衆議院

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第16号 平成16年5月18日(火曜日)

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平成十六年五月十八日(火曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 高木 義明君

   理事 北村 誠吾君 理事 西川 京子君

   理事 松下 忠洋君 理事 松野 博一君

   理事 黄川田 徹君 理事 小平 忠正君

   理事 山田 正彦君 理事 白保 台一君

      赤城 徳彦君    石田 真敏君

      小野寺五典君    大野 松茂君

      梶山 弘志君    金子 恭之君

      木村 太郎君    後藤 茂之君

      後藤田正純君    佐藤  勉君

      玉沢徳一郎君    津島 恭一君

      永岡 洋治君    西村 康稔君

      野呂田芳成君    平井 卓也君

      二田 孝治君    岡本 充功君

      鹿野 道彦君    金田 誠一君

      岸本  健君    楠田 大蔵君

      篠原  孝君    神風 英男君

      仲野 博子君    楢崎 欣弥君

      堀込 征雄君    松木 謙公君

      赤松 正雄君    高橋千鶴子君

      山本喜代宏君

    …………………………………

   農林水産大臣政務官    木村 太郎君

   参考人

   (全国農業協同組合中央会会長)          宮田  勇君

   参考人

   (全国農業協同組合連合会代表理事理事長)     田林  聰君

   参考人

   (全国共済農業協同組合連合会代表理事理事長)   前田 千尋君

   参考人

   (とぴあ浜松農業協同組合代表理事組合長)     松下  久君

   参考人

   (東北大学大学院農学研究科教授)         両角 和夫君

   農林水産委員会専門員   和田 一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十八日

 辞任         補欠選任

  西  博義君     赤松 正雄君

同日

 辞任         補欠選任

  赤松 正雄君     西  博義君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第八九号)


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案審査のため、本日、参考人として、全国農業協同組合中央会会長宮田勇君、全国農業協同組合連合会代表理事理事長田林聰君、全国共済農業協同組合連合会代表理事理事長前田千尋君、とぴあ浜松農業協同組合代表理事組合長松下久君、東北大学大学院農学研究科教授両角和夫君、以上五名の方々に御出席をいただき、御意見を承ることにいたしております。

 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場で忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査の参考とさせていただきたいと存じます。よろしくお願いを申し上げます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、宮田参考人、田林参考人、前田参考人、松下参考人、両角参考人の順に、お一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得ることになっておりますので、御了承願います。また、参考人は委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。

 それでは、宮田参考人にお願いいたします。

宮田参考人 おはようございます。ただいま御紹介をいただきました全国農業協同組合中央会の会長の宮田でございます。

 先生方におかれましては、日ごろから農業、農村並びにJAの発展のために特段な御指導、御尽力をいただいておりますことを、この機会に厚くお礼を申し上げます。また、本日は、農林水産委員会の重要な審議の場で農協法等改正法案について意見を述べる貴重な機会を賜り、重ねてお礼を申し上げます。

 昨年の十月に、JAグループが結集をしJA全国大会を開催し、JA改革の断行を決議いたしました。大会決議の具体化を図るべく、本法案を何としても今国会で成立をさせていただきたく、お願いを申し上げる次第でございます。

 御高承のとおり、我が国経済社会が大きな転換期を迎えている現在、食料、農業、農村が抱える課題も多様かつ困難さを増しております。具体的な課題といたしましては、WTO、FTA交渉、水田農業ビジョンの策定等米政策、さらに、食料・農業・農村基本計画の見直しなど重要課題に直面をいたしておりますが、これらの課題の動向は、農業、農村の将来を大きく左右するものであり、JAグループといたしましても十分な対策が求められているものと認識をいたしております。

 また、こうした情勢変化や競争の激化により、JAの事業、経営も大きな影響を受け、事業利益の減少傾向も続いております。地域の農業を発展させ、組合員の期待にこたえる事業を今後も継続して展開していくためには、その基盤としてのJAの経営改革への取り組みが不可欠となっております。

 以上のような情勢認識のもと、重要課題に的確に対応していくため、JAグループは、昨年十月に第二十三回JA全国大会を開催し、次の四つの事項、一つは、消費者への安全、安心な農産物の提供と地域農業の振興、二つ目は、組合員の負託にこたえる経済事業改革、三つ目は、経営の健全性、高度化への取り組みの強化、四つ目は、協同活動の強化による組織基盤の拡充と地域の活性化、この四つを重点実施事項とし、JA改革を断行することを決議いたしました。

 率直に申し上げまして、これまで、大会の決議の内容が必ずしも十分に実践をされていないのではないかという御指摘をいただくことがございました。そうした点も反省をし、今回の大会は、開かれた大会、実践する大会をスローガンに掲げ、消費者の方々の参加もいただいて開催をいたしました。さらに、大会決議の内容を確実に実践するため、昨年十二月に行動計画を策定いたしました。定期的に進捗管理を行うことにより、着実な実践を期してまいりたいと考えております。

 次に、大会決議の四つの重点事項のポイントを説明いたします。

 まず、一点目の安全、安心な農産物の提供と地域農業の振興につきましては、生産履歴記帳の徹底や消費者との触れ合いを促進し、安全、安心な国産農産物の流通に努めます。また、地域水田農業ビジョンを基本とした米政策の推進と営農、販売の強化を図ります。

 二点目の経済事業改革につきましては、JAの最も本格的な事業であるとともに、組合員からの期待も高く、かつ経済事業部門の収支改善も迫られていることから、特に最重点実施事項として位置づけております。具体的には、昨年十二月の全中理事会で、改革宣言とも言える経済事業改革指針を決定いたしております。

 この指針におきましては、生産資材価格の引き下げや消費者に接近した農産物販売等を目指す事業目標と、経済事業部門の収支の改善を目指す財務目標を掲げますとともに、全国段階と都道府県段階に経済事業改革本部を設置し、中央会系統と経済事業系統はもちろん、すべての事業系統が連携をし、改革を進めることといたしております。全国段階の指針を踏まえ、都道府県段階、JA段階におきましてもそれぞれの実情を反映した取り組み方針を策定し、改革の取り組みのスタートといたしております。

 三点目の経営の健全化、高度化への取り組み強化につきましては、事業の再構築や人員の再配置などを通じJA経営の改善に取り組みます。また、トップマネジメントの強化や役員の資格要件の整備など経営管理体制の強化に努めていきたいと考えております。

 最後に、協同活動の強化による組織基盤の拡充と地域の活性化でございますが、女性、担い手層の積極的なJA運営への参画を促すとともに、組合員ニーズに応じた事業や組合員加入の促進を初め、地産地消、食農教育、高齢者・健康対策などにも取り組みます。

 以上申し上げましたように、JAグループといたしましては、経済事業改革を初めとする大会決議事項をみずからの課題として自主的に実践をしていく決意ではありますが、この実践の取り組みをより確実に促進する観点から、昨年来、農林水産省に対して、制度面から支援措置を講じていただくよう要請をしてまいりました。

 その主な要請事項といたしましては、第一には、消費者に直結をした販売事業を促進する観点から、他の組合の組合員の生産物の販売を組合間で連携して行う場合には員外利用規制の対象外としていただきたいこと。第二は、改革を一体的、効率的に進める観点から、全中が指導事業に関する基本方針を決定することを法律に明記していただきたいこと。第三には、未合併JAの合併を促進する観点から、吸収合併の場合の手続を簡素化していただきたいこと。第四には、共済事業につきまして、組合員の利便性の向上や契約者保護の充実、一層の健全性確保の観点から、保険業法に準じて法定化をしていただきたいこと。また、第五に、中央会の監査機能が平成十四年度から統合されている実態に合わせる観点から、JAに対する決算監査等の機能を全中に集約していただきたいことなどであります。

 今回の農協法等改正法案は、ただいま申し上げました事項を初め、私どもの要望事項をほぼすべて盛り込んでいただいております。したがいまして、JAグループといたしましては、ぜひとも今国会におきましてこの改正法案を成立していただきますよう心から要望を申し上げる次第でございます。

 最後になりましたが、本日、このような発言の機会をいただきましたことを改めてお礼を申し上げますとともに、全国の農業者、農村が希望を持って日々の営農にいそしめるように、今後とも、先生方の特段の御指導、御尽力を賜りますよう重ねてお願い申し上げまして、私の意見陳述とさせていただきます。

 本日は、まことにありがとうございます。(拍手)

高木委員長 ありがとうございました。

 次に、田林参考人にお願いいたします。

田林参考人 ただいま御指名いただきました全農の理事長の田林でございます。

 議員の皆さんには、日ごろ全農の事業につきまして大変御指導、御協力をいただいていることにつきまして感謝申し上げる次第でございます。きょうはまた、ここの場で意見を述べさせていただく時間をちょうだいいたしまして、大変ありがたく思っております。

 系統事業を担う全農として、これから意見を述べさせていただきますが、先ほど参考人の宮田会長からのお話にもありましたように、全農としましても、今回の農協法改正の趣旨は、全農を含めた農協の経済事業改革をより一層促進するための法的措置を整備することにあると認識しております。ぜひ成立していただきますようお願い申し上げる次第でございます。

 さて、経済事業でございます。

 系統の経済事業につきましては、JAにおいて、全国の七割程度のJAの経済事業が赤字となっております。したがいまして、経済事業単独での収支を確立して、組合員への価格、サービスなどを部門として長期に維持できるように構造改革を進める必要があると認識しております。

 一方、全農におきましては、JAや組合員の皆さん方からの生産資材に対する御批判、あるいは統合の効果であるメリット還元の要請、消費者の皆さん方からは、安全、安心な農畜産物の提供の要望、さらに偽装表示などの不祥事の発生による社会的信頼の失墜などから、生産者、消費者の期待にこたえ、信頼を回復する改革が求められておると認識しております。

 このJAの経済事業改革及び全農の改革については、十五年三月の農協のあり方の研究会での御提言及び十五年十月の第二十三回JA全国大会の決議を経まして、現在改革に取り組んでいるところでございます。全農としましては、主体的に行うみずからの改革に全力で取り組むと同時に、JAの経済事業改革の支援を並行して行っていきたいというふうに思っております。

 まず、全農自身の改革についてであります。

 四点を改革の大きな課題として取り組んでおります。生産資材コストの低減、販売事業機能の強化、財務体質及び経営構造の改革、コンプライアンス体制の確立であります。

 生産資材コストの低減では、資材価格について、徹底した市場調査によりまして、期中でも価格引き下げを実施することや、あるいは担い手に対する大口価格の設定、海外対策による低コスト資材の開発、その普及の取り組みなど、組合員の生産資材コスト低減にこたえていきます。

 また、販売事業の強化としましては、消費者ニーズ、需給動向などの情報を迅速、的確に産地につなげていく仕組みづくりや、安全、安心の観点から、産地と消費者のニーズを組み合わせた商品開発、これは私ども全農安心システムと言っておりますけれども、それを進めてまいります。また、地産地消などへの対応、支援を行っていきます。

 全農の財務体質及び経営構造の改革におきましては、要員の削減や生産性の向上、子会社の集約、再編などを進めておりまして、十六年度では計画として統合メリット還元を計画しておりますし、また還元のめどが立ったことなど、徐々に効果が出てきたものと認識しております。

 コンプライアンスにつきましては、専任担当役員の設置あるいは専任部署、コンプライアンス委員会などを置きまして、行動規範、危機管理マニュアルを策定し、役職員の研修を徹底しているところでございまして、また、毎年二度の一斉点検を、食品部門などを中心としまして、全国本部、県本部、子会社が一体となって取り組んでおります。

 次に、JAの経済事業改革でございます。

 JAが実践することが基本でありますけれども、赤字が非常に大きい、あるいは非効率的な事業でありますAコープ店舗、これはJAのスーパーマーケットでございます、SS、これはJAのガソリンスタンドでございますが、物流などを拠点事業として位置づけまして、全農として改革を支援しているところでございます。全農の内部に専任部署を設置しまして、先ほどお話がありました全中や県段階の改革本部との共同で、県段階における改革プランの策定あるいはJAの事業改革への反映などに努めております。これからは、JAとの間で個別事業ごとに改善について協議を進めてまいりたい、このように思っております。

 次に、今回の法改正についてであります。

 経済事業については三点ございます。

 一つは、全中における基本方針を策定しまして、JAを指導する点でございます。法律に基づいて全中が基本方針を定めることにより、今回改革を始めましたように、中央会、全農、JAがまさに一体となって、全国統一して経済事業改革が実践できる、そういう意味でこれはかつてないことでございまして、改革の促進に大変有効であり、また意義が大きいというふうに考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 二つ目は、販売事業の強化のために、農協が他の農協の組合員の生産物の販売を行うことができるようにしてもらいたいということであります。この点につきましては、JAの多様な販売を促進する、そのことが農家組合員の所得向上につながるということでありますので、これもまたぜひお願いしたいと思います。全農も、需給や市場、消費動向など情報提供を進め、このJAの販売に対応してまいりたいと思っています。

 最後に、部門別損益の全農の総会への提出や、あるいは行政庁への提出義務でございます。組合員へのメリットの還元、サービス向上を図るためには、部門別の収支構造を明らかにし、しっかりした収支構造を確保することが必要だと思っておりますので、そういう意味でもこの法改正は大変重要だというふうに認識しております。全農としましても、従来から部門別の損益開示を進めてきましたけれども、これによって一層の改善を促進していく所存でございます。

 最後になりますけれども、全農は、JA、組合員、消費者の皆さんに安心して御利用いただける組織としまして事業展開を図ってまいりたい。私どもの全農改革並びにJAグループの改革につきまして、今後とも各委員の皆さん方の御理解、御協力をお願い申し上げる次第でございます。

 以上で意見陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

高木委員長 ありがとうございました。

 次に、前田参考人にお願いいたします。

前田参考人 ただいま紹介をいただきましたJA全共連の理事長を仰せつかっております前田でございます。

 きょうは、この農林水産委員会、参考人という形で出席をさせていただきましたことをまずもって厚く御礼申し上げたい、それからまた、平素より皆様方にはこのJA共済事業に対して格別の御理解と御支援を賜っておりますことに対しても厚く御礼申し上げたいと存じます。

 それでは、意見陳述をさせていただきます。

 農協は、御承知のとおり、農家組合員により構成される自主的な組織として、農家組合員の営農と生活に総合的に貢献するさまざまなサービスを提供しておるわけでありますが、私ども共済事業は、農協の総合事業の一環として、組合員及びその家族の生涯にわたるさまざまなリスクに備える生活保障を提供して、生活の安定、向上に資するということを目的に事業展開をしておるわけでありまして、この総合事業の一翼を担いながら、一人一人の組合員の保障ニーズに的確に対応できるよう、現在、事業運営に努めているところでございます。

 さて、農協の共済事業の法整備、御承知のとおり、昭和二十九年、議員立法によりまして農協法の改正をさせていただいたわけです。そこで農協が共済に関する施設を行うことができる旨の規定が設けられて、現在の事業の法的根拠を整備していただいたというのが経過でございます。その後、組合員の理解並びに皆さん方の御理解を得ながら全国展開をし、戦後の混乱期、ちょうど昭和二十三年に北海道で共済事業がスタートしたわけでございますけれども、この混乱期から農家組合員の生活の安定、向上のためにそれぞれの保障を実施して今日に至っているということで、私どもとしては、組合員あるいは地域社会にいささかとも貢献をしている、このように感慨を持っておるわけでございます。

 おかげさまで五十数年経過をしたわけでありますが、この結果、本年度、十六年の三月末の私どもの保有契約高、長期でございますが、三百七十五兆円、それから長期の契約件数で約千八百万件という規模にまで成長をさせていただいたわけでありまして、私どもとしても、今後ともこの社会的責任を果たすべく、これを自覚しながら事業運営に当たっていく必要があるだろう、このように認識をしております。これも単に組合員あるいは系統の役職員の御努力だけじゃなくて、今日ここにおいでの国会議員の先生方を初め関係各位にいろいろな意味で共済事業発展のための御支援、御尽力をいただいたたまものだというふうに思っておりまして、皆様方関係各位の御支援に対して心から感謝を申し上げたい、このように思っております。

 さて、今日、皆さん方御承知のとおり、共済事業も、景気低迷、農業従事者の減少あるいは高齢化という問題がございます。また一方、金融業界の再編もございまして競争も一段と激化をしておりまして、経済的、社会的な非常に激しい変化にさらされているのは御承知のとおりでございます。私どもとしてもこういう大きな変化に対応しながら、組合員に対して今後とも永続的なすぐれた保障を提供して責任を果たしていく、このために、全共連といたしましても、全国のJA組合との一体的な事業運営にさまざまな施策を投じて取り組んでいきたいと考えております。

 現在取り組んでいる何点かの御紹介をさせていただきます。

 一点は、組合員のニーズの変化、多様化に的確に対応して、保障提供機能を強化していきたいということでございます。

 御承知のとおり、少子高齢化が進展をしております。それからニーズも、保障ニーズから生存ニーズ、いわゆる医療、介護等の生存ニーズに変わってきておるわけであります。また、所得の伸び悩み等もございまして、短期、掛け捨て型の保障に変わりつつあるというのも御承知のところでございます。私どもとしても、特に農村市場の場合は高齢化が一般よりも進展が高いということもございまして、このニーズの変化に的確に対応していく、これが喫緊の課題だろうというふうに思っております。

 二点目は、共済事業の健全性、信頼性、これを一層高める、こういう取り組みを現在やっておるわけであります。

 今後の事業経営を左右する、健全性の課題という意味で左右をします逆ざや問題が一つございます。それと、将来発生するであろうと言われております巨大災害、これへの的確な対応、例えば東海沖あるいは東南海沖地震等々ございます。こういうものに対して、財務基盤の強化あるいはリスク管理の徹底に取り組んでおりまして、やはり何といっても、共済事業の信頼性の観点から、さらにコンプライアンスの体制の強化、徹底に取り組んでいるということでございます。

 それから三点目は、組合員の負担をより少なくするという意味で、事業運営の効率化に取り組んでいるということでございます。

 私ども系統組織としても、コストの低減を図るために、平成十二年の四月に、四十七都道府県共済連と全共連が一斉統合を果たし、一つの連合会という形で現在まで運営をしておるわけであります。そういう中で、今後ともこの経営環境の変化に対応して、民間保険会社に対抗できるべく、徹底した効率化、低コスト化に取り組んでまいりたい、このように思っています。

 今回の農協法の改正は、先ほども述べましたけれども、昭和二十九年以来の抜本的な改正でございます。

 近年は、金融制度の改革あるいは保険業法の改革等ございます。そういう中で、私どもとしても、健全性の確保とそれから利用者保護の充実に制度面からしっかりと体制を整えさせていただきたい、このように思っておりまして、今後とも組合員に対する保障責任を永続的に果たしていくという意味でも、今回の法改正というのは非常に重要なものであるというふうに思っております。先ほどからあいさつにございます昨年の二十三回大会、農協改革がございます。私どもとしても、共済事業の面からひとつ改革を断行してまいりたい、このように思っておるわけであります。

 法改正の内容は、既に皆さん方御承知のとおりでございまして、一つは、共済事業の健全性の確保のための措置がございます。例えば、共済金の支払い、ソルベンシーマージン比率がこれに当たります。第二点が、契約者保護を充実させる措置ということで、クーリングオフとかディスクロージャーの問題、これらがあろうかと思います。それと、経済状況の変化に対応した保障を継続するための契約内容の変更制度の導入というのがございます。それから三点目が、機動的な事業運営の措置と契約者の利便性の向上措置ということで、保険会社の業務代理あるいは共済代理店を通じた保障提供というのがあるわけでございます。

 こういう改正を実現させていただきまして、私どもとしては、事業の健全性、効率性が高まる、しかも、契約者保護を充実し、組合員にとってより信頼性の高い共済事業が展開できる、このように期待をしておるわけでございます。

 先ほどもちょっと触れましたように、総合事業の一環として私どもも事業を展開しておるわけでございまして、厳しい事業環境に対応しながら、組合員あるいは地域社会に貢献すべく、事業改革に総力を挙げて取り組みながら、組合員、契約者、利用者の期待と負託にこたえてまいりたい、このように思っております。

 どうか、こうした取り組みに対しまして、皆様方のお力添えを得ながら、法制度の面からも御支援をいただきますよう心からお願いを申し上げまして、私の意見陳述とさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)

高木委員長 ありがとうございました。

 次に、松下参考人にお願いいたします。

松下参考人 私は、静岡県西部の浜松市を中心とした三市五町の十四農協が平成七年四月一日に合併したとぴあ浜松農業協同組合代表理事組合長の松下久でございます。

 私の組合の概況を若干申し上げますと、組合員は六万六千二百二十七人、正組合員二万五千百八十七人、貯金高七千九百億、貸付金二千六十三億、長期共済の保有高四兆一千五十五億、農産物販売高二百三十八億、購買品供給高百八十四億で、正職員数は千四百四十五人でございます。自己資本額は四百四十億、自己資本比率は一六%でございます。

 このたび、農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案について申し上げます。

 農協は組合員に対して営農及び生活について総合的にサービスを提供しておりますが、組合員や消費者ニーズを的確に把握し、顧客満足度の向上と地域農業の振興に努めているところでございます。また、農協金融の保証を安全なものとするためには、農業信用基金協会が健全な運営を確保していくことを求められております。

 そこで、今国会に提出されております両法案について意見を述べさせていただきます。

 まず、農協法の改正について申し上げます。

 全国中央会及び県中央会は、指導事業と監査事業が車の両輪として機能しなければなりません。そのためには、全国農協中央会が指導事業に関する共通の目標となる基本方針を総会で決定し、県中央会が行う農協の組織、事業及び経営指導の基本方向や実施方法を定めて公表し、農協の指導を行うことは当然であると考えております。また、全国の農協の経営の健全性を図るためには、全国中央会に監査機能を集約して、全国統一基準で公平な監査を行う必要があり、現にその方向で進められていると思っております。

 次に、農協の農産物販売事業については年々厳しさを増しております。農協が他の農協の組合員の農産物を販売することは員外利用で規制されておりますが、今回の改正法案では、自農協の組合員等のためにする事業の遂行に妨げにならない限度において他の農協の農産物を販売することが適当と認められることは、農協間協同が促進され、時宜を得た改正案であると考えております。

 次に、全農と経済連についても、部門別損益の状況等についての経営情報は開示して、透明性を確保することは必要でございます。

 次に、共済事業について申し上げます。

 共済事業の利用者の保護については、共済契約の申し込みの撤回または解除の制度の導入が必要であり、共済契約に当たり、不適正な推進行為の禁止、重要事項の説明等の事業運営の適正化を図ることは、農協及び代理店においては当然のことでございます。私の農協におきましても、百三十五名の共済渉外の専門職員による事業推進を行っておりますが、特にこの点に留意しているところでございます。

 次に、自賠責、自動車共済の取扱店を取次店と現在しておりますけれども、今回の改正において、届け出により代理店となることになりましたけれども、この改正は遅きに失した感がございます。つまり、自動車事故が発生した場合、取次店では契約が成立しておりませんので、トラブルが発生するおそれがあります。今回の改正で損保会社と同様になりますが、一方では、代理店に対してクーリングオフや不適正な推進行為を禁止することも必要であると考えております。

 次に、農協合併及び事業譲渡の手続の簡素化については、昭和三十六年以降の農協合併助成法によって合併が進められ、現在総合農協は約九百三十となったが、組織、事業量及び財務内容等において大きな格差が出ております。

 農協合併は、総会、正組合員の特別議決、過半数の出席で三分の二以上が必要とされております。大規模組合が小規模組合を吸収合併するとき、大規模組合の総会議決を不要とすることは大変時宜を得ております。ところが、合併によって消滅する組合の総組合員数と総資産が存続組合の二十分の一、五%を超えない場合となっておりますが、この五%では大変規模が小規模でありまして、一〇%または二〇%に引き上げていただくのが現実的ではないかと思われるところでございます。

 次に、農業信用保証保険法の一部改正でございます。

 農業信用基金協会の業務、経営の健全性を確保して、弁済能力の充実を図っていただきたいと思っております。そのためには、財務基準がしっかりしているかどうか、体制はどうか等の基準を設けて、基金協会に対する指導監督を行うこと、さらには必要な命令を発することをしていただきたい。農協といたしましても、増資等の負担は伴うが、債権保全のためには安心した保証機関を望んでいるところでございます。

 次に、学経監事及び公認会計士の導入は、基金協会の業務並びに経営の健全性の確保から必要と認められます。

 また、農業信用基金協会の合併、事業譲渡については、各県の基金協会の規模格差が大きく出ております。財務健全化の面からも、合併、事業譲渡ができるようにすることが必要かと思います。

 以上、私の意見とさせていただきます。(拍手)

高木委員長 ありがとうございました。

 次に、両角参考人にお願いいたします。

両角参考人 皆さん、こんにちは。私は、東北大学の大学院におります両角と申します。どうぞよろしくお願いします。

 お手元にレジュメを用意させていただいていますけれども、私の農協に関する思いといいますか意見というのをこの機会をかりて述べさせていただきます。

 まず、今回の農協法の改正案を拝見しますと、昨年出されました農協のあり方に関する研究会、今村さんが座長をされていましたようですけれども、それを踏まえてつくられているということで、私は、今後の農業、農村の発展を考える上では非常に大事な法案であるというふうに思います。しかし、今の農業、農村を取り巻く状況ということを考えますと、まだまだ非常に不徹底といいますか、これからやることがかなりあるのではないかということで、私の考えておりますところを一応、きょうは三点ほど申し上げて、皆様の御参考になればというふうに思います。

 まず一点は、農協というのはその時々の目標、目的というのがあって今まで存在感を持ってきたということです。

 今の農協は、大体現在の農協の形になったというのが、昭和の戦前期ですね、昭和十年代ぐらいなんですけれども、そのときに今の農協の形ができています。その形というのは、農家が一〇〇%農協に入っているということ、それから、もう一つは総合農協、いろいろな事業をしているということですね。これは、一九三〇年代に、日本の農家が非常に貧しい時期、貧困問題にあえいでいる時期に農協を確立して、そこから脱出しようとした。

 その後、高度成長に至るまで、日本の農協の最大の課題というのは、ないしは日本の農業問題の最大の焦点というのは、農家の貧困ということであったわけですね。これは高度成長のときにほぼ解消しまして、そして、その後に問題になったのが、昭和五十年代以降問題になったのが、今日新農業基本法で問題になっております自給率の低下とか担い手の不足とか中山間地域の衰退とか多面的機能の後退、こういうことです。

 この問題は、かつての農家の貧困問題に比べると、より深刻な問題なわけですね。それは、日本に農業が維持できるかどうか、そういうことをあらわした問題というのが今日の問題であります。この問題に農協がどう対応するか、そもそも農業そのものがなくなってしまう、これに対応するのが今日の農協の使命になるのではないか、これが第一点でございます。

 それから第二点は、農業というのは、工業の論理と違って本当に自然に優しい、そういう生産をできる、もともとそういう性格を持った産業なわけです。しかし、今は工業の論理に従って、農業もほとんど工業と同じような状況になっている。例えばお米をつくるにしても、昔は太陽の恵みでお米をつくったわけですけれども、今はそうではなくて、石油の恵みでつくっているわけですね。

 今の農業に使っているエネルギーの七割、八割は石油を使ってやっております。そして、農業に投じたエネルギー以上のエネルギーが本当は農業から出るはずなんですけれども、今はその逆で、農業に投じたエネルギー以下のエネルギーしかとれない。これは機械化とか化学化とかを進めた結果でありまして、早くこういうことから脱しなければ、農業も工業と同じように、地球の環境問題の悪化を助長する、そういう産業にならざるを得ないというのが現状です。

 それで、積極的に農業は今の環境問題を解決する。例えば、農業というのは、今最大の特技は、農業が自然エネルギーを供給できる。バイオマスエネルギーというのは石油の十倍あるんですね、地球上に。これはただ、広く存在しているために非常にコストがかかります。ですから、とても石油にかなわないわけですけれども、本当に人類がこれから存続していこうとすれば、例えばバイオマスエネルギーを使う、それによって地球の温暖化を防ぐ、こういうことをしなければいけないわけですけれども、農業というのは、そういうことにもし真剣に取り組めば、世界の環境問題は解決できる、特に自然エネルギーを供給することによって解決できるというふうに考えます。これが第二点目です。

 それから、第三点目なんですけれども、今、農協法の改正で、基本的には総合農協を前提にして改正を進めておるわけです。総合農協は、先ほど申し上げましたように、既にこの形態は昭和戦前期に大体基本的にできたわけですけれども、どうもこの形ではやっていけないのではないか。部門別採算性ということで経済事業を黒字にしようという努力は大変高く私は評価しておりますけれども、ただ、現実にはこれはもうほぼ難しいというので、相当大幅にこの体制を変える必要があるだろうというふうに思います。

 私は、このレジュメにちょっと書いて、後で御興味があれば私の書いたものでも読んでいただければいいんですけれども、基本的には、今の総合農協は一緒にどんぶり勘定でやっているのを、分けようというのが今の考え方なんですけれども、それをさらに、もっと基本的に分けてしまう。農協を事業農協とコミュニティー農協、地区農協みたいなものですね。日本の農協というのは集落をベースにしておりますので、集落をベースにして活動する農協、これをコミュニティー農協と言っていいと思いますが、今の合併農協でいえば、旧支所とか昔の事業所みたいなものに当たるぐらいの単位、小学校の単位ぐらいを考えておりますけれども、そういう活動をする農協と、それから県単位ぐらいの大きさで事業をする農協、こういうふうに分ける。

 そして、そう分けることによって農家は参加意識を持つことができますし、分けることによって事業の効率を求めることもできるということで、それをネットワークで結んでいくような、決してばらばらにするということじゃありませんが、それを一体にして運営する。しかし、基本単位をきちっと決める。そういう意味で、事業農協とコミュニティー農協、イメージ的にいけば、一つの県ぐらいの単位の中に二十とか三十ぐらいのコミュニティー農協があって、一つか二つ、ないしはそれぞれ事業ごとにあってもいいと思いますけれども、事業農協を設ける、そんなようなことを組み合わせて事業をしていく。

 これは、スペインにモンドラゴンというおもしろい協同組合がありまして、百八十ぐらいの協同組合が一つの協同組合ネットワークをつくっておりまして、これは町そのものが協同組合なんですね。そういうものがありますけれども、そういうものを形態的には参考にできるんじゃないか。この中には御存じの方がいらっしゃると思いますけれども、私は、形態としてはそういうものを少し参考にしてこれからの農協のあり方を考えてはいかがかなと思います。

 それで、私は、農協をこういう体制に持っていけば、先ほど申し上げましたような、農業の新しい役割、農業からエネルギーを供給して、そして環境問題を解決する、こういうことに積極的に関与できるのではないかと思います。

 実は、私は今、岩手県環境ネットワークというネットワークを主宰しておるんですけれども、その仕事を本当は農協にやってもらいたい。農協が、本当に元気のある地域をつくっていくというところの中核になってもらいたい。そのために、新しい目的をしっかり定めて、そして体制を整える、こういうことを長期的に考えていただきたい。今回の改正をその一歩として高く評価しております。

 以上でございます。(拍手)

高木委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤田正純君。

後藤田委員 自民党の後藤田正純でございます。

 本日は、参考人の皆さんにおかれましては、大変お忙しいお時間、貴重なお話をいただきまして、ありがとうございます。

 ようやくここまで来たかという率直な印象でございますのが今回の農協法の改正だと思いますが、最後、両角先生からお話がありましたとおり、また資料も拝見させていただきましたが、大変示唆に富んだ資料だと思っております。まだまだこれから改正、改革というのは必要だということを思いながらも、第一歩としてはいいのかなというのが私自身の感想でございます。

 地元地域に行きましても、やはり農業評論家の方また経済評論家の方、多くの方が、農協についての改革が必要だということはほとんどの方がおっしゃっている中で、まず最初に、皆様方にお伺いしたいというか、宮田会長にお伺いしたい。

 農協というのは農家のための農協だと私は思っていますが、最近、農協のための農家になっているという御批判が全国的にあるという御認識はおありですか。まずそこの点を、感想としてお聞かせください。

宮田参考人 私も、北海道の新篠津というところで農協の組合長をしておりまして、そういったことで全中の会長をやらせていただいているんですけれども、基本的には、協同組合というのは地域の農業の実態を高めていく、そして、それを通じて、地域の農家の生活といいますか、そういったものを高めていくということが基本であります。私も、ずっと今まで農協の組合長をやっておりますけれども、そういう理念でもって進めておるわけでありまして、決して農協のための農協ではないということをまずもって申し上げたいと思っています。

 そういったことで、私も早くからこれに携わっておるわけであります。本当にまだ子供が小さい時期で、農作業の中心的役割を果たさなきゃならなかったんですけれども、そういった立場になったわけでありまして、農業の実態、体験を通じまして、どうしたら今の地域農業はよくなるだろうか、そして少しでも私の力でもって、そういう立場を与えていただいたら、自分の考えていることをぜひ具体的にあらわしていきたいということで農協の役員になって今日までおりまして、そういう考えは一貫して私は変わっていないと思って自負しております。

 そういうことは、北海道農協の中央会、さらには全国の中央会の会長をやらせていただきましても、基本的には私はその考えはずっとスタートの時点から不変でありますし、そういうつもりで基本的にいろいろな農協の各般の事業の推進の一翼を担って頑張っておるということをまず申し上げたいと思っております。

 よろしいでしょうか。

後藤田委員 改めて会長に確認をさせていただきたかったんですが、今のお言葉を聞いて大変心強く思いますし、その思いは、きょうお集まりの参考人の方々、皆一緒だと思いますが、それをいかに実行に移すかということがこれは難しいわけであります。

 日本の農協組織というのは、世界にもまれに見るコングロマリットだと思います。あれだけの資本力とあれだけの人員とあれだけの施設、設備、建物、あれだけのものを持ちながら、農家の方に対して、では、果たして一〇〇%のパフォーマンスができているのかどうかということを会長も常にお考えになっているということ、不変だということを今おっしゃっていただいております。

 しかし、当初の農協のあり方を考えてみましても、やはり貧農の方を協同してみんなで助け合って盛り上げていこうじゃないかという姿勢であったわけであります。それがある一定の年月を経まして、いわゆる農業以外の方々、非農家の方々と所得が近づいてきた。それによって、本来は、農協の仕組みというか役割というのはまた新たに変わっていくべきだったんですね。

 先ほど、両角先生からお話がありましたとおり、いわゆるコミュニティー、集落、そして事業、二分化すべきだ、まさに僕はそのとおりだと思いますし、そのタイミングを失ってしまって、農業だけじゃなくて、一方で共済だとか信用事業だとかまた生活事業、そういったところまで皆さん手を広げていった。一回やはりここら辺をきちっと、会長の時代に英断をしていただいて、すっきりとした形にすべきではないかと私は思っています。

 そのためにも、私は、組合長に権限をもっと持たせるべきだと思っています。しかし、権限を持たせると同時に責任を持たせるべきだ。だから、今回、農業事業と共済、信用事業をきちっと分けて管理する、採算を公表していく、これは最低限、会社として当たり前の話だと思っているんですね。それで、農業事業が赤字だったら、三年赤字だったら、僕は組合長を首にすべきだと思っています。それぐらいやらないと、普通の株式会社だったら株主が許さないんですね。いわゆる組合員が許さないのと一緒でありまして、やはりそのぐらいの覚悟を持って農業団体、系統の改革を私は進めていくべきだと。

 こんな話を自由民主党がするのもなかなか勇気が要ります。私が農協の話をすると、中央会から地元の農協にすぐ情報が行って、あいつを黙らせろみたいな話になる。こういうことは今後一切、事実としてありましたから、やめていただきたいなということも申し上げたいし、我が党も農政改革の流れで変わってきております。昔のような方々だけではありませんので、そのこともきょうお集まりの先生方には心強いと思っていただければありがたいというふうに思っております。

 そんな中で、今申し上げました責任と権限、これは本当に、トレードオフといいますか、大変重要なテーマだと思っておりまして、そのことについて今後、この改革、改正案をもとにきちっと系統内でマニュアルをつくっていくべきだと思います。しかし、現状は、理事会で互選というような現状がございますから、結局はなあなあになってしまうんですね。これは結局農家のためにならない、はっきり言って。

 だから、そこら辺も、会長、さっき冒頭におっしゃいましたが、何らかの手だてをすべきだと思いますが、その点について何か御意見がありましたら、お聞かせいただきたい。

宮田参考人 私は、基本的には、農協の常勤役員、組合長になるということは、農協の運営と地域農業の振興、さらにまた組合員の生活の安定、それからもう一つは、農協が一番大事なことは、地域への貢献、そういったものをやはり自分がどう考えていくかということですね。組合長になるのであれば、それぐらいの見識をきちっと持った中で、経営責任を腹に据えて携わっていくという姿勢が一番必要でありますし、そういった中で、日々の農協の経営も含めた、地域のそういったものをきちっと掌握していく、勉強といいますか、そういったものをきちっとやっていくという、やはり両方を兼ね備えていく考えというのは僕は絶対必要だと思いますので、それは基本的に持たなければならないということを強く申し上げたいと思います。

 特に、今申し上げたように、経営者の権限強化や責任の問題につきまして、平成四年の農協法の改正で、理事会と代表理事制が法定化をされまして、それぞれ理事の責任関係が法律上明確になってまいっております。また、平成八年の農協法の改正におきましても、業務の執行と監督を明確に分離する経営管理委員会制度も創設をされて今日に至っております。さらに、平成十三年の農協法の改正では、信用事業を行う組合における三人以上の常勤理事の必置も義務づけられまして、あわせて、金融機関としての健全性を確保するために、組合役員の兼職、兼業の規制が強化をされるなど、制度面での整備、責任体制の明確化がきちっと法で定められたということであります。

 改革を進めるために、私が前段申し上げましたトップの意思だけではなく、組合員と利用者が農協の事業や経営内容について正確な情報を知り、課題を共有することが大切で、今回の農協法の改正において組合の経営情報の開示を促進することが措置されておりまして、一連のガバナンス強化のための法改正と相まって、JA改革はスピードアップをするものと確信をいたしておるところであります。

 そういうことで、法的にも理事者、経営管理委員の権限というのが明確にきちっとされまして、そういったやはりきちっとした法にのっとった責任意識を持った中で農協運営に対応していくということが大事でありますし、先ほど言いました役員になる者としての心構え、資質の問題、やはりそういったものが相まった中できちっと地域の農協の運営をつかさどっていく、責任意識を高めていくということが私は大事ではないかと思っています。

後藤田委員 今、お話をお伺いしていまして、組合長と理事会の関係を法律で決めたということの御説明がありましたが、私にしてみれば、そんなものを法律で決めてもらうこと自体情けないと思いますね。自発的にやるものなんですよ、そんなものは。そして同時に、兼職、兼務の話がありましたが、私は、能力のある経営者が農協のトップにつくべきだと思っています。兼業でやってもいいと思います、僕は。やる気があります、頑張りますと言っても、結果を出さなかったら意味ないんですね。日本の農業はそこまで大変な時期に来ている。

 ですから、そういった今のお話を聞いていまして、これから農協の権限、また責任の問題というのは、今お話がありましたが、まだまだ十分ではないという感想を私は持ちました。

 もう一つは、コストの問題。先ほど申し上げましたが、日本の農協組織というのは、世界にまれに見るコングロマリットであり、大企業であります。大企業でありながら、例えば農業資材が高いなんということは、僕は考えられないんですね。これだけの購買力がありながら、ホームセンターに行った方が安いものがあるなどというのは、何を考えておるのか、そういう声を地元農業者の方からも聞きます。これは全国で先生方も多分御関心を持っていると思います。それが私は不思議でしようがない。

 お伺いしますと、いや、物流費が高いんだとおっしゃるんですね。物流費は、みんな同じですよ。もし物流費が高いからそうなんですということを言うのであれば、農協関係で例えばエーコープラインというのがありますね。では、エーコープラインという会社がなぜ一社で独占しているんですか。こんなものはもっとオープンにして、もっと安くして、今、自動車メーカーですら、系列外から、運賃も下げ、すべて下げ、コストダウンするということをやっているのに、エーコープライン、聞くところによりますと、どこかから天下りも入っているという話も聞きます。そういう中で、コスト削減という言葉を私は軽々に使うべきではないと。

 だから、そこら辺について、これは田林さんにお伺いをしたいと思いますが、コスト削減ということにつきまして、これから今回の法改正をもとにどうお考えなのかということを、ちょっと感想を聞かせていただきたいと思います。

田林参考人 意見陳述の中でも申し上げましたけれども、生産資材の価格が高いということについての御批判が、農家あるいは農協の役職員の方々から全農に対して大変強い批判が出てきていることは十分承知をしております。私ども、毎年、総代会をやりましても、その席でも、おっしゃられた生産資材の価格に対する批判が最も強いことでございまして、今一番力を入れてその改革といいますかコスト削減に対する施策を強化しているところでございます。

 特に、一番批判が多い農薬の問題です。

 農薬価格が、お話がありましたホームセンターが非常に安い。全農から出して農協経由で買うよりも一〇%以上も安いんだ、こういうお話が随分長い間出ておりまして、私どももこの間、数年にわたってホームセンターの価格調査を実施しております。全国で約百程度のホームセンターの農薬の価格調査でございまして、それによりますと、大体二十品目程度、私どもは千品目以上の農薬を扱っておりますけれども、そのうち二十品目程度の広範囲に使用する農薬の価格が、経済連あるいは農協の手数料を勘案しましても、私どもが実態的に負けているという実績が出てきました。

 おっしゃられた、どうしてあれだけの量を取り扱っている全農が地元のホームセンターに負けるんだということでございます。

 基本的には、私どもは、予約を積み上げて交渉して安値の価格を設定していくということでございますけれども、やはり、これだけ競争が厳しいということになりますと、相手もそれぞれいろいろ努力をしまして、一部の品目等について市況を出してくるということは当然でございます。したがいまして、出てきている私どもが負けているものについては、徹底的な交渉を行いまして値下げをし、全農として負けない価格を設定しているところでございます。

 また、農協における物流費が非常に高いということで、これは個別に農協がやっていてはだめなんじゃないかということで、県単位での物流を今手がけておりますし、また、数県一緒になった物流を将来的に考えていくということで、システムの統一ですとかあるいは拠点の整備ですとかいうことを今農協と一緒になって展開しているところでございますので、そういう意味で、今後ともコスト削減に努めて、負けない価格の設定の実践をしていきたいというふうに思っています。

後藤田委員 ありがとうございます。今のお話を聞いて、少し安心をしたところでございます。

 やはり、すべてにおいて安くなければ、これは農協組織を見ていますと、普通の経済合理性から考えて全く説明がつかないんですね、これだけの購買力がありながら。それは農機具とて同じでございます。そして、系列の運送会社等々がまだこれからも残るのであれば、これは私も徹底的にこれから監視をしていきたいと思います。そしてまた、天下りの問題、そういったこともきちっと社内で今後監視していくべきだと私は思っております。

 最後に、もう時間ありませんので、両角先生にもお伺いしたいと思いますが、資料を見ますと、第三点目、総合農協というお話がございます。まさに僕はこの視点が大事だと思っていまして、いつも申し上げます。一言で言うと、団体統合という考え方を実際やらないと、日本の農政はだめになる。

 つい先日は農業委員会の改革というか改正をやりました。今回は農協だと。要するに、日本の農業というのは、農協さんがあって、農業委員会が土地の転用をやって、土地改良区が農業土木をやって、県が普及事業をやって、市町村の産業課がまた地元の農業をやる。そして、農業開発公社なるものも県にあったりする。いろいろな陳情書を見ますと、この人たちはどこから来たか、差出人の名前を全部変えても、中身は一緒なんです、そういう要望書が多い、はっきり言いまして。

 だったら、もう一緒にしてしまえと僕は申し上げているんですね。ある県で農業開発公社というのを一つつくって、農協さんが中心になってもいいと思います、農業委員会のやることや土地改良、農業土木を全部総合的にやらないと、十年、二十年先の農政なんというのは考えられない。みんなばらばらでやっているわけですね。

 これは、加藤紘一先生、総合農政派と言われた加藤先生も同じような意見をよく自民党の会でもおっしゃっている。でも、これはいろいろ政治的に難しいんだということも農林水産省の役所の方はおっしゃる。そんなことを言っている場合ではないと私は思っておりまして、こういうことも、農協内の改革だけじゃなくて、横の改革をやらないと世界に勝てないと私は思っています。そのことについて簡単に御所見を。

両角参考人 私も全く同感です。

 それで、例えば土地改良区の今の現状を見ますと、もう土地改良事業は少なくなってきたものですから、今何をやっているかというと、営農指導事業とかいろいろなソフト事業をやっています。私は、農協と例えば土地改良区は組んでやるべきだ、そして、社会的な共通資本、土地とかいろいろなインフラとかそういうものを動員して農業を変えていくんだ、その中心に農協がなるんだと。それはいずれちゃんと組んで一つになるべきだと思いますけれども、今は、ネットワークをきちっと組んで、互いに役割分担を決めて、そして、私の理想としては、経済と環境が両立する社会をつくるんだ、そういうところに邁進してもらいたいと思っています。

後藤田委員 ありがとうございました。

 時間が参りました。今、少々突っ込んだ質問をしましたけれども、これから日本の農政のために、ぜひ、皆様方、きょうお集まりの参考人の方の御活躍をまた心からお祈り申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、堀込征雄君。

堀込委員 参考人の皆様、きょうはありがとうございました。

 私は、民主党の堀込でございますが、先日も、実は、政府側と一時間半ほど、この法案について議論をさせていただきました。きょうは貴重な御意見もいただきましたので、参考人の皆さんにお尋ねをさせていただきます。

 ちょっと法案に入る前に、今の農協事業、例えば販売事業だと今四兆七千億ぐらいですか、ピーク時の七割になっている、購買事業も今三兆八千億ぐらいで、これもピーク時の七割ぐらい、つまり、何というか、長期低落という傾向があるのではないか。やはり、このまま放置するということは将来大変なことになるので、きちんとした改革をしながら、農家組合員にこたえられる農協、そして、事業も順調に伸びていくような、何かそういう農協であってほしいという立場から、最初に一点だけ質問させていただくんですが、宮田参考人にお尋ねをいたします。

 全中の大会議案あるいはあり方研究会の報告書を見ても、農業の問題点、農協の問題点は羅列しているんですが、実はそこですっぽり落ちているのは、農協事業を支えてきた集落組織というか農家組織ですね。私は、農協の事業というのは、戦中戦後の配給組織やあるいは強制供出の時代から、ずっと農家組織があって、それが結構、今、農家組合として農協の基盤を、いろいろな事業を支えてきている、こう思っておるんですが、そこをどういうふうにしていくかという議論が、あり方研究会を読んでもさっぱりないし、全中の大会議案でもそこはどうも危機意識がないんじゃないかという感じを私は受けています。

 とうとう農林省は、基本計画見直しで、四十万戸のプロ農家と言い出したわけです。これは、私は、農協事業にとって大変なことになるのではないかというふうに思っていますが、上部構造の議論をいろいろしているんですけれども、末端の組織をどうするかというあたりについて、宮田会長、どういうお考え方を今持っていらっしゃるか、お尋ねをさせていただきます。

宮田参考人 日本農業の実態の改革の中では、やはり担い手といいますか、そういった方を中心として日本農業が改革、発展していくという、基本的なことについては、これはやはりきちっとした中で大事なことだと思っております。

 プロ農家の育成というプロの定義、これはいろいろあるわけでありますけれども、いずれにしても、地域農業にしっかりした担い手をつくり出していく、その担い手が、地域の規模拡大なり、あるいはまた他産業並みの所得を確保する農業の実現を図っていく、そういった中心になっていくということが、これは大事なことで必要なことだと私は思っております。

 ただし、そういったことでプロ農家の基準というのを国が一律に決めるということは果たしていかがなものか。これはやはり、必然的に地域が、地域の実態に応じて、それで形成されるものではないか。あるいはまた、地域の知恵といったものが集まった中で担い手農家群を形成する、そういったことがやはりこれからの育成の一番中心の点ではないかと私は思っておるわけであります。そういった中で、これから育成すべき者や集落営農を含めた担い手を明確化して、そこに農地なり作業の集積等を仕組むことが必要でありまして、そういったことをきちんとして、今回の地域水田農業ビジョンが、そういったものを基礎として実践に移して、各地域のプランづくりがなされておるということになるのではないかと思っております。

 そういったことで、そういったことをやはりだんだん地域でもって高めて、また、地域のJAがそういったムードが形成されて地域の農業が充実されるようなスタイルを助けていくという施策をきっちりやっていくという責任がやはりあるのではないかと思っていますので、そういった形。

 これは、担い手というのは、個別的な、ある程度規模を拡大した農家群もありますし、また地域の、集落営農といいますか、地域の方々が集まって、担い手を中心として地域の農業の体制を組織化して改革し、効率的に農業の所得の向上の実現を図っていくというスタイルもあるわけでありますので、そういったものが必然的に地域の中心となって、これからの地域の農業改革の中心的役割を果たし、実効あるものにしていくということが大事じゃないかと思っていますので、そういうことをやはり基本として進めていくということだと私は思っております。

 よろしいですか。

堀込委員 きょうはやりとりでございませんので、御意見をお聞かせいただければ。

 それで、もう一度、宮田参考人にお尋ねします。

 私は、昭和二十三年、戦前の農業会に引き続いて農業協同組合が、民主的に、半分自主的に組織をされてきた歴史があると思っています。そういう意味では、あくまで自主的で、独立性を持った民主的な組織だと思っています。

 先ほど、それぞれの参考人の皆さんが、今度のこの法定がぜひ必要だというふうにおっしゃられましたが、私は、例えば中央会にある基本方針の策定だとかあるいは区分ごとの経営情報を開示するとかあるいは監査機能の集約だとかは、別に法定しないで自主的におやりになられたらどうかと。なぜこれは法定によって行政のバックアップが必要なんでしょうか。

宮田参考人 先生のおっしゃるとおり、自主的にそういったものに対処をしていくということ、これは当然でありますし、基本であるということについては、そういった基本的考え方については、責任意識を持つべきだ、そういう考えを持っていくということは、今、農業の立場としては大事だと私も思っております。

 しかし、そういった形を、やはり傘下のJAが一層そういう意識を持っていただくということ、それからより強い指導性を発揮していくということになりますと、みずからの考えでもって実践をしていく、みずからの責任で実践をしていくということと、法律で決められることと両々相まちますと、ますますその効果というのが大きくなるのではないかと私は思っていますので、そういうことが今回の法制化をお願いしておるという一番の点でございます。

 実際、言いましたように、監査の集約ですとか、あるいはまたいわゆる部門別損益の開示ですとか、それからまた、営農指導事業をきちっと全中で決めて、そういったものを基礎として、さらに、それぞれの各県で、それぞれの実態に即したようなバラエティーに富んだものをきちっとつくっていきますよということ、こういったものを一貫してずっと、やはり流れとしてお互いが取り組んでいくよ、積極的に取り組んでいくよと。そういったものが、やはり我々も取り組みますし、これは二回も同じことを言うことですけれども、法律できちっとそういうことを明確にしていただきますと、一層、我々も効率ある仕事の展開ができるということでございますので、そんなことで今回の法改正に盛り込むようにお願いした一番の点でございます。よろしくお願いします。

堀込委員 監査について、宮田参考人にちょっとお伺いをしたいと思います。

 私は、中央会監査はよくやっていると思うし、そういう意味では、非常に御苦労もされていると思っています。しかし、農協貯金が七十兆を超える、日本の全金融市場の七%を超えるというような市場を持っておる、そういう意味では、やはり守りの農協事業じゃなくて、これからも金融市場へ打って出ながら、厳しい、例えば信託だとか投信だとか、あるいは保険商品を窓口で売るとか、これからいろいろ競争は激化していくと思います。

 そういう競争激化の中でちゃんと農協の金融が競争に勝っていくという仕組みをつくるには、監査も、それは今までもよくやっているんだけれども、世間から見て、やはりちゃんとした仕組みでやっているねという仕組みはどうしてもある程度考慮をした方がいいのではないかというふうに私は思っていまして、例えば、今中央会の監査は、試験も採用も、あるいは虚偽や錯誤の監査のあった監査士への処分も実は中央会がやることになっていまして、公認会計士の場合は内閣総理大臣がやるという仕組みになっています。そのほか、去年公認会計士法が改正されて、アメリカのエンロン事件を踏まえた五年の会計士の交代、日本は七年にしたんですけれども、そういう社会の動きもやはりあるわけです。

 きのうもUFJの監査法人との対立でああいう事件がありましたし、先ごろは足利銀行で監査法人と銀行当局が分類債権をめぐって対立した、そういうことがやはりでき得る監査といいますか、そういう仕組みが世間から見ても必要ではないか、こういうふうに思っているんですが、御見解はどうでしょうか。

宮田参考人 農協という組織と一般の会社という形、この内容が違うということだけ基本的に御理解をいただきたいと思っておるわけであります。

 農協の場合は、農業者が農業の施設やサービスを利用するために組織をし、組合員の相互扶助の組織であるというのが実態でありまして、金銭的利益を追求する、経済的利益を農協の事業活動に参画をして追求するということが目的でありますと同時に出資を目的であります。一般の会社は、どうしても金銭的利益を追求する組織であり、しかも出資ということで、出資と利用者が違うという点があります。そういったもので、農協と一般の会社とは基本的に違うということが大きな点だと私は思っております。

 また、農協の場合は、会社は一般的な投資家によって出資をするというケースも多いわけでありますけれども、我々農協というのは、零細な農民が農協を通じてひとつ何とかレベルアップを図ろうということで出資をして形成しておるということでありまして、そういったものがいわゆる会社をなしていくということは、いわゆる増資、そういった零細な農民の増資と内部留保といったもので形成されているということでありまして、株式の場合は譲渡性といいますか、株を譲る、売るということがありまして、そういった上場によって広く一般投資家から資本の調達や集中を図る公開会社とは全く違うということをまず基本的に御理解をいただきたいと思っています。

 それからもう一つは、監査法人の監査や公認会計士の監査は、財務諸表の適正性について意見を表明するということでありまして、適正意見の監査報告書を出すところまでであるわけであります。そういったことで、投資家の保護を第一義な目的としてありまして、会社のコンサルティングを目的とするということが主目的でないということもあるわけでありますので、そんなことを比べまして、私どもの中央会の監査は、財務諸表の監査にとどまるものではなく、その目的が組合の健全な発展、発達を図るために行う中央会の事業の一つであるということをひとつ理解をいただきたいと思っています。

 それで、監査でそれぞれ発見した事項につきましては、組合に改善を求めて、そういったものもあわせて、今の点はこうでありますけれども、将来こういう方向の中で、是正といいますか考えて、正していくということが必要でありますよという、そういった経営指導の面までも踏み込んでやっておるというのが実態でありますし、JAバンク等の事業別指導とも十分連携をした中で、組合に今言ったような具体的な改善をさせることも含めているという実態があるわけであります。

 そんなことで、農協は、一つの経営体の中で営農指導ですとか信用、経済、共済事業等総合的に事業の展開を図っておりまして、組織、事業は一般の会社組織と異なるものであります。監査に当たりましては、やはりそういった農協と組織、それから農協がどう形成されてどう今動いていくのが正しいのであるかとか、あるいはまた利用者であります組合員の営農生活にどう農協が貢献しているかといったものまでに踏み込んで監査をしていくということがあるわけでありますから、監査士といいますか、そういった仕事の幅というのは必然的に違うわけであります。それが外部のいわゆる公認会計士の監査にゆだねるという面になりますと、そういった大きな違いがある点で、やはり私は、今の時点では、農協の監査士による農協の監査機構の中で監査をしていくというのが一番妥当でないかと思っています。

 今、もともと監査は各県でやっておりましたけれども、農協が合併ということで大型化していく中で非常に多岐にわたる事業の展開がなされておる点もありますし、またもう一つは、各県の監査をそれぞれやっておりますけれども、非常に監査士の資質の問題、取り組む姿勢の問題等々やはりばらつきがあるということもありましたので、そういったことから、全国監査機構ということで一本化した中で、監査士をレベルアップした中で、全国的な同一のレベルの中できちっとした監査をやっていくということに機構を変えまして進めておるわけであります。

 また、今、監査のトラブルの責任を、いわゆる公認会計士のあれがありましたけれども、そういったものをきちっと統制をとった中で、みずからのあれでもってきちっと正していくということでありますし、それからもう一つは、監査もチームをつくって、同じ農協に連続して行くことのないように、そういった公平化の徹底も図っていきたいと思いますので、そういったいろいろな会社と違った農協という特殊な組織の問題もございますし、またそれに携わる、やはり教育をした監査士が携わってやっていくということが適正で、今の状況の中ではこのままこういった形を続けていきたいと私は思っておりますので、そういうことで御理解をいただきたいと思います。

堀込委員 時間がだんだんなくなりましたので、田林参考人と前田参考人、一問ずつちょっと質問しますので、簡単に。

 一つは田林参考人に、全農の部門別収益公開の問題でございますが、私も部門別に収支をはっきりするというのはわかるんですけれども、全農はもう三十七県だか八県入っているんですよね。各産地が産地間競争をやって結構いい生産物でやっているのに、これは縦型で、全農でいうと事業部制みたいになるんですか、そういう仕組みで強引にやると、これはやはり健全な地域間競争というか地域の特産というか、そういうものが阻害されるおそれがあると思うので、そこのところはどういうふうに考えているかというのがあります。

 それから、全共連の前田参考人ですが、予定利率の引き下げですが、全共連はソルベンシーマージン比率が七五〇%を超えた優良会社だ、JAだというふうに聞いておりまして、これはわざわざ法定する必要が、保険業法と並びでやっただけじゃないか、保険業法のつき合いでやっただけじゃないか、継続が困難となる蓋然性なんというのは想定されるんですか、どうでしょうか。

 お二人に、簡単にお願いします。

田林参考人 それではお答えします。

 部門別の損益の開示といいますか、報告義務につきましては、農協では既にやられております。御承知のとおり、金融それから共済あるいは農業部門というような格好です。全農においてこれから行われますのは、全農の部門別事業、米、青果物、畜産、生産資材、生活それから管理部門、この部門別の損益を開示しなさい、こういうことでございます。したがいまして、これを明確にすることによって部門別の収支をそれぞれ健全にしていく、そういう構造をつくっていきたい。

 残念ながら、今の構造はどうなっているかというと、販売が大体弱くて購買事業が強いという格好になっていびつでございますので、そういう意味で、これをバランスのとれた内容にしていくということでございます。これは、全農全体としての考えでございます。

 そのことが地区の自主性をなくすんじゃないかという御懸念でございますけれども、県経済連あるいは県本部におきましても同様の現象が出ておりますので、販売事業の収支をそのままにしておくわけにはいきません。したがって、販売事業は地域特性に依存するといいますか、根拠にしながらも、収支だけはやはり改善していかなきゃいかぬということでございます。これは、県経済連なり県本部等、地域の置かれている営農実態やブランドあるいは農業振興、そうしたことを十分考慮に入れながらそれぞれの部門の収支を改善していく、情報を開示しながら改善していく、これが今の全農のとっているスタイルでございますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。

前田参考人 お答えさせていただきます。

 先生おっしゃるとおり、ソルベンシーマージン比率、昨年度七五三%ということで、安全性については、現段階で予定利率の引き下げを実施する状況にはないというふうに判断をしております。また、そのようなことを起こさないような経営努力、経営姿勢を持つということには変わりがございません。

 ただ、ちょっと具体的にはなかなか言えないんですが、将来の急激な経済変動等があった場合に、契約者保護を図るという意味での制度としてこれがないと、やはり何といっても契約者の保障を継続するということが第一義でございますので、制度としてこれをぜひ入れさせていただいて、契約者の保護という立場でこれをより健全性に役立てていきたい。

 ただ、これが入ったからこれを活用する、そういう意識は毛頭ございません。精いっぱい、そういうことがないように最大の努力はしますけれども、やはり将来のこと、万々が一ということはちょっと私ども現在わかりませんので、そういうためのセーフティーネットとしてこの制度の導入は必要だという考えでおります。

堀込委員 参考人の皆さん、ありがとうございました。

 終わります。

高木委員長 次に、白保台一君。

白保委員 公明党の白保でございます。

 きょうは、大変お忙しい中、参考人の皆さん方には貴重な御意見をお聞かせいただきましてありがとうございます。

 日本の農業を取り巻く環境というのは、いろいろな面で複雑になり、厳しくなってきているな、このような感じを受けるわけであります。そういった中で、農林行政も農水行政もあり方が問われておりますし、さまざまな形でもって農協のあり方等も含めて問われている時代になってきているのかなと。

 ただ、これまでも小規模農家と皆さん方をつないで頑張ってこられた、こういったこともありますし、農業、農村あるいは食というものは、これから、単に農業、農村のことだけじゃなくして、都会の皆さん方も食を挟んで非常に関心を持たなきゃなりませんし、またこれはみんなが取り組んでいかなきゃならない大きな課題なんだろう、こういうふうに思っておるところであります。

 そこで、まず一番最初に両角参考人にお伺いをしたいと思いますが、参考人は、「農業と経済」、この本の中で、「農協改革は農協再生の切り札たりうるか」というようなことをお書きになっていらっしゃるわけでありますが、地域運営主体としての農協ということで、地域農業、農村社会の運営の担い手としての農協を期待しておられると思います。そういった中で、農協がこれまで土地利用調整に関与してこなかったこと、あるいはまた、農協の意思決定が集落ベースに行われて、非農家、准組合員の意思が的確に把握されていないことを理由に、なかなか容易ではないということ等も指摘をされているところであります。

 それで、准組合員の比率は増加傾向にあるわけでありますし、今後、むしろ正組合員である農業者の意思が反映されにくくなるのではないかとの指摘も一方であるわけでありますが、参考人はどのようにお考えになっていらっしゃるのかお聞きしたい、こういうように思います。

両角参考人 私の書いたのを読んでいただきましてありがとうございます。

 その辺は実は非常に難しくて、問題は指摘できるんですけれども、それではどうしたらいいかということについては、なかなか難しい問題があると思います。

 ただ、今の、例えば組合員の意思決定がなかなか難しい、特に、今少数となってしまった正組合員、農家の方の意見を農協の中で生かすことはなかなか難しいということに関しては、先ほどちょっと申し上げましたように、できましたら、ネットワーク農協といいますか、事業農協とコミュニティー農協を少し分けるような形で、事業農協の中で本当に農業に必要な事業に農家の方が参加する。私は、農協の基本というのは参加と効率だろうというふうに思っておりますので、そういう観点から、事業農協の、そういう農業関係の運営は農家の方が積極的にやる、それから非農家の方に関係するのは非農家の方も入れてする。

 何か、従来のようにそこのところ一本で、しかも今のような集落をベースにして意思決定するようなことを続けていけば、特にそれでも難しい農業の維持というのが難しくなると思いますので、その辺は新しい仕組みを考えたらどうかというふうに思っております。

白保委員 次に、宮田参考人にお伺いしたいと思いますが、この法改正の中で、全国中央会の指導機能等の強化、こういったことが幾つか挙げられてくるわけであります。当然、これまでの農協、地域の小規模の農家等を含めてつないできて、その中で全国が運営をされてきたんだろうと思うんです。

 そこで、指導機能の強化というのは、私自身が、これは中央に権限を余り集約し過ぎていって、地域の実情に応じたような改革ができるのかなと。やりながら、今のことを、こういったことを感じるんですが、中央部が権限を集約してやっていく、指導強化をするというのと、いわゆる地域改革の問題と、その関係性についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか。基本的な問題ですけれども、お伺いしたいと思います。

宮田参考人 農協の事業の中で、いろいろ、各事業があるわけでありますけれども、特に基本となるのは、何といってもこれは、営農指導事業というのが農協事業の中では一番基本となるものでありまして、そういったものが基本となって経済事業なりいろいろな事業が成るわけと私は思っております。

 とかく、経済事業ですとか信用事業、共済事業、そういった具体的な事業というのは、従来からかなり柱としてきちっと取り組みをしているわけでありますけれども、一番基本的な営農指導事業なりというものが、どうも、スタッフの問題もあわせて不足しておるというのが最近非常に大きく問題になってきておりまして、そんなことも合わせて、昨年の十月の第二十三回のJA全国大会で、もっと強化をしていこうということを強く打ち出したわけであります。

 そんなことで、今回、全中でそういった方針を出した中で、より強く、一つの柱として、JAまでずっと続くそういったものを、いわゆる事業として大きなものに持っていこうということを今回の法の中で示していただくということを我々希望しているわけであります。

 ただそれが、全中でやる柱がすべて画一的に各JAの地方までにおりていくと、地方のいわゆるオリジナリティーというのが、先生おっしゃるように、そういったものが抑えられるんじゃないかという心配はありますけれども、私はそうではないと思っております。そうあってはならないという方が真意かもしれませんけれども、これは、やはりそういった方針を出した中で全中の総会等で決めるわけでありまして、そういった中で多くの意見が出るわけでありまして、そういったものが段階的に各県におりていきまして、県でもそういったものを中心として、その県なり地域なりにどういったものをプラスしていくか、どういったものを新しく加味していくかということを、十分そういったものをプラスした中で進めていくということがやはり大事であります。

 あくまでも、上がつくるからそれをずっとそのものが下までそのまま続いていくということはないということで、そういったものを前面に押し出して、全国から県、県からJAということで柱として取り上げていくということが、今回のそういったことを打ち出したということでございますので、そういったことでひとつ御理解をいただきたいと思いますし、よろしくひとつまたお願いしたいと思っております。

白保委員 一番大事なことは、それぞれの地域の実情に即した改革というものが非常に大事なことです。

 ただ、そういった中で、全体的な大きな規範といいますか形というもので指導をしていく、先ほども、みんなすべて合併したらどうだというような話もありましたように、やはり力をどこでどういうふうに発揮をしていくのかということも非常に大事なんだろうと思いますが、地域がしっかりとした、自立して改革してやっていくことができるということも非常に大事なことなものですから、私は、権限を集約して地域が生きてこないという状況にあってはいけない、こんな思いで今御意見を伺ったところでございます。

 田林参考人にお伺いしたい、こういうふうに思います。

 言うまでもなく、JAは組合員の視点に立った経済事業改革を行う必要が当然ある、こういうふうに思うわけであります。それから、生活関連事業の多くが赤字基調であることが指摘されていて、競争力のない事業は廃止、あるいは事業の譲渡それから民間委託などの必要に迫られているのが実情じゃないのかな、こういうふうに思います。

 しかし、地産地消とかファーマーズマーケットなどは農産物自給運動に原型がありますし、高齢者福祉事業も農村女性がボランティアで取り組んできたのが発展したものである、こういうふうに思います。

 多彩な生活関連活動は農協の事業発展に貢献してきたわけで、赤字事業だから直ちにだめだ、こういうわけにはいかないと思いますが、それらの評価と総括を行った上で合理化を進めるべきだ、こういうふうに思いますが、どのようにお考えでしょうか。

田林参考人 生活関連の事業は、地元密着型ということで、おっしゃられたファーマーズマーケットあるいは高齢者福祉、介護事業など、現地で農協として大変な努力をもって組合員と接しておるところでございます。したがいまして、こうしたものにつきましては、引き続き連合会としていろいろな面でバックアップしていかなきゃいかぬだろう、こういうふうに思っております。

 それから、赤字の生活関連事業についてよく検証をしながら事業を進めていかなきゃいかぬのじゃないか、こういう御指摘でございます。

 まさしくそのとおりでございまして、私ども、赤字の生活事業、特に競争の激しい、先ほど申し上げましたガソリンスタンドあるいはスーパーマーケット、こういったものにつきましては非常に赤字が大きくて、全国の農協の店舗のうち六割程度のものが赤字になっている、そうした実態がありますので、これを改善するということはまさに大切なことでございます。

 したがって、その改善の仕方が問題だろうということではないか。私どもは、コンサル活動といいまして、結論的に言えば、JAの理事会に全農と農協と一緒になって協議して、その農協がなぜその事業について赤字になっているんだ、そういうことを協議、決定しまして、それを農協の理事会に提案し、改善していただくという事業を行っております。そのことを考えてみてもいただきますと、農協と一緒になってやっていきますので、農協が、三年程度でこの事業は改善できるというようなものについては、単なる収支の改善の努力をやっていただく。しかし、立地条件とか取り扱っている数量とかあるいは相手との競争だとか、そういう面で、もうこれはやっていけないというようなことにつきましては、場合によっては廃止、撤退というようなこともお話し申し上げなきゃいかぬだろうと思いますが、全農としましては、それらの事業も場合によっては全農自身が運営を受託するというような形も考えておりまして、既にその受託に対する農協からの委託も大分来ております。

 したがって、悪いのはやめるということを前提じゃなくて、もろもろの手を農協と一緒になって模索しながら最終的な結論を出すというのが私どもの姿勢であるということを御理解いただきたいと思います。

白保委員 この自由競争社会ですから、競争力がなくてずるずる引きずったってしようがない話で、本来ならば競争力のあるものをきっちりとやっていく、これが本来の今の社会ですよ。

 そういう中で、ただ、それだけでは済まない部分もありますねということも我々はよくわかった上で申し上げているわけで、そういう面では、最初に申し上げたように、いろいろなこと、ボランティアの問題等もいろいろなことがあって、地域社会に根づいて、農家のためにあるわけですから、しかしそこで、競争力が全くないからそれでいいんですねというわけにはいきませんから、そのことも踏まえた上でしっかりとしたことを取り組んでいかなければいけないなという意味でお伺いをいたしました。

 それから、前田参考人に伺いますが、共済事業について、これは収益の柱であったわけですけれども、金融自由化、保険業界の再編だとか、保障対象者の高齢化や契約者の減少、そういったことでかなり、少なからず影響を受けておられる。多様化するニーズやサービス競争の流れの中で、今回、共済事業の法改正で事業の規範を法定化され、一層の信頼性の確立が求められていると思いますが、共済事業が組合員の生活向上に果たす役割と法改正の意義、この辺についてはどのようにお考えでしょうか。

前田参考人 お答え申し上げます。

 今先生おっしゃいましたように、やはりJA、特に共済事業を取り巻く環境が非常に急激に変化をしてきている、そのとおりでございます。

 そのときに、やはり私どもJA共済事業の本来の意義は、先ほどもちょっと触れましたように、さまざまな生活上のリスクを保障することによって、生活の安定向上に資する、これがねらいでございまして、最終的にはお互いに組合員の幸せを願うというところへ持っていきたい。

 そのために、先ほどもちょっと触れましたように、やはりニーズが多様化している、これに対して保障機能をどう充実させていくかという課題、それから、信頼性とか健全性、このための財務の健全性とコンプライアンス等の体制をどう構築するか、これは継続してやっていかにゃいかぬというようなことがございます。

 それとコスト低減のための運営経費の低減、コスト低減化をどう図るか、こういうことがあるわけですけれども、しかし、今、本質的な私どもの保障の体系そのものは基本的には変わらない。ただ、やはりJA共済を利用してよかった、こう思っていただく利用者、組合員の皆様方、これの満足度をどう高めるか。そのための経営責任あるいは全体の運営をJAではともどもどう果たしていくか、これが私どもの今後の大きな課題であり、またそういう方向に進む必要があるというふうに認識をしております。

 どうもありがとうございました。

白保委員 では、もう時間も余りありませんので、最後に、五人の皆さんに御出席いただいておりますので、皆さんにお一人一問ずつお聞きしたいと思ってやってまいりました。

 最後に、松下参考人にお伺いいたしたいと思います。

 JAとぴあ浜松は、合併、大型化の成功事例というふうに聞いております。松下参考人の研究会での報告等が、農協のあり方についての研究会、そこでの報告がありますが、組合員に還元するための事業推進という意識ですね、また、人と金の生きた使い方、まさに活用という経営手腕の問題、これを非常に強く感ずるわけであります。

 JAの職員が、組合員と地域社会の奉仕者として、またある側面では先導者として集落の中に入って、農地をいかに守るかという取り組みをすることが求められている、こういうふうに思うわけですが、どのような意識改革をなされて今日になったのか、このことを最後にお伺いをしたいと思います。

松下参考人 JA改革については、やはり意識改革、これなくしてJA改革はないと私は感じております。合併以来、とぴあという名前をつけましたけれども、このとぴあ浜松は一つである、旧来の農協の意識を捨てようということ、これは一貫してまいりました。

 同時に、組合員の立場に立って常に経営していかなきゃならないということと、組合員から聞かれた問題については、即答えられない場合でも必ず答える、こういう姿勢がないとやはり組合としては成り立っていかないということ。ですから、合併当初にはいろいろな問題点もございましたけれども、それを一つ一つ克明にチェックしながら改善に努めていった。それにはやはり、役員、職員、同時に組合員の皆さんの御協力がないとなりませんので、そういう形で進めてまいりましたので、よろしくお願いしたいと思います。

白保委員 きょうは大変お忙しいお時間においでいただきまして、貴重なお話をお伺いいたしました。大変ありがとうございました。これで終わります。

高木委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本日は、大変お忙しい中、私どもの委員会に御出席をいただき、また貴重な御意見をいただきまして、本当にありがとうございます。

 先ほど来お話を聞いておりまして、農協改革の断行という皆様の決意と、そのために速やかな法改正を求めておられるということは非常によくわかりました。私どもも大筋では、現行制度を追認するものなど、さまざま賛成できる部分があると思っております。ただやはり、地域の農家の皆さんと密着して頑張っていられる単協の皆さんや、そうした皆さんにとってもよりよい改革となるのかという点で幾つかの問題意識を持っておりますので、ぜひ伺わせていただきたいと思います。

 初めに、全国中央会による基本方針の策定の問題でありますけれども、これまでにも全国大会において基本方針というものは当然示してこられたわけですし、現行法においても、全国中央会が県中央会などに対する指導、監査、教育及び情報の提供などということが盛り込まれてきていると思うんでありますけれども、あえてこれを法律で明確にしなければならなかったその理由と、これによるメリットについてどのようにお考えなのかを伺いたいと思います。

宮田参考人 今回、私ども全中に基本方針を策定する機能を明確にしていただきたいということは、JAグループが一体となって、全中、都道府県、そしてJAということで、改革に一体となって取り組むということを全中と都道府県中央会が方向性を共有して、JA、農家に対する指導、それから理解を円滑に進めていくということを法律の中で明確に示してほしいということでございまして、JAグループが一丸となって、一体となってこの改革を実践していくんだという強い姿勢のあらわれを、そういったことで、法でひとつ示してほしいということであります。

 これは、我々が基本方針を全中の総会等でJAグループの総意として議論をして決定する、そういったことをやはり内外に公表をしていくということで、都道府県の中央会はこの全中の基本方針にのっとって、先ほど前段の質問にお答えしたことも述べたわけでありますけれども、地方のいろいろな実態を加えた中で、そういった全中の基本方針に加えてそういったものを設定して、ともかくそういったものをきっちり全中から単協に一本の柱として取り組んでいくよということを強く示して、改革を一致してやっていくということであると御理解をいただきたいと思っております。

 当面は、そういった中で、年次別の行動計画とか、あるいはまた数値目標の設定ですとか、そういったものをきっちり考えた中で進めていくということでありまして、これはもう当然、経済事業改革の事柄も、そういったものも含まれていくわけでありますけれども、いずれにしても、より強固に示して、お互いの地域の実態を加えた中で、事業方針をきちっとやはり柱として末端までおろし、浸透した中でお互いが取り組んでいくという姿勢をあらわしたものだということで、ひとつ御理解をいただきたいと思います。

高橋委員 強い姿勢のあらわれであるということと、それから、加えて地方の特殊性を生かした方針については盛り込んでいくというふうなお答えだったと思うんですけれども、やはり、もちろん、当然これまでもそうしてきたことだから、十分そういうものを加味されているとは思うんですけれども、やはり個々の地域、品目などによって特殊性があって、地域でいろいろ取り組むべき目標などが違うと思うんですけれども、どこまで地方の、県中の特殊性などが、自主性などが生かされていくのかということですよね。例えば、極端な話、それぞれ上がってきた目標に対し、ちょっと違うよということもこれありということなのか、伺います。

宮田参考人 どうも、基本方針を全中が示していくとなりますと、どうしてもそういったものが基本となって縛られるのではないかという末端でのそういう懸念というのは本当にあるかと思いますけれども、私どもは、決して、そういった基本方針がすべてそれがそのままずっと下まで行くということは、これはやはりそれぞれ各県、各町村における農業の実態なり、あるいはまた組合員の意識なり、いろいろまたその農協を取り巻く周囲の環境が違うわけでありますから、基本は基本として、地方のそういった事柄につきましては、そういったものを加えた中で、地域に適したものを加味した中でやっていくということがありまして、何らそういったものを阻害するとか押さえつけるというものではないわけであります。ただ、そういったものを一本の柱として立てていくんだよという基本的な考え方というか取り組みですね、きちっと示していくということが、やはり今の改革の時代には必要ではないかということで、ひとつ御理解をいただきたいと思っております。

高橋委員 ありがとうございます。

 それで、次に経済事業改革についてぜひ伺いたいんですけれども、今非常に改革が求められている、生産関連事業では大体四四%の赤字農協がある、あるいは生活関連では七〇%の赤字農協があるという部門別収支の問題が指摘をされまして、これを三年以内に収支均衡していくんだということの目標がJAとして持たれていると思うんですね。

 その中で、例えば実質債務超過、繰越欠損会社で黒字化、債務超過解消が困難な会社は清算も視野に再構築計画を策定するというふうなことも書かれておるわけですけれども、例えば、県の中央会によっては、全中の改革方針よりももっと厳しくするんだというふうな決意などが述べられておったり、三年以内に改善する見込みがない場合は廃止という言葉が明確に盛り込まれている、そういう県の改善計画を持っているところもあるわけです。

 それで、非常に思い切った決意のある中身であると思うんですけれども、具体的に、なるべく黒字になるために努力をしなければいけないんだけれども、三年以内にだということで、大変なタイトな目標なわけですよね。拠点型事業をやっていく、あるいは別会社化などの経営体についても考えていくということが示されているわけですけれども、どういうふうに、例えば単純に別会社化とかいっても、ではどこが受けるのかなどという具体的な問題などが出てくると思いますが、そういう点も含めて、中央会としてどういう指導をしていくのか。

 それから、あわせて伺いますが、個別の事業が全部黒になるというのはかなり難しいだろうと。特に生活関連の分野ですよね。それを、例えば一遍には黒にはならないけれども、全体として見れば黒だ、そういうのをやはり今は認めようというふうな形で、弾力的な運用というのがあってもいいんじゃないのかなと思うんですが、それについてどうなのかなということを伺いたいんですが、よろしいでしょうか。

田林参考人 今度方針を立てた経済事業の改革の内容が、三カ年で場合によっては撤退する、あるいは廃止する、そういうことが非常に厳しいんじゃないか、もう少し弾力的な改革にならぬか、そういう御趣旨だというふうに思ったわけですけれども、先ほどもちょっとお話をさせていただきましたとおり、地域の農協の改革の主体性を最も私どもは尊重しなきゃならぬというふうに思っています。したがって、改革に当たっては、農協とよく協議をしながら進めていくということがあります。

 ただ、時間を幾らかけてもこの状況ではどうにもならぬ、赤字が大きいSSや、あるいは生活の、店舗の事業が会社化や改革の対象になっておるわけですけれども、そうしたものが、近場に大きなスーパーができたとか、あるいは大きなガソリンスタンドが道の向こうにできたとか、そういうような競争相手の実態が出てきますと、農協としてそういうことを対抗してやる手段をやはり考えていかなきゃいかぬわけで、実態に合った就労だとかあるいは賃金体系だとか、そういうものをやっていかなきゃいかぬ。

 したがって、それは会社化ということも視野に入れなければならないだろうというふうに思っていますが、三カ年ということを一応の目標として考えましたのは、やはり収支の均衡を、例えば十年で収支均衡すればいいじゃないかというようなことは、今の時代に改革をする上でとても実践事例にならないということもありまして、目標としては三年間を立てて、その間に収支を均衡すると。どうしてもそれができない場合には、先ほど言いましたように、全農が受託をするか、あるいはもう少し延ばすか、そういうようなことを農協との間でよく協議しながら進めていきたいということでありますので、三カ年が金科玉条のごとく、それでなければならないというふうには考えておりません。おっしゃられたように、一定の柔軟性は持ちながら進めていきたいというふうに思っております。

高橋委員 よくわかりました。一定の目標として、どうしてもできない場合の協議やさまざまな努力をされるというお話でしたので、そこにぜひ期待をしたいと思っております。

 それで、松下さんにぜひ伺いたいんですが、多分、この経済事業改革のよい例というのか、非常に進んでいる環境なのかなというふうに、松下さんがあり方研究会の中で発表されているものなどを読んでいると、そのように感じておりますけれども、ちょっと幾つか聞きたいんですけれども、先ほど、合併の手続の問題で、総会の手続を不要とする基準が五%では小さい、一〇%から二〇%に引き上げるべきだとお話をされたかと思うんですね。

 これについてはさまざま、総会の手続自体が困難であるという背景などがいろいろあるかと思うんですが、やはり組合員の意思が反映される仕組みというのが残されなければならないと思うし、大変そこには不安を持っているわけですけれども、その点についてまず伺いたいんですけれども。

松下参考人 合併の手続でございますけれども、これは、今法案で出ておるのは二十分の一、五%という数字が出ておりますけれども、現実の話になりますと、五%が、吸収される組合と、する組合との差というものは、全国的にも非常に少ないのではないかなと私は直観的にそう思ったわけでございます。やはり一〇%とか二〇%ということになれば、ある程度の組合が救われるんじゃないか。

 なぜそういうことを申し上げますかといいますと、私どものように二万五千人の組合員を抱えておりますと、この総会、総代会の手続がありますけれども、総会を開くという場合には、相当な経費と労力、それからそれを収容する施設もございません。そうなりますと、どういうことかというと、必然的に書面議決ということになりますと、組合員への浸透が少なくなってくるということになります。

 私どもは、合併というときには十分各地区別に回りまして、それぞれ了解をとりながら進めておりますので、それから後からの反対というようなことはないということを思って、今なるべく簡素化していただくのが、私どもの現場の声として申し上げたわけでございます。

 以上でございます。

高橋委員 松下さんのところでは地区別に組合員さんのところをよく回ってやっているというふうなお話であったんですけれども、同じ質問を全中の方にも伺いたいんですが。

宮田参考人 今回、合併の場合の簡易な手続をこの法改正などでお願いしておりますのは、やはり経営困難な農協の合併、あるいはまたそういったものが、来年のペイオフを控えまして合併のスピードアップということが非常に必要でありますし、またもう一つは、小規模農協が合併する場合、例えば既成の大きな農協の五%とか一〇%の事業規模しかない農協を吸収していただく場合は、やはり受ける側の農協の場合、総会の承認といったことをなくした中で進めていくような法改正をひとつお願いしたいということであります。

 ただ、ここで言えることは、決して組合員の意思を尊重しないという意味ではありませんので、合併される方はちゃんと合併総会があるわけでありますので、受ける側の方の、そういった受け入れの、吸収の場合の簡素化をひとつ法改正でお願いしておるということでございます。そういったことによってかなりスムーズな合併がより進むのではないかということでございますので、そういったことを今回の改正の中で強く望んでおるということでございますので、御理解をいただきたいと思っております。

高橋委員 これについては意見があるんですけれども、伺っておくだけにしたいと思います。

 もう一つ松下さんにお伺いしたいんですけれども、自己資本比率なども非常に高いですし、経営状況も大健闘されていると思うんですけれども、その中で、能力主義人事管理制度を既に取り入れていて、職員からの不満も出ていないというふうなお話をされていたかと思うんですけれども、この制度導入のメリット、あるいは職員との関係でどう理解を得ているのかをぜひ伺いたいと思うんです。

 それで、農協の仕事の中には、企画分野、経営改善など、成果によって能力が評価しやすい分野と、淡々と事務をこなすといいましょうか、そういうなかなか評価とは言いがたいけれども切っても切れない大事な仕事というのもあると思うんですね。それらの扱いなども含めて、どのようにされていらっしゃるのか、伺いたいと思います。

松下参考人 私どもの農協では、合併初年度から能力主義管理制度を導入しました。当初はいろいろと問題もございました。しかし、これは職員の意見等を集約しながら改善をしてまいりました。

 特に、メリットでございますが、これによって職員がそれぞれ評価されますので、私は当初は非常にいろいろ問題が出るだろうと思いましたけれども、一年経過した段階では軌道に乗ってまいりました。メリットにつきましては、やはり能力があったり仕事の実績を上げる者についてはそれなりの評価をするということ。それから、これについては、職員の間で浸透しておりますので、不平不満はありません。

 どういう形でやっているかといいますと、一般職については、係長が第一次評価者、第二次評価者は課長と、それぞれの段階で一次評価者、二次評価者そして総合評価という形でやりますし、それからさらには、具体的に話し合いで行いますので、自分の欠点についていろいろ言われた場合には、それを直すという形になっています。ですから、私ども、A、B、C、Dの四段階にしておりますけれども、最終的に全職員がA段階になった場合には、組合員満足度は一〇〇%になる農協ということを目指して今やっているわけでございます。

 それぞれまた職種によっていろいろ評価が難しいではないかということでございますけれども、これにつきましても、非常にきめ細かい職能表をつくりまして、それによってやっております。ですから、管理部門、現業部門、それぞれにおいて職能評価の仕方が違っているという形になっていますので、そのように御理解いただきたいと思います。

 以上でございます。

高橋委員 時間が参りました。まだまだたくさん聞きたいことがあったんですけれども、時間が来たので終わりたいと思います。

 本当に改革がいろいろな面で求められているというのは理解をできるんです。先ほどお話があった、例えばスタンドが間近にあったり大手のスーパーが間近にあったりするときに、やはりそれは見直しをしていこうだとか、そういうことというのは確かにあるだろうなと。

 ただ、一方では、生産事業と生活事業というのが一体となってやはり農協の意義があるんだ、生活関連をなくしたらだめなんだという声が非常に多いわけですね。そのことによって、要するに本体である農業関係事業の方も結局だんだん縮小されていくのではないかというふうな懸念などもさまざまあるわけですね。

 あるいは、合理化を図っていくために、いろいろ合併を進める、あるいは職員の合理化も進めるということは当然念頭にあると思うんですけれども、そういう点でも、だんだんだんだん地域と離れていくことによって、本当に農協の役割が発揮されるのかなといういろいろな意味での心配もあって質問をさせていただきましたので、その辺のところをぜひよろしくお願いしたいと思います。

 きょうは、ありがとうございました。

高木委員長 次に、山本喜代宏君。

山本(喜)委員 社民党・市民連合の山本であります。

 参考人の皆さんには、大変貴重な御意見をお伺いしますことに感謝を申し上げます。

 最初に、両角参考人にお伺いしますけれども、先生は先ほどのお話の中で、昭和初期のころに比べて今時の農業の危機的な状況ということをお話しされたと思います。別な論文の中でも、我が国経済社会の中に農業、農村を維持されるか否かは、農家ではなくて国民の選択の問題であるというふうにも述べられておりますが、この点について、国の政策の課題について何か提言があればお話をいただきたいと思います。

両角参考人 大変難しい問題で、私もどうしたらいいかということを考えているわけですけれども、農業は、本当に今、このままほうっておけば多分日本からなくなってしまうという状況にあるだろうというふうに思います。

 しかし、先ほど申し上げましたように、今最も私たちの重要な問題であります環境問題、私たちの環境をどうするか、人類社会の持続的発展をどうするかということに関しては、農業が最も貢献できる産業だというふうに思っております。

 ですから、例えば農業からエネルギーを供給するとか、それから、今まで使われていない、例えば地域の資源を農業が使うとか、そういうことをしていくべきであると思うんですけれども、その場合に、市場経済のもとではなかなか難しい。ですから、いろいろな制度を組み入れるとか、そういうことが必要だ。

 例えば、これも本当に参考までに申し上げますけれども、ドイツの場合は、農業からエネルギー、特に電気をとっているわけですね。エネルギーをとる場合に、新エネルギー法というのがありまして、一キロワットアワー約十二円ぐらいで電力会社は買えというふうに法律が決まっているわけです。そうすると、一キロワットアワー十二円でつくると、農家は十分それで採算が合うんですね。十分農地も活用できるんです。農家のうちに、例えば半分ぐらい電気の販売収入の農家もあるんですね。こういうのを電気農家、エレクトリックファーマーというんですけれども、そういうのも出てきているわけですね。

 ですから、国がきちんと関与すれば農業というのは非常に発展性がある。特に、地球環境問題の解決に十分寄与できる。例えばこういうのは一例ですけれども、そんな観点で、ぜひ新しい観点で農業の振興を図ってもらいたい、これが私の感じです。

山本(喜)委員 重ねてお伺いしますけれども、環境問題の解決ということで、人類社会の発展に寄与するということですが、しかし今、市場経済のもとでは非常に難しいということだと思うんですよ。どうしても、これからやっていくプロ農家への集中とか、あるいはアメリカでありますとかオーストラリアのような農業に対抗していくということになりますと、もちろんコストの問題もありますし、そうした面で非常に難しい。

 例えば、環境支払いということで、直接所得補償ということも検討はされているわけですけれども、こういった点について、農業のあるべき姿とコストの問題、これについてどのようにしたらよろしいか、お願いします。

両角参考人 大変難しくて、一般的に言うのは難しいんですけれども、ただ、日本の場合、既に相当国の保護がなければ農業は成り立っていかないというのが現状であります。

 例えば、農業投資の約四割は国の投資によって支えられている、これが現状ですね。こういうことを前提にして農業を存続しているということを、まずきちんと国民に理解してもらわなきゃいけないんですが、その場合に、本当に農業が役に立つということを示さなきゃいけない。今までは食料を供給していた、しかし、これからは本当に人類社会に必要な自然エネルギーを供給するんだ、それによって二酸化炭素を急速に減らすことができますし、地球温暖化を防ぐこともできる、そういうことを、コストに見合った農業の果たしている役割をきちんと示すということが、私はまず第一に必要だろうと思います。

 そして、あと政策としては、今、環境支払いとおっしゃいましたけれども、これは本当に真剣に考えなきゃいけないというふうに思います。

 また、内容については、もしあればお話しします。

山本(喜)委員 コストに見合った農業のあり方を示していくということでも、地域における農協の役割というのは大変重要だと思うんですよ。その点については農協がどういうふうな役割を果たすべきか、両角先生、お願いします。

両角参考人 全く私はそこが一番言いたいところなんですけれども、さっきちょっとキャッチフレーズ的に申し上げましたけれども、環境と経済が両立する社会ということが一番大事なわけですけれども、その場合に、従来のように、ただ市場に任せていたのではとてもできない。ということで、さっき申し上げたような、例の電気の制度をつくるとかそういうことも必要なんですが、例えば補助金を組みかえて地域で使っていくとか、それから、例えば、ちょっとこれは話が逸脱するかもしれませんが、私は、農協単独ではなくて地域の流域を考えるべきだというふうに思っております。例えば山から海まで。そうすると、山の間伐材を海へ持っていって魚礁をつくるとか、例えばそういうことで相当のビジネスチャンスが出てくるわけですね。

 こういうのは今まで横に置かれて議論されていたんですけれども、ちょっとさっきと矛盾するかもしれませんが、できる限り市場経済に適用できるところは適用する、しかし、できないところは制度をきちっとつくる、それから、今まで使われていて余りうまく使われていないような補助金はそちらへ持っていく。例えば、転作補助金が、ある町で計算しますと毎年六億円あるんですね。このうちの一億でも二億でも環境とかそういうものに向けていけば、これは相当、次の新しい農業を展開できる財源になるわけですね。例えばそういうのは農協が率先してやっていくということを、私はぜひお願いしたいと思っております。

山本(喜)委員 貴重な御意見、どうもありがとうございました。

 次に、全中の宮田参考人にお伺いしますけれども、今回のこの改正案について、北海学園大学の太田原先生という方が論文を書いておられますけれども、農協のあり方についての研究会報告は系統農協に対する行政からの縁切り宣言である、そして、食管制度の廃止と生産調整の見直しによって国にとっての必要性が薄れ、使い捨てにされようとしているというふうにこの方は論文で述べておられるんですが、こうした指摘に対して、全中としてはどのような感想をお持ちでしょうか。

宮田参考人 太田原先生につきましては、私、全中の会長でありますと同時に、北海道中央会の会長でもございまして、太田原先生とは日ごろからいろいろな面でおつき合いをさせていただいておりますし、先生の、専門が農業でありますからもちろんでありますけれども、農業改革に対する考え方もいつもお聞きしておるわけでありまして、そういった意味から、今回の先生の論文については、そのポイントは、農協は真に自立をした協同組織として力強い歩みをもっとまた踏み出すべきだということと、それからもう一つは、やはり農政は、国民の食料の確保について国の責任をしっかり持つべきだということが主な点ではないかと思っていますので、私も先生の考えには本当に同感でございまして、中身も、やはり我々農協も日本農業の発展、改革についてはもっともっと積極的に取り組むべきだ、そういった力強い激励といいますか、そういった意味と受けとめておりますので、十分また真意を私も勉強させていただきまして、そういったものにひとつ頑張ってまいりたいということで受けとめております。

山本(喜)委員 農業をどういうふうに発展させていくのかということが、やはり今一番重要だと思うんですよね。農協の経営基盤を強化するということでは、やはり農家全般の底上げを図っていくということがないと、農協は単なる会社として生きていくということだけでも全く意味がないわけでございますから、そういう意味で、農家あるいは農業、そういったものの再建というのに向けた真剣な取り組みが必要だと思うんです。

 そこで、耕作放棄地の問題、日々深刻になっています。担い手に対する集積が進まないということでも耕作放棄地の問題が非常に重要な課題ということで、今、農水省も真剣に取り組みを進めていくということでありますが、全中としては、これについてどのように進めていこうとしているのか。

宮田参考人 今、我が国では、耕作放棄地にどう対策をしていくかということは、我々農業者にとりましても非常に大きな問題であります。一つは、老齢化によります農業従業者の減少、二つ目は、農業地域として非常に条件が悪い地域、なかなか現状の農業の収入だけでは経営的に成り立たない、そういった二つの点が大きな原因ではないかと思っております。

 第一の点につきましては、やはり地域でもって、個々の経営ではなかなかそういったものをカバーすることはできませんので、地域の集落営農、グループ化した中で、担い手を中心としてそういったものを耕作していただく、そういったシステムづくりを地域できちっとしていくということが大事ではないかと思いますし、そういった面では、JAはもちろんでありますけれども、地方行政とのタイアップの中で、そういったことをきちっとシステムづくりをやっていくということが大事でありますし、もう一つは、新規就農者が入りやすいような環境づくりをしていくということが大事ではないかと思っております。

 それから、二番目の問題でありますけれども、これは、特に山間地域とか、端的に言えば棚田とかそういった地域、恵まれない地域、災害とかいろいろな面での影響度の一番強い地域であります。ここは、一つは、農業というそういった生産をした中で維持していくという考え方にプラス、それではなかなか救えないと思っています。そこはやはり、環境保全ですとか国土保全といった政策を加えた中でやっていくということ。それは何かというと、やはり農水省だけではなく、環境省とか国土交通省、そういったものもかかわり合った中で、どうその地域の保全をしていくかということ、そこは、農業のそういう不耕作地をなくしていくかということを政策的にバックアップした中で対応していくということが私は必要ではないかと思っていますし、また、そういった面では、我々全中、農業団体におきましては、より、そういった地域での実態把握の中で総合的な対策を強く求めていくことが大事でありますし、また、平場の中での、先ほどの後継者の問題等々につきましては、例えば土地の流動化を図っていく、あるいはまた集落営農システムを確立していく、あるいはまた農地の合理化法人、そういったシステムをきちっと地域に、そういったものを流動化の中心的な、積極的な取り組みをした中で進めていくということが、やはり我々としてはそういう務めを果たしていくことが大事ではないかと思っております。

山本(喜)委員 今の耕作放棄地の件ですけれども、経済界を中心に、企業の農地取得ということがこの解消に大変いいのではないかというふうな指摘もされているようでありますけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

宮田参考人 ただいま申し上げました不耕作地の実態の中で、二つの点でどう対策をしていくか申し上げましたけれども、農村の実態を見ますと、現実的にはなかなか厳しい面もあるわけであります。

 それで、農外からの参入、とりわけ株式会社の土地取得による参入ということが今非常に大きな問題になっておりますけれども、私はというか農業団体といたしましては、全中といたしましては、農外からのいわゆる積極的な農業をしていただく、これについては大歓迎であります。やはりそういったことが多くなければ、なかなか農業者だけでは維持していくことは極めて厳しい現実は、これははっきり言ってあります。しかしながら、その方法でありますけれども、株式会社が土地を取得して入るということでありますけれども、私はこれは非常に問題であると思っています。

 今の制度の中では、農事組合法人の拡大ということで、農家の方も入れた中でそういった農外からの参入をしてやっていただくという制度はあるわけであります。そういった実態が果たしてスムーズにいくかどうかは、もっとその実態を、経過をした中で、今の制度の検証を、どうなのかということを、もっとやはり時間をかけて見ていく必要があると思っています。でありますから、今の制度の中で拡大してそういったものを、よりやっていくことが必要じゃないかと私は思っていますので、単純に株式会社の導入となりますと……。

 今言っているのは、土地の取得ありきなんですね。ここが私は問題だと思うんですよ。農業というのは、どんと人が入ったからあるのではありません。地域の集落営農、なぜ集落営農ということを言っているかは、そういった大きな、地域が一体となって地域の農業の維持管理をなしていくということが必要なわけでありまして、そうなれば必然的に周囲の農家とも仲よくやっていく、それから、農家としてのお互いの意思の疎通の中でお互い信頼関係を持っていくということが必要でありますので、先に農業という形の中で、入っていった中で、そして地域の信頼の中で永続性を認めてもらって、そこで初めて土地という問題が出るわけでありますので、今唐突に土地を先に考えていくというのは、私はなかなか、農業者としてはストレートには余り理解できないんですね。

 ということは、やはり前のバブルのときの悪夢を思い出すわけでありますので、そのときは今の不耕作地、産廃なんかにも非常に転用された等々ありますので、そういったものが果たして担保されるかどうか、きちっとやれるかどうかということがありますので、そういったものからきちっと、やはり法的に規制することが大事でありますので、それよりも地域に入った中で、そして地域と融合した中で、将来永続性ある、あるいは信頼する、そういった中で初めて土地の取得の問題が出てくるのであると思いますので、私は前と後ろが逆だと思うのでありまして、そういった面では、私は、農業者としては、農外から入ってくるのはいいですけれども、そういった点では賛成はしがたいということであります。

山本(喜)委員 まだ時間前ですけれども、きょうは日程が、後が込んでおりますので、大変貴重な御意見、ありがとうございました。

高木委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 本日は、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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