衆議院

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第3号 平成14年11月6日(水曜日)

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平成十四年十一月六日(水曜日)

    午前九時四分開議

 出席委員

   委員長 池田 元久君

   理事 今村 雅弘君 理事 嘉数 知賢君

   理事 河野 太郎君 理事 水野 賢一君

   理事 首藤 信彦君 理事 中川 正春君

   理事 上田  勇君 理事 藤島 正之君

      伊藤 公介君    岩倉 博文君

      植竹 繁雄君    小渕 優子君

      高村 正彦君    下地 幹郎君

      新藤 義孝君    武部  勤君

      土屋 品子君    松宮  勲君

      宮澤 洋一君    大島  敦君

      金子善次郎君    桑原  豊君

      吉田 公一君    丸谷 佳織君

      松本 善明君    東門美津子君

      松浪健四郎君    鹿野 道彦君

      柿澤 弘治君

    …………………………………

   外務大臣         川口 順子君

   外務副大臣        茂木 敏充君

   外務大臣政務官      新藤 義孝君

   外務大臣政務官      土屋 品子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  井上  進君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  小熊  博君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   北島 信一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房文化交流

   部長)          糠澤 和夫君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長

   )            西田 恒夫君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局国

   際社会協力部長)     石川  薫君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長

   )            田中  均君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    海老原 紳君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    齋藤 泰雄君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長

   )            安藤 裕康君

   政府参考人

   (外務省経済局長)   佐々江賢一郎君

   政府参考人

   (外務省経済協力局長)  古田  肇君

   政府参考人

   (外務省条約局長)    林  景一君

   外務委員会専門員     辻本  甫君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月六日

 辞任         補欠選任

  中本 太衛君     岩倉 博文君

  前田 雄吉君     大島  敦君

同日

 辞任         補欠選任

  岩倉 博文君     小渕 優子君

  大島  敦君     前田 雄吉君

同日

 辞任         補欠選任

  小渕 優子君     中本 太衛君

    ―――――――――――――

十一月五日

 国際法や国連憲章に反する米国のイラク攻撃反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第九七号)

 同(松本善明君紹介)(第一五〇号)

 同(矢島恒夫君紹介)(第一五一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際情勢に関する件




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     ――――◇―――――

池田委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めたいと思います。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長北島信一君、外務省大臣官房文化交流部長糠澤和夫君、総合外交政策局長西田恒夫君、総合外交政策局国際社会協力部長石川薫君、アジア大洋州局長田中均君、北米局長海老原紳君、欧州局長齋藤泰雄君、中東アフリカ局長安藤裕康君、経済局長佐々江賢一郎君、経済協力局長古田肇君、条約局長林景一君、内閣官房内閣参事官井上進君、同じく内閣参事官小熊博君、それぞれの出席を求め、説明を聞きたいと存じますが、御異議はございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

池田委員長 御異議はないと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

池田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河野太郎君。

河野(太)委員 おはようございます。自由民主党の河野太郎でございます。

 私が六年前に初当選をして、外務省の方といろいろ意見交換をさせていただいて一番驚いたのは、ODAの話をしているときに、例えば、ある特定の国際機関に今幾ら拠出金を出していますか、そういう質問をすると、外務省が出しているのは幾らですという答えが出てくるんですね。私は日本政府全体として幾ら出しているかということを伺いたかったんですが、外務省の答えはいつも、いや、外務省は幾ら出しています、ほかの役所のことは知りませんという答えが随分続きました。

 それで、今から何年か前に自民党の中に、参議院議員の武見敬三さんを小委員長にして、国際機関に関する小委員会というのをつくりまして、そこで初めて、全省庁からそれぞれの国際機関に一体幾ら拠出金を出しているんだということを出していただいて、その合計を出した。それが、この国で初めて、国際機関ごとに政府として幾ら拠出金を出しているんだという統計をとった最初のケースだったということがございまして、びっくりするとともに、役所の縦割りのすごさというのを改めて感じたわけでございます。

 そのときの話で、とりあえず最初は自民党でこういうことをやったけれども、その後は政府でこういう統計をきちっと把握しておいてくださいねというお願いをいたしました。さて、それ以来何年かたっているわけでございますが、政府全体として、それぞれの国際機関に日本国として幾ら拠出している、そういうデータがきちんと発行されておりますでしょうか、まず外務省にお聞きしたいと思います。

古田政府参考人 御答弁申し上げます。

 ODAにつきましては、外務省所管のODAのほかに、他の省庁所管の情報につきましても私どもとしては収集し、整理をし、例えば政府開発援助白書にはそういったものの全体を掲載させていただいているつもりでございます。また、国際機関との関係で申しますと、例えばOECDのDACの事務局に対する報告も、全省庁のODAの実績を集計の上、私どもから報告をしております。

 ちなみに、昨年でございますが、外務省初め十三府省庁のデータを集計しておるわけでございます。

河野(太)委員 日本から各国際機関に拠出金を出しているわけでございますが、こういう経済状況もあるというのが一つ、それから拠出金を出している割に、それぞれの国際機関の中の日本のプレゼンスが目立たない、例えば国連の常任理事国の問題というのがその最たるものだと思いますが、あるいは国際機関に拠出金を出しているのに、日本人の職員の数がちっともふえていないという問題がございました。

 前任の国連大使を務められました佐藤大使が各国際機関に対して、かなりきつくこの問題を言ってこられたわけでございます。大使からは、月ごとに一体日本人の職員が何人ふえたか、そういうようなレポートをいただいた記憶もございます。

 例えば、何年間のそうした努力がどれぐらい実ったか、それぞれの国際機関の中で日本人の職員数が、割合であるいは実数としてよくふえている、そういう機関を教えていただきたいと思います。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘のとおり、国連機関における邦人職員の増強は、政府といたしましても重要な施策の一つと位置づけ、鋭意取り組んできているところでございます。

 総数で申し上げますと、邦人職員数は、一九九九年の一月から二〇〇二年の一月にかけての三年間で、四百五十九名から五百二十一名へ六十二名増加いたしました。その中で、邦人職員数が最近特にふえている機関といたしましては、国連開発計画、UNDPでございますが、それから国連児童基金、ユニセフ、また国連本体の事務局を挙げることができます。

河野(太)委員 ODAを担当されております新藤政務官にお伺いをいたします。

 UNDP、ユニセフあるいは国連本体の事務局といったところが、今の御報告ですと着々と邦人職員の数をふやしているということでございますが、この先、ODAをこれまでのように日本はふやすことができないという状況にあるんだろうと思います。場合によったらODAが削減されてくる、そういう状況もあると思いますが、少なくとも、日本の要求を満たして、拠出金に合った邦人職員数の採用ということを一生懸命やってきた、そういう機関に対しては、我々としても、当然、拠出金のあり方について好意的に考えていく必要があると思いますが、政務官のお考えはいかがでございましょうか。

新藤大臣政務官 答弁の機会を与えていただいて大変ありがたい、このように思っております。誠意を持って答弁をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 ただいまの御指摘は、まことにごもっとも、私も同感だと思っております。そもそもにおいて、河野委員もよく御存じのことだと思いますが、我が国が拠出している分担金の額に応じて職員が果たして出ているのか、日本人職員がいるのかというと、これは甚だ残念な状況になっているということでございますし、国連機関全体でいいますと、これは、我々が分担率や人口で認められている枠の三分の一程度しか今現状いない、こういうお寒い実態があるわけです。

 ですから、これにつきましては、この近年で随分変わったと思いますが、今のお話のように、いろいろな出先の事務所、または大使がみずから邦人職員の採用を働きかけるだとか、それから国としていろいろな後押しをする、こういうようなことをやっております。

 まさに今御質問のような、めり張りのきいた、そして国際機関と我が国の関係が良好なものについて当然のように配慮をしていく、これはぜひやっていきたい、このように思っております。

河野(太)委員 明快な御答弁、ありがとうございます。早速この議事録を、各国際機関に写しを送りたいと思います。

 政務官は、かつてコソボの難民キャンプを視察されたりというような活動をやられておりましたが、国連機関の中で、国際機関の中で、日本のNGOをインプリメンティングパートナーという位置づけをして、国際機関の予算を日本のNGOに出していく、そして日本のNGOがその国際機関の予算の割り当てを受けて活動をしている、そういうところがあるわけでございます。

 外務省にお伺いをいたしますけれども、国際機関の中で、国連機関の中で、日本のNGOに対しインプリメンティングパートナーあるいはそれに準じたような地位を与え、日本のNGOに予算を割り当ててきている、そういう機関はどこか教えていただきたいと思います。

石川政府参考人 お答えを申し上げます。

 我が国NGOの国際協力の舞台での活躍は、委員御指摘のとおり、ますます活発になってきております。それに伴いまして、国連を初めとする国際機関が日本のNGOと共同して事業を実施する例もふえてきております。国連機関の例を挙げさせていただきますと、国連開発計画、UNDP、国連難民高等弁務官事務所、UNHCR、国連児童基金、ユニセフ、国連教育科学文化機関、ユネスコ等で、日本のNGOと協力して多くの事業を行った実績がございます。

 政府といたしましては、国連機関と我が国NGOを含む市民社会との連携の重要性は年々高まってきており、各種プロジェクト実施の上で連携強化は不可欠であると認識しております。既に、このような国際機関の多くに対し、拠出金による支援を行い、我が国NGOとも連携してプロジェクトの実施に努めておりますけれども、今後も、我が国の財政状況も勘案しながら、日本のNGOがますます活躍することができるよう連携強化の施策を検討していきたい、このように考えております。

河野(太)委員 新藤政務官にお伺いをいたします。

 今の外務省の答弁の中で、UNDP、UNHCR、ユニセフ、ユネスコ等の機関との連携強化を考えているという答弁がありましたが、この連携強化というのは、こうした日本のNGOに対してインプリメンティングパートナーのような地位を与えている国際機関に対する拠出金には好意的に対処する、そういうことでよろしいでしょうか。政務官に御確認いただきたいと思います。

新藤大臣政務官 そのとおりではないか、このように思っておりますし、加えて申し上げるならば、インプリメンティングパートナーに選んだとしても、なかなかNGOが仕事を受けられる状況は難しいものがあります。ですから、これはお金を出すとともに、きちっと仕事が日本のNGOに出るように、そういう働きかけが必要なのは国際社会の常識だと私は思っておりますので、力を入れていきたい。

 ちなみに、UNDP、これは職員数も二年間で、二〇〇〇年でもって二十三名、これをことしの九月時点で四十名までふやしている。それから、ここについては拠出額も、微増でございますが、百三億から百六億へ、このように予算もふやして、この厳しい状況の中でめり張りをきかせている、このように思っております。

河野(太)委員 御答弁ありがとうございます。

 微増ではありますけれども、全体的に削減というような中でもふえているというのは非常にいいことだと思います。もっともっとこうしたところのめり張りをきちっときかせていただきたいと思います。

 日本のODAとNGOの特徴の一つに、NGOを経由して出しているODA予算というのが諸外国と比べて極めて少ないという残念な状況があると思います。こういう御時世でございますから、そろそろ日本のODAも、NGOを育てていくという意味でも、NGOを経由して出すODA予算というのをもっともっとふやしていくべきではないかと思いますが、政務官のお考えをお聞かせください。

新藤大臣政務官 それは全く思想において同感だ、このように思っております。

 ただ、現実の問題として、では、NGOで国際機関からの仕事をどれだけ受けられるのか、ここのNGO側を育てるということも非常に大事な局面に来ているなと思っております。

 私どもが始めました、委員と一緒に運動していたあのコソボのころから比べると、非常に力はついたと思います。逆に、力がついたので、それではもっと高いステージにNGOに行ってもらいたい、そして、そのステージの高いところに立ったところで政府と連携をさせていただくことで非常に日本のODAの効果が出るんじゃないかな、このように期待をしております。

河野(太)委員 NGOを育てていく中で非常に大切なことが、NGOに対する税制の問題だと思います。残念ながら、今のNGO税制は極めてハードルが高いわけでございまして、余り合理的、現実的とは言えないと思います。これを政府の責任において直していくというようなことはお考えになっておりますでしょうか。政務官の御答弁をいただきたいと思います。

新藤大臣政務官 これもぜひやっていきたいと思っておりますし、それをねらいとしてNPO税制というものを導入したわけでございます。

 ただ、残念ながら、NPOの認定法人になるのに非常にハードルが高いということでございますし、それから国連機関、国際機関からの補助金や助成金が今、寄附金の収入の中に入れてもらえない、要するに、総収入の中から引くことができない、それによって三分の一を達成できない、こういううらみがあるわけです。これは、ことしの税制改正の中でぜひ我が省としても要望をしていきたいというふうに思っています。

 それから、委員には逆に私の方からもぜひお願いをしたいんですが、受けた団体の税制の措置というものも大切です。でも私は、それに加えて、寄附金をもっと出してもらえるような、そしてまた日本人がいろいろな公共的なものや公益的なもの、そしてNGOなどに寄附をする、こういう気持ちをもっと高めていく必要があると思うんです。それには、今度は出した方の、寄附者に対する税控除をもっと広げていかないと、これは絵にかいたもちに終わってしまうのではないかと私は思っておりまして、ぜひそういったことも御活動いただければありがたいな、このように思います。

河野(太)委員 今の政務官の問題提起は、恐らく、この部屋にいらっしゃる外務委員の皆様の大半が同意するようなものだと思います。いずれ理事会で、この税制改正に対する外務委員会の決議のようなものも考えていく必要があるのではないかと思いますので、それは委員長に後に取り上げていただきますようお願いをしたいと思います。

 日本が出しているODAの中の円借款の部分、これはJBICが主に担当しているわけでございますが、JBICが環境のガイドライン、環境社会配慮のガイドラインというものを制定いたしました。日本から出している円借款によるプロジェクトで、環境が、あるいはいろいろな社会的条件が壊されることがないようにという極めて先進的なものでございます。

 さらに、JBICは、そのガイドラインに対する決定に対して異議があるならば異議を受け付ける、そういう異議申し立ての制度を今つくろうとしているわけでございますが、この草案を見ると、例えば情報公開は最後の段階でとか、あるいは異議申し立ての受け付け期間は融資の調印が行われてからというように、やや問題がある。今までのJBICの環境ガイドラインに対する姿勢とやや違うのではないかという気がいたしますが、政務官のお考えを教えていただきたいと思います。

新藤大臣政務官 これは、御承知のように、JBICの新環境ガイドライン、ことしの四月に策定をし、公表をさせていただいたということでございます。ただ、ガイドラインは策定いたしましたが、このガイドラインの不遵守に関する異議申し立て、これについては、現在、パブリックコンサルテーションを開催して、十一回開催しておりますが、その中で検討しているということでございます。

 そして、御指摘のように、その中で情報公開とそれから異議申し立ての受け付け期間の問題が議論されている、こういうことで、今のお話のとおりに、前か後か、こういうことになっているわけでございまして、まず情報公開については、どの程度まで速やかに情報公開を行うのか、これはもともとそういうことを公開するというのが趣旨ですから、やはり速やかに情報公開を行うべきだと思っております。

 ただ一方で、商業上の利益ですとか、そういった、透明性の問題とともに、今度は権利の乱用という問題も制度上必ず出てきます。ですから、こういうことも踏まえて広く意見をいただいているところですし、私どもとしては、こういうそもそもの本旨にのっとったものを基本にしながら意見を聞いて配慮していく必要がある、こういう考えでおります。

 それから、異議申し立ての受け付け期間につきましては、これまたぶつかっちゃっているわけですよね。ですから、この部分をどこでおさめるかというのも、これまたこのパブリックコンサルテーションの中の議論を見守っていく。ただ、そもそもこういう制度ができたのは何の意味なんだという、そこの趣旨をよく理解した上で、私はこういうことは収れんさせていくべきではないかな、こういうふうに思っておりますし、近々にこれも、漏れ伝え聞いているところではまた十二回目のパブリックコンサルテーションが開かれる、こういうことでございますから、よく私どもも見守っていきたい、このように思っております。

河野(太)委員 環境ガイドラインを制定するに当たりましては、一番ネガティブな役所が外務省でございました。財務省、環境省が非常に前向きであるにもかかわらず、外務省のみがこれの足を引っ張るような活動をしていたわけでございまして、異議申し立てのこの制度をつくるときには、外務省が立場を改めて、これをむしろ引っ張っていく、そういうような指導を政務官からぜひしていただきたいというふうに思っております。

 円借款については、環境ガイドラインがJBICのリーダーシップで前に進んでおりますが、無償の方も同じような問題が当然出るわけでございます。自民党の部会の中で、経協局長から、無償資金についてもJBICの環境ガイドラインと同じレベルのものをつくるという発言がございましたが、それをこの委員会の場で確認させていただきたいと思います。

古田政府参考人 御答弁申し上げます。

 御指摘のように、JBICの環境ガイドラインというものを踏まえて、現在、JICAが持っておりますガイドラインの改定作業に入っておるところでございます。当然、このJBICの環境ガイドラインの中身をよくにらみながら、資金協力、技術協力の違いこそございますが、環境配慮という点では十分対応できるような内容のものにしたいというふうに考えておりまして、当面、今JICAの改定作業を見守っております。

河野(太)委員 政務官にお伺いをいたしますが、JICAが行う無償資金協力というのは、これは要するに政府ベースの話でございます。JBICの貸し付けの中には、先ほど政務官の御発言がありましたように、商業ベースのものもあって、ここに対してはいろいろ商業上の秘密に配慮する、そうした特別な配慮が必要でございますが、無償資金協力というのは、これはもう外交ベース、政府ベースの話でございますから、そういう商業上の秘密の問題というのは入らないわけでございます。

 そういたしますと、少なくともJBICの環境ガイドラインと同じレベルか、それ以上のものがJICAの無償資金協力に関してもつくられる、そういうことでよろしいということを御確認いただきたいと思います。

新藤大臣政務官 これは、世銀ですとか、それからアジア開発銀行とか、いろいろともう制度が入っているわけですね。ですから、こういったものも全体も踏まえながら、そして特に、仮称ですけれども、今答弁させました、こういう関係を検討する適正化会議というものも設けようじゃないかという動きになっているわけです。ですから、その中で私もいろいろ意見を言いたいと思いますし、いい制度をつくっていきたい、このように思っております。

河野(太)委員 ちょっと今の答弁はあいまいだったんですが、少なくともJBICのレベルよりも下がることはないですね。

新藤大臣政務官 これは同じ土俵で考えていくわけですから、私はそれでよろしいのではないかな、このように思います。

河野(太)委員 少しODAと離れますが、政務官、日系アメリカ人、特に三世についてどのような認識を持たれているか、御発言をいただきたいと思います。

新藤大臣政務官 これは、特にアメリカのことですね、三世というのは日系アメリカ人のことだと思いますが、ある意味で一世、二世が大変アメリカ社会で苦労をした、特に五十七年前の戦争のときのいろいろな原体験があって、そういった複雑なお気持ちを持って子育てをした、このように聞いておりますし、想像できます。

 したがって、日系三世というものが、もちろん日本人としての国に対する愛着、また、もとのふるさととしての気持ちがあると思いますが、加えて、やはりアメリカ社会における日本人の位置というものが微妙な時期を経て育てられた人たちですから、そういった意味での、ややちょっとほかの国の日系人とは違う部分があるのかな、こんなことは考えておりますけれども。

河野(太)委員 今、日系アメリカ人三世の世代になりつつありますが、今政務官から御指摘いただきましたように、戦争のときの、例えば収容所に二世が入った、そういうような経験から、今の日系三世というのは、ほとんど日本語を話さない方が多い。家庭で日本語はほぼ使われていない。あるいは、三世の中で日本に来たことがない人も相当数いらっしゃいますし、日系アメリカ人というのは、アメリカ人社会の中で、民族と言っていいのかどうかわかりませんけれども、そうしたグループの中で一番同じ民族外の人と結婚する率が高いわけでございます。このような状況が続いていきますと、日系アメリカ人の日本に対する関心というのがここ数年で急速に薄れていく、そういうような状況になりかねないと思います。

 外務省の北米局の中で、こうした問題をゆゆしきことだとお考えになって、実は、ことしの春、日系人のカリフォルニアの若いリーダーを十人日本に招待する、そういうプログラムを始められました。

 私も、そこでその日系三世の方々にお目にかかって、いろいろ話をする中でこういう状況がわかってまいりまして、これはどうも大変なことだと。どうもワシントンにおりますと、日本というのはだんだん忘れ去られていく。アメリカで日本語を勉強している学生の数は急速に減って、今や中国語の方がはるかに数としては多くなっている。そういう状況の中で、アメリカに日本に対する関心を持ち続けてもらうためには、この日系アメリカ人のグループに日本にきちっと向いていただく、そういう状況をつくり出さなければいかぬなというふうに思っております。

 そういう中で、北米局のスタートしたイニシアチブ、日系アメリカ人の三世のリーダーを日本に招待していくということは非常に今後大事なことになってくると思いますが、来年度以降、外務省の予算も厳しい中で、このプログラムをぜひきちっとした形で継続をしていっていただきたいと思うんですが、北米担当の政務官としていかがお考えか、お考えを聞かせてください。

新藤大臣政務官 河野委員の問題意識、これは非常に大事だと思っておりますし、私も同感でございます。そういう中で、私どもも、この予算の手当てをしていこう、こういうふうに思っております。

 ただ、もう少し詳しく御説明をさせていただくと、そもそも日系のアメリカ人の招聘計画というのは、これはもう昭和六十一年度からやっているんですね。これはもう今まで延べで四十八人、カナダも含めますけれども、日系のアメリカ人は毎年大体三名ずつ、日本においでをいただいております。

 それから、オピニオンリーダーという、学長とか知事ですとか、そういう本当のハイレベルの方をお招きする中で、例えば平成十二年度は七人、日系アメリカ人を呼んでいるんですね。でも、そのときは、オピニオンリーダーをトータル七十名、世界じゅうからお招きをして、その中の日系人は七名だった、こういうことなんです。

 それから、今御指摘の十人というのは、これは対先進国招聘事業というのがございまして、その中で、これも年間で六十五名御招待しているんです。その中の日系人が十人。しかも、アメリカ人は二十九人お招きをしていて、その中の日系人が十名、こういうことなんですね。

 ですから、これは、あらかじめ、こういう枠の中に日系米国人を何人とか、この規定を設けることではなくて、今の精神を制度の中に織り込んでいって、やはりそういう戦略的な使い方をする、こういうことが大切だと思っております。

 そして、今年度の要求額としては、先進国の日系人研修は六・三%増でお願いをしております。それから、オピニオンリーダーの方は、残念ながら少し減るようなことになってしまう。そして、先進国招聘事業という、ことし十人呼んだ、この枠については、今年度と同額を来年度引き続き確保したい、このような要求をしておりますので、ぜひこれは委員の御支援もお願いを申し上げたい、このように思います。

河野(太)委員 今までは、日系二世、あるいはかなりの地位にある方の招聘だったと思いますが、日系三世、そして新しい世代のリーダーの招聘ということでは非常に大事だと思いますし、この何年かでアメリカも世代交代になるわけでございますので、ぜひそこは、しばらく戦略的に力を入れた招致をお願いしたいと思います。

 最後に、外務省改革に関連をしてお伺いしたいと思いますが、外務省の人事制度の問題でございます。

 大臣がお見えになりましたので、ちょっと大臣にお伺いをさせていただこうと思いますが、例えば国連事務総長のアナンさんというのは、国連に一職員としてかなり現場に近いレベルで最初お入りになった。そして、その国連の組織の中をたたき上げてきて、今トップになったわけでございます。

 数年前のアメリカの軍隊のトップ、統幕議長は、一兵士としてアメリカ軍に入り、アメリカ陸軍だったと思いますが、一兵士からたたき上げて、佐官になり、将官になり、統幕の議長になった、そういうことでございます。しょっちゅうあるわけではございませんが、少なくとも、一兵士が軍全体のトップになることができる、そういう道は開けているわけでございます。

 残念ながら、今の日本の外務省を見ると、二十二歳、二十三歳のときにどの試験を受けたか、どっちの試験で外務省に入ってきたか、これが以降数十年の外務省人生を規定しているわけでございます。キャリアの試験というのを受けて入った人間は、そのまま黙っていても、大半が大使になる。ノンキャリアの試験を受けて入った人間は、そのまま黙っていけば、大使にならないことが多い。これは極めておかしな制度だと私は思います。

 それは、最初にどの門をたたいて入ってくるか、そこは多少差があるかもしれませんけれども、一たん外務省に入れば、能力のある人間が登用されて昇進をしてというのは当然のことだと思いますが、外務省改革という場合に、この入り口が違えば結果は全部違いますという制度を改めるということをやらなければ、改革にはならないんじゃないでしょうか。

 別に、キャリアの試験とノンキャリアの試験を一つにしろと言うつもりはございませんが、どの試験を受けて入ってきても、その中の本人の努力あるいは頑張り、あるいは結果で昇進をすることができる、そういう制度にならなければ、大臣がおっしゃっている外務省改革というのは実現しないのではないかと思うんですが、このキャリア、ノンキャリアという人事制度に対する大臣のお考えを最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。

川口国務大臣 私も、基本的な考え方としては、河野委員がおっしゃるのと同じことを思っております。

 これは、外務省だけではなくて、国家公務員制度全般にかかわる問題でもあると思いますけれども、国がいい人材をいいポストに、その人にふさわしいポストにつけて仕事をしてもらうということは非常に重要でございまして、それを阻むものというのは、私はよくないと考えております。

 これを解決しようと思うと幾つかの問題があるわけでございまして、例えば、途中で、入った後の実際の受けていく教育あるいは訓練といったものが、相当程度にある時点の段階では差をつけることになるということも一つあるだろうと思います。それから、入るときの試験を仮に一律にするということであったときに、その試験をしても、おのずから差はあるということでございます。

 要は、中でどれぐらい競争があって、入り口のところの違いを超えて、適切な人材がいいところに、その人にふさわしいところにつくということを確保するかということでして、今度の外務省の改革の中ではそういうことを考え、まず、キャリアパスとして、それぞれの、現在、公務員試験がそういう形になっているということは、これはもう事実で、これを変えるのは日本全体の問題でございますから、それを前提に、それぞれの入り口が違う試験で入った人たちが教育をきちんと受け、その人の能力にふさわしいところに行けるという道を開いているということでございます。

 今の段階で一〇〇%そうなったとは私は思っておりませんけれども、やはり少しずつ変えていくことが大事だと思いますし、それから、公募制度というのを導入いたしまして、今回の夏の人事で、公募制度をやって入った人が、例えば専門職の人で、本省の課長に自分で手を挙げて、その能力がそこにふさわしいと認められて、それでついているという人も一人ならずいるわけでございます。そういった制度を活用して、外務省全体を競争力のあるそういう組織にしていきたいというふうに思っています。

河野(太)委員 どうもありがとうございました。以上です。

池田委員長 次に、首藤信彦君。

首藤委員 時間が限られておりますので、直接北朝鮮の問題から入らせていただきます。

 今回のクアラルンプール交渉で、日本政府、外務省が毅然とした態度をとったということで、大変な国民的な評価を得ております。また、個人的にも、やはりそういう厳しい態度をとったということはだれの目にも明らかなわけでありまして、個人感情としては私も拍手喝采を送りたいなという気がしないわけでもありません。しかし、ここは外務委員会でありますから、日本の外交の姿勢に関して、また別な見方からいろいろ質問させていただきたいと思うんですね。

 庶民感情を応援団とする外交というのは、歴史を見る、外交史を見る限りにおいてもおわかりのように、これは極めて危険なものだと言わざるを得ないわけですね。確かにそれは、国民からいろいろ言われるよりは、例えば外務省のスキャンダルのように国民から本当に腐った卵を投げつけられるような思いをするよりは、国民から支持を得て、拍手喝采の中で交渉をしたい、その気持ちはよくわかる。しかし、一方では、やはり外交というものは、かつての外交を担った先輩が直面したように、ある意味で敵地でプレーをするサッカー選手のように、会場全体がブーイングの中できちっとしたプレーを一つ一つやっていかなきゃいけない、そういうふうに思うわけであります。

 例えば、本来は一時帰国を予定されていたと思うんですが、五名の方が政府命令で永住になった。確かに、日本の国内で、魚釣りに行ったり、運転免許を取られたりするのを見て、ほほ笑ましいなと私は思います。しかし、それも、外交信義という点においては、これはいかにアメリカの言うならず者国家であろうとも、外交の最初の段階からずっと時系列的に見れば、それはやはり外交としてはイレギュラーなものではないか、外交上の信義というものはそこでゆがめられている可能性があるのではないか、そういうふうに思ったりするわけですね。

 それからまた、曽我さんのことに関して見れば、それは配偶者がどうしてもやはりアメリカの脱走兵であるというふうなことも考えられるわけであります。なおかつ、脱走しただけではなくて、北朝鮮において、反米活動といいますか、反米的な映画に出たりしているわけですね。これはもうアメリカの外交史あるいは軍政史を見ればわかるように、こういうものに対してはアメリカ政府は物すごく厳しくて、それは、御存じのとおり、不幸な理由からたまたま日本にいて日本の政府に協力しなければならなかった東京ローズに対して、どんなにアメリカは厳しい態度を示したかということからもおわかりになると思うんですね。

 ですから、そういう障害というものは最初からわかっていたにもかかわらず、ある意味では庶民感情と同じレベルで外交交渉をやっているということが、これからの長期的な、拉致家族の皆さんを本当に日本に帰還させることに関しては、実はやはり一つの障害となるのではないかということを指摘させていただきたいと思うんですね。

 そこで、質問なんですが、私は、今外務省というものが外交目標を見失っている、一体どれが本当の外交目標なのか、ちょっとわからなくなっているんじゃないか、そういうふうに思うんですね。なぜこれが重要かというと、実は外交目標というのはお互いに相互矛盾的なわけですよ。AをやればBが立たず、Bを立てればCが立たず、AとCを立てればBが立たずというのが外交目標だと思うんですが、例えばどういうのが本当の今の外交目標なのか、外務大臣にお聞きしたいんですね。

 例えば、今、五人の方にスポットが当たっておりますが、五人の方の永住ということが最大の外交目標であるのか。これは当然、今までの交渉過程を最初から見れば、今、目の前に起こっていることじゃなくて、最初から交渉過程を見れば、やはり北朝鮮との間の約束とかいろいろな形の信義というものが間々ゆがめられている可能性はあるんじゃないか。だから、ともかく最大の外交目標は、五人の方の永住でございますということなのか、あるいは五人の方の永住だけではなくて子供さんも含めた永住であるのか。

 というと、これは日本に来るにも、なぜ日本に来るかも説明していないわけですから、当然のことながら帰還して説得しなきゃいけない、これは当たり前のことですね。そうして、帰還して、相手が納得しないのに無理して連れてきたら、これは本当に日本が拉致になってしまうというようなことで、では、相手側では、もう成人に達しておられる、あるいは成人に達していると考えられる大学生とかそういう方の意思決定をどうされるのか。

 あるいは、横田めぐみさんの問題に関しても、配偶者が北朝鮮の方であった場合のキム・ヘギョンさんの親権、親の権利は一体どこに帰属していくのかということもきちっとしていなければいけないと思うんですね。

 それからさらに、この五人の方を中心にして考えると、死亡したと勝手に報告されているところの八人の方の安否の確認というのはやはりどうしても明確でなくなるわけですね。

 それからさらに、そうした方に注目をすべてやって、そうしてそのために全力を上げますと、当然のことながら相手側の態度が硬化してくるわけですから、拉致されたとみなされている数十人の方の安否ということが今本当に心配なんですね、一体どうなっているんだろうかと。

 こんな状況の中でだんだんと興奮してきて、やはり日本から来たやつはろくなことないみたいなことになると、拉致された、あるいはそういう形で数十人の方がおられるというふうに想像されているわけですが、そういう方はどうなるんだろうか、その方の安全は一体だれが保障してくれるんだろうか、守ってくれるんだろうか、そういう方の奪還といいますか帰還に関しては一体どういう手が打てるんだろうか、ここに外交目標があるのかないのかということですね。

 それから、同じように、今度のクアラルンプールでは、核開発や安全保障の問題も同時並行的に求めているわけですね、等価としていくということをやっているわけですね。しかし、これはまた全く次元の違う話なわけですよ。確かに同じ人命が絡むわけでありまして、人道的な問題でありますが、この核開発あるいはミサイルの問題というのはパワーポリティックスの問題であって、ある意味で、これは残念なことですが、人道問題とは必ずしも同じフロアで両立するというわけではないわけですね。

 人道問題というものは、例えばアムネスティに見られるように、世界じゅうが一人の良心の囚人を救うということが人道のテーマなわけですけれども、このように五人の方を救う、あるいは十人の方を救うというのに対して、核とかミサイルの問題というのは、この周辺地域、五人ではなくて、恐らく五億人の方の生命に直結してくる問題であります。

 こうした問題を、その都度その都度、毎日毎日、猫の目のようにテーマを変えて追求されるわけですけれども、一体、日本政府の外交目標というのはどこにあるんですか、どれを一番最優先されるんでしょうか。外務大臣、いかがでしょうか。

川口国務大臣 今、委員が問題の多くの側面を、ほとんど全部網羅をされたという感じで伺っておりましたけれども、まず、我が国の外交の目標というのは、当然のことながら日本の平和と安定です。そして、それを確保していくためには、これもまた当然にこの地域の平和と安定が必要であり、そしてさらにより広く国際社会における平和と安定が必要である、これが我が国の外交目標であるということでございます。

 それで、北朝鮮との間の問題ということでいいますと、我が国に非常に近い、隣の国の北朝鮮との間で我が国は五十年余国交を正常化していない状態で来た、この不正常な状態を正常にしなければいけないということでございますし、それから、先ほど申し上げた我が国の外交の目標に照らして考えれば、それが近隣の地域の平和と安全に資する形で行われなければいけないというのも当然でございまして、こういったことの重要性については今までも申し上げてきたということでございます。

 そういう意味で、今回の交渉について二つが優先課題であるということを言っておりまして、一つは、我が国が北朝鮮との間で持っている、ずっとある懸案の中でも非常に大きな問題である拉致の問題、これは安全保障の問題にもつながってくる問題でございますし、それからもう一つは、核の開発を含む安全保障問題ということを言ってきているというのは、こういう考え方から自然に出てくる話であるわけです。この二つを優先課題に我々は北朝鮮と交渉していくということでやってきているわけです。

 この拉致問題のうち、何がその中でプライオリティーなのかということをおっしゃられたわけですけれども、委員がおっしゃったことでほとんど尽きることになりますけれども、事実解明が重要である。これも再三再四、北朝鮮に対してもあるいは国会の場でも申し上げてきているわけでして、これは、今生存をしている、日本に来ている五人の人たちについてもそういうことでございますし、それから、生存が確認をされていない人たち、この人たちについても事実解明は重要であるということで、北朝鮮に対しては、そのことは強くクアラルンプールの場でも言ったということでございます。

 それで、一番最初におっしゃった、生存をしている五人の人たちについて、永住帰国を本人の、要するに大人の意思を無視して政府が決めているのではないかということについては、我々が考えているのはそういうことではなくて、まさに自由な意思決定ができる環境をつくって、そこで皆さんに自由な意思決定をしていただくということが大事であると考えているわけです。

 そのために、それをどうやってやるかというのはいろいろなやり方はあるかもしれませんけれども、政府が考えているのは、生存者で、今帰国をしている五人の方には日本に引き続きいてもらう、そして、その家族の方が北朝鮮にいるわけですから、お子さんなどですね、その人たちには日本に来てもらって、そこで話し合って、将来どういうふうにするのかということを自由な環境の中で意思決定をしてもらう、これがこの間の政府が決めたことの趣旨でございます。

 この間の、政府が決めた、官房長官が発表したことの中には、もちろん事実解明、今わかっていないことについて、生存していることが確認されていない人たちについてもそれをやっていくということは入っているということでございます。

 世論に流されているのではないかという御指摘もございましたけれども、そういうことではございませんで、冒頭に申し上げた日本の外交の目標にのっとって、あるいはそれを守るべくいろいろな交渉をやっているということでございまして、世論は非常に大事なバロメーターであると私は思っております。バロメーターというかパラメーターというか、それは日本の国民が何を考えているかということですから、日本のために外交をやっている外務省としては、日本の国民の皆様がどういうことを思っているかというのは常に大事にしていかなければいけないと思っています。

 その上で、外交をやっていく当局としては、どういうやり方をしたらば一番最初に申し上げた課題が達成をできるかということを常に念頭に置きながら交渉しているということでございますし、これも再三再四申し上げていることですけれども、それをやるに当たっては、日米韓、この連携が非常に重要でございますし、それ以外の関係をしている国、この問題に関心を持っていてくださっている国にも話をしながら、当初申し上げた外交、国交が正常化されていない国との間で問題を解決し、この地域の平和と安定に資する形でこの仕事をやっていく必要がある、そういうことでございます。

首藤委員 今の外務大臣の御説明は、やはり外交の大状況としてはそういうものだろう、そういうふうに思いますけれども、公式答弁は別として、これは極めて矛盾した外交目標に一度に取り組んでいることになります。ですから、その辺のバランスをきちっと見きわめて交渉を進めていただきたいと思うわけです。

 先ほど、今、事実解明が必要だということで、第二次調査団を送るということが想定されて、外務省の関係者もそのようにおっしゃっているわけですが、一体、送ってどういう進展があるのか。それは、国民向けには確かに、送りました、外務省も一生懸命やっていますと見せることはいいんですけれども、それが外交全体に果たしてプラスになっていくのかどうか、そして一体何が得られるかということですね。

 例えば、調査団を送っても、じゃ、こちらの質問に対して、百の質問、千の質問に対して、一万の質問に対して、きちっと本当のことが返ってくるのかどうか。たとえ一万の質問に対して一万の答えが返ってきても、それが真実であるかどうかというのをどうやって検証できるのか。それから、いろいろな問題があって、現地で調査できるのか。お墓がどこにあるのかとか、洪水の流れはどこまで来たのかとか、そうした問題に関しても本当に確認できるのか。そういうことができないという状況において、一体何をされているのか。

 ですから、私は、外務大臣が先ほど、世論は重要だけれどもそれに流されてはいないとおっしゃっていましたけれども、本当に外交目標というのは一つ一つ確認されてそういうことをやっておられるのかどうか。この第二次調査団について御意見をお伺いしたいと思います。

茂木副大臣 結論から申し上げると、第二次調査団を送るかどうかということにつきましては、今の時点では何ら決まっておりません。

 委員御指摘のように、安否情報について向こう側から示されている情報、まだ不十分であります。全く不十分という状態で、さきの日朝国交正常化交渉におきましても、百項目以上の追加的な検討項目を送らせていただいた。そして、第一次調査団を出したときも、いろいろな資料を持って帰ってきております。そういったものを総合的に分析して、何にしても安否についてきちんとした確認をとるということが必要でありまして、その過程において、第二次調査団を送ることが有効であろう、必要であろう、そう判断したら送るということであります。

首藤委員 私はなぜこれを質問したかというと、世界はもう国家間のミッションだけの時代ではない、国家間だけの調査じゃないわけですよ。

 例えば赤十字に関しても、ICRCなんかは、ICRCというのは赤十字の国際委員会ですけれども、それは、いわゆる国家主権とは別に、本当に、独裁国家、軍事政権の中にでも別途入り込んでいって、山の奥の奥の奥の刑務所の中から一人一人人を見つけ出してきているわけですね。

 それから、御存じのとおり、例えば、湾岸戦争のときに、イラクは外国人をたくさん人質にとっちゃう。それに対して、民間の例えばコントロール・リスクスとか、いろいろそういう名前が挙がっていますけれども、いろいろな団体が実はそれを取り返してきているわけですね。

 ですから、今は国際社会はこんなに変わっていますから、いろいろな形でいろいろな対応が可能なんですね。ですから、調査へ行きましたと、そういう公式チャンネルだけじゃなくて、ありとあらゆるチャンネルやネットワークを使ってやらないと、実は公式チャンネルも生きてこないんではないか、そういうふうに思っているんですよ。

 ですから、副大臣も御専門も近いと思いますので、そういうことも含めてきちっとした対応をしていただきたいと切にお願いします。

 それから、もう一つの観点は、当然のことながら安全保障の問題ですが、この問題に関しては、既にウランの濃縮のプロセスをやっているとか、あるいは、小泉総理が行く前の八月にアーミテージ国務副長官が来られたときに、もう既に核開発をひそかに進めているということが明らかになっているんですね。そしてまた、日朝交渉なんかを非常に冷静に見て、アメリカはもう既に、KEDOの合意はだめだ、事実上実効性がないということで、軽水炉建設の中断をするし、見返りの原油の輸出もやめるということを主張しているわけですね。それは、もうこれが終わったということです。

 御存じのとおり、こういう微妙な施設というのは、建設を一度中断したらそれでおしまいなんですね。だから、昔に日本が、バンダルシャプール、今のバンダルホメイニにつくった石油化学施設が、一度とめちゃったら、鉄塔はもう赤さびになっていくわけですよ。ですから、中断ということは、もう終わりということなんですね。

 それに対して日本の立場は、アメリカがそういうふうに厳しいというか、もう決めてしまっているのに、日本はどうして、日本の立場というのは一体何なんでしょう。非常に不透明で、どういう立場を安全保障問題に対してとろうとしているのか全く見えないんですけれども、外務大臣、その辺、説明していただけませんでしょうかね。

茂木副大臣 非常に今微妙な問題でありまして、委員もよく御案内の上で御質問いただいているんだと思うんですが、アメリカにしましても、これは枠組み合意もそうでありますが、KEDOについても、正式に態度を決めた、このようには承知をいたしておりません。

 ただ、さまざまな報道の中で、例えばこういった事業は、委員御指摘のように、一度中断をするとなかなか最終的に仕上げるのは難しい、こういった報道等々もなされていることも承知をいたしております。

 そういった中で、KEDOについてでありますけれども、これは国際社会が北朝鮮の核開発を阻止するための現実的な手段である、こういう認識につきましては、政府として現時点で変わっておりません。

 そしてまた、KEDOにつきまして、アメリカが軽水炉の事業及び重油の供給を停止する方針を決定した、このようには承知をいたしておりません。恐らく、十一月の船積み、この後近々来るのではないかな、そんなふうに思っておりますが、現段階におきまして、正式に停止を決定した、このようには承知をいたしておりません。

 何にしましても、この問題につきまして、日米韓三国が緊密に連携をして、KEDOの場も活用しつつ、北朝鮮の核開発問題の解決を図っていく、こういう考えであります。

 先ほど、拉致の問題につきましてもいろいろなマルチのチャネルが必要だと、私も首藤委員のおっしゃるとおりだと思います。核の問題につきましても、難しい問題でありますから、さまざまなチャネルを活用しながら、これの解決に努めていく、こんなことが必要だと思っております。

首藤委員 今の副大臣の話なんですけれども、正式にアメリカは決定していないと。当たり前ですよね、当たり前ですよ。今のこの時点でアメリカは、もう絶対だめだと公式に言うことはない。しかし、これはもうみんなに対してアナウンスしているわけですから、ほとんど正式なんですね。要するに、何か状況が劇的に好転しない限り、これはこうやりますよというのが声明なんですよ。

 では、それに対して日本はどうするのか。日本は独自外交を展開させてくださいと言って、アメリカに独自外交を求めてやるのか、あるいは、ただ漫然と、どうしよう、右往左往、どうしていいか、今これでやっちゃうと、もうこれで日朝交渉も終わりになってしまいますから、ただ時間稼ぎをやろうとしているのか、その辺はどうなんですか。外務大臣、いかがですか。

川口国務大臣 KEDOを考える上で大事なことは、今副大臣がお話をいたしましたように、これが北朝鮮の核の開発を阻止するために有効な手段であるということでございます。そういう意味では、これは今まで機能を果たしてきたし大事であると考えます。

 いずれにいたしましても、KEDOについては、これは関係国はアメリカだけではございませんで、アメリカ、日本、韓国、そしてEUも関係をしていますけれども、そういうところで話し合って、KEDOをどうするかということについては決めていくということでございます。

 我が国としては、KEDOが今まで果たしてきた、核の開発を阻止するという機能が非常に重要であるという立場をとっている、そういうことです。

首藤委員 それでは、外務大臣、お聞きしますけれども、アーミテージ国務副長官さんからもたらされたと言われる、あるいはほかの方も言っておられるわけですが、ウランの濃縮プロセスがもう始まっている、しかも、パキスタンから秘密裏に機器を購入して、パキスタン政府もそれは絶対ないよと言っている、そういう状況に対しては、それを正しい情報だと思うか、それはガセネタだと思うか。外務大臣、いかがでしょうか。

川口国務大臣 アメリカ側からは、この問題については情報の提供を受けているということでございますけれども、これについてどのような情報があって、どういう状況だということは、これはちょっと問題の、あるいは事柄の性格上、こちらから申し上げるわけにはいかないということでございます。

 いずれにしても、我が国として、これは平壌宣言に書いてありますように、核についてのすべての国際合意を北朝鮮が守るということは必要なことであるわけでございまして、これを進める、こういうことで、北朝鮮が国際社会に対応するということを働きかける、これをその交渉の場を通してやっていくということでございます。

首藤委員 アメリカからの情報が正しいかどうかわからないということですけれども、アメリカからの情報以外に何か頼るものはあるんですか。例えば、拉致された方の八人の安否だって、あるいは、ほかに何人もたくさんおられるが何人いるのかもわからない、何一つ北朝鮮の情報がない国が、どうしてアメリカ以外の情報から方針を決定できるのでしょうか。その辺は大変疑問だと思います。

 この安全保障問題に関しては、皆さん、ちょっとお忘れになっている点があるけれども、非常に重要な点があるんですね。それは、小泉総理が北朝鮮に訪朝する前に、要するに軍事境界線近くにある通常兵器、これこそが本当に深刻な問題でありまして、ソウルまで本当に、弾道弾ミサイルでもロケットでも飛んでくるわけですね。一瞬で飛んでくるわけですよ。テポドンとかノドンとか用意するにはそれなりの時間がかかりますけれども、通常兵器であれば一瞬で飛んでくるわけですね。これに関して、当然のことながら、北朝鮮の通常兵器の削減も主張するというふうにおっしゃっていたんですけれども、この点に関しては、総理はどのように交渉されたのでしょうか。外務大臣、いかがでしょうか。

川口国務大臣 これについても総理は、九月十七日の日朝の首脳会談の中で取り上げていらっしゃいます。

首藤委員 これは、取り上げるのは結構なんですけれども、それで何か具体的な成果が出てきたか。例えば、平壌宣言の中にこれは盛り込まれているのかということなんですね。

 これは、通常兵器とかだけじゃなくて、例えばミサイルの中東への輸出というものもあるんですが、イラクへ輸出されたりシリアへ輸出されているかもしれない、イランに行っているかもしれないということで、これこそまさにアメリカの悪の枢軸シナリオでありまして、だからこそ、イラク、イラン、そして北朝鮮を悪の枢軸の中に含めて、全部一括して対処していこう、必ずこれはやっつけると。最近、イスラエルのシャロンさんが、イラクが終わったら次はイランだ、ミサイルが飛んでくるのはイランだ、こういうことを言っていて、そのもとになっているのは北朝鮮の輸出しているミサイルであるというようなことも言っているわけですね。

 それから、ほかにも重要な点がありますね。例えば今問題となっている工作船です。だんだん明らかになってきましたね。工作船にさらに小さな小船を積んでいるわけですけれども、小船の中に携帯電話があって、携帯電話から関東の電話が呼び出されている。関東というのはどこにあるのか、千代田区にある電話番号なのかどうかも知りませんけれども、関東にかける電話番号なんかが呼び出されているということがありますよね。

 ですから、こういうことがもうないというならば、当然のことですが、軍備においては、これを使用しないとなったら廃棄するんです。ミサイルもそうなんです。もうミサイルは使いませんとなったら、廃棄するわけです。そして、廃棄しているというプロセスを検証するわけです。

 では、チョンジンとかその辺にある、あるいは中国側にある、黄海側にある工作船、これは今、廃棄のプロセスになっているんでしょうか。外務大臣、いかがですか。

茂木副大臣 まず、ミサイルの問題でありますけれども、さきの国交正常化交渉におきましても、平壌宣言でも、北朝鮮のミサイル発射のモラトリアムを二〇〇三年以降も延長していく、こういう意向が表明されまして、それを踏まえて日本側としても、我が国を射程に入れているノドンミサイルのうち、既に配備済みのものの廃棄を含め、北朝鮮側の具体的で前向きな対応を求めたわけであります。

 また、核の問題等々につきまして、先ほど来御意見の御開陳をいただいておりますけれども、何にしても、北朝鮮が今の段階で核開発をしていない、それを証明する証拠というのは全くないわけです。していませんよ、それを証明することはできないわけですから、我が国としては、濃縮ウランプログラムを初め、目に見える形で検証していく、こういうことが一番重要なことなんだ、そのように思っております。

首藤委員 副大臣、せっかくあなたが来られて、これから副大臣制度もすごく生きると思ったら、何かあなたもいつの間にか外務省モードになって、後ろから送ってくる原稿を一生懸命読むようになっちゃった。非常に残念なんですが。

 結局私が言わんとしていることは、このように、小泉さんがサインしたときには、もう既に平壌宣言を裏切る行動がずっと継続しているということなんですよ。そして、こういう問題、拉致問題に関して日本がいろいろなことを言うと、北朝鮮の方は、ミサイルを再開発するぞというようなことをスポークスマンが言っているわけですね。

 ですから、それは物すごく好意的な目で見て、いや、北朝鮮の政府の皆さんも非常に苦しんでおられるから、それはそういう気分もあるんだろうというふうに、好意的に見ればそれはそうなんですが、客観的に言えば、これは当然のことながら、平壌宣言そのものがもう無効なんです。無効なんです。だから、それは錯誤に基づいて署名しているんですよ。ですから、これは錯誤に基づいて署名しているわけですから、この平壌宣言自体が無効ではないですか。どうですか、外務大臣。

川口国務大臣 日朝平壌宣言は、正常化交渉をやっていくに当たって、我が国にとってもそれから北朝鮮にとっても、交渉の基本的な考え方を記した重要な政治文書であると私は考えております。そして、この平壌宣言を守って交渉を進めていくことが重要であるということです。

 それで、委員がおっしゃった点については、まさに小泉総理はこれに署名なさって、ここに、平壌宣言に書かれていることを交渉の過程で実現することによって問題を解決していくという考え方でいらっしゃったわけでございまして、ここに書かれていること、平壌宣言に書かれていることが遵守をされていないということであればこの交渉は妥結をしない、そういうことでございます。

首藤委員 この平壌宣言もそうなんですけれども、やはり日朝間の不幸というものは、過去何度も何度も是正する機会がありながら、実は間違ったシグナルを送り続けた、それによって、拉致された方に対しては二十四年間という大変長い不幸を負わせてしまった、そういう責任があると思うんですね。これは例えば中国の孤児の問題に関してもそうですけれども、国交がないというのは本当に深刻な問題であったわけですが、幾つかは、過去において、本来ならばこのときに解決できたのではないかなというときに解決されていないわけですね。

 例えば、最近でいえば、一九九〇年に金丸訪朝団というのが北朝鮮に行くわけですけれども、なぜ拉致の問題がこのときにうやむやになったのか。拉致の問題を今我々がこんなに言っているように、国交正常化のためには、当然のことながらこういう問題は解決して正常化しなきゃいけない。なぜうやむやになったのか。このことに関しては、外務大臣、どのような見解をお持ちでしょうか。

川口国務大臣 金丸訪朝団は、これは政党として訪問をしたということでございまして、政府として、この訪朝団に関連してコメントをする立場にはないと考えております。

首藤委員 それはちょっと違いますね。議院内閣制をとっているわけですね。政党政治でありますね。ですから、それは勝手に政党が、野党が行ってやったというのではなくて、金丸さんという自由民主党の大立て者が行ってやっているわけですから。

 そんなことを言えば、例えばこの平壌宣言でも、金正日軍事委員長とサインしているわけですよ。これは主権者、元首じゃないんじゃないか、元首は別にいるんじゃないかとか言っておられても、結局、金正日という人はその国の指導者でありますから、それで合意なんだと。片方は総理大臣が日本国総理大臣と書いて、片方は軍事委員長。外務大臣というか防衛庁長官みたいな形でサインしているわけですね。それで本当に等しいのかということが問題になるわけですけれども、それは等しいと。実態的には金正日という人は最高指導者であるということになっているわけですね。それと同じじゃないですか。そういう口先の言い逃れをするということは、やはり日本の外交を大きく曲げていくわけですよ。

 では、もう一つお聞きします。

 そのときに、やはりきちっとやるべきことをやらないで、なあなあでごまかしたというところがあるわけですね。例えば、今回大きな問題になったのは、小泉さんが行って、マツタケを持って帰ったというんですね。金丸さんのときには、金丸さんが後に家宅捜査をされたときに金塊が出てきて、これは北朝鮮の金塊だというふうに言われているんですけれども、この金塊はそのときに持ち帰られたんでしょうか。外務大臣、いかがですか。

川口国務大臣 存じません。

首藤委員 存じないのは結構で、当たり前のことですよね。存じないですよね。

 だけれども、実は、こうした問題が積み重なって日朝交渉というのは本当にゆがめられていったわけですよ。裏で送り合った間違ったメッセージが結局、こうした不幸をずっと永続化させていったんです。知らないのは結構ですよ。知らないと言われるのも結構ですよ。しかし、こここそが日朝問題の最大の不幸だということはよく御了解をいただきたい。

 それから、同じように、米支援というのがありますね。九五年から、人道目的で行われました。このときには、最初の九五年には、日本が凶作だった九三年の緊急輸入米、日本が凶作なんで外国から輸入して安い米を買った、これを送りました。百二十七億円。人道支援としては巨額ですけれども、そういうこともあるかなと思いますね。それからずうっと続いています。そして二〇〇〇年、政府米五十万トンを支援した。これは日本の米なんですよ。当然のことながら、国際価格の八倍とかそういうものですね。ですから、国際価格の間で千百七十五億円を財政負担した。

 私もこのときには政治の世界にいましたから、質問したわけですね。まず、飢餓に米を送る、こんなばかなことはないですよ。飢餓には小麦粉を送るんですよ。飢餓には小麦粉と一定の割合の植物油を送るんです。次の段階は、さらにコンデンスミルクやあるいは氷砂糖を送るんです。飢餓の人は、もう本当に薪もないような、そんな状況の中で米を送ってもらったって困るわけですよ。人道支援でも何でもないですよ。何でこんな米をそのときに支援したのか。これはやはり大きな問題で、これから背後関係を突き詰めていきたいと思います。

 もう一つの大きな問題は、拉致の問題でいえば、金正男問題というのがありますね。これも私が外務委員会にもう既に籍を置いていたときに起こったわけですが、金正男という金正日さんの後継者と言われる人がわざわざ日本に来て、しかもこの方は不法に、いろいろな問題があったので、牛久の入管センターでこれをとどめていたわけですね。牛久の入管センター、私も行きましたよ。なぜ行ったかというと、アフガニスタン難民がそこに非常に過酷な状況で捕まっていたわけですけれども、その牛久のセンターにおられたわけですね。

 当然のことながら、なぜ来たのか、どういうことをしているのかと聞くべきですね。あるいは、こういう方がおられれば、そういうことを質問している間に拉致家族の方の問題だって聞けるし、あるいは交換ということもあるわけでしょう。

 拉致の問題というのは、長くやっていますけれども、世界各国でいろいろあるんですよ。どこでも行われているのは、まず水面下で交換するわけですよ。これはだれでも表の舞台に出したくない、だから水面下で交換するというのは拉致の鉄則なんですよ。ですから、これはもうこの段階で、少なくとも今私たちが目にしているよりも何倍も効果のある形で対策ができたんですよ。

 この方が牛久のセンターから北京経由で北朝鮮に戻されるわけですけれども、外務省の人もついていった、VIPですからね。一体だれが、この方を牛久のセンターから帰国することを許可したのか。最終許可者はどなたですか。外務大臣、いかがですか。

茂木副大臣 余りメモを読まないようにということでありますので。

 まず、食糧支援の問題でありますけれども、御案内のとおり、これまで人道支援上の立場を中心にして、総合的に判断をしてきた。ただ、今国交正常化を進めるに当たって、どこかの時点で総合的に過去の検証、こういったものは必要であろう、こんなふうに私は考えております。

 それから、今御質問のございました入管に関する問題でありますけれども、これは法務省入管当局が一義的にかかわる問題でありまして、多分十分な答弁とは言えない、こういうおしかりを受けるのだと思いますけれども、入管当局におきまして、関係法令等に従って退去強制手続に必要な範囲の調査を行った、こういうふうに承知をいたしております。

 なお、御指摘の人物の人定については、北朝鮮出身者であるとは認められたものの、本名を確認することはできなかった、このように承知をいたしております。

首藤委員 あなたは、私の時間がないのを見て、ちらっと時計をごらんになってそういう話をずらずらとされましたけれども、そんなことは納得しないですよ。

 これはやはり外交問題なんだから、そんな入管の所長が、公務員の、要するに必ずしもトップでない所長が決められるものじゃないんですよ。これはだれが決めたんですか。最終的にだれが許可したんですか。これは外務大臣が許可しなかったら、できないんじゃないですか。外務大臣、いかがですか。

川口国務大臣 これは、入管の話でございますので、法務省ということでございます。

首藤委員 いや、それは真っ赤なうそ偽りですよ。私は、アフガニスタン難民の問題で、それは最終的に最後の判こを押すのは入管の問題ですよ、しかし、それは際立って外交の問題である、外務省の問題であるということはもう百も千も承知なんですよ。こういういいかげんなことをやられたら、私は納得できないですよ。時間がないので、もう終わりますけれども。

 委員長、こういう重要な問題ですから、これはやはり真剣に我々は考えなきゃいけないし、この問題に関しては、例えばその当時の田中眞紀子外務大臣ほか、この問題に関して本当に真実を知っている人の参考人招致を求めたいと思いますが、ぜひ検討していただきたいと思います。

 以上で終わります。

池田委員長 次に、桑原豊君。

    〔委員長退席、中川(正)委員長代理着席〕

桑原委員 私も、首藤委員を引き継いで、日朝国交正常化交渉についてお尋ねをしたいと思います。

 一九五二年にサンフランシスコ講和条約、そして五六年に日ソ共同宣言、六五年に日韓条約、七二年に日中の平和友好条約、こういうことで、戦後の日本の国際関係というのが重要な節目節目を一つずつ乗り越えてきたわけですね。私は、この日朝の問題というのは、その最後で、ある意味では最大の非常に重要な交渉だろうというふうに思いますし、二十世紀から引き継がれてきたこれまた最大の問題ではないか、こういうふうに思うわけでございまして、その端緒を切り開いたわけでございますから、ぜひ本当に正常化というものが実現をするようにまず我々は努力をしていかなきゃならぬ、こういうふうに思います。

 日韓条約は、御存じのように、十三年と八カ月という歳月を要しました。それぞれの国のいろいろな中にも意見があった、そしてさまざまな障害もあってそれだけの年月を要したわけでございます。日朝交渉も、中断した期間は大変長いんですけれども、始めてから今日に至るまで計算しますと大体十二年に近い、こういうことでございまして、そういう年月が必要であったということは、やはり相当さまざまな問題があったということのあらわれであろう、こういうふうに思っております。

 今回、こういう形で交渉が切り開かれたというのは、ある意味では、あうんの呼吸という表現はどうかと思いますが、何といいましょうか、機が熟して、その熟した機をとらえて決断をして踏み切った。この機が熟したというのはどういうことかといえば、北朝鮮は北朝鮮で非常に厳しい経済状態、これを何とか乗り切らなきゃならぬという問題があろうかと思いますし、日本はやはり拉致の問題、そして核を中心にした安全保障の問題、これをどうしても何とかしなきゃならぬ、こういうそれぞれの問題意識というものが、ある意味では違うわけですけれども、一つの機として熟したといいましょうか、そういう符節が合ったのではないかというふうに私は見ております。

 首脳会談が行われたということ、そして平壌宣言というものが発せられたということの意味は非常に大きいというふうに思うわけです。特にこの平壌宣言は、これからの交渉を進めていく基調となるべき精神であるとかあるいは基本原則、さらにはその課題というものの共通認識としてお互いに確認したということで大変意味があるというふうに思うわけですけれども、さて、これからこの交渉をやっていくということになれば、平壌宣言そのものが本当に現実に合っているのかどうか。もう既にそれにたがうようなことが次々と出てきているじゃないか、こういうことも言われているくらいハードルは非常に高い問題が出ていると私は思いますし、難題も多いと思うわけでございますけれども、それについては、この後それぞれ質問したいと思います。

 それらを乗り越えて正常化というものをなし遂げたそのときのことについて、先の話になるわけですけれども、そのことをなし遂げたときの意義というものと、それから、そのことによって展望できる将来というものについてどういうふうな考え方を持っておられるのかということをまずお聞きしたい、こういうふうに思います。

川口国務大臣 委員が国交正常化の歴史的な意義についてお触れになられましたけれども、私も、戦後五十年間正常化されていなかった北朝鮮と日本の間の国交を正常化するということは、まさに委員がおっしゃったように、我々が二十世紀から引き継いだ問題を次の世代のためにきちんと正常化をしていくという意味で、歴史的に大変重要な課題であると思います。これを平壌宣言にのっとってきちんと進めていくということが大事だと考えています。

 これがなされた暁のこれの意義というのは、まさに今述べたように、さまざまな課題を解決する、そしてその後の話として正常化がなされるということになるわけでございますけれども、先ほど、日本の外交の課題として我が国の平和と安全ということを申しましたし、それから、この近隣の地域の平和と安定ということを申しました。国交の正常化が行われることによって、近隣の地域の緊張が緩和をするということに資することになると思います。

 国際情勢全体はさまざまな要因によって動いておりますので、このことだけで、ひとしくほかのことが変わらないとすればという仮定で申し上げるというのはなかなか難しいことだと思いますけれども、やはりこれをやることによって近隣の平和と安定に資する、緊張が緩和をするということは言えるのではないかと思います。

桑原委員 私は、日本と北朝鮮の関係が安定的な友好関係に移っていくということは、とりもなおさず北東アジアの平和と安定につながっていくというふうに思うわけでございますし、大きな意味ではそういうことですが、個別的な言い方をいたしますと、このことによって、北朝鮮の国家の体制といいましょうか、そういうものが改革あるいは開放という方向に向かうのではないか、こういうふうに期待もし、そう思うわけです。

 あわせて、そのことによって南北の統一の機運というものが非常に盛り上がっていくのではないか、こんなことも考えられますし、またそれと関連をして、中国と台湾との関係にも改善の兆しというものが生まれてくるだろう。あるいは、いろいろ議論をされておりますが、北東アジアにおける非核地帯構想、こういうものの実現も間近になってくる。あるいは、既に小泉総理がピョンヤンの会談において述べられておりますけれども、北東アジアにおける六カ国の協議、協調、そういった構想も近づいてくる。もう一つ言うならば、日本における在日米軍基地、沖縄の問題なんかが象徴的にあるわけですけれども、そういった基地の整理縮小などにも大きな影響を与えていくのではないか。私は、個々の問題で幾つか挙げてみると、そんなふうに思うわけです。

 この中で、例えば南北朝鮮の統一の問題とか、それから沖縄を中心にした在日米軍基地の問題、これらについて、正常化の暁、どういう変化があらわれるというふうに見ておられるのか、そこら辺をお尋ねしたいと思います。

川口国務大臣 先ほど申しましたように、国交正常化が日本と北朝鮮との間で行われれば、この地域の緊張の緩和には資することになると思います。

 ただ、同時に、先ほどちらりと申しましたけれども、国際情勢というのはさまざまな要因によって動いていくものでございますので、この一つのことだけが全部を律するということでもない。これは、その時々の国際情勢の動き、あるいはさまざまな国際社会におけるプレーヤーの状況をきちんと見ていかなければいけないと思います。

 お尋ねの、南北の統一にどういう影響を与えるかということでございますけれども、そういった緊張の緩和には資するということではございますが、南北の統一にはやはりその他の、北と南の間のさまざまな要因、要素、あるいは人々の考え方があると思いますので、我が国の立場で、今の時点でどういうような影響を持つかということを予測することは控えたいというふうに思います。さまざまなシナリオはあり得ると思いますので、単純に予想するということはなかなか難しいと思います。

 それから、米軍の基地の整理縮小ということでございますけれども、これについて、緊張の緩和に正常化が資するということではありますけれども、米軍が日本に駐留をしているということは、安保条約に基づいて、日本だけではなくて、この地域全体、近隣の諸国の安全保障にもかかわるということでございますので、今の時点で申し上げられることは、プレゼンスは必要であるということだと考えております。

    〔中川(正)委員長代理退席、委員長着席〕

桑原委員 当然のことながら、さまざまな要因がその時点でどういうふうに働くのかということは、今から予測がつかないわけでありますから、そういったことを安易に予想するということはもちろんできないわけですけれども、ただ、我が国が、この北朝鮮との正常化交渉、正常化を通じて、どういう国際情勢というものを我々が目指して努力をしていかなければならないのか、そういうふうに考えていくならば、やはりこの交渉のプロセスの中では、そういった意識というものをしっかり持ち合わせた上でこれを進めていくということが大変大事なことなんだろう、こういうふうに私は思いますので、その点申し上げておきたいと思います。

 さて、この正常化交渉の進め方についてでございますけれども、双方の最優先課題というものが違っている。北朝鮮は、経済協力と正常化そのものをまず交渉にのせろと。我が国は、その前に最優先課題として、拉致問題の徹底的な解明と解決これあり、加えて、我々の安全に深いかかわりを持つ核を中心にした安全保障、これが最優先課題だということで、まさに緒戦から最重点の置き方が違うわけでして、そういう意味では、当然、初めから非常に難航が予想されているわけですけれども、川口大臣が常におっしゃられておるように、ひるむことなく毅然として、そして粘り強くやっていくんだと、ぜひそういう心構えで頑張っていかなきゃならぬ、こういうふうに思っているところでございます。

 ただ、もちろん粘り強くやらなきゃならぬわけですけれども、私は、このいずれの問題も、そんなにいつまでもだらだらと時間をかけてやっていくという話にはならない問題でして、粘り強くやらなきゃならぬけれども、しっかりと、ある意味では集中的に解決をしていかなきゃならぬ課題ばかりではないか、こういうふうに思っているところでございます。

 まず、拉致の問題なんですけれども、これは北朝鮮に残された家族の日本への帰国、そのための折衝を行うということで、本当に自由な判断ができる環境で、被害に遭われた方々の率直なそういう判断ができるようにしてあげよう、こういう配慮だろうというふうに思うんですけれども、そういう形で折衝を行う一方、疑問やさまざまな不明な点について百項目を超える質問をして、その回答を待って第二次調査の検討も行う、こういうようなことで、拉致の問題はそういう方向で今水面下といいましょうか、いろいろな形で折衝が行われているんだろうと思います。

 それから、核の問題は、十一月中に双方で協議をする。安保協議を立ち上げる。これは、議題が何になるかということは、恐らくまだつばぜり合いがあるんだろうと思うんですけれども、そういう形で交渉の場が設定されている。

 本交渉については、北朝鮮は十一月末と主張されたようですけれども、我が国はそれを留保して、回答は検討した後、こういうことになっているようですけれども、こうした課題ごとの交渉といいましょうか、折衝といいましょうか、そういうものとそれから本交渉のあり方、それにこの正常化交渉全体の仕組み方といいましょうか、そういう交渉をどういう形で重層的にやっていくのか、そこら辺の構想がある意味でははっきり見えてこない。どういうふうに仕組まれていこうとしているのか、まずそのことをお伺いしたいと思います。

 それとあわせて、粘り強くやるということですから、いつという区切りをつけることはなかなか難しいと思うんですが、この交渉をまとめていく時間的な目標というものは何か考えておられるのか、そこら辺について考え方をお聞きしたいと思います。

茂木副大臣 タイミング等々の問題につきましては、この後、大臣の方から御説明があるかと思うんですが、事実関係につきまして、桑原委員の方からほぼ正確に今全体像を御説明いただいたわけでありますが、基本的には、この国交正常化交渉、本交渉を中心にすべてのものを進めていく。

 特に拉致の問題につきましては、詳細な調査等々もあります。それから、先ほど御同僚の首藤委員も、例えばさまざまなチャネルを使っていく、そういう中には国際赤十字のチャネルであったりとかそういうことも有効であろう、こういう御指摘もいただきましたが、そういったマルチのチャネルを使いますけれども、基本的な交渉というのはこの国交正常化交渉の場でやっていく。

 同時に、安全保障の問題につきましても、決して本交渉と安全保障協議を切り離すのではなくて、この安全保障協議と本交渉は一体である。同時に、本交渉の場においても、安全保障の問題、核の問題、ミサイルの問題も取り上げていきたい、そういう形で進めていくことを政府としては考えております。

川口国務大臣 時期を、いつまでに片づけるという、その物理的な時を設定しているわけではございませんけれども、これは、先ほど委員もおっしゃったように、天地、人、時期が非常にうまくタイミングが合ってスタートをした交渉でございますから、我が国としては、日朝平壌宣言を遵守し、相手にも遵守をするということを要求しながら、このタイミングは大事にして、できるだけ早く解決をしたいと思っております。

 ただ、時の単位で物事を考えるということではなくて、この平壌宣言に書かれていることを遵守するということが双方それぞれ大事でございまして、それがなければこの交渉は妥結をしないということも北朝鮮に対してはきちんとお話をしているところでございます。

 初めに、結論的にいつまでに終わらせるというタイミングは、時期が設定されているということではないということでございますが、このタイミングは大事にしたいと思っています。

桑原委員 そういう方向でぜひ努力をしていただきたいと思います。

 拉致問題については、残念ながら、第一回目の交渉は物別れということで終わったわけでございますけれども、先ほど来ちょっとお話をしておりますように、今、水面下といいましょうか、いろいろなマルチの方法、手段を用いて折衝をしている、こういうことだろうと思うんです。けれども、今後、この八人の問題ももちろんございますし、それ以外のいろいろな不明者の方々について、そういった疑惑も持たれ、また要望も出されているわけですけれども、そういう全体像を考えて、どういうふうにこの交渉を打開していくのか、その点について今どういう考え方を持っておられるのかということをお聞きしたいと思います。

茂木副大臣 現時点で決定的な打開策、そう質問されますとなかなか難しい問題があるわけでありますが、この拉致問題、何にしても、安否情報が確認できない方々についての事実解明をしっかりやっていかなきゃならない。同時に、生存されている方、そしてその御家族の帰国の早期の実現、こういうことが特に重要だと考えておりまして、何にしても、御家族の皆さんを含め関係者の皆さんが納得できる形での解決を図っていく、こういうことにつきましては、大臣の方も再三繰り返しお話をさせていただいている次第であります。

 この問題につきまして、当然、国交正常化交渉でも一番時間をかけてこちらが主張させていただきましたし、先ほど私の方からも申し述べましたように、今後、さまざまなチャネルも検討した上で、有効なチャネルは使いながら、この問題の前進そして解決に向けて努力をしてまいりたいと考えております。

桑原委員 私は、この問題は相当いろいろな手段、方法を使わないと解決には向かわないとは思うんですが、問題は、北朝鮮側が、もう解決済みだみたいな話じゃなしに、我々から出されるいろいろな問題について今後誠意を持って対応する、そういう感触がやはり一番大事だと思うんですね。そういうものが得られているのかどうか、そこら辺をちょっと教えていただきたいんですけれども。

茂木副大臣 北朝鮮の側も、この拉致問題は我々が最優先課題として取り上げている、そのことは十分承知をしておりますし、同時に、この拉致問題の解決がなければ彼らの求める国交正常化もあり得ない、こういうことも十分認識をいたしておりますので、そういう相手側の認識に基づいて、主張すべきところを毅然と主張してまいりたいと思っております。

桑原委員 次に、KEDOの問題を中心にした核開発の問題でお尋ねしたいと思います。

 アメリカは、KEDOの専門家会合を欠席した、そして、近く開かれるであろうKEDOの理事会では、この枠組み合意の放棄といいましょうか、あるいは重油の提供の一時停止というようなことになるのかわかりませんが、かなり強い姿勢でこれに臨もうとしている。というのは、アメリカの考え方では、完全に北朝鮮が米朝の枠組み合意に反しているという判断でそういう強い態度で臨むのではないか、こういうふうに観測されております。

 これについては先ほど少しやりとりがございましたけれども、日本としては、このアメリカの予想される対応に、どういうふうにアメリカに対して物を申していくのかということが一つ。

 先般来のいろいろな議論を聞いておりますと、今外務大臣もおっしゃっておられましたけれども、このKEDOというのは、日米韓、そしてもちろん北朝鮮、そしてEUも含めて、核の問題でいろいろ話し合いをしていくチャネルの一つだと。これ自体も有効にそれなりの働きをしてきたし、この場自体というのが非常に大事だ、こういうふうな考え方だろうと思うんですけれども、日本としては、このKEDOに対してどういうふうにこれから対処していくのか。

 アメリカがある意味で強硬に出ますと、北朝鮮は、アメリカとの話し合いが閉ざされて、逆に日本の方に、核の問題で日本との話し合いに応じてくるのではないか、日本との交渉にある意味では重点を移すんじゃないか、こんな読みもあろうかとは思うんですけれども、そういうことなどの見通しも含めて、この問題にどう対応していこうとされているのか、お聞きしたいと思います。

茂木副大臣 KEDOの問題につきまして、まずアメリカにどう言っていくか、対応していくかということでありますけれども、恐らくこれから一週間ぐらい、いろいろな話し合いの場はあるのではないかな、こういうふうに考えておりますが、先ほども申し上げましたように、このKEDOが国際社会が北朝鮮の核開発を阻止するための現実的な手段である、我々はそういう認識を持っておりますし、桑原委員御指摘のように、こういったチャネル、そして場を確保しておく、KEDOというものも使いながら核の廃棄を働きかけていく、こういうことが必要だと思っております。

 今後のKEDOに対する我が国の対処方針いかんということでありますけれども、これはアメリカ、そして韓国、さらにEUもかかわってくる問題でありますから、関係諸国とも緊密な連携、相談の上、対処方針を今後決定していきたい、このように思っております。

桑原委員 理事会もそう遠くない、今月中ごろになるんでしょうか、予定をされているようですから、余り日はないわけでございまして、私は、こういった場というものの活用を通じて北朝鮮との交渉を進展させていく、そういう立場をぜひ堅持してほしいな、こういうふうに思っておるところでございます。

 それから、アメリカのやり方は、この間かなり強硬に、力をかざせば相手がかなり譲歩する、そういうやり方をいろいろな場面でアメリカはとっているようにも思うんですが、余りそれをやり過ぎて、北朝鮮そのもの、重油停止というようなことになると、国民生活そのものも含めてかなり大きな影響が出るのではないかという危惧も私はいたしております。そういう追い込み方をしたときにどういう反応があるのかということも十分考えて対応していくべきではないかな、こういうふうに思っております。

 それから、今のお話にもありましたが、この交渉を進めていくには関係各国との協力、協調というのが大変重要だというふうに思われます。

 日韓の交渉のときには、日本と韓国、ともに西側の、アメリカのある意味では同盟国で、そういう意味では同じ陣営にいたわけです。アメリカがある意味ではその接着剤の役割を果たして、アメリカの強力な後押しで日韓の交渉が妥結に至っていったという側面が私はあったというふうに思うんです。

 今回のこの交渉では、日米韓、この相互理解と連携協力というのは大変重要だというふうにもちろん思うわけですが、加えて、北朝鮮と伝統的な友誼関係にある中国との関係、それからロシアとの関係、これも大変重要だと思います。ピョンヤン会談そのものの実現にも、例えばロシアの方では、我々が金正日総書記に日本とのそういう話し合いをやれと勧めたというような話もあったくらい、彼らは彼らなりにあの会談の実現にはそれなりの寄与をしたというような自負もあるようですし、それが本当かそうでなかったかは別にして、私は、これからの交渉を進めていく上では中ロの影響力というのは非常に大きなものがあると思うので、ぜひそういう協力体制をさらに強化していただきたいと思います。

 先般のAPECあるいはASEANとのいろいろな首脳会合の中でも、北朝鮮の核の問題についてはひとしく理解を同じくして、問題視していく、解決を図っていく、そういう方向が確認をされたと思いますから、そういった全般的な協力というのは非常に大事なことだと思いますし、またEUも、北朝鮮とはEUの諸国も相当多くの国々が国交を樹立しております。そういう意味では、遠いところですけれども、EUの協力というのも非常に大事だ、こういうふうに思います。

 そういう意味で、この交渉は、今までの、先ほど一番最初に申し上げた幾つかの大きな節目の条約がございましたけれども、それらに比べてもはるかに、そういう意味での国際的な協調関係、協力関係というものが大事だというふうに思いますので、ぜひ、それらをどういうふうにつくっていくのか、その点について考え方をひとつお聞きしたいと思います。

 あわせて、私は、そういうことになりますと、外務省にとどまらず、あるいは内閣官房にとどまらず、関係の各省庁というか、先ほど首藤委員は、それだけじゃなしに、もう民間のNGOなりいろいろな活動も含めて、交渉を成功させていくためには多くの力が必要だ、こういうふうに思うんですけれども、そういった挙げて取り組んでいく体制というものをどう考えているのか、そこら辺の体制の問題についてもぜひお伺いしたい、こういうふうに思います。

川口国務大臣 委員のおっしゃった二点、外国との関係、外国との連携、そして外務省とほかの省庁の連携、いずれも大変に重要なことだと思っております。

 ほかの国との連携ということについては、総理もそれから私も、いろいろな国際会議の場あるいは訪問をしたときにこの問題については話し合っております。ごく最近では、クアラルンプールの会談の後、総理はAPECの会談でお話しになられた、あるいはつい先日、ASEANとの会合でお話をしていらっしゃいますし、私も韓国やロシアやアメリカ、そういった国と電話会談をやって、この問題について働きかけあるいは協力をお願いしている、そういうことでやっております。

 それから、政府全体として挙げてこれに取り組むことの必要性という意味では、まさにこれは外務省だけがやる仕事ではありませんで、政府としてやる仕事であるということでございます。関係閣僚会議を既に立ち上げておりまして、この問題については対応している、そういうことです。

桑原委員 交渉の重要性、そして交渉の困難さ、そういうものを考えれば考えるほど、各関係国との協力、そしてまた政府挙げての体制の強化というものが非常に大事だと思いますし、また、私は、そういう関係国との協力などを通じて、やはり北東アジアを中心にした諸国との信頼の醸成あるいは連携の強化、そういうものにつながっていくというふうに思いますので、ぜひその点、強力に進めていただくことを要請いたしまして、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

池田委員長 次に、藤島正之君。

藤島委員 自由党の藤島正之でございます。

 まず最初に、北朝鮮の拉致問題に関して二、三質問をさせていただきたいと思います。

 昨日、この拉致問題に関する超党派の議連の総会が夕方ありまして、実は、鈴木大使をお招きして御説明いただいた後、質疑をしたわけであります。

 実は、私、鈴木大使とは七年ほど前に二年間、国際協力本部事務局で御一緒に仕事をさせていただいて、非常に骨のある方で、今回の交渉も、彼は、私の最後の御奉公だ、もう命がけで頑張るとおっしゃっていまして、外務省は最近の不祥事が続いた中で国民の信頼を回復できるかどうかの一つのチャンスでもあるので、ぜひ頑張ってほしいと激励したわけであります。

 その場で私が質問したのは、今、被害家族が一番心配しているのは、やはり子供さんのことなんですね。私、二日ばかり前に、出身が柏崎ですので、実は、蓮池さんのお宅にお邪魔して御夫妻とお父さんと話をしてきたときも、その点、物すごく心配しておられたんですね。それで、鈴木大使に、第三国案というのが出てきているようなんですけれども、これについてどうですかと伺ったところ、公式の場では全然出ていないと。その前の段階で非公式にそうした話をしたのに対して北朝鮮側から拒否されたといったようなことをこれまで自分は言ってきたけれども、これは自分の記憶違いであった、間違いであって訂正します、こういうふうなお話が実ははっきりあったわけでありまして、そうすると第三国案は御破算になったわけであります。一回出して断られたのをもう一回出すというのは問題なんですけれども。

 きのう、何か、総理は若干含みを持たせた発言のようなこともおっしゃっていたんですが、現在、ある意味で我慢比べみたいな形になっているわけで、私は、余り小細工的なことはしない方がいいんじゃないか。今までどおり、御家族を、子供さんを日本に帰してもらう、この交渉を整々ときちっとやっていく方がいいんじゃないか。また、蓮池さんら家族の方もそういうことを望んでいるようなんですが、この件について外務大臣の所見を、それから、今後どういうふうにこれを持っていこうとしているのか、お伺いしたいと思います。

川口国務大臣 まさに委員が今おっしゃられましたように、このことについては北朝鮮に、北朝鮮にいる家族の人たちの早期の帰国、その日にちの確定を求めている、そして自由な環境の中で意思決定を可能とするようにする、これを正面から堂々と北朝鮮との交渉の場でやっていくということであると思います。

藤島委員 まさに自由な意思決定がどういう形で、どの場でなされなきゃいかぬかということだと私は思います。今の外務大臣のお考えでぜひやっていただきたい、こう思います。

 それからもう一つ、この拉致問題、長期戦になるような雰囲気になっているわけですけれども、家族の方の生活の問題があるわけであります。せんだっても何か、帰ってこられたときのホテル代を負担させるさせないとか、あるいは旅費をどうするかとか、そんな話もあったわけですけれども、これは具体的にはどういうふうに払われたのか、お伺いします。

小熊政府参考人 お答えいたします。

 今回の北朝鮮に拉致された被害者の方々の帰国に際して必要とされる滞在費につきましては、例えば交通費、宿泊費、医療費のほか、長期滞在に伴って生活に必要となる物資購入のための経費を、内閣官房の既定の予算の中から支出することとしております。

藤島委員 既に払われたものもあるわけですね。

小熊政府参考人 まだ滞在が継続しておりますので、今後、精算してお支払いすることになるかと思います。

藤島委員 そうすると、これまでの分は御家族が自分で払ったままになっている、それを後から精算して払ってやる、こういうことですか、今のお答えは。

小熊政府参考人 御家族がお支払いしていることはないというふうに聞いております。

 具体的には、この全体の旅行を代理しているエージェントの方からお支払いをしているということでございます。

藤島委員 そうすると、エージェントが払ったままで、エージェントが負担したままになっている、こういうことですか。

小熊政府参考人 はい。滞在が継続しているところでございますので、精算をした段階でお支払いするということにしております。

藤島委員 こんなもの、払ったのは、はっきりした分はどんどん国が払ってやるべきじゃないんですか。それはすっきりやってやらないといかぬと思っているんですよ、急いで。それがいつまで続くかわからぬのに、既に払ったのがわかっている分ぐらいはどんどん払ってやるべきだと思うし、機密費とかいろいろなものに比べれば、これは微々たるものなんですから、そんな金、政府がないわけもないわけでありますから。

 それと、当分の間の生活費といいますけれども、今、御本人の収入が全然ないわけですよね。遠い先には、柏崎の西川市長なんかが就職の世話で市の臨時雇いにどうぞとか、いろいろ声をかけていただいていることは大変ありがたいことなんですけれども、本来これも、国がきちっと先に考えるべきなんですよね。地方公共団体の方が考えて国が乗るんじゃなくて、国の方がむしろ考えないかぬ。

 なぜかというと、拉致についての責任はほとんど国にあるわけですよね。もともと、こういうことが起こらないようにするのが国の第一義的な責任だったわけですよ。それは海上保安庁なり、あるいは警察なり、あるいは海上自衛隊なりが努力して、こういうことが起こらないようにしなきゃいかぬものが、次から次へ起こった。これは本当に国の責任で全部やらないかぬ。そのケアも、本来国が責任をすべて負うべきで、地方自治体に任すような話じゃない。

 したがって、私は、当分の間の生活費から今後のそういった生活費について、得べかりし利益じゃないんですけれども、そういった分も全部国が負担すべきだと思いますし、また、向こうにおられる子供さんだって、親がいないわけですから、一週間、二週間はいいでしょうけれども、もう既に三週間近くなってくる。そういった生活費についてはどういうふうに考えているんですか。ほっぽっておく気なんですか、ずっと長期戦になった場合に。どういう考えですか。

井上政府参考人 政府といたしましても、家族の方々が日本社会に溶け込んで、安んじて生活のできる環境をつくっていくということが急務であると考えておりまして、そのため、関係地方自治体とも密接に連絡をしながら、一体となって支援をしていくということを考えております。

 また、関係地方自治体と密接に協力しながら、きめの細かい支援につき検討を行うため、今体制を整備するということが非常に重要だと考えておりまして、昨日、被害者の方々や御家族に対する支援策を推進することを目的といたしまして、内閣官房に拉致被害者・家族支援室を設置したところでございます。これは、従来ございました、中山内閣官房参与室が行ってきた被害者の方々それから御家族への対応業務に加えて、被害者の方々のまさに生活の支援という新たな業務に対応するため、現行の体制の見直し、強化を行ったものでございます。

 政府といたしましては、このようにいたしまして、本件問題について万全を期すべく、引き続き全力を挙げて取り組んでまいりたい、こう考えております。

藤島委員 これは事務的な答弁じゃなくて、本当は政府の政治的な答弁をいただきたかったんです。きょうは安倍副長官は佐渡の方に行かれているのでお呼びできなかったんですが、いずれにしましても、これは本当に、一義的に国の全責任でやってもらわないかぬので、最後、万全を期すと言っていましたけれども、家族の皆さんだってみんな心配しているわけですから、口先だけじゃなくて、急いで、具体的に、丁寧な形でやっていただきたいと思います。

 次に、先ほど来、首藤委員等も質問しておりますけれども、北朝鮮が何かここに来てちょっと居丈高になってきているような感じもするんです。核の問題にしても、場合によってはミサイルの実験を再開しようかとかいうふうなことも言っておるんですが、先ほど来議論になっておりますが、この点について、いや、話し合いだ、話し合いだと言っていくのか、あるいは場合によっては強硬な方針も辞さずという方向で行くのか。外務大臣としてはどういう方向でアメリカに話をするのか、あるいは既に何か米国との話し合いを行ったのかどうか、この二点について伺いたいと思います。

川口国務大臣 北朝鮮との正常化交渉の進め方についてはさまざまな御意見をお持ちの方がいらっしゃると思いますけれども、政府としては、これは平壌宣言に従って、この地域の平和と安全に資するような形で二国間の懸案問題を解決していく、その結果として、平壌宣言が遵守をされるということであれば交渉が終わる、そういうことがなければこれは妥結をしない、そういう基本的な考え方をずっと持ち続けていくということでございます。

 米国との関係については、日韓米三カ国の連携が大変に大事でございますので、これはずっと今までもやってきておりましたし、今後とも、密に連携をとりながら進めていきたいと考えております。

藤島委員 私の申し上げたのは、日朝の関係じゃなくて、要するに、いろいろな交渉事で、弱気に出れば向こうは強くなるし、ある交渉の場面によっては、ある程度強気に出ればおさまる場合もあるわけですね。したがって、今回のように、何か北朝鮮が行くところがなくなってだんだん居丈高になってきたのに、こちらは話し合いだ、話し合いだと言っていていいのかどうか。むしろ、場合によってはかなり厳しい態度で臨む必要もある。

 これは日朝じゃなくて日米韓の三国の問題なんですけれども、その点について米政府高官はかなりきついことも言っているようですけれども、こういうことについて、今まで米側と、ここ数日、外務省として何か話をしたのかどうか。あるいは、するとして、ただ向こうの考えを聞くだけじゃなくて、我が国として米国に、どういうことをやってくれとか、どういう方向でやってくれとか、そういうことを考えているのかどうか、それを伺いたいわけです。

川口国務大臣 日本とアメリカとの間では、日ごろ日常的にさまざまなレベルでの意見の交換を行っております。この件についても、東京で、あるいはワシントンでさまざまな人が意見を交換しているわけでございまして、私自身も、先月の終わりだったでしょうか、パウエル国務長官とも電話で話をしている。そういう状況で、連携を密にとりながらこの問題については対応をしていくということでございます。

 戦術レベルといいますか、それぞれのやり方については、これはそのときそのときでいろいろな考え方、やり方があると思いますけれども、我が国としての基本方針、これに揺るぎはないということです。

藤島委員 個別の戦術的な話についてはお話しいただけないのかもわかりませんけれども、最終的には日米韓の三者がやはり乱れることのないような形で対応していかないかぬということだけは言えると思うんですね。その辺をぜひしっかりやっていただきたい、こう思います。

 韓国の問題なんですけれども、韓国では、核の問題にしてもミサイルの問題にしても、自分の国じゃなくてむしろ日本の方に向かっているんだというようなことを言っている向きが多いようなんですね。事実、そういうことかもわからないんですが、そんな中で、核開発について、韓国としてはそんな事実を知らなくて大分慌てたようなんですね。太陽政策というのを見直す必要があるんじゃないかという意見がかなり出てきているわけですけれども。

 我が国は、韓国との関係ではこれまで、この二、三週間ぐらいを含め、どのレベルでどのような話し合いを行ったのか。単なる情報交換だけであったのか、あるいは内容について何かあったのか、その点についてお答えいただきたい。

茂木副大臣 今次の日朝の国交正常化交渉、韓国におきましては、まずメディア等々で大変高い関心で取り上げられております。そして、御指摘いただきました太陽政策についてでありますが、確固たる安全保障体制をしく一方で、北朝鮮との間で和解と協力をもっと積極的に進める、こういう意味で、我が国としてもこの政策を一貫して支持しているところであります。

 そこの中で、最近の動きということでありますが、先週、一日だったと思いますが、川口外務大臣から崔成泓、韓国の外交通商部長官に対しまして直接電話会談を行いまして、今回の日朝正常化交渉につきまして説明をさせていただいた。その際に崔長官の方からは、核問題について日本側の立場をしっかり伝えていただいたことを評価する、こういう話がありまして、また、日朝国交正常化交渉は北朝鮮側とのコミュニケーションのための有効なチャネルである、こういうふうに考えており、これが継続されることが重要である、今後とも日米韓の間で緊密に連携をしていきたい、このようなお話があった、そうお聞きをいたしております。

藤島委員 核を認めた、このことについては韓国はどういうふうな考えを持っているんですか。

川口国務大臣 韓国の立場も我が国と同じでございまして、朝鮮半島に核が存在をするということは認められない。これは南と北の間の合意があるわけでございまして、それをきちんと守ることが大事である、そういうことでございます。

藤島委員 太陽政策を進めてきたのは、本当に核がない前提だったんじゃないかと思うわけです。ここに来て北朝鮮が、核があった、あるいは、もう最近開き直って、また継続して開発を続けるような発言もしておるわけですけれども、こうなってくると、太陽政策そのものを我が国も理解できるのかとか、韓国自体もその延長線でいくのかどうか、そういった問題も出てくると思うんですが、その辺についてはどういうふうに感じておられるのかということなんですが。

田中政府参考人 韓国の太陽政策も、前提として確固とした安保体制をしくということがございますから、当然のことながら、太陽政策の中でも、きちんとした抑止力を維持していくというのが前提になっていると思います。

 核の問題につきましては、先般の閣僚会合でも南北の間で話し合いがされたということでございますし、今、日米韓の連携の中で、これは太陽政策であると否とにかかわらず、まずやっていかなければいけないのは国際的な協調体制をつくるということで、先般のASEANプラス3の会合でも、日本は韓国と協力いたしまして、ASEANそれから中国に対しても、まさに核開発計画の廃棄を求める、こういう認識をASEANプラス3の場でつくった、議長声明でもその旨発表されている、こういうことでございます。

藤島委員 これは、日韓、日米、みんな共同して核の廃棄を求めていかないかぬのですけれども、現実には本当に北朝鮮のやることというのは信用できないものがあるので、余り甘い考えを持っていてはいけないんじゃないかということを再度申し上げておきたいと思うわけです。

 時間がなくなってきましたので、FTAの問題についてお伺いしたいと思いますが、今、なぜFTAが問題になっているんでしょうか。

茂木副大臣 FTAの今日的な意味合いということでありますが、委員も御案内のとおり、例えばWTOとかいろいろな国際組織、国際会議の場を見ても、何しろ参加する国というのはふえてきている。先進国もありますし、発展途上国もある。農業の輸入国もある、輸出国もある。さまざまな立場の国が参加をする。そして、取り扱います課題といいますか対象も、単に貿易財といいますか工業製品だけではなくて、サービス製品であったりとか農業であったりとか知的財産権であったりとか、さまざまなものを扱うようになる。

 そうすると、例えばWTOにしても、そういう大きな会議体の中ではなかなか一遍に進められない問題というのは出てまいります。そうなってくると、よりフレキシブルというか柔軟に動ける二国間で、そういった貿易等々につきまして自由貿易協定等々を結ぶ。このことは、こういったWTO等々を補完していく上でも、また促進していく上でも、非常に今日的な意味合いは高まっている、このように考えております。

藤島委員 この自由貿易協定、確かに今おっしゃったような面があるんですが、特に重要なのは、アジア地域の経済の発展というのが目覚ましいわけですね。地球上の中で、やはりほかの、EUにしてもアメリカにしてもある程度安定してきている中で、アジアの経済の発展というのが本当に目覚ましい。そこで、各国がそこに目を向けてきているということで、東アジアの国々自体も一緒になって発展したい、こういう願望があるわけですが、そのやり方の問題として、端的に言って、中国に対して我が国は一回りぐらいおくれているんじゃないか、こういう見方があるわけであります。これにはどうも政府の対応のまずさ、もう少し言えば、経産省とかあるいは農水省と外務省の方針の違いとか、国内の産業保護に対する考え方の違いとかがあって、戦略がうまくまとまっていないといいますか、遅い。それに対して、中国の方がどんどん入ってきている。

 もともと、このASEANプラス3ですか、これについては、日本が中国をこのグループの中に入れておいた方がよかろうぐらいのつもりで入れたものが、どんどん中国にイニシアチブを握られてきているんじゃないか。このままいくと、本当に全部中国の後塵を拝する形で、アジアの中の日本ということになりかねない。

 その点については、外務大臣はどういうふうにお考えですか。この間もちょっとその点を伺ったんですが、外務大臣にちょっとお伺いします。

川口国務大臣 このFTAの話にしても、もともと中国がFTAというふうに考えるようになったきっかけは、日本のシンガポールとのFTAの話にあるわけでございまして、そういった形で我が国と中国が、アジアの地域でお互いに刺激をし合いながら、この地域のために、あるいはこの地域の経済の活性化のためにやっていくということは非常にいいことだと私は思っております。

 これが中国との関係であろうとあるまいとにかかわらず、もともと日本が国際社会の分野で世の中、世界を引っ張っていくような、そういう構想力を持って存在を明らかに、はっきりさせていくということは非常に大事でございます。外務省としてもそのために努力をさらにしたいと思いますし、また政府全体として、こういったことが大事だと思い、行動に移していく、そういうことをやっていくことが大事だと思います。これも改革の一環だと思っています。

藤島委員 背景には日本の農業との問題があるので、余りその辺を詰めないまま進めてしまうと、我が国の農業のダメージが、大変な痛手になる可能性もあるので、やはり関係各省と緊密に連絡をとりながらやらざるを得ないと思うんです。

 いずれにしても、今のままでいくと、一周のおくれが二周のおくれになっていき、アジアの中の日本の地位もどんどん下がっていく。期待されなくなるし、頼りにもされなくなるということにもなりかねない。したがって、この点については、関係省庁と本当に早く意見を調整して、戦略をきちっと練って、どんどん前向きに進めていっていただきたい、こう思いますので、それを要請して質問を終わります。

池田委員長 次に、松本善明君。

松本(善)委員 イラク問題について伺います。

 小泉首相は党首討論で、この問題は戦争によらない解決のための外交努力をやっていく、こういうふうに答えられたことは大変重要だと考えております。その立場から伺おうと思っております。

 何回もこの委員会ではこの問題で質問をしておりますが、先日の委員会で安藤中東アフリカ局長は、イラクへの無制限の査察に関して、無制限というのは軍事行動云々とは全く無関係で、査察を実施するに当たって、国連の査察官がイラクに行って査察を行う際に、即時、無条件かつ無制限に行われる必要があると答え、また、先般のイラクの査察受け入れ表明というものは重要な第一歩だというふうに考えているという答弁をされました。

 この先般のイラクの査察受け入れ表明というのは、どういう内容の受け入れ表明を指しているのでしょうか。

安藤政府参考人 お答えいたします。

 これは、九月十六日にイラクのサブリ外務大臣からアナン国連事務総長あての書簡が参りまして、その中で、国連の査察につきまして無条件に受け入れるということを表明したというものでございます。

松本(善)委員 十月一日の国連監視検証査察委員会、UNMOVIC、それから国際原子力機関、IAEAとイラク代表による実務者協議の後にUNMOVICが発表した声明についてはどう考えていますか。

安藤政府参考人 九月の三十日と十月一日に、ウィーンにおきまして、イラク側とUNMOVIC、IAEAとの実務者の協議というものがございました。そこで今後の査察についての話し合いが行われまして、そこで合意に達したということでございます。

松本(善)委員 そのときには、即時、無条件だけではなく、八カ所の大統領施設についても無制限にすべての場所が立ち入り対象になることが明確にされたのではないかと思います。このときには、九八年の了解覚書が特別な手続を定めているということも入っておりましたけれども、その後、先日も御紹介をいたしましたが、我が党の緒方参議院議員を団長とする代表団に対して、イラクの国民議会のハマディ議長とファイサル外務省第一政務局長との会談で、八つの大統領宮殿を含むすべての施設、場所への査察を無条件で認めると言明をいたしましたし、イラクのドウリ国連大使はアメリカABCテレビ番組の中で、我々は国連査察官の大統領宮殿への自由な立ち入りを認めることができるというふうに言いました。

 これらを見ますと、先日、外務委員会で川口外務大臣が、査察を即時、無条件、無制限に受け入れることが紛争を回避する唯一の方法であるというふうに言われましたが、そういう障害がなくなったというふうに言えるのではないかと思います。外務大臣、どうお考えですか。

川口国務大臣 具体的に何が無条件、無制限、即時に当たるかということについては、これは査察の進展あるいはイラクの対応等のいろいろな事情を勘案して安保理で判断をするということだと思いますけれども、四年間イラクは査察を受け入れていなかったということであるわけです。そして、そういった事態を前提に考えますと、ここで今安保理が議論をしているのは、査察のやり方を強化することが重要であるというふうに考えているということで、このために決議を行うということを今安保理で議論をしている、そういうことだと理解をしています。

松本(善)委員 我が党も、イラクが今まで査察を受け入れていなかったとか、そういうイラクの問題点も十分承知をし、そのことも指摘をしてイラク側と対応した、会談をしたわけであります。

 中東アフリカ局長、今の外務大臣の答弁をもう少し詳しく、何がまだ足りないのかということを答えてほしいと思います。

安藤政府参考人 先ほど申し上げましたように、九月三十日、十月一日の話し合いにおきまして、査察のやり方についての合意が行われたわけでございますが、具体的にそれがまだ国連とイラク側の間で確認された形になっておりません。具体的に例えば、査察を行う場所であるとか、査察官の人数の問題であるとか、あるいは携行する機材であるとか、通信手段の確保であるとか、そういう問題についてイラク側と国連側との話し合いがきちっとした形で文書で確認された形にはなっていない。そこで、今そのことも含めて、先ほど外務大臣からお話がありましたように、安保理で議論が行われているということでございます。

松本(善)委員 先日の委員会では、行動が伴えば話し合いで平和的に解決する条件が整うんだというような趣旨のことを答えたと思いますが、どうですか。

安藤政府参考人 実際に査察が行われて、仮に国際社会が疑念を抱いているような大量破壊兵器があるとすれば、それを廃棄するというのが国際社会の要請でございまして、私ども日本政府もそれを求めているわけでございます。

 したがいまして、今、査察の態様等について安保理で議論が行われている最中であるということを今申し上げたわけでございますが、今後また査察が実際に行われていく過程で、イラク側が無条件に無制限に査察を受け入れる、そしてそれを許すということのプロセスを確保する必要があるということでございます。

松本(善)委員 今までのイラク側の言明では、査察について国連との合意ができると思いますし、そしてその後は、それが完全に実施できるかどうかということが問題になっているのではないかと思いますけれども、国連とイラクとの話し合い、それを確認するということがまず先なのではないでしょうか。それを日本政府は考えているのではありませんか。

安藤政府参考人 若干過去の経緯を申し上げて恐縮でございますけれども、イラクは、一九九一年から、当時の国連査察特別委員会、UNSCOMと当時は言っておりましたけれども、それと国際原子力機関、IAEAによる査察を一たん受け入れました。ただ、九七年の六月以降、イラクによる査察拒否それから妨害の事例が相次ぎまして、九八年一月には、イラク政府は査察団の活動を許可しないという決定をしたわけでございます。

 事態打開のため、アナン国連事務総長がイラクを訪問して、査察が四月に再開されましたけれども、その後もイラク側による査察団への非協力や妨害が継続いたしました。同じ九八年の十二月には、UNSCOMがイラクから完全な協力を得られなかった旨、安保理に対して報告を提出したというような経緯があったわけでございまして、今回も、査察の手続を定めて、それに従って査察が行われる、その過程で同じような妨害が起きないように、無条件、無制限に査察が行われることが必要であるというのが国際社会の考え方であるというふうに了解しております。

松本(善)委員 私たちの党は、もうそういうようなイラク側の誠実でない態度については承知の上で、現在は受け入れるというふうに言っているんだから、それは国連との間で話をつけて、そして査察を実行するということが大切なのではないか。今まで日本政府が再々答弁をしている、即時、無条件、無制限の査察、それが実行できる条件ができているのではないか。過去のことを聞いているのではない。それは私ども十分承知の上で、しかし、現在、平和的に解決するためには、イラク側がそういう態度をとっているんだから、これを国連との間で確認をさせて実行するということでよいのではないかということを言っているわけです。

 外務大臣、その問題に端的にお答えいただきたいのであります。今までの答弁の繰り返しではなくて、今問題にしている私の問いにお答えいただきたいと思います。

川口国務大臣 今までも端的にお答えを申し上げているつもりでございますけれども、言葉が十分でないかもしれませんが、具体的に何が無条件、無制限、即時かということは、これは諸般の事情を考えて安保理で判断をされる、そういうことでございます。

 そして、従来の、四年間査察をイラクがブロックしてきたという経緯にかんがみれば、これを強化する必要があって、今の時点では、大統領の施設も含めて体制を強化するということが重要であるということで、そういった共通認識を安保理の理事国が持っていて、したがって安保理で今議論が行われている、そういうことでございます。

 ですから、我が国としては、まさにイラクが実際に即時、無条件、無制限ということで査察を受け入れることが大事、そのために査察の体制を強化する、これを今議論している、そういうことであると認識をしています。

松本(善)委員 前回言っていたのは、言葉だけではない、行動が伴うことが必要だということを局長ははっきり答えていたわけです。今、国連の安保理の協議が行われていることは承知ですけれども、今までの日本政府の態度について、そういうことではないかということを聞いたわけでありますが、安保理の問題が出ましたのでそれを聞きます。

 アメリカはきょうにも新決議案を出すというふうに言われていましたけれども、この問題では、イラクの態度の変化に対して、安保理の協議ではアメリカはどういう状況に、直近の情報を答えていただきたいと思います。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、イラクに関する安保理での議論というものは大変煮詰まってきているというふうに我々も承知をしております。我々の情報等からも、アメリカは、早ければ現地時間の六日にも新たな案を提示して、他の理事国と議論を開始するというふうに承知をしております。

松本(善)委員 イラクのフセイン大統領については、バグダッド、四日のロイター電ですけれども、米軍の軍事行動の口実にすぎないものでない限りは、決議に協力することを検討すると。決議が、国連憲章、国際法、イラクの主権、安全保障、独立などを尊重する形で発せられ、米国の悪意に対する口実をもたらすものでなければ、我々は折り合いをつける方向で臨みたい、こういうふうに述べたということがロイター電で入っていますけれども、イラク側がそういう態度であれば、平和的に解決をする可能性が十分あるのではありませんか。

西田政府参考人 お答えをいたします。

 私たちも、今御引用ありました報道を承知しております。

 仮にフセインの発言というものが報道のとおりであるとすれば、現在議論をされております新たな安保理決議についても、当然、これは安保理として決めるわけでございますし、国際法にのっとって行われるものであるはずでありますし、アメリカのあり得べき軍事的な介入の口実であるはずはありませんので、当然のことながら、イラクとしては受け入れられるはずだというふうに希望をしております。

松本(善)委員 では、国際法の一般論として聞きますが、先制攻撃は国連憲章に合致していないと考えますが、これについて条約局長の答弁を求めます。

林政府参考人 一般論ということでございますけれども、御案内のとおり、国連憲章のもとでは、一般的に武力の行使が禁止されておりますけれども、自衛権の行使に当たる場合や安保理による所要の決定がある場合には武力の行使が例外的に認められるという仕組みになっておるわけでございますけれども、お尋ねの先制攻撃ということにつきまして、ちょっと具体的にどういうものを指すのか。

 先制攻撃について、恐らく、国際的に確立した定義というものがあるとは私は承知しておりませんけれども、いずれにいたしましても、国連憲章上、具体的には五十一条になるわけでございますけれども、自衛権の発動が認められますのは、あくまで武力攻撃が発生した場合ということでございます。

 これは、そのタイミング等の関係で申しますと、武力攻撃によりまして現実の被害が発生した後でなければならないということでは必ずしもございませんで、相手国が武力攻撃に着手したときだ、そういう意味であるということは従来から申し上げてきているところでございますけれども、いずれにせよ、こういう意味を含めました武力攻撃が発生した場合でなければその自衛権の発動というものは認められないということは、従来から一貫して申し上げているとおりでございます。

 御指摘のようなことが国際法上、国連憲章上認められるのかどうかということにつきましては、やはり、現実の事態におきまして、そういう武力攻撃が発生した場合に当たるのかどうかということをその都度判断すべきものだというのが一般論のお答えでございます。

松本(善)委員 さらに一般論として聞きます。

 着手のときもということですが、武力攻撃が発生したということが客観的に証明されることが必要なのではないかと思うんです。そうでなければ、ある一国が主観的にこれは武力攻撃の着手があったという判断をして、先制的に攻撃をすることが認められるということになります。これはアメリカだけの問題ではありません、パキスタンでもインドでも、どの国でも国際法が適用されるわけでありますから。そういうことになりますと、ある国が武力攻撃に着手をしたと考えただけで攻撃をするということが可能になる。そういうことは国際法は認めていないのではないかと思いますが、いかがでしょう。

林政府参考人 武力攻撃と申しますのは、先生も御案内のとおり、組織的、計画的な武力の行使でございまして、現実の事態において、どの時点でこれは武力攻撃が発生したというふうに認識されるのか。それは認識の問題というのは確かにございますけれども、これは、やはりそのときの国際情勢であるとか、それから組織的、計画的な武力攻撃の主体である当該国の明示されていた意図があるのかどうか、それから、その攻撃の態様というのがかなり明白な形になっておるというようなことを勘案して判断するということを申し上げておりまして、何か、さっぱりわけのわからないうちに武力攻撃が発生しているといったことはないのではないかと思います。

松本(善)委員 端的に言えば、客観的に証明されないと、各国の主観的な判断に任されているということではないと思いますが、その点を端的にお答えいただきたいと思います。

林政府参考人 およそ武力攻撃ということが、先ほども申しましたとおり、組織的、計画的な武力による攻撃ということでございますので、外から見えないといったようなことはちょっと考えられないのではないかと思います。

松本(善)委員 外から見えないというのはどういうことですか。

林政府参考人 攻撃そのものが組織的、計画的に行われるということでございますから、客観的に判断できるであろうということかと思います。

松本(善)委員 では、客観的に判断できる場合というお答えですね。そういうふうに受け取っていいですね。

林政府参考人 武力攻撃というものの性格上、それは客観的に判断できるような攻撃が行われるであろう、そういった場合を指すものであろうということを申し上げているわけでございます。

松本(善)委員 もう一つ聞きますと、やはり一般論ですが、現代の国際社会で、ある国が大量破壊兵器を保有していることを理由にして、特定の他の国が国際社会に成りかわってその国を武力で先制攻撃するということは、国連憲章では認められていないと思いますが、いかがですか。

林政府参考人 従来から、現実にどういう場合に武力攻撃が発生するかということにつきましては、先ほどちょっと申しましたけれども、そのときの国際情勢、意図、攻撃の手段、態様等を勘案して判断するということで申し上げておりまして、抽象的に、限られた与件を仮設いたしまして論ずるべきものではない、こういう場合はどうか、ではこれにこういうのが加わったらどうかといった、そういう個々の仮設の事態の当てはめというものは適切でないということで、これはその個々具体的な事態に応じて判断をしていくと。

 要は、松本先生御提起のような、ある事態が武力攻撃に当たるか否かということは、その時々の具体的な状況を勘案して判断するということでございまして、それが武力攻撃に当たらないということであれば、それは自衛権を発動して武力を行使することは認められないということでございます。

松本(善)委員 林条約局長は歯切れのいいはずなんだけれども。

 私の聞いているのは、自衛のための武力行使以外は安保理事会の決議なしにはできないということは先ほど来の議論で進んでいるわけですし、その立場からすれば、大量破壊兵器を持っている、例えば核兵器を持っている核保有国は幾らもありますね。それから、核保有の危険がある、こういうふうに考えられる国もたくさんあります。そういうことを理由に先制攻撃をするということ、これは当然あり得ないことを聞いているんですけれども、核保有をしているとか、あるいは大量破壊兵器を持っているということを理由に自衛でない先制攻撃をすることは許されないだろうということを確認しているんです。これは当たり前のことを聞いているので、別に詳しく先ほど来のようなことを繰り返しお述べになる必要はないかと思いますが、お聞きしたいと思います。

池田委員長 林条約局長、質問に正面から答えてください。

林政府参考人 一般論でお答えする以上、ちょっと法律家としてはなかなか、いろいろ四の五の申し上げることをお許し願いたいのでございますけれども、ただ、先ほど申し上げましたように、個別具体的な当てはめというのは適切でないということは、私が今申し上げているわけではございませんで、従来から一貫して政府として申し上げているということでございます。

 ただ、そういう前提の上で、あえて一般論として申し上げますと、ある国がおよそ武力攻撃に当たらないような形で単に大量破壊兵器を保有している、そういう事実のみをもって、これに対して他国が直ちに自衛権を行使できるというようなことは、通常想定されないというふうに考えております。

松本(善)委員 時間が来ましたので、これで終わりますが、外務大臣に一言申し上げておきたいと思います。

 やはり、平和的に解決をするというために全力を尽くすべきである。私は、アメリカが単独で武力を行使することには反対だということを日本は言うべきだと思いますけれども、平和的に解決するための意思、決意をお聞きしたいと思います。

川口国務大臣 現在、国連の場で、まさにイラクが国際社会の懸念にこたえるような、そういう行動をとるべく働きかけているということでございます。戦争を前提にして何かをしている、そういうことではないということです。イラクの対応に全部かかっている、そういうことだと思います。

松本(善)委員 終わります。

池田委員長 次に、東門美津子君。

東門委員 沖縄頑張れという声援もございましたので、頑張ってまいりたいと思います。

 きょうは、普天間飛行場代替施設についてお伺いしたいと思います。

 七月二十九日に開かれました代替施設協議会において、普天間飛行場代替施設の基本計画が了承されました。この計画では、地元辺野古地区が求めていた、リーフ上からできるだけ外洋に建設してほしいという要望は考慮されず、リーフ全体を埋め立てて二千五百メートルの巨大な滑走路が建設される計画となりました。地元の声を無視した今回の基本計画決定に対し、強い遺憾の意を表明いたします。

 そして、辺野古への移設の最大の条件である十五年使用期限問題については、今回も何の進展もありませんでした。普天間基地の辺野古への移設については現在も強い反対意見があることは御承知のとおりであり、移設を容認する立場の意見でも、十五年使用期限はあくまでも着工の前提条件であるとしています。すなわち、沖縄にとっては十五年使用期限は移設のための最低限の条件であり、これが解決されなければどんな基本計画をつくっても全く無意味であるということを政府は認識すべきだと思います。

 今後は環境アセスメントが実施されることになりますが、アセスが終了しても、十五年使用期限問題が解決しなければ着工に入ることは不可能です。政府は一体いつまでにこの十五年使用期限問題を解決するおつもりなのか、まずそこからお聞かせいただきたいと思います。

川口国務大臣 十五年使用期限問題につきましては、これは平成十一年末の閣議決定に従いまして適切に対応していきたいと考えております。

東門委員 それがアセス終了までに解決しない場合、着工の延期もあり得ますか。

川口国務大臣 アセスでございますけれども、これは、平成十一年十二月の普天間飛行場の移設に係る政府の方針、そして、ことしの七月二十九日の基本計画、委員が今おっしゃった基本計画に基づきまして環境影響評価を行うということでございます。そして、この閣議決定にもありますように、自然環境に著しい影響を及ぼすことのないように最大限の努力をするということでございます。

 それで、最終的な具体的な建設場所については、海底の地形調査に基づく設計上の考慮やアセスの評価を踏まえまして最終的に確定をするということといたしているわけでございまして、政府としては、この基本計画を踏まえて、アセス等の所要の手続を進めまして、この基本計画の着実な推進に全力で取り組んでいきたいと考えております。

東門委員 私がお伺いしたのは、十五年使用期限問題がこのアセス終了までに解決しなければ着工の延期もあり得るのかとお聞きしたんですが、全然そういうところからは外れたところに行ってしまったなと思います。改めて別のところで聞きますが。

 今回の基本計画についてですが、十五年使用期限問題の解決ない限り着工はあり得ないとこれまでも主張している稲嶺沖縄県知事は、八月二日の記者会見で、今回は基本計画であり最終案ではない、今後、環境アセスメントがあり、それによって対応していくとの趣旨の発言を行い、また、岡崎那覇防衛施設局長も、八月十二日に地元の新聞社を訪問した際に同趣旨の発言をしています。今後の普天間代替施設の建設において、政府は環境アセスメントをどのように位置づけているのでしょうか。今御答弁あったとは思いますが、もう一度聞きます。

 環境アセスメントの結果によっては、基本計画の見直し、それは稲嶺知事も岡崎防衛施設局長も言っているような、まあ含みがあるんですが、基本計画の見直しや建設場所の変更もあり得るというのは、これは政府全体の方針であると私は理解してよいのでしょうか、お伺いいたします。

川口国務大臣 アセスをやっていくということでございますけれども、最終的な具体的な建設場所につきましては、さらに、海底地形調査に基づく設計上の考慮や、そしてアセスの結果を踏まえて最終的に確定をするということでございます。

 いずれにしても、政府としては、七月の基本計画を踏まえまして、アセスなどについてその所要の手続を進めていく、そして基本計画の着実な推進に全力で取り組んでいく、そういうことでございます。

東門委員 那覇防衛施設局は、十月二十四日、普天間飛行場代替施設建設に対する環境影響評価、アセスについて、業者選定に向けた手続を開始すると発表しております。手続が順調に進められますと、来年末にも調査が実施され、二〇〇六年には工事が開始される見通しであるとの報道があります。

 現場となる辺野古海域は、絶滅が心配されているジュゴンの生息海域であり、現在、環境省による広域的調査が続けられていて、現在までにジュゴン二頭が航空機からの目視調査で確認されています。

 環境アセスメント自体は事業そのものの是非を問う評価ではないかもしれませんが、アセスメントが単なるパフォーマンスや儀式であってはならず、その透明性、中立性の確保が不可欠です。また、ジュゴン保護は、IUCN、国際自然保護連合などが要望している世界的要請であり、その世界的要請に対し日本がどのように対応するかが問われています。代替施設建設の環境アセスメントに際しては、ジュゴンの専門家の意見あるいは見識が幅広く取り入れられる必要があると考えますが、政府及び環境大臣でもあられた大臣、その認識をお伺いいたします。

川口国務大臣 アセスについては先ほど申し上げたとおりでございまして、環境省はそれとは別途、おっしゃったジュゴンの調査をやっているということでございます。このジュゴンの調査については環境省としてきちんとやっていくというふうに私は考えています。

東門委員 環境省はそのジュゴンの調査をきちんとやっていく、そうだと思います。それに対して、外務大臣として、環境大臣でもあられたわけですね、今のお立場で、アセスとの関連はどうなるでしょうか、そこのところもお聞かせいただきたいと思います。

 このジュゴンの調査、その結果が出てきます。環境アセスも二〇〇六年あたりには出てくると言われますが、そのところの関連性をお聞かせください。

川口国務大臣 アセスにはアセスとしての手続があって、これはそれで粛々とやっていくということでございます。

 それで、環境省のやっている調査というのは、この沖縄の周辺の海域に生息をしているジュゴン、これの全般的な保護方策を検討するためにどういうふうなことをしたらいいかということで、ジュゴンの分布ですとか、あるいはその食料となる藻場の状況等について調べていく、そういうことだと私は理解しております。

東門委員 ですから、その環境省の調査の結果が全然関係ないということにはならないと思うんですね。ジュゴンが実際に目視されているのがその海域なんですよ。もちろんアセスの手続はちゃんとあるのはわかるんですが、全然切り離して行う、そして切り離して考えていくということなのでしょうか。いかがでしょうか。

 私は、環境省がやって、これは政府ですから、外務省だって環境省だってそうですよね、同じ政府が調査していく中で、これはどのように影響があるかということも出てくるのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

川口国務大臣 私は現在環境大臣ではございませんので、環境省の立場でお答えをするということはできないわけでございますけれども、先ほど言いましたように、アセスはアセスということで粛々とやっていくということで、これは環境への影響を最大限に防止するという閣議決定に基づいてやっていくわけでございます。

 そして、これはほかのアセスでもみんなそうですけれども、アセスをする状況においては、今までの文献あるいは知見ということを最大限に活用していくということでございますから、アセスをやっていく過程で、その時点で、環境省の行っている調査の知見があれば、それはそのアセスをする側で活用をしていくということはあり得ることだろうと私は思います。

東門委員 七月二十九日には、沖縄及び北方対策担当大臣、防衛庁長官、外務大臣、沖縄県知事そして名護市長の五者による代替施設の使用協定に係る基本合意書も合意されたようです。この合意書において、飛行ルートや高度、飛行時間の規制などの安全対策や環境対策、代替施設への立ち入り、騒音防止等のための適切な司令部の責任などの各項目が定められることとされています。

 我が国と米国との間で締結する代替施設の使用協定は、この五者の合意書に基づき、今後、日本政府と米国政府の間で協議されることになるのだと思いますが、これらの項目の具体化について、政府はどのような方針で米国との交渉に臨むおつもりなのか、政府の基本方針をお伺いいたします。

海老原政府参考人 お答え申し上げます。

 今のお尋ねの件につきましては、七月の二十五日に日米合同委員会の合意というのがございまして、これは公表もされておりますけれども、普天間飛行場代替施設に関する騒音防止その他の合意に関する原則ということで、今のお尋ねの、今後、日米間でどういうふうにこの合意を得ていくかということについても合意ができております。

 それによりますれば、代替施設の供用開始までに、日米両政府間で代替施設に関する適切な騒音の防止及びその他の合意を結ぶ、その内容につきましては、代替施設の計画の進展、とりわけ環境影響評価を経て着工に至る過程に特に留意して協議を実施していくということが、普天間飛行場の円滑な施設返還を進めていくという上で重要であるということが合意されております。

 したがいまして、このような合意に沿いまして、まさに計画の進展、特に環境アセスメントなどに留意しながら、今後、日米間で協議をして、その内容について話し合いを続けていくということになると思います。

東門委員 その使用協定に係る合意書においてですが、名護市が要求している機種の制限は盛り込まれなかったわけですね。そのかわりに、「この合意にあたっての基本前提として、政府は、軍民共用飛行場として整備する代替施設の米軍に供用する施設・区域としての機能については、SACO最終報告の内容に何ら変更がないことを確認する。」との表現があります。

 SACO最終報告では、「海上施設は、ヘリコプターに係る部隊・装備等の駐留を支援するよう設計され、短距離で離発着できる航空機の運用をも支援する能力を有する。」とされており、これにより、代替施設を使えるのはヘリや短距離離着陸機に限定されるとのことであります。これが守られるのならば、大型輸送機やF15のような戦闘機が辺野古の代替施設を利用することはないということになるわけですが、政府として、これは確約できることでしょうか。

海老原政府参考人 今、東門委員がおっしゃったとおりでございまして、この機能につきましてはSACO最終報告にあるとおりということで、ここで「ヘリコプターに係る部隊・装備等の駐留を支援するよう設計され、短距離で離発着できる航空機の運用をも支援する能力を有する。」というふうに書いてあるわけでございます。

 それで、今のお尋ねは、ここで言う「短距離で離発着できる航空機」というものが具体的にどういうものを指すのかということをお尋ねになったんだと理解しておりますけれども、これにつきましては、日米間では、特に特定の機種の航空機を念頭に置いてこういう表現になっているということではございません。

東門委員 名護市からは、特定の機種を挙げてのかなり強い要望があったと私は理解しております。それは、名護市長もずっとこれまでも言ってこられたことなんですが、その件に関してはどうなんでしょうか。

 SACOの最終報告、これには変わらないといいながら全然違うのが出てくるというのは、これは絶対に理解できないですね、納得いきませんが、もう一度お願いします。

海老原政府参考人 名護市との関係におきましては、今般の基本合意書というものは、第七回実務者連絡調整会議というものにおきまして、名護市の方から代替施設の使用協定に係る基本合意書(案)というものが提案をされまして、その協議の結果、この案のとおり了承されたものであるというふうに考えております。

東門委員 合意書において、飛行時間、施設近傍の高度、日曜等における飛行、エンジンテスト時間などについて規制することとなっていますが、この規制を具体化する際に、どのような表現になるのかが非常に重要であると考えます。

 米国の裁量に任されるような、あいまいな表現は絶対に避けてもらいたい。夜間など、一定時間を過ぎてからの飛行などは一切禁止するような明確な表現とすべきであり、例外を認める場合も、個々の事例を列挙して、そこに列挙されていない事由による飛行は決して認めないような強い規制とするべきであると思います。

 その件に関しての政府の取り組み姿勢を伺いたいと思います。

海老原政府参考人 先ほども答弁をいたしましたように、この合意の内容というものにつきましては、これからまさに日米間で話し合っていくということでございますので、今の段階で私の方から、こうこうというようなことを余り確定的に申せるものではございませんけれども、いずれにしろ、基本合意書にあるとおり、使用協定の内容について、米国と適切な合意が得られるように鋭意協議を行っていくという考えでございます。

東門委員 それは先ほども聞きましたが、私が申し上げたいのは、日本側の姿勢、外務省の姿勢をはっきり出していただきたい。地元からこういう要望もあるし、実際に、これまでも事件、事故がいろいろとありますよと何度も申し上げてきました。

 外務省として、もちろんアメリカ側と協議するのはわかりますが、その中でどういうことを日本側として要求していくのか、どういうことを盛り込んでもらうのか、そういうことをお聞かせくださいと言ったのであって、決して、いや、これは相手があるからということで済むことではないと私は思う。外務省の姿勢として、こういうことはしっかりと言っていきたいというのがあってしかるべきだと思います。

海老原政府参考人 この米国との合意におきましては、当然、騒音対策、安全対策あるいは環境対策というようなものがその内容になるということでございまして、将来、この代替施設が米軍によって使われるときに、地元の皆様に、安全面、騒音面あるいは環境面も含みますけれども、そういう面で不要な不安を感じさせる、あるいは大きな影響が出るというようなことを避けることを基本的な立場として米側と協議していくことは当然だろうというふうに考えております。

東門委員 担当の局長として、その点、ぜひ頑張っていただきたいと思いますが、不安を感じさせないとか、いろいろ今おっしゃっていましたけれども、既に不安はいつも感じている状況であるということは申し上げております。それを本当になくするためにはどうするかというところで、そこ一点に集中して私は頑張っていただきたいと思います。

 合意書の項目の中に「代替施設への立入」というのが含まれていますが、これについては、事件、事故が発生した場合に直ちに対応できるような内容とすることがぜひとも必要であると思われます。現在も、日米合同委員会の合意による立ち入り手続は定められておりますが、煩雑な手続により、事件、事故など即応性を要する事態には全く対応できていません。

 この問題については、沖縄県の地位協定見直しの要請事項にも含まれておりますが、地位協定を直ちに見直すことは困難とずっとおっしゃっておられます。直ちに見直すことは困難でも、新たに締結する使用協定なら盛り込むことは可能であるはずです。

 代替施設への迅速な立ち入りの実現について、これは外務大臣の見解を伺いたいと思います。

川口国務大臣 使用協定をアメリカ側と交渉していくに当たりましては、この基本の合意書に盛り込まれているようなこと、こういったことについて、先ほど局長も言いましたけれども、地元の方々にとって、できるだけそのお気持ちに沿えるようなものをつくるように努力をしたいというふうに思っております。

東門委員 私は今、一点についてお話しして伺いました。代替施設への迅速な立ち入り、これをやはり実現するという立場でぜひ主張していただきたいということなんです。

 確かに日米合同委員会の合意事項で、立ち入りができる、可能になったということは私もよく知っております。かなり時間がかかるんです。手続が煩雑なんです。その間にはいろいろなものが終わってしまう。何かが起こったとき、事件、事故があるときに、必要なときに基地の中に立ち入りができる、それをやはり使用協定に強く盛り込んでいただきたい、この一点についてお伺いしているんですが、いかがでしょうか。もろもろのほかの件は今のところは聞いておりません。

川口国務大臣 代替施設への立ち入りというのも基本の合意書に入っていることでして、それも含めて申し上げたつもりでございましたけれども、いずれにしても、地元の方がアメリカ軍との関係で物事が変化をしているという感覚を持っていただくことは非常に大事なことだということを私も思っておりますので、この使用協定を米軍側と交渉するに当たりましては、先ほど局長も言いましたように、そういうことが可能となるような、可能となるようなと申しますか、そういう感覚を持っていただけるように、私としても、外務省としても努力をしたいというふうに考えています。

東門委員 時間が随分残り少なくなりましたので、最後の質問になるか、最後から二番目になるかわかりませんが、伺います。

 大臣、SACOの最終報告、常に政府がおっしゃっている最終報告の着実な実施ということなんですが、それに変更ありますか、ありましたでしょうか、今までの時点で。

川口国務大臣 SACOの最終報告を実施していくということは大事なことだと思っておりまして、それについては鋭意取り組んでいるところです。

東門委員 いや、これまでの時点でSACOの最終報告の内容に変更はあったでしょうか、ありますかということなんです。

 SACOの最終報告から、今回基本計画が出てきました。基本計画を見て、その中身に変わったところがありますか、そのままそっくり踏襲しているんでしょうかということです。

川口国務大臣 例えば滑走路の長さが違うというようなことはございます。

東門委員 滑走路の長さが違うということだけですか、大臣が御認識されておられるのは。ほかにもございましたら、幾つでも結構ですから挙げていただきたい、これが変わりましたというのがあれば。

海老原政府参考人 あと、埋め立て工法になったとか、最初はたしか海上ヘリポートということが書いてあったと思いますけれども、その辺についても変更があったと思います。SACO最終報告の趣旨には沿った形で基本計画ができたというふうに理解をいたしております。

東門委員 ということは、SACOの変更は確かにあったと。

 そうすると、なぜそのように変更したのでしょうか。滑走路の長さ、あるいは撤去可能な海上ヘリポートのはずだったものが撤去可能でない埋め立て方式、かなり環境問題も起こしている、なぜそういうふうになったのか、お聞かせください。

海老原政府参考人 これは、政府それから地元との間の話し合い等を通じて最終的な基本計画というものができたというふうに理解しております。例えば軍民共用というような話は、その後地元の方から出てきた要望を受けた形で変えさせていただいたというような面もありますし、そういう話し合いの中で、SACO最終報告の趣旨に沿った形で基本計画ができ上がったということであると思います。

東門委員 局長、埋め立ても地元からの要望ですか。その点、お聞かせいただきたいと思います。いわゆる撤去可能なものではなくて埋め立てになったのも、地元からの要望ですか。確かに軍民共用は、今地元からの要望もあったということでしたけれども。

海老原政府参考人 工法につきましては、代替施設協議会の中における議論を踏まえて決定をしたというふうに理解をしております。

東門委員 最後の質問です。

 そうすると、代替施設協議会の中、それは地元の発言もあったということをおっしゃりたいんでしょうけれども、十五年使用期限はそれ以前からずっとあることなんですね。代替施設協議会の中でも、地元側からはそういう意見が出ているはずなんです。そこにも耳をかしていただきたい。真摯に受けとめるということはどういうことなのか。

 もう時間がないので終わりますけれども、十五年使用期限はどうなんでしょうか。再度、その点を伺いたいと思います。

川口国務大臣 平成十一年末の閣議決定に従いまして、適切に対応してまいりたいと思います。

東門委員 終わります。

池田委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることにし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十六分散会




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