衆議院

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第8号 平成25年11月29日(金曜日)

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平成二十五年十一月二十九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鈴木 俊一君

   理事 城内  実君 理事 左藤  章君

   理事 鈴木 馨祐君 理事 薗浦健太郎君

   理事 原田 義昭君 理事 松本 剛明君

   理事 小熊 慎司君 理事 上田  勇君

      池田 道孝君    河井 克行君

      木原 誠二君    黄川田仁志君

      工藤 彰三君    小林 鷹之君

      河野 太郎君    島田 佳和君

      武村 展英君    津島  淳君

      辻  清人君    東郷 哲也君

      藤井比早之君    星野 剛士君

      武藤 貴也君    湯川 一行君

      小川 淳也君    後藤  斎君

      長島 昭久君    阪口 直人君

      村上 政俊君    岡本 三成君

      杉本かずみ君    笠井  亮君

      玉城デニー君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   外務副大臣        三ッ矢憲生君

   経済産業副大臣      赤羽 一嘉君

   外務大臣政務官      木原 誠二君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    小松 一郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  武藤 義哉君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  北崎 秀一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  林   肇君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            長谷川 靖君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       今林 顯一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房地球規模課題審議官)       香川 剛広君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 新美  潤君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 柳  秀直君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 秋葉 剛男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 五嶋 賢二君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 和田 充広君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 山上 信吾君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    上月 豊久君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    片上 慶一君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   石井 正文君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 後藤 真一君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   美並 義人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房物流審議官)         加藤由起夫君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  中島 明彦君

   外務委員会専門員     辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十九日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     工藤 彰三君

  石原 宏高君     辻  清人君

  黄川田仁志君     池田 道孝君

  渡海紀三朗君     藤井比早之君

  玄葉光一郎君     後藤  斎君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     黄川田仁志君

  工藤 彰三君     津島  淳君

  辻  清人君     湯川 一行君

  藤井比早之君     渡海紀三朗君

  後藤  斎君     玄葉光一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  津島  淳君     あべ 俊子君

  湯川 一行君     武村 展英君

同日

 辞任         補欠選任

  武村 展英君     石原 宏高君

    ―――――――――――――

十一月二十九日

 女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第三七七号)

 普天間基地の即時閉鎖・無条件撤去に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三七八号)

 米軍輸送機オスプレイの配備撤回・低空飛行訓練の中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三七九号)

 危険な米軍輸送機オスプレイの配備撤回に関する請願(志位和夫君紹介)(第四四二号)

 原子力空母の横須賀母港をやめることに関する請願(志位和夫君紹介)(第四四三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 万国郵便連合一般規則(二千十二年のドーハ大会議において改正され、及び採択されたもの)及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件(条約第九号)(参議院送付)

 郵便送金業務に関する約定の締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)(参議院送付)

 政府調達に関する協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第一一号)(参議院送付)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房地球規模課題審議官香川剛広君、大臣官房審議官新美潤君、大臣官房審議官柳秀直君、大臣官房審議官和田充広君、大臣官房審議官山上信吾君、欧州局長上月豊久君、国際法局長石井正文君、内閣官房内閣審議官武藤義哉君、内閣審議官林肇君、防衛省運用企画局長中島明彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小熊慎司君。

小熊委員 おはようございます。日本維新の会の小熊慎司でございます。

 去る九月の国連での安倍総理の演説は大変すばらしいものだったなというふうに私も評価をするものでありますし、とりわけ女性の社会進出については、国内についても、今後の日本の活力としてはこれにしっかりと取り組んでいかなきゃいけないという部分と、国外的にも、さまざまな女性の迫害やいろいろな部分に言及しながら、日本としてもこれを支援していく、そういう演説でありました。これは本当に国際的にも評価をされたところでありますし、言葉だけではなく、日本も世界の中でしっかりとリーダーシップを発揮して取り組んでいかなければなりません。

 三本の柱を総理は明示されまして、それをODAにも反映していくというところも言及されたところでありますけれども、この点について、改めて、国際的に女性の社会進出支援についてどのようにODAに反映をさせていくのかという点について、まずお伺いをいたします。

木原(誠)大臣政務官 お答え申し上げます。

 今委員から評価をいただきましたように、総理が九月の国連総会において、女性が輝く社会を実現するということで、演説をさせていただいたわけでございます。

 御指摘いただきましたように、三つの柱がございます。女性の社会進出と能力の強化、それから二点目が、女性を対象とする保健医療分野の取り組みの強化、それから三点目が、平和と安全保障分野における女性の参画と保護ということでございまして、今後三年間で三十億ドルを超える支援を行うということを表明させていただいた。

 今御質問をいただきました、では具体的にどうしていくのかということでございますが、ODAを通じまして、まず一点目、女性の社会進出促進に向けて、女子の就学率の改善、また女性に対する職業訓練機会の拡大といったことに支援をしていきたいというふうに思っております。また、二点目の女性の保健医療の推進というところでは、女性の保健人材育成、それからまた母子保健サービスの向上、とりわけ医療アクセスの強化といったことに取り組んでいきたいと思っております。そして、最後の三点目でありますけれども、これはどちらかというとマルチの支援ということになろうかというふうに考えますが、紛争終結地域等における女性に対する生活向上支援といったようなことに取り組んでいきたいというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、全力でこの分野には取り組ませていただきたいと思っております。

小熊委員 現段階では、この三十億ドルのもう少し詳細については御説明は可能ですか。できればお願いしたいと思います。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 三十億ドルにつきましては、これまでの実績等々を踏まえて表明した数字でございまして、今後、具体的な積み上げの中で達成をしていくという考えでおるところでございます。

小熊委員 三十億ドルも貴重な税金ではありますが、私はもともとODA倍増論者でもございますので、ぜひ、三十億ドルということに限らず、それ以上の働きができる、お金が全てではないんですけれども、やはりしっかりと取り組んでいけるよう、これが増額されても私は圧倒的に支持をいたしますので、より一層の積み上げをして、この分野について日本がしっかりとリーダーシップが発揮できて、なおかつ、世界のそうした課題を抱えている地域、また女性にかかわる問題については、その解決に向けて的確に実施されるように求めていきたいというふうに思っております。

 そういった中で、外務省に人権担当大使というのがあるわけであります。前の大使はいろいろありましたが、そこは言及せずに、これは、せっかくそういう役職がある中で、国内的には、事件のときに、ああ、そういうのがあったんだというぐらいで、なかなか広く国民にはまだ周知徹底されておりませんし、国外の評価は私は今知っているところではないんですけれども、とりあえず、この人権担当大使の取り組みについて御説明を願いたいと思います。

岸田国務大臣 外務省におきましては、佐藤外務報道官が本年九月に人権人道大使に就任をいたしました。それ以降、女性、人権、人道をめぐる国際課題について、紛争下の性的暴力担当のバングーラ国連事務総長特別代表との間で意見交換を行うなど、人権人道大使の立場からも、我が国の立場及び取り組みを対外的に説明、発信してきております。

 今後も、関連国際機関の要人等との間でそうした意見交換を行っていくことにより、我が国の女性、人権分野での取り組みについて、人権人道大使としても国際社会に発信をしていきたいと考えております。

小熊委員 この人権担当大使というのは、ある意味、広報的にというか、情報発信の役割だというふうに思いますが、まだまだ国内的にも国外的にも発信力が足りていないのかなというふうに思っております。

 先ほど質問させていただいた女性の支援に関しても、ぜひ、こうした人権担当大使も、その情報発信役の一人として活躍をしてもらわなければなりませんし、より一層の活動も新たに検討していただきたいというふうに思っています。

 そういった面で、具体的に質問に移っていきますが、世界各地でこうした人権の問題というのは生じております。とりわけ、我が国の隣国で、近い国でありながら実は遠い国である北朝鮮も、日本は国交がありませんけれども、我が国の国民も拉致をされ、ある意味人権をじゅうりんされているところでもあります。非常に問題のある国でありますが、ここ最近、国連の北朝鮮の人権調査委員会が、いろいろと活動が前に進んでいるという報道がありました。

 こうした国連の北朝鮮の人権調査委員会との日本としての連携については、私は、今後、連携をしていって、しっかりとこの問題を解決していくということが、遠からず拉致問題解決のまた一助ともなっていくというふうに思っております。

 そうした意味において、この国連の調査委員会と日本の政府との連携といったものについてはどのようにしていくのか、お伺いをいたします。

岸田国務大臣 北朝鮮における人権に関する国連調査委員会ですが、本年三月の人権理事会において、我が国及びEUが共同で提出した北朝鮮人権状況決議によって設置が決定されたものです。

 我が国としてもこれまで最大限の協力を行ってきておりますが、同調査委員会は、八月末に我が国を訪問されました。その際にも、安倍総理、古屋拉致問題担当大臣、そして私も面会をさせていただきました。そして、拉致問題を中心として、関係省庁から合同で調査委員会への説明を行いました。そして、訪日後も、調査委員会の要請に応じ、随時情報提供を行っております。

 同調査委員会は、来年三月の第二十五回人権理事会に最終報告を提出する予定になっております。調査委員会が最大限成果を上げられるよう、引き続き協力するとともに、同最終報告書の提出後も、そのフォローアップについて我が国も積極的に貢献をしていきたいと考えています。

小熊委員 この調査委員会のメンバーがどのように構成されているかというのはお答えできますか。

新美政府参考人 お答え申し上げます。

 この調査委員会、先ほど大臣から申し上げたとおり、日本とEUが中心になりまして、人権理事会の決議に基づいて設置された委員会でございます。

 委員は三名から構成されておりまして、まず、委員長のマイケル・カービーさん、この方はオーストラリアの元判事さんでございます。そして、もう一人はマルズキ・ダルスマンさん、インドネシアの方ですが、この方は、もともと国連の北朝鮮人権状況特別報告者をやっておられて、その肩書を持ったままで委員のメンバーに入られております。三人目はソーニャ・ビセルコさん、この方はセルビア出身でございまして、人権問題の専門家、NGOの活動家の方。この三名が委員会を構成しております。

小熊委員 こうした委員会に日本人が入っていくということがいいと言う方もいらっしゃるのではありますけれども、ある意味、日本と北朝鮮との間で生じている問題を考えれば、逆に、第三者的な国の人が入って、国際的な、普遍的な価値観からもおかしいということを見てもらった方がいいわけでありますし、日本人がその調査委員会に入れば北朝鮮も逆に余計な緊張感を持ってしまうでしょうから、これは私は、仕方ないというか、これで適正な形なんだろうというふうには思います。

 ただ、今大臣からもありましたとおり、しっかりとこの調査委員会と連携をしていくということと、あと、日本のこれまでの、北朝鮮との間で得られたというか、いろいろな形の中での知見をしっかりと調査委員会にお伝えをして、日本としては、一日も早くこの北朝鮮の問題を解決する、拉致問題を解決するという意味においても、この調査委員会との連携が大事なことは、答弁でもあったとおりであります。

 なかなか厳しい課題でありますし、相手のあることですから、これは一足飛びにはいかないんですけれども、来年の三月ということもありましたが、あと、連携だけではなく、スピードアップもしていかなければならない課題でもあります。拉致家族の方々も御高齢になっているわけでありますから、連携についてはお伺いいたしましたけれども、これをもっとスピードアップしていく。そしてまた、北朝鮮の国民も全員が悪い人ではなくて、一部の支配階級が悪いわけで、逆に、北朝鮮の国民が本当に正当な人権を守られていない、苦労しているということを考えれば、これは、スピードアップといったことを含めて、もっと強力にやっていかなければならないと思うんです。

 連携は納得していますけれども、このスピードアップということに関しては、大臣、どのようにお考えになりますか。

岸田国務大臣 調査委員会ですが、ことし八月二十七日から九月一日まで訪日をしました。その滞在中も、先ほど申し上げましたように、総理初め関係大臣が面会したほか、公聴会による北朝鮮の人権状況についてのヒアリングを実施し、そして関係省庁、これは、外務省、内閣官房拉致問題対策本部事務局、そして警察庁でありますが、こうした関係省庁からも、拉致問題を中心として、合同で、調査委員会に対する説明会を開催いたしました。

 調査委員会への協力において、より内容の濃い、しっかりとした情報提供、説明を行うことによって、調査委員会の活動全体をバージョンアップし、そしてそのことが結果として調査委員会の活動のスピードアップにもつながるのではないかと期待をいたします。

 もちろん、三月の最終報告という目標がありますので、それは念頭に置いていかなければならないとは思いますが、我が国としましては、さまざまな質の高い協力を行うことによって、結果としてスケジュールにおいてもスピードアップが図れる、こういった貢献をしていきたいと考えています。

小熊委員 ぜひ、質も、そしてスピードアップもあわせてやっていただきたいと思いますし、また、この北朝鮮の人権問題というのは、我が国のみならず、また北朝鮮の国民のみならず、国際的に解決しなければならない課題ではあるんですが、とりわけ、日本と調査委員会の連携だけではなくて、日本はもっとグローバルに呼びかけをして、この問題について仲間を引き入れていかなきゃいけないというところがあると思います。

 そういう意味では、とりわけ、北朝鮮の隣国である韓国、また、ある意味いろいろな形で支援をしている中国といった国もこうした調査委員会に積極的にコンタクトしていけるように、日本は促していかなきゃいけないというふうに思いますし、また、北朝鮮と国交を結んでいる国が幾つかありますけれども、こうした国にも、この人権調査委員会の取り組みであるとか日本の取り組みを、先ほど言った人権担当大使とか、大臣が先頭に立って、そういう国々にもこの委員会との連携というのを呼びかけていかないと、調査委員会と日本だけでは解決できない問題だというふうに思います。

 他国、まずは韓国、中国に対して調査委員会を中心にどう連携をさせていくのか、そしてまた、第二弾として、とりわけ北朝鮮と国交を結んでいる国に対して、この北朝鮮の問題について、どう一緒になって解決していこうよと言っていくのか、この二点についてお伺いします。

岸田国務大臣 まず、拉致問題につきましては、我が国のみならず、アジア諸国、さらにはアジア以外の国においても、拉致の被害者とされている方々がおられます。ですから、拉致問題を初めとする北朝鮮の人権問題は、我が国のみならず、国際社会にとっても共通の大きな課題だというふうに認識をしております。

 ですから、先ほどから議論になっております調査委員会におきましても、八月には韓国、日本、九月にはタイ、十月には英国、そして同じく十月に米国、こういった国々を訪問して調査を行っております。

 そして、この問題を議論するに当たって、やはり北朝鮮に大きな影響力を持つ国々、さらには国交を持っている国々、こういった国々にも理解を求め、そして働きかけを求めていく、こうした態度も大変重要なのではないかと認識をいたします。ぜひ、そういった認識のもとに、しっかりと働きかけを行い、努力をしていきたいと考えています。

小熊委員 ぜひこれは、一日も早く解決すべき問題でもありますので、大臣のリーダーシップを発揮して、日本が国際社会の中で積極的にこれに力を入れていけるように御期待を申し上げまして、残余の質問は、次の質疑に移ります。

鈴木委員長 次に、村上政俊君。

村上(政)委員 おはようございます。日本維新の会の村上政俊です。

 本日は、まず初めに、中国の防空識別圏の設定について、そして、後半は集団的自衛権について伺っていきたいと思います。

 十一月二十三日に、中国の国防部が、中国の防空識別圏というものを設定したというふうに発表いたしました。それについては、我が国を取り巻く安全保障環境、とりわけ東シナ海をめぐる情勢について、力による一方的な現状の変更を企図するものであって、大変に遺憾でありますし、我が国としても、これに対しては強く対処していかなければならないと考えます。

 そうした中で、岸田大臣を初め政府の中でさまざまに取り組みをされておられることに対して、非常に私自身も心強く感じますし、また、自民党におかれましても城内部会長や左藤部会長が中心になって声明を出されたりということで、我が国の中でも連携した取り組みというものが進んでおると思います。また国際的にも、アメリカに加えて、我が国の友好国でありますオーストラリアのビショップ外相も、中国のこうした動きについて反対の意を表明しております。

 私の質疑の中では、どういった点が問題であって、国際法的な観点であったり、運用上の問題であったり、あるいはこれまでの我が国の政府の取り組みについて質疑の中で明らかにしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず初めに、中国は、公海上の空域を飛行する航空機に対して、一方的に自国の手続、中国の手続に従うことを義務づけたとしております。これに対して、外務大臣が発表された声明の中では、「国際法上の一般原則である公海上における飛行の自由の原則を不当に侵害するもの」であるというふうに談話の中で述べておられますが、この国際法上の一般原則である公海上における飛行の自由の原則というのは、根拠というものは何になりますでしょうか。

石井政府参考人 事実関係でございますので、私の方から答えさせていただきます。

 公海上における飛行の自由の原則は、国際慣習法として確立した国際法の一般原則であるというふうに考えられております。

 また、この原則は、一九五八年に採択されました公海条約、それから一九八二年に採択されました国連海洋法条約などにも明文で規定されているところでございます。

村上(政)委員 局長、国連海洋法条約の何条になりますでしょうか。

石井政府参考人 国連海洋法条約の八十七条でございます。

 ちなみに、公海条約は二条でございます。

村上(政)委員 こういった国際法上の一般的な原則に照らしても、中国の今回の行動というのは断じて認めることができないというふうに考えます。

 他方で、防空識別圏という考え方は、委員各位も御承知のことだと思いますが、国際法上の考え方ではないと思います。それぞれの国が、例えば我が国の防空識別圏であれば、我が国が我が国の国内法に基づいてこれを設定していく、そしてその中で、我が国が自分たちの防衛に、あるいは民間機の安全な航空のためにこれを運用していくものであるというふうに私は承知しております。

 中国は、今回の自分たちの行動について、国連憲章に合致するものであるというふうに述べています。これについての政府の見解あるいは考え方というものは、どういったところになるでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘のように、防空識別圏は、国際法上確立した概念ではなく、一般的には、各国が自国の安全を図るため、国内措置として設定しているものです。

 一般論として、防空識別圏を設定すること、このこと自体は国際法違反となるものではありません。

 しかしながら、問題は内容でありまして、中国側がいかなる観点から今回の防空識別圏の設定が国連憲章など国際法及び国際慣行に合致していると主張しているかちょっと不明な点はありますが、今回の中国がとった措置の中身は、公海上の空域を飛行する航空機に対して、一方的に自国の手続に従うことを義務づける、こういった内容になっています。

 結果として、この防空識別圏は公海の上空ということになるわけですから、公海上空の飛行の自由を不当に侵害するものになる、このように考えております。

 こういったことから、国際法上の一般原則である飛行の自由を不当に害するものというふうに我が国は認識をしています。

村上(政)委員 大臣のおっしゃるとおりなんだろうと思います。公海の上空にそういった自分たちの国内法に基づいた義務を課すというのは、我々としては全く受け入れられないことなんだろうと思います。

 今大臣は御答弁の中で、国連憲章に合致しているという中国側の主張については、今のところ、その根拠は不明な点が多いというふうにおっしゃっておられました。

 私も、さまざまな報道を見たり、中国側の発表を見る限りでは、彼らがどういう点に基づいて今回の主張というのが国連憲章に基づいているのか、あるいは、ほかにも国際的な慣習に基づいているというふうに主張していますが、何か追加的な情報というのはありますでしょうか。

 というのも、この点についてお伺いしたいのは、我々と中国、この日中間の緊張の中で最も大きなイシューというのは、やはり国際法をめぐるせめぎ合いなんだろうと思います。

 中国は、力による一方的な現状変更を試みているばかりではなくて、国際法というものを自分たちの恣意的な解釈によって、それを利用しながら国際法の秩序を変更していこう、あるいは力による現状変更というものを正当化しようというふうな中国側の取り組みがあって、これに対して、我が国は、防衛力の整備であったり、日米同盟の強化であったりという対応もしていかなければならない。それは、外務大臣が新しいケネディ大使とかケリー国務長官と意思疎通をしておられる、そういった取り組みに加えて、やはり、中国が国際法を利用して自分たちの行為、行いを正当化しようとしていることに対して、我々は理論的な武装をしながら対峙していかなければならないんだろうと思います。

 そういった観点から考えると、中国が今回の行為というものを国際法的に、国際法の世界の中で正当化しようとしているというのは、極めて我が国の国益を損なうおそれが高い行為だと思いますので、そういった観点から今のことをお伺いしたいと思います。

 つまり、質問というのは、もう一度繰り返しますと、中国が国連憲章に合致するという主張を展開していますが、それについて、その根拠なり、彼らの言うところの主張のもととなるものというものは、追加的に何か明らかになっているものはありますでしょうか。

石井政府参考人 先ほど大臣が御説明申し上げたような日本側の立場、今回のADIZの設定はどういうふうに問題があるのかということについては詳細に御説明をしておりますが、今委員がおっしゃった点について、中国側から説得力のある説明が得られているということではございません。

村上(政)委員 説得力のある説明はないんだと思います。ですので、我々としては、やはり彼らの行動というのは国際法にももとるし、あるいは、自分たちの国内法に基づいて一方的に他国の航空機に対して義務を課すということは、あってはならないということを強く言っていかなければならないんだと思います。

 次に、防空識別圏が重複しているという点について、これはどういうふうな問題が惹起し得るかという点について伺っていきたいと思います。

 一つ目は、今回中国側が発表した防空識別圏と我が国の防空識別圏は重なっているわけでありますけれども、実際にこれまで重なっている日本と台湾の間では、今までどのような運用が行われてきたのでしょうか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、我が国と台湾の防空識別圏、一部重複しております。

 防空識別圏、先ほど外務省の方からお答えいただきましたとおり、国際法上確立した概念というわけではなくて、一般に、各国が自国の安全を図るために、国内措置として、領空に接続する公海上空に設定しているものでございます。これによりまして領空ないし領土の限界、範囲を定める性格のものではないということであります。

 このため、台湾側が、防空識別圏の設定を根拠として、我が国の領空主権、また公海自由の原則を侵すようなことを行うことはできないところでございます。台湾機の運用も、かかる国際法上の原則を踏まえて行われているものと承知しております。

 自衛隊といたしましては、与那国島周辺の領空におきまして防空識別圏外も含めまして航空機の識別を行い、対領空侵犯措置を実施してきておるところでございます。

 先ほど述べましたこの空域におきます台湾機の運用状況とあわせまして、現実に運用上の支障を生じていることはないということでございます。

村上(政)委員 今の御答弁の中で、与那国の周辺では、防空識別圏の中に含まれるかどうかにかかわらず、我が国周辺の空域についてはきちんとした警戒活動をとっておられるということだと私は承知いたしました。

 今回の日中の間での防空識別圏の問題を考えたときに、重複している空域というものがあります。これについて、今まさに報道で私が承知している限りでは、自衛隊、米軍、あるいは海上保安庁の航空機というものが、従来どおり、いわゆる中国が設定した防空識別圏の中においても警戒活動を行っている。菅官房長官も記者会見の中で、中国側に配慮するために今までのそういった警戒活動というものを変更することは一切ないということをおっしゃっておられて、これは当然のことでありますし、こういった方向性を私も支持してまいりたいと思います。

 そうしたことを考えたときに、もし、中国と日本の間で防空識別圏が重なり合っているこの空域の中で不測の事態が起こった場合というのは、ある意味、非常に危険な状態になるんだと思います。

 日中の間では、軍事的な信頼関係というものは極めて脆弱でありますし、ホットラインであったり、あるいは、海上の問題でいえば、危機が起きたときの対処のメカニズムというものがきっちりとした形では整備されていません。これは、中国側がそういったことをつくっていくのに応じないというのが、我が国の責任ではなくて相手側の責任によるところが大きいとは思いますが、いずれにしても、現状においては、日中の間で危機が起きたときにどういった対処をするのかというメカニズムがきちんとは整備されていません。

 今までの安全保障の議論の中では、東シナ海の海上で危機が起きた場合というのは頻繁に議論されてきたと思いますし、そうしたことが起こった場合どうなるかということは、多くの専門家なりが頭の体操をしてきたと思うんですが、今回は空の、空域においてこういった日中の間での偶発的な衝突が起こった場合どうするのかということは、これは我が国としても真剣に考えなければならない課題なんだろうと思います。

 海と空を比較した場合、空の特徴としては、やはり速度が極めて速いということが言えるんだろうと思います。船と航空機を比べた場合は、航空機が極めて速度が速いので、接近する時間というのも極めて短時間で接近する。そうしたことの中では、偶発的な事故というものが起こって軍事的な紛争に発展する可能性というのは、蓋然性というのは高まってきていると思います。

 一つの例を挙げたいと思います。今回の日中の防空識別圏が重なり合っているこの空域の中で、日本でも中国でもない、第三国の民間の航空機が事故を起こした場合、どういったケースなり、どういった事態というのが想定されるでしょうか。

木原(誠)大臣政務官 お答え申し上げます。

 先ほど来御議論になっておりますように、この空域はあくまでも公海上の空域ということでございます。したがいまして、仮に第三国の民間航空機が事故等を起こした場合の対応も、公海上の空域としての取り扱いということになります。

 事故の態様にもよりますので、あくまでも一般論として申し上げざるを得ないというように思いますが、公海上の空域における民間航空機の事故につきましては、その状況に応じて、現場に最も近い国などにより可能な援助が行われ、また、その航空機の登録国によって必要な調査等が行われる、このように認識をしております。

村上(政)委員 済みません、事実関係ですので、政務官に答弁の訂正をお願いしたいと思うんですけれども、日中の間で防空識別圏が重なり合っている空域は、公海上の空域も含まれていますが、尖閣上の空域というのが含まれていて、これは我が国の領空であって、争いのない領空も含まれていますので、この点だけは御答弁願いたいと思います。

木原(誠)大臣政務官 その点につきましては、御指摘のとおり、歴史上も我が国固有の領土である尖閣上空空域も含まれているということでございますので、その点は訂正をしておきたいというふうに思います。

村上(政)委員 第三国の民間航空機がこの空域において事故を起こした場合というのは、今政務官おっしゃったように、なかなかいろいろな場合が想定されるとは思うんですけれども、やはりちょっと我々としてもいろいろ考えないといけないということになるだろうと思います。

 この事態を考えるときに、中国側が言っている防御的緊急措置というものが発動されるおそれがあるんじゃないかなと思います。

 私自身も、中国側が言っている防御的緊急措置というものが具体的にはどういう内容なのか、何を指しているのかというのは、いまだにちょっとわからない点が多いので、もし、政府として何か想定されている、あるいはこういったものを中国が言っているということを御存じであれば、教えていただきたいと思います。

三ッ矢副大臣 お答え申し上げます。

 我々にとりましても、実は不明でございます。中国側が言っております防御的緊急措置、その具体的内容は、向こうが発表した資料の中には具体的には示されておりません。

 ただ、発表した公告によりますと、識別に協力しない、あるいは指令に従わない航空機に対して中国の武装力が講ずる措置という、非常に抽象的な言い方でありますけれども、いずれにしても、武装力が講ずる措置という言い方をしておるところでありまして、それ以上のことは現時点ではわからないということでございます。

 いずれにしましても、この措置は、先ほど来答弁がるるございましたように、公海上の空域を飛行する航空機に対して一方的に自国の手続に従うことを義務づけるなど、公海上空における飛行の自由の原則を不当に侵害するものであるということで、我が国としては撤回を求めているというところでございます。

村上(政)委員 中国側が言う防御的な緊急措置というものにはスクランブルも含まれるのでしょうか。

三ッ矢副大臣 今お答えしたこと以上のことは、ここでちょっとお答えする用意がございませんというか、私どもにとりましても、はっきりとしたことはわかっておりません。

村上(政)委員 今までの政府の対応というものについてもお聞きしたいのですが、毎日新聞が、十一月十日の朝刊で、中国が防空識別圏を設定する動きがあるというふうに報じておりました。

 これに対して、政府として何らかの対策というものはとっておられたのでしょうか。

武藤政府参考人 お答えいたします。

 ただいまの御指摘の新聞記事も承知しておりましたが、いずれにいたしましても、政府としては、平素から、今般のような事態を含め、さまざまな事態を想定して、関係機関が連携をして各種シミュレーションや訓練を行っているところでございます。

 今般の中国国防部による東シナ海防空識別区設定の発表に際しましては、発表後、速やかに内閣危機管理監のもとで関係省庁局長級会議を開催いたしまして、情報の集約あるいは今後の対応について協議を行ったところでございます。

 その後、外務省においても、直ちに中国側に厳重抗議を行うとともに、外務大臣談話を発出するなど、政府として迅速かつ的確な対応をとられたものと考えてございます。

 以上です。

村上(政)委員 大臣は、中国側が防空識別圏を設定する前に、この問題について、さまざまに外務大臣としてお考えになったり、指示を出されたということはおありだったでしょうか。

岸田国務大臣 今回の案件も含めて、中国側のさまざまな動きにつきましては、平素から情報収集に努め、そして分析を行ってきました。

 今回の十一月二十三日の防空識別圏設定の前には、具体的な動きとしては私は承知してはおりませんが、しかし、その情報収集の中で、さまざまな分析をし、検討してきた、こうした努力は行っておりました。

 内容については控えさせていただきますが、平素から、こうした情報につきましては、絶えず大きな関心を持って注視をしてきております。

村上(政)委員 中国情勢について、さまざまな角度から情報を収集されたり、あるいは報告を受けておられたけれども、特定の問題については特に関心を持たれてはいなかったということですね。

岸田国務大臣 今申し上げたように、本件も含めて、さまざまな情報収集には努めてきた、分析の努力は続けてきたということであります。

村上(政)委員 大臣、ありがとうございました。

 防空識別圏については、用意して、お聞きしようと思っていたのは今までの内容なんですけれども、外務省におかれては、大臣初め、これまでも大きな努力をされておられますので、引き続き、さまざまな角度でこの点について取り組まれることを希望したいと思います。

 次は、集団的自衛権の問題でお伺いしていきたいと思います。

 前回の外務委員会で質問させていただいた続きという形になりますが、本日も、私の外務省の大先輩でいらっしゃる小松法制局長官においでいただいて、憲法解釈の変更の問題について伺っていきたいと思います。

 まず、産経新聞が二十六日から連載を行っています。三日間連続で内閣法制局についての特集を行いました。

 その記事の中で、法制局の関係者の話として、法制局長官と現役幹部が意見交換を行う参与会というものがある、法制局関係者は、参与会から小松長官に対して憲法解釈を変更するなと相当な圧力がかけられていると述べているというふうに産経新聞の記事では出ていますが、これは事実でしょうか。

小松政府特別補佐人 内閣法制局の参与会と申しますのは、参与の方々は、先輩の法制局長官に加えまして、私法分野であるとか、憲法の分野であるとか、刑事法の分野であるとか、訴訟法の分野であるとか、いろいろな法分野の大家の方々を参与ということでお願いをしまして、たしか二カ月に一回のペースだったと思いますけれども、法制局における執務に当たって、いろいろと悩んでいる問題とかいうようなことについて大所高所から専門家の御意見を非公式に伺いまして、執務の参考にしようという目的で行われている会合でございます。

 私は八月八日に内閣法制局長官を拝命いたしまして、それ以来、三回会合がございましたけれども、その会合におきまして取り上げたテーマというのは、今委員から御質問のございました集団的自衛権のテーマとは全く異なる国内法の分野、今までのところ、私法とか行政法とか、そういう分野でございますけれども、相当技術的な問題について意見交換を行ったということでございまして、私は三回出席いたしましたけれども、その場で集団的自衛権の問題について参与の方々から特別の御意見を承ったとか、そういうことは一切ございません。

村上(政)委員 長官としては、そういう圧力があったかなかったかということはお答えになれない立場だと思います。私としては、そういった圧力がもしあるのであれば、そういった圧力に絶対に屈することなく職務に邁進されることを希望いたしたいと思います。

 前回の質疑で、長官とのやりとりの中で、憲法解釈の変更を行う際の法制局の役割について質疑をさせていただきました。

 その法制局の役割なんですけれども、長官の御答弁の中で、「内閣法制局として、プロフェッショナルな立場から意見を申し上げるというのが私どもの役割」であるということが御答弁でありました。その根拠の条文といたしましては、内閣法制局設置法の三条の三号、いわゆる意見事務というものを規定したものですが、短いので読み上げますと、「法律問題に関し内閣並びに内閣総理大臣及び各省大臣に対し意見を述べること。」というふうになっています。

 最初に確認いたしますが、憲法解釈の変更を行う場合の内閣法制局の役割というのは、この設置法三条三号、いわゆる意見事務を規定するこの規定ということで間違いありませんでしょうか。

小松政府特別補佐人 前回の御審議においても御質問いただきました。そのときにお答えしたところでございますけれども、まずその大前提といたしまして、現在の内閣の立場でございますけれども、これは、第一に、集団的自衛権に関する政府の憲法解釈は現時点において従来どおりである。それから、第二点として、他方、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会においていろいろと議論が行われているところであるので、我が国周辺の安全保障環境が一層厳しさを増す中、それにふさわしい対応を可能とするように、改めてこの対応につき内閣として検討をしていくということが大前提でございます。

 したがいまして、検討の結果どういう結論になるのかということを今予断は全くできないわけでございますので、憲法解釈の変更を行うことという前提で役割はどうかという御質問につきましては、なかなかお答えしにくいところがあるわけでございます。

 他方、憲法解釈というものは内閣が内閣の責任において行うものである。その中において、法制局の役割というのはどういうものかということについては、委員が今設置法の条文を挙げて、おっしゃったとおりでございます。

村上(政)委員 この設置法の三条の三号は意見を述べることができるというふうになっていますが、もちろん現時点においては内閣としての方針というものは決定されているわけではないでしょうし、集団的自衛権の憲法解釈を見直すのかどうかということを予断を持つということは政府の側としては難しいというのは重々承知しておりますが、条文の解釈として、意見を述べることができるというふうになっています。

 仮に憲法解釈の変更をする場合、内閣法制局は、意見を述べることが可能なだけなのか、あるいは述べなければならないのか、義務的な規定なのか、そういった権限を持っているというだけの規定なのか、これはどちらでしょうか。

小松政府特別補佐人 法律の解釈といたしましては、できると書いてあるわけでございますので、意見を述べる必要があれば、これを述べる権利があると言うと若干おこがましゅうございますけれども、またその責任があるということだと考えております。

 したがいまして、先ほど来申し上げておりますとおり、現時点において、安保法制懇の議論を踏まえて行うことになると思われます内閣全体としての検討において、どういう結論になるのかということは予断できないわけでございますが、その検討の過程において、内閣法制局としては、その役割に忠実に、プロフェッショナルな立場から、つまり、政治上、政策的な観点から意見を申し上げるということではないということでございますけれども、プロフェッショナルな立場から当然意見を申し上げるべきであるし、これは意見を積極的に申し上げるべきであろうと考えております。

村上(政)委員 意見を述べる場合、積極的に、法律的な観点から、内閣の法律の専門家の集団として、内閣法制局が法律問題に関して内閣あるいは内閣総理大臣に対して意見を申し述べるというのは、そうなんだろうと思います。

 もし、この三条三号の規定に基づいて意見を述べる場合というのは、法律を読む限り、あるいは法制局の事務方に確認した限りは、そういった意見を述べる場合のプロセスというものは、法律あるいは法律以外で規定はされていないということなんですが、そういった規定はないということでいいのかという点と、それから、もし述べる場合、どういったプロセス、手続というのが考えられるのでしょうか。

小松政府特別補佐人 ただいまの御質問にお答えする前に、私、さきのお答えで若干不正確なことを申し上げましたので、おわびをして訂正をさせていただきます。

 意見を述べることができると法律に書いてあるというふうに申し上げましたけれども、実際の内閣法制局設置法三条の規定は、「内閣法制局は、左に掲げる事務をつかさどる。」こう書いてございまして、三番目に、「法律問題に関し内閣並びに内閣総理大臣及び各省大臣に対し意見を述べること。」こう書いてございまして、意見を述べることができるという表現ではございませんでしたので、おわびして訂正をさせていただきます。

 次に、意見を述べるということについて、どういう手続になっているのかということでございますが、これにつきましては、今委員がおっしゃいましたように、特別の定めがあるわけではございませんで、それはいろいろな意見の申し述べ方があると思っております。

 どういうプロセスを踏んで意見を述べるのかというと、もちろん行政機関でございますので、まずは、私どもの法制局の内部において十分に関係者で議論をいたしまして、最終的に結論を出すのは内閣でございますけれども、内閣に十分採用していただけると申しますか、十分勘案をしていただけるような、筋の通った、プロフェッショナルな意見を申し上げることが私どもの使命であるというふうに考えております。

村上(政)委員 法制局としては、内閣が採用し得るような、プロフェッショナルな意見を申し述べられることなんだろうと思います。

 逆に、内閣の側から法制局に対して意見を求めることもできるということなんでしょうか。法制局から内閣に対して意見を述べることができるのと同じように、逆の流れですけれども、内閣から法制局へも意見を求められるということでしょうか。

小松政府特別補佐人 先ほどの内閣法制局設置法の所掌事務の規定でございますけれども、「内閣法制局は、左に掲げる事務をつかさどる。」こう書いてあって、列挙されているわけでございますので、いわば御下問にお答えするという形で意見を述べるというのは当然あると思っております。

村上(政)委員 内閣が憲法解釈の変更を検討する場合に、法制局から意見が主体的に提出される、あるいは、内閣から法制局に対して、憲法解釈の変更をする場合に、意見を求めることができる、この二つの流れが、今私のお伺いした質問で整理されたんだろうと思います。

 次に、さっき長官がおっしゃっていた点なんですけれども、最終的な責任というものは内閣にあるということは長官の御答弁の中でもありました。

 これは、多くのメディアであったりあるいは世論の中に誤解があるんだろうと思います。メディアやそれから世論の中では、法制局を法の番人というふうに呼んだり、あるいは、憲法解釈の変更をする場合に、法制局が反対するからできないというような議論があると思いますが、今の質疑のやりとりの中で明らかになったように、私はこういった認識というのは誤りなんだろうと思います。

 なぜかと申しますと、憲法解釈の変更というのは最終的には内閣が責任を負っている。法制局はそれに対して意見を述べることができるというのにとどまるということなんだろうと思います。

 いわば、法制局というのは、内閣に対する法律顧問というかリーガルアドバイザーというか、そういったプロフェッショナルな立場から法律的な問題に対して意見を述べる機関にとどまっているという認識で、今私が御紹介したようなメディアでの議論というのは誤りであるというふうに私は思いますが、こういった認識で間違いないでしょうか。

小松政府特別補佐人 私も、委員のおっしゃるとおり、内閣法制局の役割について、とかく報道等においては誤解や不正確な認識というのが見られると思っております。

 先ほど、安倍内閣の現在の立場ということで、第一点として、内閣の憲法解釈は現時点では従来の憲法解釈のとおりである、こう申し上げましたけれども、現時点で従来の憲法解釈はそのとおりであるということでございますけれども、従来の憲法解釈というのも、これも誤解がございますけれども、内閣法制局が勝手に自分だけで決めていたという問題ではございませんで、それは、内閣法制局から意見を申し上げて、それが歴代内閣によって基本的に採用されていたというふうに認識をしております。

 端的に申し上げますと、こういう国会の御審議で内閣法制局が口頭で答弁をするということにとどまらず、内閣のこの点に関する憲法解釈というものは、質問主意書という形で御質問いただいて、これに対して答弁書という形で、何度か節目節目で典型的な答弁がございますけれども、答弁が行われているわけでございまして、この質問主意書に対する答弁というのは、当然のことながら、閣議決定を経ておりますので、これは内閣法制局が独断で決めているものではないということを申し上げたいと思います。

村上(政)委員 内閣法制局が独断で決めているわけではない、閣議決定を経て、内閣が責任を持って憲法解釈の変更の問題について取り組んでいくという点は、外務大臣も同じ認識でしょうか。

岸田国務大臣 法制局長官から答弁申し上げたとおりだと存じます。

村上(政)委員 そうであるならば、法制局の意見を聞かずに、あるいは取り入れずに内閣が憲法解釈の変更を決定するという場合も想定されると思います。

 というのは、今審議の中で明らかになったように、内閣法制局というのはあくまで内閣に対して、憲法の問題であったり法案の問題であったりに対して、意見を述べるにすぎない機関ですので、今、何か世間では、法制局が反対するからとか賛成するからとかいうことを論点にして、憲法解釈の変更の問題を盛んに論じられていますが、そもそも、法制局が賛成するか反対するかということは、憲法解釈を変更する際においては、考慮する一要因かもしれませんが、最終的な判断には影響しないということなんだろうと思います。

 つまりは、政権として、内閣として、総理大臣が法制局の意見をそもそも聞かない、これは先ほども私が御質問させていただいた内閣から法制局に意見を聴取する場合ですけれども、意見を聞かずに憲法解釈の変更を決定する、あるいは、逆に、法制局から意見を具申したけれども、これを内閣として採用せずに、内閣の責任において憲法解釈の変更を決定するというふうな場合が想定されると思いますが、この認識で間違いないでしょうか。

小松政府特別補佐人 純粋の法律論としては、「意見を述べること。」というのが内閣法制局の所掌事務でございまして、最終的な決定は内閣として行うわけでございますから、その意見の一部または全てが採用されないという可能性は完全には排除されないと思いますけれども、事が法令の解釈、しかも、法令と申しましても、一番重要な憲法の解釈ということになりますれば、当然のことながら、これは、内閣法制局のプロフェッショナルな意見というのは聞いていただけるように、また、十分勘案をしていただけるような内容のあるプロフェッショナルな意見を申し上げるように、私どもが最大限努力をするということではないかと考えております。

村上(政)委員 岸田大臣も、閣僚としては同じような立場ということでしょうか。

岸田国務大臣 はい、ただいま法制局長官の答弁にありました認識に立ちます。

村上(政)委員 これでこのやりとりは最後にしたいと思うんですけれども、私が申し上げたいのは、ぜひ、今の政権において政治的な決断をなさって、集団的自衛権の行使を容認するという方向性にかじを切っていただいて、我が国の安全保障政策の大転換を実現していただきたいということを私は祈願しながら今質問していたわけです。

 ひとえに、やはり政治的な判断、これは、NSCができましたので、総理大臣を中心にして、岸田大臣もその重要な構成員になられるわけですけれども、そういったNSCの場であったり閣議の場であったり、こういった場において政治的な決断をすれば憲法解釈の変更というのは可能であって、法制局の意見というのはやはり参考にしながらも、最終的には政治の御判断で決めていただくということなんだろうと思います。

 最後の整理で、こういった流れであるというふうな私の見解と同じような認識かどうか、大臣に最後にお聞きして、次の問題に移りたいと思います。

岸田国務大臣 先ほど来法制局長官から答弁がありましたとおり私も認識をしております。最終的には内閣として責任を持って判断するということだと存じます。

村上(政)委員 次は、違う角度からお伺いしていきたいと思います。

 アメリカとオーストラリア、アメリカは我が国の同盟国でありますし、オーストラリアは我が国の友好国でありますけれども、この米豪の二カ国が、十一月二十日に米国のワシントンで2プラス2を開催しました。その中で、2プラス2、外務、防衛の閣僚協議、先般、岸田大臣も東京で歴史的な日米の2プラス2を開催してくださいましたが、安全保障上、我が国にとって極めて連携を深めなければならないこの二カ国が、ワシントンで2プラス2を行って、共同声明を発表しました。

 この中で、我が国が進めている安全保障政策の見直しというものを歓迎するというふうな内容を盛り込みました。これに対する政府としての受けとめはいかがでしょうか。

木原(誠)大臣政務官 お答え申し上げます。

 今まさに御指摘いただきましたとおり、十一月二十日に米国で開催をされた米豪2プラス2の後に、共同コミュニケが発表されてございます。その中で、今まさに御指摘いただきましたとおり、日本の安全保障また防衛政策の見直しの努力を支持するということを表明していただいたと承知をしております。

 我が国としては、こうした米豪両国の立場を歓迎させていただき、そして引き続き、日米豪閣僚級戦略対話等の枠組みを活用しながら、日米豪三カ国間で緊密な意思疎通を図っていきたい、こんなふうに考えてございます。

村上(政)委員 政務官、御答弁ありがとうございました。

 日米豪の戦略対話、我々はやはりこれを積極的に進めていかないといけないと思います。

 アメリカと豪州が言っている我が国の安全保障政策の見直しというものには、先ほど私が質問させていただいた集団的自衛権の見直しに向けた取り組みというものも含まれるという理解でよろしいでしょうか。

木原(誠)大臣政務官 米豪の間のコミュニケでございますので、その具体的な内容になかなか言及がしがたいわけでありますが、この防衛及び外交の政策の見直しというものについては、今御指摘いただいた点も当然含まれているものと理解をしております。

村上(政)委員 政務官、前向きな御答弁ありがとうございました。

 私もそのように考えます。アメリカと豪州は、アメリカは十月に開催された日米2プラス2の中で集団的自衛権の見直しに向けた取り組みを評価したわけですし、豪州も個別にそういった取り組みについて評価をしている。アメリカとオーストラリアがこういった共同声明を発表すれば、その中に我が国の集団的自衛権見直しに向けた動きが含まれるというのは当然の帰結なんだろうと思います。

 その中で、豪州との連携についてちょっと伺いたいと思うんです。

 以前に我が党の小熊委員からも指摘させていただいたんですが、安倍総理は、ASEAN十カ国を精力的に一年以内に御訪問されて、東南アジアの外交に力を入れてこられたと思います。

 他方、オーストラリアにはいまだおいでいただいていない。これは、我が国とオーストラリアの関係を考えたときに、先ほどもちょっと御紹介しましたが、ビショップ外相、オーストラリアの外務大臣は、中国の防空識別圏の設定に対して反対するというふうな立場を明確に表明しています。

 こうした国に対して総理が早期に御訪問されるということは必要なことだと思いますが、いかがお考えでしょうか。

岸田国務大臣 日本と豪州はともに米国の同盟国であり、豪州との関係は我が国にとりまして大変重要な関係だと認識をしております。

 よって、豪州において新政権ができまして、すぐ日豪の首脳会談も行われましたし、たしか九月に新政権ができてから、日米豪三カ国の閣僚級戦略対話も含めて、私はビショップ外相とは一カ月で四回外相会談を行わせていただきました。緊密にこうしたハイレベルの意思疎通を積み重ねてきております。

 我が安倍総理の豪州訪問につきましても、ぜひ前向きに考えていくべき課題だと認識をしております。

村上(政)委員 岸田大臣の日豪関係に対する取り組みの御紹介と、それから安倍総理のオーストラリア訪問に対する前向きな御回答をいただいて、私としても大変ありがたく思っております。

 集団的自衛権の見直し、集団的自衛権が行使できるようにする我が国の取り組みは、このように、アメリカやオーストラリア、広く国際社会に広がっていっていることなんだと思います。

 他方、我が国と韓国の関係を考えたときに、韓国国内において、我が国が集団的自衛権を行使できるようにするということに対する懸念がさまざまにあるというふうに伝えられております。これは私は、日韓関係を考えたときに、あるいは地域の安定を考えたときに、極めて不健全な状態なんだろうと思います。

 というのは、集団的自衛権を我が国が行使できるようにする場合というのは、論理的には地球の裏側まで、あるいは、私の大学時代のゼミの先生である北岡先生も地球の外までというふうな表現も使っておられましたが、論理的にはそういうことはもちろん可能ですし、地理的な範囲ということを国会の場においてさまざまに議論するということは、実益もないし、余り意味のないことなんだろうと思います。

 それは、例えば日米安保条約の極東条項をめぐって、極東というのはどこの範囲なのかということを、これまでもさまざまに国会の場で、質疑の中でやりとりが行われてきましたが、余りそれは、どこがどこまでということを、北緯何度までとかいうことを定めることはできませんし、そのような実益はないんだろうと思います。

 ただ、集団的自衛権というものを考えたときに入ってくるその範囲というものは、当然に入ってくるというものはあると思います。それは二つあって、一つは朝鮮半島の有事の場合、そしてもう一つは台湾海峡において有事が発生した場合だろうと思います。

 もし、この場合を想定しないというのであれば、それは集団的自衛権を考えること自体余り意味がないというか、我が国を取り巻く安全保障環境を考えたときに、北朝鮮とそれから中国の問題がありますので、この二つによって引き起こされ得る、朝鮮半島であったり台湾海峡の問題であったり、あるいは、ここ近年は東シナ海の緊張も高まっているわけですから、こういった海域であったり空域であったり、あるいは陸上の問題もそうですけれども、というところで集団的自衛権が行使されるという場合を我々としては想定しているんだということは、私が考えるには極めて自然なことなんだろうと思います。

 まず最初にお聞きしたいのは、十一月二十五日付の韓国の中央日報が、三大原則を韓国政府が口頭で日本側に伝達したということが報道されております。我が国が集団的自衛権を行使する場合に、三つの原則を守れと韓国政府が我が国に言ってきたというふうに韓国のメディアが報じています。

 三つの内容は、一つは、我が国における集団的自衛権の議論というのは地域の安定と平和に寄与しなければならない、そしてもう一つが、朝鮮半島問題への対処はあくまで米韓同盟に立脚しなければならない、三つ目は、韓国の憲法との整合性を持つべきであるというふうにメディアは伝えていますが、これは事実でしょうか。

柳政府参考人 お答えいたします。

 ちょっと事前にこういった質問があると聞いておりませんでしたので、準備しているわけではございませんけれども、韓国の報道は、特にこういった話になりますと、正確な報道というよりは、割と、いわば事実に基づかない報道が多いということでございまして、今委員から御指摘のあったものにつきましても、ちょっと私の方で必ずしも承知しておりません。

村上(政)委員 今御答弁にあったように、韓国メディアは扇動的な報道内容も多いので、今の御答弁で大変に適切な御答弁なんだと思います。

 他方、公の場で尹炳世外交部長官が発言しております。きのうの韓国の外交統一委員会で尹炳世長官は、米韓同盟と日米関係はともに成長する関係であるというふうに述べたと、済みません、私もちょっと韓国の国会の審議の議事録とかを見たわけではなくて、メディアのニュースで見たんですけれども、こういった尹炳世長官の答弁というのは前向きな発言じゃないかなと思います。

 きょうは、日韓の議員連盟の総会というのも我が国で開催されるわけですし、韓国側も日韓関係の改善に向けて取り組みをしようとしているのかなというふうに私は考えるんですけれども、こういった見立てについてはいかがでしょうか。

柳政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、最近、尹炳世外交部長官を含めて、政権の方からも、若干、日韓関係について前向きな答弁も出てきているところでございまして、これは私どもとしても歓迎するところでございますけれども、そういった背景には、さっきちょっと韓国メディアについてやや批判的なことを申し上げましたけれども、韓国メディアの論調自体も、ずっと長きにわたって首脳会談が行われていないことについて批判的な報道もふえておりまして、そういったことも恐らく影響を与えてか、韓国政府の言動もやや前向きになってきているのかと思います。

 いずれにしましても、私どもとしては、韓国との関係は大変重要に思っておりますので、日韓関係の改善、外務大臣におきましては、これまで外相会談を行っておりますけれども、早期に、首脳レベルでの交流も含めて、そういったハイレベルの交流が活発化すれば望ましいと思っておりますし、本日行われます日韓議連、韓日議連の総会等につきましても、議員の先生方の交流も大変重要な機会と思っておりますので、こういった機会が両国関係の改善に資することを期待しております。

村上(政)委員 日韓関係がこういう好転の兆しを見せている今のような状況だからこそ、我が国としては、韓国に対して言うべきことを言っていかなければならないと思います。そうしたことが信頼関係の醸成につながるんじゃないかなと思います。

 というのは、韓国に対して主張すべき問題というのは、例えば領土問題であったり歴史認識の問題というのも当然にあるにはあるわけですけれども、こういう問題は我が国の主権の問題にかかわる点ですし、極めて重要なのは申すまでもございませんが、それと同時に、やはり韓国は、北朝鮮問題を考えたときに、あるいは、これはなかなか平場で大臣がそうだというふうにおっしゃることはできないと思うんですが、中国の台頭ということを考えたときに、連携していかなければならない相手ですし、日米韓の連携あるいは日韓の間での防衛協力というのは進めていかなければならないんだろうと思います。そうしたときに、やはり我が国の政府として、韓国政府に対して、率直にきちんと我々が考えていることというのを伝えていかなければならないんじゃないかなと思います。

 というのは、その中身というのは、先ほど私が質問で取り上げさせていただいた、やはり朝鮮半島の有事というものを念頭に置きながら我々は集団的自衛権の見直しというものを行おうとしているのであるという点なんだろうと思います。

 先ほど申し上げたように、我が国の安全保障環境を考えたときに、朝鮮半島の有事と台湾海峡における有事というのが、想定される極めて大きな問題である。ですので、我々の集団的自衛権の見直しに向けた取り組みというのは、当然にこのような危機というものを念頭に置きながら我々の安全保障環境に対する取り組みを行っていくということなんだろうと思います。

 今私が御質問したら、お答えとしては、安保法制懇の議論の推移を見守りたい、今、内閣として、あるいは外務大臣として、予断を持ってお答えになるという立場ではないということをおっしゃるんだろうと思いますが、それでも、それはそういう答弁になるんだろうとは思うんですけれども、私は、やはり我が国の国益を考えたときに、果たしてそれで本当にいいのだろうかということを申し上げたいと思っております。

 最後に、集団的自衛権と朝鮮半島の有事の問題を考えたとき、これは含まれるということをはっきりとおっしゃって韓国政府に説明されたらどうですかというのが私の質問です。この質問で終わりたいと思います。

岸田国務大臣 まず、委員から今御指摘がありましたように、集団的自衛権につきましては、現在、安保法制懇、有識者会議において議論が進められております。内閣としましては、その議論の行方をしっかり注視していきたいと考えております。

 そして、こうした議論も含めての我が国の安全保障政策あるいは防衛政策の見直し全体につきましては、米国や豪州、英国を初め多くの国々から支持をされ、歓迎されていると認識をしております。

 そして、韓国は我が国にとりまして大切な隣国であります。未来志向で大局的な見地から両国関係を進めていかなければならない、さまざまな課題において連携協力する余地がある大切な国だと考えています。

 ぜひ、我が国の安全保障政策、防衛政策の見直しにつきましても、正確に理解していただけるよう、我々としても丁寧に説明する努力を続けていきたいと考えています。

村上(政)委員 正確な理解が得られるような取り組みを希望したいと思います。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

鈴木委員長 次に、万国郵便連合一般規則(二千十二年のドーハ大会議において改正され、及び採択されたもの)及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件、郵便送金業務に関する約定の締結について承認を求めるの件及び政府調達に関する協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房地球規模課題審議官香川剛広君、大臣官房審議官新美潤君、大臣官房審議官秋葉剛男君、大臣官房審議官五嶋賢二君、大臣官房審議官和田充広君、大臣官房審議官山上信吾君、欧州局長上月豊久君、経済局長片上慶一君、内閣官房内閣審議官北崎秀一君、内閣審議官澁谷和久君、金融庁総務企画局参事官長谷川靖君、総務省情報流通行政局郵政行政部長今林顯一君、財務省大臣官房審議官後藤真一君、理財局次長美並義人君、国土交通省大臣官房物流審議官加藤由起夫君、防衛省運用企画局長中島明彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本剛明君。

松本(剛)委員 議題となりました各条約につきまして、順次質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、万国郵便条約についてお伺いをさせていただきます。

 改めて今回の改定でこの条約を拝見させていただきました。ちょうど折しもこの間、我が国では、郵政民営化ということで、郵便に関する事業のあり方についてもさまざま変更が加えられたところでありますが、条約を拝見させていただいて、郵便条約ということで、もともと設立した当初は、恐らく加盟をする国も含めて、多くの国では、郵便、小包なども含めて、国営ないしは国に準ずる者が独占的に行われる、このことを円滑に進めることが主たる目的であったんだろうというふうに思います。

 同時に、当然、いわば円滑に進めるための条約であると同時に、一定の規制もかける。今回、個人情報などが整理をされたようでありますが、禁制品、テロ対策なども含める規制も入っている。

 ところが、我が国においても、郵政が議論になったように、今度は、小包などを取り扱う方は少し自由化をされて、必ずしもいわゆる郵便局だけではないところが取り扱うようになっているというような状況になってきました。

 そうなると、規制の部分は一定のところだけにかかって、他方で円滑化する、そういう二重の構造になっていることと、特に先進国での実態といったものとの間の関係を今後どう考えていくのか、そういう問題意識で幾つか質問させていただきたいと思っております。

 確認をしてまいりたいと思いますが、まず、条約が適用される「指定された事業体」とこの条約の中ではなっていますが、これは日本郵便が当たる、これのみであるという理解でいいのだろうか。

 この条約の中では小包なども対象となっていますが、この条約で言うところの小包に当たるような荷物を、我が国では日本郵便以外の業者も取り扱っているというふうに承知をしておりますけれども、我が国では日本郵便以外の事業体は対象外という理解でいいのか、確認をさせていただきたいと思います。

 念のため、我が国は日本郵便のみというふうに確認をした上でになりますが、ほかの国で、複数の事業体をこの条約で指定された事業体としているところがあるというふうに承知されているかどうか、確認をさせていただきたいと思います。

三ッ矢副大臣 お答え申し上げます。

 この条約上、加盟国は、郵便業務を運営し、この条約から生ずる義務を履行するための事業体を指定するということになっておるわけでございますが、我が国においては、今委員がお話ございました、日本郵便株式会社一社のみが指定されております。

 加盟国の中には、地域ごとに複数の事業体を指定している国もございます。例えば中国は、中国本土と香港、マカオ、それぞれをカバーする三つの事業体を指定しております。また、オランダは、本土とカリブ地域、それぞれをカバーする二つの事業体を指定していると承知しております。

 なお、主要国の中で、国内の同一地域をカバーする複数の事業体を指定している例はないというふうに承知しております。

松本(剛)委員 今お聞きしたことを前提に、また、申し上げたことを前提に、そうすると、今回、一つの大きな改定の点は、到着料の改定だというふうに承知をいたしております。これによって我が国の日本郵便の収支は改善されるというふうにもお聞きをいたしましたが、他方では、実際のコストという面からすると、まだ足らないという状況にもあるというふうに承知をしております。

 先ほど申し上げたように、日本郵便は、この条約に基づく形で到着料の設定もあり、またさまざまな規制もある。他の小包業者は、国際的なものを取り扱っているものも含めて、少なくとも直接的にはこの条約の規制はない、到着料等の設定も定めがあるわけではない。

 そういうことを考えると、これから日本郵便が国際的な業務の面でも競争力を確保していこうというふうに考えると、この点については一つ課題が残るのではないかというふうに思いますが、その点をどう考えるか。

 そして、その点を考えると、この条約そのものがまだ実態と離れている面があるとすれば、今後も再改定の努力などが必要になってくると思いますが、この点をどう考えておられるか、伺いたいと思います。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、今回の条約におきまして大きな点は、到着料の額につきまして、実態のコストをより反映したものとなるよう引き上げがなされたところでございます。ただ、国内における配達コストを十分に賄うものにはいまだなっていないというのは、御指摘のとおりでございます。

 万国郵便条約は、途上国への政策的配慮などもございまして、暫定的な措置を設けながら配達コストを賄う到着料を受け取るということを原則としてございます。

 そこで、万国郵便連合におきましては、従来から、時間をかけながら、配達コストを反映した到着料を実現していく方向で検討が進められてきているところでございます。

 我が国は、他国から支払われる到着料が他国に支払う到着料より多い、いわば入超の国でございますので、なおさら、そうした方向に検討が進むように引き続き努力してまいりたいと思います。

 到着料につきましては、各国郵政事業体の事業収支にそのまま直結いたしますので、コンセンサスを得るのが必ずしも容易ではございませんが、既に郵便業務理事会では、四年後の見直しに向けた検討が開始をされているところでございます。

 日本はその理事会の理事国でもございますし、議長国でもございますので、そういう積極的な議論に貢献をしてまいりたいというふうに考えております。

松本(剛)委員 これは、各国の物価とか各国の人件費とか、そういう根本的なことも背景にある問題になってこようかというふうに思っております。

 今申し上げたように、日本郵便自身、そして我が国の経済、そして、邦人にとどまらずですけれども、活動が大変グローバル化していることを考えると、これからこういった国際業務において日本郵便も一定の役割を果たしていこうとすると、これは我が国国内の業者にとどまらず、場合によっては国際的な業者ともということになろうというふうに思いますが、競争力をどう確保していくのかということと、この郵便条約の中の一員であるということを、ある程度整えていくことが必要ではないかというふうに感じられますので、再改定などの努力は引き続き行っていただきたいというふうに思います。

 次に、先ほど申し上げたように、日本郵便は、国際的に小包を送る、受け取ろうと思うと、この条約に基づいて、例えば十八条には禁制品が列挙されていますが、そういう規制がかかっている。

 他方では、個別の会社名は挙げませんが、外国の小包業者、宅配業者というんでしょうか、そういったものも含めてかなり日本の国内にも入ってきている業者がありますが、これは特に国際的な条約で何らかの規制を受けるとか、国際的な取り決めの中で何らかの規制を受けるということがあるのかどうか。

 少なくともこの郵便条約に指定された事業体ではないとすれば、この郵便条約では外にはなると思いますが、他方では、小包といったようなものを運ぶ場合に、何らかの国際的な取り決め、約束があるのかどうか。これは貨物運送を所管されている国土交通省にお伺いをしたいと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども国土交通行政の分野で申し上げますれば、輸送の安全の確保を図る観点からはICAO、国際民間航空機関でございます、及びIMO、国際海事機関がそれぞれ危険物の輸送に関する規制を定めている、こういうところでございます。

松本(剛)委員 今おっしゃったように、この条約は、いわば小包という、運ぶものを対象に一定の規制をかけている。今お話があったのは、いわば運送手段というか、海とか空のキャリアである航空業者そして海運業者に対する規制という形でされている。

 手段と物ですから、ある程度カバーされている部分があるんだろうというふうには思いますが、制度というのは、そもそも制度と実態とが動いていく中で、常に、どこがカバーされてどこがカバーされていないという問題はあるんですけれども、この郵便条約と小包の取り扱いというのが、どうも縦横で整備され切れていないような感覚はあります。

 他方で、禁制品を見ると、麻薬の問題であるとかテロの問題であるとか、極めて看過できない問題に関する規制がやはりかかっているというふうにも思われます。当然、今お話があったように、キャリアの側からの規制はかかっているということでありますけれども、小包としてこういうものが認められない、禁制品であるということについて、我が国は国内法である程度カバーをされてきているというふうに考えますけれども、世界の国々できちっとやはりこういうことがカバーされるように今後努力をする必要があるのではないか。

 これは、貨物運送を所管される国土交通省にお願いをするべきことなのか、内閣全体としてお願いをするべきことなのかあれですけれども、そういう問題が課題としてはあるのではないかということを御指摘させていただいて、次の質問に移りたいと思います。

 今回、盲人用の郵便物が郵便料金の免除の対象となる。七条の規定だというふうに思っておりますが、従来、点字関係であったものが盲人用ということで拡大をされた。他方では、国内の料金も、かなり無料にはなっているようでありますけれども、一部まだ有料のものもあるように承知をいたしております。

 いわば、国際的には郵便料金が免除、ストレートに言えばただで、国内に送るとお金が少しかかるかもしれないというものがもしあるとすれば、その辺、今後整理をされることをお考えになっているのかどうか、伺いたいと思います。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、万国郵便条約における国際郵便の郵便料金の免除の対象は、これまで点字郵便物ということで限定されておりましたが、今般の改正によりまして、音声の形態などを含む盲人用郵便物ということで対象が拡大されたところでございます。

 内国郵便におきましても、既に盲人用の点字郵便物それから盲人用の録音物は無料とされてございます。

 料金減免の対象となる取扱重量などで一部その差異があるところはございますけれども、盲人用の郵便物を無料とすることにより盲人の福祉の増進を図る、こういう理念は共通しているものでございます。

松本(剛)委員 当委員会では、この国会で、障害者の権利に関する条約の批准もさせていただきました。やはり、目の不自由な方などハンディを負っておられる方については、いわばそのハンディの分、一定の何らかの対応が必要ではないかというふうに思いますので、ぜひこの趣旨に沿った形でさらに前進される制度が望まれるということを申し上げたいと思います。

 その点で、あわせて申し上げると、逆に、我が国の制度の中では、目の不自由な方にとどまらず、心身の障害者の方に対してさまざまな優遇、割引の制度が設けられているというふうに承知をしておりますが、今回の条約を拝見する限りは、まずはということなのかもしれませんけれども、目の不自由な方についての規定のみを見受けることができるんですが、今後、万国郵便連合の中で、広く障害者の方々に対する対応をどうするかということが議論になるという理解でよろしいのでしょうか。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、我が国の制度では、盲人用の郵便物を無料とするほか、心身の障害者団体が発行される定期刊行物を内容とする郵便物、こういったものについても優遇料金が設定をされてございます。

 ただ、万国郵便連合におきましてこれについて今後議論される予定はいまだないという状況でございます。今回の改正も四年間の検討を経てようやく承認されたものということでございます。

松本(剛)委員 先ほど、理事国で議長国というお話でもありました。先ほど申し上げたように、障害者の権利に関する条約も、いわば国連の大きな枠組みの中での条約でありますし、万国郵便連合も大きなその枠組みの中だというふうに承知をしております。どこでも組織は縦割りというのはつきものかもしれませんけれども、ぜひ、我が国として、先頭を切って、機会を見て問題提起をしていただいて、御議論いただきたいということを御提案させていただきたいと思います。

 次に、この条約で災害対策というのが新たな項目に加えられたというふうに承知をしておりますが、このことについては、世界でも我が国の災害対策は高い評価を受けているというふうに思いますが、このことが加えられたことの意義と、また我が国の国際的な一員としての役割、ここをどういうふうにお考えになっているか、伺いたいと思います。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年開催されましたドーハ大会議におきまして、先生御指摘なさいましたように、災害対策に関しまして、我が国の提案に基づいて、自然災害により強い郵政事業体への移行を促進するために講じる対策の研究、こういったものが採択をされました。これに基づきまして、万国郵便連合の実体、四年間の活動を担っております管理理事会というものがございますが、ここに対して、各国の郵政事業体の災害対策力強化のための研究を実施するということが勧告をされております。

 この勧告は、東日本大震災発生のときにおきます各国からの支援に対する恩返しの意味も込めまして、震災で日本が得た経験、教訓をもとに、世界の郵便事業体の災害対策力強化に貢献する、こういったことを目的として、日本が提案して、全会一致で採択されたものでございます。

 この勧告を受けまして、ことしの四月に、万国郵便連合の国際事務局と総務省との間で協力関係を確認することで合意をいたしまして、その合意に基づいて、人的、財政的な貢献を行っているところでございます。

 また、十月から十一月にかけまして管理理事会が開催をされましたけれども、この中でも東日本大震災での経験について発表を行うなど、こういった経験、教訓については積極的に情報発信を行っているところでございます。

 今後とも、こういった作業グループや国際事務局における研究、あるいはその関連の作業に対して積極的に参画をいたしまして、世界各国の郵便事業体の災害対策力強化に貢献をしてまいりたいと存じます。

松本(剛)委員 世界防災会議が我が国で開かれるということで、今動いているというふうにも承知をいたしております。ぜひ、郵便の分野での災害対策について国際的な役割を果たしていただくと同時に、先ほどの縦割りではありませんけれども、我が国全体が災害対策で世界をリードしようという中での連携もしっかり政府内でしていただいて、お進めをいただきたいと思います。

 郵便条約については、最後に、郵便サービスのシステムを日本郵便として輸出をしていくということも今後考えられると思いますが、この現状と状況について御報告いただきたいと思います。

今林政府参考人 先生御指摘のとおり、総務省におきましては、郵便の近代化、高度化に取り組む開発途上国などに対しまして、日本の郵便業務のノウハウあるいは関連技術をシステム全体として輸出したいということで、関係各省と協力をいたしまして各国に働きかけを行っているところでございます。

 具体的には、ミャンマーとの間では、総務大臣が先方の通信・情報技術大臣とこれまで二度の会談を行いまして、先方からは、特に職員訓練あるいは人材育成の面において協力が求められているところでございます。来年度には具体的な協力プロジェクトが実施できるように集中的に協議を継続しております。

 また、ベトナムとの間でも、先方の情報通信大臣と当省の副大臣が九月に会談をされまして、実務的協議の場の設置について合意をしております。今後、相手側のニーズも踏まえつつ、実質的な協議に入っていきたいと思います。

 こういった取り組みは、相手国との関係強化はもとよりでございますけれども、郵便インフラ関連機器の輸出、郵便あるいは郵便局を活用した関連ビジネスの創出にもつながる可能性がございます。こういった考えで取り組んでいるものでございまして、現在、外務省さんを初め関係省庁にも御協力をいただいておりますし、今後は、民間企業のさまざまなアイデアも取り入れながら進めていきたいと考えております。

 先生から御指摘された拡大につきましては、この取り組みがことしに入ってから新たに着手したものでございますので、現在は、先ほど申し上げた二国との間で対話が始まっているところでございますが、この両国での成果、経験も踏まえて、他の国々への展開にもつなげていきたいと考えてございます。

松本(剛)委員 協力そのものに大変意義があると思いますし、また、やはり、我が国のシステムを輸出することができれば、いろいろな意味での、物流も含めた、いわば我が国が標準になっていくという道にもつながるというふうに思いますので、スピードアップした積極的な取り組みを求めたいと思います。

 それでは次に、郵便送金業務に関する約定についてお伺いをいたしたいと思います。

 これについても、先ほどの郵便条約と同種の問題意識で伺いたいと思います。

 これの、郵便送金に関して「指定された事業体」というのは、ゆうちょ銀行という理解でよろしいんでしょうか。

三ッ矢副大臣 そのとおりでございます。

松本(剛)委員 郵便送金業務では、二条に、「権限のある当局」ということで、監督すべきところも書いてありますが、ゆうちょ銀行は金融庁所管の銀行だというふうに理解をしておりますが、日本郵政グループは総務省の所管だというふうに理解をしております。

 このあたりの権限について、ちょっと整理をした御説明をいただきたいと思います。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、全般的な仕組みでございますが、ゆうちょ銀行につきましては、例えば新規業務の実施に当たりましては総務大臣及び金融庁長官の認可を要するということで、郵政民営化法におきまして他の民間金融機関にはない特例の規定が設けられておりまして、総務省におきましても同法の規定に基づいて監督をしているところでございます。

 それから、御指摘のございました送金業務につきましては、もともと、旧郵便為替法あるいは旧郵便振替法を根拠といたしまして、かつては郵政省でございますが、国あるいは郵政公社というところから提供されてきたところでございます。

 これらの法律自体は廃止をされたわけでございますが、郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の附則の規定によりまして、郵政民営化後も旧法の規定が有効とされております。ゆうちょ銀行はこれに基づいて業務を行っておりまして、総務省がその監督を行っているということでございます。

 具体的に申しますと、例えば郵便送金の料金につきまして、条約あるいはその細則によりまして、利用の容易さを促進するよう設定されるということにされておりますので、これに適合するよう監督しているというふうなことでございます。

松本(剛)委員 制度を定める法律をつくったのは国会でありますので、我々にその責任があることになりますが、多分、今お聞きいただいていた委員も、しっかりお聞きをいただいたと思いますが、大変複雑な状況になっているということだと思います。

 今後、これがどういう形でいくのが望ましいのかということは行く行くの議論の余地もあるかもしれませんけれども、現状はそうなっているということを理解させていただいたというふうに思います。

 その上で、今度は、先ほどの小包も同様ですが、外国に送金をする、もしくは外国からお金を送られるという意味では、いわゆる郵便送金というこの約定が適用される範囲で送られているものは、先ほどお話があった、ゆうちょ銀行の中でこれに指定されたやりとりだというふうに承知をしていますが、我が国が今外国とお金をやりとりしている中では、これはほんのごく一部にすぎないというふうに思っております。

 しかし、他方では、郵便送金業務に関する約定ということでは、先ほど申し上げたように、この郵便条約と同じように、やりとりをしていくためのさまざまな規定と同時に、七条、八条に、テロであるとかマネーロンダリングであるとか個人情報の取り扱いとか、さまざまな規制がかかっております。

 こういった規制は他の海外送金でも当然あってもおかしくない規定だというふうに思われますけれども、海外送金というものについての国際的な取り決めといったようなものがあるのかないのか、また具体的にどういう形で規制をされていると考えたらいいのか、お示しをいただきたいと思います。

長谷川政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の海外送金に関する一般的な国際的取り決めでございますけれども、マネーロンダリング対策のために設立されました政府間機関として、いわゆるFATF、金融活動作業部会が存在しておりまして、このFATFの勧告に基づきまして、各国において海外送金を含む為替取引等における本人確認義務や疑わしい取引の届け出義務を金融機関に課しているところでございます。

 我が国におきましても、FATFの勧告に基づきまして、犯罪収益移転防止法を定めまして、その中で、ゆうちょ銀行を含みます民間の金融機関に対して本人確認義務や疑わしい取引の届け出義務を課しているところでございます。

松本(剛)委員 一点だけ、そのFATFはどのぐらいの国々が関与しているというふうに理解したらよろしいんでしょうか。お手元にあれば。

長谷川政府参考人 現在、三十四カ国、二地域が参加をしております。

松本(剛)委員 郵便送金の方は、たしか百九十以上の国だったのではないかというふうに理解をしています。

 この郵便送金がどのぐらいに当てはまるのか、私も今手元にありませんが、いずれにせよ、範囲に差はあるというふうに思いますので、特に麻薬、そしてテロの問題といったものは先進国だけがカバーをされているということで、適切でないことははっきりしていると思いますので、その点を、今後、我が国として国際社会の中でどうリードするかということが一つの課題だということで御認識をいただきたいと思います。

 続いて、政府調達に関する協定に移りたいと思います。

 政府参考人の方も、当該以外の方で答弁を終わられた方は、委員長の許可があれば、御退席をいただいて結構でございます。

鈴木委員長 答弁を終わった方は、どうぞ御退席ください。

松本(剛)委員 さて、適用範囲ということで、新たに十六のサービスが追加をされていますが、この中には、初等、中等、高等、成人教育のサービスが適用されることになっています。

 教育サービスの調達ということになると、これは確認をさせていただいたところ、直営は違う、直営というんでしょうか、しかし、委託をしようと思えば当然この協定の対象になる。昨今、やはり各地で公設民営というのが見られてくると思います。まさにこれは委託ということになってくるんだろうというふうに思います。

 政令市が我が国の場合は基本的にこの対象になっているとすると、政令市が、例えば幼児教育、幼稚園を委託しようと思うと、この協定の適用の対象になることが考えられるのではないか。

 なるということが考えられるとすると、そもそも、募集手続からして規制の対象になる。いわば、恐らく言語、例えば英語などの公用語も含めて準備をしなければいけなくなるということになるのではないかと思われますが、このあたりについて御見解を伺いたいと思います。

木原(誠)大臣政務官 今まさに委員御指摘いただきましたとおり、今回、全ての機関について七分野、そして中央政府につきましては十六分野ということで広がった。そして、その教育ということでございます。

 ややイメージしにくいところがございますので、一点だけ例を挙げますと、例えば、政令指定都市が市民大学講座なんかを開いたときに、その運営全般を民間の教育機関に委託する、こういった場合には、これが教育サービスの調達に該当する、こういったのが一つの例でございます。

 今御指摘をいただきました、まず公設民営の幼稚園ということにつきましては、我が国の国内法上、幼稚園につきましては、その設立者以外の者が運営を行うということは認められていないということでございますので、この点につきましては今回の適用対象にはならないと理解をしております。

 他方で、同じように公設民営ということでよく議論されますのは、公設民営の保育園ということでございますが、今回の改定の中では、保育園は教育サービスには含まれない、いわゆる幼児のデイケアサービスは除くということになってございますので、この点につきましても今回の対象にならないというふうに理解をしているところでございます。

松本(剛)委員 おっしゃるように、現行の制度では、ちょうど切り張りをしたらここは入らないということでありますが、今、やはり地方自治体の運営とかそういったことを考えたときには、指定管理者の制度であるとか、さまざまな形で民間のノウハウを生かしながら、なおかつ行政サービスをどう提供するかということを考えると、教育サービスについても今後十分考えられるということになってくると思います。そういう中では、今お話をいただいたように、今のところは、ちょうど政府調達はこうだということですけれども、これをするということはそういう意味がある。

 そうなってくると、これは地方自治体も、あらゆる仕事をするに当たって、少なくとも英語で仕事ができるようにならなければいけない。政務官のように言葉の不自由のない方はいいかもしれませんが、私のように日本語を得意とする者にとっては、なかなかこれから先、大変な世の中になってくるのではないかというふうに思います。

 我が国におけるグローバル化と、そして我が国の日本らしさを生かすということの兼ね合いの一つの課題になってくるのではないかと思います。

 二つ目、サービスの範囲が拡大するということは、当然、外国の企業の応札もしくは落札ということも出てくるとすれば、我が国の経済、企業活動、特に地域の中小企業などにも影響があり得るのではないかと思われますが、いかがお考えでしょうか。

木原(誠)大臣政務官 委員御指摘のとおり、当然のことながら、今回の協定の改正に伴いまして、我が国の国内企業が外国企業と競合をするという場面は出てくるというふうに考えてございます。

 ただ、これらのサービスが今の調達機関によって実際に調達されている、その占める割合というのは必ずしも大きくございませんので、国内企業に与える影響は現時点では限定的というふうに考えているところでございます。

松本(剛)委員 今の仕組みでは、これは一々推計とかをされるという状況ではないんだろうというふうに思います。ですが、ぜひこれから、これは条約の新たな採択にとどまらず、あらゆる政策を展開するときに、定量的にある程度効果を見積もる。

 従来、残念ながら、効果を見積もってきたときに、では、当たったのか当たっていないのか、誰の責任なのかということに焦点が当たりがちでありましたが、やはり、そういう非生産的な議論はぜひ排していきながらも、他方では、効果が期待どおり上がったのか上がらないのか、上がらなければ、では、その政策を次にどう打つのかという、生産的な意味で、ぜひ、こういった効果見積もり測定を行うような政策サイクルの確立がこれから課題だと思っておりますので、その点を申し上げて、次の質問に移りたいと思います。

 EUとの間で、JR三社、完全民営化されているにもかかわらず政府調達だという対象になっていると承知をしております。

 ぜひ、これは、こういう筋の通らない話とはしっかりやっていただきたいというふうに思っておりますが、現在の状況を答弁いただきたいと思います。

木原(誠)大臣政務官 JR本州三社の問題につきましては、二〇〇一年に、この政府調達協定の対象から外すための修正の通報というものを行ってございます。

 当初は、御案内のとおり、EUだけではなくて、米国及びカナダも異議を申し立てていたという状況でございますが、おかげさまで、二〇〇六年に、この両国につきましては撤回をしたという経緯がございます。

 ただ、EUは現時点においても引き続き異議を撤回していないという状況にございますので、私どもといたしましては、何とかEUに異議の撤回をしていただくよう、今後とも精力的に働きかけてまいりたい、このように思っております。

松本(剛)委員 交渉の最前線に当たられる外交当局としては、いわば交渉のテーマにというふうにせざるを得ないんだろうと思いますが、そもそも、こういう完全民営化されたものを引き続き政府調達の対象にするという筋の通らない話は、交渉の対象以前に、即座に撤回を求めるべきだと我が国の議会は強く言っているということをぜひ言っていただきたいというふうに思っております。

 時間がほぼ終わりになってまいりました。

 最後に、各経済連携交渉における政府調達の状況ということをお聞きしようと思っておりましたが、特にTPPと日・EUについて、今の状況、お答えのところを伺って、私の質問を終わりたいと思います。

澁谷政府参考人 TPPについてお答え申し上げます。

 TPP交渉に参加しております十二カ国のうち、WTOの政府調達協定に加盟している国は、我が国、米国、カナダ、シンガポールの四カ国でございますので、したがって、TPPの交渉におきましては、主として、残りの八カ国を念頭に置いて政府調達の市場を開放するべく交渉が行われております。

 交渉大詰めの段階でございまして、議論は収れんしつつありますが、十二月の七日からシンガポールで開催される閣僚会合において決着に向けた議論が行われる予定でございます。

岸田国務大臣 日・EUのEPAの方ですが、これまで交渉会合を三回開催しております。そして、政府調達を含む幅広い分野において議論が行われております。

 また、今月の日・EU定期首脳会議の際の共同プレス声明では、物品貿易、サービス貿易、調達における野心的な市場アクセスのオファーを遅滞なく提示することにおいては合意をしております。

 こうした状況の中、交渉が引き続き行われているというのが日・EU・EPAの状況でございます。

松本(剛)委員 交渉途上のものを円滑な交渉のためにどの程度開示するかという国益と、広く議会に開示をし国民に理解を得るという国益と、ぜひ両方が両立するようなところをしっかりと模索して対応していただきたいと思います。よろしくお願いします。

 終わります。

鈴木委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 日本維新の会の小熊慎司です。

 万国郵便条約についてまずお伺いをいたします。

 今、IT等が発達をしている世界になりましたけれども、郵便というのも人と人とをつなぐ非常に重要なツールでもあります。私ごとではありますけれども、遠距離恋愛の末結婚しましたが、妻とは六年にわたる文通で愛を育んでまいりました。まして、私の家内は青年海外協力隊の隊員でもありましたので、南の島サモアと日本と、まさに国際郵便で愛を育んできた。この国際郵便事情がなければこういう幸せにはなっていなかったのかなという意味では、この万国の郵便事情については、しっかりとこれからも維持、またさらに発展をさせていかなければいけないということを身をもって体験している私であります。

 この条約は、定期的にバージョンアップしていく、よりよいものにしていくということになっているところでもありますけれども、今回の条約について、今回変わる部分についての最大のメリットというのを改めてお聞きしたいと思います。

三ッ矢副大臣 この条約が委員の幸せに非常に役に立ったということで、御同慶の至りでございます。

 この万国郵便連合の関連文書でございますが、各国が国際郵便業務及び国際郵便送金業務を実施するための法的枠組みを定めたものでございます。これらは我が国が両業務を実施するための法的根拠にもなっておるわけでございますが、今回の改正は、それぞれの文書について所要の変更を加えるものでございます。

 時期、タイミングの問題を申し上げますと、来年の一月一日に発効することになっておりまして、これに伴い、現在の文書は失効するということになっております。そのために、もちろん我々としては、どうしてもこれは本年中に確保していきたい条約の改正でございます。

 その具体的な意義としましては、まず、万国郵便連合の管理理事会の権限が追加され、連合の予算の効果的な執行ができるようになることが挙げられます。

 また、国際郵便に関する配達コストの実態を反映して、先ほど来の質疑にもございましたが、到着料が引き上げられることとなったことも重要だと思います。これによりまして、国際郵便が入超となっている我が国の到着料収支が、これは約六億円だと思いますが、改善されることになります。

 さらに、今回の改正によりまして、個人情報保護に関する規定が整備されたことも重要なポイントかというふうに認識しておるところでございます。

小熊委員 また妻の話で済みません、私は、結婚してからも、海外に行ったときは手紙を出して、この間、外務委員会で海外調査に行ったときも、原田委員も一緒でしたけれども、毎日はがきを家内に出していたんですが、ある国に行ったときにうっかり切手を張り忘れたんですが、届かないだろうと思ったら、ちゃんと届くんですね。相手国も日本の郵便もすばらしいなというふうに思いました。

 絶えず社会情勢は変化していきますけれども、よりよいこういう万国の郵便事情について、日本が率先して改善に努めていくこともこれから求められるというふうに思いますので、ぜひまた取り組みをよろしくお願いいたします。

 また、ほかの質問をこの条約について用意していたんですが、松本理事と、ほぼ、九割五分重なっていたので、同じ質問は避けて、先ほど、一般的なことでありましたけれども、ちょっと積み残しがありましたので、引き続きそっちの方の積み残しの分を質問させていただきたいというふうに思います。

 先ほどの九時からの質疑の中では、安倍総理の国連での演説、女性の社会進出、人権等についての評価をさせていただいて、具体的な取り組みについて質疑をさせていただきました。

 あわせて、今、国際社会の中で、ユネスコやユニセフといった国連機関、またNGOなどの協力のもとに、教育を攻撃から守る世界連合、GCPEAという団体があります。これが今取り組んでいるのは、大臣初め外務省も御承知のとおり、直近でいうと二〇〇五年から二〇一三年の間で、各国各地域においての紛争の中で、二十四カ国・地域で学校が軍事利用されているという現状があります。これはやはり、その国が疲弊してもまた立ち直っていくということは、さまざまな経済的な側面、いろいろありますけれども、これは災害でもそうですけれども、やはり人の復興が一番重要でありますし、人なくして国はありませんから、そういう意味では、教育というものが非常に重要なものであります。その重要なものが軍事利用されてしまっていることによって、紛争が深刻化していく、子供たちの命が失われる、そして、その紛争後の、戦争後の復興にも大きくマイナスの要因をつくってしまうという現状を改善しようとして、この団体がガイドライン案を今つくっているところであります。

 とりわけ、総理も、紛争の下で女性が性的暴力を受けているということを憤激という激しい言葉で表現をされて、こういうのはなくさなきゃいけない。まして、学校が軍事利用されると、とりわけ女子の生徒が、政府軍であれ、またテロリストであれ、そういう軍事的な組織の性的暴力の対象者にもなっているということでもあるんですね。

 せっかく総理が国連でいい演説をされました、具体的にODA等でやっていく。そういう意味においても、このガイドライン案を支援していくということは、まさに、総理自身が国連で言った理念、取り組みに合致するものだというふうに思いますし、これをやらなければ、言葉だけでしょうということになってしまいますから、ぜひこのガイドライン案について支援をしていくべきだというふうに思っております。

 そういう意味で、質問させていただきますけれども、このガイドライン案について、その前提ですね、日本では学校の軍事利用はしておりませんけれども、外務大臣の所管ではありませんが、日本はもちろん、教育施設を自衛隊等が使うことはないということは、所管を超えていますけれども、まず確認させてもらっていいですか。

岸田国務大臣 学校施設等を軍事施設として使うことがないかという御質問ですが、私自身考えますに、そういったケースは余り考えられないのではないかと今思っております。

小熊委員 日本では本当に当たり前のことが、世界の紛争地域では逆に当たり前のように使われている。やはりこれは改善をしていかなければいけないということであります。

 学校の軍事目的使用に関するガイドライン案というのも既にできております。二〇一四年の半ばには成案を得るような取り組みになっておりますけれども、この策定に当たっての支援、また策定後の取り組みについて、政府の見解を求めます。

木原(誠)大臣政務官 委員まさにるる御説明いただきましたように、我が国は、人間の安全保障という大きな柱を一つ立てております。その中で、教育の問題、また、とりわけ女性の人権の問題ということについては重視をしているところでございます。

 そういう中で、御指摘のガイドラインについてでございますが、まさに武力紛争の当事者である武装部隊が学校や大学をいかなる形でも使用してはならないというようなことを内容としているというふうに承知をしております。

 ただ、このガイドラインが依然作成途上であるということが一つございます。また、どんな形で、どんな形式で提案されるのかといったようなことも含めて、まだ未確定なところが多々ございます。

 私どもといたしましては、そうした詳細が明らかになる中で、支援の可否、今後の参加の可否といったようなことについて検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

小熊委員 きょうは本来であればお配りしたかったんですけれども、もうガイドライン案というのもできているんですね。私もほかの言語は堪能でないんですけれども、私が見ても、一応、これもあるので、検討はもうできると思うんですよ。これが出ているのに、まだ詳細がわからないのでというのは、役人の答弁はそれでいいけれども、政治家としての答弁はもうちょっと期待したいんですが、再度の答弁をお願いします。

木原(誠)大臣政務官 冒頭まさに申し上げたように、私ども、人間の安全保障というのは、我が国の外交の根幹でもございます。その中で、教育、それから、とりわけ若い世代の人権、女性の人権というのは非常に大切なことでございますので、この点については、他方で、このガイドラインがどういう法的拘束力を持つのか、それから、実際にどういう義務を我々に課すようなことになるのか、そういったことについては、やはり我々としてしっかり検討しなければいけないところはあるというふうに思いますので、人間の安全保障というものに資するかどうかという観点から、しっかりと前向きに検討させていただきたいと思っております。

小熊委員 もう一歩なんですよね。

 この件について、普遍的な価値観に沿ったものだと私は思っていますよ。細かな点は検討もしなきゃいけないんですが、国連で堂々と国際的に宣言しているんですから、積極的にタッチして、策定したものを了とするか否とするかではなくて、日本としては、このガイドライン、こういうふうにやったらいいんじゃないのという積極的な関与というのは、出てきて検討ではなくて、受け身ではなくて能動的にやるというのが、まさに総理の国連演説を具現化するということじゃないんですか。

木原(誠)大臣政務官 繰り返しになりますが、中身につきまして、まさに小熊委員おっしゃったように、我が国として、我々の外交方針とそごするものではございません。

 今御指摘いただいたように、来年の四月にはノルウェーにおいてこの検討会議も開催されるというふうに承っております。残念ながら、まだ正式に御招待をいただいている、御案内をいただいているという状況にはございませんが、御案内をいただいた段階で、しっかりと参加をしながら検討していきたい、こう考えてございます。

小熊委員 私もかつては自民党の青年局で木原政務官にもいろいろお世話になりましたけれども、いい意味で大人になったのかなと思ったら、何かちょっと悪い大人になっているなという気がするんです。やはり丸くなるのにも丸くなり方がありますが、まだまだ若いんですから、もっとやっていってほしいんですけれども。

 私、具体的にどうしろと言っているわけじゃないので、策定までも積極的に関与していきますよと、日本がこうしたリーダー役を買って、しっかりとやっていくんだと。青年局だけで元気いっぱいじゃなくて、やはりどういう場面でも元気いっぱいじゃないと木原政務官らしくない。どうぞ。

木原(誠)大臣政務官 政治家として変なふうに丸くなってしまったとしたら反省をしなければいけないと思いますので、御指摘いただいてありがとうございます。

 よりよい内容になるように、しっかりと我が国として前向きに関与してまいりたい、こう思います。

小熊委員 いい答弁。最初からそれを言えばいいんですよ。

 策定過程までも積極的に関与して、日本の主張も、言うべきことは言って、総理が演説したことは間違った価値観じゃないんですから。どの国だって否定もできない、また、今後、未来永劫この価値観というのは否定されるものでもない言葉でありましたから、正々堂々、積極的に関与して策定にかかわる、そして、策定された後はしっかりそれを全世界に広めていく、そして具体的に紛争地域でこうした問題を解決していくということが、まさに積極的平和外交、これを具体的に行動していくということでありますから、百の言葉より一つの行動、これは自民党青年局で習ったことでもありますから、ぜひよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 また、こういったものを、国際会議とかさまざまな各国首脳との間でも、女性の権利を守りますという抽象的なことじゃなくて、具体的に、こういうことを一緒にやっていきましょうよと、大臣自身もいろいろな各国首脳とお会いになったときには問題提起していってほしいんですね、学校が軍事利用されているんだ、こういう大変な問題になっていると。されていなくても、こういう国では、敵が利用するかもしれないといって、生徒とか教師しかいないのに、学校が攻撃対象にもなっているんですね、兵士がいなくても。

 そんな深刻な状況ですから、大臣、いろいろな国際的な関係の中で、いろいろな話、日本の国益の話もしなければなりませんけれども、大臣もいろいろな各国とのつながりの中でぜひ話題にしていっていただきたいと思うんですけれども、大臣も元青年局として、ぜひ原点に立ち返って、その心意気を御答弁いただきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、御指摘のGCPEAのガイドラインにつきましては、基本的な考え方は、今委員御指摘のように、これは評価されるべき考え方だと存じます。

 ただ、ガイドラインの文章そのものについては、しっかりと精査し検討していきたいということ、今、木原大臣政務官から申し上げさせていただいたとおりでございます。

 そして、このGCPEAの情報によりますと、現時点で支援国になることに積極的な姿勢を見せている国として、アルゼンチン、カナダ、ドイツ、スイス、フィンランド、ノルウェー、英国等、多くの国々がリストアップされております。こういった国々の姿勢等も参考にさせていただきながら、我が国としての姿勢をしっかりと確認していきたいと考えます。

小熊委員 よろしくお願いします。確認しなくても、これは積極的な国のリストに挙がらなきゃいけないので、ぜひ大臣、よろしくお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 今国会でも国土強靱化法というのがありましたけれども、私も被災地出身の一人でありますが、エネルギーインフラの強靱化といったことも、実際、本当は真剣に考えなければならないところでありますし、震災以降、今原発が停止している状況ではありますが、今後の日本の発展の中で、エネルギーをどうしていくか、またエネルギー資源をどうしていくかということは、取り組んでいかなければいけないところであると思います。

 震災以降、液化天然ガスの比率が伸びておりますけれども、大臣初め皆さん御承知のとおり、日本のガスの買い方というのは長期にわたって原油価格と連動している。これはメリットもデメリットもあって、今、国際的にガスの価格が下がっている中では、デメリットが多く出てしまっているところでもあります。

 また、国際社会の中では、いろいろな形でガス市場の背景が大きく変わったところでもあります。アメリカにおけるシェールガス、また、ロシアが天然ガスの大量生産国であり、世界一位の輸出国でもあるんですけれども、こういったシェールガス革命の余波も受けて、ヨーロッパでの価格の低下とかということ、またロシア自身が、硬直化したガス供給体制、つまり、ヨーロッパと旧ソビエト圏だけに大きく供給が偏ってしまっている。

 そういった中で、既に日本とロシアの中での天然ガスのプロジェクトが三つほど、サハリンやシベリア、また北極海等で進んでいるということも承知をしているところであります。ロシア自身もヨーロッパから東方へのシフトも模索しているところでもありますし、日本も、アメリカのシェールガスということはありながらも、アメリカは逆にガス大量消費国ですから、日本に輸出してくれるのもやはり限度があるだろうというふうに思っています。

 我が党は脱原発に向けてフェードアウトをしていくという形をとっていますから、こうしたガスエネルギーというものも脱原発に向けてのフェードアウトには非常に有効な手段だというふうに思っていますし、また、御党のかつての総理も即脱原発まで言っちゃっていますが、細かな点はおいておいたとしても、方向性は、やはり小泉元総理の言っていることは間違ってはいないというふうに私は思っているところであります。

 ただ、現実世界としては、ちゃんとしたエネルギー体制をしいていくという意味では、やはりロシアのガスに関してしっかりと連携をしていくということが、いろいろな国際エネルギー資源市場の中でもまさに進めていくべき点だというふうに思っておりますが、外務省としてはこの対ロシアのガス対策といったものはどのようにお考えか、お聞きをいたします。

三ッ矢副大臣 御指摘のとおり、ロシアとのエネルギー協力は非常に重要だと思っております。

 観点は二つございまして、一つはエネルギー供給源の多様化、それからもう一つは調達コストの低廉化、この二つを大きな目的として、この協力を積極的に進めていくべきだというふうに思っております。

 現状は委員も御承知だと思いますけれども、コマーシャルベースで話が非常に進んでおりまして、日本企業が参画しておりますサハリン2、このプロジェクトからLNGが日本に供給されておりまして、現在、日本の天然ガス輸入量の九%を占めるに至っております。また、最近では、ウラジオストクのLNGプロジェクト、さらに極東LNGプロジェクトなどについても日ロ協力が着実に進んでおるところでございます。

 外務省としましては、引き続き、最初に申し上げました二つの観点から、この協力をしっかりと後押ししていきたい、このように考えております。

小熊委員 実際、日本のガスの買い方が、安定的なメリットを求めて今の買い方をしていますが、やはり今、損をしているという状況でもありますし、LNG、液化天然ガスの比率が大き過ぎるということですから、ある意味、シェールガス、天然ガス、LNGという、こういうミックスしたバランスのいい形でやれば、ガス市場も競争していきますから、高い値段で買わなくてもいい、そういう方向性にも持っていけるはずでありますし、ぜひ積極的に取り組むこと。

 また、これはエネルギー政策ということだけではなくて、先ほど言ったように、ロシアも、ヨーロッパで高く売れていたものが下がっちゃって当てが外れている、片やシェールガスというライバルも出てきたということで、また、大量生産国ですから、どう売っていこうかということが、まさにロシアの国益としてどうかということも背景にありますから、このエネルギーの連携もあわせながら、広い意味ではまさに北方領土の問題とかも互恵関係の中で解決していくべきだというふうに、もちろん、当然の日本の権利ですよ、だけれども、今の現状を考えれば、そういう互恵関係の中で友好的に領土問題を解決していくという意味においても、ロシアとの外交の中でエネルギーの連携というのは非常に重要だというふうに思っています。

 そういった領土問題も含め、ロシアとの友好といった広い意味で、しっかりエネルギー、ガスの分野を位置づけて、積極的に取り組んでいくということが求められておりますけれども、そういう広い外交的な意味での見解を改めてお聞きいたします。

岸田国務大臣 ロシアとの関係につきましては、ことしに入って半年間で四回の首脳会談が行われ、その中で、エネルギー、経済、人的交流あるいは文化交流等、幅広い分野において協力を進め、全体の信頼関係、そして交流のレベルを引き上げていく、その中で平和条約締結問題についてもしっかりと議論していく、こうした方針で臨んでおります。

 この幅広い分野において交流のレベルを上げていく、その際に、御指摘のエネルギー分野も大変重要な分野であると認識をしております。我が国は今、国のエネルギー政策の見直しを行っております。その中にあって、エネルギー外交というもの、供給源を多角化し、そして燃料調達費を低減していく、こういった点を重視しながらしっかり進めていかなければなりません。

 ロシアとの間においても、こうした観点からエネルギー政策を進め、エネルギー分野における協力をしっかり進めていかなければならないと考えます。

小熊委員 そこで、やはりこれはトップセールスもしていかなきゃいけないというふうに思います。そういう意味では、プーチン大統領の訪日とか、また、安倍総理、また大臣初め、訪ロといったこともやっていく中で方向性をしっかり決めないと、細かな点は、それは事務方、またそれぞれの現場でやっていくんですが、今の大臣の答弁も、実現していく方向にしっかり動いていくためには、トップ外交をしなきゃいけないというふうに思います。

 そうしたトップ外交の可能性について、私はやるべきだと思っていますし、前々から言っているとおり、我が党は、大臣、総理大臣を初め首脳の外遊について足を引っ張るような国会の日程闘争はしたくないということは常々言っている立場でもありますので、この訪日、またこっちからの訪ロといったものに関して、今どのような検討をされているか、お伺いをいたします。

岸田国務大臣 十一月の初めに、我が国におきまして、歴史上初めての日ロ2プラス2を開催させていただきました。その際に、あわせて日ロ外相会談を行い、平和条約締結問題を初め幅広い意見交換を行い、議論を行いました。

 その際に、要人往来ということにつきましては、来年の春にも、私、日本の外務大臣がロシアを訪問させていただきたい、事情が許せば訪問させていただきたい、こういったことを確認させていただきました。

 今後とも、首脳同士の会談も大変重要だと認識をいたします。お互いのトップ同士の訪問、こういった点につきましても、前向きに考えていくべき課題だと認識をいたします。

小熊委員 そういう意味では、これはそれぞれの政治家によって立ち位置は違いますけれども、総理もトルコに原発を売りに行くより、こういったガス外交の方が国民の皆さんの支持も得るし、また早急に取り組まなきゃいけないことでもありますから、大臣の取り組みについてはお聞きいたしましたけれども、外務大臣として、総理のこうした取り組み、またプーチン大統領の日本への訪問といったことについて改めてお聞きいたします。

岸田国務大臣 ことしの四月ですが、安倍総理がロシアを訪問させていただいた際に、プーチン大統領に対しましては訪日を招聘させていただいております。そして、先方から感謝の意が表明されております。具体的には、今、日程等を調整中という状況にあります。

 また、来年にはロシア・ソチにおいてオリンピックが開催される予定ですが、そのソチ・オリンピックにも安倍総理は招待されております。こうした首脳同士の往来につきましても、ぜひ具体的に前向きに考えていきたいと存じます。

小熊委員 プーチン大統領の訪日について積極的に取り組んでいく。今調整中というのは、物理的な問題があるのか政治的な問題があるのかわかりませんけれども、今言われたとおり、オリンピックもありますから、そこまでは大統領はなかなか外遊ということにもならぬのでしょうけれども、早期に来ていただくということが外交関係を深化させていくことにもなっていきますので、ぜひお願いをしたいというふうに思います。

 さきの通常国会でも我が党の遠藤敬議員が予算委員会で御披露申し上げましたが、プーチン大統領は、大変日本好きでもありますし、御承知のとおり柔道の大家でもあって、また、犬好きでもあるということで、我が党の遠藤敬議員は秋田犬のトップブリーダーで全国的にも有名で、その彼の持っている犬がプーチン大統領に日本政府から贈られたという経緯もあります。

 小さな話ですけれども、プーチン大統領に来ていただく際に、秋田犬、もう何匹でもプレゼント、遠藤議員に私も言っておきますので、ぜひ来てくださいと。我々も、野党でありますけれども、外交は与党、野党関係ありませんから、国益のために、犬程度かもしれません、犬が好きな人に犬程度という言葉は失礼ですが、プーチン大統領の好きな秋田犬であれば、我が党も積極的に無償で提供したいというふうに思いますので、ぜひロシアとの外交関係の進展のためにもより積極的に取り組んでいただくことをお願い申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、杉本かずみ君。

杉本委員 衆議院、みんなの党、杉本かずみであります。

 まず冒頭、今、日中が緊張関係にもあると思いますが、韓国の尹炳世外相が、一昨日でありますけれども、ソウルで外交政策について講演をされた。尹外相は、日韓関係の冷え込んでいる状況について原因は日本側の歴史認識にあるという従来の主張をされた上でですけれども、日韓関係の重要性は政府も財界なども皆認識している、関係の安定に向けて今後政府として努力していくというふうに述べていて、さらに、日本政府もかなり気を使っていることを認識している、こういった講演をされているようであります。

 従来、この尹外相並びに政府高官は、日本が先に歩み寄りを見せなければ関係改善は難しいというような主張を繰り返していたようでございます。そういった意味から、関係改善の方向感が韓国とは見えてきているというふうに認識して、国会を構成する一人として大変歓迎の方向感を感じさせていただいております。

 ちょっと冒頭、それを申し上げたいんですが、大臣、何かお言葉があれば賜ってもよろしいですか。お願いします。

岸田国務大臣 御指摘の尹長官の講演につきましては、さまざまな報道で承知しております。

 我が国は、日本と韓国の関係は最も大切な隣国関係のうちの一つであると認識をしていますし、未来志向で大局的な見地からこの関係を進めていきたいと考えております。北朝鮮問題を初め、さまざまな課題において協力していかなければならない国だと認識をしております。

 よって、従来から、韓国に対しましては、個別の問題があったとしても二国間関係全体に影響を及ぼしてはならない、個別の問題があるからこそ対話が重要であるということを訴え続けております。

 今後とも対話のドアはオープンでありますし、ぜひ、韓国側にも、こうした我々の働きかけにしっかり応じていただきたいと強く願っております。

杉本委員 通告がない中、御答弁ありがとうございます。

 次に、中国の防空識別圏の問題等が当座の問題になっておりますけれども、香港誌によると、「動向」という香港誌があるようでございますが、共同の配信として、日本の海上自衛隊が、先月の十月二十五日、二十七日両日において、西太平洋海域で演習中の中国海軍に接近し、二度にわたり武力衝突の危険性が高まったという記事がございます。

 これは、どちらがどちらに寄っていったかという事実も定かではありませんし、最近、中国海軍の演習というものが西太平洋海域で常態化しているというような報道もありますけれども、こういった点について、事実関係を確認できますでしょうか。

中島政府参考人 外国誌、海外における個別の記事の内容につきまして、防衛省として逐一お答えする立場にはないものとは存じますけれども、関連の事実関係についてお答えを申し上げます。

 まず、中国海軍が先島諸島南東海域におきまして射撃演習海域を設定しておりましたのは事実でございます。自衛隊は、これも踏まえまして、適切に警戒監視活動を行っておりました。少なくとも、御指摘の記事に挙げられましたような日時及び海域におきまして、海上自衛隊の護衛艦などが中国艦艇に対しまして武力衝突の危険性を生じさせるような危険な行為を行ったという、そのような事実は一切ございません。

 なお、中国側から、本年十月に、中国海軍が西太平洋において行った演習を海上自衛隊の護衛艦などが妨害したといった申し入れがございましたけれども、これらに対しまして、日本側からは、中国側が指摘する軍事演習の妨害及び危険性の高い挑発行為は行っていない旨、反論しておるところでございます。

 防衛省・自衛隊といたしましては、今後とも、国際法にのっとりまして、我が国周辺海空域における警戒監視活動を実施してまいる所存でございます。

杉本委員 毅然と、しかし一方で冷静に、しかも慎重な対応を引き続きお願いしたいということを申し上げます。

 もしよろしければ、もう中座していただいて結構でございます。ありがとうございました。

 次に、条約のことについて質問させていただきますけれども、非常にベーシックな質問で恐縮ですが、矢継ぎ早にお願いするかもしれません、よろしくお願いします。

 まず、万国郵便の配達料でございますけれども、配達コストの実態を反映するという形での引き上げがあって、日本の場合は、二〇一四年、来年を鑑みると約六億円の収支改善が見込まれるとありますけれども、この差っ引きの六億ではなくて、絶対額で入りと出がどのような状況にあるかを教えていただきたいと思います。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のありました到着料収支でございますが、二〇一二年におけます収支は、収入が六十三億円、支出が十九億円、したがってプラス四十四億ということになります。二〇一四年には、収入が七十億円、支出が二十億円になると想定しておりまして、したがいましてプラス五十億ということで、四十四億から五十億ということで六億円の改善が見込まれるというふうに聞いております。

 以上でございます。

杉本委員 重ねて伺えばよかったんですけれども、こういった郵便物のやりとりというのは世の中の動きを反映していると思っておりますけれども、時の変遷とともに、郵便物がどちらからどちらに向かっているものがふえているか、教えていただければと思います。

今林政府参考人 増減は、ちょっと私、手元に持っておりませんが、我が国と国際郵便の交換の多い国がございます。外国宛てに差し出されるものにつきましては、多い順に、アメリカ、中国、イギリスというふうになってございます。また、外国から来る国際郵便物につきましては、同じく多い順に申しますと、アメリカ、中国、韓国というふうになってございます。

 以上でございます。

杉本委員 次に、国際セキュリティー対策の強化という観点から、これもまたベーシックな質問で恐縮ですけれども、通関業務においていかなるセキュリティーチェックをかけているかを教えてください。

後藤政府参考人 通関におけるセキュリティーチェックについて御質問を受けましたので、お答えいたします。

 税関においては、爆発物、大量破壊兵器等の密輸を阻止し、国際セキュリティー対策の強化を図る観点から、大型エックス線検査装置を初めとする各種エックス線検査装置、また、不正薬物・爆発物探知装置等を活用した検査、空港、港湾における監視、巡回等の取り締まりを実施しているところでございます。

 また、輸入貨物等の事前情報を活用した取り締まりを行うため、積み荷等に関する情報の早期入手、また、国内関係機関や外国税関当局等との積極的な情報交換を行っているところでございます。特に、年々増加しております国際郵便物につきましては、従来から、取り締まりの関係でセキュリティーチェックを行っているところでございますけれども、事前情報の入手が可能になった場合には、この事前情報を活用して、爆発物、麻薬などの社会悪物品や知的財産侵害物品等の密輸リスクの高い貨物の絞り込みが可能になります。より効果的、効率的な取り締まりを行うことが可能になると考えております。

 今後は、関係者との連携を図りまして、万国郵便連合における検討状況等を確認した上で、電子的な方法による国際郵便の情報の事前提供に向けた課題の検討とその活用方法について検討してまいりたいと思っております。

 いずれにしましても、税関としましては、限られた定員の中で、貿易円滑化にも配慮しつつ、より効果的、効率的な取り締まりに努めていきたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

杉本委員 次に、郵便送金の方の質問をさせていただきます。

 バンキングビジネスにおける外国為替というものも送金業務がかなり頻繁に行われているという認識を持っていますけれども、松本理事からも質問があったかと思いますが、松本さんの質問では、ほんのごく一部になってしまっているのではないかというようなお言葉だったかと思いますけれども、市場規模で見て、郵便送金業務と銀行業務における外国為替業務、どのような規模に比較できるか、金額、件数といったところで教えていただければと思います。

三ッ矢副大臣 お答えいたします。

 郵便送金の金額及び件数でございますが、平成二十四年度、日本からの送金が、件数にして十万六千件、額にして百七十六億円でございます。日本への送金は、件数で四万五千件、額にして二十四億円でございます。

 また、これと単純比較できる数字ではないと思いますけれども、銀行協会の出しております二十四年版の統計年報では、外国為替円決済総交換高は、件数、これは往復でございますが、六百二十九万件、額にして二千四百六十兆円でございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 次に、国際郵便のお話もあったかと思いますが、民間と公的郵便業務との市場規模の比較で、具体名は避けるとしても、民間では、例えばD社であるとかF社というような、国際郵便物を扱う大きな企業が国際的にあると思いますけれども、この市場規模の比較を教えていただければと思います。

三ッ矢副大臣 これも、万国郵便連合の統計上、郵便事業につきましては、実は民間と公的郵便というような区別は行われておりませんが、その上で、郵便事業の収益は、二〇一一年の数字でございますが、千九百七十億SDR、これは邦貨換算しまして約二十四兆円でございます。また、同じ年、二〇一一年の国際通常郵便の引受数は四十七億通、国際小包郵便の引受数は五・八億個ということでございます。

杉本委員 ちょっと関連質問になるかもしれませんが、郵政関係の分野において、郵政民営化というのが二〇〇五年の総選挙の争点でもあったりしたかと思いますけれども、この民営化の完結編として日本郵政の株式上場というのが予定され、予算上期待される政府の大きな収入源になるかと思いますけれども、現時点での売却収入の想定額を教えていただきたいと思います。

美並政府参考人 お答えいたします。

 郵政民営化法改正法では、日本郵政株式のうち、政府に保有義務のない株式について、政府はできる限り早期に処分するものとされております。

 お尋ねのありました日本郵政株式について、将来における実際の売却額がどうなるかは、今後の日本郵政の経営状況や市場の動向等により大きく変わり得るものでありまして、売却時において市場が評価するものを現時点で算定することは困難であることを御理解いただきたいと思います。

 いずれにせよ、株式の売却価値を高めるため、まずは、日本郵政さんが一層魅力ある企業となるようみずから努力することを期待しているところでございます。

 以上でございます。

杉本委員 今、株式市場はまた高値の方向感であり、米国の株高も受けていると思いますけれども、この株価がいつまで続くかという状況もまた懸念されることでもありますので、やはりタイミングを得た形での売却収入を得ていただきたいとお願いをしておきます。

 次に、郵政事業のレビューというか、民営化のレビューとして、やはり諸外国のケースといったものを改めて確認していく必要があると思いますけれども、民営化先進国と言われ、その後また変遷を経ているやに聞いておりますけれども、ドイツ、ニュージーランドほか、そういった国々の民営化並びに今の現状、今後の方向感、教えていただければと思います。

今林政府参考人 多くの国におきまして、郵便事業は国営による独占事業として創業されておりますが、先進国におきましては、民間手法あるいは資本の導入によりまして効率化、サービス向上を図ることを目的として、民営化を進めるといった動きが出てきておりまして、現在、世界における郵便事業体の経営形態はさまざまでございます。

 例えば、先生御指摘になりましたドイツにつきましては、二〇〇〇年、平成十二年にドイツ・ポストの株式を上場しまして、現在では、政府関係の出資比率は二割程度となってございます。また、ニュージーランドのほか、フランス、イタリアなどにつきましては、日本と同様に、現在は政府が株式を一〇〇%保有する株式会社となっております。他方で、カナダ、オーストラリアなどにつきましては公社などの形態を維持しておりますし、アメリカや中国、韓国などは、現在においても国営事業として提供してございます。

杉本委員 ちょっと、政府調達についての質問は、済みません、省略させていただいて、次に、間もなく発足すると言われているNSCの初代局長に谷内内閣官房参与が就任されるというような報道があり、それを参議院の審議の中で、まだ未定ということで否定はいただいているかと思いますが、どなたが着任するのであれ、この局長のポストは総理がお決めになるかとも思います。

 改めて確認したいんですが、この局長ポストの選考基準、任期の有無、ある場合の任期の期間を教えていただければと思います。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 局長人事につきましては、総理が決めるものでございまして、現時点で白紙であると承知はしておりますが、その上で、一般論として申し上げますと、国家安全保障局長は、国家安全保障政策にかかわる各省庁などの横断的な課題につきまして、平素から、総理の意向を踏まえて、国家安全保障会議に関する業務を恒常的に処理いたしますとともに、総理からの求めがあればいつでも国家安全保障政策に係るブリーフィングを行う準備を整えておく必要があると考えております。

 また、局長は、米国の国家安全保障担当大統領補佐官を初め、各国のNSCの責任者と緊密に意思疎通を行うとともに、緊急事態が発生いたしました際には直ちに対応することが求められると考えております。このため、局長ポストにつきましては、国家安全保障に関する高度な専門性を有し、実務に精通した方を専従させる必要があると考えてございます。

 なお、国家安全保障局長は特別職の国家公務員という位置づけでございまして、その任期につきましては法律上特に定められておりませんで、在任期間を含め、具体的な人事は時の総理の判断で決まっていくものと承知をしております。

杉本委員 その谷内内閣官房参与なんですが、小熊理事からも質問があった部分と重なるかもしれませんけれども、十一月十一日、都内で講演され、北方領土問題について、島の数だけの問題で引き分けとなると恐らく解決にはならない、こう言われて、四島の帰属確定だけにこだわるべきではないとの考えを示唆され、その上で、エネルギーや科学技術の分野でロシアとの協力関係を築いて、戦略的構図の中で北方四島も話し合っていくべきだというようなことをおっしゃられたようでございます。このお話に対して、外務省としてどのような問題意識なり共有する意識をお持ちかどうか。

 先ほどLNGのお話がある中で、ロシアのLNGも重要なんですけれども、一方で、二〇一八年から一九年にかけては、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ナイジェリア等のLNGの産出の増加が見込まれて、本当にロシアのエネルギーが魅力的なのかどうかも逆に心配になってくるようなタイミングにもなっているかと思いますけれども、ちょっとこのあたりも踏まえて教えていただければと思います。

岸田国務大臣 まず、日ロ関係ですが、先ほども紹介させていただきましたが、本年四月の安倍総理の訪ロ以降、半年間で四回の首脳会談が行われるなど、テンポよく政治対話が進んでおります。そして、エネルギー、科学技術、農業、医療、都市環境などさまざまな分野での経済協力、文化、人的交流は大きく進展をしております。

 また、先日の初の日ロ2プラス2も、両国の信頼関係を増進し、そして日ロ関係全体のレベルを高めるという観点から有益であったと考えております。

 そして、今後とも、ハイレベルの政治対話をテンポよく重ね、信頼関係を深め、あらゆる分野の協力を進める中で、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結すべく腰を据えて交渉に取り組んでいく、これが我が国の方針であります。

 御指摘の谷内参与の講演の中身ですが、戦略的構図という部分について、意図するところを必ずしも承知はいたしませんが、先ほど申し上げましたように、日ロ関係全体のレベルを高めて、その中で平和条約締結問題についても進めていく、こういった考えであるならば、我が国の基本的な政策と大きな違いはないのではないか、このように考えます。

杉本委員 以上で終わります。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 郵便二条約については賛成なので、政府調達協定の改正議定書について、大臣に一問、関連して伺います。

 ILOの第九十四号条約は、公契約における労働条項を定めております。その目的は、公契約に入札する企業間の競争によって労働者の賃金や労働条件を悪化させないようにするためとされております。

 大臣、なぜ日本はまだこれを批准していないんでしょうか。

岸田国務大臣 国や地方自治体が発注する契約において適正な賃金が確保されるようにすること、これは重要な課題だと認識をしています。

 他方で、我が国において、賃金等の労働条件は、労働基準法、最低賃金法等の国内法令に反しない限りにおいて、労使が自主的に決定することとされています。

 また、政府として、予算の効率的な執行を図ることも必要であります。

 ですから、こういった事情から、法律により賃金等の基準を新たに設けるということについては、幅広い観点から慎重な検討が必要であると考えております。

 公契約における労働条項を定めたこのILO第九十四号条約については、今申し上げましたような我が国の法制度との整合性等の観点から、現在まだ批准に至っていないものであると認識をしています。

笠井委員 既に地方自治体レベルでは公契約条例を制定して改善努力が始まっているわけですが、政府としても直ちにやはり批准をして、公契約法の制定を急ぐべきだと思います。

 そういう点では、近年、官公需における受注をめぐって、際限のないダンピング、低価格競争が起きております。その結果、既に労働者、下請業者へのしわ寄せを招いているもとで、政府調達協定改正議定書の締結というのは、今後、中小企業の受注減少に拍車をかけることになる、そういう点で、本承認案件には反対であります。

 そこで次に、前回、十一月二十七日の当委員会での私の質疑に関連して幾つか伺います。

 経済産業省がトルコの原発建設予定地のシノップで実施中の断層調査で、委託先の日本原電が受注事業の大半を別の三社に再委託している企業名を公表するように求めたのに対して、前回、田中政務官は、お答えは差し控えさせていただきたいと答弁しました。ところが、経産省の提出資料によれば、三社のうち一社がダイヤコンサルタントと明記されておって、そして、答弁と矛盾するということで説明を求めておりましたが、確認した結果、副大臣、いかがでしょうか。

赤羽副大臣 お答えをさせていただきます。

 今、一昨日の本委員会で笠井委員から御質問があった件でございます。

 今のような御指摘があったということを受けて事実関係を確認させていただきましたところ、当該箇所は、経済産業省資源エネルギー庁として情報開示しないと決定した内容であるにもかかわらず、点検のミスにより開示を行ってしまったものでございます。このことで本委員会の議論の混乱をもたらしたことも含めまして、大変不適切な対応だったということを改めておわび申し上げたいと思います。

 経済産業省といたしましては、今般の事態を受けまして、このような不適切な開示が二度と起こらないように、ダブルチェック体制等々の徹底した再発防止を行う次第でございます。

 大変申しわけございませんでした。

笠井委員 ミスだ、不適切だと。私は、何が不適切かと言いたいと思うんですね。国民から見たら、適切な開示が一部あっただけであります。

 本事業を請け負った日本原電、そして明らかになっている一部のダイヤコンサルタントといえば、いずれも敦賀原発で断層調査をそろって請け負って、活断層を活断層ではないと主張しているようなところであります。その上、ダイヤコンサルタントは、トルコでの原発受注予定の三菱重工業のグループ企業であります。まさにトルコの原発建設受注を見越して業者選定がやられているのではないかという疑いを持たざるを得ない。

 今回、委託先企業の選定に当たって、募集要領によれば、第三者の有識者で構成される委員会で審査を行い決定するというふうにあります。

 前回、田中政務官は、この委員会の開催数を尋ねたところ、開催数は一回というふうに答弁しましたが、では、何月何日にどこで開催されて、何をやった会議なんでしょうか。

赤羽副大臣 まず冒頭、再委託先の企業名云々の情報開示につきましては、前回の委員会で田中政務官からもお答えをさせていただいたと思いますが、これは情報公開法の第五条第二号に当たるということで、開示はできないという立場でございます。

 そして、今、笠井さんから御質問のありました第三者委員会の開催についてでございますが、まず、第三者委員会の委員の先生方と開催形式を御相談させていただきまして、書面の持ち回り審査の形で、メール等で御意見をお諮りするということで開催するということを決定させていただきました。

 それで、六月二十八日の提案書の締め切りを受けて、六月二十八日から、七月三日締め切りということで、企画提案書を各委員の皆様方にメールで送付いたしまして、評価の依頼をさせていただきました。七月四日に、委員の皆様から提出を受けた審査結果をもとに審査結果報告書案を確定して、それぞれ各委員の皆様にもお知らせをしているところでございます。

笠井委員 何が国民の利益かという立場からの情報公開だと思いますので、その点は言っておきたいと思うんです。

 確認したいんですが、今、答弁でいただいた、要するに、有識者、第三者の会議を一回開催したというのは、七月四日の電子メールによる、書面、ペーパーの持ち回りというものだと。実際に委員が顔を合わせた会議は開いていないということでよろしいですね。

赤羽副大臣 先ほどお答え申し上げましたように、こうした形式で開催をするということを第三者委員会の皆様と事前に協議した結果でございますので、顔を合わせての会議は開いておりません。

笠井委員 十一億を超える税金を使う案件ですよね。国民の税金です。第三者の有識者だからきちんとやっているんですと言いますけれども、一回も委員が集まった会議をやっていない。それを、電子メールの送信をもって、前回、一回やったというふうに答弁した。よくも言えたものだと思うんですよ。外務委員会だって、委員が集まれないからお互い電子メールで確認して、一回委員会をやりましたなんて、そんなことを言ったら大変なことになりますよ、国民に対して。

 では、第三者の有識者ということでありますけれども、四人の委員ということでありますが、四人の委員を選任、選定したという決裁文書、個人名は誰かというのは別として、四人を選びましたという決裁文書を資源エネルギー庁に求めたところ、私のところに文書が来ました。

 「添付の決裁文書において、外部有識者の選定、当該外部有識者による審査結果及びそれらを踏まえた委託契約の締結について伺う旨の決裁を行っております。」ということで添付した決裁文書があるんですが、文書番号は二〇一三〇七一〇財資第十三号と書いてありまして、件名が「委託契約の締結について」、伺い文が「上記の件について、日本原子力発電株式会社取締役社長濱田康男と契約書案により委託契約を締結してよろしいか伺います。」という決裁文書であります。

 この中で、四人の委員を選定したということについても決裁を得ているということで、そういう注をつけてやってきているんですけれども、私、この文書を見たんですが、どこを見ても、今回の案件で、第三者の有識者四人を選定するということについて、しました、あるいはします、よろしいですね、オーケーです、そういう文言というのは全くないんですね。

 どこに書いてあるんですか。説明してください。

赤羽副大臣 今回のような企画競争における審査につきましては、平成十八年の財務省通達で、審査の公正さを担保するために、業務担当部局だけではなく契約担当部局が関与する等により競争性及び透明性を担保するとされております。しかし、これだけでは不十分だというふうに考えて、経済産業省としては、さらにもう一段公正さを向上する観点から、原則として外部有識者だけで審査することとしておるところでございます。

 いずれにしましても、この委託契約の締結時に、第三者委員会に選定されたメンバーについて、また、審査プロセス等についても、省内で十分検討して、最終的に省内決裁が行われることとなっております。

笠井委員 だから、それを決めたという決裁の文書を下さいねと言ったら、これが文書ですといってくれたんですよ、経産省が。でも、書いてないんですよ。

 今言われたのは財務省のことで、企画競争における有識者会議の活用について述べたという話とか、そういう話というのは一般的な話にすぎないわけですね。

 今回の案件について、案件ごとに外部の有識者の意見を聞くというので委員を選んだといって、やっているわけでしょう。これをもって選びました、これでいいですよといった決裁文書はあるんですかと聞いたら、くれた文書はこの文書なんですけれども、皆さんに配ればよかったんだけれども、何も書いてないんですよ、有識者会議について、選びましたとか、選びますとか、いいですかとか。

赤羽副大臣 済みません、正しくお答えしているかどうかわからないんですが、それぞれの委員の皆さんから、先ほど言いました日程の中で審査の報告をいただく中で、契約プロセスを果たしているというふうに我々は認識をしております。

笠井委員 違うんです。選んだ後どうやったかという話は、会議も、一回も顔を合わせずにやったという話がさっきあったんですが、この四人の方、どなたか知りませんが、四人を選んで、この案件について第三者の有識者委員会としてやってもらいますということについて、省内でも決裁するとさっき言われたんですよね。決裁すると言ったけれども、決裁した文書を下さいと言ったら、これですともらったんだけれども、どこにも、四人を選びますとか、いいですかとか、書いてないんですよ。意味不明なんですよ。

赤羽副大臣 その決裁・供覧文書、お示しをしたものについての参考資料として、この四名の方の資料がついているというふうに認識をしておりますが。

笠井委員 私が聞いているのは、今回の案件については、さっき副大臣がおっしゃったみたいに、関係者だけじゃやっていけないので、経産省としては、第三者の有識者の話も聞いて、意見も聞いて、採点してもらって、採点した結果というのは黒塗りでもらいましたけれども、そうやってやったんだけれども、その四人というのを、第三者としてやってもらいますよというふうに省内で決めたという文書があるんですか、いつどうやって決めたんですかということを聞いているんです。

赤羽副大臣 事後的に、先ほど申し上げましたように、委託契約締結時に整えるということでございます。

 済みません、私、御質問の意味がちょっと定かじゃないので。

笠井委員 私が聞いているのは単純な話なんですね。

 当事者だけじゃない、関係者だけじゃなくて、第三者の有識者の意見も聞いてきちっとやりますからということで、公正中立と言われたわけですよ、前回も含めて。それを、こういう四人の方々、名前は個人だからと言われて出さないけれども、こういう四人の方にやってもらいますよと省として決めたというのがあるでしょう、だって。それは、顔を合わすかどうかは別として、四人なんだから。四人の皆さんにというのを、勝手に担当者が決めてぱっとやるんじゃなくて、この四人の皆さんでいいですかという決裁があるでしょうと言っているんですよ。

赤羽副大臣 その選定のプロセスというのは、先ほど申し上げたとおりになるんですけれども、それぞれの審査とか御評価をいただいた上で、最終的に、先ほど申し上げましたような省内決裁を締結時にするときに、本当に今回の委員の方たちに対してどうなのかということを、事後的にでありますが、担保しております。

笠井委員 そうすると、私は、四人を選んだことについて決裁があるのかと聞いているのに、やってもらった後に事後的に評価を出してもらって、この方たちでやりましたという話を、まとめて何かという話なんですか。だって、普通は、第三者委員会をつくるんだったら、この人にやってもらいますというのをまず決めるでしょう。それを聞いているんですよ。

 それを、勝手に四人でやってもらった後に、いや、評価をいただいた後、事後的にと今言われたから、後からこの委員会でしたよということも含めて結果として出したんですみたいな話ですか、これは。

赤羽副大臣 同じ答えになってしまうんですが、ちょっと、笠井先生が言われた話は、非常に乱暴な話になるので……(笠井委員「乱暴じゃないですよ。委員長、ちょっとだめだよ。乱暴な話って、何で乱暴なんだよ」と呼ぶ)いや、いいかげんに選んでいるわけじゃありませんし、出てきて、御意見を聞いて、締結後のときに、最終的な省内の決裁を行うときに、事後的に再評価をして、最終的な決断を下す、決断というか認識を整えるということであります。

笠井委員 撤回してもらいたいですよ。乱暴な質問とは何ですか。私は丁寧に聞いているじゃないですか。

 選定先というのは、委託先の話をしているんじゃないんですよ。四人の人たちにお願いしますということについて、その選任、選定について、いつどうやって決裁したんですかと聞いているんじゃないですか。丁寧に聞いているでしょうが。

赤羽副大臣 私、乱暴な質問などということを申し上げたわけじゃ……(笠井委員「乱暴に言われたと言ったじゃないですか。撤回してくださいよ」と呼ぶ)いや、そういうことも言っておりませんから、撤回する必要もございません。(笠井委員「だめですよ、そんなの。委員長、だめですよ、さっきそう言ったんだから。乱暴な質問と言ったんだから」と呼ぶ)いや、言っていません。議事録を見ていただければいいと思いますが、私の申し上げたかったことは、先ほど、四人の方が……(笠井委員「だめですよ、これは。乱暴と言いましたよ、はっきり。では、議事録を精査してください。とめてください」と呼ぶ)

鈴木委員長 それでは、理事会で議事録を精査して、確認をしたいと思います。

 質問を続けてください。

赤羽副大臣 私が申し上げたかったことは、四名の先生方が顔も合わせずに、議論もしないというようなことがありましたが、これは、私たちにとりましては、この第三者委員会の皆様とどういう形式で開催をするかということを議論した上で、そしてその中で、その決定したプロセスで委員会が行われたものでありまして、顔を合わせないから、何かあたかもまじめな議論がされていなかったかというのは、それは相当違った事実だということを私は申し上げたかったわけです。

笠井委員 全く意味不明ですよ。(発言する者あり)答弁になっていない。

 四人をどうやって決めたかもわからない。それで、顔も合わせていないんでしょう。こんなことを言われて誰が信頼できますか。本当に実態がある委員会なんですか、これは。第三者の有識者というふうに言っているけれども。

 では、聞きますが、委員四人の中に、まさか、経産省のOBとか、あるいは原子力業界などの利害関係者が含まれていないでしょうね。どうですか。

赤羽副大臣 四名の方、存在しておりません。(笠井委員「存在していない」と呼ぶ)今言われたような方は、該当者はおりません。

笠井委員 では、それがいないということを証明できる根拠を出してください。信じろと言われたって、信じられないよ。だって、一回やったと言って、一回だってごまかしたじゃないですか。

赤羽副大臣 これは堂々めぐりみたいな話になってしまいますが、前回の委員会からお答えをさせていただいておりますように、情報公開法の第五条第一号に当たりますので、特定の個人を識別できる情報であり、情報公開法に定められた不開示情報に当たることから、公にすることは差し控えたいと思います。

笠井委員 もう時間が来たというから、これは、ちょっとさっき、理事会協議を含めてちゃんとやってもらいますけれども、前回の政務官答弁で、公正であるべき公募手続に係る意思決定の中立性を損なうともっともらしいことを言ったけれども、第三者の有識者といっても、顔を合わせた会議もやっていない、委員の選定基準、いつ決裁したかも不透明、そして委員四人の名前も言えない。実は関係者が入っているんじゃないか、発覚しているんじゃないかと言っても、そうじゃないという証拠は出さないわけでしょう。あるんだったら出してほしいと思うんですよ。不適切な開示だなどといって役所の言い分を認めていたら、国会はチェックなんかできないですよ。開示したことについて、経産省は日本原電には謝罪したと言いますけれども、隠していてごめんなさいと謝るべきは、国民に対して謝らなきゃいけないよ。

 これも、委員長、開示問題、改めて私は求めたいと思いますので、さっきの議事録精査を含めて、しっかりと理事会で協議をお願いしたいと思います。

 終わります。

 委員長、ちょっと一言。

鈴木委員長 理事会で協議したいと思います。

 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーです。

 万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約、郵便送金業務に関する約定、そして政府調達に関する協定を改正する議定書について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、今回提出されております条約、特に万国郵便連合の関連に関しては、改正の背景の資料の中に、予算の効率的な執行、個人情報保護などなど、いろいろその背景があり、そして主な改正点は、一般規則、条約、約定等々、その内容について資料として挙げられております。

 まず最初にお伺いしたいと思いますが、この万国郵便連合、UPUというふうにいうそうですが、このUPUの常設機関の中に、管理理事会、郵便業務理事会、諮問委員会、それから国際事務局ほか、いろいろな常設機関があるわけですが、この中の管理理事会についてまずお尋ねしたいと思います。

 この管理理事会は、外務調査室の資料によりますと、「予算の効率的な執行のため、管理理事会に対し、大会議により承認された連合の四年ごとの事業計画案について、実際に利用可能な財源と一致させたうえで確定させる権限を付与した。」というふうにあります。「管理理事会は、この確定された事業計画を考慮に入れ、連合の年次計画及び予算等を審査し、承認する権限を有すること」も今回の改正で盛り込まれております。

 この管理理事会についてお伺いしたいと思いますが、管理理事会、恐らく各国の拠出金などでもろもろこの常設機関が運営されているものというふうに思われますが、管理理事会に対する予算の拠出の状況についてまずお聞かせください。

香川政府参考人 お答え申し上げます。

 万国郵便連合の予算につきましては、加盟国の分担金によって運営されておりまして、主要国の拠出が、それぞれカテゴリーごとに分けられて拠出をしているということになっておりまして、管理理事会につきましても、この各国の分担金による予算の中で運営が図られているということでございます。

玉城委員 その予算額についても本当はお聞きしたいところではあるんですが、それぞれカテゴリーごとの内容で分けられているということですので、また機会があればお尋ねしたいと思いますが、この管理理事会における日本の権限及び役割についてはどういうふうになっておりますでしょうか。

香川政府参考人 お答え申し上げます。

 管理理事会におきましては、事業計画を決める役割を今回担うようになったわけですけれども、我が国として、現在、管理理事会の理事国を務めておりまして、特に財政事業計画を議論する管理理事会の第二委員会におきましては、共同議長国として主導的な役割を担っております。

玉城委員 では次に、国際郵便における内容物等の問題についてちょっとお尋ねしたいと思います。

 これも外務調査室の資料によりますと、加盟します各国や関係機関は安全強化策について規制を要望しているということで資料に挙がっております。二〇一〇年の諸外国における航空貨物や国際郵便物からの爆発物の発見事案は、航空便による小包輸送の脆弱性を明らかにしたことから、各国が国際郵便網の安全性を高めるということで、それがやはりもろもろ問題になってきているわけですね。

 当然ですけれども、その内容に関して、資料の中でも、例えば、我が国の税関における主な不正薬物の密輸形態別件数で、航空機旅客等による密輸、これは不正薬物の件なんですが、それが、構成比、一〇〇%のうちの四二%、国際郵便物を利用した空輸もやはり四二%と、かなり薬物が不正に運ばれているというデータが出ております。それから、覚醒剤の密輸形態別の摘発実績では、旅客機では六〇%、国際郵便物を利用した密輸でも二二%というふうになっているわけですね。

 ですから、こういう国際郵便の中で不適切な物品が運ばれたり、あるいはそのチェックをしていくというふうなことに関しては、国際間、加盟国間でも議論が上がってきているということについて、いわゆる国際郵便における内容物等の問題等について、各国の対応への協力体制がどのようになっているのか、お尋ねいたします。

香川政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のとおり、各国と協力いたしまして、このような違法な薬物でありますとか爆発物、危険物につきまして、郵便を利用したそういう違法なやりとりが行われないように努力しているところでございます。

 我が国といたしましても、麻薬等の禁制品が郵便物に含まれている場合には、郵便法や関税法等の関連法に基づきまして、違反者への罰則を含む適切な措置をとられるようにしておりますけれども、各国とも、関係当局と連携して、こういう措置を協力してとっていくように努力しているところでございます。

玉城委員 金融庁はきょうはお願いしていないんですが、例えば、マネーロンダリングだとかもろもろ、やはり取り扱う内容については、それぞれの国できちんと対応するというふうなことがまず真っ先にとられなければならない対応ですが、国際間、万国郵便連合、UPUでもさまざまな問題がやはり提起され、それが四年に一回の大会議のみならず、例えば、毎年の実務者の連絡ですとか、あるいはまた、適宜適切に、そこは内容に対してきちんと情報の共有もなされるべきだというふうに考えております。

 さて、次に質問させていただきます。

 今度は、配達コストの実態について、配達コストを考慮した補償の内容という件についてお尋ねしたいと思います。

 この補償内容に関しても、配達は、相手国、それから配達される国、それから第三国にわたるさまざまなルートを考えると、コストの負担についていろいろな形が出てくると思います。この補償方式、配達コストを考慮した補償方式と言われる内容と、この補償方式の内容を改善することによって収支の改善にもつながるのかどうかについてお尋ねしたいと思います。

香川政府参考人 お答え申し上げます。

 万国郵便条約におきましては、御指摘いただきましたように、配達コスト補償方式、すなわち、郵便料金を収納する差し出し国の事業体から名宛て国の事業体に対して、到着料と呼ばれる一種の手数料が支払われることになっておりまして、これは、名宛て国の事業体が負担する国内の配達コストを補償するためのものでございます。例えば、アメリカから日本に送付される郵便物であれば、日本国内の配達コストを補償するために、アメリカの郵便庁から日本の郵便株式会社に到着料が支払われるというシステムでございます。

 今回の改正によりまして到着料率を改定いたしまして、配達コストが正確に反映されるように、段階的に四年間で約一五%引き上げられるということになっておりまして、我が国に到着する郵便物は、我が国から差し出される郵便物より多い入超でございますので、到着料収入は増加する見込みでございます。

玉城委員 ありがとうございます。

 郵便に関してあと一点お伺いいたします。

 今回は、個人情報関連規定の整備ということで、これもやはり、郵便条約それから郵便送金業務に関する約定の中でも個人情報保護をしっかりと取り組まなければならない、強化していかなければならないということが挙げられています。個人情報の保護に関して、各国間の取り組みに関する情報の共有体制及び問題発生への対処についてお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 個人情報保護に対する国際的な意識の高まりを受け、本関連文書において、個人情報保護に関する郵便事業体の義務が明記をされました。具体的には、加盟国及び郵便事業体が、国内法令に従い、個人情報の利用及び提供を制限すること、郵便事業体が郵便の利用者に個人情報の利用や収集目的について周知させること等を規定しております。

 実際に違反があった場合には、加盟国は各国の国内法令に従って措置をとる、このようになっております。よって、具体的な措置の詳細は加盟国の国内法によって異なり得るわけですが、我が国の場合で申し上げるならば、個人情報の保護に関する違反事例が起こった場合、個人情報の保護に関する法律に基づいて適切な措置がとられることになります。

玉城委員 ありがとうございます。

 では、もう時間も残り少ないんですが、政府調達に関して質問させてください。

 幾つか質問があるんですが、一つ飛ばして、今回は、開発途上国の加入の促進ということで、特別な配慮等々も含めた加入促進を強化するというふうなことが挙げられております。この開発途上国の加入について、加入に関する調達市場の現況についてお尋ねしたいと思います。

五嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、現在の政府調達協定には、WTO加盟国百五十九カ国または地域がございますが、そのうちの先進国を中心とする四十三の国または地域が加入しておりますが、改正の協定では、開発途上国に対しまして特別な配慮等を講じております。これによりまして、さらに多くの途上国の加入が進むと考えております。現在、モンテネグロ等十カ国が加入申請、マレーシア等十七カ国がオブザーバーとなっております。

 これによりまして、我が国にとっては、途上国が協定に加入することのメリットといたしまして、今後、我が国企業が参入できる政府調達の市場が広がる、途上国で調達手続の透明性や苦情の申し立ての手続が確保されて、進出が容易になるというふうに考えてございます。

玉城委員 先進各国がこのWTOに参加する中で、有志国の協定になっているのがこの政府調達の協定なんです。

 そこで、さらに、やはり開発途上国も、さまざまな投資が行われている各国間の中で、有効な参入をしていくためにハードルを下げていこうということで、さまざまな調達市場の拡大を目的とするものであるということはもうはっきりしているわけですが、しかし一方で、この協定を改正する場合に、今度はやはり日本国内企業への影響についてもお尋ねしなければなりません。

 この協定改正に関する企業への影響、特に国内の中小企業に対する調達市場等の影響についてどのようなものがあるか、あるいは特に問題がないのか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。

岸田国務大臣 今回の改正によりまして、新たに協定の対象に追加される我が国の機関、サービス等は、おおむね、これまでも我が国が自主的に外国企業に対して開放してきたものであります。したがって、この改正によりまして、我が国企業が国内において従来以上に過当な競争にさらされる可能性は低いと考えております。

 一方で、今回の改正によりまして、他の締約国の対象機関、サービスが拡大するとともに、より多くの開発途上国の加入が進むことが見込まれます。その結果、我が国の企業にとってのメリットとして、他の締約国の政府調達市場への参入機会がさらに増大する、こういった点は期待されると考えます。

玉城委員 ありがとうございました。時間ですので、質問を終わります。ニフェーデービタン。

鈴木委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 これより各件に対する討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、万国郵便連合一般規則(二千十二年のドーハ大会議において改正され、及び採択されたもの)及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、郵便送金業務に関する約定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、政府調達に関する協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

鈴木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十九分散会


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