衆議院

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第7号 平成20年4月11日(金曜日)

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平成二十年四月十一日(金曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 平沢 勝栄君

   理事 河野 太郎君 理事 高木  毅君

   理事 三ッ矢憲生君 理事 三原 朝彦君

   理事 山中あき子君 理事 近藤 昭一君

   理事 武正 公一君 理事 丸谷 佳織君

      阿部 俊子君    愛知 和男君

      伊藤信太郎君    猪口 邦子君

      小野 次郎君    木村 隆秀君

      塩崎 恭久君    篠田 陽介君

      鈴木 馨祐君    田中 良生君

      永岡 桂子君    松本 洋平君

      山内 康一君    川内 博史君

      末松 義規君    野田 佳彦君

      松原  仁君    上田  勇君

      笠井  亮君    照屋 寛徳君

    …………………………………

   外務大臣         高村 正彦君

   外務副大臣        小野寺五典君

   農林水産大臣政務官    谷川 弥一君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小野 正博君

   政府参考人

   (外務省大臣官房地球規模課題審議官)       鶴岡 公二君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 秋元 義孝君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 小田 克起君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小原 雅博君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   中根  猛君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)            齋木 昭隆君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    西宮 伸一君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   小松 一郎君

   政府参考人

   (防衛省防衛参事官)   小川 秀樹君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 伊藤 盛夫君

   外務委員会専門員     清野 裕三君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  宇野  治君     松本 洋平君

  中山 泰秀君     阿部 俊子君

  山口 泰明君     田中 良生君

  篠原  孝君     川内 博史君

  松原  仁君     末松 義規君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部 俊子君     永岡 桂子君

  田中 良生君     山口 泰明君

  松本 洋平君     宇野  治君

  川内 博史君     篠原  孝君

  末松 義規君     松原  仁君

同日

 辞任         補欠選任

  永岡 桂子君     中山 泰秀君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済上の連携に関する日本国とブルネイ・ダルサラーム国との間の協定の締結について承認を求めるの件(第百六十八回国会条約第一号)

 経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(第百六十八回国会条約第二号)

 刑事に関する共助に関する日本国と中華人民共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

平沢委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房地球規模課題審議官鶴岡公二君、大臣官房審議官秋元義孝君、大臣官房審議官小田克起君、大臣官房参事官小原雅博君、総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長中根猛君、アジア大洋州局長齋木昭隆君、北米局長西宮伸一君、国際法局長小松一郎君、警察庁長官官房審議官小野正博君、防衛省防衛参事官小川秀樹君、地方協力局次長伊藤盛夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平沢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。愛知和男君。

愛知委員 久しぶりで質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうは、国連外交を中心に幾つか大臣の所信などを伺ってみたいと思っておりますが、日本の外交戦略、外交の柱は、第一は日米基軸でしょうし、それからアジア重視というようなことなどだと思いますが、従来から長い間、日本の外交の中の柱の一つに、国連中心主義ということがうたわれていたんですね。

 ところが、最近、この国連中心主義という言葉が、例えば外交青書などにも余りあらわれなくなってしまった、あるいは外務省の中にも国連局というのがなくなってしまったというようなことから、国連を重視する、国連を中心にした外交を展開するという方針がどうも変わったんじゃないかという印象を受けるのでありますが、いかがでしょうか。

高村国務大臣 国連は、唯一の普遍的かつ包括的な国際機関といたしまして、国際の平和及び安全の維持を初め、経済的、社会的、文化的及び人道的な国際問題を解決し、自由及び基本的人権を保護、促進する上で中心的役割を果たすという広範な使命を有しておりまして、そういう認識は全く変わっていないところでございます。

 今日の国際社会は、グローバル化の進展により、テロや大量破壊兵器の拡散、気候変動、感染症等、各国の協調した対応を必要とする地球規模の問題に直面しており、国連を初めとする国際機関を通じた多国間外交の役割がますます大きくなっているわけであります。

 このような中で、我が国としては、二国間外交のみならず、国連に代表される多国間外交の場を十二分に活用し、人間の安全保障の理念普及と実践を初めとして、我が国の政策を国際的に推進して指導力を発揮することにより、国益の増進に努めていく考えでございます。

 さらに、現代の課題により効果的、効率的に対処できる国連をつくるため、安保理改革を含む国連改革を推進していきたい、こういうふうに思っておりまして、国連は極めて重要なものだ、こういうふうな認識は変わっておりません。

愛知委員 今、大臣からお答えございましたけれども、国連の重要性というのはますます大きくなっていると思いますし、また、国連の中で日本の果たすべき役割というのは非常に大きくなっているんじゃないかと思うんですね。

 にもかかわらずと言ってはちょっと恐縮でございますが、外務省の対応などを見ておりますと、必ずしも国連の中で十二分な役割を果たしていこうという意欲がちょっと十分に感じられないところがありまして、そのうちの一つが先ほどの、外務省の中で国連局というのがなくなってしまって、今、国連のはどこでやっているんですか。

秋元政府参考人 外務省の中では、国連につきましては、総政局とそれから国際協力局で分担して担当してございます。

愛知委員 分担してそれぞれ役割を果たしていただいているんだとは思いますけれども、外から見ますと、日本は一体国連をどの程度重要視しているのかなというので、印象が薄いというのも正直なところであります。機構改革の中で、ほかの局をつくるというときに、スクラップ・アンド・ビルドの関係から国連局をつぶしてしまったんだろうと思うので、わからなくはないのでありますが、ぜひ、これから国連ということを外務省の中でも重要視していっていただきたいということをお願いしたいのであります。

 もう一つ、これは国連だけではありませんが、先ほどちょっと大臣もお触れになりましたけれども、マルチの外交というのが日本にとりまして非常に重要になってきていると思いますね。その最たるものが国連だと思いますけれども、私も、余り多くの経験はございませんが、国連へ出かけていったりなんかして、あの辺をうろうろしていたことがあるのでありますが、国連というところは一種独特な雰囲気のところがありまして、国連でいろいろ活躍している外交官は、国を背負ってそこで活躍するというよりも、その本人の存在感で役割を果たしていくという部分が相当多くありまして、そう言ってはなんですが、全く名もない国の大使が国連の中では実に大きな影響力を持っているというケースがよくあるんですね。この現実は、しかし現実ですから、よく重要視しなくちゃいけない、このように思うんです。

 そういう点からいいますと、日本の国連大使というのは余りにも在任期間が短過ぎる、どんどんかわってしまうわけですね。ですから、日本という国の存在は大きいとしても、日本の代表である大使の顔というのは、あるいは存在感というのは、非常に薄いと言ってもいいのではないかという気がしてなりません。

 例えば、過去何代かの国連大使の在任期間を見ますと、今は高須さんが大使ですが、その前の大島さんは二年八カ月しか大使をやっておられません。その前の原口さんは二年二カ月、その前の佐藤さんが三年十カ月。大体この程度ですね、二年か三年。この程度では、やはり国連などというところでは存在感を大きく示すというわけになかなかいかないんですね。国連の大使、あるいは大使のみならず公使も含めてでもいいんですけれども、あるいはもう少し下のレベルの人でもいいんですけれども、もう少し長く国連で活躍をしてもらう、そういう戦略が必要ではないかと日ごろ痛感をしておりますが、いかがでしょうか。

高村国務大臣 我が国の大使の平均的な在勤期間はおおむね二年から三年でありますが、過去十人の国連日本国政府代表部の館長である特命全権大使の在勤期間を見てみますと、平均して三年を超えており、平均的な日本の大使の在勤期間より長い期間となっております。

 今、委員から国際的にどうかということの御指摘がありましたので、研究して勉強していきたい、こういうふうに思っております。

愛知委員 日本の外交全体を考える中で、人事のことですから、いろいろやりくりがあって思うようにいかない面もあるでしょうけれども、定期的にどんどんかえるということではなくて、重点的に、このポストは長くいた方がいいというところは長く在任させる。今度、アメリカ大使、加藤大使が帰ってこられるようですが、歴代の駐米大使の中では一番長い在任期間だということで、これは非常にある意味ではよかったことだと思っておりますけれども、バイの外交は国を背負っていますから、そう言ってはなんですけれども、大使がだれであれ、国と国との関係というのはいろいろとやっていけるわけですけれども、マルチの外交は、先ほど何回も言いましたけれども、人が問題なんですね。ですから、そのことをよく外務省として重要視してほしい。

 もう一つ別の例を申し上げますと、地球環境問題、後でちょっと別な角度から申し上げますけれども、地球環境担当大使というのがおりますね。地球環境問題というのはまさにマルチの外交ですけれども、この地球環境担当大使というのも原則として一年でかわってしまうわけですよ。ほかの国の地球環境担当の大使というのは物すごく長いんです。その世界で非常に顔が売れた人がほとんどなんです。ところが、日本のその大使というのは一年ごとにかわりますから、会合では必ず初めましてとごあいさつしているわけです。これでは、やはり地球環境問題なんという大きな課題で日本がリーダーシップを発揮していくわけにいかないんですね。

 こういう場面というのはほかにもあると思うんですけれども、マルチの外交というものを非常に重要視していく意味で、人というのが物すごく大事だ。外交というのは、これはマルチのみならず、人がやっていくものでございますから、特に日本のように、軍事力などを背景にしてやる、そういう外交でないわけですから、人の要素というのは大きいんですね。ぜひひとつ、これからも外務省の外交戦略の中で、外交官というか人、これを重視していただきたい。

 この間、外交官の給料の問題等、これは新しくなりました。待遇を改善しなきゃいけない。そういう意味でも優秀な人材を集めるという必要がありますけれども、優秀な人材を集めたはいいけれども、あっちこっち動かしていたのではやはり不十分ではないか、こんなことを感じてなりません。ぜひひとつ、今後課題としてお考えをいただきたい、こんなように思います。

 今ちょっと地球環境の話を申し上げましたけれども、地球環境問題というのは、国連の中ではどこの理事会で扱っているんでしょうか。

鶴岡政府参考人 国連の中に経済社会理事会という常設の理事会がございまして、経済社会理事会のもとで、さまざまな国際機関、国連関係機関あるいは下部の委員会がございます。専門機関といたしましては、国連の関連機関の国連環境計画、UNEPが担当しております。

愛知委員 現実はそのとおりだと思うんですけれども、私は、地球環境問題という、今や世界じゅうの注目を集めている課題であり、今後ともこの重要性というのはますます大きくなると思うんです。そういう点からいいますと、国連の中で地球環境理事会とかなんとかいう新しい組織ができてもいいんじゃないか、そういう組織を国連の中でつくっていく、そういう働きかけを日本がイニシアチブをとってやったらどうか。これはかねてからの主張の一つなんでございますけれども、どうでしょうか、大臣。

高村国務大臣 大変壮大なお考えなので、しっかり勉強し、検討していきたいと思います。

愛知委員 国連重視、そういう日本の外交戦略の中の一つとして、具体的なこととして、地球環境理事会のようなものを、常設の理事会を今の経済社会理事会から切り離してつくる、それぐらいの大きな構想を日本が示していく、こういうことになりますと、世界は、なるほど日本は地球環境問題でイニシアチブをとっていこうとしているんだな、そういうことになるんじゃないかと思うんですね。なかなか簡単ではないとは思いますけれども、それぐらいの意気込みでぜひ取り組んでいただきたい。これはひとつ、大臣あるいは外務省の皆さんにも、ぜひこれからの課題として取り上げていただきたいとお願いをしておきたいと思います。

 そこまでいくのにはまだ時間がかかるというふうに思いますが、今、外務省からのお話がございました、国連の機関としてUNEPというのがありまして、そこで地球環境問題をやっているわけですね。このUNEPの事務局長という立場の人が地球環境問題においてかなり大きな役割を果たしているわけでございますが、かつてここで長く事務局長をやられたテッパーさんという人がおられます。私も個人的にもよく存じ上げておりますが、この方はドイツの環境大臣などをおやりになった政治家でございまして、この方が非常に長くUNEPの事務局長をおやりになりました。

 その後の方もドイツ人。何人かいらっしゃるわけでございますが、いずれにしても、ドイツの環境大臣をやった人をUNEPの事務局長に送り込むというようなことが、ドイツが環境問題を非常に重要視している、リーダーシップをとっている国だということを印象づける非常に大きな要素になったように感じてならないんです。そうだとしますと、私は、日本から、日本人をUNEPの事務局長に送り込んでもいいんじゃないか、こんなふうにも思うんです。

 私は、日本人の中に、特に政治家の中に、このUNEPの事務局長をやるにふさわしい方が結構大勢おられると思うんですね。これは御本人に了解をとったわけでも何でもないから失礼に当たるかもしれませんけれども、例えば小池百合子さん。この方は、御承知のとおり、環境大臣もおやりになり、それから語学も、英語はもちろんですけれども、アラビア語も堪能だというような、まことに国際人です。こういう方をUNEPの事務局長に送り込むことができれば、そのことだけでも、日本はなるほど地球環境問題で大変なイニシアチブをとっていくという印象を世界じゅうに与えるんじゃないか、こんな気がしてなりません。

 小池さんは、いや、それよりも私は代議士としてやるんだ、あるいは将来総理大臣になるんだ、こういうことを言われるかもしれませんけれども、これは例として申し上げたので、御本人には大変失礼に当たったかもしれませんけれども、考え方としての話を申し上げているんですが、いかがでしょうか。

高村国務大臣 我が国は、UNEPに対する主要拠出国として、またUNEP創設以来の管理理事国メンバーとして、従来よりUNEPと協力して地球問題対策に取り組んできているわけであります。

 我が国は、国際機関の意思決定に我が国の立場や考え方を適切に反映させるためには、当該国際機関の長に日本人を送り込むことが重要であるとの認識のもと、ポスト獲得に努めてきております。また、将来的な国際機関の長の獲得を目的として、中長期的な視野に立ち、国際機関の高級幹部ポストにおける邦人職員の増強にも取り組んでいるわけであります。

 UNEPにつきましても、地球環境問題の重要性を十分認識し、これを含めた国際機関の長にふさわしい人材の発掘と育成に引き続き努めるなど、国際機関の長のポストの獲得のため、長期的かつ総合的な戦略を強化していく方針であります。

 政治家の中にもいるんじゃないかということでありますが、愛知先生とか、あるいは小池先生とか、後ろにおられる猪口先生とか、そのほかいろいろいるかとも思いますが、御本人の御要望、お考えもあるでしょうし、そこにも官房長官経験者もおられますが、政治家の中でもそういう方がおられれば、排除するものでは全くない、積極的に考えていきたい、こういうふうに思っております。

愛知委員 積極的に考えていきたいというお話、ぜひそのようにお願いしたいと思います。

 国連のことで、ちょっと違った課題ですが、二〇〇六年、ごく最近ですけれども、国連に人権理事会というのができましたですね。新しく人権理事会というのができた。こういうのができるぐらいだから、先ほどちょっと話がありましたけれども、地球環境理事会ができてもいいんじゃないかと思うのですが、それはともかくとして、人権理事会というのができました。この人権理事会は、できてまだ余り時間はたっておりませんけれども、今日までどういう活動をしてきているか、概略、御説明いただけませんか。

小野寺副大臣 人権理事会は、国連の国際社会の人権問題への対処能力強化を目指して、それまでの人権委員会にかえて、二〇〇六年に新設された機関であります。設立以来、これまで七回の通常会合が開催されました。二〇〇七年六月には、今後の制度運営が決定され、国連加盟国すべての人権状況を審査する普遍的、定期的なレビューなどの新たな制度も設けられました。

 世界人権宣言六十周年記念の関連行事も行われまして、昨年十二月の第六回人権理事会再開会合の際に、潘基文国連事務総長やアルブール国連人権高等弁務官が参加しまして、六十周年の記念イベントが終日行われました。また、ことし十二月までの間に、世界人権宣言の理想と原則を促進するためのキャンペーンを国連全体で行う予定であります。ことし十二月十日には六十周年を祝うイベントも予定されております。

愛知委員 日本はこの人権理事会の理事国の一つだと承知しておりますが、そうですか。

小野寺副大臣 そうです。

愛知委員 そうだとすると、かなり、この人権問題について日本はイニシアチブをとっていくという役割を担っているんじゃないか、こんなふうに思うんです。人権の話というのは国境を越えた話ですからなかなか難しい面もあろうかと思うんですが、ぜひ人権問題について日本もイニシアチブをとっていく、あるいは日本という国が人権を非常に尊重した国であるということを世界にアピールする必要もあるんじゃないか、こんなふうに思うんですね。

 この点で、ちょっと大臣にお伺いしたいんですが、今日本で人権擁護法の問題、議論が、まだ結論が出ないで宙に浮いているような状態になっていますね。これについて、法律家でもいらっしゃいますが、どういうふうにお考えですか。

高村国務大臣 ほかの省庁の所管の問題でありまして、そして、自民党、あるいは他の、公明党その他各政党の中でいろいろ議論がされているところだ、こういうふうに考えておりますので、今、外務大臣が個人の所感を余り申し上げるのは必ずしも適当でないかな、こういうふうに思っております。

愛知委員 大臣というお立場ですから、仕方がない御答弁だったかと思いますけれども、私は、こういう国連の人権理事会の理事である日本が、こういう問題について国内でごたごたしている、あるいは結論がなかなか出ないというのは、必ずしも好ましいことではない、このように思っておりまして、一日も早く、この人権擁護法なるものがまとまって成立することを願っている、個人的にはそういう思いでございますので、このことを一言申し上げておきたい、このように思います。

 この人権の問題で、今世界じゅうで話題になっておりますのはチベットの問題ですね。この問題について国連の人権理事会は何かアクションを起こしているんでしょうか。

秋元政府参考人 これまで、三月の一般質疑のもとで、代表団の中でチベット問題に言及した国はありましたけれども、人権理事会としてアクションを起こしているということはございません。

愛知委員 これはなかなか難しい問題ではあります。しかし、人権の話というのは非常に人道的な問題というか大きな課題でございますから、できることならこの問題についても、チベットの問題は相手が中国だったりすることもございますから日本にとってはなかなか難しい課題ではございますけれども、しかし、それはそれとして、人権侵害のようなものが起きないようにということでできた国連の人権理事会でございまして、しかもそこの理事国であるという立場も踏まえて、これからぜひそういう認識のもとで行動してほしいと要望しておきたいと思います。

 残りが非常に少なくなりましたので、あと国連とちょっと違う話を一つ二つ申し上げて終わりにしたいと思いますが、一つは北朝鮮の話。

 これは、ちょっといきなりということになりますので十分用意していただけていないかもしれませんけれども、北朝鮮に対しては、日本は、対話と圧力、こういうことが基本方針になっていますね。圧力ということに関しましては、ついこの間、政府のあれを継続するということで、ある意味でいうと継続してきちっとやっていると思いますが、一方、対話という点からいいますと、一体どういうことをやってきているのか余り見えないんですね、国民の目には。

 私は、その点で、ちょっとこれでいいのかなと思うのは、最近、日本の外務省の担当者が佐々江さんという人から齋木さんという人にかわりましたよね。これ、どうしてかわったんですかね。中国、あるいはアメリカもそうだし、北朝鮮はもちろん、特殊な国であるとはいうものの、担当者はかわりませんよね。日本だけかわるということ。どうしてかえたんでしょう。

 対話という点からいいますと、人間関係ができて信頼関係ができなきゃ対話なんかできませんね。どんどんかわってしまったんでは、また、さっきの話じゃありませんけれども、初めましてから始まっちゃうわけですから、対話の実が上がらないと思うんですよ。いかがお考えになりますか。

高村国務大臣 それぞれの国で、それぞれの人事のタイミングというのはあるんだろうと思います。北朝鮮の担当をしている方、アメリカでも、日本がかわったときに今かわったということはありませんけれども、長い流れを見ていると、ずっと同じ人が必ずしもやっているわけではないし、中国でもまたこれからかわるかもしれないし、それぞれ人事のタイミングというのがあると思います。

 そして、佐々江外務審議官は対北朝鮮全体のことはこれからも見ていく、こういうふうに承知をしておりますし、齋木さんも今まで北朝鮮とのいろいろなやりとり等経験のある方でありますから、人がかわったことによる、たまたま今の時期が日本の人事のタイミングであったということで、日本だけがころころかわるという話ではないのではないか、こういうふうに感じております。

愛知委員 外務省という役所の中の人事のこと、先ほどもちょっと国連の関係でも申し上げましたけれども、わからないではない面もございますが、しかし相手のあることであり、交渉事ですから、交渉に当たるのは人でございますから、人を外務省の全体の人事の中で、都合でかえてしまうというのは、やはり発想としては順序が違うんじゃないかというような気がしてならないのであります。外務省の人事というのは非常に難しいと思いますけれども、ぜひその辺のことをよく考えながらの人事を今後やっていただくようにお願いしたいと思います。

 最後に一つ、全然違うことを申し上げて恐縮ですが、大臣はあしたからロシアにお出かけですか。ロシアへお出かけになって、どういう人に会って、どういうことでおいでになるのか、最後にその抱負を聞かせていただきまして、質問を終わりたいと思います。

高村国務大臣 ラブロフ外相と、それからフリステンコさんという方、これは、日本とロシアの貿易経済日ロ政府間委員会の、フリステンコ産業エネルギー大臣があちら側の議長で、私が議長ということなので、その共同議長間会合を行ってきたい、こういうふうに思います。

 それで、ラブロフ外相との間は、首脳間で日ロ関係をより高い次元に引き上げるんだ、こういうことに合意ができておりますので、その具体化、特に、より高い次元の中の、日本側からすればその中核は領土問題、平和条約の交渉、これだと思っておりますので、日ロ間では遅くとも洞爺湖サミットのときに首脳会合が行われるだろう、こういうふうに思っておりますが、そういうときのある意味での外相間で準備をする。それと同時に、両方で、より高い次元に引き上げるための中核である領土問題等についてもきちんとお互い考え方を、こちらの考え方を申し述べてきたい、こういうふうに思っております。

愛知委員 外交課題が山ほどある中で、外務大臣として大変御苦労が多いかと思いますけれども、ぜひ頑張っていただきますように御健闘をお祈りして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

平沢委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。質疑を行わせていただきます。

 今、質問の中でも御指摘があった齋木さんにも御出席いただきまして、後ほどお話を伺いたいと思います。

 先ほど閣議も行われたようでありますが、十三日に期限切れを迎える対北朝鮮経済制裁、これは閣議決定がされたんでしょうか。大臣、御報告をお願いいたします。

高村国務大臣 六カ月延長ということで閣議決定がされました。

武正委員 民主党でも、外務防衛部門会議が開かれておりまして、過日は、拉致対策本部あるいは国土交通、経済産業等と合同部門会議を開きまして、政府の経済制裁延長への対応も協議をいたしました。

 そのときには、中井本部長に対応一任ということになりましたが、そうした中で、複数の議員からも、米国によるテロ指定国家解除の動きに対する懸念とか、あるいは拉致問題の解決についてなかなか目途あるいはめどが見えない、そういういら立ちとか、こういったものがやはり意見として出されておりますので、後ほどこれについていろいろお話を伺っていきたいというふうに思っております。

 そこで、早速、齋木アジア大洋州局長に伺いたいんですが、一昨日帰国をされて、北京の方で、シンガポールでの米朝協議についてヒル国務次官補から報告を受けたという報道がございますので、その内容を御披瀝いただきたいのと、あとは、中国の外務次官と協議も行っているようでございますので、日中ガス田協議あるいはギョーザ事件についての協議、あるいはまた、先ほども触れられましたがチベット問題等々、日中協議はどのような内容であったのか。六カ国協議も含めて、日米、そして日中、御協議の内容を御報告いただきたいと思います。

齋木政府参考人 おはようございます。お答え申し上げます。

 八日の日にシンガポールで、米朝首席代表者、六カ国協議の首席代表者同士の交渉が行われまして、その結果について北京で説明をしたいという連絡がヒル次官補からございましたので、私も北京に参りまして、九日の日にヒル次官補と会って、詳細に米朝交渉の結果について説明を受けました。

 まだ交渉が進行中の状況でございますので、詳しく申し上げるわけにはまいりませんのでお許しいただきたいと思いますけれども、アメリカと北朝鮮の間では、主として、ウランの濃縮にかかわる問題、また北朝鮮のシリアに対する核協力疑惑にかかわる問題を中心に突っ込んだ意見交換が行われた。また、もちろんその二つの問題に限らず、申告の問題全般についても実質的な意見交換を行って、一定の前進を得たということでございました。

 他方、まだ話し合いは続行中でございますし、また、本来であれば北朝鮮が昨年の十二月三十一日までに六カ国協議の場に提出していなければいけなかったみずからの核開発計画に関する完全かつ正確な申告、これをまだ行っていない状況なわけでございますので、これを速やかに行うようにということでアメリカからも要求をしたということでございます。

 また、このような申告がまだ行われていないということは、いわゆる六カ国協議において合意ができております第二段階といったものがまだ終わっていないということでございますし、第二段階が終了するまでは、次の段階に進むまでにはまだ相当残された課題がある、こういう認識を述べ、私どもも同じ認識を述べた、そういうことでございます。

 テロ支援国リストにつきましても米朝間で話が行われたということでございますけれども、アメリカは、日本の関心事であるこの問題については、従来より完全に理解をしております。現に、この問題につきましては、先般、二月の末でございますか、日本を訪問されたアメリカのライス国務長官と高村外務大臣との間でも話がございまして、アメリカは、この問題については今後とも日本とは緊密に協議、連携をしていくということを確約している、そういう状況でございます。

 それから、武大偉外務次官との会談でございますけれども、六カ国協議の議長国である武大偉次官とは、六カ国協議の現状についてお互いの見方を述べ合って、一日も早く北朝鮮からの申告が出てくるべきであるということで、中国も議長国として北朝鮮に対してこれを促すことを改めて行うということを私に述べたわけでございます。

 また、あわせて、日朝関係につきましても、これまでも中国は北朝鮮に対して、機会あるごとに、早く日朝が協議の場に着くようにということを促してきたけれども、今後とも、そういうことで促し続けるということを述べたわけでございます。

 また、武大偉次官は日中関係についても担当しておりますので、あわせて、胡錦濤国家主席の訪日を控えて、日中間で、この訪日を成功裏に迎え、成功裏に終わらせるためにも、お互いに解決すべき課題があるわけですけれども、従来からの懸案、また新しい懸案も含めて、速やかにこれらを解決して、日本側として、胡錦濤主席の訪日に対して、国民の間でもこれを歓迎するような、そういう雰囲気をつくっていくことについてお互いにさらに努力しましょう、こういうことで話をしたわけでございます。

 大体、以上でございます。

武正委員 報道では、ヒル国務次官補については、プルトニウムの抽出量についてやはりアメリカの認識との開きがあったというような報道もありますが、そういったことに言及があったのかどうか。それから、齋木局長のコメントとして、拉致問題の早期解決についても北朝鮮に伝えてくれたというふうに述べておられますが、そのことについてお触れをいただきたい。

 それから、今、日中間の懸案と言いましたが、具体的な資料を用意しておりますが、この日中ガス田協議についてのこと、ギョーザ事件についてのこと、それからチベット問題について、これについてさらにどういった言及があったのか、協議があったのか、お答えをいただきたいと思います。

齋木政府参考人 まず、ヒル次官補との話し合いの中で、お尋ねのプルトニウムの問題についてどういうやりとりをしたかということでございますけれども、これまで抽出されたプルトニウムの分量が検証可能な形で大体どのくらいあるのかということも含めて、これは六カ国協議のほかの国々も含めて重大な関心を持っておるわけでございますので、まずは北朝鮮側からは、先ほど来申し上げております申告の中で、このプルトニウムの量も含めて、我々六カ国のほかの国々が納得できるような形で提示されるということが極めて重要である、こういう認識をヒル次官補とともに共有したわけでございます。

 この点につきましては、必ずしも米朝二国間だけの問題ではないということでございますし、今後、議長国の中国を通じて、そのチャンネルも含めて、北朝鮮側に対して、プルトニウムも含めて、また申告の中にはその他の問題も実はあるわけでございます、こういったことについても速やかに、北朝鮮側はほかの五カ国に対して提示すべきであるということをこれからも求めていくということで一致したわけでございます。

 また、拉致問題でございますけれども、これは先ほど私も御説明申し上げればよかったんですけれども、ヒル次官補は、今回、北朝鮮の金桂冠副相と会談したときにも改めて先方に対して強く申し上げたということを言っておりましたけれども、アメリカは、北朝鮮側と会合の機会を持つたびに、この拉致問題を含めて、日朝間の懸案の解決のために北朝鮮側が前向きの行動をとるようにということで、早く協議の場に着くようにということを強く促している、また今回もそれはきっちりとやった、こういうことを日本側に対して説明してくれたわけでございます。

 それからまた、お尋ねの日中の懸案の問題でございますけれども、新しい懸案、それから従来からある懸案ということで、当然のことながら、ガス田の開発問題、それからまたギョーザをめぐる問題、食品安全の問題等々、これは武大偉さんもよく御存じの話ばかりでございますけれども、こういった案件については、胡錦濤主席の訪日に影響が及ばないように、とにかく早くこういう問題を片づけていくことが大事であるということで、お互いに努力していこうということで意見が一致したわけでございます。

武正委員 テロ指定国家の解除について、アメリカの基準というのは、過去六カ月間にテロを支援していない、将来も支援しないと誓約するということでありますが、衆議院の拉致特の委員会でも決議しているように、我々国会とすれば、やはり北朝鮮は拉致ということを継続的に支援している、こういう認識に立って決議もしているわけです。米国は、この拉致について北朝鮮が継続して支援をしている、こういう認識に立っているというふうに考えてよろしいんでしょうか。それが一つ。

 あと、今チベットについてはちょっとお答えいただけなかったんですが、胡錦濤国家主席の訪日を妨げることを解決するんだということでありますが、やはりこのチベット問題、昨日はEUの議会で決議もされておりますし、日本政府としての対応も、当外務委員会でも総理あるいは外務大臣に求め、総理からもタイミングを見てと、あるいは外務大臣からも、外務大臣としてこれまでも伝えているし、これからもしっかりと意思表明をしていくという旨の答弁もありましたが、このチベット問題については何か武大偉さんとの間で触れたのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

齋木政府参考人 お答え申し上げます。

 当然、チベットの問題につきましても私の方から取り上げました。チベットの地位をめぐる問題というのは、従来から申し上げておりますとおり、基本的には中国の内政にかかわる話でございますけれども、事が人権にかかわる問題ということで、やはり普遍的な問題として世界じゅうでも大変に強い関心を持つ事柄でもあります。ぜひ中国は、このチベットの問題について、今、世界じゅうでいろいろと強い懸念、日本政府も含めて強い懸念を持って状況を注視しているわけでございますけれども、国際社会に対してやはり透明性のある説明をされることが中国のためにもなりますという趣旨のことは、私の方からも武大偉さんに申し上げております。

 このことは、あわせて、日本政府としても、高村外務大臣もたびたび記者会見また国会の答弁の場でお答えになられていますけれども、中国がチベットのことで国際社会に対してきちっと説明をするということがやはり中国にとっても大事ではないか、そういうメッセージ、これは中国側としても真剣に受けとめているというふうに私は思っております。

武正委員 テロ指定国家についての基準、これについて国会の方は、引き続き北朝鮮が継続してテロを実行しているということで、指定解除の基準には合わないだろうということで、拉致特ではその決議もしているわけです。

 それについては、ヒル国務次官補の認識として、この拉致問題というものがやはり指定解除の妨げに当然なるという、妨げと言ったらあれですね、要は、アメリカの基準からいっても指定解除はできないんだ、こういう認識なんだということで、その点は、ヒル国務次官補の認識についてはどのように受けとめておられますか。

齋木政府参考人 お答え申し上げます。

 テロ支援国家リストから解除する問題は、基本的には、アメリカ政府が国内法にのっとって判断することでございます。

 それはアメリカの政府の仕組みの問題として、彼らが法律または手続にのっとってやっていくということで私どもとしても理解しておりますが、それを行うに際しましては、先ほどちょっと申し上げたかと思いますけれども、拉致問題についての日本の立場、これはアメリカ政府としては一〇〇%よく理解をしておるわけでございまして、これを解除する問題につきましては、日本側とは十分に相談、協議していくということを繰り返し言明しておるわけでございます。これは、高村外務大臣、ライス国務長官との会談でも確認されているアメリカの姿勢でございます。

 したがって、基本的にはアメリカの国内法に基づく手続であるものの、拉致問題を抱えている日本の立場を同盟国であるアメリカは十分に理解しながら、緊密にこれからも引き続き協議していく、こういうことでございます。

武正委員 お手元の資料の一ページにありますけれども、具体的に、日中間の協議でずっと続いているのは共同開発の場所でありまして、第四回でしたでしょうか第三回に中国側から提案があったのは、この中間線の、何というんですか、南北というか、報道では特に尖閣諸島の北部での共同開発ということで、とてもそれは日本とすれば受け入れられるものではないということで、共同開発のこの点がずっと協議の俎上に上っているのですけれども、共同開発についてはどのような協議になったんでしょうか。具体的な日中間の共同開発についての御説明をいただきたいと思います。

齋木政府参考人 私、今回、武大偉外交部副部長と話をいたしましたときには、先ほど来申し上げている幾つかの懸案、これについてもちろん話をいたしましたけれども、油田問題につきましては、これまでも局長レベルの協議、また、先般は次官までレベルが上がり、戦略対話の一環でこの問題についても取り上げている、双方精力的にこの問題について今交渉を繰り広げている最中でございます。

 私が武大偉さんとお会いしたときには、この問題について突っ込んで交渉、議論をしたということではございません。ただ、お互いの立場というのは当然わかっているわけでございますから、総理が去年の末に訪中されて、また、それも含めて、外務大臣のレベルも含めて、今まで向こうと話し合ってきたこの油田開発問題については、東シナ海を平和と協力の海とすることで日中双方は基本的に合意しているわけだから、ぜひそういう基本的な精神にのっとって、中国側も大局的、戦略的に決断をしてもらいたいということは私の方から伝えてございます。

武正委員 外務大臣、今、北京でのやりとりを国会で報告いただこうということで、局長から御報告をお願いしたのですが、やはり米朝協議の報告が一つメーンだったと思います。

 やはり国会とすれば、拉致問題の解決ということから、それが置き去りにされてはいけない。これは六者会合の第二段階での日朝関係ということにはっきりと位置づけられているわけでありますので、この点の懸念、テロ指定国家の解除というものが進んでしまうということは、やはり今の拉致問題の解決状況からいってあってはならない、こういう懸念があるわけであります。

 それから、すべての核計画の完全かつ正確な申告、このすべてのというところが寧辺に限られているようなところもありますので、濃縮ウラン施設あるいは核開発、核兵器開発等、すべて完全かつ正確に申告してもらわなきゃいけない、これが前提条件であるわけです。

 米朝協議の御報告も既に直接受けておられると思いますが、これについてどのように見ておられるのか、御所見を伺うのと、あとは、やはり日中の協議も、今も主席訪日を控えて進んでおられますけれども、このガス田、あるいは、ギョーザ事件については余りつぶさに報告いただけませんでしたけれども、あとチベット問題を含めまして、高村外務大臣の御所見を改めて伺いたいというふうに思います。

 特に、十七日でしょうか、中国の外相も訪日ということも報道がありますので、あしたからまた訪ロということでありますが、対中国、あるいは六者協議、対北朝鮮ということでの、今、外相としての御所見を伺いたいと思います。

高村国務大臣 今、齋木局長から報告があったとおりでありますが、北朝鮮の問題については、日本も、あるいは北朝鮮を除くその他の国が、完全かつ正確な申告が必要だ、そういうことで一致をしておりますので、そのことは北朝鮮側にもよく伝わった、伝わっている、こういうふうに思いますし、それをきっちり履行してもらいたい。それからさらに、三つの施設の廃棄の問題も、これは少しずつ進めていますがおくれていますので、これも第二段階のものとしてちゃんとやってもらいたい。

 そして、日朝関係でありますが、拉致を含む日朝関係については、きちっとアメリカ側が北朝鮮に、これを進めることが必要だということを伝えてもらっていることも改めて確認できましたし、今後ともそういうことをしてもらいたい。

 それで、テロ支援国家指定解除については、アメリカが何度も約束していますが、これを解除するときは日本側とちゃんと相談するんだ、こう言っておりますから、日本側は日本側の立場を、もう既にアメリカに十分伝わっていますけれども、さらにそのときに、相談のときにはまたそれを改めて述べる、こういうことが必要だ、こういうふうに思っております。

 日中ガス田協議については、もちろん交渉の過程ですから具体的なことを申し上げられませんが、両首脳が、できるだけ早く解決しよう、こういう強い決意を持っているわけでありますから、その決意に従って、私は中国側に、政治決断しろ、政治決断しろと、こう言っているわけでありますが、日本の政治決断も必要ですよと向こうは言います。いずれにしても、中国側に政治決断をしてもらって、そして解決をできるだけ早くしたいと、強い決意を持って交渉していきたい、こういうふうに思います。

 それから、チベットの話については、前から何度も言っていますように、戦略的互恵関係という中で、両国の国民感情が非常に脆弱な部分があるので、表でどこまで言うかということは別にして、首脳間、外相間ではそれぞれはっきりした意見を言って、そこは違うとか、お互いに言い合える関係になっていると思いますので、それは伝えるべきことはきっちり伝えてまいります。

武正委員 前段について、特に日中のガス田協議については、棚上げみたいなことがあってはいけないわけで、中間線、あるいは国連海洋法条約にのっとった解決、具体的には国際司法裁判所でしょうか、こうしたところも含めて、やはり中間線というものはしっかりと守っていくということで交渉をお願いしたいと思います。

 チベットについては、やはり昨日のダライ・ラマさんの成田での会見、あれは多くの国民が見るところとなりました。今のように、首脳間で直接と、両国民の感情がまだまだ成熟していないんだというお話がありましたけれども、やはりああいうような形で直接国民に語りかけるということがより透明性を確保することができるんだというふうに思います。特にEU議会では、ダライ・ラマさんと中国の首脳とのそうした会談の設営を求めることなども含めた決議もされたようでありますので、やはり日本国政府として対応をしっかりとお願いしたいというふうに思います。

 また、訪ロもされるようでありますので、今、北朝鮮問題については、北朝鮮の人が北方四島で働いている、こういうような報道もあるんですね。ですから、それこそ、外務大臣が言った、不法占拠をされている、日本の固有の領土でそうした形で開発をしていくということに対して、やはりロシア政府にしっかりと物を申していただきたいということもお願いしたいというふうに思います。

 そこで、お待たせしました、谷川政務官おいででございますので、IWCあるいはまぐろ類の地域漁業管理機関等への対応ということで伺いたいと思うんです。お手元には、資料の二ページにIWCの加盟国、あるいは三ページ目にはまぐろ類の地域漁業管理機関、そしてその管理機関の五つの委員会の加盟国ということで配らせていただきました。

 実は、過日、カナダの影の内閣の国際開発担当大臣ですか、ちょっとお会いしましたところ、これは私も興味深かったんですが、カナダの場合は、正式な国際開発担当大臣と影の大臣が一緒に国際会議などにも参加する。もちろん正式には影の内閣の大臣は参加できませんが、こういったこともやっているのは、私は、ひとつ日本も参考にしていいやり方なのかな、特に外交、安全保障などの案件については、というふうに思いました。

 カナダは、IWCに入っていないんですね、脱退をしているという国であります。また、まぐろ類の地域漁業管理機関の中では、IATTCには入っていない。新しいIATTCにはもう署名をしたというんでしょうか、締約をしたということであります。

 そこのときに、やはり日加でもっといろいろ協力できないかというような提案を受けましたし、IWCでは、小野寺外務副大臣も出席をされていますけれども、先住民族のそうした捕獲ということを認めながら、なぜ日本の沿岸漁業者に認めないんだ、これはダブルスタンダードではないのか、こういうようなことも指摘しているわけであります。

 要は、このIWCに入っていないような国との協力とか、また、やはり科学的知見ということをかなりいろいろな場で、特に日本の場合はそれを猶予しているわけですが、特にこれからマグロ類の交渉でもそうしたことも言われてくると思いますので、私は、今、外務省、農水省さん中心でやっておられますけれども、環境省ももっともっと、魚類のそうした世界的な資源の保護に積極的にかかわっていいんじゃないのかな。あるいは、そうした環境省をうまく外務省さんあるいは農水省さんも巻き込んで取り組まれたら、特にこれからマグロ類のいろいろな交渉もありますのでいいのではないのかなというふうに思うんですが、ちょっと時間も押してしまいましたが、政務官にこの点についての御所見を伺いたいと思います。

谷川大臣政務官 とにかく、この件については、それぞれ生きていく中で、どうしてもこれは解決したい、こうあってほしいという思いはそれぞれあるでしょう。重大な項目の一つです、鯨の問題は。

 私は実は出身が五島でして、鯨に非常に関係があるところなんですよ。それを、自分たちの科学的根拠のない思いだけで、文化的、職業的なものもない、それだけで反対だということは本当に困った問題と思っていますし、しかし、見ると、反対の方に有力な国がほとんど入っているんですね。ここが実はポイントだと僕は思っているんです。

 何とかしてカナダの力もかりて、非常に理解してくれる有力な大きな国ですから、何とか一日も早く解決できる方法、ありとあらゆる方法をとってやっていただきたいと思っていますので、ぜひお力をかしてください。頑張りたいと思っています。

武正委員 外務副大臣もいかがですか。

小野寺副大臣 今、環境の視点ということがございました。ワシントン条約の締約国会議でも、今、マグロもそれからサメ類も一部議論に入っております。環境あるいは生物多様性という問題からも、やはりこの問題、日本も主張するべきところは主張することが大切だと思います。

 御指摘ありがとうございます。

武正委員 以上で終わります。ありがとうございました。

平沢委員長 次に、川内博史君。

川内委員 民主党の川内でございます。

 本日も、委員長、理事の先生方にお許しをいただきまして発言の機会をいただきました。本当にありがとうございます。

 せんだっての本委員会での質疑の続きをさせていただこうと。まだ自分自身十分に理解できていないところがございますので、聞かせていただきたいと思います。

 四月二日の本委員会、四月四日の内閣委員会でも、日米地位協定第十七条の刑事裁判権について私は御質問をさせていただきました。平成十六年八月、沖縄国際大学の米軍ヘリ墜落事故あるいは事件で、日本国としては、航空危険行為等処罰法第六条の業務上過失墜落罪で氏名不詳のまま米軍整備士四名を平成十九年八月一日に書類送検し、平成十九年八月十日に第一次裁判権なしということで不起訴処分とされているそうでございます。他方で、米軍の裁判権の行使の結果は、統一軍事法典第九十二条違反、職務怠慢ということで、整備士二名が減給及び譴責、他の二名が降格処分になったということであります。

 日米地位協定の第十七条一項には、米軍は刑事及び懲戒の裁判権を有すると書いてございますので、私は、四月二日の本委員会で、本件は米軍が懲戒の裁判権を行使したのですかと質問したところ、そのときは、外務省さんは、それはわからないということでございましたので、米側に確認を求めたところ、四月四日の内閣委員会で、北米局長から、事実関係いかんにより刑事及び懲戒双方の裁判権を行使し得るとの前提で事故調査を行った、それで、第一次裁判権を適切に行使し、懲戒及び行政処分を行ったというのが米側の回答であったというふうに答弁をされていらっしゃいます。

 まず、北米局長、この答弁でよろしいかということを確認してください。

西宮政府参考人 たびたびのお尋ねで恐縮でございますが、再度米側に照会いたしまして、次のとおりでございます。

 平成十六年の沖縄での米軍ヘリ事故を受けて、米軍は事故調査を行い、その結果に基づき、米側の第一次裁判権を行使して、責任ある者について懲戒処分を行った。したがいまして、本件については、米側として懲戒の裁判権を行使したものであるとの回答を得てございます。

川内委員 懲戒の裁判権を行使したものであると。他方で、日米地位協定十七条の八では、「被告人が」「日本国の当局又は合衆国の軍当局のいずれかにより裁判を受けた場合」「他方の国の当局は、日本国の領域内において同一の犯罪について重ねてその者を裁判してはならない。」「同一の犯罪について重ねてその者を裁判してはならない。」と書いてございます。

 日本には裁判権がないというふうに外務省は説明をされたわけでございますが、四月四日の内閣委員会で私が、この整備員四名が懲戒処分の対象となる違反は職務怠慢であるというふうに説明を受けましたので、職務怠慢は犯罪ですか、職務怠慢は犯罪に当たるんですかと聞いたところ、北米局長は、職務怠慢は地位協定上に書かれている犯罪に該当いたしますというふうに御答弁をされていらっしゃいます。局長、この答弁を確認してください。

西宮政府参考人 御指摘の日米地位協定第十七条八、いわゆる一事不再理の原則を定めたものであり、委員がお読みになったことでございますが、この十七条八で言う犯罪には、職務怠慢などの米軍法の違反が含まれると解されております。

 すなわち、米軍人等によります犯罪行為につきましては、米国の法制では、合衆国統一軍法典により統一的に処罰等を行うということになっておりまして、事故機の整備にかかわった海兵隊員は、御指摘の九十二条に言う職務怠慢の犯罪を犯した者であるということで、かかる違反を犯した者に対し、米側が日米地位協定第十七条に基づき裁判権を行使したわけでありまして、十七条八の規定するところにより、日本側で裁判権を行使することはできないと考えております。

川内委員 今、日本側の解釈をお示しになられたと思うんですが、米軍側も、職務怠慢は米軍法典九十二条違反、職務怠慢は犯罪である、米軍法典上の犯罪であるというふうにおっしゃっていらっしゃるんでしょうか。米軍に確認をしていただいたんでしょうか。

西宮政府参考人 職務怠慢も含めて、米軍法典違反は犯罪であるというふうに先方も考えていると。

川内委員 高村大臣、大臣は法律の専門家でいらっしゃると思うんですけれども、職務怠慢によって懲戒の裁判権を行使された、それで懲戒処分を受けたということになっているわけですが、犯罪ではないから、要するに、職務怠慢というのは私は犯罪だと言い切るのはちょっと無理があるのではないかなというふうに思うんですね。

 というのはなぜかというと、それがもし犯罪につながるとすれば、業務上過失何とかという、きちんとした刑事罰を受けるであろう、刑事の裁判権を行使される名前がつくんだろうというふうに思うんです。日本国の法令では、職務怠慢は、例えば国家公務員法などの職務専念義務違反などにはもちろん刑罰などはついていないわけで、これは懲戒の対象になるということになっているわけでございますけれども、職務怠慢が犯罪であるというふうに解釈するのは私はちょっと無理があるんじゃないかと思うんですが、大臣、ちょっと御所見をいただけますか。

高村国務大臣 日本の法律の立て方で、刑法の流れとそれから行政法の流れの中で、刑法の流れの中ではこれは刑事罰が科されますよ、行政法の流れの中に職務怠慢というのがあって、それに対して懲戒処分もなされますよ、そういう感覚から見れば、ちょっと変だなと感じられるのはもっともだと思うわけでありますが、軍隊の中で統一軍法典というのがあって、軍の規律違反も犯罪である、そういう立て方の中で、すべてが統一軍法典の中で立てられているわけです。統一軍法典の中で、職務怠慢という統一軍法典に違反するものがあるわけですね。

 だから、これはすべて犯罪、職務怠慢も犯罪である、だけれども、犯罪であるけれども、その職務怠慢という犯罪についてはいわゆる刑事罰ではなくて懲戒処分を行い得る、行う、こういう立て方でありますから、両方とも英語で同じ文言を使っていると思うんです、違反ということについて。それについては犯罪であるということは、私たちみたいな法の立て方で見るとちょっと違うんじゃないのという感覚は、委員の感覚はよくわかるんですけれども、これはやはり統一軍法典の中の犯罪の一形態である職務怠慢という規律違反の犯罪を犯した。それに対して、いわゆる刑事罰でない懲戒処分が科された。これは法律の立て方が違うもので、犯罪であるということは、そういうことなんだと思います。

川内委員 局長は何か。

小松政府参考人 もう大臣が完璧にお答えになりましたので、私がつけ加えることはございませんけれども、米国の法制におきましては、軍隊という比類のない実力組織、その実力組織の一員である軍人が非行を行ったという場合には、軍隊自体のみならず、その外にある社会全体にも大きな影響を与え得るという考え方に立脚いたしまして、例えば殺人のようなものから任務に対する懈怠のようなものに至るまで、幅広い非行全体を統一軍法上の犯罪、これは地位協定でもオフェンスという英語になってございますが、統一軍法上の犯罪と位置づけまして、適切な制裁を科す仕組みとなっておるというふうに理解しております。

 統一軍法は、いかなる犯罪、オフェンスをいかなる制裁で罰するかについては、犯罪の態様に従って刑事罰または懲戒罰をもって対処する仕組みとなっておりまして、本件につきましては、この事故に責任を有する整備士の過失による犯罪に対して、統一軍法の定めることに従ってしかるべき懲戒罰が科されたものであるというふうに理解をしております。

川内委員 整理すると、日本国の国内における法令では職務怠慢というのは犯罪であるというふうには言わないと思いますが、米軍法典における職務怠慢は日米地位協定上の犯罪という言葉に該当する、相当するという理解でよろしいんでしょうか。ちょっと確認をさせてください。私の今申し上げた理解がそれでよしということであれば、それでいいよというふうにおっしゃっていただきたいと思います。

小松政府参考人 ただいま申し上げたことの繰り返しになるかもしれませんけれども、非常な実力組織である軍隊の一員が非行を行った場合に、非常に影響があるということで、統一軍法によりましてそれを統一的に犯罪と、非常に重大なものから比較的軽微なものまですべてを犯罪と位置づけておりまして、それに対する制裁というものにつきましては、それぞれ適切な制裁として刑事罰または懲戒罰を科される仕組みになっているというふうに理解しております。

川内委員 ということは、本件ヘリコプターの整備を怠ったとされる整備士四名は、統一軍法典上の犯罪者である、統一軍法典に違反をした犯罪者であるということでよろしいでしょうか。

小松政府参考人 先ほどから御答弁申し上げてございますように、犯罪、これは英語ではオフェンスという言葉が使われておりますけれども、オフェンスを犯した者というふうに認定をされまして、それに対するしかるべき罰が科されたというふうに理解しております。

川内委員 私は、であるとするならば、この米軍ヘリ墜落事故、事件では、日本の警察当局あるいは外務省も、何度も米軍に対して、パイロット三名、整備士四名を含めて名前を教えてくださいということを照会していらっしゃるわけでございますが、米軍はこれを拒否していらっしゃるわけでございます。

 米軍の説明は、プライバシー保護法によって個人情報が保護されているんだ、また国防長官には軍要員に関する個人を識別し得る情報を公表させない権限が与えられているというような説明でございました。当時、私も、なぜ名前をきちんと聞かないのですかということを外務省さんに何回もお尋ねをしたんですが、このような説明だったんですが、このような説明でよかったでしょうか。

西宮政府参考人 本件事故についての日本側当局によります捜査を円滑に進めるために、外務省といたしましても、当時のことでございますが、警察当局と緊密に連携をとりながら、整備士の氏名に関する情報提供を含めまして、警察当局が必要な協力を得られるよう米側との間で調整を行いました。米側よりは、本国においても本件を真摯に検討した結果、処分を受けた整備士の氏名についての情報は提供できないとの結論に達したということでございます。

 日本側が希望する結論が得られなかったのは残念でありますが、米側は正当な理由なくして協力要請に応じなかったというわけではございませんで、また日米合同委員会の枠組み、事故分科委員会でございますが、そこにおいて米側から日本側へ事故調査報告書が提出されましたことなどによりまして、日本側捜査当局が捜査を行うために必要な一定の情報を得られ、また本件ヘリ事故について捜査すべきものについて、米側による第一次裁判権が行使された事実につきましては確認されたわけでございます。

川内委員 いや、私が申し上げているのは、大臣、米側も、統一軍法典に違反をする犯罪を犯した者であるというふうにおっしゃっているという御説明でした。我が方も、我が国政府の当局も、これは業務上過失墜落罪であるということで、犯罪として立件したわけでございますね。

 両国で、犯罪の名前は違うけれども、同様に何らかの罪状、罪名をつけて裁判権を行使しようとしていた。アメリカでは行使された、日本は行使しなかった。しかし、いずれにしても、この四名は犯罪の被疑者であるということであれば、犯罪の被疑者の名前を公表しないというのはいかにもおかしなことではないか。プライバシーの保護に係る対象にはならないのではないかというふうに私は考えますけれども、大臣、どのように思われますか。

高村国務大臣 アメリカ法の解釈の問題ですから、有権的にこうであるということは私の立場からは言えない、こう思います。

 一般に日本の場合、犯罪を犯したと思われる者について名前を明らかにすることが多いというふうに承知しておりますけれども、アメリカにしかるべきそういうプライバシー保護の法律があり、それから、軍法典の中の犯罪者であって、そして懲戒に該当する人について軍隊の中でどう判断するかというのは、これはアメリカの中のアメリカ法の解釈の問題になってくるんだろう、こう思います。

川内委員 アメリカが理由にしていたプライバシー保護法は、要するに、犯罪者でも何でもないんだから名前は公開しないんだよというふうなただし書きがあったと私は思うんですね。それは当然だと思うんです。プライバシー保護法でどんな人も名前を公表されることはありませんよなんというプライバシーなんというものはなくて、やはり保護され得ないプライバシーもあるということは当然だと思うんです。

 そこの切り分けを外務当局にお聞きしたいんですけれども、アメリカが理由にしていた、プライバシー保護法があるから名前を公開できないんだ、しかし、今、現段階でお聞きすると、この整備士四名は統一軍法典に違反する犯罪者であるというふうにアメリカも言っている。であるとするならば、犯罪者の名前については、何のたれべえ、何歳が職務怠慢という罪に問われたのだということは、当然、日本側当局にも情報の公開があってしかるべきではないかという問題意識なんですけれども、そこをどう御説明いただけますか。

西宮政府参考人 私どもが承知しています米側の述べてきたこと、これは当時もそうでございますが、米軍人の氏名等の個人情報がプライバシー保護法により保護されているということ、また国防長官は軍の要員に関する個人を識別する情報を公表させない権限が与えられているというこの二点でございます。

川内委員 そうすると、その基準というのは何なんでしょうか。

 では、米側にまたこれは確認をしていただきたいんですけれども、米側が一次裁判権を行使する、統一軍法典に違反する刑事及び懲戒の裁判権を行使するものについては、米軍当局は日本政府当局に対して名前を公表しない、すべて公表しないということになるのか。私はそうじゃないというふうに思いますが、それをアメリカに確認していただけますか。

西宮政府参考人 米国法の運用にかかわりますケース・バイ・ケースのことについてすべて確認できるとは思いませんが、基本的に申し上げたいのは、これは国防長官の権限として判断したことであるということに尽きると思います。

川内委員 なるほど。では、当初説明されていたプライバシー保護法というのは余り関係なくて、国防長官が軍要員に関する個人を識別し得る情報を公表させない権限が与えられている、国防長官の判断としてこの四名の名前を公表させなかったのだという理解でよろしいですか。

西宮政府参考人 繰り返しになるかもしれませんが、私どもは、米軍人の氏名等の個人情報がプライバシー保護法によって保護されている点と、それから国防長官の、先ほど来申し上げている軍要員に関する個人を識別する情報を公表させない権限を与えられていて、それを行使したものであるという二つについて承知しているところでありまして、その間、プライバシーの方なのか国防長官の方なのかという点について私どもとして判断するあれもありませんし、最終的に国防長官の権限で決めていることでございますから、権限によって決まったというふうに理解すべきものだと思います。

高村国務大臣 私が委員よりよく知っているわけじゃありませんけれども、要するに、プライバシー保護法等を踏まえて、最終的に国防長官が判断されたことである、こういうことなんだと思うんですよね。日本においても、犯罪者ならあらゆる場合に名前等のプライバシーがなくなるんだというわけでもないと思っています。

 でありますから、軍に所属する人のプライバシーを出すかどうか、それは確かに犯罪者である、だけれども、プライバシー保護法もありますね、そういった法を踏まえた上で最終的に国防長官がお決めになったことだ、そういうふうに解釈する以外にないのではないか、余りよく事実関係を知らないで聞いておりましたが、そういうふうに思いました。

川内委員 そうすると、大臣、地位協定上さまざまな争いがあるわけでございますけれども、日本側で事件として立件をしようとしました、しかし、アメリカにも裁判権があります、特に一次裁判権があります。そうすると、日本側としては、名前もわからないで送検をし、そしてまた不起訴処分にしなければならなくなるというのは、これは国民的に、米軍の一体だれがそんなことをしたんだろうと。

 名前を公表することが重要であるか否かということについてはまた別な議論としてあるにしても、何のたれべえがこういう事件を起こしたのだという名前の公表について、日米地位協定上は明確な取り決めがない、最終的には国防長官の判断になるんでしょうということであれば、これは日本の最高の行政府の長である外務大臣なりあるいは防衛大臣なりが、やはり日本の当局として、事件として立件するに当たり名前をそこに入れておく必要があるのだということをしっかり言わなきゃいけないんじゃないかなと思うんですね。

 それは、なぜかならば、統一軍法典に違反する犯罪だからとアメリカも言っているわけですから、そこを外務大臣として、日米地位協定上争いのあるものについて、まあ、きょうは地位協定の改定を求めてくださいと言っても余りいい答弁はないでしょうから、合同委員会で議論させる。今後、統一軍法典に違反する、米国もそれは、統一軍法典に違反する行動については犯罪なのだというふうに言っているわけですから、日本もそれは犯罪として立件する。罪名は違うけれども、どちらも同じ犯罪だということであるのであれば、これは、その犯罪を犯した被疑者の氏名については今後どのように取り扱うかということについて合同委員会で議論をしていただきたいというふうに思います。

 外務大臣、それは合同委員会の議題としなきゃいけないね、恐らく検討すべき課題だねという御答弁をいただきたいなというふうに思いますが、いかがでしょうか。

高村国務大臣 立件するときに、氏名、住所で特定するというのが一般的でありまして、それは普通のことなんですが、氏名が特定できなかったら立件できないというわけでもないので、いろいろな方法はあるかと思います。この一つの事案がすぐ日米合同委員会で検討すべきことかどうかというのは、私、今、即答を避けたいと思いますが、私なりに考えてみたいと思います。

川内委員 時間が参りましたので終わりますが、普通の国民の一般的な感情としては、そういう名前については、立件される場合に当然にわかっているというのが普通のことだろうというふうに思うんですね。その普通の国民的な感情をどう日米関係の中に反映させていくかということについて、きょうは提案をさせていただきました。

 今後も同じような事例というのは必ず起きると思うんですよ、さまざまな事件、事故があるわけですから。そういうときに、米軍の兵士の名前がわからないということでは、私は、やはり国民の皆さんに対して政府としての責任がきちんと果たせているということにはなかなかならないんじゃないかというふうに思いますので、合同委員会でしっかりとまた、そういう議論が国会でもあったよということを話題にしていただいて、御議論をいただきたいと要望して、終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

平沢委員長 次に、末松義規君。

末松委員 民主党の末松義規でございます。

 きょうは、民主党を初め各党の皆様に御了解をいただきまして、質問の機会を与えていただきまして、本当に感謝を申し上げます。与えられた質問時間三十分の中で、特にきょうはミャンマーの問題についてお話をさせていただければと思っております。

 ミャンマーの民主化については、高村外務大臣、非常に個人的にも御助力いただいているということで、私もそこは大変評価しているところでございます。何か、一月にもミャンマーの外務大臣ともお会いされた、あるいはASEANとの会合のときにいろいろと御助力されたという話がございますけれども、ミャンマー民主化についてどういう努力をされてきたか、ちょっと冒頭にお話しいただければと思います。

高村国務大臣 必ずしも正確じゃないんですが、三回お会いしていると思うんです、ミャンマーの外務大臣には。それで、一番先に会ったのは、外務大臣に就任したその日に立って、ワシントン、ニューヨークに行って、ニューヨークの国連の場でミャンマーの外務大臣に会って、そこで初めてミャンマーの外務大臣から、長井さんが亡くなったことについて、エクストリームリー・ソーリーという言葉が、それまでそういうごめんなさいみたいな話は一切していなかったんですが、そのときに初めて、極めて申しわけないという言葉が出てきた。

 民主化について、これが一番大切なことなので、民主化を進めるように、会うたびにミャンマーの外務大臣には申し入れていると同時に、同じぐらいの回数、国連のガンバリ特使にお会いして、軍事政権側とアウン・サン・スー・チーさん側の両方にアクセスを持っている国際的な人というのはもうガンバリ特使しかいないわけでありまして、この人に頑張ってもらうよりしようがないということで、これについて日本政府としては全面的に支援をしますよ、そして国際社会がみんなでガンバリ特使を支援していこうということ、そういう形をつくる努力を日本政府としてはしてきているわけであります。

 そういう中で、ミャンマーが民主的な方向に動くというのは、やはりアウン・サン・スー・チーさんの側との対話ということが必要ですね、そして、それも形だけの対話でなくて、継続的、実質的意味を持った対話でなければいけませんね、そういうことを軍政側に直接働きかけられる、それも高いレベルで働きかけられるのは今ガンバリ特使ということですから、そういう人の応援をするということで、ミャンマーの民主化が少しでも進むように努力をしているところでございます。

末松委員 その御努力に敬意を表します。

 私も、ミャンマーの民主化問題をいろいろと検討して、今、超党派で構成をしますミャンマー民主化支援議連、そこの事務局長もしておりますので、何とかミャンマーに民主化してもらいたい。そういった意味で、外務委員長もそこは本当に御助力をいただいて、御努力されておられることに敬意を申し上げたいと思います。

 私も、ガンバリさんにも二回お会いしまして、いろいろと話をしました。彼も一生懸命に提案を持っていったんですが、彼は、SPDCというか軍事政権からはねられた格好、提案が拒否をされた格好に今なっております。ということで、国際社会の努力が奏功していない状況ですね。

 私たち国際社会がミャンマー民主化ということで努力をした結果が、実は今度の憲法草案の発表という話になってくるわけですよ。大臣はこの憲法草案をごらんになられましたか。

高村国務大臣 憲法草案全体を残念ながら見ておりません。

末松委員 私は、憲法草案についてきょうは質問するということでございますが、憲法草案なるものは、昨日でしたか、ミャンマーの本屋さんで売り始めた。一部が千チャットというから、公定価格じゃない裏レートで大体一ドル弱だ、百円弱だ。公定レートだと百七十ドルぐらいになるらしいんですけれども、それを本屋で売り出していて、国民がほとんど知らないという状況の中で、きょうは、外務省がつくっていただいた資料、ここの配付資料にあります、これの裏に報道ということで、国民投票は来月の十日、五月十日にミャンマーで行われる、こういうふうな予定で、内容を知るにはお金を出さなきゃいけない、しかも本屋で売っていて、そして国民がほとんど知らない間にもう一カ月ぐらいでこの憲法を承認しちゃおうということですから、普通の常識からいったら、これは非常にむちゃな話ですね。そう感じるんです。

 また、外務省が、この配付資料の一枚目に「ミャンマー新憲法草案の主要点」というのを資料として出しておられますが、これはごらんになられましたか。

高村国務大臣 今見ているところでございます。

末松委員 私、大臣に対して新憲法についてお話を聞きたいから質問しますよという質問通告はしてあるんですよ。それで、私が配付した資料は、全文じゃありません、抜粋なんですけれども、外務省がまとめた要点です。今見ているところというのは、私自身、非常に唖然とする回答なんですよ。

 一応は、この要点なるものは外務省から説明を受けましたか。

高村国務大臣 それなりに受けた。それなりにというのは……(末松委員「説明を受けたか受けていないか、それをきちっと教えてください」と呼ぶ)受けましたよ。受けましたが、いつ通告されたかはわかりませんが、私たちの時間は非常にタイトでありまして、通告したら全部読んでいるのが当然だというのは、残念ながら、睡眠時間をゼロにしても無理だと思っています。

末松委員 睡眠時間をゼロにしろとは言っていませんよ。二、三枚の資料ですから、外務委員会の質問ですから、これはあなたが主管の委員会ですから、そこは見てもらってもいいんじゃないか、答弁としては。

 では、私の方から説明をしましょう。実は、民主化というのが、それに全く逆行するようなことがこれに書かれてあるわけですよ。ちょっと見てみましょうか。

 まず、第三章に「国家元首」という話があって、国家元首は大統領だと。大統領の要件が、政治、行政、経済、軍事に見識のあることということで、軍事が入っているんですね。ですから、基本的には軍人しか無理だろうというのが類推できるわけであります。

 そして、「立法」で、各院の議員の最大四分の一は軍が指名する軍人代表だと。ですから、四百四十名いるうちの約百十名は軍人がそのまま議員になります。

 あと、第五章で「行政」、これまたおもしろいんですけれども、国防大臣、内務大臣、国境大臣は軍司令官が指名すると。大統領じゃないんですよ。軍司令官が指名するんですね。さらに、国防、治安を統括する最高機関として大統領を議長とする国防・治安評議会、これがほとんど軍人が支配できる内容に、今詳細は語りませんけれども、実はそういう形になっている。

 あと、「政党」で、非合法組織と認定された場合とか、この認定は基本的に軍人主体の組織が判断する話になりますが、さらに、外国との関係を持った、あるいは金銭的もしくは外国から物質的支援を受けたものとか、あるいは武装組織と連携したと思われる組織とか、こういったものも政党として排除されるわけですね。選挙などで政党を名乗ることができない。だから、国際支援で国際社会と連携をしてミャンマーの民主化という形でやってきたNLDも、これも基本的にははねられるだろうというのが一般的な見通しになっています。

 さらに、「緊急事態」、これもまたすごいんですけれども、大統領は、国家主権の喪失や連邦分裂の可能性がある場合、立法、行政、司法の各権を国軍司令官に委譲できると。これは、大統領がまず権限でもって緊急指令を出すというのじゃなくて、国軍司令官に委譲するということになっている。これは、非常時の場合は軍クーデターの合法化をしたものじゃないか、こういうふうに解釈できるわけですね。これを憲法に定めた。

 これまたさらにおもしろいんですけれども、「憲法改正」で、改正する場合には国会議員の七五%を超える賛成が必要だと。となると、実は二五%は最低でも軍の議員が持っていますから、これ以上ということになると、結局、改正は軍人の同意を得られなければ発議できないということになるわけですね。

 さらに、その後、国民投票を行い、すべての有権者の過半数の票によってのみ改正される。これは、ミャンマーの人口が大体五千二百万人として、有権者が三千万人強と言われておりますね。ですから、三千万人強の約半分、千五百万人以上がこれを承認しないと改正できない。これまた激しいことなんです。

 そこで、おもしろいんですよ。「経過規定」で、では、この憲法の成立にはどのくらいの票が必要なのかということを見れば、「この憲法は、国民投票により有権者の過半数が投票した投票の多数」と書いてあるんですね。だから、三千万人強が有権者、そのうちの過半数ですから千五百万人強、これの投票の過半数ということになれば、七百五十万人以上がこの憲法に賛成して投票すればこの憲法は成立すると言っている。ということは、この憲法が成立するよりも改正の方が条件が厳しいということなんです。ちょっとこんなのは本当に考えられませんねという話なんです。全く民主化に逆行していると思います。

 さっき、アウン・サン・スー・チーさんともよく話し合うようにとミャンマーの軍事政権と話したと言っていました。それで、このアウン・サン・スー・チーさんのことを見ると、ここで、「国家元首」の中で、本人、配偶者、両親、子供あるいは子供の配偶者がいずれも外国政府や外国人の影響下になく、かつ恩恵をこうむっていないこと。スー・チーさんは英国人の方と結婚されている。そういうふうなことで恩恵も受けたと判断されると、スー・チーさんは自動的に大統領にはなる資格がない、資格要件を欠いたという形。何なんでしょう。私は、これが国際社会がやってきた結果、結局、何も聞かなかったじゃないかと思わざるを得ないんです。さらに、僧侶は投票できないということを、何か発令で言われているらしい。

 大臣、いかがですか。私の解釈は外務省の受けた説明と全く違っているというんだったら、そこはお示しをいただければと思いますが、どう思われますか。

高村国務大臣 他国の憲法草案について日本国外務大臣があれこれ言うというのは、それがいいことかどうかわかりませんけれども、日本国憲法が制定されたときも国民投票もやらないでして、改正には国民投票をしなきゃいけないとか、いろいろあるんですよ。ただ、日本国憲法のところから比べてこれが民主的であるかどうかといえば、それは大きな差があるというのは、そのくらいは私も、外務大臣であっても他国のことについて言っていいとは思いますけれども、言っていいと思いますが、これについて、細かいことについて、ああだこうだと言うことではない、こう思っています。

 ただ、例えば国民投票などが行われる場合に、それが本当に公正に行われるかどうかということは大変な関心事であります。それから、こういう草案ができることについて、私たちはやはりアウン・サン・スー・チーさんの側ともよく話し合って草案をつくるように言ってきたことについて、それについて全くそういう側の意見が反映されていないということも、そういうことも非常に残念なことだとは思っております。

 ただ、逆行という言葉を使われると、今の段階より悪くなっているという話かどうかは、それは私はわかりません。日本のレベルと比べてこの憲法は民主的ではありませんねといえば、それはそのとおり。ただ、これから国民投票が行われるとすれば、それは公正なことにやってもらわなければいけませんねというのは日本国の大いな関心事。そして、このこと自体について言えば、先ほど言ったように、一方の側の意見が全く反映されていない草案ということは残念である、これが私の考えです。

末松委員 今、民主化に逆行している、ただ、民主化という、より民主的なものへという形にこれは反対の方向だということは、これはお認めになるでしょう。幾ら日本憲法よりも民主化度が低いといっても、我々の目的は、より民主的で、しかも、より国内のいろいろなグループが大臣おっしゃったように話し合ってやっていく政治のために私たちは努力してきたんじゃないでしょうか。だから、そこは私は本当に、大臣が言われたように、残念なんですよ。これを見て非常に遺憾だと思っている。

 それで、私が遺憾と思ってもあれですが、では、大臣が言われたように公正にこれが行われるか。まずこの前提の憲法草案について、外国の政府が、これは受け入れられる、受け入れられないと言ったら、それは内政干渉になるという立場があることは私も十分理解しておりますけれども、ただ、これはちょっとあんまりなんじゃないかと。だから、この内容が民主化とちょっと違う方向だねということがあるものを、では公正に国民投票が行われているかどうかだけを見ていいのかという問題、これは非常に大きな問題ですよ。

 でも、それを千歩譲って、では公正に国民投票が行われるかどうか、これを見ようというガンバリさんの提案は拒否されたんですよね。そうじゃなかったですか。

高村国務大臣 どの段階で拒否されたかということは、私は正確な情報を持っていませんが、これからもそういうことは国際社会全体でずっと言っていくべきだし、この国で、国際社会の監視がない中で選挙が行われた、国民投票が行われたとしても、国際社会は、それは民主化の進展とは認められないということは、それは当然のことだと思いますよ。

末松委員 国際社会の中で認められないと言いました。それは、日本政府も国際社会に入っていますね。

高村国務大臣 日本政府が国際社会に入っていないなんてことはあり得ない話です。

末松委員 では、日本政府もそれは認められないというような今の状況で、そしてきちんとチェックがされていないならば、それはおかしいということは私も今お伺いしたわけでございますけれども、この憲法草案について、ではこれから日本政府としてミャンマー政府に対してどう言っていくつもりですか。

高村国務大臣 私たちは、プロセスを問題にしているんですよ。だから、草案をつくるについて、やはり国内各勢力が話し合った上で草案をつくり、そして公正な国民投票で行われるということが大切であるという、そのプロセスを何よりも大切にしているんです。そして、これについては、内容はともあれ、そういうプロセスが得られているとは思いませんねというのが日本政府の考え方ですよ。

 私は、そういうふうなプロセスが全部仮に行われたとしたら、中がこれはおかしいねと内心思っても、それをおかしいよと言うのは、それは内政干渉ですよと私は思います。

末松委員 その国その国の政権あるいは政治運営の自由が当然ありますから。でありますが、確かに今のプロセスは国際社会が望むものと全く反対であったというようなことで、ではそこを、外交をぜひ非常にウオッチして、今、ミャンマー民主化議連の会長が大島理森先生でございますので、一緒にまた政府の対応を見させていただきたいと思います。

 時間がなくなりましたので、ちょっと一点だけ。

 長井さんの事件で、ほとんどというか全く進展がしていない。私、ちょっと提案をしてみたいんですけれども、やはり軍事政権が全く痛痒を感じていない。アイム・ソーリーと長井さんの事件について言われたという話を最初にお伺いしましたけれども、ソーリーという意味には、いや、残念ですねと……(高村国務大臣「エクストリームリー・ソーリー」と呼ぶ)エクストリームリー・ソーリー、非常に残念ですねというような解釈もあるわけですから、もしそれが遺憾で大変申しわけないということであれば、行動が伴っていないと口先だけという話になるわけですね。そこを実際にもっと詰めてもらわないと。

 だから、私なんかは、中国が非常に影響力を持っているという話を聞きますから、中国から、この長井さんの事件だけは、日本国民の命が奪われているわけですから、そこはしっかりと中国に強く働きかけて、そこをやられているんじゃないかと思うんですけれども、大臣、どうですか。

高村国務大臣 ミャンマーの民主化については中国とはかなり深い話をしています。影響力を行使してくれとストレートに頼んでいます。

 ただ、この問題についてはやはり二国間でやるべき話だというふうに考えております。確かに何の成果も得られていませんが、やはり、警察の関係者もミャンマーの大使館まで行ってお互いそういう情報の交換をし、そして求めることは求めるというところまではやっているわけでありますが、進まないのでこの二国間の問題を中国にお願いするということは今まではやってきておりません。

 これからも、私は、民主化の問題の方は中国との間でやるけれども、この二国間の問題は今のところ考えておりません。

末松委員 それだったら、考えてくださいよ。外務大臣の立場として、全く成果が上がっていません、そう言う前に、いろいろな手を尽くしてやってみますというのが外交でしょう。だから、そこはぜひ中国にも、本当にここは、ミャンマーというのを、民主化というのは大きな問題ですが、これは日本にかかわって、それで中国と日本は友好国でしょう。きのうも拉致特でいろいろと中国のことを大臣は話されていましたよね。何のために友好国なんだ。いろいろなつき合いの中でやっているわけですよ。こっちが困っている、だったらミャンマーにちょっと言ってくれよと。こういったルートつくって、そのルートがまたいろいろなところに使えるというような外交的手を広げていくことになると思うんですよ。ぜひそこは検討し、やっていただきたいと思いますが、いかがですか。

高村国務大臣 例えば日本国政府が、これは非常に重要な問題でありますが、非常に重要な問題の中でも優先順位みたいなものがまたありまして、例えば拉致の問題なんかは、これはあらゆる国、中国なんかには本当に影響力の行使をかなり一生懸命頼んでいるわけでありますが、何でもかんでも頼めばいいという話でもないので、この問題については、非常に重要でありますが、二国間でやるべき話だ、現時点ではそう思っております。

 委員がそうおっしゃったことは頭の中に入れておきます。

末松委員 まだいろいろとお話ししたいんですが、時間が来ましたのでこの辺で終わらせていただきますが、ぜひそこは御検討いただきたいということを改めて申し上げまして、終わります。

 どうもありがとうございました。

平沢委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 高村大臣とは今週連日の質疑ということになっておりますけれども、きょうはクラスター爆弾の問題について質問いたします。

 この問題では、CCWという枠組みでの議論がある。同時に、オスロ・プロセスということでも今進行しているわけであります。

 その点では、ことし二月にニュージーランドのウェリントンで開かれたクラスター爆弾禁止国際会議が、ことし末までにクラスター爆弾禁止条約の締結を確認する宣言を発表いたしました。この宣言というのは、クラスター爆弾の使用、製造、移譲及び貯蔵の禁止ということで、これが禁止条約の不可欠の要素ということが明記されて、この会議に参加した世界百カ国以上の国々、そしてその中で、会議の時点ですけれども八十二カ国ということでその宣言に署名をし、日本も署名をしたということであります。このウェリントン会議に続いて、来月、アイルランドのダブリンで会議が開かれて、この宣言に立って禁止条約に向けての作業というか議論が進むことになるということであります。

 そこで、高村大臣、日本は、昨年二月のノルウェーのオスロ会議で採択されたクラスター爆弾の禁止条約締結を盛り込んだオスロ宣言というものについて言うと、これには積極的支持はせずに、採択を留保して態度を明確にしなかったということでありましたが、今回のウェリントン会議の宣言には署名をした。その理由についてはどのようになっているんでしょうか、伺います。

高村国務大臣 政府といたしましては、クラスター弾の不発弾等による人道上の懸念に実効的に対処するとの観点から、人道面と安全保障面のバランスのとれた新たな国際約束を作成することが重要であると考えているわけであります。政府といたしましては、かかる観点から、特定通常兵器使用禁止制限条約、CCWの枠組みにおける交渉を最も重視しているわけであります。それと同時に、オスロ・プロセスを含むさまざまな国際的な議論に参加してきているところであります。

 ウェリントン会議におきましては、我が国を含む各国よりさまざまなコメントや提案が行われ、定義等の重要な論点について活発な議論が行われました。これらの提案は、会議最終日に発出されたウェリントン宣言に添付されるとともに、ダブリン会議において引き続き検討されることとなりました。

 政府としては、以上を踏まえて、引き続きクラスター弾に関する国際的な議論に積極的に参加するとの観点から、ウェリントン会議においてウェリントン宣言への参加を表明したところでございます。

笠井委員 いずれにしましても、CCWの方が禁止ということを直接問題にしていない中で、オスロ・プロセスで、クラスター爆弾の使用、製造、移譲及び貯蔵の禁止を不可欠の要素とするクラスター爆弾を禁止する法的拘束力を有する国際文書を二〇〇八年中に締結する、これが宣言の中でもうたわれているわけですけれども、そういう宣言に日本が署名したことは重要だと私は思っております。

 そこで、問題は、その会議で、今大臣が言われましたが、さまざまな提案も出されているということですが、日本政府が提案した中身なんですが、外務省に伺いますけれども、端的に要点、どういう点を日本はその中で提起したということになるんでしょうか。

小野寺副大臣 ウェリントン会議におきましては、新たな国際約束により禁止されるクラスター弾の定義、締約国と非締約国との間の共同作戦等における相互運用性への影響について活発な議論が行われました。会議の最終日に、新たな国際約束をことしの五月のダブリン会議において完結するとの目標を確認するウェリントン宣言が発出されたことは、先ほど委員の御指摘があったとおりでございます。

 我が国を含む多数の国が支持を表明したことでありますが、政府は、各国が懸念を表明している、新たな国際約束の締約国と非締約国との間の共同作戦等における相互運用性が阻害されないようにすべきこと、また、各国の安全保障上の要請にかんがみ一定の移行期間が認められることなど、具体的なコメントを行いました。このように、ウェリントン会議における議論に建設的かつ積極的に貢献したというふうに思っております。

 引き続き、オスロ・プロセスを含むさまざまな場においても、クラスター弾に関する国際的な議論にも積極的に参加していく考えであります。

笠井委員 今ありましたが、日本政府としては、信頼性、正確性の高いという改良型も認めるという立場があると思うんですが、私、今伺っていて、このクラスター弾を持って使用している国々、特にアメリカなどへの配慮というか、おもんぱかっているんじゃないかということを率直に感じるような中身を出しているんだということを今伺いました。

 私も、二〇〇一年の米国によるアフガニスタンに対する戦争が開始された直後に、パキスタンのイスラマバードへ行きまして、現地にある国連の事務所で、ダニエル・ケリーという方ですが、地雷撤去活動の国連の責任者の方から、実際にアフガニスタンで使われたクラスター爆弾がどんなものかということと、被害の実態ということをつぶさに直接伺いました。そのことを今でも鮮明に記憶しているんです。

 この爆弾は、言うまでもありませんが、親爆弾から放出されるたくさんの子爆弾が広い範囲に飛び散って爆発をする。そして、不発率が高いということで、拾い上げて握り締めたり、なかなか魅力的に一見見えるということで子供たちがそれに触れたりして、たくさんの犠牲が、民間人、無差別に起こるということで、イラク戦争でも米軍が多用してバグダッドの市街地でも使われたというのは、米軍も認めました。甚大な被害がまき散らされているということであります。

 私は、そういう点では、この存在そのものが、そして、使うということ自体が残虐かつ非人道的なものであり、そういう兵器だと。その上、たとえ不発弾の割合を下げたからといって、その不発弾がなくなるわけでも、非人道性、残虐性がなくなるわけでもありません。どうやってこの不発弾率を検証するかという問題も出てまいります。

 そこで、高村大臣、こうしたクラスター爆弾について、条件をつけて使用を認めるというような中身を含むような日本の提案というのは、これは全面禁止ということでやろうとする流れとは相入れないということにはならないでしょうか。いかがですか。

小野寺副大臣 今回、御指摘ありましたクラスター弾の問題に実効的に対処するという観点、特に、この移行期間の御指摘があったと思うんですが、そのためには、やはり生産国及び保有国の参加を得て、人道面と安全保障面のバランスのとれた新しい国際約束を作成することが最も重要だと考えております。今般政府が行った交渉の中では、このような考えのもと、新たな国際約束の実効性を確保するという観点から行ったというふうに私どもは理解をしております。

 以上です。

笠井委員 実態の問題も私は申し上げましたが、例えば、最近問題になっていたのも、イスラエルが、二〇〇六年ですが、レバノンで使用したクラスター爆弾の不発弾率というのは一%未満の改良型というふうに言われましたが、それでも多くの犠牲者が出ているわけであります。結局、何%未満という議論もいろいろあるわけですが、これ自体も、やはりその使用を認めるという話につながっていく。

 しかも、今副大臣おっしゃいましたバランスという問題でも、安全保障上の必要性ということを口にすること自体が、多用している国々の使用も含めて容認することにならないか。それから、あわせて人道面ということも強調されるわけですが、初めから人を大量殺りくするように設計されているのがクラスター爆弾ということですので、人道的配慮ということがそもそも無理なものだということを言わざるを得ないということだと思うんです。

 もう一つ、問題は、国際的にはこのクラスター爆弾の規制や禁止の枠組み交渉に参加するということでありますが、同時に、日本自身が保有しているという問題です。

 そこで、防衛省に伺いますが、今日本の自衛隊のどこが何発保有しているか。どこがというのは、陸上、航空、海上ということで結構ですが、何発保有しているか。それから、購入金額は総額幾らになっているか。お答えください。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊の保有するクラスター弾でございますけれども、まず種類で申し上げますと、CBU87爆弾、これを航空自衛隊が保有しております。それから、MLRS用M26多目的ロケット弾、これは陸上自衛隊。あわせて、AH1S対戦車用七十ミリロケット弾、これも陸上自衛隊でございます。それから、百五十五ミリりゅう弾砲用多目的弾、これも陸上自衛隊でございます。そういう保有状況でございまして、調達総額につきましては、総額で約二百七十六億円でございます。

 調達の数でございますけれども、大変恐縮でございますけれども、これを公にいたしますと自衛隊の装備の能力を推測させるということで、国の安全を害されるおそれがあるということで、従来からお答えを差し控えさせていただいているということを御理解いただきたいと思います。

笠井委員 今報告ありましたけれども、相当な量になります。米軍が保有している、今CBU87という話もありましたが、これは約一発百七十万円というふうに言われていますので、それに相当して数えますと、二百七十六億円ということでいうと、一万数千発というオーダーになる。数は言えないと言われましたが、相当なものになるということになると思います。

 では、自衛隊がそういうクラスター爆弾を保有している目的は何でしょうか。

小川政府参考人 クラスター弾の保有の目的、必要性でございますけれども、クラスター弾は、我が国への着上陸侵攻、そういった事態におきまして、通常爆弾では撃破できないような敵の部隊を迅速かつ広範囲に撃破し得る能力、そういった点から、必要な装備と考えておるわけでございます。

 やや具体的に申し上げますと、我が国は長大な海岸線を有する一方で平野部は狭小であるということで、着上陸侵攻部隊を水際で迅速に撃破し、勢力を局限するということが極めて重要でございまして、そういう意味での、広範な面を迅速に制圧する火力として有効ということでございます。

 なお、当然ながら、クラスター弾は、我が国として、専守防衛に徹するという、防衛上必要なものとして保有しておるものでございまして、海外での使用、あるいは海外への輸出を念頭に置いたものではございません。これは当然のことでございます。

笠井委員 今、敵の着上陸侵攻に対処する、そして広範囲に展開した侵略部隊の車両などを撃破する能力を持つというのが目的という話がありましたが、ということは、日本の国土上空で使用することが想定されているということですか。

小川政府参考人 防衛上必要な場合に、先ほど申しました敵の部隊を迅速かつ広範囲に防衛上撃破する必要がある場合というときにおきましては使用を想定しておるわけでございますけれども、仮に国内においてクラスター弾を使用するような、そういった事態が万一生ずるような事態になった場合には、事前に住民の方々を避難させるなど、国民の方々の安全確保に十分留意するとともに、また、使用後に不発弾等の危険物を生じた場合には、適切に除去、処理をしていくことになる、そういうふうに考えております。

笠井委員 使うような場合があればそれはちゃんとやるんだということも含めてあったんですが、これは「国民保護ブロック会議説明資料」という、総務省消防庁の資料がここにありますけれども、我が国に対する本格的な侵略事態生起の可能性は低下と。そして、冷戦終結後十数年を経て、日本に対する本格的な武力侵攻の可能性は大幅に低下と。さらに、その中で、今ちゃんと避難させると言われましたけれども、しかし、そういう点でいうと、大変調整が必要だということを言っております。そして、平素から大規模な着上陸侵攻に係る避難を想定した具体的な対応を決めていくのは困難ということで、これはなかなか大変だということを一方で言っているわけですね。あらかじめ避難して、使用後も完全に処理していくから大丈夫だということで、そもそも、あるかないかということも含めて、机上で絵にかくようなわけにいかないということで、これは人道面でも何の保証にもならないと思うんです。

 高村大臣、最後に伺いますけれども、結局、あれこれ理由をつけながら、みずからの保有や使用さえ合理化する、そして、実効性という名のもとで、アメリカなど実際に使用している国々が許容する範囲での条約に、言葉はあれですけれども、換骨奪胎させるというようなことになって、そういうものに日本が役割を果たしていくというようなことになれば、これは、世界の流れになってきているクラスター爆弾禁止ということが実現するどころか、むしろ遠ざける、妨げることになるんじゃないかと思うんですが、大臣、率直にどう考えるでしょうか。

高村国務大臣 政府といたしましては、クラスター弾の人道上の懸念に実効的に対処するためには、クラスター弾の主要な生産国及び保有国の参加も得て、人道面と安全保障面のバランスのとれた国際約束を作成すべきと考えているわけであります。

 主要な生産国及び保有国の参加も得なければ、何か余り保有もしていない、生産もしていない国だけで小さな、理想的なものをつくってもそんなに役に立つわけじゃないので、やはり主要な生産国、保有国を引き込むような大きな枠組みをつくることが本当に人道的な実効性が上がるものだ、そういうふうに考えております。

笠井委員 小さな、理想的なと言われましたが、今百カ国以上が参加して、そしてそういう流れを一方でつくっているわけです。私は、何もCCWを否定しているわけじゃないんです。それはそれで、きちっと枠組みの中で禁止ということを掲げてやればいい。米国も参加している、ほかの使用している保有国も参加している。しかし、なかなかその中で、実効的なということを言われましたが、それが進まない中でどうやってやるかという努力があって、そして、そういう点では、全体として禁止という方向に持っていこうとしているわけです。

 地雷禁止の問題だって、なかなか米国などが渋った中で、オタワ・プロセスがありました。そして、そういう努力をする中で、全体として禁止条約になって、日本も結局、当時、小渕首相ですが、この決断をしてということで切りかえてやっていくわけですね。

 そういう過程があるわけですから、せっかくこうやって、ダブリンでも五月にあるということで、条約づくりで禁止していこうという流れがあるんですから、そこに正面から、やはり九条を持つ日本ですし、みずから廃棄することはもちろんですが、あれこれ条件をつけずに、本当に、主要な国々で使っている国々も含めて禁止ということでさせる上でも、日本がもっと、そういう意味では、全面禁止に向けてのイニシアチブというか、これを発揮する、ここがやはり外交の発揮しどころだということを強く求めて、きょうは終わります。

平沢委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社民党の照屋寛徳です。

 私は、去る三月二十六日の当委員会で、脱走米兵と日米地位協定の関連等についてただしました。本日も、残された疑問点などについて引き続き論議を深めてまいりたいと思います。

 去る三月二十八日、脱走米兵と日米地位協定に関する質問主意書を提出しましたところ、四月八日、政府から答弁書が出されました。三月二十六日の委員会で、政府参考人から、脱走米兵について日本当局に逮捕要請があったのは、平成十七年以降、九件であるとの説明がありました。

 まず伺いたいのは、私の提出した質問主意書に対する答弁書で、逮捕要請があった九件のうち、逮捕していない件数が五件ありますが、答弁書における「逮捕していない。」とは、脱走米兵がいまだ逃走中ということか、それとも原隊復帰をして逮捕に至らなかったということなのか、あるいは米側が逮捕したという意味か、厳密にお答えください。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの、我が国の捜査機関により逮捕されていない五人の脱走米兵につきましてでございますが、みずから帰隊いたした者が二人ございます。それから、米軍側で身柄を確保した者が二人になりました。現在も行方がわからないという者はその五人の中でいまだ一人残っているという状況でございます。

照屋委員 答弁書では、米側より逮捕要請があり逮捕に至った事件について逮捕日時が特定されておりません。脱走米兵が日本当局によって逮捕された日時を特定して、明らかにしてください。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 質問主意書で、四人の米兵について日本側で逮捕したということを申し上げております。その逮捕日時について申し上げますが、十七年一月二十七日に脱走し、三月十六日に逮捕要請がなされた米兵につきましては、十七年六月九日午後二時半に逮捕しております。さらに、十九年二月二日に脱走し、二月六日に逮捕要請がなされた米兵につきましては、同年二月七日午後二時四十五分に逮捕しております。また、二十年一月七日に脱走し、一月八日に逮捕要請がなされた米兵につきましては、同年一月十八日午前十一時三十七分、逮捕しております。さらに、平成二十年二月二十八日に脱走し、同日に逮捕要請がなされた米兵につきましては、同日午後三時五十五分に逮捕いたしております。

照屋委員 答弁書の中で、「脱走した場所及び脱走した構成員の所属する基地については、把握していない。」とありますが、米側から日本当局に書面による逮捕要請がある際に、それらの記載はあるんじゃありませんか。

小野政府参考人 逮捕要請書自体には、米兵の所属基地については記載はされておりません。

照屋委員 どこから脱走したのか、どのような所属部隊の米兵なのか、そういうのが逮捕要請で日本当局に明らかにされないというのは、私はどうも腑に落ちないというか納得し得ないので、そこら辺は日米合同委員会で真剣な議論をする必要があると思います。

 そのことを含めて高村大臣に伺いますが、答弁書によれば、脱走日時から逮捕要請がなされるまでの時間が早ければ早いほど逮捕に至っていることが判明しております。脱走米兵に関し、速やかな脱走情報の提供と逮捕要請の仕組みについて、日米合同委員会の協議の中で、米側から確たる約束を取りつける必要があるんではないでしょうか。

小野政府参考人 少し詳しくちょっと申し上げたいと思いますが、逮捕要請書には、所属基地についての記載はないということは先ほど申し上げたとおりでございますが、所属部隊については記載していただいているところでございます。また、人定事項でございますとか特徴でありますとか、そういうことについても記載をいただいております。また、実は追加の連絡をいただくことも十分できますし、警察側の方にも担当課がございまして、そこで連絡を密にしておりますので、実際に逮捕要請書そのものには書いていなくても、具体的なその逮捕のために必要な情報につきましてはとれる形になっております。

高村国務大臣 横須賀市における強盗殺人事件を受けて、横須賀市からも要望があったことを踏まえ、脱走米兵の情報共有のあり方について、米側及び関係省庁で検討を行ってまいりました。

 その結果、今般、昨夜でありますが、日米両政府は、今後、在日米軍人の脱走が判明した場合には、そのすべてについて直ちに米側から関係都道府県警察に対して逮捕要請を行うとともに、日本政府に対して当該脱走兵に関する情報を提供することで基本的に一致したところでございます。本件に関する詳細な手続等については、今後、日米合同委員会で正式に確認する予定でございます。

照屋委員 昨夜の結果は私はよかったと思います。

 外務省に聞いておきたいと思いますが、現行の日米地位協定には、脱走米兵に関する通報義務などの明文規定はあるんでしょうか。

西宮政府参考人 これまで、米軍人が行方不明となった場合、米側が必要と判断した際に、事案に応じて都道府県警察に逮捕要請がなされる場合もあったといったような状況が続いたわけでございまして、脱走の状態が生じた場合に、直ちに関係当局に連絡がなされていたわけではございません。

 ただいま大臣から御答弁申し上げたとおり、今回の横須賀の事件を受けまして、横須賀市からの御要望も踏まえまして、脱走米兵の情報共有のあり方につきまして、今般、日米両政府の間で、今後、在日米軍人の脱走が判明した場合には、そのすべてについて直ちに米側から関係都道府県警察に対して逮捕要請を行うとともに、日本政府に対しても関連情報を提供するということで一致したわけでございます。

 なお、日米地位協定上は、いずれにいたしましても、日米両当局間で緊密に協力し合って、捜査であるとか証拠であるとか協力していくという規定になっておりますので、通報義務があるというわけではございませんが、両当局間の連絡は緊密なものであると承知しておりますし、このたびの合意を受けまして、ますますそのような緊密な協力が確立されることを期待しておる次第でございます。

照屋委員 局長、明文上の根拠があるかということだから、端的に答えてください。私たち弱小会派は質問時間が短いので、あんたが酢のコンニャクだのと答えている間に時間がなくなっちゃうから。

 横須賀市で発生したタクシー運転手殺害事件で逮捕されたウグボグ容疑者の場合、地位協定十七条二項(a)により、アメリカに、脱走罪による専属的裁判権があるんでしょうか。

西宮政府参考人 そのとおりでございます。米側において第一次裁判権または専属裁判権を有する場合、今回の場合でいけば専属裁判権を有する場合に該当するわけでございます。

照屋委員 そうすると、今回の場合に、地位協定十七条三項の裁判権の競合、アメリカの脱走罪、それから日本の殺人罪、その競合に当たる、こういうことで、アメリカが第一次裁判権を放棄した、こう理解していいんでしょうか。

西宮政府参考人 先ほど舌足らずであったかもしれませんが、アメリカの今回の件は脱走罪でございますので、専属裁判権であるということでございます。そして、日本側は殺人ということでございまして、日米地位協定上協力を要するケースになったわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、地位協定の十七条六の(a)におきまして、双方の当局が、犯罪についてのすべての捜査の実施並びに証拠の収集、提出につき援助しなければならないという規定に基づき、現に協力が行われたものでございます。

照屋委員 アメリカでは、ウグボグ容疑者のような外国籍米兵、いわゆるグリーンカード兵が二〇〇五年には約三万九千人にふえたようであります。背景には、イラク戦争など派兵が続き、軍への人材供給を促す目的で、外国籍兵士の市民権取得要件の緩和があるようですが、日本国籍を有する米兵の数について、政府はどのように掌握しておるんでしょうか。

小野寺副大臣 米国では、御指摘のように、米国籍を有していなくても、永住権を有し、語学能力など一定の条件を満たせば米軍人となることが認められると承知しております。

 一方、米国籍を有しない軍人の数については、日本国籍を有する者の数を含め、米国の運用にかかわることなので政府としては承知をしておりませんが、本日付の産経新聞の記事、あくまでも記事ですが、米国防省によりますと、外国籍兵士の総数は二万一千人おり、日本人は四十一人いるという記事がきょうの新聞には出ております。

照屋委員 終わります。

     ――――◇―――――

平沢委員長 次に、第百六十八回国会提出、経済上の連携に関する日本国とブルネイ・ダルサラーム国との間の協定の締結について承認を求めるの件、経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び今国会提出、刑事に関する共助に関する日本国と中華人民共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 政府から順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣高村正彦君。

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 経済上の連携に関する日本国とブルネイ・ダルサラーム国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 刑事に関する共助に関する日本国と中華人民共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高村国務大臣 ただいま議題となりました経済上の連携に関する日本国とブルネイ・ダルサラーム国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 平成十八年六月以来、両国間で協定の締結交渉を行ってきた結果、平成十九年六月十八日に東京において、我が方安倍内閣総理大臣と先方ボルキア国王との間で、この協定の署名が行われた次第であります。

 この協定は、両国間において、物品及びサービスの貿易の自由化及び円滑化を進め、投資の機会を増大させるものであります。また、エネルギーの安定供給に資する枠組みを構築し、ビジネス環境の整備を図る等の協力を促進するものであります。

 この協定の締結により、幅広い分野において、両国間における経済上の連携が強化され、そのことを通じ、両国経済が一段と活性化され、また、両国関係全般が、より一層緊密化されることが期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 平成十七年七月以来、両国間で協定の締結交渉を行ってきた結果、平成十九年八月二十日にジャカルタにおいて、我が方安倍内閣総理大臣と先方ユドヨノ大統領との間で、この協定の署名が行われた次第であります。

 この協定は、両国間において、物品及びサービスの貿易の自由化及び円滑化を進め、投資の機会を増大させるものであります。また、エネルギー及び鉱物資源の安定供給に資する枠組みを構築し、知的財産の保護を確保し、ビジネス環境を整備する等の協力を促進するものであります。

 この協定の締結により、幅広い分野において、両国間における経済上の連携が強化され、そのことを通じ、両国経済が一段と活性化され、また、両国関係全般が、より一層緊密化されることが期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 最後に、刑事に関する共助に関する日本国と中華人民共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成十九年一月に、中華人民共和国との間でこの条約の交渉を開始しました。平成十九年四月に温家宝中華人民共和国国務院総理が訪日した際、首脳間で交渉の年内実質合意に向けて努力していくことで一致したことも踏まえ、鋭意交渉を行った結果、平成十九年十二月一日、北京において、私と先方ヨウケツチ外交部長との間で、この条約の署名が行われた次第であります。

 この条約は、一方の締約国が他方の締約国の請求に基づき、捜査、訴追その他の刑事手続についてこの条約の規定に従って共助を実施すること、そのための枠組みとして中央当局を指定し、相互の連絡を直接行うこと等を定めております。

 この条約の締結によって、日中双方が刑事共助を一層確実に実施することができるとともに、中央当局間で直接連絡を行うことにより、共助の効率化、迅速化が期待されます。

 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。

 以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いをいたします。

平沢委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十三分散会


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