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第8号 平成14年4月24日(水曜日)

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平成十四年四月二十四日(水曜日)
    午前九時三分開議
 出席委員
   委員長 鉢呂 吉雄君
   理事 岩永 峯一君 理事 大村 秀章君
   理事 金田 英行君 理事 原田 義昭君
   理事 佐藤謙一郎君 理事 鮫島 宗明君
   理事 白保 台一君 理事 山田 正彦君
      相沢 英之君    岩倉 博文君
      岩崎 忠夫君    梶山 弘志君
      金子 恭之君    上川 陽子君
      北村 誠吾君    熊谷 市雄君
      小西  理君    後藤田正純君
      七条  明君    西川 京子君
      浜田 靖一君    宮腰 光寛君
      川内 博史君    小平 忠正君
      後藤 茂之君    後藤  斎君
      津川 祥吾君    筒井 信隆君
      楢崎 欣弥君    堀込 征雄君
      山内  功君    山井 和則君
      斉藤 鉄夫君    黄川田 徹君
      高橋 嘉信君    中林よし子君
      松本 善明君    菅野 哲雄君
      山口わか子君    藤波 孝生君
    …………………………………
   農林水産大臣       武部  勤君
   農林水産副大臣      遠藤 武彦君
   農林水産大臣政務官    宮腰 光寛君
   政府参考人
   (厚生労働省医薬局食品保
   健部長)         尾嵜 新平君
   政府参考人
   (農林水産省総合食料局長
   )            西藤 久三君
   政府参考人
   (農林水産省生産局長)  須賀田菊仁君
   政府参考人
   (農林水産省経営局長)  川村秀三郎君
   政府参考人
   (農林水産技術会議事務局
   長)           岩元 睦夫君
   参考人
   (ふらの農業協同組合代表
   理事組合長)       奥野 岩雄君
   参考人
   (全国農業協同組合連合会
   長野県本部筆頭副本部長) 柳澤 秀行君
   参考人
   (丸正チェーン商事株式会
   社代表取締役社長)    飯塚 司郎君
   参考人
   (野菜供給安定基金理事長
   )            黒木 敏郎君
   農林水産委員会専門員   和田 一郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十四日
 辞任         補欠選任
  川内 博史君     後藤 茂之君
  津川 祥吾君     山井 和則君
  江田 康幸君     斉藤 鉄夫君
  高橋 嘉信君     黄川田 徹君
同日
 辞任         補欠選任
  後藤 茂之君     川内 博史君
  山井 和則君     津川 祥吾君
  斉藤 鉄夫君     江田 康幸君
  黄川田 徹君     高橋 嘉信君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 野菜生産出荷安定法の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)


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     ――――◇―――――
鉢呂委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、野菜生産出荷安定法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省総合食料局長西藤久三君、農林水産省生産局長須賀田菊仁君、農林水産省経営局長川村秀三郎君、農林水産技術会議事務局長岩元睦夫君及び厚生労働省医薬局食品保健部長尾嵜新平君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
鉢呂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
鉢呂委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀込征雄君。
堀込委員 民主党の堀込でございます。
 法案質疑に入る前に、二点、実は大臣に伺っておきたいと思います。
 一つは、牛肉在庫の緊急保管対策事業でございますが、BSEの全頭検査前に処理、加工された国産牛肉を買い上げて冷凍保管する事業、緊急保管対策事業として、一キロ三百二十九円の保管費、三百七十八円の冷凍補償費ですか、九十二億円支出をされた、しかし、うち四十四億円は実は内訳を調べずに一律交付した不当な支出であった、こういう報道がなされておるわけでございますが、この経過と対応策について、大臣の御説明をお願いしたいと思います。
武部国務大臣 牛肉在庫緊急保管対策事業につきましては、極めて短期間のうちに約一万三千トンの牛肉在庫を確実に隔離保管するという必要性に迫られまして、すべての保管牛肉について冷凍格差分を助成することとしていたのでございますが、検品を進める中で、相当以前に冷凍されたものなど不適切なものがあることが判明いたしましたことは、まことに遺憾なことである、かように存じているわけでございます。
 このため、すべての保管牛肉について冷凍格差を助成することは適切ではございません。関係者との調整を踏まえまして、冷凍格差の助成についてはBSE発生確認後に冷凍されたと判断される牛肉を対象とすることといたしました。その凍結時期については、原則として、検品により判明する品質保持期限から判断するとの方針で対応することとした次第でございます。
 牛肉在庫の保管、処分事業については、今月二十五日から一年以内の完了を目指して新たな全箱検品体制に移行するということにいたしましたが、改めて私ども、消費者、納税者の視点に立って厳正な運用を図るよう強く指示したところでございます。
堀込委員 もう一点、四月十二日に、実は、全国農業協同組合連合会、全農への業務改善命令が出されたわけであります。
 実は、全農につきましては、昨年四月にも、切り干し大根の事件がありまして、業務改善命令を受けたばかりであります。毎年業務改善命令を受けるという体質、これはやはり経営や事業運営の根本的体質の問題をはらんでいるのではないかというふうに私は思うわけであります。
 業務改善命令、六月十二日までに改善の取り組み状況を報告することになっているようでありますが、今、私どもお聞きしますと、事業の総点検だとか、あるいは消費者の代表を入れた委員会をつくって消費者の意見を入れるんだとか、そういった見直しが議論されているようでありますけれども、私は、昨年に続いて二度目だと、もしかすると来年もあるのじゃないかというようなことも想定されるわけであります。
 しかも、今回の鶏肉事件は、欠品について国内産で間に合わせたのじゃなくて、つまり外国産から欠品を補充したということでございまして、まさに農家の組織である全農としては言語道断の事件だ、こういうふうに思わざるを得ません。つまり、農家や生産者の気持ちあるいは思い、そういうものをすっかり忘れた業務組織になっているのではないかというふうに思います。
 そういう意味では、業務執行体制に現場の農家の声がきちんと反映される、こういう体制にすることが第一であって、何か、もう二度と事件が起こらないようにチェック体制を強化するとか、チェックする部署をふやすという問題ではないのではないか。やはり、農民の心とかけ離れた業務体制になっている、職員体質になっている、そのことこそ問題なのであって、そういう意味では、責任の所在の明確化、あるいは責任者の厳正な処分、こういうことがなされなければならないだろう、こういうふうに思うわけであります。
 実際の経営が、組織代表の会長、副会長もおりますけれども、プロパーの専務以下で行われている、こういう実態があるだろうと思うわけでありまして、そういう意味では、学経理事以下の責任問題というのが、私はこの職員体質を含めて当然問われなければならない問題だろう、こういうふうに思うわけであります。
 特に、七月に改選期を迎えるわけでありますから、会長辞任で、引責だけで済まされる、あるいはそれで世論が納得するということにはならないんではないかと思うわけでありまして、これはどうでしょうか、業務改善命令の実行監視、特に今責任問題を申し上げましたが、どのように大臣、お考えでいらっしゃいますか。
武部国務大臣 全農チキンフーズの事件に関しましては、委員御指摘のとおり、真摯な生産者の希望を裏切ったということで、これはもう本当に重大な問題だ、かように認識しております。
 農林水産省といたしましては、四月十二日に農協法に基づく業務改善命令を発出したところでありまして、この業務改善命令では、事件の責任の明確化と学識経験理事を含めた責任ある役職者に対する厳正な処分を実施し、体制を一新すること、また、再発防止体制の確立を図るために、総点検の実施、法令遵守体制の抜本的強化、厳格な子会社管理を実施すること、さらには消費者、生産者の信頼を回復するために、消費者、生産者の経営への参画や情報のディスクロージャーを徹底すること等を命じたところでございます。
 こうした改善内容を徹底するため、全農から六月十二日までに改善措置の実施状況を報告させることになっておりますが、その後にも四半期ごとに報告書の提出を求めまして、実行状況を厳しく監視してまいりたい、このように考えております。
 なおまた、私は、トップがやめればいいというものではない、やはり組織全体として徹底した洗い出しといいますか、総点検の上できちっとした対応をしなければならない。このことにつきましては、農林水産省としても厳しくその動向を注視し、適切な指導をしてまいりたい、かように考えております。
堀込委員 ぜひそのようにお願いしたいと思います。
 それでは、法案の方に入っていきたいと思いますが、今回の野菜出荷安定法改正の動機として、輸入野菜の急増、とりわけこれは中国、韓国から、特に契約取引の場面で大量の野菜が輸入されている、急増している。そこで、国内野菜と産地を守るんだ、そして野菜の安定供給を図るということが一つの大きな契機、動機になっているわけであります。
 そこで、まず対中関係について伺いたいわけでありますが、例のネギ、シイタケ、イグサの暫定発動、その後いろいろ議論がありましたが、大臣にも御苦労いただきまして、日中閣僚会議で秩序ある貿易促進をしていこうということで合意をされた。この間、日中農産物協議会が新設をされ、協議をしているようでございます。この経過もあるいは状況も――きょうは答弁者おりますか。では、日中閣僚会議の合意に基づくその後の協議状況、ちょっと説明をしてください。
須賀田政府参考人 お答え申し上げます。
 先生言われるように、昨年末の日中閣僚会議におきまして、ネギ等三品目の秩序ある貿易の促進ということで、日中農産物貿易協議会を開催することで合意がされたところでございまして、これまで二回、両国の生産者、輸入業者、政府関係者が参加して協議会を開催しているところでございます。
 これまでの話し合いの中では、双方の関係者の間で、平成十二年に見られたような日本への輸出の急増というのは、我が国の価格にも影響がありますけれども、やはり中国の輸出価格の下落も招くということで、日中双方にとって不利益であるという認識が醸成されてきているところでございます。今後もこういう認識を踏まえながら生産、需要、価格等について検討を深めるということにしているところでございます。
 実態的に見ましても、ネギ等三品目の輸入、一月以降減少をしておりまして、前年を相当下回る水準になっております。本協議会の場を通じまして、今後とも需給の見通し等について共通認識を醸成すること等により、安定した貿易関係を築いてまいりたいというふうに考えているところでございます。
堀込委員 もう一つ、中国のWTO加盟に伴って、経過的セーフガードといいますか、十二年間適用される対中国経過的セーフガードが規定をされまして、つい先日、国内法整備として関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案、三月二十九日参議院通過をして、四月一日施行、こういうことになったわけでございます。
 これは運用によって中国産品、かなりねらい撃ちもできるんだろうし、言葉は悪いですけれども、発動に当たって中国との協議も必要ない、あるいは一定期間中国も対抗措置をとれないというふうにお聞きをしているわけでありますが、この発動は具体的にはどういう要件でなされるんでしょうか、あるいは、一般セーフガードとこの経過的セーフガード、これはどのように国民として認識をしたらいいんでしょうか、ちょっと伺っておきたいと思います。
西藤政府参考人 お答え申し上げます。
 対中国経過的セーフガードと一般セーフガード、いずれも輸入の増加によりまして国内産業に被害を与えた状況に対して、関税引き上げなり数量制限の輸入制限を講ずる措置ということでは同様でございますが、先生御指摘のとおり、両セーフガードの間には、一般セーフガードがすべての国からの輸入に対するものに適用されるのに対して、当然のことながら、対中国経過的セーフガードは中国のもののみ差別的に取り扱うということと、中国のWTO加盟後十二年間ということに限って維持されるというふうな違いがあります。
 今御指摘の発動要件、一般セーフガードの場合は、輸入の増加によって国内産業に重大な損害が生じているという重大な損害ということに対して、対中国経過的セーフガードにつきましては、中国産品の輸入の急増によりまして国内産業への実質的な損害を生じ、市場が攪乱されるということで、ここのところが一番大きな違いになっております。
 それで、具体的に、重大な損害と市場攪乱による実質的な損害ということで、一般セーフガードの方がより高い損害の水準を意味するというふうに考えられておりますが、それでは市場の攪乱はどの程度の損害水準なのかについては、具体的な解釈は国際的にもまだどういう状況にもなっておりません。私ども、損害の中でケース・バイ・ケースでやはり判断せざるを得ないというふうに思っております。
堀込委員 もう一点、中国産野菜、輸入が急増しているわけでありますが、この安全性とその対策でございますが、四月十二日ですか、中国産野菜が残留農薬検査で、これはサヤエンドウだったと思いますけれども、基準値の三倍の殺虫剤、シペルメトリンというんですか、検出をされたという報道もございました。あるいは、最近では稲わらから二化メイ虫が発見されて輸入禁止措置をとった、こういうことになっていますが、この中国産野菜は大変輸入も急増しておるんですが、この検査体制はどういう状況になっておるのでしょうか。
須賀田政府参考人 野菜を含みます輸入食品全般の食品としての安全性の確認というのは、食品衛生法に基づきまして、厚生労働省が残留農薬等の検査を行っているところでございます。
 しかしながら、輸入野菜が増加する中で、中国国内におきまして残留農薬問題が報道されたというようなこともございまして、昨年末から、私どもも緊急的に市販の中国産の野菜について残留農薬検査を実施いたしまして、その結果を随時厚生労働省に対して情報提供を行っているという状況にございます。
 先生今おっしゃられましたように、私どもの農林水産消費技術センターが、市販の中国、韓国及びタイ産の野菜三百六検体を昨年の十二月末から本年の三月まで買い上げまして、残留農薬分析を実施しまして、そのうち、中国産サヤエンドウから残留農薬基準値を超過する農薬を検出したという事実がございました。
 こういうようなことを踏まえまして、本年度以降も計画的かつ重点的な検査を実施すべく、現在、冷凍野菜等を含めまして、検査対象国、品目、検体数について検討しているところでございます。
 また、生鮮野菜、冷凍野菜等の加工野菜の双方について、在北京日本大使館を通じた実態把握の実施でございますとか、輸入業者からのヒアリングを通じた実態把握の実施でございますとか、あるいは担当官を現地調査に派遣するというようなことを随時行っておりまして、厚生労働省とも連携をとりながら、安全、安心な食品が供給されるように努めていきたいというふうに考えているところでございます。
堀込委員 輸入野菜の急増に対して、産地の、あるいは流通の集中的な構造改革を進める、もって野菜の安定供給、安定生産を目指す、こういう法律でございます。
 あわせて、農林省は、野菜構造改革対策を積極的に進めよう、そして野菜の安定供給を目指そう、こういうことで、コストを削減し、あるいは高付加価値化に向けて、三つの戦略モデルというのを出しながら、産地に集中的、計画的な支援を行いながら構造改革を進めていこう、予算も、平成十三年の三・五倍の三百十一億円を計上しながら、本格的に国内の野菜産地の安定供給、安定生産体制をつくる、こういうことになっています。
 私ども、この説明では、特に国産ネギは百九十八円ぐらいしているんだ、三本ですね、小売店で。中国産ネギは百円なんだ。この百九十八円を百三十円ぐらいにすれば、中国野菜と対抗できる体制ができるんだ。それを目指して構造改革するんだ。実はこういう説明をずっと受けてきております。
 それはそれでわかるんですが、どうも、私は、最大のウエートを占めている小売段階の経費に調査分析というのはなぜなされなかったのか。野菜は返品不能だとか、むだも出ますし、多少小売経費の高いことは理解できるんですけれども、それにしても、農林省の資料から見ましても、小売経費の占める部分はかなり多い。これは、あれですか。例えば中国産ネギの場合、百円で入ってくるというのですが、小売店渡しといいますか、その間の経費はどのぐらいになっているのでしょうか。つまり、小売段階の経費は国産と大体同じですか。
須賀田政府参考人 私ども、聞き取りによる試算でございます。
 例えば中国産野菜三本でいいますと、小売価格が百円ということでございまして、恐らく小売店の仕入れ価格は七十七円程度じゃないかというふうに思っております。これに対して国産小売価格が百九十八円ということでございまして、仕入れ価格は、推定でございますけれども、百五十三円程度ということでございます。
 したがいまして、小売経費が、中国産でいきますと二十三円、国産でいきますと四十五円ということになっておりまして、大体、仕入れ価格に対して三割程度と見ているところでございます。
堀込委員 どうも余り不確かなようなんですね。
 しかし、私ども、各党もそうでしょうけれども、部会や国会議員にこの法案を出すに当たって農水省の説明は、つまり、国産は百九十八円だ、中国産は百円なんだと。この百九十八円は、一キロ五百五十四円と計算してあるんですね。どうも小売のところはさっぱりよくわかっていないんですね、中国産の話は。
 しかも、同じ資料なんですけれども、局長、こういう資料で、皆さん、各党の部会などで説明をされたと思います。十一ページに行きますと、五百五十四円が何か四百二十円の話になっているんですよ。これはあなたの部下がやったことだから、別にあらを探す質問じゃありませんからいいんですけれども、やはり、百九十八円と百円は本当かな、本当に生産費だけの話かねという疑問は持つわけですよね。
 そこで、今度、大臣が決断をいただきまして、消費者に軸足を移した農林水産行政、食と農の再生プランを発表されたわけです。私は、野菜の場合も、消費者に安全で安い野菜を安定的に供給するという意味では、生産、流通段階の安定を図るという構造改革もいいでしょうし、今度の法案もそれなりに、そういう意味では検討されていると思うんです。
 同時に、やはり小売段階の透明化、合理化も必要ではないか。例えば、大手量販店、大型店舗、果たして消費者の利益を代表しているだろうか、野菜の価格は本当に市場の取引で決まっているんだろうか、むしろバイイングパワーと言われるような、少し量販店の意向で決まっているところがあるんではないか、こういうふうに思うんですね。
 契約取引が入りますけれども、例えば数量、納期、価格等が決まった時期に決まった値段で入る、しかし、それができなければペナルティーが科せられる、あるいは取引が停止される、少々無理しても品物をそろえる。これは畜産でも、続々と偽装表示があったわけであります。もちろん、これは出荷者が一〇〇%悪いし、徹底的に弾劾されなければならない、責任を追及されなければならないと思うんです。
 しかし、量販店の方にかなり無理な、出荷者に対する注文や強制もあったのではないかというふうに想定できるわけでありまして、そういう意味で、野菜につきましても、今度の法案、ある程度小売段階の監視機能といいますか、そういうこともやるのが消費者に軸足を移した農政であって、大切なことなのではないか。そういう意味で、今度の法案が、生産段階、流通段階の合理化、構造改革を目指しているわけであります。あわせて、小売段階の改革、透明性、こういうことに触れていない点はやや不満でございます。
 しかし、そういう意味で、こういう意味での監視機能をどういうふうにおやりになるつもりがあるのか、あるいは、今私が申し上げましたようなバイイングパワーに対する認識がございましたら、ちょっと発言をいただきたいと思います。
須賀田政府参考人 先生おっしゃられましたように、この種の問題は、食肉でもいろいろ指摘がございました。
 野菜に関しましては、流通の実態を見てみますと、量販店が三五%、外食、加工業者が五五%ということで、比較的規模の大きな業者が九割購入するという実態になったこともございまして、私どもが聞いておりますところによりますと、量販店が大型化をして、仲卸を通じて市場で買いたたくというようなこと、それから、卸売価格、仕入れ価格が低落しても小売価格を下げない、消費者利益につながらないというような指摘を受けているのは事実でございます。
 私どもが手元に持っております資料によりますと、卸売価格と小売価格は総じて連動はしているような統計になっているわけでございますけれども、問題は実態でございまして、実態の把握に今後努め、問題があれば量販店側に企業モラルの確立といったようなものを求めていきたいと考えております。
 また、卸と小売の関係で、例えば優越的地位の乱用といったような事実があれば、公正取引委員会等と連携をして適正に対処することとしたいというふうに考えているところでございます。
武部国務大臣 堀込委員の御指摘は私どもも大きな関心を持っておりまして、先般から消費者との定例懇談会も設けております。また、ウオッチャー制度、これも、七百人というのが、応募者も非常にふえておりまして、千二百人規模でやりたいと思っておりますし、何よりもやはり、食肉だけじゃなくて米、野菜等、あるいは茶飲料等の加工に至るまで、トレーサビリティーの導入ということに私は一番大きな力を入れたい、こう思っております。
 さような意味で、一遍に全部、全種目、全点ということにいかないかもしれません。しかし、十五年度という年限を切ってトレーサビリティー導入を図ろうということは、単に消費者と生産者の距離を縮めるだけじゃなくて、顔の見える関係、さまざまな情報が消費者が一目瞭然わかるような、そういう体制を構築するということが非常に重要だと思いまして、そういったものができ上がっていけば、いわゆるバイイングパワーというようなことに対しても適切な牽制もできるのではないかと思って、そのことに力を入れたい、このように思っているわけでございます。
堀込委員 例えば、契約取引に欠品ルールがあると思うんですね。しかし、これは、工業製品なら前の晩徹夜して工場をフル稼働すれば何とか間に合うんですけれども、野菜の場合は農家が徹夜してもできっこないわけでありまして、天候勝負の仕事をしている。しかし、契約先からは求められる。
 ですから、現在、契約取引がふえて、それも組み込んで支援措置をしながら外国産に対抗していこうという今度の構造改革でございますが、契約取引の実態はどうなっているんでしょう。私も事前にかなり資料を求めたんですが、野菜の場合の契約取引というのは実態はどうなんですか。欠品ルールなんかはどうなっているのか。ほとんど口約束なんですか。どうなんですか。
須賀田政府参考人 野菜の契約取引の実態でございます。
 私どももつまびらかにつかんでいるわけではないわけでございますけれども、現時点では恐らく野菜流通量の一割程度が契約取引ではないかというふうに見ておりますけれども、先生おっしゃられるように、口頭契約というのが多くて、書面で契約をしている例というのは少ないように思われるわけでございます。
 こういうことがございまして、例えば価格が高騰するといったときには、生産者の側が、あらかじめ締結をしている契約相手に対して出荷を行わずに、より高い価格で買ってもらえるような市場に出荷するだとか、逆に、価格が低落しているときには、実需者の方が、その契約の相手ではなくて、より安い市場から購入するといったようなことが見られて、契約が遵守されないという例が多いのではないかというふうに推定をしておるところでございます。
 こういうこともありまして、今回、契約取引制度というものを創設したところでございます。
堀込委員 よくわかりました。きちんとした契約は余りないんだと。大体、口頭契約という言葉は初めて聞いたんですが、そういう取引で行われている例が多いんだ、こういうことでございます。
 しかし、契約取引というのは、そもそも価格が上がろうが下がろうが、ある程度変動を承知の上で、市場価格が上がっても下がっても当事者同士納得の上で交わすものだ。だから、そこへ基金から資金を補てんするのはいかがかという議論もありますが、これは、後の質問に行きますから、ちょっと省略します。
 そこで、災害、被災を受けて野菜の生産量が減少する、契約履行不能という事態になります。あるいは、市場流通量が減りますと、契約数量を意図的に他へ回して不足したケースとかが考えられるわけであります。この契約と履行の確認、これはだれがどのようにやるんですか。
須賀田政府参考人 まず、今回の制度に基づきまして契約取引を行う生産者でございます。義務として契約数量を安定的に供給しなければならないということでございまして、全体が不足しているときにも、また余っているときにも、基本的には自前で供給を行っていくということが基本でございます。
 こういうことでございますので、私ども、今回の契約取引制度に当たりましては、まず、生産者の方に、契約取引のほかに市場出荷をするという分を含めて、余裕を持った生産出荷計画を策定していただくということが第一点。
 それで、全体の野菜が不足するといったときには、まず、自分が市場に出荷する予定のもの、手持ちの玉というんでしょうか、これを契約取引の出荷に充足していただく。それでも不足する場合には市場等から購入するといった対応を順次行っていただくということをこの制度の骨格にしているところでございます。
 そして、市場等から購入する場合の交付金の交付に当たっては、まず、基金におきまして、その生産者が加入時に提出されました市場出荷、契約取引別の出荷計画と、それから交付金の交付申請時に提出される実績というものを審査して、市場に出荷する予定のものを契約取引の出荷に充当し、それでも不足であったことが明確にされた場合に限って交付金を交付する。
 こういうチェックを基金の方でやっていただくというふうな仕組みにしているところでございまして、これによりまして、いわゆるモラルハザードというものの防止に努めたいというふうに考えているところでございます。
堀込委員 そのモラルハザードの懸念が一番でございまして、要するに、物が不足すると市場価格が上がります。契約野菜に充当すべきものをどんどん市場に回しちゃう、こういう可能性が高いわけですね。そこで、契約数量が充当できない。
 今、局長の答弁にありましたけれども、契約取引の場合、生産者は、例えば十トンの場合は十五トンぐらい用意をして生産をするわけでありまして、これはもう当たり前に、一定程度の、契約履行のために大目の作付をするというのは、もう常識的に行われているわけであります。
 しかし、被災によって数量が不足した、一部を市場出荷分から契約取引に回した、この分を今基金で判定するとしているんですけれども、僕は、これはほとんど線引き判定は不可能なんじゃないか、こういう感じがするんです。
 どこまでが契約分としてつくったのか、しかしそれはいつどこで化けて市場へ回っちゃったのか、そこをちゃんと判定して、基金の判定でするからモラルハザードが起こらない、今こういう答弁でございましたけれども、これは、本当にそこの補てん対象にする確認作業というのは基金でできるんでしょうかね。その辺はどう考えていますか。
須賀田政府参考人 私どもも、今回の契約取引制度というものを創設するに当たりまして、先生今言われたような、モラルハザードというものをいかに防止していくかということが一番重要なことだろうというふうに思っているわけでございます。
 それで、野菜の供給安定基金、それから都道府県段階に公益法人の価格安定法人がございます。また、都道府県の協力も得まして、加入時の計画、それからそれの実績、それから場合によっては現地調査といったようなことを丹念に行いまして、私が先ほど申し上げましたように、まずは手持ちの玉を回す、それが不足する場合に市場から購入して、まあそれは伝票その他によってチェックするしかないわけでございますけれども、市場から購入する対応を確実に行ったということを確認した後に所要の補てん金の交付等を行っていくという一連の手続をとって、きちんとした対応をすることによってモラルハザードの防止に努めたいというふうに考えているところでございます。
堀込委員 これは大変現場現場で苦しむところだと思うんですね。ぜひ。
 そこで、にもかかわらず、虚偽の交付金申請があって、不正に交付金を受け取ったケースが想定されるわけです。これは既に会計検査院も全国各地で過去指摘をしていることがあります。交付対象外の野菜を出荷数量から控除せずに交付金を受けた例だとか、会計検査院の指摘も幾つかなされているわけでありまして、にもかかわらず不正受給があった場合、どういう措置を講じますか。
須賀田政府参考人 交付金の不正受給といったようなことが万が一あった場合には、まずその不正を行った者の公表、それからその交付金、国の補助金の返還、それから野菜価格安定制度の再加入の禁止、こういったいわゆるペナルティー措置を講ずるということを考えておりまして、このことを、野菜供給安定基金それから生産者、実需者の三者契約の中で明確に契約をしていくというふうにしたいと考えているところでございます。
堀込委員 どうもこれは現場できちんとした対応が必要だと思いますので、この法律というよりは施行令やいろいろで書かれていることをさらにちゃんとして、不正のないような体制づくりが必要だと思います。
 時間がありませんので、大規模生産者の加入問題でございます。
 面積的なまとまりが必要だということで、今度新しくこの基金への大規模生産者の加入を認めるという法案になっております。これは面積だけの判定なのか。つまり、実際産地には、半分生産をしながら半分トラックで野菜を集めるというような業者もいるでしょうし、こういうものをどう排除するか。あるいは、本当に大規模生産者が契約書や出荷計画や出荷伝票や精算書などのデータをちゃんとできるという体制にあるかどうか、こういうチェックも必要だろうと思うし、過去の出荷実績なんかも必要なんだろうというふうに思います。
 この面積要件以外の判断基準、ちょっと時間がありませんから、簡潔にお願いします。
須賀田政府参考人 私ども、この大規模生産者、まとまったロットの出荷が求められているということで、指定産地で指定野菜を十ヘクタール以上、施設野菜にありましてはおおむね四ヘクタール以上という要件を課しているところでございます。
 もちろん、都道府県の野菜価格安定法人の会員になるというようなことも必要な要件としたいというふうに思っておりますけれども、この肝心の、指定産地で指定野菜を一定面積以上つくっているかどうかの審査は、都道府県野菜価格安定法人に委託して行いたいというふうに考えておりまして、農地台帳とか現地調査等により確認するということとしているところでございます。
堀込委員 大規模生産者の加入に当たって、基金の資金造成あるいは事務費の負担、こういうものは、今実際には各県経済連とかそういうところでやっているんでしょうが、どういう措置を考えているんでしょうか。これも簡潔にお願いします。
須賀田政府参考人 先生おっしゃられましたように、都道府県の価格安定法人、実際には経済連とか農協とかが主としてやっているわけでございます。この法人の運営は、会員からの出資金による運用利益と会員からの会費によって賄われておるわけでございます。
 今般、大規模生産者が価格安定制度に加入できるようにするという際には、直接加入する大規模生産者について、農協等との公平性ということを考えまして、都道府県法人の会員となる、出資や会費の徴求についても基本的には既存の会員に準じた取り扱いをするということが適当であるというふうに考えているところでございます。
堀込委員 大規模生産者のもう一つの問題は、需給調整への参加という問題だろうと思うんです。野菜は大変不安定でございまして、不足もあれば過剰もある、あるいは高騰もすれば低落もする。この安定供給の仕組みが今度の法案に盛られているわけであります。需給調整は、産地廃棄だけじゃなくて、加工に仕向けたり、仕向け先を変更したり分荷をしたりとか、いろいろなことをやっているわけであります。
 そういう意味で、こうした需給調整にどう参加をさせるのか、あるいは、私は義務づけがどうしても必要だと思います。そうでないと、今までの参加者と新しい参加者の差が出るわけでありますが、需給調整への参加はどのように考えておりますか。
須賀田政府参考人 需給調整といいますか、計画出荷という面では、新たに対象となります大規模生産者を地域の生産体制の中にきちんと位置づけまして、既存の、これまでやってきました農協等と、生産における役割分担だとか、出荷の調整を図ることが基本的に重要というふうに考えております。
 このために、大規模生産者につきましても、農協等と同様に、野菜供給計画の策定と、それに基づきます計画的な生産、出荷ということを求めていきたいというふうにしておりまして、こういう措置を通じて、出荷調整等の需給調整に地域ぐるみで取り組めるようにしたいというふうに考えているところでございます。
堀込委員 時間が来たようだから終わりますが、基金の体制やら、それから各県の予算措置なども大変な問題だと思いますので、そういうことも対応をお願いして、質問を終わります。
鉢呂委員長 これにて堀込征雄君の質疑は終了いたしました。
 次に、後藤茂之君。
後藤(茂)委員 後藤茂之です。
 それでは、早速、時間も短いので質問をしたいと思います。
 先ほども少し話になりましたけれども、昨年のセーフガードの本発動が大変大きな争点になりましたけれども、十二月二十一日に、生産者も含めた協議会をつくって日中間で協議するということで、発動が見送られました。
 工業製品と農業製品の金額の多寡の問題ではないというふうに思いますし、トータルな対中国外交というのが本当に生きているんだろうかという点で、非常に対中国交渉については毅然とした態度が望まれると思いますけれども、二月七日、八日、三月二十八日の協議も踏まえて、今後の対中国交渉の対処方針や見通しについて、大臣から御所見を伺いたいと思います。
武部国務大臣 これまでの話し合いの中で、双方の関係者の間では、平成十二年のような日本への輸出の急増は、我が国の価格のみならず、輸出価格の下落を招くことにより、日中双方にとって不利益であるとの認識が醸成されつつある、かように認識しておりまして、今後もこのような認識を踏まえまして、生産、需要、価格等についてさらに検討を深めることとしているわけでございます。
 現在、ネギ等三品目の輸入については、一月以降輸入が減少しておりまして、前年を相当下回る水準となっているわけでありますが、いずれにいたしましても、本協議会の場を通じまして、需給の見通し等について共通認識を醸成するということが非常に大事でありまして、これらによりまして日中間の安定した農産物貿易関係というものを構築してまいりたい、かように考えております。
 なお、タマネギ等、最近輸入急増で問題になってまいりましたことにつきましてもこちらから問題を提起しているわけでありまして、ネギ等三品目以外の他の分野についても、この場を通じてお互い情報交換をし、今後の対応についての共通の認識を醸成していくということが可能になっているという意味では、私は、日中農産物貿易協議会というものはこれから生きてくる、こう認識しております。
後藤(茂)委員 共通の認識ができることはまず大切だと思いますが、共通の認識ができたところでどうするかということが日本の国家戦略だと思いますので、どうぞ毅然とした態度で交渉に臨んでいただきたいと強く要請するところであります。
 一方で、今、自由貿易協定、FTAの動きが国際的に大変急務になってきております。
 昨年、日本も十月に日本・シンガポール経済連携協定を結びましたけれども、十一月には、中国がASEANと十年以内にFTAを締結するという合意に達しました。世界規模で見ても、EUは東方にどんどん拡張しておりますし、ロメ協定でアフリカ、カリブの七十カ国と連携を強めております。御承知のように、NAFTAもラテンアメリカに次々と拡大を図っている。
 こういう国際情勢の中で、我が国を含まない形で次々と自由貿易経済圏が形成されていくということは、日本にとってはゆゆしい事態だというふうに私は思っております。そのことは、単に日本の商品が輸出で不利になるというだけではなくて、外交上の大変大きな問題だというふうに思っております。
 ASEAN諸国も、日本についてはすみ分けができる国だということで、この十数年来、リー・クアンユーやマハティールらが非常に熱いラブコールを送ってきたのを無視し続けて非常に冷たい空気になってきておりますけれども、しかし私は、それでも日本は広域東アジア圏をしっかりつくるということが日本にとって国益になるというふうに強く信じております。
 そういう意味で、農業の問題も、食料の安全保障の問題というのは非常に重要な問題でありますし、先ほど申し上げたように、工業と農業は同列で議論できない問題であるという認識はしておりますけれども、しかし、構造改革への努力をしっかりして、こうした日本の国の全体としての枠組みの中にうまくはめていく努力をしていかなければならないというふうに思います。
 細かいことは結構ですので、大臣の野菜の構造改革、足腰の強い、育成すべき農業経営に対する施策の集中だとか、あるいは流通、消費に対しての施策だとか、そういうことに対して本当に決意を持って臨むということをお聞かせいただきたいというふうに思います。
武部国務大臣 今後、ASEANを中心に自由貿易というものが拡大していくということは結構なことだと私は思いますが、しかし、農業の分野は、委員御指摘のとおり他の産業と違いますし、やはり農業の多面的な機能でありますとか食料の安全保障というような観点から多様な農業の共存ということの共通の認識というものを醸成していくためにも、積極的に外交ルートを通じてそれぞれの事情、実態というものをお互いに理解し合うという努力が必要でありますし、それぞれセンシティブな問題はありましょうとも、我が国の国益というものを背景にいたしまして、積極的な二国間の交渉というものは進めていかなきゃならないんだろう、かように思います。
 そういう意味でも、国内の野菜におきましても、しっかりした、消費者にとって安全で安心な、そして新鮮でおいしい、そういうブランド日本、私どもこう申し上げているわけでありますが、そういった食と農の一環政策というものをしっかり確立していくということが大事でありまして、今般、食と農の再生プランというものを発表させていただいたわけであります。
 これは、生産者と消費者との間の顔の見える関係を構築しようということでございまして、生産と消費の単なる距離を縮めるということだけではなくして、安全で安心なフードシステムの確立、また食を支える農の構造改革ということがこの野菜の構造改革を考える上で極めて重要である、こう考えているわけでございます。
 時間の関係で詳しく申し上げませんが、契約取引による流通でありますとか、あるいは生産、流通の効率化でありますとか、通い容器利用等による流通コストの削減等と同時に、トレーサビリティーの導入ということは非常に大事なことではないか、私はこのように考えているわけでございます。
 今回、大規模生産者を野菜価格安定制度への直接加入を認めるというようなこともその一環で、いろいろな問題点もあろうと思うのです、先ほど来御議論ありますように。しかし、今申し上げましたような戦略に従って、ブランド日本農産物を供給する体制ということをこの野菜の構造改革を通じて構築してまいりたい、そのためには、この法律の改正につきまして、一日も早く御可決をいただくようにお願い申し上げたい、かように考えている次第でございます。
後藤(茂)委員 具体的に、野菜構造改革については三つの戦略プランが農水省からも示されているわけでありますけれども、この中の特に契約取引推進タイプについては、例えば具体例でいえば、長野県の洗馬農協は、十五年以上も前からカット野菜について契約取引を、これに先進的に取り組んできております。
 これまで野菜というのは、御承知のとおり、三年に一度当たればいい、そういう不安定な、ばくち的収入構造でありましたけれども、しかし、農家にとっても安定的収入を確保することは必要だ、また、外食産業や量販店というのは、一定額の、一定量のものを確実に周年で獲得したいという要請があって、そしてこれは自動的にそういう取引が発生してくる。
 最初は、品物が薄くなって高騰すると農家と農協の間で大トラブルになるというようなことを徐々に徐々に乗り越えながらこういう取引が入ってきているわけでありまして、当初、JAが全面的にリスクを背負っているような構造の中で始まってきました。そういう中で、今回、契約取引について契約野菜安定供給対策というのがとられることについては、私は意味あることだというふうに思っております。
 しかし、一つ、先ほども少し指摘がありましたけれども、制度の使われ方という点につきまして、収量が不足したとき、すなわち、非常に値段が高騰するわけでありますけれども、高い価格で市場出荷をする、そして一方で、市場等から買い入れをしたときにその差額分というのを本当に基金からすべて交付するということになると、非常に不公平が生じるのではないかという問題があるだろうというふうに思います。
 それで、具体的にこの点について二つ聞きたいと思いますが、一つは、制度の適用要件とか補てん割合とかというのは、基金の恐らく業務方法書に今明記されることになっておられるんでしょうけれども、市場に出荷される分に対して合理的な制度適用の限定がなされるのか、どのような限定がなされようとしているのか、そのことについて伺いたいと思います。
 またあわせて、JAなども契約取引に新たにたくさん参加してくるでしょうけれども、一方で数百の大規模農家も対象になるわけでありますけれども、市場出荷への流用などが行われるのかどうかということを本当に基金でチェックする体制が万全にとれるのかどうか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
須賀田政府参考人 今回の契約取引制度の創設、契約取引には先生言われたようにもろもろのメリット、生産コストを削減する、流通コストを削減する、あるいは余計な容器等を使わない、もろもろのメリットがございまして、ぜひともこれを推進したいというふうに思っているわけでございます。
 そこで、やはり一番問題になりますのは、先ほど来出ている、特に不足時に契約数量をどのようにして確保するか。今回、私どもの制度では、まず、あらかじめ余裕を持った生産出荷計画、契約取引に出す分とプラスして市場出荷に出す分を含めたような余裕を持った生産出荷計画を策定していただくということを基本にしているわけでございます。
 万が一これが不足するといった場合には、まず自分が市場に出荷する予定のものを契約取引の方へ充足する、これをまず第一に考えていただきたいということで、これについては差額の五割を補てんするということにしているわけでございます。それでもなお不足するといった場合に、市場等から購入するといった対応を行うということによって、これにつきましてはこの差額の九割補てんというふうにしたいと思います。
 それで、やはりモラルハザードといったようなものをどのようにして防ぐかが一番の問題でございまして、先ほど来申し上げておりますように、関係機関の協力を得まして、加入時に提出された計画、それから交付金の交付申請時に提出される実績の審査、それから市場に出荷する予定のものをまず充当したかどうか、それでも不足したものであったことが明確になった場合に限って交付するとしておりますので、その契約取引の内容だとか生産出荷計画のチェックを厳密に行いまして、モラルハザードの回避というものに真剣に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
後藤(茂)委員 一言だけちょっと確認したいと思いますが、市場出荷をしていたらこの制度は適用にならないということですか。それとも、市場出荷の中から、例えば、当初から出荷計画と生産計画を見て、何割何割で出ている、量は、全体に減ったときに、その比例配分の分だけ市場出荷をするということは認めるように考えているのか。その辺は制度設計はどうなっているんでしょうか。
須賀田政府参考人 運用の細目はこれから詰めていきたいというふうに思っておりますが、まず、不足が生じた場合には、手持ちの玉はともかく契約取引の方へ、出荷に充足していただきたい。それを要件にして、それでも足りない場合に、市場からの購入、それに対する支援というふうなことを考えていきたいと思うわけでございます。
 ただ、手持ちの玉の一部が市場に出てしまっているといったような場合にどうするか等につきましては、モラルハザードとの関係で、細部はさらに詰めていきたいというふうに考えているところでございます。
後藤(茂)委員 制度をつくるときは両面あると思います。もし本当に市場出荷をしている手持ち玉がある場合には適用されないということになると、手持ち玉を持たないぐらいぎりぎりいっぱいに長期契約をした人と、余裕を持って手を持っている人との間に今度は非常に大きな落差が出ると思います。ですから、その辺も含めてやはり丁寧にやっていかないと、こういう助成制度というのは、制度がやはりきちんとしているということが肝心だというふうに思います。
 次に、野菜産地からの少し要望みたいな話になりますけれども、野菜産地というのは、どうしても連作をいたします。連作をすると、連作障害による病気も出てくるわけであります。それで、レタスについて言いますと、例えば、フザリウム菌による根腐れ病だとか、ウイルス性のビッグベイン病だとか、全国でもいろいろな病気が確認されているわけであります。こうした病気に対して適切な対応をしていかないと、生産者の意欲が非常に落ちる、あるいは不安から後継者がきちんと出てこないというような、産地にとって非常に大きな影を落とすことになります。
 それで、本当に営農支援をしていくということであれば、独立行政法人に、野菜茶業研究所だとか、あるいは各地の、例えば九州の農業試験場だとか、長野の野菜花き試験場だとか、なかなかいい業績を上げている試験場があるわけでありますけれども、こうしたところを使った病気の徹底的な究明と、土壌改良や抵抗性を持つ品種の導入だとか、総合防除方法の開発だとか、そうしたことに対して的確な対応を図っていく必要があるだろうというふうに思っております。この問題について、農水省の見解を伺いたいと思います。
岩元政府参考人 お答えをいたします。
 先生の御指摘のレタスの根腐れ病あるいはビッグベイン病は大変に大きな病気でございまして、レタスの産地には壊滅的な打撃を与える、非常に深刻な状態も出ているというようなことはよく承知をしております。そういうことから、国といたしましても、緊急に平成十二年度から、関係県と協力いたしまして、その防除技術に関しますプロジェクトを実施しているところでございます。
 その中で、レタスの根腐れ病につきましては、独立行政法人九州沖縄農業研究センターにおきまして、その病気の原因でありますフザリウム菌が農地にどのように分布しているか等、農地の汚染土の検出技術に関する技術の開発、あるいは長野県の野菜花き試験場におきまして、一部の病原菌に対します抵抗のある非常にいい品種の開発ということを行ってきているわけでございます。
 また一方、ビッグベイン病につきましては、種苗等を対象といたしまして、ウイルスの感染の有無につきまする診断法の開発であるとか、あるいは土壌薫蒸剤や太陽熱を利用した土壌消毒技術の開発を行って一定の成果を上げているところでございます。
 今後、これらの成果に加えまして、持続性の高い土壌消毒技術の開発であるとか、あるいは十分な抵抗性を持ったレタスの品種の開発、あるいはその普及ということに努めてまいりたいというふうに考えております。
後藤(茂)委員 確かに、根腐れ病については、十三年度において、抵抗性を持つ品種の選定とか非常に大きく進んでおりまして、産地としてもそれなりに評価をしております。十四年度以降も引き続き耐病性のレタスの改良など新しい事業が進むことになっておりますので、これは営農を支援するためにはどうしても必要なことであります。これは別にレタスに限りません。ぜひ、しっかりとした対応をしていただきたいというふうに思います。
 それからもう一つは、施設野菜について、施設野菜の場合、施設の設置コストというのが非常に大きいわけで、これが生産コストの引き上げにつながって規模の拡大がなかなかできていかないという問題があります。十二年度にせっかく低コスト耐候性ハウスというのを開発したわけでありますけれども、それも普及する必要があるでしょう。
 そういう意味で、現在でも団地化要件の緩和だとか、あるいは特定農業法人へ認めるだとか、随分具体的な運用要件は緩んできていると思いますけれども、しかし、個人補助を認めるだとか、少なくとも一層の緩和をして施設野菜の経営にやはりきちんとした基盤を整えていく必要があるだろうというふうに思いますが、御意見をお聞かせください。
須賀田政府参考人 先生言われました低コスト耐候性ハウスでございます。昨年度、試行的に助成、本年度から野菜の構造改革を強力に推進していくということで本格的な普及を図るということで、先生言われたような団地化要件あるいは設置面積の上限の廃止等の要件緩和を実施したところでございます。
 また、その実際の運用に当たりまして、農協等が事業実施主体になってハウスを設置して、共同利用を図る農家にこれをリースするというような事業がございますけれども、やはり、その共同利用性ということを一般的に要件から落とすというのはなかなか難しい点がございます。
 例えば、先生言われたような特定農業法人、担い手が不足して皆さんの農地を取得して農業の用に供するといった、いわゆる政策性を持った特定農業法人でございましたら、一戸でもということがあるわけでございますけれども、一般的にこれを、共同利用性を緩めるというのはなかなか難しい点があるということについては、財政だとか補助金の使い方に造詣の深い先生に御理解をいただきたいというふうに思っているところでございます。
後藤(茂)委員 やはり構造改革をしようとしているのでありまして、今いろいろな分野でも、戦略に従った個人企業や個人経営に対する委託事業だとかその補助金というのも、実を言うと、今構造改革の戦略に乗ったものについては各分野でやっておりますので、もしこれがそれだけの戦略性があるということであれば、金がないという理由だけで対応するというのはそれはおかしなことではないかな、私はそのように財政の問題を理解しておりますので、しっかり検討していただきたいと思います。
 それから、今回の法律にちょっと戻りますけれども、農林水産大臣が作成することになっている指定消費地域に係る指定野菜の需要の見通しを、もちろん指定消費地域の制度が廃止になりますから、これを全国を対象とした指定野菜の需要及び供給の見通しに制度が改められます。農水省は、主要国の作付動向だとか為替水準に非常に大きく左右される、その輸入動向も含めて供給の見通しを策定して、その需給見通しに即して的確な野菜指定産地を指定するということになるわけですね。
 また、指定野菜について言えば、年別のガイドラインを作成、公表して、生産者団体はこれに即して計画的な野菜供給に努めるという仕組みになるわけです。本当に全国的な需給見通しに基づく計画的な野菜の供給を行うということが果たして的確に行われるのかどうかということが大変問題になると思います。
 その際、私は両面、話が心配であります。一つは、生産者の自由な生産が阻害されるような生産割り当てのようなものになってはこれは困るということもありますし、しかし一方で、産地リレーや的確な供給調整みたいなそういう需給見通し、ガイドラインをどう機能させるかということについても、これは非常に難しい問題があるだろうというふうに思いますので、大臣の御見解を伺いたいと思います。
武部国務大臣 野菜は気象条件の影響を受けやすく、作柄や価格の変動が著しい一方で、消費者への安定供給が求められております。したがって、消費量の多い指定野菜については計画的な生産、出荷を推進することが重要であるわけであります。このような計画的な生産、出荷への取り組みは、生産、出荷を行う者がみずからの判断に基づいて行うことが基本である、かように考えているわけでございます。
 このような中で、国は、おおむね五年後を目標とした指定野菜の需要及び供給の見通しを策定しまして、指定産地の育成等の中長期的な枠組みを示すとともに、毎年度の需給ガイドラインを策定しまして、生産者に作付段階の指標となる情報提供を行うことにしているわけでございます。
 これを受けまして、生産出荷団体が主体となって産地の生産動向等を検討した上で、全国的な調整を図りつつ、リレー出荷も含め計画的な生産、出荷を自主的に取り組むことを通じて、野菜の需給と価格の安定を図っていきたい、かように考えているわけでございます。
後藤(茂)委員 流通、小売のことについても一言申し上げたいと思うのですけれども、スーパー等で厳しい規格に合うものだけがそろえられる。そのことによって、大きさがまちまちで、ごつごつしたトマトだとか曲がったキュウリだとか、そういうものを見かけないわけであります。形のそろった割高の商品を消費者は買わされているということだと思います。
 また、棚の欠品を認めない仕組みが流通にかかわる大きなむだを生じせしめていると思います。ラベルの虚偽表示も、事の起こりは欠品のペナルティーが余りに大きいからだという指摘は、いろいろなところでされているところだと思います。
 これは、基本的なこととして申し上げれば、消費者が結果として高いものを買わされているということであります。これは、決して消費者の望んでいることではありませんし、消費者が望んでいないということは、結局は大規模小売や流通のためにもならないということであります。最近では、スーパーのばら売りだとか、あるいは都会では、その日その日、市場で安くていいものがあったら仕入れてきてそれを売るという青果店が大変繁盛したりしております。もちろん、こうしたことがきちんと合理的に変わっていくためには、消費者の意識改革ももちろん大切なことだというふうに思います。
 そこで、食品流通のトータルとしての合理性についてどういうふうに考えて、今後どういうふうに対応していかれるか。先ほども少し答弁をいただきましたけれども、大臣にその基本的な考え方について伺いたいと思います。
武部国務大臣 我が国の食品の流通が十分消費者の期待にこたえて機能していくためには、やはり流通コストの削減等による効率化あるいは多様な消費者、実需者のニーズに対応した流通機能の高度化などを図ることが重要である、こう考えております。
 こうした考え方のもとで、農林水産省においては、卸売市場の整備や野菜の出荷規格の簡素化、ばら流通、ばら販売の促進、こうした流通の効率化を図るとともに、新鮮で安全な食品を供給するためのコールドチェーンシステムの整備、また、ITを活用した生産者と消費者を結ぶ情報システムの整備、先ほど申し上げました、顔の見える関係の構築、農場から食卓へのトレーサビリティー等による流通機能の高度化を促進してまいりたい、こう考えているわけでございます。
 こうした取り組みを通じて、消費者の幅広い期待にこたえることができるように、今後とも我が国の食品流通の合理化、機能の高度化に取り組んでまいりたい、かように考えているところでございます。
後藤(茂)委員 私は、一言つけ加えたいのは、ハードの面だけではないと思いますし、例えば食品安全検査の体制という問題だけではなくて、例えば生産から流通に、そして最後の消費者の段階に至るまでの、つまり規制をつくるとか助成の仕組みをつくるということではなくて、きちんとした合理的に新しいビジネスモデルというか、いわゆる消費のモデルというのをどういうふうにしていったらいいのかということまで含めて、これは、食品流通を預かり生産を預かり、そして食品の問題を預かっている農水省は、戦略的にその条件を例えば整備したり、あるいはそもそも、その物の考え方自体をきちんとやはり提示していくという必要があるのではないか、私はそういうふうに思っております。
 それから、もう一つ伺いたいと思いますけれども、今消費者は、自分たちの摂取する食品が一体どこでつくられているかということに大変興味を持っております。そういう意味では、一昨年七月から生鮮野菜については原産地表示が導入されていますけれども、その実施状況は三割程度だというふうに聞いておりまして、大変不十分な状況だというふうに思います。そういう意味で、生鮮野菜の原産地表示について、農林水産消費技術センターによる改善指導とかJAS法に基づく措置を厳正に実施すべきだと考えますが、大臣の御見解を伺います。
武部国務大臣 JAS法に基づく食品の品質表示は、消費者の適切な選択に資するためのものでありまして、消費者と生産者を結ぶ信頼のきずなである、こういうことで出発したのでありますけれども、食に対する消費者の信頼を裏切るような悪質な行為が続発しているということにかんがみまして、直ちに立入検査を実施し、事案が解明できたものから順次原因の究明と責任の所在の明確化等の改善のための指示を行っているところであります。
 原産地の虚偽表示等が続発する状況に対処いたしますために、現在、公表の弾力化や罰則の強化等を内容とするJAS法の改正を検討しているところでありまして、今週中にも国会に提出したい、かように考えている次第でございます。
 先ほど御指摘がありましたような問題、私は、食育といいますか、食を考える、これは国民みんなが賢く対応するという意味で、リスクコミュニケーションの問題でありますとか、そのための情報の徹底開示でありますとか、そういう努力は続けていかなきゃならぬ、かように考えております。
後藤(茂)委員 時間がなくなったので、質問は今回は見送りにしたいと思いますが、経営所得安定対策、昨年の八月三十日に研究会の議論を踏まえて農水省が一つの方針を出しております。この中で、三年間の間に、具体的な制度の仕組みとしての保険方式を基本に、積み立て方式も含めて検討するだとか、農業者の意向の把握や、制度の具体的な設計に必要なデータ、情報の収集、分析のための調査を実施するとかいうふうに決まっております。
 また改めて伺いたいと思いますけれども、一体どんな調査をやっているのか、どういう制度設計を目指して調査をやっているのか。二年というのはすぐ来てしまいます。二年来たときに、調査はしてみたが、戦略的な調査でなければまた制度をきちんとつくることができない。
 この二年間というのは、単にデータを集める期間ではなくて、きちんとした制度をまとめ上げるための二年間であるというふうに認識しておりますので、ぜひその問題について、BSEの問題だとか食品の安全の問題だとか、さまざま課題を抱える農水省ではあると思いますが、しっかりとその点についてもきっちりとした日程をつくって、この問題について対応していただきたい、強く要望しておきたいと思います。
鉢呂委員長 これにて後藤茂之君の質疑は終了いたしました。
 次に、山田正彦君。
山田(正)委員 自由党の山田正彦です。
 大臣にお聞きしたいと思うのですが、今、野菜の価格は低迷しております。ちょっと調べてみますと、平成十年の四月、十一年の四月、十二年の四月からしますと、約半分近くまで落ち込んでいるんじゃないか。ことしですね。そうすると、これだけ野菜の価格が落ち込んできたということは、大臣、どこにその理由、原因があると思われますか。
武部国務大臣 輸入の問題もありましょうし、景気の低迷ということもありましょうし、BSEの問題に関連して消費者マインドが落ち込んでいるといいますか、そういう状況もありましょうし、さまざまな問題があるのではないか、こう思います。また同時に、その背景といたしましては、やはり最近、主産地での生育が非常に早かった、出回り量が多い、そういったことも影響している、かように思うわけでございます。
山田(正)委員 今、大臣言われましたが、一番大きいのは輸入にその原因があるんじゃないか、そう考えてよろしいでしょうか。
武部国務大臣 それも重要な要素だろう、かように思います。
山田(正)委員 平成三年から平成十二年、約十年間で、自給率九〇%が八二%に約一〇ポイント下がった。輸入量を調べてみますと、百十万トンから二百二十四万トンと倍以上に上がってきている。これがやはり、野菜価格の低迷、野菜農家が本当に今大変な状況に陥っていることの大きな原因じゃないか、そう思われるのですが、それに対して大臣はどういう措置をとるべきであるとお考えなのか。
武部国務大臣 一つは、秩序ある輸入ですね。農産物、野菜等の輸入をどう確保するかということがまず第一に考えなければならぬことだと思います。
 さような意味で、ネギ等三品目について日中農産物貿易協議会が設置されまして、ここで、需要でありますとか、面積でありますとか、価格でありますとか、そういったことについて、協議を通じてお互いに共通の認識というものが醸成されつつあることから、中国からの輸入量につきましても、最近は対前年比相当水準で減っているということが言えるわけでございます。
 同時に、国内対策ということにつきましても、先ほど来御議論がありますように、野菜の構造改革というものを急いでいかなきゃならない、そのための今回の法改正の提案でございまして、さような意味でもぜひ、一日も早い法案の成立をお願いしたい、かように考えている次第でございます。
山田(正)委員 おっしゃったように、暫定セーフガードをやったけれども、本格的なセーフガードの発動にまでは至らなかった。ネギ、生シイタケ、畳表ですね。
 その中で、平成九年から十三年までの間に、中国からの輸入が四・二倍、韓国から十・七倍、韓国からもかなり急激な輸入の増加があっているということからすれば、今回のセーフガードはまず暫定、本格的なセーフガードの措置の発動に至らなかった、それも含めて、輸入に対するセーフガード、急激な輸入に対して、当然、国内に対して重大な影響その他を農家が受けているのは現実である、そう大臣も考えられるのか、考えられないのか、そして、それに対してセーフガードの措置をどう考えるか、ひとつ大臣にお聞きしたい。
武部国務大臣 私は、非常に大きな影響を受けている、こういう認識をいたしております。
 同時に、でありますだけに、日中農産物貿易協議会というものを通じて、先ほど申し上げましたような共通の認識の醸成というものが、中国側にとりましても一方的な輸入が決して利益に合致しないというふうなことから、日中合意後の輸入量は、ネギが九千二百二十五トン、生シイタケが一万一千九百三十一トン、畳表が九千四百七十五トンでありまして、対前年比はそれぞれ七〇%、六五%、七四%と減少傾向にある、かように考えているわけでございます。
 今後、野菜の構造改革を強力に推進いたしまして、国内の生産体制というものを、あるいは特に流通の面においても、思い切った構造改革を進めることによって、国内の生産の自給率あるいは国内の生産、流通の合理化ということを強力に進めてまいりたい、このように考えているわけでございます。
山田(正)委員 輸入によって重大な影響を受けているということは、大臣、お認めであったとしたら、セーフガードの発動を暫定措置だけでなぜやめたのか。例えばネギとかシイタケ、畳表にしても、七割から六割ぐらいに前年比輸入がとどまっているから協議会でいいんだというような言い方にも聞こえましたが、これは、昨年度、いわゆる輸入がふえたときに比べてであって、いわゆる農家が本当に悲鳴を上げた平成九年、平成十年の急増時からすれば、平成九年から比較すれば、それこそ何倍かのことしも輸入がかかっているわけですから、それは農家にとって大変なことなんで、そういう重大な影響を受けているという認識がありながら、なぜセーフガードの本格的発動ができなかったのか。
武部国務大臣 セーフガードの本格発動か、あるいは話し合いで解決するかということの選択があったわけでありますけれども、私どもは、日中両国の首脳が話し合い決着でという方針を明らかにしているわけでありましたので、その話し合い解決に向けて日中の農産物貿易協議会というものを設置することで決着を見たわけでございます。
 これは、輸入の増加によりまして国内の農林水産業に影響を及ぼすということについては、ネギ等三品目だけでございませんで、野菜の六品目を含めまして十五品目を監視対象品目としているわけでございます。
 セーフガード暫定措置を発動したネギ等三品目については、今申し上げましたような日中閣僚協議において、日中農産物貿易協議会の開催について合意をしたわけでございまして、ここで両国の生産者、輸入業者及び政府関係者が参加して協議を行いつつあるわけでございます。
 その結果、双方の理解が深まって、先ほど申し上げましたように、最近は輸入の水準が非常に落ちついているといいますか、下がっているわけでございまして、今後、中国からの輸入が急増し、国内産業へ影響を及ぼす場合には、このような協議の場等において問題点を提起して協議を実施していく、そういうことが私は現実的ではないか。
 しかも三品目以外の問題についても、タマネギ等についても既に問題提起をさせていただいているわけでございますので、そういうことの方がより現実的だと私どもは考えているわけでございます。
山田(正)委員 大臣、時間がないので、質問の答えだけ答えていただければいいので。
 セーフガードを本格的に発動できなかった、それは本当のところを言うと、いわゆる中国からの対抗措置、自動車の関税等、いわゆる経済産業省の立場、そういったものから押し切られたということではなかったのかどうか、端的にイエスかノーで結構です。
武部国務大臣 私どもはそのような考えではありませんで、これは全体を考え、なおかつ農産物の秩序ある貿易の確保ということが日中農産物貿易協議会の設置で確保できる、そういう判断でやったわけでございます。
山田(正)委員 いろいろ報道はされておりますが、私どもから、国民から見たら、何とも腰砕けな感じを受けたわけです。大臣も重大な影響を受けているということは認識しながらそうなったわけですが、でも、この四月一日から施行されました中国向けの経過的セーフガード、これは中国としては対抗措置がないということから、大臣、心置きなくその輸入に対する重大な影響に対して歯どめをかけることができるようになったのではないのかどうか。
武部国務大臣 中国に対する経過的なセーフガードにつきましては、その要件が、一般セーフガードの場合は、輸入の増加による国内産業の重大な損害ということに対しまして、対中国経過的セーフガードは、実質的な損害が生じ、市場が攪乱されること、こういうふうになっているわけでございます。
 重大な損害は、対中国経過的セーフガードの市場攪乱の判断基準となる実質的な損害と比べまして、より高い損害の水準を意味すると考えられているのでありますが、市場の攪乱がどの程度の損害水準なのかという解釈については国際的に確立していないということでございます。
 したがって、損害の認定はケース・バイ・ケースで行わざるを得ないということから、対中国経過的セーフガードがどの程度発動しやすいかということについて比較することは困難ではないか、こう思うのであります。
 いずれにいたしましても、私どもこういった中国に対する差別的な経過的セーフガードの発動に至らないように、諸般の対策をしっかりやっていかなきゃならないということでございます。
山田(正)委員 いわゆる対中国の経過的セーフガード、これはちょっと今大臣も話されたようだけれども、一般セーフガードは、いわゆる国内産業に重大な損害を受けた場合、その重大な損害またはそのおそれ、それがどうかというところでかなりいろいろ問題もあったようですが、今回は単なる攪乱またはそのおそれ、実質的な損害となったら、今現に中国から輸入されているいろいろな野菜があります。
 例えばゴボウあるいはショウガ、こういったものについては既に前年比一〇〇%を超えている。かつて平成九年、平成十年はゴボウにおいてはゼロだった。これがいきなり五万四千トン、六万九千トン、大変な量が入ってきている。であれば、大臣、よくその辺の数字も御承知だと思うのですが、その中で、当然ゴボウ農家もいろいろな大変な目に今遭っている。事実的にいわゆる経過的セーフガードにおける市場の攪乱またはそのおそれがある、これはそう言えるのじゃないのか。
 例えば、具体的にショウガあるいはゴボウにおいてはどう思われるか、大臣。
武部国務大臣 ゴボウは対前年同期比一〇九%ということでございまして、これがいわば市場攪乱という状況に当たるのかどうかということでいえば、私はこれが市場攪乱というふうには当たらないのではないかという感じがいたしますけれども、いずれにいたしましても、やはり国内の対策をしっかりやる。
 そして同時に、この日中農産物貿易協議会というのはネギ等三品目だけじゃありませんので、他の分野についてもいろいろ情報交換できる、そういう場でありますので、タマネギについてはもう既に問題提起をしているわけでございますので、この場における日中双方における情報交換を通じて共通の認識を醸成していくことによって輸入秩序というものをしっかり確保していきたい、このように考えているわけでございます。
山田(正)委員 いわゆるゴボウ、ショウガにおいては市場攪乱要因とは見ない、攪乱されていないという御返事なのか。そうであったらそれでよろしい。ただし、里芋は前年比二二三%の増、これも今市場攪乱要因ではないのかどうか、中国からの輸入で。明確にお答え願いたい。
武部国務大臣 先ほども申し上げましたように、市場攪乱要因という状況をどう見るかということについては、国際的な定見というものはまだ定まっておりません。したがいまして、そういう問題については、私どもは、日中双方の協議の場でいろいろ議論をして進めていくというのが適切ではないか、このように考えているわけでございます。
山田(正)委員 国際的にその定義が定まっていないからどうだ、確定的なものがないからどうか、そんなばかなことを大臣が言ってもらっては困る。これは、日本の国内事情、日本の農家にそれによって実害があるかどうか、いわゆる市場の攪乱要因になっているかどうか、そこだけの判断なんだから。
 それを、国際的にそういうものがどこまでどうなっているか確定されていない、それはまさに、今現在、この四月一日から施行されたばかりだから、そこは大臣の政治的判断でやるべきことであって、それをとやかく言うのはおかしいんじゃないかということが指摘です。
 それともう一つ。これまでセーフガードというのは、ことしになってからも各国がいろいろな形で、食用油とか鉄鋼とか、あるいはセラミックタイルとか録音用生テープとか、どんどんセーフガードの適用をやってきている。日本としても、さっき言ったように、野菜の構造改革対策の推進、これを言っておられるけれども、本当に野菜の構造改革推進ができて、輸入の野菜に対抗でき、自給率が上がるとは私には思えない。
 そうすれば、大臣は、このセーフガードの適用を弾力的に、そして何としても、今本当に、昨年、一昨年から比べて半値ぐらいまで下がってきている野菜農家を、緊急に何とかその対応を考えるならば、やはり中国への経過的セーフガードの措置、これは必要なんじゃないのかどうか。どうか大臣、お答え願いたい。
武部国務大臣 これは農林水産大臣だけで決められることではございませんが、私どもといたしましては、やはり野菜の構造政策というものを生産面あるいは流通面で、まず今般、法改正に基づいてしっかり対応していくということと同時に、日本の農家を守るために諸般の対策をしっかり構築していくということに全力を挙げることが私の農林水産大臣としての責任であろう、こう思いますので、今重大な損害を生じて市場が攪乱するという状況になっているかどうかということについては、委員の御指摘もございますので、今御指摘のありましたような品目等も含めまして、しっかり一度注視させたい、調べさせたい、このように思います。
山田(正)委員 今そうおっしゃいましたが、大臣、お答えになったように、里芋に関してはことしになって既に二二三%の前年比増、これについては少なくとも市場攪乱は客観的に見てされている。であったら、直ちに調査してやっていただきたい。
 ただ、このセーフガードなんですが、アメリカの場合、あるいはほかの国の場合であったら、生産者、生産農家、そういったところが、例えば中国からの輸入のもので大変打撃を受けてきた、そういった場合に、生産者が対中国のセーフガードを適用してくれという申し立てをすれば、自動的に政府はその調査をして、結論を出さなきゃいけない。
 日本の場合はそうなっていない。日本の場合は、調査するかしないかということはどこが判断しているのか、どういう形で判断しているのか。これだと、生産者にとってみれば、幾ら非常に困っておっても、政府が、先ほど大臣が言った、首脳同士がそういう話をしたからだめだとか、なかなか調査の発動もしない、講じもしないということになって、うやむやにされて、自給率がどんどん下がっていって、野菜農家はどんどんやめていく。それで、日本の農業はついえてしまう。
 大臣、どうお考えか。どうしても、生産者からそういう事情の申し立てがあれば、必ず調査しなきゃいけないというふうにならなきゃいけないのではないのか。そういった事情をひとつ、大臣、お答え願いたい。
武部国務大臣 我が国の場合には、調査は農林水産省、それから経済産業省、財務省、三省の協議によるわけでございますけれども、第一義的には、農産物については農林水産大臣が大きな責任を負っている、このように思います。したがいまして、そういう品目別にしっかりした常時監視体制というものをとっていかなければならない、このように思います。
 また同時に、今、日本がそういうアメリカのような独立機関によって直ちに調査するという体制になっていないということでございますが、今後は我が国においてもそういったことも、この間から、セーフガード三品目のときから御議論がありましたけれども、そのことについては私どもも大きな関心を持って、今後どうあるべきかということはしっかり考えていかなきゃならないのではないか、こういうふうに思っております。
山田(正)委員 大臣、私の時間は終了したのですが、こういう野菜の構造改善対策の云々だということよりも、本当に大事なのは、中国の野菜なら中国の野菜に対して直ちに経過的セーフガード、対抗措置なくできるようになったんだから、市場攪乱のおそれだけで。
 だから、大臣、こんな満遍のいろいろな対策を、いろいろなことをがちゃがちゃするよりも、はるかに、中国にはなぜこういう経過的セーフガードができたかというと、中国のあの安い労働力と、そして日本のODA予算のいろいろなものの援助もあるのでしょうが、そういったものでまともに対抗できないから、向こう十二年間、中国に対して何百%でも関税をかけてもいいよと。十二年間だけ、経過的セーフガードですから。
 大臣、ぜひこの対策、これは果敢に、本当に大臣が大臣をやめずに農家のことを考えてやるんだったら、ひとつ真剣に取り組んでいただきたい、そう述べて、私の質問を終わらせていただきます。
鉢呂委員長 これにて山田正彦君の質疑は終了いたしました。
 次に、岩崎忠夫君。
岩崎委員 自由民主党の岩崎忠夫でございます。
 野菜生産出荷安定法の一部改正案について質問をいたしたいと思いますが、大臣が途中で退席されるとのことでありますので、大臣の質問から、また質問の順序を変えて御質問を申し上げたいと思います。質問時間が大変短いので、答弁は端的かつ簡潔にお願い申し上げたいと思います。
 まず最初に、米国産リンゴの火傷病に係る日米協議の状況についてお伺いしたいと思います。
 本年三月一日、米国は、米国産リンゴ生果実の火傷病に係る我が国の植物検疫措置は、WTOの衛生植物検疫措置の適用に関する協定に反するとして、ガット二十三条による二国間協議を要請いたしました。四月十八日、米国との二国間協議がジュネーブのWTO本部において開かれましたが、協議は合意には至らなかったと伺っておるわけであります。
 そこで、協議の状況及び今後の展開について、まずお伺いしたいと思います。
須賀田政府参考人 先生言われましたように、四月十八日、ジュネーブで、ガット二十三条に基づくアメリカとの二国間協議が行われました。
 協議の具体的内容は、WTO協定上秘密とされておりまして、言及できないわけでございますけれども、協議においては、双方の見解が表明されて議論が行われたものの合意には至らなかったということでございます。
 今後、本件については、二国間協議を継続するのか、あるいはWTOの紛争処理パネルの設置を要請するかということになろうかと思いますけれども、いずれにしても、申し立て国、アメリカでございますけれども、アメリカ側が判断することでございまして、我が方としては、我が国の立場をきちんと今後とも主張していきたいというふうに考えているところでございます。
岩崎委員 火傷病につきましては、地球上で今なお未発生国は、中国、韓国、日本それにオーストラリアなど、大変一部に限られた地域になっているわけでありまして、現在確固たる防除対策がありません。一たん侵入を許せば、リンゴだけにとどまらず我が国の果樹全般に甚大な影響を与えるものでございまして、我が国果樹産業に壊滅的な打撃を与えるものと果樹栽培農家は大変心配をいたしているのであります。
 アメリカは、早ければ五月早々にもパネル設置の要請ができることになります。予想されるパネルの場において、日本のとっている侵入防止措置は、リンゴ生果実に火傷病が寄生する可能性があるため十分な科学的根拠がある旨をしっかりと説明していただきたいとお願いするものであります。
 この際、我が国果樹栽培農家の気持ちを体し、何が何でも火傷病は我が国には入れない、そのためにパネルでは徹底的に頑張るという大臣の不退転の強い決意をお伺いしたいと思います。
武部国務大臣 米国が紛争パネルの設置を要請するか否かがわからない段階ではありますが、我が国としては、我が国の植物検疫措置は、科学的根拠に基づく病害虫に関するリスク解析を実施した上で講じられているわけでございます。WTO協定と整合的である、かように考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、先生御指摘のとおり、火傷病は我が国は未発生国でありまして、万が一にも我が国に侵入した場合には農業生産に重大な被害を及ぼすおそれがあることは言うまでもございません。先生御指摘のような考え方で、その侵入を防止するために万全を期してまいりたい、かように申し上げまして、私の決意といたします。
岩崎委員 大臣の決意、しかと承りました。よろしくお願い申し上げます。
 そこで、今後の日中の野菜貿易についてであります。
 中国野菜の輸入の急増を受けまして、昨年四月からネギ等三品目について暫定セーフガード措置が発動されましたが、昨年十二月の日中閣僚級協議におきまして、一般セーフガードの本格発動が見送られる一方で、日中農産物貿易協議会を設置して、秩序ある貿易を促進されたところであります。その後、二回の同協議会の会合が持たれました。
 また、昨年十二月には、中国のWTO加盟が実現し、同時に定められました加入議定書においては、中国のWTO加盟後十二年間適用される対中国経過的セーフガードが規定されました。この対中国経過的セーフガード発動のための国内法整備として、関税定率法等の一部改正案が今国会で成立し、また、対中国経過的セーフガードの措置の運用についてのガイドラインも作成されたところであります。
 そこで、副大臣にお伺いします。
 今後の日中の秩序ある農産物貿易の促進についてどのように考えておられるのか、また今後、再度輸入急増があった場合、どう取り組もうとされているのか、お伺いをいたします。
遠藤副大臣 大臣が中途退席しましたので、私からお答えさせていただきます。
 去年の十二月二十一日にセーフガード問題に対する日中協議が行われたわけですが、その折に、三品目とは別途に農産物の貿易協議会を行うということで合意をしたわけであります。
 我が国としては、今後、日中間の貿易紛争を未然防止するため、あるいは安定的な貿易関係を持続し発展させるためにも、随時関係者が協議、意見交換を行うということにしております。このため、先般、野間副大臣が訪中された際にも中国側の関係者と意見交換を行いまして、随時意見の交換を行おうということで合意してきております。そこで今後は、外交上のルートを通して、いつどのようにしてやるかということを詰めてまいりたい、このように思っております。
 また、野菜が再度輸入急増したというような場合にはどうするかということですが、一月以降は、御存じのとおり、多少輸入は減少傾向にあろうかと。ただ、今申し上げましたような貿易協議会の場を通して安定した関係というものを確立したい。先方も、急増が決して価格の面でも自国の利益にはならないということをようやくわかりかけてきているように受けとめております。
岩崎委員 続きまして、今回の法改正の趣旨、ねらいについてお伺いをしたいと思います。大分順不同になりましたが、申しわけございません。
 言うまでもなく、今回の法改正の契機になりましたのは、近年における中国からの生鮮野菜の輸入急増の事態でございます。また、ネギ等三品目についての暫定セーフガードを発動した状況下における真摯な議論の結果であります。
 政府・与党の議論の中で、消費者等が輸入野菜を求めますのは、単に低価格ということでなく、定時、定量、定質、定価といった外食業者、量販店等のニーズに国内野菜が十分にこたえていない、そういうことにもあることが明らかになりました。我が国野菜農業が今後生き残っていくためには、中国などとの国際競争に対応できる強い産地をつくることが基本でありまするし、また、消費者、実需者に国産野菜を選んでもらえるような産地をつくることが第一であります。
 そこで、まず、今回の法改正の趣旨、ねらいについて遠藤副大臣にお尋ねをいたします。
遠藤副大臣 今さら申し上げるまでもなく、野菜というのは、国民生活あるいは農業生産にとっても重要な役割を占めておるわけであります。ただ、季節的な、気候的なさまざまな条件から非常に価格が乱高下しやすいという特質を持っているわけです。
 そういう意味でも、今回の野菜生産出荷安定法等により、急激に下落したときの価格補てんというようなものを確保しなきゃならぬ、また、輸入急増に対応するためにも、いわゆる高コスト構造、あるいは消費者への理解というものをさらに一段と深めるためにこのような法律を用意させていただいて、そして大臣が常々申し上げているように、より生産者と消費者の距離感というか、顔の見える形にしていきたいというのがこの法律をお願いしておる趣旨でございます。
岩崎委員 今回の法改正が、中国との国際競争にも対応できるような本当に強い産地をつくることに寄与しますように適切な運営をしますように心から期待をいたしたいと思います。
 我が国農業におきまして、野菜の産出額は二兆円余りで、全体の二三%を占め、野菜は、畜産、米と並んで大変重要な地位を占めております。野菜は豊かな食生活に不可欠なものでありますが、近年の野菜輸入の増加を受けまして、自給率は平成十二年で八二%と年々低下傾向にあります。
 そこで、お伺いいたします。
 野菜の自給率は将来どの程度確保すべきものと考えておられるのでしょうか。また、我が国農業におきます野菜のウエートからいきましても、野菜対策に対する予算措置は現状では十分なものではありません。平成十四年の予算においても、野菜の構造改革に必要な予算として総額三百十一億円を計上されましたが、農水省予算三兆二千億からしても大変微々たるものであります。
 この際、野菜の生産、流通両面にわたりまして抜本的な構造改革を強力に進めることにしまして、中国などとの国際競争力に対応できる強い産地をつくるために野菜対策予算の抜本的な充実を図る必要があると思いますが、副大臣のお考えを伺いたいと思います。
遠藤副大臣 まず、自給率については、平成二十二年までに八七%の水準に戻したいと考えておりますが、これはもう平成七年前の水準ですから、相当厳しいと思います。したがいまして、委員御指摘のような構造改革に対する支援措置としての予算というものが絶対的な要件となろうかと思いますが、御指摘のように、三百十一億円というのは、実は前年度の三・四倍の額であります。
 今後とも、諸先生方の御理解と御支援をいただきながら、所要の予算が確保されるように全力を尽くしてまいりたいと思います。
岩崎委員 昨年から比べたら大変な増加だということでありますが、とにかく絶対量が足りないわけでありますから、本当に全国の野菜農家が期待しているような十分な予算がついて、本当にこれで足腰が強くなれる、ぜひともこういったような産地形成に努めていただきたいとよろしくお願い申し上げる次第であります。
 次に、相次ぐ食品の虚偽表示事件についてお尋ねをしたいと思います。
 野菜の消費拡大には、野菜に対する消費者の信頼確保が欠かせないものであります。ところが、雪印食品の牛肉表示偽装事件に端を発しました食品の虚偽表示事件は次から次へと出ているのでありまして、消費者の食品行政に寄せます信頼を著しく低下させているのであります。
 平成十一年のJAS法改正により、一般消費者向けのすべての飲食料品が義務表示の対象とされておりますが、虚偽表示に対します公表や罰則の強化など、消費者の信頼回復に向け直ちに実効ある措置をとるべきものと考えますが、副大臣のお考えを伺いたいと思います。
遠藤副大臣 委員おっしゃるとおり、この虚偽表示というのは本当に遺憾なことであり、また、そのやり方も、考えられないような手法を用いているわけであります。JAS法そのものも、学者のお話によれば、性善説に立ったものである、こういうことでございますから、もう虚偽表示なんというのは何をか言わんやと考えておりますし、また、御存じのとおり、今回、罰則を強化させ、また、懲役刑までお願いをして法改正を提出しようとしているわけですが、まず、流通販売業者そのものが、公表されたらば即倒産または整理だ、こういうふうなことを肝に銘じてもらわなければならぬ、雪印の例がそのいい例ではなかろうか、このように考えております。
岩崎委員 次に、輸入野菜の安全性についてであります。
 中国産野菜は、昨年十二月、安全基準を超える残留農薬が検出された旨の報道があったことを契機として、その安全性に大変な疑問を持たれているのであります。中国政府は、対日輸出野菜については検査等の安全対策を講じているとしておりますが、厚生労働省が本年一月に、中国産野菜検査強化月間として、中国産の野菜について輸入届け出ごとに一〇〇%のモニタリング検査を行ったところ、オオバやブロッコリー、ニラなど九件で食品衛生法に基づく基準を超える残留農薬が検出され、一部について検査命令が出されました。
 また、農林水産省では野菜類について植物検疫を行っておりますけれども、輸入検査の結果、殺虫処理等の検疫措置がかなりの量行われているのであります。
 中国産野菜等輸入野菜の安全性については、さらに検査・検疫体制を強化する必要があると思いますが、お伺いをしたいと思います。
須賀田政府参考人 まず、農林水産省の植物防疫、農産物の輸入検疫の検査体制でございます。
 これまでも植物防疫官を適切に配置する等いたしまして、検査体制の整備に努め、植物の病害虫の侵入、蔓延防止を図っているところでございます。今後とも、厳しい定員管理の中ではございますけれども、検査体制の充実を図り、万全を期していきたいというふうに考えているところでございます。
尾嵜政府参考人 先生お話ございましたように、年明け一月以降二月の十八日まで、中国産野菜の検査の強化月間として一〇〇%のモニタリング検査を実施してきたところでございます。
 その以降でございますが、現在も引き続き、複数の違反が認められました野菜については検査命令を実施いたしておりますとともに、その他違反が認められた野菜については一〇〇%のモニタリング検査を継続いたしております。
 また、違反が認められておりませんけれども検出をされたようなケースにつきましては、モニタリングの実施率を通常よりも高く設定するということで、引き続き強化をやっておるところでございます。
 今後とも、輸入時検査の結果やあるいは現地の情報等も踏まえまして、食品衛生法に違反する野菜が輸入されないよう必要な措置を講じてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
岩崎委員 中国産野菜の安全性につきましては、国民が大変心配をしております。今後とも、必要な検査・検疫体制をしっかりとっていただきたいと思います。
 そこで、今回の法改正の問題に戻りたいと思います。
 今回、契約取引を推進するための契約野菜安定供給制度を創設いたしますことは、輸入野菜の急増に対し、定時、定量、定質、定価といった実需者のニーズにこたえる国産野菜の供給を行い、また、生産、流通コストを削減する意味におきましても大変時宜にかなったものだと考えております。
 また、契約取引は、生産者と消費者の顔の見える関係を構築するという消費者のこだわりのニーズにも対応して、輸入物にまねのできない商品提供も可能にすることからしましても、今日的要請にこたえるものと評価できるものであります。
 しかしながら、契約取引は、従来行政が関与してこなかった取引であり、実際に行われている契約取引のうちどれだけこの制度に入ることが見込まれるかの問題があります。
 また、今後は、ニーズに合わせて多元的、効率的な野菜の流通形態をとる必要があると思いますが、現在でも八〇%の市場経由率であります卸売市場の、需給の均衡ないし価格形成に果たします市場機能を弱めることにつながらないかどうか、危惧されるところであります。
 また、運用面におきまして、契約数量の充足において、市場から調達できない場合、輸入品が使われることになるのではないかとの懸念も一部にあるようであります。
 そこで、契約野菜について価格安定制度の中で安定供給制度を創設したねらいは何か、また、制度の運営に当たっては、ただいま指摘いたしました懸念を払拭するよう配慮することが必要だと思われますが、宮腰政務官にお伺いいたしたいと思います。
宮腰大臣政務官 御指名賜りまして、ありがとうございます。
 野菜の契約取引につきましては、今ほど先生御指摘のように、中間の流通経路の削減によりまして、小売価格の大部分を占める流通コストが削減できること、第二に、野菜の規格の簡素化やコンテナを利用したばら出荷が可能となることで生産コストが削減できること、第三に、通いコンテナ、ばら流通により段ボールを使用しない等の省資源化が可能となること、第四に、生産者と消費者の顔の見える関係が構築できることなどのメリットがあると考えております。
 しかしながら、契約取引につきましては、定量供給契約において作柄変動等により供給量を確保できなかったり、市場価格連動契約の場合に価格が低落しても市場出荷のように補てんがないなどの問題がありまして、これが取り組みの障害となっていることから、これを軽減するための仕組みとして契約野菜安定供給制度を創設することとしたものであります。
 御指摘の輸入品につきましては、契約数量の充足に輸入品を活用した場合には交付金を交付すべきではないと考えております。
 また、野菜流通にありましては、今後とも大量の商品の集荷、分荷、適正な値決め等の機能を持つ卸売市場が重要な役割を担うと考えられるところでありまして、市場経由の流通と契約取引が互いに競争、補完し合うことにより、多様な消費者ニーズに十分対応できる効率的な流通が実現されるよう今後とも努めてまいりたいと考えております。
岩崎委員 どうもありがとうございました。今後とも、契約野菜がこの野菜の価格安定制度の中で適切に位置づけがされますように期待をいたすものであります。
 そこで、現行の野菜価格安定制度は、種々の要件が付されておりますため、そのカバー率は二七%、大変低いわけでありまして、野菜価格の低落に対応したセーフティーネット機能を十分に果たしているとは言いがたい状況にあります。今回の改正措置によりまして、カバー率を五四%に引き上げることにいたしましたことは、遅きに失したとはいえ適切な措置だと考えます。
 とりわけ今回、大規模生産者が直接制度に加入できることとなりましたことは、担い手育成の観点からいたしますれば必要な措置であると思われますが、大規模生産者は農協の共販、共計に参画しておりませんので、産地におきます需給調整機能を今後どのように担保していくかも運用上の課題とされるところでありますが、これへの対応につきまして、宮腰大臣政務官にお伺いしたいと思います。
宮腰大臣政務官 大規模生産者は、独自の経営方針に基づきまして生産、出荷を行うため、農協とは別に単独で活動する者も多く、特に出荷をめぐりまして、農協との間で野菜の生産、出荷において競合関係にある場合も多いと理解をいたしております。
 一方、野菜産地におきましては、生産者の高齢化、後継者不足等が進む中で、今後は、担い手であります大規模生産者を地域の野菜生産体制の中にきちんと位置づけ、農協等と生産における役割分担や出荷の調整等を図ることが重要となっていると考えております。
 平成十四年度から、これまでの重要野菜のキャベツ、白菜、タマネギ、大根等に加えまして、通常の指定野菜につきましても生産者団体等を主体として計画的な生産、出荷に取り組むこととしているところでありまして、野菜価格安定制度に参加する大規模生産者につきましても農協等と同様に、野菜供給計画の策定とこれに基づく生産、出荷を求めることといたしております。
 こうした措置を通じまして、出荷調整等の需給調整に地域ぐるみで取り組めるようしっかりと指導してまいりたいというふうに考えております。
岩崎委員 一部の人たちの心配には、やはり産地におきますこういう需給調整に地域ぐるみでしっかり取り組んでいただける、そのような指導をしっかりするということでありますから、大変安心をいたしました。今後ともよろしくお願い申し上げたいと思う次第であります。
 そこで、昨年八月、農林水産省は輸入野菜の増加への抜本的な対策といたしまして、国際競争力のある野菜産地を育成するための野菜の構造改革対策を公表いたしました。
 この対策では、産地みずからが構造改革計画を策定する、産地は低コスト化、契約取引推進、高付加価値化タイプの三つの戦略モデルを参考に、取り組むべき戦略、数値目標を明確化する、構造改革計画を策定した産地の取り組みに対し、野菜施策を集中的に支援することとされておるわけであります。
 何事も、事に当たるに、目標、戦略の明確化は欠かせません。労働時間、コストのかかる収穫、調製作業への高性能機械の導入、低コスト耐候性ハウスの設置など、各産地での低コスト化に向けて実効ある取り組みをどのように進めようとされているのか、お伺いしたいと思います。
須賀田政府参考人 先生言われました野菜の構造改革についての三つの戦略タイプのうちの、低コスト化でございます。
 この具体的な取り組みとしては三点ばかり考えておりまして、一つが、機械化と規模拡大による生産コストの低減、二つ目が、契約取引、出荷規格の簡素化による生産、流通の効率化、三つ目が、通い容器利用等による流通コストの削減ということで、こういうようなことを中核として推進をして低コスト化に取り組んでいきたいというふうに考えている次第でございます。
岩崎委員 WTO体制下で、EU、米国等諸外国は価格支持を削減し、所得関係や直接支払いによる生産維持、環境保護策へと移行しつつあります。我が国の担い手対策として、農産物に特有な、価格の著しい変動に伴います輸入または所得の変動を軽減するためのセーフティーネットを整備していくことが必要だと思いますが、担い手対策として、経営を単位とした経営所得安定対策の検討状況はどうなっているのでございましょうか。
 とりわけ、野菜等の価格安定対策と経営所得安定対策との関係は、今の検討段階ではどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。
川村政府参考人 経営所得安定対策の関係でのお尋ねでございます。
 今、先生おっしゃいましたとおり、望ましい農業構造の確立に向けまして構造改革を推進しているわけでございますが、そのセーフティーネットとして、水田農業の改革と整合性を持った形で今検討を進めているところでございます。このことは先般の食と農の再生プランにも明記をしてございます。
 そして、当面でございますけれども、改革がおくれております水田営農、今申し上げました。それから、輪作体系のもとでの大規模畑作経営というものが当面の検討課題だというふうに思っておりまして、その検討を進めているところでございます。
 野菜施策につきましては、今まさに価格安定対策の見直しを含む制度改正案が御審議をいただいているところでございますし、先ほど来ございましたとおり、各種の構造改革対策が実施されておりますので、まずはこれらの効果を見きわめる必要があると考えております。
岩崎委員 経営所得安定対策の検討をさらに深めて、農家の期待するような案に取りまとめていただきたいと思います。
 野菜は、とりわけ小売価格に占める流通コストの割合が高く、また野菜の鮮度は、輸送に三日から一週間程度かかる輸入品と差別化できる重要な点であります。国内産地の国際競争力を強化するためには、包装、荷づくり経費や運賃などの物流経費など流通コストの削減が決め手となります。
 そこで、野菜の出荷規格の簡素化、通いコンテナの普及等流通の合理化、効率化をどのように進めようとされているのか、お伺いしたいと思いますし、また長野県と静岡県のセロリのリレー出荷がモデルとされますリレー出荷による周年安定供給の実現や、コスト、鮮度、安全、環境保全の面でメリットのあります地産地消の取り組みを今後どのように進めていくのか、お伺いしたいと思います。
 時間がありませんので、野菜の消費対策についてあわせて質問いたしたいと思います。
 野菜農業の振興のためには消費拡大が欠かせません。しかし、日本人の野菜摂取量は心配なほど落ちているのであります。野菜一人当たり消費量は、九五年に日米逆転し、その差は年々開くばかりであります。とりわけ、日本の若い人ほど野菜を食べない傾向にあることは大変憂慮すべき事態であります。アメリカでは、医学界と連携して、健康面から野菜の効用について訴えたファイブ・ア・デー・プログラムが大成功して、野菜の消費が拡大したと言われております。
 日本においても、アメリカの例に倣って健康面から野菜の効用をアピールした消費対策を積極的に打ち出すべきと思いますが、どうでございましょうか。お伺いして、私の質問を終えたいと思います。
須賀田政府参考人 まず、野菜の流通の合理化、効率化の問題でございます。
 我が国の野菜流通が多段階、高コスト構造になっているという状況にかんがみまして、これを打破するために、三つの戦略タイプに即して野菜の生産、流通の構造改革を進めるということにしているところでございます。
 特に、先生言われましたリレー出荷につきましては、消費地における物流拠点の整備等を通じた実需者に対する周年安定供給を図る、また、地産地消につきましては、直売施設の整備あるいは野菜栽培体験による新鮮でおいしい野菜の供給を図っていくということを骨格として推進していきたいというふうに考えている次第でございます。
 それから、健康面からの野菜の効用のアピールの問題でございます。
 先生指摘されましたとおり、我が国の一人当たり野菜消費量、若年層を中心に減少傾向が続きまして、この十五年間で約一割の減少ということでございます。一方、アメリカでは、官民連携をいたしまして、健康面に着目した消費啓発運動等を推進しておりまして、この十五カ年間で約二割消費量が増加をしているということでございまして、近年では日本を上回る消費水準ということでございます。
 このようなアメリカの例を参考に、十三年度から、野菜の健康機能についていろいろなメディアを活用して啓発活動を開始したところでございまして、本年度からは、医学、栄養学、教育関係の学識経験者を核とした協議会を設けまして、教育現場や店頭等のさまざまな場面において、野菜の摂取不足による健康への影響等の啓発活動を展開していくということにしているところでございます。
岩崎委員 どうもありがとうございました。これで質問を終わります。
鉢呂委員長 これにて岩崎忠夫君の質問は終わりました。
 この際、休憩といたします。
    午前十一時二十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時六分開議
鉢呂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。中林よし子さん。
中林委員 時間設定もまずかったのかもわかりませんけれども、国会の運営都合上、この時間に午後の審議を進めなければならないという状況の中で、やはりこの出席というのは非常に不本意だということを前置きして、とはいえ、きょうは参考人の質疑もございますので、質問に入らせていただきます。
 きょうずっと問題になっている牛肉在庫緊急保管対策事業、この問題を法案の前に質問したいというふうに思います。
 この助成金というのは、凍結保管経費三百二十九円と、それから冷凍格差三百七十八円、これから成っているわけですが、この冷凍格差三百七十八円、その意味合いというのは、低温保管のチルド肉を凍らせた場合、商品価値が落ちるのでその分を補う、こうされているわけです。
 しかし、報道にいろいろ出ているわけですけれども、冷凍肉に対してこの三百七十八円が支給されていたということが明らかになっており、その支給総額は四十四億円にも上るということですね。これは税金なんですよね。今、大変苦しい思いをしている国民の血税がこういうずさんなことで使われるということは、とても我慢できないことだというふうに思います。
 だから、この部分は直ちに回収すべきだというのは当然のことなんですけれども、やはりこういうずさんなことをした農水省としての責任、大臣、これをどういうぐあいにお考えになっているのか。
 初め、同僚議員の質問の中でも、短期間にやったからという言いわけをされておりますけれども、短期間であろうとどうであろうと、国民の税金を投入するという事業ではあってはならないことだというふうに思いますので、その責任問題等を含めてお答えをいただきたいと思います。
武部国務大臣 本件は、短期間にこの事業を実施しなければならなかったとはいいながら、検品を進める中で、相当以前に凍結されたものなど不適切なものが判明したということにつきましては、先ほども申し上げましたが、まことに遺憾に存じている次第でございます。
 昨年十月十八日からBSE全頭検査が開始されまして、BSEに感染していないことが証明された牛肉以外屠畜場から出ていかない体制が整えられたわけでありますが、一方で、BSE検査を受けていない牛肉について、消費者の不安を念には念を入れて払拭する、同時に、牛肉流通の円滑化を図ることを目的にしてこの事業が実施されることになったわけでございます。
 すべての保管牛肉について冷凍格差を助成するということは、言うまでもなく適切ではございません。したがいまして、今般見直しを行ったわけでございますが、具体的には、今月二十五日から一年以内の完了を目指して新たな全量検品体制に移行するのでございますが、改めて消費者、納税者の視点に立って厳正な運用を図るように指示した次第でございます。
 今、どういう背景、経過があってこのような形で実行することになったのか、実施することになったのかということについて内部でも調査させることにいたしておりまして、私自身、まことに遺憾なことであり、このことについて厳正な対応を事務当局に指示したという次第でございます。
 中身はいいですか。(中林委員「いや、回収するのかどうかという」と呼ぶ)
 これは、既に交付決定されました補助金額を、今既に概算払いで八割、三十二億円を行っておりますが、当然、事業実施主体については、最終的な検品結果を踏まえまして、精算いたします。
 したがいまして、必要な場合には返還を請求していきたい、このことについては実施主体の理解と協力が得られる、このように存じております。
中林委員 不正というか、必要でないところへ税金を出そうというのですから、その必要のない部分を回収するのはもう当然のことです。同時に、やはり、今回のBSE対策というのは国民の大切な税金をつぎ込むという事業がたくさんあるわけですから、もう厳正な、そこにはいろいろなすきを与える余地がないことを、厳に慎んでやっていただきたいというふうに要望しておきたいと思います。
 今、全品が検品体制に入るんだというお話があったわけですけれども、今も検品がずっとやられてまいりました。予想どおり、牛脂だとか骨つき肉あるいは品質保持期限切れの肉などが続々と出てきているわけです。農水省の報告書を見れば、「いずれの事例についても、」「意図的な作為は認められなかった。」というわけですけれども、非常にわかりにくいんですね。一体どれだけ調べてそう言えるのか、透明性がこれでは全くわからないというふうに思います。
 だから、これも結局は国民の税金が使われているわけですから、こういう骨つきの肉だとか牛脂が混入したとか、そういうものはどういう状況でどこがやったのかというのは当然明らかにする必要があるというふうに思います。大臣、そこも全部やはり公表していただきたいというふうに思います。
 それから、買い上げの公表のことなんですけれども、国民の税金が使われている以上、本当に詳細にこれも明らかにしなければならないんです。資料を私どもも求めているわけですけれども、全肉連の買い上げ、これは都道府県連合会のレベルまでは出ているんですけれども、その先が全くわからないということなんです。これは直ちに公表されますか、大臣。
武部国務大臣 この事業につきましては、BSE検査前の牛肉を確実に隔離する観点から、事業実施主体が対象牛肉を買い上げて所有権を取得し、保管することを要件としたのでございますが、その際、事業実施主体の買い上げ先を報告することを要件とはしておりませんでした。
 しかしながら、事業の透明性を確保するとの観点から、事業実施主体に牛肉の買い上げ先について報告を求めまして、公表することへの同意を得た上で三月十五日に公表したところでございます。
 このうち、直接の買い上げ先が県レベル等の団体である場合には、事業実施主体も末端の業者等を把握していないということでございますので、現在、事業実施主体が県レベル等の団体に対しまして、末端業者ごとの申請数量について公表を前提とした調査をお願いしているところでございます。
 いずれにいたしましても、情報提供を得るためには個別の業者から同意を得ることが必要であると考えておりまして、引き続き、早期に公表できるよう事業実施主体の努力を促してまいりたいと思います。
中林委員 公表の相手先の同意を得るみたいなことが条件になっているようですけれども、これは国民の税金を使って買い上げているわけですよ。だから、これは消費者に安心していただくためにやったものですから、どこのものをどれだけやったか、そういうのは、いささかも企業に損失を与えるものではないというふうに思います。
 県の連合会で物すごくばらつきがあるんですよ、買い上げ量に。だから、私たちは、なぜ、どこから一体どのくらいやっているのかというのは、当然知る権利がありますから、今、公表に向けてと確約をされましたので、もうできるだけ早く、すぐ調べればわかる話だというふうに思いますので、重ねて要望をしておきたいというふうに思います。
 そこで、法案の問題に入りたいというふうに思うわけですけれども、野菜の自給率は二〇〇〇年度には八二%だと。大臣、考えてみてくださいよ、野菜なんというものは一〇〇%自給して当たり前なんじゃないかというふうに思いますね。
 国内の生産量の動向、これは、八一年からずっと出ているのを見たんですけれども、生産量が落ち込んでいる野菜をずっと拾い出してみましたよ。そうしたら、ナス、サヤエンドウ、枝豆、白菜、大根、タケノコ、ゴボウ、ショウガ、ニンニク菜、これらのうち、重量野菜を除けば、共通している点は、輸入が急増しているということがこれだけ自給が落ち込んでいる原因だと。大臣も、一つはそれがあるということをおっしゃっていたわけですけれども、そうなると、やはりセーフガードの問題というのは、生産地を守る意味からも、自給率を向上させる上からも、どうしても必要だというふうに思います。
 そこで、緊急監視対象品目になっているピーマン、これを見ると、二〇〇一年度の輸入量、対前年比で一三三%、九八年の二・四五倍、二万千六百二トンになっているわけですね。ことしに入っても、対前年比一二六%もの輸入が続いております。これなどは当然セーフガードを発動すべきだ、もういつまでも監視品目にしておかないということが必要だと私は思うのですけれども、大臣、いかがですか。
武部国務大臣 今、ピーマンのお話をされましたか。(中林委員「はい」と呼ぶ)輸入が増加して影響が大きくなっている品目については、現在、農林水産省内にモニタリング体制を設けまして、輸入、価格の動向等につき監視を行っているところでございますが、ピーマンについては、その対象品目として監視を行っているわけでございます。
 最近の動きを見ますと、輸入量は増加傾向で推移しておりますが、増加しているのは国内生産が極めて少ないジャンボピーマンでありまして、国産価格は、平成十三年は前年に比べまして一二%上回っている状況にあるわけでございます。こういったことから、ピーマンについては、現在、セーフガードを発動する状況にはないと考えているわけでございます。
 なお、ジャンボピーマンの主要な輸出国であります韓国とは、昨年から日韓野菜需給情報交換会を開催しているところでございます。
 さらに、本年三月九日に、韓国におきまして日韓農林閣僚会議を開催いたしました。その際に、私から金東泰農林部長官に対しまして、韓国産の野菜、特にピーマンの安定的対日輸出についての取り組みを求めたところでございます。
 同長官は、現在の取り組み状況についていろいろ説明をされまして、今後、日韓野菜需給情報交換会等を通じて双方が情報交換を行い、安定的な貿易の構築に努力するということで意見の一致を見た次第でございます。今後とも、円満な貿易関係が構築できるように引き続き努力してまいりたいと思います。
中林委員 緊急監視品目にも指定されていて、私は数字をあえて挙げました。ですから、韓国と話し合いされるのは、それはそれでいいですよ。いいですけれども、貿易ルールの中でセーフガードという産地を守るものがあるわけですから、大臣ならば、そっちに向けて前向きに歩んでほしいというふうに私は思います。
 きょうも対中セーフガードの問題が随分議論になりました。中国からの生鮮野菜の輸入動向、これも見てみますと、二〇〇一年のタマネギの輸入量、前年比三八五%ですよ。ニンジンが一四四%、キャベツが二一七%、ブロッコリーが二〇一%、まさに急増だというふうに言わなければなりません。それぞれの産地では価格の暴落、だから産地廃棄までしている、こういう悲惨な事態があります。
 私は、政府としての対中セーフガード、こうやってやるんだという方向も決められたわけですから、直ちに対中セーフガードの検討に入るべきだというふうに思いますけれども、決意はいかがでしょうか。
武部国務大臣 先ほども山田委員との議論の中でも申し上げましたが、現在、日中農産物貿易協議会の開催がこれまで二回行われたわけでございますが、最近の野菜の価格の動向、需給等について、率直な意見交換を通じてかなり理解が深まってきている、このように認識しております。
 ネギ以外の品目につきましても、紛争の発生を未然に防止するとの観点から、タマネギ等についても問題提起をいたしておりまして、次の機会に中国側から回答があることになっております。輸入が急増し、国内産業に影響を及ぼすおそれがある場合は、このような協議の場等を通じて問題点を提起し、協議していくことが現実的ではないか、かように考えているわけでございます。
 また、今御指摘ありましたタマネギ、ニンジン、キャベツ、ブロッコリーでございますが、輸入量全体で見ると、近年、総じてほぼ横ばいで推移しているのでございます。ただ、いずれの品目も本年に入って中国産を含め大幅に減少している。いわば、日中農産物貿易協議会設置に向けての合意がなされてからはそういう傾向でございます。
 したがって、このような中で、対中セーフガードを発動する状況にはないのではないか、このように考えているところでございます。
中林委員 ほんのわずかな期間だけとってみて少し輸入が減ったとか、そういうような状況じゃないでしょう、産地は。やはりこの間ずっとふえ続けた中で、さらに今もふえている品目もある。
 調査室がつくっていただいた資料を見て、私は驚きましたよ。この五年間で、一体中国からどれだけふえているか。今申し上げたのは対前年比でもふえているんだけれども、五年間をとってみると、タマネギは実に十三倍、それからニンジンは百六十九倍、キャベツが三十一倍、ブロッコリーに至っては三百倍、五年間ですよ。見ていただければわかりますけれども、本当にこれで産地が崩壊しないわけがないというような状況です。
 今、大臣は中国との農産物貿易協議会をずっと開いているんだから、そこでお互いの理解も深め合っていっていると言うんですけれども、それでは具体的に大臣、お聞きしますけれども、中国との間で一体何が決まって、何が決まっていないんですか、具体的に言ってください。もう、大臣しかきょうは答弁を求めておりません。
武部国務大臣 何が決まって何が決まっていないのかということは、決まったことは、日中双方において、生産、価格、面積、需要、品質、こういった問題についてそれぞれ情報を提供し合っているわけでございます。
 しかも、中国側から優良企業の推薦が求められておりまして、つまり、輸出入業者もこの日中農産物貿易協議会に参加するということになりまして、中国側におきましても、いわゆるモラルハザードというようなものを避けたいという意向もあるようでございます。
 したがいまして、こういった協議会を通じてさまざまな情報を双方が出し合って、そこで共通の認識というものを醸成していく、そういう意味では非常に効果を上げているのではないか、このように考えるわけでございます。
 三品目以外に、私どもからは、タマネギの輸入増加について指摘をいたしましたところ、先ほど申し上げましたように、次回会合で説明したいとの回答があったわけでございます。したがいまして、私は、ネギ等三品目以外についても、両国がそれぞれ、その時点で一番関心のあるものについて情報を提供し合う、そして回答を求めるというようなことが、中国側にありましても、日本にどんどん輸出をするということでは決して利益にはつながらないんだ、お互いに価格や需要の動向というものの情報を共有し、共通の認識を醸成していくということから、現にことしに入りましてから輸出量が低水準で維持されているという結果が出ている、このように思います。
中林委員 とてもアバウトな話なんですよね。だから、セーフガードの発動というのは非常にはっきりと結果が出るんですよ。暫定セーフガードを発動したときに、極めて明確に出たわけですよね。暫定セーフガードから本当は本発動に移行できる条件は、農水省、資料として持っていたじゃないですか。あれをやっていれば今日の事態にはならなかったし、私はこれまで、日中農産物貿易協議会の結果についてというペーパーを見せてもらったけれども、本当に何も決まっていないと言っても過言ではありませんよ。
 それで、最初はネギ、畳表、生シイタケでやっているんだけれども、二回目の協議のときは畳表は外れちゃっているという状況で、もう畳は捨てたのかというように私は受けとめざるを得ない。三品の輸入実態を見れば、畳表は昨年比で一二九%の輸入が続いていて、暫定発動していたその基準比では二一一%の輸入で、イグサ生産地では苦境にさらされているわけでしょう。
 大臣、本当にイグサ生産地はもう日本からなくなってもいいというふうに思っていらっしゃるのかどうか、端的に答えてください。もういろいろな説明は要らないですよ。
武部国務大臣 端的に答えろということでございますので、申し上げますが、暫定期間終了後の十一月九日からことし四月十二日の間の畳表の輸入量は二万九百六十一トンで、対前年比一一六%でございました。しかし、日中合意がなされるまでの間の輸入量が急増した結果、そういう数字になっていると思いますが、日中合意後の昨年十二月二十二日からことし四月十二日の間に輸入された畳表の数量は九千四百七十五トンでありまして、対前年比では七四%と前年を相当下回る水準になっているわけでございます。
 したがいまして、これは私どもとしては、この結果、大体話し合いのベースの中で推移されている、こういう判断をしているわけでございます。
中林委員 暫定セーフガードを実施してどれだけよかったかということは、暫定セーフガードから今どのぐらい輸入がふえているか、それも資料としてずっと出てきているわけですけれども、それを見れば、一番新しい資料でも、ネギが暫定セーフガード比三五六%、生シイタケで三七六%、畳表で三六七%ですよ。だから、セーフガードというものがいかに日本の産地を守るか、輸入制限で中国からの輸入を食いとめてきたかということを証明しているわけですよね。
 だから、今回、話し合い、話し合いと言うんだけれども、中国側は、数量なんか、そんなものは言えないというようなことで、なかなか日本側が思うような話し合いにはなっていないというふうに私は聞いております。そうなれば、やはり対中セーフガードという、中国だけを相手にセーフガードが発動できる、しかも中国は対抗措置がとれない、こういう状況ですよ。ここに、農水省が出した農林水産物輸出入概況、最近の野菜の輸入の第一は皆中国ですよ。そうなると、対中セーフガードを検討するときではありませんか。大臣のお考えをお聞きします。
武部国務大臣 何度も御答弁申し上げておりますように、日中合意以後は低水準に維持されているんですね、三品目とも大体六〇%から七五%ぐらいなんです。ですから、私は、こういう状況の中で対中経過セーフガードを発動するというような状況にはない、こう思っているわけでありますし、なお我が国における野菜生産については非常に厳しい状況にありますので、そのためにも今般の法案の提出を申し上げ、一日も早い御可決をお願いしているわけでございまして、構造政策に全力を挙げて国内の野菜生産農家をしっかり守っていきたい、かように決意を新たにしている次第でございます。
中林委員 WTOの貿易ルールの中で決められた、それぞれの国内の産地を守っていく、当たり前のルールなんですから。だから、これをやったからということで日本が負い目を感じる問題でも何でもないわけですから、そこは農水大臣としてやはりルールにのっとったセーフガードの発動をぜひ進めていただきたい旨を重ねて申し上げ、私の質問を終わります。
鉢呂委員長 これにて中林よし子さんの質疑は終わりました。
 次に、菅野哲雄君。
菅野委員 野菜生産出荷安定法の一部改正案について質問いたします。
 今、かなりの質疑がなされてきました。この質疑の重立った点というのは、やはり限りある国内消費の中で輸入生鮮野菜がふえているという実態ですね。今も中国からの輸入の問題が大きな議論になっています。そういう中で、今、野菜生産農家がどういう状況になっているのかというと、本当に生産意欲を喪失しかねない状況に今日的になっているということを、大臣、どのようにとらえているのか。
 そして、そのような状況に対して、今セーフガードの議論もありました。政府として本当にしっかりとした対応を打ち出していかなければ、ますます国内生産の自給率の割合が下がっていってしまうのじゃないのか。今でも、平成十二年度で八二%という状況の中で、私は、先行きが本当に明るい見通しであるという産業でなくなってしまっているのじゃないのかなというふうに思うのです。
 大臣、こういう状況に対してどのような施策を進めていこうとしているのか、答弁願いたいと思います。
武部国務大臣 輸入野菜の圧力というものが大きいということは言うまでもありません。しかし、輸入野菜がふえているという認識については、特にネギ等三品目については、対前年比六五%から七〇%台に、低水準になっているということも実態なんです。ただ、国内における野菜の価格が暴落しているという実態もあるわけでございます。いずれにいたしましても、需要が伸びていないということが国内的には、経済的な背景もあるのだろう、かように思います。
 そこで私ども、増加する輸入野菜に対抗していくために、国内的には、食と農の再生プランに従いまして、消費と生産の距離を縮めること等によって、安全で安心なフードシステムを確立いたしまして、また、食を支える農の構造改革を進めてまいりまして、対外的に輸出国との間で競争もしていかなきゃなりませんし、秩序ある輸入貿易関係を構築することが必要である、このように考えているわけでございます。
 具体的なことをちょっとお話しさせていただきますと、消費と生産の距離を短縮する生産者と消費者との間の顔の見える関係の構築、別なことで言えば、農場から食卓へ顔の見える関係の構築ということになりますが、生産者と実需者の契約取引による顔の見える流通、出荷規格の簡素化による生産、流通の効率化、通い容器利用等による流通コストの削減等を推進してまいりたい、こう考えているわけであります。
 また、食を支える農の構造改革につきましては、大規模生産者が安心して構造改革に取り組めるように、野菜価格安定制度への直接加入を認めるということと同時に、三つの戦略タイプ、低コスト化、契約取引、高付加価値化に即して、野菜の生産、流通の構造改革を進め、消費者ニーズの産地へのフィードバックを図りながら、地産地消など新鮮でおいしい野菜の供給を基軸とするおいしいブランド日本等を推進することとしているわけでございます。
 また、この改正は生産者のセーフティーネット等の中核的な役割を担うものとも考えているわけでございます。対外的には、主な輸出国である中国との間においては、日中農産物貿易協議会を開催しているところでありまして、今後もこういった場を通じて、需給見通し等について共通認識を醸成すること等により、安定した貿易関係を築いてまいりたい、かように考えているわけでございます。
菅野委員 今の大臣の答弁はわかりました。一般的なことだと思います。
 このような状況になったのは、ここ一、二年でなったわけではございません。農業が魅力ある産業として農家に本当に受け入れられているかどうかということで今日まで来ているのじゃないのかなというふうに思っています。そういう意味では、後でも質問いたしますけれども、大臣が言うように、構造改革していくことが必要なんだと、そのことが、農家の人たちが目に見えて将来的に安定した産業になっていくというふうに思えたときには、農家の生産意欲の後退にはつながっていかないんだというふうに思うのですね。
 それで、今の実態を申し上げますけれども、米の問題それから野菜もそういう状況です。そして、昨年からことしにかけて畜産がどういう状況になっているのか、私から申し上げるまでもないというふうに思います。農家が米や野菜や畜産という形で複合的に経営してきた、あるいは私のところでもそうなんですが、それに加えて山林経営というものをやっていきながら、それで総所得が幾らなのかという形で今日までの農家、山村が維持されてきたというふうに思っています。
 しかし今、米、野菜、畜産あるいは果樹の部分もあると思うのですが、山も含めて、総体的にここが打撃を受けている状況の中で、どう対処していったらいいのかという方針さえも農家がつくり得ないでいるというのが今日の状況ではないでしょうか。そして、どんどん兼業化していく姿、そういう中に今日の農業、農村の姿があるというふうに思っています。
 そういう中で、長年議論されてきたことなんですが、私の持論でもありますけれども、農家への直接所得補償というものを確立しない限り、将来的に、ベースをしっかりとつくっていって、農業で生活できる条件、そして後継者もつくっていける条件というものを日本でつくっていくということが大前提ではないのかな、私はそういうふうに思っています。
 この議論も展開されてきておりますけれども、このことが先送りされている、あやふやになっている今日の状況、大臣、今言ったことを通して、こういう状況を、直接所得補償も含めてどう打開していこうとしているのか、そこをメッセージとして私は農家の人たちに発信していただきたいというふうに思うのです。
武部国務大臣 構造改革に伴うセーフティーネットとして、経営所得安定対策の検討ということは非常に大事でありますし、私ども、具体化検討調査の結果も踏まえまして、米政策と一体的に今議論をしているところでございます。四月十一日に公表いたしました食と農の再生プランにもこのことを明記しているわけでありますが、水田営農の改革と整合性を持ったセーフティーネットの構築ということを経営所得安定対策として今検討しているところでございます。
 具体的には、保険方式を基本にいたしまして、積み立て方式を含めまして、農業者の意向の把握や制度の具体的設計に必要なデータ、情報の分析のための調査を実施しているわけでございまして、これをさらにスピーディーに検討を深めてまいりたい、このように思っております。
 また、なお、この経営所得安定対策の必要性につきましては、我が国農業の中核をなす一方で構造改革が大きくおくれている水田営農において高いわけでございます。生産性及び品質の向上、安定化、連作障害の防止等の観点から、また輪作体系のもとでの大規模畑作経営においてもその必要性が高いと考えておりまして、水田営農と輪作体系のもとでの大規模畑作経営において、導入に向けた検討を進めているわけでございます。
 もう一点、農業の構造改革という点で、やはり経営の法人化ということが私は一つの突破口になるのではないか、このように考えております。
 御案内のとおり、農村は今高齢化がかなり進んでおります。そういったことも生産性の向上を妨げているのではないか、かように思います。
 一方において、都市の皆さん方も農村にあこがれを持っておりますし、農業をやりたいと思っている人も数々いるわけであります。私は、ここでは時間がありませんから詳しく申し上げませんが、法人化ということによりまして、小さな農家も所得水準の高い生活を享受できるような、そういう仕組みということを真剣に考えてみたい。
 先ほど、参議院において民主党の羽田議員からも私が今申し上げましたような提案がなされまして、我が意を得たりという感じを強く持った次第でございます。
菅野委員 本当に抜本的な対策を農家にメッセージとして発信していかない限り、私は、二十一世紀の日本の農業が将来的に暗たんたるもの、惨たんたるものになっていくのではないのかなという危惧をいたしております。そのことだけまず申し上げておきたいと思います。
 野菜の生産出荷安定法について関連してぜひ質問いたしますけれども、契約取引を推し進めるというのが今回の大きな目玉だというふうに思っています。低コスト化というのは、これはずっと追求してきたことでありますけれども、今回、この契約取引を進めて、市場価格との連動をどう図っていくのかというのが私が疑問に思う点でございます。
 先ほどの堀込委員の質問の中でもこのことが触れられておりましたけれども、契約取引の相手先というのを考えたときに、私は、量販店や外食産業という大量消費の部分を念頭に置いて、そこに国産の野菜を入り込ませていこうというふうに考えての今回の法改正だというふうに思っています。
 そうしたときに、この量販店や外食産業というのは今どのような形で価格形成をしているのかという視点を考えたときに、できるだけ安く仕入れようという動きが強いのではないでしょうか。市場価格ではなくて、契約取引によって一〇%、二〇%安く仕入れるという方向に行っているんではないでしょうか。そういう形の需要がある中で、市場価格とどう連動させていくのかということが私は大きな問題点だというふうに思っています。
 そのことをしっかりと確立していなければ、この価格安定制度、これとの連動もうまくいかないんじゃないのかなという疑問を持つんですね。このことをどう解決しようとしているのか、具体的に説明していただきたいと思います。
須賀田政府参考人 今回創設しようとしております契約取引制度でございます。
 先生も今言われたとおり、量販店等から定時、定量、定質、定価といった条件に適合した野菜の契約取引の需要があるわけでございます。そして、このことは食と農の顔の見える関係の確立、そして契約取引でございますと、もろもろの生産コスト、流通コストの低コスト化につながるということで、一般的には双方にとって互いにメリットのある制度だというふうに思っている次第でございます。その前提は、やはり適切な価格設定がされることにあろうかというふうに考えております。
 本制度におきましては、野菜供給安定基金がまず本制度の交付予約の申し込み時点におきまして、出荷者と実需者の契約取引の内容について適正かどうかを審査することにしております。
 価格について申し上げますと、野菜供給安定基金が交付予約の申請時に契約書と関連する書類を提出させまして、契約価格あるいは市場連動価格契約の場合にはその設定方法等について内容を十分審査するということにしております。
 また、この交付予約の申請に先立ちまして、都道府県と農政局が、個別の契約書でございますとか過去の出荷実績等を踏まえて、その契約価格等が適当か否かあらかじめ審査をいたしまして、適当と判断した場合には、県から農政局、そこから基金というルートによりまして審査結果と予約申請の可否の報告を行わせるというようなことで、価格設定の適正さというものを担保していきたいというふうに考えている次第でございます。
菅野委員 今までは価格安定制度、これはどうして機能してきたのかというと、これは気候の変動によって数量が、数量によって価格が暴落したり、そういう中で補てんするという形で、市場メカニズムがしっかりと働いているからこの基金制度というものが今日まで維持されてきたんだというふうに思うんですね。それが、そういう基金制度の中に、契約取引でもって取引するものにも門戸を開こうというときに、今みたいな局長の答弁で、私は基金制度が機能していくんだろうかという不安を覚えるのですね。
 モラルハザードという言葉があります。米においても、モラルハザードが起こるからということで市場原理にゆだねていこうという動きが強まっている中で、この野菜だけはそのことは起こりませんということがどこで担保されるのかなというふうに思えてならないんです。それで今、基金の部分においては体制がそれだけとれているのかという一つの疑問もございますし、都道府県がそのことに対して具体的な理解を示して体制強化をしているのかなというところも私は疑問に思えてならないんですね。
 そういう意味では、契約取引を定着させていくだけの農水省としての考え方、今の考え方だけでは他力本願だというふうに思うんですね。このことをしっかりと定着させていきますという決意というか、具体的な対策というものをつくっておかなきゃいけないんじゃないのかなというふうに思います。再度、答弁願いたいと思います。
須賀田政府参考人 先生の御指摘、大変重要なものとして受けとめております。
 市場での環境整備の問題だろうというふうに思っております。特に米等で、稲経があるから買いたたくというようなうわさがあったわけでございます。特に野菜流通の場合は、量販店が三五%、外食、加工業者が五五%、合わせまして九割占めるようになっておりました。
 価格安定制度を悪用いたしまして、量販店が仲卸を通じていわゆる指し値で買いたたいているだとか、いろいろな指摘があるところでございまして、これまでも公正取引という観点からいろいろな指導をしてきたところでございますけれども、さらなる実態の把握に努めまして、問題があるというふうになりますれば、量販店サイドに企業モラルの確立というものを求めていきたいということと、それから公正取引上、優越的地位の乱用といったような事実がございましたら、公正取引委員会等と連携をいたしまして、適正に対処するということにしたいということとしております。
 いずれにしても、適正に市場価格が形成される条件を何としてでも整えていきたいというふうに考えている次第でございます。
菅野委員 現状の中で輸入野菜がふえている。輸入野菜がふえているというのは、低価格だから量販店や外食産業は外国からの輸入農産物に頼っているのですが、今日まで野菜の自給率が八二%という姿を形どってきたのに、そこに国内農産物を入れようとすると、やはり私は無理があるというふうに思います。
 その無理を押し通そうとするから今みたいな問題が生じてくるわけですけれども、企業モラルが低下して、企業モラルに頼らざるを得ないという制度そのものが、今回のJAS法、品質表示の問題ですね、JAS法の問題等含めて引き起こしている実態というのを真剣になって受けとめて、そして今回の法改正において、この法律案がつくられた時期は今回の違法の表示の問題が起こる以前に私はこの法律案というのはつくられたというふうに思っています。
 そういう意味で、今日起こっている状況の中で、この法律案の持っている欠陥というものが私はここにあるというふうに思います。そういう意味では、これからもしっかりとした体制をつくっていただきたいというふうに思っています。
 最後になります。大臣にお聞きしたいと思うのですが、大臣、先ほどからもずっと言っていましたけれども、農業の構造改革というものをうたって大臣になって、この構造改革を進めていくんだというふうに今日まで取り組んでこられたと思っています。
 九月以降、BSE対策に追われたとはいいながらも、今日の農業を取り巻く状況、先ほども言いましたけれども、一年経過しようとしています。「食料の安定供給と美しい国づくりに向けて」ということで、昨年の五月三十一日に大臣の私案として発表されていますけれども、それから約一年たとうとしています。
 大臣、一年経過した今、この構造改革についてどのように感想を持っておられるのか、お聞きしておきたいというふうに思います。
武部国務大臣 農林水産大臣就任以来、農林水産業の構造改革と食料の安定供給のための取り組みとして、いわゆる武部私案を発表いたしまして、その具体化のために、食料の安定供給と美しい国づくりに向けた重点プランを策定いたしまして、これに沿って、平成十四年度予算におきましては、育成すべき農業経営への農地利用集積、法人育成を加速的に推進するための地域農業構造改革緊急対策、予算を約百七十四億円措置したわけであります。
 さらには、産地が行う革新的生産技術の導入や効率的な流通システム確立への支援とその加速化に取り組むなどの野菜の構造改革対策、三百十一億円措置いたしましたし、経営所得安定対策の具体化検討のための調査に入っておりますし、今国会には私の構想に従って農業金融二法案を提案させていただいているわけでありますし、この野菜安定法案も、その構造改革の一環として具体化させようということで取り組んでいるところでございます。
 さらに、BSE問題や食品の偽装表示の問題を踏まえまして、消費者の安心と信頼を回復すべく、消費者サイドに軸足を移した農林水産行政の展開を今強力に訴えて、そのプランもつくりつつございます。今般、食と農の再生プラン、先生にもお届けした、かように思いますが、農林水産政策の大胆な見直しを図ってまいりたい、こう思っているところでございます。
 JAS法の改正も、その一環とお受けいただければありがたいと思いまして、まだまだ、一年もたったのにという思いも私自身もあります。
 しかし、この一年間を振り返って、ある意味では、やらなきゃならないことは何かということを、食と農の再生プランに食の安全、安心の確保ということを、つまり、消費者第一のフードシステムの構築ということを中心にして、食農一環政策というものを発表させていただきましたので、これを強力に推進するために、今後も真剣に取り組んでまいりたいと思っている次第でございます。
菅野委員 終わります。
鉢呂委員長 これにて菅野哲雄君の質疑は終了いたしました。
 このまま少々お待ち願いたいと思います。
    ―――――――――――――
鉢呂委員長 次に、内閣提出、野菜生産出荷安定法の一部を改正する法律案審査のため、参考人として、ふらの農業協同組合代表理事組合長奥野岩雄さん、全国農業協同組合連合会長野県本部筆頭副本部長柳澤秀行さん、丸正チェーン商事株式会社代表取締役社長飯塚司郎さん、野菜供給安定基金理事長黒木敏郎さん、以上四名の方々に御出席をいただき、御意見を承ることにいたしております。
 私は、衆議院の農林水産委員会の委員長の鉢呂吉雄でございます。
 きょうは、参考人の皆さん、大変御多用のところ、また急遽、また遠路のところを当委員会に御出席をいただきまして、厚く御礼を申し上げる次第でございます。参考人各位におかれましては、忌憚のない御意見を御披露いただきまして、野菜生産出荷法案の審査の参考にさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げる次第でございます。
 次に、議事の順序につきまして申し上げます。
 まず、奥野参考人、柳澤参考人、飯塚参考人、黒木参考人の順に、お一人十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得ることになっておりますので、御了承願います。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。
 それでは、奥野参考人にお願いいたします。
奥野参考人 ただいま御指名をいただきました北海道ふらの農協の奥野と申します。
 大変な役目を承ったなというふうに思ってございまして、今ここに立って、断ればよかったなというふうに思っておるところでございます。こういうことは大変ふなれでございますので、多分わかりづらいというふうに思いますけれども、御勘弁をいただきたいというふうに思います。
 今御紹介いただきましたとおり、私の場合は、北海道富良野で自分が農業をやっておるという立場から、きょうの法律のことについては、大変申しわけないのですけれども、余り、全部勉強しているということではございませんので、生産現場の状況を皆さん方にお伝えをさせていただいて、御参考にしていただければ大変ありがたいというふうに思いますので、まずもってよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 まず、自分のところの宣伝を少しさせていただきますけれども、私どものところの北海道の中心、富良野市については、へその町、御案内のとおり、ラベンダーの町、あるいは倉本聰のドラマの「北の国から」の生まれた町でございます。おかげさまで、イメージとしてはそれなりのイメージを全国的にいただいておるかなというふうに思っておるところでございます。農業が中心でございまして、これに夏と冬の観光客が二百五十万程度ということで、農業と観光の町ということに相なろうかと思ってございます。
 私は、そこで十五ヘクタールの、これはすべて水田でございますけれども、水田を転作させていただきまして、ここで、タマネギを十二ヘクタール、それからニンジンを二ヘクタール、ホウレンソウはハウスで一ヘクタールということで、十五ヘクタールを経営させていただいているということでございます。もちろん、私本人でやるわけではございませんけれども、家内と息子夫婦がこれをやっていただいているということでございます。
 したがって、きょうのお話につきましては、大変恐縮でございますけれども、私の作付をしておりますタマネギ、ニンジンというところを中心にした話でひとつ御勘弁をいただきたいというふうに思ってございます。
 また、ことしの二月一日から組合長にさせていただいたということでございまして、ほやほやの三カ月ということでございますから、こんなことは全くなれてございませんので、重ねて御勘弁を賜りたいというふうに思います。
 まず、当農協の概況ということでございますけれども、昨年の、十三年の二月一日に一市三町一村の六農協が合併をいたしまして誕生した合併農協でございます。一戸平均が十ヘクタールというふうな土地柄でございまして、戸数が二千三百戸に農地が二万三千五百ヘクタールということですから、一戸当たりやや十ヘクタールということで、北海道としてはいわゆる小さい方の部類に入るだろうというふうに思ってございます。
 きょう皆さん方にお話をさせていただく野菜については、作付面積が全体の三分の一でございますけれども、農協全体の売り上げの三分の二をこの野菜が占めておるということでございますから、北海道の中でいわゆる野菜農協ということに相なろうかというふうに思ってございます。
 合併のときの基準年が平成十年になっておりますので、ちょっと話が見えづらいかと思うのですが、平成十年の農協の販売額、当地区の場合は農協の集荷率が九三%ということでございますから、農協の売り上げと生産額というのはほぼ匹敵しているというふうに御理解いただいて結構だと思います。
 平成十年の合併基準年次の売り上げが四百二十五億ということでございましたけれども、昨年、平成十三年度の売り上げについては、残念ながら平成十年の六八%、二百九十億というふうなことで、極めて大きなダウンをしているというのが実態でございます。
 特に、今申し上げましたタマネギ等については、平成十年が二千二百五十一ヘクタールということでございましたが、その後徐々に面積が減ってまいりまして、ことしの、平成十四年の作付につきましては二千四ヘクタールということで、この四年間で二百五十ヘクタール減じてございまして、一一%の減というふうになってございます。
 もう一つのニンジンについては、さらに落ち込みが大きゅうございまして、平成十年千八百五十九ヘクタールから、ことしの作付については千三百十九ヘクタールということで、五百四十ヘクタール、三〇%の減ということになってございます。
 平成十年につきましては、このタマネギとニンジン二つで百五十億の売り上げがあったわけでございますけれども、昨年、十三年についてはこれが八十三億ということで、激減をしているというふうな状況に相なってございます。
 農家戸数につきましては、先ほど申し上げたとおり、平成十年で二千六百十四戸ございましたが、ことし、十四年現在では二千二百三十七戸ということでございまして、この四年間で三百七十七戸の減、一五%の減になってございまして、単年度、やや四%程度、百戸程度の農家戸数の減が続いておるという状況でございます。
 年齢構成については、御案内のとおり非常に高齢化が進んでございまして、五十歳以上で五五%以上を占めているというふうな状況になってございます。あわせて、後継者の問題でございますけれども、これにつきましては極めてゆゆしき状況というふうに思ってございますが、現在三百五十名ということでございまして、後継者の数については六戸に一戸というふうなことで、極めて厳しい状況に相なってございます。
 特に今回、ことし、平成十四年度に離農を決意された方々につきましては九十七戸でございまして、売却農地が九百二十ヘクタールということでございますけれども、このうちの約五五%、五十三戸が、残念ながら経営不振による離農ということ、いわゆる負債によっての離農ということに相なってございまして、ほかの方については、これは高齢による離農ということでございます。
 非常に問題なのは、この半分以上の五十三戸の中には、極めて、後継者がおられて、農地の規模の拡大あるいは農機具、建物等に積極的に投資したという中核農家が行き詰まっている現況にありまして、逆に、積極的な投資をしない農業者がいわゆる経営的には何とかなっているというふうな状況になってございまして、望んでいる方向と逆の方向に現況は組合員農家がなっているということで御理解をいただきたいと思います。ちなみに、売却農地の約半分については、現在まだ売れ残っているというふうな状況になってございます。
 次に、現行の野菜価格安定制度の話でございますけれども、当農協の平成十三年度の出荷実績に対しましてのカバー率につきましては、タマネギが四三%、ニンジンが七三%というふうなことになってございまして、このカバー率のアップが極めて重要な仕事というふうになってございます。
 今回のこの法案のことにつきましては、これらに対しての極めて前向きな対応というふうにとらえてございまして、一刻も早くこのことについては成立をさせていただきまして、幾ばくかでもいわゆる農家組合員の経営に役立つようにということで心から願っておるところでございます。
 内容等については、後ほど質疑がたくさんあろうかと思いますので、大変申しわけございませんが、そのときにまたお話をさせていただくということでお願いをしたいと思います。
 最後になりますけれども、契約取引の現況でございますけれども、これにつきましては、今回契約取引を大々的に広めていこうというお考えでこのような法案になったというふうに考えてございますが、当農協については、タマネギについては現在二〇%については契約取引を実施してございます。ただ、これにつきましては、値決めを月二回程度行いまして、届け先、数量、規格等について相談をしながらやらせていただいているのですけれども、やはりメリット、デメリットいろいろございます。
 特にデメリットの部分を何点か申し上げますけれども、一点につきましては、相対取引、いわゆる契約取引の場合は、規格が、いわゆるどれもこれも皆持っていっていただけるというふうなことをうたい文句にしてございますけれども、残念ながら、この契約取引の場合は、相手が欲しいという規格だけを売買するというふうな傾向が非常に強うございまして、そういう点では、有利に販売できるものについては多少は高く売れるということになりますけれども、一方では、それ以外の販売については非常に苦慮しているというふうな実態でございます。
 また、高い契約をした場合には、残念ながら途中で量を減らされるというふうなことでございまして、今回、長期契約についての天候等による異変については補てんをしていこうというふうな考え方もあるようでございますけれども、これらについては極めて妥当だというふうに思ってございます。
 それから、契約取引についての難しいもう一点でございますけれども、問題なのは、契約取引をした代金の回収の問題でございます。このことがございまして、現在の契約取引につきましては、残念ながら、この間にいわゆる市場だとかあるいはその他の業者を挟めて、代金回収についてはこの方々にお願いをしてやるという手法をとらせていただいているわけでございまして、この点が今後契約取引を拡大したときの一つの大きな難しい問題になろうかと思ってございます。
 あわせまして、契約取引の価格の設定の仕方が、力関係から、残念ながら生産者が言っているようなことにはなかなかなりかねるというふうな実態にございまして、これらについてはいわゆる販売する方の力をもっと大きくしなきゃならないし、あわせてもう一点については、契約取引とは別にやはり市場取引というものを、きちっと大きな市場を整備させていただいて、市場取引とそれからこの契約取引ということの二本立ての中でいわゆる適正な価格が決められる体制ということが極めて肝要かというふうに思っておるところでございます。
 指定をいただいた時間を全部もう使ってしまったというふうに思いますので、ちょっと途中でございますけれども、終わらせていただきます。
 最後に、こんな機会は多分もう二度とないというふうに思ってございますので、一言だけちょっと申し上げさせていただきます。
 私は、先ほど申し上げたとおり、農業を自分でやっておるということで、現状については、先ほど申し上げたとおり非常に厳しい農業情勢、経済情勢でございます。きょうここにお寄りの先生方については、まさに満身の力を込めて日本の農業とそれからいわゆる農家のために、国民のために御努力をいただいているということについては心から感謝を申し上げる次第でございますけれども、残念ながら、その御努力と現場が一致していないというふうに私は思ってございます。
 現状は、先ほど言ったとおり、農業者については、積極的にやろうという方が落ち込んでいくというのが今の実態でございます。したがって、言葉は悪うございますけれども、田中眞紀子さんが、前に行こうとしたら後ろでスカートを踏んでいるという話がございましたけれども、農家も、一生懸命前へ行こうと思って積極投資した途端に、一方では価格が暴落して前へ行けないという状況でございまして、そういう前向きに行った人がけつまずいているということについて、これは何とかひとつ手当てをしていただかないと全体が立ち行かないという状況に相なろうかと思ってございます。
 いかに市場原理あるいはグローバル化ということで、理論は正しいかと思いますけれども、額に汗して家族が一生懸命、夫婦、親子ともども真っ黒になって稼いでも、この人たちが御飯が食べられないという状況というのは、残念ながら、これでよしということにはならぬ状況だということで強くお訴えをしたいというふうに思ってございます。
 食料の自給率が四〇%ということでございますから、この父祖が築いた、北海道は開拓百年でございますから、皆こちらから行った人間ばかりでございます。その人たちが血と汗で開墾をした優良農地が次から次へと耕作放棄をされて荒れ果てていくさまというのは、私どもとしては極めて残念で仕方がないというのが実態でございます。
 まさに政治が弱者のためにあるというのであれば、ぜひこの農業の撤退、いわゆる弱小の農業を皆さん方の力で、働けば何とかなる農業に何とかつくり上げていただきますように、大変駄弁を弄しましたけれども、一言お願いを申し上げまして、私の参考人のあいさつとさせていただきます。
 きょうは、どうもありがとうございました。(拍手)
鉢呂委員長 大変ありがとうございました。
 次に、柳澤参考人にお願いいたします。
柳澤参考人 先ほど御紹介いただきました全農長野県本部の柳澤でございます。
 きょう、長野県出身の議員の先生方もお見えでございますが、まず、長野県農業と野菜の関係について私の方から申し上げ、この野菜法に関する長野県本部としての御意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 御承知のように、長野県は全国で第四番目の広さがあるわけでございますが、急峻な山が多くて平野が少なく、非常に狭い平らなところで農業が営まれているということでございます。長野県では、農家戸数は全国一位でございますが、一農家当たりの耕作面積というのは全国で三十三番目ということで、基本的には長野県の農業というのは労働集約型の農業ということで、農業に非常に多くの県民が従事している、こういう状況でございます。
 その中で、長野県の農業粗生産額、約三千億あるわけでございますが、そのうち野菜が約八百二十数億ございまして、全体の約三〇%を占めております。米の生産額の約一・四倍でございまして、各県別に見た場合に、これだけ野菜の比率が高い県は少ないのではないかというふうに思っております。その八百二十数億の野菜の粗生産額のうちの約八〇%が私ども全農長野県本部が扱っている金額でございまして、約六百八十億強あるということでございます。
 その野菜の品目の内訳は、長野県の場合は、いわゆる葉物という、レタスとか白菜、キャベツあるいはセルリーと言われるようなそういうものに非常に特化しておりまして、野菜の、その六百数十億の私どもの扱いのうちの約八〇%弱、七七%が葉物類で占められている、こういうことでございます。
 葉物類というのは、御承知のように、その年の天候によって、あるいはわずかな天候の変動によって非常に豊凶といいますか、作柄が変動するわけでございまして、昔から市場価格の暴騰、暴落に長野県の農家は悩まされてきたということもございまして、国の基金制度が導入される前、昭和三十六年から、長野県では農家が自主的に、私ども系統組織が集まって、皆さんが県とも一緒になって共助制度というのをつくりまして出発をしております。国の制度が昭和四十一年に始まったときからそこに加入をした、こういう状況でございます。
 長野県の場合は、国の基金の加入の仕方がほかの県と違っておりまして、ほかの県は、登録出荷団体たる農協がじかに加入しているわけでございますが、私どもは、長野県にあります長野県野菜生産安定基金協会、これは財団法人でございますが、そこに農協が加入をいたしまして、そこがさらに一括して国の基金に加入する。長野県ではいわゆる再加入と言っておりますが、そういう方式をとっているわけでございます。
 なぜそういう方式をとるかというのは、そういう歴史的経過もございますが、一つは、いわゆる夏場から秋にかけて、特にこれからですが、葉物のいわゆる全国に対する供給シェアというのが、長野県は、時期的にはレタスとかそういうものは八〇%を超えるような時期がございます。
 そういうことで、全国に、安定的に全国の消費地に供給するということでは、やはり県一本でそういった体制をつくっていかなきゃいかぬということが一つございますし、いわゆる暴落時とかあるいは暴騰等のこともあるわけですが、そういうときの対応、資金造成というふうなものが、農協に任せておきますと、農協によっては品目がいろいろ偏っておりますので、いわば農家の作付変動が一方で起こってしまうということで、安定的に長野県として一定の責任を果たすという意味から、やはりこういうことが必要であるというふうに思っております。
 私どものこの安定基金協会は、国の行っている制度以外に、例えば国の対象品目というのはそれぞれ期間が決まっているわけですが、それ以外の、前の時期とか後の時期にも出るわけでございまして、その時期においては私どもの独自の基金で同様の施策をやっておりますし、あるいは指定産地に指定されない地域においても、同じような作物がつくられている、要件に満たない地域もあるわけでございますが、そういうところで同様の制度をやっている。
 また、国の指定品目では指定されていない、例えばキノコであるとか、あるいは長野県でいう地域流通野菜というような細かい品目、こういうものに対する価格低落時の対策というようなこともやっております。
 そんなようなことで、私どものこの安定基金では、平成十四年では約百十七億円余の資金造成をしておりまして、国に対する持ち分は約八十三億でございますが、基本財産は五億円ほどあるということでございまして、そこが長野県のいわば野菜生産安定のための大きな役割を果たしているということでございます。
 特に、国のカバー率については、いわゆる葉物については五五%ぐらいでございますし、五十七の指定産地があるということでございます。
 私どもこの価格安定事業の果たしてきた役割は、今さら私から申し上げることもございませんが、いわゆる価格が安くなったときに農家に再生産を保障できる価格を補てんするという、私どもはこれは事後対策というふうに言っております。
 それと同時に、事前に、いわゆる野菜の価格を将来的あるいは中長期的に安定させるというために、私ども野菜基本計画というものを昭和四十年からつくっておりまして、従来、卸売市場から販売できる可能な量を取引各社から集めまして、それに基づいて各産地で計画生産を推進するということをずっと続けております。
 また、短期の暴落が起こりそうな場合には、産地で自主的に廃棄をしたりあるいは出荷の調整をしたりして、価格の維持対策というようなこともあわせてやっているということでございます。これは国でもやっていただいているものでございます。
 このように、野菜の価格安定制度というのは、長野県の野菜農家にとってはなくてはならないものだというふうに思っておりますし、国民に新鮮で安全な野菜を供給するという意味からも不可欠な事業でございまして、今後、流通や消費の状況に応じて大いに制度の充実を図っていきたい、このように考えております。
 今回の改正案の中で出されているような新しい事項について若干御意見を述べさせていただきますと、いわゆる契約取引を対象にするということは、私どもとしても既に平成十三年からそういうものを対象にした、いわゆる市場流通だけでなくてやるということに取り組んでおります。そういう中では、時宜を得た対策であって、私どもとすれば歓迎しております。
 それから、指定消費地を廃止する、このことも、基本的には流通の広域化という現状の中では当然のことではないかというふうに考えております。
 それから、補給金の体制を、いわゆる出荷登録団体、JA以外に大規模生産者に拡大するということについては、時代の一つの方向としてやむを得ないと思いますが、ただ、私どもが行っているのは、そういった出荷調整とかいろいろな事前の調整ということにお互いに参加をしていただいて国のそういう制度の恩恵を受けるということでないと、やはりいいとこ取りになってしまう。やはり義務は義務として果たしていただく。
 また、私ども基金を運営するには、それぞれ農協、私どものそれぞれの手数料の中から経費を出したり、あるいは基金の果実で運営しております。ですから、そういう一定の負担をしていただくということは当然のことではないかというふうに思っております。
 それから、これは、あとは要望になりますが、保証基準価格の設定については価格趨勢という方向でずっと行われているわけですが、現今のように市場価格が年々低下しておる状況下では、価格趨勢だけではやはり課題があるのではないか、農家が再生産に取り組めるような検討というようなものもぜひしていただきたいなというふうに思っております。
 それから、最低基準価格の問題については、今後、それぞれ選択でかなり下の方までとれるということですが、国では五五%ということになっておりますが、私どもは実は六〇でやっております。
 これはどういうことかといいますと、資金造成の際に国で全額を資金造成するわけでなくて、県なりあるいは生産者が出す分があるわけですが、特に今地方財政の厳しい中では、特に長野県は最近非常に財政状況が厳しいわけですが、それだけの資金が県の予算で組めないという問題もございまして、私どもとすればそういうふうにやっているということでございます。
 この基金の対象数量というものが、やはり下の価格を余り下にしてしまうと、県が出さなければいけない資金造成の負担というものもふえるわけですから、それに応じて数量が減ってしまうということにも逆になるわけで、効果が薄くなるということも考えられるわけです。
 ですから、私どもとすれば、まず基本的には、最低基準価格というのは、先ほど私どもが申し上げたように、事前の対策で維持をするということがやはり基本ではないか、そういうことの上で、さらに暴落があった場合には、国からのそういった制度を使って農家の再生産を確保するということが筋だろうというふうに考えているところでございます。
 それから、あとは要望でございますが、特定野菜として、現在、キノコではシイタケだけが指定されているわけでございますが、私ども長野県では非常に生産量の多い、約五万トン強ありまして、百五十億円ぐらい私ども売り上げがございますが、エノキダケについても、私どもとすればぜひ特定野菜として取り上げていただきたいなというふうに考えているところでございます。
 それから、いわゆる指定産地の指定要件、これについては、現行二十五ヘクタール以上というふうに私ども承知しておりますが、指定産地の制度の一つの問題点としては、単一品目を作付するということから、水稲以外の農作物、畑作物というのはすべて連作障害という問題があるわけでございます。
 そういう中で、私どもも今、作物輪作ということによる連作障害の回避、もちろん土づくりというのが基本ですが、土づくりだけでは無理でございまして、やはり異科作物なりいろいろなものを導入して輪作による連作障害の回避という問題に取り組んでいるわけです。
 その場合には、複合指定産地制度というものもあるわけですが、それも要件が、まだハードルが非常に高過ぎまして、やはりそこら辺の緩和をぜひしていただいて、野菜産地として特定の品目だけに集中するわけでなくて、いろいろな品目をつくりながら消費者に安全で安定的に野菜を供給できるというような体制にぜひしていきたいというふうに思っておりますので、その辺についても私どもとすれば要望としてお願いを申し上げておきたいというふうに思っております。
 簡単ですが、以上でございます。(拍手)
鉢呂委員長 大変ありがとうございました。
 次に、飯塚参考人にお願いいたします。
飯塚参考人 ただいま御紹介をいただきました丸正チェーン商事の飯塚でございます。
 私どもは、首都圏を中心に食品スーパーマーケットを展開しておる会社でございます。
 実は、きょうここに参考人としてお声がかかった際に、野菜の出荷安定の法律がどうだこうだということでございまして、私は現場から離れてもう既に十数年たっておりまして、私が行っても余り役に立たないだろう、野菜の流通ですとか農薬がどうだとかいうことに対しては私は一切わからないので、専門の担当の役員を出すということで言いましたところ、ぜひ社長に来ていただきたい、随行される方は構わないということでございました。
 あらかじめお断りしておきたいのですが、今の野菜の現状に関しては、私は、市場も行っておりませんし、たまに店を回って状況を見ている程度でございまして、相場等も、また、契約状況というのがわかりません。後で御質問の中で、随行している青果の担当の取締と相談しながら明確なお答えをしたいというふうに感じております。
 きょう随行している取締は、もう既に青果を担当して四十年近いベテランでございますので、皆さん方の質疑に応じては細かいところまでお答えできるのではなかろうかということで連れてきておりますので、ひとつよろしくお願いいたします。
 そこで、今、小売業全体は、皆さん方御存じのように非常に厳しい状況でございまして、厳しいというのは、簡単に言いますと、需要と供給のバランスを考えますと、供給側が三〇%実は多いわけでございまして、そうしますと、当然過当競争になるというような状況の中で供給が非常に多い。過去十数年前までは売り手市場の情勢が、買い手市場に転換したというような状況でございます。
 御存じのように、我々の、日本を代表する流通業であるダイエーさんを初め、大手量販店、デパートが各倒産という憂き目に、今現在非常に厳しい状況に置かれているわけでございます。私どもは、首都圏を中心に食品のみのスーパーマーケットということで展開してきておりまして、何とか地域の消費者に支持をされているのかなというふうに考えるわけです。
 今回のこの参考人に対しても、私どもが何で呼ばれたんだろうか、大手量販店多々ある中で、会社が、本社が一番近いということもあるのですけれども、そんなことで呼ばれたのかというふうに感じておりますが、ぜひ、きょうのこの与えられた時間の中で、野菜出荷安定法の参考人として、幾らかでもお役に立ちたいということで参りました。
 そこで、今現在、野菜市場の低迷ということでございますけれども、私どもが消費者に携わる一番接点である小売業の店におきまして感じることを報告させていただきます。
 これは、食生活の変化による構造的なものというふうに私どもとらえているわけでございます。一つは、高齢化、核家族、少子化、有職主婦の増大、料理時間の短縮、外食産業の充実、このようなことから、野菜市場の低迷は今後も続くと思われるように感じております。
 続きまして、今回の野菜生産出荷安定法の一部を改正する法律案についてお話をさせていただきます。
 契約取引を推進するための新たな制度の創設の案件がありますが、これにつきましては大変よい制度だと思っております。現在の市場流通には幾つかの不備な点がございます。三点ほど挙げてお話しいたします。
 一点目は、価格が安定しない。理由は、入荷の増減。二点目は、安定数量が確保されない。理由は、市場の価格の差で商品が動くため。三点目は、品質が統一されていない。理由は、雨天等で生産が減少したときなど数量確保のために規格外の商品が入ってくることが多い。
 以上、三点申し上げましたが、契約取引であれば、このような問題点は生産者と販売者の話し合いで解決できると思います。
 また、この制度が導入されたときの流通を考えてみますと、幾つかの改善策が考えられます。一つには、コンテナ、通い箱と通称言われておりますが、この導入が可能になります。コンテナを使用することで、段ボール箱を廃止し、コストの削減につながります。また、コンテナを使用することで品質の保持がよくなります。これは、商品に荷重がかからないため、温度の変化による劣化を防げます。
 二つ目は、物流においても改善が見込まれます。生産者から私どものセンターに直接商品を入れることで定温流通が可能になり、鮮度保持に大きな役割を果たします。また、物流費の削減にもつながります。契約取引は、当社では仕入れ高の一〇%ほどありますが、通い箱の使用等は既に導入しており、生産者には、作業の軽減、出荷コストのダウン、消費者には、高鮮度、安定価格であると大変支持されております。契約取引については、今後も拡大していくつもりです。
 以上、契約取引を推進するための新たな制度について参考意見をお話しさせていただきましたが、生産者、加工業者、外食業者、小売業者、いずれについてもよい制度だと思われます。
 一応、私どもの野菜の売り上げは現在百億、構成比が売り上げの一二・五%、仕入れ高七十五億、市場仕入れ九〇%、契約仕入れ一〇%、契約取引先は、農協、生産者個人、商社系列でございます。
 以上で私のあいさつを終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
鉢呂委員長 大変ありがとうございました。
 次に、黒木参考人にお願いいたします。
黒木参考人 ただいま御指名を賜りました野菜供給安定基金理事長の黒木でございます。
 衆議院農林水産委員会の先生方におかれましては、かねて野菜行政及び当基金の業務につきまして御指導を賜っておりまして、大変ありがとうございます。また、本日は、四半世紀ぶりの野菜生産出荷安定法改正案の御審議に当たりまして、当委員会にお呼びいただき、大変光栄に存じております。
 さて、当基金は、野菜生産出荷安定法に基づきまして、昭和五十一年の設立以来、我が国農業の基幹部門でございます野菜農業の健全な発展と国民の健康な生活に不可欠な野菜の安定供給を目的といたしまして、事業といたしまして、一つには、野菜の価格が著しく低落いたしました場合に生産者に補給金を交付する事業、二つには、野菜の高騰時に備え、買い入れ保管を行い、高騰時に売り渡したり、保管施設を設置、管理する事業、三つ目には、野菜流通の合理化や消費の拡大を図る事業、こういった事柄を中心にいたしまして運営をしてきておるところでございます。
 これらの事業のうち、主要な野菜十四種類につきまして価格低落時に補てんを行う事業、これは指定野菜事業と申しておりますけれども、生産者からの負担金とともに、国、県からの補助金によりまして、あらかじめ基金を当基金におきまして造成をいたしまして、事前に予測のできない激しい野菜価格の低落に備えて機動的に対をしてきているところでございます。
 また、この指定野菜に準じます野菜として位置づけられております一定の野菜、種類といたしましては三十一種類でございますけれども、これは特定野菜事業と申しておりますけれども、各都道府県に置かれております野菜価格安定法人に基金を造成いたしまして、同じように野菜の価格低落時に補給金を交付しているところでございます。
 最近のこの実績を見てみますと、好天や野菜輸入の恒常化等によりましてここ数年続いております野菜価格の低落につきましても、的確にセーフティーネットの機能を果たしているもの、こういうふうに考えておるところでございます。
 金額をちょっと申し上げますと、平成十一年度には、指定野菜の関係につきましては百四十八億の交付金実績でございます。十二年度には百六十六億円の高水準の交付実績でございましたけれども、十三年度は、もう経過をしたわけでございますけれども、大幅な価格低落がございまして、これにつきましては、五十一年の制度発足以来の最高の金額になるかと思いますけれども、二百六十億円程度の交付金の交付を見込んでいるところでございます。
 次に、県段階で行っていただいております特定野菜の事業につきましても、指定産地外の指定野菜につきましてもこの事業の中で行われているわけでございますけれども、これをあわせて考えてみますと、交付の実績が三十二億円、これは十二年度でございます。十三年度も三十六億円ということで、交付実績として史上二番目の水準になるか、こういうふうに考えております。
 これを見てみますと、当基金といたしましても、最近の野菜価格の低迷に対しまして、野菜の安定供給のためのセーフティーネットとして与えられた役割をそれなりに果たしてきたのではないか、こういうふうに考えておりますし、産地におかれましても、この制度につきまして一定の評価をくださっているところでございます。
 また、最近、当基金が力を入れているものといたしましては、最近ある全国紙でも紹介をされたところでございますけれども、野菜の消費に関する取り組みでございます。
 これは御案内のとおりでございますけれども、我が国の野菜の消費が若年層を中心に減少傾向が続いておりまして、対照的に米国の方では増加傾向でございます。ついに、最近では、一人当たりの消費量が、米国のそれを我が国のものが下回る、こういうような傾向がございます。
 こういった状況を踏まえまして、今後、野菜好きの子供さんたちをふやそう、こういうことで、学校教育の段階からそういう取り組みを教育の場でやっていただく、そういうことのお手伝いになるのじゃないか、こういうようなことを考えまして、副読本と申しますか、三十数ページのパンフレットをつくりまして、二十万部程度、これを千五百校前後の小学校にお届けをいたし、活用をしていただいているところでございます。
 また、最近におきましては、教育関係のみでございませんで、医学、栄養学の関係の方々も野菜の健康上の効用につきまして大変高い関心を持っていただき、国民一般の方に啓発を始めていらっしゃる、こういう状況がございますので、私どももその面と提携をさせていただきながら、この面でも今後とも力を入れていくことが大切ではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
 さて、今回、政府におかれましては、国際的な競争にも太刀打ちできるような野菜産地を確立する、こういう趣旨も含められまして、生産、流通、消費全般にわたる野菜の構造改革を進めていくこととされておるところでございます。御案内のとおりでございます。
 その一環として、本日、野菜法の改正ということで御審議されているところでございますけれども、中身といたしましては、もう釈迦に説法でございますけれども、契約取引の関係の交付金制度の創設、それから生産者補給金の直接の対象に大規模の生産者も加えるという措置をとる等の御案になっているところでございます。
 これらは、野菜の構造改革が喫緊の課題であるという中で、私ども実施団体といたしましても、政策的に時宜を得たことである、こういうふうに認識をさせていただいているところでございます。制度の対象をさらに広げていただく、こういうこともまたさらに画期的なものではないか、こういうふうに受けとめているところでございます。
 制度の実施機関の立場から申し上げまして、制度の新たな発足ということでございますので、実行面におきましても当初はいろいろな課題がございますけれども、野菜政策の遂行のための新たな仕事、新たな役割、これを私どもの基金にもお与えくださるということで、大変期待もいたし、また意欲も燃やしているところでございます。
 また、制度の問題と少し離れましても、十四年度予算におきましても、この制度改正に伴う予算措置を大幅に拡充させていただいたわけでございますけれども、これらを含めて、いろいろな面でしっかりとやってまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
 改正案を成立していただきました暁には、まさに当基金の真価が問われる、こういうことでございますので、新制度及び関連いたしますいろいろな拡充されました予算措置の実施に組織を挙げて全力を傾けてまいりたい、かように考えているところでございます。今後とも、先生方の御指導のほどをよろしくお願い申し上げます。
 簡単でございますけれども、以上でございます。ありがとうございます。(拍手)
鉢呂委員長 大変ありがとうございました。
 以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
鉢呂委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北村誠吾君。
北村(誠)委員 自由民主党の北村誠吾でございます。
 きょうは、参考人で御出席をいただきました皆様方、大変お忙しい中、お繰り合わせ、私どもにいろいろ示唆を与えていただきますことに、まず心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。
 実は、私は長崎県の出身でございます。先ほど、富良野の奥野組合長さんが北海道の農業の非常に代表的な姿をお話しいただきました。実は、長崎と北海道はジャガイモの種芋で交流がございます。奥野組合長さんの方はタマネギと白菜というふうなことのお話であったかと思いますけれども、かねがねから北海道と長崎ということでお世話になっておりますので、今後ともよろしくお願いを申し上げます。
 さて、るるお話を賜りましたので、私がお聞きしたいなと思っておりましたことを、それぞれ御専門の立場から随分詳しくお話をいただきましたが、私の地元でございます長崎県におきましても、実は、今日ただいま生々しい春野菜の大暴落の被害をこうむっております。
 その原因等につきましては、先ほど来それぞれの参考人の先生方からお話がございましたものをずっとまとめていけば、私たちが分析したものと全く一緒でありまして、野菜の安値の要因というのが四つほど考えられます。
 長崎の白菜あるいは大根、春物でございますけれども、去年の秋冬そして春物などの重量野菜を中心に全国的に豊作であった。
 そして輸入野菜が、開発輸入が多い。先ほど来お話がいろいろありましたが、白菜などは塩蔵物が大変ふえた、しかもカットした葉菜類をフィルム包装して、前処理をして輸入しておる。
 さらに、量販店におかれましては、価格形成が、やはり価格競争に伴う売り値の徹底というふうなことで、生産者にとりましても甚だ厳しい状況の価格になっておる。
 しかも、今日ただいまのデフレスパイラルの状況の中で、先ほど丸正チェーンの社長さんがおっしゃられますように、価格の低迷また消費の縮小というものもあって非常に厳しい。
 このことで、我々としては対策をどうしていこうかというときに、やはり第一番目に、今回、改正の法案としてただいま審議をいたしております、この改正に対する期待が極めて大きいということであります。
 そしてまた、契約野菜につきましても、安定供給事業によりまして野菜価格の取引を進め、生産者の手取り価格の安定化に努めてほしい、これらをぜひ対策として実行していきたい、そういう認識であり、そしてさらに、野菜産地の構造改革を進めていかなければならない、低コストあるいは高付加価値化の生産、そしてブランドを確立していくということなど、これらをやはり長崎県としても取り組んでいかなければならないというふうに存じておったわけでありますが、今それぞれの参考人の先生方のお話を聞きますときに、一層その感を強めた次第でございます。
 そこでお尋ねをさせていただくわけでございますけれども、まず奥野参考人、北海道の開拓以来、いかにして厳しい気象条件あるいは地勢、地形、そういうものを克服して、百年かかって優良農地と言われるものをおつくりになったということ、本当に感銘を受けながらお聞きしたわけであります。
 今時、輸入野菜の増加によって、特にどのような影響を強く受けておられるという印象をお持ちであるかという一点と、それから今度の改正によりまして指定消費地域の廃止ということがございます。これによって出荷戦略が変わりますか、変わるところはございませんかというふうな、この二点につきましてお教えをいただければと思うのであります。
奥野参考人 御指名いただいて大変光栄でございます。
 今御質問のあった輸入野菜の件でございますけれども、今さら申し上げるまでもなく、まさにこの部分が、今時のタマネギ、ニンジンを含めた野菜の状況に立ち至った要因の多くはここにあるというふうに認識してございます。
 御案内のとおり、生鮮野菜については過去十年間で二倍ということでございますけれども、御案内のとおり全体が二倍でございますので、生鮮については三倍入ってきているということでございます。
 特に、先ほど私がお話をさせていただいたタマネギとニンジンについて言えば、平成九年対比で、タマネギは一四九%、ニンジンは三五四%というふうな数字でございます。特に今話題になっております中国からの輸入については、タマネギは平成九年対比で十三倍でございます。ニンジンは百七十倍というふうなことが、国の方の統計の数字から出てきたということでございます。
 この状況というのは、もはや産地だとかあるいは生産者の努力でこれはカバーでき得る状況ではないというふうに思ってございまして、このままこのことを放置するならば、間違いなくこれは、産地は崩壊の危機に立たされている、もう現状、非常に厳しい状況になってございますけれども、さらにこのまま放置すれば、これは極めて甚大なことになるというふうに承知してございます。
 農産物というのは工業製品とは違った特別な部分もあるということも配慮いただいて、ぜひ特別なセーフガードの創設ということも考慮していただきたい。ただ、これについては、このことですべてが解決するということじゃございませんので、今回手当てをしていただきます価格補償の問題とあわせまして、一方では、生産費のコスト削減のためのいわゆる切り込みをぜひお願いしたいというふうに申し上げたいと思います。
 具体的に言えば、種の問題が一つあります。例えば種を言えば、国内での種の値段と国外での種の値段は、同じ日本国の産であっても大変な開きがございます。肥料、農薬、農機、農材、すべてについて大きな価格差がある中で競争をせざるを得ぬというふうな実態がございまして、これらについて、具体的な引き下げについての一層の努力をお願いしたいというふうに思ってございます。
 あわせまして、先ほど言った九州の先生でございますけれども、遠隔地からの輸送という問題については、この輸送コストが極めて大きなウエートを占めているということでございますので、この輸送コストの削減のための方策も、私は頭が悪くてどうしたらいいかわからないのですけれども、何らかの、具体的に実の上がるいわゆる輸送費の削減方策をぜひお考えいただきたいということでお願いをしたいというふうに思ってございます。
 それから、指定産地が外れた場合の話でございますけれども、これは間違いなく、指定産地が外れたことによって極めて円滑な流通ができるだろうというふうに思ってございますし、また、今までそういう点では市場の選択に非常に苦労しておったというふうな実態もございますし、価格の問題でも厳しかったという部分も逆にあったというふうに思ってございまして、これについては極めて有効な手段でございますし、非常にいい方向に流れるだろうというふうに認識してございます。ありがとうございました。
北村(誠)委員 どうもありがとうございました。
 お答えいただいたことで、もう一度ちょっと聞きたいということがありますけれども、時間の都合がありますので、失礼をお許しいただきたいと思います。
 ただ、輸送コストの点につきましては、実は私も長崎県の離島の方の生まれ育ちでありまして、もういかなる場合も船による往復というのがありますので、出も入りも往復びんたのように輸送コストがかかるということで、片時も輸送コストについて忘れたことはありません。個人的なことを申し上げて恐縮ですが、今後ともさらに研究してまいりたいというふうに思っております。
 次に、流通関係のことで丸正チェーンの社長さんにお尋ねをいたしたいわけであります。
 先ほど、相当詳しく、専門的なところに至るまでの話があったので私ちょっとわからないところがあったわけですが、仕入れにつきましては、卸売市場、それから産地との契約の割合というのをお話しいただいたと思います。それを構成したり、その取捨選択という、その戦略的な考え方の基本的な考え方、どれをどの程度の比率でどういうふうにしていこうかと。
 今後、この法律が新たに改正されて、大変御評価をいただいておったように思いますけれども、今後、これは経営のノウハウにつながることであるかもしれませんから、できる範囲で結構でございますから、組み立てる戦略の基本という、そこら辺の考え方をお教え願えればなというふうに思います。
飯塚参考人 今の御質問について、正確な回答かどうかわかりませんが、私どもは、戦略的には、よい商品をできるだけ安く消費者に提供していきたいと思っております。よい商品とは、鮮度、味がよくて、安全性が追求されている商品です。消費者の多くのニーズはここにあると思われます。
 特に、私どもはおいしい野菜を求めています。おいしい野菜をつくるには、畑の改良等、生産者の方もかなりの努力が必要になると思います。現在の生産性を重視した生産から、品質を重要視した生産をしていただきたいというふうに思っております。それが輸入野菜に対抗するにも一番大事なことだと思っております。そのために、契約仕入れをできるだけ伸ばしていきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
北村(誠)委員 ありがとうございます。
 私も学生時代を練馬で過ごしまして、おたくのお店の方には随分お世話になりました。今後ますます厳しい状況でありましょうけれども、御社のますますの御発展をお祈り申し上げます。
 次に、長野の柳澤様にお尋ねをさせていただきたいと思います。
 先ほど随分、長い間の長野県の経験に基づくすばらしいお話を聞かせていただき、最初に同じ長いという字がつく県でありますけれども、我が長崎県も相当、これから教えをいただいて頑張らなければいけないなという感じがしたわけでございます。
 先ほどのお話から、もう随分言い尽くされたように思うのでありますが、今後、出荷の関係について、契約栽培をしたときに、出荷の契約の際に、生産者と最後の消費者の間に農協、経済連、全農、そういう従来の仕組みの中でその存在、役割は大きいというお話がありましたし、私も一定そういうふうに思います。
 きちんとした形で、契約取引の実が上がり、消費者にも生産者にもその益があるようにというふうなことでお考えをいただくというお話をいただいたと私はお聞きしたわけでございますけれども、一部に、やはり今後、大口の生産者になろうということで、直接基金の補てんの対象になり、かつ、直接的に量販店あるいは実需者との取引をしたいという生産者の集団といいますか、そういう人たちができるだけコストを、手数料などを下げたいということで、先ほど柳澤様は、適切な負担はぜひしていただかなければならない、義務は果たしていただかなければならない、そしていいとこ取りはやはり困る、これはまさにそのとおりだと思います。
 その辺の兼ね合いについて、いま少しく、平たくお話をいただければなと思うのでありますが、よろしくお願いします。
柳澤参考人 契約取引を進めるという場合に、これは野菜の品目によってもそのウエートというのは相当変わってくると思います。というのは、葉物というのは、先ほども申し上げたように、幾ら計画生産が進んでも非常に価格変動があるわけですから、全生産量の半分以上も契約取引にするというのは、非常にいろいろな意味で困難がありますし、危険性がある。というのは、生産量が振れると価格が振れるということがございまして、そういうことで、長野県とすれば、全体では、多くても二〇から三〇%ぐらいが契約取引に向いているかなというふうに思っています。
 ということは、量が例えば少なくなって、特に市場の価格が暴騰したりなんかした場合には、仮の話として、契約取引に大半のものを流しておると、農協、私ども経済連というか全農県本部もそうですが、農家の生産物を、基本的には消費者の納得いく価格で農家にいかに高く精算するかということが使命ですから、農家から見れば、市場価格より相当安い価格で契約取引がされているというようなことになると、どうしても不満が出てきます。ですから、そういうこともございますので、一定の量、範囲に考えているということでございます。
 それから、大口生産者がじかにやるということについては、それは別に、私ども、そのことについて、特にそういう皆さんから要望がないものに私どもが関与するというような考え方は持っておりませんが、ただ、具体的に商談をしたり、あるいは作柄に応じて相手の契約に、希望するものをそろえるということはそう並大抵のことではございませんし、また、先ほど富良野の組合長さんからもお話がありましたが、代金決済の問題等もございます。
 そういうことも含めて、私ども必要な経費をいただいて、私どもがその中で機能を果たしていくということは、また市場の価格動向を見ながら、契約取引といっても、一年間値決めする場合もありますし、月決めとかあるいは旬決めとかいろいろあるわけでございまして、やはり私ども、そういうことについてはそれぞれの専門家がおりますので、そういうものが機能を果たすということで、利用していただけるものは利用していただくということにしていきたい。
 それから、私が申し上げた、義務を果たしていただきたいというのは、低落時に価格補てんがあるわけですが、そういうことを防ぐためにいろいろな需給調整とか、もともと基金をもらうというために野菜をつくっているわけではございません。
 基本的には、そういう適用がなくて、普通の正常な取引で農家が安定した収入を得られることが本来の目的であるわけですから、そういうことの中で、やはりいろいろな市場の暴騰、暴落を防ぐための施策というものにやはり一緒に参画をしていただかないと、安いときだけお金の補てんをしていただきたいというのは、義務という面では問題があるのではないかというふうに私は考えて申し上げたということでございます。
北村(誠)委員 本当にありがとうございました。
 最後に、時間がありませんので、恐縮でありますけれども、黒木理事長さんに、これからますます、この法律の改正が実現いたしましたならば、さらにさらに基金の業務が、先ほどのお話にもありましたとおり拡大していくというふうなことになると思います。ですから、しっかりした体制をつくっていただきたい。
 さらに、副読本までつくられたというふうなことが象徴的であると思いますけれども、これから野菜についての一元的な情報の収集、管理というふうな部分について大変な役割を担っていただくことになると思いますが、もう時間がありませんので、この点についてのお尋ねはいたしません。
 ただ一点だけ、細かい話でありますが、これは、法律そのものじゃなくて、基金の方の運用、運営の問題ではないかと思うのでありますが、今次、長崎における、具体的な話で恐縮ですけれども、基金の交付の要件というところに、面積あるいは共販率というのは、これはもう当然でありますけれども、作期、収穫期が、例えば四月から六月までというふうに決められておるというふうに、補てん金の支給の場合、あります。
 それが今時、露地ばかりではなくてハウス等もありますので、四月から六月というふうになっているものを、あるいは前倒しして三月、二月というふうなことでの運用を望むというような要望等が強く、長崎ばかりでなく、いろいろな作型の違いということによってあるようでございますが、こういったことについて、基金の方で検討される項目になるかならないかということだけで結構でありますから、お答えをいただければと思います。
 委員長、恐縮ですが、よろしくお願いします。
黒木参考人 お答え申し上げます。
 作期、つくる時期の問題でございますが、一つの要件として、例えば四月から六月というふうに決められているというところはございます。
 ただ、これも、政策的な意味合いを持っておりますので、基金自体で独自に判断することではなくて、農水省といろいろお打ち合わせし、相談をしということはございますけれども、生産、流通の実態に即して、その作期については、対象を変更していくということが合理的であれば、そういうものも過去に実例はございますので、私どもなり農水省の方にお話を地元の方からされまして、いろいろまた検討させていただくということは十分にあろうか、こういうふうに存じます。
北村(誠)委員 どうもありがとうございました。
鉢呂委員長 これにて北村誠吾君の質疑は終了いたしました。
 次に、堀込征雄君。
堀込委員 民主党の堀込征雄でございます。
 四人の参考人の方々、きょうは本当にありがとうございます。
 大変参考に、かつ興味深くお聞かせをいただきました。とりわけ、奥野組合長さんと飯塚社長さんのは、契約取引の評価が実は真っ向から対立をした御意見を今いただきまして、二人で議論もいただきたいなというふうに思ったところでございますが、奥野参考人に先にお尋ねをさせていただきます。
 契約取引について、大変、実はそんなに評価していないんだ、ちょっと厄介なんだという先ほどのお話がございました。価格設定などについて、どちらかというと実需者の方に押される、押される価格で契約せざるを得ないというお話が一つありましたし、それから、規格が限定されるということもございました。そのほか、代金回収が大変だと。これはきっと飯塚さんのところと取引いただければその辺は安定するんでしょうが、いろいろ代金回収も御苦労あるんだろう、こういうふうに思いますけれども。
 一つは、契約取引について今度の法でやるんですが、これは、つくっている作物がタマネギ、ニンジンという比較的保管、輸送のきくもののせいか、そう将来に対する期待を持っていないというふうにお聞き取りをしたんです。あるいは、契約取引そのものが実は現場で実態的には大変苦労している、こういう問題点は解決されていないというふうにお聞きをしたんですが、そういうことでよろしいかどうかというのが一つ。
 それからもう一つ、先日、実は北海道の農民の方が私のところに来まして、タマネギの産地廃棄の話をしていかれました。お聞きをしましたら、北海道の場合は、生産者からJAに来て、ホクレンに集めて、県の段階で産地廃棄の話し合い、指示、そういうものがあってやるんだということだったわけであります。
 その場合、今度の法案で実は大規模生産者がこの仕組みに加わるわけでありますが、先ほどふらの農協では、系統共販率が九三ですか、ですから、余りそう害はないんでしょうけれども、つまり、系統以外の人々で、大規模生産者の方々が、例えばみんなで生産調整をしようよというときに、これは話し合いで、今度の法律にもあるわけですけれども、うまくいくという自信がおありなんでしょうか。
 以上二点、お尋ねをさせていただきます。
奥野参考人 お答えをさせていただきます。
 大変舌足らずで申しわけなく思ってございますが、契約取引のメリットもデメリットも両方お話しすればよかったんですけれども、時間がないものですから、デメリットの方だけ話して終わったということでございまして、御理解いただきたいと思います。
 基本的には、契約取引については、これは、先ほど言ったとおり実際に二割やっておりますし、将来的にも拡大をしたいというふうに考えている部分ですから、今回のいわゆる法案については、これは大歓迎ということでございます。
 ただし、先ほど言ったとおりデメリットの部分がありますから、その部分をどのようにしてクリアしていくかということについて苦労もしているし、ぜひ知恵もかしていただきたいということでございますので、この点についてはひとつ御理解を賜りたいというふうに思ってございます。
 契約取引の中で、特に、残念ながら本当の純粋な意味での契約取引がなかなかできないというのは、まさにさっき言った代金回収の部分一点なんですね。この部分は、何らかの別の方策で担保されれば、極めてこの契約取引については拡大がやりやすいだろうというふうに思っておりまして、現在やはり、個人の場合でもそれから農協の場合でも、大きな農協はともかくとして、小さな農協が取引する場合には、この代金回収の担保というのが極めて大きなことになっておって、そこがネックになっているということで、一点御理解をお願いしたいと思います。
 それから、タマネギの廃棄の問題でございますけれども、極めて残念でございますが、今時の情勢から、タマネギについては今廃棄をしている最中でございます。北海道で七千五百トン廃棄をしようということで、ホクレンの方で相談をして各農協にこれを分けまして、当農協については今八百トンを廃棄するということで準備を進めてございます。
 極めて、今の現状の価格は、大体相場が二十キロ七百円ぐらいでございます。それで、タマネギの場合は生産費が一ケース八百円なんです。流通経費が七百円で、千五百円でタマネギはとんとんという作物でございます。それが現在七百円というふうな相場でございますから、これは全く流通経費だけで、組合員に、農家に払うお金は一円もないというのが今の相場展開ということでございます。したがって、これ以上の暴落についてはもうどうにもならぬということから、これは非常に難しい問題ですけれども、一部今七千五百トン廃棄させていただいているということでございます。
 ただ、残念ながら、これによって相場の回復ということにはなりかねるだろう、やはり、事後のタマネギに対する配慮の方が大きい処置だというふうに理解してございます。
 それで今、大規模農家がその場合に、今後契約取引をして、十ヘクタール以上ということになっているんですけれども、そういう大規模の農家が廃棄に対してどう取り組んでいただけるかということでございますけれども、これは地域によって多少差があるかなというふうに思ってございます。
 現状、廃棄のときには、御案内のとおり、北商といって、北海道の場合はいわゆる商系の方々もこれには十分理解をしていただいて、一緒になってこれらについてはいわゆる調整をさせていただいているというふうな経過等もございまして、私の判断では、そういう大きな農家がおりましても、これは十二分に協力してやっていけるというふうに私は考えてございます。
 以上でございます。
堀込委員 私の地元の長野の柳澤参考人に、今の契約取引のことについてお尋ねをさせていただきたいんですが、一つは、契約取引の場合、例えば生産者は多分契約履行のために多目の作付というのを行うんだろう。これはかなり当たり前に行われていることなので、作付をした、しかしここから引き下げがあった、契約数量が不足ぎみになる、こういうことなんですが、その場合に、全体的に市場相場が上がるわけですから、契約のもあるけれども、契約価格はこうだから、市場価格が高いからかなり市場に回ってしまう、それで契約のものが不足するというモラルハザードの危険といいますか、私ども、今度の法律でそこを一つの大きな心配点にしているわけであります。
 この分も実は今度基金の補てん対象になるわけでして、基金の補てん対象といいますか、つまり、市場出荷分から契約取引に回したと証明が立てば基金対象になる、こういう法律になっているものですから、ここは非常に心配しているわけですが、多分、長野の場合は葉物で契約取引をかなり経験されておりますが、経験上そういう懸念はございませんでしょうか。
柳澤参考人 一般的に、市場価格が契約の価格よりかなり暴騰したというときに、契約の数量を確保するために、いわばある一定量、言葉は適切かどうかわかりませんが、犠牲を出すことをしなきゃいかぬということが生じる場合のことだと思うんです。
 その場合にはやはり、基本的には産地の考え方といいますか、野菜の生産というものが一年だけで終わるわけでなくて基本的には永続的にやっていくという考え方の中では、やはり契約というものを大事にする。ですから、そういう契約取引先というのも当然、その産地に対して理解があり、ある一定の長い間に安定した取引をするというお互いの信頼関係がまず前提になければいけないと思っております。
 ですから、そういう場合に、相当相場が上がった場合には、当然皆さんと話をして、例えば千という数量であるけれども、多少もうちょっと少なくしていただけないかとか、あるいは、仮にレタスでいえば二十玉とか十六玉とかいろいろ規格があるわけですが、例えば二十玉で契約をしたとしても、それ以外の等級のものもまぜてほしい、その場合には価格が当然変わるわけですが、そういうふうな話し合いをして、やはり契約は基本的には履行していくというふうにしていくというのが私どもの基本的な考え方でございます。
 その場合に、やはり農家から見ると、先ほど私が申し上げたように、卸売市場に出せばもっと高い所得が得られるのに何でそういうことになるんだということでありまして、やはりそれを説得するという意味も含めて、またそういうことを十分定着させるというように、また輸入原料対策というようなことも含めて今回の制度が設けられたということで、大変すばらしいことだと。
 私どもとしても、実は平成十三年から、ちょっと国のやり方とは違いますが、過去の趨勢価格の五〇%増しの価格以上に市場価格がなった場合には、契約価格がそれより下回っていた場合にはその差額を補てんするというようなことを一部の品目で始めております。
 そういうことによって、いわゆる業務用需要と言われる需要に対してきちっと国内の産地が対応するということはやはり、国内の農業を守るという意味からも必要なことでありますので、やっていく必要がある。今回そういうことができたということは、そういうことにつながっていくというふうに解釈しております。
 以上です。
堀込委員 ありがとうございました。
 もう一点だけお願いしたいのですが、先ほど意見表明のときに、つまり、大規模生産者の需給調整機能への参画、こういうことはどうしても必要だ、そのことは今度の法律に当たって農水省はきちんとやはり担保すべきだ、こういうお話がございました。あるいは、事務費の負担も、例えば大規模生産者にもちゃんと義務づけることは必要だ、こういう要望もございました。
 そこで、この需給調整、最終的には産地廃棄ということになるんでしょうが、いろいろなところの需給調整の手段を講ずる場合に、県域、県段階での需給調整をやる決定あるいは指示、実行、こういうようなことについて、何かこうしたいとかあるいは役所、農水省の方にこう指導しろとか、要望がもしあったらお聞かせをいただきたいと思います。
柳澤参考人 私どものやり方ですと、農協の代表者が集まる会議でどういうふうにやるかということを決めまして、私ども、圃場でじかに、例えばちょうど一箱分ずつ並べていただいて、それに出荷できないように包丁であれするとかいうふうなことで廃棄ということをやっております。
 やはり、そういうことについては、当然そういう事態が出た場合には同じように大規模生産者もやっていただく、なるべくそういうことがない方がいいわけですが、やっていただくということで、きちっとそういう仕組みといいますか参加をしていただくということを、行政指導というか私どものそういう会議なりそういうことを決定するところでやはり一緒に参画いただいてやっていくというようなことにしていただければと思っております。
堀込委員 ありがとうございました。
 飯塚参考人にお尋ねをさせていただきます。
 今、両参考人、生産側といいますか、いずれも契約取引を将来しっかり伸ばしていきたい、こういうこともございました。しかし、契約取引における悩みも幾つかお述べになられたわけであります。飯塚参考人からも、通いコンテナなんかを普及させながら、流通の改革を図りながらやっていこう、安定した野菜供給をしていこうという決意も述べられたわけでありまして、大変ありがたく思っているわけであります。
 問題は、私は、青果物の契約取引という場合に、どういう契約になっているかと午前中も農水省に質疑したんですが、よく役所もつかんでいなかったんですけれども、何といいますか、工業製品の取引と違いまして、例えば、欠品ルールなんというのは一体どうなっているんでしょうか。例えば、工業製品なら、前の晩徹夜して、工場をフル稼働させてでも、契約した規格を間に合わせることはできる。これは、天候勝負の農産物はなかなかできないということもあるわけであります。
 今までの御経験上、大変契約取引もやっていらっしゃるんですけれども、そういういわば野菜特有のといいますか、必ずしもきちんと契約できない、そういう点があろうかと思いますが、そういう点はどういうふうに対応していらっしゃるんでしょうか。
飯塚参考人 今の御質問にお答えします。
 量ですとか価格というのを、大体二割ぐらいの前後を見込んで相手と契約してやるというふうに、今現在やっております。
堀込委員 ちょっと専門的な話なんで、多分、先ほどお話しの随行の専門家の方のお話だろうと思うんです。
 もう一つ、これもちょっと、もし後ろに聞かれるんならそれで結構でございます、生産者側が、被災で、災害があって、契約履行ができなくなった、あるいは決められた規格のものがそろえられない、こういうケースの場合はどういうふうに対応されているか。
 それからもう一つは、さっき私が申し上げましたように、物がだぶついて市場価格が下がっちゃった、契約価格より大分下がっちゃった、こういうケースはどうされておるのでしょうか。参考までにお聞かせいただきたいと思います。
飯塚参考人 今の御質問に対してお答えします。
 災害等の関係で万が一その契約ができなかったという時点においては、これはもう天災でございますので、その都度、その時点で生産者との協議をするというふうにしております。
 それと、もう一点、何でしょうか。(堀込委員「市場に物がだぶついて価格が」と呼ぶ)そのときには、その契約した価格で買い取るというふうな形でやっております。
堀込委員 午前中、私が役所と質疑をしたときは、そういう良心的な取引先というのは非常に少ないというので、さすがだというふうに、今大変感心をさせていただいておるところでございます。ありがとうございます。
 それは、実需者の側もあるんですが、生産者側の方もあるんですね、市場価格が上がったらそっちに回しちゃうとか、契約取引では。だから、これは両方の信頼で、さっき柳澤参考人が言ったように、ちゃんと仕組みを理解し合いながら育てていかなければならないことなんだろう、こういうふうに思うわけであります。
 それでは、最後に、基金の理事長の黒木参考人にお尋ねをさせていただきます。
 この法律が通ると、あなたのところは本当に大変な事務量で、契約の確認から補てん時のさまざまな事務負担というのは、物すごくふえてくるんだろう。午前中の質疑では、やはり全部基金にかぶせるというふうに役所は言っていますから、覚悟しておいた方がいいと思うんです。そうかといって、人はふやせないだろうと思うんですよ、この御時世だから。都道府県にかなりの部分を実は委任していくんだろうと思います。都道府県の予算もかなり限られているということもありまして、実は、実際やっている各県の経済連だとか県にかなりの仕事を、実際の運営を任せるというか、そういう姿が出てくるんだろうというふうに思います。
 この契約取引の対象になることによって膨大にふえる煩雑な事務量あるいは作業、こういうものにどういうふうに対応されますか。
黒木参考人 ただいま委員申されたとおり、実施をいたします段階になりますと、事務量的にも大変大きなことにはなるか、こういうふうに存じます。
 成立をしました後の実施につきましては、やはり担当いたします専門の部署を当然のことながら設けまして、現在も、もし成立いたしましたらこういうことでというので、予備的な勉強も始めておりますけれども、本当にいろいろな形で、契約申し込みの承認、その前の審査、その点等々につきまして、まだ、農水省と細部の打ち合わせをこれからやらなきゃいけない面もございますし、それから、県法人に事実上一部お願いをいたしますけれども、そのときに、県法人の取り組み体制、自分の県の生産、流通の実態、このあたりがどうなっているかということも意見交換をしながら、本当に先生方御指摘になりますようなモラルハザードが起きないように取り組んでまいりたい、こういうふうに存じます。
 それから、都道府県、四十幾つかございますので、例えば、大変進んだ県でこういういい知恵があったよ、比較的うまいぐあいにいくよというような知恵がありましたら、それをすぐ酌み取りましてほかの県法人の方にもお伝えをするということ等も含めまして、そこのところはしっかりやらなきゃいけない、こういうふうに考えております。
 行政当局としての都道府県、県庁におかれましては、これは、制度につきまして四分の一等の負担もしていただくということになっておりますし、県段階におかれましても、その点についてはしっかりとごらんになるということもありますし、農地行政で経験がおあり、野菜の振興につきましても県庁サイドは経験もおありということもございますので、いろいろな面でまた指導も受けながら連携もしっかりしてやらなきゃいけない、こういうふうに覚悟をいたしている次第でございます。
堀込委員 終わります。
鉢呂委員長 これにて堀込征雄君の質疑は終了いたしました。
 次に、白保台一君。
白保委員 公明党の白保台一でございます。
 きょうは、大変お忙しい中を、また貴重な御意見をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。参考人の皆さん方の御意見は、我々にとっても大変大きな勉強になります。
 そこで、初めに、ちょっと細々としたことについてお伺いするかとは思いますが、飯塚参考人にお伺いしたいと思います。
 日ごろ、消費者の方々に接しておられる立場から、消費者ニーズ、すなわち、鮮度、価格、産地、減農薬栽培といった安全性の問題などさまざまにあるわけでございますが、消費者の皆さんというのはどういう観点を重視して購入をされているんでしょうか。参考にさせてください。
飯塚参考人 今の御質問にお答えしたいと思うんですけれども、今非常に、デフレスパイラルですとか、消費低迷ですとか、価格破壊ですとかいうような傾向で、価格価格で、いろいろとマスコミもそういった店舗を、いろいろな報道で、いわゆるテレビで、ニュースでやっておりますけれども、その場面だけを見ていただきますと、皆さん方、勘違いしていただくと非常に困るわけです。
 基本的には、私ども、そういった店舗または店というものを見ておりまして、そのニュースのため、マスコミのためにやっているわけです。例えば、キャベツが十円ですとか、タマネギが一個一円ですとかなんとか言ったって、こちらに生産者の方がいますが、そんな価格じゃ合うわけがないんです。また、それを続けていけば、必ず企業は成り立ちません。これは明快なわけですね。
 お客さんの求めているというのは、私ども、現場で感じることは、まず、今、成熟化社会になりますと、質を追求しております。非常に今安全性ですね、第一に。次に、品質、鮮度、それと簡便性ということが今お客さんのニーズで求められているんではないかというような傾向で、私どもは、そういう傾向に進めて販売を行っている、仕入れを行っているということをしておりますし、また、都心におかれまして非常にお客さんに支持されている店というのは、やはり価格だけではなくて、高品質で鮮度がよくて安全だという売場が非常に伸びているということも、こういう席でございますので、私からお話しさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
白保委員 同時に、消費者のニーズも多様化しています。そういう多様化している中で、今後とも野菜の契約取引を伸ばしていかれるものと思われますが、そういう中で、生産者に対して、消費ニーズや経営的な観点を踏まえて、契約取引のためにこういう形のものがいいな、つくってほしいな、こういうような注文がありますか。
飯塚参考人 お答えしたいと思います。
 先ほども少しあいさつの中で触れましたけれども、やはり価格については特別安い値段じゃなくても、消費者にとって値ごろ感というものがまず価格でございまして、今現在、生産者と契約取引をしている中で、鮮度、味、安全性をまず第一に考えてやっておりまして、戦略的にはよい商品をできるだけ安く消費者に提供していきたいというふうに思いますけれども、この契約栽培というのは、基本的には生産者のためということも考えられる取引だというふうに主張をしたいと思います。
 以上でございます。
白保委員 経営戦略も含めてお話があったわけでございますが、そういった中で、皆さんのそういった考え方というものを消費者にフィードバックしていかなきゃならないということも当然あるんだろうと思います。
 そこで、もう一つ加えて、WTOに加盟した中国の輸入野菜に対してのお考えがございましたら、お聞かせください。
飯塚参考人 現在、輸入野菜に関しては国内生産の一五%ぐらいでございまして、基本的には国内生産の不足分を輸入に頼るというような程度だというふうに私は聞いております。
 以上です。
白保委員 もう一点、規格、いろいろな規格がありますね。この簡素化というのは消費者に低価格で野菜を提供していく上で非常に重要だと思いますが、皆さんの立場からどのようにお考えでしょうか。
飯塚参考人 規格の簡素化はぜひやっていただきたいというふうに思っております。我々小売また消費者にとって余り大きな意味はないと思います。例えば、キュウリの規格は現在十三段階に選別されておりまして、私どもの考えでは、大体三から四段階でいいんじゃないかというふうに感じております。
 以上でございます。
白保委員 もう一点、価格について、価格を低価格にやっていくということは消費者にとっては大変大事なことですから、輸入野菜に対抗する意味からも、非常にこの努力が一生懸命なされているわけですね。
 そこで、リターナブルな容器の問題が今出ています。通い箱と言っていますが、こういったものが出ております。これに対して、これをやったら、皆さんの方でどれぐらいのコストが削減されるように予想されるか。同時にまた、ごみ問題も当然ありますから、この容器を積極的に活用したらいいと思いますが、その辺の考え方はどのようにお持ちでしょうか。
飯塚参考人 経費の削減ということについてはきちっとした数字はつかんでございませんけれども、通い容器については、ごみの問題もあるんですけれども、一番私どもいいなというのは、鮮度の保持の点で大きな役割を果たしているということでございまして、ぜひ通い箱でやった方が、鮮度、品質というものが常に保持される。
 ということはどういうことかといいますと、今、基本的には段ボールで生産地から市場に入り、我々が市場から供給するということになりますが、御存じのように、市場の状況を見ますと、段ボールをどうっと積んであるわけですね。これによって、商品が押されて鮮度の劣化につながっているわけでございます。我々は、それを持って帰っていろいろ加工して販売する上で、そういった問題が、段ボールのごみ、または経費の削減というよりも、やはり鮮度ということで、しかも産地から来る場合は、定温流通、一定の温度の保冷車で行って、それをコンテナに積んで直接センターへ、また、そのセンターに関しても一定の温度で保たれております。
 ですから、一たん市場に入りますと、そこでもう空気に触れ、温度が変わりますね。それによっての鮮度変化、劣化というものもございまして、そういった面で、価格ですとか経費削減ということも確かに重要な点でございますけれども、一番の点に関しては、品質、鮮度というものがそれによって補えるものというふうに感じております。
白保委員 やはり、いろいろ聞いてみないとわからないことがいっぱい出てきて、非常に参考になりました。ありがとうございました。
 次に、奥野参考人にお伺いしたいと思いますが、大消費地から遠隔地にあって、大変な御苦労をなさっていると思います。遠隔地で大規模な野菜生産を行っているということは、相当の投資をやり、野菜経営に取り組んでいることだと思います。大変御努力をなさっておりますけれども、その一端で結構でございますが、その御努力をお聞かせいただきたいと思うと同時に、経営安定を図る上で、野菜の価格安定制度についてのお考えをいま一度お聞かせください。
奥野参考人 お答えをさせていただきます。
 先ほど御質問いただきました先生からも、長崎と北海道というお話をされたんですけれども、正直申し上げて、野菜を大量につくる産地が消費地からだんだん遠くなっていって、今は、中心が、大型野菜については北海道だという状況でございます。
 それで、実は、またタマネギとニンジンの話ばかりで恐縮でございますけれども、タマネギだとかニンジンの作物というのは、畑からとってすぐ売ればいいというものではないわけですね。
 タマネギであれば、秋に収穫いたしますと、次の年の五月まで販売を分けて、継続してやっていくわけですね。したがって、これについては極めて大きな貯蔵倉庫が要るということになりますし、それから選果場も、これは半端ではない、大変な、何億も十億もかかるような選果場も幾つも要るということになってまいります。それから、一方のニンジンであれば、これまた、これは水で洗わなきゃならないものですから、これの選果場というのはこれまた大変な膨大な選果場が要るということになってまいります。
 したがって、ここに来るまで、こういうニンジンだとかタマネギ、いわゆる露地野菜の大型産地の形成のためには、大変な長い期間にわたって、いわゆる国から、農林省の方から大変な御支援をいただいて、一定程度の補助をいただきながら産地形成をここまで図ってきたという経過でございます。ですから、右肩上がりで面積が伸びてきている時代というのはよかったんですけれども、そういう投資をしたものの、大体五〇%補助でございますけれども、残りの五〇%については、いわゆる利用者から利用料をいただいてこれを償還していくという手法をとっているわけですね。
 ここへ来て、先ほど言ったとおり、大きく面積が残念ながら後退せざるを得ない、価格が安いから後退せざるを得ないという局面になりまして、実は、当農協でもトータルの投資金額、百七十億ぐらいの投資をこれらについてやってきただろう、固定資産、と思うんですが、現在、まだこの部分について八十億ぐらいのいわゆる償却残がございます。
 したがって、これから先、実は非常にこれまた悩みの深い話なんですけれども、この償却が、作付が伸びているうちはいい方に回転しますからいいんですけれども、作付がいわゆる減反傾向に既に入っている、大きく減反傾向に入っているという段階では、これらの投資をしたものに対する償却をどのようにして今後やっていくかということは、地域にとって、いわゆる団体にとって、極めて大きな問題になってくるというふうに思ってございます。
 これは、後から利用する人は面積が小さくなっても利用料を高くして払ってもらうということにはやはりならないんですね。そういう点では、極めてこの部分というのは難しい問題になってくるかなというふうに承知してございます。
 それから、価格安定制度については、これはもう本当に、先ほども申し上げましたけれども、これですべて野菜の産地が守れるということではないというふうに私は思ってございますけれども、差し当たっての、やはりこういう情勢の中で産地を維持していくという点では極めて重要な施策だというふうに思っておりまして、この施策の充実については、今回のことも含めて、極めて歓迎をしているということでございます。
 ただ、一点申し上げさせていただきますけれども、この価格安定制度、これはずっと長い間お世話になってきたんですが、国の予算はあるけれども自治体の予算がないという形の中で、実はこの枠の拡大ができないで来ているというのが実態でございます。
 北海道の場合も、実は、ちょっとここで言うのは何ですが、もし自治体にお金がないのであれば、これは生産者がその分を負担してでもぜひひとつ枠の拡大を願いたいというところまでの話もした経過が今までの中にはあったんですけれども、法律的な問題からそれはできぬということでございます。
 国の予算があり、枠があるんだけれども、自治体の予算がなくて枠の拡大ができなかったという経過が実態にあるとすれば、今回大変お世話になったこの制度についても、負担率がいわゆる二、一、一ということになってございます。あるいはもう一方の方は、一、一、一、三分の一。こうなってくると、自治体の負担が非常に大きくなってきますので、この部分についての御配慮をいただかないと、いわゆる形はできたというけれども魂が入らぬということに結果としてはなりかねないなという嫌いがあるということも、大変老婆心でございますけれども、申し添えさせていただきたいと思います。
 よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
白保委員 だんだん時間がなくなってまいりましたので、柳澤参考人にもお伺いしたいと思います。
 今回の改正で、契約野菜制度が新たに導入されることになりますが、長野県は従来から契約取引に熱心に取り組んできたところであります。今後の市場取引の役割についてどのようにお考えなのか。
 また、契約野菜制度では、野菜の大規模生産者が新たに参加することによって市場競争が大変激しくなってくるだろう、こういうふうに思います。農協経営に対してもその影響が大きいものがあるんではないかと考えますが、その観点から、大規模生産者との関係をどう図っていくお考えなのか、教えていただきたいと思います。
柳澤参考人 まず、卸売市場制度というか、現在の市場流通について私どもがどういうふうに考えているかということでございますが、基本的には、やはり今の卸売市場の仕組みの中で、私どもは、やはり代金決済機能というのが一番私どもとすれば評価できる機能だと思っています。
 というのは、価格形成機能というのは、いわば今いろいろな意味で従来ほど十分なものがない。また、先ほどいろいろお話がありましたように、いわゆる低温流通をきちっとやるというスタイルからいうと、施設の状態も必ずしも十分でない。ただ、価格の決済機能というのは、今でいけば出荷後一週間以内に現金で入るということでございまして、いわばほかの取引にはない機能でございますし、国が中央卸売市場ということで一定の会社に対する指導監督をしている中では、私どもそれは極めて、現在私どもの流通でも担保というようなものをほとんどとらないで卸売市場についてはやっているということでございます。
 そういう意味では、いわゆる流通状況の変革の中で、卸売市場経由率が下がっているとはいいながら、その機能というものは私は基本的には、いわゆる弱小農家が農業生産をやっている中では、どうしてもその決済機能というふうなものは維持してほしいなと。そういうことで、契約取引においても私どもは直接実需者とやる場合もありますが、商流においては卸売会社を経由しているものも相当ございます、ちょっと数字は持ち合わせておりませんが。
 それと、もう一つはどういう質問でしたか。(白保委員「生産者との関係も」と呼ぶ)
 大規模生産者がじかにやったときに農協の経営に影響するんじゃないかという問題ですが、私ども農協の販売というものを、従来のように一本共計、いわゆる農家から委託を受けたものは一つの共計でやるということでなくて、今度の基金制度の改革案でも必ずしも共計を要件としないということになっておりまして、いわゆるグループ共計とかグループ精算、あるいはわけありの人はわけありなりきの販売をするというふうなことを、私どもとしても農協を指導しておりますし、そういう方向に進んでいます。
 ですから、私ども、大規模生産者にやはり認められるような仕事をしながら、そういう大規模生産者も一緒に農協を利用していただく、私ども全農を利用していただくというふうに、私ども自身がやはり業務改革をしていきたいというふうに思っております。
白保委員 時間が迫ってまいりました。
 最後になりますが、黒木参考人にお伺いしたいと思いますが、モラルハザードということで、交付金の不適切な受給等、そういった問題等が、先ほどももう非常に大規模になってまいりますから大変ではないかなということがありますが、この防止対策、最後に非常に厳しい話なんですが、この点についてお伺いして、終わりたいと思います。
黒木参考人 先ほどもお尋ねがあったところでございますけれども、この制度に加入していただきます際に、資格要件を満たしておられるかどうか、その点については栽培の規模が一つの要件にはなりますので、本当に満たしておられるかというのは、農地の面積でありますとか、野菜の生産の規模、当年だけではございませんで、前の年は規模的にどういう栽培をされていたか、それから面積でありますけれども、過去に何トンどこへ出荷されたということでありますとか、その辺もあわせてお聞かせいただく、あるいは資料をいただくということで、そこを確かめていくということはございます。
 それから、加入していただきました際に、交付金を支払いをするという段になりましたら、契約の中身が本当にそうであったのか、数量はどうであろうか、出荷の時期はどうであろうか、それから価格関係についてはこういう契約でいくということがちゃんと守られたかどうか、それは、決済がされたときに、どういう決済の手段で、どこからどこにどういうお金が流れていったかということも失礼に当たらない範囲でいろいろと見させていただくということもございますし、それから事後的に、今の制度でも、たまたまちょっと間違った、対象外のものが入っていた、あるいはほかの関係のものがちょっと紛れ込んでいたというのが、善意でありましても、ごくまれに今でも起こってくるのでありますが、そのときには過誤等ということで返していただく、または追加して少しうちから払わせていただくというような事後訂正の措置もありますので、そこも、この契約取引につきまして、一回済んだ後でも実態を必要な限りではフォローしていくということが必要でございます。
 それから、そういう過程の中で、先ほども出ました県の価格安定法人の方々にいろいろな打ち合わせをし、またお互いにマニュアルもつくりながら、そこをお互いにそごがないように、遅滞がないように工夫していかなきゃならない、こういうふうに受けとめている次第でございます。
白保委員 終わります。ありがとうございました。
鉢呂委員長 これにて白保台一君の質疑は終了いたしました。
 次に、山田正彦君。
山田(正)委員 自由党の山田正彦です。
 参考人の四人の方々、本当に御苦労さまでございます。
 ひとつ飯塚参考人からお聞きしたいと思うのですが、先ほどからお話があった、キュウリが十三段階、十三種類に分けられる、三種類か四種類の大きさ、サイズでいいのにというお話でしたが、前々からそんな話があって、依然として、いまだにそういう十三種類に分けられておる。そしてまた、契約栽培は御社では一〇%ぐらいということでした。鮮度保持では契約栽培は非常にいいんだというお話でしたが、いまだになぜ一〇%ぐらいなのか、なぜ流通段階でもいまだに十三種類に分けられるのか、どうお考えでしょうか。
飯塚参考人 今の御質問についてお答えしたいと思います。
 キュウリの規格が現在十三段階ということで、これは全く何の意味もないなということを感じるんですが、それは、実は農協さんの方にも聞いていただいても、生産者の問題であって全く答えていただけないということ。それと、今まだ仕入れ額の一〇%ぐらいだということで御質問がございましたけれども、それについては、いい生産者が今のところ見つかっていないというようなことで、今のところ一割程度だということでございます。
 以上でございます。
山田(正)委員 一〇%の契約栽培の中でですが、例えば、先ほどちょっと聞かれておったその関連なんですけれども、生産者と契約したのに、生産者がそれだけの品質のそれだけの量を生産できなかった、御社としては非常に困る、そういった場合はどういうふうに現実には処理していますか。
飯塚参考人 そういった場合に関しては、やはり市場仕入れで補うというふうにやっております。
 以上です。
山田(正)委員 生産者に対しては損害賠償請求をやるわけですか。
飯塚参考人 一切そういうことはございません。
山田(正)委員 それでは生産者は何のデメリットもないので、どんどんやっていく。
 私が実際に聞いた話では、契約栽培すると、そのとき品質、数量がないと、その分についてすべて生産者が負担しなきゃいけない、そういうふうにお聞きしておるんですが、どうなんでしょうか。
飯塚参考人 今の御質問でございますけれども、いわゆる他のスーパーのことだと私は思っております。
 私どもは、生産者と非常に親密な取引をするために、やはり生産者の保護のためにもこういったことが大事であって、基本的に、最終的なお答えというのは、会社の経営理念でそういうふうに行っておりまして、契約社会だからといって、できなかった、できなかったといったって、これはいろいろな天災がありますから、工業製品と違って雨だ風だ雪だ何だということがございますから、やはりそこまでしますとできません。ですから、これは、お互いの信頼関係でやることによって、また生産者も我々に協力していただけるというふうに今のところやっております。
 以上でございます。
山田(正)委員 大変良心的で、それだと生産者にとっては本当にありがたい話なんですが。
 お話を承ったところで、実は柳澤さんに長野のことをお聞きしたいと思うんですが、今言ったキュウリの十三規格、これは何でいまだに続いているんでしょうか。ひとつ、どういうことでそうなっているか。
柳澤参考人 私どもは余りキュウリはありませんので、キュウリというふうに絞らなくて、等階級の多い、例えばリンゴについて、リンゴは二十八ぐらいあります。そういうものを簡素化するという提案を私どもも卸売会社と議論いたしますが、今の卸売会社の価格形成の仕組みというのは見本競りなわけですね。土場へ並べて競りをする。競りをするということは、逆に言えば、買う側からいえば、欠点を見つけて安く買うということになるわけです。
 そうすると、そのものは、そろっていないもの、あるいは規格外のものがまざっている産地は、よそのものより価格が安くなるわけです、当然として。そうなると、やはり産地は、卸売市場の価格を高くしなければ自分たちは意味がないわけですから、どうしてもそこに一定の注意を払ってやらざるを得ない。
 ですから、普通の、いわゆる市場の委託販売の流通では、私はこれは、いわば必然悪みたいな形になっちゃっていて、産地も喜んでそういうことをやることによって逆に卸売市場でたたかれて、おたくは選別が悪くて、これではとても他の一流産地から見てだめですよと言われてしまうので、一般の委託販売の流通では無理だ。
 ですから、そういうものを定着させるには、先ほどの契約取引じゃありませんが、そういう、粗い選別でいいですよ、もっと、形だけじゃなくてどういうことに気をつけてやってくださいということをきちんと話し合いをして、実需者、量販店でもスーパーさんでも加工業者でも何でもいいんですが、そういう皆さんと形をつくった流通でないと、こういうものは育っていかないと思います。
 ですから、そこらが今までの卸売市場の価格の決め方の一つの大きな課題であり、そういうところが、いわば消費者の本当のニーズと流通業者のニーズというものが必ずしも合っていない。産地はどうしても取り扱っていただく流通業者のニーズに合わせなければ、直接消費者に売るわけではございませんから、そういうところで矛盾が発生しているというふうに思っております。
山田(正)委員 いわゆる市場価格、市場形成そのものがそういう十三規格まで必要としているというお話に今お聞きしたんですが、そうであれば、委託販売、契約栽培、そちらをどんどん進めていけば、そういう規格もなくなっていくんじゃないかということのようですね。
 それで、奥野参考人にお聞きしたいのですが、先ほど、契約栽培もいいけれども、市場と両立てでいかなきゃだめだと市場価格制度を強く主張されましたが、どういう根拠でしょうか。
奥野参考人 お答えをさせていただきます。
 先ほどから話が、契約栽培について、契約栽培をすればかなりの問題が解決するというふうなニュアンスというのがどうしても今回の場合は強いようでございますけれども、現実の問題としては、私どももそれは進めたいと思っても、今、タマネギで二〇%、丸正さんの場合でも一〇%というふうなことでございます。これがやはり現実の姿だというふうに思ってございます。
 いろいろな要素はありますけれども、先ほど私が申し上げたのは、価格形成能力は今だれが持っているのか、価格をつくっているのは今だれがつくっているのかという部分なんですけれども、現状は、やはり大手のいわゆる量販店がこういう契約栽培をすることによって、ある程度買い付けをやることによって価格形成の中心をなしているというふうに理解してございます。そのことが、残念ながら、生産者にとってみれば、必ずしもそれは、需給関係の中で決まることであって、生産費を云々というものではないわけですね。
 そんなことを絡めていけば、価格の形成が一方の中で、いわゆる相対契約の一方の中で決められるということについては、やはり公正さという面は欠けるんじゃなかろうか。やはり市場流通というものも片方にはあって、そのことによって公正な価格形成が一方でもなされるというふうなことによって、二本立ての価格形成ということがあって、私は総体的な公正さが保たれるのではなかろうかという考え方でございます。
 ただ、現状は、市場が、数はたくさんあるんですけれども、いわゆる量販店にこたえ得るような大きな市場が、合併がなされていないということから、残念ながら現状は、市場の価格形成能力が極めて弱くなっているという点からすれば、やはりこれはある程度大きないわゆる指導も入りながら、市場の統廃合というものを積極的に進めて、この市場が一定の力を持ちながら二つの力によって価格形成がなされていくということが理想でなかろうかというふうに考えているところでございます。
山田(正)委員 奥野参考人に引き続きお聞きしたいのですが、先ほど、ニンジン、タマネギ百七十億の売り上げが八十億まで落ちたというようなお話をされたと思うのですが、タマネギの出荷は、流通経費七百円を引くと手取りは全くないというお話でした。
 今のお話ともつながるのですが、なぜ今このように安くなってしまったのか、量販店の相対取引が原因なのか、一体何が原因なのか、どうお考えですか。
奥野参考人 お答えさせていただきます。
 やはりすべてのものが需要と供給で値段が決まるということでございますから、私は、最たるものは輸入問題だろうというふうにとらえてございます。
 輸入の場合は、いわゆる余った、足らないものだけが輸入されるという時代がいっときあったというふうに思ってございますけれども、現状の輸入の流れというのは、先ほども数字を申し上げましたけれども、これはやはり商業ベースで採算に乗れば国内相場に関係なく大量のものがどんどん入るというシステムになっておりますから、ここへいきますと、国内産のいわゆる生産費云々なんという話はそこでは吹き飛んでしまうというシステムの中で現状動いておりますから、私は、最大の要因は、たくさんあると思いますけれども、最大の要因は輸入農産物というふうに考えてございます。
 ですから、先ほど言ったとおり、価格補償制度だけで全体を、今の野菜農家を何とかしていこうということについてはおおよそ無理がある、根底の部分の、そこら辺についての一定程度のセーブがあって、それからもう一つ、そこに価格補償制度があって、もう一点は、先ほど言った、国内のいわゆる生産コストの切り詰めに対しての極めて強い指導がないと、このことについては到底太刀打ちしていけないだろうというふうに考えてございます。
山田(正)委員 もっともなお話なんですが、量販店が二割ぐらいの輸入野菜で安く入れれば、それに引きずられて国内物も相対的に安くなってしまったところからということは十分考えられます。
 実は、セーフガードの問題を随分私もこの六、七年ずっと取り組んできたのですが、いわゆる中国の野菜、これは今度WTO加盟に当たって、中国とは、アメリカ、各国とも対等にというか競争できない。向こう十二年間は中国からのものに対して対抗措置なしで関税を何百%でもかけることができる。しかも、これまでの一般セーフガードが、重要な損害を与える場合、与えるおそれがある場合とあったのが、単に市場の攪乱、実害だけでいいということになっているのです。
 奥野参考人に、今回、四月一日から施行されたいわゆる特別セーフガード、中国向けの経過的セーフガード、これについてマスコミもなかなか十分な報道をしなかったと思うのですが、生産者も、タマネギ生産者あるいはニンジン生産者、そういった方々もそういうことができるということを余りよく知らないんじゃないかと思うのですが、それはどう思われますか。
奥野参考人 お答えさせていただきます。
 一番最初のごあいさつで申し上げたのですけれども、理論的には、いわゆるセーフガードの発令をすれば、言葉は悪いのですが、そのいわゆる見返りといいますか仕返しとして、自動車であるとか携帯であるとかの輸出ができないので、これはセーフガードは発動できないんだというふうな大まかな説明だろうというふうに思っております。
 それで、国全体としては、確かにその理論というのは、一定程度といいますか大多数の理解を得られるいわゆるセーフガードについての見解なのかなというふうに考えますけれども、もし農業そのものについてその理論で押し通すならば、間違いなく日本の野菜の農家というのはことごとくなくなるというふうに思っていただいて間違いなかろうというふうに私は思っています。
 これは、先ほど言ったとおり、いわゆる闘う条件が整理されないで、でき上がったものだけで競争せいという理論ですから、私がこういう話をすると全国的には受けないんだろうというふうに思うのですけれども、競争の土台をそろえないでおいて、できたものだけで競争せいという理論ですから、これはほかのものもそうなっていますけれども、特に農産物については、その理論で押したときには、国内農業というものはおよそ成り立たないということになります。
 したがって、一定程度の条件整備をやはりきちっとしてそのことについての競争をやれというところまで行かないと、今の私どもが生きる道はないというふうに考えてございます。
山田(正)委員 全くそのとおりだと思うのですが、中国とは、そういう意味では十二年間、このWTO加盟に関して、何百%でも対抗措置なしで、例えば自動車の関税とか云々を一〇〇%、二〇〇%にするとか、そういうことなしにできるということの条約が成立しているということ、だから、今すぐにでもそれができるということ、ニンジンとかタマネギに対して。それを農家の皆さん方は知っておるんだろうか。
 今までの一般セーフガードとは違うんだ、中国に対しては、その特別の経過的セーフガードが向こう十二年間認められるんですよ、世界各国に。私は、それを皆さん、農家の方々は知らないんじゃないかと、長野の柳澤さんもそうですが。それがこの四月一日から施行されているんです、その条約が、法律が批准されているんです。それを一つちょっと今聞いてみたいのですが、柳澤さんでも奥野さんでもどちらでも結構ですが、対中セーフガード。
奥野参考人 御指摘のとおり、十二分な承知をしていない部分はあるというふうに私も考えてございます。
 ただ、先ほど申し上げたとおり、この輸入のいわゆる秩序というものが一定の話し合いの中で保たれるということになっているんですけれども、現実の数字は、先ほど言ったとおり、野菜については、中国については、タマネギについては平成九年対比十三倍、ニンジンでは百七十倍というこの量ですから、こういうものがそのまま放置されておいて、そして一方では、こういうふうな施策で、ああいうふうな施策でといったって、これはもう土台が余りにも違い過ぎる。これは競争する前の話だと私は思うのです。
 ですから、きょうおられる先生方は大変御苦労されてそこのところの選択をされていると思いますけれども、やはり日本の中に農業あるいは野菜作というものを今後も存続させて、顔の見える安全なものを国民に供給していくということが大事だというふうに考えるのであれば、この部分についてはぜひ毅然たる態度でやはり示してもらいたいというふうにお願いしたいと思います。
山田(正)委員 けさの委員会でも大臣にその話を激しく言っていたところなんですが、今まさにそういった中国の野菜について対等にできないんだと。そうすれば、関税を引き上げる、いわゆる一〇〇%か二〇〇%に、一時的でもいいけれども、それをするしかない。それはぜひやらなきゃ、すぐに引けないことなんですが。
 各国ともセーフガード、例えばアメリカの場合ですと、例えばタマネギの生産地の生産者が、これではやっていけないからといってセーフガードを適用してくれという申し立てをすれば、必ずアメリカの大統領というのはそれを調査して結論を出さなきゃいけない、生産者に結果を報告しなきゃいけない、そういう法律になっているわけです。
 ところが、日本の場合はどうかというと、農水大臣も調査に入る権限がない。いわゆる経済産業大臣と外務大臣でしたかね、三省で話し合って調査にやっと入る、それでは全く生産者の保護になっていない。いわゆる対等に闘えない、野菜において中国と。せっかく条約を決めながら、それが全く生かされていない状況にあるということ、これをぜひ参考人の先生方も御承知いただきたい、そう思っております。
 私の質問時間が参りましたので、終わらせていただきます。
鉢呂委員長 これにて山田正彦君の質疑は終了いたしました。
 次に、中林よし子さん。
中林委員 日本共産党の中林よし子でございます。きょうはありがとうございます。
 それでは、まず柳澤参考人にお伺いしたいと思うのです。
 これまでの制度では、カバー率というのが非常に少なかったわけですよね。それで、契約数量では一九%で、潜在的に二七%までカバーしていた。今度は、契約数量で二五%、潜在的には五四%ぐらいカバーできるだろうというふうに言われているんですけれども、私は、やはりそれで満足ではないんじゃないかというふうに思うんですね。やはりすべてカバーできて初めてこの制度の意味合いがあるんじゃないか。
 そこで、指定野菜の問題なんですよね。十四種類ということですし、それから特定の方で三十一種類ということですから、ここをやはり広げる必要があるんじゃないか、指定野菜というのは取っ払う必要があるんじゃないかというふうに私は思うんですけれども、そのお考えをぜひお伺いしたい。
 それから、もう既に長野では県独自でいろいろ対象を広げているんだという御紹介がありました。だから、少なくとも特定野菜の方は、都道府県の裁量でそこはできるんだというふうな方向が必要なのではないかというふうに思っているのですけれども、その点、お伺いしたいと思います。
柳澤参考人 先生のお話、基本的には私もそういうふうに考えております。
 ただ、問題はカバー率の問題、先ほど奥野さんの方からお話がありましたが、いわゆる資金造成で県が一定の金額を出さなければいかぬ、それが地方財政が悪いために出せない、だからカバー率は上がらないという面がかなり強いわけです。これは北海道ばかりでなくて長野県も同様ですから、やはりそこらも何らかの施策がないと、カバー率を上げるということは現実の話としては非常に難しい問題がある。
 県の部分を全部生産者団体が対応するということも一つの方策でしょうが、それもとても大変なことですし、私にいい知恵はございませんが、そこらが、品目の問題と同時に、カバー率が上がらない一つの大きな原因になっているというふうに考えております。
中林委員 次に、奥野参考人にお伺いしたいと思うのです。
 ふらの農協では、通常総代会で野菜の決議をされておりますね。ちょっとその中身を御紹介いただければ御紹介いただきたいなというふうに思っているのです。
 とりわけ私が本当に心を痛めているのは、ふらの農協で取り扱っていらっしゃる野菜の中でタマネギとニンジン、これが非常に比率が高いということで、とりわけ中国からのタマネギとニンジンの輸入が直撃をしている。先ほど、タマネギで平成九年から平成十三年で十三倍、ニンジンで百七十倍と、とんでもないほど、一番直撃するものをおつくりになっているだけに、その決議には皆さんの思いが込められていたのではないかというふうに思っているわけです。だから、その辺の事情も含めてお話をお伺いできればというふうに思います。
鉢呂委員長 後に延ばさせてください。
中林委員 それでは、御用意ができるまで飯塚参考人にお伺いしたいのです。
 非常に良心的なスーパー経営をやっていらっしゃるということで安心したんですけれども、やはり今消費者のニーズというのは、安心して食べられるものを食べたい、できるだけ国産品でという方向がアンケートをとると非常に強いわけなんですね。
 そこで、消費者のニーズにかなり努力をされていらっしゃるんだろうというふうに思うのですけれども、どういう御努力があるのか、例えば表示の問題だとかいろいろなことがあると思うのですけれども、その辺の、消費者ニーズに合わせた御努力があれば聞かせていただければと思います。
飯塚参考人 お答えさせていただきたいと思います。
 先ほども触れたかと思いますけれども、今、物が非常に豊富で、社会が成熟しているという状況でございまして、御存じのように、私も何か聞いたことがあるんですけれども、内食、外食で日本人が残した食料だけで、わずか五時間、六時間飛びますと、飢え死にをしている国が助かるというぐらい、今、食に対しては飽食でございますし、また、食に対してのいわゆる価値観というものがなくなっているような気がしております。
 ただ、消費者のニーズとしては、やはりまず健康であり、安全性であり、また、鮮度がよくて高品質、それと、今非常に問われていることは、簡便性ということでございます。簡便性ということは、御存じのように、今までは、素材を買ってうちに持ち帰り、熱を加え、また調味料を加えて商品をつくっておったわけですけれども、近ごろは、そういった簡便性にたけたお総菜というものが非常に主流になってきております。
 私もこの商売に入りまして三十年たつわけですけれども、当初は、新鮮なものを売っておればお客さんは納得して買っていただいた。最近は、例えば例にとりますと、夏場、キュウリですとかナスですとか、非常に豊作になります。それを、量を盛って安く販売しますと、非常に売れた時期がございました。ただ、今現在では、それが安くても多く買ってくれないということでございます。
 というのは、理由的にはどういうことかといいますと、非常に核家族になってきたと同時に、女性の、主婦の方々が仕事を持ち、台所に立つ時間が少なくなってきたということに対して、できるだけ手をかけないで済む材料でおいしく食べたいというふうに変わってきたんではないであろうかというふうに感じております。ですから、我々食品小売業におきましても、やはりそういった商品を極力販売できるようにと感じております。
 それともう一点は、今、消費者のニーズということに対して、確かにこれは非常に変わったなということを感じていることは、例えば、今この時期ですと、果物ですとちょうどサクランボですとかビワが出てきております。生産地の価格でいきますと非常に高いわけですね。それを我々としてはできるだけ細かくして、一箱千円のものを例えば三分の一にすれば三百円で買えるというふうに、買いやすさということも含めて、やはりできる限り量を少なく買えて、しかも一回で使い切るだけの量というものを極力お客さんは求めているなと。
 というのは、やはりどこの御家庭でも、御存じのように、冷蔵庫をあけますともうきのうの残り物がいっぱいある。では、それを今度使うかというと、なかなか使わないで、ほっぽっておくと賞味期限が切れているというような冷蔵庫の状況だと思います。それをお客さんは、今までみたく衝動買いじゃなくて、やはりむだのない買い物をしよう、ただしかし、おいしいものも買いたいというのが今の消費者のニーズではないかなというふうに私もとらえております。
 以上でございます。
奥野参考人 御質問がございましたので、あえて朗読をさせていただきたいと思います。
 実は、一番最初のごあいさつのときにちょっと詰まってしまって、見苦しいところをお見せしたんですが、先生方には大変頑張ってやっていただいているんだけれども、産地の情勢は、残念ながらそのことが生産者のところに結果としてあらわれていないというのが私は今の実態だと思ってございます。
 したがって、先ほど言ったとおり、私の立場では、毎年四%ぐらいの離農があるわけですから、その離農される方々のいわゆる言い渡しといいますか、経営的にはあなたは難しいんだから、ひとつリタイアせざるを得ぬなという話をするのが実は私の仕事でございます。
 したがって、そのことが目に浮かぶものですから、ちょっと詰まってしまったということで御勘弁いただきたいのですが、今回の総代会において、極めて難しい状況に産地がなっているというふうなことから、特別の動議を提案させていただいて決議をさせていただいた経過がございます。
 御案内のとおり、農協不良債権の問題も、不良債権というのは、まさに離農農家の残債について不良債権化するというのが流れでございますから、この不良債権の償却と同時に、やはり経営そのものも何とかせんけりゃならぬということから、ゆゆしき状況にあるということでこのような決議をさせていただいたという経過でございます。五つございますので、大変恐縮ですが、読み上げさせていただきます。
 一 WTO農業交渉に当たっては、農産物の特性に配慮した特別セーフガードの創設を求め、自動的な発動を可能にすること
 二 道産たまねぎ・にんじん・生食用馬鈴薯の需給対策に当たっては、BSE関連風評被害の解消策及び野菜農家の所得補償に万全を期すこと
 三 国内野菜生産の構造改革に当たっては、野菜価格安定制度の国庫負担率引き上げや生産費を償う保証基準額の設定などより一層拡充強化すること
 四 直接所得補償対策を導入した持続農家促進法への改正など野菜経営の全体を捉えた新たな農業経営安定所得補償政策を確立すること
 五 国産野菜の最終消費価格に占める約八〇%もの流通経費等の大胆な削減など流通改革を即時実施すること
大変、このことまで読まさせていただきまして、本当に感謝いたします。ありがとうございました。
中林委員 どうもありがとうございました。
 やはり、私はこの制度の中で、保証基準価格というのは決め手だろうというふうに思うのですね。柳澤参考人もおっしゃいましたように、再生産が確保できるようなものでないと、今全体が下がっている中で、九カ年の卸売価格、それが基準になっていくということになると、永遠に下がり続けていくということになると意味がないんじゃないかというふうに思うのですね。
 せめて、九一年当時が一番安定していたということを考えれば、そこを基準にして、やはりその後の生産費の動向、それが反映できるような状況で価格決定がされる必要があるんじゃないかというふうに私は思うのですけれども、その点のお考え、ぜひ柳澤参考人からお伺いしたいというふうに思います。
柳澤参考人 お答えいたします。
 保証基準価格の今の方式でいきますと、先ほど私が申し上げたように、毎年毎年、卸売市場価格が下がって、それが基準になってくるということになると、農家にとってもまた魅力のないものになってくるし、制度そのものに対するそういった信頼の問題もあります。
 ですから、今先生がおっしゃられたような方式がいいかどうかはわかりませんが、やはり保証基準価格の設定方式というのは、こういうデフレスパイラルのような経済情勢の中では、方式というものを、やはり国民的な合意の得られるようなものが前提ですが、我々のサイドとすれば、今までのやり方だけでなくて見直してほしい、どういう方法がいいかというのは、すぐここで案を持っておりませんが、ぜひそういうふうにお願いしたいというふうに思っております。
中林委員 黒木参考人にお伺いしたいというふうに思うのですけれども、今の各お金の出し方、国の補助率などが、私はやはり、もうちゃんと考える必要があるんじゃないか、ここまで下がってくると。
 それで今、指定野菜では六〇%、それから重要野菜で六五%ということになっているわけですが、せめて指定野菜のところを、私は指定野菜も本当は取っ払ってほしいというふうに思っているのですけれども、六五%くらいに引き上げるのが、やはり要望として農家の皆さんからも聞いているのですけれども、理事長としてその辺のお考え、言いにくいのかもわかりませんけれども、おありならば聞かせていただければと思います。
黒木参考人 ただいま御指摘になりました国の負担率の問題でございますが、私、ただいま当基金は政策的に決められたものを実行するという立場にございますので、国の負担率、野菜政策のいわば大きな根幹の一つでもございますので、この判断にわたります事項につきましては、大変申しわけないのでございますけれども、差し控えさせていただくのが適当ではないかと考える次第でございます。よろしくお願いします。
中林委員 これはぜひ奥野参考人、柳澤参考人にお伺いしたいのですが、昨年、シイタケそれからネギ、畳表三品で暫定セーフガードを発動いたしましたね。農水省とすれば、本発動に向けて全部できる資料を整えていらっしゃったんだけれども、首脳会談の中で話し合いという方向にがらっと変わっていったわけですね。私は、その影響、暫定セーフガードはやはり効果があったんじゃないかと数字的に見ても思うのですね。だから、今の外国の輸入野菜がこれだけ増大していく中で、セーフガードについてのお考え、これがあればぜひお聞かせいただきたいというのが一点です。
 それから、政府の言い分は、構造改革を進める、だから、国内のそれを進めれば対抗できるんだという言い分をされるのです。しかし、今北海道でさえも、どんどんやりたいがために、いろいろ前向きに取り組んだところが離農せざるを得ない、そういう状況になっているという現実をお話しになりました。これ以上の構造改革というのは何ができるんだろう。もうこれまでさんざん規模は拡大した。コスト削減はやってきた。いろいろ取り組んできたのに、まだそういうことができる余地があるのか。それに対する、国に対する御要望でもあれば、もう率直におっしゃっていただきたい。
 私は、やはり一番効果が上がるのは、世界の貿易ルールとして認められたセーフガードという当たり前のルールをやはり日本は行使すべきではないかという考えを持っているものですから、ぜひ、それぞれお考えをお伺いしたいと思います。
奥野参考人 お答えをさせていただきます。
 まず、セーフガードについての見解ということでございますけれども、先ほど申し上げたとおりでございます。一生懸命やっていただいているのはわかるんだけれども、土俵の違うところで相撲をとれと言われているのが今のいわゆる農業だというふうに思ってございます。
 ですから、お互いの土俵が整うまで、やはり、いいことではないといいますか、これは自由競争を損なう部分もありますから、その土俵がお互いに整うまで、それはやはりセーフガード等々によってきっちりひとつ守っていただいて、その間にいわゆる構造改革を積極的に進めるという手法の中で、ぜひ農業については取り組んでいただきたいというふうに改めてお願いをしたいというふうに思ってございます。
 今のやり方というのは、ちょうど泳げない人間に浮き輪を持たせないで太平洋の中に投げたようなものだというふうに私は存じてございます。それが、どんどんおぼれていくのを私がいつも見ているという立場でございますから、一人でもおぼれる者のないように、やはり温かみを持って政治をやってほしいというふうにお願いしたいと思います。
柳澤参考人 それでは、お答えいたします。
 まず、セーフガードについてですが、私どもとすれば、やはり国としてはぜひ発動してほしかったというふうに思います。
 というのは、もともと中国は、日本と比べて労賃が三十分の一ぐらいというふうに聞いておりますし、また中国で輸入される農作物は、実はその仕掛けが、大半が日本の商社なりのそういう日本の企業の皆さんが行って指導してつくっているという実態でもあるわけです。そういう中で、国論が、いわば一番日本の生命線である自動車と携帯電話に限られたことに日本の国内が分裂したということが、日本の国として私は一番問題があるのじゃないか。
 国として、野菜でも何でもそうですが、ここまでは日本の国産で補うんだというきちっとした方針を出して、しかも、農業というのは、私ども長野県でもそうですが、緑を守り、水を守り、そこに土着をしているわけです。そういう農業を、やはりどうしても日本の国には一定のものは必要だと思います。それが全部放任畑になり、全員が例えば事務所なり工場で働くようになるということにはならないと思うわけです。
 そういう意味でも、農業をやるには一定の所得がなければできませんから、そういう国民的合意づくりを、我々には全中という組織もありますが、国としてももっと力を入れて、農林水産省だけでなくて、政府としてぜひやってほしいというふうに私は思っております。
 それから、構造改革の問題ですが、確かにおっしゃるとおりに、どのような構造改革をしても、中国とさしで勝てるはずがありません。ですから、もちろんむだなところ、あるいは今までもやっている中で不合理なところは大いに見直し、やっていかなければいけませんが、それは一定の限度があると思うので、やはりそこらのところを踏まえた上で日本の特徴に合った構造改革というものをやっていかなければいかぬと思います。
 私どもとすれば、やはり産地の特徴なり、長野県でいえば、長野県は、田中知事じゃありませんが、日本の背骨に位置して、きれいな水ときれいな空気、そういう中でつくった農産物というものにこだわりを持って、安全なものを供給して長野県のファンをふやすということで、付加価値をつけて売るということを最大限強めていきたいと思っておりますが、やはり一般的に言われると、輸入品と比べて、きょう丸正さんもお見えですが、いろいろな量販店さんから聞いても、せいぜい二割から三割高だ、そういうふうに言われております、幾ら国産が価値があっても。
 ですから、そういう範囲をひとつ見きわめた上で国の施策というのもぜひやっていただきたいと思っております。
 以上です。
中林委員 どうもありがとうございました。
鉢呂委員長 これにて中林よし子さんの質疑は終了いたしました。
 次に、菅野哲雄君。
菅野委員 社会民主党の菅野哲雄でございます。
 参考人の方々、二時間半も経過いたしまして大分疲れているんじゃないのかなと思いますけれども、あと二十分ほどおつき合い願いたいというふうに思っています。
 最初に奥野参考人にお聞きしたいのですが、先ほどの意見陳述のときに詰まった姿というのから、日本の農業をリードしている方の本当の心からの気持ちのあらわれというのを感じ取らせていただきました。
 まさに日本の食料基地として北海道が位置づけられてずっと今日まで来ていた継続性というものを、私は日本において貫かなければならないというふうに思っているのですね。それが、日本の食料基地を海外に移動させていく施策というものは、私はあってはならないというふうに思っているのです。
 そういう意味では、先ほど、規模拡大、規模拡大ということ、コスト削減のために規模拡大、規模拡大という形で行わさせられてきたと言っても過言ではないというふうに思うのですが、国の施策で進められてきて、今日、本当に毎年四%ぐらいの人たちが離農していく実態というのを聞いて、非常に胸痛む気持ちでいっぱいなんです。
 それで、先ほども議論がありましたけれども、やはり奥野さんとして、それでは国にどう求めていったらいいのか。私どももずっと言ってきました。それでもなおかつ今日的な状況というのは改善なっていないというふうに言わざるを得ません。逆に言うと、私は、まだまだ日本の農家の人たちがおとなし過ぎるんじゃないのか。
 ヨーロッパではむしろ旗立てても国の政策の変更を求めていっているという姿をテレビ等で見ていますけれども、国に対して、今思っていることをどう実現させていったらいいのかということについて、奥野参考人の方からお聞きしておきたいというふうに思っています。
奥野参考人 何か私の回数が多いようで、大変恐縮でございます。勘弁してください。
 まず、今のお話の中で、やはり国の農政に対する根幹がぶれているということだと私は思っています。農産物の食料自給率がカロリーベースで四〇%の国が、これでもういいんだという根幹の部分が、四五%にしましょうと言っていますけれども、四〇から四五にすると言っているのに、一方で全く逆のことを平気でやっているというのが、申しわけないのですけれども、やはり今の農政だと私は思うのです。
 ですから、根幹の部分を四〇から四五にするというなら、本当は私はこんなパーセントではないと思うのですよ、一国の食料を五五%も六〇%も他国にゆだねて、それでいいなんということにはならないのに、ではあっても、仕方ない、これは四五だと言うから四五でしようがない。だけれども、四〇から四五にいくのに、一方では、今やっていることは何かというと、全く逆のことを平気でやっている。だからいわゆる食料というもの、国の安全というものに対しての根幹の部分がぶれているということが、まさに私は農政についても言える。
 このことについて、やはり性根を持ってこのことはやるんだということをやれば、あとはおのずからやることが決まってくるはずなんです。私は、大変申しわけないのですけれども、先生方がこんなにおるのに、きょうで終わりですから勘弁してください、本当にその部分をしっかりやれば、おおよそ農政のやることというのはおのずから決まってくるのです。そこがぶれておるからこうなっておることで、ぜひひとつ頑張ってもらいたいと思います。
菅野委員 ありがとうございました。
 私どもも、そういう意味においては、国会において議論しているわけですが、永田町で議論するのじゃなくて、やはり一人一人の置かれている人たちが、今、アクションとしていろいろな行動を起こしていかなきゃならない時期に来ているのじゃないのかなというふうに私は思っております。ぜひ地方からの声を、きょう最後ですからじゃなくて、地方からの声を大きな声として上げていただきたいなということをお願い申し上げておきたいというふうに思っています。
 それで、柳澤参考人に次にお聞きしたいと思うのですが、そういう意味で北海道が非常に困難な状況に追い込まれているというところはあると思うのです。そういう意味で、それでは長野はどういう状況になっているのかなというふうに思うのですが、長野といえども特殊なケースではないというふうに思っています。
 それでぜひ、先ほどは、長野の長年の取り組みはあるのですが、長野における農家の実態というのが今日的にどのようにとらえておられるのか。ある意味では、葉物でも産品を特化して農業後継者が引き継がれていくという姿は見えるのですが、そういうところと小規模のところが逆に言うと乖離していっているのではないのかななんて思うのですけれども、その辺の長野の実態はどうなっているのか、お聞きしておきたいと思います。
柳澤参考人 まず中国との競争という問題でいいますと、たまたま長野は高冷地という条件がございまして、中国の野菜をつくっている産地というのがいわゆる沿岸地帯に偏っておりますから、時期がたまたま競合しない。中国はまだインフラの整備がおくれていますから内陸部から余り出てこないということで、いわばまだ時間稼ぎをしている段階だというふうに私はとらえています。
 ですから、これから中国が、高速道路ができたりいろいろなことが整備されれば、長野と同じ条件のところで同じものができれば、きょう北海道さんが言われたような状態に長野の大規模産地も間もなく、すぐ陥る可能性がある、そういう危機感を持っております、今までのような政策ですと。
 それから、長野県においても、いわゆる野菜の専業的な農家が集まっている地帯では、漸減傾向ではありますがまだ生産が維持されていますけれども、市街化と言っていいのかどうかわかりませんが、それぞれ、長野にも平野がありますが、平らなところに位置する農協ではどんどん農業生産額が落ちておりまして、大体長野県は系統共販率が高いわけです、私どもの取り扱い金額も、いわゆる園芸作物は過去八年間ずっと前年を下回っております、毎年五%、八%ぐらいずつ。
 ですから、そういう中で、いわゆる三種の担い手というふうにこの間ある大学の先生から提言いただいたわけですが、元気な高齢者、女性それから土日兼業、こういう皆さんにどうやって農業、長野県でいえば農業といえば園芸作物ですが、園芸作物の生産に取り組んでいただくか。そういう支援の体制を農協なり行政としてどうつくるか。全部自分でやれといっても、そういう皆さんできませんから、一定のことをどこかでやらなきゃいかぬ、そういうことによって、私どもとしては長野の農業生産を伸ばしていきたいと思っております。
 いずれにしろ、先ほどからお話のあるように、基調の価格が極端に安い状態では、幾ら国産でわけありでつくっても、先ほど申し上げたようにせいぜい二割、三割しか高く売れませんので、やはり基調の価格というものが日本で生活できる範囲の価格になってもらわないと困るわけで、そこのところは国としてきちんと守るという姿勢がやはりどうしても必要じゃないかというふうに思っております。
菅野委員 もう一点、柳澤参考人にお聞きします。
 先ほどから議論になっていますけれども、基金の財政の造成の仕方の問題ですね、二、一、一とか一、一、一。そして、それで今回非常にカバー率が拡大していくというときに、地方自治体の財政不足の問題がネックになっていくという話をなされました。
 私は、このことが、それではこの法施行に当たってどう解決していくのかという道筋がないと、法律は改正しました、それでも不十分な対応に終わりましたとなりかねやしないと思うのですが、この克服課題、どのように考えておられるのか、お聞きしておきたいというふうに思っているのです。
柳澤参考人 これは国と地方自治体とのいろいろな税制の問題とか、いろいろな問題があると思うんですが、いずれにしろ、国の財政も大変なようですけれども、今の地方自治体の負担の割合では、いわゆるカバー率を上げて、また制度の中身を充実するということにはどうしてもなっていかない。私どもも、実はもっと契約数量をふやしたいんですが、長野県の財政状態が悪くて、遠慮しているというか、話し合いの中でそういう一定の限度に抑えているという実態でございます。
 ですから、何でもかんでも国にお願いすればいいというふうには思いませんが、やはりもうちょっと国と地方の負担割合というものを変えていただくような方向というものも一方では必要ではないかなと。どういうふうにあれするかは別としても、今のままではやはり限界が見えてしまうというふうに思っております。
菅野委員 わかりました。
 では次に、飯塚参考人にお聞きしたいと思うのですが、先ほど小売業者として契約取引の有効性を強調なされました。私もそういう意味では同調できるというふうに思っていますし、そのことを今後、流通経費を削減するという意味も含めて行っていかなければならないというふうに思っています。
 そういう意味では、先ほど山田委員の質問でもあったんですが、仕入れ高の一〇%と言っておられましたけれども、これをこれからも拡大していく方向で取り組まれると思うのですが、ここで、そうしたときに、今ある市場のあり方というものが一方では議論されないといけないのではないのかなというふうに思うんですね。これが一〇%、先ほど、契約取引で少なくなった部分は市場から入れる、そういう機能も市場では持っているというふうに思うんですが。私も地方の市場の流通なんかも見ていたときに、契約取引がどんどん小さな都市で進んでいくと、市場そのものが打撃を受けてしまって非常に厳しい状況に追い込まれていくという姿も見聞きしております。
 そういう意味では、国全体も同じ方向に行く可能性はあると思うのですけれども、市場のあり方について、小売業をなさっている方から見てどう考えておられるのか、お聞きしておきたいと思うのです。
飯塚参考人 今の御質問についてお答えしたいと思います。
 実は、私も十数年前は築地の市場、鮮魚関係、野菜関係の仕入れに行きまして、商品を仕入れて、またトラックに積んで店に持って帰って、加工して販売したという経験の中で、そのときも既にいろいろな疑問を持ってやっておったわけです。
 というのは、これは農産物の安定化に対して直接どうこうということかどうかわかりませんけれども、私、その当時、アメリカの流通市場、事情を見学に行ったときに、夜中にいわゆる市場が開場されて、もう既に、午前四時、五時ごろにはもう店に店着している。というのは、やはりとりたてのものをできるだけ早く店に届ける流通ができているわけですね。特にアメリカ大陸というのは端から端まで非常に広いですから、そういったことがなされているのかどうかわかりませんけれども。
 非常に、市場に対してのいわゆる交通規制の問題、それともう一つは、やはりもっと、いわゆる消費者に対して我々がいかにいいものを早く届けなきゃいけないかということが、市場制度があるためにそこで遮られているという点も多々あるわけでございます。
 最近は、特に連休が続きますと、多少買い置きしたりしておるわけですけれども、そういった面も含めますと、生産者、契約農家というのは、やはりそういうことも含めて、我々の立場になって、消費者の立場になってそういったものも考えてくれるということがございます。
 それともう一点は、市場というのは基本的に競りでございます。競りというのはどういうことかというと、できるだけ高く買わせようと。これは何でこういうことでしているんだろうか。ということは、やはりお客さんには、消費者にはできるだけいいものを安く安定供給させるということに対して、やはり高いものを、つり上げて買わせるという、これに対して、やはりその制度があったためにいろいろな問題も出てくるのではないかなということも含めて感じました。
 以上でございます。
菅野委員 わかりました。これからこの契約取引についても議論させていただきたいというふうに思っています。
 最後になりますが、基金の黒木参考人にお尋ねいたします。
 今度の法改正によって、新たな契約取引というものがスタートいたします。そこで先ほども、午前中、私もモラルハザードの問題について議論させていただきました。政府の答弁は、いろいろなそういうことが行われないようあらゆる手だてを講じるんだという、端的に言えばそういう答弁があるわけですけれども、基金として十分に対応できる体制に今あるのかどうかということが議論されなければならないというふうに私は思っているのですね。
 それと同時に、都道府県にある野菜価格安定法人の対応も、これは今回の法改正に伴って対応が十分とれるのかどうか、このことを黒木参考人はどのように考えておられるのか、この点、お聞きしておきたいというふうに思います。
黒木参考人 先ほども御指摘のあったところでございますけれども、私ども、人員は五十名でございますけれども、現在、この法律を成立させていただいたとすれば、当然年内の早い時期に施行でございますので、準備行為といたしまして、新しい課をこういうことで編成しようかということも頭に描きながら、いろいろな基礎的な勉強をさせておりますし、県の安定法人の方々とも、事実上、これは農水省の方も加わって、県庁も加わって、経済連も参加されてでございますけれども、そういった打ち合わせにも何回も出席をさせていただいているところでございます。
 何しろ新しい制度でございますので、発足をいたしますときに本当に仕事が山積しますし、その処理のために解決すべき課題も幾つもございますけれども、ここは本当に歯を食いしばってでも、県の法人、あるいは県庁、それから農業団体の方々ともいろいろな面でお打ち合わせし、それから流通段階にいらっしゃる方々にも、取引の結果を、こういうことであったということがはっきりわかるように、資料等も下さるように御協力をいただくということを含めまして、早急に体制を整えてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
菅野委員 体制をとることは大切なことだというふうに私は思うのです。
 ただ、この部分は、あくまでも民間取引であるということの限界性というものを、先ほどおっしゃられていましたけれども、そこがあるわけですね。そこをどうクリアしていくのかということが、私は、今回の制度発足に当たって非常に分岐点になるのじゃないのかなというふうに思っております。
 ややもすれば市場競争一辺倒の経済社会にしていくことによってすべてが解決するのじゃなくて、私は、やはりモラルという部分をどう確立していくのかの視点も、いろいろな方々が意見交換し合って形づくっていくことも一方では重要なことではないのかなというふうに思っていますから、ぜひその点での御努力をお願いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
鉢呂委員長 これにて菅野哲雄君の質疑は終了いたしました。
 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、一言御礼のごあいさつを参考人の皆さんにさせていただきます。
 きょうは、長時間であったと思いますけれども、貴重な御意見を拝聴させていただきまして、心から御礼を申し上げさせていただきます。
 あすもこの法案に対する審議が続行されます。きょうの農水委員の皆さん、皆さんの貴重な御意見をしっかり受けとめさせていただきましたので、この法案にしっかり反映をしていく、このように考えておりますので、またよろしくお願いを申し上げたい、このように考えます。
 きょうは本当にありがとうございました。(拍手)
 次回は、明二十五日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時五十一分散会


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