衆議院

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第3号 平成17年3月15日(火曜日)

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平成十七年三月十五日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 山岡 賢次君

   理事 今村 雅弘君 理事 西川 京子君

   理事 二田 孝治君 理事 松野 博一君

   理事 黄川田 徹君 理事 楢崎 欣弥君

   理事 山田 正彦君 理事 白保 台一君

      赤城 徳彦君    石田 真敏君

      岡本 芳郎君    梶山 弘志君

      金子 恭之君    上川 陽子君

      川上 義博君    木村 太郎君

      城内  実君    北村 直人君

      後藤田正純君    坂本 哲志君

      田中 英夫君    津島 恭一君

      西村 康稔君    原田 令嗣君

      古川 禎久君    宮下 一郎君

      森  英介君    山際大志郎君

      一川 保夫君    岡本 充功君

      鹿野 道彦君    金田 誠一君

      岸本  健君    小平 忠正君

      鮫島 宗明君    篠原  孝君

      神風 英男君    中津川博郷君

      仲野 博子君    堀込 征雄君

      松木 謙公君    山内おさむ君

      石田 祝稔君    丸谷 佳織君

      高橋千鶴子君    山本喜代宏君

    …………………………………

   農林水産大臣       島村 宜伸君

   農林水産副大臣      岩永 峯一君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)         齊藤  登君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    石川  薫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岡島 敦子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           黒川 達夫君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       外口  崇君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           中川  坦君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  白須 敏朗君

   参考人

   (食品安全委員会委員長) 寺田 雅昭君

   農林水産委員会専門員   飯田 祐弘君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十五日

 辞任         補欠選任

  石田 真敏君     坂本 哲志君

  岡本 芳郎君     宮下 一郎君

  後藤 茂之君     山際大志郎君

  岸本  健君     篠原  孝君

  神風 英男君     金田 誠一君

  松木 謙公君     中津川博郷君

  大口 善徳君     丸谷 佳織君

同日

 辞任         補欠選任

  坂本 哲志君     石田 真敏君

  宮下 一郎君     古川 禎久君

  山際大志郎君     後藤 茂之君

  金田 誠一君     神風 英男君

  篠原  孝君     岸本  健君

  中津川博郷君     松木 謙公君

  丸谷 佳織君     石田 祝稔君

同日

 辞任         補欠選任

  古川 禎久君     岡本 芳郎君

  石田 祝稔君     大口 善徳君

    ―――――――――――――

三月九日 

 食料自給率の抜本的向上に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四五八号)

 同(石井郁子君紹介)(第四五九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四六〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四六一号)

 同(志位和夫君紹介)(第四六二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四六三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四六四号)

 同(山口富男君紹介)(第四六五号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四六六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

山岡委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として食品安全委員会委員長寺田雅昭君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として農林水産省消費・安全局長中川坦君、生産局長白須敏朗君、内閣府食品安全委員会事務局長齊藤登君、外務省経済局長石川薫君、厚生労働省大臣官房審議官岡島敦子君、大臣官房審議官黒川達夫君及び医薬食品局食品安全部長外口崇君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。楢崎欣弥君。

楢崎委員 民主党の楢崎です。

 大臣に言わせれば全頭検査は世界の非常識ということらしいですけれども、大臣、あなたは、二月十五日、当委員会における所信表明の中で「BSE等を契機に食の安全に対する国民の関心が高まっている中で、食の安全と消費者の信頼を確保することが急務となっております。」このように述べておられるんですね。その舌の根も乾かないうちに、国民が信頼を寄せているその全頭検査を世界の非常識と言われる。大臣の所信というものはそんなに軽いものなんですか。

島村国務大臣 今まで再三このことにお答えしてきたところではございますが、私の非常識という発言については、三月十日の参議院農林水産委員会においても発言を撤回させていただくと答弁したところであります。

 なお、私の発言の真意を申し上げれば、全頭検査は、我が国でBSE感染牛が確認された直後に導入され、消費者の不安を解消する役割を果たし、その実施は英断であったと、私も当時賛成をした一人であります。他方、導入後三年が経過し、昨年九月の食品安全委員会による中間とりまとめを受けて、この見直しについて厚生労働省と共同で食品安全委員会に諮問していること、全頭検査は他のBSE発生国においては実施されていないのが実情であることから、こういったことを踏まえて発言したものであります。したがって、私の所信表明における、BSE対策について、科学的知見に基づき、食の安全と安心の確保を大前提として、消費者を初めとした関係者との意見交換を十分に行いながら対応してまいりたいとの発言と何らそごがあるとは考えておりません。

楢崎委員 私も、大臣は確かに三月三日の参議院予算委員会でその言葉を撤回されたやに聞いております。ところが、翌日の記者会見で、あなたは、非常識という表現が適切でなかった、しかし世界の常識にあらずということにおいては間違いないと発言してあるでしょう。同じことじゃないですか。文言遊びしているんじゃないですよ。そして、大臣、あなたは所信の中で、輸入再開については今後とも我が国と同等の措置を求めるという基本方針に基づいて対処するとも述べてありますね。

 同等の措置の中心にあるのは全頭検査なんですよ。所信に反する言動をとられるということは、当委員会に対する侮辱ですよ。委員会軽視と言わざるを得ません。私も農林水産委員会の一員として強く抗議したいと思いますけれども、何か言い分がありますか。

島村国務大臣 米国産牛肉の貿易再開問題については、一昨年十二月に米国でBSE感染牛が確認されて以来、我が国と同等の措置を輸入再開の条件として一貫して要求しておるところであります。

 ここで同等の措置とは、輸入する米国産牛肉について国産牛肉と同等の安全性を確保する措置のことであり、また一方、我が国の全頭検査については、昨年十月に、厚生労働省とともに、全頭検査を含む国内措置の見直しについて、食品安全委員会に諮問しているところであります。

楢崎委員 大臣の一つの理屈でしょうけれども、私は所信と違う言動をとられることは当委員会に対する侮辱だと言っているんですよ。もう一度お答えください。

島村国務大臣 私が非常識と申したことの真意については再三申し上げてきたところでありますが、あの際には、世界で全頭検査をやっているところはどこにもない、私は、非常識という表現が適切かどうか、多少戸惑いはあったんですが、世界の常識ではないなと思ったので、世界の常識にあらず、すなわち非常識と、こう使いました。

 しかし、その後、非常識という言葉を冷静に考えてみると、日本の国内では多分に余り好ましくないことについて使う言葉のとらえ方が多いので、いろいろ考えました結果、これをきちんと撤回させていただいたというところであります。

楢崎委員 世界の常識にあらずということは世界の非常識ということなんですよ。同じことじゃないですか。

 あなたの発言は、全頭検査を支持している大方の国民に対して、世界の常識外れと言っているようなものなんですよ。国民に対する侮辱でもあるんですよ。そうでしょう。いかがですか。

島村国務大臣 全頭検査を実施した時点においては、国民のあの驚愕といいますか、肉屋さんから一切の牛肉が、国産肉も含めて、姿を消すような大変な異常事態が発生して、緊急避難的措置として全頭検査実施に踏み切ったわけですが、そのこと自体は、私は大英断であったと思います。

 その後、諮問の段階で三百五十万頭、現在では約四百二十万頭と承知しておりますが、ずっと検査をして、逆に肉に対する安心感というか信頼感というか、そういうものも消費者の間に生まれたように私は感じておりますし、私は、その意味では非常によかった、こう思っています。

 しかし、いろいろな科学的知見に基づいて検討した結果、二十一カ月未満はよろしいのではないかということから、今諮問をしているところでありまして、専門家の御判断でその結果が出たら、それに従って我々は対応する、こう考えております。

楢崎委員 一議員としての発言なら、それは個々それぞれの立場があって、いろいろな意見があるかもしれません。しかし、大臣は、所信で言われたように、今は国民の食の安全、安心を守る所管の最高責任者なんですね。国民の大多数が全頭検査の緩和に対して不安を訴えているときに、やはり最高責任者として不用意な発言であったと、これは認められますね。

島村国務大臣 非常識という言葉の響きにおいて適当でなかったということから、撤回したところであります。

楢崎委員 どうも言葉遊びをしているようなんですが。

 一方で、大臣は、みずからの発言が食品安全委員会のBSE対策見直し作業に影響を与えるのではないかということに思いは至りませんでしたか。それとも、それを計算ずくでの発言でしたか。

島村国務大臣 私の先日の発言は、全頭検査は他のBSE発生国においては実施されていないという実情を踏まえたものであって、食品安全委員会に圧力をかけようとの意思は毛頭なかったものであります。

楢崎委員 町村外務大臣は、慎重に作業を進めている食品安全委員会のあり方について、常識外れという発言をしてあるんですね。国民の安全を守ることよりもアメリカの御機嫌取りのような思いがしまして、本当に気恥ずかしい、聞いている方が気恥ずかしい思いがしますね。

 今大臣も言われましたように、食品安全委員会は、それこそ小泉総理が言うところの科学的知見を論じ合う中で結論を見出そうとしているわけですね。その委員会は、十一日に、全頭検査の緩和を容認する方向で合意がなされて、今、答申案のまとめに入られたようですけれども、島村大臣の発言も含めて、政府が一丸となって、独立機関である委員会の公正な判断に圧力を加えたとしか私には思えないんですよ。もう一度お答えください。いかがですか。

島村国務大臣 町村大臣の発言については御本人にお確かめいただきたいと思いますし、私は圧力をかけるという意思は毛頭持っておりません。

楢崎委員 私は政府幹部の姿勢を言っているんですよ。

 我が国では、死亡牛を含む全頭検査体制が整ったのは昨年の四月なんですね。やっと一年になろうかというときに、全頭検査の緩和の答申を急がせているわけでしょう。現に、九日の日米首脳電話会談ですか、終わった後に、官邸サイドが棚橋食品安全担当大臣に、委員会の審議を加速させるように指示したとも報道されているわけですね。

 その日米首脳電話会談ですけれども、小泉総理は、輸入再開時期の明言は避けておられるようですけれども、早期再開を約束したとありますね。大臣は総理からこの会談の報告は受けられましたか。受けておられたら、できる範囲で結構ですから、中身も含めて御報告をください。

島村国務大臣 今回の会談を踏まえての具体的な指示は受けておりません。

 なお、総理からは、以前から本問題については、科学に基づき、消費者の食の安全、安心の確保を大前提に必要な手続を着実に進めるよう指示をいただいているところであります。

楢崎委員 大臣、済みません。ちょっと今聞きそびれましたが、報告は受けておられないんですか。

島村国務大臣 総理から直接そういう御報告を受けてはおりません。

楢崎委員 大臣は十一日の記者会見で、内容的にはかなり詳しく報告を受けたと発言してありますが、それはだれから報告を受けたんですか。

島村国務大臣 事務方から聞いたところであります。

楢崎委員 大臣は総理からなめられているんじゃないですか。もっと報告を受けられた方がいいですよ、きちっと。

 大臣は今言いました十一日の記者会見で、ブッシュ大統領が再開時期を明示してくれと小泉総理に要望したことについて、ブッシュさんがああ言ったのももっともな面があると、えらいブッシュさんの発言を理解されたような発言をされているようですが、これはどういう意味でしょうか。ブッシュさん自身もいろいろせっつかれている、そういう立場にあるということを理解しているということですか。

島村国務大臣 ブッシュ大統領はアメリカの大統領であって、アメリカの上院、下院議員の中からいろいろ突き上げがあることは承知しておりますから、ブッシュ大統領の立場からすればああいう御発言があっても、私たちには理解ができるところであります。

 しかし、我が国には我が国の立場と考え方があるわけでありますから、私は率直に言って、あの両首脳の電話対談、後で報告を聞きまして、それぞれに、両者の信頼関係というのはやはりすごいんだなと改めて感じましたし、お互いに相手の立場を思いやる中で、自分たちの苦衷を披瀝し合った、こんなふうに受けとめたところであります。

楢崎委員 大臣の言われるとおりなんですよ。ブッシュさんがせっつかれているのは、個人的な事情か政治的な事情かわかりませんけれども、あくまでもアメリカ側の事情なんですよ。

 私が大臣に間違ってほしくないなと思うのは、BSE対策見直し問題が、いつの間にかアメリカとの牛肉輸入再開問題にすりかわっている、ここに国民は不信感を抱いているんですね。つまり、アメリカのBSE対策一つとっても、それに対する我が国の懸念、また主張というものは正しいんですよ。言いかえれば、日米交渉の主導権はあくまでも我が方にあるんですね。ここを間違ってほしくないんですよ。また、間違っちゃいけないんですよ。そういう認識、お持ちでしょうか。

島村国務大臣 間違った判断や行動をしているとは思っておりません。

楢崎委員 大臣は、アメリカのBSE対策についてどのように考えておられますか。完全だと考えておられますか。

島村国務大臣 米国産牛肉の輸入再開問題に関しては、米国に対して、輸入再開条件として、従来から一貫して我が国と同等の措置を求めてきた、このことは委員御承知のとおりであります。その意味で、昨年十月の局長級会合においては、輸入再開条件として、特定危険部位をすべての牛から除去すること、牛肉は二十カ月齢以下と証明される牛からのものとすること等の枠組みについて認識が一致しており、我が国の基本的立場は確保できたものと考えております。

楢崎委員 今のは答弁になっているんですかね。これからいろいろ話しますけれども、大臣にブッシュさんの立場を心配する余裕はないと思いますよ。

 中川局長にお伺いします。

 局長は、昨年八月、アメリカのBSE対策に関する私の質問に対して、アメリカが現在とっておる、例えば飼料規制のあり方、それからサーベイランスといったものにつきまして、日本から見た場合にこの点が不十分ではないか、そういう意味では、現状、アメリカのBSE対策について、日本から見て必ずしも十分でない点があるというふうに認識をしていると答弁されました。この認識は変わっていませんか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の七月に取りまとめられました日米専門家によりますワーキンググループの報告書に記載されておりますけれども、米国におきます飼料規制ですとかあるいはサーベイランスにつきましては、この専門家同士の意見交換の場でも、必ずしも共通の認識が得られなかった、そういうことが報告書にも記載されているわけでございまして、この報告書を踏まえまして、私の方から、今先生がお話しされましたようなことを答弁させていただいたわけでございます。

 この報告書では、飼料規制あるいはサーベイランスなどのBSE対策の有効性につきましては、日米間で引き続き検討していくことというふうにされております。その後入手いたしました情報などもあわせまして、米国産牛肉のリスク評価について改めて食品安全委員会に諮問する時期に、こういった点も含めて食品安全委員会の判断を仰ぎたいというふうに考えております。

 現在アメリカのとっております措置につきまして私が八月にお答え申し上げた、そのこと自体は現在でもそのように感じておるところでございます。

楢崎委員 今局長が言われたように、アメリカのBSE対策についてはまだ懸念をする部分があるんですよ。ですから、何度も申しますけれども、大臣、輸入再開の重要なポイントは、実はアメリカ自身のBSE対策が信頼できるかどうかということなんですね。私に言わせれば、そういう問題を棚に上げて、アメリカ筋から出ている対日制裁なんというのは、これはアメリカのヒステリー症状の八つ当たりで、みっともない話ですよ。

 そこで、中川局長、もう一点お伺いしますが、何かアメリカからは、全頭検査の緩和を三十カ月以下に、この場合はハードルを下げろと言うんですかね、下げろとか、月齢判別方法を検証するために我が国が求めた追加データの提出、これも拒否しているらしいですが、大体アメリカは、小泉さんが総理だから何でも言うことを聞くと思っているんじゃないでしょうかね。現に、今やブッシュさんの要求に、小泉総理もその要求に合わせて国内措置を変更する方針をとっているやに見えますね。この全頭検査緩和の拡大要求、それから追加データ提出の拒否、これについて農林水産省はどのようにとらえておられますか。

中川政府参考人 現在日米間で実務的な協議を進めております米国産牛肉の輸入再開条件に関しまして、先般、米国政府関係者が、本年七月に予定をされております輸出証明プログラムの検証の際に、その条件を緩和するよう求めたいというふうな、そういうことを表明したという報道があることは承知をいたしております。

 この七月の検証の件でございますけれども、これは昨年十月の日米局長級会合での共同記者発表の中にも書いてございますけれども、本年七月をめどに日米両国により輸出証明プログラムについては検証されるとありますが、これは本年五月のOIEの総会、あるいはアメリカが現在実施をしておりますサーベイランスの結果等、幾つか新たな知見が明らかになる、そういうことを想定して、両国で科学的な検証をしようということでありまして、その検証の結果については、両国政府の一致した判断によって結果を出す、また日本の場合は、それが何か事柄を変えるということであれば食品安全委員会の審議を条件とするというふうなことが書かれているわけでありまして、アメリカの要求が一方的に新たな措置の見直しにつながるものではないということは御理解をいただきたいというふうに思っております。

 それから、二つ目の点でありますが、牛の月齢判別方法につきましては、先般、我が国の専門家に検討いただきまして、A40という格付の基準を採用いたします際には、追加的な検証または実施後のフォローアップが必要だというふうにされたところでございます。

 こういった専門家の方々の指摘を踏まえまして、アメリカ側に対しまして、適切な対応が行われるよう、現在アメリカ側と協議をしている最中でございまして、この点につきましては、引き続き、専門家のこういった意見を尊重して、実現されるように、私どもとしては精いっぱい頑張っていきたいというふうに思っております。

楢崎委員 十八日にライス国務長官が来日されると聞いていますけれども、とにかくアメリカのいら立ちといいますか、そんなことにびびらないで、まずアメリカ自身が信頼できるBSE対策をとるべきだということをライス長官に強く要求していただきたいと思います。

 また、小泉総理も、これまでは、まずアメリカが日本と同等の措置による安全対策をとることが前提だと発言されてきたわけですね。農林水産省もずっとそのことを言い続けてきたわけでしょう。大臣も先ほど言いましたように、所信表明の中で「我が国と同等の措置を求める」と述べられている。そもそも、大臣が言われるところの日本と同等の措置というのは、何を指すんですか。もう一度お答えください。

中川政府参考人 事実関係でございますので、私の方からお答えを申し上げます。

 同等の措置といいますのは、輸入をされる米国産牛肉につきまして、国産の牛肉と同じような安全性を確保される措置ということで、従来からアメリカ側に要求をしてきたものでございまして、具体的には、昨年十月の日米局長級会合の結果にもございますが、二つございます。一つは、特定危険部位をすべての牛から除去するということ、二つ目は、牛肉は二十カ月齢以下と証明される牛からのもの、この二つの条件をアメリカ側に要求し、この点につきましては、アメリカ側との間で認識が一致しているところでございます。

楢崎委員 私は、大臣の所信で大臣が述べられたから大臣に今尋ねたのであって、今、中川局長の答弁もちょっと足りないんじゃないですか。

 我が国は、全頭検査、危険部位の除去、飼料規制、そして危険な髄液が飛び散らないような安全な屠畜方法、この四つがセットとなって、それをまたPRすることによって、国民そして消費者に信頼と安心を与えてきたんじゃないですか。つまり、日本と同等の措置というのは、基本的にはこの四つを指すんですよ、この四つの安全対策をいうんですよ。大臣、この認識ぐらいは共有できますね。

中川政府参考人 全頭検査につきましては、先ほど来御答弁させていただいておりますように、食品安全委員会におきます中間とりまとめを受けて、その見直しについて今厚生労働省とともに諮問をいたしている最中でございます。また、その他、飼料規制についてもお話がございましたが、飼料規制の問題は、牛から牛へのBSEの伝播という点を防ぐという意味で大変大事な点だとは思いますけれども、アメリカらから輸入いたしますのは牛肉でございます。その牛肉についての安全性を確保する上で一番大事な点は、先ほど申し上げた二つの点だというふうに私どもは考えております。

 いずれにいたしましても、こういった条件で、アメリカから輸入される牛肉の安全性につきましては食品安全委員会にきちっとリスク評価をしていただくというふうにいたしております。その食品安全委員会の御判断を待って、私どもとしては、最終的に条件を決定させていただきたいというふうに思っております。

楢崎委員 どうも大臣は答弁拒否をされておるようですけれども。

 これまで、アメリカが日本と同等の措置をとらない限り輸入再開には応じない、このように農林水産省そして歴代の農林水産大臣が明言されてきたことが議事録にも記録されている中で、きょう私が全頭検査は世界の非常識という発言の問題性を取り上げたのは、大臣にはその発言の責任が問われているからなんですね。それはたとえ科学的知見に基づいて、その判断によって牛肉の輸入が再開されたとしても、大臣の発言によって、それはアメリカの圧力に屈する政治的な判断で輸入再開が決められたと国民が思うことなんですね。この責任は重いんですよ。その責任を大臣はどのようにとられるつもりですか。

島村国務大臣 私が今までアメリカの関係者とお話し合いした経過を全部ごらんいただけば御理解いただけたと思いますが、私は、圧力に屈したり、こちらが変な妥協を持ち出したり、そういうことを一切いたしておりません。

楢崎委員 大臣が自己防御に入られるのはわかりますけれども、やはり大臣の発言はアメリカの圧力が言わしめた発言だとしか思われないんですね。つまり、大臣は食の安全、安心を守る責任者としての資質に欠ける、このように言わざるを得ないと私は思います。

 大臣がまず責任をとっておやめになることが、輸入再開もスムーズにいくことになると思いますよ。それは、もし大臣がおやめになれば、輸入が再開されたとしても、それは科学的知見に基づいて決定されたのだなと、国民はそう思うでしょう。つまり、全頭検査は世界の非常識と発言をされた大臣の存在そのものが輸入再開の弊害となるんですよ。だからこの発言の責任は重たいんですよ。

 私は、輸入再開の弊害となるその大臣の辞任を強く求めたいと思いますが、大臣は責任をとられる気持ちはありませんか。

島村国務大臣 ありません。

楢崎委員 大臣の発言こそが世間の非常識なんですよ。

 そこで、食の安全、安心を守る責任者として、私は、信頼するに足りないと思う。私は大臣の辞任を強く求めますし、私も大臣に辞任を求めた以上は、これ以上の質問はできませんので、委員長、時間は余っていますが、私の質問はこれで終わります。

山岡委員長 次に、金田誠一君。

金田(誠)委員 民主党の金田誠一でございます。

 前の楢崎さんと多少重複するかもしれません。お許しをいただきたいと思います。

 まず、二月二十五日の衆議院予算委員会における島村大臣の答弁について質問をいたします。

 当日の議事録を見れば、公明党の赤羽議員が米国産牛肉の輸入再開を執拗に迫ったのに対し、大臣は「全頭検査というのは世界の常識ではなくて、非常識の部類でありますから、いつまでもこういう姿勢に閉じこもっていることが妥当だとは考えておりません。」などと答弁をしているわけでございます。当然のことながら、この答弁は全国から非難を浴びるところとなり、その後大臣は発言を撤回されたやに報道されております。

 そこで質問でございますが、撤回されたとすれば、いつ、どこで、どの部分を、どのような理由で撤回されたのか、お聞かせをいただきたいと思います。

島村国務大臣 全頭検査は世界の常識でない、いわば非常識だと言った私の発言については、これがもし不穏当であればおさめることに異議はないと再三お答えしてきているところであります。

 具体的には、例えば三月三日、参議院予算委員会では、民主党の福山議員からの撤回していただけるかという御質問に対して、そのように受けとめていただいて結構ですとお答えし、また、三月十日の参議院農林水産委員会では、自由民主党の岩永議員からの御質問に対して、発言を撤回させていただくこととしたいとお答えしたところであります。

金田(誠)委員 この非常識発言でございますけれども、辞書を実はひもといてまいったわけでございますが、非常識というのは、普通の人ならしないような、社会通念に反する、思慮を欠いたこと、あるいはそれをする様子ということだそうでございます。この全頭検査が非常識であるということが大臣の口から出されたということ自体が極めて重大な問題である、このように思ってございます。

 これは大臣、どうでしょうか、覆水盆に返らずという言葉もございますけれども、取り消して済むという話なのか。深く反省をして、どの部分が、どう適切ではなかったのかというあたりをいま一度解明していただきたいと思うんですが。

島村国務大臣 BSEが発生したのは平成十三年の九月でありますが、翌月から全頭検査を実施して、十月十五日、諮問の段階で約三百五十万頭、現在では約四百二十万頭に及ぶわけでありますが、二十一カ月未満の牛の中にそういう危険性は全く発見されなかったということから、現在、中立の機関であり、かつ専門家のお集まりである食品安全委員会に諮問をいたしているところです。

 したがって、私どもは、少なくもあの時点において、国民が本当に驚き、恐れたあの状況を脱するために、全頭検査は極めて有意義であった、英断だったと思いますが、しかし、その後のいろいろな、検査の結果が生まれてきた過程で我々は現在の諮問をいたしているということでありまして、そういう意味で、少なくも、全頭検査というのは、日本以外に世界のどこにもないことであって、あの時点で、非常識という言葉を使うことについては、私も正直言ってちょっと戸惑いはあったんですが、常識にあらず、要するに常識ではないということから、いいかなと思って、そのまま、あのときは発言をしました。

 しかし、その後、私もいろいろ冷静に考えてみると、一般的に、非常識と言われる言葉はそういうふうにとられないで、今金田委員の字引を引いた話も、私も同じようなことを実はいたしました。そういう中で、適当でないというので、発言を撤回したところであります。

金田(誠)委員 この件については、最後にまた、時間があれば重ねてお聞きをしたいと思います。

 次に移らせていただきたいと思いますが、大臣の非常識発言が出る答弁の前段に、次のようなくだりがあるわけでございます。

 「私たちはあくまで安全で、国民、消費者の信頼にこたえる食の提供に万全を尽くして努力はいたしますものの、やはりおのずから、国際社会で生きていくための常識というものがあるんだろうと率直に思います。 私、例えば先月もイギリスも行きました、フランスも行きました、ベルギーへも行きました、スイスに行きましたけれども、どこでも肉が出ました。どこの肉もおいしく食べてまいりました。」さらに「ベーカーさんともお会いをしました。」「非常に謙虚に、誠実に、自分たちの窮状をお訴えになりましたけれども、今でも心に深く焼きついているぐらい、彼の気持ちにもこたえなければいけないなと思いましたし、」と、こういうことがずっと続いているわけでございます。

 大臣は、全頭検査は非常識、こう一方で言い、その前段で、国際社会で生きていく常識に言及して、イギリスで肉を食べた、ベーカーさんの気持ちにもこたえなければいけない、こう言っておられるわけでございます。

 こうした文脈からすれば、大臣の言う国際社会で生きていくための常識ということは、汚染国の牛肉も現地では食べているんだから、相手のことも考えれば輸入するのが常識だ、こういう意味に受けとめられるわけでございますが、そういうことなんでしょうか。

島村国務大臣 御質問は二つに分かれると思いますが、EUの場合は、御承知のように三十一カ月未満ですね、少なくも日本の言っている二十一カ月未満よりははるかに緩い検査の基準があるわけです。そういう意味で、なるほど、EUの中にもイタリーとかあるいはスペインとか、ドイツとかいう国はまだ二十四カ月ですけれども、しかし、少なくも日本よりはややその基準は緩い。

 そういうことごとに照らしまして、世界各国どこでも国民の食の安全、安心ということには十分配慮しているのは当然であると思いますから、そういう意味からすれば日本の条件が一番厳しいわけです。私どもは、少なくも海外へ行ってそういうものを食べるときに、率直に言って、これは危ないなと思わずに食べてきたわけでありますが、これが国際的に、我々は二十一カ月未満なので、それ以下の肉を出してもらいたいと言っても、これは出るわけがありません。

 そういうことごとを考えたときに、私たちも国際社会で生きていくためには、やはり世界の常識というものも一応頭に置いて我々は行動すべきだという意味で申したところであります。

 また、ベーカー大使の気持ちにこたえたいと言ったのは、お互い政治家同士、ベーカーさんもアメリカでは重きをなした有名な政治家でありますし、私のところへ見えたときにも、一切強圧的な態度をとらずに、極めて紳士的に、御自分の仕事を残して帰ることに心残りのお訴えをなさいました。さはさりながら、これはお互いに話し合いをし、最後まで誠意を持って話し合いに終始いたしましたが、私どもは一歩も条件的に譲歩したものはないわけで、情において忍びないと思ったということを率直に申し上げたところであります。

金田(誠)委員 大臣のこの発言を私読んだ限りでは、国際常識というのは、相手のことも考えて、相手国に行っても、その肉は相手国の人も食べているし、行った方でも食べるんだから、そのぐらいいいではないかというふうにおっしゃっているようにしか見えなかったわけですが、必ずしもそうではないという今の御答弁だったと思うわけでございます。

 そうであれば、ここで改めまして三点確認をさせていただきたい。まとめて聞きますので、そうだという御答弁をいただければと思うのでございます。

 大臣の言うところの国際社会で生きていくための常識ということについて、第一点は、汚染国においてはその国の国民が食べているし、その国を訪れた外国人も食べている。このことを根拠にして、だから輸入してもいいんだ、輸入を検討すべきなんだということにはならないんだ。このことはそれぞれ次元の異なる問題である。汚染国で食べている。汚染国には一定の基準があるということと、だからそれが輸入の根拠になるなんてことではないですよということを一点確認をしていただきたいと思います。

 第二に、ベーカーさんの気持ちにもこたえなければというような、これは人情論でございますけれども、輸入するしないという場合は、この人情論をまず排除しなければならない。その上で、食品安全基本法三条、四条、五条、これは食品の安全性の確保についての基本理念が定められているわけでございますけれども、これにのっとった施策を実施することが国の責務である、これは当たり前のことでございますけれども、そのとおりですという御答弁をいただきたいと思うのが二点目。

 三点目でございますが、汚染国からの輸入は原則としてストップする、現にそうなっているわけでございますが、仮に輸入する場合は国内と同等の措置を義務づける、このことはWTOにおいても認められている国際的なルールであり、これこそ常識であると。

 今申し上げた三項目、これについては大臣、異存はないと思いますが、お認めをいただきたいと思います。

島村国務大臣 国民に対して安全な食料を安定的に供給することは国の基本的な責務と私どもは考えております。このような観点から、米国産牛肉の貿易再開問題については、食の安全、安心の確保を大前提として、科学的知見のもとに、消費者の理解を得ながら対処することが重要であると考えております。

 御指摘の点については、こうした基本的な考え方のもとで、世界的にも通用する科学的根拠に即して判断することが必要という趣旨で申したところでありまして、御理解をいただきたいと思います。

 また、ベーカーさんの点、そのとおりであります。

 第三は、もう一つの点は中川局長から答弁をいたさせます。

中川政府参考人 最後の点につきましては、OIEのルールとも関係しますので、私の方からお答え申し上げます。

 OIEの国際基準によりますと、BSE発生国であっても、そこからの牛肉を輸入禁止にするという考え方はとられておりません。しかしながら、BSEは科学的に未解明な部分が多く、関連する科学的なデータが不十分なことから、BSE発生国からの牛肉の輸入につきましては多くの国において予防的に、より慎重な検疫措置がとられているというのが実態でございます。

 なお、WTOの衛生植物検疫措置の適用に関する協定、いわゆるSPS協定におきましては、原則として国際基準に基づいて措置することとされておりまして、科学的に正当性が証明できる場合に限って国際基準を上回る厳しい措置をとることが認められている、これがSPS協定上の扱いでございます。

金田(誠)委員 局長の答弁でございますけれども、そうはいっても現実に輸入している国はないわけですよね。例外的にカナダとかメキシコはあるようでございますが、言うなればカナダといえば本州に対する北海道みたいなものですから、これはまさに例外、あとは一般的にはとまっているわけです。これこそが常識ということをやはりきっちり踏まえていただきたい、これは強く申し上げておきたいと思います。

 それと、一点目、大臣、質問の趣旨にまともにお答えいただけなかったのかなと思うわけでございますが、ベルギーでも食べた、イギリスでも食べたとか、そういうことはおっしゃらない方がいい。だから輸入してもいいという文脈になるんですよ、大臣のおっしゃることを聞いていれば。しかし、それとこれとは話が別だということを、担当の大臣であればきちっと踏まえて、さまざまな場のコメントをしていただきたい、これも強く申し上げておきたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 また、当日の議事録を読み返してみますと、公明党の赤羽議員は実に執拗に米国産牛肉の輸入再開を迫っております。それを迫る観点としても、例えば、BSE発生国で牛肉を食することを禁止している国があるのかないのかという、およそ論理的とも科学的とも思われない質問もあったわけでございますが、しかし一議員の個人的見解としてはそれもあり得ることと、私はそう思います。

 しかし問題は、それを受けての大臣の答弁でございまして、例の非常識発言に続いてこう言っております。「私個人として、自分の良心に従って物を考えるならば、赤羽先生のお考えとほとんど同じような考えに立っています。」と発言をしているわけです、大臣。赤羽議員の発言は、ここで繰り返す必要はないと思います。大臣が一番よくその内容を記憶していると思うわけでございます。

 そこで質問いたしますけれども、「自分の良心に従って物を考えるならば、赤羽先生のお考えとほとんど同じような考え」ということは、こういうことであっては農水大臣として不適格ではないですか。あわせてこの発言も撤回した方がよろしいのではないかと思いますが、いかがでしょう。

島村国務大臣 私の議事録をひもとかれての話ですが、金田委員は意図的なのかもしれませんが、私が「赤羽先生のお考えとほとんど同じような考えに立っています。」と言ったそのまま続いて、「ただ、今は、この責任大臣という立場におりますと、今まで決められているルールがございまして、私どものいわば立場では、もうきちんと諮問をするという形で意思表示をいたしておりますので、」云々と、私どもはそのことをきちんとつけ加えているわけですね。ですから、私自身の個人の考え方と、その後の大臣としての立場はおのずから違うし、判断をすることも同じことであります。

 先ほど金田議員は、私が意図的に外したとおっしゃいましたけれども、それは私の申し落としでありまして、私が海外で食べたから国内でも入れていいんだというのはかなり飛躍でありまして、私は、責任者としてはきちんと食の安全、安心を確認する必要があるので、現在、専門の食品安全委員会に諮問をしているということでありますから、私個人の判断とはおのずから違うということはぜひ御理解いただきたい。

金田(誠)委員 大臣、そのくだりも私、ちゃんと読んでおります。次の質問でそれを聞こうと思っておりました。

 議事録では、「赤羽先生のお考えとほとんど同じ」という発言の後に、「ただ、今は、この責任大臣という立場におりますと、」云々、こう続いている。今大臣の答弁のとおり続いているわけでございます。島村大臣にとって良心と職責が相反しているわけでございます。良心に従って仕事をすることができずに大臣という職責を担っておられる、これは実に不幸なことであって、こんなことで国民に対して責任を果たすことができるほど農水大臣の職責は軽いものでも甘いものでもないというふうに私は思います。

 そこで、本当に良心からの発言がそういうことであれば、大臣、これはどうなんでしょうか。発言を撤回して、しかるべく措置をとるか、撤回できないのであれば、しかるべく身を処すか、こんな話になるのではないですか。良心に従った仕事ができない農水大臣というのはありますか。

島村国務大臣 私は、農林水産大臣として、個人としても政治家としても自分の良心に基づいて行動いたしておりますので、もうこれ以上のことを申し上げる必要はないと思います。

金田(誠)委員 個人の良心に照らして云々というところは、大臣にもう一度深くお考えをいただいて、農水大臣として、それが良心で本当にいいのかということについて、しかるべくお考えをいただきたいものと、強くお願いを申し上げたいと思います。

 次に、質問の項目を変えます。連邦議会における対日制裁の論議がこのところ頻発しているわけでございますけれども、このことについて質問をさせていただきます。

 輸入再開がこれ以上おくれれば対日制裁をとらざるを得ないとの声が一部にあり、日本大使に警告が発せられたとのことでございます。私自身としても、我が国の四年前の事態を考えれば、アメリカも大変だろうな、この状況には深く同情しているところでございます。

 しかし、だからといって、WTOのルールに基づいて対応している我が国に対し制裁を口にしながら輸入再開を迫るというやり方は、到底受け入れられるものではございません。大臣の言葉をかりるなら、それこそ非常識と考えるのが当然だと思うわけでございますけれども、大臣の御見解を賜りたいと思います。こういうときに非常識という言葉を使っていただきたいと思います。

島村国務大臣 米国産牛肉の輸入再開問題をめぐっては、米国議会で経済制裁をとるべきである旨の決議案が提出されるなど、早期の問題解決を強く求める声が存在していることは承知しております。また、BSE問題については、従来から申し上げているとおり、科学的知見に基づき、消費者の食の安全、安心の確保を大前提に手順を踏んで対応することが重要であると考えているところであります。

 私どもは、いろいろな、そういう圧力めいたような話が報道でなされていることは承知いたしておりますが、別にそれに私どもが動かされているという事実は全くございません。

金田(誠)委員 アメリカ議会の議員の方々がこのような制裁という言葉まで口にしながら日本政府に輸入再開を迫るというのであれば、これは常識的には安全性ということもきちっと担保をした上で、かくかくしかじか安全性が担保されているのであって、したがって日本政府としては輸入再開をすべきだ、これが理の当然だと思うわけでございますが、アメリカ議会からそういうものが示されたということはついぞ聞いたことがございません。

 そのような安全性についての根拠がこの発言をされているアメリカ議会の方々にもしあるとすれば、その根拠、具体的なペーパーなどをぜひお示しいただきたい、こう思うんですが、そういうものはありますか、局長。

中川政府参考人 牛肉の輸入再開を迫っております米国の連邦議会の議員が、米国産牛肉の安全性につきまして具体的にどのような根拠に基づいてこういったことを発言されているか、そこの詳細については私どもも承知をいたしておりません。

 ただ、下院におきます決議、いわゆる下院の意見表明などの文章を見ますと、SRM、特定危険部位の除去がされていることや、サーベイランスなどのBSE対策につきましてOIEの基準を上回って措置されているというふうなこと、あるいは、米国で確認をされましたBSEの感染牛というのは生まれがカナダである、しかもそれが一頭だけであったというふうなこと、あるいは、米国内においては牛肉が問題なく消費をされている、そういった理由を挙げてこういったことを言っておられるというふうに承知をしております。

金田(誠)委員 アメリカ議会として、とりわけ新しい根拠を出してそれによって云々ということではないようでございます。旧来出されてきたことで、それはもう今それぞれ検討もされているわけでございますから、そういう中で制裁などということを口にすること自体、これは常軌を逸しているのではないかというふうに言わざるを得ません。

 農水大臣、アメリカ議会に対して、もっときちんとした姿勢で、非は非ということで、きちっと正していく、全頭検査が非常識だなんと言う前に、相手国に対してやはりきちんと我が国の立場、見解を主張していく、そういう毅然たる態度をとっていただきたいんですが、いかがですか。

島村国務大臣 私、今まで米国側との折衝があった際には、まさに毅然たる態度でそのことをやってきたわけであります。

 しかし、今回、米国議会がどういう動きをなさっているか、新聞報道等はございますが、具体的に私の方に何らそういうことがあったわけではありませんので、そういう意味では、私の方は、どういう状況か、すべてを承知しているわけではありません。

金田(誠)委員 こういう発言が出るようなことになれば、それこそ冷静な協議の場を本当に持てるのか。こういう状況になることによって、もうテーブルをけって帰ってくるぐらいの気概を持っていただきたい。これは強く申し上げておきたいと思います。

 次に、項目を変えますが、リスク評価、リスク管理のあり方についてお尋ねをいたしたいと思います。

 三月九日、朝のNHKニュースを見ておりまして、アメリカの食肉検査官の労働組合の代表者が、牛の月齢を目視によって判断することはできない、これは非科学的であるという趣旨の発言をされたという報道があるわけでございます。これこそまさに常識的な発言だなと思ってお聞きをしていたわけでございますが。

 そこで、食品安全委員会、御出席でしょうか、委員長にお尋ねをいたしたいと思います。

 現在、形式的には国産牛のリスク評価の見直しということで諮問を受けて協議をしているんだろうと思いますが、それが米国産牛肉の輸入再開に直結していくという、極めて重要な審議を今されている、こう考えるわけでございます。そのことを前提にして、早期の対応が今必要になった、こう思うわけでございます。

 そこで、まずは、この食肉検査官の労働組合の代表者の発言、この発言をされた方から、あるいはほかの方でもいいかもしれませんけれども、この食肉検査官の労働組合の代表者から、アメリカにおける食肉検査の実態、あるいは、月齢判断はできないんだ、非科学的だとおっしゃっているわけでございますから、そのように判断される根拠等について意見を聴取する必要があるのではないか、こう思いますが、どうでしょうか。

寺田参考人 ただいま先生が言われましたように、私ども、我が国におけるBSE対策の見直しにつきまして議論をしているところでありまして、米国産牛肉の輸入問題に関しましては、確かに先生が言われるように、関係はしておりますけれども、現時点で予断を持って申し上げるのは適当でないというふうに考えております。

金田(誠)委員 それはないでしょう。今やっておる審議の結果、二十カ月齢かどうかという話で米国産牛肉の輸入に直結するわけですから。その二十カ月齢という判断は、目視によってはできないんだ、非科学的なんだという発言が、当の検査をする担当官の労働組合の代表者が言ったとNHKで報道されている。それについて、この事実をきちっと把握する必要があるだろうと申し上げているわけですよ。今の答弁はないでしょう、何ぼ何でも。

寺田参考人 これは、食品安全委員会は、米国産の牛肉の貿易再開になりましたときには、管理官庁から諮問を受ける、あるいはその条件などを聞かれるものだと思います。それまでの間は、私どもは評価の機関でございますから、そういうことは、現時点におきましては、できるできないということは答えることができない、大変申しわけございませんが。

金田(誠)委員 これはひどい話ですよ。では、今、なぜ基準の見直し、リスク評価の見直しをやっているんですか。二十カ月齢以下を輸入する、それが是か非かということでやっているわけでしょう。その二十カ月齢が目視では判断できない、非科学的だという根拠が一方にある。この当事者から事情を聴取するということは、これは参考として、当然今やっておかなきゃならないんじゃないですか。それは、今基準をつくって、その基準をアメリカに適用するという諮問が来たときに、改めて、では聴取をするということなんですか。

寺田参考人 言われました案ですが、私どもは国内の対策の見直しについて非常にエクステンシブルに議論をやっているところでありまして、その結果として、米国産の牛肉の輸入問題、まだこれ以外にもいろいろな問題があると思います、実は。その諮問の内容によりまして、こちらはそれを検討するということでございます。

金田(誠)委員 米国産牛肉の二十カ月齢以下の輸入というものが諮問された場合には、この委員長さんの御意見も当然聴取することになるだろうということではよろしいんでしょう。

寺田参考人 申しわけございませんが、ただいまのこの段階で、結論あるいは予断をもってこうするというふうにはまいりません。私どもは国内の見直しをやるというところで、専門調査会の先生方に現在科学的な評価をやってもらっている段階でございます。

金田(誠)委員 食品安全委員会というのは、本当に国民の立場に立って評価をするという意欲と能力を持ってやっていただいているものだとばかり思っておりましたら、とんだ誤解だったということが今わかりました。また機会を改めてこれは質問をしなければならないと思います。

 また、今回のこの組合の委員長さんの発言のみならず、アメリカのBSE検査のあり方、SRMの除去、屠畜の方法、飼料の規制などは極めてずさんであるという指摘がもう以前から出されていて、私どもの党の調査団もそのことを確認して帰ってきているわけでございます。

 ついては、このリスク評価に当たっては、農水、厚生労働から報告を受けるのみではなくて、食品安全委員会としてアメリカの現地に出向いて、きちんとした調査をして、報告書を作成すべきだ。本来であれば、今、国内基準の評価をやっているときにやるべきだと私は思っているんですが、できるだけ早い機会に、アメリカについても、そういう対応をとるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

寺田参考人 先ほどと同じようなことになりますけれども、現在のところ、米国の貿易再開に関しましては、貿易問題は管理機関、私どもはリスクアセスメントの機関でございますから、管理機関が国際問題あるいは貿易問題をやるというふうに私は理解しておりまして、そこの管理機関から私どものところに諮問が来たときには、それに対して答申を出すということであります。

金田(誠)委員 今、諮問がされて、評価の見直しをしていること自体が、米国産牛肉の輸入問題とイコールなんですよ。それを、そのような言葉じりで、言葉の遊びのようなことで、国会という場で答弁をされる。国民に対して食品安全委員会の見解を表明する場で、そういう答弁をされるということは極めて遺憾だ。これは、先ほど来農水大臣の辞任要求というものもありましたけれども、委員長の方も、これは今後考えなきゃいけないなという思いを深くしながら答弁を聞かせていただきました。

 次に、農水省に御質問をいたします。

 牛の月齢を目視によって判断するというスキームは農水省が主導して推進してきたというふうに聞いておりますが、それがこのたび、当該検査官の労働組合によって、これは判断できない、非科学的だとされたことは極めて重大であるというふうに思います。

 ついては、農水省として、直ちに次の三項目のことを行うことが必要と考えるわけでございます。一点目は、この発言をした労働組合の代表から意見を聴取すること。二点目、アメリカ政府が目視による月齢判断が可能と言うのであれば、その根拠資料を取得して全面開示すること。三点目、その根拠資料に基づいて、我が国において、実際に目視による月齢判断が可能なのかどうか、我が国の場合はトレーサビリティーではっきりしているわけでございますから、アメリカ政府の示す根拠資料、マニュアル等によって、我が国においてもその実験を行う。

 本当に月齢判断が目視でできるのか。検査官の労働組合はできませんと言っているものなわけですよ。それをこれから国民に押しつけようというのであれば、まず実験をすべきだ、科学というのはそういうものだと思うんですが、以上、三点について、農水省、いかがでしょうか。

中川政府参考人 米国から提案がございました牛肉の格付制度を利用した月齢判別方法の取り扱いにつきましては、日本側の専門家六人の方々によります牛の月齢判別に関する検討会というものを三回にわたって開催いたしまして、そこで御検討いただき、その結果を報告書としてまとめていただいたわけでございます。その報告書を踏まえて、現在、アメリカ側と細部について実務的な協議を行っておるところでございます。

 そこで、まず一点目でありますけれども、先生御指摘の米国の食品検査官の労働組合の代表から意見聴取をしてはどうかということでありますが、今回、私どもが報道で承知している限り、このことを述べたのは食品検査官でございます。アメリカにおきまして、肉の格付はグレーダー、肉の格付の検査官といいますか、格付官というのはまた別におるわけでございまして、食品の検査官が格付に関して専門的な知識を持っているわけではないというふうに私ども思っております。

 それから、二点目でございますが、アメリカが目視による月齢判別が可能とする根拠について情報開示をすべきであるということでありますけれども、先ほど申し上げました、三回にわたります専門家によります検討会はすべて公開でやっておりますし、また具体的な報告書の中身についても公表いたしたところでございます。

 この検討会の報告書によりますと、A40という格付の基準は、生物学的な特徴からしまして、例えばAの50とかとは高い精度でもって見分けることができるということになっておりまして、判別基準としての採用が適当だというふうにされているところでございます。こういった点につきましては、専門家の方々の科学的な知見に基づく検討結果でございますから、私どもとしては、尊重すべきであるというふうに考えております。

 それから、最後の点でございます。我が国におきましては、こういった枝肉の格付をします際に成熟度といった基準を用いていないわけでありまして、日本の格付員についてはこういった知見もございません。そういう意味におきまして、日本で直ちに実施するということは難しいと考えております。

金田(誠)委員 仮に直接的な担当官でないにしても、この食肉検査に深くかかわっている方々ですから、我が国に輸入するというのであれば、そうした方々の事情も当然聞くべきだ。そういうことさえないというのは無責任だというふうに思います。

 あるいは、我が国における実験も、トレーサビリティーで月齢ははっきりしているわけですから、アメリカの、その格付できるという人を呼んできて、本当にやれるものかどうか、やってみたらどうでしょうか。そのぐらいのことをやれないわけがない。強く今後もこれは要求をしてまいりたい、こう思います。こんな程度のことをやらないで、無責任ですよ。そんなことであれば、アメリカの言いなりということを言われてもやむを得ないということを申し上げておきます。

 最後に、リスク評価、リスク管理の本来のあり方、これについて、私の地元噴火湾からEUに向けて輸出されている養殖ホタテガイの基準について紹介をしながら質問をしたいと思います。

 その基準は、EUの基準に基づく厚生労働省の通知により定められております。一つは「対EU輸出水産食品の取扱いについて」、いま一つは「対EU輸出ホタテガイ等二枚貝の取扱いについて」でございます。合わせて七十七ページに上る詳細なものであり、生産海域の水質に始まって、加工船の構造設備、陸揚げに関する基準、処理、加工等を行う陸上の施設の一般基準等々、微に入り細にわたっております。

 我が国の規制の仕方は川下型規制、これに対し、EUは川上型規制と言われているようでございます。EUへの輸出に当たっては、こうした基準に適合していることについて行政の認定を受け、初めて可能となります。また、EU側は、基準に適合しているか否かを立入調査することができるとされています。考えてみれば、輸入する側から見れば極めて常識的な措置であり、こうした対応をとってこなかった我が国の方が、大臣言うところの、非常識であったように思われるわけでございます。

 そこで、食品安全委員会、農水省、厚労省に質問をいたします。

 食品安全基本法の基本理念を達成するためには、主要な農畜水産物の輸入に当たっては、我が国が従来行ってきた川下型規制を抜本的に見直し、EU型の川上型規制に転換することが必要と考えます。とりわけ、今回、米国産牛肉の輸入再開に当たっては、こうした措置がとられない限り安全性は担保されることがないと考えます。

 EU型規制、川上型規制に転換すべきと考えますが、委員会、農水、厚労、力を合わせて、これはもうすぐやるという答弁をそれぞれしていただきたいと思います。

寺田参考人 昨今の国際化の進展に伴いまして、輸入食品の安全性を確保することが大変重要だというふうに認識しております。

 ただいま先生がおっしゃいました、川上で規制をきちっとするというお話もよく理解できますが、一方、食品安全委員会は食品の安全性にかかわるリスク評価を行う機関でありまして、御質問されましたようなリスク管理措置のあり方自体は、リスク管理機関によって御検討いただくべきものであると考えております。

 全く仮定の質問にお答えするのは必ずしも適当ではございませんが、万が一リスク管理措置が適当でないため輸入食品の安全性の確保に問題が生じるような事態になった場合には、食品安全基本法に基づきまして、委員会からリスク管理機関に科学的な見地から意見を申し上げるということでございます。

中川政府参考人 私の方からは、将来アメリカからの牛肉の輸入が再開される場合の条件ということとの関連でお答えを申し上げたいというふうに思います。

 昨年十月の日米局長級会合におきまして認識の一致を見た二つの点、これはもう先生御案内のとおり、特定危険部位の除去でありますとか、二十カ月齢以下の牛からの肉に限る、そういう条件であったわけでありますけれども、こういった条件をきちっと担保するために、米国牛肉輸出証明プログラムというものをアメリカ側で設定するということになっているわけでございます。先生、いろいろなマニュアルについて先ほどお話がありましたけれども、この輸出証明プログラムといったものもそういった条件がきちっと書かれているものでございまして、その詳細につきまして、現在、日米間で実務的な最後の詰めを行っているところでございます。

 また、昨年の十月の局長級会合の中で、日本側から、アメリカ側の施設について、定期的に立ち入りをするというふうなことについても記述をされておるわけでありまして、我が国が定期的な査察を実施することについて、両国間で認識が一致をいたしておりますので、こういった手法もきちっと活用しながら食の安全、安心といったものの確保に努めていきたいというふうに思っております。

外口政府参考人 輸入食品等の安全性確保については、輸出国における生産、製造、加工等の段階から輸入後の国内流通までの各段階において適切な措置が講じられることが必要であると考えております。

 このため、厚生労働省といたしましては、輸入時に検疫所において国内品と同一の基準を適用して製造基準の確認や残留農薬等の検査を行っているほか、同一食品で法違反が継続的に発見される場合やBSE問題等、輸出国での安全性確保対策の確認が必要な場合等におきましては、現地調査や二国間協議を行い、輸出国における衛生対策の推進を図っているところであります。

 米国産牛肉の輸入再開に当たりましても、我が国に輸出される米国産牛肉等について、国産牛肉と同等の安全性を確保するという観点で、米国側の対応を求めてまいります。

金田(誠)委員 時間になりましたので、これで終わりますけれども、実に三者それぞれ無責任だ、本当に無責任ですね。そんなことで食の安全や国民の生命、健康を守れるわけがない。そういう中で米国産牛肉の輸入なんというのはとんでもない話だ、このことを申し上げて、終わります。

山岡委員長 次に、中津川博郷君。

中津川委員 民主党の中津川博郷でございます。山田筆頭から、お前やれということで、急遽質問に立たせてもらうことになりました。

 実は、先月二十二日、予算委員会でいろいろBSEの問題を取り上げました。先月四日に我が国において初めて発生しました変異型クロイツフェルト・ヤコブ病について、この男性がどこで感染したのかということを私も追及したのでありますが、当時出された記者発表資料によりますと、一九八九年ごろ、英国渡航歴一カ月間という情報が余りにもいいかげんじゃないかということを質疑しまして、パスポートや渡航歴や入管記録を調べたのかと言ったら、個人情報だから教えられないと、全くもってふまじめな答弁でありまして、では何も調べないで公式発表したのかということが明らかになりまして、いかに厚生労働省、農林水産省、この大事な問題をまじめに扱っていないかということがわかったわけであります。

 そこで、私のその質疑を受けて、今月の初め、厚生労働省は慌てまして、この男性は実は一九九〇年前半にイギリスに二十四日間、フランスに三日間滞在していたと発表を訂正しましたね。この発表は正しいんですか。入管記録を調べたんですか。同時にお答えください。

岡島政府参考人 本患者の海外渡航歴につきましては、平成十七年二月四日に、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の確実例と判断して以降、クロイツフェルト・ヤコブ病サーベイランス委員会等と連携を図りつつ、御家族及び主治医等へのヒアリング調査、御本人のパスポート及び出帰国記録の確認を行いまして、調査をいたしました。

中津川委員 この男性がイギリスで滞在中に牛のひき肉などを使ったハンバーグや肉汁ソースを食べたということがわかったというんですが、これはどうやって調査したんですか。それで、いつどこで、どんな料理を食べたんですか。

岡島政府参考人 ただいま申し上げましたように、御家族等へのヒアリングの調査によりましてそういったことが判明いたしたところでございます。

中津川委員 これは疑問だらけなんですよ。この男性、二十四日間イギリスにいたことがあるというんでしょう。だからイギリスで感染したと。

 実は、アメリカやカナダでも英国渡航歴のあるヤコブ病患者が発見されているんですが、みんな数年単位ですね。これはたった二十四日でしょう。こんな短い期間で感染した例というのはどこかあるんですか。

岡島政府参考人 今回国内で発生した変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の事例以外に、英国滞在歴のある変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の発症例は、ヨーロッパ以外の国におきまして二例あると承知しております。この中で、英国滞在期間の最も短いものはカナダの事例でございまして、その英国滞在歴は約三年間でございます。

中津川委員 なぜこの男性がイギリスで食べた牛肉とかソースでヤコブ病になったと考えられるんですか。根拠をわかりやすく説明してください。

岡島政府参考人 今回の調査結果におきましては、異常プリオンが含まれる食品を食べた回数とか、あるいは期間ということではございませんで、国内及び英国を含む海外におきます食生活の状況、当時のBSEの発生及び各国の対策の状況から総合的に勘案しまして、英国における暴露の可能性が有力であるというふうに判断されたものでございます。

中津川委員 結局のところ、政府が一回でも、こういう怪しい肉を食べたらヤコブ病になる、可能性があるという見解を今回示したというわけでありますが、どうも私は、今回の一連の動きを見て、この後もあれでしょう、イギリス、フランス、当時一日でも滞在した人は輸血しちゃいけないと、もう明らかにイギリスで発生したというふうに、これは何とかそこのところを国民に伝えようという意思が強く働いていると思わざるを得ない。

 私は、最初はこんなに深く入るつもりはなかったんですが、やってみて身が震えてくるほど恐ろしいという意味もあります。国内で感染した可能性というのは、あなた、否定できますか、いかがですか。

岡島政府参考人 本調査につきましては、感染経路等の厳密な特定というものは、暴露が疑われる期間から既に長期間が経過しておりまして情報が限られていることなどから、困難でございますが、いずれの感染経路が最も説明力を有するかということから検討した結果、日本、あるいはほかにフランスにも滞在歴がございますが、そちらでの感染の可能性を完全に否定することはできないものの、英国滞在時の暴露の可能性が有力という判断が下されたものでございます。

中津川委員 逃げていますね。国内でも感染されたことは全部は否定できないと。

 当時イギリスでは、大変なBSE患者が出て、そして国内での食材等は禁止しましたけれども、危険部位、脳とか脊髄、これをミンチにして肉骨粉にしてアメリカとか日本に大量に来ている。それを我々は、おいしいおいしいといって食べた。八〇年代、九〇年代というのは、日本でBSE対策は、厚生労働省、全くやっていないでしょう、全くやっていない。

 で、変異型ヤコブ病の潜伏期間が大体五年から二十五年だという。もうみんな潜伏しているかもしれない、我々。それを考えると恐ろしくなる。今の審議官の説明ですと、これが日本で感染したのじゃない、イギリスで感染したという説得力、全くありません。

 私は、前から、これは日本で感染したんではないか、そういう思い、嫌なことですけれども、そういう心配が、この問題に深くかかわってくるにつれて確信みたいなものになっているんですよ。

 そこで、ヤコブ病とBSEについての関係、アメリカでもたくさんの疑惑が持ち上がっています。

 ニュージャージー州のガーデンステート競馬場のレストランで、一九八八年から一九九二年まで、食事をした客や従業員十七名が次々とヤコブ病らしき症状を示して亡くなっていた、特定の場所で、こんな短期間に特異な症状で亡くなった方が集中していた、これは普通のことではない。

 ニュージャージー州保健当局とアメリカ疾病管理センターが調査を行ったとされておるんですが、その結果、十一名が孤発性ヤコブ病、三名はヤコブ病ではなくて、他の三名については引き続き調査中であるとされています。しかし、孤発性ヤコブ病とされた十一名のうち、脳組織の病理検査ができたのはわずか五名、残りの六名については当初の所見の診断であったと。

 ヤコブ病の判定というのは、非常に精密な検査が必要なんですね。脳を割って脳組織をとって、しっかりとしなきゃいけない。アメリカの調書、これは実にいいかげんだと思うんですが、厚労省は、この調査結果、信頼に足るものだとお思いですか。

岡島政府参考人 御指摘の件に関しましては、米国疾病対策センター、CDCとニュージャージー州当局が共同で調査を行いまして、おっしゃられましたような報告書を発表したことは承知しておりまして、その内容につきましては、在米日本大使館を通じて入手しております。

 報告書におきましては、ニュージャージー州におけるクロイツフェルト・ヤコブ病の発生数は全国的に見ても特に増加しているものではないこと、かつ、BSEとの関連が疑われている患者に関し、一部で報道されているような変異型クロイツフェルト・ヤコブ病ではないこととの報告がなされているということも承知しております。

 この報告は、国立プリオンセンターや米国神経病理協会の検査結果に基づいておりまして、信頼に足るものと考えております。

 米国におきますクロイツフェルト・ヤコブ病の発生状況につきましては、引き続き関係機関や専門家と連携を図りつつ、情報の収集に務めてまいりたいと考えております。

中津川委員 アメリカの牛の管理、実にずさんであるということがよく言われます。今、このBSEの問題で、きょうもたくさんの審議を午前中からやったわけでありますが、もう一つ、山田委員もこの場で指摘されたと思うんですが、成長ホルモンなんですよ。アメリカの牛というのは、五カ月になると耳に注射しますね、コスト削減。それで、大体五カ月ぐらい大きくなっちゃう。元気のいい牛だと一年ぐらい大きくなっちゃう。それを、おいしいおいしいと我々は食べている。これは抗生物質ですからね。

 それで、今アメリカでは、どうもこれが原因らしいということで、小さい男の子のおっぱいが膨らんだり、成長ホルモンで幼児の体がおかしくなっているということをマスコミなんかでも盛んに取り上げているんですよ。

 きょうは厚生労働大臣はいないんですけれども、農林水産大臣、こういう成長ホルモン漬けの牛肉の危険性というのを認識していらっしゃいますか。

島村国務大臣 米国において肥育牛に肥育ホルモンの使用が認められていることは承知をしております。

 牛肉の安全性にかかわる肥育ホルモンの残留性の問題については厚生労働省の所管ですが、現在、食品衛生法に基づき二成分について残留基準が設定されておりまして、その基準を超えて残留が認められる食肉等の輸入は禁止されているところであります。現在までに残留基準値を超えた事例は認められていないと聞いております。

中津川委員 ヨーロッパで、成長ホルモンを使った牛を食べて三歳の女の子がメンスが始まったり、あるいは男の子の体に変調を来すというようなことが起きて、それ以来ヨーロッパは非常に慎重になっているんです。私たちの篠原議員、その辺のところをよく調べて、この場でも質問されたかもしれませんけれどもね。だから、成長ホルモンを使っているアメリカの牛肉をEUは全然輸入していない。韓国も台湾も中国も輸入していない。

 厚生労働大臣、きょうはいませんけれども、島村農林水産大臣、これは大変危険なんですよ。第二のサリドマイド事件あるいは薬害エイズ事件。これはきょう食べてあした結果が出るわけじゃないから。五年、十年、十五年、二十年。このときの所管の大臣だれだったといったら、島村さんと尾辻さんだと、後世に名が残るわけでありますから。このときの総理はだれだった、小泉さんだ、委員会でしっかり議論をやったけれども、全然のうてんきだったというふうになる。だから、成長ホルモンというものは物すごく怖いですからね。これはちょっと厚生省と農林水産省、要望にしておきますけれども、これは真剣に調べてくださいよ。

 そこで、きょうは寺田委員長、お越しでありますね。御苦労さんでございます。

 今、アメリカの牛肉輸入の件が大きく連日取り上げられておりますが、食の安全という意義を超えて、非常に政治的、外交的、経済的な問題になっちゃっている。ブッシュさんが小泉さんに電話を入れたとか、あるいは報復措置をとるだとか、どんどんマスコミで流れていますね。さあ、当事者であります食品安全委員会、あなたどうするんだ、この件はどうするんだ、こういうニュアンスで今なっておるわけでありまして、国民からいいますと、何だ、もう食品安全委員会というのはアメリカの牛肉輸入再開のという、こういう流れの中でやっているんじゃないだろうかと。本来の職務はそうじゃない、でしょう。安全、安心、特に国内基準を見直すというところから入っていると思うんですけれどもね。

 委員長、今、委員会で審議をしておられるわけですが、どうなんですか、米国の圧力といいますか、国内の検査体制の見直しというのがこの間すっきり決まっちゃったけれども、圧力に屈したなと国民はますます心配になってくると思うんですね。そういうような心配をどうやって解決するか、委員長、御意見をお聞きしたいと思います。

寺田参考人 プリオン専門調査会では現在、おっしゃいましたように、我が国におけるBSE対策に関するリスク評価につきまして、昨年十月、管理官庁であります厚生労働省、農林水産省から諮問を受けまして調査、審議を行っているところであります。この調査、審議の間に、アメリカからの輸入再開ということに関しましてプレッシャー、そういうことは一切受けておりません。

 それから、米国産牛肉の輸入問題に関しましては、現在、我が国におけるBSEの国内措置の見直しについて議論をしているところでありまして、予断を持ってどういうふうにするかということは差し控えたいと思います。管理官庁から、多分でございますけれども、諮問が来たときには、きちっと食品安全基本法に基づきやりたいと思っております。

中津川委員 政治の圧力を感じないという今御答弁でありまして、当然のことだと思いますので、これは食の安全を独立、公正、中立で、科学的に判断する機関であるということを、くれぐれも委員一体となって、この大事な時期、認識をしていただきたいと思うわけであります。

 そこで、今、三週間に一回のペースでやっているとか、これが遅いの速いのと今周りでは言っておりますが、我々門外漢にはこの辺のところはよくわかりません。

 そしてもう一つは、十二日の新聞各紙一斉に、食品安全委員会、二十カ月以下の検査除外容認へという大見出しで報じました。これは十一日に行われたプリオン調査会でそう決まったんですか。

齊藤政府参考人 御説明いたします。

 まず、プリオン専門調査会の開催の日時の関係でございますけれども、これにつきましては、専門委員、それぞれお忙しい方々でございますが、こういう専門委員からの意見の集約を行い、その上で座長を中心に審議に必要な検討案を作成して、それを事前に専門委員にお送りして、会合の前にいろいろ検討をいただく、そういうような形で審議の日程をセットしておるわけでございます。また、そのときには、お忙しい専門委員でございますけれども、そういう専門委員の日程を考えながらということでございますので、開催に一定の間隔が必要である、こういうことでございます。

 それから、十一日の件でございますけれども、十一日の審議におきましては、座長が、次回に向けまして、結論部分につきましてその案を座長代理と検討の上整理をしたい、こういうふうに要約といいますか総括をしておるわけでございまして、そういう意味では、現時点で結論が出たというわけではございません。

中津川委員 新聞を読んだ人は、百人のうち百人は、これはもう二十カ月以下は検査対象から除外されたんだなと全員思いますよ。まだ結論が出ていないということを今お聞きしたわけでありますが、これは報道のあり方というよりも、コメントの仕方、あなたたち、そういう流れをつくっているんじゃないの。そういうふうに疑われてもしようがないよ、それ。だって、ああ二十カ月以下になったのねと、これは新聞を読む普通の庶民の方は全員そう感じると思う。

 この二十カ月以下の検査対象からの除外に慎重な見解がある委員はだれなのか、教えてください。

齊藤政府参考人 専門調査会の意見でございますけれども、現在までプリオン専門調査会、七回にわたりまして審議を行ってきておるわけでございます。専門家により、いろいろ意見が交わされてきたわけでございます。

 全頭検査の見直しに関しまして、二十カ月齢となる平成十五年七月以降に生まれた牛について、全頭検査を続けた場合と検査対象から除外する場合のリスクに関しまして、専門委員の間で今御議論をいただいておるわけでございます。そういう意味で、委員の間にはいろいろな意見があるということは事実でございます。

中津川委員 私、この委員会と重ねて思い浮かべるのが、アメリカで食品医薬品局、FDAというのがありますね。一九六〇年、ここにサリドマイド、アメリカ人というのはよく睡眠薬を飲むという、野球の選手なんかも時差の都合で常用しているということを聞いております。それで、これはドイツでつくられた薬であるわけなんですが、これをアメリカで販売したいと猛烈な業界の、会社の圧力があった。その中で一人だけ、ケルシー女史という女性が、まだこれは十分に解明されていないじゃないかと一人反対したんですよね、反対した。そして結局、ドイツを中心にヨーロッパでは、日本でも出ましたね、妊婦がこのサリドマイドを服用して、手のない、足のない、本当にかわいそうな子供たちが生まれた。いわゆるサリドマイド事件でありますが。アメリカでは出なかった。ケルシーさん、偉いな。いや、もっと偉いのは、ケルシーさんの、その一人の意見を聞いたFDAの長官ですよ。

 今アメリカは変なことをやっているね。とにかく経済優先で、何が何でも早く日にちを決めて、日本よ買ってくれという、こういう動きになっている。アメリカというのはそういう民主主義の土壌があるんです。これが僕はダブル映しになってしようがない。

 日本のこの食品安全委員会にケルシーさんのような人がいてほしいと思うね。僕はいると思っていますよ。元東北大学大学院の教授とか山内東大名誉教授なんかは厳しいことを言っていますよね、全頭検査しかないんだと。この審議内容を今オープンにしているということ、これは大変結構なことだと思います。

 それから、もう一つお願いしたいことは、同時に、非常に欠席者が多いというのを聞いている。皆さんお忙しいと思う。ですから、ぜひその出欠状況というのも公表していただきたいということを要望しておきます。

 それで、今とにかく輸入再開ありきということで、期限をとにかく示すこと、これは物すごい圧力でしょう。今、安全委員会で何をしているかというと、これは食の安全についてまじめに審査しているんです。政治的にどうこうという次元とは全く違うんだ、これは。そうですよね。アメリカの機嫌をとって、国民の不安、危険を増大したら絶対いけない。

 この問題がこれまでこじれたのは、私は日本にも大きな責任があると思いますよ。国内の手続やその進め方についてアメリカに十分に説明してこなかったんじゃないか。アメリカに言われて輸入再開をいたずらに急いでは、消費者の食品行政に対する信頼が損なわれるよ。ひいては米国産牛肉のイメージが悪くなって、これはもうアメリカ自身が輸出できなくなっちゃう。最後はアメリカが迷惑を自分の方でこうむってしまう。これは、農林水産大臣、そういうことをちゃんと説明してきましたか。

島村国務大臣 きちんと説明してきたからこそ、今現在まだ私どもは時期を決定しておらないということでありまして、アメリカ側でも、それは中には大統領選挙をめどにというようなお考えを持った人もおられたように感じましたけれども、そういうことは我が国では不可能であることをきちっと申し上げて理解をしてもらったところであります。

 そういう意味で、米国産牛肉の貿易再開問題については、昨年十月の日米局長級会合において、国内の承認手続を条件として、米国産牛肉の輸入再開の枠組みについて米国側と認識の一致を見たところであります。

中津川委員 もうこれは有名な発言で、島村さんが、日本の全頭検査は世界の常識ではなくて世界の非常識ということを言われて、今、これは民主党だけではなくて、自民党の内部からも批判の矢面に立たされているということでありますが、本当にそう思っているんですか。

島村国務大臣 今日までに何回も同じ答弁をしてきましたけれども、私の真意については、全頭検査は、我が国でBSE感染牛が確認された直後に導入されて、いわば消費者の不安を解消する役割を果たし、その実施はまさに英断であったと思いますし、私もその当初賛成した一人であります。

 他方、導入後三年が経過して、その三年間でも約三百五十万頭、その後、現在に至っては四百二十万頭と言われますが、少なくもその間の科学的な判断をする中で、今我々なりに諮問をしているところでありまして、昨年の九月の食品安全委員会による中間とりまとめを受けて、この見直しについて厚生労働省と共同で食品安全委員会に諮問していることが現状であります。

 全頭検査は他のBSE発生国においては実施されていないのが実情であることから、こういったことを踏まえて発言したものであります。

中津川委員 日本の常識を世界の常識にしたいというのが日本国のリーダーじゃないですか。違いますか。いかがですか。

島村国務大臣 世界各国、いずれの国も、国民の食品に関して、安全、安心に心を配っていない国はないと思います。そういう中でのいろいろな国際的なそれぞれの基準を考えたときに、我が国一国だけの事情を海外に持ち込んでも、これはおのずから限界があるということであります。

中津川委員 我が国だけの問題じゃないんじゃないですか。いつも私、こういうところで言います。一九九七年にアメリカのカリフォルニア大学のプルシナー教授は、このプリオンを発見しましてノーベル賞をもらいました。自分だってアメリカの牛肉は食べないと言っているんですよ。ましてや子供になんか食わせられない、全頭検査をしている日本の牛、これだけが安全なんだ、日本に来てそういうことを言っておりますよ。あなたはアメリカの農林水産大臣じゃないの。いかがですか。

島村国務大臣 私は、アメリカの農林水産大臣に就任した記憶はございません。

中津川委員 もっと日本のことを考え、国民のことを考えて、そして、今最も世界で安全で安心で、誇れる日本のこの全頭検査というシステム、こんなすばらしいのがあるんだということをやはり世界に発信しなきゃだめですよ。あなたはちょっと揺れ過ぎる。アメリカからこう言われたらすぐぺらぺらしゃべる。何か反応が、腰が据わっていない、そんな感じがしてなりません。

 先ほど、あなた言われましたね、日米局長級会合で云々ということでありますが、日本に輸出する牛肉は、個体月齢証明などの生産記録を通じて二十カ月以下と証明されればBSE検査はなしでよいということで合意したわけですよ。これは前後逆じゃないか。とんでもないことですよ。

 委員会が審議している最中に政府間で牛肉輸入について合意してしまう。しかも、委員会が審議している牛の月齢とBSE検査の必要性の有無について話を進めてしまう。これはだれが聞いても納得しない。まるで政府が食品安全委員会の先を走ってレールを敷いていると言われてもしようがないじゃないですか。違いますか。日米政府間でこういう話がついているんだから、それに合わせないと面倒なことになるよという、これは圧力以外の何でもないじゃないですか。さっき寺田委員長は圧力はないと言っているけれども、あるとは言えないよな、こういうところで。しかし、猛烈な圧力ですよ。

 食品安全委員会というのは、あくまでも科学的な見地から独自の権限で審査をする。そうでしょう。日本のBSE対策を決定する権限を持っている唯一の機関ですよ。まず、食品安全委員会の答申を待って、国内対策の見直し内容が決まるのを待ってから政府間協議に入るべきじゃないですか、これは。順序が逆だ、これは。大臣、納得のいくように説明してください。

中川政府参考人 私、直接局長として日米局長級会合に出席した者でございますので、先に事実関係につきまして御説明をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、昨年の九月の九日でございますが、食品安全委員会は、昨年の春からBSEの国内対策について自発的に広範囲の検討をしてこられまして、その結果が、九月の九日、中間とりまとめとしてまとめられて公表されたわけでございます。

 私ども農林水産省及び厚生労働省は、この中間とりまとめを受けまして、十月の十五日に国内のBSE対策について見直しを諮問いたしました。この諮問をした段階で、現行のBSE対策について新たな方向がはっきりと固まったということで、リスク管理サイドとすればその交渉の立場が決まりましたので、十月の二十一日から二十三日でありますけれども、日米の局長級協議を開きまして、アメリカの牛肉の輸入の再開についての条件の大枠についてアメリカ側と協議をし、認識の一致を見たところでございます。

 ただ、その際に明らかにされておりますけれども、こういった条件につきましては、まずは国内のBSE対策についてきちっとした国内の承認手続、食品安全委員会に諮問して答申をいただいた後に、改めてアメリカとの牛肉の輸入再開条件につきまして意見交換会も開いた上で、食品安全委員会に再度その条件を諮問するという、その手続につきましては、一言、国内における承認手続を前提としてというふうなことも書かれております。こういう手順を踏んでやっていくということは、きちっとその時点でも明らかにしていたところでございます。

 今先生がおっしゃられました、手順が逆ではないかという点につきましては、今申し上げましたように、それぞれ手順を踏んできちっと進めてきたところでございますので、御理解いただきたいと思います。

島村国務大臣 今中川局長から御答弁申し上げたとおりであります。

中津川委員 大臣、政府間協議でアメリカの提出した資料がでたらめだったという事実が明らかになっているわけですね。BSEの疑いのある牛の検査頭数についてのデータ、二〇〇〇年から急増させて二〇〇三年には二万頭に上ったということだったんですが、後から訂正した資料では、二万頭どころか六百頭弱しかまともな検査をしていなかったということが明らかになった。たしかアメリカでは全部で三千五百万頭から六百万頭の牛がいる。その中の六百頭ですよ。これは何にもしていないと同じです。

 予算委員会でも私申し上げましたが、アメリカにはBSEの専門家もいない。そして、資料はでたらめ。それで、よく島村さんは科学的知見というような言葉を使いますが、そういうアメリカを、これは本当にいまだに科学的であると信じておられるんですか。

中川政府参考人 今先生が引用されましたアメリカにおきますBSEの検査の数字でありますけれども、二万頭、その中で中枢神経症状を示した牛が六百数十頭ということであったかというふうに思います。

 OIEのサーベイランスの基準によりますと、この中枢神経症状を示した牛というのが一つの基準になっておりますから、アメリカの飼養頭数からいたしますと四百三十頭程度が一つの基準になるわけでありまして、そういう意味からしますと、六百頭程度というのは一つの基準を上回っていることは事実でございます。ただ、一時、アメリカは国際基準を四十数倍上回っているというふうなことを言っておりましたが、その点からすると、少し数字は違っていたかというふうに思います。

 いずれにいたしましても、アメリカのさまざまな国内対策等につきまして、あるいはまたアメリカ産の牛肉の輸入に当たりましてのさまざまな条件につきましては、合意を得ました後に、先ほどから申し上げておりますように、食品安全委員会にこの牛肉のリスク評価をお願いすることにしております。こういったリスク評価機関におきますきちっとした専門家のリスク評価の結果を踏まえて、最終的にアメリカ側からの輸入の条件を決定したいというふうに思っております。

中津川委員 私は、日米関係は大事だと思っているんですよ。これは最も大事です。今、中国があんな調子ですから、本当に大事だと思っている。しかし、BSEのこの牛の問題に関して言うと、本当に自分勝手、不誠実きわまりない、最初から最後まで。

 カナダの牛は危険だから輸入しないといって、日本にはアメリカの牛を買えというんでしょう。まるで子供だし。それから、一月の時点でいろいろアメリカが出してきたデータ、これは足らないから追加提出しろと言ったら、そんなの出せないというんでしょう。北朝鮮と同じじゃない。そんなもの出せないよと。不誠実きわまりないじゃないですか。いかがですか、これは。

中川政府参考人 二月の八日の月齢判別に関します検討会の報告書の中で指摘をされておりました追加的に検証またはフォローアップが必要だ、その点については、アメリカ側に対しまして、私ども事務的な協議の中で要請をいたしておりますけれども、これまでのところ、具体的な回答、確約が得られていないというのはそのとおりでございます。

 ただ、先ほども申し上げましたが、こういった追加的検証またはフォローアップというのは、専門家の検討会でも必要性が指摘をされていたところでございます。したがいまして、私どもはこれからも引き続き、この点についてはアメリカ側に要求していきたいというふうに思っております。

中津川委員 要求していくんでしょう、資料を出してくれと。北朝鮮がなかなかこたえないから、ずっとこれからも要求していくのと同じですよ、この件に関して言うと。

 とにかく、食品安全委員会、きょうはお越しになっていただいておりますが、どうぞ政治的な圧力、権力に屈しないでもらいたいんですよ。今あなた方がやっていらっしゃることは、大変な、これはこれからの孫子に本当に、きょう牛肉食べて、あした結果出るものじゃないんですよ。五年、二十五年の潜伏期間があって、あるいは、今、我々、私も含めてかもしれない、皆さんたちも入っているかもしれない、変異型ヤコブ病の潜伏期間中にある人、いるかもしれない。これは本当に、安全委員会、ケルシーさんのように、権力に屈しちゃだめですよ。ぜひ皆さんたちに、ひとつ真剣に御議論を、まじめにしていただくように、ぜひ寺田さんにきょうは代表して申し上げたいと思うんです。

 我々民主党は、とにかくアメリカの牛肉というのはいろんな角度から考えても危ない。疑わしきは罰せずという言葉がありますが、疑わしきは食べずなんです。何で今こんなに焦るんですか、農林水産大臣。厚生労働大臣、きょうはいないけれども。

 私たちは、日本が世界に誇る日本の常識を世界の常識にしたいと思っている。全頭検査ですよ、危険部位の除去ですよ。危険部位の除去は、日本はバキューム使ってやっているから、全部除去される。アメリカは散るんでしょう、髄液が。それはそうですよ、成長ホルモンやって、五カ月も一年も大きくしちゃうんだから、個体管理なんかできないですよね。これは、本当に見た目で何カ月かわからないですからね。さらに、民主党では、安全な屠畜方法と飼料規制、ここまで入れてね。

 お金もうけばかりじゃだめ、経済最優先じゃだめ。国民の生命、安全、安心を守るということで、これは私は民主党の考えじゃなくて国民の声だと思いますよ。私もいろいろなところへ行って話すと、中津川さんの考えは違うというのは一人もいないもの、今まで。いやあ、中津川さんの言うとおりだよと、みんな言いますよ。

 農林水産大臣、本当に、最後まで汚名が残っちゃいますよ、こんなことをやったら、歴史的に。名前が残っちゃう。ぜひそういうことも考えて。今非常に大事な、島村さん、これで男になるかどうかですよ。

 日本の政府が本当に国のことを考えているのか。ブッシュの言うことだったら何でも聞くのか。選挙で共和党を応援してくれたから日本にしっかり言っておくというようなことを、マスコミを通じて一般の国民はもう知っていますから。だから違うんだと、安全、安心第一なんだということをこの委員会は確認するための委員会で、もう一度我々が真剣に考えるための委員会、そういう委員会であってほしいと思います。

 終わります。

山岡委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時開議

山岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。仲野博子君。

仲野委員 民主党の仲野博子でございます。

 午前中は、島村大臣にBSEについての質疑が集中されました。私の方からは、畜産物価格等にかかわる課題について質問させていただきたいと思います。

 今後の農政推進の指針となる、新たな食料・農業・農村基本計画が、一年二カ月、約三十回の審議会企画部会の議論を経て、この三月九日に食料・農業・農村審議会から農林水産大臣に対して答申が出され、今月中の閣議決定を待っている状態にあるとお聞きしております。

 また、現在、同審議会の畜産企画部会でも、今後十年間を見据えた新たな酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針、いわゆる酪農近代化基本方針の策定に向けた議論が行われております。そして、加工原料乳生産者補給金単価を含む畜産・酪農政策価格とそれに関連する施策が次々に決まろうとしております。

 このような中、私の地元は国内有数の酪農専業地帯でもありますが、つい一昨日、地元の酪農家にお邪魔いたしまして、地域の方々から直接お話をお聞きする機会を得ました。地域の酪農家の皆さんは、全員がこれらの酪農をめぐる国の施策の行方に注目をしていました。期待と不安が入りまじった生の生産者の皆さんの声を、私が代弁させていただきたいと思います。

 それでは、これより質問に入らせていただきたいと思いますので、限りある時間ですが、誠意を持った御答弁をお願い申し上げます。

 初めに、脱脂粉乳在庫対策と加工原料乳限度数量、穀物自給率の確保について質問いたします。

 今回の基本計画の見直しでは、新たな食料自給率目標を設定し、その向上に取り組むとされておりますが、一方で、脱脂粉乳は、生産者みずからが脱脂粉乳二万トン分の生乳を乳業メーカーに安く販売をし、輸入調製品などと置きかえて在庫の積み増しを防ぐ対策を実施しております。しかし、それでもなお、十六年度末の脱脂粉乳の在庫は、昨年度末より一千トン多い九万四千トンに及ぶと見込まれております。

 昨年の委員会では、政府から、生クリームやチーズの生産拡大、脱脂粉乳の新商品開発、季節別乳価の導入支援を行うという答弁がありましたが、その施策の効果や実績はどうであったのか。また、チーズは内外価格差が少ないので生産拡大の余地があるとお考えのようですが、実際は九割がまだ輸入品であります。逆に輸入がふえているのはなぜなのか。

 脱脂粉乳の在庫対策が進まない基本的な原因として、少子高齢化、乳飲料の消費の変化などにより、飲用牛乳自体の消費が減少していることがあると思われますが、政府としての今後の大胆な取り組み等についてお伺いしたいと思います。

白須政府参考人 ただいまの委員の御指摘でございます。

 委員のお話のとおり、脱脂粉乳、大変に在庫がたまってきておりまして、その過剰在庫の解消に向けまして、それぞれ生産者の皆様方も大変なお取り組みをしていただいているわけでございます。

 そこでまず最初に、第一点、委員からのお尋ねの、脱脂粉乳の在庫解消に向けまして新規需要の開拓ということでどんなことをしておるのか、その効果は上がっているのかというふうなお尋ねがあったわけでございます。

 お話しのとおり、この脱脂粉乳の新規需要開拓を図りますために、十六年度から国産生乳の需要拡大定着化事業、こういった中で、脱脂粉乳を利用いたしましたいわば機能性ヨーグルト、例えば微量成分でございまして、それの免疫力の増強でございますとか、あるいはまた、一方では花粉症に効くとか、そういった機能性のヨーグルトの開発、あるいはまた乳飲料の開発、それから、そういったものを活用いたしまして、乳業者が実施をいたします新たな製造技術の研究、あるいはまた新商品開発ということに対しまして支援を実施しているわけでございます。

 この対策の実施によりまして、既にメーカーにおきましては試作品はできているわけでございますが、まだ新商品の販売といった段階までには至っておらないというふうなことでございますので、私どもとしましても、今後、できるだけ早期にこういった形での開発、実用化が行われますよう指導に努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

 それから、二点目のお尋ねのチーズの関係でございます。

 お話しのとおり、近年、我が国のチーズ消費量、増加をいたしてきているわけでございます。逐年、一貫して消費は増加してきているわけでございますが、ヨーロッパと比べますと、その消費量はまだ十分の一という段階でございます。チーズの消費量を数字的に見てみますと、平成五年度十八万三千トンに対しまして、平成十五年度には二十五万六千トンというふうなことで、一四〇%の伸びになっているわけでございます。

 こうした中で、ただいま委員からも御指摘ございましたが、生産量、輸入量ともに増加しているわけでございますが、とりわけ輸入量の方が、平成五年度の十三万八千トンに対しまして、平成十五年度には二十万四千トンというふうなことで、一・五倍の伸びになっているわけでございます。

 実は、チーズにつきましては、脱脂粉乳やあるいはバターと比べますと、内外価格差が比較的少ないわけでございます。ちなみに、申し上げますと、チーズの輸入価格はキログラム当たり三百三十円でございますが、国産のチーズはキログラム当たり五百四十円というふうなことでございまして、一・六倍というふうな内外価格差ということでございます。したがいまして、私ども、こういった内外価格差の面あるいは品質面というふうなところから見まして、輸入品に対しまして、国産品としても十分に対抗できるのではないかというふうに考えているわけでございます。

 ただ、委員がお話しのように、輸入の方が増加しておるというのは、やはり消費の増大に国内生産の増加が必ずしも十分に追いついていないということによるのではないかというふうに考えているわけでございます。したがいまして、チーズは今後ともさらに消費量の増加が期待できるというふうに考えているわけでございまして、私ども、生産者に対しましても、チーズ向け生乳の供給拡大ということについて促進をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。

 それから、三点目のお尋ねの飲用牛乳の消費拡大の関係でございます。

 この点につきまして、やはり委員からもお話しございましたが、国産生乳の主要な仕向け先でございます。したがいまして、消費拡大を図ります上で、この飲用消費の拡大に取り組んでいくということは基本であろうというふうに考えているわけでございます。

 しかしながら、委員も御案内のとおり、昨年夏、大変な猛暑であったわけでございます。通常、猛暑でございますと、牛乳消費も伸びますというふうに言われておったわけでございますが、昨年は大変な猛暑であったにもかかわらず飲用牛乳の消費が伸びなかった。この原因をいろいろ考えてみますと、やはり豆乳でありますとか、あるいは緑茶飲料、そういった茶系飲料、こういうことの競合の中で、カルシウムに富む、大変健康にもよろしいこの牛乳のよさが必ずしも十分に理解されていないのではないかというふうに考えているわけでございます。

 また一方、私ども、消費の実態を見ましても、小学校、中学校は給食がございますので、牛乳も飲みますのですが、給食が終了いたします中学校卒業後に消費が急に減少しておる。特に十六歳以上の女性を見てみますと、大変に牛乳の消費量が減っておるというふうな状況も見られるわけでございます。

 したがいまして、私どもといたしましては、今後、主としてそういった中学校卒業後の若年層を主たる対象といたしまして、ただいま申し上げました牛乳のカルシウム源、そういった健康面での特性というふうなところに着目をいたしまして、そういう効用、それの普及啓発といったところに重点を置きまして、しっかりと消費拡大、需要拡大というものを展開してまいりたいというふうに考えている次第でございます。

仲野委員 今、飲用乳の消費拡大に取り組むことは基本である、昨年猛暑にもかかわらず意外に伸びなかった、お茶系が伸びたと。そういった意味では、本当に積極的に消費拡大に向けてやっていかないと本当に伸びていかないということであります。

 先ほどのチーズのお答えなんですが、チーズについて、これは国際価格に見合う原料乳の供給がなされれば、新規投資をしようという乳業メーカーもあると聞いておりますが、一方では生産者にとってチーズ向けの乳価が安いという課題もあるんですね。

 先ごろ示された酪肉近代化基本方針案においては、この生乳生産を平成十五年度の八百四十万トンから平成二十七年度には九百二十八万トンへと増大する生産努力目標が掲げられており、その実現に向けて取り組む課題として、輸入品に対する競争力を有するチーズ等の需要拡大の推進が挙げられているわけであります。こういった需要の仕向けの長期的方針として明確にした意味は大きいと考えます。これまでの緊急的な対応ではなくて、本格的な取り組みが求められると思います。

 そこで、今、チーズに対して酪農安定特別対策事業というのが昭和六十二年から平成十七年度の期間として行われておりますが、チーズ原料乳の生産に対して奨励金を交付している。これは十五億円なんですね。この十五億円の措置で、本当に外国に負けないくらいのチーズの国内での生産ができるのかどうなのかということが大変危惧をされております。

 私として大臣に申し上げたいのは、本当にもうチーズの需要が多いということで、何とかチーズにも力を入れていきたいというお答えを今いただいたので、こういった予算措置をもっと大胆に、大きく措置をする考えはないのかどうなのかお尋ねして、次の質問に入らせていただきたいと思います。

白須政府参考人 ただいまの委員の御指摘でございます。

 お話しのとおり、今後の需要を拡大していく上では、やはりチーズに対して生乳を仕向けていくということが大変に必要なことかというふうに考えているわけでございます。

 そこで、ただいま委員からも御指摘ございました奨励金を私ども交付をいたしているわけでございますが、この事業の今後の内容等々につきましては、畜産物の価格決定の際にこれはあわせて検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

仲野委員 今白須生産局長からお話がありましたけれども、私は、前向きにお答えいただいたということでとらえてよろしいですね。そのように確認をさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

白須政府参考人 前向きといいますか、いずれにしても、これは関連対策の一環でございますので、畜産物、酪農関係の価格決定を行う際にあわせましてこの関連対策について検討してまいりたいということでございます。

仲野委員 政府の、国として積極的な前向きに取り組む姿勢がなければ、こういったことは実現がかなっていかないと私は思います。ですから、本当に、私は前向きにお答えいただいたこととしてとらえていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次の質問に入らせていただきます。

 牛乳・乳製品の重量ベースの自給率が六九%と言われておりますが、輸入飼料の分を差し引く総合自給率では二九%に下がります。牛肉三九%が一〇%に、豚肉五三%が五%、鶏卵などは九六%が九%になります。これは日本の穀物自給率が二八%と低いためであります。日本より穀物自給率の低い国は、世界じゅうで、ジャマイカゼロ%、パプアニューギニア三%、イスラエル四%、リビア一一%、アルジェリア一八%の五カ国しかないそうであります。

 また、牛乳・乳製品の需給システムは計画生産が前提となっております。すなわち、飲用向けの需要が減少すれば乳製品が増加をし、生乳生産が抑制されます。脱脂粉乳などの乳製品が余るという状況になってから生産調整を行うのではなくて、見方を変えた穀物自給率の確保という観点から、例えば、脱脂乳や脱脂粉乳の一定割合を飼料用に回すなどの工夫は可能かどうか、また生乳の一定の分を全乳哺育や飼料用の全粉にあらかじめ置きかえるというシステムの導入が考えられないかということであります。

 これは毎年、政府としては、視点を一向に変えられないから、私がこのようにきょう提言というか、発想を変えたことでのお考えは今後ないのかどうなのかということをお聞きしてまいりたいと思います。

白須政府参考人 ただいまの委員の御指摘のとおり、脱脂粉乳の過剰在庫を解消してまいりますには、何よりも生産者の皆さん方の大変な御努力、脱脂粉乳の需要拡大のための御努力もいただいているわけでございます。

 ただいま委員からもお話ございましたが、十六年度におきまして、生産者団体によりまして、飼料向けの需要拡大を含めました自主的な需要拡大対策、先ほど先生からお話ございました二万トン対策の中で、その一部を飼料用に仕向けるというふうなことで自主的な需要拡大対策ということも実施をされたわけでございまして、結果的に加工原料乳価が低下した分の一部を補てんするという形で国も支援を行ったところでございます。

 十七年度におきましても、生産者によりまして脱脂粉乳在庫の縮減のための対策が実施をされるというふうに聞いておりまして、私どもといたしましては、その内容の詳細をお伺いいたしまして、その内容を踏まえまして、どのような国としての支援が可能かということについて検討してまいりたいというふうに考えている次第でございます。

仲野委員 単刀直入にお聞きいたします。これは大臣にお聞きしますね。

 生産者は、ことしも脱脂粉乳二万トン分の対策を継続していく、さらに五千トンの追加対策を行うという最大限の自助努力をされています。ところが一方で、十七年度の加工原料乳生産者補給金の決定に当たり、脱脂粉乳の過剰を理由に、現行二百十万トンの加工原料乳限度数量の削減を求める動きもあると聞いております。限度数量を削るということは、私の地元で過去にもありました。北海道釧根の経験からいっても、生産基盤自体に今後複数年にまたがって大変な影響が出る可能性があるということであります。

 限度数量、そして補給金単価は、酪農家の生産意欲をそがず、再生産可能な現行を基準にし、維持すべきと考えますが、これは政策判断であります。大臣の見解を求めます。

島村国務大臣 お答えいたします。

 加工原料乳の限度数量については、脱脂粉乳の需要減退によりまして、今御指摘のように過剰在庫が生じております。したがって、生産者の生産意欲をそがないよう配慮しながら、これを早期に解消する道筋をつけられるような水準に設定したいと考えているところであります。

 また、補給金単価については、一定の算定ルールが定着してきておることから、これに従い、適切に決定したいと考えております。

 いずれにせよ、三月十七日の食料・農業・農村政策審議会の御意見を聞いて適切に決定することとしたい、こう考えております。

仲野委員 適切に決定ということは、大臣、私、今あなたのお答えを聞いて、二百十万トンは維持するということでよろしいんですね。大臣、それでよろしいんですね。大臣の強い姿勢がなければだめなんですよ。お聞きします。

島村国務大臣 細かい数字については私どもは承知いたしておりませんが、少なくも正確を期する……(仲野委員「大きい声でお願いします。聞こえませんから」と呼ぶ)あなたほど声が大きくないものですから、どうも済みません。

 いずれにいたしましても、私どもは、生産者の将来に対する意欲をそがないように配慮をして適切に対応すると申しておりますが、御承知のように、この審議会のメンバーは、生産者も当然に入っておられますし、農業団体や学者、あるいは消費者、そしてまた地方公共団体の代表の方も入っておられるわけで、決して偏ったものではございませんので、十分それらに対する配慮をしたいと思います。

 ついでながら申し上げますけれども、北海道に私、友人がたくさんおりまして、日本の将来を確かなものにするには、我が国の二割の面積を占める北海道、なるほど気象条件その他は大変厳しいんですが、やはりこの地域の開発をどう進めるかということが一つの大きなかぎである、そういう認識に立っている人間でありますから、ぜひこれからも御意見を伺いながら、適時適切に対応していきたい、そう考えます。

仲野委員 御意見を十分聞いて適切に対処するということは、その意見の中で二百十万トンを維持してほしいと言われたら、大臣、あなたはきちんとそれにおこたえしなきゃなりませんですよ。そのとおりだと思います。

 次の質問に入らせていただきます。酪農ヘルパー制度について、これは大事なことだけ質問したいと思います。

 酪農ヘルパーは、長時間重労働の酪農家にとって欠かすことのできないものになっております。とりわけ高齢化や、たくさんの飼育をして、労働力不足という問題を抱える酪農専業地帯にとっての役割は、年々その需要も重要性を増しております。これまで三百六十五日、一日たりとも休むことができなかった酪農家が、今ようやくヘルパー利用農家一万六千戸、一戸当たり年十六・二日の利用までになっております。日曜日が年に五十二回ありますが、ようやくその三分の一弱の休暇がとれるようになったわけです。

 ところが、国においてこれまで措置されていた酪農ヘルパー利用拡大推進事業が、何と今年度で終了すると伺っております。生産者団体からも、どうなるんだろうか、そのように心配されております。事業の継続に対しての強い要望が政府にもあると思いますが、改めて、大臣の見解を求めたいと思います。大臣に聞いております。

白須政府参考人 今委員からのお話の酪農ヘルパー事業の関係でございます。

 お話しのとおり、酪農家は毎日搾乳作業に従事しなければならないということでございまして、いわば終年拘束性が大変強い酪農家でございます。したがいまして、お話しのとおり、休日を確保するといったようなことで、ゆとりのある生産性の高い経営を実現するということで、平成十二年度から酪農ヘルパー利用拡大推進事業を実施してまいっているわけでございまして、ヘルパー利用を推進するための助成、あるいはまたヘルパーの養成研修などを行っているわけでございます。

 ただ、本事業は平成十六年度までの措置というふうになっているわけでございまして、ただいま委員からのお話の平成十七年度以降のこの取り扱いにつきましては、これまでの実績でございますとか、あるいはこれまでの効果といったようなことを十分踏まえまして、私ども、畜産物価格の決定にあわせて検討をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

仲野委員 実績を踏まえて、効果を踏まえてその検討をしていくということですので、大臣、今局長が答えられたんですけれども、私、一昨日、酪農家の方とお話しさせていただいて、例えば冠婚葬祭、結婚式なんかというのは大体日程がもう決まっているからあらかじめわかっているんですけれども、例えばお葬式だとか、いつ倒れてお亡くなりになるということは、そんなことはだれも想定しておりません。そういった緊急に対応できるためのこのヘルパー制度というのは、酪農家にとっては本当に欠かせない大事な事業なんです。これをもし来年度以降継続されなかったら、生産者が今一戸当たり四万数千円、または地域によっては三万数千円という高いヘルパーにお金を出しているわけであります。もしこの事業がなくなったら、さらに生産者にその負担のしわ寄せが来るのではないかと切実に私の方に訴えておりました。

 そういったこともありますので、大臣、今局長がお答えになったのをお聞きになっていると思いますけれども、この事業そのものに対して十分認識を今したと思いますので、ぜひ一言、大臣からコメントをいただきたいと思います。やるかやらないか。

島村国務大臣 私どもは、十六年度に終わることになっているのでこれでやめる、そういう木で鼻をくくったような、ハートのない仕事をやっているつもりはありません。

 私、酪農家は非常に大勢存じ上げておりまして、要するにお嫁さんも来てくれない、子育てにも大変支障がある、病人が出たらお手上げだ、こんな話は何遍も聞かされたし、日曜日がないという話も随分聞かされましたので、我々政治家とどっちが忙しいですかねという、そんな話をしたことがあるくらい、かなり北海道もお邪魔いたしておりますので、これからも暇を見つけてそういう方たちの実情にも触れたいと思いますが、あくまで将来に向かって皆さんがお仕事を続けていただけるような努力をするということだけは申し上げておきたいと思います。

仲野委員 いや、ハートで仕事をしたいとおっしゃられましたから、ぜひ大臣、ハートで、大臣もそういう営農されている方たちにこたえていただきたい、そのように思うわけでございます。

 次の質問に入らせていただきますけれども、家畜排せつ物処理施設のリース事業についてなんですが、これも十七年度以降の事業の継続が必要であるということで、まだまだ未整備のところがありまして、簡易的な防水シートなどによって対応をされているわけであります。何とか十七年度以降も、このリース事業について継続をするのかしないのか、結論だけお答えいただきたいと思います。

白須政府参考人 委員も御案内のとおり、この家畜排せつ物法、平成十一年に法が施行されまして、昨年の十一月から本格施行ということになったわけでございます。そこで、ただいまお話しのこの二分の一の補助つきリース事業というものは、家畜排せつ物法の五年間の猶予期間において、個人の家畜排せつ物処理施設の、個人施設の整備に対する補助事業ということで、特例的な措置ということで十六年度までの措置というふうにされているわけでございます。

 したがいまして、十七年度における本事業の取り扱いにつきましては、私ども、今後の畜産物価格の決定の際に、その必要性を含めまして、あわせて検討してまいりたいというふうに考えている次第でございます。

仲野委員 とにかく十七日のその決定の前には、もう多分、きっと局長も大臣もここまで来ていると思うんですよ、本当はしたい、本当はやりたい、だけれども十七日の決定を待つと。

 ですから、前段に、私の方から、こうしたこれまでの指摘あるいは提言、やっていただきたいということを、きょうはこういう公的な場ですから、大臣もしっかりと受けとめて、何とかその十七日に、酪対に対する、やっていただきたいなということを強く要望するわけであります。前向きに検討していただけるということで、私はやると思っておりますので、期待いたします。

 次に、コントラクターというのがありますよね。今このコントラクターによる支援対策の強化が必要であると考えるんですが、耕畜連携の促進にどのように取り組んでいるのか、大臣の対応をお伺いいたします。

島村国務大臣 いわば畜産経営における自給飼料生産の労働力が不足している、こういう御指摘も私伺っております。そういう意味で、農作業請負組織であるコントラクターを育成し活用することが重要であることは当然でありまして、コントラクターについては、組織数と受託面積とも年々増加していることは委員御承知かと思います。

 そういう意味で、農林水産省としては、コントラクターを育成するために、飼料生産に必要な機械や施設の導入支援、あるいは作業員に対する技術講習を実施してきたところでありまして、今後ともこれらの施策を推進してまいる所存であります。

 なお、請負作業の面積に応じた助成を行う事業については、畜産物価格の決定にあわせて、今後の検討課題といたしております。

仲野委員 最後の質問にさせていただきたいんですが、乳用種の肉用子牛生産補給金制度が平成二年に創設をされて、肉用牛経営におけるセーフティーネットとして大変大きな役割を果たしてまいりました。

 しかし、最近のこの肉用牛経営が、哺育、育成、肥育という流れで結びついており、乳用種の保証基準価格が良質な乳用種牛肉の生産を妨げないように、各段階でその生産意欲と経営安定に配慮することが必要と考えますが、この乳用種の保証基準価格の決定に当たっての政府の基本的な見解をお伺いしたいと思います。

島村国務大臣 肉用子牛の保証基準価格については、法に基づきまして、肉用子牛の生産条件や需給事情などの経済事情を考慮しまして、肉用子牛の再生産を確保することを旨として、食料・農業・農村政策審議会の御意見を承った上で、適正に決定することとしております。

 なお、肉用子牛のうち乳用種の保証基準価格については、昨年の審議会において、乳用種牛肉の生産、流通などの実態を検証し、適正な算定方式を導入すべきとの建議をいただいたところでありまして、これらを踏まえて適正に算定を行ってまいりたい、そう考えます。

仲野委員 時間がなくなったんですけれども、最後に、今、本当に酪農専業地帯において後継者不足、酪農の将来に対する不安から離農する農家が高どまりで続いております。酪農が、国民全体そして地域の財産として、将来に向かって持続可能な産業として自立できるように、ぜひとも政府においても政策を展開されるよう強く要望して、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

山岡委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 民主党の岡本です。

 本日は、私は、大きく分けて二つの問題を御質問させていただきたいと思っております。

 まず、前段は地方競馬の現状でございます。

 昨年、競馬法が改正をされまして、地方競馬そして中央競馬を含めて新たな一歩を踏み出したところでございますけれども、残念ながら、地方競馬においての大変厳しい現状はいまだに続いております。

 昨年の私の質問の中でも質問させていただきましたが、地方競馬、特に名古屋競馬を私ちょっときょうは例に出させていただこうと思っておりますが、名古屋競馬の一着賞金、今、安いレースは幾らなのか、生産局長は御存じですか。

白須政府参考人 一着賞金、愛知県の名古屋競馬ででございますが、平成十六年で十八万円というふうに承知をいたしております。

岡本(充)委員 そのとおりですね。十八万円が一番安い一着賞金です。一着になっても十八万円しかもらえない。当然のことながら、二着、三着はもっと賞金が低いわけです。この賞金では、馬主も馬の預託料を下げ渋るのはやむを得ないところがあると思うんですね。一着賞金十八万のレースに二百万、三百万する馬を出して元を取ろうと思っても、なかなか取れるものでもない。中小企業の経営者が馬主に多いと聞いておりますけれども、大変に魅力の薄い、そういった娯楽になってきていると指摘させていただかざるを得ないと思っています。

 そういった中で、昨年の委員会でも私質問させていただきましたが、地方競馬支援のためにJRAと地方競馬を統合していこうではないかというような話を省内では検討されたことというのはあるのでしょうか。何か法的な大きな問題があるのでしょうか。お答えいただければと思います。

白須政府参考人 ただいまの委員の御指摘でございますが、御案内のとおり、中央競馬と地方競馬はそれぞれ成り立ちも大きく異なっているわけでございます。片や国家財政への寄与、一方は地方財政への寄与というふうにそれぞれ異なる目的のもとに、それぞれの主催者が、地方競馬はそれぞれ地方の公共団体、それぞれみずから競馬を施行しておられるというふうなことでございまして、私どもとしては、これの一本化あるいは統合ということは困難であるというふうに考えているわけでございます。

岡本(充)委員 今局長言われましたけれども、財政への寄与という話でした。地方競馬は財政への寄与ということが今現実にあるんですか。数字を考えてください。ほとんど赤字なんですよ。赤字であったら、財政への寄与どころか足を引っ張っちゃうわけですよ。

 これは、昭和三十六年の公営競技調査会、長沼答申ですけれども、「関係者の失業対策その他の方策等を供与せずに公営競技を全廃することはその影響するところ甚大である」と。その前に「代り財源」と書いていますけれども、財源問題が当時は一つ大きなテーマになっていました。財源が地方競馬から入ってくる、これが一つの違法性の阻却の要因だったわけですけれども、これが今回、このような地方競馬の経営状況では違法性すら阻却できない、そういうような状況にあるというふうに認識するわけですけれども、生産局長はどのようにお考えですか。

白須政府参考人 ただいまの委員のお話でございますが、御案内のとおり、これまでにも地方競馬、全体として八千億円を超えるような地方財政への寄与をしてきているわけでございます。

 それで、ただいま委員からは、現在も多くの主催者が赤字であるというふうなお話ございましたが、もちろん黒字の主催者もおられるわけでございますし、そういった意味で、この違法性の阻却といいますか、そういった財政への寄与というものはもちろん一つの違法性の阻却の理由ではございますが、それは質的なものというふうに私どもは理解をいたしておりまして、たまたまそれが赤字になったからといって、そこが刑法のあれに、そのことだけをもって、これはその理由にならないというふうには私どもは考えていないわけでございます。

岡本(充)委員 それは去年も同じ答弁を聞きました。

 私は、今指摘させていただいているのは、最初に言われた、JRAそして地方競馬、それぞれ主催者があって、主催者が別、そして寄与する財源も国であり地方であり、そしてその地方もそれぞれ地方が別である。それぞれ独立採算をやっているわけですから、その中で黒字のものがあれば当然それは財政的寄与になるでしょうけれども、単体で考えたときに赤字のものがあったら、これはこの答申で考えるに、そしてまた競馬法の趣旨から考えるに、その経営主体そして主催者、こちらについては違法性を阻却できなくなってくる。継続してずっと赤字が続いていたら、単年ならいいですよ、継続して続いていたら、これは違法性を阻却できないんじゃないかというふうに私は懸念を申し上げているわけでございます。

 そういった中で、一つ私からの提案でございますけれども、JRAの国庫納付金から地方競馬への支援、こういったものを、統合ができないのであれば、新たな交付金や、また助成金といった形で支弁していく。およそ三千億円ある国庫納付金からこういったお金、例えば百五十億円でも出すことができれば、今単純に考えますと、レースが今千四百レースほどありますので、これは地方競馬の千四百レース一つ当たり七十万円賞金をふやすことができます。七十万円賞金をふやせば、およそ百万円近いレースがふえるわけですから、大分魅力も増してくる。馬主も、そしてまた厩務員や調教師の皆さん方も大変苦しい生活をしている中で、少しでもこの交付金そして補助金を考えていただく、そういうおつもりはありませんでしょうか。

白須政府参考人 先ほど私申し上げましたとおり、地方競馬と中央競馬はそれぞれ主体も異なりますし、それぞれの財政の寄与のあれも違うわけでございます。したがいまして、それぞれが、地方競馬は地方競馬で、やはりこの地方公共団体の財政確保策として、みずから競馬事業を実施されておる。管理者の責任のもとで、関係議会の審議を経て運営をされてきておるわけでございます。

 したがいまして、基本的にはその事業収支の改善というものは、主催者たる地方公共団体が他の事務事業と同様にみずからの責任で行われるべきものであるというふうに考えておりまして、基本的に、国庫納付金からただいま委員からお話ございました地方競馬への単純な財政支援は、私どもは適切でないというふうに考えているわけでございます。

 しかしながら、地方競馬を含めまして競馬全体の活性化ということは、これはやはり大変重要なことであるというふうに私どもも考えておりまして、したがいまして、実はJRAからも一定の支援を行っているわけでございます。

 具体的に申し上げますと、地方競馬の主催者に対しまして、施設でございますとかあるいは整備等の助成、これに対しまして、申し上げておりますように、例えば地方競馬主催者の勝馬投票券の発売システムの整備に対する助成、あるいはまた、ただいま委員からもお話ございました交流競走の賞金に対する協力金の交付でございますとか、あるいはまたそういった地方競馬の施設利用による協力金の交付であるとか、いろいろな形で、ただいま委員からもお話ございましたが、地方競馬に対するJRAからの支援というものは実は行っているわけでございます。

 さらに、委員からもいろいろとるる御指摘いただきました、さきの競馬法の改正によりましても、地方競馬の認定競馬連携計画に基づきます事業に対しましてJRAから支援を行うというふうにしたわけでございます。

 そういうものを通じまして、JRAとしては地方競馬の支援を行っておるというふうに申し上げておきたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 今局長から御説明、そして前向きな発言だと受けとめたいんですけれども、いただいたわけですが、今現状は大変厳しいわけですね。こういった中で、経営を続けていけない、こういった地方競馬が出てきてまいりました。先ほども取り上げさせていただきましたが、昭和三十六年の公営競技調査会、長沼答申の中で、「関係者の失業対策その他の方策等を供与せずに公営競技を全廃することはその影響するところ甚大である」というふうに指摘をされています。

 私、先日、農林水産省そしてまた私の地元でもちょっと調べさせていただきましたが、実際にやめられた方、やめられた競馬事業、この競馬事業に就職されていた方がどういった仕事についているか。例えば、島根県の益田市の場合においては、厩務員さん四十九名中、再就職ができた方は十三人、これは四分の一強にすぎないわけでございまして、大変に厳しい再雇用の現実が待っている。これが、答申の意図が十分実現されていない、このあらわれだと思っております。

 その点を指摘させていただいて、ぜひ再就職問題も含めて、万一公営競馬を続けていけない話があったとしても、再就職の問題を考えていただきたいと強くお願いするんですけれども、それについて前向きな答弁はいただけますでしょうか。

白須政府参考人 ただいまの委員からのお話でございます。

 先ごろから申し上げておりますように、地方競馬はそれぞれの議会の議決を経て施行されているわけでございます。したがいまして、その存続の判断を含めまして、経営自体はやはりその主催者の責任で御判断をされるというふうに理解をいたしているわけでございます。

 したがいまして、その主催者が廃止を判断された場合、ただいまのお話の例えば厩舎関係者への対応といったようなことにつきましては、基本的には主催者が関係者と調整をされて行っておるというふうなことでございます。

 ただ、私どもとしましても、先般の競馬法の改正によりまして、地方競馬全国協会への交付金の猶予が可能となる措置を実は講じたわけでございまして、やむを得ず撤退をせざるを得ない場合に、その交付金につきましては撤退に必要な経費に充てることができる、そういうふうな制度改正も行ったところでございます。

 また、今委員からも御指摘ございましたが、仮にその競馬場の廃止があったというふうな場合に、厩舎関係者との調整というものはやはり円満に進む、そういったことは大変望ましいことであるというふうに私どもは考えておりまして、そこは調整が円満に進みますように、主催者に対しまして私どもとしても指導いたしますとともに、地方競馬全国協会に対しましても、主催者と連携をとりながら他場の受け入れにつきまして働きかけるといったようなことで、できる限りの対応を行うよう指導してまいりたいというふうに考えている次第でございます。

岡本(充)委員 大臣、この問題に関して最後にちょっとお話を聞いていただきたいと思います。

 昨年、競馬法の改正の中で、前の亀井大臣にもお話をさせていただいたんですが、現状で厩務員の方の一月のいわゆるお給料に当たる預託料から入ってくる収入、これがおよそ十五万円から十八万円という方がみえるんですね。そして、三百六十五日、先ほどの落語の話じゃないですけれども、動物相手で、そして大変な愛情を持って動物を飼ってみえる、休むこともできない、そしてそういった中で御家族を養われる、こういった方々がみえる、たくさんみえるわけです。

 そういう現実の中で、今局長は確かに法理論ではそういうふうな話をされましたけれども、前に亀井大臣も前向きな答弁をいただきましたが、ぜひこういった今の地方競馬の現状から目を背けることなく、前向きな対応、対策を今後迅速にとっていく、そういった決意をお聞かせ願えませんでしょうか。

島村国務大臣 委員からいろいろ御指摘ありましたように、地方競馬の経営実態が大変厳しい、ほんの一部を除いてほとんどがもう先行き真っ暗というような話は随分聞かされるところであります。

 しかし、地方競馬もかつては地方自治体にいろいろな貢献をしてきた歴史的な経過もこれあり、それに従事する方々の社会不安というものが余りひどくならないように我々なりの努力はしたい、そう考えます。

岡本(充)委員 ありがとうございました。前向きな対応をぜひお願いしたいと思います。

 さて、話は変わりまして、今度はBSE対策の話に移らせていただきたいと思います。

 新聞報道によりますと、アメリカで国会議員が何人か集まって、日本のスローペースな食品安全委員会の審議はけしからぬだとか、期限を示すようにだとか、こういった話が出たやに私は聞いておりますが、きょうは外務省からもお越しいただいておりますが、加藤大使が呼ばれてこういった圧力を受けた、そういった事実はどういう経緯だったのか、改めて少し御説明をいただけますでしょうか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 十一日、これは米国時間でございますが、加藤駐米大使は先方の求めに応じまして、十一名の米国上院議員及び二名の米国下院議員と米国産牛肉の輸入再開問題について会談を行いました。また、さらに十四日には別の七名の上院議員と同じく会談を行った、こういう経緯がございます。

岡本(充)委員 その中では実際にその圧力を感じたとか、もしくはそういったお答えがあったのか、それとも加藤大使は何とその皆さん方に御返答されたのか、それについてもお答え願えますか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 アメリカ側の議員方からは次のような意見表明が行われました。

 牛肉生産は多くの州において極めて重要な産業であること、米国の牛肉は安全であり既に必要な対策はとられていること、そして二〇〇三年に輸出がとまって以来相当時間がたっており、いつ解決するかわからないことに懸念と不満を有している、また食品安全委員会の作業について、いつまでに終えるといったようなタイムフレーム、時間的枠組みを課すことはできないのかといった発言がございました。

 これに対しまして加藤大使からは、食品安全委員会における審議のプロセスについて詳しく説明をするとともに、日本にとってのこの問題は、いわゆる国内産業の保護では全くなくて食品の安全にかかわるものであること、この問題が日米間の重要課題であることは日本の関係者は認識しており、日米首脳間で話があったように、この問題が極めて良好な日米関係を害することのないように、問題の早期解決に努力していきたいので理解と協力を求めたいということ、それから、BSE問題は重要な食の安全の問題であることから、消費者の信頼の確保が重要であり、そのためには食品安全委員会での十分な審議が重要であるということを述べ、これまでの経緯、それから現在の状況の説明を行いました。

岡本(充)委員 今おっしゃられましたけれども、食の安全、安心の問題ですから、しっかりとした食品安全委員会での審議を経てからの決定になるという旨を強く主張していただきたいと思っております。

 さて、その食品安全委員会ですけれども、きょうは寺田委員長にもお越しいただいております。

 この食品安全委員会、いろいろこれまで御苦労を重ねる中で、今のこの全頭検査という検査のあり方、そしてまた、その科学的な根拠を専門調査会を設けて御議論していただいてまいりました。今回、この三月の専門調査会で話題になりました、これは修正二次案というものですね、我が国におけるBSE対策に係る食品健康影響評価、修正二次案、こちらの方を私ちょっと拝読させていただきました。本日は、本来であればプリオン専門調査会の座長や、また座長代理にもお越しいただければよかったんですが、お願いをしましたが、時間の都合ということで来ていただけませんでした。したがいまして、かわって御答弁をいただきたいと思うんですけれども、この中で、金子座長代理から、中間とりまとめの作成作業を少し急ぎ過ぎたとの感があったことを指摘する総括的発言があり、吉川座長から、この総括を評価する発言があった。そして、この評価ということは、すなわち中間とりまとめ自身もある意味拙速であったのではないか、こういった座長からの御意見表明だったのではないかと私は理解をさせていただいています。

 そういった中で、今後、このBSE対策の問題、まだまだ科学的な知見でわからない部分も多いです。そしてまた、十分な科学的データをアメリカ側から、また日本からも含めてですけれども、いろいろな国から今集めておりますけれども、残念ながら、データもないのも事実であります。そういった中で、今後の食品安全委員会、慎重審議を求めていきたいと思うんですけれども、それについての御決意をいただきたいと思います。

寺田参考人 先生の言われましたように、先週の十一日にプリオン専門調査会第七回目を、諮問を受けてから第七回目でございますが、十月の十五日に厚生労働省、農林水産省から諮問がございまして、それに答えるべく慎重に審議をしてまいりました。これは当然のことでございますが、独立で中立、それから、やはり国民の皆さんにわかっていただくように透明性を非常に大事にいたしまして、できるだけ現在の科学に沿った審議をしていきたいと思っております。

岡本(充)委員 ぜひその御決意を今後とも生かしていただきたいと思います。

 さて、その修正二次案の中をずっと読みました。先ほども指摘させていただいたとおり、データがかなり少ないわけですね。この少ないデータの中で結論を出そうとする、その無理な努力がこの中にあらわれているのではないかという例を少し挙げさせていただくと、要するに、定性的な評価を今回取り入れました。BSEが人へ感染する、もしくはBSE牛が食用牛の流通に乗ってしまう、こういったリスクはどのくらいあるのかということを、定量的にはかれないから定性的にはかろうという話になった。今回、その中でも、定量的にはかろうということを極めて多くの仮定のもとに出しています。

 例えば、肉骨粉の禁止後のBSE感染牛の数について、英国のデータ、スイスとのデータの間に日本が来るという仮定。そしてまた、三年間の経過措置が六年間になると、このリスクは二乗になって減少する。そして、一・五倍という数字でのBSE感染牛と実際の検査で認知された頭数の数字。この一・五という数字も、私、いろいろこの裏にレファレンスが載っていますから読ませていただきましたが、極めて多くの推定の中で出ている論文をもとにして出しているんです。その結果として最終的に出てきた数字、日本において今後BSE感染牛が流通市場に乗ってしまう二十カ月齢で一つ線を引いて全頭検査をやめて、そして日本の国内の牛でBSE感染牛が出てくる率を、かなり低いという、そういった数字で認定しているわけです。この中にも書いてありますとおり、例えば屠畜場における解体時の牛肉汚染の問題、これについても、「リスクを分析するのに必要なデータや研究はほとんどない。」と書いています。科学的なデータがないんです。推定なんです。推論なんです。そして、推論をもとに、今一生懸命議論を構築しようとしている。

 無理がある修正二次案であるという印象を強く持つんですけれども、これについて、事務局長、どう思われますか。そしてまた、委員長、どう思われますか。お答えいただけますか。

齊藤政府参考人 お答えいたします。

 プリオン専門調査会、委員長からもお話しいたしましたとおり、昨年十月十五日に諮問を受けて以来、既に七回議論を重ねておるわけでございます。その中では、リスクについて定量的な評価を試みるべきということで、これは座長を中心に精力的にいろいろなデータを集めて、そのもとに一定の試算を示しておるところでございます。しかしながら、データ自体、あくまでもこの定量的評価というのは現在までに得られた知見に基づいている、そういう意味での一定の限界があるということも、それはまた事実であります。ただ、現在行っております議論自体は、現時点で得られている科学的知見の最高水準のもののもとで行われているということを御理解いただきたいと思います。

 その一方でまた、定量的評価とあわせて定性的なリスク評価を行うということで、これについて、先般十一日のプリオン専門調査会では精力的に御議論をいただいた、そういう状況でございます。

寺田参考人 重なるところがあると思いますけれども、先生の言われるように、定量的評価といいますのは、もとになるデータがかなり制限されております。したがいまして、それと同時に定性的なリスク評価、これはリスクが非常に小さいときにはやむを得ずそういうことをヨーロッパではするらしいんですね、そういうことも主にしまして今の第二次案を検討しているところでございます。

岡本(充)委員 寺田委員長から今お話がありましたけれども、極めて少ないデータなんです。事務局長も言われた。それを認められた。本来であれば、それをやはり情報収集する、そういった活動をして安全性の確認をするべきなんです。

 最後に、この終わりに書いています。「リスク評価の基本となる新しいデータ、科学的知見及び技術革新等が得られた場合には、速やかに見直しを行う必要がある。」んだと。そしてまた、このような今の現状の中で、今回のこの報告書案でですけれども、さまざまな背景リスクから切り離して年齢のみによる評価を行ったものではない、したがって、今後諸外国におけるBSE感染リスクの評価を行う際には、総合的な評価を行うためのさまざまなデータの存在が必須なんだ、必須だと書いています。

 外国の、例えばアメリカ、ヨーロッパを含めて、外国の牛についても同様のデータを集めてこないと、これは冷静な、そしてなおかつ科学的な議論ができないんだということを改めて言っている、私はそのように感じるわけです。そして、今後答申が出るんだと思いますが、この中に恐らくはこういった内容が盛り込まれるんでしょう。

 農林水産省は、先日私が伺ったときには、こういったプリオン専門調査会の答申、中にいろいろな少数意見があった場合には、本旨に従うというふうに御答弁いただいております。しかし、この本旨の中には、裁判ではありません、多数決ではありません、裁判には判例でいろいろ解釈の仕方があるかもしれませんが、科学の事実は一つです。そういった意味で、今回のこの本旨に反する、まだ不十分だという御意見にどのように対応していくのか、そのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

中川政府参考人 食品安全委員会におきましては、まだプリオン専門調査会で審議が行われている最中でありまして、最終的な答申の姿は見えておりません。その段階で少数意見云々ということについてあらかじめお答えするのはいかがかというふうに思います。

 いずれにいたしましても、我々としては、農林水産省及び厚生労働省はBSEの国内対策のあり方について諮問をしたわけでございます。その諮問に対して答申がいただければ、その答申の内容というものをきちっと受けとめて対応に反映させたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 今、局長、方針が決まったわけではないと言われた。しかし、三月十二日の新聞には、全頭検査の緩和の報道があります。この報道、そうしたら、事実じゃないなら強く抗議するべきじゃないですか。何で抗議しないんですか。

中川政府参考人 今のお話は、食品安全委員会の審議の中身についての報道でありまして、私ども、諮問をしたリスク管理サイドから直接その報道の中身について云々することは必ずしも適当でないというふうに思っております。

岡本(充)委員 では、齊藤事務局長、どうですか。

齊藤政府参考人 私どもといたしましては、三月十一日、プリオン専門調査会で、最後に専門調査会座長の方から、次回は結論部分について御議論をしたいということで総括をしたわけでございます。したがいまして、そのような形の中で、現時点ではまだ結論を得たわけではないわけでございます。

 新聞記事につきましての御意見でございますけれども、一種の推測記事的なものかと思いますが、私どもとしては、そういうものについてここでどうこう申し上げる筋ではございませんし、私どもとして申し上げられることは、議論は引き続き行われる、そのことについては明言しておるところでございます。

岡本(充)委員 違うでしょう。もう時間が来ているから、きょう、もう残り少ないので、はっきり言っておきますけれども、国民の皆さんは全頭検査は緩和だと理解していますよ。皆さん、国民の皆さん方に誤解を与えるような報道に対して何で抗議しないんですか。違うと言われるのならそういうふうに言うべきですよ。

 それを指摘させていただいて、きょう、本当は厚生労働省からも来ていただいたにもかかわらず質問できませんでした。バリアントCJDの問題、そしてまたもう一つ重要な牛の月齢判別に関する検討会のこの結果、これも科学的根拠のないデータをもとに構成をされていると私は思っております。次の機会にこの中の科学的矛盾について追及をしたいと思います。

 それでは、終わります。

山岡委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 最初に、十七日にも諮問が出されると言われております来年度の畜産、酪農対策についてまず伺いたいと思います。

 農水省は加工原料乳の限度数量について削減を検討しているということが報道されておりますが、生産者団体の強い要望にこたえ、限度数量と補助単価は少なくとも現状維持するべきと考えますが、その点について伺います。

白須政府参考人 お答えいたします。

 まず、限度数量につきましては、加工原料乳の限度数量の設定の基礎となります生乳の需給でございますが、大変な脱脂粉乳の需要の減退によりまして、脱脂粉乳の在庫、消費量の六カ月分を超える九万二千トンとなる見込みというふうなことで、大変過剰な状況になっているわけでございます。こうした過剰在庫、乳業メーカーの経営にも大きな負担になりますし、ひいては生産者の皆さん方の乳価にも影響を及ぼすというふうなことでございますので、早期に解消していく必要があるというふうに私ども考えているわけでございます。

 したがいまして、十七年度の限度数量につきましては、生産者団体によります生乳の需要拡大対策、こういったものを考慮しながら、過剰在庫の早期解消に道筋をつけられるような、そういう水準に設定する必要があるというふうに考えているわけでございます。

 それから、補給金単価につきましても、これは一定の算定ルールが定着をしてきているわけでございます。したがいまして、これに従いまして適切に決定したいというふうに考えているわけでございますが、いずれにいたしましても、この加工原料乳の限度数量あるいは補給金単価につきましては、三月十七日に食料・農業・農村政策審議会の畜産物価格等部会において審議されることになっているわけでございます。この部会の意見を聞きまして、適切に設定をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

高橋委員 昨年は、補給金単価が十円五十二銭、前年比二十二銭引き下げられました。これに続いて限度数量の削減では、悲鳴が上がるのは当然であります。

 先ほど、過剰在庫、乳価にも影響があるなどというお話がありましたが、確かにそれが指摘されているのは十分わかっております。ただ、生産者自身が費用を捻出して消費拡大対策にも努力をしてきている、そうしたことも、当然政府として認め、奨励するべきかと思います。国の政策に従って規模拡大を図ってきた、その生産者の皆さんが、今そのことを逆に重荷としている。規模拡大のツケを生産者にツケ回し、はしごを外すようなやり方は断じてやめるべきだと私は考えます。

 そこで、もう一つ伺いますけれども、酪肉近代化方針における担い手とはどのような要件を考えているのか。また同時に、酪農、畜産における経営安定対策をいわゆる担い手に対して絞り込むつもりなのか。その点、伺いたいと思います。

白須政府参考人 お答え申し上げます。

 畜産につきましては、委員も御案内のとおり、他作目に比べまして総じて認定農業者の割合が高いわけでございます。

 その中で、やはり畜産、酪農それぞれ経営に特色がございまして、例えば、品質向上でございますとかコスト低減、統一的な出荷といったことに取り組む生産組織、これは農協、JAの中の酪農部会でございますとか肥育あるいは繁殖部会といったようなことで、そういった生産組織がそれぞれ相当芽生えてきております。したがいまして、こういった生産組織におきましては、組織内の既存の認定農業者を核といたしまして、新たな認定農業者の育成、あるいは組織全体の生産性向上といったものに積極的に取り組む事例というものも見られているわけでございます。

 したがいまして、私どもといたしましては、この担い手というものは、もちろん認定農業者を基本とするわけでございますが、認定農業者に準じた一定の要件を満たす営農形態というふうなことで、ただいま申し上げました、直ちには認定農業者となれないにしても将来的には認定農業者となると見込まれる者の存在というものも十分にこれは考慮する必要があるのではないかというふうに考えている次第でございます。したがいまして、こういった形態を認定農業者に準ずる担い手として位置づけるかどうかにつきましては、こうした実態も十分踏まえながら検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

 それから、担い手と経営安定対策の関係でございますが、これにつきましては、それぞれ畜産につきましては、また別途、品目別の経営安定対策を行っているわけでございますので、それにおけます担い手のあり方ということにつきましては、引き続きまして検討を私ども進めているわけでございますので、さらに引き続き検討してまいりたいというふうに考えている次第でございます。

高橋委員 一概に認定農業者だけではないというふうなお話がされたと思います。

 本当に酪農、畜産の経営に当たっては、政府が言っている、例えばコスト削減の努力ですとか、ありとあらゆることをやってきて今に至っている、そういう感じがするんですね。

 昨年の夏に、九月でしたけれども、北海道の釧根地域の酪農調査に参りました。まさにそういう認定農業者であり、家族経営を幾つか集合して法人経営をやっていたり、あるいはさまざまな機械化を導入してコスト削減の努力をされている、そういう方たちにお会いをしてきたわけなんですけれども、皆さんが一様にお話をされたのは、堆肥の処理施設の矛盾が非常に起きている。

 施設はつくってはいるんですけれども、見込みが全然甘くて、三カ月分は丸々余ってしまうんだ、キャパを超えているんだということで、そこが非常に悩みになっているとか、やはりこの規模拡大を進めてきて借金もかなり抱えているわけですけれども、それが回っていかない、今日の乳価のもとではとても回っていかないというようなこともそれぞれ言われて、いずれにしても、彼らのそういう規模拡大なりコスト削減のさまざまな努力は、やはり国が指導して、今言った堆肥施設だってそうなんですね、国が指導した中でそのとおりやってきて、一億もかかる施設をつくったりしているわけなんですよね。そういう中でこういう矛盾が起きているということは、私は強く指摘をしておきたいんです。

 きょうはほかの問題があるのでここは指摘にとどめますけれども、そういう、規模拡大を進めてきたけれども、今起こっている矛盾をまず国としてしっかり把握をしてほしいということです。それと同時に、今の食料自給率の向上の中で、飼料自給率の向上というのが最大のかぎになっていると思うんですけれども、その点でも、輸入飼料に頼っている、それがやはり規模拡大と比例してといいますか、そういう事情が起きてきているということもまたこれありでありますので、その点をしっかり見ていただきたいということを、まず指摘にとどめたいと思います。

 次に、BSE問題に移りたいと思うんです。

 このことも本当に改めて私は言いたいんですけれども、日本の生産者の皆さんが二〇〇一年のBSE国内発生を受けてどれだけつらい思いをされたのか、苦労をして育てた牛を食べてもらえない、処分をしなければならない、それこそ、国の指導に従って言うことを聞いてやってきたのに、それが間違いだったと言われてどんなに悔しい思いをされたのか、そういう悔しい思いをされて今全頭検査を確立し、トレーサビリティー制度も始まり、本当に日本の牛肉は安全、安心して食べられるんだということが確立してきたわけなんですよね。そういう中で、今、米国の圧力が強い、そして審議が遅いんじゃないかという声も国内から起きる、そういう中で先般の島村大臣の非常識発言ということがあって、本当にこれは私残念きわまりない、このように思っているんです。

 二月十七日の予算委員会で島村大臣に私はこの問題を質問しているんですけれども、そのときに大臣はこのようにおっしゃいました。「我々は、何遍も御答弁申し上げているように、あくまで日本がとっている措置と同じことをしていただく。」「あくまで食の安全、安心を大前提として」「これからの輸入再開に向けての努力をしなければならない。そのことの確認ができるまでは、だれが何と言おうとこれはどうしようもないことだということをはっきり向こうに申し上げて、理解をしていただいた。」と。私は、この大臣の「だれが何と言おうと」というこの強い発言に大変励まされた、そういう思いをしているんですね。

 それで、二十四日の農林水産委員会の所信質疑の中でも同様の答弁をされていたかと思います。ところが、その次の日、二十五日の予算委員会の分科会では、全頭検査は世界の非常識だなどという発言をされて、どうして急に変わってしまったのか、いや、それが本心だったのかと、さまざまなことを思うわけですが、改めて大臣のその発言の真意を伺いたいと思います。

島村国務大臣 アメリカ側からもいろいろお話などいただいた際にも、私はあくまで、我が国に輸出をなさるならば我が国と同等の措置を講じていただく、そして同時に、我々はあくまで食の安全、安心ということを大前提にこれからも科学に基づいて食肉の提供の道を開く、したがって、その道に従っていただくと強く申しまして、それ以降は、少なくも私に対してはアメリカ側は極めて紳士的にいわば圧力めいたものは一切ないで今日まで来ている。

 そういう経過の中で、いわゆるBSEが我が国で発生した平成十三年九月以降、翌月からは全頭検査という大胆な緊急避難的な踏み込みをいたしまして、それで約三年で三百五十万頭のいろいろな検査の経験を経た、そして、その中間とりまとめを得て我々は少なくも今諮問をしているという過程でありますが、私たちの姿勢の中に、いいかげんで手を打ってしまおうとか、そういう妥協に似た気持ちは全くありません。そして、食品安全委員会に現在諮問中でありまして、その結果を心待ちにしているというのが率直な私の感想です。

 ただ、あのときに、私は再三申し上げているように、私がなぜ非常識と言ったかというと、少なくも全頭検査をやっている国は日本以外にはどこにもないわけです。ですから、これは世界の常識にあらずということで、私はしゃべる際にちょっと言葉がきついかなと思いつつも、常識にあらずという判断、だから非常識かなと思って言ったところですが、その後いろいろ冷静に考えてみると、やはり非常識という言葉を使ったことは適当でなかったということでこれを訂正したわけでありまして、私自身の側には何らやましい考えが裏にあるわけではありません。

高橋委員 大臣がその常識にあらずだと述べただけだということをほかの委員会で答弁されているのを聞きました。改めて私議事録を読んでみたんですね。その非常識という言葉がどういう過程の中で出てきたかということを考えたときに、やはりそれは予算委員会の分科会の、公明党の委員さんですけれども、この方は、農水委員会の、私たち野党が共同提案をしたBSEの問題に対しての質問の中でも、焼き肉関連業者がばたばた倒れているじゃないかとか、安全はリーズナブルでなければならないとか、そういうことを発言されていた方であります。そのことを、それは私はどうこう言いませんよ、個人の見解ですので。

 そういうことをさまざま述べる中で、大臣は、どうして今までそういうことを言ってくれる方がいなかったんだろうか、そういう趣旨のことをおっしゃっていますね。つまりは、大臣は同じ気持ちだったんだと。自分だって非常識だと思っているけれどもだれもそう言ってくれないから、ようやっと言ってくれた、そういう中で出てきた発言ですよ、これは。常識にあらずとかそんな意味じゃありません。そもそも非常識というのは、一遍に使っちゃったらそういう意味にはならないんです。ですから、さっき訂正とおっしゃいましたけれども、そうではなく、きちんと撤回あるいは謝罪するつもりがありますか、伺います。

島村国務大臣 これも何度か繰り返されたことですが、きちんと撤回もいたしました。

高橋委員 謝罪という気持ちはないんですか。

島村国務大臣 適当でなかったということと撤回したということは、その意思が含まれていると御理解いただきたい。

高橋委員 適当でなかったということをお認めになったかと思います。

 そこで、この方はもう一つこういうことを言っているんですね。安全委員会は神学論争をやっているようだと。きょうは寺田委員長にもおいでいただいていますけれども、科学者の皆さんが、さっきちょっとお話にあったように、少ないデータの中で持てる知見を本当に尽くして議論をしているときに、ほとんどないリスクのためにこれだけいつまでも議論しているなんて神学論争のようだ、こういう話さえ指摘をしているんですよ。

 しかし、幾ら何でも、そういう言い方は大変失礼ではないかと思いますね。当然、科学者の議論には時間も必要だ、データを集めるだけの時間も必要だ、決してそういう指摘は当たらないと思いますけれども、これを受けて、大臣、一言感想を伺えますか。

中川政府参考人 食品安全委員会に対しまして農林水産省は諮問をしている立場でございます。食品安全委員会では科学的な知見に基づいてきちっと審議をしていただく、私どもとしては、その帰趨を慎重に見守っているところでございます。

高橋委員 仮にもそういう科学的知見を持って審議している委員会に対して、やはりそういう議論はふさわしくないだろうというふうに受けとめたいと思います。

 そこで、クロイツフェルト・ヤコブ病が発生をしたことで、それが英仏に一日でも滞在をすれば献血を禁止する措置を決定しました。逆に言うと、一日でも禁止をするというのは、これも世界にないことであります。

 厚生労働省に伺います。なぜこのような措置をしたのでしょうか。

黒川政府参考人 御説明申し上げます。

 平成十七年三月七日に、クロイツフェルト・ヤコブ病等委員会において、バリアント・クロイツフェルト・ヤコブ病患者の英国滞在歴が二十四日程度であったこと、それからフランス滞在歴が三日程度であったことが報告されました。バリアント・クロイツフェルト・ヤコブ病は輸血により感染する可能性が指摘されていること、及び短期間でも危険部位の高濃度暴露によりバリアントCJDに感染する可能性が否定できないことを踏まえまして、世界的に見て最も安全性に配慮し、予防的に、一九九六年以前に英仏におのおの一日以上滞在した場合は献血制限を行う措置を当面暫定的に講ずることとしたものでございます。

 この当面の措置については、献血の減少による血液製剤の安定供給に対する影響も調査し、専門家の意見を聞いて実施することとしております。

高橋委員 血液製剤の安定供給ということが最後にお話しされておりましたけれども、かなり思い切った措置だと思うんですね。要するに、たとえ一日でもとなると、数十万という数になるだろうと。ですから、血液製剤の供給にも影響を与えるかもしれない。しかし、その可能性を否定できないから、やはり予防的にこれはやらざるを得ないと。それはもう本当に重要なことだと思うんですね。

 日本人の遺伝子型の問題、九一・六%がM・M型というBSEに感受性が強い遺伝子型を持っている、そうしたこともあると思うんですね。やはりそういうことが影響して今回の方が発生したということも見る必要があるのではないか。薬害エイズの二の舞を踏まないためにも、こうしたことはきちんと対応しなければならない。今とれる最善の策をとるべきだと思っているんです。

 ですから、私は、やはりこの観点は、あの全頭検査に踏み切った時点もやはり同じだったんではないかと思うんですね。厚生労働省は、当時、三十カ月齢以上の検査で十分でないか、そういう立場だったのではないか。しかし、そうしたことを含めて、検出限界としては、二十カ月以下のところはなかなか出てこないけれども、しかし、それは徐々に徐々に下がっていくわけだし、あるいは予防的な意味でも、国民の安心という意味でも、やはりそれは最善の策として今は必要なんだというふうに見るのは道理があると思うんですけれども、この点で、厚生労働省に伺いたいと思います。

外口政府参考人 血液対策については、vCJD感染の有無をスクリーニング検査できないということや、異常プリオンたんぱくを輸血用血液から効果的に除去する技術が確立されていないという状況も踏まえた対応と理解しておりますが、既に一定のリスク軽減技術等が確立したBSEの場合におきましては、昨年九月に食品安全委員会が取りまとめた国内BSE対策の評価、検証の結果において、検出限界以下の牛を検査対象から除外するとしても、全月齢の牛からのSRM除去措置を変更しなければ、それによりvCJDリスクが増加することはないとされております。

 また、この評価、検証結果においては、BSE国内対策を検討する上で十分考慮に入れるべき事実として、二十一カ月齢以上の牛については、現在の検査法でBSEプリオンの存在が確認される可能性がある等とされております。

 厚生労働省としては、これらのことを踏まえ、食品安全委員会に諮問を行ったものであり、同委員会からの答申に基づき対応してまいりたいと考えております。

高橋委員 今の答弁は、私は、その諮問はさておきとして、考え方としてもう少し厚労省として誠実な答えがいただけるのかなと思ったのに、ちょっと残念でありました。

 そこで、重ねて伺いますけれども、今お話しした諮問をするきっかけとなった中間とりまとめですけれども、そこの最終の部分で、「我が国における約三百五十万頭に及ぶ検査により二十ヶ月齢以下のBSE感染牛を確認することができなかったことは、今後の我が国のBSE対策を検討する上で十分考慮に入れるべき事実である。」これが、言ってみれば諮問をする、二十カ月齢以下でいいですよということの諮問の決め手になったかなと思うんですけれども、これが一体どこから来たのか、だれがこの案を入れたのか、伺います。

寺田参考人 お答えいたします。

 この中間とりまとめの結論の部分に関しましては、プリオン専門調査会から取りまとめを一任された、これは九月の六日だったと思いますけれども、座長が座長代理とも相談して文章を確定したものでありまして、それの報告を私ども、親委員会と言ったらちょっと口幅ったいですけれども、委員会が九月九日にそれを受け取り、了承したところでございます。

高橋委員 今委員長からちょっとお話あったんですけれども、この修正二次案の中にその経過について書いているんですよね。

 山内委員から、BSE検査月齢の線引きは科学的根拠に欠けるとして結論では勧告しなかったにもかかわらず、月齢見直しを諮問した目的についての質問があった。これに対して、厚生労働省は「中間とりまとめ」の結論部分の文言にもとづいて、科学的合理性を確保するためであると回答した。

  この結論部分の文言は、座長一任後に修正されたものであった。この文言に関連して、金子座長代理から科学者と行政の立脚点の相違により異なる受け止め方がなされたこと、「中間とりまとめ」の作成作業を少し急ぎすぎた感のあったことを指摘する総括的発言があり、吉川座長からは、この総括を評価する発言があった。

ということで、つまり、委員の中からも何でこれが出てきたのかがわからないと。「座長一任後に修正されたものであった。」つまり、座長に一任されて、この結論を出そうということは委員会の中では合意されていなかった。だけれども、それは、言ってみれば厚生労働省だと思いますけれども、最終的に入ったというふうに読める文章ですけれども、違いますか。

寺田参考人 九月六日のプリオン専門調査会の議事録を見ていただければわかりますように、会の終わる直前になりましてですが、これは大変いいセッションだったんですけれども、ある一人の委員の方が、これは結論に入れるのはおかしいのではないか、本文中はそのままでいいのではないかという話で、結論の部分からは外す、しかし、本文中には今まで三百五十万頭やって云々の文章を入れた、そういう経過でございまして、その間にどなたかが入ってきて文章をこういうふうに変えたとかというようなことは、私は考えられないような気がしておりますので、この話が出るたびごとに、どうしてそういう話が出るのか、これは金子委員それから実際にいました佐多委員とか、それを指摘したのは佐多委員なんですけれども、その場でのいろいろな議事録、そのほかの方も言われた議事録を見ていただければ本当にわかると思います。これは僕は大変残念なことだと思います。

高橋委員 今委員長が残念なことだとおっしゃったのは、私は非常に大事なことだと思うんですね。確かに、私、今改めてここを読みましたけれども、その中間とりまとめの部分、結論の前に出ているんですよね。ですから、いろいろな意見、確かにそういうことをお話しされた方もいたけれども、でも、それは決してみんながそれを結論としてやろうというのではない。そういう、集団的な議論の中でなってきたものだ。だけれども、それが何かもう既に、線引きでもないということがさんざん言われているのに、結果として諮問になったということが、やはり非常に拙速ではなかったのかということを指摘せざるを得ないなと思っております。

 それで、時間が非常になくなってきたわけですが、この間、食品安全委員会の審議が非常に遅いのではないかと外務大臣などが発言をしたりして、私は非常に問題であると思うんですね。先ほど来お話ししているように、たくさんのデータを読んだり集めたり研究したりして、十分な時間をかけてやらなければならないし、まして、それが国民の命と健康に影響するものである、それに対して時間をかけるのは当然だと思うんですね。

 そこで、改めて委員長に伺いたいんですが、十一日の委員会が終わりました、次の委員会をいつというのはまだ決まっていないと思うんですけれども、それまでにどれだけの作業が必要になるでしょうか。つまり、委員の皆さんに案を送ったりとか意見を受けたりということが必要だと思いますが、どれだけの作業と時間が必要になるでしょうか。それと、そういうことを踏まえて、時間を区切る、いつまでに結論を出せというのは非常に難しいことだと思いますが、その点、いかがでしょうか。

寺田参考人 十一日の会議のときにも皆さん、プリオン専門調査会の方が言っておられましたけれども、結局、結論の部分はあいたままになっているわけですね。結論の部分に関しましては、座長と座長代理が相談して、それの案をつくって皆さんに回して、多分それが返ってきて、そのときに話して、これは合わないとか合うとか、それ以外にもいろいろな問題点が出てくると思いますけれども、それをまた皆さんにお返しして、それからもう一度返ってきたものを次の専門調査会に出す。そこで、手紙とかのやりとりでないところの場でみんな顔を合わせながら議論する、そういうことになると思います。

 時間に関しましては、なかなかわからないので。それから、非常勤の先生方ですから、なかなかタイミングが合わない場合がありまして、これは、私ども、範囲内で、プロセデュアの上では早い方が私もいいと思っておりますので、そういう努力はしたいと思っております。

 以上でございます。

高橋委員 時間が来ましたので。

 決して、時間を区切って、いついつまでに結論を出せ、そういうことはあってはならないと思う。そういう意味で、これまで大臣がお話しされてきた安全、安心、同等の措置ということで、強くこれからも堅持をしていただきたいということを述べて、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

山岡委員長 次に、山本喜代宏君。

山本(喜)委員 社民党・市民連合の山本であります。

 まず冒頭、農林水産大臣の全頭検査は世界の非常識という発言について、強く抗議をいたします。

 国民の反発ということを受けて大臣は発言を撤回されたということでございますが、しかし、先ほど来のお話を伺いますと、全頭検査は世界の常識ではないということを再三言われております。しかし、日本の国民は、世論調査によりますと、多くの方々が全頭検査を望んでいるということが明らかになっているわけであります。そして、多くの自治体でも、向こう三年間、全頭検査をすることに当たっては国としても補助を続けていくということになっているわけでございますね。

 そうした意味で、この食の安全ということに関した場合、農林水産大臣として、この発言に対して猛省を促したいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

島村国務大臣 全頭検査が世界の常識であるか否かといえば、世界の常識ではありません。御存じですね。しかし、国民の中には全頭検査が望ましいと言っている方が非常に多いということもよく承知しております。その辺は混同しないでいただきたいと思います。

 ただし、私が非常識と言った言葉は、要するに、響きが別のものになって真意が伝わらないので撤回をした、そういうことでございます。

山本(喜)委員 大臣の発言は、非常に重いわけです。きょうもほとんどの委員から、この大臣の発言について質問がありました。今後とも、食の安全、安心ということに十分留意をして食料政策を続けていただきたいというふうに思います。

 アメリカからの牛肉の輸入再開というのが、非常に圧力が強まっているようでございますが、わかりやすく言えば、ブッシュさんの有力な支持団体、この方々が非常に困っておるということで、何か日本に圧力をかけてきているというふうな構図でありますね。ブッシュさんの圧力ということで、日本の食料政策、これがゆがめられてしまうということでは、国民の政治に対する信頼というのが大きく問われていくことになるのではないかというふうに思います。アメリカからの圧力、これが、安全、安心な食料の国民への供給という政府の基本政策が揺らいでいくということになると、国民の不信が極めて増大すると思うのですが、この点、大臣はいかがお考えでしょうか。

島村国務大臣 ブッシュ大統領の選挙が行われているころ、十一月二日、投票日でしたけれども、それに間に合わせて云々なんというお話が聞かなかったわけではありません。

 しかし、私は、何遍もこれも御答弁申し上げていますが、あくまで我が国に入れる牛肉については我が国と同等の措置をやっていただきたい、食の安全、安心を大前提に、あくまで我々は科学に基づいて輸入をしていくという基本に立っているので御理解願いたい、かたくななまでにそう言い貫いて、彼らはそれ以降言ってこないということは、御理解をいただいたんだろうと思っておりますので、御理解をいただきたい。

山本(喜)委員 しかし、アメリカの議会なんかでは、制裁をもって輸入再開を迫るというふうな動きが実際あるわけでございます。そうしたことに対して、やはり毅然とした対応で対処してもらいたいというふうに思うんですが、いかがですか。

島村国務大臣 自分で言うのもなんですが、毅然として私が対応してきたから、今まで彼らはずっと待っているんだろうと思います。ですから、今までのところ、私にはそういう圧力めいたものはございません。

 ただ、やはりそれぞれ国の文化とか物の考え方の違いというのは当然あるわけですから、アメリカの側で上下両院の議員が騒いでいる話も決して我々は無関心でいるわけにいかない。そういうことについては承知はいたしておりますが、だからといって私は、いつまでに云々、そういうようなことは、ここに寺田委員長お見えでございますが、そうは申しておらないということです。

山本(喜)委員 そこで、食品安全委員会の位置づけについてお伺いしますが、BSE対策の見直しを審議している食品安全委員会について、政府部内でいろいろな意見が出ています。リスク評価機関として、その審議がさまざまな政治的意図によってゆがめられてしまうということがあってはならないわけであります。

 食品安全委員会は、国民の健康の保護が最も重要であるという基本的認識のもと、規制や指導等のリスク管理を行う関係行政機関から独立して、科学的知見に基づき客観的かつ中立公正にリスク評価を行う機関ですというふうに定められていると思うんですが、これはどのような形で担保されているのか、お伺いします。

齊藤政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、食品安全委員会は、科学的知見に基づき客観的かつ中立公正なリスク評価を実施するために、厚生労働省や農林水産省等のリスク管理機関から独立して内閣府に設置されている、これは食品安全基本法に基づいて設置されている機関でございます。そのように、リスク管理機関から独立して内閣府に置かれている。

 また、食品安全委員会におきましては、審議過程の透明性を確保するということで「食品安全委員会の公開について」ということを定めておりまして、この中で、委員会の会合であるとか専門調査会の会合を原則としてすべて公開で行っております。また、議事録や提出資料等についても原則公開ということで、プリオン専門調査会の議論につきましても、すべて公開の場で資料をお示ししながら進めているというところでございます。

 今後とも、食品安全委員会の立場といたしましては、リスク管理機関から独立した立場で透明性の高い調査審議を行うということで、リスク評価の中立性、公平性、公正性というものの確保に努めてまいりたいと考えております。

山本(喜)委員 独立した機関ということでございますが、きょうは外務省からも来ていただいておりますが、この外務省の首脳の一連の発言、これはどういうふうな意図があるのかということをお伺いしたいと思います。

 例えば町村大臣は、三、四週間に一回しか会合を開かない、ちょっと常識外れだというふうに食品安全委員会の議論の経過について注文をしたそうでありますし、それから、今月の二日、これは新聞で報道されていますが、外務省首脳が、BSEの安全基準を議論している食品安全委員会での結論がおくれていることに不満を表明、近く同委員会から説明を求める考えも明らかにしたというふうに報道されていますが、これはどういうことでしょうか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 国内のBSE対策見直しにつきましては、現在、食品安全委員会プリオン専門調査会で慎重な審議が行われると承知しております。

 一方、アメリカの国内では、三日に、下院におきまして、日本政府が牛肉貿易再開をおくらせる場合には米通商代表が経済的報復措置をとるべきであるというのが下院の意思である旨の決議案が提出される等、早期の問題解決を強く求める声が存在しております。

 日米間の牛肉貿易再開に向けての具体的手続については、両国間で認識の一致が得られていることから、外務省といたしましては、科学的知見に基づき、消費者の食の安全の確保を前提に適切な解決が図られるとともに、さきの日米首脳電話会談で総理がおっしゃられたとおり、この問題が良好な日米関係を害さないよう、必要な国内手続が着実に行われることを望んでおります。

 町村外務大臣は、以上のような立場に立たれて発言をしておられるものと承知しております。

山本(喜)委員 しかし、このマスコミの報道ですけれども、日米首脳の電話会談、外務省が電話会談に備えて用意した首相の応答要領には、食品安全委員会での議論を加速させたいという表現が盛り込まれていたというふうな、総理はこれは口にしなかったというふうにもつけ加えられておりますが、外務省の用意した応答要領にはそのように書かれてあったというのですが。なおかつ、これも報道なんですけれども、内閣府幹部ですね、そもそも米国に甘い見通しを伝えた外務省が混乱の原因だ、外務省が期待を持たせるから余計圧力が強まるというふうな批判も政府部内にはあるというふうに報道されています。

 こういうことは、やはり外務省としての一連の政治的圧力というふうにとらえることになるんですが、どうなんですか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省といたしましては、米国産牛肉の輸入再開問題につきましては、科学的知見に基づき、消費者の食の安全の確保を前提に、適切な解決が図られるべきという政府の基本方針にのっとりまして、これまで関係省庁と一体となって対処してきておりますし、また、今後ともそのように対処してまいりたいと存じております。

山本(喜)委員 今後ともそういう立場に変わりはないということで確認していいですね。

石川政府参考人 我が方からアメリカに対する説明においても、日本にとってのこの問題は食品の安全にかかわるものであると繰り返し申し述べているところでございます。

山本(喜)委員 そこで、この外務省の一連の発言が、今答弁ありましたけれども、一方、政府ですが、政府は十日に、米国産牛肉の輸入再開に向けて、BSEの安全基準見直しに関する答申を早期にまとめるよう食品安全委員会に促す方向で検討に入ったというふうな報道がありました。これについて農水省はどのように考えているのか。

 また、昨日の石原事務次官の記者会見もございます。日経新聞によりますと、答申時期にめどを設けて諮問するという案が政府内で浮上していることについて、次官は、検討課題だというふうに日経には載っています。ところが、朝日には、この次官の発言について、時期を明記すべきだということについて、これについては否定的な見解を述べたと。これは両方、どうとったらいいかわからないんですが、これについて農水省あるいは内閣府はどのように受けとめているんでしょうか。

中川政府参考人 まず最初の点でございますけれども、BSEの国内措置の見直しにつきましては昨年の十月十五日に食品安全委員会に諮問したわけでありますけれども、既に五カ月がたっているわけでございます。

 去る十一日には、諮問後七回目のプリオン専門調査会におきまして前回の議論を踏まえた報告書の審議が精力的に行われ、次回の調査会においても引き続き審議されるというふうに私どもは聞いております。

 諮問を行いました立場といたしましては、可能な限り早く評価が得られればというふうには考えておりますけれども、食の安全、安心の確保がやはり何よりも大事でありますし、また、科学的知見に基づき審議をいただくということが大変大事だというふうに考えておりまして、私どもといたしましては、引き続きプリオン専門調査会におきます議論を注視していきたいというふうに思っております。

 それから、二点目の点でございますけれども、食品安全委員会は、食品の行政を担当する、リスク管理を担当する農林水産省やあるいは厚生労働省からは独立をして、科学的知見に基づいてリスク評価を行う、そういう機関でございます。そういうことから、そういう機関の性格ということからいたしますと、あらかじめ答申時期を区切って諮問をするというふうなことは適当ではないというふうに私どもは考えております。

齊藤政府参考人 お答えいたします。

 委員御承知のとおり、食品安全委員会は、現在、我が国におけるBSE対策の見直しに係る食品健康影響評価を行っておるところでございます。

 この審議の過程で、この審議につきまして外部から何らかのそういう圧力とか指示とか、そのようなものがあったということは一切ございません。御承知のように、十月十五日に諮問を受けて以来、現在まで七回、専門調査会を開催してきておるわけでございますが、この中で、専門調査会の委員におかれましては、精力的な議論を行っていただいているというふうに私どもとして理解しておりますし、今後とも引き続き御議論をいただけるもの、そのように考えております。

山本(喜)委員 あらかじめ時期を区切って答申を求めることはしないということでございました。

 事は食の安全ということでございますから、国民の健康の問題ですね。したがって、圧力に屈するとかあるいは政治日程をあらかじめ組むとか、そういうことがあってはならないというふうに思うので、ぜひ慎重な検討をお願いしたいというふうに思います。

 次に、A40について前回の委員会でも質問しましたが、あのとき、A40を認めていくということについては、これは前提条件つきというふうに理解しておりましたが、もう一度確認します。

中川政府参考人 去る二月の八日に取りまとめられました月齢の判別に関する検討会の報告書、これによりますと、二十一カ月齢以上の牛の枝肉を排除する基準としてA40という格付基準を採用するか否かというのは、米国産牛肉のBSEの感染リスクの程度の評価とあわせて判断する必要があるというふうに書かれているわけでございます。

 したがいまして、農林水産省としましては、このA40という基準を採用するか否かというのは、食品安全委員会におきます米国産牛肉のリスク評価、それを踏まえて検討していきたいというふうに考えております。

山本(喜)委員 要するに、一・九二%以下という数字だけで結論づけないということであって、米国産牛肉のBSE感染リスクの程度を評価する、あわせてこれでやっていくということですね。

 この考慮し、そして評価するというのは、食品安全委員会で行うということですか。リスク管理機関としてはこの作業はしないということですか。

中川政府参考人 報告書の該当の部分でございますけれども、「A40を基準として採用し得るか否かの判断に当たっては、米国産牛肉のBSE感染リスクの程度を考慮する必要があり、このリスク評価を踏まえ、統計学的結果がリスクの観点から許容し得るものと評価できるものであれば、その基準としてA40を採用することは可能である。」ということですから、ここのリスク……(山本(喜)委員「だから、それはどこがやるのか」と呼ぶ)ですから、「リスク評価を踏まえ、統計学的結果がリスクの観点から許容し得るものと評価できるものであれば、」というのは、これはリスク管理サイドとしての判断というふうに考えております。

山本(喜)委員 とすると、厚労省と農林水産省で最終的に結論を出すということですね。

 もう一つ、月齢判別の検討会の結果の二月八日の件ですが、仮に基準を採用する場合にはということで、二つのことがあります。この間は日米で協議中というふうな答弁でございました。しかし、午前中の審議では、アメリカとは確約が得られていない、要求していきたいというふうな答弁にとどまっているようでありますが、これはどういうふうになるんですか。

中川政府参考人 報告書に記されております「追加的検証又は実施後のフォローアップ」ということについてアメリカ側に要求をしておると。ただ、これまでのところ、その実施について確約が得られていないということでございます。したがいまして、私どもとしては、これからも引き続き要求をしていきたいということであります。

山本(喜)委員 ということは、A40を仮に採用する場合にはということは、引き続きアメリカに要求して、これが具体的にならない限りはこれはどうにもならないということなんですね。

中川政府参考人 報告書におきましては「追加的検証又は実施後のフォローアップが必要である」ということでございますので、追加的検証というのは実施前か後かというのは明瞭でありませんけれども、フォローアップにつきましては実施後ということでございます。この点も踏まえてこれからアメリカと協議をしていきたいというふうに考えております。

山本(喜)委員 前回の質問のときに、A40を採用するか否か、これは、「今後、食品安全委員会に、アメリカから牛肉を輸入する際のさまざまな条件とともに諮問いたします。」というふうにありました。

 この「さまざまな条件」とは、昨年十月の共同記者発表の内容を含めるということですか。それが入っているということですか。

中川政府参考人 アメリカから輸入されます牛肉についての条件、基本的には輸出証明プログラムというものの中に反映をされていくということでございまして、食品安全委員会への諮問におきましては、そういった輸出証明プログラムの中身について、まずは情報として添えて諮問をしたいというふうに考えております。それ以外にも、審議をいただく上で必要と考える情報がいろいろあるかというふうに思います。その点については、審議に資するようにということで、私ども、諮問する側として、そろえて提出をする必要があるというふうに考えております。

山本(喜)委員 昨年の十月の日米共同記者発表、この中で、七月をめどに再検討ということで書かれておりますが、これは、OIEの総会の決定を受けて、あるいはアメリカのサーベイランスの状況も踏まえてということで言われておりましたが、そうすると、国内措置の見直しということも出てくるんでしょうか。

中川政府参考人 まず、アメリカからの牛肉の輸入を再開いたします前提としまして、現在食品安全委員会に諮問しております国内措置の見直し、これについて答申をいただくということが第一歩といいますか、その最初の段階でございます。ですから、その答申をいただいた上で、改めてアメリカとの貿易再開、その条件についてリスクコミュニケーションを行い、その上で食品安全委員会にその条件を諮問するということを考えております。

 今お尋ねの点は、国内措置の見直し云々というところでございますけれども、七月の、検証という言葉でたしか書かれていたはずでありますけれども、その検証として、私ども、あそこに含まれている中身というのは、なぜ七月にするかというその一つの条件は、五月にOIEの総会が開かれて、そこでいろいろな議論がされる、それから、今先生がおっしゃいましたようなサーベイランスの結果も出てくるであろう、こういった新たな情報をもとにして議論をしていこう、そういう趣旨でございます。

山本(喜)委員 この日米共同記者発表の中には、Fのところで「貿易の攪乱の防止」という項がございます。これは、「日米両国は、十分に強固な食品安全システムを有しており、少数の追加的なBSEの事例が確認されても、科学的な根拠がなければ輸入停止や牛肉貿易パターンの攪乱という結果に至ることはない。」ということで書かれておりますが、これは、仮にアメリカでさらにBSEの事例が発生しても、輸入停止にはならないということの意味なんでしょうか。

中川政府参考人 アメリカとの間で牛肉の貿易が再開をされるという、その条件を設定する際の基本的考え方でありますけれども、貿易が再開された後で、BSEの感染牛が一頭あるいは数頭発見されたというそのことだけで再開した貿易がまたとまるということでは、安定的な貿易の関係にはならないというふうに思っております。

 したがって、ここに書いてあることは、アメリカとの間でいろいろ協議をしてきたその前提となっている科学的な知見、それを覆すような新たな発見があれば別ですけれども、これまでわかっていた知見の中で、アメリカで二頭目あるいは三頭目が出たということでもっては直ちに貿易をとめるというほどではないということであります。

山本(喜)委員 再確認しますけれども、食品安全委員会、国内措置について今検討しているということでございますね。この後、アメリカの輸入再開に当たっての条件整備といいますか、これについて議論が始まる、もし仮に国内措置がオーケーとなった場合ですね。さらに、七月をめどの見直しということになったら、さらにまた食品安全委員会ということで進んでいくというふうに考えていいんですか。

中川政府参考人 この輸出証明プログラムの検証のところで書かれているこの意味でありますけれども、七月をめどに日米両国において検証されるということにはなっております。

 その際に、いろいろ考慮されるべき事情については先ほど申し上げたとおりでありますが、検証は両政府の一致した判断によって結果を出し、日本の場合は、その結果は食品安全委員会の審議を条件とするということでありまして、協議をして、その結果、必然的にそのさまざまな条件を見直すというところまでは書かれていないわけでありまして、両国の一致した判断によるということでございます。

 以上、この経緯について御説明をさせていただきました。

山本(喜)委員 最後になりますけれども、リンゴ火傷病についてお伺いします。

 報道によりますと、WTOのパネルで米国の主張をほぼ認める中間報告が提示をされたということでございます。五月に最終報告が出るということですが、中間報告とは内容が大きく異なることはないというふうに言われています。

 今後の政府の対応についてお伺いいたします。

中川政府参考人 火傷病再パネルの中間報告につきましては、三月の十日に日米両当事国に発出をされました。

 先生も御案内のように、その中身につきましては、まだ審議の途中ということで非公表ということになってございます。五月か六月ごろに最終報告が公表されるものというふうに私ども聞いております。

 我が国としては、これまでの状況から判断して、大変厳しい状況にあるというふうに考えておりますけれども、中間報告の内容を十分に精査いたしまして、指摘すべき点があれば、適切に私どもとして対応してまいりたいというふうに思っております。

山本(喜)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

山岡委員長 次回は、来る十七日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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