衆議院

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第3号 平成22年3月10日(水曜日)

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平成二十二年三月十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鈴木 宗男君

   理事 木内 孝胤君 理事 小宮山泰子君

   理事 空本 誠喜君 理事 中野  譲君

   理事 和田 隆志君 理事 小野寺五典君

   理事 平沢 勝栄君 理事 赤松 正雄君

      大谷  啓君    大山 昌宏君

      齋藤  勁君    阪口 直人君

      末松 義規君    菅川  洋君

      武正 公一君    玉城デニー君

      道休誠一郎君    中津川博郷君

      西村智奈美君    萩原  仁君

      浜本  宏君    早川久美子君

      平岡 秀夫君    松宮  勲君

      横粂 勝仁君    安倍 晋三君

      岩屋  毅君    河野 太郎君

      高村 正彦君    高市 早苗君

      笠井  亮君    服部 良一君

    …………………………………

   外務大臣         岡田 克也君

   内閣官房副長官      松野 頼久君

   内閣府副大臣       大島  敦君

   総務副大臣        渡辺  周君

   外務副大臣        武正 公一君

   文部科学副大臣      鈴木  寛君

   防衛副大臣        榛葉賀津也君

   内閣府大臣政務官     泉  健太君

   外務大臣政務官      西村智奈美君

   農林水産大臣政務官    佐々木隆博君

   政府参考人

   (水産庁長官)      町田 勝弘君

   外務委員会専門員     清野 裕三君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十日

 辞任         補欠選任

  吉良 州司君     道休誠一郎君

  萩原  仁君     大谷  啓君

  河井 克行君     高市 早苗君

同日

 辞任         補欠選任

  大谷  啓君     菅川  洋君

  道休誠一郎君     玉城デニー君

  高市 早苗君     河井 克行君

同日

 辞任         補欠選任

  菅川  洋君     萩原  仁君

  玉城デニー君     吉良 州司君

    ―――――――――――――

三月九日

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)

同月十日

 思いやり予算廃止を求めることに関する請願(穀田恵二君紹介)(第三一八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三一九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三二〇号)

 女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第三二一号)

 沖縄県辺野古への新基地建設の白紙撤回と普天間基地の即時撤去に関する請願(服部良一君紹介)(第四三五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として水産庁長官町田勝弘君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野寺五典君。

小野寺委員 おはようございます。自由民主党、小野寺五典です。

 きょうは、初めに、いわゆる核密約問題について質問をさせていただきます。

 冒頭、このような大変な調査をされた、そのことに対して敬意を払います。私ども、政府におりましたときにも、なかなかこの問題、私どもが部内で聞いていてもオープンにされなかったところをこうして表に出されたということは前提として評価をしたい、そのように思っております。

 その上でお伺いをいたします。

 今回、この調査に当たって、一つ私は奥歯に物が挟まったような印象を持ちました。それは、密約について、狭義の密約と広義の密約と二つの言葉を使い分けていらっしゃいます。本来であれば、もっとしっかり調査をされ、狭義、広義の別なく密約というものをしっかり表に出していただきたかった。鈴木委員長も多分この問題に大変造詣が深いと思います。そうお考えだと思っています。

 冒頭お伺いするのは、今回の調査に当たったのが、報告書は二つあります、外務省内での報告、そして有識者委員会での報告とございますが、この資料の調査に当たって、私どもが長年この密約の問題について聞いても、それはないということで私どもに言ってきた外務省員の皆さんが、今回もやはり調査に主力で当たった。本来であれば、私は、この資料の調査に当たっても、有識者委員会のような第三者的な方々がその資料の一言一句の調査に当たるべきではなかったかと思いますが、今回のこの調査について、外務省をまず中心に調査をさせた、その経緯についてお話をいただきたいと思います。

岡田国務大臣 まず、委員から今回の密約に関する調査について評価をいただいたことに感謝を申し上げたいと思います。

 そして、今の御質問の件ですけれども、これは外務省の中での文書であります。ですから、私は外務省がきちんと調査をするというのがまず第一だというふうに考えます。したがって、外務大臣に就任したその日に調査命令を発して、厳しく言えば、罰則を担保にきちんと調査をするように、そういう命令を発したわけであります。

 私は、外務省の皆さんは必死になって作業をしてもらったというふうに思っております。すべての日米関係に関する資料を洗いざらい調べながら、その中には、日本だけではなくてアメリカにある日本大使館、そこにあるものも含めて徹底的に調査をして、そして関連文書の絞り込みを行ったということでございます。

 有識者の方は、もう一度その資料を示して、そして調査をしていただきました。そして、必要に応じて、外務省で特定をした資料だけではなくて、それ以外も含めて求めに応じてごらんをいただきました。有識者の方の調査というのは、事実上、三カ月ぐらいやっているわけであります。

 そういう意味で、私は、外務省もよくやったと思いますし、しかし、それにとどまらず有識者の方もみずから調査をしたということでありますので、私は今、外務省の中に今回公表した以外の資料があるというふうには思っていないわけであります。

小野寺委員 報告書の中で、一部破棄された、欠損しているということもございました。私どもも、反省を込めて、今後そういうことがないようにしっかりお願いしたい、そのように思っております。

 さて、昨日の記者会見の中でも、外務大臣は改めて非核三原則の原則を堅持するというお話をされましたが、今回の調査結果を踏まえて、改めて非核三原則についてのお考えをお伺いしたいと思います。

岡田国務大臣 昨日公表した資料の中で、非核三原則の中の特に持ち込ませずに関する解釈、日米間で違いがあるということが明確になりました。

 外務省の調査もそして有識者の調査も、最初からそういう認識の違いがあったというふうには考えていないわけですけれども、しかし、例えば日本側がアメリカの解釈について途中からは明らかに知った、例えばライシャワー・大平会談のときにライシャワー大使から大平外相に対してその旨伝えられたにもかかわらず、その後もあたかもアメリカの解釈は知らないがごとき、そういう形で今日まで来てしまったということだというふうに思います。

 この持ち込みに関する部分について、今回の調査で明確に認めたわけですが、日本の解釈とアメリカの解釈は異なる。つまり、一時的な寄港とかあるいは領海上の通過というものについて、日本側は、これは持ち込みに当たるというふうに考えておりますし、その考え方は変えません。しかし、アメリカ側は、それは持ち込みに当たらないというふうに従来から考えてきた。そこに日米の両国政府で食い違いがあるということを事実として認めたものであります。

 解釈が異なればそれは問題が発生するのではないか、こういうことでありますが、これは九〇年代にアメリカの政策も変わり、艦船や航空機には核を積まない、こういう政策に転換しておりますので、したがって、一時的な寄港、これを日本のように持ち込みに含めるというふうに考えたとしても、実際に持ち込まれることはない、そういう意味で実際上の問題は発生しない、そういうふうに考えているわけでございます。

小野寺委員 外務大臣にちょっと認識をお伺いします。

 今、事実上問題がないというお話をされたのは、恐らくお話の中であります九一年のお父さんのブッシュ大統領が出されたNPRの問題だと思いますが、そのことでよろしいでしょうか。

岡田国務大臣 米国が一九九一年に、水上艦船及び攻撃型潜水艦を含む米海軍の艦船及び航空機から戦術核兵器を撤去する旨表明したということでございます。これに加えて、九四年に、核体制見直しの結果として、水上艦船及び空母艦載機から戦術核兵器の搭載能力を撤去することとしたということでございます。

小野寺委員 核兵器には戦術核と戦略核というのがございます。アメリカは戦略核には一切触れておりません。ということは、同じ核兵器でも、実は戦略核というのは厳然として艦船や潜水艦あるいは爆撃機に搭載されて、日本の領海あるいは日本の港に寄港する可能性があります。このことについてどうお考えでしょうか。

岡田国務大臣 基本的に戦略核というのは潜水艦に搭載されたもの、これは今もあります。しかし、戦略核を積んだ潜水艦というのは機種で特定できますし、そもそも日本の近海には基本的にはいない、これはアメリカの周りにいるということであります。航続距離も長くて、より安全度の高いところにいるということであります。アメリカ本土を攻撃されたときに備えて、潜水艦の形でアメリカの本土の周りにいるというのが基本であります。この潜水艦が日本に来ることはありません。

小野寺委員 まずお伺いしたいのは、実は今回のNPRの対象外になっているのは、戦術核の中でもヨーロッパ、アメリカに配備されている航空機、爆撃機、そして有事のトマホーク、実はこれも戦術核として厳然として現在あるんです。

 それから、今大臣が、戦略核を積んでいる潜水艦あるいは艦船、これが日本近海に来ることはないとおっしゃいましたが、それはどのようにして確認されたか。アメリカ政府にこれを聞いているんですか。

岡田国務大臣 戦略潜水艦が日本に来たことはありませんし、これは機種で特定できますから、来ればわかります。もちろんその潜水艦が現実に戦略核を積んでいるかどうかは別ですけれども、積み得るものというのはわかります。

小野寺委員 戦略核を持つ潜水艦というのは、基本的には潜っているんです。そして、日本の近海に来るかどうかということも私どもとして知り得ない。アメリカ側に聞くしかないんです。アメリカにこういう問題を聞いているのか。あるいは、九一年のNPR以降、アメリカがこの政策を守っているということをアメリカにどのように確認しているんですか。

岡田国務大臣 今、寄港の問題というよりも領海通過の問題を委員は言われているんだと思いますが、潜水艦は領海通過する際には洋上に浮上しなければいけない、これが国際的なルールであります。

小野寺委員 お伺いします。

 現在、戦略核を含めた核艦船が日本近海あるいは日本の領海内、日本に寄港しない、あるいは日本に来る爆撃機にこれが搭載されていない、そして、今ありました、トマホークには有事の際には搭載する、このようなことをアメリカに大臣は日本政府として確認をされておりますか。

岡田国務大臣 具体的なことには答えないというのがアメリカの政策であります。具体的なことには答えないというその前提の上で、アメリカの先ほど言いました九一年の政策、九四年の政策、そこについては確認をしております。

小野寺委員 これは、言ってみれば、大臣が今回示された広義の密約、お互いにお互いの解釈をし、相手の政府には深いところで確認をしない、これに当たることになりませんか。結果として、今回調べて、私どもはなるほどなと大きく感心をしました。そして、広義の密約、狭義の密約、こういうことはないようにこれからしようというのが大臣のお考えだと思います。

 でも、現実問題として、では大臣が根拠に挙げられた、私ども日本には非核三原則があるからアメリカ側は持ち込んでいない。それをアメリカ側に聞いても、アメリカのNCND政策で一切オープンにされない。そして、では世界の船から、艦船から核兵器がないかというと、現実的には戦略核、そして戦術核、そしてトマホークの一部には搭載可能ということになっているんですよ。

 ということは、今回これをオープン、明らかにしたということは、大臣はアメリカに確認しなきゃいけない。確認して、アメリカから絶対ありませんという答えを受け取らなければ、結局また、私どもが反省しているこの密約というもの、お互いにここは触れない、密約というものをずっと続けてしまうことになるじゃないですか。結局、密約の上に密約を重ねることになるじゃないですか。

 私が大臣に求めたいのは、非核三原則ということを厳密に言う、それであればアメリカ側に絶対に核は持ち込ませないということを毎回入ってくる艦船に確認をされる、これが密約を本当の意味でなくするための政策だと思うんですよ。決して密約というのは過去の問題、もう既に亡くなった多くの先輩議員のことを今から暴き出して大きな問題にするのではなくて、大臣も同じお考えだと思います、こういう密約はあってはいけない、国民にオープンにしなければいけない、それを明確にすることでしょう。

 そうしたら、今言った、核兵器は現在も現実として潜水艦には積まれ、爆撃機には積まれる可能性があり、トマホークには積まれる可能性がある。それがもしかして有事の際ということで日本の領海を通る可能性だってゼロじゃない、寄港することだってあり得る。こういうことが現実問題としてあるんだったら、大臣は、日本に入ってくる米国艦船について、その都度アメリカに、事前協議の必要はないんですか、本当にないんですか、それを確認する必要があると思うんですが、そのお考えはいかがですか。

岡田国務大臣 今の委員の御質問を聞いていて、逆にまずこれは明らかにしていただきたいんですが、密約というものについてどういう定義をしておられますか。

 今、委員の質問は、広義の密約と狭義の密約がある、そして広義の密約に関して今の発言をされたわけですが、基本的に私が理解している有識者会議の密約の定義、広義の密約と狭義の密約の違いは、文書化されているかどうかということであります。ですから、委員の言う広義の密約の定義をまず明らかにしていただいた上で議論を進めないと、これは非生産的だと思います。

小野寺委員 では、今回の問題は少し引いても、今回の経緯をお話しします。

 今回、日本に核を持ち込ませないということ、そして領海を通過しない、寄港しないというふうに私どもは理解をしているというのが日本側の考え方。アメリカ側は、領海内を通過する、日本に寄港するというのは、これは持ち込みに当たらないということがアメリカの考え方。その二つの流れがあるということは事実ですよね。

 そうすると、この二つの流れが今までお互いにすり合わせをしない、何となくそのままお互いが自分の有利な解釈で進めていこうということが行われてきたのが狭義の密約だと思います、今回査定された。

 そして、今大臣がおっしゃった、日本は実は何の状況も変わっていないんです。九一年のNPRの政策以降、日本はアメリカ政府に、本当にアメリカが言っていることは正しいんですかということも実は確認をしていない。そして、アメリカ側が言うことを一方的に信じている。もっと言えば、同じ核兵器でも、これは戦術核のことしか言っていないんです。戦略核は現実に船に積まれている。戦術核の一部に関しても、今、航空機あるいはトマホークに積むことができる。厳然に可能性があるわけです。

 では、この可能性があるということを先ほどの大臣の答弁から聞くと、いや、これも明確にしないで、アメリカがそう言っているし、日本に来る可能性がないからということで、アメリカ政府には一切確認をしないで、そして日本側の勝手な解釈で、これからも大丈夫なんですよということで進めていこうとする。アメリカ側に聞いたら、アメリカ側は一切、これはNCND政策だから何も答えない。同じことがずっとこれからもただ続くだけのことじゃないですか。ということは、これは広義の密約と狭義の密約、定義の問題じゃないですよ、密約をこれからも暗黙に認めるということじゃないですか。

 私は、この際、私どもの反省を込めてぜひお願いしたいのは、いいチャンスだと思うんです、これは安全保障の問題を議論するいいチャンスだと思うんです。本当にこの三原則でいいのか、二・五原則にすべきなのか。あるいは、アメリカと日本の解釈の違いというのを合わせていく、すり合わせていく、この努力が必要だと思うんですが、大臣、どうお考えですか。

岡田国務大臣 まず、九一年のアメリカの政策、九四年の政策、それぞれの意味については日米間で確認をしております。ですから、何かあうんの呼吸でやっているということではございません。

小野寺委員 多分、大臣はよく理解されていないと思うんですが、戦術核と戦略核ということで向こうはうまく使い分けているんです。戦略核については、厳然として今も艦船に搭載可能なんです。航空機にも搭載可能なんです。そして、有事のトマホークにも搭載可能なんです。トマホークは現実として日本に入ってきています。ですから、これに本当に核があるかないかということを、今回のこの密約をしっかりすり合わせて、日米の話をすり合わせるとすれば、確認しなきゃいけない。大臣はこれから確認しなきゃいけないんです。その責務を負ったということなんですよ。この問題を表に出し、そしてこれはいけない。

 今回がいい機会なんです。この非核三原則についてこれから見直しの議論をされるかどうか、お伺いしたいと思います。

岡田国務大臣 鳩山内閣としては、非核三原則を見直す考えはございません。

小野寺委員 ということは、鳩山内閣はこの密約ということをこれからも続けていくということでしょうか。

岡田国務大臣 今の委員のおっしゃった質問の意味がよくわからないんですが、密約を続けていくという、その密約というのは一体何ですか。そこを定義していただかないとお答えできません。

小野寺委員 大臣はよくわかっていないと思うんですが、九一年のNPRで言った……(発言する者あり)ちょっと聞いて。九一年のNPRでアメリカが言っているのは、核兵器には戦術核と戦略核があるんです。戦術核は艦船には載せない。ですから、現在も生きているのは、船に載っている戦略核は生きている、今でも戦略核は載っているんです。そして、戦術核の一部もトマホークとかあるいは爆撃機には載せているとアメリカは言っているわけですよ。厳然としてあるわけです。船に載る核、飛行機の核、トマホークの核、これが厳然としてあるわけです。これがあるにもかかわらず、日本に入る可能性はない、アメリカには確認したけれどもアメリカは答えていない、あるいは、確認してもアメリカは答えていないからこれはないと私たちは勝手に類推をしている。

 これは後で議事録をよく読んでください、大臣、御自分がどういうところで理解がされていないのか。今回のこの問題でもっと大きな責務を大臣は担って、この密約ということをオープンにした限りは、今後密約がないための日米交渉をしなければいけない、そしてそれは非核三原則の問題にも絡んでくる、そういうことだという認識を私どもはしております。改めてお答えください。

岡田国務大臣 勝手に理解していないなどということを言われるのは心外でありますが、基本的に私が申し上げているのは、戦略核を搭載する艦船というのは、あるいは航空機というのは、それは特定できる、その能力を持つものというのは特定できるということを申し上げているわけです。

小野寺委員 では、アメリカが現在配備している航空機、そして有事の際のトマホーク、これも確認できるんでしょうか。

岡田国務大臣 アメリカは、先ほど言いました、政策として、戦術核についてはこれは撤去するということを決めて、現に実行しているわけです。

小野寺委員 それはアメリカ側にすべて確認をしていますか。それから、今おっしゃったように戦術核はすべてこれを撤去するということではないんです。艦船に載せるということであって、航空機とトマホークには戦術核も現在も現実として使うというのがアメリカの政策なんです。

岡田国務大臣 個別のことはアメリカは政策として言いません。これはアメリカの政策で、そこは変わりません。しかし、アメリカが従来、戦術核について九一年、九四年の政策を明らかにしておりますから、それを見る限り、日本に来ることはないというふうに考えているわけであります。

小野寺委員 それは日本政府が勝手にそう解釈し、考えているということでしょう。これは、この密約の問題で指摘されたことと何ら状況は変わっていないじゃないですか。アメリカには確認しない、日本は勝手にそう思っている。では、アメリカはどうかというと、アメリカはアメリカの独自の考えで、戦術核を航空機とそれからトマホークの一部、そして戦略核は艦船には積んでいる。これはアメリカが勝手に自分たちで解釈をしている。日本の解釈は、いや、アメリカはそんなのは持ってこないだろうと。同じことじゃないですか。何にも変わっていないでしょう。

岡田国務大臣 アメリカが政策として、九一年に水上艦船及び攻撃型潜水艦を含む米海軍の艦船及び航空機から戦術核を撤去する、こう表明をいたしました。九四年には、核体制見直しの結果として、水上艦船及び空母艦載機から戦術核兵器の搭載能力を撤去するということを決定いたしました。アメリカが公にそういった政策について表明しているときに、委員が何を確認しろとおっしゃっているのか、私にはよくわかりません。

小野寺委員 申しわけないんですが、この後、事務方とちゃんとお話をして、説明を受けてください。

 九一年のNPRで言っているのは、あくまでも艦船に搭載の戦術核なんです。戦略核とそれから航空機、有事のトマホークについての戦術核については、アメリカは否定をしておりません。ですから、これは現実にしてある可能性があるんです。ということは、これを前提に今回の密約の問題をこれからないということにすれば、これから入ってくる船にも、あるいは航空機にも、もしかして可能性がゼロとは言えない、そのときに一つ一つ確認する必要が当然あるんだろう、私どもはこう思っております。そして、それをアメリカに確認することで、アメリカがNPRで何も言ってこない、何も状況は変わっていない。

 ですから、最終的に、私はこの問題、オープンにすることは大切、ですが、せっかくのいい機会なので、ぜひ、これを一つのきっかけとして、非核三原則の問題、そしてアメリカとの意見の違いというのをすり合わせる、その努力をするべきだと思っています。今の大臣のお話ですと、日本は非核三原則は守ります、アメリカは、いや、物理上持ってこないからアメリカは持ってきていないというふうに思いますと。では、アメリカ政府は日本の非核三原則について理解、同意をするんですか。

岡田国務大臣 これは最初に申し上げたように、持ち込みということに関する解釈は日米間で違う、そのことを今回明確にしたわけであります。

小野寺委員 では、明確にしたということは、違いがわかったんだから、その違いをすり合わせる努力はするんですか。

岡田国務大臣 議論の繰り返しだと思いますけれども、違う、しかし現実に問題はない、そのことはアメリカ政府との間できちんとお互いに説明をし、そしてその上で私は申し上げているわけであります。

小野寺委員 アメリカ政府との間で問題がないというお話をされました。それは、あくまでも九一年の話、それから九一年のNPRをずっと確認しているという話だけであって、NPR本体そのものが、これは多分外務省にだまされていますよ。外務省の人は多分説明していないと思うんです。ここで規定されているのは、あくまでも戦術核の問題だけ。戦略核は含まれていない。そして、戦術核の中でも一部の航空機とトマホークには今でも搭載可能というふうになっているんです。このことが現実にある、日本に入ってくる可能性が現実にある。それを今までは九一年以降の解釈解釈ということで外務省はずっとふたをしてきたわけです。現実はどうなのかとオープンにしてみたら、なるほど、これだって日本に入ってくる可能性があるじゃないですか。そうしたら、それを一つ一つ確認するのがせっかく密約をオープンにした岡田外務大臣の仕事じゃないですか。どうですか。

岡田国務大臣 繰り返しておりますけれども、戦略核については、それを搭載可能なものというのは判別できます。

小野寺委員 では、アメリカ側に一々それを確認されているということですか。

岡田国務大臣 外形的に判別できますから、それについて確認する必要はないと思います。

小野寺委員 では、改めて伺います。

 一部の爆撃機、そして有事のトマホークにも搭載可能だということになっています。トマホークは日本にも入ってきていますか。

岡田国務大臣 今いろいろ日米間で議論しておりますが、具体的なことについては私は申し上げる立場にはございません。

小野寺委員 私ども、この問題で大臣の何かをこうしようとか、そういうことはないんです。現実にオープンになって、密約がこれからない形で持っていくとすれば、今、日米間にある違い、ずれ、これを合わせていく、協議していく、そのことをすべきだ、これからの日本の安全保障の問題に前向きに進むべきだ、それが前提となります。

 そして、今そのための話し合い、すり合わせは大臣はしないと言っている。なぜしないかというと、現実問題として日本に核が来ないから、そういうお話をされている。ところが、アメリカ側がその論拠として挙げているのは、あくまでも九一年のNPRです。これで言っているのは戦術核。船に搭載可能な戦術核はだめですよ、ないですよ、外しましたと言っていますが、戦略核は現実に残っている。そして、爆撃機の一部、有事のトマホークに積むことができる。これは現実として残っているわけです。ということは、日本に入ってくる可能性だってあるわけです。

 この問題を詰めていかないで、お互いに相手の言い分、相手が言わないけれども何となくそうかなと思っていることをこれからも続けていくと大臣はおっしゃったということは、何のことはない、密約の上にまた密約を重ねるだけじゃないですか。このことを指摘しておきたいと思います。どうぞ。

岡田国務大臣 ですから、こういう議論ですから厳密に議論したいと思うんですが、委員がどういう意味で密約という言葉を使っておられるのか、明確に定義をされた上でおっしゃっていただかないと、密約の上に密約を重ねると言われましたが、そこで言う密約の定義をまずおっしゃった上で言っていただきたいと思います。

小野寺委員 後で議事録をよく読んでいただければ、今論点がどこがずれているか、そして大臣が外務省から何の説明を受けているかということを、ああ、これは失敗したなと後でお考えになる、そういうふうにならないように心配をしております。

 それでは、質問通告もしておりますので……(発言する者あり)済みません、委員長、静かにさせてください。

 それでは、次の問題の前にちょっとお伺いしたいんですが、今回こうやって密約の問題をオープンにされました。確かに今の姿勢について、さまざま頑張っていらっしゃる姿は見えます。ところが、一つ確認したいんですが、実はこういう過去の文書を暴く、いろいろなことをされていますが、肝心の御自分のところの情報については今までずっと隠すことがたくさんございました。

 例えば、東シナ海のガス田の問題。東シナ海のガス田の問題は、岡田外相も、中国の現在の開発の状況はおかしいということで、中国の外相との協議をされている。中国はいつの間にか東シナ海のガス田に新たな施設の増強を始めている、そのような報道もございます。

 そして、私どもはこのような状況を受けて、私どもの自民党の部会で、今現在このガス田がどのような状況になっているのか、どうも毎日調査をされているということですから、ぜひその写真、今現在撮られている写真についてお見せくださいということでお問い合わせをし、これは官邸まで要請の文書を持っていきました。お考えは、いや、写真は出せないと。なぜ出せないんですか。どうしてこれを隠すことになったんですか。経緯を教えてください。

岡田国務大臣 委員は今隠すことになったというふうに言われましたが、方針は自民党が政権についていた時代と基本的に変わっておりません。

小野寺委員 私どもが政権についていたとき、外務委員会の視察でこのガス田を見たときに、きちんと当時の、あれは飛行機を出してくれた防衛省だと思いますが、私どもに航空写真を提示し、このような状況になっているという説明がありました。

 今回は、そのことも踏まえて、何度も写真を見せてくれと言ったんですが、隠すということを、これは事務レベルではありません、政務レベルの判断で出さないということを決めた、そう私どもは部会で事務方から説明を受けました。なぜ政治の判断で写真を隠すんですか。

岡田国務大臣 今まで写真を示したことがあるのは、今委員が言われたように、上空から視察された際にその説明をよりわかりやすくするために写真を示すことはありましたが、一般的に写真を出すということはしておりません。

小野寺委員 よくわからないのは、核密約についてはオープンにする、いろいろなことを調べる、そして、それは今までの政権が悪かった、私たちはこうやって見せるようになったんだと。今度は、東シナ海の写真、これは新聞社も撮っている写真、その写真を見せてくれと言ったら、いや、これは出せない。なぜ出せないか。それは今までの政権と何にも変わらない。何か、言っていることとやっていることと余りに多くの矛盾があるのではないか。

 この問題は、済みません、きょうは防衛省も来ていただいていますが、隠すほどの問題ではないと思うんです。ぜひ、委員会なりそういうところで資料要求があったら出すということで、御返答いただけないかと思いますが。

岡田国務大臣 今委員言われましたが、密約の今回の公開の問題とこの写真の問題を同列に論ずるのは、私は少し違うのではないかというふうに思います。

 そして、密約については、私は、単に暴露しよう、そんなことを思っているわけではありません。その時々において、時の指導者がいろいろ悩みながら判断してきたことだというふうに私は考えております。

 例えば、現在の改定安保制定時の岸総理。私は、岸総理がアメリカと交渉して事前協議制度をかち取ったというのは、これは非常に大きな前進であったというふうに思うわけです。しかし、その事前協議制度をかち取る中で、残念ながら、それがすべてというわけにはいかなかった。そういう中で、朝鮮有事の際には事前協議の例外にするという密約ができ上がりました。私は、それがあるからだめだということではなくて、事前協議制度そのものをつくったということは、これは大きく評価できることだ。そして、そのことをかち取るためにそういった密約という形をとらざるを得なかったこと、私は、当時の状況としてはよく理解できるというふうに思っております。

 ただ、この密約の問題が、冷戦も終わり、アメリカの政策も変わっていく中で、その後二十年間放置されたということはいかがなものか、そういうふうには思っております。そこについては怠慢であったというふうに私は申し上げなければなりませんが、密約の問題そのものについて、それをとにかく出せばいいというふうに考えているわけではなくて、やはり日本の外交の信頼性を高めるために、いつまでもこういう状況を放置しておくことは望ましくない、そう判断してやっているわけで、ぜひそこは委員に御理解をいただきたいというふうに思っております。

 そして、外交にはさまざまな明らかにできないことはつきものであります。もちろん、そういうものは一定の年月がたてば国民の目に明らかにする、私は民主主義の基本として重要なことだと思いますけれども、だからといって、外交上の現にやっているやりとりとか、あるいは今回の写真とか、そういうものを全部出せというのは私はいかがなものかというふうに考えております。

榛葉副大臣 海上自衛隊がP3Cで常に哨戒活動して、東シナ海のいわゆるガス田周辺も当然哨戒をしております。

 今、岡田大臣が御答弁されたとおり、我々の対応は自民党さんが与党のときと全く変わっておりません。

 小野寺委員は外務政務官そして外務副大臣をやられていますから、さまざまなところでこういった写真を、説明を受けられたと思います。加えて、先ほど委員指摘のとおり、先生方が御視察をされる際に、ブリーフとして、そういった先生方に写真を見せることはあります。

 他方、現状がどうなっているか、二十年当時の日中合意のときと今どのような変化があるか、そういった違いが明らかにわかるような写真は自民党さんのときも今も部会等には一切提示をしていない、これは全く変わっていないと理解しております。

小野寺委員 それは出せないということで理解せざるを得ないと思います。

 それでは、竹島の問題について触れたいと思います。

 端的にお答えください。一言でいいと思います。大臣、竹島は日本の領土になりますか。

岡田国務大臣 竹島が日本の領土であるということは、日本政府の一貫した主張でございます。

小野寺委員 その際、中学の学習指導要領の解説の中に、実は竹島という記述が一昨年入れられることになりました。そして、竹島が日本の領土であるということは広く中学生にも教えるということになりました。

 ところが、今回、高校の学習指導要領の解説書においては、竹島の記述というのが落ちることになった。そして、なぜ落としたか。事務方のレベルではこの議論は当然ありました。最終的に落とす理由になった、落とすことになったのは、文部科学省の政務三役の政治判断。そして、このことを外務大臣にも確認をしたということです。

 外務大臣にお伺いします。竹島の記述を落としたというのは、外務大臣の判断ですか。

岡田国務大臣 今御指摘の点につきましては、文部科学大臣の判断で決定されたものというふうに理解しております。

小野寺委員 外務大臣は了解をされましたか。

岡田国務大臣 外務大臣として、この件について決定にかかわる、そういう立場にはございません。

小野寺委員 この公表の前に報告を受け、それを了承されましたか。

岡田国務大臣 報告は受けております。文部科学大臣が決定をされるということについて、私は報告を受けました。

小野寺委員 その際、外務大臣は、異論を挟む、これは記述すべきだ、竹島は日本の領土である、それはきちっと明記すべきだ、そのようなことをおっしゃいませんでしたか。

岡田国務大臣 この問題、高等学校の学習指導要領解説にどういうふうに表現するかというのは、文部科学大臣が決めるべきことであるというふうに理解をしております。

小野寺委員 もう一度お伺いします。

 竹島は日本の領土ですか。

岡田国務大臣 そういうことを、事実関係を何度もお聞きになるのはいかがかと思いますが、もちろん日本の領土です。

小野寺委員 それでは、文科副大臣にお伺いします。

 なぜ高校で落とすことになったのか。そして、この決定は政務三役の議論で行ったといいますが、なぜわざわざ中学で入っていた竹島の記述を高校の段階で落としたんですか。教えてください。

鈴木副大臣 この十二月に作成をされました高校学習指導要領解説におきましては、我が国の領土問題について、「中学校における学習を踏まえ、我が国が正当に主張している立場に基づいて的確に扱い、領土問題について理解を深めさせることが必要である。」と記述をしております。

 なお、中学校におきましては、竹島について指導をされることとなっておりまして、高校におきましても、竹島を含め、我が国の領土問題について、中学校における学習を踏まえ、さらに理解を深めさせるための指導が適切になされる、こういうことでございます。

小野寺委員 今、副大臣の話の中には竹島という言葉がありましたが、今回書かれた高校の指導解説書には竹島という記述はないんです。言葉を変えないでください。

鈴木副大臣 もう一度申し上げます。

 高校学習指導要領の解説では、「中学校における学習を踏まえ、我が国が正当に主張している立場に基づいて的確に扱い、領土問題について理解を深めさせることが必要である。」と記述をいたしました。

 なお、中学校におきましては……

小野寺委員 もういいよ。政務三役で決めたというのに、政務三役で話を決めて竹島の記述を落としたというのに、あなた、読んでしかいないでしょう。本当にその議論の中で、竹島が落ちるということがどんな大きな意味を持つかを考えて判断したのかどうか、私は大変疑問に思います。

 それからもう一つ、ぜひ確認したいのは、この政務三役の議論というのは議事録に載っているんですか。議事録として残していますか。お答えください。

鈴木副大臣 政務三役会議は、そもそも議事録というものを作成しておりません。

小野寺委員 外務大臣にお伺いします。

 外務大臣は、文書を残せということ、資料を残せということ、政策決定に大きな影響を及ぼすことに関してはしっかりと記録を残し、保管すべきだということをきのうの記者会見でもお話をされています。

 今お話があった、竹島の記述を高校のところから落とすということ、これを決めたというところの政務三役の議事録は、今、文科省は残していないと言っています。大きな政策決定の問題、政務三役会議の内容について一切議事録を残していないと言っています。この状況についてどうお考えですか。

岡田国務大臣 いろいろな政策決定のときにどこまでそういった議事録という形で残すかどうかというのは、これは一つの政策判断であります。委員がおっしゃるように、重要な問題についてはすべて議事録を残せと言うのであれば、私は、閣議などは最も議事録を残すべきことだというふうに思います。しかし、今、我が鳩山政権において閣議の議事録はつくっておりませんし、それは自民党政権のときも同じだったのではないでしょうか。

小野寺委員 今、政治主導ということを盛んにおっしゃいます、そして重要なことは政務三役で決めると。私どもは、まあ批判もありますが、事務次官会議があり、そこに上がってきたものがまた上がる、さまざまなフィルターを通してこの問題が後でオープンになるようなことになっていると思います。今の政権では、政務三役がほとんど大きなものを決めていく、そしてそのことは実は議事録すら残さない。言っていることとやっていることが逆じゃないですか。

 私は岡田外相を信じています。ぜひ、大きな政策決定のことについては、今の閣議のこともあります、守秘義務があります、どれぐらいの期間でオープンにするかもわかりませんが、そういうことを決めた上でしっかりと残していただくこと、これが大切だと思っています。

 時間になりました。済みません、実は、きょうはマグロ、CITESの問題についてもお伺いしたかったんですが、時間が切れてしまいました。ぜひ、このマグロの問題、日本の国益のためにしっかり頑張っていただきたい、そう思っています。

 どうもありがとうございました。

鈴木委員長 次に、平沢勝栄君。

平沢委員 自由民主党の平沢勝栄でございます。

 小野寺委員に引き続きまして、質問させていただきます。

 きょうは、普天間を聞きたいと思っていたんですけれども、今、小野寺委員の質疑を聞いていまして、ちょっと別なところから入らせていただきたいと思うんです。

 まずは核密約の問題ですけれども、聞いていて、日本とアメリカと基本的な核政策が違うわけですから、どこかでいろいろなそごが生じるというのは当たり前ではないかな。そういう中で、いろいろな密約というような問題が出てきたわけで、こういった報告書をまとめられた御努力に対しましては、小野寺委員同様、私も評価させていただきたいと思います。

 この報告書の最後のページにこう書いてあります。「この間、ある期間、ある程度の秘密性はつきものである。ある外交が適切なものであったかどうかは、当時の国際環境や日本国民全体の利益に照らして判断を下すべきものである。」こういったことが書いてありますし、また次のパラグラフには、「「密約」問題の根源にあるのは、日本が軍備を持たず、その安全保障をアメリカに依存しており、他方アメリカは冷戦のさなかにソ連と激しい競争の中で、アジアでは日本以外のいくつかの国々にも防衛義務を負っており、そのために日本の基地は重要だったという事実である。」まさにそのとおりだろうと思います。

 先ほど来ございますように、日本は非核三原則を持っている、アメリカはNCND、そういう中で日本はアメリカの核の傘のもとにあるわけでございまして、どうしてもこういった問題というのは出てくるわけでございます。

 そこで、大臣にお伺いしたいのは、当然ながら、このレポートを今後の日本の安全保障政策に生かしていかなければならないと思いますけれども、日本の周辺、核を持った国に、ロシア、北朝鮮、中国と囲まれているわけでございますけれども、そういう中で、今回のこのレポートを機に、日本の安全保障というのはどうあるべきとお考えなのか、どう生かしていかれると思うのか、その辺についてお聞かせください。

岡田国務大臣 委員御指摘のように、日本は、アメリカの核あるいは核を含むアメリカの軍事力全体の抑止力に依存して、日本自身の安全やアジア太平洋地域における平和と安定を維持している、そういう状況にございます。その現実はもちろん変わりませんし、今回の二つの報告書をもって、具体的に日米における今までの安全保障上の何らかの政策、運用が変わるということは考えておりません。

平沢委員 具体的には変わらないんでしょうけれども、ただ、核を持った国に囲まれている中で日本の安全保障というのは考えていかなきゃならないわけで、そこで、当然その中で、この報告書にもありますように、秘密というのはどうしても出てくるわけでございます。しかし、その秘密はあっても、一定年度たったらそれは公開すべきだというのは私も賛成でございます。

 そこで、大臣は、今回、一部情報がなくなっているというのはあるようですけれども、情報の管理とかあるいは情報公開については今後どうあるべきと考えておられるか、これについてお聞かせいただけますか。

岡田国務大臣 この有識者の報告書の中で、情報の一部が欠落していることについて厳しく御指摘をいただきました。情報をしっかりと管理し、保全し、そして今のルールでも、三十年たてば公開を原則とすることになっております。その情報の管理、保全が不十分であった、これをまずきちんとする体制をつくらなければいけないというふうに思っております。

 それから、三十年たてば公開するという原則ですけれども、現実には、日本の情報公開は、例えばアメリカと比べてもかなり内向きで限定をされてきたということは言えると思います。したがって、アメリカでは既に情報公開されたものが日本ではされていない、そういう中で密約の問題点が浮かび上がってきたということだと思います。

 したがって、その三十年ルールのもとで現実に情報公開がきちんとなされるように、例えば国益上の理由から公開をしないという判断をするときには、政務レベルがきちんと判断をするとか、あるいは第三者の意見を聞くとか、そういったことも含めて、外務情報についての公開制度がきちんと運用されていくような、そういう仕組みをぜひつくらなければいけない、こう思っております。

 昨日の省議において、省の中に私を本部長とする検討組織を設置することを決定いたしました。精力的に検討を行い、しっかりとした体制をつくりたいというふうに考えております。そして、そのもとで、今まで明らかにされてこなかったかなりたくさんの資料が、外交文書がございます、そういうものについて精査をしながら、三十年たったものについては原則公開、この考え方に基づいて表に出していくということをしっかりやっていきたいと思っています。

平沢委員 よくわかりました。

 もう一回確認させていただきますけれども、先ほどの質疑を聞いていまして、大臣は、日本の安全保障は引き続き非核三原則、しかし、アメリカの核の傘のもとで日本の安全を守る、こういうお考えでよろしいわけですね。そこだけ確認させてください。

岡田国務大臣 まず、総理もたびたび言っておられますように、鳩山政権として非核三原則は堅持をしてまいります。それから、日本の現在の安全というものは、米軍の存在、アメリカの軍事力によって守られている、その抑止力によって守られているところが大だというふうに思います。その中には、核というものも当然含まれております。

平沢委員 わかりました。

 それで、次に、ここにワシントン・ポストの原文をいただいたんですけれども、大体というか、きょうの新聞に出ていたのと全く原文が同じですので、日本の新聞の方で引用させていただきます。

 民主党の国際局長の藤田議員が九・一一のテロについて、あれは公表されたテロリストの犯行ではない、こう主張しているということが出ております。そして、ワシントン・ポストの記事を見てみますと、これはワシントン・ポストの社説ですけれども、要するに、公表されたテロリストの犯行かどうか疑わしいということを言った中で、「「藤田議員の見解は激しい嫌米傾向に根ざし、その傾向は民主党や鳩山政権全体にも流れているようだ。鳩山由紀夫首相が藤田議員のような無謀で事実に反する要員を自党内に許容するとなると、日米関係は深刻な試練を受ける」とも述べた。」というきょうの報道があります。確かにこれは、原文を読んでみますと、そういったことが書いてあるわけでございます。

 そこで、お聞きしたいのは、議員としてどういう見解を持とうと全く自由だと思います。しかし、インタビューを受けて、そのインタビュー内容がこうした形でワシントン・ポストという、三流紙じゃないですよ、一流紙の社説に掲載されたとなると、しかもそれが民主党の責任あるポストにいる方の発言となると、それはないがしろにできないんじゃないかな。日米関係に影響が及ばないようにしっかりとした対応をしなければいけないと思いますけれども、どういう対応をされるつもりか、ちょっとお聞かせください。

武正副大臣 平沢委員にお答えをいたします。

 報道は承知をしております。このワシントン・ポスト紙とのインタビューにおける藤田議員の発言については承知をしておりませんが、我が国としては、各種情報を総合的に判断して、米国における同時多発テロはアルカイダにより実行されたものと判断しております。

平沢委員 いや、私が聞いているのは、藤田議員がこういった発言を、別に今回が初めてじゃなくて、いろいろなところでしておられるわけですよ。それで、その藤田議員が、今、一議員なら私は何を言ってもいいと思いますよ。だけれども、民主党のしかるべき立場にあるわけですから、そういった形で発言されると、御自分の意見を言われた場合に、それが今、副大臣が言われたのと違うわけですよ。そうした場合に、これはいろいろと日米関係にも影響は出ませんか、それに対して何も民主党としてあるいは政府として対応しないんですかということなんです。もう一回お答えください。

武正副大臣 ちょうどことしは日米安保改定五十年ということで、一月に外相レベルでこの日米同盟の深化を合意し、外相あるいは局長、審議官、課長、さまざまなレベルでその同盟の深化についての話をしております。また、先ほど来ておりましたけれども、防衛省・自衛隊そして米軍の間でも緊密な連携をしっかりとっているということでありまして、こうした記事は記事として、私ども、日米同盟の深化にしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。

平沢委員 ということは、今度の藤田議員がこういったことをいろいろと言っておられることについて、しかも過去も言っておられてきたということについて、例えば本人から事情を聞くとか、何らかの対応をするつもりは全くないということですね。いいですか、副大臣。

岡田国務大臣 藤田議員のお考えは個人の意見、それは委員も先ほど言われたとおりであります。そして、藤田議員は、政府の中で何らかの責任ある立場にあるわけではございません。したがって、政府として、今おっしゃったことについて何か言う立場にはないということでございます。

平沢委員 政府ではないんですけれども、与党の国際局長ということで、これはやはり政府・与党ということで一体的に見られるんじゃないですか。ですから、何ら関係がないということじゃなくて、こうやってワシントン・ポストの、しかも社説にこういう形で掲載されれば、それなりに影響がありますから、何らかの対応が必要じゃないですかということを申し上げているんです。もう一度お答えください。

岡田国務大臣 政府としては、藤田議員の個人の意見に対して、これは全く政府の見解とは異なるわけで、それ以上に何か言いようもないといいますか、それは党の問題ですから、政府として、党の問題あるいは個人の問題にかかわるということは、それはできないと思います。

平沢委員 ということは、政府と与党は全くセパレートだということなんだろうと思いますけれども、しかし、こういった対応のときに、同じ与党ですから、与党のしかもそれなりのポストの人ですから、私はどうかなと。それなりの対応、政府としてやるなり、党に言って党の方できちんとした対応をさせるなり、これはやるべきではないかな。大臣だって与党の議員ではあるわけですよ。ですから、それは今、政府の大臣ですけれども、与党の議員でもあるわけで、私はそれはどうかなと思います。

 では、それはそのくらいにしまして、また同じ、今度は韓国の聯合ニュース、ワシントン、七日発ですけれども、この記事を見ますと、こういうことが書いてあります。日本の鳩山由紀夫首相が、日本の植民地時代の徴用、徴兵などの問題に対し順次補償していく用意があることを米議会の重鎮に非公式の場で示したと伝えられるというようなことが書いてありまして、言うまでもなく、この問題は、一九六五年の国交正常化のときに、日韓請求権協定によって完全かつ最終的に解決されている問題でございます。

 これは恐らく言っておられないと思いますけれども、ともかくこの記事が出まして、そして、これについては韓国のソウル新聞、これもまた一面それから社説に、この鳩山総理の発言を引用して書いているんですね。それから、韓国日報も報道しているわけでございまして、韓国の中でこういう形で報道されますと、当然のことながら期待はおのずから高まっていってしまうわけでございます。

 恐らく事実でないんだろうと思いますけれども、事実でないならないということで、しかるべき対応をされているのかどうか、そこをちょっとお聞かせください。

武正副大臣 お答えをいたします。

 まず、そのような事実はございません。また、報道内容について逐一抗議を行うことは考えておりませんが、八日の記者会見において官房長官から、政府として検討している事実はない旨、明確にお答えをしております。また、韓国政府に対しても、御指摘の報道のような事実はない旨、伝達をしております。

平沢委員 報道内容について一々対応しないというけれども、在外にいる大使館とか何かの仕事というのは、私もイギリスの大使館に勤務しましたけれども、報道で間違った記事があれば、それは訂正も含めてしっかり相手方に申し入れるのが大使館、外務省の仕事じゃないですか。報道が出た、我々だってそうですよ、これはみんな、議員方、新聞や雑誌に間違った記事が報道されたら、きちんと抗議して、場合によっては法的対応に訴えることだってあるじゃないですか。これはほっておくんですか。

 ですから、中身にもよりますよ。つまらない記事ならいいですよ。今回は、総理の問題でしょう。総理の問題が、しかも韓国の中で新聞に大きく引用されている、社説にまで書かれている。その問題について、今、副大臣は報道の問題に一々対応しないと言われましたけれども、そんな対応でいいんですか。やはりそれは、全然向こうが、反応がないようなあれだったらいいでしょう。聯合ニュースがそのまま韓国の新聞に大きく掲載されて、そして、報道を見ますと、韓国の中でそれなりに期待が高まっている。そんな報道が出たから、それで期待が高まっている。そんなのほっておくということでいいんですか。

 もう一度お答えください。

武正副大臣 先ほどもお伝えしましたように、韓国政府に対しても、御指摘の報道のような事実はない旨、伝達をしているというところでございます。

平沢委員 事実はないというのは、官房長官が聞かれて記者会見したというのは聞いていますよ。ということは、それ以外にも対応されたんですか。

武正副大臣 官房長官の記者会見は、先ほどお答えしたとおりでございます。

 そしてまた、韓国政府に対しても、そのような事実はないということを伝達しているということでございます。

平沢委員 では、韓国政府に対するその伝達は、いつ、どのようなルートでやられたんでしょうか。

武正副大臣 昨日、在京大使館に対して行いました。

平沢委員 昨日、在京大使館にやったと。これは、だれからだれにやったんでしょうか。

武正副大臣 日本政府から在京大使館、外務省から在京大使館に行ったということで、それ以上のお答えは差し控えさせていただきます。

平沢委員 いや、日本政府から向こうにやったというのはわかりますけれども、別に今までだって、外務省の例えば課長から向こうの公使に対して申し入れをしたとか、こんなもの隠すことでも全然ないですよ。今までだって、こんなことはいつでも、申し入れをしたときには明らかにしているわけですよ。

 今の副大臣の答弁を聞いていますと、何かこれは隠さなきゃならないように聞こえるんだけれども、隠すことでも何でもないですよ。今までだって、申し入れしたときには、だれからだれになんということはちゃんと言っていましたよ。ですから、ちゃんと答えてください。

武正副大臣 今メモが参りまして、お答えをさせていただきますが、外務省の書記官レベルから大使館に対し申し入れをしたということでございます。

平沢委員 いや、私が言っているのは、だれからだれに申し入れをしたんですかと。書記官とは、外務省の本省に書記官とはだれがいるんですか。外務省の本省に書記官なんていないでしょう。ですから、だれからだれに申し入れをしたのか。

 いいんですよ、対応したのなら。それは私は評価するんですよ。ただ、評価するんだけれども、確認させてくださいということなんですよ。

武正副大臣 お答えをいたします。

 外務省の課長から在京大使館の参事官に申し入れをしたということでございます。

平沢委員 わかりました。これは北東アジア課長でいいですね。

武正副大臣 そのとおりでございます。

平沢委員 それなら、最初からそう言ってくれればいいんですよ。何も隠すことでも何でもないわけで、時間が無駄になっちゃいますから。何か隠すようなことに聞こえますから。

 そこで、先ほど小野寺委員からいろいろ質問がありましたので、聞いていまして、ちょっとついでに、ついでとは語弊がありますけれども、せっかくですから聞かせていただきたいと思います。

 先ほど小野寺委員から竹島の問題が出ていましたけれども、大臣は三月五日の定例会見で、質問が出まして、竹島の問題についてこういう答弁をされています。竹島の問題については、韓国側と私も会う機会が多いわけですが、それぞれの立場、日本からいえば、これは日本の領土であるということについてきちんと主張するということであります、こういった答弁をされておられます。全くそのとおりだろうと思います。

 そこで、お聞きしたいんですけれども、二月十日、十一日、大臣は韓国に行かれまして、外相会談、通商部長官との会談などをされたわけでございますけれども、そのときに竹島の問題は出たんですか。そのときに竹島の問題について先方に話をされたんですか。それを教えてください。

岡田国務大臣 二月に私が参りましたのは、十日は夜に移動いたしましたので、十一日、一日でございます。

 そのときに、日韓外相会談において竹島問題に関するやりとりは行っておりません。竹島の領有権に関する我が国の立場については、さまざまな機会をとらえて韓国政府に伝えてきているところでございますが、このとき外相間で伝えたかと言われれば、伝えておりません。

平沢委員 日本としては、ぜひ竹島は、それは時間とかいろいろあったんでしょう、ただ、このときに外国人参政権は出ているんですね。それは向こうから言ってきたわけでしょう。こっちから出したわけじゃなくて、向こうから言ってきたわけでしょう、外国人参政権。ちょっとお答えください。

岡田国務大臣 今突然の御質問ですので、ちょっと私の記憶も定かではありませんが、私の理解ですと、外相間で出たというよりは、記者会見で記者に質問されたということではなかったかと思います。ちょっと定かではありません。

平沢委員 私、記録を見させていただいたら、外国人参政権については、記者からの質問に対して大臣はこういうふうに答えているんです。現在検討中であるということを韓国側に説明してまいりました、こういうふうに答弁されているんです。ということは、向こうから出たわけですね。ですから、現在検討中であると。

 ですから、韓国側との会談で、ぜひ日本側に言いたいという外国人参政権を向こう側から言われた。それに対して大臣は、検討中であるという答弁をされた。対して、竹島については全然申し入れをしない。

 だから、外国人参政権を向こうは言ってくる、あらゆる機会をとらえて韓国側は言ってくる、これは国益を踏まえて外交をやっているわけですから当たり前ですよ。それだったら、大臣も行かれたんですから、向こうは韓国人参政権を出してくる、こっちは竹島の問題を出す、そのくらいあってもしかるべきじゃないですか、もう一度。

岡田国務大臣 これはちょっと確認しないといけませんが、記者に聞かれたことは事実です。そして、そのときに私は、政府の中で検討中であるというふうに答えました。

 ただ、外相間で出たかどうかというのは、必ずしも記憶が定かではございません。

平沢委員 たしか外相会談の、ちょっとここに記録を持ってくればよかったんですけれども、大臣の定例会見のあれを全部読ませていただきまして、その中にたしか、記者から、これが出たかという質問があって、それについて検討中であるというような答弁をされたと私は記憶していますけれども、大臣、記憶にございませんか。

岡田国務大臣 今、確認をさせましたけれども、会談の中でも、確かに、向こうから、外相の方から、そういった外国人参政権の問題について期待感の表明というものはあったということであります。

 ただ、それをめぐって議論を長く交わしたりということはございません。相手方が主張した、それをこちらとして、どういうふうに答えたか私は記憶しておりませんが、検討中だという趣旨のことを恐らく言ったんだろうと思います。

平沢委員 いや、それは大臣の会見のときの記録に出ているんです。ですから、向こう側から外国人参政権についてぜひ実現してほしいという要請があった、それに対して大臣は検討中であるという答弁をされた。ですから、それはそれでいいんです。

 ただ、こういった機会をとらえて、必ず先方、相手国はいろいろな国としての要望を出してくる。であるならば、私は、竹島も、先ほど教科書の問題がありましたけれども、そういったことで余り引くことなく、いろいろな機会に主張すべきではないかな。向こうは外国人参政権を出してくる、こっちは竹島をどんどん出していく、こういうことがあってもいいんじゃないですか、どうですか。

岡田国務大臣 私も、避けているわけではないんですね。ただ、限られた時間の中で外相会談をやるときに、やはりそのときの主要なテーマは何か、そこの力点の置き方が変わるといいますか、重いものと軽いものと言うとちょっと言い方はおかしいですが、主として議論しなきゃいけないものというものがあることも事実であります。

 これは日韓ではありませんが、日中のヨウケツチ外相との議論も、私は四回やっておりますが、たまたま前回のときには東シナ海が主要なテーマになって、三十分の短い会談の予定だったんですが、一時間近く議論をすることになりました。したがって、ほかのことは余り触れる時間がなかったんですね。では、その前はガス田をやったかというと、そうではなくて、違うテーマをやっておりました。

 そういうふうに、何回も会う中で何に重点を置いて議論するかということが変わることは、これは御理解いただきたいというふうに思います。別に避けているわけでは、もちろんございません。

平沢委員 避けているとは思いませんけれども、外国人参政権について韓国側はあらゆる機会をとらえて言ってきているなという感じを受けるわけで、向こう側が言うのは勝手ですけれども、であるならば、やはりこちらもいろいろな機会をとらえて竹島問題は主張していくべきではないかなと思います。

 次、普天間の問題に入る前にもう一つ聞きたいんです。もう時間がなくなっちゃいましたけれども。

 この前、中国の国防費というのが出ていました。前年実績七・五%増というのが出ていまして、これは日本の国防費をも当然上回りまして、世界第二位のいわば軍事大国に中国はなっているわけでございます。一九八九年から二十一年連続で二けた台の伸びをしてきたわけでございますけれども、今回は七・五%、一けた台ということなんですけれども、しかし、昨年三月発表の当初の予算と比較しますと、これは一〇・七%、二けた台でございまして、異常に軍事費を伸ばしているなという感じがするわけでございます。

 この中国の軍事費が異常に伸びていることについて、大臣のお考えはいかがでしょうか。

岡田国務大臣 まず議論の前提として、どの範囲を軍事費として計上しているのかという問題もあると思います。そういったことについての透明性ということは非常に重要だと思います。そうでないと、伸び率だけ議論してみても、ベースの議論というのが、やはりきちんともう少し透明性を持ってなされなければいけないというふうに思います。

 一けたになったとはいえ、今までずっと二けたで伸びてきたというのは事実であって、私は、これだけの急速な軍事力の増強ということについて、より透明性を持って、そして説明してもらいたい、そういうふうに考えているところでございます。

武正副大臣 先ほどお伝えした件について訂正がございまして、もう一度正確にお伝えをさせていただきます。

 八日月曜日の午後、在京大使館崔参事官に対し、北東アジア課長から、そのような事実はない旨、伝達をしました。

 そして昨日、在京韓国大使館から再度照会があったので、北東アジア課担当者より在京韓国大使館書記官に対してさらに伝達をしたというところでございます。

平沢委員 副大臣、ありがとうございました。

 大臣が言われたそのとおりだろうと思いますけれども、中国は強大な軍事費と言っていますけれども、その透明性について必ずしも明らかでない。とりわけ研究開発費、これは莫大なものを使っているんじゃないかということが前々から言われていて、それでこれは、別に日米だけじゃなくて、いろいろな国が大変に関心を持っているというより、大変な不安感を世界各国抱いているわけでございまして、大臣にはぜひ、この中国の軍事費、これが異常にふえている、しかも公表された数字以外にも、その二倍、三倍の軍事費が使われているんじゃないかということも言われているわけでございまして、こういったことについてぜひ関心を持って、またいろいろな機会に中国側にこの透明性について言っていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 今までも、この問題をヨウケツチ外相と議論したこともございます。引き続き、私としては大きな関心を持っているということは伝えたいと思いますし、機会を見てしっかり議論していきたいというふうに考えております。

平沢委員 ありがとうございました。

 それで最後に、もう本当に時間がなくなっちゃいましたから、次の機会にまたしっかり聞きたいと思いますけれども、普天間の問題でございます。

 普天間は、一言で言えば迷走に迷走を重ねているような印象を受けるわけですけれども、三月中に政府案がまとまる、そして五月中に決着させる、こういうことでよろしいんでしょうか。これは政府で今、基地問題検討委員会でやっているんでしょうけれども、そういうことでよろしいんでしょうか。

武正副大臣 ちょうどこの月曜日に、第八回検討委員会が行われました。そのときに、官房長官が委員からの複数の普天間飛行場移設先に関する提案を受けたところでございます。

 この普天間移設についての政府の立場は、五月末までに具体的な移設先を決定する、当然、地元の理解を求めつつ、米国ともすり合わせをして移設先を決定するということ、以上また以下でもございません。

平沢委員 ということは、これは五月に最終的な結論を出すわけですけれども、その五月の最終結論というのは、もう一回確認させてもらいたいんですけれども、地元の合意を得る、あわせてアメリカの同意も得る。要するに、これは非常に難しいんですけれども、アメリカの同意、そして地元の同意、両方ともこれを並立させるというか、両方とも得るというのは、これは相反していますから極めて難しいわけです。ただ、地元の人たちは県外、国外という思いを持っているわけで、だからこそ、県議会もそれから名護市の方も、これを県内に移設することには反対ということを言っているわけでございまして、そういう中で、地元の方々の同意を得る、そしてアメリカも同意することは極めて厳しいという感じがしますけれども、五月までに結論を得るということは、アメリカも地元も、両方とも同意するということでよろしいですね。

武正副大臣 重ねて申し上げますが、本件については、安全保障上の観点を踏まえつつ、日米合意の重みや連立政権の政策合意を踏まえた上で、しっかり検討し、地元の理解を求めつつ、米国ともすり合わせをして理解を求め、政府として本年五月末までに具体的な移設先を決定するということでございます。

平沢委員 ということは、五月までにということは、今回、私もアメリカに行きまして、アメリカも五月までと、五月を過ぎたら、ウイ・キャント・ビー・ペーシェント・エニーモア、こういうことをはっきり言っていました。ですから、五月を過ぎたらもう待てないということでしょう。

 五月までに結論を出すということだろうと思いますけれども、大臣、もし五月までに結論が出なかったら深刻な事態になるということをどこかで大臣が発言されたと思いますけれども、この深刻な事態というのは、どういう意味で言われたんでしょうか。

岡田国務大臣 五月末までにということを鳩山総理は何度も国会の場でも明言しておりますし、アメリカ政府もそういうふうに受け取っております。ですから、その約束が果たされないということは、やはり日米間の信頼関係にとって私は大変重要なことになりかねないということを申し上げたところでございます。

 そうならないように、しっかりと五月末までに結論を出してまいりたいというふうに思っております。

平沢委員 ということは、大臣、まさにそのとおりだろうと思います。五月を過ぎたら、これは日米関係に大きな亀裂が生じかねない。日米同盟にもいろいろな意味で影響が出てきかねない。要するに、日米同盟というのは、単に安全保障だけじゃなくて、経済とかいろいろな分野があるんですけれども、そういった日米間のいろいろな分野にも影響が出かねないということだろうと思いますから、五月までに結論は出さなければならない。

 その中で、地元の合意、そしてアメリカの理解も得るということで、これから作業をやられるんだろうと思いますけれども、アメリカの同意を得るというのも、地元の同意を得るというのも、両方とも難しいんですけれども、例えば、今出ている辺野古の陸上案、キャンプ・シュワブの陸上案、これはそういう方向で今行っているんでしょうか、どうですか。まだそれは未定なんですか。

武正副大臣 普天間飛行場の移設先については、現在、委員会において、特定の前提を置かずにゼロベースで幅広く検討しているところであります。

 この月曜日に、またそれぞれ委員から候補先案というものが出され、こうしたことについて、先ほど触れましたように、ゼロベースで検討ということでありまして、特定の移設先案についてコメントすることは差し控えたいと思います。

平沢委員 ということは、特定の移設先ということは、今の普天間が現状のまま継続するということはあり得るんですか。それともう一つ、今までの二〇〇六年の日米合意の沖合案というのはあるんですか。

 今の特定のはなくて、いろいろなオプションをこれから考えるわけでしょう。そのオプションの中に、普天間の継続使用ということはあり得るんですか。それと、今までの二〇〇六年の日米合意に基づいたキャンプ・シュワブの沿岸に移設するという案はあり得るんでしょうか。

武正副大臣 繰り返しになりますが、ゼロベースで幅広く検討しているということでありまして、特定の移設先案、あるいは今の普天間のことも含めて、コメントすることは差し控えたいと思います。

平沢委員 要するに、まさか普天間を継続するということはないということで、特定のということを言っていますけれども。

 そして、今の話を聞いていますと、もともとの二〇〇六年の日米の合意に戻るというか、そこに戻るということもあり得るんでしょうね。いいんでしょう、副大臣。

武正副大臣 何度も繰り返しますが、ゼロベースで検討しているわけでございますので、ロードマップも含めて、すべて含めてゼロベースでの検討ということでございます。

平沢委員 ゼロベースといったって、もう、五月ですよ、それで三月中に政府としての方向性を出すと言っているんですよ。

 それで今、ゼロベースということは、では、県外ももちろんあるわけでしょうけれども、県外だ、国外だ、沖縄県内だ、これはあらゆるところがあるわけですけれども、時間的に、これからゼロベースで見直すということを言っていて、三月末まであともう数週間しかないですけれども、それで結論が出せるんですか。

武正副大臣 政府として、五月末までに、先ほどの移転先を決定するということでありますので、日々しっかりと取り組んでいくということでございます。

平沢委員 それで、これは例えば、官房長官が若干言及していますけれども、地元の合意を得ないで法的措置でやるというようなこともあり得るんですか。例えば、地元の意向は最大限尊重し、地元の理解を得られなければやらないということなんですか、場合によっては地元の理解がなくてもやるということなんでしょうか。

 きのう、テレビを見ていましたら、岡田大臣は、たしか、外交は国民の理解と信頼なくしてはできないということを言っておられました。全く私はそのとおりだと思うんです。今回のこの移設先についても、地元の方の理解とか協力なくしてはこれは進まないと思うんです。

 大臣にお聞きしたいんですけれども、この移設先については、地元の理解とか協力とか、そういったものがなくして進めるということは絶対にないのかどうか、これについてちょっとお聞かせいただけますか。

岡田国務大臣 地元の皆様の理解、そして信頼、そういうものを損ねないように進めていく必要があるというふうに思います。

平沢委員 それはそのとおりなので、まさか地元の、もうちょっと聞きたかったんですけれども、もう時間がなくなりましたので次の機会にしますけれども、私も地元の名護に行きまして、いろいろな方とお会いしますと、地元の方が言っておられたのは、本当に政府は大丈夫なんだろうか、地元の意向を無視してやるんじゃないかと。

 それから、次に聞かせていただきますけれども、大臣が昨年、十一月と十二月、沖縄に行かれました。十二月に行かれたときに、いろいろな対話集会というか、地元の方の意見を聞く会を開かれたようですけれども、そこに呼ばれなかった方はえらい怒っているんですよ。地元の有力者で、地元で何で自分に聞いてくれないんだ、自分の意見も言いたかった、そういう方もおられまして、だから、特定の方だけ意見を聞かれたというふうに、少なくとも私がいろいろな方にお会いした中で、そういう声を随分聞いたわけでございますけれども、これについては大臣、では、何かコメントがありましたら。

岡田国務大臣 いろいろな方の意見を聞くときに、どういう方にお集まりいただこうかということは考えました。なかなか、たくさんの方に来ていただくといっても限界がありますが、あのときには百五十人ぐらいの方でしたか、そこは私は、一つのやり方として、我が党所属議員にお願いして集めていただくということにいたしました。したがって、あの名護の会場でお話を聞いたときには、私は、外務大臣として聞かせていただいたのではなくて、そういう立場を離れて聞かせていただくということにいたしまして、したがって、公用車なども使わずに、その現場に行き、次の会場まで行ったということでございます。

 したがって、どうしても、反対派の方が集まった、そういう趣はございました。賛成派の人の意見を聞く機会は、そのときにはなかったというふうに考えております。

平沢委員 もう時間が来たから終わりますけれども、名護は、例えば賛成した方も、苦渋の決断で今まで賛成していたんです、推進していたんです。その方々の中の代表というのは、あそこは行政区になっていますけれども、例えば辺野古区とか、久志区とか、豊原区とかという行政区がありまして、その区長さん、苦渋の決断で今まで賛成してきた。陸上なら絶対反対だけれども、沖合ならばということで賛成してきた。我々も意見を言いたかった、しかし、大臣が来られたけれども、一切その場を設けてくれなかった、大変に残念でならないということを強く言っておられましたので、もし今後、また行かれるでしょうけれども、そういうときは、幅広く、バランスをとった形で、大臣なんですから、ぜひ聞いていただきたいなということを申し上げて、時間が来ましたので、質問を終わらせていただきます。

鈴木委員長 次に、高市早苗君。

高市委員 自民党の高市早苗でございます。

 外務委員会で質問の時間をちょうだいいたしまして、同僚議員の皆様にまずは感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 二月九日の衆議院予算委員会で、外国人参政権の問題について議論を進めさせていただきました。そのときに岡田外務大臣とは議論をするチャンスがなかったので、きょう冒頭に少し、短くこの問題についてお話をしたいと思います。

 岡田外務大臣は外国人参政権には賛成の立場でいらっしゃることを承知いたしております。議員連盟の会長でもいらっしゃいましたし、それからまた、民主党の結党時の基本理念、基本政策をおつくりになるとき関与をされていたということ、岡田外務大臣のホームページにも書かれております。

 鳩山総理大臣は、外国人参政権付与に関しまして、一月十二日の、これは記者団に対してでございますが、日韓併合百年というタイミングでもあるということでいろいろと検討している最中と理解しているというふうに話されております。

 この在日韓国人への参政権付与と、総理がおっしゃった日韓併合百年というタイミングというのは、ある程度関連づけて考えるべきだと岡田外務大臣は思われるかどうか。それから、仮にことし永住外国人地方参政権付与法案というものが成立しなかった場合に、韓国との外交にどのような影響が出ると考えられるのか。以上二点、お伺いいたします。

岡田国務大臣 まず、永住外国人参政権の問題、つまり外国人地方参政権法の問題については、現在、政府の中で、あるいは政党間、与党間でいろいろ議論を行っているところでございます。

 私の基本的立場というのは委員が先ほど言われたとおりでありますけれども、今私は閣内において閣僚の一人でありますので、私個人の意見を申し上げることは控えているところでございます。これは内閣の方針に従ってやるということであって、余り個人的な意見は言わない方がいいというふうに思っております。

 さて、この法案と外交の関係ですが、韓国政府からは、この法案に対する期待感というものが表明されていることは事実であります。それに対して、私は現在、政府を中心に検討しているところであるということを説明している状況でございます。

 韓国政府の期待感というのはあるというふうに思いますが、それ以上のこと、できなかったらとか、できたらとか、そういう仮定の議論は余りしない方がいい、政府としてきちんと方針を決めた上で、いろいろこの場でも論じていただきたいというふうに思います。

高市委員 はい、わかりました。

 この永住外国人地方参政権付与法案が仮に成立いたしますと、主管大臣となりますのは原口総務大臣であると思います。原口総務大臣は、一月十四日、日本外国特派員協会で、自分の意思に反して日本に連れてこられた人が地方での投票の権利を持つのは日本の国家として大事なことだと発言された旨が報道されています。また、仙谷国家戦略担当大臣も、一月十五日の大臣記者会見で、戦前の植民地侵略の歴史があり、その残滓としての在日問題がかかわっている、その方々の権利保障を十二分にしなければならない、地方参政権も認めていくべきだと発言されております。

 鳩山総理初めこれらの閣僚の御発言から、鳩山内閣が在日外国人への参政権付与を実現しようとされている背景には、主に日韓併合など歴史的経緯が根拠として存在するということが明らかでございます。

 きょうは、渡辺総務副大臣、お見えでしょうか。ありがとうございます。

 副大臣は、自分の意思に反して連れてこられた人が地方での投票の権利を持つのは日本の国家として大事なことだという原口大臣のお考えに賛成でしょうか。

渡辺副大臣 外国人の特派員協会で原口大臣がどのようにお話をされたかということを、私は現状、つまびらかに記憶しておりませんので、ここではお答えをすることができません。ということでございます。

高市委員 では、今私が申し上げたことについてはどうでしょうか。原口大臣がどうおっしゃったということよりも、この外国人参政権の問題をいわゆる強制連行とされることと関連づけて考えている、こういう考え方についてはどうでしょうか。

渡辺副大臣 そこの歴史的ないきさつについて、今、日本に残っているいわゆる在日の方々の点についての見解、これは総務省としてどうこうということはここでは述べません。

 ただ、平成七年の二月二十八日に最高裁で判決をされた、あの判決の要旨を我々も当然何度も読んでおりますし、また、総務省の中でも、外国人の参政権、この問題については、地方参政権については、委員がもう何度も国会で議論をされております、その点につきまして、私どもとしては、さまざまな論点を今まとめているというところでございます。

高市委員 どうもよくわからない答弁でございましたけれども、少なくとも鳩山内閣におきまして複数の閣僚の方が、日韓併合によって同じ日本人として戦時徴用されて内地に来られた朝鮮人の方々の存在、今残っていらっしゃる方々の存在というものを外国人に参政権を付与すべきだというその必要性の根拠にされていることは確かでございます。

 そうしますと、いわゆる強制連行というものが実際に行われたのかどうか、そしてまた、その徴用された方々が帰国できなかった、自分のふるさとに帰れなかった、そして残っていらっしゃるということについて、事実関係というものを国として明らかにし、その上で結論を出していくということも必要であると私は思います。それを外国人参政権付与の根拠とされる閣僚が複数いらっしゃる、また、総理も日韓併合百年ということをおっしゃっている、そういった事実がある限りは、この歴史的な経緯を解明していくということも大事だと思っております。

 きょう委員の皆様に、また答弁席の皆様にもお配りをしているかと思いますが、先日外務省からちょうだいしたんですけれども、昭和三十五年二月外務省発表集第十号というものがお手元にあるかと思います。少し長いんですけれども、読み上げさせていただきます。

  第二次大戦中内地に渡来した朝鮮人、したがつてまた、現在日本に居住している朝鮮人の大部分は、日本政府が強制的に労働させるためにつれてきたものであるというような誤解や中傷が世間の一部に行われているが、右は事実に反する。実情は次のとおりである。

ということで、次の事項を挙げています。

  一九三九年末現在日本内地に居住していた朝鮮人の総数は約一〇〇万人であつたが、一九四五年終戦直前にはその数は約二〇〇万人に達していた。そして、この間に増加した約一〇〇万人のうち、約七〇万人は自から内地に職を求めてきた個別渡航と出生による自然増加によるのであり、残りの三〇万人の大部分は工鉱業、土木事業等による募集に応じて自由契約にもとづき内地に渡来したものであり、国民徴用令により導入されたいわゆる徴用労務者の数はごく少部分である。しかしてかれらに対しては、当時、所定の賃金等が支払われている。

  元来国民徴用令は朝鮮人のみに限らず、日本国民全般を対象としたものであり、日本内地ではすでに一九三九年七月に施行されたが、朝鮮への適用は、できる限り差し控え、ようやく一九四四年九月に至つて、はじめて、朝鮮から内地へ送り出される労務者について実施された。かくていわゆる朝鮮人徴用労務者が導入されたのは一九四四年九月から一九四五年三月までの短期間であつた。

一九四五年三月以降は、往復する便が途絶していたということで、導入が事実上困難であったということも書かれております。続いて、

  終戦後、在日朝鮮人の約七五%が朝鮮に引揚げたが、その帰還状況を段階的にみると次のとおりである。

ということで、次の事項を挙げております。

  まず一九四五年八月から一九四六年三月までの間に、帰国を希望する朝鮮人は、日本政府の配船によつて、約九〇万人、個別的引揚げで約五〇万人合計約一四〇万人が朝鮮へ引揚げた。右引揚げにあたつては、復員軍人、軍属および動員労務者等は特に優先的便宜が与えられた。

  ついで日本政府は連合国最高司令官の指令に基づき一九四六年三月には残留朝鮮人全員約六五万人について帰還希望者の有無を調査し、その結果、帰還希望者は約五〇万人ということであつたが、実際に朝鮮へ引揚げたものはその約一六%、約八万人にすぎず、残余のものは自から日本に残る途をえらんだ。

その後、ちょっと北朝鮮関係の方のことを書いてあるところを飛ばします。

  こうして朝鮮へ引揚げずに、自からの意思で日本に残つたものの大部分は早くから日本に来住して生活基盤を築いていた者であつた。戦時中に渡来した労務者や復員軍人、軍属などは日本内地になじみが少ないだけに、終戦後日本に残つたものは極めて少数である。

  すなわち現在登録されている在日朝鮮人の総数は約六一万であるが、最近、関係省の当局において、外国人登録票について、いちいち渡来の事情を調査した結果、右のうち戦時中に徴用労務者としてきたものは二四五人にすぎないことが明らかとなつた。そして、前述のとおり、終戦後、日本政府としては帰国を希望する朝鮮人には常時帰国の途を開き、現に帰国した者が多数ある次第であつて、現在日本に居住している者は、前記二四五人を含みみな自分の自由意志によつて日本に留つた者また日本生れのものである。したがつて現在日本政府が本人の意志に反して日本に留めているような朝鮮人は犯罪者を除き一名もない。

というものでございました。

 これは外務省の報道用資料でございます。外務省発表集について、その位置づけを確認いたしましたら、そういうことでございます。

 もし、この記載が正しければ、いわゆる強制連行と呼ばれる事実がなく、同じ日本国民としての戦時徴用と呼ぶべきであるということ、それから、昭和三十五年時点で戦時中に徴用労務者として日本内地に来られた方が二百四十五人にすぎず、原口大臣がおっしゃった強制連行論というのは、四十六万九千四百十五人も現在おられる永住韓国人への参政権付与の根拠とはなり得ないこと、そしてまた、日本政府として、特にこの戦時徴用者を優先して、韓国に帰還したい方々の帰還支援を行っていたということが示されたと言えると思います。

 そこで外務大臣に伺います。

 外務大臣は、その歴史的経緯にかかわらず、すべての永住外国人への参政権付与を目指される立場だとこれまでの御発言から私は推測をいたしておりますけれども、複数の閣僚がこの強制連行論を参政権付与の必要性の根拠にされているので、この昭和三十五年二月の外務省発表集第十号の記載というのは現在も有効なものなのか、それとも無効なものなのか伺います。

岡田国務大臣 今委員御説明いただいたこの資料の性格というのは、ちょっと今、急に聞かれても、私、把握しておりませんので、わかりません。

 外務省発表集第十号と書いてありますので、外務省が関与した資料であることは間違いないというふうに思いますが、これが現在の外務省の考え方を示すものであるのか、その後、異なる見解があったのかなかったのか、そういうことについては、突然の御質問ですので、私は把握しておりません。

高市委員 これは日本の名誉や国益にかかわることでございます。この外国人参政権の問題だけではなくて、過去の経緯というものや事実関係がどうだったのか、当時の調査ではこうであったけれども、それが間違っていたのか間違っていないのか、やはりこういったことというのはこれからもさまざまな局面で国益にかかわってくることだと思いますので、資料の請求をさせてください。

 この外務省発表集というのは、昭和三十五年の上半期からは外務省公表資料集と合併して外務省公表集となりました。発行元は外務省情報文化局でございます。昭和五十九年から発行元が外務省大臣官房報道課に移りまして、それから、現在はプレスリリースという形になっております。外務省発表集の記事資料とも書いてございますが、これは、外務省としての正式発表のうち、外務報道官としての公式見解等を表明する場合及び外務省より正式発表を行うものという位置づけであると理解をいたしております。

 きのうの夕方からも外務省の方に問い合わせをいたしましたし、また、外務省のこの資料の位置づけということに関するお答えとともに、国会図書館にも確認をいたしましたので、今私が申し上げた位置づけは間違っていないと思います。

 もしもその後、政府としての調査内容また見解というものに変更があるのであれば、またこれは重要なことでございますので、ぜひとも資料の提出をお願いしたいんですが、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 先ほど言いましたように、突然のお尋ねでありますのでこの場でお答えすることはできませんが、その後、これに類するものあるいはこれと異なるもの、そういうものがあるのかどうか調べて御返事したいと思います。

高市委員 どうもありがとうございます。

 それでは、調べていただいて、もしこれと全く異なる見解を発表されていたり修正されていた場合にはお知らせをいただきたいと思います。

 私は、当時、帰国したかったけれども、日本政府が帰国の希望を聞いたりいろいろしたけれども、やむない事情があってどうしても帰国できなかった、しかし今は帰国をしたいという方がいらっしゃるのであれば、日本の参政権を付与するよりは、政府として帰国支援を行うのが筋だと思っております。

 そしてまた、サンフランシスコ平和条約を根拠にされる御意見も閣僚内におありでございます。これも原口総務大臣なんですが、平成二十二年一月三十日、読売テレビでの御発言です。さまざまなところに報道されていますので副大臣も御承知かと思いますが、サンフランシスコ平和条約で日本国籍を離脱しなければならなかった特別永住外国人への付与とそれ以外の人では全く議論が違うという発言でございます。

 渡辺副大臣は、こういった考え方に賛成されますか。

渡辺副大臣 読売テレビの番組についても、私も見ておりませんけれども、今委員から御指摘がありましたような、永住外国人とそしていわゆる一般の在住外国人、この点について大臣がどういうお考えを持っているのかということにつきましては、いろいろお話はしておりますけれども、今現在、ここで大臣のお考えをどうこうと述べる立場にはございませんので、そこのところは御理解いただければと思います。

高市委員 副大臣は、御自身の考え方というのは全然ないんでしょうか。こういった考え方についてどう思われるかということを伺いましたが、ございませんか。

渡辺副大臣 私の政治信条につきましては、もうこれは委員も御存じのとおりだと思いますが、個人的な意見は、きょうは総務省の副大臣という形で答弁席に座っておりますので申し上げませんけれども、私の政治信条は御理解をいただいているものだというふうに御判断いただければと思います。

高市委員 それでは、これから外国人参政権問題の主管の役所としていろいろと詰めていかれるお立場でございますので、私なりの考え方をお伝えして、ぜひとも御一考いただきたいと思っております。

 サンフランシスコ平和条約が発効する直前に、法務府民事局長通達というものが出ております。昭和二十七年四月十九日でございます。これは、「条約発効後に、朝鮮人及び台湾人が日本の国籍を取得するには、一般の外国人と同様、もつぱら国籍法の規定による帰化の手続によることを要する。」と記載されております。つまり、サンフランシスコ平和条約が発効してしまいますと、それをもって、それまで日本国籍であった朝鮮人、台湾人の方々は日本人ではなくなってしまいますので、その後国籍を取得するのは、ほかの国の外国人と同じような手続をとれますということが書いてあるんですね。ですから、みずからの意思に反して条約の発効によって日本国籍を奪われたけれども日本人に戻りたいという方については、その道は閉ざされていなかったわけでございます。

 私自身は、戦争が繰り返された不幸な時代にみずからの国籍を変更しなきゃならなかった方々が民族としての誇りを傷つけられた、そしてまた住みなれない土地で多くの困難に直面されたであろうということは、日本人として深く思いをいたさなければならないことだと考えております。

 しかし、日本国籍を離脱しなければならなかったが日本人でいたいというような方々については、原口総務大臣がおっしゃるように外国人としての限定的な地方参政権を認めるよりも、日本人として国政参政権まで得ていただける帰化を勧めるのが順当だと考えております。ぜひともこの点をお伝えください。

 先ほど来、原口大臣が示された二つの論拠というものについて、私の考えも申し上げました。その外務省の発表集の資料もあわせてお渡しいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、がらっと話題をかえまして、普天間の問題に移らせていただきます。

 まず、この問題も、三月一日に予算委員会の第一分科会で議論をさせていただいたんですけれども、北部振興事業予算というものがございます。これは、平成十二年度以降、名護市など沖縄県北部地域に対して年額約百億円に及ぶ事業費をつけてきたもので、平成十二年から二十年の間に、国費約六百九十四億円の事業実績となっております。

 この北部振興事業の根拠でございますけれども、今横に安倍元総理がお座りでございますが、私自身、安倍内閣で沖縄担当大臣を務めておりました。当時の政府の根拠でございますが、この大きな規模の予算を沖縄県の北部地域につけるというのは、県土の均衡ある発展のための事業であるとともに、普天間飛行場の移設に係る協議が円滑に進む状況のもと、政府が着実に実行するという、政府と地元の合意に立脚をいたしておりました。

 この予算は鳩山内閣でも引き継がれて、平成二十二年度の予算でも、公共事業三十五億円、非公共事業三十五億円、合計七十億円を計上しているものの、この予算の根拠というのは大きく変化をいたしております。

 前原沖縄担当大臣は、基地問題と振興策はリンクさせないということを記者会見でもおっしゃっていますし、衆議院の予算委員会でもこの趣旨の答弁をしておられます。つまり、普天間の代替施設の受け入れの協議というものが全く進行しなくても、沖縄県の北部地域には特別の大型振興予算がつくということになったんですね。

 きょうは泉政務官が内閣府からおいでだと思いますが、この沖縄県の地域振興の必要性というのは私も十分理解しています。これは、沖縄県が長く日本国政府の施政下になかったこと、それから米軍基地の集中によって土地の利用に制約があるといったことから特に必要だということは理解するんですが、それならば何で沖縄県の北部だけなのか。北部のみならず、中部も南部も同様だと思います。沖縄振興計画によるさまざまな施策は理解していますよ。しかし、なぜこの北部地域には、基地問題と完全に分離した特別な大型予算をつけていくことになるのかということが一点。

 それから、振興というのは限りないです。ここまで達成したらもう十分かといったら、いろいろな要望は出てくると思います。どういう状態になったらこれは終わるのか。例えば、失業率とか税収で何か数値目標を考えておられるのか。何年間、この北部地域に限った、基地問題と全く切り離した大型予算というのはついていくのか。

 以上二点、お願いいたします。

泉大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 特に、高市委員が大臣のときに、いろいろな経過、難しさの中でこの普天間の問題にも取り組まれて、そして北部に思いをいたしてこういった予算がスタートをした、北部振興がスタートをしたということを私も承知をしております。

 そういう中でスタートをした北部振興でありまして、十年たったわけですけれども、一つは、基地問題とのリンクということについては、先般前原大臣がお話をされたように、基地とは切り離した形で北部振興策は推進をするという答弁がございました。これは、沖縄担当大臣として、現在の北部というものを、振興策を一定期間やってきた姿を見たときに、今現在も、例えば給与水準というのは中部や南部に比べて低いという状況がございます。引き続き、この北部の生活環境あるいはインフラ、まだまだ厳しいところがあるということで、北部振興というものはやはり別途必要であろうということを考えているということでございます。そういった意味で、この北部振興は、引き続き、基地とは切り離した形でやっていかなくてはいけない、そういうことです。

 北部振興に今後何年、あるいはどういう最終的な理想的な姿があってということについては、今、時期を区切ったり、あるいは何が何%改善をしたらというふうにはしておりません。

 しかし一方で、先ほど言いましたように、水準を見ると、北部地域がほかの地域に比べてまだ低いということもございます。一方で、北部振興は続けていくんですが、例えば十分の九という補助率については、今回、十分の八という、沖縄一般の地域と同様にさせていただきました。

 ですから、ある種、これまで、高市委員がかつて大臣のころから取り組まれてきた北部振興においては、これを仮に第一期ととらえるのであれば、この十年間で一千億円という額が投資をされて、一定ハード面は整備をされてきた。そういう意味では、引き続き同種のハード面をさらに整備をしていくという考え方だけではなくて、よりソフトの側の支援もしていかなくてはいけない。工場はできたけれども、例えば販路が開拓されていない等々考えると、補助率を落としてもしっかりと目を向けていくという意味でこういった北部振興については考えているということです。

高市委員 これはもう北部振興をリンクさせない、基地問題とは一切リンクさせずに続けていくということで理解をさせていただきます。

 前原大臣ですけれども、三月五日の閣議後記者会見で、普天間移設先と地域振興策について、次のように発言されています。支援をするから受け入れてくれというのは、何か札束でほっぺたをひっぱたいて、お金を用意したから引き受けてくれという極めてぞんざいな、また不敬なやり方だと思いますとされています。これはリンク論の明確な否定ですね。お金をやるから基地を受け入れてくれ、これはだめだということをおっしゃっています。

 ただ、続けて、受け入れていただいたことに対する感謝の意味を込めて何らかの経済振興策を考えるということは私はあり得るのではないかと思っておりますとおっしゃっています。これは順番の話をされているんですね。基地を受け入れる前にお金を渡したら、これは札束でほっぺたをひっぱたくことだけれども、基地を受け入れてくれた後でお金を払うんだったら、それは感謝の気持ちだ。

 ようわかりません。だって、普天間基地の移設先はまだ決まっていないんですよ。決まっていない段階でそれを先に大臣が言っちゃったら、では受け入れたら何かお金が来るんだねということを宣言しているに等しいので、私は、このような見解を今の段階で開陳されるというのは、まさに前原大臣そのものがリンク論をおっしゃっているということに変わりないと思っております。

 この発言というのは、沖縄県や沖縄県の地元市町村に大きな誤解を与えております。既に、ああ、これはやはり県内なのかなというような声もこの発言を受けて上がっておりますので、発言を撤回すべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。政務官。

泉大臣政務官 当然、私が大臣の言葉を撤回することはできないわけです。ただ、趣旨は、沖縄振興の担当大臣という形で、沖縄の視察を何度もしたり、あるいはさまざまな関係者と協議をしてきた、そういう中で、誠意の尽くし方というのは、いろいろな方によって、恐らくいろいろな価値観で変わってくるところもあると思うんですが、少なくとも前原大臣は、まず最初に支援策なり振興策を事前に提示をして、それで受け入れるかどうかということを判断していただくようなことではなくて、あくまで、受け入れをすると言った、これは沖縄に限らず、日本全土において受け入れをしてくれるというふうなことを言ってくださったところに対しては、感謝の意を示して、一定の何かしらの支援を当然行っていくべきではないかという考え方でありまして、ここは沖縄に限らずということを大臣の信条としておっしゃったということでございます。

高市委員 沖縄に限らず、受け入れたところに支援をしていくということでしたら、駐留軍の再編の円滑な実施に関する特別措置法、防衛省のものでございますけれども、ございますね。これは、在日米軍の再編により負担のふえる市町村を指定し、防衛省が再編に向けた措置の進捗状況に応じて再編交付金を交付するというものでございますから、まさにおっしゃったように、沖縄県に限らず、基地を受け入れてくれたところに対して経済的な支援をするもの、既にあるじゃないですか。

 そうしますと、前原大臣の発言、今の政務官の説明では、鳩山内閣は、この防衛省の再編交付金とは別に、また新たに、米軍基地受け入れ市町村に事後的な経済支援金を支払うような制度をつくると考えているように受け取れます。それだったら本当にこれは無駄なことで、防衛省の再編交付金の増額で十分なことでございます。

 鳩山内閣というのは、縦割り行政の無駄を省く方針じゃなかったんでしょうか。いかがでしょうか。

泉大臣政務官 私も、この件で御質問をいただいて、少し調べさせていただいて、正直申しまして、確かに、内閣府の沖縄部局と防衛省の沖縄に対するアプローチの考え方というのは、そこは過去もずっと違った部分があったんだと思います。防衛省としては、再編問題の交付金というのがあって、それを執行してきたという事情があるでしょうし、少なくとも内閣府の沖縄部局においては、振興ということは、基地問題だけではなくて、先ほど委員おっしゃったような歴史的な経緯や地理的な条件というものも含めた振興策なのでということで振興策を別途つくってきたということでありますので、そこは少しお金の出し方にはやはり違いがあるのかなということは認めざるを得ないと思います。

 ですので、今後、振興において、資金をさらに、例えば基地を受け入れるということを表明されたところに対して資金を出していくということになるとすれば、それはあくまで沖縄振興という観点からこの資金が出されるということでありますので、再編交付金のような、その市町村のみに、あとは使途は自由にするだとか、その辺のことも含めて、考え方というのは多少違いがあるんじゃないかなと思います。

高市委員 それでは、松野副長官に来ていただいていると思いますので伺いますけれども、こんなふうに、前原大臣がおっしゃるように、県内、県外問わず、全国的に振興策と基地問題をリンクさせない、こういったことが鳩山内閣の考え方であるのであれば、もろにリンク論に立脚した防衛省の特別措置法、これを廃止すべきだと思います。いかがでしょうか。

松野内閣官房副長官 この件について私が答弁するのが適切かどうかわかりませんけれども、今、泉政務官が御答弁させていただいたように、振興策と基地の問題というのはリンクさせないというのが、一応、内閣の方針でございます。

高市委員 内閣の方針なんですね。つまり、基地問題と振興策はリンクさせない。それは、全国的にさせないというのが内閣の方針だったら、もろにリンクしている防衛省の特別措置法の交付金はおかしいんじゃないかということを伺っているんです。仮に沖縄県限定でリンクさせないということだったら、今度は、この防衛省の特別措置法を法改正して沖縄県を適用除外にしなきゃいけないんですよ。どっちですか。要は、縦割り行政の弊害というものをなくすとおっしゃっているんですから、そこをお答えください。

松野内閣官房副長官 今、内閣の方針というのは少し言い過ぎたかというふうに思っておりますけれども、とにかくこの基地問題、沖縄の基地問題と北部の振興策とはリンクをさせていないというのが今までの私どもの見解でございます。

高市委員 それからもう一つ、外務省が今、沖縄県に沖縄大使というものを設置されています。この沖縄大使というのは、在沖米軍に係る事項について、地元市町村の意見、要望について政府に伝えるということとともに、米軍との調整、連絡をすることが職責であると聞いております。

 ところが、一月末に内閣官房に沖縄連絡室というのが設置されて、これも沖縄の基地問題や振興策について地元自治体と調整するための組織だと平野官房長官はおっしゃっています。だから、特にこの基地問題についての地元自治体との調整という平野官房長官が言われた沖縄連絡室の役割というのは、沖縄大使の役割と重複しているんですね。

 そのほかにも、地域振興ということを考えますと、内閣府には既に沖縄総合事務局というのが存在していて、これも沖縄振興策を推進する総合出先機関として機能をしています。だから、私は、この沖縄連絡室を新たに設置する意味というのはほとんどないんじゃないかと思うんです。

 岡田外務大臣にまず伺いますが、沖縄大使がしっかりと機能していたら、まず、沖縄連絡室というものの業務から沖縄県の基地問題ということを除く、振興策だけにするということも可能だったんですけれども、この点について、外務大臣はどうお考えでしょうか。

武正副大臣 高市委員にお答えをいたします。

 これは、たしか沖縄サミットのころにこの沖縄大使というのが設けられたと承知をしておりますが、沖縄に米軍基地、占有面積の七五%が集中をしている、こういったこと、また、基地に関するさまざまな負担を沖縄県民の方々が受けておられる、そうした中で、米軍あるいは米政府に対してのそれぞれの自治体あるいは県民の皆さんのいろいろな要望、こういったものもやはり外務省としてしっかりと受けとめていこうというような趣旨から沖縄大使というものが設けられたというふうに承知しております。

 今回の、平野官房長官のもとのこの沖縄連絡室、設置をされておりますけれども、メンバー的にも、外務省の沖縄大使のもとに行われているメンバーとも併任というような形もとりながら、いわゆる二重で、二重行政というかダブるようなことがないような形でしっかりと担保をされているというふうに承知をしております。

高市委員 そもそも沖縄大使の機能というのが、米軍に係る事項について市町村の意見を聞いて政府に伝えることなんですね。沖縄大使の月収、大体九十三万八千円から百二十万七千円。月収ですよ。これが無駄になっちゃうんです。

 つまり、大使がいるのに、大使の任務である沖縄情報が官邸に入らない、米軍との情報についても官邸に上がらないんだったら、大使の存在意義というのはないんじゃないでしょうか。いかがですか。

松野内閣官房副長官 お答え申し上げます。

 防衛省の沖縄防衛局は、沖縄における米軍基地を含む防衛施設に関するための事務を行う防衛省の機関という位置づけだと認識をしてございます。そしてまた、外務省の沖縄事務所は、沖縄県からの設置要望を受けて、米軍にかかわる問題について地方公共団体の意見を聴取し、在沖縄米軍と連携、調整を行うための外務省の機関というふうに認識をしてございます。

 今回、私ども内閣官房が置きました沖縄連絡室、これは異なる機能、役割を果たすもので、直接沖縄県民の皆さんの声を官邸がなるべく聞きたいという思いで設置をする機関だというふうに認識をしてございます。

高市委員 それだったら、外務省、防衛省の設置した地元の窓口がしっかりと官邸に対して声を届けているべきなんですよ。

 それから、官邸では別途さまざまな審議会もございますね。沖縄関係だけでも、例えば沖縄振興審議会などもございます。また、沖縄政策協議会というものもございます、沖縄基地問題検討委員会というものもございます。例えば沖縄振興審議会のメンバーには、知事も入っていれば、県や市町村議会の代表も入っている、市町村長の代表も入っている、地元産業界も入っている、こういったところで官邸に直接声が届くこともある。

 大使というのは、直接これは総理に声を届けられるものなんじゃないでしょうか。どうも鳩山内閣になりましてから、松野官房副長官の答弁もありましたけれども、物すごく無駄な組織を新たにつくろうとしている。いろいろな組織が、それぞれ果たしている機能が重複しているんですね。この辺を一回きちっと整理されるべきだと私は思っております。

 どう考えても、沖縄総合事務局があるのに、別途この振興政策についての窓口をつくるというのもおかしいし、今まで総合事務局長だって何度だって上京されていますよ。東京に時々来られていますよ。これで声が届かないということ自体がおかしいので、本当に声が届かないんだったら、そのように現存の組織をしっかりと改善されればいいんです。それだけのことだと私は思いますので、ぜひとももう一度御検討ください。屋上屋を重ねるようなことはおやめになっていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 岡田外務大臣には、二月十七日に、昨日公表されましたいわゆる核密約に関する有識者懇というんでしょうか、調査等についての質問をしましたが、その問題について、また、きょう朝、自由民主党の皆さんからの質問も踏まえて、若干、まず冒頭、確認することから始めたいと思います。

 まず、二月十七日のときも、私は、外務大臣に、核のいわゆる密約について定義をという話をいたしました。あのとき、外務大臣の定義は、明確に以下定義を述べますという格好じゃありませんけれども、今、議事録を見ますと、私の密約について定義をはっきりさせてくださいと言ったことに対しまして、表に出ているものを実質的に変えてしまうような非常に大きな、そういう約束事を表に出さずにやる、そういう意味で私は密約、そういうものではないかというふうに思っております、こういう御答弁をなされておりますが、昨日の、ここに持っております有識者委員会の報告書によりますと、冒頭、「密約とは何か」という序論の中に、いわゆる密約の定義が書かれております。もう時間もあれですのでそう詳しく述べませんが、ありていに言えば、狭義の密約と広義の密約がある。狭い意味の密約と広い意味の密約がある。

 狭い意味の密約という部分は、恐らく、先ほど岡田さんが言われた、表に出ている云々ということを指しているんだろうと思うんですね。今回、広義の密約、暗黙のうちに存在する合意や了解、「明確な文書による合意でなく、暗黙のうちに存在する合意や了解であるが、やはり、公表されている合意や了解と異なる重要な内容を持つものがありうる。これを「広義の密約」ということができるだろう。」こういうふうな表現がありますが、改めて密約の定義について、この有識者懇の定義を定義として認められるんですね。それとも、違うんでしょうか。

岡田国務大臣 これは、どの定義が正しいかという問題ではなくて、どういう定義のもとに議論するか、そういうものだと思います。

 そして、この有識者委員会の報告書で、今委員御指摘のように、二つの密約、狭義と広義ということを定義しております。私は、狭義と広義の違いを一言で言えば、文書化されているかどうか、こういうふうに言っていいというふうに思いますが、例えば我々の外務省における調査、これはここで言う狭義の密約、そういう前提で調査をしたというふうにお考えいただいて結構だと思います。

赤松(正)委員 そこで、先ほどの小野寺委員と大臣とのやりとりの混乱というのは、そこから起こってきていると私は思うんですね。

 今回の岡田さんのやられたことに対する一般の国民の受けとめ方、いろいろな評価があろうかと思うんですが、若干その点について、より多くの国民の皆さんにこの核をめぐる問題についてわかっていただくということが大事だと思うので、少し議論をしたいと思います。

 そこで、もう一つ確認をさせていただきたいんですが、きょうはいろいろな新聞が出ていますが、新聞で岡田外務大臣と記者とのいわゆるやりとりを読みました。これは朝日新聞ですが、「岡田外相に聞く」、その中で、暗黙の合意があったことをどう考えるかという質問の後に、核持ち込みについて、東郷文彦北米局長のメモには歴代総理や外相に説明したと書かれていると。三つ目に、その事実は国民には明らかにされてこなかったという質問に対して、最後のくだりで岡田さんはこう言っているんですね。日本もアメリカと解釈が違うことはわかったので、その後も同じ答弁を繰り返したことは決してよいことではなかったと思うし、ましてや冷戦が終わってアメリカの核政策が変わったときにどうして転換できなかったのかと思う、こう書いてありますが、これは間違いないですね。

岡田国務大臣 今、委員が言われたこと、私は確かに朝日新聞社のインタビューで答えております。

赤松(正)委員 改めて、ここでおっしゃられたことの確認ですが、アメリカの核政策が変わったというのは、どのように変わったということでしょうか。

岡田国務大臣 先ほど、小野寺委員とのやりとりをお聞きいただいたと思いますが、九一年それから九四年、それぞれ、戦術核について艦船や航空機に搭載しない、そういう政策にアメリカは転換したということであります。

赤松(正)委員 九一年、九四年にアメリカが戦術核について核を搭載しない、こういう政策の転換があったということに対して、その後も日本政府がそういうのに対応する変更をしなかったことの指摘というものを述べられたということだと思うんですね。

 そこで、私が思いますのは、そういう岡田外務大臣の一連の発言とかを見ていますと、ちょっと私の認識と食い違いがあるのは、要するに、アメリカの核政策をそれこそ狭義のものとしてとらえておられるのかもしれませんが、私からすると、もう少し可変のものというか、今言ったことをアメリカが約束したからそれはもうずっと守るというふうに思っておられるように感じられる。その部分はそうかもしれないけれども、もっとアメリカの核政策というのはフレキシブルなものがあるというふうに思えば、今の言い回しはちょっと違和感を感じるというのが一つ。

 もう一つ、続けて認識を聞きたいんですが、要するに、今のことと関連するんですが、当時の日本国政府、外務省当局、政府が直面していた国際環境、核にまつわるすべての国際環境、それから今の日本を取り巻く、アメリカ、日本との関係における国際環境、この彼我の差というか国際環境の差、日本を取り巻く国際環境の安全保障をめぐる問題についての現実というのは、過去と今とを比べたら、どう違うという認識をされているでしょうか。

岡田国務大臣 問題は、過去というのはいつの過去をいうのかということだと思います。

 先ほどもちょっと申し上げましたが、冷戦時代、特にこの密約ができ上がった、今の安保条約ができた五十年前、それから沖縄返還時、そういう厳しい東西対立の時代、これは今とはかなり状況は違ったというふうに思います。

 特に安保、今の改定安保を締結したときは、まだ日本も独立してそう時間がたっていたわけではありませんし、朝鮮戦争が終わったのは五三年ですから、まだその余韻もあったというふうに思います。そういう中で、今までの安保条約を改定して事前協議制度を導入しようとしたということになれば、それはそう簡単なことではなかったというふうに予想されるわけであります。

 ですから、結果的には、その事前協議制度に穴があいちゃったわけですね。例えば、朝鮮有事の際は事前協議の対象にしないという密約をつくることで穴をあけてしまった。しかし、では穴があかない状態のきれいなものができたかというと、それはそのときの指導者の判断の問題でありますが、私もその困難さということは十分に想像できるわけであります。

 私が九〇年以降のことを言っておりますのは、アメリカの政策も変わったわけですが、その前に東西対立が終わったわけですね。そのことを背景に、アメリカの政策が変わったわけです。

 それまでは、先ほど言いましたように、日本とアメリカのこの持ち込みに対する考え方が違う、しかし、そのことを認めてしまうとその先がにっちもさっちもいかなくなる、そういう懸念は当然あったというふうに思いますし、東郷局長の中にもその旨の表現があるわけですね。そういう中で、お互い、暗黙の合意といいますか、認識が違うということをわかりながら、それをそのまま放置してきた。

 しかし、九〇年、冷戦が終わり、そしてそういった形でアメリカの政策が変わったのであれば、そのことをきちんと出すチャンスだったんじゃないか。あれからもう二十年たっているわけですから、やはりこの二十年間は怠慢だったと言われても仕方がない、私はそういうふうに思うわけでございます。

赤松(正)委員 今の認識の中で私が思いますのは、やはり九一年あるいは九四年の段階で、それ以前の段階と、核搭載の艦船が寄港する可能性が、岡田さんいうところの、今のとらえ方でいうと、なくなったということはあるにせよ、それを含めて、全くアメリカの核政策というものが、変動限りないといいますか、臨機応変にいろいろ対応を迫られるこの国際情勢の中で、もう変わらざる、不変のものととらえるというのは少し甘いのではないのか。

 一連のインタビューとか、以前の状況から今日まで見るときに、そういう核にまつわる、あるいは日米関係、日本を取り巻く情勢認識というのが、私は、過去の日本政府はそれなりに一生懸命やってきた、今、岡田さん自身も認めると、懸命の努力というか、正確な言葉じゃありませんけれども、その辺の苦労を認めるというふうな意味合いのことをおっしゃいましたけれども、そういう側面が大いにあると思うんですね。

 そういうものを認めた上で、今、今回の調査結果を踏まえての状況というのは、国民の側、一般の側からすると、ではこれから何が変わるのか、日本の核にまつわる日本政府の政策というか、態度というのはどこに変化があるのかということを一番注目して見ると思うんですね。

 そういう点で、さっき小野寺委員が言った、密約の上に密約を重ねると言い方をした、あの表現は、彼はとっさに言ったので、本人のことを私が代弁するのも変ですけれども、言ってみれば、過去の密約の上に暗黙の了解が起こり得る可能性、新たな暗黙の了解が起こり得る可能性、つまり、広義の密約の部分、こういうものがこれからも起こり得る可能性があるんじゃないかということを彼は指摘したかったんだろうと私は推測するんです。

 なぜかならば、それは、こういう核にまつわる事態というものについて、一々にチェックをするというのがあって、初めて、一般国民の側から見ると、チェックをすることによって確認ができたんだなということを思う。そういうことをはなから形の上でわかる、だから必要ないんだということを言うというのは、やはりちょっと、さっき言ったような、広義の密約が起こり得る可能性を排除しないというか、そういう暗黙の了解というものが起こり得る可能性がある。

 つまり、それはアメリカの核政策と日本の核政策に食い違いがあるわけですから、おのずとそれは、両方の接点を求めない限り、お互いが思っていることは違うということで、暗黙の了解によるすれ違いというものが起こり得る、そういうことを彼は言ったんだろうと思うんですが、その辺はいかがでしょう。

岡田国務大臣 まず、アメリカの核政策ですけれども、基本的に、核の役割を制限していこう、そういう流れの中にあります。そういう中にあって、私は、九一年、九四年の政策が逆戻りする、それがさらにそこから逆戻りしていく可能性は極めて低いというふうに考えているわけであります。もし、委員がそうでないというふうに御判断するなら、その根拠をぜひ教えていただきたいと思います。

 それから、アメリカ自身は、核について、いつどこに核を積んだ艦船があるとか、そういったことについては、個々のことは言わないという政策をとっているということは、委員も与党におられたわけですから、当然御存じのはずであります。我々もそのことを前提に議論をしているわけであって、それを国民の皆さんに、アメリカがそういう政策をとっているということをわかっておられながら、個々にちゃんと調べるべきだというのは、私は余り生産的な議論じゃないというふうに思いますが、いかがでしょうか。

赤松(正)委員 それは九九%、それを認めます。ただ、一%の可能性ということはあり得るのではないかな。具体的な根拠を示せという話でありますが、具体的な根拠はありません。

 その上に立って、私自身が新たに外務大臣に聞きたいんですが、では、結果として、日本の核政策というのはどのようにこれから展開していくのか。

 この間の二月十七日のときにも、岡田外務大臣に、日本の核政策、つまり、非核三原則を堅持する、そして拡大核抑止策というものも引き続き日本はそれを保つということだけを見れば、今までの政権の核政策と今の政権の核政策と全く変わりはない、こう見えるわけですけれども、どこに今の政権の核政策の新味というか新しさがあるのか。これについてはいかがでしょうか。

岡田国務大臣 アメリカの核を初めとする軍事力による抑止力に期待をするというところは変わりません。非核三原則も変わりません。

 しかし、これから、オバマ大統領が登場して、そして核のない世界を目指していこう、これは日本の従来の政府の考え方と私は一致しているというふうに思いますが、では、具体的にそのために何をするのかというところは、今まで余り十分ではなかったというふうに私は思うわけであります。

 ですから、私が、例えば先般、豪州のスミス外相との間で日豪外相のステートメントというものを発出いたしました。その中でも、まず一つは、核の消極的安全保障、つまり、核を持たない国に対する核攻撃、これに対しては認められないということを、そういう政策を推し進めていこう。そしてもう一つは、核の目的を限定していく、そのことについて議論をしていこう、そういう方向性を出したわけであります。

 そういう方向性に沿って、今までも、例えばドイツや韓国やいろいろな国の外相と議論をしておりますけれども、そういった一つの大きな流れをつくり出していきたいというふうに考えているところでございます。

赤松(正)委員 その点は、ぜひとも、ただ口だけで、あるいは各国との外務大臣との交渉の中でそういうものを確認し合うというだけではなくて、大きな流れ、うねりをつくって、そして先ほど言われたようなアメリカの核政策が逆転、反流するようなことがないように、それはないという認識は私も、ないというか、ないということであってほしいという期待感が強いわけですけれども、それをしっかりと岡田外相は進めていくべきである、いってほしい、そのように思います。

 そのことはそれぐらいにしまして、次に、東シナ海のガス田の問題について移りたいと思います。

 この問題について、先般、中国全人代が終了した時点で、中国の外務大臣が、この東シナ海ガス田開発について、これは岡田外務大臣のかつての発言を踏まえた上で、消極的ではない、積極的である、こういうふうな発言をした。これは日本への反発というふうに一般的に受けとめられている、そういう報道に接触するわけですが、このあたり、中国のこの問題についての基本的なスタンスというのはどのように認識しておられるか。

岡田国務大臣 この点に関しましては、前回の日中外相会談の中で、議論のテーマになった問題であります。

 東シナ海の資源開発問題については、二〇〇八年六月に合意がなされております。その合意に基づいて協力を進めることが重要であるというふうに考えております。中国側の認識も、この点について同じでありまして、中国側からも累次の機会に、二〇〇八年の合意を大事にしていきたいということが表明をされているところであります。

 ただ、具体的な話になりますと、なかなかそれが前に進んでいかないということで、私の方は、交渉レベルも上げて、より前に進めるための具体的な努力を行うべきではないかということを主張してきているところであります。

 今まで、事務レベル協議、五回行われました。いずれも担当課長のレベルであります。ほかにもいろいろなレベルで働きかけは行っておりますが、私もいろいろな機会をとらえて主張はしておりますが、レベルを上げて、そして日中合意を具体化するために、しっかりと話し合うべきだということを申し上げているところであります。

赤松(正)委員 今、事務レベルで五回という話がありましたが、それを称して先方は、決して消極的ではないんだ、事務レベルでそれなりにやっているんだということを言いたい、こんなふうに今思っているという認識でいいですか。

岡田国務大臣 恐らく、中国側の主張はそういうことだというふうに思います。

 ただ、現実に、では、それで合意に向けて、その実現に向けて進んでいるかというと、具体的には進んでおりません。あの合意の中で約束された北部における共同開発、そして白樺に対する日本側の出資ということについて、それぞれ手続を定めなきゃ、そういうことは進んでまいりません。そういう手続が具体的に進んでいるということは残念ながら今ありませんし、それを進めるために、レベルを上げることも含めて、しっかりと対応してもらいたいというふうに考えているところであります。

赤松(正)委員 中国と各国との国境、今、この東シナ海ガス田の話も一つの大きなテーマでありますが、中国大使館のホームページを見ますと、要するに、陸上における国境の画定という問題について、十四カ国と国境を接しているけれども、現時点で十二カ国との国境画定が成ったという表現があります。中国は既に十二カ国と国境画定、陸地国境と海岸線の総延長は四万キロ余りに上る、陸地国境線の長さは二万二千キロ余りで、十四カ国と境を接している、大陸の海岸線の長さは一万八千キロ、こういう表現で、朝鮮(北朝鮮)、韓国、日本、フィリピンなど八つの国の海域と隣り合うか向かい合っている、こういう表現があって、中国は陸上部分そして海上部分で多くの国と接しているわけですけれども、そういう国境の画定について、陸については十二カ国、こういう表現がありますが、中国が海上の場面ではどういう認識を持っているのか。

 それについて、きのうの夜から朝にかけていろいろと外務省担当部局にお願いをしたんですが、確たるものが上がってきません。今、お答えいただきたいと思います。

武正副大臣 赤松委員にお答えいたします。

 今、陸上については、御指摘のように、十四の国との間で国境を接する中、インド、ブータンを除く十二の国との間で陸上の国境画定をしてきたとの認識であると承知をしております。

 他方、海上において中国は、南沙諸島、西沙諸島について、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイとの間で領有権の問題が生じており、境界は未画定と承知をしております。

 第三国間の関係でもあり、個々の状況について我が国政府として見解を述べることは差し控えたいと思いますが、今後も周辺国の状況を注視してまいりたいと思います。

赤松(正)委員 非常に慎重な物言いを、事の中身からいってそうならざるを得ないんでしょうけれども、中国の場合、南沙諸島あるいは西沙諸島で領有権の問題が生じて、今日までなかなか画定できない、こういう状態にあります。

 一方、日本をとってみても、日本は、尖閣諸島というのは日本の固有の国土、領土である、こういう意識を持っていますが、向こうは、自分のものである、こういうふうに画定していると思いますが、いかがですか。

武正副大臣 尖閣諸島は我が国固有の領土でありまして、外務省、政府の立場として、領土問題は存在しないというふうに認識しております。

赤松(正)委員 日本の立場はそういう立場でありますが、先方は違うということだと思うんですね。

 私が今なぜそれを言ったかといいますと、陸上においてもインドとブータンにおいて引き続き画定の交渉が続いている。それ以外のところでも、一たん画定はしたといっても、いつ何どきどうなるかはわからないという側面もある。海上において、おやということがあろうかと思います。

 そういう点で、しっかりと交渉をしていくというか、このガス田開発の問題についても明確なる姿勢を持って挑まないといけないなということを痛感するわけです。

 先ほど外務大臣の御答弁を聞いておりますと、過去五回、事務レベルの交渉、具体的な協議の中身に進展していかないので、その交渉レベルを上げる、そしてさらに具体的な問題について詰めていきたいという意思が見えましたが、そういう意思とは別に、これは正確に私認識していないので間違っていたらあれですが、過去に国際海洋法裁判所に訴えるなんということが政府としてあったんでしょうか。訴えるぞという姿勢を示す、こちらの、日本側の基本的なスタンス、こういう状態が続くとそうなるよというようなことを言った経緯あるやなしやについて、お聞きしたいと思います。

岡田国務大臣 この東シナ海の問題、これは私は、日中間に具体的にある、何といいますか、非常に困難な課題だと。やはりこういうものをしっかりと日中両国が乗り越えていかないといけないというふうに考えて、先ほど申し上げましたように、前回の外相会談、ヨウケツチ外相との間の会談で、かなり長いやりとりになったわけであります。

 私が申し上げたことすべてをここでお話しするわけにはいきませんけれども、ただ、白樺について、これは日本側が出資をするということについて合意ができているわけであります。しかし、具体的手続が決まっていない。そういう中で開発行為がどんどん進んでいくということになると、これは問題でありますので、そういう開発行為だけが進んでいくことのないようにということを申し上げました。開発行為がどんどん進んでいくようであれば、日本としても対抗措置を考えざるを得なくなるということを申し上げたところであります。

 それから、この問題、何とか乗り越えなければいけない問題、そういう思いの中で、外相レベルだけではなくて、先般、習近平国家副主席がお見えになったときにも、私の方から、こういう問題について、お互い早く解決した方がいいと思うということでるる申し上げた、そういう経緯もございます。

赤松(正)委員 そういう積み重ねが非常に大事だろうと思うんですね。

 今、言われた現地において中国単独の開発工事にまつわるそういう動き、直接にせよ間接にせよ、外務大臣が先方と会談された以降、それはまだあるんでしょうか。

岡田国務大臣 私が承知している限り、具体的な目立った変化というものはございません。

赤松(正)委員 先ほど平沢委員からの質問にありましたが、今回の全人代での発表によると、中国は軍事費について若干伸びがおさまったというふうな報道があり、先ほど御答弁でも岡田外務大臣は、そういう数字だけではなくて、透明性の問題についてしっかり留意をしていきたい、そういう透明性をめぐる問題について先方にしっかりと説明を求めたい、こういうふうな御発言がございました。

 私も、中国の軍事費、そういうものについて、先ほど来のそういう指摘、問題点というのがあると思うんですけれども、改めて確認しますが、膨張傾向に、そういう中国の軍事費をめぐる一連の動きに歯どめがかかったというか若干の変化があった、表向きのじゃなくて、内在的な部分で変化の兆しがあるというふうに認識しておられるのかどうか、お聞きしたいと思います。

岡田国務大臣 今回、伸びが一けたになったということでありますが、先ほど言いましたように、全体の透明性の問題もありますし、このことだけをもって変化があったというふうに判断するのは、私はやや根拠として十分なものを得ていないというふうに思います。

赤松(正)委員 最後に、普天間の問題について触れたいと思います。

 この普天間の問題をめぐって、いろいろな学者というか関係者、評論家の皆さんでさまざまな議論があって、そういうものは一般国民の皆さんがよく見る機会が多いわけですが、私もこのところ幾つかのそういう議論を見ていて、岡本行夫さんの例えが極めておもしろいなと思ったことがあります。

 彼がよく言うのは、つまり、レストランに入って、言ってみれば、客たる沖縄県民をそのレストランに誘っていながら、突然入ってきた民主党政権が、このレストランよりもっとおいしいいいものを出してくれるレストランがほかにあるから、そっちに行こうよといって誘い出したようなものだ。誘い出して、ほかにいいレストランが、彼いわくですよ、あり得ようはずがない。例えは例えですから、そんな例え話には乗らないと言われるかもしれませんが、戻ってきても、もう既に料理は冷えているし、もう食べられるものではない。こういうふうな表現でもって、彼は一般国民の皆さんに言う機会は多い。なかなかそれはそうだよなと思う節が多いと思うんです。

 その伝でいきますと、そういう例えに乗っかって言いますと、今、もちろん、五月までに結論を出すということで、僕が何を聞いても明確にお答えはされないし、できないと思うんですけれども、今のそういうことについて、私も、いわゆるシュワブの陸上部分に滑走路をつくる、そういう選択肢というのは、言ってみれば、今の例えの延長線上で言うと、帰ってきて同じレストランで違う料理を出すという話だろうと思うので、これは客は納得しないだろうと思います。

 そういうことで、それは答弁はいいんですけれども、最後にお聞きしたいのは、二月十七日のときも若干申し上げましたけれども、この普天間の問題について、要するに、ここであえて結論を出さずともアメリカは沖縄をあきらめないというか、日本政府がこの場面で結論を仮に出さなくても大丈夫だ、時間は十分あるんだ、つまり、この場面で引き延ばしても、さらにもっと時間をかけて検討しても、アメリカとの関係はおかしくならないというふうに言っている民主党に近い評論家がいますけれども、今申し上げた、そういう時間をかけてやっても日米関係は大丈夫だ、この説に対して、岡田外務大臣はどう思われますか。

岡田国務大臣 いろいろな方がいろいろな御意見を開陳されるのは自由だと思いますけれども、一々それに対してコメントする必要はないというふうに思います。日本国政府としては、五月末までにきちんと結論を出すということを申し上げているわけであります。

 そして、そもそも、この問題は、普天間基地の危険性の除去というところからスタートしておりますので、そういう観点からいっても、結論が出ないという状況は望ましいことではないというのは当然だと思っております。

赤松(正)委員 最後にまた確認しますが、五月までにと言われましたけれども、まだ三月、四月があるわけで、この三月と四月というこの二カ月間にどういうことを期待すればいいんでしょうか。

岡田国務大臣 今、平野官房長官のもとで、検討委員会、そこで議論を行っております。どこかの段階で政府としての案を持ち、そして沖縄、アメリカ、そういったところと調整をしていかなくてはならないということでございます。いつ、どういったことを行うのかということについては、今、私の予測なり観測を申し上げるべきではないというふうに思います。五月末までに結論を出す、そのことは明確でございます。

赤松(正)委員 そういう確たる方向へ行けばいいなという期待を述べて、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 昨日、三月九日、岡田外務大臣が公表、発表した日米間の密約に関する有識者委員会の報告をめぐって質問をいたします。

 この問題の解明は、新政権が総選挙中に国民に公約したことであります。それに先立って、我が党は、この問題に一貫して取り組んできた党として、昨年九月十日の党首会談で調査に協力することを表明して、資料の提供なども行ってまいりました。しかし、端的に申し上げて、今回発表された報告書の内容というのは、一連の密約の中でも最大の焦点となっている日米核密約について重大な問題点を持っていると言わざるを得ないと思います。

 そこで、まず岡田大臣に伺いますが、この有識者委員会の報告書では、一九六〇年の日米安保条約改定時に結ばれた討論記録、討議の記録の存在というのを認めながら、これが核持ち込みの密約、つまり核搭載艦船の寄港を事前協議の対象にはしないという秘密の合意だったことを否定しているということだと思うんですが、報告書のこの内容を政府として認めるということなんでしょうか。いかがですか。

岡田国務大臣 今おっしゃった点は、この有識者委員会の報告書だけではなくて、政府の報告書においても、政府の報告書の場合には、実際に入手し得たといいますか、確認した資料に基づいて判断をしているわけでありますけれども、その判断として、最初からそういった密約といいますか、持ち込みについての約束があったというふうには考えていないわけであります。

笠井委員 これは全く成り立たない議論だと思うんです。

 この討論記録では、第一項で岸・ハーター交換公文として発表された事前協議についての取り決めが述べられて、第二項で交換公文の解釈についての了解事項が述べられております。核兵器にかかわるのは第二項のAとCで、Aで事前協議の対象となるのは核兵器の日本への持ち込み、イントロダクションとその基地の建設だと限定をして、Cで事前協議は米国の軍用機の飛来、エントリーや艦船の港湾への立ち入り、エントリーは現行の手続に影響を与えるものとは解されないと明記しております。

 現行の手続でいくとは、それまで慣行とされてきた米軍の自由勝手な核持ち込みを認めるということであります。ですから、この討論記録というのは、それ自体が明らかに核持ち込みの密約そのものではないか。いかがでしょうか。

岡田国務大臣 ここはさまざまな議論が今までなされてきましたし、私は、違う意見があるからといって、それをすべて否定するということではなくて、さらに議論がなされていく、そういうことだろうと思っております。ただ、我々が調べた結果はそうではないということであります。

 今おっしゃった討議の記録の関連部分につきましては、日本側としては、地位協定第五条の関係に関するものであるというふうに理解をし、一時的立ち寄りあるいは寄港に関するものというふうには思っていなかった、そういった資料も出てきているところでございます。

笠井委員 そういった資料も出てきているところでありますと。思っていなかったということでもってそうでないというふうに断定するのはもともと無理があると思うんです。

 いずれにしても暗黙の合意と言われているわけですが、では、その暗黙の合意というのは、広義、狭義の話がありましたが、対処におけるものでありまして、報告書でいいますと、「米国政府は「交換公文」の意味を明らかにする非公表の「討議の記録」に基づいて、核搭載艦船の日本寄港は事前協議の対象外との立場をとり続けた。」「日本政府は米国政府に米国側の解釈を改めるよう働きかけることはなく、核搭載艦船が事前協議なしに寄港することを事実上黙認した。」と書いてあります。つまり、核兵器を積んだ米艦船の寄港にどういう対応をするかという処理については暗黙の合意があったと言うにすぎないわけであります。

 報告書は、この章の最後の「結論」にあるように、「核兵器を搭載した米軍艦船の日本寄港は、「安保条約第六条の実施に関する交換公文」にいう事前協議の対象になるか。日米両政府間には、今に至るもこの問題に関する明確な合意がない。」つまり、報告書は、核持ち込み密約そのものについて、狭義であれ、広義であれ、合意はなかったと言っているわけでありますが、これは事実は違うということであります。

 しかも、伺っておきたいんですが、今に至るも日米間の合意がなかったというふうにここに書いてありますけれども、この点でも、一九六三年の大平・ライシャワー会談では、完全な合意に達したという報告を米側は本国にしているわけですが、大臣は、米側がうその報告をした、本国に出したという認識なんでしょうか。

    〔委員長退席、小宮山(泰)委員長代理着席〕

岡田国務大臣 今委員がおっしゃったことは、いろいろな議論があり得るんだろうと思います。委員も、アメリカ側のそういった大平・ライシャワー会談のアメリカ政府に対する報告、それがそのまま事実かどうかということについて、必ずしも確信は持っておられないというふうに思うんですね。つまり、そこが今御指摘のようなことであったのかどうかということについては必ずしも明らかではない、むしろ日本側の受け取り方は違う、そういったことも今回の検証の結果、明らかになってきた点だと思います。

 つまり、もう少し一般論で申し上げますと、今までアメリカはどんどん情報公開をしてきた。そして、そのアメリカの情報公開に基づいてさまざまな議論がなされてきた。それはそれでいいわけですけれども、しかし、日本もやはり情報公開をする。そのことで、日本側の見方と、その当時どういうふうに見ていたかということも示される、より歴史に対する理解というものが立体的になってくる、こういう問題だと思います。

 アメリカが当時こういうふうに言っていたから、あるいはライシャワー大使が報告したからそれがすべてだというふうには必ずしも考える必要はないし、より歴史というのは複雑なものではないかというふうに思います。

笠井委員 ライシャワー大使が本国に報告した中身というのは間違っていた、うそだったという、この点はどうなんですか。

岡田国務大臣 間違っていたとかうそだったとかいうつもりはありません。しかし、こういう報告をする際に、微妙なニュアンスの違いというのは、これは時々そういったことがあるというのは常識として理解し得ることではないかというふうに思います。

笠井委員 微妙なニュアンスの違いとかと言われましたけれども、私はこれは合意に達したというのが非常に確信を持てる中身だと思うんですよ。

 一九六三年四月四日にライシャワー駐日大使がラスク米国務長官あての電報を出しておりますが、それを見ますと、こうあります。我々がイントロデュースという言葉に固執していることの意味をはっきりと説明し、それは日本領土上に配置したり設置したりすることを意味していることを説明したところ、大平氏はこれに対し、この解釈のもとでは、イントロデュースというのは、艦船に積載された核兵器が日本の領海や港湾に入ってくる事態を仮定したら、その事態には当てはまらないことに注目すると言ったので、私はそのとおりだと述べたと。つまり、ちゃんとニュアンスも、やりとりをやって、大平さんも言われて、それもそのとおりだと言って確認している。

 次いで、私は、ライシャワー氏は、大平氏とともに、一九六〇年一月十九日の日米安保条約第六条に関する交換公文の日英両語テキストと、一九六〇年一月六日の秘密の討論記録の第二A項と二C項の英文テキストを改めて検討した、こういうふうになっているわけです。

 つまり、ニュアンスが違うとか、報告書にあるように、日本側が異議を唱えなかったということじゃなくて、完全な合意に達したというのは明らかじゃないかと思うんです。

 大臣はそのことについてはっきりそうだと言われませんが、では伺いますけれども、それは、いろいろなニュアンスについては、アメリカ本国に報告したのはあくまで米側の理解であって、日本側がそれには同意していないことを裏づける、この点における具体的な資料というのは、事実はあるんですか。

岡田国務大臣 このライシャワー大使と大平外相の会談、これは朝食会という形で行われましたが、いろいろな意味でちょっと異例な会談だったと思います。まず、外務省の職員が入っていないということであります。そういう中でどういうやりとりをなされたのか、いろいろな考え方があるというふうに思います。正式に申し入れるということであれば、大使が外務省に来られて、そして、当事者同士だけではなくて一定の職員も入る中で何らかの意思表明が行われるというのが普通だと思いますが、大平外相とライシャワー大使の会談というのは、そういう意味ではかなり異例であります。そういうこともあると思います。

 ただ、誤解しないでいただきたいのは、この六三年の大平・ライシャワー会談において、少なくともアメリカ側の考え方というものを日本側はその段階ではっきりと認識をしたということであります。そこのところについて私が異論を述べているわけではありません。

笠井委員 認識して異論を述べなかったというんじゃなくて、合意に達したというのがここから読み取れる中身でありまして、非常に異例な形と言われましたが、当時では、その後の佐藤・ニクソン会談だってそうです。外務省の人、担当者がいなくてやっている、しかし、重大なやりとりがあるわけであります。

 討論の記録が日米間の公式の合意文書であって日米安保条約の一部をなすものであることは、細かく述べませんが、両国政府間のこの文書の取り扱いからも疑問の余地のない明確なことだと思います。

 この討論記録の存在というのを認めたわけですが、認めながら、核持ち込み密約の明確な合意が存在してこなかったという議論は、私は、歴史を偽ってねじ曲げることになると言われても仕方がないと思います。そして、それをうのみにすることは、被爆国たる日本外交に深刻な汚点を残すということを言わざるを得ないと申し上げたいと思います。

 さらに伺いますが、報告書では、核持ち込み密約を否定する一方で、日本政府は、核搭載艦が事前協議なしに寄港することを事実上黙認したとして、国民に対して事実に反する明白なうそをつき続けたなどとも述べております。

 しかし、大臣、これは、核持ち込み密約が成立していないにもかかわらず、米国が核搭載艦を事前協議なしに横須賀、佐世保などに寄港させていたとすると、米国は条約上の権利を持たないままに無法な核持ち込みを続けていたということになります。日本政府はそうした無法を黙認していたということになります。そういう可能性は否定できないということでよろしいんでしょうか。

岡田国務大臣 まず、先ほどの大平・ライシャワー会談について若干つけ加えたいと思いますが、この有識者委員会の報告書にも出てくるわけでありますけれども、この会談において両者の対応がどうであったかということについて、大平外相がライシャワーの見解に対していずれとも見解を述べられなかった、そう東郷北米局長は述べているわけであります。

 それから、これはいろいろな論文がありますけれども、その中で、米大使館通訳の証言として、大平外相はハーイと答えた、あとは覚えていないというふうに通訳は証言をしているわけであります。ですから、一つの会談について、余り人が入っていなかったということで、いろいろな解釈というのがそこにあるんだろうというふうに思います。何が真実かということは、なかなか断定しがたいということだと思います。

 そして、今の委員のお話でありますが、私は、六〇年段階で密約というものがあった、そのことを認めていないというのが委員の御指摘だというふうに思いますけれども、我々は、六〇年段階ではそういう明確な約束というものはなかったという立場に立っておりますけれども、しかし、六三年に大平・ライシャワー会談もありました、そしてその後、六八年には東郷北米局長のメモというものが書かれて、そこには、アメリカ側の解釈というものも書きながら、しかし日本政府としてはお互いこれは深入りすることを避けざるを得なかったということが書いてあるわけでありますから、その段階では暗黙の合意があったというふうに言えるかと思います。

 そして、暗黙の合意ということの意味は、日米で解釈が違うということについての暗黙の合意があったということであります。日米の解釈が違うということは、そういう一時的寄港に関して、アメリカ側はそれは持ち込みに当たらないということですから、そういう意味では事前協議を行う必要がないというふうにアメリカは考えてきたということであります。日本側は、一時的寄港も事前協議の対象であるというふうに考えながら、そしてアメリカの解釈がそれとは違うということを知りながら、それに対して具体的な指摘をしてこなかった、こういうことでございます。

笠井委員 暗黙の合意というのは条約じゃありませんから、条約上の権利は持っていないわけですよ。

 それで、報告書は、日本が国是としてきた非核三原則がじゅうりんされて空洞化されていた事実を認めたわけだし、大臣自身も、核持ち込みがなかったとは言い切れない状況と昨日述べられました。疑いが払拭できないと昨日も繰り返されたわけで、明確な合意、密約ということがないのに、暗黙な合意ということで、条約上の権利もなしに勝手放題に持ち込んでいた。そうしたら、事前協議違反じゃないかということになるわけですが、報告書を受けて、これは日本政府として一体どうするつもりかと問われるんじゃないですか。

岡田国務大臣 ですから、日米双方がそれぞれの解釈で行ってきたということであります。

 結果として、アメリカはアメリカの解釈に基づいて、一時寄港は事前協議の対象でないということですから、事前協議しなかったわけです。

 そういう中で、日本は事前協議の対象であるといいながら、そしてアメリカの解釈が異なることを知りながら、それを放置した。その結果として、少なくともアメリカの政策転換が行われる九一年以前に日本に核が持ち込まれたということに対して、これを完全に否定する材料はないということであります。

笠井委員 ですから、事前協議しないで持ち込まれてきた可能性があると言われたわけですから、それでやられていたら、これは条約上大変なことになるわけですよ。権利もないのにやってきた、無法がやられて、それを許してきたということになるわけです。核持ち込み密約はなかったという立場に立つから、結局、米側には何の働きかけをする立場もなくなる。つまり、現状のままが続いてしまうわけです。

 今後、核搭載艦が寄港したとしても、国民にはわからないということになります。今のままいきますと、米側は当然、核兵器を搭載した艦船の寄港というのは条約上の権利だというふうに考えている。そういう密約を結んだとしているわけですから、向こうの側は。その権利行使として入港することはある。そうしても、日本国民にはこれまで同様わからない状況が今度は公然と続くわけであります。

 だから、こういう決着の仕方というのは、これまでは秘密中の秘密だった核持ち込みというのは、これからは公然の約束にするようなものでありまして、被爆国民として一層許しがたいことになると言わなければならないと思います。

 今の関連で、最後に聞いておきたいんですが、今後の核持ち込みを許さないためにどんな対処をするつもりか聞きたいんですが、この討論記録というのを廃棄するつもりはありますか。

岡田国務大臣 そもそも討論記録に対する意義づけといいますか、それが委員と私、違いますので、私は、それを廃棄するという意味もよくわかりませんが、しかし、そういうつもりはございません。

笠井委員 廃棄しないと。

 それでは、今後、米国による核持ち込みをさせない保証はどこにあるのかという問題になります。

 報告書によれば、米国政府が核搭載艦船の日本寄港は事前協議の対象外との立場をとり続けた、そのよりどころとなっているのが討論記録ということになっております。米側は核持ち込みの密約で権利があると理解し、日本側が合意していなくても事前協議なしで続けるということになります。向こうはこの討論記録をよりどころにしている。これを廃棄しなかったら、幾ら非核三原則を堅持する、変えるつもりはないと言っても、何の担保もないんじゃないですか。担保、ないでしょう。

岡田国務大臣 この点については、従来からこの場でも申し上げておりますように、一九九一年に、水上艦船及び攻撃型潜水艦を含む米海軍の艦船及び航空機から戦術核兵器を撤去する旨表明がなされました。そして、一九九四年の核体制見直しの結果として、水上艦船及び空母艦載機から戦術核兵器の搭載能力を撤去するというふうにアメリカは政策決定をしております。

 したがって、今、そういった持ち込みということが起こり得ないというふうに我々は考えているわけであります。

笠井委員 起こり得ないと言われましたが、まさにこれは決して過去の問題じゃないんです。明らかに事実認識が違う。

 米国は、水上艦艇から核兵器を撤去しましたが、必要があれば随時、攻撃型原潜に核巡航ミサイル・トマホークを搭載する体制を維持しております。解除しておりません。そして、この攻撃型原潜というのは、日本への寄港回数を見ますと、この間、相当あるんです。二〇〇一年四十四回、二〇〇二年五十三回、二〇〇三年四十九回、二〇〇四年五十一回、二〇〇五年四十八回、二〇〇六年四十七回、二〇〇七年四十八回、二〇〇八年六十一回、まさにそういう実態もある。

 相手側、アメリカ側は、これは続けると宣言しているわけでありまして、入ってこないと言われますけれども、解釈が違うと。そして、先ほど大臣は、この点では可能性が低いという言い方もされました。しかし、それでは、可能性が低かったら持ち込まれない保証はあるのか、現実にそうなった場合にどうするのかといったら、何の担保もないわけですよ。これはどうしますか。

岡田国務大臣 日米政府間でいろいろ深いやりとりをしております。それすべてをここで申し上げるわけにはまいりません。しかし、今、トマホークの件を委員は言われましたが、私は、トマホークは再度積まれることはないというふうに考えております。

笠井委員 大臣が考えていても、アメリカは政策を変えていないと言うわけですよ。

 では、変えていないのかどうかとはっきり確認して、変えていない、あるいは変えた、そういう確認はとっているんですか。

岡田国務大臣 九一年の政策、九四年の政策、これは変わっておりません。確認はしております。

笠井委員 変わっていないとすれば、攻撃型原潜にトマホークを積載する体制を維持することも変わっていないんですよ。まさにそういう点でいうと現在の問題でありまして、日米核密約のもとで、日本に核兵器が持ち込まれる仕組みと体制というのは引き続き日本列島を覆っているということであります。

 ですから、そのよりどころにしている討論記録でありますから、それを廃棄するというのは当たり前でありまして、あくまで廃棄するつもりはないということで、何の働きかけもしないんですか、その点では。保証は国民に対してどうするんですか。

岡田国務大臣 委員の御心配の点につきましては、具体的なことは申し上げるわけにはいきませんけれども、私は確信をしております。

笠井委員 具体的に言えなくて、確信していると言っても、私の心配じゃないんです、国民の心配だし、横須賀や佐世保やそういうところで、さんざんそういうことでうそをつかれてきた国民の心配なんですよ。何の保証もない。

 大臣は、米国の政策は変更したと言いますけれども、NCNDは変わっていません。核兵器の役割は減じつつあると言われますが、核抑止力は維持するということには変わりないんでしょう。我々の考えでは一時寄港は持ち込みに当たると言われるけれども、米側はそうみなしていない。そうしますと、非核三原則を守ると言うけれども、何の担保にもならないということになります。この点、本当にしっかりとやる必要があると私は思うんです。

 大臣、これだけの重大な問題です。有識者委員会にゆだねて、それを政府として受け取るのは結構ですが、受け取って、中身を十分検討もするということで、やり切れないうちに、文書が欠落しているという問題もありながら、その判断をうのみにするということになると、政府として、国民に対する責任ある態度と言えないんじゃないか。

 国の安全保障にかかわる大問題です。しかも、被爆国民と国会にうそをつき続けてきた許しがたい問題ですから、専門家の検討結果が出たら、改めて政府みずからが徹底的に責任を持って検証して、これは見解をきちんと出すべきじゃないですか。それから、国民に対しても、具体的に大丈夫なら大丈夫と根拠を持って言う。

 そして問題は、これは本当に、報告書が討論記録の存在を認めたんですから、核持ち込みの密約そのものであることを認めて、これを廃棄して、非核三原則の厳格な実施と非核の日本に進むための実効ある措置をとる、これこそ必要なんじゃないでしょうか。大臣、いかがですか。

岡田国務大臣 委員は結論が先にあって、その上でさまざまおっしゃっておられますが、我々は、米軍といいますかアメリカの軍事力、核兵器を含む軍事力、その抑止力というものは日本の安全にとって重要である、そういう前提でありますので、そういう前提でない前提で御議論されたとしても、それは結局、何といいますか、一定の限界があるのではないかというふうに思います。

 そして、最初の密約のところについて言われましたが、私は、先ほど繰り返しておりますように、最初は密約というのはなかった、しかし、途中の段階でお互いの解釈が違うということは、少なくとも日本はアメリカの解釈が日本の解釈と違うということは承知をしていたということでありますから、余りそこのところは、最初からどうだったのかという、数年間の差はあるとしても、基本的に、委員の言っておられることと私の言っていることの間に、そこの部分についてはそう大きな差はないんじゃないかというふうに思っています。

小宮山(泰)委員長代理 笠井君。時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

笠井委員 議論してきましたけれども、私は何も結論を先に言っているわけじゃないんです。抑止力の問題はきちっと考え方を議論するけれども、事実に基づいてどうかということをただしているのにまともにお答えにならないという問題なんですよ。そして、この問題でいいますと、やはりこれでは国民はなかなか納得しません。

 そこで、核密約問題については、本会議や予算委員会はもちろんですが、国会としても、調査特別委員会を設置して、徹底審議それから真相の究明が必要です。

 委員長に申し上げたいんですが、当委員会でも、参考人質疑に加えて、十分時間をとって集中審議を行うことを求めたいと思います。理事会で諮っていただきたいと思います。

小宮山(泰)委員長代理 理事会で諮らせていただきます。

笠井委員 終わります。

小宮山(泰)委員長代理 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

小宮山(泰)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。

 委員長が所用のため、その指名により、私が委員長の職務を行います。

 質疑を続行いたします。和田隆志君。

和田委員 民主党の和田隆志でございます。午前に引き継ぎまして、大臣、その他の副大臣に御質問させていただきます。

 岡田大臣、午前中の質疑をいろいろと聞かせていただきました。質疑通告の際にはまだ発表が行われておりませんでしたので、その中には含めませんでしたが、先ほど来、きのうの発表以来、大臣の姿勢を質疑の中でお聞きしておりまして、我々与党としまして、さらに進めて、国民の皆様方によりわかりやすく説明するということを外交演説でも原則として掲げられた岡田大臣だけに、外交という政治の中でも非常に特殊な分野でもあるんですけれども、国民の皆様方にこの時点でどの程度、私どもとして、いわゆる政府・与党一体として、語りかけておくべきかという観点から、午前中の質疑を発展させる形でちょっとお聞きしてみたいと思います。

 諸所の質疑の中で、過去のいわゆる密約と呼ばれるようなものについて、日米の解釈のそごがあったというところまでは、きのうの発表で明らかにされたわけでございます。午前中の質疑は、私なりの感想として申し上げれば、過去どうであったかということに議論がかなり終始したように思うんですが、私たちが国民に新しい政権の担い手として表明していかなければいけないのは、過去は過去として反省しつつ、将来に向かって、どういうふうに国民に対して核のない世界を実現するよう表明していくかということだろうと思います。

 そうした意味におきまして、先ほど来話題になっておりますけれども、非核三原則を維持していくということは大臣も表明されているわけですが、その表明の中に、原則は原則として維持するというのは、そこまではいいとして、原則は何のためにあるかというと、最後は、要するに核のない世界を実現するために日本が持ち続けていくスタンスだということで表明されているわけなので、そこを一歩進めていただいて、その三原則を維持して、国民の皆様方が御心配になるような核の持ち込みはいたさせませんというところまで持っていければなという思いで聞いておりました。

 実は、与党議員としていろいろ範囲もございますが、私は広島県の出身なものですから、唯一の被爆県から出ておる者としましては、昨夜の会見に対する県内の反応も非常に強く出ておりまして、非常にサポートされています。非常に肯定的にとらえていただいておりますので、そこをさらに、政府・与党一体となって、こうしたテーマについて、今まで心配されてきている方々に向けて安心できるようなメッセージを送っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 今回の密約をめぐる問題、これは核に限らず朝鮮半島有事の際の問題なども含まれるわけでありますが、非核三原則に関しては、その方針を堅持するということは昨日来申し上げているところであります。

 私は、この密約に絡む問題あるいは日本が非核三原則を維持していくという問題と、それから核なき世界を目指していくということは、関連がないわけではありませんが、やや次元の異なる話だというふうに思います。

 ですから、核なき世界を目指す、では、そのために具体的に日本が何をすべきか、もしそういう御質問であれば、私は、やはり核の役割ということを次第に低下させていくということが重要で、今いろいろ議論をしておりますけれども、一つは、核の消極的安全保障、核を持っていない国に対する核の使用というものは認めないという考え方をより普遍化していくこと。そしてもう一つは、核の目的というのは核による攻撃に対する抑止ということに限定していく。唯一目的説という表現も使われますが、そういうことについて、これはいろいろな議論が今あることは承知をしておりますけれども、国際社会の場でしっかり議論を行いながら、そういう考え方を広げていくということが、核なき世界に向かっての具体的な一歩になるのではないか、そういうふうに思っております。

和田委員 今おっしゃれるところとして、そういうふうになるんだろうなと思いながら御答弁を聞いておりましたが、午前中の質疑で少し気になりましたのが、日米の相互の解釈の差があったということを今回の発表で認めつつ、大臣のいろいろな会見やきょうの質疑での御答弁を聞いておりますと、そこから先、核が入ることはあり得ないというような表現を使われておられましたが、せっかく大臣が、政権をとって、この問題に今まで立ち入ることが前政権下ではできなかった、その勇気を持って立ち入られたところからすると、少しその部分だけ、非常に評論家的なというのでしょうか、自分がこの行政について責任ある立場におありになるだけに、あり得ないと思っていますというところだけだと、行政の担当トップとして、もう少し意思の表明が足りないのではないかというふうにも感じながら聞かせていただきました。

 その辺はいかがでしょうか。

岡田国務大臣 午前中も申し上げましたように、九一年、九四年、アメリカの核政策が変わったわけであります。そして、その政策は、現在、アメリカの政策であります。同盟国であるアメリカがそういった政策、具体的には航空機やあるいは艦船に戦術核を搭載しない、そういう政策を明確にしているときに、その政策を前提にすれば日本に核が来ることはないということは、私は、別に遠慮しているわけじゃなくて、当然のことであるというふうに申し上げているわけであります。

 これ以上にちょっと、何を具体化しろと言っておられるのかよくわかりませんが、アメリカの政策、それを前提にする限り日本に核が来ることはない、そういうふうに考えているところであります。

和田委員 私、先ほど訂正するのを忘れておりました。ちょっと訂正させていただければと思いますが、言葉で申した唯一の被爆県広島というのは、長崎がございますので、ぜひ皆様方に御理解いただいて、訂正をしておきたいと思います。長崎県も非常に大切な被爆県でございます。

 そこを置きまして、今の大臣の御答弁で、私が期待しておりますものを申し上げると、アメリカとの間で非常に繊細な言葉遣いが必要だと思うんですが、あり得ないと思っていらっしゃる大臣の気持ちをきちっとアメリカ当局にも伝えつつ、アメリカと日本との間の信頼関係を維持して、要するに国民を安心させるというようなことを言っていただきたいと思ったのですが、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 この密約の問題を検討していく中で、議論する中で、アメリカ政府とも適宜意見交換をしながら進めております。そこに何か見解の相違とか、そういうことはございません。そして、九一年、九四年の政策が現在も有効であることもアメリカ政府は明確にしておりますので、それ以上に一体何が必要なのかなという感じはしないわけではありません。

 もちろん、個々のことについて、具体的な艦船について核があるとかないとか、物理的にはあり得ないわけですけれども、しかし、そういったことについて触れること自身は、アメリカの政策として触れないという、これも一方で、そういった考え方をアメリカはとっておりまして、ここはアメリカは変えるつもりはありません。そういうことはやはり踏まえて議論していかなければならないというふうに思います。

 午前中の議論でも、そこについていろいろな御意見がありましたけれども、しかし、アメリカのそこの、いわばあいまいにしておく、あるかないかを明確にしないという政策は変わらない。そのことについて、私はそれを前提に議論しているわけであります。

和田委員 今の御答弁をお聞きしておりまして、私なりに、先ほど前提として申し上げましたが、将来に向けてあいまいな部分がないように努めていく、つまり、今までの過去についてどちら側の政府の立場もあったことですから、それについてはこの検証をもって、要するに一単位一くくりとした上で、将来に向けて国民の皆様方に疑念を持たれるようなことがない日米交渉を続けていくというふうに理解させていただきたいと思います。

 御意見がおありですか。

岡田国務大臣 交渉ではなくて、今ないということです。ですから、具体的なことは彼らは言いません。しかし、政策としてそういう政策をとっていない以上、そういうことはあり得ないということです。明確に申し上げておきたいと思います。

和田委員 了解しました。今の御答弁を聞いて、より意を強くいたしました。

 せっかくこの問題から入りましたので、順番として考えておりましたのを少し変えまして、実は、この核に対する日本の意識というものが、要するに非常に確固たるものがあるんだということを世界に発信していくことも、日本外交の一つの大きな柱であろうというふうに思っています。

 そこで、昨日、質疑通告の際には事務方にお渡ししましたが、大臣にはもう見ていただいていますでしょうか。二月十九日でございましたが、済みません、ちょっと正確に今、名前が出てきませんが、民主党議員を中心とした議連とPNNDという超党派の議連で署名をいたしまして、オバマ大統領への書簡を駐日ルース大使の方にお渡ししてあります。もう既に日にちがたちましたので、大統領にも渡っているかと思うんですが、きょう、委員の皆様方にも、この中でたくさん署名していただいた方もいらっしゃるんですが、まだの方もいらっしゃいましたので、若干内容を御紹介したいと思います。

 私ども、そういった議連の活動として、昨年の四月、プラハにおいてアメリカのオバマ大統領がおっしゃられた核兵器のない世界に向けての誓いということを大いに評価をしておりまして、これを全面的にサポートするという文書を入れております。また、ことし、特にこの春、四月、五月と、核安全保障サミットが行われ、またNPTの再検討会議が行われます。そうした動きもあるものですから、より日米間でこの問題についての緊密な協力関係を増進してはという趣旨で、この書簡をしたためて渡してあるわけでございます。

 そういった意味におきまして、先ほどの核問題について、日本のとるべきスタンスというのを考えた場合に、非核三原則にまつわる議論も当然のことながら重要でございますが、より進歩的に、かつ積極的に、日本政府として、また日本国家全体として行動をとっていくべきではないかという意味で、岡田外務大臣には、ぜひこの書簡の趣旨に対する御評価と、また政府としてこういった一連の議員活動に対してどのようにお考えかということをお聞きしたいと思います。

岡田国務大臣 まず、二月十九日の民主党核軍縮議連からオバマ大統領あてのレターの内容については承知をしております。

 実は、十二月の二十四日だったか二十五日だったか、そういった時点で、私からも、アメリカのクリントン長官、それからゲーツ国防長官あてに手紙を出しております。その中の内容とかなり重なるものであるというふうに思います。

 私が申し上げたことは、唯一の目的ということに関して議論を深めたいということを申し上げたわけです。それから、もう一つは消極的安全保障、そういったことについて、日米両国間で議論を深めたいということを申し上げました。それをさらに推し進めたのが議連からの手紙だというふうに考えております。

 方向性は全く一緒でありますので、アメリカ側、もちろんアメリカだけではなくて、私も、韓国や豪州やドイツの外相との間で核軍縮・不拡散をめぐる議論というのはかなり深めてきておりますけれども、これからもそういう方向でしっかりと議論を行っていきたいというふうに考えているところであります。

和田委員 認識を一にしていただいていること、非常にありがたいと思っています。なればこそなんですが、ぜひ大臣にも御協力いただきたいというふうに思うんですが、実は、私ども議連としましても、また先ほど申し上げたように広島県の出身でございまして、広島勢全体としましても、こういうできるところからやっていくという意味で、核兵器のない世界ということを全世界に発信されたオバマ大統領を、ぜひとも一度、広島や長崎にお招きしたいなというふうにも考えております。

 現実に、広島市長さんは一月にも訪米されて、その趣旨をおっしゃっておられますが、その際、短な言葉ではございましたが、アイ・ウッド・ライク・ツー・カムということで、大統領からも一言だけコメントはいただいているようでございます。

 こういったことで、内容は内容として、先ほど申し上げたようなサミットや会議の場で詰めていくとしましても、大きなメッセージ性のある行事として、そういったビッグゲストを日本に迎え入れて、核の問題について意識を喚起していくということは非常に意義深いものがあるのではないかと思いますが、この辺について、何か御協力いただけるようなことを御検討いただけますでしょうか。

岡田国務大臣 今の御質問にお答えする前に、核軍縮議連、創設者は私でありますので、大臣になりましてそれを離れたということであります。ですから、考え方は基本的に一致しているということでございます。

 オバマ大統領の広島訪問でありますが、オバマ大統領のプラハ演説、核兵器のない世界という理念から見れば、そういった理念を持った大統領が広島を訪問されることは意義のあることだというふうに思います。

 ただ一方で、外交日程、非常にお忙しい方でありますので、そういう中で何を優先すべきかということを最終的に決めるのは、それはもちろん大統領及びアメリカ側でありますので、そういうことはわかった上で、しかし、日本の中に幅広くそういう希望があるということについて、アメリカ側に伝わるように伝えているところでございます。

和田委員 当然、御答弁のように、私も諸所の制約要件があることは重々承知しておりますので、大臣の広い外交ルートの中で、できるところからやっていただければというふうに思います。

 さて、きょう予定をしておりました質問の本題に入りたいと思います。

 今回、通常国会が始まって初めて質疑をさせていただきますが、私がやはり有権者との間で感じておりますのは、外交以外の分野もすべてそうですが、外交について、特に有権者からのお声としてお聞きしたものから始めてみたいと思います。

 私たちは、あれだけいろいろなことを掲げながら政権を交代させていただき、今、担っております。そういった中で、外交についてはよく言われることですが、政権がかわっても方針として維持すべきものもあるということをよくいろいろな分野でお聞きいたします。

 なればこそなんですが、政権交代をして、私たちの政権というのは、どのような方向を向いて外交をしようとしているのかということを語る責任が岡田大臣にはおありだし、また、岡田大臣自身も、国民にわかりやすい言葉で語りかけると何度もおっしゃっておられますので、まさにわかりやすく解説していただける機会を私自身が設けようと思って御質問するんですが、政権がかわって、どの柱の部分でもよろしいんですが、外交として、どんなところについては前政権の主義主張を維持していく、どんなところについては変えていくつもりだということを、大臣なりのお言葉で述べていただけますでしょうか。

岡田国務大臣 まず、これはなかなか難しい質問なんですね。というのは、では、自民党政権下における、あるいは自公政権下における外交というのは一体何かというのは、一言では語れないことではないか。時の総理がだれかによってもかなり違うということも、私は事実だと思います。小泉さんのとき、あるいは安倍さんのとき、福田さんのとき、麻生さんのとき、それぞれ重点の置き方が異なるわけで、これを一つに語るというのは非常に難しいということでありますので、私は自民党政権との違いということを簡単に述べることは難しいと思います。

 しかし、今の鳩山政権のもとでの外交というのは、一つは日米基軸、これは余り変わらないと言われればそのとおりだと思いますが、しかし、鳩山総理は、それを対等な日米関係という言葉で語っておられます。

 それから、もう一つはアジア外交、アジア重視といいますか、そういう考え方で、ここは、この政権がスタートして以来、中国あるいは韓国、ASEAN、さまざまなバイの会談あるいはマルチの国際会議を開いてまいりましたが、私は、非常に今お互いの距離が縮まっていることは間違いないというふうに思います。

 そういったアジア外交を重視していくという姿勢は、もちろん、今まで自民党の政権の中ではそういうことがなかったわけではないんですけれども、鳩山政権の一つの特徴ではないか。そして、それを東アジア共同体という一つの将来のビジョンにまで高めているということが言えるかと思います。

和田委員 今、御答弁いただいた内容を私自身も理解するところではあるんですが、有権者の方にそういった御答弁ぶりを投げかけて感想を聞くと、おっしゃっていることはそのとおりだと思うという反応は結構返ってくるんですが、どうも自分たちがこの分野で政権交代を選んだ意義が見出せないでいるというふうに、有権者からも言われたりするんでございます。

 そういった意味で、表現しにくいことはわかった上での御質問なんですが、例えば日米同盟、また対等な日米関係、そういった言葉の中に、我々が趣旨として持っているであろうことをもう少し具体的に語ってもよいのではないかというふうに思いながら、一つ例を挙げて御質問したいと思います。

 午前中から随分問題になっていますが、普天間の基地移設問題につきましても、私なりの感想として申し上げれば、前政権下でもさんざん検討してこられた中で結論が出なかった、その要因というのがどんなところにあるんだろうか、我が党は分析しているだろうかとか、そういった包括的にこれまで結論が出てこなかった要因にはどんなものがあるとか、それを踏まえて、我が党として、与党・政府一体ですから、政権与党としてどういった方針のもとにこの移設問題を考えていくのか。それをできる限り国民の皆様方に示した上で、あとは交渉を任せてくださいというスタンスが必要であるのではないかというふうに思いながらお聞きするんですが、その辺について語れる部分がございませんでしょうか。

武正副大臣 和田委員にお答えをいたします。

 岡田外務大臣のもと、政務三役、説明責任ということをやはりしっかり果たしていこう、例えば毎週の記者会見も、大臣が二回、そして副大臣が二回やるというようなことも含めて、そういった姿勢で臨んでいるわけでございます。

 今のこの普天間移設問題については、対米交渉、そしてまた地元沖縄県とのかかわりという中で、また今、官邸の方で官房長官を中心に沖縄基地問題検討委員会、これは与党の中での協議というような、政府・与党での協議、いろいろな方々との話し合いを同時に進めていく、なおかつそれぞれの皆さんに対しても説明をということで、適宜適切な説明が求められるということだと思っております。地元の方々を初め、国民の皆さんに対して米軍再編事業の進捗状況等について説明を行うことに努めてきているわけですが、より一層丁寧に説明をして、御理解を得て進めていくというのが方針であります。

 午前中ちょっと質問が出ていました内閣官房の沖縄連絡室、これなどもこれまでなかった試みで、指摘があったように、外務省の沖縄事務所はありました。ただ、それとは異なる役割を果たすということで、米軍に関する問題に限らず、沖縄振興を含むさまざまな問題について、政府内の検討に資するために、内閣官房の窓口として置かれた。これは官房長官の強い思いで置かれておりますので、これは前政権にはなかった、ある面、さらに沖縄の皆さんに対して説明を、あるいは意見を聞く、そういう試みであるというふうに申し上げていいと思います。

和田委員 今、武正副大臣が御答弁いただいた内容は私自身も評価しているところでございます。しかし、私がきょうの質疑で取り上げたいと思ったポイントはちょっと違ったところにございまして、そのために、きょうお忙しい中いらっしゃっていただいている関係副大臣にお聞きしたいと思います。

 先ほどちらっと申し上げましたが、基地をそもそも移転する理由は何なのかということをぱっと国民に、一般の皆様方に問いかけたときに、それはこうだねというふうにお答えがなかなか返ってこないぐらいの認識しか今、国民の皆様方にないんでございますが、防衛副大臣、いかがでしょうか、基地を移転することが必要となっている理由を簡単に御説明いただけますでしょうか。

榛葉副大臣 和田委員、それは普天間に限らず、一般論ということでしょうか。(和田委員「はい」と呼ぶ)

 無論、基地は、ある方によってはない方がいいかもしれません。しかし、我が国は、なるべく負担を軽減しながら、しかし、我が国の安全を担保するために抑止力をどう維持するかというところで、さまざまな議論をしているわけでございます。普天間を初めとする大変密集した地域にある基地の移転問題を議論するといたしますと、やはり安全であるとか、騒音であるとか、それから交通の障害になっていないだろうかとか、さまざまな観点からこの基地の問題を議論するということでございます。

 加えて、今問題になっている普天間に関して申し上げれば、米軍の面積的に七四%が国土の面積の〇・六%の沖縄に集中をしている、これはやはりきちっと負担を軽減しなければならないという観点だろうと私は理解しております。

和田委員 今おっしゃっていただいているところは、情報としてとろうと思えばとれるところですが、私が沖縄県民の皆様方、またほかの県民の皆様方にお聞きしてみましたところ、やはり報道で流れているところが意識として中心にあって、軍が生活の場のすぐ近くにあることによる危険性だとか、またたびたび残念ながら起こっております沖縄県での女性暴行事件だとか、そういったものが意識として高いのであります。政府として、そういったものに対応するということを一つ主軸に掲げて基地移転を考えているのか、今、副大臣がおっしゃっておられるような大きな政策論として考えているのか、そこら辺がまだ国民の皆様方に浸透し切っていないような感想を持ちます。

 もう一つ、視点を変えまして、今度は、基地を移転すると言っている以上、その基地がどこに移るかによって、それぞれの方々の生活に大きな影響が及ぶのではないかと思って、きのう質疑通告させていただいたんですが、副大臣、これは内閣府の副大臣ですか、今、沖縄の米軍基地があることによって、沖縄県の経済にどれぐらいの経済規模がもたらされているとお考えでしょうか。

大島副大臣 和田委員にお答えをいたします。

 米軍基地の存在が沖縄県に与えている経済効果について、これは沖縄県の県民経済計算によりますと、直接の経済効果として基地関連収入が挙げられると思うんですけれども、平成十八年度で総額約二千百五十億円となっております。これは県民総所得の約五・四%を占めております。

 以上でよろしいでしょうか。

和田委員 ありがとうございます。

 副大臣にはその先も少し御見解をお伺いしたいと思ってお願いしたんですが、統計上あらわれているのは今お述べになったとおりなんですが、聞きましたところ、米軍の兵隊さんそれぞれが生活の場で、沖縄県の中でお金を出している、レストランで食事したり、いろいろなお店へ行って買ったり、そういったものは含まれていないように思います。それらが、実際に基地が抜けるとなると、それの分だけ消費が少なくなるという影響が考えられます。

 そういったことを、全体としてどれぐらいの規模があると見込んでいらっしゃって、それを沖縄県の外に出すのか、中に置くのか、それによっては、沖縄県の所得が随分大きく揺れ動くということになってまいります。

 御承知のように、ただでさえ沖縄県は、四十七都道府県の中で、県民一人当たりの所得でいうと二百四万円で、最下位になっております。もし今お述べになった計算上、その部分が抜けるとすれば、単純計算では、沖縄県だけが唯一、二百万円を割り込むような県民所得になってしまう。

 こんな影響もいろいろあるものですから、全体として、基地を移転する際にどんな影響が及び得るかということを、情報を国民の皆様方に積極的にお示ししながら、でも、最後はいろいろな要素を勘案して決めていくんですということを政府全体で国民の皆様方に示していただければというふうに思って、取り上げました。

 最後、一言だけ、岡田大臣。この問題について、政府として、私自身の考え方としては、今申し上げたような要素を統合的に一たん国民に説明した上で、それを全部考え合わせながら進めていきますという言い方を説明していただければというふうに思ったんですが、そんな考えに、いかがでしょうか。

小宮山(泰)委員長代理 岡田大臣。簡潔にお願いします。

岡田国務大臣 私は、外務大臣として最も語らなければいけないことは、一方で沖縄の負担の軽減、しかし同時に、やはり米軍の果たしている抑止力としての役割、米軍があることで日本の安全が保たれているということについて、国民にもっと率直に語らなければならない。そのことがなしに議論が行われると、これは議論が混迷してしまう、そういうことだと思っております。

小宮山(泰)委員長代理 大島内閣府副大臣。簡潔にお願いします。

大島副大臣 簡潔にお答えをいたします。

 先ほど和田委員がおっしゃっていた、軍人軍属の家計消費支出だと思うんですけれども、私もこの二千百五十億円の中に含まれているかどうか疑問に思って、先ほど調べていただいたところ、含まれております。

 もう一つが、基地が移設され、跡地利用が可能になった場合においては、例えば普天間飛行場等の米軍施設が返還された後の土地利用については、人口等が集中する沖縄県の中南部地域に所在していることもあり、その活用により相当な経済効果が見込まれるということと、もう一点は、沖縄県及び跡地関係市町村においては、それぞれの跡地に係る利用計画策定に取り組んでいるところでもあり、国としては、跡地利用計画策定など地元の取り組みに対し財政上の支援を行い、返還跡地の活用により町づくりが円滑に進むことを期待しております。

 以上です。

和田委員 時間が参りましたので、一言だけ申し上げて終わりにしたいと思います。

 こういった一つの事例のように、政府全体、オール政府として何を国民に発信すべきかということを非常に精細な神経を持って取り組んでいただきますよう御要望申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

小宮山(泰)委員長代理 次に、阪口直人君。

阪口委員 民主党の阪口直人でございます。

 岡田外務大臣とは、今から十八年前に、カンボジアにおいて、私が国連のボランティア、そして外務大臣は当時自民党の新人議員という立場で、日本の国際貢献、どのように今後発展をさせていくことが可能なのか、そういった大変に熱い議論をさせていただきました。きょうは、外務委員である私と、そして岡田克也外務大臣、この十八年の時を超えて、同じテーマで議論ができることを大変に光栄に思っております。

 きょうは、政権交代を実現して、新たな価値観で民主党、新たな価値観で鳩山政権として、また日本の外交の方針として何を基軸に進めていくのかということを中心にお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、日米の密約の問題について、これは政権交代の大変に大きな成果だと思います。そして、日本は非核三原則を堅持していくわけですから、実質的にも核が決して持ち込まれることがないように、これは今後さまざまな局面があるかと思いますが、ぜひその時々に必要な措置をとっていただきたいと思いますが、この点について、大臣の見解をいただきたいと思います。

岡田国務大臣 鳩山総理も何度も言われておりますように、非核三原則というのは、我々の政権の考え方で、これを堅持するということは繰り返し申し上げているとおりであります。

阪口委員 さて、過去の外交政策についてしっかりと見詰める、そして検証するということは、核のみならず、我々新しい政権の責任として果たしていくべきだと思います。

 私と岡田外務大臣が初めて出会ったのは、カンボジアのPKOの場でございました。私は、この問題について、カンボジア、そしてその後の多くのPKO、そしてイラクも含めて、日本の自衛隊の海外派遣について、また日本の政府の平和への取り組みについて、岡田外務大臣、どのように評価、また課題を感じていらっしゃるか、ぜひお聞きをしたいと思います。

岡田国務大臣 ちょっと質問が大き過ぎて、何と答えていいのか戸惑ってしまいますが、委員とカンボジアでお会いしたときに、ともにお会いした中田さんがその後カンボジアの地においてお亡くなりになったということは、私、今もよく覚えておりますし、これは私だけではなくて、ここには岩屋議員もおられますが、岩屋さんは一緒じゃなかったですかね。(発言する者あり)失礼しました。あのときの新人議員の共通する思いとして、阪口さんや中田さんと議論したことを非常に強烈に覚えているわけでございます。

 さて、PKO、我々が行ったときにはまだPKO部隊は派遣される前だったと思いますが、その後、PKO部隊が派遣されて、カンボジアでは非常に成功をおさめたというふうに私は思います。非常に不安定な状態だったカンボジアがまとまり、そして国づくりがスタートした。まだ途上にはありますけれども、私は、日本のPKOの果たした役割は非常に大きかったというふうに思っております。

 ただ、その後を見ますと、東ティモールなどの成功事例はありますが、今現在で見ると、ハイチにPKO部隊を出す前の状態で見ますと、非常に日本の貢献というのは少なかったということ。世界の中でも、PKO部隊を派遣している国、上から数えるよりも下から数えた方が早いぐらいの状況。まとまって出していたのはゴラン高原ぐらい、そういう状況でありました。したがって、今回のハイチについては、関係大臣ともよく御相談をして、速やかにこれを出すという決断をさせていただいたわけでございます。

 私は、PKO活動について、ほかにも日本の自衛隊に活躍してもらえる、そういう場所はあるというふうに考えておりますので、さまざまな調査を行いながら、さらに、世界各地で求められれば、日本の自衛隊に出ていっていただいて活動していただきたい、そういうふうに思っているところでございます。

 とりあえずこの辺にさせていただいて、あと、具体的な質問がありましたら、それぞれ回答させていただきたいと思います。

阪口委員 私自身も、カンボジアの後にモザンビークですとか東ティモールなどのPKOのミッションに文民として参加した経験から、日本のPKO、また平和への取り組みをどのように評価すべきか、私自身が実際に見たことと一般的な評価との乖離というものをやはり埋める必要があるという認識を持っております。

 ところが、このPKO、自衛隊の海外派遣について検証しようと思っても、その資料、情報が大変に少ないんですね。例えばカンボジアに関しては、今皆さんのお手元にトータルのコストがどれぐらいかかったかという表がございますが、これなども、私が資料要求をしてから実際に出てくるまで随分時間がかかりました。また、カンボジアの国際平和協力業務の実施について、これは十四ページの冊子でございます。また、イラクについても十六ページの冊子、これがすべてである。

 すなわち、対費用効果がどうであったのか、また、自衛隊の海外派遣という本当に国論を二分するような大きなテーマに対して、実際現地に行って帰ってきた後の評価、検証、また課題というものが、前政権においては責任を持った形でなされていなかった、私はこのように思います。

 新しい政権になったわけですから、過去の自衛隊の海外派遣、さまざまな貢献もあるでしょう、しかし同時に大きな課題もあると思います、ここをしっかりと検証する。これが今後の自衛隊の海外派遣、ひいては日本政府の平和への取り組みをより効果的にする上で必要だと私は思うんですけれども、大臣のこの点についての見解をいただきたいと思います。

岡田国務大臣 今までの自衛隊の派遣についての検証というのは必要だというふうに思います。ただ、これはコストだけでははかれない問題であります。

 最近も、例えばインドネシアとかあるいはハイチに緊急支援隊を出しました。医療部隊であります。そういった医療部隊を出すときに、自衛隊を最初から出すという選択肢もあります。しかし、通常は、登録されたお医者さんたちに声をかけてチームを編成してまず出す、そして、その間に自衛隊の医療チームの編成を行って引き継いでいく。インドネシアでもハイチでもそういうことが行われました。

 最初から自衛隊を出せばいいじゃないかという議論はあります。急ぐときにはそういうことも必要だというふうにも思います。それはそれぞれの状況に応じてということでありますので、とにかく、医療が不足しているときに、早急にそれに対応しなきゃいけないということであれば、費用が多少かかろうが、そういったことをある意味では構わずに出さなきゃいけないこともありますので、なかなか後で評価するというのは難しい面があるとは思います。しかし、終わってみて、ほかに選択肢はなかったかとか、ほかのやり方がなかったのかということを検証するということは、その後に備えるという意味では非常に重要なことだと思います。

阪口委員 検証の内容としては、やはりまず現地社会に対して、現地の平和に対してどのような貢献があったのか、また国際社会の評価はどうなのか、そして、私たち、まさに税金を払っている国民の評価がどうだったのか、また国民に対してしっかりと説明がなされているのか、そういったさまざまな評価があるかと思います。

 私も実は少しびっくりしたのは、カンボジアに対してPKOを派遣したときのコストが、防衛省の負担分が百四億八千万円、また内閣府の負担が十四・七億円で、合計百十九・五億円ということでございます。その直前に、湾岸戦争に日本政府は百三十億ドル、当時のお金でいうと、これは一兆五千億円近いお金を払いました。ところが、国際社会からは十分な評価がされることがありませんでした。

 そういったトラウマもあって、私は、何としてもこういった平和の実現のために汗をかかなくてはいけない、場合によっては血を流すリスクというものについても覚悟しなければいけないという、本当にこれは苦渋の決断であったかと思いますが、コストを比較すると、見る限りは、湾岸戦争に対して拠出したお金の百分の一で済んでいるんですね。もしそんなに少ないコストでそれほどの効果があったということであれば、やはり日本国民に対して正確にこの成果というものも伝える必要があると思います。

 こういった自衛隊の方々、現地で本当に一生懸命やっていらっしゃったと私は思います。私もその活動をつぶさに拝見させていただきました。しかしながら、例えば、これはカンボジアについてなんですが、日本政府が補修をした国道二号線、三号線などは雨季が一回来ればもうぼこぼこになってしまって、現地では、日本の自衛隊は撤退したときに道路まで持って帰ってしまった、そんなふうなことも言われておりました。

 私は、ぜひこの成果、課題というものについて早急に調査チームをつくっていただいて、コストのみならず、その成果というものについてもぜひ検証していただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 そして、検証ということで申し上げますと、イラク戦争への関与に関して、これは例えばイギリスにおいては大変に大きな議論になっております。イギリスの独立調査委員会は、イラク戦争の開戦時に政策決定にかかわったブレア元首相、そして当時財務相であったブラウン現首相などを証人喚問して、そして徹底的に追及をしています。

 イラク戦争は、開戦の根拠であった大量破壊兵器は見つからず、また、十万人を超えるイラク人の死者が出ました。さらに、アルカイダとの関係も見つからなかった。オバマ大統領がみずから、間違った戦争であった、このように言っております。

 私は、当時の日本政府におけるこのイラク戦争関与の最高責任者であった小泉元首相にも国会に来ていただいて、何をもってイラクへの参加を決めたのか、こういったことについてぜひ証言をしていただきたいと思っています。大臣、この点についてはいかがお考えでしょうか。

    〔小宮山(泰)委員長代理退席、委員長着席〕

岡田国務大臣 イラクの問題に入る前に、先ほどの件なんですが、自衛隊とそれにかかった費用ということ。

 先般の予算委員会で、山内委員から、NGOと自衛隊と、どういうふうに役割分担していくのかという質問をいただきました。山内さんもたしかJICAで御活動された経験がおありの方だと思いますが、そのときには、自衛隊を出さなくてもNGOの方がずっとコスト的には少ないコストで多くのことができる、そういう趣旨の御質問だったと思います。そのときにも私は、それは状況によってよりよい組み合わせを考えていくべきではないかというふうに申し上げました。ですから、さまざまな御意見があるということで、一概に言えない部分があるということを申し上げたいわけでございます。

 それから、先ほどカンボジアの、自衛隊の道路補修の話をされました。その後、放置されて、雨季が来て、せっかくつくった道路がだめになってしまったと。この辺は、やはり平和構築ということを、それぞれ細切れではなくて、一連のものとして考え、政策を組み立てていかなくてはいけない。

 私は、必ずしも立派な道路をつくることが自衛隊の仕事だとは思わないわけです。ですから、自衛隊が最低限のそういった補修といいますか道路をつくった後、やはりその後はODAで、なるべく地元の力を活用した方がいいとは思いますが、より舗装された道路に変えていく、そういうのが一連の作業としてできる、そういったことは非常に重要なことで、PKOはPKO、そしてその後の無償は無償、そして円借などというばらばらじゃなくて、やはり一連のものとして考えていく必要があるんじゃないか、そんなふうに思っているところであります。

 それから、イラクの問題は、私も非常に関心を持っております。

 ちょうどイラク戦争が始まった直後、小泉総理は、この戦争に対して、これを支持すると言われました。従来の日本国政府は、こういう場合には、例えばコソボのときなどもそうだったと思いますけれども、支持するという表現は使わずに、理解するという表現を使ってきたはずなんです。しかし、小泉総理はすぐに支持をするというふうに言われて、それに対して評価する声もあった。

 私は、当時、たしか幹事長だったかと思いますが、本会議の演壇に立って、もうかなり夜遅い時間でしたが、イラク戦争に日本が支持をしたことに対して反対の演説をさせていただきました。非常に安易に支持をしたということに対して、私は非常に大きな問題意識を当時から持っておりますし、今でも持っております。

 そういうことの検証を行ってはどうかということですが、私も個人的には非常に関心を持っているんですが、しかし、それは今行うべきなのかどうかという問題はあると思います。私は外務大臣としてもやりたいことがたくさんあるんですけれども、やはりある程度順番をつけてやっていかないと、一遍にたくさんのことはできません。

 それから、やはり実際に戦争を行い、そこで多くの若者が血を流し、あるいは亡くなった国と、それから、もちろん自衛隊は出ましたけれども、戦ったわけではありませんので、そういう国とは状況も違うというふうに思います。

 私は、少し視野を長く見て、将来の課題として、イラク戦争に対する日本政府の関与の仕方がどうだったのかということをどこかで総括したいというふうには思っております。

阪口委員 ありがとうございます。

 ぜひ、この問題については、私も現場にかかわった一員として積極的に関与をしてまいりたいと思いますので、今後とも御指導をお願いいたします。

 さて、冒頭に申し上げました、日本外交の新たな価値観という点につきまして、私は、ぜひ人権というもの、基本的人権、また人間の尊厳、自由を守るということを中心に据えていただきたいと個人的に思っています。

 鳩山総理は、命を守りたいということを施政方針演説で繰り返しおっしゃいました。そして、この人権という概念、よく欧米諸国が欧米的な人権意識を振りかざして介入をする、このことにはアジアの国々等、大きな抵抗もあるかと思います。

 しかしながら、私は、日本型の人権外交というものを確立する、そして、さまざまな問題に対処する上での一つの有効な武器にそれをしていくという姿勢も必要だと思っています。この点について、大臣はどのようにお考えでしょうか。

岡田国務大臣 人権という視点は、私は非常に重要だと思います。ただ、一部の欧米の国々に見られるように、余りこのことばかり強調して、そして厳しい態度でさまざまな制裁も含めてやるということが結果的にいい結論になるかどうかということは、よく考えなければいけないと思います。

 例えばミャンマーであります。ミャンマーは、従来は欧米諸国というのは、制裁ということで、非常に非人道的な行いが行われているということで、非常に厳しい態度をとってまいりました。他方で、中国やインドのように、そういったことには余り関係なく援助をするという国々もある。日本は、もちろん制裁ということに参加をしてきたわけです。したがって、本格的な意味での経済援助というのは控えておりますが、しかし、最低限の関与はしてきたということで、その結果としてミャンマー政府と一定の話し合いができる、そういう状況にあるということだと思います。

 最近、アメリカの政策がオバマ政権になってかなり変わりまして、日本と同じような関与政策という方向になってまいりました。キャンベル国務次官補もミャンマーに直接行って対話などもしているわけであります。私は、日本の考え方というものが決して間違っていなかったというふうに意を強くしているわけであります。

 そして、大事なことは、ことし選挙があるということで、その選挙が公平で開かれたものになるかどうかということだと私は思います。そのために、日本政府としても、公平で開かれた選挙が行われるように努力をしなければならないというふうに思っております。

 具体的には、我々、公平で開かれた選挙が行われるということになれば、より本格的な経済支援をするということをミャンマー政府には伝えてあります。逆に言いますと、その選挙が十分納得できるものでなければそういったことはできないということで、そういう形で我々の姿勢を明確にしつつ、一定の方向、民主化ということが前に進むように努力をしているところでございます。

 欧米と比べて若干違うと思うのは、余り性急にそういうことを求めるだけでも難しい。アジアの国々として、例えばインドネシア。十年、二十年前のインドネシアを比べれば、かなりいろいろな議論があったと思いますが、今、私は、ユドヨノ大統領のもとで、きちんと大統領選挙も行われ、そして、インドネシアは民主主義国家としてのその成熟の道を歩んでいるというふうに思うわけです。ですから、少し長い目で見なければいけないところもある。それは、同じアジアの国として、日本がそういったことをしっかりと理解して行っていくべきだというふうに思っております。

阪口委員 新政権のミャンマーに対するこれまでとは違ったスタンス、これは本当に現地の方々には大きな期待を抱かせていると私も思います。

 しかしながら、実際にことしの秋にも選挙が行われようとしている中で、恐らく、前回、四百八十五議席中三百九十二議席を国民民主連盟に奪われた軍事政権が、また負けるかもしれないというリスクを今のまま冒すとも私には考えにくいところがございます。

 したがって、この対話を見守る、そして選挙までの推移を見守るというだけではなくて、やはりある程度強制力を伴った強いリーダーシップを日本政府として発揮して、これはミャンマーにとっては国際社会に健全に復帰する本当に最後のチャンスだと思いますので、岡田外務大臣、また鳩山首相による強いリーダーシップを発揮して、ビルマの方々が本当によかったと思えるような結果に導いていただきたいと思います。

岡田国務大臣 私も、三年ほど前、野党時代にミャンマーを訪れて、農村地帯を中心に現場を見る機会もありましたし、非常に気になっている国の一つであります。今まで外相とは二回ないし三回、会談を行ってまいりましたし、繰り返しになりますが、公平で開かれた選挙が実現できるようにしっかりと見守っていきたいし、日本としての主張はしっかりと行っていきたいというふうに思っているところであります。

阪口委員 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、横粂勝仁君。

横粂委員 民主党の横粂勝仁でございます。

 本日、このような質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 私からは三点、日本外交のあり方全般について、アフガニスタン支援について、そしてODAについてお聞きしたいと思います。若干これまでの質問と重複するところがございますが、そこは御容赦いただければと思います。

 では、まず日本外交のあり方についてです。

 これまでの日本の評価として、経済は一流だが政治は三流、さらに外交に至っては五流とまで言われてきました。そのような評価を受けている前政権までの外交について、その総括をお聞かせいただければと思います。

岡田国務大臣 経済は一流、政治は三流というのは十年ぐらい前に言われたと思いますが、今や経済も一流なのか、そういう議論もあるかと思います。ただ、私、外交が五流というのは初めて聞きましたので、そういう議論があるんでしょうか、そこまでちょっと言わなくてもいいんじゃないかと。私は外務大臣になってまだ六カ月ですけれども、その前も含めて、もう少し日本の外交は誇るべきところがあるんではないかと思っておりますが。

横粂委員 御指摘を受け、外交は四流だという意見もございましたので、四流ということでとどめさせていただきたいと思います。

 しかし、歴史的政権交代を経た新政権におきましては、四流だか五流だか、そのように言われてしまうこれまでの外交を変えていかなければいけないと思っております。

 私は、浦賀と久里浜がございます開国の地、横須賀と三浦において活動しております。そして、その開国の地において、これまでの外交は内側に閉ざされた外交、そう総括し、これからはより一層開かれた、世界に開かれた、積極的、戦略的外交を展開し、国際社会における日本のプレゼンスを高め、世界の信頼と期待にしっかりとこたえていくべきだと強く訴えております。

 このように、今再び日本を開いていくとき、今再びの開国のときではないでしょうか。この現在において、岡田外務大臣は、日本の外交をどのように変えていくのか。その強い決意をお聞かせいただきたいと思います。

武正副大臣 まず副大臣からちょっとお答えを。岡田外務大臣のもと、政務三役一体で臨んでまいりました半年ですので、私からお答えをさせていただきたいと思います。

 岡田外交ということで申し述べれば、まず第一に、現場主義、現場を知ること、第二に、常に原点に立ち返り検討すること、そして第三に、わかりやすい言葉で国民の皆さんに伝えること、こういった三つの原則を特に重視し、しっかりとリーダーシップを持って、昨日の密約問題の調査もその一つだというふうに思いますが、全力で新しい外交に取り組むということで、この半年間、政務三役一体となってやってきたというふうに思います。

岡田国務大臣 私は、今までの外交もそう捨てたものではないというふうに思うわけです。

 例えば、私は二十一世紀はアジアの時代というふうに思うわけですけれども、そのもとは、やはり日本の政策、特に経済援助、アジアの国々に対して日本が経済支援をしてきた、そのことがASEANの国々、あるいは中国も含めてということになると思いますが、そういった国々の今日の状況をつくり出した一つの大きな原因になっているというふうに思うんですね。ですから、日本の経済援助についていろいろな議論がありますが、私は、それは大きな成功物語であるというふうに思っているわけであります。いろいろな批判は当然ありますけれども、ある意味、具体的におっしゃっていただければ御説明したいと思いますが、そう悲観すべきものでもないというふうに思っております。

 あるいは、平和主義、これもさまざまな議論がありますが、しかし、海外において武力行使をしない、そういう考え方に基づいて今までやってきた。もちろん、かなり微妙なケースというのはありましたし、我々はそういうことを国会で取り上げたりいたしましたけれども、しかし、ほかの国々とは明らかに違うそういった政策、これも日本外交の特徴だし、誇るべきことではないかというふうに私は思っております。

横粂委員 日本外交に対する誇りを与えていただけるお言葉をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、岡田外務大臣は、週末や祝日を利用して一泊程度でトンボ返りするといういわゆる弾丸外交をスタートされ、ここ最近でも、ロシアやトルコ、韓国、オーストラリアといった国々を訪問されております。こういった弾丸外交には、岡田外務大臣の新しい外交方針、その姿があらわれていると私は思っております。

 この弾丸外交の目的、そして、これから先どのような国々を訪問される予定なのか、お聞かせいただければと思います。

岡田国務大臣 これは、何か新しいことをやっているんじゃなくて、やむを得ずやっているということ。つまり、特に国会開会中は週末しか行けない、とれないんですね。我々も野党のときには同じようなことを言っていましたので、やむを得ない部分もあるんですが、やはり日本の国益を考えれば、もう少し外務大臣や、あるいは場合によっては総理が海外に行って重要な会議には出席できるようにしないと、私は、本当にもったいないことをしているというふうに思うわけであります。

 それで、一泊と言われましたが、一泊ではございません。大体三泊ぐらいいたしますが、ホテルに泊まるのは一泊という意味でございます。先般もオーストラリアへ行ってまいりましたが、金曜日の夜に飛行機に乗って一泊、そして現地で一泊、また帰りに一泊して、月曜日の朝六時に成田に戻る、こういうことでございました。決していいことではありませんが、しかし、そうでもしないと海外に行けない。

 それから、そういう形で行けるのはやはり近場といいますか、アジアやオーストラリアということになりまして、より遠くに足を延ばそうとすると、そういうこともできませんので、例えばアフリカとか南アメリカとか中東とかヨーロッパとかいうのはそういう日程では無理ですので、やはりもう少し、必要があるときには海外に行ける体制を何とかつくっていただきたいし、そういう中で、なるべく現場主義で、やはり現場に行って、人と会って意見交換するということをしっかりやっていきたいというふうに思っております。

横粂委員 岡田外務大臣のやむを得ずの弾丸外交が、今後、国民と国会の御理解を得て、より一層進展、深化していくことを御祈念申し上げます。

 さて次に、アフガニスタン支援についてお聞きしたいと思います。

 アメリカ同時多発テロに伴うアフガン攻撃を受け、テロ対策海上阻止活動に対する給油支援活動実施のため、海上自衛隊の補給艦や護衛艦をインド洋に派遣してまいりました。横須賀からも、護衛艦「むらさめ」や護衛艦「いかづち」といった護衛艦が出港しており、海上自衛隊の方々が長期間に及ぶ過酷な任務を確実に完遂され、国際社会において大きな評価、高い評価を受けてきたものと私は認識しております。しかし、政権交代を経て、インド洋派遣が終了するに至りました。

 そこで、インド洋派遣に対する国際的評価を含めた総括と、なぜそれを終了したのか、その理由についてお聞かせいただければと思います。

武正副大臣 横粂委員にお答えをいたします。

 補給支援活動については、一定の成果があったことは事実であり、各国よりも評価をされております。他方、補給回数が一時期に比べて減少してきたことに伴いまして、補給支援活動の意味合いが小さくなってきた面もあります。

 補給支援活動は終了しましたが、政府としては、民生支援を中心に、引き続き、国際社会によるテロ対策の取り組みに積極的、主体的に貢献していく所存でございます。

横粂委員 インド洋派遣に対し一定の評価を与えていただきまして、横須賀で活動する議員としてもうれしく存じます。

 しかし、ただいまおっしゃった民生支援を強化していくというお話ではございますが、これまでの前政権におきましても、民生支援は行われておりました。さらに言えば、そのような一定程度国際評価があった給油活動をやめるからには、それに負けないだけの民生支援、その中身を政府としてしっかりお示しする必要があると思います。さらに言えば、これまで顔が見えない外交、小切手外交だと言われてしまっている中で、やはりその御指摘を超えるだけの、こういったものをやっていくんだ、その具体性が必要だと思っております。

 そのために、これまで鳩山総理大臣や岡田外務大臣が表明されているように、国防、防衛、治安維持のために、アフガン国軍や警察に対する財政支援の拡大。さらに、元兵士に対する職業訓練や農業支援。そういった支援に加えて、より具体的な、医療に対する支援。さらに言えば、アフガンの子供たちのおよそ半数にも及ぶ六百万人もの子供たちが学校に通えない現状を改善すべく、学校の建設や修復、さらに言えば教員給与に対して支援していく。さらに、安全な水道水を飲める人が全体の二〇%、衛生施設にアクセスできる方が全体の一〇%しかいない、その現状を改善していくために水と衛生面に対する支援の拡大も必要だと思っております。さらに言えば、政府とNGOとの連携をより一層深めて、支援実施体制の強化が必要だと思っております。

 総合的にこれらの点に関してお考えをお聞かせいただければと思います。

岡田国務大臣 まず、インド洋の自衛隊の派遣の問題ですけれども、現場の自衛官の皆さんは本当によくやられた、厳しい、過酷な環境の中で頑張っていただいたことを、これは心から敬意を表したいというふうに思っております。

 ただ、あれをやめたことは、今、武正副大臣から説明がありましたが、実は、あの法律のもとになる法律をつくりましたのは、野党側の責任者は私でありました。自民党側といろいろ議論しながらつくったわけで、最終的には我々、反対に回ったわけですけれども。あのときには、九・一一テロが起きて、そしてアメリカの自衛権の行使、そしてそれに対する国連初め国際社会の理解、そういう中であの法律ができ上がったというふうに思います。

 しかし、状況はその後変わり、タリバン政権が崩壊し、自衛権の行使、恐らく自衛権の行使というのは国に対するものだとすれば、そういう名目はなくなった。しかし、法律は事実上変わらずに、支援もそのまま続いた。だんだん法目的から乖離していった状況というのがあったと思うんです。

 私は、こういう、自衛隊を出すときに、やはりきちんとした目的が明確にあり、そしてそれに合った法律があって、その上で派遣をしていかないと、状況が変わる中でそれを続けるということについては、やはりよほど気をつけなければいけない、そういうふうに思うわけであります。

 それから同時に、これはよく言われるわけですが、アフガニスタンの人々にとっては、やはり軍を派遣していない日本ということに対しての支持というものもあるわけですね。もちろんインド洋には出していたわけですけれども、直接、陸に軍を派遣しているわけではない。どうしても、軍を派遣するとなりますと、誤爆とかさまざまな、接点がそこにできますから、それに対して国民感情というのも変わってまいります。日本はそういうことをしていないということに対して評価するという声もあることも事実であります。

 それで、御質問に対してお答えするとすると、これは今までも結構やってはいるんです、従来の政権のときから。例えば二〇〇一年から二〇〇九年までの間で、教育分野ですと、金額でいうと六千七百万ドル、保健医療分野では五千九百万ドル。

 中身でいいますと、教育分野では、五百五十以上の学校をつくったり修復しました。それから、JICAによって一万人の教師の育成、特に女性の教師。それから、一万人の識字教育。それから、これは直接ではありませんが、ユネスコを通じた三十万人の語学教育というものを行ってまいりました。

 保健分野では、私もアフガニスタンに行ったときに参加をさせていただきましたが、ポリオやBCGなどのワクチンの供与、これは四千万人に対して行いました。そして、五十のクリニックの建設とか、その他、千の井戸を整備したとか、そういったこともやってまいりました。

 そういったことをさらにアクセルを踏んでしっかりやっていく。そして、そういうことと、いわば旧タリバン兵士の社会復帰とか、そういうことをかみ合わせながらやっていくということも考えていかなければいけない。

 五年間で最大五十億ドル、そういう予算を確保したといいますか、立てましたので、その範囲内において、この予算が無駄にならないように、しっかり、アフガニスタンの国民の皆さんの役に立つように、知恵を出しながら頑張っていきたいと思います。ぜひ、横粂委員におかれましても、さまざまなアイデアとか知恵をおかしいただければ大変ありがたいと思います。

横粂委員 外務大臣より力強いお言葉をいただきましたので、このアフガニスタンに対する民生支援により、アフガニスタンに再び平和と安全、人々の笑顔が取り戻される日を楽しみにしております。

 それでは最後に、ODAについて移らせていただきます。

 ODA予算に関し、日本以外の主要援助国の予算、日本以外は二〇〇一年以降、二倍もの伸びを見せている中、日本に至っては、平成九年度をピークに、何と半減、およそ半減しております。その理由と、それに対する評価、お考えをお聞かせください。

武正副大臣 御質問の、日本以外の主要援助国の伸び率は、予算ベースではなく円借款等も含めた事業量の実績ベースであることにまず触れさせていただきます。

 また、委員御指摘のとおり、二〇〇一年九月の米国同時多発テロ事件以来、欧米主要先進国は、テロの温床となる貧困の削減等のため、援助実績を大きく増加させてまいりました。他方、我が国は、厳しい経済財政事情を反映して、当初予算は過去十三年間でほぼ半減、御指摘のとおりでございます。ODA事業量も、平成十九年に下げどまり、平成二十年は増額しましたが、平成七年に比べ、趨勢的に減少傾向にある。

 本年夏までをめどに、今外務省の中でODAのあり方についての基本的見直しを実施しておりまして、それによって、国民の理解と支持のもと、ODAを戦略的に、効果的に実施してまいりたいと考えております。

横粂委員 ただいま武正副大臣おっしゃられたように、戦略的、効果的なODAの行使が求められております。それに関し、やはりそれでいても、まだまだ顔が見えない外交、小切手外交だ、そういった評価がつきまとう日本のODAについて、より一層、今後、いかに目に見える形でやっていくのか、いかに戦略的にやっていくのか、いかに効果的にやっていくのか、その具体策が必要だと思います。その具体的な施策についてお聞かせいただければと思います。

岡田国務大臣 確かにODA、今委員も地元で聞いてみれば、多分、多くの人が、無駄じゃないかとか、これだけ国内が困っているんだから何で外国にお金を出す必要があるんだ、そういう声がかなりあるということを実感されると思います。私もよくそういう声は聞かされるわけです。

 説明するとわかってもらえます。こういう状況の中で、具体的に私が経験したことなどをお話ししますとわかってもらえるんですが、ODAについての必要性というのは十分に理解されていない。ですから、PRも大事ですね。もちろんPRの前に実態がいろいろな無駄がないということになっていないといけないわけで、そういう視点も含めて、そしてPRという視点も含めて、今ODAの見直しというものを省の中で議論を行っているところでございます。ぜひ、そういったことについてもいろいろお知恵をおかしいただければありがたいというふうに思っております。

 今の状況は、私はいいと思いません。予算ももっとふやさなきゃいけない。そのためには、やはり国民の理解、経済協力を行うことの理解というものをしっかりと得た上で、予算をぜひふやしていきたいというふうに考えているところです。

横粂委員 今後さらに、よりよいODAのあり方についてしっかりと議論し、先ほどおっしゃられましたように、国民の強い支持と理解のもと、ODAの質と量がふえていくことを強く望みます。

 最後に、いつの日か、いや近い将来に、日本の外交は一流だと、さらにおまけで言えば、経済も一流、政治も一流、外交も一流だと国際社会から評価される日が来ることを強く心より祈念申し上げ、私の質問とさせていただきます。

 本日はどうもありがとうございました。

鈴木委員長 次に、大山昌宏君。

大山委員 民主党・無所属クラブの大山昌宏でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきましたことに、まずもって感謝申し上げます。

 さて、昨日、二〇〇九年度版のODA白書が閣議報告されました。日本が外交を行う際、戦略上、何を利用できるのかを考えたとき、ODAはその重要な武器の一つであると考えております。

 きょうは、主にODAについて、私の考えるところを少し述べさせていただきながら、外務大臣中心に御所見を伺っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 大臣は外交演説の中で、そして先ほどまた武正副大臣からもお話ございましたが、ODAについて「国民の共感が十分には得られていないとの認識のもと、政府開発援助(ODA)のあり方について本年夏までをめどに基本的見直しを行います。それによって、我が国国民の理解と支持のもと、ODAをより戦略的かつ効果的に実施してまいります。」と述べられました。

 国民の理解を得るということは、まさに相手国に利益をもたらしながらも日本の国益にも資するという形で、車の両輪の形でやっていかなければならないと思います。

 日本は、これまでODAのアンタイド化を進めてきましたし、国際協調の面におきましては二〇〇九年度版のODA白書においても大変強調されているところでございますが、日本の国益という観点におきましてはODAに関して明確に記されておりません。これから夏までにODAのあり方を検討されていく中で、国益に資するという点に関してどのように盛り込まれていくお考えでいらっしゃるのか、もし指針、方針が出ておりましたら、お聞かせいただきたいと思います。

武正副大臣 大山委員にお答えをいたします。

 平成二十二年度予算においては、選択と集中により、アフガニスタン支援、アフリカ支援、環境気候変動支援、NGO支援といった主要課題に重点化いたしました。

 ODAは外交上の重要な手段であり、我が国自身の利益、国益と国際社会の利益は表裏一体との考えのもと、ODAを通じて、世界の安定と発展を通じて日本の安全と繁栄を確保するというのが目的でございます。

 先ほども触れましたが、ODAをより戦略的かつ効果的に実施するための方策について、省内、夏までにということで今、検討をしているところでございます。

 今、どんな項目についてということも触れさせていただきますが、一つが国際協力に関する理念、基本方針。そして、二番目に国民の理解、支持の促進。三番目、多様な関係者との連携。四番目、援助の効果的、効率的な実施。そして五番目、JICA、この五つの項目を中心に議論を行っております。

 あわせて、今、独立行政法人、公益法人の見直しタスクフォースも立ち上げておりまして、この中では、外務省の所管の独法はJICAと国際交流基金の二つでございますので、やはりJICAのあり方についても検討を進めているというところでございます。

大山委員 大変積極的に取り組まれているという御答弁でございましたが、本当に現在、日本は、借款の部分もあるとは思いますが、アンタイドのODAが多くなっていると思います。

 今、御答弁でありましたが、援助と国益は表裏一体だ、私もそのとおりだとは思います。憲法の精神にのっとり、純粋に援助したいという思いで外国に対して莫大な金銭的支援をするというのは、理念としては立派なことだと思います。しかし、先ほど大臣のお話でもありましたけれども、日本の苦しい経済状況下において生活に困窮している国民がたくさんいるこの時代、遠く離れた外国に対しての開発にお金を使うということになかなか理解を得られない。特に、理念がなく使うということになると、無策にお金を使っているのではないか、私たちにとって何のリターンもないではないか、やはりそういったお話をいただくことが非常に多くなってきております。

 そして、国民の皆様からお預かりさせていただいた税金は、外国の援助のためとはいえ、我が国の国民にとって何らかの利益があるんだということをはっきりとした形で、何かそういった文言等でODA大綱等に盛り込んでいただくことも検討していただきたいなというふうに思っております。

 次に、新興の経済国のお話に少し移らせていただきますが、新興の経済国の多くは資源国となっております。BRICs諸国とか、その他の多くの国々がやはり有用な資源をたくさん持っています。そういった有用な資源の安定的な確保が、日本の経済活動の生命線となっているとも思います。しかしながら、そういった資源を保有する国は、必ずしも政情が安定している国々ばかりではありません。

 安定した資源の確保のためには、さまざまな国と幅広く緊密な協力関係を築いていく努力が求められると思います。今後、資源を保有しているかどうかなどの観点から、ODAの集中投下、それから、JBICを初めとし民間銀行等も含めた、融資案件等も包含した、新興経済国向けの開発案件を組成して、政府と民間、タッグを組んでオール・ジャパン体制で、海外に対する協力と国益の両立を図っていくのがいいのではないかなと思っております。

 実際、それが不十分だったがために、UAEのアブダビ首長国では、原発の案件に関しまして、昨年末ということですが、韓国の企業連合に競り負けてしまった。数兆円規模の事業だと聞いております。こういった点に関して、日本がもっと積極的に政府と民間がタッグを組んでいいのではないかという、この点に関して大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

岡田国務大臣 基本的には、委員の言われること、私も同意をいたします。もっと連携をとってやっていった方がいいというふうに考えます。

 ただ、新興国と言われる国の中には、日本が既にODAをすべき対象ではない国、つまり卒業してしまった国も含まれますので、そういった国には、ODAの投下、ODA資金を入れるといっても、それはできない場合もあるということであります。

 原子力発電所とか新幹線とか、あるいは水の問題とか、さまざまなプロジェクトに対して、それを一つのシステムとしてとらえて、そして個別の企業だけではなくて、官も関与する形で、オール・ジャパンでそれを支援していくということ、私、非常に重要なことだというふうに思っておりますし、内閣の中でもそういう議論を今行っているところであります。

 ただ、そういうことを申し上げた上で、やや申し上げれば、どこまで政府として責任を負うのかということもやはり考えておかなければならないと思います。つまり、リスクを民間だけでは負えないから、それを政府が補完するということでありますが、それが行き過ぎると一体どういうことが起こるのかという問題もあると思います。

 UAEの場合には、韓国が原子力発電所を受注いたしました。これは韓国の政府の大変な努力があってそうなったと思いますが、非常に長い期間についてこれを運転、あるいはその後のことも含めて責任を持つというような形だと聞いているわけであります。

 もし、日本がそういった形で、何とか受注するためにということで官の関与をどんどんふやしていきますと、結局、経済ベースでは引き合わないようなことまでやっていくことになりかねない、最終的にはその責任というのは国民の税金によって賄わなければならなくなる、そういうこともやはり同時に考えておかないと、つまりバランスということも考えておかないと、一方的に官がどんどん関与すればいいということでは必ずしもないと私は思います。

 一昔前、小泉総理の時代には、すべて民営化、民でできることは民にというかけ声でさまざまなことが行われました。私は、そのときは、やや行き過ぎているなというふうに思って、官でしかできないこともある、すべて民営化すればいいということではないと思っておりましたが、しかし、逆のことが行き過ぎますと、やはりそれもちょっと問題が出てくるんじゃないか。そこのバランスによく注意をしながら、物事を進めていきたいというふうに考えているところであります。

大山委員 私も全く同意見でございまして、バランスをとりながらやっていく、行き過ぎた場合、その負担がまた国民にはね返ってくる、そういう危険性があるということは本当に大臣のおっしゃるとおりだと思いますので、妄信的に何かやっていくのではなく、一生懸命バランスをとりながら取り組んでいくことが大切かと思います。

 続きまして、少し時間の関係ではしょらせていただきます。

 先ほど、政府に対する援助の割合、度合いに関しまして、大臣から、行き過ぎた場合違った問題も出るよということでお話がございましたが、例えばオール・ジャパン体制で戦っていこう、そういったときに、その一翼をやはり民間の企業が担っていくことになると思います。決して、国のあずかり知らぬところ、全く国は関係ない、先ほども小泉さんのときの話もありましたが、民間は民間でやってくれという形で、政府は知らないよということは、また違った問題が出てくるのではないかなというふうに思うところがあります。

 実際に、外務省のホームページにおきましても、在外公館機能の一つとして日本企業の支援というものがうたわれております。我が国の企業が外国で経済活動を行えば、相手国の経済発展にもつながるという側面は確かにあると思います。海外援助の一環というふうに考えることもできるわけでして、民間が主となりますが、そういった海外援助の一環という意味もあると思います。

 それで、やはり海外での円滑な経済活動を政府としても支援する必要があるのではないかなと私は考えます。

 例えば、トヨタ自動車の問題ですが、トヨタの問題は、トヨタ車が事故を起こし、リコールにもつながったという事実は遺憾なことといたしまして、その後の対応等について、本当にトヨタ自動車さんが全力で取り組んでいらっしゃったとは思います。

 そこで、例えば、そういった対応の際に、トヨタと米国政府の交渉に関して、日本政府としても何らかの外交チャネルを通じた支援があったのか、もしくは、もししていなかったならば、そういったことが可能なのじゃないかなと私は思うのです。一義的には、本当に巨大な企業でございますから、自主性に任せるにしても、こういった民間の企業、大きな企業にいたしましても、小さな企業にいたしましても、やはり窮地に陥ったときは、何か政府がもう少し、今回のトヨタの件は特に、助けることができたのではないかというふうに思うのですが、その点、御所見を聞かせていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

岡田国務大臣 私は、記者会見などで、トヨタ自動車について、これは一つは安全にかかわる問題でありますので、この問題についてはやはりトヨタの責任でしっかりと対応してもらいたいということを申し上げました。しかし、日本国政府として、必要があれば支援を惜しまないということも申し上げてきたところでございます。

 委員おっしゃるように、トヨタ自動車は非常に大きな会社ですので、みずからさまざまな、アメリカにおいても人的な資源もお持ちですし、かなりの部分を自力でやられたと思います。ただ、政府がとり得る、例えば情報とか、そういったことについて許される範囲で提供したり、そういう形の支援を行ってきたところであります。

 私は、トヨタのような大きな企業というよりは、もう少し中堅・中小企業というのが同じような状況になれば、これはかなり政府が役割を果たさなければいけないだろうなというふうに思っております。

 あるいは、国によって、アメリカは自由な国で、政府というより今回は議会との関係も非常に大きかったわけですけれども、そうではない、政府がより大きな国、政治体制が違う国、そういう国においては、やはり日本国政府が果たす役割というのはより大きくなる。状況に応じて考えていけばいいということだと思っております。

 基本的には、民間の企業の直面した困難に対して、日本政府としてはできるだけ支援していく、そういう考え方で進めているところでございます。

大山委員 大変心強い答弁、ありがとうございます。

 最後に、APECの議長国にことし日本がなるのですが、ホスト国の外務大臣としての意気込みを一言お願い申し上げます。

武正副大臣 ことしで二十年を迎えるAPEC、この二〇一〇年は先進国が貿易・投資の面で国を開いていく、自由で開かれた、そうした目標ということで、ボゴール目標の達成、今十一カ国が既にその目標を達成するべく名乗りを上げております。ことしは、そういった意味でもAPECにとって大事な年。

 また、議長国としてチェンジ・アンド・アクションというテーマを掲げておりまして、先々週の月曜日でしたでしょうか、広島でも高級事務レベル会議も開かれております。ことし、札幌での貿易担当大臣の会議等、十一月の横浜での首脳会議に向けまして、国内のいろいろなところで会議が開かれるということであります。

 特に、ことしは日本が議長国、そして来年はアメリカが議長国、そういった意味では、アジア太平洋地域での経済連携、こういったことも掲げながら、日本としてリーダーシップをしっかりと発揮してまいりたいというふうに考えております。

大山委員 ありがとうございました。時間が来ましたので、これで終わらせていただきます。

鈴木委員長 次に、服部良一君。

服部委員 社会民主党・市民連合の服部良一と申します。

 昨日、密約の報告書が出たわけですけれども、きのうテレビもよく見ていたわけですが、この密約の報告書が出たということは、これはまさに政権交代なしにはあり得なかったことだというふうに思います。麻生前首相初め歴代の首相がテレビに登場して、密約はないというようなことをテレビで再三おっしゃっていたわけですけれども、実はあったんだということですし、この報告書に関して、岡田大臣が非常にリーダーシップを発揮していただいてここまでリードをされてきたということに対して、まず冒頭、心より敬意を表したいと思います。

 実は、きょうは、たまたま東京大空襲の六十五年目に当たります。この東京大空襲というのは、皆さんも御存じのように、一日で約十万人もの人が亡くなる、被災者は約百万人に及ぶというふうに言われている、極めて、大量虐殺という、言葉はちょっとどういうふうに言っていいかわかりませんけれども、大量虐殺とも言えるような、そういうひどい空襲であるわけです。

 きょうも、慰霊祭等も行われておりますし、また、その被害者の方が、いまだに補償されないじゃないか、我々の補償はどうなっているんだということで、院内で先ほど集会もやっておられまして、私も齋藤委員と一緒に集会に参加をしてあいさつをしてきたわけですけれども、せっかくの機会ですので、岡田大臣のこの東京大空襲六十五年目に当たる所感、所見をぜひともお聞きできればと思います。

岡田国務大臣 東京大空襲、委員御指摘のような、大変多くの人々が被災をされ、命を落とした事件であります。ただ、これは実は、東京だけではなくて、私は三重県四日市でありますが、四日市も同じように工業都市でありましたので、空襲を受けて多くの人が命を落としております。全国でこういうことが起きたということであります。

 このことをどうとらえるかということを考えるときに、やはり戦争の悲惨さということを忘れてはならない。そして、それは兵士だけではなくて、一般市民にもその被害が及ぶというのが最近の戦争の特徴かというふうに思いますが、それだけに、やはり戦争を繰り返してはならない、そういうふうに改めて感じているところでございます。

服部委員 ありがとうございます。

 今おっしゃったように、この空襲は、約四百以上の市町村で行われ、約六十五万人に及ぶ民間人が死亡したとも言われております。しかも、アメリカは、日本が木造建築であるということをわかっていながら焼夷弾を落とすということで、これは非常に問題だというふうに私は思うわけです。

 原爆の問題でもそうだと思うんですけれども、こういう市民に対する無差別殺りく、いかに戦争とはいえ、戦争だから市民もみんな殺していいということにはなっていないわけですから、こういったことに対して、例えば、過去、外務省として、アメリカに意見を言うというか、抗議をするというか、そういったことというのはあったんでしょうか。

武正副大臣 さきの大戦後に、東京大空襲を含む無差別攻撃について、米国政府に直接抗議を行ったことは確認されておりません。

服部委員 日本の過去の外務大臣が抗議をしたという事実があることは御存じでしょうか。

武正副大臣 私は、今申し上げたとおりでございます。

服部委員 実は、戦争中にあるんです、戦後はないんですけれども。

 一九四四年の十月十日に、那覇での一〇・一〇空襲というものがあります。このとき、重光外務大臣が、「平和的人民の殺傷ならびに非軍事目標の攻撃は、今日、諸国家を規律する人道的原則ならびに国際法に違反」しているということを、アメリカに抗議を外務大臣としてしております。

 それから、東京空襲の後にも、「東京、名古屋、大阪などに来襲せる米軍機による攻撃は、故意に無辜の平和的人民を殺傷する方法をとりたるものと断ずるほかなく」ということで、これも外務大臣からアメリカに抗議をしているわけですね。私も、この事実を知ったのは最近なんです。

 六十五年たった今、アメリカに物を言うてどうするものだという話はあるかもしれませんけれども、しかし、これはもう明らかな、日本から戦争をしかけたし、無条件降伏しているわけですから、何が言えるかという話はもちろんあるんでしょうけれども、しかし、原爆とかいうことを含めて、戦争のいわゆる市民を巻き込んだ無差別殺りくといったものは、やはり基本的に許されるべきではないというふうに思うわけです。

 そこで、今、劣化ウラン弾の問題についてお尋ねをいたします。

 まず、昨年でしたか、クラスター爆弾等については超党派で、こういう非人道的無差別殺傷兵器ということで、これを禁止することになりました。そして、この劣化ウラン兵器も、その無差別性、あるいは放射性毒性等から、国際人道法に反する非人道的無差別殺傷兵器であるというふうに私は思うわけです。

 ことしの第六十五回国連総会もこの問題が議題にされるやに聞いておりますし、また、諸外国や欧州議会、ラテンアメリカなどにおいても、ウラン兵器使用の一時停止や禁止を求める動きが加速しているというふうに聞いているわけです。

 そういう点で、ぜひ、対人地雷やクラスター爆弾に続いて、劣化ウラン兵器の規制や禁止に向けて、積極的に外交努力といいますか、日本政府としての姿勢を示していただきたいというふうに私は思うわけですけれども、その点に関して大臣の所見はいかがでしょうか。

武正副大臣 お答えをいたします。

 過度に傷害を与えまたは無差別に効果を及ぼすことがあると認められる特定の通常兵器の使用については、特定通常兵器使用禁止制限条約、CCWにより規制されておりますが、劣化ウラン弾はこの条約の規制対象となっていない、その使用を禁止する他の国際法規もないというのは、御指摘のとおりでございます。

 劣化ウラン弾による健康や環境に対する影響については、国際機関等による調査が行われておりますが、これまでのところ国際的に確定的な結論が出されているわけではないというふうに承知をしております。

服部委員 これは実は、アメリカの兵士も大変放射能被害で苦しんでいるということも聞いております。今はまだ科学的な知見が整っていないというような御見解だったかもしれませんけれども、これはやはり極めて問題のある大量破壊兵器であることは間違いない、人道に非常にもとる兵器だというふうに私は思いますので、これはぜひとも引き続き外務省としても検討をお願いしたいというふうに思います。

 参考までにお聞きするわけですけれども、過去、嘉手納基地に二〇〇一年には四十万発の劣化ウラン弾が貯蔵されていたやの報道も耳にしたことがあるわけですけれども、今、在日米軍基地の中に劣化ウラン弾がどの程度保管をされているのか、その事実関係についてお尋ねをいたします。

武正副大臣 服部委員にお答えいたします。

 在日米軍は、平素より即応態勢を維持するため緊急事態に備えて種々の装備、物資を保有しており、劣化ウラン弾についても、このような観点から、必要に応じ、我が国における一部の施設及び区域に保管されることもあると承知をしております。

 他方、在日米軍は、戦闘能力の詳細や特定の弾薬の保管場所につき公表しないとの方針を有していると承知をしております。

 いずれにせよ、劣化ウラン弾について、政府から米側には、管理に万全を期すよう申し入れております。米側としても、厳重な管理基準のもとで、安全な管理に万全を期しているとの説明を受けているところであります。

 以上でございます。

服部委員 厳重な管理基準のもと、安全な管理に万全を期しておるということなんですけれども、これは在日米軍施設に劣化ウラン弾はあるという前提での話ですね。

武正副大臣 先ほど触れましたように、我が国における一部の施設及び区域に保管されることもあると承知をしております。

服部委員 それでは、この問題は、またぜひ引き続き議論をさせていただきたいというふうに思います。

 続きまして、普天間問題で二、三、事実関係のみをお聞きしておきたいというふうに思います。

 まず第一点目は、先日、北澤防衛大臣が、普天間基地のいわゆるキャンプ・シュワブ沿岸案、海を埋め立ててつくる現行案ですけれども、これはなかなか難しいということで、あらゆる機会をとらえて米側にそう申し上げているという、三月五日に大手新聞でそういう報道がなされております。

 要するに、防衛大臣として現行案はもう難しいということをアメリカに伝えたんだという報道であるわけですけれども、これは外務省として承知されているかどうか。あるいは、外務省としても、そういう現行案は無理だということをアメリカに既に伝えられているのかどうか。その点をちょっと、事実関係をお聞きしたいと思います。

岡田国務大臣 委員もよく御存じのように、官房長官のもとに検討委員会をつくって、ゼロベースで議論をしております。したがって、特定の案件について可能性があるとかないとか、そういう議論は政府として行っていない、私はそう理解しております。

服部委員 そうしますと、この防衛大臣の発言というのは、どういうふうに理解したらいいのでしょうか。それは外務大臣に聞く話ではないですかね、どうでしょうか、政府としてはというお話が今あったものですから。防衛大臣はアメリカに伝えているというような記事になっておるわけですけれども、それに対してはどういうふうにお考えでしょうか。

岡田国務大臣 その記事が、防衛大臣、北澤大臣の発言を正確に伝えたものかどうかということは、私は確認しておりません。ただ、政府としての正式な見解というのは、ゼロベースで検討を現在行っているというのが政府としての正式な見解でございます。

 北澤大臣に具体的な発言について確認をしておりませんので、これ以上ちょっと、今の時点では申し上げられません。

服部委員 私は、この沿岸案というのはもうとにかくあり得ない選択肢だ、ゼロベースということもおっしゃるわけですけれども、沿岸案、現行案というのは、これはもうないものだというふうに個人的には理解をしておるわけです。防衛大臣がそういう発言をしたということもありましたので、それは当然だろうという思いを持って確認を今させていただいたところです。

 それから、今、普天間基地の、さまざまな現行案以外の移設先の論議がいろいろ進んでおります。キャンプ・シュワブの陸上案であるとか、いろいろ出ているわけですけれども、グアム移転協定に関する解釈について、再確認の意味でお尋ねをするわけですけれども、仮に我が国が普天間基地の代替施設を完成、建設することができなくても、このグアム移転協定には違反をしない、こういう解釈でよろしゅうございますか。

武正副大臣 服部委員にお答えいたします。

 在沖縄海兵隊のグアム移転に係る協定第一条は、第三海兵機動展開部隊の要員約八千人及びその家族約九千人の沖縄からグアムへの移転のための費用の一部として、米国の二〇〇八会計年度におけるドルベースで二十八億ドルを限度として米国政府に資金を提供することを我が国政府が負う義務として規定をしております。

 また、同協定第三条第二文は、日本国政府として、ロードマップに記載された普天間飛行場の代替施設を完成するという、ロードマップで既に表明されてきた政治的意思を改めて表明する趣旨のものであり、普天間飛行場の代替施設の建設に係る法的義務を日本国政府に課しているものではない。これは従来から政府が答弁しているとおりでございます。

服部委員 ありがとうございます。

 先日も、石破議員と首相との間でこのグアム移転協定の論議があったというふうに聞いておるわけですけれども、この外務委員会、前政権下の、きょうは御出席なさっていませんけれども、河野太郎さんが外務委員長をなさっておりまして、昨年の四月十四日の衆議院の本会議で、河野委員長から、これは政府の統一見解で、我が国が仮に普天間基地の代替基地を完成することができなくても、本協定三条第二項の違反にならないことが明確になりましたと。同時に、さらに、この協定の締結いかんにかかわらず、普天間基地代替基地の建設に当たっては、環境影響評価法並びに公有水面埋立法の法令に従った手続が必要であるということも確認されましたということで、要するに、国内法が優先をしますよ、同時に、この建設がもし万が一できなくても、これはグアム移転協定には違反をしないんだという、前政権下で行われました外務委員会での確認だというふうに思いますけれども、それは現政権でもそのとおりだ、こういうふうな認識でいいという答弁であったかと思いますが、それでよろしいでしょうか。

岡田国務大臣 ですから、グアム協定違反ではない。しかし、グアム協定違反でないということは、その中で約束された海兵隊要員八千名、その家族九千名の沖縄からグアムへの移転というものが無条件でなされるということを意味するものではありません。これは場合によっては、この普天間移転の問題の対応によっては、こういったものが白紙に戻る可能性ということは否定できないと思います。

服部委員 私が質問いたしました理由は、普天間の代替施設ができないとか、あるいはほかの場所にかわるということになれば、グアム移転協定そのものを協定として変えなければいけないんじゃないかという議論が一部にあったというふうに聞いておりますので、そうじゃないんだということを一言確認させていただこうという趣旨で発言をさせていただきました。

 そうしますと、前に岡田大臣が、この代替施設の移設先がスムーズに見つからない場合に、普天間基地がそのまま残るケースもあるやの発言をちょっとされたことがあったように思うんですけれども、もし普天間基地がなかなか移設先が見つからないということで、結果として当分の間そのまま残るといった場合には、グアムに対する我々の財政支出、これはすぐとめるという理解でいいんでしょうか。

岡田国務大臣 委員もよく理解された上で言っておられると思いますが、そういう事態を招かないことが大事なんですね。ですから、普天間の基地、非常に安全性に問題がある、これを何とかしなければいけないということから議論はスタートしておりますので、それが残るということは、余りそういう議論をしたくないというふうに思います。

 ですから、余りそれ以上は言いたくないんですけれども、しかし、そういったことが、約束も果たされないということで、八千名の移転ということが、これも起こらない、例えば白紙に戻るということになれば、その結果として、財政的な支援の問題というものも、またもとに戻ってしまうということになりかねないということだと思います。

服部委員 私は、もちろん普天間基地は一番危険な基地だということで、危険性の除去をとにかく最優先にしなければならないという立場で発言させていただいております。ただ、普天間基地がもし動かないのに、万が一動かないのにお金だけ出すというのは、それこそ、そのこと自身が明らかにグアム移転協定の違反になるのじゃないかというふうな思いを持ったわけです。

 この議論はこれで打ち切りまして、もう一点、普天間関連で、MV22オスプレーの配備の問題でお聞きをしておきたいと思うんです。

 これも実は、長島防衛政務官が、オスプレーが一二年十月から二十四機沖縄に随時導入されることになっているということで、今の環境アセスにオスプレーは入っていないから問題であるというような趣旨で、最近、東京都内の会合で発言をされているわけです。

 過去の防衛省の発言は、オスプレーは配備されるのかという質問に対しては、必ず、外務省ルートで一切聞いていませんというのが、今までの回答の定番だったんですね。ところが、防衛省の中からこういう形でオスプレーが配備されるということを言われるということは、これは外務省として正式に外交ルートでそういう連絡が来ているというふうに解してもいいんでしょうか。

武正副大臣 米海兵隊が全世界に保有しているCH46及びCH53ヘリコプターがオスプレーに代替更新されていくという、一般的な予定があることは承知しております。そうしたことにおいて、将来、オスプレーが沖縄に配備される可能性があることは認識をしております。

 一方、沖縄へのオスプレー配備については、累次、外交ルートを通じて米側に照会してきておりますが、オスプレーの配備について具体的に決まったとは聞いていないというところでございます。

服部委員 わかりました。では、外務省としては、正式な外交ルートではまだその話は現在はないという理解でいいということですね。防衛省の方は、何かやけに具体的に一二年の何月からというようなことも新聞で、直接政務官にお聞きしたわけではないので、私は新聞での報道によってお聞きしているわけなんですけれども。

 実は、このオスプレーの問題というのは、沖縄側にとっても非常に神経質な問題になっていまして、今までずっと隠されてきました。エンジン出力が現在のヘリと比べて四・四倍ぐらいあるということで、非常に騒音の問題であるとか、飛行中の騒音は比較的軽微と聞いておるんですけれども、やはり離発着するときの音はすさまじいものがあるというふうに聞いておりますし、また墜落事故も相次いでいるわけで、この辺は引き続きまた議論をさせていただきたいというふうに思います。

 時間がなくなってきましたので、最後に、今お手元に「日本による米国債の引受額の推移」という資料を配らせていただきましたので、この件だけ触れさせていただいて、質問を終わりたいと思うんです。

 これは、私が院内で行われましたイラク戦争をぜひ検証してほしいという市民運動団体の方々の、NGOの方々の主催する集会に出て、いただいた資料なんですね。

 これを見ますと、九・一一の事件以降、日本が米国債の引き受けを飛躍的にふやしている、こういうグラフなわけなんです。これがアメリカが行う戦争を日本が資金的に少しでも支援をしていたんじゃないか、そういうNGOの方の指摘でありました。その真意は、私もよくわかりません。

 しかし、いずれにしましても、先ほど阪口委員からも、イラク戦争の検証の問題、これが指摘をされたわけですけれども、今、齋藤委員などとも一緒に呼びかけをさせていただいて、やはり前政権が、小泉前首相も言われました、自衛隊が行くところが非戦闘地域だというような言い方で自衛隊を送って、その内実としては米軍の兵器や米兵たちを運んでいたということで、名古屋訴訟でも違憲だという判決も出たわけです。

 いずれにしましても、そういった戦争に関与をした政策の決定プロセスであるとか、一体イラクで何が起こってどういう問題があったのか。こういう米国債の問題がどう関連しているか、これは本当にわかりませんけれども、そういったことも含めて、ぜひとも、外務省としても、あるいは政府としても、このイラク戦争の検証というものをやはりきっちりお願いしたいというふうに要望をしたいと思うわけです。

 これは当然、国会としてもしなければいけないというふうに思うわけですけれども、その点に関して、改めて岡田大臣からの決意をお聞きしたいというふうに思います。

岡田国務大臣 まず、委員御指摘の米国債の問題ですけれども、日本の場合、これは政府だけではなくて民間が保有するということも当然あり得るので、あり得るというかそれが多いわけですから、一概にイラク戦争あるいは九・一一事件と関連づけて議論するのは、必ずしも十分な根拠を持って言われているというふうには私には思えないわけであります。当時の日本とアメリカの金利差でありますとか、為替の見通しでありますとか、あるいは日本における余剰資金の状況とか、そういうことによって米国債の保有というのは当然変わり得るということだと思います。

 それから、イラクに関しては先ほどもちょっと申し上げたんですが、私もいろいろ国会で議論してまいりましたし、どこかで検証作業というのを行いたいというふうには思っておりますが、これはやはり一定の時間というのも必要なんですね。そして、優先順位からいうと、目の前にありますODAの見直しとか、核の問題とか、温暖化に対する外交的な対応とか、やりたいことはたくさんありまして、そこで自分なりに順番をつけて進めていかなくてはならないというふうに思っております。すぐやるには、ちょっとまだいろいろな意味で生々し過ぎるかなという感じが個人的にはしております。

服部委員 どうもありがとうございました。

 イギリスとかオランダではもう既に始まっておりますので、決して早いというふうには思いませんので、また今後ともぜひ御検討をよろしくお願いしたいと思います。

 以上、ありがとうございました。

     ――――◇―――――

鈴木委員長 次に、内閣提出、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 政府から趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣岡田克也君。

    ―――――――――――――

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岡田国務大臣 ただいま議題となりました在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明いたします。

 改正の第一は、本年一月一日に実館化された在ベナン日本国大使館の位置を改正することであります。

 改正の第二は、マレーシアにある在コタキナバル日本国総領事館の廃止を行うことであります。

 改正の第三は、在外公館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額を改定することであります。

 改正の第四は、外務公務員の研修員手当の号を追加することであります。

 以上の改正内容のうち、在勤基本手当の基準額の改定については、平成二十二年度予算案と一致させて行うため、四月一日から実施する必要があります。

 以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。

 何とぞよろしく御審議をお願いいたします。

鈴木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十二日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五分散会


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