働いてくださいなんていうのはおかしいんだよという声も出てくるかもしれませんけれども、今、日本の介護現場は非常に深刻な人手不足が叫ばれています。それによって被介護者にもしわ寄せがかなり来ているというニュースも報道されていますから、ちょっと一旦、ここは国際貢献という看板をちょっとだけ横に置かせていただきまして、あえて質問をさせていただきたいと思います。

 まずは、このEPAの現状をどのようにお考えになっているか、そして、EPAと技能実習制度の両立、こういったことに関してどのように見ていられるか、お考えかをお聞かせいただきたいと思います。

鳥井参考人 一つは、介護を技能実習制度でというのは根本的に間違っているといいますか、ねじ曲がっている、建前さえをもかなぐり捨てるという感じではないかなというふうに思っております。

 これはやはり、そもそも、この技能実習法にも職種のことは入っておりませんから、非常に私ども心配しておりまして、何かこの技能実習法が通ると介護が必然的に入るかのような、そのような幻惑といいますか、そういう惑わかしもあるかなというふうに思っておりますけれども、技能実習と介護というのは全く合わない。議論をしているうちにだんだんわからなくなってしまいますのは、技能実習制度の建前をいろいろ議論するから、わけがわからなくなってしまうわけですね。

 だから、労働者の受け入れ制度として考える場合には、当然、介護現場での労働力が足りない、このことを外国人労働者の皆さんにもお願いしようということであれば、そういうことで正面から議論をしていくということが大切なのではないかなというふうに思っております。

上林参考人 先ほども申し上げましたように、私はまだEPAで受け入れた介護現場を一度も訪問していませんので、ことしの課題にしようと思っているんです。

 ですから、とにかく、自分の研究計画と事態の進展では、事態の進展の方が早くて、介護についてどういうふうに考えていくのか、特に、初めてサービス労働が技能実習制度の対象職種として入るので、ちょっと今、参考人としてまだ申し上げる段階にないということだけお答えさせていただきます。

榑松参考人 EPAの相談は時々ありますが、非常に企業拘束性が強いので、例えばお礼奉公のような、終わったら何年間ここで働いてくださいというようなものがあって、終わってもなかなか移動が認められないとか、幾つかありますし、それから、やはり費用、それを言うのは、あなたにはこれだけお金をかけたんだと言いたいわけですね。それがあって、この制度だと、とてもEPAを続けるのは難しいと思いますし、非常にお金がかかっています。

 それから、介護に技能実習生をやるのは、今建設業がふえて、とにかく殴るのが多いんです。物の製造と違って、殴らないと仕事が危ないから殴る。介護になると、さらに一層厳しくなると思います。困っちゃうでしょう、その場で。言葉が通じなかったときにどうするのという点では、介護については日本語能力が決定的に問題だと思います。

上西委員 ありがとうございます。いろいろ御意見がありました。

 榑松参考人からは、EPA制度は拘束力が強いからお礼奉公、私が視察に行かせていただいた現場では、そういうふうな感じが余り表面化していなかったものですから、そういうふうな御意見があるということですので、一度私の方でも調査をして、改めて考えてみたいなというふうに思っております。

 次に、今二つ法案を審議しておりますけれども、厚労省、法務省の職員の皆さん方のお話をお伺いしますと、国際貢献、こういう命題をしっかりと守りたいんだという思いで非常に御苦労をなさっているんだなというふうに感じております。

 しかし、新聞記事を幾つか拝見させていただきますと、見出しに労働力確保の切り札というふうな言葉が躍っておりまして、この法律の趣旨が、やはり理解は浸透していないのかな、まあ、浸透していなくても、ちゃんとそういうふうな運用がされていない部分もなきにしもあらずだなと。そして、被害者の方もいらっしゃいますから、そういった部分、残念だなというふうに思っております。

 確かに、日本では、人手が足りない、労働力不足ということでお困りの業種は多く存在しますし、実際、労働力を確保したいんだ、何としても確保したいんだというふうに望まれる方もいらっしゃいますから、その打開策として外国人労働者を求める声が出てくるのも当然のことだと思っております。

 実際に、幾つかの国では、一定要件を満たす非正規滞在者を合法化することで労働力確保をしている例もありますから、日本国内でも支援団体から、ビザの期限切れなどで非正規滞在状態にある不法外国人労働者の滞在を認める、アムネスティーの実施を求める声が上がっております。

 ただ、そうなると、自国民であれ外国人であれ、日々の生活を安心して送っていく上で、医療保険や住宅、その他の社会保障問題は極めて大切であるという観点から、社会保障や教育についてもより考えなくてはならない、こういうことがふえてくるのではないかと思います。

 そうなると、もしアムネスティーを実施し、生活保護申請者が、万が一ですけれども、どっと押し寄せてしまったら、財政が急に厳しくなってしまうのではないか。それであったり、その方々のお子さんは義務教育の対象とはなっていないために、親の世代では生活ができても、十分に教育を受けることができなかった子供たちが、行く末、日本で自力で生活をしていく、こういったことが難しいんじゃないかという懸念があるということもお伺いをしましたし、実際、ヨーロッパでそういった問題も浮上しているということをお聞きしました。これに関していかがお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。

 また、アムネスティーを実施することで、例えば、治安が悪くなるんじゃないのかな、あるいは税金を納めていただけなかったりするんじゃないかな、こういうふうな声も日本国民、日本国内から上がってきているわけなんですけれども、これに関してどういうふうな御見解をお持ちかということを、三名の参考人の皆さん方にお聞かせいただきたいと思います。

鳥井参考人 実は、私は、オリンピック・パラリンピックアムネスティーをやるべきだというふうに主張しております。

 日本には今現在六万人の非正規滞在者がいるわけですけれども、イメージがちょっとゆがんで伝わっているなと。ピーク時は、一九九三年に三十万人を恐らく超えていたでしょう。データとして発表されているのは二十九万八千か何かという数字で出ていると思います。実際は三十万人を超えていました。

 この人たちは税金を納めていなかったのかといいますと、税金をしっかり、たくさん納めております。働いておるわけです。そのことが、ある意味でいえば、移民政策という観点からいいますと、オーバーステイの容認という政策を当時の政府はとっていたわけですね。決して狩り込みはしませんでした。なぜならば、オーバーステイの人たちがいなくなると、工場がとまってしまうからです。このことは事実として私たちはしっかりと見詰める必要があるわけですね。

 では、現在、この六万人がどういうふうにして生活しているのかといいますと、実は働いている人も多いわけですね。働いている人は、先ほど申し上げましたように、税金を納めております。私がオリンピック・パラリンピックアムネスティーというふうに主張しているのは、アムネスティーをしてちゃんと正規化して、税金も納めるものは納めてもらう。社会保険としてもしっかりと、そのことについて企業も支払い、労働者も支払う。このことが、この社会におけるファウンデーションといいますか、財政的なファウンデーションに寄与もしていくというふうに考えているわけですね。

 労働者は当然税金を納めるわけですし、社会保険料も支払う。どちらかというと、それから逃れようとするのは、一部の使用者がそのことから逃れようとしていることであって、そのことに私たちはやはり注視をする必要があるかなというふうに思っています。

 今御指摘の小学校、中学校なんですけれども、これは現在も、オーバーステイであっても小学校、中学校は義務教育として行くということになっておりますから、そのことは誤解があるのではないかなというふうに思っております。

 非正規滞在というのは犯罪の温床というような、そういうちょっと誤った、ミスリードといいますか、ぜひ警察白書もずっと検証していただきたいんですけれども、刑事事件の発生数、発生比率がいわゆる非正規滞在者は非常に少ない、低い。これは、捕まったら元も子もないので余りそういう犯罪にかかわらないというのが、クールダウンして考えれば、ああ、なるほどなというふうにわかるわけです。でも、これは客観的データからも実は明らかになっているということだろうというふうに思っております。

上林参考人 アムネスティーはアメリカでもやりましたし、それからフランス、スペイン、イタリア、四、五年に一回やっています。

 これは一度やると何年か後に必ずやらなきゃいけないような制度になってしまいますので、日本はこれまでしなくて済んだのは大変よかったと思いますし、法制度が信頼を受けるということを考えますと、これは実施しない方がいいものだと思います。

榑松参考人 私は、不法滞在は余り詳しくないんですが。

 介護については、日本人の介護労働者の賃金が低い。介護保険制度の中での人件費の割合は決まっていますから、どうしてもなかなか上げられないんですが、実際問題、監理費を三万五千円くらい払うわけですから、企業さんは介護保険にそれが適用できるのかという問題がありますよね。人件費として請求できない、そうすると、その分は賃金を安くせざるを得ないということが起きてきて、どうしても介護労働者全体の賃金引き下げにつながるのではないかということが、これをどう解決するのかという問題抜きにできないと思います。

 済みません、不法滞在の方はちょっと弱くて、申しわけないです。

上西委員 ちょっと専門外の分野もあったかと思いますけれども、どうもありがとうございました。

 鳥井さんの方から、オーバーステイ、こういうふうな方々はしっかり稼いで税金も納めてくださって、確かに、オーバーステイ、ずっと日本にいらっしゃった方ですから、それなりの技能を習得されている方々が多いというふうに思いますし、それは日本側にとっても労働力の確保にもなりますからいいんじゃないかなというふうには思うんです。

 ちょっと今思ったんですけれども、もしかしたら、そういう方々の中には、単純労働作業が多くて、低い賃金で働いている割合の方も意外に多いんじゃないかなというふうに思うんですけれども、実情はどんな感じですか。

鳥井参考人 これは先生、実は、非常に興味深い数字があると思います。

 私は、先ほど申し上げましたように、もう二十五年間やってきているんですけれども、オーバーステイの労働者、それから日系労働者、そして技能実習生、最も賃金が低いのは技能実習生です。最も合法的と言ってもいいかもしれませんけれども、合法的な労働者が賃金が低い。日系労働者の場合は、ブローカーが管理しているといいますか、派遣会社単位の移動ということになりますから、そこで管理をされている。オーバーステイの労働者は、賃金が安ければ働かない、賃金の高いところへ行くということで、ある意味でいうと、労働市場が健全に働くというとおかしな話なんですけれども、そういうのが実態なわけですね。

 そのことが非常に、ある意味でいうと、労働者の自由度が、労働者というふうに見た場合ですね、入管法上の問題じゃありません、労働者の自由度ということでいうと、自由闊達に働くのがオーバーステイの労働者という、非常に奇妙な構図になっているというふうに思います。

上西委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間がなくなってきたんですけれども、一つ聞かせていただきたいと思います。

 今回の改正案には、現行の活動を三カ月以上行わないで在留している場合に加え、活動を行っておらず、かつ、ほかの活動を行いまたは行おうとしている場合も取り消し事由としていますけれども、この新取り消し事由については、逃亡のおそれがあるときは出国猶予期間を定めず直ちに退去強制手続に移行する、こういうわけなんですけれども、ちょっと私、関係者にお話を聞きましたところ、入国管理法違反で逮捕された偽装滞在者のもとにブローカーのような方が面談に行って、あの手この手を使って仮放免をさせた上で犯罪行為に走らせる、唆す、こういうふうなこともある、そういうふうな不届き者もいるんだということをお伺いしました。

 このように出国猶予期間を悪用した例が本当にあるのかどうか、もしお知りであれば教えていただきたいということと、あるのであれば、その解決策が何かあればお聞かせいただきたい。

 鳥井参考人にお願いいたします。

鳥井参考人 正直に申し上げて、出国猶予期間を悪用している事例というのは、直接的には余り存じ上げないです。ただ、悪質なブローカーがいないのかというと、これはいないわけでありません。

 ただ、今回の法改正での狙いが、技能実習生の失踪ということ、そこに照準があるというように聞いておりますけれども、これはちょっと誤りがあるのかなと。

 これは今直接の御回答になるかどうかわかりませんが、私どもで非常に危惧しておりますのは、一方で失踪という言葉を使いますが、私たちが保護した者にも監理団体等は失踪届を出すんですね。

 そうすると、こういう事件がありました。福井県の団体に、NGOに保護の願いがあった。滋賀県で待ち合わせをした。そうすると、送り出し団体は失踪届を出しているわけですね。滋賀県で、迎えに行った直前に警察官の方が職務質問をされました。これはいいでしょう。それについて、到着した団体が、いや、実は今保護をするんだということを申し上げたら、わかりました、でも、ちょっと一応調べさせてくださいということで調べると、いや、失踪届が出ています、これは困りましたね、こういうことになったわけですね。

 これは非常に、失踪と保護というのが微妙で、結果的には、警察の方にも御理解いただいて、無事保護することができたんですけれども、このように、失踪と保護というのは非常に密接な関係になっているわけですから、失踪をして即在留資格の取り消しなんということが起きますと、ますます拘束力が高まってしまう。しかも、そのことをもって、外国人全体に対して、留学生も含めて、そういうことの規制がかかるというのは現行で十分ではないかなというふうに思っておりますので、これはぜひ考えていただきたいなというふうに思っております。

上西委員 ありがとうございました。

 本日、本当に、三人の皆様方から貴重な御意見、そして現場の声というのをお伺いすることができました。本日のことを糧にしまして、やはり真に人権が守られる、こういった法案を目指して頑張ってまいりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

葉梨委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 参考人の方々には、貴重な御意見をお述べいただきました。委員会を代表して心より厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十六分散会


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