衆議院

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第4号 平成18年3月9日(木曜日)

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平成十八年三月九日(木曜日)

    午前九時四十一分開議

 出席委員

   委員長 稲葉 大和君

   理事 岡本 芳郎君 理事 梶山 弘志君

   理事 原田 令嗣君 理事 二田 孝治君

   理事 松野 博一君 理事 黄川田 徹君

   理事 山田 正彦君 理事 西  博義君

      赤城 徳彦君    赤澤 亮正君

      伊藤 忠彦君    飯島 夕雁君

      今津  寛君    小野 次郎君

      金子 恭之君    近藤三津枝君

      近藤 基彦君    佐藤  錬君

      斉藤斗志二君    谷川 弥一君

      中川 泰宏君    並木 正芳君

      丹羽 秀樹君    西村 康稔君

      鳩山 邦夫君    福井  照君

      藤井 勇治君    御法川信英君

      渡部  篤君    荒井  聰君

      岡本 充功君    小平 忠正君

      佐々木隆博君    仲野 博子君

      松木 謙公君    森本 哲生君

      山岡 賢次君    丸谷 佳織君

      菅野 哲雄君    古川 禎久君

      森山  裕君

    …………………………………

   農林水産大臣       中川 昭一君

   農林水産副大臣      宮腰 光寛君

   農林水産大臣政務官    金子 恭之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 兒玉 和夫君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官)          西阪  昇君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           白石 順一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           御園慎一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房参事官)           藤井  充君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         佐藤 正典君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長)            岡島 正明君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           中川  坦君

   政府参考人

   (農林水産省生産局畜産部長)           町田 勝弘君

   農林水産委員会専門員   渡辺 力夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月九日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     藤井 勇治君

  小野 次郎君     近藤三津枝君

同日

 辞任         補欠選任

  近藤三津枝君     小野 次郎君

  藤井 勇治君     赤澤 亮正君

    ―――――――――――――

三月二日

 食料自給率の抜本的向上に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六六五号)

 同(石井郁子君紹介)(第六六六号)

 同(笠井亮君紹介)(第六六七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六六八号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第六六九号)

 同(志位和夫君紹介)(第六七〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六七一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六七二号)

 同(吉井英勝君紹介)(第六七三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件(畜産問題等)


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     ――――◇―――――

稲葉委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官佐藤正典君、総合食料局長岡島正明君、消費・安全局長中川坦君、生産局畜産部長町田勝弘君、外務省大臣官房審議官兒玉和夫君、文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官西阪昇君、厚生労働省大臣官房審議官白石順一君、大臣官房審議官御園慎一郎君、大臣官房参事官藤井充君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

稲葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

稲葉委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松木謙公君。

松木委員 民主党・無所属クラブを代表しまして、松木謙公でございます、質問をさせていただきます。

 皆さん、おはようございます。

 まず、質問通告をしていなかったものですから、これは答えなくて結構でございます。

 このところ、PSE法というのがちょっとテレビなんかでも話題になっているんですね。そして、高価な電気製品が売れなくなるとか、あるいはリサイクルがどうなるんだとかということばかり目をとられていたんですけれども、よくよく考えてみたら酪農なんかでも電気製品というのは実は結構使っているんですね。例えば、電気育苗器、電気ふ卵器、それから刈り込み機とか、いろいろなものを結構使っている。

 そして、これが、中古が売り買いできなくなるということになれば、新規就農をする場合、中古の機械を使ってやはり入っていく場合が多いらしいんですね、その場合、なかなか新規就農もしづらくなってしまう、こういう可能性もあるんですね。

 このように、酪農だとか農業、こういうことにも実は結構影響があるんですね。私も、ああ、なるほどなと思ったんですけれども。

 こういうことで、農業経営にも悪影響を及ぼす可能性もある、もちろん安心、安全なものを売り買いもしなきゃいけないんでしょうけれども、そういうこともありますので、このことに関しては農林水産省として対策をぜひ考えていただきたいということをちょっと要望としてまずは述べさせていただきました。ぜひよろしくお願いを申し上げます。そのうち、また委員会で機会があったらやりたいなというふうに思っております。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 まず、日本の自給率というものについてちょっとお考えいただきたいなと思うんですけれども、現在は、カロリーベースで四〇%というふうに言われております。これからこの自給率を上げていこうというのが国民的な課題でもあるし、そして国策でもあるというふうに私は理解をしております。

 中川大臣の御地元、この間私も行ってきましたけれども、私の地元とも近いわけでございます。特に北海道はもちろんそうですけれども、多くの方々がやはり自給率ということに注目しているところなんですね。

 食べ物は代替機能がありません。移動についてでしたら、例えば、車がなければ自転車とか、自転車がなければ歩く、そういうふうにしてそれぞれの代替機能が何とかあるわけですけれども、食べるという行為にはほかに代替機能というのはないわけですので、これはなかなか大切なものだというふうに私は思っております。

 国民の利益を守ること、それは安心、安全な食物で自給率を上げることであり、そしてこれは言うまでもなく重要な課題であると考えているわけですけれども、この自給率の向上について、方策も含めてですけれども、大臣の意気込みとかお考えをここで明らかにしていただきたいなというふうに思っております。

中川国務大臣 おはようございます。

 まず、先ほどの電気製品のリサイクルでありますけれども……(松木委員「答えなくていいですよ」と呼ぶ)答えなくていいということでございますが、たまたまきのう参議院の予算委員会でも同じような質問が出たので。酪農、農業関係者の皆さん、四月一日以降大変厳しいことを心配しているという趣旨の質問、答弁がございましたので、私も重たく受けとめさせていただきたいと思います。

 松木委員と私のところは道東ということで、同じような農業形態なわけであります。御指摘のように、カロリーベースで、日本は今から四十年ほど前は七〇%ほどあったものが急速に減ってきて今四〇%、北海道は約二〇〇%という特別の地域でございますけれども、これを平成二十七年をめどに四五%に何とか上げていきたい。これは、何も生産サイドだけの話ではなくて、国家的な政策の基本であると同時に国民的な関心事項でもあるというふうに私は理解をしております。

 ちょっと前の数字でありますけれども、五、六年前の数字でありますが、総理府の調査でも、将来の食料に対して大いに不安がある、あるいは不安があるという数字が国民の約八割を占めている。こういう状況をどうやって消費者サイドの面からも改革していくことが大事か、先進国の中でとりわけ低い自給率でありますから、これを上げていくということは国民総じての要望だろうというふうに私は思っております。

 したがって、国民は安全、安心、顔の見える農産物、食料を求めているわけでありますから、それにこたえる生産面あるいはまた農政をやっていけば、私は自給率は上がっていくというふうに確信をして農政に取り組んでいるところでございます。

 消費者にとって喜ばれるもの、顔の見える、安全、安心、北見のだれだれさん、松木さんがつくった牛乳であるとかあるいはジャガイモであるとか、これはおいしいんだ、安全なんだというような農政、食料生産というもの、つまり生産と消費の共生という観点から、子供たちのいわゆる食育も含めまして、国民的なコンセンサス、ニーズにこたえられるもの、これを努力していくことが生産サイドのインセンティブにもなっていくと思います。国家的見地からも極めて重要であると同時に、生産、消費、両サイドにとってプラスになります。

 基本法の根本の考え方でもございますので、引き続き、松木委員にもいろいろと御指導いただきながら、消費者あるいは子供たちの理解も含めましてさらに努力して、四五%という目標を何とか実現できるように努力していきたいというふうに考えております。

松木委員 大臣、ありがとうございました。お忙しいのでしょう。次、何か行かれるようなことを聞いていますので、どうぞ余裕を持って行っていただいて結構ですから。

 ちょっとだけ言っておきますけれども、ぜひ大臣、うちの民主党も自給率を五〇%ぐらいまで頑張ろうと、そういうものをやっておりますので、ぜひ民主党のいいところも取り入れていただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。(発言する者あり)わかりました。鳩山先生のお話もよく聞いておきます。

 それでは、WTOの問題についてちょっとお話を聞かせていただきます。

 昨年末、WTOの香港閣僚会議においてドーハ作業計画閣僚宣言が採択されました。宣言では、我が国の主張するセンシティブ品目の扱いについて、著しく自給率が低いという食料輸入国の事情や、最近の消費の変化の反映などを引き続き主張していくための足がかりを得ることができた、また最重要課題である上限関税の問題については盛り込まれないなど、この点についても評価できると考えております。

 しかしながら、今後、四月末のモダリティーの確立に向けて、交渉は再びまた厳しくなってくることも予想されておりますね。上限関税の導入やセンシティブ品目の極端な限定を求めるなど非現実的な要求を提案している輸出国もあり、今後の交渉次第では、我が国など食料輸入国の農業にとって重大な危機を生じかねない事態が起こっていると認識しております。

 とりわけ、酪農・乳業界については、WTO農業交渉の動向に危機感を募らせているわけでございますね。農産物の関税率に上限を設ける上限税率の導入議論が進み、高関税率に保護されていた脱脂粉乳やバターなど特定乳製品の輸入量がふえるという考え方からなんですけれども、目下、国内の少子化や牛乳離れで消費の落ち込みに苦しむ農業、酪農業には、国際化の荒波も迫っているわけです。

 特定乳製品は、飲用向けに消費されず余った生乳を保存する目的でつくられ、牛乳の需給バランスを調節する役割を担ってきました。このため、関税引き下げで乳製品の輸入が増加すれば、牛乳の需給調整が困難になり、酪農経営に壊滅的な打撃となるのは火を見るより明らかであるというふうに思います。

 現在、特定乳製品に対しては、輸入割り当て制が適用されているわけですね。輸入が一定量を超えた場合、超過した分に対して高い関税を課すことで輸入量を制限する仕組みであります。この二次関税の水準は、脱脂粉乳で一五〇%、バターでは二五〇%を超えるわけですね。WTO交渉を主導するアメリカは、上限税率を七五%以下に抑える案を開示しています。この案が採用されれば、大量の乳製品が流入することが避けられない現状だというふうに認識しております。

 また、一定分野で上限関税の例外扱いが許される重要品目、これにも、全農産物の一%に当たる十三品目程度にとどめるべきだとするアメリカなどの主張が有力とされて、乳製品を例外扱いとするのは難しい情勢であると見込まれているわけですね。我が北海道においては、米を初め、砂糖、でん粉、雑豆、乳製品等高関税品目を大分抱えているわけですね。WTOの決着が、私の選挙区ですから言いますけれども、北海道農業の生死を左右すると言っても過言ではないわけですね。

 それでは、重要品目についても一般品目と異なる例外扱いの確保や上限関税の断固阻止など、我が国の農業の悲痛な叫びにどのようにこたえるのか。我が国の提案する内容が具体的に実現する見通しや、重大局面を迎えるWTO農業交渉に臨む副大臣の決意というんですか、そこら辺をちょっとお聞かせいただきたいというふうに思います。

宮腰副大臣 WTO農業交渉につきましては、香港閣僚会議の閣僚宣言において合意された本年四月末までのモダリティー確立に向け、さまざまな形で集中的な議論が行われているところであります。

 現在、我が国、EU、スイスなど農産物の輸入国と、米国、ブラジルなど農産物の輸出国の間で意見の隔たりが依然として存在しておりますけれども、今後、四月末というモダリティー確立の期限が近づく中、各国の相違点を埋めるための議論を閣僚レベル及び事務レベルで精力的に行っているという状況にあります。

 御案内のとおり、本日にも中川大臣が、ロンドンにおいて開かれる主要国閣僚会議に出席のため出張されるわけでありますけれども、いろいろな機会を通じて我が国の主張がしっかりと反映されるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。

 牛乳・乳製品を初めとする重要品目の取り扱いや上限関税など、農業交渉の主要課題につきまして引き続き積極的に交渉に貢献しつつ、今ほど申し上げましたように、中川大臣を中心にして、我が国の主張がドーハ・ラウンドの成果に最大限反映されるように、しっかり頑張っていきたいというふうに考えております。

松木委員 外交交渉というのは、やはり自分の国が有利になるように、とにかくタフネゴシエーターでなきゃいけないというふうに私は思っていますので、ぜひ頑張って粘り強くやっていただきたいというふうに思っております。

 それでは、二〇〇五年の年間乳量の日本一の乳牛というんですか、そういうのはどこで育ったか、副大臣御存じですか。部長さんでもいいですね。

町田政府参考人 社団法人日本ホルスタイン登録協会によりますと、今お尋ねのありました二〇〇五年の年間乳量が日本一となった乳牛につきましては、北海道帯広市の酪農家で生産、育成された牛だというふうに承知しております。

松木委員 実は、これは大臣がいたら聞きたかったことなんですね。大臣のおひざ元の選挙区のところで実現した話なんです。

 年間乳量の平均が大体七千七百キロと言われているんですけれども、この乳牛は三万キロ弱の乳量がとれたということなので、すごいことなんですけれども、この平均値を大幅に上回る牛の出現の理由というのは大体どこにあるというふうにお考えですか。

町田政府参考人 年間約三万キロということでございます。

 この成績でございますが、これまでの長年にわたりまする生産者また関係団体、地方公共団体、国が一体となりまして、組織的かつ計画的に実施してまいりました乳用牛改良によります能力の向上、また生産者御自身によります牛群改良の取り組みと適切な飼養管理により実現されたというふうに考えているところでございます。

松木委員 要するに、政府も、一頭からいっぱいとれるように頑張ってくれという気持ちでいろいろなお手伝いもしていたんじゃないでしょうか。どうですか、部長さん。

町田政府参考人 乳用牛の改良でございますが、酪農の生産性向上の基礎となるものでございまして、今後とも、酪農関係者が適切な役割分担のもとで組織的また計画的に実施していくということが重要であるというふうに考えております。

松木委員 みんなで少しでもそういうことが向上するように頑張ってくれということでやってきたと思うんですね。

 しかし、限度数量というのが決められて、それが何か削られるというのは、非常に農家の方々にとっても大変なことだなと思います。

 それでは、北海道では一万トンの生乳の廃棄についても新聞報道でなされているんですね。生産者の努力で乳量が増加し、とれ過ぎたから廃棄処分。一方で、チーズの価格が事実上九%台の値上げが実施されるわけですね。まさによくわからないことが起こっているわけですけれども、実際どの程度の限度数量になるのか、お答えをいただきたいと思います。

金子大臣政務官 おはようございます。

 最近の生乳の需給につきましては、もう松木委員も十分御承知だと思いますが、生産が非常に安定的に推移している一方で、飲用需要の伸び悩み等から緩和基調となっております。この結果といたしまして、脱脂粉乳とかバターの在庫が高水準で推移しているところでございます。

 十八年度限度数量につきましては、こうした需給の状況及び生産者団体の需要拡大の取り組みを踏まえつつ、生産者の意欲にも留意いたしまして、二百三万トンとすることについて、本日、食料・農業・農村政策審議会に諮問し、御審議をいただいております。

松木委員 二万トン減ったんですね。金子政務官、そして宮腰副大臣、そして中川大臣、一生懸命頑張ったんでしょう。そういう結果が出たようでございます。

 現地の人の声を拾ってきましたので、ちょっと読ませていただきますと、厳しい数字を考えていたが、数字的には最小限とどめられたという感想を持った、しかし、十八年度以降、減産を本格的に行っていくことは事実で、収入も減るなど厳しい経営環境が待っている、需要の落ち込みをとめ、いかに消費拡大を考えるかが問題ですという感想が寄せられてきていますので、ぜひ覚えておいてください。

 そうしたら、消費者の立場からすると、捨てるぐらい原料はあるにもかかわらずチーズの値段が上がるのは何でかな、値段が同じでもなぜかチーズの大きさが小さくなった、そんな疑問があると思うんですね。これはなぜかという素朴な疑問にどのようにお答えになられますでしょうか。

 生産者の立場は、これまでさまざまな自助努力、設備投資によって生産量をふやしてきたにもかかわらず、とれ過ぎたから生産抑制をする、減反政策を思い起こさせられるわけですね。グローバル化が進む経済環境では、酪農、畜産、こういうのも聖域とはなり得ない状況になってきているとは思いますけれども、しかし、私はそれは間違っているというふうに同時に思っております。

 一方で、国際化に対応できる新しい時代の酪農、畜産への一歩を踏み出すため、新たな所得安定対策が求められると考えられますね。特に現行の加工原料乳生産者補給金制度については、前年の補給金単価に生産コスト等変動率を乗じて単価を算定しているわけですけれども、外国との内外価格差の補てんという考え方を取り入れることに対する政務官の御所見を伺いたいわけです。国産乳製品の安定供給と自給力の維持、飲用乳の下支えの機能の必要性などを含めて、お答えをいただきたいと思います。

金子大臣政務官 今、松木委員の方からお話があったとおりでございますが、現在、加工原料乳生産者補給金制度におきまして、飲用向け生乳に比べて価格面で不利な加工原料乳の生産者に補給金を交付することによりまして、加工原料乳の再生産を可能とし、生乳全体の需給安定を図っているところでございます。

 この制度のもとにおきまして、我が国酪農の生産構造は順調に強化されてきており、例えば、二〇〇一年におきましては、我が国の一戸当たりの経営規模、経産牛の頭数におきましては、国内においては三十五頭でございます。一方、EU十五カ国の平均は二十九頭でございまして、そのEU十五カ国平均を上回る水準となってきております。

 このような状況のもとで、直ちに現行制度を見直す必要があるとは考えていないところでございます。チーズとか生クリーム等、需要の伸びが期待できる品目への生乳供給のシフトを図っていくとともに、需要に見合った計画生産を続けていくことが我が国酪農の安定的な発展につながるものと考えております。

 なお、国産乳製品につきましては、諸外国との生産条件格差が国境措置によりまして実質的に是正されているところでございます。

 以上でございます。

松木委員 はい、わかりました。

 緑の政策として十八年度からスタートする酪農飼料基盤拡大推進事業について。この事業は、飼料自給率の向上の意味合いの強いものであると理解していますが、酪農家の方々の注目、期待も高まっているようでございます。その期待にこたえるためにも、さらに環境問題の立場からも、この事業を幅広な政策支援とすることが必要であると考えます。そして、食料の自給率のアップにもたしかつながるはずなんですね。

 この事業の将来展望について、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

町田政府参考人 昨年三月に、食料・農業・農村基本計画とあわせまして、私ども酪肉近代化基本方針を策定したところでございますが、そこにおきましても、今委員御指摘のとおり、食料自給率の向上、また資源循環型畜産の確立等の観点から、自給飼料基盤に立脚した畜産経営の育成を重要課題というふうに位置づけているところでございます。

 こうしたことを踏まえまして、一定基準以上の飼料作物作付面積を持っておられまして飼料自給率の向上、環境保全に資する取り組みを実施されます酪農経営に対しまして、飼料作物の作付面積当たりの奨励金を交付いたします酪農飼料基盤拡大推進事業、これを十八年度予算案において新たに今確保しつつあるところでございます。

 この事業でございますが、十八年度予算額は約五十四億五千万でございまして、事業実施期間は五年間ということになっております。この事業の実施によりまして、飼料基盤に立脚いたしました環境と調和のとれた酪農経営の確立を推進していきたいというふうに考えております。

松木委員 ぜひ、この事業は力強く進めていっていただきたいというふうに思っております。

 それでは、次に行きます。

 生乳及び乳製品需給の安定を図るためにも、国産牛乳・乳製品の新規需要開拓の必要性、輸出も含めた需要拡大に向けた取り組みがかなり必要だなというふうに私は考えております。酪農においても攻めの政策を展開する必要があると考えておりますが、それに当たってはやはり知恵を絞っていかなきゃいけないと思うんですね。そこで、ちょっと私なりにいろいろと、ない頭を絞って幾つか考えてみたんですね。それぞれちょっと御所見をいただきたいと思うんですけれども、まず文部科学省にお伺いをします。

 牛乳の消費ということを考えると、学校給食における消費が一定量期待できると考えています。当然、今でも学校給食の方にしっかりとそれが入っているわけでございますけれども、私が調べたところ、小学校の学校給食で牛乳が飲まれている割合は九九・四%、これは高いですね。しかしまだ〇・六%ある。中学校の学校給食で牛乳が飲まれている割合は八二・四%、意外と小学校から見れば低い。特殊教育の学校では九〇・四%。こうなっているんですけれども、これだけでどれくらいの消費がされているのか、まずお答えいただきたいと思います。

西阪政府参考人 お答えいたします。

 全国の小中学校の学校給食における牛乳の年間消費量でございますが、平成十六年度、この数字は独立行政法人農畜産業振興機構の調査でございますが、平成十六年度で三十八万五千トンということでございます。

松木委員 それでは、学校ですべて飲まれるということになった場合はどのくらいの量になるんでしょうか。そして、学校給食にしても、牛乳だけ給食として出すという場合もあるというふうに私は聞いていますけれども、そこら辺をお答えいただきたいと思います。

西阪政府参考人 先生御指摘いただきましたように、現在、小学校の学校給食の実施率は九九・四%、それから中学校につきましては、これは児童生徒の数の比率でございますが、八二・四%ということでございます。

 先ほどの十六年度の消費実績をベースにいたしまして、仮に学校給食の実施率が一〇〇%になったということで推計をいたしますと、牛乳の年間消費量は約四十一万トンという数字が試算できるものでございまして、先ほどの三十八万五千トンと比べますと二万五千トンの増という数字になります。

松木委員 今回削るのは二万トンですよね。そうしたら、五千トン足りないということにもうまくいけばなるんじゃないかなというふうに思うんですけれども。

 小学校で〇・六%、中学校で一七・六%、特殊教育の学校で九・六%の学校が牛乳を飲まれていないわけですけれども、先ほど言ったミルク給食というシステムで一〇〇%の学校で牛乳を出すことができると考えていますけれども、すべての学校で牛乳が出されていない、その理由というのは何でしょうかね。

 そして、牛乳というのは、やはり体にいいとか、骨が強くなるとか、切れやすい子供を切れづらくするとか、どっちかといえば効能が多いような話を随分ちまたではしているじゃないですか。そうしたら、ぜひ一〇〇%にしていけばいい、まあ物事に一〇〇%というものはないのかもしれないですけれども、ミルク給食というやり方もあるわけですから、もうちょっと伸ばせるんじゃないかなという気が私はしているんですけれども、どうでしょうか。

西阪政府参考人 学校給食が一〇〇%になっていない理由ということでございますが、幾つかございます。

 一つ大きなものといたしまして、この数字は国公私立全体の学校の数字でございますので、私立の学校は学校給食の実施率が低いということがございますので、特に中学校になりましたら私学の数がふえる、あるいは私学の中学校は中高一貫……(松木委員「もうちょっと大きな声で言って」と呼ぶ)私立学校の数も入っている数字でございます。それで、中学校などは、私立学校は中高一貫校で、高校と一緒に食堂あるいはカフェテリアで昼食対応をしているということがございますので、学校給食の実施がされていない私学が多いという事情がございます。

 それから、あとは、それぞれの学校の地域の状況でございますとか、あるいは学校の運営の方針ということで、それぞれの学校の設置者の御判断で、学校給食の実施をするかどうかということを判断されているわけでございます。

 ただ、私どもといたしましては、食育推進という観点からも学校給食は大変重要だと思っておりますので、その普及充実ということには引き続き努めていきたいと思っておりますし、その中で、牛乳というものにつきましては、発達段階の骨の育成ということに大変重要な時期でございますので、カルシウムの摂取ということに大変効果的な牛乳の使用ということをこれまでも進めてきているところでございまして、今後とも、学校給食の充実、その中での牛乳の使用あるいは調理用の牛乳の使用等につきまして努めてまいりたいと思っております。

松木委員 なるほど、カフェテリア方式とか、いろいろとあるんですね。中高一貫教育、それで出しづらい。なるほど。よくわかりました。

 しかし、さっき言ったとおり、やはり骨の育成だとか、そういうことにいいわけだから、小学校はさすがにここまで来ているんだなと。だって、小学校だって私立はあるわけでしょう。だから、中学だけが私立でないわけだから、もうちょっと中学校は上げることができるんじゃないかなというふうに私は思っているんですよ。

 ぜひそこら辺は、いろいろな権限を持っている文部科学省ですから、人をおどかす必要はないですけれども、しかし、もうちょっと積極的に進めていってくれたらありがたいなというふうに思っております。ぜひそこら辺、もう一度頑張ってくれますか。

西阪政府参考人 小学校は私学の比率が大変低うございまして、中学校からふえるという状況がございます。

 先ほどもお答えいたしましたように、学校給食というのは、食育基本法も制定されまして、私ども、普及充実を図っていかないといけないと思っております。その中で、牛乳というものは大変重要な位置づけでございますので、今後とも普及充実ということに努めてまいりたいと思っております。

松木委員 もうちょっと数値の目標を、例えば、では何年以内に九〇%くらいにしようとか、九五%にしようとか、そのくらいのつもりで、なかなか物事を強制できる時代じゃないので大変だというのはよくわかるんですけれども、しかし、一つにはやはり食育基本法というのもあるんだから、ぜひそういうことで頑張っていただきたいと思います。牛乳というのは体にいいんですから、それを一七%もの中学校で採用していないというのは、それは教育者としてちょっと、まあ文句を言うわけじゃないですけれども、ぜひもうちょっと何とかしてもらいたいなという気がしております。

 それでは、厚生労働省の方に今度はお聞きしたいと思います。

 例えば、老人ホームなどの介護施設で、まあお年寄りが牛乳を飲むと下痢するという話もありますので、そうしたらもうちょっと、加工乳というんですか、そういうのもあると思うんですけれども、乳製品を消費してもらえるような取り組みができるんじゃないかなというふうに私は考えているんですけれども、どうでしょうか。

御園政府参考人 御指摘のように、特別養護老人ホームなどの介護施設の利用者の方々がそれぞれの体あるいは心身の状況に応じて牛乳などによって十分な栄養をとっていただくということは、利用者の方々の健康の維持や増進の観点からとても重要なことだというふうに認識しております。

 したがいまして、今までも、個々の利用者の方々の状況を見ながら、適切な栄養ケア計画というのをつくって対応してまいったところでございますが、今後とも、施設の利用者の方々の栄養改善に十分配慮したような努力を引き続き行ってまいりたいというスタンスでいるところでございます。

松木委員 ここら辺に、牛乳を何とかお願いしていくということ、うまくいったらどのくらいの需要を見込めるんでしょうかね。そこまではわからないかな。どうでしょう。わからなかったらわからなかったでいいですよ。

御園政府参考人 まことに申しわけありませんが、そこまでの資料は持っておりません。恐縮でございます。

松木委員 さらに、保育園で牛乳を飲んでもらうように給食で出したり、おやつの時間に出すとか、そういうことも考えられるというふうに思いますけれども、実際にこういう取り組みとして何かなされていることはありますか。

白石政府参考人 今お尋ねがありましたように、保育所でございます。保育でございますので、その一環としての食事というものがお子さんの健やかな発育、発達に欠かせないということは非常に重要な点でございまして、お子さんの発育、まだ離乳期のお子さんもいらっしゃいますし、アレルギーのお子さんもいらっしゃったりしますが、そういう発育、発達状況あるいは栄養状態に応じまして必要な栄養量を考慮した給食ということが私どもの重要関心事でございます。

 保育所における食事につきましては栄養素で見ておりますが、その栄養素の一つでありますカルシウムなどなどの栄養の摂取量について基準を示しておるところでございます。

 そうしますと、カルシウムというと、やはり、先ほど文部科学省の方の御答弁にもありましたように、非常に牛乳というのが摂取をしやすいものでございますので、そういう牛乳も含めたカルシウム、カルシウムに限りませんけれども、牛乳の摂取も含めましたバランスのとれた栄養量の摂取ということに努めておりますが、今後とも引き続きそのような形で対応していきたいと考えております。

松木委員 保育園に行っている人も結構いるので、どのくらい需要が見込めるかわからないですかね。わからないね、多分。一応答えてみてください。

白石政府参考人 大変申しわけございません。私ども、エネルギーの摂取量というふうな観点でしか物事を見ておりませんで、消費量ということでは把握しておりません。申しわけございません。

松木委員 ぜひ、牛乳をお子さんにより多く飲んでいただくように努力をしていただきたいというふうに思っております。

 続いて、私のない頭で考えたんですけれども、では、外務省に次はお聞きしたい。

 八億人以上の人が飢餓で苦しんでおるわけですね。そして、この多くが子供たちであるという現状が実はありますね。そうであるならば、牛乳を捨てるなんということじゃなくて、これは、国際協力とか人道援助の立場から乳製品の利用も私はあり得るというふうに思っているんですけれども、そこら辺の御所見はいかがでしょうか。

兒玉政府参考人 お答えいたします。

 我が国は、先生御案内のことかと存じますが、政府開発援助、ODAの一部として、これまでも食料不足、飢餓に対応するというようなことが主たる目的になりますけれども、食料不足に直面している途上国が食料を購入するための資金を供与する食糧援助を実施してきております。

 この食糧援助を実施するためには、何よりも途上国のニーズ、先方のニーズというのがあって、それに基づいて要請がなされることが大前提になっております。したがいまして、今日まで、御指摘のように国内における余剰食料を援助物資として供与するということは行ってきておりません。

 また、この食糧援助につきましては、日本が加盟する国際的な枠組みとして食糧援助規約という条約がございます。それによって供与の対象となり得る食料の種類が指定されております。その中には、小麦やメーズ、米といった穀物が入っているわけですけれども、日本政府としては、そうした途上国からの要請を受けて、今申しましたような小麦やメーズ、米といった穀物を中心に援助を実施してきているところでございまして、この規約に規定されていない牛乳を食糧援助に活用するということは、この規約との関係からも困難であるというふうに考えております。

 それでは、もう一つ、自然災害等の例えば緊急事態における緊急人道支援というのがあるではないかというお考えもあろうかと思うんですけれども、この緊急人道支援につきましては、日本政府としては、途上国のニーズを踏まえるのは当然でございますが、もう一つ、実は、備蓄可能な体制を講じるということが大前提でございます。つまり、備蓄をした上で事態が起こったときに速やかに供与する、そういう観点から、対象物資はテント、毛布といった物資を中心に供与しておりまして、食料とか飲料水といった供与は行っていないという状況にございます。

 それが、今までの状況というか考え方でございますので、御理解を賜れればと思います。

松木委員 なるほど。しかし、先ほどから話を聞いてみると、随分と子供には、とにかく発育のためにはいいんだ、いいんだという話があるわけでしょう。それなのに、これが抜けている。規約でそうなっていない、こう言うんだけれども、それは規約が間違っているんじゃないんですかね。ぜひ変えればいい、もしできれば。

 そして、途上国の方にも、こういういいものがあるんだから、子供たちのためにはこれはいいんだから、ぜひお使いになったらどうだねということもこっちの方から提起もできないのかなという気がしておりますけれども、そこら辺はどうなんでしょうか。

兒玉政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば平成十二年、十三年、十四年といった最近の飢餓等に対する、本当に食料事情が逼迫をしている、そういう中で、当然そこには女性、子供といったいわゆる弱者が含まれているわけでございますけれども、そこに対する支援としては、やはり、先方政府としっかり協議をしまして、今一番必要なものは何かということを議論いたします。しっかり、一番必要なところ、弱者にちゃんと手が届く支援は何かということを当然やる必要がございまして、それをやってきているわけでございます。

 その中で、例えばラオスについてですと、二〇〇〇年、二〇〇一年とやはり米、米、米といったものを先方がぜひ欲しいというようなことでやっておりますし、あるいはモルディブといった島の場合には小麦粉といったものを供与している、カンボジアについても米というようなことでやってきております。もちろん、くどいようでございますけれども、ニーズというものが前提でございますので、そうした乳製品といったものについて、先方がぜひということになるのかどうかということに、結局は根本に戻るんではないかな、そういうふうに思っております。

松木委員 当然そうなんだろうけれども、先方も、こんないいものがあるというのがわからないのかもしれないので、ぜひ皆さんの方から積極的にそういうお話もしたらいいと思う。そして、変なお金を使うんだったら、そういう困っているところに日の丸を立てて、一週間に何回か牛乳を配るようなところをつくったら、本当に日本が、ああ、この地域のためにやってくれているなというのが本当にわかりやすいと思いますよ。例えば、脱粉でもいいですけれども、牛乳なんかもLL牛乳なんて一カ月かそのくらいはもつものもありますからね、そんなことも考えていただきたいなというふうに思っております。

 それでは、これは全体で、農林水産省にお聞きをします。

 今まで文科省、厚生労働省、それと外務省なんかにも聞いたんですけれども、それ以外に、例えば防衛庁に対して、自衛隊の方にそういうことを協力いただく。自衛隊の方は非常にハードワークでしょう。そうしたら、牛乳なんかは体にいいわけですから、素人考えではいいんじゃないかなという気もしております。あと、法務省の方なんかのことを考えてみると、刑務所ではこういうのは使えないのかな。そうすると、切れやすい人間は減るのかもしれない。そういうこともひょっとしたらあるのかもしれない。

 いろいろと期待できる需要先の獲得のために、かなりさらなる努力というんですか、そういうもの、そして各省庁間の協力なんかも私は必要だと思うんですけれども、ここら辺はどう思いますか。

金子大臣政務官 今の松木委員と厚生労働省、文部科学省それから外務省とのやりとりをありがたく拝聴しておりました。まさに委員の言われるとおり、いろいろな方面に働きかけ、そして連携をすることが需要の拡大につながっているということで、大変重要なことだと思っております。

 特に、先ほどからお話がありましたように、学校給食というのは需要拡大という意味では非常に大きな部分だと思っておりまして、これまでも、学校給食への牛乳の供給に当たりましては、未実施校、まだ実施していないところの解消とか、あとは、大型容器で、これまで二百ミリリットルを、例えば二百五十ミリリットルとか三百ミリリットルとかにしていく、そういう大型容器での供給の推進に取り組んできているところでございます。

 農林水産省といたしましては、関係府省の考えをお聞きしながら、今後とも連携協力して需要先の拡大に努めてまいりたいと思っております。いずれにしましても、先ほども申し上げましたが、牛乳・乳製品の消費拡大には、生クリームとか、またチーズとか発酵乳とか、需要が拡大している分野に重点を置くことが必要だと考えております。

 なお、先ほど、外務省からODAについては大変いろいろな問題があるというお話がありましたが、そこは攻めの農政ということで、牛乳・乳製品の輸出にこれから力を入れてまいりたいと思っております。

松木委員 さすがに金子政務官、一生懸命頑張っているのですね。

 それでは、現状では、香港、台湾向けの牛乳の輸出実態があるというふうに聞いています。これはLL牛乳なんですかね。邦人のためにという話も聞いていますけれども、それ以外では、中国やロシアへの輸出のための調査あるいは検討を進められている、そういう話もちょっと聞いておりますけれども、その実態というか、どのくらいどうなっているのかというのを、わかる方がいましたら、ぜひお答えいただきたいと思います。

町田政府参考人 輸出でございますが、今お話しいただきましたように、台湾、香港向けに今輸出がされております。これから、今政務官からお話しされましたように、輸出に積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。

 牛乳につきましては、内外価格差が大きいという問題があるわけでございますが、例えば、中国あたりでは、牛乳・乳製品の消費が伸びております。現地の富裕層の方もあるということでございまして、こういった方を対象にして輸出に取り組めないかということでございます。ことしは、十七年度でございますが、中国における検疫の状況はどうなっているかとか、これからの足がかりになるような市場調査、そういったものに取り組んできたところでございます。

松木委員 いろいろな取り組みをしていただきたいなというふうに思います。

 北海道では、一万トンの牛乳が捨てられるんじゃないかとか、そんな話もありますし、そして、やはり生産する方々、一生懸命努力をして、一頭から出てくるものもどんどんどんどんふやしているという現状もありますよね。それがもう、つくるのはいいけれども結局は捨てられる、あるいは役に立たないななんと言われるのでは、本当にやっている方々がやる気もなくしてしまうし、そして何より次の後継者の問題もやはり問題になってくるわけですよね。

 今、もったいないという言葉、これはだれですかね、言ったのは。小泉総理ですか。だれでしょう。何か、もったいないというのが今ちょっとはやり言葉になっていますけれども、まさにこれは、本当にこういう言葉というのは見直されてきているわけでして、日本の昔からのある意味の文化でもあるというふうに思っています。その日本人の文化の心意気をやはり大切にして、簡単にやはり限度数量を下げるなどの対策じゃなくて、できる限りいろいろな手段を用いて、もったいないことはしないということ、これが非常に重要だというふうに私考えておりますけれども、ここら辺のお考えを、副大臣、ぜひお願いします。

宮腰副大臣 委員御指摘のとおり、せっかくつくった生乳が捨てられるということは極めてもったいない話でありまして、加工原料乳として、今回、二百五万トンの限度数量を二百三万トンにということにしたわけでありますけれども、先ほど政務官の方からも答弁がありましたとおり、生クリームなどの新たな需要を拡大していくということで、昨年五万トン上乗せをし、ことしはそれにさらに五万トンを上乗せして十万トンということで審議会の方には諮問をしているわけであります。

 このことによりまして、実態的には、昨年の加工原料乳の限度数量、これを上回る生産が見込めるのではないか、ひいては農家の方々の手取りも幾分かふえるのではないかというふうに思っておりまして、いろいろな意味で需要拡大に努めまして、もったいない、捨てるようなことがないように頑張っていきたいというふうに考えております。

松木委員 宮腰副大臣も頑張っているみたいでございます。より一層、やはり食というのは大切ですから、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思っております。

 時間もあと五分ぐらいしかなくなったのですけれども、BSEの問題を少し聞かせていただきたいというふうに思っております。

 この間、成田の検疫所ですか、いわゆる脊柱が混入していたというので我々も見に行きました。そして、女性の方が見つけたらしいのですね。それで、我がBSE担当、民主党でやっている山岡さんが、君、よく見つけたねと言ったら、その女性の担当官が、いや、これは見ればわかりますよと言っていた、そのくらい実ははっきりしたものだったのですね。

 これは何でこんなことになるのか。わかりづらく入っていたというのならまだしも、いきなりもうわかるという感じで、私もさわってきました。そして、さわったら手を消毒してくれとか、なかなかうるさいんですよ。パックされているから大丈夫じゃないかなんと思ったら、いやいや、これは輸入が禁止になったものですから、ちゃんと手を洗ってどうのこうのと。やはり、日本の検疫システムというのはすごい。かなりそこに行くまでもいろいろなところを通過するんですよ。何か白い帽子をかぶったり、いろいろなことをやってやっと行けるんですけれども。そのくらいやはり日本の検疫システムというのはしっかりやっているんだなということも、ある意味で再認識できたのですけれども。

 それに対して、アメリカというのは全くどうなっているのか。しまいには、もう何か全頭検査なんて要求する方が悪いみたいな話になって、そもそも買うのはこっちなんですから、おまえらそんなこと言わないで買えなんと言われる、そういう話というのはやはり私はおかしいというふうに思っております。

 ぜひやはり、アメリカとけんかする必要はないですよ、けんかする必要はないけれども、しかし言うべきことはやはり言っていかなきゃいけない、私はそう思っていますけれども、そこら辺はどうでしょうか。

宮腰副大臣 先ほど委員の方から日本の水際検査について評価をしていただきまして、本当にありがとうございます。

 おっしゃるとおり、けんかする必要はないけれども言うべきことは言っていく、これはもう当然のことでありまして、日本国民に対する食の安全、安心の確保、これが最大の我々の責任であるというふうに考えております。

 今回の脊柱が発見された事案につきまして、二月十七日付でアメリカの政府から報告書をいただいておりますが、この六日に私どもの方から不明な点等の問い合わせを行っております。これは、今回の事案について疑問点を提出するということでもありますし、また、システムとしてしっかり機能しているのかどうかということなども含めて問い合わせを行っているところであります。

 今後、これに対する米国側の回答を踏まえまして的確に対応していきたいというふうに考えております。

松木委員 ぜひ、厳しい対応をしていただきたい。これはもう与党、野党ないですよ。国民の命の件ですからね。ぜひしっかりとやっていただきたい。

 そして、この間、民主党でクリークストーン・ファームズという会社を呼んでお話を聞いたのですよ。全頭検査、我々できますよ、こういう話だったのですね。ところが、どういうわけか、アメリカというのは全頭検査をしたらだめだというんですね。これはまたおかしな話で、できるのならやらせればいいと思うのですけれども。クリークストーン・ファームズ、言うなれば少数派なんでしょう。今の我々民主党みたいなものでしょうか。我々も、もうちょっと頑張らなければならないですけれども。

 そういうことで、私は、やはりこういうことができるというところがあるのであれば、そこからとればいいというふうに思うのですね。ところが、何か全頭検査をすると違反になるというんですね。それはまたおかしい。要するに、アメリカは何か隠しているんじゃないかという気も私はするんですけれども、そこら辺のことも考えて、ぜひ、再輸入ということになるのであれば、本当に厳しくやっていただかなきゃいけない。

 私は、個人的には、これは民主党もそうですけれども、アメリカの牛肉は食べない、そのくらいのつもりでいる。そして、オーストラリアだってどこだって肉はおいしいですよ、そちらの肉だっていいんですから、わざわざ危険があるそういうところの肉は食べる必要はない、そして入れる必要もないのではないか。

 もちろん、政治的なことはいろいろなことがあります。それはよくわかります。皆さん政権を担当なさっているんだから、そういう大変さもよくわかります。よくわかるけれども、日本の、人の命の関係です。それが何年後におかしくなるかとかいろいろなことも含めて、わからないことが多過ぎるんですよ。

 大体、BSEというのは、異常プリオンだって、物を食べて、それで何か脊柱だとか脳みそだとかにたまるということでしょう。それだって、そこに行くには一体どうなっているのかということも完全にはわかっていないわけでしょう。そうしたら、実は体の中どこでも動き回っている可能性だってあるわけだし、そういうことも考えると非常に怖い。ぜひ、これは慎重にも慎重を重ねて対応していただきたいというふうに思っております。

 時間が来ましたので、そういうことを申し添えて、質問を終了させていただきます。ありがとうございました。

稲葉委員長 次に、仲野博子君。

仲野委員 おはようございます。民主党の仲野博子でございます。

 ただいま、同僚の松木委員から、たっぷりと北海道の農業であります酪農問題を取り上げていただきました。私の方からも、重複する部分があるかと思いますけれども、私の選挙区も酪農という基幹産業に支えられている地域でございます。本日は、食料・農業・農村政策審議会畜産部会が行われておりまして、大変厳しい回答になるのではないのかなと思っているわけであります。しかし、私は、政府に対して、政府としての考え方、この日本の農業の将来がどうあるべきか、北海道の農業がどうあるべきかということをしっかりとお答えをいただきたい、そのように思うわけでございます。

 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。

 平成十七年度の生乳需給が、飲用牛乳の消費低迷により緩和しておりまして、脱脂粉乳やバターの在庫が過剰となるなど、非常に厳しい状況に置かれているわけでございます。こうした状況を受けて、生産者団体は、自主的に脱脂粉乳過剰在庫処理対策を実施するとともに、生産抑制対策に取り組んでおります。

 また、十八年度は、減産型の計画生産とすることが決定をされ、北海道では、経営方向を尊重した目標数量選択制度を実施予定と聞いております。この選択制度では、酪農家みずからが、生乳生産を一割減産するタイプB、いわゆる経営縮小意向、また、ほぼ現状維持のタイプA、経営維持拡大意向、そのどちらかを選択できるようになっており、この対策が継続すると聞いているわけであります。

 しかしながら、現在、タイプBの減産型を希望する農家が少なく、再募集を行うなど調整が非常に難航しているとも聞いております。

 さらに、北海道JA中央会では、生産過剰で乳業会社の処理能力が追いつかないため、この三月の生乳生産を従来見込みより一万トン減らすことを発表いたしました。私の地元、釧路、根室の酪農家にも生産抑制数量が割り当てられましたが、目標数量を超過しないように減産に一生懸命取り組んでこられた地元の酪農家からは、目標を超過したある地区のせいで減産が割り当てられることへの不満の声が今沸き上がっているわけであります。

 私は、おととし、去年と、農林水産委員会におきまして、この酪農・乳業の問題を取り上げてまいりましたが、地元の酪農家の皆さんのお話を聞くにつけ、情勢は大変、年々と厳しさを増している、そのように思っているわけでございます。

 まず、こうした酪農・乳業の現状について政府はどのように認識をしているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

町田政府参考人 最近の生乳状況についてどのように認識しているかということでございますが、生産につきましては安定的に推移している一方で、飲用需要の伸び悩み、こういったことから緩和基調になっているというふうに承知いたしております。

 具体的な生乳の状況でございますが、需給の状況を申し上げますと、まず、脱脂粉乳でございますが、十五年度末に九万三千トンということで、消費量の六カ月半分と史上最高水準になったということで、十六年度以降、生産者団体また乳業メーカー共同でこの過剰在庫の処理対策に取り組んでいただいております。

 この結果、今年度末は、十五年度末に比べまして二年間で一万トン在庫が減少するということが見込まれております。ただ、依然として、適正在庫の二・四倍という高い水準になっております。

 また、バターでございますが、この三月末には三万五千トンということで、適正在庫のやはりこれも一・九倍まで積み上がる見込みだということでございます。

 こうしたことを踏まえまして、生産者団体は、十八年度はバターの需要に見合った生産に抑制するということで、委員御指摘いただきました、減産型の計画生産に十二年ぶりに取り組むということで承知しております。需給に見合った生産ということで、生産者団体が今取り組んで、中期的な経営安定を目指しているというふうに承知いたしております。

仲野委員 今回、生産調整が十三年ぶりに行われたということでありまして、十三年前の状況はどのような状況だったんでしょうか、この生産調整をしたときに。その当時の酪農家の皆さんの切実な声を聞いていると思うんですけれども、その当時の状況を教えていただけますか。

町田政府参考人 十年前、ちょうど平成五年、六年、このときに大変やはり生乳需給が緩和をいたしたということでございます。そういうことによりまして、減産型の計画生産に取り組んだということでございます。

 そのときも御苦労はあったと思うんですが、その後、大変、猛暑が来たりいたしまして、その需給ギャップという問題は乗り切ってこられた、それで今日まで来たところですが、現在、先ほど申し上げたような需給状況の緩和の状況だということでございます。

仲野委員 部長、どうして酪農家の皆さんはタイプBを選択できないのでしょうか。その心情をあなた自身がどのようにとらまえているのか、お尋ねをしたいと思います。

町田政府参考人 今御指摘いただきましたように、前年に比べまして一割生産を削減するいわゆるBタイプを選択した場合は、一キロ当たり四円という共補償、そういった制度が設けられているわけでございます。私どもも、酪農家の団体の皆さんのお話を聞きますと、やはりそういった共補償を受けるということについてためらうといいましょうか、そういった方もいるというふうに聞いているところでございます。所得の面以外に、そういった心情の面といったものがあるのではないかというふうに拝察いたしております。

仲野委員 これ以上部長の方にお尋ねしても、これは政策判断ですので。

 大臣、十一時に戻られるという予定だったものですから、では、大臣にお尋ねをしたいと思います。

 大臣、今私もう一度大臣の方に質問をさせていただきますので、お答えをいただきたい、そのように思います。

 大臣、同じ北海道、そして私の隣の十勝管内から選出されている議員でもありまして、本日こうして私が委員会で質問に立たせていただくということで、私の釧路、根室の地域は、中川大臣のお父様の一郎先生からの非常に根強いファンがおられまして、仲野さん、余り大臣にがりがりがりがりといつもの口調で言わないように、そのように言われてまいりましたので、きょうは、大臣も北海道そして日本の農業事情をよく熟知されていると思いますので、大臣からは前向きな答弁があることを期待して、私は本日、大臣の方に質問させていただきたいと思います。

 今、畜産部長と、今回の生産調整ということで質疑をさせていただきました。これはある意味では政策判断ということもありまして、ちょっと私、大臣のお帰りを待っておりました。早く帰ってまいりましたので、大臣に改めてお尋ねしてまいりたいと思います。

 おととし、去年と、この委員会において酪農・乳業の問題について、これまでの亀井大臣、島村大臣と議論させていただいておりますが、毎年同じような問題が取り上げられ議論されてきているのに、状況は改善されるどころか、ますます厳しさが増しているわけでございます。

 本当に北海道の酪農家の皆さん方が、多額の借入金をして大規模化を進めてきておりましたが、増産から減産への急な方針転換に大きな不安を覚えております。これが、十三年ぶりの生産抑制への戸惑いに加え、需給回復の展望が見えないことが要因であると思っております。借入金の返済には増産が必要であり、また、牛を飼っていれば乳を搾りたいというのが酪農家の皆さんの心情でもあると思います。

 大臣も本当に北海道選出の議員として、この問題について十分承知されていると思います。先般、この農林水産委員会において、同僚の佐々木議員からの質問に対して、大臣は、中期的展望を示したいとおっしゃっておられました。

 そこで、大臣として、今、こうした日本の酪農そして北海道の酪農・乳業の現状について、どのように分析をされて、どのように感じておられるのか、お尋ねしたいと思います。

中川国務大臣 中座いたしましたことをおわび申し上げます。

 今、仲野委員からも御指摘ありましたように、御地元の釧路、根室、私も中選挙区時代、地元でございましたし、今御指摘のように、私の父親の代から大変縁の深い地域でございますから、とても別の選挙区という意識ではございません。

 そういう中で、私も二十数年間議員をやらせていただいて、当時の最も私にとりまして心に重たい政治的な課題というのは、道東の農業をどうやって振興していくかということでございました。今から十年以上前は、特に根室管内、別海とか中標津とかいった地域は、農業といえば酪農、畜産しかできない、しかも将来展望がない、借金も、ばらつきはありますけれども、一億を超えて、そして生産もできない、おれたちのあすはどうなるんだという大変悲痛な声を当時の地元の皆さん方からよく聞いたものであります。本当に、この畜産価格決定の時期というのは、私にとりましても、地元に行くのがつらい、あるいは地元の皆さんの声を聞くのがつらいという時期もございました。

 そういう時期から、ことしの畜産物価格は、本日審議会で御審議をいただくわけでございますけれども、諮問案は確かに加工用限度数量が二万トンほど減っているわけでございます。そういう中で、前農水委員会でも私は、できるだけ短い範囲での中期的な需給見通しといいましょうか、そういうものをいい方向にするように努力をしていきたい、これは何も当たるも八卦という次元の話ではございませんで、ある程度私なりの考え方、根拠に基づいて発言をさせていただいたわけでございます。

 当時に比べまして、随分、私は状況は改善しているんだろうと率直に思います。負債も減ってまいりました。それから、前にも答弁させていただきましたが、チーズ等の需要の伸びも期待ができるという方向に行くべきだし、またそういうふうになっていくものというふうに私は期待をしております。

 昭和四十一年に制定されました不足払いの暫定措置法、これはあくまでも暫定措置法でございますけれども、四十年続いている。北海道を中心にして酪農という一つの大きな農政の柱を立てていく上で、本当は飲用乳の伸びというものと加工乳とバランスをとりながらやっていくわけでありますけれども、とりわけ加工乳、あるいは、特に北海道の我々の道東のような地域はいわゆる条件不利地域でございますから、そこに対しての政府としての施策が必要であるということで昭和四十一年からこの制度が導入され、いまだに暫定が四十年も続いているという状況であるわけであります。

 要は、搾ったものが消費者にどんどん消費される、何といっても牛乳ですから、牛乳の重要性を否定する人は私はいないというふうに思っております。ただ、需要が思ったように伸びない、例えば、新しい飲料が出てくると消費が減るとか、あるいは冷夏が続くと消費が減るとか、そういった本来の牛乳の重要性、貴重な食料資源としての位置づけと違う要素で需給が変動するというのは、生産者の皆さんあるいは我々、余り地元同士の話みたいな話になると恐縮でございますけれども、関係、仲野議員を初め、大変御苦労をされているわけでありますので、飲用乳、あるいはまたそういった伸びが期待できる、また伸びをふやしていかなければならない、農政上、食料政策上、そういうふうに必要なものだというふうに認めているものについては、何とか需要を拡大することによって、御指摘のように、思い切って搾って、おいしい釧路や根室の牛乳を日本じゅうの消費者に届けて、子供がすくすくと育つ、あるいはまたお年寄りの骨粗鬆症を防ぐといった多面的な機能が、牛乳の果たす役割としてこれからますます私は重要になっていくと思います。

 ことしは確かに限度数量は若干減りましたけれども、しかし、将来に向かっての生産意欲を刺激するような施策もとっておりますので、どうぞ総合的に判断をしていただき、来年、再来年、また数年後に向かっては、十数年前には踊り場という議論も実はあったわけでございますけれども、ことしも、ことしのところは御期待に百点沿える結果にはなっていないのかもしれませんけれども、ぜひ、来年、再来年以降に向けて、きちっとしたさらなる需要の拡大、また農業における酪農、畜産の位置づけというものをより確固たるものにしたいという決意で取り組んでおりますので、どうぞ、御地元の皆さんにもその趣旨を御理解いただきますように、中川がこう言っていたというふうにお伝えいただきまして、来年に向けて頑張っていただけるように、ひとつ仲野委員の御理解、御指導のほどもよろしくお願いいたしたいというふうに思います。

仲野委員 さすが北海道の大臣ということで、本当にこの北海道の農業の、とりわけ酪農事情をよく御理解いただいているな、今そのように思いました。

 大臣、きょう、こうして農水委員会、私が質問させていただくということで、きのう、時間の配分が決まったときに、それぞれ自治体あるいは農協さん、インターネットで見られるということで、きょう、多分、大臣がお答えになっていることを皆さんが関心を、もう目を皿にして見られていると思いますので。

 今、本当に前向きなお答えをいただいたんですが、思っていてもなかなかできていかないというか、思うようになっていかないというのが今の農業事情ではないのかな、そのように思っております。

 きょう、新聞で早速報道されたのは加工限度数量ですね。昨年は五万トン、そしてまた、ことしは何とか、もしかしたら二百万トンを割るのではないのかなと懸念されていたんですが、二万トンが削減をされ、二百三万トンということでの数量でありますけれども、加工原料乳生産者補給金制度というのがありまして、加工原料乳で全体の需給を調整し、生乳の安定供給と経営安定を確保する重要な制度であります。この三月から北海道は、減産ということで、生産者が血の出る思いで必死の取り組みを行っているところでありまして、この限度数量について、毎年毎年減らされていくのでは、来年もまた減らされていくのではないのかなと、本当に今農家の方たちが心配をしているわけであります。

 昨年策定されました酪肉近代化基本方針では、生乳生産を平成十五年度の八百四十万トンから平成二十七年度には九百二十八万トンへと増大させ、その自給率を平成十五年度の六九%から平成二十七年度には七五%に引き上げるという方針が掲げられたやさきでありました。このため、限度数量は、酪農経営の安定を図るとともに、長期的な生産の維持拡大を図る観点から検討し、生産者団体等が行う乳製品の在庫対策、輸入調製品との置きかえ対策、消費拡大対策などの取り組みや需給安定を踏まえ、総合的な観点から、現行の水準を基本として適切に決定することが必要であると考えます。

 本日の二百三万トンという報道でありますけれども、政府として配慮していただいたのかなと思いますけれども、来年以降どのようにまたなるのかなということも生産者の方たちが非常に心配をいたしているわけでありますので、政府の基本的な考え方をきょうの委員会でまたお尋ねをしたい、そのように思います。

町田政府参考人 十八年度の限度数量の設定の考え方でございます。

 先ほど来若干御説明させていただきましたが、バターにつきましても在庫数がかなり上がってきたということで、十八年度につきましては、これ以上バターの在庫が積み上がらないように、そういった積み上げを回避するということ、また、生産者団体が乳業メーカーと協力をいたしまして脱脂粉乳の過剰在庫処理対策をやっている、十八年度につきましても十六、十七と同じように五千トンの削減を図るということでございます。

 こうした生乳の需給事情また生産者団体の取り組み、こういったことを踏まえまして、先ほど大臣からお話ししました二百三万トン、前年比二万トン減ということで、ただいま食料・農業・農村政策審議会で御審議をいただいているということでございます。

仲野委員 本当に大変な状況になってきていると思います。やはり、先ほども松木議員からもいろいろと指摘されていたわけでありますが、いかに国産牛乳の需要拡大を、牛乳を飲んでいただく、そのことが大事であると思います。

 生産者団体による脱脂粉乳の過剰在庫処理対策、あるいはまた生産抑制対策などとあわせて、この牛乳・乳製品の消費拡大対策を強化することが非常に重要であるということも大臣も認識をしているわけであります。

 特に飲用牛乳は国産生乳の主要な仕向け先であり、その消費拡大に取り組むことが基本であるということで、去年もこの点について質問させていただいたところであります。そのときの政府の答弁では、猛暑にもかかわらず飲用牛乳の消費が伸びなかった原因が、お茶だとかさまざまな飲料があるわけでありますが、ほかの飲料との競合の中で、カルシウムに富み、健康にもよいという牛乳のよさが必ずしも十分に理解されていないことにあったのではないのかなとの分析をされていたと思います。そして、中学校卒業後の若年層を主たる対象として、牛乳の健康面での特性に着目して、その効用の普及啓発に重点を置いて消費拡大を展開していくとの答弁がありました。

 そこでまず、現在行われている牛乳の消費拡大対策の内容について改めて確認をさせていただくとともに、それがどのような効果を上げているのかという点についてお尋ねしたいと思います。

中川国務大臣 私も二十数年間、この価格決定あるいは畜産、酪農対策に取り組んでまいりまして、もう二十数年間、極端に言うと、消費拡大をどうしていったらいいのかということが一番の、ソフト面といいましょうか、根本面での問題だったというふうに今振り返っております。

 乳製品の一人頭の消費量が欧米に比べてまだ十分の一であるとか、いろいろな要素、今御指摘のような要素もあります。私も、銀座の駅頭に牛を連れていって、そして町行く人にワンパックの牛乳とバターを配ったこともあります。また、栄養の専門家の方に、牛乳消費拡大、おいしい牛乳の料理の仕方のテレビ番組をお願いしたこともありますし、例えば、東京から御地元の釧路あるいは私の帯広に行く飛行機の中で牛乳を一時期出したこともありました。ただ、残念ながら、朝一番の飛行機で牛乳をぐっと飲むと急におなかにごろごろきちゃうというクレームが来ちゃって、短期間でやめてしまったというような、そういう経験もありました。

 さっきも言ったように、限度数量、これはあくまでも生乳と加工乳との補完といいましょうか、どちらも大事だという観点でありますけれども、やはり牛乳・乳製品を消費者の皆さん、国民の皆さんが、本当に健康にいいんだということを、とりわけ若い人たち、先ほど申し上げましたように、またお年寄りの方々、あるいは体が弱っている方々に、いかに大事かということ、これを、はっきり言って、政治家や事務方が幾ら考えても、私は限界があるんだろうと。私自身、もう二十年間取り組んでまいりました。

 具体的に、私の友人で、日本でナンバーワンとか世界的なスポーツ選手、小さいころ、体が小さかったとか体力が弱かった、親や学校の先生に牛乳をある程度無理やり飲まされて、めきめき筋力や骨が太くなってきたという体験談、もうだれもが知っているスポーツ選手、牛乳でもって今日の自分があるんだと言っているスポーツ選手を私は何人も知っております。この場で名前を挙げるのは差し控えますけれども、後で個人的にお教えしますけれども。

 したがって、やはりスポーツをする上で、また、カルシウムあるいは牛乳の成分というのは頭の働きにも大変いい貢献をするわけでありますから、学校給食だけではなくて家庭内においても、あるいはいろいろな機会で、消費拡大というのは、飲むことによってどういうメリットがあるんだ、サッカーも強くなるとかラグビーも強くなるとか、お相撲も強くなるとかフィギュアスケートも強くなるとか、そういうメリットを、多分、そういう経験をした人たちにどんどんどんどん語っていただく場をつくるということも、ある意味では一つ必要なのかなと最近思っているところでございます。

 そういう意味で、ただ飲め飲めと幾ら私が言ったところで、しょせん知れたものというか、ひょっとしたらマイナス効果かもしれませんけれども、そういう、牛乳でもって今日の自分があるんだ、またここまで来たんだというようなことを含めて、体験談として子供たちに実感できるようなことも含めて、牛乳の消費拡大のキャンペーンを総合的にやっていく。

 それからもう一つは、輸出促進ですね。私も、東南アジアあるいは中国、台湾によく行く機会がありますけれども、そこにある牛乳は赤道を越えたLL牛乳が大半であります。

 釧路からフェリーで一日か一日半で着くような、釧路、根室あるいは十勝のおいしい牛乳をフレッシュな形で飲んでいただくようにする。日本のことを詳しい、あるいは北海道のことを詳しい東アジアの方々は、日本の牛乳はおいしいんだ、あるいは北海道の牛乳は、ほかの地域も含めまして、日本の牛乳はおいしいんだということを知っております、知日家の人たちは。だから、わざわざ日本に来て飲むだけじゃなくて、日本の牛乳が自分の近くで飲めるんだ、乳製品も含めて飲めるんだということをもっともっとキャンペーンをする。これは、ある意味では、政府、農業団体、あるいは出先のいろいろな機関が協力してやっていくことによって、牛乳・乳製品の海外における輸出拡大というものも大いにこれから、さらに重点的に必要ではないかというふうに思います。

 今、ふだん考えていることを二点申し上げましたけれども、また、御地元の立場、また女性の立場で、いろいろな御意見、アイデアを教えていただいて消費拡大に向けていくことが、国民にとってもプラスになるし、もとより生産者にとっても生産地域にとってもプラスになると思いますので、自由なアイデアは、私は、どんどん、これはもういろいろなところから教えていただいて、謙虚にそのアイデアに取り組んでいきたいというふうに考えております。

仲野委員 今、大臣の方から非常に詳しく御答弁いただきました。本当に、いかにこの牛乳の栄養価が高い、飲んでいただくということをどうPRしていくか、こういうキャンペーンをしっかり張っていくことが大事であると。

 その中で、特にスポーツ選手の例を出されて今お話しいただきました。大臣に次の質問で尋ねてみようかと思っていたときに、大臣の方から今お答えいただいたんですが、私も、スポーツ選手の皆さんが筋力だとか骨を強くしていくということで、この牛乳の栄養価の高さを本当に大事であるなと思っております。

 そういった意味では、全国に、本当に全国民にそのことを周知していただくためには、私は、これは一つ提言をさせていただきたいんですが、テレビコマーシャル等で、例えば、今、トリノのオリンピックが終わって、唯一金メダリストの荒川静香選手を起用して牛乳のコマーシャル等を考えていただけないのかなと。

 というのは、皆さんはもう既に御案内かと思うんですが、荒川静香選手が毎日毎日あの過酷な練習をしてきたスケートリンク、荒川選手以外の全国のスケートリンクが、大変今経営困難であるとも言われている中で、国民に多く牛乳を飲んでいただいてその一部をリンクに還元していくだとか、そういったことも考えられないのかなと。

 そういった意味では、私は、これは農水省だけでなくて、しっかりと、文部科学省とも、この牛乳の消費拡大ということで、縦割りではなくて横断的に知恵を出し合って、どういった消費拡大をしていくのかということでぜひやっていただきたいな、そのように思っております。

 もう一つは、確かに若い方たち、子供からお年の方たちまで牛乳を飲んでいただく。そういった意味では、先ほど松木議員からもお話があったんですが、新潟県の新潟市のある自治体では、老人世帯牛乳支給事業という事業がありまして、高齢者世帯に毎日一本牛乳業者が宅配をするということで、これはある意味では健康づくり、また福祉の観点ということで、安否を気遣うということでこの事業が行われているわけであります。

 こういったことも政府として、自治体がそういう事業を行うといった場合にその助成措置等なども考えられないのかなということで、先ほどのコマーシャルのお話と、今の高齢者への宅配事業についての質問にお答えをいただきたいなと思います。

中川国務大臣 荒川選手、多分引っ張りだこになるんだろうと思いますけれども、荒川選手でもいいでしょう。多分、一番今、影響力のあるスポーツ選手だと思います。

 私が申し上げたかったのは、そういう有名な方も一つの方法ですけれども、自分が牛乳を飲んでめきめきと骨が太くなった、あるいはまた持久力があると。今、牛乳を飲まないことによって、子供たちのカルシウム不足、骨不足が問題になっているわけでありますから、ですから牛乳をおいしく飲む。

 御地元のある町の瓶詰の牛乳を、一本三百五十円、時々送っていただきます。子供がおいしい、おいしいと言って飲んでおります。御地元のある町の牛乳でありますけれども。そういう牛乳は、やはり本物は、子供の味覚からいっておいしいと思うんですね。私は脱脂粉乳で育った世代であります。あれは鼻をつまんで飲んでおりました。とてもおいしいものじゃない。でも、本物の牛乳はおいしい。子供たちはそういうものには敏感に反応していくというふうに思いますので、そういうふうないろいろなアイデアでもってやっていきたいと思います。

 それから、二点目については、私もたしか数日前のテレビ、朝のニュースか何かで、牛乳の宅配をしながら御婦人がおじいちゃん、おばあちゃんのところへ行って、お話をしながら何か宅配をやるよというニュースを見たような記憶があります。そういう意味で、牛乳の宅配というものも昔はある意味では当たり前だったわけですね、私が育っていた東京なんかでは。宅配も少しずつ何か復活しているということで、宅配は、ただ牛乳を配るだけじゃなくて、そこにプラスアルファの付加価値も含めて、宅配行為によっていろいろな付加価値をつけていくということも含めて、今またいろいろな、今、二つのアイデアをいただきました。

 私は、消費拡大、牛乳については、何回も言いますけれども、これは、子供たちあるいは国民の健康にとっていいものだから、消費拡大をするのにある意味では手段を選ばないというふうに考えておりますので、今の御意見も貴重な御意見として受けとめさせていただきたいというふうに思います。

仲野委員 大臣からは、そういった意味で貴重な意見としていただくということで、私、前向きに考えていただけるなということで理解をしたいと思います。

 気軽に消費者が買い求めるのは、ペットボトルの商品をやはりどうしても手にしてしまうんですね。そういった意味で、牛乳のペットボトル使用について、食品衛生法に基づく省令の改正が必要であり、メーカーの方で必要なデータを収集して厚生労働省に要請を行わなければならないと聞いております。

 そこで、この牛乳のペットボトル利用について、どのような手続が必要なのか、現在まで何か具体的な動きがあるのかどうなのか、お聞かせをいただきたいと思います。

藤井政府参考人 今委員御指摘がありましたペットボトルの使用、牛乳の容器についての使用の手続についてでございますが、若干委員も触れられましたが、牛乳に用いられる容器包装につきましては、食品衛生法に基づく省令等において、使用できる材質、その規格基準というものが定められております。

 御指摘の新しい容器の追加に当たりましては、要請者が安全性に関するデータ等必要な資料を添付し、まず厚生労働省に提出をしていただくということが必要になります。厚生労働省の方では、食品安全委員会に食品健康影響評価を要請しまして、その結果を踏まえて規格基準の整備等を行うという手続が必要になってまいります。

 現在までの具体的な動きがあるのかという点に関してでございますけれども、具体的に申請をするというところまで行ったものはないということで承知をしております。

仲野委員 それでは、今後、要請者が厚生労働省の方に要請があって、それから今度食品安全委員会の方でそれでいいのかどうなのかということを審議していただけるということで理解してよろしいでしょうか。

藤井政府参考人 先ほど申し上げましたように、あくまでも要請者の方が必要なデータ等をそろえて申請をしていただくということが前提条件でありますが、その前提条件をクリアして申請をしていただきますと、先ほど申し上げましたような手続で進んでいくということになります。

仲野委員 そうしたら、近い将来、要請者から、多分、厚生労働省の方にお話があるのかな、そのように思っております。

 先ほど来から出ております、いかに乳製品の消費拡大ということで、チーズ対策についてお尋ねしてまいりたいと思っております。

 生乳需給を安定させるために、今後、需要拡大が期待できる発酵乳、液状乳製品、生クリームですね、あと、チーズへの供給拡大を進めていく必要があるのではないかなと思うわけであります。このため、平成十七年度には、発酵乳、液状乳製品、チーズの供給拡大を支援する生乳需要拡大奨励事業が措置されたところであります。

 特に、チーズについては、チーズ向け生乳に対する奨励金単価が大幅に見直され、私、昨年、このことについて質問させていただきました。また、十勝管内芽室町に、明治乳業が建設する生乳換算処理能力が二十万トンという国内最大規模のチーズ工場が平成十九年度末から本格的に稼働する予定となっております。

 国産ナチュラルチーズの平均価格は、高関税の脱脂粉乳やバターなどと比べて内外価格差が一・五倍と小さくなっており、輸入品と価格面で対抗できる余地があり、国内の一人当たりの年間チーズの消費量は二キロと、欧米の七分の一以下と少ないものの、過去十年間、毎年着実にふえているだけに、今後の需要拡大が見込まれているところであります。

 酪肉近代化基本方針においても、チーズなどの新しい需要への仕向けが中期的方針として明確に示されており、我が国の生乳生産の拡大と自給率の向上を図るためには、ナチュラルチーズの生産拡大が必要不可欠になっております。現在、我が国で消費されているチーズの九割は、残念なことに輸入チーズで占められております。今後、どれだけ国産チーズが市場を奪えるかが課題となっており、しっかりとした取り組みが必要ではないのかと考えているわけであります。

 今のところ、チーズ工場の能力には限界があり、平成十九年度末に新工場が稼働するまで、大幅な増加を期待できない状況にあります。それまでの二年間は生産抑制などの対策を行う辛抱の時期であると言われておりますが、減産を続けた後に再び増産が可能かどうかという不安を感じている生産者も多いと聞いております。

 一方では、生産者にとっては、このチーズ向け乳価が安いという点が問題となっており、チーズ工場が操業を始めることで需要は伸びるかもしれませんが、プール乳価の引き下げにつながるのではないのかと懸念する向きもあります。この点について、生乳需要拡大奨励事業を周知するとともに、正確な需給見通しを早期に生産者に伝え、用途別の実態を踏まえた供給を進める必要があると思います。

 当面はこの液状乳製品に重点を置いた需要拡大が課題となると思いますが、チーズ向け等も含めた支援策についてさらに充実強化する必要があると思いますが、どのように取り組んでいくのか、畜産部長、お尋ねいたします。

町田政府参考人 チーズにつきましては、お話しいただきましたように、国際価格と国内価格の差が比較的小さいということで、国際化が進展する中にありまして、今後とも需要の伸びを私どもも期待しているところでございます。

 チーズ向けの生乳価格、やはり輸入価格との価格水準の関係もございます。先ほどお話ありましたように、脱脂粉乳等に比べればやや低いというのが実態でございます。

 生産者団体がチーズへ一生懸命取り組むということは、多少価格は安くても量を確保してしっかりと搾っていきたい、そういった意向のあらわれだというふうに考えておりますが、私どもといたしましても、こうした需要の伸びが期待できるチーズ、また二年後、チーズは増産できるわけですが、十八年度におきましては、液状乳製品、生クリーム、こういったことが中心の拡大ということで、昨年、仕組みを設けまして、新年度に増産した場合は十二円という奨励金も設けたわけでございます。

 十八年度におきましても、こうした措置を実施、継続することによりまして、需要の伸びの期待できるそうした三分野への生乳仕向けの取り組みを進めていきたいというふうに考えております。

仲野委員 チーズは今九割輸入されているわけでありますが、生産されたものにどう付加価値をつけていくのか。日本で製造して、先ほど大臣からも、これからは輸出もしていきたい、そのように前向きに御答弁いただきました。

 そういった意味で、私は、食の安全、安心、おいしいものをこの日本でもつくっているんだということを、国内消費のみならず世界に向けても発信をしていくために、やはりここは、生産者にとっても遜色のないように、本当にやっていただきたい、取り組みをしていただきたい。

 そういうことで、大臣からこのことについて、酪農家についてはどうしても、農家にとっては、チーズ向けとなると、乳価が安いために結構難色を示す方たちが多いんです。そういった意味で、これからチーズにしっかりと取り組んでいくという決意があるのであるならば、大臣からも、そういった農家にとって遜色のない措置ができないのかどうなのかということでお尋ねしたいと思います。

中川国務大臣 御指摘のように、チーズの消費が少しずつふえておりますけれども、輸入が九割。これは、チーズの独特の制度があるわけでありまして、それとの関連もあるんだろうと思います。

 ただ、チーズというのは、欧米の人たちにとってはある意味では極めて身近であると同時に、また、いろいろなチーズがあって、本当に、一般的なものから高級チーズまで、いろいろなつくり方によっていろいろなものができてくるわけであります。

 そういう意味で、昔、自分の話ばかりして恐縮ですけれども、チーズといえばプロセスチーズで、かたくてナイフで切っていた。今は、もう手でつまんで、クリーミーなチーズからいろいろなチーズがあるわけでありますから、文字どおり、これもつくっておしまいではなくて、消費者に好まれるようなチーズをつくっていけば、特に若い世代の人たちはチーズに対する関心というものが非常に強い。

 海外旅行に行けば身近にいろいろなチーズにめぐり会うことができるというところからも、やはり生産サイドでもいろいろなチーズをつくることによって、消費者にいろいろなバラエティーの中から自分に好みのもの、あるいはTPOに合ったチーズを選んでいけるという、品ぞろえという観点からも、そういうものが進んでいけば、チーズも極めて国民にとっての大事な基幹的な食物でございますので、そういう生産者の御努力によって、チーズの消費拡大、場合によっては高級チーズというものも日本産でどんどんどんどんできていくわけでもございます。

 町ごとに、あるいはだれだれさんちのチーズがおいしいというようなブランドがどんどん、多分、御地元でも、私の地元でもよく聞きますので、そういう努力がいい結果に結んでいく、またそういうような後押しを我々もしていきたいというふうに考えております。

仲野委員 チーズにもいろいろな種類のチーズがありまして、ある農家の方とちょっとお話しさせていただいたときに、これからは乳製品全体が飲用乳からチーズにシフトされていくのかな、そうおっしゃっていた農家の方もおられました。

 そういった意味では、やはり常にそこには生産者がいて、加工する加工業界があったりとかで、いいものを生産し、いいものを製造していくということが、やはりしっかりと、その両輪が大事なのかな、そのように思っております。

 最近、こうしていろいろな一次産業、特に農業が年々厳しい中で、やはり農業が好きだ、酪農が好きだという若い方たちもおられます。そういった方たちのこれから営農意欲をそがないようにするためには、やはり担い手の育成、確保、そういったしっかりとした農業政策をやっていかなきゃならないのではないのかな、そのように私は思っております。

 そういった観点から質問させていただきたいと思いますが、今、農業に新たに参入したり農村に移り住む人がかなり増加傾向にあると言われております。特に、農業全体の中で酪農は研修や新規参入を希望する割合が多いと聞いております。しかしながら、私の地元の酪農専業地帯である釧根においては、現在、後継者不足や酪農の将来に対する不安から、離農する農家が残念なことに続いております。高齢化も進行しており、将来にわたって生産を維持拡大するために、地域の実態を踏まえ、円滑な経営継承やあるいは新規就農者の確保を行うことが課題となってきております。

 酪農の新規参入を促進するため、酪農研修牧場を設置するなど、担い手育成、確保に向けた独自の取り組みも行われているところでありますが、政府においてこの酪農における新規就農者の確保のためにどのように現在取り組んでいるのか、お尋ねいたします。

町田政府参考人 将来にわたりまして持続的な酪農生産基盤を維持していくというためには、新規就農者の参入、こういったことを通じまして担い手の育成、確保を図っていくということが重要であるというふうに考えております。

 このため、新規就農者が、ただいまお話ありました離農される方の農地ですとか施設、そういった経営資源を円滑に継承していくことができるように、いわゆる農場リース事業、こういったものに対する支援を行っております。また、新規就農する前の研修ですとか、就農の準備に必要な資金、そういったものを無利子で貸し付けます青年就農促進法に基づく就農支援資金の貸し付けといったような措置を講じているところでございます。

 今後とも、こうした施策の実施を通じまして、酪農への新規就農者の確保、これを図ってまいりたいというふうに考えております。

仲野委員 本当に新規就農しようとするならば、それなりのかなり投資をしなければなりません。そういった意味で、無利子で貸し付ける、貸し付けるとなれば必ず返さなきゃならないというのがあるわけでありますけれども、何とか若い方たちが、例えば農業にあこがれて、本当に酪農をやってみたいんだというふうな意欲を、積極的にその意欲を持たせることが大事であると思います。

 そこで、酪農は生き物を扱うことから、大変周年拘束性の高い重労働であります。その過重な労働時間を軽減し、ゆとりある経営を確立していくため、また高齢化や労働力不足に対応するために、私は、酪農ヘルパーを初めとする支援組織が果たす役割はますます高まっていると思っております。この酪農ヘルパー要員の中には、その知識と経験を生かし、地域で酪農家として新規就農するケースもあります。ヘルパーを新規就農の過程として考える若者も見られて、酪農家となるための技術取得の場としても活用されております。

 こうしたことから、この酪農ヘルパーが本当に重要な役割を担っているということからも、ヘルパーに対する支援は新規就農者確保にもつながり、その充実を図る必要があると考えますが、どのように支援を今後充実させていくのか、改めてお尋ねしたいと思います。

町田政府参考人 酪農ヘルパーにつきましては、ゆとりある生産性の高い酪農経営の実現を図るという上で大変重要な組織でございます。また、担い手の育成、確保にも資するということで、私ども、その活用を推進していくことが重要だというふうに考えているところでございます。

 このため、酪農ヘルパーに対します支援といたしましては、技術の向上のための研修、また、酪農家のけがや病気の際の酪農ヘルパーの利用を円滑に進めるといった互助制度への支援といったことも行っております。また、酪農家の方が実際に利用日数を拡大した場合に一定の助成も行っているところでございます。

 酪農ヘルパーで新規就農をされたいという希望の方、確かに多うございます。そういった酪農ヘルパーからの新規就農を促進する取り組みといたしまして、まず、その希望されている酪農ヘルパーと経営移譲を希望されている酪農経営の方、そういった方をインターネット上でつないで情報提供をするですとか、新規就農を希望される酪農ヘルパーを集めた情報交換会、こういったことを開催して支援を行っているところでございます。

 今後とも、こうした取り組みを通じまして、酪農ヘルパー組織の充実、また、担い手の育成、確保を図ってまいりたいというふうに考えております。

仲野委員 持ち時間がもうあと五分ということで、今紙が回ってまいりました。

 最後になるんですけれども、本当に我が国の畜産、酪農を取り巻く情勢が、本日質問いたしましたように、飲用牛乳などの需要の減少に伴う生乳需給の問題のほかにも、いわゆる米国産牛肉の輸入再開問題や世界的な鳥インフルエンザの発生など、我が国の食の安全、安心にかかわる問題、そしてまたWTO農業交渉などの国際交渉の本格化など、極めて厳しいものが山積をしているわけであります。私は、やはり攻めの農政と言うのであるならば、特に北海道は食料基地としても位置づけられている以上は、何とか、本当に日本の食の安全、安心、そういった意味では農業政策をしっかりと行っていただきたい。

 本日の平成十八年度の畜産物価格及び関連対策の決定、そして今後の酪農、畜産の経営安定対策の対象者などの検討に当たっては、本日の質疑で取り上げた点を踏まえていただき、我が国の酪農、畜産農家が将来に夢を抱けるような、希望を持てるような、積極的に営農活動ができるようなことで全力で取り組んでもらいたいと思いますが、大臣にその御決意をお聞かせいただきたいと思います。

中川国務大臣 結論で言うと、仲野委員と全く気持ち、思いは一緒でございます。

 日本においても、また世界においても極めて重要な製品であります酪農・乳製品。世界じゅうには飢餓人口が八億人以上いて、粉ミルクあるいは一本の牛乳があれば本当に飢餓や病気から立ち直ることができるという子供たちもいっぱいいる。また、日本においても、だいご味という言葉がありますけれども、だいごという言葉は、古い時代の乳製品の言葉が語源だというふうに聞いております。

 昔は一部の人たちが薬がわりに牛乳を飲んでいた。今は何か牛乳を飲むと健康飲料じゃないみたいになっている。これは全くの間違い、誤解でありまして、牛乳を飲むことによって、先ほどからお話ししておりますように、子供たちの生育、あるいはまた病気やお年寄りの人たちの大変なおいしい牛乳の効果があるわけでありまして、また、御地元のように酪農専業地帯、畜産専業地帯が日本の食料基地として牛乳・乳製品の最も重要な生産基地として、将来にわたって希望を持って、攻めの農政というのは、私は、外に対して攻めると同時に、消費者との共生という前提に立って、消費者に対してこういうおいしいものを届けるんだ、消費者は、おお、いいものができたなというやりとりという意味でも、お互いに、今、攻めというか、積極的に交流をしながら、いいものをつくって消費者に供給をする、消費者もまたいいものを選択して買うということによって、日本の農業、食料が発展をしていくと思います。

 酪農というのは、一頭の牛を飼えば五年も六年もお乳を搾るわけでありますから、一年ごとという決して短期的な農業ではございませんので、文字どおり、中長期的な観点に立って、国民の本当に安全、安心、健康な、おいしい牛乳を供給できるように私も頑張っていきたいと思いますし、酪農専業地帯である仲野委員も、御地元を代表して、国民のために大いに酪農振興にまた引き続き御指導いただければというふうに思います。

仲野委員 中川農水大臣、さすがやはり北海道選出の大臣ということで、大変熱意ある御答弁いただきました。

 大臣、先ほど、ちょっと席を外されているときに、餓死していると。飢餓の方たちにもぜひ牛乳をと今おっしゃっていただきました。先ほど同僚の松木委員が同じような質問をさせていただいたときに、外務省の方から、何かこれにはいろいろな制約があるような、ちょっと、ずばっとした前向きな答弁がなかったんですね。このことも外務大臣とも後でお話ししていただいて、ぜひ海外からも愛される牛乳ということでやっていただきたいと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。

稲葉委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社民党の菅野哲雄でございます。

 松木委員、仲野委員、今議論を行って中身は深まっておりますけれども、基本的な視点から、農水省の今後の方針というものをお聞きしておきたいというふうに思っています。

 この時期に来て、畜産物価格を決定する時期になると、毎年このような議論が行われている、この中身は何なのかということを考えたときに、やはり、先ほどから議論になっておりますけれども、生乳八百万トン強、これをどう処理していくのかということだというふうに思っていますし、昭和四十一年にこの制度ができて、酪農が今日の状況を迎えているときに、酪農経営の実態はどうなっているのかというと、どんどんどんどん大規模経営という方向に進んできた。それも、大きな借金を抱えて、そして借金を返済しながら経営していかなきゃならないという体質があるというふうに思っています。

 そういう中で、この畜産物価格を決定していかなきゃならない大きな役割があるわけですけれども、一方では、三十年、四十年経過する中で、どんどんどんどん加工原料乳に回る枠が大きくなってきて、一方では脱脂粉乳やバターの在庫を抱えていくという状況が存在しています。

 この脱脂粉乳やバターで処理しなければならない実態というのは、生産意欲を減退させてはならないという立場で今日の政策がとられてきたというふうに私は理解しているんですが、この相反する、在庫処理をしていかなきゃならない、一方で生産意欲を減退させてはならないということをずっと続けていったならば、私は将来的に大変な事態になっていくんじゃないのかなというふうに思えてなりません。

 というのは、私は、このことは日本の米で経験していることだというふうに思っています。酪農もそういう状況にしてはならないという立場から、農水省として、二百三万トン、二万トン減で審議会に諮問したという中身を受けて、今後、十八年度以降、どのように対処していかれるのか、お聞きしておきたいと思います。

町田政府参考人 最近の生乳需給につきましては、生産が安定的に推移する一方で、飲用需要の伸び悩みといったことから緩和基調になっておりまして、この結果、脱脂粉乳やバターの在庫は高水準で推移しているということでございます。

 こういった在庫問題に対処するということで、十八年度におきまして、生産者団体におきましては、バター在庫のこれ以上の積み増しを避ける、こういうことで十二年ぶりの減産型の計画生産を決定するということで、まずはバターの需要に合わせた生産をやっていこうということでございます。

 また、これまで十六年度から二年間実施してきております脱脂粉乳の過剰在庫処理対策、これを引き続き十八年度も継続実施していくということ、また、新たにバターにつきましても、在庫水準が心配になってきておりますので、輸入されております脂肪調製品の国産生クリームへの置きかえ、こういったことを行うことによりまして、国産の生乳の需要の拡大を図っていくということでございます。

 過剰になった部分は在庫削減をし、需要に合った生産、また需要を拡大するということで、何とかこの生乳需給のバランスをとっていこうということでございまして、十八年度以降におきましても、生乳の需給に見合った生産で酪農の中長期的な安定、こういったことを図っていきたいというふうに考えております。

菅野委員 思いはわかるわけですけれども、二百三万トンで、生産意欲を減退させない方向で今諮問したと。

 一方で、先ほどの答弁があったように、脱粉でいうと九万三千トン、それから適正在庫量の二・四倍抱えている。そして、バターでいえば三万五千トン、大体一・九倍から二倍の在庫量を抱えている、こういう状況ですよね。そのときに、脱粉とバターの在庫を減らしていくんだという具体的道筋がなければ、私は大変な状況になるというふうに思っているんです。ここの議論がどれくらいなされているのかということだというふうに思っています。

 一方では、先ほど言ったように、酪農家は規模拡大して大きな借財を抱えている、そして経営していかなきゃならないという実態は存在することはわかるんですけれども、この切り込みという部分をしっかりと農水省としてプログラムを組んでおかなければ、十年先をめどにこうしていくんだというプログラムなしには、私は、将来悔いを残す結果になるというふうに思うんですけれども、大臣、どう考えておられるんですか。

中川国務大臣 先ほど申し上げましたように、牛乳・乳製品、これは国民にとっての重要な品目であるわけであります。そしてまた、一頭の搾乳牛とは十年近いつき合いをしていくわけでございますから、毎年毎年、猫の目のように、昔ある先輩が言っていましたが、牛のお乳は蛇口をひねったり閉めたりするように簡単にはできないんだと先輩議員がいみじくもおっしゃっておりましたが、そういう生き物からとれる貴重な食品であるわけであります。

 他方、当然、加工用の牛乳からバター、乳製品等ができるわけでありますが、これは在庫がきいちゃうものですから、在庫をどんどん積んでどんどん搾ればいいじゃないかという考え方は、私は、賢明なやり方ではないと。

 在庫圧力がいつかは、生乳といいましょうか牛乳製品に響いてくるわけでありますから、ことしは生産者の御期待に比べて二万トンの減ということになったわけでありますけれども、しかし、生産者の皆さんも自主努力をされているわけで、大変御苦労だとは思いますけれども、私は、賢明な御判断をされていると。

 それも、将来に対して全く展望がない中でではなくて、自分たちも努力をしていけば、また牛乳・乳製品の国民の消費拡大につながっていくという期待があるからこそ、そういう御努力をされているわけでありますから、そういう期待にたがわないように、我々としても努力をしていくということが一番大事なことしの乳価の決定のポイントではないかというふうに理解をしております。

菅野委員 消費拡大に展望を持たなきゃならないというところは理解するんですが、この脱脂粉乳とかバターの在庫処理というのを本当に真剣になって考えていかなきゃならない時期だというふうに私は思っております。将来的にも禍根を残さないように、この処理を適正に行っていく体制を、しっかりプロセスをつくっていただきたいということを強く要求しておきたいというふうに思っています。

 それからもう一つ、酪農、畜産を考えるときに、飼料問題、これは私は大きな問題だというふうに思っております。

 今は輸入飼料に頼って経営をしているわけですけれども、この輸入飼料が途絶えた途端に酪農、畜産というのが途絶えるようなことはないというふうに私は思うんですけれども、しかし、国内的に自給飼料をどう確保していくのかというしっかりとした道筋というものを一方ではつくっておかないと、今からすぐ自給飼料の増産体制に入れといっても、これは難しいことでございます。

 米の政策とあわせてホールクロップサイレージという政策をとってきて、これも拡大の一途をたどっているという実態はつかんでいます。この米の需給調整における制度というものを自給飼料増産体制にしっかりと位置づけていくもう一つの政策がとられていかなきゃならないというふうに私は思うんですけれども、このことに対する考え方をお聞きしておきたいと思います。

町田政府参考人 飼料自給率の向上につきましては、食料自給率の向上はもちろんのことでございますが、国土の有効利用、また資源循環型畜産の確立、これを図る観点からも重要というふうに考えております。

 このため、国内生産ができますいわゆる粗飼料でございますが、これにつきましては、完全自給を目指して生産の拡大を図る、こういったことによりまして、現在二三%であります飼料の自給率を平成二十七年度には三五%とする、こういった目標を今掲げているところでございます。

 こうした考え方のもとで、昨年の五月でございますが、飼料自給率向上戦略会議といったものを立ち上げまして、それぞれ関係の方々が役割分担をしながら進めるということで、行動計画も策定いたしております。現在、この行動計画に基づきまして、関係者が一丸となって三つの柱で取り組んでおります。

 一つは、今御指摘いただきました耕畜連携によりまして、稲発酵粗飼料、稲ホールクロップサイレージ、この生産を拡大していくということ。また、国産稲わら、これの飼料利用を拡大していくということ。三つ目におきましては、耕作放棄地あるいは転作田、こういったものを使いまして放牧を拡大していこうと。こういった三つの柱で、国としてもこうした取り組みに対する支援を行っているところでございます。

 今後とも、こうした自給飼料の増産運動、また各種施策によります支援を通じまして、自給飼料基盤に立脚いたしました畜産経営の確立、これを図っていきたいというふうに考えております。

菅野委員 今数字が示されたわけでございますけれども、平成二十七年までで三五%目標というふうに言われていますけれども、食料自給率も四〇%台で、それを四五%まで持っていくというのは至難のわざなんです。それで、この自給飼料についても、二三%から三五%、一二%引き上げるという目標は掲げることはできるかもしれませんけれども、私は、実際の問題として、輸入飼料の流通体系がしっかりとなされている中で自給率を上げていかなけりゃならない課題でございますから、大変なことというふうに思っています。

 そういう意味での、先ほどもありましたけれども、耕畜連携を図っていって、そして畜産の飼料作物をどう栽培していくのか、私は、そこに力点を置く必要があるというふうに思っています。これを個々の農家に任せておいたのでは拡大していかないという側面があるというふうに私は思っています。

 私も農水委員会で、部長と一緒に行ったんですか、北見と網走の方を見てきましたけれども、あの中で、小さな取り組みだというふうに思うんですけれども、コントラクターを配置して自給飼料を本当に食べさせていこうという取り組みが始まっています。この取り組みを大きくしていくということが、今日、私は、農水省としても積極的な展開を図ることが必要なんじゃないのかな、これをどう育成強化していくのか、この点もはっきりと方向性を示す必要があるんじゃないのかなというふうに思うんですけれども、考え方をお聞きしておきたいと思います。

町田政府参考人 お話しいただきましたコントラクターでございますが、畜産農家からの委託を受けまして飼料の生産等を請け負いまして、飼養頭数ですとか経営面積の拡大に伴いまして労働力不足に陥っている、そういった酪農家に対応していくということで、畜産農家の規模拡大にも大きく寄与しているというふうに考えております。

 また、飼料の生産でございますが、これについては、転作田、こういったものも使いまして飼料生産をする、あるいは飼料生産だけではなく堆肥の散布、そういったことも請け負いまして、地域における耕畜連携の中核的な存在としての役割も担っているというふうに考えておりまして、今後とも、その育成強化、こういったことが重要だというふうに考えているところでございます。

菅野委員 私は、地域の自主性に任せておいたのではこれは拡大していかないというふうに思っています。農水省としてしっかりとした方針を立てて、畜産経営、酪農経営を支援していくんだという方針がなければ、進んでいかないというふうに思っています。

 それから、家畜排せつ物をどう有効利用していくのかという視点も、見てきましたけれども、これも、化学肥料一辺倒からやはり有機農業というか、家畜の排せつ物を使った農業展開へ転換していくという強い姿勢も持ちながら、コントラクターを育てていくという方針をしっかり示していただきたいというふうに思うんです。

 大臣、畜産、酪農経営にとって自給飼料というのがいかに大事かということを私は申し上げました。ただし、自給率二三%、そして今から後十年先に三五%、六五%も外国から頼らなけりゃならないという実態を踏まえて、私は、大臣として飼料の自給率を高めていくためのリーダーシップを発揮していただきたいと思うんですけれども、決意のほどをお聞きしておきたいと思います。

中川国務大臣 ひょっとしたら古い数字かもしれませんが、日本じゅうの牛のえさを日本だけで自給すると、日本の耕地面積の三倍かかるということを記憶しております。

 ただ、御指摘のように、ホールクロップサイレージのような粗飼料をできるだけ自給率を向上させていくということは、今我々一〇〇%を目指しているわけでございまして、やっていかなければなりません。

 他方、いわゆる濃厚飼料、これは穀物自給率の方にも影響してくる数字でございますけれども、これの目標が今九%を一四%にするという程度でございます。

 しかし、さっき言ったようにいろいろな制約があるわけでありますが、例えば牛肉でいえば、幾ら自給率が四〇%あるといってもほとんどの配合飼料を外国に頼っているという現状というのは、根っこは極めて危ういものがございますので、そういう意味で、えさも含めて自給率全体、総合的な自給率をきちっと上げていくということは御指摘のとおりだというふうに考えております。

菅野委員 しっかり取り組んでいただきたい、このことを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。

稲葉委員長 次回は、来る十六日木曜日午前八時二十分理事会、午前八時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    正午散会


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