衆議院

メインへスキップ



第4号 平成23年3月30日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十三年三月三十日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 小平 忠正君

   理事 吉良 州司君 理事 首藤 信彦君

   理事 長島 昭久君 理事 西村智奈美君

   理事 山口  壯君 理事 秋葉 賢也君

   理事 小野寺五典君 理事 赤松 正雄君

      浅野 貴博君    打越あかし君

      小原  舞君    大泉ひろこ君

      勝又恒一郎君    菊田真紀子君

      小林 正枝君    小室 寿明君

      後藤 祐一君    玉置 公良君

      道休誠一郎君    中津川博郷君

      中野  譲君    萩原  仁君

      浜本  宏君    早川久美子君

      伴野  豊君    山尾志桜里君

      山花 郁夫君    北村 茂男君

      河野 太郎君    高村 正彦君

      橘 慶一郎君    松野 博一君

      笠井  亮君    服部 良一君

    …………………………………

   外務大臣         松本 剛明君

   防衛大臣         北澤 俊美君

   外務副大臣        伴野  豊君

   外務大臣政務官      菊田真紀子君

   外務大臣政務官      山花 郁夫君

   防衛大臣政務官      松本 大輔君

   外務委員会専門員     細矢 隆義君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三十日

 辞任         補欠選任

  大泉ひろこ君     小林 正枝君

  阪口 直人君     玉置 公良君

  道休誠一郎君     小原  舞君

  金田 勝年君     橘 慶一郎君

  河井 克行君     北村 茂男君

同日

 辞任         補欠選任

  小原  舞君     道休誠一郎君

  小林 正枝君     後藤 祐一君

  玉置 公良君     小室 寿明君

  北村 茂男君     河井 克行君

  橘 慶一郎君     金田 勝年君

同日

 辞任         補欠選任

  小室 寿明君     打越あかし君

  後藤 祐一君     大泉ひろこ君

同日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     阪口 直人君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

小平委員長 これより会議を開きます。

 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。

 これより質疑に入ります。

 理事会の協議に基づき、まず防衛大臣に対する質疑を中心に議事を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。

 きょうは、北澤防衛大臣、災害対策で大変お忙しい中、御出席いただきまして、心から感謝を申し上げます。

 ですが、このHNSの協定につきましては、私ども、これは与党、野党、政権をかわる前から、大変重要な案件だということで、通常、例えば重要広範議案あるいは総理入りでの集中審議、そして長時間にわたる審議、これがあって初めて締結が行われたというような状況でもあります。今回は、あくまでも震災対策ということで、総理入りについては私どもは求めませんでしたが、このような外務大臣、防衛大臣という、この外務委員会では恐らく異例の形になったと思います。全体を通じて御努力いただきました委員長には、心から感謝を申し上げたいと存じております。

 さて、冒頭、まずお伺いしたいことですが、私ども、実は今回の震災の件を見ておりまして、特に私の地元は宮城県ですので、今回は在日米軍が大変な力を与えてくれていることを目の当たりにしております。特に、海兵隊が先頭になって、さまざまな瓦れきの撤去、あるいは支援物資の補給をしていただいている。やはり日米関係というのは実は強固なものであるし、今回の災害を踏まえて、さらにこのことについて思いを強くしたところでございます。

 我が党としましては、従前から、この協定については賛成ということで貫いてまいりました。ところが、民主党さんの場合には、従前は賛成ということですが、前回、三年前の協定については反対をされたというお立場にもあります。

 まず、外務大臣、防衛大臣にお伺いしたい。

 三年前には反対をされました。そして、今回は逆に提出をされるという状況になっております。内容を見て、私はそれほど大きな変わりがないと思っておりますので、どのようなお考えで今回、このような協定を逆に政府側として提出されるようなことになったのか、お考えをお伺いしたいと思っております。

松本(剛)国務大臣 委員御指摘のとおり、私どもは、五年前の協定には賛成をいたしまして、三年前の協定の審議においては党として反対をいたしました。

 そもそも、私どもも野党であった時代に、それぞれの案件に反対をするか賛成をするかといった場合に、全く方向が違っている案件であれば、これは反対ということで比較的話は簡単にまとまるわけでありますけれども、方向はある程度認められるけれども幾つかやはり申し上げなければならないことがある、こういう内容のときに、賛成をいたしてその上で討論なりで指摘をさせていただく場合と、私どもとして不十分ではないかと思われる点をしっかり指摘させていただいて反対をするといったケースと、これは、私自身も政調会長をさせていただきましたので、大変政治的に議論を重ねて判断をしなければいけないケースというのも率直に申し上げてございました。

 とりわけ、私ども野党時代は、税金の使い方、使われ方というのは一つの大きなテーマとして取り組んできたこともありまして、HNS協定に基づいて支出をされる国民の皆様の税金というものがあるわけでありますから、その使途についてということはやはり議論をしなければいけない、こういう視点がございました。とりわけ野党としては、チェック機能というのは国会における野党の重要な使命ではないか、そういう思いがございました。

 その上で、五年前については、委員もよく御案内のとおり、討論で何点か、特にHNSの協定に基づく予算の使い方を含めて指摘をさせていただいた上で、賛成をさせていただきました。三年前につきましては、ある意味では、私どもから見れば、五年前から三年前の間で余り変わっていないのではないか、そういった趣旨もあって、指摘をさせていただいて、その上で反対をさせていただいたというのが結論になっております。

 その上で申し上げなければいけませんが、しかし、民主主義でありますから、結果としては、私どもが反対をしたわけでありますけれども、協定としては、多数決を経て、議論して、成立をいたしました。私自身、また私どもとしても、議論の結果そして多数決の結果、成立をした協定というのは結論として受けとめて、それを前提に物事を進めるということは、民主主義の議論の結果として当然のことではないかというふうに思っております。

 そして、私ども、政権をお預かりする立場になりました。繰り返しになるようでありますが、私ども民主党としては、日米同盟が日本外交の、そしてまた日本の安全保障の基軸であるという立場はこれまでも申し上げてまいりました。私自身が野党の政策の責任者であるときにもそういったことを申し上げてまいりましたし、文章にしてきたところであります。しかし、政権を担い、一層厳しくなっている我が国を取り巻く安全保障環境を直視した結果、改めて日米同盟の重要性について思いを深めるに至ったところでございます。

 なお、先ほど申し上げたように、三年前、現行特別協定に反対をいたしました。その際も、在日の米軍駐留経費負担、HNSそのものの必要性に反対をしたというふうには討論その他でも申し上げていなかったというふうに思います。税金の使い方、そういう意味で、労務費や光熱水料等の負担の内容についての検証と国民に対する説明、また、諸外国と比べた場合の負担が大きい、そういうあり方についての考え方を整理したいということを申し上げてまいりました。

 今回は、そういう問題意識に立ちまして、新たな特別協定においては、我が国の負担内容について国民への一定の説明責任を果たさなければいけないということで、米国との交渉を通じて、包括的にあり方について見直しを行ったというふうに考えております。

 また、我が国における負担の水準、これは、特別協定の審議当時と比べ安全保障環境が一層厳しさを増している中、そしてまた、我が国として、HNSを通じて在日米軍の円滑かつ効果的な運用を安定的に支えるために最終的に必要があると考えて、このように協定を、米国との交渉の結果、ベストのものとして提出させていただいた次第でございます。

 一方、三年前の対応の結果として、民主党の日米同盟そしてHNSに対する姿勢について疑義が呈されたことについては、遺憾に感じておりますし、重く受けとめなければいけない、このように思っております。

 HNSは我が国の安全保障にとって不可欠であるということを改めて申し上げ、アジア太平洋地域の平和と安定にとっての公共財であるということを申し上げ、在日米軍の安定的なプレゼンスを支えるものとして、我が国による地域の安全保障に対する戦略的な寄与であると考えているというふうに申し上げたいと思います。

 今般の地震対応については、もう今委員からお話がありましたので、私の方からは繰り返さないということで答弁にさせていただきたいと思います。

北澤国務大臣 日米同盟、そしてまた駐留経費その他についての見解は今外務大臣から答弁をされたとおりでありまして、小野寺議員からの質問の一番の中心は、三年前に反対しておいて今回どうだ、こういう話であります。

 外交であるとか安全保障という問題については、さまざまな、野党の立場で問題を指摘するということも重要でありますが、最終的に、小異を捨てて大同について日本の国の安全を守っていく、そういう観点も極めて重要ということに重きを置くべきだ、私はこういうふうに思っております。

 五年前は賛成して、三年前は経費のあり方について議論をしたわけでありまして、我々とすれば、今回の新たな協定はそこのところは我々の努力できちんとできたというふうに思っておりまして、小野寺議員の、与党、野党を通じての外交、安全保障に対する基本的な考え方については、私も意を同じくしておるというふうに思っておる次第であります。

小野寺委員 日米関係を考えて、余り細かいことを私どもが指摘するというのはいかがなものかと思いますが、これだけは知っていただきたいのは、三年前、私どもは、この問題が大事だと思って国会で審議をさせていただき、提案をさせていただきました。当時、与党です。そのとき、さまざまな御指摘をいただいて、この成立が遅くなったということがございました。そして、民主党さんが言った理由というのは、我が国の支出が突出している。これは、今回も駐留経費のレベルは変わりませんから、突出ということは変わりません。

 それからもう一点は、地位協定を見直さないといけないというお話がございました。政権がかわっても、今、地位協定の見直しの協議は一度も行われておりません。私は、例えば多少人件費を減らしたといっても、逆に今度は施設整備費の方に回す、むしろ、人からコンクリートにお金がシフトしているというだけだと思います。

 大きな意味で、この問題、三年前の対応については、深く今後の日米関係を考えて、私どもの見方からしたら反省をしていただきたい。そのことを申し伝えて、ぜひこれからしっかり日米同盟を強固なものにしていただきたい、そう思っております。

 その中で、一つ防衛大臣にお伺いしたいのは、実は、この協定、とにかく年度内に成立ということを私どもも努力してまいりました。参議院が、今回、私ども衆議院の審議を受けて審議がスタートするということも伺っております。その前提として、例の防衛省の事務次官通達、これの一部見直しということが今回政府内で検討されていると伺っておりますが、この一部見直しということ、どのような内容が見直されるのか教えていただければと思います。

北澤国務大臣 これにつきましては、衆議院、参議院それぞれで非常な議論があったわけでありますけれども、我々とすれば、通達を撤回するということはできないということの中で、自民党のチームがございました、ちょっと名前は正確でありませんから申し上げませんが、そちらからの要請があって、予算委員会でそのチーム長の磯崎議員と議論をする中で、私どもは、もし表現その他についてもう少し与野党間で協議ができる余地があれば、我々もそれを真摯に受けとめるということを申し上げて、それ以来、与野党で協議をしていただいた中で、きょう実は、この後、参議院の国対を中心にしてまとめていただいた内容を参議院の外交防衛委員会で発表する、私どもの副大臣がそこへ行くということでありますので、まだ中身について公式にしておりませんので、何とぞその点は御理解をいただきたいと思います。

小野寺委員 副大臣が説明をするということですが、きょうはぜひ、大臣がいらっしゃいますので、どのような方向か、もし差し支えなければ、今このような検討過程だということでもいいので、教えていただけないでしょうか。

北澤国務大臣 副大臣がやるということは、本来私が行けばいいんですが、国会対応というのは大体そういう形で進んでおりますので、この辺は御理解をいただきたいと思いますが、内容については、要するに六十一条、六十七条でしたか、この趣旨がきちんと生かされるということが担保できる範囲での調整だというふうに承知しております。

小野寺委員 といいますと、言ってみれば、やはりこれはあくまでも自衛隊の隊員に対しての内容であって、それが隊員以外、隊員OB、そういうところに影響が及ぶことがあってはいけないということ、それを改めて確認するということでよろしいでしょうか。

北澤国務大臣 これは、私どもが再三、最初からそういうふうに申し上げてきたわけでありまして、そのことを十分理解をしていただいたという中で調整ができた。私が今ここで申し上げるのはいかがかと思いますが、要するに、政治的行為の制限に違反しているとの疑いも生じさせることがないというような表現で御理解をいただいたというふうに承知をいたしております。

小野寺委員 ありがとうございます。

 今ちょっとお話がありましたが、これはホスト・ネーション・サポートを参議院を含めて審議する前提として、この事務次官通達についてさまざま今国対間で議論があるということで、この話はここでとめさせていただきます。

 さて、ホスト・ネーション・サポートについては、私どもは賛成ということで今回も対応をとらせていただきますが、その中で一つ忘れてはならないのは、実は今後の日米関係の中での沖縄の問題、基地の移転の問題、これが大切かと思っております。

 従前の内容からいいますと、ことしの春にも例えば2プラス2を行い、そして、今後の沖縄の基地移転の問題の具体的な案を詰め、最終的には総理の訪米、こういうスケジュールが従前から組まれていると伺っておりますが、この2プラス2、きょうたまたまお二方いらっしゃいますので、現在の進捗状況、いつごろ2プラス2ができるのか、震災対応は対応として大変ですが、実は、この日米関係の中で沖縄の問題を忘れてはいけない、そう思っております。

 現在の2プラス2の進捗状況について教えていただければと思います。

松本(剛)国務大臣 まさに今お話をいただいたように、私自身も、外務省の中でも、職員または政務の中でも意思を確認し合っております。

 おっしゃったように、震災対応、これは最優先の課題であります。しかし同時に、外交と安全保障も一日もゆるがせにすることはできない。こういう状況ですから、我々ができるだけ、何倍か働いてでもカバーできるのであれば、しっかりとそれは進めていくという方針で、今お話がありましたように、日米関係も含めて、すべての外交の分野について、できる限り停滞を招くことなく努力をしていきたい、このように考えているところでございます。

 その上で、沖縄の基地の問題につきましては、今お話がありましたが、昨年の五月の合意をもとに、沖縄の皆様にも御理解をいただけるように誠心誠意努めていくというのが私どもの立場でございます。

 その上で、今お話がありました、2プラス2を行う、また総理の訪米というのもことしの課題ということで言われていることは、私どもも十分承知をしております。今お話がありましたが、2プラス2については、現段階では、報道ではさまざまな日程その他伝えられておりますけれども、決まった日程があるわけではなくて、調整をさせていただいているというのが今の状況でございます。

 同時に、2プラス2というものが内容あるものになっていくためのそれまでの積み重ね、準備というのもしっかりしていかなければいけないというのが実情でありますが、今、日米の間でも精力的に話をさせていただき、私自身もまたそのことに指示をさせていただくなり、しっかりとフォローしていくという状況にあるということを現段階ではお答えさせていただくにとどめさせていただきたいと思います。

北澤国務大臣 基本的には今外務大臣が答弁されたとおりでありますが、一方で、未曾有の災害がある中で日米が協力をしてこの災害に対応しておるわけでありまして、そのことが全く影響しないかといえば、そんなことはないだろうというふうに思いますので、これは外務省と我々防衛省あわせて、日米間でしっかり国民が理解できるようなスケジュールを編み出していきたい、こういうふうに思っております。

小野寺委員 被災地の立場にいますと一日も早い復興ということがございますが、国全体で考えますと、沖縄の皆さんの気持ちというのもございます。2プラス2の問題を含めて、日米の基地の問題、沖縄の負担軽減の問題、これは報道が最近薄れております。むしろ、そういうときだからこそ、外務大臣には先頭に立ってしっかりこの問題を進めていただきたい、そう思っております。

 さて、きょうこうして審議をさせていただきますが、ぜひここで、きょう防衛大臣がいらしておりますので、震災、津波対策について少しだけ触れさせていただきたいと思います。

 まず冒頭、実は、恐縮ですが、やはり外務省と防衛省で今回の震災対策で少し私どもの評価が違います。

 防衛省に関しては、本当に、現地、現場に入っていただいております。私も、朝七時から夜七時、二回の地元対策本部の会議に出て、常に防衛省の皆さんと協議をして、それこそ朝から晩まで大変な努力をしていただきます。また、最近ようやく、例えば避難所に対しての入浴支援、あるいは温かい調理の支援、これも行き渡ってまいりました。これも避難民の方に対しては大変ありがたい、そのような状況だと思っております。

 ただ、外務省、実はきょう、私は気になることがございまして、報道の中で、例えば、中国側から物資の支援、さまざまな支援を被災当初から申し出があったということですが、外務省はそれをなかなか受け付けてくれなかったという報道もございます。

 また、これは実際に私が対応したんですが、イスラエルから医療チームを派遣したいというお話があって、その派遣チームの受け入れについて外務省がなかなか窓口になってくれないという御指摘もございました。その後、この話をさせていただき、外務省が動き出し、今、南三陸町にはイスラエルの医療チームが入ることにもなりました。

 どうも外務省、もう少し各国の支援についてはしっかりこれから受け入れる、そしてまた、それに対しての感謝をこれからもしっかりしていただくことを御指摘させていただきたい、そのように思っております。

 防衛大臣にちょっとお伺いしたいんですが、実は、自衛隊の隊員を見ておりますと、本当に、これだけ広い地域での災害支援ということで、もう既に被災から二週間以上がたっております、当然、派遣されている隊員の皆さんも疲労が相当たまっている。普通であれば、ローテーションということで次の部隊に交代ということが通常行われると思うんですが、今回は恐らく、これだけ各地に出ているということは、交代する要員にも大変支障を来している、そんな状況にあるのかなと思っております。

 現在の隊員の被災地の活動状況、特に隊員の皆さんの健康管理の問題、このことについてどのような対応をされているか、教えていただきたいと思います。

北澤国務大臣 国民のためにある自衛隊でありますから、全力を挙げてこれに対応するのは当然の責務であるわけでありますが、今、小野寺委員から大変温かい、思いやりの言葉もいただいて、感謝申し上げます。

 まさにそのとおりでありまして、私は、四日ほど前でしたか、防衛省内の会議で、そろそろ大きくローテーションを中長期的な観点でやるべきだということで指示をいたしました。

 一方、今任務に当たっている隊員は、この現場を離れたくないという気持ちが非常に強いんです。おれたちが手を引いて、新しい人が来て、また一からやるということは、避難民の皆さん方に対してどうかというような気持ちがありまして、その点は私も、気持ちは非常にありがたいんですが、さらに中長期的な観点からすれば、それはやはりきちんとしたローテーションがあるべきだ、こういうふうに申し上げて、今、陸自を中心にその案を練りながら、しかも、現にオペレーションに参加している隊員が満足感を持ちながら非常な使命感に燃えているということを考慮しながら、陸自を中心に今計画を策定いたしております。

小野寺委員 現地の状況は本当に、ますます悲惨な状況が表に出てまいりまして、今人命救助ということで頑張っていただいていますが、このくらいの時期を過ぎますと、もうかなりの部分は御遺体という形での発見ということになってまいります。その御遺体の確認、そしてまた搬出に関しても自衛隊の方が協力をしていただいていまして、私も現場を見て、日々この仕事をずっとやっているとなりますと、心の問題、やはり人間ですので、これだけ傷んだ御遺体を毎日毎日運んでいるということになりますと、相当メンタル的な問題にもなると思います。

 この隊員の皆さんの精神的なケアについても、大臣は十分気持ちをはかっていただくことが大切かと思っておりますので、ぜひ隊員の皆さんに対して、さらなる健康管理、心の管理、そしてまた被災民の救出に対して全力を尽くしていただくようにお願いしたい、そのように思っております。

 きょうは、このような機会をいただきまして、防衛大臣にもおいでいただき、ホスト・ネーション・サポートの審議をさせていただきました。私どもの党としましては、これはとても大切な内容であります。特に日米関係を考えた場合、今回の地震の被災を見ても、いかにこの日米関係が大切で強固なものかということ、それを強くすることが大事だということを認識いたしました。これは日本国民すべからく同じ気持ちだと思っております。

 そのためにも、この駐留経費の負担、そしてこれからさまざま議論をされます沖縄の負担の軽減、このようなことを、きょうは両大臣いらっしゃいますので、一つ一つ乗り越えて、ぜひ日米関係を強固なものにしていただきたい。

 最後に、もし大臣からお話があればお願いしたいと思います。

松本(剛)国務大臣 被災の現場におられる小野寺委員からも外務省の仕事ぶりが見えるように、またさらに努力をしたいと思っております。

 その上で、私自身としては、震災直後に外務省内にも対策本部を立ち上げた際には、外国からの支援は基本的に受け入れをさせていただく、ただ同時に、私は阪神・淡路大震災の兵庫県の出身であることからも申し上げると、ニーズに合わない、マッチングができていないものをいきなり持ち込むということも実は被災現場の負担になるということがありましたので、調整を速やかに進めつつというふうにお話をさせていただきました。後から振り返ってみて、もっと早い、もっといいマッチングの方法なりニーズの方法があったかもしれないということは、今後もう一度、一つ区切りがついた時点では考えてみたいと思っております。

 加えて、全職員にもそのように対応するようにお願いをしているつもりでありますけれども、今お話があったように、外国からの受け入れを外務省が受けなければどこが受けるのか、政府が受け入れるのは私どもの仕事でありますので、もしそういったことに欠けるところがあるのであれば、直接おっしゃっていただければ直ちに正していった上で、しっかりと対応できるように我々も努めてまいりたいと思いますが、外務省も、職員も現地に赴いている者もおり、努力もしていただいているところもまた見ていただけるようになっていただけたら、このようにお願いをさせていただきます。ありがとうございます。

小野寺委員 ありがとうございました。終わります。

小平委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 おはようございます。公明党の赤松正雄でございます。

 きょうは、両大臣、とりわけ北澤防衛大臣におかれましては、本当に古今未曾有の大震災の対応で十万人を超す自衛隊員の皆さんの陣頭指揮をとられているさなかに、こうやっておいでいただいて、大変感謝を申し上げる次第でございます。

 これから短い時間ですが、幾つか申し上げさせていただきたいと思うんです。

 まず第一番目に、防衛大臣、先ほども小野寺委員とのやりとりでありましたけれども、今回のこのHNS、ホスト・ネーション・サポートの問題について、私ども公明党は、今野党でありますが、言ってみれば一期の野党の時代、一九九九年に、いわゆる与党の中で小渕当時の総理からの要請を受けて与党入りをした、連立政権の一翼を担ったというときまでが第一期の野党で、今再び第二期目の野党になっているわけです。

 一期目の野党のときはHNSに対しては反対という立場をとり、与党になって、やはり責任ある立場という観点から、今もお話があったように、日米同盟重視という観点で賛成をし、そして今、そうした経験、そういう知見を踏まえた上で、このホスト・ネーション・サポート、幾つかの問題はあるにせよ、しっかりとこれは展開をしていかなくちゃいけないということで賛成をいたしてまいっておりますし、今回も賛成をしたい、そう思っております。

 そんな中で、三年前の民主党の態度という問題がありました。そこで、改めて防衛大臣に確認をしておきたい。

 最終的に締結承認に反対をされたときの理由として、本特別協定に定める労務費、光熱水費、訓練移転費の日本の納税者に通用するだけの説明責任を日米合同委員会で政府は求めたとは言えない、指摘が相次ぐ娯楽施設及びその従業員の職位などは諸機関労務協約を変えなければ日本側からは正せない枠組みも放置されたまま、この二点を三年前に反対の理由に挙げておられます。

 このうち、日米合同委員会で説明責任を今回どのように求めたのか、そして諸機関労務協約を変えなければ正せない枠組みを放置されたままという指摘を、三年後の今日、今回の交渉過程でどのように主張されたのか、この二点について大臣にお伺いしたいと思います。

北澤国務大臣 三年前に反対したときの今の御指摘は、私も同様に認識をいたしております。私自身もそのとき参議院で外交防衛委員長を務めておりましたので、さまざまな議論は承知しております。

 そういう中で、特にそのとき議論の中心になったのは、娯楽性の高い人件費についてはこれを見直すべきだということであったわけでありまして、今回そのことについてはしっかりと米側との協議の中で四百三十人の減ということで決着をいたしたわけでありまして、さらにそれをFIPの方へ振り向けるということにおいては、これは先ほど小野寺議員もコンクリートの方へ移したんじゃないかというような御意見もありましたが、そうではなくて、環境に配慮したところへその部分を配置がえするということで、これは米軍が非常に強く主張もいたしましたし、そのことに大きな政治的な意味を米軍も持ったということで、我々との間でしっかり協議が調ったということで御理解をいただきたいと思います。

赤松(正)委員 二点目の方はいかがですか。

北澤国務大臣 二点目については、私もそれほど知見をたくさん有しておるわけではありませんが、しかし、先ほども申し上げましたように、我々とすれば、政権を担う立場に立って、日米同盟そして安全保障という観点で判断をしたということで御理解をいただきたいと思います。

赤松(正)委員 今の大臣の御答弁を聞きますと、当時の民主党の主張からすればかなり後退をしている。四百三十人と言われますが、もっと大きな数を当初は言っておられたわけで。

 それからまた、二点目の問題等については、要するに、当時言っておられた形、つまり協約を変えなければ正せない、こういうものをほったらかしておくなということも、なかなか難しかったんだろうということだと私は今の答弁を聞いて理解をいたしました。

 お互いに余り偉そうなことは言えないわけで、それぞれ経験を踏まえて、熟していく政党または政党人ということでなっていきたいということを改めて民主党の皆さんに訴えておきたい、そんなふうに思います。

 それで、先ほどの小野寺委員の質問とも関係してくるわけですが、この日米関係について、鳩山前首相の罪は大きいというふうに私は思います。沖縄の問題で、最低でも県外ということを言いつつ、最終的にそうならなかった。そういう経緯の中で、抑止力云々の問題について、当時、今でも本当に我が耳を疑う方便云々という話がありました。そのときの北澤大臣の評価というのは極めて印象に残るというか、なかなか率直な物言いで、非常に大きく評価をしたいと私は思いました。

 大臣に、別にここでよいしょするわけじゃありませんが、極めて先行きおぼつかない菅政権の中にあって、防衛大臣の存在感は結構大きいというふうに私は思っております。松本外務大臣もぜひ、負けず劣らず頑張ってほしいと思います。

 そんな中で、防衛大臣にここで確認をしておきたい。後で後半の部分で、外務大臣、その関連の話を二回目の質問のときにしたいと思います。

 先ほど来もありますように、要するに沖縄の問題は、松本大臣の言葉をかりれば、誠心誠意努力をしたい、こう言っておりましたけれども、誠心誠意という言葉はすぐに出てきますけれども、過去、近過去、ずっとこの経緯を見てみますとなかなか難しい。

 私は、ありていに言えば、今のこのホスト・ネーション・サポート、余り政府は好まれませんでしょうけれども、いわゆる思いやり予算、この問題はそれなりに極めて重要でありますが、もっと大事なのはやはり日米地位協定全体の問題、二十四条だけではなくて全体の問題、こう思います。

 沖縄をめぐる問題がなぜ解決しないのか。私は、やはりこの地位協定の見直しの作業を同時並行で進めていくということが大事だ、この姿勢こそ沖縄に対する誠心誠意のあらわれだ、こう思いますが、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

北澤国務大臣 全くおっしゃるとおりでありまして、沖縄の皆さん方が基地の問題を論ずるときには常にこの地位協定のことを並行的に要求していただいておるわけでありまして、その重要性は十分認識をしております。

 しかし、それを今後解決していくということになりますと日米の間の信頼関係が一番大切だというふうに、ここ一年半ほどこの職を務めている中で認識をした次第でありまして、そういう意味では、前総理のお話もありましたが、ただ、これは私も困るのは、今ここにおるのは前総理に任命されて以来ずっと続いてきておるわけでありまして、そのことについては言及をしないことにいたしておりますが、日米関係がややぎくしゃくした時期が民主党政権の中でもあったということは認めざるを得ないというふうに私は思います。

 しかし、その後、五月二十八日の日米合意をしっかり守っていくという強い決意を米側に示したということにおいて、私は修復ができてきているというふうに思っておりまして、それとあわせて、御質問の趣旨に戻りますが、日米関係をしっかり強固なものにして、お互いに信頼関係を強める中で地位協定については議論をしてまいりたい、このように思っています。

赤松(正)委員 それは、今おっしゃったことはある種二律背反的なことで、片方を重視すれば片方が問題になる、そういうようなことでありますが、ここは知恵を発揮して、ある種日米関係がぎくしゃくしたとおっしゃられたのは、皆さんの政権がみずからつくったことが大きく起因しているということはあるわけですから、それを正していくためには、やはり劇的な力の入れ方、こういうものが絶対的に必要になってくるということを申し上げておきたいと思います。

 この問題については、後半、松本外務大臣とやりたいと思います。

 防衛大臣、私も震災対応の話で少しお話をさせていただきたいんですが、さっき、小野寺さんとのやりとりの中で、ローテーションを変えたいという話がありました。私はここは絶対変えられた方がいいと思います。

 というのは、通常、人情からいって、今、約半分の皆さんが現地に行っておられる、自分も行きたい、行った人が帰りたくないという思いと同じように、自分も被災地の中で少しでも役に立ちたいと思っておられる隊員の人がほとんどだと思います。もちろん、そういう任務、今の任務を離れられない立場にいらっしゃる方もおられるだろうと思いますけれども、ここはもう十分に配慮をして、先ほど言われたローテーション、既に従事しておられる方と交代をさせていく、そしてできるだけ大勢の人が現地を経験されるということをやっていただきたいと思います。

 防衛省の幹部に聞きますと、御遺体の取り扱いというのは本当に想像を絶する厳しさというものがあるということで、やはり精神的な部分でかなり傷んでおられるというか、心を痛めておられる方が多いと思います。そういう側面も含めて、ぜひやっていただきたい。その点に対する答弁が一つ。

 もう一つは、病院船のことであります。

 私の友人が、シーレーン等の問題について研究をしている人が、ぜひとも、今回の政府の対応で少し欠けている側面があるとするならば病院船だと。阪神・淡路の震災のときに病院船をどうするかという問題が話題になったわけですけれども、現在その議論が立ち消えになっているということで、「おおすみ」あるいは「ひゅうが」というものをそれに充てるという意見もあるやに聞いておりますけれども、ここは、米海軍のマーシー、コンフォートという二つの大変大きな病院船がある、この派遣を要請されてはどうか。この問題について、防衛大臣はどのように検討されてきたか、考えておられるか、これをお聞かせ願いたいと思います。

北澤国務大臣 隊員について大変温かいお言葉をいただいて、感謝申し上げる次第です。

 確かに、遺体収容というのは想像を絶するものがありまして、先ほどもメンタルケアのお話も出ました。これについては、我々、今最大限の努力をしておりまして、何人かはやはり耐えられないということで、勤務から外れざるを得ないという場合もあります。

 それは、一番は、お母さんが幼い子供をおんぶして、母子手帳をしっかり持って遺体で発見されたときの現場に立ち会った隊員というのは、若い隊員ですから、自分の子供たちに置きかえて、相当な衝撃を受けておるという事実がございまして、この点については、我々も今最大限の対応をしているところであります。

 そこで、病院船のお話でありますが、これも御案内のように、中国からも大きな病院船はどうだというようなお話がありましたが、現在の状況からしますと、我々とすれば、あらゆる医療関係、船の中に手術台があったりいろいろしますけれども、それは、外へ出て仮設の診療所をつくって対応する方がどうやら被災された方々のニーズに合っているというふうに理解をして、そういう対応を現在とらせていただいておるところであります。

赤松(正)委員 日米関係、非常に大事なときに差しかかってきております。しっかりと外務省、防衛省の対応をお願いいたしまして、終わりたいと思います。ありがとうございました。

小平委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 まず、このたびの東日本大震災で痛ましい犠牲となった方々に哀悼の意を表するとともに、被災者の皆さんに心からのお見舞いを申し上げたいと思います。

 そこで、まず、松本外務大臣に伺います。

 今回の大震災に際して、既に世界で百三十四の国々、そして三十九の国際機関、さらには、世界じゅうの方々からお見舞いと心からの支援が寄せられていると思います。そういう中で、三月十七日に菅総理はオバマ米大統領と電話会談もされまして、そこでオバマ大統領からも、当面の対応のみならず、中長期的な復興も含めてあらゆる支援を行う用意がある旨改めて伝達があったということであります。

 まさに、世界の国々そして人々、日本全国の人々がこぞって被災者に思いやりと物心両面の支援を寄せて、あらゆる手だてを尽くして一刻も早い救援と復興を、これが内外のすべての人々の気持ちだと思いますが、大臣、そういうことでよろしいですね。

松本(剛)国務大臣 先ほども申し上げてまいりましたように、今回の未曾有の大震災、これに対するまず当面の対応そして復旧復興というのは、政府として最優先の課題であると同時に、また国民の皆様からもそのような声をいただき、今お話があったように、世界各国の声、具体的に支援の表明をいただいているところは今委員おっしゃったとおりでありますけれども、お気持ちも受けとめる限り、そうだと思っております。

 同時に、先ほども申し上げましたように、政府としては、そのことに万全を期すということは、期すと評価をいただくことは簡単ではありませんが、万全を期すべく努力をすると同時に、国としての外交、安全保障なども一日もゆるがせにすることもなく努めることが私どもの使命だ、このように思っております。

笠井委員 世界じゅうが救援と復興に思いやりというときに、今なぜ米軍への思いやりの特別協定かという問題になってくると私は思うんです。

 そこで、北澤防衛大臣に伺います。

 そもそも、一九八七年に始まった本特別協定は、プラザ合意以来の円高のもとで、米国による在日米軍経費負担が苦しくなって、米側の要請に基づいて、日米地位協定の解釈では不可能なので、特別に協定を結んで日本側に負担を求めるということで締結されたものであります。それが二十三年間も続いてきまして、今度は大震災で戦後未曾有の困難に直面しているのは日本の方であります。

 北澤大臣は、今回の特別協定の締結に当たって、昨年十二月に日米が行った見直し協議の結果について、日米ともに極めて厳しい財政状況の中で、総額は維持するのが妥当であると言われましたが、震災を経て、劇的に、そのときとは状況が一変したということになります。それでも毎年二千億近くもの膨大な金額を今後五年間払い続けることに、あるいは払い続けることを妥当だというふうに現在もお考えでしょうか。

北澤国務大臣 この未曾有の災害というのは突発的に起きたわけでありまして、日米の同盟の重要性、そしてまた安全保障条約、日本を守るという重要な役割を持っておるわけでありまして、このこととこの災害で財政的に極めて大変だということを一緒に論ずるのは私は国家経営の中からいかがなものかというふうに思っておりまして、これから国会で議論いただきながら、この災害に対する対応は別途国を挙げて考えて対応すべきだというふうに思っております。

笠井委員 冒頭にも申し上げましたけれども、オバマ大統領の方は、この震災というものに本当に心を痛めて、そして中長期的な復興も含めてあらゆる支援を行う用意があると言っているわけですね。それで、財政状況でいろいろ経過があった中でやってきたけれども、今は劇的に日本がもう大変になっているということになっている中で、震災で事情が変わったということで相手側にも率直に言う、そして、それを言ったら壊れるような日米関係なのか、私は逆にそのことを思って今伺いました。

 もう一点、北澤大臣に伺っておきたいんですけれども、今回の総額というのは、民主党が主張していた労務費及び光熱水料の一部削減をしながら、その削減分を提供施設整備費へ充当するということで、全体として、あの見直し結果によれば、平成二十二年ということで言ってありますが、千八百八十一億円の水準を維持するというものになっていると思うんですね。新たに増額する施設整備の目玉ということであの結果の中でも言われているのは、太陽光発電を初めとした再生可能エネルギーの導入など、緑の同盟ということで振り向けるということだとされておりますが、北澤大臣は、いわゆる思いやり予算について、国民的になかなか理解しがたい面があるということで発言されてきた経過があります。

 今何よりも最優先して、大震災の救援、復興のために莫大な費用、経費をつぎ込まなきゃいけないときだと思うんですけれども、被災者からすれば、仮設住宅の問題あるいは個人補償、今、全壊三百万円というのを五百万円に引き上げるというのを政府が、与党でも検討しているという話がありますが、やはりそういう住宅問題一つとったって、国の支援を待ちわびている、求めているという状況です。

 そうしたときに、果たして、震災前にやったことだからということで、日本国民の税金で米軍住宅のエコ対策を先にやるのか。どちらを優先するのかというのは、私は、もう言うまでもなく、優先するのは震災対策だよねとみんな思うと思うんですね。

 そういう中で、この協定に基づいてやっていくそうした支出が国民の理解を得られると、今の時点でですよ、東北の皆さんも大震災で本当に大変な中で、どうしよう、住むところもない、避難所も大変な状況と言われている中で、納得されると思いますか。

北澤国務大臣 そういう御懸念が国民の中にあるということは十分承知をいたしております。

 しかし一方で、米軍はいち早く最大の努力をしてくれております。例えば、今、バージ船が小名浜から現地へ向かっておりますが、それに際して、真水を供給するポンプ施設などは、米側からオーストラリアへ売却したものを、即それを米側がお金を出して買い取って日本に提供するというような、非常に積極的な、しかも迅速な対応をしてくれておりますし、ロナルド・レーガンを中心にした何隻かの艦隊が来ておりますし、また一方で、私もちょうど「ひゅうが」へ行ったときに、米軍のヘリが二機飛来して、素早く援助物資を置いて次の展開のために飛び立っていく姿を見まして、本当に米側が、ちょっとこれは下世話な言い方かもしれませんが、身銭を切って本気で支援しているという姿も災害を受けた方々は十分理解をしていてくれているのではないかと思います。

笠井委員 世界の国々は、日本との関係いかんにかかわらず、見返りを求めずに無私の支援を差し伸べてくれていると思うんですよ。だから、身銭を切ってアメリカがやってくれるからアメリカにと言われるというふうになると、特定の国だけ見返りというのはやはり筋違いかなと私は思います。

 救援、復興ということでいいますと、国家的なプロジェクトが必要です。昨日の参議院予算委員会の締めくくり総括質疑の中でも、法人税減税問題の議論でもありましたが、野田財務大臣は、大震災のもとで、これまで正しいと思ってきたことも見直すと言われました。菅総理も、すべてのことが検討材料と答弁していたわけですね。そういう立場で、本協定も聖域にせずに見直して検討し直すべきだ。公共事業だって、今政府は、五%分は、三千億円ぐらいは執行を留保する、見合わせるということも検討しているというわけですから。

 私は、大震災の救援、復興に国の総力を挙げるべきときに、在日米軍への思いやり予算はそのまま押し通すというのは本末転倒だということを申し上げて、時間になりましたから、質問を終わります。

小平委員長 次に、服部良一君。

服部委員 社民党の服部良一です。

 今議論を聞いていて、私も同じような思いであります。

 もともと、一九七八年、思いやり予算が始まったときに、米軍は財政危機の中で、当時、金丸信防衛長官が思いやりがあってもいいと駐留経費の一部負担を認めたところから出発をしているわけです。今はどうですか。日本は震災で未曾有の国難に見舞われ、復興のために二十五兆円も要る。あるいは、原子力事故の被害はどこまで行くのか、現段階でははかり知れません。

 このような局面に際して、日本政府は米国政府に対して率直に、思いやり予算をやめてほしい、その金を復興に使いたいというふうに言ったらどうですか。私は、アメリカの復興支援の問題と思いやり予算の問題をぐじゃぐじゃにして議論することには反対です。どうですか。防衛大臣にお聞きをいたします。

北澤国務大臣 防衛政策というのは国の根幹をなすものでありまして、今ここで大きな災害が起きて悲惨な状況になっておることも極めて国家として重要なことでありますが、そのことにおいて日米の同盟関係に直結するような予算の削減を主張して、本来、未来永劫我々が国を守っていくというところにそごが生ずるというような議論は、私は必ずしも賛同できないわけであります。

服部委員 思いやり予算があるから米軍はこの震災の救援に来ているわけじゃないでしょう。

北澤国務大臣 思いやり予算は、金丸さんのときでありますが、そもそも米軍は、一九七〇年代の我が国が高度成長を邁進してきた、その時期に極めて負担が大きくなったということで、日本の国として協定を結んで、さらにまた金丸さんのときに特別協定をつくった、こういう経緯で来ておるわけでありまして、それが日米の協力の、日米同盟の根幹をなすものであるという今の状況を、にわかにこれを変えるという議論には直結しないのではないかと思います。

服部委員 私、どうも理解ができないのは、そもそも思いやり予算というのは、日米地位協定第二十四条に違反して、米側の財政危機に対して思いやりを持ってというふうに金丸さんが言って始まったわけですよね。ですから、今のこの日本の国難を考えたときに、それをそのまま続けるということがどういう妥当性があるのか。

 菅総理も、去年の国会の参議院の中で、これは震災の前ですよ、我が国も財政的に大変苦しい中にありますし、そういう点では納税者の理解が得られるという、このことが重要だということは重ねて申し上げておきたいということを思いやり予算に関して発言されているわけです。

 我々は、納税者がこの問題に本当に納得できるのかということに対して非常に疑問があるということを申し上げておきたいと思います。

 二点目に、米側の駐留が減れば、当然、駐留経費も減ります。米軍再編では、沖縄から八千名の海兵隊、九千名の家族が二〇一四年までにグアムに移転するという予定ですけれども、このロードマップというのは、大臣、今も生きているんでしょうか。

北澤国務大臣 生きておると承知しております。

服部委員 であれば、米軍基地や米兵が減れば、米軍住宅も要らない、基地の従業員も減る、光熱水費も減る。ことしは二〇一一年なわけですけれども、ロードマップが生きているということであれば、二〇一四年には、三年後には減るわけですよね。なのに、何で五年間も金額を据え置くのか。これはおかしいんじゃないでしょうか、防衛大臣。

北澤国務大臣 これはあくまでも現状の米軍のプレゼンスの中で決めておるわけでありまして、新たにロードマップで八千人がグアムへ移るという事態が生じたときには、これは日米の往復書簡に基づいて両国で協議をするということになるわけであります。今現在、八千人が移行しておるというわけではありませんので、現状を維持していくということであります。

服部委員 ならば、五年間据え置くということを決める必要はないんじゃないですか。

北澤国務大臣 期間を設定しなければ何らの意味もないわけでありまして、三年間であった場合もありますが、我々とすれば、今回の協定の中では五年が妥当であろうということで日米で合意をしたわけであります。

服部委員 どうもちょっと納得がいかないのは、ことし、二〇一一年、ロードマップは生きているということであれば、二〇一四年というのは三年後ですね。百歩譲って、三年だと言うんだったら、これは私は理解できるんですよ。何で五年なんですか。どうも理解できない。もう一回、答弁をお願いします。

北澤国務大臣 ですから、そういう事態が起きれば、往復書簡によって協議をするという道が残っておるわけであります。

服部委員 ということは、三年後に、現実にロードマップがそのまま実行されて、米兵が大幅に減る、あるいは家族も減る、そのときに金額は減額する、そういう合意が日米交渉で得られる、こういう理解でいいですね。

北澤国務大臣 日米の協議にかかわるわけでありますが、そういう可能性はあるということであります。

服部委員 次に、この思いやり予算、他の同盟国との比較においても、我が国の負担は非常に突出しております。米軍が駐留する世界じゅうの同盟国が負担する経費の総額の半分以上が日本の負担だ、こういう実情がある中で、アメリカの国務省前日本部長ケビン・メア氏は、日本政府が現在払っている高額の駐留費負担は米側に利益をもたらしている、米国は日本で非常に得な取引をしているというふうに言っております。これは、裏を返せば、日本は損な取引というふうにも、言い方は悪いですけれども聞こえるわけです。

 まず、この得な取引、それから高額な負担、このことについて、防衛大臣、どういうふうに認識されますか。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 メア氏の認識については、そもそも、米国政府の見解を代表しているものではないというふうに認識をいたしております。

服部委員 何を言っているんですか。アメリカの本音が出ているわけじゃないですか。これは本音ですよ、アメリカの。だって、日本部長ですよ。そう思いませんか。アメリカの本音だと思いませんか。

松本(剛)国務大臣 メア氏の発言について私がここでコメントをすることは、申し上げませんけれども、日米の協定でございます、ぜひ御信頼をいただきたいと思っておるんですが、私どもは、私どもの国のためになるという判断をいたしたから合意をいたしたわけでありますし、私どもの国にとって適切な負担であるということを考えたから合意をさせていただいたわけであります。

 所信でも申し上げましたが、国と国民の平和と安全、繁栄を守るのは政府の最大の責務でありまして、安全保障に関して、また外交に関して一日もゆるがせにできないと冒頭答弁をさせていただいたのも、そのような趣旨でございます。

 その上で、このHNSは、我が国の安全保障並びに地域の平和と安定に寄与するものだというふうに、戦略的な寄与である、こう判断をして、私どもとしては協定の締結についての御承認を国会にお諮りをしていると御理解をいただけたらと思っております。

服部委員 普天間の移設問題もしかりですし、思いやり予算もそうですけれども、一つのことで反対だとかどうとか言うと日米関係が崩れるだとか、そんな薄っぺらい日米関係じゃないと私は思いますよ。

 ですから、日米関係、いろいろな側面があるわけで、だめなものはだめ、辺野古に何ぼ基地をつくろうと思ってもできはしないんですから。やはり思いやり予算も、この日本の国難の中で、アメリカに、悪いけれども、ちょっと今日本はこういう状態やから堪忍してやと言ったらいいじゃないですか。そんなことで日米関係がつぶれるんですか。

松本(剛)国務大臣 繰り返しになりますが、私どもは、国民の皆様の税金をお預かりさせていただいて、その支出を決めていくわけでありまして、我が国のためになるという支出だから支出をさせていただいている、このように考えておりますし、今回も、国の安全保障、根幹にかかわるものでありますから、今回、協定を引き続き皆様にお諮りさせていただいていると御理解いただけたらと思っております。

服部委員 質問を終わります。

小平委員長 これにて防衛大臣に対する質疑は終了いたしました。

 防衛大臣は御退席いただいて結構です。

 質疑を続行いたします。道休誠一郎君。

道休委員 民主党の道休誠一郎でございます。本日は、私にこのような質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 まず、質問に入ります前に、一言申し上げたいと思います。

 三月十一日に発生いたしました東北、関東を中心とする東日本を襲った大地震とそれに伴う津波の死者・行方不明者、二万八千人を超える現状でございますけれども、この数についてはまだまだふえる可能性もあるということで、大変な大災害が起こっています。まず、亡くなられた皆様に対して御冥福をお祈りすると同時に、被災された皆様に心中よりお見舞いを申し上げたいと思っております。

 今、福島の第一原発の復旧あるいは抑え込みということを、現場の皆さん、自衛隊、警察、消防そして地方自治体、また、ボランティアあるいは関係者の皆さんが非常に献身的な努力をされているということに対しても、まず敬意を表したいと思っております。

 二〇〇四年の十二月にスマトラ沖で大地震がありました。そして、それに伴う津波で、インドネシアのアチェという地方が同じように非常に壊滅的な打撃を受けたときに、実は私はジャカルタにいまして、その地震を経験したんです。そのときに、日本が緊急な援助をすぐにしてくれた、あるいは日本にリードされる形で世界各国がインドネシアに膨大な援助、あるいは募金等もやったわけですね。そのときに、インドネシアの人たちから、本当に日本はよく頑張ってくれたということを言われ、また、その日本の行動に対して、インドネシアの皆さんが非常に力強く思ったということが印象に残っております。

 今回、御案内のとおりに、先ほど先輩議員の皆さんからも質問がございましたけれども、世界各国、特にアメリカについては、在日米軍の活動も伝えられておりますし、あるいは、非常に多くの国際機関が日本に対して援助を行っているということで、改めまして、その現状について、まず副大臣の方からお話を伺いたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

伴野副大臣 道休委員にお答えさせていただきたいと思います。

 道休委員におかれましては、以前JICAでお勤めということで、その御経験もあり、今後ともさまざまなアドバイスもいただければと思います。

 御質問にお答えさせていただければと思いますが、これまでのところ、百三十四カ国・地域及び三十九国際機関が支援の意図を表明していただいております。

 そうした中で、救助チームにつきましては、これまでに二十四カ国・地域、機関が日本を訪れていただきまして、現在も六カ国の機関が活動中と承知しております。瓦れき除去や物資の輸送、放射線計測等を実施していただいているほか、先ほどもお話ございましたが、小野寺委員の御尽力もあり、外国からの医療チームとして初となるイスラエルのチームが二十九日から活動を開始していると承知しております。

 また、物資支援につきましては、二十九の国・地域、国際機関から食料、水、毛布等を既にたくさんいただいておりまして、順次、各被災地に届けられている現状でございます。また、物資の輸送に際しましては、各国在京大使館等や国際機関のほか、在日米軍、オーストラリア軍による協力も得ているところでございます。

 今後とも、ポイントは、被災地のニーズを踏まえつつというところでございまして、緊急災害対策本部及び各国・地域、国際機関と緊密に連携をさせていただき、国外からの支援が被災地の復興に向けて効果的に実施されますよう、しっかりと努めていく所存でございます。

道休委員 どうもありがとうございます。

 非常にたくさんの国々あるいは国際機関が援助に来てくれる、この事実というのは、私は、やはり日本が今まで行ってきた対外関係、支援を中心に援助等も行ってまいりましたけれども、その評価の結果が一つであるというふうに認識しております。

 また、たくさんの国々あるいは国際機関が援助に入ってきているわけですけれども、実は、そういう方々の中から、手続に非常に時間がかかってしまって、自分たちが思うような活動ができないというようなお声も時折聞いたりもいたしますので、この点につきましては、外務省の皆さんも含めまして、しっかりと円滑かつスピーディーな、効果的な支援態勢がとれるように御配慮をいただきたいと思っております。

 また、今、非常に我々の危惧となっております福島の第一原発の放射能に関する情報、国内でも、風評被害を含めまして、農作物中心に非常に大きな影響が出ております。

 実際、私もある方からお聞きしましたら、この放射能に関して、福島の状況が伝えられた直後に、実は、横浜港で荷揚げをしていた船が突然、荷揚げを終わらずに横浜から離れたい、そういう状況も起こったという話も聞いておりますし、実際に外国の航空機や船舶が東日本を避けるような動きをしている、あるいは外国からの観光客が、極端に訪日客が減っておるという状況があるわけです。

 非常に難しい問題ではございますが、風評被害、これは日本国内だけではなくて、日本に対して世界じゅうから起こる可能性がございます。しっかりとした広報活動、これは外務省を中心にやっていただいておるとは思うんですが、対外的な広報活動の現状をちょっとお話をいただければと思います。

伴野副大臣 今委員の御質問の観点でございますが、各国何かあった場合に、逆の立場で考えますと、自国民の保護ということで、さまざまな活動がどうしてもより保守的な方向へ向かいがちであるとは思いますが、しかしながら、重要なことは、正確な情報提供とそれに基づく行動で、冷静な行動であろうかと思っております。

 そうした観点から、外務省におきましては、原子力発電所の現状や我が国がとっております関連の措置等につきまして、関係省庁の出席を得て、協力も得て、在京の外交団に対する日々のブリーフィング及び在外公館を通じた説明を毎日行っているところでございます。

 また、外国プレスにつきましても、官邸を中心に関係省庁が出席し、連日ブリーフを行っているほか、インタビュー等を通じましても発信をしているところでございます。さらに、外務省ホームページでも、英語のものに加えまして、中国語、韓国語による発信も行っているところでございます。十九日の日中韓外相会議及び日中及び日韓外相会談におきましても、松本大臣みずから直接説明を行っております。

 さらには、我が国からの輸入に対する各国の検査、規制の強化等につきましては、関係省庁の会議を開催し、政府としての対応につき協議を鋭意行っているところでございます。

松本(剛)国務大臣 おっしゃるとおりでありまして、大変大切な観点だというふうに思っております。

 その上で、例えば今の交通の問題であるとか食品の問題などについては、私どもの方からも積極的に国際機関などに情報を提供することによって、例えば国際機関などの方でしかるべく、またいろいろな表明なり御意見を出していただくとか、また今、伴野副大臣の方からも申し上げましたように、各国の対応について、必要な場合には、しっかりと速やかに私どもとしても申し入れを行って対応させていただいているということは申し添えさせていただきたいと思います。

道休委員 どうもありがとうございました。

 地震に関する質問はここでやめさせていただきたいと思いますけれども、今我々が直面しているこの原発の問題の早急な解決、そして中長期的な被災地の復旧復興という問題は、当然のことながら、我々国民一丸となってやっていかなければいけない問題でございます。

 また、我々がしっかりと、日本国民一人一人が力を合わせて再建、まずは救助、支援、そして復興ですが、この問題をやっていく中で、やはり国際社会も日本の問題を我が事として扱ってくれていただいていますので、支援の円滑な受け入れ等についても、広報活動を含め、外務省の皆さんには一層の御尽力をお願いしたいと思っております。

 続きまして、ホスト・ネーション・サポートについての質問をさせていただきますけれども、もう既に種々議論がされておりますけれども、また過去においても、一九八七年に最初に特別協定が結ばれて、その負担、いわゆる日米地位協定枠外での負担を決めたときには、当時の日米両国を囲む経済環境、急激な円高、米国側の財政逼迫というのを背景として、日本人労働者の雇用に与える影響等、あるいは在日米軍の活動の円滑化ということを意識して、当時の言葉として、資料を見ますと、一時的、暫定的、限定的かつ特例的な措置、非常に短期間である、あるいは特別であるというようなことを強調されながら、しかしながら、五年で終わるということはなくて、御案内のとおり、もう既に二十年以上も続いており、また一九八七年以降、常に日本側の負担増という形で更新されてきたこの特別協定です。

 しかしながら、二〇〇一年から、負担の枠組みを維持しながらも、米側の節約努力も要求するということが明文化されたわけです。当時の二〇〇一年の状況も、日米両国を囲んでいる経済環境、国際環境の変化を反映したわけですけれども、さらに二〇〇六年に、二〇〇一年のテロ以降急変した国際情勢と米軍の再編計画というものの進捗状況を見ながら、期間をまず二年として、さらに前回二〇〇八年には三年ということで、調達費の上限金額の設定ということで、一層の節約努力というのを明文化していったわけです。

 特に、先ほどから議論の出ております基地労働者の経費の負担のあり方あるいは雇用形態、そして経費の負担の、日本が他国、各国に比べて突出しているのではないかというようなことも踏まえて、私もそういう歴史的な経緯も踏まえた上で質問をさせていただくわけです。

 昨年の国会審議の中でも、北澤防衛大臣からは、政策コンテストにかけることについてはもう説明をされておりますけれども、ここで改めて私がお伺いしたいのは、それまで見直しの方向で動いていた、民主党の考え方としても、基本的なものについてはしっかり理解をしながらも、細かいお金の使い方とかそういうものについてできるだけ無駄を排除するという方向で進んでいたものが、従来どおりの労務費、光熱水費あるいは訓練移転費の全部または一部の日本負担ということなどを考えたときに、労働者数については協定期間中に二万三千五十五人から二万二千六百二十五人へと段階的に削減していく、あるいは光熱水費については二百四十九億円を上限としてというようなこともあり、負担の軽減、負担比率を七六%から七二%へ削減していく、一方ではそういうことを言いながらも、軽減分を提供施設整備費に加算することで大枠は同じ水準に保っていくということで、重々日米関係の重要性や国際環境の変化というものを理解した上でも、やはりこのホスト・ネーション・サポートというのがどうして政策コンテストにかけられなきゃいけなかったかということについて改めて御確認をしたいと思うんですが、いかがでございましょうか。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 道休委員も御存じのとおり、特別枠については、幾つかの類型、柱立てがあったように思います。マニフェストの実現、デフレ脱却、経済成長に特に資する事業、雇用拡大、人材育成、国民生活の安定、安全というところでありまして、この中で、在日米軍駐留経費負担については、アジア太平洋地域において依然として不透明、不確実な要素が存在をしている中で、我が国の安全保障にとって不可欠な日米安保体制の円滑かつ効果的な運用にとって重要な役割を果たしているということでありまして、その意味から国民生活の安定、安全に資するというふうな観点から、特別枠の趣旨に沿った事業であると計上をしたところであります。

道休委員 どうもありがとうございます。

 また、今回、過去二年、三年という期間を、これはお互いの、日米両国の事情もあったと思うんですが、ここをさらに従前の五年の枠に戻したということ自体が、私は、一部の皆さんは、この予算の恒久化あるいは在日米軍の基地の姿が変わっていかないのではないかというような懸念も持たれることにつながるのではないかと思いますが、この点についてはいかがお考えでございましょうか。

松本大臣政務官 新たな特別協定の合意に当たりましては、包括的な見直しの結果も含めまして、幾つかの点を総合的に勘案して判断をさせていただきました。

 一つには、前々回までの協定というのは基本的に五年間をその期間としてきたこと、それから二点目は、現在のアジア太平洋地域における安全保障環境において、依然として不透明、不確実な状況が存在している中で、やはり在日米軍駐留経費負担については安定的に確保していく必要があるだろうということ、さらには、ことしが中期防の策定年であるということでありまして、防衛関係費全体というものを見ていく上では、これと期間をそろえたという点を総合的に判断して五年という結論に至ったものであります。

道休委員 どうもありがとうございます。

 今、政務官の方でお答えいただきましたように、日米関係、特に日米同盟というのが我々日本の外交の基軸になるわけですから、現実的なアプローチをしながら建設的な日米同盟をつくるためには、これを継続的に深化させるということのためには、予見可能な日米関係をしっかりと築いていただくということが大事であり、また、この点からも、ホスト・ネーション・サポートについて、しっかりこれを予見可能なものにしていく。急変させていくというのは非常に不安定要因となり得ると思っておりますので、この点については私も十分理解をさせていただいているところでございます。

 昨年の八月の衆議院予算委員会において菅総理が、我が国も財政的に大変苦しい中ではあるけれども、やはりその中で納税者の理解を得ることが非常に大事であると発言されていますし、また、前原前外務大臣におかれましては、一月二十一日にルース大使との間で、新協定の署名の後の会見の冒頭に、特別協定の意義について、アジア太平洋地域を取り巻く戦略的環境が変化する中で、日本の安全保障のみならず、この地域の安定のための公共財という言い方をされております。非常に重要な協定であると私も思っておりますので、その辺をしっかり国民の皆さんの御理解を得ていただく努力もしていただく。

 同時に、一月二十一日にはルース大使が、いわゆる節約ということについても、また、あるいは米軍関係の事故や事件というのをゼロにするために最大限の努力をするというような発言もされております。

 ですから、しっかりと要求すべきは要求していただいて、非常に厳しい財政状況の中で、もうこれは各先生方が先ほどからおっしゃっていますけれども、日本は今非常に大きな危機に直面していますが、その中でもこのホスト・ネーション・サポートというのをしっかり守っていくためには、国民への理解というものを求めていくことが必ず必要であると思いますので、その点については改めて御努力をお願いする。

 しかしながら、一方で、中長期的には、日米地位協定も含め特別協定、やはり常時、日米同盟のあり方、時代あるいは国際環境に即応したあり方を検証して望ましい形に見直していく、こういう努力は続けていただく必要があると思いますけれども、これについてはいかがお考えでございましょうか。大臣、よろしくお願い申し上げます。

松本(剛)国務大臣 これは委員おっしゃったとおりでありまして、常に現状を改善する努力というのが必要であると同時に、外交、安全保障については、我が国を取り巻く環境も日々刻々変わってきているわけでありますから、そういったことをしっかり注視しつつ、また、今委員お話しいただいたように、努力をすることが重要だと思っています。

 とりわけ、国民の理解をいただくということは大変大きなポイントだというふうに私も思っておりまして、私自身も、副大臣のときから、外交の広報というものを、当時の同僚であった伴野副大臣とともに、さらにパワーアップするにはどうしたらいいかということの検討を重ねてきたところでございますので、また委員の御指摘も踏まえながら努力をしてまいりたい、このように思っております。

道休委員 大臣、どうもありがとうございます。

 日本を取り巻く地域の安定に対する不安要因というのはいろいろございます、御案内のとおりでございます。

 私は、やはり日本にとっては日米同盟というのは本当に最重要課題ではあると思っています。そしてまた、その日米同盟を維持していく上で、沖縄の皆さんに過度に負担が集中していたのではないかということについても、実は私の地元の宮崎県には新田原という航空自衛隊の基地があるんですが、そこの基地の整備、いわゆる米軍の受け入れも意識した基地の整備も進んでおります。

 恐らく今、私思いますに、日本国民の中でも、沖縄に非常に負担をかけてきた、申しわけないという意識はどんどんふえてきていると思いますし、この日米同盟のあり方について、防衛も含めまして、国民一人一人が本当に正面から向き合う、あるいは向き合わなければいけない時期が来ているのではないかなと思っております。

 しかしながら、私は、日本が国際社会の中で何ができるかということを考えたとき、アジア地域あるいは太平洋地域、国際社会の中で、平和憲法を有する日本がやれることというのは、アフガニスタンやイラクで起こっている問題、アフリカ諸国でもジャスミン革命というのが進行しておりますけれども、武力による脅威の除去あるいは抑止力による相手への牽制というものではなくて、やはり日本が進むべき道というのは、平和憲法に基づきながらも、日本の持っている知見や技術、特に災害復興や社会基盤の整備、そういうことに日本は非常に大きな力がございますから、そういうものを、持続可能な経済発展や社会発展に積極的に我が国は関与していく。そしてその面で、人的な資源や高水準の技術、あるいは環境にも配慮したインフラの整備、工業化の推進ということを支援することによって、本当に国際社会がいわゆる豊かさ、これは物質的、精神的な豊かさがございますけれども、そういうものを行いながら、開発途上国の支援に進んでいく。

 本当に、まさにそういう時期が、もう従前から続いているわけですけれども、今こそそこに対して、我々は、国民の一人としてしっかりと、外務省さんを先頭に進んでいくべきだと私は思ったりもしているんですが、この点について、大臣、いかがでございましょうか。

松本(剛)国務大臣 道休委員のお話しいただいたとおりだろうというふうに思います。これまでも、我が国もそういった面も十分に積み重ねをしてきたのではないか、このように思っております。

 先ほど少しお話をさせていただいたとおり、我が国を取り巻く安全保障環境というのは厳しさを増しているというのが私どもの認識でございます。その上で、政府としては、国、国民の安全、そして平和を守り、繁栄を守るという安全保障の責務をしっかりと果たしていかなければいけないということで、日本国憲法のもと、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないという基本理念を持ちつつ、みずからの防衛力の整備、そして日米安保体制に基づく抑止力のもとで国の安全を確保していく、こういう政策をとっているわけでありますが、同時に、今お話がありましたように、我が国の平和と豊かさというのは、世界の平和と繁栄というものの中でこそ実現が可能だ、シンクロしているというふうに考えるべきだというお話は、まさにそのとおりだろう、こういうふうに考えております。

 実際に、私自身も、今回の震災に当たる各国の御支援の中で、これまで我が国が積み重ねてきた、私どもは、各国からいただいている支援の気持ちが、昔ODAをもらったから返すとかいう見返りとかいう単純なものではなくて、本当に我が国、それぞれの国に資するODAを真剣に考えてきた日本の姿勢というものが各国のいわば日本に対する信頼になってきて、これがまさに返ってきているんだというふうに思います。

 私自身も、先般もアフリカ連合の総会へ行かせていただいたときも、各国の外務大臣とお話をさせていただいたときに、本当に国民のためになるODAをしてくれる国が日本だという認識を各国から示していただきました。

 また、お話がありましたように、我々、財政的な支援ももちろんでありますが、人的な支援という意味で、青年海外協力隊は大変有名でありますが、私が訪れたエチオピアでは、実は、シニアボランティアというのが大活躍をされておられました。首都アジスアベバの水道について、まさに水道について知見のあるシニアボランティアが多数参加をされて、飛躍的にアジスアベバの水道の質も改善をしているというふうに地域からも評価をいただいているという話もありました。

 外務省としても、しっかりこういった流れをさらに拡充ができるように、政府の限られた資源を有効かつ効率的に、効果的に使えるように努力をしてまいりたい、このように思っております。

道休委員 大臣、どうもありがとうございます。

 私も、日本の国際貢献というものを考えた場合に、やはり長年おつき合いのあるASEANの諸国、こういう諸国が今、インドネシアやベトナムというのが非常に高い経済成長率を誇っているというのは御案内のとおりでございますけれども、旧来から日本と非常に親密であった国々、あえて名前を挙げさせていただきますと、インドネシア、タイ、フィリピン、マレーシア、ベトナム、この辺が私の頭に浮かんでくるわけですけれども、こういうASEANの中核をなしている国々とのいわゆる重層的な協力関係、当然、経済援助を含めあるいは経済関係を含め大事でしょうが、文化、教育、社会面における交流というのは、実際今どういうふうにお考えになっておるのか、この点について副大臣の方からお答えいただければありがたいです。

伴野副大臣 重要性につきましては委員御指摘のとおりでございまして、我が国は、強固な日米同盟を基盤といたしまして、ASEAN各国等、地域諸国との協力を進めると同時に、地域協力の枠組みを活用いたしまして、開かれたネットワークを重層的に発展させていく所存でございます。

 地域協力を推進していくには国民間の信頼醸成が不可欠でございまして、そのためにも、議員御指摘の教育、文化等さまざまな分野で開放的かつ透明性の高い地域協力を着実に推進していくことが肝要であろうかと思っております。

 また、そうした政府、国民の交流を下支えさせていただく意味でも、委員も、例えば、WFP議連の事務局長をして御活躍というふうに承知しておりますが、そういう議員外交も非常に重要かと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

道休委員 もう時間もなくなってきましたので、最後の質問にさせていただきますけれども、先ほど松本大臣の方から協力隊あるいはシニアボランティアのお話が出ました。

 まさに、実は私、先日、二本松にございますJICAのセンターで、今年度の青年協力隊あるいはシニアボランティアの皆さんの訓練の修了式に出させていただいたんですね。現場で皆さんの非常に輝いている目というものを見させていただいて、私自身も元気づけられたという印象がございました。

 国内では、非常に悲しいことですけれども、バブル崩壊以降、デフレの経済から脱却できなくて、財政赤字がふえる一方、あるいは雇用はないというふうな非常に厳しい問題が続いているわけですけれども、若い方々の活力とシニアの皆さんの知見や経験というのを日本の援助あるいは国際平和の構築のためのツールとして使っていただくというのが、本当に元気な日本を取り戻す一つの方法ではないかと思っております。

 箱物から人的な交流、あるいはソフト面での対外支援へ移行していただくということが必要でしょうし、また、世界じゅうの皆さんがどうして日本はそんなに内向きになっているんだというふうに思っていらっしゃると思います。日本が、あるいは日本人が、かつてジャパン・アズ・ナンバーワンと言われたころの活力をしっかり取り戻し、国際平和に貢献する、あるいは国際社会の発展に貢献するということが世界からも求められているというふうな認識でおるんですけれども、最後に大臣の御見識を伺って、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。

松本(剛)国務大臣 実際の体験も踏まえた道休委員の御質疑、御指摘を私どももまたしっかりと受けとめてまいりたい、このように思っております。その上で、まさに今お話がありましたように、内向きではないかと日本が言われている時代からぜひ脱するべきだということについては、私も全く同意見であります。

 前原前大臣の折から、私どもとしても、人の動きというのは両面で、つまり、外国から日本に来ていただいて学んでいただいたり交流したりしていただくという人の動きと、それから我が国の人たちが外国へ出ていって向こうでさまざまな活動をするという両面での人の動きというのをぜひ活発にしていきたい。これは、まさに今お話がありましたように、そして道休委員自身もある意味ではその中の経験者のお一人なのではないかと思いますが、行かれた方にとっても行った先にとってもウイン・ウインに、また、来ていただいた方にとっても来ていただいた我が国にとってもウイン・ウインの関係になるようなものというのをこれからつくっていくことが大変重要だろうというふうに思っています。

 今回の震災においても、今お触れをいただいた二本松のJICAのセンターというのは、被災者の支援の対応に当たる一つの拠点になっております。また、青年海外協力隊のOBの方々というのは、各県に有志でOB会をつくっていただいているわけでありますが、今回、被災地の各県の隊を中心に、やはり被災者支援にボランティアとして大変な御尽力をいただいているというふうに聞いておりまして、非常にそれぞれが大きな財産になってきている、このように感じているところであります。

 ぜひその路線が拡充できるように、私も努めてまいりたいと思います。

道休委員 どうもありがとうございました。

小平委員長 次に、河野太郎君。

河野委員 衆議院議員、自由民主党の河野太郎でございます。

 まず、審議に入る前に、このホスト・ネーション・サポートの協定について、前回、民主党が反対をされました。今回は民主党政権が、この同じ内容の協定を提出されております。なぜ前回反対されたのかということに対して、伴野副大臣から、前回は野党であって情報がなかったんだという御発言がございました。

 私は、この外務委員会の理事を長く務めさせていただきましたし、委員長もやりましたが、前回の審議で要求された情報、少なくとも要求されたものはすべて提出をしております。ないものは出せませんが、与党、野党で情報の差があったということはございません。

 副大臣の御発言は、この外務委員会に対する著しい侮辱でありますので、審議に入る前に、まずきちっとそれを撤回し、謝罪をしていただきたいと思います。副大臣です。

小平委員長 では、まず、松本外務大臣。

松本(剛)国務大臣 当委員会でホスト・ネーション・サポートの議論をさせていただくのは、ただいま、きょうからだというふうに理解をさせていただいております。

 それで、先ほどもお話がありましたが、今、河野委員おっしゃったように、前回の委員会の審議、私自身は外務委員会の委員ではございませんでしたけれども、審議の経過はよく承知をしております。今お話がありましたように、与党にも大変な御尽力をいただいて、大変な資料を提出していただいて、大変な長い時間の審議も衆参合わせてされたというふうに理解をいたしております。

 その上で、先ほど、私自身も小野寺委員との質疑でも答えさせていただいて……(河野委員「委員長、時間を無駄にしておりますので、きちっとまず副大臣の答弁をさせてください。この時間は私の質問にはカウントしませんよ。理事、とめてください」と呼ぶ)

小平委員長 まず答弁してください、まとめて。

松本(剛)国務大臣 お話をさせていただいておりますけれども、今回、日米の同盟について思いを深めたところとお話をさせていただいたように、外交全般につきましては、そのときにお話をさせていただけることとお話をさせていただけないことがあるわけで……(河野委員「委員長、質問に答えないんだったら、質疑できません」と呼ぶ)

小平委員長 大臣、簡潔に答弁されたい。(河野委員「委員長、とめてください。質疑できません、これでは。これでは質疑できません」と呼ぶ)

 松本大臣、簡潔に要領よくまとめたものを。

松本(剛)国務大臣 情報の量というものが、日米の関係全般について、政府とそれから政府の外では違う。それが、だからこそ、三十年たって公開をさせていただいているということをお話をさせていただいております。(河野委員「理事、とめてください。これでは質問できません」と呼ぶ)

小平委員長 ちょっと速記をとめて。

    〔速記中止〕

小平委員長 どうぞ速記を起こしてください。

 河野太郎君。

河野委員 委員長、きちっとした議事運営をお願いします。

 副大臣、答弁してください。

伴野副大臣 河野委員にお答えさせていただきたいと思います。

 今、委員の御指摘、御質問の件は、先般、先週二十三日の水曜日に、私が自民党の部会にお邪魔させていただいたときのことではないかと思いますが、そのときに、委員からも御指摘がございました、野党時代に情報が少なかったため現行協定に反対したというふうに御指摘いただきましたが、私自身そのように申し上げたことではなく、本意ではございません。もしそのようにおとりいただいたとすれば、それは私の表現力を今後磨かせていただきたいと思っております。

河野委員 前回の審議の中で民主党の委員から、この予算は、思いやり予算、ホスト・ネーション・サポートはアッシー君の貢ぎ物予算である、そういう発言がありました。民主党政権、そのような認識ですか。

松本(剛)国務大臣 そのような発言が、その当時からの民主党の立場であったとは承知しておりません。

河野委員 当時の民主党の筆頭理事から、在日米軍は日本を守っていない、海兵隊は決して駐留している沖縄を守っていない、そういう発言が前回の審議の中でありました。これは民主党政権の現在の認識ですか。

松本(剛)国務大臣 在日米軍は我が国の防衛の義務を負っている、そういう認識のもとで今回の在日米軍駐留経費負担特別協定についても審議をお諮りしておりますし、そのような理解はこれまでの民主党の変わらぬ考え方であると思っております。

 同時に、であるからこそ、私どもは少なくとも、私も政調会長を務めていたことがありますが、民主党として記したものについては、日米関係は基軸であるということを申し上げ続けてきたというふうに理解をしております。

河野委員 前回の審議の中で、グアムにアメリカの米軍が帰っていくのに日本政府が金を出すのはおかしいのではないか、そういう発言がございました。これは現在の民主党の政権の認識ですか。

松本(剛)国務大臣 二点申し上げたいと思います。

 一点は、私自身は、グアム協定そのものに民主党が反対をしたというふうに当時の党内の議論では理解をいたしておりません。先ほど、特別協定の議論の際にもお話をさせていただきましたが、野党として税金の使途をチェックさせていただくという立場から、グアム協定の結果支出される内容について質疑をさせていただいた、その結果として態度を決めさせていただいたというふうに理解をしています。

 その上で、これも先ほど申し上げさせていただいたことでありますが、私どもとしては、民主主義の議会の中で議論をして結果として成立をしたもの、これは成立をしたものと受けとめて、今、私どもは政権をお預かりさせていただいているというふうに認識をしております。

河野委員 どうも民主党の質問者は、民主党そのものとは全然違う意見の人ばかりが質問をして、あげくの果てに前回は反対した、そのように今大臣はおっしゃったような気がいたします。

 前回の委員会の審議の中で、民主党の中から、基地内の米軍住宅一戸一戸に、ガス、水道のメーターをつけろ、そういう要求がございました。これは、この協定の中で反映をされていますか。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 これまでこの特別協定の国会審議の中で、米軍家族住宅の電気使用量の実態を把握するためにメーター設置について指摘や議論があったことは認識をしております。

 ただ、施設・区域内にある米軍家族住宅に係る光熱水料等につきましては、在日米軍を維持する上で必要なものとして、施設・区域ごとに米側が公用のものとして一括調達をしているものでありまして、個々の住宅に電気メーターは設置をされておりません。このことは従前と変わっておりません。

 光熱水料等の確認のためには公用調達証明書等を添付していただいていまして、そのことでもって適切に運用されているというふうに認識をしております。

河野委員 前回、そういう答弁でした。それに対して武正公一君は、それでも一戸一戸にメーターをつけなかったら節約しているかどうかわからぬではないか、そういう質問が再三再四繰り返されました。

 私の理解では、武正さんはその後、外務省の副大臣になられた。少なくとも交渉の中で、メーターを一軒一軒つけろ、そういう提案はされたんですね。

松本(剛)国務大臣 河野委員の認識をまつまでもなく、武正公一さんは副大臣をお務めになったということは申し上げられるというふうに思っております。

 その上で、先ほどのお話でありますが、平成二十年の際に、まさに今御指摘がありました武正公一議員が民主党・無所属クラブを代表して討論をした際に、「民主党の安全保障政策の基軸は日米同盟、日米安全保障条約にあります。」と明確に申し上げさせていただいていることを補足させていただかなければいけないと思っております。

 その上で……(河野委員「委員長、質問に答えさせてください。質問と違うことで時間を無駄にしているじゃないですか。理事、とめてください」と呼ぶ)よろしいですか。

小平委員長 答弁を続けてください。

松本(剛)国務大臣 よろしければ、メーターにつきまして、今回の現行の特別協定の審議において、今委員御指摘のとおり、米側の節約努力検証のために、電気メーターの設置などにより米軍家族住宅の電気使用量の実態を把握すべきだという指摘や議論があったということは認識をしております。

 その上で、しかし、この討論にもお話をさせていただいているように、国民の税金を使っているという視点からどう対応するかということが大切な視点だ、このように思っておりまして、交渉の過程においても米側とは……(河野委員「委員長、理事、とめてください。時間を無駄に使っています」と呼ぶ)

小平委員長 まあ、まずお聞きなさい。(河野委員「いやいや、質問と違う答弁じゃないですか」と呼ぶ)

松本(剛)国務大臣 メーターについてお話をさせていただいていますけれども。(河野委員「少なくとも、きょうの審議は時間をもともと短くしているんですから」と呼ぶ)

小平委員長 大臣、再三ですが、答弁は簡潔に、要領をまとめて答弁されたい。よろしいですね。

松本(剛)国務大臣 はい。

 よろしいですか。(河野委員「よろしくありませんよ、聞いたことにきちっと答えてください」と呼ぶ)はい。

小平委員長 簡潔に。

松本(剛)国務大臣 メーターの話をさせていただいているというふうに理解をしておるんですが、三年前にそのような議論があったことは認識しているということを申し上げました。その上で、節約努力のあり方について議論は行っているところであります。

 同時に、米軍の家族住宅については、光熱費を個人ではなく軍で負担をしております。そういう意味では、全体として電気使用量の減少に結びつくようにということで、今回は日本側の負担割合を現状の七六%から七二%まで段階的に削減することで米側の節約に対するインセンティブを高めるということで、我が国負担の軽減と節減も図り、前回の議論にこたえるものにしようとしたところでございます。

河野委員 前回の議論と比べて、野党側は七分の一の質疑時間しか今回ございません。きちっと的確に答えてください。

 前回の審査の中で、民主党の渡辺君から、すべての職種に対して日本側から給料が出るのはおかしいじゃないかといって、バナナボートを引っ張ったりケーキの飾り職人に給料を出すのはおかしい、そういう御指摘がありました。山口壯君からは、宴会係マネージャー、マッサージ師、スロットマシン修理工、こういう者の給料が出るのはおかしいじゃないか、そういう話がありました。武正公一君からは、バーテンダーに何で給料をこの思いやり予算の中から払わなきゃいかぬのか、そういう質問がございました。

 そういう職種に対しては、今度の協定では、思いやり予算の中からこういう職種の給料が支払われることはないんですか。

松本(剛)国務大臣 米側と協議をさせていただいた結果として、最終的に、娯楽性の高い施設に係る労務費については日本側負担を削減するとの考え方に基づいて、現行上限労働者数を本協定期間中において段階的に四百三十人削減し二万二千六百二十五人とするとともに、娯楽性の高い施設については米側が負担するということで日米間で一致をしたというふうに理解をしております。

河野委員 結局、禁止していないじゃないですか。

 前回、民主党の委員からこういう話がございました。日本側が給料を払っている労働者が米軍の兵器及び弾薬を取り扱うのはおかしいではないか、そういう話がありました。今回はそういうことはないんですね。

松本(剛)国務大臣 繰り返しの時間を避けたいと思いますので、娯楽性の高い施設についてお話を、先ほど御答弁を申し上げたとおりであります。

 その上で、日米間において、これは事柄の、協定の内容上、個別具体のポストを特定した議論は行っていないということを申し上げさせていただきます。

河野委員 前回の審議の中で、民主党の委員は、キャンプ・コートニーの教会という宗教的施設に日本が出した金が使われるのはおかしい、そういう議論がありました。キャンプ・コートニーの教会はどうなったんですか。

松本大臣政務官 キャンプ・コートニーの教会の議論でありますけれども、キャンプ・コートニーにおける教会は、米側の要望に基づいて、昭和五十八年度から五十九年度にかけて、米軍人、米軍属及びその家族の福祉の増進、士気の高揚等を図るために整備を行ったものでありまして、当該教会については、既に米側に提供し、米側において管理しておりますことから、政府としてその取り扱いについて改めて検討する考えはございません。

河野委員 前回の審議の中で、武正公一君から、労務協約は変えなきゃいかぬ、労務協約を変えなければこの思いやり予算を出しちゃいかぬ、そういう話がありました。労務協約は変わりましたか。

松本(剛)国務大臣 日米地位協定第十二条の五により、駐留軍等労働者には、労働関係法令が別段の合意をする場合を除くほか、日本国の法令で定めることによらなければならないと規定されていることは御案内のとおりであります。

 駐留軍等の労働者の労働条件については、米側の理解を得て、我が国の法令の趣旨にのっとった所要の措置が講じられるよう粘り強く取り組むことが重要だと考えており、かかる考えに立って、日米合同委員会のもとの労務分科委員会において精力的に協議をしているところだというふうに御報告をいたします。

河野委員 前回の審査の中で、基地外の住宅の光熱水費の請求書と領収書を出せ、そういう要求が武正公一君からございました。これは武正公一君以外の方からもありました。これは出せますか。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 基地外の米軍家族住宅、施設の光熱水料等については、そもそも日本政府は負担をしておりません。区域外に居住する米軍人等について、米軍は光熱水料等を含めた住宅手当を支給しておりまして、ですから、契約は個人として供給業者との間で行われているものでありますので、その光熱水料等について米側から日本側に請求されることはそもそもございません。

河野委員 そういう答弁があったにもかかわらず、きちっと米側が払っているかどうかを確認するために請求書を見せろ、領収書を見せろ、そういう要求があったじゃありませんか。何で出さないんですか。

松本大臣政務官 あくまで日本政府が負担しているのは施設・区域内の光熱水料でありまして、それについては、米側から、先ほども御答弁しましたけれども、公用調達証明書、それから請求業者の請求書、こういったもので確認できておりますので、そもそも負担をしていない基地外の住宅の光熱水料等について資料を徴収する考えはございません。

河野委員 だから、そういう答弁をしたにもかかわらず、武正公一君は請求書と領収書を出させろと言ったじゃありませんか。何で民主党政権になってそれをやらないんですか。

松本(剛)国務大臣 私どもの党を代表する立場は、当時の委員会、本会議で、衆参で討論でもお話をさせていただいております。

 国民の皆様、納税者の皆様に納得のいく説明ができるように努力をさせていただき、今回、日米間でも交渉させていただいた結果として御報告をし、きょう本協定、御審議をいただいております。皆様の御審議をいただいて、御理解をいただけるように、御納得をいただけるように努力をさせていただきたいと思います。

河野委員 いやいや、今聞いているのは、前回の審議で民主党の委員が聞いたことを聞いているんですよ。何一つ実現していない。領収書出せ、請求書出せ、何一つできないじゃないですか。それで皆さん納得しているんですか。

松本(剛)国務大臣 時間を浪費しないために繰り返しは避けますが、光熱水費、労務費の負担など、米国との間で協議をし、国民の皆様に御説明できるように私どもとしては努力をさせていただいたわけでありまして、この内容で、この国会の御審議で御理解をいただけるように努めていきたい、このように思っております。

河野委員 そうすると、何ですか、前回反対したのは嫌がらせですか、それとも認識不足だったんですか。ことごとく、当時の民主党委員が質問したことに、現民主党の政務三役、何も答えられない、何も実現していないじゃないですか。

 当時は認識不足で反対をしたのか、嫌がらせで反対をしたのか、どっちなんですか。

松本(剛)国務大臣 改善をさせていただいた点があるということの認識のもとで、今審議をお諮りして、お願いをさせていただいております。

河野委員 その程度の改善でよかったんですか。

松本(剛)国務大臣 今、私どもとしては、国民の皆様に御納得をいただけるように、国会にお諮りをさせていただいていると思っております。

河野委員 大多数の国民はもともと納得しているんですよ。文句を言っていたのは民主党の議員じゃないですか。あれをやれ、これをやれ、あれはやらせるな、これはやらせるな、領収書出させろ、何一つできないじゃないですか。人からコンクリートに金の出し方が変わっただけでしょう。それでいいんですか。

松本(剛)国務大臣 私どもは、本協定、日米の交渉の協議を経て、国民にお諮りをすることができるベストのものと思って、今お諮りをお願いさせていただいているところでございます。

河野委員 民主党はグアム協定にも反対されましたよね。今だったら民主党はあの協定に賛成するんですか。

松本(剛)国務大臣 グアム協定についても、先ほどの答弁と重なってしまいますが、御質問の趣旨でございますので。

 まず、グアム協定のそのものに反対をしたという内容で反対をしていないという趣旨は、その当時から申し上げておったかというふうに思います。その上で、野党として税金の使い方をチェックすべきだということで、税金の使い方などについてしっかり説明を求めていく、そういう議論を踏まえた上で最終的に反対の態度をとったということは、委員御指摘のとおりでございます。

 その上で、先ほども申し上げましたが、私自身も、また今、私ども政府としても、民主主義の議会での議論の結果、成立したものはもちろん成立したものとして受けとめて、引き継いで今ただいまおる、このように理解をしております。

河野委員 質問に答えていません。今なら賛成するんですか。

松本(剛)国務大臣 その当時は、国会での議論を踏まえて反対をいたしました。ただいまは、政府として成立した協定は引き継いでおります。

河野委員 委員長、質問に答えさせてください。

小平委員長 答弁を、重ねて要求がありますので。

松本(剛)国務大臣 ただいまはHNS協定の審議をお願いいたしております。

河野委員 質問できません。とめてください。答えません。

小平委員長 ちょっと速記をとめて。

    〔速記中止〕

小平委員長 速記を起こしてください。

 松本大臣、答弁願います。

松本(剛)国務大臣 二年前に民主党が反対をしたのは、在沖縄海兵隊のグアム移転そのものではなくて、負担の内訳などについての国民の説明が不十分だとの理由が主であったわけでありますけれども、これについても、先ほどHNSについても申し上げましたが、結果として、民主党の日米同盟やグアム移転を含む在日米軍再編に対する姿勢について疑義が呈されるということになったことは重く受けとめてまいりたいと思っております。

 民主党としては、これまでより日米同盟が基軸であるという立場には変わりがないわけでありまして、政府として、抑止力を維持しつつ、沖縄を初めとする地元負担の軽減を図るべく、グアム移転を含む在日米軍再編を着実に進めてまいりたい、このように考えているところでございます。

河野委員 要するに、説明ができるようになっているのかどうかということを聞いているわけですよ。本体には賛成なんでしょう。だけれども、説明が問題だから反対したというなら、今ならちゃんと説明ができるようになっているのか、そういう質問じゃないですか。今賛成できるということは、今ちゃんと説明ができるということでしょう。賛成できるんですか、今。答えてください。

松本(剛)国務大臣 グアム移転協定のお話でございましたけれども、私どもとしては、グアム移転を含む在日米軍再編を着実に進めてまいりたい、このように申し上げさせていただきました。その上で、税金の使途については、またしっかり国民の御理解をいただけるように、私どもとしても、国会での審議などを通じて説明をさらに鋭意努力しなければいけない、このように考えております。

河野委員 前回のグアム協定のときに、住宅一戸当たり、随分問題になりました。では、住宅一戸当たり幾らなら民主党政権はいいんですか。

松本(剛)国務大臣 米軍の福利厚生というのは、在日米軍を含めて、全体として私どもとしても否定をするものではありません。その上で、グアムの移転経費は、全体として、また個別について、個々に今御答弁を申し上げられませんけれども、しっかりと御説明をさせていただくことが必要だ、このように考えていることは変わりないことを申し上げさせていただきたいと思います。

河野委員 いやいや、一戸当たり幾らまでならいいんですかと、それが問題になったんでしょう。そのために資料を出せと、随分資料を出させられましたよね。一戸当たり幾らなんですか。幾らまでなら民主党政権は認めるんですか。それをちゃんと答えてください。

松本(剛)国務大臣 グアムの移転の経費については、また毎年の予算の中で計上させていただく、その中で御理解をいただけるように努めてまいりたいと思っております。

河野委員 理解しなかったのは民主党じゃないですか。だから、一戸当たり幾らなんだという資料を随分出せ出せと言ったでしょう。それで、今その協定を破棄しないというんだったら、それは納得しているという話じゃないですか。では、一戸当たり幾らまでなら民主党は認めているんですか。

松本(剛)国務大臣 協定については、先ほども申し上げさせていただいたように、議会での議論の結果、成立したものとして受けとめ、政府としてはそれを引き継いでおるというふうに理解をしているところでございます。(河野委員「いや、質問に答えさせてくださいよ、委員長。幾らまでなんだという話だろう。自分たちが言っている話だから、委員長、答えさせてくださいよ」と呼ぶ)

小平委員長 河野太郎君、発言は挙手して。河野太郎君、起立して。

河野委員 答弁させてくださいよ、委員長の責任で。

松本(剛)国務大臣 当時の、過去の国会審議において……(発言する者あり)

小平委員長 どうぞ答弁を続けてください。

松本(剛)国務大臣 よろしいですか。

 過去の国会審議などにおいて、提供施設整備により米側に提供した建物が、日本の一般的な建物などと比較して過大あるいは豪華であるとの指摘や議論がなされたということは私も記憶をしております。

 提供施設整備により米側に提供する建物などは、同盟国の安全保障を確保するため、海外で軍務に従事をする米軍人及びその家族ができるだけ米国内と同じ水準の生活を送れるようにするとの考え方に立って、米軍の使用する建物などに関する施設規模などを定める基準によって面積などの所要が定められており、当該基準は米軍が全世界的に採用しておるものであるというふうに承知をしております。

 日本における建物、また日本に関係をする案件での建物のみが過大あるいは豪華なものとなっているというわけではないと理解をしております。

河野委員 結局、民主党の反対は、前回、嫌がらせ以外の何物でもないじゃないですか。前回自分たちが質問したことに、前回高村大臣を初め与党が答えたのと同じことを繰り返しているだけじゃないですか。何かへ理屈言っていますけれども、結局、嫌がらせで反対しただけじゃないですか。それが明確になりましたよね、きょう。違いますか。違うんですか。結局、大臣は答えられないですよね。

 前回のグアム協定のときの議事録を見ていただければおわかりだと思いますけれども、私が外務委員長を当時やらせていただきました。当時の野党からの御質問に対して政府側の答弁が不十分なときは、委員長が委員会をとめて、きちっと政府の答弁をさせましたよ。これは徹底的にやりました。沖縄にも一週間に二回行きました。要求された情報はほとんどすべて出しています。与党、野党に差はありません。

 それで、何だかんだ言いながら反対をしておいて、政権がかわったら、それは引き継ぎます。これは一体全体民主党というのは何なんだと。そんなことをやっていて日米同盟が大事ですなんて言ったって、それは足元を見られますわね。

 では、一つ伺います。日米関係は今対等ですか。

松本(剛)国務大臣 二つの主権国家の関係だというふうに理解をいたしております。

河野委員 質問に答えさせてください。

小平委員長 今の質問に答弁があったと思います。河野太郎君、今大臣は答弁したはずです。

 では、もう一度。

松本(剛)国務大臣 それぞれの国は、それぞれの置かれた環境であり、国力であり、また条件が違いますけれども、主権国家としては対等なものだというふうに考えております。

河野委員 今回の地震、津波の後、福島の原発が問題を起こしました。米国から原発の冷却材の提供の申し入れがあり、それを日本側が断った、そういう経緯があるようでございますが、それはどうしてそういうことになったのか、お答えいただきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 そのような報道があったことは承知をしておりますが、私どもとしては、私自身も、米国への支援の要請は私自身が当日行い、それ以降は緊密に連携をとってきておりまして、米側からの支援の申し出を断ったという事実はないと私は認識をしておりますし、また米国側においてもそのような認識が会見等で示されたというふうに理解をしております。

河野委員 第三十一海兵遠征隊に対する支援の要請というのは日本国政府から出されたでしょうか。それはまたいつでしょうか。

松本(剛)国務大臣 私どもとしては、我が国から米国に対して支援の要請をさせていただいておりまして、個別の部隊の運用等を私どもから申し上げたということはございません。

河野委員 米国からグローバルホークによって得られた資料の提供を受けておりますでしょうか。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 グローバルホークが収集した情報については提供を受けておりまして、自衛隊自身により収集した情報、それから関係省庁や関係国から寄せられた情報について総合的に分析、評価を行っているところであります。

河野委員 グローバルホークによって得られた情報というのは機密情報でしょうか。

松本大臣政務官 基本的に、シークレット、防衛秘密であります。

河野委員 そうすると、その機密指定が解除されない限り一般に公開することはできない、そういう認識でよろしいでしょうか。

松本大臣政務官 米側からは、そういう反応であります。

河野委員 今後、グアム島において自衛隊の訓練がかなり継続的に行われるようになる、そのための予算が新年度の予算に含まれているというふうに認識をしております。自衛隊の訓練が、今までも米国領内で行われていたと思いますが、恒常的にグアム島に訓練移転が行われるということになりますと、当然、米国内における自衛隊の法的地位の問題というのが出てくると思います。

 米国の軍人の法的地位を地位協定で定めているのと同じように、日本の自衛隊の法的地位、米国内における自衛隊の法的地位を、これも地位協定で定めなければならぬと思いますが、政府の認識はいかがでしょうか。

松本(剛)国務大臣 ちょっと正確にお答えをさせていただく時間をいただくことをお許しいただきたいと思います。できるだけ簡潔に申し上げたいと思います。

 在日米軍は、日米安保条約に基づいて我が国防衛の義務を負っている、同時に、施設・区域の使用を認められて我が国に駐留をしているという存在でございます。日米地位協定は、このような目的で我が国に駐留する在日米軍の安定的な駐留を図る観点から、在日米軍等の法的地位を定めるために締結した国際約束だというふうに理解をしております。

 一方で、自衛隊については、今御指摘ありましたように、従来から米国において訓練を行ってきているというふうに承知をしておりますが、その目的は、あくまで自衛隊自身の練度の維持向上のためであるということで理解をしております。また、その規模も、在日米軍のような規模の大きさではないということ、そして、滞在期間も一時的でありますので、我が国の防衛の義務を負って駐留している在日米軍と同列に論じることはできないというふうに考えております。

 したがいまして、米国で訓練を行う自衛隊の法的地位を定める、対称的なというか、同様の地位協定を締結すべきということの御指摘については、今申し上げたような米軍と自衛隊の相手国における滞在の目的や性格の違いなどを踏まえて、また、防衛省がどのようなニーズを有しているかということも勘案をしながら、今後の課題として受けとめてまいりたいというふうに思っておるところでございます。

河野委員 次の質問にまで先にお答えをいただいて、ありがとうございます。

 日本はジブチに対して何らかの義務を負っておりますか。

松本(剛)国務大臣 ジブチの国に対してということでありますか。

 ジブチの国との間において、相互の防衛とか、そういったような関係はないというふうに承知をしております。

河野委員 日本はジブチと地位協定を結んでおりませんか。

松本(剛)国務大臣 地位に関する取り決めがあるというふうに理解をしております。

河野委員 別に義務を負っていないジブチとの間でも地位協定を結ぶことはできるわけであります。

 今現在、日米の地位協定に関して、公平でない、その他のいろいろな御指摘があります。それは、一部そうかもしれません。しかし、自衛隊が米国内で訓練をする、自衛隊が米国内に滞在をする、その際に、全く同じ、裏返しの地位協定を結ぶことができれば、それは、日本側も米国側も、地位協定をよりよいものにしていかなければいけない、片務的なものを残しておいてはいけない、そういうインセンティブになるんだろうと私は思っております。

 今までは、米軍が日本の中に滞在をするから一方的な地位協定がございました。しかし、自衛隊がかなり恒常的に米国領内で訓練をする。目的は訓練かもしれません。別に米国を防衛する義務を負っていくわけではなくて、自衛隊そのものの練度を上げる、そのために行くのであっても、それでも、そこで日米の間に新たな地位協定を結ぶことによって、それぞれの地位協定をよりよいものにしていこうというインセンティブが働きます。

 外務省のお役人は、このことについて、なぜか相当昔から嫌がっておりました。最初に、最初にといいますか、私が認識していたときから、この問題には極めて消極的でございました。政治主導を唱える民主党政権であっても、外務大臣は、全くこの問題についてイニシアチブを発揮されない。外務省の役人の言うとおりの答弁をおっしゃるだけなんでしょうか。

松本(剛)国務大臣 第一に、答弁については、準備をさせていただいていますので、正確に申し上げるときは紙を見て答弁をさせていただきますが、答弁そのものの作成について私自身が責任を負っているというふうに御理解をいただけたらと思います。

 その上で、一つは、先ほどは防衛の義務を申し上げましたが、義務、それから期間であるとか、滞在の目的や性格等を踏まえて、どのようなニーズがあるかということも勘案をしながら、今後の検討課題と受けとめたいというふうにお話をさせていただいたと思っております。

河野委員 地位協定の改定ということを民主党はうたわれておりましたが、新政権になって、地位協定改定の申し入れはどのようにされたでしょうか。

松本(剛)国務大臣 民主党として、地位協定の改定を申し上げてきたということは、今でも基本的な姿勢としては変わっておりません。

 その上で、日米間におけるさまざまな交渉など、そして、現在の普天間などの交渉を踏まえつつ、私どもとしては地位協定の課題にも取り組んでまいりたい、このように考えております。

河野委員 外務大臣に答弁させてください。地位協定の改定を申し入れましたかという質問じゃないですか。答弁していませんよ。

小平委員長 松本大臣、再度答弁を。

松本(剛)国務大臣 地位協定に係る問題について対応しないと言うつもりは毛頭ありません。騒音、事件、事故、環境といった具体的な課題についても取り組みを継続しているところでございます。

河野委員 質問に答えさせてください。

 済みません、僕の時間を使う必要はないと思いますよ、答弁していないんですから。答弁させてください。

小平委員長 ちょっと速記をとめて。

    〔速記中止〕

小平委員長 速記を起こしてください。

 松本外務大臣、改めて答弁を願います。

松本(剛)国務大臣 日米地位協定については、今後とも、日米同盟をさらに深化させるよう努力をしていく中で、普天間飛行場移設問題など、他の喫緊の課題の進展を踏まえつつ、その対応について検討をしていく考えでございます。

河野委員 地位協定の改定を、民主党政権になってから申し入れをしましたか。

松本(剛)国務大臣 今後ともその対応について検討していくというのが、今の私どもの段階で、考えであります。(発言する者あり)

小平委員長 ちょっと速記をとめて。

    〔速記中止〕

小平委員長 速記を起こしてください。

 松本外務大臣。

松本(剛)国務大臣 済みません、ちょっとやじに答えそうになるので、やじには答えないようにしながら。

 私どもとしては、先ほど申し上げたように、地位協定の改定というのは、民主党が野党であった時代から問題提起をしてまいりました。そういう意味で、私どもとして問題提起をさせていただいているというふうに認識をしておりますけれども、地位協定の改定の交渉というのは、双方が、ある意味では交渉入りということで理解をして交渉入りをするものだというふうに理解をしておりますが、今後の課題として、対応について検討をしていきたい、このように願っております。

河野委員 していないって、何で答弁を、だめだよ、こんなの。

 委員長、とめてくださいよ。時間の無駄遣いですよ。

 日本語で聞いているんだから、日本語でちゃんと答えてくださいよ。

小平委員長 ちょっと速記をとめて。

    〔速記中止〕

小平委員長 速記を起こしてください。

 松本外務大臣。

松本(剛)国務大臣 現在は、私どもとしては問題提起をさせていただいた段階だというふうに申し上げております。

河野委員 それは、どこでどういう問題提起があったんですか。きちっと議事録を出せますか。

松本(剛)国務大臣 日米の関係については、現段階で、日米に限らずでありますが、国と国の交渉の過程について、お出しできるものは速やかにお出しをしておりますが、お出しできないものは、相手国との関係もあって、あるということを御承知、御理解をいただきたいと思います。(河野委員「それでは、申し入れをしたんですね。前原大臣がしていないんですから、松本大臣になって申し入れをしたんですね」と呼ぶ)

小平委員長 河野君、委員長の許可を得てから発言してください。もう一度質問を。

河野委員 前原大臣はしていませんから、松本大臣になってからされたんですね。

松本(剛)国務大臣 日米地位協定改定の交渉には至っていないということを申し上げたというふうに、私はそのつもりでございます。

 こういったものが私どもとして課題であるということで問題として認識をしているということは、これまでも申し上げ続けてきているということを申し上げさせていただきました。(河野委員「申し入れをしたんですか」と呼ぶ)

小平委員長 河野太郎君、委員長の許可を得てから発言してください。いいですか。(河野委員「では、委員長、ちゃんと答弁をさせてくださいよ」と呼ぶ)まず挙手をしてから発言しなさい。委員長の許可を得て、これはルールです。発言するなら挙手をして。

 河野太郎君。

河野委員 申し入れをしたんですね。

松本(剛)国務大臣 問題提起をさせていただいたというふうに答弁をさせていただきました。その上で、地位協定の改正という交渉が今行われているとは承知をしておりません。

小平委員長 河野君の質問時間が終了しました。(河野委員「申し入れをしたんですねと聞いているんですから」と呼ぶ)まず聞きなさい。委員長が今話しているんだ、まずお聞きなさい。まず着席して。

 あなたの質問時間は終了しました。これは与党、野党両理事が合意の上です。与党の理事も合意しています。

 持ち時間が終了しました。したがって、質問時間が終了しましたけれども、今の答弁についてのみ、重ねて答弁を大臣に要請します。よろしいですね。

 答弁してください。

松本(剛)国務大臣 日米間で諸問題についていろいろ議論をする中で問題提起をさせていただいていますが、日米地位協定の改正という正式な交渉の申し入れはしていないというふうに整理をして申し上げます。

小平委員長 河野太郎君、質問時間が終わりましたので、簡潔に。

河野委員 質疑時間が終わりましたから簡潔にいたしますが、きょうの答弁を聞いていると、結局、民主党は野党のときに極めて無責任な質問をしていた、極めて無責任に反対をしていた、そのツケを与党になって今、支払っているということがよくわかりました。

 これはお互い、与党、野党の立場を超えて、外交、安保というのはきちっとやらなきゃいかぬ、そういう問題です。我々も、これを……

小平委員長 河野君、質問時間が終わりました。

河野委員 人のことではなく、自分のこととして受けとめて対応していかなければいかぬと思いますし、委員長に一言申し上げます。

 私が外務委員長のときには、政府側の答弁がだめなときは委員長がとめて、政府側に答弁をさせました。きちっとそれをやる委員長であってほしいと思います。

 以上、終わります。

小平委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 お互いに少し興奮していますから、興奮しないようにしましょうね。

 今の河野太郎委員の質問と松本大臣の答弁を聞いておりまして、私が感じたことは、変わらないのは外務省、変わったのは民主党、こんな印象を受けました。今の問題に引き続いて、私もこの地位協定の問題について質問をしようと思っておりましたので、引き続き、河野太郎委員のようにはいかないと思いますが、質問をしたいと思います。

 まず、先ほど来、やりとりの中でいろいろ出てきましたけれども、改めて、民主党の地位協定に関するマニフェストの上で、この日米地位協定に関するくだりはどのようになっているでしょうか。これは最初、聞くと言っていなかったもので、正式なペーパーがなければ大臣の受けとめ方でも結構ですけれども、まず、日米地位協定改定に関する民主党のマニフェストにおいてはどのようになっているか。

松本(剛)国務大臣 二〇〇九年のマニフェストでは、日米地位協定の改定を提起する、そして米軍再編、在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨むというふうに記しておりまして、また二〇一〇年も、当該部分は、「緊密で対等な日米関係を構築するため、日米地位協定の改定を提起します。」このように記載をしてあるというふうに承知しています。

赤松(正)委員 日米地位協定に関して改定を提起する、そういうマニフェストになっているということだと思うんですね。

 私は、民主党政権が誕生した直後の外務大臣、岡田外務大臣それから前原前外務大臣、そして今の松本大臣、この三人の外務大臣と、こういう場を通じて議論をしてきたわけです。

 岡田外務大臣は、当時の状況、いわゆる沖縄の普天間の基地移設の問題というものが、民主党の以前の主張の流れの中にあったために決着をしていなかったという状況の中で、日米地位協定の問題については、この普天間の基地の移設問題というものが決着をついてから日米地位協定の改定に本格的に取り組む。今、先ほど松本さんは、改定を提起するという言い方を繰り返されましたが、その改定提起というのはいろいろな受けとめ方があるので、これはちょっととりあえず横に置いておいて。

 岡田さんは、地位協定の改定について、とりあえず基地の移転の問題をやって、それに決着がついたら改定の問題に本格的に取り組む、このような趣旨の答弁をされました。それに対して前原大臣は、前回というか、予算委員会で、同僚委員、小野寺委員の質問に対して、先ほど言ったような、そういう先に移転、そしてその後に改定というよりも、同時並行で問題の処理に当たるというふうなニュアンスの答弁をしていたと私は理解しておりますが、この岡田、前原両先輩大臣の取り組み方と比較して、松本さんはどちらの取り組みに今従事しようとしておられますか。

松本(剛)国務大臣 やはり米国といういわば相手のあるものでありますから、そのときの置かれた環境、状況によって、どういう形で申し上げていくかということは異なってくるのではないかというふうに思います。

 その意味では、今でも普天間飛行場移設問題というのは喫緊の課題であることには変わりないわけでありますが、赤松先生がお話しされたとおり、岡田大臣のころと前原大臣のころとでは少し環境が違うということは率直に申し上げられるというふうに思います。

 そういう中で、現在の状況の中では、私自身も、普天間飛行場移設問題と直接リンクをさせてこの問題を進展させないという立場に、日米地位協定に係る問題について対応しないと言うつもりはないという立場をとってまいりたいというふうに考えております。

赤松(正)委員 それは、より前原前大臣のスタンスに近い、こういうことでよろしいですね。

松本(剛)国務大臣 繰り返しは避けます。今私が置かれている状況は、そのような判断、前原大臣に近い判断が可能な状況だ、このように考えております。

赤松(正)委員 先ほど河野太郎委員との間のやりとりの中で、地位協定の改定を申し入れしたのかということに河野委員は執拗にこだわられましたけれども、これは正しい位置だと思います。

 私が勝手に先ほどやじで言いましたけれども、松本大臣が問題提起をした、こういうことの裏づけというか、全くしないという言い方を、かなり後になって、そういう申し入れをしていなかったという意味の発言を最後にされましたけれども、なかなかそれがすぐ出てこなかったというのは、ことしの一月二十一日の前原・ルース両者の対談、このことが念頭にあったのではないのかと勝手に私は推測をいたしておりますけれども、この前原・ルース対談というのは、どういう位置を地位協定改定に関しては持つんでしょうか。

松本(剛)国務大臣 一月二十一日は直接私が当事者でなかったので、ちょっと今手元には正確な記録もありませんので、どういう趣旨の会談だったかということが、私自身が当事者でなかった分だけ、すぐに想起できないわけであります。

 先ほど申し上げた問題提起という意味では、日米の間にはさまざまなチャネルが常に開かれているわけでありまして、そういう中で、民主党政権として地位協定の改定というのは、先ほど申し上げたように、マニフェストで提起をすると申し上げてきているわけでありまして、このことを含めて、諸問題をさまざまお話をさせていただく中で問題提起をさせていただいたというふうに理解をしておりますが、外交的な地位協定改定の申し入れというのはしていないというのは、先ほどの答弁のとおりでございます。

赤松(正)委員 これは驚きました。私が勝手なしんしゃくをして、推測をして、つまり、この地位協定改定をめぐる近過去の問題の経緯について、私は一昨日でしたか、外務省の地位協定室のメンバーといろいろ話をしました。その経緯の中で、要するに私は、地位協定改定をめぐって、先ほど大臣がいろいろなチャネルを通じて問題提起をしていると言った、そういう意味合いの提起をされているということはだれしも承知をしているんですが、もっと肩を入れてといいますか、腰を落としてといいますか、そういう意味合いで、地位協定改定をめぐる運用改善という問題と、改定そのものというものと、若干のニュアンスの違いというか立場の違いというものはあるにせよ、そういう本格的な場というのはあったのかということを聞いたら、外務省的には、二十三年一月二十一日にルース大使との協議の場というものをこの諸問題解決の枠組みとする。つまり、騒音だとかあるいは米兵の犯罪だとか、そういう問題を含めたさまざまな日米間におけるトラブルを解消していくための場としての、枠組みとしての位置づけだ、こういうふうに言ったんですが、外務大臣はそういうことを引き継ぎしておられないんでしょうか。

松本(剛)国務大臣 記憶力が悪くて申しわけございません。

 そういう大使との会合があったということは引き継いでおります。これが一月二十一日という日付での会合とすぐに一致しなかった点は、おわびをしたいと思います。

赤松(正)委員 私は、私が承知をしている一月二十一日の会合というものを私の立場からいうと、地位協定改定に向けての問題提起をしたというふうには思っていなかった。これは運用改善という従来の外務省的スタンス、さっき河野太郎委員の話にもありましたが、頑として受け付けない。私たちが政権当時も、なかなか外務省はこの地位協定の問題について積極的な取り組みを見せようとしなかった。その部分で、地位協定改定に本格的に取り組む姿勢がないというのはよくわかっているんですが、それを何かそういう場があったのかと聞いたら、一月二十一日のルース大使との協議の場というものが出てきたわけです。これは要するに、従来的外務省のスタンスでいえば、運用の改善をめぐる取り組みだというふうに私は理解しています。

 だから、きょう大臣がそれを言えば、それは運用改善でしょう、こう言ってやろうと思っていたら、その会合自体の意味さえ余りよくわかっておられなかったということで、非常にこれは、なかなか、こちらが対応、質問に苦慮をするという場面を迎えているわけですが、要するに、冒頭申し上げましたように、河野、松本、この二人の質疑を聞いてわかりますように、民主党は変わった、変わらないのは外務省、こういう印象を強く持つわけです。

 だから、松本大臣は、岡田さんのときにも言いましたけれども、岡田さんは、自分らしく外務省を変えるんだ、こう言いました。あの人は一生懸命変えようとしたんでしょう。しかし、いわゆるその思いならずというか、半ばにして立場がかわらざるを得なかった。松本さんはぜひとも、どういうスタンスでこれからやられるかは知らないけれども、この事地位協定をめぐる問題に関しては、やはり一歩でも二歩でも要するに前進する、この姿勢を貫いてほしい。そのための最大の敵、障害は外務省の中にあるということを私は指摘したいと思います。

 というのは、結局、沖縄、日本そしてアメリカ、この三つの立場というものを考えたときに、やはり重要なかぎを握る問題は日米地位協定であるわけです。だから、普天間の移設の問題がなかなか解決をしない、うまくいかない。これは自民、公明の政権でも本当に苦労したあげくの果ての結論が、あの辺野古の移転ということだったわけです。それを民主党はひっくり返されて、言ってみれば、場を全部ひっくり返した上で、あげくの果てにまたもとへ戻ったというふうに大枠私は思いますけれども、そういう状況の中で、一番解決のかぎを握っているのは、沖縄の人々の心をいかに引きつけるか、沖縄の人々が一番今悩み、苦しみ、困っている、そのことにずばり食い込んでいくことがどのようにしてできるかという問題に腐心しなくちゃいけない。

 松本さんは、きょうの朝の一番最初のときに誠心誠意という言葉を使われて、沖縄に対してしっかりと対応していきたいということを言われました。私は、そのことについて最後にしっかりとこだわっていきたいわけですけれども、現状では沖縄の人はとても納得をしない。

 まず、前原前外務大臣時代の最終盤に、その時点で国務省の日本部長だったメアさんが大変問題の発言をされました。今、メアさんはどうしておりますか。

松本(剛)国務大臣 メア前国務省の日本部長は、東北地方太平洋沖地震を受けて米国務省において立ち上げられたタスクフォースの調整役に現地時間で二十九日までいたというふうに承知をしております。現在、そのタスクフォースの機能は日本部に移されて、同前日本部長もこの職務から離れたというふうに理解をいたしております。

赤松(正)委員 当時、震災の直前でしたけれども、あの暴言の責任をとって、責任をとってではなくて、とらされて、罷免をされてやめられた。その後、今大臣がおっしゃったような位置についた。何だか、仙谷元官房長官、今、副長官になっておられる人を連想するというか、一遍やめておきながら、それに近い立場をやるというのを連想するわけですけれども、私は、このメアさんの発言について、やはり沖縄の人々は本当に怒り心頭に発している、そんなふうに思うわけであります。

 この場面、震災というものが起こって、もう、少し記憶が薄れてしまっているという傾向があるわけですけれども、こういう状況の中で、やはり、あのメア発言があったときに、謝って済む、謝って済ませたという側面があるわけですけれども、それでは済まないと思う。

 私は、やはりそういう発言もしっかりとらえて、地位協定改定の提起をするとマニフェストに書いてきた民主党であるわけですから、もちろん、さっきから盛んに大臣自身が言っているように、喫緊の課題の進展を踏まえつつ、相手のあることだから云々ということになってくるんだろうと思いますけれども、しかし、それはそれとして、こういう日本の立場、そして沖縄の主張というものをしっかり考えた場合、こういうメアという人の発言を、そのまま謝って済ませるというのではなくて、それをいわば逆手にとってというか、その言葉をしっかりとてこにして、この地位協定改定の問題、つまり沖縄の人権というものに深くかかわってくる問題について、やはり私は前向きに前進させる手だて、そういうものを講じるチャンスだったんじゃないかと思います。そういうことをみすみす逃がしちゃったというのは非常に残念に思います。

 だから、では、どういう手だてかというと、日米沖、この三者で、地位協定改定をめぐる広範囲な問題、さっき大臣自身が言われた喫緊の課題、そういうものも含めて、そして、長いスパンの解決課題としての日米地位協定も含めてしっかり議論する、そういう研究の場的なものを設けるべきである、こんなふうに思うんですけれども、大臣の考えを聞かせていただきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 地位協定については、今御示唆をいただきましたように、沖縄の方々の人権にもかかわる問題だ、こういう認識をいただいたことを私どももしっかり受けとめていきたいと思っておりますし、冒頭の御質疑でありましたように、当時は野党でありましたけれども、私どもが民主党で提起をするというふうに申し上げてきたことの責任は、現政権としてもしっかり引き継がなければいけないものだという認識に変わりはないということでございます。

 その上で、その道筋として、今お話をいただきましたことは一つの御示唆として私も受けとめさせていただきたい、このように考えております。

赤松(正)委員 ぜひとも、この問題は極めて重要です。私自身、沖縄というものについて、この委員会の前委員長だった鈴木委員長と一緒にみんなで沖縄に行ったときに、仲井真知事が差別という言葉を使って、要するに、こういう状況が続くと、沖縄の民衆は差別、沖縄に対する差別だということを言わざるを得ないというふうな意味合いのことを言われました。私自身、沖縄を一地方自治体、四十七都道府県の、一番遠く首都から離れた四十七番目の地方自治体、県だというふうにとらえると、私は、事の前進は見ないと思います。

 琉球王朝以来の歴史と文化と伝統というものをしっかり持ったこの島、沖縄というものに対して、まさに長い過去の歴史を踏まえたときに、沖縄というのが、かつては中国・清、そして日本の薩摩、この二つの大きな存在の間に挟まれて、小国としての、琉球としての役割というか、そういう小国外交を展開した。後にアメリカと日本の間に入って、また呻吟をした、苦労をした。そして今を迎えている。

 こういうものを踏まえていくときに、現実の、今デッドロックに乗り上げている沖縄の基地の移転の問題あるいはまた地位協定の問題というものを考えたときに、ある種、準国家的な扱いといいますか、地方自治体ではあるけれども、一つの準国家ともいうべき位置づけというものを意識の上でしっかり持っていかないと、これは外務省あるいは外務大臣あるいは私たちの立場だけではなくて、すべての日本人がそういう意識を持っていかないと、なかなかこれは解決をしない、そういうふうに私は思う次第でございます。

 そういう点で、日米沖、この三つの関係というものをしっかりとこれから取り組んでいくという上において、地位協定の改定というものを単に提起する、マニフェストで提起している、この提起しているということについて、いみじくもこの間、前原大臣は、その旗をおろしていない、こう言いましたけれども、その旗というのは白旗じゃないのかという気がするぐらいでございます。

 ぜひとも、先ほども言いましたけれども、外務省の中にあって、伝統的な外務省と闘いながら、外務大臣、頑張ってもらいたいと思うんですが、改めてこの問題に対する取り組み姿勢を聞かせていただきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 もう長く申し上げる必要はないかというふうに思っております。

 先ほど私自身がお話をさせていただいたように、沖縄の皆さんの基地負担が大変過大になってきていることについては、菅政権としてもおわびをさせていただきました。おわびをさせていただいたものというのは、やはりその後の努力が必要だというふうに思っております。

 また、地位協定についても、今お話をさせていただいたように、提起をすると選挙時マニフェストで書かせていただいた責任をどのように果たすことができるのかということは、政権の外交を担当する者の責任者としての一つの責務だというふうに考えて努めてまいらなければいけないというふうに思っております。

 旗は、しっかり日の丸を背負って頑張っていきたい、このように思っております。

赤松(正)委員 終わります。

小平委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 けさの前半の質疑でもやりとりをしたことでありますが、松本大臣、オバマ大統領は、今回の大震災に当たって、あらゆる支援を行う用意があると言っているわけでありますし、大臣のカウンターパートであるクリントン国務長官も、二十三日に大臣との電話会談の中で、米国は技術、専門的な協力も含めて、いかなる支援も行う用意があるということを改めて述べております。全米各地でも救援募金が寄せられている。救援、復興には莫大な経費がかかり、財源が必要であります。

 そこで、大臣、米側があらゆる支援を行う用意があると言っているんですから、日本政府として、今後五年間負担し続ける協定についても、この際やめたいと、あるいは減額したいということで主張して、少なくとも事情が変わったので待ってくれ、改めて協議し直そうじゃないかということを言うべきじゃないかと思うんです。

 震災後、日米首脳、外相間でも何度も会談する機会があったわけですが、そういう提起、日本は今大変な状況だ、こういう問題についても見直し、検討をさらに求めたいということやったことはあるんですか。

松本(剛)国務大臣 今回の特別協定、そしてそれに基づく在日米軍の駐留経費負担、これにつきましては、このHNSは、我が国の安全保障にとって不可欠である、そして、アジア太平洋地域の平和と安定にとっての公共財である在日米軍の安定的なプレゼンスを支えるもので、我が国による地域の安全保障に対する戦略的な寄与でもある、このように考えて行うものでありまして、我が国の立場からこのような協定が必要であると考えて、我が国政府として今、国会にお諮りをさせていただいている、このように考えております。

 そういう立場から、私の方から、今回のHNS協定について、この間の日米の会談等で合意に達したものを改めるということを提起したことはございません。

笠井委員 今、国民の安全、命がかかった状況になっているわけですよ。米国内からも、この際、毎年二十六億ドルの思いやり予算をやめるという議論は日本にないのかという疑問の声も上がっています。

 大臣は、国民の理解を得るのは大変大事なポイントだと先ほども言われましたけれども、納税者である被災者を初め国民の理解は到底得られない。一生懸命、物心両面の支援をしてくれている世界の人々も失望するだけだということを申し上げたいと思うんです。

 そこで、もとはといえば、日米地位協定の二十四条一項、「合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は、」「日本国に負担をかけないで合衆国が負担する」というふうに定めております。この負担の原則からすれば、一九八七年に締結された特別協定に基づいて負担してきた、労務費の基本給とか諸手当、光熱水料の維持費、さらに訓練移転費等は、本来は米側が負担すべきものであります。

 当初の特別協定の趣旨説明でもこうありました。いわゆる思いやり負担というものは、現行の地位協定の範囲内のものであることに対して、今回負担しようとしておりますのは、アメリカ側において負担する義務がある経費であり、現行の地位協定第二十四条一項の原則とは違うことをやるわけで、これを暫定的に、また特例的に、また項目も限定いたしまして特別の措置に関する協定というものにまとめたものである、こう趣旨説明でもともと言って始めたものであります。

 そこで、松本大臣に伺いますが、これまで政府が行ってきた暫定的、特例的、限定的という特別協定の説明について、どのように理解されていますか。

松本(剛)国務大臣 暫定的、特例的、限定的という趣旨にかなう形で、その都度、特別協定を締結する交渉を行い、国会に諮り、協定を締結させていただいているものというふうに理解をしております。

笠井委員 私は、どういう意味と理解しているかを聞いたんです。

松本(剛)国務大臣 暫定的、特例的、限定的、こういうお話でありました。

 年限を区切った中で、また、どういったものを特別協定の対象にするかということを協定の中に記しながらお諮りをさせていただいているという趣旨だと理解をしております。

笠井委員 これはかつての自公政権と同じ答弁なんですね。前回、二〇〇八年の審議の際に民主党自身がその説明に納得しなかったんです。私も聞いていました。衆議院本会議で、政府は、暫定的、限定的、特例的な措置であり、期限を五年と定めるとして国会の承認を得た、この暫定的措置は恒常化したというふうに指摘をして、参議院本会議でも、特別協定を締結して現在に至るまで、暫定的、限定的、特例的な措置であると説明している、二十年以上も暫定措置を続けていたら原則が忘れられてしまうと批判していたのが民主党なんですよ。

 そういう立場からいったって、今、大震災に見舞われている特別な事情だからこそ、この暫定的、限定的、特例的な措置に区切りをつけて原則に戻るのが当たり前じゃないですか、民主党はそう言ってきたんだから。

松本(剛)国務大臣 おっしゃったような暫定的、限定的、特例的ということで始まった特別協定でありまして、今回も特別協定の中身を吟味いたしました上で今お諮りをさせていただいているというのが私どもの立場であります。

笠井委員 全然だめですね。原則が忘れられちゃうからだめだと批判したのはあなた方なんですよ、暫定的、特例的、限定的といって二十年間やってきたんだと。話にならないと私は思いますよ。

 松本大臣、先ほど来の答弁で、三年前に、特別協定そのものに反対するという趣旨ではないんだ、協定に基づく支出の改善について問題提起しなきゃならないと党内で議論して、結果としては反対の態度をとったというふうに繰り返し言われております。

 しかし、聞きますけれども、今回の特別協定というのは、民主党が二〇〇八年の審議のときに求めていた見直しの経費削減どころか、逆に、自公政権時代よりもさらに踏み込む中身になっていますよね。

 例えば、特別協定の期間の問題。過去二回の協定では、自公政権が、在日米軍再編の最終的な経費の全体像が見えていないということで、二〇〇六年は二年間、二〇〇八年は三年間に限定してまいりました。その総額は三兆円とも言われて、民主党もそのことを追及してきた。米軍再編の経費は、普天間問題も解決されていないということで、総額も示されていないというのが今の現実であります。それなのに、なぜ、過去二回は三年だったのが、今回五年に延ばすというふうになるのか。そういうことにならないんじゃないですか、この間の経過からいったって。

松本(剛)国務大臣 二年、三年という過去の特別協定を出された政府は、その際の御判断をされた結果としてそのようにされたんだろう、このように理解をしておりますが、私どもとしては、現下の我が国を取り巻く厳しさを増している安全保障環境、そういったものも総合的に勘案をして、今回、有効期間を五年ということで国会にお願いをしているところでございます。

笠井委員 米軍再編の全体像が見えないから、五年じゃなくて二年、三年というふうに歴代政権はやってきたわけですよ。それが、まだ全体像が見えていないのに、さらに五年にふやしちゃったというのが民主党政権だということであります。

 今回の特別協定は、米軍再編に係る訓練移転の拡充について合意をして、訓練移転先は「アメリカ合衆国の施政の下にある領域」というふうに規定をしております。協定上は、グアム等にとどまらず、地理的には無限定ということに読めます。

 本来、米軍の訓練は、米軍の運用にかかわる問題であり、日米地位協定の負担原則からいえば、その費用は米軍が負担すべき経費であります。ところが、本協定では、米側が運用上必要だと言えば、合衆国の施政のもとのどこでも訓練移転して、その費用を日本国民の税金で負担するということになります。それを、負担軽減と日本からの要請を理由に負担する。まさに際限のない費用負担になるんじゃないですか。この点はどうでしょうか。

松本(剛)国務大臣 委員がまさにおっしゃったように、この協定においては、国内の施設・区域で米軍が行ってきている訓練について、日本側の要請によってこれを米軍の施政下にある領域に移転する場合、これに伴って追加的に必要となる経費を日本側が負担できる旨の規定を設けているというふうになっております。

 日本側が訓練移転の経費を負担し得ることとなりますが、日本側が国内の施設・区域で米軍が行ってきている訓練について訓練移転を要請するということから、移転に伴う追加的経費を負担することが適当であると考えたというふうに御理解いただきたいと思います。

笠井委員 要するに、際限なくて無限定ということになります。合衆国の施政のもとで訓練ができるんだったら、沖縄での駐留や訓練をすべてやめて、本国に移転をするのが筋であります。

 松本大臣に伺いますが、近年、米軍駐留にかかわる経費負担が増加していることに対して、日米安保の構造を背景に日本側のコストが過剰になり、結果として、米側の要求丸のみ、地球規模の米軍の下請的構図になっていく、こういう指摘がございますが、大臣、このことについてはどのようにお考えでしょうか。

松本(剛)国務大臣 少し御指摘が違うのかもしれませんけれども、駐留経費負担は、この数年間、ふえているというよりは減っているというふうに認識をいたしております。

 その上で、在日米軍については、我が国防衛の義務を負っているということ、そして同時に、地域の平和と安定に貢献をしているということで戦略的な寄与があるものと理解をして、適当だと思われる負担をすべきだということから、この特別協定をお諮りしているというふうに考えております。

笠井委員 質問を聞いていただきたいんですが、この米軍駐留経費に関する費用負担は、全体としてはふえてきているわけですよ、米軍再編も含めていろいろありますからね。そういうことに対して議論があって、日米安保の構造を背景にして日本の側のコストが過剰になって、結果としてアメリカ側の要求を丸のみしている、地球規模の米軍の下請的構図になっていく、こういう指摘がある、そういう議論がありますけれども、こういう議論に対して、大臣はどうお考えになるか。

松本(剛)国務大臣 繰り返しになりますが、どの範囲を負担というふうに定義されているのかがちょっと一致をしていないのかというふうに思いますが、少なくとも、私自身は、日本の国として適当であり必要であると考えるから協定をお願いしているのであって、私どもが下請であるというような立場に立っているという意識はありません。

笠井委員 これは二〇〇六年の十月二日の衆議院本会議で、松本大臣が当時民主党の議員として言われた中で言っているんですよ。日米安保の構造を背景にして日本側のコストが過剰になり、結果として米側の要求丸のみ、地球規模の米軍の下請的構図になっていく、こういうことをあなた自身が本会議で、質問で紹介されて言っているんですよ。まさにそういう問題が今問題になっているんじゃないか。政権についたら、何か、全然私と関係ないような話だとおっしゃったけれども、御自身がおっしゃって紹介されたようなことを否定するような話で、まるで百八十度違うじゃないですか。それはどうなんですか。

松本(剛)国務大臣 本会議での質疑は、たしか、当時、霞が関との関係、そして米国との関係をどうはかるのが大事かということで質問をさせていただいたというふうに記憶をしております。

 その意味で、今でも私は、政治の責任をお預かりする立場として、先ほど赤松委員を初めとするほかの方々でも、いわば霞が関との関係をしっかり指導する立場にあるように、こういうお話だったというふうに思いますが、その面も、そして米国との関係についても、距離のはかり方というのをどうすべきかということは、我が国にとっての大変重要な一つのテーマだというふうに認識をしております。

 その上で、質問をさせていただく側として、今お話しさせていただいたように、どのように評価をするかということを、当時の、当時はまだ小泉総理だったかなと思いますけれども、質問をさせていただいたというふうに記憶をしております。

笠井委員 まさにそういう立場で野党から厳しく言っていたということだと思うんですけれども、印象的だったというのは今委員からも話もありましたが、政権をとったらまたその考えが変わるのかという話で、私も今、印象的に伺いました。

 オバマ米政権の昨年二月のQDR、そしてことし二月の国家軍事戦略は、米国の軍事費削減に関連して同盟国に負担強化を求めております。今、日本が未曾有の震災に見舞われているときに、米国の軍事費削減を日本国民の税金で補てんするのか、思いやるのは米軍ではなくて被災者だ、特別協定はきっぱりやめようとアメリカと交渉すべきだと私は強く言いたいと思います。

 本会議質疑も総理質疑もなく、このままでこの質疑を終われない、採決など論外ということで、さらにきちんとした審議を求めて、私の質問を終わります。

小平委員長 次に、服部良一君。

服部委員 社会民主党の服部です。

 きょう、日米地位協定の議論もいろいろ先ほど来されております。そこで、冒頭、大臣に一つお願いをしたいことがありますので、ちょっとお聞きをしていただきたいと思うんです。

 ことしの一月に、沖縄で十九歳の娘さんが米兵との交通事故で死亡されました。與儀さんというふうに言われるわけですけれども、那覇の検察は、これはもう米側が自動車を衝突させて死亡したというふうに判断をして、自動車運転過失致死罪で送検をしたわけですけれども、この被疑者というか加害者は退勤途上であったということで、公務中ということで、裁判権はアメリカ側が行使をしたいということで、那覇地検としては起訴を取り下げざるを得なかったということが今起きております。

 この中で、この與儀さんという娘さんを失ったお母さんが、日本に住んでいる外国人が日本で起こした事故なのに、一人の命を奪っておいてなぜ日本の裁判で罪に問えないのか、それから、この国は日本人ではなく外国人を守るのか、この現実を多くの人が知ってほしいというふうに訴えられているわけです。これはつい土曜日の、二十六日の沖縄タイムスの記事を読ませていただいておるわけです。

 実は、この公務外に当たるか否か、第一次裁判権をどちらが行使するか、これは当然日米の合同委員会で議論をされるというふうに思うんですけれども、ぜひこのお母さんの声をしっかり受けとめていただいて、日米合同委員会の中でこの件をぜひ議論していただきたいということを申し上げたいわけなんです。

 民主党、社民党、国民新党の日米地位協定の改定案の三党合意案というものを数年前に政府に提出をさせていただきました。私もその会合に実務レベルで参加をしていたわけですけれども、基地の外のいわゆる米側が言う公務外事故に対しても、基地の外であればやはり日本側が第一次裁判権を行使すべきではないか、そういう中身をこの三党合意の中にもうたっております。ぜひ外務大臣、冒頭、一言だけコメントをいただきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 先ほどの御家族、お母様だったと思いますけれども、そのコメントは私も記事を拝見いたしました。御家族にとっては、いわば不慮の事故で娘さんを失われたお気持ちは察して余りあるもの、このように思っております。

 また、事件、事故等の対応については、私どもとしても、取り組まなければいけない、そういう課題があるという認識で米側との間で協議をしてきている、こういうふうに御理解をいただけたらと思いますし、日本人より外国人を守るというようなことにはしていないつもりでありますけれども、また、決してならないようにもしていかなければいけないというのもおっしゃるとおりだろうというふうに思います。

服部委員 これは日米地位協定の構造そのものがやはりそういうふうになっているから、公務外の事故であっても、基地の中に逃げ込んでしまえば日本の警察の力も及ばない、結局、事件はうやむやになって、多くの人たちが泣き寝入りをしているというこの現実をやはりしっかり受けとめていただきたいというふうに思うんですね。

 せっかくそういう三党合意の改定案もできているわけですから、今、政府の立場になられているわけで、ぜひこの三党案をベースに外務省として早急に検討をされるおつもりはないですか。

松本(剛)国務大臣 地位協定への取り組みについては、きょうの委員会でも累次にわたってお取り上げをいただいて、申し上げてきたとおりでありまして、私ども民主党としても地位協定の改定を提起するということをマニフェストに書いた、そのことにこたえていくことが私どもの、少なくとも私自身も、ひとつそのことは決して忘れてはいけないことだというふうに思って取り組んでいきたい、こう思っております。

服部委員 ぜひ、アクションを起こしてほしいんですよ。結局、そういう、ちょっと言い方は悪いですけれども、きれいごとばかりおっしゃるけれども、全然アクションが見えないんですよ。ぜひお願いをいたします。

 先ほどの議論の中でも申し上げました、ケビン・メアさんの発言に私も非常にこだわっているわけですけれども、この駐留経費の問題についてもメア氏は、日本政府が現在払っている高額の駐留費負担は米側に利益をもたらしている、米国は日本で非常に得な取引をしているというふうに言っているわけですね。これはアメリカ政府の公式な見解でないとおっしゃいますけれども、国務省の日本部長の、責任ある立場での発言なわけです。

 もう一回、大臣にお聞きしますけれども、得な取引をしている、あるいは、高額の負担を日本側が負担して米側に利益をもたらしている、この発言に対して、いわゆる公式な発言ではないというふうにおっしゃいますけれども、この発言に対する大臣のお考えというものを聞かせてください。

松本(剛)国務大臣 私どもとしては、今回の特別協定の合意に至るまでも、協議を重ねてまいりました。私どもとしては、効率的な税金の使われ方ということが実現をされるようにということで求めてきて、その結果として今回の合意に至ったというふうに考えております。

 その上で、繰り返し、重複は避けていきたいと思いますが、このHNS協定については、私どもの日本の国の立場から協定を締結すべきだ、そして、日本の国の立場から、この金額が適当であって、国民の皆様の御理解を得たい、こういうふうに考えて国会に提出をさせていただいているところでありまして、私どもとして適切な内容である、こう考えているというところでございます。

服部委員 どうしても納得ができないんですけれども。

 委員長に申し上げます。

 三月九日の参議院の予算委員会で、我が党の山内徳信議員の発言に対して、参議院の予算委員長が、「ケビン・メア氏の発言についての受け止め方は当委員会の総意」であると。要するに、参議院の予算委員会の総意であるということもおっしゃいました。

 それから、沖縄は、今はこの震災でまたちょっとこの問題が若干ぼけてしまった点はありますけれども、このケビン・メア氏の発言には非常に怒っているわけですね。それで、外務省とか政府に聞けば、これはアメリカの真意でないと言われる。しかし、そういったことで我々は納得するわけにはいきません。

 ケビン・メア氏がどういう見識を持っておられるのか、ぜひ直接お聞きをして、ぜひ外務委員会として、ケビン・メア氏の参考人招致をお願いいたします。

小平委員長 これは後刻理事会で協議いたします。

服部委員 では、最後に申し上げます。

 先日、騒音の被害についての判決が出る中で、賠償金額が遅延損害金を含めて二百二十億九千四百万円に対して、地位協定十八条は、米側が通常であれば七五%の百六十五億七千五十万円支払うべき義務が日米地位協定上あるにもかかわらず、米側は支払わない。しかし、日本政府は、そもそも米側が負担すべきであるというものに対して、いとも簡単に日本政府が支払う。私は、どうもこういうこと自身が納得がいかないわけですね。

 そういう意味で、ちょっと時間もありませんので、この思いやり予算の問題は、このあり方も含めて私は見直すべきだということを強く申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

小平委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小平委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。秋葉賢也君。

秋葉委員 自由民主党の秋葉賢也です。

 私は、自由民主党・無所属の会を代表し、在日米軍駐留経費負担特別協定について、賛成の立場から討論を行います。

 討論に先立ち、三月十一日に発生した東日本巨大地震及び津波によって被災された皆様に対し、衷心よりお見舞いを申し上げますとともに、亡くなられた方々に対しましてお悔やみを申し上げます。

 また、現地において、昼夜を分かたず、危険を顧みず、復興、救援活動に従事していただいております自衛隊、警察、消防、海上保安庁、関係自治体、ボランティアの方々、並びに米国を初めといたします国際社会からの手厚い支援に対し、被災地選出の議員として心から感謝の念を表したいと存じます。

 本特別協定は、在日米軍の効果的な活動を確保するための経費の一部を我が国が負担しようとするものであり、同盟国として果たすべき責務としてのホスト・ネーション・サポートそのものであります。したがって、本特別協定は、強固な日米同盟を維持していく上で非常に重要な施策と考えます。

 前回審議時には、十一時間の審議時間に加え、総理の出席、四月に入ってからの採決などなど、当時野党だった民主党の主張の横暴ぶりが際立っておりました。また、その際、民主党は、政権をとったら駐留経費負担は卒業するなどと言って、この特別協定に反対をいたしました。

 それからわずか、今回、答弁席に座っていらっしゃる大臣ら政務三役、民主党の理事、委員らの御主張は、そのときの民主党と同じ党の方々とは思えません。しかも、民主党はなぜ賛成の立場になったのか、この間の変節について十分な説明責任を果たしておりません。

 本来ならば、私ども自由民主党は、本会議や委員会の場において、これらの問題点を徹底的に時間をかけて議論し、民主党の理念なき、いわばその場しのぎの無責任な外交方針の実態を国民の前に明らかにしなければなりません。

 しかしながら、今般、未曾有の大震災を受け、その対策を何よりも重視する立場から、大局的な判断をもって本特別協定の審議促進を図り、本日の採決に臨むことといたしました。ただし、この間の交渉過程において、野党は、前回審議時の民主党と比べればはるかに常識的な要求をしたにもかかわらず、そのことごとくをぎりぎりまで拒否しようとした与党の姿勢は、私ども野党とは対照的に極めて不誠実なものだったということを指摘しておきたいと存じます。

 最後に、旧安保条約の締結以来、六十年の長きにわたり、我が国の平和と安全を維持してきた日米同盟の円滑な運用に寄与するとの観点に加え、救援活動に取り組んでいただいている米軍の活動を支えるためにも、空白を生じることなく経費負担を継続すべきであることを申し述べ、本協定への賛成討論といたします。

小平委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 私は、日本共産党を代表して、在日米軍駐留経費負担の特別協定に反対の討論を行います。

 三月十一日に発生しました我が国未曾有の東日本大震災で、今、何よりも優先して被災者の救援と復興策に国の総力を挙げて取り組まなければなりません。そのためには莫大な財源が必要となることは必至です。そうしたときに、今後五年間にわたって総額一兆円もの在日米軍駐留経費を日本が負担することを国民は到底納得しません。

 日米地位協定第二十四条は、「合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は、」「日本国に負担をかけないで合衆国が負担する」と在日米軍の駐留経費の負担原則を定めており、駐留軍労働者の基本給や諸手当、光熱水料などは日本側に負担する義務のないものであります。

 特別協定は、一九八七年当時、労働者の安定的雇用を理由に、労務費等の負担増を求めてきたアメリカの要望にこたえるために措置された制度です。その制度について、政府は、暫定的、特例的、限定的な措置で五年間に限ったものであり、いわゆる思いやりを際限なく広げるという趣旨でないと説明していたのであります。

 ところが、その後、二〇一〇年まで二十三年間、合計六回の改定を繰り返し、負担項目と負担額も増大させて、日米地位協定に反して、別建ての、事実上の恒常的制度として固定化してきたのであります。

 そればかりか、今回の特別協定の締結に先立って日米両政府が合意した、在日米軍駐留経費負担の包括的な見直し及び米軍再編に係る訓練移転の拡充では、現行の特別協定より、負担の項目と額において日本側負担をさらに増加させるものとなっており、このような制度の継続及び改悪は認めることはできません。

 アメリカが昨年二月発表したQDR、ことし二月に発表した国家軍事戦略の中で、アメリカの軍事費削減に関連して、同盟国への負担分担の強化を求めています。特別協定は、こうした要求にこたえ、アメリカの軍事費削減を日本の国税で補てんするというものであり、反対であります。

 今思いやるべきは米軍ではなく、東日本大震災の被災者であり、政府は今こそ、本特別協定はきっぱりやめようと米国と交渉すべきであります。

 以上、反対討論といたします。

小平委員長 次に、服部良一君。

服部委員 社会民主党の服部良一です。

 社会民主党・市民連合を代表して、在日米軍駐留経費負担特別協定、いわゆる思いやり予算に反対の討論を行います。

 反対の理由の第一は、本協定が日米地位協定第二十四条に違反し、まさに対米追随、米国言いなりの象徴的な協定となっている点であります。米国のほかの同盟国との比較においても我が国の負担は突出し、NATOの総額をはるかに上回っています。米軍が駐留する世界じゅうの同盟国が負担する経費の総額の半分以上が日本の負担です。

 米国務省前日本部長ケビン・メア氏は、日本政府が現在払っている高額の駐留費負担は米側に利益をもたらしている、米国は日本で非常に得な取引をしていると言っています。裏を返せば、日本は高額の駐留費を支払い、損な取引に甘んじているということでしょうか。

 我が党は三年前、民主党、国民新党、共産党の皆さんと、思いやり予算に反対をしました。我々は今こそ、対等、平等な日米関係を築くと言った政権交代の原点に戻るべきです。

 第二は、そもそも思いやり予算は、一九七八年当時、米国の財政危機とドル安による物価、賃金の高騰の中で、当時金丸信防衛長官が、思いやりがあってもいいと言ったことから始まりました。

 今はどうですか。震災で日本は未曾有の国難にあり、復興のためには二十五兆円とも、加えて原子力事故の被害はどこまで広がるのか、現段階でははかり知れません。このような局面に際して、日本政府は米国政府に率直に、思いやり予算は払えない、その予算を被災して苦しんでいる人のために使いたいと言うべきです。

 米国も、この日本の国難をわかっていながら、既得権のごとく金を受け取るのでしょうか。これで日米が本当にウイン・ウインの、対等、平等な、良好な関係と国民が思うでしょうか。日本は、いつまでもアメリカ、米国の顔色ばかりをうかがう卑屈な外交はやめるべきです。

 第三に、今協定は、現行三年の有効期限を五年に延ばしていますが、在日米軍の兵員数も面積も米軍再編で減るはずです。にもかかわらず、五年間も金額を据え置くことに、合理性、正当性はありません。

 第四に、労務費や光熱水費は減額するとしながら、減額分を特別協定の枠外に加算し、思いやり予算全体としては現行水準を維持するというごまかしを看過することができません。枠外の加算分が何にどうやって使われるのかも不明確です。

 第五に、今協定は、海外への訓練移転費用をも日本が負担できるとしています。沖縄では、訓練を県外に移転しても、外来機がやってきて騒音被害は変わらないという実態があります。それを解決することなく、海外移転にまで日本がお金を払うことに、到底納得できません。

 以上の理由により、今協定は今まで以上に米国におもねる協定であり、断じて認めるわけにはいかないことを申し上げ、討論を終わります。

小平委員長 これにて本件に対する討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小平委員長 これより採決に入ります。

 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決をいたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小平委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

小平委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十四分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.