衆議院

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第19号 平成16年5月27日(木曜日)

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平成十六年五月二十七日(木曜日)

    午前十時一分開議

 出席委員

   委員長 高木 義明君

   理事 北村 誠吾君 理事 西川 京子君

   理事 松下 忠洋君 理事 松野 博一君

   理事 黄川田 徹君 理事 小平 忠正君

   理事 山田 正彦君 理事 白保 台一君

      赤城 徳彦君    石田 真敏君

      小野寺五典君    大野 松茂君

      梶山 弘志君    金子 恭之君

      木村 太郎君    後藤 茂之君

      後藤田正純君    佐藤  勉君

      玉沢徳一郎君    津島 恭一君

      永岡 洋治君    西村 康稔君

      野呂田芳成君    平井 卓也君

      平田 耕一君    二田 孝治君

      望月 義夫君    大谷 信盛君

      岡本 充功君    鹿野 道彦君

      金田 誠一君    岸本  健君

      楠田 大蔵君    篠原  孝君

      神風 英男君    仲野 博子君

      楢崎 欣弥君    堀込 征雄君

      松木 謙公君    吉田  治君

      西  博義君    高橋千鶴子君

      山本喜代宏君

    …………………………………

   農林水産大臣       亀井 善之君

   農林水産副大臣      金田 英行君

   農林水産大臣政務官    木村 太郎君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   山木 康孝君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       遠藤  明君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長)            須賀田菊仁君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           中川  坦君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  白須 敏朗君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            太田 信介君

   農林水産委員会専門員   和田 一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十七日

 辞任         補欠選任

  野呂田芳成君     平田 耕一君

  二田 孝治君     望月 義夫君

  岡本 充功君     吉田  治君

  篠原  孝君     大谷 信盛君

同日

 辞任         補欠選任

  平田 耕一君     野呂田芳成君

  望月 義夫君     二田 孝治君

  大谷 信盛君     篠原  孝君

  吉田  治君     岡本 充功君

    ―――――――――――――

五月二十六日

 競馬法の一部を改正する法律案(内閣提出第九二号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 卸売市場法の一部を改正する法律案(内閣提出第五六号)(参議院送付)

 特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第五七号)(参議院送付)

 競馬法の一部を改正する法律案(内閣提出第九二号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、卸売市場法の一部を改正する法律案及び特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省総合食料局長須賀田菊仁君、消費・安全局長中川坦君、生産局長白須敏朗君、農村振興局長太田信介君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長山木康孝君及び厚生労働省医薬食品局食品安全部長遠藤明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西川京子君。

西川(京)委員 今回の卸売法の改正に当たって一言質問させていただきます。

 実は、きのう、農林水産委員会のメンバー七名で大田市場に見学に行ってまいりました。委員長ほか、大変勉強になった研修でございましたけれども、その折にバスが大変寒くて風邪を引いてしまいまして、大変お聞き苦しい声でございますので、お許しいただきたいと思います。

 今回のこの卸売市場法の改正に当たって、こういう経緯に至った社会的背景というのをまず考えなければいけないと思っております。

 近年、女性の社会進出、これはあらゆる分野で大変進んでおりまして、その中で一番進んでいないのがこの政治の分野かもしれないんですが、そういう中で、高度成熟社会、経済成熟社会の中では、女性がいわゆる賃金労働というか社会進出を図る、その反比例をするように、家の中での女性の家事労働というのが減っていく傾向の中で、食生活の変化というんでしょうか、食文化の変化というのは本当に大変大きなものがあると思います。私は、この動きに対してある意味ではちょっと危惧を抱いている立場の人間でございますが、現実には、そういう方向性、外食に頼る、あるいは半外食、デパートの地下のあたりで買ってきて夕食を済ませるというような、そういう方向の現実に消費者の需要が大きく変化してきたという社会的背景はあると思います。

 そういう中で、いろいろな規制緩和の流れの中で、例えば今回の卸売市場というものに対応するような環境というか、株式市場あるいは先物取引その他でも、大変大きな、ドラスチックな規制の緩和が行われております。そういう動きに連動する一つの要因と、それともう一つは、BSEの発生以来、食に対する安全、安心、そういうものが消費者に大変大きな問題として受けとめられ、そういう食の調達ということに関しての環境変化というのは大変著しいと思うんです。

 そういう中で、今回の改正が、卸売市場だけの問題にとどまらずに、消費者にとっても、もちろん大きな何らかのメリットがなければいけない、また、生産者にとってもそれが大きな刺激になり、何らかのメリットがなければいけないと思います。そういう両者の、それぞれの取り巻く環境の中の何らかのメリットのある改正の方向に持っていかなければいけないと私は思っておりますが、そのあたりの卸売市場に対する基本的認識を大臣にお伺いしたいと思います。

亀井国務大臣 委員御指摘のとおり、卸売市場、これは国内の生鮮食料品の流通のメーンチャンネルであるわけでありまして、青果で約七割、水産物で三分の二を供給している、こういう状況でありまして、食と農を結ぶパイプとして、適切な価格形成やまたその流通の円滑化に重要な役割を果たしておるわけであります。

 卸売市場は、品ぞろえ、あるいは指標性のある価格形成、安心な決済、公正取引の拠点の提供という機能を有しておるわけでありまして、これはやはり生産サイド、消費サイド双方のニーズに応じ得るような卸売市場の機能強化、これを図る必要があるわけであります。そういう中で、今回の制度改正、これは卸売市場へのニーズの高まりに応じまして、流通状況の変化に即した規制の緩和であるとか、あるいは先ほども御指摘がありました食の安全、安心の確保、低コストの流通の実現、これらの措置を講ずることとしておるわけであります。

 この措置を講ずることによりまして、卸売市場が生産サイド、消費サイド両面の期待にこたえて、二十一世紀の我が国の食文化を支える安全、安心、そしてまた効率的な流通システム、この転換が図られることを期待しておるわけであります。

西川(京)委員 ありがとうございます。

 今のお答えの前提として、ちょっと質問が前後してしまいましたが、この卸売市場というものの存在の位置ですね。それがやはりアングロ・サクソン系、アメリカやイギリスあたりでは余り発達してこなかった。直接、いろいろなブローカーなりなんなりが間に入っての食文化というのがあるようでございますけれども、そういう中で、やはりフランス、イタリア、そして日本というように、大変多様な食文化というんでしょうか、そういうところにこの卸売市場というものの一つの位置づけがあるようでございますが、その卸売市場というものに対する基本認識をまずお伺いするのを忘れてしまいまして、そのことについても一言お聞かせいただけたらと思います。

亀井国務大臣 まず、その点、先ほども申し上げましたとおり、やはり国内のいわゆる生鮮食品、青果で七割、あるいは水産物で三分の二、そういうものを供給しておるわけであります。そして、まさに食と農を結ぶパイプ、生鮮食料品の適切な価格形成、そして円滑な流通、こういうものの役割を果たしておるわけでありまして、そういう面で、この卸売市場の役割というのは大変重要な役割を果たしておるわけであります。

 また、それらが、指標的な価格、また品ぞろえですとか、公正な取引、こういうものが市場を通じて、生産者、消費者サイド、両面のニーズにこたえ得るような機能を果たすオープンな場所である、このように認識をいたしております。

西川(京)委員 ありがとうございます。

 きのう、大田市場に行ってまいりまして、一番印象に残ったのが、きのうはちょっとほかの部門がお休みということで、花卉、お花の市場だけを見てまいりましたけれども、競りの、大きな階段状の周りに大きな電光板が張ってあって、一瞬のうちに競り落としていくという、本当にまさに情報化の最前線を見せていただきまして、私たちの常識で、今までの、皆さんが声を出して、何となく喧騒の中でする市場という雰囲気が随分変わっているということを認識いたし、静かな競りというのを見させていただきました。その中で、競り上げるのでなくて、一瞬のうちの一種の入札である、ボタンで一瞬に決まっていく。特に花のような、パイが、一つのお金が三千円、四千円程度の小さいものの数をこなすのには大変な省力化になっているというようなお話を伺いました。

 その中で、もちろんインターネットの発達もありまして、市場を通さない相対取引というのも今かなりの増加を見ているわけで、市場を通すのが約七割というお話を聞きました。そういう情報化社会の中で、市場と情報化という問題、これは現実には、コスト削減の問題とか、余りそこまでいっていないような認識もあるようでございますけれども、どのようにその現状をとらえていらっしゃいますか。大臣でも副大臣でも、こちらですか、よろしくお願いします。

須賀田政府参考人 市場での取引の電子化、情報化の状況でございます。

 現在まで、正直申し上げまして、取引の電子化の基盤となる例えば標準コード、品名だとか栽培方法だとかサイズだとか、そういう標準コードだとか標準メッセージ、これは取引業務ごとに必要なデータ等でございますけれども、これを十三年度に開発をいたしまして、現在、新しい食品流通ビジネスモデルというのを開発し終わった状況でございます。それから、私ども、市場の施設整備事業を行っておりますけれども、その中で取引電子化に要するサーバー等の基盤の整備をしておりまして、一応準備は整っておるということでございます。

 実際、どういう取引が行われておるかということでございますけれども、平成十五年度に、全農が中心となって、約五十の県連、県本部と約三百の青果の卸売業者、出荷業者と卸売業者を結ぶベジフルネットというのは本格稼働しております。また、仲卸と量販店等の取引にも本格稼働しておるわけでございますけれども、残念ながら、肝心の卸売業者と仲卸業者の間の取引はいまだ電話とかファクスとかが中心でございまして、取引の電子化を中心とした取り組みに向けた研修を現在行っておりまして、できるだけ早期に取引電子化の本格稼働というものに取り組んでいきたいというふうに思っておるところでございます。

西川(京)委員 最後の方がちょっとよく聞き取れませんでしたけれども、電子化ということで、さっきの花の入札のときにも会長さんにお話をお聞きしましたけれども、結局、今局長がおっしゃったように、実際のあれはまだまだ、伝票だったりファクスだったり電話だったりということで、それをまたインターネットにきちんと落としていかなければいけない作業があって、なかなかまだまだ効率化ができないという話がありました。そして、結局このIT化、効率化のメリットは何かといったら、当然消費者にとっての価格が下がるということだと思うんですが、価格が下がるまでにはいっていないと。

 そういう中で、一つの大きなメリットとして、今までは競りをするときに自分が競るということが一大命題であったわけですけれども、だれがどの程度、どの品物にだれが、何人がそれに集中したかということで、まさにその作物の市場の動向が皆そこに参加した取引業者にとっては瞬時にわかるというメリットがある。情報の共有化、そしてそのことが、消費者を向いた生産者に対する大きなフィードバックをしていくことによって、消費者のニーズと生産者とが一体化できる一つの大きな功績があるだろうということで、サービス向上という面では一定の役割を果たしているのではないかというようなお話も伺いました。

 その中で、実はこのインターネット取引の問題については、実際に品物をそこで見ないで、特に生鮮食品の場合に果たして大丈夫なのか、もちろんそういう懸念もあるわけでございます。そういう中で、商物一致の原則というのでしょうか、必ず品物を見て相対できちんとやるというその原則の廃止の、言うなれば拡充というのが今回のこの法律に盛り込まれているわけでございますけれども、そのあたりの認識について一言お聞かせいただきたいと思います。

須賀田政府参考人 卸売市場での取引は、現物が搬入されてきまして、品ぞろえがされて、その品質等を見ながら多くの人が競って、そしてその結果公正な取引価格が形成される、それを公表していく、こういうのが原則でございます。

 今回、この原則、商物一致取引の原則の例外を設けましたのは、そのねらいとするところは物流の効率化でございますが、この基本的な公正な価格形成ということに支障のないように、商物一致の例外となる品目については、規格性を有して、現物を見なくても取引することができるというものに限りたいというふうに思っておりますし、この例外取引においても、仲卸業者や売買参加者の方々がすべて参加できるような機会を提供する、そしてこの取引で形成された価格は公表をするという透明性のあるシステムにしていきたいというのが二点目でございます。

 そして、実際にそれをどうやって担保するかと申し上げますと、卸売業者がこういう例外の取引を行おうとする場合には、その品目でございますとか数量の上限、それから取引の方法、実施期間、こういったものを申請いたしまして、開設者がこれを承認するということで、全体の卸売市場が果たす機能に支障を与えないようにしていきたいというふうに考えているところでございます。

西川(京)委員 ありがとうございます。

 まさに公正さというのが担保されることが大事だと思います。今回、この卸売法の改正に当たって、改正する内容そのものもそうでございますけれども、どう運用するかというそのことにいろいろな関係者の方々の関心が大変強いように感じました。やはり公正な価格形成ということが一番の基本であるわけですので、その運用に当たっては、やはりさまざまな要因、要件、そういうものを考えながらきちんとしていかないといけないという思いを持ちました。

 その中で、きのう私たちが行ったのは中央卸売市場なんですが、翻って、これも、神田市場、幾つかの市場が一緒になってあそこに開設したわけで、十一の地方市場が一緒になってあそこに入ったという経緯を御説明いただきましたが、今回、この中央卸売市場の法改正に向けて、地方の卸売市場との関連というのでしょうか、その辺のところをしっかり考えて、視野に入れた上での改正、運用ということを考えていかなければいけないと思います。

 特に、卸売市場は約九兆円の取扱高ということで、中央と地方の割合が大体半々ずつ、四・五兆ずつぐらいと見られているわけでございますけれども、大田市場は、七割に減ったとはいいながら、やはり全国から集まる物流の多さ、パイの大きさ、その中での卸売業者の存在できる条件というのはあるわけですが、地方卸売市場に至っては、やはり年々集荷量が減っている現実があります。

 そういう中で、要するに、場を提供する手数料という問題、これが今まで九・五から三・五%までいろいろな種類によって決まっていたわけですけれども、ここに今回は改革のメスが入って、その手数料の実際の根拠は何なんだというとよくわからないという今までの慣習的なものがあるようで、そこがフリーになって、供給と需要の関係でうまく透明性のある手数料になるべきだという方向になると思うんですが、その中で、中央でも厳しい状況の中で、地方市場の存在というのは大変これから環境が厳しくなると思います。

 また、翻って、では地方市場は要らないのかというととんでもない話で、やはり今、地産地消という運動もありますが、そういう一つの、それを進めていく上での拠点の問題もありますし、地域の、地方の人たちが本当に生鮮食品を手に入れられる拠点の大切さというのは、私はやはり大事にしていかなければいけないと思います。

 そういう中で、当然、地方の市場同士の連携強化に向けての、効率化とか努力している市場に対してはやはり何らかの支援措置というのは私は必要だろうと思います。例えば民間、民営でやっているようなところの固定資産税の軽減化とか、そういうことが講じられていると思いますが、その適用実績というんでしょうか、現状をお知らせいただきたいと思います。

須賀田政府参考人 地方卸売市場、中央に比べまして自主性を発揮する余地の大きい、規制の少ない、みずからの申請によって行う市場でございまして、適正な配置と機能の発揮ということが望まれるわけでございます。ただ、先生言われるように、近年非常に集荷力が落ちているというようなことがありまして、経営が苦しいという状況でございます。私ども、それで合併を進めておりまして、中核的な地方卸売市場に合併をする場合に固定資産税の軽減措置というのを講じているわけでございます。実績としては、十五年度末現在で、全国で十一市場が対象となっているところでございます。

 本年度からはもっと対象を広げまして、地方卸売市場の合併の促進を図るために、複数の地方卸売市場が合併して取扱金額が百億円以上になった場合、合併して百億円以上、今までは中核的な地方卸売市場、これが百億円以上のものが他の地方卸売市場を合併する場合の措置だったんですけれども、合併した後に百億円以上になる場合にもこの固定資産税の軽減措置の対象となるように新たに措置したところでございまして、私どもとしては、この対象を広げる措置によって地方卸売市場の連携、合併が進むことを期待しているところでございます。

西川(京)委員 今の実績について、十五年度は十一市場ということでございましたが、地方の卸売市場の数は千三百以上あるということですので、まだまだ本当にごく一部ということになると思います。

 実は、私の地元の熊本にも田崎市場という、民営で、かなり自由な動きの中で大変活性化している市場があります。そこにも朝五時に起きて行ってまいりましたけれども、そういう彼らの、おかげさまで熊本が今度十四年度に今局長がおっしゃった制度の適用を受けて固定資産税が半額になったということで、大変喜んでおりましたが、この制度のさらに軽減措置の拡充という問題についてどう考えていらっしゃるのか、副大臣、何か、よろしかったらお答えいただきたい。

金田副大臣 何としても、円滑で、そして効率的な流通をいかに確保するかという問題だろうというふうに思います。税制面でもいろいろな拡充をしていかなきゃならないというふうに思っておりますし、そのことが流通のコスト削減にもつながっていくんだろうと思っております。

 事は税制でございますので、こういう制度があるんだよという宣伝も必要かと思いますし、そういった面で、固定資産税の軽減措置が多くの市場で活用されるように努めてまいりたいというふうに思います。

西川(京)委員 市場が、要するに公営のところが多いわけですので、そこまでいろいろ言うのなら、ではイコールフッティングで公営になればいいんじゃないという行政側の考えもあるかもしれないんですね。そういう中で、やはり民間でできることは民間で現実に一生懸命やっているような地域に関しては、大いにPR、こういう措置があるよという恩典をぜひ紹介して、少しでも地方市場が成り立つような環境整備をしていただきたいなと思います。

 先ほど私も一言、地産地消という問題を申し上げましたけれども、この言葉は最近本当にあちこちでいろいろ使われます。日本の食料自給をどうするんだという大命題にまで関係する問題だと私は思っております。そして、今、農水の世界だけでなくて、文部科学、厚生労働の分野まで広がる食育という、新しいというんでしょうか、言葉がよく頻繁に使われるようになりました。これは総理の頭の中にも入っている言葉のようでございますけれども、本当に、子供を、次世代を育てる子供たちに今一番欠けているのが、実は本物の、人間の手による温かい、ぬくもりのある食事をきちんとさせるというのが一番の大事な大事なテーマだと私は思っておりますので、この食育、地産地消、こういう問題をきっちりこれから農水の分野でもやっていかなければいけないことだと思います。

 その中で、伝統的な日本の食事、これはいろいろな世論調査やデータなどでも、一番、世界的に見ても、健康にも美容にも非常にいいというのが証明されているようでございますけれども、ややもすると、外食チェーン、今の食文化の変化、外食を買って食べる、そういう中でこの食育ということの問題は大変厳しいと思います。その中で、辛うじて、各地域が、地方の県が地域おこしと連動して地産地消ということに今取り組んでいるわけですけれども、その中の一番の柱になるのが、この食育の、伝統的な日本人の食事を大事にしようという、これが大きな柱になっていると思います。そういう中で、地方市場が地産地消という問題ときちんと連動していってほしい、私はそういう思いを持っております。

 結局、地産地消というのは、あくまでも、直接取引の方が今かなり多いと思うんですね。現実に、新しいものをさっと業者が、量販店などが実際に契約によってそこにとりに行ってそれを出す、その方が本当に新鮮だし、安心だし、顔の見える生産物だという認識があると思います。

 ところが、先日、自由民主党の党本部の勉強会でもそういう外食チェーンの方のお話を、お呼びして聞いたこともありましたが、その中で、やはり我々の要求するものに対して生産者側に常にこたえてもらえるということは大変難しい、決まったロットを常時必ずというのがなかなか直接取引だとできないという現実があるということも知りました。また、生産者側からすると、きちっとつくったものをきちんととってもらえる保証がない。そこに、短期的には直接取引というのがかなり進むんですが、少し視野を長期的に移すと、やはり地域の、地方の卸売市場というものの大事さというのが見えてくるような気がいたしました。安定的な食料供給、その問題に対してやはり地方市場がきちんとこたえていかなければいけないと思っております。

 そういう意味での地方市場に対する御認識、できましたら、大臣、お願いいたします。

亀井国務大臣 御指摘のいわゆる地産地消、地域で生産された産物をその地域で消費をするという取り組みであるわけでありまして、消費者には安全、安心を、また生産者には営農の安定、それを提供することになる、そういう面で、自給率や、そして安全、安心の問題にこたえることができると思います。また、あわせて食文化あるいは伝統を守る、また子供たちに生産への理解を深める、そういう面でこれは大変重要なことと認識をいたしておりまして、農水省といたしましても積極的に推進してまいりたい。

 また、地方の卸売市場、市場におきましても、地産地消、この取り組みにおきまして、新鮮な地場農産物を地場に提供する、例えば朝どりの野菜というような点で、卸売市場の集荷、品ぞろえの機能を活用していただく、こういうことは大変重要なこと、このように思っております。

 そういう面で、今回の卸売市場制度の見直し、これに当たりましても、ネットワーク、これを含む市場の再編を通じた集荷力の強化、また買い付け集荷の自由化による外食あるいは加工食品や生産者ニーズに対応した計画的な集荷販売の実現、あるいは、外食、加工食品や産地、卸、仲卸等との連携、国内農水産物を活用した新商品の開発等々、そういう面で今回規制の緩和、こういうこともいたしておるわけでありまして、これらのことを活用いたしまして、ぜひ地産地消の取り組みが地域において強化されることを期待いたすものであります。

西川(京)委員 ありがとうございます。

 実は、通告は申し上げていないんですけれども、この地産地消と卸売市場の問題、これは、それぞれの先生方の、副大臣、政務官、御自分の地域の卸売市場の現状を踏まえて、この問題に関しての御見解がありましたら、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

金田副大臣 地方卸売市場が私の旭川の選挙区にもございます。開設者が四人ぐらいおりまして、最近なかなか経営が困難になっております。

 流通をどう構成するかということは、政治の場で決めるということじゃなくて、地元の意向というのもありまして、地産地消という問題もあります。確かに、現在、八十六の中央市場と千三百もにわたる地方卸売市場がございまして、果たしてこれでいいのか、集荷力も大分落ちてきております。なかなか難しい問題でございまして、多くのチャンネルがあればいいということはわかるんですが、かといって、また流通コストの削減も目指していかなきゃならないので、よく地元で見学に行くんですが、大分経営の困難に陥っているというのが現状でございます。

木村大臣政務官 私の地元にも総合的な卸売市場がありますが、私が言うと毎度のことになりますが、特に独立した形でリンゴ市場というのもありまして、これがもう地域の地産地消という概念以上に、地域経済そのものを市場を通じて当面占ったり、あるいはまた、農家の皆さんのみならず、いろいろな形で波及効果、プラスマイナスも含めて、リンゴ市場の動向を見ながら我々も地域生活を営んでいる部分もありますので、地元のそういった市場の姿からも学びながら、今回の法改正も含めてさらなる努力をしていきたいと思っております。

西川(京)委員 ありがとうございました。

 それぞれの地域のお話をやはりちょっとお伺いしたいなと思ったものですから、突然申し上げまして失礼いたしました。

 今、地方の卸売市場の大変厳しい現実が見えてくるわけでございますけれども、その中で、やはりどうしてもこの再編統合ということは避けて通れない課題だと思います。

 今まで卸売法の中には再編統合に対しての記述がなかったということで、今回新しく入れられた概念だと思いますが、その中で、やはりどうしても、大きくなれば地域の拠点がなくなるという現実があるわけでございます。生鮮食品の流通の拠点を失うという問題も抱えているわけです。言うなれば、経済産業分野での大店舗法の改正ということで、各地域の市町村、県の主要商店街がシャッター通りになってしまったという現実。私はやはり、特に今回、卸売、食に、人間の食べることに関する地方の市場の役割というのは本当に大変大きいと思うんですが、これが大きな流れの中でどんどん統合されていって、それで果たして地域の食文化、食生活は守られるのかという懸念は正直持っております。

 翻って、また、もちろん今までの市場の、単に場を提供して手数料さえ手に入ってくればいいんだというような古い体質も確かにある部分もあると思うんですが、そういう中で、統合再編を果たしながらも地域の拠点としての食文化の流通の拠点をいかに守っていくか。そういう問題に対して、それぞれ業者の効率化への努力はもちろんしていると思うんですが、ぜひ農林水産省の御見解を伺いたいと思います。副大臣、お願いします。

金田副大臣 お互いのメリット、デメリットが錯綜する問題でございまして、なかなか答えを出すのが難しいという面もありますけれども、何とか、ここまでは正しいんだという方向で再編の方向を示していきたいというふうに思っております。

 現在、産地が大分大型化しておりますし、量販店の拡大が進んでいるというようなこともありまして、地方卸売市場の集荷力が大分低下してございます。そして、大規模市場への集中が進んでいるという実態がございます。そういった中で、地方の卸売業者の経営悪化だとか、流通コストが増大する、遠くまで持っていかなきゃならないというようなこともあります。

 こういった状況を踏まえまして、卸売市場の再編による集荷力をどう向上するか、効率的な流通をどうやって設定していくかということがなかなか難しい問題でございますけれども、地域の意向ということも十分踏まえて、そしてそれに参加している卸売業者の意向、開設者の意向、地産地消の地元消費者の願い、そういったものを勘案しながら、ネットワークによる機能強化あるいは統合によるスケールメリットの発揮、そういった民営化なんかも含んだ自由度の高い卸売市場に転換していくということ、地域の意向を十分踏まえながら卸売市場の再編を進めていくことが重要だというふうに考えます。

 卸売市場整備基本方針においても、地域の特性に配慮できるような基準を示すことにいたしておりますし、中央卸売市場計画においても、地方公共団体と協議する中で、地域の特性、要望を十分に配慮して、市場ごとの自主性を尊重したような形の計画となるようにしていきたいというふうに考えております。

西川(京)委員 ありがとうございます。

 一言で卸売市場の役割を言えば、安定した食品供給、そして公正な取引の価格の提示、これが大きな役割だと思います。今回の改正を一言で言うならば、卸売市場の今までの公共性重視から経済性重視に変わった、一つの、今の政府の大きな流れの中の一環の動きだろうと私も思います。その中で、透明な価格形成が保たれる反面、やはり日本人の食料物流の拠点というものをどうやって守っていく、その公共性というものをどうやって保っていくのか、そのことが今回の卸売法の改正に一番問われる問題だと思います。そこはやはり、改正のしゃくし定規でない弾力的な運用というんでしょうか、その辺の配慮も大変大事なことだと思います。

 特に、中央卸売市場と地方の市場というのは、やはりおのずからその役割が違うと私は思うんですね。先ほど木村政務官がリンゴのお話をなさいましたが、まさに大量のリンゴやらオレンジ、ああいうものは、中央卸売市場にもどっと入ってきて日本全国を回る、中央卸売市場が扱う一番の生産物だと思います。片や、地産地消、もうちょっとパイが小さいけれども、いろいろな作物を国民の多様なニーズにこたえてあれするのが地方卸売市場の大事な役目ではないかと私は今思っております。

 特に私は、食べるということに関して、先日、実は拡大EUの、五月一日から二十五カ国になったその日に、国際局の方でその現場に立ち会おうということで行ってまいりました。その中で、やはり日本の食文化の多様性というか文化性というか、そういうものをつくづく感じました。本当に、フランスとかイタリアとかラテン系の国々は、いろいろな食を楽しむというかなり日本に近い文化が高まっている部分がありますが、正直申して、イギリス、北欧は私もよくは知らないんですが、非常に単純な食生活のような気がいたします。その中で、やはり卸売市場というものの発展してきた歴史というのが、ラテン系の国あるいは日本のような、中国は私もちょっとよくわからないんですが、そういうのがあると思うんですね。

 ですから、私は、これは単に物流の問題でなくて、まさに日本の文化、食文化を守るためにも、この卸売市場というのは一定の大事な存在価値があると思います。その中で、中央と地方の卸売の役割を明確化しながら、地産地消という一つのテーマに沿うような、地域おこしにも寄与できるような卸売市場のあり方というんでしょうか、それがあったらいいなと思いますが、その私の今の思いについての大臣のコメントを一言いただけたらと思います。

亀井国務大臣 先ほども私、最初にお答えを申し上げましたとおり、市場の役割、いわゆる指標あるいは公正な価格の形成、そしてさらに物流、流通の適正化、こういう面、あるいはまた、今お触れになりましたとおり、いわゆる農産物、地産地消の問題等々、重要な役割を果たすわけであります。そういう中で、市場が、中央市場また地方卸売市場は、地産地消の問題、地域の特殊性というものを十分に生かしたものが、さらに今回の改正によりまして、規制の緩和あるいはネットワーク化の問題等々、それぞれの特色を生かし、その機能が発揮されることが必要なことではなかろうか。

 あわせて、公設の問題、これも、民でできるものは民で、PFIの導入、市場の整備や運営、そういう面での効率化、こういうことはやはり時代の要請にこたえて、消費者のニーズにこたえる、そういう面でのことも十分加味して、民間の活力というものも十分活用できるようなシステムにしていかなければならないのではなかろうか、このように思います。

西川(京)委員 ありがとうございます。

 今回のこの卸売法の改正が、やはり消費者にとっても生産者にとっても、そして間を、そこに大きな役割を果たす卸売業者、そういう人たちにとっても、みんなが将来に希望の持てる方向に行くような改革であってほしいと私も思っております。それについては、やはり運用面で、実際の現場の人たちの意見をよく吸い上げて、弾力的な運用その他、ぜひ御配慮いただきたいと思います。

 続きまして、特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案、この法律案について一言質問をさせていただきます。

 現在、我が国の農産物の約四割が実際には加工品、そういうものに、農業生産物が食品産業の、例えば大手のメーカーの原材料に回っているという現実があります。ところが、こういう工場なり会社なりがみんな、中小零細企業が多いという現実があるわけでございます。そして、割合地域の近くにそういう会社なり生産拠点があるという現実の中で、今こういう経済状況の中あるいは社会の要請の中で大変厳しい経営環境を迫られているわけでございますけれども、食品産業あるいは外食産業その他のこういう加工食品業界というのは、言うなれば食品産業部門だけの問題ではなくて、実はそういう中小零細の地域の会社が多いわけですので、地域の雇用面あるいは地域おこしの、地域の経済という面にも大きな寄与、一定の役割を果たしているということがあると思います。

 翻って、全体の大きな環境の方に目をやりますと、WTOのいろいろな問題、あるいは、今回のメキシコのFTAのような問題においても、加工品のジュースなどがなかなか最終的な詰めのところでもめたような経緯もあるわけでございますが、外からの大きな攻勢がある中で、どうしてもここにはそれなりの、地域の経済を守る、そして地域の食生活を守る、そういう思いからも一定の行政側の措置というのが必要になってくると私も認識しております。

 その中で、そういう経営環境の改善、促進などに対しての金融、税制上の支援措置が行われているわけですが、この五年間延長ということが一つの今回の改正の目的でございますが、こういう特定農産加工業経営の現実を踏まえたお答えをいただきたいと思います。局長、お願いします。

須賀田政府参考人 特定農産加工法、もともとは、農産物十二品目それから牛肉・オレンジの自由化問題、これは昭和六十三年に起こった問題でございますけれども、これを契機として制定をされたわけでございます。先生おっしゃいますように、特定の農産加工業、地域におきましては雇用の面でも地域農産物の仕向け先といった面でも大きな役割を果たしているわけでございまして、貿易環境が厳しくなっても地域の農産物を原材料として調達して頑張っている農産加工業に対し、金融、税制上の支援措置を講ずる、これがこの法律の趣旨でございます。

 平成元年度から十四年度までの間に合計で九百三十二件の計画が承認をされまして、農林漁業金融公庫等からの融資総額が四千三百七十四億、件数が一千百一件に上っているわけでございます。税制上の特例措置の方も、機械、装置に関する特別償却、税額控除が二百九件、減税額で約二十億円、事業所税の課税標準の特例が九十四件、減税額で約三億円でございます。

 トータルとしての評価は難しゅうございますけれども、個々の融資で融資先の地域農業、地域経済への効果を見てみますると、地域農産物の取引量でございますとか従業員数の増加でございますとか、こういう地域の雇用それから地域農業の進展に寄与している、一定の成果を上げているというふうに評価をしておるところでございます。

西川(京)委員 ありがとうございます。

 今回、この法律がどの程度地域に寄与しているのか。地域農業との連携を図って頑張っていくという食品メーカーを支援するということがこの法律の思想であるわけですけれども、今局長の方から具体的な数字が少し挙がってまいりましたけれども、実は本当に、十二品目の国産の作物を利用するという一つの原点があるわけですが、今回、FTAの問題なども含めて、どの程度国産農産物の利用の増加というのが、各県でこの法律があることによって具体的にどの程度ふえたんだというような、そういう数字というのは出せるのでしょうか。

須賀田政府参考人 農林漁業金融公庫が融資先に調査をしております。十四年度に調査対象九十六社で調査をしてみましたところ、これは計画でございますけれども、農産物の取引量、十四年度が五十三万トンを十九年度には六十一万トン、七万六千トンぐらいふやしたい、それから従業員数も、八千八百人ぐらいのところを一万二千人ぐらい、三千人以上ふやしたい、こういう計画を立てられまして、それを承認したということでございます。

 現実に、過去、平成八年にやった、三十三社で調べてみましても、これは実績でございますけれども、地域農産物の取引量が、これは三十三社でございますが、一万三千トンふえておる、これは平成八年から十三年まででございます。従業員が、これも二百二十三人ふえておる。こういうような効果が得られているところでございます。

西川(京)委員 もちろん、それだけが理由でなくて、ほかのさまざまな要因があると思いますが、現実に、今本当に地方が疲弊している。経済ともども、そして日本の農業というものの厳しさ、そういう中でできることは、こういう小さいもの、一つ一つをきちんとやっていって、そして、やっていった効果が本当にあるのかという、その検証というのもとても大事なことだと思います。

 とかく私たち国会議員は現実に法律をつくるまでは一生懸命しますが、では、その法律後の、法律が施行されて、本当に地域でどれだけその法律の浸透した効果、結果が出ているのか、そこまではなかなか、ついつい思わないことが多いものですから、こういう実効性のあるような法律の場合には、やはりぜひ農水省の方も、その後のフォロー、後の調査というんでしょうか、そういうのをきちんとして、説明責任というのを果たしていただきたいと私も思います。

 今回、この法律は地味な法律ではありますけれども、本当に大いに役立っていると思いますので、これを五年五年で延長していくというのでなく、恒久化するというお考えはおありでしょうか。

亀井国務大臣 この恒久化をすべきではないか、こういう御意見、これがあることは承知をいたしております。

 しかし、やはり一定期間内に経営改善を進めまして、そしてできる限り早期に経営体力の強化を促す、こういう目的もあるわけでありまして、期限を切って経営努力を求める、こういうことがひとつ適切ではなかろうか、このように思います。

西川(京)委員 ありがとうございました。

 今回のこの卸売法の改正、そして特定農産加工業経営の改正、延長というこの法律の勉強を、私は、大変恥ずかしい話ですが、急にここ何日かで勉強したり現地に飛んでいったりということで、にわか仕立ての質問になってしまったんですが、実際の農業生産の現場だけを見るのと、あるいは本当に流通の分野をきちんと勉強していく、そして消費者の動向、いかに売るのかという概念、これからは日本の農業の中でこの問題が大変大事なことになってくると思います。そして、それがひいては安心、安全な食料を提供するという消費者のニーズに合致することにもなると思います。

 この卸売法の改正が、今までそれぞれが、卸、仲卸の人たちが分担して、片方は消費者を向き、片方は農業生産の現場に向いているという中で、今回、その垣根がとれて非常にフレキシブルになるということなわけですけれども、それは、言うなればもろ刃の剣だと思うんですね。それが非常にうまく成功していけば、本当に消費者の求めるものと生産者との意思疎通が図れて、いろいろな情報が飛び交い、非常に活性化した市場になっていく。そういう方向を目指したいと思いますが、片や、反面、その辺が今までの卸売市場という立場の存在価値がなくなっていくような方向になってはやはりいけないと私は思います。

 これは一つの、フグの競りとかおもしろい、長い伝統をかけて日本人の知恵のような、いろいろな日本のやり方があったわけですが、そういう一つの形式が、一本化された情報化、電子化という流れの中で、いかに日本人の感性に合った、商道徳というんでしょうか、そういうものを守りながら新しい多様な消費者のニーズにこたえる食料生産を実際の生産現場は図っていくか、そういうことの問題に関しては、一つの答えになるのがこの卸売法の改正だろうと私は思います。

 そういう意味で、本当にいい方向になるように私も一生懸命努力したいと思いますが、行政側の弾力的な、言うなれば非常に懐の深い運用を期待したいと思います。

 まだちょっと時間が余りますが、以上で用意した質問は終わりですので、これで終わらせていただきます。

高木委員長 次に、吉田治君。

吉田(治)委員 民主党・無所属クラブの吉田治でございます。

 今回の卸売市場法の改正につきまして、私の地元大阪中央市場、築地に次いで日本で第二の中央市場でございまして、そういうふうな状況の中で今さまざまな問題が起こっているのは、私が言うまでもなく、大臣初め行政、よく御存じかと存じますが、改めての質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、卸売市場の現状と機能という部分、これにつきましては、私の一番大きな問題意識は、例えば今、日本の食品業界というのは、食品商社を含めて一兆円企業でないと生き残れないということで淘汰、合併等が行われている。しかしながら、最終的に市民の食の確保というもの、供給確保を持つのはやはり中央市場であるということ。大阪の中央市場は、どんどん荷の量が少なくなってまいりまして、それでも今、約一千七百から一千八百億円年間取扱高がございます。これが大阪市民二百六十万の供給のもとになっている。幾ら一兆円企業ができても、だれも国民に対して、また市民に対しての食の供給の安全というもの、安心というものを責任は持っていなかった、私はまず最初にそのことが言えるのではないかと思っております。

 そういう中で、今回の卸売市場法の改正、現状と機能についてまず大臣にお伺いをしたいのは、法改正が何度もありました。私もそのたびにこちらへお伺いして質問もしてまいりました。また間、間で、予算の分科会等々でも質問をさせていただきました。

 現実には、例えば国内の漁業生産、昭和六十年一千二百万トンが、平成十五年に半減になってきた。中央市場、水産物の全国の取扱高は、平成元年四百十三万トン、三兆三千億円が、十三年には三百四十四万トン、二兆六千億にと、本当に毎年毎年減少をしてきた。農林水産というと、思わず川上のもの、ものをつくるところの発想が、どうも私たち市民にとっては、また消費者にとっては、生産者の方にばかり目を向けた農水行政ではなかったか。結果として、例えばこの水産物の流通に対しての対応が私は甘かったと言えるんじゃないかと。

 あえて言うならば、これは責任をだれかにとってもらわないとという部分も私はあると思うんですけれども、その辺、まず大臣のお考えというもの、それと同時に、現在の卸売市場流通というのは、日本においては本当に長年かかってでき上がりましたすぐれた流通機構である。大阪の中央市場は雑喉場と言われておりましたし、また、今の築地はもともと日本橋にあって、一心太助の時代からというふうな形で長い歴史のあるところであります。

 私は、今後ともその発展というものを図っていく必要があると思いますし、また大都市の、今申し上げた食料供給を支えてまいりましたし、また、健全な価格形成機能を担ってきた。私は、そういう意味で、何遍も申し上げますように、不可欠の存在である。大臣についてはその認識をどういうふうにお思いになられているのか。また、不可欠と考えられるならば、どういうふうに、なぜ必要なのか、そして、この法改正によってどのような卸売市場にするということを大臣として期待をし、考えているのか。まず、基本的な認識の御答弁をいただきたいと思います。

亀井国務大臣 水産のことでお触れになっております。卸売市場全体もそうでありますけれども、水産につきましては、本当に水揚げ量あるいは金額が減少する、こういう中で、産地市場を中心に、実需者サイドの定量あるいは定規格、定品質等の要求に対応できなくなっている。これによりまして、市場の取扱金額が減少している、御指摘のように市場関係者の経営が大変厳しくなっている、悪化をしている、このことは承知をいたしております。

 その中でも、水産物につきましては、現に三分の二が市場経由というようなことで、その活性化を図ることが大変重要、このように認識をし、今回このような法改正をいたしますのも、そのような状況、市場経由率が低下している、あるいはまた生産者、消費者のニーズに的確に対応していない、こういうところもあるわけでありまして、今回の改正で、市場関係者の経営体質の強化に向けまして、そしてさらに旧態依然とした規制の緩和等の措置を講じたところでありまして、不断に、生産者サイド、消費者サイド双方のニーズにこたえる市場の機能を発揮することが当面必要なことじゃなかろうか。

 そういう面で、市場の重要性、オープンな形で指標価格あるいは安定供給等々、また公正な取引、こういうものが図られるわけでありますので、今回いろいろの問題点、長い間この面での検討会、研究会等の経過を経て今回の改正をし、そして、市場の今日的なニーズにこたえるような対応ができるように努めてまいりたい、このように考えているわけであります。

吉田(治)委員 今、大臣の答弁の中に、卸売市場というのは生産者にとっても消費者にとっても必要なものだというふうな答弁がございましたが、どう必要なんですか。(亀井国務大臣「ちょっと質問を」と呼ぶ)

高木委員長 もう一回どうぞ、吉田君。

吉田(治)委員 今大臣の答弁の中で、卸売市場というものは生産者にとっても消費者にとっても必要で大事なものである、そうお答えになられました。では、具体的に、どう何が大事なので、どういうふうにしたいんですか、卸売市場を。

亀井国務大臣 それは、生産者サイドにおきましては、この卸売市場を通じまして消費者のニーズが反映できるような形というもの、そして生産者の面におきましても安定的に農産物が供給できるような、そういう体制を確立する、安定的にそれらが確立されることが必要でありますし、市場におきましても、生産者にいろいろの情報提供、そして生産者がそのようなニーズに、いろいろな情報把握をして、消費者のニーズに合うような生産体制が確立し、そしてそれが安定的に市場に提供され、販売される、こういうことが必要であります。

 一方、消費者につきましては、やはり安心、安全、そういう中で消費者のニーズに合う品ぞろえ、そういうものがなされて、そして、価格が公正な価格で形成をされまして、供給を受ける。

 こういうことが消費者並びに生産者にとって必要なことではなかろうか、こう思います。

吉田(治)委員 安定供給という部分を言われましたよね。それから、消費者のニーズという言葉、それをぐるぐる堂々めぐりされていました。

 大臣の考える消費者のニーズというのはまず何なのか。それから、安定供給といった場合に、これは生産者に対する価格というもの、この中央卸売市場があるのとないのと、生産者に対して価格はどうなるのか、プラスなのかマイナスなのか。また、反対に言うと、今度は消費者にとってプラスなのかマイナスなのか。それはどうなんですか、大臣。

亀井国務大臣 それは、生産者、消費者ともども、安定した価格、これが当然求められるわけでありますし、そういうものがこの市場におきまして価格形成がなされることが必要なこと、こう思います。

吉田(治)委員 後ほどの質問で予定していたんですが、今、大臣、その答弁がありました。

 平成十一年の改正のときに原則競りから相対も可能にした。そのときは、消費者の利益のためという趣旨は大分出ておりました。私もそのとき質問しております。

 では、今大臣が言われた消費者の利益、消費者の利益になったというのは、具体的にそのとき、平成十一年からこの五年間で、販売額、小売価格、消費者の利益を示すそういう具体的なデータがあるんですか、担当局長。

須賀田政府参考人 先生おっしゃりますように、平成十一年に産地とか量販店の大型化ということで、相対を進め、相対取引も認めてきたわけでございます。

 その結果が消費者利益につながったという具体的データがあるのかということでございますけれども、数値としてのお示しするようなデータはございませんが、消費者の利益になったかどうかについてアンケートを卸と仲卸にしまして、消費者ニーズをダイレクトに反映していると思われる量販店等との計画的な取引が容易になったという回答を得ております。

吉田(治)委員 今の局長の答弁からすると、消費者の利益というのは量販店の利益だということになるじゃないですか。アンケート調査の結果、量販店だったらと。

 大臣が言っておられる消費者のニーズ、消費者に価格の部分について利益になったということ、局長のこの答弁で大臣はいいんですか。これから先、この法案を改正していったときに、消費者の利益というものをどういう形で数値的に、この国会、この審議をした後の農水委員会で明らかにするつもりなんですか、大臣。

亀井国務大臣 消費者の利益、これは価格の面と同時に、やはり安全、安心、そういうような形での利益を得るということも十分あるわけでありますし、価格の面、数字、データ等は、細かいことは今事務局から答弁したようでありますけれども、やはり市場を通じて価格の形成、それは今日まで市場の使命を果たすことによってなされており、またさらにはそういう立場で消費者に利益が得られた、私はこのように思います。

吉田(治)委員 だから、大臣、今後こういうふうな場で、どっちみち五年か十年したらまた法改正するでしょう、そのときに見て、どう消費者の利益になったか、そういうデータというものをしっかりこれから農水省としてとるのかとらないのか、はっきりしてくださいよ。

亀井国務大臣 調査の方法、いろいろあろうかと思いますけれども、その時点での、今日その数字が、どういう調査がよろしいのか、私も今何とも答えることができませんけれども、しかし、いわゆる小売価格等々の調査はしておるわけでありますので、そういう価格をもとに、今回この五年間の検証というものは可能になる、このように思います。

吉田(治)委員 今の大臣のだったら、可能になるということは、この法案をつくるときにその可能なものを出していないということでしょう。局長はデータがないと言うし、データの話をすると、今何を言ったんですか、量販店に向けた調査だと。

 卸売というのは、卸売市場における卸売業者というのは、どちらかといったら生産者の側に立って、消費者側には仲卸の皆さんが立っていただいて、値決めの闘いによって公平な値決めが行われてきた。では、今局長が言われたアンケートという形で言うたら、どれぐらいアンケートをされたんですか。

 一連のこの規制緩和の中で、卸と仲卸というのは対等な形だ、対等な条件の競争といったら、もちろん、上場企業にしているような卸会社と、おっちゃん、おばちゃんで頑張っていらっしゃる仲卸の間やったら、それはもう、この競争の格差というのは大変大きい。もちろん、川下、消費者のバイイングパワーと、川上、要するに生産者の間に挟まれて本当に苦しい状況にあるというのは、私はこの委員会でもいろいろなところで、川中の業界だといって何度も申し上げました。

 大手小売からの、これは、反対を言うと不当な値下げの圧力の調査。アンケート調査で明らかに不十分である。アンケート調査をしてきたと。では、どんなアンケート調査をしてきたの。

須賀田政府参考人 先ほどの取引実態のアンケート、卸売業者回答者百十七、仲卸業者百四十四でございます。

 やはり量販店が消費者の購買行動と対面しているわけでございまして、消費者のニーズを酌み取りながら商売をされておりますので、その量販店との取引の円滑化というのが、間接的ではございますけれども、やはり消費者のニーズを反映しているんじゃないかというふうに私どもは受け取っております。

吉田(治)委員 アンケートの仕方は、郵送で送って返ってきたんですか、対面ですか。

須賀田政府参考人 私どもの委託事業として実施をいたしました。郵送でございます。

吉田(治)委員 これだけ大きな、生殺与奪を握るような大きな法改正をするときに、郵送で委託というのは何ですか、これは。同じようなことは、経産省、今、新産業創造戦略でまとめたとき、七百社、経産省の職員がみんな歩いていったんですよ。自分たちは歩く努力をせずして委託、自分たちが郵送しているんじゃないんじゃないですか。人任せにして、結果として手に入れたものがアンケートだ、これが消費者の利益だと。一億数千万に上る消費者はそんなことで納得すると局長は思っているんですか、どうなんですか。

亀井国務大臣 今回の法改正に当たりましては、卸売関係の団体、またさらには消費者の団体の皆さん方もこの研究会に参画をしていただきまして、そういう関係者の御意見も十分伺った形で今回法改正、こういうことになっておるわけでありまして、調査の問題の御指摘はありますけれども、やはり消費者団体、消費者の皆さん方、直接そういう方々の御意見をちょうだいして対応しているわけであります。

吉田(治)委員 大臣が言われるのは研究会の話でしょう。私が言っているのは、アンケートの話を聞いているんですよ。アンケートをどうだと。反対を言ったら、研究会やって、おいでよと。おいでと言って来させて聞くのと、みずからがあの市場の中を長靴を履いて歩くのと、どれだけ違うんですか、大臣。私はそのことを言っているんですよ。自分たちは郵送だ。正直言って、あの魚臭いところを、服ににおいがつくところを歩いて何で聞けないんですか。それはどういうことです、局長。

須賀田政府参考人 先ほど申し上げましたのは、前回の改正の結果のどういうふうに評価しているかをアンケート調査を行った。

 今回の改正に関しましては、いろいろな業界の方がおられます。地域の広がりもございます。その主要な地域へ出向きまして、直接お話を聞いて改正内容をまとめてございます。また、消費者団体も、主婦連を初めとする消費者団体の意見を直接お聞きして改正内容はまとめたものでございます。

吉田(治)委員 局長、そういうふうな話を、私はレギュラーの農水委員じゃないんですよ、都市から出ている人間なんですよ、言っちゃあれですけれども、それで納得すると思ったら大きな間違いですよ。私たちは都市の生活者であり、そして消費者の代表として私は来ていると思っているんですよ。言っちゃ悪いですけれども、生産者の代表じゃないんですよ、局長。そんな話が通用すると思ったら大きな間違いですよ。質問項目がぎょうさんあるから、この問題については、後日、この委員会にまた筆頭理事に頼んで質問しに来ますから、よう覚えておいてください。

 そういうふうな卸売市場の中で、高齢化の問題というのは本当に進んでいますよね。行ってもお年寄りばかりです、はっきり言って。後継者不足というのが言われています。これは単に卸売市場だけじゃなくて、農林水産業全体に言えることである。慢性的な人手不足、これについて、まず、局長、どういうふうに考えられているんですか。

 また、卸売市場、私は水産の話を妥協するつもりではありません。もちろん花、青果、水産と、それぞれに卸と仲卸があって、それぞれ状況は全く違うと思います。私は、もちろん一緒くたに質問するつもりはありません。とりわけ今回の改正は、主に青果向けであるような印象がある。今局長は、いや、私たちも情報収集に現場に出向いたと言っておりましたけれども、どういうふうな情報収集、対応というのがとられてきたのか。この法案の基礎的な部分でこの二点、いかがですか。

須賀田政府参考人 まず、先の御質問でございます。私ども、特に市場の関係者、仲卸業者さんの従業員、高齢化、後継者不足ということ、雇用状況が厳しいというお話を聞いてございます。私ども役所としてできること、限界があるわけでございますけれども、私どもは、仲卸業者を含む食品販売業者の方々に対しまして、新しい情報伝達手法、その他流通に関する知識、理論でございますとか、そういうための教育研修事業ということで、できるだけ人材を育成したいというふうな事業を仕組んでいるところでございます。

 もう一つは、青果、水産、食肉、花卉、四部門でございます。確かに先生がおっしゃるように、集荷の面では市場経由率が違いますし、それから競りの割合、相対の割合もおのおのの部分で違います。経営面でも、一社当たりの平均取扱額は全く違うという状況でございます。

 したがいまして、今度の制度改正をまとめるに当たりまして、去年九月に制度改正の検討メモというのを私どもつくりまして、十月いっぱいをかけまして、生産関係の方々を初めといたしまして、卸、仲卸、それから量販店関係者、それぞれの方から意見を聞きまして、こうした過程を通じて集約をして改正に至ったという経緯を経たわけでございます。

吉田(治)委員 局長、何言うてはります。はっきり言うけれども、わからへんがな、ぐちゃぐちゃ、ぼちょぼちょ言われても。大阪の人間はせっかちで申しわけないけれども、幾ら何でも、局長、ここの委員会の人間でないということで、答えについて誠意が足りませんよ、はっきり申し上げますけれども。そんなやったら毎回来ますよって、よう覚えておいてくださいよ。いいですか。

 では、この市場の中の人手不足にどう対応するの。それぞれ一言で言ってよ、人手不足についてはどうしたいということ。頑張ってリクルートさせるんですか。それとも何か、商工会の人がやっているように、間に開設者が入って、こんなもうやめはる人がいるけれども、この権利買いませんかとか、そういうことをやるということなんですか。どうなんですか、それは。

須賀田政府参考人 経営が非常に苦しいといった方に対しましては、合併、連携、その他の政策を……

高木委員長 少し大きな声で。

須賀田政府参考人 はい。

 合併とか税制上の支援措置で進めていくという方向と、それからやはり、今回、仲卸業者さん、市場ごとに体質強化計画というのをつくっていただきまして、転廃業を余儀なくされる方には、例えば基金を造成して転廃業される方への支援をする、そういう仕組みを考えているところでございます。

吉田(治)委員 ということは、新たな人を入れるんじゃなくて、今あるものを、だんだん人を減らしていって、規模の拡大化をして、数を仲卸でも卸でも減らしていく、そういうふうに聞こえるんですけれども、局長、それでいいんですか。

須賀田政府参考人 仲卸さんの四割が赤字でございます。率直に申し上げまして、やはり体質強化というためにはそういう道も模索せざるを得ない。これは市場ごとに判断をしていただきたいというふうに考えております。

吉田(治)委員 そこから先の話はまた後日にさせていただいて、あと卸と仲卸の問題なんですけれども、これは一部取り上げましたけれども、こうした相対取引というのが増加していくと、販売価格の透明性というもの、これについてまずどういうふうに確保されているのかということ。第三者販売と直荷引きの緩和問題は、特別な例外規定の厳格な運用、それから市場ごとのルールというものが必要になってくるんですけれども、それをした場合の担保ですよね。だから、透明性の確保とルール等の担保をどう考えているのか。

 そして、今回、電子商取引の導入という形で、卸売流通というものに本当に混乱を生じないように進めるべきであると思います。そういう中で果たして、フリーアクセスということが言われておりますが、それだけでいいのか。例えば電子商取引に参加できるのはその市場の卸、仲卸業者に限定するなど、そういう規定というのを設けたらどうかと思うんですけれども、まずこの二点、局長、いかがですか。

須賀田政府参考人 御質問は三点のように受けとめております。

 まず、相対、競りの話でございます。これは、取引情報の公開は重要でございますので、競り、相対別の数量、それから、先ほど申し上げました商物分離をした取引ならその取引分、そういうものについては、どういう価格、どういう量が取引されたかを別々に公表したいというふうに考えております。

 それから、第三者販売、直荷引きの話でございます。これは、ねらいは、例えば第三者販売ですと、生産者の方でこういうものを新規に売りたいんだというものがあれば、それはそういう新規開拓のために仲卸さんを飛ばしてちょっとやっていただく、逆に、生産者に小売の方から、こんなふうにしたらどうだろうか、新品種ないだろうかというのを仲卸さんが卸を飛ばして生産地と直接やる、こういうことによりまして、新しい分野を開拓したい、それが定着したら普通の市場取引に行きたい、こういうことをねらいにしているわけでございます。ただ、そういうことを言いながら、取引秩序を崩すということがあってはいけませんので、何をどのぐらい、実施期間ですね、そういうものは開設者の承認に係らしめたいというふうに考えております。

 それから、電子商取引、市場外の人間が参加したらいかぬ、おっしゃるとおりでございまして、仲卸業者さんと売買参加者さんのみが参加可能になるようにしたいというふうに考えております。

吉田(治)委員 今の第三者販売のルールのところ、開設者という部分は、しっかりとその辺は調整していただくということをお願いしたいと思います。

 そういう中で、とりわけ、先ほどからの議論の中にありますように、仲卸業者の経営改善、経営指導、今回特に財務面を強化するということですけれども、私は、その前に、御説明に来られた農水の方にも申し上げたんですけれども、卸と仲卸の支払いサイトの枠が全然違うんですね、十日と四十日、五十日であるとか。この支払いサイトの問題というのを何らかの形で解決すべきではないかと思っております。支払いサイトのずれの問題がある意味では仲卸の慢性的な赤字体質の一因であるのは明らかであります。

 そういうふうな意味で、特別な精算機能を持たせる、そういうふうな形の何らかの具体的な措置というものを講ずるつもりはあるのかないのか。今回はたしか経理的なものの明確化だというんですが、表へ出すんだとかいうふうな指導をされているということはありますけれども、やはりこの支払いサイトという問題は大変私は大きいと思います。それについての措置というものをぜひともお考えいただきたい。

 それから、経営状況が極めて厳しくなっている仲卸業者、今局長の方は、できる限りうまい形で集約みたいなことをおっしゃっておられましたけれども、この仲卸業者に対して、国としてどのような対策を講じていくのか。これはもう私が言うまでもなく、卸売は農水省の管轄であって、仲卸というのは開設者が認可をしたということでありますけれども、二つがなければ市場が成り立たない。ですから、国の法律でこうして法改正をするという中で、国自身もこの仲卸業者に対してある程度の責任というものを持つべきではないかと思うんですけれども、その辺はいかがお考えになられているのか。

 また、私は大阪という形で大きな都市の市場の話を申し上げましたけれども、地方の市場においてはもう仲卸不要論などもささやかれています。このような現状に、法的にも仲卸を市場内に置くことと書かれておりますし、市場機能の中核として国としてもしっかり支えていく、その辺の決意というものを、これは私は先ほどから都会だとかいうことで言って、お気を悪くされているかもしれないけれども、やはり地方の方々にとって大変大きい声になってまいります。この最後の部分については、大臣、どうお考えなのか、御答弁をいただきたいと思います。

須賀田政府参考人 まず、決済サイトの御指摘でございます。

 先生がおっしゃるように、私ども調べてみますと、仲卸と卸、この決済サイト、青果の場合で平均八・四日、それから大規模小売、量販店との仲卸の決済サイトが平均二十二・八日でございまして、随分違うということで、やはり仲卸さんにとっては資金の回収期間が長いのに比べて支払う義務期間が短いということで、確かに経営上大変だというふうに思っております。

 私ども、この問題は、今度、業務規程の中に決済確保の規定を置けというふうに書いているわけでございます。九州地方の例でございますけれども、精算会社が中に立って両方からの精算をうまくやっている例がございますので、こういう事例を紹介しながら、各市場開設者に対応をお願いしていきたいというふうに考えているところでございます。

 それから、仲卸さんへの経営の問題でございます。やはり、日本のように多数の食品の専門の小売店があるような国は、その人たちが直接市場へ行って取引するというのはなかなか難しゅうございます。したがいまして、日本独自のあり方、外国は仲卸さんがいないところもあるようでございますけれども、日本独自のあり方として少量当用買いみたいな消費者行動もありますので、小さな、零細小売店の役割というのも重要でございますので、それを代表する仲卸さんの役割というのは今後とも重要なんじゃないかというふうに思っております。

 私ども、この仲卸さんに対してやれることでございます。申しわけないんですけれども、やはり客観的な財務基準というものを今回決めさせていただきまして、それを基準で、自己資本比率が低いといった方にはちょっと経営改善をお願いする、そして、やむを得ず合併等をせざるを得ない場合には登録免許税の軽減措置といったような支援措置で仲卸さんの再編、合併を支援していく、このようなことを私どもは考えているところでございます。

亀井国務大臣 委員から御指摘の件につきましては、今局長から答弁いたしましたが、市場におきます仲卸の役割、本当に短期間で迅速な取引を進行させ、かつ適正な価格の形成を行う上で極めて重要な役割をするわけであります。

 財務基準の問題あるいは登録免許税の問題等々は講ずるわけでありまして、実は私も、形態は違いますけれども仲卸のような仕事をずっとしてきた者といたしましては、この仕事、卸の仕事が大変小売店とのはざまに入って、小売店の需要等々をいかに反映するかというなかなか厳しい仕事であることは十分身をもって体験をしたものでございまして、十分そのことを踏まえて対応するように努力をしてまいりたい、こう思っております。

吉田(治)委員 いろいろ議論は尽きないんですけれども、やはり流通政策というもののグランドデザインというんですか、将来に向かっての希望がなかったらなかなかやっていけない部分、そういう中で、私は局長に三点ほど質問をさせていただきたいのは、平成十一年の改正で市場取引委員会というのが設置をされる。現状、しっかりとこれがどういうふうに機能しているのか。有名無実化という指摘もあるんですけれども、機能、権限の強化、適正な取引の監視機関にすべきではないかと思うんですけれども、その辺は市場取引委員会についてどういうふうに事務サイドとしては考えているのか。

 また、何度も申し上げておりますように、食の安全、安心のため施設設備を進めていくというのは、私は反対するわけではありませんが、開設者の判断によって結果的に費用負担が市場内の業者の負担になっているということも多い。そのことについてはどう考えていくのかということと同時に、今の時代、安全というものに対する非常な意識の高まりがありますので、このコスト負担は決してただでないとみんな知っていると思うんです。ですから、流通全体、ひいては、私は先ほど消費者という言葉を申し上げましたが、私たち消費者も負うべき部分だと私は思っているんです。だから、反対を言うと、そこの部分の啓蒙活動をしっかりとしていくべきだと考えているんですけれども、その辺は、今後どういうふうなことをされていくのか。

 そして、消費者の顔が見えるようになったという、安全という部分で、今消費者という言葉が多分農水の方でも非常に大きな課題になってきていると思います。そういう中で、見聞きによる食の安全という観点、健全な価格形成という観点からも、市場の活性化のために、例えば横浜では競りを復活させると活気が少し戻ったとも聞いておりますが、競りというふうなものが非常に重要だと思うんですけれども、この競り取引についてどのように考えているのか。

 この三点をお伺いすると同時に、もう時間がございませんので、先に質問をまとめさせていただきますと、大臣、農水省のお方は、私は今局長に随分厳しい議論をいたしましたけれども、私は外から見ていて、本当に愚直でまじめなお方が農水に集まられていると思います。だから、先ほどのような、私なんかにがっと言われると、あっとなる、そういう答弁になったんだと思います。

 前回法改正をされても、例えば青果でありましたら七一・四%から六八・七%、水産が六八・六%から六四・三%と、市場経由率というのは、一番最初に申し上げましたように下がる一方であります。今回の改正で市場経由率をやはり上げたいというお気持ち、この表明をしていただくのと同時に、前回の改正とはどう違い、どういった手段が有効だと考えられているのか。

 そして最後に、今般の改正の方向全体を見ているときに、卸売市場運営の実質的な責任をどうも国ではなく開設者、私ども大阪の中央市場でしたら大阪市市場局に、市場局はもうなくなりましたけれども、大阪市に押しつけるような方向に感じてならないんですね。ですから、国が、食料品の流通の根幹、先ほどから大臣も言われました安心、安全というもの、そして安定というもの、そして値段というもの、そういうふうな流通の根幹としての卸売市場をしっかりと支えていくべきではないかと思いますが、その辺の御決意を含めて、最後、大臣から答弁をいただきたいと思います。

須賀田政府参考人 まず、市場取引委員会でございます。

 十一年の改正で、中央卸売市場における売買取引に関し必要な事項を調査審議させるということで発足しました。これは、市場取引委員会自体はほとんどの市場、八十六の市場のうち八十五で設置はされておりますが、活動状況を見まするに芳しくございません。開催回数は、六十九委員会が年間五回未満、しかも五十六委員会が一回以下ということでございます。それから審議内容も、競りだとか相対の取り扱い、肝心の部分でございますけれども、そういうものを調査審議している市場は十七市場にとどまっているということで、その創設の趣旨から見て不完全、不全ということでございます。

 しかも、今回の卸売市場法で、秩序の維持、それから規制緩和の効率化と調和を図らないといけない業務がふえているわけでございますので、私ども、これの活性化に向けて、法律改正後は真剣に取り組んでもらうべく対応をしたいというふうに思っております。

 それから、コールドチェーン等の施設整備でございます。これが市場の使用料を上げるのではないかということでございます。

 先生ももう十分御存じのことでございまして、市場の使用料というのは、整備に要した費用を割って負担していただくということが原則でございます。私ども、これで市場の使用料についてのもめごとを幾つか聞いてございまして、高いものをつくったんじゃないかとかいう不満もございます。そこで、私ども、やはり施設整備をして使用料に転嫁されていくわけでございますので、施設整備をできるだけ効率的に、民間活用、PFIとかそういうものを活用する、それから市場の運営も、できるものは全部民間に委託する、こういうようなことで、かかる経費の削減に努めてもらいたいというふうに思っているところでございます。

 それから、安心、安全の問題、HACCPの問題でございます。

 確かに、こういう施設を整備いたしますと整備費用が増加をするわけでございます。どういう仕組みでどうしたらいいのかという考えが具体的にあるわけじゃないんですけれども、これはやはり最終的には消費者のためのものでございますので、順次製品価格の上に乗せていってもらう、そういうことをしてもそれはやむを得ぬのじゃないかということで、その辺のところはよく今後普及啓蒙をしていきたいというふうに思っております。

 それから、競りの問題でございます。

 やはり公正な価格の形成、競り取引になりますと、一つ一つの物品を評価する、検品する、そしてすべての取引者が平等に参加できるという重要なメリットがございます。卸売市場法には、量が少なくなったような場合は相対をやめて競り取引をしろという命令ができる、開設者が命令できる、そういう規定もございますので、競り取引は今後とも卸売市場の商品評価、価格形成機能を維持するための重要な基盤というふうに考えて対応させていただきたいというふうに考えております。

亀井国務大臣 市場経由率の低下の主な要因、食の外部化を含む多様なニーズに対応できないような規制の存在が指摘をされておるわけでありますし、今回の改正、これは市場関係者にもいろいろ御意見を承ってずっと検討してきたことでもあります。

 そういう中で、卸、仲卸の取引規制に係る規制の緩和を進めることによりまして、これによりまして、創意工夫、新しいビジネスチャンスを活用していただく市場の構築が重要ではなかろうか、こういうようなこと、あるいはまた、こうした取り組みによりまして市場外の取引を再び市場内に取り込むということ、いわゆる市場経由率の上昇につながる、このことを期待するわけであります。

 十一年の改正、これは卸と同時に、今回は特に仲卸の問題につきまして十分検討してきたところでもございますし、さらに、この改正を契機に、流通状況が変化をしておるわけでありまして、規制の緩和、また食の安全、安心の確保、そしてさらには低コストの流通の実現、こういうことなどの措置を講じておるわけでありまして、先ほども申し上げましたが、卸売市場が生産サイド、消費サイドの両面の期待にこたえられるように、二十一世紀の我が国の食文化を支える安全、安心、そして効率的な流通システムの転換が図られるように、今後とも農水省、指導をしてまいりたい、このように考えております。

吉田(治)委員 もう時間で終わらなければいけないんですけれども、大臣、開設者に責任を押しつけるようなこと、責任というんですか、一番しんどいところをやらすようなことじゃなくて、本当に国がもっと全面的に出てもらいたいのと同時に、私は、意見を聞くのは大事だと思うんですけれども、えいやで決めたら、大臣が先頭になって、責任を持って、こうしなければこの卸売市場というのはもたないんだというリーダーシップというものを持っていただくということも大事だと思います。

 その辺を最後、強く申し上げさせていただきまして、また機会がございましたら、この問題、これからも、法改正が終わっても続いてまいるんですから、寄せていただきます。

 以上です。

高木委員長 この際、休憩いたします。

    午前十一時三十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

高木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。金田誠一君。

金田(誠)委員 民主党の金田誠一でございます。

 本題に入る前に、大臣が去る五月十一日に発表しました、諫早湾干拓事業の中長期開門調査は行わない、このような決定について若干触れさせていただきたいと思います。

 先週、二十一日に、農水省の担当課と有明再生全国ネットとの話し合いの席を、公共事業をチェックする議員の会という立場で仲介させていただきました。正直言って、役所側の説明には全く説得力がなかったという印象を受けたところでございます。これでは、被害漁民の方々は到底納得しないだろうというふうに思います。

 そこで、大臣に質問いたしますけれども、大臣はどのような資料を根拠にして中長期の開門調査は行わないことを決定されたのか、その根拠となったすべての資料、データ、これについてお示しをいただきたいと思います。問題はないと思いますが、いかがでございましょう。

亀井国務大臣 開門調査につきましては、ノリ不作等第三者委員会の見解の趣旨を踏まえまして、短期の開門調査を行う。これを補うためにいろいろの調査を実施し、これら調査をもとに、潮受け堤防の締め切りによる影響はほぼ諫早湾内にとどまっており、諫早湾外の有明海全体にほとんど影響を及ぼしていない、こういう検討の結果を公表しているところであります。

 また、中長期の調査の取り扱いにつきましては、中・長期開門調査検討会議におきましてさまざまな立場の関係者から広く意見を聴取するとともに、関係四県の水産試験場長を初めとする専門の分野の方で構成されます専門委員会から技術的、専門的な助言をちょうだいいたしまして、中長期開門調査の取り扱いに関する論点整理が行われたところでございまして、これを受けまして、私は、中長期開門調査を実施することにより、どのような成果が期待ができ、そしてどのような影響が生じ、それに対してどのような対策を……(金田(誠)委員「大臣、資料とデータだけ出してくださいと言ってお願いしているんです。それをおっしゃっていただければ、イエス、ノーで。もちろんイエスだと思うんですが」と呼ぶ)

 私ども、できる限りの資料の公表はいたします。

金田(誠)委員 ありがとうございます。よろしくお願いをしたいと思います。

 五月十一日に説明をいただいた中に、「排水門の常時開放によりガタ土が有明海に広がる様子」、このように題したシミュレーションがございました。

 このシミュレーションは、常時開放から三十日後までしか行われていなかったわけでございますが、例えば二カ月後どうなるか、半年後あるいは一年後、こういう形で行われるべきが当然だと思いますが、局長、いかがでしょう。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 「有明海の漁業関係者の皆様へ」の補足説明一に掲載しております潟土が有明海に広がるシミュレーション、これでございますけれども、ノリ不作等第三者委員会の、「調査のためとはいえ、排水門を開けることによって、被害を生ずるようなことがあってはならない」、こういった見解を踏まえまして、中長期開門調査を実施することによります海域への影響を検討するために行ったものです。

 それで、開門から三十日後までのシミュレーションの結果、排水門を常時開放いたしますことによって潟土がえぐられ、その潟土がまざった水が潮の満ち引きに伴って拡散するということによりまして、環境モニタリング等でこれまで観測されていないような濁りが諫早湾内の広い範囲に広がり、さらに佐賀沖あるいは島原沖にもその濁りが広がっていくこと、そして、豪雨がないにもかかわらず、こうした状況が日常的に続いていくということが明らかになったわけでございます。そして、このような濁りが、まずは諫早湾内の漁業へ影響を与え、続いて有明海の漁業に影響を及ぼすおそれがありまして、常時開門を行う際には、被害回避のために所要の対策をとる必要があるということが明らかになったことでございます。

 つまり、そういうことが明らかになったところで本シミュレーションは所期の目的を達したということで、御指摘の三十日を超えるシミュレーションは行っていないということでございます。

金田(誠)委員 局長が言うように、今回のシミュレーションは、潟土が有明海に広がらないようにするための手だては講じられていない、そういう中でシミュレーションが行われているわけです。

 そこで、大臣に質問したいと思うんですが、排水門のあけ方、閉じ方、あるいは潟土の流出防止などの対策を講じた場合、どういう対策を講じるかなどによって状況は変わってくると思うんですよ。幾つかのケースを想定したシミュレーションが行われて当然だと思うわけでございます。

 そして、前段申し上げたように、例えば二カ月後どうなる、半年後はどうなる、一年後はどうなる、こういうものが行われて当然だ、幾つかの場合を想定して、それこそ半年後、一年後まで見たシミュレーション、そういうものをきちっと行うべきではないか、こう思うわけでございます。これについては当たり前なことだと私は思うんですが、ぜひ、そうした実施をするということで、ここで明言をしていただきたいと思います。

亀井国務大臣 開門調査、これは、ノリ不作等第三者委員会の見解にも、有明海の環境変化の原因を探求し、その回復の方策を探る総合的な調査の一環として実施するものであり、排水門をあけること自体が目的ではない、こうあるわけであります。

 この中長期開門調査の方法として、排水門を常時開門する以外に、調整池の管理水位を現在のマイナス一メートルより上げることを許容し、水位変動を大きくする方法もあるわけであります。しかし、あの地域、六時間前に雨が降らないというような予報がされておりましても豪雨が発生するような降雨特性を有しております。調整池の水位をマイナス一メートルよりも高くした場合、予期せぬ豪雨が発生したときには、調整池の水位をすぐには下げることができない、こういうような人為的な被害の発生のおそれもあるわけであります。

 この第三者委員会での見解、「調査のためとはいえ、排水門を開けることによって、被害を生ずるようなことがあってはならない」こととされておりまして、農水省といたしましても、開門調査の実施によりまして漁業環境に影響を及ぼさないことは当然のことながら、背後地の安全性、この確保にも責任を有しておるわけでありまして、このようなことで排水門の操作を行うことはなかなか困難なことである、このように考えております。

 この中長期開門調査の取り扱い、シミュレーションの結果だけでなく、さまざまな専門家の技術的あるいは専門的な助言や関係者の意見等を踏まえて、行政として真剣に検討いたしまして総合的に判断したところでありまして、御指摘のように、いろいろのケースでこのシミュレーションを行う必要、これについては考えていないわけであります。

金田(誠)委員 何でいろいろなケースでシミュレーションを行うことを考えていないんですか。これでそんなに時間をとろうと思って立ったわけでないんですけれども、最悪の場合、何の手だてもとらないで一番悪い状態のシミュレーションをやっているわけですよ。それも、一カ月後までだけ。それでもう結論を出していいんですか。

 いろいろな手だてをとって、こういう手だてをとれば潟土の流出はこうなるよ、水門のあけ方はこうすればこうなるよという幾つかの場合を想定して、その上で、したがってだめとか、したがってこのケースであれば何とかやれるとか、そういう判断をしなきゃだめでしょう。最初にもうやらないという結論があって、その結論を導くためにやったような今回のシミュレーションで、被害漁民の方なんか納得できると思いますか。やはり心構えをきちんと答えていただきたい、当たり前のことを私申し上げておるわけですから。幾つかの状態を想定したシミュレーションをやって、その結果どうなるかわかりませんよ、だけれども、最低それをやるのは当たり前じゃないですか。

亀井国務大臣 この件につきましては、先ほど来申し上げておりますとおり、専門家の技術的な問題等々、指摘を受けていろいろ検討してきたわけでありまして、それらの問題を総合的に判断して私申し上げておるようなわけでありまして、いろいろなケースがある、こういうお話でありますけれども、それらにつきましても、技術的な今日までの検討、これがなされておるわけでありますし、具体的なことにつきましては、局長から答弁をさせたいと思います。

金田(誠)委員 答弁は要りません。これは本題でないですから、改めてきちっとやらせていただきたい、こう思います。

 いずれにしても、幾つかの手だてを講じた場合のシミュレーション、これがきちっとやられなければ、到底納得はされないだろうということだけはきちっと申し上げておきたいと思います。

 次に、本題の方に移らせていただきたいと思います。卸売市場法の一部改正について質問をいたします。

 改正案の核心部分は、市場経由率の低下、市場関係者の経営悪化という事態に対し、規制緩和によって市場の競争力の強化を図り、もって市場経由率の回復と市場関係者の経営改善を図るというものが骨格になっておるというふうに受けとめさせていただきました。まさに竹中平蔵流の問題意識と処方せんであると思いますが、こうした考え方では問題を解決することはできません。それどころか市場関係者の経営悪化は一層深刻になるだろうというふうに思います。こうした立場から、まず市場経由率の低下について質問をいたします。

 市場経由率の低下は、輸入農水産物の増加、輸入の増加です。そして、外食や中食といった食の外部化の進展、この二点、つまり供給構造の変化、需要面の変化が主たる原因であると考えます。これに加えて、食に関する価値観の多様化ということも大きく影響していると思います。少なくとも卸売市場の規制が主たる原因ではない、私はこう考えますけれども、大臣、いかがでしょう。

亀井国務大臣 市場経由率の低下の主な原因、これは、輸入品の増大のほか、食の外部化、これを含めまして、生産、消費、両サイドのニーズに変化があるわけでありまして、旧態依然とした規制の存在もあって、市場が十分に対応していない、こういうことは考えられるわけであります。

 今回の法改正におきまして、外食あるいは加工業者や生産者と卸、仲卸業者との連携強化を図ることによりまして、卸売業者の第三者販売や仲卸業者の直荷受け等いわゆる規制の緩和、また外食、加工業者や実需者や産地のニーズに対応した計画的な買い付け業務の自由化、あるいは機能、サービスに応じた手数料の徴収を可能とするような卸売手数料の弾力化、このような規制緩和を進める、こういうことで機能を強化することが必要じゃなかろうか。

 これにつきましては、既に先ほども答弁申し上げましたが、市場関係者との約三年間にわたります協議、調整をいたしまして、合意をしたわけでありまして、これら、やはり時代のニーズに合う新たな創意工夫、そういう中で、ビジネスチャンスを活用していただきまして、いわゆる生産者、消費者から選択される市場を構築していただく、こういうことが重要、このように考えておるわけでありまして、何とか市場全体、競争力強化が図られ、いわゆる市場外に流れております取引を再び市場へ取り込むことができるように期待をいたしておるわけであります。

金田(誠)委員 大臣、御自身のお言葉で話しておられないような、そんな気がして残念でございますが、重ねて質問をいたします。

 市場経由率を上げるためには、輸入農水産物をどうするか、これは自給率をどう上げるかということが一つの問題でございます。あるいは、食の外部化をどうするかという問題があるわけでございます。この二つの観点から、もっと腰を据えた、息の長い対応が求められていると私は思うわけでございます。

 それがなされずに、たとえ規制緩和によって市場経由率が多少上がることがあったとしても、それは一時的なものにすぎないのではないでしょうか。輸入農水産物の増加や食の外部化の進展が続く限り、残念ながら市場経由率は、それこそ市場原理によって低下せざるを得ないだろうと思うわけでございます。

 現実から目をそむけなければ、私のように考えるのが当然だと思うわけでございますが、重ねて質問をいたします。

亀井国務大臣 先ほども申し上げましたが、時代が変わり、食の外部化の問題もありますし、輸入農産物はふえておるわけであります。そういう中で、やはり規制の問題、これらがいろいろあったわけでありまして、今回、業界の皆さん方のお考えも入れまして、何とか、創意工夫、またいろいろビジネスチャンスをつくり出す。そういうお互いの努力をしていただくことによって、この輸入農産物等、それら、今、直取引等々の問題も市場の中に取り入れる、こういう努力を、このような法改正、規制をいろいろ緩和する、そういう中で、知恵と創意工夫、そういうことをしていただいて、消費者、生産者のニーズに合うような市場というものを形成し、そして、市場経由率を高めていく努力をしていただくようにこの法改正をしたところであります。

金田(誠)委員 卸売市場の経由率の低下ということは市場関係者にとって今深刻な問題になっているということは、よくよく私も承知をしているところでございます。しかし、それでもなお、我が国における市場経由率は、諸外国に比較をすればまだ高い水準にあるということも仄聞をいたしているところでございます。

 そこで質問をいたしますけれども、これは、本来あるべき市場経由率というものはあるんでしょうか、こういう数字は。これが存在するものかどうか。また、本改正によって現在の市場経由率はどこまで引き上げられるというふうにおっしゃるんでしょうか。これについては数字でお答えをいただきたい、こう思います。

須賀田政府参考人 市場経由率は、平成三年から十三年までに青果で八一から六九に落ちていますし、水産でも七七から六四に落ちている。この本来あるべき市場経由率というのはあるのかという御質問でございます。

 これは、例えば牛肉のように、東京と大阪の市場の価格が、格付が非常にしっかりしていますから、それが指標になって、全国の牛肉取引の指標性のある価格になっている、こういうものについては、食肉の市場経由率が二割足らずといったように、少ないんですけれどもちゃんと機能を果たしているわけでございます。

 ただ、そのほかのものにつきましては、私ども、卸売市場で大量取引の拠点の場を提供しているわけでございますけれども、当然のことながら、一般論として、流通過程での取引というのは市場原理と公正競争の確保が前提にならざるを得ない。そういう場が卸売市場でございますので、あるべき率というのはないんですけれども、そこでできるだけ経由をしていただければ、私どもとしては、安定的な取引であろうということを感じますので、できる限り市場で取引していただければ安心ができるというように思っております。

 今回の改正、これは卸売市場の仕組みというのが、枠組みとか環境を規制しておりまして、その中で関係者が自主的に努力していく、ビジネスの場でございますので、その関係の方々の努力次第で、今の市場経由率も上がるということもあり得るんじゃないかというふうに思っております。

金田(誠)委員 今、局長の御答弁の中で食肉の例が出されまして、二割の経由率であっても、そこで価格が形成される、それが全国の価格になる、指標になるということだと思うんですね。市場の機能の極めて重要な一部だと思うわけでございます。

 今、市場経由率は確かに下がっておりますけれども、その機能は果たしているのではないか。消費者あるいは大手スーパー等の直取引があったとしても、市場でどういう価格が形成されているかということが大きな指標になっているという状況をやはりきちっと見据えるべきであって、公設市場というのは、一定の規制の中で、公明正大な価格形成機能、これを失わせるべきではないというのが、今回、私の質問の大きな趣旨でございます。本来の経由率があるかとか、何%に上げるかというのは、そういう観点から、それはないでしょうということを申し上げたかったわけです。それはないんですよ。ないけれども、公設市場の役割というのはまさに食肉市場が果たしているような役割があるということを踏まえて物事に対処すれば、今回のような改正にはならないでしょうという話をしているわけでございます。

 そこで、大臣に質問をしたいと思います。

 そうであれば、本来の改革とは、輸入と食の外部化に歯どめをかけながら、市場経由率の実態に応じて、これはまさに市場原理で決まってくると思います、その実態に応じて、各市場関係者の経営が成り立つ仕組みをつくること、これが改革ではないですか。経由率の向上は、できればそれにこしたことはないけれども、規制緩和でそれが実現できるものではありません。そこのところを直視しなきゃならない。おかしな規制緩和をすると、本来の公設市場の機能そのものまで失ってしまう。大臣、これはどうですか。そう思いませんか。

亀井国務大臣 卸売市場の役目、それは、一つは指標の価格の形成、これは大変重要なことでありますし、それが開かれた形の中で透明性の中で行われる、こういうことは大変重要なことであります。

 そういう面で、いわゆる輸入のもの、そして食の外部化、こういう現実があるわけでありまして、こういうものを見据えて、やはりもう一方では、規制の緩和、そしてさらに、先ほども申し上げましたが市場の創意工夫、そしてさらに、公的な、公設市場につきましては、それぞれいろいろの整備等も、あるいは今回もいろいろ考えておりますが、PFI、民間でできるものは民間でいろいろなことをしていただく、そういうようないろいろの機能を発揮し、公正な指標価格というものが形成され、また、生産者、消費者、食と農との関係、こういうものが市場を通じてそれぞれのニーズが集約をされて、生鮮食品の流通、その大きな基本的な位置づけがなされるように、国としてもいろいろの努力をしていかなければならない、このように思います。

金田(誠)委員 答弁がちょっとわかりにくいんですけれども、重ねて質問をしたいと思います。

 次に、大臣、規制緩和、これが大きな柱になっているわけでございまして、この規制緩和について質問をいたしたいと思います。

 経由率を引き上げようということで無理をするものですから、改正案は、規制緩和を通り越して、何でもありというものになっていると思います。ルールなき競争の結果として、私は、次のような事態が起こるだろう、こう思います。

 その一つ、卸売市場経由率は、輸入と食の外部化が増加する限り、規制緩和によって歯どめがかからないということが一点目です。二点目は、その一方で、市場関係者は、勝ち組と負け組がはっきりしてくる。一部の強い市場、強い卸、強い仲卸、強い小売はいよいよ強くなり、大半の負け組の方はやっていけない状況になってくるだろう。三点目、ルールなき競争によって、中央市場の最重要機能である公正な価格形成、この機能が損なわれ、市場の信頼が失われる。私は、こうなると思います。ならなきゃいいと思いますけれども、改正案をやればこうなる、このことを心配いたしております。

 こうなっては、公設市場の意味がないのではないですか。角を矯めて牛を殺すことになるのではないですか。大臣、いかがでしょう。

亀井国務大臣 卸売市場、卸売業者と仲卸業者、この取引が順調に行われ、そして指標価格、指標性のある価格形成のための規制、また開かれた市場を確保するための規制、これはいろいろ講ずるわけでありまして、また、あるいは中央市場、これにつきましての整備を行うための国のいろいろの施策もあるわけであります。あわせて、今回の改正におきましても、卸売業者と仲卸業者の許可区分等、指標性のある価格形成のためにも、最低限の規制、こういうものはやはり引き続き存続しなければならない、こう思っております。

 さらに、今回、この改正で、市場における適正な価格形成を確保する面で、卸売業者が公表する取引情報の充実であるとか、食の安全、安心、これを確保することであるとか、あるいは卸売市場での品質管理の徹底や仲卸業者の財務基準の明確化、こういうことの措置を講じておるわけでありまして、今回の卸売市場の改正によりまして、中央市場の公益性、こういうものは失われるものではない、このように認識をいたしております。

金田(誠)委員 大臣いろいろおっしゃいましたけれども、今回、今までの公設市場の核心になっている部分、商物一致規制であるとかそういう部分を、肝心の部分をごっそり抜いてしまう、すっかり骨を抜いてしまうような状態の改正ですよ。全く別物の市場にしてしまう。それによって、経由率が上がるのではないか、市場が活性化するのではないかということを期待していると思うんです、よかれと思ってやっているんだと思うんですよ。だけれども、そうはならないだろうと私は強く心配をしているところでございます。

 それでは、なぜそうならないかということについて、各論にわたって、この規制緩和の中身について順次質問をしたいと思います。

 まず、商物一致規制の緩和でございますが、本来、この規制は、品質等を確認しつつ価格形成を行い、多数の買い受け人に分荷することが、公正な価格形成を図る上で、また効率的な取引を行う上で不可欠なことから規定をされた、こう言われているわけでございます。現在は、開設区域、この内と外でそれぞれ例外的な規定が設けられているという状況でございます。

 こうした規制は今日でも有効であり、電子商取引の場合であっても、商物一致規制を緩和する理由はないというふうに私は思います。もし緩和すれば、例えば、北海道に存在する商品の価格が東京の市場に上場されてそこで決まる、流通は北海道で流通するということも、理屈の上では起こり得るということになるのではないか。そうなれば、公正な価格形成は損なわれる。東京で流通するものが東京の市場で値段が決まるんならいいですよ。北海道で流通するものが東京の市場で決まるかもしれないということであります。そうなると、強い市場、強い卸あるいは強い仲卸、これが全国的なネットワークで物を押さえることになるかもしれない、そういう状態になるのではないでしょうか。公正な価格形成という観点が大きく損なわれると思いますが、いかがでしょう。

須賀田政府参考人 卸売市場の商物一致の原則の考え方は、先生のおっしゃったとおりでございます。物が大量に集荷をされる、その物を見ながら多くの人が取引に参加をして、公正な取引が形成されて、その結果の価格が公表される、そういうことをねらいにした原則であるというのはおっしゃるとおりでございます。

 しかしながら、最近、規格化が非常に進んでおる商品が出ておる。こういうものについては、物流の効率化を考えますれば、必ずしも現物を見ながら取引しなくても、そこでの取引参加はみんなにしてもらって、インターネットで取引するということがあっても、公正な取引を、秩序を阻害しないのではないかということで、今回例外的にこれを認めようというふうにしたわけでございます。

 具体的にどういうものが当たるかというのはこれから決めていくわけでございますけれども、例えば北海道のタマネギとか、こういうのは規格化の商品でございますし、恐らくこういう決め方をしても取引の秩序を害することではないのではないかというふうに思っております。

 この取引、公正な取引を、秩序を害する懸念もございますので、量でございますとか品目でございますとかは、ちゃんと開設者が確認した上で行いますし、その結果はちゃんと公表をするということで、公正取引を阻害する懸念というのをなくすという措置をあわせて講じているものでございます。

金田(誠)委員 そうおっしゃるのであれば、何も電子商取引に限って商物一致規制を取っ払うというやり方までする必要はないのではないかというふうに私は思います。これに関連して、法第七条による開設区域ということについて質問をさせていただきたいと思います。

 法によれば、「その区域を一体として生鮮食料品等の流通の円滑化を図る必要があると認められる一定の区域を、」「開設区域として指定することができる。」こうなっているわけでございます。現実の指定は、東京都中央卸売市場を見れば、この開設区域は東京都というふうに決められております。しかし、現実に、例えば築地の市場は、埼玉から千葉から神奈川から、相当広域にわたって流通の拠点になっているというのはもう常識なわけでございます。

 私の地元は北海道函館でございますが、ここの函館市中央卸売市場の開設区域は函館市というふうになっている。これは、市が開設者だから函館市というふうになっているんだと思うんです。こういう開設区域の決め方は、法を犯しているというか、法に抵触しているのではないですか。例えば、私のところであれば、函館市のほかに渡島管内、檜山管内という、道南全域二十何町村が開設区域ですよ、実態としては。そういうところが非常に多いんだと思うわけでございます。

 開設区域の一覧表をもらって拝見をしましたところ、東京都が開設者になっているから開設区域は東京都、何々市が開設者になっていれば何々市と、こんな決め方ですよ。その開設区域の中で一定の要件を満たせば、市場外の商物一致規制の緩和が今行われているということなんです。そこで、まずこの開設区域の指定を実態に合わせて広域化すべきであるというふうに考えます。これが一点。

 あわせて、二点目の質問をいたします。

 この開設区域の広域化が実現をすれば、北海道にある商品を東京市場に上場するということでもない限り、電子商取引であったとしても、商物一致規制を全面緩和する必要はない。その開設区域の中の開設者が指定する箇所にあれば、これは今だって商物一致規制の規制緩和になっているのではないですか。全面的に、全国どこにあっても電子商取引ならオーケーだ、商物一致規制緩和だ、こんな乱暴なことをしなくても、原則、その開設区域内で流通する品物なんでしょう。それがその市場で売買されるわけですよ。それじゃ、こんな乱暴なことをする必要はない。開設区域を実態に合わせて、それによって現行の規制のままでいいということになるんじゃないでしょう。

 この二点、開設区域の見直しと、そうなれば商物一致規制の緩和の必要はなくなる、この考え方についていかがでしょう。

須賀田政府参考人 卸売市場の開設区域は、その市場で取引される生鮮食料品が主として流通する区域でございます。何に関係あるかといいますと、その開設区域での食料消費量を見ながらおよその取引規模を推定いたしまして、そして施設の規模を決める。ですから、申請のときに開設区域を市場規模の算定基準にしているわけでございます。その区域で流通されるであろう食料を見ながら卸売市場の施設を決めるわけでございます。

 確かに、先生言われるように、それが実態と広がって流通しているというような指摘も受けるわけでございます。それで、そういうことであるならば、関係地方公共団体からの要請があれば開設区域を再設定するということも可能でございます。そして、しかるべき施設規模の卸売市場にする。ただ、遠くから仕入れることは今でも自由でございます。

 次に、開設区域を広域化すればわざわざ商物一致の原則の例外をつくらなくていいじゃないか、おっしゃるとおりでございます。ただ、先ほど申し上げました北海道のバレイショ、こういうものが東京で流通している、そしてそれが規格性があるといったようなものは、現物を見なくても多くの人が取引に参加したいであろうということで、そういう規格性のあるものであれば、量を限って、現物取引をしなくても公正な取引ができるのではないかということで、今回改正をしたわけでございます。

金田(誠)委員 局長、これは私の言っていることの方がどうも筋が通っているみたいですね。局長、それは苦しい答弁でないですか。

 まさに、開設区域の中で流通するというのが大原則なんですよ。そうであれば、開設区域の中であれば開設者の指定する場所にある商品の卸売、卸売業者が申請した場所にある商品の卸売、これは今だって開設区域の中で可能なわけですよ。これは電子商取引に限ることないんですよ。では、電話で取引したらだめですか、ファクスで取引したらだめですか。特別に電子商取引だけ商物一致規制緩和というのは、筋論からいっても合わない。

 現実に、開設区域の見直しをして、その開設区域に運んできてもらえばいいわけでしょう。どっちみちそこで流通するという前提だ。そうでないものだとすれば、現実に流通する市場に上場すればいいだけの話でしょう。違いますか。だから、私の言っていることをそうですと言って、検討しますという答弁しかないはずですよ。

須賀田政府参考人 理屈は先生の言われるとおりなんですけれども、現実は、市場外、その市場の開設区域外から仕入れされる、流通されるケースが多うございますので、そういうものについて多くの業者が取引に参加する手法はやはり電子商取引、こういうものが最もふさわしいのではないかということでございまして、現実論に即した改正でございますので、何とぞ御理解をお願いしたいというふうに思います。

金田(誠)委員 これは、本当にこんな答弁でいいんですかね、委員長。これは、ぜひひとつきちっと検討していただきたいと思います。

 我が党の対応としては、これは修正案を出すとかなんとかになっていないようでございますけれども、仮にこれが、法律は法律で通ったとしても、開設区域の見直しはやっていただけるわけでしょう。そういう中で、その運用の中で、電子商取引であろうがなかろうが、開設区域の中が原則だという形の運用というのはどうもできるのではないのかという気がいたします。これはしっかりとやっていただきたい。これをやりますと、アリの一穴みたいなことになって、何でもありみたいなことになって秩序が失われるということを懸念しております。ぜひひとつしっかりとやっていただきたい、強く要請をしておきたいと思います。

 次に、規制緩和、たくさんの項目がありますのでまとめて、第三者販売、直荷引きの弾力化、買い付け集荷の自由化、卸売手数料の弾力化、卸売業者による兼業業務等の届け出の廃止、卸売業者による許可に係る卸売以外の販売禁止規制の廃止、これだけ全部出てきているわけでございますけれども、これについて一括質問をさせていただきます。

 ここまで認めてしまえば、まさに何でもあり、何をやっても自由ということになるのではないでしょうか。原則は維持しつつとか、いろいろちりばめられておりますけれども、そうはいってみても、実態としてはもうルールなき競争、何でもあり、こうなって、市場秩序の確立が困難となり、卸売市場の公共性を損なうことになる、こう思います。

 これはもうやり過ぎだ。前回の規制緩和でも、その後、市場関係者、かなりいろいろな状況に今なっているわけでございますけれども、これをやってしまったら本当に深刻な事態になると思います。こうした行き過ぎた規制緩和によって、一部の勝ち組のほかは、大多数の卸、仲卸の経営は悪化し、倒産、廃業が続出するところとなると本当に危惧をいたします。本当に心配をいたしております。これについてどうお考えですか。

須賀田政府参考人 一般論で申し上げますと、規制を緩和して市場原理とか競争を導入すれば経済が活性化するという原則はあるわけでございます。ただ、行き過ぎた緩和で逆に経済が不効率になる、こういうケースもございますので、そのようなところにはしかるべく行政が関与する、あるいは卸売市場でいえば開設者が関与をしていく、こういう仕組みが望ましいですし、手数料の弾力化のようにある程度経過期間をとる、こういうことが一般の行政のやり方としては望ましいわけでございます。

 今回、いろいろ先生が言われました規制緩和の一つ一つにつきまして、経済活性化あるいは直荷引きだとか第三者販売は活動範囲の拡大のためのもの等々の目的をちゃんと示しまして、関係の方々に何回も協議をいたしまして、その結果、しかるべき逆櫓と申しますか、規制緩和に対する逆櫓をつけたり、経過期間をつけたりして今回の改正に至ったわけでございます。

 したがいまして、今回の規制緩和のねらいは、卸売市場が活性化をして多様な取引とかサービスの提供が行われる、その結果が魅力ある市場づくりに資するんだ、そういう目的のためのものであるということについて御理解を賜りたいというふうに思うわけでございます。

金田(誠)委員 項目が余りに多過ぎまして、第三者販売、直荷引きの弾力化という中身を突っ込んで、ここはこうならぬか、ああならぬかという話をしていくと、もう切りがないわけでございます。

 商物一致規制の方だけ突っ込んだ話をさせていただきましたけれども、事ほどさようなものではないでしょうか。このさまざま挙げられた規制緩和の項目についても、これは節度を持って、中身の問題として、ぜひひとつ運用面でお考えをいただきたい、こう強く申し上げておきたいと思います。

 それと、一般論として、規制緩和、さらに経済の活性化、こういうつながりを強調されたわけでございますけれども、今までずっとこれは言われてきたことです。だけれども、本当にそうなったかという現実をきちっと見定めていただきたいというふうに思います。とりわけ、雇用に関する規制緩和なんということで、派遣の自由化だとかさまざまやりましたよ。結果、どうなりましたか。もうほとんど若い者は総フリーター化みたいな状態になっている。これで本当に日本の国はよくなっていると言えるか。職はない、あったとしても臨時だ、パートだ、派遣だ、請負だ、契約社員だという形です。

 そういう普通の国民を相手に商売をやっている商店は、もうやっていけないわけですね。いいところは、どこがいいところだというと、諸外国に輸出しているところ。それはもうコストをどんどん下げられますから、コストを下げて輸出圧力をかけて輸出して、そこが伸びているから、ならせば景気がよくなっているとか、経済指標が上を向いているということになっているんですが、それは一部の勝ち組ですよ。ならせば多少プラスになっているのかもしれないけれども、大多数はマイナスになっているんですよ。

 その考え方でいうと、市場関係者もそうなりますよ。一部の勝ち組はできるかもしれません。だけれども、大多数はやっていけなくなる。この規制緩和をやるとそうなる、今だってなっているんですから、そういうことを私は懸念しています。

 それから、何でもかんでも規制すればいいとは思いません。市場外で自由に流通するというものを規制して、しゃにむに市場に上場しろなんということは申し上げません。それは経済原理です。今まさに、その市場原理、経済原理によって、そうなっているんじゃないですか、そうなっているんですよ。より市場が有利に取引できる、安いものを買える、高く売れるということであれば、市場に戻ってきます。そのためにどうするか。規制緩和で一部の強い業者をつくって大多数のところが成り立たなくなったら、そうなりますか。

 市場のいいところは、安心できるということです。市場で値段が決まるというのが本当の値段だ。それを横目でにらみながら消費者とスーパーは取引しているわけでしょう。先ほど局長がおっしゃった、食肉は二〇%しか市場を経由しないけれども、そういう重要な機能を果たしている。青果だって水産だってそうでないですか。まさにそこのところをそうでなくしてしまうような今の行き過ぎた規制緩和なんですよ。元も子もなくなる。竹中平蔵にだまされちゃだめですよ。本当にインチキなんだから。本当に腹が立ってしようがないです、彼については。ぜひひとつ、その点を十分踏まえていただいて、時代の流行語に惑わされることなく、運用面で最大限やれるところまでやっていただきたいということを要請したいと思います。

 次に、卸売市場の再編の促進、この項目について質問をいたします。

 改正案では、中央卸売市場整備計画に、運営の広域化もしくは地方卸売市場への転換を推進することが必要な中央卸売市場の名称を定めるというふうにあります。それはどのような基準によって定めることになるのでしょうか。

 あわせて質問をいたしますと、現在は中央市場と地方市場を分ける明確な基準はないと思います。例えば、取扱金額が最低の中央市場、これに対して取扱金額がこれを上回る地方市場は七十五、いただいた資料では、数えたら七十五ございます。県によっては、中央市場がなくて地方市場のみというところも少なからずございます。

 その中で、中央と地方の明確な違いは、規制のあり方の違いでございました。しかし、本改正案によりその違いもなくなるというのが実態でございます。とすれば、地方市場への転換を言う以前に、中央市場と地方市場の位置づけ、これを根本的に再検討しなければならない、こういうところにもう来てしまったのではないでしょうか。これはいかがでしょう。

須賀田政府参考人 最初の御質問でございます再編が必要な市場であるか否かの指標でございます。

 三つほどございまして、一つは、中央卸売市場でございますので、広域の流通圏の拠点に位置いたしまして、当該地域に影響する価格形成機能を有しているかどうか。要するに、中央市場の本来の存在意義であります価格形成機能を有しているかどうか。それから二番目に、その地域の流通量の主要部分を占めているかどうか。占めていないということであれば、中央卸売市場の機能がないということでございます。それから、市場として安定した経営が確保されているかどうか。こういう指標で決めたいというふうに思っております。いずれにしても、市場関係者の御意見を十分聞いて決めていきたいというふうに思っております。

 それから、二番目の御質問、もう区別する意義が薄れているのではないかということ。

 中央卸売市場の経緯から申し上げますと、これはもう先生十分御存じのように、大正七年の米騒動、それで買い占め、売り惜しみが行われた。そういうことがあっては生産者も消費者も大変だということで、ちゃんと取引する場をつくろうじゃないかというのが卸売市場で、規制を伴っていった。それで、国の方からちゃんと適正なところに置くんだというのが中央卸売市場でございます。逆に、民間の発想で、うちにこんなのがつくりたいんだ、そのかわり規制を少なくして、業務も自由にできるだけ多角化してほしいというのが地方卸売市場だったわけでございます。

 私ども、今、流通圏も拡大している、交通網も非常に整備されている、そういうのを見ながら、中央卸売市場がどことどこにあったらいいのか。やはり中央卸売市場の機能は、先生も言われましたように、指標性のある価格の形成を国が担保していますから、まだそれは要るんじゃないかというふうに思っております。ただ、その配置については、いろいろな環境の変化を見ながら考えていかなくてはいけないのじゃないか、こういう状況にあるのではないかというふうに思っております。

金田(誠)委員 今三点の指標が示されたわけでございますが、この指標に照らせば、今の地方市場の中でも、十分こういう役割を果たしている地方市場というのは結構あるわけでございますね。一方で、中央市場でも、そういう役割を果たしていない、この指標に当てはまらないところもあるかもしれないということだと思います。

 だとすれば、中央市場から地方市場へという転換は、これは状況によって必要かもしれません。しかし、では、逆に、こういうきちんとした指標を示していれば、それは局長のおっしゃることを当てはめるとすれば、中央市場にならなきゃならないということにもなるのではないか。しかし、実態問題としては、これはかなり難しい話だということもよく承知をいたします。そこで、本来中央と地方とは一体どう区分けがあるべきなのかという整理をきちっとした上で取りかかるべきものではないかということを申し上げたかったわけでございまして、ぜひ御検討いただきたい、こう思うわけでございます。

 次の質問に入ります。

 本改正案では、卸売市場の再編――これはちょっと抜かしますね。あと、時間がなくなりましたので最後の一点に入りたいと思います。

 最後に、卸売市場における品質管理の高度化、これについて質問をいたします。

 まず、この改正案に対する印象として申し上げれば、肝心な取引に関する規制は何でもありという状態に緩和をしながら、本来は市場関係者に任せておいてもいい分野、これについて余計な規制をすることになるのではないかという印象を受けております。

 食の安全、安心、これについては、第一義的には食品衛生法などの体系の中で規制すべきものであると思います。それを超えて付加価値の部分、これについては当事者の自己決定にゆだねられるべきものだと思うわけでございます。卸売市場法で規制すべき筋のものではないのではないか、こう思うわけでございますけれども、いかがでございましょう。

須賀田政府参考人 卸売市場の制度の仕組みも、先ほど来先生もおっしゃっておりますが、二つに分かれておりまして、一つは卸売市場の整備を促進するというところと、それから公正取引のために規制をするという二つの部分に分かれているわけでございます。

 この安心、安全のための品質管理施設の整備は、前者、消費者からのニーズが強うございますので、市場の整備を行う場合にはこういうことに気をつけてやりなさいよということで、卸売市場整備基本方針の事項として位置づけておる。具体的にやらなくてはいけないんだとか、そういうことを義務づけているわけではなくて、やはり当事者が周囲の環境を見ながら自主的に対応する、こういう仕組みでございますので、ほかの規制とはちょっと一線を画するものでございます。

金田(誠)委員 そうはいっても、こういうことをやりますと、予算的な制度ができたり、いろいろなことになると思います。どうですか、うまくいっているそういう施設もあるとは思うんですけれども、つくったはいいけれどもほとんど使われていないというようなところも、各市場の中、結構あるんでないですか。補助単価とか補助基準とか、そういうものがつきますと、かなりコストが高いものができ上がるというようなことも往々にしてあるわけでございます。

 したがって、私は、こういう付加価値部分、これについてはやはりきちんと、これこそ市場原理で自己責任、自己決定ということを基本にしながら、それを後押しするのはいいですよ、だけれども、計画の中に盛り込むとか、そこまではいかがなものかという気がいたします。

 そして、結果として、不必要な施設をつくったりしますと、結局、市場使用料、これは開設者に支払うわけでございますが、使用料の負担増につながるということを懸念いたします。現実に、取扱金額が昨今減少する中でも、市場使用料の総額は増加を続けているという状態になっているわけでございます。

 今、法改正は、市場関係者の経営悪化に対処するということで改正案が提案されているわけでございますけれども、にもかかわらず、市場使用料の増加が放置されている、何らこれを圧縮するという手だては示されておらない。加えて、さまざまな食の安全、安心にかかわる規制の中でふえてくるかもしれないという懸念を抱かせる状態になっているわけで、これはちょっと看過しかねると思うわけでございます。

 これは、きちっと市場使用料についても引き下げていくということを、大臣、ひとつ言明していただきたいと思うんですが、いかがでしょう。

亀井国務大臣 市場使用料、これはここ数年安定した形で推移をしております。しかし、新しいいろいろの施設の問題等々もあるわけであります。しかし、これはやはり効率的な経営を図っていかなければならないわけであります。そういう中でコストの削減に努力をしていただきたい。

 あわせて、今、施設等の問題につきましては、今回のこの中では、PFIの導入、民間でできるものは民間、民間の手法を取り入れる、こういうようなことをいたしまして、市場の整備、運営の効率化を図るようなことをしたわけでありまして、そのようなこととあわせて、市場の効率化、そしてコストダウン、そういうことが図られるようにいろいろ努力をしてまいらなければならない、このように思っております。

金田(誠)委員 非常にあいまいな御答弁だと思います。市場使用料を見ますと、平成十一年度四百六十九億、十二年度四百七十億、十三年度四百七十一億と、扱いがどんどん減っているにもかかわらず、使用料だけは逆に上がっているわけですよ。これは大きな問題だと思います。本当に市場関係者のことを考えるのであれば、これが下がるような形をぜひとっていただきたいと強く御要請を申し上げて、質問を終わります。

 どうもありがとうございます。

高木委員長 次に、大谷信盛君。

大谷委員 民主党、大谷信盛でございます。

 引き続きまして、卸売市場法の一部を改正する法律案について御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 午前の質問者、また先ほどの金田委員の質問にもかなりダブりますし、関連をいたしますが、それぐらいそこにはっきりとポイントがあるんだというふうに思いますので、質問を、ダブることを恐れず、させていただきたいというふうに思います。

 この法案の審議を見てきてはっきりしてきたことは、世の中が変わってきた、いわゆる生産サイド、輸入がふえてきた、それでまたお客様、消費者のニーズというものが多様になってきた、安全性が求められるようになってきた。そんな中、市場の役割というものも変わらなければいけないな、また人口もこれから減っていく中、市場の経由率が上がるか下がるか、上がったにこしたことはない、しかしながら、どうやって上げていくんだ、そんな活性化を考えなきゃいけないなという中、一つの方法として、規制緩和によって市場原理を導入して活性化していこうじゃないかということが今回の法律の眼目、中心ではないかというふうに思っています。

 疑問になるのは、本当にそれで活性化ができるのかということです。こういう可能性、実効性ということについて議論をさせていただきたいというふうに思っておりますが、大臣、その前に、農業政策というものの物事の考え方、哲学というもの、世の中がこれだけ変わったんですから、これまでどおり生産者、供給サイドに偏った政策ではなくて、消費者と、そして生産をする、真ん中のバランスをとるということが非常に重要になってくる、そのバランスをとるのが、この流れでいうと明らかに卸売市場である。この全体を含めて、どんな哲学、考え方を持って二十一世紀の農業政策の基礎を今つくろうとしているのかということをお伺いしたいんです。

 これまで見ますと、生産者サイドから消費者を見て農業政策というようなものがつくられていたような感じがいたします。そうではなくて、これからは、食卓から生産者を見て、おのおのの役割がどうあるべきなのか、どういう規制をしていかなきゃいけないのか、どういう自由化をしていかなきゃいけないのか、こういう考え方に立ってこれからの農業政策を進めなかったら、バランスがとれないというふうに思っております。量と質、それを両立させる、しかしながら、今まで量のことばかりが強調されてきた。そこに質の、消費者の部分をもっともっと重視していく必要があるというふうに私は考えるんですが、大臣はどんな気持ちで、どんな抱負を持って今大臣をされておられるんでしょうか。

亀井国務大臣 今までの、過去の農業政策、それは産業振興と生産を中心、こういう形で今日まで来ておる面が多々あったと思います。しかし、ここ数年、あくまでも農業、農産物、それはいわゆる消費者のニーズに合う、また、いろいろ価値観も多様化しておるわけでありますので、やはり消費者のニーズに合う生産ということが行われなければならないわけでありまして、今までは本当に、一方では生産した、それを一方では消費する、こういうことでありましたが、今日、やはり時代の要請、そういう中で、消費者のニーズに合う生産体制の確立ということが私は一番大切なことではなかろうかと。

 そういう面で、我が省もいろいろの考え方を、食と農の再生プランであるとか、あるいは、昨年七月、食品安全委員会のスタートと同時に消費・安全局を設置する、そして消費者に軸足を置く、こういう農政を展開する。それはあくまでも、やはり消費者と同時に生産者、両者が共存共栄できるような農政の展開をしていかなければならないのではなかろうか、こういう考え方のもとで今進めておるわけでありますし、この卸売市場、そういう面では食と農のまさにパイプという面での一つの位置を占めるわけでありまして、卸売市場の重要性というものは、そういう面でも大変大きなものがあるわけであります。

大谷委員 市場の役割の重要性というものがこれからもますますある。これまでの審議の中で大分出てきたというふうに思うんですが、価格の形成、多様なニーズに対応する、あと、小さな農業から小さな小売業の方にも早く渡せる、いろいろな利点があるかというふうに思うんですけれども、特に今回の法律が、大臣から見て、一番、市場の機能の中でこの部分を強化するんだよという売りの部分は何なんですか、法案の売りの部分は。

亀井国務大臣 やはり生産、消費、両サイドに伴うニーズをうまく結合する。こういう面で、時代の要請、特に食の外部化、そういう面で、卸売市場が経営が大変厳しい状況にあるわけであります。そして、その外部化の中で、いわゆる市場外流通、こういうようなものもあるわけでありまして、それはやはり、規制を緩和する、こういうことをいたしまして、そして実態に合うような、しかし、卸売市場のいわゆる重要性と申しますか、これは規制緩和におきましても、卸売業者、仲卸業者等々、やはり最低な基準というものはしっかり守っていかなければなりませんし、公設市場としての責務も全うしなければならないところもあるわけであります。

 それら、実態に合うような規制の緩和とあわせて、今日的には食の安全、安心、そしてさらには流通状況を的確に把握した情報の提供等々の問題も発信するような、そういう、法改正をすることによって、先ほど来申し上げておりますとおり、外部化そして市場外流通、そういうものを市場の創意工夫、またチャレンジ、新しいビジネスというようなことを創意工夫する中で、それが自由にその使命を発揮できるような、そういう法改正になるようにしたい、こう思っているわけです。

大谷委員 そうですね、一言で言えば、卸さんや仲卸さんが自由に動きやすくする、IT化であったり規制緩和でやって自由に動けることによって、市場外の流通を市場内に取り入れる、また新しいニーズに対応した市場をつくっていくことによって活性化していくということですよね。それが本当にできるのかできないのかということが大きな議論だというふうに思うんですけれども、局長、そこの部分で、規制緩和、市場原理というものが導入されることによって大きく変わるんだという確固たる確証というのはなかなか難しいんですけれども、どこに自信を持ってこの法案をおつくりになられたんですか。

須賀田政府参考人 私ども、今回、改正をするに当たって、市場の関係のいろいろな方にいろいろな御意見を伺いました。最もラジカルな御意見は、関西方面の水産関係の方は、徹底した競争によって活性化しなければもう卸売市場は将来にわたって見向きもされなくなるという強い御意見がございました。反対に、関東以北の方々は、そういうことよりも秩序の方を重んじるべきではないかという御意見もいただきました。

 それで、ふと我に返るというわけではありませんけれども、例えば手数料、これは、手数料を固定しているのは、証券市場だとかいろいろな仕組みがありますけれども、この卸売市場だけでございました、制度だけでございました。それから、そのほかにも、もう今日では、監視体制だとかそれから情報の整備だとかで、この御時世でここまでの規制が要るのかというような、例えば卸さんの買い付け集荷あるいは開設区域内での販売行為禁止、こういったものも、それは開放しなければ全体としての活性化につながらないだろう。それから、直荷引きだとか第三者販売は、新たな需要を開拓するために、将来の市場を大きくするために、これは避けて通れないだろうというようなことをまとめまして、再び御意見をお聞きしたわけでございます。

 その方向については、皆さん何とか是認をしていただいた。ただ、所要の経過措置でございますとか、仕組みがおかしくなった場合の是正命令措置でございますとか、こういういわゆる逆櫓をつけつつ今日の改正に至ったわけでございます。私ども、そういう環境の中で関係の人たちが競争をしながら自主努力をしていただく、これが卸売市場を魅力あるものにする道ではないかというふうに考えております。

大谷委員 局長が、省が意見を伺った方の中では、関西の水産の方では自由化、競争が我々を強くするのではないかというようなことだったというふうに思います。私もいろいろ聞きますけれども、それだけにかかわらずいろいろな声があります。

 私、ちょっとはっきりさせたいんですけれども、これは、結局卸さんも仲卸さんも、御商売ですから、当然ながらもうかるところを見つけては新しいことをやっていくわけですよね。現時点でもかなり、卸と仲卸の垣根は破っていませんけれども、法の許す範囲内で、今の現状を上手に利用をして御商売して成功されている方もおられます。また反対に、そこに乗り切れず経営が失敗している人もおられます。そんな中、片面の意見だけを聞いたんじゃないかという気がいたします。

 午前の質疑者の中でだれに聞いたんだというような問いがございましたが、そこまで私、情報元を追及する気はございませんが、今回のこの法律、決してこれだけで市場が活性化する、また市場の経由率が高まるとかというような思いはないんです。ほかにも二弾、三弾があるんですよね。規制緩和のほかに、もっともっと新しい、では、こういうルールをつくろうじゃないか、こういう支援をしようじゃないかというのがまだまだ後に用意されている一発目なのか、いや、これで絶対にうまいこと市場の活性化ができるんだと考えているのか、そっちはどうなんですか。

須賀田政府参考人 この法律改正、先ほど言い落としましたのは、経営悪化をしている方々、こういう人たちが合併の方へ行く、あるいは率直に言いまして転廃業の方へ進む、そういうふうな道も今回用意はさせていただいたわけでございます。

 今回つくりましたのは、私どもが言いましたのは器だけでございます。具体的な今後の運用は、市場ごとの業務規程でございますとか、市場ごとの仲卸さん、卸売業者さんの話し合いに基づく運営方針でございますとか、こういうところにゆだねられているところが大変多うございます。

 それから、ここの国会の御審議の中で、今後こういうふうな指導もちゃんとしていけよという指導も私どもいただきました。今回の改正は、器をつくった、そのまさに出発点、第一段階というふうに私どもは心得ております。

大谷委員 後でやろうと思っていた質問にそれは関連しちゃっているんですけれども、開設者の今後の役割ということについて聞きたいんですけれども、私が聞いたのは、市場を全体に活性化していく中で、規制緩和だけじゃないですよね、これからも役所はいろいろなことを考えていますよね、はいと。では、例えばどんなものがあるんですかという話でございます。

須賀田政府参考人 一つずつ申し上げますと、例えば手数料の問題、手数料をどういうような仕組みにするか。これは、おのおののサービスとか機能に応じた手数料にするというような話になっておりますが、例えば、どこまでその区別、差別的といいましょうか区別的な取り扱いを認めるか。ここまでサービスすればこの手数料、大口、こういう取引で来ればこういうところ、そういうところは、市場それから扱う物によって違うと思うんです。手数料一つにしても、そういうところは、ちゃんと話し合いの中で皆さんの満足のいくように決めてほしいというのが一つでございます。

 それから、先ほど来ございました直荷引きだとか第三者販売だとか、この品目と量の話でございます。

 例えば、生産地の方から、こういうのをつくれば売れるんじゃないかという話が来たときに、その品目をちゃんと受け取って新規需要開拓を目指して試験的に売買をする、逆に消費者サイドの方から、こういうのをつくってもらえればいけるんじゃないかという話が来たときに、それを採択するかどうかとか、こういうまさにビジネス上の問題、これが今後の運用にゆだねられているというふうに思っておりますし、そのよしあしに、死命を制するというのは言い過ぎかもしれませんけれども、多分にこの卸売市場問題の今後の魅力あるものになるかどうかがかかっているのではないかというふうに思っております。

大谷委員 後でやろうと思っていたんですけれども、規制緩和の時代であり、地域主権、現場主義の時代だというふうに思うんですけれども、核心に関して御質問をした方の答弁を聞きますと、いや、それは今後の運営、そしてもう一つが開設者のこれからの運営方針にかかわるんだということで、逃げたとは言いませんけれども、非常に自分と一つ線を切っているような気がするんですよね。それが、ある意味、現場に権限を渡していくというこれからの農業政策の中での手法だというのだったらそれはそれで結構なんですけれども、チェック機能をしっかり持っていただきたいし、ほったらかしにしちゃいけないというふうに思っています。

 これはちょっと、開設者のチェック機能ということで後でやりたいんですけれども、大臣、こんなことを言われているんですよ。私もこの法案を、たしかことしの初めに大臣に簡単に御質問をさせていただきました。鳥インフルエンザの問題と同じときにさせていただきましたが、それからいろいろと聞いてみますと、今回の法律は卸売さんのことだけを考えた法律だ、市場の活性化とか全体を考えていないというふうに言われているんですけれども、そんなふうに感じますか、そんなことをお聞かれになったことはありますか。もし違うというならば、どこをもって違うとおっしゃいますか。

亀井国務大臣 私はそのようなことは聞いておりませんけれども、やはりこれは市場の問題、卸だけでなしに、今後こういう形でいろいろ法改正をし、実態に合うような、後から実態に合うようなことをしておる法改正でもあるわけでありまして、ぜひこれを機会に、私は、卸さん、仲卸さんともども、新しい創意工夫というかビジョンづくりと申しますか、その地域の市場をどうするか、やはりそれは生産者との問題、消費者との問題、あるいは荷受けの問題、集荷の問題等々、それぞれがお互いにやはり話し合いというかそういうものを構築していくことが必要なことではなかろうか。そういう中で創意工夫がなされて、卸も仲卸も、それが、いろいろの扱いがふえるような努力をすることが必要なことじゃなかろうか。

 私自身、米の流通の関係で卸の仕事をし、小売店と一緒に、小売店のニーズに合うようなことをしなければならない。一方では、当時、私が仕事をしているころは、食糧庁がその販売元でありますから、なかなか、食糧庁からあてがいぶちの割り当てでそれぞれの米の銘柄を供給を受けたわけでありますが、しかし、小売店からはやはり消費者のニーズに合うことを要求される、そういうはざまに入って大変私、苦労してきた経験を持っております。

 まさに仲卸の皆さん方というのはそういう立場におられるのではなかろうか、こういうような気持ちを持ち、今回の法改正につきましても、この法改正をすることによって、卸、仲卸ともども、創意工夫、また新しいチャレンジというようなもの、今、周囲はいろいろ変化をしておるわけでありますので、その対応をしていただくことができれば、このように思っております。

大谷委員 卸、仲卸、両方がしっかりと経営面でもまた社会的役割も果たさなかったら、食文化、農業政策はうまいこといかないということだというふうに思います。

 逆に質問できないのが残念なんですけれども、何で卸のための法律だと言われているんだというふうに少し皆さん思ったと思いますけれども、大臣、こう思うんですよね。卸さんの方が会社はでかいんです。仲卸さんというのは小さいんです。それで、卸さんが仲卸さんのやっている業務、すなわち量販店、小売店、そういうお店に売るというのは、情報力、資本力、人材からすれば割にすぐできますでしょう。しかしながら、今度反対に、相互乗り入れ、垣根がなくなる、限定的だという話を後でしますけれども、垣根がなくなると言っていますけれども、仲卸さんが新しいビジネスを見つけるといったって、全国から、世界じゅうから食材を持ってきている、自分の市場に持ってくるんですね、それのどれが売れるかと。資本力、人的資源、情報ということで考えたら、明らかに不利ですよね。

 両方仲よくしろといったって、ここが市場の一つの原則になると、市場原理が働くと、明らかに卸さんの方が強くなるじゃないですか。そこはどう答えるんですか。両方とも考えている法律だというのは、どこをもって大臣はおっしゃっているんですか。

須賀田政府参考人 確かに、現実は、卸さんは大きな資本の方が多うございます。仲卸さんは、数からいきましても随分多くて、小さい経営の方が多うございます。古い経営の方がおられます。そういう現実の問題、経済的地位からすれば卸さんの方がはるかに強いじゃないか、これは事実としてあるわけです。

 今回の改正は卸さんのためだけじゃないかというような印象を持たれますのは、手数料だとかそういう華々しい場面だろうというふうに思います。私ども、仲卸さんに対しましては、財務基準の導入でございますとか、業務の多角化でございますとか、あるいは法律以外に、先ほど言いました体質強化策でございますとか、いろいろな問題を用意させていただきました。そして、改正は、双方相まって市場機能を強化していこうという方向でございます。

 ただ、そのときに、先生言われるように、卸の方が力が強いんだから仲卸の方を抑えつけるようなことが生ずるんじゃないか、確かにそういう懸念はございます、自由になりましたから。そこのところは何とか、監視、それから不正な取引がありましたら是正命令、こういう措置を用意することによって、優越的地位の乱用、これは量販店で言われている話なんですけれども、卸対仲卸だって、そういう不公正な取引のないように監視措置をきちんとしていきたいということで、実は仲卸さんからも事前の意見のとき意見がございましたけれども、そういうことで御理解を願ったわけでございます。

大谷委員 限定とか監視とかというものをしっかりとやっていく機能をつくっていくということですね。

 局長にもう一個はっきりさせていただきたいのが、これは、決して、将来仲卸さんが要らない、存在しない市場をつくるということじゃないですよね。これは、限定ということがあって余計に混乱しているというふうに思うんですね。

 私は、何で大臣に何をもって卸業だけの法改正じゃないかということをお伺いしたかというと、そういう疑念がたくさんあるわけですよね。ここで、はっきり言えば、自信を持って払拭しておくべきですよ。仲卸さんの要らない市場は日本にはこれからも存在しないわけですね。そんなものは絶対につくろうとしないわけですね。その辺、どうなんですか、大臣でも局長でもいいですけれども。

亀井国務大臣 市場は、卸売があり、仲卸があるわけであります。卸はやはり農産物等々を集荷する役目があるわけでありまして、そして、それを今度は仲卸は選択して、それぞれ小売店等のニーズに合うものを選別して卸売市場からそれを買うわけでありまして、そういう面での機能がそれぞれあるわけでありますので、その存在がなくなるということは、これは卸売市場という形では存在しない形になると思います。

大谷委員 限定となるので、運営上と言われてしまうので、運営上でいろいろ考えていくというので、余計混乱が生じます。現場には情報が少ないので、ぜひとも情報をたくさん流していただいて、この法案が通ってから、ますますさらに相互のコミュニケーションをぜひとも高めていただきたいというふうに思います。

 それで、一つ、僕、腑に落ちないのがこの法案の中にあるんですけれども、そうやって市場を活性化していく、卸さん、仲卸さんも元気になっていただくんだ、自由を得て元気になっていただくんだというふうになっているんですけれども、四割以上の仲卸さん、卸さんは三〇ちょっとが赤字になっている中、元気になっていこうとしているのに、いわゆる経営改善措置というものがありますよね。開設者がそれなりに改善計画をつくってそれを指導していくとかというふうにあるんですけれども、これは、仲卸さん、元気にならないんですか、仲卸さんがこれからもますますだめになるということを前提にしてこういうキットを入れてあるんですか。そこの意図は何なんですか。

須賀田政府参考人 私どものねらいとするところは、市場の機能が強化されて、それを構成する卸さんも仲卸さんも活性化をしていく、ここがねらいでございます。

 ただ、現実に話しておりますと、先ほど先生まさに言われました四割の方が赤字、なかなか回転しない。中にはもう退場したいという意向の方もおられる。突然倒産等が起こりますと、仲卸さんは専門小売店等を系列化しておりますので、その専門小売店の方も困る、ひいては消費者の方が困るということがございますので、前の改正で、卸さんには財務基準、早期の経営改善措置を入れたわけでございますけれども、今度は仲卸さんにもそういう財務基準を当てはめてみて、財務基準次第、例えば自己資本比率次第で、経営改善した方がいいですよという範疇に入っている仲卸さんに対してはそういうことを言う、合併した方がいいですよ、そういう仲卸さんにはそういうことを言う、そういうことを通じて全体としての仲卸業界の維持等を図っていく、そのための手法を今回措置したわけでございまして、早目に経営の内容を仲卸さん自体にお知らせするという措置でございます。

大谷委員 僕は、勝ち組、負け組が規制緩和で競争が激化した後にできてくるから、負け組用につくったのかなというふうに非常に懸念をしておったんですが、そうではなくて、全体が強くなるために用意しているキットだということなんですね。

 これは、平成十四年度から実施されている仲卸業者再編推進支援事業というのがあります。これまでも何個かそういう卸、仲卸業なんかの支援事業というのは農水の方からあったと思うんですけれども、これまでの評価、それから、今後のこの支援策の拡充を含めて、では、どんな考え方を、ボトムアップするために、負け組対策じゃないですよ、ボトムアップするために、目的とどんなキットを用意しているのか、どんなキットを用意しようとしているのかも含めて少しお教えいただけますでしょうか。

須賀田政府参考人 早期是正措置、金融機関でもそうなんでございますけれども、その業者の経営改善で経営改善が進むであろうという場合には、ここ、ここ、ここについて経営改善をしていただきたいという指導が行われる。それでは間に合わない、どこかと合併をする、そういうことによって存続をするというような業者さんには、そういうことを言って、その合併にかかわります税制上、登録免許税の特例措置でございますけれども、そういうものを用意させていただいております。

 そして、もう自分はリタイアする、退出するんだという決断をされる方もあるいはおられようかというふうに思っております。そういう方を含めた仲卸業界の体質強化のために、市場ごとに仲卸業の体質の強化策、内容は再編も含むわけでございますけれども、そういうのをつくりまして、要すれば、皆さんから拠出をもらって基金をつくって転廃業をされる方への支援措置にする、その拠出のお金は損金算入等の特例がとられるようにするという措置を用意はさせていただいているわけでございます。

大谷委員 僕自身も、今現在ここで確固たる、こういう目的のためのこういう支援策がいいというものがないんですが、必ずあるというふうに思うんですね。知恵を出す努力、それはきっとコミュニケーションと現場の情報収集から出てくるというふうに思うんですけれども、それをこれからもぜひともますます強く続けていただきたいというふうに思っています。

 ここでちょっとトピックを変えまして、先ほども出ていましたけれども、市場開設者が運営上、市場を活性化させていく役割にどんどんなっていくんだということでございますけれども、これから、この法律ができるまで、それからこの法律ができてからとでは明らかに市場開設者、大阪ですと大阪府、大阪市、都道府県ということになりますけれども、こういうところの役割というのは大きく変わってくるというふうに思うんですけれども、どのように変わってくるんですか。今までと同じようじゃだめなわけですよね。線引きされて、省が指導していたようなことがかなり自由にできるようになってくるわけですね。どのように変わるのか、どのように変わらなきゃいけないんでしょうか。

須賀田政府参考人 これから、今回の法律改正によりまして、いろいろな規制緩和が進みます。

 一つは、手数料の弾力化があります。それから、買い付け集荷、卸さんが買ってきて取引をする、やり過ぎると取引の公正さをあるいは害するような場面も出てくる可能性もございます。それから、直荷引き、第三者販売、どういうものをどれだけやるか、どの期間やるかということも大事なことになってきます。それから、開設区域で販売行為の禁止措置が緩和されます。しかし、それが卸売市場の取引に支障を与えるようなことがあってはならないということがございます。

 これらをすべて監視する最終責任者が開設者でございます。私ども、開設者だけに責任を負わせるというのは問題もあろうかということで、前回の改正でつくりました取引委員会、市場ごとに、卸、仲卸、開設者、それから小売、これで構成されておりますけれども、その権限もきちっとふやして、かつちゃんと機能するようにして、そこの意見を聞きながら開設者が決めるということでございますので、非常に難しい運営を今後はするようになろうかというふうに思っております。

 私どもとしても、一々相談を受けながら、指導に努めていく必要があろうかというふうに思っております。

大谷委員 難しい役割を地方が、開設者が果たしていかなきゃいけないと言うんですけれども、ここはしっかりとしたチェック機能が要るというふうに僕は思うんですよ。

 今の段階でも、市場の利用者の方々が、全部とは言いませんよ、開設者の方々に非常に疑念を持っている。利用費を払っているんだけれども何に使っているんだかわからないというわけですよ。先ほど、高い設備をつくって問題になったとかありました。また、利用料を安くしろというような指摘もありました。そういう、運用をしているときに、これこれしかじかの目的でこれこれしかじかの設備が要るがどう思うかというような利用者とのやりとりというのがないところが多いみたいなんですね。とにもかくにも利用料を、勝手に上げられますから、これだけにしないと困るとかというようなことが発生している。我々利用者はお金を吸い上げられているだけじゃないのかというような声も出てきているんですけれども、そんな声は局長のお耳に通っていますでしょうか。

 もし通っていなかったとしたら、今お伝えいたしましたので、どのような対応が必要なんでしょうか。私は強いチェック機能をこの法改正後にはこれとあわせてつくっていかなきゃいけないというふうに思うんですが、どうですか。

須賀田政府参考人 率直に申し上げまして、幾つか中央卸売市場へ行きました。開設サイドの方は官業、県庁等の方でございますので、商売はそう得手ではない。卸さんとか仲卸さんの古い方の方が市場の運営だとか大変ノウハウもありますし、商売上のことも熟知をしている。何というんでしょうか、非常に怖がっている面もございます。そして、なかなか言いたいことも言えないというような場面にも出くわしました。国の方へ、直接言えないことを言ってくるというケースもございました。

 今後は、私ども、その中へ立って、ちゃんと効率的な運営ができるように、まさに先生から言われたようなことのないように、開設者が裏に隠れて何か勝手に通知してきたとかそういうことのないように、きちっと主体性を持って自己責任に基づく運営をするように、強力に指導をしなくてはいけないなという感じを現在持っております。

大谷委員 強い信念は確認させていただきました。

 具体的にどうしましょう。まず八十六の中央から開設しているところ、何か利用者との意思疎通をもっとするように、こんなスキームを年間で何回までとか、そういうことができるのか、具体的にどんなことをやるんですか。これは明らかに役割が変わりますからね、今までとは。どうですか、どんなものが考えられますか。

須賀田政府参考人 先ほども御質問がございましたけれども、私どもは、市場ごとに設置をしております市場の取引委員会、これは卸、仲卸、小売、開設者で構成をしております。これは一挙にそこでいろいろな審議ができるわけでございます。残念ながら現在不活発でございます。開催回数が年間一回以下なぞというようなところもございます。今回からは、この委員会を積極的に活用して、そこでちゃんと情報を出して審議する、もめるようなことがあったらちゃんと報告してもらう、こういうような仕組みをとりたいというふうに考えております。

大谷委員 既存の委員会の運営の強化ということ、ぜひとも局長の方から即座に、来週でもできると思いますので、近く、開設者は利用者としっかりとコミュニケーションをして運営していくことが必要であるということをお伝えいただきたいというふうに思います。

 今回のこの法律、市場をこれからも活性化していく、重要性を確認し活性化していくということに関しては、私は大賛成でございます。そのための手法として、きっと一個じゃなくてたくさんあるんだというふうに思います。そのうちの一個が規制緩和という市場原理を少し持ち込むということ、そこには運営の中で、限定であったりとかして、しっかりと監視機能を持っていくということが必要であること、これはきょう約束していただけたというふうに思いますので、その監視機能が具現化されるようにするために何があるのかを今度はぜひ問いたいというふうに思います。

 そして二つ目。規制緩和じゃなくて、二個目、三個目、四つ目の、消費者の多様性あるニーズを満足できるような市場の役割を持たすための施策というものがこれからも考えて出ていくんだよと。ある意味、現実の後追っかけみたいなところがありますので、大きな哲学というようなものに合った案を二回目、三回目に出していただくということをぜひとも大臣に最後一言お約束いただいて、質問を終わりたいというふうに思います。

亀井国務大臣 ぜひ今回この法案を成立させていただき、そして、それを市場関係者並びに卸、仲卸の関係者にいかにPRと申しますか、趣旨を徹底することが私はやはり一番大切なことだ、こう思います。そのような努力を私どももしてまいりたい、こう思っております。

大谷委員 ありがとうございました。

高木委員長 次に、岸本健君。

岸本委員 民主党の岸本でございます。

 卸売市場法の一部改正案について午前中からずっと質問がありました。多少の重なりはあるかもわかりませんけれども、あえて質問をさせていただきたいと思います。

 ある農協組織がまとめた提言の中に次のような文言がありました。現在九〇%の青果物卸売市場への出荷は五〇%にしたい、ここ三年間で卸売市場五、直販三、直売二の割合にしたい、直売所や学校給食による地産地消、またインショップでの直接販売、量販店との契約販売で消費者に安心、安全な農産物を提供すると同時に、組合員の所得向上を目指したいというものでありました。

 このように生産者の卸売市場離れが起きております。この流れは今後も加速すると思われるのですが、本案の改正によって卸売市場離れに歯どめがかかると考えておられるのかどうか、お尋ねいたします。

須賀田政府参考人 今先生から、ある農協の意向ということで、生産者サイドから見た卸売市場の存在意義、直売でやりたいということを言っていたということでございました。

 確かに、地産地消、そこでとれたものをそこで消費する、これは自給率の向上にも、安心、安全な食生活にも、子供の教育あるいは文化、伝統、こういった観点からも推進すべきものでございまして、その地産地消のための直売活動をよくないという気はございませんで、むしろどんどん進めるべきことだろうというふうに思っております。

 ただ、地産地消一つとりましても、その範囲は、市町村だけではなくて県単位あるいは広域単位で考えられます。その中で、市場がネットワーク化等をいたしまして地産地消の一翼を担う、現に担っている例もございます。

 地産地消との関係一つとりましてもそういうことがございますので、今回の改正で、生産者が委託手数料を払ってでもあの市場に出した方が有利だ、有利な取引がされるというような関係者の御努力がなされれば、生産者離れといったところの歯どめというものがかかるんじゃないかというふうに思っております。

 今後の日本の生産サイドの課題といたしまして、高付加価値化でございますとか、そういう区別化に取り組んでいく必要があろうかと思います。区別化のためには、やはり消費者サイドに需要の実験をしてもらう。今度の第三者販売といったような制度も設けまして、そういう機能が果たせるようにいたしました。そういうことを活用していただければ、生産者にももっとアピールできる市場制度というのが可能になるというふうに思っております。関係者の御努力次第というふうに思っております。

    〔委員長退席、小平委員長代理着席〕

岸本委員 何かもうちょっと確固たる指導やら何やらあってもいいんじゃないかな、そんなことも思うものですから、その辺はまたぜひお願いしたいなと思います。

 次に、卸売市場の問題点は、第一に、青果物の場合ですけれども、市場に来たものは、それが不良品であってもすべてを受け入れなければならない。それから第二、価格はその日のうちにつけなくてはならない。第三、一般消費者等への第三者販売が認められていない。第四、卸売、仲卸の業務を規制していること、たとえそこが子会社をつくっても規制を受けること。第五に、手数料が青果八・五%、果物七%と決められていることなどが挙げられると。

 改正案は、先ほど来話がありましたけれども、規制を緩和し、業務を原則自由にするとともに、手数料も段階的に自由化していくとされております。そもそも卸売会社、これは株式会社で、この手数料を法律で決めること自体おかしいのではないかなとも思っております。安易な規制の緩和は弱者の切り捨てに広がっていく。零細の卸売会社は、撤退するか吸収合併か、二者択一を迫られるのではないかと危惧しております。

 本改正案には、卸売業者、仲卸業者の経営体質の強化という趣旨が込められていると思いますが、具体的にどのような効果をもたらすのかということを考えておられるのか、お尋ねいたします。

須賀田政府参考人 まず、卸売業者の体質強化でございます。

 これは手数料の弾力化を行います。手数料の弾力化を行うということは、サービスとかどういう機能を出荷者に与えるかによって顧客を引きつけることができる、ビジネスチャンスでもあるわけでございます。それから、開設区域内で販売行為が制限されていたのを緩和いたします。これは業務を多角化する道でもございます。それから、第三者販売、仲卸さんを飛ばした販売が一部できるようになります。これは業務活動を拡大する道でもあるわけでございます。そういうことをうまくビジネスチャンスととらえていただいて活動をしていただければ、売り上げを拡大していく余地が随分あるというふうに私どもは認識をしております。

 それから、仲卸さんも同様でございまして、いろいろな業務の限定が緩和をされますし、卸を通さない直荷引きというのも一部認められるわけでございます。これを積極的にポジティブに受けとめていただいて、これもビジネスチャンスを拡大していただくということをすれば、売り上げの増ということが図られるわけでございます。

 要は、今回の緩和を新たなビジネスチャンスというふうにとらえていただいて、創意工夫を凝らしてサービスを提供することにより、みずからの体質強化を図る道ができたというふうにとらえていただきたいと私どもは念願をしております。

岸本委員 前向きに考えればビジネスチャンスなのかもわかりませんけれども、何か弱者がそのまま捨てていかれるような、そういうふうな思いもあります。

 次に、大臣にお伺いいたします。

 世界に類のない卸売市場制度は、我が国の食料流通に多大な貢献を今までしてきた、これはだれも異議を唱えないと思います。しかし、食品流通のチャンネルが多様化し、IT化の進展、それから、生産者と消費者が直接取引するケースがふえてきている。こうした時代の変化に対応するために、先ほどもありましたけれども、卸売市場関係者は経営戦略を見直していかなければならない。築地市場では、場内にも一般の消費者、これを受け入れているという話も聞きますし、既得権益であった売り場、これも、昔はその場所を買いたいという人が、たくさん買い手がおったそうですが、今はそれもないというふうに聞いております。今後、さらに卸売市場の空洞化は私は進むと思っております。無用論さえ出かねない。

 農林水産省は、卸売市場を今後どういう方向に導こうとしているのか、将来への方針をお聞かせください。

亀井国務大臣 卸売市場、これは生鮮食料品の流通、このメーンチャンネルになっておるわけでありまして、そういう中で、青果では七割、水産物では三分の二、まさに食と農のパイプ、こういうことになるわけでありまして、そういう中で、卸売市場が、価格の形成、また、いわゆる農産物の円滑な流通、こういうものを担っておるわけであります。

 そういう中で、卸売市場、いわゆる品ぞろえの問題、指標性の価格の形成の問題ですとか、あるいは安心できる決済、あるいは公正な取引、こういう面での機能というものは十分発揮しておるわけでありまして、生産者、消費者のニーズに合う機能を発揮することが私は必要なことではなかろうかと。

 しかし、今回の改正におきましても、また、時代の趨勢、先ほど来鋭意申し上げておりますとおり、今回、この改正につきましても業界の皆さん方の意見を、お考えをいろいろ伺って、そして、やはりいろいろな情報の提供、そして安心、安全の確保、あるいは低コストの流通、こういうことを図っていかなければならないわけであります。

 今回、この法改正をすることによって、関係の皆さんに、先ほども申し上げましたが、この法改正の趣旨というものを十分御理解いただきまして、やはり今、輸入食品等、市場を経由しないものが、流通外があるわけであります。そういうものを、関係者の創意工夫と、そしてまた、時代がいろいろなものを要請するわけでありますから、意外なところに私は新しいビジネスチャンスというものも見出すことができる、そのようなチャレンジ、こういうものもぜひ関係者がしていただく、この法改正を機に、そのような形で進んでまいることを期待いたしておるわけであります。

岸本委員 わかりました。とにかく、今回の法案の改正で、ビジネスチャンスと前向きにとらえろということで、今後出てくる、弱者といいましょうか、いろいろな問題点がまた出てくると思いますので、その辺はまた御指導をしていただきたい、そのように思います。

 次に、加工業経営改善法の改正案について質問させていただきます。

 この法に基づいて、平成元年から昨年まで、各都道府県知事から九百三十二件の経営改善計画が承認され、農林漁業金融公庫等から、融資総額が約四千三百七十二億円、融資の件数が千百一件と報告されています。五年間の延長を求める法律案であり、政府側も、地域農産物の取引量の増加や雇用の創出など一定の効果を上げていると強調されておるのですが、成功例ばかりがすべてではないと思います。

 この融資を受けられた業者の方々が、この五年間で融資が有効に活用されて、どう業績に反映されたかという検証はされたのでしょうか。お伺いいたします。

須賀田政府参考人 この特定農産加工法に基づきます融資先から農林漁業公庫が聞き取ったわけでございます。これは平成八年度に融資した企業三十三社からの回答で、平成十三年度までに地域の農産物の取引量が約四割増加をした、平成八年度が三万一千五百十二トンだったのが、四万四千八百五十三トンになったということの回答がございました。従業員も、平成八年、二千二百六十三人だったのが、平成十三年、二千四百八十六人、二百二十三人ふえているという回答がございました。

 さらに、その経営改善効果でございます。例えば、十四年度見込みで、この特定農産加工業関係の業種を、この融資先以外すべて平均すると、これは売上高利益率がマイナスの〇・一七%なんですが、この特定農産加工の融資先の利益率はプラスの〇・六%ということでございまして、これで見る限り、融資によるだけじゃなくて、御努力もあったんだと思いますけれども、この融資先の経営指標は平均よりもいいという結果を私どもは得ております。

岸本委員 そうしたら、もうほとんどがすばらしい業績を出して、その成果を残している、その認識でよろしいんでしょうか。――よろしいですか。はい。わかりました。

 そうしたら、大変すばらしいものであるということで、次に、この法案の本質的な部分についてお尋ねをいたします。

 歯どめのきかない農産物の輸入、それによって打撃を受ける特定業者、これらにも救済措置として本案が出されたものだ、そういうふうに理解しているのですが、救済といっても借金に変わりなく、簡単に言えば対症療法的な法案ではないのかな、そんなふうにも思います。

 そこで、お尋ねをいたします。これだけ政策評価があったら、さらに延長するということでしょうから、説得力のある五年間の効果について説明を求めたい。そしてまた、こんなにすばらしい法案であるならば、午前中に西川先生の方からもお話があったと思うんですけれども、どうして恒久法にせず時限立法なのか。私は、今後も輸入は増加するのではないか、その中で、大臣は午前中のときに本案の恒久化については考えていない、これはもう農産物の輸入が減っていくのかな、そういう見通しのもとでの答弁であったのかなとも考えておるんですが、御説明を求めたいと思います。

須賀田政府参考人 まず、本法の効果、先ほど来申し上げておりますけれども、本法に基づく融資先の業者の経営改善が進んでいるというのみならず、地域の農産物の取引量もふえておりますし、雇用の創出の面でも一定の効果を上げてきております。

 この融資、先生も御承知のように、貿易環境が悪化しているけれども、国産の農産物を原材料としていわば頑張っている農産加工業者の方の経営改善のための融資でございます。

 そういうことでございますけれども、やはり企業融資でございますので、一定期間内に経営改善を進められて、できる限りそういう環境に応じて頑張れる体力をつくっていただくということがこの融資の目的でございますので、ある程度期限を限って経営努力を促すということが適切というふうに判断して、五年間ということにさせていただいたわけでございます。

岸本委員 わかりました。別にむちゃくちゃ反対しているとか、そんなんではないんです。

 私のふるさとは和歌山ですから、オレンジの自由化、これには多大な影響を受けている地域でございます。ミカンの生産農家は、ミカンが安いですから、加工の分野で何とか活路を見出そうと、もう必死になって頑張っております。この制度を利用して地産地消にも貢献している業者もおります。つまり、加工に使う原材料はすべて地場の農家から調達しているわけで、まさに地産地消です。

 私の家の本当に近くでも、桃、それからカキのB級品を、外に出せませんから、自分たちでお金を出して、年間売り上げが八百六十万円、それで借金ゼロ、時給四百円とボランティアで、地域の方々が前向きに、自分たちの損得なしにやっている。そして地域の活性化に結びつけようと、地産地消を促進しているグループもございます。時給四百円といったら、もう今考えられませんから、そういうのでも一生懸命やっておる。

 また、雇用も含めまして地域の活性化に貢献しているところ、そういうところもあると思います。ほかのところですけれども、安価な輸入果汁に対抗するために新作の搾汁機や皮むき機などの購入に融資制度を利用したところもある。

 そこで、お尋ねをいたしますが、この特定加工業の業者が使う原材料は、すべて国産品を対象としたものであると理解してよろしいのでしょうか。

須賀田政府参考人 この融資制度の仕組みでございます。

 経営改善計画を都道府県知事が承認して融資を決めるわけでございますけれども、その承認の要件は、地域農業の健全な発展に資するかどうかの観点から審査をしております。率直に考えまして、先生言われたようなジュース工場等、原材料が季節性があるというようなことを考えますと、すべて国産で賄うという要件を付すというのはちょっと酷かなというふうに思っております。

 したがいまして、全量国産というまでいかなくても、先ほどの要件でございます、国産原材料を積極的に使用して経営改善に取り組む、そうすることによって地域の農産物の取引量の増大、雇用の面でも効果が期待されますので、そういうものはこの融資の対象にしている。多少輸入の原材料を使っても、地域の農業の発展に資するのであれば融資の対象にするということで運用をさせていただいております。

岸本委員 何かあれですね、僕は国産品以外が含まれるのはおかしいと。

 聞いてみたんです。そうしたら、純国産でパンをつくっているそうです、カキを崩して。そういう努力をしているところもあるんですね。だから、やはりそういうところにはさらに何らかの支援をしていただけるようにお願いしたいな、そんなことも思いますね。何かちょっと違うというか甘いというか、どうせするんだったら徹底的にやっていただきたいな、そんなことも思います。

 次に、最近の食文化の変化について大臣にお伺いしたいと思います。

 ファストフードからスローフードと最近はシフトチェンジされてきたように思います。これは大変結構なことだと思いますが、最近、ジャンクフード、これが広がり続け、そして日本の伝統食文化が反撃を開始した、そういうふうにも思います。

 大臣は、最近のブームは塩むすび、おむすびですけれども、であることを御存じでしょうか。高級なおにぎりが売れているんです。何か青山の専門店では、一個二百五十円する、私は二百五十円もするものを食べたことないんですが、こういう塩むすびが飛ぶように売れているということであります。国会内にあるおにぎり専門店も大変繁盛している。こうした背景にはどんな原因があると大臣は思われておられますか。御所見をお願いします。

亀井国務大臣 もう三時を過ぎておりますけれども、おにぎりは、私、子供のころ、今ごろになると、学校から帰って、母親がおにぎりをつくってくれた、その味というのは忘れないわけでありますし、やはりそういうものが、今日、ある量販店と申しますか、そこで新潟のコシヒカリを使っておいしいおにぎりをつくって販売をされている。今の青山の例。あるいはまた、国会の中でも、昼になりますと大変おにぎりをお買い求めになる。

 やはり本当においしいと思いますし、手軽でおしゃれな感じもすると思うんです。また、先ほど申し上げましたとおり、やはり昔の思い出と申しますか、母親の味というものを思い出すわけでもございます。そういう面でやはり子供も大人も人気があるのではなかろうかな、こう思います。

 ぜひ、米の消費拡大、こういう面で、このごろは、家庭で食事をする、和食になりますと、いろいろなものをつくらなければならない。一方、パンになりますと、それこそハムエッグくらいと牛乳で済むような時代でありますから、パンと同じような感じでおにぎりを食べていただいて、米の消費の拡大をしていただけないかな、こういう思いを持ちます。

岸本委員 これがブームになっているというのは、高くてもよく売れるというのは、やはり国民の食に対する安全、もちろん母親の味というのもあるでしょうけれども、食に対する安全性が反映されてきたのかな、そんなふうに思います。シンプルであればあるほど原材料にこだわる。つまり、高くても、厳選された米とこだわりの塩で握られたおむすび、これは消費者に受け入れられるという証明だと私は思います。これは加工品においても同様だと思います。

 そこで、私はオレンジジュースに絞ってお伺いしたいと思います。

 今日本で売られているオレンジジュースの国産品と輸入品の割合などについて農林水産省は把握されているのか。もしわかるようでしたら、教えていただきたい。それと、輸入国についても教えていただきたいと思います。

白須政府参考人 オレンジ果汁についてのお尋ねでございます。

 オレンジ果汁の我が国への輸入についてでございますが、まず平成十五年におきましては、九万二千トンということでございまして、ブラジルからが一番多うございまして、約七万トンということで、七五%でございます。アメリカからは約一万トン、一割。オーストラリアからは五千トンで、約六%というふうになっているわけでございます。

 国産の方でございますが、国産のミカン果汁の生産量は、委員も御案内のとおりで、国産の生果の需給動向によりまして、年によりまして変動するわけでございますが、一番最近でございますと、平成十四年におきましては、国産のミカン果汁の生産量は一万一千トンということでございまして、その十四年におきますオレンジ果汁の輸入量は十万九千トンでございましたので、その輸入量に対します国産のミカン果汁の割合は約一割というふうに承知をいたしております。

岸本委員 かなりの量が割合で違うと。

 味も違いますからね。私もこの間、国産と外国産のジュースを買ってきまして、僕のいてないところでコップに入れてもらいまして、自分でにおいとあれで飲んでみましたが、やはり僕は和歌山で育ちましたから、小さいころからミカンを食べて国産のジュースを飲んでいますから、一発でわかるんですね。やはり国産というのは少し酸味があるというんですか、しかし栄養が非常によい。

 国産品で多少値段が高くても売れているというのがございます。一〇〇%のストレートのミカンジュースというのは、普通の百二十円で売っているオレンジジュースではなくて、本当に本物志向、さっきのおにぎりの話じゃないですけれども、そういうふうな形で、すごく安心できる国産のジュース、コマーシャルじゃないんですけれども、そういうものが和歌山のあそこのアンテナショップに置いております。それもかなり人気の商品だそうです。それをやはり皆さんに理解していただけるようにしていきたいなと。

 ちょっと話は変わるんですが、九一年四月から牛肉とオレンジが自由化されまして、日本のミカン農家は、先ほど来割合もお聞きしましたが、価格の安いオレンジと競争を強いられることになった。日本のミカンとオレンジは、同じかんきつであっても味も形も形態も違います。国産のミカンは英語でもミカンと通してほしい。外国へ行けば、日本食で納豆だったら納豆、それから豆腐は豆腐というふうに言われているそうです。

 この日本のミカンは、テレビを見ながら簡単に皮をむけるというのでテレビジョンオレンジとか、それとか、オーストラリアだったかな、クリスマスは、日本のミカン、非常に高級なミカンを一つ買ってきて食べる、そんなのでクリスマスオレンジとか、いろいろな、名前の言い方がばらばらなんですね。それを何とか、ミカンとならないものかな、そしてオレンジとの違いを出していけないのかな、そんなことも思っております。

 ジュースとして加工されるものとなぜ同じように分類されてしまう。味も違いますし、呼び方も変えてほしい。国産のポンジュース、これは有名ですけれども、自動販売機で売られているオレンジジュースやレストランや喫茶店で出されているこのオレンジジュース、ほとんどがバレンシア種のオレンジの輸入果汁のものであると。色あせやカビから果実を守るために、かなりの発がん性の薬品ですか、ちょっと認められるようなものが入っていると。農薬漬けのジュースをありがたく飲んでいるわけですね。

 ちょっと名前が変わった、今は食品と暮らしの安全基金というんですか、という組織が制作した「ポストハーベスト農薬使用の実態」というビデオテープがあります。これによりますと、アメリカは、かんきつ類を農薬処理した後で丸ごと圧搾してジュースをつくる過程が紹介されている。国産のミカンジュースは安全で安心な果汁一〇〇パーでつくられております。また、食品表示も正確になっております。

 これに引きかえ、輸入の果汁のオレンジジュースには濃縮還元オレンジという表示しかされていない。輸入オレンジと表示する必要があると思いますが、それは別として、厚生労働省にお尋ねいたしますが、輸入果実の農薬検査の現状と、どれくらいのインターバルで行っているのか、さらに、加工された濃縮果汁などの残留農薬の成分分析などをどのように行っているのか、お尋ねいたします。

    〔小平委員長代理退席、委員長着席〕

遠藤政府参考人 まず、オレンジについてでございますけれども、平成十五年におきまして、輸入届け出五千十七件に対しまして、残留農薬等に関して五百三十七件、一〇・七%の検査を実施いたしました。その結果、米国産オレンジから一件の違反を発見いたしております。

 濃縮果汁の方でございますけれども、加工食品ということで、これまで残留農薬の基準が設定をされておりません。そのために、ルーチンには検査を実施していないところでございます。

 昨年の食品衛生法改正によりまして、残留農薬等がポジティブリスト制に移行することになりましたので、現在、加工食品についてのこういった残留農薬等の判断基準につきまして技術的に検討しているところでございまして、それを待ちまして対応してまいりたいと考えております。

岸本委員 国内で、安心、安全、食品については非常に言われているんですから、そういう可能性がありますから、国内と同様の食品安全基準なり検疫基準を設ける、そしてまた、輸入する際にはこれを相手国に対して強く求めていっていただきたい、そのように思います。これを輸入の条件にするぐらいのつもりでしていただきたい、そんなふうに思います。

 次に、安心、安全で、高付加価値、高品質の国産農産物を年間を通じて安定的に供給してほしいという加工業者のニーズに対して、国内農業生産が必ずしもこたえ切れていないという指摘、これはあります。現在、契約栽培等で国内の生産者と提携をしている食品製造業者は、将来、検討しているとした業者を加えると五割近くに上るとされております。

 このような状況を踏まえまして、農林水産省は、農業生産者と食品加工業者とのマッチングを図る必要があると思いますが、大臣、地産地消にと広がることですので、農林水産省として仲介役などの取り組みなどを考えておられるか、御所見をお聞かせください。

亀井国務大臣 食品産業、国産農水産物の約六割が仕向けられておるわけでありまして、国産原材料の使用拡大には食品産業と農林水産業との連携強化、これは大変重要なことであります。

 そういう中で、安定的な取引ができる、そういうことで農業施設等の整備等につきましての支援措置も講じておるわけでありますが、新製品の開発ですとか、交流会の開催、消費者への情報提供、こういう面で、やはり農業と食品産業とのいろいろの連携強化ということは非常に重要なことと思いますし、それを推進しておるところでもございます。

 今後とも、契約栽培を含め、食品産業と農業との連携の強化にさらに努めてまいりたい、こう思っております。

岸本委員 強いリーダーシップでよろしくお願いしたいと思います。時間がございませんので次へ行きます。

 次に、私も、加工品の工場へ行っていろいろ聞きますと、一番の問題は何か。販路である、販路を確保したい、これはもう幾つかの業者さんにお話を聞きましたけれども、皆さんそう訴えておりました。

 今年度、和歌山で、めっけもん広場というのが日本農業賞、これを受賞させていただきました。最近は、道の駅であるとか、産直、これらが活気を帯びてきている。そしてまた、各都道府県でも都内にアンテナショップを出して地元の名産品を売り込もうとどんどんやっております。ここでは、やはり生鮮産品よりも加工品に重点を置いて販売している。これはもうぜひとも農林水産省が音頭をとっていただいて、国産加工品祭りとか、何かイベントを計画していただきたい、そんなふうにも思います。

 先日、農林水産省の地下へ行きましたら、さすがに国産のジュースや珍しいお茶、加工品などの商品をそろえておりました。ドライフルーツなどの加工品はすべて輸入品でした。直営店ではないということですので別に文句を言うつもりはございませんが、せっかくですから、本省の売店になるべく安全な国産品を置いていただきたいなということを要望しておきます。

 金田副大臣、北海道が物産展のはしりであり、名産品も豊富である。ぜひとも、御多忙とは思いますが、各都道府県のアンテナショップへ足を運んでいただき、激励などをしていただきたいと思います。また、加工品のイベント開催の計画なども含め、販路拡大の何か案がございましたら御所見を伺いたいと思います。

金田副大臣 北海道庁では銀座のところに、北海道の物産展、アンテナショップみたいなのを開会させていただいて、北海道産の加工品、食品の販路拡大に努めさせていただいております。

 また、農林水産省といたしましても、毎年、ことしやったのは第十九回ふるさと食品フェアというのをやっておりまして、東京のビッグサイトで約四万人の観客を集める、三日間で四万人でございますが、こういったものをやらせていただいて、八十五団体が出品している。そういった中で商談なんかもやらせて、これは財団法人の食品産業センターということで、農林水産省が後援させていただいているものでございますけれども、毎年やっている食品フェア、こういったものをこれからもどんどん後援して、ふるさとの食品加工産業を元気づけていきたいというふうに考えております。

岸本委員 よろしくお願いします。光を当てていただきたいというか、やはりそういう生産者にチャンスを与えていただきたい、そんなことをお願いしたいと思います。

 時間もございませんので、これを最後の質問としたいと思います。

 BSEや鳥インフルエンザ、先ほど触れた輸入果物の農薬問題など、国民の食に対する不信感が今ほど増大してきているときはないと思います。全頭検査が担保されない限り輸入を解禁しないという大臣の英断には敬意を表しますし、牛丼や牛タンの原材料の危険性に国民が気づいてくれた点でも評価される問題であったと考えます。

 安ければよいだろうという時代は去り、スーパーなどでも消費者の目は食品基準に注がれております。食品表示については、我が党も、山田議員を中心に勉強会を開いて、いろいろと提言をまとめている最中でございます。スーパーの店頭などで、中国産ウナギのかば焼きや野菜は売れず、国産のウナギや生産者の顔が見える高い野菜が売れている、その傾向があるという現状でございます。

 このような状況を見ますと、十年前の附帯決議の第二項にある、原材料を含む農産加工品の輸入の急増が経営基盤の脆弱な農産加工業に悪影響を及ぼすことのないように努めることという文言をもう一度再確認し、輸入原材料や輸入果物、輸入加工品に一層監視の目を光らせ、十二品目に限らず、生産行程の不明な輸入食品を排除し、安心、安全な国産ブランドの復活に努めるべきだと考えますが、大臣の御所見を賜りたいと思います。

亀井国務大臣 輸入食品の安全性の確保につきましては、これは厚生労働省の検疫所におきまして、食品衛生法に基づく監視、検査を行っておるわけであります。

 また、農水省におきましては、米麦や輸入食品の検査、海外の食品事故等の情報の迅速かつ効果的な収集や分析、提供等を実施しておるわけでありまして、今後とも、厚生労働省と十分提携をし、積極的に取り組んでまいりたい、このように考えております。

岸本委員 もう時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。

高木委員長 次に、白保台一君。

白保委員 日本は、今、レストランや給食などで食事する外食だとか、外で買ってきてまたうちで食べる中食だとか、いろいろな面で、いながらにして世界じゅうのあらゆる国のものを食べられるということなんですが、こういう消費者や外食産業などのニーズに、我が国の農業生産が品ぞろえだとかあるいは価格の面で対応できない、そのことがまた自給率低下の大きな要因になっていると思います。川上の問題としての農業、川中、川下の流通や食品産業が食材調達にどうこたえていけるかということが食料自給率に大いにかかわる問題であろう、こういうふうに思います。

 つい先週、私は、もとの国連難民高等弁務官をやられていました緒方女史にお話を聞く機会があったんですが、今もまた、人間の安全保障をテーマにして、またJICAの理事長として活躍をされているわけでありますけれども、緒方さんは、日本の国益論は相互依存の世界の中での一部の議論にすぎない、自分の国だけで安全とかを議論しているようだが、単独行動からくるマイナスを考える、自分の行動が他にどう影響を与えるのか、人々の生活にどう影響を与えるのかは大事である、そんなことを語っておられたわけです。

 日本は、地球規模の気候変動や国際環境の変化のために食料不足が起これば、世界じゅうから食料を調達する、そういうことになるだろう。そうなると、世界の食料需給のバランスというのが崩れて、発展途上国に大きな負担を与えることになるわけであります。日本の食料自給率の問題は、世界じゅうの人々に影響を与える問題をはらんでいるわけであります。今後、我が国の消費者が国内農産物を志向することで国内生産量が拡大するような方向を見出していかなければならない、このように思います。

 しかし、我が国の消費者は、食の供給サイドに関して不信とか不安を持っております。申すまでもなく、BSE問題や鳥インフルエンザ、偽装表示問題、無認可の添加物、衛生管理問題、残留農薬など、近年、川上から川下に次々と問題が発生して増幅されているのであって、モラルの問題も含めて、我が国農業の構造的な改革の必要に迫られているのが現状であろうと思います。

 さて、我が国の農産物の流通は、卸売市場が中心となって物流ネットワークを形成して、農産物の安定的な大量供給を可能にしてきました。しかし、そこでは消費者と生産者というのは切り離されて、顔の見えない関係が続いてきたわけであります。問題が起これば、不信や不安というのは加速度的に増大する構造にあったと言えると思います。

 農産物の流通において、卸売市場では、野菜の取扱量が全体の八割を占めるなど、多様化する市場流通に押されているとはいえ、比重は非常に大きくなってきております。

 それで、全国の主要な青果卸の二〇〇三年度の売上高がまとまりました。十五年度全国青果卸ランキングというのが出ておりますけれども、その全体の八割以上が前年度より落ち込んでいます。消費の低迷だとかデフレ経済の深刻な影響がここではうかがえるわけでありまして、東京、大阪、名古屋などの拠点市場に比べて、周辺市場卸の売上高の落ち込みが非常に激しい。集荷力の低下とそれによる販売力低下が原因と指摘されているわけであります。このままいきますと、拠点市場化に拍車がかかって、市場は市場機能を失いかねない、こういう厳しさであろう、こういうふうに思います。

 そこで、お伺いいたしますが、大臣、卸の集荷力低下と拠点市場が進む現状の認識についてどのような認識をお持ちか、お伺いいたします。

亀井国務大臣 産地また実需者の大型化、そういう面で、あるいはまた道路網の整備等々が流通による広域化を進めておりまして、大量取引が大都市の卸売市場に集中している傾向、こういうことがあると思います。

 また一方、集荷力の低下、こういう面で、地方の卸売市場は荷が集中する大都市の卸売市場から転送されている、こういうことがあり、また、物流コストの増大、取扱高の減少、こういう面で、地方の卸売市場が経営の悪化が進んできている、こういう実態だと思います。

 そういう中で、やはり今回の改正によりまして、市場の再編を通じまして、集荷力の強化であるとか買い付け集荷の自由化等を活用いたしまして、地方の卸売市場の集荷、販売力が強化されることを期待いたしておるわけであります。

白保委員 そこで、卸売市場の集荷力低下という厳しい現実に対応するために、さまざまな試み、方法論が検討されております。報道によりますと、兵庫県内では、卸売会社が連携し窓口を一本化して、共同仕入れをすることで集荷力の安定や販売力強化を図って、市場機能を向上させようという試みもしているようです。

 従来、卸売会社は、産地開発と他社との競争で、独自の取引を持つことで差別化を図ってきたので、連携はなかなか難しくうまくいかないという指摘も、こういう試みに対してもあるわけであります。卸によるところの共同仕入れというのは、九州で七社が連携して行われたことがあるようであります。結局、各社の連携が難しいために中断してしまった、こういうふうに聞いております。

 そこで、産地JAや小売業の大型化が進む以上、市場は集荷力が安定的に高くあることが期待されます。そのためには、連携ではなくて事業提携や合併に行き着かざるを得ないと思いますが、御所見を伺いたいと思います。

須賀田政府参考人 集荷力の低下いたしました市場が集荷力を強化する手法、先生おっしゃいますように、事業提携、合併が主体的方法でございます。そのほかにも、より規制の少ない、民営化もできるような地方卸売市場へ転換するだとか、あるいはネットワーク化をするだとか、いろいろな方法があろうかと思います。

 私ども、これを上から強制するのではなくて、地域の市場の特性を生かす方向でその地域の人たちに選択してもらう、いわゆる地域の意向を踏まえながら、どの道が適当かというのを選択して再編を進めたいというふうに考えております。

 したがいまして、今回の中に、卸売市場整備基本方針において地域の特性に配慮できる基準というのを明示を置いて、その上で卸売市場整備計画で地域の特性、要望を十分配慮して、その中に再編の方向を書き込む、こういう方法で対処したいというふうに考えております。

白保委員 連携と個性化、差別化というのはまたなかなか難しい話なんだと思いますが、そういった指摘もございますし、ぜひ取り組みをしっかりとやっていただきたいと思います。

 今回の法改正で、卸の事業規制が大幅に緩和されるとともに、収益の八割を占める手数料が自由化されます。卸業者への影響が大きいと思われますが、ソフトランディングが求められていることだと思います。当面は、卸売手数料に関して開設者業務規程で定めることになるようでありますけれども、市場ごとなのか、卸業者ごとなのか、あるいは産地ごとなのか、手数料設定の具体的内容、議論もありましたが、改めて内容や指導方針、指針、卸業者への影響についてお考えを伺いたいと思います。

須賀田政府参考人 今回の手数料の弾力化措置、機能、サービスに応じた手数料を取るということでございまして、全体として活性化をし、市場の利用度を向上させるというために行うものでございます。

 ただ、行き過ぎた競争の結果、かえって卸売市場活動全体から見るとマイナスということも考えられますので、私どもは、この実施までに五カ年の準備期間を設けたということで、その間に各市場における産地だとか実需者のニーズに対応してどのようなサービスを提供するかというのを十分議論をしていただきたいと思っております。

 それから、いざ弾力化ということになりましたら、開設者が定めます業務規程において手数料のことをみずから自主的ルールとして定める。例えば幅をつける、こういうケースについてはこうやろうじゃないかということを決める。それは基本的には市場ごとの開設者が業務規程で定めるわけでございますけれども、その内容については、これからどのような内容にするか、十分相談しながら決めていきたいというふうに思っております。

白保委員 大臣、冒頭にも申し上げましたが、食品流通というのは、単に流通機構だけではなくして、国民の食の安全と安心を支えるライフラインでもあります。その健全な発展は非常に大事なことだ、こう思うわけであります。

 今回の法改正を目指す市場流通の将来像と卸、仲卸の位置づけについて、大臣の御所見を伺っておきたいと思います。

亀井国務大臣 卸売市場、もう先ほど来申し上げておりますとおり、国内の生鮮食料品の流通のメーンチャネルであるわけでありまして、青果の七割、水産物の三分の二、こういうことで、食と農を結ぶパイプ、そして生鮮食料品の適切な価格の形成やあるいは円滑な流通、こういうことをしておるわけでありますし、さらには、生産サイド、消費サイドの双方のニーズに応ずる機能強化を図ることが必要でありますし、また、卸、仲卸は、卸売市場におきましてはメーンプレーヤー、こういう取引のメーンプレーヤーではなかろうかと私は思います。

 そういう面で、今回の改正によりまして、いろいろ、この卸、仲卸業者の役割の一層の発揮を図るために、卸売業者の第三者販売やあるいは仲卸業者の直荷引きに係る規制の緩和ですとか、あるいは買い付け集荷の弾力化ですとか、あるいは卸売手数料の弾力化、こういうことをして活動範囲の拡大をしておりますし、財務の健全化、こういうことをこの法改正によりまして図ってまいりたい、こう思っております。

白保委員 次に、農産加工業と農業との連携の問題についてお伺いします。

 我が国の農産加工業は、国産農水産物の約四割が仕向けられて、食品産業全体が消費する国内農産物のうち大きな比重を占める存在であり、国民への食料供給の最前線であり、その役割もまた重要であります。農産物の輸入自由化やデフレ経済での価格低迷などの影響は、農産加工物、加工業を直撃するわけでありますが、原料、農産物を供給する農業にとっても大きな影響であります。

 しかし、農業が地域ブランド化を図るなど攻めの姿勢に立ったときに、農産加工業は大きな役割を果たすのではないかと考えます。農業生産サイドが潜在的需要のある高付加価値、高品質農産物を提供し、農産加工業を含む食品産業がこれを活用できれば、地域農業を大きく振興する可能性があります。農産加工業を含む食品産業事業者と農業者が相互に連携することは、地域農業の振興にとって大変重要でありまして、ひいては食料自給率向上に貢献するものと思いますが、これを促進するために、国としてのどのような取り組みを行うのか、これを伺いたいと思います。

須賀田政府参考人 現在、国産の農水産物の約六割が食品産業へ仕向けられているわけでございまして、先生おっしゃいますように、農産加工業と農業の連携、地域農業の振興のためにも、自給率の向上のためにも極めて重要というふうに考えております。農業サイドにとっては、マーケティングだとか販売戦略だとかの経営のノウハウを得ることができる、新製品の開発なんかにもチャレンジできる。加工業にとりましては、安定的な原料調達先が確保できるということでございます。

 現在、私どもは、この食品産業と農業生産者間のマッチング支援、あるいは地域ブランド食品の開発等について支援を行っております。

 この間、五月の二十四日に公表いたしました農政改革基本構想、いわゆる農林水産大臣グランドデザインというものでございますけれども、その中でも、食品産業と担い手等生産者の間のネットワークの構築、契約取引の推進等により食品産業と国内農業との連携強化といった方向を目指すということをうたっているものでございます。

白保委員 次に、加工食品ですね。消費者が手にしたときに、素材や成分、産地などを知るための食品表示が非常に重要な役割を持っているわけでありますが、食品表示は食品衛生法やJAS法などは規定されているわけですけれども、違反表示というのが後を絶たない。特にBSE問題での食肉偽装表示事件は、消費者の食品表示に対する信用を大きく失墜させているわけであります。これは記憶に新しいわけです。

 食品表示に対する信用を取り戻すためにも表示の適正化が求められるわけでありますが、加工食品においては国産原料を使うことに対する消費者ニーズが高いようでありますけれども、加工食品の原料原産地表示の適正化を一層徹底すべきだ、こういうふうに思います。加工食品の原料原産地表示の適正化についての取り組みと今後の方針について伺います。

中川政府参考人 消費者の方々の食に対する安心を確保する、あるいはお買いになるときの商品選択に資するという意味で、原産地など食品の品質に関する情報を的確に提供するということは大変大事なことだというふうに思っております。

 御承知のように、生鮮食品につきましては、既に、すべて原産地の表示が義務づけられておりますが、加工食品につきましても、平成十三年度以降、例えばアジの干物ですとか、漬物ですとか、あるいはウナギのかば焼きといったふうに、逐次原料原産地の表示の義務づけをする品目はふやしてきて、現在は八品目に至っております。

 ただ、こういった個別の品目ごとに指定をするという方式では限りもありますので、昨年の八月から、厚生労働省と共同で、食品の表示に関する共同会議というところでこの問題について議論をいただいておりまして、例えば乾燥した農産物、あるいは塩漬けにした水産物といったように、生鮮食品に近い加工食品につきまして、原料原産地の表示の対象として横断的、網羅的にカバーする、そういう方向でこの方針を取りまとめていただいたところでございます。本年秋をめどに新たな基準を制定していきたいというふうに考えております。

 また、そういった各表示につきましてきちっと表示されているかどうかということは、私ども、各都道府県に農政事務所がございます。ここに全国で約二千人の職員がおりますので、日々、きちっとした表示について、今、点検もやっております。こういった点は、これからもきちっとした表示ができますように努力していきたいと思っております。

白保委員 もう時間がありませんから最後になると思いますが、大臣、経営支援制度の意義と運用の評価についてですが、先ほどもこの法律について、この特定農産加工業経営改善臨時措置法というのは臨時措置法じゃなくて恒久法、制度にするべきじゃないかというような議論もありました。

 本制度を五年間とすることの意義と、運用の評価に対してどのようにお考えなのか、最後にお伺いいたします。

亀井国務大臣 御質問の件、関係、先ほど来、委員の方々からもお話をちょうだいしておることであります。

 やはり、これまで累次の国境措置の変更の結果、農産加工品、半加工品の輸入が引き続き増加の傾向にあるわけでありまして、国内生産が減少する、依然として特定農産加工の業者の経営は大変厳しいわけであります。

 しかし、五年間延長しまして経営改善を引き続き支援する、できる限り早期に経営体力の強化を促すという目的もあるわけでありまして、期限を切って経営努力をぜひお願いしたい、こういう点であるわけであります。

白保委員 時間が来ましたので、終わります。

高木委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 初めに大臣にお伺いをします。

 「卸売市場は、多様で鮮度の高い生鮮産品を志向する食文化・生活様式に適合した流通システムとして、生鮮産品の流通において基幹的役割を果たしている。」この言葉は、昨年九月二十五日に農林水産省総合食料局が発表した「「卸売市場制度改正等に関する検討事項(メモ)」について」、この冒頭にある改正の趣旨であります。この間のさまざまな研究会報告書も出される中で、繰り返しこの「基幹的役割」という言葉は位置づけられておりました。

 今回の本改正案の大臣説明には、この改正の趣旨について、「流通の円滑化を図る上で重要な役割」という表現にとどまっておりますが、基幹的な役割という言葉がなくなった。中身が変わったのかどうか、ちょっと認識を伺いたいと思います。

亀井国務大臣 私は、基幹的役割でよろしい、こう思っております。

高橋委員 確認できたので、次に進みます。

 昨日は、高木委員長の御案内で大田市場を視察させていただきまして、クイズ番組かと思うような丸い電光掲示板で競りを瞬時にやっている、大変先進的な市場だなということを改めて思いました。

 また、先月は地元で中央市場を見てきたんですけれども、そのときはおなじみのスタイルで青果の競りをやっているところを見ることができたんですけれども、そのとき案内してくれた仲卸さんが言うには、競りの大事な役割というのは取引の結果がオープンであること、そのために、一部の業者間の不公平な取引を防止したり、あるいは中小の生産者も公平に安心して参加をできるというところなんだと話されておりまして、なるほどなと思いました。

 今、確かに競り取引の割合は、花卉を除けば三、四割台にも減少しておりますが、しかし、これ以上の規制緩和が進めば、結局壊されるのはこの大事な役割なのではないかと考えております。

 そこで伺いますけれども、きのうの大田市場でも卸の方がおっしゃっておりましたけれども、手数料は幾らでも引き下げられるという声がありました。仮に力のある市場が引き下げで先陣を切った場合、市場間の引き下げ競争が起こる、大型産地に引き下げを迫られる、こうした上での卸の業者の競争が激化をして淘汰が進むのではないかという危惧の声がありますが、これについてどうお考えになりますか。

須賀田政府参考人 今般の委託手数料の弾力化の問題でございます。

 先ほど来申し上げているとおり、卸売業者のサービスとか機能に応じて弾力的に手数料を取るようにする、委託手数料は生産者のコストでございますので、生産者からも卸売業者を選択できるようにする、こういうことによりまして、卸売業者にとってはビジネスチャンス、チャレンジということで、みずからのサービス業の向上に応じて売り上げを伸ばすことができる、同時に、市場外に流れているようなものも市場に取り込める余地も出てくるということをねらいにしたものでございます。

 ただ、これは急激にやりますと、今できている秩序を壊すということになりますので、五カ年間の準備期間をとった、その間に、どういうサービスを提供するかということをよく議論をしていただきたいと。さらに、実際に弾力化をする場合にも、開設者がみずからの裁量によりまして手数料の幅等を業務規程で定める、自主ルールを定めるということも可能というふうにすることによりまして、卸売業者の経営の安定との調和をとることにしているわけでございます。

高橋委員 そのビジネスチャンスに乗れる業者とそうじゃない業者の差が大きく開いてくる、ここが非常に問題にされているわけですよね。

 逆に、卸が産地を選び、集荷する産地によって手数料に差をつけるということも可能になるかと思われますが、局長はこれまで、参議院の農水委員会などでも、差別的取り扱いの禁止、受託拒否の禁止は今後とも継続していくと述べておりますけれども、それをどう担保するのかという問題であります。

 市場取引委員会についても、強化するというお答えが先ほどの質疑の中でありました。そこまで言うのであれば、市場取引委員会の設置を義務づけるべきと思いますが、伺います。

須賀田政府参考人 差別的取り扱いの禁止とか受託拒否の禁止規定は今後とも続ける、それをどうやって担保するかというお尋ねでございました。

 規定上は、こういう行為が確認された場合には、農林水産大臣または開設者が、その卸売業者に対しまして改善措置命令を発出するということになっているわけでございます。その間で、監視という面では市場取引委員会が役割を発揮するべきでございます。

 これをなぜ必置にしないのかということでございますけれども、近年の政府全体の方針といたしまして、必置機関をつくるのは相ならぬということになっておりますので、「置くことができる。」という規定にしておりますけれども、先ほど来申し上げておりますように、全市場でこういう委員会ができるようにしたいというふうに思っております。

高橋委員 必置にしないのかの理由がちょっと今お話ありましたけれども、しかし、当然予想されるこうした差別的取り扱いについて、きちんとした対応ができるように、それはこの五年間の準備期間でしっかりと歯どめ策を検討し、また国としても責任を持って対応していただきたい、これは指摘にとどめます。

 時間がないので答弁は簡潔にお願いします。

 次に、仲卸の経営悪化が大変深刻になっております。赤字業者の割合が、青果で四一・八%、水産で四六・七%などという状態になっておりますけれども、その背景には、やはり指摘されているように、量販店への納入拡大や、遅い代金支払いサイトの問題、あるいはバイイングパワーによる不公正な取引の押しつけなど、いろいろあると思うんですが、そうした問題の抜本的な改善ができないままに早期改善措置などが進んでいく。こうなると、やはり仲卸業者の首が絞められる状態になっていくのではないかということを大変危惧するわけであります。

 いろいろな問題があるんですが、そのうち一つだけ聞きますが、仲卸を通さない第三者販売への規制緩和、これは一層の仲卸の淘汰を進めるものとなると思いますが、いかがでしょうか。

須賀田政府参考人 この規定、先ほど来申し上げております、新製品を開発するときに、仲卸さんの方がそんなのを扱うのはちょっととちゅうちょする、そういう段階のときに、試験的に仲卸さんを飛ばして販売をして、新製品の開拓につなげていく。過去、新製品と言われて、今普通の産品になっているもの、例えばカニかまとかフライドポテトだとかナゲットだとか、これはかつては新製品だったんです。こういうものを今は普通の商品にする。普通の商品になれば、卸売市場で普通の取引になる、こういうことをねらいとしたものでございますので、何とぞ御理解を賜りたいというふうに思っています。

 なお、こういうことが、先生が御懸念するようなことのないように、品目だとか数量だとか実施期間、こういうものはちゃんと限定をしてこれを行うこととしているところでございます。

高橋委員 限定してということでありましたので、既に御承知だと思いますが、法改正がされる前に第三者販売の先取りのような事態が実質起こっていて、農水省も指導に入ったということは御存じかと思います。ただ、この規制からいっても、それははみ出した事例であるということは聞いています。だから、こうしたことがやはり起きないようにきちんとした対応が求められるということなんですね。

 ちょっと時間がないので、具体的な話で、きょうちょっと公正取引委員会にせっかくおいでを願っていますので、ぜひ伺いたいと思うんですね。

 私は、今回の大規模小売業者による優越的地位の乱用行為、これを是正しない限り市場の問題解決にはつながらない、このことを考えているわけです。この点でもっと厳しい指導が求められている。

 まず、公正取引委員会では、平成十四年に大規模小売業者と納入業者との取引に関する調査を行ったと聞いておりますが、低価格納入の要請など問題のある事例がどのような状況になっているのか伺います。

山木政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、大規模小売業者を含む事業者の優越的地位の乱用行為につきましては、これは不公正な取引方法、不公正な競争手段ということで独占禁止法で禁止されているわけでございます。

 これに対しまして、私ども、どう対応しているかということでございますけれども、御指摘のように、広く実態調査をいたしまして、問題があれば指摘をする、改善の指導をするということで、平成十四年の二月に六千五百社程度の納入業者を対象にいたしまして調査を実施いたしました。その中で、問題のあるものについては改善の指導をしたということでございますし、最近では、消費税の総額化に伴いまして不当な値引き要請等がないかということで、これについても四千社程度のスケールの調査をいたしまして、問題のある社、五十社程度について改善の指導をしたところでございます。

 こういう広く一般的な調査をするということ以外に、独占禁止法に違反するということで、個別の違反事件として処理をする手法もございまして、今年の三月に岡山地区でありますとか北海道のスーパーにつきまして違反行為の排除を求めたところでございます。

 大きくこのような二つの手法で対応しているところでございますので、今後ともこのような手法を使いまして優越的な地位の乱用行為について対応をしていきたい、このように考えております。

高橋委員 二問目についても少し触れていただいたんですけれども、四月からの消費税の総額表示の導入によって仲卸業者の皆さんが、結局、外税だったときと同じ値段で納入することを求められている、実質値引き状態だ、もう大変な状態だということを訴えられたわけです。そのことをやはり公取としても問題意識を持って調査をしたんだということだと思うんですね。

 今、五十社に指導を行ったというお話がありましたけれども、もう少し具体的に、引き下げを求めてきた業者があったということを、数字が出ていると思いますので、それを紹介していただきたいのと、これに対する認識、当然あってはならないと思うんですけれども、そこを明確にお伺いします。

山木政府参考人 ことしの二月から三月にかけて行いました調査でございますけれども、納入業者約三千七百社を対象にいたしまして調査をしたわけでございますけれども、その中で、総額表示の義務づけを契機にいたしまして価格の引き下げの要請を受けたという納入業者が一七・五%ございましたというのが調査結果でございます。

 ただ、すべての値下げ要請がいかぬというわけではございませんので、その中で問題が大きいと考えられました社、先ほど約五十社と申し上げましたけれども、正確には四十八社でございますけれども、その四十八社に対して改善を求めて、今その後のフォローをしているところでございます。

 それから、あわせて、小売業者の団体につきましても、このような行為がないようにということを要請したところでございます。

高橋委員 一七・五%、これは非常に重要な数字だと思うんですね。ただ、サンプル数がまだまだ少ないですから、実態はもっと深くあるのではないのかなということを、私、非常に危惧しているわけです。

 大臣、このような認識、どのように持っていられるでしょうか。

亀井国務大臣 私ども農水省におきましては、優越的地位の乱用、このことにつきましては、公正取引委員会の指針に従いまして、食品流通関係団体に対しましても、適正な取引、この推進を指導しておるところでもございます。

 そういう中で、近年、量販店との取引が拡大する中で、量販店等がそのバイイングパワーを利用して、市場における価格の形成がゆがめられている、こういうことを言われておるわけでありまして、実は、農水省といたしましては、五月、六月を公正取引看視月間、こう位置づけまして、仲卸業者に個々の量販店との取引における納入条件を中心とした実態調査を実施するとともに、個々の売買取引ごとに主要な品目について取引結果につきましての点検を行っておるわけであります。

 また、本省、地方農政局、あるいは都道府県に、不適切な取引の通報、相談の窓口といたしまして、市場取引一一〇番を設置することにしております。これとともに、独占禁止法違反事例につきましては、直ちに公正取引委員会に通報して、連携して対処することといたしております。

高橋委員 大臣、今おっしゃりましたので、不公正な取引がないように厳しく農水省としても指導していただきたいと思うんですけれども、やはり、この間の規制緩和が進むことによって、こうした量販店との力関係というのでしょうか、これはますます重大なことになるのじゃないかな、そのことを非常に問題意識として持っているわけです。

 例えば、さっき、仲卸も直荷引きができるからいいんだよなどというお話がありましたけれども、例えば青果で見ると、仲卸の業者は今二千二百六十二業者があって、平均取扱高十一兆四千五百万円、そのうち、全国中央卸売市場協会の調査によりますと、業者数では全体の八・三%に満たない、売り上げが三十億円を超える大手の業者が、取り扱いシェアでは三八・五%を占めている。逆に、約半数の業者は七億未満の売り上げなのに、シェアは一五・六%にすぎない。この差が一層拡大するのではないか、こういうことを感じるわけですね。そうすると、結局は、力のあるところが生き残っていくということになるわけですよね。

 ここで局長に確認をいたしますけれども、四月八日の参議院農水委員会で、「要は消費者と生産者の顔を近づけるために流通の段階を抜くという、そういう試みをすると、」「理解していいわけですね。」という質問がありました。これに対して局長は、「私どものねらいはおっしゃるとおりでございます。」と答えておりますね。大変重大な発言だと思います。これは、私、卸の方たちが、こういう論議が委員会でやられているけれどもどうなんだということを大変心配されてお話しされたんです。局長の真意と、これでいいのか、伺います。

須賀田政府参考人 参議院での私の発言を、第三者販売の話でございましょうか。

高橋委員 大変わかりやすくおっしゃっているんですよ。一つは第三者販売と申して、卸が仲卸を飛ばして小売と例外的に取引をする、それからもう一つ、逆に生産者と仲卸が卸を飛ばして直荷引きをする云々という話をしたときに、じゃ、要するに流通の段階を抜くんですねと聞かれて、「おっしゃるとおりでございます。」とお答えしている。

須賀田政府参考人 第三者販売と申しますのは、仲卸を抜いて卸が直接小売と取引をする、それから、直荷引きといいますのは、仲卸が卸を抜いて生産と取引することでございます。

 これは、趣旨は先ほど申し上げました、新製品をとりあえず取引する、逆に直荷引きは、新品種、デコポンみたいなものを、だれかが売れそうだというのなら産地につくってもらう、こういう趣旨のものでございます。一般に流通し出したら卸売市場でちゃんと取引するということでございますので、これは市場機能の拡大のためのものでございますので、御理解を賜りたいと思っております。

高橋委員 時間がなくなったので、大変残念でありますが、それは限定されたものだというような言い方をされている。また、最初は、大臣が基幹的な役割は同じだと言ったんですね。しかし、本当にそうなのかということがどうしてもこの答弁の中ではちょっと伝わってこないんですね。

 二〇〇〇年の六月十四日付の日本農業新聞で、手数料の弾力化の問題について、合併を進めてきたけれども思うように進まないから提案したという農水省の担当者の声も紹介されています。やはりこれが本音なんじゃないのか。今でも地方の市場は一〇%他の市場から仕入れています、拠点の市場から。だから、こういう中で、弾力化とかあるいは流通の中を抜くということが、いろいろな規制はあるけれどもどんどんやられていく、それがどんどん拡大していくとなったら、やはりそれはもっともっと再編が進まざるを得ない。でも、そのことによって、消費者の一番の要求である安全、安心ということが、身近な、生産者と近い、消費者と近い市場というのがだんだんだんだん淘汰されていくんだということにつながるということをやはりきちんと見なければいけないんじゃないのか、そのことを指摘して、私の発言を終わります。

 以上です。

高木委員長 次に、山本喜代宏君。

山本(喜)委員 社民党の山本でございます。

 最初に、卸売市場法の一部改正案について質問いたします。

 卸売市場の機能ということで、品ぞろえ機能、集分荷・物流機能、価格形成機能、決済機能、情報発信機能というふうに高い公共性を持っているということが言われておるわけでございます。しかしながら、市場経由率がどんどん低下をしてきているということでございます。原因として、輸入加工品の増加でありますとか、あるいは外食ということの影響ということが言われております。

 そこで、大臣にお伺いしますが、この原因が変わらない限り、この市場経由率というのは、今回の法改正をもってしてもどんどん低下することになるのではないかということであります。この市場経由率の低下ということをどのように見るのか。生産者、消費者に対する影響ということに対する見方をどのように認識しておられるのか。それから、今後の食品流通における市場の役割というのはどうあるべきかということを明確にしていかないと、卸売市場に対する政策というものは出てこないのではないかというふうに思うわけです。ですから、食品流通における卸売市場についてどのように認識を持っておられるのか、大臣にお伺いします。

亀井国務大臣 卸売市場、これは国内生鮮食料品の流通のメーンチャネルを持っておるわけでありまして、このことは先ほど来何回も申し上げておるところでもございます。そういう面で、青果が七割あるいは水産物が三分の二、こういうことでありますし、さらに食と農を結ぶパイプ、そしてさらに生鮮食料品等の価格の形成、そして円滑な流通、これを持つ重要な役割を果たしておるわけであります。

 また、卸売市場、今も御指摘がございましたが、品ぞろえですとか価格形成、これは指標性を持った価格形成、あるいはまた安心な決済、さらには公正な取引、こういう機能を持っておるわけでありまして、生産者並びに消費者、このニーズにこたえ得る卸売市場の機能強化、これを図ることが重要なわけであります。

 しかし、今日、そういう中で、いろいろ時代の変遷、また生産者、消費者のニーズ、これに呼応する面での情報の問題、あるいは流通状況の変化に対しましての規制の緩和、これも図らなければなりませんし、また、食の安全、安心、こういう面の確保、さらには低コストの流通の実現、こういうことが望まれておるわけであります。

 これらを今回のこの法改正によりまして、いろいろ是正をすることによりまして、卸売業者、仲卸業者、そして市場開設者、そういう方々が、それぞれ創意工夫、そして新しいビジネス等々に、新しい時代の変遷に対応するチャレンジ、こういうものを発揮していただくことによって、二十一世紀、我が国の食文化、こういうものを支える安全、安心、そして効率化、こういう流通システムを確立してまいりたい、このように考えております。

山本(喜)委員 次に、手数料の弾力化、自由化という問題についてでございますけれども、ある新聞社のアンケートによりますと、この手数料の自由化ということについては、賛成と答えたのが一五%しかないわけですよ。あと、多くの、ほとんどの卸会社は、やはり反対でありますとか、あるいはどちらとも言えないというようなことで回答しておるわけです。

 この業者の意向というのは、この法案に、この自由化という問題について、意向が反映されたものとなっていないのではないかということで、この点についてお伺いします。

須賀田政府参考人 手数料の自由化、弾力化問題、昨年の九月に、私ども、改正に関する検討事項ということで、生産、卸、仲卸、それから小売量販店、これらの団体の方々に順次御意見を伺いました。

 関係業界、特に卸の業界からは、この卸売手数料の問題についてさまざまな御意見をいただきました。一番極端なのは、もう直ちに実施せよという御意見もございました。そのほかに、経過措置をとってほしい、あるいは開設者に関与をしてほしい等々の御意見がございました。

 こういう御意見をいただきまして、さらに、今回の改正にあるように、この手数料の弾力化については経過措置五年間をとる、業務規程で関与できるようにするということでいかがかというお話を最終的に関係業界に提示をいたしまして、そういうことならやむを得ないという御意見を承った上で、改正事項として御提案を申し上げているところでございます。

山本(喜)委員 しかしながら、この新聞社のアンケートなんかによりますと、手数料の自由化によって手数料の引き下げ競争になり、安定した商品の確保が困難になる、あるいは、実際には大市場で決まる低い手数料が基準となって、小市場は生き残れないというふうな危惧が出されているわけです。

 こういうふうな中小市場から出されている危惧に対して、どのようにこたえていこうとしているのか。

須賀田政府参考人 私ども申し上げましたのは、この手数料の法定でございます。これは、もともと何のために手数料の規制をしているかといいますと、生産者からそれ以上取っちゃいけないよ、それは上限はそこまでだよという意味で規制をしているんですけれども、いつの間にかそれが既得権化してきている、気づいたときには、我が国のあらゆる類似の制度の中で、証券でございますとか先物取引でございますとか、そういう中で、こういう規制をしているのは卸売市場だけになってきた、こういうことをじっくりお話を申し上げました。

 ただ、直ちに自由化、弾力化をした場合には経営の安定に支障が生ずるケースもあるということを伺いましたので、では、その経過期間内にいろいろ、どういうサービスをするか等々を話し合っていただいて、さらに必要があれば開設者が業務規程の中で、いわば自主ルールとして手数料の幅を定める等の措置ができるからということで今回の改正に至ったわけでございます。

山本(喜)委員 この手数料ですけれども、卸会社の事業収入のほとんどを占めている。実際、現状、非常にその赤字がふえているということもデータで出てきているわけです。

 先ほど言いましたように、この自由化によってかなり影響を与えるから、五年間の経過措置も見ながら取り組んでいくということでございますから、やはり政府としては、かなり大きな影響を与えるということはまず理解の上で進めているわけですね。

 その際、全体の業者の再編というものをどのように見ているのか、そして、その際の雇用等に与える影響についてはどのように考えているのか、お伺いします。

須賀田政府参考人 卸売業者に対しましては、前回の改正、十一年度の改正で、既に財務基準、早期是正措置を導入しておりまして、卸さんの自己資本比率等に基づきまして、しかるべく経営改善をするように、あるいは合併をするように等々の指導をする体制ができております。それに基づきまして、合併等をされる方には、税制上の特例でございますとか、制度資金による支援措置を行っているところでございます。

 今般、いろいろ業務の多角化も可能なような規制緩和をしてございますので、やはりそこはビジネスの世界でございますので、公正競争の中で自己努力をして業務を改善していただきたいというのが私どもの考え方でございます。

山本(喜)委員 この卸売市場の再編についてですけれども、中央卸売市場それから地方卸売市場、これはそれぞれ定義があるわけですよ、この卸売市場法によって。今回、再編によって、中央卸売市場を都道府県、一部事務組合、広域連合が開設主体に変更する、あるいは民営化も含めた地方卸売市場への転換を想定しているということでございますが、この中で、中央卸売市場あるいは地方卸売市場、この役割とか機能の分担というのはどうなるのか、どういうふうに考えているのか、お伺いします。

須賀田政府参考人 中央卸売市場は、流通圏の拠点となるようなところに、そこで取引されます価格が指標性を持つということで、その公表義務等、厳格な規制をかけまして、特定の都市に限定をして設置する、国が整備計画に基づいて設置を進めていく、そのかわり規制は強い、こういう性格のものでございます。

 これに対しまして、地方卸売市場は、地域で、地域の意思、意向によりまして、ここに集配の拠点をつくりたいんだという場合に、知事の認可等を得て設置をするということになっているわけでございますけれども、中央卸売市場に比べれば、業務の内容について、はるかに規制が緩和されているということでございます。

 今後の我が国の食品流通の問題を全体的に考えますれば、やはり指標性のある価格形成機能を有している中央卸売市場、こういうものは適正に配置される必要があるであろうと。ただ、流通圏、交通網の整備等が行われておりますので、いつの時点か、その設置場所については、あるいは見直す必要があるのかなというふうに思っておりますけれども、そういう場合には、中央卸売市場が、そこにある必要がないといった場合で、もっと自由に活動したいという場合には、地方卸売市場に転換をすることも可能にするということでございます。

 いずれにしても、まだ、野菜の出荷安定制度でございますとか肉用子牛の補給金の制度でございますとか、卸売市場で形成される価格を基準にした価格・所得安定制度がございますので、私どもとしては、中央卸売市場の機能というのは今後とも必要というふうに考えております。

山本(喜)委員 ですから、中央卸売市場の機能が必要なのはわかるんですが、もちろんそうですけれども、今回、中央卸売市場を地方にも展開していけという中身でしょう。法律におけるその定義との整合性というのはどうなるんですか。法律で中央と地方と定義づけているわけでしょう。今回の法改正で定義づけているもので、どういうふうに整合性があるのか。法律上の整合性ですね。

須賀田政府参考人 中央、地方の役割等についての定義は、今回の改正によっては変えておりません。中央は、規制は強いけれども、指標性のある価格形成といった公益目的のために国が適正な配置を推進していくものという定義は変えておりません。

 ただ、中央卸売市場の中にそういう機能を、あるいはもう必要ない、取扱量が減っている、流通圏がぐっと拡大して隣の中央卸売市場の価格形成でその機能は果たせるといったようなものがあって、そこが地方卸売市場、もっと自由に活動したいという意向を示されて、地方卸売市場になりたいというようなことがあれば、ちゃんとしかるべくチェックをしながら、そちらへの転換の道も開く、こういうことでございます。

山本(喜)委員 次に、特定農産加工法の問題についてお伺いしますけれども、この法律ですが、我が国の国内農業の発展に寄与するということの趣旨があると思うんですよ。そして、都道府県がこの計画、支援をする場合の計画を承認するに当たっては、地域農業の健全な発展に寄与するものということも含めて条件があるわけでございます。これまでのこの法律で、国内の農業の発展に寄与しているということを示すデータというのはあるんでしょうか。

須賀田政府参考人 農林漁業金融公庫が平成八年度に融資をいたしました企業、三十三社ございます。ここへの聞き取りによりますと、この三十三社、平成八年度から十三年度までに、地域農産物の取引量が一万三千トン増加した。平成八年度三万一千トンの取引量だったのが、四万五千トンに増加した。また、従業員も二百人余増加をしておると。

 そういう意味で、地域農業の発展のみならず、地域の雇用という問題を通じた活性化にも資するものになっておるということでございまして、融資だけの効果ではないと思いますけれども、御努力も、自己努力もあると思いますけれども、この特定農産加工の融資制度もその効果の一助になっているものというふうに考えております。

山本(喜)委員 地域の雇用にも役立っているというふうなデータはあるようですけれども、実際に輸入の影響というのもかなりあるわけです。「特定農産加工業種に係る輸入の影響」ということで、政府で出されている資料にもあります。かんきつ類もかなり減少しているという、さまざまな分野で減少のデータがあるわけです。

 ですから、今後、国内産業、国内の原材料、国産の原材料を使うということでの達成義務といいますか、そういったものについてもきちんと方向づけをつけていくことが必要ではないかと考えるんですが、そのことをお伺いして、質問を終わります。

須賀田政府参考人 現在、経営改善計画を都道府県知事が認定をいたします際に、現在の国産原材料の使用量と五年後の使用目標を書かすことになっております。

 ただ、これを義務づける、達成しなければ繰り上げ償還だというような措置をとることにつきましては、やはり国内作も豊作、凶作といったこと、そういう変動もございますし、需要面での減少といったような当初予測できないような経済情勢の変化もございますし、やはりそこは総体として、義務づけは行わずに、都道府県知事の審査とその後の指導にゆだねることが最も現実的ではないかというふうに考えている次第でございます。

山本(喜)委員 終わります。ありがとうございました。

高木委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

高木委員長 ただいま議題となっております両案中、まず、内閣提出、参議院送付、卸売市場法の一部を改正する法律案について議事を進めます。

 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党を代表して、卸売市場法の一部を改正する法律案に反対の立場で討論を行います。

 反対の第一の理由は、委託手数料を自由化することです。

 手数料が自由化されれば、卸売市場間、卸売業者間の手数料率の引き下げ競争を招くことは避けられず、収入の大半を委託手数料に依存する卸売業者には死活問題となるものです。また、中小卸は一層集荷競争で不利になり、経営を脅かされることになります。

 第二に、買い付け集荷を自由化する問題です。

 買い付け集荷が必要であることは否定できませんが、利益率が低く卸売業者がリスクを負う買い付け集荷が完全自由化されれば、少数の大手卸への集荷集中が一層強まり、中小卸売業者の弱体化を促進することになります。また、買い付け集荷が際限なく拡大すれば、市場の価格形成機能の弱体化、産地に対する差別的取り扱いの禁止が形骸化することなど、我が国の市場制度の根幹にかかわる問題が生じる可能性があり、買い付け集荷は限定的なものとすべきであります。

 これらの規制緩和により競争が激化すれば、ただでさえ経営悪化に苦しむ中小卸売会社の淘汰を進める危険性が否定できません。卸売業者の廃業は、地方では市場廃止につながりかねず、それは、専門小売店は仕入れ先を、中小産地は出荷先を失い、衰退を加速することにつながります。結果として地域商店街の衰退を招き、消費者への影響も免れません。

 第三に、中央卸売市場の再編問題促進は、国が中央卸売市場を選別し、大型流通に適合する広域市場をつくり機能強化を行う一方、その他の市場については、取扱量が減少し経営が厳しくなれば、その地域で果たす役割にかかわらず、民営化や再編統合の対象となりかねないものです。また、仲卸業者の財務基準を定め、早期是正措置を行うことは、多くの仲卸業者に統合や廃業を強力に迫るものであります。

 以上、反対理由を述べて討論といたします。

高木委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、卸売市場法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、北村誠吾君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合の四会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。白保台一君。

白保委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合を代表して、卸売市場法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    卸売市場法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、食品流通をめぐる諸情勢の変化に対応し、卸売市場が基幹的な流通機構としての役割を十分果たせるよう、左記事項の実現に努めるべきである。

      記

 一 卸売市場整備基本方針及び中央卸売市場整備計画については、関係者の意見を十分に踏まえ、地域の実情に即した卸売市場の適正な配置、効率的及び効果的な施設整備が行われるよう策定すること。

 二 食の安全・安心確保のため、卸売市場における品質管理の推進については、各卸売市場の実情に応じた低温管理施設等の高機能施設の整備及び品質管理に関する指導・研修等につき支援の充実を図ること。また、卸売市場流通に適合したトレーサビリティシステムの開発・導入を促進すること。

 三 取引規制の緩和等に当たっては、市場取引の秩序が維持されるよう適切な運用方針を策定するとともに、差別的取扱い及び受託拒否が生じることのないよう十分監視すること。

   また、委託手数料の弾力化及び各種奨励金の取扱いについては、市場関係者の意向を十分に踏まえ、円滑に移行すること。

 四 卸売業者及び仲卸業者に対しては、経営健全化措置等を通じ、経営体質の強化が図られるよう適切な指導を行うこと。

  右決議する。

 以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。

 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

高木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣亀井善之君。

亀井国務大臣 ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。

 附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、今後最善の努力をいたしてまいります。

    ―――――――――――――

高木委員長 次に、内閣提出、参議院送付、特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案について議事を進めます。

 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

高木委員長 次に、内閣提出、参議院送付、競馬法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣亀井善之君。

    ―――――――――――――

 競馬法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

亀井国務大臣 競馬法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。

 我が国の競馬は、その収益により、国及び地方公共団体の財政に寄与するとともに、畜産業の振興に多大な貢献をし、また、国民に大衆レジャーの場を提供してきたところであります。

 しかしながら、近年の景気の低迷に伴い売り上げの減少が続いている状況にあり、中央競馬については平成九年のピーク時と比べその八〇%の水準にまで減少し、地方競馬については平成三年のピーク時と比べその半分の水準にまで減少してきており、平成十三年度に三団体、平成十四年度に二団体が競馬事業から撤退をしております。

 このことにより、本来の競馬事業の目的である国及び地方公共団体の財政への寄与等の公益への貢献に支障が生じてきており、競馬事業の収支改善を図ることにより、公益への一層の貢献を図っていくことが求められております。

 このような状況にかんがみ、競馬事業の収支改善を図るため、競馬の実施に係る規制を緩和し、競馬主催者が自主的に事業収支の改善を行える範囲の拡大を図るとともに、地方競馬主催者に対する必要な支援等の措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。

 次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。

 第一に、競馬の実施に係る規制緩和等であります。

 具体的には、日本中央競馬会は都道府県、市町村または私人に、地方競馬主催者は他の都道府県または市町村に加え日本中央競馬会及び私人に、競馬の実施に関する事務を委託することができることとしております。

 また、複数の競走の一着馬等を同時に的中させる勝馬投票法である重勝式勝馬投票法を導入するとともに、試行的制度として払戻金に上乗せして特別給付金を交付してきた特別給付金制度を恒久化することとし、単勝式勝馬投票法及び複勝式勝馬投票法の払い戻し率を見直すこととしております。

 さらに、勝馬投票券の購入等の制限の対象から成年である学生生徒を除外することとしております。

 第二に、地方競馬主催者に対する必要な支援であります。

 具体的には、地方競馬主催者が事業収支改善計画を作成し農林水産大臣の同意を得た場合には、地方競馬全国協会への交付金の一部の交付を猶予することとし、競馬事業から撤退した場合には、農林水産大臣の同意を得て、猶予された交付金を競馬事業からの撤退に必要な経費に充てることができることとしております。

 また、地方競馬主催者は、競馬連携計画を共同で作成し農林水産大臣の認定を受けることにより、当該競馬連携計画に基づく事業につき地方競馬全国協会の補助を受けることができることとしております。

 さらに、地方競馬全国協会が行う競馬連携計画に基づく事業に対する補助業務及び競走馬生産振興業務に必要な資金を確保するため、五年間に限り、地方競馬全国協会の勘定間の繰り入れを認めるとともに、日本中央競馬会から地方競馬全国協会へ資金の交付を行うこととしております。

 第三に、勝馬投票類似の行為の特例であります。

 のみ行為の情報を収集するため、競馬主催者の職員は、農林水産大臣の許可を受けて、勝馬投票類似の行為をすることができることとしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

高木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十分散会


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