衆議院

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第8号 平成14年11月20日(水曜日)

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平成十四年十一月二十日(水曜日)
    午後一時一分開議
 出席委員
   委員長 小平 忠正君
   理事 稲葉 大和君 理事 金田 英行君
   理事 二田 孝治君 理事 松下 忠洋君
   理事 鮫島 宗明君 理事 楢崎 欣弥君
   理事 白保 台一君 理事 山田 正彦君
      青山  丘君    荒巻 隆三君
      石田 真敏君    岩倉 博文君
      岩崎 忠夫君    梶山 弘志君
      金子 恭之君    北村 誠吾君
      熊谷 市雄君    小泉 龍司君
      近藤 基彦君    七条  明君
      高木  毅君    西川 京子君
      川内 博史君    後藤  斎君
      佐藤謙一郎君    津川 祥吾君
      筒井 信隆君    鉢呂 吉雄君
      堀込 征雄君    山内  功君
      江田 康幸君    藤井 裕久君
      中林よし子君    松本 善明君
      菅野 哲雄君    山口わか子君
    …………………………………
   農林水産大臣       大島 理森君
   農林水産副大臣      北村 直人君
   農林水産大臣政務官    熊谷 市雄君
   政府参考人
   (総務省行政管理局長)  松田 隆利君
   政府参考人
   (厚生労働省医薬局食品保
   健部長)         尾嵜 新平君
   政府参考人
   (農林水産省大臣官房長) 田原 文夫君
   政府参考人
   (農林水産省総合食料局長
   )            西藤 久三君
   政府参考人
   (農林水産省経営局長)  川村秀三郎君
   政府参考人
   (林野庁長官)      加藤 鐵夫君
   農林水産委員会専門員   和田 一郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 農水産業協同組合貯金保険法及び農水産業協同組合の再生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六三号)


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     ――――◇―――――
小平委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、農水産業協同組合貯金保険法及び農水産業協同組合の再生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長田原文夫君、農林水産省総合食料局長西藤久三君、農林水産省経営局長川村秀三郎君、林野庁長官加藤鐵夫君、総務省行政管理局長松田隆利君及び厚生労働省医薬局食品保健部長尾嵜新平君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
小平委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鉢呂吉雄君。
鉢呂委員 民主党の鉢呂吉雄でございます。
 昨日の質問に引き続きまして、追加的に大臣の御答弁をお願いいたしたいと思います。
 昨日の質問で、山形県の無登録農薬販売事件の一連の経過、すなわち、農林水産省に昨年の八月に県の方から相談があったというその経過について、閉会中審査、今年の九月二十四日の農水委員会における遠藤副大臣の答弁はそれを踏まえた答弁ではないのではないかということに対して、大臣は、調査をしていますという御答弁でございましたので、その内容について御答弁をいただきたいと思います。
大島国務大臣 鉢呂委員にお断りしますが、少し長くなってよろしいですか。(鉢呂委員「簡潔に」と呼ぶ)簡潔といっても……。
 冒頭陳述を私は読みました。そして、それに基づいて、国の対応、そして評価みたいにして、きのうずっとやってみたのでございます。そういう状況の中で、平成二年以降、無登録農薬問題がこのような全国的な広がりを見せるに至った経緯、経過、そして農水省の対応について点検を行いました。
 簡潔にということでございますので、これを一つ一つちょっと申し上げようかと思ったんですが……(鉢呂委員「遠藤副大臣の御答弁が、去年の八月の農水省への連絡を踏まえた答弁だったかどうか、それだけでいいです」と呼ぶ)
 そのことにつきましては、遠藤副大臣のあのときの答弁は、私も拝見しましたが、後で遠藤副大臣はたしか修正されたのではなかったかと思いますけれども、あのときの答弁は、やはり事実と若干違っていたんじゃないか、このように思います。
鉢呂委員 後から修正されたというのは私は承知しておりませんで、遠藤副大臣の、この議事録に基づいて明確に申し上げれば、「結論から申し上げれば、冒頭委員がおっしゃったとおり、情報の連絡、通報、またそれに対応するそれぞれの関係部局のいわゆる横の連携というものはなく、既に御指摘のとおり、七カ月後に関係する部局に報告があり、」これは、県の衛生研究所からそのデータが所管の県の衛生課に上がったことを示しておると思います、「しかもそこから国に対する報告は全くなされていなかった」、これは去年のことであります、「といったことで経過した」わけであります。七月三十日、これは本年の「七月三十日に逮捕者が出た段階で、農水省としては、無登録農薬に関する情報を提供するとともに、情報の収集にも当たってきたわけであります。」という答弁がこの九月二十四日にされておるわけでありまして、この文面からいきますと、昨年の農水省への通報なり連絡というものは全く眼中に入っておらない、こう言わざるを得ません。
 その後、私も詳細を見させていただきました。農水省の担当者が山形県に出向いて、その報告の段階でそういった農水省への相談、連絡があったということの報告はされておりますけれども、これも、大臣、副大臣に連絡がなかったがゆえに、九月の二十四日の答弁もこのような形で答弁されておる。
 私は、国会という、国民の代表である正式の機関でこういった誤りの答弁さえも日本の官僚組織がさせるのかということで、大変ゆゆしく思うわけです。もちろん、一連の経過が、きのうも山田委員からもお話があったとおり、きちんと農水省が危機管理の認識でつかまえておれば、もっと早く迅速な手を昨年のうちから打てたのではないかということで、この問題は極めて大きいというふうに思いますから、なお精査をして、きちんとした対応をしていただきたい。これは国会に、結果的にうその発言を副大臣がした、情報が下から上がらずにこういった答弁をしたということになるわけでありますから、その点、大臣としてもきちんとした対応をしていただきたい、このように考えております。
 きょうは、そのことを踏まえて、貯金保険法の改正案について質問をさせていただきたいと思います。
 質問の順番を若干変えますけれども、農協のあり方研究会が大臣のもとに発足をしております。来月末までに農協のあり方を答申として出すというような方向でありますけれども、どのような視点で大臣はこの研究会、考えをまとめようとしておるのか。あるいはまた、次期国会で農協法の改正案というものを提出する考えなのかどうか。この二点に絞ってお答えいただきたいと思います。
大島国務大臣 鉢呂委員も、かつては農協の第一線におられて熟知しておられることだと思いますが、まず第一点は、農民のための農協に本当になってほしいというのが一つでございます。第二点は、農協というのは、やはり農村地域のコミュニティーのコアではないかと私は思うんです。したがって、農業者や地域に本当に愛される、そういう農協になってほしい、このように思います。そういう状況のあり方から、来月ではなくて、十四年度末までにその研究会の検討結果を私はいただくことになっております。
 今二つのことを申し上げましたが、さらに、農業者のためにということを言ったその中には、当然、今日置かれている農業のいわば新しい変化に対する対応、それは消費者というものを視点に置いた農業生産を行っていかないといけないということも含まれているわけでありまして、そういう意味で、食の安全、安心ということもございましょう。そして今、さまざまな指標を見てまいりますと、やはり本当に農業者のためということであれば、その生産資材のコストを下げて、本当に農家、農民のために農業経営をきちっとしたものにしていく、そういうふうなものを担ってほしいという思いもございます。
 さらに言えば、戦後、食料がない時代に、国の政治、地方の政治、政府とともに連携強化を図りながら、そういう国民の要請にこたえてきた。しかし、今日においてそこのあり方、つまり、農協と行政のあり方についても少し考えていかなければなるまい。
 そういうふうなことを考えながら、農協のあるべき姿を議論していただき、そしてまた、答申をいただいた上でなさなければならないことはしていかなければならぬと思っておりますが、来年の通常国会にそれに基づいて法律を出すかどうか、十四年度末のそういう議論の結果を踏まえながら考えてまいりたい、このように思っております。
鉢呂委員 今大臣おっしゃいましたように、農協というのは、まず第一に農家、生産者のために、また、今の新しい流れの中で、消費者あるいは地域コミューン、そういった話があったと思っております。
 ところで、農協の経済事業の一番の頂点に立つのは全農であります。私も、昨年の春に当委員会で全農の切り干し大根の偽装事件、輸入物を、宮崎経済連が国内のシェア率九〇%以上、その宮崎産にまぜて売るという、この農業者の生産者団体としては許しがたい偽装事件を行い、大臣から業務改善命令が当時出されたわけであります。そのちょうど一年後に、全農の子会社でありますけれども、全農チキン事件ということでまた同じような、まさに全く同じような事件を、これは刑事事件として摘発をされ、そして、大臣みずから業務改善命令を出す。今は三カ月ごとに農水大臣に報告をするという立場だというふうに思っております。
 そこで、私は今回、全農の全国本部、三カ年計画の方針を膨大に立てております。農水省から示された業務改善命令の中身も見させていただきました。しかし、本当にもう三たびそういうものが起きない、そういった厳粛な改革に乗り出しておるのか甚だ疑問な点が多々あるということで、私は一つの例として、全農の全国本部、全農は三十三の県の経済連を統合して巨大な商社になりました。
 その全国本部と地方本部というふうに分けておるようでありますけれども、全国本部の早期退職優遇制度というものを今回取りまとめて、来月の四日からこの退職制度に乗りかかろうとしておるのでありますけれども、一口に言いますと、まさに全国の農家の方が大変な状況であるにもかかわらず、全農の本部の職員の退職勧奨といいますか、早期退職を促すための制度がまさにもう今の時代では考えられないような、そういった制度になっておるのであります。
 端的に言いますと、四十五歳以上の退職を希望される方に現在の退職金の五割増しの退職金を加算し、五十四歳でありますと年収の三年分のものをさらにプラスをする。平均しますと、五十四歳で一千万から一千五百万の年収が全農の職員の平均的な年収なんだそうです。これ自体も極めて私は高額だと思いますけれども、退職の加算金だけで約四千五百万ぐらいになる。もともとの退職金を入れますと、七千万から九千万ぐらいになっている。しかも、退職を希望された方は全員再就職のあっせんをして、さらに、六カ月以内にその再就職先を退職した者は再々就職をあっせんする。今、どこの企業でも大企業も、銀行も最近は厳しいと思いますけれども、大変厳しい状態でやっておるにもかかわらず、このような退職優遇制度。
 私どもは、純粋の民間企業であれば一切こんなことは話す必要はありません。しかし、農水省の監督下に置かれた全農が、しかも業務改善命令で、どういった業務改善命令を皆さん出しておりますか。後ほどそこはお話をしたいと思いますけれども、そういった中でこのような早期退職優遇制度をとる。私は、事前に大臣の方にこの質問通告をしておりますから、一体これが今の時代で妥当なのか、このことの是非を大臣として所見をいただきたいと思います。
大島国務大臣 今の委員がおっしゃられた数字を伺いますと、ううんという感想を持ちました。一方、全農に対して、全農と経済連が統合して二段階制を行うために徹底した合理化、これをやらなければならないということもあると思います。
 私どもとして、監督下にある、こう言われますが、そこの給与のあり方、また今お話しされたそういう早期勧奨におけるあり方は、基本的には労使の関係において決まるものと思いますが、感想として言えば、大変な金額だなという感想は持ちます。
鉢呂委員 この早期退職制度、二千六百五十八名が今の現行要員のうち、百名これに該当をさせるということでこの制度をつくっておるようでありますけれども、本当に繰り返し皆さんのこの業務改善命令の指摘も、生産者のための全農、消費者や生産者を全農や子会社の経営に参画をさせて透明性確保なり全農の中身を消費者や生産者のためにするようにということで、繰り返しこの業務改善命令はなっております。
 しかし、このような今の日本にはあり得ないような早期退職制度を創設する。全農の透明性といいますか、いわゆる生産者によって成り立っておるこの組織が、生産者は本当にもう、年所得二、三百万か四、五百万、北海道の専業農家でも五、六百万所得があれば最高の部類の今の状況の中で、こんなことが許されている。
 先ほど大臣は、経済事業のいわゆる肥料とか農薬の価格の低減ということについても言及されたと思うのであります。私は、きょうの主題は、金融機関、信用事業とかあるいは共済事業は二段階というのは、私は、他業種が、他の金融機関があるだけに、これは必要性もあると思います。しかし、事全農の所管とする、農産物を販売し、農業生産資材を購買するというこの事業は、まさに独占、寡占、そういった方向になりがちであります。競争というものは、どんなに注意をしても、なかなかそうはならない。
 長野経済連を含めて、優良な経済連も含めて三十三ももう既に全農の配下に入れてしまって、本当に産地間競争をしなければならない農産物の段階でも競争が働かない、残っているのはもう北海道のホクレンぐらいしかないというような状況で、本当に真の消費者に向けての産地間競争ができるのか、あるいはこういった生産資材の低減に向けてやっていけるのか、私は甚だ疑問です。
 しかも、こういった内部において高コストの体制が色濃く残っておる。この十二月四日から、私の情報ではこういった情報でありますから、こういったものは、九十四条なり九十三条に基づいて、今は農水省の、皆さんの監督下にあるんです。二回も大きな事件を起こして、それがこういった農家と全く離れたような制度を発足させるということであれば、大臣、これはきちっと監督をして、取りやめさせるのであれば取りやめさせるような命令を下すなり、そういったことが必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。
大島国務大臣 監督下というお話がございましたが、そのことはいいとか悪いとかという評価は別にして、給与のあり方あるいは早期勧奨退職に対する手当のあり方、これは労使の間での話し合いが基本にあると思いますので、そこまで私どもの監督下にあるかどうか、いささか疑問ではあります。
 ただ、今るる委員がお話しされた、農協組織というのは一体だれのためにあるのかということの基本から、まさに研究会等々で、私ども、問題意識として明確に申し上げておりますし、いわば統一されたメリットがまだ生かされていない、そういうふうな状況下であるわけでありまして、Eコマースとかさまざまな流通体系ができているときに、みずからが改革しないと逆にそれは衰退につながっていくよ、このぐらいのことも私は申し上げております。
 したがって、そういうふうな、非常にある意味では鉢呂委員と問題意識としては重ね絵のようになる部分もかなりあると私は思っております、私の意識の中には。そういう観点から、しっかりと議論をし、そして農協改革の推進に向かってまいるように努力してまいりたい、こう思っております。
鉢呂委員 例えば、全農の前会長は、ことしの春が任期末ということでそれまで務めてという形でしたけれども、これは相当の批判があって、この前に引責辞任したと思っております。しかし、退職慰労金等についてはどうであったのか、あるいは、いわゆる農業団体のさまざまな役員というのはどういった役員報酬の構造になっておるのか。やはりこれはその組織の自主性といいながら、この農水省の改善命令の文面づらは非常に厳しい、一々読み上げてもいいですけれども、そこまで言及して指摘をしております。
 私も昨年二月に、切り干し大根については思い切って質問をして、それが契機なんです。しかし残念ながら、一年間、全く同じような業務改善命令を出さざるを得なかったような事件が続けて起きたわけでありますから、農水省としても監督責任がある。農協法の九十四条には、報告命令をするだけではなくて検査に入る権限も農水省は有しておるわけでありますから、きちっと、余りにも内部が変わらなさ過ぎる。
 私は、全農のこの改善計画も見させていただきましたけれども、字面はいろいろありますけれども、はっきり言って、変わるような感じは見えておりません。こういった早期退職制度をつくるということ自体、危機感が足らなさ過ぎる。そのぐらいのものがあるのであれば、もっと農業者、農家あるいは単位農協にどういった還元をすべきか、そういう問題意識に当然到達すべき問題だと思いますから、大臣としてきちんと、これは大臣の指導性でやっていただきたいと思います。
 それから、もう一つの問題であります。
 これは貯金保険法に直接関係がありますけれども、岡山県の大原農協が、組合長らによる不正資金の流用で、貯金残高が七十一億円と非常に小さい農協でありながら、五十二億円の使途不明金を出しておる、消費者金融等に貸し付けをして。しかも、昨年以来、県の業務改善指導があったにもかかわらず何らこれに対応せず、検査にも入らせないということで、ようやくこの七月に業務改善命令を出して確認検査を行うという形でこの大原農協の問題が勃発したわけであります。
 この状況について、大臣として把握している限りで御報告を願いたいと思います。
大島国務大臣 正確を期しますので、少しお話しさせていただきます。
 JA大原町は、平成十二年に就任した前組合長が本年七月、八月、三回にわたり岡山県の検査を拒否するなどの問題があったことから、岡山県が報告徴求命令、検査受け入れ命令、業務改善命令等を逐次発し、強力に対処してきたところであります。
 その過程で、種々の法令に違反する資金運用があり、前組合長の組合運営の私物化が判明する一方、組合の資産状況が明確にならず、このままの経営体制を放置すれば、組合員に著しい不利益を与え、貯払い停止に至るおそれがあることから、岡山県が十一月一日に公的管理命令を発出したものであります。
 既に貯金保険機構、弁護士等の公的管理人のもとで資産の精査が始まっており、また貯金等については、近隣のJA勝英がその受け入れを決定いたしました。これは十一月二日でございます。
 資産精査が完了しないと最終的な資金援助の要否はわかりませんが、必要がある場合には、貯金保険機構の資金援助だけでなく、JAバンク法に基づく農協系統の自主的な積立制度から適切な支援が行われることになります。
 農林中金、信連、農協の総合力を結集して健全な農協金融を確保するためのJAバンクシステムが確立する中で、本件のような事例が発生したことは極めて遺憾でございます。本件についても、検査拒否以来、岡山県と連携をとり、早期是正を旨として対処してきたところであり、私物化した前組合長排除のために公的管理命令を早期に発動したものであります。
 今回の公的管理命令を機に、農協金融につきましては、問題農協の早期発見、早期是正を基本とする指導監督を一層強化し、健全な農協金融システムの確立、維持に努めてまいりたい、このように思っておりまして、改めて、極めて遺憾でありまして、まさにこれは例外中の例外の事例かな、このように思っております。
鉢呂委員 昨年の七月の粉飾決算の疑いから今日まで、農水省としてどういった対応をしてきたのか。
 今大臣も話されたとおり、JAのバンクシステム、これは、私ども、信用事業改革二法案で本年一月から施行されたわけでありますけれども、このJAバンクシステムの監督的権限を担っておる全農の岡山県の支所長が、今回の不正流用については全く知らなかったというふうに述べておりまして、なぜこのJAバンクシステム、農林中金を頂点としてこのような不祥事を出さないという、そういったシステムが機能しなかったのか。
 あるいは、今大臣は、例外中の例外、このように皆さんも各県の通達に出しておりますけれども、私は、必ずしも例外中の例外ではないのではないかと。このような地域ボスのトップがこういった公的な農協の資産を法に違反をして流用するということは、必ずしも例外中の例外というものではないと思います。もちろん、検査まで拒否をするというようなのは例外中の例外といっても、こういう事例は全くあり得ないことではない。
 これに対して、これほど疑いを持ちながら、適切な検査命令をするまで一年も要するというような今の検査システムは問題ありというふうに考えるわけでありますけれども、大臣として、このJAバンクの検査システム、あるいはこういったトップの異常な行動によって大変な被害になるということに対して、その打開策といいますか、方向として何があるのか、御答弁を願いたいと思います。
大島国務大臣 私は、この事件の報告を受けながら、つくづくに農協の存在というものが、民主的な組合という中で選挙で選ばれて、そこに理事もおられてということを考えますと、まず、どんな農協も、理事機能あるいは組織の中での機能、それぞれが高い自覚を持って運営しないといけないのではないか、このように思います。
 したがって、先ほど来申し上げましたように、農協の改革、もちろん全農のあり方も今問われました、そしてそれぞれの総合農協、いわば単協あるいは県の段階それぞれに、この農協はだれのために、何のためにあるのか、そして、そこに理事はどういう役割を果たすのか、監事はどういう役割を果たすのか、まず、そういうことをしっかりしながらも、しかし、一応、農協金融、こういう問題に不祥事があってはならないわけでございまして、今委員がお話しされたことに答えようとするならば、JAバンクシステムの確立、問題農協の解消を強力に我々としても進めてきているわけでございます。
 したがって、そういう観点から、一層この事例を、集まってもらいまして、住専というあのつらい思いを乗り越えてきたこともあるわけでございますので、いま一度、金融を扱うあり方、そういうものをこの間指導いたしましたが、絶えず絶えずそういうふうな警告を発しながらやっていくことが私どもの基本ではないかな、こう思っております。
鉢呂委員 私は、農水省の行政としての対応を聞いておるわけでありますけれども、農業協同組合法の九十三条には、こういった疑いのあるときには速やかに報告を農水省は求めることができます。そして同時に、先ほど私言いましたけれども、九十四条で、農水省みずから、規程に違反する疑いがあるときはいつでも検査ができる、こういうふうに九十四条にあります。そして、九十五条は、例えば信用事業規程に定めた重要な事項に違反した場合は、その承認を取り消すことができると。こういった法に基づくきちっとした行政庁としての役割を果たすべきである。
 これについてはどうですか、大臣。
大島国務大臣 これも御承知の上で私にお尋ねしていると思いますが、もちろん総合農協の単協そのものは県がそういうふうな役割を担うことになっておりますけれども、だからといって国が何もしなくていいということではないと思っております。
 私どもも、県とよく相談しながら、直接私どもにさまざまな情報が来た場合にはそのことをまた県に報告し、しっかりとそういうことに対して発して、そして、ともに不祥事が起こらないように努力をしていくということが大事だと思っております。
鉢呂委員 大臣の肉声がなかなか最近聞こえない状況でありまして、今、政府と与党では補正予算の編成に向けていろいろな動きが新聞報道でなされておるわけであります。
 その中で、補正予算を組むにしても公共事業を組むにしても、いわゆる都市再生公共事業というものであれば小泉さんの年来の主張と違わないだろうとか、何兆円にするとか、そういう話がまことしやかに聞こえるのでありますけれども、果たして日本経済にとって、農山漁村というのは一体どういう経済状況にあるのか。
 この点について、大臣、時間がありませんので、大臣の方の御意見を聞かせていただきたいと思います。
大島国務大臣 私は、農山漁村は日本全体の宝だ、このように思っております。したがいまして、今度の補正の議論、これは、顔が見えないよ、こう言われますが、私なりに、閣議の後、党とさまざまな形で、やるとするならば、環境と地域の活性化、そういう問題もしっかり踏まえてほしいという思いは絶えず申し上げております。
鉢呂委員 なかなかそういうふうには新聞報道は取り上げないせいもありますけれども。
 もう一つ、農山漁村はむしろ、日本の経済からはそういった面では置き去りの感が非常に深いのでありまして、それによって、小泉さんが支持があれば与党の選挙も楽だというたぐいで、皆さんもその陰に隠れてというような形であっては責任が果たせないというふうに私は思います。むしろ、私の実感でも、農村は本当に大変な状況です。やはり中国等からの農産物が、大変な大きな価格低減で、疲弊しています。もちろん都会の景気も一向に高まらないということで、昔と違ってそれが食品の価格にももろに影響を与えるという状況です。
 雇用問題についても、公共事業にこの間偏ってきた関係上、農業生産者も含めて大変な悪化の状況であります。私は、従来型の公共事業をそのまま踏襲すればいいというものではありません、あるいは失業者救済事業のような形のものをすべきだとは思っておりません。しかし、日本経済全体の中で、デフレを脱却するために何をなすべきかといった場合に、農山村でやるべきそういった質の高い、将来を踏まえた公共事業というものは、やはりあるのではないか、そこのアピールが農林水産省には足らな過ぎるというふうにも思うわけであります。
 そういった観点から、私はやはり、この臨時国会、消化試合だと言われていますけれども、十二月十三日まで、本当の、補正予算をなし遂げるぐらいの大臣の意気込みがなければならないし、そういった意見具申があってしかるべきだというふうに思いますけれども、もう一度その辺の決意を聞かせていただきます。
大島国務大臣 まだ具体的に補正予算の柱をこうしよう、そういうふうな総理からの御指示はございません。だからこそ、私どもは、今のデフレ対策を行うならば、政府・与党でつくったデフレ対策の中にも地方の活性化という視点があり、また環境という視点も大事なわけでございますから、そういう視点に立って全力を尽くしていかなければなりませんし、今鉢呂委員がお話をされたような視点をぜひ民主党の中でも持っていただき、また御支援いただければと思います。
鉢呂委員 時間がありませんので。
 そういう観点からいって、今回、預金保険法との横並びでこの法案が提出をされておるわけであります。私は、大臣と住専問題にいろいろかかわってきた間柄だけに、こういった横並びで、二年延長とか決済型の預金を永続的にというような形が果たして、いわゆる金融機関の自立といいますか、そういったことからいっていいのかどうか、疑問に思います。
 あの六千八百五十億という住専の処理、私は、国民世論から大変な批判を受けました、野党からももちろんそうだったと思います。しかし、あのとき素早くやることによって、二次損失も出ない形で今この処理が進んでおるわけでありまして、最小の費用である面ではやれたのではないか。
 平成八年から十四年ですからもう六年たったわけでありますけれども、その後の他の金融機関の不良債権処理に、世論の批判もあって、旧大蔵省も非常に勇気を持ってこれを出すということをおろそかにした、そのツケが今も回っておる。
 しかし、農協系統については、県信連のあの不良債権処理によって、今は体制としては非常に、財務内容、不良債権の中身も、他の銀行に比べてもよくなっておるわけであります。
 ちなみに数字を挙げますと、リスク管理債権の割合は、貸出金に占める割合ですけれども、農協系統が五・一%、全国銀行が八・九%、信金、信組が一〇・四%ですから、その不良債権の率は極めて低い。もちろん、いわゆる自己資本比率は、ようやく四%クリアという無理な状況はあろうと思いますけれども、私は、そういう中で、護送船団方式に横並びでペイオフ継続ということが果たしていいのかどうか、なぜ農協系統のこの貯金保険法を横並びにするのか、そこが明確でありません。
 ほかがやったからこちらもやる、そのことによって貯金者は一定の安心感を得るわけでありますけれども、しかし同時に、やはり独自の金融機関としてのその信頼性というものを逆に損なう。消費者や貯金者に内容をきちっと、透明性を確保するといった点からいってもやはり誤りを持たせるというふうに思いますけれども、今回、こういう法案を出した意図について、大臣の御答弁をいただきたいと思います。
大島国務大臣 住専処理のときのお話がございましたが、ともにあのときは、つらい中に苦しみを乗り越えてやったことをふと今思い出しております。その当時は同志であったような気がしますが。
 金融システム、あのときもそうでございましたが、住専にあのときなぜ七千億のお金を入れなければならぬかというと、住専、つまり農協系統の金融機関のためだけの話ではなくて、そこが破綻していくと全体の金融機関の信頼にそれが波及していく。つまり、金融機関という意味では、系統金融であろうがあるいは市中銀行であろうがという意味では、やはり金融機能、信用機能というのは同じだ。そのときに、今の制度を改正するときに、系統資金だけ別に行うということになりますと、やはりそこにはさまざまな、逆に金融機関の信頼とかアンバランスとかというものが起こり得るのではないか、やはり系統金融も日本全体の動脈であり、そういう意味で同一にやっていくというのが簡単に言えば趣旨の一つでございます。
鉢呂委員 時間がなくなりましたから、もう一点だけで終わりますけれども、大島大臣は、私は、この非常に厳しい今の農林水産行政を切り開いていただけるものと確信をしております。
 ただ、この間の状況を見ますと、大臣の個人的な問題に追われておる感がありまして、これはやはりその解明というものを、自分の身内の秘書だけではなくて、相手側、関係者、そこにきちっと調査をする、やはりそのことによってこれを迅速に振り払う、ひょっとしたら振り払えないかもわかりませんけれども、振り払うことによってやはり再起を期すべきではないか。まあ再起という言い方はちょっとおかしいですけれども。
 そういう中で、私は、大変厳しい農林水産行政ですから、従来の国対政治型の、根回しをして、いろいろ待つ政治ではなくて、やはり大臣みずから切り込んでいく、国民にもアピールする、そういう政治をぜひ目指していただきたい。
 そういう中で、武部前農水大臣を私は委員長席でずっと見ていましたけれども、彼は本当にその点は、多弁でしたけれども、勇気を持って臨んでおったのではないか、私はそういうふうに思います。武部前大臣は、農林水産省と自民党、与党と全中等の農業団体、この三者会議と言われておるものについて、私は、きっちり緊張感を持って対応していたような気がします。
 今回、大島大臣になって、農業団体との協調という点がそれこそ強調されておるのではないか。むしろ、やはりこの原点に立って、何をなすべきか。先ほどの全農問題もしかりであります。もっと、この農水省の大変な状況、農水省というよりも農林水産のこの業が大変な状況で、どう切り開いていくのか。やはりある面では農業団体に緊張感を持って当たるべきだし、下手なこういう三者会議というような方向に持っていくことは必ずしもよしとしません。
 私は、農業関係の新聞で、MA米についての、大臣の最後の出番、三者で協議をするようなやり方、あるいは米政策についてもそういったものの復活の兆しさえ見られるわけでありまして、繰り返しますけれども、もっとその点についての緊張感を持って、あるべき二十一世紀の農業というものを目指す大臣の指導性を発揮していただきたい、こういうふうに思いまして、これに対する御所見を最後にいただければありがたいと思います。
大島国務大臣 私は、武部前大臣のように言葉はなかなか多弁ではございませんが、今次まで十九年間、二回の大臣をやらせていただきました。そして、国対委員長もやらせていただきました。政治の責任は結果だと思っております。言葉ではなくて結果だと思っております。米の問題、WTOの問題、そういう中にあって、この委員会での議論も踏まえ、なさなければならないことは、物も言い、結果を出したい、そういう勇気を持って事に当たりたい、こう思っております。
鉢呂委員 終わります。
小平委員長 次に、後藤斎君。
後藤(斎)委員 きょうの二法に入る前に、幾つか大臣に御所見をお尋ねしたいと思います。
 大臣が農林水産大臣に就任をされた際に、当委員会で大臣は、小泉内閣の一員として「農林水産分野の構造改革をなし遂げ、二十一世紀のしっかりとした農林水産業の姿をつくるため、政策の前進に全力を尽くしてまいる決意であります」というふうに述べられております。さらに、その所信の中で「食料・農業・農村基本法に基礎を置きつつ、食と農に対する国民の信頼の確立に向けて、」食と農の再生プラン、「この着実な進展を基本として政策の展開を図ってまいります。」というふうに述べられております。まず、この点についてお尋ねをしたいと思います。
 前大臣の武部大臣の最後の御質問を、九月二十四日に当委員会でさせていただきました。その際に、私は、去年のBSEの発生以来何度となく前大臣と議論をさせていただき、その中で、食料・農業・農村基本法、これも含めて、私は、食と農の再生というこの基本法にプラスアルファの理念、食の安全というものをきちっと入れ込んだ法律改正をすべきだという話もしてまいりました。ただ、私は、まだまだその議論が農水省の中で十二分にされていないような感じがいたします。
 まず、大臣、その点につきまして、私は、基本法も含めて、抜本的に制度を国民の目に明らかにする、これは農水省のプランということでなくて、食の安全というものを基本的に続けるべきだというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。
大島国務大臣 後藤委員からの問題提起というのは、先般、民主党の皆さんも賛成してできた新しい農業基本法、そこに食の安全というものをもっと明確に位置づけるべきではないか、こういうふうな問題提起だと思います。新しい農業の基本法の中に概念的に私はその問題は入っておると思います。
 しかし、食の安全という問題について、このBSEという大変苦しいきつい問題を乗り越えた結果として、私どもは来年の通常国会に、食品安全委員会、さらにまた私どもの省内でのリスク管理をする部局を立ち上げる、そういうふうなことによって、国民の皆さんに食の安全に対する姿勢を、政治の成果をきちっと見せていくという段階ではないかな、こう思っておりますし、問題意識としては非常に大きな柱であるという問題意識は同じだと思います。
後藤(斎)委員 その中で、平成十五年度の概算要求、八月中に取りまとめをされております。その中で、これも前大臣とも御議論をさせていただいた点でありますが、今も大臣が最後に触れられました、農水省の組織も今見直しをしているんだというお話がございました。まさに国民の目から見て、そして行政というのはこれからどんな方向に行くかというのは、ある意味では組織体制をどうするかというところに私は関連をしているのではないかなというふうに思っています。
 その際の組織・定員要求の概要にも、食と農の再生プランに基づき、消費者に軸足を移した農林水産行政への転換を図るため、改革再編を行うんだという理念を高らかにうたわれております。ただ、それ以降の動きがほとんど私たちには正直言って見えません。リスク管理の強化に伴って、食品表示の監視等に必要な定員増を食糧庁定員の振りかえで行うほか、動植物検疫の担当官の増員云々という事項がございます。それも含めて、この委員会でも先ほども御指摘したように、BSEの発生以来、本当にきちっと水際で対応していくのかどうか、その姿勢が見えない。きょうは厚生労働省にも来ていただいておりますが、厚生労働省も大変少ない人数で食品の水際の管理をしている、農水省にしてもしかりであります。
 ですから、私は、この辺をもっとわかりやすくきちっと示していただきながら、やはり先ほど大臣が、政治家として結果を出すことが重要なんだというお話を鉢呂委員の最後の質問でなさいました。この食の安全というものを、国民の皆さんにもう一度信頼を得るには、まさに行政だけの部分ではなく国会も含めて対応していかなければいけないというのは、私は原点だと思いますし、それが見えないという中で今現状どんな状況になっているのか、お尋ねをしたいと思います。
大島国務大臣 まず、私どもの組織要求をお話ししながら、そしてちょっとお話ししたいと思います。
 まず、食品安全委員会の設置については、もう内閣府の中につくるということは御承知いただいたと思います。そういうことの中で、私どもとして、リスクの管理部門を産業振興部門から独立させたい、こう思っております。そして、そういう組織要求をさせていただいております。消費者行政とリスク管理を担う新局、仮称でございますが、消費・安全局を新設するよう、今これからの予算編成の中で全力を尽くしてまいりたい、こう思っております。
 さらに、委員お話ありましたように、全体的に農水省として、食の安全と安心というものを体系的に国民にわかりやすくするために考えるべきではないか、そのとおりだと思います。そこで、北村副大臣をキャップにしまして、食の安全・安心のための政策推進本部を立ち上がらせました。そこでこういうふうなことをやっていますし、やろうと思いますということを体系的に国民の皆さん、消費者、そしてもっと多くの国民の皆さんにわかるような、ばらばらばらばらではなくて体系的なそういう大綱をつくる努力をさせたいと思っております。そういうことをしながら、今委員の御指摘に全力を尽くしてまいりたい、こう思っております。
後藤(斎)委員 私は前委員会でも提言をさせていただきましたが、今大臣がお答えになっていただいた、新たにリスク管理をメーンに扱う生産部門から独立した消費・安全局を設置する予定になっております。私は、この消費・安全局だけではなかなか、農水省は本当に食の安全行政に軸足を移したな、消費者行政に軸足を移したなというふうには見えないんです。これは武部大臣の最後のときにも何度も議論をして、遠藤副大臣が引き取っていただいた部分もあるんですが、やはり大臣、きのうの農薬の問題も生産局であります。ですから、さっき大臣が体系的にとおっしゃっている意味はその部分を含めたということであればいいんですが、そこがやはり見えない。
 そして一方で、きょうは総務省にも来ていただいておりますが、定員という問題で総務省の行政管理局ですかにいろいろお話し合いをするというのが政府の手続の部分であることは十分承知をしております。六月の十一日に、ようやくBSEの最終報告を踏まえて、閣僚懇を開いて、高らかに、先ほど大臣が仮称食品安全委員会、基本法の設置ということをうたわれました。それも今どういうふうになっているのか、正直言ってよく見えない。見えないだらけの中で、手探りで、行政だけがそれを先行するというのは、大臣が先ほど御答弁をいただいたように、これは本当に正しいやり方かなというふうに思うんです。
 ですから、私は、その辺の消費・安全局の、一つの局の問題だけではなく、もっと農林水産行政、組織全体が消費者にということであれば、そこにもっときちっと視点を置いた、全体の枠組みをもう一回つくり直すくらい、うわさでは省の名前も変えるくらいだというふうに昨年は当委員会でもいろいろな御議論が出ましたが、一年たつと何か静かになって、そのまま農林水産省、名前も存続しながら、消費・安全局だけつくっておしまいかなというふうな、正直言ってやゆする方もいらっしゃることも事実だと思うんです。
 ですから、私は、この組織の問題というのは職員だけの問題ではなくて、やはり国民から見てきちっと農林水産行政、農林水産省、これから名前が変わるかもしれませんが、ちゃんとやっているんだなという、やはり信頼を得るような努力をもっともっとしていただく必要がある。そのためには、いろいろな大きな定員の振りかえ、組織の見直しというものは大胆果敢にやらないと、大臣、これ一つだけ、食糧庁が消費・安全局に変わるだけで、あとは全部名前も内容もほとんど同じだということであれば、しゃれにならないと思うんですよね。その点、どうでしょうか。
大島国務大臣 政策全体の中に消費者というものを念頭に置いた政策体系にしていかなければならない、また一方、名前を変えたから、それで国民に一見わかりやすいけれども、それでよしとするものでもないと思います。政策というのは、実行する段階において地道に努力して、その上で信頼をいただかなければならないこともあると思います。
 しかし、私ども役所として、大臣として必要なことは、考えられる手だてを、予算を獲得し、政策を立て、そして皆さんに御議論いただいて実行していくということだと思います。ですから、今、さまざまなことを考え、皆さんに御議論いただいておりますが、まずそれを一つずつやっていく。消費・安全局みたいなものをつくったから、それができたから消費者を向いているんだというんじゃなくて、生産政策の中にもそういう視点を入れていかなければいかぬし、流通全体の中にもそういう視点を入れていかなければいかぬし、先ほど来農協の話がありました、農協自体もそういう視点を持ってもらわなければいかぬ。そういうふうなことをしっかりとやっていくことが一番大事だ、このように思います。
後藤(斎)委員 そうはいっても大臣、時間は大変限られていると思います。十二月の政府原案を、十五年度をつくる際には、組織・定員要求というのはかなり煮詰めなければいけない。その中で農水省としては今どんな検討状況なのか、簡潔に御答弁をお願いします。
田原政府参考人 お答えいたします。
 八月の時点におきましては、我々は査定省に対しまして組織要求というのをさせてもらっておりまして、この概要につきましては、先ほど大臣からお答えいたしましたとおりでございます。現在、この査定要求書に基づきますいろいろな説明ということで、必要な理由の説明、これはいろいろなレベルにおいて行っております。
 査定省庁ということになりますと、当然のことながら、総務省の行政管理局のほか、財務省の主計局、かようになるわけでございまして、年末の予算査定時に向けまして、まあ同時ということになろうかと思いますけれども、私どもがこうした国民にわかりやすい組織にまず変えていく、その中には、当然のことながら組織の焼け太りという点も避ける必要があるということでの必要なスクラップ・アンド・ビルドという形で盛り込んでおりますけれども、こういった点につきまして査定省の御理解がいただけるようにということで、今一生懸命その説明の中身を続けさせてもらっている、かような段階でございます。
後藤(斎)委員 食の安全に関する閣僚懇の中では、食品安全委員会の内閣府への設置と同時に、農水省そして厚生労働省の組織の見直しにも触れられております。厚生労働省は、今どんな形で御検討なさっているのでしょうか。
尾嵜政府参考人 厚生労働省の食品関係の組織再編と申しますか、組織要求につきましては、既に対外的にも公表させていただいておりますけれども、一つは、今、医薬局の中に食品保健部というのがございます。そこを、明確に食品を所管する局ということで、仮称でございますけれども、医薬食品局、また、部の方も食品安全部ということで、食品の安全確保のためのリスク管理を担うということを明確にしたいということが一つございます。
 同時に、新たな組織・定員の関係としましては、食品、医薬品の安全確保に関係します重要事項の対応に当たるための参事官を要求いたしておりますし、新たな室、あるいはそういったものも含めました定員の増の要求をさせていただいておるという状況でございます。
後藤(斎)委員 その関係で総務省にお尋ねをしたいと思います。
 先ほどお話を農水大臣からいただいておりますし、関係閣僚懇のスタートの時点で総理からも指示があったと思いますが、総務省として、この食の安全という組織に対する御認識と、そして農水省の今お話し合いをされている、どんな話をされているのか、お尋ねをしたいと思います。
松田政府参考人 お答え申し上げます。
 来年度の機構・定員の要求に関しましては、この八月の七日に概算要求方針が定められておりますが、その中で、負担に値する質の高い小さな政府を実現する、そういう考え方のもとに、時代の要請に即応して行政の役割を見直していくとか、簡素にして効率的な行政の実現を図る、そういう基本方針で今審査を行っているところでございます。
 お尋ねのBSEに関連します農林水産省あるいは厚生労働省の組織改編の要求でございますが、これらにつきましては、閣僚会議の御決定がございます。その中で、食品安全委員会の新設にあわせまして、「消費者保護や食品の安全性の確保の観点から、リスク管理部門の産業振興部門からの分離・強化を行う等所要のリスク管理体制の見直しを図る。」という決定があるわけでございます。
 そういう決定に基づきまして、現在、この両省の要求が簡素にして効率的なものとなっているかどうか、それから、この決定にもございますように、スクラップ・アンド・ビルドで対応していくという方針になっているところでございまして、そういう方針に沿っているかどうか、今厳正に審査をさせていただいているところでございます。
 いずれにしましても、農林水産省あるいは厚生労働省のお話を十分伺いながら、予算編成過程に向けて詰めを行ってまいりたいと考えております。
後藤(斎)委員 もう一度、総務省にお尋ねをしたいと思います。
 検討なさるもう一つの視点で、食の安全行政、先ほども大臣にお話をしましたが、今、一年前に比べれば、消費者の方も含めて大変静かになったような感じもしますが、その必要性というものは、その検討をする際に、配慮という言葉が適切かどうかわかりませんが、その部分を含めて御検討なさる用意はあるのでしょうか。
松田政府参考人 お答え申し上げます。
 繰り返しになるかも存じませんが、先ほども申し上げましたように、時代の要請に即応して行政の役割を見直すということで、まさにこのBSEに関連しまして、食の安全に絡む機構の問題があるわけでございます。
 そういう認識のもとで、同時に、行政全体として肥大化を避けていく。そして、負担に値する質の高い小さな政府というスローガンになっておりますが、簡素にして効率的な行政組織にしていく等々の観点から、今審査をさせていただいているということでございます。
後藤(斎)委員 大臣、今の事務当局のお話をお聞きして、最後は大臣が、総務大臣や財務大臣を含めて、きちっとこの関係閣僚懇の中で議論する必要性があると私は思うのです。
 やはり、これだけいろいろな部分、きのうの農薬取締法の中でも、検査体制は本当に十分なのかどうか。JAS法の改正の際にも、本当にそういう監視体制が十分なのか。それも含めて、これから定員要求、農水省の方では細かな部分は公表されていませんからよくわかりませんが、やはり大臣や副大臣が政治的なリーダーシップの中で最後は本当に必要だということで、私はやっていただく必要があると思うのです。
 そうでなければ、確かにスクラップ・アンド・ビルド、行政の効率性を、それはわかりますが、効率性とかでやってきた今までの農業政策が間違っていたということが昨年来の議論の中で出て、それに基づいて、ちょうどこの九月のパンフレットの中にも、食の安全と安心というものは、構造改革、都市と農の共生、対流よりも中心に書かれて、そして四月の食と農の再生プランが出ているわけですよね。そういう点も含めて、大臣、ぜひ私は、最後は政治的なリーダーシップを含めてやっていただく必要があると思うのですが、いかがでしょうか。
大島国務大臣 委員はかつて我が省におられましたから、行政のシステムというのをよく御承知で、今の委員の質問はむしろ叱咤激励、また、けっぱれと、おまえのリーダーシップで頑張れ、そうやらなければけしからぬぞ、そういうふうな気持ちを込めての質問ではなかったかと思います。全力を尽くしてやります。
 そしてもう一つ大事なことは、私の自省も含めて言いますと、とかく沸騰した問題は、そのときはわっとなりますが、持続しないことがいささか多いなという反省も、私、十九年の政治家としてあります。食の安全というのは二十一世紀の日本の農林水産政策の中の一つの大きな柱である、むしろ基本であるということを、私どもは持続してそういう認識で全体の政策に取り組む、これを徹底させることが最もの基本である、このように思っております。
後藤(斎)委員 副大臣、十八日、一昨日ですね、食の安全・安心のための政策推進本部、先ほど大臣も触れられましたが、設置をされています。本部長は副大臣であります。その中で、私はぜひ、先ほど大臣と御議論をさせていただいた組織と制度の体制整備、それだけではなく、そういう内向きももちろん、まあ組織というか農林省の中のことも必要ですが、やはり財務省、総務省も含めたそういう折衝。
 そして、大臣が最後にお答えをいただいたように、私は、何か一回火がつくとそのときには燃えているけれども、すっといく。でも、必要性はあるし、まさにトレーサビリティーもということを、一昨日のこの本部のいろいろな流れの中で、食の安全に関するトレーサビリティーをやっていくというふうなこともあります。きょうの新聞の中には、既に民間の業者が、コンピューターのシステムを使って生産履歴の追跡調査をする仕組みもつくったということもあります。中だけで議論をする、それも必要ですが、もっと外に向かっても、いろいろな仕組みをつくっている方たちもたくさんいらっしゃいます。
 そして、何よりも、政府ということで、行政がきちっとしなければいけないということは、これからもっと、特に食の安全ということで、検査、監視機能みたいなものも含めて、行政が大変今、政治も含めてかもしれませんが、自信をなくしている。ですから、日本経済全体も、だれを信頼していいか、みずからのことはみずから守るんだという方では、余りにも利己主義になり過ぎているということもあるので、副大臣、副大臣がこれから対策本部長としてどんな形で対応されていくのか、ぜひ御決意のほどを御披露してください。
北村副大臣 後藤委員からの御指摘、私も全くそのとおりだ、このように思っています。
 私は、委員御承知のとおり、獣医学を学び、獣医師としてこの世界にまた御奉公をしている身でありますけれども、昨年来のBSEを含めて、いろいろな食のことについては、私は基本的にこう思っています。食というのにはグレーゾーンはない。つまり、疑わしきはすべて罰する、そういうのが食だ、食の安全だ、このように思っておりまして、グレーゾーン、灰色はない。ある面では、白か黒か、食べられるか食べられないか、そういう視点でこの食の安全というものについて考えていかなければならない、このように思っております。
 そういう面では、今回、リスク分析をしっかり、食品安全委員会、仮称でありますけれども、これを内閣で立ち上げていただける、そして、リスク評価をする、リスク管理をする、そしてリスクコミュニケーションをする。この三つはとても大切なことであって、我が省にあっても、リスク評価をする、リスク管理をする、そしてリスクコミュニケーションをする、これは我が農林水産省が先頭を切ってやらなければならない大切なことだと思っております。
 そういう意味で、先日、大臣から御下命をいただいて、私が本部長として食の安全の大綱をつくっていこう、こういうことで、それぞればらばらな形でつくっていったのでは国民の皆さんにはわかりづらい。特に、JAS法、あるいは賞味期限だ、消費期限だ、こんなことを、消費者の方々には随分とわかりづらい、言葉もわかりづらい、もっと易しく、小学生の五、六年生でもよくわかるような言葉で、国民の皆さんにきちっとした食の安全というものを伝えていかなければならない、このように思っているところでございます。
 最後に、委員から職員のことが出ました。
 食については、O157以来、現場ですべてのことをやっているのは獣医師なんですね。ですから、今回の食の安全というのは、実は獣医師を除いて語れないということなんですね。
 ところが、本省を含めて、我が省も、それから厚生労働省の中における獣医学を学んだ獣医師というのが物すごく少ない。こういう中でこれをやれと言われても、多分私は非常に難しい問題だと思います。これは、総務省の方あるいは財務省にもこれをやって、ある面では、日本の本当の食の安全を守るということであれば、獣医学を学んだ、獣医師の資格を持っている、こういう方々のかなりの部分をやはり入れておかなければこれができないということを、最後につけ加えさせていただいて、私の決意とさせていただきます。
後藤(斎)委員 もう一回、副大臣、ちょっと違った切り口でお話をさせてください。
 十一月の十五日に環境大臣と経済産業大臣が、エネルギー政策の見直しの中で、環境税の問題について合意を一部されております。
 私は、地球温暖化を考える際に、もちろんエネルギー特会という部分はございますけれども、地球温暖化へは森林シンク三・九をどうするかという視点、これは既に総務委員会の方で片山大臣と何度か、地方財源という視点も含めてですが、森林保全税的なものをきちっと創設すべきだという議論をさせていただいておりますが、何かこの合意を見ますと、農水省は何もこの地球温暖化の税の方に関係していないのか、蚊帳の外に置かれて議論されているのかなというふうにもちょっと見えてしまうんですね。もっとやはり積極的にやっていただかないと困るなと。
 まさに六%のうちの三・九、三分の二は、森林がきちっと保全をされていく中で京都議定書が達成できるという視点の中で、副大臣、四千億から五千億、一千億弱ですが、この森林保全に対する財政的な部分は概算要求している部分でありますが、増加していますが、そういう新しい税体系も含めてきちっと議論を農水省の中で、しているとは思いますが、もっと積極的に、内向きだけじゃ困るので、やはり外にもっと、大臣も経済財政諮問会議のメンバーだと思いますので、そういう議論もどんどんしていっていただく必要があると思いますが、いかがでしょうか。
大島国務大臣 今度のエネルギー特会の改正は、突っ込んでいきますと、ちょっと私どもとしてねらっているものと違う問題が、巻き込まれていくというのは、後藤委員よくわかることだと思うんですね。
 今度の場合は、グリーンエネルギーを生み出すというところに力が入っております。ぜひ、民主党の皆さんも含めて、環境税を含めて御議論いただいて、そしてその議論の中には、当然私どもが主人公として入っていかなければならぬ世界がここにあるわけです。したがって、ここに今入っていきますと、その世界が主戦場でなくなる、こういう非常に難しい問題があるということはもう既に御承知だと思います。
 さはさりながら、グリーンエネルギーというのであれば、当然に私どもは、バイオマスという視点の中で、しぶとく、しつこく、その利用については全力を尽くしてかみついていきたい、こう思っておりますので、御支援のほどをよろしくお願いします。
後藤(斎)委員 時間がなくなってきたので、では、本論に入らせていただきます。済みません、ちょっと前ぶれが長くて。
 今回の金融二法の問題は、これだけ経済が悪くなっている、金融の健全化が必要だということで、全体の中の系統金融もあわせて改正しようという趣旨だと思いますが、まず、一番基本的な御質問をさせていただきます。
 なぜ今回、二年間のペイオフ延長という部分で対応しようとしているのか、農水省としての見解を伺いたいと思いますし、そして、二年間延長したとしても、農協系統もきちっとしていかなければ、一年だろうが、別にすぐにしてもいいだろうという意見も一部あるようですが、どのような体制整備を行おうとしているのか、御見解をお伺いしたいと思います。
川村政府参考人 お答えをいたします。
 一般の金融機関のセーフティーネットでございます預金保険法が不良債権処理を一層加速いたしまして、十六年度中に不良債権問題を終結させるということにしておりまして、ペイオフ全面解禁を二年間延長する、そして十七年四月とすることとしておるわけでございます。
 これに伴いまして、農協系統もまさに金融機関の一つでございますので、その全体のネットワークの中にあるわけでございます。農協系統につきましても、同じような貯金保険法の仕組みがございますので、預金保険法と並びまして改正をするということでございます。
 昨年、農協改革法を通していただきまして、問題のある農協につきましては、早期発見をし、そして早期に是正していくという観点から、農林中金が中心になりまして自主ルールをつくりまして、整備を行っているところでございます。
 こういう二年間の期間がありますと、さらに、このチェックあるいは健全性を上げるという意味でも非常に効果があるというふうに考えておりまして、より健全な農協金融というものをつくっていきたいということでございます。
 そういうことで、我々としましても、金融機関の一員としての農協金融、こういうものに万全を期していきたいということでございます。
後藤(斎)委員 ちょっと金融は難しいので、もう少しわかりやすく教えていただきたいんですが、もう一点ちょっと関連しながら御質問を申し上げます。
 決済貯金というのが今回導入をされました。系統系金融機関で決済貯金というのはどのような部分があって、仮に決済性貯金というものの比率がもしわかりましたら、教えてください。
川村政府参考人 十四年三月末におきまして、農協貯金に占めます流動性貯金の比率は二五%でございます。そして、一千万円を超えるものに限りますと四%程度ということになっております。
 今回、こういう法改正を踏まえまして、決済性の貯金の要件を満たす新しい貯金商品をつくるかどうか、つくる場合にどのような貯金商品にするかということはまだ決まっておらないわけでございます。今後、銀行なり信金等、他の金融業態の動向も見ながら検討していくということになっておりまして、新しい貯金商品をつくる場合には、当然そのためのシステム整備も必要になります。
 こういうことでございますので、現時点でその流動性貯金が決済用の貯金にどの程度シフトするか等は、今の段階では、申しわけありませんが、ちょっと見通しがたいということでございます。
後藤(斎)委員 もう一点、ちょっと違う観点からの御質問をしたいと思います。
 昨年の農協二法の改正で、いわゆるJAバンクというものがシステム的にでき上がっております。JAバンク法の中で、いわゆるJA、信連、中金を含めた総合力の結集の中で自主的に一つの金融機関として機能をする、そして、破綻の未然防止のために早期に経営改善を行い、改善困難な場合は速やかに組織統合を実施するというふうな仕組みで、今かなり、ことしの三月三十一日までは定期性から流動性へ資金が移動したということもあって、資金援助をして、破綻をした組合は三十一というふうに言われておりますが、一般の市中銀行よりもはるかに健全性が高いというふうなことを先ほども触れていただいたんですが、そうであれば、何も合わせるのではなく、一年でもいいんじゃないかという議論も我が党の中にも根強く残っておるんですが、その点、局長いかがでしょうか。
川村政府参考人 お答えいたします。
 まさにこの四月にも部分解禁があったわけでございまして、先ほど三十一件という数字を申されましたが、これは貯金保険機構が援助をした実績でございます。三十一件のうち十七件が実は十三年度にやったものでございまして、集中的に信用事業の健全化に努力をしたという結果でございます。
 今お尋ねの中で、二年ではなくて一年でもいいのではないかというお尋ねがあったわけでございますが、これも先ほど来大臣も御説明をいたしましたけれども、やはり農協金融も全体の我が国の金融機関の中での位置づけというものがございます。その中でやはりバランスを持って制度改正等を行っていく必要があるということが、円滑な金融システムの構築という意味では大事であろうと思っておりますので、この二年間の歩調を合わせた中でやっていきたいと思っておるところでございます。
後藤(斎)委員 もう一点ちょっとお尋ねをしたいのですが、この二年後にペイオフということで決まったとしたら、系統金融機関を含めて、農水省としたら、ではどんな体制でその後のことを対応しようとしているのでしょうか。
川村政府参考人 お答えを申し上げます。
 まさに本年一月から中金を中心といたしまして自主ルールができ上がりまして、その基本的な考え方は、問題農協を早期発見いたしまして、早期に是正をしていくということでございます。この二年間の猶予の中で、さらにJAの状況をチェックいたしまして、問題があれば早期に改善するということをさらに重ねまして、チェックの精度でございますとか、経営の健全性のレベルをアップさせていきたいということでございます。
 そういうことで、今後とも非常に経済状況等が流動的でございますので、やはり緊張感を持ってJAバンクについても運用していきたいと思っているところでございます。
後藤(斎)委員 ますますよくわからなくなったんですが、では、例えば定期性預金につきましては、ことしの四月からペイオフが解禁になって、その前後の流動性、定期性の預金の動向を見ますと、これは基本的なベースの方が違いますから、その点かもしれませんが、農協系の貯金では、流動性、定期性ということで比較をしてみますと、昨年の八月とことしの六月を比較してみますと、農協系の流動性は二二%ふえている、定期性の方は五%減っている。一方で漁業協同組合系の貯金の比率は、流動性が一%ふえているだけ、定期性は一五%も減っている。かなり系統系と言われているところでも同じような方向ではないんじゃないかなというふうに思うのですが、この点、農林省としてはどんなふうにこの数字の違いを見られておりますか。
川村政府参考人 ただいまの農協系統の金融と、それから漁協系統の金融との比較の中でお話があったわけでございます。
 確かに今申されましたとおり、流動性貯金の動向を見ますと、昨年七月末から本年七月末の一年間で、農協は四・三%増加をいたしまして、全体の比率でございますけれども二六・八%、漁協は三・七%増加をいたしまして、全体の比率としては三六・八%というシェアになっているわけでございます。
 ただ、ペイオフの一部解禁がございました四月以降の貯金量の増減、これを見てみますと、農協が対前年同月比で一%前後の伸びがあるのに対しまして、漁協は一二%前後の減少というふうになっております。これはもちろん、ベースの貯金量が、農協の場合は七十三・五兆円、一方漁協の方は一・三兆円ということで、金融機関としての存在感が大きく異なっております。
 ただ、農協の方は、先ほど来ありますが、本年一月から既に自主ルールのもとでJAバンクシステムがスタートいたしました。ところが、漁協の方は、本年、このJFマリンバンクシステムを構築するための法改正が行われたわけでございますが、一年おくれで明年一月からスタートをするといったことになりまして、こういったことを反映しているのではないかと考えております。
 いずれにしましても、農協、漁協ともに、早期発見、早期是正というこの精神に基づきまして、貯金者が安心して貯金できるような農漁協系統金融というふうになるように努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
後藤(斎)委員 時間もそろそろないようですが、大臣、最後に、不良債権処理ということで、先ほどもお話がありましたように、一般の市中銀行よりも、農協系、漁協系を含めて不良債権率はほかの市中銀行よりも少ない。今局長からお答えをいただいたように、農協系の方がまだ漁協系よりも、法律の改正もおくれたせいもあるようですが、平成十三年度末で、農協系がリスク管理債権額というのが二兆六千億ですか、ということで、総資産に占める割合は一・四%ということになっていますが、そうはいっても、この二兆六千億強の数字というのは、その後、減っているのかふえているのか、きのうちょっとお尋ねをしたら、なかなかその数字は決算ベースなので出てこないということもあるようですが、大臣、この処理ももちろんしていかなければいけないわけですよね。今回の法律改正の部分とどのように絡めてこの不良債権処理、農協、漁協の系統と言われている部分をされていくのか、最後に御決意も含めてお尋ねをしたいと思います。
大島国務大臣 系統金融の長所、欠点、性格というものはいろいろあると思うのですが、今、不良債権の比率が、このように二兆六千二百二十三億、十三年度末でリスク債権があります、こう言いました。
 それで、この系統金融のいわば特徴というのは、貯貸率が低いということなんですね。それが住専というバブルにひっかかった。ここの性格というものは、私は、決して安心、あるいはまた非常にいいことなんだと思って見てはいけないことだと思っているのです。やはり、絶えず、あの住専の出来事というのは私の中にも本当にこびりついておりますので、そういう金融システムの中にあって、私どもは、一層この二年間の間により健全な金融体質を持つように、本当に絶えずウオッチしていく、そして問題を早い段階で解決していく、そして不良債権処理を確実に進めていく。
 ましてや、金融の自由化がこれから進めば進むほど、ポートフォリオのような形で資産運営というものをやるとは思いますけれども、そういうふうなことをしっかりと見守ってウオッチし、問題を早い段階で摘み、不良債権処理を確実に進める、本当に基本的なことでございますが、そのことにしっかりと取り組んでまいる決意でございます。
後藤(斎)委員 以上で終わります。ありがとうございます。
小平委員長 次回は、明二十一日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時三十四分散会


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