衆議院

メインへスキップ



第16号 平成28年5月11日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十八年五月十一日(水曜日)

    午後一時九分開議

 出席委員

   委員長 葉梨 康弘君

   理事 安藤  裕君 理事 井野 俊郎君

   理事 城内  実君 理事 鈴木 馨祐君

   理事 吉野 正芳君 理事 井出 庸生君

   理事 逢坂 誠二君 理事 國重  徹君

      あかま二郎君    石崎  徹君

      大塚  拓君    奥野 信亮君

      加藤 鮎子君    上川 陽子君

      工藤 彰三君    今野 智博君

      笹川 博義君    鈴木 憲和君

      田所 嘉徳君    田野瀬太道君

      冨樫 博之君    中谷 真一君

      藤原  崇君    古田 圭一君

      堀井  学君    宮澤 博行君

      宮路 拓馬君    若狭  勝君

      階   猛君    大口 善徳君

      真山 祐一君    清水 忠史君

      畑野 君枝君    木下 智彦君

      上西小百合君    鈴木 貴子君

    …………………………………

   法務大臣         岩城 光英君

   法務副大臣        盛山 正仁君

   法務大臣政務官      田所 嘉徳君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  井上  宏君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           堀江  裕君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          宮川  晃君

   法務委員会専門員     矢部 明宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十一日

 辞任         補欠選任

  門  博文君     工藤 彰三君

  辻  清人君     堀井  学君

  宮川 典子君     石崎  徹君

  若狭  勝君     鈴木 憲和君

  吉田 宣弘君     真山 祐一君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     加藤 鮎子君

  工藤 彰三君     中谷 真一君

  鈴木 憲和君     若狭  勝君

  堀井  学君     田野瀬太道君

  真山 祐一君     吉田 宣弘君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 鮎子君     宮川 典子君

  田野瀬太道君     辻  清人君

  中谷 真一君     門  博文君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案(内閣提出、第百八十九回国会閣法第三〇号)

 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百八十九回国会閣法第三一号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

葉梨委員長 これより会議を開きます。

 第百八十九回国会、内閣提出、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案及び出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案に対し、吉野正芳君外三名から、自由民主党、民進党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。逢坂誠二君。

    ―――――――――――――

 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

逢坂委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 これまで、当委員会においては、政府提出の法律案について、数次にわたる参考人質疑や視察を含め、熱心な審査を行ってまいりました。委員会における議論を踏まえ、今般、次のような内容の修正案を提出することで合意に至ったものであります。

 以下、この修正案の内容について御説明申し上げます。

 第一に、技能実習計画に記載すべき技能実習生の待遇の内容として、報酬、労働時間、休日、休暇、宿泊施設、技能実習生が負担する食費及び居住費を明記するとともに、主務大臣が技能実習計画を認定する際の基準として、技能実習生に対する報酬の額が日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であることを明記することとしております。

 第二に、外国人技能実習機構の業務として、技能実習を行うことが困難となった技能実習生であって引き続き技能実習を行うことを希望するものが技能実習を行うことができるよう、技能実習生からの相談に応じ、必要な情報の提供、助言その他の援助を行うとともに、実習実施者、監理団体その他関係者に対する必要な指導及び助言を行う業務を明記することとしております。

 第三に、施行期日を「平成二十八年三月三十一日までの間において政令で定める日」から「公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日」に改めるとともに、その他所要の規定を整理することとしております。

 以上が、この修正案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ、御審議の上、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

 以上です。

葉梨委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

葉梨委員長 この際、お諮りいたします。

 両案及び修正案審査のため、本日、政府参考人として法務省入国管理局長井上宏君、厚生労働省大臣官房審議官堀江裕君及び厚生労働省職業能力開発局長宮川晃君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

葉梨委員長 これより両案及び修正案に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。笹川博義君。

笹川委員 自由民主党の笹川博義です。

 きょうは、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございました。

 それでは、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、外国人技能実習機構についてであります。

 昨日の委員会においても、参考人から幾つか指摘事項がございました。特に、新たに設置される外国人技能実習機構について、今後の運用、これに対する評価に直結すると思いますが、やはりこれは、いずれにしても、外国人労働者、日本全国平等に四十七都道府県あるわけではございませんので、そういう意味では若干、我が群馬県においても偏りはあります。

 そういう中において機構を設置し、その中で、やはり適正な職員の配置ができるかということが大きな課題になろうかと思いますが、ここで、その職員の配置の基準等について御説明をいただければというふうに思います。

宮川政府参考人 外国人技能実習機構の組織体制につきましては、本部及び全国十三カ所の地方事務所を設置することとしておりまして、合計三百三十名程度の体制を予定しておりますが、その内訳といたしましては、本部約八十名、地方事務所約二百五十名というふうになってございます。

 特に、地方事務所の職員につきましては、監理団体の数あるいは地理的な特性というものなどを総合的に勘案して配置したいと考えておりまして、各地域において見込まれる業務量に対応できるものを考えていきたいと考えております。

笹川委員 そうですね。いずれにいたしましても、業務量に対して適正な職員の配置、このことをしっかりやっておかないと、せっかく機構をつくったにもかかわらず、要望に応えられない、マンパワーが足りないんですというような言いわけでは、なかなか、せっかくの設置が意味がなくなるということでありますので、しっかりと現状を見ながらの適正な配置をお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、このたびの改正において、外国人の労働者の人権を守るという観点から、申告権について。

 これは先日の参考人からも高い評価をいただいたわけでありますが、やはり外国人労働者、異国の地でありますから、味方は一人でも多い方がいいわけであります。せっかくの権利でもありますので、これを有効に活用させてあげる、そういうことも大事だというふうに思います。

 今後の課題かと思いますが、やはり申告権を行使するに当たって、例えば弁護士さんですとかNPO法人の代表ですとか、そういう民間の方も含めて代理人という観点も必要なのではないかなというふうに思いますので、今回、申告権についての、代理人の活用についての御所見をお伺いできればというふうに思います。

井上政府参考人 委員御指摘の申告権は、本法案第四十九条の規定でございます。その第一項で、実習実施者や監理団体の役職員について、この法律やこれに基づく命令の規定に違反する事実がある場合に、技能実習生がその事実を主務大臣に申告することができることとし、第二項において、この申告をしたことを理由として、実習実施者や監理団体の役職員が技能実習生に対して不利益な取り扱いをすることを禁止する、そのような規定でございます。

 この規定は、実習実施者や監理団体から人権侵害や労働法令違反行為を受けるなどした技能実習生が、後難を恐れてためらうことなくそうした事実を申告できるようにするための規定でございます。

 したがいまして、基本的には技能実習生が直接申告することを想定しておりますが、代理人を介してする場合を排除すべき理由もなく、その趣旨に照らしまして、代理人を介しての申告も含むものと解しております。

笹川委員 今の御答弁、大変ありがとうございました。

 先日の参考人からもいろいろな指摘がありました。基本的には、やはり外国人労働者と雇用する側というのは、力関係でいえば、通常の我々日本人の会社の組織の中とは全く違うと言っても過言ではないわけですね。そういう意味において、今のような形で、代理人も含めてサポートしてあげることは大切なことだと思いますので、その辺の運用について、もう一度お伺いしますが、代理人を排除するものではないということでありますので、ちょっと明確にもう一度言っていただけますか。このことは非常に大切なことなんですよ。

井上政府参考人 代理人を介しての申告も認めるもの、そのように解しております。

笹川委員 ありがとうございました。

 続いてですが、申告を行った実習生等について、一時避難先を提供するということであります。

 私の地元でも、福祉法人がやっている施設として、家庭の中のDVの被害に遭った方が、どうしてもそこの場から逃げたい、いわゆるシェルターですね、そういう形で整備をして、駆け込み寺みたいな形があるんです。その場所についてはもちろん、DVを行使している旦那さんには秘匿していますので、話はいたしません、接触も禁じられますから。そういう配慮をなさるわけなんですが、実習生に一時避難先を提供ということが具体的にどのようなケースを想定しておられるのか、御説明をいただければと思います。

宮川政府参考人 お答えいたします。

 実習生に対します一時避難先の提供でございますが、これは、受け入れ機関による例えば人権侵害等が認められまして、当該受け入れ機関のもとで実習継続が困難と判断されるような場合には、新たに設立する外国人技能実習機構におきまして、一つは、実習生本人の希望も踏まえつつ、新たな実習先を確保するための連絡調整等の支援を行うわけですが、それにあわせまして、それまでの受け入れ機関が用意した宿舎に滞在し続けることが困難な事情があると認められる場合には、新たな受け入れ機関による宿舎の確保までの間の一時的に利用することができる宿泊先、これを機構が確保、提供しようと考えているところでございます。

笹川委員 具体的に宿泊というのは何を指しているのか。例えば、機構の方でアパートか何かを借り上げたり、そして提供するのか、それとも具体的にどこかのスペースを確保しておいて、いわゆる二十四時間体制じゃないけれども対応していくのか、そこら辺はいかがなんでしょうか。

宮川政府参考人 今のところ考えておりますのは、いわゆるホテル等の宿泊先、これをある程度確保しておいて、いつでも使えるような状況にし、必要に応じてそれを借り上げるというような形のものを考えております。

笹川委員 例えばホテルということになると、今言った二十四時間で考えたときに、対応できない時間帯があるはずなんですよ。そういう不測の事態のときの対応を考えたときに、その対応で十分いわゆる一時避難先としての機能を果たすのかということなんですが、その点についていかがですか。

宮川政府参考人 宿泊先の確保に当たりましては、今先生御指摘のような問題点もあろうかと思います。このあたり、各民間団体等でさまざまなノウハウがあるように聞いておりますので、そのようなノウハウをどのように活用できるかということもあわせて検討いたしまして、先生御指摘のような問題が起きないような形で対応していきたいと考えております。

笹川委員 そうですね、やはり機構だけでもなかなか大変だと思いますので、外国人労働者をサポートするさまざまな団体はありますし、そういう意味において、連携をしていくという考え方も一理あると思いますので、幅広く検討していただいて、こういうのは想定外ですと、想定外という言葉は何となくはやりの言葉ですけれども、想定外ということのないようにしていただければと思います。

 続いて、せんだっての委員会でも参考人から、さまざま、あしき事例についての説明がありました。今回この機構を設置、そして今回の改正によって、参考人からさまざまな事例が提示されましたが、そういう事例に対して速やかな対応ができるというふうにお考えなのかどうか、その御所見をちょっとお伺いさせてください。

井上政府参考人 昨日の参考人質疑におきまして、不当な低賃金による雇用や暴力等、さまざまな不適正な事例が紹介されたところでございます。

 新制度におきましては、外国人技能実習機構が、適法に、そして計画どおり適切に技能実習が行われているかなどを確認するため、実習実施者や監理団体の事業所の実地検査を行うことや、実習実施者、監理団体の役職員等に対して報告や帳簿書類の提出等を求めること、そのような権限が定められてございます。こうした実地検査や報告徴収等によりまして、不適正な事案を適切に把握することが可能になるものと考えております。

 また、もし万が一、機構が行う実地検査を拒む者がいれば、それは新たな計画の認定をしないということになるほか、必要に応じて主務大臣が既に認定した計画の取り消しを行うこと等によりまして、実習の継続や新たな技能実習生の受け入れを認めないこととなるところでございます。

 そしてさらに、機構には技能実習生に対する母国語相談窓口を整備して、不適正な事案の速やかな把握に努めることとしております。その相談で違法行為の端緒等が得られました場合には、速やかに実地検査等に及ぶことによりまして、事案の速やかな解決に資することができると考えてございます。

笹川委員 だから、大事なことは、今回の改正そして機構の設置によって、指摘のあった不適正な事例については速やかな対応ができるんだ、そしてこれを改善することができるということじゃないと意味がないわけであります。

 そう考えたときに、もう一点だけちょっと確認させていただきたいのは、例えば暴力行為があったということになったときには、これは別の法律の議論にもなるわけでありますので、そういう意味において、例えば警察とかそういうところの機関との連携も考えられるんでしょうか。

井上政府参考人 もちろん、個々の違法、犯罪行為があった場合には警察機関等に直接申告するなどしてその活動を得ることになるわけでございますが、今回、地域協議会というものを設けまして、その中で、国の機関、地方公共団体の機関等が技能実習の状況等についての情報を交換し合い、不適正な事案についての取り締まりの対策等も講ずるような場を設けることにしてございますので、そのような関係での連携も強めていきたいと考えております。

笹川委員 ぜひ、そのような形で、協議会についても有効に機能が発揮できるように取り組んでいただきたいというふうに思います。

 続きましては、この外国人技能実習制度について、職種についても範囲が広がりますので、今後、送り出し国がふえるという指摘もありますが、そうなってくると、使用言語についても幅が広がってくるわけでありますから、いわゆる多言語化ということになると思うんですね。

 この多言語化について、機構の設置、また法の改正の中でも大事な点として、やはり意思の疎通というのが大事でありますから、この多言語化についてどう今後対応をしていくのか、御所見をお伺いしたいんですが、恐らく、これは役所や機構だけでもだめだと思うんですよね。やはり地方自治体や民間の皆さんとの連携も私は大切だというふうに思っておりますので、その辺のことも含めながら御所見をお伺いしたいというふうに思います。

宮川政府参考人 お答えいたします。

 現在、実習生の相談窓口につきましては、委託事業によりまして、中国語、ベトナム語、フィリピン語、インドネシア語等といった使用する実習生数の多い言語で対応しているところでございます。

 新たに設置します外国人技能実習機構におきましては、これまでの方法を踏襲することとしておりますが、今後の実習生の使用言語の実情に応じて、適切な言語による相談体制を構築していきたいと考えております。

 また、あわせまして、今先生御指摘のありましたような相談体制構築に当たりましては、多国籍化する住民へのサービス提供等の経験あるいはノウハウがございます地方自治体ですとかあるいは民間機関、これとの連携は大変有益であると考えておりまして、今後、好事例の収集あるいは具体的な連携方策についてはしっかり検討してまいりたいと思っております。

笹川委員 ぜひよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 考えている以上に早い段階で多言語化というのが進む可能性もあるわけですので、その中でいきなり、余りメジャーじゃない、メジャーじゃないという言い方は不適切かもしれませんが、そういう形の中の、日本ではちょっと日常では余り聞くことのないような言語も可能性としてはなきにしもあらずでありますから、その辺の検討というものをしっかりとしながらやっていただきたいというふうに思います。

 それでは、技能実習制度についてなんですが、この技能実習制度で技能を修得し、母国に帰国後、修得した技能を活用するということが制度の趣旨であります。ただ、この制度については、残念ながら国内外において批判の声があることも事実であります。この批判の声に対して、どういう形でこの制度の有効性というものを説明していくのか、理解を深めるためにどう説明していくのかということを考えたときには、やはり実習生が母国に帰国後、本当に修得した技能を活用しているということの実態調査なり確認なりということが私は大切なことだというふうに思いますので、いわゆるこういう調査についてどのような御所見をお持ちなのか、お伺いをさせてください。

宮川政府参考人 お答えいたします。

 制度の趣旨に沿った技能等の移転が適切に行われているかということを確認することは、大変重要な課題だと思っております。

 その中で、帰国後フォローアップ調査は、帰国後の就職状況あるいは日本で修得した技能等の活用状況などの把握のために重要な役割を担っているものと考えております。この点で、現行のフォローアップ調査につきましては、種々の御指摘等もございますので、その御指摘を真摯に踏まえた上で、この調査の強化というものを通じまして、実習生の帰国後の動向の把握、その的確な把握に一層努めまして、今後の制度の改善あるいはよりよい運用につなげていけるよう、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。

笹川委員 非常に前向きな御答弁だったと思いますが、現状、今そのフォローアップについてはどのような形で行われているのか、説明できますか。

宮川政府参考人 現在は、帰国される方に、帰国後、郵送なりファクスその他の方法で調査の返答を出していただきたいという形で行っておりますが、既にこの委員会等でも御指摘がありますように、回収率がかなり低い状況でございます。特に最近ちょっと下がっているという状況でございます。

 このフォローアップ調査というのは、やはりその趣旨、目的からすると、御本人の自主的な意思に基づいて的確に行う必要がある、すなわち、監理団体ですとか送り出し機関が何らかの形で関与を強めていくと、その内容がゆがめられるおそれもあるという観点で、自主的な返答を求めるということは必要ではございますが、一方で、やはりある程度の回収率を上げていくということも重要な観点でございます。

 そういう観点で、今回、外国人技能実習機構、帰国する実習生への調査票の配付ですとか調査への理解、協力、これを、監理団体等に指導を強化するなり、送り出し機関との関係でも、送り出し国政府に協力を求めたり、こういうような取り組みを進めていきたいと考えております。

笹川委員 わかりました。

 確かに回収率で御指摘もあろうかと思います。それから、送り出し国それから機関について、特に送り出し機関について、余り過重に期待すると、加工したものが出てこられても、これはまた実態とはかけ離れたものになる可能性も、それは想定内ということになるかもしれませんので、いずれにいたしましても、この制度が、国内外の批判に対してしっかりとこういうものですという説明ができるように、やはり理解に資するように、しっかりとした調査をこれからも心がけていただきたいというふうに思います。

 さて、実習生が母国で活躍するにおいて、日本もさまざまな海外での経済プロジェクトをやっておりますが、そういうものとしっかりと連携をすることも大事なことではないのかというふうに思うんですね。

 ただ、法務省としてのお立場もございます。その中にあって、外務省、経産省、この横の連携も私は大事だというふうに思うんですね。そのことを少しずつやっていくことによって、この制度に対する国内外の批判に対しても、また説明できるものにもなるんじゃないのかなというふうに思うので、法務省としての御所見があれば、大臣、お伺いさせてください。

岩城国務大臣 技能実習制度は、人づくりを通じた発展途上国の支援につながるものでもありますし、いわばODAとその目的を同じゅうするものでもあるとも考えております。

 そこで、帰国された技能実習生に母国で活躍をしてもらうためには、ODAと同じように、送り出し国にも積極的に制度を活用していただく必要があると考えております。そのためには、送り出し国へ働きかけをするなど、そういったことにつきまして、外務省を初めとする関係省庁とよく連携をとっていくことが大事だと思っております。

 また、ほかの省庁との連携、経済産業省の話を委員がされましたけれども、そのことにつきましては、この法案では、事業所管大臣が中心となって構成される事業協議会や、先ほど局長から話がありました地域協議会、これは地域における技能実習に関係する国の機関及び地方自治体等によって構成されるものでありますけれども、こういった地域協議会も組織することが規定されておりますので、これらを活用することで、より適切に技能の修得が行われるよう、関係機関との連携の強化を図ってまいりたいと考えております。

笹川委員 ありがとうございました。

 なかなか、法務省は経済プログラムを実際に実施する所管ではありませんが、しかし、やはり外国人労働者の我が国においての窓口としての役割もありますので、ある意味、この制度の批判というものは、どちらかというと法務省さんの方が波が大きいわけでありますから、そういうことも含めて、ぜひ、他の省庁さんとも連携をこれからもなお一層深めてやっていただきたいというふうに思います。そのことで、国内外のこの制度に対する理解が深まるというふうに思いますので、お願い申し上げます。

 さて、多文化共生社会の実現に向けてということであります。

 外国人労働者がいわゆる日本で働くということは、地域社会にとっては、住民になって生活者の一員になるわけですね。ただ、これは、何の資格で来ようが実は地方にとっては余り関係ないんですよ、技能実習だろうが何だろうが。地域にとっては生活者であり、住民であります。

 だから、その中にあって、実は地方自治体というのは、日々の身近な行政サービスを提供するに当たっては、特に外国人労働者にとってはこの日本、我々にとっては日常、平凡なことでも、異なった生活文化なわけでありますので、さまざまなことを説明して納得してもらわなきゃならない。ですので、地方自治体というのは、多様な課題に直面をして苦慮して対応しているのも、またこれは現実なわけであります。

 私の地元の大泉町は、外国人の集住会議の中の主要メンバーでもありまして、おおよそ人口が四万二千なんですよ。四万二千のうち外国人が六千七百、大体一六%が外国の方なんですよ。

 さっき多言語化という話をしましたけれども、大泉町、何と五十三カ国なんですよ、国数でいうと。ただ、これは、バブルのときにブラジル、いわゆる日系ですね、そういう方たちが入ってくれたので、全体でいうと大体八割ぐらいが南米系の方なんですよ。しかし、それでも、だんだんやはりそのほかの地域の人がふえてきているわけですね。

 その中で大変苦慮しているということであって、昨年も、実は大泉町の村山俊明町長がわざわざ東京までおいでいただいて、地元の小さな自治体として非常に対応に苦慮していると。特に、今言ったようにブラジルの方が多いもので、ブラジルの大統領選挙の投票所にもなったんですよ。そのとき、別に国から何の援助もなかった。町の予算で交通整理だ何だ、投票所だ何だということなんですよ。

 そういう意味において、さまざまな問題を抱えているにもかかわらず、これは地方自治体から見て、国は縦割り行政であって、こっちの問題はあっちです、そこの問題はこっちですというようなことなんですね。できれば窓口を一本化してもらいたいという声も非常に強いんですね。これは、外国人集住会議の中でも大方の皆さん方はそういう御意見であります。

 そこで、大臣にお伺いしたいのは、今回の改正で、多文化共生社会の実現に向けてどのような貢献ができるのか、その辺についてのお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

岩城国務大臣 今、大泉町の例をおとりになられて、多文化共生社会、その実現に向けた取り組みといいますか、法務省はどう考えておるかというおただしだったと思います。

 技能実習生が我が国で充実した実習を行うためには、実習の場面だけではなく、生活の場面におきましても、我が国の人々との触れ合い、あるいは文化に多く接することが非常に意義のあることでありまして、その役割を地域社会にできれば担っていただける、それが望ましい姿であろうと考えております。

 また、地域社会が技能実習生を受け入れ、互いに理解し合い、共生するための取り組みは、地域住民にとりましても、他国の文化に触れ、国際感覚を養う機会となるものと考えております。

 この点、現在でも、例えば地元の自治体の皆様あるいは民間団体の皆様が技能実習生とのさまざまな交流会を催すなど、各地でいろいろな自主的取り組みがなされておりますが、新しい制度におきましては、これらをさらに推進してまいるために後押しをしてまいりたいと考えております。

 例えば、法務省・厚生労働省合同有識者懇談会報告書でも指摘されておりますように、実習生と地域社会との共生に取り組んでいることを優良な監理団体及び実習実施者としての評価要素の一つとして位置づけることによりまして、共生のための自主的な取り組みがさらに広がるようにしていきたいとも考えております。

笹川委員 ありがとうございました。

 そうですね。受け入れ団体の方でも積極的に地域社会に貢献をするということは大切なことでありますので、それを後押しするという今度の制度についてのあれでございますので、その辺については、法務省さんの御決断というか、やっていただけるということでありますから、それはしっかりと、法務省さんとしてなお一層ぜひ後押しをしていただきたいと思います。

 もう時間の方も参りました。最後にお願いなんですが、これは直接、技能実習制度にはかかわりはございません。しかし、例えば鬼怒川の決壊のときに、茨城・常総市、ここにも外国人の労働者がいたんですよ。それで、大泉町からも通訳なりなんなりの人員を派遣してお手伝いをさせていただきました。それからまた、外国人の未払いの医療費の問題も実はございまして、これは医療機関と市町村、県が負担をしているわけなんですね。そういう問題が実はあります。

 だから、そういうことをやはりもう少し念頭に置いて、経済的なところだけじゃなくて、ぜひ外国人の労働者の問題というものをお考えいただいて、心の片隅に置いておいていただきたいということを強く要望させていただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

葉梨委員長 以上で笹川博義君の質疑は終了いたしました。

 次に、井出庸生君。

井出委員 民進党、信州長野の井出庸生です。きょうもよろしくお願いをいたします。

 最近、インターネットでは、何か、すばらしい対応であるとかそういうものを神対応と。私は余り使わない言葉なんですが。ぜひきょうは神答弁をよろしくお願いしたいとまず申し上げて、質問に入ってまいります。

 先ほど笹川先生から実習機構の体制についての御質問があったので、私もちょっと関連でそこから入りたいのですが、本部八十名、地方事務所等十三カ所、二百五十名、三百三十名体制だと。現状、二十万人近く実習生がいる、制度の拡充、拡大、ふえる要素も十分考えられる中で、それで果たして人員が足りていくのかどうか、そこのところ、まず局長にその見通しを伺いたいと思います。

宮川政府参考人 お答えいたします。

 外国人技能実習機構につきましては、本部及び全国十三カ所の地方事務所の設置ということで、本部約八十名、地方事務所約二百五十名、合計三百三十名程度の体制を予定しているところでございます。

 このような中で、地方事務所に厚く二百五十名配置し、監理団体につきましては年一回、実習実施機関につきましては三年に一回の実地検査ができるような体制をとるという形で、このような体制を考えているところでございます。

井出委員 監理団体は一年に一回、実習機関は三年に一回と。特に実習機関の三年に一回というところは、この法律の制定を機に制度を適正に運用していく、特に待遇の問題ですとか労働関係の違反がないかとか、そういうところをやっていく上では、三年に一回というのはやはりどうしても不十分ではないかと思わざるを得ないのであります。

 実習機構と多少関連性があるかなというところで、二〇二〇年までの特別な措置として、今、建設業の方で実習生の受け入れが進んでおりますが、そこを一般財団法人国際建設技能振興機構というところがやっております。監理団体がたしか百数十で、その国際建設技能振興機構が対象としているのは、優良で、さらに二年、期間の延長が認められたところですので、数は少ないと聞いておりますが、機構が一年やってみて、その機構にこの間話を聞いたら、そこは、少なくとも監理団体は一年に一回やったと。そこの企業についても、全てではないんですけれども、私が数字を聞いた限りでは、六割、七割、この一年でチェックをしていただいているな、それは大変結構なことだなと受けとめたんです。

 そこの体制が当初どうで、どうなってきたのか、そのあたり、もし御存じであれば教えてください。

宮川政府参考人 今御指摘の建設業関係のものにつきましては、国土交通省所管ということで、私どもとして詳しく承知しているところはございません。

 外国人技能実習機構につきまして三年に一度といたしましたのは、まず監理団体につきましては、制度の適正化という意味で、今回、監理団体の役割を非常に重く考えておりまして、その役割が極めて重要であるという観点から、年に一回は行こうと。実習実施者に対しましては、優良な方を除けば三年間が技能実習の一つのクールということであれば、実習中に一回実地検査が行われるということを考えて、三年に一回としたところでございます。

井出委員 その三年に一回というところが、これまでの議論で、実習先と何かトラブルがあって、やむにやまれぬ事情があったときは、例えば、外国人実習生を受け入れたら御近所からうるさいと苦情が来た、そういうときは転籍を認めたというようなお話もありました。そういうことにこれからも対応していただくためには、やはり三年に一度というところは何とか改善をお願いしたいと思います。

 私が今お話をした国交省所管の国際建設技能振興機構というところは、当初、何か三人の体制で始まったと。国交省からいらっしゃっているKさんという方と三人で始まって、一体どうしたのか。その国交省から来た方が、まず、お知り合いの行政書士を仲間に入れて、三人体制で始まった。それから、三人でそんなチェックなど到底無理だということで、その皆さんの人脈を使って、行政書士、社労士、そういう方を地方は契約で確保している。本部十名、地方二十四名、地方は、行政書士、社労士、大半が契約であると聞いております。

 地方を見ますと、行政書士、社労士の資格を持っていて、もう第一線でのお仕事をのかれて、仕事を半分やって半分は畑をやっていたり、そういう方がいらっしゃるので、契約でやってもらうということは人の確保ができない中では大変助かっている、そういうお話がありました。当初、地方に拠点はゼロでして、最近ようやく、広島、愛知の建設関係の受け入れ先が多いということで、何か試験的に連絡所というものを設けたと聞いております。

 この仕組みを聞いていて、そういう地方の人材を活用していく、この三百三十人でやれるだけのことをやっていただくのはもちろんなんですけれども、やはり臨機応変に、特に、今回の法改正で制度がより適正なものとなっていくんだ、実習生のトラブル、そういう違反事例なんかに対してもきちっと向き合っていくんだ、そういうことであれば、ぜひ、この国際建設技能振興機構がやっているような人材確保の方法というものも、この機構は皆さんの個人の人脈で始められた。別に個人の人脈でやる必要は全くないと思いますけれども、そうやって人材をうまく活用して、むしろ調査をきちっと充実させていくということを提案させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

宮川政府参考人 先生御指摘の行政書士ですとか社労士といったような専門的な知識、資格を持たれた方の活用という点でございます。

 まず一つは機構の職員の問題でございますが、先ほど申しましたように三百三十名という体制でやらせていただこうと思っていますが、新制度の施行当初から業務が円滑あるいは的確に遂行できるように、一つは、法務、厚生労働両省から適切な人員を出向させるとともに、実地検査等の機構の業務に関し、適性や能力を有する職員を採用していくという観点を想定してございます。御指摘の行政書士ですとか社労士といった方々はそういう意味での専門的な知識をお持ちであるというふうに理解いたしますれば、その適性や能力を踏まえて、職員としての採用ということは十分あり得るのではなかろうかなと考えております。

 一方、実地検査等の業務、具体的に言えば、計画の認定、それからあと、実際に事業場に入って検査をする、こういう業務につきましては、この法律の八十八条に業務の委託という規定がございまして、機構は主務大臣の認可を受けて業務の一部を委託することができる規定があるんですが、その中で、機構は、技能実習に関する計画の認定とか事実関係の調査、これは国のかわりにやるという公権力の行使的な問題でございますので、この部分については委託をすることができない形になってございます。

 そういう趣旨で、先ほどの契約という形のものがどういう契約なのかは私も承知しておりませんので何とも申し上げられませんけれども、実地検査等の主務大臣が機構に行わせている業務、これにつきましては第三者に業務委託はできない、すなわち、社労士や行政書士という資格の中での業務として、いわゆる業務委託という形のものはできないと理解しているところでございます。

 しかしながら、一方で、それ以外の業務につきましてはそういう専門家の方を活用することはできますので、どのような形でこの法律に違反しない形で業務に参画していただけるかというのは、今後考えていきたいと思っております。

井出委員 たしか四月二十六日の法務、厚労の連合審査で、井上さんの御答弁だったと思うんですが、これまで、JITCOですけれども、基本的にはパトロール的なことはやってこなかった、そういう答弁があったやに記憶をしているんです。これから、制度のより適正化ということを踏まえれば、これまで基本的にやってこなかったパトロール的なものも当然必要になってくると私は思っておりますが、その認識がおありかどうか。

 それをやる際に、必ずしも正規の職員で対応できない部分、そこを、そうやって地方の人材、地方の行政書士会ですとか社労士の会の皆さんですとか、そういうところと連携しながらやっていただいてもいいと思うんですよ。私は、そういうところを柔軟にやっていただいて、何か問題があったところだけ労働基準監督署と入国管理局の両方の人が行って、同じことを聞いて帰ってくるというのが現状のように聞いているケースもございますので、そうした地方の人材を活用してパトロール的なものをやっていく、ぜひちょっとそういう計画というか運びを検討していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

宮川政府参考人 お答えいたします。

 外国人技能実習機構におきましては、先ほど申しましたように、実地検査という形で、適正な事業運営が行われているか、実地に訪問して検査をする、先生が言うところのパトロールに相当するものだと思っております。その際、技能実習法違反などの不適正な事案を把握した場合には、是正を指導し、改善を求めるという適切な対応をしていきたいと思っております。

 このような形の中で、先ほど申しましたように、これはいわば国の権限、国の業務、そういうものをいわば一部代行しているようなものでございますので、この法律の八十八条一項の中で、業務は主務大臣の認可を受ければ委託をすることができるんですけれども、計画の認定にかかわる事務ですとか事実関係の調査そのもの、そういうものについては機構みずからが行うことという整理をさせていただいているところでございます。

 したがいまして、先ほど申しましたように、行政書士あるいは社労士の方々は、当然のことながらさまざまな専門的な知見をお持ちでございます。地元に根を張った形でのさまざまな活動をされていると思います。どのような形で外国人技能実習機構との連携が図れるかについては、今後検討していきたいと思っております。

井出委員 基本的にパトロールを行っていないというのは、二十六日の連合審査で我が党の岡本委員が質問されたときに答弁をされております。今、パトロールはやっていくけれども、八十八条一項の規定で自分たちでやらなきゃいけないということだと思いますが、そこをやってみて、法律を審議しながら、いや、何かあったら変えればいいんだよと今言うのも変ですけれども、そこは、ぜひ中身の充実ということをとっていっていただきたいと思います。

 それと、今、宮川さんからもお話があったんですが、厚生労働省と法務省の現役出向、それから民間の適材適所の人材を登用する、過去にもそういう答弁があるんですが、一つちょっと伺いたいのは、法務省関係ですね、人権擁護局からの現役出向はあるのかないのか。

 それともう一つは、これは、建設関係であればやはり建設にたけた省庁、農業関係であれば農林水産省と、そうした技能実習の受け入れの大きいところについては、やはりその専門性というものも考慮した人選というものが必要ではないかなと。必ずしもこの仕組みを法務省と厚労省だけがやらなければいけないというルールはないと私は思うんですよ。そこのところはいかがでしょうか。

宮川政府参考人 ただいまの御質問のうちの、他省庁からの出向等の検討ということでお答えさせていただきます。

 私どもも、この人員を確保するに当たりましては、それぞれの専門的な知見を持たれているいわゆる公務員が適材適所という形でどんどん集まっていただきたいというふうに考えているところでございます。特に、入管行政、あるいは労働関係法規を担当している労働官署の職員におきましては、それぞれ労働あるいは入国管理という面での知識、知見に富み、かつ、事業主へのいわゆる立入調査的な問題その他にたけているという点で大変適切ではなかろうかと思っておりますが、今先生のおっしゃられたようなそれぞれの業所管という観点でのものがあり得るかどうかということについては、それぞれの役所の方に問いかけていくという形になろうかと思います。

 ただ、これは、基本的には実地検査と認定という形の業務でございますので、やはり法務、厚生労働両省が、現役出向の中心はこの二省になるのではなかろうかなと思っておりますが、いずれにしても、ちょっと幅広く各省には声をかけていきたいと思っております。

井出委員 井上さん、ぜひ人権擁護局からも現役出向を検討していただきたいと思います。

 次に、体制の面を今いろいろ質問させていただきました。パトロールをやっていくというところは今お話をいただいたと思いますので、待遇の話をもう一度改めてさせていただきたいのです。

 日本人と同等以上、そこのところで、それは一体何ぞやと。きのうの参考人質疑でも私も質問させていただいたんですが、その中で参考人の方がおっしゃっていた話として、中には、最低賃金で人を紹介できます、そういうようなことをうたっている監理団体もあります、そういうことをおっしゃった参考人の方がいらっしゃいましたが、そういううたい文句というのは許容されるものなのか。私の考えからすれば、そんなものは即はねなきゃいけないのではないかと思いますが、まずその点についての見解をいただきたいと思います。

宮川政府参考人 技能実習生の待遇についてのお尋ねがございました。

 現行の入管法令におきましては、日本人が従事する場合の報酬と同等額以上であることと定められているところでございますが、新制度におきましても、この内容を引き継いで、その実効性を高めていくことといたしております。

 具体的には、実習実施者が技能実習計画の認定を申請する際に、日本人が従事する場合の報酬と同等額以上であることについて外国人技能実習機構に対する説明責任を課し、仮にこれが果たされない場合には技能実習計画の認定を行わないこととしている。そして、技能実習計画の認定後におきましても、実習実施者が、認定を受けた技能実習計画に従って日本人との同等処遇を担保していないと認められる場合には是正指導あるいは改善命令、これに従わない場合には既に認定を受けた計画の取り消しにもつなげることなどによって、実効性を担保していくこととしております。

 したがいまして、先ほど先生のお話がありましたような、最低賃金で使えるというような趣旨のものを仮に今後監理団体が行うということであれば、当然のことながら是正指導の対象になるというふうに考えております。

井出委員 ぜひ、今お話があったことを、実効性を高めていただきたい。特に、説明責任は当然やっていただいて、実際その説明どおりになっているか、結果を見ていく。そこは、先ほど申し上げましたパトロールも含めて、実地検査、予告なしのものも含めて、きちっと御検討をいただきたいと思います。

 それから、やはり、日本人と同等以上、その定義が非常に難しいということはここでも議論になってきたとおりなんですが、きのうの参考人質疑の中で、鳥井参考人が冒頭に、厚生労働省の毎月勤労統計調査、賃金構造基本統計調査というものもあるし、総務省の労働力調査、人事院や人事委員会が出している職種別民間給与実態調査、国税庁も民間給与実態統計調査と、それぞれ目的に沿って調査をされていると思うんですが、ただ、それを一つの参考には十分できるんじゃないかと。

 それぞれの調査にはそれぞれの目的がありますから、何かその一つの調査をかちっとこちらに流用させていただくというわけにはいかないと思いますが、参考にした運用、計画の認定というものは考えられると思いますが、その点についてはいかがでしょうか。

宮川政府参考人 計画の認定に当たりましての最低限の基準という観点からすれば、今先生御指摘のあったようなさまざまな統計は、それぞれの趣旨、目的があり、原則的には、それぞれの数字というのはいわば平均とかさまざまな代表をあらわしているものでございまして、認定に当たっての基準として使えるかどうかという観点で見ますれば、企業におきます賃金と申しますのが、企業規模ですとか個々の労働者に求められる役割や責任の大きさ、これは千差万別でございますので、そういう企業横断的な意味での基準というものを、参考という形のものであったとしても、それは参考というものが基準とどういう関係になるのかという点もございます。そういう意味で、これを一律の基準という形でつくるのはなかなか困難な点は、先生御指摘のとおりだと思っております。

 いずれにいたしましても、いわゆる世間相場としてのさまざまな数字は頭に入れつつ、その際に、説明がきちっと説明としてなっているのかどうか、説明責任を果たしているかどうかという観点で認定に当たっていくべきものと考えております。

井出委員 そうした数字を頭に入れつつ、説明を聞いて計画を認定する、今、そういうお話をしていただきました。

 そうしますれば、やはり、それがきちっと実行されているか、実地検査というものにはこれまで以上に重きを置かなければ、どんなに説明責任だけ課しても、せっかくそこで高度な説明責任を課しても効果がなければだめですので、実地検査というところにはしっかり重きを置いていただきたいと思います。

 それと、もう一つ待遇の関係で、きのう参考人の方からお話があったんですが、建設業もそうですし、農業、漁業などもそうですが、雨が降れば仕事がない。そうしたときに、きのう実例として二万四千円の明細が出てきました。二万四千円は少な過ぎて、もうちょっと差っ引くはずの作業服代とかが未納、そういうようなお話もあったんですが、ちょっと、建設業に関しては基本的なところをチェックしておかなければいけないと思うんです。

 そもそも、あの事例を個別にどうですかと聞けば、それは不適切な事案ですとお答えになるのかと思うんですけれども、待遇、お金の支払いの方は、日当でそういうものを決めているからああいう問題になるのかなとも思うんです。

 計画の中で、給与の支払いというもの、日当というものを一体どこまで認められるものなのか、その点について教えていただきたいと思います。

宮川政府参考人 労働契約におきましては、当然のことながら、勤務日数というのが勤務時間とともに決められるものと承知しております。

 したがいまして、例えば、今先生の御指摘がありましたように、もともと週五日の実習、勤務ということを予定しているにもかかわらず、実際、例えば月に数日しか働いていないというような状況で、少額な報酬だということにつきましては、法律でいいますれば十六条一項一号に当たります、実習実施者が認定計画に従って技能実習を行わせていないという評価ができる場合があるのではなかろうかと思っております。それが認められますれば、改善指導あるいは計画の取り消しなど適切な対応を図っていくべきものだと考えているところでございます。

井出委員 お認めになった計画がきちっと実行されているか、そういうところを本当に丁寧にチェックしていただかなければ、法律の文面だけ変えても大丈夫なのかなと。そういうところは今まだ大変心配をしております。

 待遇については日本人と同等以上、その定義は極めて難しい、計画段階で何とかそれをきちっと厳正に認めると。計画が実施されているかどうか、この待遇面はまさに技能実習が始まってからの実地検査、計画のチェックにかかっている、そういうふうに思っておりますので、そこのところに重きを置いてやっていただきたい、そういうふうに思います。

 それから次に、二国間取り決めのことを伺います。

 二国間取り決めは、取り決めを速やかに作成すると。ただ、これまでの答弁ですと、取り決めができなかったからだめですとか、必ずしもそういう話ではない、現実として動いているものもありますし、できるだけやっていきますということなんです。

 きのう参考人の方にも私はちょっとお伺いしましたし、この外国人技能実習制度に期待をしているいろいろな、農業分野、建設分野、介護分野の方もいらっしゃいますが、そういう皆さんにとっても、やはり二国間の公式な取り決め、きのう参考人でいらっしゃった上林さんは、送り出し機関側にとってのビジネスの信用性となりますというお話もありましたが、やはり二国間取り決めがあれば、日本側の受け入れを検討するところも、海外とのルールが決まっているというのであれば取り組みもしやすいと思います。そういう点からしてもこの二国間取り決めは非常に重要だと思いますので、そのことについて答弁をいただきたいのが一つ。

 あともう一つ、具体的に、アンケートのフォローアップ調査、これも二国間取り決めで目標設定をして入れろというような議論が厚労との連合審査でもあったんですが、あのときちょっと一つ気になったのは、一応二〇%という目標がある。しかし、その後、塩崎大臣が出てこられて、いや、私は二〇%じゃ低過ぎると思っておりますというような答弁をして、そこでむにゃむにゃになってしまったんです。

 二国間取り決めの重要性と、アンケート調査、フォローアップを二国間取り決めにきちっと書けるのか、そして、では目標は一体どういう数字を置くのか、そのことについてそれぞれ伺いたいと思います。

井上政府参考人 まず、二国間取り決めの重要性につきましては、委員御指摘のとおり、どうしても外国におけることでございますので、我が国の法律によるいろいろな規制というものが直接及ばないという限界がございますので、送り出し国政府の協力を得て、送り出し国の国内法に基づくいろいろな認定活動を行っていただいて送り出し機関の適正化を図っていくことは全く重要でございますので、この法案の成立後速やかに、各送り出し国の当局に対して法改正の内容や制度の適正化に向けた我が方の考え方を説明し、取り決めの作成に向けた交渉を速やかに開始し、できるだけ早期に成案を得ていきたいと考えてございます。

 そして、成案ができるまでも、相手国があることでございますので、場合によりますが、若干の期間を要することは仕方がないことであろうと思いますが、その間も、我が国の方でできることといたしまして、監理団体と送り出し機関との間の契約でございますとか、いろいろなところで、直接こちらの日本国内で確認できることを厳格に丁寧に、慎重に確認していくことによりまして、不適正な送り出し機関を排除しつつ、速やかな二国間取り決めの成立にこぎつけていきたいと考えております。

 以上でございます。

宮川政府参考人 フォローアップ調査でございますが、先ほども答弁させていただきましたとおり、帰国した実習生につきまして、日本で修得した技能の活用状況などを把握するために有効なものであり、その回収率を高めていくことは非常に重要だと考えております。

 そのため、一つは、今回の法案で設立します外国人技能実習機構が、国内の監理団体や実習実施者に対しまして、帰国する実習生への調査票の配付や調査への理解、協力を求めるよう、機構からそれらの者に対して指導するというのが一点でございますが、もう一点、先ほど先生からの御指摘もありましたように、送り出し国との二国間取り決めによりまして、送り出し国政府及び送り出し機関への協力を求め、帰国後の実習生に回答、返信を強く働きかけてもらうということをしたいと考えているところでございます。

 これらによりまして、法案の成立後、二国間取り決めを交わしました送り出し国におきましては、送り出し機関への周知、指導に要する期間も考慮し、当該取り決めの発効の翌年度から、帰国する実習生を対象に、フォローアップ調査の回答割合ができる限り高くなるよう取り組んでまいりたいと思っております。

 その上で、全体としての回収率の目標につきましても、現状の目標値二〇%を上回るような形のものにしたい、検討してまいりたいと思っております。

井出委員 二十六日に塩崎大臣は、二〇%じゃ低過ぎるぞと思っていたので、何か最初答弁しなかったんですよね、数字を。それで、どうしてだ、役人は二〇%と答えたのに何であんたは言わないんだと聞かれて、いや、私は低過ぎると思っているんですというお話がありましたので、二〇%を相当上回らないと大臣も満足しないと思いますので、そこは重要な課題であるということを申し上げておきます。

 それから、きょうはちょっと時間をとって介護の関係を聞いていきたいと思います。

 技能実習で介護が加わることについて、さまざまな懸念はこれまで言われてきたとおりです。それに対して、平成二十七年二月に、外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会が中間まとめを出した。その中に、介護職のイメージ低下を招かないようにする、外国人について日本人と同様の処遇、日本人労働者の処遇、労働環境の改善努力が損なわれないようにする、もう一つ、介護は対人サービスであり、また公的財源が提供されていることを踏まえれば、その質を担保して利用者の不安を招かないようにする、このことが極めて大事であって、それについて七つの大項目で具体的な提案をしております。

 それについて少し伺っていきたいのですが、まずはやはり言葉の問題です。

 基本的な日本語を理解することのできるN4、この水準を入国のときの基準として課し、さらに、もう一段上のN3ですか、指示のもとであれば決められた手順に従って基本的な介護を実践できる、これを望ましい水準として個々の事業者や実習生の自主的な努力を求め、二年目の業務への円滑な移行を図ると。

 これは、入ってくるときは基本的な日本語を理解するN4でいい、だけれども、その一段上が望ましいから、個々の事業者や実習生は頑張ってください、そういうことだと思いますが、これは、送り出し側、国、機関、それから、日本に来たときの最初の二カ月間の研修する場所、そこの日本語に対する取り組みというものも当然のごとく重要であって、さっき伺った二国間取り決めに入れてもいいぐらいの、日本語をきちっと学んでくるような、そういう仕組みをつくってスタートするぐらいの慎重なスタートが今望まれているのではないかと思います。

 入国の準備、送り出し側も含めた日本語教育の準備についてどのようにやっていかれるのか、お考えを聞きたいと思います。

堀江政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のように、具体的に、一年目は、N4程度を要件としつつN3程度を望ましい水準とし、また、個々の事業者、実習生の自主的な努力を求めて、二年目の業務への、N3レベルへの円滑な移行を図るということでございまして、これには、選抜、どういう人をきちっと準備して送り出すようにするのか、それから、技能実習生に研修をする、それから、それだけではなくて、自律学習、御自分で勉強していただけるように促すそういう支援、それを自律学習の支援と呼びますが、今申し上げましたように、来ていただく人を選ぶ際、それからその人たちへの研修を行うこと、それから自律学習への支援というようなことでもって所要の水準に行くようにしていくことが大事なんだと思っております。

 確実に二年目に移行できるようにしていただくことが求められているという点では、委員と思いを一緒にしているものだと思っております。

井出委員 今既に実施をされているEPAですとか、これから新たに在留資格で加わる介護の方は、ある程度勉強というものがきちっと想定されておりますし、この間、視察に行った際会った、介護施設で働いていた外国人の方は、週に一日、日本語を勉強する時間をいただいているというような話もありました。

 同じような仕組みがこの技能実習でもきちっとあればいいんですけれども、今までの答弁等を少し見ますと、EPAと比べると、何か、Eラーニングの環境整備とかをするというような答弁は拝見をしたことがあるんですけれども、私自身がEラーニングでベトナム語、中国語をやれと言われてもまず無理ですので、やはりきちっと教えていただくような環境というものを技能実習においてもきちっとつくっていただくということをもう一歩踏み込んでお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

堀江政府参考人 政府といたしまして、介護の職種追加がされた場合には、他の職員との会話の内容をほぼ理解できる程度の日本語能力が担保されるということが介護に特有の要請でございまして、今御質問の中でありましたEラーニングももちろんでございますけれども、入国当初の講習期間に集中的に日本語教育を行うプログラムを作成して就労開始後の学習負担が軽減されるようにするとか、あるいは、監理団体による日本語学習に関する相談、指導などの実習生の自律学習の支援といったようなことで、技能実習生が適切に日本語学習を行うことができる環境整備について具体的に検討していくことが大事だろうと思っております。

 先ほどお話しいただいたケアポートのところでも、私も別の機会に伺わせていただきましたけれども、やはりEPAでも、ほかの施設から回ってきてあそこの施設で勉強していただいたようなところがあるというようなこともございました。やはり、監理団体の方から受け入れ機関の方に、しっかりそういう自律的な学習の支援をしていただけるようにお願いしていただくようなことになるんじゃないかと思います。

井出委員 恐らく、日本語の学習に力を入れてくれるような受け入れ機関というのは、この間視察に行ったような、ああいう経営の割合しっかりとした、国際貢献で受け入れようとおっしゃっていましたので、そういうしっかりした経営とお気持ちがなきゃだめだと思いますし、忙しくて猫の手もかりたいんだ、そういうようなところで果たして日本語を教えるような時間と環境をつくってくれるのかということは、私は今、大変疑問に感じております。

 そこは、先ほど申し上げました実地検査もありますし、何年かしてきちっと見直すときに、これがだめだとなれば、やはりこれをある程度制度で決めていかないと。私は、今の時点でも制度で決めた方がいいぐらいに思っているんですね、二国間の取り決めで入れてもらってもいいんですけれども。そういう意味で、この日本語の能力については大変な憂慮がある。

 この中間まとめによれば、単に日本語を理解するだけじゃなくて、認知症の方もいる、基本的とはいえ専門用語もある、さらに言えば特定の方言もある、そこまで書いているわけであります。これは、法律ができれば全てオーケーということではなく、むしろ法律ができてやっとスタートというのが物事だと思いますので、日本語というものについては大変重きを置いていただきたいと思います。

 それから、日本語とも大変絡んでくるんですが、この中間まとめでは、技能実習生に対する適切な評価システムを構築していくことが重要だと。一年目、二年目、三年目、それから延長で五年ということが想定されるのであればということで、いろいろな基準をそれぞれ設けているんです。

 一つ、その前提で伺っておきたいのが、外国人技能実習生は、一対一の訪問的なサービスはその対象外になるとこの報告書で書いてあるんですけれども、それは技能実習生に関してはやらないということを今きちっと言っていただけるのか。それともう一つ、夜勤の問題は、一年目はやらないというようなことが書いてありますが、それ以降については少しはっきりしたところがございません。訪問系のサービスと夜勤についての見解を改めていただきたいと思います。

堀江政府参考人 今御指摘いただいたようなあれで、御指摘といいますか御質問の前のところにあったわけでございますけれども、受け入れる施設が開業したばかりで、この間御視察いただいたようなところと異なって、当初、人を集めたり、あるいは初めて高齢者の方を受け入れたりというようなことでばたばたしているようなところではいけないというようなこともありまして、開設後三年以上経過した施設とすべきというようなことも書かせていただいているところでございます。

 それから、訪問系サービスについては利用者と介護者が一対一で業務を行うことが基本だということでございまして、その特性といたしまして、訪問系サービスでは、まだ実習生でございますので、きちっと目も届きにくいというふうになってもいけませんので、それについては実習期間の中では見ない。それから、夜勤で一人でお任せするというふうなことがあって問題があってもいけないということの、防止という意味では、一年目については夜勤は控えていただいて、二年目以降については、指導者の体制などをしっかりと確保しながら進めていく、こういうことになるのではないかと思います。

井出委員 今、訪問系はしない、そういう一つの線引きをしていただいたのは大変いいと思うんですが、夜勤ですね。確かに、能力に応じて、できてくる人、できてこない人もいるのかもしれないんですが、この中間まとめでは、そもそも、指導体制がしっかりしていないと実習生を受け入れることはよくないと。

 後で聞こうと思っているんですけれども、そのため、介護固有の要件を設定すべきだ、小規模な受け入れ機関の場合は人数は常勤職員総数の一〇%だ、二十人だったら二人、十人に一人、しっかりと指導ができるようにと。その理屈は、私は、夜勤でも変わらないと思うんですよね。昼間は十人に一人の指導体制で、夜だけ二人に一人でいいという理屈は成り立たないと思いますし、むしろ夜の方がいろいろあるんじゃないかと思いますので、もう少し夜勤についても、それは、大変有能な実習生にとっては私の意見というのはちょっと酷な意見になってしまうんですが、でも、最初の実施ですから、やはり一定の運用状況というものが見えてくるまでは、夜勤も、一年と言わずもう少し、やらないとぴしっと線を引いていただけないかどうか、そこの点を伺いたいと思います。

    〔委員長退席、井野委員長代理着席〕

堀江政府参考人 今委員がお話しになった、最初ですからということについて申し上げますと、一回目の参考人質疑のときに、根本参考人が、根本参考人はこの座長をしていただいているわけでございまして、危険がない、少ない部分から少しずつソフトランディングしていく形とすべきというふうにお話しいただいているわけでございます。その感覚は私どもも共有しながら、ただ、いろいろ技能実習で、訪問系サービスはさすがにどうかな、相当慎重にということで、しないということですけれども、夜勤の部分については、しっかりとした体制が確保できるのであれば、それは否定し切るということでもないのではないかというふうに思っておりまして、一年目はしない、二年目以降については体制を整えて行う、こういうことだと考えてございます。

 いずれにいたしましても、制度を具体化する際にしっかりと検討をしていく、こういうことだと思います。

井出委員 ソフトランディングしていくというのは、外国人実習生を受け入れようとしている施設にとっては当然の気持ちだと思います。それはなぜかといえば、下手にたくさん、自分たちの指導能力以上の外国人を受け入れて事故でもあったら、その施設にとってはとんでもないことですので、ソフトランディングしていくというのは、受け入れ機関にとってはまず一番気をつけることだと思うのです。

 さはさりながら、やはり介護は、特に夜はいつ何どきどういうことがあるかわからない、そういう状況もありますので、ソフトランディングの意識というものを受け入れ機関だけが持っているだけではだめだ。計画の認定に当たって、やはり介護分野というものは、ある程度状況、結果が見えてくるまでは、計画の承認においてソフトランディングが必要である。それは果たして運用でできるのか、個別の計画の審査だけでできるのか、それとも、法律じゃないけれども、何か一定の基準をつくっておいていただいて、一律にソフトランディングを図れるようにしていく方が私はいいのかと思います。

 そういう意味で、夜勤の、今、一年目はしないというその線引きだけで果たしてそのソフトランディングのところが担保されるのか、そこはちょっと疑問でございますが、いかがでしょうか。

堀江政府参考人 実際にこの制度が施行される際には、それまでの間にいろいろ検討もしていくわけでございまして、今委員御指摘のように、いい施設の心構えだけに頼るのはどんなものか、そこの懸念があるのではないかということでございますけれども、厚生労働省の方では、よく業界団体とも連携いたしまして、しっかりと受け入れのガイドラインを作成して、二年目以降の技能実習生が夜勤をするような場合に問題が起きないような体制というのを、ガイドラインなりを通じて、受け入れ施設から監理団体、それから厚生労働省、そして実習生の皆さんで共有して進めていく、こういうふうなことではないかと考えております。

井出委員 そのガイドラインがどういうことになるのか、それは、私たちも、法律の議論だけじゃなくて、引き続き見続けなければいけないのかな、そういうふうに思います。

 先ほど、受け入れの施設が、まず、開所から三年たっている、三年を安定的に運営してきている施設から外国人実習生の受け入れを認めます、そういうお話がありまして、それもこの中間まとめに書いてあるんです。「実習実施機関は経営が一定程度安定している機関に限定すべきであり、その要件として、設立後三年以上経過した施設をその対象とすることが望ましい。」とあるんですけれども、三年だったらいいんですかというところなんですね。経営状態の安定というのであれば、三年たっていても三十年たっていても経営状態が悪かったら認めない、そういう判断もきちっとできるのかどうかというところを教えていただきたい。

 あと、三年以上経過した施設、安定している機関に限定すべきとあるんですが、これは、それぞれ固有の介護の施設なのか、それとも、例えば施設全体を運営している法人なのか、そこを伺いたいと思います。

堀江政府参考人 今の最後の部分の御質問からお答え申し上げますと、施設ということを基準に見ておりまして、法人単位で見ているものではございません。

 それから、「経営が一定程度安定している機関に限定すべきであり、その要件として、設立後三年以上経過した施設をその対象とすることが望ましい。」となっているわけでありますが、三年以上経過していることが望ましいはそのとおりでございますけれども、それが経営が安定していることの全てをあらわすかどうかというのは今後の検討だと思いますし、それだけではないんじゃないか。それこそ、経営状態が悪いところ、あるいは人数が足りないところに、人数というのは、職員の人数があっぷあっぷになっているようなことがあってもいけないわけでございまして、その辺は、あくまで技能実習生でございますので、そうしたところに負担がかかり過ぎないようにする、こういうことだと思います。

井出委員 今お話をいただいているようなことがきちっと実践されて、それからまた、ここにも書いてあるんですが、小規模な受け入れ機関、常勤職員数三十人以下、そのときは常勤職員総数の一〇%までとすると。そういうようなことを、ここに書いてあることをきちっと守っていただければ、実習制度が始まって急に日本じゅうの介護施設に外国人がふえるというようなことは、これをきちっと守っていただければないのかなというふうに私は今判断はしています。

 ただ、その一方で、建設ですとか縫製ですとか農業で、きのう参考人の方もたくさん不適切な事例の紹介がありましたが、そういった、介護で来てくれた人がある日突然みんないなくなっちゃった、気がついたら介護が必要な人だけがぽつんと一人そこにいたみたいなことはあってはならないことだと思いますし、ほかの業種でこれまで起こってきた問題からすれば、介護に対する懸念が非常に強いというのは皆さんにも十分御理解をいただけると思います。

 この中間まとめ、ここにもいろいろ、個別の要件として定めると書いてあれば、その一方で、何とかが望ましいというようなものもあるんですけれども、ここに具体的に書かれているものについてはきちっと守っていただけるのかどうか、そのことを明確に伺いたいと思います。

    〔井野委員長代理退席、委員長着席〕

堀江政府参考人 お答え申し上げます。

 報告書の中には本当にたくさんのことが書いてありますので、その中で一点を抽出してお答え申し上げれば、技能実習制度の中で対人サービスとして初めての職種追加の検討であるということから、より的確な対応が求められることを踏まえる必要があるということに尽きるのかなというふうに思っております。

 それを踏まえまして、累々のいろいろな関係の要件をこの報告書の中でまとめていただいていて、それをまた、いわゆる固有要件、技能実習制度全体に通ずる要件ではなくて、介護に関係する固有要件として制度実施までの間に適切に定めていく、こういうことになるんだろうというふうに考えております。

井出委員 この中間まとめが、固有要件という今おっしゃった単語を使って表現をしているのは、やはり人数の話ですね。小規模な受け入れ機関は常勤職員総数の一〇%までとする、常勤職員の範囲ですとか、さっきの夜勤も、一年目はやらない、二年目以降の実習生に限定するというところを書かれているんですが、それ以外の、先ほど議論の中で出てきました、安定した経営が望ましいですとか、あの七つの問題提起から、一枚紙に印刷してみたら七千字ぐらいあったんですけれども、やはりこれをきちっと守っていただく。

 法律は法律で大事です。ただ、これが、実態、運用面がよくなってもらわないと、介護の方の介護に対する懸念というもの、懸念が拭えれば、よかった、ではもう少し外国人と日本人でウイン・ウインの関係をさらに深めようということもできますけれども、最初ですから、実態、運用、現場においてはこっちの方が法律より大事だと私は思っております。

 ですから、ここに書いてある七千何百文字をきちっと守っていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

堀江政府参考人 今御指摘いただいた固有の要件というのは、何人まで受け入れるかというような受け入れ人数の上限もそうですし、それから、必要なコミュニケーション能力もその一部でございますし、また、移転対象とする業務の中で、しっかりと必須業務、身体に対する介護というようなものが十分に行われて、関連業務もありますけれども、周辺業務だけにならないようにしていくとか、それから各年の到達水準をきちっと明らかにしていくとか、そうしたもろもろの要請があるものだと思っておりまして、それを今後具体化していくという意味では、これらをしっかりまとめていくということになると考えてございます。

井出委員 しっかり守っていくことになると思いますと今言っていただいたので、そこもまた引き続きチェックをさせていただきたいと思います。

 次に、大事な転籍の話を私は一つすっ飛ばしておりまして、転籍についても伺いたいのです。

 先ほど申し上げましたが、井上局長が前の話で、近所の人がうるさいと言ったから転籍を認めたケースもありますと。大臣も過去の議論の中で、受け入れ先と実習生の相性、別に一〇〇%は無理ですけれども、相性の中にも問題とすべきものがあるという話がありまして、比較的、今の指針に書かれている、本人の責めによらない、そういうところから、私が議論でお願いをしてきました、決して自由気ままな移動ではなくて、やむを得ない事情があるときは転籍を認めるべきだ、そういう、少しそれに応えていただけるような答弁も出てきているのかなと思います。

 ただ、やむを得ない事情としても、例えば、倒産をしてしまった、不正行為があった、これは本人の責任ではございませんので、現行でも十分認められる部分だとは思いますが、パワハラとかセクハラもあるかもしれません、人間関係もあるかもしれません、そうした少し判断が必要なところですね、これは個別のケースですので基準を設けるということは難しいのかもしれませんが、そこにどうやって線を引いていくのか。

 もう一つは、当然、あいているところ、受け入れ先も見つけなければいけない。人間関係ですごく嫌な思いをしたんだけれども、受け入れ先がないから我慢してくれという話もあるかもしれませんし、いや、ちょっと何か文句を言われただけなんだけれども、受け入れ先があるからかわるというような、まあ、個別の事案ですので、それは結果論の相対的な比較で今お話ししているだけなんですけれども。

 そういう主観的な判断の要るところをどう考えるか、それから受け入れ先の確保というものをどう考えるかについてコメントをいただきたいと思います。

井上政府参考人 まず、判断のところの方から御説明を申し上げますと、やむを得ない事情があると認めるかどうかということでございます。

 現在の実習先で技能実習を継続させることが適正な技能実習という趣旨に沿わないと認められるような事情であるかどうかというようなこと、もう一つは、専ら本人の自分本位の都合によるものではないか否かなど、もろもろの事情をいろいろ的確に把握いたしました上で、結局は、技能実習制度の目的が適切に達せられるか否かの観点から総合的な判断になるというふうに最終的には言わざるを得ないかなと思ってございます。

 では、具体的にどのような場合か、もう少し具体的にお話しいたしますと、現行の指針におきましても、技能実習生の責めによらない事由によって技能実習が継続困難となった場合に転籍が認められる。例えば、委員も御指摘の、実習先の倒産でありますとか経営悪化、あるいは、実習先で人権侵害や不正行為、法令違反があった場合、さらには、実習先で労使間の問題が生じた場合なども継続困難な場合として対象としておるところでございます。

 今後は、さらにこれに加えまして、やむを得ない事情があると認められる場合の具体的な例といたしまして、例えば、実習実施者が明らかに指導力を欠いているなど、認定された技能実習計画の実施が見込まれない場合でありますとか、実習先の法令違反により技能実習計画が取り消されて欠格事由になってしまったような場合というのもございましょうし、さらに、例として時々出ておりました実習実施者との相性の問題でございます。相性が悪く、客観的にもこれは技能実習の継続が期待できないというような場合などにつきましても、その対象とすることについて検討していく必要があると考えてございます。

 あと、受け入れ先との関係でございますが、これは、最終的には民民の関係で受け入れ先がなければだめなことになりますが、それをどうやって探していくかという仕組みの問題であろうかと思います。

 第一次的には、実習実施者との関係で困難になっておれば、監理団体がまず転籍先、実習先を探していくことになりますし、そこでもうまく見つからない場合には、機構のいろいろな業務の中で把握しておる情報をもとに、あるいは監理団体に情報を提供して探してもらう場合もあるし、あるいは、監理団体が扱うのが適当でないケースであれば、例えば、技能実習生に、こういう受け入れ企業がありますよということで直接交渉してもらう。あるいは、それも期待できなければ、さらに一定の連絡調整、法律上許容される範囲内ということになりますけれども、できる限りのそういう支援をしていくということになろうと思います。

井出委員 今、やむを得ない事情についていろいろ例示をいただきまして、相性を例示されて、継続が期待できないときはやむを得ない事情と認めるという例示があったと思うんですけれども、やはり実習ですので、継続ということを一つ考えていただいたというのは、これまで議論してきた中で大変ありがたいお話かなと思うんです。

 そうしますと、何かあったときに転籍ができる。そのときに、実習生にそういうやむを得ない事情が発生してから探し出すのか。むしろ、機構ですとか監理団体は、特に監理団体などにやっていただきたいんですけれども、これは人数の受け入れ制限がありますから、その兼ね合いでも難しいところはあると思うんですけれども、監理団体にはぜひ、各受け入れ機関の余力、そういうものをあらかじめふだんからつかんでおくような、計画段階でも、一年間でどういう節目があるのか、それは業種等によって違うと思うんですけれども、あらかじめ、常に何かあったときに、監理団体が、あそこは余力があると言っていたな、そういうことが事前からわかるような取り組みというものを監理団体に求めていっていただかないと、せっかく指針を今の実態に合わせていただいているという理解だと思うんですけれども、その実効性が出てこないと思うんですよ、見つからなきゃだめだと今おっしゃったんですから。

 ですから、監理団体は、ふだんから実習機関の余力を把握しておく、そういうことをやっていただきたいとお願いしたいんですけれども、いかがでしょうか。

井上政府参考人 監理団体は、本来の業務として、定期的に実習実施者の監査をしていくわけでございます。その中で、今、何年目のどの段階の技能実習生が何人いるか、どういう状況でやっているか、あるいは、その受け入れ先のいろいろな経営状況といいましょうか、業務の状況の中で適正に実習が行えるかどうかということを常に見ているわけでございますので、自分が実習監理をしておる受け入れ先についての情報は、監査をする以上、監理団体がきちんと把握できる状況になってございますので、まず自分の、監理団体が持っている受け入れ先、実習実施者の中での実習先変更についてのいろいろな情報というのはしっかり持っているはずであるということでございます。

 さらに、ほかの監理団体の方との連携をどのようにとっていくかというのは今後の検討課題でございますが、技能実習制度をよりよくしていくためにどのような関係を構築していくのがいいのか、これから検討させていただきたいと思います。

井出委員 これまでの議論で井上さんがおっしゃっていたような自由気ままな移動ですとか、今おっしゃったような自己都合、そういうものまで認めてしまえば、やはり少し制度の根幹が変容を来すんじゃないか、そういう思いは私も理解をしています。

 ただ、やむを得ない事情というものを今例示していただきまして、そうしたものについて、きちっとふだんからあきを把握しておいて、少し実効性が変わってくれば、この技能実習制度に対する評価、特に、一カ所に押し込めて奴隷制度のようだと言われているような部分は、そうではなくなった、実際そういう運用になってみなきゃそういうことは言えないですけれども、そういう方向になるように、今回の法律制定を機に持っていきたいというのが私の強いお願いであります。

 それから、今度は入管法の改正について伺ってまいります。

 これも実習生との絡みも少し出ておりますが、在留資格の取り消しのところですね、二十二条の四関係。正当な理由がなく所定の活動を行っておらず、かつ、他の活動を行いまたは行おうとして在留している。この中で、実習実施者がやむを得ず一時的に実習ができない、そういうときに、これが不当に適用されるんじゃないか。そういうことはございませんということをこれまでも言っていただいているんですけれども、そこを、実際にどういう判断をしていくのか。見た目の現象面だけを捉えてしまうのか、それとも、きちっと話を聞いてやっていただけるのか。

 特に、在留資格の取り消しは、実習生に限らず慎重にやっていただきたいというのがまず総論なんですが、そこも含めて、不当に適用しないというところをどのように担保していくのか、そのあたりをお話しいただきたいと思います。

井上政府参考人 在留資格取り消し事由の新設についてのお尋ねでございまして、本来の活動を行っておらず、かつ、他の活動を行いまたは行おうとして在留しているということにつきまして、恣意的な運用が行われないことをどのように担保するかというお尋ねでございました。

 この場合、正当な理由がある場合はそもそも除かれるというところが恐らく一番大事な点になってくるかと思いますが、正当な理由がある場合には在留資格の取り消しの対象にならないということは、現在の取り消し事由、六号ですね、三カ月以上活動していないとき、その場合も、現在もある制度でございまして、そういう意味では、今も運用されておる除外事由でございます。

 それをどのように判断するかということにつきましては、現在は入国審査官が事実の調査を行いますが、今回法律でお認めいただければ、事案によっては警備官も事実の調査ができるようになります。そのように、入管側の職員が、関係者から事情を聞いたり、いろいろ帳簿書類等をチェックするなどして調べた事実の結果というのが一つございます。

 もう一つ、在留資格の取り消しは、法律の中に意見聴取という手続がきちんと定められておりまして、告知と聴聞の機会に当たると思います。ちゃんと期日を指定いたしまして、そこで言い分を十分に言えるようにする、証拠も出せる、そういう意見の聴取の機会を法律上設けなければならないことになってございまして、そこで対象者から出された意見の聴取結果というのも、もちろん、そこで十分に意見も聞いて、それもしんしゃくし、個別にもろもろの証拠を総合的に判断して、正当な理由が認められるかどうかを判断していくという慎重な手続をとるということになります。

 そして、今後、新しい在留資格の取り消し事由をお認めいただいた場合におきましては、入国審査官や入国警備官に対しまして、事実の調査や意見聴取を適切に行って正当な理由の有無を的確に判断するよう、もちろん改めて周知いたしまして、万が一にも恣意的な運用が行われることがないように努めてまいりたいと考えております。

井出委員 恣意的な運用が行われることがないようにというのを、この分野は個別のケースで大変難しいんですけれども、入国審査官ですとかそういった方に何か例示を示すようなことというのは現実的に可能なんですか。こういう場合は明らかに正当な理由に当たるからこれを適用しちゃいかぬとか、そういう何か、例示、ガイドラインみたいなものを作成することができるかどうかというところを教えてください。

井上政府参考人 新しい条文が運用されるような場合には、特にその運用につきまして現場にいろいろ指示をしたり教育したりすることになるわけでございまして、その中で、典型的に認められるであろうという事例でありますとか、あるいは過去の事例においてこういうものが正当な理由になっているとか、そういう事例集といいましょうか、事例のサンプルですね、そういうものをなるべく具体的に提示して、統一的なというか、安定した運用ができるようにしているところでございますし、今後もそのようにしてまいりたいと思います。

井出委員 今も典型や事例集があってやっているということです。そこは私が不勉強ですので、これはまた改めて勉強させていただいた上で伺っていきたいと思います。

 それからもう一つ、今回の法律で、罰則の部分ですね、うそをついて入ってきた人、それから営利の目的でそういった者の手続にかかわった者という部分があるんですが、特にこれは、そういった業務にかかわる弁護士さんや行政書士会の方から、自分たちの業務の支障になるのではないか、そういう懸念の意見をいただいています。

 業務として入国、在留手続の申請代理を行う弁護士や行政書士に七十四条の六がどういう形で適用されるのか。代理業務ですから、基本的には依頼者の言うことが正当だと思ってお受けになると思うんですよね。特に弁護士さんなんかは、そういう業務と別で、もともと裁判などの分野では、代理人のためにというぐらい、代理人の利益が弁護人の利益だぐらいのお気持ちも一定の職責としてあるわけですから、そうした代理手続に当たる方に対してこの七十四条の六の適用というものをどういうふうに考えていくのか、その点についての見解を伺いたいと思います。

井上政府参考人 お答えいたします。

 まず、今御指摘いただいた七十四条の六という犯罪でございますが、これは、例えば、営利の目的で不法入国等の罪に当たる行為の実行を容易にした者は三年以下の懲役もしくは三百万円以下の罰金に処するということで、一定の不法入国等の罪の幇助行為、これを営利の目的でやったときに加重処罰するという規定でございます。

 そして、今回、いわゆる不正上陸ですね、偽りその他不正の手段で許可を得て上陸した者などを処罰する規定を新設いたしますので、その犯罪を容易にする行為もこの加重処罰規定の対象にしようというのが七十四条の六の改正部分でございます。

 その部分につきまして、仕事上申請に関与する弁護士であるとか行政書士への適用関係はどうかというお尋ねと伺いましたが、この罰則の構成要件につきましては、特定の職種や身分の者を限っているものではございません、一般的に書いてございまして、逆に、一定の者を除くともしていないわけでございます。したがいまして、営利の目的で、これは故意犯でございますので、故意を持って不正上陸の犯罪行為に関与すれば、そういう事実関係が認められる場合には、これは、行政書士である、弁護士であるから、これを業務として行ったからといって、本条の適用が排除されるというものではございません。罰則としては一般的な形で定められてございます。

 しかしながら、これは、今申し上げましたように、そもそも故意犯でございます。偽りその他不正の手段によって、本来得られない、許可されないはずのものが許可されるような手段が用いられている事案だということを認識していなければこの犯罪の前提を欠きますので、例えば、非常に巧妙であるのでその書類が偽造されているのに気づかなかったなどということもございましょうし、あるいは、不注意で気づかなかったという過失がある等ございます。過失にとどまる場合につきましては、これは故意犯には当たりませんので、そのような場合には処罰されないということになります。

 したがいまして、通常、良識を持って業務に誠実に当たっておられる弁護士さんや行政書士さんが、故意があるとしてその規定を濫用的に使われるようなことはないと考えてございます。

井出委員 故意があるかどうか、ほかの刑事犯罪とかでもここは非常に難しいところだと思うんですが、例えば難民の申請ですね。条約難民の定義というものが厳格に定められていて、日本でも、難民として認められないけれども人道的な見地から在留が認められるということはあって、それは、故意ともなかなか言いにくいと思いますけれども、何かしら認められる事情があって、難民という申請結果は出ないけれども、人道的な見地から別の形で在留が認められる。

 だから、そういうものにかかわる弁護士さんとか行政書士さんがいたときに、それにかかわる弁護士さんとか行政書士さんも、結果として人道的に認められれば何ら問題はないと思うんですけれども、でも一方で、当然、まず、難民申請してきた方が人道的に在留が認められるかどうかというところの判断に当たって、一度は恐らく、いや、これは故意なのかどうかという目は向けなきゃいけないと思うんですよね。結局、性善説で見て、性悪説にも立って、フラットに見て結果的に人道的に在留が認められると思うんです。

 だから、そういう意味では、この難民申請というものが最終的に人道的に在留が認められるケースであったとしても、故意かどうかというチェックを一度かけなきゃいけない。恐らく、弁護士さんとか行政書士さんとかは、そこが一番懸念だと思うんですよね。はなから悪いことをしようとしていれば、もうそれはこのとおり故意で罰せられて当然なんですけれども。

 ですから、在留資格が自分が思っていたものと違う形で認められるようなケースもあるわけですから、ここの見きわめというものは大変難しいと思いますし、それにかかわってきた弁護士さんとか行政書士さんがその問題を心配するのも至極当然なことであって、そこのところは非常に難しい問題ではあると思うんですが、今言ったようなことをちょっと考えていただけないかなと思いますけれども、どうですか。

井上政府参考人 ちょっと御質問の趣旨を正解していないかもしれませんが、仮に難民の申請に関する業務を取り扱う場合を例示いたしますと、その場合は、特に難民の申請の場合には、多くの事件では、一般の刑事事件のような物的な証拠が余りなくて、ほとんど本人の供述の信用性の判断にかかるという事例が多うございます。そういたしますと、これは、弁護士さんは弁護士さんなりに、この人は本当のことを言っているかどうかという目では当然見られると思いますけれども、逆に言うと、これはうそだということも見抜けないということにもなろうと思います。

 そこは、誠実に職務を遂行されておって、その結果、難民の申請の場合、どういうふうに偽りその他の犯罪が成立するかというのはちょっと難しい質問のような感じもいたしますけれども、仮にそういうことがあるといたしましても、通常、その職務を誠実に行っている方であれば、御心配に及ぶようなことはないと考えております。

葉梨委員長 もうちょっと大きな声でしゃべってください。

井上政府参考人 誠実に職務を行っておられる弁護士さんがこの罪に当たるかどうかを御心配になられるようなケースは生じないであろうと思っております。

井出委員 大きな声で言っていただいて、ありがとうございます。

 私もそこの概念がうまく整理できていないんですが、結局、難民に関して言えば、適正か不適正かという白黒の世界ではなくて、そこに、人道的に在留が認められるというものがありますので、そこの見きわめというものは、白黒がはっきりした世界であれば簡単なんですけれども、そういう世界ではないというところをしっかりと考えていただきたい、そういうふうにお願いをいたします。

 残った時間、少し大臣にお伺いをしたいんですが、冒頭申し上げた待遇の問題と、それから途中申し上げた転籍、それから介護なんかもそうだと思うんですが、全体として、この法律の、制度の改善をしていきますという部分、そこは一定の評価は確かにあります。ただ、それは、もう再三申し上げてきましたが、実地の検査ですね。

 これまでパトロールというものは基本的にやってこなかったと。それが、少しやっていくということになると思うんですけれども、冒頭に申し上げましたように、マンパワーが足りないからできませんというよりも、マンパワーを何としてでも、いろいろな方のお力をかりて拡大してでも、実地検査の実効性、制度の適正化の成果というもの、制度が実際に適正化されているというところをきちっととっていくこと、そのためには実地検査というものは非常に重要だと思います。

 その点について、まず大臣からコメントをいただきたいと思います。

岩城国務大臣 先ほど来、委員との議論を伺っておりまして、やはり、この制度の適正な運用のためには、実地検査は重要な役割を果たすものになると思っております。ですから、御指摘のありましたマンパワーの点等も踏まえまして、これから、検討すべきものは検討してまいりたいと考えております。

井出委員 報酬についていえば、完全に計画段階の、説明責任を果たされたものがきちっと履行されているかは、始まってからの確認以外はないと思います。

 これは全ての問題にリンクしてくるんですけれども、私が再三取り上げてきております転籍の問題も、そこのところの状況というものをふだんから見ておいていただくということは大変重要ですし、ですから、そういう意味では、現状、どうしても、実習機関は三年に一回、監理団体は極めて職責が重いので一年に一回ですけれども、実習実施機関は、三年に一回だと、何かトラブルがあって、やむを得ない事情があって移動したい、移動を認めます、でも、なかなか見つからなくて帰っちゃう、そういうサイクルが一年、二年の間に行われて、三年に一回、ようやく実地検査の人が来たときにはその人はいなかった、そういうことではこの制度の問題点というものは解消しませんし、ぜひ、三年に一度というところを、これを五年に一度に後退されたら困るんですけれども、三年に一度にこだわらず、マンパワーも含めて検討していく、そういう意気込みをお示しいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

岩城国務大臣 先ほど触れられましたやむを得ない事情につきましては、局長から答弁がありましたとおり、新たに、例えば実習実施者が明らかに指導力を欠いているなど、認定された技能実習計画の実施が見込まれない場合とか、それから、実習先の法令違反等により技能実習計画が取り消された場合、また、実習実施者との相性が悪く客観的にも技能実習の継続が困難と判断される場合などについてもその対象として検討してまいることにつきましては、御理解いただきたいと思います。

 その上で、実地検査の回数の問題、それからマンパワーの問題についておただしがありました。先ほど宮川局長からも答弁がありましたとおり、法務省としても、適切に対応できるよう、厚生省と協力をして検討してまいりたいと考えております。

井出委員 実は、私の地元でも実習生をめぐる問題が過去にありまして、そこの真相というものは両者いろいろな言い分があるんですが、ただ、トラブルがあった、だからしっかりやらなきゃいけないということで、今、地域を挙げて少しそういう取り組みをしたり、また、先ほどちょっと申し上げました、労働基準監督署と入管と、両方来てダブルチェックみたいになっているというのも、実は私の地元の事案なんですね。

 ですから、トラブルがあった後というよりも、やはり、トラブルがあるにしてももっと初期の段階、それから、できればないことが望ましい。そういう意味では、三年にこだわらず、また、さっきの八十八条でしたか、委託はできるけれども、大事なところなので自分たちでやっていきますというところも、法律の、その趣旨は、大事なところだから自分たち実習機構の人間でやっていくんですというところは大変結構なんですけれども、ぜひ、実効性のところできちっと実がとれるような、制度の改善と、この法律、目的でずっとうたってきておりますので、その目的が果たされるように、この部分というものは、大臣も先頭に立っていただきたいですし、また局長にも先頭に立っていただきたいな、そういうふうにお願いをします。

 それから、最後に、この制度のこれからの話、外国人労働者の受け入れの議論とセットだと言われておりますけれども、私は、ずっとこれを議論してきて、最初は、建前と本音が分かれていると。まあ、今も思っていますけれども、ただ、建前に合わせるのか本音に合わせるのかわかりませんが、研修制度、実習制度というものも、必ずしも一〇〇%、全部廃止しろとまでは今は余り思ってはいないんですね。

 ただ、そうはいいながらも、〇九年に大きな改正があって、研修から技能実習になった、そこが恐らく、実態が労働的なものに変わってきた一番の節目かなと私は思っているんです。

 きのうの参考人の中で、私が今お話ししたような、やはり労働的なニュアンスが強まってきていると上林さんがおっしゃっていて、それも結構、自分が思うよりも劇的に速いというようなお話もされていたんです。ですから、先ほど笹川先生もそうした全体論のお話に触れられていましたけれども、これからそうした議論はどうしても避けられない。

 これは法務省だけの議論では当然ないと思うんですけれども、ただ、今のままでいけば、ほっておいてもこの制度がどんどんどんどん労働的な性格を強めていかざるを得ないと思うんですね。今までも、人数もふえてくる、機関もふえてくる、職種も広がってくる。だから、そうしたときにこの制度を一体どう考えていくのか。

 別に、今すぐ、あしたからこの制度をやめて全部在留資格にしろみたいなことは、当初は思ったんですけれども、今は申し上げないんですが、ただ、いずれこの制度も、改善、改善、改善だけでやっていけるのか、それとも、改廃と申しますか、制度としての役割を終えた、そういうことも今の調子でいけば来ざるを得ないと思うんです。この制度自身の歴史がそういうことを物語っていると思うんです。

 この制度の将来像について、少しコメントをいただきたいと思います。

岩城国務大臣 外国人労働者の受け入れにかかわっての、この制度についてのお話がございました。

 技能実習制度は、開発途上国等への技能の移転を通じた国際貢献という重要な意義を有する制度でありまして、今回の法案によりまして、より適正化を図りつつ、その制度趣旨に沿ったものとしてこれからも活用していくべきものであると考えております。

 そして、外国人労働者の受け入れにつきましては、技能実習制度の見直しとは別に議論されるべきものであると考えております。

 我が国の少子高齢化、さらに人口減少が進む中で、我が国経済社会の維持発展のために外国人労働者を受け入れることの是非やそのあり方につきましては、国民各界でさまざまな御意見があり、近時議論が活発化しているものと承知をしておりまして、政府としてもその検討を進めていく必要があるものと考えております。

 そして、中長期的な外国人材の受け入れのあり方につきましては、昨年六月に閣議決定されました日本再興戦略におきまして、「真に必要な分野に着目しつつ、」「総合的かつ具体的な検討を進める。」「移民政策と誤解されないような仕組みや国民的なコンセンサス形成の在り方などを含めた必要な事項の調査・検討を政府横断的に進めていく。」とされております。

 したがいまして、法務省としましても、出入国管理を所管する立場から、この検討に積極的に参画をしてまいりたい、そのように考えております。

井出委員 中長期的な議論は、今お話しされた答弁、繰り返しの答弁だったんですが、私は、建設とか、私の地元の農業もそうなんですが、天気によっても左右されますし、物事が大変不規則ですし、中には、私の地元なんかは、海外の農業大学校と連携をしていこうというような取り組みも今あるやに聞いているんですけれども、そういう、趣旨と中身、実行していることが一致すれば大変いいかなと思うんです。

 ですから、実態が本当に人材不足だと言われているある一定の職種というものはこれからだんだん労働の方の在留資格の議論になってくると思いますし、技能移転、研修、実習だと、学ぶということは本来であれば留学とかそっちの方の在留資格だと僕は思うんですが、ただ、そっちは、留学というのは向こうがお金を払って来るもので、この制度というのは、給料をこっちが出して、そして、こっちで仕事をしてもらうけれども向こうに技術を持ち帰ってもらうという分野で、お金を稼ぎたいというニーズが一番高いというのがまさにそれを物語っているんです。

 ですから、私は、この技能実習制度というものは、将来的には、やはり縮小、それから役割を終える、そういう、労働の方になるのか留学の方になるのか、日本の外国人受け入れのメーンの制度としては、もうそういう見込みはないのではないのかなと。かつての、開発途上国に対する技術移転で始まったときから、もう性質も社会情勢も変わってきていると思います。そういうことを考えれば、いずれ、縮小なり、役割を終えたというものをどこかで覚悟しながら議論していかないといけないと思います。

 そういう厳しい御覚悟というか、厳しい現実があるということの御認識があるかだけ、最後、伺いたいと思います。

岩城国務大臣 当面、私ども、技能実習につきましては、法案が通りましたら新しい制度でこれを活用していきたいと考えておりますが、委員御指摘のとおり、これからの時代の変遷によりましてどういうふうな対応が可能かということは、さまざまな面から議論をし、国民の皆様方のコンセンサスを得て対応してまいりたいと考えております。

井出委員 終わります。

 長時間、時間をいただきまして、きょうはありがとうございました。

葉梨委員長 以上で井出庸生君の質疑は終了いたしました。

 次に、清水忠史君。

清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。

 本日も、外国人技能実習法案、入管法改正法案について質疑をいたします。

 今度の法案は、国際社会の批判をかわすために、アメリカだとかあるいは国連だとかから、奴隷労働だとか人身売買だとか批判されてきたわけですね。それで、その批判をかわすということで、技能実習制度の適正化及び技能実習生の保護という観点で、その実効性はともかく、規制は強化しようという中身になっているとは思うんですよね。

 同時に、それにとどまらず、これは括弧づきだと思うんですが、優良な監理団体には、実習期間の延長、三年から最長五年、さらには受け入れ枠の拡大を認め、対象職種についても、今回初めて対人サービスの介護を加えるものであります。

 また、入管法においても新たな在留資格に介護を加えるということになっているんですけれども、私は、まずはやはり人権侵害だとか法令違反を根絶した上で、この制度についてのあり方、拡大するのか縮小するのかということを議論していくべきであって、拡大ありきで同時並行で進めていくということに対して、やはり関係者や当事者から不安の声が上がっているのではないかと思っております。

 初めに聞きます。

 技能実習の介護をなぜ設けるのかということにつきましては、関係諸国においても高齢化が進んでいる、ですから介護の技能移転をやるんだというふうにこの間述べられてきたと思うんですね。それでは、入管法における在留資格の介護、これを今回新たに設けたことの意味を教えてください。

堀江政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、高齢化の進行等に伴いまして、質の高い介護に対する要請が高まる中、外国人留学生が日本の高等教育機関を卒業し、介護福祉士の資格を取得した場合に国内での就労が可能になるような制度をつくることが求められているということで、今般、在留資格「介護」を創設することとしたものでございます。

 これは、「日本再興戦略」改訂二〇一四に、我が国で学ぶ外国人留学生が日本の高等教育機関を卒業し、介護福祉士等の特定の国家資格を取得した場合、引き続き国内で活躍できるように在留資格の拡充を含めて行う、こういうことでございます。

清水委員 質の高い介護に対する要請が高まるので、留学生が卒業してそのまま本国に帰るのは忍びない、在留資格を与えて、そのまま介護福祉士として働いていただこうということなんですけれども、この提案理由の説明の中で、これらの新たに在留資格を与えた外国人の介護福祉士に、「介護または介護の指導を行う業務に従事する活動を行うことを可能とする」、こう書いているんですね。

 この指導という言葉、これは何ができるということなんでしょうか。

堀江政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの介護の指導は、介護を必要とする方あるいはその介護をする人、介護者に対して介護福祉士が行う指導をいうもので、具体的には、他の介護職員や家族に対して、入浴、排せつ、食事等に係ります介護技術の指導や、利用者本人に対しての楽な起き上がり方、あるいは福祉用具の適切な利用の仕方などの介護上の指導等が含まれるものと考えてございます。

清水委員 つまり、今の答弁をお伺いしますと、この法案で、介護実習生、新たに業種に介護を二号に設けるわけですが、在留資格「介護」を与えられた留学生の介護福祉士は、技能実習生の介護の身分で働いている実習生を指導することができるということですか。

堀江政府参考人 技能実習法に関係する部分、先ほど来紹介させていただいています厚生労働省の平成二十七年二月の検討会での結論の中で、技能実習生を指導する人、技能実習指導員というわけでございますけれども、その方については、介護に関する専門的知識、技術を担保することを目的として、介護職として五年以上の経験を有する介護福祉士等ということを要件とするというふうにしてございます。

 一方で、在留資格「介護」により就労する外国人介護福祉士につきましては、専門的、技術的分野の一つとして入っていただいて、介護分野の国家資格取得者に在留資格が付与されるべきということを踏まえますと、日本人と同等に就労を認めるべきということでございます。

 よって、介護福祉士の国家資格を取った方でもって五年以上の経験を有するような方であれば技能実習指導員の要件を満たすことになるわけで、そうなれば技能実習指導員として認められると考えてございます。

 いずれにいたしましても、厚生労働省といたしまして、本法案の施行までの間に、お尋ねの技能実習指導員の要件、さらに具体的に制度設計をしていく、こういうことで考えております。

清水委員 さらに制度設計していくと言われたんですが、今の答弁をおさらいしますと、結局、それは排除されない、介護の技能実習生を、新たに在留資格を設けた、養成学校を出た介護福祉士が指導できるということなんですね。

 連合審査会におきましても、いわゆる介護人材の不足を国内の人材で賄うのか、それとも外国人材で補うのかということが非常に議論になりました。厚生労働大臣やあるいは厚生労働省は基本的に国内でというふうに述べられたんですが、基本的にの背景には例外的にということも設けられるわけなんですね。

 先ほど答弁がありましたように、新たに在留資格「介護」を設ける出入国管理の方では、質の高い介護に対する要請が高まる、一方でこう言っておきながら、いわゆる技能実習生、一号でいうとN4レベルですよね、日本語検定四級ですか、二号になると三級、N3、こういう日本語レベルを求めるというんですが、これが本当に担保できるのかどうか非常に怪しいと私は思うんですよ。

 実は、盛山副大臣、私、日本語検定のテストというのをちょっと調べました。それで、経験という漢字、それから何々した途端にの途端、これを漢字で書きなさいという設問があるんですね。すぐわからないと思うので私が言いますけれども、これはN3の問題なんですよ。N3レベルなんですね。

 田所政務官、ことわざで朝三暮四というのがあります。これの意味について問う設問が検定にあるんですが、これは何級だかわかりますか。私が答えを申し上げますと、N4なんですよ。これがN4ですよ。

 中国の方は、この朝三暮四というのは中国古来の故事ですからわかるかもしれませんが、フィリピンだとかインドネシアの方々が朝三暮四なんというのをあらかじめ理解して日本に来ると思われますか。ところが、あなた方の法案では、N4レベルで一号にまずなってもらう、そして、二年目にはN3レベルの二号になってもらうと。

 今、介護が本当に人材不足で、そもそも、日本国内で、介護福祉士の資格を持ちながら従事されていない方が五割以上おられるわけですよ。なぜこの人たちが介護の職場にいないのかというと、やはり低賃金、劣悪。こういう介護の職場環境を改めることをまずやらずに、日本語レベルについても非常に疑問の残る、コミュニケーション能力についても不安が残る、また、先ほど方言の問題も言われました、日本の文化との違いも言われました、こういう人たちについて上限を設けずに拡大していこう。そして、そういう人たちの指導は、いわゆる出入国管理法で新たに在留資格を設け、養成施設を出た介護福祉士に指導させるというような構図が透けて見えるわけなんですよ。

 私は、このこと自身がやはり問題だというふうに思っているんです。こんなことを進めれば、私は、本当に今の劣悪な介護の職場環境を固定化、拡大するものにつながるのではないかと言わなければなりません。

 ちなみに言いますと、中国では、朝三暮四という言葉の意味については、朝三つ夜四つというだけではなくて、ふらふらして考えが定まらないことという意味もあるそうです。私は、今まさに政府がそういうふうな労働政策に陥っているんじゃないかなというふうに言わなければなりません。

 続いて、技能実習法案の中身についてお伺いするんですが、二度の参考人質疑を通じまして、やはり衣がえの時期に来ているんだという参考人の言葉もありました。もう技能移転とか国際貢献という言葉ではごまかし切れない、やはり労使対等の労働力の受け入れというふうにするべきではないかという声がありました。

 これは法務大臣にまず所見をお伺いしたいんですけれども、一番大事なことは、参考人質疑を聞かれていたと思うんですが、数々の人権侵害や法令違反、まずはこれを根絶する。根絶することが重要であって、今私が冒頭述べたような介護人材の大幅な受け入れ拡大、こういうことについては、後回しというか、今考えることではないというふうに私は思うんです。まず先決としてそれが大事だと思うんですが、いかがでしょうか。

岩城国務大臣 入国管理局におきまして、技能実習の適正な実施を妨げる不正行為を行ったと認められる旨を通知した実習実施機関等の数につきましては、平成二十二年の制度見直し直前の時期と比較しますと低い水準にとどまっておりますが、ここ数年は増加傾向にありますことから、法務省におきましても、一層しっかりした対応が必要であると認識をしております。

 そして、現行制度におきましても、入国管理局においては、不適正な技能実習に係る申し立て等をもとに実地調査を実施しております。また、厚生労働省等との相互通報制度によりまして、相互に情報を共有して調査に生かしているほか、地方入国管理局において、労働基準監督機関との合同調査を実施するなどしております。

 しかし、技能実習における不適正な取り扱いが依然としてなくならず、その原因として、制度の趣旨を十分に理解せず、技能実習生を低賃金労働者として扱う監理団体や実習実施機関があることが考えられます。また、入管法令や労働関係法令の遵守に関する点を含め、監理団体や実習実施機関などに対する政府の指導監督体制が十分でないことなどがあるものと認識をしております。

 そこで、法務省といたしましては、現行の技能実習制度では仕組みとして十分に対応できない人権侵害や法令違反などの諸問題を解決するとともに、技能実習制度の趣旨の徹底を図り、技能実習制度の一層の適正化を行っていくため、本法案を国会に提出したところであります。そして、本法案により、技能実習制度が本来の意義どおりの役割を果たせるようにしてまいりたい、そのように考えております。

清水委員 今、岩城大臣は主に二つのことを言われたと思うんですね。一つは、やはり制度の趣旨を理解しない悪質な監理団体や実習実施機関、ブローカーの介在もありますけれども、こういう人たちがいるんだ、そして、それを取り締まる政府の、実地検査も含めて、そういう指導体制が十分でない、この二つを何とかするというふうにおっしゃったんですが、私は肝心なことが抜けていると思うんですよ。それは実習生本人のことですよ。なぜ実習生本人が、さまざまな人権侵害や法令違反に対して物が言えないのか。

 今度の法案では強制帰国という文字がないんですね。強制帰国というのは、実習生の意に反して送り出し国へ帰らせてしまうという事例です。何でこの強制帰国を防止する規定がないのか、さまざまな委員が尋ねましたところ、井上入管局長はこういうふうにおっしゃられましたね。

 四月十五日の当委員会で、その意に反して帰国させられるような場合は、空港の審査ブースで確認をとる。どういう確認をとるかというと、あなた、在留資格がまだ残っているのに帰っていいんですか、今帰るともう戻れませんよ、再入国できませんよという意思確認をする。そのような中で、技能実習生は審査官に訴えれば、実は無理やり帰らされようとしているんですと訴えれば、審査官の方から関係のところに通報するなどして、適切な対応をとることができるというふうに述べられたわけですね。

 このことについて、本当に強制帰国を防止することの担保になるのかどうか具体的に確認したいんですが、例えば、直近五年で、在留期間が残っているにもかかわらず再入国の予定がないと確認された技能実習生の人数について教えてください。

井上政府参考人 お答えいたします。

 出国審査における声かけの点につきましては、これは強制帰国を予防するための一つの手段、そういう位置づけで理解していただきたいと思います。

 前回御答弁いたしましたところではございますが、今のお尋ねの人数でございます。今現在しておることは、技能実習生で在留期間の残余がある場合、通常、みなし再入国の対象となる中長期在留者に当たりますので、出国確認を行う際に、本人に対して本邦に再入国する意思の有無を確認することとしてございます。

 その確認したかどうかという形での統計はとってございませんが、他方、技能実習生が期間の途中に帰国した人数というものは統計がございます。これは平成二十七年でいくと一万三千四百七十九人となってございまして、これらの者につきましては、通常の業務の過程で、出国の審査の場でその意思を確認しておるというふうに理解してございます。

清水委員 今、去年だけで一万三千四百七十九人の方が帰国されたということなんですよね、技能実習生のうち。つまり、十九万人いるうちの一万三千四百七十九人ですから、約十四人に一人ですよ。十四人に一人の実習生が途中で帰国するんですよ、在留期間を残して。それで、今確認したら、あなたは意に反して帰らされようとしているのかどうかという統計はとっていないということでありました。

 では、聞きたいんですけれども、審査官に対して訴えた件数、ちょっと私は帰りたくないんです、実は無理やり帰らされようとしているんです、帰りたくないんですと訴えた件数は、その一万三千四百七十九のうち何件ありましたか。

井上政府参考人 その点に関する統計はとってございませんので、把握しておりません。

清水委員 では、審査官から関係機関へ通報した件数、先ほど答弁の中にもありましたように、実習生から訴えを聞いて、問題がある場合は関係機関に通報する、これは井上局長自身がおっしゃられたので、その件数、去年何件あったか教えてください。

井上政府参考人 その点についての統計もとってございませんので把握してございませんが、前回も御答弁いたしましたとおり、そういう審査の場において技能実習生からの訴えがちゃんと出るように、よくその周知を図るという活動も今後していかなければならないし、審査官の方も有効に聞き出せるような声かけのあり方を検討していかなければならないというふうに前回もお答えしたつもりでございますし、そのように今後努めてまいりたいと思っております。

清水委員 私は、もう一問、その通報により技能実習に戻ることができた件数についてもお伺いしようと思ったんですが、恐らく同じように統計をとっておられないと思うんですよ。

 強制帰国を防止するための一つの施策といいながら、どれだけの訴えがあって、どれだけの人が強制帰国させられようとしていて、審査官に訴えた件数がどれだけで、通報件数がどれだけあって、どういう機関に連絡をして、そしてどれだけの人が技能実習に戻ることができたのか。こういう実態をつかまないで、これを一層努力していきますと言われても、本当にこれが強制帰国をやめさせる担保になるのかどうか、私たちは判断しようがないと思うんですよ。

 強制帰国がなぜ行われるかということなんですが、これは参考人もおっしゃっておられました。大小あるけれども、実習生は母国で借金するわけですよ、何十万、何百万。これを抱えてやってくるわけで、大体三年の実習期間のうちにその借金を返済する計画を立てるわけですよね。

 ところが、生意気だとか口のきき方が悪いとか、実施機関、実施者からセクハラやパワハラを受けたとしても、帰れと言われたら、借金だけが残るわけなんです。だから、黙っているしかないわけなんですね。

 私、ちょっと実例を挙げます。聞いていただきたい。

 二〇一四年、中国人実習生の女性は、恋愛をしたことが規約違反、恋愛禁止、AKBみたいですね。くしくも四十八条で、不当に自由を侵してはならないと今回ありますけれども、恋愛したことが規約違反だとして、あした帰国してくださいと監理団体から告げられ、早速次の日には彼女を銀行へ連れていって、貯金を全部引き出させて、口座を解約させて、そこから出国費用、九万円の渡航のチケット代を徴収したというような例があります。

 また、二〇〇六年には、生意気だということで、二人の実習生が監理団体職員に寝込みを襲われ、拉致のような形で強制帰国させられそうになった事件がありました。これはどちらも福井県のことです。

 また、別には、監理団体が警備会社を雇って、空港まで車に乗せて、半ば拉致のように連れていく。このときは、警備会社の職員がみずからを警察と名乗っていたということもあるんですね。

 結局、これらの強制帰国が本当にこの法案で防止されるかどうかということについては、やはりこれまでの検証というものが一つあってこそだと思うんですが、それについての具体的数字がないということでありました。

 結局、嫌ならやめろ、やめれば帰らなければならない、このように強制帰国というのが実習生に対するおどしとして使われてきたわけなんですね。

 このおどしとして作用のある強制帰国について、今度の法案は、どのような実効性ある解決策を用意しているんでしょうか。努力目標ではなくて、この法案の中で、強制帰国を防止する、そういう条文がありますか。

井上政府参考人 実際に技能実習を打ち切って帰国させてしまった場合については、技能実習の計画どおり実習を行わない、そのものでございますので、これは計画の認定の取り消しあるいは監理団体としての許可の取り消し等の対象になりまして、その結果、欠格事由、五年間に当たるということで、技能実習の世界から退場していただくようなことになると思います。

 あるいは、実際に強制的に帰国させないが、させるぞとおどして、労働、労働といいましょうか技能実習を強制させたような場合にどうなるかということにつきましては、これは、監理団体が行えば、事案の証拠関係によりますが、四十六条の中でいわゆる労基法上の強制労働に準じた禁止規定を設けておりますので、それの罰則も設けてございますので、それに当たり得るということになりますし、そこにいかないような事例でありましても、これは刑法上の脅迫とか強要とかに当たることはあり得るだろうと思っております。

清水委員 今言われたようなことが機能していれば、私は、これだけ強制帰国の事例、あるいはその未遂も含めて、発生していないと思うんですよ。

 実際に実習期間を終えずに帰国させた場合は監理団体や受け入れ先を処分するというんですが、帰らされた実習生は救えないじゃないですか、帰らされてしまったら。どう未然に防ぐのかということが大切なんですね。

 それで、申告すればいいというお話でしたけれども、きのうの参考人質疑で榑松参考人が述べられました。相談を受けたら、茨城県という約束だったのに、実は福島県のいわゆる原発関連の仕事をさせられていた、放射能が怖い、居住制限区域、こういうところで働かされている。ところが、これを告発しようとしたら怒られた、やめておくようにと、訴えについては取り下げると。

 結局、帰らせるぞ、やめさせるぞと言われたら、物が言えないんですよ。構造的に何があるのかといえば、対等でない労使関係です。移転の自由がないということです。送り出し国に保証金を握られているということですよ。

 この技能実習制度の最大の問題点は何かといえば、本来当たり前のようである労使の関係を構成する要件の中に、使用者側と労働者だけではなくて、監理団体とか送り出し機関とかあるいはブローカー、こういう人たちが複数介在して、監理費だとか送り出し手数料だとか、こういうお金をせしめる利益構造があるからですよ。だからこそ、さまざまな法令やあるいは主務省令によってこうした不当労働行為や人権侵害行為をやめさせようと思っても、できないんです。

 審査ブースの問題についても、実態を握っておられないということでありますので、何の説得力もないと言わなければなりません。

 次に、私、まだまだ聞きたいことがあるんですけれども、ちょっと難民の問題についても質問をしておきたいというふうに思います。

 ちょっと資料を見ていただきたいと思うんです。これは難民認定の申請件数です。わかるもので直近八年です。

 そもそも、日本の場合は、難民申請件数に対して認定数というのが非常に少ないんですね。二〇一五年でいいますと、申請総数は七千五百八十六件あります。この七千五百八十六件のうち認定された難民の数というのは何人か、お答えいただけるでしょうか。

井上政府参考人 平成二十七年における難民の認定数は二十七人になります。

清水委員 資料の二枚目をごらんください。そこに難民認定件数のグラフをお示ししております。

 二〇一五年でいいますと、認定総数はわずか二十七名。七千五百名の申請に対して二十七名しか認定されなかった。そのうち、見ていただいたらわかりますように、空港や港で申請して認定された人はわずか一人。空海港以外で申請し認定された人が二十六人ということで、認定数もさることながら、申請件数においても、空海港よりは別の迂回ルートで申請をするという人が圧倒的に多いんですね。これはやはり、空海港で申請してもなかなか認められないという実態が実はあるんじゃないかというふうに見てとれるわけです。

 それで、多くの難民申請者は、例えば、短期滞在の後、申請をする。その後、就労許可が出れば働きながら、あるいは働けない人は、NGOとかNPOとかボランティアとか、あるいは弁護士だとか行政書士のサポートを受けながら、生活を絞って難民認定がおりるまで待つわけですよね。多くの方々のサポートがあるわけです。

 今回、法改正の中で、入管及び難民認定法の方で、七十条の第一項で罰則が新設されました。これは、偽りその他不正の手段によって入国しようとした者を罰するという規定です。同じく七十四条の六で、それらの行為の実行を容易にした者として同様の罰則を設けている。

 先ほど井出委員とのやりとりの中で、いわゆる故意でなく過失の場合は当てはまらない、あるいは、誠実に業務に携わっている弁護士や行政書士を罰するものとは考えていないというふうに井上入管局長は答えられたんですが、そもそもこの規定が、難民認定をしようとしている方々あるいはそれを支援しようとしている周りの方々に萎縮効果を与えてはならないというふうに思うんです。そういう運用が大事だと思うんですが、その点、いかがでしょうか。

井上政府参考人 今回新設しようとする罰則は、偽りその他不正の手段を用いて、いわば入国審査官をだまして上陸許可を受けるような行為でございまして、このような行為は一般的に許されるものではなくて、当然処罰されるべき行為を処罰するということになるわけでございまして、殊さら難民認定申請者を狙ったような規定でないことは明らかでございます。

 そして、難民認定申請者は、そもそも、迫害から逃げてきたときには、本邦に上陸した空港で直ちに難民認定申請することも可能でございますし、難民認定申請以外にも一時庇護上陸許可という制度がございまして、そのようなことも案内してございますし、ポスター等も張ってございます。そういうこともございますので、難民認定申請者を萎縮させるようなことはないと考えております。

清水委員 まだまだ聞きたいことはありますけれども、時間が来ましたので、これで終わります。

 ありがとうございました。

葉梨委員長 以上で清水忠史君の質疑は終了いたしました。

 次に、木下智彦君。

木下委員 おおさか維新の会、木下智彦でございます。

 本日も、お時間をいただきましてありがとうございます。と言いながら、私も時間が短くて、しかも、この後もう一つ質問があるので、ぱっと終わらせていただきたいと思います。

 もう聞くことは同じなんです。今まで聞いたことと同じことの繰り返しになってしまうのかなと思うんですね。先ほど来、清水委員もお話しされていましたけれども、やはり労使関係が普通の労使関係じゃないからというふうなことを言われていたんですね、中に監理団体があったりとかブローカーがいたりだとか、そういうのがあるからと。

 でも、そもそも私思うんですけれども、労使関係、労使というものがこの外国人技能実習制度にあるものなのかなと。これは難しい考え方だと思うんです。実際に実習をしてもらうから、実習をするわけですよね。実習をするというのは、どういう形で、労働という形で実習をする。その労働を労働者は提供するのか、それとも、技能を修得して自分の国に持って帰って中で広めるということなのか。いろいろな人が介在するから、労使関係が普通じゃないから問題が多いんだというよりも、そもそも労使というものがちゃんと成り立つものなのかどうなのか、成り立っていいものなのかどうなのかということも問題だと思うんです。

 そういうことも含めてちょっと考えさせていただきたいんです。もう一度やはり聞きたいんですけれども、と言いながら、同じ答えだと思うので、もうこっちが言っちゃいますけれども、目的は国際貢献ですよね。では、きょう厚労省の方からも来ていただいているので、お話を聞きたいんですけれども、今回のところで、介護分野が拡充という形で職種の中に追加される。これはどういう目的だというふうに御理解されていますか。何の目的のために拡充されるのか、拡充というか職種追加されるのか。

堀江政府参考人 お答えを一言で申し上げれば、国際貢献ということになるわけでございます。

 日本が他国と比較しまして高齢化が急速に進展している、また、認知症高齢者への対応など、福祉ニーズの多様化、高度化に対応している日本の介護技術を海外から取り入れようとしている動きも出てきているということでございまして、先例となるEPAで働かれた方の感想でも、やはり高齢者の生活を支える仕組みの充実とか、そうしたことにつきまして学ぶものがある、こういうことでございます。

 開発途上国、とりわけASEAN諸国においては、今後、我が国以上のペースで高齢化が進展することが予測されてございまして、これまで日本が蓄積してきました認知症ケア、自立支援などの介護に関する知識、技術の修得や人材の育成に対するニーズは増大するものと考えてございます。現実に、これまでベトナム及びモンゴルから技能実習生を送り出すことに対する要望が出されております。

 また、現時点で留学生として入学している方も年平均数十人程度いまして、平成二十六年度も五十九人が入学しているわけでございますけれども、この方々、これまでの枠組みの中では、勉強しても、その後、日本で働けるわけではないわけでございまして、やはりそういうものを勉強したいと思っていられる方も相当いるというような、日本の介護技術を取り入れようとする具体的な動きも見られているわけでございます。

 こうしたことを踏まえますと、日本の介護技術を他国に移転することは国際的にも意義あるものと考えておりまして、これが今回の趣旨ということでございます。

木下委員 国際貢献、一言で言ったらそうだと。今、いろいろ説明をされました。でも、今のお話、幾ら整理して言っても、どうも、政府が出されているいろいろな文書を見ていると、それを組み合わせてみると、そっちが本来の目的じゃないような気がするんですよね。これも何度も言っています。

 例えばこの出入国管理の、今回の法案の関係資料、大臣が最初に趣旨説明されたところですけれども、一番最初に出てくる、今の冒頭の言葉とすごく似ているんですけれども、「近年、高齢化の進行等に伴い、質の高い介護に対する要請が高まる中、」と。質の高い介護に対する要請が高まるというのは、どこから高まっているんだと。これは国内ですよ、どう見たって。「高齢化の進行等に」と。

 それで、外国人留学生が日本の高等教育機関を卒業し、介護福祉士の資格を取得した場合に国内での就労が可能となるような制度をつくることが求められていると。それと違うことも言われました、海外でもそういうニーズが高まっていると。でも、一番冒頭に、この出入国管理にそうやって書いてあるんですよね。

 もう一つ、これは前にもお話しさせていただきました。産業競争力の強化に関する実行計画、閣議決定が平成二十七年二月十日にやられたもの。これの中の重点施策の内容というところで、雇用制度の改革、人材力の強化。人材こそが我が国の最大の資源であるという認識に立って、働き手の数の確保、労働生産性の向上の実現に向けた思い切った政策等々が必要だということが書いてある。少子化対策に直ちに取り組むと同時に、世界水準の高等教育や云々というふうなことが書いてあるんです。

 その中で書いてあることは何か。何をするか。施策の項目として、大項目、「外国人技能実習制度の抜本的な見直し」、今回の法案につながるものだ。その中で、その下のところに、「施策の内容及び実施期限」というところに介護が書いてあるんです。「介護の対象職種追加に向け、質の担保など、介護サービスの特性に基づく要請に対応できるよう具体的な制度設計を進め、技能実習制度の見直しの詳細が確定した段階で、介護サービスの特性に基づく要請に対応できることを確認の上、新たな技能実習制度の施行と同時に対象職種への追加」と書いてある。

 ここの前文で書いてあることは、労働力確保だと。書いてあるんですよね、労働力、働き手の数と。働き手の数に技能実習制度を利用し、そしてこの介護を職種追加しようとしているように見えちゃいますよ、幾ら言ったって。

 でも、この外国人技能実習制度、大臣、何度も言われていたと思います、これを適正化するんだと。ですから、いろいろな問題があるところを適正化するんだ、それで、それこそブラック企業状態も解消するんだとかいうことを言われています。でも、適正化するのは、政府の方針と、この外国人技能実習制度を活用するかどうか、外国人の労働力を日本の働き手として活用することと、それから外国人技能実習制度をそれで活用するかどうか、ここが私、一つの問題だと思うんです。

 これは大臣、多分答えは決まっていると思うんですけれども、どうですか、日本の働き手として外国人技能実習制度を活用するということなんですか、それとも違うと言えますか。それをちょっとはっきりとおっしゃってください。

岩城国務大臣 先ほど委員から御指摘がありましたとおり、この外国人技能実習制度は、人づくりを通して、また技能の移転を通じての国際貢献であります。その点で、これも先ほど御指摘ありましたとおり、今回の法案により適正化を図りつつ、その制度趣旨に沿ったものとして今後とも活用していくべきものであると考えております。

 一方、外国人労働者の受け入れにつきましては、技能実習制度の見直しとは別に議論をしていくべきものであると考えております。委員が御紹介された参考人の方の御意見等も含めまして、我が国の少子高齢化、人口減少が進む中、我が国経済社会の維持発展のために外国人労働者を受け入れることにつきましては、国民各界でさまざまな意見がありまして、議論が活発化しております。そういったことを踏まえまして、政府全体としてその検討を進めていく必要があると考えております。

木下委員 ありがとうございます。今のお言葉、皆さん、どう感じられたかわからないですけれども、私は非常に心強いと思いました。というより、一歩踏み込んだんじゃないかなと思うんです。

 ということは、大臣が今言われたことを考えたら、今、ちょっと私がここでさっと読ませていただきましたこの閣議決定、産業競争力の強化に関する実行計画の中で、働き手と外国人技能実習制度抜本的見直しと、同項目の中に書いているように見えてしまうことであるとか、あとは、前にもお話しさせていただきましたが、日本再興戦略の中にも同じような形で書かれているんですね。そういったところもしっかりと見直しをしていただきたいんです。

 しっかりとしたそれぞれ別個の議論として、ちゃんとこれから先へ進めていくこと、これが恐らく、きょうも、清水委員もそうだし、井出委員もそうです、言われていたようないろいろな問題を解決する一番の糸口になるんだ、私はそういうふうに信じておりますので、ぜひともそういうお話を政府内で進めていっていただきますように、よろしくお願いいたします。

 大臣、最後にそのお言葉だけいただきまして、終わりにしたいと思います。

岩城国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、この問題につきましては、政府全体として検討していく課題であると承知をしておりますし、法務省も法務省として、その役割を果たしていきたいと考えております。

木下委員 ありがとうございます。以上で終了いたします。

葉梨委員長 以上で木下智彦君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時九分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.