衆議院

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第5号 平成17年4月15日(金曜日)

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平成十七年四月十五日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 赤松 広隆君

   理事 谷本 龍哉君 理事 中谷  元君

   理事 原田 義昭君 理事 渡辺 博道君

   理事 大谷 信盛君 理事 首藤 信彦君

   理事 増子 輝彦君 理事 丸谷 佳織君

      井上 信治君    宇野  治君

      植竹 繁雄君    加藤 勝信君

      高村 正彦君    田中 和徳君

      竹本 直一君    西村 明宏君

      西銘恒三郎君    原田 令嗣君

      平沢 勝栄君    宮下 一郎君

      今野  東君    田中眞紀子君

      武正 公一君    鳩山由紀夫君

      藤村  修君    古本伸一郎君

      松原  仁君    石田 祝稔君

      赤嶺 政賢君    山本喜代宏君

    …………………………………

   外務大臣         町村 信孝君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   法務大臣政務官      富田 茂之君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    瀬川 勝久君

   政府参考人

   (防衛施設庁施設部長)  戸田 量弘君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  三浦 正晴君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 遠藤 善久君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 兒玉 和夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 川田  司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房国際社会協力部長)        神余 隆博君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)           佐々江賢一郎君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (外務省経済協力局長)  佐藤 重和君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    鹿取 克章君

   外務委員会専門員     原   聰君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十五日

 辞任         補欠選任

  小野寺五典君     井上 信治君

  河井 克行君     田中 和徳君

  鈴木 淳司君     加藤 勝信君

  土屋 品子君     竹本 直一君

  三ッ矢憲生君     西村 明宏君

  赤羽 一嘉君     石田 祝稔君

  東門美津子君     山本喜代宏君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 信治君     小野寺五典君

  加藤 勝信君     鈴木 淳司君

  田中 和徳君     河井 克行君

  竹本 直一君     土屋 品子君

  西村 明宏君     原田 令嗣君

  石田 祝稔君     赤羽 一嘉君

  山本喜代宏君     東門美津子君

同日

 辞任         補欠選任

  原田 令嗣君     三ッ矢憲生君

    ―――――――――――――

四月十五日

 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人(特に女性及び児童)の取引を防止し、抑止し及び処罰するための議定書の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する陸路、海路及び空路により移民を密入国させることの防止に関する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第二号)

同月十三日

 核兵器廃絶に関する請願(山口富男君紹介)(第九一九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 旅券法及び組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)


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     ――――◇―――――

赤松委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、旅券法及び組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官遠藤善久君、外務省大臣官房審議官兒玉和夫君、外務省大臣官房参事官川田司君、外務省大臣官房国際社会協力部長神余隆博君、外務省アジア大洋州局長佐々江賢一郎君、外務省北米局長河相周夫君、外務省経済協力局長佐藤重和君、外務省領事局長鹿取克章君、警察庁警備局長瀬川勝久君、防衛施設庁施設部長戸田量弘君、法務省入国管理局長三浦正晴君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷元君。

中谷委員 旅券法の改正について質問をさせていただきます。

 まず、今回の改正によって、初めてIC旅券、パスポートなるものが登場するわけでありますが、これは、今までの写真による本人確認に加えて、ICチップに埋め込んだ本人の写真、これをコンピューターに落として本人かどうか確認する、目の位置とか耳の位置などで本人と間違いないということであります。

 心配するところは、コンピューターにそういった画像、写真が入るということで、外国に行った際に外国の入管等でコンピューター処理をしたときに、その読み取りによって入る個人情報が外国政府に抜き取られて、どこかに流出する危険性がないか。そういった諸外国との関係とか取り決めがしっかりしているのか。また、外国との互換性、様式、システムが統一されているのかという点が気になるところでありますが、この点はいかがなんでしょうか。

鹿取政府参考人 まず、今の先生御指摘の互換性について御答弁いたします。

 このIC旅券につきましては、ICAOの国際標準にのっとって各国とも作業を進めております。それは、まさに今御指摘の互換性のためでございます。そういうことで日本も互換性を重視して作業を進めておるところでございまして、ことしの三月には、経産省とも協力しまして、日本のパスポートが各国の入管においてきちっと読み取ることができるように、こういう実験を今進めております。今後ともこの実験を進めまして、互換性が確保されるように努力してまいりたいと考えております。

 次に、こういう情報が各国政府から漏出する可能性があるのではないかという御指摘についてでございますが、こういう個人情報の管理というものは各国にとっても極めて重要な課題でございまして、我が国としても、ICAOあるいはOECD等でこのような個人情報の保護についてこれまでも議論してまいりましたし、これからも関係国と協力しまして、このような個人情報が国際的に保護されるように努力してまいりたいと考えております。

中谷委員 あと、国内の手続の面であります。市町村においてもパスポートの手続ができるという改正を我々はしたばかりでありますが、このIC化によって、恐らく都道府県の窓口にコンピューターが置かれて、そこで顔写真などを埋め込むチップをつくっていくと思いますが、これはいつごろから実現するのか。

 それから、今までと同様に都道府県の県庁まで行かなくなるのではないかと心配しますが、こういった簡易性で、市町村でも旅券の手続が今まで同様にこれからもできるかどうか。

 それから、個人情報管理の件で、都道府県に入ったデータがそこでまた流出する危険性もありますが、きちんと一つのデータベースで管理されるのかどうか、この点について確認したいと思います。

鹿取政府参考人 まず、旅券の申請それから発給体制でございますが、現在、都道府県三百二十二カ所で旅券の申請を受け付けております。そのうち六十カ所においては旅券を作成する機械がございます。今、こういう仕組みのもとで旅券を発給しておりますが、IC旅券が導入された場合においても、我々としては、原則としてこの体制を維持し、都道府県においては三百二十二カ所、またそのうち六十カ所には機械を配置して旅券を発給するということを考えております。

 また、市町村においても再委託する仕組みが今できております。これについては、今後、県と各市町村が協議して、どのような市町村で旅券の発給事務を受け付けるか、こういうことが決まっていくものと考えております。

 また、個人情報については、外務省のホストコンピューターで一元的に管理しております。都道府県の方もこのコンピューターにアクセスはすることができますけれども、そのアクセスの対応に当たっては、パスワードをもってアクセスする、あるいは人数を制限する、アクセスした場合にはそのアクセスした記録がきちっと残る、こういうことをこれからも徹底いたしまして、個人情報の保護に努力してまいりたいと考えております。

中谷委員 続きまして、日中関係について質問をさせていただきます。

 現在の日中関係については、今の状況は恐らく戦後一番ひどい状況にあるんじゃないかと私は憂慮をいたしておりますが、何やら今、両国政府はお互いやる気で批判をしている。本来、外交というのは抜き身でやることが肝要であって、国民感情を無理にエスカレートさせることなく、また、けんか腰で外交をするんじゃなくて、抜き差しにならないようにとどめおくということが外交の目的ではないかと思いますが、このままいきますと、何か引くに引けないような状況になるのではないかという気がするわけであります。

 そこで、戦後の日中関係を考えてみますと、中国は反日、日本は友好、いわゆる向こうからの批判、こちらからの謝罪というか友好の関係でやってきたんですが、これは戦争があったということで仕方のないことでありますが、毛沢東とかトウショウヘイの時代は、ここまでの憎悪というか憎しみ、反日感情というのは余り持たれていなかったような気がします。お互いに畏敬とライバル意識といった、同じアジア人の中で同胞意識を持ちながらも、覇権争いをしたり、イデオロギーの論争をしてきて、お互いに切磋琢磨しながら、お互いに歴史認識とか文化、政治というものを大事にしながら、発展、話し合いをしてきた。

 そして、毛沢東と田中角栄氏の日中国交回復三十年ということで、今では一万九千社が日本から進出、日本人学校も二千人が通っているというぐらい交流が深まり、また貿易額も今、日中貿易が世界最高額ということで、お互いの国の利益を図りながら外交を行っております。

 しかし、今、過去のお互いの努力が、ひとときの感情によってがあっと後戻りをしている気がするわけであります。一言で言うと、日本は忘れよう忘れようとしているのに対して、中国は忘れないで忘れないでと言っているわけでありまして、こういった歴史認識についての考え方が今非常に大事になっています。

 しかし、私は、もう日本は日中国交回復をしたときに謝罪をしていますし、また戦後五十年の村山談話でもしっかり謝罪して、中国もそれを了として、お互いの友情と信頼というものは回復をされたと思いますが、それを今、江沢民、胡錦濤の世代になって、この意味を取り違えて、何か歴史認識ということを形式に外交に使われているというふうに思っているわけでございます。そういう観点で、確かに過去というものは大事でありますが、過去にこだわっておっては新しい未来は開けないという面もあるわけであります。

 そういうことで、今回の中国のデモンストレーションによる日本に対する抗議行動、これは私は逆効果であって、日本国内で反中感情をあおっただけで何ら効き目もなかった。また、国際社会でも、評価を下げるだけではなくて、常任理事国に日本が入るのは反対と言っている中国は本当に常任理事国たる責任ある大国なのか、その資質を疑わせるものでありまして、やはりこういった点においては、中国政府自身も今の国際社会の置かれた環境と立場というものも考えなければならないという気がするわけでございます。

 そこで、今の中国と日本の関係について、大臣、どのような現状にあるのか、この認識をまずお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 今委員がお触れになりましたように、日中の歴史をさかのぼりますと二千年以上の大変長いつながりの中で今日があると思います。よく歴史をかがみにという言葉が盛んに言われますけれども、その歴史という場合に、私は、確かに第二次大戦中の歴史も一つの大きな一こまでありますが、しかしそれ以前のまた長い歴史もあります。あるいは、戦後の日中間の歴史、なかんずく国交が回復して以降の歴史というものもあるわけでございまして、それらをトータルして今日の姿があるんだろう、こう思っております。

 したがいまして、私は、今のこの一時的に大変高揚していると見られる中国側の反応というものがいつまで続くかどうか、これはよくわかりませんけれども、多分に一時的に大変大きく高揚しているもので、いずれまた平穏な関係に立ち返っていくだろうし、またそのために努力をしなければいけない、こう思っているところであります。

 委員御指摘のように、今、日中関係、貿易額のみならず人の交流でも飛躍的にふえております。あるいは、文化面の交流等々を含めて大変幅広い日中関係というものが築かれてきております。これはこれとして大変大切にしなければならないし、さらに発展をさせていかなければならないだろう、かように考えているところでございます。

 今回の一連の事態というもの、お国柄が違いますから、日本のようにだれでもいつでも自由にデモができるというお国柄ではそれはないのかもしれませんが、それにしても、普通の国であればどこでも、静穏なデモをする権利はだれにでもあるんだろうと思います。そうした静穏なデモと極端な破壊活動というものは、やはり私どもは分けて考えなければならない。そのことを先方にも強く求めているところであります。

 いたずらにお互いがお互いを非難するということでは、本当の意味の国と国との関係にはならないだろうという中谷委員の御指摘はまことにごもっともでありまして、いたずらに言葉の上で非難合戦をするというようなことは、やはり双方が厳に慎まなければならない。ただ、やはり必要な主張は必要な主張としてした上で、その上に立ってきちんとしたお互いの理解をし合いながら、より建設的に、より平和的な関係を、友好的な関係を築いていく、そういう努力を今しなければならないということを改めて痛感しているところでございます。

中谷委員 今、新しい世代にお互い移っているんですね。田中角栄と毛沢東の時代から、胡錦濤と日本の新しい世代へという中で、私自身が、この対中関係はどうあるべきか、非常に悩ましいところがあります。

 それは、先ほど言ったように、外交ですから、特に近所同士ですね、お隣同士。なかなか近所というのは、折り合いがよければいいんですけれども、感情的に憎くなると、庭木が飛び出しても、関係がいいときはその分まあまあと言いますけれども、けんか同士になりますと、一ミリでも庭木が飛び出すと文句を言います。また、急にお金持ちになったり子供が東大へ入学したら、非常に文句が言いたくなるのは世の中の常であります。

 まさに、日本と韓国、中国というのは隣同士の関係にあるということで、この分、日本は配慮しながら、気を配りながら、文句が出ないように我慢に我慢を重ねて、耐えて、そして謙虚で、中国の意見も韓国の意見もアジアの意見も気にしながら、我慢の限界の限界まで耐えながら何とか友好的な状況をつくり出そうとしておりましたが、一つの大きな変化としては、戦後世代が日本でも育ってきて、自分の国は自分でしっかり考えようというアイデンティティーに目覚めてきた世代でもあります。また、キレかかるというか、最近は少しのことで感情的に行動するというキレやすい社会であるということも日本では変わってきたところであります。

 一方、中国においては、愛国教育というのが徹底をしましたし、反日的な記念館やら書物が充満していて、なかなか自由な学問、自由な言論が言えないゆえに偏った思想が定着をしてしまったということで、これまた抜き差しならないような、そういう基盤というものができてきつつあります。

 したがって、日本では、もう小さくなっておられない、小泉外交は言うことは言おう、やることはやろう、はっきりさせようという姿勢でやっています。これは国民的にはわかりやすくていいんですけれども、外交的には、言われた方は反発したくなるわけであって、こちらが言う気で言ったら、言われた者としては何だと反発するということも当たり前なんですね。したがって、いい関係にあったら、多少のことを言われても、ああそうかといって国民を説得に回せますけれども、やはり根幹関係の、人間関係もそうですけれども、折り合いがいいか悪いかというようなセンシティブな感情、人間感情、国家感情、そういうものも根本的な原因ではないかと思います。

 したがって、これを改善するには、とにかくトップ同士がいい関係になる、それほどのことは腹におさめようという政治的な外交のつばぜり合いじゃなくて、政治家同士の人間の関係構築というものが必要ではないかと思います。この点において、今週、中国に大臣が行かれますし、また日中首脳会談も予定をされておりますが、今回、大臣がどういう心構えで、何を目標として、何を意義として訪中されるのか、この点についてお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 委員がお触れになりました、御近所ほどつき合うのが意外と難しい面があるということは確かにあろうと思います。しかも、その近隣諸国に対して、第二次大戦中、日本が侵略あるいは植民地支配をしたという事実、これは率直に私どもも認めた上で、やはり相手の国の国民に対して大変な大きな被害を与えた、そういう気持ちというものは、幾ら戦後六十年たったとはいえ、たった六十年しかたっていないという思いの中で、彼らの国民の気持ちというものはやはりしっかり受けとめた上でいろいろな発言をし、また行動をするということが私は非常に大切なことだ、こう思っております。

 しばしば言われますように、足を踏んだ方は忘れるけれども踏まれた方はいつまでも覚えているというのはわかりやすい例えでありまして、やはり私どもは足を踏んだ方でございますから、そういう意味でやはり彼らの、韓国であれ中国であれ、アジア諸国に対するそういう気持ちというものはしっかりと心の中に持ちながら、十分慎重な行動、発言をするということが必要なんだろうと思います。

 そういう基本の上に立って、私はたまたま日曜日、月曜日と中国を訪問し、先方首脳と会談をする予定にしておりますけれども、まずそういう基本的な気持ちを持った上で、その上で日中間にありますさまざまな課題というものを率直に話し合ってきたい、こう思っております。

 確かに、日中間には、海洋権益をめぐる話でありますとかあるいは海洋調査船の話でありますとか、幾つかの、ある意味では一見すると後ろ向きの課題もあります。しかし、これをいかに前向きの方向で解決していくのかということが一つの大きなテーマであろうと思います。さらに、年が明けてから、日中共同でいろいろな人的交流あるいは経済交流、さまざまな交流を促進するための共同アクションプログラムとでもいいましょうか、そういったものをお互いにつくって、それに積極的に取り組んでいこうではないかということの議論を事務的に何度かやってまいりました。そのことを改めて確認し、お互いによりよい関係を一緒に築いていこう、こういうことをテーマにしながら話し合いをしてきたいと思います。

 そういう中で今回の破壊行動というものが起きてしまったわけでございまして、これはこれとして新しい要素なのでありますけれども、この点について、やはり日中間の大局に立って、きちんとした対応というものを先方にこれは求めなければならない、かように考えているところであります。

 一挙にすべてのことがそう簡単に解決するとも思われませんけれども、今後のいろいろな外交的な活動、人と人との交流、もちろんその中には首脳交流も含まれるわけでございますが、そうしたものが今後順調に展開をしていくための第一歩となればいいかなという期待を持ちながら話し合いをしてこよう、かように考えているところでございます。

中谷委員 おっしゃるように、日中関係にはさまざまな問題があるわけであって、お互い譲れないものもあります。しかし、そういったものの中で信頼をかち取って折り合えることを実現させるということが、外務大臣、また総理大臣として、政治家としての務めではないかと思います。

 人間は、好きになったら、雨が降ろうが雪が降ろうが会いに行くんですね。それが人間同士でいえば愛というものでありますが、私、政治家の場合は徳ということが必要ではないか。徳とは、優しさであり包容力であると同時に、忍耐、寛容という意味もあります。

 つまり、その人、その国が好きになられるということは、徳を持てば好きになってくれるわけであって、中国人一人一人にやはり日本が徳のある国であるということをわかってもらえればこういったデモとか間違った感情も払拭されるということで、今回の訪中で大臣の御活躍が非常に今後の日中関係に影響を及ぼすわけでありまして、ちょうど今、戦後六十年、そして日中関係、前半三十年は国交がなかったんですけれども、国交回復三十年、ちょうど後半になって、中間地点でございますので、ぜひ今後、日中関係の回復、改善のために頑張っていただきたいと思います。

 その上で、一つ私が気になることは、きのうも中国のホームページのサイトに本日八時に日本のサーバーを攻撃すると予告をした上で、事実日本の警察庁、防衛庁のホームページに大量のデータが送りつけられ、一時接続障害が起こるDDoS攻撃というものを受けました。

 このような一般人とか一般社会に迷惑をかけるサイバーテロ、これは中国がもしこれを容認するとしますと逆効果で、中国人の個人の行動といえども、中国から発信されたサイバーテロ、それによって日本が迷惑を受けたわけでありまして、自己管理とか自己規律が求められるインターネットの情報通信社会においても、やはりこれはきちんとしたルール、自覚のもとに運用すべきだと思っておりますが、この点について中国に対して、こういったことを取り締まっていただけないかと。

 つまり、中国においてインターネットは、中国の国内政治とか体制批判は禁止しているんですね。そして、統制もされております。しかし、外国とか反日的なこと、特に十七日の反日デモの呼びかけとか常任理事国入りについての反対のデモ集め、これもインターネットで行われているそうなんですけれども、自分の国の都合の悪いことは禁止しておきながら、他国を批判することは容認している。これもやはり中国の政治が問われているところだと思います。

 こういったことは、言われた方は、日本は本当に不愉快であります。ちょうど公衆の、ホテルのロビーであいつはけしからぬと大声で叫ぶのに等しいことでありまして、まさに公衆道徳を感じない国がやっていることであります。したがって、インターネットでのサイバー攻撃について、中国に対して抗議をして、抑制をさせるべきだと思いますが、大臣の見解を伺いたいと思います。

町村国務大臣 委員御指摘の、四月十三日午後九時ぐらいから数時間、特に警察庁、防衛庁のホームページが閲覧しにくい状態になったということは事実であろうと承知をいたしております。

 大量なデータがホームページに対して送付されるサイバー攻撃であろう、こう思われるわけでありますが、今までのところ、このデータの送信元が特定をされていないというふうに聞いておりまして、そういう段階で今外務省としてコメントをする段階ではないのではなかろうか、かように考えております。

中谷委員 十七日に大臣が訪中されるそうなんですが、この十七日にデモを起こそうと呼びかけをしたり、また日本の製品を買うなとか、ありもしない、反日感情をあおるような事実を流したり、全くこういった間違った情報が国民に伝わるということは、中国にとって、非常に私は損をしているんじゃないかなという気がするわけでございます。

 したがいまして、こういったインターネット等の規制も大きな政治テーマでございますので、ぜひ、今回中国へ行かれたときに、我が国の立場や日中関係をうまくやっていく上においてはどういうやり方があるのかという点もお話し合いをしていただくと同時に、しっかりとした日本の立場も主張していただいて、実り多い訪中になることを御期待いたしまして、質問とさせていただきます。

 これからも頑張っていただきたいと思います。

赤松委員長 次に、首藤信彦君。

首藤委員 民主党の首藤信彦です。

 きょうは、まず、政府提案の旅券法について質問をさせていただきます。

 この法案の骨子はパスポート情報のIC化というところにあると思うんですけれども、問題は、いかなる情報をこのICチップに込めていくかというところにあると思うんですよ。生体情報に関しては、現時点では写真ということを考えています。本人確認手段として写真だけでいいのかという議論は当然出てくるわけで、ひょっとしたら、必ず追加情報が求められる時代になってくるんではないか、そういうことがある面においては危惧されているわけですね。

 そうすると、写真だけでもそうなんですけれども、大量の個人情報が、そのデータというものが政府の手に集積されていくことになるわけですね。カナダの有名な社会学者のデビッド・ライアンが「監視社会」という本を書いているんですよ。現代社会というのはどういう社会かというと、情報社会というものがだんだん監視社会になっていく。

 人間を人間として把握していくんじゃなくて、人間の部分情報を分類、選別、集積して、それをコントロールしていく社会になる、そういうポストモダンの社会を想定しているわけです。こういう新しい社会の中において、一面では確かにただICチップが入ってくるだけのことなんですが、一方では、やはりポストモダン社会の新しいリスクということに関係しているわけなんですね。

 こういった新しい社会において、政府は、これまでと同じ行政手段、行政手法、行政組織で個人情報の情報データベースを把握していくことになるわけですね。そうすると、例えば、今回は顔写真だけでも、その部分情報、別の官庁でデータベース化するであろう例えば医療関係の情報あるいは経済関係の情報、税金関係の情報もそうでしょうけれども、それからさらに、今日本のありとあらゆる町で撮られている繁華街などの監視カメラ情報、これも昔でしたらこんなことはあり得ないわけですが、今だったら監視カメラに写っている人間をすべて特定してそれを個人情報と整合化させるということが可能なんですよ、恐ろしい話ですが。

 そうすると、政府の管理というのが個人全体に及ぶことになっていって、このパスポートに込められた顔写真の個人情報というのは、その最初の最もコアになる重要な情報であるということになってくると思うんですね。

 一方、こんな情報を政府が今度は一元的に大量に、しかも非常に小さい、まあフロッピーディスクとは言いませんけれども、例えばDVDのディスク一枚で管理できるようになってくると、この管理責任というものがすさまじい大きさになっていくと思うんですね。

 そこで質問をさせていただきますが、果たして我が国の憲法において政府がそこまで個人情報を監視するということが行政権限の中で認められているのかということですね。要するに、ここまで政府が自動的に個人情報を把握していく憲法的根拠はどこにあるのかを、まず大臣にお聞きしたいと思います。

町村国務大臣 今回の旅券にかかわる個人情報をなぜこういう形で収集する、必要としているかということでありますが、これは言うまでもないことでありますけれども、不正取得の防止などの旅券の適正な発給管理のため、あるいは旅券の犯罪防止のために使用されるということであります。したがって、個人を監視するために使われるというものではないことは委員御承知のとおりであります。しかし、結果としてそれでは個人を監視することに使われるおそれがあるのではないかという御指摘だろうと思います。

 憲法上の規定、どういう明文規定があるのかということについては私もよくわかりません。しかし、これは行政機関個人情報保護法という法律を、近年、平成十五年ですか、五月三十日、法律第五十八号として制定したわけでございまして、多分そのときに、今委員御指摘のようなことも大分議論になっただろうと思います。私はたまたまそのときの議論に参加をしておりませんので、詳細は承知をしておりません。

 この行政機関個人情報保護法に基づいてきちんとした情報管理をするということが決められておるわけでございますから、旅券にかかわります個人情報についても、この保護法に基づいて適正に保有、保護をすることになる、かように理解をいたしております。

首藤委員 いや、それは官僚の方が作文されたんでしょうけれども、大臣は私の質問を聞いていらっしゃらないと思うんですよね。なぜ私が監視社会という概念を引用したのか。現代のポストモダン社会において個人情報を把握するということが、しかも部分情報を把握してそれを統合化していくことがどういうリスクを持っているかということをお聞きしているんですよ。

 このことに関しては、今までのような行政法あるいは個人情報保護法だけでは法的な対応が十分でなくて、やはりこれに関して、憲法のどこの部分においてこの問題を進めることができるのかということをはっきり政府が明確に答弁できないとしようがないじゃないですか。私は個人的に知りませんでは、外務大臣たる資格が問題だと私は思いますけれどもね。

 そういうことで、この憲法の問題に関してはぜひ外務省の中でもう一度注意を喚起していただいて、一体どういう論議が出てくる可能性があるのか。この段階ではともかく、これから恐らく大きな問題になってくると思いますので、ぜひ外務省全体に注意を喚起していただきたい、そういうふうに思います。

 さて、情報が外務省で蓄積されていくわけですね。ではこれを果たして、先ほどの中国からのサイバー攻撃でありますけれども、これもどこから攻撃されているかわからないというわけですね。それから、一説によるとアメリカ側から実は送られてきているんじゃないかということもある。それもわからない。極端に言えば、日本から携帯電話でアメリカに送って、アメリカからこっち、日本に攻撃しているかもしれないですよね。

 そういういろいろな難しい状況において、日本の官庁のホームページというのは次々と破られていっています。こういう状況において、例えば政府が把握した全国民の数千万件のパスポート、これがいつ盗まれるとも限らないわけですね。あるいは、そんなことをしなくても、内部の人が例えば情報をだあっとダウンロードしてDVD一枚に入れればそれで十分。きょう私退職しますということで、それをポケットに入れて帰ってこれるということもあるわけですね。

 それからもう一つ。現在、年間約五万件の再発給がパスポートにあると言われています。これは恐ろしい数なんですよ。パスポート一通や二通盗まれても、それの暗号解析、デコーダー、デコーディングは難しいんです。しかし、五万件、世界じゅうで再発給されていて、そのある部分は盗まれている。そうすると、少なくとも百や二百は、ある特定の人たち、犯罪組織といいますか、そうでなくても何らかの形で情報を検索したいという意識を持っている、趣味の人かもしれません、そういう人が把握することになるわけです。

 恐らく十も二十もあればそれは可能かもしれないし、まして百、二百、あるいは千、二千、あるいは今のように五万件の再発給があるような状況で、これだけのサンプルがあると、どんなに暗号をつくっていても、暗号は、これは盗まれる可能性があるんですね。

 今、日本の暗号技術というのは、世界では三流ですよ、はっきり言ったら。商業レベルではある程度進んできましたけれども、本当に一流のところからいうと。それで、暗号も買わなきゃいけない。

 こういうような状況において、政府は例えばこの問題に関する、パスポートというのは非常に情報が限られているわけですから暗号解読がやりやすい、こういうようなパスポートの今回のICチップ化においてどのようなレベルで、あるいは世界において誇るべき暗号化のレベルでこれを対応しているのかどうか、そこのところはいかがでしょうか。

町村国務大臣 私は、残念ながら首藤議員のように技術のことは余り詳しくございませんので、どこまで十分なお答えができるかどうか。ぜひ、このたぐいの質問は技術等に詳しい者にお答えをさせていただくのがと思いますが、あえてのお尋ねでございますから、用意されたものをお答えいたします。

 まず、保有個人情報の漏えい等についての安全確保の対策がどうなっているのかということについて申し上げるならば、先ほど申し上げました行政機関個人情報保護法が、行政機関の長に、外務省の場合は大臣ということになりますが、保有個人情報の漏えい等の防止のために必要な措置を講ずるよう義務づけているところでございます。これに基づいて、個人情報の不正な流出といった事態が生じないように万全の策を講じており、法令上の責任の所在も明確であります。これは、一外務大臣、外務省のみならず、こうした情報を蓄積する可能性のあるすべての官庁において同様でございます。

 それから、日本が導入いたしますIC旅券について、偽造や変造を防止するための一部暗号技術を導入するということにしております。この暗号技術というものは、日本独自の技術ではありませんけれども、IC旅券の国際標準において推奨をされております現段階では最高の暗号技術である、こう言われておりまして、安全性は高いと評価をしているところでございます。

首藤委員 いや、外務大臣、最後の数行を読んでいただければいいんですよ。別に局長に同じ文章を読んでいただかなくたっていいんです。それは、外務大臣として、これだけの法律を出されるわけですから、これに関してどれだけ責任を持っておられるかということを御自身の口で、御自身の知識で語っていただければ、それで私たちはいいわけなんですよ。

 この場はそうした暗号化のレベルの問題を論議する場ではありませんから、そういう危惧があると。今くしくも大臣がおっしゃったように、これもまた、暗号化も海外に依存しているんですよ。これでは、はっきり言ったら我が国の個人情報は守れないということですよ。

 この世界は、御存じのとおり、暗号をつくった人間がスパイになるんですよ。暗号をつくった人間が、それに参加した人間がその暗号のデコーディングを、情報を流してくるんですよ。ですから、この問題に関しては、やはり日本の個人情報を守るにはしっかりとやっていただきたいと思うわけですね。そうした幾つか危惧のある問題であります。

 次に、今我が国において大きな問題となっている米軍再編問題についてお聞きしたいと思うんですね。

 四月十三日の朝日新聞では、米陸軍第一軍団司令部のキャンプ座間への受け入れを日本政府が米政府に非公式に伝えた、こういう話があります。この問題に関しては、大臣は、まだそんな話はしていない、2プラス2の会談でも地名が出たのは沖縄という言葉と横須賀という二つの言葉しかないというふうにおっしゃったんですけれども、冗談じゃないじゃないですか。どんどん先へ進んで、以前には読売新聞にも出ましたし、今回は朝日新聞にも出て、さらに参議院の外交防衛委員会が座間にヒアリングを行っています。パーキンス司令官が、あたかももう座間へ第一軍団の移動が当然との話しぶりをされています。

 それから、私、今回この質問に関して調べて驚いたんですが、確かに日本の新聞で大きく出たのは、やはり読売新聞とか朝日新聞なんですね。ところが、ジャパン・タイムズ、英文毎日、日本国内でも英字新聞を見ますと、かなり以前からもう当たり前のようにちゃんと書いてあるんですよ。さらにインターネットで調べると、アメリカのミリタリー関係のシンクタンクからどんどん情報が出ています。

 要するに、どんどん、この話はもう決まっていて、既成事実が積み重ねられて、それに基づいて、大臣、どうなっているんですかと私が聞いたら、いや、まだ何も進んでいませんと。そういう話は、世界じゅうの中で知らないのは外務委員会だけじゃないですか。国民だけですよ、知らないのは。英語ができない国民は何もわからなくて、英語を知っている人は、世界中の人はみんな、ああ、座間にフォートルイスから第一軍団が来るんだなと知っているんです。それをこの外務委員会で、我々は国民の代表ですよ。それに対して、まだ何も進んでいないと。

 では、どうなるんですか。これは決まったら、決まった途端に、きょう発表しました、はい、言いましたと。後ろから紙が回ってきましたけれども、これは大臣、大臣の生命をかけて、御自身のお口、言葉で、一体状況はどうなっているのか、それを御説明いただきたいと思います。

町村国務大臣 先般の二月の2プラス2で、私ども、三つの段階の議論をするということを申し上げ、第一段階の共通認識、共通戦略目標というものを合意いたしました。それに基づいて、第二段階、米軍あるいは自衛隊のそれぞれの役割、任務というものをどういうふうに分担し、あるいはそれぞれ果たしていくのかという議論とあわせて、個別の米軍基地の再編成問題についてもいろいろ議論をしよう、具体的に議論をしようということになって、今その議論をやっている最中でございます。

 したがいまして、その議論のさなかにあって、いろいろ具体的なアイデアを検討する、これは当然のことであろうと思います。一つ一つのメディアの報道について私はあえてコメントいたしませんけれども、いろいろまだ議論をしている段階であって、その中間段階。具体のアイデアがこれからどう変わっていくかもわかりません。まだ、今後、日米間で議論を積み重ねた上で、一定の結論に達した段階で、これは当然のことでありますけれども、国会にもよく御説明をし、また地元の皆さん方にもよくお話をし、そしてできる限りの御理解を得た上で最終的に日米間での合意というものをつくっていきたい、こういうことでございます。

 今、座間云々というお話もございました。確かにそういう報道が出ていることは私も承知はいたしておりますけれども、それについて日米間である段階の合意に達したということではないということを今はっきりと申し上げる次第でございます。

首藤委員 いや、大臣、それは違いますよ。一つ一つの、一つや二つ新聞報道があった、それにコメントしない、結構ですよ。全部の新聞が、英字新聞も含めて、あるいは海外だったらもっと多く報道されているのに、それにコメントをしないというのはどういうことですか。さらに、参議院の公式の外交防衛委員会がヒアリングしたときにパーキンス司令官が明確に言っている。では、パーキンス司令官が言っているのはうそなんですか。では、委員会をやっているのに何の意味がありますか。

 外務委員長、これは委員会に対する大変な侮辱だと思いますよ。私はパーキンス司令官の参考人招致を求めます。いかがですか。

赤松委員長 現在の問題、今のパーキンス長官への招請問題については、理事会で後に御相談をさせていただきたいと思います。

首藤委員 私は、第一軍団司令部というものの性格を非常に気にしているわけですよ。そこから、これは今まで、今問題になっているストライカー旅団なんかを含んで、要するに緊急展開する、いわゆる一〇―三〇―三〇ですね。いわゆる緊急に展開して、緊急に引き揚げていく。ストライカー旅団なんかをもって世界各地のありとあらゆるところへ出るんですよ。この第一軍団のホームページなんかを見ればわかるように、決して太平洋あるいは中東ぐらいではなくて、いろいろな形で活動しているんですよね。もともとはヨーロッパと関係があったところです。

 ですから、そうした世界じゅうをカバーしている、しかも非常に緊急に発動するような戦闘部隊、それが日米安保六条に抵触しない。一体いかなる法理論的な根拠があってそういうことを言われるかということですね。私は、これは外務省が勝手に解釈を変えて、勝手に解釈改憲と同じで、勝手に解釈を変えることはできないですよ。だれが考えても日米安保の六条の極東条項とこの第一軍団の性格とは根本的に違うんです。

 そこで、いや、そうはいっても、今回は、座間にあるところはそんなに極東以外のところには指令を出さないというお話もあるかもしれない。そこで、私はずっと英文の記事を検索していった。驚いたのは、今まで私たちはこれを基地の再編という形で把握していました。これはアメリカの基地の縮小と再編に関する報告でありまして、これをブラック二〇〇五というところで、基地の縮小それから再編だと思っていたんです。ところが、今回検索してわかったことは、この第一軍団司令部のこの座間への移動というのは、リアラインメント、再編ではなくて、インテグレーションという言葉であらわされているということですよ。

 要するに、フォートルイスの司令部とこことを一体化して双子の司令部をつくって、これで世界全体のテロリストやあるいは緊急事態に備えようと。要するに、フォートルイスの司令部に一体化した前線司令部としての座間基地ですよ。これは明らかに日米安保の枠組みを超えるものであって、これ以上の解釈はないんですよ。日米安保六条に明らかに抵触する、ピリオドです。

 外務大臣、そんなに日米安保の条項を勝手に解釈変更して、これがフォートルイスから来るという、座間基地へ司令部の一部が来るということをお認めになるのか、いかがでしょうか。

町村国務大臣 今次の日米間の議論の中で、これは最初から申し上げておりますけれども、現行の安保条約あるいはその関連取り決めの範囲内で、枠内で行われるということを申し上げてまいりました。したがって、この安保条約第六条における極東の解釈というものについても、昭和三十五年、大分昔のことにはなりますけれども、この政府の統一見解以来、一貫して変更してきておらないところでございまして、今回もまた同様でございます。

首藤委員 ともかくこの問題に関しては、もう時間がありませんけれども、ともかく開示していただいて、少なくともA案、B案、C案という形で外務委員会でしっかりと論議ができるようにしていただきたい。そうしなければ外務委員会はもう全く形骸化して意味がなくなる。外務委員会が意味がなくなるじゃなくて、そうなったらもう外務大臣の価値がないじゃないですか。

 私はこの点を注意喚起して、最後のテーマに移ります。それは、今回の一連のアジアの問題の起点ともなった北朝鮮との関係です。

 その関係が昨年の十一月の外務省の派遣団によって好転の兆しがあった。当時行かれた薮中さんとかがいろいろ言うと、今回は向こう側も努力してくれました、今回はうまく進めるんじゃないかという話だったけれども、遺骨問題があって、この遺骨は横田めぐみさんの遺骨ではない、こんな汚いことをする、うそばかり言うということをびしゃりとたたきつけた。

 その根底が、一私立大学の一講師の単独でやった、非常に国際的には問題のあるネステッドPCR法によるミトコンドリアのDNA鑑定だということじゃないですか。これが怪しいということは、世界を代表する科学雑誌であるネイチャーが三度にわたって指摘している。韓国では大いに報道され、最近ではついにアメリカでも、DNA検査で最も進んでいるアメリカのタイムでもこれを取り上げました。そして、アメリカではテリー・メルトンというDNAの権威が、こうした問題にこのネステッドPCR法をやるのはコンタミネーションの可能性があって非常に危険だからできないというようなことを述べておられます。

 こんな状況で、例えば、日本の結果が非常に正しいという客観的な、日本の結果が正しい、北朝鮮はうそを言っているという、また日本の分析が、たった一人の私立大学の講師がつくられた結果というものが、鑑定書も何も私は見ておりませんけれども、別人。日本のその分析が世界最高水準である、これに基づいて日本の外交は展開していいんだということを主張する根拠はどこでしょうか。警察にその根拠を明確にお伝え願いたいと思います。

瀬川政府参考人 お答えいたします。

 ネステッドPCR法についてのお尋ねでございますけれども、今回、横田めぐみさんのものとされます遺骨についての鑑定の結果、その鑑定した骨が、横田めぐみさんのものと異なるDNAが検出されたという結果を出しました帝京大学でございますが、帝京大学はこれまでも各方面から嘱託されました鑑定におきましてそのネステッドPCR法を用いてDNAの鑑定を行ってきておりまして、実績を上げてきているものというふうに承知をしております。

 そしてまた、先般の議員の御質問にもございましたが、そのコンタミネーションの問題につきましても十分な配慮がなされたものというふうに承知をしております。具体的に申し上げますと、骨片を洗浄した後の洗浄液につきましてもこのネステッドPCR法を用いてDNAの検出を試みたわけでございますが、DNAは検出をされませんでした。

 また、鑑定結果の客観性、確実性を高めるという観点から、二度にわたる分析を実施いたしまして、同一の結果が得られたというものであるというふうに承知をしております。

 したがいまして、私どもといたしましては、刑事訴訟法に基づく厳格な手続に従って、最高水準の研究機関が実施した客観的な鑑定結果でございまして、信頼性の極めて高いものというふうに私どもは受けとめておるところでございます。

首藤委員 いや、瀬川局長、全然違いますよ。私は、もう本当に警察の方にこんな文句を言いたくないですよ。しかし、日本の警察がこんなことであったら、これはもう恥ずかしいと言わざるを得ないじゃないですか。

 科学的検定とは御存じですか。一人がやっていい結果を出したってだめなんですよ。それは社会的に認められなければいけない。それはいろいろな形で、複数の人間が、複数の機関がチェックして初めてそれは科学的検定と認められ、その過程が公開され、社会的に認知されたときに初めて科学的検定になるんですよ。一個人が一機関でやって、しかもその結果が鑑定書も出してこないし、科学的な説明もない。こんなもので科学的検定となって、それに基づいて外交を展開するとすれば、それはもう極めて日本の外交は危うい橋を渡っていると言わざるを得ないじゃないですか。

 こうした問題に関して、私はもう一度注意を喚起しますよ。この問題に関しては集中的に論議する場が恐らく近々出てくるでしょう。しかし、こんなことを警察が言っていたら、警察に対する信頼が今地に落ちているときに、まさにさらにそれに追い打ちをかけていると言わざるを得ない。私は、警察全体に対して、この問題に関して猛省を促したいと思います。

 最後に中国問題でございますが、中国の日本大使館や企業への攻撃というものは中国が責任を持つというのは当然のことだと思います。しかし、これを招いた外交責任というものも大きいのですよ、外務大臣。そのためにこそ、外務大臣はこれから中国へ行って交渉され、表面的には、ジャーナリストには何か口では激しいことを言っているけれども、心の中ではじっとこれから耐え忍んで、日本の中日外交をもう一度つなぎとめなければいけないという御覚悟を持っているということはありありと伝わってきます。しかし、こういうような状況において、我々は常にワーストケースシナリオというものを考えておかなければいけない。これが外務委員会の責務だと思います。

 私は昔、海外における日本人の安全の問題をずっと専門的に取り扱っておりましたけれども、一時期、韓国がかなり危なくなったときに、韓国在住の日本人の派遣員それから家族、留学生などの撤退計画を想定したことがあるのです。これはもう数が多過ぎて、難し過ぎて、途中でギブアップしたようなことがあります。

 今、これはもちろん問題がなく、そういう状態にならないだろう、ならないように努めます、私が行ってやりますという官僚的な答弁になると思いますけれども、最悪のときに備えて、例えば対日暴動、あるいはかつて日本が戦争に巻き込まれていった最初のきっかけとなった日貨排斥運動、こうした問題が起こったときには、中国における日本の膨大な人間、そしてその財産、そして人間に関してはその撤退計画、財産に関してはその保障、それを外務省はどのようなエマージェンシー対応を今策定しておられるか、その概要を最後にお聞きしたいと思います。

町村国務大臣 今、約十万人前後の方々が中国で働いたり学んだり、生活をしておられると思います。委員御指摘のような、最悪のシナリオをしっかり考えておけ、大変貴重な御指摘であるし、またそれは常に我々が心がけなければならないテーマであろう、こう思っております。

 率直に言って、今、それではその十万人の撤退、粛々と、整然とそういった撤退をする計画が今外務省にあるかと問われますと、それは率直に言って現状ございません。したがって、そういう事態が起きないような外交努力をするというのは当然なんでありましょう。

 また、そういうプランを練っているということ自体がまた新しい問題を招くということにもなりかねませんが、いずれにしても、常に最も厳しいケースというものを想定しながら、さまざまな万全の対策は打ち、また外交努力をしなければいけないという委員の御指摘はしっかり肝に銘じて、私どもも事に当たっていきたいと思っております。

首藤委員 外務大臣、ありがとうございました。大いに期待をしております。

 以上で質問を終わります。

赤松委員長 次に、武正公一君。

武正委員 おはようございます。民主党の武正公一でございます。

 旅券法改正について質疑をさせていただきます。

 まず、その前に、今首藤委員も指摘をしておりましたが、米陸軍第一軍団司令部の座間移転ということでございます。私もきのう十四日朝、午前六時五十分、NHKのニュースを見ていますと、はっきりと、座間に移転をする米陸軍第一軍団というふうにアナウンサーが言うんですね。これはNHKでたしか一回聞いたことがあったんですね。きのう、確かに午前六時五十分のNHKのニュースで、するという明言をアナウンサーがしているんですね。

 これは公共放送としてのNHKを初め、やはり放送できちっとそういったことを明言していることが、基地を抱える都道府県知事を初め、あるいは我々国会にしても、何でそうした情報が先に、しかもはっきりとした口調で明言をされるのか。その情報管理、これは日本国政府あるいは米政府にしっかりと求めていくとともに、やはり国会できちっと進捗状況は開示をいただきたい、このことを重ねてお願いしておきたいと思います。

 旅券法改正でございますが、今回のICチップ導入、これによって、いわゆるデジタル画像、そしてまた個人の名前とか住所とか、そういったものをICチップに書き込むというお話であります。既に外務省の方から、それ以上のバイオメトリックスというんでしょうか、例えば虹彩情報や指紋あるいは静脈情報などをそのICチップにさらに書き込むというか、上書きすることはない、こういうふうに聞いているんですけれども、この点をまずは第一点、確認をさせていただきたいと思います。

町村国務大臣 このICAOの規定には、顔画像のほかに指紋と虹彩を各国の裁量により追加的に採用するということは認めているところであります。そして、その仕様については二国間または多国間の協議により定めるものとなっておりまして、国際標準というものを策定しておらないわけであります。

 こうした状況を踏まえて、日本としては、今般の法改正に基づき発給するIC旅券には、顔画像以外の生体情報を追加して記録するということは考えておりません。

武正委員 再度確認をいたしますが、ICチップに書き込んだものをそれぞれ皆さんに交付されるわけですが、またさらにICチップに上書きをするという、そういったことはないということでよろしいんでしょうか。もう一度、上書きがないということを確認させていただきたいと思います。

町村国務大臣 今考えてはおりません。ただ、これからうんと先のことを考えて、国際的にどの国もそういうふうにやるようになるとか、いろいろな状況の変化があった場合には未来永劫絶対ないと私が今ここで断言することは難しゅうございますけれども、いずれにしても、現状、私どもはそういうことを追加することは考えておらないわけでございます。

武正委員 事前の説明では、書き込みあるいは上書きはできない、こういうような説明を受けていたんですけれども、今の話ですとできるということを言っておられますが、それでよろしいんでしょうか。

町村国務大臣 それは、今御審議をいただいている法律の中ではそれはないということでございます。ただ、これから何年後かわかりませんが、国際的にみんなやはりそれは必要なんだというような事態がないかあるかわかりません。だから、余り仮定の議論をしてもそれはしようがないのかもしれませんが、少なくとも今回法案で御審議をいただいている法律の中ではそういうことは一切考えていないということであります。

武正委員 私は、技術的にできないという説明を受けていたものですから、ちょっと今の御答弁だと食い違うなというふうに思っておるんですけれども、再度お願いいたします。

町村国務大臣 どうも失礼をいたしました。技術的にできないということのようでございます。

武正委員 ありがとうございます。

 そこで、きょうは法務大臣政務官もお見えでございますが、日本の難民認定の数であります。きょうはお配りをしておりませんが、改めてこうやって表を見ますと、日本は二〇〇三年十人。一けたがずっと九四年から並びまして、ようやく二けた。これに対して、アメリカは二万二千、イギリス二万一千、ドイツ三千百、フランス一万三千、イタリア七百二十六。

 これから国連の常任理事国を目指す日本として、この難民認定の数がこれだけ少ないというのはいかがなものかというふうに思うわけであります。多分、これまでは、法務省入管当局としても、やはり不法入国を防止する、あるいは不法滞在を厳しく取り締まる、あるいはそうした密入国防止、さまざまな観点から、ある面、難民認定については厳しい対応、すなわち本人が難民であることをきちっと自分でみずから証明しなければならない、こういった手続があったかと思うんですけれども、ここに来て、今回の旅券法改正、そしてまた、この後、外務委員会でも審議をします国際組織犯罪防止条約の二つの議定書、それに伴う刑法改正、入管法改正、また来年予定されていると言われます外国人の入国者に対する指紋押捺の入管法改正というような各般にわたる法改正によってそうした点がなくなるとすれば、私は、やはりここで難民認定を緩和していっていいんではないか、このように考えるんですが、法務省、いかがでしょうか。

富田大臣政務官 今先生の方からいろいろ御指摘いただきました法律は、不法入国の防止とかテロ対策の強化のために法務省としても考えている法律でございます。

 我が国の難民認定制度の運用につきましては、これまでも、難民条約に定める難民に該当するか否か、これも今先生御指摘ありましたけれども、これは慎重かつ誠実に判断して難民認定申請を処理しているところでございます。

 昨年六月には、難民認定申請中の者及び難民と認定された者の法的地位の安定化を早期に図るための新たな制度を導入する改正入管法が成立いたしました。本日、その施行日を本年五月十六日と定める政令を閣議決定しております。

 具体的には、これまでは難民認定がされても退去強制手続はずっと進んでいたんですが、難民認定がされれば退去強制手続をストップして、難民認定申請中の段階であっても法務大臣の在留特別許可の手続にも入れるというふうになってまいります。こういった運用も含めて、一層適正な難民行政の遂行に努めてまいりたいと考えております。

武正委員 これはニュージーランドの例でありますが、いわゆる難民控訴、日本の場合ですといわゆる異議申し出手続でありますが、それが異議申し出も法務大臣の決定であるというのはやはり問題であろうということで、ニュージーランドでは難民控訴局というものを設けて、準司法的な機関で不服申し立ては受け付けるようになっている。

 こういった改善もあるわけでありますので、私はまだまだ難民認定、今、五月から施行して、新たなるそういったお話もございましたが、これらのいろいろな法改正とともに、さらに私は難民認定を緩和していくことが必要ではないかなというふうに思うんですが、外務大臣、いかがでしょうか。

 今、国連常任理事国入りを日本としては表明しているわけでありますが、やはり、緒方貞子さんに言わせれば、難民をどの程度受け入れることができるかでその国の懐の深さがわかると。UNHCRとしては、ことしの一月にトルコ籍のクルド人親子を強制送還、これについてUNHCRもやはり問題というふうに指摘もしております。

 今、いろいろな法改正がされておりまして、不法入国や不法滞在や密入国、さまざまな観点から、今回もこうしたICチップに個人情報を入れて、入りと出を、今回の場合は出の方でありますけれども、来年はまた法改正で入りの方もということで、また諸外国もICAOで入り、出ということもやっていくわけであります。

 この難民認定について外務大臣としてはどのように、この二〇〇三年十人という人数についての御認識とともに、やはりこれは緩和をすべきではないか、国連常任理事国入りを控えてということでありますが、いかがでしょうか。

町村国務大臣 まことに難しい御質問かな、こう思います。

 確かに、先進諸国と比べてその認定数が極めて少ないというのは、事実として御指摘のとおりだろうと思います。外務省は直接、この難民認定は法務省の所管でございまして、私どもがあれこれ申し上げる立場にもございませんし、また法務省は法務省で適切に処理をしておられる、こう聞いております。したがって、それについて私の立場であれこれ申し上げることは差し控えたいと思います。

 ただ、国連常任理事国入りとの関係でどうかと言われるとちょっと答弁に窮するわけでございますが、そうした世界的な流れというようなものも、当然、法務省あるいは政府全体としてとらえながら今後適正に対応されるもの、こう考えているところでございます。

武正委員 そうしましたら、政務官はお引き取りいただいて結構でございます。ありがとうございます。

 中国の問題にちょっと移らせていただきます。

 昨年、川口前外務大臣在任時に、やはり三月、尖閣諸島に中国人活動家七名の不法上陸がありまして、逮捕そして送検見送り、強制送還。そしてまた、大使館前でのデモ、国旗が焼かれる、こういったことがありました。しかも、それは訪中の前でありまして、またくしくも今回も外相訪中の前なんですね。まさかこれは期してやっているとは思えないんですが、これは日本政府からさまざまな指摘があるように、やはり警察当局が規制をしていなかったことや、あるいは外交当局がその責任は日本にあるというような発言もありました。

 私は、外相の訪中前に二度も立て続けにこうした事件が起きて、しかも今回は、公館不可侵のもとに日本の大使館に危害が直接加えられる、こういったことも起きているわけです。私は、昨年、川口外相には訪中取りやめをこの委員会で求めたんですが、今回、外相は先ほど来、いや訪中をして今のこの日中間の懸案を取り除くんだ、こういった発言をされておりますが、今回も、外相訪中を取りやめるということは選択肢の一つとしてあっていいんではないかと思いますが、外相としてどのようにお考えでしょうか。

町村国務大臣 訪中を取りやめるという考え、確かにあろうと思います。全く考えなかったと言えばそれはうそになります。ただ、いろいろ考えまして、やはりこういうときこそむしろ積極的な対話を進めるということの方が望ましいのではないか、こう考えた次第であります。

 ただ、例えば私が行くことによって、そのことがまた大きな何かリアクションを生んで、在留邦人に大変大きな危害が加えられてしまうというおそれが非常にはっきりしてくるとか、先ほど首藤議員から御指摘のような最悪シナリオというものが、かなりの蓋然性で外務大臣が訪中することによってそういう事態が惹起されるということが考えられるならば、それはもうやはり行かない方がいいということもあろうかと思いますが、今の事態で、中国政府も千人以上の警察官を一応配置していたということ、その警備の仕方が私は十分であったとは思っておりませんので、その点についての抗議はしたわけでございます。しかし、全く警備をしていなかったかといえば、それはそうではないわけでありまして、やはり中国政府もそこのところは考えてやっているということは、私は、ある部分は認めなければならないのだろう、こう思っております。

 したがいまして、現在の状況で、また土曜日にあるいは日曜日にどういうような行為が行われるか、これはなかなか予測するのは難しゅうございますけれども、現状の判断としては、私は、むしろ訪中をして率直な話し合いをした方がいいのではないだろうか、こう判断をいたしまして、一応、ただいま現在は行くことにして準備を進めているわけでございます。

武正委員 既に御発言されていると思うんですが、当然、大使館に対する危害についての賠償請求をする、謝罪も要求するということでよろしいんでしょうか。

町村国務大臣 この点につきましては、過ぐる日曜日のお昼前に王毅大使を外務省に呼びまして、今委員が言われましたこうした破壊活動に対するきちんとした警備をすること、それから、こうした活動に対する中国政府の謝罪、それから、これは在外公館のみならず民間のお店であるとか企業等々にも被害が発生をしておりますから、そうしたものへの損害賠償といったようなものを求めるということ。

 さらにもう一つ、外報官等の談話が、あたかもこうした過激な活動を容認するかのごとき発言があることは甚だ遺憾であるので、そういう発言は控えるようにといったようなことを申し上げ、さらに翌日、念のために、口上書、文書という形で先方政府にそのことを明確に伝達してあるところであります。

 そして、そのことはまだ私は詳しくアジア大洋州局長から、きのうの深夜帰ってこられたものですから報告を受けておりませんけれども、昨日、一昨日の日中韓の事務レベルの話し合いの中でも、そういったことをしっかりと先方に伝え、大分議論をしたということのようでございます。

武正委員 たしか、けさの新聞では、日中韓局長級会議で反日デモについては触れられずというような新聞をちらっと見た覚えがありますので、今のお話ですと、それも当然議論になったということだというふうに理解をいたしました。

 さて、賠償請求も謝罪もということでございますが、ただ、近年の日中間の事件を三つほど挙げますと、それがうやむやになっているようであります。

 まずは、平成十四年五月の瀋陽総領事館亡命者連行事件、これは謝罪要求についてうやむやになっている。昨年の夏、例のサッカーが終わった後の中国公使の車、これは謝罪はあったんですが補償問題は未決着。それから、昨年十一月の中国原潜、これは、日本政府は謝罪があったと解釈しておりますが、私も十二月に訪中しましたが、あれは技術的なミスだったというような言い方で言っておりまして、謝罪はあいまいということであります。

 こういうことが、日本の主権侵害に対してきちっと指摘をして謝罪なり賠償なりを求めるということが日中間でどれだけ一つ一つ丁寧にできているのかということは、甚だ疑問であります。ですから、今回それをやられるということであれば、徹底してそれを求めていただき、しっかりとそれを中国側から出していただけるように強く強く迫っていただきたいというふうに思っております。

 実は、三月に、潘基文韓国外交通商部長官の訪日があったわけですけれども、例の竹島の日、日本が県議会で採決をした、そしてまた三・一大統領演説、この後ということで訪日を見送ったわけですね。

 先ほど、もしかしたら訪中、わかりませんという外務大臣の発言がありましたが、実は、いろいろ調べていくと、外務大臣もそうですけれども、日本の閣僚が外交関係を理由に相手国への訪問を取りやめるというのは極めて少ないんですね。突然のいろいろな事故でやめる、そういうのはありますが、大変少ないというふうに私は拝見をいたしました。

 今回の潘基文さんが訪日を見送ったことなども含めて、両国間の関係の中で、外相が予定をされていた訪問を取りやめるというのは、きちっと我が国の立場を相手国に伝える大事なメッセージの一つであろう、手法の一つであろうというふうに私は思います。

 そういう意味では、日本の外務省はそうしたことをこれまでやってこなかったのかな、やはり強く主張すべきときには強く主張する、こうした外交があっていいので、私は、外相の訪問を取りやめるということは、今回の中国ということは置いておいて、選択肢の一つだというふうに認識をしておりますが、この点は外務大臣、どのようにお考えになりますでしょうか。

町村国務大臣 韓国外交通商部長官の訪日の話、確かに事務的には、そういうことの可能性はどうかというような内々のサウンドは確かにございましたが、実は、正式にまだ決定というところまでには至っておりませんでした。したがいまして、もともと正式ではないのだから、もともとなかったんですよねというのが先方の考え方なんだろうと思います。

 事実関係はそういうことなんでありますけれども、確かに、訪日あるいは外国訪問を取りやめるというのは一つの国家の意思のあらわし方ではあろうと思いますから、そういう選択肢が必要な場合も確かにあるんだろうなと思います。これはなかなか一概に、どういう場合にということをあらかじめ基準を持って示すことはとても難しいんだろうと思います。

 したがいまして、今回の韓国側のそういう判断、いろいろな状況、政治状況等々を総合勘案して、きっと韓国の長官はおやめになったんだろうと思います。

 そんなこともあったものですから、先週、イスラマバードで日韓外相会談というものをやりまして、そこでかなり率直な意見交換をすることができ、まだこれからどう展開するかわかりませんけれども、一応日韓関係の正常化への足がかりというようなものをつくる第一歩を踏み出せたのかな、そんな思いでおりまして、そういう意味で、常にありとあらゆる可能性を検討しながら外交努力をやっていくことが必要なんだなということを痛切に感じているところでございます。

    〔委員長退席、大谷委員長代理着席〕

武正委員 選択肢の一つであるということは御認識をいただいたというふうに思います。

 ただ、今この時点で訪中を取りやめるのはなかなか難しいのかなという、諸般の事情の変化があればという先ほどの外務大臣のお話でありますが、という理由は、やはり三年半、首脳会談がいわゆる相互訪問という形で行われていない、これが一つ理由にあるのではないかなというふうに私は思っております。

 やはり首脳間の定期的な行き来、こうした関係があれば、こういった、やはり隣国でありますし、国境を接している国でありますので、領土、領海をめぐって当然言うべきことを言い、主張すべきことを主張する。これまでそれをやってこなかったのが問題であって、当然あっていい姿であり、その摩擦を、フリクションをどうやって解決していくのか、それが外交当局の手腕であろうかというふうに私は思います。その手腕の一つに、外務大臣が訪問するのを取りやめたり、あるいは訪問したりという、そういういろいろなメッセージの出し方で外交はなされていくんだと思います。

 ただ、その大前提は、やはり両国間の首脳が相互に訪問するという、国交を結んで、しかも日中国交正常化、日中国交回復、あれは一九七二年ですから、三十年を経過して、大変、日本にとって最重要の国の一つである、そういった国との関係がそういう面ではぎくしゃくする理由は、やはり両国間の首脳の相互訪問がないということにあろうかというふうに思っております。このことは、改めて私はやはりここで指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 さて次に、お手元の方に資料を、これは理事会で委員長あるいは理事の御承認を得て配付させていただいておりますが、その後ろから二枚目、三枚目が、二月の2プラス2、日米安全保障協議委員会の共同発表でございます。後ろから二枚目、ここの十のちょうど真ん中辺に、「台湾海峡を巡る問題の対話を通じた平和的解決を促す。」こういった記載があります。

 そもそも、2プラス2の後に発表されるというのは、大体その概要でありますし、記者会見でありますし、このように詳細に共同発表が文書で行われるというのは、外務省にあっては極めて異例だなというふうに私は思っております。私は、もっともっと外務省は情報公開すべきであるし、例えば日米合同委員会の議事録なども速やかに公開をすべきであるというふうに長年主張させていただいておりますが、ここに関してはこれだけの項目までも事細かに発表している。

 これはやはり、民主党の外務・防衛部会に来ていただいた外務省の方に確認をしても、この「台湾海峡を巡る問題の対話を通じた平和的解決を促す。」ここまで主体的に外務省の文書として書いたことは今までなかった、こういった説明を受けております。

 この項目が入った働きかけというものは、日本側からの強い働きかけなのか、アメリカ側からの強い働きかけなのか。いや、これは双方の合意ですから双方とも強い働きかけですよと外務大臣は答えられるかもしれませんが、一体どちらからこのような、日本政府にしてはこれまでよりも踏み込んだ表現になっているわけなんですけれども、どちらからの強い働きかけでこのような項目が入ったのか、お答えをいただけますでしょうか。

町村国務大臣 この平和的解決を促す、台湾海峡をめぐる問題について対話を通じた平和的解決を促す、この内容自身は、かなり長い間、累次にわたって日本国政府が言ってきたことでございまして、別に何か私どもとして新しいことをここで述べたというつもりはございません。これは、もう長い間、中台問題に関する基本的な日本政府の考え方なわけでございます。

 しかし、では、これをなぜここに載せたのかという御指摘かと思います。やりとりの一項目ずつの詳細についてどういう議論があったかということは、先方もあることですから詳細に申し上げることは難しいわけでありますが、ただ、この点について言うならば、日本側が働きかけた、あるいはアメリカ側が特に強く言ったというようなことではございませんで、一連の議論の、アジアをめぐる、あるいは世界をめぐる安全保障環境をいろいろ議論する中から、ここはお互いに意見が一致したものということで、共通の認識を持ったからここに盛り込んだということで、特にどちらか一方が働きかけたというような事実はなかったと私は記憶をいたしております。

    〔大谷委員長代理退席、委員長着席〕

武正委員 ちょっと時間も追われております。次に移らせていただきます。

 これは、三月十五日に閣議決定しまして、チェコ大使に熊澤元農水次官を起用したということでございますが、いわゆるBSE発生危険度が高いことを知りつつ、そのことを握りつぶした次官ということで、二〇〇二年の一月に事務次官を辞任している熊澤さんがチェコ大使になる。

 これは野上さんのときもそうでしたが、外務省改革で、次官ポストが最終というようなことも出ているのに加えて、こうしたBSEでちょうど問題になっているときにこうした人事が行われる。甚だ問題であろうというふうに思っております。

 そういった意味で、私は、大使の任用というものについてやはり国会が関与をしていく、あるいは国会に来てやはり説明をする、こういったことがあっていいんじゃないかなということをこの熊澤次官の大使赴任ということについても思うわけですが、これについては、大臣、いかがでございましょうか。

町村国務大臣 熊澤大使御自身の農水省在任時代のBSE問題に関する責任の問題、あるいはそれに対する処理ということについて、これは外務省としてコメントを述べる立場にはございませんけれども、既に農水省においてしかるべき措置がとられている。いろいろな、退職時の俸給月額の一部の自主返納等やっている等々の処分が行われているというようなことで、これは既に農水省内部においてしかるべき措置がとられた、こういうことでございます。

 では、御本人の適格性ということについて申し上げるならば、余りそういう言葉が適切かどうかわかりませんが、農水省にしては珍しい、最近は余り珍しくないようでありますが、国際畑の方でもございますし、また、ウルグアイ・ラウンド農業交渉とか、あるいは日・シンガポール経済連携協定等の、こうした主要案件の陣頭指揮をとられた方であるということ。

 また、留学もなさっておられたり在米日本国大使館に勤務をされたといったようなことで、いろいろな知識、経験あるいは語学力等々とも十分なものがある。さらに、幹部職員を経験したということで、管理者としての適性も備わっているというようなことを総合勘案いたしまして、大使にふさわしい能力、実績、人格を有している、こういう判断の上で大使に発令をした次第でございます。

武正委員 もう時間が参りましたのであれですが、今、外務省はコメントする立場にないと言っても、外務大臣がチェコ大使に起用しているわけですから、任命権者というか、やっているわけですからいかがなものかと思います。

 また、それと、この熊澤さんは、農協共済総合研究所顧問から去年六月に理事長になって、そしてわずか九カ月で大使になっていますので、農協共済総合研究所の理事長としての在任わずか九カ月、この退職金が果たしてどうなのか。先ほどの点についてはいかがなことかなとも思っております。

 ここで私から提案なんですが、委員長にぜひお願いをしたいんですが、実は、財務金融委員会では、日銀の総裁、副総裁について、国会同意人事後、就任前に参考人として財務金融委員会に招致をして、意見陳述、そして委員会の質疑をやったことがございます。参考人招致でございます。

 同僚委員からも既に、加藤駐米大使についても、今回のBSE輸入牛肉再開に大変重要な実は決定を、いろいろな関与をしているんではないかという指摘もあります。私は、やはり当委員会に大使を参考人として呼べる、あるいは、それこそ皇居で認証を得て現地国に赴任する前に国会で我々が意見を聞くことができる、これはやはり国会として、これだけ外交案件が国内の内政に与える影響の大きい昨今でありますので、当然やはりしていくべきであろうというふうに思っておりますので、これはぜひ委員長においてお取り計らいをお願いしたいと思います。

赤松委員長 大使の国会承認等の必要性については、旧来から外務委員会理事会等でいろいろと発言のあるところでありますので、その取り扱いについては後日の理事会等で協議をさせていただきたい、このように思います。

武正委員 時間が参りましたので、例の米軍ヘリのガイドラインが、極めて問題の多いガイドラインが、しかもまた持ち回りの日米合同委員会で認められてしまったことは甚だ遺憾であるということで、質問の時間がちょっとなくなりましたが指摘をして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

赤松委員長 次に、古本伸一郎君。

古本委員 民主党の古本伸一郎でございます。

 私からも、議題となっております旅券法及び組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、質問させていただきたいと思います。

 まず、この旅券法の改正に伴いまして、現在の旧式といいましょうか、現行のパスポートから、新しいe―パスポート、電子パスポートにつくりかえたいという方はつくりかえることができるというふうに伺っております。その際、効用分と言われる、いわゆる効果のある分について年間千円を徴収するということでありますので、例えば十年旅券であれば、まだ残余の期間を九年残して、更新して一年目ですという方がいらっしゃれば、残り九年分、すなわち九千円に相当する分は、これは返還されるんでしょうか、されないんでしょうか。まず、技術的な質問をしたいと思います。

鹿取政府参考人 今の御指摘の旅券の料金についてでございます。

 まず、その前に背景を御説明いたしますと、今度、我々はIC旅券を導入いたしますけれども、しばらくの間は、現在有効な旅券とIC旅券というものは同時並行的に通用していく、こういう期間があると思います。それは各国でも同じでございます。

 しかしながら、今、委員御指摘のように、人によっては早くIC旅券を欲しい、こういう方もおられると思います。それで、その場合には、早く切りかえができるような制度は今度の旅券法に導入しております。

 しかし、お金につきましての考え方は、やはり新しい旅券を入手されるということであれば、我々はそれをまた十年旅券として発行いたしますので正規の料金をいただく、こういうことで考えておりまして、その際に例えば料金を払い戻す、そういうことは今旅券法では想定してございません。

古本委員 効用分というのは、大使館や領事館で、まさに邦人保護やいろいろなサービスの便益に浴することができるから、それへの見合いとして効用分が年間千円、こういうことでありますので、そこでまだ残り九年間は効用がないままに失効させるわけでありますから、新しいe―パスポートに更新したときに、残りの効用分九千円分がキャリーできるならいい、ポータビリティーがあるならいいですけれども、ダブル取り、二重取りになりますよね。これは極めておかしいと思うんですけれども、答弁願います。年間三百億円を超えるんですよ、効用分は。

鹿取政府参考人 確かに、パスポートのお金の話というのは国民に非常に密接に関係しておりまして、これをどう決めるかということにつきましては、私どももいろいろ議論した経緯がございます。

 ただ、先ほど申し上げましたように、背景といたしましては、私ども、来年三月を目指してIC旅券を導入いたしますが、しばらくの間は今の旅券もずっと有効でございます。今の旅券につきましても、有効期間が終わるまでは効果がございます。これは各国とも、やはり新しい旅券を導入する場合には古い旅券と新しい旅券がともに存在する、こういう時期はどうしても過渡期においては生じます。

 したがって、使用者としては、ユーザーとしては、今の旅券を持っておられれば、その有効期間の間はそれを使うということで多くの方は対応されるかもしれませんし、また人によっては、いや、やはり新しい旅券が早く欲しいということもあるかもしれませんが、新しい旅券を早く入手されるという場合には、私どもとしては料金をいただく、こういうことで整理したところでございます。

古本委員 私が伺っていますのは、効用分というのはバーチャルなんですか、現実の世界なんですか。これは現実の世界で、どこか海外に出た邦人が何かサービスを受けて、効用分なわけですよね。

 最前から申し上げているのは、残余の期間があった場合には、この分は、その効用がないままに更新をしたいという人がいたときに、せっかくe―パスポートをつくるんですから、一日も早くそれを使ってみたいというビジネスマンや旅行者がいて何の問題もないし、むしろ外務省としても、e―パスポートを導入するんですから、そういうことじゃないんですか。要は、税金の二重取りがおかしいと言っているんですよ。答弁をすりかえないでください。

鹿取政府参考人 私の答弁が的確性を欠いていたら申しわけございません。私が申し上げようとした趣旨は、今有効な旅券を持っておられる方は、今度我々がIC旅券を導入いたしましても、その有効期間の間は使える、これをまず第一点として申し上げた次第でございます。

 他方、今有効な旅券を持っていて、まだあと数年有効であったとしても、やはり新しい旅券が欲しい、そういうことであれば、それはその方の御判断によるものでございまして、その方がその御判断に基づいて新しい旅券を入手されるということであれば、それはやはり新しい旅券の料金をお支払いいただく、こういうことで整理したところでございます。

古本委員 そうすると、e―パスポートに、せっかく国が導入してくれて、ある意味便利になるということで、特に忙しいビジネスマンなど、自腹を割いてか会社から費用が出るかは知りませんが、多分飛びつくでしょう。まさに外務省も期待をするところではないんですか。そうしたときに、今言っていますのは、その効用分というのが、何も印刷をした紙代ですとかあるいは撮った写真代だとか、実費を返せと言っているんじゃないんですよ。実費相当分の約四千円相当ですか、これは当然、それでも買いかえたいと言っている国民の自己負担ですね、自己責任。

 ところが、効用分というのは、現地に赴いて実際にサービスを受けたときを想定した、領事館業務、まさに領事業務のある意味手数料として徴収する、効果の分である効用分を幾ばくか残しているわけでありますから、その分が、買いかえたい、つくりかえたいという人の自己責任でやってもらうということの議論とは別次元だと思いますね。

 大臣、私は、この効用分の話というのは、実は最近気づいたんですよ、これはおかしいなと思いまして。せっかく切りかえた人が、また効用分として、十年物であれば新たに十年分、すなわち一万円を徴取されると、都合二万円払うことになるんですね。したがって、ここの部分は検討の余地は十分にあると思うんですが、いかがでしょうか。大臣に。

町村国務大臣 ちょっと、私、コウヨウブンというのは、公の用ですか、その……(古本委員「効果の用です。」と呼ぶ)効果の用……(発言する者あり)有効性。はい、わかりました。

 委員のおっしゃる意味が私もわからないではございません。もしこれがユーザーに選択肢がないのであれば、もう強制的に切りかえだ、あと何カ月、何年残っていても強制的に切りかえだという法律であれば、それは確かに、一カ月しか使っていないのに強制切りかえで、たくさんお金を払ったのにそれはおかしいではないかという議論はわかるわけであります。

 ただ、一応これは、もちろん外務省の期待としては、できるだけ、一人でも多くの人がこの新しい旅券を持ってもらいたいという期待はあります。しかし、それは強制ではなくて、あくまでも期待であります。そして、そこから先は、まさにパスポートを取得される方の判断、選択で、この新しい旅券でいくのか、今までどおりでいくのか。

 やはり、これにせっかくたくさんお金を払ったんだから、当分それが使えるまでは使おうという判断をすることもあるわけでありますから、一律にそこを、まだ十分の一しか使っていないんだから十分の九は払い戻せということには必ずしもならないのではないのかなというのが一つと、それからもう一つは、ちょっと、原価が幾らで、費用が幾らで、その差額がそのサービスの対価であるという計算があるのかないのか私にはちょっと定かではございません。

 しかし、外務省が在外公館において邦人に対するいろいろな保護、サービスを提供するというのは、このパスポートの収入だけで全部、独立採算で賄っているのならばよくわかるのでありますが、それ以上に、御承知のように、一般会計、広く国民の税金という形でいただいている中で在外公館の運営が行われているわけでありますから、必ずしもそこは期間との対応で考えなくてもいいのではないのかなと思ったりいたしますから、結論としてはさっき領事局長が答えたようなことでいいんじゃないのかな、私はこう思います。

古本委員 効用分という、効果の用の分と書いた効用分ということを国際派の大臣がご存じなかったというのは意外に感じますが、年間三百億円を超えて徴収されています。したがいまして、これをこの場で、わかりました、返還しますと、多分財源的には大きな問題になるでしょうから当然そういう答弁しかないんでしょうけれども、ただ、これは早晩国民から声が出ますよ。

 大臣、もう一度言いますけれども、四千円が印刷代なんですよ、実費。これは教えてくれました、御省の係の人が。残り一年分が千円、掛ける十年物の十年分で一万円分が、将来、十年間持つことによって得られるだろう便益を供する、それを受けることができる、したがって効果が十年間ある、これをもってすなわち効用分と呼んで、いわゆる一般税、国税の中から御省の予算をやりくりすることに加えて、年間、別途三百億強取っているんですよ、パスポート発行に伴って。

 したがって、その効果の用に浴することなく途中で切りかえた人に関して言えば、ちょっと例が適切かどうか迷いますが、自動車関係諸税でいえば、これは自動車を破棄して新車に切りかえたときに戻ってきますよね。このことを考えましても、どう考えてもおかしいという国民感情は早晩わき起こるということを強く指摘をしておきたいと思います。

 ぜひ、大臣もお心にとめていただいて、これは御省の徴収権のある会計予算だと思っていますから、財務省ともよく相談をいただいて、検討課題に残していただきたいと思うんですが、そのお心はあるかないか、再度、イエスかノーかでお願いいたします。

町村国務大臣 大変大きな金額をお預かりするわけですから、あだやおろそかにはできないことだ、そうは思っております。せっかくの委員の御指摘でございますから考えてみたいとは思いますが、結論は多分そう変わらないんじゃないのかなという気はいたします。

古本委員 ところで、パスポートといえば、今愛・地球博が開催されておりますが、出だしの来場者数ということを見れば、少し、特に諸外国からのお客様の出足が芳しくないという中で、主催者の皆さんも大変気をもんでおられるというふうに聞いております。

 そういう中で、例の日韓、日中関係が御案内のようになる中で、いわゆる愛・地球博を訪問する予定だったツアーが幾ばくかキャンセルになる等々の情報も入っております。そういう中で、実はせんだっての議員立法を受けて、台湾と韓国に関しては万博期間中のビザ免ということを判断していただきました。これは大変結構なことだと思います。その際に、中国を含んでいないという問題があるんではないかと思います。そのことが底流にあって、今日の日中関係が少しこじれてきていることのきっかけになっている要素も、これは否めないと思います。

 その中で、少し日中、日韓関係についてお伺いをするわけでありますが、竹島の問題について、大臣は、これは日本の領土であるか領土でないか、この事実について、私不勉強なものですから少し教えていただきたいと思います。選挙区で有権者の人に聞かれたら、大臣がこう言っていたというふうに胸を張って伝えたいと思いますので、歴史的事実についてまずお答えをいただきたいと思います。

町村国務大臣 この竹島問題について、政府の立場というのは一貫しておりますし、また先般の七日の日に日韓外相会談において確認をいたしましたが、お互いの立場はそれぞれ異なるということを確認いたしました。その上で、しかし、だからといって、大局的な見地に立って、両国の友好関係は損なわないようにしようということも確認をいたしました。

 今委員御指摘の、その竹島の領有権の根拠という部分でございます。

 これは、資料は手にするだけでも大変大部なものでございまして、多少読み上げることをお許しいただきますと、相当古くから竹島を、昔は松島とも呼んでいたようでございますが、認知してきた。江戸時代の初期、一六一八年、したがって徳川幕府ができて間もなくでございます。伯耆藩の、これは鳥取でございますけれども、大谷、村川両家が幕府から鬱陵島を拝領して渡海免許を受けて、毎年この島で漁業を行い、アワビを幕府に献上していましたけれども、竹島は鬱陵島渡航への寄港地、漁労地として利用されていた。また、遅くとも一六六一年には、両家は幕府から竹島を拝領していたというところが、それ以前にもまたいろいろな事実があるようでございますが、一応、かなり確認できる部分としてはそのあたりからのものがある。

 それ以降ずっとありますけれども、ちょっとこれを読んでいると委員会の時間が相当食われてしまいますので、あとは資料をお出しすることによってかえさせていただきたいと思います。

古本委員 端的に申し上げれば、竹島は日本の領土である、今大臣はそうおっしゃられたというふうに理解をいたしました。

 その上で、今、日韓関係が、そういう意味では竹島のことをきっかけに波が、私は小さな波だと思いますが少し立ってきているなというふうに思います。

 そういう中で、次に日中関係についてお伺いをしたいわけでありますが、過日のいわゆるデモによる破壊行為と大臣は言われておりますが、デモは合法であっても、しかし破壊行為は許されない。このことにつきましては、我が党民主党といたしましても、鳩山議員の名前で少し談話を発表いたしております。これは、デモの参加者の投石等の暴力的な行動を黙認したと言われているけれども、事実とすれば極めて遺憾、こういうふうに思いますし、中国は国際社会への影響を考慮して慎重に行動すべきである、このようにも考えております。

 さらに、こういう事実がある中で、やはり小泉総理が、日中関係の絡まっている糸を解きほぐそうという思いが本当にあるならば、大臣が今度訪中されるということは伺いましたが、何といってもトップ同士が腹を割って話をして、それが終わった後には、いろいろなことがあったけれども酒を酌み交わして飲む、それが、いろいろと先ほど中谷先生も言われていましたところの、いわゆる外交のまさに真骨頂ではないかと私は思うんですね。その意味では、総理が直接会うおぜん立てなり約束を今回の訪中で取りつける御決意はありますか。

町村国務大臣 一般的に言えば、それは、両国首脳がそれぞれの国を訪問し合う関係というものがより望ましいことはもう議論の余地がないことだろう、こう思います。

 そういう意味で、日中両国首脳が、APECであるとかASEANプラス3、そういった海外で昨年も二回会い、それはそれで率直な議論が交わされ、私は十分意味があったと思いますが、両国をそれぞれ訪問するという方が、比較の上でどちらがいいかといえば、それはやはり訪問できた方がいいんだろう、そこはもう率直に私も認めるところであります。

 ただ、それはある日突然行けばいいというものではございませんでしょう。釈迦に説法でございますが、それなりの段取りとそれなりの準備とそれなりの環境づくりと、また訪問した後の成果というものも、やはり準備をする必要があるということであろうかと思います。

 今、そういう意味で、具体に両国首脳がそれぞれ訪問をするという段取りがついているわけではございません。一つの可能性として、日程調整がつけば、四月の下旬にインドネシアでバンドン会議五十周年という、アジア、アフリカ諸国、百カ国以上の国々が集まって、あるいは国際機関も参加をしての大きな会議がございます。そこに小泉首相が、これは国会のお許しが出たのかどうか、ちょっと私、まだお願いをしている最中かもしれませんが、国会の許可が出ればそれに参加をされるという意向でございます。

 その折に胡錦濤国家主席も参加をされると聞いておりますから、そこで、百カ国以上集まるからなかなか日程調整が難しいんだろうと思いますが、可能であるかどうか今調整中でありまして、私がこの週末に訪中した折にも、そのことはぜひ実現をする方向で話し合っていきたい、こう思っております。

 また、五月の中旬だったと記憶をしておりますが、愛知万博で中国のナショナルデーがございます。そこには中国政府を代表して呉儀副首相がお見えになるという話も、これはほぼ固まっているようでございまして、その折、副首相の日程がつけば、東京の方に来られて小泉総理ともお話し合いになるということも、日程調整がつけばこれも可能だろう、こう思っております。

 今目に見えている範囲でいえば、そういうようなことがあるかなというふうに思っておりますし、また、ゆっくりした時間はとれないとは思いますが、五月九日にモスクワで、国連のコンセンサスで各国が認めた和解と追悼の日というのが開かれ、ここには六十カ国前後の首脳が招かれていく。小泉総理にもお招きがありましたので、これも国会のお許しがあれば行くことになるだろう、こう思っております。ここにも胡錦濤主席あるいは温家宝首脳がお出になる、こう聞いておりますので、十分な時間がそれこそとれるかどうかわかりませんが、そういうチャンスがあるかもしれない。これはちょっと、大変難しいことかもしれません。

 いずれにしても、ただ両国を行き来するというところにまでまだ環境が熟していないので、それが熟するような努力を一生懸命外交的にやっていきたいと思います。

古本委員 一九七二年に、田中元総理のまさに先見の明もあった中で国交が正常化されたわけですね。国交が正常化されている国の代表が相互に訪問し合うことができないというのは、まさに異常事態なんじゃないでしょうか。

 何かの会合で、出会い頭とまでは言いませんが、ちょっとすれ違う程度で本当に今、日中間に横たわっている問題が解決できるとはついぞ思えません。その意味では、この場ではテレビも入っていますから公言はできないでしょうけれども、具体的なそのための段取りをぜひ大臣には進めていただきたいなと思います。

 その上で、中国がどうしてああいう反日のことになるかというと、私はやはり若い世代に教育の問題の刷り込みというものが大変大きいと思っていますし、そのことの意味においては、先日、在北京の阿南大使がそういった中国の教育にも問題があると発言されました。このことについてお伺いをしたいんですが、これは大臣のさしがねとして発言をしたのか、阿南さんのセンスで個人的に発言されたのか。まずはイエスかノーかで端的にお願いします、時間がありませんので。

町村国務大臣 これは訓令を発しておりますが、いわゆる愛国教育の部分は阿南大使の大使としての御判断でございます。

古本委員 今、我が国の子供たちに使うための教科書について、かの国からある意味でとやかく言われています。

 一方で、かの国の教科書について踏み込むということは、私は見方が二つあると思っていまして、同じ土俵に乗ってしまう危険性もある、これは一面では。ただ、一方で、大臣も読まれたことがあると思いますが、かの国の教科書の日本語訳が立派に出ておりますが、もう本当に目も覆うような記述ばかりであります。これが歴史的に本当に事実なのであれば、かの国の人々が言うこともまさにそうなんだろうと思いますが。

 片や、日本の教育を考えたならば、もう申し上げるまでもありません、諸先輩方たくさんいらっしゃいます。ロシアの凍土に眠る六十万のまさに抑留された人々がある、広島、長崎でまさにお亡くなりになられた方々がいる。あるいはもっとあります、東京大空襲だってそうです。日本は、まさにその歴史の整理の中で、そんなことは繰り返し繰り返し刷り込むような教育はしていませんよ。

 そういう中で、他方、まさに満州で、引き揚げ列車で、本当に生き別れになって、船に乗れた家族もあれば、中国の里親に授けて、そして育ててもらった。これはまさに山崎豊子先生の「大地の子」じゃないですか。そして、結果、あのドラマがまさにドラマであれば、製鉄の技術を伝えた。だから、こういういいところは日本人は本当に表現していますし、中国の皆さんに世話になったと言っているわけですね。

 一方で、日本のそのことについては、もう本当に執拗に刷り込んでいく。このことについては、大臣は訓令を発したと言われましたので、ぜひ、かの国の教科書の問題についても、今後、腹をくくって踏み込んで物を言っていくのか言っていかないのか、これはまずイエスかノーかでお願いします。

町村国務大臣 教科書の問題、私、かつて文部大臣を務めていたという経験もございますが、これはすぐれて内政上の問題でございます。隣の国が隣の国の内政問題に、これはもう日中共同宣言の中で内政不干渉ということが明確にうたわれているわけでございまして、これはすぐれて内政上の問題であるということをまず基本として押さえなければなりません。

 その上に立って、しかし私どもとしては、いろいろな過去の経緯の中から検定基準の中に近隣諸国条項というものを設けて、近隣諸国の方々の思いにも配慮をした内容の方がいいですねということになっているわけでございます。したがって、近隣諸国の方々からの御意見、御注文があれば、それはそれとして配慮しながら、しかしこれは日本国政府あるいは教科書検定のための審議会という場で、学者あるいは第三者的な中立的な方々が判断をして検定をするという仕組みになっておるわけで、あくまでも主体は日本政府あるいは審議会というものがやっているということであります。

 したがって、委員御指摘のように、先方の教科書の内容について、それは私も教科書を読んだことが文部大臣時代にございますし、率直に言ってこういう内容でいいのだろうかと疑問を持つこともございます。

 しかし、このことについて、どういう状況で、どういうタイミングで物を言うか。はっきり言うか言わないか、イエス、ノーで答えろという今御指摘でございましたが、そこは状況を見ながら、しかるべきタイミングで、しかるべき方法、しかるべき言い方でやはりその問題は提起しなければならない問題だ、私はこう思っておりますし、現にこれまでも日中間の話し合いの中でこの問題が提起をされたこと、日韓の間でも提起をされたことは、これは過去の事実においてはあるわけでありまして、全く今までやってこなかったというわけではないと私は承知をいたしております。

 そういう意味で、もう一つは、今、日韓では歴史の共同研究というのをやって、これもなかなか両国の歴史観が一致するというのは国が違うと難しいわけですが、それでも貴重な作業を過去三年やっていただきました。私は、日中間でも、今、知的交流事業の中で共同歴史研究というのは行われておりますけれども、もうちょっと継続的な形で、一年限りの共同研究というのではなくて、恒常的な形で日中共同の歴史研究の委員会といったようなものを考えてみたらどうかというふうにも考えておりまして、先方がどういう反応を示すか、これはわかりませんけれども、それも一つのより幅広い共通の重なる部分が歴史認識において広がるということが大切なことだろうという思いから、そうした提案もしてみたいな、かように思っているところでございます。

古本委員 歴史の光と影でいえば、ここに書かれていることは影の部分なのかもしれません。一方で、光の部分でいけば、この戦後の六十年、ODAを初めアジア諸国にはもう一千億ドルを超えて投資しています。さらに、日本は世界に誇れる平和国家として繁栄してきました。これは、アジア諸国の皆さんのお支え、理解があってのことだと思います。

 こういう光の部分もぜひこういう教科書の中に書いてもらいたいですね。これは内政干渉になるんだ、できないという面があるのかもしれませんが、これは事実を知らぬままに育つかの地の子供たちもある意味で不幸なことかもしれません。その意味では、物を言う町村外交にぜひ期待をしながら、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

赤松委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 最初に、旅券法等の一部改正案についてお聞きします。

 改正では、IC旅券に記載される人間の生体情報は顔面像に限定し、法律上も担保している、このようにしておりますけれども、顔にとどまらず指紋などの身体情報が記載され、プライバシーの侵害になるとの危惧の念も出されたりしております。IC導入が顔面像に限るとしても、個人情報の保護を侵害するようなことにはならないと断言できるのか、明確な答弁を求めます。

鹿取政府参考人 お答えいたします。

 個人情報の保護に関してでございますが、二つの側面からまず御説明したいと思います。

 一つの側面は、パスポートの中に今度ICチップを入れて、そこに顔画像とか一連の氏名、年齢等が入ります。それで、我々が気をつけなくてはいけないのは、そのICチップをだれかがスキャンか何かして情報をとる、こういうことがあってはならないということで、まず一つは、技術的に、そういうことで本人の同意がなくしてICチップの情報が抜き取られることがない、こういうことをまず今度の旅券では技術的に確保しております。これが一つの側面でございます。

 二つ目の側面は、顔画像を初め、氏名、年齢、生年月日等が外務省の情報として蓄積されます。それについては、個人情報保護法等を踏まえまして適切に対応することを考えております。

 具体的には、そういう情報へのアクセスについては厳しく制限いたしますし、コンピューターへは、パスワードをつくって制限いたします。また、もしもそのコンピューターに入って情報をとった場合には、それが記録に残るようにいたします。また、都道府県とも一連の情報の連携はとりますけれども、都道府県との関係においても、どういう方がアクセスをするか、またアクセスされた場合には記録をとる、こういうことで個人情報の保護の万全を確保していく、こういうことで対応したいと考えております。

赤嶺委員 次に、沖縄金武町のキャンプ・ハンセンの山火事問題、これについて取り上げたいと思います。

 金武町のキャンプ・ハンセンの訓練場では実弾を使用した射撃訓練が実施されるため、着弾地内の雑草に引火し原野火災がたびたび発生している、こういう状況です。先週の四月四日にも、キャンプ・ハンセン内レンジ2の着弾地で不発弾に引火、原野火災が発生をしました。この火災はとりわけ大きく、六日朝まで燃え広がり、焼失面積は約百八十ヘクタール。山火事としては、一九七二年の復帰後三番目の規模になっております。

 儀武金武町長は、米軍の消火活動について、火災発生時は乾燥注意報が出ていたにもかかわらず、四、五の両日は午前中はヘリ一機しか出動しなかったと指摘して、米軍の消火体制に不備があったと断じざるを得ず、町民の我慢を超えるものだ、このように抗議しております。キャンプ・ハンセンの訓練区域の火災防止対策については、早期の消火活動に入るため、一九八六年二月に四機のヘリが常時待機体制をとるようになっていました。今回の米軍の消火体制はどうなっていたのですか。

戸田政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄米軍施設・区域におきます山火事につきましては、地元住民の方々に多大な御不安を与えております。私ども、大変憂慮しておるところでございます。

 また、今回発生しました火事につきましては、今先生御指摘のとおり、四月四日の午後に発生し、四月六日朝、鎮火するまでに約四十一時間という長い時間火事が続いたわけでございます。また、その焼失面積につきましても、約百五十ヘクタールという広大な面積であったわけでございます。私ども、大変遺憾なことと考えてございます。

 そこで、先生御指摘の、昭和六十一年に米側が、演習時においてはヘリコプター二機を待機させるとともに、さらに追加のヘリの配備も考えておるというお尋ねでございます。

 私ども、御指摘の事実につきまして、手元の資料を見たところ、六十一年二月二十一日に開催されました第十一回三者連絡協議会におきまして、米側から、キャンプ・ハンセンに演習時二機のヘリを待機させる、またさらに二機を追加することについても考えているというふうな発言があったと承知しております。しかしながら、キャンプ・ハンセン内にヘリコプターを待機させることにつきましては、整備上の問題等が存在することから結果として実現されなかったものと承知しております。

 他方、今回でございますけれども、米軍は消火活動を迅速に行うため、平成十四年から、山火事が発生した場合には現地の訓練部隊が直接普天間飛行場のヘリコプター部隊に対しまして出動を要請する体制に改めますとともに、消火活動のためのヘリコプター一機を同飛行場に常時確保していると承知してございます。

 今般、火災発生の四月四日、この一機が直ちに出動し、消火活動を行ったわけでございます。また、翌日でございますが、午後になって二機目のヘリが投入され、消火活動を継続したわけでございます。私ども、結果的にこういった広大な面積を、また長時間にわたる延焼ということでございますので、この状態がなぜこういうふうになったのかしっかり検証してまいりたいと考えております。こういった検証結果を踏まえまして、今後の消火活動の一層の体制整備に努めていきたいと考えておるところでございます。

赤嶺委員 今のお答えですと、沖縄県、那覇の防衛施設局を含めて、キャンプ・ハンセンの山火事対策として二機のヘリ体制を用意する、そして四機用意する、こういったことは過去に合意はなかったということなんですか。

戸田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、昭和六十一年の、県また私どもの防衛施設局そして在沖米軍司令官、この三者協議の場におきまして、米側司令官の方から、先ほど申し上げたような発言があったわけでございます。これについては、米側の方において、こういった体制をとるべく努力したものだと私どもは考えておるところでございます。

赤嶺委員 米側は二機約束したけれども、その後の経過を見ると約束を守っていないという理解でいいんですね。いかがですか。

戸田政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しますが、昭和六十一年の三者連絡協議会において米側がそういった発言をしておることは事実でございます。

 今回のヘリコプターの消火活動への関与でございますけれども、事故発生後、直ちにヘリ一機が対応したところでございます。そして、翌日でございますけれども、二機目のヘリが消火活動に参加しております。

 こういったことで、米側のヘリの体制というのは必ずしも十分であったのかどうか、私どももこれから検証してまいらなければならないと思っておりますが、今申し上げましたように、二機のヘリの活用が今般なされていたということでございます。

赤嶺委員 こんな認識で、キャンプ・ハンセンの山火事対策がとれていると言えるんですか。火が起こって、翌日の朝も一機体制ですよ。どんどんどんどん燃え広がって、やむにやまれず二機目を出したわけでしょう。二機目というのは準備されていたんですか。皆さんがこんな認識で、あそこの繰り返される山火事が抑えられるとでも思っているんですか。

 本当に情けないですよ。二機用意すると言っていたのに、燃え広がるまで一機しか出さなかった。何で二機出さなかったと何で言えないんですか。それで復帰後三番目の山火事ですよ。私、このことを強く指摘しておきたいと思うんです。

 それで、今回の出火の原因になった不発弾の問題です。

 不発弾は、SACOで合意されて、その処理のことについては公表するということになっておりますが、「米国における米軍の射場に適用されている手続と同等のものである米海兵隊の不発弾除去手続を引き続き実施する。」このようにSACOの最終報告で合意されています。米軍の手続というのはどういうものですか。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、SACOの最終報告書におきまして、米国の射場に適用される手続と同等のものの手続を実施するということが合意されておるわけでございます。

 その内容について具体的に申し上げますと、これもSACO最終報告を発表したときにあわせて米側から発表されておるのでございますけれども、キャンプ・ハンセン内の射場から不発弾を除去する作業、これは海兵隊において定められた方針及び手続に従って実施をする、この手続はおよそ海兵隊のすべての基地において適用されるということになっております。

 さらに具体的に申し上げますと、沖縄の米海兵隊は、射場整備との関連で半年ごとに射場清浄作業を実施する、その作業中は着弾地におけるすべての射撃及び訓練が約二週間停止される、資格を有する不発弾処理要員が不発弾処理に当たる、こういうものであるというふうに承知しております。

赤嶺委員 外務省に出してもらったキャンプ・ハンセン内の着弾地からの不発弾除去手続、今北米局長の説明のとおりなんですが、これによりますと、アメリカでは、半年というところもありますし、一年ごとにというところもあります。その基準というのは、アメリカにおいてどんなふうになっているんですか。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、アメリカにおいて、半年ごとに不発弾処理をやっているところ、それから一年ごとにやっているところとございますけれども、今回の山火事を受けて米側に照会をいたしまして、キャンプ・ハンセンにおいては現在、半年に一回以上の頻度で不発弾処理を行っているという回答を得ております。

赤嶺委員 半年に一回の不発弾処理をしているというのは、今回の山火事を受けて問い合わせしたわけですね。そうすると、SACOの合意の後、半年ごとに行うという点について、米軍は実行してきたかどうか、皆さんは米軍に問い合わせたことはありますか。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもとしては、SACOの合意がございまして、そこでは、御説明したとおり半年ごとに不発弾処理を行うということで、当然それが実施されているという前提に立っております。

 今回は、この山火事を受けたので念のため再度確認をした。その結果、現在においても約束どおり半年に一回以上の頻度で不発弾処理を行っているという回答を得たところでございます。

赤嶺委員 私、キャンプ・ハンセンの火災防止対策について、外務省もそうですが、防衛施設局も本当に不信感を抱かざるを得ないんですよね。火事が繰り返されているときには、ヘリ二機体制、四機体制を用意すると言いながら、今回一機しか出動しない。初期の消火体制について問題ありと言われている。

 そして今、不発弾の処理についても、今回山火事が起きたからといいますか、SACO合意以降でも何度でも起きていますよ、ここは。年に十数回起きる場所ですよ。なのに、今度初めて問い合わせてみたという。一体、米軍が本当に決められたマニュアルどおりに不発弾処理をしているのかどうかさえ疑問なんですよ。

 米軍において不発弾処理に当たるマニュアルを公表すべきではないですか。その点どうですか。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍の不発弾手続についてのマニュアルでございますけれども、これにつきましては米軍内部の文書でございまして、公表されていないということでございます。ただ、その内容については、先ほど御説明し、またSACO最終合意の際に米側が説明している内容であるというふうに承知をしておる次第でございます。

 ちなみに、今回の山火事の発生、外務省としても極めて遺憾なことであるというふうに認識をしておりまして、六日、外務省から在京米大使館に対しまして遺憾の意を表するとともに、原因究明、再発防止、それから消火体制の強化ということについて申し入れをしておる次第でございます。これを踏まえまして、施設庁とも協力しながら米側との協議に当たっていきたい、かように思っている次第でございます。

赤嶺委員 もう最後で終わりますけれども、北米局長は米軍の不発弾処理のマニュアルは内部文書なので公開できないということでしたが、アメリカの海兵隊のホームページを開くと、こんなに不発弾処理のマニュアルというのが出ているんですよ。しかも、CD―ROM化されて、中には販売もされているんです。十四ドル九十五セントで販売していますということまであるんですよ。それを、私、戦時のマニュアルを出せと言っているんじゃない、平時の、住民の安全にかかわることをマニュアルとして出せと言っているんですよ。

 あなた方は、米軍が約束したことさえも、ヘリについても不発弾処理についても何の検証もしていないじゃないですか。やられっ放しじゃないですか。火事が起こるたびに騒いで、負担の軽減と言ってもだれも信じないと思いますよ。その点、外務大臣、最後にいかがですか。

町村国務大臣 しっかりと、こうした問題が起きないように対処していくことが大切だと考えます。

赤松委員長 次に、山本喜代宏君。

山本(喜)委員 社民党の山本でございます。

 旅券法の改正について質問いたします。

 先ほど来の質疑を聞いておりまして、確認をしたいわけでございますが、今回の一部改正でIC旅券ということで記録されるものの確認です。今回の法律では顔写真ということでございました。しかし、これからの仮定のことは断言できないというふうなお話もございましたが、その点についてもう一度確認をお願いします。

鹿取政府参考人 私どもが現在準備を進めているIC旅券に生体情報として導入することを考えているのは顔画像でございます。したがいまして、今度の旅券法改正におきましても顔画像の導入しか考えておりませんし、また技術的にも今のICチップには一度顔画像を入れたらそれ以上の情報は入らないことになっております。

 先ほど今後の動向と申し上げましたのは、御承知のとおり、このIC旅券については国際民間航空機関、ICAOで議論が進められてきておりまして、そのICAOの中でどういう生体情報を入れるかということが議論されてきました。そして、ICAOでは、まず顔を必須の条件として入れようではないかということで、顔画像については国際的なスタンダードというか国際標準が策定されております。したがいまして、我が国としても、国際標準が策定されている顔画像を導入して、今IC旅券の準備を進めているところでございます。

 将来の動向として、これからの技術水準であるとか、あるいは国際的ないろいろの議論を踏まえて、将来は指紋であるとか虹彩であるとか、そういうものも考慮したらどうかという議論も起こると思います。その際に、もちろん技術の発展をどう考えるかとか、そのときの国際的な相場観をどう考えるかということはいろいろあると思います。

 私どもとしても、今予断するわけではございませんけれども、やはりそういう国際的な議論の動向というのは十分にフォローする必要があると思いますし、また要すればその都度その都度いろいろな判断というものは必要ではないかと考えております。しかし、今の段階では、先ほど申し上げましたように、考えているのはあくまでも顔画像でございます。

山本(喜)委員 今ICAOの話が出ましたが、ICAOの航空運送委員会ということでは、今国際標準ということでは顔写真ということですが、追加的なものとして虹彩とか指紋とか、そうした生体情報についても今後やっていこうということでの議論にはなっているわけでございますね。そうした場合、技術的なものも含めてこれからの検討事項としてはあり得るというふうな答弁だったと思います。

 この重要な個人情報というものが今後旅券のみに限定されるのかどうか。今回、この旅券の発行にかかわる情報はデータベース化して保存されるわけでございますね。これをあらかじめ本人に同意を求めるのかどうかというふうな問題、あるいは取得した個人情報を旅券管理以外の目的に使用する場合はあり得るのか。それから、取得した個人情報を官民問わず他の機関、団体に提供する場合もあり得るのか、その際の本人同意ということはどうなるのか、お伺いします。

鹿取政府参考人 今委員御指摘のとおり、個人情報の管理というのは極めて重要であると考えておりまして、私どもとしては、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律、こういう法律などにのっとりまして適切に管理する所存でございます。現在におきましても、個人情報につきましては、情報へのアクセスについて非常に慎重な手続を進めておりますし、またアクセスされた場合にはその記録をフォローできるようにしてございます。

 また、先ほど委員御質問の中で、この情報を旅券目的以外に使うことはあり得るのかという御質問がございました。この面についても、私どもとしては、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律、これに基づいて適切に対応する所存でございます。

 そして、この法律におきましては、利用目的以外の目的のための保有個人情報、これについても規定がございます。これは、例えば外務省の中で個人情報を旅券以外の目的で利用することがあり得るかといえば、一定の枠内でこれはあり得ます。これは法律に基づいて我々が行うことになりますけれども、例えば邦人保護に関しまして、どこかで邦人保護の必要がある、その際に個人情報についてもう少し詳しい情報がないか、そういう場合にこの旅券に関する情報が役に立つことがございます。

 また、関係機関、ほかの省庁等にこの情報を提供する、もしもそういうことが必要な場合には、この場合も我々としてはきちっとこの法律に基づいて対応する所存でございます。

山本(喜)委員 一定の枠内で、例えば邦人保護の場合というようなことでお話がございましたが、二〇〇四年六月のシーアイランドにおけるG8、この中で、安全かつ容易な海外渡航イニシアチブ、行動計画というものが確認されておるわけでございます。

 その中身によりますと、例えば「国際的な情報交換」というところによりますと、「個人データ保護規則を十分に尊重しつつ、渡航文書の有効性確認、ビザ要注意人物リスト及び事前旅客情報に関するリアルタイムなデータ交換のためのメカニズム」というようなことの達成に向けて検討していくというふうなこと。さらには「政府により発行されたスマートチップを搭載した旅券及び政府により発行されたその他の身分証明書の、相互互換性に関する国際標準の作成を加速する。」というようなことまで作業を進めるということが言われておりますが、そうしたことについてもこの情報が活用されていくのかどうか、お伺いします。

鹿取政府参考人 お答えいたします。

 今、委員御指摘になられましたように、シーアイランド・サミットでは、国際的な犯罪の防止のために、さまざまな提言あるいは結論が出ております。

 我々の旅券法の世界についてだけ申し上げますと、私どもとしては、旅券がなくなったり、あるいは盗まれたということになった場合に、できるだけ早くそれを失効させようと考えております。そして、もしも失効された場合には、その旅券を失効された情報をICPO、国際刑事警察機構に連絡する、こういうことを考えております。

 ただし、その際に連絡する情報というのは、失効した旅券の旅券番号、発行年月日、失効年月日、この三項目をICPOに連絡しようと考えておりまして、我々としては、犯罪防止の観点それから個人情報保護の観点、こういうことのバランスをとりながら対応していきたいと考えております。

山本(喜)委員 犯罪防止ということで、必要な措置についてはやらなければならないわけでございますが、資料によりますと、平成十五年の一般旅券の不正取得発覚件数、これは百十一件、それから国内外における盗難、紛失旅券、この不正使用件数が二百十六件ということでございますけれども、今回の旅券法の改正によって、これはどの程度防げるというふうにお考えでしょうか。

鹿取政府参考人 委員御指摘のとおり、旅券犯罪の防止というのは非常に大きな課題でございます。

 二〇〇四年におきましても、日本の旅券で盗難に遭ったもの、あるいはなくなったもの、そういうものが外国で不正に使用された回数、これが二百九件報告されております。その二百九件の報告された回数、その中には日本の旅券を偽変造したもの、あるいは偽変造しないけれどもだれか似ている人が身がわりになってそれを使おうとした、こういう不正行為がございました。

 今度我々が導入するIC旅券におきましては、本人と旅券との関係が相当明確になりますので、このような盗んだ旅券を偽変造したり、あるいは盗んだ旅券の所持者の身がわりになってそれを使うという危険性は相当程度減らすことができると考えております。

山本(喜)委員 この犯罪防止のための取り組みですけれども、しかし個人のプライバシーがやはりきちっと守られていく、監視社会が到来しないということが非常に重要だと思います。

 九・一一テロ以降、アメリカの入国管理が大変厳しくなっておりまして、昨年一月以降のアメリカ国土安全保障省の、年間延べ四百五十万人の日本の入国者の指紋とかあるいは顔写真というのがアメリカで管理されているというふうなことでございます。

 日本政府の中においても、何百万人もの指紋とか顔写真を政府で管理しているというふうなことはないわけでございまして、これがアメリカで管理されているというふうなことをどのように考えていくのか。あるいは、この日本人の情報というのが不正に使用されることのないセーフガードについても日本政府として考えていかなければならないというふうに思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。

町村国務大臣 アメリカの措置についての今お尋ねでございました。

 これは、US―VISITプログラムということで、米国に入国する原則すべての外国人から、入国審査の時点で指紋、顔画像情報を電子的に取得するということでございまして、これらの情報が厳格かつ適正に管理されるということは大変重要なことでございます。

 この点については日本側もかねてよりアメリカ側に対して申し入れをしておりまして、二〇〇三年十月二十四日にこの要望を出しているところでございます。

 そして、二〇〇四年六月八日に、これはサミットに際しての両国首脳への報告書ということで、アメリカ政府は本件措置によって取得された日本国民の情報の保護に関する日本国政府の懸念を理解する、そして取得された情報のデータベースへのアクセスは権限を有する公務員が知る必要がある場合にのみ公的業務に用いるために行う、きちんとしたセーフガード措置を実施しますというような形で、先方政府も日本国民及び日本政府の懸念というものを承知した上で、今後とも指紋情報等も含めて厳格に管理をしていくものと考えております。

山本(喜)委員 アメリカ政府に対する厳格な措置ということで、ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。これは今後、アメリカとだけでなく、いろいろな国の入国に際して、それぞれの政府が管理をしていくということになると思いますから、その点についてもぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 最後に、日中関係並びに国連の安全保障常任理事国入りの問題であります。

 報道によりますと、中国の温家宝首相は、過去を尊重し歴史に責任を負う国だけがアジアや世界の人々から信頼され国際社会での大きな責務を果たすことができるというふうに、日本の国連安保理常任理事国入りを牽制したというふうに報道されております。

 このほかに、アメリカもこの国連の常任理事国の拡大に反対をしているというふうな状況もあります。例えば、次期アメリカ国連大使に指名されたボルトン国務次官も、上院外交委員会での証言で、常任理事国の構成を変えるのが政治的に難しくなっているというふうな話もされておりました。

 そうした日中関係あるいは日韓関係の厳しさ、そしてアメリカの対応、そうしたときに常任理事国入りを目指す日本の外交というのは極めて難しくなっているのではないかというふうに思います。

 こうした点に対する政府の考え方、並びに今後の日中関係、日韓関係改善に向けた大臣の見解をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

町村国務大臣 安保理改革そして国連憲章の改正というのは、もとより大変難しい話でございます。過去にも何度かそういう動きがありながら、なかなかそれが実現してこなかった。国連憲章も、過去六十年の歴史の中で、事安保理に関して言うと、一回だけ、非常任理事国の数をふやすというときにのみ合意が成立をしたけれども、その他は一度も成功していないというような経緯であるわけでございまして、これは、もとより各国の利害が複雑に絡み合う問題でございますから、もとより容易な作業ではない、こう思って取り組み始めたわけでございます。

 しかし、さはさりながら、昨年来からことしにかけまして、いろいろな会議あるいは有識者の提言、さらにはことしの三月のアナン事務総長の報告書等々の中から、また一月、二月、三月と、国連総会が開かれた折にもこの問題に集中して議論が行われているということでございまして、かつてないほどその機運は高まっている、こう考えております。そういう中で、昨年の九月に日本の常任理事国入りを小泉首相が公にしたわけでございます。

 中国の発言あるいは韓国の動き、そう容易なことでもございません。これらに対しては、誠実に、私どもが戦後六十年かけて歩んでまいりました平和と、そして諸外国の発展を日本も助けていくという姿勢、私どもはそこに自信を持って主張をしていくことができるわけでございまして、平和国家日本の歩んできた道というものを中国政府がきちんと理解すれば、私は、必ずや彼らは日本国の常任理事国入りに最終的には賛成をしてくれるものと思っておりますし、またそのための外交努力をしなければいけないと思います。

 アメリカも、これはなかなか難しいテーマなんですよということをボルトン大使予定者が言われたのかもしれません。しかし、アメリカは日本に対しては、常日ごろ日本の常任理事国入り支持ということは明言をしているとおりであります。

 そういう意味で、私どもは、アメリカの理解ももとより得ながら、特に常任理事国が一カ国でも反対すれば憲章改正はできないわけでございますので、そういう意味で、常任理事国の五カ国を初め、数多くの世界の国々、もう既に九十カ国以上の国々が賛成をしてくれているわけでございますので、そういった動きもしっかりと踏まえながら、今後最善を尽くしてまいりたいと考えております。

山本(喜)委員 終わります。ありがとうございました。

赤松委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより本案に対する討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 旅券法及び組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤松委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

赤松委員長 次回は、来る二十二日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十三分散会


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