衆議院

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第13号 平成23年5月25日(水曜日)

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平成二十三年五月二十五日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 小平 忠正君

   理事 吉良 州司君 理事 首藤 信彦君

   理事 長島 昭久君 理事 西村智奈美君

   理事 山口  壯君 理事 秋葉 賢也君

   理事 小野寺五典君 理事 赤松 正雄君

      浅野 貴博君    江端 貴子君

      大泉ひろこ君    勝又恒一郎君

      阪口 直人君    高橋 英行君

      道休誠一郎君    中津川博郷君

      中野  譲君    萩原  仁君

      浜本  宏君    早川久美子君

      山尾志桜里君    山花 郁夫君

      河井 克行君    高村 正彦君

      永岡 桂子君    松野 博一君

      笠井  亮君    服部 良一君

    …………………………………

   外務大臣         松本 剛明君

   外務大臣政務官      山花 郁夫君

   文部科学大臣政務官    林 久美子君

   農林水産大臣政務官    田名部匡代君

   経済産業大臣政務官    中山 義活君

   防衛大臣政務官      松本 大輔君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  佐藤 文俊君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   清水  治君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       平野 良雄君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  生田 正之君

   外務委員会専門員     細矢 隆義君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十五日

 辞任         補欠選任

  菊田真紀子君     江端 貴子君

  伴野  豊君     高橋 英行君

  河野 太郎君     永岡 桂子君

同日

 辞任         補欠選任

  江端 貴子君     菊田真紀子君

  高橋 英行君     伴野  豊君

  永岡 桂子君     河野 太郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災の被災者に係る一般旅券の発給の特例に関する法律案(内閣提出第七二号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

小平委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、東日本大震災の被災者に係る一般旅券の発給の特例に関する法律案を議題といたします。

 本案につきましては、質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、東日本大震災の被災者に係る一般旅券の発給の特例に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小平委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

小平委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官佐藤文俊君、内閣府政策統括官清水治君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長平野良雄君、職業安定局派遣・有期労働対策部長生田正之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小平委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阪口直人君。

阪口委員 民主党の阪口直人でございます。

 本日は、東日本大震災後の日本のエネルギー外交政策について、またミャンマーに対する経済協力、さらに風評被害対策、そして日本のODAの基本的な今後の方針について質問をさせていただきたいと思います。答えにくい質問もあるかもしれませんけれども、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、日本のエネルギー外交政策についてですが、鳩山総理が二〇〇九年、国連総会において、CO2を一九九〇年比二五%削減をするという国際約束をいたしました。その一方で、東日本大震災後、日本の原子力政策、これは抜本的に見直さなければいけないという状況が起こっていると思います。なぜなら、この二五%削減は、原発をエネルギーの中心にする、原発政策を中心にするということがベースになっていると思いますが、しかし、この国際約束について、今後どのようにして大臣は対応していくのか、このことをぜひ聞きたいと思います。

 私自身は、原発に関しては、新規の建造は認めない、そして耐用年数が過ぎたもの、危険が予測されるものについてはストップをする、そして、再生可能エネルギーの比率を高めていくために大胆な政策を実施していくべきだと基本的に考えております。

 その一方で、原発の輸出というのは、パッケージ型インフラ輸出を進めていく上での中心、上下水道の整備や高速鉄道などと並んで中心であります。

 外務省は国の原子力外交政策、またエネルギー外交政策を担っていく中心であるという見地から、まずは、このCO2二五%削減についての大臣の見解をお伺いしたいと思います。

松本(剛)国務大臣 CO2排出量二五%削減という、地球温暖化問題に対する我が国としての取り組みのいわば方針を示したものというふうに私も考えております。そしてそのことは、地球温暖化問題に対して取り組まなければいけないといういわば要請に対しての答えということになりますので、その意義が基本的に変わるものではないというふうに私自身は考えております。

 他方で、今回の福島第一原子力発電所の事故の検証が、まさに事故調査・検証委員会を開催することが昨日の閣議で決まったところでありますので、そのことも踏まえながら、エネルギー政策、それに伴って、エネルギー政策の一環である原子力政策というものについても当然見直しが行われるということを総理も申し上げてきているというふうに私は理解をしております。その意味で、今回の災害、そして事故によって今後どのような政策をしていくのか、まさに今議論をしているところであります。

 そういう意味では、これによって排出削減目標に与える影響について現時点で何らかのことを申し上げるのは難しいということは御容赦をいただきたいと思いますが、繰り返しになりますが、他方で、二五%の意義そのものというのをなぜ私たちが申し上げたかということは改めて共有をしなければいけない、このように思っております。

 そのような意味で、先般、総理の会見でも、原子力と化石燃料のあり方に加えて、再生可能エネルギーと省エネというものをエネルギー政策の柱に加えたいという姿勢を今回示して、今後取り組みを進めていくことになってまいりました。

 再生可能エネルギーを含めた新しいエネルギーについて、これまでも取り組みが進められてきたわけでありますけれども、他方で、相当量のエネルギー需要を賄うためには、技術的な面、コスト的な面も含めてどういったことが可能なのか、これまでの取り組みをある意味では飛躍的に進めるような決意を持って取り組む必要があるというふうな認識は、私どもも改めて持っていかなければいけない。そういう中で、今後のエネルギー政策を策定し、二五%目標についての我々の考え方もしっかりと示していく必要がある、このように考えているところであります。

 今申し上げましたが、また今議員もおっしゃっておられましたが、他方で、現在のエネルギーの需要を賄うために原子力が一定の役割を果たしていることも事実でありますし、また、広く考えた際に、この原子力というエネルギーのさまざまな課題というのは今回改めて顕在化をしたというふうに考えておりますが、他方で、この原子力のエネルギーというのは使い方によっては本当に大きく人類に貢献をすることができるエネルギーではないかと私自身は考えておりまして、原子力安全分野への取り組みというのをしっかり進める、今回の事故の検証、調査をしっかり行うということによって、原子力への取り組み方というのもしっかり前を向いた形で策定をされるべきではないかと考えているところであります。

阪口委員 ありがとうございます。

 ヨルダンとの原子力協定に関しましては、昨年私も外務委員会で質問させていただいたんですが、六月三十日が入札の締め切りという時間的なリミットがございます。この点についてなんですが、国内については、今大臣が御答弁されたとおり、さまざまな、あらゆる観点から原子力政策を見直していくということではありますが、本当にタイムリミットが目前に迫っている海外に対する、特にヨルダンに対する原子力、原発の輸出について、基本は、日本と海外で原子力政策を異なった方向で進めていくのか、あるいは、日本での政策に応じて、例えば海外への原発の輸出について大幅に見直していくのか、この点について伺いたいと思います。

松本(剛)国務大臣 今の段階で、私どもの原子力に対する政策は、先ほど申し上げたように、確定的なことを申し上げられる段階にないわけでありまして、まず、ヨルダンが原子力発電所の導入を検討しているということと我が国の現段階での政策が矛盾するとは私自身は考えておりません。

 他方で、原子力の安全性については、これまでも国際的にもまた各国ともに留意をしてきたわけでありますけれども、結果として、我が国においてこのような遺憾な事故が発生をしたわけでありますから、今後安全性を高めていくために何が必要なのか、既に国際的な議論がスタートをしております。

 安全性を高めることを前提に、今後のエネルギー政策、原子力政策をどう考えるかということが議論されるべきであると考えているところ、ヨルダンにおいても、自国において原子力発電所を設置し、またそれによってエネルギーを賄っていくとするとすれば、安全性についても極めて高いレベルを同国自身の判断で求めていくことは当然のことであろうと思いますし、そのことについては、協力することを前提に、国際社会の力を合わせてヨルダン自身のエネルギー政策を支援するということは、これまでの方向性、我が国の考え方と相反することはないと私自身は考えております。

阪口委員 ヨルダンの原子力技術がどれほどのものなのか、私もいろいろと調べてみたんですが、はっきり言って、独自に運営できる、あるいは維持管理をできる、また事故対応ができるというレベルには達していないのではないかと思います。一方で、今本当に、福島第一原発、その事故対応に日本の技術者、日本政府が総力を挙げて取り組んでいるところであります。

 そういった状況の中で、このヨルダンの原発、日本にも相応の、運営していく、管理していく責任が生じると思いますが、これが果たして可能なのか、また、万一事故が起こったときの対応に責任を持って対処できるのか、このあたり、大臣の見解を伺いたいと思います。

松本(剛)国務大臣 福島第一原子力発電所の事故は、引き続き対応が必要な状況でありますが、できるだけ早く安定的な状況に持ち込まなければいけないということは、我々の当然の責務であろうと思っております。

 他方で、ヨルダンの原子力発電所については、まさにこれから、スタートラインで、進めていくかどうかということでありますから、今お話がありましたような人材のいわばやりくりとか、そういったものについては、私どもの方で今必ずしも確定的なことを申し上げられるわけではありません。ただ、お話がありましたように、どういった形で日本がかかわっていくことができるのかということについては、今の我が国の状況と全く無関係であるということは確かにないというふうに思います。

 しかし、先ほど申し上げたように、今回、ヨルダンの導入に当たっては、我が国にとどまらず、我が国も、承知をする限り、フランスと協力をしてということが考えられているというふうに聞いておりますし、またほかの国々も、ヨルダンへの原子力の協力のいわば申し出をしている、もしくは入札に応募しようとしているということでありますので、我が国のみのいわばリソースからすべてが賄われるわけではないということを念頭に置いておくことは必要だろうと思います。

 また、安全性の話は先ほどもお話をさせていただきましたけれども、まさに原子力発電所の運営の安全性、そして、事故を起こす確率というのを極力下げていかなければいけないわけでありますが、万一発生した場合の事故対応というのが、今、国際社会の中でも議論の対象になっていると理解をしております。

 今回の福島第一原子力発電所での事故においても、国際社会の協力のあり方というものの議論の一つの契機になっていることは事実でありまして、事故対策などについても、さらに強力な国際協力ができる体制を早急に組む必要があるということであれば、その点については私も全く同意をするということは申し上げられるのではないかと思います。

阪口委員 私、ヨルダンの大使館の方々ともこの問題について議論をしたと同時に、ヨルダン及び中東の方々が原発に対してどのように考えているのか、さまざまな角度から調べてみました。

 わかったことは、余り大きな反対運動というのはないんですね。私は、中東の国の方々にとって、原子力技術を持つということは大きなステータスである、ですから、国民の中でも原発を推進していきたいという思いがあるんだということを感じました。

 しかし同時に、日本政府、さらにヨルダン政府から国民に対して適切な、リスク情報も含めた情報提供がされているのかということも疑問に感じました。この点についても、やはり原発を提供する側に大きな責任があると思いますが、現状はリスクを含む情報提供がどのような形で現地の方々にされているのか、お答えいただきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 おっしゃったように、やはり国民の理解を得て進めていくということは大変重要なことであるというふうに思っております。

 私どもが承知をしている範囲で申し上げれば、ヨルダン政府は、原子力発電所の建設の必要性について、市民を対象としたワークショップ、セミナーを開催しているなど、市民の理解が得られるように努力もされておられるし、一定の効果が出ているというふうにヨルダン政府が認識をしているという報告を受けているところであります。

 また、私ども自身も、ヨルダン政府に対して、今回の事故も含めて情報提供を行うと同時に、私どものヨルダン大使館のホームページを活用して、安全面を含む原子力発電所についてのヨルダン国民の理解向上に寄与していきたいと考えておりまして、原子力の政策については公開、透明性ということが一つ重要な要素であるということは、私もそのように考えておるところでございます。

阪口委員 次に、ミャンマーに対する経済政策について伺いたいと思います。

 私、ことしの二月から、アウン・サン・スー・チーさんと電話での会談を続けています。アウン・サン・スー・チーさんが所属するNLDは、ことしの二月に、欧米による経済制裁解除には反対の立場を表明いたしました。しかし同時に、ミャンマーの国民に対してプラスになることであれば、投資あるいは経済協力に対しては反対はしないという姿勢も示しています。

 私がお話ししたときも、事業の運営ですとかメンテナンスに対しても日本が責任を持って行い、また同時に、人材の育成や環境技術の移転を伴うパッケージ型インフラ輸出に対しては強い関心を示されました。

 現在、ミャンマーでは中国の投資がトップです、香港と合わせると約四四%。それだけでも日本の五十倍に及びますが、同時に、統計には反映されていないであろう国境貿易も含めると、さらに大きな数値になると思います。

 欧米諸国が経済制裁を行っても、環境や人権に対する配慮の少ない国の投資が有利な条件で市場を押さえるだけ、今そういう状況が起こっていると思います。結果として民主化が遠のいてしまうというジレンマを抱えています。

 私は、政府としては、世界的な影響力を持っているアウン・サン・スー・チーさんとの対話をもっと進めるべきではないか。先方も実は熱望しているんですね。政府としてのカウンターパートが現政権であるということはもちろん承知をしておりますが、今申し上げましたパッケージ型インフラ輸出を含めて、ミャンマーの国民を受益者にすることが可能になる、こういった投資を行うことで、私は、ミャンマーに対する投資全体のモラル、レベルを上げることにもつながると思います。

 この辺の価値をしっかりと政府の高いレベルの方が説明をして、そしてしっかりと意見交換をする必要があると思うんですが、どうしてこういった対話が実現しないんでしょうか、お答えいただきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 私どもとしては、もちろん、政府としては、おっしゃったとおり、カウンターパートはミャンマー政府ということになるわけでありますが、アウン・サン・スー・チー女史を含む民主化勢力などとも対話を行うことが重要であるというふうに考えております。これまでも、齊藤在ミャンマー大使がスー・チー女史と直接面会をいたしております。

 今後とも、政府としては、ミャンマー政府要人に加えて、同女史を含めた民主化勢力とも対話を行ってまいりたい、このように考えているところでございます。

阪口委員 私としては、やはり大臣を初めとする政務三役、あるいは、場合によってはしっかりと特使を送ってそういった方に交渉をゆだねて、ぜひ、とにかくミャンマーの民主化に寄与できる、そして人権、環境をしっかり守れるような形で投資を行っていく、こういった方法についても模索していくべきだと思っています。

 私は、軍事政権のペースで、受け身でこのミャンマー政策を対応しているうちに、日本の利益も、そしてミャンマーの国民の利益も失われつつあると思っています。外交というのはあらゆる手段を通してやるべきですので、ぜひこの点について政治主導でやっていただきたいと思うんですが、御所見をお願いしたいと思います。

松本(剛)国務大臣 私どもとしても、今後もぜひハイレベルの交流というのが必要だと思いますし、お話があったような政務レベルも含めたハイレベルのミャンマーへの派遣ということも含めて、対話を強化していきたいというふうに考えております。

 私自身も、四月の九日だったと思いますが、日・ASEAN特別外相会合においては、ミョー・ミン・ミャンマー外務副大臣の表敬を受けました。その際に、私どもの基本的な考え方、ミャンマー政府が、民主的で、市場経済に立脚した、社会的に安定した国となることを我々としては期待をしているということを、私どもの方向性を示す形でお話をさせていただきました。

 今後とも、今お話がありましたように、政務レベルも含めたミャンマーへの派遣もしてまいりたいと考えておりますし、おっしゃったように、筋を通した対応ということも、新たな望まれる方向へミャンマーを進めていくのに必要なことだと思いますし、他方で、今御指摘がありましたように、各国がさまざまな形でミャンマーに関与をしている、この中で我が国がどのように関与をするのかという現実的な視点というのも極めて重要だということについて、私どもとしてもしっかり踏まえてまいりたいと思います。

 議員におかれては、ミャンマーについては大変熱心な議員外交を展開されているというふうに承知をしておりまして、私どもとしては、ぜひ政府の外交と議員外交との連携というものも進めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

阪口委員 次に、原発事故に対する風評被害対策について伺いたいと思います。

 日中韓の首脳会談では、私は、福島や仙台などに日中韓の首脳が行っていただいた、そしてそこで安全性をアピールしていただいたということに関しては、大きな成果であったと思います。

 その一方で、各国からのいわゆる輸入制限、これは農水省のリストを見るとまだまだたくさんあるんですね。これについて、何とか日本の農家を守るという視点で、もっと有効に、そしてスピーディーに、輸入制限解除あるいは放射線検査の証明書の解除という方向に何としても持っていくのが政治の責任であると思っています。

 この点に関する政府のこれまでの取り組みの成果、そして今後の方針についてお伺いをしたいと思います。

山花大臣政務官 委員御指摘のとおり、風評被害の回避ということは大変重要なことだと思っておりまして、これは外国の政府だけではなくて、報道関係者であるとか産業界また相手国の国民に対して日本の状況や措置について説明をし、日本からの輸入品及び日本への渡航の安全性に関する理解を深めてもらうということが大変重要なことだと思っております。

 そこで外務省では、すべての在外公館に指示を出しまして、情報提供や情報収集を行うとともに、実際に規制措置をとっている国とか地域に対しましては、個別に、現地の大使を初めさまざまなレベルで、外交当局だけではなくて規制当局あるいは税関の当局に対しても働きかけを行っております。

 また、現地の報道機関やインターネットを通じた発信を強化しているほかに、外国の産業界や報道関係者を対象に、四月の下旬から、これは在外公館とジェトロが共催をして、日本政府観光局の出席を得まして、世界の十五カ国以上の都市において説明会を開催してきております。

 また、松本大臣からの御指示もありまして、日本の在外公館などに、我々が会うときにも直接お話をさせていただいております。

 渡航規制や輸入規制等の風評被害の緩和につきましては、一定の成果は出てきているものと思っておりますけれども、今後とも、関係省庁と協力をして、努力を継続してまいりたいと思っております。

阪口委員 皆さんにお配りした資料があるんですけれども、WTOの諸規定によると、衛生植物検疫措置の適用に関する協定及び貿易の技術的障害に関する協定、これはどちらも第二条第二項なんですが、その適用に関しては、十分な科学的根拠を求めております。外国政府や企業の対応が行き過ぎたものにならないように、輸入制限に対して、科学的根拠の尊重を求めるWTO協定の精神を踏まえた対応を求めていかなくてはいけないと思います。

 私は、外国政府が十分な科学的根拠なしに輸入制限を続けるということが続いた場合、国際ルールに基づいて、WTOの紛争手続に基づいて解決をするという姿勢を示すことも必要ではないかと思います。とにかく、もう何が何でも、日本の農家、農産物、そして産業を守るんだという姿勢を政府として示すことも必要ではないかと思いますが、この点について見解をお願いしたいと思います。

山花大臣政務官 我が国は、各国が輸入規制措置をとる場合には、WTOの諸規定も踏まえて、科学的根拠に基づくようにということで働きかけを行ってきております。先週米国で開催をされましたAPECの貿易担当大臣会合におきましても、WTO協定と不整合な措置をとらない旨の声明が発出をされました。

 また、先ほど申し上げましたけれども、済みません、日本にいて在外公館の方とというだけじゃなくて、我々政務が出張する際にも、直接その外国の関係者にお会いをいたしまして、委員御指摘のような、科学的根拠に基づいた合理的な判断をしてほしい、過剰な対応はしないでいただきたいということを申し入れをしております。

 ただ、今の御指摘については、一般論といたしましては、明確にWTOの協定違反の措置がとられているという場合には御指摘のような解決策となろうかと思いますけれども、他方、WTOの協定上は、加盟国が人の健康を保護するために必要な措置をとるということは認められていることでありまして、検査や規制を行うこと自体、そのこと自体が直接WTO協定違反ということは必ずしも言えないところがありまして、したがって、その可能性についてはちょっと慎重に精査をさせていただきたいと思います。

 外務省としては、関係省庁と協力しながら、諸外国の官民への正確かつ時宜を得た情報提供や働きかけということを引き続き行ってまいりたいと思いますし、何より、具体的な成果が上がるように頑張ってまいりたいと思っております。

阪口委員 最後に、日本のODA政策について質問させていただきたいと思います。

 震災からの復興財源にするということで、ODAを一割、五百一億円削減いたしました。その中には、世界エイズ・結核・マラリア対策基金に含まれる百五十九億円も含まれていたということです。私自身、実は三回ほどマラリアにかかったことがあるマラリアキャリアでもございまして、多くの途上国の方々にとって、マラリアというのが日常的に大変大きな脅威であるということを実感しています。

 今後、ODAの予算を大幅にふやすということは難しいと思いますが、私は大臣にぜひお聞きしたいのは、日本の特徴を生かしたODAとはどういうものなのか、ぜひ、顔が見える、そして日本らしいODA戦略というものを今後再構築していただきたいということ。

 そして、特にその中で、初等教育、女子教育に対する拠出、また教育全体に対する拠出が、皆さんにお配りした資料にもございますが、大変に低いものになっております。これは本当に、基本的な人権を守っていく、また人間の尊厳を守っていく、さらに教育への投資は社会的な収益性も大変高い、特に初等教育、女子教育に対しては高いというデータも出ておりまして、この分野に力を入れていくことが日本のODA政策の根幹になってもいいのではないかと思っています。

 この点について、最後に大臣の御意見を伺いたいと思います。

松本(剛)国務大臣 まず、我が国の特色を生かしたODAというお話でありました。

 まさに今委員からもお話がありましたように、私自身も、顔の見える、人と人のつながりを重視したODAというのが高く評価をされているということは、直接に外国の方と接する中で痛感をしてまいりました。同時に、息の長い支援を続けているということも大変重要なことではないかというふうに思います。

 これは、我が国自身が被援助国から援助国に変わってきたというような経験、こういったものが役立っているのではないかと思います。また、そういった経験から、当該国、被援助国の主体性を尊重している、そしてみずからが自力で発展できる力をつけさせること、自助努力を支援してきたということも我が国の特色の一つに挙げられるというふうに思っております。

 加えて、私ども自身としては、これまでのコミットメント、約束はしっかり最後までやり抜くといったような信頼も我が国の特色であると思うだけに、先ほど御懸念のありました世界基金の拠出削減も、直接、エイズ、マラリア対策をスピードダウンさせようということは全く考えておりません。できるだけ早いうちに予算を改めて確保をして、この活動が継続、拡充されるように我々も努力をしたいと思っております。

 繰り返しになりますが、やりくりの範囲で個々にやりくりをお願いしたということは事実でありまして、この後の努力で何とか埋め合わせができるように頑張ってまいりたいと思っております。

 女子教育、初等教育についてのお話であります。

 先ほどのお話の延長線の部分もあります。ニーズというか需要という面から経済発展を支える人材育成ということで、高等教育支援ということのニーズが拡大をしている、中等教育以降の教育のニーズが拡大しているという状況もありまして、今御指摘をいただいたようないわば配分になっている部分があるというふうに理解をしておりまして、これはこれで一定の目的を果たしているというふうに考えているところでありますが、今お話がありましたように、我が国も、初等教育支援モデル、スクール・フォー・オールというものを国際社会に提示させていただいておりまして、初等教育、そして女子教育といったものの意義の御指摘については、私どももしっかりと受けとめて今後の政策の反映に生かせるようにしてまいりたい、このように考えております。

阪口委員 ありがとうございます。

小平委員長 阪口君、時間ですので。

阪口委員 はい。

 昨日、大臣がNGOの方々との会合で、二次補正においてODAの削減分は取り戻すという決意を表明されたと聞きました。そういった大臣の決意に期待して、我々も応援をしていくということで、きょうの質問を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

小平委員長 次に、小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。よろしくお願いいたします。

 きょうは、昨日、韓国の国会議員、民主党の姜さんほか三名が国後島を視察した、この問題についてお伺いしたいと思います。

 まず冒頭、この視察についての一連の経緯について教えていただければと思います。

松本(剛)国務大臣 経緯など、どのように計画をされたのかまでは私どもも承知をしていないところでありますけれども、今回訪問をした韓国の国会議員は、姜昌一民主党、韓国の場合、今、野党でありますけれども、韓国民主党の国会議員、この議員一行は、二十二日の日曜日に韓国を出発して、ウラジオストクを経由して、ユジノサハリンスク入りをいたしました。その後、二十四日十三時十分ユジノサハリンスク発、十四時五十分国後島着、十五時四十分国後島発、この間五十分でありますが、十七時二十分ユジノサハリンスク着の定刻の航空機で国後島を訪問したというふうに事実関係としては確認をされている、こういうことでございます。

小野寺委員 この国後の視察については、例えば二十日の時点でもう既に新聞報道されており、行くということがほぼわかっておりました。この行くことに関して、外務省として何か韓国政府に事前にこの問題についての対応を求めたことはございますか。

松本(剛)国務大臣 二十日の時点で、行くという意思を表明されているという報道があったわけでありますけれども、実際に行くということの確認そのものについては、その時点ではまだ確認をされていなかったというふうに理解をいたしているところであります。

小野寺委員 そういう報道があったということであれば、通常、外交ルートでそのようなことが事実かという確認をする、あるいは、韓国政府に日本政府としてのさまざまな懸念を伝えるということが必要だと思います。外務大臣も外相会談で一部行われたと聞いておりますが、そのような予防のために行った措置についてお伺いしたいと思います。

松本(剛)国務大臣 今御指摘があったところでありますが、当然、私どもとしては、情報収集に常に努めておる中で、一定の報道に接したこともありまして、今御案内がありましたように、五月の二十日の日、日中韓サミット直前の日韓の外相会談におきまして、総理の指示を受けて、私から金星煥長官に対して、御指摘の韓国国会議員の北方領土訪問の問題を取り上げました。私からは、我が国政府の立場を強く申し入れたところでございます。

小野寺委員 この問題は参議院の予算委員会でも取り上げられて、二十日の日だと思いますが、菅総理が我が党の佐藤参議院議員からこの問題についての対応を問われ、事実であればしっかり対応すると総理みずからお答えをされたというふうに伺っております。ところが、今回の首脳会談では、実際、一言もこの話題には触れられなかった。そして、今外務大臣は、外相会談の中でお話をしたと言いますが、結果として、実は何の予防にもなっていなかったということになります。

 金星煥さんとの会談の中でどのような先方からの返答があったか、教えてください。

松本(剛)国務大臣 私が強く申し入れたことは今お話をさせていただいたとおりでありますが、先方がどのようにその時点で話をされたかということについては、お互いのやりとりでありますので、詳細をお答えするのを差し控えさせていただきたいと思っております。

 なお、私どもが聞いている限りでは、その後の韓国政府の立場ということで、これはむしろ二十四日になってからでありますけれども、今回の旅行は韓国政府の立場とは同じものではないということを韓国外交通商部のスポークスマンブリーフィングで答えているということは承知をいたしております。

小野寺委員 金星煥外相は、そのような野党議員の行動については知っているということはあったでしょうか。

松本(剛)国務大臣 詳細なやりとりについて私からお答えをするのは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般的に、民主主義が確立をされた国において、議会と政府の間の距離というのは、どこの国でも同様の一定の距離があるのではないかというふうに理解をしております。

小野寺委員 ここは国政、国会の場です。衆議院の外務委員会というところです。ここで外務大臣のやりとりについて、自分はこう言ったけれども、相手は何を言ったかは外交上の機密で一切言えない、そこまで隠す必要がある内容なんでしょうか。通常であれば、きちっと申し入れをした、相手もそれを受けてしっかり対応すると答えたとか、あるいは相手は相手の立場のことを答えたとか、少なくとも何かどのようなやりとりがあったかをこの場で言っていただかなければ、これは何か後ろめたいことがあるから隠しているとしか思えません。

 私どもは、常に外交上の問題ということで相手側のことを一切言わないということ、これはどうも今の政権、民主党政権になってずっと続いていると思います。

 私は詳細とは伺っておりません。どのようなやりとりで相手側から返答があったかということを改めてお伺いします。

松本(剛)国務大臣 外交において私どもが申し上げたことを私どもの責任でお話をさせていただいて、相手方が言われたことは私どもが必ずしも責任を持って申し上げる立場にないということで申し上げないのは、決して民主党政権の特色ということではないということは申し上げたいというふうに思っております。

 その上で、今回、私自身が今回の韓国国会議員の北方領土訪問の問題について強く申し入れたということは、私自身が今申し上げたとおりであります。そして、先方は本件について先方の基本的な立場を言われたということは申し上げられるというふうに思います。

小平委員長 松本大臣、どのように申し入れたかは言えないんですか。申し入れたことは言えないんですか。

松本(剛)国務大臣 北方領土が我が国固有の領土であって、結果としてロシアの管轄権に服するような形で韓国の国会議員が訪問されるということは、我が国の立場とは相入れないということをお話をさせていただきました。

 それ以上の内容については、先ほど金星煥長官が基本的な立場を言われたことはお話をさせていただいたわけでありますが、それに加えてのやりとり云々というようなことについては、あったかなかったかも含めてお答えを差し控えさせていただきたいということで御答弁を申し上げたところでございます。

小野寺委員 それでは、今度はロシア側に対して。

 当然、ユジノサハリンスク、ここから国後に行くわけですから、そこには日本の領事館があります。韓国の議員がユジノサハリンスクに到着してから、その動きというのは当然日本の外務省でチェックすることができると思いますが、どのような対応をとられたでしょうか。

松本(剛)国務大臣 私どもとしては、ユジノサハリンスクにおいての情報の収集というのも鋭意行ってきたというふうに考えておるところでございます。

小野寺委員 例えば、ユジノサハリンスクにおきまして、当然、国後に渡るということを宣言してロシアに入っているわけですから、ロシア政府に対して、この方々に対しての対応については慎重を期すとか、何かそういうロシア政府に対しての日本側からの働きかけは行ったんでしょうか。

松本(剛)国務大臣 我が国としては、第三国の国民がロシアのビザを取得して北方領土に入域をするということは、北方領土における我が国の基本的な立場と相入れませんので、到底容認できないというのが私どもの立場であります。その際は、当該第三国の国民及び必要に応じてその第三国の政府並びに関係者に対しては申し入れを行ってきたところではあります。そういうことで、今回もいわば我々のカウンターパートである韓国政府に対して申し入れを行いました。

 他方で、ロシア政府に申し入れを行うかどうかということについては、ロシア政府がそのような入域、北方領土に入域することを主体的、意図的に企図しているかどうか、企画しているか否かで判断をさせていただいておりまして、今回は、この件についてロシア政府が主体的、意図的にこの韓国国会議員の入域を企画したというふうには考えておりませんので、現時点でロシア政府に申し入れを行うということは考えておりませんし、ここまでも行ってもおりません。

小野寺委員 していないというお話を今聞いて、大変驚いております。

 大臣にお伺いします。

 この韓国の国会議員は、ロシアには入国できましたが、ここから国後に自由に行けるということはないんだと思います。当然、その際の何らかの制限をかけることができたはずですが、何の対応もとらなかったということ。どうして対応をとらなかったんですか。

松本(剛)国務大臣 ロシアに申し入れを行わなかった理由は今申し上げたとおりでありまして、私どもの立場は、北方領土は我が国固有の領土である、このように考えておりますが、現在北方領土は法的な根拠がなく占拠をされているということは御存じのとおりであります。

小野寺委員 ロシア国内から国後に向かう場合のロシア内での手続について教えてください。

松本(剛)国務大臣 今、正確に手続を申し上げられる資料を持ち合わせておりませんので、改めて調べて御報告をしたいと思います。

小野寺委員 それでは、私の方から説明をさせていただきます。

 国後に行くためには、まずユジノサハリンスクに行き、そこで国境警備隊の事務所に行きまして、そして国境地域に入るという許可証をこの国境警備隊からもらい、それがないと実は航空券がとれません、ですから、国境警備隊の事務所に行き、そこで実は国境地域に行く目的を、しかもだれが行くかということをパスポートを提示して出さなければいけない。

 当然、国境警備隊の事務所でこの韓国の国会議員という方が、しかも国後に目的としては領土の視察の問題で行くということ、これを明記していないと実は許可証がおりない。ですから、ロシア政府に働きかけておけば、どういう方がここに行くかということは事前に察知できる、あるいは、ロシア政府として許可証を出さなければ実は国後に行くことができない、チケットを手に入れることができない、このことを大臣は知っていましたか。

松本(剛)国務大臣 私どもとしては、韓国国会議員の国後島というかその時点では北方領土訪問ということについては、報道などのいわば第一報が入った時点から、我が国の立場とは到底相入れないものであるという認識のもとに、我が国として行わなければいけないことというのは情報を収集して、もちろん分担もありますけれども、外務省として全力を挙げてきたというふうに考えております。

小野寺委員 結局、菅総理も首脳会談では一言も触れない、今外務大臣は、金星煥さんに言ったけれども、相手が何と答えてきたかは答えられない、そしてロシア側には何も申し入れを行っていない、そして実はロシア側に外交ルートで今回の一連のことを確認も恐らくしていないんだと思います。結局、何もしていない。

 二十日の時点で、この日本の領土に事もあろうに韓国の国会議員、そしてこの方々は、韓国名で言えば独島の特別委員会というんでしょうか、そこの委員長ですよ、その方々が行くということが事前にわかっていて、本人たちもそれを言っている中にもかかわらず、そしてユジノサハリンスクに着いたのを確認したにもかかわらず、ロシア側にも日本は何も対応していない。全く無策でこの人たちを受け入れてしまった、この責任をどうお考えになりますか。

松本(剛)国務大臣 私どもとしては、全力を尽くした、このように考えております。引き続き北方領土の問題についても粘り強く交渉に当たっていくことが私の責務だというふうに考えております。

小野寺委員 日本の領土に、ロシアのビザをもらって、ロシアの国境警備の事務所の許可をもらって韓国の国会議員が入国をしたということ、これは大変大きな問題ですし、恐らくこの委員長の目的というのは、これで竹島の占有も事実上ロシアと共闘してやっていこう、そのようなメッセージが対外的に発せられる、大変ゆゆしき問題だと思います。

 ですから、事前にとめるということが最大の策、そしてとめるに当たっては、本来であれば首脳会談の場で私は総理からこのことを言ってほしかった。そしてロシア側にも、特に国境に関する特別な許可が必要だということですから、国境警備隊に公式ルートで、このようなことについては日本は断固反対するということを伝えていれば、ロシア側の対応がどうなったか、それも私どもは万全の対策をとるべきだと思っております。

 さて、こうして入国をされてしまいました。された後、この後の対応というのも大切だと思います。日本政府として、まず韓国側にどのような抗議をしたか、教えてください。

松本(剛)国務大臣 在韓国の武藤大使から韓国の外交通商部に対して抗議をいたしたところでございます。

小野寺委員 それはきのう、発生した直後ということで対応したんですが、まさか、韓国にいる大使が向こうの第一次官にお話をしただけでこの問題が済むとは思えません。外務大臣あるいは首相を含めて、これからどのような対応をとられますか。

松本(剛)国務大臣 政府として、韓国政府に対してしかるべく申し入れを既に行ったと私は考えております。

小野寺委員 ということは、これで終わりということでしょうか。

松本(剛)国務大臣 本件について、政府として行うべき抗議は行いました。その後、必要に応じて、対応が必要であると考えれば必要な対応を考えていきたいと思いますが、事案が発生した後に政府から政府に対しては既に抗議を行ったと考えております。

小野寺委員 きょうここに委員の皆さんいらっしゃいますが、これほど大きな問題、言ってみればこれほど日本がなめられた問題、その問題で今外務大臣は、韓国にいる武藤大使が先方の第一次官に抗議をしたからこれで政府としては終わりだ、こう言ったんですよ。おかしくありませんか。

 日本の領土に、事もあろうに韓国の国会議員が、しかも竹島の占領を目指す委員会の委員長が入って、ロシアと韓国でこれから共闘を組んでいこうと思う、こういう動きに対して、日本政府としては、現地の大使が抗議をしたで終わり。こんなことはおかしい。私は、最低でも外務大臣が、いや、やはりこれは予算委員会で答えたように総理がしっかりとした抗議を申し入れないと、これは事実上、北方領土も日本はあきらめた、そして竹島も日本はあきらめた、こういうメッセージとして世界に伝わるんですよ。

 外務大臣にもう一回お伺いします。今からの対応をしっかりしていただきたい。どのような対応をとるか、お伺いします。

小平委員長 小野寺委員、たしか大臣は終わりとは言っていないと思うんですが、そこを確認してください。終わりという表現はしていないと思うんですが。(小野寺委員「では、もう一度確認してください」と呼ぶ)

 松本大臣。

松本(剛)国務大臣 我が方の特命全権大使が政府を代表して抗議をしたことは、重要なメッセージの発出だというふうに考えております。その上で、今後さらに必要な対応があれば対応をするということを申し上げさせていただきました。

小野寺委員 この場での必要な対応があればということですが、必要な対応は今、たくさん迫っているんじゃないですか。

 なぜ大臣の口から、私もこれからしっかりと抗議をする、しかるべく外相会談をこれから設置して、そして抗議をする、あるいは、場合によっては、これがもし逆の立場で、韓国の立場であったら、当然、大使の召還、このような外交関係についての強いメッセージを送るのが当たり前じゃないですか。それが、何ですか、武藤大使が言って終わり。こんなばかげた対応をした日本政府、外交関係はないですよ。もしこんなことで終わらせるのであれば、本当に、日本はもう領土はあきらめた、そのようなメッセージになるんじゃないですか。

 大臣にもう一度お伺いします。しっかりとした対応、具体的に何を行いますか。

松本(剛)国務大臣 私どもとしては、日韓の関係、そして我が国の外交の総合的な戦略、また、今お話がありました韓国においては、竹島の問題における韓国政府、また韓国国民の感情、考え方なども総合的に判断をして、適切な方法で対応することが必要だというふうに思っております。

 北方領土についても同様でありますので、長くは申し上げませんけれども、適切な形でしっかりと対応していく。

 そして、繰り返しになりますが、特命全権大使が政府を代表して申し入れたということは重要なメッセージの発出でありまして、まさにここで、大切な国会で、竹島をあきらめるとか北方領土をあきらめるとかいったような表現が使われることそのものが甚だ残念だろうというふうに思っております。

 政府としては、しっかり粘り強く取り組んでいく。もちろん、我が国の立場は一貫しているものであり、これが交渉によって少しでも前進するように努力をするのが私の責務だ、このように思っております。

小野寺委員 今、特命全権大使と言いました。日本政府を代表する方、特命全権大使が会った相手のカウンターパートは、韓国の外交通商部第一次官ですよ。あなたが言う日本の大切な特命全権大使、その方の日本政府を代表しての抗議、それを受ける相手が、韓国の通商部の第一次官ですよ。おかしくありませんか。もしそこまで言うんだったら、大統領に直接会って抗議を言うぐらいの、そのぐらいの立場でしょう。結局、何もやっていないということじゃないですか。どうですか。

松本(剛)国務大臣 政府から政府に対する申し入れとして、重要なメッセージをしっかり韓国政府に伝えたと考えております。

小野寺委員 一連の流れを見ますと、こんなことは言いたくありませんが、結果として、領土問題、全く今の政権は後ろ向きですよ。

 そして、例えば竹島についても、あれほど、海洋科学基地の入札が行われても、さっぱり何もしていない。そして今回、韓国の国会議員が日本の領土である国後に行ったことに対しても、武藤大使が言って終わり。このままでいったら、北方四島だって、日本が領有権を今後主張し続けるということがトーンダウンしかねない、私どもはそう心配しております。

 再度お伺いします。国後島はどこの国の領土ですか。

松本(剛)国務大臣 北方領土は我が国固有の領土であります。

小野寺委員 我が国固有の領土に韓国の国会議員がロシアのビザとロシアの国境警備庁の許可証を持って入った、このことについてはどう思われますか。

松本(剛)国務大臣 我が国の立場と相入れないもので、容認できるものではないと考えております。

小野寺委員 逆に言えば、国後に関して、この韓国の国会議員は不法入国したということになります。通常であれば、これは国内法に照らしてしっかり処罰するべきだと思いますが、外務大臣にはそのお考えがあるかどうか、お伺いします。

松本(剛)国務大臣 残念ながら、北方領土は現在、ロシアによって法的根拠なく占拠されているという状況が、私どもとしても認識をしているところであることを申し上げなければいけないと思います。

小野寺委員 それでは、我が国ができる方法として、例えば、今回北方領土を視察した三人、民主党の姜昌一議員、文学振議員、張世煥議員、この三人は、当然、日本としては、これは日本の法律を犯した人間ということで、今後、日本に入国を申請されても決して入国はさせない、このぐらいの強いメッセージを出すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

松本(剛)国務大臣 韓国の当該三人の国会議員に対してどのように対応するかということは、私どもとしても考慮をしなければいけないことだというふうに考えておりますが、今委員がおっしゃったようなことについて、私どもとして検討をするということは今考えておりません。

小野寺委員 大臣、何を一体守っているんですか。なぜこんなに韓国側に立った話ばかりしないんですか。どうして抗議をこんなにしないで、この問題を終わらせようとするんですか。何か韓国側に後ろめたいことがあるんですか。

松本(剛)国務大臣 繰り返しになりますが、しっかり抗議を申し上げたというふうに私は申し上げております。

小野寺委員 抗議は、武藤大使から現地の第一次官にしか届いていない。韓国政府からはどのような対応がありましたか。

松本(剛)国務大臣 韓国政府のメッセージは、先ほど、公開された情報についてはお話をさせていただいたとおりでありまして、韓国政府の立場とは同じものではないということを公開の場でも言われているということは御報告申し上げたとおりであります。

小野寺委員 ここまでこけにされて、ここまでばかにされて、そして日本国政府として反論するというのは、今お話があった大使の韓国の第一次官への抗議で終わらせる、それで終わりということでいいんでしょうか、再度確認します。

松本(剛)国務大臣 政府としては、政府から政府にしかるべく申し入れをさせていただいたということでございます。その上で、今後必要なことについては対処したい、こういうことを申し上げさせていただきました。

小野寺委員 先ほど委員長のお話がありましたが、今の外務大臣のお話を聞くと、この問題についての正式な抗議というのはこれで終わりだというふうにしかとれません。

 それでいいんでしょうか、委員長。

小平委員長 大臣、そう言っているんですか、確認してください。

松本(剛)国務大臣 まず、今回の事案が発生をしたことに対しては、我が国政府を代表して特命全権大使から韓国政府の外交通商部に対して抗議をさせていただきました。今後必要な対応については、常に政府としては必要な対応についてはしっかり行っていくということを申し上げさせていただいたところでございます。

小野寺委員 情けないですよ。

 日本の領土である国後に韓国の国会議員がロシアのビザをもらって、国境警備隊の許可をもらって入った、それに対して日本側の対応というのは、現地の大使が抗議を申し入れるだけ。恐らく、今まで日本の外交史では、ここまで弱腰の外交になったことがないんだと思います。

 そして私、裏にこんな背景があるんだと思うんです。韓国に対しても弱腰になっている。そして今、中国に関しても、これだけ震災で大変な状況になって東シナ海で起こっていることは、日本の保安庁の艦船を含めたところへ相変わらず中国の艦船がニアミスを行っている。そしてロシアでは、さまざまなロシア首脳が北方四島を訪れている。本当に周りにやられっ放しじゃないですか。

 では、今の政権は何をしたか。今回、この東日本大震災の対応として、あるいはそれを一部絡めて、日中韓の首脳会談がありました。この会談、確かに会談は定期的に行われています。そして日本政府は、これは私は全くパフォーマンスだと思います、その会談を福島で行おうと。さすがに中国側は断った、韓国側も懸念を示した。こんなパフォーマンスに僕らはつき合い切れない。

 そしてその後、その代償として行ったのは、例の視察で福島産の野菜を食べたりキュウリを食べたりする、ああいうことをやっていただきました。逆に言えば、日本政府が持ちかけて、菅さんの支持率回復のためのパフォーマンスのために中国と韓国の首脳が協力をしてくれた。大きな借りを日本はつくってしまったんです。

 これは、外務大臣、あなただけじゃなくて、恐らく多くの外務省員はそう思っています。今回の支持率回復のためのパフォーマンスのために、中国、韓国に大きな借りをつくってしまった。だから物が言えないんでしょう。だから、ここまでやられても、今回の韓国国会議員の問題でここまで日本の主権が侵されても、抗議といっても現地の大使の抗議しかしないんでしょう。どうですか。

松本(剛)国務大臣 今回の被災地へのお見舞いについては、韓国、中国ともに、いずれも両首脳の御判断だというふうに私は理解をいたしております。私どもとしては、これまでの支援、また、被災地にお見舞いを両首脳が行ったということそのものは高く評価をいたしておりますが、そのことによって、領土に関する問題についての判断はいささかも変わることがありません。

 なお、つけ加えて申し上げれば、福島訪問などで行われた、風評被害に対して対策をとるために映像なども含めて必要な活動を行うということは、風評被害対策上極めて有意義でありまして、風評被害対策をパフォーマンスの一言で切って捨てるのは、私どもの立場とは大きく異なる、極めて重要なテーマとして取り組んでいるということを申し上げたいと思います。

小野寺委員 大体、その風評被害をつくったのも今の政権じゃないですか。原因は、やはり政権のさまざまな対原子力体制の混乱、これが及ぼしたということは今どんどん明らかになっています。

 そして、政権の維持のためにいろいろな道具を使う、そのために日本の国益を譲っていく、そういうことがあっては決してならないと私は思っています。だれのための政治を行っているのか、だれのための外交を行っているのか、これは歴史が後でしっかり検証することになると思いますが、今の外務省あるいは今の日本政府の外交姿勢を見ると、さまざまな領土、領海問題に対しては極めて後ろ向き、相手国の政府にさまざまなことを言っている言っているとこちらでは勝手に言っていますが、相手側からはほとんどその反応がない、そして結果を見れば、すべてやられっ放し。外交の敗北がここまで続いている日本外交は、私は見たことがありません。

 このような共通認識を外務大臣はお持ちかどうか、お伺いしたいと思います。

松本(剛)国務大臣 民主党政権になって、外交文書は三十年を基本として公開をされることになってまいりました。これまでの何十年かで何が行われて、この二年間で何が行われたかということは、まさに委員がおっしゃったように歴史が証明をしてくれると思いますし、私自身も、後世に恥ずることのないように全力で努力をしたいと思っております。(拍手)

小野寺委員 全く違うんですよ。今拍手した人、ちょっと聞いてください。今外務省は、議事録、会議録、これを捨てているんですよ。

 私どもは、前の鳩山さんの日米の首脳会談の議事録、そのメモを要求しましたら、当初はあったんですが、その後、これはありませんという答えになりました。実は、さまざま、今回のアメリカとの基地の問題を含めて、立ち話だ、食事の合間だ、いろいろな会談は行われました。でも、必ずそこに通訳がいてメモをとっていて、その内容について、何が行われたかということを、私どもはずっと確認、聞いているんです。ところが、そのときのメモはありません、議事録はありません。

 ですから、三十年後に公開だといっても、肝心なところは全部今は捨てているんじゃないか、私はそう思います。何度も外務省に確認をし、そしてまた、私どもとしては質問主意書でも確認をしましたが、そのようなものはありませんと。今まで、首脳の会談の中でそのメモがないということ、こんなことはありませんでした。

 大臣、今の答えを撤回してください。

松本(剛)国務大臣 公文書については、定められたとおり保存し、また、定められたとおり公開をいたしてまいります。

小野寺委員 議事録自体を公文書として扱わずに、それをやみからやみに葬っている、これが今の政権のあり方ですよ。そして、それを政治主導していると言うんですよ。(発言する者あり)今、ええっとおっしゃいますが、私どもは何度も、この外務委員会で私は長年やっています。この問題について、歴代の岡田外相にも前原外相にもずっと確認をしました。

 恐らく、松本大臣はそういうことはしないんだと思います。ですが、今まで、例えば鳩山さん、あるいは菅さんの初めのころのさまざまな首脳会談、立ち話、廊下でお話をした、こういうところに必ず通訳がいます。通訳は必ずメモをとっています。その内容について公開してくれ、それは公式な文書ではありませんから公開しません、中には、もうそういうものはありません、とっていませんでした、このような答弁を受けているんです。

 私は、少なくとも外務省にいた立場として、今までそのような軽率な扱いをしたことはありません、あるいは、そういう扱いをしていると聞いたことがありません。ですから、今後三十年間で恐らくいろいろな文書が公開されるんですが、実は大事なところがないということ、こういうことがあった場合には、これはもっと大きな罪になるのではないかと思っています。

 外務大臣には、新しくなられて、私は、今までの外交姿勢、頑張ってこられたところもあると思います。これからの外交姿勢にも期待をいたします。ぜひ、この領土問題については、今回の韓国の国会議員の問題に対しては、毅然とした対応で、このことで終わらせることなく、さらに活躍されることを御期待申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

小平委員長 次に、秋葉賢也君。

秋葉委員 自由民主党の秋葉賢也です。

 きょうは、原発事故を受けての風評被害等々の諸外国との貿易状況の実態がどうなっているのか、あるいはまた在外公館の今後の拡充についてなどを中心にただそうと思っておりましたけれども、韓国の国会議員による、いわば初めての北方領土訪問という大変重大な事案が飛び込んでまいりました。

 今もるるやりとりがございましたけれども、どうも民主党政権になってからというもの、我が国の主権というものが非常に脅かされている事案がふえてきているように思えてなりません。そして、こうした実態に対して、我が国政府の対応というものがどうも及び腰、あるいは弱腰と言ってもいい。きょうの松本大臣の答弁を聞いておりましても、韓国の大使が全権委任されているのはわかりますけれども、やはり当事者である外務大臣として、もっと毅然とした態度で、もっと強い姿勢で臨んでいくということが必要なんだろうというふうに私は思います。

 改めて今回のこの問題を振り返ってみたいと思いますけれども、まず、韓国の国会議員がどうも北方領土を訪問するらしいという情報を日本国政府が入手したのはいつですか。

松本(剛)国務大臣 正確に記憶をいたしておりませんが、そのような報道に接したのは先週ではなかったかというふうに思っております。

秋葉委員 先週の何日の何時ごろでしょうか、大臣の耳に入ったのは。

松本(剛)国務大臣 確認をして御報告をしたいと思います。今、そこまでの記憶がございません。

秋葉委員 事務方から私が報告をいただいている資料によりますと、十九日の木曜日というふうに伺っております。思い出されましたか。

松本(剛)国務大臣 事務方が報告を上げた日がそうであるとすれば、そうであろうというふうに思っておりますが、私自身、申しわけありませんが、先週の一週間の日々の行動をすべて記憶している記憶力を持ち合わせておりません。

秋葉委員 十九日のこうした韓国の民主党国会議員の動きを受けて、参議院の予算委員会では菅総理大臣に対して我が党の議員が、もしこれが具体化すれば厳しく総理自身から対応を求めるんですねという問いに対して、きちっとやりたいという総理自身の御答弁がありました。

 もちろん、先ほどのやりとりからも明らかなように、二十日金曜日の日韓外相会談では大臣がいわば遺憾の意を表明したということは伝えられておりますけれども、なぜ肝心の二十二日の午後から行われた日韓首脳会談で菅首相は一言もこの問題に触れなかったのか。外務大臣として、どのようにこれを認識されますか。

松本(剛)国務大臣 総理の指示を受けまして、政府としては、私が外交の責任者として、韓国の金星煥外交通商部長官に、本件については二十日の日に強く申し入れを行わせていただきました。

 他方、日韓の首脳会談においては、日韓原子力安全イニシアチブ、東北地方復興・観光のための日韓パートナーシップなどの原子力の安全、防災、復興、観光の分野で今後さらに二国間の協力を進めていくことで一致をいたしておりまして、しかるべき成果の上がる会談として行われた、取り上げた内容についても適切であったと私は考えております。

秋葉委員 私が今伺ったのは、菅総理みずからが、この問題がもし事実とすれば、事実を確認してもし事実ならばきちっと対応したい、それはすなわち、後に控える日中韓サミットあるいはバイの首脳会談で直接みずから抗議したいということと受けとめるのが普通だと思いますが、それを菅総理は実行しなかった、このことをどう思っているのかということを問うているわけです。いかがですか。

松本(剛)国務大臣 今手元に予算委員会の議事録がありませんので、総理がどのような御発言をしたかを確認したいと思いますが、いずれにせよ、総理の指示を受けて、私が政府の外交責任者として申し入れを行っておりますので、総理の意思を体して私が強く申し入れを行ったということが、政府としてのしかるべき対応として私は行われたと理解をしております。

秋葉委員 総理が外務大臣に指示をする、これはこれでいいでしょう。その指示を受けて、総理御自身もみずから我が国のトップとして首脳会談ではこの問題を取り上げてほしいという要請をしましたか、外務大臣として。

松本(剛)国務大臣 どのような首脳会談にするかというのは総理とさまざまな議論をいたしておりますけれども、最も適切な形で首脳会談が行われたと私は考えております。

秋葉委員 総理が一国のトップリーダーとして外務大臣に指示をするのは理解できます。その指示を受けて、私は内容が十分だったとは思っておりませんが、外務大臣が遺憾の意を表明した。このことも、内容的には甚だ不十分だと思いますけれども、これはこれで事実として、外務大臣として遺憾の意を表明した。しかし、外務大臣の立場としても、私も頑張るけれども、総理においてもトップ会談でしっかり発言すべきだということを、外務大臣として総理に助言、進言すべきではなかったんですか。

松本(剛)国務大臣 必要な助言、進言を行うのは私の責務だ、このように考えておりますけれども、日韓の首脳会談については、最終的に最も適切な形で行われたと私は考えております。

秋葉委員 いや、私が問うているのは、結果として外務大臣御自身が進言をしたのかどうかを伺っております。首脳会談そのものの評価ではありません。

 大臣は、首相に対して助言をしたんですか、しなかったんですか。

松本(剛)国務大臣 一般的に、おっしゃったように、私ども閣僚は総理に助言、進言をするということが責務の一つだと思いますが、個々の案件についてどのような助言、進言をしているかということは、さまざまな議論がある中でありますので、私がここで申し上げるのは適切ではないと考えております。

 日韓の首脳会談については、総理にも私からの意見も申し上げると同時に、総理とも十分に議論をいたしまして、最も適切な形で行われたと私も認識をしているということを申し上げておるところでございます。

秋葉委員 首脳会談が行われたこの二十二日の日、もう午前中にはこの三人が韓国を出発して、まずはウラジオストクにもう向かっているわけですね。ですから、少なくても外務大臣、総理大臣の耳には、韓国の国会議員がもう行動に出ている、北方領土を目指して飛び立ったんだということが十分に伝わっていたはずなんですね。

 ですから、本来であれば、外務大臣として、総理にこうした事実を伝えて、私の、いわゆるバイの会談でも厳しく申し入れをするけれども、総理大臣からもメッセージを発していただくのが大事だと言うのは当たり前のことじゃないですか。どうですか。

松本(剛)国務大臣 事実の情報については逐次私のところにも入ってまいりますし、総理にも上げております。その上で、総理とのやりとりについて個別に今私がここで申し上げることは差し控えさせていただきたい、このようにお話をさせていただきました。

秋葉委員 先ほどのやりとりを聞いていますと、韓国の大使が韓国政府側に対して抗議をした、これで十分じゃないかというような外務大臣の姿勢の表明が繰り返されましたけれども、私は、外務大臣みずから、この問題について、記者会見等の中で改めて、遺憾の意を超えたもっと厳しい表現で抗議すべきと考えますが、いかがですか。

松本(剛)国務大臣 本件に対して、北方領土は我が国固有の領土であって、ロシアの管轄に服するような形で韓国の国会議員、韓国においてもしかるべき立場にある方、これは韓国に限りません、第三国ということでありますが、行かれることは到底容認できないし、我が国の立場と相入れるものではないということを、記者会見も含めて、私自身が申し上げてきていることは事実であります。

 その上で、韓国政府に対してどのように対応するかということにつきましては、今、政府としての申し入れというのは、特命全権大使、在韓国の武藤大使から行うようにいたさせたところであるわけでありますが、先ほどもお話がありましたが、日韓関係をどのように進展させていくか、また、竹島の問題を粘り強くどのように解決していくかということを常に頭に置いて、総合的に判断して、最も適切と思われる手段を選択しつつ外交を進めてまいりたい、このように思っております。

秋葉委員 どうも問題意識において著しい温度差があるような気がしてなりません。

 まず、事実関係をもう一度確認させていただきたいと思います。

 今回、韓国の三人の国会議員、姜昌一さん、文学振さん、張世煥さん、いずれも韓国側でいう独島領土守護対策特別委員会のメンバーであり、この姜さんは、この特別委員会の委員長であります。今回の訪問は、個人の立場であったのか、あるいはこの委員会の立場で行ったのか、その辺の事実関係を外務省はどのように把握していますか。

松本(剛)国務大臣 そのような役職にある国会議員であるということは、私どもも承知をいたしておるところでございます。いずれも野党民主党所属の三人の議員が訪問をしたというふうな情報に接していると理解をいたしております。

秋葉委員 私が今伺ったのは、この三人はいずれもこの独島の特別委員会のメンバーだけれども、我々国会でいうところの委員派遣のような形で行ったのか、個人の立場で行ったのか、この二者択一の質問をさせていただいているわけでございます。明確にお答えいただきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 国会議員であれば、その国会議員がどこの委員会に所属をしているかというのは、ある意味では付随して伴ってくる立場だ、このように考えておりますが、今お話がありましたように、今私の方からも申し上げましたように、野党民主党のお三方だけが行かれたということにもあらわれているように、通常、委員会全体で行くとすれば、一部野党だけで行かれるということはないのではないかということが考えられると思っております。

秋葉委員 であれば、別の聞き方をいたしますけれども、今回の視察といいますか北方領土の訪問を強行した三人の国会議員は、例えば私費の負担で行ったのか、この訪問に公費が使われているのか、そこは確認していますか。

松本(剛)国務大臣 今、手元では確認できるものはございません。

 私ども、韓国政府に対しては申し入れをさせていただいたところでありますが、もし行かれるとすれば、これは議会の方になるのかどうかということも含めてということになろうかというふうに思いますが、少なくとも、韓国政府の立場とは同じものではないということは韓国政府が表明していることを確認いたしております。

秋葉委員 ですから、官僚がつくったような作文を読んでいるから、全く答弁にも迫力がありませんし、これだけの問題が起こって、公費で行ったのか私費で行ったのかという調査自体ができていないというのは、大変問題じゃないですか。そんなことも確認しないで、現地の大使館初め外務省は何をやっているんですか。

 本当にこういったことは確認できていないんですか。

松本(剛)国務大臣 今私自身がそういう報告を聴取しておりませんので、それも含めて、後日、先生の方が報告をせよということであれば、確認がとれれば御報告をしたいと思います。

秋葉委員 もちろん報告をしていただきたいと思います。

 これは報道によればということになりますけれども、今回の訪問には、この三人の国会議員のほかに随行のスタッフが何人かいたと言われています。その中には国会の職員もいたという指摘、報道がありますが、このことは確認していますか。

松本(剛)国務大臣 参加をした者も含めて詳細な情報が、確認をされた情報については、正確にまた御報告すべきところに御報告をしたいと思いますが、今手元には私は資料を持ち合わせておりません。

秋葉委員 もう一度確認しますけれども、韓国の国家公務員たる国会職員が同行していたのか、そしてそもそも、この三人の国会議員のほかに、同行者は何人で、それぞれの立場、どういう立場の人が同行されていたか、改めて伺いたいし、もし現状で確認していなければ、速やかに報告をいただきたい、直ちに調査をしていただきたいと思いますが、いかがですか。

松本(剛)国務大臣 今私自身がその随行員についての報告を聴取いたしておりませんので、そのことも含めて報告を聴取して、報告が可能であれば、また確認が可能な部分があれば、御報告をさせていただきたいと思います。

秋葉委員 ぜひ、これだけの、韓国の国会議員による初めての北方領土への訪問という重大な事案が発生したわけですから、これがどういう体制で、どういった費用で行われたのかということは、同時並行で確認しておくべき重要な案件だと思います。それがこの委員会の場でも示されないというのは、それこそ大変遺憾なことだというふうに思っております。

 また一方で、この三人は、我が国にとってみれば、我が国の領土にいわば不法入国したような立場になるわけであります。先ほど大臣は、この三人に対して、特に抗議をしたり、あるいは、この三人が日本に来るようなことでもあれば、ビザなんかも発給できないと思いますけれども、明快な対応をどうとっていくのかということについて、特に考えていないという御発言がありましたけれども、少なくても、同行した人たちはどういう立場の人たちかにもよりますけれども、この三人の国会議員に対しては、日本の外務大臣として、しっかりと、この三人に対する抗議ということも必要だと思いますが、いかがですか。

松本(剛)国務大臣 先ほど小野寺委員に御回答申し上げましたのは、北方領土を訪問した国会議員、三名でありますが、責任者は姜昌一委員長だというふうに私どもも見ておりますけれども、この国会議員団に対してどのような対応をするかということは検討をしておりますが、小野寺委員からお話がありましたような、何らかの法的な対応をするかというようなお話については、今の段階では考えていないというふうに回答させていただいたつもりでございます。

秋葉委員 少なくても、今大臣から御回答があったように、三人の国会議員に関しては、個別に厳しい抗議を申し入れていただきたいと思います。

 我々国会議員も、公用旅券あるいはプライベートな旅券と二種類ありますけれども、もちろん彼らも公用旅券を使って行ったんだと思われますけれども、その辺は確認していますか。

松本(剛)国務大臣 現段階で、当該団も、移動中というか、まだ韓国に戻っているかどうか私どもも確認をいたしておりませんけれども、今、委員も含めて御指摘をいただいたことについて、さらに必要な情報については、確認がとれたものから御報告をさせていただきたいと思っております。

秋葉委員 この案件についてもしっかり報告を求めたいと思いますけれども、いずれにしろ大事なのは、公用旅券であれプライベートな旅券であれ、やはりロシア側にビザの発給を求めたという行為が重大なことでありますから、ロシア側に対してもこのことに対して抗議をされましたか。

松本(剛)国務大臣 おっしゃったように、ロシアの管轄権に服するような形で、第三国の、しかもしかるべき立場の人間が北方領土に入域をしたということは、我が国の立場と相入れませんし、容認できないということは重ねて申し上げてきたとおりであります。

 その意味で、当該第三国に対して私どもはしかるべく申し入れを行っておりますが、ロシア自身については、ロシアに対して抗議を行う場合には、ロシア政府が主体的、意図的に企画をしたかどうかということによってロシア政府に抗議を行いたいと考えており、今回については、今の段階では、私どもの持ち合わせている情報では、そのようなものではないというふうに判断をいたしているということでございます。

秋葉委員 いや、私はロシア政府に対しても、しっかりと日本政府の立場を申し述べた上で抗議を行っていくべきだと思います。

 さて、大変残念なことですけれども、最近は日本人自身も、ビザをとって北方領土に行く事例がふえているという報道がなされております。ここ二、三年、あるいは直近でも構いませんけれども、どれぐらいの日本人がビザを申請して北方領土に行っているのか、ゆうべ資料を持ってきてくれとお願いしていたんですが、私のところには届いていないものですから、この委員会の場で伺いたいと思います。

松本(剛)国務大臣 率直に言って、すべてが把握できるような今の仕組み、制度にはなっていないと思いますが、把握をできているものもあるわけでありまして、これについて委員の方に御報告が行っていなかったとすれば、できるだけの報告は審議に資するべく行うべきであると私も考えておりますので、委員からの御要請をどのような形でいただいて、どのような形で私どもがこたえられなかったのかというのは、省内において改めて指導をいたしたい、このように考えております。

 その上で、報道等でも御案内のとおりでありますけれども、ことしの四月においても二名の訪問ということは私どもが把握をいたしております。また、一月にも三名の訪問というのは把握をしておりまして、本件当事者に対しては、閣議了解に反しての国後島訪問ということになりますので、厳重に注意をし、今後二度とこのような形で四島を訪問しないように申し入れを行ったところであるということは御報告いたしたいと思います。

秋葉委員 本当に、国益を損ねるようなこうした行動に対して、我が国政府としても、しっかりとアンテナを高くして、二度とこうしたことが繰り返されないように、そしてまた今後の抑止にもつなげていくように、改めて申し入れをさせていただきたいと思います。

 さて、韓国の今回参加した三人が所属をしております独島領土守護対策特別委員会というのは、本来ならば二〇〇八年の八月から一年間の時限措置の委員会であったというのが建前でのスタートでございました。それが、九年、一〇年、一一年とずっと続いてきております。そしてまた、我が国固有の領土である竹島の実効支配のような形のものがずっと続いている中で、日本国政府として効果的なカウンターを打ち出せないでいるのが現状であります。

 今後、日中韓の今回のようなサミット、これも麻生政権のときに始まって今回がもう四回目ですけれども、日韓のバイの協議の中に、やはりこの領土問題について、あるいは主権の問題について、いわばワーキング的に話し合うような協議の場をつくる、そしてその中でオープンな形で議論していく、今そういう必然性を迎えているんじゃないかと私は認識しておりますが、外務大臣の御認識を伺いたいと思います。

松本(剛)国務大臣 この竹島の問題については、粘り強く私どもとしては取り組んでまいりたいと思っておりますし、先般の外相会談で私が取り上げたことは既に御報告を申し上げたとおりであります。

 今後とも、しっかりと、累次の機会をとらえて、私どもとしては必要な申し入れ、そして交渉を行ってまいりたいと思っておりますが、枠組みをどのように設置するかということにつきましては、枠組みの設置そのものが交渉対象となってくること、それから、どのようなことが私どもの竹島問題を解決するのに最も効果的であるかということは、総合的に判断をした上で進めてまいりたい、このように考えております。

秋葉委員 総合的な判断をいつごろ下すのかわかりませんけれども、バイでの外相会談の機会には、松本大臣から、竹島という名前をもちろん出すのではないにしても、領土問題を初めとする、北朝鮮問題に限らず、やはりこうした主権をめぐる問題についてもしっかりと協議をしていきたい、そういう場をつくりたいという申し入れをぜひ行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

松本(剛)国務大臣 外相会談そのものでそういったことは議論をされてきているわけでありまして、今お話がありました御趣旨は、恐らく、別途の枠組みを設けよ、こういうお話ではないかというふうに思います。

 繰り返しになりますが、別途の枠組みを両者の合意によって設けなければ枠組みにはならないというふうに理解をいたしますが、これを設けることそのものの交渉をどのように位置づけるかということも含めて、竹島問題の解決のために最も望まれる方法を総合的に判断をしながら進めていきたいという趣旨で御答弁申し上げたと御理解をいただけたらと思っております。

秋葉委員 今回、日韓の外相会談は、時間にすれば一時間を超えるものでございました。それに比べて、今回の日韓の首脳会談は、たった十分間であります。全体では二十分かもしれませんけれども、通訳を介せばわずか十分。こうした日程のとり方について、どのように認識しているのか。私は、やはり事務方も含めて、首脳会談というのは十分時間をとって、いろいろと議論する重要な課題がたくさんあったと思うんですね。何しろ、この会談に入る前には、韓国側のこの三人の動きというのは特に察知していたわけですから。

 この時間のとり方ということ、外務省の日程のとり方ということについて、どのように外務大臣は評価されますか、たった十分であったというこの首脳会談について。

松本(剛)国務大臣 今回は、日中韓の三カ国のサミットを主とする会議でありまして、よく、私どもの言葉では、その合間、マージンでバイ会談を行う、こういう言い方をいたしております。

 もちろん、そのバイ会談でも、今回の日韓首脳会談は、想定よりも極めて短時間になったことは事実であります。これは、そもそも、いずれの首脳も全体の時間が限られている中で、今回はそこに至るまでの日程で幾つかが当初より時間を要したということもありまして、結果としては極めて短い時間になったということは、今御指摘があったように短い時間になったわけでありますけれども、しっかりと会談は適切な形で行われたと評価されるべきものだというふうに私としては思っておるというふうに申し上げたいと思います。

秋葉委員 私も、国際会議あるいはこうした類似の会談の経験がございますから、大変いろいろな日程が入ってきて、かなり過密なスケジュールになりがちだということはよく理解できます。しかし、日中韓のトリリンガルな会談であったとしても、やはり本来、首脳会談の時間というのは、通訳を入れれば一時間、入れない実質的な時間で三十分ぐらいは最低でも確保するように組んでいくというのが、国益を考えたときに大変重要なことだと私は思いますが、こうした首脳会談や外相会談の時間を十分とっていくということに関して、今後の対応も含めて、改めて大臣の考えを伺っておきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 こういった国際会議のマージンでのバイの会談ということになりますと、先般私がアフリカのTICADなどに参上いたしましたときは十五分ないし二十分単位ということもありましたけれども、我が国と隣国である中韓でもありますので、一時間をとるべきだという御指摘については私どもも同意をできるところがありますし、実際に、あるべき姿としては一時間ということを私どもも目指してきたということはありますので、これからもそのような時間が確保できるように努力をしたいと思います。

 ただ、結果としては、前後の予定の関係から大変短時間になったところでありますが、内容としては、しかるべく日韓の協力が確認をできたと思っているということを申し上げたところでございます。

秋葉委員 今後十分時間をとっていただけるという表明がございましたので、ぜひそのようにしていただきたいと思いますが、きょうの御答弁の中で大臣がしばしば、内容的には十分だったということを繰り返されておりますけれども、こうした短い時間の中で、全体のいろいろな案件がある中で、どうしてもなぞってしまうような形になりがちな傾向があろうかと思います。

 さまざまなことを確認し合う、今回の共同宣言でもいろいろと盛り込まれましたけれども、一つのことを議論するのでも、とても三十分、一時間じゃ足りない。あれだけのことをたった十分間で組もうとすること自体が無理があるわけでありまして、やはりトップ同士、生で語り合う、肌感覚で触れ合うということが、お互いの信頼関係にもなり、率直なやりとりにもつながっていくわけでありますから、バイでの会談の時間というのを最優先で今後おとりをいただいて、しっかりとした、中身のある議論をしていただきたいと思います。

 きょうは、福島原発に伴います日本産食品あるいは日本製工業製品の輸入制限の現況がどうなっているのか、その被害額がどう変遷してきているのか、そしてこれからどう対応するのかということを、まず、一般質疑でありますから伺いたいと思いましたが、残り時間もわずかになりました。

 韓国国会議員の問題、大変な、私ども日韓の外交史上にとって一つの分岐点になるような事例だと思います。きょう議論をさせていただいてきたようなことをしっかりとフォローアップをしていただいて、私どもにも十分御報告をいただき、そして適宜、日本政府としての立場を強い態度で表明していただきますように心からお願いを申し上げて、次の質問に移らせていただきます。

 きょうは、農水省から田名部政務官、経産省から中山政務官においでいただいております。この震災が起こりまして、各国、農産物に限らず、有名な話では今治産のタオルまで輸入制限措置がとられたわけでございますが、当初の輸入制限措置の緩和に向けてどのような努力をされてきたのかということをまず伺いたいと思います。

田名部大臣政務官 先生もよく御存じのことと思いますけれども、諸外国においては、この福島原発の事故を受けて、大変厳しい規制また検査というものがなされるようになりました。そのことを受けてどういう対応をとってきたのかということでありますけれども、まずは、しっかりとした正確な情報をお伝えする努力をしてまいりました。

 例えば、在外公館であるとか在京大使館の皆様からも御協力をいただきながら、国内においてはどういう検査をしているのか、安全確認をしているのかということを諸外国にお伝えする。さらには、各国に農林水産省の担当の事務方を直接訪問させまして、規制の緩和というものを求めてきたところでございます。

 これからも、しっかりとこの風評被害に対して諸外国から理解を求めていただきながら、日本の食の安全確認の状況というものを正確に認識していただきながら、輸出の促進に努めてまいりたいと考えています。

中山大臣政務官 ただいま田名部政務官からお話がありましたとおり、食べるものは非常に神経質だと思いますが、工業品についても同じような御指摘をいただきまして、輸入制限等がございました。

 この間も、私、APECの外交関係の、特に貿易閣僚会議に出席をさせていただきまして、ほとんどの国と立ち話では必ず、風評被害はもう日本ではかなりないので安心して商品を買っていただきたい、そしてまた、諸外国からは早く復興してくれという励ましのお話がありましたので、復興にはやはり日本の商品を早く買っていただくこと、そして日本にたくさんの皆さんに来ていただくことが大切なんですということを訴えてまいったところでございます。

 とにかく、誠心誠意、安全であるということを私たちが外国の皆さんに言うことが大事でございまして、機会を通じて、先生方にも熱烈に、日本の商品が安全で、しかもこの日本に来ていただきたい、このような要請をしていただきたいというふうに思っております。

秋葉委員 本当に、私どもに起因する問題ではありますけれども、安全対策の強化がこの間精力的に図られてまいりました。今の輸入制限措置というのは、各国によって非常にばらつきがございます。そうした各国の取り組み状況に合わせて、外務省としても、しっかりと正確な情報を発信することによって風評被害を最小限に食いとめていくべきだと思いますが、時間も参りましたので、最後に、外務大臣あるいは外務省の取り組み方、決意を伺って、私の質問を終わりにしたいと思います。

松本(剛)国務大臣 我が国の復興において、食品を初めとする各産品の輸出、また物流の確保というのは極めて重要な課題である、このように認識をいたしております。

 その意味で、何らかの輸入規制措置、また交通、物流の措置、渡航制限の措置などがとられた場合には、直ちに内容を照会すると同時に、その緩和について申し入れをするように在外の公館にも指示をいたしているところでありますが、現段階においては、幾つか申し入れの効果はありましたけれども、引き続き極めて対策を必要とする状況が続いているということは私どもも認識をいたしておりまして、逐次、私の方も報告をとりながらさらに督励をして、対策を進めていきたいと思っています。

 また同時に、関係省庁とも連携をとりまして、手続的なもの、もしくは直接的なものも含めて、規制そのものだけではなくて、民間レベルで、実質的に規制が取っ払われた、渡航が取っ払われても、人が来ない、物が動かないというケースに対しても、ジェトロなどとの連携も含めたキャンペーンも含めて、これも対策をとっていかなければいけないということで、この復興において、対外的な面においてはもちろんさまざまな課題があるわけでありますが、最も重要な課題の一つという位置づけでしっかり取り組んでまいりたい、このように思っております。

秋葉委員 しっかりと取り組んでいただきますことをお願いしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

小平委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 今、自由民主党のお二方から、韓国の国会議員の北方領土国後島訪問に関する質問がありました。二人の熱い質問を聞いていまして私も熱くなってきましたので、きょうは沖縄の問題を中心にやる予定でありますけれども、若干、冒頭で、この今の問題について、私の見解も踏まえて、ちょっと気になったことが幾つかあるので、大臣に確認をしておきたいと思います。

 まず、こうした領土問題というのは、私、思いまするに、極端な対応の仕方は二つだと思うんですね。一つは完全に放置する、もう一つは戦争をするんですね、取り返す。要するに、全く無視する、放置する、あるいは戦争で取り返す。これ、どっちもとる選択ではない。当然であります。日本、憲法第九条もあり、別に憲法九条がなくても、なかなか戦争で取り返すというのは難しい話でありますけれども、そういうことにすると、結局、その間の選択、完全無視、放置、そして戦争で取り返す、その二つの間にある行為をするしかないと思うんですね。

 先ほど外務大臣の答弁を聞いておりまして、キーワードが幾つかあった。私が勝手にキーワードだと思った言葉がある。それは、適切な形で対応していきたい、適切な形という言葉を何回か繰り返されました。あと、粘り強くという言葉も使われました。適切な形、粘り強く。

 今回の、先ほどのお二方の質問に対する、質問の対象事項に対しては、お世辞にも適切な形とは言えず、粘り強いとは言えなかったと私は思います。大臣も恐らく、今回の対応について、適切という言葉を使われたんだから適切だとは思っておられるかもしれないけれども、粘り強いということには今回の事案に限っては当たらない、まだ起こって時間もそうたっていないわけだからと思うんですが、今後、二度と再びなんてことは使いたくありません。必ず類似したことは起こります、間違いなく。起こったときに、大臣言うところの適切な形あるいは粘り強い、こういう言葉が指し示す中身として、どういうふうな外交姿勢を考えておられるのかということを、まず冒頭に聞きたいと思います。

松本(剛)国務大臣 何度か今御指摘があったキーワードを私も使ったというふうに認識をいたしております。

 一つ、適切というのは、もちろん今回の訪問は到底容認できるものではないことをまず申し上げた上で申し上げれば、まさに今後、竹島問題を解決するために、そして日韓関係を深化させるために何が適切なのかという視点から、適切というふうな判断をして行動に移しているという意味で適切というふうにお話をさせていただきました。

 また、今回の訪問そのものについても、必要な対応はこれからも行っていくというふうに申し上げさせていただきましたが、粘り強くということは、残念ながら、これまで竹島の問題というのは、長い間、課題として、懸案として両国間に存在をしているわけであります。また、その事態がどのように推移をしているか。この間の一連の措置によって、むしろ事態は我が国にとっては悪い方向に行っている、こう御指摘をされる向きもあることも私どもも認識をいたしているわけでありますけれども、粘り強く、むやみに時間をかけるという意味で申し上げているつもりはありません。最後までしっかりやり抜くという粘り強い決意が必要ではないかという趣旨も込めて、粘り強く取り組んでいきたい、このように申し上げているところでございます。

赤松(正)委員 いや、そういう精神論ではなくて、具体にどういうことをするということを意味しているということを聞きたいわけです。

松本(剛)国務大臣 それは、このような国会議員の訪問とかが起こった場合にというような理解でよろしいんでしょうか。それとも、この竹島問題全体にというようなお話ですか。

 私自身も外務大臣に就任をして、改めてこれまでの経緯、私自身も一定程度は理解をいたしておるつもりではありますけれども、実際に外務大臣となって、これまで行われてきたこと、そして今何ができるのかということをきちっと取り組んだ上で、今後の対応というのを進めていきたいと思っております。

 現段階では、歴代の先輩方が積み上げてきた努力の上に立って、私自身も働きかけを重ねていく努力を行っているわけでありますけれども、これまでの経緯にかんがみて、さらにこの働きかけを強めるという形を私自身が進めていくことがまさに適切なのか、もしくは、新たに加えるような考え方、方法があるのかどうかということも考えていかなければいけない。

 今、震災から二月余り経過をし、私自身が就任をしてからも二月余りを経過した中で、しっかりとそのようなことも考えながら取り組みを進めていきたい、こう思っております。

赤松(正)委員 余り考えていないということがわかりました。

 大臣、先ほどの小野寺さんとのやりとりの中で私がふと思ったのは、先方の大使、駐日韓国大使を外務省に呼んで抗議をするということはやらなかったんですか。

松本(剛)国務大臣 駐日韓国大使そのものは、実は現在、在京ではないというふうに、たまたまでありますけれども、承知をいたしております。

 今回は韓国における大使から申し入れをさせたのは、やはり議会のことで、直接政府という、政府と議会の関係をどうするかということがありますが、議会の所在をする韓国において申し入れを行うのが適切ではないか、こう考えて、韓国政府に対して申し入れを行ったというふうに考えていただけたらと思っております。

赤松(正)委員 たまたまいらっしゃらなかった。では、今度東京に戻ってきたらどうしますか。

松本(剛)国務大臣 いらっしゃらないという情報は、今の判断とは直接関係がないという意味では、若干余計な情報をお話ししたかもしれません。

 韓国と東京とどちらでやるのかということを考えた結果、韓国で行うことが適切であると考え、韓国の大使から韓国の政府に対して行わせたということでございます。東京も検討の選択肢には挙げたわけでありますけれども、たまたまいなかったということもありますけれども、いたとしてもやはり韓国で行うのが適切であるというふうに判断をすべきだろうというふうに考えたということは申し上げられると思います。

赤松(正)委員 そのあたりが、さっき、終わったとか終わらないとかという議論につながる話であって、非常に淡泊だなという感じがするわけですね。ですから、ソウルでやったから、東京でやったから、どっちかでやったからもう一つでやらなくていいというのではなくて、手をかえ品をかえ、いろいろな角度でやはり日本の主張というものを打ち出すべきだ、こういうことを私は指摘しておきたいと思うんですね。

 それからもう一つ、一回だけ使われた言葉で、私が自分の考えと、ある種つながった言葉がありました。国民感情という言葉を使われました。

 この国民感情というのは、たしか大臣が使われた文脈は、相手国、韓国やロシアの国民感情これありというふうな意味合いで受けとめました。文字どおり、この国民感情というのはいろいろな側面があるんですね。

 自分がこうやってしゃべるよりも、大臣が先ほど使われた、国民感情という言葉を使ったことを覚えておいでだと思いますけれども、どういう文脈で使われたかをまず聞きたいと思います。

松本(剛)国務大臣 竹島の問題については、我が国の考え方と韓国の考え方が全く相入れないものであり、国民の感情においても全く異なるものであるというふうに考えているところでありますが、北方領土について韓国の方々がどう考えているのかということは私どももよく見ていきながら、そして、北方領土については、私どもがロシアとの間で解決をすべき問題であって、これについては、私どもとしては、ロシアと行う内容だ、このように思っております。

 その意味で、今回のことがどのように韓国で受けとめられ、また、私どもがどのように行動することによって、韓国の方々が日本とロシアの北方領土の問題についてどのように考えるかということも私どもは知っておくべき情報ではないか、こういう趣旨で、北方領土についての韓国の方々の国民感情ということに触れさせていただいたというふうに記憶をしております。

赤松(正)委員 やはり聞いてみるものだと思いました。日本とロシアの間における北方領土をめぐる問題についての韓国人の国民感情、こういう意味合いで大臣が使われたということは私は想定をいたしておりませんでした。

 どちらかというと、やはり今回の問題は、北方領土の問題についてのロシアと日本との関係というものに対して、この三人の国会議員が、言ってみれば助っ人のような形で、そういう問題で長い間トラブルを起こしている二つの国家の間に自分たちが割って入るということであって、私は、その背後に韓国人の国民感情というのは、北方領土の問題に関しては余りないのではないか、そんなふうな受けとめ方をしておりました。

 大臣にここで聞きたいのは、韓国の世論ですね。これは、今私が言ったように、北方領土ではなくて、まず、むしろ竹島についての韓国世論。それから、今回の韓国の三人の国会議員がこういうことをしたということに対する韓国世論というものはどういうふうな動きを示しているか。現時点、わずかな期間でありますけれども、間でどういうふうな世論が起きているかということは、調査、掌握をしておられるでしょうか。

    〔委員長退席、長島(昭)委員長代理着席〕

松本(剛)国務大臣 韓国政府そして韓国国民の竹島に対する考え方なり感情については、既に先生もよく御案内のとおりだと思いますけれども、韓国における教育も含めて、十分に国民の間に浸透しているというふうに、また強く浸透しているのではないかというふうに私どもも受けとめなければいけないと思っております。

 他方で、北方領土については、今先生からは、それほどないのではないかというようなお話であったかというふうに思っております。私どもも、そういった視点に焦点を当てて、どの程度の関心度があるかとか、そういう情報、データがあるかどうかは今のところ私どもも承知をしていないわけでありますけれども、先ほども御報告を申し上げたように、韓国政府が、韓国政府の立場と今回の国会議員の行動とは同じものではない、こうコメントをしているということと、現在私どもが承知をしている限りの韓国の論調、論壇の論調であるとか、それに伴う受けとめであるとかいうのは、先ほどの韓国政府のコメントと近いところにあるのではないかというふうに感じているところであります。

赤松(正)委員 非常に大事なポイントだと私は思うんですね。

 要するに、この三人のやったことはやり過ぎじゃないのか、わざわざ北方領土まで出かけていってこんなことをするのはおかしいというふうな意見が韓国の中にあるやもしれない。どういうふうな位置を占めているか、私は残念ながら掌握しておりませんけれども、そこは、先ほど来、大臣の、適切な形とか、あるいは粘り強く、つまり、対韓の外交交渉の流れの中で、韓国の中における国民世論がどういうふうなものであるのか。

 さっき、竹島については打って一丸となってと。まあ私の言葉ですが、そういう受けとめ方をしているというようなことをおっしゃいましたけれども、それも含めて、そうかどうかはわからない。あらゆる意味で、あらゆる手だてを講じて、日本の正当性というものを韓国の国民世論の中に深く訴えかけるということが必要である、そんなふうに思うんですね。

 そういう意味では、ロシアの日本との北方領土の問題と、対韓国との間の竹島の問題は、性格が私の受けとめ方としては明らかに違うわけです。その違うものを一緒にしちゃった、そういう韓国の三人の国会議員の、何というか、至らなさというか見識のなさというか、そういうところもあり、つけ込むというか、攻撃するというか、指摘する部分は幾らもあるということが言えると思うんですね。

 だから、そういうことも含めて、今申し上げたような、どういう反応を韓国の国内にもたらしているのかということについては、きっちりと深く広く掌握するということを、韓国武藤大使にも、あるいはまたその周辺のさまざまなソウルにいる日本人に、その辺のことをつかむ努力、手だてを講じるようにすべきだ、こう思うんですけれども、いかがでしょうか。

松本(剛)国務大臣 今先生がおっしゃったように、一部で、やはり韓国の中においても、竹島の問題で譲ることはないけれども日韓関係は大切だ、そういう意味では今回の国会議員の行動そのものについてはやり過ぎであるとか、趣旨について疑問を呈する声というのは私どもの耳にも届いてきているということは御報告をできると思いますが、今後、このことそのものが、どのような形で受けとめが広がっていくのか、広がっていかないのかも含めて、情報収集に努力をする必要があるという御指摘については、しっかりと受けとめて対応してまいりたいと思います。

赤松(正)委員 先ほどの自民党のお二方の指摘は、私は領土問題という部分において極めて正しいと思うんですが、そういう主張を間断なく、粘り強く、適切な形で、ありとあらゆる手だてを講じてやるということは当然大事です。

 それと同時に、今まで民主党政権が、自民党政権のときからもそうでありますけれども、例えば対中戦略的互恵関係とか、あるいはまた未来志向の日韓関係ということを、これは時の政府どうこうよりも、私は外務省主導の言葉遣いだと思いますけれども、そういうふうな方向性というものをしっかりと日本国民にわからせるために、要するに確たるアクション、いわゆるパフォーマンスではなくて、しっかりとしたそういう間断ない行動、次々とこの問題に関する、中国あるいはロシアあるいは韓国に対するそういう領土問題をめぐっての日本政府の意思というものを、さまざまな形で、ありとあらゆる手だてを講じて、必ずしもそれは熱くなれという意味ではなくて、いろいろな形で、悠然と、あるときはまた厳しく、さまざまな手だてを講じてこういう問題については当たるべきである、このように申し上げたいと思うんですけれども、外務大臣の受けとめ方を聞かせていただきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 今、我が国を取り巻くさまざまな課題について御指摘がありました。もちろん、常に、きょうはきのうと同じでなく、また、あしたもきょうと同じではないわけでありますけれども、他方で、今御指摘をいただいたような幾つかの課題というのは、かなり長い間、大きくは動いてきていない課題であることも事実であります。また、当然、そういった課題がそれぞれある国々との関係というのは、私どもにとりましても、地理的にも経済的にも政治的にも大変重要な関係でもあるわけで、これまでも歴代の先輩方がそういったことを総合的に勘案しながらいわば回してきた、マネージしてきたと言うべきなんだろうというふうに思っております。

 私自身としては、この長年の懸案ということが本当に粘り強く行われてきたわけでありますけれども、進むべき方向というのは常に検証されていかなければいけないというふうに思っておりまして、その意味で、改めてしっかり検証しつつ、同じ道を進んでいくのか、新たな方策を加えるのかを考えながらやっていきたいということを先ほど申し上げたというふうに考えております。

赤松(正)委員 何か今、過去の政権の流れを肯定されたような言い方をされたので、ちょっとばかり、その意思というか、外務大臣の今後の問題に取り組む姿勢にちょっとした疑問、心配を少し抱いてしまいました。過去とは違って、新しい動きを起こしたいという強い決意をにじませてほしかったなと思います。

 それから、沖縄問題に移りたいと思います。

 沖縄については、沖縄政策協議会が先日行われ、そして今月末には外務大臣が沖縄に行かれるということでありますけれども、そのあたり、実は私、先週末、沖縄に行ってまいりましたので、そこでいろいろなことを私なりに調査してきた。そういうことも踏まえて御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、今の沖縄県における大きな課題、米日両政府に対する強い抗議の意思というものが大きく高まっているわけですが、それは大きく言って三つ。そのうちの基地の問題では、普天間のいわゆる危険度という部分、それから嘉手納の騒音問題、この二つ。それからもう一つが、いわゆる交通事故で書類送検された米軍関係者が公務中ということを理由に不起訴になるとかどうとかという、こういうテーマ。

 この三つについて現状を、前二者については松本防衛政務官から的確にお答え願いたいと思います。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 まず、普天間の危険性についてでありますけれども、御指摘のとおり、住宅や学校等が密集している中に存在する危険な状況にあり、一刻も早く移設させることが必要であると認識をしております。

 普天間飛行場の移設問題は、同飛行場の危険性を一刻も早く除去するために、さまざまな要素を総合的に勘案しつつ、政府、地元、米軍の三者が納得する解決策を見出していかなければならないという極めて難しい問題であり、これまで解決に時間を要しているところであります。沖縄において厳しい声があることは十分承知をしておりますが、昨年五月の日米合意において、代替の施設を辺野古に設置することとされたことを踏まえ、沖縄の方々に誠心誠意説明し、御理解を求めながら取り組んでまいりたいと思います。

 次に、嘉手納の騒音問題でありますが、防衛省は、嘉手納及び普天間飛行場の周辺に十八カ所の騒音測定装置を設置しておりまして、常時騒音状況の把握に努めているところであります。

 平成二十二年度の測定結果でありますが、航空機騒音のうるささをあらわすWECPNLについては、前年度に比べ十一カ所で増加し、七カ所において減少しております。それから、騒音発生回数でありますが、これについては前年度に比べ六カ所で増加し、十二カ所において減少しているところであります。

 米軍飛行場における飛行活動は、米軍の運用上必要不可欠なものでありますが、他方、航空機による騒音が周辺住民の方々にとり深刻な問題になっており、騒音軽減は重要な問題であると認識をしております。だからこそ、本年一月、日米間で合意したグアムへの訓練移転、これについては嘉手納飛行場のさらなる騒音軽減に道を開くと考えておりますので、今後とも沖縄の負担軽減が実感できるよう努めてまいりたいと考えております。

 以上です。

赤松(正)委員 大臣、交通事故の方の問題について、幾つかの動き、今回の沖縄政策協議会で大臣の方から、この部分についてどういう発言をされたのかということを中心に、現在の進行状況をお伝え願いたいと思います。

松本(剛)国務大臣 先生はよく御案内でありますけれども、これまでも事件、事故防止についてはたびたび申し入れを行ってきたところでありますが、引き続き残念な事件が発生をいたしているところは事実でありまして、沖縄側からも抜本的な対策が講じられなければならないという認識が示されたことに対して、私どもとしても、従来からの取り組みを進めるとともに、今後についてもしっかり考えていかなければいけないと思っております。

 その上で、今回の基地負担軽減部会において、私の方からは、いわゆる公務の範囲、これについて従来の合意は、公の催し物、行事の場合であれば、飲酒をして帰る場合であっても公務に含まれるというふうに解することができるような内容になっているもの、しかし、実際にはこれは適用されたことはありませんので、事実上死文化をいたしておりますし、また、現在の社会通念には反するものだというふうに考えておりますので、ぜひこれを変えていただきたいということで今協議を行っているということを御報告させていただきました。

赤松(正)委員 この問題を聞くたびに、公務であろうが公務でなかろうが、飲酒で運転するということがいかに危険であるかということについて、やはりわからせないといけないと思うんですね。いろいろな、代行運転なるものもあるわけですし、ありとあらゆる手だてを、それこそこの部分でも講じて、米軍に対して、さまざまな沖縄の県民が感じている感情というものをしっかりと伝えていく。日米地位協定の改定というものを掲げて出発をした民主党政権なんですから、ここは本当に、それこそ粘る最大のポイントである、こんなふうに私は思うんですね。

 そういう意味では、今、政務官から嘉手納及び普天間の実情、また、交通事故の問題については大臣からその現状について報告がありましたけれども、今回の沖縄政策協議会で、私は、県知事あるいは首長が、その政策協議会に出た上での感想とかそういうものを報道機関に向かって言っているということしか現在の時点では知り得ておりません。非常に、やはりこの沖縄政策協議会というものが、本来スタートした時点でのねらいというものからはほど遠い現状になっている。

 もっと実質的な実りのある、先ほどの例に出した、また報告をしていただいたそういうテーマについてしっかりと掘り下げて、沖縄県民の意思というものをしっかり踏まえて、どうやってこれを解決していく手だてを講じることができるのかということについて、日本政府と沖縄県側がしっかりと掘り下げた深い議論をしていかなくちゃいけない、こう思うんですけれども、結果は、全然、単なる報告だけに終わって、今の沖縄県民が直面しているさまざまな厳しい課題についてどのように解決していくのかという方向性が見えなかった、こんなふうな受けとめ方が専らであります。

 それについて、大臣自身、沖縄政策協議会に参加したのは初めてですね。今回の協議に挑まれた上での、沖縄政策協議会、この部会、沖縄の県民負担の負担軽減部会というものについて、参加をされた大臣としての自己採点を聞かせていただきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 このような会議というのは、私自身は、両方兼ね備えている場合もありますけれども、二つ、二種類の要素があると思っております。一つは、今おっしゃったように、しっかりとそこで意見交換を、いい形での意見交換が行われるということが一つでありますし、もう一つは、やはり沖縄であれば、今回は知事を初めとするしかるべき方々が来られ、政府側からは、沖縄担当の官房長官を初め防衛、また私も同席をさせていただくような会議になっておりますので、そういった出会いのときまでを一つの区切りに、しっかりそこまでを目指して成果をまとめるという目標としての会議の設定ということと、両方の要素があろうかというふうに思っております。

 その意味で、今回の政策協議会、私自身が、おっしゃったように、初めて出席をいたしました。感想としては、政府の会議としてはかなり率直な意見交換が行われるというのが率直なイメージとしてありました。やはり政府の場合は、先ほど申し上げたように、しっかりと準備をして、そこで最終的に確認をして、成果を出す会議であるというのが大変多いわけでありますので、その意味では、真摯な意見交換の場である要素の強い会議であるなということを認識いたしたところであります。

 同時に、沖縄県の知事を初めとする皆様からは、結果を出す会議でもあってほしいという趣旨の御発言があったというふうに私自身は理解をいたしました。政府としては、懸案にこれまで取り組んできているわけでありますけれども、しっかりとこれから結果を出せるようにしていかなければいけないというふうなことを考えているところであります。

 私自身の自己採点ということであります。

 私自身が私自身を評価することはなかなかできるようなものではないんですけれども、やはりこれから先、沖縄の基地負担軽減部会、次回があるまでには私自身はどういうことが報告をできるのかという視点から全力を傾けていきたいな、そういう思いを新たにしたことだけは申し上げたいと思います。

    〔長島(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

赤松(正)委員 大臣、今言われたことの二つの意味合いというか、例えば2プラス2をやりますね、それには当然、会議に向けての、積み上げていく課題をどのように協議するかという、事前にさまざまな形で議論する事務方の会議がありますね。それと同じように、この政策協議会の基地負担軽減部会にもそういうものをつくるべきだと思うんですけれども、どうですか。

松本(剛)国務大臣 それは、2プラス2の場合は局長級があって審議官級があってということと並行した形で、沖縄についてもということであります。

 どのような形で進めていくのが実際の基地負担軽減の実りあるものになるのか、意向を酌むことになるのかということで、今の御示唆というのは一つの考え方。政府同士ではありませんので、どういう組み合わせがいいのかという問題はあろうかというふうに思いますけれども、また、実際に今、事務方の連携は行われているというふうに理解をしております、私のところにも報告も入ってまいりますので。入りますけれども、部会としてそういう枠組みが効果を発揮するかどうかということは、一つ御示唆をいただいたものとして、私の中でも考えてみたいと思います。

赤松(正)委員 大臣、要するに沖縄の問題は、前回というか、いつかの会議、この外務委員会でも申し上げましたけれども、沖縄県を四十七都道府県の一つだと思うというところからスタートしてはいけないということを、私、持論というか、強く思っております。やはり、琉球民族以来の流れを引いたこの沖縄県というのは、今、四十七都道府県の一つでありますけれども、やはり準国家的な扱いをしていかなくちゃいけないというぐらいの重みを持った地域である、そんなふうな受けとめ方をしているわけですね。

 そういう点で、今回のような政策協議会基地負担軽減部会だったら、年がら年じゅう県知事は上京してきているわけですよね。そういう状況の中で、いろいろなことを言う、聞くという場面は幾らもあるわけで、たまたま大臣が三人そろい、それから副大臣がいたり、あるいはまた事務次官がいたり、こういうことなわけですけれども、そうじゃなくて、もっと実質的な、さっき結果を出せるようなと言われたけれども、結果を出さない会議なんて、ある意味、無意味なんですから、そういうのではなくて、しっかりと実が次々と結ぶような、そういう会にしていっていただきたいと思います。

 最後に、二十八日ですか、大臣が沖縄に行く。かねて自分も行きたい、こう言っておられたわけですから、沖縄に行って、何をしに行くのかということを、だれに会うのか、どういうことをしたいと思っているのか、これを聞かせていただいて、終わりにしたいと思います。

松本(剛)国務大臣 今は日帰りでありまして、お会いをする主な方は仲井真沖縄県知事、それからグラック四軍調整官にお会いをいたしたいというふうに思っております。

 現段階で沖縄の皆様の状況は大変厳しいわけでありまして、部会でもお目にかかりましたけれども、できるだけ仲井真知事としっかりお話をさせていただいて、今、政府としては昨年五月の合意の着実な前進を目指しているわけでありますけれども、仲井真知事と直接忌憚のない意見交換をしてまいりたいと思っております。

 また、四軍調整官とは、先ほど事件、事故のお話もありましたけれども、取り組まなければいけない課題がいろいろあるというふうに私も考えておりまして、この課題の解決に向けてのお互いのできることというものをしっかりと議論してまいりたい、そういう意味での意見交換をしてまいりたい、このように考えているところでございます。

赤松(正)委員 単なる儀礼的な会談ではなくて、しっかり結果を出していただきたいと思います。

 以上です。

小平委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 先週、五月十九日、二十日と国会で行われました日本・EU議員会議に、各党の同僚議員とともに私も出席いたしました。先方の欧州議会の議員の皆さんが、こもごもに東日本大震災そして福島原発事故の被災者に心を寄せて、そして被災者救援それから復興、原発事故の収束に当たる日本への連帯、支援を表明して、地震、津波対策とともに、エネルギー政策の転換という問題も大きなテーマとして、世界共通の課題として受けとめておりました。

 そういう中で、ことしも、八月六日、九日、広島、長崎の被爆から六十六年目のあの日がやってまいります。そこで、まず松本大臣に伺いたいんですが、そもそも原子力エネルギーを大量殺りくのために利用したのが核兵器であって、広島、長崎原爆投下は多くのとうとい人命を瞬時に奪って、なお高齢となった被爆者を苦しめ続けております。広島、長崎の悲劇の再現を許さずに核兵器を廃絶する、核兵器のない世界を実現することはいよいよ重要な課題であり、被爆国日本の役割発揮が求められていると思うんですが、大臣の基本認識を伺っておきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 核兵器のない世界ということは、オバマ大統領のプラハ演説でも提唱をされたところでありまして、これまで核軍縮・不拡散、そして核廃絶といったことを目指してきた我が国国民、政府の方向にかなっているものだと考えておりますし、私も我が国政府の一員としてしっかり努力をしていきたいと思っております。

笠井委員 広島、長崎から六十六年目の今、核兵器をめぐる世界の大勢というのは、紆余曲折ありますけれども、核兵器の全面禁止、廃絶の方向に流れていると思います。まさに、人類は核兵器のない世界に向けた歴史的な転換点のただ中にある。このことは、私自身も被爆二世として、この間、五十数カ国を訪れながら、二〇〇五年と昨年開かれたNPTの再検討会議、昨年は我が党の志位委員長とともに行きましたが、そういう中で非核平和を訴えてきて、痛切に実感しております。

 そこで、大臣に伺いますが、昨年五月のNPT再検討会議では、全会一致で採択をされた最終文書の中で、すべての国が核兵器のない世界を達成し維持するために必要な枠組みを確立するための特別な取り組みが必要だということを明記しております。私は、極めて重要な合意だと思います。

 あれからちょうど一年がたちます。この最終文書に賛成した日本政府として、核兵器のない世界を達成し維持するために必要な枠組みを確立するというために、どのような特別の取り組みをやってきているのか。去る四月三十日には、ドイツのベルリンで非核保有国十カ国が参加した核軍縮・不拡散に関する外相会合が開催されたと承知しておりますが、その中でも、大臣自身がそういう点での特別な取り組みということでどういうことを提起されたのか、伺いたいと思います。

松本(剛)国務大臣 そもそも我が国は、昨年のNPT再検討会議が、五年ごとに行われていますが、委員の方がお詳しいと思いますけれども、そのさらに五年前と同じことにならないように、昨年はしっかりとした結果を出せるようにということで、この方向を主導すべく、我が国政府として、また外務大臣の経験者の方々などの動きなども連携をしていきながら活動してきたことがありますので、その結果として、昨年のNPT再検討会議で成果が出せたということ自身がまず大きいと思います。

 その上で、この成果にこたえて、我々も一つ一つ進めていかなければいけないわけでありますが、今御指摘ありました、四月三十日に第二回の核軍縮・不拡散に関する外相会合といったもの、これがオーストラリアと我が国の主導でスタートいたしまして、今回はドイツがホスト国ということでベルリンで行われたわけでありますけれども、こういった議論の中で、核兵器のない世界へ向けての軍縮の動きを我々としてもしっかりと後押しをしていく、また、不拡散を確保していくということ、核リスクの低減ということで、現実的に前進をさせていくということがこの十カ国の共通の認識ではないか、このように思って、十カ国と連携をしながら、それぞれのテーマにおいて今行動を行っているところであります。

 私どもは、ことしの二月、三月、オーストラリアとともに、ジュネーブにおいてカットオフ条約、兵器用の核分裂性物質の生産禁止条約、FMCTですか、これに関する専門家会合が開催されて、カットオフ条約に関する実質的な議論の進展を目指しているところでありますけれども、私どもは、ここでサイドイベントとしても活動を行い、また米国などにも協力を求めていきながら作業をしている、行動しているというふうに御報告をしたいと思います。

笠井委員 今、一連、日本政府がやってきたことについて、NPTの会合を受けての、再検討会議を受けての話がありましたが、私は、今大臣が言われたことにとどまらず、世界で唯一の被爆国ですから、それならではの特別な取り組み、努力がなければいけないと思うんです。

 昨年のNPT最終文書では、核兵器のない世界を達成し維持するために必要な枠組みを確立するための特別な取り組みの必要性とともに、核兵器禁止条約交渉の検討というのを提案している潘基文国連事務総長の五項目の提案に注目するということも最終文書に盛り込まれております。明記されています。

 カバクチュランNPT再検討会議議長も、この会議の成果というのは核兵器禁止条約に焦点を当てたことだというふうに強調しています。実際、昨年秋に始まった第六十五回国連総会では、多くの政府がNPT再検討会議の合意を実行に移すべきだと核保有国に迫って、NATOに加盟する米国の同盟国であるノルウェーも、核兵器廃絶に向けて直ちに行動するように強く要求するなど、核兵器禁止条約の交渉と締結を求める声が広がりました。

 ところが、日本政府はどうかといいますと、この総会の中で百三十三カ国が賛成して採択をされた核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議、マレーシアなどが提案をした決議でありますが、この決議案に棄権をいたしました。なぜ棄権したんでしょうか。

松本(剛)国務大臣 申しわけありません。今、そのときの経緯そのものは、今手元に資料を持っておりませんので、正確に経緯を申し上げて御回答を申し上げられませんけれども、核兵器のない世界を目指す我が国の決意が変わるものではない、このように考えておりますが、実際にどのような形で進んでいくのかということを考えたときに、現実も見据える必要がある。先ほど申し上げた十カ国の外相会合でも、核リスクの低減ということを一つの目標に掲げているのも、重要なことは着実な前進であるという我が国の考え方が背景にある、このように考えているところであります。

笠井委員 政務官、どうですか。その当時、なぜ棄権したかというのは。

山花大臣政務官 済みません、ちょっと今手元に資料がないものですので、また改めて答弁させていただきたいと思います。

笠井委員 委員長、国連総会で日本政府が態度をとったことについて、現政権ですから、手元にないとか棄権した理由が言えないというのは、ちょっとこれはどうかと思うんですが、わかりませんか。

松本(剛)国務大臣 ですから、理由は、先ほど申し上げたように、核兵器のない世界を目指すことのために最も適切な形として、その決議を私どもが賛成をすることでは必ずしもないと判断をしたということを申し上げたというふうに理解をいただきたいと思います。

笠井委員 被爆国がこういう態度というのは、私は本当に恥ずかしいと思うんですね。

 昨年八月六日に、潘基文氏は国連事務総長として初めて広島の平和記念式典に参加をして、こう言いました。私たちはともにグラウンド・ゼロからグローバル・ゼロを目指す旅を続けている、それ以外に世界をより安全にするための分別ある道はない、なぜなら、核兵器が存在する限り、私たちは核の影におびえながら暮らすことになるからだ、こう呼びかけたわけです。

 そういう立場で核兵器禁止条約交渉の検討提案をしたのが昨年のNPT検討会合。そしてそれが、そういう中で最終文書の中にも、そういう形で、そういうことについて注目するということで盛り込まれたわけで、被爆国の政府としてはこれを重く受けとめるべきだと思うんです。

 さらなる核兵器削減だとか、CTBTの発効とか、兵器用の核分裂物質の生産禁止、その実行というのは、さっき言われました、もちろんですけれども、同時に、核兵器のない世界の実現のためには、それ自身を目標とした交渉が不可欠だということが今の流れです。戦後の歴史からも明らかだということで、格別な意義がある。

 マレーシアなどが提案した決議に反対したのはアメリカ、イギリス、フランス、ロシアなどで、核保有国では中国、それからNPTに入っていないインド、パキスタン、それから脱退したと言っている北朝鮮、またイランも賛成したわけです。核保有国が同意すれば条約交渉開始への扉を開けるところまで来ている。現実的、着実ということを先ほど言われましたけれども、私は、被爆国政府こそ米国などにおもんぱかって棄権せずに、積極的に賛成して保有国を説得すべきだ、こういう態度に改めるべきだということで、きちっと検討してもらいたいと思います。

 さらに、昨年のNPT再検討会議以降の一年でいいますと、最終文書で核保有国が約束した国際公約にも反するような事態も起きております。

 つい最近のことでありますが、アメリカエネルギー省は、保有核兵器の安全性と有効性を維持するためとして、高温高圧下でプルトニウムを使用した新型実験を、昨年十一月とことし三月の二回、ニューメキシコ州のサンディア研究所で行ったと発表いたしました。昨年九月のネバダ核実験場での四年ぶりの未臨界核実験に続くものであります。

 これらは、昨年のNPT再検討会議で合意された、核兵器のない世界の平和と安全を達成するという目標にも、自国の核兵器の完全廃絶のための核保有国の明確な約束という国際公約にも、そしてオバマ大統領自身の核兵器のない世界を追求するという言明にも反するものだと思うんですけれども、大臣はこれをどう見られておりますか。

松本(剛)国務大臣 今の御指摘がありました、貯蔵している核兵器の安全性及び有効性を維持するために、米国が本年三月、核爆発を行わずに、超高圧及び超高温のもとでのプルトニウムの性能を調査する実験を実施したというふうに私どもも承知をしております。

 昨年のNPT運用会議については既におっしゃっておられるので、私の方からはもう繰り返しませんが、我が国としては、今回の米国による実験は核爆発を伴わないこと、そして、既に米国が保有する核兵器の安全性及び有効性を維持することを目的としたものである、このように承知をしておりまして、NPT運用検討会議の議論、成果と矛盾するものとは考えていないというふうに申し上げたいと思います。

笠井委員 結構ですとか矛盾しないという答弁というのは、被爆国の政府の外務大臣としてあってはならないと私は思うんですね。

 核爆発を伴わなくても、今後の核兵器の使用というのは配備の継続を保証するものであって、核兵器のない世界を目指すことと矛盾は明らかであります。だからこそ、NPT再検討会議の行動計画にも、すべての国家は核爆発実験あるいは他の核爆発、核兵器に関する新技術の利用及びCTBTの目標と目的を損なういかなる行動をも慎むことを誓約するというふうに言っているんですね。日本もそれに合意しているわけです。

 広島、長崎の被爆者は、被爆者の願いを逆なでする行為だと厳しく抗議しています。早速、広島の平和記念公園では、五月二十三日に座り込みもありました。

 広島の松井新市長は、核兵器廃絶への切なる願いに対し誤解を生むような行動を慎んでほしいと述べて、長崎の田上市長は、新たな核兵器開発のおそれがある核実験は国際社会の努力を踏みにじるということで、容認できないという形で言っています。長崎の中村知事も、世界的な核廃絶の枠組みの形骸化につながりかねない行為だ、こう厳しく抗議をしているわけでありまして、それぞれアメリカに抗議している。

 大臣、被爆国政府としてアメリカ政府に抗議をして、みずから世界に約束した核兵器のない世界に向けた実効ある行動こそとれ、これをやはり言わなきゃいけないんじゃないですか。国民の気持ち、被爆国国民の思い、そして国際的な合意をしたことから照らして、それこそ言うべきだと思うんですが、どうでしょう。

松本(剛)国務大臣 オバマ大統領は、先ほど申し上げたように、核兵器のない世界ということを提唱されているわけでありまして、その点で我が国とは一致をしているというふうに考えております。

笠井委員 だから、核兵器廃絶、ない世界を目指すことと矛盾するということで、実際、被爆地を初め、みんな思っているわけですよ。

 昨年九月の未臨界実験のときにも菅総理は抗議しませんでしたが、広島、長崎両市や県あるいは被爆者の怒りと憤りを表明しているときに、私は、情けない限りだ、核抑止という呪縛にとらわれているというふうに言わざるを得ないと思うんです。

 こうしたアメリカの行為というのは、核兵器を持ちたいという国々に新たな口実を与えて、核兵器不拡散という国際的な努力をも弱めることにもなる。アメリカに対して、決して繰り返さないように強く求めるべきだと私は思います。

 さて、もう一点伺いたいんですが、NPTの再検討会議最終文書に基づく行動が求められる日本政府にとって、いわゆる日米核密約をどう扱うかも今日的に問われております。

 二〇〇九年十一月に、当時の岡田外務大臣のもとで、いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会がつくられて、昨年三月九日に報告書が発表されました。その中で、日米の合意文書である討論記録、一九六〇年一月六日の存在を認めたものの、これに基づいて核積載艦船や航空機が自由に日本に出入りできるのは米側の解釈であり、日米間でその解釈を共有したことはないということで、この文書が密約であることを否定して、日本政府は破棄しませんでした。

 この報告書が出された後、昨年四月六日に、米政府の二〇一〇年版核体制見直し報告、NPRが発表されました。米国は、米国と同盟国、パートナー国の死活的な利益を防衛するという極端な状況においてのみ核兵器の使用を検討する、こう言いながら、米戦略核体制について、小規模なSLBM、ICBM、重爆撃機の三本柱は保持するということで、核弾頭をSLBMや爆撃機に搭載できるようにするというふうに言っております。

 こうしたNPRが出た後、日米間で、米国の核搭載艦船、航空機の日本寄港に関して、何らかの協議を行ったことはあるでしょうか。

松本(剛)国務大臣 私どもとしては、核兵器搭載米艦船の寄港、領海通過に関しては、九一年の発表など、これまで公にされた米国の核政策に基づけば、現時点において、我が国政府として、核兵器を搭載する米艦船及び航空機の我が国への寄港、飛来、通過はないと判断をいたしておりまして、この判断は現在も変わるものではないというふうに考えております。そのような意味で、米国と特に協議をしたということはありません。

笠井委員 今言われたことについて言えば、昨年四月七日の当委員会で、私の質問に岡田外務大臣も、ちょうどそのときNPRということで発表になったんですが、こう言いました。けさ方発表になったNPRの中でトマホークの廃止ということが明確になった、したがって、戦術核を積んだ潜水艦というものは存在しなくなるということがよりはっきりしたわけで、そういう意味で御心配には至らないというふうに言われました。

 しかし、実際には、NPRを読んでみますと、書いてあります。水上艦艇や潜水艦から核兵器を撤去した以降も、東アジアにおいて危機の場合、必要なら非戦略核兵器システムを再配備する能力に依存してきた、こう明記するとともに、米国は海洋発射の核巡航ミサイルを退役させるとしましたが、そう言ったものの、ミラー国防副次官は、退役の時期は二、三年後になるだろうというふうに改めて明言をいたしました。

 少なくとも二〇一二年から一三年ごろまでは現状が維持されるわけで、岡田外務大臣が一年前に言われたような、今後は心配ないという保証はどこにもないと私は思うんです。それでも松本大臣は、核兵器を搭載する米国の艦船の我が国への寄港はないとはっきりと言い切ることができるでしょうか。

松本(剛)国務大臣 現時点において、政府としては、寄港、飛来、通過はないと判断をしているというふうに申し上げたところでございます。

笠井委員 退役の認識は、二、三年でもまだないということで言えるわけですね。

松本(剛)国務大臣 九一年の発表というのは、既に御案内のとおりでありますが、水上艦船、攻撃型潜水艦を含む米海軍の艦船及び航空機から戦術核兵器を撤去する旨表明をしたものであるということでございます。また、九四年の核体制見直しの結果、水上艦船及び空母艦載機から戦術核兵器の搭載能力を撤去することとしたということであります。

 今、昨年のNPRについてもお話があったわけでありますけれども、我が国政府としては、現時点で、核兵器を搭載する米艦船及び航空機の我が国への寄港、飛来、通過はないと判断をしている、この判断を変えてはおりません。

笠井委員 判断していると言っても、ないという保証は何もない、安心ということで言えないということだと思うんです。

 核兵器の持ち込みは過去の問題じゃなくて現在も起こり得る問題だという私の質問に対して、当時、岡田外務大臣は、緊急事態ということで、その持ち込みを認めないと国民の安全が確保できない事態になれば、そのときの内閣が判断するということで、有事における核持ち込みを容認する見解を去年示しました。

 NPRでは、核兵器の先制不使用宣言は非現実的だということで見送っておりまして、有事における核持ち込み容認というのは、すなわち米国による核兵器使用を容認するということにつながるんじゃないかと。唯一の被爆国として、これは絶対に許しちゃいけないと思うんですが、大臣、いかがですか。

松本(剛)国務大臣 我が国の同盟国は米国でありますので、我が国とともにあるのは現段階では米国しか考えられないという、論理的な帰結はそのとおりだろうと思いますが、有事の際の核兵器の使用をどのようにするかということについて、今、現段階で私どもとして結論をここで申し上げるという立場にはないというふうに考えております。

笠井委員 大臣に確認したいんですが、昨年の調査の結果、日米の合意文書である討論記録が公表されるに至る中で、日米の外交当局間で、核搭載について、あいまいさを維持した、米艦船の寄港に関する新たなフォーミュラ、方式を見出す必要があるということで協議した事実はありますか。その結果、核密約に関する新たな合意がなされた事実はないでしょうか。

松本(剛)国務大臣 御趣旨はよく精査をして、確認をしておきたいと思います。

笠井委員 米国による核持ち込みというのは決して過去の問題じゃなくて、NPRのもとで今日的な問題だということを私も言いました。

 だからこそ、今回、ウィキリークスで公開された米秘密公電の中で、日米協議の中で米側が、米核抑止戦略の重要な要素は米艦船への核兵器搭載の有無についてあいまいさを維持することだと強調をして、現在進行形の問題として、日米外交当局者が民主党政権による密約調査の動きに深刻な憂慮を表明しているということを言っていると思うんです。

 さらに重大なことは、日本側が、日本は非核政策をとるニュージーランドのようにならないと局長が表明をして、非核三原則がじゅうりんされた現状を放置するばかりか、今後も米国の核政策を受け入れるための新たな方法、フォーミュラまで提案するという、驚くべき対米追随の姿勢を示しているということだと思うんです、この文書を見る限り。

 大臣、よく調べてみると言われましたけれども、しっかり調べてもらいたいと思いますし、だからこそ核密約は廃棄すべきだということを強く言いたいと思います。

 今、日本全国で、また世界の各地で、核兵器全面禁止のアピール、国際署名が大きな支持と賛同を広げております。署名項目は、核兵器禁止条約の交渉を開始することの一点であります。既に、二月初めに始まってから五月十四日までに、二十三都道県の二百十の首長、副首長、百四十四の地方議会の議長、副議長、計三百五十四氏が賛同しています。国連潘基文事務総長やドゥアルテ国連軍縮担当上級代表からも、心のこもった賛同メッセージが寄せられております。

 全国各地の署名運動の中でも、国民的に広がる放射線の影響に対する疑問や関心、不安に答えながら、それを人類殺りくに利用する最悪の兵器である核兵器を一刻も早く禁止をし、核兵器のない世界を実現しようという呼びかけが行われているわけであります。震災被災者への支援とあわせた訴えに多くの国民が共感をし、署名に応じて、そして被災者への義援金を出しています。

 今こそ日本政府は、被爆国政府として、そうした国民の願いを正面から受けとめて、NPT再検討会議の合意を実行する立場で、文字どおり、民主党政権が始まったときに言われました、核兵器のない世界の先頭に立つと。実現の先頭に立つべきことを強く求めて、質問を終えたいと思います。

小平委員長 次に、服部良一君。

服部委員 皆さん、お疲れさんです。最後のバッターですから、よろしくお願いいたします。

 大臣、今度、二十八日から沖縄に行かれるということなんですが、先日来、前原前外務大臣が沖縄に行かれ、あるいはアメリカも訪問をされました。新聞等では政府特使あるいは特使並みの扱いというふうに言われているんですけれども、前原前外務大臣は、大臣とは事前に相談もされ、政府の特使として行かれたんでしょうか。

松本(剛)国務大臣 今回は、私自身も震災の対応と、直前はG8サミットの準備にもかかわっておりましたので、前原前大臣と何か打ち合わせをしたということはございません。

 前原前大臣は、一国会議員の立場で沖縄を訪問され、米国を訪問されたというふうに理解をいたしておりまして、特使のような立場をとられたということはありません。

 確認をしなければいけませんが、もし国会議員で必要な便宜供与などの要請があれば、国会議員に対する便宜供与の申し出としてこたえさせていただくことになると思います。

 私も特使並みという記事は拝見をいたしましたが、前外務大臣でいらっしゃることもあって、米国でしかるべき方がお会いになったということを指してそう言っているのではないか、このように思っておりますが、政府として何らかの立場を持っていただいて米国に赴いていただいたというようなことはないということでございます。

服部委員 いや、特使でだめだと言っているわけじゃないんですね、私は。ただ、会談にはすべて日本大使館の幹部が同席をし、前原議員も、私の帰国より、外務省を通じて公電によって政府の方に早く伝わるであろうというようなことも言われておって、これは松本大臣が事前にいろいろ相談をされて、アメリカの空気を探りに派遣されたんじゃないかなというふうに私ちょっと思ったんですけれども、そうじゃないわけですね。そういうことがあってもよかったんじゃないかなというふうな感想だけ申し上げておきます。

 今度、沖縄に行かれるということなんですけれども、先ほど来、仲井真知事あるいは四軍調整官ともお話をされるということなんですが、普天間移設の問題について仲井真知事の話を聞きに行かれるのか。きのうの大臣の記者会見では、しっかりお話を伺ってくるという位置づけで沖縄に参るというふうにおっしゃっておるわけですね。話を伺いに行かれるのか、あるいは、日本政府のロードマップを受け入れてくれ、辺野古を受け入れてくれという説得に行かれるのか、それとも通過行事でとにかく行かれるのか、どうなんでしょう。

松本(剛)国務大臣 沖縄については、今、私どもとしては、普天間の基地の危険性を除去するということでスタートした普天間基地移設の問題、これの進むべき道は昨年五月の合意がただ一つの道であるということで着実に進めようとしておりますし、これについての御理解をいただこうと考えております。

 現在、沖縄の皆様の状況が、これが簡単に理解をいただける状況でないということは承知をしておりますが、この私どもの立場については、既に仲井真知事は御理解は、御理解という言葉はちょっと適切ではない、私たちがそうであるということは御存じだというふうに思っております。

 その上で、これまでも、仲井真知事も累次にわたって沖縄側の立場もおっしゃってきておられることは間接直接にも私どももお聞きをしておりますけれども、私自身としても直接お話をした上で、知事が、今の政府の考え方に対するお考え、そして議論、意見交換をする中で、これを前に進める方法はないのかという視点から私自身はぜひ意見交換をしてきたい、このように思っております。

服部委員 この前、外務委員会でも、アメリカの議員さんが辺野古は現実的ではないということを言われて、松本大臣には、大臣自身は現実的と思われていますかというふうに御質問をさせていただきました。まだ現実的と思われているかのニュアンスの答弁だったように思うんですけれどもね。

 ですから、仲井真さんと話をされて、現実的と思うんだったら知事を説得しなければいけないし、そうじゃないと思ったら、もうこれはだめだということを大臣としてしっかり受けとめて、日本政府の次のステップに歩み出す、そういう一つの大臣としての決断をやはりしていただく。ただ会って、やはりだめでしたわと、もうそんなことを何回も繰り返しても仕方がないので、そういう大臣の決意をぜひお願いしておきたいと思います。

 四軍調整官とは日米地位協定の運用についても話をするように言われていますが、先ほどの、米兵の基地外での飲酒運転事故について、公務中の扱いとしないということについては今協議中だというふうにお話をされました。これは多分、日米合同委員会で協議をされるということなんだろうと思うんですけれども、この件については四軍調整官とはお話しになるんでしょうか。

松本(剛)国務大臣 公務外というか、飲酒運転が公務になるというふうに読むことができる合意に今なっているということは御承知のとおりでありますが、ただ、実際に飲酒運転で公務というふうになったケースは私どもが承知をしている限りないということは、改めて、国会の場でもありますので、ぜひ申し上げておきたいと思います。

 その上で、既に日米間でこれは協議になってきておりますので、四軍調整官が今の段階で直接の私どもの交渉相手とは認識をしておりませんが、飲酒運転を含む事件、事故の抜本的な改善については、やはりグラック在沖縄四軍調整官との話し合いの課題、議題だというふうに私自身も考えております。

服部委員 公務中ということになりますと、日本の第一次裁判権が及ばない。しかも、米兵は基地の中に逃げ帰ってしまうから、逃げ帰って何時間かしたらアルコールも抜けるわけですよね。ですから、本当にこういった事件がないのか、ここは僕は非常に疑問ですけれども、いずれにしても、しっかりこの件については対応をお願いしたいと思うんです。

 運用の改善とばかり言われていますけれども、いずれにしても日米地位協定は改定だと。当初、三党連立政権をつくるときは、社民党としては改定という文言を入れるべきだというふうに主張をしました。民主党さんの方は、改定まではちょっと堪忍してや、改定を提起する、提起はしましょうということでスタートしたわけですね。

 先日来、大臣の答弁にも、改定の提起が非常に重要であるということは認識しているというふうに答弁もされているわけなんですけれども、この政権がいつまで続くのか、松本大臣がいつまで外務大臣をやられるのか、これは歴史のみ知るですけれども、大臣が在職中に提起するという決意はありませんか。

松本(剛)国務大臣 大切なことは、先ほど事件、事故の御指摘もありましたけれども、環境のことも含めて、今まさに沖縄の皆様が求めている課題にこたえていくことだというふうに考えております。そして、交渉をしていく中で、できるだけ早く一つ一つ成果を上げていくことが私に求められている役割だ、このように考えておりますけれども、同時に、先般この委員会でもたしか、まさに地位協定の改定を提起するとマニフェストに記載をいたした、そのマニフェスト、民主党のマニフェストでありますから、民主党の議員として、マニフェストにそう書いてあることについての責任、責務はあると考えて行動しなければいけないということで申し上げてまいりました。

 これから日米間のさまざまな交渉、やりとりの中で、この地位協定のあり方についても頭に入れていきながらしっかり対応していきたいと思っておりますが、今の段階で、いついつまでに私が何を申し上げるかということは必ずしも申し上げられないところがありますので、御容赦をいただきたいと思います。

服部委員 こうしたいと思っていましたけれども、思っているうちに大臣をやめましたでは、やはり格好がつかないわけですよね。ですから、やはり政治というのは結果責任ですから、思っていたけれどもできませんでしたでは、どうしようもないわけですよ。

 ですから、大臣としては、自分の任期の間にぜひやりたいじゃないかというぐらいの強い決意があって、多分、松本大臣はそういう決意は、内に秘めたる思いは持っておられるんじゃないかと思うんですね。どうですか、大臣、もう一回、自分の任期の間に提起する、そういう決意。結果は、それはあれだけれども、少なくとも今そういう思いは持っておるということについてはどうですか。

松本(剛)国務大臣 服部委員から、私がいつまでなのかという疑問も呈された中で、私自身は任命される側でありますので回答のしようがないわけでありますが、やはり地位協定に伴う事件、事故の問題や環境の問題というのが沖縄の皆様にとって非常に重要な問題になっているということは私も認識をいたしております。

 具体的に相手がある中で、どのようなことでいく形が、これは運用の改善という言葉を使っておりますけれども、実際には文書に残る形でこれも直していかなければいけない。それでかなりの大きな効果が上がるのか、さらには、おっしゃったように、地位協定そのものについても議論が必要なのかということは、私どももいつも頭に置いておかなければいけないと思っています。

 必要なときには私もしっかり申し上げていきたい、また、相手のあることですから、そのことが望ましい成果を生むということが判断できればしっかり申し上げていきたいと思っておりますが、私がやっている間にということが優先をされるのではなくて、我が国にとって、沖縄にとって、いつ、どのような形で話をするのがいいのかということで判断をするのが優先をされるべきだということもあって、今、私自身として、ここでいついつまでにということはなかなか申し上げられないというふうにお話をさせていただきました。

服部委員 日米地位協定の改定というのは、もう数十年来の話なんですよ。少女暴行事件が九五年にあって、そのときも大会のスローガンでした。ですから、だれがいつやるか、提起するかという話なんですよ。それを私は松本大臣に期待しておる。大臣の間にわしは提起をしたんだ、これを歴史に残してほしいということを私は今お願いしておるわけで、ぜひその意を酌み取っていただいて、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 文部科学省に来ていただいております。

 一昨日、福島県内の六百五十人のお母さんたちが文科省に来て、二十ミリシーベルト、学校の問題を何とかしてくれと。テレビを私も見ていまして、涙ながらに訴えておられて、私もついもらい泣きをしてしまったわけですけれども、おととい、文科省の渡辺科学技術・学術政策局次長が、最終的に一ミリシーベルトにしていくということをその場で御回答されました。そして、政務三役に速やかに相談をして早急に返事をするとございました。

 政務三役に御相談がありましたか。そして、具体的にはどういう検討をされたんでしょうか。

林大臣政務官 服部委員にお答えをさせていただきます。

 渡辺次長の方から、私の方もそのときの報告を受けました。

 先生もよく御存じのように、いまだに福島第一原発の事態が収束をしていない中で、ICRPの勧告を踏まえて、今後、合理的な範囲でできるだけ早く、しっかりと継続的にモニタリングをしながら、一ミリシーベルトを目指していきたいということでございます。

 ただ、このできるだけ早くというのが一体いつまでなんだろうかということに関して申し上げますと、この収束していない事態の中で、いつまでにということがなかなか我々自身も申し上げることができないというのは、非常に私個人としてもじくじたる思いを抱えているんですけれども、とにかく子供たちの被曝量を減らしていくということがまず第一なんだと思います。

 現在も、教職員の方に、ちょうど腰の位置に線量計をつけていただいて、ちょうど一メートルぐらいというと子供たちの顔の位置になりますので、子供たちと一緒に行動していただいて、実際どれぐらいの量の放射線量があるのか、被曝量があるのかということで、これまで調べてまいりました。四月二十七日から五月八日までの間の平均値でございますが、最低値が毎時〇・〇三マイクロシーベルト、最高値は毎時〇・九三マイクロシーベルトということになっています。

 引き続き、全力で低減の努力をしてまいりたいと思います。

服部委員 今、文科省が決められている昼間の三・八マイクロシーベルトというのは、年間線量に直しますと三十三ミリシーベルトになるわけですよね。いわゆるこれは昼と夜とを平均とって二十だ、こういうことなんですけれども、福島県の通常の放射線量の約百倍、それから一般公衆の基準の約三十五倍、この昼間の三・八ですよ。それから、放射線管理区域、例えば病院なんかでマークのあるような、そういったところの約六倍。

 要するに、二十ミリシーベルトというのは、お金をもらって管理区域で働いている人の、大人の基準でもあるわけですね。やはりそういうところに子供を放置しておくということが本当にどうなのか、大変私も懸念をしております。

 民主党の空本さんですか、同じ宿舎なのでたまに会うんですけれども、空本さんからも官邸に緊急要請だということで出ているのは御存じだと思うんですけれども、今、郡山なんかでは、小学校とか中学校の線量を自分たちで決めて、そしてそのために土壌をはぐったりしてやっているわけですね。こういう低減策を自治体に任せっきりじゃなくて、国の責任でもう少しきちっとやる、このことが必要だというふうに思います。

 そのことの見解と、今すぐできればこの線量の見直しをしてほしい、そのことに対する回答を、もう一度お願いします。

林大臣政務官 二つ御質問をいただきました。

 まず、自治体の件でございますけれども、これについては、先生も御存じのように、まとめて地下に置く方法と土壌の上下置換法について、こうした方法が非常に有効ですよということで国として助言を行ってきたところでございます。恐らく、それについて、より主体的に国がというお話かと思うんですけれども、今後、国として具体的にどういう財政的な支援が可能かということについても現在検討を進めているところでございます。

 二点目の、二十ミリシーベルトの数字のお話でございますけれども、これについても、原子力安全委員会や原子力災害対策本部などとも連携をしながら検討していきたいと思っておりますし、放射線防護と児童生徒の日常生活とか心身の状況とか発達などに関して、各分野の専門家の方々から御意見を伺う機会を設けることにしております。しっかりと皆様方の御指摘を踏まえながら取り組んでまいりたいと思います。

服部委員 これは本当に政治の責任といいますか、大変重たい問題なので、その立場でしっかり対応していただきたいというふうにお願いをいたします。

 きょうは厚生労働省にも来ていただいております。

 大阪の西成からトラックの運転手として募集をされた労働者が福島の第一原子力発電所で働いて、健康被害を訴えておる事件があります。

 トラックの運転と思って聞いたら福島に連れていかれて、しかも作業前に防護服を着せられて、管理区域の中であるにもかかわらず、ろくすっぽ事前の説明もない。最初は線量計も携帯されていない。そして、いまだに放射線の管理手帳も見たことがない。こんなずさんな状況があるということなんですけれども、五月九日の朝日新聞でも大きく報道されております。「求人は「宮城で運転手」福島原発作業三十日間」。

 こういった状況について、厚生労働省としてまずこの事実認識、そして厚生労働省としてどのような責任のとり方があるのか、これについてお聞きをいたします。

生田政府参考人 お答えいたします。

 原発作業員の募集、採用などにつきましての認識について御報告をいたします。

 まず、今回、大阪労働局の方から、紹介をしました西成労働福祉センターの方に確認をいたしまして、本年の三月十七日と十九日に、宮城県のトラック運転手の求人に対して二名を職業紹介いたしました。一名が福島第一原発の給水作業、それからもう一人が原発敷地外で水の運搬作業という、いずれも求人時の条件とは違う作業に従事していたということがわかりました。

 個別の事案の指導内容のお答えをするのはなかなか難しいんですけれども、一般論といたしましては、職業紹介事業主、あるいは就業先の事業主、あるいは実際に業務に従事していた労働者などからお話を伺って、その結果、違反があれば厳正に対処するという対応をいたしております。

 この事件があったものですから、五月十三日には、東京電力を初めとしまして主要経済団体、建設業団体、民間の職業紹介事業主団体、それから求人情報提供団体などの二十団体に、厚生労働省としまして、今回のような事例が発生しないように、職業安定法だとかあるいは労働基準法の規定に基づいて、労働者の募集ですとか、あるいは求人の申し込みですとか労働契約の締結をするようにということについて要請を行ったところでございます。

 今後とも、こうした事案が発生しないように、労働関係法令に違反する事案に対しましては都道府県労働局で厳正に対処いたしますとともに、違反を未然に防ぎますように事業主に対する関係法令の周知をきちんとやっていきたいというふうに考えてございます。

服部委員 二十日に福島第一原発作業員健康管理等対策推進室が設置されたというふうに聞いております。もう五次、六次という下請の中で労働者が苦労している、被曝している、ここをやはり国としてもきちっと管理していただきたい。

 それから、そもそも、あいりん職安というものが、財団法人の西成労働福祉センターという形で、本来の仕事の紹介業務をやっていない。だから、手配師のピンはねなんかが横行している、募集されてもどこに行くかわからない、このような実態になっているという構造的な問題も指摘をさせていただいて、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

小平委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十四分散会


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