衆議院

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第18号 平成18年7月14日(金曜日)

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平成十八年七月十四日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 稲葉 大和君

   理事 岡本 芳郎君 理事 梶山 弘志君

   理事 原田 令嗣君 理事 二田 孝治君

   理事 松野 博一君 理事 黄川田 徹君

   理事 山田 正彦君 理事 西  博義君

      あかま二郎君    赤城 徳彦君

      赤澤 亮正君    伊藤 忠彦君

      飯島 夕雁君    石原 宏高君

      今津  寛君    小野 次郎君

      近江屋信広君    金子 恭之君

      近藤 基彦君    斉藤斗志二君

      杉田 元司君    田中 良生君

      中川 泰宏君    並木 正芳君

      丹羽 秀樹君    西本 勝子君

      鳩山 邦夫君    早川 忠孝君

      福井  照君    福田 良彦君

      御法川信英君    安井潤一郎君

      川内 博史君    小平 忠正君

      佐々木隆博君    神風 英男君

      仲野 博子君    松木 謙公君

      森本 哲生君    丸谷 佳織君

      菅野 哲雄君

    …………………………………

   農林水産大臣       中川 昭一君

   内閣府副大臣       嘉数 知賢君

   外務副大臣        塩崎 恭久君

   厚生労働副大臣      赤松 正雄君

   農林水産副大臣      宮腰 光寛君

   農林水産大臣政務官    金子 恭之君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)         齊藤  登君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    谷崎 泰明君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       松本 義幸君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           中川  坦君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            山田 修路君

   参考人

   (食品安全委員会委員長代理)           見上  彪君

   農林水産委員会専門員   渡辺 力夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月十四日

 辞任         補欠選任

  飯島 夕雁君     西本 勝子君

  近藤 基彦君     石原 宏高君

  谷川 弥一君     早川 忠孝君

  西村 康稔君     杉田 元司君

  渡部  篤君     近江屋信広君

  山岡 賢次君     川内 博史君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 宏高君     安井潤一郎君

  近江屋信広君     渡部  篤君

  杉田 元司君     福田 良彦君

  西本 勝子君     あかま二郎君

  早川 忠孝君     谷川 弥一君

  川内 博史君     山岡 賢次君

同日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     飯島 夕雁君

  福田 良彦君     田中 良生君

  安井潤一郎君     近藤 基彦君

同日

 辞任         補欠選任

  田中 良生君     西村 康稔君

    ―――――――――――――

六月十六日

 一、牛海綿状脳症対策特別措置法の一部を改正する法律案(山田正彦君外六名提出、第百六十三回国会衆法第七号)

 二、輸入牛肉に係る情報の管理及び伝達に関する特別措置法案(山田正彦君外六名提出、第百六十三回国会衆法第八号)

 三、農林水産関係の基本施策に関する件

 四、食料の安定供給に関する件

 五、農林水産業の発展に関する件

 六、農林漁業者の福祉に関する件

 七、農山漁村の振興に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

稲葉委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省消費・安全局長中川坦君、農村振興局長山田修路君、内閣府食品安全委員会事務局長齊藤登君、外務省領事局長谷崎泰明君及び厚生労働省医薬食品局食品安全部長松本義幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

稲葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、本日は、参考人として食品安全委員会委員長代理見上彪君に御出席をいただくことになっております。

    ―――――――――――――

稲葉委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤澤亮正君。

赤澤委員 皆様、おはようございます。自由民主党の赤澤亮正です。

 国会が閉会になってから、地元を歩き回っております。地元との対話に励みますと、心がいやされますし、一年生議員としましては将来に希望がわいてきて、さらには万歩計の歩数が稼げて体重がきっと減るはずという、自分としては三重楽という境地を味わっておりますけれども、それ以外にも、地元鳥取県の主要産業であります農林水産業について多くのことを学びました。

 例えば、畜産についてでありますけれども、昭和四十一年に岡山県で初めて開催をされました第一回の全国和牛能力共進会、「和牛は肉用牛たりうるか」というのがテーマだったようでありますけれども、一等をとったのは、我が地元の鳥取県が誇る因伯牛の気高号というものだったようであります。この気高号が、現在繁栄している多くの和牛の祖先であるらしいことというようなことがわかってまいりました。

 また、地元の大山町には、二年ほど前に全国酪農青年女性発表大会の経営部門で農水大臣賞を受賞した、搾乳牛一頭の年間産乳量が一万二千キロを優に超えるという、大変優秀な酪農家がいることなどもわかってまいりました。

 鳥取県の農林水産業といいますと、小粒ではありますけれども非常にきらりきらりと光るものがあるということがわかって、改めて大変うれしい気持ちがいたしました。畜産の伝統や最新の経営システムに思いをはせ、今後さらに勉強を重ねて、その発展、換言すれば安全、安心な食料供給の安定的確保に貢献したいと強く感じたところであります。

 そのような熱い思いを込めまして、本日は、二十分という短い時間でありますが、米国産牛肉輸入問題とWTOの農業交渉について質問をいたしますので、よろしくお願い申し上げます。

 まず、食の安全、安心にかかわる米国産牛肉輸入問題についてですが、本年一月二十日の輸入停止以来判明したことは、問題となった米国の対日輸出施設の従業員のみならず、食品安全検査局、FSISの検査官さえ対日輸出プログラムを理解していなかったという驚きの事実であります。国民の安全確保の観点から、最後のとりでとして日本到着時の水際検査が機能したからよかったようなものの、米国側関係者の食の安全、安心にかかわる認識の甘さ、取り組みのずさんさが浮き彫りになったようにも思われます。

 そこで、お伺いいたします。宮腰副大臣は、農林水産省のBSE対策本部長として、先般、米国の対日輸出施設などを視察されたものと承知しております。米国側関係者の取り組みについてどのような印象を持たれましたでしょうか、お伺いいたします。

宮腰副大臣 七月の二日から五日の日程で訪米をいたしましたけれども、その間、厚生労働省の赤松副大臣とともにコロラド州のスウィフト社の食肉処理施設の視察を行いましたほか、私自身は関連農場の視察も行ったところでございます。米国農務省からは、ランバート農務次官代行と、それから販売促進局のカーペンター次長が同行いたしました。

 食肉処理施設の視察におきましては、対日輸出条件を遵守していこうという真剣な姿勢が見られたところであり、現地調査の職員につきましては、日の出前から出発をいたしまして、山積みとなった英語の文献を一つ一つ、真剣に、時間をかけてチェックしておりました。

 いずれにいたしましても、米国の管理体制につきましては、専門家が技術的見地から調査をしっかり行うことが重要であると考えておりまして、引き続きその調査を今継続中でございます。

赤澤委員 副大臣みずから足を運ばれて、真剣に米国側関係者も対応してくれている、こういう御印象を持たれたということでありますので、その熱意で成果がきちっと出ることを期待してまいりたいと思います。

 ただいまの副大臣の現地視察の御感触も念頭に置きまして、引き続きお伺いをいたします。

 先月開催をされました日米局長級のテレビ会合の合意に基づきまして、現在、対日輸出施設の現地調査中であるというふうに承知をしております。米国側関係者の受け入れ、協力状況はいかがでしょうか。順調に調査が進み、先般のプレス発表のとおり三十日間で終了できる見込みであるのかどうかについて、消費・安全局長にお尋ねをいたします。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 米国産牛肉の対日輸出施設の現地調査につきましては、六月の二十一日の日米共同記者発表に基づきまして、六月の二十四日から今月の二十三日までの期間に、三十五のすべての対日輸出施設について今調査を行うことといたしているわけでございます。

 昨日までの段階で、この三十五施設のうち二十四の施設について現地調査を終了したところでございます。予定されたスケジュールにつきまして、今のところ、特段の遅延とかあるいは変更しなきゃならない、そういう状況にはなっておりませんし、先ほども副大臣からの答弁にございましたが、アメリカ側の政府あるいは施設の関係者の受け入れ、協力の状況も非常に良好だというふうに報告を得ております。

 予定されたスケジュールでは、この現地調査の最終日、これは二十一日の金曜日でございますが、今現在三つのチームに分かれてアメリカの各地で調査をしておりますので、この三つのチームが二十一日に一カ所に集まりまして、そしてアメリカ政府と、これまで見てきたこと等についての具体的な問題点を整理する、そういう会合を行うことにいたしております。

 今までのところ、こういったスケジュールについて、予定どおりいくものというふうに私どもは考えております。

赤澤委員 今回の輸入停止以来、政府の取り組み、これは米側の対応も含めまして、私としては一定の評価をしております。

 施設の従業員が対日輸出プログラムを理解していないことについて、AMS、これは農業マーケティングサービスというものであるようでありますが、これが、役職員の理解度を確認してみたり、施設の手順書で輸出認定製品をリスト化したり、抜き打ち監査をしたり、あるいはFSIS検査官が対日輸出プログラムを理解していないことについても、米側としてもかなりの強化策をとっている。日本側としても、それにこたえて、抜き打ち検査に同行するとかいろいろな手を打っているということであると認識をしております。

 一定の評価はしておりますが、国民の食の安全それ自体を確保するのはもちろんのことでありますけれども、政府が国民への説明責任を果たすことで、安心というのもしっかりと確保すべきであると考えます。

 輸入手続停止以来、これまでに政府が行った取り組みについて、どのように国民に説明をし、安心を確保しようとしてきたか。また、今後輸入手続再開までには、これまでに国民から寄せられた声にきちんと対応するとともに、今般の現地調査の状況について、先ほどは七月二十三日に終了というお話でしたけれども、それについても丁寧に説明をし、不安を解消していくということはぜひとも必要であると考えますけれども、安心の確保に関する政府の御見解を伺います。

中川政府参考人 国民へきちっと情報提供していくことが非常に大事という御趣旨での御質問でございました。

 私ども、まさにそのとおりだと思っておりまして、一月の輸入手続の停止以降、政府の対応等につきまして、あるいはまたアメリカとの協議の結果等につきまして、プレスリリースとかあるいはホームページとかということでの情報提供はもとよりでありますけれども、これとともに、厚生労働省と連携をしまして、まずは、今回、一月二十日のあの事故についてのアメリカ側の調査結果あるいは対策報告書、これは二月の十七日に出ておりますけれども、これにつきまして、四月の十一日から二十四日まで全国十カ所で具体的な内容等について情報提供し、また消費者の方々初め関係者の方々からの意見もいただいたわけであります。

 さらに引き続きまして、今度は輸入手続の再開の考え方につきまして、これは六月の一日から十四日でございましたが、やはり同じく十カ所で、消費者の方々、それから流通関係、事業者の方々なども含めまして、同じように情報提供と、それからそれを踏まえた意見交換会を開催してきたところでございます。

 アメリカ産牛肉の輸入の手続の再開につきましては、こういった意見交換会、リスクコミュニケーションなどで出されました消費者の方々などの意見も踏まえて、アメリカ側といろいろと協議をしてきたところでございまして、その結果が、六月の二十一日の日米局長級会合での共同記者発表として盛り込まれているわけでございます。事前に全部現地の確認をするとか、あるいはアメリカが将来やる抜き打ちの査察に日本も同行するとか、いろいろな点がそれまでの意見交換会などでも出された、それを踏まえてのものでございます。

 現在実施しております対日輸出施設の現地調査、この結果につきましても、消費者の方々に対します説明会を行うこととしておりまして、冒頭申し上げましたように、引き続き食の安全ということにかかわる問題につきましては情報提供をきちっとしていく、そういう基本的なところを踏まえてやっていきたいというふうに思っております。

赤澤委員 基本的な考え方はもちろん一般論としてそのとおりでありますけれども、若干その追加で一つ聞かせていただきたいと思います。

 私自身は、例の農薬についてのポジティブ制度についての地元説明というときに、本当に中身をよくわかっている政府の方がきちっと現地に赴いて説明をするのと、必ずしもよくわかっていない地元の職員が伝聞調で説明するのとでは、安心を確保する上で本当に違うと強く感じたところであります。十カ所というのが必ずしも十分なのかというのは、若干不安に思います。それが一点。

 それともう一つは、今、一般論として反映させるというようなことでありましたけれども、そういったこれまで寄せられた国民の声を受けて、具体的に今後の対策なり取り組みとして取り入れたものがあるのか、その辺についてもう一度伺いたいと思います。

中川政府参考人 意見交換会、このところブロック単位ということで十カ所でということを二度やっておりますけれども、BSEにつきましては、これまでも食品安全委員会でのリスク評価の結果などについての意見交換会を初めとして、節目節目でもう何度も意見交換会をやっております。

 特に、平成十六年の九月に出されました食品安全委員会の中間とりまとめ、これは国内対策に関するものでございましたが、こういったものにつきましては北海道から沖縄まで全都道府県、これは四十七ですが、プラス北海道であと三カ所もやりまして、全部で五十カ所でやったというふうな例もございます。

 回数だけが問題というわけではありません。中身について、意見交換会はできるだけ経験を踏まえて効果があるように、そういう工夫は私どもも引き続きやっていかなければならないと思っておりますけれども、できるだけじかに消費者の方々と意見交換をする機会というのはこれからもつくっていきたいというふうに思っております。

 それから、先生もう一つお尋ねのございました、そういった意見交換会の意見をどういうふうに反映させたかということでございますが、先ほどもちょっと触れさせていただきましたけれども、できるだけ今回の日米間の牛肉貿易の条件の中に盛り込むということで、事前に現地の調査をするということですとか、あるいは抜き打ち査察に同行するということのほかに、例えば日本がやる水際の検査、検疫のところももっと強化をすべきだという御意見もありました、こういう点も、輸入再開となれば具体的に強化をしていきたいというふうに思っております。

赤澤委員 過去に五十カ所で、そういうことは多分、全都道府県ということだと思いますけれども、説明会をやったり、さらには、今かなり具体的に国民、消費者から出た声を取り入れた例についても、お話を聞いて若干イメージがわいてきたところであります。かなりの御努力はされているというふうに理解をいたしますけれども、なおやはり多くの国民、消費者が輸入の再開について不安を持っているという報道が多いように見受けられます。引き続き、何とか安心を確保するための説明責任、政府として全力で果たしていただくようによろしくお願いをしたいと思います。

 現在進行中の現地調査終了後、対日輸出プログラムとの不適合、これはノンコンフォーマンスというんですけれども、不適合がなかった施設から順次輸入手続が再開される段取りであると承知をしておりますが、もし不適合のある施設が発見された場合の取り扱いや、さらには、万々が一輸入手続再開後再び違反があった場合の取り扱いを含めまして、国民の食の安全確保に向けた政府の決意を伺いたいと思います。

宮腰副大臣 先月二十一日の日米共同記者発表におきまして、今回の現地調査において米国の検査体制及び対日輸出プログラムの有効性を検証した上で、不適合、ノンコンプライアンスがなかった施設につきまして速やかに輸入手続を再開するとともに、不適合のある施設が発見された場合につきましては、米国政府は、日本政府と協議後、それら施設を遵守施設とするために必要な是正措置を確認する、これら是正措置が実施された際、日本政府は通知を受けて確認を行う機会が用意されるということになっております。

 また、仮に輸入手続再開後に問題が発生した場合につきましては、問題の性質に応じた適切な措置を講じることとなると考えております。

 いずれにいたしましても、国民の食の安全、安心の確保を大前提として、具体的な違反事例の内容に応じて適切に対応してまいりたいと考えております。

赤澤委員 いずれにいたしましても、食の安全ということについては本当に注意し過ぎることはないということでありますので、ぜひ万全を期していただきたいというふうに思います。

 米国産牛肉輸入問題についての質問は、以上で終わります。

 地元との対話により明らかになった現時点での地元農業者の重大関心事は、大体二つありまして、日本全体多分同様だと思いますけれども、平成十九年四月から実施される経営所得安定対策等大綱等の実施要綱、換言すれば、具体的な支援水準、現行の品目別の対策の支援水準と遜色のない支援水準が実際十九年予算以降きちっとやられるのか、あるいは新規就農支援策、過去の生産実績がない案件といったものへのきちっとした対応がやられるのかといったようなこと、そういった十九年以降の農政の大改革への対応の具体的な中身とWTOの農業交渉の行方ということであろうと思います。

 経営所得安定対策等大綱等の実施要綱については、これは既に議論が始まっており、その中で私が五月の十七日に農林水産委員会においてお願いをしました新規就農支援策についても、過去の生産実績がない案件などへの対応として政府の具体案が盛り込まれているようで感謝をしております。これらにつきましては、時間の関係もあり、本日は質問をいたしません。今後、年末にかけて、十九年度の概算要求の中でさらに議論を深めていければというふうに考えております。

 最後に、もう一つの日本の農業関係者の重大関心事でありますWTOの農業交渉についてお尋ねをいたします。

 この交渉は、当然のことながら大変難しい交渉でありまして、上限関税を阻止するとともに、重要品目、タリフラインを十分確保して、なおかつ関割りの拡大はできるだけ抑えるというちょっと三重苦のような大変つらい交渉になっているというふうに理解をしております。

 先月末から今月初めにかけまして、議長のモダリティー案提示あるいはG6の閣僚会合、そしてWTOの閣僚級会合とさまざまな動きがございましたけれども、なお各国の見解の隔たりが縮まっていない。引き続き、本年十二月末までの交渉妥結を目指して、ラミー事務局長が調整役となって、これはシャトル外交というようですけれども、各国と協議することになったものと承知をしております。

 現時点において、今後の農業交渉についての政府の進捗の見通し及び基本的考え方をお伺いいたします。

宮腰副大臣 WTO農業交渉につきましては、中川大臣が先頭に立って交渉を進めているわけでございますが、六月末の閣僚級会合におきまして、各国間の立場の隔たりを狭めるべく精力的かつ集中的な議論が行われましたものの、依然として主要国間の見解の隔たりが大きく、モダリティー確立には至らなかったところでございます。

 今後は、今ほどの御指摘のとおり、ラミー事務局長が調整役となりまして、G6を初めとする加盟各国と協議を行うことによって、モダリティーの確立を促進するということになっております。

 同事務局長につきましては、先週、日本を訪問されたわけでありますけれども、これを皮切りに現在G6を中心に協議を行っているところであり、この状況をしっかりと見ていく必要がありますけれども、いずれにいたしましても、本年十二月末までの交渉終結を目指して、我が国としても積極的に取り組んでいくことといたしております。

 我が国は、御案内のとおり、食料純輸入国として、多様な農業の共存を基本理念として、柔軟性があり、輸出国と輸入国のバランスのとれた貿易ルールを確立すべく交渉に臨んでいるところであります。引き続き、積極的に交渉に参画しつつ、我が国の主張が今次ラウンドの結果に最大限反映されるよう努めてまいりたいというふうに考えております。

赤澤委員 日本全体にとってと同様、我が地元の鳥取県にとっても、米、麦、乳製品などは非常に重要な県産品であります。その将来は、WTOの農業交渉の結果に大きく左右されます。政府におかれましては、引き続き我が国の農業、畜産業の将来的な発展を見据えた力強い取り組みをお願いしたいと思います。

 ちょっと地元のことばかり申し上げて恐縮ですが、私の地元で来年、第九回の全国和牛能力共進会というのが開催されます。米子市、境港市、それから名和町だったと思いますが、そういう会場で開かれます。私自身も、地元の関係者とも協力し、今後とも日本の安全、安心な食料供給、安定的供給といったものに努めていきたいと思います。

 委員長初め農林水産委員の皆さん、そして中川大臣、宮腰副大臣、金子政務官を初め政府の皆様に引き続き御指導、御鞭撻いただくことをお願いいたしまして、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

稲葉委員長 次に、中川泰宏君。

中川(泰)委員 京都四区の自由民主党、中川泰宏であります。

 米国牛肉の輸入再開に当たり、その安全性、国民の皆さん方はなお疑問や心配が残っておると私は思います。

 本年一月二十日、米国産子牛肉に脊柱が混入していることが認められ、輸入手続が停止されたことは、米国側の不手際が最大の原因ですが、それを許した日本政府も責任を問われなければならないと考えます。そこで、米国産輸入牛肉対策について、BSEだけではなく、総括的な安全対策を国民に明らかにすることが求められると私は考えます。

 まず、質問であります。

 六月二十四日から七月二十三日まで、厚生労働省、農林水産省、担当者三チームを派遣し、日本向けの輸出認定施設三十五の輸出プログラムの遵守について事前査察を実施中であります。その現地確認に、赤松厚生労働副大臣が合流されました。九日に帰国されたところでありますが、赤松副大臣は消費者の目で見られてきたと考えております。そこで、御感想をお願い申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

赤松副大臣 中川委員御指摘のように、今、三チームに分かれて行われているこの事前の調査に、先ほど宮腰副大臣の方からお話があったと思いますが、私も七月の二日から一週間、後半は医療関係の病院へ行ってまいりましたので、前半、二カ所、合流をして行ってまいりました。

 感想ということでございますが、御承知のように、今事態が進行中でございますので、アメリカ側に決定的な予断を与えるようなことは言えませんので、印象めいたものということでお話をさせていただきたいと思います。

 アメリカ側に対しまして、今、消費者の目、消費者の立場、こうお話がありましたが、そういう観点から、現実に、この農水委員会あるいはそれ以外の予算委員会等で与野党を通じての厳しい御指摘があり、そしてまた、リスクコミュニケーションの場を通じて国民の皆さんから厳しい意見があったということを先方にしっかりと伝えたつもりでございます。先方も、想像以上というか、非常に事態を深刻に受けとめておりまして、合意事項の遵守に向けて本当に懸命にやりたいというふうな姿勢が見られた、そんなふうに思います。

 施設の中を回りまして、食肉処理の主な工程等を視察しましたけれども、厚生労働省、農林水産省の職員が書類審査を行っている状況を見たり、あるいはまた、先方のアメリカの農務省の職員、そして施設の幹部、私はスウィフト社とカーギル社、二社へ行ってまいりましたけれども、そういった幹部に対する問いかけ、また、現場の作業員、これは仕事中でありますし、なかなか言葉が、英語が通じない、スペイン語のみというようなこともあったりしまして、そんなにたくさんはできませんでしたけれども、一部、仕事中の作業員にもインタビューを試みました。

 そういった範囲の中で、SRM除去や除去の確認等の作業が懸命になされていること、また、職員への研修についても、一月二十日以降、さらにさまざまな角度からしっかりと研修がなされているというふうなこと、そして、再びああいうことが起きないというふうな事態をつくっていくことに向けて、懸命に体制を整えているんだという説明を受けたところでございます。

 以上です。

中川(泰)委員 ありがとうございました。

 私は、消費者に安心をしていただくためにも、やはり消費者の目で、赤松副大臣の今の御意見や、今後ともそうしたことにお力を賜りますようお願い申し上げます。

 二番目の質問であります。

 日本は、BSEの発生国中最大の輸入国です。牛肉の安全性を高めるためにも、BSE全頭検査で明らかになったデータを科学的根拠として米国に理解させる姿勢が問われます。一方で、フランスに本部を置くOIEは、牛肉輸出入国際基準を緩和する改正案を示しております。基準緩和の動きにいかなる見解をお持ちか、中川消費・安全局長にお伺いいたします。

中川政府参考人 ことしの五月にパリで、第七十四回のOIE、国際獣疫事務局の総会が開かれまして、そこでBSEの国際的なコード、基準の改正の議論が行われました。

 このBSEに関します基準の見直しにつきましては、昨年の十一月に、OIEの事務局の方から、現行の、骨がついていない牛肉の条件の一つとしまして、三十カ月齢以下の牛からのものであるということが今は維持されているわけですが、そこを外すというふうな案が提示をされておったわけでありますけれども、これにつきまして、日本としては、十分な科学的根拠がないのではないかということで、あらかじめコメントも出しておりましたが、こういったいろいろな国からのコメントを踏まえて、総会では、我が国が言っていた、これは外すべきではないという線に沿って決定をされたということでございます。ですから、三十カ月という条件を外すということは否定既決されております。現在の条件がそのまま残ったということでございます。

 そのほかにも、屠殺前、屠殺後の検査についての文言について若干の修正がございました。ただ、この点も、日本から、この修正は意味はどうかということで確認しましたところ、事務局の方から、実質的な変更ではないというふうな説明も受けておりまして、それぞれ、日本がこれはどうかと思うところについては、いろいろと確認のコメントを出したり、あるいは反対のコメントを出したりということでございまして、今後とも、科学的な知見に基づくということが一番大事でございますから、科学的知見に基づいて、我が国の主張がこういった国際ルールづくりの中でも反映されますように一生懸命頑張っていきたいというふうに思っております。

中川(泰)委員 ありがとうございます。

 やはり科学的根拠等が一番大事でありますので、最大の輸入国として、十分OIEでの発言のほど、よろしくお願い申し上げます。

 三つ目。

 米国は、今度の不手際をケアレスミスだとして、今後、輸出プログラムの徹底や食肉処理施設の検査員の増強などを挙げておりますが、日本の食品安全委員会は、米国産輸入牛肉の安全性を審査する過程で、不完全な飼料の規制やさまざまな検査体制の不備を指摘しております。

 この指摘を踏まえて、日本の言っておる約束事、これが遵守されるのかなと私は心配をしておりますし、それについてのきちっとした調査もされたのかということを改めてお伺いしたいと思います。

中川政府参考人 今委員が御指摘になりましたのは、昨年十二月に出されました食品安全委員会の答申の中で、その附帯事項として、アメリカが現在行っておりますBSEのサーベイランスについては拡大あるいは継続が必要だということ、それから、えさの規制、飼料規制につきましても、交差汚染の可能性がある、現行は豚とか鶏に牛の肉骨粉等が使われる状態になっておりますけれども、こういったものも禁止する必要があるというふうな意見が出されてございます。

 これにつきましては、事務方はもとよりでありますけれども、中川農林水産大臣から直接ジョハンズ農務長官にも機会あるごとに要請をいただいておりますし、また、昨年十二月に輸入を再開いたします際に、あるいはまた五月の専門家会合といったいろいろな機会に、事務的にもアメリカ側に申し入れを行っているところでございます。

 こういったアメリカ側に要望するということだけではなくて、今回、現地の三十五施設の確認調査とあわせまして、農林水産省の方では、一チーム、調査チームとして派遣をいたしまして、具体的な飼料規制の状況あるいはその遵守の実態について情報収集を行ってきております。

 こういったふうに、現在のアメリカの状況がどうであるかということにつきましても、きちっとした現状把握、確認、それから、日本側の要望についてアメリカ側への要請の伝達ということを行っているところでございます。

中川(泰)委員 ありがとうございます。

 ただ、条件が違うのに約束事が守られるのかなという心配をいたしますし、日本であれば、例えば全農でしたら、大きな設備投資をしてきちっとラインを変えております。そういうことについても、さらにきちっとアメリカ側にお伝えいただきますようお願い申し上げます。

 先般、残留農薬の規制を強化するポジティブリストが導入されました。米国産牛肉もこの制度で強化され、検査の網にかかってしまうおそれも出ております。米国の農薬などの使用規制や使用実態を明らかにして対応を徹底しなくてはならないと考えますが、松本食品安全部長にお尋ねいたします。

松本政府参考人 残留農薬等の規制を強化するポジティブリスト制度をことしの五月二十九日に施行いたしまして、その施行後、輸入時のモニタリング検査につきましては、米国を含めた諸外国の農薬規制や農薬の検出状況などを考慮いたしまして、検査項目を選定して実施しているところであります。

 今後のことになりますが、米国産牛肉の輸入手続が再開された場合には、食肉中の残留農薬ですとか残留動物用医薬品の検査を対日輸出認定施設ごとに行うなど強化いたしまして実施するということにしておりまして、輸入時の検査の徹底を図っていきたいというぐあいに考えております。

中川(泰)委員 ありがとうございます。

 やはりきちっと、その規制は日本もしておるのでありますから、確認のほど、よろしくお願いいたします。

 さらに、牛肉、輸入畜産物に対しては、ホルモン剤の投与の問題が以前より指摘をされております。これらはどのようにチェックし、対応されているのか、その現状についてお伺いをいたします。

松本政府参考人 生産段階で肥育ホルモン剤が使用された食肉につきましては、食品衛生法に基づきまして、人の健康に影響を与えない量として食肉中の肥育ホルモンの残留基準を設定いたしまして、その基準を超える場合には輸入を禁止しております。

 平成七年の残留基準の設定以降、毎年計画的に輸入時のモニタリング検査を行いまして監視を行っておりますが、現在まで残留基準値を超えた事例は認められておらず、輸入を禁止した事例はございません。

 ただ、今後、先ほども申し上げましたけれども、米国産牛肉の輸入再開ということになりましたら、きちっとそういうことを検査いたしまして、そういう違反事例があったものにつきましては適切な措置をとっていきたいというぐあいに考えております。

中川(泰)委員 ありがとうございます。

 日本はホルモン剤は使ってはいけないということになっております。今聞いておると、残留があるけれどもオーバーしていないということは、日本の肉は食べても全く安全だ、しかしながら、外国の肉にはホルモン剤が微量に残っておるということになりますと、危険性があるのではないかなというように私は考えるところであります。

 ポジティブリスト制度との関連で、輸入物が九割を占める濃厚飼料の残留農薬について、残留基準の設定とチェック体制の現状について、中川消費・安全局長にお尋ね申し上げます。

中川政府参考人 五月のポジティブリスト制度の施行に合わせまして、えさにつきましても、過去に残留が確認された農薬、あるいは畜産物に残留しやすい農薬、これは全部合わせますと六十種類ございますけれども、この六十種類につきまして飼料中の残留基準を飼料安全法に基づいて定めたわけでございます。

 現在、飼料の残留農薬につきましては独立行政法人の肥飼料検査所におきまして残留分析を行っているところでございますけれども、今般こういう形で基準が定められたということを受けまして、十八年度、六百六十サンプルぐらいを輸入飼料につきましても対象にして残留分析を行い監視をしていきたいというふうに思っておりまして、残留基準値に違反するえさ、飼料が流通することのないように、また畜産物の安全性が確保できますように、私どもとして十分対応していきたいと思っております。

中川(泰)委員 ありがとうございます。

 これは、牛肉とか牛乳の場合はもう明くる日に残留農薬の結果が出ますので、十分に私はチェック体制を厳しくしてほしいと思います。

 最後に、米国産牛肉の輸入再開のため、手続が大詰めを迎えております。再開後の安全確保のため、輸出プログラムの徹底遵守が必要であり、不断の監視が求められております。そして、何よりも国民に不安を抱かせないようにすることが大事であります。

 消費者であります国民は、米国産牛肉が食べても安全であることを強く望んでおります。これ以上、違反牛肉が発見されるという事態は絶対にあってはならないと考えます。米国に対してしっかりと対日輸出プログラムを遵守してもらうよう働いていただくこと、また、国民に対して適切、的確な情報を提供していただくことが必要であると私は考えますが、大臣の御所見をお願い申し上げます。

中川国務大臣 おはようございます。

 今、中川委員御指摘のように、一月二十日に米国産牛肉の輸入を停止したわけでございますが、自来、日本側もそれから米国側も、また、日本が要求してまいりましたことについて、米国側もいろいろと対応しているところでございます。テレビ会議を含めまして、三回高級事務レベルの専門家の会合をやったわけでございます。

 現時点で、まだ現地調査ということでありますが、米国がやるべきこと、それから、水際での検査体制の強化であるとか、あるいは輸入業者に対しての周知徹底であるとか、日本側でもやるべきことをこれからさらに強化してまいりたいと考えております。それを前提にして、日本の家畜衛生条件、日本の法律に基づいた家畜衛生条件がきちっと遵守されて、こういうことが起こらないようにアメリカ側に万全を尽くしてもらいたい、日本側もさらに努力をしてまいりたいと考えております。これが、安全に関するリスク管理機関としての厚生労働省、農林水産省の責務だと思っております。

 中川委員御指摘のように、消費者の皆さんに対しての安心ということも大事だと考えております。その一番のポイントは、きちっとした情報をできるだけ適時適切に提供するということが当然必要であるわけでございます。今までも努めてきたつもりでございますけれども、今後もなお一層努力していきたいと思います。

 今後は、まず調査が終わった後、政府として調査の報告をできる限り国民の皆さんに御説明をするというリスクコミュニケーションという作業が当面必要になってくるんだろうというふうに考えております。

中川(泰)委員 ありがとうございました。

 やはりお肉というのは、大変人間の健康、子供たちの成長や消費者に大事なものであります。それを考えますと、またここで消費者に不安を起こさせますと、結局は健康にも大きく影響してくるということにつながるんではないかと思うことと、それから、消費者だけではなく生産者、日本の生産者にも大きく悪影響を及ぼすと考えております。

 特に、中川農林水産大臣は、畜産の一番大きな北海道の、一番畜産の苦しみを知っておられる大臣であります。どうぞ、今後ともこうしたことがオープンにされて、みんなが安心して食ができる、そういうことになりますようお力を賜りますことをお願い申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

稲葉委員長 次に、西博義君。

西委員 おはようございます。公明党の西博義でございます。

 今現在、アメリカ産の牛肉の輸入手続の再開に向けて作業が進んでおりますが、事前の現地調査、目下行われておりますが、二十三日まで続行される、その後結論が出されていく、このように聞いております。輸入再開に向けて、次の段階に進んだということでございます。その前提として大事なことは、今回のアメリカ産牛肉の脊柱混入事件、この原因について一定の結論が得られた、その上で新しい再開に向けての作業が進んでいる、こういうふうに理解をしておりますが、まず、その結論について、前半若干お尋ねをしたいと思います。

 今回のこの日米間の、事件の原因について、結論が得られたということで進んでおりますが、三月二十八、二十九、この二日間で日米の専門家会合が開かれておる、そこで一定の結論が出ている。インターネットなんかで拝見いたしましても、ごく概略といいますか、概要しか出ておりませんが、その結論は当事者の間では一体どういう結論であったのかということについて、まず説明をお願いしたいと思います。

中川政府参考人 米国産牛肉の輸入問題につきましては、一月二十日の事案の発生以降、米国産牛肉の輸入手続を停止しまして、改めて米国に対しまして、徹底した原因究明と再発防止策を求めてきたわけでございます。また、それとあわせて、消費者の方々への説明も行ってまいりました。

 今回の事案が起きました原因あるいは経緯についてでありますけれども、二月十七日にアメリカ農務省から報告書が出されました。その報告書に基づきまして、いろいろと日米間で質問のやりとりがございまして、三月の末に日米の専門家が東京で集まりまして会議を開きました。その際に、今回の事案の原因ですけれども、認定された施設のマニュアルに、問題の施設、二つの施設がありますけれども、その二つの施設がそのマニュアルどおりしなかった、マニュアルに従わなかったということと、それからあわせまして、それを食品安全検査局の検査官が見逃した結果発生したものであるというふうにアメリカ側から説明があり、両国で確認をしたわけでございます。

 こういうことを踏まえまして、マニュアルをもう少し丁寧にきちっとしていれば今回のような事案を防ぐことができた可能性は高まったというふうにアメリカ側も認めたということでありまして、やはりそこはマニュアル等きちっとやっていけばこういった事故の再発は防げるというふうなところについて、両国で共通の認識を得たということでございます。

西委員 この点で一点だけ確認をさせていただきたいと思うんですが、そのマニュアルは、アメリカ農務省そのものの基本的なマニュアルがもう少し具体的であればよかったというふうにおっしゃっているのか、それとも、そのマニュアルをもとにした個別の処理の事業所の詳細なマニュアル、これがもうちょっと詳細に書いてあればこの問題が起こらなかった、こういうふうに理解していいのか、どちらなのか、ちょっと教えていただきたいと思います。

中川政府参考人 それは、ある意味両方でございます。

 一つは、マニュアル自体は各個別企業ごとにQSAマニュアルという形で整備をすることになっております。それが、日米間で合意されたEVプログラムできちっとそういった中身が担保できるかどうかということを認証、認定の際に判断をするのは、農務省のAMSの職員でございます。

 ですから、その問題意識は両方が持たないといけないということでございまして、当然、現場では、個々の企業のマニュアルもより精緻なものにしていく必要があるし、そのことを、認定をする際に、あるいは定期的な査察の際に、AMSの検査官もそういう問題意識できちっと見ていく必要があるというふうに思っております。

西委員 よくわかりました。

 今回のいわゆる事件の原因として、その問題の施設が、このQSAマニュアルに従わなかったと先ほどおっしゃっていただきました。それから、検査官が認定施設であることを知らなかったためにきちっと探知できなかったという問題があるというふうに思います。

 実は、この三月二十八、二十九の専門家会合の直前、三月二十三日にこの農水委員会が開かれておりまして、大勢の委員の方から問題点がいろいろと指摘されております。私も、そのときに何点か指摘をさせていただきました。そのことについて、その当時はまだ結論が出ていませんでしたので、若干お尋ねをしたいと思います。

 まず、農務省とゴールデン社の間で混乱の原因となった出荷の申告書でございます。

 出荷申告書が必要と指導されたとするゴールデン社と、それからそんな指導はしていないという農務省との間の意見の食い違いがあったというふうに指摘をさせていただきました。内臓の出荷に関してもこれは食い違いがございまして、ゴールデン社がアトランティック社に内臓を間違って出荷してしまった理由、さらに、脊柱の除去に関してはアトランティック社で除去するという取り決めになっておりましたが、これを除去しなかったという理由が不明でございました。これらのミスをどのように総括されたのか。先ほど、人為的なミスだということでの結論は出ておりますが、より詳細なことがわかっているのかどうか。

 また、ゴールデン社、アトランティック社に関しては、他に、アメリカ農務省の監察官組織、OIGの調査が別途行われているというふうにお聞きをしておりますが、これはどのような角度から調査をされているのか、専門家会合で一応原因が合意をされたということとこのOIGによる調査というのはどういう関係にあるのかということも含めてお尋ねをしたいと思います。

中川政府参考人 今回の事件の原因につきましては、先ほども申し上げましたが、問題の二施設において、認定されたマニュアルに従わなかったということと、それから、先生御指摘になりましたように、施設の検査官が不適格品の出荷を見逃した、そういった人為的なミスがその一義的な原因であるというふうに認識をしております。

 こういったことが起こる背景としまして、当該地域、これはアメリカの東部でありますが、この地域にこの施設のほかに日本向けの、対日輸出認定施設がなかったというふうなこと、それから、この二施設は米国で初めて子牛肉を扱う対日輸出認定施設であったというふうなこと、それから、屠畜場とその後の部分肉加工施設が二つの施設として分かれていたということも重なった、そういう背景事情があったというふうに考えております。

 こういう、いろいろ直接的な原因それから間接的な背景の事情というのはあるわけでありますけれども、先ほどの三月の日米の専門家会合におきまして米国側から、当時の判断としてはそのときの手続に従って認定が行われたものではあるけれども、今から振り返ってみれば、施設が品質管理のために必要とします手順書がより具体的、現実的なものであったとすれば、今回の事案を防ぐことができた可能性は高まっていた、先ほど申し上げましたが、そういう見解が示されたわけでございます。この認識を踏まえまして対日輸出プログラムの遵守のための改善措置が今講じられている、アメリカ側もチェックをしましたし、日本からも今現在行ってその確認をしているということでございます。

西委員 さらに、五月の十七日から開催されました日米の専門家会合、ここで、アメリカ農務省の農業販売促進局、AMSの監査結果の報告書が示されております。その報告書、先ほども他の委員から指摘がありましたけれども、不適合事例というのが出ております。特に重要度の高い不適合事例が幾つか指摘されておりまして、中には、今回の事件の原因とも言える、混入に至る可能性のある分別管理に関する問題も幾つか指摘されておりますので、対策がきちんと講じられるように厳しくアメリカ政府に要請をしていただきたい、こう思っております。

 さて、今回の脊柱混入事件の原因や五月の報告書が示すところは、事業者に対していかに品質システム評価、輸出証明、これはQSA、EVですが、プログラムを遵守させるかが日米両政府の共通の課題となっているのではないかというふうに私自身は考えております。

 これまで、アメリカの農務省との会議や報告書などを通じて、アメリカの行政上の問題を含めてさまざまな検証を進めてきたと思います。検証を進めてきた結果、行政上の問題はあったのか、それから問題を解決するための課題は何か、これらの点について総括的に農水省の基本的な考え方をお聞きしておきたいと思います。

中川政府参考人 失礼しました。先ほどの先生の御質問の中でOIGの調査中の話、お答え申し上げるのを落としてしまいました。

 今やっておりますこのOIGの調査は、今回の一月二十日の事例に関しまして民間企業においてとられた措置がアメリカの司法上の訴追が必要かどうか、そういう観点から行われている調査というふうに私どもは理解をしております。したがいまして、その結果が明らかになりましたら、これは米国司法省の担当官の方にこのOIGの方から提供される、そういう性格の調査というものでございます。

 今先生がお尋ねの点でございますけれども、今回の事件を踏まえまして、やはり再発を防止するために、アメリカ側でも幾つかの新たな措置が講じられてきております。

 幾つか例を申し上げれば、それぞれの輸出施設におきまして製品のリストをきちっと作成し、そういうこともマニュアルに明記をするというふうなこと、それから、AMSが、それぞれの企業から、対日輸出が行われます際にその輸出のリストをAMSの方に提出させて、先ほどのそれぞれの施設ごとの製品リストと、今回輸出しようとする、申請書に載っている製品のリストがちゃんと合っているかどうか、そういうふうなこともチェックをする、あるいはまた、これはもう基本的なことでありますけれども、対日輸出施設の役職員に対して対日の条件をきちっと周知しているかどうかというふうなこと、その辺の確認もしてきたわけでございます。

 そういった新たな措置が本当にできているかどうかをアメリカは、四月から五月にかけて三十五の施設について再調査、レビューを行ってきております。若干軽微な問題が幾つかあったということが指摘をされましたけれども、この点についても五月末までにそれぞれ改善されたという報告も受けておりますし、こういったアメリカ側のとってきた措置に加えて、今度、私ども日本側が現地調査をして確認を行うということであります。

 そういう、それぞれ丁寧なステップごとの措置をとることによりまして、食の安全が確保でき、また、今回のような事件が二度と起こらないように対策をとっていくことといたしております。

西委員 ありがとうございます。

 ゴールデン社の例でいえば、肉は輸出してもいいけれども内臓の輸出はいけなかった、さっき若干お話がありましたけれども、それぞれの施設ごとに、輸出をしていいパーツ、部位と、してはいけない部位が、全部じゃないかもしれませんけれども異なっている、こういうことのようです。聞けば、日本に輸出できるすべての部位をすべての会社が出しているということじゃなくて、むしろ特定の部位を出している会社の方が多いというふうにもお聞きしました。日本向けの輸出が、Aという会社ではこのパーツはできる、しかしこのパーツはできない、こんな取り扱いがそれぞれの会社によって異なってくる。

 そうなってまいりますと、どう分別して管理をして出荷するかということが一番大事になってくるのではないかというふうに思います。その観点からすると、混入したりということがないように、やはり行政上の認定のあり方について格段の改善の工夫が必要であろう、こういうふうに思います。また施設においても、分別管理ができるように今どういうふうな改善をしようとしているのか、このことについての御報告をお願いしたいと思います。

松本政府参考人 米国の対日輸出認定施設におきましては、対日輸出可能品目の分別管理ということにつきまして文書化した手順をとるということとされておりますが、そういうことが不十分で一月二十日の事件が起きたわけでございます。

 その一月二十日の事案を受けまして、米国側が行う改善措置といたしましては、まず、対日輸出認定施設におきましては、施設からの対日輸出が可能な製品のリストを作成して、これを当該施設のマニュアルに明確に記載するということ、また、米国農務省といたしましては、対日輸出認定施設ごとに対日輸出が可能な製品のリストを管理して、当該施設からの輸出または出荷に先立って、このリストに基づいて輸出または出荷をしようとしているか、製品が輸出可能かどうかを確認するということとされております。

 この点につきましては、現在、米国に調査チームを送っておりますけれども、実はこういう点がちゃんとなされているかということを検証しているところでございます。

 また、再開後の話になりますけれども、日本側におきましても、米国農務省から当該リストの提供を受けまして、輸入時に水際で、輸入された製品がその施設から対日輸出可能であるかどうかということを必要に応じて確認するということで、水際での対策も強化していくということを考えております。

西委員 それぞれの、出荷する側のチェックと日本の水際でのチェック、同じリストに基づいて再度チェックをしていく、こういうシステムをきちっと実行していこう、こういう趣旨のようにお伺いいたしました。

 次に、これも過去に起こった事例のことに関してですが、管理公衆衛生獣医官と地域事務所の副所長が認定を知らなかったという問題のほかに、地域事務所の副所長が管理公衆衛生獣医官に対して、研修とは異なって、直接検査ではなく書類点検だけを指示していた、これも一つの問題点として挙がっておりました。

 どうして地域事務所の副所長が本来の役割、研修とは異なる仕事を指示したのかということがわかっていなかったんですが、事実関係が明らかになったのかどうか、お伺いをしたいと思います。手順どおりやっていなかった、こういう一言で済ませば済ませられる問題だと思うんですが、お願いします。

 あわせて、農務省の食品安全検査局の検査官、総数がこの間委員会でも若干明らかにされたと思うんですが、その構成、配置について、例えば、副大臣の皆さんが視察されたような大規模な施設、これはどれぐらいの検査官が配置されているのか、もし大ざっぱな数字でもわかれば、どの程度の規模かということをお教え願いたいと思います。

松本政府参考人 米国側の調査報告書と、また、それに対しまして日本側が照会した事項に対しまして米国側が回答したことによりますと、当該公衆衛生獣医官が地域事務所副所長から、検査証明に当たって検証や記録確認が必要ないと言われたと発言されたとしておりますけれども、その発言の趣旨ですとか背景等は明らかとなっておりません。

 一方で、地域事務所副所長が適切な情報提供をしなかったために、農務省食品安全検査局、FSISの担当検査官は対日輸出プログラムを知らなかったということが明らかになっておりまして、当該事案が発生した原因の一つということにされております。

 いずれにしましても、このような検査官のEVプログラムの理解に関する問題点につきましては、米国農務省におきまして、FSIS検査官に対します研修の実施という是正措置が講じられているというところでございまして、先ほど申し上げましたけれども、この点につきましても、現在調査チームを送っておりますけれども、このような研修が適切に実施されているかどうかについては検証をしています。

 また、検査官の配置状況でございますが、米国の牛を処理する施設に配置されている検査官の数につきましては、昨年十月現在で、獣医官が六百三名、検査官が千八百二十五名ということでありまして、各施設には、処理頭数に応じた獣医官を含む検査官が配置されておるということを聞いております。一日の処理頭数が五千頭を超えるような非常に大規模施設の場合には、三十名程度配置されているというぐあいに聞いております。

西委員 一問残して終わることになりますが、世論調査によりますと、アメリカ産の牛肉が輸入再開された場合に、食べたくないという人が七一%、女性ではもう八一%というようなデータも出ているようです。これは食の安全、安心に対する国民の強い関心のあらわれでもあるというふうに私は見ておりますが、消費者の選択ができるだけできるように、原産地表示その他の表示の問題と、それから、これから再開に当たっての国民の皆さんへの的確な情報提供をきっちりやっていただきますようにお願い申し上げまして、大臣にも答弁をお願いしたかったんですが、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

稲葉委員長 次に、川内博史君。

川内委員 民主党の川内博史でございます。

 きょうは、BSE問題、米国産の牛肉の輸入手続再開問題について質問させていただきますが、その前に、農水省、農水大臣もその責任を指摘された、六月七日に東京地方裁判所で判決が出ましたドミニカ共和国への移住者問題について、冒頭で若干お尋ねをさせていただこうというふうに思います。

 御案内のとおり、このドミニカ移住者問題、そしてその訴訟は、東京地方裁判所の判決で、外務省、農水省、すなわち政府の法的責任、加害行為責任を認定しております。除斥期間の経過によって原告の請求権は消滅をしたというふうにされているわけでございますが、しかし、小泉総理はこの東京地裁の判決を受けて、国民の皆さんに対してはマスコミを通して、実質敗訴ですねということをおっしゃっていらっしゃいますし、その前には、平成十六年の国会、参議院の答弁では、国に反省すべき点が多々あったということも答弁をされていらっしゃいます。

 そして、総理は、今月二十九日、七月二十九日にドミニカ共和国のサントドミンゴで行われますドミニカ移住五十周年記念式典をドミニカの移住者の皆さんが快く迎えることができるようにしてもらいたいという指示を事務方に出しているというふうにも聞いております。

 この六月七日の東京地方裁判所の判決、恐らくこの農水委員会の先生方でお読みになられた方は数少ないと思いますので、政府の責任を指摘している部分を若干読み上げさせていただきたいというふうに思います。

   ドミニカへの第一陣送出に至るまでの過程

  昭和三十年九月に現地調査をした吉岡調査団は、それまでにされていた視察の結果等からすると、日本人移住者の入植予定地の農業適性について十分に調査する必要があったが、これを尽くさなかった。ドミニカ政府との間の受入条件に関する交渉においても、細部の詰めを十分にしないまま、検討を進めた。

  また、現地公使館は、ドミニカ側から、ダハボン地区への入植について、灌漑用水の確保等の関係で難色が示されたにもかかわらず、そうした状況について十分に調査することなく日本人移住者であれば対処できるとして、早期の移住の実現を強く働きかけた。

このようなことが指摘をされておったり、

 募集要領及び募集要項には、これらの制約が課せられることについて、具体的な記載が一切されなかったり、不十分な記載しかされなかった。

このように、政府のさまざまな法的責任が判決文の中で認定をされております。

 これに伴い、外務大臣そして農水大臣にも、これらの行政事務を統括していたのだから、職務上の法的義務違反があったということを同時に判決文の中で書いております。

 ここで、中川農水大臣にお伺いをいたします。

 この六月七日の東京地裁判決を受けて、さらにその後の小泉総理の発言並びに指示を踏まえて、ドミニカ移住者問題について御見解を承りたいというふうに思います。

中川国務大臣 日本人の方々がドミニカに移住して大変苦労をされて、一部の方は御帰国なさった、一部の方は歯を食いしばって頑張ってきた、そしてそれから五十年たったということでありますが、私も、数年前から国会の御審議、とりわけ参議院での尾辻議員の御質問を何年か聞いておりまして、本当に気の毒だなと率直に思っていたわけであります。行ってみたら、土地は原野であり、しかも石ころがごろごろしていてとても行った人たちが簡単に除去するような状況ではない、水も満足にない、あるいは、ドミニカの政治状況のいろいろな変化の中で、経済的にもまた社会生活面でも大変御苦労されている、何とかできないものかなと率直に私は思い続けていたわけであります。

 今回判決が出た。判決は、川内委員も御指摘のとおり、また総理の御判断のとおりで、私は、実質的には敗訴だろう、つまり損害賠償責任はあると。ただし、法技術的に除斥期間の問題があって、形式的には原告側の敗訴になってしまった。御高齢の方も大勢いらっしゃる、今でも苦労されている方がいらっしゃるわけでありまして、何とかできないかな、法を超えて、和解という手段もあるかもしれませんがと思っていたところ、総理の方から、これは実質的敗訴である、何とかできないかということでございます。

 いろいろな環境の中で、外務省が窓口になってやったわけでありますけれども、農林水産省としても現地調査に行って、多少石はあるけれども少し除去すれば何とかなりますよとか、水も工夫すれば確保できますよというような農業指導を過去においてしたという話も聞いておりますので、私は、農林水産省のこの問題に対する責任がやはり大きいというふうに思っております。

 行った以上、やはりそこを援助するあるいは支援するというのは、農業ですから、農林水産省の支援という役割が非常に大きいわけで、実際に、さっきの石とか水の問題については、全くそれは想像を絶するものであったということについては、私は、農林水産省、昔の人のことを言うつもりはありませんけれども、省としてまた現在の最高責任者の私としても、本当に申しわけないことだというふうに思っております。

 各党もいろいろとこの問題を御議論いただいているようでありますけれども、政府としても外務省初め関係省庁とよく協議をしながらできるだけ、この五十年というのは私が生まれたか生まれないかぐらいの昔の話でありますから、長い長い年月の間御苦労をされてやっと裁判に行った、でも裁判に行ったらある意味では却下みたいな話になっちゃったわけでありますから、そういう御苦労に対してせめても何ができるのか、金額の問題あるいはそれ以外の問題も含めて早急に、つまり、川内委員御指摘のように、七月二十九日の移住式典前に、百点の御満足をいただけるかどうかは別にして、誠意を持ってできるだけの対応をするのがやはり政府の責任であろうというふうに考えておりますし、農林水産省としてもその中で果たす役割は大きいというふうに考えております。

川内委員 ありがとうございます。

 次に、塩崎外務副大臣にもきょうはお運びをいただいております。

 この六月七日の東京地裁判決を受けて、同日に麻生外務大臣が外務大臣談話というものを発表されていらっしゃいます。今、中川農水大臣は大変誠実に、移住者の皆さんに大変申しわけなかった、申しわけないことをしたということを率直に謝罪されたわけでありますが、しかし、同日、六月七日に発表された外務大臣談話には、反省という言葉も謝罪という言葉も入っておらない無味乾燥な文章であります。

 しかし、これは判決の日に出された談話であります。その後、このドミニカ移住者問題について、外務省として正式なコメントというものが出されたということは聞いておりませんが、今現段階で、小泉総理の実質敗訴であったという言葉、あるいは七月二十九日の記念式典を快く迎えていただかなければならないという御発言、さらには、ただいまの中川農水大臣の大変申しわけなかったという御発言等を踏まえて、この移住者問題を主管されてきた外務省として、移住者の皆さんに反省と謝罪をこの場で申し述べていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

塩崎副大臣 川内委員に時間の関係で御無理を申し上げたことを、まず感謝申し上げたいというふうに思います。

 このドミニカ共和国日本人移住者損害賠償請求の判決につきまして、今中川大臣の方からお話がございましたが、外務省としても基本的に全く同じ考えでおるということをまずもって申し上げたいというふうに思うわけであります。

 今御指摘のございました麻生大臣の当日判決の日の談話につきましては、御指摘のとおり、やや温かみを欠くのかなという感じを今見ると私自身もするわけであって、やはり昭和三十一年から三十四年までのこの移住事業において、事前調査や情報提供が十分じゃなかったということは今中川大臣から御指摘のとおりだと思います。

 そういう点をやはりこの判決の中で、除斥期間の問題でこういう形になったといえども、重く受けとめ、そして移住者の方々に多大な苦労をおかけしてしまったということは、はっきり外務省としても深く反省すべきであろうというふうに考え、今後の対応策については、今もお話が出ました二十九日の式典に間に合うように、これまでの国会での審議あるいは裁判の経緯を踏まえた上で、今御指摘がございました、そしてまた中川大臣からもお話し申し上げたような点を含めて、移住者との対話を特にしながら、今後の日系人社会全体の利益に資するような具体的な支援策を講じてまいりたい、このように考えているところでございます。

 いずれにしても、二十九日の式典の開催に当たって、先人の御苦労と誇りを次世代へと語り継ぐような貴重な機会としてとらえて、移住者の皆さんが気持ちよく迎えられるように、政府としてもできる限りの努力をしていきたい、このように思っております。

川内委員 私も、初当選以来十年間、このドミニカ移住者問題にかかわってまいりまして、実は、尾辻先生が超党派議連の会長で、私が事務局長でずっと移住者の皆さんをサポートしてきたものですから、この問題については、先ほどここにいらっしゃった鳩山邦夫先生にも議連の副会長をお引き受けいただいたりしているんですけれども、当時、農水省、外務省が責任を指摘されているわけですが、第一陣を送り出したときの内閣は鳩山一郎内閣でございまして、そういう意味では、鳩山内閣のときの責任をしっかり果たすということで、鳩山邦夫先生にも御尽力をいただいているところでございます。

 移住五十周年、五十年という時間というのは、一言で言うと四文字で終わってしまうわけでございますが、しかし、その長い長い年月の中で、自殺をされた方あるいは殺された方、本当にさまざまに苦労していらっしゃる。移住者として、農業移民として成功している人は一人もいないという状況であります。もちろん、皆さん優秀ですから、選抜されて、試験されて選ばれてドミニカに送り込まれていますから、人間としては非常に優秀な方たちが行っているので、苦労して苦労して頑張って別なところで成功している人はたくさんいらっしゃいますよ。しかし、農業移民として成功している人は一人もいない。そのぐらい過酷な運命に五十年間さらされたんだということを踏まえて政府としても御対応していただきたいというふうに思いますし、私自身も、議員側として、また政府といろいろとお話をさせていただきたいというふうに思っておりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

 それでは、米国産牛肉の輸入手続再開問題について質問をさせていただきます。

 まず、中川大臣、私、六月六日のこの農水委員会で、米国における飼料規制の強化、そしてサーベイランスの拡大、継続を、日本政府の要望事項として日本政府から米国政府に対する年次改革要望書に記載すべきであるということを申し上げたわけであります。

 そうしたら、中川大臣は、私が言ったことは政府の公式見解である、当然、そういうふうに文書においても今後きちっとやっていかなければいけないというふうに思っております、そうしますというふうに明確に御答弁をいただきました。日本から米国に提出する年次改革要望書の中に、飼料規制の強化、サーベイランスの拡大、継続を盛り込む、載せるということを明確に答弁されました。

 そこで私は、その中川大臣の答弁を閣議決定文書に載せなければならないというふうに思いまして、私が得意としております質問主意書でこの答弁内容の確認を求めたわけでございます。そうしましたら、その質問主意書の答弁書では、「米国政府の検討状況を注視しつつ、適切に対応してまいりたいと考えている。」これはまた「考えている。」がついて、この「考えている。」というのがついた場合は、この前問題となった答弁書と同じように、特定の具体的な行動を指し示すものではないというふうに後でまた言い逃れのできる言葉なのかなというふうにも思ったりするんですが、そういう意味では、まことに不明確な答弁書になってしまったのではないかというふうに思います。

 そこで、改めて中川大臣に確認をさせていただきますが、食品安全委員会の十二月八日の答申にもはっきりと書かれている、結論への附帯事項として記載されている飼料規制の強化、そしてサーベイランスの拡大、継続については、ことしの年次改革要望書、日本からアメリカに申し入れる年次改革要望書に記載するということをここでもう一度、やるということを御答弁いただきたいというふうに思います。

    〔委員長退席、二田委員長代理着席〕

中川国務大臣 六月六日でしたでしょうか、川内委員からの質問に対して、私、そういうふうにお答えいたしました。

 ただ、前提があることは川内委員も御理解いただけると思いますが、附帯意見に基づいて、私、何回もジョハンズ農務長官にも申し上げておりますし、それから事務的にも言っているわけでございます。

 アメリカ側でも、一部サーベイランスについて、あるいは飼料の交差汚染等の防止の観点からの改善についてアメリカ側で検討しているという話も聞いておりますので、その要望なり検討が、次の年次要望書を日本側が出すまでに何らかの改善があれば、我々が納得するような改善があれば出す必要はないわけでございます。依然として何もやっていないとか、あるいはまた改善が我々が望んでいるレベルに達していないということであれば、次のアメリカに対する年次要望書にこれを要望事項として記載しますということを申し上げたわけでございます。

 ですから、質問主意書にお答えした中にも、今後のアメリカの状況を見つつ適切に判断しますというのは、改善されていれば要望する必要はないし、改善していない、もしくは不十分であれば、当然これは要望の中に入れていくということでございまして、川内委員からの質問主意書でございますから、とりわけ私も直接内容をチェックした上でそういうふうにお答えさせていただきまして、趣旨は全く、私が国会で答弁をしたことと、質問主意書において、何か条件がついているように読めるかもしれませんけれども、それはアメリカ側の対応の変化の様子を見ながら、やる必要があると思えば、当然これは要望していくということでございます。

川内委員 くれぐれもよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 それでは、次の論点でございますが、同様に六月六日の本委員会で私が指摘させていただきましたけれども、昨年の十二月の食肉加工処理施設の詳細な調査結果報告書の件でございます。

 黒塗りがたくさんあったわけでございますが、少なくとも、その調査結果報告書の中の、検査官の数あるいは獣医官の数、歩行困難牛や神経症状牛が何頭いたかなどについての情報は公開をすべきではないかということについてアメリカ側に対して申し入れていく、相談をしていくというふうに御答弁があったと理解をしておりますが、どのようなアクションをおとりになられたのか、お答えをいただきたいというふうに思います。

松本政府参考人 昨年の十二月に行いました日本側による米国側の対日輸出認定施設の査察報告書、確かに委員御指摘のとおり黒い部分が多かったということでありますけれども、これは、公表することによりまして、調査対象施設になったものの権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあること、または米国との信頼関係が損なわれるおそれがあること、また今後の調査が困難となるおそれがあること等から、米国側に対し開示の範囲について確認を行って、その結果、了解が得られたすべての情報について開示したところであります。

 しかしながら、厚生労働省といたしましては、公にしても競争上の地位等を害するおそれがないと考えられます対象施設の企業内情報や、米国政府との協議内容に該当しない可能性がある、各施設のFSIS、食品安全局の検査官の人数ですとか、日本向け品質評価システム、QSAプログラムの概要や処理工程など、企業内情報のうち、一般的に行われると考える事項について開示することについて米国側に検討を要請したところであります。

 四月二十七日に要請を始めまして、最近のところでは、六月二十四日に事前調査チームが行っておりますけれども、六月二十四日、米国での現地調査開始時の米国側との会議におきまして、厚生労働省の担当官から農務省の担当官に要請しておりますし、昨日も、厚生労働省の担当官から米国大使館の農務官に対しまして、早く回答してくれということで督促を行ったところでございます。

    〔二田委員長代理退席、委員長着席〕

川内委員 担当官から担当官へ検討を要請しているということでございますが、それは口頭で要請をしているということですか。

松本政府参考人 口頭で要請しております。

川内委員 私のつたない経験で申し上げますと、大臣、私もいろいろ農水省さんや厚労省さんを通じて米国側に対して資料要求をさせていただくんですが、口で言っている間はなかなか回答が返ってこないですね。

 ですから、文書で出すと大体、正式なものだという認識になるのか、あっという間に回答が来るというふうに、私は大体今までの経験上そう感じているんですけれども、口頭で要請をするのではなく、これらの情報については開示をしたい、開示をしますということを文書で米国側に対して伝えるべきであるというふうに思いますが、いかがでしょうか。

松本政府参考人 一番最初のときには書面で要請しておりますが、その後は口頭で、回を重ねるごとに、これまで何回でしょうか、少なくとも四回以上口頭でやっておりまして、今後も、一応、最初に書面で出したので早く回答してほしいということで強く要請していきたいと思っております。

川内委員 一番最初は書面でやったというのは、済みません、ちょっと具体的に教えていただけますか。どういう形で、どういう書面で、どういう書きぶりで要請されたのかということを。

松本政府参考人 公表したのが四月二十七日だったと思いますけれども、そのときに、まだ開示するべき部分があるじゃないか、そういう御意見もございましたし、当方としても、先ほど申し上げましたような点がありますので、在京の米国大使館あてに、各施設のFSISの検査官の人数、日本向けQSAプログラムの概要等々について、開示可能な情報について開示していただきたいということで要請をしたところであります。

川内委員 それは、だれの名前で、だれあてに書面で出したんですか。

松本政府参考人 担当しております監視安全課から、在京米国大使館の農務省スペシャリストに書面を送付したということでございます。

川内委員 書面を送付したなんて、何かちょっと自信なげに答えていますけれども、書面を送付したというのはどういう意味ですか。

松本政府参考人 手元にありますのは送付したというところでありまして、直接手渡したのか郵送したのかどうかについては、ちょっとはっきり手元にありませんけれども、とにかく送付したということであります。

川内委員 いや、ですから、国民の皆さんの食の安心と安全にかかわる重大な問題である、その認識のもとで、米国政府に対してしっかりとしかるべき方からしかるべき方に文書で申し入れをする、そういう一つ一つの作業をしっかりとやっていただきたいというふうに思います。

 大臣、ここのところ、水俣病の関西訴訟の最高裁判決やじん肺訴訟、さらには厚木基地の騒音訴訟、先ほどのドミニカの訴訟もそうですし、肝炎訴訟もそうですし、行政の法的責任を認定される、指摘をされる裁判というものが立て続けに起こっておりますよね。

 そういう中で、このBSEの問題というのは、例えばこれはイギリスの動物保健研究所が発表した実験結果ですけれども、イギリス内においては最大で一万四千人が変異型クロイツフェルト・ヤコブ病に感染している可能性があるという研究結果を発表されておりますし、さらには、アメリカのFDAが発表した文書の中には、アメリカの飼料企業、えさの会社が、反すう動物のたんぱく質入り牛用の飼料、要するに、レンダリングされた後の牛脂などを、またそのまま牛に直接、反すう動物から反すう動物に使っていた事例がある。つい最近ですよ、つい最近もこういう違反事例があるということをFDAが発表していたりします。

 そういう状況の中で、この牛肉の問題を論じるに当たっては、私は、行政側は細心の注意を持って仕事を運んでいかなければ、後々また大変なことに問題が発展をするのではないかということでこれだけ申し上げているわけでございまして、改めて申し上げますが、この調査結果報告書の中の黒塗りの部分で日本側が情報を開示すべきであると考える部分については、しかるべき方がしかるべき方に対して文書でしっかりと申し入れをする、あるいは通告する、要請ではなくて、もうしますよということをしなければならぬというふうに思いますが、もう一度御答弁をいただけますでしょうか。

松本政府参考人 委員御指摘のように、この食品の安全ということにつきましては真摯な態度で取り組んでおりますし、また、この米国の牛肉の問題につきましては、しかるべき者から文書でというお話がございましたけれども、私も、米国の公使が来たときに、まず冒頭にそのことを申し上げて、強く何回も来るたびに申し上げているところでありまして、引き続きその形で進めさせていただきたいと思っております。

川内委員 いや、真摯にやっていないなんて私は一言も申し上げていない、真摯におやりになっていらっしゃるというふうに思います。さらにその上で、こういうふうにした方がいいのではないかという御提言を申し上げている、あるいは御指摘を申し上げているわけですから、そのようにされた方が米国からの回答も早く来ると思いますよ。ぜひ一度やってみられたらどうかなというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 それでは、時間もだんだん押してきましたので、次の話題に移らせていただきます。

 七月二十一日に、今現地に調査に行っていらっしゃる方々の調査が終了するというふうに聞いておりますが、この七月二十一日に調査が終了した時点で、何を調査したのか、どのように調査をしたのかということについて、私ども国民に向けても明らかにしていただきたいというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。

中川政府参考人 今回の現地調査の結果につきましては、具体的にどういう形で取りまとめるかはまだ今検討中ではございますけれども、できるだけ早く取りまとめをし、また、国民の方々、消費者の方々初め、今後、その結果については明らかにしていきたいというふうに思っております。

川内委員 では、何をもって調査結果とするのかということでございますが、昨年の輸入再開時には、私どもには、多分三枚紙か四枚紙ぐらいの調査結果の概要みたいなものを調査結果としてお示しになられ、調査結果の詳細な報告というのは、ことしの四月になってから黒塗りの報告書が明らかにされたわけでございますが、今回のこの輸入手続の再開に当たっての調査結果とは、詳細な調査結果ではなく、調査結果の概要のことを調査結果というふうに呼ぶのかということを御答弁いただきたいと思います。

中川政府参考人 先ほど申しましたように、今まだ現地で調査が継続中でございます。その結果も十分わかりませんので、どういう形で取りまとめをするか、先ほど申しましたように、私どもまだ成案を得ておりません。確かに、十二月のときには、概要とその後の詳細なものと二種類でございましたけれども、今回それをどういうふうにするのかということも含めて、これからきちっと中で検討していきたいというふうに思っております。ただいま現在、どうするということを申し上げる段階にはまだございません。

川内委員 では、先日の局長級テレビ会合で取りまとめをされた文書の中に、「輸入手続の再開」として、三ページですが、「日本政府は、現地調査終了後、調査結果を速やかに米国政府へ通報する。」というふうに書いてあります。

 この場合の調査結果というものが概要なのか詳細なものなのかについては、まだ政府としては方針を固めていないということでよろしいですか。

中川政府参考人 このまさに三ページの文字どおりでございまして、結果については米国に速やかに通報するということになっておりますし、そのようにする予定でございますが、その中身、どういう様式でやるかというふうなことについてはまだ決めておりません。

川内委員 そうすると、中川大臣、農場調査チームも今回出ているわけですが、飼料調査をしたりとか。先ほど私が申し上げたとおり、アメリカのえさの会社が牛から牛へのたんぱく飼料を売っていた。そしてまた、それを使っている農場もあった。これはアラバマ州の工場でございますけれども、このアラバマ州の工場で二〇〇五年の八月から二〇〇六年の六月まで製造された飼料が、ジョージア、ケンタッキー、ミシガン、フロリダ、アラバマ、テネシー、ミシシッピ、カリフォルニア、ルイジアナの酪農農場に売られた。これらは本来は禁止されている牛―牛のたんぱく飼料であったということでございまして、これらの調査などは十分にしなければならないというふうに私は思います。

 そうすると、この調査結果なるものは、昨年の十二月の反省を踏まえれば、昨年の十二月の調査結果、我々が見せてもらった調査結果には、何にも問題ない、問題ありませんと、幾つか指摘事項はあったわけですけれども、基本的には問題ありませんということが書いてある。そして、あっという間に一月二十日に脊柱入りのお肉が日本に送られてきたということになったわけでございます。

 そういう意味では、今回の調査結果については、前回の失敗、前回の反省を生かすとすれば、ただ調査チームが見てきて、大体大丈夫ですねということを調査結果報告とするのではなくて、詳細にきちんと文書にまとめて、詳細なものにまとめて、さらにそれをみんなで議論した上で、大丈夫かあるいは大丈夫じゃないのかということを判断すべきであるというふうに思いますが、大臣の御見解はいかがでしょうか。

中川国務大臣 まず、今、川内委員御指摘のように、牛のえさに牛を与えてはいけないというのは、これはアメリカ側でももう既に禁止されているわけでございます、今御指摘のとおりであります。ですから、これはもう日米の家畜衛生条件であるとかEVプログラム以前の話でございますから、これはもうあってはならない、これはアメリカの中においても既にあってはならないことでございます。これが、まず一つあるということであります。

 それから、現在、三チームが全米三十五カ所、鋭意調査をしておりますが、御指摘のように、農林水産省の査察官は牧場にも行って調査をしております。また、宮腰副大臣もそこに行かれて、専門家ではないけれども、全体の調査状況について、きちっとやっているようだという御報告も私も受けているところでございます。

 先ほどの、冒頭の質問主意書あるいは年次要望書とも関係してまいりますが、これはあくまでも附帯事項であるということで、本来の輸入条件、あるいはEVプログラムの、この再開の前提条件ではない。前提条件ではないけれども、附帯意見がついており、我々はそれに基づいて、私もジョハンズ農務長官にも何回も要望し、それが万が一できない場合には年次要望書にきちっと要望をするということでございまして、そのことと今回の再開とも必ずしもイコールではない、同時期ではない、このことは私はぜひ御理解をいただきたいと思います。

 しかし、御指摘のように、昨年の査察、もっときちっとやっておけばよかったではないかという御指摘、今から、そういう御指摘をいただいている以上は、全施設を見なければ次のステップ、つまり国内手続あるいはアメリカへのいろいろな協議等々が進んでいかないわけでございまして、その段階でアメリカに調査結果について報告する内容が概要なのか詳細なのか。詳細といっても、一字一句すべてということに、どの程度が詳細なのかということもある意味ではなかなか定義するのが難しいわけでございますけれども、聞くところによりますと、調査中の段階でも、ここはどうなのかとか、ここはこうすべきではないかというようなやりとりを現在進行形で既にやっているということも私は聞いております。

 いずれにいたしましても、何をもって概要とするか、何をもって詳細とするかについては、今、中川局長が、どちらとも決めていないという答弁をいたしました。確かにその範囲が、詳細がこのぐらいでサマリーになるとこのぐらいか、それでは、このぐらいはどのぐらいなのかというところは、なかなか定量的にはかりにくいということも細かく言えばあるんだろうと思います。

 いずれにいたしましても、調査したところについては、結論的にイエスかノーかということについては、これはもう概要であろうが詳細であろうが、結論は詳細と概要が違っちゃったらこれはとんでもないことになるわけでございますので、結論が違わないという前提で、今その範囲内でどういうふうにしていったらいいのかということをまだ決定していないということで、これは最終的に二十日前後までの三十五カ所の調査が終わった段階で厚生労働省と農林省の専門家が判断をし、最終的にはリスク管理機関の責任として、どういう形でアメリカ側に通報するかということを今後考えていきたいというふうに考えております。

川内委員 それでは、さらに、この局長級テレビ会合で認識が共有された文書についてお伺いをさせていただきます。

 「米国側の措置」の「2農務省農業販売促進局(AMS)の措置」として「(1)AMSは、対日輸出を行おうとする施設の認定に当たり、マニュアルが適正なものであるか、当該施設の役職員が対日輸出プログラムを十分に理解しているかを確認する。当該施設を担当する検査官の研修が終了した後に、初めて当該施設の認定が行われる。」と書いてあります。

 これはどういう意味なのか。改めて施設認定をやり直すという意味なのか、それとも三十五施設のほかに新たに施設認定を行う場合のことを書いているのか、説明をしていただきたいというふうに思います。さらに、確認するとは、どうやって確認するのか。そして、研修をするとは、どう研修をし、それはいつ行われる予定なのか、そしてまたそれは行われた研修なのか。もうちょっと具体的に教えていただきたいというふうに思います。

松本政府参考人 今、委員御指摘の六月二十日、二十一日のところでの米国農務省販売促進局の措置のところで、「AMSは、対日輸出を行おうとする施設の認定に当たり、マニュアルが適正なものであるか、当該施設の役職員が対日輸出プログラムを十分に理解しているかを確認する。当該施設を担当する検査官の研修が終了した後に、初めて当該施設の認定が行われる。」ということでありますけれども、基本的には新たな認定ということもございます。さらに、一月二十日の事案を受けまして、その後、改善措置ということを米国農務省がとりましたので、そこの確認というところでの措置を書いたものでございます。

 また、当該施設を担当する検査官の研修ということにつきましては、米国農務省の食品安全検査局、FSISの検査官に対する研修につきましては、先ほど申し上げました日米専門家会合においても研修方法や実施状況について確認するということでありまして、現在米国に調査チームを送っておりますけれども、その現地調査におきましても、各施設に常駐している検査官が試験に合格して研修が終了しているかどうかということについても確認をしているというところであります。

川内委員 私の理解が間違っていなければ、三十五の施設についてはもう昨年の十二月の八日の時点で施設認定はされている。したがって、この文書の書き方は、「米国側の措置」の書き方はやや不十分。何か、「施設の認定に当たり、」というのはこれからの施設の認定のことを指しているわけで、今現在調査をしている三十五の施設が入っていないかに読めるわけでございますね。だって、認定はもうされているわけですから。もう既にされているわけです、三十五施設については。

 だから、その辺はアメリカ側としっかり協議されているのかどうか。アメリカ側は、もう三十五については認定されているんだからこれらの措置は必要ないというふうな判断などはしていないですよね。そこをちょっと確認させてください。

松本政府参考人 この部分につきましては、今委員御指摘のようなことではなくて、既に認定した三十五施設に当たりましてもその後の追加措置、改善措置ということを求めておりますので、それを確認するということでの措置で、決してその三十五の分についてはこれは適用しないということではなくて、これについては三十五の施設についてもちゃんと適用されるということを確認しております。

川内委員 私は、言葉にこだわる性格なものですから。だとすれば、ここで言う認定という言葉遣いはややおかしいということを指摘しておきたい、ややおかしいというか大分おかしいというか。

 例えば、四ページの最後の方には、「米国政府は、これらの施設を対日輸出に適格と証明する。」と書いてあります。だから、認定されている施設が対日輸出に適格と証明するという二段構えでここは書かれているわけですから、この認定という言葉については、余りこだわる必要もないのかもしれないですが、ちょっと書きぶりとしてやや不十分なのかなということを御指摘申し上げておこうというふうに思います。

 それでは次の論点でございますが、この合意文書の三ページの、「日本の水際での検査の強化」というところでございますが、「日本政府は、AMSから提供を受けた対日輸出認定施設ごとの輸出できる製品のリストを活用して製品の適合性を確認するとともに、当面、輸入業者の協力を得て全箱確認を行うことも含め、現物検査における開梱数を増やすなど水際での検査を強化する。」と書いてございます。この「全箱確認」とは、輸入業者がやる民間業者の確認作業であるということをそれこそちょっと確認したいというふうに思います。

松本政府参考人 そこに書いてありますように、当面、輸入業者の協力を得まして全箱確認を行うということと、あわせまして検疫所の職員が現物検査を行いますけれども、その両方あわせてということでありまして、ことしの一月に既に通関済みのものについて業者に対して自主的な検査をお願いいたしましたけれども、あのような形で業者の方に全箱確認をお願いするということでございます。

川内委員 確認というのは何をどう確認していただくんですか。民間の事業者の方が、SRMの付着などを目視によって確認できるんでしょうか。

松本政府参考人 基本的には、一月に行いましたような、脊柱のようなものがないかどうかとか、あるいは骨片がないかどうかというようなことにつきまして、特にSRM、脊柱等の混入がないかどうかということについて検査をお願いするということで考えております。

川内委員 検査じゃなくて、確認をお願いするんですね。

 そうすると、SRMの付着、脳や脊髄液が飛び散る、飛び散ったものがお肉に付着しているかもしれないというようなことについては、確認は不可能であるということでよろしいですか。

松本政府参考人 やり方といたしましては、業者の方に見ていただいてそういう異常なものがあればお知らせしてもらって、それについて検疫所の職員が確認するということで進めていきたいというぐあいに考えております。

川内委員 いや、私がお聞きしているのは、民間の事業者の方にはSRMの飛び散りなどによる付着を目視によって確認する技量はないというふうに思われるが、そこまでは政府として求めていないということでよろしいかということを聞いているんです。

松本政府参考人 一応見ていただいて、判断に困ったときには行政に相談していただきたいということで進めていきたいと思っております。

川内委員 困ったときには行政に相談をしていただきたいというのはわかりました。だが、困らない場合ですね。要するに、民間の事業者の方には、目視によってSRMの付着などを判別する、それだけの知識あるいは技量というものはないというふうに思われるわけでございますが、全箱確認というのは民間の事業者が行うものであり、その全箱確認によってはSRMの付着などはわかりようがないということを私はお認めになられますねということをお尋ねしているわけで、はい、そうですと言うしかないでしょう。

松本政府参考人 目に見える範囲でございますので、多分にそういう点はあろうかと思います。

川内委員 それと、この四ページの、先ほど既に未通関牛肉のことについても若干お話があったわけですが、未通関牛肉等についても「輸入手続の再開後に、全箱確認をし、問題がなかったものについて輸入を認める。」と書いてございます。

 厚生労働大臣は未通関牛肉等については全箱検査をするというふうに記者会見などで発言をされていらっしゃいますが、全箱検査というのは官がやるものである。しかし、ここでは全箱確認という言葉に変わり、これは確認というのは民間の事業者が行う行為になるわけでございますが、厚生労働大臣の検査というのは実は言い過ぎであった、間違いであった、民間の事業者に確認をしてもらうということでよろしいですね。

松本政府参考人 たしか大臣、記者会見で検査というような表現を使ったかと思いますけれども、その言わんとするところは、業者の方に全箱あけて確認していただくということでございます。

川内委員 それでは、この「全箱確認をし、」という言葉の前に、先ほどの水際での検査の強化のところに出ている「輸入業者の協力を得て」という言葉がなぜついていないのか。「輸入業者の協力を得て全箱確認をし、」とここも業者の協力でと書けばいいのに、この全箱確認というのは、何か、だれにも気づかれなければしめしめみたいな、どうもちょっとそういうことを考えてしまうんですけれども、「輸入業者の協力を得て全箱確認をし、」この「輸入業者の協力」という言葉を省いたのは何でなんですか。特に理由はないんですか。

松本政府参考人 輸入業者の協力を得るというのは当然のことということでありまして、特に他意はございません。当然、業者の協力を得て全箱確認を行うということで進めていくことで考えております。

川内委員 輸入業者の皆さんが、わかりやすいでかい骨なんかはわかるでしょうけれども、脊柱なんかはわかるでしょうけれども、SRMの付着などについては恐らく、これはイギリスでは目視によるすべての箱の付着検査が行われています、しかし、民間の事業者に、これは熟練した人じゃないとなかなかわからないそうなんですけれども、目視でSRMの付着を確認するというのはなかなか至難のわざでありましょうから、その辺についても、民間の事業者の方々に協力を得る、どのように協力を得るのかということについて、もう少ししっかりとした対応策をおとりいただかなければならないというふうに思います。

 さらに、時間もきょうは終わりですから、そろそろまとめさせていただきますけれども、先ほどから申し上げておりますとおり、BSEが人間に感染をすると変異型クロイツフェルト・ヤコブ病を発症する、イギリスでは、イギリスの公的研究機関が最大で一万四千人の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の感染者がいるのではないかという論文を発表している、さらには、アメリカでは、もう法律以前の、法律以前のあってはならない牛―牛のたんぱく飼料がいまだに給与されている実態がつい最近になっても発見をされているという実態がある、このような中で米国との牛肉の取引をどう進めていくのか、考えるのかということについては、念には念を入れてしっかりとお取り組みをいただきたいというふうに思いますし、私ども民主党は拙速な牛肉の輸入再開については慎重であるべきであるという立場でございますので、今後とも、また関係のお役所の皆さんや大臣としっかりと議論をさせていただきたいということを申し上げて終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

稲葉委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

稲葉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山田正彦君。

山田委員 午前中の川内委員に引き続き、私の方で、BSE、アメリカ産牛肉の輸入の問題についてお聞きしたいと思います。

 今、査察チームがアメリカの方に三チーム行っているわけですが、その査察チームで七月の二十一日までに、事実上、現地の調査を終えられるということですが、途中、宮腰農水副大臣、それから赤松副大臣も行かれたかと思います。どういうふうに査察しているのか、ちょっとそのときの状況をお聞きしたいと思います。

 まず、前回、私が委員会で指摘しましたが、どうしても安全プログラム、マニュアル、これは少なくとも日本側としてはコピーだけでも入手していないとおかしいんじゃないか。これについては、EVプログラムのいわゆるコピー、各施設ごとに三十五施設、これはどういうふうにしてその施設が危険部位の除去をやっていくか、大変大事なところなので、それについて、必ずそういう必要なものは入手してこなければ調査とは言えない、そう言っておったわけですが、その点についてはどうしているというふうに聞いておりますか。聞いていなければ聞いていないで結構ですが。

宮腰副大臣 私どもが視察をしてまいりましたのは、まずは政治家の目で、あるいは政府のしかるべき者の目で現場を見てくるようにという指示があり、同時に、専門家が、今先生が御指摘になったマニュアル等を一つ一つきちっとチェックしてくるという査察団のチェックの様子も見てくる、あるいは督励をしてくるという目的で視察に行ってまいったものでございまして、私どもが直接そのマニュアルをチェックするとかといったようなことでこの視察に行ったわけではありませんので、私どもとしては特に直接にそのマニュアルを見てきたといったようなことではございません。

赤松副大臣 済みません、今、宮腰副大臣に大筋を全部述べていただきましたが、聞いているか聞いていないのかと言われたら、聞いておりません。

山田委員 私が宮腰副大臣に言っているのは、副大臣として現場に行って、いわゆる査察チームにお会いしたと思いますが、お会いした段階で、少なくとも安全プログラム、日本側としては安全プログラムのコピーぐらいは必要だと思うので、それについて、入手するようにとか、あるいは入手しているか否かについては話してありませんかと聞いているんです。

宮腰副大臣 前日、チームと会って話をしましたときに、しっかり査察をやってくるようにということを申しましたけれども、マニュアル等について、手に入れてくるようにといったような指示は出しておりません。

山田委員 大臣、今回、査察調査に行くに当たって、やはりどのようにアメリカ側が危険部位の除去をしているかということ、これから報告が終わって、そして省内で協議するかと思いますが、その場合に、安全プログラムについての、少なくともそのコピーぐらいは必要だ、そう思われますが、その必要はないと思われますか、それとも必要だと思われますか。どちらですか。

中川国務大臣 今回の日本の両省の査察は、日本側としてリスク管理機関である両省がやるべき仕事の中で、特に現地調査というものを再開の作業の前に全部の施設を見るということで行ったわけでございまして、行くに当たっては、日本側としてやるべきことをきちっと決めて行ったわけでございます。そのやるべきことの中には、今御指摘のようなことはしていないということでございます。

山田委員 大臣、EVプログラム、いわゆる安全遵守のプログラム、各施設ごとに違うようですが、それについてどういうふうにやっているかというのは最も大事なことで、仮にそれを公開するか公開しないかは別としても、当然調査に行ってきたらそれを持ってくること、これはこの委員会で私は二回ぐらい指摘したと思いますが、それについて、なぜその必要はないとお考えなのか、その理由をお聞かせ願いたい。

中川国務大臣 日米間で決められたことを前提に、各施設ごとにEVプログラムが決められているわけでございますので、EVプログラムが日米の合意事項を前提にしているということはある意味では大前提なわけでございまして、そういう意味で、今回、これは米国側がきちっとやるべき仕事であり、我々としては、現地調査及びそれに関連する牧場であるとか、あるいはまたアメリカ農務省の作業等についてチェックをしたわけでございまして、EVプログラムそのものについては、アメリカ側が責任を持ってこれを管理し、また施行していくということがアメリカ側の責務だというふうに理解をしております。

山田委員 大臣は、アメリカ側を信用しているから、ただ見に行ってくるだけでいいんだとしかとれないわけです。

 私がきょう皆様方にお渡しした資料の中の一番最後、牛丼チェーンの社長が米国を視察した記事が朝日新聞に載っておりますが、この中に、「一つの枝肉の脊髄除去にかける時間は二秒ほど。肉にはゼリーのような脊髄の液が残ったままだった。」こういう記載があります。「除去作業に追われる従業員に話しかけると、従業員は「テレビカメラが来れば三人に増えるけれど、ふだんは一人でやるのさ」と苦笑いした。」と。

 見に行くときはそれこそいいようなことを言っていますし、かつて自民党視察団が見に行ったときにも、何の心配もない、安全であったというような報告を委員会でもほぼいたしたようでしたが、それは結局、見に行くだけだったら何の意味もないわけですから、事前に、少なくともこういうものは調べてこなきゃいけないというのはあるはずで、例えば、OIEの基準が変わって、そして各施設においてBSEの検査、これは歩行困難な牛、いわゆる症状の疑いがある牛はすべて検査しなきゃならないとOIEで決まりましたが、それについても必ず調べるようなこと、これについては大臣はそこまで知らないかもしれませんが、副大臣でもあるいは消費・安全局長でも結構ですが、そこまでしなければ意味がないと思われます。

 大臣、査察の内容について、行く以上、帰ってきて議論して責任をとるのは大臣ですから、細かくそういうことをチェックはされませんでしたか、査察内容。まず、大臣がチェックされたかどうか。チェックしていないならしていないで結構です。

中川国務大臣 現在査察中でございますので、報告は聞いておりません。現段階での状況について、消費・安全局長の方で途中経過があれば答弁させていただきたいと思います。

中川政府参考人 今回、現地調査に行くに当たりましては、農林水産省と厚生労働省の方であらかじめその査察に行く関係者が集まりまして、具体的にどういう点を確認してくるか、今先生がおっしゃったQSAマニュアルのことも含めまして、どういう点をポイントに置いて確認してくるかというふうなことはあらかじめ打ち合わせをして行ってございます。

山田委員 その中に、いわゆる症状に疑いがある、中枢神経がやられた牛かへたり牛、そういったものについてはOIE基準ではすべてBSEの検査をしなきゃならないとなっておりますが、それについての項目は入っているのか入っていないのか、消費・安全局長はそのことについて知っているのか知らないのか、それだけで結構です。

中川政府参考人 まず、OIEのBSEコードと、それからアメリカでの屠畜をする際のルールがございます。

 アメリカでは現在、神経症状を呈して、あるいはへたり牛といいますか、歩行困難なものは、食肉処理としてフードチェーンに入るような形で屠殺をしてはいけないものとなっております。それから、OIEのコード上は、先般のOIEの総会におきまして若干の文言の修正がございましたが、屠畜前あるいは屠畜後の検査において合格していることというのがBSEコード上の言いぶりでございます。

 具体的なところはそれぞれの国に任されておりますから、アメリカにおきましては、歩行困難なものは食肉処理にしてはならないというルールになっていると承知しております。

山田委員 消費・安全局長にお聞きしますが、農水省で、いわゆるこの前のOIEの変更部分について、症状の疑いのある牛はすべて検査することとなっていますが、違いますか。今の消費・安全局長の話は違うような答えでしたが。

中川政府参考人 今回のOIE総会で改正をされる前の規定ぶりは、これは骨なし牛肉の貿易条件というところに書かれていることでありますけれども、患畜やその疑いのある牛由来でないことということとあわせて、屠畜前、後検査を受けていることというのが二つでセットになっておりました。その点について今回は、屠畜前、屠畜後の検査に合格していることというふうになっておりますので、いずれにしても、検査を受けて合格していることという意味は、OIEコードで、現行の、今回の総会で改正された後も、検査に合格していることというふうになっております。

山田委員 その件について確認させていただきたいと思いますが、私が農水省からもらっている資料においては、OIEの新しい基準においては、疑いのある牛についてはすべて検査すること、そうなっていると思いますが、それについて明らかにした上で質問を続けさせていただきたいと思います。

中川政府参考人 OIEの総会でBSEコードの改正、いろいろなところでございますが、今申し上げたのは、無条件物品のうちの骨なし牛肉に課される条件というところで私は申し上げました。先生が、サーベイランスのところということでありますと、すべての臨床的に疑わしい牛に対する検査を実施する、これはサーベイランスとしてやるということですから、屠畜場での検査ということとは別でございます。

山田委員 これは当然、そういう意味ではサーベイランスで検査しなきゃいけないわけですから、屠畜場に入ってくる牛についてもOIEの新しい基準では検査をしておかなければいけないということになるのではないでしょうか。

中川政府参考人 検査という意味が、サーベイランスとして、つまり、ある国で牛にBSEがどれぐらい浸潤しているかということを調べるためのサーベイランス検査としてやる場合に、そのサンプルとしては臨床的に疑わしいものは検査をすることというのは、今度OIEのサーベイランス基準の中でそういうふうに規定されております。

山田委員 ジョハンズ長官は、私も二回ぐらい言われましたが、OIE基準に従ってやりましょう、そう言っているわけですから、当然屠畜場に入る、症状の疑いのある、中枢神経を侵された牛とかそういった牛についてはBSE検査をしているかしていないか、それを確認しなければ現地調査の意味がないんじゃないですか、局長。

中川政府参考人 これは、各屠畜場に牛を受け入れて、一たんペンというか囲いのところに入れて、その後、屠畜のプロセスに入る際に、その牛がどうであるかということは検査することになっています。つまり、今先生が御指摘になりましたような症状牛かどうかというところは各屠畜場においてチェックされることになっています。その点は、今回の調査団も調べるべき項目の一つとして入れております。

山田委員 いわゆる疑いのある牛かどうかは屠場に入ればわかる。そうなれば、OIEの新しい基準では、疑いのある牛はすべてBSEの検査をしなければならないとなっている。それについて、先ほど消費・安全局長は、そこまでなっていない、そういう言い方をして、サーベイランスではそうなっているけれどもと言い方を変えたけれども、しかし、当然私は、OIE基準でアメリカがやりますよと言うならば、屠畜場に入る中枢神経がおかしいと疑われる牛、これは前回の査察報告では何頭いるかというのは黒塗りになっていますが、それについてBSEの検査をするかしないかということについては、いわゆる重要な調査事項、査察事項だと思うんですが、大臣、そこはどう思われますか。

中川国務大臣 OIEの基準、今回、文言が若干変化いたしましたけれども、我々としては、OIEですから、最低限遵守すべきこととして主張したことが結果的に取り入れられたというふうに判断をしております。つまり、三十カ月を取っ払うとか、そういうことについては断固認めることができないと。日本は、御承知のように、都道府県が二十カ月ということで現在もやっているわけであります。

 それを前提にしまして、今中川局長が答弁しておりますように、サーベイランスの問題と、実際に食肉に供される牛が屠畜場に入っていくときの処理とが、これはあえて区別して議論をしていかなければならないんだろうと思います。

 そういう中で、今回は改正いたしましたけれども、患畜あるいはその疑いのある牛由来でないことということは削除されましたけれども、屠畜前及び屠畜後検査に合格していることというふうに表現は変更されましたけれども、確認をしたところ、これは、以前の屠畜前及び屠畜後検査を受けていることと実質的に変更はないということでございます。

 このOIE基準というものに、もちろんアメリカも日本も、当然日本の場合はそれよりも厳しいわけでありますけれども、このOIE基準に沿った形、最低限沿った形プラスアルファ、各国いろいろ少しずつ違いますけれども、そういう形でBSEの食肉が万が一にも市場に入らないということ、日本、アメリカ初め、OIE加盟国はそういう前提でこの作業を行っているわけでございます。

山田委員 これは大変大事な問題でして、OIEの新しく変更された基準の中で、病畜の疑いのある牛はすべてBSE検査しなければいけないかどうか。OIE基準は、大臣も言われたように、最低の基準である。それについて、アメリカ側はそれを守らなくてもいいんだという言い方に聞こえたわけですが、いわゆるサーベイランスと屠場の検査、BSE検査は別だというふうに聞こえたんですが、BSE検査はすべてサーベイランスのことであって、これは屠畜に入るか入らないかの牛でも、屠畜に入って初めて疑いのある牛だったらわかるわけですから、すべての疑いのある牛は検査しなければいけないということになったかならないか。これを確認していただかなければ、私はこれ以上論議することはできません。

中川政府参考人 去る五月のOIEの総会におきまして、BSEに関するコードの改正が行われました。その中で、サーベイランスの部分について、先生がおっしゃいましたように、すべての臨床的に疑わしい牛に対する検査を実施するということにそこはなっております。ですから、OIEのコード上、そういう症状牛についてはサーベイランスの検査をするということにはなってございます。

 さらに言いますと、そのことと、各加盟国がそれをどこまで尊重してやるか、もちろん、国際的な基準でありますから、尊重するということは加盟国として、それはそういうふうに努めなければいけないということは私も当然だというふうに思います。

 ただ、そこをいつやるかどうかというふうなところはそれぞれの加盟国が、強制措置ではありませんので、これにできるだけインターナショナルスタンダードとして、国際基準としてそれを尊重してやるというのが、全体的なOIEのコードあるいは国際機関のルールでございます。

中川国務大臣 OIEというのは、加盟国が、最低限というのは日本の言い方になるのかもしれませんが、少なくともそれは守らなければいけない。日本の場合には、先ほど申し上げたように、さらに厳しい二十カ月以下、しかも全頭検査ということを、患畜の疑いがあってもなくても全部やっているわけであります。

 他方、今局長も言いましたけれども、日米間においてまた新たな合意があるわけでございますから、それに基づいて米国産の牛肉の輸入再開が去年の十二月になされた。

 他方、アメリカ側が日本に要求している基準というのは日本がアメリカに要求している基準と違うわけでありまして、それぞれの国々でお互いに合意し合ったルールのもとでやっているわけでありますから、少なくとも日本がアメリカに求めているものは、これはOIEの基準の範囲内であり、かつ、日本がリスク評価、つまり、食品安全委員会の御議論の結果として、この輸出条件が守られているとするならばリスクの差は極めて小さいという御指摘をいただいた上で、我々リスク管理機関がそういう決定をしたわけであります。

 それで、一月二十日にああいうことになりましたので、原因の徹底究明、再発防止に向けてのアメリカ側のきちっとした対応というものを求めて今現在作業をやっているわけでございます。

山田委員 大臣、OIE基準は最低守らなければならない基準である、ジョハンズさんもOIE基準でやろうじゃないか、我々はOIE基準に従ってやっているんだ、そういう言い方をしている。

 そうした中で、BSE検査をしているかしていないかというのは、日本の国民にとって、消費者にとって、アメリカから来る牛については大変な関心があるわけです。それで、OIEが、歩行困難な牛とかいわゆる疑いのある牛はすべて検査する、先ほど消費・安全局長も言いかえましたが、すべて検査するということにBSE検査はなっている。

 そうであれば、へたり牛であるかどうかということがわかるのは、獣医さんが屠場に来たときにわかる。そのときに、そういう中枢神経が侵されているとわかったら、当然のことながら、それについてBSE検査をする、日本は全頭やっているわけですから。少なくともそれを守らせなければ、日本側としては何のために調査に行っているんですか。それも、いや、それは日本とアメリカの合意でどうでもいいんだ、今の大臣の言い方はそういう言い方ですよ、大臣。これでは国民は納得しませんし、私も、この委員会で質問する以上、そのような答弁では納得できません。

中川国務大臣 納得されるかどうかの前に私の発言をもう一度お聞きいただきたいんです。

 アメリカはOIE基準を守っている、日本は日米合意さえやっていれば何でもいいんだ、それじゃ納得しない、それはそのとおりだと思いますね。

 私が申し上げているのは、OIE基準というのが科学的な根拠がある上での専門家の間の御判断だから、だから、アメリカはOIE基準を守ればいいんだ、日本は、OIE基準だけではだめなんだ、だから、二十カ月以下という、A40という、〇・〇何%のまたその何%という確率でしか発生しないという極めて厳しい二十カ月、これに対してアメリカ側は不満を持っておりますけれども、約束したことでありますから、引き続き守ってもらわなければならない。

 他方、日本からアメリカに行っている牛というのは内臓はだめだというのがアメリカ側の日本に対する要求であるわけでありまして、日本は御承知のように、特定危険部位以外の内臓は舌等も含めて輸入していいということになっているわけでありますから、あえてどっちが厳しいかということになると、当然日本の方が厳しいとは思います。

 しかし、お互いに約束していることの内容が違う。合意の上で、もちろん、各国の食品安全の基準に基づいて、その前提としてOIE基準というのがあるという前提でやっているわけでありますから、当然、アメリカはまずOIE基準を守るということが大前提であり、その上で、日本側としては、アメリカ側が時には不満を漏らすぐらいに厳しい要件をつけて、この家畜衛生条件に基づいてアメリカ側と合意をしているわけですから、それを守っていただくということになれば日本としてリスクの差は小さいという結論を評価担当の安全委員会が出していただいているわけでございます。

山田委員 OIE基準で症状の疑いのある牛はすべて検査するということになった。

 そうすると、日本側はアメリカ側に対して、大臣、それを要求するということは間違いないですか。それをイエスかノーで答えてください。そういう要求はしないんですか、大臣。

稲葉委員長 山田先生、もう一回御質問を繰り返してください。

山田委員 では、もう一回繰り返します。

 OIE基準で、症状の疑いのあるものはすべてBSE検査しろとなった、日本側はアメリカ側に、当然、これから輸入する牛肉については、へたり牛とか中枢神経を侵された牛は全部検査済みでなければいけないという要求をするのかしないのか、しないでもいいのかと聞いているわけです。

中川国務大臣 OIE基準では、今回、屠畜前及び屠畜後に検査に合格していることが食肉として問題がないということに文言の表現が変わった、ただし、これは実質的な以前との変更ではないということでありますので、当然、アメリカもOIE基準に基づいてやっているということが前提であることは言うまでもないと思います。

山田委員 私が大臣に聞いているのはそれじゃない。

 いいですか。私が聞いているのは、OIE基準で、今消費・安全局長も言い直したように、疑いのあるすべての牛については検査しなければならないとなっている、だから検査済みの牛でなければ日本は入れませんという要求をするのかしないのかと聞いているわけです。

中川国務大臣 先ほど、これは申し上げたと思いますけれども、検査に合格していること、つまり、検査をして……(山田委員「BSE検査のことを聞いているんです」と呼ぶ)そうです。患畜その他疑いがあるというのは、これはさっき言いましたようにBSEについての項目でありますから、BSEの検査に屠畜前及び屠畜後に合格していることというふうに文言が変更されましたけれども、中身は以前と変わりがないということで、OIEの場合は三十カ月以下ですから、三十カ月以下と二十カ月以下では発生率が格段にというか、二十カ月以下の場合にはほとんどないわけでございまして、その差がありますけれども、いずれにしても、三十カ月以下の牛由来のものについては、当然これは検査をして、しかも合格をしなければならないということは、求める求めない以前に、OIEのルールであるということでございます。

山田委員 大臣、OIEの総会でサーベイランスの基準が変更されて、今言ったように、すべての疑いのある牛というのはBSEの検査済みにしなければいけない。そうすると、今度の、調査、査察に行っているわけですが、その中で、これから牛肉の輸入を再開するに当たって、そういう牛について必ずBSE検査済みであるということを求めるのか求めないのかと聞いているので、求める求めない、どちらかを答えてもらえばいいんですよ。

中川国務大臣 求める求めない以前に、OIEの加盟国であるアメリカは、OIEに基づいてやっているんだからいいじゃないかと。ジョハンズさんも山田先生に何回もおっしゃったと言っていましたけれども、当然、これは求める以前ですけれども、それは求めてもいいでしょう。(山田委員「求めるなら求めるで答えられればいいじゃないですか」と呼ぶ)求める以前に、もう求めていましたからこういうことになったわけであります。

 と同時に、御承知のように、三十カ月を前提にしたOIEのルールでありますけれども、我々は二十カ月以下ということも要求しているわけでありまして、これは求める求めないの以前です。では、求めろと言うのなら、もう一度求めますよ。

山田委員 それでは、求めるということでしたから、大臣、それでよろしいですね。

中川国務大臣 だから、OIEの加盟国としてOIEを少なくとも最低限遵守しろと言っているときに、まあ、もう一度求めろと言うなら何回でも求めますよ。向こうは、そんなものは当たり前のことだ、やっているんだ、逆にジョハンズさんの方から、では、そんなにOIE基準が大事だったら三十カ月以下でいいじゃないか、そういう反論も来ますよ。(山田委員「BSE検査の話で、では、大臣、求めるということで」と呼ぶ)

稲葉委員長 挙手の上、御発言願います。

山田委員 もう一回。

中川国務大臣 求めます。求めますけれども、向こうだって、これは交渉ですから、そんなにOIE、OIEと言うんだったら、では、OIEの基準どおり三十カ月以下でいいじゃないかという話が、何年も前の話に戻ってしまいますよ。そのことも含めて、ここだけはOIE基準を守れ、ここはOIE基準よりもさらに厳しくしろとか、交渉というのはそんな都合のいいものじゃないです。

 でも、お気持ちはよくわかりますので、国民に安全を少しでも担保したいということですから、山田委員の特段の何回にもわたっての御指摘でございますから、求めます。

山田委員 大臣、最初からそう言っていただければ早かったんです。

 そうなれば、いわゆる今度の査察報告の中にも、当然のことだと言っていましたから、各施設においてはそれについてBSE検査をするかしないかということまで査察報告の内容は明らかになるんでしょうね。これは局長でも結構です。

中川政府参考人 サーベイランスでやるBSE検査、これは先生のおっしゃっている意味は、例えば歩行困難な牛が見つかった場合にそれをサーベイランスとしてやる検査というのは、迅速検査、ELISA検査でございます。それはむしろへたり牛、歩行困難牛を検査に回すということであって、歩行困難牛が見つかった場合には、それは、日本などへの食肉処理をして回ってくる牛の対象にはなりません。

 ですから、日本に入ってくる牛についてBSE検査、BSE検査という意味は異常プリオンの有無を検査する意味でのBSE検査ですけれども、それを要求するということはちょっと少しおかしなことになると思います。

 ですから、サーベイランスとしては、歩行困難な牛が見つかった場合には、それをアメリカとしてサーベイランスの一環としてBSE検査をOIEのルールとしてやってほしいということを言うのは当然、さっき大臣がおっしゃったとおりのことでございます。

 ただし、日本に入ってくるものに、BSEの検査をする、歩けないものというのはもうその検査の前に排除してもらうというのが基本的なルールでございます。

山田委員 大臣、今のお話を聞いていたかと思いますが、消費・安全局長の言うのはおかしい。いわゆるへたり牛であるか中枢神経が侵されている疑いのある牛というのは、飼育している、屠場に来る前にわかるときもある、あるいは屠場に来て獣医が診てこれは中枢神経をやられている牛だとわかる場合もある。

 いずれにしても、OIE基準はすべての牛においてBSE検査をしなければならないとなっているわけですから、大臣が言った、当然、日本に来る牛においては、歩行困難な牛、へたり牛とかにおいてはBSE検査済みでなければおかしい、どう考えても。ところが、消費・安全局長は、来る肉についてそれを求めないんだというのは、大臣の見解と消費・安全局長の見解と異なる。これはやはり、政府としてのはっきりとした見解を示してもらわなければ、これ以上質問できない。

中川国務大臣 同じ中川ですけれども、何が私と違っているのかということをちょっと今山田先生の御質問を聞いていてもよくわからないんですが、屠畜前というのは、その屠畜直前だけではなくて、牧場にいるときから、つまりプロの牧場主あるいは牧場従事者の皆さんが見て、これはおかしい、へたっているということ、その瞬間に、さっき中川局長が言ったように、動物という過程から食肉に行く過程の間で排除されてしまうわけですね。それは、屠畜場で発見されようが牧場で発見されようが、その瞬間に、食肉、さっき私は市場というふうに申し上げましたけれども、そのラインから排除されてしまうわけですから。

 そういう意味で、先ほど屠畜前云々と何回も申し上げたことと今中川局長が申し上げたことは当然同じことを申し上げているわけでありまして、へたっている、ダウナー状態になった瞬間に、プロの目で見て、それは屠畜場の専門家であろうが牧場経営に従事している専門家の方であろうが、判断した段階にそれは屠畜場の次の過程に入るということはないという意味で、これがアメリカのやり方であって、これはこれでOIEの基準に適合しているというふうに理解をしております。

山田委員 先ほどから言っているように、へたり牛は、牧場で飼っているときに見つかろうが、屠場に入って屠殺以前に見つかろうが、いずれにしても、食肉になるときにはすべてBSEの検査済みでなければいけないというのがOIEの基準。それについて、OIEの今度の新しい基準をよく読んでいただきたい。そうであれば、当然、中川消費・安全局長が言った、日本がアメリカに対して、そういうへたり牛あるいは症状の疑いのある牛が肉として入る場合には、その牛についてはちゃんとBSE検査済みでしょうね、それをちゃんと屠場でやっているかどうかということを査察して調べなければおかしいでしょうと言っているんだ。だから、大臣も先ほどはそれは求めますと言っているわけです。それでいいんですよ。そうでしょう、大臣。

 ところが、中川消費・安全局長はわからないことを言っている、肉においては認めないとか。同じ中川でも違うんです。

中川国務大臣 いや、ですから、OIEの基準どおりにやるやり方が、アメリカもOIEの基準に合致をしている。ただし、日本、それから今イギリスの例を出されましたけれども、イギリスも全頭検査をしているとするならば、日本は全頭検査をやって、二十カ月以下しかだめですよと言っています。イギリスにはイギリスのやり方がある、カナダにはカナダのやり方がある、韓国には韓国のやり方があるわけでございますから、アメリカは、OIEの基準どおりにアメリカの考えでやっている。日本は、それだけではだめだから、日米で合意をして二十カ月以下、特定危険部位の除去ということをつけ加えているわけでありますけれども、その根っこには、患畜とされた牛がマーケットに、屠畜場から食肉に回らないということが大前提でございます。

 ちなみに、これ以上言うと、屠畜場以降の話になると厚生労働省の話でございまして、私どもは屠畜場に行く前のところの所管でございますけれども、その辺は山田委員重々御承知の上で御質問かと思いますが、私も余りほかの所管のことを言うのもいかがかなと思いますが、ぜひ御理解いただきたいと思います。

山田委員 委員長、きょうは質問を随分準備していて、ちょっとこれで時間をとられると私は困りますので、委員長の方で、今私が言っている、いわゆるOIEコードがこの前の総会で変わって、疑いのある牛についてはすべてBSE検査済みでなければいけないとなっているから、日本に入ってくる肉は、歩行困難な牛、疑いのある牛はすべて検査がなされていなければいけないという要求をするかどうかについて政府見解を求めたいと思います。

 もうこれ以上時間がたつと私の質問時間がなくなっちゃうから。ちょっと大臣。

稲葉委員長 中川農林水産大臣、再度はっきりとおっしゃってください。

中川国務大臣 委員長がどういうお仕切りをされるかは委員長の御判断でございますが、患畜の疑いのある牛についてはすべてBSE検査をしろというのが山田委員の御質問の趣旨かと思いますが、アメリカでも患畜の疑いがあったときには食肉ルートとは全く別の屠殺場で処理をしてしまうわけでございます。

 ですから、屠畜場にも行かないということが牧場なんかで見つかった場合にはあるわけでありますので……(山田委員「患畜の疑いと言っていないんですよ。中枢神経をやられたり歩行困難とか、そういう疑いのある症状を持った牛と言っているわけです」と呼ぶ)はい。歩行困難、いわゆるダウナー状態で、プロが見てそういう状態になった牛については、発見された段階でもう屠畜場に行くルートからはじかれてしまうわけでありますから、食肉という観点からはそこで改めてBSEの検査をする必要はないと思いますけれども、さっきも申し上げたように、OIE基準に基づいて確認しろ、確認しろということでございますから、それはアメリカに対しても我々の方から要求をしたいというふうに考えております。

山田委員 要求をするということは、そういう食肉は入れないということの要求だととらせていただきますが、それはもし問題があったらもう一回やらせていただきます。

 そういう意味で、この前の監査報告ですと、黒塗りされているわけですが、これは、施設において中枢神経を侵された牛が何頭いたか、へたり牛が何頭いたかというのは全部黒塗りです。ということは、大臣が言っているようにへたり牛とかダウナー症状の牛は屠場に運ばれていないというのは、違うんです。運ばれているんです。肉になっているんです。ですから、大臣、よくそこは大臣として責任を持って、そういう牛が来ないようにアメリカに求めるということなら求めていただきたい。

 そうすると、いろいろな問題があるんですが、単なる見てきただけ、例えば見てきただけで今度二十三日に査察チームが日本に戻ってくるとなった場合、その査察チームの報告は、一体どのようにして危ない、危なくない、この施設は不適合であるあるいは適合であると、どういう判断をするのか、その辺をちょっと明確に答えていただきたい。あるいは、もう結論ありきで、ただ見てきただけでそのまますべてが適合施設として、その肉をもう二十四日か二十五日には入れてしまうのかどうか。

中川国務大臣 現在も、アメリカで政府の専門家が見ているわけでございまして、そのときにはアメリカの関係者も一緒に行っているんだろうと思いますから、その段階でいろいろ質問をしたり、いろいろなやりとりが途中経過としてはあるんだろうというふうに思います。この辺は、宮腰副大臣が実際に行かれているわけでございますから、御存じだと思います。

 しかし、最終的には、二十一日に終わった段階で三十五カ所、その他農水の場合には牧場等も含めていろいろと総括をして、その段階で初めてアメリカ側に対して、仮にこういう問題点があったとかこういう修正点があったということであれば当然それは要求をして、看過できない問題についてしかるべく回答がなければ、当然次には進まない。

 私は、前から申し上げているとおり、ステップ・バイ・ステップでやっていくのであって、つい最近までは日米サミットまでに何かするという合意ができているんじゃないかと随分私おしかりを受けましたけれども、作業は依然として進んでいるわけでありますし、これはいかがなものかと思いますけれども、米国では議員たちが対日制裁法なんというのをいまだに準備しているという状況であります。

 我々は、専門家の、リスク管理機関の行政の仕事として一つ一つやっていくということで、今回は、今全米で査察をしている、それが終わればそれについて日本の政府内で総括をする、そして総括をしたならば、アメリカ側に対して内容の評価といいましょうか、要求点があればそれも含めてやっていくというのが、当面、私から見てそこまでが見通せる範囲だということで、二十四日にも再開とか、そんなことは現時点ではお答えできる状況に私はございません。

山田委員 前回の査察の報告は、川内君が聞きましたように、我々農水委員会に対して、概要でしたけれども、問題はないと言って、その後一月もたたないうちに、いわゆる成田で骨つきの、背骨の入った肉が見つかった。

 それだけじゃないんです、大臣。その後、アメリカ側がレビュー、各施設を調査した結果、六施設において重要な不適合があった。日本側は大丈夫だと言ったんです、大臣。大臣は、大丈夫だ、そう答えたんです、委員会で。概要を読み上げたんです、これは。

 しかも、その六施設については、どこどこが問題であったか、不適合であったか、アメリカがその後調べて。日本の査察報告は大丈夫だと言った。その六施設について、そのパッカーを明らかにしろといって私はこの委員会で何度も追及したはずです。これをアメリカ側に問い合わせ中だと言っていましたが、その名前はわかりましたか。これは消費・安全局長でもよろしい。

中川政府参考人 アメリカ側がレビューをした結果、重要度の高い不適合が確認された六施設について、これは日本の方から、できるだけ情報公開をしていくという趣旨で詳細な情報の公表をアメリカ側に求めましたけれども、この点については、企業の競争上の地位を害するおそれがあるとのことで、公表できないという趣旨の回答が来ております。

山田委員 大臣、私が資料配付した一の二を見てください。これは韓国政府が輸入を認めない七処理施設のリストです。韓国では、自分のところが調査して、ここは不適合であった、それをちゃんとこうして我々が入手できるわけです。なぜ日本はアメリカがレビューした施設もできないのか。

 さらに、この資料一の二を見ていただきたいんですが、そのうち、日本が十二月に査察した十一の施設のうち三つの施設、これは丸がついています。日本は大丈夫だと言った、日本の査察チームは。しかし、韓国政府の調査チームは、この七施設のうち日本が大丈夫だと言った三施設についても、これは不適合である、したがって輸入できないとしているわけです。大臣、どう考えますか、これは。

中川国務大臣 先ほども一般論として申し上げたと思いますけれども、OIEという加盟国の間で少なくとも守らなければいけないルール、これは共有しているわけでありますが、各国にそれぞれの事情といいましょうか、日本の場合には、食品安全委員会のリスク評価に基づく基準というものがあるわけであります。細かいことはわかりませんけれども、韓国は韓国の根拠というものがあるんだろうと思います。

 例えば、山田委員の、いただいた資料で大変恐縮ですけれども、一枚目を見ますと、例えば三十カ月未満が韓国はいいけれども日本は二十カ月未満であるとか、逆に日本は脊髄以外はいいけれども韓国は骨は除外であるとか、あるいは、韓国の場合にはまだカナダ産については輸入解禁していないというふうに聞いておりますけれども、それとの関係とか、いろいろな条件があって、それぞれの国が、一般ルール、つまりOIE基準を前提にして、しかも、さらに安全性をその国の専門家の皆さんが高めていくということで、韓国のようにやれということになれば、三十カ月以下の骨が入ってくる、そうするとBSE発生比率が格段にふえていくということにもなりかねませんので、日本は日本の専門家の御判断、韓国は韓国の、アメリカはアメリカの、香港は香港の、台湾は台湾のということで、画一的に同じようにするということは、これはいかがなものかというふうに考えております。

山田委員 私が言っているのは、各国それぞれ厳しい姿勢を貫いている。先ほどから何度も三十カ月齢を二十カ月にしたようなことを言っていますが、これは日本の食品安全委員会が、二十カ月齢以上の牛、二十一カ月、二十三カ月で発生したからそういう結論を出してきたわけです。

 私が言っているのは、韓国は例えば何でこの七つの施設が不適合なのかということについても、いろいろと情報は来ております、私のところには。韓国が六月七日から輸入再開だったのが、これを延期している。中国においては六月三十日から輸入再開の予定でした。

 この私の資料三の二を見ていただきたい。これは中国側が出した発表ですが、この翻訳文、「中国の検査検疫基準を満たした米国産の生後三十カ月齢以下の脊柱、頭骨、脳、眼球、脊髄、扁桃、回腸遠位部を完全に除去した骨なし牛肉の輸入が認められる。」こういうことで、中国は頑としてそれ以外の肉、内臓も認めない。これは、アメリカ側との事実上輸入がストップしているというような状況です。

 そういう中で、隣の韓国においてはなぜこの七施設が不適合であったのか、今その七施設も全部日本が調査に行っているわけですから、それを十分調べて、そして今度の査察のいわゆる査察事項の中にも留意するということは普通に考えれば当然だと思うんですが、そういうことすら農水省はしていないと言っていいんですか。

中川国務大臣 まず、各国には各国の事情があります。アメリカは内臓はだめですよと日本に対して言って、そういうルールでやっているわけであります。日本が再禁止をした後、一時停止をした後、香港だ台湾だということで、どうなっているんだと、私も情報が知りたかったものですから、それなりにお聞きをしました。しかし、一部教えていただいたところもありますし、教えていただけない部分もあるわけでありまして、これは日本もある意味では同じ立場だろう、逆になればそういうことになるだろうというふうに思います。

 そういう意味で、各国のいろいろな状況を我々としても最大限情報収集をしたい。日本と直接関係のない韓国とか台湾とか香港にしても、情報収集の努力はしておりますけれども、例えばアメリカであれば、日本の情報公開法に基づくような法律もあるわけでございます。多分韓国等にもあるんだろうと思いますから、その範囲内で日本側としてはできるだけ欲しい。しかし、逆の立場になれば、日本側としても、日本の私的な機関、私的な部分でこれ以上公開をするということになると、ちょっと権利を侵害するのではないかといったことが法律に明記されているわけでございますから、そこはお互いに法律の範囲内あるいは協議の範囲内で出せるところを出しましょう、あるいは得られる情報を得ましょうということでやっているわけでありまして、政府としては、情報はできるだけ集めろと私も指示をしているところでございますから、そういった、限界はありますけれども、努力は最大限しているところであります。

山田委員 当然のことだと思います。

 大臣、では、査察の報告の中にそういったことも考慮に入れながら、先ほど専門家の意見を聞いて決めるとか言っておりましたが、アメリカからの牛肉の輸入に対して、この施設のこういう状況ならいいとか、そういったすべてのことについての判断は一体だれが責任を持って、例えば将来クロイツフェルト・ヤコブ症が日本で発症したとしたら、だれが責任を持って決めたかということにかかってくると思うんですが、これだけ情報が入っているわけですから。それはだれが責任を持って政府内では決めるわけですか。

中川国務大臣 今使った専門家という言葉は、リスク管理機関の専門家、つまり、今アメリカで調査をしている方々を含めた、具体的に申し上げますと、厚生労働省と農林水産省のこの問題に専門的な知識を持つ職員でございます。

 このリスク管理についての責任は最終的にどこにあるかといえば、リスク管理機関であります厚生労働省と農林水産省であり、その責任者はだれかといえば、言うまでもなく厚生労働大臣と私、農林水産大臣でございます。

山田委員 そうすると、それで責任を持って決めていかれるということでとらせていただきますが、では、そこで大臣は、査察結果をもとにして、そのことについて、例えば小泉総理大臣は、食品安全委員会の専門家の意見をもとにとか、いろいろな言い方をしてまいりましたが、いわゆる大臣が決められるとして、実際に、もちろん食品安全委員会に報告はするんでしょうが、食品安全委員会に対してのリスク評価等は必要ないとお考えですか。

中川国務大臣 リスク評価は、もう御承知のとおり食品安全委員会がされるわけでありますけれども、食品安全委員会みずからがリスク評価をもう一度するということであれば、食品安全委員会の御判断でございますけれども、このシステムそのものがきちっと遵守されていればリスクの差は非常に小さいということを前提にいたしますならば、まさに原因の究明と再発防止、つまり、アメリカ側の取り決めあるいは日米間の取り決めがきちっと守られていれば、これはリスク評価の対象にならないというふうに考えて、今そのための作業をやっているところでございますので、私どもリスク管理機関の方から、リスク評価機関に対してリスク評価を求めるということは考えておりません。

 ただし、説明は折に触れて逐一やってまいりましたし、これからもやっていかなければならないというふうに考えております。

山田委員 先ほど大臣は、食品安全委員会として、リスクの差は、いわゆる安全プログラムが遵守されておれば少ないというような評価をしたんだからそれでいいんだという発言をされましたが、同時に、食品安全委員会では、いわゆる安全プログラムが遵守されなければ食品安全委員会のリスク評価は成立しないと明記しておりますが、読まれましたか、そのくだりは。

中川国務大臣 たしか、十二月八日の食品安全委員会の答申にそういうふうに書いてあったというふうに記憶をしております。

山田委員 であれば、このリスク評価は成立していない。例えば、予算委員会で松田食品安全担当大臣も、我が党の岡本委員の質問に対して、再三質問を変えながら、最後には、リスク評価は成立していない、食品安全委員会のリスク評価は結果として成立していないという文面になっていますね。よく読んでください。そして、私も今手元に松田大臣の答弁も持っておりますが、成立はしていない、リスク評価は。

 先ほど大臣が言ったリスク管理というのは、リスク評価が成立して初めて管理があるわけでしょう。違いますか、大臣。

中川国務大臣 ですから、いろいろな条件が遵守される、あるいはまた、きちっと作業がされるということで差が小さいということを、食品安全委員会の評価としていただいているわけであります。

山田委員 大臣、そこを聞いているんじゃない。

 安全プログラムが遵守されなければ成立しない、評価は結果として成立しない、そう書いている。読まれましたか、今。そうしたら、それについてどうお考えか。

中川国務大臣 食品安全委員会の答申の中で、今、山田委員が御指摘のように、この六の附帯事項のところに、「輸出プログラムが遵守されない場合はこの評価結果は成立しない。」

 したがいまして、一月二十日に、ああいう輸出プログラムあるいは日米の合意に違反するような危険部位が発見されたので輸入停止。つまり、少なくとも、あの時点で発見されたパッケージ、あるいはまた発見された会社については、プログラム違反、日本の法律でいいますと家畜伝染病予防法に基づいてストップをしたということであります。つまり、遵守されていないということですから、これはもう評価の対象にならないということになったわけであります。

 ただし、その後、アメリカが当該の二施設の混入の原因をいろいろと調べた。もちろん、調べた結果、施設あるいはまた行政が見逃したという重大なミスがあったということがわかった。それから、二施設以外については、アメリカ側が点検をした結果、特に問題が発見されたということの結果にはなっていないということでございますので、二月十五日時点で松田大臣がおっしゃった状況と現在の状況とは違っているということも、御理解いただきたいと思います。

山田委員 遵守していなかったということは、これは事実。その結果、輸入を大臣がおとめになられた。その結果、アメリカがレビューした。その三十五施設のうち十九施設において不適合がアメリカ側で見つかった。そのうち六施設においては重要な違反があった。例えば、EVプログラム、安全プログラムがなかった。そういった大事な違反があったにもかかわらず、遵守されていない、遵守されていないけれども、アメリカ側が見て、もう大丈夫だということが言えるんですか、大臣。おかしいんじゃないですか。

中川国務大臣 日米間の関係におきましては、これは、アメリカ側が輸出するまでの作業というのはアメリカ側が責任を持つという大前提。逆の言葉で言うと、信頼関係と言うとおしかりを受けるかもしれませんけれども、それがないとこの作業というのは進んでいかない。お互いに不信同士でやったって、これは前に行かないわけであります。そういう意味で、アメリカ側がやるべき仕事である。つまり、原因の究明、それから再発防止策、これは一義的にアメリカ側がやることであります。

 しかし、念のために、前回は一部施設でありましたけれども、当委員会等の御指摘もいただきまして、再開決定をする前に、再開の最終判断をする前に全施設を見に行く、あるいはまた農場も含めて見に行くという作業をしているわけでございまして、その判断によって、プログラムが遵守されているかされていないかということを最終的にこれから判断をしていくという作業に入っていくわけであります。

山田委員 いわゆる遵守されていなかったということを、アメリカ側は三十五施設のうち十九施設において報告してきた。韓国側は、最近調査に行って、七施設において不適合なところがあったとして輸入再開を延期した。そういうことであれば、当然これは安全プログラムが遵守されていない。したがって、リスク評価は成立していない。後になっていろいろと、これからこうして是正します、云々すると言って、一たん成立していない評価がもう一回成立するということはあり得ますか、だれが考えても。

中川国務大臣 アメリカ側は、USDA、アメリカ農務省、三十五施設を含めて、特にアメリカ政府から指摘を受けたところ、あるいはまたいろいろなところから指摘を受けたところは修正をしたという報告を受けております。本来であればそれでいいんだろうと思います。つまり、アメリカ側の責任においてやるべきことでありますから、アメリカ側はきちっとやっているということならそれでいいんだろうと思いますけれども、国会の御指摘もいただいて、前回は途中で調査が終わってしまったわけでありますから、今回は再開前に全部の施設をチェックするという作業をしているわけであります。

 ですから、一たん、いろいろな約束違反、あるいは作業工程違反その他が発生したとしても、それは、再発防止策というのが私どもの原因究明と並んでの最大のポイント、この二つをずっと作業してきているわけでありますから、再発防止策がきちっとなされたのであれば、それはリスク評価の結果、リスクの差は非常に少ないという本来の安全委員会の答申の状態、つまり前提条件が復活するということがございますから、今、それに向けての、最終判断に向けての作業をやっているわけで、一たんだめになったものはどんなに努力しても未来永劫だめだということでは必ずしもないというふうに思います。

山田委員 食品安全委員会の評価は遵守されていなければ成立しない、遵守されていなかった、これは、もろもろの状況から、だれもが認める明らかな事実である。そうすれば、もう一回再開するとして、今回査察にも行った、査察の結果とか、いろいろな客観的な各国の情報、あるいは食品安全委員会が当然独自の調査をして、もう一回リスク評価をしなければおかしい。

 ただアメリカ側を信用して、アメリカ側はこうしてやったから、それを確認するだけで、今度は安全基準を守りますという、それを確認しただけでもう一回リスク評価は成立して復活したんだという、復活という言葉を言われましたが、そんなばかなことがありますか、大臣、常識で考えても。やはり、ここは食品安全委員会にもう一回、今度の査察の結果を踏まえてリスク評価してもらわなければいけない、それが普通じゃありませんか、大臣。

中川国務大臣 リスク評価とリスク管理をちょっと混同されて御質問されているのではないか。区別をさせていただきたいと思いますが、我々はリスク管理機関としてやるべき仕事を今やっているわけでございまして、それを一月二十日以降、逐一、食品安全委員会、つまりリスク評価機関に御説明申し上げているところでございまして、先ほども申し上げたわけでありますが、リスク評価をすべきかすべきでないか、もちろん、リスク管理機関がお願いする場合もありますし、リスク評価機関が、食品安全委員会がみずからの御判断でやる場合もあるわけでございますから、何もアメリカが大丈夫だからということだけをうのみにして我々はやらない。だから、判断の前に三十五施設プラス農場まで行って、日米の約束どおりにきちっとやっているか、あるいはまたその違反がきちっと修復されているかということを今確認しているわけでございます。

山田委員 大臣は、リスク管理とリスク評価、これについて考え違いをしておるようで、リスク評価があって初めて管理ができる、それは間違いないですね。うなずいていますから、そうとらせていただきます。

 そうなると、リスク評価が成立していないとなれば、輸入再開を決定するとすれば、もう一回リスク評価をさせるのは当然なのに、その必要はない、これは大変おかしな答弁でありますが、これ以上話しても時間が過ぎていきますので、次の質問に移らさせていただきます。

 それで、今回、日本側は、脊柱、脊髄以外の骨つき肉は入れてもいい、内臓も入れてもいいと、大臣、大胆な判断をなさるわけですか。

中川国務大臣 特定危険部位を除いた二十カ月齢以下の牛肉、内臓も含めて輸入再開をするというのがリスク評価機関の御判断、もちろん、EVプログラム遵守とかいろいろついておりますけれども、結論的に言うと、そういうリスク評価機関の御判断に基づいて、我々は、二十カ月以下の特定危険部位を除去された肉及び内臓について輸入を再開するということを去年の十二月の十二日に決定したわけでありまして、それをまた再々開するかどうかという作業を現在やっているところでございます。

山田委員 おかしなことを大臣おっしゃいますが、食品安全委員会が、内臓についてもいい、大したリスクはないと言ったから、その骨についても、肉についても入れるというわけですか。よその国は、中国も韓国も、骨つき肉、例えば台湾も、あるいはもちろんよその国のほとんどは骨つき肉は入れない。OIE基準でも、私の資料にもありますが、これは無条件の貿易ルールとして骨なし肉となっているわけです。それも、骨なし肉についても、骨の除去については随分いろいろな制限がなされています、OIE基準では。

 だから、それなのに、食品安全委員会の評価もないのに、大臣としては、ほかの各国が、すべて骨つきの肉、そして内臓についてはみんな危ないからやめるというのに、それを冒して今度輸入再開されるということですか、大臣。

中川国務大臣 まず、食品安全委員会の答申、お手元にあるかと思いますが、「月齢確認の限界 食肉 二十ケ月出生証明 A40判定」「内臓 二十ケ月出生証明」内臓についても答申の中に入っております。二十カ月以下である、しかも、特定危険部位を除くとある。したがって、内臓についても食品安全委員会の御指示をいただいております。

 それから、骨つきを入れているのは日本だけじゃないかとか、内臓を入れているのは日本だけじゃないかとか、これは、日本がそういうニーズがあって、専門家の皆さんの御判断としてこういう条件を満たせば安全だからであって、山田委員の御指摘であれば、三十カ月以下、二十カ月と言っているのは日本だけですから、では、日本も三十カ月以下にしたらどうだという議論にもなりかねませんので、個々の国の事情を、専門家の皆さんの安全性の御判断に基づいて我々は作業をさせていただいております。

山田委員 大臣、大臣は本当にこの食品安全委員会の内臓部分を読まれましたか。この食品安全委員会の最後の答申ですが、その中の二十九ページ、「従ってA40による月齢判別のみでは、内臓を日本に輸出することは不可能であるが、内臓と枝肉を対応して識別管理できる場合には日本向けに輸出が可能である。」と。

 私は、カーギルの工場に行って実際に見てきました。カーギルの所長も、内臓を別々にするとすれば、ほかに冷蔵庫の設備も必要だし、我々は採算がとれないから内臓の輸出は無理である、そうはっきり言っていましたよ。

 ところが、日本がアメリカに輸出する場合は内臓はできない。しかも、先ほど中川委員が午前中言っていましたが、日本側は、全農は何億もかけてラインを別にした、改装工事をやった。それくらい厳密にやっているのに、日本だけ骨を入れても、内臓を入れてもいいんですか。こんなばかな国はどこにもありませんよ、食の安全で国民がこれだけ、七〇%から八〇%の人が心配しているときに。いかがですか。

中川国務大臣 食品安全委員会にぜひお聞きいただきたいと思います。

山田委員 きょうは食品安全委員会を呼んでいますが、あと私の持ち時間は十分足らずです。ちょっと私としては先を急ぎます。

 大臣、骨つき肉がなぜだめかということを御存じですか。骨の中に髄液が入っています。例えば、内臓の部分の骨もそうですが、指の骨にしても中に必ず髄液が入っています。

 私はきのう、金子清俊先生からいろいろお話を聞きました。そうすると、骨つきの肉を各国がどうしても入れないというのは、やはりそこにかなり異常プリオンが髄液の中にたまっているから危ないんですよと。しかも、内臓、いわゆる小腸部分の回腸遠位部、一メートルから二メートルで切っていますが、アメリカにおいてそれをやる習慣はありません。私は、これはやらないと思っています。扁桃部、これは重大な危険部位です。タンにおいて扁桃部をどこから切ったらいいかというのも、これも難しい問題です。内臓においてちょっと損傷があれば、肝臓でも腎臓でもそうですが、そこに非常にプリオンがたまりやすい。そういった事情から、アメリカですら日本からの内臓は輸入しない。

 それで、先ほど、韓国とか中国とか、各国は輸入しないけれども、日本にはニーズがあるんだと言いましたが、韓国は骨つきリブ、これを焼き肉にしているんですよ。ホルモン料理も韓国から日本に来たんです。韓国は骨つきリブ、あばらのリブは実際に入れないんですよ、今回アメリカから。台湾にしても中国にしても同じ事情でしょう。日本だけニーズがあるというわけじゃないんです。大臣、どう思われますか。

中川国務大臣 お許しいただければ、リスク評価の問題でございますから、食品安全委員会から答弁していただいた方がいいと思います。

山田委員 この問題は、私、大臣に聞いているのであって、食品安全委員会は別の問題。リスク評価が成立しているか成立していないか、今後どうするのかということは別途聞きます。質問にお答えいただきたい。

中川国務大臣 ニーズがあるとかないとかは、それはちょっと先の話で、さっき申し上げたように、あくまでも安全が前提だということでございまして、たしか輸入再禁止前は牛タンの八割から九割がアメリカ産であったということも含めて、日本だけじゃございません、内臓を食べるのは。しかし、禁止をしている国があることも知っております。

 他方、三十カ月を二十カ月にしている主な国も日本だけでございまして、そこは、日本であれば、信頼できる食品安全委員会の専門家の皆様方が一年半もかけて何十回も御議論をしていただき、リスクコミュニケーションもしていただいた上での御判断を踏まえて、我々リスク管理機関が、その条件を遵守できるように、できるかどうかという作業を今アメリカでやっているわけであります。

山田委員 先ほど、国内でニーズがあるからで、よその国にはニーズがないようなことを言われたし、何で骨がだめなのか、内臓がだめなのか、大臣、知っておられるか、この二問についてお答えいただきたいと言っているんです。

中川国務大臣 私は、知っているか知っていないかの以前に、答申に基づいて仕事をしているんですから、答申で特定危険部位以外の二十カ月以下のもの、肉、内臓、こう書いてあるわけですから、それに基づいて我々は、それに適合するのかしないのか、しなくなった場合にはどうしたらいいのかという作業をしているのであって、ぜひ食品安全委員会に聞いてください。ひとつ専門的な議論を国会の場でぜひやってください。

山田委員 大臣、食品安全委員会のこの最終報告は読まれたと思います。この中に、内臓の輸入は不可能であるがと書いているじゃありませんか。二十九ページの中段。ましてや、金子清俊先生は、骨の輸入を認めるなんて考えられない、なぜだか私がお聞きしたい、食品安全委員会の金子先生がそう言っているわけですよ。それなのに大臣は、リスクを管理する側だから、リスク評価も成立していないというのに、ほかの国はみんな骨とか内臓は禁止しているのに、骨も内臓も大丈夫だというのは、どういう根拠でそう言っているのかと私は聞いているんです。

中川国務大臣 答申の中に、「内臓と枝肉を対応して識別管理できる場合には日本向けに輸出が可能である。」この根拠については、食品安全委員会からぜひお聞きいただきたいと思います。(山田委員「ちょっと手短に答えて。時間がないから。もう質問しないから」と呼ぶ)

見上参考人 まず、質問の内容で、内臓のことに関して御指摘があった点なんですけれども、あれはA40というカテゴリーで分けた内臓のことの説明で、アメリカといえど、月齢というか生まれた年がはっきりわかっているものは入れる、そういうことです。

 それから、骨に関しましては、骨も御存じのように大腿骨があってあばらがあります。要するに、脊柱でも骨髄を取り除いた後、何がSRMかといったら背根神経節なんです。だから、骨は、ボンレスミートは世界どこでも輸入が許可されていない、日本だけどうのこうの、その話はちょっと、先生、間違いじゃないでしょうかね。

山田委員 時間がなくなるので、ちょっと急ぎますが、骨つき肉を輸入する際のOIE基準の中に、リスク不明国、いわゆる飼料規制とか云々が完全に有効になされていないのはリスク不明国と見ていいと思いますけれども、その中に、「脱骨の過程で露出する神経組織、リンパ組織を含まないこと。」それは、いろいろな規定があります。だから、非常に骨は危ない部分である、内臓も危ない部分であるということは、食品安全委員会の報告でも、内臓は肉よりも危ないところであるということは指摘してある。だから、そういった事柄を含めてもそういう規定になっているわけです。

 そこで、私も質問時間がなくなってきたので、大臣、午前中、西委員がちょっと聞いておりましたが、いわゆる牛肉輸入が再開されたときに、例えば表示の問題です。

 例えば、塩コショウをしただけで今の段階では加工肉になる。学校給食においても、これはアメリカ産の牛肉では、あるいは内臓にしてもそうですが、アメリカ産の牛肉、内臓、骨つき肉ではないということの表示ができない。確かに十月からは塩コショウした部分については表示が義務づけられることにはなりますが、あと、ハンバーガーになったり、いろいろな形で加工食品になった場合、あるいは牛丼屋さんに並んだ場合、今の表示がなされないでいいことになってしまう。それについて、大臣、何らかの表示が必要であるというお考えはありませんか。

中川国務大臣 安全というよりも安心という観点から消費者の皆さん方が情報を求める、これはもう我々もよく承知をしております。ですから、一部生鮮については義務づけ、そしてまた、今山田委員御指摘のように、加工度の低いものについては、合いびきとかそういうものについては十月からやるということでございます。

 しかし、一つは、諸外国との横並びというとまたこれは怒られるかもしれませんけれども、WTOの関係でいうとSPSとノンタリフバリアの関係であるとか、あるいはまた、実際にやってみるとなかなか難しい、技術的あるいはコスト的にも難しい。でも、消費者がそれを求めているのであれば、売る側の、ある意味では、それを表示できるのであれば、不当表示はいけませんけれども、できるのであれば、それをやることによって消費者のニーズにこたえられるというメリットもあるんだろうと思います。

 そういう意味で、我々としては、法律で義務づけということは一定の限界がありますけれども、そういうことをやることについて、我々としても、ガイドライン等々でそういう流れを後押ししていきたいという気持ちといいましょうか、気持ちよりもさらに踏み込んだ形で、とりわけ学校給食であるとか病院食であるとか、そういうところについてやっていきたい。それを義務化とか罰則とか、そういうものはなかなか難しいわけでありますけれども、そういう方向に我々としても進んでいくようにできるだけ努力をしていきたい。そこは多分、山田委員のお気持ちと私とは同じではないかというふうに考えております。

山田委員 今回、骨つき肉、骨、あるいは内臓まで入れるということであれば、当然のことながら、大臣として、今おっしゃった表示ということについては大臣も責任を持って、また与党の先生方も、表示については義務づけでなくても任意ではやるべきじゃないかという御意見も、二田筆頭を初め随分お聞きいたしました。

 そういう意味では、我々、委員会では十分それについては議論をしておりますし、ぜひそれを踏まえて具体的な成果があるような方法を考えていただきたいということで、いろいろお聞きしたいことはあったんですが、時間があるつもりで、とうとう時間になってしまいました。非常に不本意な点は残りますが、これで終わらさせていただきます。

稲葉委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社民党の菅野哲雄であります。

 最後の質問になりましたけれども、しばしの間おつき合い願いたいというふうに思っています。

 まず、冒頭ですが、六月一日から六月十四日まで全国十カ所で、米国産牛肉輸入問題に関する意見交換会、いわゆるリスクコミュニケーションが行われました。ここで出された意見が、十カ所ですから相当な意見が出されているというふうに思うんですが、政府から取り寄せた資料は、ここに持っているんですけれども、たった二枚という状況なんですね。本当にこれでいいのかという問題点はあるんですけれども、政府から出されたこの二枚のペーパーを見ても、早期の輸入再開を求めるという意見というのはほとんどないという状況なんですね。

 それで、米国産牛肉に対する、この輸入再々開に対する国民の不信というのは、私は、この一日から十四日まで行われたリスクコミュニケーションを通じても、理解を得られたというふうに考えることはできないんですけれども、政府として、どのようにこのリスクコミュニケーションの結果をとらえているんでしょうか。そしてまた、輸入再開手続で合意した六月二十日、二十一日の局長級テレビ会合で、このリスクコミュニケーションで出された内容を米国にどのように伝えたんだろうかという疑問も生じております。そして、伝えたとすれば、米国のそのことに対する認識はどうだったのか、そして、輸入再開に向けた措置にこの出された意見をどのように反映させているのか、これらについて答弁を求めたいと思います。

中川政府参考人 まず、先生が今おっしゃいました六月一日から十四日、そこで出された意見、集約すれば二枚でありますけれども、この十カ所の会場一つ一つでの御意見、それから事務方の回答なり意見の開陳というものはすべてホームページで開示をいたしております。

 それを申し上げた上で、十カ所で出された消費者の方々初め関係者の方々の意見でありますけれども、事輸入の再開ということについて申し上げますと、一つは、輸入再開には慎重な対応が必要であるという御意見もございましたが、一方で、二度とこのようなことが生じないようにして、そうした上で輸入を再開すべきというふうな御意見もありました。ここはかなり幅があったというふうに私ども考えております。

 いろいろ出された御意見、単に反対か賛成かということだけではなくて、もう少し具体的にいろいろな御意見、事前にきちっと現場を見るべきであるとか、それから抜き打ち査察、検査というようなものも必要ではないかとか、あるいは水際の措置を強化することが必要ではないかというふうな御意見がございました。

 こういう具体的な御意見につきましては、先般の六月二十日、二十一日のこの日米の局長級の会合におきまして、再開に向けてのいろいろな条件、アメリカでやること、日本でやることというふうなことを協議したわけでありますけれども、この中に盛り込んでございます。これは二十一日の共同記者発表の中に書かれておりますけれども、先ほど申し上げましたように、アメリカ側が既に三十五施設をレビューしておりますけれども、改めて再開の前に、日本が現に今やっておりますように、調査を三十五施設全部やるというふうなこと、それから抜き打ちの査察、これはアメリカがやる場合に日本もそれに同行するということ、それから水際措置につきましても、検査の密度を上げる等の水際の強化策、それから日本側も施設ごとの適合品のリストを持って一つ一つチェックをしながら日本として確認をするというふうなこと、そういうことをやっていこうということで、できるだけその意見交換会で出された御意見は反映をさせたつもりでございます。

菅野委員 リスク管理機関が行っているリスクコミュニケーション、私は、もう一つ、リスク評価機関が行うリスクコミュニケーション、この二通りが食品安全委員会を設置するときの大きな議論になったことだというふうに思っています。リスク評価機関も同行して国民の声を聞いたというふうに思うんですけれども、やはり国内対策をどう進めていくのかということが私は一番重要だというふうに思うんです。

 輸入再々開に当たって私がこの委員会や予算委員会でずっと主張してきたことは、国民の圧倒的な理解を得る努力をして結果を出さない限り、この輸入再々開というのは大きな問題が存在するんだということをずっと主張してまいりました。その一つの手法として、今山田委員も議論していましたけれども、国民的な理解を得るために、食品安全委員会の再評価ということも一つの手段だということを訴えてまいりましたが、それは今日的にまだ、ずっと政府の一貫した考えのもとに、リスク管理機関から再評価をするということは行わないという一貫した姿勢が貫かれています。

 その結果として、この世論調査によれば、輸入再開に反対が七一%、そして、再開されても米国産牛肉は食べたくないという国民が六一%にも達するという状況が、リスクコミュニケーション以降もこういう状態であるということに大きな問題点が存在するというふうに私は思っています。さらには、米国産牛肉を使おうとする業者が三五%にとどまっている。

 七一%、六一%、三五%という数字が出ているのですけれども、このような現状をどのように政府として認識しているのか、そしてなおかつ、これから多くの国民の理解を得ていく努力をどのように行おうとしているのか、この点をはっきりさせていただきたいと思います。

中川政府参考人 今先生が引用されましたように、各種の世論調査が行われておりまして、そこで指摘をされましたような数字が出ているということは、私ども承知をいたしております。

 一つは、リスク管理というもの。これはリスク評価に基づいた上での管理措置をとるわけでありますけれども、この点につきましては、既に、十二月の十二日に日米の再開をするに当たりまして、十二月の八日に食品安全委員会の方から答申をいただいて、その答申の具体化をして、そして再開をしたわけでございます。一月になりまして御案内のような事案が出ました。したがって、徹底した原因究明と再発防止ということで、これまで約半年間、まずはアメリカ側の調査、それから日本の質問、そして両国の間での専門家での会合をやり、改めてアメリカで現存の三十五の施設についてアメリカ側がレビューをし、さらに今度また日本が行って、日本としてみずから確認をする、そういうふうに手順を踏んで、一つずつ、再発の防止のためのきちっとした対応を、念には念を入れてやってきたつもりでございます。

 この間、節目節目で、消費者の方々を初め関係者の方々を対象に、全国それぞれ十カ所ごとで意見交換会もやり、情報提供もしてきたということでございます。

 ですから、リスク管理を担当しております私ども農林水産省と厚生労働省の行政サイドとしてやるべきことは、こういったきちっとした対応を、科学的な知見に基づいた措置ということで、食品安全委員会の評価を踏まえて、そしてそれを具体化していくというのがリスク管理機関のとるべき道だというふうに思っております。これは、一朝一夕に消費者の方々の御意見が変わるというものではありません。私どもとしても、これから先もできるだけ機会をとらえて、さらに情報提供なり意見交換会をしていきたいというふうに思っております。

菅野委員 局長、食品安全委員会をつくるときに、この委員会でもあるいは厚生労働委員会との合同審査でも一番問題になった、議論になった点というのは、リスク管理機関と評価機関のあり方の問題なんですね。

 それで、先ほども山田委員が議論していましたけれども、評価機関としてはEVプログラムが守られなければこの評価は成立しない、これが国民の前に全部広がっている事実なんですね。これを払拭しない限り、私は、国民の食に対する安心という観点からいって、安全というのは科学的な観点から立証できるというふうに思うのですけれども、安心という観点は、ぬぐい去ることはできないというふうに思うのです。そこを再評価することによって、国民のすべての人が、少なくとも、食品安全委員会が安心というお墨つきを与えた、それに基づいて管理機関が行動するのだからという安心感を取り戻すことができるというふうに私は考えているのです。そのことを行わない限り、この七一、六一、三五という数字は減っていかないと私は断言してもいいと思うのです。

 この間もこの議論を行ってまいりました。政府全体として、私は、ぜひしっかりとした対応をしていただきたい、この後でもまたこの議論を続けますけれども、このことを申し添えておきたいというふうに思っています。

 それと、今、山田委員も議論いたしましたけれども、隣の韓国において、この六月に輸入再開を予定しておりましたが、現地査察の結果、輸入再開を当面延期した。そして、このことは六月の二十日、二十一日の局長級テレビ会談でも取り上げたというふうに思うのですけれども、まず、韓国の輸入再開延期というものを政府としてどのようにとらえているのか。そしてまた、輸入再開を当面延期した韓国側と、どのように連携をとって、事実確認というのを政府としてはどのように行ってきたのか、これらについてお聞きしておきたいと思います。

中川政府参考人 韓国が行いましたアメリカでの査察の結果、再開を延期したということは報道でも承知をいたしておりますけれども、その具体的な中身につきましては、実は私ども、韓国政府に何度も外交ルートを通じて照会をいたしておりますけれども、詳細は明らかにされておりません。三十七施設中七施設に問題があった云々という話も、これはアメリカのある食肉処理施設の経営者が報道機関に対して話をしたことでありまして、具体的なところは、日本から正式に照会をしても情報が得られていないというのが実態でございます。その点、私どもは引き続き韓国側には情報提供を呼びかけておりますけれども、実態はそういうことでございます。

 韓国とアメリカとの牛肉輸入の条件と、それから日本とアメリカとの間の輸入の条件は、いろいろと違っております。これは先ほどからいろいろと御議論がありました。特にカナダの扱いなどについては全く、輸入を認めるか認めないかというところも違っております。こういうふうに、それぞれ条件は違っております。

 ただ、ルールとしていろいろと問題があったという点はそのこととして受けとめて、今度は日本が、日本の基準、日本とアメリカとの基準で三十五の施設が本当に事故が将来起こらないようにきちっとした仕組みになっているか、そういう実施体制になっているかということを、アメリカだけではなくて、日本もみずから今調査に行っているというのが今の段階でありまして、その結果をきちっと踏まえて、そして最終的にリスク管理機関として判断をしていきたいというふうに思っております。

菅野委員 局長、私は今、局長の答弁を聞いていてびっくりしたのですが、隣の韓国が輸入再開を当面延期した、この状況について政府は一切情報を得ていないという今の答弁ですよね、詳細については。私は、そういうことをこの場で言うということは、国民の安心という立場からいって、安心をどう取り戻すかという観点からいっても不十分だというふうに思うのです。真剣になって、なぜ隣の韓国がそういう状況に陥ったのか、そして、七施設とも言われている、今、山田委員が資料を出した、そういう施設がどういうふうになっていたのかというのは、政府としては、しっかりとした情報を得て、そしてこの七月の二十三日まで現地で査察を行っているわけですから、その査察を行うための基礎的な資料として持っていって、そこは重点的に調査するとか、そういう連係プレーを日本政府としてとるべきだというふうに私は思っています。そういう緻密な一つ一つの積み重ねをやった上で、国民の安全、安心を取り戻すための重要なステップだというふうに私は思っています。

 それで、具体的に、正規な情報ではないとしても、七施設、日本に輸出する食肉工場の七施設とも言われていますけれども、その状況は今日までの中でどのように把握しているのか、一点お聞きしておきたいと思います。

 また、牛丼チェーンのすき家を経営している小川社長は、全頭検査等で安全が確保されない限り米国産牛肉は使用しないという方針を打ち出していました。そして、米国の食肉加工業者を視察し、ずさんな肉処理に不信感を高めたとする記事がマスコミ等で報道されております。

 これは対日輸出認定施設の肉処理工場なんだというふうに言われていますけれども、このことをどのように政府としては考えているのか、お聞きしておきたいと思います。

中川政府参考人 御質問は二つに分かれておりますので、前段の方を私の方からお答え申し上げます。

 報道をされております、韓国が問題視しているとされる七施設につきまして、三十五の施設の中に入っているということであれば、今回私どもが行く中で、当然その施設も対象になるわけであります。

 アメリカと結んだ家畜衛生条件それから輸出証明プログラム、その条件がきちっと守られる体制になっていれば、日本としては、食品安全委員会のリスク評価を得た条件のもとでの輸入が可能になるということでございますので、私どもの現在送っております専門家は、そういった二つの基準を念頭に置いて、そして一つ一つ、マニュアルからあるいは具体的な工場での作業のところ、これも日本向けには現在作業はされておりませんけれども、そこをデモンストレーションのような形できちっとやってもらって、そしてそれぞれの工程をチェックしているわけでございます。

 こういった具体的な確認作業をきちっとやった上で、最終的にその施設がどうかということを判断したいというふうに思っております。

松本政府参考人 ゼンショーの小川社長が米国の食肉加工業者を視察して、ずさんな処理が行われて不信感を高めたとする記事のことについてのお尋ねでございます。

 対日輸出認定施設におきましては、屠体をのこで背割りした後に、脊髄を吸引除去機によりまして吸引除去して、その段階で、ちゃんと除去したかどうかは確認されます。その後、高圧水等による洗浄が行われて、その高圧洗浄が行われた後も、ふんだとかミルクだとかそういうものがついていないかどうかということが確認されているというぐあいに認識しております。

 いずれにしましても、現在、我が国から米国に調査チームを派遣いたしまして、対日輸出認定施設について、米国側の措置の適切な実施ですとか対日輸出プログラムの遵守等についての検証のための調査を行っているところでございまして、脊髄を含めたSRM除去に問題があるなど不適合のある施設が発見された場合には、必要な是正措置をとらなければ輸出手続の再開を認めないということとしておりまして、この記事がどのような点をごらんになって、どの段階をごらんになったかちょっとよくわかりませんけれども、少なくとも、現在調査に行って、こういうことがないようにということで、厳しい目で見ておるというところでございます。

菅野委員 このことも多くの議論がなされてまいりました、背割りの問題なんです。本当に、最初に脊髄を取ってそして背割りを行うか、背割りを行った後に脊髄を取るのか、このことによって違いというものが生じてくる。そして、高圧洗浄で洗浄するというこのルートのことも含めて、一頭にどれだけの時間をかけているのかということから考えても、本当に正しくなされているのかというのは、このすき家の社長が言う言葉だというふうに思うんです。

 物理的にできないことがまかり通っている現実を見たときに、これは大変な問題だということで新聞に載せたというふうに私は理解するんです。査察でどういう結果がなされるか見守りたいと思うんですけれども、物理的にできない状況にあるということだけは私は大きな問題だというふうに思いながら、このことについては査察の結果を見守りたいというふうに思っています。

 それで、新聞記事にも載っているんですが、査察が来る場合には、その査察に対応する措置を講ずるんだというふうに現場の人が言っていたということも新聞記事になっていますけれども、やはり査察というのは抜き打ち的に行うのが査察だというふうに、今後抜き打ち的に行う査察も必要だというふうに私は思うんです。

 ただ、局長級テレビ会合で合意された中においては、米国側が行う抜き打ち査察に同行という項目があるんですけれども、私は、輸入国である日本が三十五施設に対して抜き打ち的に査察できる体制というものも確保すべきだというふうに思うんですが、このことに対して見解を求めておきたいと思います。

中川政府参考人 具体的な査察というのは、当然のことながら、アメリカ国内において行うものでございます。日本の公権力が及ばない海外の施設で、日本の組織が単独で抜き打ちに、どこかの施設にある日突然行って、そこで査察をしたい、何かを調べたいと言っても、これはやはり現実問題、無理でございます。

 そこで、そうではあるが、そういう制限の中で何とか定期的なもの以外に抜き打ちの、予告なしの査察ができないかということで、アメリカ側と一緒になって同行するという仕組みを今回合意をしたということでございまして、これも実際にやるとなりますと、今度は日本側の、どこを見たいんだというふうなことも、これはアメリカとの間で協議をすることも可能になって、そこは幾つかやり方は工夫があると思います。

 できるだけ実が上がるような形では努力をしたいと思いますけれども、先生の冒頭おっしゃったように、日本だけ単独に行ってというのは、逆にアメリカが日本の施設へ来るときのことを考えても、難しいというふうに思います。御理解をいただきたいと思います。

菅野委員 検査を受ける側というのは、やはり抜き打ち的な査察が行われるんだという、行われる要素があるんだということによって体制というものは引き締まっていくという状況があるというふうに思うんです。アメリカ側と同行して行うという場合も、そういうことをしっかりと念頭に置きながら今後対処していただきたいというふうに思っています。

 それから、リスクコミュニケーションで出された意見の中で、やはり先ほど山田委員も質問していましたけれども、外国産牛肉の原産地表示を義務化、先ほどの答弁で、この十月から行うという方向はお聞きしたんですが、これもやはり国民の食に対する安全、安心という立場から大いに、これからどう原産地表示を行っていくのか、多くの議論がなされていかなければならない。先ほども議論になっていましたけれども、加工食品にどう表示義務を課していくのかというのも大きな課題だというふうに思うんですが、これらについての御見解をお聞きしておきたいと思います。

中川政府参考人 先生も御案内のとおり、生鮮食品につきましてはもう既に平成十二年の七月から原産地表示が行われておりまして、加工食品も、海外で加工されたものが日本に輸入される場合の加工地の表示、これも全部、今義務づけがされております。

 問題は国内で製造される加工食品の原料として使われているものの原産地の表示ということでございまして、消費者の方々の関心も非常に高い問題でございますので、平成十六年の九月に表示に関する共同会議というところで、消費者の方々、それから事業者の方々も入っていただいた上でいろいろ議論をいただいて、そして、加工度が比較的低い、どこの原料を使っているかということが最終的な製品の品質に影響を及ぼすものとして二十品目群に網かけをして、十六年の九月に既に告示改正をし、ことしの十月から義務化をするということで今最終的な段階に来ているわけでございます。

 現に、これはもう一年ほど前になりますが、実際にそういった、今回対象になります味つけカルビですとか合いびき肉ですとか、そういうものについてどれぐらいもう既に実施がされているかという調査もいたしました。義務化にはなっておりませんけれども、八割程度のものにまでそういう準備が今進んでいるということも既に確認をいたしております。

 こういったものにつきましては、ぜひ十月までにきちっとやれるようにということで指導、督励をいたしたいと思いますし、こういった義務づけがされていないものにつきましても、この義務づけによりまして、先ほど大臣からも御答弁がありましたけれども、やはり、義務ではないけれども、事業者の方がやれば、消費者のニーズにこたえるものであれば、きちっと御商売が繁栄していくということになりますから、ニーズにこたえていく、そういう創意工夫の一環として、事業者の方々が原料原産地表示に前向きに取り組まれるように、私どもとしても地方農政事務所等を通じて指導をしていきたいというふうに思っております。

菅野委員 時間がなくなってまいりましたけれども、今後の課題について一つお聞きしておきたいと思うんです。

 七月二十三日以降、事前査察が終わったということで、この査察の結果を踏まえていろいろな議論がなされるだろうというふうに思うんですが、そのときに、六月一日から十四日までリスクコミュニケーションを全国展開してまいりました、この査察の結果を受けて、このリスクコミュニケーションを実施することをどう考えているのか。行うのであれば、その期間は、私は、国民的な理解を得る期間として輸入再開を避けるべきだというふうに思うんですけれども、これらについてどう考えておられるのか、お尋ねしておきたいと思います。

中川政府参考人 日本側によります現地調査の結果につきましては、昨年の十二月の査察の際もそうでありましたけれども、できるだけ早く国民の皆さんにその結果について情報提供をする、説明をするということは行いたい、そういう機会を設けたいというふうに思っております。

 その際に、米国産牛肉の輸入再開につきましては、具体的にどういう強化策をとるか、そういった点につきましては、これまで二回の各地での意見交換会において、どうすべきだというふうなところは、消費者の方々を初めとする意見を聞いて、そして二十一日の共同記者発表にありますように、具体的な対策として織り込んだわけでございます。

 そういったものを含めて、実際できるかどうかというふうな、現場の施設では行われているかどうかという点について今回確認をしております。その調査結果を踏まえて最終的な判断をする、これは専門家が見た結果についての行政的な判断でございます。この行政的な判断と、それから消費者の方々にできるだけ早く情報提供はしたいと思っておりますけれども、この説明会が終了するということと、この最終的な判断について、必ずしもここが、どちらが先でなければいけないということではないというふうに思っております。

 もう少し端的に言いますと、説明が終わるまでは判断をしてはいけないというものではないというふうに私どもは考えております。

菅野委員 時間が参りましたので質問を終わりますけれども、基本的に、先ほどからずっと私は言っていますけれども、輸入再々開に当たっての条件というのは、国民的な理解を得るということが私は大前提だというふうに思っています。

 最後の中川局長の答弁においても、そのことが大前提にはなっていないと私は言わざるを得ないというふうに思うんですね。世論調査を何回やっても国民の安全、安心の理解が得られていかないということをしっかり総括して、今後対応していただきたいことを強く申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

稲葉委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時六分散会


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