衆議院

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第3号 平成15年3月20日(木曜日)

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平成十五年三月二十日(木曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 小平 忠正君
   理事 稲葉 大和君 理事 金田 英行君
   理事 二田 孝治君 理事 松下 忠洋君
   理事 鮫島 宗明君 理事 楢崎 欣弥君
   理事 白保 台一君 理事 山田 正彦君
      相沢 英之君    青山  丘君
      荒巻 隆三君    石田 真敏君
      岩倉 博文君    岩崎 忠夫君
      梶山 弘志君    金子 恭之君
      北村 誠吾君    小泉 龍司君
      近藤 基彦君    七条  明君
      高木  毅君    西川 京子君
      宮本 一三君    吉野 正芳君
      後藤  斎君    今田 保典君
      齋藤  淳君    津川 祥吾君
      筒井 信隆君    堀込 征雄君
      吉田 公一君    江田 康幸君
      丸谷 佳織君    藤井 裕久君
      中林よし子君    松本 善明君
      菅野 哲雄君    山口わか子君
      佐藤 敬夫君
    …………………………………
   農林水産大臣       大島 理森君
   農林水産副大臣      北村 直人君
   政府参考人
   (農林水産省農村振興局長
   )            太田 信介君
   政府参考人
   (水産庁長官)      木下 寛之君
   農林水産委員会専門員   和田 一郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十日
 辞任         補欠選任
  熊谷 市雄君     吉野 正芳君
  江田 康幸君     丸谷 佳織君
同日
 辞任         補欠選任
  吉野 正芳君     熊谷 市雄君
  丸谷 佳織君     江田 康幸君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 連合審査会開会申入れに関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)
 漁業協同組合合併促進法の一部を改正する法律案起草の件


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     ――――◇―――――
小平委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省農村振興局長太田信介君及び水産庁長官木下寛之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
小平委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。齋藤淳君。
齋藤(淳)委員 民主党の齋藤淳です。
 本論に入る前に、副大臣に伺います。
 本日、日本時間午前十時、この瞬間を世界じゅうの人々が緊張しながら迎えました。先日、小泉総理は、イラク情勢への対応を尋ねられて、その場の雰囲気でその場の状況を見て判断すると答えたそうです。また、昨日の党首討論でも、その場の雰囲気で対応することこそが日本外交の方針だと再確認されました。私は、現政府のこのような無原則、無方針、無説明の外交姿勢で果たして日本の国益が守れるのか、非常に大きな不安を感じています。
 さて、農水政策と外交ということを考えたとき、日本時間で昨日早朝に出されたモダリティー一次案改訂版の件は言うまでもなく、WTO交渉の重要な局面にあるわけです。日本の第一次産業の将来を明るいものにするためには、やはりその場の雰囲気で対応を決められるのが内閣の方針なのでしょうか。WTO交渉をめぐるこのように厳しい状況、厳しい雰囲気に対して、どのような方針で臨まれるのか、いま一度お尋ねいたします。
大島国務大臣 内閣のお話でございますから、委員にお答えいたします。
 WTOの交渉は、この農水委員会で私はお答えも申し上げてきましたが、明確な原則を持って対応いたしております。それは委員も御承知だと思います。
 したがって、本日、アメリカがどういうイラク対応をされるか、非常に緊迫した状況でありますが、WTO農業交渉におきましては、少なくとも私どもは、既に提示し、会見で申し上げておりますように、明確な原則に立って交渉しているということを申し上げたいと思いますし、それが小泉内閣の基本方針でもあるということを申し上げさせていただきたいと思います。
 また、でき得れば、民主党の皆様方にもこのWTOにかかわる基本的な考え方の御提示をいただき、共通する認識を持って交渉させていただければ、一層私どもの力が増すものと思いますので、民主党の皆様方のWTO交渉における基本原則をお聞かせ願えれば幸いだと思っております。
齋藤(淳)委員 大臣、御答弁まことにありがとうございます。
 さて、それでは、水産加工業施設改良資金融通臨時措置法に焦点を明確に移しまして、副大臣にお尋ねします。
 そもそもこの法律は二百海里対策の一環で臨時措置法として導入されたわけですが、法律の目的や対象を変化させつつ臨時措置法を生き残らせる意味があるのか。雰囲気や状況の変化に場当たり的に対応するのではなく、日本の第一次産業の中で水産業全体をいかに底上げするか、そのために水産加工業をどのように位置づけるか、総合的な施策を長期的な視野からオーバーホールする時期に来ているのではないかと思われますが、副大臣はいかがお考えでしょうか。
大島国務大臣 基本論でございますので。
 齋藤委員も、山形で、酒田というところを控えて、水産加工業の実態をもう少しさらに勉強されるところだろう、このように思いますが、実は、齋藤委員、私の選挙区にも八戸というところがございまして、水産加工業の実態を小さいときから私も見てまいりました。
 特に、この法案のきっかけは、先生も御承知だと思いますが、昭和五十二年の専管水域、そういう新しい秩序が生まれましたときに、原魚の確保ということが大変困難になりました。今考えてみますと、北転船がなくなったり、スケソウのすり身がなくなったりして、魚種の転換ということで大変苦しんだことを私はよく覚えております。したがって、五年の時限立法でその転換をしていく。特に、水産加工業の皆様方は、地場に密着した産業、地場の経済を支える産業、国民に水産資源のたんぱくを供給する産業という意味で、非常に私は、地域の経済、生きるための大変な大事な産業だと。酒田でもやはり同じであろうと思います。
 その後、御承知のように、世界じゅうの海の力が弱くなりました。日本の海域でもやはりそうだというふうに思います。したがって、そういう水産加工業をめぐる状況が引き続き厳しいという判断をまさにこの国会でしていただいて、そして四回の延長を行ってまいったところでございます。
 一方、水産加工業を取り巻く環境は、原魚の確保のみならず、例えば食の安全、安心問題、あるいはまた多獲魚の漁業が落ちている、そういうことを考えると、さらに、またもう一つ、国際化がございます、先生が専門の分野でございますが。そういうものにどう対応していくかといったときに、今までの法案をそのまま延長するのではなくて、新しい時代に合わせた、そういうふうな支援もしていかなければならない。
 そういうふうなことから、私どもは、この水産加工業を支援する必要性のために一部を改正して、その一部の改正の部分というのは、やはり特化していかなきゃいかぬ。特化をしていくためには、マーケティングもやらなきゃいかぬし、あるいはまた個性も出さなきゃならぬ。ソフト部分についてもやはり資金の需要に対してこたえていくという部門を新たに改正して、今御審議をいただいておるところでございます。
 以上が目的でございます。
齋藤(淳)委員 大臣、御答弁まことにありがとうございます。水産業について勉強せよとのアドバイス、ありがたく承ります。
 先ほどオーバーホールが必要な時期にあるのではないかと申しましたのも、最近の融資実績を見ますと、明らかな伸び悩み、もしくは減少傾向を見せているわけです。
 平成五年に百六十五億円、平成十年には百三十六億円の融資実績がございますけれども、平成十二年、十三年には、それぞれ五十四億円、三十九億円という融資実績になっています。
 この融資実績の伸び悩みの原因にはどのようなものがあるのでしょうか。
 また、平成十四年、十五年に、それぞれ八十八億円、七十六億円の融資枠が設定されているようでありますけれども、そもそもこれは達成される見込みがあるのでしょうか。
 先ほど大臣から資金需要にこたえるという指摘がありましたけれども、なぜそもそもこのような質問をさせていただいたかと申しますと、予算ないしは融資枠先にありで、これを維持するために法改正をして、法律自体の、融資制度自体の延命を図るようでは、水産業全体の底上げを図るという本来の目的を見失ってしまうのではないか、その危険性について一言御指摘申し上げたい。
大島国務大臣 齋藤委員の御指摘は、私どもは根本的に総体として考えなければならないところを、ある意味では御指摘をいただいているんではないかと思うんです。
 ただ、私どもは予算の確保まずありきという考え方に立ってはいませんということを一言申し上げたいと思います。
 さはさりながら、なぜ資金需要そして予算がこう減っているのであろうかということの御指摘でございましたが、確かに、委員がお話しされますように、融資実績は低下傾向にあります。
 まず第一点は、やはり日本経済の全体の今状況を反映していることが一つあるんだろうと思います。そういう状況の中で、特に地場で頑張っている加工業の皆様方は、私の近くを見てまいりますと、できるだけ今の施設を利用して、新しい投資というものに対して非常にリスクを負うという考え方ではなくて、ぎりぎりまで今の施設を使いながら頑張っていこう、こういうふうなマインドが一つあるんだろうと思います。
 一方、こういうふうな方向に使いたいんだ、こういうふうなところに投資したいんだという気持ち的なあるいは戦略的なものは、それぞれの加工業の皆様方は持っておられるんではないか。持っておられる一つとして、先ほども申し上げましたように、ソフトの部分に何か融資してくれないか、いろいろな、水産庁があちこち回ったり、そしてまた皆さんの意見を聞きますと、やはり、研修、市場開拓、特許権の取得等、そういうふうなソフト取得という部門に、ハードの設備投資からソフトの設備投資に使えないかという御要望等々がありました。
 先ほど申し上げましたように、特化していかなきゃいかぬ。国際化の中でも、例えば中国等々とのコスト競争をしていくためには、消費者のニーズに多様に合わせる。もっと言うと、量販店との関係の中で非常に厳しい要請を受ける。そういう場合は、やはりソフト経費というものが欲しいということで、そういうふうな用意をさせていただきました。
 しかし、先生が今御指摘いただきましたように、私は、農林水産省そのものを、一次産業の生産官庁から、全体として食料産業政策官庁にしなきゃいかぬ、そういうふうな意味で、農も水ももっともっと大胆に流通加工政策というものに首を突っ込もう。率直に申し上げますと、水産加工業政策というと、経産省とのいろいろなことがございます。しかし、我々がそれを担う役所にならなきゃならぬというので、そういう食料産業政策をもう一回見直せということで、今、勉強会を始めております。その中の一環として、水産加工業も重要な対象として、これから根本的なあり方等々をぜひ私どもも柱を立てて頑張ってまいりたい、こう思っております。
 一方、安全、安心の問題も、今、要請されております。この世界は、農より水産の世界が非常に率直に言って立ちおくれていると私は思うんです。そういうふうなところにどのようにまた対応してやるか、こういうことも大変重要なポイントではないか。
 御指摘をいただいた、根本的な水産加工業政策というものにもっともっと力を入れていかなければならないという御指摘には、しかと私どもも重く受けとめて、総体として対応していく努力をしてまいりたい、こう思っております。
齋藤(淳)委員 次に、この法改正の政策目的と政策手段の乖離について、一点御指摘申し上げたいと思います。
 今回の改正の背景には、大臣御指摘のとおり、周辺漁業資源の減少による加工原料の供給の悪化、これが背景にあるわけですけれども、であるなら、この対策としてとられるべき施策というのは、水産加工資金法の融資対象を拡充するというよりは、むしろ、まず第一に、周辺漁業資源をふやすための直接的な施策を充実させていくことではないかと思います。
 例えば、民主党の予算案でも独自に強く打ち出しておりますけれども、海の森構想、すなわち、海藻類を繁茂させて漁獲高をふやす、この構想についてはいかがお考えでしょうか。
 例えば、近隣諸国の例を引き合いに出しますと、中国は近海の漁業資源を増大させる上で海藻を非常に有効に使ったと言われております。また、環境問題への対応、バイオマス・ニッポン構想の実現に向けても、もっと積極的に海の森を造成すべきではないかと思われますが、いかがでしょうか。
大島国務大臣 海の森と言う方もあれば、昆布の森構想と言う方もあります。民主党の皆様方の政策としてそういう御提言をしておられる、私も拝見しましたが、私どもも共感をし、また私どももその点には力をつけていかなければならぬと思います。
 陸において、地球環境という視点から、まさに森の再生が大きなかぎを握っているのと同じように、海の再生のために、森と同じように、昆布のいわば藻場の再生というのは非常に重要な一つの手だてだ、このように認識しております。
 したがって、私どもは、平成十四年度から三年間、衛星通信、衛星で沿岸域を撮影した画像をまず高度に分析することにより、全国規模で藻場の分布状況をリアルタイムに把握するための技術開発調査をいたしております。そして、得られた成果を、十四年度から五年間でおおむね五千ヘクタールの藻場等を保全、創造することを目指して、豊かな海の森づくりを今積極的に推進しております。
 しかし、それだけでは海の再生にはなりません。何が大事かというと、やはり管理だと思うんです、生産管理。このことをいたしませんと、とりたいだけとる、使いたいだけ使うという時代はもう終わったということを、生産者も政策も、また消費者も、しっかり理解していただいて、生産管理をお互いにしていくという覚悟が、今、次のもう一つの柱として必要だと思います。
 さらに、先ほどお話ありました、いわゆる循環の施策としてのバイオマスの世界でございますが、我々はこれはもう戦略会議を閣議決定いたしました。今度の予算で一番の目玉になっておりますが、残念ながら、ここについてはいよいよこれからだと思います。
 そういうふうな御指摘をいただいた点、特に資源再生という意味では、藻場の再生あるいは資源管理、そしてそれに伴う漁業政策のあり方、こういうことをしっかりと踏まえてやっていくことが二十一世紀にサステーナブルな水産政策をとるポイントだ、このような覚悟で努力してまいりたい、私はこう思っております。
    〔委員長退席、鮫島委員長代理着席〕
齋藤(淳)委員 御答弁ありがとうございます。
 次に、今回の法改正が水産加工業の現状に合ったものかどうか確認させていただきたいと思います。
 大臣からもたびたび言及があったとおり、水産加工業は地場の零細産業としての性格が非常に大きいと思います。加工業者の大部分を占める零細の業者にとって真に使いやすい制度なのかどうかということが、資金ニーズですとか、業者の成長性、いろいろなプロジェクトの成長性やサステーナビリティーに真に合致するものなのかどうかが、非常に重要なのではないかな、と思います。
 特に、今回の法改正の目的は輸入水産加工物との差別化ということなわけですけれども、このことを考えた場合、やはり地産地消と申しますか、新鮮なとれたての魚を地域で加工して消費する、このための仕組みをいかに整備するかということが非常に重要になるのではないかなと思います。
 そこで、私の地元の地域の水産加工業で最近成功しているところを見てみると、どういった業者があるかということを調べてみたんですけれども、例えば、回転ずしのすしネタを加工するような企業、あるいは結婚式場へまとまった人数の新鮮な魚介類の調理をして供給する業者、これは加工というよりはむしろ調理としての側面が非常に大きいわけですけれども。そのほかに、例えばラーメンのスープストックをつくって通信販売するような研究、スープストックとは限定しませんけれども、いろいろな保存の技法を研究して地域の特産物づくりに結びつけるような技術開発、あるいはネット販売などのIT化、設備投資を伴わない研修事業などのソフト事業、こういったものは今回の法改正の対象になるのか、確認させていただきたいなと思います。
 なぜこのようなことをお尋ねするかというと、私はアメリカで政治学を研究していましたけれども、いろいろな国の政治を研究している研究者の間で共通了解事項になっているのは、日本の法律というのは非常に簡潔に書かれていて、借り手から見て一番関心のあるようなことは、法律ではなくて政令で規定されているわけですよ。これがある意味、裁量行政の温床になっているという点もあるのかと思いますけれども、いま一度明確に御確認いただきたいと思います。
木下政府参考人 先生から何点かお尋ねがございました。
 まず、今回の資金でございますけれども、私ども、下限でございますけれども、水産加工業者の皆さん、地域で大変零細な規模が多いというような実態がございます。したがいまして、従来から融資下限につきまして特定をしておりませんけれども、今後とも同様の取り扱いをいたしたいというふうに考えているところでございます。
 また、融資対象でございますけれども、今回、輸入水産加工品との競争の激化にかんがみ、原材料または製品の転換、合併または営業の譲り受けに伴う加工施設の改良等を追加したところでございます。
 具体的に御指摘がございましたけれども、私ども、委員御指摘のありました、回転ずしのすしネタを製造する場合だとか、あるいは結婚式場への食材供給、スープストックの開発等々、水産加工品は今回の改正後の水産加工資金の対象になるというふうに考えているところでございます。
 また一方で、ネット販売へのIT化、いわゆる流通なり販売は今回の対象になってございませんので、あくまでも水産加工業者の皆さん方に対します施設資金だと、あるいは伴います特定のソフト資金というふうな御理解を賜りたいというふうに考えております。
 また、第三点目のお尋ねでございます。私ども、資金内容についてでございますけれども、法律レベルで水産加工品の製造、加工施設の改良、造成、取得、あるいは新製品を融資対象として規定をしているわけでございますけれども、さらに政令で要件を規定することとしているところでございます。このように、政令で規定しているところでございますけれども、水産加工業のその時々の状況に応じましてきめ細かい改正を行いたいということでこのような法体系になったところでございますけれども、私ども、このような全体の法律、政令を通じました体系ができるだけ水産加工業者の皆さん方にわかりやすく理解してもらえるように、今後ともその内容につきましてPRしていきたいというふうに考えております。
齋藤(淳)委員 ありがとうございます。
 最後に、HACCP方式導入について伺いたいと思います。
 平成十年の法改正の際に、衆参でHACCP円滑導入を附帯決議に盛り込んでいるはずです。しかし、今回の改正では、HACCPについては明確には触れられていないと認識しております。
 平成十年の漁業センサスにおきますと、水産食品製造業者の約六五%がHACCP制度導入に積極的だと回答しております。一方で、水産加工業者の五六%が従業員九人以下の零細事業者となっています。HACCPを導入しようとすると、数千万円規模の設備投資が必要になる場合も非常に多いかと思います。
 これだけ食品の安全性が話題になっているときに、食の安心の確保の観点からHACCP導入を促進するために水産加工のソフトローンの制度を用いる、こういったお考えがおありかどうか、御確認いただきたいと思います。
大島国務大臣 先ほども委員から御指摘をいただいて、水産加工業の世界における食の安全と安心というシステムそのものがいささかおくれている部分があるということを私は率直に申し上げました。
 そのかぎは二つ三つあるんだろうと思いますが、今先生がお話しされたHACCPのシステムをどう導入してもらうかということと、トレーサビリティーに対してどう対応してもらうかということではないかと私は思っておりますが、HACCP、これは本当に重要なことでございますので、加工業においてもその導入を推進していくことは本当に重要だ、このように認識しております。
 その方策としては、御承知のように、食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法が設けられているところでございますが、水産加工業を含む食品製造業に対しては、HACCP手法の導入を目的とした施設整備等への貸し付けを農林漁業金融公庫より行っているところでございますから、今の加工資金とは別にもう立てておるものですから、そこを大いに活用していただきたい、こう思っております。
 しかし、我々としましても、融資措置のほかに、水産加工場の衛生管理マニュアルを作成して、そしてこれを普及して、そして十五年度予算でHACCPの講習会の開催をどんどん支援してまいりたいと思っております。
 もう一つ、加工資金の方では、初めからHACCPのシステムを入れるためのお金は今申し上げたところで出しますけれども、ある加工施設の設備を入れますと、ここの部分を、そのことが結果としてHACCPシステムの全体のプラスになるということは構わないわけでございますので、より一層、先ほど長官がお話ししましたように、我々のPRももっとして、御指摘のあったHACCPシステムの導入については重要なポイントとして、講習会を開き、こういう制度資金がありますよということを言い、努力していくことが大変大事だ。逆にそのことが、国際社会の中においてやはり世界から輸入されるものとの競争の一つのポイントになるのではないか、こういう認識も、意識改革もしてもらって、努力してまいりたい、こう私は思っております。
    〔鮫島委員長代理退席、委員長着席〕
齋藤(淳)委員 大臣みずからの御答弁、まことにありがとうございます。
 この水産加工業資金の公正な運用を期待するとともに、食品においてもトレーサビリティーは非常に重要なわけですけれども、食品のトレーサビリティーとともに政治資金のトレーサビリティーについても確立に御助力いただけますよう、一言お願い申し上げて、私からの質問を終わらせていただきます。
小平委員長 次に、津川祥吾君。
津川委員 民主党の津川祥吾でございます。
 アメリカによるイラク攻撃の時間の期限が日本時間できょうの午前十時でありまして、この後いつ攻撃があるかわからないという状況でありまして、大島さんはまだそこにいらっしゃってよろしいんですか。では、時間まで聞いていただければありがたいなというふうに思います。この差し迫った状況の中でありますが、きょう今ここで議論をさせていただくのも大変重要な法案でございます。
 ただ、日切れ法案であるというような御説明をいただいておりますが、そもそも、これが臨時措置法として始まった、それは当時二百海里問題に対応するということで始まったものと承知をしております。その中で、時代の変化とともにその法案の中身を変えて、さらに時代のニーズに合ったものにしていくということ自体、必ずしも反対するものではありませんが、もともと二百海里で日本の水産業が大変厳しい影響を受けた、それから、その中でも、得られる魚種がまたいろいろ変わる中で、水産加工というところも相当多く影響を受けたということであろうと思います。
 ぜひ私は副大臣にお答えをいただきたいんですが、副大臣の御地元にかつて日本一の水揚げを誇った釧路がございます。現在も立派な水揚げを誇ってはいらっしゃいますが、この二百海里の問題のときにまさに大きな打撃を受けた港であります。この水産加工の法律ができた当時の問題と現在の問題と、副大臣にとっては特に思い入れのあるところであろうかと思いますので、実は私も昔北海道に住んでおりましたから、副大臣に一度ここで質疑をさせていただきたいなと思っておりましたので、このテーマについてぜひ副大臣の御認識をまずお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
北村副大臣 御指名をいただきましたので、私のふるさとであります釧路、根室の問題についての御質問でございましたので、私の方から御答弁をさせていただきたいと思います。
 日ソの二百海里という問題は、地元の水産を扱う漁業者の人方にまず大きな打撃がある。そして、その漁業者の方々が漁獲をとってくる、大漁の時代がたくさんあったわけでありますから、それに伴って、水産加工の方々はある面では非常に経営的によかった時期がございました。あの二百海里のときまでには、原料をそのまま一次加工して、付加価値を高めないでほかの大都会等々に出していたというのが私のふるさとの水産加工の方々でありました。
 しかし、サケ・マスも、あるいはイワシも、そしてスケソウダラも、あるいはカニ等々も今は激減をして、ほとんど、量的には水産加工の方々は経営が成り立たない。一方で、輸入物がたくさん入ってくるわけでありますので、そうしますと、おのずと、確かに水産加工の方々も合併したり、あるいは経営から足を洗ってしまわざるを得ない人方もおりましたけれども。そして、その中でやはり水産加工の方々が目を投じたのは、付加価値のあるもの、少ない原料をどう自分たちが消費者の方々のニーズにこたえて付加価値を高めて、高価なものを売っていけるかということに目を向けていって、いろいろな、ありとあらゆる知恵を出してやってまいりました。それがある面では今生き残っておられる方々だと。
 しかし、そこにまた、先ほど大臣からお話のあったとおり食の安全という問題、特にHACCPの問題等々が出てまいりまして、これに対応した水産加工の整備をしていかなきゃならない、これもまた大きな投資でありました。しかし、水産加工の方々もこれを逆手にとって、消費者の方々が見学できるような、そして、なるほど、こういうことがHACCPということか、そして安全なものが私たちに供給されているという、そういう見学コースを設置したような水産加工の方々もまた出てこられた。そういう方々は今も一生懸命やっておられますが、今、先ほどの齋藤さんからのお話のとおり、やはり零細の方々もあります。家族で経営をしている方々、こういう人方が今後HACCPに本当に対応できるかどうか。
 そして、少ない原料をどのように使っていけるか。そして、水産加工の方々からすれば、輸入されてくる原料もあってもいい、これも使って付加価値を高めていきたい。そうなると、地場の漁民の人方とのまたあつれきが出てくる。非常に水産加工の皆さん方は、今ある面では袋小路に陥っている。漁民の方々とのバランスもとっていく、しかし一方では、輸入物等の原料を、何としても、のどから手が出るほど欲しい、そしてそれを付加価値を高めて出していきたい。
 これが今私のふるさと釧路、根室の置かれている水産加工の方々であって、今回の水産加工のこの法律の改正ということについては非常に期待を持って注目をしているというのが現実でございます。
津川委員 副大臣、今実は結構踏み込んだ発言をしていただきまして、実は私の地元にも焼津がございまして、釧路に負けず劣らず頑張っている港ではございますが……(発言する者あり)八戸もそうだという声が今聞こえました。ほかもいろいろな港を言わないと怒られるかもしれませんが、石巻も頑張っているかもしれませんし、いろいろ頑張っていらっしゃいますが……(発言する者あり)頑張っていないという声も聞こえましたが。
 昨日、ちょっと気になったことがございまして、与党の委員の方から、このまさにイラク情勢に関連して、これがまさに有事に至ったときに日本の農政に対してどういう影響があるだろうかというような御指摘がございました。これは別に間違った指摘では決してないと思いますが、何が気になったかと申しますと、農政についてだけではなくて、水産業あるいは林業についてどういう影響があるかということも実はぜひ指摘をしていただきたかったところでございます。
 私、以前もたしかこの席で申し上げたことがあるかと思いますが、農業について専門的な方々は非常にこの委員の中にもたくさん多くいらっしゃいます。水産に関しても当然多くの専門的な知識あるいは高い見識を持たれた委員の方々多いと思いますが、なぜか議論は農政が非常に多い。規模なりいろいろな意味でそちらの方が政策的に多いということなのかもしれませんが、私は、水産というものも非常に重要なものであるし、一方で、そこに対する政策というのは不十分だと思っております。林業は実はなおさらそうだと思っておりますが、きょうはその質問はいたしません。
 それで、焼津なんかでもそうですが、水産の、漁業に直接かかわる方々と加工にかかわる方々、これは今若干考え方が違うところがありまして、外国船が持ってきたいわゆる輸入のものであったとしても、それを加工させてもらえるのであるならば我々は一生懸命それをやりたい、そういうお話がございます。まさに、二百海里という中で、それが別の国で水揚げをされて、そこで加工されて空輸をされる、あるいは船に別の形で乗っかって輸入をされてくる、これはやはり我々としては耐えがたいという話がございます。私たち日本人のニーズというものをよくわかっている、それからまた新鮮な加工ができるということから考えても、ぜひ日本で加工するようにしてもらいたい。日本の船がとってきたか外国の船がとってきたか、もちろんそれはどちらでもいいということではないけれども、外国の船は来ないでくれ、外国の船はよそでやってよそで加工してくれということよりは、日本にやはり揚げてもらって私たちは仕事をしたいというのが加工業者の方々の声だと思います。
 もちろんそれは、地元ですぐにあつれきを起こす、今副大臣がまさにそこを指摘していただきました。なかなか指摘しにくいところではないかなというふうに思いましたが、釧路、根室でもそういう状況だというお話を伺いました。それでも、そういう状況であっても皆さん頑張っていらっしゃるという話でしたが、こういったいわゆる政策金融というものが水産加工に対して必要だということは、これは後でもまた伺いますが、それ相応の理由がある。つまり、それだけ民間の金融からは融資を受けにくい状況にあるとか、根本的に経営基盤が弱いとか、あるいは水産加工業を取り巻く環境が非常に悪いとか、そういう状況があるからこそ政策金融というものが必要だということになるんだと思います。
 特に今回は、臨時措置法をさらに五年延長するという話であります。これは日切れと言われますが、ちょっと局長に伺いたいんですが、いいですか。日切れになっているからぜひやっていただきたい、それはもうきょうやらないとだめだという話で伺いました。私どもはこの内容に必ずしも反対するものではありませんが、なぜこれは日切れ扱いだから急いでやってくれと言われるのかが若干わからないところがあります。本当に必要なものであるならば、こういった臨時措置法ではなくするべきだと思いますし、臨時措置法としてまた五年延長するというのであるならば、それ相応の理由がしっかり示されなければならないし、本当に五年なのかという話も本当は議論しなければならないと思うんです。
 そこで、例えばこの融資実績ですけれども、ごめんなさい、金額の話じゃないんですが、きのう若干伺ったところでは、いつごろこの申請が多いのか、時期ですね、大体年度末が多いという話です。つまり三月が多い、四月以降は必ずしもそうではないという話であります。ですから、仮にここが日切れでとまってしまったとしても、余り現場に御迷惑をおかけする話じゃないんじゃないかと思うんですが、長官、どうでしょうか。そういうものでしょうか。
木下政府参考人 現在の水産加工施設資金法、委員御指摘のとおり臨時措置法ということでございまして、この現在の法律の有効期限は本年三月三十一日限りということでございまして、その日を経過いたしますと現在の法律が失効するというふうになるわけでございます。したがいまして、私ども、四月以降、水産加工資金を融資するということになりますと、改めて法律を出すという作業が要るわけでございます。
 一方で、委員御指摘のとおり、年度末が多いじゃないかという御指摘でございますけれども、私ども四月の融資の希望について調査をいたしておりますけれども、既に来ているものが四件、あるいは要請中のものを含めますと二十件を上回るというような融資希望が来ているわけでございます。できるだけ水産加工業者の実態に即し、速やかかつ円滑に融資をするという観点からいたしますと、ぜひ三月中に一部改正法案を御可決いただきたいというのが私どもの立場でございます。
津川委員 よくわからないんですが、希望がある、需要がある、だからここでこのまま法律がなくなることは避けたいという話はわかりますが、これを臨時措置法で五年、五年でいくのが本当にいいのかという話です。
 中身を見ると、先ほど齋藤委員からも指摘がありましたが、融資実績が必ずしも高くない。実はこれは政府金融の中ではむしろ高い方だというような指摘もありますが、つまり、政府が幾ら資金を準備してもなかなか目標まで借りていただけない、全額借りていただく必要はないのかもしれませんが、必ずしも有効に利用していただけていないという状況がまずある。これが利用しにくい原因がどこかにあるのであるならば、そこを根本的に変えなければなりませんし、あるいは、今その枠があるから何とかそれを埋めなきゃいけないといって条件を緩和するなんてことをもしどんどんやってしまうと、むしろこれは民間の金融機関の仕事をなくすという話にもなりかねないわけであります。本当にこの融資を受けたところがそこで実績を上げて利益、収益をどんどん上げていくということであるならば、これは民間の金融機関でも大いに投資をしたい、融資をしたい物件になる話であります。
 ですから、もちろん、期間が長い、短い、あるいは利用しやすい、しにくいという話があるかもしれません、金利の問題もあるかもしれませんが、借りる側からすれば、それは政府系金融で安くて長くあれば、それはそれで、それの方がよりいいには違いありませんが、そのことによって、例えば水産加工の方々は仕事があっても、地域金融というものがこれでまた仕事がなくなってしまうのであるならば、地域社会にとってはこれは必ずしもプラスではありません。
 そういった意味で、小泉内閣も民間にできることは民間にとおっしゃっているわけでもありますから、また、地域金融というものをしっかりと守っていくといいましょうか、その仕事を残していくという意味でも、余りやり過ぎてはいけないというところもやはり注意をしなければならないところだと思うんです。
 またちょっと長官に伺いますが、貸付額が少ない。なぜそうかというお話も伺いたいんですが、これはもともと目標が枠の中の二割、三割でもいいという設定で枠をつくっているのか、それとも、枠の七、八割、九割融資することを設計したけれども設計ミスで使われなかったのか、それはどちらなんでしょうか。
木下政府参考人 加工資金の融資枠の設定の議論でございますけれども、私ども、過去の融資実績等を勘案いたしまして設定をいたしているという状況でございます。平成十年から十三年にかけまして、大体百四十から百八十億円の融資枠でございますけれども、平均で七十億円強というような実態でございます。私ども政策金融でございますから、基本的には民間でできないところを政策金融で補完するというのが基本でございます。
 また、そういう意味で、一方、いたずらに融資枠を大きくすることが目的ではないというふうに思っておりまして、近年の融資枠と融資実績の状況を反映いたしまして、十三年度は百四十億円の融資枠でございますけれども、十四年度は八十八億円というふうに融資枠を減額してきておるところでございます。また、十五年度につきましても、特殊法人等整理合理化計画との整合性も念頭に置きながら、七十六億円という融資枠を設定したわけでございます。
 この七十六億円の融資枠を設定した根拠といたしましては、平成十年から十三年度の平均の融資実績が七十二億円ということでございましたので、このような直近の過去の平均実績を勘案しつつ、かつまた、先ほど申しましたような合理化計画も念頭に置きながら設定をしたという次第でございます。
    〔委員長退席、鮫島委員長代理着席〕
津川委員 ちょっと難しかったんですが、もう時間も余りないので。
 ただ、今のお話を伺いますと、やはり設計ミスだと言われても、これは仕方がないところだと思います。本当に必要なことを、やはり水産加工の皆さん方に対して、あるいは水産業全体に対してやっていただきたい。
 このお金、どうぞ使ってください、貸しますよ、ただ、こういう条件ですと。貸すということは、当然返さなきゃいけないわけでして、これはなかなか大変なことです。当然、ただ上げますということがいい政策だとは思いませんが、本当に今の現場の状況を見ていただければ、大島さんも当然御存じだと思うし、副大臣もよく御存じだと思いますが、現場の皆さんは、いや、こういうことをまた延長しますよ、まあそれはやらないよりはいいけれどもというような反応ですよ。それは、ぜひ借りたいという方がたまたまいらっしゃれば、その方はこれはなくなっちゃ困るという話になるでしょうが、多くの方はそれ以前の問題だ。そこにぜひ政策をやっていただきたい。これをやるなという話ではありませんが、その認識はぜひ持っていただきたいと思います。
 最後に、大島さん、まだいらっしゃって大丈夫ですか。(大島国務大臣「まだ大丈夫」と呼ぶ)まだ大丈夫ですか。いられるかどうかはブッシュに聞かなきゃわからないのかもしれませんが。呼び捨てはよくないですね、ブッシュ大統領に聞かなきゃわからないのかもしれませんが。
 では、一応一つ質問をします。途中でいなくなると困りますから、副大臣もちゃんと聞いていてください。
 昨年の九月ですが、参議院決算委員会におきまして我が党の海野議員が質問をいたしました。今オーストラリアあるいはヨーロッパなどからマグロが大量に輸入をされている、そのマグロが本当に安全かどうかというお話であります。オーストラリア政府に対して、蓄養マグロに関して例えば肉骨粉なんかは使っていないかどうかということを確認いたしましたら、口頭では使っていないというふうに言っていましたという話だったんです。それはちゃんと文書で使っていないということを求めてくださいと言いましたら、わかりましたというふうに言っていただいておりますが、その後、どうなっていますでしょうか。お答えください。
大島国務大臣 津川委員がいろいろお話しされた水産加工業の現場というものは、委員より私の方が知っていると思うんです。これは明確にあなたより私は知っていると思うんですが、そのすべてを云々というのではなくて、やはり加工業の皆様も努力してもらわなきゃいかぬ部分もあると思いますので、もし現場でこういう声があったけれどもこうだよということがあったら、ぜひ提案としてよこしてください。ともに使いやすい、使いたい、そういうアイデアがあればやりたいと思います。
 マグロの話ですが、まことにそのようにお答えしたことがありまして、きょう午後に、オーストラリアに水産庁の人間が今出張しておりまして、その肉骨粉使用の有無に対して正式な文書での回答を早急に行うよう強く求めてまいります。きょう協議しておりますから、その結論が出たら御報告できるようにしたいと思いますが、まことに今日までこれの正式な文書による回答が来ていないという状況は遺憾でありますし、そういう意味で、今ちょうどいいタイミングで御質問いただきましたが、きょうそのような協議をやっておるということで、結論が出たらお答えをしたいと思います。
津川委員 大島さん、確かに私なんかよりもずっと政治経験が長いわけですし、地元のこともよく御存じだと思います。今、農林水産大臣という席にいらっしゃるわけですから、我々は問題があると思いますが、それはおいておいて、いらっしゃるわけですから、当然その仕事をしっかりしていただきたいんです。
 六カ月もたって、きょうちょうどやっていますという答弁は、何ですか、それは。本当に現場のことをわかっているんですか。(大島国務大臣「委員長」と呼ぶ)ちょっと待ってください。
 それは私は、申しわけないけれども、職務怠慢だと思います。出してこないのは向こうですから向こうが悪いという話かもしれませんが、そうならば、その対応を日本政府としてしっかり何でやらないんですか。
 私は、それは絶対おかしいと思いますよ。御自身がお忙しかったかもしれませんが、それができなかったんだというならば、それは、ぜひ副大臣にかわっていただいて、しっかりやっていただいてもいいと思いますよ。いろいろとお忙しいことだと思いますが、この問題に限らず、農業、林業、水産業は大変な状態なんですから、六カ月間もほったらかしにして、日本の、例えば水産加工業者に対して厳しい状況にさらし続ける、その間何もしていない、大変遺憾だということを六カ月後に言うようでは、私は大いに問題があるということを指摘させていただきまして、終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
大島国務大臣 大変厳しい御指摘をいただいたことはしかと心に入れて、ミナミマグロの肉骨粉の問題については、まことに、オーストラリア側に対して、きょうやっておりますけれども、本当に遺憾であったと思いますし、厳しく対応してまいりたいと思います。
 さらに、本当にさまざまなアイデア、そういうふうなものがありましたら、私どもも気がつかない点がありますからお寄せいただき、いい水産加工業政策をつくり上げてまいりたいと思いますので、ぜひ御議論をいただき、御提案をいただきたいと思います。
津川委員 終わります。ありがとうございました。
鮫島委員長代理 次に、中林よし子君。
中林委員 質問に入ります前に、きのう発表になりましたWTO農業交渉、モダリティーの第一次案の改訂版、これは第一次案を全くほとんど変えないというもので、これでは日本の農業が壊滅的な打撃を受ける、私どもも絶対これは受け入れてはならない、このように思っております。食料の六割を輸入する日本においては、これ以上の市場開放は絶対に許されない、このように思います。
 私がお会いした農水省の優等生と言われている百ヘクタールの稲作経営をしている株式会社の社長は、関税引き下げは自分たちのこれまでの努力が水の泡になる、このようにおっしゃっておりました。断固として自給率を高め、日本の食料主権をあくまでも貫き通す、こういう姿勢で臨んでいただき、私は、三月末のモダリティー確立できなくてもいい、日本のこれ以上の農業破壊の道を絶対にもたらしてはならない、この覚悟を貫いてほしいという政府に対する要望をまず申し上げて、質問したいというふうに思います。
 今回の水産加工の問題ですけれども、なかなか経営状態がよくならないということの背景に、漁業振興、これが決定的だろうというふうに思います。そこで、国内でできる内水面漁業、この振興も、私は、農林水産省、水産庁としてやっていく必要があると思います。
 そこで、内水面漁業の非常に豊かな漁場だった中海・宍道湖、この問題について質問したいというふうに思います。
 正式に中海土地改良事業の中止が決定いたし、その後の取り扱いが今いろいろと協議をされている最中です。四十年も長い歳月をかけてやっととまったこのむだ遣いの事業です。
 この事業による環境破壊というのは目に余るものがあります。かつて、中海あるいは宍道湖の漁場というのは、例えば中海などでは、土地ではアカガイと言っておりますけれども、正式にはサルボウと言われる、これが、とって船に積むと船が沈むほどとれたものだ、このように言われます。中海では、そのほかアサリだとかあるいはスズキだとかヒラメだとか、そういったさまざまな魚種がとられました。また、宍道湖では、宍道湖七珍と言われるほど豊かな、珍しい、そういう汽水湖ならではの漁獲がありました。
 しかし、ここに至って、この土地改良事業の影響による環境悪化というのは、今の漁民の方々の嘆きの種になっております。そういう意味では、国営土地改良事業として進めた、それが原因である以上、国が責任を持って原状回復、環境を取り戻していく、それが非常に大切だというふうに思うわけですけれども、副大臣の見解をお伺いしたいと思います。
    〔鮫島委員長代理退席、委員長着席〕
北村副大臣 先生からの御質問、国の責任で中海あるいは宍道湖の水質を回復せよ、こういうことではないかと思いますが、委員御指摘のとおり、環境省が実施をしております公共用水域水質測定結果によりますと、最近二十五年間の宍道湖あるいは中海の水質には大きな変化が見られていないという結果が出ているわけでございます。
 事業が水質に明確に影響を与えているとはなかなか考えにくいところでございますが、一方で、この宍道湖や中海とも、鳥取県あるいは島根県両県では平成十五年度を目標年次として総合的な水質改善対策の取り組みを進めております。農林水産省といたしましては、この水質保全のための各種施策の推進などを通じて、積極的に協力をしてまいりたい、このように思っておる次第でございます。
中林委員 それは、副大臣ともあろう方がとんでもない答弁だ。この二十五年間水質への影響はない、このように聞いているなどというのはとんでもないです。地元で水質の調査というのは本当に十分やっているわけですよ。それで、悪化したデータというのは私どもも再三見て、これまでもいろいろとただしてきたいきさつがございます。
 四十年もこの中海土地改良事業というものがとまったり進められたりといういろいろないきさつはあったとしても、大臣自身がそういう中から反省の弁も言われました。だから、そういう点を踏まえて、私は、この事後処理というか、終結に向かってのさまざま解決しなければならない問題に取り組む必要があるというふうに思います。
 そこで、今一つ大きな問題になっているのが中浦水門、淡水化施設ですけれども、その取り扱いをどうするかというのが大きな問題になっております。
 二月十三日に開催されました中海に関する協議会、ここで今後の中浦水門の取り扱いをめぐって国と両県の協議が行われました。国土交通省も入っています。
 そこでは、農水省の側から、一つ、この水門の全面存置、それから二つ、部分撤去、三番目、全面撤去、この三案が示されたわけですけれども、今農水省としてはこの取り扱いをどのように考えているのか。国としては、三月末までに両県に結論を出せ、こういうふうに言っているようですけれども、その点はいかがでしょうか。
太田政府参考人 まず冒頭に、中林先生の方から御指摘のありました水質の関係で申し上げますと、この事業が中海の水質悪化の最大の原因であるというお話であったかと思いますけれども、現実的には、流域における生活の形態が非常に変わっておるといったこと等、さまざまな要因がこの原因であろうかというふうに考えております。
 それで、先生の方から御指摘のありました中浦水門の取り扱いについてでございますけれども、二月十三日に開催されました第三回の中海に関する協議会におきまして、中国四国農政局が、存置及び撤去に関します三つのケースにつきまして、その概算経費などの例も提示しながら協議がなされたわけでありますが、その結果、鳥取、島根両県が持ち帰って、後日その取り扱いに関する意向を示すというような整理がされたところでございます。
 淡水化の中止に伴いまして早急に手当てが必要となります農業用水確保の対策がおくれてしまったり、あるいは、農業上は今後不要となります中浦水門を、その取り扱いを明確にしないまま、船舶の通航の必要上管理を続けていくということによりまして毎年多額の管理費用をかけるということは、県、地元にとりましても望ましくないものというふうに考えております。したがいまして、中浦水門の取り扱いを速やかに決定して、その上で事業計画の変更などの手続を早急に行うことが国としては必要であるというふうに考えております。
 このため、今後示されるでありましょう鳥取、島根両県の意向を受けまして、できるだけ速やかに中浦水門の取り扱いを判断していくことといたしております。
中林委員 環境の変化というのは当然あるわけで、閉鎖水域ですから、周辺の雑排水だとか農業の排水だとか出てくるのは当たり前の話ですよ。それは、この土地改良事業がある以前からもあったわけですね。そういうことを考慮に入れたとしても、そこで働いている漁業者というのはもう肌身で感じているということを申し上げておくし、科学的データもちゃんとあります。
 それで、今おっしゃった農業用水の確保がおくれてもならぬとか、あるいは、延ばせば延ばすほど両県にも負担がかかるんだというような話なんだけれども、何ですか。四十年かかっているんですよ。それを一カ月や二カ月で早く結論を出せというのは余りにも無謀だと言わなければなりません。これでは、私は、やはり農水省として、事業主体者ですよ、無責任な態度だというふうに思います。
 二月に鳥取の県議会があって、我が党の大谷県議が質問したことに対して知事の答弁があります。それを見ると、こう言っているんですよ。
 ここに至って本庄工区が中止となり、さらに淡水化が中止になるということでありますから、そうなれば、中海というものはできる限りもとの環境に戻すというのが、私は自然に対するエチケットだと思います。
私は、知事のこれはもう当然の発言だというふうに思います。
 どこまでもとどおりにするかというのはこれからの作業だろうと思いますけれども、できる限り戻すのがいいだろうと思います。
  そういう面から、今回、中浦水門を撤去するということになりましたら、これはまた新たな環境の変化につながる可能性もあるわけでありますから、政府においては、できる限りいろんな角度から多面的にその変化というものを、環境に及ぼす影響というものを調査をされるべきだろうと思います。これまで長い時間かかっていろんな議論をしてきて、中止になった、その途端にそそくさとという印象を私は持っておりまして、もう少し、せっかくここまで来たということは言いませんけれども、多少時間をかけてシミュレーションなどやるべきではないかと思います。
こういうふうに述べているんですね。これが鳥取県知事の意向なんです。
 私は、一つは、農水省が示した三月末、これは撤回してほしい。それぞれの県の意向だとか、あるいはこの撤去をしたら一体どうなるだろうか、あるいは一部残したらどうなるだろうかといろいろなシミュレーションを、環境に与える影響も含めて国が責任を持ってやるべきだというふうに思います。
 まず、結論の期間の問題、そして、そういったさまざまなシミュレーションを国が責任を持っておやりになる考えがあるのかどうか、明確に答えていただきたいと思います。
太田政府参考人 期限の問題でございますけれども、確かに、二月十三日に開催されました第三回中海に関する協議会におきましてこの議論をした場合に、一カ月程度といいましょうか、三月中あたりを目途にできればお考えをお聞きしたいという話をいたしております。
 もちろん、県におきましては、地元関係者の意向等々も含めて御検討をされるわけでありますので、現実的には、その県のお考えあるいは地元におけるお話し合いを我々としては見守っている状況でございまして、そういった結果を踏まえて次の段階に移行していくのが適切であろうかというふうに考えております。
 そういった意味で、現実的に、三月末というようなことは一つの目途として申し上げたわけでありまして、そのことが守られなければ云々ということは私どもとしては考えておらない状況にございます。
 他方で、シミュレーションに関する問題でございますけれども、例えば、平成十年度に、本庄工区の利用のあり方につきまして検討いただくために中国四国農政局に設けました本庄工区検討委員会におきまして、水質シミュレーションを行っております。堤防の一部を開削するようなそういうシミュレーションの場合でありますと、本庄工区以外の宍道湖・中海の水質はほとんど変化しないというような結論等々、既存のいろいろな調査結果、データがございます。
 そういったもので必要なものについては必要に応じて御説明していくということは、私どもの責務であろうかというふうには考えておりますが、いずれにしても、冒頭に申し上げましたような諸般の事情を考えて、確かに拙速であってはいけませんけれども、ただし、幾ら時間をかけてもいいというものでもないかというふうに考えております。
中林委員 この二月十三日の協議会の会議メモを見ますと、島根、鳥取両県の担当者から非常に強い要望が国側に提示をされております。
 例えば鳥取県側が、中浦水門を撤去しただけではもとの姿には戻らない。中浦水門地点は、昔は水深二、三メートルの浅瀬で、自然の潜堤の役割を果たして塩水くさびの進入を防いでいたんだけれども、航路の確保ということで塩水くさびが中海に入り込んできて、塩水くさびが環境にどの程度影響しているのか、こういう意見がある。真水とまざらない下層に停滞している貧酸素水塊が大幅にふえており、酸素がないことから動植物に影響を与え、浄化、水質にも悪影響を及ぼしている。こういうことを国としてちゃんと調査をしてほしいということに対して、農政局の方は、やる気がないということを言っているんですね。やらないと言っているんですね。こういう態度でいいのかということを私は本当に問いただしたいというふうに思うんです。
 この中海干拓淡水化事業を中止に追い込んだ住民サイドからは、もうこれでもとの環境に国の責任で戻るんだろうという期待が物すごく多かった。一つはこの水門をどう扱うかというのが問題ですが、もう一つは、本庄工区干拓が中止になりました、そのためにつくられている二つの堤防の開削、これを求めているんです。
 ところが、これまでも農水省の方は、この堤防の開削、確かにあそこは土管を入れて流入した調査もやりましたよ、その結果変化がなかったんだからその開削の意味はないんだということを何回も答弁をいたしております。
 しかし、そのとき、この農水省がやった調査の中で、参考例ということでもう一つのケースを調査しているんですよ。それまでは百五十メートルの幅の開削だったんだけれども、この参考例は二百メートルの開削。そして、中浦水門の樋門の操作をやってもとの中海・宍道湖の流れの方向を再現する。そういうことをやったら、ずっと酸素は中まで届いていってすごく改善されるんだ、そうすれば、水産資源なんかはかり知れないだけの大きなことが望めるんだ、こういう研究者の見解が幾つも出されております。
 この参考というところをどうしてあなた方は見ないんですか。
太田政府参考人 もとの中海・宍道湖の状態というのをどういうように設定するかということはありますけれども、私どもも、この中浦水門の取り扱いの結果、少しでも環境の改善が図られるということを目指してやることは当然の責務であるというのは原則であろうというふうに考えております。
 先生御指摘の中浦水門の活用とあわせて、堤防の開削といったことが提案されていることは私どもも承知いたしております。
 中国四国農政局では、平成九年度、十年度の二カ年をかけまして、中海及び宍道湖の環境につきましての調査を行っておりまして、その結果については既に公表いたしております。
 その中で行いました水質シミュレーションによりますと、干拓堤防の一部を開削した場合におきましても、本庄工区以外の中海及び宍道湖の水質はほとんど変化しないというような結果を得ております。また、堤防開削に加えまして、中浦水門の操作を行うことについても検討を行っておりますが、本庄工区検討委員会の報告によりますと、中海全域の貧酸素対策に一定の効果があるものの、漁業や生態系に及ぼす影響の把握、費用負担を含めた維持管理上の課題、関係機関との調整など広範な課題を抱えていることを十分認識しておくことが必要だというふうな指摘もなされております。
 私どもといたしましては、このことから、すぐさま中海の水質改善対策として堤防の開削とあわせて水門操作を行うことが有効であるかということは断じることは難しいんではないかというふうに考えておりますし、また、これによる負の効果という心配も本当にないものだろうかということが懸念されるわけでございます。
中林委員 先ほど紹介した鳥取の県議会で片山知事は、この開削問題にも触れてこう言っているんですよ。「宍道湖・中海汽水湖研究所の水質浄化に向けての提言についてお話を伺ったわけです。」自分がそこから聞いたと。「そういうことを踏まえて、国に対して、そういう研究所の研究成果などもあるので、こういうことも改めて調査をしてもらいたい」と言っているんですね。
 この汽水湖研究所というのは、ずっと、そこの水質や、それからどんな漁獲がとれて、どうやったらどうなるかという蓄積があるんです、研究所として。そういうものをあなた方は無視してはならないというふうに思います。もちろんそれぞれの県の意向というのはあるんですけれども、この知事も言っているように、そういう専門家の蓄積、これを無視してはならない。
 そういうことも踏まえた十分な納得の上の協議機関としていく、そういう決意はありますか。
太田政府参考人 いずれにしましても、関係機関が集まった協議の場が設定されておりますので、そうした中で、各県から出されるそういう御指摘に対しても、我々としては真摯に対応していくのが責務であろうかというふうに考えております。
中林委員 真摯な対応と言われたので、本当に真摯にやってくださいよ。ここの農政局は高圧的なんですから。県でやれ、県でやれですよ。こんなことでは両県の県民は絶対納得しません。
 以上申し上げまして、質問を終わります。
小平委員長 次に、菅野哲雄君。
菅野委員 社会民主党の菅野哲雄でございます。
 水産加工業施設改良資金融通特措法に関して、私は、この間、水産加工業と漁業が一体として発展していかなければならないという立場で水産基本法なり水産基本計画が策定されてきたと思っております。そういうことを考えたときに、水産基本法の中でも多くの議論を行ってまいりましたけれども、今の日本の漁業というものを資源管理型漁業に変えていくんだという強い意思がこの基本法、基本計画に貫かれているというふうに思っています。
 そういう基本路線で現状を見たときに、それでは漁業あるいは養殖漁業というものがどういうふうになっているかということを考えると、昭和五十三年で一千万トンからの生産がありました。そして、現在は、十三年度統計ですけれども、六百万トンに減ってきているという現状であるということをしっかりと受けとめなければならないというふうに思うんですね。
 それでは、水産基本法、基本計画でうたわれた資源管理型漁業をこれまでどう行ってきたのか、これからどう行っていこうとしているのか。これは、基本計画が策定されて一年たっておりますから、今後について水産庁として明確な方針を持って取り組んでいかなければならないと思うんですが、これまでの取り組みと今後の方向性についてどう考えておられるのか、答弁願いたいと思います。
木下政府参考人 水産資源の問題でございますけれども、委員御指摘のとおり、昭和五十三年には一千万トンの水準でありましたけれども、昭和六十三年の千二百六十万トンをピークの後、減少を続けておりまして、平成十三年には、御指摘のとおり、六百万トンの水準になっているという状況でございます。
 この要因といたしましては、幾つか挙げられるかと思いますけれども、我が国周辺水域にとりますと、一つは、マイワシの漁業資源が、例えば昭和六十三年に四百五十万トンありましたのが、平成十三年には十八万トンに減少したこと。また、漁船の大型化あるいは漁労機器の高性能化等の漁獲能力の向上、あるいは過剰な漁獲競争の結果、資源に対する漁獲圧力が必要以上に過大となったこと。またさらには、沿岸域の漁場環境が悪化したこと等々が挙げられるかと思います。
 私どもも、委員御指摘のとおり、水産資源の管理、回復が水産施策の中で非常に大きな位置を占めているというふうに考えております。
 こういう観点から、私ども、国、都道府県を通じまして資源管理を進めてきているわけでございますけれども、その対応を申し上げますと、一つは、資源量の推定の精度のある程度高い魚種、例えばマイワシだとかサバあるいはズワイガニ等々七魚種でございますけれども、これにつきましては、平成八年に漁獲量の総量管理を行うTAC制度を導入しているところでございますし、このようなTACの設定につきまして、それぞれの資源状態に応じた設定をしてきているという段階でございます。
 また一方で、緊急に資源の回復が必要な魚種がございます。このような魚種につきましては、海域ごとに減船なり休漁等を含みます漁獲努力量の削減、また一方で種苗放流によります資源の培養、また、藻場、干潟の造成等によります漁場環境の保全等を内容といたしております資源回復計画を平成十三年から取り組んでいるところでございます。現在、四計画を作成し、公表しているところでございます。
 TAC制度あるいは資源回復制度、また、漁獲努力量の総量を管理する漁獲努力可能量、TAEの制度でございますけれども、これにつきましても、アカガレイ、サワラなど五魚種につきまして対応してきているところでございます。
 私ども、今後とも、TAC、TAEあるいは資源管理制度を通じまして、我が国沿岸、沖合水域の資源の維持培養に努めてまいりたいというふうに考えております。
菅野委員 現状は、今水産庁長官が答弁したように、昭和六十三年度に一千三百万トンあったのが、平成十三年度六百万トンという数字が示しているとおり、もう半減以下に減っているんですね。その減少がどういう影響をもたらしているのかということを考えたときに、漁村には本当に後継者が育っていかない、それから生産から撤退していく姿というのがあらわれております。そして、遠洋マグロ漁船においては国際協約で二割減船するということで、日本は積極的に減船したにもかかわらず、漁業経営体はもう撤退、二割減船した上に残った経営体も撤退していかざるを得ないという現状にあるわけですね。
 やはり資源回復ということを国際的にも国内的にも行っていかないといけないんですが、そこに水産庁がイニシアチブをとってどう力を発揮していくのか、そして予算を投入していくのか、ここが今強く求められている時期だというふうに思っています。それと同時に、漁業者にも資源回復という思想を持ってもらいながら一体となって取り組んでいくということが、求められている大きな課題だと申し上げておかなければなりません。
 それと同時に、一方では、経済のグローバル化に伴って輸入水産物の増大、そしてこの今の水産加工業を大変な状況にしているんですが水産加工製品の輸入の増大、この二つの命題を抱えているわけですね。国内的には資源が枯渇していく問題と、輸入水産物に国内全体が非常に危機的な状況に追い込まれている。
 この輸入水産物、輸入水産加工品の増大をどのようにとらえていって、水産庁として他の省庁と一体となってどうしていこうとしておられるのか、これをお聞きしたいと思うんです。
 ちなみに、私のつかんでいる数字なんですが、魚介類全体で自給率を見ると、昭和五十年代では一〇〇%を超えていたんですね。それが、平成十一年度統計でいくと、六〇%台に自給率が魚介類でおりている。四〇%も自給率が低下しているという姿。
 それから、輸入水産加工品においては、昭和五十三年度で十二万トン、十三万トンぐらいだったのが、平成十三年度では九十三万トンに膨れ上がっているという状況です。そして、金額でいえば、水産加工品で約四兆円の生産があるのに、輸入は五千億円というふうなシェアを占めるまでになっているわけですね。
 どのようにこの状況に対応していかれようとしているのか、お聞きしておきたいと思います。
木下政府参考人 水産物の自給率でございますけれども、委員御指摘のとおり、昭和五十年に自給率一〇〇%を切って、それ以降減少を続けていっているという状況でございます。
 ちなみに、水産加工品なり水産物の輸入状況を見てみますと、平成十三年には三百八十二万トン、あるいは金額にいたしますと一兆七千億というふうに、量あるいは金額ともふえてきているという状況でございます。
 私ども、このような状況に対処いたしまして、一つは、水産加工品につきまして、やはり今回提案申し上げております水産加工資金でも対応いたしたいというふうに考えたところでございますけれども、輸入品に負けないような新しいアイデアを盛り込んだ水産加工品の創出を含めた、水産加工業全体の経営基盤の強化がぜひ必要であろうというふうに思っております。
 また一方で、漁業でございますけれども、先ほど申し上げましたように、国内の沿岸、沖合水域におきます資源状況が押しなべて悪いという状況でございます。私ども、このような資源状況にかんがみまして、基本的には持続可能な漁業を進めていくという中で漁業の振興を図っていきたいというふうに考えておりますけれども、特に漁船あるいは漁業技術の開発なり研究開発の促進、また一方で、漁船漁業全体が体力が弱ってきているという状況がございます。したがいまして、このような漁船漁業全体の体質強化のための方策につきましても、昨年、水産基本計画を策定したところでございますけれども、最優先課題として取り組んでいきたいというふうに考えております。
菅野委員 グローバル経済、国際的な経済体制が今日的な状況になったときに、私は、国内政策をどう進めていくのかに非常に大きなウエートがかかっているというふうに思うんですね。
 先ほどから議論されておりますけれども、地産地消、地域で生産されたものが地域で加工されてそして消費される、そういう経済体制に国内体制をしっかりと構築していかなければならない課題だというふうに思うんです。その体制をどうつくっていくのかということが今問われているんだと思います。
 そうしたときに、漁獲量を資源管理型にしていって、多く国内で漁獲されるような体制に、まずしっかりとした施策でもって体制を築き上げなければならないというのが一つの問題点です。そこにどう力を入れていくのか。
 それからもう一つは、食の安全、安心というものが問われております。食品安全基本法が制定され、今議論されようとしておりますけれども、この観点から、国内生産されたものを国内消費という形で流通するような形にどう持っていくのか、二つあると思います。
 それで、もう一つは、水産加工品の輸入の増大は、食の安全、安心という観点から、どういう問題点があるのか、これをしっかりと見きわめる必要があるというふうに思っております。これは、水産庁だけの問題じゃなくて、政府全体としてあると思うんですが、輸入水産加工品の増大という形がふえているにもかかわらず、そのことが本当に安全、安心なのかという観点も、私は検証する必要があるというふうに思っています。
 先ほど、オーストラリアで中間育成された輸入マグロの問題が議論されました。こういう問題等も含めて、国が食品の安全、安心というものにどう積極的にかかわっていくのか、今問われている大きな課題だというふうに思っております。
 水産庁として、やはり、産業を本当にしっかりと育成していくという観点があったときに、これらをトータル的にコーディネートする必要があるというふうに私は思うんですけれども、長官、その決意と用意をお聞かせ願いたいと思います。
木下政府参考人 私どもも、委員御指摘のとおり、輸入水産物の安全、安心の確保を図っていくという観点は非常に重要だというふうに考えております。
 もとより、基本的には厚生労働省の所管に係ることでございますけれども、私どもも、厚生労働省とも十分連携をとりながら、今後とも全力を挙げて対応していきたいというふうに考えております。
菅野委員 わかりました。これは、政府全体としてぜひ、今、食品安全基本法が提出されておりますから、その中でも議論していきたいというふうに思いますから、取り組み方をよろしくお願いしたいと思います。
 それから、最後に、三月八日、九日に三陸地域に物すごい低気圧が発生して、大きな被害をもたらしました。昨年発生した台風六号以上の被害ということ、私も帰っていたときに呼び出されてその状況の説明を受けたんですけれども、水産庁として、この低気圧の被害をどのように把握しておるのか。そして、その被害状況に対して今後どう対応していくのか。この点だけお聞きしておきたいと思います。
木下政府参考人 まず、被害状況でございますけれども、現在、県で調査の途上でございますので、最終的な数字については確定をいたしておりませんけれども、私どもが把握している段階では、三十億強に上っているというふうに考えております。
 また、このような被害状況でございますけれども、これを受けまして、私ども既に、制度資金につきまして、既往の貸付金の償還猶予等が図られるよう関係の県また金融機関に依頼をしたところでございますし、また、漁業共済についても大変期待を寄せられているわけでございますけれども、迅速な損害査定、あるいは仮払いを含めた早期支払いができるよう指導しているところでございます。
 また、被害を受けた漁業者に対しまして、沿岸漁業経営安定資金の融通等につきましても対応してまいりたいというふうに考えております。
菅野委員 今、三十億という概算の数字が述べられました。そういう意味では、体力が弱っているところにまた災害でもって打撃を受けて経営から手を引くという状況に悪循環として災害が作用することのないように、ぜひしっかりとした対策を水産庁としてもとっていただきたいというふうに私は思っております。
 制度を活用するしかないというふうに言われるんじゃなくて、本当に、経営から撤退していくようなことが起こらないように、先ほどから申し上げているように厳しい環境に置かれておりますから、温かい手を差し伸べていただきたいということを強く要望して、私は質問を終わります。
小平委員長 次に、山田正彦君。
山田(正)委員 自由党の山田正彦です。
 きょう、自由党として、私として、本来、大臣に質問すべきところですが、我が党の方針としましても、大変申しわけありませんが、大臣の疑惑等々の審議が予算委員会で終わるまでは大臣に質問できないということで、ひとつ副大臣にお聞きしたい、そう思います。
 まず、漁協合併の促進法に関する問題なんですが、漁協は今、私も浜を回っていますと、大変経営状態が悪いというか、かなりのところが累損、そして今期も赤字だ、そういうところ。私は、五割ぐらいは、半分ぐらいはそうなんじゃないかなというふうに実感しながら戻ってきた経緯があるんですが、一体、漁協全体の経営内容はどうなっているのでしょうか。副大臣に。
北村副大臣 山田委員からの御指摘、漁組も相当な欠損金を出しておりますし、それに伴って合併等々という問題もございます。あるいは、信用部門の、これも異常な譲渡というような事態も出ているところでございます。今御指摘のとおり、ほぼ三割の漁協が非常に厳しい状況にあるというふうに認識をしております。
山田(正)委員 少なくとも三割の漁協がいわゆる赤字で累損を出して、赤字経営であると考えていいかと。今の副大臣の答弁ではそう思います。
 この法律でもそうですが、今、漁協合併を非常に促進しております。そのときに、漁協に、それだけの漁協が赤字ですから、大きな穴、欠損がある。そういった場合に、どういうふうにしてそれを処理し合併に持っていっているのか、どういう指導をしておるのか、ひとつ副大臣にお聞きしたいと思います。
北村副大臣 漁協の合併時の欠損金の処理については、通常は、合併に参加する漁協全体の資本というのがございますね、準備金ですとか積立金、こういうことで相殺されるのが一般的でございまして、どうしても相殺できない場合には累積の欠損金として残ることとなってしまいます。
 しかし、欠損金を抱えて合併に参加する赤字漁協は、関係する漁協との不公平感を解消するという意味では、欠損金相当の借り入れをまず行い、合併後に、この欠損金の借り入れをした旧赤字の漁組の組合員の負担でこの借入金の償還を行っていくというのが一般的なことでございます。
 国は、この赤字の漁協に対して、信漁連等から欠損金相当額の借り入れを行うときの利子補給を行っておりまして、国がそういう政策をとっておりますので、県あるいは市町村においても同様の支援が行われているというふうに承知をしておるところでございます。
 こういうふうにいたしまして、今後とも、漁協の合併が円滑に実施できるように支援を図ってまいりたい、このように思っておるところでございます。
山田(正)委員 今の副大臣の答弁ですと、いわゆる欠損金に対して、まず、組合員の出資分がありますね、積み立てしてあります。その分を取り崩して、いわゆる減資して消していく。これはわかりますね、合併の前に。
 その次に、かなり大きな穴をあけている漁協というのは私もよく存じているわけですが、そういった場合に、県ですか、今話したのは。県か、あるいは国が貸すんですかね、それをもう一回ちょっと明らかにしてほしいんですが、貸し付けをして、それを利子補給する。利子補給を県とか町村が負担するんじゃないかと思いますが、その中で、借り入れをした分を旧組合員が払っていく。これは間違いなんじゃないですか。大臣、副大臣、これは方法を間違っているんじゃないですか。
 例えば、赤字の会社と黒字の会社があるとします。そのときに、普通、赤字の会社は、我々の常識でいけば、破産手続をとります。破産手続をとって、その債権については、免責、ゼロにしてしまう。そして、裁判所の決定、免責によってそれぞれの債務者は、ゼロになって、再生を図る。これが、いわゆる中小企業あるいは一般個人の借り入れのごく当然の債務処理の方法であって、合併に際して、穴をあけた旧組合員に対して、それだけの借り入れを負担して、かつての組合員がそれぞれ、その出資分を取り崩した上でずっと払っていかなきゃいけない。これは、債務処理の常識からして、余りにも、漁協の組合員、村の人たちに対して非常な負担をかけている。これは大変過ちな行政なんじゃないですか。副大臣、いかがですか。
北村副大臣 法律的なことは、山田委員が専門家でございますので、そのことについて素人の私が説明はできませんけれども、ただ、私も、例えば漁協と農協とは性格は違いますが、しかし、組合法によっては基本的には同じだ、こう思っております。
 私の知る範囲でも、農協の合併で、欠損金を持って合併したときに、赤字の組合員がこれを返済していく、あるいは、その赤字の農協の理事あるいは元組合長等々がその応分の負担をしている。そういうことを現実的に見てまいりましたので、そういうことからいきますと、漁業協同組合にあっても、赤字を持って合併したときに、その借り入れについて、もとの赤字をしている組合員、そしてまたその当時の理事の方々が返済をするということはやはりやるべきことである、私はこのように認識をしております。
山田(正)委員 大臣にはお答えしてもらわなくてもいいんですが、ぜひ聞いていただきたい。(大島国務大臣「聞いています」と呼ぶ)
 それで、実は、中小企業、企業の会社員、株主、そういった人たちは、出資限度分だけ負担して、その会社がこうむった大きな債務を、その会社が例えば合併した後も払っていかなきゃならないということはありません。漁協の組合、農協の組合でも、出資分は全部取り崩して、それはもうしようがありませんと。しかしそれでも、あけた穴について、漁協でも農協でも一緒ですが、かつての組合員がそれを払っていくというのは法論理的に見ておかしい。そういうおかしい間違いを農水省はやっている。副大臣、いかがでしょうか。
小平委員長 北村副大臣。(大島国務大臣「聞かなくてもいいんですが、ちょっとお答えを」と呼ぶ)大臣、ちょっと待ってください。
 大島農林水産大臣。どうぞ。
大島国務大臣 今の山田委員の指摘は、協同組合法の性格というものが一つ、それももう全部御承知の上で聞いていると思うんです。ただ、借金をもとの組合員がずうっと背負っていくというところに何らかもうちょっと違った手だてが必要ではないか、あるいはまた、抜本的な考え方が、そこに変化ができないかという御指摘だと思うんです。
 指摘されている部分は私もよくわかるんです。よくわかる、それは漁協、農協、両方そうでございますから。これから農協改革、漁協改革というのは、農協改革の議論をいたしますので、そういう中でもっと幅広く、根本論としてちょっと議論をしてみたいなという案件であることだけは申し上げておきたい、こう思います。
山田(正)委員 今の大臣の答弁は聞かなかったことにします。
 ところで副大臣、今申し上げましたように、穴をあけた漁協、穴をあけた農協、そういったものの組合員の後々までの債務負担は今、農村、漁村地域では大変大きな負担になっております。これはぜひ、ひとつ政府としても、大きく方針を転換する時期である。そして、できるならば、漁協でも農協でも、一たん破産して、清算して、そして、残された組合員は新しい農協にそのまま債務負担なしで新しく加入してもらう。債権を償却する。銀行だってゼネコンだって、ゼネコンに対して政府がというか銀行が、政府からの金が回ってあれだけの債権償却、放棄、二千億とか三千億とか平気でやっている時代ですから、農協、漁協の債務について、二千億、三千億の債権放棄は簡単にできなきゃおかしい、そう考えております。
 次に質問いたしますが、再編強化法に基づく基本方針。
 漁協の合併、再編強化法に基づいて一つの合併の方針を決めていますが、その中で、実は、自己資本比率が一〇%以下のところにおいては合併あるいは信用事業の譲渡を強力に推し進めているようですが、その実態はどうなっているんでしょうか、副大臣。
北村副大臣 山田委員からの御指摘の、一〇%ないと経営改善または合併、信用事業譲渡の指導を受けることとなる、こういう議論はなされております。
 この再編強化法に基づく基本方針というのは漁協系統内での自主的なルールではありますが、同方針によれば、信用事業実施漁協の自己資本比率が一〇%に達しない場合には、農林中央金庫は、当該漁協の経営改善を指導し、それでも再建が困難なときには合併や信用事業の譲渡などの措置を勧告することになっております。
 したがって、財務状況が極めて悪く、あるいは経営改善の見込みのない漁協に対しましては、信用事業の健全性の確保の観点から、系統組織や県が緊急に信用事業を譲渡するよう指導する事例もあるものと承知をしております。
 農林水産省は、農協系統信用事業の健全性の確保が重要であると考えております、しかし他方、漁協の合併や信用事業譲渡は、地域に与える影響を考慮すると、当該者である組合員の十分な理解を得て行われるべきものである、このように思っております。合併に向けた地域の話し合いが円滑に行われるよう努めてまいりたい、このように思うところでございます。
山田(正)委員 私が聞きたいのは、いわゆる国際取引をする大きい銀行、メガバンクですら、自己資本比率は八%でいい。小さい銀行、これは実質的に四%、赤字じゃなければ大概いいようですが、金融機関は自己資本比率が四%ぐらい。ところが、赤字経営が三割も少なくともある漁協において自己資本比率一〇%というのは、一体だれがどこで決めたのか。簡単に答えてください、私の持ち時間はあと三分しかありません。
北村副大臣 どこでだれが決めたかということでございますが、平成十三年の八月に、全国の主要信漁連を構成員とする全漁連信用部会で九回にわたった議論を重ねまして、その過程を通して現場の漁組の意見集約をまず一つ図りました。特に要望のあった、例えば長崎県を含む約三十の都道府県においては、漁組の組合長との個別説明も行ったりしておりまして、平成十四年の九月に農林中央金庫の総代会において決定されたものであります。
 以上です。
山田(正)委員 これは、法律で決めたわけじゃない、閣議で決めたわけじゃない、いわゆる大臣が通達を出したわけでもない。農林中金が総代会で決めた、そして各漁協に厳しい基準を押しつけた。普通の銀行よりも重い一〇%など、これでやっていけるわけがない、三割も赤字のある漁協を。
 私が浜回りしていますと、漁協の理事さん方がみんな困っているのは、一〇%を切っているから早く合併しろ、合併しないと信用事業を譲渡しろと、いわゆる強迫されている、極端な言い方をすると。
 そういう中で、無理やり合併して、そして赤字のところの組合員は後々まで債務負担させられ、そしてお金を借りようとしても、今度は、合併した大きい漁協というのはなかなか貸してもらえない。
 今ほとんどの漁業者が非常に困っているのは、この一、二年、漁協が金を貸してくれなくなった。どこも貸してくれなくなった。今までの漁協は、その一〇%枠に縛られて、何とか合併しないで維持しようとすると、どうしても金を出さない、貸さない。むしろ回収する、引きはがす。これが今、みずほグループとか大銀行がやっているんじゃなく、現実に小さな漁協で、小さな前浜で今行われようとしている、現実にこの一、二年。答弁は大臣いいですから、よく聞いてください。
 そういう中で、一つ、こういう勝手なことを中金に決めさせて、末端の漁協の組合長らはそんなことを知らずに、そして一〇%ないからどうだこうだと言われ、大変な現況に陥っているという事実、これに対して副大臣、対策を何らかとらなければいけないと思いますが、どう考えますか。一言で結構です。
大島国務大臣 議事録に残しておきたいと思いますので、山田委員が御指摘いただいている末端漁協の現状とそれから漁業生産者の関係というものはちょっといささか誇張があるような気もいたしますが、一つの現状としてのここでのお話はしかと承りました。
 一方、新しい日本の水産をつくるために、漁協の足腰を強くしておかなければならないこともまた御理解いただきたいと思います。
 しかし、健全な生産者が健全な形で融資を申し込み、それが貸し付けを受けられないという現状があってはならぬと思います。そういう点に対しては、私どもも改めて、各漁協あるいは信漁連、そういうふうなものを通じてできるだけ対応するようにしかと指導するよう努力してまいりたい、このように思っております。
山田(正)委員 もう私の質問時間も終わったんですが、今申し上げましたように、非常に、いわゆる意欲ある漁業者が借り入れできずに大変困っている状況と、そして今農業以上に漁業は深刻で自殺者も相次いでいるという事実、これをよく大臣、副大臣とも認識して、漁業の問題に対しても強力にひとつ行政、新しい政策の転換を図っていただきたい。
 そうお願いして、私の質問は終わります。
小平委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
小平委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
小平委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
小平委員長 次に、農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 漁業協同組合合併促進法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
 本件につきましては、二田孝治君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、社会民主党・市民連合及び保守新党の六会派共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおり、漁業協同組合合併促進法の一部を改正する法律案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。二田孝治君。
二田委員 漁業協同組合合併促進法の一部を改正する法律案の起草案につきまして、提案者を代表して、その趣旨及び内容について御説明申し上げます。
 本法の前身である漁業協同組合合併助成法は、昭和四十二年に、適正な事業経営を行う漁協を広範に育成するため、漁協の合併促進を目的として制定され、以来、六次にわたり延長を重ねてきたところであります。特に、平成十年には、漁協系統組織の主体的な取り組みを図ることとし、題名が漁業協同組合合併促進法に改正され、本法は、今日まで、漁協の事業規模拡大に一定の役割を果たしてきたのであります。
 しかしながら、いまだ脆弱な小規模組合が全国に多数存在しており、また、近年の水産業をめぐる厳しい状況を反映し、漁協系統事業は縮小傾向にあります。
 こうした中、組合員ニーズに的確に対応し、各種事業の健全な運営を図るとともに、漁協が、水産基本法の基本理念の実現に向けて、資源管理の推進、担い手の育成等のため、一層積極的な役割を果たすには、その経営基盤の安定強化が不可欠となっております。
 このため、漁協系統組織においては、自主的な方針のもと、広域的自立漁協の育成に向けて、漁協の合併、事業統合等を計画的に推進しているところであります。
 本案は、こうした状況を踏まえ、本年三月三十一日をもって期限切れとなる合併及び事業経営計画の都道府県知事への提出期限を五年間延長し、平成二十年三月三十一日までとするとともに、漁業権行使規則の変更または廃止についての漁業法の特例措置を延長することとしております。
 以上が、本案の提案の趣旨及び内容であります。
 何とぞ速やかに御決定くださいますようお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
 漁業協同組合合併促進法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
小平委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 本件について発言を求められておりますので、これを許します。中林よし子君。
中林委員 私は、日本共産党を代表して、漁業協同組合合併促進法の一部を改正する法律案について、反対の立場から発言を行います。
 漁業をめぐる厳しい情勢は私どももよく聞いており、そのための一つの選択肢として漁協の合併が必要になることは当然あり得ると思います。しかし今般、その延長を求める漁協合併促進法が、真に漁業者、組合員の利益になる方向で合併が行われる、これを保障する法律であるかが問題であります。
 第一に、延長を求める合併促進法は、国と都道府県による合併計画への指導、助言を義務づけ、実際の協議についても助言、指導の文言を盛り込んでいます。しかも、その合併は、本法に言う基本構想、基本計画という基準をクリアする広域的な大型合併であり、さまざまな多様な合併をも対象にするものではありません。
 これは行政の関与で上からの合併押しつけに道を開くものであり、賛成できません。現にこの間、行政当局が、合併の推進や、漁協の体制や経営内容に対し介入を強めています。漁村も漁協も多様であり、生き方も多様なはずです。上からの合併ではなく、組合員参加の現場主義で進める、組合員としてのやり方こそ原則とすべきです。行政は、合併支援策は講じても、介入をすべきではありません。
 第二に、行政の支援策について、合併促進法は、合併漁協に漁業振興施策の事実上の優先実施を盛り込んでいます。これは、同一の水産施策において、合併か非合併かによって差別を持ち込み、公正公平な水産行政を損ねるものであります。
 また、合併漁協に対する施設整備助成や税制の特例措置についても、法律上、行政が認定する合併についてのみ対象であり、すべての合併に適用されるものではありません。合併の内容によって助成策の差別を行うものとなっているのであります。
 私は、このような問題点を持つ合併促進法の延長という本案に反対するとともに、漁村集落を維持するかなめの位置にある漁協が存続できるよう総合的な水産施策の充実を強く政府に求め、発言といたします。
小平委員長 これにて発言は終わりました。
 お諮りいたします。
 漁業協同組合合併促進法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付いたしております起草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
小平委員長 起立多数。よって、本案は委員会提出の法律案とするに決定いたしました。
 なお、ただいま決定いたしました法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
     ――――◇―――――
小平委員長 この際、連合審査会開会申入れの件についてお諮りいたします。
 内閣委員会において審査中の内閣提出、食品安全基本法案について、内閣委員会に対し連合審査会開会の申し入れをいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 なお、連合審査会の開会日時等につきましては、内閣委員長と協議の上決定し、追って公報をもってお知らせいたします。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時四分散会


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