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第5号 平成14年4月2日(火曜日)

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平成十四年四月二日(火曜日)
    午前九時四十二分開議
 出席委員
   委員長 鉢呂 吉雄君
   理事 岩永 峯一君 理事 大村 秀章君
   理事 金田 英行君 理事 原田 義昭君
   理事 佐藤謙一郎君 理事 鮫島 宗明君
   理事 白保 台一君 理事 山田 正彦君
      岩倉 博文君    岩崎 忠夫君
      梶山 弘志君    金子 恭之君
      上川 陽子君    北村 誠吾君
      熊谷 市雄君    小西  理君
      後藤田正純君    七条  明君
      高木  毅君    西川 京子君
      浜田 靖一君   吉田六左エ門君
      小平 忠正君    後藤  斎君
      津川 祥吾君    筒井 信隆君
      楢崎 欣弥君    堀込 征雄君
      山内  功君    江田 康幸君
      高橋 嘉信君    中林よし子君
      松本 善明君    菅野 哲雄君
      山口わか子君    藤波 孝生君
    …………………………………
   農林水産大臣       武部  勤君
   農林水産副大臣      遠藤 武彦君
   政府参考人
   (外務省アジア大洋州局審
   議官)          佐藤 重和君
   政府参考人
   (外務省経済局長)   佐々江賢一郎君
   政府参考人
   (厚生労働省医薬局食品保
   健部長)         尾嵜 新平君
   政府参考人
   (農林水産省大臣官房長) 田原 文夫君
   政府参考人
   (農林水産省総合食料局長
   )            西藤 久三君
   政府参考人
   (農林水産省生産局長)  須賀田菊仁君
   政府参考人
   (農林水産省経営局長)  川村秀三郎君
   農林水産委員会専門員   和田 一郎君
    ―――――――――――――
四月一日
 BSE緊急措置法の成立に関する請願(大畠章宏君紹介)(第一二一九号)
 同(金子善次郎君紹介)(第一二二〇号)
 同(河村たかし君紹介)(第一二二一号)
 同(北橋健治君紹介)(第一二二二号)
 同(小林守君紹介)(第一二二三号)
 同(五島正規君紹介)(第一二二四号)
 同(今田保典君紹介)(第一二二五号)
 同(佐藤謙一郎君紹介)(第一二二六号)
 同(高木義明君紹介)(第一二二七号)
 同(永井英慈君紹介)(第一二二八号)
 同(永田寿康君紹介)(第一二二九号)
 同(松本龍君紹介)(第一二三〇号)
 同(山田敏雅君紹介)(第一二三一号)
 同(黄川田徹君紹介)(第一二四一号)
 同(北橋健治君紹介)(第一二四二号)
 同(佐藤謙一郎君紹介)(第一二四三号)
 同(塩田晋君紹介)(第一二四四号)
 同(徳田虎雄君紹介)(第一二四五号)
 同(永井英慈君紹介)(第一二四六号)
 同(細野豪志君紹介)(第一二四七号)
 同(松本龍君紹介)(第一二四八号)
 同(山田敏雅君紹介)(第一二四九号)
 同(川内博史君紹介)(第一二六六号)
 同(北橋健治君紹介)(第一二六七号)
 同(佐藤謙一郎君紹介)(第一二六八号)
 同(鮫島宗明君紹介)(第一二六九号)
 同(仙谷由人君紹介)(第一二七〇号)
 同(羽田孜君紹介)(第一二七一号)
 同(伴野豊君紹介)(第一二七二号)
 同(細川律夫君紹介)(第一二七三号)
 同(三井辨雄君紹介)(第一二七四号)
 同(石毛えい子君紹介)(第一二九一号)
 同(枝野幸男君紹介)(第一二九二号)
 同(奥田建君紹介)(第一二九三号)
 同(北橋健治君紹介)(第一二九四号)
 同(佐藤謙一郎君紹介)(第一二九五号)
 同(鳩山由紀夫君紹介)(第一二九六号)
 同(伴野豊君紹介)(第一二九七号)
 同(三井辨雄君紹介)(第一二九八号)
 同(山村健君紹介)(第一二九九号)
 同(石原健太郎君紹介)(第一三四二号)
 同(北橋健治君紹介)(第一三四三号)
 同(桑原豊君紹介)(第一三四四号)
 同(後藤茂之君紹介)(第一三四五号)
 同(佐藤謙一郎君紹介)(第一三四六号)
 同(筒井信隆君紹介)(第一三四七号)
 同(伴野豊君紹介)(第一三四八号)
 同(松本龍君紹介)(第一三四九号)
 同(三井辨雄君紹介)(第一三五〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 農業経営の改善に必要な資金の融通の円滑化のための農業近代化資金助成法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)
 農業法人に対する投資の円滑化に関する特別措置法案(内閣提出第二二号)


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     ――――◇―――――
鉢呂委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、農業経営の改善に必要な資金の融通の円滑化のための農業近代化資金助成法等の一部を改正する法律案及び農業法人に対する投資の円滑化に関する特別措置法案の両案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長田原文夫君、農林水産省総合食料局長西藤久三君、農林水産省生産局長須賀田菊仁君、農林水産省経営局長川村秀三郎君、外務省経済局長佐々江賢一郎君、外務省アジア大洋州局審議官佐藤重和君及び厚生労働省医薬局食品保健部長尾嵜新平君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
鉢呂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
鉢呂委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大村秀章君。
大村委員 おはようございます。自由民主党の大村秀章でございます。
 本日は、政府提出の金融関係の法律、そしてまた農業法人の育成の法律、この二法案につきまして、時間が限られておりますけれども、御質問をさせていただきたいというふうに思っております。大臣及び経営局長におかれましては、時間が限られておりますので、簡潔明瞭に御答弁をお願い申し上げたいと思います。
 それで、実は先般の委員会で、私が決議の党内手続でちょっと席を外しておりました折に、武部大臣から、私の北海道の農家での研修につきましてお触れをいただいたということをお聞きいたしました。
 あの後、私ちょっと、あれは何年前かなと思って勘定しておりましたら、昭和五十八年の夏から秋でございまして、今から十九年前でございます。武部大臣よく御存じのように、斜里町峰浜の藤盛俊夫さんというところに私は寝泊まりをさせていただきまして、研修をいたしました。ちょうどその折が武部大臣の最初の選挙の前だったということもありまして、その家の玄関に大臣のポスターがべたっと張ってありましたので、その当時から何となしにおつき合いをしているような、そんな感じがいたしておりました。
 その農家に十数年後に、実は私、もう一度訪ねたことがあったんです。そのときに、十九年前に中学生だった一番長男の子が、そのときもう二十七、八になっていたと思いますが、立派に後を継いで、当時経営規模が、十九年前四十五町歩でやっていたのが、それから十数年たって七十何町歩へふえて、それだけやはり厳しい状況の中で、とにかく前向きに投資をし、そしてしっかりと農業経営を組み立てておられる、そういうのを見て本当にうれしいなというふうに思った次第でございます。そういう一生懸命やっておられる農家、その農家のお一人お一人の汗に我々やはり報いていかなければいけないんじゃないか、そんなことを改めて思い起こした次第でございます。
 そういうことから、大臣御案内のようにといいますか、私ども、ちょうど三年前に新しい食料・農業・農村基本法をつくったわけでございまして、それを受けてちょうど二年前に基本計画もつくったわけでございます。そういうのを受けて、とにかく効率的で安定的な農業経営をつくっていこうということで施策を進めてきたところでございます。
 昨年は、大臣御就任以来、武部プラン、それから重点計画といいますか、重点プランをつくって、農業政策の中で大きなウエートを占めております補助とかいろいろな制度、枠組みというのはあるのでありますけれども、金融というのも大きな位置づけだと思うわけでありまして、その金融につきましても、できるだけ効率化、重点化をしていこうという方向を打ち出されたところでございます。
 改めて私が申し上げるまでもなく、この農林水産の制度金融というのは、一般の金融に比べてどうしても長期、そしてまた低収益であるということから、やはり制度金融の役割は非常に大きいということでございます。そういう中で、今回の一連の基本法制定の流れの中で、できるだけ効率的かつ安定的な農業経営を育成する、それから、育成すべき農業経営に施策を集中するという方向を打ち出されたわけでございまして、担い手向け資金の再構築というのが今回の法律のやはり一番の主眼だと思っております。
 そういう意味で、必要な資金が円滑に、わかりやすく、使いやすく供給されるということが今回の法律改正の一番大きなポイントだというふうに思うわけでございますが、そういう意味で私はこれは評価をしたいと思うわけでありますけれども、今回の制度資金の再構築につきまして、改めて、その意義、また趣旨を大臣からお伺いしたいと思います。
武部国務大臣 斜里の峰浜の藤盛さん、大村先生が代議士になられたときに、本当に農林省出身で、なおかつ農業のことに詳しい大村さん、随分頑張ったと強い印象を受けておりまして、その影響を息子さんも大変受けたようであります。本当に先生の御活躍を期待しているようでございますので、また頑張ってください。
 今、食料・農業・農村基本法の理念に基づいて、もう言うまでもないことですが、食料の安定供給、多面的機能の発揮、農業の持続的な発展、農村の振興、この四つが基本理念でありまして、食と農の一体化の推進を図っていくための原理原則ということに相なるわけでございますが、私どもといたしましては、今委員御指摘のように、農業政策としては、効率的、安定的な経営体が農業生産の大宗を担う農業構造の確立ということに向けて、構造改革に着手しているわけでございます。
 そのためには、意欲と能力のある経営体に対しまして強力な支援をしていくことが重要でございますし、こうした支援の上で、農業者の創意工夫を生かせる融資というものは極めて有力な政策手法である、このように思っているわけであります。
 今回の制度資金の再構築は、この融資制度がより適切に機能するよう、資金使途の拡大、保証制度の充実、手続の一元化等を図ろうとするものでございまして、具体的には、農業近代化資金については、施設資金だけでなく、賃借権の一括前払いなど経営の改善を図るのに必要な長期運転資金を追加いたしましたし、農林漁業金融公庫資金の経営体育成強化資金を土地利用型農業だけでなくて全農業種目に拡大いたしました。
 農業改良資金については、農業の担い手が加工の分野や新作物の導入といったチャレンジするための資金へと改めるようにいたしました。また、農業信用基金協会による債務保証の対象に追加するといった措置も講じようとしているわけでございます。
 このほか、今回の法律改正にあわせまして、実際の審査や機関保証の手続等、運用面でも大幅な改善を図ることといたしておりまして、これらが相まって、担い手の皆さん方にとって真に使いやすく、わかりやすいものとなるような取り組みに努めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
大村委員 ありがとうございました。
 最後に大臣言われました、真にわかりやすくて使いやすい、そういう制度金融をやはりつくっていく必要があるということだと思います。
 そういう意味で、私は、今回の法律、制度改正は大変意義のあるものだというふうに思うわけでありますけれども、実際に現場でこれが役に立たないと意味がないと思うわけでございまして、我々の仕事もそうでありますし、また農業、いろいろな産業もそうでありますが、やはり現場主義というのが私は一番大事だと思うわけであります。
 そういう意味で、今回の制度に、今大臣言われましたように、窓口が一本化をする、いろいろなそれぞれの農家のメニューに合わせて、ニーズに合わせてこれが使われるということが望ましいわけでありますけれども、その具体的な運用に当たって、それを十分念頭に置いて対応していただきたいということを一つ申し上げておきたいと思います。
 それから、時間がありませんのでもう一つ申し上げたいと思いますが、制度資金の貸し付けの実績が近年やはり低迷をいたしております。これは、農業だけでなくて日本の経済全体をめぐる状況が大変厳しいということもあって投資を手控えているということも大きいんじゃないかというふうに思います。
 特に、土地の値段がどんどん、この間の発表になった公示地価では十一年連続下がっておりますので、そういう中で新たな投資をするというのは農家にとってもなかなかつらいというところはあると思いますし、また農業経営をめぐる状況もなかなか厳しいということで投資が伸び悩んでいる、それをもって融資貸付実績も伸び悩んでいるということも大きな原因だろうと思います。
 これは、即効薬はないと思いますけれども、ある意味で我々がやっております、進めている農業の構造改革等農業振興、そういう施策を地道に着実にやっていくこととあわせて、やはり農業者みずからの御努力によってこの農業の振興、活性化を進めていただきたいというふうに思うわけであります。
 先ほどの実際の運用に当たってのお考えと、それからまた、今回の制度改正によって資金需要が回復をするといいますか、農業投資がまた盛り上がってくるというような、そういうことのきっかけになるのかどうか、むしろしていただきたいと思うのでありますけれども、そのお考えをぜひお聞かせいただきたいと思います。
川村政府参考人 まず、運用面でのお話がございました。
 これまで制度資金につきましては、まさに現場で、どの資金を借りていいかわからないとか、手続が煩雑でわかりにくい、また、融資を断られた理由がわからない等、御指摘があったわけでございます。こういった問題点を踏まえまして、今回の見直しにあわせまして、農家にとって本当に使いやすい資金となるように運用面でも改善をするということにしてございます。
 それは、まず、融資の申込書の様式を統一いたしまして、農業者自身が自分の経営状況をチェックできる、また融資機関での審査のポイントがよくわかるといったような形にするということがまず一つございます。
 それから、その融資申込書を農業者が日ごろ取引をしております融資機関に提出しますと、その融資機関が連携をいたしまして審査を行いまして、その農業者にとって最も適切な資金の融通が行われるような一元的な融資システムといったことをしております。
 また、債務保証につきましても、適切な経営改善計画を策定していただきまして、その融資審査がクリアできますと、一定額、認定農業者は千八百万、その他の担い手は千五百万で、また、法人につきましてはそれぞれ倍になりますけれども、物的担保あるいは第三者の保証人の提供がなくても確実に機関保証が受けられるようということでの措置もしてございます。
 また、資金の実績についてのお尋ねがございまして、正直言いまして、最近非常に低迷をしておるわけでございます。これの回復という意味では、いろいろな要因がございまして、一つは、需要の落ち込み、あるいは、輸入品との競合等によりまして農産物の価格が低迷しておることを反映いたしまして投資意欲が低下している。また、最近の低金利の状況の中での金利差が少ないといったようなこともございまして、魅力が乏しいということもあるわけでございますが、何といいましても、基本はやはり国産農産物の特質を生かしてその振興を図る、需給バランスの回復にも努めていくといったような全般的な農業対策というものが必要で、それによって投資意欲のわく環境というものをつくり上げることがまず最重要であろうと思っております。
 また、今申し上げましたような制度資金の改正、また運用面の見直しということも踏まえまして、この資金需要の回復に最大限の努力をしてまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。
大村委員 さて次は、農業法人に対する投資円滑化法案の方に少し触れさせていただきたいと思います。
 農業の担い手が個々の農家、家族経営であるということ、これが基本であるということは、やはり世界のどこを見ても家族経営が中心で農業経営が行われているということは事実だろうと思いますし、日本においても、この先も家族経営が、個々の農家が単位になって経営が行われていくということは、流れはそうは変わっていかないんじゃないかと思うのでありますけれども、そういう中で、効率的で安定的な農業経営をつくっていくためには、やはり企業的な経営、家計と経営を分離して、その経営の中でどういうふうに労働力、資金、そして土地といった経営資源を有効に投入していくかということが、私は非常に、そのことに心を砕いて経営をしていくということがやはりこれから大いに求められるんじゃないかと思うわけでございます。
 そういう意味で、私が役所におりました時代に、ちょうど平成五年だったと思いますが、農業経営基盤強化促進法の法律改正がございまして、その際に、やはり農業経営の法人化をもっと進めていこう、法人化を進めていって、安定的な農業経営、特に農家の労働力をできるだけ有効活用してやっていこうということを含めて議論を、私もその中のメンバーの一人としてさせていただいたことがございます。
 特に武部大臣は、農業経営の企業的な経営、そして法人経営の促進というのを前から御持論として言われておられたというふうに私記憶をいたしておりますが、今回、この法律で農業法人のいわゆる自己資本を強化する、これはいいところに目をつけたなというふうに思っておるわけであります。
 今回のこの法律改正の点は私も非常に評価をするわけでありますが、そうしたことも含めて、もちろん、農地をどうしていくか、それから水管理をどうしていくかということで、企業そのものが農村現場に出ていくことに対して、少し迷いや、まだ若干抵抗感というのはあると思いますし、その調整をしっかりとやっていくということが前提でありますけれども、やはり法人経営、農業法人を私は進めていくべきじゃないかと思うわけでございますが、その辺の基本的なお考えを大臣からお伺いできればと思います。
武部国務大臣 法人化のメリットといいますか、家計と経営の分離による経営内容の明確化、あるいは対外信用力の向上や経営の多角化、さらには、新規就農者の受け皿にもなりますし、また、経営の円滑な継承にも資する等々、さまざまな利点がある、このように思っておりまして、私ども、農業法人の特性を生かした農業経営の展開の促進に力を入れていきたい、こう思っているわけでございます。
 そして、いろいろなタイプがございまして、加工、流通、販売部門への進出や高生産機械の導入など、先端的な経営に取り組む地域農業の核となる農業法人、あるいは、担い手不足地域等において地域農業のサポーター機能を発揮する農業法人、また農地利用の集積の核となる特定農業法人、また、負債農家や離農農家が多く、担い手の不足している地域の再生を図るために地域の経営資源の継承をする農業生産法人、種々のタイプが考えられるわけでございますが、農業法人の育成に当たりましては、こうした各地の実情を踏まえながら推進していくことが重要であろう、こう思うのでございます。
 実際に、認定農業者である農業法人の自己資本比率は残念ながら一六%で、他業種より極めて低い。これはほとんどが役員等からの出資に限定されている、外部からの出資がほとんどない、増資のための自助努力にも限界がある、こういうようなことから今回の法案の提出と相なったわけでございます。
 この投資育成会社は、当面全国に一つぐらいでありますけれども、資金規模も二十億円程度を想定しておりますけれども、これは試金石だ、こう思って、この制度をぜひ生かして、これは大きな会社をつくるというのが目的じゃないんです。農村地域にはいろいろな事情があるわけです。それを法人化によって支えていくあるいは浮揚させていくというような趣旨でございまして、またいずれの機会か、先生ともこのことについて御議論を賜ればありがたいと思います。
大村委員 今大臣から御答弁いただきまして、農業法人投資育成会社のイメージにつきましても少しお聞きをしたいなと思ったのでありますが、全国でとりあえずまず一つをつくって、資金規模も二十億円ぐらいという御答弁をいただきました。
 それでは、実際、限られた二十億円ぐらいの規模の中で、どういう法人に投資をしていくのか。それはだれがどういうふうに決めていくのか。投資をした後、通常投資家というのは、投資をした投資先の会社、企業に対しては、やはり株主として、こうしたらどうかとかこうすべきだ、いろいろなコミットをしていくわけでありますけれども、どういうふうに育っていくようなコミットをしていくのか。
 それからまた逆に、受ける側はどういうふうな義務といいますか、投資育成会社との間でどういうふうな関係になるのか、そういうイメージを、当然法案御提出でありますのでお持ちだと思いますが、そのイメージについて少しお聞かせをいただけたらと思います。
川村政府参考人 お答えいたします。
 農業法人投資育成会社の運営の基本的なイメージについてのお尋ねでございます。
 まず、農業法人投資育成会社が投資をいたします農業法人につきまして、どういう農業法人について対象にするかということでございますが、やはり今後の農業法人の育成のモデルとなるようなものということが対象になろうかと思っております。
 具体的に申し上げますと、まず認定農業者であること、それから経営者の経営マインドなり技術レベル等を判断いたしまして、経営能力が極めて高いということで今後の経営の発展が確実と認められるということも必要かと思います。また、自己資本の充実ということでございますから、その比率が相対的に低位であるということも必要で、まさに資本増強の必要性が高いといったようなことも要件になるというふうに考えております。また、その投資の額につきましては、農業法人の資本金の半分程度までを上限として考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、具体的な農業法人の選定なり投資額に関する基準につきましては、投資育成会社が、農業法人等の協会がございますので、そういったところとの意見交換も踏まえて適切に定めていくというふうに考えております。
 また、農業法人と投資育成会社との関係でございますが、その投資に対しましては、当該農業法人と契約を締結いたしまして、投資を受ける農業法人の義務づけをします。
 それは、一つは経営内容、決算でありますとか事業計画等の定期的な報告をしてもらう。また、利益処分につきましては、計画に基づいて内部留保の積み立てを行って、その上で余裕があったときに配当を行うといったようなことをまず条件としなければならないと思いますし、また、計画どおりの留保とか配当が行えない場合には、やはり投資育成会社の経営指導にも従うということも必要かと思います。
 将来、軌道に乗りましたら、その投資会社の持ち分を地域内の農業者なりあるいは他の法人の構成員に対して譲渡するといったようなことをしますことによって、資金の回転ということも考えているところでございます。
 以上でございます。
大村委員 ありがとうございました。先ほど大臣も言われましたように、とにかく現場感覚を生かして、この農業法人の育成、ぜひお進めをいただきたいと思います。
 以上、終わります。ありがとうございました。
鉢呂委員長 これにて大村秀章君の質疑は終了いたしました。
 次に、江田康幸君。
江田委員 公明党の江田康幸でございます。
 本日は、時間調整を我が公明党のためにしていただきまして、民主党の皆様には御礼を申し上げます。
 今、種々議論があっておりますが、基本法の基本理念の実現を図るために、効率的かつ安定的な農業経営を育成して、これが農業生産の相当部分を担う農業構造を確立することが現在の重要な課題となってきております。そういう中で、農業経営、農家の皆様方の状況もなお厳しいものがございますが、本法案に基づく措置が、今後、経営政策を展開していく中で大きな役割を果たしていくことを期待するものでございます。
 早速、幾つかの質問をさせていただきたいと思います。
 まず、農林漁業金融公庫法改正関係についてお聞きさせていただきます。
 農林漁業金融公庫資金のうち認定農業者以外の担い手向けの資金であります経営体育成強化資金は、平成十三年度の法改正で創設されたもので、前向き投資資金と償還負担軽減のための資金とを一体的に融資して、生産性の高い土地利用型農業経営を育成しようとするものであります。経営規模の拡大や経営の展開を図ろうと考えておりますが、償還負債があるため積極的に打って出ることができないとか、こうした農業者のニーズにかなった資金としては高く評価されるものでございます。
 今回、資金創設から一年という段階で、経営体育成強化資金の資金使途を土地利用型農業から全農業種目に拡大しようとするものでございますが、そこで、土地利用型以外の農業経営の現状を踏まえて、資金使途の拡充によってどのような効果が見込まれるのか、それをまずお示しいただきたい。
 またさらに、貸付対象者についてでございますが、経営意欲のある農業者は、認定農業者のみに限られるものではございません。こうした農業者の経営をバックアップする経営体育成強化資金の拡充は、大変評価できるものではないかと考えております。
 しかし一方で、今後の農業経営政策は、認定農業者を中心とする育成すべき経営体に集中、特化、重点化しようとする方向性が公表されております。施策の集中化、重点化の意義は、一律的な施策ではなくて、経営体の実態に即して効果的な施策を講じようとする趣旨と理解しておりますが、認定農業者等に施策を集中化、重点化しようとする考え方と、認定農業者以外の農業者への資金の拡充というものについては、どのようにすみ分け、整理ができているのか、この二点についてお伺いいたします。
武部国務大臣 まず、営農類型ごとの農業所得の動向を見ますと、平成十年から十二年にかけまして、稲作のような土地利用型だけでなく、施設野菜や施設花卉などの営農類型についても農業所得が下落しておりまして、経営改善に積極的に取り組む必要性が生じている、このように思っております。
 これまで、土地利用型以外の農業種目については農林公庫資金はなかったところでありますが、今般、経営体育成強化資金を全農業種目に拡大することで、施設園芸等の土地利用型以外の農業の資金ニーズにも的確に対応できるようにした次第でございます。
 これによりまして、施設園芸等についても、農業者が創意工夫で、負債整理を含めて総合的かつ前向きな経営展開に積極的に取り組むことができるようになるもの、このように考えております。
 また、農業の持続的発展や食料自給率の向上を図っていくためには、農業の構造改革を推進し、効率的な、なおかつ安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を実現することが今先生御指摘のように重要だ、私はこう思っているわけでございまして、そのために、認定農業者を基本とする育成すべき農業経営に対して施策を集中的かつ重点的に講じていく必要がある、金融面でも特に有利な貸し付け条件での資金融通を行っていく必要がある、このように思っているわけであります。
 他方、農林水産省が平成十二年三月に公表いたしました「農業構造の展望」におきましては、平成二十二年に効率的で安定的な農業経営が家族農業経営で三十三万から三十七万経営体、法人経営と生産組織で三万から四万経営体、このように展望しているわけでございます。
 もとより、家族経営でも、家族法人というものもこれから数多く出てくると思いますが、このように、認定農業者は平成十三年十二月現在で十八万人にとどまっておりますけれども、引き続きその確保、育成を図っていくということが必要ではないか、このように思っております。
 今般、認定農業者以外の農業者を相手方とする経営体育成強化資金の内容を拡充するということにいたしておりますが、これは、認定農業者のレベルに達していないものの意欲的に経営改善に取り組む農業者のレベルアップを図りまして、認定農業者への移行を促進することとしているものでございます。
 先ほど大村委員にお答えをいたしましたけれども、本当にそれぞれの農業、農村の実態に合わせて、法人化ということが、あるいは集落営農ということがこれからの農業の中心になってくる、こう思っておりますし、農村を守っていくということも、これが救世主になっていくんじゃないか、私はこう思っておりまして、そういうような意味では多様なことを考えていく必要がある、このように思っている次第でございます。
江田委員 認定農業者を主体として農業施策を今後展開を重点化していくということでございますが、一方、認定農業者以外についてはレベルアップを図りながら認定農業者への移行をスムーズに進めていく、そういうお考えであったかと思います。
 次に、農業改良資金助成法改正関係についてお聞きさせていただきます。
 今回の改正では、今まで特定の農業技術の導入のための資金であった農業改良資金を、農業の担い手が加工分野や新作物分野といったリスクの高い農業へチャレンジするための資金へと抜本的に改めようとしております。意欲のある農業者が新たな農業改良資金の活用により高リスク農業へ積極的にチャレンジして、農業経営、地域の活性化が図られることを期待するものでございますが、一方では、農業経営をめぐる環境が厳しさを増している、こういう現状の中で、リスクの高い農業へチャレンジしようという意欲をどうやって喚起していくかということが一つには重要な課題だと考えます。
 そこで、農業改良資金制度を高リスク農業へのチャレンジに転換したその意義と、農業者のチャレンジ精神を奮い立たせるその支援のあり方について、お示しいただきたいと思います。
川村政府参考人 農業改良資金制度についてのお尋ねでございました。
 これまでの農業改良資金でございますけれども、国が定めました特定の農業技術等を導入する場合に貸し付けを行うというもので、極めて限定的でございまして、この方式でございますと、みずからの創意工夫で多様な先駆的な取り組みをしていくという意味では、非常にニーズにこたえがたくなってきているということが実情だと思います。
 こういう背景がございましたので、今回の見直しにおきましては、農業の担い手がみずからの創意工夫を発揮いたしまして、加工分野に進出をするとか、あるいは新作物を導入していってチャレンジをしていくといったことを支援していこうという形でこの資金を改めるということをしております。
 そしてまた、御指摘がありましたとおり、意欲ある農業者がチャレンジ精神を奮い立たすということでの支援、これが非常に重要でございます。現在、環境が非常に悪うございますので、これが必要だと思います。
 今申し上げましたように、運用面でも、民間金融機関の転貸方式をとることによりまして機関保証の対象にする、また、融資方法を一元化しまして農業者にわかりやすいものにしたということの制度面での対応もございますが、これに加えまして、地域の農業改良普及センターが担い手向けの制度資金のPRに積極的に取り組むということも必要であろうと思います。
 それから、借り受け希望者に対します事前指導、また、貸し付け後のフォローアップといったような、それぞれの段階での技術、経営面双方にわたります総合的な支援ということを行うことによって、そういったチャレンジをさらに助長していきたいということを考えております。
江田委員 ぜひとも、そういうチャレンジ精神をアップ、奮い立たせるような具体的な施策をぜひとも打っていただきたいと思います。こういう制度のみでそれが実効力のあるものになるのかどうか、そこら辺が一番重要なところでございますので、そういう指導、コメント等をしっかりと現場の方でなされていくことを強く要望いたします。
 もう一つ、農業近代化資金助成法改正についてお伺いいたします。
 今般の改正で資金使途が追加されることによりまして、認定農業者育成確保資金は既存のスーパーL資金とほとんど差がなくなる印象を受けます。二つの資金の関係を整理して、きちんとすみ分けをした運用が望まれるところでございますが、認定農業者育成確保資金に長期運転資金を追加することによって期待する効果を示していただくとともに、スーパーL資金と認定農業者育成確保資金の役割分担をどのように整理していくのか、その点についてお伺いいたします。
川村政府参考人 お答えいたします。農業近代化資金の関係でのお尋ねでございます。
 今回の改正によりまして、農業近代化資金の資金使途といたしまして、従来の施設資金だけではなくて、賃借料の一括前払いなど長期運転資金、こういったものを追加いたしまして、今御指摘がございましたとおり、基本的には農林公庫のスーパーL資金と同様の資金使途としたところでございます。
 これによりまして、まず一つは資金規模でございますが、これがそれほど大きくはない、また償還期間も長くないようなケースについては、基本的に農協等の民間金融機関で対応し得るということになるわけでございます。こういうことで、近代化資金をまず原則としたいということでございます。
 ただ、近代化資金につきましては、その原資が一年物の定期預金等が中心になります民間資金でございますので、償還期間が長いものでありますとか資金規模が大きいもの等については十分対応できないケースが多いわけでございまして、こういう場合は農林公庫で確実に対応していくということに整理をしているところでございます。
 いずれにいたしましても、農協等の民間機関、それから農林公庫等が密接に連携をとりまして、担い手の経営展開に必要な資金が的確に供給されるということで努力をしていきたいということでございます。
江田委員 資金規模の違いでそのように役割分担を果たしていくというのが一点だったと思います。
 今三つの資金制度をお聞かせいただきましたが、先ほども大村先生が言われているように、この制度自体が、わかりやすく使いやすく、そういうふうに運営されていくことがやはり重要で、もちろん、それがわかりにくく使いにくかったということでこの制度が今回出されているかと思いますので、ぜひとも、その運用面については、具体的に、ここで、この文言上、法律上見当たらないところの細かい配慮をなされていくように、よろしくお願いしたいわけでございます。
 最後になりますが、農業法人に対する投資の円滑化に関する特別措置法案関係についてお伺いいたします。
 まず、農業法人投資育成会社の事業計画の承認等についてでございます。
 農業経営の法人化につきましては、家族経営の活性化とともに、望ましい農業構造を確立する上で重要な施策でございます。農業経営が法人化すれば、経営管理能力や対外信用力が向上して労働環境が改善され、さらには新規就農の受け皿になる、そういうメリットがある。先ほど大臣もおっしゃられたところでございますが、こうしたことから、今後とも、農業経営の法人化をバックアップしていくということが非常に重要でございます。
 しかしながら、こうした農業経営のトップランナーともいうべき法人が、他産業の中小企業と比べて自己資本比率が余りにも低いという現状がございまして、健全な経営発展のためにはその向上が課題と考えられます。
 今回の法案は、事態に対処して、農業法人の自己資本の充実を図るため、農業法人に対して投資を円滑に行うための仕組みを整備しようとするものでございます。具体的には、農業法人投資育成事業を営もうとする会社は、事業計画を作成して大臣の承認を受けるなど、公庫法や農協法等の特例により、現行制度では行うことのできない投資育成会社に対する農林漁業金融公庫の出資、また、投資育成会社による農事組合法人や農業生産法人への投資が認められるというものでございます。
 この法案に寄せる農業法人関係者の期待は大変に大きいものがあると考えられますが、この仕組みが円滑に機能して農業法人の自己資本の充実と健全な発展に資するかどうかは、私は、投資育成会社の事業計画の承認と投資育成会社に対する監督にかかっていると考えます。
 そこで、投資育成会社が作成するこの事業計画の承認に当たっての考え方と、投資育成会社に対する監督に向けた基本的な姿勢、これについてお伺いしたいと思います。
武部国務大臣 農業の法人化を支援していくという、私は、そういう意味で投資育成会社の設立ということが大きな力になる、こう思っているわけでございますが、問題点については委員御指摘のとおりでございまして、この農業法人投資育成会社が適切な事業運営を行うことを担保するために、事業計画の作成、農林水産大臣の承認ということを義務づけているわけでございます。
 事業計画には、農業法人投資育成会社の投資先となる農業法人の選定基準、投資先の農業法人の経営に対する関与の仕方等を盛り込むこととなるわけでありますけれども、投資先法人については、経営者の経営マインド、技術レベル等経営能力が極めて高いということ、また自己資本比率が相対的に低位であるということが要件となります。
 また、当該農業法人と契約を締結し、これにより投資を受ける農業法人に対しましては、経営内容の定期報告を行う。また、利益処分については計画に基づいて内部留保の積み立てを行うこと等の義務を課すことを考えておりまして、投資先法人の健全な発展を担保するためには、投資育成会社に対しまして農林水産省として、運営状況を定期的に把握し、報告を求めたり、改善命令を発する等を通じて適宜適切な監督を行っていかなければならない、かように考えている次第でございます。
江田委員 時間でございますので、以上で終わらせていただきます。大臣、ありがとうございました。
鉢呂委員長 これにて江田康幸君の質疑は終了いたしました。
 次に、小平忠正君。
小平委員 おはようございます。民主党の小平であります。
 最初に、これは通告いたしておりませんが、けさの各紙、新聞等に出ておりますので、質問をさせていただきます。
 それは、例のBSE問題に関する調査検討委員会の調査結果でありますが、きょうの午後これらが公式に発表される、このように伺っております。それについて、中間報告的なことで我々もそれは耳にしておりますが、しかし、正式にはこの午後でありますね。我々にも、所管の当農水委員会の委員各位についても、これらについての結果は皆さんの手元に行っていないと思います。しかるに、各紙がこのことについて報じて、しかも農水省は、このことによって重大な失政ということを受けて大臣初め関係者を処分する、減俸を含めて。これらはどういうことなんでしょうか。
 政府としては、もう既にそれを承知し、動いているということですか。流れからいうと、ちょっと奇異に感じるのですね。まさしく国会軽視、委員会軽視です。今ここにおります我々は、だれしもがこういうことは承知していないのですよ。しかし、一方ではマスコミにそれが流れている。わきが甘いのかどうか、そこはわかりません。しかし、要は、正式にこれが出る前に農水省が大臣を含めて関係者を減俸を含めて処分する、これはどういうことですか。順序が逆じゃないですか。これについてお伺いいたします。
武部国務大臣 本日の午後、委員会で取りまとめられた報告をいただくことになっておりまして、これには、過去の行政対応時の問題点や今後の食品安全行政に関してとるべき対策について御提言をいただけるものと考えておりますが、私どもは、今委員御指摘のように、まだこの報告をいただいていないわけでございます。
 私としましては、この報告内容を受けましてから、内容を厳粛に受けとめた上で農林水産省の抜本的な改革、農林水産政策の大胆な見直し、改革の断行ということを進めてまいりまして、国民の皆様の信頼と安心を取り戻すということに全力を尽くしてまいりたい、こう考えているわけでございますけれども、この委員会の運営については、委員御承知のとおり、公開を原則にして進めてまいりました。それから、さまざまなデータも、もう何千ページも提出しております。
 しかし、その中で、今具体的なことの最終報告を受けておりませんので、新聞の記事にいろいろ出ているということについては、私としても遺憾に思う次第でございまして、処分等の問題についても、私ども、受けてからどうすべきかということを検討する次第でございますので、新聞の報道について私どもから何らかの情報を事前に漏らしたとか流したということではありませんので、そのことは御理解をいただきたい、かように思います。
小平委員 私は、農水省が情報をリークした、そんなことを言っているのじゃないんですよ。それから、公開と言われますよね。いろいろなことは途中経過を含めて我々も仄聞していますが、私が言っていますことはそうじゃなくて、正式にこのことが発表される前に、しかもこれについて当該委員会の農水委員会でだれしもがこれを正式に報告を受ける前に、農水省が大臣初め関係者の処分をすることがもう出ていますよね。しかも、どこか一社がそれを言ったなら、これは跳びはねた報道であって、それは見過ごしますけれども、各社がこれを報じている。
 ということは、もう既にこの検討をされているわけでしょう。大臣も何か減俸は半年分ですか。ということは、もうそれを事前に、あなたたちはもう既に入手しておって、もう先のことをやっている、世論の批判を受ける前に先にやっちゃおうと。このことが意味することは、農水委員会を軽視しているのですよ。これは重大な問題ですよ。このことが、情報を公開しない、秘密保持、いわゆる役所の問題がここにはいみじくもあらわれているのです。ぜひ反省していただきたいと思いますね。各社出ているものだから、いや応なしにこれについて指摘せざるを得なかったんですよ。おわかりですか。私の言っている意味がおわかりならそれで結構ですが、おわかりですか。簡潔に御答弁願います。
武部国務大臣 まだ報告をいただいておりませんし、また新聞の記事につきましても、私としても、なぜそういうことになるのか遺憾に思っている次第でございます。
 ただ、この報告は厚生労働大臣と私の私的諮問機関に対する報告ということに相なっておりますので、報告をいただいた後に私どもとしてはしかるべき対応を考えている次第ですので、御理解いただきたいと思います。
小平委員 私、これについて余り時間がとれませんで、最後に確認しますけれども、今大臣、いみじくも報告は受けていないというふうにおっしゃいましたよね。であるならば、問題は、なぜ大臣初め関係者の処分がもうこのようにできているんですかということなんです。
 報告を受けてから初めて、ではそれから、大臣はどうなる、事務次官はどうなる、関係局長はどうなるということに処分の方向が入っていくわけでしょう。しかし、今大臣が言われたように、報告を受けていない、こういう処分のいわゆる中身がもう既に新聞に出ている、要するに、この順序がおかしいんじゃないですかと言っているんですよ。
 そういうことですから、もうこれについて、私、時間が余りないものですから先へ進みます。これは本当におかしいですよ。順序が逆ですよ、報告を受けていないんだったら。受けているんだったら、こういう処分のことが出ても結構ですよ。そこのところをきちんといわゆる整理をしていかないと、ただでさえも役所の秘密主義、それからいろいろな問題でもってまだこれから問題がさらに広がっていきますので、注意をしていただきたい、こういうことです。
 次に、全農チキンフーズの不正表示問題、これについてお伺いいたします。
 平成十三年九月十日、今でも思い起こしたくもないあのBSE発生を機として、さらに雪印食品の牛肉表示偽装事件、これまで広がっていきました。多くの企業に広がった品質表示の偽装事件の発覚は、消費者の食品行政に対する信頼を著しく低下をさせたわけであります。
 特に、本年の三月四日、農家を守るべき全国農業協同組合連合会、全農ですね、この子会社である全農チキンフーズが、輸入鶏肉に国産と表示をして販売している、また同月六日には、抗生物質使用鶏肉に無薬飼料と表示して販売していたことが判明いたしました。このことは、食の安全を願う消費者、それにこたえようとする生産者に対する背信行為として許しがたい行為であると言わざるを得ない、こう思います。
 まず、この背信行為に対する農林大臣の見解をお伺いしたい。
 あわせて、農水省は、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律、いわゆるJAS法ですね、これに基づいて全農チキンフーズに対し立入検査を実施しておられる。現在、その立入検査を含め、どのような行政措置がとられているかを確認したいと思います。
 それから、きょうは厚生労働省が見えていますね。あわせて、食品衛生法に基づく行政措置の経過についてもお伺いいたします。
武部国務大臣 まず私から、全農チキンフーズの行為について、私の見解を申し上げたいと思います。
 今回の事件は、消費者の信頼を大きく裏切るばかりではなく、生産者の真摯な経営努力を無にしかねない、あるまじき行為であります。極めて遺憾千万、私はかように考える次第でございます。
 今回の事件を契機に、全農としては、協同組合の原点に立ち返り、組織を挙げて再発防止のための取り組みを徹底することが必要だ、こう考えている次第でございますが、農林水産省としても、全農に対して農協法に基づく報告を求めているところでありまして、その結果を踏まえまして厳正に対処してまいる所存であります。
 あとは、総合食料局長に答弁させます。
西藤政府参考人 全農チキンフーズに関するJAS法の関係について、お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、全農チキンフーズ株式会社は、去る三月四日に鶏肉の虚偽の原産地表示を行っていたという状況が判明いたしまして、私ども、三月五日から三月十五日まで立入検査を実施してまいりました。その後も補足的な調査を実施してきたところでございます。
 その結果、同社が鹿児島くみあいチキンフーズ株式会社に製造を委託し、生活協同組合コープネット事業連合に販売した鶏肉の一部商品について、御指摘がありましたように、輸入鶏肉を国産鶏肉と偽るなどの表示を行っていたことが確認されたところでございます。
 これらの行為は、JAS法に基づき定められました生鮮食料品品質表示基準に違反することでございますので、去る三月の二十九日に、原因の徹底究明、責任の所在の明確化、社内管理体制の整備、鶏肉の表示の総点検、そういうことを図ることによって表示の適正化を図るよう指示をいたしたところでございます。
尾嵜政府参考人 全農チキンフーズに関係します食品衛生法上の措置の関係について、お答え申し上げます。
 全農チキンフーズが国産の鶏肉の受注先の急増に対応するために、鹿児島くみあいチキンフーズに指示して輸入鶏肉を国産鶏肉に混入した際に、あわせて加工者にかかわる表示について虚偽の記載を行ったということを含めた事案でございます。
 これに対しまして、全農チキンフーズ本社がございます埼玉県におきまして、埼玉県が三月五日から五回の立ち入りを行いまして、現在、本件の事実関係も含めた報告書の提出を全農チキンフーズの方に求めているところでございまして、報告書の提出を受け、処分を検討するという状況にございます。
 なお、この鹿児島くみあいチキンフーズという実際にやったところでございますが、ここにつきましては、鹿児島県の方が立入調査を実施いたしまして、最終的には三月二十七日に、食品衛生法の表示基準の違反ということで、鹿児島にございます五工場につきましての販売を禁止する処分を行ったという状況でございます。
小平委員 鹿児島県からの報告を受けて工場の閉鎖とかそういう処分という、言うならば、JAS法にしましてもあるいは食品衛生法にしても、私は非常にまだ甘いと思うんですね。こういうことで、私は、消費者の信頼を取り戻すためには、やはり厳しくただしていくことも必要と思いますので、今後の課題として、現行法は何となく不十分な気がいたします、これからの課題でありますが。
 そこで、これに関連してちょっと確認しておきたいんですが、政府は今回、このBSEの発生において、言うなれば、屠畜証明の添付を要求しましたよね。それで、これはいわゆる十月十七日以前に屠畜解体された国産牛肉、JAや全農あるいは全国食肉事業協同組合、日本ハム・ソーセージ工業協同組合等々、会員らが所有する在庫牛肉を屠畜月日などで確認して買い上げたもの、こうしておりましたね。いわゆるこれが屠畜証明書の添付ですね。
 しかし、実際の買い上げに当たっては、屠畜証明ということのはずだったんだけれども、結局それが在庫証明に変わってしまった、その経緯は何かということ。その経緯について、先般、遠藤副大臣は、マスコミの質問に対して、同事業を決めるに当たり食肉業界から意見聴取をした結果、団体などから在庫証明との意見が強かったからと、このように言われていますね。この団体とはどこの団体を意味しているのか、また、その意見を先導し取りまとめたのはだれなのか、特にJA、全農の関与があったかどうか、このことをお伺いしたいと思うのです。
 ということは、このことが、私は、言うならば、雪印食品の輸入牛肉を国産へ偽装して詐欺事件へ発展したこと、また全農も、今私が指摘しました全農チキンフーズ、これらの事件につながるそういう土壌、体質、こういう温床になっているのではないか、このように思うのですが、これについての経緯をお聞かせ願いたいと思います。
遠藤副大臣 昨年十月十九日に、事業の実施に向けて関係団体に、書類により屠畜解体がされた年月日、数量などが記載されるよう求めて、六団体に示したところでありました。
 それで、協議をしたのは、では現実にどのような工程、作業で進めるかということを委託をする六団体に協議をさせていただいたら、現実問題として流通の段階で屠畜証明というのはない、在庫証明でなければ対応が非常に難しい、通常、屠畜証明は添付されていない、こういう流通の実態が明らかにされたわけです。
 そこで、十月二十六日でしたか、公表いたしました牛肉在庫緊急保管対策事業の実施要領においては、BSE検査を受けていない国産牛肉を短期間にできるだけ多く集める、市場から隔離をするという目的から、通常の商取引が実施されているという信頼関係、この信頼関係を前提にして、証拠書類は在庫証明とすることに、協議の結果やむを得ないだろう、こういうふうになったわけであります。
小平委員 私は、在庫牛肉を全量処分という方向で、要するに消費者の不安解消、これに向かったこと、これは評価していますよ。しかし、こういうことによって、今起きた雪印や全農を含めて、こういうことの事件に発展する何か関連があったのじゃないかというような問題があるものですから、そこのところを問題として指摘しておきます。ぜひ二度とこういうことのないようにしていただきたいと思います。
 そこで、私がるる申し上げた点なんですが、このような行為が、全農自体が責任ある農業団体としての自覚を喪失している、こう言わざるを得ないと思うのです。まさしく利益追求の商社というか、そんな体質になってしまったのじゃないかと。今は特にいわゆる農協系統の組織存亡が問われている、こういう時期にこういう問題に対する切迫感が欠けている、そんなふうに感じます。
 そうなると、昨年、当委員会で農協法の改正、大きな法改正をやりましたね。これは一体何だったのか。こんな体質にある全農の抜本的改革の必要性、これは大臣、今後の課題としてどうお考えになられていますか。
武部国務大臣 委員御指摘のとおり、全農は、いわば農業を営む生産者の皆さん方にとっては仲間、そういう認識だろう、こう思うのでございます。そういう真摯な生産者の気持ちも裏切るというようなことは、私は、今後の農業団体のあり方ということに対して、農林水産省としてもこの問題を契機に厳しく対応していかなきゃならないという決意でございます。
 特に全農は、経済事業を行う全国連でございまして、資材価格の引き下げや農産物の有利販売等により農家組合員のメリットを最大限に発揮することが求められているわけでございますね。ですから、今回の事件が起きたことは、全農において、法令遵守の姿勢や子会社管理の体制が全く不十分であったと判断せざるを得ません。
 今、農林水産省は全農に対して、農協法に基づく報告を求めているところでございまして、その結果を踏まえまして必要な措置を検討してまいりたい、このように考えている次第でございます。
小平委員 私は、全農を含め農協組織というのは、原点というか、そもそもは農民の互助組織としてスタートして今日の発展がある。そういう中で、その守るべきいわゆる集合体である全農が、逆に生産者の足を引っ張るなんてことは言語道断で、もう何をか言わんやだと思うのですね。
 雪印は一〇〇%民間の企業、全農は公的資金も入っている団体ですから、そこの性格が違うと思うのですよ。こういう事件が、振り返って襟を正して、真に生産者のために、また消費者に安心して提供できる農産物がうまくいくように進めてもらいたい、このように願うところであります。
 さて、金融二法に今入ります前に、ちょっとお聞きしておきたいのですが、昨年八月、農水省は、骨太の方針というキャッチフレーズを受けまして、武部私案で示されております政策の基本方向の実現に向けて取り組むべき具体的な推進方策を、重点プランとして公表しましたね。
 この重点プランにおいては、目標・効果の中で、農業の構造改革の内容について、食料自給率の向上を基本とした食料の安定供給を図るためには、平成二十二年において、効率的で安定的な経営体四十万程度、家族農業経営では三十三万から三十七万程度ですか、法人・生産組織としては三、四万、これらを中心とし、これが農業生産の大宗を担う農業構造を確立、こうしておりますね。
 この考え方は、平成十二年三月に、あの基本計画や、これによって同時に公表された「農業構造の展望」において、望ましい農業構造の確立として既に示されております。しかし、そのルーツは、さかのぼって言うと、平成四年のあの新政策にさかのぼると思うのですね。この新政策におきましては、十年程度後の稲作を中心とした農業構造を見通して望ましい経営体像を展望いたしております。
 それによると、具体的には平成十二年を目標年次として示された構造展望では、総農家戸数が二百五十から三百万程度、そして、他産業並みの労働時間で、地域の他産業従事者と遜色のない生涯所得を確保できる経営を行い得る個別経営体が三十万から四十万程度、こううたっております。ここが大事なところですね。生産者は、それを忠実に、それに希望を託して進めてまいりました。
 一方、重点プランでは、効率的で安定的な経営体を四十万程度、新政策では個別経営体を三十万から四十万程度。大体示している展望は、そう違いません。イメージとしては、そこは似通っております。
 しかしながら、新政策の今日の具体化の状況を見てみますと、他産業並みの労働時間で、地域の他産業従事者との遜色のない生涯所得を確保できる経営を行い得る個別経営体、これは平成十二年現在では大体十万戸程度、こんなふうに計算されていると思うのです。違っているかどうか、私はそう見ているのですが。
 これでは全く見通しに遠く及びませんよね。そうなると、あの新政策は事実上破綻をしてしまった、こう言わざるを得ないと思うのです。一方で、重点プランにおいては新政策と同様の構造展望を示し、これを構造改革と銘打って高らかにうたっていますよね。しかし、これはあの新政策の失敗の繰り返しになるんではないでしょうか、そんなふうに私は不安を禁じ得ません。
 重点プランの中では、この今回の農業金融二法について、今国会で提出をし改正をしと明記しておりますね。そういうことで、今回のこの金融二法の改革というものが重点プランを実現するための重要な手段として位置づけをされた、こう政府は言われております。
 そうなると、新政策の総括をきちんとし、そしてこの新政策と重点プランとのつながりというか経緯というか、これについてもきちんと整理をする必要があると思うのですが、それについてはいかがでしょうか。
田原政府参考人 お答えいたします。
 平成四年のいわゆる新政策、そこで目指していた姿というものは、ただいま先生から御指摘ありましたような総農家戸数あるいは個別経営体の目標数、そういったものだということでございまして、実績も、ただいま先生が御指摘なされましたように、個別経営体ということで、いわゆる効率的かつ安定的な農業経営体は、試算値ではございますけれども、平成十一年度では全販売農家の約四%、十万戸程度ではないかという現状でございます。
 ただ、こういった現状ではございますけれども、新政策で目指していたものは、一つは、そういった効率的かつ安定的な経営体に施策を集中化していく、あるいは施策の重点化を図っていくというふうなこと等がございました。こういったことがこの平成四年以降十分に行えていたかどうかという点、こういった点は反省しなければならない点ということが言えるのではないかと思います。
 また、そのほか、事実といたしますと、この新政策で見込んでいたほどの高齢農家のリタイア、こういったものが進んだのかどうか。総農家戸数は、先ほど先生の方で、平成十二年の見通し、二百五十ないし三百万戸という御指摘がございましたけれども、現実には十二年で三百十二万戸ということで、見通しを上回るような数字になっております。
 また、そのほか、農地の資産的保有傾向、こういったことは依然として続いているというふうなことでございまして、いわば当時から価格政策、各農家に一律に効いてまいります価格政策、こういったことの見直しも十分ではなかった、こういった点もあるのではないかと思います。
 昨年八月に出しました、食料の安定供給と美しい国づくりに向けた重点プラン、あるいは農業構造改革推進のための経営政策、こういったものにおきましては、こういった新政策策定後におきます反省、こういったことも取り入れまして、施策の重点化あるいは経営政策への展開、そういったことを図りながら望ましい農業構造の実現を図っていくということで打ち出しているものでございます。
 私ども、こうした昨年に打ち出しました重点プラン等に沿いまして、今後、政策の展開を図り、そうした農業構造の実現に向かって今後とも努力してまいりたい、かように考えている次第でございます。
小平委員 官房長、時間があれば今言われたことに対して私も反論が多々あります。いろいろな要因がありますけれども、私は時間が許せばこれについて少し復習をしたいんですけれども、要は私が申し上げたいことは、新政策の推移が、当時のいわゆる農地の規模拡大、それから米価の低迷、こういうことについてまるっきり方向が違った、これについての政府の責任というものが明確に出ていないんですよね。単なる客観的な情勢という意味じゃなくて、政府が主導権を持ってやったことに対する、まあ失政ですね、そこが私は大きく欠けていると思うんですよ。
 先に進みます。
 そこで今回、重点プランの問題、それから経営政策において農業経営関連施策を見直して再編を行う、こういうことを重点的に講じながらいく、そういう施策が明らかになりました。それで、これらを集中的、重点的に講じることによって構造改革を進めよう、こういう考え方が示されておりますね。
 これについて、農業経営政策に関する研究会、これにおいても大いに議論があったと聞いております。その中で、私ども聞いております意見としては、例えば、農業問題を取り巻く外部環境として、国際化、いわゆるWTO問題ですね、これと国内経済の成熟化、それから少子高齢化、こういう大きな流れがある中で、三点ばかり問題点が指摘されております。
 それは、内外価格差の大きい現状で、国際化にどう対応するか。二つ目は、米の過剰生産基調、他作物の国内供給力不足というアンバランスを是正し、自給率の維持向上を図るためにどうしたらいいか。三つ目としては、財政構造改革が課題となっている中で、政府の施策のあり方についてどう考えるか。こういう課題にこたえるために、産業としての農業の構造改革を行って、国内供給能力の向上を図る必要がある、こう分析いたしております。
 それは極めて重要な指摘と私は言えると思うんですね。このことが、今回の農業金融二法案を初めとする新たな経営政策を構築するに当たってどのように反映されていくのか、そこをお聞きしておきたいと思います。
川村政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘の農業経営政策に関する研究会におきましては、農業経営政策全般におきまして議論が行われたところでございます。まさに望ましい農業構造に向けて、その支援策としていかにあるべきかということで、すべての政策手法につきまして大議論がなされたわけでございます。
 その中で、金融の問題につきましても、意欲と能力のある担い手の経営改善に向けての取り組みの支援というのは非常に重要である、そして、その中でも農業者の創意工夫を生かせる融資とか出資は極めて有力な政策手段であるということが指摘をされまして、さらに、取りまとめられました農業構造改革推進のための経営政策の中におきまして、一つは、各種制度資金を、担い手の経営展開にとって必要な資金が円滑に供給される、わかりやすく使いやすいものとすることを旨として抜本的に見直すということが、まず一点指摘をされております。それからもう一つは、地域の農業の担い手となる農業法人の育成を支援するために、自己資本の充実のための措置を講ずることが必要である。
 この二点が金融関係では盛り込まれておりまして、今回の金融二法案は、これを踏まえて法文化したものでございます。
小平委員 抽象論になると思うんですが、私は、経営関連諸施策の見直し、再構築をしようとする場合に、まず、現行の施策をきちんと評価する、このことが避けて通れないと思うんです。
 そこで、農業経営に関する諸施策というものは、大きく言って、一つは市場評価の農業経営への的確な伝達、それからもう一つは農業経営の改善、安定化、三つ目は人材の育成確保、これらを整理することだと思うんです。
 しかし、現行の農業経営関連施策については、全体を見ると整合性が本当にとれているのか、そこが非常に判断に苦しむところであります。特に、これらの施策が本当に農家、農業のためになっているのか、そこをしっかり整理する必要があると私は思います。
 こういうことに対して、現行制度をどう評価していくのか、これについてどなたがお答えいただけるか。
川村政府参考人 農業経営関連施策についてのお尋ねでございます。
 今先生御指摘のとおり、市場評価の迅速な伝達、あるいは農業経営の改善の安定化、人材育成、こういうことがまさに基本的な視点でなければならないと考えております。そして、この農業経営政策の基本は、まさに今申されたような視点を踏まえまして、意欲と能力のある農業経営の育成確保ということが基本になろうかと思います。そのためには、経営の発展段階に応じまして、それぞれの農業経営が必要とする施策をきめ細かに講じていくことが重要であろうと考えております。
 具体的に申し上げますと、就農段階、まずこれがございます。ここにおきましては、農業技術あるいは経営方法を実地により習得するための研修教育といった人材育成、それから当面の機械や施設の導入のための資金の手当て、また、就農段階を過ぎまして経営改善期におきましては、農地の利用集積の促進でありますとかスーパーL資金のような総合的な低利資金、また、経営の安定期におきましては、経営の多角化に向けた支援、また、経営を継承するようなときには、農地保有合理化法人等を活用いたしましたリース農場の活用といったような施策等が代表例として考えられるところでございまして、そういう施策を集中的、重点的にする必要があると思います。
 先生もおっしゃったように、全般的な整合性ということに十分配慮しながら、その担い手の育成確保が的確にまた効率的に図られるように努める必要があると考えております。
小平委員 現場では非常にそれについて、矛盾というか、整合性という私言葉を使いましたけれども、いろいろと現状の施策に対する不満が渦巻いていますので、そこは現場と乖離しないように努めていただきたいと思っています。
 次に、私は、農業経営、この育成をどうするかについての点で再度確認しておきますけれども、このいわゆる経営政策及び重点プランにおいては、育成すべき農業経営への施策の集中化、重点化による構造改革の推進、こううたっております。
 つまり、育成すべき農業経営とそれ以外の農家等に分けて、経営施策は育成すべき農業経営を対象に集中的に実施することとする、それ以外の農家の対策としては経営政策ではなくて農村政策を主体として実行していく、こういうふうに私は理解をしていく方がいいのではないかなと思っているんです。政府は、そういう、特に、微妙にスタンスが違うかもしれませんが、ちょっと今あえてこう申し上げました。
 ということは、認定農業者を中心とする、意欲、能力のある経営をしている、そういういわゆる専業ですね、それと、安定的な兼業を主にされている副業農家、これでは農業の持続的発展に果たす役割はおのずから異なってまいります。そこで、両者を一律に扱うのではなくて、農業経営の実態に即した施策が必要と考えます。しかし、このことは、問題は、農村現場の理解が得られていくかどうかというところにあると思うんですね。
 私は、両者とも貴重な農業経営でありまして、認定農業者向けのいわゆる担い手向けの経営政策、専業政策ですね、それと副業農家向けの経営政策というふうにそれぞれ峻別をして、それぞれの経営実態に応じた経営政策を展開する必要があると思うんですが、これについてはどういうふうにお答えいただけますか。
武部国務大臣 小平先生も北海道でありまして、私も北海道ですから、やはり思い切り、農業を自分の天職として、そして食料の安定供給、しかも私ども、今回のBSEの問題を契機に、安全で安心な食料の供給によって消費者の信頼を確保する、生産者サイドから消費者サイドに大きく軸足を移していくということは、結果的に食料の自給率や生産者が成り立っていくという道である、そういう大きな大転換を図っていこうとしているわけでございます。
 その際に、農村を考えてみた場合に、農業を考えてみた場合に、WTOにおいても農業の多面的な機能を我々主張しております。農村の存在あるいは農業のありようということについては、単に市場原理だとか経済原則だけではいかない、公共原理だとか共生政策だとかというような、そういう視点で考えていく必要もあるのだろう、こう思うんです。
 その中で、やはり食料の自給率を上げていくということは不可欠です。これはもう釈迦に説法ですからあえて言いませんが、今日本が置かれている食料の自給率の実態、そしてこの地球温暖化の問題、砂漠化の問題、それから人口爆発の問題等々考えた場合に、今の四〇%の自給率、これでいいのか。やはり、基本法に基づいて計画をつくっておりますように、四五%にしていきたい、そのためにどうするかということになれば、やはりそれにふさわしい経営体というものを重点的に、集中的に育てていかなきゃならない、こう思います。
 こういった多様な問題を抱えている中で、それをすべて包含していくような方法はないのかというようなことを考えたときに、私は、一つの道は法人化であり、一つの道は集落営農ということではないのかと思うんですね。集落営農の中に、二種兼農家でも銀行に勤めていたとか、それはもう経営能力のある人たちはいるわけですから、そういった人たちにいわゆる先頭に出てもらうという方法もある、かように思うわけでございます。
 私ども、今委員が御指摘のことについて、問題意識というのは共有していると思いますし、悩みも共有している、こう思うわけでございますが、やはり、意欲と能力のある育成すべき農業経営に対して、農地の利用集積等の施策を集中的かつ重点的に講じていくということとともに、法人化等を推進していくことによって、二種兼農家の問題なども、あるいは副業農家という問題も解決できるのではないか、こういう地域の農業資源の維持管理だけではなくて、農業経営そのものに参画できる、そして農業の活性化に貢献してもらえるような種々の役割を担ってもらえるんではないか、そういうふうに考えております。
 お時間があれば、いずれ先生ともこのことについて深い御議論をさせていただきたいと思いますが、いろいろな形で農業や農村における活躍や貢献が期待できるものと考えておりまして、それをどう組み合わせていくか、このような視点から、その実態を踏まえた施策の充実に力を入れてまいりたい、このように考えている次第でございます。
小平委員 大臣、端的に申し上げて、昨年の例の食糧庁のあの方向でもとんざいたしましたけれども、私は、いわゆる専業、兼業というのは地理的な背景が違うわけですね。経営状況も違うわけです。したがって、例えば、現在、稲経がありますね。大臣が言われた二種兼農家を除外するというのではなくて、例えばの話、この稲経は専業農業に特化したい、兼業には別に稲経つくりたい、そういうことをした方が限りある農水予算を有効に使えると思うんですね。そこの峻別をする方がいいんじゃないか、私はそんな思いが強いものですから、この機会に申し上げてみたわけであります。
 さて、金融二法、これを含めて、今回の問題で、今、近代化資金あるいは公庫資金、改良資金等々ございますが、私ども見ています資料によっても、貸付実績が、例えば平成八年から十二年、この五年間だけをとってみても、近代化資金については千六百四十八億円から九百七十二億円、それから公庫資金は二千四百四十億円から千六百七十八億円、改良資金に至っては三百十七億円から百十七億円と、大きく減少しております。
 また、貸付枠に占める実績の割合、これについても、この五年間を平成八年から比較しますと、近代化資金は四一%から二四%にダウンしていますし、公庫資金についても六一%から四八%、改良資金は四七%からわずか一八%、いずれも大幅に減少いたしております。ということは、この制度資金が有効に活用されておらず、機能不全を来しているのではないか、このように考えられますね。
 このような状況では、制度資金の抜本的見直しを内容としている今回のこの法案改正措置が効果を発揮するのか、大いに疑問なんですね。これについてはどのようにお答えいただけますか。
川村政府参考人 お答えいたします。
 制度資金の融資実績のお話でございますが、データ的には今先生が申されたとおりでございます。
 ただ、この貸付実績が減少いたしました要因というのは、まず一つはやはり需要の落ち込み等がございますし、また、輸入品との競合等もございまして農産物の価格が低迷しているということで投資意欲が低下している、また、低金利時代の中で一般の資金との金利差が少なくなっているということがございまして、非常に魅力が乏しくなっているということもございます。
 ですから、まず基本といたしましては、やはり国産農産物の特質を生かして、いかに全般的な農業対策を盛り上げていくかということで、それによって投資意欲がわく環境ということがまずは基本であろうと思っております。
 ただ、今回の、この制度金融の改正をするわけでございますが、わかりやすく使いやすい、魅力のあるものにしていくということも重要であると思っておりますし、制度の中身を変えるだけではなくて、具体的な現場での運用のやり方というものも、簡素化、あるいは非常にわかりやすく、農業者が自分で経営状況なり融資の審査ポイントがわかるといったような形に改めますし、また、一つの窓口ですべてが片づく、ワンストップでサービスが受けられるといったような改善をすることによって、資金需要の回復というものに最大限努力をしていきたいということを考えております。
小平委員 ちなみに、生産現場ではいろいろなこれについての問題、疑問点が付されているんですね。この改善方によってこういう貸付実績云々というのは、改善方もと今局長は言われましたね。そこで、こういう意見があるんですね。
 まず、この融資を受けるための作業が、翌年の問題ですから繁忙期の秋に大体集中する、農作業に追われてそこまでやっている物理的な時間がないというような問題。あるいは、経営改善計画や申請書類などの簡素化を求める意見が強いということ。
 それから、言うならば、融資を受ける場合に、既往の借入金のいわゆる整理に対して抵当権を設定する場合に、一括償還して抵当権を解除するときと新たな資金借り入れに伴う場合、設定が二回にわたるんですよね。これが非常に手間暇がかかるし経費もかかる、こういういわゆる実務的な問題も抱えていますね。そこで、こういう資金がいろいろあるけれども、これを一つにまとめて、貸し付け要件や事務等を簡素化してほしい、そういう意見もあることも紹介いたしておきます。
 ですから、私は、いろいろと三資金のそもそもの趣旨が違うのはわかりますけれども、借りる側からすると、そこが役所的な規定によって非常に複雑化しているんですね。いわゆる簡素化ということ、そこがこれから有効にこれを利用するためにも大きな改善方だと私は思うんです。
 次に、近代化資金のことについてお伺いいたします。
 今回、政府の方針は、公庫資金、これはいわゆる近代化資金の方に振り向けて、認定農業者育成確保資金、この方向はスーパーL資金並みになっていく、こういう説明がございますね。そういうことは、今、農林漁業金融公庫の事業規模を縮小するという方向が特殊法人の整理合理化計画、この方向に合致する、そういうことなんでしょうが、今申し上げたように、近代化資金の認定農業者育成確保資金をスーパーL資金並みの内容とするということは、両者の代替補完関係を含めて、本当に効果が出るのかどうか、そこのところについてはどのように説明されますか。
川村政府参考人 お答えいたします。
 今回の改正におきまして、農業近代化資金の資金使途といたしまして、従来の施設資金だけではなくてスーパーL並みの長期運転資金などを追加するということで、基本的に資金内容を統一したところでございます。
 これは、借りる側にとりまして、この資金を借りようとしたところ、これでは対応できないといったようなことで窓口を回されてしまうといったようなことが現場の声としてあったわけでございますので、できるだけそこの資金をそろえて明確にするということがその趣旨でございます。
 先生が今おっしゃったとおり、特殊法人改革等も進んでおりまして、できるだけ民間でできることは民間にということを基本とするということで、まずは近代化資金で対応してもらう、そして、資金規模が大きいとか、あるいは償還期間が長くてなかなか民間資金の近代化資金では対応できないというような場合に公庫資金といったような、こういう交通整理をしたところでございます。
小平委員 時間が大分迫ってまいりましたので、ちょっと途中を飛ばします。
 次に、公庫資金の点なんですが、御承知のように、公庫資金というのは農林漁業の生産力の維持に必要な長期かつ低利の資金でありますね。これは、一般の金融機関が融通することを困難とするものを農林漁業者を対象に融通する、こう目的がされております。
 しかしながら、現行の公庫資金の実行金利は、市中金利の状況から比較をすると本当に低利と言えるのか、ここに大いに疑問を感じるんですね、今の非常に低金利の時代に。このことは、農業者の経営実態からすれば、そんなに低利という感覚がないんですね。むしろ高いという感じすら持っている方もいます。
 こういう中で、低利資金の融通という本来の農林漁業金融公庫の目的が本当に全うされているのか、そういう疑問がわいてくるわけです。農林漁業金融公庫は、スーパーL資金など、かつての総合資金の発展ですが、これなどは農家にとっては非常に有効な資金でもありました。
 しかし今、特殊法人改革の流れの中で、この事業及び組織形態、これも大いに検討をすべきと指摘されておりまして、こういうことを踏まえながら、今の農林漁業金融公庫、今後のこの使命というのはどうあるべきか、これについて政府のお考えをお聞きしておきたいと思います。
武部国務大臣 委員御指摘のとおり、この農林公庫資金については、現在の低金利情勢下では一般民間資金との金利差が極めて少なくなっておりまして、貸し出し時点での金利としては有利性が薄れてきているということは事実であろうと思います。
 しかしながら、公庫資金の金利は固定金利でありますので、市場金利が上昇局面にあっても貸出金利は上昇しないため、この点においては一般民間資金と比べて有利であるという一面があるわけでございます。
 さらに、農林公庫の融資は、農業の特性を踏まえまして、農業者の経営能力を重視した融資審査ノウハウを蓄積しておりますし、融資後も営農指導等のフォローアップに努めているわけでございます。自然災害等によりまして返済に支障を来した場合には、償還条件の緩和を弾力的に行っていることでもありますし、民間金融機関とは異なる特徴を有しておりまして、農業振興上十分な存在意義がある、かように考えております。
 しかし、委員御指摘のようなことも事実でございますので、これを今後どのように改善していくかということについては、さらに我々も研究、検討させていただきたい、かように存じます。
小平委員 次に、経営体育成強化資金、これについてでありますが、これは昨年の末の法改正で、前向き投資資金として償還負担軽減のための資金を一体的に融通する、こういう形で創設されました。このことは今までの制度資金にはなかったことで、私も、実態を踏まえたものとして一応評価はいたしたわけであります。この投資資金は、土地利用型農業に限られた形でスタートしましたが、今回さらにこれを広げて、全農業種目に拡大しよう、これについてもやはり改善方があると評価はできると思うのですね。
 しかし、問題は、このような厳しい農業情勢の中でどう運用していくかということに尽きると思うのです。新たな経営体育成強化資金が、施設型農業をも含む農業経営の中で、認定農業者じゃない農業経営が償還負担の軽減のために積極的な経営展開を図ろうとする場合に大きな効果を発揮することが大いに求められておりますが、この経営体育成強化資金の拡充によって、これに期待する効果とこの運用についてどう関連づけていくのか、それについての見解をお聞かせください。
川村政府参考人 経営体育成強化資金でございますが、これまでは、御指摘のとおり土地利用型に限られておったわけでございます。今般、これを土地利用型以外の農業種目、全農業種目に拡大をするということでございますが、これによりまして、今全般的に経営環境が低迷をしておる農業状況の中で、園芸農業等の土地利用型以外の農業の資金ニーズに的確に対応できるものと考えております。これは、まさに御指摘のとおり、負債整理も含めて、前向きな経営展開もあわせて総合的に取り組むことができるということで、この最近の情勢を踏まえた資金ニーズに合っている改正ということで考えております。
 また、この資金の運用は、まさに先生から先ほど来御指摘がございますとおり、現場での適切な対応ということが必要でございますので、手続の簡素化、合理化、また的確な融資審査といったことについては最大限配慮していきたいということで考えております。
小平委員 農業改良資金に関してでありますけれども、この資金は無利子資金の提供でありますね。これは、この制度の発足以来今日まで、農業技術の普及や農業を取り巻く情勢に即して制度の拡充等が行われてきた、一応こう言われております。
 しかし、貸付実績は、先ほども申し上げたように、年々減少して、極めて今低調でありますね。このことは、ほかの制度も先ほど申し上げましたように共通項がありますけれども、特にこの改良資金が顕著ですね、低調さが。こういう中で、貸付実績が低調という事実の前に、無利子資金の提供を通じて先駆的な、モデル的な農業経営の育成を図るという目的が、単なるかけ声だけで、絵にかいたもち、画餅に帰しているんじゃないか、こんなふうに言えると思うのです。
 したがって、今回この農業改良資金の見直しをするに当たっては、こういうことをきちんととらえながら、この低迷している原因をしっかり把握をし、どうこれを展開するかというその分析をしなきゃならぬと思うのですね。これについても重ねて、これに絞ってのちょっとお答えをいただきたいと思います。
川村政府参考人 農業改良資金でございますが、貸し付けの実績は、先ほど御指摘があったとおり、非常に低迷をしております。これは、経済全般の低迷、それから金利の低下といったことでの背景もあるわけでございますが、この資金内容が、特に国があらかじめ定めた特定の技術等を導入する場合に貸し付けを行うということで、その貸し付けのケースが限定的でございます。
 最近の農業の展開を見ますと、現場では、それぞれいろいろな先駆的な取り組みを行う担い手というものがいろいろな創意工夫を生かしながら対応しておりますが、そういうものに正直言いまして追いついていないということが背景にあるかと思います。そういうことの反省に立ちまして、今回、新たなチャレンジを行う、新たな技術なり新たな作目、そういうものに取り組む場合に支援をするということが重要であろうということで改正をお願いしているところでございます。
 またもう一つは、借りる場合、現在は都道府県からの貸し付けが基本になっておりまして、その場合、機関保証が受けられないということがあったわけでございます。最近非常に農地の価格も低落して担保価値が減少しておりますし、それから、農村におきます人的な結びつきが変化をいたしまして、保証人につきましてもなかなか確保が困難といったようなことがございまして、担保や保証人による貸し付けということが難しくなっておるわけでございます。そういう意味でも使いづらいということがこの背景にあろうというふうに分析をしているところでございます。
 こういう現状の反省、分析に立ちまして今回の資金の制度改正を行ったところでございまして、先ほど来申し上げましたとおり、その内容につきましても、高リスク農業へのチャレンジを支援するための資金ということに改めましたし、また、民間、農協等を通じます転貸方式ということをも認めまして、その場合は機関保証が自動的につけられるということがございます。また、融資方法につきましても一元化をします。
 そして、特にこの改良資金につきましては、地域の農業改良普及センターがその指導を濃密にやるという体制ができておりますので、これも非常に活用いたしまして、今回の制度改正の趣旨の積極的なPR、それから、また事前指導あるいは事後指導、フォローアップというところまで含めまして、きめ細かくフォローをしていくということが大切だということで、そういう取り組みをしていきたいというふうに思っております。
小平委員 これは、直接この金融二法の内容とはちょっと違うんですけれども、最近よく耳にすることに、今、新規就農者、これに対する補助、助成措置がいろいろと行われております。これはこれで大いにこれからも進めていっていただきたいのでありますが、その中で、農業後継者、いわゆる後継青年ですね、これに対するいろいろな施策が、比較すると薄いのではないか、こういう不満がございますので、これについては、いわゆる新規就農施策というのは、農家子弟であろうとあるいは新規就農であろうと同じですから、そこについてはこれからも手厚い施策を進めていっていただきたい、こう思います。これは答弁結構です、御異論ないと思いますので。
 次に、例の民間金融機関からの融資、これの問題なんですが、今回、農業改良資金の融資について、都道府県の直接融資に加えて、民間金融機関が都道府県から資金を借り受けて農業者等に貸し付ける、こういう転貸融資方式を追加されますね。
 農業関係資金にかかわる民間金融機関からの融資としては、まず農協系統が想定されるところであって、農協系統からの転貸融資がきちんと行われることがこれは必要であります。あわせて、農協以外の銀行等からの貸し付けが円滑に行われることも、これもきちんと確保されなきゃならぬ、こう思います。
 農業生産の現場では、農協と緊密な関係を有する農業者もおれば、また逆に、農協と一定の距離を置いて創意工夫を生かした経営に取り組む、そういう農業者もおられます。こうした農業者の経営の態様に即して資金の活用が図られることが必要と思いますが、この転貸融資方式の運用に当たってのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
川村政府参考人 農業改良資金の民間金融機関を活用した融資方式ということを、今回、大々的に行おうということでございます。
 これは、民間金融機関と申しました場合に、今先生御指摘のとおり、農協等が中心になるということは事実と思います。ただ、これは農協に限定されるわけではなくて、信金でありますとか通常の地方銀行等でも可能でございます。
 ただ、機関保証の関係で、ちょっとその会員になっているとかそういうことでないと受けられないという点はございますが、そういう会員になるといったようなことも指導いたしまして、できるだけ、先生がおっしゃったようなケースでも対応ができるようなことで努力していきたいというふうに考えております。
小平委員 それにあわせて、この改良資金、これは高リスク農業へチャレンジするための資金に改めよう、そういうことも含まれていますね。特に、農業経営をめぐる厳しい状況が積極的な農業の経営展開への取り組みを阻害している、こういうことから、私は、この高リスク農業へのチャレンジが本当に確保されていくのか、これは大いに疑問であると思うのです。
 この転貸融資方式の導入と、これに関連して農業信用基金協会の保証業務の範囲に農業改良資金を追加するといった措置などを通じて資金需要がどれだけ喚起できるか、そこのところはどのようにお考えでしょうか。
川村政府参考人 農業改良資金の貸付実績が低迷していることは、先ほど来申し上げましたとおり、その資金の内容でありますとか、またその貸し付けの方式ということが反映しているということでございます。
 今回、民間金融機関等への転貸方式ということを認めますので、この民間金融機関への貸付分を中心に、この資金の大幅な増加を期待しているところでございます。
小平委員 次に、今回のこの法案の措置なんですが、担い手の経営改善にとっては一定の役割を果たすもの、こう考えられます。
 それで、前向きの資金と償還負担軽減のための資金、これの一体的融資を内容とするそういう経営体強化資金の拡充ですね、この点を除いてはほかの点はすべて前向きの資金のいわゆる運用の問題ですね。
 しかしながら、現在、農産物価格の低迷、農産物輸入の増加といった状況の中にあって、国の施策に従って経営基盤の強化に取り組んできた農業者が負債の償還に苦しんでいるのが今の厳しい現状です。この法案の中で、わかりやすく使いやすい、これをキャッチフレーズに制度資金の見直しが措置されていても、このような負債の整理が進まないと農業者による積極的な経営展開は期待できない、こう思います。
 平成十三年の制度改正においては、償還負担軽減のための資金の充実として農業経営維持安定資金が創設されました。あわせて、農業経営負担軽減支援資金、これも創設されました。その融資の実績を検証して、もう既にあると思うのですが、これらの進みぐあい等々について、負債の、いわゆる後ろ向きの整理の問題として、今回この金融二法にあわせてこれらの問題をどのように政府は考えておられるのですか。
川村政府参考人 お答えいたします。
 まさに金融の関係では、今御指摘がございました農家の負債整理をどう行っていくかということが非常に大事な課題でございます。そういう背景にかんがみまして、昨年、大幅な負債整理資金関係の見直しを認めていただいたわけでございますが、その中で大きく三つの負債整理資金が創設されたわけでございます。
 一つは、今先生御指摘がありました農業経営維持安定資金ということで、これは公庫資金でございますけれども、自作農だけではなくて、借地型あるいは施設型経営も負債整理資金の貸付対象者ということで拡大をしたというのが一点ございます。
 それから、二点目といたしまして、制度資金の償還負担をより一層軽減したいということで、これまでは単年度の貸し付けでございましたが、最高十年間の計画期間中の償還負担を一括前倒しして融資ができるようにするということで、これも大幅に制度的に拡大したところでございます。
 また、先ほど来議論になっております農林公庫の経営体育成強化資金というものも創設をして、負債整理とあわせて前向きの経営展開が図られるというふうになりまして、大きくこの三つが措置されました。
 そしてまた、運用面も重要であるということで、運用面での改善も行ったわけでございます。一つは、農業者がみずからの経営のチェックができて、融資審査のポイントがわかるような経営改善計画の様式を作成する。それから、この計画作成に当たりましては普及センターが支援をする。また、債権保全については、物的担保と機関保証を基本としまして、第三者保証人は不要とする。また、審査期間を短縮しまして一カ月半とする等、いろいろ工夫をしました。
 この結果でございますが、四半期ごとの報告でございますので、まだ昨年の、十三年十二月末の現在でございますが、都道府県なりあるいは公庫からの報告によりますと、この負債関係三資金の合計は二百二十四億円ということで、平成十二年度の負債整理資金の実績が五十九億円でありましたので、大幅に拡大をしておりまして、このメリットが十分認識をされまして活用をいただいているというふうに認識をしております。
小平委員 まだこれら負債対策関係は緒についたばかりですから、これからの取り組み方いかんでもって大きく変わってくると思うのですね。かつてM資金、あの不条理な、使いづらい、借りづらい制度の改善方に努めたのでありますから、これが有効裏に受け入れられていくように、いろいろと改善しながら努力していっていただきたいと思います。
 もう一点、これに関連して、あわせてちょっとお聞きしておきたいのですが、例の、先ほど申し上げた新政策、あれ以来、農地の規模拡大等々によって農家の負債額を大きく圧迫しています。これの解消方として、一つは農地保有合理化法人、これらがございますね。県公社がその農地を買い取り、いろいろな運用方に努める。北海道においては農業開発公社等々になっておりますが、これについても農家の負債を処理するという方向で、何か先ほど政府の方としても、この出資の方向にあわせながら無利子融資枠を三倍強に増額する、そして生産法人の育成をバックアップしながら、いわゆる農地の運用の効果的な展開、さらには負債農家の救済ということに努めると聞いております。
 実は、私も昨年、当委員会に議員立法としていわゆる負債対策のための特別措置法案を出しております。これはまだつるされております。私は、これについて委員会で審議をすることを当然要求したいのでありますが、要は、問題はその中身であって、このような問題の中で、特に私は、農地の大きな負担が解消されれば現下の厳しい米価水準でも経営は可能になりますし、また、そこがうまく進めばこの玉突き現象の解消というか、水田をいたずらに他作物に転用して、ほかの畑作や野菜を含めて、そういういたずらな競争も回避できますので、この農地の処理というのは大きな問題です。
 特に今後、これからの世界的な人口増大が進む中で、食料の飢餓という方向を考えると、これらについて、いわゆる農政の大きなポイントになると私は思うのですね。したがって私どももそういう議員立法を出したわけでありますけれども、何か政府は、このような農地の買い取りについて大幅に前進しようという方向が出ておりまして、それはそれで私どもの方向に合致していますので一応評価はしたいと思うのですが、まだそこのところがはっきりと見えておりません。これについてこの機会にお聞きをしておきたいのですが、お答えいただきたいと思います。
川村政府参考人 お答えいたします。
 負債農業者の救済の支援措置の一環といたしまして、平成十四年度におきまして新たな、農地保有合理化法人を活用いたしました農業生産法人への経営継承システム事業を実施しようとしております。これは、地域のいろいろな負債を抱えた農家がいらっしゃいますが、そういう不良債権の最終処理に向けました合意形成ということをまず促しをするということでございます。
 その場合、負債農家の農地等の受け皿となります農業生産法人を設立する。これは、公的な参加ということで、市町村あるいは農協の出資を受けてこの受け皿をつくるということでございます。
 この法人に対しまして、負債農業者の経営資源を継承する、そしてその際、農地保有合理化法人によります、農地を買い上げたものを一時貸し付けして売り渡す、あるいは現物出資等で支援をしていくといった対策を講ずるということにしております。これによりまして、負債農家をかなり抱えている地域の継承等が円滑にいくことによりまして、その負債の対策が円滑にいくのではないかということでこの事業を仕組んだところでございます。
 そして、この事業の実施に当たりましても、できるだけ運用面の改善を図りまして、負債を抱えた農家の方が地域におきまして引き続き農業を続けられるような形で工夫ができないかというようなことで、改善も図っていきたいということを考えておるところでございます。
小平委員 負債対策がしっかりされることによって前に進んでいきますので、ぜひ効果あるように政府の取り組み方を強く要請しておきたいと思います。
 ところで、WTOに関して少しく触れておきたいのでありますが、外務省もお見えになっていますね。よろしいですね。
 先月二十六日に、ジュネーブで農業委員会特別会合、今後に向けてのいろいろな方向、特にモダリティー確立に向けた作業計画、これらが討論の議題として出されて、進められてまいりました。そういうところで、やはり今回の一番大きな問題というのは、昨年十一月に正式に合意があった中国のWTOへの正式加盟ですね。これによって今後、国際社会でのいわゆる経済関係は大きく変わっていくと思います。農業はもちろん、ほかの分野についても大きく変わっていくと思います。
 そこで、ここは農水委員会ですから、農業について絞って少しくお聞きしておきたいのです。
 まず、中国はWTOに加盟するに際して、向こう十二年間、対中セーフガードを各国が発動できる、そういうことを、これは当初アメリカが強く先行したと聞いておりますが、最終的に中国がこれを受け入れて、この対中セーフガードが合意されましたですね。
 そして、それを受けて我が国でも、これは財務委員会等々で法制化へ向けての作業が進みまして、先般参議院で対中国セーフガード法が成立をして、いよいよ四月からこれが実行に移される、こういうことになり、あわせて、発動を判断するための検討項目などを盛り込んだガイドライン、これも四月上旬にまとめる予定、政府はそのように進めていると聞いております。
 そういうところで、まず私は、幾らそういう制度、法律をつくっても、問題はその運用方ですから、幾らそういう取り決めがあっても、我が国がそれをしっかりとした強い姿勢でもって発動しなければ、まさしくこれは絵にかいたもちであって、何も意味がない。逆に、そんなことはせぬ方がいいということになりますね。
 したがって、こういう中で特に相手は中国、そしてしかも奥深い、どれだけの条件を持っているかはまだつまびらかにされておりません。我々も承知できません。そういう中で、外務省はその衝に当たる省庁として、中国のいわゆる現状それから将来に向かう方向、そういうことをきちんと踏まえながら、この対中セーフガードについてどのようにこれから取り組んでいくかということもあります。まず、その先に、これに至った経緯等を含めてお聞かせ願えるでしょうか。
佐藤政府参考人 中国についてのお尋ねでございます。
 ただいま御指摘がございましたとおり、中国、昨年末にWTOに加盟をいたしまして、これは当然、先ほどお話にありましたように、国際的にも大変に、経済関係上大きな影響をもたらすものでございますし、また、我が国との経済関係においても大変に大きな影響を及ぼすことであろうと思います。
 中国側は、WTO加盟に際しましていろいろな約束をしておりますが、そうした約束が着実に実施されるということになると、中国の市場開放というものが促進される、それによって中国との経済交流というものはこれから拡大が予想されるわけでございます。
 そうした状況を踏まえて、我が国としては、こうした中国のいろいろな約束というものが着実に実施されるということをきちっと監視しながら、かつ、日中間の経済関係というものがお互いにとって利益になるようなものに、互恵的な経済貿易関係というものが発展していくようにする、そういうふうにしていくことが大変重要だろうと思っております。
 そのためにも、中国との間でいろいろこれから、紛争を未然に予防したり、あるいはいろいろ経済関係が深まる中で問題が出てくる、そういったものに建設的に対応していくためにも、中国との関係ではいろいろ、対話といいますか、いろいろなチャネルで広範に、問題を未然に解決する、問題に対応するという意味できちっと対話をして、建設的な関係、秩序ある関係というものを築くようにしていきたいと考えております。
小平委員 審議官、今後の対中国に対する外務省の姿勢の基本的な方向、それはお聞きしました。
 きょうは経済局長も見えていますね。ちょっと確認しておきたいのですが、これを取り決めるに当たって、いわゆる対中セーフガード、何かこれによりますと、セーフガード発動後三年間ぐらいは対抗措置もとれない、こんなことにも合意があったわけでしょう。向こう十二年間、こういう対中セーフガードの合意の中で、特に向こう三年間は中国はいわゆる対抗措置もとれない。
 そして、一般セーフガードと違って、言うなれば、ほかの国にいわゆる輸出が振り向けられた場合、中国からの輸出が例えばある国に向かってとまった場合に、それについても今度はその振り向けられた国はさらに発動できますよね、そういう特殊性を持ったセーフガードですね。こういうことを決めていく経緯にあって、外務省は当時どのような役割を果たしておられたんですか。当時、全然そういうところが我々に見えなかったんですよね。
佐々江政府参考人 お答えいたします。
 中国に対する経過的セーフガードというのは、先生も御承知のとおり、これは主としてアメリカが中心になって交渉をしたわけでございまして、我が方もこれを側面から支えるという感じだったわけでございますが、御承知のとおり、特に対抗措置の問題、あるいは先生のおっしゃったのは貿易転換に関する措置の問題だというふうに思いますけれども、一番大きな点であったのは、やはり一つは中国に対する差別性、一般のセーフガードは先生も御承知のとおりグローバルにとるということでございますけれども、それを中国についてはやはり差別的にとれるようにする。
 それから、発動要件の方も非常に緩和をされているということで、一般のセーフガードの方は重大な損害が必要だということでございますが、対中セーフガードにおきましては、市場攪乱、実質的な損害ということで、やや要件が緩くなっているということなんでございますが、今先生から御指摘ありました点についても、やや一般のセーフガードに比べまして対中セーフガードの方が、我々の方にセーフガードを発動しやすくなるような状況が生じている。
 すなわち、その対抗措置につきましては、一般セーフガードにおきましても、輸入の絶対量の増加の結果としてとられた協定に整合的な措置の場合には、最初の三年間は対抗措置はとれない、これは一般のセーフガードについても規定がありますけれども、対中セーフガードについての規定というのはこれとはやや違う規定でありまして、輸入の相対量の増加の結果とられた措置の場合、最初の二年間は対抗措置をとれないという、やや三年と二年というふうにちょっと分けております。要するに、中国に対してきつい内容になっているということでございます。
 それから、貿易転換に関する措置については、一般のセーフガードでは特に規定はございません。対中セーフガードについては、中国の措置によって関係国にダイバージョンが起きるというときに対するセーフガードを認めているということでございまして、この主たる交渉はアメリカ側を中心に米中間で交渉が行われていたということでございます。
小平委員 私はあえて申し上げますけれども、アメリカが主体的と言われましたけれども、何かアメリカに追従したような感じにとれるんですね。
 先般、いわゆるネギや生シイタケ、それからイグサ等々の一般セーフガード暫定措置、あの後の本発動に向かっての交渉の中でも、当時、武部農相や平沼経済産業相、中国とやりましたけれども、外務省は全然、外務大臣を含めて見えなかったんですね。外務省は何をやったんだ、あの問題のときすらですよ。しかも、このような中国がWTOに加盟するに際しての今後に向けての大きな国際協約、外務省は全然見えていないんですよ。私は、そこにぜひ外務省がきちんとした姿勢を持って臨んでいただきたい。
 特に、いよいよ個別化でしょう。関税化に伴う割り当て問題についても、いわゆるMA、これについても、米なんかは、当初中国は三百三十二万トン輸入の義務が課せられたんでしょう。三年後には五百三十二万トンでしょう。日本のMAの七十八万トンとは格段の差ですよ。もちろん向こうは人口も多いですけれどもね。小麦なんかは三年後には九百六十三万トン、約一千万トンでしょう。この輸入の義務が課せられている。こういう状況で、これから中国は必死にいわゆる防衛措置を講じてきますよ。
 そのときに我が外務省が、アメリカ追従じゃなくて、これはアメリカと中国のためのセーフガードじゃないんですよ、日本と中国のセーフガードですよ。しっかりとらえていっていただかないと、今後の我が国の国益、特に農業界にとっては大変な問題になりますから、そこは外務省改革に伴って、こんな弱腰外交じゃなくてしっかり、いわゆる軸足を定めて頑張っていただきたい、こういう機会に強く要請します。そして、それにあわせて、農水省は連携をとりながら、特に今後の対中交渉を頑張ってやっていただきたいと思います。
 時間があれば、西藤局長や佐藤局長がおられたんですけれども、言われた時間が来ましたので、農業問題に対するセーフガードはまた別な機会に質問しますので、きょうはそういうことで、基本的に、中国に対する問題は大きな今後の問題ですからしっかり頑張っていっていただきたい、このように申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
鉢呂委員長 これにて小平忠正君の質疑は終了いたしました。
 次に、津川祥吾君。
津川委員 民主党の津川祥吾でございます。
 小平委員に引き続きまして、ただいま議題となっております農業金融関連二法案につきまして、質問をさせていただきます。
 小平委員からただいま大変広い範囲にわたりまして鋭い質問を一時間半にわたりましてございましたので、私は、三十分という時間ですので少し大所高所からの大きな流れについて御質問させていただいて、その中で、この二法案がどういった位置づけになるか、こういったことを質問させていただきたいと思います。
 まず冒頭でございますが、平成十一年の食料・農業・農村基本法の成立からの一連の農業政策改革の流れにつきまして、大臣の御見解を御確認させていただきたいというふうに思います。
 大臣は、就任以来、農業の構造改革が必要であるということを何度も述べられていらっしゃいます。最近になりますと、農業の構造改革というよりも、農林水産省の改革が必要だというお話の方がメーンになってきたのかな。昨日、農水省の入省があったというふうに伺っておりますが、その際も、農林水産省の大改革が必要なんだということを訴えていらっしゃったというふうにマスコミで私は伺いました。
 省の改革ももちろん必要であろうかと思いますが、もう少し大所的な話で、確かに、農業の構造改革は大変必要だと思います。その中で、大臣は、今あるいはこれまでの日本の農業の構造がどういったもので、その構造上の問題はどういったところなのか、それから、大きく改革していく新たな臨むべき日本の農業構造というものはどういったものなのか、そういったことについて、まず大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
武部国務大臣 農業の構造改革を強力に進めていくためには、農林水産省の大改革が大前提になると私は思うんです。
 それはどういうことかといいますと、食料・農業・農村基本法の制定に基づきまして、今、食料の自給率を平成二十二年までに四五%に引き上げていこう、こういう計画でありますが、これは容易なことではありません。今まで農林水産省はやはり生産者サイドに軸足を置いていたと言って過言でない、このように思うんです。生産者サイドに軸足を置いて幾ら自給率向上を訴えても、消費者の皆さん方が歓迎するもの、求めるものを供給できない、そういう生産であるならば、自給率の向上はできないわけでございます。
 したがいまして、私どもは、消費者が求めているもの、安全で安心な食料の安定を確保して消費者の信頼を確保していく、そういう基本に立って今後の農政を強力に進めていかなければならない、このように思っているわけでございます。それは結果的には生産者のためであり、食料自給率向上につながる、こう思っているわけでございます。
 食料自給率向上のためには、やはり望ましい意欲と能力のある経営体というものを強力につくっていかなければなりません。そういう意味で、私は、今の農村でありますとか農業の実態ということを考えたときに、それにたえ得る構造改革を進めていかなきゃならない、そういう経営体を育てていかなきゃならない。どうも今までの農政というのは、あれもこれも包括的に並列的にやっていた傾向があるのではないか、このように思うんです。
 一方において、それじゃ二種兼農家でありますとか副業的農家でありますとか、そういったことはそれでいいのかということでありますが、私は、農村の新たなる可能性を切り開いていく、それは何だと、農業には多面的な機能というものがあるわけであります。農村には、食文化を起点にして、日本の伝統的な民族的な文化が根づいているわけでございます。同時に、国土の保全とかそういったヒューマンセキュリティー、都市居住者の皆さん方にもおいしい水等を供給するライフラインというものを支えているわけでございます。
 そういったことをきちっと整理して、そしてそれぞれ強力に、分類して進めていくということが必要ではないか。しかし強力に、分類化して進めていくということで矛盾があるのか、私は矛盾はないと思うんです。
 現状、農村、今、二種兼農家といいますか副業的農家はもう六割以上ですね。それだけあるわけでございまして、主業農家といいますか、その比率はまだ二割ぐらいというような状況でございます。私は、主業農家が二割でもいいと思うんですよ、いいとは思うんですけれども、やはりどれだけのものをそれだけでつくっていけるかと。農村の過疎化、高齢化ということを考えたときに、やはりそういう意味でも集落営農とか法人化ということが必要だと。
 法人化ということは、何も生産第一で法人化じゃないんです。むしろ専業農家の分業化と言ってもいいんじゃないか、こう思うんです。いろいろなサービスでありますとか、都市の人たちが農業をやりたいというのに一年じゅう都市の人が農村に入ってくるわけにはいかないんでしょうから、その間契約関係をきちっとして、そういった都市の農場を持ちたいという人たちのためにいろいろと管理をしたり、情報を提供したり、サービスを提供したりというようなことができるんじゃないかと。
 そういうような意味で、私の農業構造改革というのは、生産としての農業ですね、ある意味では国際競争力のある、安全で安心な、消費者にも信頼され得る、そういう食料の安定確保、そのための担い手。
 もう一つは、農村の多面的な機能といいますか、農村の多様な存在感ということにこたえ得る、そういう、おいしい水、きれいな空気、美しい自然も都市居住者の皆さん方にも供給できる、提供できる、都市と農村が行ったり来たりできる、都市と農山漁村の共生、対流というようなことを構想する、そういう日本の農山漁村といいますか、そういったことを構想してそれを進めていくためには、農林水産省が意識改革をしなきゃなりません。大胆に農林水産省は変わっていかなきゃなりません。それが私の一つの基本的な考えでございます。
津川委員 農政の改革という意味ではよくわかりますが、農業の構造改革といったときには、例えば生産者サイドではなくて消費者の方も見るべきだというのは、これは当たり前の話でありまして、改革というよりも、むしろ今までそれが抜け落ちているのであるとするならば改善と言ってもいいんじゃないかと思います。
 消費者のニーズを、これまでも無視してやってきたわけじゃないでしょうが、消費者に受け入れられない限り生産というのは立ち行かない。生産者のサイドに立つか消費者のサイドに立つかという問題ではなくて、これは全く同一の問題であるということを当然認識しなければならないと思いますし、農水省の方がもしそういった認識がこれまでなかったんだとすれば、それはぜひとも、当然改革をしていただかなければならないと思います。
 ただ、構造という話でいいますと、自給率を上げなければならない。その中で、意欲ある、また能力のある農業者の支援をして、経営を安定させて効率的な農業経営をしていただくということ、そういったことがどんどん農業そのものを活性化していく。そういったものがない限り、自給率の向上もあり得ないだろうというお話でございます。
 確かにそのとおりであろうかと思います。この今回の金融関係の二法案につきましても、経営の支援ですとか改革、改善の支援、そういったところに充てられるわけでありますから、その中に位置づけられているものというふうに受け取らせていただいております。
 その中で、必ずしも、ただ今回の改正、方向性としてはもちろん間違っていないと思いますが、改革と言えるほど、そんなに大きなものではないんじゃないのかなという感じが私はいたします。
 制度資金というのが大変重要であるというのもよくわかります。補助というよりも制度資金の方に政府の政策がシフトしていくべきだというのもよくわかります。その結果として、大臣がたしか先日の本会議答弁でされていたと思いますが、農家の方々の自主性を尊重する、創意工夫を尊重する、そういったことを確実にするためにもこういった制度資金の活用をどんどん進めていった方がよいだろうというお話でございました。それも全くそのとおりだと思いますが、もう一方のメリットとして、これも大臣おっしゃったと思いますが、国あるいは地方公共団体の財政負担が少ない、これも確かにメリットだと思います。
 ただ、今、全体的な流れを見ておりますと、骨太の方針等々から見ても、財政負担を減らすというのがむしろ先に来ているんじゃないのかなという感じが一部します。
 それがなぜかということに関しましては、きょうも各委員の方々からも御指摘がございましたが、これまであった制度資金が必ずしも有効に運用されていない、むしろ非常にその運用率が低い、実績が低いと言わざるを得ないということでございます。その中でも、例えば農業近代化資金に関しては平成十二年度で実績が二四%、農林漁業金融公庫の中の農業の関係だけでも四八%、農業改良資金に至っては一八%、大変利用実績が低い。
 その実績の低い理由について、今局長の方からも指摘を幾つかいただきました。農業そのものの環境が必ずしも今よくない、需要が減ってきているという話、それから経済が停滞をしているという話。確かに、最近利用実績が下がってきた要因の一つだとは思います。
 ただそこで、局長いらっしゃいますので質問させていただきたいんですが、ほかの、市中の金利が下がってきておるということで、この制度の資金の低金利のメリットが、魅力が減ってきたという話がありますが、それが原因だとするならば、では農家の方々、農業者の方々がほかの銀行ですとか信用金庫さんから融資を受けるという実績は逆にふえているんでしょうか。そういった数字はありますでしょうか。
鉢呂委員長 津川祥吾委員にお知らせしますけれども、川村局長は政府参考人の御指名になっておりませんので、大臣、副大臣にお願いいたします。
津川委員 わかりました。済みません。大臣にお答えいただきます。
武部国務大臣 局長に御質問いただきましたから、私は多少ほっとしたところなんですが。
 今、いろいろ津川先生の考え方を表明されまして、私もすべてと言ってもいいぐらい同感なんですね。
 なぜこの制度資金が伸びないかというのは、一つは最近の経済情勢ということがあるんだろうと思います。それから、財政を削減するためじゃないかというような話もありますが、そういう事情も背景にないことではないんだろうと。要するに、効率よくやるべきだということが大事な基本になっていると思います。
 実績が上がっていないのはなぜかというようなことは、最近の景気の低迷でありますとか農産物需要の低迷でありますとか、いわば生産者の投資意欲が低下している。それからもう一つは、今お話にもありましたが、既往債務の繰り上げ返済にシフトしているということが一つ言えるんではないかと。
 やはり生産者も、みんな今までのようないわば拡大基調の投資じゃなくて、減らすところをどんどん減らしてむだをなくしていこう、そして高い金利のものを繰り上げ償還していって少しでもぜい肉を落としていこう、そういう動きになっているということも新規の投資が進まない背景ではないか、このように思うんです。そういう意味では、この貸出残高といいますか、それは減ってきていることは御想像のとおりだ、こう思います。
 しかし、その中で、生産者もある程度スリム化した上で積極的な投資をやっていこう、あるいは経営体についても大胆に法人化などをやっていこう、そういうちょうど今は分水嶺にあるんじゃないのかな、私はそういう認識でありまして、したがいまして、我々も補助金制度はできるだけやめたいなと。同じような補助金についても統合補助金にしていって、使い勝手のいいものに、それぞれの地域の事情に合った、そういうやり方、これも地方分権の一つの流れに沿うものでもございますし、そういうふうに変えていったらいいんじゃないかと。
 そして、やはり農業経営自体については、やはり国費だけじゃなくて、千四百兆円の個人金融資産をどんどん農村に投資してもらえるような、そういう可能性といいますか、そういう兆候、出てきていますよ。
 そういうようなことを総合的に私どもはいろいろ政策化して、農村、農業経営というものを変えていきたい、それが我々が考えている農業の構造改革の一環である、このように考えているわけでございます。
津川委員 済みません。質問通告していなかったものですから、思いついて質問してしまいまして、失礼いたしました。ちょっと大臣にお答えいただくのは申しわけない質問だったなと思って反省をいたしております。
 私が申し上げたいのは、政府側としてあるいは農水省側としては、補助からこういった制度資金の方にシフトしていきたい、それから、現場の方々の創意工夫、アイデアで何とかここを改善していきたい、全くその意図はわかるんですが、実際利用されていないということから考えても、幾つか確かに問題はあります。手続上、非常に複雑で利用しにくかったという御意見もあるようです。
 一方で、平成十年に認定農業者の方々にアンケートをした結果でも、経営改善に関しては、制度資金の借り入れに対する要望が強いということがありますから、こういったものが必要なのはよくわかるんですが、実績としてこれが上がってきていないというのは、まさに現場の声と政府、農水省側の考え方がずれているんだと思うんです。
 そこで、制度を少しずつ変えて、簡素化して使いやすくしたいという話は、それはそれで方向性としては間違っていないと思いますが、やはりこの改革についても、農水省側のアイデアでしかないんじゃないのかなという感じがするわけです。
 先ほど小平委員からもいろいろ指摘がございました。農水省としては、当然よかれと思って、こうしたらどうだ、ああしたらどうだといろいろなものを出すけれどもなかなかうまくいかない、うまくいかないから、では今度こういうふうに変えました、今度もまたこういうふうに変えましたと。変えるのは結構なんですけれども、なぜうまくいかなかったかということの反省というのがやはり当然必要なんだと思います。
 そのために、大臣をやめろということを言っているわけじゃなくて、その内容について、しっかりと踏まえていただかないとならないでしょうし、それはやはり現場のサイドの農業者の方々の御意見がどれだけ入っているかということだと思います。
 今回の担い手制度の再構築の中で、農林水産省さんがつくっていただいた借り方について、一括して申し込めるから非常によくなったといって農業者の方が手を丸くしているものがありますけれども、これについてちょっとお伺いします。
 新しいシステムでは、農協等に一括に申し込んで、後はそこから農協、農林公庫等で協議をして、最も適切な資金を選択して融資をするというふうに書いております。ただ、これは考えてみたら、貸す側が、三者が集まって、だれが貸す、だれが貸さないという協議をして、ではあなた貸してくださいという話になる。つまり、借りる側の話はここに入ってこないのです。それで借りる側の利益がしっかりとこのやり方で担保されるのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
武部国務大臣 これはなかなか個人差はありますよね、生産者でも。それから、農協等のサービスの提供、これらもそれぞれ差があると思います。積極的な農家の方々は、あるいは津川先生のところに出かけていって、こういう事業計画を持っているんだけれども何かいい方法はないだろうかというようなお尋ねをする人もいるだろうと思います。
 したがいまして、私どもは、これからやはり農業の構造改革という大前提に立つならば、手とり足とりということはいかがかなという一面はあるんです。しかし、わかりやすく、借りやすく、そういうことについては、これは徹底した努力をしていかなければならない、このように思いまして、今回の改正とあわせて実施する予定の一元的な融資手続については先生御自身からちょっとお話がありましたから省略させていただきますけれども、従来の制度資金の融資手続に関しましては、どの資金が借りられるのかよくわからないとか、申し込みをしたが当該融資機関が扱っていないなどの場合に、再度別の融資機関への申し込みが必要になるわけでありますが、そういった問題点が指摘されてきたわけです。これを改善しようとするものが今回の改正の一つの目当てでございます。
 また、融資機関相互間の調整が行われることになるわけでありますので、申し込みを受けた融資機関の他の融資機関への連絡方法、あるいは融資機関相互の調整方法、申し込みをした農業者への連絡方法等のルールを明確にして、関係者に対してこれをきちっと丁寧に通知するということは当然大事なことだろう、このように思います。
 一元的融資手続により農業者が不利益や不便をこうむることのないように、現場の実情、実態というものに合わせた対応、やはり情報の受発信ということが今まで農林水産省にとって非常に不得手なところだったということが、BSEの問題でも痛切に我々感じているわけでございまして、そういった事柄についてはいろいろ努力したい、このように思います。
津川委員 済みません、これも通告しておりませんが、一つだけ、一言でお答えいただきたいことがありますが、農協の役割で第一の役割といえば何か、大臣にお答えいただけますか。農協の役割、第一の役割、第一番目の農協の役割をお答えいただきたいと思います。
武部国務大臣 それは、地域農業の振興ということ、あるいは組合員に対する足らざるところをサービスとして提供したり、あるいは知識、情報についてきちっと伝えて円滑な農業経営に資する。さまざまな、一言で言うというのはなかなか難しいかもしれませんが、農協がしっかりすれば農業が発展し、農家が元気を出していけるという、私が農協の組合長だったらそういうことを念頭に置いて努力いたしますね。
津川委員 いや、そういうことじゃなくて、二番目、三番目のことは、もちろん広く言えばいろいろあるでしょうけれども、今大臣がおっしゃったことを一言で言えば営農指導ということだと思います。営農指導が本来の役割なわけですから、制度資金がいろいろある中で、どれを頼んだらいいかわからないよという方に対して、まさにアドバイスするのが本来の農協の役割としては非常に近いと思います。
 ただ、そこで少しおかしいのが、農協自身も融資をする側なんですね。自分の中で、どういった商品を使えばいいですかというお答えなら、これは相談としていいでしょうけれども、自分を含むほかの機関の資金も含めてどれがいいか、こっちで相談しますというのは、これは、本当に融資を受けたいと申し込まれた農業者の方々の利益がどこで担保されるのかなと非常に疑問を感じます。
 そこは運用でしっかりやっていただくというお答えしか多分いただけないだろうなとは思いましたが、そこはしっかりやっていただくということにしますが、まさにそここそ本来の農協の役割なのではないかなという感じがしたものですから、ちょっと今つけ加えて質問させていただきました。
 そこで、もう一つの方の、法案についての質問をさせていただきますが、農業法人の必要性については大臣ももちろん何度も御答弁をされている話でありますし、それについては今詳しくはお伺いしません。
 農業法人というものが、これからの「農業構造の展望」、平成十二年に農林水産省さんが示されたものの中で、平成二十二年の構造の中では、一戸一法人を除いた法人経営及び生産組織は三万から四万というお話で出てきております。これが方向性としてその後どっちに立ち向かっていくのかということでありますが、家族経営を補完していくものなのか、それとも、それが今後の農政の中の中心的なものになっていくのかということでありますが、どちらをお考えでしょうか。
武部国務大臣 私は、農業法人というのはいろいろなタイプがあると思います。
 農業の経営体として、生産から流通、加工、さまざまな農業にかかわるビジネスチャンスに基づいて経営を拡大していく、そういう自己完結的な法人もあろうと思いますし、それから、地域の担い手不足でありますとか、さまざまな事情に対してそういう法人が補っていく、そういう法人もあってしかるべきであります。
 高齢化している農家、個人経営の農家などは、そういう法人が、例えば酪農で言えばコントラクターでありますとかヘルパーでありますとか、そういったことを含めて、家族経営を補う。ある意味では受託しながら支えていくという場合もありましょうし、そういった高齢者の方々にも法人に入ってもらう。
 農業をやりたいんだけれども、ここに住んでいたいんだけれども、自分ではもうできない。そうしたら、その農業法人の中の構成員の一員として、自分のやり得る仕事を担当することに、役割を担うことによって報酬も得られるし、自分の住んでいるふるさとでも永住しながら幸せを継続することもできる。いろいろあると思います。
津川委員 この法案の一つの目的だと思いますが、「自己資本の充実を促進し、」というふうに書いております。具体的にお伺いをしますが、何割を目標とするのか。あるいは、自己資本が高いことのメリットというのは何というふうにお考えか、お答えいただければと思います。
武部国務大臣 農業法人の現在の自己資本比率の水準というのは、認定農業者となっている農業法人の場合でも約一六%と、中小企業の四割程度に比べますと極めて低い状況にあるわけですね。そのほとんどが、法人の設立メンバーである役員等からの出資に限定されているということ等もございます。
 そういう意味では、これから外部からの投資などによりまして資本の充実を図ることによりまして、財務基盤の安定性を図っていく。一般的には四割程度が健全な企業の目安とされているわけでありますし、他業態もおおむね四割程度であるということを考えますと、そんなところが一つの目標になるのかな、かように思いますが、いわば一言で言いますと、対外的な信用力ということがその後の農業経営の大きな力になっていくのではないか、このように考えるわけでございます。
津川委員 自己資本比率が高いことが本当にいいとは限りませんよ。
 先ほど来、農業というのは収益性が低いんだという話がありました。例えば、投資家が何を見て投資するか。いろいろなものがもちろんあります。業界によって違います。自己資本比率が極端に低いのはもちろん嫌います。ただ、例えば一つの指標として自己資本利益率というのがある。そういうことから考えれば、自己資本は低い方がいいんですよ。
 つまり、借り物で、土地も借りる、資産も借りる、だけれども、そこを運用して、もちろん経営をして、これだけの高い利益を生ますことができます、そういった事業に対しては多くの資金が集まります。日本の個人資産、先ほど大臣も触れられましたが、一千四百兆の個人金融資産が日本の中にあるんだと。
 土地もそうだと思います。これは農地ですね。農地に関してもそうだと思いますが、そういったものをさらに有効に活用していくために、例えば、今私が申し上げたように、自己資本比率に関しては低いけれども、借り物で全部やっていくんだ、土地も借りる、資産も資金も借りる、それを投資していただいて、投資していただいたものからしっかりとした利益を出していく。そういった経営方針に変えていくというのは、例えば、不良債権の処理というシステムの中でも、非常に今有効ではないかというふうに見られているところであります。
 国内の一千四百兆の個人金融資産を何とか運用しない限り日本の経済は回復をしていかない、こういった視点から考えても、ぜひとも、こういったものを本来、日本の農業というものの中にも取り入れていくような形で、まさに今そういった方向性が見えつつあるという指摘がございましたが、例えば、そこに日本の農政を大きく持っていくんだということであれば、これはまさしく農業の構造改革だと思います。
 それに対してはもちろんいろいろな問題もあろうかと思います。農業そのものが生産性さえ上げればいいというものではない、もちろんそのとおりです。多様な効果ですとかあるいは自給率の問題、こういったものは、要するに外部経済でありますから、外部経済を内部化するようなシステムをつくればいい。
 そういうような方向性で、大臣がまさに最初に述べていただいた、農業の構造改革を進めるんだと言っていただきたかったと。いただきたかったと言うともう終わりというような感じがしますが、そういったことを言っているわけではありませんが。
 きょうあすが、大臣、ファイナルアンサーなのかどうか私はよくわかりません。それは大臣が決められることですけれども、ぜひとも、これはBSEの問題に関してももちろんそうです、これについても非常に重要な問題でありますが、そのこと一つ一つに対応していくということだけではなくて、まさしく今日本の農業が持っている構造的な問題に対して構造改革をするんだ、あるいはBSE等々の問題、業界の問題等々についても構造改革をするんだ、こういったことを、あす各委員からも御質問があろうかと思いますので、そういった視点でお答えをいただければなと。私としては、次の機会があるかどうかわかりませんが、そのときにまた御登板いただければというふうに思います。
武部国務大臣 農業というのは他の産業と違って、やはり市場原理に基づく競争政策、これは非常に重要です。しかし同時に、農業の多面的な機能とか食料安保の問題とかというようなことを考えました際に、私はやはり公共原理に基づく共生政策というような考え方も必要なんじゃないか、このように思います。
 そういう意味では、認定農業者であっても一六%というのは低いんじゃないのかということでございまして、委員から今激励を賜った、かように思いますが、さような意味でも、農林水産省の大胆なる改革、そして農業の構造改革のためにさらに全力を尽くして頑張ってみたい、こう思っておりますので、御鞭撻をいただきたいと思います。ありがとうございました。
津川委員 どうもありがとうございました。
鉢呂委員長 これにて津川祥吾君の質疑は終了いたしました。
 次回予定は、明三日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時二十七分散会


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