衆議院

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第6号 平成20年3月24日(月曜日)

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平成二十年三月二十四日(月曜日)

    午後二時開議

 出席委員

   委員長 宮腰 光寛君

   理事 岩永 峯一君 理事 江藤  拓君

   理事 近藤 基彦君 理事 佐藤  錬君

   理事 七条  明君 理事 筒井 信隆君

   理事 細野 豪志君 理事 西  博義君

      赤澤 亮正君    伊藤 忠彦君

      飯島 夕雁君    石原 宏高君

      小里 泰弘君    小野 次郎君

      近江屋信広君    岡部 英明君

      金子 恭之君    亀井善太郎君

      北村 茂男君    斉藤斗志二君

      清水清一朗君    谷川 弥一君

      永岡 桂子君    丹羽 秀樹君

      西川 公也君    平田 耕一君

      福井  照君    福岡 資麿君

      御法川信英君    水野 賢一君

      森  英介君    石川 知裕君

      大串 博志君    小平 忠正君

      郡  和子君    佐々木隆博君

      神風 英男君    仲野 博子君

      松木 謙公君    村井 宗明君

      石田 祝稔君    菅野 哲雄君

    …………………………………

   農林水産大臣       若林 正俊君

   農林水産副大臣      今村 雅弘君

   農林水産大臣政務官    谷川 弥一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 草賀 純男君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  高橋  博君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            中條 康朗君

   政府参考人

   (林野庁長官)      井出 道雄君

   政府参考人

   (水産庁長官)      山田 修路君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            石橋 幹夫君

   農林水産委員会専門員   渡辺 力夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十四日

 辞任         補欠選任

  今津  寛君     福岡 資麿君

  金子 恭之君     石原 宏高君

  北村 茂男君     清水清一朗君

  中川 泰宏君     岡部 英明君

  渡部  篤君     御法川信英君

  大串 博志君     郡  和子君

  高井 美穂君     村井 宗明君

  横山 北斗君     松木 謙公君

  井上 義久君     石田 祝稔君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 宏高君     金子 恭之君

  岡部 英明君     中川 泰宏君

  清水清一朗君     北村 茂男君

  福岡 資麿君     今津  寛君

  御法川信英君     渡部  篤君

  郡  和子君     大串 博志君

  松木 謙公君     横山 北斗君

  村井 宗明君     高井 美穂君

  石田 祝稔君     井上 義久君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人緑資源機構法を廃止する法律案(内閣提出第二二号)


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     ――――◇―――――

宮腰委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、独立行政法人緑資源機構法を廃止する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省経営局長高橋博君、農村振興局長中條康朗君、林野庁長官井出道雄君、水産庁長官山田修路君、外務省大臣官房審議官草賀純男君及び海上保安庁警備救難部長石橋幹夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮腰委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

宮腰委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大串博志君。

大串委員 民主党の大串博志でございます。

 きょうは、独立行政法人緑資源機構法を廃止する法律案ということでお時間をいただきました。

 これは、皆さん御案内のとおり、かねてより発生しました、この緑資源機構という独立行政法人の林道整備の事業において、調査業務でしたけれども、談合が行われる、受注調整が行われる、受注の割り振りが行われるという事件でございました。これによって、独立行政法人の現職を含む、そしてその流れをくむ公益法人を含め、その担当者に逮捕者まで出るという、税金の無駄遣いという観点からすると大変問題の多い、深刻な問題でありました。

 これを契機としまして、独立行政法人の見直しという契機も相まって、今回、緑資源機構法を廃止し緑資源機構を廃止する、こういうふうになっておるわけでございますけれども、きょう、私の方からは、これだけ世間を騒がせる大きな問題が起こった、これに対して、対応は十分なされているのかという観点から、大臣に質問させていただければというふうに思います。

 そこで、まず初めに、今般、林道整備事業の調査業務に関して官製談合が行われた、そして逮捕者まで出た、これだけの事件でございました。この事件が起こったことを受けて、その発生原因はどこにあって、それに対して農林水産省としてどのような対応をとられたのか。これに関しまして、まず大臣から簡潔にお願いしたいと思います。

若林国務大臣 緑資源機構におきます今回の談合問題につきましては、発注者側が組織的に、継続的に談合を主導したという極めて悪質な官製談合でありました。まことに遺憾な事案であると考えております。

 今回の問題の発生原因につきましては、緑資源機構が入札談合再発防止対策に関する調査報告書を取りまとめたわけですが、その中におきまして、まず、指名競争に偏重した契約制度、次に、コンプライアンス意識の欠如、そして三つ目に、狭く固定的な人事などが挙げられているところでございます。

 農林水産省におきましては、この事案の発生を受けまして、緑資源談合等の再発防止のための第三者委員会を設置いたしまして、緑資源機構の組織、業務、人事のあり方について根本的かつ総合的な検討を行ったところであります。

 その結果、組織の廃止、事業の廃止を含む大幅な見直し、機構からの関連法人への再就職の自粛などの人事のあり方の見直しなど抜本的な措置を講ずることとし、現在御審議をお願いいたしております機構の廃止法案を国会に提出したところであります。

 談合再発防止策につきましても、緑資源において、入札方式は災害復旧などを除きすべて一般競争入札により実施すること、緑資源機構においてコンプライアンスマニュアルを作成し、職員を対象とした研修を実施すること、農林水産省内に緑資源機構の入札監視のための委員会を設置いたしまして、四半期ごとに機構に設置されている入札監視委員会による入札監視が適正に行われているかどうかを確認することなどを行っているところでありまして、機構廃止後も継続してこれらの措置を確実かつ適切に講ずることといたしております。

 今後とも、談合再発防止策について万全を期し、国民の信頼回復に努めてまいりたいと考えております。

大串委員 今問題と対応策に関してざっと御説明いただきましたけれども、今おっしゃった中で、これは非常に国民として問題の多い、いわゆる税金の無駄遣い。談合が行われるということは、それだけきちんとした競争入札が行われないということでございますので、結局税金にはね返ってくるわけでございます。

 税金の無駄遣いという観点から、これは厳しく見直していかなきゃならないということで、私はきょう質問させていただくんですが、そもそも緑資源機構を考える際に、もともとこの組織の中に、談合をなくす、一般競争入札をきちっと行って、低いコストで行っていくんだ、そういうインセンティブが、メカニズムがきちんと働いていたかというと、疑問だなと思う点があるわけでございます。

 例えば、そのようなコストを抑えたいというインセンティブ意識は恐らく財務の方から出てくるんだと思いますけれども、この緑資源機構の財務のあり方を見ていると、私は独立行政法人としては極めて異質だと思います。

 なぜかと申しますと、独立行政法人というのは、御案内のように、釈迦に説法ではありますけれども、公的な業務ではある、しかし必ずしも国でやる必要はない、そこで独立行政法人という新たな組織で、効率とかあるいは政策評価とかそういうのを盛り込んで、できる限り民間に近い考え方でやっていこう、もともとこういうふうな考え方でできた組織であります。その仕組みを支えるものとして運営費交付金というメカニズムがあって、運営費交付金を使って事業を行うわけですけれども、運営費交付金を効率的に使って余らせることができれば、積立金として翌年以降自分たちで自由に使える、こういうふうなメカニズムがあった、これが独立行政法人なのであります。

 しかし、この緑資源機構を見てみると、運営費交付金はゼロ、ありません。どういう財源を使って事業を行っているかというと、大宗は補助金、国庫補助金でございます。林道整備あるいは土地の整備、農用地整備等々のための補助金、これを使ったものが大きな収入源。そして、もう一つ大きな収入源は自己収入でございます。この自己収入も、林道整備あるいは農用地整備を行ったこの負担金が地方及び受益者から返ってくるという意味での自己収入でございまして、ほとんど補助金の裏みたいな形になっております。そのほか、財投機関でありましたので、財投借り入れ等々がいわゆる入りのお金になっている。ですから、この運営費交付金というのはないんですね。

 これを見ると、緑資源機構というものは、あたかも林道整備や農用地整備あるいは特定中山間事業のような、いわゆる公共事業的なものを行うための箱として使われていたわけであって、組織としてできるだけ事業を効率化して、もしそれによってお金が浮いたら自分たちで自由に創意工夫を生かして新たな事業をやっていこうというようなメカニズムは、実は存在しないんです。このような、いわば独立行政法人という名をかりた仕組み、これが問題になったのではないかという感じがするんですね。大臣、この辺に関して、御所見はいかがですか。

若林国務大臣 委員御指摘のように、独立行政法人の財源措置につきましては、一般的には、法人に自由裁量を与える、そういう観点から、運営費交付金、いわば渡し切りの交付金として措置をするということとしているわけでございまして、国の事前の関与を受けることなく予定の使途以外の使途に充てることもできることとされているわけでございます。

 一方で、特殊法人等整理合理化計画というものがございまして、それにおきまして、独立行政法人に対する国の予算手法につきましては、運営費交付金及び施設費のほか、補助金などによる措置も認められることとされております。個々の独立行政法人の業務、財務の性格等を勘案して定めることができることとされているわけであります。

 このような中にありまして、緑資源機構におきましては、主に公共工事を実施するために設立された組織でございまして、事業量に見合った人員や体制を整備する上で、事業費の中で事業量に応じた管理運営費を計上することが最も合理的であるということから、補助金等による事業を実施してきたところでございます。

 なお、同様の性格のものとして、公共事業を実施している独立法人水資源機構及び独立法人都市再生機構におきましても、運営費交付金ではなく補助金により事業実施がなされております。

 また、緑資源機構の各事業については、政府が直接実施するよりも、専門的知見を有するスタッフを多数擁する機関において実施していくことの方が機動的な対応が可能であり、効率的であると考えられたことから、これまで緑資源機構において実施されてきたものであると承知いたしております。

大串委員 今、特殊法人整理合理化計画の内容を引っ張られて、補助金というものも財源の一つになっていいんだと。確かにそのとおりなんです。制度上は許されている。しかし、問題は、それがほぼすべてである。つまり、運営費交付金がない。つまり、自由裁量をもってして効率化に努めようとするインセンティブを働かせるメカニズムが全くこの中には存在しないということが問題なんです。

 今、水資源機構も同じじゃないかというようなことをおっしゃいました。私は、まさにそこも問題だと思っています。御案内のように、水資源機構というのは、農林水産省だけの管轄じゃなくて、国土交通省や経産省の公共事業セクションも共管となっていますね。ところが、農林水産省部門に関して言うと、水資源機構、これも非常にいびつな仕組みになっているな、私はこう思うんです。

 水資源機構の中で農林水産省部門のところは、農業生産基盤整備事業補助金ということで補助金だけ、運営費交付金はない。この水資源機構、運営費交付金を見てみると、ありはします。ありはしますけれども、これは治水特会から丸々出ている。これは、運営費交付金あるいは補助金、どちらでやるのかということが整理のつかないまま進んでいるような気がしてならないんです。

 先ほど、緑資源機構が公共事業を主に行うというためにつくられた、かつ、別事業体をつくってやった方が専門的な知識から機動的にできるということもおっしゃいましたけれども、私は、これが財投機関であったということを十分勘案しても、必ずしも法人をつくる必要はなかったんじゃないかと。経緯からずっと法人ができていますけれども、本当に突き詰めて考えるのであれば、例えば特別会計などというような形でやるということもあり得たんじゃないか、あるいは一般会計の中でやるということもあり得たんじゃないか。必ずしもそれを排除しなくてもいいんじゃないかという感じすら持っているんですね。

 その流れの一つとして、私はこの業務を見ていて、本当に運営費交付金で行うのか、あるいは補助金で行うのかということが、この法人においては極めてよく練られていない、よく分析されていない、よく考えられていないというようなことを感じるわけでございます。

 例えば、これは大臣に御意見いただきたいんですけれども、海外農業開発事業というものがございました。今般、これは新たな法人において行われるということになっております。海外農業開発事業は、これまで緑資源機構でやっていたんですけれども、今後、国際農林水産業研究センターにおいて実施するということになっています。

 緑資源機構において行っていた時代には、これは補助金で行っていたわけであります。今私が申し上げたように、全額補助金として行っていた。ところが、新法人になって、国際農林水産業研究センターで実施する途端に運営費交付金になっているわけでございます。同じ事業を前法人から今法人に引き継ぐとなっているにもかかわらず、なぜ前が補助金で、なぜ今回が運営費交付金なのか。適切な理屈はありますか、大臣。

若林国務大臣 海外農業開発事業につきまして、緑資源機構の中においては補助事業としてこれを組み立てていたにもかかわらず、今度は、国際農林水産業研究センターに承継をした後は交付金という仕組みで実施するというのはなぜか、こういうお話でございます。

 御承知のように、緑資源機構の中におきます海外農業開発事業というのは、全体の事業の中のごく小さな事業の部分であると同時に、ここで何をやるかというのは、その研究開発事業は具体的に明確になっているわけでございます。

 一方、国際農林水産業研究センターが行います海外農業開発事業につきましては、委員も御承知だと思いますけれども、砂漠化の防止などの地球環境問題でありますとか、自然災害等に対する復興支援に貢献するといったようなことから、開発途上国の持続的な農業、農村開発に対する技術手法の開発、調査などを広く実施しているものでございます。

 緑資源機構の廃止に伴いまして、海外農業開発事業については国際農林水産業研究センターに承継するわけでございますけれども、同センターが実施いたします、開発途上にある海外の地域における農林水産業に関する試験研究などの業務は、いろいろございまして、エチオピアなどにおきます砂漠化防止等の環境保全対策調査でありますとか、スリランカにおきます参加型農業農村復興支援対策調査でありますとか、その他、種々の調査事業が何本も立っているわけでございます。

 そういう意味では、海外の調査研究、開発事業としては、幾つもある事業を総合的に行うことができるわけでございまして、継承される業務というのは、国際農林水産業研究センターの他の試験研究等の業務と同様に、その本来の業務としてこれが実施されるというものでありますから、予算においても、他の試験研究等の業務と同様に、それらを総合的な判断のもと、センターの裁量によって行い得るような形で運営費交付金として実施することが適当である、こう考えて措置したものでございます。

大串委員 私もほぼ同じものをいただきましたけれども、今の説明からすると、では、なぜ前の緑資源機構においては海外農業開発事業は運営費交付金ではだめだったんですか、端的にお答えください。

若林国務大臣 それは、今申し上げましたように、緑資源機構の中においては、公共事業実施という、各種の事業の中で、この事業はそれとは性格を異にするような事業でありますが、その事業自身の内容というのはもう明確になっているわけでございますので、それらの事業の実施については、補助事業としてこれをやったとしても、その限りで適正に執行されることが、また、そのことによって、この緑機構が行うことについて、効率的に行い得るものと判断したものであります。

 今度移す方は、そういう海外におきます、途上国におきます調査研究そして開発手法といった共通の部分を持っている事業を多数持っているわけでございまして、全体の中で、それらをセンターが裁量の幅を広げて効率的に組み合わせた上で実施するということの方がより効果的であるという判断で切りかえたわけでございます。

大串委員 要するに緑資源機構の時代には、非常に小さい業務で内容が明確だった。しかし、今回、国際農林水産業研究センターの中では、幾つも業務があって、その中の一つとしてやるから運営費交付金になるという説明なんですけれども、要するに新法人、つまり新しい法人、国際農林水産業研究センターは、運営費交付金でしかこれは行っていないんですね、現在でも。だから、その中で行うから、そこに補助金をくっつけるのではうまくいかないから、今回は運営費交付金でいこうということになっているんだと思うんですね。もともとの補助金スキームが本当に適切だったかということの検討が十分でなかったんだと私は思うんですね。

 運営費交付金でできなかった理由はないんです。事業が明確だったから運営費交付金じゃなくて補助金だとおっしゃいますけれども、事業が明確でも運営費交付金でやっていいんです。むしろ、独立行政法人の場合は運営費交付金でやるのが原則なんです。そこを間違えないでいただきたい。

 そういうことからすると、いわゆるもともとの法人をつくるときに、税金の無駄遣いをなくすためのインセンティブをどうつくっていくかという検討が足りなかったんだと思うんですね。そこに一つ大きな原因があるんだというふうに私は思いました。

 次に、今回の問題を受けての対応、先ほど少し御説明がありましたけれども、それで本当に今後このような大きな問題、深刻な問題がもう起こらないような形になっているのかという点は、私たちしっかり見ていかなければならないというふうに思います。

 先ほど幾つか御説明ありましたけれども、緑資源機構のこの問題を受けて、なるほど、先ほどおっしゃいました第三者委員会の皆さんの中間取りまとめもありました。その前には、「「論点・課題の整理について」を踏まえた農林水産省の包括的な基本姿勢」というものも打ち出されております。こういうものを軸に事後対応策がつくられているんだというふうに私は思います。

 一つ、大臣に個別のことでお尋ねしたいんですけれども、農林水産省の包括的な基本姿勢、そして第三者委員会の中間取りまとめの中で、これはいいなという考え方で、「事業担当部局から分離して常設の監視機関を整備することは、今回新しい内容であり、評価できる。」こういうふうに中間取りまとめに書かれていますね。基本姿勢の中でも、コンプライアンスの徹底の部分において、「職員における法令遵守の徹底を図るため、事業担当部局以外の部局に、コンプライアンスの徹底に対応するための体制を整備」するというところがございます。

 大臣、今これは十分実行されていますか。

井出政府参考人 お答えいたします。

 この件に関しましては、林野庁の関係で直轄事業の契約監視等委員会というものが設けられました。そこでは、外部有識者の参画も得まして、林野庁の発注・契約業務全般につきまして、巡回点検ですとか抜き打ち監査ですとか綱紀保持マニュアルの整備等について、調査審議を願っております。既に現実に全国の森林管理局、管理署を回っていただきまして、そういったチェックもしていただいているところでございます。

大串委員 私はこの仕組み、第三者委員会においていい取り組みだと言われていますけれども、本当にそうかなと思う面もあるんです。

 この設置要領をいただきましたけれども、こういうものは人が非常に重要です。事業担当部局以外の部局がチェックするから第三者的な目があるだろう、そういうことだと思いますけれども、委員の名簿を見て、私はえっと思ったんですね。委員長、林政課長、委員、管理課長、委員、管理課監査室長、委員、管理課監査官三名、そして外部有識者は一名、弁護士をやっている大学の先生、これだけなんですね。

 確かに事業担当部局以外のところでやると書いてあるので、これでいいんでしょう、多分文字面を追っていけば。しかし、これが本当に実効性のある仕組みとなるかどうか、非常にこれは疑問なんですね。だから、これが本当にきちっと行われていくかどうかは、これからもフォローアップを要していくんだと私は思うんです。

 そして、もう一つつけ加えさせていただきますと、これは林野庁の直轄事業の契約に関する、いわゆる事業担当部局以外の第三者の目ということでございます。

 今回の問題は、確かに緑資源機構、そして林野庁において起こった問題ですけれども、では、農林水産省全体でどういうふうに考えていくのかということは考えなければならないと思うんです。

 ちなみにお尋ねしますけれども、事業担当部局から分離してつくる常設の監視機関、林野庁においては林政課長を中心とするこういう監視委員会ができました。農林水産省全体ではこういうことはやられないんでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

若林国務大臣 緑資源機構の談合等再発防止のための第三者委員会からのお話がありまして、緑資源機構の談合問題について、抜本的な再発防止策を検討することを目的として、緑資源機構、受注法人、林野庁の組織、業務、人事のあり方について御審議をいただいたわけでございまして、ここで提起された論点、課題、いろいろございますが、これらを踏まえまして、農林水産省としての考え方を取りまとめたものが農林水産省の基本姿勢でございます。

 農林水産省全体としての対策につきましては、昨年の七月二十六日に第三者委員会の中間取りまとめが行われたことを踏まえまして、農林水産省直轄の公共事業について同様の観点から、コンプライアンスの徹底等入札談合防止に万全を期することとして、七月三十一日にその具体的な方策を取りまとめたところでございます。

大串委員 農林水産省全体の取り組みとして、七月三十一日に農林水産省の直轄事業に関しての取り組みを決めたんだということを今おっしゃいました。私は農林水産省の方々が一連出されたいわゆる考え方を見て、これは農林水産省全体で網の目からこぼれることのないように対応がとられているかというのは非常に疑問です。

 例えば、今話のあった「「論点・課題の整理について」を踏まえた農林水産省の包括的な基本姿勢」、内容は、緑資源機構の問題、緑資源機構から受注を受けている法人の問題、そして林野庁の問題に限られていますね。しこうして、第三者委員会の中間取りまとめも、緑資源機構の問題、受注法人の問題、そして林野庁の問題に限られています。

 そして、これが農林水産省全体に及んでいないじゃないかということから、今おっしゃいましたように、七月三十一日に、農林水産省における入札談合防止対策の強化についてということで、当省直轄の公共事業に関してはということで、一般競争入札の拡大とか、こういうことを書かれた文書が発出されてはおります。

 しかし、大臣、農林水産省において発注されるものというのは当省直轄の公共事業だけじゃないですよね。農林水産省からいろいろな発注業務はなされています。公共事業だけではありません。公共事業だけじゃなくて、いろいろな発注業務が行われていて、その面においても本当に談合や不適切な応札がないかということは考えていかなければならない。

 いわんや先ほど話もありました水資源機構などは、この緑資源機構と全く同じ構造で仕事をしていまして、当省直轄の公共事業ではありません。いわゆる法人が行う公共事業。まさに、緑資源機構はそこにおいて問題が起こった。この辺に関しては手がつけられていないんですか。大臣、いかがですか。

若林国務大臣 委員がお話ございましたように、第三者委員会の話は緑資源機構に関するものでございまして、それらを踏まえて、七月三十一日に農林省として公共事業についてのあり方を定めたわけでございます。

 一方、独立行政法人全体につきましては、業務運営の効率性及び国民の信頼性の確保の観点から、業務運営の適正性あるいは透明性を確保するために、実は昨年の二月、総務省から、一般競争入札の導入、範囲拡大や随意契約の見直し、契約に係る情報公開等を通じた業務運営の一層の効率化を図るように求められております。

 農林水産省としては、今回の緑資源機構の談合事件も踏まえまして、所管の独立行政法人に対して、この要請に加えて入札監視委員会、コンプライアンス委員会等の設置をあわせ要請するなど、業務運営の適正化を図ってきているところでございます。

 なお、お話ございましたこのような独立行政法人あるいは直轄の公共事業以外のものについてでございますけれども、談合防止強化策ということにつきましては、昨年の十一月に、公共調達の適正化に関する関係省庁連絡会議というものがございまして、そこで取りまとめられました「随意契約の適正化の一層の推進について」という取りまとめを受けまして、農林水産省では、公共事業に限らずすべての契約を監視する第三者機関を昨年末までに設置をいたしまして、契約の監視体制の充実強化を図っているところでございます。

 具体的に申し上げますと、本省及び地方支分部局などに、外部の学識経験者等から成る入札等監視委員会を設置いたしまして、また、すべての契約を対象として、契約の相手方、契約金額、応札者の数、その他契約の内容について審議するとともに、その際に、特に応札者が一者の契約につきましては、競争参加資格の設定について重点的に審議することとしているところでございます。

 こうした取り組みに加えまして、談合防止のための発注者綱紀保持マニュアルを作成しコンプライアンスを徹底することによりまして、非公共事業を含めたすべての契約について、談合防止を初め契約の適正化を図っているところでございます。

大串委員 いろいろ農林水産省の方から、当省直轄の公共事業以外のいわゆる発注に関してはどうなんですかという説明をるる受けると、ちびりちびりと資料が出てくるんですね。

 そして、大臣が今おっしゃった「随意契約の適正化の一層の推進について」という文書もこの委員会に来るほんの数十分前に出てきました。今それを大臣がお読みになりました。この「随意契約の適正化の一層の推進について」、これをもってして公共事業以外もやっているんだということでございましたけれども、内容を見ますと、よく読んでいただきたいんですが、大臣、これは随意契約の適正化の一層の推進なんです。読みますよ。

 随意契約の適正化については、十九年十月三十日の閣僚懇において、内閣総理大臣から、一般競争入札への移行など適切な契約形態等の徹底及びすべての契約の監視を行う第三者機関の設置等の監視体制の構築について指示があったところである云々かんぬんとありまして、当省においても、随意契約の適正化を一層推進するため下記の措置を講じることとしたので、その実施に万全を期されたい。

 これは、いろいろ随意契約に関して問題があって、全省庁的に随意契約で本当にいいのかというところをしっかり見直さなきゃならないという流れがあって、それでやっていることなんです。必ずしも、緑資源機構の官製談合、要するに随意契約とは違う入札の段階での官製談合の問題が今回出てきたわけですから、そこに直接対応するものじゃないんです。

 大臣もそういうふうに説明を受けられたと思いますけれども、役所側の目から見ると、これは、緑資源機構で起こったような、既に入札が行われているところで官製談合をなくしましょうというところには、直接のきっかけとしたペーパーじゃないんです。大臣、そこは御存じですか。

若林国務大臣 この「随意契約の適正化の一層の推進について」の関係省庁連絡会議からの共通の指示でございますが、これを踏まえて、各府省が発注する工事について進められている入札契約の過程に第三者の意見を反映させる仕組みについて、工事以外の契約についても導入をするということになっております。すなわち、すべての府省において、工事以外の、物品・役務も対象として、入札契約のみならず随意契約も対象とするということによりまして、すべての契約の監視が行えるように、すべての府省に第三者機関を設置するということでございます。

 そういうようなことで、農林水産省におきましても、そのような趣旨のもとに措置を講ずることとしているところでございます。

大串委員 大臣、読んでいらっしゃいますけれども、今公共事業以外の物品等の調達についてもこれはカバーしているんだとおっしゃいましたけれども、それは何をカバーしているかというと、本当に随意契約でやっていいんですねということの第三者の目からのチェックを物品等にも目を光らせますよということなんです。緑資源機構の問題で起こったような問題とちょっと流れの違う話なんです。ですから、これで本当に緑資源機構のような問題に手が届くかというと、そうではないんではないかということなんですね。

 もう一歩踏み込んで言いますと、いわゆる農林水産省内における発注においてはこれでカバーしているとおっしゃるんですけれども、先ほどまさに大臣おっしゃった水資源機構という法人を通じた契約、今回緑資源機構でも同じになりました、例えば水資源機構のような農林水産省の法人から発注されるような場合に関してはどのようにして管理の目を強められたんでしょうか。

中條政府参考人 水資源機構につきましては、直接的には国土交通省の方でこういった発注業務についての監督等もされているやに聞いておりますが、私ども、国土交通省とも連携をとりながら、公共工事あるいはその公共工事に関する業務につきまして、工事の発注につきまして、適切な入札が行われるように連携をとっているところでございます。

大串委員 すなわち、今回の緑資源機構の問題を契機として、農水省としては、水資源機構におけるいわゆる公共事業の発注の形態、発注のあり方に関して適正な改善がなされるような指導、対応をとっていらっしゃらないということですか。いかがでしょうか。

中條政府参考人 特に、緑資源機構の談合問題を踏まえて、私どもの方から水資源機構に対してこういった指導はしておりませんけれども、水資源機構の方も水門設備工事の談合等の事件がございまして、これを契機に再発防止策を徹底されております。例えば、現役職員に対しまして、独占禁止法等、法令遵守の徹底ですとか、あと、一般競争入札の拡大、これはもちろんでございます。それから、談合に関与した業者への再就職等の自粛の拡大等々行われているところでございますが、ちょっとここに詳細は持っておりませんので、もし必要でありましたらまたお持ちいたします。

大串委員 レクのときにも、幅広くここは聞きますからねというふうにお伝えしているので、よろしくお願いします。

 今おっしゃったように、例えば緑資源機構で官製談合が起こった、そして同じような業務の形をしている水資源機構に関しては今回特別の措置をとっていない。もちろん、水資源機構に関しては水門発注に関する問題がかつて生じましたから、その対応の中でやっているんだということですけれども、それで本当にいいのかということなんです。すなわち、これが本当に緑資源機構固有、林野庁固有の問題だけにとどめていいのかという問題なんです。農林水産省全体でボルトを締めるということが必要なんじゃないですかということなんです。

 例えば、もう一つお尋ねさせていただきますと、今回の第三者委員会の報告でも言われています。私はこの指摘は非常に必要な指摘だなと思うんです。今回、緑資源機構から発注を受けた公益法人において非常によくない問題がありました。ですから、中間報告にはこう書かれています。公益法人について、「税の減免を受ける公益事業として、入札において民間企業と競争する状況は公正な競争という観点からは問題があり、入札対象事業への参加は認められるべきではない。」こういうことが書いてある。つまり、公益法人でありながら入札に競争というビジネス目的で参入するのは適切でない、こういうふうに言われています。

 これは基本姿勢においても、林野庁所管の公益法人においては、公益法人としてふさわしいと認められる事業内容への改善を図ることとし、特に、民間企業との入札での競争が行われる業務に関しては、公益事業として行うのを認めない、こういうふうに林野庁に関して書いてあります。

 しかし、公益法人に対して発注業務を行うというのは林野庁に限ったことではありませんね。農林水産省において、所管公益法人は四百以上あります。たくさんあります。たくさんの発注行為がなされていて、緑資源機構においてもなされています。では、なぜ林野庁だけに限るのか。ここの部分を農林水産省全体に及ぼして、公益法人に対しては競争入札方式はなじまないんだと、なぜ農林水産省全体でやらないのか。それはなぜなんですか、大臣。

若林国務大臣 今回の緑資源におきます官製談合というのは非常に根の深い、先ほどもお話ししましたけれども、人事の管理なども含めまして、緑資源機構自身の管理運営の中にありまして、その契約対象者である公益法人との間で天下りと言われるような職員がそこに多数継続的に行っていて、そして相互の人間関係からいわゆる談合などの不明朗な、不正なものが発生していく余地がそこにあったというようなことから、林野庁としまして、複数の公益法人が深く関与していた事態を重く受けとめた結果として、通常の指導と比べまして特に厳しく対応することが必要という判断に立ちまして、民間企業と入札で競合する事業を公益事業として行うことをやめるように指導しているところであります。

 しかし、他の公益法人につきましても、その行う事業が公益法人としてふさわしいものであるかどうか、そしてふさわしいものとなりますように、公益法人の設立許可及び指導監督基準に従って厳しく指導をしていくという方針で臨んでおりまして、林野庁の今回の事件を契機としてとりました措置と同じだけのものを、すべての公益法人についても同様の措置を講ずるというようなことまでしてそれを排除することはいかがなものかということで、そこまで求めていないものであります。

大串委員 いかがなものかという一言で今判断を終わられましたけれども、それこそいかがなものかです。

 大臣、公益法人が指名競争入札で入札に応じるのはやはり理としてかなわないだろうということがここで指摘されているんです。私もそのとおりだと思います。緑資源機構で悪いことが起こったから、緑資源機構においてだけやめさせるという性質のものではないんです。これは農林水産省全体の問題です。ひょっとしたら、農林水産省全体じゃなくて全政府の問題でもあると私は思います。

 つまり、公益法人との間で天下りというものを介して官製談合的なものが生じる、これはどこの役所でもあります。だから、大臣、私は今の発言は非常に残念であります。これからも委員会の中で、税金の無駄遣いの問題については厳しく質疑をさせていただきますが、問題が起こったら、一部にとどまらず、省全体での取り組みをぜひお願いしたいと思います。

 以上で終わります。

宮腰委員長 次に、小平忠正君。

小平委員 小平忠正です。

 今、大串委員から、財政的な面からも交付金あるいは補助金の問題点についてありましたが、私は、今こういうふうに移行する中で、少し基本的なことについて何点か質問させていただきたいと思っております。

 今からもう十年も前になるでしょうか、平成十年ですか、国鉄清算事業団の債務の処理あるいは国有林野の改革の特別委員会が設置されまして、私は、当時理事としてこの問題処理に当たった経緯がございました。その結果、特に林野に関しては、三兆八千億の累積赤字、二兆八千億を一般会計、一兆円を特会、平成六十年までに処理という方向が決まりまして、いろいろと経費節減等もあって、平成十六年からは借金なしで今日まで推移しております。

 そういう経緯の中で、不幸にも、今いろいろと指摘もあったように、小泉改革で緑資源機構が設置されて、このような悪質な官製談合が露見し、こうやって廃止の法案が今出されております。

 そういう中で、一番の被害者というか、もちろんこれは国民に対するまさしく断じて許してはならない行為でありますけれども、今現場で働く第一線、特にこの林野というのは労働環境が厳しい中で、働いている諸君が世間から色眼鏡で見られたり、憤りを含めてそういう状況に置かれていることはゆゆしき問題だ、まずこのことを私は冒頭に申し述べたいと思っております。

 さて大臣、何点かお聞きいたしますが、まず、日本の森林面積は、国土の三分の二に相当する約二千五百万ヘクタールにもなる面積を占め、さらに、今年七月に実施される北海道の洞爺湖サミットでは地球温暖化の問題が重要なテーマとなっております。そこで、この森林・林業の重要性がもちろん話し合われていくのではないかと思います。

 しかし、そのときを前にして、今申し述べたように今回の緑資源機構の廃止法案を審議しているわけでありますけれども、今回の事案は、発注者側が組織的に継続して談合を主導した、こういう悪質なものでありますが、これは廃止は当然であります。

 しかし、それについてまず最初にお聞きしたいことは、どういう過程でそういう方向に持っていかれたのか。あるいは、外部有識者による委員会があったと聞いておりますけれども、国会の場ではありませんでした、この立法府では。そういう中で、今までの経緯、さらに今後再発防止に向けてどう取り組んでいかれるのか、そこのところをまず冒頭大臣にお聞きしたいと思います。

若林国務大臣 我が国は、国土の三分の二以上を森林が占めている、林地が占めているという意味で大変な森林国でございますし、その森林の適正な管理、利用が図られることは、国土の保全という観点から見ましても大変重要な課題でございます。さらに加えて、今委員が御指摘になりましたように、地球温暖化というような視点から、緑の効用ということが世界的にも再評価されてきているときでございます。

 こういうような状況の中で、このたび緑資源機構を廃止する法案を提案しなければならなくなったということは極めて残念なことだと思いますけれども、そのよって来るところは、委員もおっしゃられましたように、発注者側が組織的に継続して談合を主導した極めて悪質な事件であったというようなことが契機となりまして、緑資源機構自身が取りまとめました調査報告書におきましても、緑資源機構が行ってきました契約の制度でありますとか、事業実施にかかわるコンプライアンス意識の欠如でありますとか、非常に狭い固定的な人事が続けられてきたというようなことが挙げられたわけでございます。

 農林水産省としても、このような事案の発生を受けまして、第三者委員会を省として設置いたしまして、緑資源機構の組織、業務、人事のあり方などについて抜本的、総合的な検討を行ったところでございます。

 第三者委員会という形をとりましたのも、農林水産省自身の中でやりますと、身内でございますので今申し上げましたような意識がどうしても作用するというようなことから第三者委員会という形をとったわけでございますが、その結果、委員会におきまして、組織の廃止、事業の廃止を含む大幅な事業の見直し、機構から関連法人への再就職の自粛などの人事のあり方の見直しなど、抜本的な措置を講ずることとされまして、我々も、そのような意見を厳粛に重く受けとめまして、現在御審議をお願いしている機構の廃止法案を国会に提出することにしたところでございます。

 また、談合再発防止策についてもお尋ねございましたが、緑資源機構におきまして、入札方式というのは、災害復旧などを除きましてすべて一般競争入札によってこれを実施する、機構においてコンプライアンスマニュアルを作成して職員を対象とした研修を充実させる、また、農林省内に緑資源機構の入札監視のための委員会を設置いたしまして、四半期ごとに緑資源機構に設置されている入札監視委員会による入札監視が適正に行われているかどうかを確認するなどを行っているところでありまして、機構が廃止された後におきましても、これらの措置については継続的に確実に実施して、適正な業務運営が行われるように万全を期してまいらなければならない、そのように考えておるところでございます。

小平委員 また、具体的に、今回そういう方向で廃止になるこの機構の中で、五つの主要な事業がありますね。その事業の中に今言われた水源林造成事業がありますが、この事業は、水源林を涵養し、国民生活の安全、安心の確保、国土保全、水資源の確保はもとより、地球温暖化防止に向けても重要な事業であると言われております。

 緑資源機構では、民営林のうち水源涵養保安林などの整備を昭和三十六年以降四十四万ヘクタール実施いたしておりますが、現在までの契約件数は四十六都道府県で一万八千八十九件ですか、水源林では毎年三十六億トンを涵養しておると聞いております。その上、中山間地の皆さんに貴重な雇用の場も提供している。これは、地方にとっても大変影響の大きいものであると言われております。

 そこで、今回の法案では、平成二十一年度末まで経過措置で森林総研が実施をするようになっていますね、その後は別の独立行政法人に移管する、こうなっております。

 そこで、私が疑問に思うのは、そもそも森林総研は、従来こういう事業を行うところではなくて、いわゆる森林・林業に対する総合的な試験研究機関でありますね。ですから、時限的措置とはいいながら、こういう基盤整備の公共事業を研究機関が行うことは、なじむのかなという、果たして本当に機能するのか、そこを疑問に思っているのは一つあると思います。

 そこで、これについて、この事業の重要性にかんがみ、専門の公的機関を整備して対策を進めることを検討すべきであると私は思うのでありますが、政府の考え方を問いたいと思います。大臣、簡潔にお願いします。

若林国務大臣 水源林造成事業につきましては、委員が今お話ございましたように、大変大事な事業だというふうに認識いたしております。

 申すまでもなく、奥地の水源地域での保安林の造成を行う事業でありまして、かつ、委員もおっしゃられましたように、地球温暖化という視点からは、京都議定書の森林吸収源対策としても必要不可欠な事業であります。また、奥地の水源地域、山村地域におきましては、その雇用にも大きな役割を果たしてきたというふうに認識いたしております。

 このために、事業の透明性、効率性の確保を徹底しながら、国有林野事業の一部を移管する独立行政法人に引き継ぐという方針を持っておりますが、それまでの間、緑資源機構を廃止するということになるものですから、経過的に、森林・林業の問題を熟知している独立行政法人森林総合研究所で事業を実施しようとしているものでございます。

 ですから、森林総合研究所へ水源林造成事業を承継するに当たりましては、業務に従事してきた緑資源機構の職員も承継するとともに、経理についても異質でありますから、研究業務とは区分をして、円滑、適正な業務が執行できるように実施体制を整備することといたしておりまして、森林総合研究所に事業が承継された場合におきましても、着実な事業の実施が図られるように努めてまいりたいと思います。

小平委員 そこで、国有林野事業でありますが、これまでの事業のあり方、組織のあり方、いろいろなやり方について国会においても議論を重ね、国有林野事業の管理経営を木材生産機能重視から公益的機能重視に転換し、事業を進めてきているわけであります。しかし一方、平成十八年度の行革推進法の議論では、平成二十二年度末までに、国有林野事業特別会計を見直し、その業務を一部独法に移管した上で一般会計に統合する、こうなっておりますが、この間の議論にもあったように、森林は地球温暖化防止機能を初めとして国民生活にとって重要な役割を担うものであることから、国有林野事業の管理運営においては、国の責任によって、みずからが実施主体となって一般会計において行われるべきである、こう我が党は主張いたしております。

 また、特に国有林野は、日本列島の奥深いところに位置し、約七百六十万ヘクタールの九割が国土保全上重要な保安林であって、その公益的な機能を十分発揮するためには、森林の整備には総合的な調整が必要であり、管理、保全を行う一般会計分と、整備、販売を行う独立行政法人化の部分を区分することは、定員純減のために現場業務を二分化するという政府の考え方があるだけで、二分化されることにより組織が二重となって、業務も複雑で効率も悪くなる可能性があると思います。また、国有林の管理、処分は、国有財産として国の業務として残るものの、処理にかかわる事務手続については独法が行うこととなり、処分権限そのものは国にという複雑なものとなっております。

 こういう状況の中で果たして効率的な運営がされると考えておられるのか、そこのところの政府の所見をお伺いしたいと思います。

若林国務大臣 国有林野事業の一般会計化、一部独立行政法人化につきましては、委員もお話ございましたが、行政改革推進法におきまして、国有林野事業特別会計において経理されている事務事業の性質に応じて、一部を独立行政法人に移管した上で、同特別会計を一般会計に統合することについて検討することとされているところでございます。

 このため、これまで国有林野事業として実施してきた事業のうち、大きく二つに分けまして、人工林の整備、木材の販売などの業務を独立行政法人に移行するとともに、国有財産としての国有林野の管理、保全、治山事業などについては国が行うという基本的な考え方に沿いまして、同時に、委員が御指摘になりました公益的機能の維持増進ということを旨としまして、今後とも国有林野の管理運営が適切、効率的に行われるように検討しているところでございます。

 現在、このような検討を行っているところでありますが、国土の保全、水源の涵養など国有林野が果たしている公益的機能の重要性を踏まえながら、今後とも幅広い観点から慎重に検討を行っていく必要があると考えております。

小平委員 大臣、次に、冒頭に申し述べたことにつながりますが、今回のこの機構の解散はまさしく不祥事によるものであって当然でありますが、一方、これまで地方で森林整備のために努力をしてきた職員の皆さんは、まさしく寝耳に水の問題であり、我々と同じように憤りあるいは混乱を持っておるわけですね。今もそれぞれ現場で厳しい環境の中で仕事に従事しておる中で、緑資源機構の職員がこれまで蓄積してきた知識経験、技術は、今後も森林整備、農用地整備には必要不可欠なものであることは間違いないと言えると思います。そこで、解散に伴うこれらの職員の雇用問題については再雇用を含めて国が責任を負ってきちんと確保する必要があると思いますが、その際には、職員の能力がきちんと発揮できる、そういう機会あるいは収入面の配慮を政府はするべきであると思います。

 政府においてこれらについて配置転換を含めてどう考えていかれるのか、今後国有林野事業とともに見直しが予定されております水源林造成事業に従事する職員の将来的な雇用問題も含めてお考えをお聞きいたしておきます。

若林国務大臣 緑資源機構では平成十九年四月現在で七百二十名の職員が勤務いたしておりますが、他の法人に移管する業務の見直しとともに、職員についてもそれに応じた人員体制とする必要があるわけでございます。

 他方、これまで働いてきた多くの職員の有する知識経験を生かすことは委員御指摘のとおり重要な課題だと考えておりまして、緑資源機構談合等の再発防止のための第三者委員会におきましても、再三にわたりそのことが指摘されております。委員会の中間取りまとめにも盛り込まれているところでございます。

 また、昨年末に閣議決定されました独立行政法人整理合理化計画を踏まえまして、独立行政法人の事業、組織の廃止などに伴って必要となる職員の配置転換などを円滑に進めるために、実はことしの二月に関係府省によります雇用対策連絡会というものが政府横断的に設置されたところでございます。

 これらを踏まえまして、機構の職員の雇用対策につきましては、定年退職者の不補充でありますとか、水源林造成事業による受け入れを行うということのほか、雇用対策連絡会を通じまして他の独立法人などによる受け入れ措置によって横断的な雇用確保が図られるように努めるなど、適切に対処してまいりたいと思います。

 なお、水源林造成事業につきましては、その事業の持つ意義、あるいは事業の効果などについては委員がお話しされていたとおりでございまして、我々としては、これから地球温暖化の問題あるいは国土保全の問題なども踏まえまして、この水源林造成事業というものが、必要な事業が着実に実施していけるように、新しい組織の中においてこの事業の位置づけをはっきりとさせて進めてまいりたい、このように考えているところでございます。

小平委員 大事なところですから、ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 次に、この問題は、この後、石川委員からも詳しく指摘がありますけれども、概略私からも申し述べます。

 中山間地域においては、いわゆる過疎化、高齢化が進行し、適切な整備が行われていない森林、耕作放棄地の増加が懸念されております。民有林の森林所有者の不在村面積は、今、三百二十七万ヘクタールにも及んできている。森林所有者による森林整備はますます難しい環境になってきております。

 緑資源機構において今進めております農用地整備事業は平成二十四年度に終了し、特定中山間保全整備事業も、平成二十五年度で現在着工中の区域の事業終了後は既存の補助事業により行う、こう予定されているようでありますが、こうした地域における事業は、一体的な整備が行われてこそ事業同士の相乗効果や予算の効率的な執行が期待されるものと考えられます。また、これらの事業は、雇用の少ない山村における貴重な雇用の場の確保とも連動する話であり、大変重要な問題であると考えておりますが、今後の中山間地における基盤整備をどう進めていかれるのか、その基本的な方向をお聞きいたします。

若林国務大臣 農用地総合整備事業及び特定中山間保全整備事業につきましては、緑資源機構廃止後に、現在実施中の九区域のみ森林総合研究所が承継して行うこととして、これらの継続事業の完了をもって事業を廃止するという方針でございます。

 それでは、これを廃止した後、一体的な整備をすることが有効であるという認識に立つならばどういうふうにしていくんだという御指摘だと思います。

 これにつきましては、独立行政法人の事業として継続をいたします水源林造成事業と、一方、従来から補助事業として実施しています林道整備などの森林開発の事業や、区画整理、農道整備、農業用用排水路の整備などを行う農業基盤整備事業というものを現地におきまして総合的に活用することによって対応することとしたいと思っております。

 農林水産省としては、こういう地域の意向を踏まえまして、これらの事業がお互いの密接な連携のもとで実施できますように、農林各部局の調整を図りながら対応してまいりたい、このように考えております。

小平委員 次に、大規模林道、いわゆる緑資源幹線道路でありますが、これは理事会においても与野党合意になって、廃止という方向で、後は補助事業で地方にゆだねるという方向が出されまして、たしか附帯決議もこれから出るんですね。その方向は理事会で決めたことで、私は了としますが、それを踏まえて政府の考えをお聞きしたいと思います。

 それは、森林整備を推進するには、林内の路網整備がやはり重要だと思うんですね。計画的な林道、作業道の整備には、国を初めとする公的機関の関与が私は重要であると思いましたが、こういう方向になります。

 そこで、幹線林道事業を地方公共団体の判断に基づく補助事業とする、こういうふうになっていくわけですが、今、全国で七カ所に分かれた林業圏域ができていますね。その判断が、今度は一体性の問題がどうなるかという問題、そして地方公共団体の境界を越えた林道整備がうまく進むのかという問題。そうなると、各林業圏内において広域的な観点からの幹線林道、一般林道、作業道といった林道ネットワークの形成に支障が生じないか、こういうことを含めて、今後、林業圏域構想をどのように進めていくのか、そこのところをお伺いしておきたいと思います。

若林国務大臣 委員が御指摘になっております緑資源幹線林道は、全体の計画延長は二千十三キロでございますが、十八年度末までに千三百十二キロメートルが完成しておりまして、残事業は七百一キロとなっているわけでございます。この事業につきましては、十九年度限りで独立行政法人が行う事業としては廃止をするわけでございます。今後は、地方公共団体において必要性を判断した上で、国の補助事業として実施することとしております。

 この事業につきましては、今まで国からの補助金と緑資源機構の財投借り入れで事業を行っておりまして、地方公共団体は後年度に独自財源をもって償還を行うという仕組みで行っておりましたが、今回の補助事業化に当たりまして、地方公共団体からは、このことによって地方負担がふえないこと、その負担が年度別にも平準化されること、必要な人件費が確保されることというようないろいろな要望が出たところでございます。

 それらの要望を念頭に置きまして、新しく山のみち地域づくり交付金というものを創設いたしまして、従来の負担割合と同水準とするとともに、地方負担の平準化のために、この交付金について新たに地方財政措置を講ずるということにしているところでございます。

 委員のお話にございましたブロックにおける広域的な調整という部分について言えば、それぞれが地方公共団体、県の判断で事業を行い、補助事業としてこれを実施するということにいたしているわけでございますので、従来の、広域の幹線林道の事業として、広域にわたって一体としてという部分は、これによってやりにくくなるわけでございます。しかし、全体の森林整備のあり方について、各地域、都道府県と十分連絡調整を図りながら、都道府県がこのことをどう生かしていくかという意味で、お互いの調整の中でできるだけ合意を形成しながらこの事業を効果的に実施してもらいたいと考えているところでございます。

 また、作業道が大変おくれているのではないかという御指摘でございますけれども、従来は、森林整備をし、事業を実施するには、大体切った木などは索道で道に落としてくるというような推進方策をとっておりましたので、林道というものは、森林への基礎的なアクセスを確保するための恒久施設として先行していくことが多かったわけでございます。

 しかし、昨今、大型機械を入れました、高性能の林業機械を活用した効率的な作業システムというものが推進されてまいりました。そういたしますと、林道と作業道、作業路の適切な組み合わせによる整備を進めていくという要請が強まっております。

 その意味では、その地域地域におきまして、森林資源の状況とか森林施業の計画というようなものを十分念頭に置きまして、適切な、効果的な路網の整備というものを図っていかなきゃいけない、このように考えているところでございます。

小平委員 限られた時間でありましたが、私は、今、緑資源機構の廃止に伴い、今後の編成がえあるいは新しい事業形態等々の中で、今後に向かって何点か基本的な問題をお聞きいたしました。

 実は今、国会のこういう状況で、当委員会もなかなか一般質疑まで時間が入っておりません。したがって、きょうは法案審議で一般質疑の場ではないんですけれども、この問題はまた同僚の諸君に譲るとして、私はちょっと別な点でお伺いしたい点がありますので、発言をさせていただきます。

 それは水産関係なんですが、今、皆さんもいろいろと報道を通じてお耳に入っております例の鯨の問題です。これについてはもう既に御承知だろうと思いますが、私の方からこれについて政府の考え方を含めてお聞きをさせていただきます。

 本年一月から三月にかけて、我が国が国際捕鯨取締条約に基づいて適法に行っております鯨の捕鯨調査に対し、シーシェパードやグリーンピース等の反捕鯨団体が、テロ行為ともいうべき極めて悪質な妨害活動を繰り返し繰り返し行ってまいりました。日本の捕鯨船にシーシェパードの不法のやから二人が侵入し、さらには酪酸が入った瓶を百本以上も投げ込むという一連の妨害行動によって、乗組員や海上保安官に負傷者が出ておりました。

 以前から予測できていたこととはいえ、これらの行為はやりたい放題の海賊行為そのものであり、そこに乗員する乗組員や調査員の置かれた状況を考えると、我々は断じて看過できないと思うのであります。

 これに対して日本がとった措置は、海上保安官三名が警備乗船して、現場で御苦労されました。今我が国の置かれた、いわゆる法律内での限られた行動あるいは国際的な配慮等は理解できますが、しかし、我々が受けとめた印象は、その不法者に対し丁重にもてなし、何か聞くと、てんぷらまでごちそうして、何ら処罰なしに速やかに解放したと。しかも、その後の行為では、大きな音が出る警告弾を相手に向かって投げつけるという、こんな行為が限界であったように私どもは見ました。

 南極海という極めて厳しい自然環境の中で、不法行為によって負傷者が出て、船の沈没やそれ以上の事態さえ考えられていたにもかかわらず、私は、政府の対応は、日本国民と我が国の威信を守るという観点から非常に残念でなりません。

 そこで、お尋ねいたします。

 今回の不法行為にかかわった各国の人物の中に日本人もいると一部聞いておりますが、私は、この犯罪者が再びこうした不法行為に参加できないよう、国内法はもとより、豪州やオランダ、英国等に対し、あるいは米国に対し、各国の法規範に基づき厳正に処罰をされるよう、政府は強く要請する必要があると思います。

 またさらに、シーシェパードは、これに加速して、来年には二隻で妨害する、ここまで豪語しているのを聞いておりますが、来年度以降の妨害対策としてどのような考えで臨んでいかれるのか。

 この点について、政府の責任をしっかりと踏まえた上での御答弁をいただきたいと思います。

山田政府参考人 ただいま委員から、ことしの調査捕鯨についてのいろいろな攻撃に対する御質問がございました。

 本年度の南極海における鯨類捕獲調査におきましては、ただいま委員からお話がありましたように、海上保安庁等関係省庁と連携の上で対策を講じていたわけでございますが、残念ながら、反捕鯨団体による妨害活動によって、ただいまお話がありましたような、けが人も出るというようなことになりました。

 これにつきましては、外交ルートを通じて関係国に対して適切な対応をするよう要請しておりますし、さらに、今後調査捕鯨が続くわけですので、今後どういうふうな体制を整備するか、関係省庁とも十分協議をしながら体制整備に努めていきたいと考えております。

小平委員 しっかり断固たる姿勢で取り組んでいただきたいと思います。

 さらにお聞きしますが、我が国では、沿岸小型捕鯨と南氷洋等での調査捕鯨、両面行われております。沿岸小型捕鯨は、米国の原住民生存捕鯨と同じように、我が国の地域と文化、産業を守る、そういう一面も担っております。また、調査捕鯨は、鯨を含む水産資源を持続的に利用して人類の食料資源を確保するという大きな目的で行っているのであります。

 最近、南極海での捕鯨をやめて日本の二百海里内だけでやればいい、そんな考え方をするマスコミ報道も一部あります。しかしながら、この二つの捕鯨は全く目的が異なるものであって、どちらか一方行えば済むというものではないと私は思います。私は、こうした論調は、捕鯨を全面禁止するという目的を達成するために流されているものであり、うかつにこれを受け入れた場合は、最終的には我が国の捕鯨はすべて禁止に追い込まれていく、そんな警戒をしなきゃならぬと思います。

 大臣には、この際、南氷洋での調査捕鯨と日本の沿岸捕鯨のそれぞれについて改めてその意義を御説明いただくとともに、今後の継続実施方針について明確にお答えを述べていただきたいと思います。

山田政府参考人 ただいま調査捕鯨と沿岸小型捕鯨のそれぞれの意義について御質問がありました。

 委員御案内のとおり、調査捕鯨は、商業捕鯨を再開していくために必要なデータを集めるということで実施をしております。科学的データを集めるということでございます。

 一方、委員からお話がありました先住民捕鯨とか沿岸捕鯨というのは、それぞれの地域で行われている小規模な捕鯨でございまして、全然その趣旨が違うものでございます。

若林国務大臣 委員が捕鯨について、世界で反捕鯨国と捕鯨を認めていこうという国との対立から出てくる摩擦的なことを大変心配しておられるわけでございます。

 今、調査捕鯨と沿岸におきます先住民の捕鯨などとは趣旨の違うものだというお話がありました。しかし、いずれにしましても、我が国としては、将来の世界全体の人口増が見込まれているというようなことを念頭に置きながら、食料を確保していく上には、陸上だけでなく、地球の四分の三を占める広大な海洋の生物資源が有効に利用されるということを確保していく必要があると考えておりまして、このような観点から、鯨類の資源を適切に管理、利用していく必要があると思います。

 そこで、商業捕鯨は今停止をしているわけでございますが、その再開に向けた必要な情報を得るための、国際条約に基づきまして行う公海上の適切な捕鯨調査というのは今後とも実施をしていく必要があると考えており、この捕鯨、鯨からくるたんぱく源などについても、将来の地球規模におきますたんぱく源の不安といったようなことも念頭に置きながら、このことを大切な我が国の食料資源のための調査と位置づけて、しっかりやっていかなきゃいけないと思っております。

小平委員 今大臣から、調査捕鯨は今後とも継続していく、そういうお考えはお聞きいたしました。

 問題は、実際問題としてことしの冬から調査が十分に円滑に実施できるかという点だと思います。今回はこのような妨害がありましたので、調査も計画の半分しか実施できず、それによって費用もかかり、また結果的に収益も大幅に減りまして、さらに身体の危険すら感じざるを得ない、こういう状況の中で深刻な問題に今直面いたしております。

 私は、安心して充実した調査が行われるように環境を整備するのはまさしく政府の責任であって、十分な予算措置を講じる必要があると考えます。捕鯨の存続は、日本全体の経済や社会から見ると小さな事象かもしれません。それであるからこそ、国際法的にも科学的にも正しい日本政府の主張が、大国による圧力やテロ行為に屈して、一歩でも引いた、あるいは見捨てたとなると、日本という国の名誉とありようが損なわれると思います。

 鯨資源の利用は、国土を海に囲まれている我が民族が水産資源を利用して食料を確保していくという原理原則を守ることにもつながることであります。また、私たちと同じ立場にある世界の国々や民族に対する水産先進国日本の責任でもあると思います。

 この国には、世界も含めて、反捕鯨もいろいろあります。しかし、ホエールイーティングとホエールウオッチング、これは私は両立できると確信しておりますし、また、それぞれその国の文化があります。これは我が国の大事な伝統的な食文化ですね。

 そういうことをきちんと踏まえて、大臣におかれては、日本という国の生き方の基本にかかわる問題としてこれをとらえていただきまして、この国をリードする政治家として、また閣僚として、内閣一体となって毅然としてこの捕鯨問題に対処されますよう強く要望いたします。最後にこの決意をお伺いいたしたいと思います。

 あわせて、突然ですけれども、委員長、また自民党を含めて各理事の皆さんも検討いただきたいのでありますが、当委員会としても、全会一致で、このような理不尽な不法な行為に対し断固糾弾する、そういう委員会決議をされてはどうかと要望したいのですが、岩永さん、委員長、今後理事会でも……(発言する者あり)きょうはいいです。きょうはいいですけれども、冒頭申し上げたようになかなか一般質疑も余りありませんので、私はこの機会に御提案しますので、後ほど委員長のもとで御検討いただきたいと思います。

 それでは、大臣にお答えいただきます。

若林国務大臣 我が国の調査捕鯨に対して、シーシェパードなど大変な違法な妨害行為が繰り返されていた、ちょうどその時期でございますが、三月の六日、七日、八日と、イギリスのヒースローで、国際捕鯨委員会、IWCの中間報告がなされました。この中間報告でいろいろな議論が行われましたが、我が国から、今回のようなこういう妨害行為というものにIWCとして声明を出すべきであるという提案をいたしまして、全会一致でこの行為に対して非難の決議が行われ、これが採択されたわけであります。これを受けまして、各国は、このような危険な活動に対して国際法及び国内法に基づいてお互い協力して対処する、反捕鯨国の人たちも含めてそのような合意に達しているところでございます。

小平委員 ぜひよろしく進めていただきたいと思います。

 時間が来ましたので、以上にて終わります。ありがとうございました。

宮腰委員長 次に、石川知裕君。

石川委員 大串さんと小平さんから、緑資源機構の廃止に関することについてそれぞれ質問がありました。もちろん、昨年あれだけ大きい貴重な林業予算をむさぼる談合事件がありましたから、廃止という方向性はやむを得ないのではないかと思います。ただ、一番大事なのは、林業予算の使われ方に問題があったのであって、林業そのものに対する投資というものは、これからますます重要になってくるというのはもう御案内のとおりでございます。

 特に、ことしは洞爺湖サミット、環境サミットとも言われておりますので、先ほど大臣から御答弁がありました地球温暖化の問題、また自然保護の問題等を含めて、緑資源機構が行った談合問題、この談合の根絶とは別に、今まで緑資源機構が行ってきた事業が果たしてきた役割というものがどういう効果があったのか、また評価をしなければいけないのかというのは、これは別に切り離してきちんと考えていかなければいけないのではないかと思います。

 今、木材も自由に輸入できる時代が終わりを告げつつあるのではないかと思います。今まで、一九九〇年から二〇〇〇年までの十年間で、森林全体の大体二・四%に相当する九千四百万ヘクタールも失われている中、だんだんだんだん木材の輸出規制が強まってくるのではないかと言われる中、国内の森林整備について、より真剣に考えていかなければいけないと思います。

 そうした中、この緑資源機構の廃止に伴い、大きく分けて、独立行政法人として行う事業としては廃止するもの、別の独立行政法人が事業を引き継ぐもの、そして現在実施中の区域の完了をもって廃止するものの三つに分かれると思います。そして、水源林造成事業などは、平成二十二年度に新たに設立される予定の独立行政法人に引き継がれるとなっております。

 そこで、この緑資源機構廃止に伴う今後の事業のあり方と国有林野事業の改革について、大臣に御質問したいと思います。

 この森林・林業が厳しい中で、国が、国家が責任を持って森林整備に当たることがより一層重要になってきていると思います。そういう中で、独立行政法人整理合理化計画において、水源林造成事業について国有林野事業の一部を移管する独立行政法人に継承される予定の平成二十二年四月に実施としておりますが、慎重な検討なくして将来とも適切な対応ができるのか心配されるところだと思うんですけれども、一年前倒しせずに慎重に検討すべきではないかと思うんですけれども、ここのところはいかがお考えでしょうか。

若林国務大臣 緑資源機構の廃止に伴って、現在まで緑資源機構が行ってまいりました幹線林道の整備を初めとする各種事業については、その事業の評価、事業の効果としてはそれなりに大きな役割を果たしてきたし、今後も期待されている事業であるというふうに認識をいたしておりまして、それだけに、廃止後どのような対応をするかということについては、時間の関係がありますから一つ一つ申し上げませんけれども、それぞれ承継していくことを決めているわけでございます。

 その場合にあって国有林野事業特別会計は、現在の国有林野事業は一般会計化、一部を独立法人化するということでございまして、幹線林道につきましては地方自治体がこれを行うわけでございますけれども、その他の事業につきまして、新たな水源林につきましては新たな独立行政法人に承継していくことを予定いたしているところでございます。

 その場合に、新たな独立行政法人につきまして、これは行政改革推進法の規定に基づいて検討を行っている最中でございますけれども、これについては、委員もいろいろ御指摘ございました国有林野事業の改革につきましては、各方面の意見を広く伺いながら、森林、国有林野事業が果たしています公益的機能というようなことも十分念頭に置きながら幅広い視点から慎重に検討を行っていく必要がある、このように認識をいたしているところでございます。

石川委員 今、幅広い意見を聞きながら慎重に検討を行っていく、こういう答弁でございました。

 今回、この水源林造成事業の一部が、新しくつくる独立行政法人、今の林野庁の国有林野事業の中の方々の一部と一緒になっての独立行政法人、そして一般会計の部分の二つに分かれる、こういう形になると思うんですけれども、人工林の整備、木材の販売等の業務を独立行政法人で行い、国有財産としての国有林野の管理保全、治山事業については国が行う方針と聞いております。

 一つの森林管理署の中で一般会計の組織と独立行政法人の組織の二つの組織が共存するような形になると思うんですけれども、非常に非効率になるのではないかという懸念があるかと思われるんですけれども、こういう現場の声を林野庁としてはどのように受けとめられているのか。また、今、幅広く意見を聞きながらこれから進めていくということでありましたけれども、どういう意見聴取の行い方をしているのか、お答えをいただきたいと思います。

井出政府参考人 国有林野事業の改革につきましては、今委員からお話がございましたように、行革推進法に基づきまして、事務事業の性質に応じまして、一部を独立行政法人に移管した上で、特別会計を一般会計に統合するということについて検討することとされております。

 人工林の整備ですとか木材の販売等の業務は独立行政法人に移行し、国有財産としての国有林野の管理保全、治山事業等については国が行うという基本的な考え方に沿いまして、今後とも、公益的機能の維持増進がしっかりできるための国有林野の管理経営というのはいかなるものかということで検討いたしているところでございます。

 当然、この検討に当たりましては、国有林野の賦存している地域の行政の代表の方、あるいは実際に国有林野の事業に関与しております、はっきり言えば私どもの職員というか労働組合というか、そういった方々の意見も十分聴取して、現実に即して、かつ本当に国有林が果たしてきた機能が損なわれないようにするにはどうしたらいいかということで、慎重に検討を行っていく考えでございます。

石川委員 今、十分に職員の方からも、また関係者の方からも意見聴取をしているというお話がございました。私も、先週二十日が祝日でしたので、本会議もなかったので、地元に戻りまして、職員の方も含めて、地元の自治体の関係者、民間の林業の関係者の方々と随分時間を使って意見交換をしてまいりました。

 私のところは、この緑資源幹線林道ですか、七圏域の一つにも入っている大変広い地域でありまして、先ほど小平さんから全国の森林の面積二千五百万ヘクタールと言われましたけれども、私の選挙区だけで七十万ヘクタールの森林の面積がありますので、大変広い地域です。その中で、十勝東部森林管理署というところの方々とも意見交換をさせていただきました。

 この中で、もちろん、林野庁の国有林野事業が最盛期の八万人から今はもう六千人、七千人と、赤字もありましたので大変人員削減されている中で、今、果たして緑を守るのに本当に必要な人員でやっていけているかどうかというところに関していろいろ御意見を聞いたら、今大変厳しい状況にあるということでございました。

 この中でも十勝東部森林管理署というのは森林事務所が十六あるんですけれども、今現在の状態でも二つの森林事務所をかけ持っている人が四人というような状況だということでありました。それが来年には二つの事務所をかけ持つ人が五人になるということでございました。そうした今大変厳しい状況の中、本当に一人一人の森林官が受け持っている面積も広い中で、なかなか腰を落ちつけて作業もできない状況にあるということでございました。

 さらにもう一度御質問をしたいんですけれども、こういう状況の中、本当に十分に今御意見を聞いているような状況なんでしょうか。

井出政府参考人 私、一月十七日に着任いたしまして、現在まで全国数カ所、林業の現場を歩かせていただき、また国有林の現場も見させていただき、国有林の事務所の方ともお話をさせていただいていますが、現時点においてそれが十分であるかと言われれば、時間的にも限られておりますので決して十分だとは言えないと思いますが、今後とも、今御指摘のありました森林官の関与している現場実態とかそういうことも踏まえて、しっかりとした検討をさせていただきたいと思っております。

石川委員 今長官の御答弁にもありましたように、決して十分ではないということでありました。その十分でない中、これから新しい組織をどうつくっていくのかということに移行しなければいけないわけであります。

 その中で、国有財産である国有林の管理、処分は国の業務、そして、処分に関する手続は、もし新しい独立行政法人をつくるとなったときに、この政府が今出されている案でいきますと、林野庁の一般会計で国有財産の管理保全、治山事業・保安林、独法の監理・業務調整等は林野庁の一般会計で行う。新しい独立行政法人、これはまだ名前は決まっていないと思うんですけれども、新しい独立行政法人の中で、民有林担当部局で水源林造成等を行う、そしてもう一つ、国有林担当部局で森林の整備、木材の販売等を行うとなっておりますけれども、業務が非常に非効率化してくるおそれというものは、林野庁としてはどのように考えていますでしょうか。

井出政府参考人 今委員から、独法化、一般会計化した場合の役割分担について子細な御指摘がございましたけれども、どういう役割分担をするかということについては、私ども、まだ何も決まっておりません。ただいま申し上げたように、いろいろな仮定を置いて、試行錯誤と申しますか、どういったら機能が維持できて、かつ合理的と社会から評価されるものになるかという観点でさまざまな試行を行っている段階でございますので、今委員が御指摘になったようなプランというのが確定しているわけではないというふうに御理解いただきたいと思います。

 その上で、私どもとしても、いろいろな前提を置いていろいろなパターンというものを現在検討している段階であるということでございます。

石川委員 まだ決まっていないということでありましたが、仮にそういうことが起こった場合に、一つの地域の中で、一方で保安林があって、一方で水源林造成事業があって、同じ地域に一般会計の職員と独法の職員が行って非常に非効率になるのではないかという懸念を現場の方々が抱かれているわけでございます。こういう現場の懸念というものを十分に検討していただいて、これからのこの組織のあり方というものについてお考えをいただきたいんです。

 さらに、もう一つ御質問なんですけれども、私どもは、一般会計の中ですべて賄っていくのが一番いいのではないかと思っているんですけれども、林野庁としての見解はいかがでしょうか。

井出政府参考人 委員御指摘のように、現場からは、地域性もございますし、その置かれている状況によっても、いろいろな意見が現に出されておりますし、これからも出されてくると思います。そういったことには真摯に耳を傾けて、やはりよりよい国有林という形になるようにみんなで努力していかなきゃいけないと思っております。

 今御指摘のありましたように、現場で仕事がしにくくなるような、あるいは、非効率で、かえってお金がかかってしまうとか、そういうことは国民各層も望んでいないと思いますので、今、一般会計で全部やってはどうかという御指摘もございましたが、そういったことも含めて今後とも幅広い観点で検討していきたいと思っております。

石川委員 自治体の関係者の方々にお話を聞くと、森林管理署と年に何回か意見交換をすると、やはり国の方で奥地の方をきちんとやっていただきたいと。台風やいろいろな災害があったときに、奥地の方がきちんと整備されていないと、結局、風倒木並びに流木が来て、これで一番被害を受けるのは処理しなきゃいけない河口付近の自治体で、やらなきゃいけない部分がたくさんあるわけです。そうした中、やはり地域の声としては、今まで当然採算というものも考えなければいけませんでしたけれども、もう一方で、多面的機能、公益的機能というものも十分これから重視しなければいけない時代に入ってまいりますので、この組織改編のあり方については、一つはまず慎重に行っていただきたいということと、一年前倒しについては、どうして一年前倒しになったのかというところもはっきりわからないわけでありますけれども、どうか慎重にこれから議論をして決めていっていただきたいと思います。

 次に、緑資源機構の廃止に伴って、特定中山間保全整備事業は、今行っている三地域が終了した時点でもうこの事業を行わないということを聞いておりますけれども、今三カ所しか実施をしていない中で廃止が決まったわけですが、この事業が果たした役割についてどのようにお考えか、大臣の方からお聞きをさせていただきたいと思います。

若林国務大臣 特定中山間保全整備事業は、委員御承知のとおり、森林と農用地が混在する中山間地域で農林地の一体的な保全整備を行うことによりまして、農林業の持続的な生産活動の促進、森林及び農用地の持つ公益的機能の維持増進を図ることを目的としているわけでございます。

 具体的な効果としては、特定中山間保全整備事業のうち、工事が進んでおります阿蘇小国郷区域について見てみますと、区画整理などにより、農作業の効率化、担い手への集積、これが約二五%増加している、また、耕作放棄の防止解消、これは三ヘクタールについて貢献をしている。また、農業用用排水施設の整備によりまして、用水の安定供給、維持管理の省力化に非常に役に立っている。また、農林道整備によりまして、森林管理や農作物集出荷の利便性が向上したといったような効果が発現をしているというふうに分析をいたしておりまして、地元の農林業従事者などの皆さんからも評価をいただいているというふうに思います。

石川委員 評価をいただいている中で、なぜ三事業をもって廃止とされるのでしょうか。

若林国務大臣 この特定中山間保全整備事業は、今申し上げましたように、森林の整備と農用地の整備の双方の知見を有する組織である緑資源機構が地域のニーズに合わせまして機動的に事業を実施するということによって効果を上げているものだと思います。

 その意味で、緑資源機構が廃止されるというようなことになりますと、このような組織がなくなりまして、農林地一体の事業を行うというようなことが困難だというふうに考えるわけでございまして、本事業についても農林地一体の事業を総合的に整備するような組織がないとうまくいかないという判断で、この事業も廃止せざるを得ないというふうに考えているところでございます。

石川委員 今お話があったように、農林の知見、知識を有する緑資源機構がなくなるからこの事業がもうできないということでありました。

 私も農林水産省の方々と意見交換をさせていただきました。これは、緑資源機構の場合は農林一体となった事業を推進できる機構であるので、緑資源機構がなくなったらこのような事業はもう行えないということでありましたけれども、私、その場で質問したんです、農林水産省なのに何で農林一体となった事業ができないのかなと。私が間違っていたら、本当におかしいんですけれども、農林水産省で農林一体となった事業ができないというのは、大臣、どうでしょうか、これはちょっとおかしいんじゃないでしょうか。

中條政府参考人 農林水産省ではこれまでこういった中山間地域の対策につきましては、その地域の整備について、例えば中山間地域総合整備事業等、補助事業での対応を実施しております。

 それで、緑資源機構についてでございますけれども、この前身であります農用地整備公団から平成十一年に緑資源公団に変わりまして、それが公団から現在の機構へと変わってきているものでございます。

 この機構が今回廃止をされるということになったわけでございますけれども、林道整備は今度補助事業で実施されることになりまして、独立行政法人として先ほど大臣から話がございましたように調和のとれた整備がこの形では困難になったこと、それから、実は、これから新たにこの事業を国の直轄ではなくて例えばどこかの機構で行うとした場合に、水源林造成の部分といいますのは、特定中山間事業におけるウエートというのは百ヘクタールにも届かないというふうな事業でございまして、林道がない状態で水源林造成のエリアが小さいということ。そうしますと、結局のところ、残された農用地整備の部分がその大宗になってしまうというふうなことでございまして、冒頭申しましたように、これは農用地整備公団から緑資源機構に変わった経緯を考えますと、これ以上こういう機構で行うのは適切ではないのではないかというふうに私ども考えているところでございます。

 そのため、水源林造成につきましては、これまでも説明しておりますように独立行政法人の事業として継続するわけでございますけれども、林道、農道、農用地等の整備につきましては、関係する補助事業等を活用することによりまして、地元の意向を踏まえつつ、農林各部局の連携を図りながら効率的に進めることとしているところでございます。

石川委員 ということは、この三事業については評価できないということになるんでしょうか。

中條政府参考人 三事業とおっしゃいますのは、三地区の事業という……(石川委員「三地区ですね」と呼ぶ)違います。三地区につきましては、平成十五年の阿蘇小国郷地域を皮切りに、この廃止が決まりました時点まで、三地区は既に着工になっております。この地区につきましては、それぞれ地元の農家負担等も徴収することを前提として事業をしておるわけでございまして、ここで突然事業を中止するというわけにいきませんので、この事業につきましては完了まで事業を進めるということにしているところでございます。

石川委員 さっき大臣はこれらの事業を評価すると。BバイCを見ても、阿蘇小国は幾つだったか、この緑資源公団事業の阿蘇小国郷区域は、当初の費用便益比の算定というのは一・〇八ということで書かれております。

 ちょっともう一度質問なんですけれども、いただいた資料には神奈川県あしがら、福岡県矢部川上流、岩手県と、ずらずらっと特定中山間保全整備事業基本調査地域一覧表には七区域書いてあるんですけれども、これらほかの七つというのは、効果が上がらないということで今後はもうやらないということなんでしょうか。

中條政府参考人 先ほど申しましたように、この事業制度、緑資源機構で行います特定中山間の事業としては、この基本調査を行っている地区につきましては、事業を実施しないということでございます。ただ、これにつきましては、それぞれの地区で地元の意向を調整しているところでございまして、必要に応じまして、これは県営事業、団体営事業等によりまして対応してまいりたい、このように考えております。

石川委員 これは七区域あって、三区域、最初に熊本、次に島根、次に富良野ということになっていますけれども、一番最初に熊本に至った理由というのはどういう選定理由なんでしょうか。

中條政府参考人 具体的な事業の地区の採択につきましては、その地域の申請に基づくところが主でございますけれども、その際に、その地域の熟度を勘案いたしまして、それぞれが採択要件に適合しているかどうか、それを審査の上、採択しているものでございます。

 したがいまして、地元から申請のあったところを順次に、阿蘇小国郷、邑智西部、それから南富良野地区ということで採択をしてきているものでございます。

石川委員 私は、特定中山間事業というものが別に悪いと言っているのではありません。せっかく効能があるというところで、大臣からも事業評価があったというところで、この三事業をもってやめると。その後お聞きをしたら、農林一体の知見を有する事業として行うことはなかなか難しいということでありましたけれども。

 もともとが、「森林及び農用地が混在する中山間地域では、過疎化・高齢化が進行し、基盤整備が遅れることによって、適切な管理が行われていない森林や耕作放棄地が増加している。これにより、水源かん養」云々ということで書かれているわけでありますけれども、先ほど御答弁では、水源の涵養については効果がなかったということなんでしょうか。

中條政府参考人 少し具体的に申し上げますと、例えば、阿蘇小国郷地区について言いますと、全体の受益面積が五千七百九十七ヘクタールございます。そのうちの水源林造成に係る部分が四十五ヘクタールございます。

 それで、この事業は、水源林の造成と、水源涵養のための森林の造成と農林道の整備とその他農用地の整備の三つの要素によって構成されているわけでございますけれども、今度、林道の部分をこの機構でやらないということになりますと、残ったところといいますのは、水源林の造成と農用地の整備ということになるわけでございます。

 先ほど申しましたように、全体の受益面積が五千七百九十七ヘクタールの中で、水源林の部分といいますのは四十五ヘクタールということになりますと、この緑資源機構ができる以前の農用地整備公団と全く同じような状況になるわけでございまして、したがいまして、私が申し上げたのは、こういった形の機構とかに新たにこの事業を継承するのは困難ではないかというふうに申し上げているところでございます。

 失礼しました。水源林造成は四十ヘクタールの間違いでございました。

石川委員 それでは、次にお聞きしたいんですけれども、水源林造成事業、目標まであと六万ヘクタールということになっておりますけれども、これで終わって、今後どれぐらい見込まれていますでしょうか。

井出政府参考人 水源林造成事業でありますが、これは昭和三十六年に創設されまして、事業発足当時は二十三万ヘクタール、順次拡大をしまして、平成元年に五十一万ヘクタールとすることで現在に至っております。

 既に四十五万ヘクタールの造成が終了いたしまして残り六万ヘクタールと言われておりますが、これは個別地区の事前評価を行いながらこの対象地を選定して事業を進めております。現在、年平均で四千ヘクタール程度で事業を実施してきております。

石川委員 この水源林造成事業は今お答えありましたけれども、大臣、もう一度、先ほどの特定中山間事業についてお尋ねをしたいんです。

 結局、この事業自体評価されながらも、今御答弁の中にあったようにいろいろなことをもって廃止とするということになっておりますけれども、今後、この中山間地の取り合い等、中山間地、特定中山間となっていますけれども、こういうところを行うときには、こういうスキームではもう無駄だったから行わないということでよろしいんでしょうか。それとも、今後も、やはり検討の上で、新たにこういう事業が起きてきた場合には新しくどこかの機構でやるべきなのか、それとも農林水産省の中で林野庁でやっていくべきなのか、最後にちょっとお答えをいただきたいと思います。

若林国務大臣 この中山間地域におきます特定、特別の事業の特徴というのは、一つの事業主体が総合的な計画を立てて、一体の事業として行うというところに他にない特別の評価さるべき事項があったというふうに考えているわけでありまして、一つの事業主体がまとめてやるという事業主体自身がほかにはないんですね。緑資源機構がなくなりますと、一つの事業主体が、基礎調査から総合調査から事業実施から全体をまとめて一つでやるというような事業主体がありませんので、そういう意味では、今、事業着手しているもので終わりにする、こう言っているわけであります。

 中山間地域について言えば、いろいろな林地あるいは農地、林道、農道、水路、それらを一体的に整備を進めれば効果が上がるというようなところは、全国いろいろあると思います。しかし、それを一体的に整備する事業主体が、今、これでなくなるわけでございます。ですから、この補助事業を実施するに当たっては、できるだけそういうものが総合的に調整をされながら一体でできることが望ましいんですけれども、補助事業で行うとすれば、みんなそれぞれ補助事業の事業主体が違いますから、そういう事業主体の違いを調整しながら、相互に効果が上がるような事業の実施には努めていかなければならないと思いますけれども、現在、緑資源がやっているような形の一体の事業というのは行い得ないというふうに考えております。

石川委員 時間なのでこれで終わりにしますが、規制改革会議の答申でも特定中山間には触れられてないんですね。ほかのものについては透明性を高めるだとか今の事業を廃止すべきだとかいう答申がなされておりますけれども、どうもこの部分はちょっと納得いかないと思います。いずれ機会があったら、また御質問させていただきたいなと思いますので、これで私の質問を終わります。ありがとうございました。

    〔委員長退席、江藤委員長代理着席〕

江藤委員長代理 次に、永岡桂子君。

永岡委員 自由民主党の永岡桂子でございます。

 先週、若林大臣から、独立行政法人の緑資源機構法を廃止する法律案の提案理由をお伺いいたしました。この法案を提出することになりましたきっかけは、やはり緑資源機構の談合問題。地球温暖化問題と関連しまして、森林・林業行政に対する国民の関心と期待が高まっている時期のことでございました。国民の信頼を裏切ることになりまして、本当に残念であり、緑資源機構を解散するということはやむを得ないことなのか、そう考えております。

 しかしその一方では、日本の豊かな森林資源を開発するために、必要な林道をつくったり、山の奥地のダムの上流地域にあります水源林、これの造成や育成をしたり、また、中山間地域の農業用地の整備などを担ってきたわけでございます。我が国の農林業振興と農用地の持ちます多面的機能を発揮するのに貢献してきたということは評価しなければいけないと考えております。

 きょうは、緑資源機構が行ってまいりました事業の取り扱いが今後どうなるかを中心に質問をしたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 現在、日本は少子高齢社会を迎えております。農山村の地域でも人口の減少、高齢化が進みまして、限界集落がふえるなどの深刻な問題があります。緑資源機構の行ってまいりました事業は、それ自体は今後とも地域にとりまして大変重要なものであると考えますが、そこで、緑資源機構が行ってきた事業を今後どのように取り扱っていくおつもりなのか、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

若林国務大臣 緑資源機構がいろいろな情勢のもとで廃止せざるを得ない事態になったということについては、本当に私も残念に思いますが、これはやむを得ないというふうに受けとめざるを得ないという判断に至ったわけでございます。

 それでは、この緑資源機構が廃止された場合に、緑資源機構が行っているそれぞれの事業について、事業の評価というのがあるわけでございます。それらの事業がそれぞれ今後どういうふうに取り扱われていくべきかということについての御質問だと思います。

 そこで、主要な事業について申し上げますと、緑資源幹線林道事業というのがございます。これについては、独立行政法人が行う業務としてはこれを廃止いたしますが、今後は、地方公共団体において事業の必要性を判断した上で、国の補助事業としてこれを実施するという方向でございます。

 次に、特定中山間保全整備事業と農用地総合整備事業についてでありますが、これは森林総合研究所に継承をいたしまして、実施中の箇所における事業については森林総合研究所でこれを行い、その完了をもって事業を廃止するということとしております。

 三番目として、水源林の造成事業についてでありますが、これは奥地水源地域における保安林の造成を行う事業でありまして、また、そのことは京都議定書の森林吸収源対策としても必要不可欠なものであるという認識でございます。そこで、事業の透明性や効率性を確保することを徹底しながら、森林総合研究所に継承してこれを実施するというふうに考えております。

 また、ちょっと異質でありますけれども、海外農業開発事業についてであります。これは国際貢献としても重要な役割を担っておりますことから、事業の効果的、効率的な実施を徹底しつつ、国際農林水産業研究センターというのがございます、そこに継承をして実施することといたしております。

永岡委員 ありがとうございます。

 それでは、水源林造成事業の見直しについてお尋ねいたしたいと思います。

 ことしから京都議定書に基づきます第一約束期間が始まりました。一九九〇年を基準年といたしました温室効果ガスの削減目標六%のうち、半分以上の三・八%を森林によります吸収量で確保するということになっております。この目標を達成するためには、間伐ですとか森林吸収源対策というものを積極的に進めるということが重要なわけでございます。

 水源林造成事業では、これまで山の奥深くのダムの上流の水源地域での植林や整備を行ってきたわけですけれども、これは民間による森林の造成が難しい地域で行われてきた事業であるわけです。水源の涵養機能の充実というだけではなくて、温暖化防止対策ということでもその役割はこれからも大いに期待されるわけでございますので、どうぞそこのところをお含みおきの上で、昨年十二月に閣議決定されました独法の整理合理化計画では、これによりますと、新規事業についてはリモデルを行ったり、契約の内容、施業方法を見直すこととされておりますが、この水源林造成事業については、緑資源機構の廃止を機会としまして、その公益的機能を十分に発揮していくための見直しも行う必要があると考えられますが、どのようにお取り組みになっていくのか、その方針をお伺いいたします。

井出政府参考人 水源林造成事業につきましては、国にかわりまして緑資源機構が費用負担者となりまして、五十年から八十年程度と長期にわたる契約期間の分収造林契約により事業を実施してきておりまして、平成十八年度末までに全国四十六都道府県で約一万八千件、約四十五万ヘクタールの森林を造成してまいりました。

 それから、委員御指摘のように、奥地水源地域の森林につきましては、水源涵養はもとより、土砂崩壊防止でありますとか森林吸収源対策としても重要な役割を果たしておりますので、今後とも植栽や間伐等の保育作業を確実に実施してまいらなければならないと考えております。

 それから、水源林造成事業について、森林の公益的機能を十分に発揮していくための事業の見直しということでございますが、これまで水源林造成事業におきましては、主伐の時期、方法については契約当事者の協議により決定することとなっておりますが、おおむね一度に伐採を行う方法を想定してまいりました。

 一方、最近、森林・林業基本計画におきましても、森林所有者等の自助努力による適正な整備が進みがたい森林につきましては、緑資源機構によって針広混交林化等の整備を行うというふうにされております。また、昨年の十二月に閣議決定された独法の整理合理化計画におきましても、今後の新規契約については、事業のリモデルを行って、契約内容、施業方法を抜本的に見直す、そういうことを踏まえて事業内容の大幅な見直しを行う考えでございます。

 具体的にどうするのかということでございますが、公益的機能を高度に発揮させまして、将来の維持管理コストを低減させるという観点からは、新規契約につきましては、主伐を一時期に行うのではなく、五十年生から八十年生程度までにわたって分散をさせまして、伐採面積も二ヘクタール程度の小面積とします、そのことによりまして針広混交林化を促す施業とするなど、より効果的、効率的な事業を実施することにいたしているところでございます。

永岡委員 ありがとうございます。

 次に、緑資源幹線林道事業についてお尋ねいたします。

 この事業につきましては、独立行政法人が行います事業としては廃止し、新たに地方公共団体向けの補助事業ということで実施すると伺っております。緑資源機構は廃止という方針が出たのが昨年の六月だったと思います。一年もたたないうちに、この四月からは関係自治体に事業を引き継ぐということになります。関係自治体からは、事業を独自で行う体制づくりに苦労しているという声を聞いております。また、緑資源機構が事業を実施しているところからは、地方に新たな負担を強いることがないようにしてほしい、そういう要望も出されているところでございますので、ぜひ、地方に無用の負担を負わせることのないような措置がこの際必要なのではと考えておりますが、どのように取り組まれていくのか、林野庁のお考えをお聞きしたいと思います。

井出政府参考人 緑資源幹線林道事業の廃止に伴います地方公共団体への事業の移管ということにつきましては、それぞれ関係の地方公共団体におきまして現在議論をしていただいていると聞いておりますが、地方公共団体からは、今委員御指摘のように、地方負担がふえないようにしてほしい、あるいは、その負担が平準化されるようにしてほしいとか、必要な人件費が確保されるようにしてほしいなどの要望が出されております。

 このため、新しく創設します山のみち地域づくり交付金、これは地方公共団体が幹線林道事業を引き継いでやる場合に対象になる交付金でございますが、これを従来の緑資源幹線林道事業におきます地方負担と同様の、従来の負担割合と同水準とするということで、いわゆる高率の補助になるようにしているわけでございますが、さらに、地方負担の平準化のために、この交付金につきましては地方財政措置を講ずるというようなこともいたしまして、その負担の平準化にも努めているところでございます。

永岡委員 どうぞ地方に無用の負担のかからないようによろしくお願いしたいと思います。

 次に、農用地総合整備事業と中山間保全整備事業についてお尋ねしたいと思います。

 中山間保全整備事業と農用地総合整備事業につきましては、独立行政法人の森林総合研究所が引き継ぐということでございます。現在実施中の地区の事業の完了をもって事業の廃止が決まっております。実施中の区域につきましては、平成二十年度以降も事業が継続されるとのことでございますが、早期の事業完了に期待を寄せている地元の受益者の皆さんや自治体は、実施主体であります緑資源機構の廃止について少なからず不安があるのではないかと思っております。森林総研に引き継がれた後も計画どおり確実に事業が実施されるのかどうか、今後の事業の取り扱いについてお伺いしたいと思います。

中條政府参考人 農用地総合整備事業と特定中山間保全整備事業につきましては、農用地総合整備事業が六地区、それから特定中山間保全整備事業が三地区、これら九地区が実施中でございまして、実施中の地区につきましては事業完了まで実施した上で事業を廃止することとしております。

 この法案におきましては、緑資源機構を廃止した後、実施中の農用地総合整備事業及び特定中山間保全整備事業につきましては、森林総合研究所が権利及び義務を承継することとされておりまして、これに基づきまして、必要な人員を含め、実施中の事業を承継することとしております。

 これらの事業につきましては、緑資源機構の廃止によって地域や受益者に不利益が生ずることのないよう確実に事業を推進してまいりたい、このように考えております。

永岡委員 ありがとうございます。

 次に、国有林野事業の今後の体制について伺いたいと思います。

 平成十八年に制定されました行革推進法におきましては、国有林野事業を独法化した上で一般会計に統合することについての検討がなされることになっております。本法案においては水源林造成事業は森林総研に受け継がれるわけですけれども、その後は国有林野事業の検討とあわせて検討することになっているわけですね。森林整備を進める上でも、国有林野事業の新たな体制というものがどのようになるのかは大変重要と思います。

 そこで、国有林野事業の一般会計化と独法化についての検討状況をお伺いしたいと思います。

井出政府参考人 国有林野事業の一般会計化、一部独立行政法人化の検討状況についてのお尋ねでございますが、今委員から御指摘がございましたように、行革推進法におきましては、国有林野事業特別会計において経理されております事務事業の性質に応じまして、一部を独立行政法人に移管した上で、特別会計を一般会計に統合することについて検討することとされているところでございます。

 このため、これまで国有林野事業として実施してきた事業のうち、重ねての答弁になりますが、人工林の整備、木材の販売等の業務を独立行政法人に移行するとともに、国有財産としての国有林野の管理保全、治山事業等については国が行うといった基本的考え方に沿いまして、今後とも公益的機能の維持増進を旨とした国有林野の管理経営が適切かつ効率的に行えるよう検討いたしているところでございます。

 現在こういう検討を行っているところでございますが、国土の保全でありますとか水源の涵養など国有林野が果たしている公益的機能の重要性を踏まえまして、今後とも幅広い観点、幅広い人からの意見を聞いて慎重に検討を行っていく考えでございます。

永岡委員 次に、談合の再発防止策についてお伺いいたします。

 今回、緑資源機構が廃止されるに至りました原因は、談合問題の発覚にあったわけでございます。発注者側が組織的に談合を主導したとされているわけでございます。こういう官製談合というのは決してあってはならないことでございます。今後、このような問題が発生することのないよう、しっかり取り組む必要がございます。これは森林総研が事業を引き継いだ後も当然求められることです。

 そこで、談合の再発防止のためにどのような取り組みを講じられるかについてお伺いしたいと思います。

井出政府参考人 談合の再発防止のための取り組みでございますが、これまでに、既に緑資源機構におきましては、建設工事及び測量・建設コンサルタント等の業務の入札につきましては、災害復旧等を除きましてすべての入札を一般競争入札に切りかえました。また、農林水産省内に緑資源機構の入札監視のための委員会を設置いたしまして、四半期ごとに緑資源機構に設置されている入札監視委員会による入札監視が適正に行われているかどうかを確認しております。また、緑資源機構内部においては、コンプライアンスマニュアルを作成しまして、職員を対象とした研修もしっかり実施をしているところでございます。

 もちろん、緑資源機構の業務を承継する森林総合研究所等におきましても、引き続きこれらの談合再発防止のための取り組みをしっかりと継続して行ってまいりたいと考えております。

永岡委員 しっかり取り組んでいただきますよう、よろしくお願いいたします。

 最後に、緑資源機構の職員の雇用対策についてお伺いしたいと思います。

 本法案では、幹線林道事業は今年度で廃止、特定中山間保全整備事業と農用地総合整備事業も現在実施中の区域の完了とともに事業が廃止ということになるわけでございます。三つの事業合わせて三百八十名の職員が働いていると伺っておりますが、各事業の廃止に伴いまして職員の雇用問題が生じることが予想されております。これら事業に従事している職員の雇用対策というものについてどのようなお考えをお持ちになっていらっしゃるのか、大臣にお尋ねしたいと思います。

若林国務大臣 緑資源機構では、現在、七百二十名の職員が勤務しているという状況にあります。そこで、他の法人に移管する業務についていろいろ見直しをするとともに、職員についてもそれに応じた人員体制とする必要があると考えております。

 そこで、昨年の末に閣議決定されました独立行政法人整理合理化計画というものを踏まえまして、独立行政法人の事業、組織の廃止などに伴って必要となる職員の配置転換などを円滑に進めるために、ことしの二月でございます、関係府省によります雇用対策連絡会が設置されたところであります。

 この雇用対策連絡会の設置に当たりまして、その中で「連絡会の当面の業務としては、十九年度限りの廃止が予定されている緑資源機構に関する雇用対策に取り組む。」ということを特に明確にいたしまして、各省庁協力し合ってこの雇用対策に取り組むことにしているところであります。

 そこで、これらを踏まえまして、機構の職員の雇用対策につきましては、まず一つは、定年退職者が出てまいりますその後の補充はしない。水源林造成事業などの事業を受け入れる法人の方に受け入れてもらう。それから、雇用対策連絡会を通じて他の独立法人に、これは会計経理とかその他一般的な事務をやる人たちもいるわけでございますので、他の独立行政法人による受け入れ措置といったような省庁組織横断的な雇用確保が図られるように努めるというようなことに努力をし、適切に対処してまいりたいと考えております。

永岡委員 どうもありがとうございます。

 手入れの行き届いた森林というのは多くの役割を持っております。水源の涵養への貢献が期待されます。また、地球温暖化防止への貢献も期待されます。山崩れを防ぎ、国土の保全にも貢献いたします。多様な生物の生息に配慮した森というのは環境保全への貢献が期待できます。山村地域の人々には、森を整備することでその森が仕事場となり、雇用を生み、地域振興に貢献することがあるわけです。そして、美しい森は人の心をいやす力を持っております。林業を営む人や山村に住む人、また利益を受ける都市の住民や公的機関も加わって国民的運動としてこれからも森林の整備に取り組む必要があります。農林水産省におきましては、国民の理解、信頼を確保しながら森林・林業行政を行い、農山村の振興や森林の公益的機能が十分発揮できるような取り組みが進められることを期待いたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

江藤委員長代理 次に、菅野哲雄君。

    〔江藤委員長代理退席、委員長着席〕

菅野委員 社会民主党の菅野哲雄です。

 緑資源機構を舞台にした天下り、官製談合事件は許すことのできない事件です。再発防止は当然のことですが、事件の発覚をもって直ちに緑資源機構を廃止してしまうことは、行政減量・効率化有識者会議で進めてきた独立行政法人の統廃合に乗っかった拙速な決定だと思えてなりません。国が必要と認めてきた独立行政法人の整理、統廃合に当たってはもっと丁寧で真剣な議論が必要ではないかと指摘して、私は質問に入りたいと思います。

 最初に、林道ネットワークの核となる幹線林道の残事業七百キロメートルについてお聞きします。

 今回、自治体の判断で補助事業として実施することになりましたが、今年度の予算では幹線林道予算はどの程度の金額が計上され、来年度予算では幾ら計上されていますか。それは自治体の要請に見合った金額なのでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。

 また、この補助事業に必要な経費は、残事業が終了するまで、自治体が建設を進める限り、来年度以降も国によって経費負担されるのでしょうか、お答え願いたいと思います。

井出政府参考人 緑資源幹線林道事業の平成十九年度の予算額につきましては、約百十二億円を計上しているところでございます。平成二十年度におきましては、補助事業化によりまして制度が大きく変わりますことに伴い、関係道県において必要な見直しが行われる見込みであること等を勘案いたしまして、山のみち地域づくり交付金として五十億円、また、既設の林道を地元自治体に円滑に移管するための保全管理経費として二十億円を計上しているところでございます。

 なお、平成二十一年度以降の対応につきましては、もちろん関係道県の要望を踏まえて、適切に対処してまいりたいと考えております。

菅野委員 今数字を示されて、百十二億円であったものが七十億円まで削減されている、こういう状況が明らかになりました。

 地方自治体は財政難に苦しんで悲鳴を上げています。林道ネットワークが寸断されることのないようにという形で地方自治体は考えていて、この幹線林道事業についても、国としてしっかり整備してほしいという要望が強かったにもかかわらず、これは地方自治体にするというふうな方向になってしまいました。来年度以降もこの七百キロは完成させていくんだ、こういう決意でもって財政措置はしっかりと行っていただきたいというふうに私は強く思っているところでございます。このことを申し上げておきたいと思います。

 それで、林道の建設や保守については専門的知識が必要だと言われています。自治体から要請があった場合、緑資源機構の技術者の能力を、例えば出向というような形で提供することがあってもいいのではないかと私は思っているんですが、どのようにお考えでしょうか、答弁願いたいと思います。

井出政府参考人 緑資源幹線林道事業につきましては、平成二十年度以降、地方公共団体において必要性を判断した上で、国の補助事業として実施することとなるわけですが、この補助事業の実施に当たりましては、緑資源機構が施工しました既設の林道を円滑に地方公共団体に移管することが必要でございます。

 このため、平成二十年度予算案におきましては、既設の林道の移管を円滑に進める上で必要な保全管理経費について二十億円の予算措置を行いますとともに、緑資源機構の林道に関する技術者を現場に配置するなど適切に対応することといたしております。

 今後とも、地方公共団体におきまして、新たな補助事業が円滑に実施されるよう、地方公共団体等から具体的な要請があれば、そういうことも踏まえて適切に対処してまいりたいと考えております。

菅野委員 次に、水源林造成事業についてお聞きいたします。

 この事業は、生活に欠かせない水資源の造成、国土と環境の保全、さらには二酸化炭素の森林吸収源として非常に重要な役割を担っています。恐らく大臣も同じ考えだと思います。

 この水源林造成事業の公益的な機能を貨幣単位で換算すると、どの程度の額になりますか。林野庁長官、答弁願いたいと思います。

井出政府参考人 水源林造成事業の公益的機能の効果額についてのお尋ねでございますが、緑資源機構が試算したところによりますれば、水源涵養機能、山地保全効果、環境保全効果を公益的機能として算出しまして合計した数値といたしましては、平成十七年度一年間の効果額は約七千七十四億円でございます。昭和三十六年度から平成十七年度までの累積では約十二兆三千五十億円と計算されております。

菅野委員 十七年度で七千七十四億円という数字が示されました。

 この効果額は、事業に費やしてきたコストを大幅に上回っております。費用対効果も十分あるわけであります。この事業を通じて地元にも大きな雇用を生み出してきた側面も忘れてはならない点だと思います。

 まずは、残り六万ヘクタールについては、途中で計画を見直したりやめてしまうのではなくて、着実に計画を履行していくという理解で間違いないのでしょうか。私は、この有益な水源林造成事業は、残り六万ヘクタールでやめてしまうのではなくて、国が積極的に関与した公的機関として存続させた上で、残事業終了後に新たな計画を策定し、事業の継承、拡大を図っていくべきだと考えております。

 まずは六万ヘクタールの整備が重要課題だということは理解しますが、残事業終了後の新たな計画策定、事業継承の検討についても、コメントできるようなことがあれば、答弁願いたいと思います。

井出政府参考人 先ほど来御答弁しておりますように、水源林造成事業につきましては、奥地の水源地域等での保安林の造成を行う事業でございますし、森林吸収源対策としても必要不可欠でございますから、その透明性、効率性の確保を徹底しつつ、国有林野事業の一部を移管する独立行政法人に最終的には引き継ぐこととしておりますが、それまでの間は経過的に森林総合研究所に事業を承継し、事業の円滑な実施を図りたいと考えております。

 目標面積の残事業六万ヘクタールにつきましては、承継した組織におきまして個別地区の事業の事前評価を適切に行いながら、着実に推進していく必要があると考えております。

 さらに、現在、年間四千ヘクタール程度の新植を実施しているところでございますが、今後の対象地につきましては、この残事業分の整備が一定程度完了した段階におきまして、その時点での奥地の無立木地等の賦存状況や我が国全体の森林整備の状況を総合的に判断して検討していくことと考えております。

菅野委員 先ほどからも議論になっておりますけれども、水源林造成事業、これは非常に果たす役割の大きさというものが存在するわけであります。ここに力を入れていくこと、このことが国の政策として求められているんだというふうに私は思っています。

 先ほどからも、五十一万ヘクタールを目標値にして、四十五万ヘクタール、そして六万ヘクタールという形で今推移しているわけでございます。この五十一万ヘクタールをどう拡大していくのか、と同時に、もう伐期を迎えている水源林もあるわけでございますから、そのことにどう対処していくのかというのは、私はこれからの重要な施策であるというふうに思っています。

 長官、この水源林造成事業というものをしっかりとした国の制度として、先ほども申し上げました、公的機関として関与していく、存続させていく、このことがぜひ必要だというふうに私は思うんです。再度、このことについての考え方をお聞きしておきたいと思います。

井出政府参考人 残事業が六万ヘクタールあるわけですが、現在、年間四千ヘクタール程度の進度でございますから、この六万ヘクタールを整備していくのも、まだかなりの年限が必要でございます。

 その後につきましては、先ほど御答弁しましたように、この残事業がある程度進捗した段階で、その時点での森林整備の状況が我が国全体としてどうなっているかということを踏まえて判断をしてまいりたいと思っております。

菅野委員 長官、数字的な部分は先ほどから答弁いただいていますけれども、水源林造成事業というものをどのような形で存続させていくのかという議論なんです。公的関与をどう強めていくのかという視点がないと、私は整備が図られていかないんじゃないのかなというふうに申し上げているんです。

 この点についてどう考えているのか、再度お願いします。

井出政府参考人 先ほど来御答弁申し上げておりますけれども、国有林野事業の一部を移管することになる独立行政法人に中期的には引き継ぐという考え方が出ているわけでございます。その点では、公的な関与で水源林造成事業を続けていくということは示していると考えております。

菅野委員 これからも、この部分については、推移を見ながらしっかりと議論していきたいというふうに思っております。

 次に、地方の疲弊、とりわけ農山村集落からの人口流出、村落消滅がクローズアップされています。農水省の委託調査では無住化危惧集落が一千四百三集落、国土交通省の調査ではいずれ消滅する可能性のある集落が二千六百四十一集落あるといったように、驚くべき数字が出されています。山村集落の疲弊は、社会のあり方や生活様式の変化も含め、複合的な要因で増加しているとは思いますが、農林水産業の衰退がこの事態を招いていることは否定できません。わけても、林業の衰退が山村の疲弊の一因を担っていると私は考えます。

 いずれにしても、山村集落の疲弊をこのまま放置していけば、例えば不在村者保有森林が一層増加し、山がますます荒れてしまうことは間違いありません。団塊世代の退職後のUターンなどに過度に期待をかけるだけではうまくいくとは思いません。自治体が財政難で悲鳴を上げている今、国のリーダーシップで農山村集落を活性化すべきだと思います。その際、林業に関して言えば、一般林道や民有林の整備などに国が積極的に関与して役割を発揮すべきではないでしょうか。考えをお聞かせください。

井出政府参考人 我が国の森林を緑の社会資本として守っていくためには、山村地域の重要な産業でございます林業の発展を図って、山村地域を活性化していくことが重要でございます。もちろん、林業だけで山村地域が活性化するということはないと思いますが、やはりコアとしては林業の活性化が必要であろうと思います。

 御指摘のように、近年の森林・林業をめぐる情勢を見ますと、長期的な木材価格の低迷による林業生産活動の停滞ですとか、林業従事者の減少、高齢化の進行、間伐等の手入れのおくれ等が課題になっているわけでございますが、一方で、戦後造成された人工林資源の充実でありますとか、最近外材も自由に入ってこなくなっておりますから、国産材に対する需要の高まり等明るい兆しも見られております。

 こういった中で、林野庁といたしましては、多様で健全な森林の整備、保全を図る、国産材の利用拡大を図るといったことを軸に林業・木材産業の再生を図っていく必要があると考えておりまして、御承知のように、間伐等の森林整備、保全の推進については、三十五万ヘクタールから五十五万ヘクタールに拡大するというようなこともやっておりますし、一方では、森林組合を中心に森林施業の集約化ですとか、林道等の路網と高性能の林業機械の一体的な組み合わせによりまして林業生産コストを低減いたしまして、山元にお金が残るように努力をしております。また、林業就業者の確保、育成については、緑の雇用等で努力もいたしております。さらに、市場のニーズに対応した木材製品の安定供給体制を整備するということで、国産材をひいてくれる製材工場や合板、集成材工場といったものの設置あるいは規模拡大についても取り組んでいるところでございますので、引き続きこれらの課題に対して強力に推進、努力をしていきたいと考えております。

菅野委員 大臣と議論すればいいんですけれども、長官、今言ったように、山村地域は本当に危機的な状況になっているんだ、ここの認識はされているというふうに思いますけれども、今まで政策として進めてきたことを羅列しただけではこのまま進んでいってしまうんですよ。この危機的な状況を、国の関与をしっかり強めていって解決を図っていきますという姿勢を示さない限り、このまま無住化危惧集落、いろいろな言葉があるんですが、そういうのがどんどんふえていってしまうんじゃないのか。

 そのときにやるのは、中山間地域というのは林業に依存していかなきゃならない地域なんだ、そこに国の関与をどう強めていくのかというしっかりとした決意を示していかなければ地域集落は守っていけないんだ、そういう危機的な状況になっているんだということをぜひこれからも議論していきたいし、大臣から内外に国の関与のあり方について発信していただきたいというふうに私は思うんです。

若林国務大臣 山村を思い、そして山の保全、整備の意義ということ、私は委員と問題意識もそしてまた危機感も共有しているつもりでございます。

 山村振興法の延長の機会に、ちょうど私は自由民主党の山村振興委員長をやっておりました。そのときに、今まで都道府県が計画を立てていたものを市町村が計画を立てる。都道府県は基本方針を定めて、市町村が計画を立てていく。やはり身近なところから、市町村がきちっとやるという計画を明確にしないと、上からいろいろやってもそれらの山村の振興に機能しないというようなことで、議員立法をお願いしてそのような法律改正がなされたのでございます。

 また、一昨日は群馬県の神流町というところへ行きました。これはもう過疎といいましょうか山村地域でございまして、そこでの間伐事業の実施状況とか、あるいは山村での特用林産物の生産にかかわっている人たちとお会いしたり、あるいは緑の雇用事業でそこに入っている若い人たちとの対話もしてまいりました。

 何としても山村地域がしっかりしていくためには、いろいろな事業を総合的にする必要がありますが、やはり林業がしっかりとする、林業がそこで成り立っていくような形の施策を強力に進めなければ山村地域が持続可能な形で発展することはない、維持できることはないというふうに考えたところでございます。

菅野委員 大臣、考え方はわかりました。

 ただ、今なぜここまでなっているのかという一つの問題点は、地方財政が非常に厳しくなってしまっている、そこの中で山村対策ができなくなって集落が疲弊していっているという現実を見なければならないというふうに思っています。そういう意味で、確かに自治体の関与は必要なんですが、国の関与というものが非常に重要になってきているということを私は申し上げておきたいというふうに思っています。

 次に、緑資源機構の職員の雇用について改めてお伺いします。

 とりあえず、この四月一日は職員の雇用問題はクリアされています。しかし、特定中山間保全整備事業、農用地総合整備事業にかかわる職員の雇用問題が、事業が終了した数年後に再び発生するわけです。その際に、この二つの事業に従事する二百四十二名の職員をどのように処遇するつもりなのか、お聞かせ願いたいと思います。

中條政府参考人 事業の完了によりまして廃止となります特定中山間保全整備事業、それから農用地総合整備事業にかかわる職員の処遇についてのお問い合わせでございます。

 先ほど大臣の答弁にもございましたけれども、現在、緑資源機構で実施しております特定中山間保全整備事業、それから農用地総合整備事業につきましては、同機構の廃止に伴いまして、森林総合研究所におきまして事業を承継することとされておりまして、これらの事業にかかわる職員も森林総合研究所の職員となることとしております。

 これらの事業が森林総合研究所に承継された後の関係職員の雇用対策についてでございますけれども、定年退職者の不補充、それから水源林造成事業によります受け入れを検討いたしますほかに、独立行政法人整理合理化計画を踏まえまして、本年二月に設置されました関係府省による雇用対策連絡会を通じまして他の独立行政法人における受け入れ措置により横断的な雇用確保が図られるよう努めることを含めまして、適切に対応していく考えでおります。

菅野委員 確かに、独立行政法人整理合理化計画では、雇用確保に努力することとされています。しかし、国の都合で実施することですから、雇用確保に努力するのではなくて、国が責任を負うべきです。あわせて、横断的な雇用確保、これは独立行政法人の間での異動ということになりますが、職員の技能、能力を生かすということであれば、なるべく関連した事業で雇用を保障すべきです。

 例えば、これまで特定中山間保全整備と農用地総合整備に充ててきた予算は山村対策として振り向け、水源林造成事業を継続、拡大し、その中で雇用を確保していくことも考えられてしかるべきだと思うんです。この点について答弁願いたいと思います。

若林国務大臣 お話ございました水源林造成事業でございますけれども、その重要性については、委員が先ほど来るるお話がございました、奥地の水源地帯の保安林において森林を造成し、水源涵養、国土保全及び地球温暖化防止の公益的機能を維持増進するというようなことでございますから、今後ともこれは着実に推進していく必要があるわけでございます。

 この事業を着実に進めるためには、今後とも必要な職員を配置していくことになるわけでありますが、これに当たっては、これまで緑資源機構の他事業に従事していた職員の受け入れについても検討をしていく考え方でございます。

 しかしながら、このことだけで職員の雇用問題に対処することは難しいものと考えておりまして、その意味で、先ほど来お話申し上げております関係府省による雇用対策連絡会というものを通じて、他の独立行政法人に対しての受け入れ措置などを要請し検討する、これらとあわせて適切に対処してまいりたいと考えております。

菅野委員 他の独立行政法人に移すということは、その人にとっては本当に大変なことだということを考え合わせながら、事業の拡大等も含めて検討していただきたいと強く要請しておきたいと思います。

 最後に、国有林野事業特別会計の見直しについて質問いたします。

 農林水産省の案は、一般会計化と並行して、国有林の木材販売や森林整備部門を切り離して、新たな独立行政法人に移行させるものと聞いております。しかし、同じ国有林野の業務でありながら、一部は一般会計、一部は独立行政法人というのは、システムとしてどうなのか、極めて疑問です。やはり国有林野にかかわる業務は国の直営とすべきだと思います。この点、慎重に検討していくべきだと思いますが、答弁を願いたいと思います。

井出政府参考人 国有林野事業の一般会計化、一部独立行政法人化につきましては、先ほど来御答弁申し上げておりますように、行革推進法におきまして、事業の性質に応じて、一部を独法に移管した上で、特別会計を一般会計に統合することについて検討するというふうにされております。

 現時点では、そういった方向に即しまして、今後とも公益的機能の維持増進が図られるように、国有林野の管理経営が適切かつ効率的に行えるように検討をしているところでございます。

 先ほど来申し上げていますように、今後とも、幅広い観点、それから幅広い方々から意見をしっかり聞きまして、慎重に検討をしてまいります。

菅野委員 長官はさっきから簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律の条文二十八条を引用して答弁しているんですけれども、「平成二十二年度末までに検討するものとする。」この二十二年度末というのをどうして外して答弁しているんですか。条文は「平成二十二年度末までに検討するものとする。」と書いてあるんじゃないですか。答弁願いたいと思います。

井出政府参考人 行革推進法におきましては、今委員御指摘のように、「平成二十二年度末までに検討する」と書いてございます。その後、昨年末の独立行政法人の整理合理化計画におきまして、緑資源機構の廃止に伴い、森林総合研究所に移管される水源林造成事業の行方につきまして、行く行くは国有林野事業を独法に引き継ぐということを踏まえ、その経過期間を短縮するという考え方で一年前倒しにしてはどうかということがございまして、その計画の上では一年前倒しも検討するということになっております。

菅野委員 率直に言うと、地球温暖化対策で森林の役割が大きく見直されているのに、予算措置は不十分、林野庁の職員も減らされ続けていることに私は納得いきません。

 国有林野特会の見直しについても、二年前に行革推進法が審議された際、私は、当時の中川昭一農水大臣ともかなり議論して、平成二十二年度末までじっくり時間をかけて丁寧に検討すべきだと主張してまいりましたし、当時、中川大臣もそのとおりと答弁しております。今も大臣は、その方向は間違いありませんね。

 特別会計の見直しと森林管理業務の独立行政法人化については、内閣、行政の決定にゆだねてしまうのではなく、国会の場で慎重に議論して結論を得るべきです。加えて、その際には、当該職員や職員団体の意見に丁寧に耳を傾けていただきたいと思いますが、あわせて、大臣に答弁をお願いしたいと思います。

若林国務大臣 林野庁長官の方から御答弁を申し上げたとおりでございます。

 国有林野事業の一般会計化、また一部独立行政法人化につきましては、現在、行政改革推進法の規定に基づいて検討を行っているところでございますけれども、この検討に当たっては、今後とも幅広い観点から慎重に検討しなければならないと考えているところであります。

 このような中で、委員がお話ございました、そこで働いておられます職員、労働組合の理解を求めなければならない、そしてこれが円滑に進められることが重要だと考えておりまして、今次改革の目的だとか意義だとか、それらについても十分説明をしながら、論議、意思疎通を重ねて適切に対処してまいりたいと考えております。

菅野委員 最後に、一言申し上げておきます。

 独立行政法人整理合理化計画、確かに閣議決定されていますけれども、一方では、行政改革推進に関する法律というもので明確に「平成二十二年度末までに検討するものとする。」という条文があるわけですから、このことを踏まえて、政府として適切に対応していただきたい。

 このことを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

宮腰委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

宮腰委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、独立行政法人緑資源機構法を廃止する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

宮腰委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

宮腰委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、岩永峯一君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。西博義君。

西委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    独立行政法人緑資源機構法を廃止する法律案に対する附帯決議(案)

  簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律第二十八条及び第五十条第一項の検討に当たっては、地球温暖化対策としての森林整備(水源林造成等を含む)、民有林の保全・整備に伴う作業道整備、林産業を中心とした農山村活性化等の重要性にかんがみ、その実施体制については、国自ら一般会計において管理運営を行うこと及びその実施時期を前倒ししないことも含め、山村全体への対応など幅広い観点から、慎重に検討すること。

  なお、緑資源幹線林道事業(旧大規模林道事業)については、廃止すること。

  右決議する。

 以上の附帯決議案の内容につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと存じますので、説明は省略させていただきます。

 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

宮腰委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

宮腰委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣若林正俊君。

若林国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、今後、最善の努力をしてまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

宮腰委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮腰委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

宮腰委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三分散会


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