衆議院

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第8号 平成25年5月22日(水曜日)

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平成二十五年五月二十二日(水曜日)

    午後一時四十七分開議

 出席委員

   委員長 河井 克行君

   理事 岸  信夫君 理事 鈴木 馨祐君

   理事 薗浦健太郎君 理事 土屋 品子君

   理事 原田 義昭君 理事 山口  壯君

   理事 小熊 慎司君 理事 佐藤 茂樹君

      あべ 俊子君    井上 貴博君

      城内  実君    黄川田仁志君

      笹川 博義君    島田 佳和君

      新開 裕司君    鈴木 憲和君

      武部  新君    東郷 哲也君

      松島みどり君    武藤 貴也君

      菊田真紀子君    玄葉光一郎君

      長島 昭久君    浦野 靖人君

      阪口 直人君    岡本 三成君

      山内 康一君    笠井  亮君

      玉城デニー君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   外務大臣政務官      あべ 俊子君

   外務大臣政務官      城内  実君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   越川 和彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 引原  毅君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山野内勘二君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 和田 充広君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 南   博君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            宮川眞喜雄君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   石井 正文君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           山野 智寛君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  山内 正和君

   参考人

   (独立行政法人国際協力機構理事長)        田中 明彦君

   外務委員会専門員     細矢 隆義君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十二日

 辞任         補欠選任

  小林 鷹之君     武部  新君

  星野 剛士君     笹川 博義君

  三ッ矢憲生君     新開 裕司君

  村上 政俊君     阪口 直人君

同日

 辞任         補欠選任

  笹川 博義君     井上 貴博君

  新開 裕司君     三ッ矢憲生君

  武部  新君     小林 鷹之君

  阪口 直人君     村上 政俊君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     鈴木 憲和君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 憲和君     星野 剛士君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

河井委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として独立行政法人国際協力機構理事長田中明彦君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として外務省大臣官房長越川和彦君、大臣官房審議官引原毅君、大臣官房参事官山野内勘二君、大臣官房参事官和田充広君、大臣官房参事官南博君、中東アフリカ局長宮川眞喜雄君、国際法局長石井正文君、文部科学省大臣官房審議官山野智寛君、防衛省地方協力局長山内正和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島田佳和君。

島田委員 本日は、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 冒頭、昨日、オクラホマの方で大きな竜巻がありましたけれども、この竜巻災害に見舞われた方、亡くなられた方に対して、心からのお見舞いとお悔やみを申し上げたいと思います。

 さて、岸田大臣は私の高校の大先輩でもございますので、ある意味やりづらい部分があるんですけれども、きょうは公私混同抜きで質問させていただきますので、ぜひともよろしくお願いします。

 先週、安倍総理が、世界で勝つをキーワードに成長戦略第二弾を発表されました。そのスピーチの中で私が興味を持ちましたのは、クール・ジャパン、そして大学改革に対する内容でございます。

 まずはクール・ジャパンの方から話を進めていきたいと思いますけれども、総理のスピーチの中でこういうことをおっしゃられております。世界の人々はまだ日本のことを知らない、どうやって日本に引っ張り、日本の文化を輸出するか、この分野でも安倍内閣は攻めまくりますというふうにおっしゃられました。

 このスピーチの中で安倍総理の口から、きゃりーぱみゅぱみゅの名前が出たときは私も正直驚いたんですけれども、コンテンツの輸出推進であったり観光立国への動き、このクール・ジャパンを起爆剤として、製造業、サービス業、オール・ジャパンで海外に展開していきたいという決意を宣言されたわけでございます。

 クール・ジャパンといいますと、経済産業省が主導しているという印象が強いんですけれども、外務省でも、所管のクール・ジャパン事業がございます。JENESYS二・〇、そしてKAKEHASHIプロジェクトというものがありますけれども、まずは、この二つの事業、どのような事業で、どういった狙いのもと行われているのか、簡潔に御説明いただきたいと思います。

あべ大臣政務官 島田委員の質問にお答えいたします。

 御質問にございました本事業でございますが、アジア大洋州の地域との間で約三万人、JENESYS二・〇といいますが、北米地域ではKAKEHASHIプロジェクトとの間で約五千人の青少年交流を実施するものでございます。

 本事業に関しましては、日本経済の再生に向けまして、青少年交流を通じて、まずは訪日の外国人の旅行者の増大を図りたい、それとともにまた、クール・ジャパンを含めた我が国の強み、また魅力などの日本ブランド、日本的な価値への国際理解を増進させることを目的としているところでございます。

島田委員 ありがとうございます。

 このJENESYS二・〇ですか、そしてKAKEHASHIプロジェクト、今回、クール・ジャパン戦略の中に位置づけられて、百五十億円の今年度予算がつけられております。

 二・〇という名前が示すとおり、このJENESYSには、いわゆる一・〇、オリジナルのJENESYSがあったわけでございます。これは、二〇〇七年から二〇一二年度まで六カ年度行われてきたプロジェクトでございますが、外務省としまして、いわゆるこのJENESYS一・〇の成果をどのように把握されているのか、そして事業評価ですね、いわゆるこれを事業としてどう評価をされているのかというのをお聞かせ願いたいと思います。

山野内政府参考人 お答え申し上げます。

 JENESYS、二〇〇七年から二〇一二年まであった計画でございますけれども、これは、青少年交流を通じた相互理解の促進を図る、そういうことを通じて、東アジアで良好な対日感情の形成を促進するとともに、日本を含む交流対象国におけるグローバル人材を育成するということを目的としておったものでございます。

 それの検証のあり方ということでございまして、JENESYSにおきましては、参加者に対するアンケートを実施し、さらに、在外公館によるフォローアップなどを行ってまいりました。その結果、一つ、帰国後の草の根レベルでのネットワークが促進される、二つ目として、中央、地方政府レベルでの人脈構築ができる、三番目として、現地メディアとのネットワークの形成といったことを通じた幅広い分野における親日派の形成等が図られてきたというふうに考えておりまして、外交活動の基盤形成に一定の役割を果たしたものというふうに認識しております。

島田委員 ありがとうございます。

 初年度から六年たっているわけでございます。その間に非常にITも発達しまして、例えば参加された方が、ブログであったりフェイスブックであったりツイッターなどを通じて日本の魅力を海外に伝えている。また、例えば現地のメディアでインタビューを受けたりしている方たちもいらっしゃると思います。そして、一度帰国した後も、また日本に戻ってこようとか、留学してみようとか、いろいろな意味でこのJENESYSが、日本を好きになる、日本に対して興味を持つ入り口として大変重要なプロジェクトであると思います。

 そういった評価を踏まえて、今回またそれをレベルアップする二・〇という取り組みを行っていくと私は思いますので、ぜひ、引き続き、日本の魅力を海外の人たちに伝えていけるような、充実したプログラムを行っていただきたいというふうに考えております。

 そして、このJENESYS、いわゆる訪日客数をふやすということで、海外から若い人たち、青少年を日本に連れてくるということでございますけれども、一方、日本から海外に出ていく人の数も非常に減っているわけでございます。

 資料が配られていますかね。これは昨日のジャパン・タイムズの記事なんですけれども、日本の留学生がどんどん減っています。八〇年代後半から九〇年代にかけては、当時の経済事情もあったと思うんですけれども、増加基調にあった中で、二〇〇四年、八万人強でピークを迎えて、それ以来減少している。アメリカにおける留学生の数を見てみると、九五年から九八年は、日本から五万人弱の留学生がいて、アメリカの中でも日本人の留学生が一番多かったわけですけれども、現在、どんどん減っている中で、その半分以下、今は二万人を切っています。そして、一番多かった数も今は世界で七番目まで落ちている。一方、中国は、九五年当時四万人だった留学生が今は十六万人。インドは十万人、韓国八万人。台湾も、日本よりも留学生の数が多い状況になっております。

 また、この記事の中で、留学生の減少が日本のグローバル人材育成競争で世界的におくれをとっている理由の大きな一つであるというふうにも論じております。

 留学生が減少している理由としては、もちろん経済状態もあると思いますが、近年の若者の内向き志向ということが指摘されていたり、また、就職氷河期において、例えば、海外に行って日本に戻ってきたときに就職に不利になるのではないかといったリスクであったりとか、また、採用する側、日本の企業側も非常に保守的な姿勢がいまだ変わっていない、そういった中で留学をためらう若い人たちの数がふえているというふうに挙げております。

 政府として、近年、留学者数がどんどん減っていくこの傾向についてどのように分析して、今後どのように向上させていくのか、伺いたいのですが、先ほどの安倍総理のスピーチの中でも、意欲と能力のある全ての日本の若者に留学機会を実現させたい、そのために、官民が協力し、留学生の経済的負担を軽減するための新しい仕組みをつくりますというふうにおっしゃられております。この新しい仕組みづくりも含めて、具体的に聞かせていただければと思います。

山野政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、日本の留学生が物すごく減っている、特にアメリカについてはひところに比べて半減しているという状況は、非常に危機感を持って我々認識しておるところでございます。そういうことで、タイムリーに、そういう減少をとめるじゃなくて、反転して、やはりふやしていく方向に持っていく、そのためにいろいろな対策を打っていこうと考えてございます。

 それで、このように減ってきている要因というのはいろいろな理由があるが、内向き志向とか一言で片づけられる話じゃなくて、アンケート調査とかをしますと、やはりいろいろな要因があるわけでございまして、大きな要因は四つぐらいあるんじゃないかと我々は考えています。

 一つは、委員御指摘のように、やはり留学に対する経済負担の問題です。最近、もう御案内のとおり、アメリカの大学の授業料は毎年毎年上がっているという状況があるというふうなことがあります。それに対して、日本の家計所得というのは減ってきているという状況がある。それが第一点でございます。

 二番目も委員御指摘のように、就職活動との関係で、アメリカに行って六月ぐらいに帰ってきたら、今のタイミングですと四年生の四月から本格就活ですから、若干タイミングを失する、ちょっと不安を感じるという問題があります。

 三番目が、国内の大学が、そういう留学生を送り出すということに対してやはり体制が余り進んでいなくて、国際化がおくれているという問題。

 それと、四つ目は、日本人の英語力の問題もまたあるわけでございます。

 それで、それぞれについてやはり手を打っていかぬといかぬ。一つ何か打てば変わるというものではなくて、やはり、いろいろな要因を排除して、日本人が留学しやすくなるような環境整備を早急にやっていこうということでございます。

 そのための一つの話として、経済負担のために奨学金なんかを充実させていこうというふうなことについては、まさに今さっき総理の発言も引用されてございましたけれども、意欲があって、ちゃんと能力もあって、行きたがっておる人に対しては、ちょっと経済的問題でちゅうちょするということのないように、国の金だけじゃなくて、産業界とかからも協力を仰ぐような形で、やはりそこらを支援するような仕組みを考えていこうというふうに考えておるところでございます。

 また、就活の問題につきましては、経済界とかとも調整いたしまして、二年後でございますけれども、就活時期をおくらせるということにしましたので、留学から帰ってきても就活の出発点には間に合うというふうな感じでやってくるということでございます。

 さらに、英語教育の問題につきましては、もう大学からではなくて小学校からの話になりますけれども、やはり英語教育の充実についてもやっていきたいと思っています。

 そのようなことを抜本的に強化しながら、今、世の中がいわゆるグローバル化しておるわけですから、日本の元気ある学生もやはりグローバル人材になってもらうというために、総合的に手を打っていきたいと考えておるところでございます。

島田委員 ありがとうございます。

 今の答弁にありましたとおり、ぜひ、奨学金の充実であったり就職支援、また英語カリキュラムの見直し等、できることはもう何でもやって、留学生の数をふやしていくような国にしていただきたいというふうに思います。

 今、グローバル人材の育成という言葉がありましたけれども、もちろん、そういう意味では、留学というのが非常に有効な手段の一つではありますけれども、一方、日本にいながらにして、世界最高峰、いわゆるトップクラスの教育を受けられる仕組みということも必要はあるかと思います。

 これは質問というより一つの提案ではあるんですけれども、例えばカタールの実例を見てみますと、首都ドーハの郊外にエデュケーションシティーという地域をつくっております。十四平方キロメートルというふうになっていますので、東京の目黒区ぐらいの大きさなんですけれども、この地域に、アメリカから六大学、そしてイギリスから一大学、フランスから一大学を誘致して、さまざまな分野の研究、教育が行われております。

 例えば、医療でいえばアメリカのコーネル大学、そして外交政策で有名なジョージタウン大学、カーネギーメロンがビジネス、コンピューターサイエンス、そしてノースウェスタンがジャーナリズム、コミュニケーションということで、アメリカの大学が進出。そしてイギリスは、ユニバーシティー・カレッジ・ロンドンが文化遺産の研究をしているということです。

 自国にいながらにして世界最高峰の教育を受けるという選択肢が、今の日本にはありません。今後、これは短期的な話ではなく、中期、長期的な話になってくるとは思いますけれども、海外の教育、海外の頭脳を日本に誘致することによって、日本にいながらにして世界最高峰の教育を受けるような仕組み、施設をぜひつくっていただきたいなというふうに思っております。

 これは、もう一つ大きな効果があります。安倍総理の成長戦略第一弾で女性の社会進出ということがありましたけれども、実際、このカタールの状況を見てみますと、各大学、約三分の二が女子学生というか女生徒、女性なんですね。といいますのも、やはり親御さんが、年ごろのかわいい娘さんを海外に送り出すのは非常に心理的抵抗も強かったり、特に一人っ子だったり二人きょうだいだったり、親御さんに何かがあったときに駆けつけられる人がいないような状況というところで、留学をやめようかなという若者も多いかと思いますけれども、日本国内でアメリカやヨーロッパの高度教育が受けられるということであれば、親御さんも心理的ハードルは低くなると思います。

 ぜひ、質の高い教育を受けた日本の女性が社会にどんどん出ていって活躍する、そのためにも、海外の優秀な大学を日本に誘致する、日本につくる、この動きを御一考願いたいというふうに考えております。

 この提案に関して、もし感想があれば一言お願いいたします。

岸田国務大臣 先ほど来、委員の御質問を聞いておりまして、まず、青少年交流というものは、人のつながり、人脈をつくる、国際的な理解を強化する、さらには国際的な視野を広げる、あるいはグローバル人材を育成する、さまざまな見地で大変重要だと認識をしております。これは、教育の見地のみならず、外交的な見地からも、こうした動きをしっかり支援していかなければいけないと考えています。

 一方、外国から多くの方々に日本に来ていただくのとあわせて、日本から海外に多くの人材を送り出して国際感覚を身につけてもらう、国際的な舞台で活躍してもらう、こうした視点も重要であり、さらには、いながらにして世界最高峰の教育を受けることができる仕組みをつくるという御指摘、この三点目につきましても重要な視点だというふうに思っています。

 三点目につきましては、例えば沖縄の大学院大学などはそういった発想に基づいてできた一つの教育機関だというふうに思いますし、外に出ていく、日本に来ていただく、そして、いながらにして最高レベルの教育を受ける、こうした三つの視点から青少年の国際交流が進むよう、しっかりと環境整備を行わなければいけない、こうしたことを感じた次第です。

島田委員 安倍総理の言葉に、日本の大学は世界を目指すべきですというふうにおっしゃられております。まさに、既存の日本の大学の質を上げていくのももちろんですけれども、こういった海外の教育を取り込むような新しい仕組みもぜひ考えていただきたいと思います。

 アベノミクス三本目の矢であります成長戦略、それを下支えするのは人材であります。この人材教育、いわゆる人づくり、これは決して文部科学省だけの範疇ではございません。ぜひ外務省も強いイニシアチブをとって取り組んでいただいて、まさにオール・ジャパンで、十年後、二十年後、そして三十年後、四十年後といった長い期間にわたって、日本の若い人たちが望む教育を受けられ、そして国際競争の中でも勝ち残っていけるような人間になっていけるような社会をぜひつくっていただきたい、そして私も一緒になってつくっていきたいと思っております。

 ということで、時間は若干巻いておりますが、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

河井委員長 次に、玄葉光一郎君。

玄葉委員 玄葉光一郎です。

 日本の外交が長年培ってきたものというのがあるというふうに思います。これは、政権がかわろうがかわるまいが、培ってきた大切なものというのが幾つもあるなというふうに思っています。

 最近話題のトピックでいえばミャンマーとの関係でありますけれども、これは、民主党政権になる以前から、自民党政権のときから、欧米が強い制裁に動く中で、日本外交は一定程度パイプを保ち続けてきたというところがあります。

 民主党政権になって、ここに座っておられる菊田さんが政務官だったと思いますが、菊田政務官が政府高官としては久方ぶりにミャンマーを訪問して、この日本とミャンマーの関係、もっと言えばミャンマーと世界との関係に風穴をあけたという側面もあったと思うんですね。

 私自身も外相時代に、アメリカあるいはヨーロッパの国々などに、ミャンマーは、特に最近の国民和解、民主化の動きは不可逆的なもので本物だということで、ヒラリー・クリントンさんを初め各国の要人、特に外相に制裁解除を働きかけてきた経緯というのがあります。

 これはまさに、長年、日本外交が培ってきたものが花開いている一例だと思うんです。今や、ミャンマー大ブームというふうに申し上げても過言ではないのではないかと思うんですね。

 六月一日から三日でしたか、TICADが横浜で開かれます。これも一つの例だと思うんです。

 TICADというのは、たしか、私の記憶では、最初は九三年だったでしょうか、日本が始めた、アフリカとのまさに援助のあり方を考えるというか、そういう会合であります。その後、中国も韓国もいわば後追いをしているわけで、特にテレビ等では、中国が、アフリカに首脳が訪問されて大々的にインフラを整備する、そういう様子が報道されるんですけれども、やはり日本に対する信頼というのは強いというのが私の実感なんですね。

 なぜかといったら、やはり日本はこれまで、相手国のオーナーシップというのを大事にして援助してきた。中国の場合は、インフラをつくるにしたって、中国の労働者を連れていって、それでつくる、相手国に裨益しない、こういう批判があるわけです。

 ですから、これからTICADが開かれますけれども、こういう長年培ってきたものというのを大事にしていただきたいと思います。

 人間の安全保障という概念があります。これも、日本外交が長年大切に育んできたものだというふうに思うんです。今や、たしか二〇一〇年だったと思いますけれども、国連で公式の討論が開かれるに至ったということであります。

 きょう私が外務大臣にぜひお尋ねをしたいというかお願いをしたいと思ったのは、日本の外交がこのように大切に育んできた、培ってきたもの、あるいは概念というものがありますけれども、最近、フルキャストディプロマシーという言葉を日本外交として使い始めたわけであります。この概念について、質問通告しておりましたので、御説明をいただければというふうに思います。

岸田国務大臣 まず、委員御指摘のように、ミャンマーあるいはTICAD、さらには人間の安全保障、こうした例を挙げられて、我が国外交が長年にわたって積み重ねてきたこうした蓄積、これは大変とうといものであるという御指摘は、そのとおりだと思います。玄葉前大臣あるいは菊田元大臣政務官を初め、関係者の皆様方のこうした御努力の積み重ね、これはこれからも大事にしていかなければいけないものがたくさんあると感じております。

 その中にありまして、このフルキャストディプロマシー、特に玄葉大臣がこの考え方を強く訴えてこられたというふうに承知をしております。今、国際社会において、人、金、物、さらには情報、こういったものが物すごいスピードで国境を越えていく。こうしたグローバル化が進む中にあって、あわせて、テロですとか地球温暖化、あるいはサイバー空間における脅威、こういったものも国境を越えて広がっていく、多様化していく、物すごいスピードで移動していく。こういった現状を考えたときに、こうした課題に対応して、政府だけではなくして、地方自治体、企業、NGO、こうしたさまざまな主体が協力、連携して相乗効果を生み出していく、国の総力を挙げて対応していかなければいけない、こうした考え方だと承知をしております。

 こうした考え方は、現実においても、今、ODAの議論の中には具体的にそういった考え方が色濃く出ております。そうした動きが進みつつあります。それ以外の課題におきましても、こうしたフルキャストディプロマシーという考え方はこれからなお一層重要になってくるのではないか、このように認識をしております。

玄葉委員 ありがとうございます。

 まさにおっしゃったとおりだと思うんです。現代社会においては、グローバルな課題解決のためには、いわば全員参加型のオールキャストでの外交というのがこれまでより大事になる。それをあえて、言い出しべえの概念というか、フルキャストディプロマシーと呼んだと。オランダのシンクタンクなども、日本の外交がこういう言葉を使い始めたということで、この概念を引用し始めています。

 二〇一五年だったと思いますけれども、国連の防災会議というのが仙台を中心に被災地で開かれることになったと聞いています。野田政権のときに手を挙げていたんですけれども、大変よろしいことだと思うんです。そのときに、子供会議が開かれるということが、実は私、今、被災地をずっと歩いているものですから、地元の福島民報新聞の一面に大きな見出しで出ていました。

 この子供会議が開かれることはとてもいいと思うんですが、この子供会議というのも、実は、私の記憶では、当時、この国連防災会議の議論をしていたときに、NGOが、こういった会議を開いたらどうかという提案をしてくれたんですね。それを、私も、よいのではないかということで取り入れて、結果として、まさに大きな国際会議がNGOの提案をもとに開かれるということになった。しかも、それは日本のNGOであります。

 ですから、やはり、本当にいろいろな形で、さまざまな担い手、主体というものが今登場していますので、ぜひ、このフルキャストディプロマシーというのを意識し、かつ、その言葉もできれば使っていただければと思いますが、もう一言いかがですか。

岸田国務大臣 御指摘のように、フルキャストディプロマシーという考え方は、これからますます重要になってくると考えます。ぜひ我が国の総力を挙げて外交努力を続けて、そして国益を守っていかなければいけない、こういった時代だと認識をしております。

 そして、フルキャストディプロマシーという言葉を使ってはどうかという御提案につきましても、ぜひ、こうした言葉がしっかりと理解され普及することによって、こうした考え方も広まっていくよう努力をしていきたいと思います。

玄葉委員 どうもありがとうございます。

 それでは、ロシアの問題、日ロの関係について一言だけ申し上げたいと思います。

 日ロの関係、これは、昨今の戦略環境が変化をしていることで、日ロの関係強化、そのことがお互いにとってプラスだということを両国とも認識できるようになってきたということなのではないかと思います。私のときも、プーチン大統領、あるいはラブロフ外相、パトルシェフ安全保障書記、シュワロフ第一副首相、経済の責任者であります、私なりに地ならしをしてきたつもりだったのであります。

 その中で、当然ながら、領土問題というものが平和条約を締結するのにはネックになっているわけでありますけれども、基本的には、戦略環境の変化の中で、日ロの関係を深化させながら、領土問題を解決して平和条約を締結するというのが恐らく基本的な考え方であろうというふうに理解をしています。

 その上で、念のため確認をしたいんですけれども、北方四島の位置づけ、私も外務大臣のときによく聞かれたんですね。これは不法占拠ですか、それとも法的根拠のない占拠なのですかとよく聞かれましたけれども、これは岸田外務大臣はどのようにおっしゃっているんでしょうか。

岸田国務大臣 まず、日ロ関係につきましては、経済関係のみならず、アジア太平洋地域の戦略環境が大きく変化する中にあって、安全保障、政治レベルにおいても連携を深めていくということ、これは大変重要だと考えております。さまざまな切り口から日ロ関係全体を活発化させて、そして北方領土問題につきましても議論を再スタートさせるというのが先日の日ロ首脳会談の大きなポイントだったと認識をしております。

 その中にあって、この北方領土問題、従来、用語の問題として、法的根拠のない占拠、あるいは不法占拠、どのような言葉を使うのか、これもさまざまな議論があったのは承知しております。

 ただ、法的根拠のない占拠であっても、また不法占拠であっても、いずれの表現であったとしても、北方領土が置かれた状況についての法的価値は変わらないとまず認識をしております。その上で、どのような表現を使うかについては、まさに政策的な判断に基づいて言葉が使われていくということであると認識をしております。

 北方領土問題につきましては、先ほど申し上げました日ロ首脳会談におきましても、両首脳は、双方に受け入れ可能な解決策を作成する交渉を加速化させるとの指示をおのおのの外務省に共同で与えることで一致をいたしました。

 ロシアは平和条約を締結する必要を認めて、日ロ間で引き続き交渉をしていく、こうしたことになったわけですが、北方領土問題につきましては、今、引き続き日ロ間で交渉を続けている状況にあります。

 こうした状況を踏まえまして、北方領土問題では、現時点では、法的根拠のない占拠という表現を私も引き続き使用させていただいております。

玄葉委員 質問通告をしながら今の御答弁をいただいたわけであります。私のときに、通告なしにこの問題を質問された方が大分多くて、でも、私は、今、外務大臣がおっしゃったとおり、交渉中の案件なので、まさに政策的な判断で、法的根拠なき占拠という言葉を使うということを申し上げてきた経緯があります。外務大臣がそのままそれを今後も使うということであれば、それは一つの政策的判断としてよろしいかと、私自身はそう思います。

 その上で、この北方領土問題解決というのは、最後はやはり首脳同士の信頼関係がないと解決しないというのが私の実感の一つなんです。この信頼関係というのをどのように構築していくか。先般の首脳会談、それは第一歩になったと思いますけれども、この信頼関係というのは、首脳同士、あるいは外務省同士、あるいは首脳の周辺も含めた信頼関係というのが大変大事なんだと思うんです。

 その点で、一つだけ、私が、これはミスだなと思ったことがありました。それは、いわゆるプーチン大統領の折半発言が報道されたんですね。報道されたんです。私も真偽はわかりません、報道で読んだわけでありますけれども、この点については、外務大臣、いかがコメントされますか。

岸田国務大臣 まず、外交交渉において首脳間の信頼関係がまず第一に重要であるということは、そのとおりであります。さきの日ロ首脳会談におきましても、さまざまな目的あるいは成果が指摘をされていますが、何よりも、我が安倍総理とロシア・プーチン大統領との間の個人的信頼関係を構築していくというのがまず第一に挙げられた目標であり、成果であったと認識をしております。

 そして、この信頼関係ということを考えました際に、一般論として申し上げるならば、領土問題のような機微な問題について、交渉の中での相手国の発言、相手国首脳の発言内容、これが外部に出されるということがあったとしたならば、これは信頼関係を構築する上で問題が生じ得ると私も考えております。これは、一般論としては御指摘のとおりであります。

 ただ、今回の首脳会談におきましては、安倍総理も会談の後述べておりますように、先般の日ロ首脳会談において、領土問題に関して何らかの言及、要は、面積等分方式等、こうした内容について言及があったという事実はないということは明らかにさせていただいております。

玄葉委員 この折半発言というのは、いわばノルウェーとのEEZの海洋境界の問題、あるいは中国とのアムール川あるいはウスリー川の問題、たしかあれは千二百の島々があって、未解決な部分が残って、それをプーチン大統領が、まさに中国との間で折半で解決したということを指しているんだと思います。

 私も、当然ながら、安倍総理がそのような発言をされる、これは至極もっともだというふうに思うんですね。ただ、私も報道でしか知らないんですが、これだけ一斉に報道されたということからすると、恐らくは、周辺の誰かがこの話を漏らしてしまったというのが実際のところだろうというふうに思うんですね。

 ですから、これは、本当に信頼関係というのは大事で、特に日ロの間というのはそうだと思うんです。日ロの外交交渉上において、日本からは漏れる、こういう話はかつても聞きました。今回もそういうミスを犯してしまったということで、これは猛省を促したいというふうに思っています。

 そのような発言はなかったという安倍首相の発言は発言で、私は、それはそれでよろしいかというふうに思います。

岸田国務大臣 確認ですが、北方領土に関しまして面積等分方式等の言及があったという事実はないということ、これだけは重ねて申し上げます。

 それ以上につきましては、まさに首脳会談における内容でありますので、控えさせていただきたいと存じます。

玄葉委員 そのことはよくわかっているんですけれども、私の推測だというふうにあえて申し上げておきたいと思いますが、それが実際のところだろうと思います。これは非常に大事なことなので、あえて委員会で指摘をさせていただきました。

 北朝鮮でありますけれども、先般もほとんど最後は演説になってしまったんですけれども、北朝鮮の問題というのは中国の果たす役割が非常に大きい。ミサイルの撤去との報道に接していますけれども、あれもやはり、中国による対北朝鮮措置、制裁強化、まさに実効性というものがいかに大事かということの一つの証左だったのではないかなというふうに、私自身はそう見ているんですね。

 ですから、そういう意味では、最終的に、関係国と協力をして、核の廃棄というところを北が考えざるを得なくなるような、そういう戦略というものを考えていかなきゃいけないだろうというふうに思います。

 飯島氏の北朝鮮への訪問でありますけれども、これは、そもそも外務省は、あるいは外務大臣は、事前に知っていたのかどうかということをまず確認できますか。

岸田国務大臣 本件につきましては、官房長官より私に事前に連絡はございました。

玄葉委員 だとすると、米国、韓国との関係を考えたときに、特に日米韓の連携が対北朝鮮の問題を考えるときに極めて重要である、そういう状況において、韓国、米国、特に米国に事前に一言もないということについてはいかがお考えですか。

岸田国務大臣 この北朝鮮問題に関しましては、特に、共通の利益を有する米国、韓国との関係、米韓日、この三国の連携は大変重要だと認識をしております。

 今回の件につきましては、米国、韓国に対しまして、外交ルートを通じましてしかるべき説明をさせていただいております。

 今後とも、こうした我が国の基本的な姿勢、日米韓の連携をしっかりと大事にし、あわせて、中国、ロシアを初めとする関係国との連携をしっかりしたものとし、北朝鮮に対してしっかりとしたメッセージを与えていくという方針は、これからも大事にしていきたい、守っていきたいと考えています。

玄葉委員 拉致の問題、日本が主体で解決をしていく、これは大いに結構なことだと思うんですね。ただやはり、事前に一言、何らかの形で連絡をするということがあった方が、拉致問題を含めて次の解決につながっていくのではないかということを申し上げたんですが、いかがですか。

岸田国務大臣 おっしゃるように、我が国もこうした北朝鮮問題においてしっかりとした役割を果たしていかなければなりませんが、国際社会との連携を通じて北朝鮮にしっかりとしたメッセージを伝えていくということ、北朝鮮にこれ以上挑発行為を行わせない、そして、国連の安保理決議あるいは六者会合合意等、こうした決議、合意に対して真摯に向き合い、そして行動を起こす、こういった働きかけを続けていく、大変重要な点だと存じます。この姿勢はこれからも大事にしていきたいと思っています。

玄葉委員 こだわるわけではないんですけれども、事前にやはり一言あった方がよかったなというふうに大臣として今思っておられるかどうかということです。

岸田国務大臣 今後の結果として、しっかりとした連携が維持できるよう、外交努力を続けていきたいと思っています。

玄葉委員 ここは率直に、一言事前に米国に連絡をすればよかったと、恐らく思っていると思うんですね、外務大臣として。それは一言おっしゃっていただけますか。

岸田国務大臣 外交は結果が大事であります。今後、しっかりとした成果が上がるよう、国際的な連携がしっかりと保たれるよう、努力していきたいと考えています。

玄葉委員 あえてこれ以上言いませんけれども、やはり事前に一言、米国には連絡をした方がよいと思います。

 その上で、日朝協議、あらゆる可能性を探求するということであります。当然、外務省による日朝協議も含めてということだと思います。その際は、あれは福田内閣だったと思いますけれども、いわゆる〇八年八月の合意というものを足がかりにしていくというお考えでしょうか。

岸田国務大臣 日朝間においてさまざまな交渉が今日まで積み重ねられてきました。我々は、そうした積み重ねを踏まえて、これから結果を出すために引き続き努力をしていきたいと考えています。

玄葉委員 日朝協議の再開について検討していないんでしょうか。

岸田国務大臣 日朝協議の再開につきましては、まずは、こうした北朝鮮のさまざまな挑発行為の連続の中で、非核化等、包括的な問題に対して真摯な態度を示すということが第一かと存じます。

 我が国としては、引き続き、核、ミサイル、そして拉致問題、こうした諸問題について包括的な解決を目指していく、対話と圧力のもとにしっかりと北朝鮮に対してメッセージを伝えていく、こうした方針は従来どおりであります。こうした状況のもとで、北朝鮮の対応についてしっかり注視をしていきたいと考えています。

玄葉委員 もう一度。そうすると、日朝協議の再開ということについて検討しているという事実はないということなんでしょうか。

岸田国務大臣 まず、現状、具体的な日程等はありません。引き続き、我が国の基本的な姿勢のもとで、北朝鮮に対してしっかりとメッセージを送り続けていきたいと存じます。

玄葉委員 拉致問題、当然ながら、拉致被害者全員の帰国、真相究明、これはもう非常に大切なことだし、党派を超えてこの問題の解決に当たっていかなきゃいけないと思いますが、先般、予算委員会だったんでしょうか、特定失踪者の問題が取り上げられていました。特定失踪者を含めてとにかく帰国させるのだ、当然だと思うんですが、この拉致問題の解決の定義というか、これは、ごめんなさい、質問通告していなかったかもしれませんけれども、この拉致問題の解決というのは、何をもって解決というのか、特定失踪者を含めて全員帰国させて初めて解決というふうにいうのかどうか、その点、確認をさせていただけますか。

岸田国務大臣 まず、政府としましては、認定被害者以外にも拉致の可能性を排除できない人が存在するという認識に基づいて、いわゆる特定失踪者の事案も含めて、拉致被害者としての認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保、そして即時帰国のために全力を尽くしていく、これが基本的な考え方です。

 そして、我が国としては、拉致被害者の安全確保と即時帰国、拉致問題に関する実態の解明、そしてあわせて拉致実行犯の引き渡し、この三点を求めていくというのが今の政府の基本的な方針です。

玄葉委員 残念ながら質問に十分にはお答えいただいていないんですが、結局、この拉致問題を、何をもって解決というのか、特定失踪者を含めて全員帰国させなければ、簡単に言えば、将来その交渉を行っても国交正常化はしないということなのかどうかということだけ確認をしたいということなんですけれども、いかがですか。

岸田国務大臣 先ほど申し上げましたように、政府としましては、拉致被害者としての認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保、即時帰国のために今全力を尽くしています。その安全確保と即時帰国、実態の解明、そして拉致実行犯の引き渡し、この三点をしっかり求めていく方針です。

玄葉委員 これはぜひ、外務大臣、もう一度外務省の中で、あるいは政府全体の中でここは確認をしておいた方が、あるいは整理をしておいた方がよろしいかというふうに思います。

 きょうは、韓国と中国の問題、かなりきちっと質問通告していたんですけれども、時間になって入れなくなってきました。

 ちょっと一点だけ確認をしたいんですけれども、岸田外務大臣としては、いわゆる歴史認識としての村山談話、これはそっくりそのまま引き継ぐということでよろしいですか。

岸田国務大臣 我が国はかつて、多くの国々、特にアジア諸国に対して大きな犠牲を強いることになりました。こうした歴史に対する歴代内閣の認識、私もしっかりとこれは大事にしていきたいと存じます。歴代内閣のこうした歴史認識については、私も全体をしっかりと引き継いでいきたいと考えています。

玄葉委員 ちょっともう一回だけ。

 村山談話をそっくりそのまま引き継ぎますか。イエスかノーかでお答えいただければと思います。

岸田国務大臣 歴史認識全てを引き継ぐということであります。

河井委員長 玄葉光一郎君、時間も来ております。

玄葉委員 はい、もう時間なので終わりますけれども、私が非常に気になっているのは、韓国との関係もさることながら、特に中国との問題で、このタイミングでこの歴史認識が持ち出されてきている、あるいはその土俵に乗っているということが外交上マイナスになっていると私は考えています。

 特に、尖閣の問題があるときに、国際世論形成が極めて重要であります。アメリカやヨーロッパの、我が国と基本的な価値観を共有する国々が首をかしげるような発言というものは控えないと国際世論形成に負けてしまうという心配を私はしているんですね。ですから、この点は、やはり岸田外務大臣が政府全体の中でリーダーシップをとってよく整理をしないと大変なことになるのではないかということであります。

 あわせて、今、中国の首脳部を見渡すと、日本と中国の意思疎通を行う際に、やはりキーパーソンは王毅さんだと思うんですね。王毅さんは御存じのように外交部長になったわけで、日本でいえば外相になったわけで、そういう意味では岸田外務大臣がまさにカウンターパートということでありますから、ぜひ、岸田外務大臣におかれては、どこかでリスクをとる覚悟を持ってこの問題に臨んでもらいたいということを最後に私から申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

河井委員長 次に、阪口直人君。

阪口委員 日本維新の会の阪口直人でございます。

 本日は、トルコに対する原発の輸出及びシリア難民の支援を中心に質問させていただきたいと思います。

 その前に、これは質問通告はしていないんですが、佐世保の米兵が日本人女性に対する性的暴行の疑いで取り調べを受けているということが、昨日、米軍の準機関紙スターズ・アンド・ストライプスの電子版で報道されたと聞いております。事実関係の確認なんですが、外務省としてはどの程度進んでいるんでしょうか。

岸田国務大臣 まず、報道につきましては承知をしております。ただ、犯罪の捜査にかかわることでもありますし、この場で詳細について申し上げることはちょっと控えさせていただきたいと思います。

阪口委員 この点については、情報収集に努めていただき、日本としてどのような対処をしていくかということについても、ぜひ力を合わせて対応していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、五月三日、安倍総理がトルコを訪問してエルドアン首相と会談をした結果、黒海沿岸の観光都市シノップに四基の原子力発電所を、日本に対して排他的交渉権を与える、そういった内容の合意をすることになりました。安倍総理は、過酷な事故の経験と教訓を世界と共有して原発の安全の向上に貢献していくことは日本の責務である、このようにおっしゃっています。

 しかし、事故は過去のことではありません。私、おとといも福島第一原発の視察に行ってまいりました。ことしの一月に続いて現地を訪問したんですが、いまだに事故原因の究明もできていない。また、前政権のもとで、冷温停止状態、安定的な状態になってはいるものの、いまだに廃炉にはできておりません。また、除染作業はまだ本当に始まったばかりでありますし、十六万人の方々がいまだに帰宅できないという状況でございます。つまり、事故が起きた場合に解決できるという経験をまだ示せていない状況だと言えると思います。

 このような状況でありながら、地震多発国であるトルコへの原発輸出を決定した、この根拠は何なのか、大臣にお答えをいただきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、原発事故を経験した国として、事故に関する知見あるいは経験、教訓を国際社会と共有していくことによって国際的な原子力安全の強化に貢献していくこと、これは我が国の責務だと思っています。そして、このため、相手国の意向ですとか事情といったことを踏まえつつ、世界最高水準の安全性を有するものを提供していくというのが我が国の基本的な考え方です。

 そして、御指摘のトルコのケースですが、トルコ側からは、一昨年の原発事故以降も、日本の技術に信頼を置いているということを再三伝えてきておりました。そして、原子力の平和的利用の分野における我が国の協力に対する強い希望、こうしたものが累次表明されてきたところであります。これらを踏まえて個別に検討した結果、政府として、トルコとの原子力協力を行う意義があるということを総合的に判断し、今回の決定につながったということでございます。

阪口委員 政府同士で合意をしたということなんですが、では、実際にどのような契約内容になっているのか、また、日本の役割がどこまで決まっているのかということについてもお尋ねをしなければいけないと思います。

 ちなみに、日本の前にトルコと契約を結んだロシアは、世界初の建設、所有、運転契約を結んでおります。総建設費二百億米ドルはロシア側が負担をする、そして、その返済のために、トルコ電力取引・契約会社がこのプロジェクトの実行会社から十五年間にわたって十二・三五アメリカ・セント・パー・キロワット・アワーで電力を購入する、こういった契約を締結しているんですね。

 ロシアは、建設、運転、保守、そして廃炉措置、使用済み燃料・放射性廃棄物管理、損害賠償など、全てにわたって責任を負うことになっている。そして、廃炉措置や使用済み燃料・放射性廃棄物管理に各〇・一五アメリカ・セント・パー・キロワット・アワーの基金を積み立てることになっております。つまり、事故が起こったときの損害賠償までロシアが請け負う、こういった契約になっております。

 個別具体的に聞いてまいりたいんですが、まず、いわゆる使用済み燃料や放射性廃棄物の処理は、どこで、どの国が行うことになっているんでしょうか。

宮川政府参考人 まず、使用済み燃料の処分でございますが、原子力施設から出てくる使用済み燃料をどのように取り扱うかということにつきましては、これは一義的に当該原子力施設を管轄する国が責任を持って取り組むというのが課題であります。

 シノップの原子力発電所におきましても、原子力燃料及び放射性廃棄物の最終処分については、日・トルコ両国政府間の協議におきまして、トルコ政府がこの責任を負うということが確認されております。日・トルコ原子力協定の中で、我が国とトルコとの間で使用済み燃料は移転されないということになっておりますので、我が国がトルコからの使用済み燃料を引き受けるということにはまず今なっておりません。

 それから第二に、損害賠償でございますけれども、まず、一般論として、原子力の発電施設において万が一事故が起こった場合、その際の損害賠償につきましては、当該施設が所在している国の国内法に照らして判断することになるのでございますが、トルコは、御存じのとおり、原子力損害に関するパリ条約に加盟しておりまして、そのパリ条約には、原子力事業者の無過失責任でありますとか、原子力事業者への責任集中ですとか、それから事故発生国への裁判集中などが定められておりまして、トルコ政府は現在、原子力損害賠償に関する法案を整備しているところでありますので、そのラインで恐らく処理されるということになるのではないかと思います。

阪口委員 今の御答弁を聞く限りにおいては、要するに、まだ決まっていない、これから話し合うけれども、恐らくトルコ政府が責任を負うことになるのではないかというような、そういった答弁のように私には聞こえたんですけれども、これは、事故が起こった場合の責任、及び廃棄物処理についてはトルコが責任を負うんだということが安倍総理とエルドアン首相の間でも明確に合意されていると考えてよろしいんでしょうか。

宮川政府参考人 まず、放射性廃棄物それから使用済み燃料につきましては、ちょっと私の言葉が足りなかったかもしれませんが、これは、先ほど申しましたように、日・トルコ原子力協定の上で使用済み燃料の移転はできないことになっておりますので、そういう意味で、一般論に戻ってトルコが責任を負うというふうなことになっておりますし、その点は、日本とトルコとの間の協議においても確認されております。

 損害賠償につきましては、現在、トルコ政府が法案をつくっておる最中でございますので、私どもは、今申しましたとおり、トルコが既に加盟している条約のラインに沿って国内法をつくっていくんだろうというふうに解釈しておるわけでございます。

阪口委員 具体的にトルコのどの地域で廃棄物の処理が行われるのか、また、その件について地元の理解は十分に得られているのか、この点についてはいかがでしょうか。

宮川政府参考人 今のところまだトルコは原子力発電を運転しておりませんものですから、恐らく、私どもの知る限りでは、どこに使用済み燃料の廃棄場所をつくるのかとか放射性廃棄物の廃棄の場所をつくるのかということについて、まだ決まっていないのではないかと思います。

阪口委員 事故が起こった場合の影響というのは、トルコ国内だけではなくて周辺国にも及びます。特に、黒海沿岸ということで、チェルノブイリにおいて重大な事故を経験したウクライナなどにも影響が及ぶ可能性がありますが、例えば、事故によって他国に影響が及んだ場合の賠償というのはどのように考えられるんでしょうか。

宮川政府参考人 先ほど申し上げました、トルコが既に加盟しております原子力損害に関するパリ条約のもとでは、事故を起こした国に裁判権を集中するというふうに規定しております。よって、トルコの国内で事故が起こりましたときには、周辺国の損害を受けた方々は、トルコに対してトルコの裁判所で責任を追及する、損害に対する救済を求める、こういう訴訟を起こされるということになると思います。

阪口委員 裁判を行う場所はトルコであったとしても、実際に建設をして運営をしていくのは日本とフランスのアレバのコンソーシアムですよね。ですから、事故の責任を日本が問われるという可能性はないという考えでよろしいんでしょうか。そこがちょっと、私も説明を聞いてよくわからないものですから。

宮川政府参考人 このコンソーシアムは、これからトルコ政府と日本及びフランスの事業者の方々がその構成などについて話し合いをして、交渉をしてまとまっていく、今まだそういう段階でございます。

 そういう意味で、日本とフランスの企業だけがこのコンソーシアムに参加するのか、それとも、恐らくそうではなくて、むしろトルコの企業も参加するということになると思いますが、できましたコンソーシアムに対して、これは企業でございますけれども、このコンソーシアムは事業者としてこの事業を推進していくということになりますので、事故が起こったときには、そのコンソーシアムに対して責任が追及されるということになると思います。

阪口委員 原発が建設される予定のシノップ市においては、パキ・エルギュル市長が原発反対を訴えて二〇〇九年に市長に当選をされて、今でも反対をしているということです。黒海沿岸の美しい観光都市であるだけに、原発をつくることで環境産業に多大な影響を受ける可能性があるのではないでしょうか。このことについて、日本政府としてどのように考えているのか。

 そして、私、ヨルダンに原子力発電所を建設するということで、原子力協定を締結する際に、現地の原発建設予定地に視察に行ったことがございます。そのとき、現地で聞いた印象では、日本政府の現地の住民に対する説明というのが十分ではない、ほとんどなかったということ、これは苦情として聞きました。

 やはり、日本としてこのような大きなプロジェクトを展開する際においては、現地に対する説明というものもしっかりしていかなければいけないのではないか、また、トルコ政府が現地の住民に対してどのような説明をしているか、これもしっかり把握をしておく必要があると思います。この点についていかがお考えでしょうか。

宮川政府参考人 シノップの市長さんが原発建設に反対しておられるということは、報道で私どもも承知しております。ただ、トルコの政府は、二〇二三年までに国内の電力需要の五%を原子力発電で賄うという計画を既に発表しておりまして、原子力発電所の建設計画を国家の重要な政策として位置づけております。

 シノップの原子力発電所建設計画につきましても、今後、トルコ政府と事業者間で詳細な協議が行われていくということになっておりますが、あわせて、トルコ政府が本事業に関して、現地の方々に対する広報、説明を行っていかれることになるというふうに理解しております。

 もちろん、我が国といたしましても、原発事故を経験した国として、事故に関する知見と教訓を国際社会と共有することによって国際的な原子力安全の強化に貢献するということは、我が国が果たすべき責務だというふうに考えております。これはまさに大臣も御答弁になられたとおりでございますが、トルコ政府の地元説明への取り組みにおきましても、情報提供などを十分に行っていきたいというふうに考えております。

阪口委員 非常に官僚答弁だと思うんですね。まあ、官僚の方の答弁ですから、当然といえば当然なんですが。

 私は、やはり日本政府としての倫理観も問われると思うんですね。ですから、これほどの大きなプロジェクト、日本円で二兆円もの事業であるわけですから、日本として、やはり、地元の住民の方々に対する責任をトルコ政府に委ねるのではなくて、みずからしっかりと行っていくという姿勢を見せることも、我々の倫理観の示し方として必要なのではないかと思うんです。

 実際、我々、買い物をするときに、中身が決まっていないものは買わないですよね。安倍総理とエルドアン首相で合意をされたというものの、まだまだ決まっていないことが多過ぎると私は思います。これは、これほど大きな事故を起こした日本政府の、事故後最初の原発の輸出にかかわる対応、姿勢としては問題があるのではないかと思います。この点、ぜひトルコの方々の信頼をしっかり得られるような対応をお願いしたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘のトルコとの原子力協定につきましては、トルコで地震が発生する可能性は考慮しなければならないと我が国も考えています。ですから、本協定においては、原子力安全に関する協議を定期的に実施するための規定も設けられております。

 そして、トルコとの原子力協力を進めるに当たっては、一昨年の我が国の原発事故の原因調査の状況ですとか、あるいは原子力安全への取り組みですとか、こういったことについては、最新の情報を丁寧に説明する、こうしたことが重要だと認識をしております。

 我が国の立場からも、今申し上げたような取り組みによって原子力の安全に貢献していきたいと思いますし、そして、そうした情報が地元にしっかり伝わっていくよう努力をしていかなければいけないと考えています。

阪口委員 次に、シリアに対する日本政府の対応についてお伺いをしたいと思います。

 内戦が続くシリアからは、百万人を超えると言われる難民が周辺国に流出をしております。

 日本は、アサド政権を支援はしないという姿勢をとりながら、反政府勢力を支援するわけでもない、両方と距離を置いて静観しているように私には見えるんですね。これは、日本政府の姿勢としては、十分な情報あるいは情報分析に基づくものであればそういう対応というのはあり得るかと思いますが、一方で、欧米の国々あるいは周辺国は、アサド後を見据えた積極的な対応をしている。ですから、その視点でいうと、日本は出おくれているということも言えると思います。

 現に、シリア・フレンズ会合、これはこれまで四回にわたって行われて、日本も呼ばれていたわけですが、四月の二十日に行われた会合においては日本は呼ばれていないのではないかと思います。外務省のホームページにはその件は掲載されていませんが、トルコ、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、エジプト、UAE、カタール、ヨルダン、サウジアラビアの十一カ国が参加と私は把握しております。

 日本は、このシリアの緊急人道援助に対して、EUやアメリカと並ぶ額を拠出している。一千三百万ドルを昨年拠出し、また、平成二十四年度の補正予算では六千五百万ドルを拠出予定であります。これほどの金額的な貢献をしているにもかかわらず十分にプレゼンスを示せていないとすれば、これは外交的な問題だと思いますが、この点について大臣はどのようにお考えでしょうか。

岸田国務大臣 シリアをめぐる状況ですが、まず、二年以上も暴力的な衝突が続いております。死者は八万人以上、そして国外に流出した難民は百五十万人以上と、甚大な人的被害が発生しております。極めて深刻な状況と認識をしております。

 そしてその中で、御指摘いただきましたように、我が国は、国際機関やNGOを通じて計約八千万ドル以上の人道支援を行っております。そして、こうした人道支援とあわせて、アサド政権への圧力強化のため、国際社会と連携して経済制裁の措置も累次にわたり実施をしてきております。

 昨年十一月、東京で、制裁に関する会合、これも我が国は主催をさせていただきました。また、先般、四月ですが、G8外相会談が行われました。この外相会談の場におきましてもシリア問題を協議させていただきましたし、こうした国際会議の場でこの問題について積極的に発言を行っている次第であります。

 この問題は、人道的な影響の大きさ、あるいはシリア情勢自体が中東地域の安定に与えるインパクト、こういったことを考えますときに、国際社会全体として抱える重大な課題の一つだと認識をしております。ぜひ、引き続きまして、我が国としてもこの問題に積極的にかかわっていきたいと考えています。

阪口委員 私が問題にしているのは、日本の姿勢というのがどのような情報や戦略に基づいているのかということなんですね。少なくともこのシリア・フレンズ会合においては、財政的な貢献をしているにもかかわらず日本が最新の会合に呼ばれていないということは、日本の姿勢というものが十分に理解、評価されていないと言わざるを得ないのではないかと考えています。

 ですから、この地域は、日本のプレゼンスを非常に示しにくい場所であるとは思いますけれども、しかし、日本としては、こういった紛争後の平和構築に貢献するということも日本の大きな外交戦略でございますから、しっかりとしたプレゼンスを発揮できるような努力をお願いしたいと思っております。

 質問なんですが、私自身も、国際協力、特に紛争地域における支援活動というのを経験してまいりました。我々がよく言われること、直面することは、スキームがないからこの支援はできないということなんですね。

 シリアの情報が大変に少ない中で、私も、シリアの難民支援をしているシリアの国会議員ですとか、あるいは日本のNGO、ジャーナリストの方々を通して現場の声を聞きました。特に、シリア情勢の悪化によって数十億ドルの被害が発生しているとされるトルコでは、多くのホストコミュニティー、難民キャンプの周辺において、現地のトルコ人の医師の方々が、難民、特に傷ついた難民の方々への対応で手いっぱいになって、トルコの人たちが十分な治療を受けられないということが大きな問題になっています。したがって、例えば、同じアラビア語で難民と対話ができる周辺国の医師の方々を派遣できるように、日本政府に資金的な援助をしていただけないか、そういった声も私は聞きました。

 ただ、実際には、日本からはこのような支援ができないままで、結局、パレスチナやエジプトの医師が派遣される。要は、日本としてスキームの問題だといって決断できないうちに周辺国に先を越されてしまったということが、私は大変残念に思います。

 この医師の派遣ができなかったということ、何が問題なのか、どのようなところに起因しているのかということについて、御意見を伺いたいと思います。

あべ大臣政務官 阪口委員にお答えいたします。

 問題を感じていらっしゃる部分で、特に、アラビア語が話せるエジプト人の医師をトルコのホストコミュニティーに派遣する費用を例えば日本が負担して、さらにはシリア難民受け入れで疲弊しているホストコミュニティーを支援するなどという問題の意識でございます。

 このシリア情勢の悪化によりまして、現在まで、推定百五十万人以上のシリア難民がレバノン、ヨルダン、トルコなどの周辺国に流出しているというふうに私どもも承知しておりまして、これらの諸国におきましては、シリア難民の受け入れで大きな負担を強いられているホストコミュニティーに対する支援の必要性が高まっていることも私ども認識をしております。

 そういう中にあって、日本のNGOを通じまして、特に、ホストコミュニティーに対する食料、生活必需品の配布、小学校の修復、心理的カウンセリングの提供といった支援を実施しているところでございまして、今後とも、ホストコミュニティーの具体的ニーズに適切な支援を行っていきたいというふうに思っております。

 また、御指摘の医療分野の支援につきましても、ホストコミュニティーの具体的ニーズを踏まえつつ、アラビア語を話す医師の活用の可能性も含めまして、効率的、効果的な支援を検討してまいりたいというふうに思っております。

阪口委員 いろいろスキームの問題はあるにしても、喫緊のニーズ、人道的なニーズがあるときには、そのスキームを超越した政治的判断をするということも私は必要だと思います。

 例えば、いわゆる緊急援助においては、トルコ国内で日本人の医師が治療に当たるということもあったように聞いています。トルコにおいては、国内の医師法において、トルコ国内で医師免許を取った人でなければ治療できないということになっていると聞いてはおりますが、しかし、本当に目の前の救える命を救わなければいけない状況においては、そこは飛び越えることも政治的判断であり得るのかと思います。

 ただ、実際に限られた資金の中で適切な治療を行う際に、私は、いわゆる三角協力のような形で、より安いコストで医師を派遣できるようなスキームをもっと整備しておく必要があると思うんですね。

 ですから、このあたり、私も国会議員になって、スキームがないからできないというようなことは本当になくしていきたいと思っておりまして、今後もさまざまな指摘をさせていただきたいと思いますが、ぜひ、大臣にこの点についての思いを最後に伺いたいと思います。

岸田国務大臣 我が国の国際貢献あるいは支援に関しましては、そうした形にとらわれずに効率的、効果的な支援というものを検討していく、こうした姿勢は重要だと思います。

 さまざまな事態が発生し、そして国際的な環境もどんどん変化していく、こうした変化や事態に効果的に対応できる支援や外交でなければならないということは強く感じます。さまざまな御指摘も踏まえさせていただきながら、我が国としましても効果的な外交を展開していきたいと考えています。

阪口委員 終わります。ありがとうございました。

河井委員長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 先般質問した内容のフォローアップの質問をさせていただきたいと思います。

 先日、本外務委員会におきまして、SWA、サニテーション・アンド・ウオーター・フォー・オール、水と衛生分野の国際的な援助の動きに関して、他の主要国が正式なメンバーとして参加しているにもかかわらず、日本政府はオブザーバーで参加をしてきたということがありました。日本は水と衛生の分野では世界のトップドナーです。金額では世界一のトップドナーであるにもかかわらず、正式なメンバーじゃなくてオブザーバー参加というのは非常にもったいないということを申し上げました。

 そのとき、大臣も城内政務官も非常に前向きな御答弁をいただきましたが、その後、省内での検討状況等について質問させていただきたいと思います。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 サニテーション・アンド・ウオーター・フォー・オール、万人のための衛生と水、これは五十カ国余りと国際機関が参加する衛生と水に関する国際的なパートナーシップでございますが、これについては、先般の委員とのやりとりも踏まえ、正式メンバーとして参加する方向で検討してございます。

 我が国は、水と衛生分野におけるトップドナーとして、今後とも、国際的な水と衛生分野の議論に積極的に関与してまいりたいと考えております。

山内委員 簡潔でいい答弁、ありがとうございました。私ども野党の議員の提案にもかかわらず真摯に検討いただいて、心から感謝を申し上げます。

 それに関して、水と衛生分野でもう一つ質問したいと思います。

 先日、ゴールデンウイークの中日にユニセフ議連の勉強会がありまして、会長は谷垣大臣でいらっしゃるんですけれども、議連のメンバーでユニセフのソマリア事務所の所長のお話を伺いました。教育が重要だ、次に水が重要だということをおっしゃっていまして、日本に対しても非常に高い期待をお持ちのようでありました。

 日本も、水と衛生分野、お金は世界のトップドナーなんですけれども、金額が大きいのは、円借款の水道、特に中所得国の、ある程度発展段階が行っている国の水道なんかをやると、ボリュームが大きいので、金額がどんと大きくなります。

 そのせいもあって日本はトップドナーということなんですけれども、今後は、そういう中所得国だけではなくて、もちろん中所得国の水も大事なんですけれども、その上に乗っける形で、ぜひ、低所得国、紛争をやっているソマリアみたいな国の水道事業、あるいは水道というよりも井戸のレベルですね、そういったものにももっと日本政府としても取り組んでいただきたいと思います。

 ですから、仮に同じ金額を水に費やすとすれば、中所得国よりも低所得国、大規模な水道よりも小規模な、簡易水道とか井戸とか、そういったものへとシフトをしていく必要があるかと思います。

 そういった点について、政府としてどのようにお考えでしょうか。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 人間の安全保障の観点からも、安全な飲料水の供給は極めて重要と考えております。

 我が国は、井戸の整備を含め、高い技術を必要とせず、維持管理、補修を現地で行えるような支援も積極的な形で実施しております。

 委員御指摘のとおり、途上国の村落部につきましては、井戸を活用した給水施設の整備を無償資金協力で支援することは重要と考えております。

 一方、途上国においては、急速に都市化が進む中、都市部における水道を初めとする大規模な水インフラの整備を支援するということも非常に重要だと考えております。

 我が国のすぐれた技術を活用しつつ、途上国の人々のニーズに合った形で、引き続き、水分野の支援に取り組んでまいりたいと考えております。

山内委員 水分野、ぜひ重視していただきたいと思います。特に中近東や中央アジアでは、場合によっては水が原因で次の戦争が起きるかもしれないというようなことも言われておりますので、日本が率先して水の分野で貢献をしていく。場合によっては、戦争を起こさないための水の援助、こういったものもこれからは必要になってくるのではないかと思いますので、ぜひ正式メンバーとしてSWAのイニシアチブを主導していただきたいと思います。

 次の質問に移りたいと思います。

 次は、順序を変えまして、外務省外交官の語学力、語学研修、あるいは人材育成について質問させていただきたいと思います。

 お手元にお配りをさせていただいた資料も含めて質問をさせていただきたいと思います。

 外務省の非常に強みの一つというのは、やはり語学力だと思います。経産省とか財務省にも英語の上手な人はいっぱいいるかもしれませんが、インドネシア語のできる人とかあるいはアラビア語ができる人というのは、もう外務省以外にはほとんどいないと思います。そういった意味では、外国語の運用能力、あるいは、外国語、特殊言語などを生かした現地での人脈の構築や情報収集、これこそ外務省の強みだと思います。

 私も海外にいたときに、日本大使館の大使館員の方で、特に現地語の上手な人が現地に溶け込んで非常にいい情報を持ってきたり、あるいは現地の有力な政治家なんかにも食い込んでいる、そういう様子を見てきまして、言語に強い外交官、特に特殊言語に強い外交官というのは日本の外務省にとって非常に重要な資産だと思うんです。

 そういう外国語の研修、特に特殊言語の研修を受ける職員というのは、外務省全職員五千何百人のうち、大体何割ぐらい、何人ぐらいになるんでしょうか。

越川政府参考人 先生、御指摘ありがとうございます。

 先生御指摘のとおり、我が国の外交の幅が拡大しているということに鑑みまして、語学を初めとする専門家の育成は非常に重要であると認識しております。

 外務省として、英語を除きます言語、こういう専門の言語を専門とする職員は、平成二十五年五月二十一日現在で千七百四十六名でございます。これは、研修語学を割り当てられる総合職及び専門職の全体のうち、約七〇%に当たります。

山内委員 ありがとうございます。

 ちょっと確認ですが、英語まで含めると、外務省の全定員のうち、どれぐらいの割合になるんでしょうか。

越川政府参考人 英語まで含めますと、これは平成二十五年五月二十一日時点で二千五百十名でございます。(山内委員「全体の定員は何人でしょうか、外務省」と呼ぶ)

 済みません、全職員で五千八百人弱でございます。

山内委員 全体で五千八百人、出向の人もいるかもしれませんが、そのうち二千五百人が語学研修を受けている。これは、正直言うと、私も数字を見ると、少ないな、もっと多くてもいいのかなと思っておりまして、外務省の強みでもある語学研修、こういうものにはもうちょっと、財政厳しき折ですが、予算も時間もかけるべきじゃないかなと思うんです。

 ここ数年、外務省が語学教育、語学研修にかけている予算、これは減っているんでしょうか、ふえているんでしょうか、そして、大体幾らぐらいなんでしょうか。

越川政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省といたしましては、御指摘のように、職員の語学力向上には格別の意を用いてきてございます。

 先日、平成二十五年度外務省予算として、語学力の向上を含む研修関連予算としまして、前年度比で約三千五百万円増、約一三%の増をお認めいただいております。

 また、研修修了後に、語学レベルを維持向上しているかどうかという確認をするために、語学に応じまして、入省時から五年目ないしは七年目までの職員を対象にしまして、毎年、統一語学考査を実施しております。

 引き続き、語学力の向上を含む職員の能力の向上に努めてまいりたいと存じます。

山内委員 次に聞こうと思ったんですけれども、在職している方の、一旦入った後の定期的な語学力のチェックをどうされているのかなと思いまして、韓国の外交通商省、今度政権交代で省名が変わるかもしれませんが、などは、何年かに一度、かなり厳しい語学力テストをやって、現役の職員であっても数年ごとに語学力の試験をやって、それを人事評価にも反映させる、そういう話を聞いたことがあります。

 一旦研修すると、油断してしまって語学力が落ちる、こういうことがあってはいけないと思いますので、既にいる職員の研修ということにも力を入れるべきだと思いますが、その点について、改めてお願いしたいと思います。

越川政府参考人 今先生から御指摘あったとおりでございます。

 研修の終わった後、二年ぐらいは考査をやっておりますが、その後につきましても、語学力あるいは専門的知識が劣化しないように、研修制度を充実していきたいと思います。

 それから、語学研修した中でも優秀な人間につきましては、通訳官の養成等々の研修も実施してございます。

山内委員 次に、研修語学別の職員数について、外務省の説明と、場合によっては大臣と、通告していませんが、あべ政務官も感想をお聞かせいただければと思うんですが、この語学別のリストを見て、私はいろいろ思うところがありました。

 例えば、これを見ていただくと、英語がすごく多い、これは何となくわかるんですけれども、他方で、せっかく、プロの外交官だから、英語研修だけで満足してもらっては困るなという気もいたします。七百六十四人、多いのかな、少ないのかなというと、もしかしたら、英語を減らして、その分ほかの言語をやって、英語プラスワンをちゃんとやった方がいいのかなという気もいたします。

 それから、例えばドイツ語、百三十三人、これは結構多いなと思ったんですね。ドイツ語を使っている国というのはドイツとオーストリアぐらいしかないと思いますが、日本の貿易相手としてもドイツの位置というのはだんだん少なくなってきているわけですから、こんなにたくさんドイツ語研修生が要るのかなというふうに思います。

 これは、減らせとは言いませんが、せめて、もっとほかの、アラビア語とかスペイン語とか、話されている国の数が多いところはもっとふやしていくということが必要ではないかと思います。

 あるいは、左の列の下から七つ目あたりのモンゴル語、ヒンディー語、十五人ずつ。モンゴルとヒンディー語、全く同じ人数、これは非常に違和感を感じました。

 ヒンディー語というのはインドですから、日本にとって非常に重要だと思います。しかも、ヒンディー語というのは五億人が世界で話しております。中国語、英語、ヒンディー語の順ですが、五億人が話す、世界で三番目に多い話者がいる語学が十五人。モンゴル語が十五人。モンゴルが大事じゃないとは言いませんが、モンゴルの国民がたしか二百八十万人ぐらい。内モンゴルまで入れたって五百万人ぐらいしかいない。

 五百万人のモンゴル語と五億人のヒンディー語、全く同じ十五人。これもちょっとバランスが悪いのかな。モンゴルを減らせとは言いません。むしろ、ヒンディー語をふやした方がいいんじゃないかなと思います。

 そういう視点でいろいろ見ていくと、外務省に戦略はあるんだろうか。何か明確な、これからやはりアラビアが大事だからもっとふやそうとか、あるいは、中国は当然重要ですけれども、ちょっと驚いたのは、ロシア語より少ないんですね。中国は日本にとってこれだけ大事な国なのに。

 あるいは、アラビア語をしゃべる国というのは非常に多いわけですけれども、そんなに多くない。朝鮮語よりもドイツ語の方が多いのも、ちょっと驚きました。

 あるいは、今、貿易額でいうと、日本の貿易額ランキング、去年のトップテンを見ると、六位にタイが入り、十位にマレーシアが入り、九位にインドネシアが入り、東南アジアの言語なんというのは非常に少ないんじゃないかなというふうに思います。

 フィリピンのタガログ語も十人です。日本にとって非常に重要な近隣の国でもありますし、フィリピンのタガログ語が十人で、なぜセルビア語が十四人いるんだろうとか、なぜセルビアとかルーマニアよりもタガログ語の方が少ないんだろうとか、いろいろな疑問が湧いてくるわけです。

 これは、外務省、何か指針とかそういうものはあるんでしょうか。まず、お答え願います。

越川政府参考人 外務省では、入省時に、旧1種でございますが、全ての総合職職員及び専門職員に、いずれかの語学の研修を命じております。

 各語学の研修員の数につきましては、その言語が用いられる国の数、その言語を用いての各種の交渉あるいは情報収集、邦人保護を行うために必要な要員数、その言語の職員がその時点で何名存在するか等を勘案して決定してございます。

 その際、語学の専門家の育成には年数を要するものであって、その都度、長期的視点に立って判断していく必要があるというふうに思ってございます。

 このため、現在、将来の主要外交課題に適切に対応できるように、外交上、最低限、一定規模の人数を確保するよう考えてございます。

 こういう形で、長期的な視点に立って語学の配分をしているわけでございますが、今お手元にある人数は、我々の七、八年先輩からずっと集積したものでございますので、ごく最近の数年間の採用あるいは語学の割り振りを見ますと、例えばドイツ語は、私が入省したころから比べると、かなり減ってございますし、スペイン語ですとか中国語、あるいはアラビア語はふえているというのが現状でございます。

山内委員 岸田大臣、もし、この表を見て何かお感じになったことがあったら、お願いします。

岸田国務大臣 まず、語学の必要性については、数字、人数であらわすというのはなかなか難しいとは存じます。また、ここまでふやせば十分というものでもないと思います。よって、基本的には、全体の数字を底上げしていくということで現実の必要性に対応していくということになるかと存じますが、その上で、御指摘のように、長期的な視点に立って戦略的にこうした語学研修のあり方を考えていく、こういった点は重要だと思っております。

 まず、基本的には、しっかりとした底上げを行いつつ、長期的な戦略についてもいま一度しっかりと検討していくべきだと考えます。

山内委員 ちょっと時間が短くなってきたので、最後は、質問というよりも意見ということで申し上げたいと思います。

 例えば、今アフガニスタン大使をやられている方は非常に現地語が上手です。アフガニスタンのダリー語、パシュトゥー語をしゃべれるんですけれども、職員の語学研修には入っておりません。要するに、今のアフガン大使は独学で学ばれたのか、あるいは入省される前に自分で留学されたりとか、そういう人だと……(発言する者あり)そうなんですか。中途採用ということを、今、山口元副大臣からお話がありましたが、そういう人も非常に重要だと思います。研修するお金を省くという意味では、できる人を中途で雇うというのは非常にいい、効率的なやり方だと思います。

 そういった形で、既に語学ができる人を雇っていくということも大事だと思いますし、私がインドネシアにいたときに知り合いだった某書記官の方は、非常にインドネシア語ができるんですけれども、同時に、非常にインドネシア政府内に人脈をお持ちでした。理由は何かというと、語学研修でインドネシアの名門大学に留学されていたので、そのときの同級生がみんな偉くなっている。

 そういう価値もありますので、語学の研修は、ただ単なる語学じゃなくて、現地に人脈をつくっていく、そういった意味でも重要だと思いますので、こういう目立たないところですけれども、しっかり予算も配分をして、長期的な視野に立って、どの国の言葉をしゃべれる人間は何人ぐらい要る、そういう指針みたいなものを時々見直していただく必要があるのかなというふうに申し上げて、時間が来たので、質問を終わります。

 ありがとうございました。

河井委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 まず、先ほどありましたが、安倍内閣の歴史認識に関連して、岸田大臣に質問いたします。

 一九九五年の村山談話は、「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。」と述べて、痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明したわけであります。

 そこで確認いたしますが、この村山談話について、現安倍内閣としても、これまでの歴代内閣の立場を引き継ぐと。先ほど大臣は、歴代内閣の歴史認識全体を引き継ぐとおっしゃいましたけれども、そうおっしゃるならば、国策を誤り、植民地支配と侵略を行ったという、談話のある意味で核心部分も含めて引き継ぐということでよろしいでしょうか。

岸田国務大臣 安倍内閣として、侵略ですとか植民地支配を否定したことは一度もないと認識をしております。これまでの歴代内閣の立場全体を引き継いでいるということであります。

笠井委員 否定したことはない、侵略とか植民地支配ということをおっしゃったんですが、村山談話をめぐって、第一次安倍内閣時の二〇〇六年十月六日の衆議院予算委員会では、当時、安倍首相自身も、我が党の志位委員長に見解を問われて、こう答弁されています。

 総理として答えるわけでありますが、今委員のおっしゃった、国策を誤り、戦争への道を歩んだ、このように指摘をされたわけだが、今指摘をされた記述を含めて、平成七年八月十五日及び平成十七年八月十五日の内閣総理大臣談話において示された考え方を政府としては引き継いでいるということでございますと、はっきりと述べているわけです、言及をして。

 つまり、侵略とか国策を誤ってということについて否定したことはないというふうに今大臣も言われたんですが、この答弁に照らしても、従来の立場を引き継ぐと言うんだったら、国策を誤り、植民地支配と侵略を行ったという部分も含めて村山談話を引き継ぐ、こうはっきり答えるべきだと思うんですが、それはよろしいですか。

岸田国務大臣 先ほどもお答えしましたように、歴代内閣の立場全体を引き継いでいるということであります。

笠井委員 では、そこの中には、国策を誤り、植民地支配、侵略ということを行ったということについても含まれるということでよろしいですか。

岸田国務大臣 侵略あるいは植民地支配、こうしたものも含めて歴代内閣の立場全体を引き継いでいくということであります。

笠井委員 岸田大臣は、五月十四日の記者会見で、歴史認識に関連して、日本軍慰安婦問題についてこう言われております。

 筆舌に尽くしがたいつらい思いをされた方々のことを思い、非常に心が痛みます、この点については、歴代内閣においても同様の思いを持ってきたと理解をしています、こう述べられて、同時に、日韓関係は我が国にとって最も大切な二国間関係のうちの一つという認識を示されました。

 岸田大臣が日韓関係を本当に心から大切な二国間関係のうちの一つと認識されているというのは、そうだと思うんですが、そうであるならば、日本政府として早急に対応すべき問題というのがこの日本軍慰安婦問題ではないかと思うんです。

 そこで大臣に伺いますが、日本政府は、元日本軍慰安婦被害者の賠償請求権問題に関して、韓国政府から、一九六五年の日韓請求権協定に基づく両国政府間の協議を提起されております。その経緯と日本政府の対応はどうなっているか、大臣に伺いたいと思います。

岸田国務大臣 慰安婦問題につきましては、筆舌に尽くしがたいつらい思いをされた方々のことを思い、非常に心が痛みます。この点、歴代内閣の認識と私は同じであります。

 そして、一昨年八月末に韓国憲法裁判所の決定を受け、同年九月そして十一月に、韓国政府から我が国に対し、日韓請求権・経済協力協定に基づき協議の申し入れがありました。

 この慰安婦問題を含めて、日韓間の財産、請求権の問題に対する我が国の政府の一貫した立場は、歴代の内閣が明らかにしているとおり、日韓請求権・経済協力協定により完全かつ最終的に解決済みであるというものであります。

 かかる我が国のこの考え方、これまでも累次の機会に韓国側に伝えてきておりますが、こうした考え方についてこれからもしっかりと粘り強く説明していきたいと考えています。

笠井委員 では伺いますけれども、この問題で、そもそも韓国側から協議の申し入れをしてきたというのは、この請求権協定の三条に基づいて言ってきたということでしょうか。それを確認したいんですが。

岸田国務大臣 そのとおりだと認識をしております。

笠井委員 この日韓請求権・経済協力協定の三条一項では、協定の解釈及び実施に関する両国間の紛争がある場合には、まず、外交上の経路を通じて解決するものとするというふうに定めております。

 この規定に基づいて、元日本軍慰安婦被害者の賠償請求権問題で韓国政府から正式に政府間協議が提案されているわけでありますが、そうである以上、両国間で協定の解釈に違いがあることは客観的な事実だと思います。

 協定の規定上、見ますと、日本政府には韓国政府との両国間協議に応じる義務があるということは明らかじゃないでしょうか。いかがですか。

岸田国務大臣 協定の第二条に、完全かつ最終的に解決されたことになると確認するという条文があります。

 我が国は、完全かつ最終的に解決済みという認識であります。これをしっかりと説明していきたいと考えています。

笠井委員 ただ、第二条でそう確認した上で、第三条で、紛争がある場合については、まず、外交上の経路を通じて解決するものとするというのは書いてありますね。そのとおりですね、それは。

岸田国務大臣 条文にそのように書いてありますが、我が国の認識は、完全かつ最終的に解決済みであるというものであります。

笠井委員 しかし、向こうの側はそうは言っていないわけで、だから三条に基づいて言ってきているというわけであります。

 そもそも、協定第三条が設定されたこと自体が、一九六五年の協定締結当時、日韓間で解釈に関する紛争が起こり得ることに備えたものであることを示していると思うんです。つまり、二条でそう言っているけれども、三条でわざわざこういう項目を設けている。

 日韓基本条約締結当時、日本側の交渉責任者であったのは椎名悦三郎当時外務大臣でありますけれども、一九六五年の八月五日の当外務委員会で、条約の成立後、両国の解釈が重大な点において違うというような場合には、その時点における両国の当局者がこの問題の正当な解釈についてまた協議するということもあるいは起こり得るという形で、この三条を明確に答弁しているわけです。

 岸田大臣、この答弁、御存じでしょうか。

岸田国務大臣 済みません、今手元にありませんので、いま一度確認したいと存じます。

笠井委員 日韓基本条約当時に日本側の交渉責任者だった椎名外務大臣の答弁というのは、まさに、日韓間で解釈上の違いが生じた場合に、その時点で問題の正当な解釈について両国間で協議するということを認めているわけです、当時。よく確認していただきたいと思うんです。

 この椎名外務大臣の答弁からも、協定第三条に基づく韓国側との協議というのを拒否することは通用しない。つまり、そういうふうに三条があって、そして国会で正式に当時の外務大臣がそういうことがあるということを言っているわけですから、韓国側もそのことを当然承知しているわけで、それで、それに基づいて、三条に基づいて向こうが申し入れをしてきているとなると、協議を拒否するということになると条約上どうなるのか。これは違反することになるという話も出てくるわけで、ましてや、日本軍の慰安婦問題が被害者の告発によって明らかとなって政治問題化したのは、ずっと後の一九九〇年以降のことであります。

 日韓基本条約当時に問題に上っていなかったわけで、これは解決済みということを主張し続けるとおっしゃるんだけれども、そういう日本政府の主張というのは成り立たないんじゃないですか、これは外交で条約があるわけですから。

岸田国務大臣 御指摘の三条に、この協定の解釈及び実施に関する両締約国の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとするとありますが、二条に、明らかに、財産、権利及び利益並びに請求権に関する問題が、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する、こういった明文があります。

 我が国としては、この問題は完全かつ最終的に解決済みであるというふうに考えております。

笠井委員 では、二条で解決済みと書いた上で、なぜわざわざ三条というのを設けたんですか。合意して条約になったわけですよね。その上で、二条で確認しながら三条でそういうことをわざわざ設けて、解釈が違う場合とか、あるいは見解が違うときには、そのときの当局がちゃんと提起するんだ、できるというのが三条ですということを、椎名外務大臣が当時わざわざそうやって国会で答弁しているわけですよ。

 では、何で三条なんか置いたんですか。

岸田国務大臣 三条は、解釈及び実施に関する紛争はというふうに書いてありますが、第二条で、解決されたこととなることを確認する、第二条で確認をしております。

 これは、確認されたことについてここで改めて議論をするということを三条で書いているのではないと思っています。

笠井委員 確認されたことについて、その後について解釈で違いがあった場合については提起できるというのが三条ですよね。それで、向こうはそれに基づいて提起してきたわけですから、提起してきたら、協議、話し合いをすればいいんじゃないんですか。それをやっちゃいけないという話じゃないでしょう。やれという話を条約は言っているわけだから。

 では、何で三条なんか設けたんですか。三条なんかなくてよかったんじゃないですか、日本政府。

岸田国務大臣 二条で、解決されたこととなることを確認するとされています。解決されたと確認されておりますので、紛争は存在しないと我が国は考えております。

笠井委員 これをやっていたら本当に解決しませんよ。

 つまり、向こうの側は、同じ条約を結んだ当事者として、二条でそういうことを言ったけれども、しかし、三条で、その後、そのときの政府がと言っているわけですから、外務大臣、当時も。解釈が違ったり見解が違うことがあれば、これは提起できるという話もあるわけです。

 しかも、私が言ったように、この慰安婦問題というのは、明らかになったのがずっと後のことなわけですから、当時、条約を結んで。その後、こういう問題が起こって、やはりこの問題はあるよね、向こうでは憲法裁判所でそういうことが出て、だから、韓国政府としても、三条に基づいてやろうよね、話し合いしましょうと言っているわけで、それをやらないと言っちゃったら、これはどう解決するのかということになります。

 私、その辺でちょっと伺いたいんですけれども、韓国の外交部の趙泰永報道官が五月十六日の定例記者会見でこう言っています。韓国政府は、この問題、従軍慰安婦問題を日本政府と協議してきており、今後も協議を通じてこの問題を解決するように努力する計画だというふうに言っておりますけれども、既に何らかの協議というのは実際やっているんじゃないですか。何もやっていないんですか、これは。

岸田国務大臣 日韓間においては、さまざまな課題について、絶えず意思疎通を図るべく努力はしております。

 具体的な協議等が行われたということは承知しておりません。

笠井委員 そのさまざまな課題において意思疎通する努力をしているという中には、この日本軍慰安婦問題も入っているということでしょうか。

岸田国務大臣 意思疎通、情報交換はさまざまなルートで行われていますが、この問題について協議が行われたということは承知しておりません。

笠井委員 協定の第三条に基づいて、韓国政府から、いろいろ今大臣言われましたけれども、正式に政府間協議が提起されているわけです。条約のこの項目に基づいてやっているんですと言われている以上、日韓間に解釈に関する紛争は生じていないとか、したがって第三条に基づいて解決すべき問題はないといったような従来の日本政府の理屈も通用しないということは、これは国際的な取り決め上も明らかだと思います。

 しかも、この旧日本軍の慰安婦被害者になった方々は、もう高齢になっていらっしゃる。私も実際に直接会ってお話も伺ってまいりましたけれども、平均年齢が八十七歳、八十八歳と、この問題の公正な解決には一刻の猶予もないという状況であります。

 日本政府として、外交上の経路を通じて解決する、三条の中でもそういうふうにうたわれている、そういう立場で早急かつ誠実に対応するように強く求めて、質問を終わりたいと思います。

河井委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーです。

 きょうは、まず、これは、けさ地元の新聞に載っておりました報道、ニュースですので、特に通告もしておりませんが、ぜひ外務大臣にはこのことをやはり強く考えていただきたいというのは、実は、去る十日に発効した日台漁業協定なんですが、十日に発効してから、昨日、二隻目の台湾の漁船がまた拿捕されているんですね。そのことをまずお伝えしておきたいなというふうに思います。

 通告は特にしておりませんのでお伝えをしておきたいんですが、日台漁業協定で定めている合意水域から大きく外れた先島諸島の南側水域で違法に操業したとして、水産庁は二十一日、台湾・高雄港所属のはえ縄漁船、約三十七トンを拿捕し、船長を漁業主権法違反の疑いで逮捕した。十日のこの協定発効後、台湾漁船の拿捕は十四日に続いて二回目であり、日台漁業協定で取り決めた合意水域から南に約百五十キロ離れており、実は、これは前回、台湾漁船が拿捕された海域とほぼ同じ場所だったんです。

 つまり、どういうことかというと、この海域は、日本と台湾の双方が主張している排他的経済水域の上でもなく、日本側に大きく入り込んでいる。しかも、宮古、石垣島からずっと南側に下ったところであり、この海域は、台湾のはえ縄漁船と競合する水域を避けた地元の皆さんが主に操業している海域でもあるということで、大変地元の皆さんはこのことについて不安を覚えているわけですね。

 逮捕された船長は、その後、担保金を支払うことを約束した保証書が水産庁に提出されたことによって、二十一日午後、釈放し、漁船を返還していますが、県内の漁業関係者は、台湾側は協定のルールについて漁民への周知を徹底していないのではないかということを大変危惧しております。ですから、日本政府は台湾に協定の周知徹底をしっかり求めてほしいと強く要望しております。

 実は、先日、十六、十七日の二日間にわたって、双方で関係者が話し合いをして、一定のルールの合意は見られなかったんですが、台湾側は、日本の排他的経済水域で台湾船が操業するのは好ましくない、ルールは守るべきだと話していたということで、双方、ある一定、理解をして操業しようという形で進んでいくだろうというふうに、地元の皆さんはそう期待をしているわけです。しかし、一方の台湾側で十分な情報通達がなされていないということに、もっと日本政府側がしっかり取り組んでいただきたいということを望んでいます。

 きょうは水産庁を呼んでおりませんので、外務大臣には、そのことを、こういうことがこれからも起こることがないように、取り締まりを強化するということは当然ではありますけれども、双方の情報共有についてしっかりするようにということで、ぜひ大臣からも申し伝えていただきたいということをお願いしたいと思います。

岸田国務大臣 まず、日台民間漁業取り決めにつきましては、この取り決めの対象水域以外での拿捕等につきましては、従来どおり、国内法に従って対応されるということになると存じます。

 そして、その上で、この取り決めの運用につきましては、日台漁業委員会を初め、沖縄の関係者も含めてしっかりと議論をし、そして結果を出していかなければいけない、このように思っています。

 そして、その上で、御指摘のように、そうした取り決め、ルールの周知徹底については大変重要だと存じます。ぜひ、こうした取り決めについても、具体的な運用についてしっかりと確認を行い、それを周知徹底するように関係者とともに努力をしていきたいと考えます。

玉城委員 大臣、ありがとうございます。

 通告をしておりませんが、そのように大変前向きな答弁をいただけるということが、地元の皆さんにとっても安心、安全な操業につながっていくと思いますので、今後ともぜひお取り組みをよろしくお願いいたします。

 さて、外務省が刊行した平成二十四年度版の外交青書で、日本が行ってきた外交活動の概観が記録されているこの青書なんですが、第三章の「分野別に見た外交」の第一節、各論の冒頭は、やはり日米の安保体制がつづられています。

 先ほど、平成二十五年度版ですか、プロト版を少し見させていただいたんですが、そこにもやはり日米安保のことがしっかりと第一節で述べられているようでございます。

 その中の、「在日米軍の駐留に関する諸問題」の項では、在日米軍の安定的な駐留確保のために、在日米軍の活動が周辺の住民に与える負担を軽減し、住民の理解と支持を得ることが重要であると記されており、さらに文中では、米軍関係者による事件、事故の防止、米軍機による騒音の軽減、米軍施設・区域における環境問題などについては、地元の要望を踏まえ、改善に向けて最大限の努力を払ってきていると述べられています。

 きょうの委員会では、基地から発生する騒音問題について、外務省と、それから防衛省からも地方協力局長においでいただいていますので、お考えを聞かせていただきたいと思います。

 嘉手納基地周辺における騒音の現状についてお伺いいたします。

 沖縄市、嘉手納町、北谷町にまたがる米空軍嘉手納基地は、米空軍で最大規模である第一八航空団、第三五三特殊戦航空群、第七三三航空輸送隊などの部隊が駐留し、空軍主力戦闘機のF15、それから空中給油機のKC130ほか、周辺空域及び太平洋地域、海域での訓練移動などによる外来機の騒音問題が恒常化しており、騒音の負担軽減どころか、重大な訴訟問題にもなっている、爆音というふうに呼ばれているその被害を受け続けているのが地元の実態であります。

 実は、二十一日、沖縄の地元紙に載っている記事に、地元であります嘉手納町が実施した二〇一二年度の嘉手納基地周辺の嘉手納、兼久、屋良の三地域における騒音測定調査の報告で、午後十時から午前六時までの騒音発生回数が、嘉手納地域で四千三百五十八回、屋良地域で四千百三十七回、兼久地域で二百八十六回に上っています。そのうち、嘉手納、屋良地域は三年連続で四千回を超え、二十四時間計測の年間発生回数は、屋良地域では何と三万八千五百五十四回を記録しているんですね。

 本当に余りにも耐えがたい騒音、爆音の現状についてどのような現状認識を持っているのか、防衛省地方協力局長に伺いたいと思います。

山内政府参考人 お答えを申し上げます。

 防衛省におきましては、嘉手納飛行場の周辺に十四カ所の航空機騒音自動測定装置を設置し、騒音状況の把握に努め、また、その結果についてはホームページで公表させていただいているところでございます。

 平成二十四年度の測定結果によれば、航空機騒音のうるささを示すWECPNLは、前年度に比べ、四カ所で増加し、二カ所で増減がなく、八カ所において減少したという結果になっております。また、騒音発生回数については、前年度に比べ、八カ所で増加し、六カ所において減少しております。

 いずれにいたしましても、米軍飛行場におきます飛行活動というものは、米軍の運用上必要不可欠なものではありますが、他方、航空機による騒音は周辺住民の方々にとり深刻な問題であり、騒音の軽減ということは重要な課題であるというふうに認識しておるところでございます。

玉城委員 今の報告にありましたとおり、減っていない。ふえたり減ったりしているけれども、ある一定でずっと運用されているということが実態だと思います。

 さて、嘉手納飛行場及び普天間飛行場における航空機騒音規制に関しては、日米間の合同委員会において、平成八年三月二十八日付で、嘉手納基地における航空機騒音規制措置、いわゆる騒音を防止するための協定と呼ばれておりますが、この中で、騒音規制措置で、深夜二十二時から午前六時の間の飛行及び地上活動、夜間訓練飛行などは必要な最小限度に制限される点や、夕方六時から翌朝八時の間のジェットエンジンのテストは行わないなどについて、その遵守規定を設けているんですが、この状況は著しく違反しているのではないかというふうに思われます。

 この現状について、どのような対処をとっていらっしゃるか、防衛省に伺います。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、嘉手納飛行場におきましては、平成八年三月、日米合同委員会の場で、午後十時から午前六時の間の飛行等の活動は、米軍の運用上の所要のために必要と考えられるものに制限されることや、夜間飛行訓練は必要最小限に制限するといったことが合意されているところでございます。

 当省といたしましては、現在、同飛行場においては、この航空機騒音の規制措置を踏まえた運用がなされているというふうに認識しているところではございますが、米軍に対しては、運用上やむを得ない場合であっても、可能な限り周辺住民の方々への影響が最小限となるよう、また、休日を初め、土曜日、お盆、年末年始、入学試験等、地元の年間行事等にも配慮するよう、累次の機会に申し入れを行ってきたところでございます。

 今後とも、引き続き、米側に対しては、航空機騒音規制措置を遵守し、可能な限り周辺住民の方々への影響が最小限となるよう申し入れてまいりたいというふうに考えております。

玉城委員 大臣、先ほど私が報告いたしました、嘉手納町が調査した報告書ですが、嘉手納と屋良両地域の午後十時から午前六時、深夜から早朝の騒音発生回数が三年連続で四千回を超えているということなんですね。

 この四千回を超えているということは、私は尋常ではないと思うんですが、大臣にその見解を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 米軍機による騒音問題、これは周辺住民の皆様方にとりまして大変深刻な問題であると認識をしております。

 外務省としましても、この日米合同委員会合意による騒音規制措置の遵守を米側に繰り返し求めてきているところであります。私も二月に沖縄に行かせていただきましたが、米側に対して、騒音への対応、具体的な問題をきちんと対処するように申し入れを行ったところであります。

 そして、その中で、航空機訓練移転の実施が続けられております。そして、この訓練移転につきましては、当初、国内の基地への移転という形でありましたが、ようやく、グアムへの移転がスタートしました。こうしたことが騒音軽減の結果につながるということは期待をしております。

 こうしたこと等をしっかり見ながら、引き続き、外務省としても、この騒音問題、深刻な問題としっかり受けとめて、米側に働きかけていきたいと考えています。

玉城委員 特に嘉手納町におきましては、町域の約八三%に及ぶ十二・四〇平方キロメートルが米軍基地に占用されているという実態があり、私の手元には、平成二十四年三月七日付、嘉手納町長から沖縄防衛局の局長宛てに出した、嘉手納基地に関する諸問題についての要請などがあります。その中には、航空機騒音の軽減緩和について、もしくは、平成十八年一月から嘉手納町が国に対して要請している、嘉手納基地使用協定の締結についての早期締結に向けた取り組みを切望するというふうにあります。

 特に騒音被害の激しい嘉手納、屋良地域の自治体である嘉手納町は、再三にわたり、嘉手納基地における諸問題に対する改善要請を行ってきております。また、先ほども紹介いたしました嘉手納基地使用協定の締結についてなど、要望が具体的に挙げられており、住民の生活を脅かす現状に対しての厳しい要求が続いているわけですね。

 しかし、国の方は、果たしてこの深刻な事態を改善する方針はあるのか、あるとすれば、改善に向けた地元自治体との協議についてどのように取り組んでいくのか。もう時間もありませんので、このことについて、規制措置などが形骸化していないと言えるのか、外務大臣に最後にお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 まず、先ほども申し上げましたように、騒音問題につきましては、周辺住民の皆様方にとりまして大変深刻な問題だということ、強く認識をしております。

 そういった中にあって、訓練移転等、さまざまな動きに注視しているところでありますが、今後とも、周辺住民の皆様方また関係者の皆様方の声には真摯に耳を傾け、そして具体的な対応についても絶えず考えていかなければいけないと認識をしております。

玉城委員 ありがとうございました。

 ぜひ、日米合同委員会の取り決めなども含めて周知徹底と、そして外務省、防衛省でしっかり連携をして取り組んでいただくよう要望申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございました。ニフェーデービタン。

河井委員長 次に、岡本三成君。

岡本委員 公明党の岡本三成でございます。

 質問の機会を頂戴いたしまして、まことにありがとうございます。

 きょうは、昨年JICAの理事長に就任をいただきました田中理事長においでをいただいておりますので、私自身、JICAの業務をさらに後押しさせていただけるような活動をしてまいりたいと思いますので、主にJICAの経済政策について御質問させていただければと思います。

 私、JICAに勤務している友人もたくさんおりますし、議員になる前は金融機関でJICAの資金アドバイスの仕事もしておりましたので、その意味で、世界各国でJICAの活動がどれぐらい評価されているかよく認識をしているつもりでおりました。

 しかしながら、前理事長が余りにも著名な方でいらっしゃいましたので、その後を引き継がれる新理事長は大変、ハードルが高いというか、御苦労が多いのではないかなと思っていたんですが、実は、ふたをあけてみますと、学術者のバックグラウンドとは想像もつかないような積極的なマネジメントで、JICAの中の評判もいいですし、外の方からも大変大きな評判を受けていらっしゃるように認識をしております。

 実は、就任されてほぼ一年たたれるわけですけれども、参議院では参考人としておいでいただきまして何回か所信を表明していただいたように伺っておりますが、衆議院に来ていただくのはきょうが初めてだということで、ぜひとも、この一年間理事長をされて、率直な感想と今後の抱負についてまずお聞かせをいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

田中参考人 本日は、衆議院外務委員会へお招きいただきまして、大変ありがたく存じ上げております。

 今、大変温かい言葉をいただきまして、本当にありがとうございます。

 客観的に見て、前任者と比べると私はまだまだとても若輩ですので、比べられるものではないと思うんですが、できる限り一生懸命、JICAを日本のためにどうやって使っていくかということに意を注いで一年間過ごしてきたつもりでございますが、就任してから、開発途上国が十九カ国、それから、それ以外の国が九カ国で、全部で二十八カ国出張して、要人、援助関係者、現場視察、それから国際会議等、自分でも努力してまいったつもりであります。

 この過程で、やはりJICAというのは、日本を支える組織というのはいっぱいあるわけで、企業を初め、外務省、それから自衛隊、いろいろなものがあるわけですけれども、JICAというものもその中で一つ非常に重要な役割を果たしている機関だということを身をもって実感しております。

 ただ、そういった上で、まだまだやらなければいけないことはたくさんあるというふうに思っておりまして、JICA組織自体も、ことし年頭の挨拶で職員に私も言ったんですけれども、強いJICAにならなければいけない。強いJICAになるためには、個々のメンバーが、JICA職員が固有名詞で世界で勝負できるような形になっていかなければいけない。単にJICAの職員だというんじゃなくて、誰の誰べえであるということで世界で通用する、こういう人間を数多く持つというのがJICAにとっての非常に重要なことだと思っております。

 私も、開発途上国以外では、ニューヨークとかワシントンDCとかロンドンとかブリュッセル、それから、この間、南アフリカに行ったんですけれども、できる限り講演とかをするような形をして、日本の開発協力を世界の中に知らしめていくように努力しているつもりでございます。

 どうもありがとうございます。

岡本委員 ありがとうございます。

 私は、議員になりました後に、国連機関のシニアマネジメントの方と何人かお目にかかる機会がありました。例えば、国連難民高等弁務官のグテーレスさんですとか、世銀の副総裁のトロッツェンバーグさんですとかにお目にかかりましたけれども、常に同じ質問をするようにしているんですね。

 それは、国連が一般的にいろいろな諸外国に、加盟国に求めている支援、金銭的な支援が最たるものですけれども、それ以外で、日本だからこそできる支援、日本に一番何を求めていますかというようなことをお伺いしたときに、驚いたことにというかうれしいことに、異口同音にJICAとの共同プロジェクトをもっとふやしていきたいというふうにどなたもおっしゃいます。

 例えば、UNHCRにおきましては、当然、難民支援の資金も欲しいですし、難民も受け入れてほしいけれども、キャンプにおいて職業支援をJICAと一緒にやっている、これが実は難民の方々の独立をサポートするために非常に重要なんだというようなことをおっしゃいました。

 世銀の場合には、例えば、東日本大震災の経験を受けて、防災や減災のために日本が学んだ知恵をどのように開発途上国の中で事前に生かしていくかということで、今JICAさんが既にやっていらっしゃるトレーニングを、トレーニーを受け入れて勉強させてあげたり、またはセミナーを行ったり、こういう人的な顔の見える支援をもっともっとJICAとやっていきたいというふうなお話をいただきました。

 私自身、海外に長く住んでおりましたけれども、残念なことに、国際貢献で日本は金は出すけれども人は出さないとずっと言われていたんですが、ここ最近、JICAの活動が大きくなればなるほど、実は日本に求めているのはお金以上に人的支援だというふうに言われていることが非常に誇らしげに思われました。

 その意味で、JICAの人的支援を外交のそれこそ武器に、柱に据えるような政策を、今後大きく転換して、拡大すべきだと思いますけれども、理事長並びに大臣にも、そのことに関しまして御所見をいただければと思います。

田中参考人 JICAの活動を世界のトップの指導者の皆さんが評価していただいているということを伺って、大変うれしく思いました。

 私も、これもまた日本を代表する機関というのはさまざまあるわけですから、JICAだけがということを申し上げるつもりはないんですけれども、やはり、私も多くの国際社会の友人あるいは指導者の方と会って、やや極端なことを言うと、JICAは、日本の能力と意思と、それから、ちょっと口幅ったいですけれども、良心を代表するような組織として国際社会の中で見られつつあるんじゃないかというふうに思っております。

 この中では、やはり、四年半ちょっと前にJICAが、旧JICAとそれからJBICの円借款部門と合同して、円借款と技術協力と無償協力の三つを兼ね備えて行える組織になったということは非常に有利なことではないかと思っております。

 というのは、援助というのが、円借款にしても無償協力にしても、どちらかといえば資金が流れるという側面が注目されるわけですけれども、JICAがこれまでも重視してきたのは、この資金の流れに人の温かみというか、人が寄り添って、開発途上国の皆さんと一緒になって考えて、先進国のすぐれたものをただ開発途上国に持っていくというんじゃなくて、人と人とが一緒に協力して新しい解決策を見つけていくという、総合学習というようなプロセスで活動を行うということが、日本らしい開発協力ということで、なかなかほかの国にはまねのできない開発協力をやれるような組織になっているのではないかと思うので、国会、政府におかれましては、ぜひこのJICAをどうやって使いこなすかということを先生方にお考えいただければありがたいというふうに思っております。

岸田国務大臣 まず、ODAというのは我が国の最も重要な外交手段の一つであります。

 好ましい国際環境をつくる、また日本経済を活性化させる、さらには日本の信頼を高める、こうしたツールとして戦略的に活用しなければいけないと思っておりますし、JICA、まずはODAの実施機関として不可欠な存在であり、日本外交にとって大変重要な存在だと思っています。JICAの事務所というのは大使館と並ぶ日本の顔であると認識をしております。

 そして、JICAにつきましては、おっしゃるように、人的支援、今、田中理事長からも人の温かみという表現がありましたが、日本の国際貢献、支援ということを考えた場合に、やはりオーナーシップあるいはパートナーシップ、こうした日本の独自のあり方、特色というものがあります。こうしたものを実践する上で、このJICAにおける人のあり方、大変重要だと考えております。

 こうした人的な要素においてもJICAにしっかりと貢献していただき、我が国の国際的なプレゼンスの向上に努めていただきたいと考えています。

岡本委員 ありがとうございます。

 現在、安倍政権の目下の最重要の課題は成長戦略を確実に実行することだというふうに認識をしておりますけれども、先日、総理は、成長戦略の柱の中で、技術を持つ日本の中小企業がどのように海外で活躍するかということが重要だというふうなお話を記者会見でしていらっしゃいました。

 とりわけ、日本の中小企業の場合に、開発途上国が必要としているような技術、環境であったり、エネルギーであったり、医療であったり、得意分野なわけですけれども、これらの技術を海外に輸出するサポートができれば、まさしく日本の中小企業も大きく発展できますし、開発途上国からも評価をされるようなウイン・ウインの関係ができるというふうに認識しておりますが、いかんせん、JICAの過去の予算を見ますと、実際にフィージビリティースタディーを毎年やっていらっしゃいますけれども、日本の多くの中小企業が望んでいらっしゃるほどのサイズであったり、件数であったり、支援には実はほど遠いのではないかなと思っております。

 理事長、足元のこの活動におきまして、どのように評価をしていらっしゃるか、また、どのように拡大をしていきたいかということについて御答弁をお願いいたします。

田中参考人 私、JICAの理事長になって、職員に一番最初に言ったのは、元気の出る国際協力をしましょう。これは、世界を元気にすることによって日本も元気になる、そういう援助、国際協力をやっていこうというふうに申し上げました。

 そして、まさにそのような、日本も元気にするような国際協力というのは、やはり日本社会を隅々で支えている中小企業、これが元気になる。元気になる一つの方法は、世界に打って出ていくことだというふうに思います。

 ですから、その面で、今御指摘いただいたような、JICAが中小企業にとって役に立てるような情報を提供し、そして、中小企業の持っている技術の中で開発に役立つ、開発途上国の貧困を削減したり成長を加速したりするような、そういう技術をどうやって見つけていくかというのは大事なことだと思っております。

 おっしゃるように、中小企業連携促進調査というのでこれまでやってきたものは、件数も、昨年でいうと十一件採択して、それで今七件終わったところで、七件は事業化に向けて進めているんですけれども、これをもっと進めなきゃいけないと思っております。

 幸いなことに、昨年、外務省から委託事業で、中小企業の海外事業のマッチングのための事業をやるということで、昨年は二十億円いただきました。その結果、昨年は、こちらの方では、ニーズ調査というので八件、案件化調査で三十二件、それから途上国政府への普及事業というので十件やるということができました。これをまた、今年度は、これに運営費交付金、さらに二十億円追加していただいたということですので、ことしはさらに拡大していきたいと思っております。

 三月末から、日本全国で、四十カ所で説明会をやって、JICAと、それからその他の機関、ジェトロ、経産省、中小機構、外務省、こういうところと一緒に説明会をやりまして、約二千件以上の企業に参加していただいていますので、ぜひこれをさらに促進していきたいと思っております。

岡本委員 ありがとうございます。

 その上で、さらに拡大するためのキーポイントの一つは、やはりJICAと他の機関との横の連携だと思うんですね。

 JICAは、開発途上国のカントリーリスクのプロではありますけれども、決して産業のプロではいらっしゃいません。ですから、今まさしくおっしゃったように、ジェトロであったり、または海外の高官であったりというようなところとの連携を、今もやっていらっしゃると思うんですけれども、例えば海外の大使館であれば、同じ外務省管轄ですので、比較的コミュニケーションはできると思うんですが、例えばジェトロの場合は経産省ですので、さまざま、コミュニケーションがうまくいかないこと等あると思いますので、そこに大臣もぜひ御登場いただいて、省を超えた形での、一体化とした中小企業のサポート、ぜひお願いできればと思います。

 大臣、一言御答弁お願いできますか。

岸田国務大臣 中小企業支援につきましては、JICA、そして外務省においても積極的に取り組んでおります。そして、御指摘のとおり、十分な成果を得るためには、外務省、JICAのみならず、関係省庁、機関との連携強化は重要だと認識をしております。

 そして、中小企業の海外展開支援を分析してみますと、初期の段階では、途上国政府機関に対する、在外公館を含む外務省、JICAルートによる働きかけが有効な場合が多く、ここでODAの支援の意義もあると考えています。それに対して、その後のビジネス展開ということを考えますと、外務省、在外公館のみならず、経産省、中小企業庁による各種支援策が有効であると考えております。

 こういった観点からも、この相互連携、大変重要だと認識をしておりますし、ぜひ、外務省としましても、こうした認識のもとに、連携を深めるため、体制をつくっていきたいと考えています。

岡本委員 ありがとうございます。

 私、全力でJICAを応援したいので、あえて一言苦言を申し上げますが、これはJICAのアニュアルレポートなんですが、ここに、大々的に、コンプライアンスを守ります、非常にすばらしい体制にしていきますというふうに、それを売りにしていらっしゃるんですけれども、報道によりますと、JICAのフィリピン国内のオフィスで、職員の方が六百万円着服をされておりまして、五月一日に逮捕されています。

 実際にこの内容を見ていきますと、一般企業では考えられないような、一人の判断でお金を動かせる体制になっておりまして、しかも、その銀行から来た明細書をその本人が改ざんをしているという報道になっていますけれども、このようなことが起こると、JICAの社会的な意義に関しては誰も異論はないわけですけれども、組織の運営に対してはさまざま改善しなければいけないところがあると思うんですが、いかがでしょうか。

田中参考人 ただいま御指摘いただいた案件、このような不正な事案が発生したこと、大変遺憾であり、断じて許せないことだと私は思っております。再発防止を徹底していく方針でございます。

 この不正を行った方は、技術協力をやっている業務調整員ということで、契約に基づいて派遣されていた元専門家でございまして、領収書などの書類を巧妙に偽造して、公金を横領したものでございます。

 私として、これは断固許せないということで、二月七日に同人との契約を途中で解除するということを行い、五月二十日付で東京地方検察庁に対して告訴状を提出し、受理されました。翌日の二十一日に東京地方検察庁から東京地方裁判所へ起訴されたところでございます。あとは司法の厳正な御判断をお願いしたいと思っております。

 再発防止、先生おっしゃっていただいたように、何でこんなことが起きてしまったのかということについては徹底的に調べなければいけないということで、今、この二月七日で解除した後、どうするかということで、外部有識者を含めた検討チームをつくりまして、六月末までに公表して、着実に実行していく所存でございます。

岡本委員 ありがとうございます。

 最後に、きょう、せっかく理事長においでいただきましたので、私たちが決めた政策のもとで政策を実現していただくという、反対方向で、実際に理事長がこういうふうにJICAを、大きな活動を展開していきたいので、国会でこういうふうなことを取り組んでいただけないかとかという、逆に私たちに対する何か要望があれば、最後にお聞かせをいただきたいと思います。

 その中で一つだけ、ちょっと通告しておりませんでしたが、もしコメントいただけるのであれば、JICAの中で、青年海外協力隊ですとかシニアボランティアの方々、毎年毎年、すばらしい貢献をしていらっしゃって、日本に帰国をした後に、再就職問題で、公務員に比較的再就職できるケースはありますけれども、なかなか民間の企業に対して再就職がままならず、すばらしい御経験を持って、民間の企業であれば、採用すれば物すごくその方の実力が会社の中で発揮できているのに、そのようなアピールの機会をJICA組織としても十分にサポートできていないんではないかなというふうに思っているんです。

 帰国された方々の再就職に対するJICAとしての取り組みも、もし何か思っていらっしゃることがあれば、コメントいただければと思います。

田中参考人 どうもありがとうございました。

 国や国会、政治家の先生方にお願いというのは、繰り返しになりますけれども、JICAは日本の能力、意思、そして良心を代表し得る機関だというふうに思っておりますので、ぜひこれをどのように活用していくかということを御指導いただけるということが私の希望でございます。

 ただ、その上で幾つか、さらなる細かい話にもなるかと思うんですけれども、一つは、やはりJICA職員、それから専門家、青年海外協力隊等のボランティア、世界各地で頑張っておりますが、この頑張っている者の上に、やはり政府の指導者、国会議員の先生方は、国際社会の中で、たびたび、世界各地、もちろん先進国はそうですけれども、アフリカとか中南米、アジアにぜひお出かけいただいて、トップの姿、日本の姿も見せていただくことが、JICAの活動をさらにその国々の人々に理解いただくサポートになるんだろうと思っております。

 本当に、事業規模でいいますと、JICAはアジア開発銀行と大体同じぐらいのことをやっておりまして、世界銀行とか各地の開発機関とほとんど変わらない活動をやって、これに負けないように、もちろん協調しながらやっているわけですけれども、効率化するのはもちろんですし、先ほどのようなコンプライアンスの問題は断固防いでまいりますけれども、これをさらに一層生かしていくためには、やはりまだまだ体制を強化しなければいけないということがございます。

 ですから、日本としての意思がこのJICAという組織によってあらわれるとすれば、この体制強化のためにもぜひ御支援をいただければと思っております。

 それから協力隊の帰国者の就職については、私どもも、ここをちゃんとしないと、能力のある人が次に協力隊に応募するということがなかなかできないので、ぜひ一生懸命やっていきたいと思っております。

 日本を代表する商社とかの中には、協力隊のOBというのは大変役に立つ、アフリカで一人で全部事業を立ち上げて、それをアフリカの人たちと話し合いながら進めていくということを二年間やってきた人材は、アフリカのその商社の支店を任せるのに非常にすぐれたグローバル人材であるというふうに評価して、何人も雇ってくれている商社さんもございます。ですから、こういうような形を日本の企業、ビジネスの方にぜひ御理解いただくということを進めていきたいと思っております。

 民間連携ボランティアという制度をつくりまして、今企業に勤めている方で、青年海外協力隊に行ってもらって、帰って、またその企業で働いてもらうという制度も今お勧めしてつくっている最中でありますけれども、ただ、これについては、協力隊は毎年かなりの数が帰ってまいりますので、求職についてはぜひ先生方の御理解と御支援もいただければと思います。

 どうもありがとうございました。

岡本委員 理事長、ありがとうございました。

 外務委員会の委員の先生方は皆さん同じ気持ちだと思いますが、全力で応援させていただきます。

 本日はありがとうございました。

河井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十分散会


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