衆議院

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第2号 平成16年10月27日(水曜日)

会議録本文へ
平成十六年十月二十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山岡 賢次君

   理事 今村 雅弘君 理事 西川 京子君

   理事 二田 孝治君 理事 松野 博一君

   理事 黄川田 徹君 理事 楢崎 欣弥君

   理事 山田 正彦君 理事 白保 台一君

      赤城 徳彦君    石田 真敏君

      大野 松茂君    岡本 芳郎君

      梶山 弘志君    金子 恭之君

      上川 陽子君    川上 義博君

      木村 太郎君    北村 直人君

      後藤 茂之君    後藤田正純君

      田中 英夫君    津島 恭一君

      西村 康稔君    原田 令嗣君

      御法川信英君    森  英介君

      一川 保夫君    岡本 充功君

      鹿野 道彦君    岸本  健君

      小平 忠正君    鮫島 宗明君

      神風 英男君    仲野 博子君

      堀込 征雄君    松木 謙公君

      山内おさむ君    大口 善徳君

      高橋千鶴子君    山本喜代宏君

    …………………………………

   農林水産大臣       島村 宜伸君

   農林水産副大臣      岩永 峯一君

   農林水産副大臣      常田 享詳君

   農林水産大臣政務官    大口 善徳君

   環境大臣政務官      能勢 和子君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)         齊藤  登君

   政府参考人

   (外務省経済局長)   佐々江賢一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       外口  崇君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長)            村上 秀徳君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           中川  坦君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  白須 敏朗君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  須賀田菊仁君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            川村秀三郎君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           西川 孝一君

   政府参考人

   (水産庁長官)      田原 文夫君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 桜井 康好君

   参考人

   (食品安全委員会委員長) 寺田 雅昭君

   農林水産委員会専門員   飯田 祐弘君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十七日

 辞任         補欠選任

  梶山 弘志君     御法川信英君

同日

 辞任         補欠選任

  御法川信英君     梶山 弘志君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

山岡委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として食品安全委員会委員長寺田雅昭君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として農林水産省総合食料局長村上秀徳君、消費・安全局長中川坦君、生産局長白須敏朗君、経営局長須賀田菊仁君、農村振興局長川村秀三郎君、農林水産技術会議事務局長西川孝一君、水産庁長官田原文夫君、内閣府食品安全委員会事務局長齊藤登君、外務省経済局長佐々江賢一郎君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長外口崇君及び環境省大臣官房審議官桜井康好君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西村康稔君。

西村(康)委員 おはようございます。自由民主党の西村康稔でございます。

 きょうは、台風二十三号によります農業、水産業に対する被害、あるいはそれに対する対応について御質問をさせていただこうと思いますけれども、その前に、この夏から一連の台風で被害を受けられた方々、特にこの二十三号、そしてまた新潟中越の大地震で被災をされた方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 今回の台風二十三号、私の地元淡路島でも大変な被害を受けまして、床上浸水で約四千軒、そのほか浸水した家は全部で一万軒を超えまして、亡くなられた方も九名にも達しておりまして、特に農業の産地でありまして、大変な被害を受けております。

 まず大臣にお伺いを、お願いを兼ねてしたいと思いますけれども、激甚災害の指定、これはまだ被害額の算定もありますし、時間がそれなりにかかる。そして、それを受けてまた各省庁の地域の指定があるということで、農林水産省もそれを受けて被害の大きな地域の指定をされるわけですけれども、これは仕組み上、どうしても年度末になるという仕組みになっておりますが、ぜひ柔軟に、そしてまた機動的にこの災害に対する対応をしていただきまして、激甚災害の指定の話自体は内閣府の話になりますので、きょうは新潟の方の話で大変だということでありまして内閣府はお呼びをしておりませんけれども、そのことも含めて、農業者、水産業者、地域によっては林業も含めてですけれども、不安のないように、ぜひ思い切った早急な対応をとっていただくようにお願いをしたいと思いますけれども、この点につきまして、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

島村国務大臣 西村康稔議員の御質問にお答えをいたします。

 その前に、このたびの台風並びに地震等でお亡くなりになられた方々に対し、心から御冥福をお祈り申し上げたいと思いますし、また、被災された方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 さて、御指摘の問題でありますが、まず今回の被災箇所における災害復旧事業の実施についてでありますが、農林水産省としては、最大限、円滑にかつ早急に復旧が図られるよう努めてまいる所存であります。

 このような基本に立ちまして、補助率決定のための申請書類等につきましては、これまでは地方農政局及び本省において順次審査を行ってきたところであります。しかし、今般はこれらについて迅速に対応するために、平成十六年に発生した災害については、審査期間の短縮を図るために、本省の担当職員を地方農政局に派遣いたしまして、審査の簡略化を図ることで事務手続のさらなる効率化に努めておるところでありまして、これらの実効が上がるように、御指摘を十分に受けとめた、しっかりした対応をしていきたい、こう考えます。

 以上です。

西村(康)委員 ぜひ、事務的な作業のみならず、政治的な判断も含めて、大胆に、円滑に、早急に対応をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 具体的な話に入りたいと思いますが、実は私の地元の淡路島は日本でも有数のため池の多いところでありまして、大臣、大体幾つぐらいあるか御存じですか。これは質問に入っていませんので私からお答えをしますけれども、二万三千個のため池が淡路島にあります。ちなみに、淡路島というのは東京二十三区と大体同じ広さであります。そうすると、二万三千を二十三で割ると千ですね。東京の一区当たりに千個のため池があるというようなところであります。

 しかも、ため池というのは、大体高いところから水を引いてくるわけですから、高いところにあって、それが今回大体六割から七割ぐらいが何らかの形で被害を受けて、多くが、今のところ、わかっているだけでも数百は決壊をした。それが上から来るものですから、次から次へと連鎖的に、ドミノ状に決壊をして、それが土砂崩れとなって家屋を流したり、田畑に相当な土砂を積もらせるということになっているわけであります。

 早速、農林省の担当課の方に、何人か手分けをして地元にも来ていただいて、いろいろな視察もしていただいて、状況の把握をしていただいておりますので、大変感謝をしておりますけれども、ぜひこの復旧を早急にお願いをしたい思います。来年の耕作に向けて、今も田畑がすべて土砂に覆われているような状態でもありますし、そもそも水がないわけでありますし、それからさらに、この後、台風がまた来る可能性もある中で大変みんな心配をしておりますので、このため池の復旧作業をぜひとも大胆に円滑にやっていただければ、こんなふうに思いますが、この点につきまして、農林省の対応につきましてお伺いをしたいと思います。

川村政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員の御質問の中にございましたとおり、淡路島は全国有数のため池地帯でございます。このため池の復旧は、二次災害の防止あるいは農業用水の確保、こういった観点からも早期に実施をすべきというふうに思っております。

 それで、私どもとしましては、県と連携を密にいたしまして、まず最初のスタートになります災害復旧事業計画概要書、これが必要でございますので、それの提出について迅速にやっていただく、それからまた迅速に災害の査定を行う、それから、復旧事業費の決定でありますとか補助金の交付決定、こういうものを早期にいたしまして、早期の事業着手が可能となるように努めるということにしております。

 また、特に緊急を要するものにつきましては、応急的な仮工事、あるいは災害査定を待たずに復旧工事ができます査定前着工の制度がございますので、こういったものも積極的に活用いたしまして、現地の状況に応じて適切に対処してまいりたいと思っておるところでございます。

 今後とも、県、それから地元と緊密に連絡調整を図りまして、速やかな災害復旧事業が実施できるように努めてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

西村(康)委員 ぜひ機動的に復旧作業、お願いをしたいと思います。

 決壊していないため池、これは私の地元だけじゃなくて、ほかの地域も含めていろいろ地元の人の話を聞いてみますと、つくってから何十年もあんまり補修とか補強とかやっていないと。これは近年、特に治山治水の公共事業、減額をしているところもあるんだと思うんですけれども、ぜひとも、これはもう一度、災害に十分対応できるのかどうか、チェックも含めてしっかりとした予防措置をとっていただきたいと思うんですが、この点につきまして、ぜひお伺いをしたいと思います。

川村政府参考人 先ほど委員が、淡路島には二万三千カ所のため池があるとおっしゃられました。そのとおりでございますけれども、全国では二十一万カ所ということでございます。この中には老朽化が著しいもの等もございまして、この老朽化の程度でありますとか、また周辺への危険度、こういったものも総合的に判断をいたしまして、緊急に改修すべきため池について計画的に整備を推進しているところでございます。

 ただ、近年の特徴といたしましては、非常に時間雨量の多い、激しい雨が降る回数が非常にふえておりますので、こういった集中豪雨による浸水被害といったようなことなども念頭に置いて点検と改修をしていく必要があると思っております。そういう意味で、今回のような事態も十分踏まえまして、全体の点検、それからその優先度に応じた改修等に取り組んでまいりたい、こういうふうに思っております。

西村(康)委員 ぜひともよろしくお願いをいたします。

 ため池の決壊によって、土砂がどわっと田畑の上を今覆っているわけで、その災害復旧事業について先ほど大臣からも御答弁ございましたけれども、いろいろ聞いてみると、なかなか事務量が多くて、一戸当たりの災害額は幾らか、田畑にどおんと土砂が覆ったときに、どこからどこまでがだれので、何戸被害を受けて、一戸当たりの被害は幾らかとか、細かい計算を割合するようでありまして、これが相当な事務の量、膨大な事務の量になるようであります。

 非常事態でもありますし、この事務の簡素化、効率化、先ほど大臣からも御答弁ありましたけれども、ぜひ事務的にもお願いをしたいと思いますけれども、この点について、もし何かありましたらお答えをいただけますでしょうか。

川村政府参考人 先ほど大臣がお答えしたとおりでございますが、補助金の交付決定、まず基本的な補助率で最初決定をいたしまして、その後、暫定法の補助率の増高の問題でありますとか、激甚法の補助率の適用、そういったところがかなり事務量としてございます。そういうところが円滑に進むように、また迅速に進むように我が方としても配慮していきたい、こう思っております。

西村(康)委員 ぜひとも効率よく事務の対応をしていただければと思います。大変だろうと思います、あちこちで膨大な作業量になると思いますけれども、どうぞよろしくお願いをいたします。

 農作物の被害なんですけれども、南淡路は全国有数のレタス、タマネギ等の産地でありまして、今回の台風でレタスの畑が五百四十三ヘクタール被害を受けております。それから、白菜が百八十三ヘクタール、タマネギが六十一ヘクタールということで、ざっと南淡路の三分の二、七割ぐらいの畑が水没したり土砂に覆われたりということでありまして、これも八百ヘクタールぐらいの話になるわけで、ざっとゴルフ場八十個分とか九十個分とか、そんなような膨大な広さの野菜畑が被害を受けているわけでありまして、野菜については共済のないものがほとんどであります。米は、これまでの夏の台風で被害を受けて、これは共済で対応できるわけですけれども、野菜はなかなか共済にも入っていないということでありまして、非常に農家の皆さん方が困っております。

 さらに、南淡路は関西、近畿圏の牛乳の供給基地でもありまして、酪農が大変盛んなところであります。兵庫県全体で、但馬も大変な水害を受けたわけでありますけれども、百十九頭の乳牛が死んでおりますし、牛舎も相当に泥水でやられておるということであります。

 いろいろ話を聞いてみますと、搾乳するパイプラインとか、これは電気系統のものがもう水浸しになって全く使えなくなっております、どうしようもない状態と。それから、一時はライフラインの水も通っていなかったものですから、酪農家の皆さん方は、自分が飲む水よりも牛にあげる水の方が大事だから、自分のを我慢して牛に水を一生懸命やっていたという涙ぐましい話も聞いております。

 等々、大変な被害を受けておるんですけれども、共済はなかなかないしということで、米については、ぜひこれも共済の円滑な支払いをお願いしたいと思いますけれども、共済のないものについては自助努力をしていくしかないわけで、この点につきまして、融資の制度、資金繰りを一時的に面倒を見る、そういう制度もあるわけでありますけれども、ぜひしっかりと農家の方々の要望を受けとめていただいて、それを受けとめていただく窓口もしっかりと地域につくっていただいて、ぜひ丁寧な対応をお願いしたいと思います。

 そして、今回、レタスもタマネギも全部だめになったけれども、一部に苗なんかの不足も言われておりまして、苗さえあれば、今から植えれば、まだこれからのあれに間に合うということでありますので、そんな場合にもぜひ機動的に対応をしていただければと思います。

 融資制度の円滑な活用、そしてまた、そんな農家の要望に対して、ぜひ機動的に、幅広くこたえていただければと思いますけれども、この点の対応につきまして、ぜひお答えをいただければと思います。

須賀田政府参考人 まず共済金の支払いの関係でございます。

 私どもも、大変お困りになっておられるということを承っておりまして、できるだけ迅速に損害評価をいたしまして、早期に支払いをしたいというふうに思っております。

 水稲につきましては、もう従来から年内支払いを原則にしておりますので、これは今回も年内支払いということにしたいというふうに思っております。それから、家畜の場合は、従来から事故を確認して二カ月ぐらいで支払うということでございますので、家畜につきましても、早期に支払いをしていきたいというふうに思っております。

 先生おっしゃいますように、野菜については、一部、タマネギ等につきましては共済制度はございますけれども、残念ながら兵庫県下ではタマネギの共済に入っておられる方はいないということでございますので、私どもとしては、この苗の購入といったようなことも含めます経営再建に必要な資金、今、農業の経営維持安定資金というのがございます。それから、畜舎等が崩壊した場合には、その復旧を図ります農林漁業施設資金、こういう融資措置がございますので、被災農業者の方々の経営の再建あるいは継続といったことに積極的に支援をしていきたいというふうに思っております。

 これらの融資の窓口が農林漁業金融公庫でございます。そこへ、既存の借入金の償還の猶予でございますとか、いろいろな災害資金の活用の方法でございますとか、相談窓口を設置しておりまして、被害を受けられた方々への迅速な対応を図っているところでございます。

西村(康)委員 ぜひ農家の方々が安心していただけるように、円滑な対応、機動的な対応をお願いしたいと思います。

 それから、水産業についてでありますけれども、今回、水産業、漁港につきましては被害が比較的少なかったというふうに、特に私の地元ではそんなふうに認識をしておりますが、ただ、漁港内に大量の泥、土砂、それから流木などが流れ込んでおりまして、これは漁師の皆さん方も自分の仕事ができないわけですから、みずから手作業で取ったりもしておりますけれども、土砂が堆積をしたり、それから相当大きな流木が流れ込んでいるというケースもたくさん見受けられます。

 この点も、ぜひともしっかりと国としても支援をしていただいて、対応をしていただけるように、基本的に港湾の管理者、漁港の管理者が対応する話ではあると思いますけれども、ぜひとも国としても柔軟に対応していただけるようにお願いをしたいと思いますけれども、この点につきまして、水産庁の対応をお伺いしたいと思います。

田原政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘ありました、台風二十三号によります漁港への土砂ですとか流木の流入の問題でございますけれども、私ども、ただいままでのところでございますけれども、兵庫県の西淡町の丸山漁港を初め数県、全国にしますと大体十港ぐらいがそういったことで悩んでおられるという報告を受けているところでございます。

 こうした土砂ですとか流木の対応でございますけれども、一つ、漁港の航路ですとか泊地、こういったものが埋まりますと、当然のことながら漁船にとりまして非常に迷惑であるということで、機能が阻害されるわけでございますので、この場合は、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法、これに基づきます災害復旧事業、また、海岸保全施設等の機能が阻害された場合には、災害関連緊急大規模漂着流木等処理対策事業というのがございまして、一定の要件を満たします土砂ですとか流木等の処理費用、これを補助対象としているところでございます。

 私どもといたしましては、漁港等を管理いたします関係地方公共団体と連携を図りながら、必要に応じまして応急工事も実施するというふうなことで、被害を受けた施設の早期かつ着実な復旧に努めさせていただきたい、かように考えておる次第でございます。

西村(康)委員 ぜひともよろしくお願いをしたいと思います。

 漁港におきましては、防波堤をさらに拡充したりとか、これは港湾計画の変更が必要になってくるものでありますけれども、そんなようなこともあります。これは国土交通省の所管になると思いますが、ぜひとも各省連携していただいて、この災害復旧、そしてさらなる、今回の教訓を生かして、次の予防に向けて、各省連携してぜひ対応をしていただきたいと思います。これを要望申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山岡委員長 次に、御法川信英君。

御法川委員 自由民主党の御法川でございます。

 冒頭でございますが、きょう、私に二十分という質問時間をいただきました農林水産委員の皆様に心から御礼を申し上げます。また、再三になりますけれども、先般の中越地震、そしてその前に起きた数々の台風で被災された方々に心からお見舞いを申し上げますとともに、犠牲になられました方々に心から御冥福を申し上げたいと思います。

 さて、淡路島の次は米どころ秋田でございまして、できるだけ地元の声を政府の皆様に届けたい、そういうふうに思っております。

 まずは、西村委員と若干重なる部分がございますけれども、先般のたび重なる台風、あるいは、秋田の場合は塩害があったわけでございますけれども、水害、このようなものに対する共済、これはもちろん、秋田の場合は、特にお米の場合はほとんど問題なく共済を掛けているということでございますが、野菜あるいは果樹、このようなものをつくっている方々の中には、実はこの共済に入っていない方が多い。

 共済に入っていなかったらもうどうしようもないんだという話なんではございますけれども、こういう方々は、どちらかというと零細の小さい規模でやっていらっしゃる農家が多い。この方たちに聞きますと、共済に入りたいんだけれども掛金が高いよ、なかなかうちの家計では共済に入ることができないんだ、こういう御意見がございまして、まずこの点について、もう少しそういう零細農家も考えた形での共済というもののあり方ということをお考えいただきたいと思いますが、この点について御意見をお聞かせいただきたいと思います。

須賀田政府参考人 農業共済の御指摘でございます。

 農業共済、先生も御承知のとおり、保険事業でございますので、長期的に収支が安定しないといけないということで、過去二十年間の被害がどれだけあったかということをもとにして掛金を算定するという仕組みでございます。被害が大きければ必然的に掛金は高くならざるを得ない、被害がなければ掛金は下がっていく、こういう考え方は今後とも継承していく必要があろうかと思っております。

 ただ、その中でいろいろな仕組みがございまして、例えば、一筆ごとに入る、あるいは被害を受けた耕地だけで算定してもらう、あるいは経営全体で入る、それぞれで補償割合も違いますし、掛金率も違うということでございますので、その中で農家の方々に最適な方法を選択していただきたいというふうに思っております。

 特に、果樹共済でございます。非常に掛金率が高いということで加入率が低うございまして、これにつきましては、樹園地単位ごとに入れる方式を制度改正で今回追加をしたというようなことで、農家のニーズにもこたえるものになっておりますので、我々、こういうものをできるだけ農家の方々にPRをして、災害が起きたときの保険である、そしていろいろな仕組みがあるんだということをPRして、理解に努めていきたいというふうに思っております。

御法川委員 ありがとうございます。

 今いみじくもPRということをおっしゃられましたけれども、この点が実は意外と不足しているのではないかなと思いますので、ぜひ御尽力をお願いしたいな、そういうふうに思っております。

 次に、米の話を少しさせていただきたいと思いますけれども、昨年、平成十五年は非常に米が少のうございまして、米価が非常に高かったということで、米価が上がった部分はいいんですけれども、全体としてやはり米が少なかった。

 そういう中で、去年は政府が約百万トンを放出しているはずでございます。この百万トンの内容なんでございますが、新しい方の米、平成十四年、十三年と、そういう形で結果的に放出されたということでございまして、何が起こっているかというと、地元の倉庫には平成九年、十年という古い米がまだ眠っている、こういう現状がございます。この点について、この処理をこれからどういうふうにしようと思っているのか、御答弁を願いたいと思います。

島村国務大臣 お答えをいたします。

 古米の備蓄についての御指摘、まことにこれは大切な指摘だと思っています。実は、私も大臣に就任して久しぶりに勉強させていただく一番最初にこの問題に気がついて、指摘をしたところでございますが、政府の備蓄米につきましては、平成十二年当時は二百七十六万トンも実はたまっておりまして、三年ぐらいで約百万トン、そしてまたさらに平成十五年、御指摘のとおり百万トン、今大体六十万トンぐらいの備蓄になっております。

 そういう意味では、適正な備蓄というのは、これは必要ではあるのですけれども、その一方では、どうしても古いお米が残るという傾向がある。それはやはり需要と供給の関係で、よほどお米は何でもいいという段階でありませんと、やはり新しいものが欲しくなって、それでないと適正な価格で売れない。買いたたかれたのでは財政上のマイナスを生みますから、やはり古いものは残るという面があるわけであります。

 そういう意味で、御指摘ありましたけれども、いわば平成十五年、まさに作況指数が九〇でありましたけれども、このときにかなり販売がはかどりまして、現在は六十万トン、こうなっていますが、このうちの実は五十七万トンが平成九年から十一年産というもので残っておるので、むしろ、どんな困難を乗り越えてでもこの古いお米から処分をしたらどうか。

 御承知のように、米の保存というものの技術が大きく進んでおりまして、例えば古米、古々米くらいまでは、ちょっと私ども試食したことがありますが、差別がつかないくらい保存がうまくなっております。さはさりながら、やはり九年―十一年のものということになると、これはやはりかなり劣化が進みますから、これらについてはさらに思い切った処分をして、こういうものから処分をするという努力がさらに必要だと指摘しているところであります。

 とりあえず、在庫のうち、品質上問題のないものにつきましては、引き続き市場実勢に応じた価格水準で主食用として販売を進めてまいりますが、その一方で、品質が低下して主食用には適さないというものにつきましては、新規の加工用や、あるいは配合飼料等も視野に入れた販売を行いまして、可能な限り新しいものを供給できる体制を整備していきたい、こう考えているところでございます。

御法川委員 大臣じきじきのお答え、ありがとうございました。いずれ、政府の方ではこの処理について一生懸命考えていただいていると思いますが、現場の声としては、まず、こういう古いお米をどういうふうに処理するかという指針を早く出していただきたい、そういうことだと思いますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。

 そして、今大臣からの御答弁にありましたけれども、ことしの九月末の在庫が五十七万トンということでございまして、これが九年、十年、十一年の米がほとんどだということでございますが、政府の一般的な方針として、大体政府備蓄米は百万トン前後ということで、ことしはそれを満たす四十万トン前後のお米を多分買い入れるんだろうと。

 そして、その指針というか方向については、農水省の方からこういう指針の紙が出ているわけでございますが、今、きょうも入札が価格形成センターの方で行われておるわけでございますが、こちらとは違う形で政府の買い入れ米については入札を行うという形で行われていると思いますけれども、現場としては、なぜ政府がバイヤーの一員となってこの価格形成センターの方で米を買い入れないのか、こういう意見があるのでございますが、これについての御所見をいただけますでしょうか。

村上政府参考人 お答えいたします。

 政府が米を買い入れるに当たりまして、米価格形成センターで買うべきではないかというお話でございますけれども、できるだけ市場の動向を適切に反映させるということで、十六年産米から入札を基本とした方法で実勢価格で買い入れることにしているわけでございますけれども、その場合に、入札の予定価格につきましては、米穀価格形成センターの基本取引で形成されました指標価格をもとに算定するということで考えております。

 政府が米の備蓄を目的として買い入れをする数量は、センターの年間上場数量のかなり大きなウエートを占めるということになるわけでございまして、センター入札に買い手として政府が参加いたしますと、適切な指標価格の形成を妨げるおそれがあるのではないかということで、センターで形成された指標価格をもとに政府買い入れ入札を行っていきたいというふうに考えているところでございます。

御法川委員 この形を続けると、市場で、価格形成センターで各種別ごとの米の値段が決まるわけでございますが、それともう一つ、政府買い入れ価格という、こちらは市場には関係ないかもしれませんが、いずれ売るのはお米を持っている方たちでございますので、一種の二重価格のような形になるのではないかなということで、これを懸念している、売買をする業者の方々がいらっしゃるわけですが、そういう心配というのは、これはないのでしょうか。

村上政府参考人 お答えいたします。

 政府が買い入れする場合に入札で行うということにしておるわけでございますが、その予定価格につきまして、センターで形成されました指標価格をもとに算定したいということで、我々としては、そういう市場の実勢に悪影響を及ぼさない形で、センターとは別の価格形成を図るという意図は全くございませんので、むしろ、そういう方式でやった方が市場実勢に合った形で買い入れができるのではないかというふうに思っているところでございます。

御法川委員 これについては今後も推移を見守っていきたいな、そういうふうに考えております。

 次に、米のDNA鑑定についてちょっとお伺いをしたいんですけれども、ことし、農水省の方では、たしか三億円程度の予算をこれに計上しておりまして、生産現場においてモニタリングという形でこのDNAの検査をしている。現場では、一俵一俵積んである中からいわゆる刺しで検査をいたしまして、この結果が出るまではその米は売買できないということで寄せてある、そういう現状でございます。

 それほどの数ではないわけでございますが、これをもし全部の米にやるということになると、これは大変な労力と金額がかかるのではないかなと思いますけれども、これをやっている現在の意図といいますか、これからこれをどういうふうにやっていこうとしているのか、この点についてお伺いしたいと思います。

村上政府参考人 お答えいたします。

 産地段階での米のDNAの検査でございます。

 これは、委員御指摘のとおり、ことしから、今年産米からモニタリングという形で始めるということで、平成十五年の作付上位二十品種を対象にしまして、約一万八千点ほど全国で行うということにいたしております。

 これは、背景といたしましては、消費者の産地品種銘柄に対する関心が非常に強いということ、それで、農産物検査証明による産地品種銘柄が、JAS法に基づきます精米表示、これは産年、それから産地、品種というのを表示するわけですけれども、その根拠になっているということで、的確な農産物検査証明をすることが重要であるということで。

 それから一方で、農産物検査につきましては、御案内のとおり、十三年度から五年間で民間の登録機関に移行するということで、現在移行している中でございまして、そういう中で民営検査の信頼性向上ということをしていきたいということで、その一環としてDNA分析によるモニタリングを行っている、そういう趣旨で行わせていただきたいということでございます。

御法川委員 このDNA検査、実は私の地元の秋田の方でも、やられている農家の方というか、いらっしゃいまして、生産現場というか、米ができた段階でこの検査をするという話で、その米が、例えばあきたこまちであるのか、コシヒカリであるのか、混入物はないのかということをやるのであれば、これは最終的に問題になってくるのは農業試験場の方の話になってくるわけでございまして、農家というのは自分のところで種をつくっているわけではなくて、種を買ってきます。この種もみのもともとの出どころというのは、これは試験場でございまして、折しもことし、秋田では、混入米、酒米が混入したという畑が結構出まして、これが大問題になったわけでございますが、もし消費者の方に対する安全という話をするのであれば、販売の段階でどういうお米のまぜ方をしているのか、あるいはまぜ方をしていないのかということをDNA検査をする方が理にかなっているのではないか、そういう話があるんですが、これについてはどうお考えでしょうか。

村上政府参考人 お答えいたします。

 産地段階でやる必要があるのかということでございます。

 これについては、委員の御指摘のような事案とかいろいろな事案がありまして、例えば、産地品種銘柄になっていない品種を証明したケースだとか、それから、過失によって品種が混入したというようなことがございまして、これまで以上に農産物検査証明が的確に行われる必要があるということで、そういう状況を把握して今後の改善に資したいということでやってきているわけでございますが、こういうことは産地段階での品質の向上、確保にも資するということで、生産者側にもメリットがあるんではないかというふうに思っております。それから、実施する場合には、生産者の同意を得た上で実施をしているところでございます。

 それから、消費段階でやるべきではないかという御意見、それももっともでございます。生産者段階における品種の検査、米の検査の的確性という意味でDNAの検査の方をやっておりますが、一方で、消費段階で精米表示の問題につきましても的確に判定するという意味で、モニターするという意味で、市販される精米の品種表示がJAS法に基づいてその品質表示基準に適合しているかということについてDNA分析を行っている、これは精米について行っているということでございまして、その点については、委員御指摘のとおり、的確に、あわせてやっていく必要があるというふうに思っております。

御法川委員 要は、農家の現場に行けば皆さん御案内だと思いますけれども、例えば、あきたこまちを一〇〇%つくっているということで、それを脱穀してやっていくわけですが、そういう過程でほかの米がまざってしまうということは現実には免れない部分でございまして、こういうことについて生産現場の方の責任だということになると、これはやはりちょっと違うのではないかなという意見が現場にあるということでございます。その辺をぜひ御考慮いただければな、そういうふうに考えております。

 最後に、これは農水省の考え、あるいは政府のお考えをちょっとお聞きしたいわけでございますけれども、今農産物の先物取引をやるかやらないかというような話が出ているわけでございますが、例えば穀物商品取引所なんかでやってみようかという話がありますが、これについてはリスクもございますし、簡単にで結構でございますけれども、政府としてどういうお考えになるのか、これをお聞きして私の質問を終わらせていただきます。

山岡委員長 村上局長、手短に。

村上政府参考人 お答えいたします。

 委員の御指摘は、米の先物取引の件かと思います。

 これについては、穀物取引所の方で研究を現在しているということでございますが、これにつきましては、価格変動が大きいのでリスクヘッジの手法が必要ではないかという意見と、それから、米は国民の主食であるということで、投機的な変動が米の需給、価格の安定に悪影響を及ぼすのではないかという意見もございます。

 そういう中で、我が方としては、現在、米価格形成センターで現物の指標価格を形成することによりまして、需給、価格の安定を図っている、こういう状況にございます。

 こういう状況を踏まえますと、現段階で米の生産、流通、消費にわたる各方面の関係者を含めた幅広い議論が必要ではないかというふうに思っているところでございます。

御法川委員 どうもありがとうございました。

山岡委員長 次に、鮫島宗明君。

鮫島委員 民主党の鮫島宗明です。

 与党の方々とダブらないようにしますが、まず初めに、さきの台風及びこのたびの地震でも三十一人の死者が出て、三千四百人以上の方が負傷した、十万人近い方が避難しているというお話ですが、今度の災害でそういう被害を受けられた方に対して、心からお見舞いの意を表明したいと思います。

 初めに、大臣と副大臣にその決意だけをお伺いしたいんですが、まだ全体の被害が、台風、集中豪雨、今度の震災、全部含めて農林水産業に対して累積でどのぐらいの被害が出ているのかというのは、今、鋭意加算中だと思いますが、かなり甚大な被害になることは明らかでして、それについては特段の覚悟と決意で、復興支援あるいは災害の救済に臨むという決意を初めにお聞きしたいと思うんです。

 ちょっと最初に言いますと、私は二つ問題があると思っていまして、天災とか激甚災害という評価をするときに、どうも個別評価、つまり、一個一個の台風について、ここの地域で幾ら被害が出たと。ところが、今回のような場合、累積で来る、同じ地域に何度も台風が来る、集中豪雨が来る、そして中越については地震も来る。累積被害がある場合は、やはりそれを全体として加算して、それでこれは激甚だとかいう評価をしないと、一個一個について数百億だから構わないというような計算の仕方は、私は、これは主に財務省の考え方だと思いますが、ぜひそこのところは突破するようにお願いしたいというのが一つ。

 それからもう一つは、先ほど須賀田局長からも話があったようですが、どうも復興支援のやり方が、せいぜい融資という程度しか手段がない、共済もありますが。一方で、政府の方針に従って牛肉の全頭検査を継続するという方については経費全額を持つという出し方をしていて、それで、全く本人に責任がないのに天災で被害を受けた方には満額の補助金どころかせいぜい融資だというようなことは、温かい行政という観点から見ると、いささか欠けているのじゃないかというこの二つの点がある。

 被害の累積評価をしていくという方針と、それから、無利子融資などという範囲じゃなくて、もうちょっと、無担保融資も含めて、本当に困っている方々にちゃんと救済の手が届くようなやり方、この二点を念頭に入れて、ひとつお二人の決意だけを聞きたいんですが。

島村国務大臣 私どもは、今回の一連の災害に対しまして、省を挙げて迅速かつ適切に対応できる体制を整備しているところですが、特に、中越地震等がございましたので、岩永副大臣を本部長とする組織をつくって、今これに対応しております。そういう意味で、災害問題については岩永副大臣から詳しく御説明いたしますが、総枠において、台風における被害は、現時点では五千七百億円、こういうふうに試算をしているところです。

 なお、この後、追加がいろいろ出るものとは思われますけれども、少なくも年に何回かというのは毎年の経験でありますが、今回のように十回も上陸をし、本土を縦断する回数が多かったということから、いわば従前は未然に防げるような災害が重なる、いわば台風の襲来によりまして、従前のものがまだ残っている段階でさらにこれに追い打ちをかけるということから、災害が大きくまた膨らんでいることは事実であります。これらの復旧につきましては、本当にやる気の人たちの気持ちを損ねないように最善を尽くすと同時に、また新たな意欲を持って進んでいただける環境の整備のために努力をしたい、こう考えております。

岩永副大臣 お答えいたします。

 私からも、一連の台風並びに新潟中越地震でお亡くなりになられました皆さん方に深く御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災者の皆さんにお見舞いを申し上げるところでございます。

 今大臣が申し上げましたように、農林災害が、農作物、農地、農業用施設、林道、林地そして漁港等で五千七百億、ただ、今、集約中でございますが、農産物被害が現在のところ千七百六十四億でございまして、これからますます調査が進むにつれてふえていくだろう、このように思います。

 私どもも、やはり現地の状況を見ることが大変大事だ、このように思いまして、広島の漁場、カキなんかが、八〇%広島でとるんですが、一万四千のいかだがあるうち四千がつぶれたというようなことで、その現地だとか、岡山の稲作が九〇%倒れたというような状況で、私はそこへ行きました。また、常田副大臣は、京都や兵庫の被災地を見て、現場からの要請というものを大変強くこの対策に織り込もう、このように思っております。

 今先生のおっしゃったように、実は一連の災害を一つに集約せい、こういう話でございますので、私どもの担当する天災融資法等では、十五、十六、十八ぐらいの台風をワンセットにして、大体一千億ぐらいの被害額で対応するように今検討しているところでございます。二十三号台風は、今状況をずっと把握しているところでございますので、その経過を見ながらまたこれについても検討していきたい、このように思っております。

 そして、災害復旧の問題でございますが、これは査定前着工せいというようなことでかなり積極的に対応をしておりますし、農業共済についても、被害農家への共済金の早期支払いをせいということで、今、須賀田局長に督励をいたしておるところでございます。

 そして、新潟中越地震災害対策本部、私、今大臣がお話をいただきましたように本部長でございますけれども、二十二万人の被災者の方の食料は農水省で全部賄うぐらいの気持ちでひとつ対応してほしいというようなことで、一昨日もその本部会議をしたところでございます。

 それで、島村農林水産大臣のもとに、この災害に対して、省内に食料供給対策チームというのを設置いたしておりますし、政府備蓄米の供給なども積極的に考えているところでございます。そして、当省が持っている乾パンだとか乾燥米飯九万二千食だとか、それからあと、山崎パンにパン四万個を出してほしいとかフジパンに三万個出してほしいというようなことで……(鮫島委員「決意表明を言ってくださいと言ったんです」と呼ぶ)今かなり各方面に対応をいたしておりますので、被災者の皆さん方が一日も早く救援されますように精いっぱい頑張りたい、このように思っております。

鮫島委員 大変長い決意表明だったと思いますけれども、副大臣、私は気をつけていただきたいと思うんですが、たしかお地元で町長選挙が行われていると思いますが、そこの応援で、まさかその災害対策本部の本部長が、この町長選挙の方が災害復興より大事だというようなことは言わないように気をつけていただきたいというふうに思います。これはわかる人しかわからない言い方ですが。

 次に、本題のBSEの話に移ります。

 初めに、厚労省の食品安全部長に。

 私は、食品安全部長の考え方に若干疑念を持っていますので、ちょっと最初、テストだけしたいと思うんですが、今、死亡牛の検査が行われています。これは、言い方としては、予算が農林水産省なので、リスク牛の検査というふうに違った用語を使われているようですが、厚労省の食品安全部長としては、この死亡牛の検査というのはどういうものだというふうに位置づけているんでしょうか。

外口政府参考人 死亡牛はどういう位置づけかという御質問でございますけれども、死亡牛の検査につきましては、これは、死亡牛は食品として流通するもとになるものでございませんので、これに行っております検査については、サーベイランス目的、BSEがどのぐらい蔓延しているかというものを把握するための有意義な検査であると思っております。

鮫島委員 そのとおりだと思います。死亡牛も含めて、日本におけるBSEの発生状況がどうなっているかを正確に把握するためには、死亡牛まで含めてサーベイランスをしようということで始まったんだと思います。ただ、それが整ったのはことしの四月、北海道まで含めてのシステムが整ったのはことしの四月ですから、その意味では、まだ日本で完全なサーベイランスのシステムが整ってから半年しかたっていないという事実がまず一つあります。

 それから、口に入るものについてはさらに丁寧にしようということで、全頭検査というのは、そういう意味ではサーベイランスとそれから安心の確保という二重の役割を持っているんだと思いますが、このたび、食品安全委員会への諮問というのが十月十五日に行われたわけですが、我々から見ても、多くの国民から見ても、なぜこの時期にということが大変大きな疑念を抱かれたわけです。

 つまり、まだ死亡牛を含むサーベイランスのシステムが整ってから半年しかたっていない。見直すんだったらいろいろな見直す角度があると思いますが、食品安全委員会への諮問内容は、具体的な部分については、全頭検査、BSE検査の検査対象を二十一カ月齢以上とする、これが具体的な諮問内容で、それから二つ目に、SRM、特定危険部位の除去についての諮問内容は、これは、これを聞いたら多くの人は驚くんじゃないかと思いますが、今後は定期的に調査を行ってその結果を公表するようにしたいけれどもどうですかという諮問をしているわけですね。これはつまり、逆に言うと、今は定期的に調査を行って公表もしていないということをあらわしているわけです。

 それから、問題とされている屠畜時のピッシング、完全に気絶させるためにステンレスの細い棒を脳組織に突っ込む、その問題についても、これはEUではもう既に禁止されていますが、それについても引き続き中止の方向で検討を進めるけれどもどうかというような諮問になっていて、具体的な諮問というのは、二十一カ月以上にするということだけで、あとは非常に緩い内容になっているんですが、御承知のように、日本での牛肉の安全、安心の確保については、全頭検査とそれから危険部位の除去という、この二重の措置で初めて安心、安全がとられているわけで、こっちの全頭検査の方を二十一カ月以上というふうに緩和する以上、もう一つの方の措置、屠畜方法あるいはSRMの除去、これについても逆に現状を調べて強化する、そっちだけで大丈夫かと。今度二重から一重にするわけですから、この一重だけでフルに安全、安心がカバーできるのかということも当然諮問しなくちゃいけないんですが、そこについては全く諮問していない、非常に不思議な内容になっています。

 今私が言った、まず屠畜段階でのピッシングの禁止、これはフランスでも、このピッシングの禁止が全国的に保証されて初めて全頭検査の見直しを、三十カ月以上というふうに変えたというふうに聞いていますが、なぜ厚生労働省は食品安全委員会にピッシングの禁止を諮問しなかったのか、その点をお答えいただきたい。

外口政府参考人 お答え申し上げます。

 ピッシングにつきましては、BSEの発生の当初から、これを中止するよう都道府県を通じて屠畜場を指導してきたところであります。しかしながら、従事者の安全確保の観点からやむを得ず継続するという場合もございました。こういった場合におきましては、ピッシングの際に脳などの組織が付着した表皮等については取り除いて焼却処分するなどの汚染防止を適切に行うよう指導してきたところであります。

 厚生労働省といたしましては、従事者の安全衛生の確保と食肉の安全性の確保を両立させることが必要と考えており、直ちに禁止することは困難と考えておりますが、今後はピッシングを中止した屠畜場の事例を整理して都道府県に情報提供を行い、ピッシング中止へのさらなる指導の推進を図ることとしております。

鮫島委員 私が聞いたのは、なぜピッシングの中止を諮問しなかったんですかというふうに聞いたんです。それはみんなそちらのリスクマネジメント側で、現場の状況も配慮して、これはなかなか難しそうだから諮問するのはやめよう、そういうふうに諮問内容をリスクマネジメント側で勝手に選んで、都合のいいことだけを食品安全委員会に諮問する、そのこと自身が今問われているわけです。

 ピッシングは、とにかくEUでも全面的に禁止されて、日本ではそこが非常におくれていて、全体の牛の三割。つまり、七割はいまだにピッシングをしている。スタンガンだけでは途中で息を吹き返して暴れると作業上危険だから、完全に気絶させるためにステンレスの細い棒で脳組織に突っ込む、そうすると延髄も破壊されて、それがほかの組織につくからこれはやめた方がいいというのがEUの常識になっているわけですが、日本は今でも七割の牛でピッシングが行われている。このことについて諮問しない、一方で全頭検査だけ二十カ月以下はなしにしましょうと。これは二重の措置で安全性、安心が確保されているという思想そのものを破壊させる態度だと思います。

 次に、では特定危険部位の話になりますが、厚生労働省は、特定危険部位の範囲は何に基づいて決めているんでしょうか。OIEの判断、EUの判断、いろいろありますが、何に基づいて特定危険部位の範囲を決めておられるのか。

外口政府参考人 我が国の特定危険部位、SRMは、全月齢の舌及びほほ肉を除く頭部、扁桃は頭部に含まれております。さらに、脊髄、脊柱、回腸遠位部であります。

 これらの特定危険部位につきましては、BSE感染牛に由来する材料を使用した動物接種試験の結果、感染性が認められた部位及び食肉処理行程において汚染が懸念される周辺組織が含まれており、これらの試験結果や食品安全委員会を初めとする専門家の意見などの科学的な知見を基本として、欧州連合や国際獣疫事務局、OIEなどの規則を参考として定めているものであります。

鮫島委員 日本の国内で行われる接種試験を基本として、それに対してほかのOIEやEUの事例も参考にしてということですが、OIEのスタンダードでいうと、全月齢の扁桃及び腸管、十二カ月齢以上の牛の目、脊髄、頭蓋骨及び脊柱というふうになって、日本がほかの基準、EUやOIEの基準と違うのは、腸のとり方が非常に必要最小限、回腸遠位部の二メートルだけ。海外では腸全体というふうになっていますが、日本人というのは割合、特定危険部位近傍を食べるのが好きなものですから、外すのはなるべく少なくしておこうということで、腸についても、海外では全部ですが、日本は二メートルだけ。

 それから、先ほど、私が質問することを先取りして扁桃のことに触れられましたが、日本は扁桃組織とか扁桃という言葉を意識的に使っていない。牛の頭部、括弧して、ほほ肉及び舌を除くというふうになっていて、非常に微妙な扁桃組織について正面から触れていない。

 この扁桃組織についてはイギリスでも問題になりまして、二〇〇二年の十月に、抜いたタンの組織を顕微鏡的に調べると、調べたタンの半分に扁桃組織が付着していると。したがって、扁桃組織、これは、抜いたタンの基部についている扁桃で、どこが扁桃組織でどこがタンの基部かというのはなかなか素人にはわからないと言われています。したがって、タンの除去について、扁桃組織につかないように特段の注意を払えというので、細かいマニュアルまでつくっているはずです。そのマニュアルができて決まったのが二〇〇三年の一月、これがイギリスの例です。

 つまり、特定危険部位として指定されたのも二〇〇三年の一月ですし、それで舌の切除方法を特定することを含む規則案を発表したのが二〇〇三年の一月。それに対して今、日本は、タンの基部についている扁桃組織の除去についてどこまで精密なマニュアルが全国に配られているのか。また、なぜこういうことについて食品安全委員会に諮問しなかったのか。検査の方を緩くするわけですから、特定危険部位の認定とか除去、その範囲については逆に非常に厳密にここで再検討しなければいけないというのが常識だと思いますが、なぜこの扁桃組織の除去について諮問しなかったのか。なぜ諮問しなかったのかどうかだけ答えてください。つまり、そっちで、厚生労働省が行政側で判断して、諮問する必要がないと思ってしなかったのか。なぜしなかったのかを答えてほしい。

外口政府参考人 まず、扁桃についてのお尋ねでございますけれども、扁桃につきましては、現在、屠畜場の現場におきまして、舌を頭部から分割する際に扁桃をSRMである頭部側に残しており、屠畜場に常駐する屠畜検査員がその確認を行っております。

 また、イギリスで、御指摘のように、平成十四年十月におきまして、英国食品基準庁が、従来に比較して高感度である牛の脳内接種試験におきまして、牛の扁桃に低レベルのBSE感染性が確認されたことが公表されたことを受けまして、念のために、頭部から舌を取り除く際に扁桃に接触しないよう屠畜場関係者に対し注意喚起を行っているところであります。

 こういった現状も踏まえて、今後、食品安全委員会でSRMの除去の徹底についても御審議いただけるものと考えておりますし、昨日のプリオン調査会におきましても、御指摘のピッシングの現況とかSRMの除去等について追加資料を要求するというような御指摘もありましたので、それにこたえて御審議いただきまして、御指摘をいただいたことに対しまして必要な対応を講じてまいりたいと考えております。

鮫島委員 アメリカとの合意の中には、同じような特定部位の表現のところで、「すべての月齢の牛の頭部」、ここは日本と同じように括弧して、「舌及び頬肉を除く。」だと日本と同じなんですが、「舌及び頬肉を除き、扁桃を含む。」というふうに書いてあって、ここではその扁桃という言葉を明示しているわけです。国内においては、「舌及び頬肉を除く。」とだけ書いて、アメリカとの交渉においては、当然向こうもこだわったんだと思いますが、「扁桃を含む。」という表現になっている。

 こういうことは、食品安全委員会はそのためにつくったんでしょう。つまり、全部、今部長がおっしゃったように、あなたの判断で、これはもう大体わかっているから諮問しなくていい、これもいい、あれもいいというんだったら、食品安全委員会なんか要らないじゃないですか。大体、二十カ月以下のものは検査しなくていいというんだって、あの中間報告を読めばわかる。では諮問しなくていい、全部諮問しなくていいし、食品安全委員会なんか要らないことになるわけです。実際あなたはそのように振る舞っている。つまり、食品安全委員会の答申を待たずに前のめりになってアメリカと合意条件の交渉に入っている。これは完全に食品安全委員会の存在を無視しているわけです。

 つまり、諮問は、月齢の省略のところだけ具体的に聞いて、あとの問題については、ピッシングの問題についても、今の腸の扱い、扁桃腺の扱いについても具体的に聞いていない。二重の安全措置で成り立っている片側の部分だけの緩和を言って、もう片側の、殺し方とか特定危険部位の除去についての審議、審査、このままでいいのか。その両方の関係になっているわけですから、検査の省略の方だけ諮問して、もう片方の部分を諮問していないというのは、私は非常に不完全だし、食品安全委員会を無視した諮問の仕方だと思います。

 おくればせながらと言うとおかしいんですが、今言ったような問題について追加諮問する用意がおありですか、食品安全委員会に。もう先生方も大変怒っていると思いますよ。あなた方が完全に無視して、どうせ諮問したらイエスと言うに違いないと。したがって、それを前提にどんどんアメリカとの協議に入っているわけですから、食品安全委員会としては存在を否定されたと同じ話です。

 では、食品安全委員会に、今言ったピッシングとかそういう問題について追加諮問するというふうにこの場で約束してもらえますか。

外口政府参考人 まず、食品安全委員会を無視して勝手にリスク管理側で行っているんではないかという御指摘でございますが、全く違うとここで明言しておきたいと思います。

 私どもは、今回の諮問に当たりましては、なぜ諮問したかということでございますけれども、平成十三年当時、国内措置を組んだわけでございますけれども、このときは発症当時で、国民の強い不安に配慮して、限られた知見の中で緊急的に導入したものであります。その後、約三年たって、現在の最新の科学的知見に基づいて、食品安全委員会が国内対策の現在の措置について評価、検証していただいたわけでございます。

 その結論を受けて、それに対してリスク管理側としてどういう措置が必要か。これは、検査の月齢だけではありません。SRMもあります。研究の問題もあります。それから、えさの規制の問題もあります。それらを含めて、御指摘を踏まえて、これからの対策の考え方について諮問をしたわけでございまして、その結果をいただいて見直しを行っていくものでございます。

 その過程におきまして、先ほども申し上げましたように、実際、必要な資料の要求そのほか、今受けておりますので、それらを受けまして、よくよく御審議いただいて、あくまでも科学的知見に基づいていただいた御指摘に従って、リスク管理側として対処していきたいと思っております。

鮫島委員 要するに、追加諮問する気はないという返事ですね。

 つまり、あの中間とりまとめは、読みようによってどうにでも読めるわけですよ。あなた方は、あの中間とりまとめの中の、これまで二十カ月齢以下では発生がないということは非常に特記すべき事項である、これは十分認識すべき事項であると、そこのところだけ取り出して、そこだけ諮問しているわけで、ほかのところにも、ピッシングの話とか特定危険部位の除去とか、中間とりまとめの中にもいろいろ書いてあるわけですよ。その中の重要だと思われる事項をリスク管理側が諮問するのが本当の姿。

 大分前から検査していると言いますが、私が最初に確認したように、日本でサーベイランスの体制が整ったのはことしの四月、まだ半年しかたっていない。しかも、屠畜場でのピッシングは七割が今でもやっている。特定危険部位の除去は非常に及び腰、なるべくその周りを食べたいから。扁桃組織についても、はっきりと明言しない、書いていない。アメリカとの交渉では書いてある。

 私は、今のような厚生労働省のやり方だったら、せっかく回復された牛肉に対する安心がどんどんまた下がっていくと思いますよ。部長はよく反省してほしいと私は思います。

 では、一方で、自治体が行う全頭検査については十割補助という奨励的な補助金を出しているというのは、これはどういう考えに基づくんですか。

外口政府参考人 今般、食品安全委員会に諮問しております屠畜場におけるBSE検査対象月齢の見直しでございますけれども、これは、もちろん食品安全委員会の答申を得ることが前提でありますが、食品安全の観点から二十一カ月齢以上の検査が必要とするものであり、これは安全基準としては一つであると考えております。

 他方、今回講じることとしております国庫補助等の経過措置は、繰り返しますけれども、これはもちろん食品安全委員会の答申とか必要なプロセスを経てからということになるわけでございますけれども、この経過措置につきましては、科学的合理性を重視する観点から検査対象月齢を見直すとしても、制度変更に伴い生じかねない消費者の不安な心理を払拭し、生産、流通の現場の混乱を回避する観点から行うものでありまして、今回の経過措置は二重基準とかいうものではなく、これは必要な、混乱回避のための措置であると考えております。

 それから、つけ加えて申し上げますけれども、私の説明の仕方がうまく伝わっていないということについては大変反省しておりますが、ただ、何度も申し上げますけれども、リスク管理側として、今のリスク分析の大事な考え方である、リスク評価、リスク管理、あるいはリスクコミュニケーションという新しくできた体制を大事にしていきたい、食品安全委員会を大事にしていきたいという考え方に間違いはありませんので、また至らぬところがありましたら、いろいろと御指導、御指摘いただきましたら、鋭意励んでまいりたいと思います。よろしくお願いします。

鮫島委員 いや、あなたは、ある意味では非常に率直で正直に御答弁いただけるので、本音が見えてわかりやすいということを私は評価しているわけです。

 今のリスクアセスメント、リスクマネジメント、リスクコミュニケーションということでいえば、早くも逆転しつつあることを私は気にしているわけですよ。本来、食品安全委員会がリスクアセスメントを純粋、科学的、公平な立場でやるべきところが、役所に配慮してリスクマネジメントをやっちゃって、何が危険か安全かというのは、さっき部長がお答えになったように、リスクマネジメント側でそれをやっちゃっている。私は、早くも逆転している気配を感じるので気にしているわけです。

 今の経過措置、つまり、食品安全委員会が二十カ月以下の検査をしなくてもいいという答申が出ても、自治体が自主的にやる場合は、それは経過措置として、消費者の安心のために奨励的な補助金を出す、消費者の不安が生じないように奨励的な補助金を出すと言いましたが、では、アメリカの牛肉に対しては、どうして消費者の不安が生まれることを気にしないんですか。だったら、アメリカにも補助金を出して、二十カ月以下のものも全部やらせればいい。だけれども、日本はそんな手だてはないから、アメリカのものについては、消費者が不安を生じても、別に経過措置は向こう任せでほっておく。日本については、消費者の不安が生じるといけないから、三年間、経過措置として十割の補助金を出す。これは二重行政じゃないとあなたは言ったけれども、普通はこれを二重行政と言うんですよ。――答えなくていいです。

 外務省に聞きます。

 日米合意の内容について、両国は「認識を共有した。」というような表現になっていますが、これは合意とは違うんですか。

佐々江政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の日米協議におきましては、全体としてリスク管理機関による貿易再開のための条件と枠組みについて、大枠の考え方について認識を共有したということでありまして、率直に申し上げまして、その詳細についての検討作業は今後にゆだねられているということでございます。

 また、日本における、先ほど来の食品安全委員会の審議など、国内の手続が予定されているということでございまして、これが完了されることなしに、実際上、貿易の再開は望めないということでございまして、そういう認識について双方が共有しているということでございます。

 したがいまして、このような状況にある認識の共有というものは、いわゆる法的な意味において両国を拘束するような合意ではないということでありまして、そういうことで、この発表文にも、「認識を共有した。」ということであります。これは日米双方で案文も詰めたものでございまして、この点について日米双方で意見の差はないというふうに思っております。

鮫島委員 ことしの八月に、私と山田正彦さんが、このBSEのアメリカにおける状況がどうなっているかというので、八月の下旬に、二十日から一週間ほどアメリカに行ってきて、ペン次官とやりとりをしてきましたが、彼はアメリカの悪さを固めたような男で、非常に、差別主義者と言っては悪いけれども、アメリカ中心主義で、大体アメリカが汚染国だという認識すらも表明しない。いまだに、我が国は暫定清浄国で、カナダで買ってきた牛が我が国で発病して大変迷惑しておるというような言い方で、アメリカの肉はきれいだ、日本が何を文句言っているんだという態度だった。それは恐らく、二十一、二十二日の交渉でもその態度を貫いたと思いますよ。

 実は八月二十日に、既にEUではアメリカの扱いをレベル3という評価にして、そのことを公表している。OIEの方は、国際的な配慮で、OIE自身がいろいろな国をどういうステータスですというのを発表することは控えているんですが、EUは輸出入の関係があるから、全部EUの委員会で各国のランキングをつけているわけです。それで、八月の二十日に七カ国が新たにランクづけされて、その中にアメリカやカナダがランク3、レベル3、つまり日本と同じ汚染程度、リスク程度ということが出ていたにもかかわらず、多分、ペン次官は、いまだに我が国は暫定清浄国だという立場をとっていると思いますよ。このことがすべての交渉を不可能にしているわけです。うちは汚染国じゃないぞ、何をおまえら文句言っているんだ、うるさいことを言うから最低限のところだけはつき合ってやるよというのが基本的な態度だと思いますよ。

 そのことは、二十三日のペン次官の外国人記者団との記者会見の中に如実にあらわれている。彼が使っている言葉は、繰り返し繰り返し、フレームワークアグリーメントという言葉を使っています。つまり、日米関係で合意したと。それで、特に、大変感謝しなくちゃいけない人として、外務省のケンイチロウ・ササエ、この人にはもう特別感謝すると。多分、今答弁した人だと思いますけれども。

 それで、そのアグリーメントは、アグリー、アグリーメントという言葉が繰り返し使われていて、全然日本で言っている話と違うんです。特にこれは、ニューヨーク・タイムズの記者が、いつから輸入が始まるんですかとストレートに聞いたところ、ペン次官は、数週間、ウイークスと答えているんですね。こういうのがペン次官の態度ですよ。

 特別感謝されている佐々江さんとしては、当然このレポートは読んでいると思いますが、こういうペン次官が勝手なことを言いまくっていることに関しては、外務省はどういう態度をとっているんですか。

佐々江政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員が御指摘されたような形でアメリカ側の当局者が今回の協議の結果についていろいろな発言をしていることは、私も承知しております。

 しかしながら、先ほど先生がおっしゃられましたように、私も英語を見ましたが、数週間で、「ア・マター・オブ・ウイークス」というような言い方であると思いますけれども、言っているのが、どういう根拠に基づいてそういうことを言っているのか、私にはさっぱりわかりません。

 あえて言えば、そのことは、ペンさんの単なる個人的な希望を述べたものにすぎないのであって、我々はそういうことを、いかなる文書あるいは会合においても、そういうことを認めたこともありませんし、そもそもこの問題についてはかなりの時間がかかる、国内手続も必要だということをしっかりと相手側に説明して、相手側もそのことは承知をしておるはずであります。

 したがいまして、ペンさんがそういうことを言われている根拠については、私どもも全くわからないということであります。

鮫島委員 もちろん、ペンさんはブッシュ大統領の十一月二日の大統領選挙を配慮して非常に政治的な発言をしているんだと思いますが、日本の役人と向こうの役人は違っていて、ポリティカルアポインティーでブッシュに選ばれているから、ごまをすらなくちゃいけない。でも、そういう人を相手にあなた方は交渉しているわけだから、逆に、政治的に利用されているわけですよ。まあわかって利用されているんだと思いますが。

 だから、少なくとも、表に、責任ある立場の人が、こういう記者会見で個人的な意見を次々と言って、日本との合意内容を勝手に自分で解釈して、数週間以内にいくだろうというような、それでアグリーメントという言葉を何度も使っている、このことに対しては、ちゃんと外務省として、そういうことで、アグリーメントという言葉では我々は合意していない、そういうことじゃないはずだと。そういうしかるべき幾つかの事柄についてはきちっと対応しないと、既成事実になりますよ。それはちゃんと対応するというふうにお約束してもらえますか。

佐々江政府参考人 実は、私どもも、そういう発言を聞いて大変驚愕をしたわけでございます。したがいまして、これはどういうことなのかということをワシントンの大使館を通じて先方に照会し、確認をしております。

 したがいまして、先方の真意をお聞きした上で、これが誤った認識であれば、それを是正するようにしっかりと申し入れる考えであります。

鮫島委員 そこはぜひしっかりやっていただきたいと思います。佐々江賢一郎に特別感謝するという部分の真意も、ぜひ確かめていただきたいというふうに思います。

 合意の内容でちょっと気になることがあるんですが、「貿易の攪乱の防止」というところで、「少数の追加的な発生が確認されても、科学的根拠がなければ、輸入停止にはつながらない。」これは、読みようによっては非常に微妙なところで、つまり、日本で今後、食品安全委員会の答申が出ても、まだ経過措置として三年間、各自治体が検査をすると。もしそこで十八カ月か何かが出ても、つまり、少数の追加的な発生が確認されても、輸入停止にはつながらない、科学的な根拠がなければ。

 この辺も、感染は確認されたけれども発病はしていないとかという、科学的根拠でどうでも解釈できる部分があるんですが、これは、まさかそういうことを意味しているんじゃないでしょうね。別にこれは外務省じゃないのかもしれない。つまり、「少数の追加的な発生が確認されても、科学的根拠がなければ、輸入停止にはつながらない。」これは、「貿易の攪乱の防止」という言葉でこういう表現があるんですが、これは、二十カ月齢以下の牛で、日本でもアメリカでも構わないんですが、どっちかで発生した場合に、そのことが輸入停止にはつながらないということを、まさか今の段階で約束しちゃっている内容ではないでしょうね。そのことを確認したいんですが。

佐々江政府参考人 委員のおっしゃられるとおりであります。

 今回の協議におきましては、これは確認的に意見を共有したわけでございますが、少数の追加的なBSEの事例が確認されても、科学的な根拠がなければ、そういう輸入停止とか、そういう攪乱するということはない。他方から言えば、科学的根拠があれば、そういうことについての見直しを行うことは当然あり得るということでございます。

鮫島委員 いつもこの科学的根拠ということで論争になりますから、ここは、二十カ月齢以下で日米どちらかで発生例があった場合はこれは足切りについて見直すというふうに、むしろ前向きに書いた方がはるかにわかりやすい表現になると思いますよ。

 そこも、まだ交渉が終わったわけじゃないと思うし、本当は大統領選挙が終わってからじっくりまともな交渉をやればいいと私は思いますよ。今のこんな時期にどたばたと、わけのわからない答申をして、わけのわからない交渉をして、おかしなことを記者会見で言われて、みんな政治的に利用されて、食品安全委員会の先生たちはメンツも丸つぶれ。なぜこんなことになるんだ。まるで植民地じゃないか、今やっていることは。

 それは、小泉さんとブッシュの関係がここにも反映されているわけです。日本を次々とおとしめて、まるでアメリカの植民地のように持っていっているのが今の小泉政治。それが、こんな食卓の牛肉の世界にまであらわれているという、私は、非常に悲劇的な状況だというふうに思います。

 ただ、唯一評価するとしたら、「査察システム」というところがあって、これは前回も島村大臣に私はお伺いしましたが、「日米両国は、相手国施設の定期的な査察に協力する。」という項目が入っています。これは、今までは、向こうが一方的に日本に来て、四つの工場だけ、ここはきれいだからアメリカ向けの牛肉の処理をしてもいいよと、向こうが選んで向こうが定期的に査察に来るという状況で、日本からはほとんど、何か事件が起こらない限り行っていなかったんですが、今後は、この項目がある限りは、ある意味では抜き打ち、不定期にも査察ができるということをあらわしているんだと思いますが、つまり、今までの一方的に査察を受けるという関係から、今後は双方向の査察システムに進化していくという解釈でよろしいんでしょうね。

 もしここまでいくなら、私は、前にも言ったように、国際食料検査官という制度を創設して、日本はもう世界で一番の農産物の輸入国なわけですから、その輸入国の権利を発揮して、例えば、大豆で遺伝子組み換えの品種が流通の過程でまざっていないかとか、トウモロコシや菜種でもまざっていないかとか、ちゃんと約束どおりのものが来ているのかどうか、そういうことを、食品供給行程の各段階での安全性の管理というのを海外のものにまでちゃんとできるような仕組みをつくるべきだと思うんですが、大臣のその点についてのお考えをもう一度。

島村国務大臣 今回は局長級の協議でございましたから、私は直接出ておりませんが、いかなる場合も、国益を中心に、要するに、こちら自身がきちっと言うべきものは言って、それ以外の妥協をするなということだけはきつく申しておりますので、今回大分つらい思いをしたようではありますが、こちらの言い分をきちっと貫いてくれたと感謝しているところでございます。これからもその姿勢で臨んでいきます。

鮫島委員 もうだんだん時間がなくなってきたので、本当は基本的な、今、食料・農業・農村基本法の基本計画の見直しも行われて、そういうことをしなくちゃいけないので、ぜひまた一般質疑の時間をとってもらいたいと思いますが、石原次官が選挙後の記者会見で非常に失礼なことというか不思議なことを言っていて、ことしの夏の参議院選挙で、与党と野党の農業政策について大きな隔たりもないし議論もなかったみたいなことを記者会見で言っていますが、いや、我々は全然違うんだということをぜひ次の場で言いたいものですから、お願いしたいと思います。

 今、農業を元気にさせるための各種の措置がとられている中で、米の流通の自由化という問題もあると思いますが、関西の方の酒米業者が、今までは許可を受けていた既成の流通段階で買っていたんですが、こういう流通の自由化ができたので直接酒米の生産者から買おうとしたら、これは私のところに具体的な証拠が挙がっているのでお認めいただきたいのですが、だめだ、そんな勝手に生産者とユーザーがやりとりしちゃいかぬというので、相変わらず、岡山県ですが、岡山の全農が一俵当たり二千五百円の全農手数料というのを取り続ける。直接の系統の手数料だけで本当はいいはずなんですが、相変わらず全農が取り続ける。これに対して地元では、生産農家の方々はみんな財布を預けてしまっていて、なかなか泣く子と全農には勝てないというのがあって刃向かえない形になっていますが、せっかくこういう流通の自由化をしても、それに対して妨害的な措置が行われたときに、農水省としてはどうやって生産、流通の規制緩和を支援することができるのか。

 これは実は、島村大臣も海外に行くときJALを利用したことがあると思いますが、ファーストクラスで出る……(島村国務大臣「何が出るのですか」と呼ぶ)海外に行くときに日本航空のファーストクラスに乗ると、大吟醸玉乃光というのが出るのです。この酒屋さんが酒米を買おうとしたら、妨害が入ったという話です。どうですか。

大口大臣政務官 委員御案内のように、本年四月から改正食糧法が施行され、生産者はさまざまな販路を開拓して、さまざまな需要者と自由に直接取引できるようになっておるわけでございまして、この改正食糧法の趣旨を地方農政局や農政事務所において十分理解されていないような事例を把握した場合には、生産者の自由な選択に基づく販売が阻害されないように、同法の趣旨を関係団体にさらに周知徹底するよう努めてまいりたいと思います。

 また、今委員御指摘の岡山の件がございましたが、仮にこの農協系統組織がその組合員、会員に対し、その意思に反して系統利用を強制するような場合は、独占禁止法等の関係で不公正な取引方法となるおそれがあることから、必要に応じて都道府県、地方農政局等を通じて事実関係を調査してまいりたい、こう考えております。そしてその結果、不公正な取引方法となるおそれがある場合は、公正取引委員会に連絡することになる、こういうふうに考えております。

鮫島委員 済みません、もう時間が来ています。

 食品安全委員長、せっかくお見えですので、先ほど、食品安全委員会は完全に今無視されて、頭越しで、勝手にイエスの答申を出すものだという前提での交渉が進められているんですが、食品安全委員長として、今の状況をどう思っておられるのか。食品安全委員会の存在意義を示す御発言をお願いしたいんですが。

山岡委員長 寺田食品安全委員会委員長、簡潔にひとつお願いします。

寺田参考人 国内の諮問事項に関しましては、これから慎重に、先ほど御質問もございましたように、SRMとかそういうこともこちら側からポジティブに考えて、きちっとした対応を専門委員会でされると思いますし、私たち委員会としましてもそれを応援したいと思います。

 日米の交渉に関しましては、その中に、「それぞれの国内における承認手続を条件として、科学に基づいて」という言葉がございますし、それから、日本の国内におきましては、「食品安全委員会による審議」を経てという言葉がございます。それから、この前の週の食品安全委員会、諮問を受けるときに、厚生労働省、農水省から、日米交渉の結果、管理措置がある程度決まったところで、その内容について諮問をして審議をしていただきたいということをおっしゃっていますし、私どもは、私どもの委員会を通らずして日米交渉が開かれるということはあり得ないというふうに考えております。

鮫島委員 頑張ってください。どうもありがとうございました。

山岡委員長 次に、松木謙公君。

松木委員 民主党・無所属クラブを代表しまして質問をさせていただきます、松木謙公でございます。

 まず、質問の前に、今回の地震とかあるいは台風などで非常に被害をこうむった方々、亡くなられた方々、そして、けさは何かイラクで日本人が拉致をされてしまったという話がまた入ってきております。そういう方々に、亡くなられた方々には御冥福をお祈り申し上げたい、そして、今大変な目に遭っている方々には、ぜひ頑張っていただきたいなということをまず申し添えさせていただきます。

 それでは、まず、大臣の、あるいは副大臣、政務官のスタンスといいましょうか、そういうことをちょっとお聞かせいただきたいというふうに思っております。

 民主党は、年金問題を終わらせないということで、また今国会もいろいろと頑張っていこうということになっているわけでありますけれども、我々民主党は、年金のことを一応すべて公表をしました。そして私自身のことも、実は、私はずっと払っているつもりだったんですけれども、十年ぐらい前に二カ月ぐらい払っていない事実がわかりまして、それをいち早くマスコミにオープンにしたら、いち早く報道されてしまって、えらい迷惑をこうむってしまったな、まあしかし、うそをつくよりはいいか、こういうことで、私は一番初めぐらいに報道された一人なんです。

 たしか島村大臣は何かテレビに出ていたような気もするんですけれども、一応、議員になってから、そして義務化されてからの納付状況というのを、それぞれの先生方、お答えをいただきたいと思います。

島村国務大臣 お答えをいたします。

 私の場合は、昭和六十一年四月から平成六年三月まで加入いたしておりません。実は、平成年間に入りまして、たまたまふだんの雑談の中にこの話が出て、慌てて遡及して納めたい旨を申し出たんですが、規則がありまして、不可能、こう言われたので、そのままに放置をしたこと、反省しておるところであります。

岩永副大臣 お答えいたします。

 昭和三十六年の九月四日以来現在まで、七回の切りかえを行っておりますけれども、一切不払いはございません。

大口大臣政務官 我が党も御案内のように公表しておりまして、支払っております。

松木委員 大変優秀なお二人と、もうお一人はちょっと。しかし、これはできれば遡及して、私も二カ月あるんですよ、ですから払いたいなと思うんです。それで、払っても、その分は年金には付加されないようにして払うような、そんなことでも私は将来やっていったらいいんじゃないかというふうに実は思っているわけであります。

 それでは、次の質問なんですけれども、今国会というのは、金にまつわる問題がやはり予算委員会なんかで大きく取り上げられている。国会議員に対する国民の信頼を大きく揺るがす問題になっているんじゃないかというふうに私は考えております。

 そこで、今言われている日本歯科医師会のこと、こちらの方からの、大体で結構なんですよ、過去五年ぐらいの日歯からの献金、あるいはパーティー券を買ってもらったとか陣中見舞いをもらったとか、そういうことがあるのであれば、ここでお答えをいただきたい、大臣、副大臣、政務官。

島村国務大臣 過去五年を調べてみましたが、日歯連から政治献金を受けておりません。

 ただ、パーティー券についてでありますが、平成十二年に五枚、平成十三年十枚、平成十五年が五枚と、パーティー券を買ってもらったことがあります。一枚二万円でございます。

岩永副大臣 献金もパーティー券もお祝いも、一切ございません。

大口大臣政務官 私も、献金もパーティー券の購入も、一切受けておりません。

松木委員 優秀なお二人でございます。

 これは、パーティー券というのは、一枚一万円ですか、二万円ですか。――二万円、はい。

 それでは、大臣の名誉のために一つ聞いておきましょう。大臣は、いわゆる厚生労働族でしょうか。

島村国務大臣 さにあらずであります。

松木委員 わかりました。結構でございます。

 それでは次に、三番目なんですけれども、選挙違反のことでちょっとお聞きしたいんですけれども、実は、共同通信の配信によりますと、昨年の十一月に、島村大臣の地元秘書が、投票を呼びかけるなどの選挙運動をした運動員に報酬として九十万円を渡したことで逮捕された、こういう記事があるんですね。口の悪い連中というのは、島村大臣があたかも連座して失職をするような、そういうことを言っている人が実はいるんですよ。これは、我々だけじゃないですよ、この永田町かいわいで、自民党の中にもいるんですからね。

 私は、立派な我々の大臣ですから、そんなことはないと思っているんですけれども、以後、この事件というのは果たしてどうなったのかということをぜひ教えていただきたいというふうに思います。ちなみに、私、三回選挙をやって、一回しか当選させていただいていないんですけれども、私の場合は、違反は今のところはない。ぜひお答えください。

島村国務大臣 個人的な問題ですから、余りこういうことはお答えすべきことじゃないのかもしれませんが、せっかくの御質問ですし、あなたには善意を感じますので、簡単に当時のことを申し上げたいんですが、実は、確かにそういう疑いを受けて、いわば書類を全部持っていかれました。

 しかし、実態は何かといえば、選挙の前に、ある組織の昔使った事務所をお借りした。そのお借りした事務所が大変汚かったので、それをアルバイトを雇って掃除をした。掃除をした人は、掃除といろいろな器具の運搬をやっていたんですが、たまたまその人が、各方面で私を支持してくださる方々に、いわば運動の手伝いをさせられたんじゃないか、こういうあれだったわけです。

 ただ、当然、私たちの選挙区に住んでいる人でもない夜学に通う学生さんですから、食費もないというお申し出があって、経理の担当者が応分のアルバイト代を払ったということでありまして、決して買収とか何か、いわば指摘されるものではありません。そして同時に、その人自身が我々の選挙区に住んでいるならば、これは一つの買収行為も成り立つのかもしれませんが、住んでいない。しかも、二十にはなったそうですが、いわば学生さんで、私どもの地域に影響力を持たない人でありますから、結果的に何にもなかったということが最終の結論でありまして、現にあれだけ大仰に書類を持っていって調べたにもかかわらず、私には電話一本かかってきておりません。

松木委員 まるで島村大臣が連座するような、そんな話をしている人間がいたので、これはやはり、ここで一応そういうことを言っていただくと、島村大臣はそうじゃないということがはっきりするわけですから、私は大臣のためにこれはお話を聞いたようなものですから、ぜひそういうふうに。悪くとらないでくださいね。

 それでは次に、大臣のスタンスの中で、郵政民営化のことなんかもお聞きしたいわけですけれども……(発言する者あり)これはまあ、大臣のスタンスですから。

 それで、今回の小泉内閣というのは、別名郵政民営化の賛成内閣、こういうふうに言われているわけですけれども、現在の小泉さんの郵政民営化法案、これに賛成なのか反対なのか、お一人ずつお聞かせをいただきたいと思います。

島村国務大臣 せっかくの御質問ですからお答えいたしますが、私も内閣の一員ですから、総理大臣が、いわば一切のタブーを設けずに改革を行う、その一つに、今まで国民の中にも定着し、かつ高い信頼と評価を受けている郵政問題について、これもタブーとせずにあえて民営化をするんだ、この意気込みを見せていることは重々承知をいたしております。

 私もいわば国会議員でもありますから、結論的に、これが国家国民の現状と将来にとってプラスであるかマイナスであるか、この点だけは私の良心と信念において判断をするという考えを前提に置いて、一応、タブーを設けずにあらゆる改革を進めるという考え方には賛同しているところであります。

岩永副大臣 私は、総務大臣政務官のときに、郵政公社が設立した当時の政務官でございました。大変苦労をいたしましたが、これからは政府の方針に沿ってまいりたい、このように思っております。

大口大臣政務官 私も、小泉内閣の一員といたしまして、政府の方針に従って頑張っていきたいと思います。

松木委員 ということは、郵政民営化法案には賛成して一生懸命やっていくということだというふうに私は理解しましたけれども、実は、自民党の中に郵政事業懇話会という会がたしかあると思うんですけれども、これは、会長さんが綿貫民輔先生という立派な先生ですね。それと、古賀誠先生だとか野中広務先生なんかも入っているようですけれども、こちらの方は郵政民営化に反対している人たちが中心で運営されているようにお話を聞いているんです。多分、島村先生はこれには入っていないとは思うんですけれども、念のためにちょっと聞きたいんですけれども、お入りになっているかどうか。これは、大口先生は政党が違うので、お二人にちょっと聞いてみたいと思います。

島村国務大臣 私自身この会に出席をいたしておりませんので、入っている、入っていないのことは、よく懇話会とか議員連盟とかいうのは、自分はその考え方について賛成、反対にかかわらず入る場合もございますね。この場合、綿貫民輔先生、個人的にも大変親しい尊敬する先輩でありますから、誘われれば入っているかもしれませんが、別に具体的に誘われておりませんので、入っておらないのではないか、こういうふうには思います。

岩永副大臣 綿貫先生のお話を聞いて、反対だという御発言を聞いたことはございません。これから新たな郵政事業に対する勉強をしていく、こういうような方向でございます。

 入っている、入っていないは、私個人の問題でございますので、御答弁は差し控えさせていただきます。

松木委員 わかりました、特にそれを追及するということじゃないので。

 それでは、これは最後にちょっと聞きたいんですけれども、地元に行くと、本当は郵政の民営化というのはおれは反対なんだよ、こんなことを言っている人もいるような話も聞くんです。島村大臣に関してはそんなことはないと僕は思うんですけれども、ちなみに、ちょっと御見解があれば。

島村国務大臣 私の発言については、テレビその他を通じてでも大分報道が行き届いているようでありまして、地元の皆さんもよく理解しておりますが、すべては国家国民、だれが何と言おうと私は正しいと思うことを正しいと言い貫いてきた政治家のつもりでありますから、これからもその姿勢は貫いていきたい、こう思っております。(発言する者あり)

松木委員 今、おまえはどうなんだというような話がありましたので、私は、郵政民営化には反対でございます。

 それでは、本年は台風六号を初めとして、平成十六年の農林水産の被害は今日まで実に五千五百億を超えて、かなり甚大なものに実はなっているんですね。このうち平成十六年七月の梅雨前線あるいは台風十号及び十一号による被害では激甚災害の指定を受けるほど、農林漁家は大きな痛手をこうむっているわけであります。

 土砂に埋まった田畑や農業用の施設、なぎ倒されて本当に見るも無残な山林、そして荒れ狂う波に壊された漁業施設の数々、ちなみに、私の地元で礼文島というのがあるんですけれども、ここで何千トンだか何万トンだかあるというケーソンというのがずれてしまう、本当にそのぐらいいろいろな影響が実は今回あったんですよね。そして雨なんかでかなり地盤が緩んでいたというのもあるんでしょうか、今回の新潟の地震も、それもより甚大な被害をもたらす一つの原因ともなっているというふうに私は思っているんです。

 本来、喜ぶべき収穫の秋にほとんど被害に遭って、農林漁業者の皆さん方というのは大変な思いをしている。あすへの希望をつなぐために、やはりきめ細かな施策と手厚い支援が今こそ強く求められているというふうに思っておりますけれども、大臣方はどういうふうにお考えでしょうか。

須賀田政府参考人 先生御主張のように、七月の豪雨、それに続きます台風の被害、十個上陸を、観測史上最高でございます。この豪雨と台風だけで被害総額が五千七百億になっておりまして、それに新潟中越地震の災害が起こったわけでございます。

 私ども、こういう被災者のお気持ちを考えますと、できるだけ早く経営再建が成りまして、経営が維持できるように、まず災害復旧事業、これを早期に実施する、そして被害に遭われた方へ共済金を早期にお支払いする、共済の対象になっていないところでは低利資金の円滑な融通をする等々を講じまして、災害対策に万全を期していきたいというふうに考えております。

松木委員 わかりました。

 それでは、これは鮫島先生の先ほどのお話とちょっとダブる可能性があるんですけれども、たび重なる台風だとか地震だとか、いろいろな被害が今ふくそうしているわけですね。それを一個一個じゃなくて包括的にとらえて、地域の被害を総合的にとらえて対策を講ずるというのが結構必要になるんじゃないかというふうに思っているわけです。基本計画の中に担い手対策とかいろいろと出ているんですけれども、こんなにもいろいろなことがあっては担い手そのものがいなくなってしまう、そんな心配が僕はあると思うんですけれども、いかがでしょうか。

須賀田政府参考人 現在、全国各地で、被害を受けられた地方から天災融資法、これを発動してほしいという強い要請を受けております。

 この天災融資法の発動の要件でございますが、これは一の天災を単位としてというふうに法律には書いているわけでございまして、これまでは、一の天災を単位とするというのは、一つは、同一の気象災害による災害かどうか、あるいは、複数の気象現象が相互に密着に関連する場合は一連の気象現象であるかどうか、こういう解釈のもとにきたわけでございますけれども、今回の場合は、それにはなかなか、きちっと解釈していると当たらないところがございます。

 ただ、私ども、被害の状況を見ておりますと、とても市町村、都道府県の支援能力を超えるような大きな被害になっているという事実がございますので、時間的にもほぼ同時期に、地域的にも重複して発生している、そしてそれらが複合的な原因となって一つの被害形態になっている、どの台風によって起きた被害なのかも区分が難しい、こういうことでございますので、これを、一連のものを一つの天災とみなしてできないかということで、現在鋭意検討中でございます。

松木委員 それはぜひそうなるようにお祈りを申し上げております。されますね。よろしくお願いします。

 それでは、それに付随してなんですけれども、今、災害による多くの山地、森林復旧も非常に急務なんですけれども、現在、政府が三位一体の改革の中で、これは資料の五を見ていただくとわかりやすいんですけれども、災害発生時の災害関連緊急治山事業を国の事業、そして次年度以降は、補助治山事業は県に移管するということを今考えているようなんですけれども、これは各県にまたがる広域災害の場合にはやはり重大な不都合を生じるというふうに私は思っております。そういうふうになる可能性も大きい。

 また、現状の各都道府県の厳しい財政の中で、果たして県の財政負担がそれにたえられるのかな、復旧予算の確保が困難になるのではないか。これはやはり国で一元的に実施をして、国庫補助負担制度も維持すべきではないかなというふうに私は実は考えているわけです。資料を見ていただくとこれはわかるんですけれども、一年目というのはそんなに多くない。しかし、すぐできるわけじゃないんです、二年目、三年目とかかるわけですよね。そうしたら、その後の方が実はお金はかかっているんです。そして、こっちの方が県でやりなさいということになるようなんですね。これはちょっと厳しいなと。

 そしてもう一つは、災害というのは、別に、東京だったら東京、北海道だったら北海道、秋田県だったら秋田県ということで起きるわけじゃありませんので、それもこれを見ていただければよくわかるんですけれども、岐阜県から富山県の方まで災害が非常に広く広がっている。こういうこともあるので、今のことをぜひ維持していただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

島村国務大臣 実は、きのう官邸で地方六団体と我々関係閣僚との会議がありました。その際、たまたま私の真ん前に知事会の会長の梶原岐阜県知事が座っておって、いろいろありましたので、私は、今あなたがたまたま指摘されたその図を見せて、要するに、郡上あたりで発生した山地の災害が、神通川を通って富山湾に大量に木材を流し込んで大変な迷惑をかけた、この場合どうやって富山県と岐阜県とがお互いの災害の復旧にいわゆる分担をするんですか。そういうときはやはり、まさに国が大所高所から判断をして、それで、財政的な援助もさることながら、きちんと対応して初めて地方は安心できるんじゃないんですか。同時に、将来に向かって先行きへの投資その他を考えたときに、国の存在というのは重要なはずだ、それを今あなた方が自分たちだけですべてを廃止するということを言い切るのは問題ではないかとはっきりしてきたところであります。

松木委員 それでは、この国庫補助負担制度を維持すべきというふうに大臣もお考えということでよろしいですか。

島村国務大臣 三位一体改革も内閣の重要な課題でありますから、当然に前向きに取り組み、かつどうやって進めるかということは真剣に検討すべきことだと思っております。

 さはさりながら、やはりそれ自身ですべて、今まであったよき慣行といいますか、よき判断の基準というものを失ってしまったのでは救われないものも出てくるわけでありますから、それらはあくまで、三位一体の改革と言えることが我々が皆さんのために胸を張れるものでなければまずいわけですから、その点は責任者としてきちっと対応したい、こう思っております。

松木委員 三位一体の改革というのは、地方だけが厳しくなるようなことじゃいけないと僕は思うんですよ。当然、島村大臣もそう思っていると思いますので、ここはぜひ、島村大臣のお人柄とその強力な政治力でこれを維持していただきたいというふうに私は思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、BSEのことをちょっとお聞きしたいというふうに思うんです。

 全頭検査だとかいろいろなことを言われているんですけれども、閉会中審査でうちの岡本議員が統計学というのを持ち出しまして、私も余り頭のいい方じゃないので、すごい数字でうわっと思ったんです。しかし、僕は、非常にわかりやすい話を、数字は難しいですけれども、わかりやすくやってくれたなと彼を思っているんですけれども、要するに、統計学上は二十カ月齢以下も以上も差異はないんだ、こういうことだったというふうに思うんです。それはそれで認識は間違いないんでしょうか。

外口政府参考人 お答え申し上げます。

 閉会中審査のときの御指摘の統計学的差異の件につきましては、二十カ月以下の発生率と二十一カ月以上の発生率を比較しての、フィッシャーの解析だったと思いますけれども、それについての有意差についての御指摘であったと思います。

 ただ、私どもが今回諮問しております二十一カ月という月齢の話につきましては、単に統計学的な、二十一を境とした上と下の発生率の有意差だけでなく、二十一、二十三の若齢牛の場合は検出した異常プリオンの量が微量であったこととか、今までのイギリスの実験の成績だとか、それから検出限界とか、そういったものを含めて総合的に判断して出したものでありますので、そういった統計学的な差だけで判断したものでないということはつけ加えておきたいと思います。

松木委員 よく科学的、科学的という話が出てくるんですけれども、どんな科学的なことでそうなったのかなというのは、ちょっと僕はよくわからないんです。

 では、例えば二十カ月齢以下のものはやらないよというときに、例えば私の、北海道出身なんですけれども、ホルスタイン種は二十カ月以下で大体出てくるらしいんですよ。そうした場合、これは北海道の牛は、そういうのはまずいぞ、ちゃんと調べられていないんだというふうにして分けられちゃう可能性があるんですね。そうなったときに非常に困るので、二十カ月で上と下で分けるみたいな話というのは、私はどうも納得ができない。

 そして、アメリカから入ってくる牛にしたって、歯で調べるみたいな話もあるんですけれども、歯だって、何か六カ月ぐらい幅があるという話があるじゃないですか。それを考えると、これは何か、五十九年前にアメリカに戦争で負けたからそれでアメリカの言うことを聞かなきゃいけないみたいな、そんなふうにしか、申しわけないんですけれども僕には聞こえないんですよ。

 ですから、これは、やはり本当に国民の命の問題というものにかかわってくると思うんですよ。そして、岡本議員のいろいろな質問の中に、日本人というのは意外と感染しやすいDNAの形態を持っている民族だという話も実はあったんですよね。それを考えると余計怖いんですよ。

 これは、やはり日本人を守るということを第一にしていただかないと、私は何か納得ができないんですよね。ぜひお答えをいただきたいです。

外口政府参考人 輸入牛肉の再開の件につきましては、先ほど寺田食品安全委員長が発言申し上げましたように、食品安全委員会で、我が国で流通する牛肉と同等の安全性が確保されるかどうか、これをしっかりリスク評価をすることとしております。

 それから、米国から何かいろいろどうかというような御指摘もありましたけれども、今回の日米協議の際に当たりましても、私どもは主張すべきは主張し、守るべきものを守ったと考えております。また、共同発表文の中にも、今回は、米国からの輸入だけじゃなくて日本からの輸出の話も、これも一番先にきっちり書き入れてあります。日米対等であるべきだと私は考えておりますし、それから査察の話、これは鮫島委員からも御指摘がありましたけれども、これについても、かなり激しい議論の結果あそこの表現までいったものと考えております。

松木委員 時間ですので、これが最後になります。

 このBSEというのは、要するにまだわからないことが多いんですよね。例えば、どういうふうにして感染していくのかということもわからない。そういうことを考えると、疑わしきは罰せずじゃなくて、疑わしきはより疑ってかかっていく、そういう姿勢が何よりも僕は大切だというふうに思いますので、ぜひ大臣、そういうお気持ちでこれからもこのBSE問題にはかかわっていっていただきたいということを私の最後の質問にして、終わらせていただきます。

島村国務大臣 御趣旨は全くよく納得できることですし、私もその姿勢でやっております。

松木委員 ありがとうございました。

山岡委員長 次に、山内おさむ君。

山内委員 民主党の山内おさむでございます。本日は、主にBSEの関係について質疑をさせていただこうと思っているんですが、質問に入る前に、大臣に一点、お伺いをしたいと思っております。

 大臣は、BSEの感染源を究明することは大した問題ではないと考えておられるのかどうか、まずその点からお伺いします。

島村国務大臣 今、最も神経を使っている問題の一つ、こういうことでございます。

山内委員 どうもありがとうございました。

 私が農水委員だった三年ほど前に、御党の農水大臣がこういうような発言をされまして、私たちの方で随分問題にして不信任案などを作成させていただいた経緯があったものですから、最初にお聞きしておこうかなと思った次第でございます。

 それから、同じ鳥取県の同県人でございます常田参議院議員が副大臣に御就任されたこと、同じ県の者として本当に喜んでおります。副大臣、アメリカの牛肉の輸入再開交渉については、我が国の消費者の信頼を第一に考えて、安易にアメリカにすり寄るべきではないということを日本の基本的な姿勢とすべきだと思うのですが、まず副大臣の御認識からお伺いしたいと思います。

常田副大臣 同県人として御質問をいただきまして、恐縮でございます。

 山内委員からのお尋ねでございますが、まず、安易に米国にすり寄るべきではないという御指摘につきましては、私も同感であります。事は食の安全、安心にかかわることでございますから、そういった、すり寄ってどうこうというようなことではないということであります。

 そういった観点から、米国産牛肉の輸入再開問題につきましては、従来から、食の安全、安心の確保を大前提として、国内と同等の措置を米国に求めてきているところであります。

 また、十月二十一日から二十三日、先般行われました日米局長級会合におきましては、特定危険部位はあらゆる月齢の牛から除去すること、また二十カ月齢以下と証明される牛由来の肉に限るなど、国内と同等の措置を確保されたいということを申しております。

 輸入再開の詳細の条件につきましては、今後日米間で検討することといたしておりますが、委員御指摘のとおり、今後とも、これまでと同様、科学的知見に基づき、消費者の食の安全、安心の確保を大前提として、すり寄ることなく対応してまいりたいと思っております。

 以上でございます。

山内委員 大臣、恐縮ですけれども、もう一点お伺いしたいんですが、十一月二日にございます大統領選挙で、大臣は、ブッシュさんとケリーさんのどちらを応援しておられるのでしょうか。

島村国務大臣 これは秘中の秘でございます。ただ、これもひそかに、やはり日本の国益に照らしてどちらが好ましいのか、このことだけは実は頭の中にあります。

山内委員 先ほど鮫島議員の質問にもありましたけれども、外務省の担当者はアメリカから大変喜ばれておられる交渉の態度だったということなんですけれども、こういうことは言えませんか。

 激戦が続いている十一月二日の大統領選挙を前に、アメリカの農業団体や畜産業界からの支持を強めたいというブッシュさんの要求に応じて、この基本的な認識というか合意というか、そういうものを急いで大統領選挙の前に取りまとめたという指摘がございますけれども、外務省の見解を伺いたいと思います。

佐々江政府参考人 お答え申し上げます。

 日米間の牛肉貿易の問題に関しましては、昨年のアメリカでの発生以来、委員も御指摘のとおり、局長級間でこの春まで協議を行いました。それは、アメリカの方でそういう事例が発生したので、至急日米間で協議を行いたいということで行ったわけでございますが、その時点では日米間の考え方に極めて大きな隔たりがあるということでございます。しかしながら、その機会に、これを永遠にこのまま放置しておけないということで、今後日米間で、できればことしの夏ぐらいをめどに、何か展望を見せるように努力をしようではないかということをこの春に申し合わせたわけでございます。

 今回の協議は、そういう経緯も踏まえまして、また、この春以降に種々の会合、特に日米間では科学者、専門家による作業グループというものが会合が行われまして、純粋に科学的な見地から日米間の専門家で議論が行われたという経緯がございます。そのような中で、今回、国内の方の対策の見直しといたしまして、厚生労働省それから農林水産省の方におかれまして、十五日に食品安全委員会に諮問をされたということでございます。したがいまして、そういう諮問をされた時点において両省の見直しに対する考え方が明らかになったということでございますから、そういう考え方を前提に日米間で協議が再開された、こういう流れにあるわけでございます。

 当然のことながら、我々としては、この問題は、消費者、国民の食の安全、安心の確保が何よりも重要だということで、かつまた科学的な知見に基づかなければいけないということで、一貫した姿勢で話し合いを行ってきておりますし、この間の協議においても、その原則的な立場を貫いて協議を行ったわけでございます。

 率直に申しまして、アメリカの方は、国内の体制、特に危険部位の除去、あるいはその検査体制において、日本とは違った体制でおります。しかしながら、アメリカ側には、日本への輸出を行う際には、そういう日本の考え方、やり方、体制に合わせてもらう必要があるのだということをしっかりと申しまして、基本的にはそういう考え方にアメリカが同意をしてもらうということで、交渉、話し合いを行ったわけでございます。

 いずれにしましても、これは国内の手続を完了しませんと一切実効的なものになりませんので、これからこの詳細について詰めていくということでございまして、そういう背景で今回の協議があるということで、アメリカ側の政治的事情云々ということは一切関係がないというふうに思っております。

山内委員 夏ごろからの動きだったということで、たまたまこの十月の二十一日から二十三日になったというような説明であったと思うんですが、最初は二十一日、二十二日の二日間だったでしょう。二十二日の時点で何かしらの合意に達しない、これは困るとアメリカから言われて二十三日一日延ばしたんじゃないんですか。つまり、アメリカにすり寄っているということじゃないんですか。

佐々江政府参考人 今回の協議におきましては、公式的には、二十一日、二十二日というのを公式協議日程として発表したわけでございますが、その際に、この協議は長い間開かれていなかったものを再開するということで、アメリカ側との間では予備の日というのがあり得るということはあらかじめ話をしておりました。そういう意味では、たまたま協議が一日ずれたということで、これはアメリカの要求に応じて協議を延長したということはございません。

 この種の日米協議においては、たまたまそういう協議の時間が延長されるということはよくあることだというふうに考えております。

山内委員 農水省の資料によると、十月二十三日の時点で農水省は、「認識を共有した。」という日本語としては変な言い方をされておるのですが、ペン次官は、アグリーメント、つまり合意したと言っております。

 これは、法律家の問答をしようとは思っていませんけれども、合意をしたということでいいんでしょう。

佐々江政府参考人 この問題につきましては、先ほど鮫島先生のときの御質問にもお答えを申し上げたと思いますが、基本的には、今回の話し合いというのは、両国間で話し合いを行って、いろいろな点について意見が一致あるいは認識が一致したと思われるものを、その概要を発表したということでありまして、これはいわゆる法的な意味での合意ではない、アグリーメントではないということで、そのことを明確にするために、あえてわざわざ日米両国間では「認識を共有した。」という表現で、お互いに同意の上でこの文書を発表しております。したがいまして、これはいわゆる通常の意味において合意と呼べるものではないというふうに思っております。

 ただし、アメリカ側において、これを表現する上で、何回もこれは共有された認識であるというのは多分言いづらいのであろう、便宜的にそういう言い方を使っているのではないかというふうに想像されますが、正確には、あるいは両国の間の話としては、それはそういうものではないというふうに思っております。

山内委員 アメリカからの配信された記事を先ほど読んだんですけれども、全米牛肉畜産家協会というのがございまして、そこの会長が、ブッシュが再び日本へのマーケットをこじあけてくれた、偉大な大統領であると絶賛する見解を述べているんですが、このことを聞いてどう思われますか。

島村国務大臣 お互い政治家でありますから、政治的発言というのもございます。それは今選挙を戦っている厳しい段階で、こちらから一々事を荒立てることはございませんが、逆に、政治は結果ですべてが問われるわけでありますから、これは、その後の経過を見ていただけば、私たちがいかにまじめに、真剣に国民の意見を代表して協議に臨んだか、十分理解していただけると思います。

山内委員 そう言われますけれども、食品安全委員会で今後きちんと日本の対応を決めるということなんでしょう。それはそれで大切なことだと思うんですけれども、しかし、食品安全委員会を取り巻く状況は、既にもうアメリカ牛肉の輸入にノーという判断を出したら、それは国際的に大変な政治問題になりかねない。そういう状況をつくっておいて、食品安全委員会に、さあ諮問、答申出してくださいよと。これはもう食品安全委員会というものはなくてもいいんじゃないんですか。どうですか。

島村国務大臣 あえて一言付言をしておきたいと思うんですが、私たちはそういう恣意的な姿勢でこの協議に臨んでおりません。私は、正直言って二十二日の段階では場合によったら決裂するかもしれないと思いましたが、それも辞さずでいい、基本方針を貫けというふうに言ったんです。

 それで、新聞報道等もあったようですが、私どもの中川局長については、あなたは協議者として適当でないと大変失礼な言辞も浴びせられた、こう聞いております。私は、いかに苦労が大きかったかということをむしろ察して、その労を多としているところであります。

山内委員 個別の質問に入る時間がなくなりますので、これはこの程度にしますけれども、アメリカという国は、昨年の十二月に一頭目が出た後、全頭検査を検討しようともしなかった国なんですよ。ですから、やはり、市場原理だけというか、そういうアメリカの戦略にのみ込まれないような日本の確固たる姿勢が本当に求められていると思っています。

 これで入り口論では最後にします。

 今、政治献金の問題で、迂回献金というのが叫ばれておりますね。自民党さん、なかなか迂回献金禁止について踏み込まれないし、銀行振り込みだとはっきり証拠が残るのに、そでの下というのをまだ残そうとされているんですけれども、メキシコとの間で経済連携協定が発効されますよね。迂回献金というわけじゃないんですけれども、アメリカの肉がメキシコに行って、メキシコからどんどん日本に入ってくる、そういうおそれについては懸念されることはないのかどうか。総論の部分では最後の質問にします。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は、牛肉などの畜産物を海外から輸入します際には、家畜伝染病予防法に基づきまして動物検疫というのを実施いたしておりまして、その際に、具体的な条件につきましては、相手国との間で衛生条件というものを取り決めております。

 メキシコからの牛肉の輸入につきましては、BSEの発生がないことを前提といたしまして、二つの条件がございます。一つはメキシコで生まれて、そして育てられた牛由来であるか、またはBSEの未発生国で生まれて、そして飼養された牛由来であるか、このどちらかであることを証明された牛肉について輸入を認めるというふうにしているわけでありまして、今おっしゃいましたような、アメリカといったBSEの発生国産の牛肉がメキシコ経由で我が国に輸出されることがないように、相手国との間できちっとした取り決めを行っております。

山内委員 それでは、個別の論点について入っていきますけれども、アメリカとの協議の中で、個体識別は、個体月齢証明、集団月齢証明、授精月齢証明、それから工程証明個体識別という四つのいずれかを行えばよいということに合意をしておりますけれども、農水省は、二十カ月齢であって二十一カ月や二十二カ月齢ではないという判断がこれできちんとできると思っておられるのですか。

大口大臣政務官 日米の局長級会合で、アメリカ側から、生産記録を通じた月齢判別方法として、先生がおっしゃいました四つのオプションの提示があったわけでございますけれども、この月齢証明方法の詳細については、今後日米の専門家の間で議論を継続していくこととしております。

 いずれにしましても、科学的見地に基づき、消費者の食の安全、安心の確保を大前提に、我が国として納得できる判別方法を確認していく必要がある、こういうように考えております。

山内委員 しかし、その決意とは逆に、この四つの識別方法の例外を決めたんじゃないんですか。

 つまり、枝肉を取り出して、二十カ月以下のものかどうかを判断するのに、この肉の色は二十カ月以下だ、この骨は二十一カ月以上の枝肉だ、そういうことについても専門家の協議によって、四十五日以内に判別できるかどうかについて検討をする。つまり、先ほど述べた四つの診断方法については、これは科学的な知見によって判断、しかし、今述べた問題点については、肉を見て、骨を見て二十カ月以下かどうかを判断する。極めていいかげんな、評価にしかすぎないような判定方法も、二十一カ月以上の肉かどうかの識別の基準にしようと合意したんじゃないんですか。

大口大臣政務官 合意はしておりません。

 いずれにしましても、科学的見地によって、食の安心、安全というものを大前提としてやっていくということでございます。(山内委員「合意しているでしょう。実務担当者は」と呼ぶ)

中川政府参考人 補足をさせていただきます。

 今、大臣政務官の方からお答え申し上げたとおりでございまして、この共同記者発表の原文をお読みいただければ書いてございますけれども、この四のところにありますように、枝肉格付システムが、枝肉の生理学的月齢を証明し二十カ月齢以下であると評価できることを客観的に明示する場合には、このプログラムの要件を満たす方法として用いられるということで、まだこのための、我々からしましては、こういったデータがそろっていないというふうに思っております。

 アメリカ側でこのための調査を行うということで、先ほど先生がおっしゃいましたのは、そういったアメリカ側で行う調査の報告を四十五日以内に取りまとめて提出されるということでありまして、その結果につきましてどう判断するかというのは、これから日米間で協議をしていくことになってございます。

山内委員 では、次の質問に行きますけれども、例えば、これから三年後から、各都道府県が全頭検査を継続するかどうかが自由になって、補助金も出ませんよというような仕組みになりますよね。そのときに牛肉のパックにはどういう表示がなされるのかということをお伺いしたいんです。

 つまり、この牛肉は全頭検査済みです、この牛肉は、三年経過しましたからと書かれるかどうかはわかりませんが、検査しておりません、あるいは、これは米国産の肉で検査はしておりませんとか、どういう表示のシールを張られるんですか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、表示につきましては、JAS法に基づきまして、生鮮食品につきましては、名称とそれから原産地が表示されることになっております。ですから、海外から輸入される牛肉が店頭で販売される場合には、その名称及び原産国ということで、アメリカ産ということが表示されなければJAS法上違反ということになるわけでございます。

 それから、国内の牛肉につきまして、検査したものかどうかと。これは、自主的な検査に移った場合の後の話でありまして、そういったものを表示するかしないかも含めてルール上特に法制上の規制はございません。仮に検査をしたというふうなことをお張りになるということであれば、そのことが本当かどうか、つまり、義務的な検査を外れている牛肉について検査をしたというものを表示される場合であれば、そのこと自体の真正性、それが本当かどうかということのチェックはしていく必要があるかというふうに思っております。

山内委員 私が新聞で接したのでは、山口、岩手、福島、岐阜、兵庫、佐賀、この県は三年経過しても自主検査は続けると表明しておられるような記事に接したんですけれども、つまり、二十カ月以下の牛肉についてもBSE検査をする自治体としない自治体があると、消費者はちゃんと検査を受けている自治体から来る牛肉を選ぶんじゃないかと私は思うんですよ。そうすると、国内で自治体ごとに扱いにばらつきが出るということになるわけですが、厚労省はこういう事態を当然、いいと思っておられるんでしょうか。

外口政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、食品安全委員会に諮問しております対象月齢の見直しは二十一カ月齢以上の検査が必要とするものでありますけれども、これは安全基準としては一つと考えております。他方、御指摘にありましたように、各自治体での全頭検査をやるかどうかのばらつきが出た場合には、やはり消費者の不安心理あるいは生産流通の現場における混乱というものも考えられますので、それを回避する観点から経過措置を考えているところでございます。

 それで、三年後どうするかということでございますけれども、私どもは引き続き徹底したリスクコミュニケーションを行いまして、安全と安心、あるいはその月齢以上の検査を行うことと安全性の関連について等々、よくよく消費者など関係者に理解を深めてまいりたいと考えております。

山内委員 常田副大臣にお伺いしますけれども、BSE検査に係る費用の補助が三年で打ち切られるということですが、それ以降に引き続きBSE検査を続けて行う都道府県があるわけです。検査費用を価格に上乗せして、しかし、検査済み、安全ですよと売っている牛肉と、安いけれども検査はしていないんですよ、申しわけないというようなシールを張って、それが両方同じ店頭に並ぶ、そういう可能性もあるわけですが、農水省の立場としてこのような混乱をどうおさめていくんですか。

常田副大臣 屠畜場におけるBSEの検査につきましては、今厚生労働省から話がありましたように、厚生労働省の所管であります。しかしながら、消費者の方々の安全とあわせて安心という観点からこの問題を考えていく場合、やはり地方自治体が自主的に検査を行う場合に経過措置として引き続き国庫補助を行うというふうにしたと理解しております。

 私は、やはりリスクコミュニケーションが大事だと思います。したがって、食品安全委員会に今諮問しておりますことの答申が出ましたら、そのことに基づいてすべての県で徹底的にリスクコミュニケーションを行うぐらいの姿勢でやっていく、そのことで不安を解消していくということだろうというふうに思っております。

 以上でございます。

山内委員 どうもありがとうございました。

 時間がなくなりましたが、日本で二十一カ月の月齢でBSEが発症したというその牛は、二十一カ月と十六日目、つまり、やっと二十一カ月になって二週間ほどたって発症した牛なんですね。つまり、二十カ月と二十一カ月というその線が本当に確実なものなのか。二十一カ月と二十三カ月の発症牛が出たわけですけれども、その牛を例えば二十カ月で検査しておったら出ていたかもしれませんよね。

 先ほどから科学的な知見ということを酸っぱく言っておられますけれども、それでは、日本や世界の科学で鳥インフルエンザの原因がわかったんですか。わからないじゃないですか、今もって。BSEだって、肉骨粉と言われているのに、いや、ほぼ間違いないというような何か必ず前頭詞があるわけでしょう。

 ですから、科学的な知見ということも大事かもしれませんけれども、しかし、今まで全頭検査をやって大丈夫だというふうに国民に信頼を与えて牛肉を販売してきたわけですから、やはりそれを百八十度転換するという姿勢に転じるならば、今常田副大臣がおっしゃったように、これまでの説明で納得させられてきた消費者が全く不信に思わないような、本当に、今リスクコミュニケーションが全国何カ所かで行われているその会場で一番最初に出るのは、大丈夫かよ、大丈夫かよという話ばかりじゃないですか。だから、思い切って、そういう声が本当にやまないんだったら、やはりもう少し慎重にアメリカと交渉しようかというぐらいの度量を持って、この日米交渉に臨んでいただきたいということを最後にお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

山岡委員長 次に、白保台一君。

白保委員 まず、自然災害の対策について、その取り組みについてお伺いいたします。

 本年は十個もの台風が日本に上陸し、各県に連続して多大な被害をもたらしました。やっと台風が一息ついた先週末、今度は強い地震が新潟県を中心に発生しました。これらの災害で亡くなられた方、けがをされた方、家や財産をなくされた方が多数いらっしゃいます。心よりお見舞いを申し上げます。

 さて、大臣もあいさつの中で、豪雨、台風、噴火、地震についての対策に触れておられましたが、一層の取り組みをまずお願いしたい、このように思います。

 昨日も、私ども部会をやっておりまして農水省の取り組み等をお伺いしましたが、備蓄食料を出動させて対応しておられると。大変農水省もフル回転で頑張っておる、こういうことをお聞きしておりまして、まず敬意を表したいと思います。

 さて、台風について伺いますが、台風は地震と違って、最近では予報円ができて常に進路とか予想されますから、ある意味ではその対策等をとることもできるんですが、ただ、思ったよりも大きい台風が来ますと、これはまた人的被害があったり、あるいはまた家屋や道路、農作物にも甚大な被害が出るわけであります。先週の台風二十三号の場合も大雨をもたらして、収穫半ばの水稲の冠水やハウスの倒壊、野菜の浸水、冠水、果樹の落果など、深刻な被害が全国に今出ております。また、私の地元の方もかなり被害情報が寄せられております。

 私の地元に久米島町というのがあって、一つの島です。その島はサトウキビやいろいろなことをやっています。そういう中で、サトウキビについては先般の委員会で価格決定の問題についてもお伺いしたわけですが、このサトウキビがこれから、十二月から一月、二月、三月、収穫期に入るわけです。そういう時期に台風が来ますと、これからもう最後の伸びがやってくる、糖度も高まっていく、そういう状況の中で物すごい風が吹いてくる、折れたりなんかしたものは大変少ないものでありますが、時間が長く強風にさらされてまいりますと、葉っぱが裂傷、傷がついて裂けたりする。

 そういうことがあって、前回の台風、二十一号、二十三号、両方合わせると、これは小さい島ですけれども、島の北と西側で葉っぱがもうほとんどなくなってしまって、これから生育の最後という状況の中で非常に厳しい状況になっている。したがって、増収につながる生育が今後見込めないな、こういうふうに農家の皆さん方は非常に心配されておられるわけですね。

 また、彼岸出荷の植えつけを行っていた電照菊、こういったものもありますけれども、そういったものも大きな被害が出てしまった、停電してしまうと電照菊はもうだめですから。停電や、またかん水が機能しなくて、次の収穫が見込めない。あるいは、インゲンやゴーヤーというものもつくって本土へ出しているわけですけれども、これらも見込めない。小さい島で一億近い被害を出しますと、農家の皆さん方は大変なパンチを受けて厳しい状況に立たされています。

 そういった意味では、ひとつ沖縄に限らず、それぞれの地域で、農家の皆さん方が一生懸命育ててきた農作物というのがかなりの被害に遭っておりますので、それぞれの地方の公共団体の情報をしっかりと把握していただいて、そして即座に対応していかなきゃならない、こういうことじゃないかと思いますが、大臣の御所見をまず最初に伺いたいと思います。

島村国務大臣 ただいまも御指摘がありましたけれども、ことしは異常なまでの台風の連続襲来ということでありまして、七月の梅雨前線の豪雨以来、台風が実は十回も上陸をしている。何か、台風がどういうふうに進路をたどるか、情報を見ておりまして、いつも思ったことですが、ことしはこのまま中国の方に抜けるのか、韓国の方に抜けるのかと思っていると、どういうのか、直角に曲がって日本の本土を縦断するような台風が多い。他国へ抜ければいいということではなくて、私はその都度感じたことでありますが、沖縄がいつもその玄関口になって毎回の襲来、本当にやる気を失わないで欲しいな、政治家としてそんなことを実は感じておったところであります。

 そういう意味で、ことしも、御指摘がありましたように、農作物はもとよりですが、農地、農業用施設、林地、林道、漁港等へ多大な被害を受けまして、現在時点で五千七百億というのが試算されておりますが、これもまたかなりふえてくると予測されるところです。

 これに加えまして、先般新潟県の中越地震が起きました。これまた農地、農業用施設の損壊あるいは林地荒廃が多数発生しているとの報告があるところでありまして、これらの被害に対する正確な調査はなお時間を要しますけれども、私たちは少なくも、これらについて、この地域の方が犠牲者ということでなくて、たまたま被害を受けたけれども、再びやる気を起こして頑張っていただく。この中に日本の歴史が築かれているわけでありますから、我々は、その歴史の担い手、地域の担い手に温かい政治の配慮が行き届くような努力をしていきたい、こう思うわけであります。

 そういう意味で、これからは具体的な支援策といたしまして、災害復旧事業の早期の実施、それから共済金の早期支払い、また加えて低利資金の円滑な融通等、いわば今回の地震あるいは台風の被害者に対して、我々は最善を尽くしてこれらに取り組んでいこう、こんなふうに考えているところであります。

白保委員 島々に住む人たちは農業、漁業、そういったことで生計を立てていますね。農業の方を今申し上げましたが、水産業も非常に大変なんです。

 先般の台風で、私も先日の日曜日にずっと島回りをしてまいりました。座間味村という村がありますが、幾つかの島で成り立っている村です。その中には阿嘉という漁港があります。その漁港へ行きましたら、せっかくきっちりとした防波堤をつくって漁港もつくってあった。何百トンというものが、つなぎ合わせてありますから、これがもうみんなひっくり返るぐらいに離れていまして、ウエルカム・トゥー阿嘉と書いてあるんですが、文字が書いてあってもMとEの間が何メートルも離れるぐらい、そういう状況になっています。

 したがって、こういう状況のことについてもしっかりと取り組んでもらわなきゃいけませんし、先ほどの久米島ですが、あそこはクルマエビをやっておりますけれども、二百万匹が飛んでいってしまった、これだけで一億だ、こういうふうに言われている。農業で一億、漁業で一億、もう大変なんです、水産業で。これは、そういう面では水産業の方もあわせて、ぜひ対応をしていかなきゃならないんじゃないか。大臣、いかがでしょう、御所見。

島村国務大臣 まさに想像を絶する被害状況だと思いますし、実はそのことを痛感したのが、この間の三位一体改革の官邸の会議で稲嶺さんとお会いしまして、前に座っているので大きな声は出しませんでしたけれども、憔悴し切った彼の顔を見たときには本当に同情を禁じ得ませんでした。

 私は、別にそういうことに驚くということではなくて、やはり政治家ですから、前向きに取り組んで、結果で、何かを目標にしなければいけない、こういう思いを新たにしたところであります。

白保委員 そこで、次の問題に関連してまいりますが、昨日も本会議で大臣も御答弁になりましたが、こういう状況を受けて野菜価格の高騰、価格安定対策、私どもの石田議員が質問をしておりましたけれども、非常に台風や長雨で野菜の産地に打撃を与えております。作物の冠水被害によって野菜の生育不良や収量、品質低下、こういったものを避けることができずに、市場に出荷される野菜数量の低下が、随分下がってきている状況にあるわけでありまして、合わせて野菜は高騰をしていく、こういう状況で消費者への影響も大きなものが出たわけですね。

 そういった場合に、昨年まで農水省は緊急野菜供給対策によって、契約栽培の野菜を放出させたり、あるいは緊急輸入を行って価格を沈静化させる、こういうことをやっておったわけですが、二〇〇三年十月にこの対策事業の実施主体である野菜供給安定基金が農畜産業振興機構に統合され、対策というものはなくなってしまった。

 したがって、今農水省が打てる手というのは、まず生産者団体に早出し出荷の要請をするということが一つ、二つ目が規格外品の出荷の指導をしていくということ、三つ目が生育の早い軟弱野菜の生産奨励などに限られている。この三つに、今手を打つとするならば限られている、こういうふうに言われているわけですが、実際にいろいろ町で聞いてみますと、奥さん方も、レタスがもう六倍だとか十倍だとか、そういう声を聞くわけですね。したがって、こういう中で輸入業者に非常に注文が殺到をしている。そうすると、また輸入が拡大になってまいりますね。

 そういう面から考えると、こういう状況の中で農水省としていかなる需給調整を図るのか、さっき申し上げた三つの問題と、ほかに方法があるのか、その辺を大臣に伺いたいと思います。

白須政府参考人 ただいまの委員の御指摘でございます。

 レタスを中心とする葉物につきましては大変高い水準になっておりまして、消費者の家計にも大変大きな影響、お話しのとおりでございます。ただ、現在、先週来の台風もあれしまして、天候も徐々に回復をいたしてきておりまして、キュウリなり、そういったものは太陽が出てきますとそれなりの出荷の促進も図られておりまして、徐々に出荷量も増加をいたしてきているわけでございます。したがいまして、きのうきょう、市場を見ましても、野菜価格も低下しつつあるわけでございます。ただ、委員もお話しのとおり、そうはいっても、出荷量が平年水準に回復するにはやはりさらに時間がかかる、お話しのとおりかというふうに思っております。

 そこで、委員も御指摘ございましたが、これまで野菜供給基金がキャベツなんかを契約しまして、それで高騰時に売り渡すとか、あるいは基金が緊急輸入をするというふうなことも実は過去にはやっておったわけで、お話しのとおりでございます。ただ、これはやはり費用対効果というふうな観点から見ましても、なかなか毎年、そういうことがない場合にはむだに費用を使うだけだというふうな御指摘もあり、あるいはまた輸入にいたしましても、これは、お話しのとおり、国が直接やるというよりは民間ベースで輸入も実はどんどんふえてきておるというふうな実態もございます。

 私どもとしましては、ただいま委員も御指摘ございましたが、出荷の前倒しなり、あるいはビニールの被覆等々で温度管理をしまして生育を促進する、あるいはまた曲がったキュウリとかそういうふうなふぞろいな、通常は出荷されない野菜をできるだけ市場に出していただくということをできるだけ促進するというふうなことを行っているわけでございます。

 さらに加えまして、出荷団体につきましても、出荷をできるだけ確保していただく、促進していただく。ですから、できるだけ早めに次の産地のものが出荷いただくように、リレー出荷といいますか、そういうものも行ってまいる。あるいはまた、消費者の方々にもできるだけ価格の動向の情報を提供するといったいろいろな、さまざまな努力を講じておりまして、そういうことでできるだけ国産の野菜を市場に出す努力というものを続けてまいりたい。そういうことによりまして価格の安定を図ってまいりたいということでございますので、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。

白保委員 まさにそのとおりで、消費者は大変困っております。また、農家の皆さん方もお困りなんですが、消費者の方も大変ですから、しっかりとした対応、対策を打っていただきたいというふうに思います。

 そこで、大臣も都市農業に関係があるんだと思いますが、都市農業というのは、かつて人口の一極集中で急激に宅地化が進められて、荒廃の危機にさらされてまいりました。しかし、近年、都市住民の新鮮で安全、安心な農作物を食べたいとか、安らぎをもたらす自然環境を保全したいだとか、地産地消とか、そういう要請で再び光が当たってきつつあります。東京などを中心とした都市及びその周辺の市街化区域や、さらにその周辺の市街化調整区域でいわゆる都市農業が展開されているわけですが、税制を初めとした農地の確保と保全のための制度改善が都市農業振興の課題ではないか、こういうふうに思います。

 食料・農業・農村基本法三十六条で、「国は、」「都市住民の需要に即した農業生産の振興を図るために必要な施策を講ずるものとする。」こういうふうにありますが、都市農業振興の責務は私は国にあると思います。したがって、どういう取り組みを、先ほど課題も申し上げましたが、都市農業振興の国の取り組みについて伺いたいと思います。

島村国務大臣 お答えいたします。

 御理解いただいて大変ありがたく思いますが、都市農業というのは意外と侮れません。例えば私どもでは、キャベツ日本一、セロリ日本一などと思われておりまして、かなり熱心な研究をしていわばその成果を生んでいるところでありますし、割と皆さんに知られているコマツナなども私どもの地場産業でございます。そういうことも考えまして、都市農業がまさにできたての新鮮な野菜を都市部に供給する。現在のように非常に食の内容の前進を見ますときに、非常に人気が高いことをつぶさに拝見しているところであります。

 そして同時に、コンクリートジャングルといいましょうか、そういう中にいて、目に見えない精神的な切迫感というのはありますから、こうした地に、いわば都市に緑の空間があるというのは非常な安らぎになります。そして同時に、農業に対する理解を深めるための市民農園等もかなり最近活発化して、特に子供さんの教育に非常に大きな効果を上げています。

 そういうことから、これからもいわば都市住民の触れ合いの場であり、かつ農業に対する理解と、そして感謝の気持ちもついでに持っていただく意味からしても、市民農園等をさらに整備していく必要があろうと思いますし、また、ボランティアによる農作業の支援、これも最近高齢化が特に地方で進んでおりますから、そういうことに対しても道を開いていくというのが我々のとるべき道、こう考えております。

白保委員 この問題は、先ほど申し上げましたように幾つかの課題がございますので、改めて議論をしたいな、こう思っております。

 最後に、時間ももうありませんので、先般、桜島の方からの要請がございました。火山対策、これも我が国にとっては非常に重要なことでございまして、降灰、いわゆる灰が降ってくる、そしてまた火山ガス、そうしたことでもって農作物の被害とか、そういったものもございます。

 そこで、火山対策の中で、次期防災営農施設整備計画、今までは現行の活動火山周辺地域防災営農対策事業というのが実施されておったわけですが、次期防災営農施設整備計画に基づく平成十七年度事業枠確保が必要ではないかという要請等もございました。このことが一つと、もう一つは漁業について、軽石や何かがあって、漁業においても大きな影響を与えているようでございますので、それらについても効果的な取り組み、国の支援が必要だろうと思いますが、それについての御答弁をいただきたいと思います。

大口大臣政務官 今委員から、防災営農対策について御質問いただきました。

 鹿児島また宮崎と、被害も、私も静岡県ですので、降灰によってお茶が被害を受ける。葉たばこ、あるいは温州ミカン、菊、タカナ、こういう被害を見ておりまして、活動がまだ桜島は続いておりますので、平成十六年度までの施策とともに、平成十七年度の次期の計画につきましては、これは鹿児島県と宮崎県で次期の計画の策定を今検討している、このように承知しておるわけでございますので、今後とも両県と密接な連携をとりまして、引き続き被害農業者の経営安定と地域の農業の健全な発展が図られるよう努めてまいりたい、こういうふうに決意をしております。

田原政府参考人 水産の関係につきましてお答えいたします。

 黒神川から周辺水域に軽石が流出して漁業者の方々が迷惑をこうむっておられるということで、昭和五十九年度からでございますけれども、軽石の除去の事業、これに対します助成ということを行っております。鹿児島市等々の関係市町村に対する助成ということでございまして、漁場環境保全創造推進事業、これは我々、十九年度までは行いたいという予算のスキームになっておりますので、今後とも要望等を踏まえながら適切に対応してまいりたい、かように考えている次第でございます。

白保委員 終わります。

山岡委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 時間が限られておりますので、BSE問題に絞って伺いたいと思います。

 十月五日の委員会でもこの問題が中心話題になりました。食品安全委員会から中間とりまとめが出されたこと、この結論が、二十カ月齢以下の牛についての全頭検査を検査対象から外すべきという結論ではないけれども、「二十ケ月齢以下のBSE感染牛を確認することができなかったことは、今後の我が国のBSE対策を検討する上で十分考慮に入れるべき事実である。」この記載をどう解釈するべきか、そのことが問われたかと思います。一気呵成にアメリカからの輸入再開になるわけではない、国内法の整備をまず、食品安全委員会への諮問、そしてパブリックコメント、再開に当たってはリスク評価がされるということが確認されたのではなかったかと思います。

 ところが、その後、食品安全委員会に諮問もされ、また二十三日の第四回日米局長級会議が行われて、共同記者発表がされました。先ほど来問題になった二十四日付の日経新聞にもありますが、米側代表のペン農務次官が記者団に数週間後には牛肉輸出を再開できるかもしれないと語ったということは、非常に驚く認識であります。先ほどの答弁の中で、このことについては外務省としては覚えがないことで、確認をする、また、確認した上で事実であれば対処もするというような答弁があったと思うんですけれども、なぜそういうことが何度も繰り返されるのか。アメリカがこのように認識するという背景には、やはりこちらの姿勢があったのではないかと思うんです。

 同じ二十四日付の日経新聞の記事の中に「協議の冒頭、日本側は輸入再開の条件として、若い牛なら検査なしで輸入を認める方針を伝えた。」とあるが、この発言はどういう意味でしょうか、外務省に伺います。

佐々江政府参考人 今お尋ねの日経新聞の記事というのは、私、必ずしもよく知らないのでありますけれども、協議の冒頭で我々が伝えた考え方というのは、日本側の考え方として、危険部位の完全除去、それから、今、国内で政府の考え方として諮問を行っている月齢二十カ月以上のものについては検査が必要だということは、るる説明したと思いますけれども、それ以外のことは、我が方の考え方を変えるようなこと、あるいは誤解を招くような発言をしたことは一切ないし、ほかの出席者も同様であったというふうに思います。

高橋委員 では、記事にあることは事実ではないということですね。もう一度確認します。

佐々江政府参考人 ちょっと記事がよくわかりませんが、少なくとも、私どもが米側に述べたことあるいは主張したことは、今申し述べたとおりであります。

高橋委員 毎回このようなことが起きるんですね、新聞報道にはあるけれども言った覚えがないとか。そうしたことがやはりないように、であれば、議事録なり正確な資料を出していただきたいと思いますが、委員長、いかがでしょうか。

佐々江政府参考人 この種の日米間の協議、話し合いについては、両国間で協議をいたしまして、その結果を共同記者発表という形で発表したものがすべてでございます。もちろん、その間において、協議をしたわけでございますから、いろいろな意見交換をしたことは事実でございますが、両国間の約束で、それは不公表であるということでございます。協議の結果として出されたものがすべてであるということで、御理解をいただきたいと思います。

高橋委員 ちょっと理解はできませんけれども、これが事実かどうか、外務省の姿勢がどういうものであるかということは、やはりこの議論で検証されていくのかなと思いますので、次に進みたいと思います。

 きょうの日本農業新聞で、大臣、「お互いの認識を共有できた」というふうに述べた、「二十カ月齢以下の牛を検査から除外する方針を両国で確認したことを評価した。」と述べておられますけれども、大臣の認識というところはどこにあるのか伺います。

島村国務大臣 先ほど来の御説明でも申し上げていることですが、必ずしも和気あいあいといったわけにいかなかったわけでして、実は、私は二日目で、場合によっては決裂するかもしらぬな、その場に対してどう対応するかまで考えておったところです。そのぐらい激しいやりとりの中で両者譲らずというほどだったんですが、私は、三日目に延びたときに、逆に、これは、あるいは両者がまた逆に前進ができるのかな、こんな期待も持ったのが率直な感想であります。

 しかしながら、これは我が国は、先ほど来申し上げておりますように、あくまで科学的知見に基づいて、食の安全、安心を大前提として、そして我が国の国内措置にあくまで従ってもらう、これを基本に主張を貫いたわけでありまして、だからこそ私は、ちょっと内輪話になりますが、中川局長は適役でない、あなたはいわば話し合いの対象として好ましくないとまで言われていながら、彼は最後まで自分の主張を貫いた、それを多としたと申したところですが、決して相手方に迎合したものはありません。

 同時に、今、議事録云々とおっしゃいましたけれども、共同記者会見をやって発表しているわけですから、それぞれが全然認識が違うわけでもありません。あとはそれぞれの方の思いで物を言われたということでありますので、御理解をいただきたいと思います。

高橋委員 前回の委員会で、鮫島委員の質問に対し外口部長が、国内措置の見直しと輸入再開の問題は、これは全く別の問題と述べております。私は、これは非常に大事なことだと思うんですね。国内措置の見直しについては、今、諮問をされて、話し合いが始まった瞬間であります。しかも、きのうの食品安全委員会では異論が続出して本格的議論には入れなかったという報道もあります。

 ですから、今大臣は、迎合するものではありませんと明確におっしゃいました。そうであれば、日本の態度としては、アメリカに対しても、科学の知見も当然ではあるけれども、消費者、国民的議論も十分踏まえた上で検討するという考えを強く伝えるべきだと思いますが、そういう立場に立っておられるのか、確認をいたしたいと思います。

島村国務大臣 当然に、私は消費者の立場というものを大前提に考えております。

高橋委員 ありがとうございます。

 それでは、共同記者発表の中身について少し伺いたいと思うんですね。

 まず、BEV、牛肉輸出証明プログラムという聞きなれない言葉が登場しました。仮に二十カ月齢以下の牛は輸入できると決めたとしても、アメリカにはトレーサビリティーシステムがないじゃないか、このことはこれまでも指摘をしてきたところであります。

 今回、アメリカが示した四つの内容、個体月齢証明、集団月齢証明、あるいは、四つ目が本当によくわからないんですが、USDAの工程証明個体識別及びデータ収集サービス、こういうことが提案されておりますが、日本としては、そのアメリカが提案をした四つの内容の現時点でのアメリカの到達、どれだけのことができているのか御存じなのかどうか、中川局長に伺います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の日米局長級会合で、月齢の確認方法といたしまして、屠畜時に二十カ月齢以下の牛であることを、個体の月齢証明等の生産記録、この生産記録を通じて確認する方法を採用することになったわけでありまして、今先生がおっしゃいましたように、その具体的な例として四つが掲げられているわけであります。

 こういったそれぞれの証明方法につきましては、これはこの共同記者発表の冒頭にも書かれておりますけれども、今後、両国の専門家及び実務担当者によりまして具体的な検討作業を行っていくということになっております。

 したがいまして、私どもも、ここに掲げられております具体的な四つの証明方法につきまして、現地での確認等も含めて、本当にそれが確かに月齢が確認されるものであるかどうかといったところの詰めの作業は、これから行っていかなければならないというふうに思っております。

高橋委員 それぞれの制度というか個体月齢証明とかというこのシステムが、どの程度のものなのか、本当にできるものなのかはまだ把握されていないということで確認してよろしいですね。

 アメリカがなぜこれを出してきたのかなと思うんですね。四つ示しているけれども、いずれか一つであればよい、そこにやはりみそがあるのかなと。個体月齢がきちんと証明できるなら、いわゆるトレーサビリティーシステムがあると言えますか。ここは確認です。

中川政府参考人 日米の牛肉貿易の再開条件の一つであります月齢確認につきましては、大変重要な要素でありますけれども、これは、書類等によりまして客観的に二十カ月齢以下であるということが証明される、そのことが何より大事であると思います。

 今、トレーサビリティーシステムというお話がございました。確かにトレーサビリティーシステムというのも、その機能の一つとして月齢確認ができる場合がございますけれども、また、かつ日本の場合はそれで月齢確認ができるようなシステムになっておりますが、必ずしも日本と同じようなトレーサビリティーシステムが月齢確認に不可欠であるとは思っておりません。要は、この日米間の貿易再開につきましては、繰り返しになりますけれども、きちっとした月齢が確認できるシステムが必要不可欠ということでございます。

高橋委員 日本と同じようなシステムが不可欠とは言えないけれども、月齢がきちんと確認できればよいということですね。だけれども、それはまだできるかどうかはわからないとおっしゃっていますよね。だから、私はそのこと自体がまず不満なわけですね。

 それと同時に、報道にもあるとおり、アメリカの本音はこの次のところの、枝肉の格付及び品質属性に関する協議を継続していく、これで何とかやろうというのが落としどころなのかなと思いますが、農水省として、この枝肉の評価で、二十カ月以下かどうか、それを明確にできるとお思いですか。

中川政府参考人 これまでもアメリカから幾つかの資料は提供され、説明も受けておりますけれども、その限りではまだそういったことは不十分だというふうに思っております。

 ただ、今回のこの協議を通じまして、こういった、先ほども申し上げましたが、承認手続に必要な、二十カ月齢以下であるということがきちっと枝肉の生理学的なものによりまして評価できるかどうかということは、今改めてアメリカ側で調査を行うということになっております。その結果を見てから判断をしたいというふうに思います。

高橋委員 不十分だということが現時点の到達だということを確認したいと思います。

 次に、厚生労働省に伺いたいんですけれども、食品安全委員会の中間とりまとめの考え方ですけれども、三百五十万頭検査して一番若かった発生牛は二十一カ月だった、これまでの実験から見ても二十カ月齢のところが検出限界だということが言われたわけですよね。

 私どもは、そもそも検出限界は科学の知見によって下がっていくということ、さらに、検出限界だからといって感染している可能性を否定できないということも指摘してきましたし、その点も中間とりまとめの中には書かれてきたと思うんですね。だから、二十カ月と厳密に区切ることは、その前後、例えば十九カ月、二十一カ月にそんな差があるのかという疑問は依然として残りますよね。

 あるいは、中間とりまとめの中には、イギリスでの感染実験で接種三十二カ月後に感染性が見出された発症例は、三カ月後にそれが認められた、そのことを照らし合わせると、例えば二十カ月発症例の場合、十七カ月齢で感染性が検出される可能性もあるということまで踏み込んで書かれておりますよね。ですから、二十カ月と厳密に区切ることがどうかということは、現実問題として問われていると思いますが、その点いかがですか。

外口政府参考人 二十カ月のところで厳密に線が引けるかどうかという御指摘であります。

 何カ月でBSEが確認できるかということは、まず接種した異常プリオンの量、それから検査の検出限界、そして増殖する期間、この三つのファクターから成り立っていると思います。したがいまして、その三つの関数によるものですから、どこか二つがある程度規定されないとなかなか決まってこないわけです。そういう意味で、いわゆる純粋な科学者の立場からいえば、いろいろな御意見があることは承知しております。

 ただし、御指摘にありましたような英国の一九九二年の二十カ月の発症例の場合は、当時の英国のBSEプリオンの暴露量というものがかなり大きいもので、これは例外であろうということは報告書にも書いてあるとおりです。それから、検出限界につきましても、これも現在の検出法では二十一カ月というのが一番小さいわけでありますし、それは実際プリオン量も微量であったわけでございます。あと、プリオンの増殖の過程においては、これはリニアカーブというか直線的にふえるのではなくて、どちらかというと指数関数的なふえ方をする、そういった性質もあります。そういったこと等々を総合的に判断しまして、食品安全委員会の中間とりまとめの報告書になっていると思います。

 そういったことを考慮いたしまして、私どもは検査対象を二十一カ月齢とすることを食品安全委員会に諮問したところでありまして、それによってもリスクは変わらないんだというのが我々の立場でありますけれども、これについて十分御審議いただきたいと考えている次第でございます。

高橋委員 答弁は同じなんですけれども、現時点では二十カ月だ、そういうところまで今到達していて、しかしアメリカのトレーサビリティーという、月齢判断というのはまだ現時点ではわからない、明確ではないということまでわかっている。そういうときに、アメリカは既に三十カ月齢にしたいということを明確に言っているわけですね。私は、日本が完全に足元を見られているなと思うんです。

 あり得ないことだと思いますが、農水省に確認したいと思うんです。そういうことは受け入れる考えはないなということと、一度再開したら、今は一定の手続を踏むけれども、次の段階は一気に簡略されるということはないですよね。確認ですので、伺います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 科学的知見に基づいて、それ以外の条件によって何か条件が変わるということは、これから先、あり得ないことだと思っております。

高橋委員 限定されたので、それはよろしいかと思います。

 それで、「貿易の攪乱の防止」ということなんですけれども、「少数の追加的なBSEの事例が確認されても、科学的な根拠がなければ輸入停止や牛肉貿易パターンの攪乱という結果に至ることはない。」これは非常にわかりにくいですね。「少数」とはどれくらいか、「牛肉貿易パターンの攪乱」とはどういうことか、これをはっきりと言ってほしいと思うんです。

 日本においては、今後も二十カ月以上は全頭検査がされていく、しかも、ダブルスタンダードと言われるけれども、当面は各県が二十カ月未満も全頭検査をやるだろう、そうすると、発生の確認というのは当然少しずつまた出ると思うんですね。しかしそれは、消費者にとっては、国民にとっては、しっかり検査がやられているなという確認になります。

 だけれども、アメリカはそういう努力をしているだろうか。日本に輸出していたときも八割が若い牛だった。二十カ月以上の牛は、相変わらず全頭検査というわけではないわけです。日本が措置を緩めただけだった。そうなると、少数の追加的な事例というのは、日本においては、あと一頭出ても重大な意味を持つけれども、アメリカにおいては、圧倒的な屠畜頭数の割合からいっても、本当にまれだというふうに片づけられてしまうんですね。この価値観の違いがどう受けとめられるのかということは非常に問題になるんですよね。

 この点について、私は、非常に消極的な言いぶりではなく、逆に、そういう科学的なあれがあればきちんと見直しをするという立場の確認をするべきと思いますが、伺います。

中川政府参考人 「貿易の攪乱の防止」ということについてのお尋ねでございますけれども、今後、日米間で条件を整えまして牛肉貿易を再開する、そういうふうに再開をする以上は、BSEに関します現在の科学的知見に基づいて安定的な貿易が可能となるような、そういう条件を設定するというのはある意味で必要であり、また当然のことではないかというふうに思います。こういった考え方のもとに、科学的な根拠なく輸入停止等の措置を講ずるべきではない、そういう趣旨で設けられたものでございます。

 したがいまして、少数の追加的な事例というのは具体的にどれぐらいの数だとか、そういうことではなくて、あくまでも我々が今現在共有している科学的知見、それを覆すような新たな事態が生じた場合には当然この限りではないということで、また新しい事実関係をよく検証して、それに基づいて適切に対応していくということでございます。

山岡委員長 高橋さん、時間です。

高橋委員 終わります。よろしくお願いします。

山岡委員長 次に、山本喜代宏君。

山本(喜)委員 社民党・市民連合の山本です。

 冒頭、新潟県中越地震及び台風二十三号において亡くなられた方々に哀悼の意を表します。また、被災者の皆さんに心からお見舞いを申し上げます。

 連続する台風、そして追い打ちをかけるような地震の災害、先ほども、松木委員の質疑のときにも震度六弱の余震がございました。大変な被害でございます。政府においても、この被災者の皆さんの救済ということ、並びに農林水産業の振興に向けて、万全な支援体制をとっていただきたいということを冒頭申し上げておきたいというふうに思います。

 この自然災害でございますが、特に台風の連続した来襲ということでは、地球温暖化の影響があるのではないかというふうに言われております。太平洋の海水温が非常に高くなっているということが、太平洋高気圧のへりを回って日本列島にたびたび来襲するようになってきたというふうなことでございます。

 そこで、地球温暖化の対策についてお伺いをいたしますが、森林における三・九%を達成していくということで、昨日の大臣の所信の中でも、この十カ年対策に基づいて適切な森林の整備保全、木材利用の推進等に必要な対策を講じていくということが述べられておりましたが、この第一約束期間内における三・九%を達成することを中身とした十カ年対策の第一ステップ、これは今年度まででございますが、この第一ステップをどのように評価しているのかという点。

 それから、中央環境審議会が八月にまとめた地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しに関する中間取りまとめを踏まえて年内に新しい温暖化対策推進大綱が作成をされると、当然追加的な措置が盛り込まれるというふうに思いますけれども、この十カ年対策の達成に向けて今後どのように取り組んでいくのか。

 例えば、具体的な中身でいえば、林野庁は平成十七年度概算要求、予算の概算要求ですが、一般公共事業費三千七百十一億円、総額五千五億円の概算要求をしております。現在の吸収源対策の進捗状況を見ると、吸収量は三・一%にとどまるということも言われております。ですから、この概算要求の満額確保はもとより、環境税ができるかできないかにかかわらず、予算の追加的措置が必要というふうに考えますけれども、この点についてどのような認識を持っておられるのか、お伺いします。

岩永副大臣 お答えをいたします。

 いよいよロシアの下院が通過し、上院に移って、そしてプーチンの署名が終わったら九十日後、だから一月の下旬に正式に発効される、こういうような事態に来ておるわけでございますし、先生のおっしゃったように、地球温暖化の問題、本当に日本の国にとっても大変重要な役割が来た、このように思っております。

 そういうような状況の中で、三・九%のうち、今先生がおっしゃったように、三・一%しか見込めない。これは平成十年度から十四年度の平均をとって延ばしていくと三・一だ、こういうことでございまして、いよいよ十七年度からの第二ステップに向けて頑張っていかなきゃならぬ、こういうことでございます。それで、間伐対策の推進、それから特に荒廃森林の針広混交林への再生等を含めて、平成十七年度の概算要求で一一七%要求しているわけでございまして、私ども、このことは国と国の約束だからどんなことがあっても満額達成したい、こういう意気込みでいるわけでございます。

 いずれにいたしましても、これだけの問題を解決しようと思うと現在の予算では無理でございますので、何としてでも環境税を創設していただいて、税収の使途に森林吸収源対策を位置づけることをひとつ何とか達成していきたい、こういうような意気込みでいるところでございます。先生方の格段の御支援をお願い申し上げたいと思うところでございます。

山本(喜)委員 どんなことがあっても達成に向けて頑張っていくということでございますので、ぜひよろしくお願いしたいということでございます。

 そこで、かなりの予算措置が必要になるわけでございます。中央環境審議会の地球温暖化対策税制専門委員会、この中でも、二〇〇五年から二〇一〇年までの追加投資額年間九千五百二十億円というふうな試算も出ているわけでございます。しかしながら、経団連の会長さん、これは、環境税は反対だというふうなことも言っておられるようですが、こうした経済界の見解に対して、政府の考えはどうでしょうか。

岩永副大臣 こういう圧力もあろうかと思います。それで、今、財務副大臣、環境副大臣、そして私どもと三省で、ひとつ副大臣のベースでの会議をしながらこの環境税に対する取り組みを推進していく、こういうことで、三人の副大臣の中での話を進めております。

山本(喜)委員 環境省からもお見えですので、ぜひお願いします。

能勢大臣政務官 御質問にお答えさせていただきたいと思います。

 先生も御指摘のとおり、現在、温暖化対策の見直しの作業を進めているわけでありますけれども、二〇〇二年度の温室効果ガス排出量は、目標の六%削減が、それが七・六%増加しておる現状、この数値を見まして、どうしてもこれには追加的な施策、対策が不可欠な状況になっておるわけであります。このことにつきましては、産業界も含めて、関係者の間では共通の認識になっております。

 ただ、環境税は、先生も御指摘がありましたけれども、エネルギー消費の節約や省エネ型の機器への買いかえを促すものであると同時に、私どもはこの税収を温暖化対策の促進の支援に使いたいということを考えておりますので、この効果的な排出削減を進めるためにも大変大事なものだと考えております。この環境税は、公平性、透明性、効率性、確実性の観点から大変大事な追加的な施策というふうに、有力な手段というふうに考えておるわけであります。

 しかしながら、先ほど御指摘のとおり、産業界からはさまざまな懸念が示されているところであります。環境省といたしまして、例えば景気とか雇用などの経済全体に与える影響については、この税収を完全に国内の温暖化対策に還流していただけた場合は軽微であろうというふうな試算も出しているところであります。一方、そうはいっても、エネルギーを大変使います多消費型の産業を含め、各産業に与える影響については、欧州の事例等におきましても、課税の軽減措置などを講ずることというように、さまざまな配慮がなされているわけであります。そういうことを考えますと、これからそうした事例も参考にしながら、十分にそうしたことに配慮した制度を検討していきたいと考えているところであります。

 いずれにいたしましても、今後より具体的な案を出させていただき、さまざまな機会を通して産業界の意見も出していただきますし、そして国民の皆様からの御意見を聞きながら、関係者の皆様の御理解をいただけるような努力を続けていきたい、そしてさらに議論を深めていきたいというふうに考えておりますので、どうぞ先生、御支援をよろしくお願い申し上げます。

山本(喜)委員 一月には京都議定書が発効するという情勢でございますので、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 次に、島根、鳥取両県に係る国営中海土地改良事業の計画変更についてお伺いをいたします。

 昭和三十八年に、中海の干拓で農地を造成する、そして宍道湖・中海を淡水化して農業用水を確保するということで始まった国営事業でございますが、その後の農業情勢の変化並びに干拓事業を取り巻く環境の変化ということによりまして、平成十二年に本庄工区の干拓が中止になりました。そして、平成十四年に宍道湖・中海の淡水化工事も中止ということになったわけでございます。

 そこで、この国営中海土地改良事業の見直しについてお伺いしますが、今後の方針について、環境問題を含めて、どのような目的のもとに協議が現在まで行われてきたのか。より広く、住民参加によって結論を出すべきではないのか。鳥取、島根、それから農水省、国土交通省、この四者だけの行政主導の協議ではなく、漁民、市民、環境団体を構成とした協議会に改めていくべきではないのかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

川村政府参考人 中海に関しますお尋ねでございます。

 今御質問にございました中海に関する協議会でございますが、これにつきましては、まだ残っておりますいろいろな課題に対しまして、両県、国土交通省、それから私ども農林水産省が入りまして協議をする場として設けておるところでございます。

 協議会自体でいろいろな住民の方々の意見を述べる機会というのはないわけでございますが、県あるいは農政局の通常の窓口を通じて御意見を伺うということにしております。それから、この協議会自体も、会議日程を公開いたしまして、そして傍聴も認めているということでございます。

 こういった通常の窓口の中でいただいた御意見も踏まえながら、この協議会での協議を行ってまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。

山本(喜)委員 事業が中止になったわけでございますから、できる限り宍道湖・中海をもとの自然環境に戻していくべきだというふうに考えるわけでございます。

 先ほど、地域住民の方の意見を反映する機会がないということでございました。私も十月七日に現地に行ってまいりまして、中海漁協並びに宍道湖漁協の皆さんのお話を伺ってきましたが、水質がどんどん悪化しているのではないかというふうな危惧がかなりあるわけでございます。ですから、もとの自然環境に返していくということについてどうなのか、お伺いします。

川村政府参考人 今回、計画変更の手続を進めておりまして、また、今後の対策、対応としてのいろいろな事業もございます。その中で、やはり環境との調和ということは非常に大事なことであろうと思っております。

 具体的には、ため池の改修なりあるいは新設ということも行われますので、周辺景観との調和あるいは親水機能等の発揮、こういったものを十分配慮しながらやってまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。

山本(喜)委員 現地に行って聞いたところによりますと、平成七年から宍道湖・中海でシジミとかコノシロのへい死が続いているということが言われております。特に、宍道湖のシジミというのは日本一位でございます。このへい死が続いているという実態並びにその原因というものについてどのように把握しておられるのか、お伺いします。

田原政府参考人 お答えいたします。

 島根県からの報告によりますと、まずシジミでございますけれども、平成九年ごろから大量へい死が発生しているということで、これが、毎年へい死が続いている時期でございますけれども、七月から八月にかけ、主に産卵可能な個体、こういったもののへい死が多いというふうに聞いております。

 県でいろいろと原因の調査ということでやっておられるようでございますけれども、例えば貧酸素水の影響ですとか、あるいは宍道湖全域の塩分が低下しているといいますか、塩分濃度が減っているというふうなことで、こういったことが複合的に作用しているのではないかというふうなことで、確たる原因ということでは、現在のところはまだ解明できていないというふうに聞いております。

 それから、コノシロでございますけれども、これも、平成八年ごろ約十六万尾、宍道湖においてへい死が確認されて以来、毎年数万尾のへい死が確認されているというふうに聞いております。

 これも、六月の上旬から七月中旬の産卵終期の個体が多いというふうなことでございますけれども、この原因につきましても、県におきましては、産卵活動後の生理的な急変あるいは環境条件、こういったこと等が同時に作用したものではないかというふうなことでございまして、引き続きこの原因の究明の調査を行いたい、かような意向にあるというふうに承知しているところでございます。

山本(喜)委員 今、確たる原因はわからないというふうな答弁だったと思いますが、農政局が九九年一月二十六日に本庄工区水産調査専門委員会というところで、森山堤防、大海崎堤防を開削した場合の水質改善、それから漁獲量の予測というのを出しているわけです。それによると、漁獲量が二・七倍になるという農政局の予測でございます。ですから、農政局自身も、この堤防がふさがれていることによってシジミ、コノシロのへい死ということにつながっているということは、これは明らかなわけでございます。

 地元の漁民の方々あるいは市民団体、環境団体の方々からは、この大海崎堤防、森山堤防の開削によって汽水環境の復元をしてほしいという要望が出ています。ことし三月にも、二万八千名の署名が農水省の方に届いていると思います。この開削について、どのように協議が行われてきたのか。

 それから、中海・宍道湖の環境改善の取り組みとしては浅場造成が有効であるというふうな見解もあるようでございます。これについても積極的に取り組むべきと考えますが、どうでしょうか。

川村政府参考人 御質問の前段の、森山堤、大海崎堤の開削の問題についてお答えをしたいと思います。

 農水省といたしまして、本庄工区の、今御指摘のありました干拓堤防を開削する場合、どういった効果があるかということでございます。シミュレーションをしたわけでございますが、中海の水質はほとんど変わらないという結果が出ておりまして、現時点では、この堤防の開削をするという予定はないわけでございます。

 しかし、いろいろな御意見があることは事実でございまして、先ほど委員からも御指摘のございました中海に関する協議会、ここにおいて今後この取り扱いについても協議を行っていく、こういうことで考えております。

田原政府参考人 後段の浅場造成の関係についてでございますけれども、今、県におきましては、漁場環境保全ですとか水産資源の保護、培養のための水質調査、こういったこと等にいろいろ取り組んでおられるという話を伺っております。

 こうした調査結果を踏まえまして、県の方で、漁場造成を含めました具体的な水産振興方策といいますか、そういったものを考えられるんじゃないかと思いますけれども、その際には、私どもといたしましても、県と十分に協議しながら対応してまいりたい、かように考えている次第でございます。

山本(喜)委員 最後に、大臣にお伺いしますけれども、大臣も宍道湖のヤマトシジミを食べたことがあると思います。この日本一のシジミの産地を守っていかなきゃならないと思うんですが、堤防がふさがれていることによってへい死が続いているということは、先ほど紹介しました農政局のシミュレーションでも明らかなわけでございます。この四者協議の中に、そうした地元住民の、漁民の声がなかなか反映されていないという状況でございます。どうか、住民の声にしっかりと耳を傾けていただいて、日本一のシジミを守るために、ぜひ大臣の決意をお伺いしたいと思います。

島村国務大臣 大変おいしい、まさに日本一のシジミです。食する側のあれもさることながら、地域の人たちはそれを自分の生活の糧にしている人もおるわけですし、また地域の名物でもあるわけですから、こういうものは、我々が科学的にこれらをよく解明する中で、先行き、もう一度復活をしてくれるように頑張りたいと思います。

山本(喜)委員 ありがとうございました。

山岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十一分散会


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