衆議院

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第12号 平成16年4月21日(水曜日)

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平成十六年四月二十一日(水曜日)

    午前九時三十二分開議

 出席委員

   委員長 高木 義明君

   理事 北村 誠吾君 理事 西川 京子君

   理事 松下 忠洋君 理事 松野 博一君

   理事 小平 忠正君 理事 山田 正彦君

   理事 白保 台一君

      赤城 徳彦君    石田 真敏君

      小野寺五典君    小渕 優子君

      大野 松茂君    梶山 弘志君

      金子 恭之君    木村 太郎君

      後藤 茂之君    佐藤  勉君

      田中 英夫君    津島 恭一君

      永岡 洋治君    西村 康稔君

      西銘恒三郎君    野呂田芳成君

      蓮実  進君    原田 令嗣君

      二田 孝治君    保坂  武君

      岡本 充功君    鹿野 道彦君

      金田 誠一君    岸本  健君

      楠田 大蔵君    篠原  孝君

      神風 英男君    仲野 博子君

      楢崎 欣弥君    堀込 征雄君

      松木 謙公君    石田 祝稔君

      西  博義君    高橋千鶴子君

      山本喜代宏君

    …………………………………

   議員           篠原  孝君

   農林水産大臣       亀井 善之君

   農林水産副大臣      金田 英行君

   農林水産大臣政務官    木村 太郎君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 加藤 治彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大石  明君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局疾病対策課長)         藤井  充君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房長) 小林 芳雄君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           中川  坦君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  白須 敏朗君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  川村秀三郎君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            太田 信介君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           石原 一郎君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  小野寺 浩君

   農林水産委員会専門員   和田 一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十一日

 辞任         補欠選任

  後藤田正純君     小渕 優子君

  佐藤  勉君     原田 令嗣君

  玉沢徳一郎君     蓮実  進君

  野呂田芳成君     西銘恒三郎君

  西  博義君     石田 祝稔君

同日

 辞任         補欠選任

  小渕 優子君     保坂  武君

  西銘恒三郎君     野呂田芳成君

  蓮実  進君     玉沢徳一郎君

  原田 令嗣君     佐藤  勉君

  石田 祝稔君     西  博義君

同日

 辞任         補欠選任

  保坂  武君     後藤田正純君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四九号)

 農業改良助長法の一部を改正する法律案(内閣提出第五〇号)

 青年等の就農促進のための資金の貸付け等に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第五一号)

 家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二七号)

 高病原性鳥インフルエンザ対策緊急措置法案(菅直人君外六名提出、衆法第二五号)


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案、農業改良助長法の一部を改正する法律案及び青年等の就農促進のための資金の貸付け等に関する特別措置法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長小林芳雄君、消費・安全局長中川坦君、生産局長白須敏朗君、経営局長川村秀三郎君、農村振興局長太田信介君、農林水産技術会議事務局長石原一郎君、財務省大臣官房審議官加藤治彦君、厚生労働省大臣官房審議官大石明君、健康局疾病対策課長藤井充君及び環境省自然環境局長小野寺浩君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石田真敏君。

石田(真)委員 おはようございます。自由民主党の石田真敏と申します。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、早速質疑に移らせていただきたいんですが、まず、先日の参考人質疑を踏まえまして質問をさせていただきたいというふうに思います。

 その質疑の中で、我が党自民党の松野議員の方から普及事業に関する質問をされまして、高橋参考人の方から次のような発言があったわけでございます。国から地方へという流れによって、都道府県固有の農政が機能するのではないか、そういう発言がございました。

 私も、今回の法改正の一つの意図するところというのはそういうところだというふうに思っておるわけでございます。そしてまた、都道府県固有の農政が実現するということ、これは今後、非常にすばらしい成果を上げていくのではないかというふうに思って期待をしておるわけなんですけれども、ただ、それを実際に実現をしていくということになりますと、いろいろなやっていかなければならない課題があるわけでございますが、私は、その一つというのは、それぞれの都道府県の試験研究機関がやはり充実している、そして、その試験研究機関の成果を受けて普及事業、そして研修制度というような、そういう連携が十分に機能して初めて特色ある農政というものを展開できるのではないかと考えておるわけでございまして、こういうことにつきまして、農林水産省としての御所見をまずお聞かせをいただきたいと思います。

川村政府参考人 お答えをいたします。

 地域におきます特色ある農政、農業発展というものを図るためには、今委員が御指摘のように、試験研究機関と普及というものは非常に大きな役割を果たすというふうに考えております。農業生産の生産性あるいは品質の向上等々を図っていく上でも、この技術がやはりその背景になるわけでございまして、有力なものでございます。そのためにも、新技術等の開発を行います試験研究機関、それから、その開発された技術等を現場に合った形で普及をしていくという普及、この二つ、それから、研修等も行います農業大学校、こういったところが本当に相互が連携をしてやるということが必要だと思っております。

 今回の改正では、普及員の制度を改正いたしまして、今あります専門技術員と改良普及員、これを一本化いたしまして、より機動的に対応できるように、現場重視で対応できるようにということにしております。

 それとともに、組織体制につきましても、地方の自主性、そういうものを尊重するということで、今まで組織のあり方につきましても必置規制といったようなことで縛っておりましたけれども、これを都道府県の判断で機動的、柔軟に対応できるようにしたいということでございます。

 具体的には、例えば試験研究と普及、教育といったものが総合化されましたような総合的なセンターをつくって、そこを拠点としてやっていただくといったようなこともあると思いますし、また、試験研究機関の職員、それから普及職員が協働して現場の技術に取り組むといったようなこともございますでしょうし、また、就農前から、あるいは就農後まで、一貫して農業大学校なり普及組織、こういうものが連携をしながら、担い手の発展段階に応じた指導をしていくといったことも必要であろうと思っております。

 こういう、今委員が御指摘のような連携の強化によりまして、より効果的な育成、それから、地域での農政の発展というものが生み出されるものというふうに考えております。

石田(真)委員 ありがとうございました。

 これに関連してということですけれども、私は、先ほども申し上げましたけれども、重要なことは、やはり試験研究機関の能力といいますか、それがどの程度あるかということでありまして、これは、産業関係の試験研究機関もいろいろ地方にはありますけれども、やはりなかなか、予算もない、あるいは人手も少ないというような中で、どれだけの能力を発揮し、あるいは地域に対して発信できるのかというようなあたり、このことについて、現状の都道府県の試験研究機関の活動状況、そういうあたりについて農林水産省としては一体どのように把握されて認識されているのか、お聞かせをいただきたい。

 また、同時に、先ほど申し上げましたような固有の農政をこれから展開していく、そういうときに当たって、今、技術進歩も非常に速い。例えば、バイオテクノロジーとか非常な技術進歩がある。あるいは、消費者ニーズというのも本当に速いスピードで変わっていっている。そういうことに対して、現在の都道府県の試験研究機関で対応していけるのかどうか、そのあたりについてお聞かせをいただきたいし、そして同時に、では、その都道府県研究機関に対して、国として、国の試験研究機関もありますし、いろいろな面でのサポートの方法というのはあると思うんですけれども、国としては一体どういうようなかかわりをしていこうとされておられるのかをお聞かせいただきたいというふうに思います。

 それから、時間の関係でまとめて質問させていただきますけれども、もう一点、先ほども申し上げましたけれども、やはりその試験研究機関の成果を十分に生かすという意味では、普及活動と研修活動というのが特に重要となるわけでありまして、そのことについて、これから国から地方へ、そういうような流れができる、その中で都道府県の自主性の発揮というのがこれは求められる、これはこれで当然のことだし、都道府県もしっかり対応していかなければいけないと私は思うんです。

 そういう中で、今申し上げた一連の流れというものについて、国としてどのようにあるべきだ、そういうような一つの考え方を示せるものであれば、お示しをいただければ、ありがたいと思いますので、よろしく御答弁をお願いいたします。

石原政府参考人 都道府県の試験研究機関の状況の認識及び国との関係についてお答えさせていただきます。

 地域の独自性を発揮して個性のある農政、農林水産業の展開を図ります上におきまして、地域の条件に即し、かつ、地域に、現場に密着しました、都道府県におきます試験研究機関の役割には非常に大きなものがあるというふうに考えております。

 現在、都道府県の試験研究機関、残念ながら、人員及び研究費につきましては減少傾向で推移しております。ただ、そういう中におきましても、組織の再編整備、あるいは研究分野におきまして、より付加価値が高い園芸分野へ人員のシフトを図るといったような形で、食の安全、安心、あるいは農業の多面的機能といった県民の関心と、農業所得の向上、地産地消の展開といった地域農政の課題にもこたえつつ、効率的かつ効果的な研究開発に取り組んでいるんじゃないかというふうに考えております。

 こういう都道府県の試験研究機関に対しまして、国との関係でございますけれども、国といたしましても、委員御指摘のとおりの技術進歩あるいは消費者ニーズの変化に対応した形で、サポートと申しますか、連携をとりつつ研究開発を進めるということが重要であろうと思っております。

 一つは、地域の農林水産業あるいは食品産業の活性化という点におきましては、まず一つは、研究課題を地域の実情に応じて設定し、一緒になって推進するといったことが必要であろうかと思っております。

 国の独立行政法人としまして、農業・生物系特定産業技術研究機構というのがございますが、地域の農業研究センターということで、北海道から九州、沖縄にかけましての地域農業研究センターがございます。そこが一つは中心となりまして、都道府県の試験研究機関あるいは普及組織と一体となって、地域のニーズに応じた研究を行うということで、地域農業確立総合研究制度がございます。現在、それを実施しております。そういう研究制度ですとか、あるいは、競争的研究資金で産学官の連携による共同研究を推進するということで研究課題を公募しております。

 そういう中におきましても、十五年度の実績で見ましても、国の独立行政法人と県の試験研究機関が一緒になって研究するということが六割近くを占めておりまして、かなりの形での連携が図られていると思っております。

 また、人との交流ということにつきまして、都道府県の研究者を対象にしました依頼研究員の受け入れ制度あるいは技術講習制度を実施しております。

 また、物理的な面でいいますと、オープンラボということで、共同の研究施設ということになるわけですが、研究施設を開放して一緒の研究を行うといった形での研究を行っております。

 こういう研究制度、あるいは施設の共同利用、あるいは研究推進会議といった会議を通じまして、都道府県の試験研究機関と国あるいは国の独立行政法人との連携が図られるよう今後とも努めてまいりたいというふうに考えております。

川村政府参考人 試験研究機関の成果を今後普及活動としてどのように展開するかというお尋ねでございます。

 具体的に、例示的に申し上げますと、例えば、新たな栽培技術でありますとか品種を地域に導入する場合に、現場におきまして、試験研究員の職員とも共同いたしまして農業者への新技術の指導、研修会をする。それからまた、現場でいろいろ技術移転をしようということで普及をしておりますと、逆にまたいろいろな課題が浮かび上がってくるということで、それをまた試験研究機関の方にフィードバックをするといったようなことも当然必要になってくるかと思います。

 今回、普及員を一本化いたしまして、こういった橋渡し役を、まさにこれは本来の機能でございますので、そこを強化していきたいということでございます。よろしくお願いいたします。

石田(真)委員 今、答弁をいただいた中で、やはり私も懸念をいたしておりましたけれども、都道府県試験研究機関の人員あるいは予算が減少しているというような御報告をいただいたわけであります。恐らく、今の世の中の状況でいうと、そういうふうになっていくんではないかなと懸念をいたしておるわけでございます。

 都道府県の自主性ということですから、余り国としてとやかくは言えないんだろうと思いますけれども、私は、やはり国として十分注視をしていっていただきたい。また、特に国から地方への流れというのは今過渡期ですから、過渡期にはいろいろな問題が起こる懸念があるわけでございまして、普及事業と研修事業、そういうような問題に絡んでも、そういう懸念を持っておりますので、ひとつどうか、十分に国として注意をしながら見守っていただきたいなということを申し上げておきます。

 また次に、参考人質疑の中で、高橋参考人が普及事業に関しまして次のような発言もされました。税務等の事務やマーケティングなどは民間に任せるべきだというような発言をされたわけでございますが、これはどのように理解すればいいのかなというふうに思っております。つまり、民間に任せるということですから、農業者個人が個人として対応していくのか、あるいは普及事業とか農業委員会の活動の中で対応していくというふうになっているのか。国の方ではどのようにお考えなのか、明確にしておきたいと思います。

川村政府参考人 農業者の経営を改善していくという上で、今、例示として挙げられました税務とかマーケティング、これもまた不可欠の項目だと思っております。ただ、これを普及員自体が担うというのは、農業分野とは非常に違った専門的な、また高度の専門性も要するということでございますので、そういうのは、いわばもちはもち屋という形でのことが必要だと思います。

 ただ、日ごろ農業者に接しておられるのは普及員でございますので、やはりその仲立ちも普及員がすべきであろうというふうに思っております。それから、税務の専門家なんかも農業には余り詳しくないという方も多くて、農業との接点で、やはり農業に詳しい税務関係者といったようなものも育てていくということも大事でございますので、これについてもやはり橋渡し役的なものが当然普及員には期待されるというふうに思っております。

石田(真)委員 ありがとうございました。

 参考人質疑にかかわっての質問はこれで終わらせていただいて、次に進ませていただきたいと思います。

 今、御承知のように、食料・農業・農村基本計画の見直し作業が進められているところでございます。私は、それはいろいろな問題を見直していこうということだと思うんですけれども、やはり根本問題の一つ、根本の一つは農業者の生計が成り立つかどうか、そういうことだろうというふうに思っております。

 それは、言葉をかえて言えば、いかに需要拡大するか。需要が拡大していけば、私は、ある程度、農業者の生計が成り立っていくのではないかなというふうに思っておるわけでございまして、その需要拡大ということをキーワードにいたしますと、それは本当にさまざまな分野で、それぞれが精いっぱい頑張っていただかなければ成果を上げられない、これはもう当然のことでございますけれども、今回の経営三法の改正ということにつきまして、私は、需要拡大という切り口で何点か質問をさせていただきたいなというふうに思います。

 新規就農者の方をふやす、拡大をするということからいっても、需要拡大、将来にわたって需要が拡大するんだということは大変なインセンティブになると思いますし、また、農業委員会にしろ普及事業にしろ、やはり需要拡大にどうかかわるかということ、これは大変な課題だと思うので、以下数点について質問させていただきたいというふうに思います。

 まず一点目は、国民の食に対する考え方、意識改革、こういうことが需要拡大に当たっては非常に大事だというふうに私は思っております。そういう意味で、今、食育というのが非常に重要な政策課題になってきておるわけでございまして、この食育の運動を推進する、そこにおける、いろいろな、食育の運動といったっていっぱいありますけれども、その中で、では、今回改正の対象になっております農業委員会あるいは普及事業、これはどういう役割を果たしていくのか、このあたりについて、今お考えのところをお聞かせいただきたいなというふうに思います。

川村政府参考人 今後の農業生産の拡大なり、農業発展ということを図っていく上で、やはり需要が一番大事だと思います。まさにそういった視点で物事を考えていくということだと思います。その手段といたしまして、やはり消費者に対します、あるいは幼児、あるいは学童のときからの教育といった、いわゆる食育なり農業体験学習といったものも非常に重要だというふうに思っております。

 具体的に、例えば普及事業でどういうことが今行われているかといいますと、これは普及事業だけでやっているわけではございませんが、農協あるいは地元の農業者、こういう方々と連携をいたしまして、消費者の交流活動あるいは食農教育の開催、また小中学生に対します農業体験の学習の指導ということに取り組んでおります。

 今後も、こういった他の関係機関とも十分に連携をした上でございますが、例えば具体的に申しますと、そういった取り組みの計画を立てる場合に、その策定に当たっての相談でありますとか、普及員もいろいろな知識がございますので、それを講師として活用するとか、あるいはいろいろな協力農家の紹介、こういった観点から十分な協力ができる、取り組みができるというふうに思っております。

 また、農業委員会も、これまで独自の運動として、教育委員会等との連携をされまして、子供たちの食農教育ということで活動されております。例えば学童農園あるいは農業の体験学習あるいは地場産の農産物を学校給食へ活用するといったようなことでございます。

 ただ、今回、農業委員会は、農地及び経営対策ということで重点化をしておりますので、そういう取り組みの一環として一定の役割を果たしていっていただきたいというふうに思っているところでございます。

石田(真)委員 それでは次に、これは今は食育を通じた国民の皆さん方の意識を変えることによって、そして国内農産物の需要を拡大しようという観点から、農業委員会、普及事業の役割をお聞きしたわけですが、次に、国内の実際の需要をふやすため、そういう観点から少しお聞きをしたいと思います。

 先ほども申し上げましたけれども、今、消費者ニーズというのは本当に多種多様になってまいりましたし、その変化のスピードも激しいわけですね。と同時に、食にかかわる産業のあり方というのも大きく変わっております。

 最近、非常に伸びておって、五兆円とも六兆円とも言われているのが、いわゆる中食と言われる産業であります。いわゆる総菜をつくったり、ある程度加工したものを提供する産業、それから、当然、今までもそうですけれども、大きな産業として外食産業というのがあるわけであります。

 農業者としては、こういうような世の中の変化あるいは国内需要の変化に対して、個人なりあるいはある程度のグループで対応していく、なかなか大変なことでありまして、現実に、卸売市場における大手量販店の絡んだ価格決定について不満の声を私も聞いたことがあります。

 そういうような中で、農業者の立場に立って、こういう消費者ニーズへ敏感に対応していくかとか、あるいは中食とか外食産業とか、そういうものに敏感に対応した農業を展開していく、そのために農業委員会とか普及事業というのは一体どういう役割を果たしていけるのか、そのあたりについてお聞かせをいただきたいと思います。

川村政府参考人 御指摘のとおり、食生活の中で中食なり外食産業の占める割合というのは非常に大きくなっておりまして、こういったニーズに対応するということが本当に農業にとっても大事でございます。

 そういった、中食なり外食産業におかれましては、まさに、安定した品質なりあるいはロットなり、そういうもののニーズもございますし、また、レストラン等によっては、非常にわけありの、例えば特別に栽培したような品目が欲しいとか、いろいろな個別のニーズもございます。

 そういった実需者側の情報、そういうものをいかに生産サイドに伝えていくかということが非常に重要だろうと思っておりますし、また、それにこたえた栽培技術でありますとか経営のやり方、そういうものが必要でございますし、また、環境型とかそういうものでは、農薬とかそういうものの適正使用も非常に重要になってきておりますので、そういう面で、普及というのは、もちろん普及だけでやるわけではございませんが、その中核的な役割が担えるものというふうに思っておりますので、そういう実需者サイドのニーズも踏まえた形で技術指導等に今後は当たることが、まさに農業の発展につながるというふうに思っております。

石田(真)委員 それでは、もう一点お伺いしたいと思います。

 一点目は意識の改革、それから二点目は国内の需要拡大でありますが、もう一点は、輸出促進という観点からやはり需要拡大を図れるんではないかということについてお聞かせをいただきたいと思います。

 そういう意味で、自民党では、農産物等輸出促進研究会というのを立ち上げまして、もう既に回を重ねて、何とか日本の農産物をWTOとかFTAで、防戦一方ということではなしに、攻めの農業という意味で、輸出できるところへはしっかりやっていこうということで、今研究を重ねておるところでございます。

 そんな中で、特にことしは農林水産省でも予算が八億円ついているわけでございますけれども、今、欧米、アメリカとかカナダとか、そういうところへも輸出しておりましたけれども、今後、特に東南アジア、それをターゲットにこれから積極的に私は取り組んでいくべきだというふうに思います。

 そんな中で、実は、先日、四月十九日ですけれども、日本農業新聞に「日本産リンゴ中国で関心高まる」私の地元はリンゴはなくて、ミカンとカキと桃とかそういうことですが、「日本産リンゴ中国で関心高まる」という中で、「直接輸出試験に成功」という見出しで新聞記事がございました。

 それで、この中を読ませていただくと、この問題にかかわったのは、東北大学の先生なんですね。東北大学の先生が「リンゴ直送ルート開発に挑戦した」、これからもマーケティング面なんかでの調査をやる。大学の先生がやってくれて、農業者が輸出して、初めて成功したということなんです。

 私は、農業者の立場からいうと、じゃ、私も出してみたいけれども一体どうしたらいいんだ、そんな大学の先生は私の周りにいないしというような問題も起こってくると私は思うんですね。そうしますと、一体、それぞれの地域でどう対応していくのか、そういう中で、いろいろな輸出に当たっての問題はあると思いますけれども、農業委員会、普及活動の役割というのはどういう役割があるのか、そのことについて御答弁いただきたいと思います。

川村政府参考人 今後は、委員御指摘のとおり、日本の農業もまさに攻めの農業ということで、輸出も念頭に置いたような戦略が必要になってきているということは御指摘のとおりだと思います。

 そして、日本の農産物を海外に出す場合、いろいろな課題、検疫の問題を初めとしていろいろありますが、まず、やはり海外でよく売れるようにするということでは品質の問題。当面は価格ではなかなか太刀打ちはできないと思いますので、高付加価値化とかそういった特色を出す、あるいはブランド化を進めるということが必要になるというふうに思っております。

 こういった高付加価値化なり高品質化あるいはブランド化を進めるということでは、農協なり地元の市町村あるいは農業委員会、土地改良区等々のいろいろな関係機関がまさに一体となって取り組まないと、ロットの問題もございますし、品質の保持の問題、いろいろございますので、一丸となって取り組むことが大事だと思っておりますが、普及の場合は都道府県の職員ということでもございますし、そういうものの中核となって、いわば求心力となって関係機関をまとめていく、そういういわば地域農業のコーディネート役という役割もあると思っております。

 そういうことで、海外のニーズの情報提供でありますとか、今言いましたような海外に売り込んでいける技術確立とか、あるいはやはりまとまった産地をつくっていく、そういう意味での中核となる機能が十分果たせると思っております。

石田(真)委員 需要拡大という切り口で私は三点のことを申し上げました。そして、この需要拡大というのは、私は、本当に農業にかかわる人、皆さんがそれぞれの立場で一生懸命取り組まないと、そんなに簡単に拡大できるものではないというふうに思っておるのです。

 そういう意味では、農業委員会も、私らはそういう仕事ではないとか、あるいは普及事業にかかわる方も、私らはそこまでやるべきでないとか、そういうことでなしに、その自分たちの立場で一体何ができるのか、需要拡大のために何ができるのか、そういうあたりを積極的に取り組むことによって全体のパイをふやしていくということで努力をいただきたいということを申し上げたいというふうに思います。

 それで最後に、輸出にかかわっての質問をさせていただきましたので、大臣にぜひ、私は農業者からの期待も大きいと思うんです。これから中国の富裕層あるいは東南アジアの富裕層、今お話ありましたけれども、価格的にはちょっと高いものでも、それを、ぜひ日本の安心、安全、高品質のものを食べたいという方がふえるというふうに思います。それを踏まえて、農業者の期待もあるわけでございまして、そのあたり、大臣として農産物等の輸出に関しましてどのような御所見をお持ちか、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

亀井国務大臣 今委員からも御指摘のとおり、アジアの諸国、経済発展、またさらには所得の向上、こういうことで、高品質な我が国農産物の輸出の拡大をする好機ではなかろうか、私はこのように思い、先ほども御指摘がございましたが、いわゆる守りの農業から攻めの農政、こういうような一環としてその促進を図ってまいりたい。

 これにつきましては、全国各地域で、農林水産物あるいは食品の輸出に向けての取り組みがいろいろ進んできております。農林水産ニッポンブランド輸出促進都道府県協議会、委員の御地元の和歌山県を含めまして三十道府県に達しておるようなわけであります。

 そういう中で、意欲のある農業者やあるいは産地の取り組みを支援する、これは、先ほども御指摘のとおり、普及員や技術関係の皆さん方がいろいろ技術開発等々に努力をしていただきまして、本当に我が国の農産物、高品質、またこんなおいしい果樹類等々はない、私はこのように思っております。そういう面で、輸出先国への市場開拓のミッション、これは各関係府省ともあるいはジェトロ等とも十分連携をいたしまして、海外セミナー、ミッションの派遣、こういう面での我が国農産物のPRをしてまいりたい。

 あわせて、やはりなかなか、輸出をする、そういう面につきましては、これはまたなれていないわけでありまして、輸出を阻害する外国の制度でありますとか、あるいはいろいろの状況を把握する、こういう点での努力もしなければならないわけでありまして、先般、我が省に輸出促進室を設置いたしまして、また、私が本部長となりまして国産農林水産物・食品輸出促進本部を発足させたわけであります。

 そういう中で、この輸出拡大に向けて、都道府県あるいは関係団体とも十分連携をいたしまして一層の努力をしてまいりたい、このように考えております。

石田(真)委員 ありがとうございました。

 ぜひ積極的に取り組んでいただけるようにお願いを申し上げて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

高木委員長 次に、篠原孝君。

篠原委員 おはようございます。

 きょうは、農業改良助長法と農業委員会法について質問をしたいと思っておりますが、その前に、皆さん御存じだと思いますけれども、日本歯科医師連盟による中央社会保険医療協議会の関係の汚職が新聞報道されております。この関係で、日歯連から資金提供を受けられた、言ってみれば有力な政治家の皆さんがおられるということで、通告は行っておると思いますけれども、冒頭この件についてお答えいただきたいと思います。亀井大臣にお答えいただきたいと思います。

 金品の収受の有無。それから、金額と日時、複数の場合はそれもお答えいただきたいと思います。それから三番目に、収受の性格、寄附だったのか、パーティー券その他いろいろあるんだろうと思いますけれども、どうだったか。それから、政治資金規正法上の処理はどのようにされておられるか。ほかに供与とか供応等の事実があるかどうか、これが五番目でございます。そして、答弁について、政治家として責任を持たれるかどうか。

 この、以上六点について御答弁いただきたいと思います。

亀井国務大臣 お答えをいたします。

 日本歯科医師政治連盟、この団体からの金品の収受のいかん、このことでございますけれども、政治献金あるいはまたパーティーの代金、こういう面で受領はいたしております。これらは政治資金規正法に基づきまして適正に処理をいたしております。

 また、金品の収受の場合、今御指摘の金額と受領年月日ということでございます。

 これは、私の事務所のあるいは政党支部の会計責任者からの報告によりますと、まず、平成十二年二月の二十八日に十万円、そして同年五月三十一日、これは二百万円ちょうだいしております。そして、六月の八日に五十万円、そして同年十一月九日十万円。それから、平成十三年は三月九日に十万円、平成十三年の十一月十五日に百万円。そして、平成十四年の十一月十五日に五十万円。以上が、私の政治団体また政党支部に、事務局、私の事務所の者からの報告であります。

 これらの金品の性格でございますけれども、これは政治資金規正法上どのように処理されているかということでございますが、十二年の五月三十一日分の二百万円、これにつきましては選挙の陣中見舞い、こういうことでありまして、残りのものにつきましてはパーティーの代金、このように処理がなされておる、このようにしておりまして、いずれもこれは法律に基づきまして適正に処理がされておる、このように報告を聞いております。

 また、このほかの供与、供応等の事実があるか。これを受けた覚えはありません。

 また、これらの質問に対する答弁につきまして政治家としての責任を持つか。これは、政治家として、政治資金規正法に基づきまして、私の政治活動等々につきまして地元の歯科医師政治連盟等々からも、長いつき合いを持っておりますし、選挙におきましても御推薦をちょうだいする、こういうつき合いがある中でありまして、そういう中での政治資金規正法に基づきます政治資金、このように思っております。

 先ほども申し上げましたとおり、私の政治団体並びに政党支部につきましては、会計責任者の報告を私は聴取したわけでありまして、これを今御説明申し上げたようなところであります。

篠原委員 それでは、本題に入らせていただきます。

 まず、農業改良助長法関係でございます。

 私、農林水産関係の組織をずっと見渡しますと、この農業改良普及組織ほど、いろいろな農政の推進あるいは日本の農業の活性化に役立っている組織はないんじゃないかと思っております。

 現場をあちこちいろいろな機会に見てまいりました。気のきいたことをしているところ、あるいは活性化しているところ、必ず立派な人がおられるわけです。それは、いろいろさまざまでした。農家の中に数人立派な人がおられる場合もあります。農協の組合長なり参事なり、農協の営農指導員なり、その場合もあります。それから、市町村の農政課長なり産業課長、そういったところに気のきいた人がいて、その町のあるいはその村の農業が活性化しているということがありますけれども、一番ケースとして多いのは、立派な普及員がいて、信頼されていて、いろいろやっているということ。これは余り知られていないことじゃないかと思います。こういった重要な組織が何やっているんだとか言われたりするのは、私は心外なことじゃないかと思っております。

 今回の改正、いろいろな、ちょっと問題点もあるということも、おっしゃる方もおられますけれども、私は、技術を重視して、さらに日本農業の発展に尽くすというふうに変えるわけですから、非常にいい方向ではないかと思っております。

 キーになっているのは、議論があるわけでございます。技術を重視するか、それとも、人柄のいい、アドバイザーとして農民、接触していける人たち、こういった人たちを多く抱えるべきかという議論がずっとあったんだろうと思います。二十年前、三十年前からありましたけれども、今回、一つの決断をして、技術重視でいくということで、私は、これはこれで結構なことではないかと思います。

 農家戸数も減っております。そして、私は、プロ農家という表現がちょっと使われたりしていますけれども、そういう農家ばかりで日本の農業は支えられないので、そういう人たちばかりに重点を絞っていくというのはいかがなものかと思いますけれども、技術的な知識なりがうんと備わった立派な普及員がいるということは好ましいことなわけです。

 その技術ですけれども、技術、技術ということでございますけれども、現在、その普及員の技術の習得というのに一体どういった研修をなされておるのか。それで、今後、普及指導員としてさらに高度な技術を持った普及員を養成していく、国家資格にしていくということでございますけれども、そういったことにしていくためにはどういった研修を設けたりされる予定か、まずお伺いしたいと思います。

木村大臣政務官 これまでの研修につきましては、委員も御承知かと思いますが、いわゆる普及センターや国、県レベルにおきましてのOJTの実践的な職場研修、あるいは農政課題に関しての研修、あるいは都道府県レベルの農業試験場におきます技術研修、あるいは独立行政法人試験研究機関や海外への留学、派遣研修、あるいは独立行政法人試験研究機関などに委託をして行う高度専門的な技術習得研修などを計画的にまた体系的に実践してきたところであります。

 検証というお話もありました。検証する中で、例えば、現行の改良普及員には先進的農業者に対応するための技術水準が不足しているんではないかという指摘も時にいただいてまいりましたし、あるいは、現行の専門技術員が実践してきた調査研究能力等の向上にもっともっと重点を置く必要があるんではないか、こういったことも指摘を受けてまいりましたので、こういうことを検証した上で、今回の法制度の改正、見直しをお願いしているところであります。

 御承知のとおり、この二つを一元化しまして、新たな普及指導員というものを設けまして、特に、高度専門的な技術指導能力あるいは地域農業のコーディネートの能力を大きく担っていただきたい、それがまた今求められていることにこたえていくことになると私も思っております。

 そのために、今後、試験研究との連携を一層強化することが大事だと考えておりますし、大学や試験研究機関における高度先進的な技術を習得する研修をさらに強化しまして、あるいはまた、国内外の大学や試験研究機関あるいは民間企業などへも留学、派遣などを行いながら、普及指導員の高度技術の習得等を促進してまいりたい。また、そのための、先般成立しました予算の中にも予算化をしているところであります。

篠原委員 技術を重視していくという方向はいいことなんですが、現実の姿を見ますと、各県非常にばらばらな対応をしているんじゃないかと思います。

 どういうことかといいますと、県にも試験場があります、それから行政もあります、普及組織がある。例えば研究者の場合だと、ずっと研究所にいる人もいるんでしょうけれども、一度ぐらい行政を経験するとか、県庁に行くというようなのがあったりするわけですけれども、一般的に普及員という人はどういうふうな人事体系、例えば、行政もたまには経験するのか、あるいは試験研究機関に行くのかといったようなことはいろいろあるんだろうと思いますけれども、いいかげんな県と言っちゃ悪いんですが、融通無碍な県ですけれども、行政三分の一、それから普及三分の一、研究機関を三分の一とかいう、わけのわからない人をつくったりしているようなところがあるやに伺っているんですが、地方にいろいろ任せる、任せるというのはいいんですが、そこは、今度は技術を重視して立派な普及指導員をつくるということでしたら、そういったこともちょっと改めていただいて、もちろんほかの分野も経験しなくちゃいけないんですけれども、プロの、これこそプロです、プロの普及指導員をつくらなければいけないと思うんですが、この点については、現状はどうなっておって、今後どうされるおつもりでしょうか。

木村大臣政務官 今委員御指摘されましたことを考えますと、いわゆる分野ごとに見ますと、研究という分野、あるいは行政という分野、そして普及という分野、この三つの間においての、いわゆる人事交流というものを活発化して、今委員御指摘したことにこたえることが一層大事なことだと思っておりますし、最新の、確定しております平成十四年度のベースで見ましても、その交流というものが、これまでも着実に、人事交流を通じての、各三つの研究、行政、普及の分野をそれぞれ一人の方が十二分な知識、技術を習得できるような人事交流というものは行ってきたと我々は認識をいたしております。

 例えば、具体的に数字を少し述べますと、普及職員の人事異動状況を見ますと、専門技術員の任用者のうち、これは百四十二人でありますが、三二%に当たる四十六人が試験研究機関から、あるいは一七%に当たる二十四人が行政機関からの転入者となっておりますし、また、改良普及員の任用者、総体では九百九十八人でありますが、このうち二二%に当たります二百十六人が試験研究機関から、また四四%に当たります四百三十四人が行政機関からの転入者となっております。

 さらに、専門技術員からの転出者、百三十人おりますが、このうち二〇%の二十六人が試験研究機関へ、また二一%の二十七人が行政機関への異動をされておりますし、さらに、改良普及員からの転出者、総体数は八百三十七人でありますが、このうち三〇%に当たります二百五十二人が試験研究機関へ、五一%の四百二十五人が行政機関へ異動という状況をしておりまして、いわゆる研究、普及、技術の間においての活発な人事交流をしておる。

 この数値が高いのか低いのか、我々、この制度改正をお願いしながら、さらに検証しながら、この交流を深めて、期待にこたえていきたいというふうに思っております。

 多くの県では、農学系の職種の採用に当たりましては、改良普及員の資格を条件としているところでありますし、また、専門的な職種であります普及職員としてのキャリアを中心に、幅広い知識、経験の習得といった観点から、試験研究や農業技術行政との活発な人事交流をこれからも目指してまいりたいというふうに思っております。

篠原委員 ちょっと誤解があるようです。

 交流は大切なんですけれども、今後気をつけていただきたいということは、普及員はやはり普及員で終わる、普及ずっと一筋じゃなくて、試験研究に行ったりする、行政も一回、しかし普及中心だった、こういう人に絶対していただかないと困るんじゃないかと思います。

 今、そこは結構でたらめで、でたらめなんて言っちゃ悪いんですけれども、融通無碍な人で何かわけのわからない人になっている。本庁にもいまして、あちこち渡り歩いて適当なことばかりやって出世する人がいますけれども、こういう人では現場では信用されませんから、果樹なら果樹がわかる、行政の経験もある、研究の経験もある、こういう人をぜひつくっていただきたいということでございます。

 それで、技術を重視するという延長線にあるわけでございますけれども、日本では制度化されておりませんが、医者とか薬剤師とか弁護士とかいう、こういった、特に命を預かるような人たちが中心になっているわけですが、外国では、技術の進歩があったりすると、十年とか十五年たつと半年の研修を受けなければ資格を与えないといったようなものがあるわけですよ。そこまでする必要はありませんけれども、いろいろな技術、日進月歩ですから、普及員の人たちを国家資格にするわけです。ですから、それなりに遇しなければいけないんじゃないかと思います。

 ですから、ぜひ制度として、十年ぐらいたったら、大学の講義を三カ月受けるとか、独立行政法人化した研究所、関係の研究所に行って半年一緒に研究してくるとかいうのを制度としてつくっていただいたらいいんじゃないかと思います。

 それから、逆に、交流をしていただきたい。

 今、独立行政法人にほとんどの研究所がなりました。研究者は独善的になりがちです。現場の研究のニーズというのをわからずに、自分がこの世界では一番だというような感じで浮世離れした研究をしている。三十年後に花開く浮世離れした研究もあってもいいんですけれども、そういう人ばかりでは困るわけでして、逆にそういう人たちを、一番いいのは普及の現場に送り込む、そういう方のことをやっていただけたらいいんじゃないかと思います。

 そんなことをちょっと考えておりましたら、きのう、四月二十日の農業新聞の一面に、中央農業研究センターが出前指導をする、直接やるという新聞記事がございました。大臣や副大臣もごらんになっているかと思いますけれども、こうしたようなことを制度として仕組んでいただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

亀井国務大臣 先ほど来、委員からもいろいろ御指摘がございますとおり、農業技術、これは本当に日々進歩しておるわけでありまして、今農業者が、農業技術改良員あるいは技術指導員、これらの人々の技術指導等々におきまして、若い農業者が、いろいろ新しい品種ですとかあるいは栽培方法、これらにつきまして大変技術の面で勉強をし、またその成果を上げている、これは、本当にこの農業技術関係の指導員の皆さん方の努力の大きな成果だと私は思っております。

 また、昨年、ちょうどこれらの問題につきまして、経済財政諮問会議におきまして、経済界の方からこの普及員の問題につきまして御指摘がありました。私は、そのときに即座に、若い農業経営者が本当に技術指導員、普及員の大きな力によって自信を持って仕事をし、また、新しい作物あるいは新しい品種につきまして努力をしている、こういうことを強く私は申し上げたわけでもございます。

 そういう中で、やはりいろいろ普及職員が、農業の技術が進歩する中で、先進的な技術や知識を身につけていくことは非常に重要なこと、このように認識をいたしております。

 そういう面で、試験研究機関で開発された高度な先進的な農業技術やあるいは専門的な調査研究手法等を試験研究機関等において普及指導員に直接習得をさせ、研修を強化していくということが必要であるわけでありまして、具体的には、平成十五年度から実施をしているところでありますが、独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構や国立大学法人の大学等に委託をして、短期間の研修でありますが、先進的な技術にテーマを絞った研修を実施しているところでありまして、十五年の実績は、九研究所で十二課題の研修を実施して受講者が百二十四名、こういうことであります。

 さらには、先ほどもお話がありましたが、やはりこの独法の生研機構等の依頼研究員制度や、あるいは国立大学等が行う受託研究員制度、これを活用いたしまして、都道府県が、普及職員を試験研究機関に一定期間、これは短期は一カ月から一年以内、こういうことでありますが、派遣する研修にも支援をしておるわけでございます。

 また、さらには、先ほども御指摘がありましたが、やはり現場での技術課題を研究課題にするということは大変必要なことであるわけでありまして、御指摘の、本当に学校や研究機関だけでということでなしに、やはり農業、農産物の生産、これにつながるわけでありますから、やはり現場での研究というもの、そして現場で成果を上げるということが大変重要なことであるわけでありまして、そういう面での、定期的に普及職員が技術を学べるような機会というものをつくっていく必要がある、このように考えております。

 そういう面で、一つは、先ほどもお話がございましたが、出前指導、このことにつきましては、ことしの四月から、ロングマット水耕苗の移植等の新たな開発をした技術を普及センター等と連携しつつ生産者に直接指導する、こういうような出前指導体制を整備したところでありまして、これら、生産現場を重視し、ニーズに沿った技術開発を行っていく、このように考えております。

 また、さらには、やはり独法の農業・生物系特定産業技術研究機構、この中でいろいろ、先ほども申し上げましたが、研究者に現場のニーズを肌で体験させる、こういうようなこと、いわゆる研究ニーズの把握や研究成果の普及、これの効果的な研究開発を進める上で重要なことでありますので、これまで、普及組織あるいは都道府県あるいは生産者と連携をいたしまして、地域農業確立総合研究、これを実施して、現場とそして研究、そして技術の向上、そして、それぞれの関係者が技術向上が図られ、生産者のニーズに対応できるように各般の努力をしてまいりたい、このように考えております。

篠原委員 いろいろ研修の機会等を設けられていることは、これは非常に結構なことだと思います。

 その延長線上でですけれども、普及手当、一二%、八%を削る。これは、あちこち夜遅くまで農家を回ったりしているというようなことに対してついたわけですけれども、そういったものを、上限とかを削る。これはみんな地方分権の延長線上で、各県に任すということなんだろうと思いますし、それは仕方ないことだと思います。一方で、地方分権の流れに反しているのが国家資格ということですね。これはこれでいいことだと思います。

 国家資格として与えるんだったら、やはりそれなりに遇しなければいけないんじゃないかと思います。県庁の組織の中でも、技術力があって知識が豊富だということで行政官にも一目置かれる、そういう立場にやはりすべきじゃないかと思います。

 それには、ちゃんと手当も多く出すというようなこと、今回はそういうことをきちんと考えられて、そういうことが織り込まれておりませんけれども、国家資格としたからには、そうやって国の独立行政法人のところに来て研修も受けさせたりする、それだけ投資するわけです。それならそれなりの遇し方があるんじゃないかと思います。

 別にこれは国が手当てして支払ってもいいような気がしますけれども、大臣、いかがでしょうか。

亀井国務大臣 現在、この農業改良普及手当につきましては、普及職員の職務の特殊性というのは、今御指摘のとおり、農家に行かれて夜遅くまで、また朝早くから、農産物等々、やはり朝の時期というのは大変重要なことでもあるわけでありまして、そういうような中で早朝に出勤をされるとかいろいろあるわけであります。この特殊性というものがあるわけでありまして、そういう面で優秀な人材を確保する、こういうことが必要なことでありまして、これは都道府県の条例で定めておりまして、手当の支給も、専門技術員につきましては給料の月額八%、あるいはまた改良普及員につきましては給料の月額一二%の範囲内で支給する、こういうことになっておるわけでありまして、手当につきましては、現状、やはりこの上限、こういうものに大体張りついているというような状況にあるわけであります。実態がそのようにあるわけであります。

 今回、この改正案におきましては、普及職員に対する特別手当、普及指導員手当を支給する規定は維持するわけでありますが、都道府県の判断で実態に応じた運用を可能としておるわけでありまして、手当の上限規定を廃止して、支給のあり方につきましては都道府県の判断にゆだねる、こういうことにいたしておるわけでありまして、ぜひ、そういう面で、都道府県が、それぞれ、その成果、普及関係者の技術的な問題あるいはまた勤務等々の問題等につきまして、そんなような形をとったわけでありますので、それがインセンティブを与えるような、その普及の効果が上がるようなものが得られるように、各都道府県におきまして措置されることを私は期待をしているわけであります。

篠原委員 技術重視というのは、何も普及員だけじゃなくて、農林水産省行政についても絶対不可欠なことではないかと思います。農林水産省の行政、食品の安全というのが大事な行政分野に入ってまいりましたけれども、これもやはり科学技術に基づいてぴしっとやっていく。消費者ががたがた言う、このあたりの人ががたがた言う、そういうのには惑わされては、私は絶対いけないんじゃないかと思います。ただ、それだけの確固たる自信がない、これは問題じゃないかと思います。

 それからもう一つ、農林水産行政の欠陥の一つとして、現場が余りわからないということもあるんじゃないかと思います。

 ですから、いいことをしているんですね。これは関係者みんな知っていると思いますけれども、入省二年目に、農山漁村の雰囲気を味わわせるというために、一カ月、農山漁村派遣研修というのをやっております。それから、これは全員じゃないですけれども、市町村との人事交流をしている。現場とこれほど密着した行政をやっているところはほかにはないんじゃないかと思います。

 そういうことを考えたら、この農業改良普及員、これは、現場に一番密着した、いろいろな仕事ができるというところじゃないかと思います。こういうことを考えたら、市町村に出したり、農家に直接出すよりも、農林水産省の技術系行政官は全員一度は普及指導員として経験する、そうするとそこで友人関係ができる、今問題が起こったときに、例えば果樹の人が長野県の果樹のところに行っていると常に定点観測できるというようなことができるんじゃないか。こういうことも仕組んでいただきたいと思います。

 この点については、北海道開発庁でお役人をやられていた経験から、多分、北海道開発庁の組織の中でもそういう仕組みがあったんじゃないかと思いますし、そういう経験も踏まえて、副大臣にお答えいただきたいと思います。

金田副大臣 篠原先生の御指摘、確かに、農林水産省でも、現場感覚というものを踏まえた形で農政を展開していかなきゃならないという形で、人事交流を大分やらさせてもいただいております。

 そして、この普及職員につきましては、研究機関と現場の農業者との橋渡し役という任務を帯びておりまして、そういった現場感覚、農家の人たちと直接接して、今ある課題を解決していくという能力、極めて大切でございます。そういったことで、市町村とも相談の上、いろいろ交流しているわけでございますが、今現在で、十六年の四月現在では、富山県の普及職員に行っていただいている、あるいは静岡県の普及職員として行っていただいているというような実績もございます。

 趣旨を体しまして、現場としっかりと、現場感覚を踏まえた形での農政の展開に努めていくことが必要だというふうに考えております。

篠原委員 それから、今の技術の延長線でございますけれども、この農業改良普及制度というのは、戦後、アメリカのまねをしてできたわけですね。これは、アメリカだけではなくてフランスにもイギリスにも同じような制度があるわけですけれども、我が国の制度は相当アメリカをまねしてやりました。しかし、アメリカの場合は、ランドグラントカレッジというのがありまして、私もその一つのカンサス・ステート・ユニバーシティーというところに留学しておったんですが、研究と教育と普及が一緒になっているわけですね。普及員の専技さん、しょっちゅう大学を出入りしている。ですから、何か問題が起きたりすると、専門技術員と農業改良普及員ともうネットワークができていますから、ぱっと問題点がわかるんです。技術的な問題、病気が起きたりなんかすると、大学の研究所に来て、それですぐ研究されて、それが現場に戻されるということになっておるわけです。

 こういったことを日本も考えていかなくちゃいけないと思うんですが、残念ながら、日本の場合は、国の国立大学になった、県に試験研究員が上がったということで、ぽこっと大学のところのが抜けちゃっているわけですね。

 しかし、世の中いい方向に動いております。大学も独立行政法人になります。タコ足大学とか何か言われていますけれども、地方の大学にはほとんどが農学部があります。県の試験研究機関も、これは独立行政法人的なものになるのは時間の問題かと思います。先ほど事務局答弁の中にありましたけれども、各県に山ほどある試験研究機関、いろいろなことに特化していくと。

 試験研究については、県とかそんなところがやるんじゃなくて、国が全責任を持ってやったっていいんじゃないかと思います。これは皆さん御存じのとおり、WTOでも試験研究の補助金というのは、典型的な緑の補助金になっています。どうしてかというと、お金のある国が開発した技術はいずれ貧乏な国にも均てん化していきますから、どんどんやってくださいというわけです。

 ですから、こういうことを考えた場合、もう一歩考えて、もうやっている県があるようですけれども、茨城県は農業総合センターというのをつくって、研究と普及とを一体化しているということですけれども、もう一歩進めて、大学との一体化というのも考えていただいたらいいんじゃないかと思いますけれども、大臣の御所見を伺いたいと思います。

亀井国務大臣 普及事業、これはアメリカ合衆国を初めとする先進諸国におきまして、各国の社会やあるいは経済条件、農業事情等々を背景に、さまざまな形態で実施されている、このようにも承知をしております。

 今御指摘のように、我が国におきましては、制度発足以来、国と都道府県の協同事業、都道府県の設置いたします農業試験場あるいは農業大学校等とも連携を図りながら実施されてきておる、このように承知をしております。

 そこで、これからの問題として、やはりいろいろ、我が国の普及事業につきましても、近年の食料、農業あるいは農村を取り巻く環境が大きく変化をしておるわけでありまして、スピード感を持った農政改革の推進、こういう観点からも、普及組織を核とした技術の普及、その役割に、私は重点化をして、そして担い手等が求める高度で多様なニーズに対応できるような、試験研究機関等で開発された高度な技術の現場への普及体制、これを強化することが必要なことでありまして、この観点から、今回の農業改良助長法の改正案を提出したところでもございます。

 そういう面で、やはり、今後の協同農業普及事業の展開に当たりましては、都道府県附属の研究機関のみならず、御指摘の国立大学も、独立行政法人、こういう形で、また、今、大学の先生方も今までと非常に違った意識をお持ちになりまして、産と学との連携、また、いろいろこの垣根も外されてきておるわけでありまして、そういう面では、農業、農産物につきましても、やはりその対象にし得るように、我々も努力をしていかなければならないんではなかろうか。

 そういうようなことで、国や大学や、あるいは試験研究や農業教育も、私は、こういうさらなる連携が必要なことではなかろうかと。そういう面で、独立行政法人や大学の農業研究教育機関におきます研修を強化するとか、あるいは御指摘もございました茨城県のセンターの問題、多様なセンターの設置を認めることといたしておりますので、例えば、試験研究、あるいは教育、普及を一体化したような総合センター的な組織の設置によりまして、両者が相互に協力して、現場の圃場での技術開発ですとか、その体系化だとか実証だとか、効率的に現場で有効な成果が得られるような取り組みを進めていくことが必要、このように思っておるわけでありまして、今回新たに実施されます普及指導員が、これまで以上に試験研究機関や教育機関と密接に連携をとりまして、その成果を上げるようにいろいろ支援をしてまいりたい、このように考えております。

篠原委員 技術が大事なのは、農林水産省もそうですけれども、もう一つあるんですね。国際協力の分野でも、何か、物と金で、それほど役に立たないようなものをつくって日本の企業だけが甘い汁を吸うとか、そういう国際協力部分の問題がいろいろ指摘されております。そんな中で、技術協力だけは非常に温かくというか、受け入れられているんじゃないかと思います。発展途上国の国民の懐に直接届くような援助ということになるんじゃないかと思います。そういったのを一体だれが担うかということを考えた場合、私は、農民と接してきたこの農業改良普及員ほど有資格者はないんじゃないかと思います。

 ところが、実態はどうなっているかといいますと、国の試験研究機関の人はぱっと行ける、しかし、県になると、いろいろ県の職員だと、身分がどうなる、定員が食う、定員が割れて欠員になってしまう、なかなか難しいわけです。

 ところが、普及員の皆さんの中には意欲的な人がいっぱいおられて、発展途上国の発展に尽くしたいと思っておられる方がいっぱいいるわけです。ですから、ちょっと工夫をしていただいて普及員の人たちが行けるように、ODAは前ほど伸びてはおりませんけれども、農業改良普及員の数もどんどん減らされております。しかし、ちょっと一工夫すればいいわけです。大したお金じゃないと思います。百人ぐらいプールして、そして県の負担にならずに、国の負担で農業改良普及員を発展途上国へ送る。その方の人生設計で、若い独身のときに一回行く。例えばコロンビアに行く、スペイン語が上手になる、戻ってくる、結婚した、子供が小さい間は行っていい、それで学校へ行っている間はだめだ、年をとってきた、日本でぐだぐだしているよりも、子供もみんな大学へ行った、また老後はコロンビアで尽くそう、こういった人生設計もできて、そういう方が現におられるわけです。

 こういうのをやはり制度としてぜひ仕組んでいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

亀井国務大臣 海外技術協力の要請に積極的にこたえていくということは、協同農業普及事業の役割の一つ、このように認識をいたしております。

 そういう中で、農水省といたしましても、海外からの研修員を対象とした我が国の普及事業についての研修の実施、また国内の普及職員を対象とした海外派遣研修の実施、さらには開発途上国における普及分野の技術協力プロジェクトに係る普及専門家等の派遣を積極的に進めておるわけであります。

 海外への専門家の派遣につきましては、現在、JICAが関係省庁からの推薦と専門家登録制度によりまして、登録者及び一般公募等によります選考をされた者の中から適任者を派遣している、こういうことでありまして、普及関係につきましては、農水省からの推薦による専門家の派遣が主体となっておるわけであります。

 御指摘のように、普及職員につきましては、海外技術協力用の要員としての枠を確保することにつきましては、海外へ専門家が行きやすくなるような手法でありますが、組織のスリム化、こういうことの中で、各都道府県がその要員として枠を確保できるかどうかという、これは一つ課題がございます。

 しかし、やはり大変重要なことでありますので、専門家の海外派遣につきましては、今後、透明性の確保を図る観点から、一般公募によります選考、これが基本となると思いますが、その中でも、やはり今私どもが申し上げたこの関係専門家の問題につきましては、一般公募、これとの調和を考慮する中でいろいろ考えていく必要があるんではなかろうかと。

 今後とも、普及職員が海外で活躍できるよう農水省としても適任者の推薦に努める、そして、一般公募の応募やあるいは専門家登録への申請が積極的に行われるよう情報の提供等々も行って支援をしてまいりたい、こう思っております。

篠原委員 今の点でございますけれども、JICAの総裁も立派な女性にかわりまして、人を通じた国際協力というのを盛んに言っておられますが、そのいい見本になると思いますので、今、県に負担というのは大臣のおっしゃるとおりで、それはかわいそうなので、国のODAの予算の中でやったら簡単にできることじゃないかと僕は思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、農業委員会法に移ります。

 いきなり細かいことで済みませんけれども、農業委員会法も、結局、地方分権というのになっています。そこの中でずっと見ると、先ほどの農業改良助長法の国家資格じゃないですが、一つ異様なのがあるわけですね。土地改良区だけを、現実がそうだからといって団体推薦委員の枠の中に設けるというようなことをされていますが、一体この趣旨は何なんでしょうか。

川村政府参考人 農業委員会の今回の改正によりまして、農地関係の業務なり、あるいは法人化等の経営の合理化、こういう業務に重点化をしたいということを考えております。

 その場合、市町村段階におきましては、いろいろな関係する機関があることは事実でございます。近年、土地改良区につきましては、非常に、担い手への土地の集積を図るという上で、この事業とセットになりまして、あるいは事業の要件としてそういうものが課されているということ。それからまた、いろいろな現場での水の管理の問題でありますとか、用排水路の問題等々がございますが、こういうものを土地改良区も担っておられるということで、そういう意味では、担い手の負担軽減といったような機能も果たされているわけでございます。

 できるだけそういう農業委員会の今後期待される役割を円滑にしていく上で、土地改良区が今後とも非常に重要な役割を果たされるということで、団体推薦の一つの推薦母体として土地改良区を追加したということでございます。

篠原委員 土地改良区も似たような仕事をしているからだということだろうと思いますけれども、それをこういうふうに法律上で明らかにしていくとどうなるかというと、前回の委員会で後藤田委員がいみじくも指摘されておりました。非常におもしろい指摘だったと思います。皆さん、覚えておられると思いますけれども。陳情書を見ると、農協からのも、農業委員会からのも、それから普及関係のところからも、土地改良区からも、みんな同じだと。陳情が同じだということは同じことをやっているんじゃないか、いっそのこと一緒にしたらどうかというようなこと、そういう何かユニークな御指摘がありました。

 これは考えてもいいことじゃないかと思うんです。どういうことかというと、中央段階では、各省の統合とかいろいろ行われています。それから、農協は農協同士、市町村は市町村で合併しています。いろいろなところに農政のチャンネルというのはある。これが、もとの法律が違うからということでほったらかしになっている。しかし、農家からすれば、例えば今、集積というお答えがありましたが、農地の流動化にしても、市町村に行ったり、農協に行ったり、農地保有合理化法人のところに行ったり、それから農業委員会に行ったり、ごちゃごちゃするわけですね。ですから、このことはちょっと考えた方がいい。法律が違ったりするので、根拠が違ったりする。しかし、現場では、少なくとも後藤田委員の言葉をかりればワンストップステーション、そういったようなことも考えてもいいんじゃないかと思いますけれども、副大臣、いかがでしょうか。

金田副大臣 篠原委員からの御指摘でございます。後藤田先生からも同趣旨の改革について提言がこの前の委員会であったところでございます。

 農地の流動化という問題、これからの構造改革に対して重要なポイントでございます。確かに、農地の流動化につきましては、担い手に対する技術面だとか経営面での支援をいろいろなところがやっています。農業委員会もやっています。農協もやっています。普及センターもやっています。あるいは農地保有合理化法人等々、いろいろな形でやっておりますけれども、それぞれに組織の統合ということを図って、まずそれを考えるということよりも、先日の農業委員会に関する懇談会等々でも、やはりそれぞれの機能を十分に発揮して、お互いに連携をとった形の中でやっていきたいというような、当面、この懇談会での改革を踏まえての今回の改正でございますけれども、まだそういう段階でないということでございます。

 ただ、現場段階においては、ワンフロア化というようなことをやっている市町村がたくさんあったり、あるいは事務局を一元化しようというような動きが見られるところでございまして、現場の実態を見ながら、先生の御指摘も踏まえながら、今後検討していこうというふうに考えているところでございます。

篠原委員 次に、ちょっと違う問題ですけれども、女性の関係で、男女共同参画ということを盛んに叫ばれております。

 この農林水産委員会では現在三人しか女性委員はおられませんけれども、これが多いのか少ないのかは、もっと多い方が確実にいいんだろう思いますけれども、農業の世界では、ひところよりは減りましたけれども、ひところ六割、六割といっていましたが、今、総農業就業人口の五五%ぐらいを女性が占めている。それに対して、どうも農業委員とか農協の役員とか、そういったところは、その割合と比べたら相変わらず少ないんじゃないかと思います。

 農業委員のところに一体何人女性がいて、もう一つ、その中の、選挙で選ばれる公選の委員と選任の委員とどちらが多いのか。ふえている数です。それについて、農林水産省は女性委員をふやすんだというようなことについて、何か指導なりされているのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。

川村政府参考人 女性の農業委員に関するお尋ねでございます。

 農業委員会系統組織では、これまで、女性それから青年農業者あるいは認定農業者の選挙委員への立候補の促進、それから選任委員への登用に向けました自主的な運動を実施しているところでございます。

 この結果、平成十四年の農業委員の一般選挙、これは全体の三分の二が対象になったわけでございますが、その結果、女性の農業委員の数は二千二百六十一名でございます。全農業委員に占める割合といたしましては三・九%ということで、まだ絶対数としては少ないわけでございますが、前回の三年前のときに比べますと倍増をしておるという状況でございます。

 そして、二千二百六十一名の方の選挙委員、それから選任委員別に見た場合でございますが、選挙委員は四百九十一名で、全選挙委員数に占める割合は一・一%、それから選任委員数は千七百七十名でございますので、これは全選任委員に占めます割合は一二%ということで、選任委員の方が多いということでございます。

 今後、国といたしましても、女性の農業委員の登用につきましては、農業委員会の系統組織に対しまして、指導なり働きかけをしてまいりたいというふうに思っているところでございます。

篠原委員 ふえているというのはわかりました。昔と比べたら大幅にふえたんだろうと思います。それで、今数字を伺いました。選挙委員が四百九十一名で一・一%、選任委員が千七百七十名ですか、それで一二%も占める。これは実態をあらわしていると思います。

 先ほど、いろいろなところで、皆土地改良区の人たちが委員になっていると。それを追認する形で団体枠として入れるんだったら、今後のことも考え、現状追認も考えたら、土地改良区なんというのを突然出すよりも、女性委員を登用する、どんどん入れるべきだということこそ法律事項として規定するべきじゃないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

亀井国務大臣 女性委員の割合の向上、これを法律上努力規定として定めることにつきましては、やはり選挙制度の根幹でもありますし、立候補者や投票の自由の制約、こういうおそれもあるわけでありまして、またあるいは、青年農業者やあるいは認定農業者など女性以外での参画、こういうことも促進するところも必要なわけでありまして、そういう面でのバランスも必要なわけでありまして、そのように法律にということは難しいことではなかろうか、不適当ではなかろうか、こう思います。

篠原委員 選挙の云々の、女性を選べというのは、そんなことできませんよ。私はそれを申し上げているんじゃなくて、団体枠として土地改良区を法律に規定するんだったら、努力規定で女性をいっぱい登用するというぐらいはお茶の子さいさいで、義務規定じゃないですから、ぜひやっていただきたいということでございます。この点……(発言する者あり)今、そうだという声が上がりまして、三人しか、ほかの男性も多分支持していただけるだろうと思いますけれども、ぜひ実態でやっていただきたいと思います。

 それから次に、時間がなくなりましたので、一つだけ、生産緑地、市街化区域内の農地の問題についてお答えいただきたいと思います。いろいろなことを実態に合わせて変えてきておられるのは非常にいいんですが、やはり都市部のことについてちょっと配慮が足りないような気が私はするんです。

 まず、生産緑地というのがあります。この生産緑地の選定について、農業委員会は一体どのように関与されておるんでしょうか。

川村政府参考人 生産緑地の設定に関します農業委員会の関与でございます。

 生産緑地、これは御案内のとおり、市街化区域内にあります農地につきまして、その農業生産活動に裏づけられました緑地機能、こういうものに着目をいたしまして、農林漁業と調和をいたしました良好な都市環境の形成を図ることを目的として指定をされております。

 この生産緑地地区の問題でございますけれども、市町村が農地等の現況あるいは農家の意向等基礎的な調査を行った後、市町村によります原案の作成、それから農地所有者等の同意、市町村の都市計画審議会の開催、それから生産緑地地区の案の公告縦覧、それから都道府県の都市計画審議会の議を経た上で知事の承認、こういう手続等があるわけでございます。

 このうち、農地の所有者等の同意取りつけに先立ちまして、市町村は対象となる土地が農地であるかどうかという認定につきまして、農業委員会の意見を聞くということにされております。

 また、事実上の問題といたしまして、こういった法律上の位置づけのほかに、生産緑地を農地として管理するために必要な助言、それから営農実施者に対する土地の交換のあっせん、就農希望者に対します生産緑地の取得のあっせん等、こういうものを実質的に担っているということでございます。

篠原委員 やはり、農業委員会は都市部の農地についても非常にいろいろなアドバイスをしているんじゃないかと思います。

 これは、必置基準を下げたりするということで、いや、地方自治体に任せているということなんだろうと思いますけれども、一九九八年、わずか六年前に、必置基準面積を大きくしたりして緩めているわけですね。今回また緩めるということですけれども、私は、農地は、農業の生産というだけじゃなくて、環境とかそういったことで新たな役割が市街化区域内の農地にあるわけでして、そういったことを考えると、余り必置規制を緩和したりするというのは時代の流れに逆行しているような気がするんですけれども、いかがでしょうか。

亀井国務大臣 市街化区域内におきます農地は、都市住民にとりましては生鮮野菜など新鮮な農産物を提供する、あるいはまた緑空間、こういう面で安らぎの場を提供する、こういう面で多面的機能を持っておりますことは事実であります。

 しかし、今回の法改正におきましては、農地としての管理、こういう面で、あくまでも業務の観点から、必置基準面積の算定から生産緑地地区以外の市街化区域内の農地を除外する、こういうことにしたわけでありまして、仮に必置基準を満たさない、こういうことになっても、市町村長の自主的な判断で農業委員会を置くということはできるわけであります。

 そういう面での対応で、都市近郊の農業、農業委員会等々の問題につきましては対応していくことができるのではなかろうか、このように思います。

篠原委員 きのうの本会議で、景観法の提案理由説明が行われました。我が国の美しい田園風景を守らなければならないということで、国土交通省と農林水産省が一緒になっておるわけですね。これは、今大臣お答えのとおり、農地ということで考えたりしたら、やはり限定されていくと思うんです。先ほど申し上げた、現場でもっていろいろな農業関係の機関が一緒になってもいいんじゃないかというのと同じで、そういうことを考えていったら、都市部の景観を守ったりするというときに、やはり何か組織が必要だと。これは、私は農業委員会とは申し上げませんけれども、国土交通省なんかと仲よくやっていただいて、都市の緑化とか景観の維持とかいうものについて、農業委員会がせっかくあるわけですから、それを核とした景観の維持というようなことをぜひ考えていっていただきたいと思うんですけれども、それには、建設省で長年経験を積まれた筆頭理事もおられますし、ぜひ一緒に考えていただけたらと思いますが、いかがでしょうか。

亀井国務大臣 農業が、美しい景観の形成や生態系の保全、こういう面での多面的な機能を発揮していくためには、やはり農地の適正な利用が維持されることが必要、このように思います。

 やはり農村の現場におきましては、耕作放棄地の発生の抑制、また解消、さらには、昨今、産廃の不法投棄等の問題、あるいは、そのほか違法な転用の発見だとか是正、さらには、棚田を初めといたしまして地域資源の維持と活用、こういう問題等につきましての取り組みが着実に実施されることが農村の現場におきましては必要なことでありまして、この面からも農業委員会の役割は大変大きなものがある、私はこのように認識をいたしております。

 そういう中で、やはり農業委員会におきましては、農地のパトロールであるとか農地所有者へのいわゆる指導助言、こういう取り組みを通じましてその役割を果たしてきたわけでありまして、今回の改正によりまして、農業委員会の業務を農地に関する業務に重点化をする、こういうことにするわけでありますが、ぜひ、今後、農業委員会が、制度改正の趣旨を十分踏まえて、そして、これらの取り組みを一層、主体的また積極的に取り組んでいただきまして、美しい田園空間の維持形成に大きな役割を果たしていただきたい、このように考えております。

篠原委員 農業委員会の人たちも農業改良普及員も、現場で汗を流して日本の農業のことに携わっている人たちです。佐野ハツノさんですか、農業委員会長ですけれども、六人しか全国におられないそうですけれども、僕は聞いて、へえ、そんなことまでされているのかと思いました。何か遊休農地を、バックホーの資格を取って、もとの農地に戻そうということまでされておると。やはり、こういう人たちをバックアップするのは農林水産省です。

 現場で働く人たちをきちんとバックアップするような制度を、それから運用をぜひしていただきたいことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。

高木委員長 次に、後藤茂之君。

後藤委員 後藤でございます。

 大臣の御予定等もあると思います。まず、大臣に総論的な農政の課題についての御質問をさせていただきたいと思います。

 現在、新しい農業基本計画が策定中でありまして、政府や各党においてもいろいろな検討がなされております。その中で、食料供給、国土保全、環境保全などといいました農業に対する国民の多様な期待にこたえていくために、これまでのようなプロの農業経営への支援を集中させていくこととあわせて、環境や農地、水の保全といった政策の確立など、既存の枠組みにとらわれずに諸施策を見直して、本当の意味での政策体系を見直すという意味での改革に取り組んでいく、そういう大きな課題を担っているというふうに思っております。

 そのためには、これまでのような全生産者を対象とした一律の政策体系ということをやはり見直す必要があるだろうというふうに思います。そして、例えば、プロの農業経営を支える政策、それから環境や農地や水の保全等といった農村地域全体を支える政策、そうしたそれぞれの政策ターゲットを明確に峻別していく。そして、その政策ターゲットの達成のために必要な政策ツールを限定的に目標に向かって適用していく、そういうことが必要になるんじゃないかというふうに私は思っております。

 そうした意味で、大臣に、このような農業政策の見直しの基本的な考え方についてぜひ伺いたいと思います。

亀井国務大臣 現在、食の安全、安心に対する関心が高まっている一方、農業構造改革の立ちおくれ、またWTO等々の国際規律の強化などを踏まえますと、国民の期待にこたえる農業、農村の実現に向けて改革が求められている、このように認識をいたしております。こうした考え方に基づきまして、農業の競争力強化などに向け、我が国農業の構造の改革が加速化をされるように、担い手に焦点を絞った支援策の体系的な整備、このことを進める必要がある、このように考えております。

 そういう中で、構造改革が進展する中で食料の供給やあるいは多面的機能の発揮が適正に確保されるためには、やはり農地、水等の資源の保全、この政策の確立も図る必要があるわけであります。

 こうした点を踏まえまして、次世代に対しましてどのような姿の農業を残していくべきか、こういう大きな視点に立ちまして、平成十七年三月の新たな食料・農業・農村基本計画の策定に向けて、今、農政全般にわたっての改革に取り組んでおるところでございまして、これらの問題につきましては、食料・農業・農村政策審議会の企画部会におきまして今いろいろ議論をお願いしておるところでございます。来年の三月、夏までに中間論点の整理ができれば来年度の予算概算要求に盛り込むことができるような状況、こういうことになれば、その対応をしてまいりたい、このように考えております。

後藤委員 やはり既存の枠組みにこだわらないで、農業政策の一つ一つの内容を検証していくということが必要だというふうに思っております。

 私は、こうした観点からいえば、今、担い手とおっしゃいましたけれども、担い手であるプロの農業経営者、恐らくそれにドライブをかけるということでありましょうけれども、プロの農業経営者と農村地域政策のそれぞれに対応する新しい直接支払いの制度のようなものをしっかりとつくっていくべきだと考えています。いずれにしても、制度をどうしていくか、制度設計の細部等については今後十分に、いろいろな品目横断的な今までの対策等も考えながらしていかなければならないというふうに思っております。

 実は、この農業政策を積極的に体系的に打ち出していくべきだと申し上げていることの一つの意味として、私は、国際的な視点ということもあるというふうに思っております。

 先般、メキシコとFTAがまとまりまして、タイ、韓国、マレーシア、交渉が進んでおります。一方で、世界に目を転じて、経済協定だとか、あるいはいろいろなさまざまな状況を見てみると、EUは東方に向かってどんどん進んでおります。それから、ロメ協定でアフリカ、カリブの七十カ国とどんどんやっている。NAFTAについても、ラテンアメリカに次々と拡大して、根を張っているわけであります。アメリカやヨーロッパ、その他のこうした地域の地域協定あるいは経済協定の進行や、もう詳しいことは言いませんが、中国の最近の動向等を見てみると、我が国にとっても国益としてこうした問題にきちんと取り組んでいくということは非常に重要な課題であるというふうに思います。

 しかし、FTAの交渉と、例えばWTOのラウンド交渉のようなものを見ていった場合に、FTAはどうしても個別の農産品の交渉に追い込まれてしまうということが否めない、WTOのラウンド交渉を全体として進めるときのような大がかりな農業施策を打ち出していきにくいような局面になってしまうのではないか、そんなことをやはり危惧するわけであります。

 ラウンド交渉をまとめるということが非常に難しいということは、これはよくわかっておりますし、多面的な農業の機能へ配慮すべきだという我が国の主張を徹底してやるべきだということは、これはもちろんのことではありますけれども、何とかラウンド交渉というものをしっかりとやる中で、WTOのラウンド交渉という大きな土俵の中で、国内的にも国際的にも積極的な農業政策のパッケージというものをやはり打ち出していくべきなのではないか、私はそう思っております。

 アメリカやEUの例を見ましても、例えば、アメリカの価格支持融資だとか直接固定支払いだとか価格変動対応型の支払いだとか、EUのCAPの直接支払いの制度、農村開発等の制度など、非常に大胆な政策パッケージが打ち出されておりますが、よくよくWTOの枠組みの中で見ると、相当に我田引水的な制度もあるわけであります。

 もちろん、アメリカやEUのような制度をそのままやれと言っているんじゃなくて、もちろん、アメリカやEUのように食料がある程度余っているという条件のもとでとられているようなデカップリングのような政策を、それはそのままやれと言っているわけじゃありません。しかし、具体的な制度設計を日本の事情に合わせてやるということは当然としても、少なくとも、アメリカ、EUのように積極的な農業政策のパッケージを、国際的な視点からもやはり打ち出していく必要があるんじゃないかというふうに思いますけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。

亀井国務大臣 現在、食料・農業・農村基本計画の見直しの中で、一つは、品目別の価格・経営安定対策から意欲と能力のある担い手の経営を支援する品目横断的な政策への移行、また二点目として、望ましい農業構造、土地利用を実現するための担い手・農地制度の改革、三点目といたしまして、環境保全を重視した施策の一層の推進と農地や水等の資源の保全のための施策の確立、これらを中心に、今、我が国農政全般にわたります改革方向について検討を進めておるわけでありまして、そういう中で、やはり国内的には構造改革の強力な推進と需要に応じた生産を図ることを強く求められているわけであります。

 また一方、対外的には、今も委員から御指摘がありましたとおり、国際規律の強化にも対応し得る政策体系の構築が求められているということであるわけでありまして、このような点を踏まえまして、諸外国の直接支払い制度も視野に入れつつ、競争力の強化に向けた農政の展開方向、これを見定めていく考えでおります。

 これらのことにつきましては、来年三月を目途に新たな基本計画を策定するわけでありますが、先ほども申し上げましたが、十七年度の概算要求や制度改正、これらスピード感を持って対応してまいりたい、このように考えております。

後藤委員 やはり一丸となってそういう政策あるいは制度の改革に取り組んでいくべきだというふうに思いますので、農水省の方もぜひ大臣の指導のもと、積極的な政策を国民に向かってきちんと発信をしていただくようにお願いをしたいと思います。

 次に、法案の具体的な内容に入る前に、担い手・農地制度に関連して、ちょっとお聞きをしたいと思いますが、昨年の四月からスタートしました構造改革特区、ここにおきまして、担い手不足の地域、農地の遊休化が深刻な地域については、農業生産法人以外の法人の経営を可能とする農地法の特例措置が講じられております。細かい具体的な内容はもう御承知のとおりでありますから触れませんけれども、この特例措置につきましては、平成十六年末までに、その全国展開について検討して結論を得るということとされております。

 それで、担い手対策、遊休地対策という観点を考えると、これは全国展開をぜひすべきだろうというふうに私は考えておりますけれども、見解をお伺いしたいと思います。

亀井国務大臣 株式会社、一般法人が農業に参入する特区につきましては、昨年四月にスタートいたしまして、これまで全国八十四の市町村を対象とする四十一件の計画が認定されておりまして、既に十二特区で二十一法人、うち株式会社が十四法人の事業が開始をされております。

 この特区につきましては、昨年六月に決定した骨太の方針において、「実施状況及び地域農業への効果、影響等の検証を行い、その評価を踏まえて全国展開について検討し、平成十六年末までの間で可能な限り速やかに結論を得る。」とされておるわけであります。政府としても、評価の結果、特段の問題が生じていないと判断される場合は、速やかに全国展開する旨の基本方針を定めたところであります。

 この評価に当たりましては、農水省といたしましては、特区の適用状況について調査を行い、あるいは特区推進本部に報告することとなっておりまして、当省としては、評価委員会との連携のもと、骨太の方針に基づきまして、特区での農地の利用状況等について逐次状況を把握いたしまして、速やかに結論を得たい、このように考えております。その結論をもって対応をしてまいりたい、このように考えております。

後藤委員 それから、この農地制度にかかわる問題として、さきの通常国会におきまして、農業経営基盤強化促進法の改正が行われまして、農業生産法人が多様な展開をしていけるようにするために、認定農業者たる農業生産法人に対する出資規制の緩和措置がとられております。

 従来、総議決権の四分の一以下、一構成員の十分の一以下だったものを、内部については制限をなくし、農外の者については二分の一としたわけでありまして、これは十五年の九月から法律が施行されておりますけれども、その後、広島県の世羅菜園では、関連事業者である、まあ固有名詞ですが、カゴメの出資額が引き上げられまして、作付面積も二・八八ヘクタールから八・二二ヘクタールに広げられまして、技術提携による生産の向上や高付加価値化が進んでいるという例も出てきていると聞いております。

 そこで伺うわけでありますけれども、新たな担い手の一つの形として、例えばこうした食品会社のように、周年の安定的な供給体制を整備するということ、あるいは、これはトレーサビリティーの向上にもなりますし、減農薬栽培を実施していくとか、あるいは新しい産地形成とかブランド形成とか、そういった意味でのさまざまな農業の高付加価値化に寄与できるようなものが出てきているというふうに私は考えますけれども、その点の評価についてどう思われるでしょうか。

金田副大臣 特区制度等々についていろいろな検討を、基本計画の中で全国展開するかどうかということも含めて、今検討中でございます。

 確かに、担い手の多様化ということをこれからも進めてまいりたいというふうに思っておりますけれども、これからも具体的に先生方の御指導を得ながら農政の改革について懸命に努力してまいりたいというふうに思っております。

後藤委員 今、こうして二つの、農地法上の取り扱いの、これは近年、例外的な措置として認められているものであります。それから、そもそもさかのぼれば、十二年に農地法の改正をいたしまして、株式会社の一部参入が認められているわけです。そういういろいろな状況を見ましても、農地の保有をめぐる考え方というのも私は大きく変わってきているのではないか、そんなふうに考えるわけであります。

 そもそも論に本当に立ち戻れば、農地法については、昭和二十七年に農地改革の成果を維持するということで自作農主義がとられまして、その後、昭和四十五年の大改正を経まして、耕作者の経営の安定とか農業生産力の向上ということで耕作者主義がとられるようになったわけです。この目的の中で言われている耕作する者、農地を適正かつ効率的に耕作する者に権利取得を認めるという、この耕作する者ということの意味については、農業に従事しているばかりではなくて、経営の意味も含めたより広い概念に社会的な認知も変わってきていると見るべきなのではないかというふうに私は考えます。

 もう少し丁寧に議論すれば、耕作者主義というのは、具体的に具現化している条件としていえば、農地取得後の農地のすべてについて耕作を行う、それから農地を効率的に利用して耕作を行う、それから個人の場合にあっては本人または世帯員が農作業に従事する、法人の場合には農作業に従事する構成員が役員の中で一定の比率がなきゃいけない、こうした要件が決められているわけでありますけれども、十二年の改正のときには、もちろん耕作者主義のこうした基本的な枠組みが維持されているわけです。そうした枠組みを、私は、今取っ払えという議論をしているわけでは決してありません。そういうものを維持しつつ、しかし、経営等を含めてもう少し弾力的に考えられるようになっているのではないかということを申し上げているわけです。

 そこで伺いますけれども、耕作者主義について、経営等の側面を付加して考える農地法の考え方、そういうものが少しずつ出てきているのではないか、そういう発想にもかかわるわけですが、歴史的に見ていろいろ変わってきているというふうに考えるわけで、耕作者主義についてのこれまでの歴史的な意味の変化について、これをちょっと伺わせていただきたいと思います。

川村政府参考人 農地法の耕作者主義についてのお尋ねでございます。

 これは、委員の御質問の中でも引用がございましたとおり、農地を適正かつ効率的に耕作する者に権利取得を認めるという考え方でございます。この考え方が基本になりまして、先ほどこれも委員の方から御紹介がございました農業生産法人の要件、こういったものにも反映をされておりまして、組織形態でありますとか事業、構成員、役員、こういうものについて一定の要件が課されております。

 この農業生産法人の要件は、その発足以来いろいろ取り巻く状況が変化する中で、見直しを行ってきております。

 例えば、平成五年に、構成員に法人から物資の供給を受ける個人、例えば産直契約を締結する個人等でございますが、こういう者も認めるようにした。それからまた、非常に大きなのは、これも御質問の中でございました平成十二年の株式会社、これは株式の譲渡制限のあるものでございますけれども、これを追加した。こういうふうに要件の見直しを行ってきております。ただ、こういった要件の見直しも、時代の変遷といいますかニーズ、そういうものの中での見直しでございますけれども、やはり耕作者主義といった考え方をベースにしてその見直しをしてきたということでございます。

 今後、この考え方は、どうするかという根本的な問題もございますが、今実施をしております食料・農業・農村基本計画の見直し作業、その中で、やはり望ましい農業構造なり農地制度の改革、こういうものをどうすべきかということでの本格的な議論をやっているところでございます。農業生産法人の要件についてもいろいろ御指摘がございましたが、多様な担い手を確保する観点、こういう観点でどういうことが考えられるかということを検討しているところでございます。

後藤委員 耕作者主義を外すべしという議論をしているつもりは毛頭ありません。耕作者主義という考え方に、いろいろな社会の状況に応じて考え方の変遷というものが見られてきたし、これからもニーズに合わせて、担い手やあるいは遊休地の対策として考えていくということだと思っております。

 今も話が出ましたけれども、農業生産法人の要件そのものの見直しについても私は検討していくべきだというふうに思っております。

 平成十二年のときにも大変大きな議論がわき起こりまして、株式会社の一般的な参入については、これはやはり認めるべきではないということになりまして、少なくとも今後については、実態を見きわめながら生産法人のいろいろな考え方の枠組みの中で今後見ていこうというふうに整理されていると思っておりますけれども、株式会社の無条件参入だとかあるいは行政改革論の手荒な議論としてではなくて、実態を踏まえた、漸進的に議論を進めていくという立場から、農地法の農業生産法人の要件をもう一段緩和していくということについて検討すべきと考えますが、お考えを伺いたいと思います。

金田副大臣 今、基本計画の中で見直しを検討しているわけでありますけれども、農業生産法人の要件と申しますか、緩和の、どの程度までいいかというようなことも見直しをさせていただいているわけでございます。

 しかし、現場の農業者からは、もし株式会社が投機目的で農地を取得した、そういった不適切な土地の取得といったことが行われたら大変なことになる。また、耕作地が集落で経営されているわけであります。水の管理だとか、農家の、用水路の掃除だとかいろいろなことを集落でやっているときに、株式会社等々が参入した場合に集落で混乱が発生するのでないか。それから、やはり、もし株式会社が農地を取得するということになったら、その生産法人が、農業というのはもう採算とれぬから破綻しようというような場合に、その取得した農地が虫食い的になって、あるいは農家に手が届かないと申しますか、そんなことになってしまっては、せっかくの農地法の精神、耕作者主義の精神が全うできなくなる。

 そういった現場からの強い反対の声もございまして、そういったことも踏まえながら、今現在基本計画の中で、農業生産法人、どんな程度のものだったらいいかというようなことも検討しているところでございます。

後藤委員 そうしたこともよく認識をしておりますが、ぜひ検討をしていっていただきたい。やはり実態をよく見て考えていくということについては全く同感であります。

 さて、農業委員会の法律について伺いますが、農業委員会には大変重要な役割がありまして、今話をしていた農地法だとか農業経営基盤強化促進法や土地改良法等々、法令業務の執行機関としての機能も、それからさまざまな農業構造改革にかかわる政策の推進、実施機関としての機能もあります。

 今回、法律の中で、設置基準面積算定の見直しということが書かれておりまして、市街化区域内における法令業務の執行状況等を踏まえた上で、生産緑地以外の市街化区域内農地面積を除外するということとなっておりますけれども、地方都市の状況等を見ると、地方都市の中に、例えば、花卉だとか果樹だとかあるいは野菜など大変元気な農家がいまして、その人たちが朝市を開催して旧市街地活性化の手助けになったり、地産地消やスローフードの運動など、非常に新しい都市型の農業の発信基地として、農業委員会等を通じて非常にいい活動をしている例が間々見られるわけであります。

 設置基準の見直しに当たっては、やはりこうした都市農業に対する十分な配慮が必要ではないかというふうに考えますけれども、いかが考えておられるでしょうか。

金田副大臣 今回の法改正の中で、市街化区域内の農地については設置基準面積から除外するということになりました。

 これは、都市農業を粗末に扱っているとか軽視しているということは決してございませんで、今、現実にそういった市街化区域の農業委員会は何をやっているのかというようなことでございますが、そういったものについては、税制に係る証明書を発行する事務だとか市民農園の事務だとか、そういったことをやっておりまして、農地転用等々の業務というのはほとんどないわけであります。そういった業務量から見て、この市街化区域内の農地というのを、相当仕事が減っておりますので、こういったものは除外してもいいのでないかという判断になったわけでございます。

 しかし、この必置基準面積を下回ったから農業委員会を置かなくてもいいということでは決してございませんで、市町村長の判断に基づいて、必置基準ではないけれども、我が市町村は置こうという判断ができるようにもしてございます。現実に、今農業委員会が行われているのは、必置基準でないのにもかかわらず置いているというのが八七%程度ございますので、決して都市農業を軽視したり無視したというようなことではございませんので、御理解賜りたいと思います。

後藤委員 十分配慮をしていただきたいという意味でありまして、おっしゃるように、必置基準以下でありましても任意設置されているケースが多いわけでありますけれども、昨今、農業委員会をめぐるさまざまな情勢は大変厳しいものがあります。そうした中で、例えば、任意設置されている農業委員会と必須設置されている農業委員会とでやはり扱いに、現在は差がないと認識しておりますが、そうしたことについて十分な配慮をいただかなけりゃいかぬということを、ではつけ加えておきたいと思います。

 それからもう一つ、ここに関係することで申し上げますと、いわゆる骨太の方針にも書かれておりましたけれども、合併等を念頭に置きながら、大幅な面積要件の引き上げが図られているわけであります。確かに、前回の改正等を見てみれば、市町村の数が半分以下になったから三十ヘクタールから九十ヘクタールに引き上げても平均的に構わないという考えだったと思っておりますけれども、しかし、私は、よく合併の状況というのを考えていかなきゃいけないというふうに思っております。

 最近では、実を言うと、法定合併協議会が突然に土壇場になって至るところでだめになっております。それから、私の地元でもそうでありますけれども、いわゆる基礎的自治体でも、非常に小規模の自治体等におきましては、国の小規模町村に対する施策が本当に最後どうなるのかということが見えにくいということもありますけれども、そういうこともあって、制度的に本当にどうなるのか、とことん頑張って最後の落ちどころを見きわめてから、中山間、特に山村の小規模町村などは若干開き直った気持ちで、最後の落ちどころを見てからやろう、そんなような空気も実を言うと広がっておりまして、必ずしも二千近い市町村が合併に向かって順風に進んでいるという状況ではないというふうに思います。そういう意味では、合併の進捗状況等をかんがみて、よく具体的な政令の数値を決定すべきであるというふうに考えております。

 それから最後に、私の地元にも、作業委託だとか土地の賃貸などを通じて非常に大きな利用集積をしながら農業経営を次々と拡大している農業法人の例があります。例えば、諏訪市に農豊会なんというのもありますけれども、大臣表彰なんかもいただいております。こうした農業法人では、もうかる経営だということを目指しておりますし、休暇制度を採用したりしながら、非常に合理的な農業経営をやっております。そうしたところには、農業に対する新しい就業者も入ってきている。非常に魅力的な新しい農業の形を示しております。

 今回、青年等の就農促進のための資金の貸付け等に関する特別措置法、この法律の一部改正法案が出ておりますけれども、農業法人の人材需要に応じて適切に支援措置を講ずることとしていることについては評価しておりますけれども、こうした点に限らず、将来の農業を担う者をどうやって確保していくか、新規就業の人たちに対しても、農業に就農していく、農業法人等への就農について、一層の施策を講じていくべきであるというふうに考えますけれども、御意見を伺いたいと思います。

川村政府参考人 必置基準の面積、これは具体的には政令で定めることになっております。

 そして、議員も御指摘のとおり、この政令の数値は、前回の改正も、市町村合併の状況を見て、農地面積の動向、そういうものを見て決めました。今回の政令の数値を決定するに当たりましても、合併に伴って農業委員会の区域内の農地面積がどの程度に拡大するのかということを十分踏まえた上で判断をしたいと思っております。

 また、規模別に業務量、そういうものが一定の状況を示しておりますので、そういった規模別の業務量というものも十分配慮しながら、客観的な数値をベースに決めていきたいと思っております。

 また、法人の育成、これは今後、新規就農なり地域農業の非常に受け皿になるというふうに思っておりますので、これの健全な発展、それからいろいろな雇用対策というものも含めまして、それを念頭に置きながら対応していきたいというふうに思っているところでございます。

後藤委員 終わります。

高木委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時三十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

高木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。松木謙公君。

松木委員 皆さん、どうも御苦労さまでございます。

 テレビの報道なんかを見ていますと、亀井大臣にしても金田副大臣にしても木村政務官にしても、牛肉を入れるのを一生懸命阻止しているような、そういうことに御苦労をされているようなことが見受けられまして、とにかく頑張っていただきたいなというふうに思っております。

 それは別に置いておきまして、実は、日本歯科医師会のことで少しお話を聞かせていただきますので、どうぞよろしくお願いします。

 先ほど、我が党の篠原委員が大臣の政治資金のことをちょっと聞いたと思うんですけれども、平成十二年の二月二十八日に十万円、五月三十一日に二百万、六月八日に五十万、十一月九日に二十万、平成十三年の三月九日に二十万、平成十三年の十一月十五日に、これが二百万ですか、百万ですか、ちょっとそれを、その次が、ここら辺がちょっと聞こえないところがあったので、もう一度十三年のところを教えていただきたいと思います。

亀井国務大臣 今の数字が私が申し上げた数字とちょっと変わっておりますので、もう一度申し上げたいと思います。

 平成十二年の二月二十八日に十万円、五月三十一日に二百万円、六月八日に五十万円、十一月九日に十万円、それから十三年の三月九日に十万円、それから同年、十三年の十一月十五日に百万円、そして十四年の十一月十五日に五十万円、こういうことです。

松木委員 ありがとうございました。

 ここでお聞きしたいことなんですけれども、まず、平成十二年以前に大臣は歯科医師会の方々とおつき合いがあったのかどうか、こういう政治資金をいただくようなおつき合いがあったのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

亀井国務大臣 もうちょっと古い話でありますけれども、私も政治家として、神奈川県の歯科医師政治連盟の方々とのつき合いもありますし、それ以前には、そういうつき合いはあります。

松木委員 それでは、平成十四年の十一月十五日に五十万というのが最後になっているわけですけれども、今は平成十六年です。平成十五年、十六年で政治資金に関してのおつき合いというのはございましたでしょうか。

亀井国務大臣 十五年につきましても、パーティーだとかセミナーには御協力をちょうだいしていると思います。

松木委員 それはいつごろというのは、ちょっとわからないですか、今。――わからないですか。わからないのなら、いいです。後で、できたら教えていただければというふうにも思っております。

 そして、規正法にのっとった行為で、当時はこんなことになるというのは多分思わないで政治資金をいただいたというふうに私も思っていますし、後々だれがどんな事件を起こすかというのは、これはわからないわけですから、そういうことで、それを私もがんがん追及しようとかそういうことじゃないので……(発言する者あり)追及すべきじゃないかという話もありますけれども。

 それで、とりあえずお話を聞いていくわけですけれども、この日本歯科医師会の方々とのおつき合いにおいて、例えばお金をいただくとかそういうときに、大臣直接ということじゃないというふうに私は思うんですよね。ということは、担当の秘書さんがだれか決まっていたということだと思うんですけれども、そこら辺はいかがでしょうか。

亀井国務大臣 ほとんど、パーティーですとかセミナー、そういうところに御出席をいただく。皆さんおやりのとおり、パーティー券というかそういう券をお送りして、それに基づきましての、あるいはそのとき、参加されるときにお金をお持ちいただくか、あるいは前もって会費を送金していただく、そういうことだと思います。

松木委員 担当の秘書さんというのはいなかったんですか。

亀井国務大臣 いや、私のところは、歯科医師会をだれが担当する、こういうようなことはしていないと思います。

松木委員 わかりました。

 それでは、自民党の中に医療問題調査会というのがあると思うんですけれども、こちらの方に大臣は名は連ねておられるのかどうか、それをちょっと教えていただきたいんです。

亀井国務大臣 医療問題調査会、これは党の政調の機関で、いろいろたくさんありますから、多分入っていたかと思いますけれども、私は、いわゆる医療ですとか、もう御承知のとおり運輸族と言われるようなことでございますから、比較的そういう面では薄いわけですけれども、いろいろ政調の部会ですとか調査会等々には名前を出しておるところがたくさんありますから、所属をしておったかどうか、ちょっと、一〇〇%私も答えることはできませんけれども、多分入っていたんじゃないか、名前は連ねておるんじゃなかろうかと思います。

松木委員 できればこれの答えを後でいただきたいというふうに思っております。

 それと、この自民党の医療問題調査会の中に少子高齢社会歯科診療報酬等に関する小委員会というのが実はあるんですけれども、これが二〇〇〇年の一月二十七日に初会合をやって、二〇〇〇年の十月十九日に、この小委員会に今回逮捕された方々が三人ぐらい出席をされているわけですけれども、こちらの方、この小委員会というものも大臣は覚えがあるかどうか、教えてください。

亀井国務大臣 不勉強で、私はそういう委員会が、小委員会があったかどうか全くわかりません。

松木委員 入っているかどうかもわからないですか。

亀井国務大臣 入っていないと思います。私は、それもわかりませんし、小委員会がどういう性格のものか、これも全くわかりませんので。

松木委員 よく政治の世界というのは何族という言葉があるんですけれども、亀井大臣は厚生労働族でございますか。

亀井国務大臣 私は、社労だとかそういうところに、委員会に所属したこともございませんし、そういう族ではない、こう思っております。

松木委員 わかりました。

 しかし、政治資金規正法にのっとって、だから、もちろんまじめな亀井大臣ですから、しっかりしたいろいろなお手続というのはしていると思うんですけれども、しかし、今回逮捕者も出した、こういうことになったので、もし、お気持ち的に、政治的に考えて、やはり農林水産大臣亀井善之がもらうお金としては、どうも今となっては不都合であるというふうに思って、これは返そうというようなお気持ちとかそういうことがあるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

亀井国務大臣 私は、政治資金規正法に基づきまして政治活動を御支援ちょうだいする、こういうことでいろいろの行事に御協力をちょうだいした、こう思っておりますので、今委員から御指摘のような考えはありません。

松木委員 よくわかりました。それでは、この話はこの辺で終了させていただきます。御協力ありがとうございます。

 それでは、本題の方に入らせていただきます。

 それでは、肝心の三法の方に行きますけれども、協同農業普及事業は昭和二十三年に制度が発足して、それ以来、都道府県において農業現場での技術の普及活動が行われてきたところであります。この間、農業分野においては、機械化の促進とそして技術の進歩には目覚ましいものがあるわけですけれども、試験場で開発された新技術、これが広く農家に実際に使われるようになるために、普及職員の方々が多大な活躍をされ、そして貢献されてきたというふうに私は考えております。

 現在、国では、食料・農業・農村基本計画の見直しに取り組まれているところであるわけですけれども、今後の我が国の農業の発展のために普及事業が果たしていくべき課題、役割、こういうものをどのようにお考えでしょうか。

亀井国務大臣 農業の生産性を上げていく、向上、また農家の経営発展のためには、絶え間ない技術革新、これが必要であるわけでありまして、しかしながら、農業分野の技術革新、これは農業者の自助努力のみではなかなか困難であるわけであります。そういう面で、試験研究機関を中心として行われております技術開発の成果というものを地域の農業条件に応じて現場に合った形で普及させていくということは必要なことでありまして、この主体的な取り組み、役割、そういう面で、協同農業普及事業はこれらを担う面で大変重要な役割を果たしておる、このように考えております。

 そういう中で、今、食料、農業、農村を取り巻く環境が大きく変化をし、またスピード感を持った農政改革、このことを推進しなければならないわけであります。そういう中で、政策の課題に対応し、また高度かつ多様な技術あるいは知識を的確に農業現場に伝えていく、こういう面で、協同農業普及事業、これは大変重要なことであります。また、農政の新たな展開、こういう面におきましても、その取り組みというのは強化が求められているわけであります。そういう面で、今後とも普及職員の持つ高度な技術力を背景に、新技術の導入、また経営改善を支援する、そういう面で農政推進に基本的な仕組みとしてその役割を十分発揮していくことが必要なわけであります。

 そこで、今、新たな基本計画、現在検討をお願いしておるわけでありますが、そういう中で、やはり普及事業が、担い手への高度な技術革新の支援や担い手を中心とした産地育成等の地域農業のコーディネート、また、環境と調和した農業生産技術の導入やあるいは耕畜連携によります資源循環型農業の推進、そういう面での技術支援、こういう面での役割を担っていく必要があるわけでありまして、協同農業普及事業、この役割は大変重要な面を持っておる。私は、そういう面で、この見直しの中でもそれが役割を担うような形というものがぜひ進められることを願っているわけであります。

松木委員 それでは、今回の改正法案では、地域農業改良普及センターの必置規制を廃止することになっている。センターは普及職員の活動のよりどころとして大変重要であるというふうに私は思っております。

 普及職員の活動に支障が生じないように、また、農家が普及員に相談したいがどこに行けばいいかよくわからないというようなサービスの低下を招かないように、やはりセンターを設置しない都道府県がなるべくだったら出ないようにしなきゃいけないというふうに私は思っているわけですけれども、そこら辺のことはいかがでしょうか。

川村政府参考人 今回の改正で、地域農業改良普及センターの必置規制を廃止するということにしております。

 この趣旨は、今のこの必置規制が県内の管轄区域を分けまして、そして地区割りにしまして、非常に硬直的な形での組織を規定しているということでございます。これまでも御議論がございましたとおり、いろいろ普及をめぐる課題は高度化、多様化しておりますので、県のレベルにおいて多様なセンターの設置というものを可能にするような形で必置義務を廃止するということでございます。

 もとより、普及員の活動が中心になりますので、それを支える拠点というものは当然必要でございます。そしてまた、今回の改正によりましても、このセンターに対します交付金、これはちゃんと対象にするということでございます。

 ただ、今回の改正の趣旨が、都道府県の自由度を増すということでございますので、一律にどうこうという指導はなかなか難しいわけでございます。ただ、やはりこの普及指導員の拠点となりますセンターをどういうふうに、また組織のあり方をどういうふうにするかということは極めて重要な課題であると思っております。

 そういうことで、私ども、この新しい制度のもとで普及活動を円滑にするためにどういう組織のあり方が適当なのかということを、現場の方々にもお入りをいただきまして、もちろん先生の地元の北海道の普及の方も参加をされておりますけれども、いろいろ、県の試験の機関の方でありますとかあるいは農業の関係者、そういう方とも議論をしておりまして、その御意見も十分お伺いをして、その結果を都道府県等にもお示しをしていきたいというふうに思っているところでございます。

松木委員 よろしくお願いします。

 また、今回の改正法案の都道府県の裁量を拡大するという方向性によって国が普及事業の組織体制を縛ることをやめることに伴って、「センターの長は、改良普及員をもつて充てるものとする。」という要件が廃止されます。都道府県の判断で、普及職員の資格を持たない一般行政職の者がセンター長でもよいことになるわけですけれども、普及職員の活動は、現在、現場で農業者に直接接して経営の改善を支援するという、一般行政とは多分異なる特殊な業務であります。

 このような普及職員を統制するセンターの長には、普及事業をよく知っている者がつくべきだというのが私の考えなんですけれども、ここら辺はいかがなっておりますでしょうか。

川村政府参考人 今もお答えいたしましたとおり、センターという組織のあり方自体が、都道府県の自由度を増して、都道府県の判断で、いろいろな形で機動的に、柔軟に対応していただくということでございますので、そのセンターの長自体を、また要件を縛ったりということは、今回の法改正の趣旨からしては難しいわけでございます。

 ただ、今委員も御心配といいますか、御質問の中で述べられましたとおり、まさに普及員の活動の拠点、またこれを統括する長ということで考えますと、やはりその機能を十分に発揮していくという上では、普及事業に関しまして高度な知識なり経験を有する方がその事務なりを適切、効率的に運営するためには適当だというふうに考えておりますし、都道府県においてもそのような判断がされるものと考えております。

 また、先ほども、組織のあり方自体につきましても関係の方々にお集まりいただきましてビジョンづくりをしているということを申し上げましたが、この中で、やはりそのセンターの長としてどういう方がふさわしいのかということについても議論をしていただいております。その結果を十分各都道府県にもお示しをし、適切な対応をしていただきたい、こういうふうに思っているところでございます。

松木委員 県などからの何か天下り先になる、そういうことにならないようにぜひ気をつけていただきたいというふうに思っております。

 多分、この普及事業の、もともと関係していた方がセンター長になるというのがやはりいいと私は思うんですよね。それをもう一度、もう一回だけ確認しておきたいと思います。

川村政府参考人 普及指導の拠点となりますセンター、その機能を十分に発揮していくためには、先ほど言いましたように、基本的には普及事業に関しまして知識なり経験、そういうことを十分発揮される方が任用されるのが自然な形であろうというふうに思っているところでございます。

松木委員 ぜひ今のお言葉を忘れないで、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。

 普及事業に携わる職員として、各都道府県に、専門の事項等の調査研究を行う専門技術員と、現場の普及指導を行う改良普及員が設置されているわけですけれども、今回の改正法案では、二種類の職員を一元化することとされています。これまでの普及事業の推進に当たって、普及職員が果たしてきた役割というのは非常に大きいというふうに私は考えております。

 普及センターの必置規制は廃止されるわけですけれども、普及職員については必置規制をぜひ堅持すべきだというふうに私は考えておるわけでございますけれども、ここら辺の御見解をお願いいたします。

亀井国務大臣 普及事業、特に農家の問題等々につきましては、やはりいわゆる普及職員が直接その現場で農業者に接して、技術革新だとかあるいはまた経営の問題、いろいろ支援策を行うわけであります。普及職員、これはやはり人によって成り立つものであるわけでありまして、そういう面では、私は、この普及センターの必置規制、これは廃止されるわけでありますが、普及職員につきましては、この必置規制、やはりそれぞれ都道府県におきましても義務づけている現行の制度につきましては、これはぜひ維持をする、こういうことが必要と思っております。そういう中で、これからのいろいろの農業者の大きな支援をしていただくように活動していただきたい、こう思っております。

松木委員 ということは、大臣と私は同じ考えでいるということでよろしゅうございますよね。

 それであれば、せっかく副大臣と政務官のお二人がおられますので、お二人の見解も、簡単で結構でございますので、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

金田副大臣 試験研究機関の成果を現場に生かすために、大変な御活躍をいただいているものと思っております。こういった制度については、できるだけ固持してまいりたいというふうに思っております。

木村大臣政務官 農家から見ても、やはり普及に対して御指導いただく、また情報を提供してくれる方がそばにいるということは大変ありがたく、期待されていると思いますので、先ほど大臣がおっしゃった考え方に私も同調しながら、努力していきたいと思います。

松木委員 皆さん同じ考えのようでございますので、そういうことでこれからも頑張っていくように、与党、野党関係なく頑張っていきたいと思っています。

 次の質問ですけれども、現在、普及職員に対しては、条例で定めるところによって、農業改良普及手当が支給されています。普及手当の支給月額は、専門技術員が給料月額の八%以内、改良普及員が給料月額の一二%以内と法定されているところであるが、今般、普及職員の一元化とあわせて、都道府県の自主的な支給が可能となるよう、支給の上限規制を廃止することとしております。

 今後の普及職員に求められる技術力の高度化に見合った人材を確保するため、また職員が意欲を持って現場の普及活動に取り組んでいくためには、手当について水準の指標を何らかの形で示すべきではないかというふうに思っておりますけれども、御見解を伺いたいと思います。

川村政府参考人 現行の農業改良助長法におきまして、農業改良普及手当というものが支払えるということで、可能になっております。これは、普及職員の職務の特殊性ということにかんがみまして、高度な専門能力を有する普及職員がその職務に精励し得るようにするということが一つ、それからまた優秀な人材の確保というために必要ということで規定が置かれているところでございます。その具体的な支給の上限につきましては、ただいま委員が御質問の中で触れられたような数字が上限として示されておるところでございます。そして、このような規定の中で、現状におきましては、ほぼ上限に張りついているというのが実態でございます。

 今回の改正は、できるだけ都道府県の裁量といいますか、自主性を尊重するということでございますので、上限を置くということではなくて、これは廃止をして、普及手当を支給するという規定は存置をいたしますけれども、その支給のあり方、具体的なあり方については都道府県の判断にゆだねるとしたところでございます。したがいまして、その裁量を拡大したいということでございますので、御質問のように具体的な水準を指標的に示すということは、まさに都道府県の裁量を縛るといったようなことになりますので、その点は適当でないと思っております。

 ただ、普及手当は非常に重要でございます。まさに、今回一元化をいたしまして、技術の高度な専門職として、また現場を担当する職務の特殊性ということからしますと、普及手当というのは非常に重要でございます。そういうことで、この上限を撤廃いたしますけれども普及手当は支給するというのは、先ほど申し上げましたとおり存置をするということでございます。

 そういうことでございますので、我々も、この普及手当の必要性なり理由、そういうものは的確に県の方にも周知をいたしますし、また都道府県の当局とも十分に情報交換を行っていきたいということでございます。また、先ほど来、新しい制度下での普及事業が具体的にどうあるべきかということをいろいろな関係の方々に入っていただいて今議論をしている最中でございますので、その中でも十分に意見交換、情報交換をしていきたいというふうに思っているところでございます。

松木委員 よくわかりました。

 ぜひこういうお手当がなくならないように、いろいろなところで局長さんはまたお話しできるお立場にもありますので、ぜひそこら辺をお願いしておきたいというふうに思っております。

 次に、協同農業普及事業の交付金のあり方、一般財源化の是非については、農政の展開における国の責務、国と都道府県の役割分担の問題であると思います。

 交付金を廃止したとしても、都道府県に対し十分な財源が移譲されれば普及事業の円滑な推進に支障を来すことはない、そういう考え方もありますが、一般財源化により、各都道府県における農政への取り組みの足並みが乱れることが懸念をされているところであります。普及事業の交付金制度の堅持とその財源確保を図っていくべきではないかというふうに思っておりますけれども、いかがお考えでしょうか。

亀井国務大臣 協同農業普及事業交付金は、国と都道府県が協同して行う普及事業、これの必要最低限の水準を維持しまして、国内全域にわたります食料生産に関する国の責務を果たすために、私は、国からの財政措置は重要なもの、このように考えております。

 今後の交付金の扱いにつきましては、改革の進展状況を踏まえて判断していくことが適当、基本方針二〇〇三に示されておりますスリム化に伴う縮減をまず行った上で、平成十八年度までにそのあり方等について所要の検討を行い結論を得たい、このように考えておるわけでありまして、先ほど来、協同普及事業の使命というのは大変大きな役割を果たしておるわけでありますので、そういう面でしっかりやってまいりたい、こう思っております。

松木委員 今、都道府県にもなかなかお金がない時代ですので、もちろん大臣もいろいろなところで発言されることがあるわけですから、ぜひ財源確保ということを、都道府県に移っても、またどこかででもお話をしていっていただきたいと思います。

 それでは次に、農業委員会の関係のことをちょっと質問させていただきます。

 まず最初に、大臣にお尋ねしますが、今回の改正で農業委員会の活動がどのように変わるのか、具体的に御説明をいただきたいというふうに思います。

亀井国務大臣 農業委員会は、法令業務以外に、農地の流動化やあるいは農業経営の法人化などの構造改革政策のほかに、農業技術の改良また農産物の病虫害の防除など幅広い業務を行うことができることとされているわけでありまして、このことが、農業委員会の活動につきまして総花的との指摘を受けておるわけであります。

 今回、この法令業務以外の業務につきましては全般的な見直しを行うこととしたところでありまして、今回の見直し、それは、本来農業委員会が中心的な役割を果たす必要のない農業技術の改良等の業務を廃止するとともに、今後の農業委員会の活動を、担い手に対する農地の利用集積、あるいは耕作放棄地の解消、法人化の推進など、農地、経営対策に重点を図る、こういうこととしたい、このように考えております。

松木委員 次に、農業委員会の必置面積算定の見直しについてちょっとお尋ねをさせていただきたいと思います。

 経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三、これはいわゆる骨太の方針というものなんですけれども、この中で、「農業委員会については、必置基準面積を大幅に引き上げる」とあります。私の選挙区の北海道では三百六十ヘクタール、全国ベースでは九十ヘクタールとなっておりますが、これ以上の引き上げはしないのでしょうか。また、この面積で農業委員会本来の活動に支障がないのかどうか、ぜひその御見解をお伺いしたいというふうに思っております。

川村政府参考人 農業委員会の必置基準面積についてのお尋ねでございます。

 まず、この必置基準面積の算定方法につきましては、この委員会でも御議論がございましたが、算定の対象といたしまして、市街化区域内の農地、これは生産緑地を除きまして算定の基礎にしないということが一点ございます。

 それから、今御質問の中でありましたとおり、都府県の九十ヘクタール、それから北海道の三百六十ヘクタールという具体的な基準でございますが、これについては、これも今先生が御質問の中で触れられました、昨年六月に閣議決定をされました基本方針二〇〇三、この中で大幅な引き上げを行うということでの方針が決定をされております。そういうことで、今後この法律が成立をいたしまして、施行期間の間に政令で具体的な数字を定めるということになっております。

 その場合の考え方でございますが、今市町村合併が非常に急テンポで進んでおりますので、その市町村合併が今後どういうふうに進み、そして農業委員会の区域がどの程度に、その中に含まれる農地がどのように変化をするのかという見通し、それから、やはり業務量に差がございますので、そういったこれまでの処理量等の状況を十分勘案いたしまして、客観的な数字に基づきまして定めたい、こういうふうに思っておるところでございます。

 そして、農業委員会の設置が任意とされるのは農地面積が非常に小さい場合、こういうことになります。こういう小さいところまで独立の行政委員会としての農業委員会を義務づけるというのは、業務量等の観点から見まして、コストパフォーマンスといいますか、市町村の過大な負担となっては困るということの見地からでもございます。

 ただ、今回の法改正によりましても、必置基準を満たさないという状況でありましても、市町村長がこれはやはり必要であるということで判断をされれば、これは農業委員会を置くことは可能でございます。そして、市町村が農業委員会を置く必要があるということで基準以下であっても判断されました場合は、独立した行政機関としての法に基づく組織運営、こういうものが必要なわけでございますので、必置対象の農業委員会と全く同様に、交付金の対象にするとか、差は設けないで、円滑な業務の執行を行えるよう指導等もしていきたいと思っておるところでございます。

松木委員 わかりました。

 それでは、最近農業委員会の要望が強いのは、やはり女性の登用、また若手の起用について、こういうことがあるんですけれども、大臣はこのことについてどういうふうにお考えでしょうか。

亀井国務大臣 農業者に占める女性の割合、大変高い比率を占めるようになってきておるわけでありますし、またさらに、農業を中心とした起業家、こういう面でも女性の活動というのは大変すばらしいものがあるわけでありまして、そういう面で、農業委員に女性の方々がぜひ選任されて、活躍をしていただきたい、このように期待をいたしております。

松木委員 次に、青年等の就農促進のための資金の貸付け等に関する特別措置法の一部を改正する法律案についてのお話をちょっと聞かせていただきます。

 まず大臣に、これは、簡単に申し上げれば、農業法人または農家が新規就農者を採用して育成するための資金を無利子で貸し付けることを可能にするための改正案ということで間違いないですね。

 今までの法案というのは、これから農業を始めようとする青年等の就農準備に対する無利子貸し付けでありましたが、今回の改正では、農業法人にも無利子貸し付けができるようになるということだと思います。この改正について、どんな効用があって、目的はやはり日本の農業をよくすることだと思うんですけれども、そこら辺の、こういうふうによくなるとか、そういうものがありましたら、ぜひ決意をお聞かせいただきたい。

亀井国務大臣 細かいことにつきましては事務局からお聞きをいただきたいと思いますが、農業経営の法人化の進展、こういうことによりまして、農業法人等におきまして農業に従事する者が増加をしておるわけであります。

 そういう中で、農業法人等への就農は、農地の取得、また農機械、施設の購入等のための資金の調達、就農後経営が安定するまでの期間を要する、こういう中で、みずから経営を開始する場合のハードルを低くできるというメリットがあるわけでありまして、農業の内外から意欲のある多様な人材を確保するということに資するわけでもあります。

 こういう中で、就農支援資金の貸付対象を拡充いたしまして、そして、農業法人等が青年等を採用してその育成のために行う研修等に係る経費につきましての手当てをするとか、また新規就農相談センターによる相談あるいは無料職業紹介の実施、こういう面で、新規の方々が農業への参入、就農ということができるようなことをいろいろしておるわけであります。

 今回のこの取り組み、これは将来の農業を担う者の確保、育成が進む、このように考えておるわけでありまして、今後とも、自営での就農促進とあわせて、農業法人等への就農を積極的に推進してまいりたい、このように考えておるところであります。

松木委員 この法案なんですけれども、新規就農者をふやすためということですよね。そうであれば、この法律が改正されるわけですけれども、これによって大体このぐらいのものは確保できそうだなとか、このぐらいよくなるぞとかという数値的なものというのはどこかにあるんでしょうか。

川村政府参考人 最近、農業法人へ就職をされまして農業へ入っていかれるという方がだんだんふえているということは、データ的にあるわけです。ただ、具体的に何名ぐらいの方が入られているかというのは正確な統計はございませんが、ある程度推計をいたしますと、毎年大体六千四百名ぐらいの方が入られているのではないか、就職という形で農業につかれているという形でございます。

 ただ、今回の改正でこれにどの程度の拍車がかかるかというのは、なかなか数字的には申し上げられないんですが、ただ、農業法人等の方々、雇われている方々のアンケート、これもサンプルでございますので、なかなか確としたことは言えないんですけれども、こういう資金ができればぜひ活用したいということをおっしゃっておりますので、その活用を通じてさらにそういった就農促進ということができればということで期待をしているところでございます。

松木委員 まあ、そういうことなんでしょうけれども、ただ、例えば、この法律をつくってこれだけの目標があるとか、そういうところがあるのかどうか。

川村政府参考人 現行の農業基本計画の中で、構造展望ということで推計をしてございます。そしてその中で、今後、農業法人の増加に伴う年間の雇用というものの見通しとしまして、五千人から一万二千人程度というものが必要だというふうに見込んでおりますので、これを目標にいろいろな政策を努力していきたいということでございます。

松木委員 さっき六千四百人と言ったのは、去年ですか。

川村政府参考人 最新時点の、十四年の推計でございます。

松木委員 十四年で六千四百人ということですね。そうしたら、五千から一万二千名、五千人が目標だったら減っちゃうので、これはもうちょっと頑張って、やはり目標を一万二千人ということぐらいに思っておいてよろしいのかどうか、もう一度。

川村政府参考人 先ほど申し上げました五千人から一万二千人というのは、一定の構造展望の中での趨勢としてそれぐらいが必要だということでございますので、できるだけ高い方の目標に向かって努力をしたいと思います。

松木委員 なるべく高いところに設定を置いて、頑張っていただきたいと思います。

 それでは次に、私の選挙区網走では、JAオホーツク網走農業担い手実践研修支援事業というのを実は行っているんですね。

 まず、この資料は大臣のところには行っていますよね。行っていないですか。――ありますか。

 ちょっと読ませていただきますと、事業の要旨として、「網走農業を担う農業後継者及び、新規就農者並びに新規参入者が、圃場作業から経営管理に至るまでの実践的な技術、技能、知識を習得し、農業経営者として、地域リーダーとしての農業経営に従事出来る基礎研修を目的として、研修に係る支援を行い網走農業の発展に寄与するため」の事業を実施する、こう書いてあるんです。

 私、結構地元の方といろいろと話をしていて、青年の就労の話をしているときにこの話が出てきまして、内容を見てみますと、結構詳しい、かなりいろいろなことができるようになっていまして、農業簿記研修とかそういうのまでしっかりやるようになっているんですけれども、これは実は、網走市が半分負担して、そしてJA網走さんが半分負担をするということで、今この事業を行っておるわけです。

 今回のことというのはお金の貸し付けのことですので、直接は、このこととはまた別だとは思うんですけれども、こういうことを国でやはりやっていったら非常に農業の担い手の方がふえるんじゃないかというふうに僕は思っておるわけです。そこら辺、ちょっと、見ての感想をお聞かせいただいたらありがたいと思います。

川村政府参考人 新規就農者をできるだけ多く地元に育てるということは、地域にとりましても非常に重要なことでございます。そういうことで、今先生からは地元の網走の事例を御紹介いただいたわけでございますけれども、全国各地でこういった市町村レベルでの取り組みがなされております。

 それは、この網走の例でもありますが、現地に実践農場をつくられたり、先進経営体におきます新規就農者に対する研修、こういうものを実施するということ、それからまた就農奨励金というものを支給される、あるいは就農に必要な機械、施設をリースで貸与している、あるいはまた、研修生にとって非常に住まいの入手がなかなか難しいということもありますので、住宅の世話をするとか、そういうさまざまな就農支援対策に取り組んでおられます。この網走の事例でも、七名の方が既に研修生として迎えられて、研修を積まれておるということを聞いております。

 私どもも完全な形であれはしておりませんけれども、この中の部品となるようなところには、国の補助事業でも御活用いただけるような事業もございます。例えば、私どもがやっております新規就農・就業キャリア形成プログラム推進事業、この中でも御活用いただけるようなメニューもございますし、また、経営構造対策の中でも、現場の研修農場の設置等、運営につきましても支援等ができるといったようなことがございますので、よくまた御相談等を受けながら対応してまいりたいと思っております。

松木委員 おのおのでいわゆる既定に入るようなものがある、こういうお話だったと思います。それもそうなんですけれども、トータル的にぜひこういうことを国でやっていったらいいんじゃないかなと僕は思っているわけですよ。

 大臣、これを読んで、どうでしょう、今すぐやろうとかというそんなことではなくても、これはなかなかしっかりしておるな、我が農林水産省でもしっかりいいところをとってやっていこうというようなお気持ちでもあるかどうか、ぜひお聞かせをいただければと思います。

亀井国務大臣 今、この資料、いろいろプログラムあるいは協力関係者等々、拝見いたしますと、先ほど来もいろいろ答弁しておりますとおり、国の研究機関あるいは大学、こういうところとの緊密な連携、こういうものをおとりいただいてこのようなカリキュラムを持ってやっていただいておりますことは、大変すばらしい、よいこと、このように思います。

 なお、国といたしましても、新規就農・就業キャリア形成プログラム推進事業、こういうものも持ちまして、いろいろ全国団体あるいは地方公共団体等とも、あるいはいろいろの関係団体、事業実施主体、全国農業会議所を初め都道府県、あるいは都道府県の農業者育成センター、市町村あるいはJA、民間団体等々を主体にいたしましてそのような事業を進めて、またはそれに支援をしておるわけであります。

 全体として新規就農、また、網走におきましては七名の方が新たにお入りになってスタートをされた、このような報道も承知をしております。大変すばらしいことだと思いますし、やはりこういうものを全国的なレベルで、私どもの国の施策としても、その推進事業を拡充し、そしてこのような新規の方々がスタートできるようなことは大切なこと、このように思っております。

松木委員 大臣のところに今資料が行ったと思いますけれども、ぜひ、これを参考にしていただいて、より青年の方々が就農されるようなことを目指していっていただきたいというふうに思っております。

 それと、局長さんにもお願いしたいんですけれども、この時点で、これは活用できるよというのがあれば、後ほどで結構ですので、それをぜひ教えていただきたいというふうに思っておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 今までこの三法についていろいろとお話を聞いてきたわけなんですけれども、こういうものを決めるというのは、究極的には、やはり今の日本の農業というのが危機的な状況を迎えているという認識を私は持っているわけでございます。例えば、カロリーベース、カロリーベースで何でも物を語ればいいわけじゃないということは私も勉強しましたけれども、それにしても、四〇%という食料の自給率というのは余りにもやはり少ないなというふうに私は思っております。

 私の記憶に間違いなければ、一九七五年にアメリカが穀物の禁輸をたしか行ったはずなんですよね。そして、そのときに、大豆なんかの価格が何倍にもはね上がったということがあって、イギリスなんかはたしか自給率が四十数%の国だったはずなんです。しかし、それを見てか、違うことを考えてか、それはわかりはしませんけれども、とにかく、自分の国の食料の自給率というのはもっと上げていかなければいけないということをおのおのの国が思ったようでございまして、このときを起点に考えてみますと、日本は六二%自給率があったわけですけれども、その後下がってきている。しかし、イギリスはもう八〇%以上になっている。そして、ヨーロッパ各国というのは、一〇〇%以上あるいはそれに近いような形になってきているということを考えると、やはり食、こういうものは自賄いをしなきゃいけないというのが国の根幹に僕はなきゃいけないという気がしているんです。

 ところが、残念ながら日本の場合は、どういうわけかどんどん自給率というのが下がってきている。いろいろなほかの産業との絡みもあるでしょうし、それはよくわかるんです。しかし、少なくともきょうの大臣以下皆さんは、そうならないようにということで一生懸命やっていることもわかりますけれども、その一環でまたこういう新しい法律というのをつくったというふうに私は理解していますし、そうであるべきだとも思いますけれども、これが、これからまた自給率がどんどん下がっていくようなことがあれば、この政策は失敗であったということにもなりかねないわけですよね。

 そういうことにならないように、ぜひ皆さんで頑張っていかなきゃいけない。そして、この委員会、我々も一生懸命協力するところは協力して、やはり日本の農業がしっかりした形になるようにもっともっと頑張っていかなきゃいけないというふうに私は思っております。ぜひ、そこら辺の御見解をお願いいたします。

亀井国務大臣 今回の法改正、今自給率の問題の御指摘がございましたが、大変我が国は、四〇%を推移するというようなこと、これはやはり食の外部化、洋風化等々の問題もありますし、あわせて、やはり農業の生産性を上げる技術の問題、あるいは、今回基本計画の見直し等々いたしておるわけでありまして、そういう面で国内の供給体制というものをしっかり確立してまいりたい、こう思っておりまして、これら自給率に関連する問題等につきましては、やはりぜひ国民全体の御理解をいただいて、そして進めていかなければならない、このように思っておるところでもございます。

 そういう面で、食育の問題、全体として、生産者、消費者あるいは食品関連事業体、それらが本当に一体になった形での対応をしっかりやっていく必要がある、またその政策を進めてまいりたい、こう思っております。

松木委員 我々も頑張りますので、ぜひ大臣も頑張っていただきたいと思います。

 それと、ほんのちょっとだけ時間がまだありますので、BSEに関してお話を聞きたいというふうに思っております。

 先月、三月十八日の委員会で、私がBSEの関係に関してちょっと質問させていただいたことがありました。これが後に、結構、ニューヨーク・タイムズだとかNBCの全国ネットで流れたり、あるいは、アメリカの民主党議員であるローテンバーグさんだとかそういう方々が、アメリカの疾病対策センター、これはCDCというんですけれども、ここに調査を求める書簡を送ったとか、そして、それが報道になって、四月七日に全世界にこのニュースが発信されて、日本でも、全国紙だとかNHKのニュースだとか、いろいろなところで報道もされたんです。

 このチェリーヒルでのクロイツフェルト・ヤコブ病の集団発生のことなんですけれども、私が聞いたときは、たしか十人ぐらいという話だったと思うんですけれども、これが十三人にふえて、新しい週刊誌によると、またさらに三人ふえて十六人今確認されていると。そして、そればかりか、中には、あと十二人ぐらいまだ疑わしい人もいるんだ、こういう報道も実はあるんですけれども、この報道について、厚生労働省がどのぐらい押さえられているかということを、簡単で結構ですからお答えいただきたいと思います。

藤井政府参考人 お尋ねのアメリカ・ニュージャージーでのクロイツフェルト・ヤコブ病の患者数のことでありますが、私どもとしましては、アメリカのマスコミの報道、そして週刊誌、日本での新聞の報道ということで事実を把握しております。

 それがどの程度の中身なのかということについては、厚生労働省の中にクロイツフェルト・ヤコブ病サーベイランス委員会というのがございまして、その専門委員または在米の大使館を通じましての情報の収集、確認をいたしておりますが、今のところ、変異型のクロイツフェルト・ヤコブ病というものが集団発生をしているという事実は把握をしておりません。

松木委員 前のときもお話ししたんですけれども、このことというのは、やはり生命にかかわることですので、ぜひいろいろなルートからいろいろな情報を仕入れて、目を皿にしてしっかり監視をしていただきたいと思いますので、課長さん、ひとつよろしくお願いします。

 それと、アメリカの方でBSEが発生したとき、日本の政府に当然、アメリカの方から、こういう牛がBSEになっているのがわかったという、多分何らかのものというのはあったと思うんです。そのとき、アメリカ政府は、その牛がへたり牛だったというようなことを多分返答しているんじゃないかと僕は思うんですけれども、それを、当時の話で知っている方がいるのかどうか。ぜひ、当時、アメリカの方がどういう牛がこうなったという話をしていたか、お答えをいただきたいと思います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の十二月にワシントン州でBSE感染牛が発見をされました。その直後の十二月の二十九日に、アメリカ側から日本に説明に来ました。そのときの説明によりますと、今回の感染牛は、ダウナー牛、いわゆるへたり牛であったというふうに説明を受けたところでございます。

松木委員 アメリカの政府はへたり牛という話をしているんですけれども、これは実はへたり牛じゃない、そういうものを証明する資料なんかが出てきているんですね。

 要するに、どうもアメリカの言うことは余り信用できないというか、そんな感じがしまして、その資料をお見せします。これだけはぜひやらせてください。――済みません、時間がないので、ちょっとしゃべるだけしゃべってしまいます。

 要するに、へたり牛じゃないということがほぼはっきりしたような書類というのが出てきているんですね。これについて、局長さん、どう思いますか。

中川政府参考人 この問題につきましては、アメリカにおきましても、下院の政府改革委員会の方で、農務省の方に事実関係を究明する必要があるというふうな趣旨の書簡を送ったと承知をいたしておりますし、我が国におきましても、この事態は関心を持って注視しているところでございます。

 既に、外交ルート等を通じましてアメリカ政府に対しまして照会をいたしておりますけれども、今日までのところ、米国側からまだ詳細な情報は入手できていないというのが現状でございます。

松木委員 それでは、へたり牛じゃないという証拠の書類が実はここにあるんですよ。これを後で局長さんにお渡ししますので、ぜひこれを見ていただきたいというふうに思います。

 要するに、アメリカのやることというのは、このごろどうも非常に横暴なんですよ。それで、今、一生懸命農水省の方も頑張っている。そして、大臣、副大臣もそうだし、政務官も一生懸命頑張っているというのはよくわかります。よくわかりますけれども、絶対に最後まで、それこそへたり牛にならないように、しっかりと闘ってもらいたい。私、これだけお話をしまして終わらせていただきますけれども、ぜひ圧力に屈しないでください。よろしくお願いします。

 終わります。

高木委員長 次に、楠田大蔵君。

楠田委員 民主党の楠田大蔵でございます。

 私、本会議での代表質問の方が先になってしまいまして、この委員会での質問は実は初めてでございまして、若造でございますけれども、何分よろしくお願いいたします。

 まず冒頭、先輩方も聞いていただいておりましたけれども、日歯連の献金の問題で、亀井大臣初め、お受け取りになられていたということに関して、私は追及というものは避けますけれども、やはり我々、特に若い世代を含めて、そういう団体から政治家に献金が行き、それによって政策の決定がゆがめられ、一般の方々に影響が出る、日本の借金もふえてくるような、そういう事実に対してこそ政治の不信というのは広がっていると、私は、やはりこの世代だからこそ強く思うところがございます。ぜひとも、そのような意見が広がっているということ、思いが広がっているということを再認識していただきたいと、生意気ながら申させていただきます。

 本題に戻らせていただきますが、私は、実は昨日二十九歳の誕生日を迎えまして、若造でございますけれども、この法律というのは、青年等の就農促進のための法律ということで、私のようなまさに青年が質問するにふさわしいと実は思っておったんですけれども、この「青年等」という「等」の部分がなかなかみそでございまして、等がつくことによって、実は特例により六十五歳未満までこの法律の適用がされるということで、名前と実質というのがちょっとわかりにくいなという実感をまず最初に抱いたところでございます。

 この法律の名前の変更というのもあれですが、各層に対して、法律というものを変えていくというか、対象を見きわめながら法律をつくっていく、その辺、わかりやすい方向というものは大事じゃないかなとまず率直に思ったんですが、この点、ちょっと質問にないですけれども、大臣、どのようにお考えでしょうか。

亀井国務大臣 農業におきます高齢化が進んでおるわけであります。そういう面で、今度のこの法律、青年等と。いろいろ、青年というとある程度の限界があるわけであります。幅広く、高齢者はともかくとして、ある程度の、Uターンをするそういう方々も、新規の就農、そういう中で農業をというような面におきましても、その方々がこの制度を活用していただけるようなことが必要なこと、私はこう思います。

 そういう面で、この制度を十二分に、いわゆる新規の就農者、そういう人たちが就農できるような環境整備に努めてまいりたい、こう思っております。

楠田委員 ありがとうございます。

 もちろん、それはさまざまな層で必要性はあるというのは私も認めておりますので、特に、わかりやすく、どのような対象に向けているのかというのを、施策というものをこれからも心がけていただきたいと思います。

 まず、根本的な質問からさせていただきたいと思います。

 平成十二年に策定された食料・農業・農村基本計画におきまして、人材の育成及び確保実現のために、新規就農の支援の推進というものが盛り込まれたと思います。来年の三月の見直しに向けて、この基本計画の見直しの中で新規就農の促進をどのように位置づけていくのか、そしてまた、今回の法改正、青年等の就農促進法の改正との関係が今の時点でどのように整理をされているのか、この点に関して、大臣、お答え願います。

亀井国務大臣 委員からも御指摘の、現行の食料・農業・農村基本計画、これは、新規就農対策の基本方向といたしまして、新たに就農をしようとする者に対する農業技術やあるいはまた経営管理手法の習得、この促進等を図ることとしておるわけであります。

 近年、新規就農につきましては、特に中高年の離職就農者が増加をしている、あるいは他産業からの新規参入が増加をしている、あるいはまた、非農家の子弟が、就職先を見ると、法人等への雇用形態が一定の割合を占めている、非農家子弟での法人等への雇用形態、これが一定の割合を占めている、こういう状況にあるわけであります。

 今、新たな食料・農業・農村基本計画の策定に当たりまして、新規就農対策を含めまして、多様な担い手の確保、育成、このあり方につきまして検討を進めておるところでもございまして、この企画部会におきまして御議論を今いただいておるところでもございます。

 この法改正、新規就農促進法の改正によりまして、農業法人等への就農の促進、あるいは今後の食料・農業・農村基本計画の見直しの方向に合わせまして、多様な担い手の確保、育成、こういう面に資するということを考えております。

楠田委員 ありがとうございます。

 基本計画の点をお聞きしましたが、次に、高齢化対策、高齢農村社会についてということを、まず担い手の面から一つの要素としてお聞きしたいと思います。

 基本計画において、高齢農業者の活動に関して、環境整備や高齢農業者の福祉の向上を図るものとしておりますけれども、高齢の農業者や新規就農者についての取り組みについて、まず一般論として、農業の高齢化について、高齢農業者の役割をどのように認識され、どのような対策を講じていくおつもりか、お聞きいたします。大臣、お願いします。

亀井国務大臣 農業におきます農業就業人口の過半数が六十五歳以上の方であるわけでありまして、高齢化が進行しているという現状。そういう中で、現在でも高齢者の方々、大変、今までの経験、知識、あるいは技術を生かして、地場農産物の加工ですとか販売、郷土料理等の伝統文化、こういうような面での伝承、地域の農業あるいは活性化、あるいは都市と農村との交流等に大きな役割を果たしておられるというのは現実であります。本当に、その人たちは、大変状況が変わった中で、消費者のニーズに合う立派な農産物を生産するために大変な努力をされ、またその技術というものは、私はぜひ伝承をすべき、このように考えております。

 こういう中で、いろいろ高齢者の方々、やはり、地場農産物の加工ですとか生産あるいは直売等高齢者の自立的な活動、あるいはまた都市の高齢者等と行う地域づくり活動に対しましての支援、こういうものも必要ではなかろうか。

 実は、私の周辺、都市の地域でありまして、私より先輩の方々が、大変、果物であるとか、特に今、イチゴの生産を一生懸命やっておられまして、大変すばらしい食味の、すばらしいイチゴを生産されて、地域の皆さん方が沿道で、あるいは直売所で販売をされておりますし、農園にお越しになってイチゴ狩りをされる、こういう面で、その先輩方の努力というのは私も大変すばらしいな、こう思っております。

 それはやはり、都市近郊になりますと、その地域での問題、地域づくり、こういう面での活動というものはすばらしいものがあると思いますし、ある面では、そういう中で高齢者の活動、農業活動、そういう面で、安全で、あるいは生活環境の整備、こういう面での、高齢の農業者の面での支援も考えていかなければならないところがあるのではなかろうか、こう思います。

 高齢化が進む中で、先ほど来申し上げましたとおり、まだ体力、気力とも大変充実した方々がおられるわけでありまして、ぜひ、その方々が能力また意欲というものを持って農業生産に取り組んでいただきたい。私は、そういう面での支援というものは必要なことではなかろうか、このように思っております。

楠田委員 ありがとうございます。

 その一方で、中間層といいますか、本法案に関する観点から、団塊の世代が定年を迎えて、第二の人生の選択として農業を行おうという人もふえていると伺っております。その場合、意欲的に農業経営に参画しようとする人と、生きがいの一つとして、農業、ライフスタイルを送りたいというケースも考えられると思いますが、それぞれについて支援をどのように考えているか、どのような差別化を図っていこうと考えているか、これは経営局長の方に、よろしくお願いします。

川村政府参考人 御質問のございましたとおり、団塊の世代が定年を迎えまして、第二の人生として、農村なりあるいは農業ということでつかれる方もいらっしゃるわけでございます。その場合でも、いろいろなライフスタイルといいますか、まさに農業にかなりウエートを置いてされる方もいますし、ある程度、趣味的といいますか、余暇的に農業的なことをやられるという方もおられるわけでございます。

 特に、他産業に従事をされておりますような方々、こういう方は、農業外での知識、技能といいますかノウハウ、こういうものを持っておられまして、現実にそういうことを活用されまして、定年後、退職をされまして、その当時の他産業での技術を活用しまして非常に成功されている事例というのもあるわけでございます。

 こういう方々に対しましては、まさに新たな担い手として非常に重要な役割を果たされておりますので、そういう方については、やはり農業をしっかりやっていただく方に対する施策というものを同様に、多少のめり張りはあると思いますが、やっていく必要があると思っております。

 それは、いきなりどういう形で入ってこられるかということがあるわけでございますので、まず、入り口のところの就農相談なり情報提供、こういうものはかなり分け隔てなくといいますか、年齢にもかかわりなくやっておりますし、それから、就農資金、こういうものも、知事特認という形でございますが、六十四歳以下の方まで対象にできるということになっています。もちろん、非常に若い方と条件を多少違えてはおりますけれども、そういう対策をしてございます。

 それからまた、生きがい農業とかグリーンツーリズム、そういう感じでの農村地域への参入ということもあるわけでございますので、こういう方々に対しましては、小規模の農地を借りることができます市民農園、こういうものの整備促進でありますとか、あるいは、グリーンツーリズムの一環といたしまして体験型の民宿をやられるとか、そういう方もございます。そういうことの指導をするための施策ということも必要だろうと思っております。

 それからまた、厚生労働省さんとも連携をいたしまして、「農林業をやってみよう」プログラムというのを今共同して、連携をしてやっているわけでございますが、ハローワークの就農支援コーナー、そういうところにも市民農園も含めた情報提供ということをやっております。また、シルバー人材センターの活用、こういうものも、農繁期におきます短期間の就農機会、こういうことを入り口としてまた農村部に入っていただく、円滑な形でなれ親しんでいただくということもあるわけでございまして、いろいろな多様なルート、また多様な手法を用いまして、いろいろなニーズがございますので、対応してまいりたいというふうに思っております。

楠田委員 ハローワークとの連携等の話がありました。これは後ほど聞かせていただきたいと思います。

 また、もう一つ担い手の重要な要素として、女性に対する政策というものがこれからますます重要性を増してくると思っております。我が方も鹿野ネクスト大臣を中心に、女性に対する政策というものは常に部会等でもただすところでございまして、それをお聞きしたいと思います。

 基本計画の中で女性の参画の促進についてでございますが、農業就業人口に占める女性の割合が約六割と高く、また責任ある部門を担当している分野が七〇・六%に達している。平成十二年の「農業構造の展望」でも、「女性の基幹的農業従事者に占める割合は引き続き五割弱を占め、農業経営において重要な役割を担うものと見込まれる。」としております。

 先ほどの篠原先生の質問にもありましたけれども、農業委員の女性委員の数を法定化するという提案もさせていただきましたが、農業、農村において女性農業者が果たす役割は大きいことから、今後、女性の農業者を担い手として積極的に位置づけるべきと考えますが、まず、この点に関して大臣の見解をお願いいたします。

亀井国務大臣 今委員からも御指摘のとおり、女性は、農業就業人口の約六割を占める、まさに農林水産業あるいは農山漁村地域の重要な担い手であるわけでありまして、その力、それは農業や地域の活性化に大変重要な役割を果たしておられるわけであります。また、女性は生産者であると同時に消費者というようなことであるわけでありまして、同じ感覚をお持ちであるわけでありまして、女性農業者の役割がますます重要である、私はこのように考えております。

 そういう中で、女性農業者もパートナーとともに認定農業者になることが可能となるよう、平成十五年六月に認定農業者制度の運用改善を行ったところでございまして、今後の農業構造改革を展開する上におきましても、女性農業者を担い手として明確に位置づけをし、そして一層活躍をしていただくようできるだけの施策を推進してまいりたい、このように考えております。

楠田委員 それでは、具体的にお聞きさせていただきたいと思いますが、女性の新規就農を女性の面から確保するという上でいろいろ施策があると思います。例えば女性のためのニューファーマーズフェアというものを行うであるとか、女性向けの施策というものはいろいろあると思いますが、その点に関して、局長、お答え願います。

川村政府参考人 女性の新規就農に対します支援策についてのお尋ねでございます。

 まず、新規就農者に占めます女性の割合はどの程度になっているかということを、現状を申し上げたいと思います。

 平成十四年におきまして、三十九歳以下の方は全体の四分の一、それから四十歳以上六十四歳の層では約三分の一が女性ということで、かなり大きなウエートを占めておるところでございます。まさに、意欲的な女性の新規就農者を確保していくということは、農業、農村の発展を図る上で非常に重要、不可欠と考えております。

 女性の新規就農を確保していくという意味でどういう対策ということでございますが、まさにこれは男性の場合も同様でございますが、やはり大きくは三つのハードルといいますか、そういうものがございます。それは、まず技術をいかに習得していくか、それから資金の手当てをどうしていくか、それから農地の確保をどうするか、こういったものがまず大きな要素としてございますので、こういうことを念頭に置きつつ、就農相談活動、あるいは技術、経営の研修、それからまた融資といったような支援を行うということをしております。

 また、女性の場合は、いろいろなライフステージにあっていろいろな制約とか環境も違いますので、ライフステージに合わせた研修が実施できるようなシステムというものも考えておりますし、また就農形態それから経営の発展段階に応じたきめ細かい対応ということがございます。

 そして、特に女性の場合は、農業から入られる方もございますが、加工を念頭に置いて入ってこられるということもあるわけでございます。加工なり直販ですね。そういう特性もありますので、そういう特性を踏まえて対応していく必要があるだろうというふうに思っています。

 そして、特に女性をターゲットにしたホームページというものも昨年の五月から開いております。「農山漁村女性のチャレンジ支援」というサイトを農林水産省のホームページに開設をいたしまして、新規就農だけではございませんけれども、農山漁村で頑張る女性たちのチャレンジをいろいろな形で支援する、そういう施策等も紹介しておりますし、事例も紹介をしているというところでございます。

 今後とも、この問題は非常に重要でございますので、育成、確保に向けた取り組みをより積極的に推進していきたいと思っております。

楠田委員 また、もう一つ別の観点から、女性が農業を行う上で、住みやすいとか子育てとの両立であるとか、そのような環境づくりというものも重要だと考えておりますけれども、この点に関して具体的に取り組みがあれば教えていただきたいと思います。

川村政府参考人 今議員のお尋ねにございましたとおり、女性の農業者が住みやすく活動しやすい環境づくりというものが非常に重要であると思っております。

 まさに農村部において女性が意欲と能力を発揮して活躍ができますようにということで、大きくは、男女共同参画基本計画とか食料・農業・農村基本計画を踏まえて対応しているわけでございますが、一つの柱は社会参画という意味でございます。それは、先ほど来先生の御指摘もございました、農協の役員あるいは農業委員等の地域の方針決定の場へいかに参画を拡大していくかというのが一つの柱になっております。

 それから、もう一つは経営参画という柱でございまして、経営管理なり農業技術等の研修、それから労働環境の改善、起業支援ということで、女性の起業活動、いろいろな農産加工とか販売とか、もう既に非常に急テンポで伸びておりまして、昨今では七千件を超える起業が既に成っております。

 それから、もう一つの柱は、農業経営と育児等の両立が可能となるように、女性が住みやすく活動しやすい環境づくりといった三本柱で、総合的な取り組みをやっております。

 今後、その位置づけの明確化を図るためには、一つの手法といたしまして、家族経営協定というものも我々は推奨しております。また、法人化の推進も、そういう意味では非常に、経営の内容を充実するという意味でも、女性が働きやすい環境を労働条件を含めて設定もできますし、先ほど大臣が申し上げました認定農業者制度の改善もございますので、女性がそれこそ経営者として主体的な農業経営への参画ができるようにということでさらに努力をしていきたいと思っております。

楠田委員 ありがとうございます。

 大変重要な観点だと我々も認識をいたしておりまして、特に、具体的にどのような案を出していけるかということが我々は必要だと思いますので、これからさらに議論を進めていきたいと思っております。

 それでは、今までは担い手に関して総合的にお聞きさせていただきましたが、これから法改正、具体的にどのような効果が考えられるかという点でお聞きしていきたいと思います。

 今回、青年就農法の改正におきまして、特に農業法人の新規就農者に対する貸し付けの意義というものが考えられると思いますが、この変更が大きなものだと思っておりますが、これによる意義、改正による意義というものを、まず局長、お答えいただけますか。

川村政府参考人 青年等就農促進法でございますけれども、これは、制定された経緯は、まさにウルグアイ・ラウンド合意を受けまして、当時やはり新規就農者が非常に少なくなっておったということで、その増大を図るという趣旨で平成七年に制定をされました。

 それから、その後、中高年の新規参入というものもふえて、これがまた地域では担い手として活動されるということで、これもやはり正当に位置づける必要があるということで、先ほど、等という議論がございましたが、六十四歳以下の方も含めた形での改正が平成十年に行われております。

 今回、改正は、特に農業法人等を通じて就農されるというケースが昨今の状況を見ておりますと背景としてございます。これは、なぜそういう状況になっているかという理由でございますが、先ほど言いましたように、いきなり就農というのはなかなかハードルが高い面がございます。

 一つは、先ほど言いましたように、農地の取得をどうするかという問題、それから機械、施設の購入のための資金の調達、またいろいろな技術が必要でございますので、就農後経営が安定するまでに、人によってさまざまでございますけれども、やはり一般論として言えば時間がかかるということがございます。経営が安定するまでに時間がかかる。

 こういったリスクなりハードルをできるだけ低くしようということからは、一たん農業法人に就職をし、そこで技術を学んだり経営ノウハウを学んだり、あるいは、やはり農村地域に溶け込むといいますか、人脈をつくったりということも非常に大事でございます。そういうことが農業法人への就農を通じて非常に円滑に生かされるのではないかと思っております。

 それからまた、いろいろなアンケート調査等をしましても、農業法人あるいは先進農家等がそういう後継者の育成に対しまして非常に熱意を持って取り組んでおられる事例も非常に多くて、またそういうことの支援を希望されているということもございましたので、この法案を提出いたしまして、農業法人等への就農を積極的に促進したいということでございます。

楠田委員 今のお答えからしますと、農業法人というものに対して意義を新たに認め直して、農業法人、これの増加に向けても、この法改正から目指していくということも言えると思うんですけれども、この点に関しては、何か目標なり農業法人をふやそうという意図はありますでしょうか。局長、お願いします。

川村政府参考人 現状から申し上げますと、農業法人というのは総数で約一万三千ございます。そのうち、農地を活用して生産活動等を行っておられる農業生産法人、それが約七千ございます。

 私どもの目標といたしまして、現行の基本計画のもとで二十二年の構造展望をしてございます。そこでは、生産組織なり法人、こういうものが今後三万ないし四万という見通しをしております。ただ、現状を申し上げますと、まだ先ほど委員に申し上げましたような数字でございますので、格段の努力が必要な状況にあるというふうに思っております。

楠田委員 この法律でふやしていこうという意図はないのかもしれないですけれども、目標をお示しいただきましたので、私も、新規、後継者育成等のさまざまな役割を農業法人がこれから担っていくと考えておりますので、この法律もうまく生かしてそのような方向に向けていければと思っております。

 ちょっと時間の関係もありますので、一つ飛ばさせていただきますが、特に新規就農と雇用の関係でお聞きをしたいと思います。

 特に、若年層の雇用に関してお聞きしたいと思いますが、平成十五年六月に政府が打ち出した五百三十万人の雇用創出プログラムにおいて、効率的かつ安定的な農業経営体について持続的に育成させていくために、毎年一万三千人から一万五千人程度の三十九歳以下の新規就農青年の確保、また、農業法人等の増加に伴う年間五千人から一万二千人程度の新たな雇用が必要になるという認識のもとに、厚生労働省、農林水産省が提携して「農林業をやってみよう」プログラムを推進されていると私も認識しております。

 これによりまして、この計画に基づき、平成七年の施行当時七千六百人であったものが、平成十四年には一万一千九百人にまで新規就農者が増加し、先日の先輩の岸本先生の質問にもありましたように、定着率も八五%ということで、一定の成果を達しておられるんじゃないかと私も感じておるところでございます。いいことはいいと言っていきたいと思いますが、まだもう少し目標まで数が必要かな、そのようにも考えております。

 その中で、少し具体個別的になりますが、ニューファーマーズフェアというものが新規就農者増加のために行われると聞いております。これは、Uターンフェアという厚生労働省が所管して行っているものとの合同開催というものが、最近行われていると聞いておりますけれども、この実績というか具体的な評価、内容というものを少しお聞かせいただければと思います。局長、お願いします。

川村政府参考人 厚労省が実施をしておりますUターンフェア、それから私どもの関係でやっておりますニューファーマーズフェア、いわゆる就職のための情報会議といいますか情報交換といいますか、そういう紹介を就職説明会としてやっております。

 そして、実績でございますが、まずニューファーマーズフェアでございます。これは、農業法人等の合同就職説明会でございますけれども、全国新規就農相談センター、農業会議所系統が中心になりましてやっております。これは、平成九年度より十四年度まで総計回数で五十三回、そして実際六百九名の方の採用が決定をしておりまして、来場者数だけでいきますと、合計で三万五千名程度が来られております。

 それから、農業法人等への就農を促進するという意味では、就農を希望される方と農業法人とのマッチング、これの機会をよりふやすということが必要でございますので、昨年度からでございますけれども、厚労省さんがやっておられますUターンフェア、これとニューファーマーズフェアを合同で開催するという試みも始まっております。これは、「農林業をやってみよう」プログラムのもとで実施をしております。これによりまして、幅広い層からの参加がさらに拡大をしてきたということになります。

 それから、本年度でございますけれども、この七月に東京ビッグサイトでUターンフェアとの合同開催をまた予定しております。また、ニューファーマーズフェア自体も開催回数をふやしまして、これまでの三回から年八回ということで拡充をいたしまして、できるだけ多くの方に農業法人と触れ合う機会といいますか、情報を知る機会をふやしていきたいということで、努力しているところでございます。

楠田委員 ありがとうございます。

 今の時点でもかなり達成度は高いんじゃないかと私は思っていまして、ただ、努力次第ではもっともっとふえるでしょうし、私は、この目標を大幅に超えることも必要じゃないか、必要といいますか、これを達成すれば事足れりということではないと思いますので、これは私も若い世代として、具体的にどのような策をとり得るかというものを、こうした、自分も実際見させていただきながら感じた点、これからも指摘させていただければと思っております。

 またちょっと観点を変えまして、こうしたフェア等でもあると思いますが、新規就農者の主な就農の動機、特に若い世代の方の就農する際の動機というものをお聞かせ願えればと思います。局長、お願いします。

川村政府参考人 新規就農者の方々がどのような動機で就農されるかというお尋ねでございます。

 私どもが調査をいたしました新規就業者等調査、こういうものがございますが、この中でアンケートをしてございます。そして、この動機につきまして、何といいましても一番大きいのは農地の継承など家庭の事情、親が農業をやっていたということが一番多くて、これが四九%でございますが、それは別といたしまして、そのほかに非常に理由として高かったものは、自分で創意工夫できる農業に魅力を感じたからというのが四一%ございます。それから、自由に時間がとれるからというのが二七%、農業はやり方次第でもうかるからというのが二四%、自然とか動物が好きでこういうものにかかわる仕事がしたかったというのが二一%等、こういうものが上位でございます。

 こういうことを見ますと、就農の動機ですが、親の継承ということもあるんですが、やはりやりがい、こういうものを実感し得る魅力ある職業として農業を選択し、再認識して選択をされる方がだんだんふえているのではないかというふうに認識しております。

楠田委員 この中で、若い人がどうというのはちょっとわからないかもしれないんですが、農業の担い手として、若い世代の方が体力があるうちに農業というものに魅力を感じて担い手として育っていくということは、私は長い目で見ればやはり最も重要ではないかと考えております。

 その中で、やはり若年者の失業率、フリーターなどを合わせますと、若年層では一二%ぐらいの仕事をしていない、定職についていない人間がいるんじゃないか、そのようにも試算されております。このような新規就農対策においても、こういう若年層というものを吸収するという観点も重要ではないか、余地があるんじゃないか、そのように考えておりますけれども、この点、大臣、この法改正との関連性といいますか、お答えいただけますか。

亀井国務大臣 三十歳未満の若年層の新規就農者、これは平成七年に約五千人でありましたが、平成十四年には七千人に増加をしておるわけであります。また、これは全国農業会議所の調査によるわけでありますけれども、過去五年間に農業法人等が採用した正社員の半数以上は三十歳未満の若年層が占めている。就業先の一つとして農業を選択する若者が相当程度存在している、このように考えられるわけであります。

 また、先ほど局長からも答弁いたしましたが、やはり若い人たちが農業に就農する、そういう面での動機、みずからの創意工夫で農業に魅力を感じた、こういうようなことがあるわけでありますし、やはり若い人たちが農業をいろいろ知っていただく、そういうようなチャンスを与えることが必要なことではなかろうか。

 そういう面で、いわゆるフリーターや失業者を含めまして、農業を目指そうとする若者に対しまして、就農相談であるとか就農支援資金の貸し付けやあるいは農業大学校での研修教育、あるいはまたインターンシップ、大学生等による農業法人でのインターンシップですとか、あるいは今厚生労働省と連携して作成しました「農林業をやってみよう」プログラム、こういうような中で就農や農業法人の求人情報の提供、こういういろいろなことが私は必要なことではなかろうか。今それをいろいろ実施しておるわけでありますが、そういう中で若い人たちが農業に従事をしていただけるような努力をしなければならない。

 また、今基本計画の見直しをお願いしておるわけであります。その中でも、青年の就農対策につきましてもさらに検討を進めることが必要ではなかろうか、こんなように思っております。

楠田委員 私も含めまして、私も銀行に勤めておりましたが、それを退職してこのような世界に飛び込ませていただいた。実際にやりがいを見つければ若い世代も、今先輩方からすれば骨なしと批判されることが多いかもしれませんけれども、一たんやりがいを見つければ爆発力があるというものも若い世代でございますので、ぜひともその点、知るチャンスとはおっしゃいましたが、この若い世代の知るチャンスというものも、ネットに限らず、さまざまなところで口コミでつながるということも考えられますので、農業という分野に固まらずに、あらゆるところに広げていければな、私もその動きに参画していきたい、そのように思っております。

 ちょっと時間もいろいろありまして、まだふなれなものですので、順番を変えまして、就農資金について具体的にお聞きさせていただきたいと思っております。

 貸し付けの今までのこの法に従う実績としまして、本法案が施行された当時、平成七年当時六億円であった。これが平成十四年で千三百五十六件、三十億円に増加した、そのように伺っております。

 この貸付実績においてまずお聞きしたいのが、貸付枠というものがどのような算定をされ、どのような額に今なっているのか、これを、局長、お願いします。

川村政府参考人 就農支援資金の関係のお尋ねでございます。

 今御質問の中でも触れていただきましたように、平成七年の創設以来、貸付実績は増加傾向でございまして、平成十四年度は御指摘のとおり三十億円、その内訳といたしまして、研修資金が十億円、準備資金が一億円、就農施設等資金が十九億円、こういうようになっております。

 貸付枠でございますが、貸付枠というのはかなり余裕を持って設定をしてございます。そういう意味では貸付実績と貸付枠を比べますとかなり比率的には低下するわけでございますが、十四年度で申し上げますと貸付枠は百七十四億円ということで、かなり大き目に設定をしておりますので、その実績は一七%ということでございます。

 それから、このうちのソフト資金でございます研修資金それから就農準備資金は、貸付枠が二十四億円に対しまして貸付実績が四八%、約五割、半分近い貸し付けでございまして、それなりでございます。他方、ハード資金でございます就農施設等資金、これはかなり低うございまして、貸付枠が百五十億円でございますけれども、貸付実績との比率、実績との比率でいきますと一三%ということでございます。

 こういうハード資金が非常に低くなっております理由でございますけれども、これは近年、他の金融の金利が非常に低下をいたしておりますので、低金利でございますので、無利子資金との差別化がなかなか厳しいということが一つあろうかと思いますし、それから、この施設資金を導入したのが実は平成十二年でございまして、まだ間もないということもございまして、現場への浸透が十分ではなかったことがあるのかなというふうに分析をしているところでございます。

楠田委員 お聞きした中で、貸付枠の算定、少し自分でも聞いてはいるんですけれども、この数式というものがあれば、ぜひお聞かせください。局長、お願いします。

川村政府参考人 ある意味では非常に目いっぱい枠を確保していまして、万が一の場合にも備えているわけでございますが、例えて言いますと、研修資金等ソフト資金の二十四億円というものの積算でございますが、これは、先ほど先生も挙げられました新規就農青年の確保目標が、年間最低でも一万三千人ということにしております。そして、これまで認定就農者の割合というのが、一七%ぐらいの借り受け率でございますのでそれを掛けまして、そして、一件当たりの借入実績は大体百十万円程度ということで、こういう三つの要素を掛け合わせまして、目いっぱい、二十四億円という積算にしております。

楠田委員 細かくなるんですけれども、新規就農目標はある程度達成していると、先ほどのお話でもありました。そうすると、借り受け率かもしくは金額が相当低いためにこの貸付枠に達していない、かなり過大なものになっていると考えられると思いますが、どちらに問題があるか、局長、お願いします。

川村政府参考人 新規就農青年の人数自体はそれなりの水準に来ておりますが、やはり先ほど言いましたような経済状況、あるいは他の金融との兼ね合いもございまして借り受け率が見込みよりもかなり低いというのが、貸付実績に反映されていると思います。

楠田委員 このようにしつこくお聞かせいただいていますのも、やはりこれは特別会計で予算を組まれておられる。貸し付けで返ってくるということで、回転があるのでそれは仕方ないことだと思いますが、やはり今の時代、私も銀行に勤めて、大変短い期間でございますが、そういう経験から、お金というものは、これだけ日本の借金も地方の借金もふえている中で、いかに有効に利用するかという観点が特に今政治の中で求められていると私は感じておる一人でありまして、この枠、余った分をどのように運用されているのか、ただ単に塩漬けされているのか。そもそも無利子で貸していますので、そこにも問題があると思いますが、この点、局長、ちょっとお答え願います。

川村政府参考人 有効利用ということが必要でございますので、まずはやはり資金の掘り起こしといいますか、できるだけ有効に活用していただきたいということでの努力をしております。そういう意味で、最近も制度改正をいたした中で、こういう新規の資金とかもふやしているところでございます。

 それからまた、貸付枠自体もできるだけ合理化をしたいということで、先ほど百五十億と申し上げましたことは百六億に、十五年度からは縮小をしております。回転資金でございますので、できるだけうまく回るようにある程度の余裕は持つ必要があると思いますが、御指摘のとおり、できるだけ、せっかくの資金でございますので、有効活用ができるような努力を引き続き続けたいと思っております。

楠田委員 そのようなお話をいただきました。やはりこの枠というものの算定で、もちろん低金利の時代というのはだれも知っているわけで、他の金融機関も努力をしておるわけでございますから、当然この借り受け率というものも、実情に沿ってある程度低く見積もるということも必要だと私は考えておりますので、この点、御留意いただきたいと強く希望いたします。

 また、この就農資金ですが、この法改正で具体的に、先ほどの中で聞けばよかったんですが、一万三千人から五千人という新規就農の三十九歳以下の目標はあると思いますが、新たに法人に貸し付けることで、数値的にどれぐらいふえるか、そういう具体的な目標はありますでしょうか。局長、お願いします。

川村政府参考人 新規就農青年の目標は、先ほど来御指摘がございます毎年一万三千人から一万五千人ということでございます。それから、農業法人等の増加に伴いまして、新たな雇用というものが五千人から一万二千人程度必要ということで平成十二年の構造展望では見込んでおります。

 したがいまして、この五千人ないし一万二千人の雇用をいかにできるだけ行政としても努力をしていくかということでございまして、これも先ほどちょっとお答えを申し上げましたが、まだ正確な調査ではございませんが、推計等によりますと、十四年の実績におきまして大体七千名近い、あるいは六千五百名程度から七千名ぐらいの者が農業法人へ就農しているのではないかというふうになっております。そういう意味で、先ほども申し上げましたが、この幅の中でできるだけ高い雇用が実現できるようにということでの努力をしていきたいというふうに思っているところでございます。

楠田委員 せっかくこれだけ枠というか対象を広げて法改正をするわけでございますから、その効果というものをしっかりと見定めてアナウンスしていくということは大変重要だ、そのように考えておりますので、引き続き、この数値目標はあるにしてもないにしても関係なく、新規就農者をふやすということは大変重要な観点ですから、その努力に努めていただきたいと思っております。

 また、大変細かい話の連続ですが、貸した分の、貸し付けの分の、特にソフトの面では額も少額でございますから返ってくる可能性は十分高いと思いますが、この貸した分が貸し倒れになるような可能性というもの、この特別会計が傷つくような可能性というものは実際ありますでしょうか、局長。

川村政府参考人 就農支援資金は、特別会計の中で回転をしながらできるだけ多くの人に利用していただくということでございますので、その確実な償還を確保するというのは非常に重要な課題でございます。

 そういう意味で、まず、貸し付ける段階におきまして、適切な審査と指導ということが必要になるわけでございます。この就農支援資金を借り入れるに当たりましては、就農計画というものが必要になります。この就農計画におきましては、就農時におきます農業経営または農業従事の態様、ちょっと難しい言葉でございますが、何をつくるのかとかどういう経営でやるのかとかあるいは規模はどの程度か、こういうものをしっかり計画を立てていただきます。それから、就農に必要な研修なりその準備に関することもしっかり計画を立てていただきますし、就農に当たって必要な施設の設置あるいは機械の購入等に関する事項、こういうものをしっかり計画をつくっていただく。

 また、この計画については都道府県知事の認定を受けるということで、実際は普及員、今回の三法の審議をいただいております、農業改良助長法に基づきます普及員がいわばマンツーマン的に指導をしているのが実態でございます。

 そして、知事は、具体的に手足はそういう普及員が基本的には中心になりますけれども、県がつくりました就農促進方針、こういうものに照らしまして適切であるかどうか、それから、就農計画の達成される見込みが確実であるかどうか、研修その他の準備、それから機械、施設等に関する計画が就農時の目標を達成するのに適切であるかどうかといったような観点から認定を行っております。

 そういう意味で、かなり、指導も兼ねまして、この計画づくりをまずしっかりやっていただくということでやっております。そういう意味で、償還というものはかなり、これまでの実績から見ましても全く、災害等もございますので一〇〇%順調にいかない点もあるわけでございますけれども、基本的には順調な回転がなされているということでございます。

 また、債権保全としまして、一定の担保それから保証人も徴求をしておりますし、金融機関を経由して貸し付けを行う場合には信用保証保険制度の対象ともなっておりますので、そういうセーフティーネット等も活用しながら万全を期しているところでございます。

楠田委員 いろいろ詳しくお答えいただきまして、ありがとうございます。

 就農計画自体も、私も記入例というものを見せていただきまして、なかなか細かく確かに書くものであるなと。書く際にさまざまな指導は必要だと思いますが、先ほどの話で、その点に関してもいろいろお聞かせいただいたと思っております。

 そうした中で、信用保証保険というんですか、農業の信用保証保険の保証というものもあると思いますが、私の経験上、銀行の中で信用保証協会の保証がつけばとにかく貸すという地合いがあって、そこの保証協会から銀行に返還されるので銀行は傷つかないというところから、どんどん貸してきたということが私はあったと思っています。それで、保証協会に対して税金がつぎ込まれるような事実がある。

 そのような回転はどこかでひずみがあると私は思っていますので、今おっしゃられた回転の中で、特に私は、補償などが出たときに、国や地方の財政は傷つかないけれども、どこかで傷ついている部分があるということは十分考えられると思いますので、その点はきっちり監視といいますかケアをしていただきたい、そのように、最後にこの点に関しては要求をさせていただきます。

 時間も迫ってまいりましたので、農地の確保という意味で、この間の参考人質疑で言われていたと思いますが、四要素として、農地と資金と技術と住宅、こういうものが新規就農する際に必要で、難しい点だとおっしゃられたと思いますが、そのうちの一つの農地取得、もう既に質問もあったかもしれませんが、この点に関して、相談活動や資金の貸し付け、また取得に関する要件の緩和など支援が必要と考えておりますが、その取り組みについて、局長、お聞かせいただけますでしょうか。

川村政府参考人 農地の取得、これは非常に主要な課題の一つでございます。特に、経営資産を持たない新規参入者にとりまして、農地取得に係ります労力それから費用、これは非常に大きな負担となっているわけでございます。

 そういう意味で、就農希望者の農地の取得が円滑に行われるようにすることが非常に肝要でございます。そして、私どもは、この新規就農の窓口というものを新規就農相談センターに極力一本化をいたしまして、ここでいろいろな情報とかをやっておりますが、その中で、農地情報の提供それから相談、それから、このセンターを通じまして、農業委員会を活用いたしまして権利調整をやっていただくといったようなことがまず一点ございます。

 それからまた、農地の場合はかなりの金額になりますので、これは制度資金として別途、農林漁業金融公庫というものが政策資金としてございます。このうちの農地等の取得に必要な資金の貸し付けも活用できないかということで、その場合にも、据置期間なり融資率、こういうものについて特例を新規就農者の場合は設定をするといったような配慮をしているということがございます。

 それからまた、農地法上の問題でございますけれども、農地法の原則からいきますと、小規模での農地の経営開始というのはなかなか難しいわけでございまして、いわゆる下限面積というものが要件になっております。ただ、これにつきましては、知事が特例を定めることができるというようなことになっておりますし、また農業経営基盤強化促進法の中で、集団で、農業委員会等が仲介をいたしまして市町村が定める農用地利用集積計画、この中に盛り込みますとそういった要件が撤廃されるということで、非常に農地が取得しやすくなるという機能がございますので、そういうものの活用も図りながら、新規就農者の農地の権利の取得というものに力を注いでいるところであります。

楠田委員 ありがとうございます。

 もうほとんど時間がありませんが、最後に、きょうは学生の方も見に来られているみたいですが、この農業の問題を考える上で、さっきまでの総括としては、私は、どれだけ厚く資金を分配していくかという点は大変重要だと思いますけれども、その際に、もう一点としては、ただのばらまきに終わらないようにする、無利子で貸すということもそもそもは大変無理があることですから、この点御留意いただきたいと申し上げます。

 最後に、大臣への質問といたしまして、そもそも、法の制度というのはいろいろ必要だと思いますけれども、若い世代が特にこれから農業というものを一つの職業として考えていくには、若い世代にとっていかに農業というものが魅力あるものか、必要なものかということをまず感じさせるというのが結局は根本的な解決策じゃないかと思っております。この点に関して、大臣、率直な、個人的な思いでも結構ですので、最後にお聞かせいただければと思います。

亀井国務大臣 本当に、委員御指摘のとおり、若い世代の新規の就農者を確保していく、それにはやはり何といっても、農業経営に個人の創意工夫、これが十分生かされ、やりがいがあり、またそれが実感し得るもの、さらには職業としての農業の魅力を高めていく必要がある、このように思っております。そういう面で、農業の構造改革を進めて、国民の期待にこたえられる農山漁村、さらには我が国の農林水産業、これの実現に向けて全力を尽くしてまいりたい、このように考えております。

 今回御審議いただいております青年等就農促進法の一部改正、こういう中でいろいろの整備をし、就農形態や経営の発展段階、こういう中できめ細かな対策を講ずるとともに、農業法人等への就農を希望する者に対しまして支援の拡充というものを図ってまいりたい、このように考えております。

楠田委員 ありがとうございます。

 最後に、私はまだまだ若造でございまして、二十九歳、世界的にいえば、ベッカムとかタイガー・ウッズとかメッツに行った松井とか、そういう世代でございます。我々のような世代が農業に関しても声を上げていけば、ともに活力あるものになる、このように私は信じまして、これからも勉強させていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

高木委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 大臣、副大臣、また政務官、政府参考人の皆さん、御苦労さまでございます。きょうは、少々お時間をいただきましたので、質問をさせていただきたいと思います。これからの未来の農業に向かって、また希望が持てるような御答弁をいただきたいと思っております。

 私は、きょうは何点かお聞かせをいただきたいんですが、まず農地の確保という観点から何点かお伺いをしたいと思うんです。

 一昨日の新聞を見ますと、「農地減少ペース加速の見通し」こういうことが日本経済新聞に載っておりまして、その中の記事として、「農水省は農地の減少が予想を超えるペースで進みそうだとする推計をまとめた。」こういうことで、四百七十万ヘクタールの農地がこのままいけば二〇一〇年には四百五十万ヘクタールになるのではないかと。これはもともと基本計画で立てたペースより速い、こういうふうな、新聞記事でありますから、これは少々、農水省の立場からいうと違うぞ、こういうことがあるかもしれませんけれども、その中で、一九六一年の六百九万ヘクタールをピークに農地が減り続けている、当初は農地を工場用地などに転用したことが原因であったけれども、最近は作物を全く育てない耕作放棄が目立っている、こういうふうな書き方になっております。

 そして、そういう中で、今、農水省としてもいろいろな計画を立てていこう、こういうことでいろいろ御議論がされていると思いますけれども、この中で、農水省からいただいた資料の中でも、基本計画の見込みと比べて減少傾向で推移している、そして、担い手不足等による耕作放棄の発生が抑制されていないこと等が原因と考えられる、こういうふうな農水省の中でおまとめになったペーパーも勉強会のときに私はいただきまして、やはりこれは、一点、耕作放棄地についてどのようにしていくか、このことについてまずお伺いをいたしたいと思います。

 そして、この問題は、特にこれから相続等によって、もう農業はやらない、そういう方、例えば都会に出てもう田舎には帰らない、それが、お父さんが亡くなって農地を相続する、しかし本人は、農業もやらないしまた将来にわたってもやる予定がない、そうなった場合にその農地がどうなるのか、耕作放棄地にそのままつながりやしないか、こういうふうな懸念がある。

 それに対して、現在はいろいろな見方があるようでありますけれども、農地法という法律では、自分の住んでいる区域外では小作地が持てない、こういう大原則があって、そして原則的には、さっき申し上げたようなことで推移している。しかし、つい最近の新聞で、これは地方紙であったと思いますけれども、これについて考え方を変えていこう、こういうふうなことも今農水省の中で検討をされているようにもその新聞報道ではございました。

 まず大臣、私は、耕作放棄地をどうするかということが農水省の中でも大きな問題として認識されているということは、これはやはりそのとおりだと思いますけれども、今後に向かって、これはどのようにされていく予定なのか、その点、お聞かせいただきたいと思います。

    〔委員長退席、小平委員長代理着席〕

亀井国務大臣 我が国の農地制度、戦後の農地改革の成果を維持することを基本といたしまして、耕作者の地位の安定と農業生産力の増進、このことを図る目的として構築されてきたわけでありますが、最近では、農地の減少、担い手の高齢化、あるいは制度を取り巻くいろいろな情勢が大きく変化をしてきている、こういう実態であります。

 そういう中で、現在、食料・農業・農村基本計画の見直しの一環といたしまして、望ましい農業構造と土地利用を実現するための担い手・農地制度の改革について検討を行っておるところでもございます。

 先ほどちょっと報道のことにつきましてお触れになりましたが、現在、私は、食料・農業・農村政策審議会の企画部会で御議論をいただいておるわけでありまして、報道のようなことを省として決定したということではございません。

 それから、耕作放棄地の問題、何といっても食料の安定供給を図る基盤として優良農地を確保していくということの観点から、耕作放棄地の発生を抑制する、これは重要なことでありまして、放棄された農地の再活用を図ることは重要な課題、このように認識をいたしております。耕作放棄地対策といたしましては、現在、農業経営基盤強化促進法に基づきまして、所有者等に対しまして農地の活用に向けた指導等のことも行っておるところでもございます。

 これらの問題につきましても、今回のこの法改正等々につきましても、農業委員会の使命、そういう面で、農業委員会の活躍、活動、こういう中でもその辺の問題をぜひ努力していただきたい。努力をして、耕作放棄地の問題の対応をしっかりやってもらいたい、こう思っております。

石田(祝)委員 この新聞報道は、ちょっと御紹介しますと、ある通信社の配信だと思いますけれども、何行かございまして、小作地所有制限の撤廃に踏み切る、こういうふうな書き方になっております。これはまさしく、大臣がおっしゃったとおり、まだそこは決まっていないよ、そういうことだろうと思いますけれども、やはり耕作放棄地を、先ほど私が申し上げたように、相続等によってそういうのがふえてくるのではないか、これは農水省としても省内でそういう認識を持ちつつ議論をされていると私は思うんです。

 そうすると、どうしても、先ほど申し上げたように、では、自分の住んでいるところじゃないところの農地をどうするかと。これは、極端に言えば私有財産ですから、私有財産を制限するわけにはいかないわけですけれども、それは、農業の振興とか日本の農地をどう守っていくか、こういう観点からいろいろと制限もつけられているだろうと思います。

 ですから、一つは、農地法で、国以外の者は何人も小作地を所有してはならない、こういうことがまず大前提としてあって、その中で、私から見たら穴をあけるというんですか、その大原則をちょっと外しますよ、こういう形で小作地私有ということを残念ながら認めている。

 ですから、特例的なことではなくて、やはりこれから、どうしてもいろいろな意味で、農地の集積をしたりとかやる気のある方にやってもらおうとか、いろいろな形を考えたときに、今までのように農地法で、大原則禁止だよ、しかし経営基盤強化促進法みたいな形とか、そういうところでやるんじゃなくて、これはもう真正面から議論をして、日本の農業、農地をどうしていくかという観点から結論を出していけば、大いに農業経営に対しても資するところがあるんじゃないかと私は思うんです。

 それで、一つ心配をするのは、例えば今、大臣が決まっていないというお答えでありましたけれども、いろいろ問題点があるということで議論がされているわけですから、ある一定の方向は私は出てくると思う。そのときに、現実に農業をやっていらっしゃる方、またその地域でそれぞれ御苦労されている農業委員会の皆さん、では、この農地が一体どういうふうに行くのか、変な方向でこれは外されたら困るな、こういう思いは私はあると思うんですね。

 ですから、これは、大臣の率直なお考えとして、どういう原則で、例えば、議論ですから結論が出ていないという前提でこれはお聞かせいただければいいんですけれども、大臣の思いとして、農地についてはどういうふうな方向で集積等を考えていかなきゃいけない、こういうことをちょっとお聞かせいただけますか。

亀井国務大臣 今回、基本計画の見直しの中で、担い手と農地制度の問題の議論をお願いしておるわけであります。

 そういう中で、先ほど来委員からも御指摘のとおり、相続等によりまして不在村の農地所有者が増加をしている現実というものがあるわけでありまして、そういう面で、私はやはり、利用ということを主眼として考えていかなければならないのではなかろうか。それはまた、集落形態等々、地域での農業を、また担い手に土地を集積する、そういう面の中で、効率、生産性の上がる農業経営をしていただく、こういう面では、やはりそれらの問題を十分地域でもお考えいただき、また今回の見直し、企画部会での検討の中でもそのような御議論も十分いただきまして、要は、耕作放棄地、こういうことにならないような、そして農業生産が行われるような方向というものをぜひ見出していただければ、このように考えております。

石田(祝)委員 ぜひその方向でお願いをしたいと思います。

 それで、一点、これは財務省の方も来ていただいているのでお聞きしたいんですけれども、農業を続けていく場合に、いわゆる相続税の猶予制度、こういうのがあろうかと思いますけれども、これは、先ほど申し上げたように、農地を相続する、本人はやらない、しかし地元で農業を続けていかれる方にお貸しをしたい、こういう話になったとしても、その土地自体は農地として生かされる。本人はやらない、相続した人は農業には従事をしない。しかし、土地ということに関して見たら、これは農地としてしっかり二十年使っていこう。こういう前提になった場合、これは相続税の猶予というのは一体どうなるか、今の制度からもうちょっと考えてもいいんじゃないか、私はこう思うんですけれども、財務省、いかがでしょうか。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 現在、先生御指摘のように、農地につきましては相続税の納税猶予制度があるわけでございます。この制度は、先ほどからお話がありますように、農地の所有と経営の不可分という原則、この農地法の制約ということを考えまして、まさに農業経営が円滑に継承されていく、相続が阻害要因にならないようにということで、他の事業用財産とは特に区別して特別の取り計らいをしておることになっております。

 これを、みずから継続しない方に対象を広げるということになりますと、これはもはや、経営と所有の不可分という特例を講じている根本的な原則から外れることになりますので、私どもとしては、この制度自体の存在にかかわる非常に困難な問題ではないかと考えております。

石田(祝)委員 それでは、ちょっと次のことでお聞きをしたいんですが、いろいろな方と、農業に従事している方、特に、私も高知県ですから、大変中山間地が多うございます。そういう方々にいろいろ御意見を聞きますと、やはり鳥獣被害が物すごく多い。ですから、一晩で、一反程度の田んぼでしたら、イノシシが一頭出てきてその中で暴れたらほとんど稲が倒されてしまう。だから、もうすぐ実りの秋だな、こういう直前にやられてしまう。私も現場を見ましたけれども、本当に台風の目のように渦を巻いて稲が倒れている。そういう現場を見たら、これは年がいった方が、一生懸命やられておったら、次の年はやろうという気にならないんじゃないか、こういうことも現実に感じました。

 ですから、鳥獣被害で現在どういう状況になっているのか、その現状と対策、そして、特にイノシシについて大変被害が最近ふえている、こういうこともお聞きをいたしますので、こういう問題について農水省、環境省、あわせて御答弁いただきたいと思います。

白須政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま委員から御指摘ございました、イノシシなどの野生鳥獣によります農業被害、お話しのとおり、中山間地域を中心に被害が発生しておるわけでございます。

 まず、全国的な農業被害について申し上げますと、平成十四年度で、被害面積が全国で十四万ヘクタール、被害金額といたしまして二百十三億円というふうになっておるわけでございます。

 そのうち、特に、委員からもお話がございましたイノシシによります農業被害、西日本の中山間地域を中心といたしまして、お話ございましたように稲でございますとか、果樹あるいは野菜、そういったさまざまな農作物に被害が及んでいるわけでございます。イノシシについてだけ見ますと、全国的な農業被害、十四年度で、面積としましては一万七千ヘクタールということで、先ほどの全国の面積の一割強ということでございますが、被害金額では五十二億円というふうなことで、全国の被害金額の二五%程度というふうなことになっているわけでございます。

 そこで、私ども農林水産省といたしましては、この鳥獣によります農林業の被害防止をいたしますために、一つといたしましては、侵入防止のさくでございます。例えば電気を通したり、そういったさくなどの被害防止施設の整備につきまして助成を行う。あるいはまた、発生原因の究明あるいはその対策技術の開発といった試験研究もやっておりますし、さらには、住民の方々に対する普及啓発でありますとか、特に生産者の皆さん方が、追い払いということで集まられていろいろと、花火でおどかすとか、そういう防除活動みたいなこともやっておられるわけでございまして、そういうふうなことに対する支援といったこともやっているわけでございます。

 特に、この十六年度からは、大変に、そういった意味でなかなかこの被害、捕まえるのが難しいというようなこともございますので、広域的なあるいは効果的な被害の防止対策を推進という観点からも、GPSという、一種のカーナビのような原理を応用いたしまして、そういう先進的な技術も活用しました調査でございますとか、あるいはそういう警戒システムも今後支援の対象とするということで強化を図っているところでございます。引き続き一生懸命努力してまいりたいというふうに考えております。

石田(祝)委員 それで、農業をやっている方からすると、これは駆除してもらいたい、こういうことなんですね。

 そして、猟期も実は決められている。有害鳥獣ということで知事に指定をしてもらえばいいわけですけれども、これは私が現場でお聞きをしますと、要するに、イノシシが夏場に、収穫の前に駆除してもらえれば非常にいいんだけれども、自分のところの田んぼの稲をしっかりと食べて丸々と太った後やられる。そうすると、それは確かにイノシシの肉もおいしい。しかし、自分から見たら、自分のところの田んぼのものを食って太ったのを撃たれても、これはたまらぬ、その前にぜひやってもらいたい、こういうふうなこともあるんです。

 猟期との関係もあろうと思いますけれども、これは環境省、どうですか。

小野寺政府参考人 鳥獣被害、とりわけイノシシの被害については、我々も大変さについて認識しておるところであります。捕獲許可制度の中で、実績で年間大体二十万程度イノシシについて捕獲しております。

 それから、平成十一年に改正した鳥獣保護法の中で、特定鳥獣管理計画制度というのを定めて、その計画をつくったところでは、先ほどおっしゃった季節云々にかかわりなく、計画に基づいた個体数調整を行う仕組みというのを導入しています。これは、まだ残念ながら全国に普及していませんで、今実施しているのが七件、予定中のものが五件ということになっております。

 このような制度を活用して推進して、より効果的な鳥獣被害対策を行っていきたいと思っております。

石田(祝)委員 これはぜひお取り組みをいただきたいと思います。

 最後に、鳥インフルエンザの件で一点だけお伺いしたいんですが、京都の方は知事が終息宣言されたわけですけれども、これは、どうなんでしょうか、日本全体で終息宣言というのはなされているんですか。こういうものは日本全体でするべきものでしょうか。ちょっとわからないんですが、そこのあたり、するべきものであればしていただきたいし、御回答、お伺いします。

中川政府参考人 お答えを申し上げます。

 京都府の発生に係ります移動制限は、確かに、四月十三日午前零時をもってさまざまな制限が解除されました。そういう意味では、京都府のこの件につきましては現時点の対応は一応終わったということになりますけれども、私どもといたしましては、これで気を許すことなく、むしろ、今後とも関係府省とも連携をとりながら、発生の予防、それから発生がもし万一起こった場合には早期通報の徹底、それから感染経路の究明、これは必要な注意を払いながら、気を緩めることなくやっていくことが大事だというふうに思っております。

石田(祝)委員 どうもありがとうございました。終わります。

小平委員長代理 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 初めに、農業改良助長法の一部改正について質問させていただきます。

 先週の委員会の質疑の中で、経営局長が答弁でこのようにお話ししております。「普及員の特質というのは、」「改良助長法の中にも書いてございますけれども、「農業者に接して、」という文言がございます。まさにそこが特質でございまして、普及事業は人によって成り立っておりますし、また、現場、これによって成り立っておるわけでございます。」と述べております。仲野委員に対する答弁でございましたが、私がこだわっているのもここであります。

 確かに、助長法の八条の二項にありました。「巡回指導、相談、農場展示、講習会の開催その他の手段により、直接農業者に接して、農業生産方式の合理化その他農業経営の改善又は農村生活の改善に関する科学的技術及び知識の普及指導を行うこと。」とあります。改正前の案文と比べますと、一言語句が抜けたものの、基本的にはこの部分は変わっていないかと思われます。

 普及指導員という形で一元化された後の名称で使われておりますが、この役割は、今回の改正によっても基本的に変わっていないということを確認してよろしいですね。

    〔小平委員長代理退席、委員長着席〕

川村政府参考人 普及の職員につきましては、専門技術員と改良普及員を一本化して、新しい普及指導員という形での統一性を図ります。その機能は、今高橋委員から御指摘のありましたとおり、まさに、現場を重視して、現場のニーズに対応して農業技術の改善、普及を図っていくということだろうと思っておりまして、その点で、現場重視ということはこれまで以上に発揮をしていくべきものと考えております。

高橋委員 ありがとうございます。

 今回の改正では、地域農業改良普及センターの必置規制の廃止が挙げられているわけですが、私は、これで「直接農業者に接して、」という指導ができるのかということに問題意識を持っております。

 まず伺いますが、都道府県では既に地域農業改良普及センターの統合などを進めてきていると思いますが、それがどのような状況になっているのか、また、普及関係職員の数がどうなっているのか、伺います。これらによる影響について、国として考えていることを伺いたいと思います。

川村政府参考人 今お尋ねの件でございますが、確かに、近年、都道府県におきましては全般的に、行財政改革の流れもございまして、農業部門の行政組織についても例外なくスリム化が行われておるというのが実情でございまして、普及職員につきましても、おおむね同じような程度の職員数の減少等が行われております。それからまた、普及センターにつきましても、普及活動の効率化の視点、あるいは県の出先の組織体制の改編等がございましたので、これに伴って統合が行われまして、数が減少しているというのが実情だと思います。

 こういう現状はあるわけでございますけれども、私ども、今回の制度改正で、都道府県がその自主性を発揮されまして、農業者の方々の要求される高度で多様なニーズに対応できる普及事業、そういうものがより的確に展開できますように、先ほど申し上げましたが、普及職員の一元化、それから普及センターの必置規制を廃止するということでより重点化、高度化ということでございます。これによりまして、スリム化することはしますけれども、精鋭化した体制の中で普及事業をより効率的に実施できるように、そういう取り組みをできるようにしていきたいということでございます。

高橋委員 最近の地域農業改良普及センター、改良普及員の推移という農林水産省のデータがありますけれども、平成七年度を一〇〇とすると、十四年度は、センター数で八三、普及員数は八八に減っております。ただ、経営耕地面積なら八九、基幹的農業従事者だと九〇であります。つまり、農家戸数が減っているとかという議論などもよく言われるけれども、耕地面積や農業従事者数と比較しても、減り幅が大きいということが言えるのではないかと思うんです。

 農林水産省の調べで、普及職員の活動実態調査、普及員の一人一カ月当たりの活動時間が、現地活動が五十二・二時間、三三・四%。活動準備に要する時間が五十五・七時間で三五・六%、残りは会議だとか実務などがいろいろあるわけですが、今でさえこうだ、三割にしかならない。行政の仕事がどんどん押してきてなかなか現場に行けないんだということは、今現在も言われているんですね。

 それが、活動範囲が広がっていくとどうなるか。移動時間だけがどんどんかかって、ちっとも現場に行けないじゃないか。現場が遠ざかると、農家からすると、普及員の姿が見えないということになっていくわけですね。そういう指摘に対して、どうお考えになりますか。

亀井国務大臣 近年の農業経営の高度化あるいは多様化、こういうことが進んでおるわけでありまして、普及センターについても、専門分野ごとの指導体制、あるいは、効率的にいろいろ行われる、統合、広域化が進められておるわけであります。近年、交通手段等も大分発達もしておるわけでありまして、普及センターの広域化、こういうものが現場までの距離を遠くしている、私は必ずしもこういうようには考えないわけであります。

 今回のこの改正によりまして、普及センターの必置規制を廃止することによりまして、各都道府県の自主性、そういう中で、自県の農業振興に最も適した組織体制というものを弾力的に、機動的にすることが可能、このようにも思います。そういう面で、それぞれ地域ごとの環境保全型農業や担い手農家育成等の個別課題を専門的に担当するセンターあるいは広域的な産地育成を担当するセンター、こういうように、それぞれ、組織体制にとらわれずに、自由な組織体制というものができる、このように思います。

 そういう面で、地域や農業者のニーズに対応した普及活動がなされる、このように思います。

高橋委員 大臣は、先週の質疑の中で、農家と家族のようにつき合いながら、酒を酌み交わすなどして信頼関係も築き、すぐれた指導をしている普及員の活動を御自身も見て、十分承知をしているというふうに述べられたかと思うんです。

 そこで、ぜひ紹介したいことがあるんですが、秋田県が行っている「平成十五年度 普及活動における第三者評価結果報告書」という冊子があります。本年度が本格的な第三者評価のスタート年でありまして、本年度というのは十五年度ですが、三つの普及センターを対象に、課題別にAからCの三段階で評価をしております。

 ネギの安定生産による産地の維持・拡大、直売活動の充実強化、果樹経営の安定化に向けた樹種複合の推進、水田基盤整備後の新しい集落営農の構築など、さまざまなテーマがあり、総じてこの三つのセンターは高い評価を得ております。

 このまとめの委員長のコメントの中で、現地視察などを通じて、特に心を打たれた点ということで、特記事項がありました。普及センターの重厚な指導のもとに集落営農組織をつくったある集落代表者の言に、

 その人は、夜討ち朝駆けの普及員たちの情熱に敬意を表して「このような普及員を持っている秋田県も捨てたものじゃない」と真摯に訴えられた。この言に接して筆者は、普及という仕事は、今日の苛烈な状況の中においても、県という「公」を伴った固有名詞の活動として「公」への信頼を大きくし、良き地域、良き国づくりにつなげる道筋を付け得る立派な仕事なのだという確信を新たにした。同時にまた、そうした夜討ち朝駆けの「朝露の見える普及」の“情熱”がどこから、どうやって生まれるのか、大きな宿題も与えられた気がした。

と結んでおります。

 私は、この第三者評価委員会が評価をした普及員の方に直接お会いしたんですけれども、その対象の集落には八十一回通ったそうです。もちろん夜討ち朝駆け、一人一人と丁寧に話し合いを続けて、意欲を引き出し、法人を一つの集落で複数つくったんです。本当に頭が下がりました。

 この法人をつくったことによって、構成員の合意に基づき展開される形態であるために、水田と転作田の農業生産団地としての計画的な利活用ということでは、収益が確実に増大したこと、担い手機能を発揮して耕作放棄地の活用などが生まれたこと、そして、加工などの新たな可能性を開いたということなどを紹介されて、リーダーを集落の中でどう育てるか、これが普及員の大きな役割だというふうに述べているんです。

 それで私は、改めて大臣に伺いたいと思うんですが、こういう普及員の活動、本当に貴重だと思われます。普及員の活動にセーブがかかってはならないと思います。また、この活動を保障する地域農業改良普及センターの機能は維持するべきだと思いますが、見解を伺います。

亀井国務大臣 今お話しのような件、私も、規模は小さいわけでありますが、改良普及員の皆さん方とつき合いを持っておりまして、本当に献身的にいろいろな努力をされておりますことを承知いたしております。

 そういう面で、いろいろ組織が変わるわけでありますが、普及員の組織、これを十二分にいろいろ活用し、そして、必置規制、これはそれぞれ都道府県での対応、組織体制というものがあるわけでありますが、そういうものを十二分に生かされて、また、その機能を発揮し、農業者の信頼にこたえる努力をぜひしていただきたい、このように思います。

高橋委員 自治体の裁量、自主性といえば大変聞こえがよいんですけれども、これまでスリム化を図ってきた背景にも自治体の財政ということがあるわけですから、本当に基本的な機能を維持できるように、やはり国の体制というのも求めるべきじゃないかなと思っているんです。

 それで、スリム化、重点化の問題なんですけれども、普及手当は上限撤廃するし、一元化もするということですよね。普及事業の在り方に関する検討会報告書骨子、平成十五年三月、「農業改良普及事業改革の基本方向について」によれば、普及職員に求められる機能として、高度、先進的な専門的な技術を指導する機能、スペシャリスト、あるいはスペシャリストや関係機関等との連携のもとに推進する地域農業のコーディネート機能、いわゆるアドバイザーだと。要するに、スペシャリストとアドバイザーにだけ交付金の対象職員を限定しろというふうに言っているわけですね。

 私は、ここから考えられることは、今現場で頑張っている普及員でも、普及手当がどうなるかということもある。活動範囲が広くなり、行政実務はふえるけれども、なかなか成果が上がらない。そういう中で、本当に難しい、今でも二割に達しない合格率ですよね、これに本当にパスしてまで、次も頑張ろうという意欲がわくだろうか。結局は、一元化ということで、全体の普及員数が縮小されていくだろう。

 そうなったときに、一方で出てくるのが弾力化という問題ですよね。そうすると、一方ではこれまで以上の手当を出して、民間人から人材を採用して、農業試験場を中心とした高度な専門研究分野はやられるだろう。しかし、そこで生かされるのは本当に経営革新を目指す一握りの認定農業者であって、大部分の地域農業が置き去りにされないかという不安があるんです。その点、いかがですか。

川村政府参考人 まず、普及職員の一元化の問題でございますが、今回、一元化をいたしまして、受験資格としまして実務経験を課す、こういうことを考えております。そして、都道府県に職員として採用された後に実務経験を積んだ後、試験を受けていただく、こういう形のシステムを考えているところでございます。

 これまで、やはり、今もいろいろな事例で申されましたように、普及職員、さすがに技術に裏づけをされまして、農家の方々の信頼を得るということが非常に現場を変えていく、その熱意ももちろん必要でございますし、現場の課題の解決能力、もちろんそういうものも必要でございますけれども、今、一般的に言いまして足りないものというのは、非常に技術の内容が高度化しているけれども、それに本当に対応できているのかという疑問、それから、もう少し、行政の中に埋没をしてしまわないで、やはり技術をベースにして地域のいろいろな課題を中核となって、いろいろな関係機関もありますので、そういう方々を結集し、あるいは連携することによって地域の課題を一体となって解決していくという、その二つの機能、それをやっていくべきだということでございます。

 これまで、どちらかというと、非常に現場から離れたり、いろいろな行政的な事務にも時間を割かれたという実態もございますので、むしろ、技術的な集団としてより特化をしていって、そして、限られた人数ではございますけれども、やはり技術に裏づけされた農家、現場指導というもの、それから、その地域の中核となったオーガナイズとコーディネートというものをやっていくという機能に変えていくということで、そういうことによって、スリム化等が行われますけれども、かえって普及の存在意義が高まっていくのではないかというふうに考えているところであります。

高橋委員 今おっしゃられた、現場から離れたり、あるいは行政実務に埋没したり、こうなってきた原因がどこにあるのかということだと思うんですね。それは、個人的にいろいろな努力が足りない人がいるかもわかりませんよ。それは私、全体のことはわかりません。しかし、そうせざるを得なかった、センターの交付金制度がいろいろ変わったり、センターが統合されたりして、現場から離れざるを得なくなったというような背景がある中で、スペシャリストとアドバイザーでそれをどう変えていくのかということですよね。

 既にもう平成八年度から、普及指導対象農家数というのは、重点指導では、二十八万一千戸あったのが、平成十四年から二十三万八千戸、一般と合わせた合計数が二百十万八千戸から百五十七万四千、二五%減っているということで、対象農家をどんどん絞らざるを得なくなっていくということになると思うんですね。

 私、さっき、後段の部分でお答えがなかったので、大臣にもう一回聞きたいんです。こういう、スペシャリスト、アドバイザーと絞っていく、重点対象農家も絞っていく、そういう中で地域農業が大部分置き去りにされるのではないかということに対して、大臣のお考え。大臣に聞いています。

川村政府参考人 答弁がちょっと漏れていたということで。

 まさにコーディネートの中では、農家を区別することなく、その地域におられます農家全般を対象にしていくということで、決して差別をするといったものではございません。ただ、高度化の方は対象がかなり絞られてくるというふうに思います。

亀井国務大臣 普及事業、これは、地域の実情に合わせて各地方自治団体、県の創意工夫、これでやれるようにするわけでもあります。現在では、担い手あるいは先進農家にとっては一般的な普及員の指導では物足りない、こういう状況にもあるわけでありますし、一方、兼業農家には新たな作物の導入などに余り関心がないというところもございます。

 そういう面で、普及事業、今回このような形で各都道府県、この中での組織体制等々工夫をし、そして農業者を支援する、そういうことができるように支援をしてまいりたい、こう思っております。

高橋委員 時間がなくなったので、最後に一つだけ、農業委員のことを聞けなくなってしまったので、一つだけ聞きます。

 都市農業の問題で、市街化区域内の農地を必置基準面積から除くということで、先般の参考人質疑で、対象外となる農業委員会が、東京、愛知、大阪等都市部を中心に二十三市区町村くらいだというお答えでありました。ただ、現在でも基準面積以下で農業委員会を置いている市町村が八七%もあるから、必要なところは置くんだということのお答えだったと思うんです。

 ただ、今これがさらに引き上げられる、大幅に引き上げられる、そうすると交付金の算定基準も変えられるんだということで、非常に懸念がされているわけですね。二倍から三倍という声も聞かれていますが、どうなのか。東京都の農業会議は、四月六日に、「都市農業軽視の農業委員会法改正を糾弾する」という声明まで出しています。そういう現場の声に対して、審議を終わってから、大変な引き上げだったよということが後でわかったら困るわけですよね。

 どう現場の理解を得るのか、その点だけ伺って、終わります。

川村政府参考人 必置基準面積の引き上げでございますけれども、これは、今後の市町村合併に伴います農業委員会の区域の拡大の見通し、それから規模別の業務量等を勘案して、具体的な数値を精査いたしまして、政令で定めることにしております。

 なお、任意設置になりまして設置された場合は、一切交付金等の算定においても差を設けることなく、ほかのものと区別することなく交付金の対象とするということでございますので、これはちょっと現場での誤解があると思います。これはまた再度周知徹底をしたいと思っております。

高橋委員 ありがとうございました。

高木委員長 次に、山本喜代宏君。

山本(喜)委員 社民党の山本であります。

 農業改良助長法の一部改正案について質問いたします。

 農業改良普及センターの必置規制をなくして、普及指導センターを置くことができるという改正案でありますが、食料・農業・農村基本法では、普及事業の推進は国の政策として位置づけられているというふうに理解しています。食料自給率を向上させる、あるいは食料の安心、安全を確保するということは国が責任を持たなければならない課題であります。そして、国土保全、自然環境の保全も農業生産を通して確保されていくわけでございますが、農業生産を維持発展させるためには、農業改良普及事業は非常に重要な課題であるというふうに考えます。

 今回の法改正で、必置規制を廃止して、センターを置くか置かないか、これを都道府県の判断に任せるということでは、普及事業の全国的な展開が困難になるのではないかというふうな危惧を持たざるを得ないわけでございます。普及事業に対する国の責任、国の関与というものを今後どのように位置づけていくのか、お伺いします。

亀井国務大臣 農業の生産性の向上や農家のいわゆる経営の発展のために、技術開発、またその成果を地域の農業条件に応じた現場でのいろいろな形での指導、普及、こういうことは重要なことでありまして、この普及事業の重要性というものは十分あるわけであります。特に普及につきましては、いろいろ技術あるいは知識を的確に農業現場に伝えていく、こういうことが協同農業普及事業につきまして重要なことでありまして、そういう農政の新たな展開方向に即した取り組みの強化をいたさなければならないわけであります。

 そこで、協同農業普及事業は、今後とも、普及職員の持つ高度な技術力を背景に、新技術の導入やあるいは経営改善を支援するという農政推進の基本的な仕組みとして、その役割を十分に発揮していくことが必要であるわけでありまして、今回の改正におきましても、引き続き普及職員の必置規制と交付金制度につきましては堅持していくこと、このように考えております。

山本(喜)委員 今、大臣の方から農業において基本的な仕組みであるというような答弁をいただきましたが、これは、協同普及事業自体の堅持ということと、これに対する財源を今後とも確保していくということで理解していいでしょうか。

亀井国務大臣 スリム化の問題もありますけれども、交付金制度、これを堅持して、財源の確保に努力をしてまいりたい、こう思っています。

山本(喜)委員 ありがとうございます。

 次に、今のスリム化の中で普及事業の重点化をどのように確保していくのかということでございます。

 参考人質疑において普及事業の現場の声をお聞きしたわけでございますけれども、既に行革が進んでおりまして、普及センターの統廃合あるいは人員削減、これがどんどん進んでいる、そして現場になかなか足を運べなくなっているということ、農業者に対するサービスの低下ということも言われていました。そして、行政事務が多くなって現場の課題に対する時間がとれない、技術の習得の時間がないというふうなことも言われておったわけです。

 今回の改正案では、普及事業の重点化ということで、高度な技術革新の支援、あるいは地域農業のコーディネート、要するに、先ほどから言われているスペシャリストとアドバイザーという機能を持たせていくということでありますが、スリム化をどんどん進める一方で、果たしてこういうことが可能なのかどうか、これについてお伺いします。

川村政府参考人 スリム化につきましては、先ほどもお答えをいたしましたとおり、全般的に行政改革の中で進んでおります。そういう中で普及の機能を今後とも維持していくということになりますと、それなりの工夫が要るということでございます。これまでと同じようなことを同じようなやり方でやっていたのではなかなか対応できないと思います。

 そういう意味では、やはり普及がやるべきこと、そういうものを重点化、絞り込みまして、それに特化をしていくということ、基本的な方向ですがそういうこと、それからできるだけ現場へ戻っていくようなシステムというものを組んでいくということが基本的な考え方では必要だと思っております。そのためといたしまして、これまで二段階になっていて重層的になっていました職員のシステムを一本化することによって、より機動的に動けるようにしたいというのが一点、一元化の問題でございます。

 資格の問題も、そういう意味で、より現場を重視した形での、実務経験等を踏まえた上での資格制度にする。

 それから、今の御質問の中にも、研修する時間もないということが御指摘としてありましたが、これであってはならないので、まさに研修制度も、国の機関での研修、あるいはいろいろな大学等との連携も含めて、やはり研修制度を充実していく、こういうこともしっかりやっていかなくちゃいけない。そういうことも、この法律に直接は書きませんけれども、一体として考えておるところでございます。

 それから、組織形態につきましても、こういうスリム化の中で、都道府県を地区割りにして義務的に置くことが本当に現場のニーズに合っているのかという指摘がありましたので、必置規制を廃止することはしますが、もちろんセンターを置かなくていいということではなくて、やはり拠点となる施設はちゃんと置きなさい、それについては交付金もちゃんと交付しますという形でやるわけでございますので、むしろ、都道府県が自分たちはこうやりたいというセンターを積極的につくっていただく。

 私はよく言うのは、まさに普及の中心は人である、まず人をちゃんと確保しなくちゃいけない、それから技術を高めなくてはいけない、それから現場だ、現場にやはり密着しなくちゃいけない、それからやはりコーディネートといいますか、県の職員でありますからいろいろな機関をコーディネートできる、求心力として働ける、この四つが柱となって今後はやっていかなくちゃいけないと思っております。

 時代の流れでスリム化というのはなかなかあらがえませんけれども、その中でどうやったら普及がこれまで以上の機能を発揮できるかということで考えまして、今回はこういうことを提案させていただいているということで御理解いただきたいと思います。

山本(喜)委員 今答弁がありましたけれども、センターの必置規制をなくすけれども、拠点は置くということなんですね。

 それから、今の、現場に戻る、現場にちゃんと行けるようにということでありますが、現状でもなかなか、サービスが低下をしている、窓口がどこにあるかわからないという農家の方の要望があるわけですよ。これらサービスの低下ということに対して、これが果たしてこたえられる中身になるのかどうか、この点、もう一度お伺いします。

川村政府参考人 私どもが実施しました実態調査におきましても、なかなか、デスクワークの方のウエートが高まっているという実態がございます。これはやはり、どちらかというと行政的な事務、そういうものを普及がかなり肩がわりといいますか分担をしているという実態があると思います。

 そういうこともありますと、やはり普及が本来やるべきところに重点化をして、焦点をそういう現場指導にできるだけ持っていくという努力を今後はしなくちゃいけないということだと思っております。

山本(喜)委員 ぜひ、現場を重視するような普及活動をお願いしたいというふうに思います。

 それから、普及手当の弾力化についてであります。

 今回、上限を廃止するということでありますが、これは、研究職であり教育職であるということで、優秀な人材を確保するという上から制度化された経過があるわけでございますが、今回一元化した後、新たな普及指導員は大変難しい試験に合格しなければならなくなるわけです。手当の上限の廃止ということからすれば、今までの行革の流れからして、これは手当が下がっていくことは明らかだと思うんですが、現状八%と一二%の上限規定というのが各都道府県でどのように適用されているのか。数字はあるんでしょうか。

川村政府参考人 専門技術につきましては給与の月額の八%、それから改良普及につきましては給与の月額の一二%の範囲内ということになっておりますが、具体的には、都道府県の条例に基づきまして支給されております。

 ただ、現状を見ますと、ほとんどの県はもう例外なく、専技につきましては八%、それから改良普及につきましては一二%という実態になっております。ただ、役付になったときに多少の調整があるという実態はございますけれども、原則はそういうことで上限に張りついているということでございます。

山本(喜)委員 ほとんどの県が八%、一二%を大体目安としてやっているということだと思うんですが、やはり、人材確保ということになればそれなりの処遇というのが必要だということの理解だと思うんですよ。

 それで、今後優秀な人材の確保、あるいはスペシャリストを配置するということについて、先ほども答弁があったと思うんですが、それなりの処遇というものについては考えているんでしょうか。

川村政府参考人 まさに普及という仕事は、他の行政職と違いまして非常に特殊でもございますし、高度な専門技術も、また現場能力というものも必要でございますので、優秀な人材確保、そういう職務にかんがみますと、やはりこれまで同様、手当の支給というのはこれは不可欠だというふうに思っております。そのための規定も存置をしております。

 ただ、上限を縛るということは、やはり裁量を拡大するという意味からはふさわしくないので、今回は上限の撤廃をしたということでございます。

山本(喜)委員 ということは、手当の必要性、手当の趣旨というものについても、各都道府県に周知をしていくということで理解していいですね。

川村政府参考人 普及手当の趣旨なり必要性、またその理屈といいますか理由といったようなものについては、十分に都道府県に周知を徹底いたしますし、また今、今後のビジョンづくりということで関係者の方々にお集まりをいただいて検討しておりますが、その中でも十分意見交換をしていきたいというふうに思っております。

山本(喜)委員 次に、経過措置であります。

 改良普及員から普及指導員への移行でありますが、この一元化によって現在の改良普及員も再受験が必要になるわけでございますが、その場合、現場の人材確保に支障が出ないように、スムーズな資格の移行というのが必要と考えますが、この点についてはどうでしょうか。

川村政府参考人 一元化に伴いまして、経過措置を置いております。

 専技の方につきましては、ほぼ、今後目指すべきものが同等以上ということでございますので、基本的にみなしを置きまして、引き続き普及指導員として存続といいますか資格を有される。

 それから、今改良普及員の方につきましては、三年間みなし規定を置きます。その間に再受験をしていただくということで、かつ、試験の内容につきましては、今いろいろ検討してございますが、まだ結論が出たわけではございませんが、これまでの経験とかそういうものを十分試験の中で配慮できるような形で、現在いらっしゃる普及員の方が円滑に移行できるような仕組みは検討したいと思っております。

山本(喜)委員 次に、普及センターの長についてであります。

 今回、改正案で、普及センターの長が改良普及員の資格がなくてもいいようになるわけですが、この間の参考人質疑の中で、やはり普及事業というのは、農家の方々と直接触れ合って、信頼関係で成り立っているというふうなことが言われていました。一方通行になるようなことになると大変この事業に支障を来してくるということも言われていたと思います。

 そうした普及事業の特性というものに配慮して、センター長については、普及事業に対する見識と経験というものを有する方が配置されるように配慮していただきたいんですが、この点についてのお考えをお伺いします。

川村政府参考人 普及センターにつきましては、今の義務づけというもの、地域改良普及センターの義務づけはやめます。それで弾力的、機動的な事業展開を図れるようになるわけでございますが、そういうふうに組織体制を県の裁量で自由に設定できるということにしていますので、まさに普及指導センターの長についてさらに国がいろいろ義務づけをするということは不適切だと思っております。

 ただ、普及指導センターというのはまさに普及員の活動の拠点でございまして、それがいかに円滑に、効率的に活動できるかは、やはりそのセンターの長の資質というものが非常に大きな意味を持つと思います。そういう意味では、改正後の新体制のもとにおきましても、そういうセンターの長の方は、普及の事業に関しましてやはり高度な知識、経験等を有される方がつかれるというのが自然な形ではないかというふうに思っておるところでございます。

山本(喜)委員 次に、農業法人等の新規就農者の労働条件についてお伺いします。

 今回の法律は、主に資金面の援助ということでございますけれども、農業生産法人への就農形態がふえているわけでございますが、例えば農業会議所が、全国新規就農相談センターを設置して、農業分野の人材確保、育成に取り組んでいます。それから、都道府県農業会議も、無料職業紹介事業に取り組むということで準備が進められています。そうした中で、農業法人の労災保険あるいは雇用保険などの適用というものはどうなっているのか、お伺いします。

大石政府参考人 農業法人の場合が他の一般の事業所と特に異なる取り扱いがなされているというわけではございませんで、雇用保険において、いわゆるパート労働者の一部でありますとか、そういった被保険者の一部について除かれている部分というのはございますけれども、それ以外の部分につきましては雇用保険あるいは労災保険の適用事業となっている、こういうものでございます。

山本(喜)委員 その加入状況の数字はあるんですか。

高木委員長 大石大臣官房審議官、ちょっと声を大きく。

大石政府参考人 私ども、農業法人のみを取り出したデータを持ち合わせておりません。ただ、それを含めた農業全体、つまり法人と個人事業主を合わせた数字ということで申し上げますと、平成十四年度末で、労災保険につきましては約三万五千事業所、雇用保険につきましては約一万の事業、こういうところが適用となっております。

山本(喜)委員 パーセンテージはわかりますか、何%か。

大石政府参考人 そのパーセンテージというのは、適用すべき事業の中でどのぐらいかという御趣旨であるかとすると、そもそも農業全体においてどの程度の事業が適用になるべきかというところについては必ずしもデータを持ち合わせておりません。

 というのは、保険制度そのものによって、労災によっても、また雇用保険によっても違いますけれども、特に農業分野は、個人事業主等が多い、あるいは労災保険であれば特別加入制度に加わっている人たちも多いというような中で、全体をとらえるのが非常に難しくなっております。その意味で、全体の農業分野におけるパーセント、適用のパーセントというものを出すのはちょっと難しい状況にございます。

山本(喜)委員 今回の青年等就農支援の法案でありますけれども、資金面の援助は大変結構なわけですが、農業分野における作業中の事故というのが大変多いわけでございます。トラクターでひっくり返ってけがをするとかあるいは亡くなる方も多いわけでございます。

 そうした意味で、資金面だけでなくて、そうした労働条件の面、あるいは雇用していくということですから、簡単に解雇をされないようにということでの支援ということも必要だと思いますので、そうした点からの留意というものをぜひお願いして、質問を終わります。

高木委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

高木委員長 ただいま議題となっております各案中、まず、内閣提出、農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案について議事を進めます。

 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。高橋千鶴子君。

高橋委員 私は、日本共産党を代表し、農業委員会等に関する法律の一部改正案について反対討論を行います。

 反対の第一の理由は、農業委員会の必置基準面積の算定から生産緑地以外の市街化区域内農地面積を除外すること、これは、三大都市圏の市街化区域を抱えている自治体から農業委員会を廃止することを促進することになり、その結果、都市農業の振興に障害をもたらすことになるという点であります。

 第二の理由は、農業委員会の法令業務以外の任意業務について、農地に関する業務及び農業経営の合理化に関する業務に重点化することは、農業委員会の本来の発展方向ではなく、政府の農業構造改革路線の推進部隊に農業委員会を据えることになり、認めることはできないという点であります。

 また、選挙委員の下限定数の条例への委任は、農業委員会における選挙委員の役割を低下させ、今後の農業委員の公選制の廃止に道を開くものであり、賛成することはできません。

 以上、反対理由を述べて討論とします。

高木委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、松野博一君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合の四会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。松野博一君。

松野(博)委員 自由民主党の松野博一でございます。

 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合を代表して、農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、担い手・農地施策の推進主体である農業委員会が、その機能を一層効果的・効率的に発揮することができるよう、左記事項の実現に努めるべきである。

      記

 一 農地制度に関する業務の執行の全国的な統一性、公平性、客観性を確保するとともに、国際化の進展に対応し得る力強い農業経営の確立に向けた構造政策を加速するため、今後とも、独立した行政委員会としての農業委員会の必置規制を堅持すること。

 二 農業委員会の必置基準面積の見直しに当たっては、優良農地の確保と有効利用並びに構造政策における農業委員会の役割、法令業務の実態、市町村合併の進捗状況等を十分に勘案し、適正に決定すること。

 三 女性・青年農業者、意欲ある担い手及び法人経営者等が地域農業の持続的発展に果たす役割の重要性にかんがみ、それらの農業委員への積極的な登用に向け環境整備に取り組むこと。

 四 市町村合併の進展に伴う農業委員の活動の広域化等に対処するため、農業委員の活動を支える協力体制の整備を図ること。また、現場段階での総合的な農政推進の体制づくりに向け、市町村、農協、普及センター、土地改良区等の農政推進機関との役割分担を明確にしつつ、連携を一層強化すること。

 五 農業委員会交付金については、交付金が法令業務の厳正かつ適切な執行に果たしてきた役割を十分踏まえ、農業委員会の業務が効果的・効率的に実施されるよう、その在り方を検討すること。

 六 新たな食料・農業・農村基本計画の策定作業における担い手・農地制度の見直しに当たっては、農業委員会が構造政策の推進に果たす役割を踏まえ、望ましい農業構造・土地利用の実現、意欲ある担い手の確保を旨として、検討を進めること。

  右決議する。

 以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。

 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

高木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣亀井善之君。

亀井国務大臣 ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。

 附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、今後最善の努力をいたしてまいります。

    ―――――――――――――

高木委員長 次に、内閣提出、農業改良助長法の一部を改正する法律案について議事を進めます。

 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。高橋千鶴子君。

高橋委員 私は、日本共産党を代表して、農業改良助長法の一部を改正する法律案に反対の立場で討論を行います。

 反対理由の第一は、地域農業改良普及センターの必置規制を廃止することです。

 農林水産省は、協同農業普及事業交付金を今後三年間でさらに二割削減することを約束しており、必置規制をなくせば、財政悪化に苦しむ都道府県が普及センターの廃止縮小を図ることは避けられません。普及センターは、普及職員の活動の拠点として、これ以上の機能低下は避けなければならず、必置規制は維持すべきです。

 第二に、普及職員の一元化に伴い、協同農業普及事業の性格が変更を迫られることです。

 法改正による普及職員の一元化に伴い、農林水産省は運営指針の見直しを行い、普及指導員が担う協同農業普及事業の内容について、普及事業の在り方に関する検討会報告に沿った見直しを行うとしています。これにより、国の交付金対象となる協同農業普及事業の対象となる活動は、先進的な経営体への高度な技術革新の支援となり、多様な就農者等の技術レベルの底上げのために支援等は、協同農業普及事業から除外されることになります。また、業務内容の縮小とともに、交付金の二割削減に伴い、普及職員の人員削減も避けられません。

 今回の改正は、国が責任を持つ協同農業普及事業の内容を大幅に縮小、後退させ、現に地域農業を支えている大半の生産者をその対象から除外するものであり、地域農業を衰退させるものであります。

 以上、反対理由を述べて、討論とします。

高木委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

高木委員長 内閣提出、農業改良助長法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、北村誠吾君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合の四会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。山田正彦君。

山田委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合を代表して、農業改良助長法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    農業改良助長法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、農業者が求める高度で多様なニーズに対応し、都道府県の自主性を一層発揮した協同農業普及事業の積極的展開が図られるよう、左記事項の実現に努めるべきである。

      記

 一 協同農業普及事業は普及職員という「人」によって成り立っている事業であることにかんがみ、今後とも、普及職員の必置規制を堅持すること。また、協同農業普及事業の運営に当たっては、自らの創意工夫による多様な取組を展開する経営体等の技術革新を支援するとともに、市町村、農協等の関係機関や農業集落のリーダー等との連携の下、地域農業の持続的な発展を図ることを基本的な課題として位置付けること。

 二 普及職員の一元化に当たっては、普及指導員に求められる機能並びに高度な課題解決型能力の確保に配慮しつつ、資格試験制度を構築するとともに、普及指導員を計画的に養成するための研修を充実強化すること。また、普及指導を継続的かつ安定的に実施するため、現職の改良普及員が地域農業の振興等に寄与してきたこれまでの実績を十分に勘案し、普及指導員への移行を円滑に行うこと。

 三 普及指導センターの設置に当たっては、普及指導員の活動拠点及び農業者等に対するサービス提供の場としての機能が十分果たせるよう、組織体制を整備充実するとともに、センター長については、普及事業に関し高度な見識と経験を有する者の配置が確保されるよう十分配慮すること。

 四 普及手当の上限規定の廃止に当たっては、今後とも、普及指導員に求められる技術指導力の高度化等に対応し得る優秀な人材が確保されるよう、その趣旨の周知徹底を図ること。

 五 協同農業普及事業交付金については、農業の発展及び食料の安定確保に普及事業が果たす役割、普及事業における国の責務、国と都道府県との役割分担の重要性を踏まえた上で、事業の効果的・効率的な実施に資するよう、その在り方を検討すること。

  右決議する。

 以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。

 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

高木委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣亀井善之君。

亀井国務大臣 ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。

 附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、今後最善の努力をいたしてまいります。

    ―――――――――――――

高木委員長 次に、内閣提出、青年等の就農促進のための資金の貸付け等に関する特別措置法の一部を改正する法律案について議事を進めます。

 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、青年等の就農促進のための資金の貸付け等に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

高木委員長 次に、内閣提出、家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案及び菅直人君外六名提出、高病原性鳥インフルエンザ対策緊急措置法案の両案を一括して議題といたします。

 これより順次趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣亀井善之君。

    ―――――――――――――

 家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

亀井国務大臣 家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。

 畜産の振興を図るため、農林水産省といたしましては、従来から、家畜の伝染性疾病の発生の予防及び蔓延の防止に努めてきたところであります。

 しかしながら、高病原性鳥インフルエンザの発生に関し、農家の届け出が行われず、生きた鶏の出荷先で感染が拡大するといった事例が生じました。また、本病に関しては、広範囲かつ長期間の移動制限が必要となることから、移動制限の対象となった農家の経営に大きな影響が生じたところであります。このような状況を踏まえ、届け出義務違反に関するペナルティーを強化するとともに、移動制限を受けた農家に対する助成措置を制度化するなど、より的確に蔓延防止が図られるようにするため、この法律案を提出することとした次第であります。

 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、疾病発生時の届け出義務違反に関するペナルティーの強化であります。家畜等の所有者に交付される手当金について、家畜伝染病の蔓延防止に必要な措置を講じなかった者に対しては、これを支払わないこととするとともに、家畜の所有者が届け出義務に違反した場合の罰則を引き上げることとしております。

 第二に、家畜等の移動制限を受けた畜産農家に対する助成の制度化であります。こうした畜産農家に対し、都道府県が売り上げの減少額や飼料費、保管費、輸送費等を助成する場合には、国がその二分の一を負担することとしております。

 第三に、都道府県の防疫事務の費用に対する国の負担であります。都道府県の防疫事務の円滑な実施を図るため、従来から国が負担しているものに加え、防護服等の衛生資材の購入費や賃借料、家畜防疫員がみずから患畜等の死体や汚染物品の焼却、埋却を行った場合の費用について、国がその二分の一を負担することとしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

高木委員長 次に、提出者篠原孝君。

    ―――――――――――――

 高病原性鳥インフルエンザ対策緊急措置法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

篠原議員 ただいま議題となりました高病原性鳥インフルエンザ対策緊急措置法案につきまして、民主党・無所属クラブを代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 本年一月、我が国において、七十九年ぶりとなる高病原性鳥インフルエンザが発生し、家禽の生産者を初めとする関係者はもとより、国民生活に大きな混乱が生じております。

 鳥インフルエンザの問題は、単に家畜衛生上の問題のみならず、食の安全、安心や、人への感染の防止等の国民生活にも密接に関連する重要な問題であります。この問題に対処するため、民主党・無所属クラブは、家畜伝染病予防法の改正では不十分と考え、有事に対処するための時限の特別立法として提案することとした次第です。

 我々民主党・無所属クラブは、国家の危機管理として、国が責任を持ってこの問題に対応すべきとの基本的スタンスにあります。この考えのもと、鳥インフルエンザの予防及び蔓延の防止のための届け出義務の強化、家禽の生産者等に対する損失の全額補てん及び防疫措置に要した費用の全額国庫負担等を内容とする緊急措置を、総合的かつ一体的に推進することとした次第であります。

 以下、政府案との違いに焦点を当てて、法案のポイントについて御説明申し上げます。

 まず第一に、民主党案では、縦割り行政がもたらす弊害を排除し、鳥インフルエンザの発生に緊急に対処するための施策等を総合的かつ一体的に実施するため、内閣府に内閣総理大臣を本部長とする高病原性鳥インフルエンザ緊急対策本部を設置することとしております。

 第二に、国は生産者の損失を全額補てんすることとしております。

 京都の例では、鳥インフルエンザの通報がおくれました。発病が確認されると膨大な損失を受けるということが、報告をちゅうちょさせた原因の一つではないでしょうか。鳥インフルエンザは、生産者の責めに帰すべきものではありません。被害を受けた生産者や移動制限を受けた者に、全責任を持って全額損失補てんを行うべきと考えます。これによって、早期発見と通報が可能になり、混乱が広がるのを防止しやすくなると思います。

 この点、政府案では、移動制限命令に協力した畜産農家に対する二分の一の助成にとどまっております。

 第三に、鳥インフルエンザの早期発見のための措置として、獣医師や家禽の所有者に対し、感染したおそれがある場合にも届け出義務を課し、違反者に対しては罰則を科すこととしております。

 この点、政府案は、おそれのある場合の届け出義務を規定しておりません。

 第四に、鳥インフルエンザの発生により経営が不安定になっている生産者のみならず、製造、加工、流通、販売業などの関係事業者に対し、無利子の貸し付けなどの救済措置を講ずることとしております。

 このほか、民主党案では、人への感染の予防のための措置、鳥インフルエンザに関する知識の普及、調査研究体制の整備、予防のための自主的措置に対する支援などを総合的に講ずることとしております。

 この法律は、高病原性鳥インフルエンザの今後の動向も見きわめつつ、さらに抜本的な対策を平成十六年度末までに講ずるものとし、平成十七年三月三十一日までの時限立法としておるところであります。

 以上が、高病原性鳥インフルエンザ対策緊急措置法案の趣旨であります。

 委員各位の御賛同をお願い申し上げまして、趣旨の説明を終わります。

高木委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十四分散会


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