衆議院

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第6号 平成23年4月15日(金曜日)

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平成二十三年四月十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小平 忠正君

   理事 吉良 州司君 理事 首藤 信彦君

   理事 長島 昭久君 理事 山口  壯君

   理事 小野寺五典君 理事 赤松 正雄君

      浅野 貴博君    大泉ひろこ君

      勝又恒一郎君   木村たけつか君

      菊田真紀子君    阪口 直人君

      道休誠一郎君    中津川博郷君

      中野  譲君    中屋 大介君

      萩原  仁君    浜本  宏君

      早川久美子君    伴野  豊君

      村越 祐民君    山尾志桜里君

      河井 克行君    北村 茂男君

      河野 太郎君    高村 正彦君

      柴山 昌彦君    古川 禎久君

      松野 博一君    松本  純君

      笠井  亮君    服部 良一君

    …………………………………

   外務大臣         松本 剛明君

   内閣府副大臣       東  祥三君

   外務副大臣        伴野  豊君

   文部科学副大臣      笹木 竜三君

   農林水産副大臣      篠原  孝君

   外務大臣政務官      菊田真紀子君

   防衛大臣政務官      松本 大輔君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中西 宏典君

   政府参考人

   (観光庁長官)      溝畑  宏君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 日向 英実君

   外務委員会専門員     細矢 隆義君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十五日

 辞任         補欠選任

  大泉ひろこ君     中屋 大介君

  山花 郁夫君     木村たけつか君

  金田 勝年君     北村 茂男君

  河野 太郎君     松本  純君

  高村 正彦君     古川 禎久君

同日

 辞任         補欠選任

  木村たけつか君    村越 祐民君

  中屋 大介君     大泉ひろこ君

  北村 茂男君     柴山 昌彦君

  古川 禎久君     高村 正彦君

  松本  純君     河野 太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  村越 祐民君     山花 郁夫君

  柴山 昌彦君     金田 勝年君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)

 所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とスイスとの間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第一五号)(参議院送付)

 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とオランダ王国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第一六号)(参議院送付)

 日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とオーストラリア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一七号)(参議院送付)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

小平委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案に対する質疑は、去る十三日に終局いたしております。

 この際、本案に対し、吉良州司君から、民主党・無所属クラブ提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。吉良州司君。

    ―――――――――――――

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

吉良委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 第一に、原案では「平成二十三年四月一日」となっている施行期日を「公布の日」に改めるものであります。

 第二に、この法律による改正後の在勤基本手当の基準額に関する規定は、平成二十三年四月一日から適用し、また、子女教育手当の支給額に関する規定は、施行日の属する月の翌月分以降の子女教育手当の支給について適用し、施行日の属する月分の子女教育手当の支給については、なお従前の例によることとするものであります。

 以上であります。

 よろしく御賛同くださいますようお願い申し上げます。

小平委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

小平委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、吉良州司君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小平委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小平委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたい存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

小平委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本放送協会専務理事日向英実君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として経済産業省大臣官房審議官中西宏典君、観光庁長官溝畑宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小平委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松野博一君。

松野(博)委員 おはようございます。自由民主党の松野博一でございます。

 きのう、きょうの報道で、松本大臣が訪米をされて、米国の要路の方と会談をされるという記事が出ておりました。固まった日程かどうか存じ上げませんが、東日本大震災で米軍に大変な協力をいただいて、米国民からも温かい支援をいただいている時期でありますから、大臣の訪米、会談が有意義であることを期待しております。

 それでは、質問に入らせていただきたいと思いますが、個別の質問の前に、大臣の認識をお伺いしたいというふうに思います。それは内政干渉と人権問題ということであります。

 内政干渉せずというのは国際社会の原則であります。正規のプロセスを経て、その国ででき上がっている権力によって自治がなされ、その国の文化、伝統、慣習が尊重されるということは言うまでもないことでありますが、一方で、人権問題に関しては、国家の壁を越えて、国際社会が協調して守っていかなければいけないという認識もあると思います。

 大臣が、この内政干渉をしないという原則と人道上の問題また人権問題に関して、どのような整理をされているかについて御所見をお伺いしたいと思います。

松本(剛)国務大臣 私の理解では、内政干渉というのは、それぞれ主権国家がその主権に基づいて自国のことを決めることに対していわば干渉するということではなかろうかというふうに思っておりますが、今先生御指摘のとおり、普遍的価値としての人権及び基本的自由というものは、共有をされた普遍的価値である、このように認識をしております。

 その意味では、この人権及び基本的自由が保障されることが必要であるということについては、世界各国・地域での共通の理解ということで、これについて何らかの保障される方向への行動が必要であるとすれば、それは働きかけを行うなど、なさなければならないものだというふうに理解をいたしております。

松野(博)委員 私も、大臣と全く同様の考え方であります。

 そこで、個別案件に入っていきますけれども、昨年、中国の河北省でフジタ関係者が拘束されました。このところこの事案がやや風化しているようなイメージもあるんですけれども、フジタ関係者が釈放されて、帰国された後、外務省として聞き取りをされたというふうにお伺いをしておりますが、今回の事案に関して、まず、その聞き取りの結果、中国当局が発表した内容とそごがないのかどうかについてお伺いをしたいというふうに思います。

松本(剛)国務大臣 本件事案については、詳細な内容をここで繰り返し申し上げる必要は既にないというふうに思っておりますが、軍事管理区域への立ち入り、撮影について、中国軍事施設保護法違反の容疑で中国当局に拘束をされて、居住監視下に置かれたと中国側からは説明を受けたところでございます。

 私どもとしては、身柄の確保、継続的な領事面会、弁護士による接見の実現及び本件の迅速な処理というのを求めてきて、結果は、釈放され、無事御帰国されたということは御案内のとおりであります。

 私どもは、その後も、政府として、中国政府に対し、被疑事実、適用条文等の事案の詳細について説明を求めてきておりますが、いまだ正式な回答は得ていないところでございます。

松野(博)委員 ちょうどこの邦人拘束の事件があったときに、同じ時期に尖閣諸島沖中国漁船衝突事件における中国人船長の逮捕がありました。前原前外務大臣にも御答弁をいただいていることでありますが、外務省の見解としては、この中国人船長の逮捕と今回のフジタ関係者の拘束に関しては関連する事案だとは認識していないという御答弁だったと思いますが、松本大臣も同様の見解をお持ちでしょうか。

松本(剛)国務大臣 当時、前原大臣が答弁をするに際して私も陪席をしておった記憶がありますけれども、関連があるというふうには承知をしておりませんと御回答させていただいていると思いますが、引き続いて同じ認識でございます。

松野(博)委員 多くの国民は、やはり今回の中国における邦人拘束と中国人漁船船長逮捕というのは関連があるのではないかな、そういうようなイメージを持たれている方もいらっしゃると思いますが、このことに関して感想を大臣にお聞きしても、今と同じお答えだと思いますので質問はしませんけれども、偶然この二つの時期が重なったということであれば、これは、日本、中国両国民にとって大変不幸な時期に重なったんだなというふうに考えております。

 日本の外務省側からもこの事案に関して中国にいろいろ申し入れをした中で、弁護士の接見等の要求に関しては、中国側はその接見を認めるという趣旨のお答えがあったというふうにお聞きをしておりますけれども、結果的には、弁護士接見がない前に釈放という形になりました。

 これはいろいろとらえ方があって、具体的な刑事手続に入る前に釈放をされたんだというとらえ方もあると思いますが、一方で、相当、一定期間の拘束があったわけですから、その間に弁護士接見があってしかるべきだという考え方、これは両方の判断があるんだろうというふうに思いますけれども、大臣のこのことに関する御所見、感想はございますか。

松本(剛)国務大臣 本件は、身柄を拘束されたということはきちっと受けとめなければいけないこと、重大な話である、こう考えております。その意味では、先ほども申し上げたように、身柄拘束の理由となる、どのような事実なのか、そしてどのような適用条文なのかということについては、ぜひしっかりとした回答をいただきたいと思っておりまして、現段階で回答がないということは私としても望ましくない状況だと思いますから、引き続きしっかり求めていきたい、そのことによってこの拘束そのものの評価をしていかなければいけない、このように考えております。

 なお、拘束をされている間、領事面会などを行って、私どもとしても邦人の保護のための努力というのを努めてきたところでありますが、同時に、迅速な処理ということで、結果としては釈放につなげることができたのではないか、このように考えておるところでございます。

松野(博)委員 私は、このフジタ関係者の拘束事件で二つのことを考えました。一つは、外交交渉のありようについてですが、このことはまた機会を改めて質問をさせていただきたいと思います。もう一つは、人権上の問題として、極めて重要なポイントは刑事訴訟手続なんだなということを改めて感じました。

 国際的な刑事訴訟手続に関しては、国連の市民的及び政治的権利に関する国際規約、B規約というところに一般的な条項としていろいろと書かれています。しかし、中国は未承認でありますし、世界の中でこれに加わっていない国もあります。

 日本国憲法を考えても、刑事訴訟手続というのが物すごく丁寧に丁寧に書かれているんですね。それはやはり、人権を守っていくということにおいて刑事訴訟手続というのが大事なことであるという共通認識のもとに日本国憲法の中に書かれていることだと思いますが、これは同時に、国際社会においても、人権、人道的という観点からいって、刑事訴訟手続というのをしっかりと確立をしていかなければいけないというふうに考えております。

 不勉強で恐縮なんですが、いわゆる国連B規約以外に、刑事訴訟手続に関する宣言であったり規約であったり、またそれを進める国際的な組織、機関があればお話をいただきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 先生もよく御案内のとおり、普遍的価値である人権及び基本的自由について、ウィーンの宣言及び行動計画などあらゆるところで触れているものがありますが、刑事訴訟手続ということ、例えば身体の自由、安全についての権利、拘束などについて規定しているもので今私が承知をしているものは、先生と同じ認識でございます。

松野(博)委員 一つには、国際規約があって、それが各国間において承認をされていて、かつ、その運用が、その規約の趣旨にのっとって正当に行使されているかどうかということが大事なんだろうというふうに思います。

 別に、特定の国を想定して今お話をしているわけではありませんが、世界各国のさまざまな情報を集めますと、この刑事訴訟法上の手続が正当に運用されているのかなと疑問に思う国も正直あります。

 その中で、私は、日本国憲法を持っている日本こそが、この刑事訴訟手続に関して国際的に共通認識で確立をしていこう、具体的な条項までも含めて日本が提言をして、そして国際社会をリードしていくべきではないかな、それが日本の責任でもあるし、また、一種、国際的な日本の発言力の一つを構成するものになっていくのではないかなというふうに考えておりますが、大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 これまでの諸先輩の積み重ねもありまして、我が国は、人権については前向きに取り組んでいる国だという国際社会の中での評価はあるというふうに感じているところであります。先般も、人権に関する会議に我が方の山花政務官が派遣をされて行きましたが、そのような信頼を持たれているということを認識して帰ってきたという報告もありました。

 その中で、おっしゃったように、特に刑事訴訟関係の手続ということは、まさに基本的自由そのものに直結するものが多々あるわけでありますから、重要なテーマであるという御指摘を踏まえて、私どもとしても、今後の世界において人権、基本的自由が確保されるべきということで活動を展開する中の一つの重要なテーマとして考えるべきだという御示唆はしっかりと受けとめてまいりたい、このように思っております。

松野(博)委員 人権に対する考え方というのは、その国の歴史であったり文化と密接に結びついているものですから、同じ言葉であってもそれぞれとらえ方が違う部分があります。しかし、その中で、より明確に、ミニマムのラインとしてこれは守っていかなきゃいけないというのが集約されているのが、私は、その一つが刑事訴訟手続だというふうに思います。ここを各国間で具体的に共通認識を持つことが人権意識を国際社会でしっかりと守っていくことにつながっていくと思いますが、ぜひ松本大臣に、この面でリーダーシップを発揮していただいて、日本を中心とした活動を具体的に展開していただきたい、これは要望であります。

 先ほどの繰り返しになるような質問で恐縮ですが、さらに踏み込んだ大臣の決意をお伺いできればと思います。

松本(剛)国務大臣 私どもは、国際社会の中で一つの確固たる役割を果たしていくということが国際社会における我が国の道であると同時に、これはまた、ひいては我が国自身にも返ってくるものだ、こう考えておりますし、その中で、いわば日本らしさということの一つには、今お話があったように人権があり、その根幹をなすものが刑事訴訟手続だということについては、私も改めてきょうの質疑を通して強く認識をして、これから自分自身の方向を定めていくに当たっても参考にさせていただきたい、こう思っております。

松野(博)委員 このことは、国際社会の普遍的な問題でありますし、また日本にとっても、今日本人が世界じゅうで活動していますけれども、日本人の権利であったり人権を守る上においても重要なところだと思いますので、ぜひ、今後の外務省としての、また大臣としての取り組みを期待して、質問を終えます。

小平委員長 次に、小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。質問の機会をありがとうございます。

 まず、松本大臣にお伺いをしたいと思います。

 ただいま松野委員からも御指摘がありましたが、恐らくこのゴールデンウイーク、連休中だと思いますが、大臣はさまざまな外国訪問を予定されているというふうに聞いております。私はやはり、今の原発の問題、それから日本が置かれている立場の問題、これをしっかりと諸外国に示す必要があるんだと思います。また、特に、百六十以上の国から日本はさまざまな支援をいただいています。ぜひ大臣にはしっかり諸外国を訪問いただけるよう、私どもも国会の日程については最大限配慮していきたい、そのように思っております。

 一部報道では、アメリカあるいは韓国、中国というようなお話が出ていますが、現段階で、訪問する予定について、もしこの場でお話ができるところがありましたら、お話をしていただけないかと思っております。

松本(剛)国務大臣 御配慮にわたるお言葉をいただきましたこと、まず感謝を申し上げたいと思います。

 報道等ではいろいろありまして、私が米国へ行くという報道もあれば、行かないという報道もあったりしておる状況ではあるのでありますが、率直に申し上げまして、私自身も就任をして一月ということになりますけれども、やはり同盟国である米国というのはぜひ早く訪問したい国だというふうに思っておりますし、また、中国、韓国の外務大臣とは、かねてからセットされていたということで、三月十九日に日中韓の外相会談が実務の部分に絞って行われたわけでありますけれども、やはり私としては訪問をしたい国だ、このように考えているところでありますけれども、具体的な日程については、いずれもまだこれからということで申し上げさせていただくことで御容赦いただきたいと思っております。

小野寺委員 そういう中で、これはもう既に日程が多分確定したんだと思いますが、クリントン米国務長官、四月十七日から二日間で来日されるということが出ておりますが、この目的と日程について教えていただければと思います。

松本(剛)国務大臣 十七日に来日されることは、既に発表させていただいたところであると思います。目的は、日本に対する、また日本の人々に対する米国の支持の表明、そして、日米同盟の長年にわたる両国のコミットメントの強調というふうに理解をいたしているところでございます。

 これは、私どもが承知をする限り、クリントン長官としては、今回の震災発災以降かなり早いうちから、機会を見つけてぜひ連帯の意思の表明といったものはしたい、訪日をしてしたいという気持ちを持っておられるということは私どもも伝えられておりましたけれども、同時に、日本に迷惑がかかるような時期でないように時期を選びたいということでお考えになられていたということもお聞きをしておりまして、結果として今度の日曜日ということになったというふうに聞いております。

 この間の予定でありますけれども、一日に満たないと言った方がいいと思います、その日に来られてその日に帰られる日程ということになっておりますので、現段階では、総理の表敬、そして私との会談というのを予定しているというのが今の予定でございます。

小野寺委員 この間、米国には、例えばトモダチ作戦初め、三陸沿岸は、米海兵隊中心にさまざまな支援をいただいております。もし時間が許せば、このような被災地にもおいでいただければ、そこで活動される米海兵隊含め、米軍関係者の皆さんが大変励まされるんじゃないか、そのように思っております。

 さて、そういう中、実は、沖縄の問題を含めて、まだまだ日米関係にはさまざまな懸案が残っております。

 例えば、今回クリントン国務長官は日本に来られますが、逆に、当然、連休中には沖縄の基地問題を含めた2プラス2が従前から予定をされているということでありますが、2プラス2の現在の進捗状況、いつごろ行われるかということの見通しについて教えていただければと思います。

松本(剛)国務大臣 2プラス2についても、日程が一たん確定したわけではありませんけれども、お話がありましたように、ゴールデンウイークの時期というのは、私どもとしては比較的海外へ出やすい、そして先方が平日であることも含めて日程を調整しやすいということで、一つの機会だということで多くの方がお考えになられたと同様に、私どもも、そういう考え方があるということは十分に理解ができるところであります。

 今の状況は、既にそういった趣旨のことを私どもも申し上げておりますけれども、2プラス2の特に北澤大臣におかれては、引き続き自衛官のほぼ半分に当たるような方々を出動させている状況の中で、そして原子力発電所事故も進行中という中で、危機管理にかなり直接的な責任を負う立場から、現段階で国を離れるということはなかなか難しく、この状況が、いつ国を離れるということが判断できるかどうかということがありますものですから、少なくとも、三週間から一カ月ぐらいのうちに離れるという予定を今から立てるということは難しいのではないかというのが今の私どもの認識で、そうなりますと、ゴールデンウイークというのは事実上その選択肢から外れるというふうにお話を申し上げることができるというふうに思っています。

 その後のできるだけ早い時期に2プラス2をやはりぜひ行いたい。行うことそのものは、やはり日米間の関係をしっかりとしているというメッセージでもありますし、また内容としても、今お話がありましたように、日米同盟の深化、共通戦略目標の議論であるとか、なすべき課題も山積をいたしておりますので、一方ではできるだけ早くやりたいということとの両者のいわば要請を整合していく中で、また四人の都合、日程というものもありますので、できるだけ早い時期にどういう機会があるのかということを引き続き模索しているというのが今の状況でございます。

小野寺委員 きょうは松本政務官もおいでですが、自衛隊の皆さんには大変頑張っていただいている、そう思っております。

 ただ、私も被災地に住んでおりますが、そういう中でも、実は、沖縄の皆さんの負担軽減、これはおくれることなく進める必要があると思っております。ぜひこの2プラス2を一刻も早く進める中で、沖縄の負担軽減のための最大限の努力、これはむしろ外務省がイニシアチブをとり、もし防衛省が今大変であれば、その分を補う形でしっかり対応していただく必要があるんだと思っております。

 さて、実は、領土の問題の中で、おととい、竹島の問題について指摘をさせていただきました。そのとき、韓国側が竹島に海洋科学基地をつくる、その入札をもう行っているということを指摘させていただきましたが、十三日、この入札に対しての落札が行われた。落札については、現代建設グループが約二十七億円で落札をし、この間ちょっと皆様にお示しをいたしましたが、このような竹島のごく近海に、海上にヘリコプターの発着場があるような海洋科学基地、これは竹島の一キロ沖合ということでありますが、間違いなく日本の領海内ということになります。ここに韓国側が既にこのような海洋科学基地をつくり、その入札も行われ、落札者も決まり、そして工期も明確に提示されたということ。この事実を外務大臣は御存じだったでしょうか。

松本(剛)国務大臣 入札は、かねてより、調達庁だったと思いますが、四月の十日から十三日の間だったかに行われるということが公表されているところでありますけれども、十四日の夜、昨日の夜、韓国の公開の情報で確認をしたところで、東海総合海洋科学基地構築工事について、今御指摘ありました現代建設が落札者になったということは承知をいたしております。

小野寺委員 このことに対して、当然、従前からかなり、入札が公示された段階から日本政府としては厳しい対応、反応をしなければいけないと思いますが、いよいよ落札をされた。全くブレーキがかかっていない。このような状況に対して日本政府はどのような対応をされているか、教えてください。

松本(剛)国務大臣 今回の総合海洋科学基地については、入札公告等からは場所そして規模などの詳細については明らかになっていないというふうに理解をいたしておりますけれども、昨日の夜、直ちに在韓国大使館から韓国外交通商部に対して、事実確認を求めるとともに、抗議を行ったところでございます。

小野寺委員 ずっとたしか抗議をされているんだと思います。入札公告がされたときも、外務省の事務次官がこの公告に対して抗議をされた。ですが、今回は落札されたということ。全くブレーキがかかっていないんですが、これは、抗議、抗議といいますが、抗議だけで済む話なんでしょうか。

 何か、これに対しての対抗措置、あるいは、このような実効支配がさらに強まることに対して外務省が手をこまねいている、日本政府が手をこまねいている、こういうことを見過ごすことは議会としてできないと思うんですが、実効ある形でどのようにこれを防ぐことができるのか、その対応策、見通しについて教えてください。

松本(剛)国務大臣 お話がありましたように、韓国側の竹島に係る一連の措置は我が国として到底受け入れることができないということは、私もそのように考えているところでありまして、おっしゃったように、これについてしっかりと実効のあるというか効果のあることをせよ、こういうお話であったというふうに理解をいたします。

 効果のあることをするべきであるという御指摘については私も全く賛同するものでありますし、具体的な方法、あり方については、これまでも、さまざまな方法を検討する中で、とり得るベストの方法を常に重ねてきた、こういうふうに理解をしておりますし、さらに必要な対応についてはしっかり適切に行っていきたい、このように考えております。

小野寺委員 先日、韓国との外相会談が日本で行われましたので、この次は恐らく日本が韓国に行く番だと思います。私は、このような事態に際して、どうも今までのチャネルというのは、日本にいる韓国大使に対してのさまざまな発言ということが中心だと思いますが、この機会、あしたにでもすぐに松本大臣には韓国に行っていただいて、この竹島をめぐる問題というのは、日韓関係、これはさまざま、私どもは友好関係も大切だと思っていますし、今回の震災に対してもさまざまな支援をいただいておりますが、この領土の問題については全く別な話、ぜひ強い形で外務大臣には対応していただきたいと思います。

 この問題で、例えば韓国を訪れ、向こうの大統領、外務大臣と会い、直接抗議をする、そのようなおつもりはございますか。

松本(剛)国務大臣 おっしゃったように、日韓関係は大変重要な関係であり、重層的に拡大をしていかなければいけないということもおっしゃったとおりだろうと思っておりますが、領土について、竹島については、私どもの立場は一貫しており、このような韓国側の竹島に関する一連の措置というのは受け入れられないということが私どもの立場でありますので、これに対して必要なことを適切に行ってまいりたいということ、私自身の対応、行動も含めて、必要なものを適切に行っておきたい、このように考えております。

小野寺委員 決して意地悪な言い方で聞いているわけじゃないんですが、必要なものを適切にということの具体的なことを教えていただけませんか。

松本(剛)国務大臣 大変申しわけありませんけれども、これはさまざまなことが考えられると思っておりますが、具体的に行いまして、しっかり報告をさせていただきたいと思っておりますが、私どもの選択肢もしくは考え方というのを今ここで申し上げるのは差し控えさせていただけたら、このように思っております。

小野寺委員 さまざま、外交問題でありますので、それは政府が一元的に、外務大臣を信じて私どもはお任せをしたい、そのように思っているんですが、例えは悪いかもしれませんが、何か福島の原発と同じような状況で、毎回毎回この問題を指摘しているにもかかわらず、どんどん状況が悪くなっていく、そういうことがどうも今の政権には見受けられます。領土問題、このことも、この津波の被害の中に隠れてしまわないように、しっかり対応していただきたいと思っております。

 さて、その中で、ちょっと文科省にお伺いをしたい。

 実は、昨日、我が党の石破政調会長が韓国大使と会いまして、この問題について強く抗議をいたしました。その際、韓国の権大使からは、三月末の日本の中学校教科書検定で竹島を日本固有の領土と記載した教科書が認められたこと、このことが、今回、このような入札を含めた強硬な姿勢になっているんだ、悪いのは、日本が教科書に竹島のことを書いたんだというふうに、明確にその行為に対して韓国の大使が答えております。

 このことを受けまして、中学校の教科書検定の問題まで実は韓国側から今指摘をされているということに関して、笹木副大臣にお伺いします。日本の文科省として、どのような感想をお持ちでしょうか。

笹木副大臣 少なくとも、私、日韓議連の事務局的な活動もしておりますが、そういうようなコメントを聞いたこと、私自身は一度もありません。教科書問題が発端になってそうなったということも私自身は聞いておらないので、事前にそういう質問みたいなことはありましたが、これはもう淡々と事務的に進めていく、この姿勢で一貫をしております。

小野寺委員 今回、どうもこの教科書問題に端を発して竹島の実効支配を強めようという、私どもとしては全く考えられないような韓国側の論調がまかり通っている。私は、日韓関係は大切な関係だとは思いますが、少なくとも領土の問題、これは決して譲ってはいけない、そのような問題だと思っております。きょういらっしゃる政務三役の皆さんは同じ気持ちだと思います。

 ぜひ、関係の友好なものと、それから毅然とした態度、この二つのことはしっかりと対応を区分けしていただきまして、この連休中、国会が皆さんさまざま被災地を回っている間に、外務大臣含めて外交の皆さんに関しては、ぜひ諸外国を回り、特に韓国に対してはこの問題に対して日本の考え方をしっかり伝えていただいて、これが両国の誤解につながらないように、日韓関係が悪い方向に行かないようにしっかり対応していただきたい、そのように思っております。

 さて、さまざまな御質問をさせていただきますが、きょうは少し今回の福島の原発の問題に対しての諸外国の反応についてもお伺いをしたいと思っております。

 これは、私ども、いろいろな友人、知人がおりますが、その中で、特に、商社の方あるいは在外に勤務される方、NGO、NPOで海外にさまざまなネットワークを持っている方、そういう方から指摘をされます。今回の福島のレベル7への引き上げ、これは、世界の国には、今、かなり衝撃として伝わっている。そして、私どもとすれば、福島の原発というのは限られたごく一部のエリアという印象を持っておりますが、世界の国から見れば、もともと日本という国は島国であって小さい国、そしてそこでチェルノブイリ級の原発の被害が起きたということになると、これはもう日本全体が放射能汚染をされている、このような印象を持っている。

 ですから、ある商社の方が言っていましたが、南アの駐在の所長が日本に帰ってくるというときに、現地の職員から、絶対帰るな、今帰ったら二度と会えなくなる、もう放射能汚染をされているところに帰っていくいわば神風だ、そう言われて引きとめられた、こういうエピソードも最近聞きました。

 まさしく、どうも、このレベル7への引き上げというのは、諸外国に相当のインパクトを与え、これは、日本人あるいは日本の商品、製品、こういうものに対しても著しい影響が恐らくあるんだと思います。

 事実、きょう報道されましたが、韓国は、日本の東北を含めた東日本の農産物の韓国への輸出、韓国でいえば輸入に関しては、放射能汚染に関するフリーの証明書を求めるというような報道も出ております。

 このような放射能汚染に対しての諸外国の対応あるいは反応について、外務大臣はどのようにお考えでしょうか。

松本(剛)国務大臣 確かに、今回のレベル7という評価は、評価そのものはチェルノブイリ事故と同様ということになりますので、しっかりと内容を説明しなければいけないということで、私どもとしては、私どもが行っている在京外交団ブリーフや官邸で行っております外国プレス向けのブリーフィングなどで、今回の発表についても詳しく御説明をさせていただいたものというふうに考えております。

 その意味で、この際には五つの点をお話をさせていただきました。評価レベルが変わったということは、原発の状況が深刻化したということではない、今変わったということではないということ。それから、東京の放射線量は安定的に下がっているということ。福島第一原発から放出された放射性物質がチェルノブイリの一〇%程度であること。また、チェルノブイリの場合には爆発で二十九人が亡くなられたけれども、福島の場合、放射性物質を原因とする死亡はないということ。そして、チェルノブイリの場合には、原子炉そのものが爆発して、短期間に放射性物質が大量に放出されたのに対して、福島の場合は、水素爆発はあったものの、圧力、格納容器がそのような大きな損傷は受けておらず、放射性物質がこれ以上環境に放出されないよう努力をしているということをお伝えさせていただきました。

 海外のメディアでも、もちろんさまざまな報道があるわけでありますけれども、やはりチェルノブイリと比較すれば違うということも伝えていただいているメディアも決して少なくないというふうに考えておりますが、引き続き正確な理解をいただくような努力というのはさらに重ねていかなければいけないということはおっしゃるとおりだろうというふうに思います。

 その上で、外国からのさまざまな反応と、それに対して、経済的なことにもつながりかねない輸入、外国から見た輸入、私どもからしたら輸出でありますけれども、各国の輸入に関する措置などについても、さまざまな措置がとられる、もしくはとられようとしておりますけれども、随時申し入れをさせていただいて、また、私どもが実務的に対応可能なような形で、できるだけ経済に影響が出ないような形で対応していけるように、各国政府とは協議を行っているというところでございます。

小野寺委員 これは松本大臣の責任じゃないかもしれません。私は菅総理の責任だと思います。レベル7ということをいきなり言えば、だれが見ても、今現在チェルノブイリと同じ状況になりました、日本人も世界の人もそう考えることであって、これは、先月の中旬のデータを見てそう今から判断しましたと。今からさかのぼって判断した話を何で今ごろ急に言って、逆に言えば多くの不安を世界の人に与えるのか。

 これは福島で実際起こった話と聞きました。いわきでは、今でもちゃんと工場が動いて、段ボール箱を製造している。ですが、この段ボール箱を福島、いわきから運んだというと、今でも東京の工場では受け入れてくれない。だから、一度埼玉で荷物を埼玉のナンバーの車にかえて、それでトラック輸送をしている。日本国内でもこれだけ、福島ということで今大変な影響があります。

 転校して行こうと思った福島の子供が、原発に汚染すると周りの子供が避けたために、やむなくまた福島県内の学校に戻ったという話も一部報道されています。福島だけではなくて、今、日本自体がこのような状況になっている。

 これだけ近い韓国ですら日本からの農産物に対して証明書を求めるということになれば、さらに遠い国に関しては、恐らくこれからは日本の農産物だけじゃなくて日本製品、ひょっとしたら日本人、この入国に関しても、私どもがガイガーカウンターを当てられるような、そんなことが起こるかもしれない。それぐらい、実は今回の状況は大変深刻なんです。その深刻な状況になるのに、非常に安易なあのレベル7の発言、発表、あれは大変慎重さを欠く内容ではないかと私どもは思っております。

 一説によりますと、このレベル7の発表、保安院からの指示に関して、報道に発表する直前まで、東京電力にすらこの話が伝わっていなかったと伺っております。ましてや、諸外国、近隣諸国に関しても、恐らく従前の根回しなく急に発表されたんだと思います。だから衝撃が大きい。それを私どもは心配しております。

 実は、この永田町周辺のさまざまなホテルでも、今、旅客のキャンセルが相次いでいると聞いております。外国資本のホテルでは、既に営業をやめたというところも聞いております。これは、農産物の風聞被害だけではなくて、日本全国にこのような被害、風聞被害、あるいは日本に対してのイメージダウンが広がっている。そして、その一つのあらわれが日本を訪れる観光客の激減だと思っております。

 最近の観光業、特にホテル、外国人の旅行者、このことについて、現状はどうなっているか、観光庁にお伺いしたいと思います。

溝畑政府参考人 議員御指摘のように、二〇一一年三月の訪日外国人の数を昨日発表させていただきました。三十五万二千八百人ということでございまして、前年対比でマイナス五〇・三%という大幅減になりました。

 これは、東日本大震災、そしてまた議員御指摘の福島第一原発の事故の影響で、世界的にこれが大きく報道されたこと、また、各国の外国当局から自国民に対しまして日本への渡航延期もしくは自粛の勧告が出ておりまして、観光のみならずビジネスを含めて外国人の方の大幅減少という現象が出ております。

 このことは、観光に係る産業に携わる方にとっては非常に大きな、深刻な影響が出ておりまして、私どもといたしましては、このような産業にかかわっている人たちの生活を守るためにも、一刻も早く訪日旅行を本格的に復活させることが極めて重要な課題であると真摯に受けとめております。

 そのためには、会社でいえば、まさにここはきめ細かな営業とそしてスピーディーな広報、これが大事でございまして、とりわけ安心、安全のイメージ回復が極めて大事であるというふうに考えております。

 観光庁といたしまして、まず、正確な情報提供、外務省さんと連携をとりながら、交通インフラの状況、放射線の状況、さまざまな情報につきまして、英語、中国語などの四言語で情報提供をさせてもらっております。それから、やはり各国に出かけていって、政府の方、向こうのメディアできっちりと説明する必要があるということから、先日、私、中国に行ってまいりまして、今後、各国を回っていきたいと思っております。そうすることで、少しでもイメージ回復ということを図っていきたいと考えております。

 訪日旅行をとにかく一刻も早く実現できるよう、これは国のみならず民間、自治体総出で、一体となって取り組む必要があると考えておりまして、今後さらに、海外メディアの招聘、そしてまた日本に今現に滞在されている外国人の方から積極的にブログ、ツイッターで発信してもらう、さまざまな手を打って、一刻も早く復活できるよう頑張っていきたいと思っております。

小野寺委員 今の五〇%の減というのは、これは三月なんです。そして、レベル7の発表というのは四月以降なんです。これからますますこの状況がひどくなる。キャンセル九割。あるいは、これは旅行だけではありません、例えば家電量販店、こういうところも激減、銀座のデパートも大変だ。ここまですべて被害というのが大きく広がっている。ですから、単にPRという問題じゃなくて、これはもう政府に対する信頼の欠如ということだと私は思います。

 さらに言えば、三月中旬時点のデータをなぜ今になって急に発表し、レベル7だと言うのか、全く理解ができない。これは事実とは違うと思いますが、巷間こう言われています、統一地方選が終わったから発表したんだろうと。これが町中で言われている本当の言葉です。私は本当にこんなことがあるわけはないと思いますが、少なくとも、今回の対応を見ればこのような疑念がある。

 そして、レベル7ということの重みということ。世界じゅうが、日本はもう既に全部が汚染されている、このイメージを払拭するのは大変だと思います。さまざまなところから悲鳴が起こっています。

 今回、福島について、例えば農産物について、あるいは避難されている方に関して、東京電力からさまざまな補償ということがありますが、日本全国に広がる多くの観光業を含めた関連産業の皆さんに対して、政府が、東電が補償するおつもりがあるのかどうか、お伺いしたいと思います。観光庁長官。

溝畑政府参考人 私ども、今、我々が制度を持っているわけではございませんが、関係省庁に対しまして、こういう資金手当てを含め、需要回復の前に必要な、経営をきっちりするための必要な施策について、中小企業庁初め各省庁で今協議しているという状況でございます。

小野寺委員 長官、全国の旅館や観光施設、この人たちは今、あしたどうなるかということで、大変な悲鳴を上げています。そして、これも実は原発由来、これは風聞被害というのか直接的な被害かわかりませんが、少なくとも多くのところは風聞被害ということになります。この方々が何かの救いを求めて頼りにするのが長官なんです。その長官が、この方々の気持ちを背に受けて、政府の一員ではなくて、このような皆さんの意見の代弁者として今回の対策本部に話を持っていかなきゃいけないと思っております。

 きょう、東副大臣、お見えでございます。済みません、質問通告ございませんでしたが、このような観光全般に広がる対策、このことについてもぜひ政府として重く受けとめていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

東副大臣 できる限り全力で対応していきたいというふうに思います。

小野寺委員 ありがとうございます。

 恐らく、見えないところ、さまざまなところで被害に遭った方が実はたくさんいるということをぜひ重く受けとめていただければと思っております。

 そんな中、きょう、これは外務委員会ですのでぜひお伺いしたいのは、実は、外国人の方、日本に住んでいらっしゃる外国人の方で、今回の津波被害を受けた方、地震で被害を受けた方、いらっしゃると思いますが、今現在、犠牲者あるいは行方不明者がどのぐらい出ているのか、その状況について外務省にお伺いします。

伴野副大臣 小野寺委員にお答えさせていただきます。

 各国在京大使館等より安否不明な在日外国人の情報を聴取いたしておりまして、今外務省にて取りまとめを行っているところでございます。関係省庁や地方自治体等にさらに照会をかけているところでございますが、かかる安否情報の把握作業の中で、現在判明している外国人の死亡された方は二十三名と承知しております。

小野寺委員 実は、日本人だけではなくて外国の方にこのような被害を受けている方がいらっしゃいます。そして、今、政府、あるいは現在の被災者生活再建、さまざまな制度の中でさまざまな支援というのが行われますが、このような外国人の方々に、日本の支援制度、日本人と同じような形で支援制度が適用されるかどうか、お伺いいたします。

東副大臣 まず初めに、小野寺委員におかれましては、今回の東日本大震災におきまして、南三陸町そしてまた気仙沼市という壊滅的な被害を受けた地域を選挙区に抱えられ、日々現場を視察され、そして被災者の立場に立った視点で種々の提言をしていただいていることに心から敬意を表します。

 その上で、今御質問ありました在留外国人に対して被災者生活再建支援金は支給されるのか、こういう御趣旨だと思いますが、この制度そのものの目的はもう御存じのとおりだと思いますので省かせていただきますけれども、制度の対象は国籍によって差別されるものではありません。外国人についてもその対象となります。

 なお、言うまでもなく、申請に当たっては住民票に相当いたします外国人登録済証明書の添付が必要でありまして、例えば一時的な滞在者などはその対象とならないのは言うまでもありません。

小野寺委員 一時的な対象者といいますと旅行者等になりますが、旅行者等で被害に遭われた方がいると私は聞いておりませんが、もしそういう方がいてもしっかりとした対応が必要かと思っております。

 今お話しになりましたが、日本に一応住居、住民票があるという方に関しては日本人と同じような対象になるということだと思います。ただ、今回の制度、日本人でもなかなかわかりにくい、あるいは申請その他も非常にわかりにくいということで、母国語を日本語としない方に対してのアシスト、これはむしろ大変必要かと思います。外務省を通じて各自治体に、このような母国語を日本語としない方に対してのさまざまな通知、そのような案文というんでしょうか、パンフレット、そういうこともぜひ周知をしていただくような、ホームページも含めて対応していただきたいと思いますが、外務省の対応の状況についてお伺いしたいと思います。

松本(剛)国務大臣 本部そして各自治体としっかり連携をとってまいりたいと思っております。

 日本におられる外国人の方々、これは直接的には各国大使館がサポートされているわけでありますけれども、これを協力して支えるというのは私どもの使命の一つだというふうに思って努めてまいりたいと思っております。

小野寺委員 義援金についてもぜひ万全な対応をしていただきたい、そのように思っております。

 さて、こうして、どうも日本全体が原発、原子力で汚染されているかのような印象が世界じゅうに拡散しているということでありますが、これは一つ、私、被災地を回って言われたことでヒントがあるなと思ったことがございます。それは大相撲です。

 大相撲は今、さまざまな問題で、なかなか正規の巡業ができないということで報道されておりますし、また、相撲界も反省すべき点は多々あるんだと思います。

 ただ、最近、被災地を見ていますと、例えば横綱だったりあるいは親方だったり、実は多くの方が被災地に入って、炊き出しをしていただいております。私の地元でも、ついこの間、九重親方あるいは元関脇貴闘力等が入っていただいて、ずっと避難所で炊き出しを本当に一生懸命やっていただいております。そして、そのお相撲さんを見る避難所にいるお年寄りは何と思うかというと、あっ、もうすぐ相撲が始まるんだなと。

 ようやく避難所にも電気が通るようになりまして、テレビが見られるようになりました。正直、被災地にいますと、毎日、さまざまな避難の状況、津波の映像、それが繰り返されておりますが、かなり心では重いものです。もう自分たちが体験している話をあえて全国のメディアで何度も繰り返しそれを見る立場になるということは、決して愉快なことではない、当然そういうことだと思います。そんな中、そろそろ相撲が始まるんだな、相撲が見たいな、そういう声が実はたくさんあります。

 そして、どうも今回はその中継というのが行われない可能性がある、そのように伺っております。現在、この相撲の中継についてどのような状況にあるのか。これはむしろ私ども被災地からの声として受けとめていただきたいんですが、ぜひ被災地で相撲中継が見られるような、そういう対応、処置というのができないのかどうか、文部科学省とNHKにお伺いします。

笹木副大臣 お話がありました大相撲の国際配信は……(小野寺委員「国際配信じゃなくて、今見られない国内」と呼ぶ)

 今、五月場所の開催の中止、これを相撲協会自身が判断してそういうふうにやっているわけですが、委員がお話しになったような、そういうことを実現するためにも、ガバナンスの強化、事故の再発防止、そしてその実行、これをしっかりと急いでやっていただく、これが大事だと思っております。

日向参考人 NHKといたしましても、この相撲の八百長の問題というのは非常に根幹にかかわる問題でございますので、その真相解明とそれから再発防止策がきちっと打ち出されることをやはり前提として放送については考えなきゃいけないかなというふうに思っております。

 五月場所につきましては、今もありましたが、本場所ではなくて技量審査会という形になるということでございますので、それから相撲協会の調査もまだ続行中という段階ですので、今の段階では放送の再開というのはなかなか難しいかなというふうに考えております。

小野寺委員 報道によりますと、今回の夏場所というのは、これは技量審査会という形で行う、そして、この場所については、五月八日から十五日間、その中で、これは無料で開放して見ていただくということだと思います。

 ですが、避難所に暮らす人たちは行けないんです。見に行けないんです。私は、避難所で毎日、仮設住宅が一日も早くできないかな、あるいは、今行方不明の自分の身内が早く見つからないかな、そういう思いでずっと暮らしていらっしゃる方に日本の文化であります相撲というのを見ていただくこと、これは大きな励みになるんだと思っております。

 どうも相撲協会自体の問題がさまざまあるということで、文科省は、場所の開催については恐らくよしとしないという意見を持っていらっしゃると思います。そして、これが本場所でないからNHKは中継しない。何かこういう役所的な判断で中継しないというような状況がもしあるとすれば、私はあえて、私ども被災地に住む人間の意見、私どもの被災地に住む、避難所で暮らすお年寄りの気持ちとして、ぜひ相撲を見せていただきたい、そのことを重ねてお伝えさせていただきたいと思います。

 ぜひ今後、相撲協会のさまざまな体質改善の状況を見ながら、一日も早く、あるいは、十五日全部でなくてもいいです、何日でもいいから、相撲について避難所にいる皆さんに見せていただくこと。今回さまざまな支援をもらっている関取あるいは親方衆、この方々の思いが少しでも前に進むようにお力をいただきたい、そう思っております。

 さてもう一つ、今、国際放送ということがございましたが、きょういらっしゃいます外務省含め、大臣も含めて、恐らく海外でいろいろな仕事がある方が感じていると思いますが、海外にいますと、日本の情報が知りたいということで、衛星のさまざまな日本の番組を見ることがあります。その中で一番人気なのが、実はこの大相撲の中継ということになります。中継だけではなくて、ダイジェストも世界の多くの国に配信されています。

 相撲が行われているということが、実は、日本が安全、安心な国なんだということを一番知らしめる大切な外交ツールだと私は信じています。先ほど観光庁長官がおっしゃいましたが、いろいろなPRでいろいろな国に行くよりも、私は、NHKの衛星放送で相撲中継をしっかりやって、ニューヨークやワシントンにいる方が、ああそうか、ちゃんと今でも日本は相撲をやっているじゃないか、何か私たちが思っているのはどうも思い過ごしなんだな、そういう日本全体への安心感を与える大切な役割を担っていると思います。

 こういう外交のツールとしての、日本の文化である相撲、このことについて、ぜひ、外交面でも大事だ、日本の信頼回復でも大事だ、そういう思いを共通しているであろう松本大臣に一言コメントをお願いしたいと思います。

松本(剛)国務大臣 相撲が大変人気があるということは、私もそのように聞いております。

 今の相撲界の置かれた状況、位置づけは先ほど文部科学副大臣から御答弁をさせていただいたとおりでありまして、やはり、しかるべき立て直しのためのステップというのが必要であるということと、他方で、被災地の方々も見たいとおっしゃっていただいている、また国際的にも、日本が元気であるというメッセージにつながる面があるという御指摘も、そのとおりであろうというふうに思っておりますので、きょう御指摘をいただいたことも踏まえて、今の段階で何ができるかということを私としてももう一度確認してみたいと思っております。

小野寺委員 内閣の一員でもいらっしゃいますので、そういう面でも、ぜひ、今の政府の中で強い発言をしていただいて、背中を押す形で、このような中継が少しでもできて、そして被災者の皆さんに勇気を与え、世界の皆さんに日本の健在ぶりをPRする、そういう形で行っていただきたい、そう思っております。

 それから、ちょっと一問、質問通告になかったんですが、先ほど、それこそNHKのニュースで速報が流れました。おととい私どもが指摘をさせていただいた、実は、沿岸の漁業者、今この方々は、雇用保険がないので現金収入がない、そして一日も早く自分たちの漁場回復をしたい、この方々に仕事を与えていただいて、自分の漁場の環境整備をする中で何かしらの日当が出るような、そんな仕組みはないですかということを質問させていただきました。

 先ほど来、一部報道で、政府として方針が一つ出たということを伺ったんですが、東副大臣、もし、この漁業者の就労に対しての支援ということについて何か方向が決まりましたら、教えていただければと思います。

東副大臣 その報道は、ちょうどこの委員会に入る直前に知りまして、中身は理解しておるんですが、まだ確認ができておりません。

 先生御指摘のとおり、被災地における大半の関係者が漁業従事者である。漁船も失い、漁具も失い、そして家も失い、そういう状況の中で、何とかして自分たちが自立した道、それを探っていくためには、何もしないでいるよりも、何らかの形でこの復旧のためにも貢献したい、そういう思いだろうと思います。

 いずれにいたしましても、今御指摘の方向で進むことを、私たちも、ありとあらゆる政策手段を駆使して頑張ろうとしておりますので、確認され次第、また御報告させていただきたいというふうに思います。

小野寺委員 ぜひ、しっかりした対応をお願いしたいと思います。

 それからもう一つ、きょうは防衛省にもおいでいただいていますが、実は、沿岸に住む者にとって、海の中に今堆積している瓦れきの撤去、あるいは流された車、こういうことに対しての原状回復というのは大変重要な仕事になっています。今、各種サルベージをお願いして、この三陸沿岸を含めた沿岸の瓦れき、ごみの撤去、海の中にある撤去を行っているんです。

 今、陸上自衛隊には、さまざま陸上での救援活動あるいは行方不明者の確認活動、復旧活動にお力をいただいていますが、例えば、これは本当にあるかどうかわかりませんが、海上自衛隊の中で、このような湾に沈んだような瓦れきの撤去あるいは海中でのさまざまな作業、こういうことをお手伝いしていただけるような、そのような技能あるいは機材を持った部隊があるのかどうか、お伺いしたいと思います。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 自衛隊は現在、十万六千人の態勢で任務に当たっております。給水、給食、入浴支援等のほか、道路啓開、それから気仙沼港、石巻港などにおける港湾啓開作業など、交通インフラを復旧する諸活動もこれまで積極的に活動してきたところであります。

 それで、御指摘の造船所における瓦れきの除去でございますけれども、その状況について詳細を把握しているわけではございませんので、一般論として申し上げさせていただくならば、自衛隊は大規模な瓦れきを処理するための専用の大型の重機等を保有していない。例えば、港湾から沈底したものを引き揚げるための重機とか、サルベージ船、特殊な船舶等を保有しているわけではありませんし、装備等の能力を生かせる分野という観点からは、実施することは極めて限定的ではないかと考えられるところであります。

 いずれにしても、防衛省・自衛隊としては、県など自治体の要請があった場合には、そのニーズをよく把握させていただいた上で、保有する装備品の能力や、それから公共性、緊急性、非代替性、こういった観点から検討して、適切に対応してまいりたいと考えております。

小野寺委員 湾内にはたくさんの沈没船、あるいは瓦れき、漁具等がかなり散乱をしております。恐らく、海上自衛隊であれば掃海活動ということで、海中の、例えば引き揚げなくても、そのところはちゃんと航路として確保できるとか、あるいは、ここはこの沈没船があるから、それを取らなければ確保できないとか、そういうすぐれた能力はあるんだと思います。ぜひ、こういう能力と、それから、現在沿岸で頑張っていらっしゃるさまざまなサルベージ、土木関係の皆さん、こういう方と協力をしてやっていただけるような、そういうことでお願いしたいと思うんです。

 今、一義的には、海上自衛隊には、海上の救難活動あるいは行方不明者の捜索活動、物資の輸送を中心にやっていただいていますが、今後、港湾の復旧に向けて、ぜひ能力を最大限発揮していただけるようにお願いしたいと思いますが、そのお考えについてお伺いしたいと思います。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 港湾の啓開作業については、これまでも海保あるいは民間の回収船と協力をしまして、海自としては、掃海艦や掃海管制艇、ソナーを使用しまして、瓦れきの少ない航路を進み、可能な範囲で浮遊しているごみを回収、その後ろを海保船が測量して、さらに民間の回収船が瓦れきを回収するという手順というか役割分担でやってまいりました。

 したがいまして、こういった実例もございますので、御指摘のような点も踏まえまして、今後とも可能な限りの復旧作業に努めてまいりたいというふうに考えております。

小野寺委員 自衛隊の皆さんには本当に大変な努力をいただいております。なかなか交代要員もない中、今、そろそろやはり、行方不明者の捜索についても、発見される御遺体については相当傷んでおりまして、大変な御苦労をおかけしていることを住民の一人として大変感謝したい、そのように思っております。

 まだまだ自衛隊に頼ることがたくさんあると思います。今回の補正予算の中でも、自衛隊の活動の継続化についてのさまざまな予算が入っているとも伺っております。こういう活動がしっかりできることを私どももお支えしたい、そう思っております。

 ただ、その津波、地震の対応は対応として、大切なのは、やはり日本の安全、安心、領土の警備、さまざまなそういうことも重要であります。ぜひ、すべてを包含した形での御活躍をお願いしたいと思っています。

 最後になりますが、被災地に住む人間として一つ感じることがあります。日本全国でいえば、恐らく、私の体が日本とすれば、今回はすねをかなり深く傷つけて出血をしている、そういう状況だと思います。ですが、体全体はまだ元気なんです。日本全部が元気であれば、傷は早くいえるんです。ところが、ここが化膿して体に毒が回れば、治る傷も治らなくなる。ですから、私どもへの支援はぜひお願いしたいのですが、それ以上に、日本全国が萎縮することのないように、日ごろの活動は活動としてしっかりとやっていただけるよう、政府一丸でお願いしたいと思っております。

 質問を終わります。ありがとうございました。

小平委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 松本大臣、私、一昨日質問をいたしました。その際に、いまだに腑に落ちない、大臣とのやりとりの中で、通常の松本大臣らしからぬというか、非常に不親切な私に対する答弁をされたという思いを持っています。今、小野寺委員のやりとりの中では非常に丁寧に説明をされた。私の質問技術の下手さかげんだろうと思っていますけれども、一昨日、私は、レベル7、同時にチェルノブイリ級、数字としてのレベル7、そして放射線の排出の量というのはチェルノブイリのときの十分の一、これは普通の人が聞くとわかりづらいじゃないかということを申し上げました。外国に向けてどう発信するのか、本当に、ある意味、微に入り細にわたり説明しないと、さっき小野寺委員が言っていた、要するに、外国に誤ったメッセージを伝えてしまいますよということを申し上げました。

 あのとき、大臣の答弁を正確に覚えているわけじゃありませんが、私の疑問そのものがよくわからないというふうなことを言われて、要するに、レベルは7以上はないんだから云々ということを言われたんですよ。十分の一なんだからと。

 それで、私は腑に落ちないという思いで、昨日、公明党は原子力の対策本部に山下俊一という長崎大学の医学部大学院教授、この人は、御存じかもしれませんけれども、長崎における放射線の健康リスク、こういった部分について長年研究をしてこられている人で、約二十年、チェルノブイリにも百回を超えるほどの訪問をされて、現地としっかりタイアップした形でチェルノブイリ事故の現地研究を進めてきて、今回も福島県そして福島県立医科大学からの招請を受けて、現地で住民に対して懸命の説明、正確なる理解をみんなに与えよう、正しく認識して恐れよということを言っているんだというお話を聞かせていただきました。

 そのときに、私は松本外務大臣とのやりとりを言いました。レベル7ということと十分の一ということと、この一見アンバランスというものがよくわからないということについて、いかように海外に説明しているのかということを聞いたんですけれども、先生はどう思われますかと聞きました。

 山下先生は、自分も、まずはレベル7ということについて非常に遺憾に思う、いきなりそこに上げてしまうということは全然大きな問題である、こんなふうな言い方をされまして、私の持つ一般的な疑問というものに対して丁寧に丁寧に、的確に、数字で言うんじゃなくて、その数字の背後にある中身の違い、チェルノブイリと今回の中身が違うということについてしっかりと発信していかないといけない。先ほど小野寺委員が言われたように、小さい日本だから、日本が丸ごと汚染されているように受けとめられているのは間違いない、こんなふうなことを言われて、私は意を強くしました。

 そのことを、きょうここに来て言って、そして外国に向けてどういう発信をされたのか、正確な文言を聞かせてほしいということを言おうと思ってここにやってまいりました。

 事前に、当日の各国に対する説明の資料は何なのか、どういうものかというものを用意してほしいということを、非常に土壇場で要求したので申しわけないのですが、これはちょっとおかしいなというのは、一枚だけ英文で、この一ページの半分ぐらいの紙が今手に届きました。二〇一一年の、チューズデー・トゥエルブ・エイプリル・トゥエンティーイレブンですから、これではないんだろうと思うんですが。

 私が今ここで言いたいのは、改めて、私に対する答弁として、大臣が各国にどのように発信したのか。さっき、何だかもったいぶって五つあるということを言いましたけれども、何であのときに言わなかったのか。それは、当然おまえは知っていると思ったから言わなかったのか、それとも、二日たって、やはりちゃんと詳しく説明しないといけないと思って言ったのか、そしてこの紙の存在は何なのか、見ないとわからないと思いますけれども、要するに、そのあたりについて説明をしていただきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 答弁において、どなたであるからといって答弁に対する気持ちを変えたことはないわけでありますが、結果として先生にそのようにお感じになられるようなことがあったとしたら、おわびを申し上げたいと思っております。

 その上で、先ほど小野寺委員にレベル7の説明について少し申し上げたわけでありますけれども、この点については、できるだけ、チェルノブイリと違うという側面も正確に伝えなければいけないということで、整理をしてもらって、実際に説明をしてもらうように指示をしたところであります。具体的に整理をして説明をした結果の報告というのを改めて聞いた上で、きょう改めて私から御報告を申し上げたようなところでありまして、その時点で、まだ説明の仕方、実際にどう行ったかも含めて整理をして先生に申し上げる準備ができていなかったので、その点は、もし答弁が足らないという御指摘であるとしたら、改めて補足をさせていただきたい、こういうふうに思っているところでございます。

 なお、このレベル7については、やはり、おっしゃったようにチェルノブイリでもレベル7だと言われていること、それから、先ほど小野寺理事からもお話がありましたけれども、そのことによってどれだけ大きなインパクトを与えられるのかということ、これは、私どももできる限り、いわばどんなことが起こるんだろうということを想像して、それをできる限りきちっと対応をしていただけるような情報発信をすることが重要だということで、努力をしているところであります。

 先ほども少し申し上げましたように、多少その努力の効果もあったのかなという報道もあるわけでありますけれども、まだ足らざる面という御指摘をいただくとすれば、それは引き続き改善をしなければいけないと思っているということで、先ほどあのような答弁をいたしました。

赤松(正)委員 大臣、ちょっと違うんですね。

 要するに、さっき小野寺さんに答えられた五項目というものを、ああいう形で、あの日の各国に向けて発信した中身はそれと同じなのかと聞いているんです。

松本(剛)国務大臣 今報告を聞きましたが、委員のお手元にお送りをさせていただいたのは、説明会に先立って、レベル7の発表がたしか十一時だったと思うんですが、それに先立って、その日の午前中に各国にお送りをさせていただいた内容で、近くレベル7に上げるという発表があるといったような大変短い趣旨のものだというふうに承知をいたしております。

 先ほど小野寺委員にお話をさせていただいた五項目などの点については、先ほどもそのように申し上げたかと思うんですが、在京外交団への説明会でそのような説明をさせていただいたというふうに申し上げておるところでございます。

赤松(正)委員 それは、来られた人にそういう説明をして、要するに、来る来ないは別に、各国の在京の大使館には紙を送ったんですね。紙を送ったんですね。

 要するに、こういう内容でやるから来てほしいという意味合いのこと、そして、実際に来られた人には先ほどのような内容を言った。それとは別に、全在京大使館あるいはまた海外における在外公館を通じて等、一斉に発信した文書というのはあるのでしょうか。

松本(剛)国務大臣 後からという形で発信をした文書は保安院の文書がございます。そこに、今申し上げたような趣旨というのが記載をされております。

赤松(正)委員 それは、保安院が右から左に全く同じものをすっと出したわけですか。

松本(剛)国務大臣 外務省で行っている在京外交団への説明会でありますけれども、始めた当初より、それぞれ、保安院を初めとする関係の方々に来ていただいて、いわば説明をしていただくという形をとってきております。やはり所管をしている、担当しているところから直接説明をしていただくのが一番よかろうということで、協力をお願いしてそういう形をとっておりまして、保安院の方がいわば御自身のペーパーで説明をされているということでありまして、私どもとしては、それをすべての在京の外交団にお送りをさせていただいているという位置づけでございます。

赤松(正)委員 それでは非常に、やはり私は、正確を期すという意味かもしれませんけれども、それを踏まえて、よりわかりやすく、的確なる説明というものをいかにするかということが大事だということを一昨日も言ったつもりでありますけれども、さらに丁寧なる説明、的確なる説明というものをやっていただきたいと思います。

 冒頭、人によって変えることはないと言われたけれども、明らかに、後でその議事録を見られたらいいと思いますけれども、要するに、何ゆえに、繰り返してこういう言い方はもうやめますけれども、あの時点で先ほどのような説明をしていただきたかった、このことを申し上げて、次の質問に移ります。

 実は、きょうはまず冒頭に、今回の各国支援のうち、要するに、国連における安保常任理事国の中で、ある種、日本との関係で特別な位置を占める、つまり西欧各国とは違った位置である中国とロシア、この二カ国が今回の震災に対してどういう支援の申し出をしてこられたか、それに対して日本はどういう対応をとったか、中国とロシア、二つに分けて説明をしていただきたいと思います。

伴野副大臣 赤松委員にお答えさせていただきます。

 今般の震災に際しまして、中国からは、緊急援助隊の派遣、テントや毛布等の援助物資の提供といった支援を受けております。

 また、ロシアからでございますが、非常事態省の援助隊の派遣、毛布等の物資や原子炉関係機材の提供といった支援を受けていると承知しております。

 こうした中国及びロシアからの支援に対し、心から改めて感謝を申し上げたいと思います。

赤松(正)委員 今副大臣が言われた、余り早口だったのできちっと理解したとは言えないんですが、今の言い方だと、ロシアと中国は今回の震災に対して救援を申し出て、それを全部受け入れたというふうに聞こえましたけれども。

伴野副大臣 中国、ロシアに限らず、さまざまなお申し出というものがあった場合に、先般もこの委員会でも申し上げたかと思いますが、被災地のニーズに合っているかという観点等々をマッチングさせていただいて受け入れをさせていただいていると承知しております。

赤松(正)委員 いや、そういう、ほかとのどうこうではなくて、今限定して二つの国について言っているわけです。

 中国については、医療隊の受け入れあるいはいわゆる病院船の受け入れというものをやっていないわけですよね。それを断られているわけだから、それを正確に言ってくださいよ。

松本(剛)国務大臣 おっしゃったように、病院船については、中国からは提供の用意があるといった趣旨のお話をいただいているというふうに承知をしておりますが、現段階で、私どもとしては、受け入れ可能なところがあるのであればという思いで、これは中国に限らず、各国の医療支援について、実はまだお申し出をいただきながら実現をしていないものがあるわけであります。

 引き続き医療支援のニーズというものを、私どもとしては、例えばホームページなどにも、医療支援のニーズがあればぜひ連携をとらせていただきたいという呼びかけをさせていただくなどして行っておりますが、結果として、現段階で中国からの病院船の提供ということが実現をしていないという御指摘は、事実でございます。

赤松(正)委員 今、ロシアと中国の二つを挙げましたけれども、要するに、今ある意味、この震災ということが起きて、さまざまなことが論議の対象になっておりますけれども、この東日本大震災が外交という側面で、中国とロシアというこの二つの国家と日本の関係の中で、その関係改善というか、国家間の関係の一つの転機になり得るかどうかということが一つ重要な視点として浮かび上がっているということを、私はきょう少し強調したいと思うんですね。

 中国については、とりあえずきょうは触れませんけれども、ロシアとの関係について、この日ロ関係における震災の問題について、震災対応ということについて触れたいと思います。

 震災外交、これは松本大臣が誕生したということの時点から、松本さんには震災外交あるいは防災外交、こういう役割を積極的に進められる使命がおありなんだということを申し上げました。

 今申し上げた震災外交という表現、これはロシア語でどう言うのか知りませんけれども、私どもが親しくしているロシア関係の学者が、ロシアには震災外交とでもいうべき表現がある、こんなふうに、私どもの公明党が出しているいわゆる理論雑誌に寄せてくれた論文に書いておりますけれども、松本大臣は、この震災外交という表現、ロシアで使われていることについて御存じかどうか。そして、過去の日ロ関係の中で、この震災外交という、言ってみればそういう名に値する事例が、いかなるものがあると思っておられるか、それとも、そういう意識でいなかったと言われるのか、どちらでしょうか。

松本(剛)国務大臣 震災、防災外交という言葉は、直接は私は存じておりませんでしたということは先般もお話をさせていただいたかもしれませんが、ロシアが非常事態省の部隊を迅速に派遣して捜索救難活動を行ったり、緊急人道支援活動などに積極的に取り組んでいるというようなことは、私自身の認識としてもあります。

 やはり、こういった大きな災害における協力というのは、両国間のいわば国民の感情を改善するという意味でも、改善するというよりは、よくするというんでしょうか、向上させる、両国間のいい方向へ向けるという意味でも大変効果があるというふうに思いますし、また、ともに行動することによって両国間の政府の信頼関係が増すという意味でも、外交の面からも大変重要だということを御指摘いただいているとすれば、そのとおりではないかというふうに思っております。

赤松(正)委員 何だか、要するによくわからないことを言われたんですが、そういう表現そのものが、日本的に言うと、僕は防災外交という言い方をしましたけれども、私がきょうこうやって取り上げるのは、法政大学の下斗米伸夫さんですけれども、彼がそういう震災外交という表現を使っているということから、きょう取り上げているわけです。

 彼いわく、大きく言って三つある。一つは安政東海大地震、一八五四年。二つは関東大震災、これは一九二三年です。三つ目は、これはちょっと小さいんですけれども、小さいと言うと怒られますが、新潟震災、これは一九六四年。この三つの事例を挙げて、とりわけ、それぞれその後に日ロ関係に変化をもたらしている。

 一つ目は、いわゆる安政東海大地震というのは、ディアナ号事件と言われている、日ロの関係の中でしばしば、一番原点的なもので、話題になるときに取り上げられるものですけれども、プチャーチンが日本にやってきたそのときに大地震に直面をした。その大津波、今回と似ていますけれども、その安政東海大地震による津波によってディアナ号が大変大きな痛手を受けた。それに対して、日本、当時の下田、戸田、このかいわいにおける救助活動というものが見事な結果を生み出して、その後、日ロ関係の大きな進展に役立ったというふうなこと。

 もちろん、それ以後にいろいろな歴史が日ロ関係にあるわけですけれども、いわば江戸の終わり、その時点での、言ってみれば、大変に不幸な事件をきっかけにしていい方向に進んでいった大きな一つの事象として、この地震がある。

 関東大震災については一九二三年。二年後の一九二五年に日ソの基本条約。日ソ基本条約を結ぶに至った機縁になっているということですね。

 それから、三つ目の新潟震災。これは新潟とハバロフスクが姉妹都市を結んで、地方都市との関係が進んでいった。こういうことが指摘されるわけですね。

 こういう観点で見ますと、私は、この外務委員会においても申し上げたのは、日ロの関係と北方領土の関係で、あの一九四五年の八月十五日から九月二日に至るまでの間に非常に不幸な出来事があった。作家の浅田次郎氏が「終わらざる夏」の中で表現しているような、言ってみれば、どさくさに紛れて当時のソ連は日本を侵略して北方領土を勝手に占領しちゃったという、この観点から、領土の問題に関して、ソ連、そして今のロシアに対しては、私は非常に厳しいまなざしを持って強く言ってきた人間でありますが、同時に、こんなことは外務省の人たちに釈迦に説法であろうかと思いますけれども、外交は複雑な、総合的な、多面性を持ったものですから、同時に一方で、先ほど来申し上げているような震災というものを機縁にして、言ってみれば、関係性をより深め、改善していくという方向に持っていく必要がある、そんなふうに思っているわけですね。

 だから、そういう点で、今回の震災においても、過去の事例、わずか三つだけを挙げましたけれども、そうした意味で、日ロ関係を一方で大きく前進させる手だてとしての震災外交、防災外交が必要だということを言うわけです。

 そこで、今回のロシアの首脳の動き、先ほど副大臣が早口でぱっと言われましたけれども、物資とか医療関係の救援に対する申し出とかそういうものとは別に、ロシアの首脳の動きに、日本に対する今回の震災について明らかに関係改善と見るシグナル、そういうものがあるということを指摘している学者がいますけれども、そうしたシグナルというものについて、それはどの国にもそういうのはありますなんという答え方ではなくて、ロシア限定で、言ってみればプーチンとメドベージェフ、この二人の大統領、首相、この二人の三・一一から今日に至るまでの流れの中で、彼ら二人がとった行動で印象に残っているものがあれば、答えていただきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 この間、震災に対しては大変温かい支援の申し出と態勢をとっていただいているというふうに理解をしております。

 例えば、震災の翌日、プーチン首相が関係政府高官を集めた会議で、日本は長年の信頼できるパートナー、こういう言葉を使い、エネルギー支援の用意を表明した。また、その後、このエネルギー支援については、具体的な形にしていくというような方向でロシア政府側からも話が進められるような方向であるというふうに私どもも報告を受けているところでありますので、実際にどういう条件でどういうふうにするかというのはまだこれからだというふうに承知をしておりますけれども、こういったものなどには私どもは留意をしていかなければいけない、こういうふうに考えているところでございます。

赤松(正)委員 今言われたことも含めて、あと、これは事実かどうかちょっと確認をしたいんですが、三月十四日に菅首相に対してお見舞いの電話をした最初の人物はメドベージェフさんだ、こういう指摘があります。それから、ラブロフ外務大臣が日本大使館前で追悼の行為を行った、これは非常に特筆されるべき行動であるという点。あるいは、プーチン首相が三月十五日に、サハリン2の実現を急げ、こういう発言をした。そして三月十九日は、サハリンへ十年ぶりに行って、対日支援とエネルギー協力をうたった。

 今、四つのことを申し上げましたけれども、菅首相へのお見舞い電話、最初はメドベージェフさんだったということも含めて、今の四つについて、そういうことがあったということを掌握しておられるかどうか、大臣。

松本(剛)国務大臣 我が国が受けた最初のお見舞いということですか。

 一番最初は、多分、日米ではないかというふうに思いますが、メドベージェフ大統領からも、首脳間で電話があったということは事実でございます。

赤松(正)委員 それ以外の問題については認識しておられるんですか。外務大臣ラブロフさんのこととか、あとプーチンさんの二カ所、サハリン2に対する発言とか、あるいはサハリンに行った、この辺のことについてはいかがですか。

松本(剛)国務大臣 今おっしゃったお話は、対外的なところでおっしゃったものについて、サハリンへ行かれたこととか、そちらでの発言等については、私どももさまざまな形で確認をさせていただいています。

 また、ラブロフ外務大臣については、三月の十四日の日であったと思いますけれども、私自身がG8の会談の場面で並行して二カ国の会談をさせていただきましたが、そのときに、御自身、既に追悼の意をあらわしてきたということのお話をいただき、また大使館からも報告を受けておったような状況でございました。

赤松(正)委員 ですから、たくさんの国があって、それこそ日本との関係の中で、さまざまなそういう哀悼の意であるとか支援の志とか、いろいろあろうと思うんですね。それがある中で、別にどこかの国を特別視するという意味合いではなくて、より大きな関係を持っている国家に対しては、より一層しっかりとしたまなざしでもって見ていかなくちゃいけない、そんなふうに思うということを今言っているつもりであります。

 同時に、あと私が最近おもしろいなと思ったのは、ロシアには二つの小説がある。一つは「ツナミ」という小説、もう一つは「ツシマ」という小説。「ツナミ」と「ツシマ」、これは非常に日本語の発音が似ている二つの言葉でありますけれども、「ツナミ」というのは日本題じゃなくてロシアの原題で、日本の本、私はこの本は読んだわけではありませんが、きのう国立国会図書館で見ましたら随分太い本で、日本名のタイトルは「北から来た黒船」というタイトルになっています。

 これは、先ほども少し申し上げましたディアナ号で日本に来たプチャーチン提督の、ディアナ号で津波に遭って破砕されたけれども、しかし日本との協力の中に新しいヘダ号を建設して日ロ関係の和解をつくっていった、こういう小説の中身なんですね。「ツナミ」。

 一方、「ツシマ」というのは、これは、バルチック艦隊が日本に沈没させられ、艦隊が絶滅させられたという流れの中で、このバルチック艦隊に乗っていたノビコフ・プリボイという人の書いた小説で、スターリン時代の初期に書いた小説だそうです。これは「ツシマ」。この小説は、言ってみれば日露戦争の復讐、こういう観点から描いた小説。

 だから、この「ツシマ」と「ツナミ」、これは冒頭でも少し申し上げましたけれども、日露関係における二つの側面、要するに、片や日露戦争を忘れるなという側面、もう一方は、日本とロシアの関係の中で、プチャーチンが日本に来たときに、津波に遭って大変お世話になった、その後、日本はプチャーチンからさまざまな造船技術を学んで、そして、その後の日本の造船に大きな反映をしていったというふうな、ある種、両局面の出来事を描いた「ツナミ」と「ツシマ」。この二つの、言ってみればロシアの日本観を形成するような小説、この存在というのは、私は非常に意義深いというか、おもしろいなというふうにして読んだというか、読もうとしているというか、入り口にいるわけですけれども、こうした二つの側面。

 最近では、さっき言いました、そういう領土問題に大きく突っ込んでいく中で、終わらざる夏というふうな非常に厳しい受けとめ方がありますが、一方で、ロシアは非常にそういう優しい心根を持った人が大勢いる国家である、こういうふうなとらえ方、この両方のロシアにおける対日観というものをしっかり踏まえた上で外交をうまく展開していかなくてはいけない、そういうふうに思いますが、改めて、今申し上げたようなことについての御感想があれば、外務大臣に聞かせていただきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 先生がお話しいただいたことは、もう外交すべてにも通ずることであろうと思っておりますが、特にロシアの国と我が国というのは、大変距離としては近い国でありますし、また、いろいろな面での利害というのが交錯する。重なるところもあれば、また利害が衝突するところもあるという意味で、大変外交においては重要な課題であるという認識は、先生の御指摘のとおりではないかというふうに思っております。

 その中で、先ほど二つの小説を御紹介いただきました。私どもも、先生の御示唆で、そういった小説が二つあるということを私自身も知るところとなりました。読書については先生の足元にも及ばないところでありますけれども、ぜひ機会を見つけたいと思っておりますし、この二つの方向性をどのように組み合わせて、関係を改善すると同時に課題を解決していくのかという御示唆をいただいたものだというふうに思っておりまして、ぜひ私自身も、改めてそういったことを整理しながら、今後の戦略をさらにしっかりと立てて臨んでいきたい、このように考えておるところでございます。

赤松(正)委員 二十一世紀になる直前に就任したというか、プーチンさん、二〇〇〇年から今日に至るまでの十一年、プーチンの時代から今メドベージェフさんと、二人の両頭立てということになっているわけですが、ロシアが今アジアにシフトをして、大きくこのアジアの、言ってみれば石油経済外交というんでしょうか、そういう側面を非常に強めている。日本も、民主党の政権が誕生する時期と相前後して、ロシアとの関係、原油の輸入というのはかなりふえてきているということがあります。中東依存から、ロシアとの石油輸入をめぐっての関係強化というものが出てきているわけで、そういう点でも、今回の震災のちょい前の段階では、先ほど来繰り返しておりますように、メドベージェフ氏の国後島訪問であるとか、北方領土に次々とロシアの要人が行って、それに対して我々が非常に神経をとがらせる、そういう事態が続きましたけれども、先ほど来申し上げているように、こういう事態を迎えて、ロシアとの関係というのは非常に大事だということを強調したいと思います。

 最後に、昨日、冒頭申し上げた山下先生との懇談の中で、山下さんは、チェルノブイリに二十年行って、いろいろと共同で、ロシアの人たち、世界じゅうの放射線の研究家と一緒の共同作業をしてきました。それで、日本が、この東京電力福島第一原子力発電所の問題で今まさに塗炭の苦しみを味わっている、このときに、山下先生がまさに仁王立ちのようになって頑張っている。

 これって、ロシアからぜひ協力をしたいという申し出はありませんかと聞いたら、いっぱいあるんです。いっぱいあるんだけれども、今の日本政府は、私は今の時点では、ある意味、しようがないなと思います。つまり、日本は独自でやりますというので、そうした支援の申し出を全部断っている。これは、やはり余り好ましいことではないと。

 いや、一カ月ですから、それは何でもかんでもというわけにいかなかったんだろうと思いますが、ぜひとも、これから先は、そうしたロシアとの関係という面においても、チェルノブイリ、そして福島、この二つの地域、日本とロシアという流れの中で、放射線事故というものをめぐって両国の関係を大きく深化させていくためにも、その山下先生、きょう官邸に呼ばれていろいろな懇談をされているそうですが、そうした、今申し上げたロシアとの放射線医療の共同、協力、これについて、ぜひ前向きで取り組むべきだと思うことについて、御答弁をいただきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 山下先生は、ちょっと今正確な会の名前を私も記憶していないんですが、原子力の今回の賠償に関する委員としても政府にも御協力をいただいているお立場だというふうに承知をしておりまして、その意味で、私どもも、山下先生の御意見もしっかり受けとめてまいりたいというふうに思っております。

 結果として実現できていないではないかということも含めて、赤松理事から御指摘を受けた点は努めていきたいと思っておりますが、原子力について、少なくとも私ども外務省がかかわっている中で、日本だけでやるからいいという考え方を持ったことは一度もありません。これについては、何としても、全体の、世界の知恵をかりてでも早く収束をさせなければいけない、こう考えているところであります。

 今、放射線医療についてということで具体的にお話があったものと思っております。放射線医療についても、私どもとしては、しっかりと国際的な協力の中で必要なニーズが満たされるような形をとりたい、こう考えているところでございます。

 幾つかの点から、支援を断っている、日本だけでやると言われているではないか、こういったようなお話が聞こえてまいりますので、どこでそのように私どもの基本的な考え方とずれたのかということも含めて、今後しっかりまた受け入れられるようにするのも私ども外務省の務めだ、このように思っております。

赤松(正)委員 済みません、今言ったのは、放射線医療における、ロシア、チェルノブイリに従事している医療従事者からの協力申し出、それについて、今は自力でやりたいというふうな形になっている、こういうことであります。

 以上、終わります。

小平委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 冒頭、一昨日の当委員会で、私が、大震災前に政府が目指していたTPP交渉への参加の問題について、六月をめどに決めていくという方針は根本から見直してやめる、まず被災地の復旧復興に最優先で全力を挙げるべきだと、一度に質問いたしました。ちょうどそのときに、衆議院の経済産業委員会では海江田経産大臣が、東北地方の農業が被害を受けて、農業の再生の計画が立たない、こう指摘をされまして、六月に結論を出すことは無理だろうという答弁をはっきりされております。

 そこで、篠原農林水産副大臣にお越しいただきました。今回の東日本大震災での農業や漁業の甚大な被害に照らして、再生計画というのはいつごろまでにできるというふうに今お考えなのか。それとの関係で、六月をめどにTPP交渉参加の結論を出すということができるというふうにお考えかどうか、その二点を伺いたいと思います。

篠原副大臣 再生、復興のプランということでございますけれども、きのう会合が開かれております。あの会合も大事だと思いますが、我々は、どうやって再興していくかということを着々と考えております。

 先週の日曜日に、菅総理に随行いたしまして石巻に行ってまいりました。被害の度合いが今までの震災とちょっと違うのではないかと思っております。ゼロからのスタートということをよく言われますけれども、漁船が二万隻ほど被害を受けております。二万隻というのは、全日本の漁船全体の一割を超えております。こういった状況です。それから、漁港も瓦れきでほとんど埋まっていて、ほとんど近づけない、そういった状況でございます。ですから、二カ月、三カ月、あるいは一年で、かつての漁業で活況を呈するような町にはとてもできないのではないかと思っております。

 それで、TPPの関係でございますけれども、今、日本国政府がどういう状況かといいますと、未曾有の震災、地震と津波、そこに加えて原発があります。この三番目のものが非常に不安感を与えているのではないかと思います。こういった状況でございますから、我々は全力を挙げて復旧復興に専念すべきときではないかと思っております。

 TPPにつきましては、昨年の十月一日の総理の所信表明の中にありまして、それ以降、情報収集に取り組んでまいりました。この関係については、政府全体として判断されるべきだと思います。

 しかしながら、私個人というか、農林水産省の立場を申し述べさせていただきますと、一昨日のODA絡みの御質問、小野寺委員が外務大臣に聞いておられました。外務大臣は、前任者の方々と比べまして非常に抑えた答弁をされて、名答弁ではないかと思います、ODAについて、削減は望むところでないことは申し上げるまでもないということを言っておられました。私からいたしますと、TPPへの参加などというのは、こういった不安な状況を抱える東北の農家、漁家の皆さんの気持ちを考えた場合、それに思いをはせた場合には、とても望むところではないということではないかと思います。

 したがって、私は、鹿野大臣ともそういうことを話しておりますけれども、復旧復興に全力を挙げるべきであって、TPPのことを考えていたりする余裕はないのではないかと思っております。

笠井委員 本当に甚大な被害の現状から、本当に大変な事態であるということも含めて、農水省のお立場も今触れられました。海江田大臣も、そういうことがあるからこそ、経産委員会でもやはり、経産大臣としても無理だろうという話になったと思うんです。

 松本大臣は、一昨日の答弁で、TPP交渉の参加について、今情報収集の結果としてどうするかということを議論していると承知しているというふうに言われたわけですけれども、同じ日の経産委員会で海江田大臣の方は、今TPPに対して政府の中での議論がストップした状況だというふうに答弁されております。これは答弁にありますからね。また、松本大臣は、交渉参加するかしないかを決定するのが六月だというふうに答弁されましたが、海江田大臣は、六月に結論を出すのは無理だろうというふうに言われているわけですね。

 閣僚の中でもこうなっていて、農水省あるいは経産省のサイドでは、無理だ、もうそういう状況じゃないというふうに言われているわけです。

 被災地と被災者の生活再建、とりわけ今被害が深刻になっている農業、漁業、これを本当に復興、再生する計画をしっかり立てて、そして復旧復興を最優先にするというのが今政府としてとるべき立場じゃないか、大震災に直面した日本政府の閣僚の最重要任務じゃないかと思うんですが、大臣として、やはりこれは無理だ、最優先にしてやるのは復旧復興のために農業、漁業を何とかしなきゃいけない、そこに全力を傾注するのが今だということはおっしゃらないんでしょうか。

松本(剛)国務大臣 被災地の支援、そして農業、漁業、林業、さらには経済全般を立て直す、このことに専念をするのが閣僚の責務だということは、おっしゃるとおりであります。

 その上で、私はそのときの答弁でも申し上げたと思いますが、経済を再建していく復興の道筋の中でどのようなものがあるのかという中で、経済連携、そしてその中の一つとしてTPPをどう位置づけるのかということを議論するというお話だというふうに理解をしております。

 また、六月という時期がTPPについて、交渉参加について一つこれまでも言われてきましたのは、TPPは私どもひとりでやるものではありませんで、各国、既に九カ国がTPPについて議論を進めておるわけでありまして、一つの節目をどこへ設けるかということで、ことしの十一月のAPECもTPP議論の一つの節目だとこれまで推移をしているところでありますから、そういったことから考えますと、交渉参加をするかどうかということを判断する一つの時期としてことしの半ばというのがあるのではないかとこれまで申し上げてまいりましたし、そのような認識は今でも変わっていないということは政府内でも申し上げているところでございます。

 なお、TPPについて、今、笠井委員は被災地の皆さんにということでおっしゃいましたけれども、私どもとしても、交渉参加の結果として、それは農林水産業を含む日本の経済に資するものであるかどうかということは、その後の交渉をさらに前へ進めるかどうかの重要な論点でありますので、そのことも含めて我々は判断をしたいというふうに申し上げているということでございます。

笠井委員 私は、本当に農林水産に責任を負っている省庁、それから経済産業という中身でいえば、両省の大臣や副大臣がとてもそんな状況じゃないと言われているのに、震災前のことでやってきたからやるんだ、そのスケジュールはまだ変えないんだなんて、外務大臣が交渉に当たってというのは、どういう立場で交渉に当たっているのか、本当に根本が問われると思いますよ。なぜそこまで固執されるのか、私は本当に理解できない。

 私、前回取り上げた、ことし一月の日米貿易フォーラムの政策対話部分の発言案というのがありましたけれども、これを見ますと、TPP協議に臨む日本政府の姿勢について、我が方としては米国を含む関係国との協議を着実に進め、我が国が高いレベルの経済連携を目指す意思と能力があることを示したいと、米側には加盟に向けた意思表示をしていたということでありますが、要するに、対米約束してきたということで、大震災があろうと六月をめどに交渉参加を決めないといけない、こういうことなのかということになります。

 被災地の生産基盤が甚大な被害をこうむって、打撃をこうむって、被災者はもちろん、日本の農漁業、経済が立ち直れるかどうかの重大な岐路にあるときに、あくまでTPP交渉の相手国、九カ国あるとか、あるいはアメリカに気遣って、そして大震災を受けた日本がこういう状況にあるのに政治決断できないとすれば、これは大問題だと思います。閣僚として今最も気遣うべきは被災者の生活再建ですし、国民あってこその外交でありますから、これは本当に根本から、外務大臣、考え直してTPP交渉参加は断念すべきだと強く申し上げたいと思います。いまだにそういうことをおっしゃっているというのは恥ずかしいですよ、世界に向かって。

 では、時間がありますから、以上で終わります。どうせまた同じ答弁をするんでしょうから。違うというんだったら言って結構ですが。

 次に行きます。(松本(剛)国務大臣「すぐに終わりますから、いいですか」と呼ぶ)では、どうぞ、言ってください。

松本(剛)国務大臣 短く申し上げますが、高いレベルの経済連携を進めるというのは、私どもが政府の中で日本のために議論をして決め、日本のためにプラスになると思って、これを主権国家として堂々とアメリカを初めとする外国に申し上げているということでありまして、圧力で申し上げているわけではありません。

笠井委員 私、圧力なんか言っていないんですよ。圧力なんか一言も言っていないんですよ。対米、アメリカに言っている、そういう意思表示をしたからじゃないかというふうに言っているんだよ。何も圧力と言っていないんです。日本のためというなら、やることが違うでしょうということを言っているわけであります。

 次に行きたいと思います。

 篠原副大臣、ありがとうございます。テーマが変わりますから。

 次の問題で、今回の福島原発事故の危機収束とともに、今こそ安全最優先の原子力行政への転換、日本全国にある原発の総点検が求められると思います。日本をめぐる原子炉といえば、さらに米軍の原子力艦船の安全性の問題がございます。横須賀を母港とし、二基の原子炉を持つ米原子力空母ジョージ・ワシントン、これはこの間も放射能管理を必要とする作業とか定期修理というようなことをやってきている問題がありますけれども、これが、この震災後、あるいは原発事故後、避難措置ということも言われて、四月五日から六日、十二日に佐世保の基地に入港しております。

 これまでも、寄港、母港化そのものに強い反対があった上に、今回の原発事故を目の当たりにして、横須賀や佐世保、沖縄ホワイトビーチや、これまで民間港湾に入港してきた関係自治体や周辺住民が、米艦船の原子炉は大丈夫だろうか、事故が起きたらどうなるのかということで不安を募らせているのは、私は当然のことだと思います。

 そこで、伺いたいと思います。日本政府は、一九六四年八月以降から原子力潜水艦、一九六七年の十一月以降から原子力水上艦の寄港を認めてきておりますけれども、寄港に当たって、原子力艦船の安全性について、日本政府は何に基づいてそれを担保してきたのでしょうか、安全だということについて。

伴野副大臣 笠井委員にお答えさせていただきたいと思います。

 米国は、一九六四年のエードメモワール、そして一九六四年の外国の港における合衆国原子力軍艦の運航に関する合衆国政府の声明、さらには一九六七年のエードメモワール、二〇〇六年のファクトシート、二〇一〇年の空母ジョージ・ワシントンのメンテナンスのための放射能にさらされた固形廃棄物の横須賀における移送に関する合衆国政府からの説明等に示されましたコミットメントに従いまして、我が国におきまして原子力艦船を運用しており、その安全性には万全を期しているということでございますが、我が国政府といたしましては、累次にわたり確認をしてきているところでございます。

笠井委員 幾つかのこれまでの合意文書、あるいはファクトシートという問題にも触れられまして、それに基づいて安全性が確保されているという話でありました。

 その中で言われた、一九六四年八月の合衆国政府の声明というのがありますけれども、その中ではこうあります。「合衆国の港における運航に関連してとられる安全上のすべての予防措置及び手続が、外国の港においても厳格に遵守されることを保証する。」と言っております。同じ年に米側が示したエードメモワールでは、通常の原子力潜水艦の運航は、それに適用される安全基準によって、少なくとも陸上原子炉と同等に信頼することができる安全性を有するものとなっていると記述されております。

 要するに、米側が安全を保証するから大丈夫だと。日本政府もそれを信頼して、大丈夫と言ってきた。しかし、原発は安全だから大丈夫ということが通用しないというのが今回の事故であります。しかも、陸上原子炉と同等の信頼を得られるから大丈夫というのに、陸上の原子炉の問題が、この間、スリーマイルやチェルノブイリや、そして日本の今回の事故であるわけであります。

 私は、そういう点でいうと、今回の福島原発の重大な事故、まだこれは進行中であります。収束していない。そういう状況に直面したもとで、この原子力艦船の入港あるいは寄港に当たっての安全性についての対応についても、少なくとも見直す必要があるんじゃないかと。これまでそう言ってきたということだけじゃなくて、さらに必要なことがあるんじゃないかとか、見直す必要があるんじゃないかということの必要性について、大臣、どのようにお考えでしょうか。

松本(剛)国務大臣 福島第一原子力発電所の事故は私も大変重大に受けておりますので、現在進行中ではありますが、ぜひ、これをしっかりと検証することによって、どこに問題があったのかということをできるだけ早い時期に解明されるようにしていきたい、このように考えておりまして、その結果として、今後、陸上も含めて、原子炉に対してどのような対応が必要なのかということが早く明らかになることが望ましいというふうに思っております。

笠井委員 要するに、アメリカの原子力艦船についても、安全性について必要なことについて検証、見直しが必要だということですね。含めてということですね。それを聞いているんですよ。

松本(剛)国務大臣 どういうことが原因であるかということがわかりましたら、何を対象に、どのような対応をする必要があるかということもわかってくるというふうに考えております。

笠井委員 ですから、アメリカの原子力艦船は原子炉を積んでいるわけですから、これについても必要な見直しも行っていくということがあるなというのは、当然必要ですね。ある、いいわけですね。

松本(剛)国務大臣 原子炉の構造も仕組みもあり方も、また安全の保持に対する考え方も、ある意味では全く違うわけでありますけれども、共通する部分もあれば異なる部分もあるわけでありますから、まずは福島第一の検証の結果を見てみなければいけないということを申し上げているということでございます。

笠井委員 原子力艦船の寄港に関連する自治体や住民は、これまでも、旧来の対応に納得せずに、繰り返し安全性の具体的な担保をするように求めてきたわけでありますが、日米両政府は真摯にこたえてこなかった。

 そうした中で、原子力空母ジョージ・ワシントンが二〇〇八年九月から横須賀に寄港することになって、二〇〇六年四月に米側がようやく明らかにしたのが、先ほど副大臣が言われたファクトシートであります。

 しかし、松本大臣、今、性能とか安全、全部違うというようなことも含めて言われましたが、このファクトシートの内容を見ますと、四重の防護壁、異常の早期探知、異常の拡大を防ぐ複数の安全システムがある、だから原子炉事故、炉心の損傷、艦外への放射能漏出は極めて想定しがたい、だから安心してくれというふうに書いてあるわけですね。

 福島の原発事故を見れば、そうした想定しがたいという、そういうことが今もうだめになっている、それが問題になっているわけですから、アメリカ側が想定しがたいと言っていて、原子力艦船については大丈夫だと言っていたことについて、そういう言い分だけで安全性を担保できないということは明らかじゃないかと思うんですよ。

 だから、アメリカに対しても、しっかり原子力艦船の安全性について総点検し直せということは提起が必要なんじゃないですか、日本国民の安全、安心を考えたら。

松本(剛)国務大臣 もう笠井委員はよく御承知だと思っておりますので、内容について詳しく申し上げることはありませんけれども、米側、米軍からも、しかるべく、米国艦船の原子炉の安全確保のやり方というのは、科学的内容も含めて説明を受けております。

 これは例えば、設計に際して用いられる地震衝撃負荷が商業炉とどのぐらい違うのか、十倍以上に当たるであるとか、また、予備システムの一例としての原子炉の崩壊熱除去システムというのが、電力に依存するのではなくて、物理的構造と水自身の特性のみによって炉心を冷却するようになっているとか、そういうことが既に情報として与えられていることは確かであります。

 現在のところ、その説明に対して私どもから直接申し上げなければいけないことがあるとは思っておりません。すなわち、説明は理解できるものと思っておりますが、福島第一原子力発電所の検証が行われたものをよく見てその後の対応については考えたいということを申し上げているところでございます。

笠井委員 私、安保の考えや原子力艦船の入港問題については立場は違いますよ。しかし、福島原発の問題というのは、五年前に吉井議員が国会でもただして、津波対策をしなかったら電源が切れて大災害になりますよと警告していたんですよ。それにもかかわらず、無視して何の対策もとらず、そして見直しもせずに、こんな事態になったんですよ。

 あなた、きちっとアメリカに対しても、アメリカの説明で大丈夫だからなんて言わないで、少なくとも、こんな事故があったからアメリカとしても原子力艦船の安全性についてきちっと再点検してくれぐらい言わなかったら、後で取り返しのつかないことになりますよ。それでいいんですか。

松本(剛)国務大臣 日本の外務大臣として、日本国民の安全を守る責任はしっかり果たせるように努力したいと思っております。

笠井委員 なぜ、はっきりそういうことが言えないのかね。抽象的な話しかしないんですが。

 ファクトシートを見ますと、米原子力軍艦の運航を通じて、人の健康、海洋生物、環境の質に悪影響を及ぼすような放射能の放出は一件も発生していない、原子炉の炉心から漏出した放射能が艦船から環境に放出される可能性は極めて低い、こういう説明なんですよ。

 大臣が言われるのは、そういう説明で納得しちゃったという話だけれども、しかし福島原発の事故があった。しかも、アメリカの艦船をめぐったって、アメリカの原子力巡洋艦のカリフォルニア乗組員が被曝した一九九五年、アメリカの原潜アーカンソーが放射性蒸気を放出九六年、アメリカの原潜ポーツマスの作業員が被曝した九七年、事故は起きているわけです。

 日本でも、横須賀に寄港した米原潜ホノルルが放射能漏れ二〇〇六年九月、佐世保に寄港した原潜ヒューストンが日本海域で放射能漏れを起こしていた二〇〇八年八月、それが周辺住民の不安を呼んできたわけであります。

 今回の東日本大震災による津波でも、グアムにいた原子力潜水艦二隻が港内を漂流した。佐世保に寄港したことがあるロサンゼルス級の原潜ヒューストンのスクリューが損傷をして、まかり間違えば重大な事故になりかねない事態も明らかになっているわけです。

 大臣、原子力潜水艦の安全性について、これまでの米側の説明に頼るというんじゃなくて、日本政府として主体的に、日本国民の安全、安心を保障する立場から、アメリカにも、改めて点検が必要じゃないか、日本政府としても主体的に総点検にかかわっていく、これぐらいのことをやらなかったら、大変なことになったらどういう責任をとるんですか。それぐらいは、外務大臣としての職責を果たしますと言う中身として、少なくともこういうことは言いますよ、あるいはやりますよというぐらいはおっしゃらないと、今回の事故に対する重大性というものの認識が問われますよ。いかがですか。

松本(剛)国務大臣 長いファクトシートを全部読んでいる時間はないと思いますが、委員がごく一部を今ピックアップされて読まれましたけれども、このファクトシートそのものについても私も全部読ませていただきましたけれども、その説明の中でも、さまざまなケースも含めてこのファクトシートの中でも議論されているというふうに理解をしております。

 また、私どもとしても、政府としても、例えばモニタリングを行うなどしかるべき対応を行って、我が国国民の安全を確保するということにはもちろん、最も重要な責務として責任を果たしていかなければいけないというふうに思っているところでございます。

笠井委員 私もファクトシートはしっかり読みましたけれども、一部を取り上げたと言っているけれども、ちゃんとそういうことは書いてあるんですよ。だって、想定していないと言っているんですよ。だけれども、想定していないことが、今まで言われたようなことで、実際、対策をとらずに起こったのが福島でしょう。だから、とらわれずに、どんな事態があってもということで対応しなかったら大変なことになるんですよ。

 今、モニタリングのことを言われました。米原子力艦船寄港に係る日本政府独自の体制として、放射線測定モニタリング調査があるということですが、実態はどうか。

 この問題は、私、ちょうど一年前の四月十四日、昨年、当委員会でただしました。横須賀、佐世保、沖縄ホワイトビーチでは、モニタリングポスト及びモニタリングボートによって、海上、陸上における空気、水、海底の泥のサンプルを採取して、放射能漏れがないかどうか、それの調査を実施しているというものであります。

 しかし、このモニタリング調査も、艦船から五十メートル以内の空中モニタリングは禁止という措置となっている。五十メートル以内で特別に実施しようとする場合には、留保事項ということで、それを認める権限がアメリカ側にゆだねられている。そのことを取り決めた秘密合意、密約が存在するということが、二〇〇七年に我が党が調査した米解禁文書の中で明らかになった。

 昨年の当委員会での私の質問に対して、当時の岡田外務大臣は、そういうものは存在しないとしながらも、アメリカにそういったたぐいの資料があるとすれば日本側にもあったと類推はできる、そういうことを含めて、調査、情報公開、省内でどういうやり方でやっていくかを議論していきたいと言われました。武正副大臣は、本件に関しては適切な形で説明責任を果たしていくようにさらに努力したいと答弁しました。

 あれから一年たちましたけれども、日本にもあったと類推できるような、そういう資料が日本にもあったかどうか調べたのか、この問題でアメリカに問い合わせしたのかどうか、確認したいと思います。

松本(剛)国務大臣 もう時間がありませんからあれですけれども、先ほどのファクトシートも、委員は想定していないとおっしゃいましたが、私が読んだ文書は、想定しがたい、そして想定しがたい場合も、どうなるかということも記載をしてあったというふうに記憶をいたしております。

 先ほどのお話でありますが、岡田大臣の当時の答弁、情報公開というのをこれから進めていかなければいけないということをおっしゃっている中で、同時に、

  問題は、あの密約調査というのは六カ月かけて、特に前半の二カ月間は外務省じゅうの資料を調査して、そしてあの調査結果を出したものでございます。かなり大きな作業になります。したがって、これからさまざまな情報公開、三十年以上たっているものについてやっていくときに、どういう優先順位でやっていくのかという問題が出てまいります。

  委員の御指摘、アメリカにそういったたぐいの資料があるということですと、日本にもあったのではないかという類推はできるわけですけれども、そのためだけにもう一回全部調べるというのはなかなか難しくて、これから固まりとしてどういうものからまず徹底的な情報公開をしていくか、情報公開の前提として資料をまず集めるかということが省内であるわけです

こういうようなお話をしておりまして、先般、私自身も核のドイツとの話についての資料の公開にも多少携わりましたけれども、今、順次資料の公開を進めさせていただいているところだというふうに考えております。

笠井委員 想定の問題で言葉じりみたいな話はやめてもらいたいんですよ。あれだけの事故があったから、想定していなかったような、それが低いとかということについても見直さなきゃだめだというのが今の問題でしょう。

 そして、今の調査の問題でいったら、一年たってやっていない、いっぱいあるからできないと。だって、武正副大臣はちゃんと、本件に関しては適切な形で説明責任を果たすように努力したいと言ったんだから、何もやっていないということじゃないですか。こんなことばかり続けていたら、事が起こったら大変ですよ、立場が違うけれども。なぜ日本政府はこの密約を認めようとしないのか。

 もう時間になったから私は終わりますけれども、この秘密合意をめぐる交渉経過を示した文書に、密約をまとめた米国務省の東アジア局の日本課のドーキンズ氏のメモがあります。ドーキンズ・メモと言われますけれども、一九七一年。その中で、日本のモニタリング手続は政治的動機によって編み出されたもので健康や安全とは余り関係がない、原子力推進艦船の寄港をめぐる大衆的不安が生み出した政治問題を解決するよりは、大衆の恐怖や不安を刺激してそれを持続させる役割を果たしており、米海軍の日本寄港計画に損害を与えている、ここまで言って、五十メートル以内で空中モニタリングを行えば原子力推進装置の秘密データを知らせることになる、だからできないんだなんて話もしているわけですよ。

 こんな重大な問題を一年間ほっておいて、そして原発事故があったけれども、まだ再点検もしていない、アメリカにも申し入れない。日本としても真摯に、ちゃんとそういう原子力艦船の安全性について調べようとしない。こんな態度では、本当に国民に対して責任を持てませんよ。

 私は、それらを含めて、今回の福島原発の事故を踏まえて、この際、原子力艦船の安全性に関するこれまでの対応を総点検して見直すべきだ、しっかりやってもらいたいということを求めて、質問を終わります。

小平委員長 次に、服部良一君。

服部委員 社会民主党の服部良一です。

 前回の委員会で放射能汚染水放出問題について質疑をさせていただきましたけれども、私自身、どうもまだ納得がいきませんので、きょうも引き続きこの件で質問を行います。

 一九九二年、ロシアの日本海への核廃棄物の投棄問題に対して、外務省はロシア大使を呼びつけて抗議をしたということは、前回申し上げました。今、笠井委員の方からもありましたけれども、二〇〇七年にはアメリカの原子力潜水艦のヒューストンからの冷却水漏れ事故がございまして、これは沖縄でも大変大きな問題になりました。

 若干余談なんですけれども、外務省が「米海軍の原子力艦の安全性」という、これはリーフレットというんですか、出されているわけですけれども、この中に、チェルノブイリのような事故は絶対に起こり得ない、それで、そこに、ロシアに対して嫌みというか批判で、「想像を絶する安全文化・モラルの欠如」と書いてあるんですね。これは本当に、今回はね返ってきますよ。ちょっとそれは余談でしたけれども。

 いずれにしても、このとき外務省としては、事案の軽重にかかわらず、いかなる場合であっても、ということは、すなわち放射能漏れのおそれがない場合であっても、その安全性に関する通報がある場合には、関係省庁、関係自治体に遅滞なく連絡、通報するというふうに決めておられます。

 そういう点からしますと、今回、放射能を出す側になった政府の対応には、政治の顔が見えないというふうに私は思っているんです。そもそも、国民への告知の第一報が何で東京電力だったのか、これもちょっと理解ができないわけですね。

 経産省にお聞きしますけれども、今回の放出は、原子力災害対策本部は、事務局長は保安院長ということのようですけれども、協議決定をされたんでしょうか。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の、そもそも低レベルの汚染水の放出につきましては、ピットからのほかの高レベルの汚染の水の漏出がとまらない、そういう状況の中で、四日の朝、緊急のやむを得ない措置といたしまして放出を実施したいという、東京電力よりの連絡をまず受けました。その後、原子力安全・保安院の方では、東京電力の方から、今回の海洋放出が必要となった背景、それが環境にどういうふうな影響を与えるのか、あるいは、その後の放出の考え方といったことにつきまして逐次連絡、情報を受けながら、経済産業大臣の方にも御報告し、了解をいただきました。その間、総理、官房長官にも御了解を得ながら具体的な決定をいたしましたというのが経緯でございます。

服部委員 質問に答えていただきたいんですけれども、原子力災害対策本部としての協議決定を経たんですかということを私はお聞きしているんです。もう能書きはいいですから、単刀直入に。

中西政府参考人 先ほど一連のプロセスの中で、最終的な判断といたしまして、原子炉等規制法に基づいてこういうふうなアクションをとるというようなことを経済産業大臣が決定をいたしました。その過程におきましては、繰り返しになりますけれども、総理あるいは官房長官の御了解もあらかじめいただいてございます。

服部委員 官房長官は、何か十六時の定例の記者会見のちょっと前に連絡を受けたというような話もありましたけれども、放出の意思決定というのはだれが責任者としてされたんですか。菅総理には何時の時点で連絡があったんでしょうか。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の件につきましては、繰り返しになりますけれども、最終的には原子炉等規制法に基づきまして、緊急避難的な措置ということで経済産業大臣が決定をいたしているところでございます。

服部委員 委員長、もうちょっと質問に答えさせてほしいんですけれども、菅総理には何時に連絡されたんですかというんですよ。

小平委員長 中西さん、そこのところを明確に答弁してください。

中西政府参考人 具体的な日時につきましては、申しわけございません、現在は手元にはございませんけれども、いずれにしましても、最終的な判断をやる場合には総理の了解をいただいているというふうに承知してございます。

服部委員 事前にちゃんと通告しているわけですから、何かそんな、ちょっととぼけたような返事をしないでほしいわけですけれども、結局、原子力災害対策本部としては協議していないということでしょう。協議しておれば全大臣が参加することになっているわけですよ。ところが、農水大臣知らない、厚労大臣知らない。

 だから、政治が一体だれの責任で本当にこういう重大な問題を決断したかということなんですが、その際、原子炉等規制法に基づいてという話が出ましたけれども、国際条約を考慮されたことはありますか、この決定過程の中で。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 国連海洋法条約では、先生も御案内のとおり、いずれの国も海洋汚染を防止する一般的義務を負っているということから、放射性物質による汚染を当然防止するというようなことは承知してございます。

 このような観点で、実行可能な最善の手段を用いながら、かつ、自国の能力に応じて、仮にそういう汚染物質を放出するときにも、最小にするための措置をとるというようなことを踏まえながらやることは、一応認識してございました。

服部委員 国連海洋法条約とかそういう条約の存在は認識をして、それを一応踏まえたという理解でいいわけですね。それを検討したという理解でいいんですね。ちょっと明確に答えてくださいね。

小平委員長 中西君、そういうルールがあることはいいんですが、今回どういうふうにしたかということの質問なんですよ。それを明確に答えて。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 事前の判断の中に、そういうふうな各海外とのいろいろな約束、そこについての事前のちゃんとしたサーベイがあったかどうかということにつきましては、現在のところ、我々としては、やむを得ない判断、処置だった、緊急避難的な放出だったというふうに認識をしているところでございます。

服部委員 こういうのを官僚答弁というんですかね。要するに考慮していないということでしょう、今の答弁は。もし考慮しているんだったら、これは条約ですから、外務大臣、当然外務省に事前に、こういう条約があるけれどもどうですかというような協議があってしかるべきだと思いますけれども、外務省にはそういう相談はあったんですか。

 また、外務省は、実際にこの十六時のブリーフをされていますけれども、その前段で、この海洋法条約について、違反するかしないかの検討はされたんでしょうか。

松本(剛)国務大臣 結論から申し上げれば、十五時三十分に第一報、情報を得たわけでありますけれども、その時点で、東京電力から低レベル放射能汚染水を排出するという発表があるという連絡、情報を得たところでありますけれども、その時点で、条約についての適否などについては検討が行われたという状況ではありませんでした。

 また、私のところに第一報があって、四時からは在京外交団のブリーフがあるということであったので、とにかく、わかっている事実は在京外交団にお伝えをすべきだということで、情報が得られ次第、在京外交団にお伝えをすると同時に、官邸の外国プレスへの説明についても私ども外務省がサポートしている面もありますので、できる限りの情報はお出しをするということで、お出しをさせていただいているところでございます。

 その上で、これは私自身の率直なところを申し上げれば、大変厳しい状況もしくは危機的状況というのは、私のわずかなあれでは、時間がない、情報がない、もしくは対応するための資源がない、もしくはそのいずれもがないというのがある種危機的な状況というふうに言えるとすれば、何をどう選択をするかということになろうかというふうに思います。

 恐らくその時点では、やはり極力放射能の外への拡散を全体として最小限に食いとめるということ、さらには、原子炉が、この後、飛躍的に放射能を外へ出してしまうことのないように冷却を続けるということを最優先事項として、それには早くかかる措置をとるべきだという、まさに先ほど緊急避難的という話がありましたが、そういう説明を私も聞かせていただいておりまして、その判断そのものはやむを得ぬ措置であったのではないかなと、説明を聞く限り、私は思っているところであるということを申し添えたいと思います。

服部委員 今の一連の話を聞いてみますと、いわゆる原子力の災害対策本部でも議論がされなかったし、そこでいわゆる国際条約の認識もされていなかった、外務省自身もそういう認識を当初持たれていなかったということで、これはやはり極めて大きな反省点だというふうに思うんですね。

 しかも今、大臣、緊急だったからやむを得ない措置ということをおっしゃっているんですけれども、実際にこのたまり水の問題というのは、三月二十四日からもう発生しているわけなんですよ、被曝の時点から。それで、NHKは、実は三月の三十日に、東電は、分析の結果、問題がないというふうに確認されれば海に放出することも検討、そういう報道も流れているわけですね。

 ですから、少なくとも数日間、ずっと一週間余り、どうするか、どうするかという検討がされているわけなんですよ。ですから、余りにも急で検討する間もなかったというのは、私は、これは全然答えにならないというふうに申し上げておきたいというふうに思います。

 それで、外務省の出されたブリーフというかファクス、これも見させていただきましたけれども、こういうことです。今回のブリーフィングで簡単に市川さんが触れた福島第一原発からの低レベル放射能汚染水の放出は今晩遅くに開始される予定である、この説明だけなんですね。

 だから、中身には、放出量も環境影響に対するコメントも一切なければ、あるいは、影響については今後こう出しますという説明もなければ、しかも、先日、小野寺委員の指摘にもあったように、放出は七時三分からやっているのに、このファクスは七時五分だと。これは本当に、極めて問題が大き過ぎるというふうに思うわけです。

 そこで、このファクスというのは、いわゆる国連海洋法条約だとか、そういう通報条約だとか国際法に基づいた通報じゃなくて、ただ単に外務省としてはお知らせをした、東電が発表したからお知らせをしたというだけのものなんですね、これは。そういう理解でやむを得ないですよね、大臣。

松本(剛)国務大臣 低レベル放射能排水の放出の際に、連携ないしは連絡に行き届かぬ点があったということで厳しい御評価をいただいていることは、私どもとしても真摯に受けとめて、今後の対策、対応について改善をしなければいけない対象だというふうに考えているところでございます。

 今お話がありました通報といったものも、各種の条約にさまざまな形で記載をされておりますけれども、基本的には、私どもとしては、義務となっている早期通報条約の二条と同様の通報を当初からずっと続けてきているという位置づけで来ておるわけでありますけれども、しっかりとこれからも連絡を各国また国際機関、これは条約に基づけばIAEAを通じてという部分もありますけれども、在京も含めて、各国直接も含めて、しっかり丁寧にこれからも説明をしていきたいというふうに考えておりますが、四日の件については、先ほど申し上げたような評価を我々は真摯に受けとめたいというのが率直な立場でございます。

服部委員 今後の問題もありますので、ちょっと法的な確認をさせていただきたいんですが、今回の海への放出は、国連海洋法条約の第二百十条及び第二百十六条、それからロンドン海洋投棄条約の第四条第一項(a)号等に定める投棄に当たるというふうに解釈をされておりますでしょうか。

松本(剛)国務大臣 まず、国連海洋法条約上もロンドン議定書上も、投棄という言葉の定義だけを取り上げれば、廃棄物等を船舶等から海洋に処分する行為等ということで位置づけており、言葉でいきますと、これらの条約等に言う投棄には当たらないということになります。

 しかし、低レベルとはいえ、放射性物質を含んだ水を放出せざるを得なかったということは大変残念なことでありますし、また、あらゆる発生源からの海洋汚染を防止するという一般的な義務を定めている国連海洋法条約の趣旨に必ずしもかなったものでないというふうなことは思っているところであるということでございます。

服部委員 いわゆるロンドン海洋投棄条約、あるいは国連海洋法条約がありますけれども、イギリスとアイルランドでは、MOX燃料、MOX工場からの廃棄で裁判まで起きているわけですね、陸上からの投棄なんですけれども。それは、海からの投棄だというふうに書いているわけですけれども、例えば、ちょっと例えは悪いですけれども、千島列島あたりに何かそういう工場ができて、ここは島だ、島だから陸だと。そこからの投棄だから事前通報の対象にならないといっても、そんなことは現実に通用しないじゃないですか。ですから、そういう意味では、やはりこの立法の趣旨に沿ってきっちり対応していただきたいわけです。

 外務大臣は四月五日の記者会見で、他国に対して影響を及ぼすような量ではないということで、通報義務は負わない、自発的な連絡であるという趣旨の記者会見をされておりますけれども、これはそういう理解なんでしょうか。

松本(剛)国務大臣 先ほどの投棄についての答弁も、法的に解釈をして詰めて御回答申し上げればということで申し上げましたが、今、服部委員がおっしゃったように、是非という意味で、だからそのものが是とされるということで通用する話ではないという御指摘については、私どもはしっかり受けとめてまいりたいというふうに思っております。

 通報についても、位置づけ、解釈から考えればということで記者会見でも申し上げたところでありますけれども、二条で義務が課されているということと同様に、通報を、内容そして時期ともにするという意識でしっかりやっていかなければいけないというふうに私どもも考えているということでございます。

服部委員 ということは、基本的に通報の義務ないし道義的責任はある、しかし、それは結果的にはできなかった、こういうことですか。

松本(剛)国務大臣 国際社会の一員としての責務という意味で、やはり国際社会にきっちり説明をあらかじめする、通報するということが必要であるという御指摘であるとすれば、そのとおりだというふうに思っております。

 そして、四日の低レベル放射能汚染水の排出については緊急避難的な要素で、先生もおっしゃったように、確かにいろいろ検討されてきた経緯もあるわけでありますけれども、できるだけ早く行うことが結果としては放射能全体としておさめるという意味では、早く行動に移したいという部分を含めた緊急避難的要素というのは理解できなくはないわけでありますけれども、連絡、連携について厳しい評価をいただかざるを得ない結果になっているということは真摯に受けとめたいというふうに申し上げたということでございます。

服部委員 もう時間も来ましたのでやめますけれども、例えば国内についても、福島県には連絡したけれども、実際に漁業の影響のある茨城県とか宮城県には連絡していない。これはちょっと今からでも答弁を求めたいぐらいなんですが、非常に対応がお粗末過ぎる。しかも、やはり政治の顔が見えない。政治主導と言いながら、これだけ外交問題にもなるようなことについて、条約に基づいた検討もされずに、ばたばたとモグラたたきみたいに対応されているんじゃないかということで、非常に懸念をしているわけです。そういう意味で、今後しっかりとした対応を政府には求めていきたいというふうに思います。

 以上で終わります。

     ――――◇―――――

小平委員長 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とスイスとの間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とオランダ王国との間の条約の締結について承認を求めるの件及び日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とオーストラリア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 各件につきましては、質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とスイスとの間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小平委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とオランダ王国との間の条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小平委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とオーストラリア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小平委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

小平委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十九分散会


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