衆議院

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第14号 平成20年9月18日(木曜日)

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平成二十年九月十八日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 宮腰 光寛君

   理事 岩永 峯一君 理事 佐藤  錬君

   理事 七条  明君 理事 筒井 信隆君

   理事 細野 豪志君 理事 西  博義君

      伊藤 忠彦君    今村 雅弘君

      江藤  拓君    小里 泰弘君

      小野 次郎君    北村 茂男君

      斉藤斗志二君    中川 泰宏君

      永岡 桂子君    長島 忠美君

      西川 公也君    西本 勝子君

      橋本  岳君    広津 素子君

      福井  照君    盛山 正仁君

      森  英介君    森山  裕君

      安井潤一郎君    渡部  篤君

      太田 和美君    小宮山泰子君

      佐々木隆博君    神風 英男君

      園田 康博君    田島 一成君

      西村智奈美君    松木 謙公君

      三井 辨雄君    井上 義久君

      菅野 哲雄君

    …………………………………

   農林水産大臣       太田 誠一君

   農林水産副大臣      石田 祝稔君

   農林水産大臣政務官    江藤  拓君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 高岡 正人君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           中尾 昭弘君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房長) 岡島 正明君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         吉村  馨君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長)            町田 勝弘君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           佐藤 正典君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            横尾 英博君

   農林水産委員会専門員   板垣 芳男君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月五日

 辞任         補欠選任

  金子 恭之君     森山  裕君

  近藤 基彦君     今村 雅弘君

  平田 耕一君     小坂 憲次君

同月六日

 辞任         補欠選任

  江藤  拓君     浜田 靖一君

同日

 辞任         補欠選任

  浜田 靖一君     江藤  拓君

九月十八日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     橋本  岳君

  伊藤 忠彦君     盛山 正仁君

  飯島 夕雁君     西本 勝子君

  近江屋信広君     安井潤一郎君

  亀井善太郎君     広津 素子君

  丹羽 秀樹君     長島 忠美君

  石川 知裕君     太田 和美君

  大串 博志君     松木 謙公君

  小平 忠正君     三井 辨雄君

  高井 美穂君     田島 一成君

  仲野 博子君     小宮山泰子君

  横山 北斗君     西村智奈美君

同日

 辞任         補欠選任

  長島 忠美君     丹羽 秀樹君

  西本 勝子君     飯島 夕雁君

  橋本  岳君     赤澤 亮正君

  広津 素子君     亀井善太郎君

  盛山 正仁君     伊藤 忠彦君

  安井潤一郎君     近江屋信広君

  太田 和美君     石川 知裕君

  小宮山泰子君     仲野 博子君

  田島 一成君     高井 美穂君

  西村智奈美君     横山 北斗君

  松木 謙公君     園田 康博君

  三井 辨雄君     小平 忠正君

同日

 辞任         補欠選任

  園田 康博君     大串 博志君

    ―――――――――――――

六月二十日

 一、牛海綿状脳症対策特別措置法の一部を改正する法律案(山田正彦君外六名提出、第百六十三回国会衆法第七号)

 二、輸入牛肉に係る情報の管理及び伝達に関する特別措置法案(山田正彦君外六名提出、第百六十三回国会衆法第八号)

 三、有明海及び八代海を再生するための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(古賀誠君外六名提出、第百六十八回国会衆法第九号)

 四、食品情報管理伝達システムの導入の促進に関する法律案(筒井信隆君外三名提出、衆法第一二号)

 五、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律等の一部を改正する法律案(筒井信隆君外三名提出、衆法第一三号)

 六、食品の安全性の確保を図るための農林水産省設置法等の一部を改正する法律案(筒井信隆君外三名提出、衆法第一四号)

 七、農林水産関係の基本施策に関する件

 八、食料の安定供給に関する件

 九、農林水産業の発展に関する件

 一〇、農林漁業者の福祉に関する件

 一一、農山漁村の振興に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

八月五日

 有明海及び八代海を再生するための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(第百六十八回国会衆法第九号)の提出者「古賀誠君外六名」は「古賀誠君外四名」に訂正された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

宮腰委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、政府から説明を聴取いたします。農林水産大臣太田誠一君。

太田国務大臣 農林水産大臣に就任をいたしました太田誠一でございます。

 委員長初め委員の諸先生におかれましては、日ごろから農林水産行政の推進に格段の御理解と御支援をいただいているところであります。この機会に厚く御礼を申し上げます。

 石田、近藤両副大臣、江藤、野村両大臣政務官ともども、農林水産行政の推進に全力を挙げてまいる考えであります。委員長初め委員の皆様方の御指導を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

 委員会の冒頭にお時間をいただきまして、初めに事故米穀の不正規流通問題について発言させていただきます。

 この問題については、消費者、国民の皆様方に大変御心配や御迷惑をおかけしており、深くおわび申し上げます。

 また、今回の三笠フーズ株式会社が転売した流通先の米穀販売業の中川さんが亡くなられたとの報告を受けました。お亡くなりになられました背景についてはまだ十分承知しておりませんが、報告を受け、こうしたことが起きたことについて衝撃を受けております。心から御冥福をお祈り申し上げます。

 農林水産省としては、国民の食の安全を確保し、消費者の方々に一日も早く安心していただけるようにするため、実態の早期解明と再発防止策の確立に全力で取り組んでいるところであります。

 今回の問題については、八月二十二日及び八月二十七日に、福岡農政事務所食品表示一一〇番に、三笠フーズが農林水産省から工業用に用途を限定して売却した事故米穀をしょうちゅう用に横流ししているとの通報がありました。

 この通報を受け、農林水産省としては、厚生労働省や地方公共団体の保健衛生部局と連携し、関係先への立入調査、事故米穀等の出荷自粛要請を行いました。

 九月四日には三笠フーズ社長が横流しの事実を認めたため、五日には、同社に対し、転売した非主食用の米穀等の回収要請を行うとともに、その事実を公表いたしました。また、九月八日から、三笠フーズ以外の事故米穀の売り渡し先事業者全十九社に対して全国一斉点検を実施しております。

 特に、九月十二日、本省に事故米穀不正規流通対策特別チームを編成し、また、地方農政局等の食品表示Gメン約二百二十名を本事件に追加従事させるなど、体制を抜本的に強化いたしました。

 流通ルートの解明や一斉点検については、本日までのところ、三笠フーズの関係では関係事業者数が約三百八十にも及ぶことが判明しております。その中には、酒、和菓子、米菓などのメーカーや給食施設、外食企業等も含まれており、農林水産省として今回の事態を深刻に受けとめております。

 これに関連して、流通ルートに出てくる関係事業者等の名称の公表の件については、当初、同意を得た上で公表することとしてまいりました。しかしながら、公表に同意するケースは極めて少なく、このままでは消費者の信頼を回復できないと考えました。私としては、流通実態も相当程度解明されてきたことも考慮し、食の安全の確保を最優先する観点から、関係事業者等の名称を公表することといたしました。

 公表対象となったからといって、事故米穀であることを知りながら販売、加工していたというわけではありませんので、その点について国民の皆様の御理解をよろしくお願いしたいと考えております。

 また、事故米穀であることを知らずに販売、加工を行った事業者におかれましては、製品の回収を行ったり売り上げが減少しているところもあるかと存じます。経営に支障を来すことがないよう、万全の支援措置を講じてまいりたいと考えております。

 政府の事故米穀の販売先に対する一斉点検については、現時点で、三笠フーズ以外の十九社のうち、浅井、太田産業、島田化学工業の合計三社の横流しが判明しており、これについても流通ルートの解明を急いでおります。

 また、横流しを行った三笠フーズにつきましては、既に九月十一日に不正競争防止法違反で刑事告発を行いました。他の横流しを行った業者についても、刑事告発に向けて調査を急いでおります。

 次に、再発防止策でありますが、今回の食品衛生上問題のある事故米穀の食用への横流しを防止できなかったことについては、農林水産省として十分反省しなければならないと考えております。

 再発防止については、消費者が不安を感じることのないよう、食品衛生上の問題のある事故米穀については国内流通する可能性を断つということが基本であると考えております。具体的には、今後は、政府が食品衛生上問題のある事故米穀を販売することをやめ、輸出国等への返送や焼却等廃棄処分を行うこととしたいと考えております。

 また、今回は流通実態の解明に時間を要しましたが、今後、流通した後に問題が発生したときは直ちに流通ルートを特定できる米トレーサビリティーシステムや、消費者がみずから商品を選択できる米関連商品の原料米原産地表示システムを確立していきたいと考えております。

 さらに、省内の業務分担について、例えば販売と検査を同一部局で行わないなどそのあり方や、職員の能力向上の方策について検討することとしております。

 今回の問題の農林水産省としての責任についてでありますが、各種法令や契約条項に違反して横流しを行った三笠フーズ等が言語道断であるのは言うまでもありませんが、農林水産省は、これを長期にわたって見逃し、結果として消費者の食の安全に対する不安を招いたことは、責任を痛感いたしております。

 流通ルートの解明や再発防止とあわせて、これまでの農林水産省の事故米穀に関する業務の実態等を徹底して検証するため、野田消費者行政担当大臣のもと、法曹関係者、消費者団体の代表等による第三者委員会を立ち上げ、その検証結果を踏まえて関係職員の処分を厳正に行うことといたします。

 また、農林水産省職員が国家公務員倫理法を遵守するよう徹底して指導するとともに、違反行為があった場合には厳正に処分をいたします。

 今回の事件を機に、農林水産省の職員全体が消費者のことを真剣に考え、食の安全を守るとの強い意識を持ち、日々の業務を一つ一つ総点検して改めるべきものは速やかに改めるよう、全力を挙げてまいりますので、委員各位の御理解のほどをよろしくお願い申し上げます。

宮腰委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

宮腰委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長岡島正明君、大臣官房総括審議官吉村馨君、総合食料局長町田勝弘君、消費・安全局長佐藤正典君、外務省大臣官房参事官高岡正人君、厚生労働省大臣官房審議官中尾昭弘君及び中小企業庁事業環境部長横尾英博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮腰委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

宮腰委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩永峯一君。

岩永委員 おはようございます。

 今回の事故米の食用への横流し事件、本当に多くの方面に甚大な影響を与えております。そして、大変な事態を醸し出してきておるところでございます。しょうちゅう、酒そしてお菓子、保育所、病院、老人ホームの給食、それから一般の国民、消費者のところまで今行こうといたしておりまして、全体にアメーバのような広がりを見せているところでございます。

 我が国は、BSEを乗り越え世界一の食の安全を目指してきた消費者の努力と信頼をこの事故米で根底から崩してしまったのではないかとさえ思われるわけでございます。また、農業で最も大事な米の消費が徐々に上がってきたという事態でございますが、農家や消費者の努力も無にして米に対する大きな打撃を受けるのではないかとさえ思われるわけでございます。だまされて事故米を買われた関係者に多大の混乱と甚大な被害ももたらしているわけでございます。

 このように事故米を不正流通させた業者の行為は万死に値する、私はこのように思っておるわけでございまして、断じて許されるものではございません。刑事、民事の責任の徹底的な追及を行い、行政処分をきちっとするように望むものでございます。

 また、これを防止できなかった農林水産省の責任はまことに重大であります。責任の所在を明確にして国民に納得のいくような処分をされるべきであろう、このように思っている次第でございます。

 今回の事件で大変残念なことは、まだその事実関係は明らかにされておりませんけれども、リストに名前の載った奈良県の販売会社の方で、悲しい事態が起こりました。心より御冥福をお祈り申し上げるものでございます。

 最初に、太田農水大臣に真意を伺いたいわけでございます。

 大臣は、十二日の日本BS放送の番組収録で、農薬などに汚染された事故米の転売問題について、濃度は中国製ギョーザの六十万分の一程度の低いものであり、人体に影響はないということは自信を持って申し上げられる、だから余りじたばた騒いでいない、このようにおっしゃったと聞いております。これほどまでに全国民を揺るがす重大事件を起こした責任者としてどう考えておられるのか、また、こうした発言はどのような真意でされたのか、今もなおそう思われているのか、お聞きするものであります。

 また、あわせて、社会の大きな批判が出てきたのを受けて、急に公表に踏み込まれたわけでございます。そのことが新たに混乱を起こしたという部分もあるわけでございますが、このことに対する対応が適切であったと思っておられるのかどうか、もっと慎重に公表すべきであったとお考えになっておられるのか。

 この二点についてお伺いいたします。

太田国務大臣 食品の安全性については、リスク評価機関である食品安全委員会が科学的知見に基づいて評価することであります。その評価を受けてリスク管理機関である農林水産省が適切に対応していくことが必要であると認識しております。

 農林水産省としても、最終製品に至るまでの事故米穀の流通実態を明らかにし、適切な情報を消費者の皆様方に提供する作業を着実に進めるとともに、抜本的な再発防止策を確立していくことが何よりも重要であると考えて、全力を挙げているところであります。

 私の発言の真意はそういうことでございます。

 リストの公表についてのお尋ねでございますが、事故米穀が広く流通していることが次々と判明する中で、消費者の方々の不安解消と信頼回復を最優先に、すべての事業者のリストを公表したところであります。

 事業者のリスト公表に際して一部誤りがあり御迷惑をおかけしたことは、深くおわび申し上げます。今後の公表に当たっては、正確を期してまいりたいと考えております。

岩永委員 もっと率直な御答弁をいただきたいと期待をしておりました。甚だ不本意ではございますが、質問の数がたくさんございますので、次に移りたいと思います。

 本来なら発言者である白須次官にお聞きしたいところでございますが、議会の慣例で事務次官の答弁は控えます。次官にかわり官房長に答弁をお願いしたいと思います。

 白須次官は、立ち入りが不十分であったということを申し上げているわけです、そのことによって、それが私どもに責任があるというふうに今の段階では考えているわけではございませんと述べられているわけでございます。結果として日本の安全基準を超えた米を食品として流通させてしまった最高責任者が、責任を棚に上げて、責任がないということを言っているのはもってのほかだ、このように私は思っておりますが、その真意を聞きたいし、農水省の官僚は今もそう思っているのかどうか、お聞きをしたいと思います。

岡島政府参考人 お答え申し上げます。

 次官の発言の真意といたしまして、具体的に調査、検証してみたいということを申し上げたわけですけれども、今回の事件におきまして、当然のことながら、各種法令や契約条項に違反し横流しを行った三笠フーズ等が言語道断であるのは言うまでもございませんけれども、私ども農林水産省といたしましても、これを長期にわたって見逃し、結果として消費者の食の安全に対する不安を招いたということに対する責任を痛感いたしております。申しわけございません。

太田国務大臣 事務次官の任命権者は私でございますので、私からも申し上げますが、十一日の記者会見における白須次官の発言の後、本人からも報告がありましたので、私の方からも、責任がないように受け取られかねない発言であったということで、注意をいたしておきました。(発言する者あり)責任がないように受け取られかねない発言であったことを注意いたしました。

岩永委員 食の安全というのは、やはり農水省、また関係者の責任のとり方から始まるわけですよ。だから、できたことに対する後始末で一番大事なのは、申しわけないという謙虚な国民への心が物事を解決する、私はこのように思っております。最初の次官の発言が、責任がないと思われるような発言を国民に流したことが国民の大きな怒りを買ったということを肝に銘じていただきたい。このことを私から厳しく注意しておきます。

 次に、報道によると、工業用として米粉が原料とされることはほとんどないとも言われているわけでございます。そのことをどう把握しているのか。また、工業用増量剤として一万五千トンの米の需要があるというが、それも書類だけで判断するのではなく、実物を見るなどしっかりと裏をとっているのか。事故米以外に正常な食用の米が工業用に回っているということで認識してよいのか。この点が一つ。

 それから、速やかに事故米の流通ルートの全容を解明し公表すると同時に、関連製品の安全性分析結果も公表されたいと思うが、どうか。

町田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、第一点目の需要量の関係でございます。合板接着剤用の工業用のりでございますが、この中のお米の潜在的な需要につきましては、一万五千トンを超えているというふうに見ております。事故米穀の年間売却数量は大体数千トンでございますので、これを上回っております。それが一点目でございます。

 二点目といたしまして、ここは本当に反省すべきことでございますが、そもそも書類だけで判断して実物を見ていなかったのではないかということにつきましては、本当に不十分だと思っております。深く反省しているところでございます。

 次に、流通ルートの解明、また最終製品の安全性分析の関係でございます。これは極めて重要だというふうに考えております。

 冒頭大臣からも御報告をさせていただきましたが、この九月十二日に、私ども総合食料局の方に、審議官、課長を増員するとともに、食品表示専門家に協力させまして特別チームをつくっております。また、地方農政局でも食品表示Gメン二百二十名を本事件に追加従事させて、体制を抜本的に強化したところでございます。

 こうしたことによりまして、九月十六日にこの不正規流通に関する調査結果の中間報告を公表させていただきました。引き続きルートの全容解明に向けて全力を挙げていきたいというふうに思っております。

 また、安全性分析につきましては各県でもお取り組みをいただいておりますが、私ども、これも大臣から指示をいただいたものでございますが、農林水産消費安全技術センターといったところを使って徹底的な安全性分析を行えということでございます。これにつきましても、九月十六日に、これまでの調査結果、米穀・米粉、また、しょうちゅう、あられ、日本酒といった製品につきまして、いずれも陰性または基準値以下ということを発表させていただきました。引き続き、結果が取りまとまり次第順次発表してまいりたいというふうに考えております。

岩永委員 あと三、四点ありますので、答弁の方を短くお願いしたいと思います。

 多くの業者が善良なのはわかっておりますけれども、調査は調査でございます。安全を守るということを第一に、抜き打ち検査が必要であろうと思います。あらかじめ飲酒運転の検問があるということを予告して取り締まる警察はないわけでございまして、善良な業者なら何の問題もないはず、あらかじめ連絡するというような慣行は癒着を疑われても仕方がない、このように思いますが、今後抜き打ち検査をするのかどうか。

町田政府参考人 御指摘いただきましたとおり、検査また調査体制の改革は極めて重要というふうに考えているところでございます。

 御指摘をいただきました、抜き打ち検査をやるべきだということでございます。今後はこれを原則として行っていきたいというふうに考えているところでございます。いやしくもなれ合いとかそういった疑惑が持たれないように、綱紀の粛正に徹底を期してまいりたいと考えております。

岩永委員 今回の流通関係者の中に農水省関係者の天下りはなかったのかどうか、特に三笠フーズ、浅井、太田産業、島田化学の中にいたかどうかを教えていただきたいと思います。

 また、今後、職員と業者との間に疑惑を招くことのないような対策をどうとるのか、このことについて聞きたいと思います。

町田政府参考人 御指摘の四社に聞き取り等を行ったところ、当該四社の役職員に当省のOBは存在していないということでございます。

 また、今般の事案にかんがみまして、現在、全国の食料関係の全職員に対しまして、国家公務員倫理法違反が行われていなかったかどうか、緊急な調査に着手しているところでございます。問題がある場合は厳正に対処してまいりたいというふうに考えております。

岩永委員 次に事業者対策でございますが、長い年月をかけて信用を積み重ねてこられて商売をしておられる方々、本当に風評による大きな打撃を受けておられるわけでございます。善意のうちに図らずして事故米を取り扱ってしまわれ、今回の公表で名前が公表された結果、営業被害そして経営の危機に立っておられる被害者の方々への補償をどう考えておられるのか、このことについてお伺いします。

町田政府参考人 お答え申し上げます。

 事故米穀とは知らずに事故米穀を買い受けました事業者が、今回の事案の発生を受けまして、商品の回収を行ったり、あるいは売り上げが減少して経営に影響が出ているところが出ているというふうに承知しております。

 このため、私どもこれまでも、中小企業庁と連携をいたしまして、政策金融機関におけます相談窓口の設置ですとか既往の貸付金の償還猶予、またセーフティーネット貸し付けの適用といった措置を講じてきたところでございます。

 さらに、事故米穀であることを知らずに販売、加工した事業者の方々に対し、その経営に支障を来すことがないよう万全の措置を講じてまいりたいというふうに考えております。

岩永委員 特にミニマムアクセス米として輸入されている事故米の取り扱いについては、事故米として入ってきたものについては相手国の責任で引き取ってもらわなければならない、このように思いますし、国内で事故米になったものについては国が責任を持って処分しなきゃならぬ、このように思います。

 十八年からその対策はとられているだろうと思いますが、今後、より以上の改善の気持ちを持っておられるのか、改善するんだったらどのようにしたいと思っておられるのか、このことについてお伺いしたいと思います。

町田政府参考人 今般のこの事故米穀の不正規流通の問題を受けまして、大変御迷惑をおかけしているわけでございますが、今後は、消費者の方が不安を抱くことのないように、こういった事故米穀につきましては基本的に流通を断つ、国内に流通をさせないということが基本になるべきというふうに考えております。

 この点につきましては、太田大臣から指示をいただきまして、水際で発見された事故米穀につきましては原則として輸出国等へ返送するということ、また、国内に入って何らかの原因で食品衛生上問題のあるような事故米穀が出た場合は焼却廃棄等を原則とするということで今後取り組んでまいりたいというふうに思っております。

岩永委員 福田総理は消費者重視の方針を明確にされております。農水省も当初よりその姿勢ではっきり対応すべきではなかったかと私は思うわけでございます。特に、食料を扱う役所として、消費者の安心と安全を第一に考えるべきだ、そのことが結局、流通関係者や最終小売業者、生産者の発展にもつながるんだという哲学が必要であろう、私はこのように思っております。

 最終的に全容の解明と状況をしっかりと説明した上でリストの公開は必要と考えられますが、今回のような中途半端な対応で、後から訂正が繰り返されるなど、余りにも不正確な対応が結局不信を増してしまったのではないか、このように思っているところでございます。

 これからの公表について先ほど大臣からお話がございましたが、事務方として今後公表についてはどのように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。

町田政府参考人 十六日に中間報告を公表させていただいた際に、私どもの事務処理能力のなさで一部正確さを欠いていたということにつきましては、おわびを申し上げたいと思います。今後、全容の解明に努力いたしまして、正確な公表に努めてまいりたいというふうに考えております。

岩永委員 大変残念な事態でございます。食の安全、米の消費拡大、これからこの残す傷跡は大変大きいと思います。ひとつ大臣、みずからの責任を自覚されて、きちっと国民に信頼が得られるような今後の対応を強く望んで、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

宮腰委員長 次に、小里泰弘君。

小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。よろしくお願い申し上げます。

 さて、今回の事件は、流通先はもとより、食の安全を願う消費者、そしてまた日々安心、安全な食料の生産に励む生産者の方々にとりましても極めて大きなショックでありました。まずは、不正利用した業者の余りにも低い安全意識と無責任さに大きな憤りを禁じ得ない。同時にまた、関係省庁の責任が大きく問われるところであります。

 今回不正利用された事故米は、平成十五年に輸入されたものであります。すなわち、平成十八年にいわゆるポジティブリストが施行される以前に輸入されたものでありますが、流通段階では当然ポジティブリストの規制を受けるものであります。すなわち、出回ってはいけない米が出回ってしまった。

 なぜ流通をさせたのか、まず農水省の見解をお伺いします。

町田政府参考人 今回の事故米穀のうち、メタミドホス残留値が基準を超える中国産モチ米につきましては、平成十五年度に輸入したものでございます。輸入当時は、食品衛生法上メタミドホスについての規制がございませんでした。厚生労働省の輸入検疫でもチェックをされずに輸入されました。

 その後、御指摘いただきましたとおり、平成十八年五月から農薬のポジティブリスト制度の導入に伴いまして、食品衛生法が強化され、このメタミドホスにつきましても基準値が設定されたところでございます。

 このため、その施行前の平成十七年十二月から十八年三月までに政府が所有をしておりました輸入米につきましてメタミドホスの残留性を調査したところ、中国産モチ米から基準値を超える残留が検出されたため、平成十八年六月でございましたが、非食用として処理するということを公表いたしました。

 その後、私どもは、非食用として目的を限定し売却したところでございますが、結果として食用への横流しを防止できなかったということについては、十分反省しなければいけない、申しわけなかったというふうに思っております。

小里委員 いわゆるカドミウム米というものがありますが、カドミウム米は着色をして工業用に回しております。あるいは、他用途米は粉砕をして米粉に回している。今回の事故米も、本来粉砕されて工業用に回るべきものであったろうと思います、一応の前提としては。ところが、丸粒のまま、着色もしないまま流通をいたしました。九十六回とも言われる粉砕の確認を主眼とする検査をしながら、これを見逃してしまったわけであります。その責任は極めて大きい。農水省に猛省が求められるものであります。

 なぜ事前に検査を通告するのか、なぜ偽装伝票を見抜けないのか、なぜ実物を見ないのか、あるいはなぜ流通先まで確認をしないのか、多くの疑問が提示をされております。流通経路の解明や検査の仕方や販売方法の見直しなど、再発防止に向けた徹底した取り組みが問われております。農林水産大臣の見解と今後の方針をお伺いいたします。

太田国務大臣 農林水産省が、事故米穀が食用に利用されていると認識していたということはありません。しかしながら、三笠フーズによる二重帳簿の作成など意図的な隠ぺい工作が行われていたとはいえ、こうした不正を見逃し、結果として消費者の食の安全に対する不安を招いたことについて責任を痛感しております。

 また、従来、事故米穀は、水ぬれや袋が破れたものの延長線上としての認識が強く、また極めて安くしか売れないということもあり、極力コストをかけないということから事故米穀について着色等を行っていなかったところでありますが、これは、横流しが行われないよう、本来は着色しておくべきだったと考えております。御指摘のとおりでございます。

 消費者の信頼を確保するためには、食品衛生上問題のある事故米穀については国内流通する可能性を断つことが基本であると考えております。今後は、政府が、食品衛生上問題のある事故米穀を販売することをやめ、輸送国への返送や焼却等廃棄処分を行うということが一番大事なことだと考えております。

小里委員 関連してさらにお伺いいたします。

 輸入米が基準値オーバーと判明した場合、返品する、廃棄処分とする、工業用に回す、いずれかになるということであります。今回は、工業用に回されて、それが横流しをされたわけであります。

 過去どんな対応をとってきたのか、お伺いをいたします。

町田政府参考人 ミニマムアクセス輸入米のうち食品衛生法に基づきまして食用不適となった米穀につきましては、商社が、積み戻しまたは廃棄もしくは非食用に使用することのいずれかを選択することが可能となっておりまして、多くの場合、飼料用や工業用のり等非食用として輸入をされているところでございます。

小里委員 消費者の観点からは到底納得のいくものではありません。生産者にしてみましても、農薬取締法、食品衛生法におきまして厳しい取り締まりを受けております。農薬散布の時期、濃度、生産履歴の記帳責任等々、規制でがんじがらめになっている。そういう中で、安心、安全な食料を安定的に供給していくんだ、そういう使命感において現場では生産に励んでいるわけであります。そのような生産者にしてみましても、全く納得のいかない話であります。

 これがもし国内産の農産物であったとすれば、まず産地処分、廃棄処分であります。鹿児島産のピーマンだったと思いますが、かつて例がありましたように、基準値オーバーでなくても、使ってはいけない農薬がわずかに検出をされた、それをもって即刻廃棄処分といたしました。BSEのときも、輸入肉すべてを焼却処分としたわけであります。

 それに引きかえMA米はなぜこんなにも緩いのかという疑問が大いに残るわけでありまして、MA米も、本来食用として輸入されるはず。それが基準値オーバーだから工業用に回すということでは、全く釈然としないわけであります。当然、返品、処分すべきであると考えます。

 改めてしっかりした答弁をお願いしたいと思います。

太田国務大臣 たびたび申し上げておりますように、食品衛生法上問題のある事故米穀について、輸出元に対しては返送する、それから国内に既にあるものについては焼却等廃棄処分を行うことによって、一切流通させないということが最も大事なことだと思いますので、そのように決定いたしております。

 水際検査で食品衛生法上問題のある事故米穀が確認された場合は輸入業者が輸出国等へ返送することを契約で明記し、本邦に出回らないように措置することについて検討しているところであります。

小里委員 訂正をさせていただきます。先ほどの鹿児島産のピーマンの場合は、農薬ではなくて地力活性剤が入っていた、そこに問題があったということでありまして、それでもああいう処分をしたわけでありますから、ましてやの話でございます。

 続きまして、MA米に関連してお伺いいたします。

 MA米七十七万トンは、WTOにおける国際交渉で泣く泣くのまされている話であります。過酷な減反を重ねて、今や減反割合は四割であります。むざむざ水田を畑作目に転換し、あるいは調整水田や休閑地という形で水田を遊ばせております。夏場の休閑地は今や二十八万町歩。それでも米が余っているんです。このような状況下であえて米を輸入しないといけないという矛盾を感じます。生産者のみならず、国民の多くがこの矛盾を感じているはずであります。

 MA米七十七万トンは何が何でも消化をしないといけないのでありましょうか。ことし、輸入しようとしたけれども入札の関係等で輸入できなかった、そういう経験もいたしました。政府は余りにも七十七万トンの消化にとらわれ過ぎているんじゃないか、そういうことを感じざるを得ません。

 食の安心、安全を脅かしてまでMA米を消化しないといけないのか、あえて農林水産大臣にお伺いいたします。

太田国務大臣 平成六年五月の「ウルグァイ・ラウンド農業協定におけるコメのミニマム・アクセス機会の法的性格に関する政府統一見解」というのがございます。それによれば、我が国が負う法的義務の内容は、ミニマムアクセス数量について輸入機会を提供することであります。米は国家貿易品目として国が輸入を行う立場にあることから、ミニマムアクセス機会を設定すれば通常の場合は当該数量の輸入を行うべきものとされております。

 ただし、輸出国が凶作で輸出余力がないなど客観的に輸入が困難な例外的なケースにおいては、現実に輸入される数量がミニマムアクセス数量に満たなかったとしても、法的義務違反が生じるものではないと考えております。

小里委員 凶作に限らず、今回のような問題はさらに事態は深刻でありますから、しっかりした対応をお願いしたいと思います。

 本来、貿易自由化交渉は自由な物の流れを前提としております。ところが、世界の人口増加や新興国の経済発展、これによる食生活の水準向上、あるいはエタノール需要等もありまして、世界は大きく急速に食料不足の時代を迎えております。そういった中で、食料の輸出規制に動く、そういった輸出国が現出をしているわけであります。

 前提が大きく崩れてきているんです。前提が変わったら、WTOにおける基本的な理念も変わらなければならないはずであります。各国が農地や担い手等の生産基盤をフルに生かして食料生産の増強体制の構築を図る、これがまず求められるものであります。

 特に、食料自給率三九%という現状を踏まえたら、我が国がここからしっかりと食料の増強を図る、国内の食料供給体制の増強をさらに図っていく、それが求められているのは言うまでもありません。そういった我が国といたしましては、重要品目を初めとする大事な農産物をしっかりと守っていくという必死の覚悟でWTO交渉にさらに臨んでいかないといけないわけであります。

 WTO交渉、とりあえずあのような事態でございます、中断をしております。やがてまた再開交渉となる運びでありましょう。そういった中で、前回の議長提案をベースとすることなく、ゼロベースから国内生産体制強化の必要性を訴え、それを前提としてWTO交渉のあり方を主張していくべきと考えます。

 農林水産大臣の見解、決意をお伺いいたします。

太田国務大臣 世界の食料生産あるいは食料の安全保障についての小里委員のお考えは、私も非常に共鳴するものでございます。

 近年、世界の食料需給は逼迫の傾向を強めております。各国の食料生産を強化していくことは極めて重大な問題でありまして、この点は、六月のFAOハイレベル会合の宣言文や七月のG8サミットの食料安全保障に関する声明でもうたわれているところであります。

 WTO農業交渉につきましては、今後の見通しは明らかではありませんが、長年にわたる交渉を通じて積み上げたものでありますので、やはりこれまでの交渉の積み重ねを土台として今後の交渉が行われることになると考えております。

 その中で、我が国は従来より、食料純輸入国としての立場から、各国における多様な農業の共存を基本理念として、食料輸出国と輸入国のバランスのとれた貿易ルールの確立を目指して積極的に取り組んでいるところであります。食料をめぐる情勢が変化しているということを十分に念頭に置きまして、また、そのことをしっかりと主張しながら、食料純輸入国としての立場が反映された成果が上がるように努力をしてまいりたいと思います。

 ラミー調停案については、七月の閣僚会合において、重要品目の数について我が国の要求が満たされることを条件に、我が国は作業のベースとすることに同意したものであります。重要品目についての我が国の要求が満たされることを条件にしたものであります。結果的に交渉は決裂し、パッケージとしてまとまらないという結果になりましたので、ラミー調停案の一部のみを取り出して、合意があったものというような扱いはすべきではないと考えております。

小里委員 余っているものあるいは生産できるものを輸入しないといけないという状況があるとすれば、これは全く納得のいかない話でありまして、とにかく、国内の事情もさることながら、国際的に食料事情が今どうなっているのか、さらに、将来にわたってどうなっていくのか、それに備えて各国がどういう生産体制を構築していかないといけないのか、そこが主眼でありますから、そこをしっかり踏まえた今後の対応をお願いしたいと思います。

 さて、事故米は複雑な流通経路で全国各地に拡大をいたしました。しょうちゅうや菓子にとどまらず、病院や高齢者福祉施設、保育園などで給食の材料となり、社会に大きな不安を引き起こし、しょうちゅうメーカーや菓子製造業を初め多くの善意の第三者が実質的な社会的制裁を受けている現状であります。風評被害も発生し始め、各業界団体には多数の苦情や問い合わせが殺到しているとも聞いております。とうとうきのうは、流通先の販売会社の社長さんが自殺をするという痛ましい事件が起きてしまいました。深く心から御冥福をお祈りする次第であります。

 今回、思わぬ影響を受けた事業者に対してどのような対策を講じるのか、支援策を講じるのか、農水省及び中小企業庁にお伺いをしたいと思います。農水省は先ほど答弁がありましたので、中小企業庁にお伺いをいたします。

横尾政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業庁といたしましては、今般の事故米穀の不正規流通問題によって影響を受ける中小企業者対策といたしまして、この九月十六日から、政府系中小企業金融機関、商工会議所、商工会連合会等全国九百四十二カ所に中小企業の資金繰り支援に関する特別相談窓口を設置いたしまして、政府系中小企業金融機関によるセーフティーネット貸し付けを適用するといった措置を講じたところでございます。

 中小企業庁といたしましては、関係機関と密接に連絡をとりながらこれら中小企業者対策を実施してまいりたいと考えております。

小里委員 基準値オーバーの原因がどこにあったのか。どこで混入をしたのか。生産現場か、あるいは乾燥、調整、もみすりの段階なのか、精米の段階なのか、あるいは輸送の船の中で混入をしたのか。政府としては、徹底的に究明をして説明をしていく責任があると思います。可能な限りの究明を望みたいと思います。

 そして、中国やベトナムなど当事国における管理責任が問われる、これは言うまでもありません。我が国としてそれぞれの当事国に対してどのような対応をとっていかれるのか、外務省にお伺いいたします。

高岡政府参考人 お答えいたします。

 御案内のとおり、我が国は、食料供給の約六割を海外に依存しておりまして、年間五兆円以上の農産物を多岐にわたる国々から輸入する、そういう世界最大の農産物純輸入国でございます。

 こうした状況にあります我が国にとりまして、食の安全を確保するためには、より多くの国々との間で食品の安全、安心に関する共通の認識を醸成することが特に重要であると考えております。

 外務省といたしましても、食の安全は国民の最大の関心事である、そうした認識のもと、御指摘の米のことも含めまして、中国やベトナムから輸入する食品の安全性について、引き続き十分な配慮を行っていく必要があると考えております。そういうことから、関係省庁と連携しつつ適切に対応してまいりたい、そう考えておるところでございます。

小里委員 ぜひ毅然とした態度でお願いをしたいと思います。

 さて、中国からの事件では、冷凍ギョーザの事件もありました。そのような際に、水際でいかに防ぐか、これがまた大きな課題であります。我が国の食品の防疫体制はどうなっているのか、検疫所の数あるいは監視員の数は十分なのかどうか、大きな懸念を持つものであります。

 ここは厚生労働省に見解をお伺いします。

中尾政府参考人 輸入食品の安全性の確保ということにつきましては、国民の健康を保護する上で大変重要な課題であるというふうに認識をしておりまして、全国の検疫所におきまして、平成二十年度で申しますと三百四十一名の食品衛生監視員を置きまして、食品の監視体制をとっております。また、重点的かつ効率的な検査の実施のため、毎年度、輸入食品監視指導計画というものをつくりまして、その実施を行っているところでございます。

 今後とも、検疫所における人員の大幅な拡充や高度な検査機器の整備など、輸入食品の安全対策の強化に取り組んでまいりたいと考えております。

小里委員 安心、安全な食料を確保していく、これは言うまでもなく政治の最大の責任であります。国際情勢を見ますときに、そしてまた財政事情を見ますときに、なかなか困難な面もあるかもしれません。しかしながら、食料の安全保障と財政とをてんびんにかけるわけには決してまいりません。

 今後とも、国民の皆さんの安心な食卓のために、あるいはまた流通業者が安心して希望を持って日々の営みをやっていただけるように、そしてまた生産現場が自信と誇りを持って、将来への希望を持って生産に励んでいけるように、国家として体制をしっかりとつくっていく、これが求められるということをあえて申し上げ、お願いを申し上げまして、質問を終えます。

 ありがとうございました。

宮腰委員長 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 今回の事故米の不正流通について質問を申し上げたいと思います。

 今回の事故米の不正転売の問題につきましては、まず悪質な犯罪行為を行った事業者は断じて許されない、ここは押さえていく必要があると思います。その上に立って、初めに農水省の責任問題についてお伺いをしたいと思います。

 最近、農水省は、BSE問題それから食品偽装等の問題を中心にして、生産者の立場だけではなくて消費者の立場に立つということを、省の方針として大きく方針転換をされて、このことについては私たちはある意味では大変な期待もいたしておりました。

 しかし、今回の事件については、国民の食に対する安心、安全の信頼を大きく損ねたと言わざるを得ません。ましてや、主食の米に対して、中でも政府米を管理している部門において、こういう問題が起こるということはゆゆしき問題であります。

 しかも、その中でたくさんの流通経路がありながら政府が責任を持って管理しているお米を、政府から直接売り渡している段階で既に不正な転用が行われているということに政府の責任が大きくある。その証拠に、検査もたびたび入っている、その中で既に食用米として流れている、そういうことに対して政府は大きな責任がある、こういうふうに断じざるを得ません。

 そういう意味で、この問題に対する農林水産省の責任について大臣はいかがお考えか。まず率直な生の声をお聞かせ願いたいと思います。

太田国務大臣 事故米穀の不正規流通につきましては、消費者を初めとします国民の皆様に大変御心配、御迷惑をおかけしておりまして、深くおわびを申し上げます。

 食品衛生上の問題のある事故米穀の食用への横流しを長期にわたって見逃し、結果として消費者の食の安全に対する不安を招いたことについて、農林水産省として責任を痛感いたしております。

 私も八月二日に就任以来、食料自給率五〇%という目標に向かって進むためには消費者の視線、消費者の視点というものを重視しなければそれもできないということで努力をしてまいりました。今回のような出来事が起こったことを一つのきっかけといたしまして、徹底した消費者重視の行政に体質を変えてまいりたいと存じます。

西委員 先ほどの大臣のお話の中にも、消費者に対する問題を徹底してもう一回意識を変えていくというお話がありましたけれども、既に出発しているはずでございます。もう一度覚悟をして、今回の問題を奇貨として、さらなる推進をお願いしたいと思います。

 次に、汚染米の発端についてお伺いします。

 汚染米の不正転売問題が発覚して、私ども公明党は既に二回申し入れをいたしました。一回目は九月九日、農林水産大臣に申し入れをいたしました。九月十一日にさらに福田総理に対して、それぞれ申し入れを行いました。

 九月十六日に私自身が鹿児島のしょうちゅう製造会社を訪問して、被害状況についてお伺いをしてまいりました。今回の問題に対する信用回復のために、本当に涙ぐましい努力をしておられました。国として何かすることはありませんかと聞いたら、とにかく今は消費者に対する信頼が第一だ、それ以外のことは考えておりません、一刻も早く風評被害をおさめてほしい、私たちにはもう手に負えません、こういう本当に悲痛な声を伺ってまいりました。

 公明党の申し入れを受けて、既に汚染された輸入米が国内に流通しないよう輸入を禁止することや検査体制の見直し、それから米のトレーサビリティーシステムの確立等については取り組んでいただいております。このことについては、今後もしっかり体制を組んで取り組んでいただきたいと思います。

 さて、二〇〇六年に残留農薬のポジティブリスト制度が施行されて、外国産の米の検査で、三千五百トンから基準を超える農薬メタミドホスが検出されました。本来ならばこの時点で、農林水産省は、今までの水ぬれ、カビ等の事故米という感覚から汚染米という新しい概念が入るべきだった、私はこういうふうに考えております。

 汚染米の在庫が急増して、農水省では、新たに発生したこの汚染米の処理方針について、どうすべきかという検討はなされたのかどうか、いつ、だれが責任を持ってこの判断をしたのか、こういうことをお伺いしたいというのが一点。

 それから、先ほどもお話がありました、同じく工業用に使われている米として、食品衛生法上の基準は満たしているけれども、カドミウムの濃度が〇・四ppm以上一ppm未満の米に対しては、社団法人全国米麦改良協会を実施主体として、カドミウム米を買い上げて、つぶし、染色して非食用として処理を行っている、こういうことをずっと以前からやっております。一ppm以上の米は焼却される、こういうことで食用とはっきり区別をしてきたわけでございます。そのときにこの問題が、いわゆる汚染米という新たな事実が持ち上がった。

 こうしたカドミウムにおける事例があるにもかかわらず、認識を改めずに、いわば水ぬれレベルの普通の事故米と同じように処理方法を踏襲した、こういうことなのかどうか、明確にお答えをいただきたいと思います。

町田政府参考人 二点、御指摘をいただきました。

 一点目は、中国産モチ精米のメタミドホスが基準値を超えて検出されたということに伴いましてどういう判断をしたかということでございます。この点につきましては、定められておりました残留農薬検査実施要領に基づきまして、非食用として処理を行ったということでございます。

 この処理に当たりましては、農林水産省本省が、当該事故米穀の販売を行いました東京農政事務所に工業用のり原料に売却するとの方針を示しまして、東京農政事務所がこの方針に基づきまして指名競争入札によりまして売却するという売却計画をつくりました。これを本省の方に提出し、承認を受けたということでございます。本省の方針の決定だったということでございます。

 また、もう一点目、カドミウムのように色をつけて売るべきではなかったかということでございます。

 この点につきましては、御指摘をいただきましたが、事故米穀というのは、従来、水ぬれ、また袋が破れたといったような認識が強うございまして、また、安くしか売れないということで、コストをかけないということで着色等を行っていなかったということでございまして、少なくともこの時点で、横流しできないように着色等、そういった万全の措置を講ずべきだったというふうに反省しているところでございます。

    〔委員長退席、七条委員長代理着席〕

西委員 単なる水ぬれではなくて、この米は国民の口に入ったら大変なことになるという認識を前提にして処理すべきだった。それは、今までのカドミウム米のように、基準値以下でも確実にそういう処理をした上で販売ルートに乗せているということですから、そこは私は決定的に農水省の判断の誤りだったというふうに思わざるを得ません。

 次に、中間集計を今着々と行っておりますが、このことについてお伺いしたいと思います。

 事故米については量的に総括すると、二〇〇三年から二〇〇七年までの過去五年間で、事故米ということで総括されている量は七千四百トン、これは国内産が二千百十五、MA米が五千二百八十五ということになっております。そのうちで残留農薬基準を超えたもの、それから有毒性のあるものはすべてMA米である、こういうことがはっきりしております。つまり、国内産ではそういうことは起こっていないということでございます。

 それぞれ、残留農薬の値を超えたのが三千四百六十九トン、それからアフラトキシンの検出が九トンということで、ほとんどが残留農薬の問題です。この残留農薬基準を超えた米は三千四百六十九トンのすべてが、今お話ありましたように東京農政事務所管轄のMA米である、七回の指名競争入札で販売された。

 今回の農水省の調査で、現在汚染米について、適正に工業用に回された量と不正に食用米として転売された量、それぞれどれだけになるのか。また、不正に食用米として転売されたお米の中で、既に消費された量、回収をした量、それからわからない量、それぞれ国内に今どういう状態で存在するのかということについてお伺いをしたいと思います。

町田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、適正に工業用に回された量と不正に食用に転売された量でございます。

 これにつきましては、まさに今三笠ルートまた事故米穀を扱った他の業者につきまして一斉調査をかけております。至急実態を把握してまいりたいというふうに思っております。

 また、三笠フーズが不正に食用に転売した中で既に消費された量、また回収された量、こういったお尋ねでございます。

 非食用として三笠フーズに売却されまして不正規流通した事故米穀は、メタミドホスが検出された事故米穀は八百トン、アフラトキシンが検出された事故米穀は九・五トンというふうになっております。

 まず、この八百トンのメタミドホスでございますが、流通在庫及び非食用に向けられましたものが六百六十五トンでございます。残りの百三十五トンが市場流通しているというふうに考えられるところでございます。

 また、アフラトキシンが検出されました事故米穀九・五トンのうち、六・七トンが流通在庫及び非食用でございまして、二・八トンが市場流通したものと考えられます。

西委員 ここが一刻も早く解明されないと、国民の皆さんの不安はおさまらない。既に消費されてしまった、これはある意味ではしようがないことですけれども、それと、回収した量が全量にならないと、不明な量がどこかにまだ残っているということが、依然として国民の皆さんの不安のもとになっているということだと思いますので、できるだけ早急に量的な問題も把握をしていただきたい、このように思います。

 検査体制については先ほども若干議論がありました。検査というより工業用ののりの粉をつくるときに立ち会いをしたということだなというふうに私は思っております。したがって、きっちり専門の人が出入りを検査する、きちっとチェックするという体制にはなかったというふうに考えております。

 このような実態を考えると、本当に検査をやるということであれば、責任を持てる検査官の育成を初め、抜き打ち検査をするとか、反面調査、追跡調査など、検査のあり方まできちっと抜本的に農水省として責任の持てる体制をつくるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

太田国務大臣 長年にわたりまして横流しを見逃してまいったこと、結果として消費者の食の安全に対する不安を招いたことについて大変責任を痛感いたしております。

 私は、九月五日に報告を受けまして、九月八日に農水省の幹部を招集いたしまして指示をいたしましたのは、まず第一に申し上げたのは、検査については抜き打ちで行くのは当たり前だ、前もって予告をして行くような検査は検査ではないということを申し上げました。それは、抜き打ち原則というのは、別にこれは総合食料局のみならず、農林水産省の全局、全庁にわたって今後徹底されるべきだと考え、そのような原則といたしたところであります。

 それから、もう一つのこの場合の問題点は、検査を担当する検査部門と販売担当というのが同一の部局で行われていたということでございます。これはとんでもないことだと。ほかの言葉で言えば利益相反というふうな問題がありまして、同じ部局が、買ってもらうという役割も担えば、それを検査するという役割も担うというのは、これは非常におかしな仕組みでありますので、直ちに是正をするようにということを指示いたしました。これは行政改革でありますので、組織再編として、この一連の中で早急に結論を出してまいりたいと思います。

 また、こういうチェック部門というのを、米穀のみならずほかのセクションにもチェック部門というのはあるわけでございます。政府の中にも広く言えばチェック部門があるわけでございますから、その共通の仕事であるならば、同じ農林水産省の中、あるいは各省、政府内の中でも、積極的に人事交流を行うべきである、一カ所に滞留することがいろいろな問題を生むということだと思います。

 また、厳格なマニュアルというものが確立をしていなかったということがあるわけでありまして、しかもこれは、農水省の中でも共通のものとなっていなかったということが判明をいたしましたので、共有できる厳格な検査マニュアルの作成を指示いたしたところであります。

 そういう改革をどんどんやってまいりたいと思います。

西委員 まことに的確な御指示だと思います。それが確実に実現するように、さらに御尽力をいただきたいと思います。

 次に、流通ルートの社名を公表いたしましたが、今後の対応についてお伺いをしたいと思います。

 汚染米、事故米を扱った会社名を最近公表いたしました。これの評価についてはいろいろあることは承知しております。汚染米が既に回収、販売するなどによって残っていないと確認をしたところ、農水省はただレッテルを張るのではなくて、大きな作業は、もうこのお店は安全ですということをもう一度一件一件きちっと確認をする必要があるんじゃないか。当然、厚生労働省の人と同行するというような場面もあるかもしれませんが、ただレッテルを張って、ここは流通しておりましたと言うだけではその業者は浮かばれません。

 そういう意味で、汚染米フリーの証明を一件一件早急にしてあげる必要がある、責任を持ってそれを晴らしてあげる必要がある、これをぜひともやっていただきたい。店ごとに安全宣言を行って、そして業務を再開するのに区切りがつくように対応する。ほとんどの場合は、わからずに食用のお米として買って、たまたまそこを流通したということだけですから、それ以外のところは別の対応は当然のことですが、そういうところにつきましては、現在はそういう事態はここの店にはありませんということを確実に実施していただきたい、こう提案したいと思いますが、いかがでしょうか。

太田国務大臣 九月十六日に公表した事業者のうち、事故米穀を購入していたものの、購入後在庫等として保有や非食用等の処理をしており、消費者等に販売されないことが確認されている事業者については、本日、追加情報として事業者名をお知らせすることといたしております。御本人たちに文書でもってこのことを通知するとともに、可能な限り積極的にこのことを周知徹底してまいりたいと存じます。

 今後におきましても、事業者の回収や販売状況を確認の上、追加的な情報提供を行ってまいりたいと考えております。これは大変御迷惑をおかけしたことだと思っております。

 プレスリリースに際しましても、まずそのことを繰り返しお断りしておくようにと。この公表されたリストは事故米の売買、流通の中に登場される方々であって、大半の、大半というより、ほとんどすべてのリストに掲載をされた方々は事故米であることを知らずに売買に携わった者であるということを、リストの公表に当たっては周知徹底するようにということを注意いたしました。この間のプレスリリースのときに注意をいたしました。

 しかし、そういうふうによく周知徹底されていたとはなかなか言いがたいところがありますので、個々にまた農林水産省の方から文書を出し、それをもって御関係の販売された方々が周囲の方々に御説明できるように、客観的なものとして説明できるようにいたしたいと考えております。

西委員 積極的な御答弁ありがとうございました。一日も早く信頼を回復するための手段を講じていただきたいということでございます。

 次に、トレーサビリティーの制度についてでございます。

 先日、農水大臣は、米のトレーサビリティーシステムそれから米関連商品の原料米原産地表示について指示をされました。これについては大変な前進だと思っております。現在は、流通ルートを特定するトレーサビリティー制度については食品衛生法で努力義務になっているわけでございます。

 公明党は、相次ぐ食品表示偽装問題への対策を党内で議論しておりますが、JAS法及び食品衛生法を見直して、事業者間の取引については、原産地、仕入れ販売数量など原産地の適切な表示に資する表示情報を伝達するとともに、取引伝票、送り状や規格書など表示根拠となる書類の保存について備えつけ及び閲覧に関して義務づけを行うなど、すべての食品についてトレーサビリティー制度の構築に資する法改正を行うべきではないかという議論を今しているところでございます。

 大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

    〔七条委員長代理退席、委員長着席〕

太田国務大臣 流通実態の解明に時間を要しましたが、解明に時間を要しないようにするためには直ちに流通ルートを特定できるようにしていく必要がありますので、米のトレーサビリティーシステムについて検討に着手するよう指示したところであります。

 既に確立されている牛のトレーサビリティーシステムはDNA鑑定をベースにしており、これとは異なりますが、米の流通の実態を踏まえた上で、実効性あるトレーサビリティーシステムを構築していきたいと考えております。

 公明党におかれましては、事業者間の取引について、原産地の表示に資する表示情報の伝達、表示根拠となる伝票等の保存を義務づけることを御提案されているところでございます。よく承知をいたしております。

 国民の関心の高い食品表示の偽装問題等を解明するためには、食品の流通経路を明らかにすることが重要であり、食品事業者の伝票や帳簿を丹念に調査する必要があります。

 このため、本年四月のJAS法に基づく品質表示基準改正において、「表示に関する情報が記載された書類を整備し、これを保存するよう努めなければならない。」との規定を追加いたしております。公明党のお考えと共通の考えでございますが、この基準改正では努めなければならないということにいたしております。

 現在、伝票等の保存については事業者に周知徹底を図っているところでありますが、公明党の御提案も勘案しつつ、食品取引の実態の多様性や中小企業が大宗を占める食品業界の状況を踏まえ、今後の対応を検討してまいりたいと考えております。

 食品全体については、今おっしゃるように伝票を保存する、努めるということがあるいは難しいかもしれない。米についてはできるのではないかということで検討を指示したところでございます。

西委員 食の安全、安心を担保するために、政府が大きく関与しています米とか麦とかいうものは当然きちっとおやりになっていただくということは大事なことですけれども、一方、そんなに手間のかからない方式できっちり伝票とかを保管していって、どこにどれだけ流れたということがそれぞれ追っかけられる制度はどういうものなのかということを実は私たちも今研究しているところでございます。政府におかれましても、国民の関心の最も高い分野で、毎日毎日私たちが食事をするその食料が安全なのかどうかということの確認をするという意味でも、ぜひとも積極的な議論を省内でお願いしたい、このように思うところでございます。

 時間がだんだん迫ってまいりました。最後の質問でございます。

 政府が関与するということでまいりますと、米と同時に麦、これはほとんど輸入ですが、この輸入小麦について、残留農薬基準に違反するといいますか、超えるような麦が日本の国内に入ってきていないのかなというのが私はちょっと気になりまして、そのことについて確認をしたいというふうに思います。もしあるとすれば処分はどうしたのかということも当然ですが、今回の事件のように、麦が、これに関してはもう全量と言っていいほど国の管理ですから、この処分はどうなっているのかとか、それから、ひょっとして今回のように食用に転用されているということはないのかどうかという心配をしているところでございます。

 また、カビや水ぬれなどはお米と同じであり得る話で、この事故麦の実態についても説明をしていただきたいと思います。これらの小麦が食用への不正転用に関してどうなっているのかという実態を調査しているのかということについても御答弁いただきたい。

 今回の米の騒動に対して、小麦は一体どうなっているのかということを最後にお聞きしたいというふうに思います。

町田政府参考人 我が国の小麦の輸入量でございますが、年間五百万トン程度となっております。その輸入先はアメリカ、カナダ、豪州の三カ国となっておりますが、これまでの輸入検疫におきまして残留農薬基準を超えた事例ということはございません。

 いずれにいたしましても、消費者が不安を感じることのないよう、食品衛生上問題のある事故米穀は今後輸出国等への返却や焼却処分を行うということを考えておりますので、輸入小麦につきましても同様に取り扱っていく考えでございます。

 なお、残留農薬基準違反以外の水ぬれ等の小麦でございますが、そのほとんどが飼料用として飼料会社に販売されておりますが、念のため、本来の使用目的に適切に使用されているかどうかについて確認を行っているところでございます。

西委員 時間が参りました。

 今回の事故米の不正転用の問題を通じて、やはり農水省は本格的に食の安全ということを隅々までチェックし流通をさせていくという責任をもう一度痛感していただいて、そのシステム等についても十分議論をしていただいた上で、さらに拡大をして、食料全体の安全ということについていかに農水省が責任を持っていくかということをさらに追求していっていただきたい。それが国民が農水省に期待をする原点だと思っておりますので、どうかその点もよろしくお願いを申し上げまして、質問を終わりにいたします。

 ありがとうございました。

宮腰委員長 次に、筒井信隆君。

筒井委員 民主党の筒井信隆でございます。

 最初に、太田大臣にお聞きをいたしますが、先ほども、しばらく前からも、事故米、汚染米の流通を断つ、こう約束をされております。しかし、この流通を断たないで、断つことが容易にできるのに断たないでずっと流通させてきた。この張本人はだれかといえば、まさに農水省ですよね。そして、食用への流用を容易に発見することができるのに、内部告発があった以降も発見せず見逃してきた。この張本人もまさに農水省ですよね。まさに容易に食用に転換できるようなその体制をつくったのが農水省。これははっきりしているわけです。

 だから、何か次官が一義的には三笠フーズ等々に責任がある、農水省には責任があるとは考えていないという言語道断な発言をされましたが、一義的な責任は農水省じゃないですか。その農水省がつくった体制の上で流通させることによって犯罪行為を行ったのが三笠フーズ等の四社の行為。犯罪行為を直接やったのは三笠フーズ等の四社ですが、今度の問題を起こした一義的な責任は農水省にある、こう言うべきではないですか、太田大臣。

太田国務大臣 筒井委員がおっしゃるとおり、こういう制度、あるいはこういう流通の仕組みそのものが問題の基本にある、そこが問題だということは、おっしゃるとおりだと思います。

 それからまた、既に通報がなされていて、それに対して検査には行ったけれどもその不正を見つけることができず、一年以上経過をして、また八月の末に通報があった。そこで初めて本格的に取り組んで今日に至っておるというところで、これは大変な問題だと思っております。食の安全について農林水産省は当然責任があるわけでありまして、責任がないということは絶対に言えないと思っております。この点につきましては、次官に対して私の方から注意をいたしておるところでございます。

 それから、そのような問題点がはっきりしてきた段階でどうするのかということは、これは私に課せられた使命でございますので、九月の五日に判明して以来、告発を急ぐべきことを、なぜ急ぐべきなのかといえば、全容を解明するためには今の農水省が持っております調査権能だけでは足りないわけでありまして、強制捜査の必要があるわけでありますので、告発を急ぐようにということを指示いたしまして、九月の十一日に、一週間後に告発をいたしたわけであります。私がそのとき聞いたところでは、告発まで一月ぐらいかかる例もあるということでございましたので、急がせた次第でございます。

 その他、再発防止策については、そもそも流通をしないように、市場にあらわれないように焼却処分をするあるいは返品をするということも、これも翌週指示をいたしたところでございます。そういうことをリーダーシップをとってやるのが私の責任だと思って努めているところでございます。

 また後の御質問でお答えをいたしたいと思います。

筒井委員 今の発言でもそうですが、私どもに責任があるとは考えていないという白須次官の十一日の発言、これは事実上撤回されているんですよ。だけれども、御本人が明確に撤回されましたか。これは、その時点まで責任がないと考えていたこと自体が極めて大きな問題だと思うので、次官自身が謝罪をして正式に撤回すべきではないですか。そうしているんですか。

太田国務大臣 次官の任命権者は私でございますので、私が次官を呼んで、誤解を招くような発言であったということで注意をいたしました。本人も、もちろんよく自覚をいたしております。また、特にこれについて官房長官から注意をしたということがございますので、内閣としてこのことをきちんと認めているということだと思います。

筒井委員 次官という農水省の事務の最高責任者が言った発言、それまでまさに責任がないと考えていたわけですよ、これを大臣とか官房長官が注意しただけで済ませるのがおかしい。御本人自身が間違いであったと明確に認めて謝罪される、これが必要ではないですか。それは今まだやっていないですね。

太田国務大臣 これは、誤解を招くような発言があったことについて、私の方からあるいは官房長官から注意をしたということでございます。ちょっとそれ以上のことは今お答えできかねます。

筒井委員 答えられないのですか。撤回し謝罪したかどうかも答えられないんですか。

 そして、さっきから誤解、誤解と言っていますけれども、誤解の問題じゃないですよ。責任がないと言ったんだから。これは間違いでしょう。間違いであるかどうかということと、謝罪、撤回をしたのかどうか、この二つについてお答えください。

太田国務大臣 責任がないということはあり得ないことでありまして、それについて責任がないかのごとき誤解を与える発言をしたことに対して注意をいたしたわけでございます。責任はありますよ。それはだれが考えても明らかなことでございます。(筒井委員「本人が謝罪、撤回したかどうか」と呼ぶ)

宮腰委員長 委員長の了解を得て発言をお願いいたします。

 筒井信隆君。

筒井委員 先ほど確認しているのは、事務方の最高責任者が、あの時点まで、つい最近まで農水省に責任がないと考えていたこと自体が問題なんですよ。それを上から注意しただけで終わらせているところも問題なんですよ。御本人が撤回し謝罪したかどうか、このことを先ほどから私は確認しているんです。そこから出発でしょう。

太田国務大臣 政治と行政の関係ということがございますので、ちょっと今のことはどういうふうに私お答えしていいかわからないんですけれども、要はこの農林水産委員会の場で、任命権者である、最終責任者である私が、この発言は不適切である、誤解を招くと注意をしたと言っておるわけでございます。そのことで事務方の責任者がどこでどうすべきなのかということは、ちょっと今にわかにお答えできないということでございます。

筒井委員 回答拒否ですよ、委員長。(発言する者あり)いや、事務次官を含めた最高責任者としての太田大臣に聞いている。事実関係を聞いているんです、撤回、謝罪したのか、いまだにしていないのか。上から注意したからといって、本人は納得していないかもしれないじゃないですか。そうしたら今までの農水省の事務方の行動は全然これからも変わりませんよ。まさに事務方を含めた農水省の姿勢が問われている。その事務方が撤回し謝罪したかどうかの事実を聞いているんです。それを答えられないとはどういうことですか。

太田国務大臣 先ほど申し上げましたのは、私が事務次官を呼んで、発言が不適切であったということを注意したということを申し上げているわけでございます。国会に対する責任はまず第一義的には私が負うべきものでございまして、私が事務次官に対して今後二度と起こらないようにということを注意をしたわけでございます。その上で事務次官がどういうふうな説明をするのかということについては、ちょっと今にわかに頭の整理がつかない。

筒井委員 これは農水省の事務方の姿勢の問題で、こういうことが今回のような問題を起こしているんです。はっきり反省をして謝罪する、撤回する。そこから出発でしょう。それもやっていないということは、たとえ大臣や官房長官から注意したところで、本人は納得していないかもしれないじゃないですか。わからないじゃないですか。明確に事実関係を答えてくれなければ、その次の質問できませんよ。

太田国務大臣 事務次官は私に対して発言は不適切であったということを認めております。謝罪に参りましたので、そのことは改めてここで申し上げておきます。それをさらに記者会見するかどうかということは、私は、そういう御質問があった以上、次の機会に、記者会見の場で事務次官自身からそれを言うのが適当かなというふうに考えております。

筒井委員 今の答弁は、要するに記者会見の場所で不適切な発言であった、つまり、撤回する、させると。大臣として言われた言葉ですから、回答としては不十分ですが、次の質問に移ります。

 次に、大臣自身の発言なんですが、いいかげんに問題を扱っているんだろうと言われそうだから余り安全だとは言わない、言わないんだけれども安全だと。安全だ、安全だという強調をすることは、まさに農水省の姿勢を疑われるわけですよ。大臣もそれを自覚しているんだ。だから、いいかげんに問題を扱っているんだろうと言われそうだからと言っている。

 やはり農水省の姿勢を疑われる安全だ、安全だという強調、この発言も大臣は今反省されておりますか。

太田国務大臣 私が申し上げました真意は、内閣府に設けられました食品安全委員会の見解、健康上は心配ないというふうに記されました食品安全委員会の見解のことを指して発言をしたものでございます。そのときは、既に農林水産省において再発防止策や全容の解明に向けてたびたび指示を出している最中でございます。私は、安全のことについて言及することが、これは私の仕事あるいは責任を果たす上において、安全であるからどうこうするようなことはないということをそのときも申し上げたわけでございます。

筒井委員 このときに強調すべきことはどう対応するのかということであって、みずからいいかげんに問題を扱っているんだろうと疑惑を持たれるような発言をすべきではなかったですね。こういう強調をすることによってそういう疑惑を持たれるということを自覚されながら発言をした。そして、じたばた発言もそのときに一緒にやった。あれは農水省に対する信頼をさらに低下させた、こうは考えておりませんか。

太田国務大臣 私は、そのときの発言の真意は先ほど申しましたとおりでありますが、要は安全のことを強調し過ぎると何かそういうふうに誤解をされることがあるということで、さまざまな話をしているわけでございます。誤解をされることがないようにということで話をしているわけでございます。

筒井委員 誤解されることを覚悟して、しかし、それでも安全だと強調しているんですよ。あのときの発言が、このじたばた発言を含めて農水省に対する信頼をさらに低下させた一つの理由になっているとは考えておりませんか。

太田国務大臣 発言の真意は、あくまでもこれは食品安全委員会の結果に触れたことでございます。受け取り方はさまざまであると思いますので、あるいは誤解を生ずることがあれば、それは不適切であったというふうに思います。

筒井委員 その点は後でまた聞きます。

 そして、事実関係を一点だけ確認しておきたいんですが、農水省の発表によりますと、平成七年四月以降のアクセス米、MA米の販売が全部で八百六十五万トンで、加工用がそのうち三百十九万トンというふうに発表されておりますが、加工用の中に事故米、汚染米が含まれているんだと思うんですが、この三百十九万トンのうち事故米、汚染米は何トンですか。

町田政府参考人 ただいま手元に、後でまたすぐ資料を見たいと思いますが、十五年度から現在までに販売した非食用の事故米穀……

筒井委員 それはいい。それは聞いていない。

 平成十五年度からしか発表していないんです。しかし、平成七年からMA米が始まっているんですよ。そして、今まで加工用として、平成七年から全部で三百十九万トン売っているんですよ。その中に事故米、汚染米が入っている。その事故米、汚染米の総合計の量、何回聞いても出してこないから今ここで聞いているんです、それを発表してください。はっきりさせてください。

 それと一緒に聞きますが、事故米、汚染米が食用の方に流用されていた一番最初はいつからですか、農水省がつかんでいるのでは。一番最初はいつから。その二つ。

町田政府参考人 お答え申し上げます。

 申しわけないんですが、今私の手元にあるのは、十五年度からの数字というものでございます。

筒井委員 きのうの質問取りの際にも、はっきりその点は聞くと。今まで資料は全部十五年度からしか、五年前からしか出してきていない。だけれども、MA米の輸入数量とか、そのうち主食用に何トン渡したとか、それは平成七年からずっと農水省は発表しているんですよ。平成七年から、もう十数年前からどうもこの事故米の食用への転用は始まっているようだ。それがずっと十数年間にわたって日本国じゅうに流されている危険性が高いから聞いているんです。

 もう一度聞きますが、平成七年以降の事故米、汚染米の販売数量、総合計、それから、それが食用に流用された一番最初の時期、農水省がつかんでいる一番最初の時期、この二つをもう一度答えてください。

町田政府参考人 申しわけございません、私ども、御通告いただいた趣旨をどうも十分理解していなかったようでございまして、今私ここにその資料を持っておりません。どこまで調べられるか、ちょっと時間をいただいて、また報告をさせていただきたいと思います。

宮腰委員長 ちゃんと調べた上で、筒井議員の方にお届けするようにしてください。

筒井委員 それともう一点。一番最初に流用された時期、何年前から。

町田政府参考人 その点につきましても、あわせて御報告をさせていただきたいと存じます。

筒井委員 一番最初にいつから、何年前から食用に流用されたか、農水省は把握していないの。把握しているけれども今その資料がないというの。それとも出したくないというの。政府が販売した、農水省が販売した米についての質問ですよ。

町田政府参考人 現在、私は把握しておりませんが、あればきちっとお出しするというのは当然のことだと思います。

筒井委員 極めて不満ですが、委員長、それも資料を出すということでよろしいですね。

宮腰委員長 資料は必ず筒井議員に提出するようにお願いします。

筒井委員 それで、今度の食用への流用についての事実関係を、今まで農水省の対応を見てみますと、農水省は、食用に流用してもいいんだ、太田大臣が言ったように安全なんだと、これを容認していたとしか思えない。その行為が数々ある。

 その一つとして、先ほどから出ておりますが、カドミウム米の場合には熱処理して粉砕をして粉にして、赤色だったようですが着色をした、そういう着色行為によって食用への転用を防止した。今度はカビ毒や農薬、同じように食用への転用は防止するといいながら着色行為をしなかった。着色行為をしないと普通の米と同じ色ですから、粉にしようが米粒であろうが食用に転用される可能性は極めて強いと思うんだけれども、しかし、それでもよかった、安全なんだからというふうに考えていたということが事実だろうと思うんです。

 先ほどから着色しなかった理由としてコストがかかるからと言いました。だけれども、コストがかかるというのはカドミウム米だって一緒でしょう。カドミウム米の場合には、食用への流用を防止するために着色した。今度の場合は、大臣、何で着色行為をして防止を図らなかったんですか。

太田国務大臣 今、筒井委員のおっしゃるとおりであります。

 ただ、まず第一にお断りしておかなければいけないのは、事故米が食用として流通してもいいというふうに考えていたというのは、これはそうではないと思います。というのは、売買の契約に際して、農林水産省は、契約の相手方、この場合は国と民間の業者との間の取引でありますが、契約書の中に工業用以外に流用した場合には損害賠償やさまざまな責任が生じますよということを書いてある。そしてまた、契約書どおりにいっているかどうかということを立入検査ができるということまで契約書に書いているわけでございますので、ほかの用途に回ってもいいというふうに考えていたとは私は思わないのでございます。

 ただ、今おっしゃった事故米のことでございますけれども、事故米については、水ぬれや袋が破れたものの延長線上としての認識が強かった。なぜか事故米についてはこういうふうに認識をしていて着色等を行ってこなかったということは、とんでもないことでございます。本来、カドミ米と同じように処理すべきでありました。そこで、当然、これは本来ならば着色をしておくべきだ、同じ扱いにすべきだったと思います。

 ですから、今回の事柄を教訓といたしまして、もっと徹底して、国内にまず入れないという努力をする、判明した場合返品をするというようなことをやる、焼却をしたりして廃棄処分を行うということを決定した次第でございます。

筒井委員 カドミウム米の場合も、販売契約の中では立入調査をする、同じ規定が入っているでしょう。食用への流用は禁止という条項も入っているでしょう。そういう条項が入っているという点では、今度の事故米、汚染米だって、カドミ米だって同じだ。しかし、それでも転用をされる可能性があるからカドミ米の場合には着色した。契約書に書いてあるから今度は着色の必要性がなかったというのは理由にならないでしょう、カドミ米の場合だって契約書に書いてあるけれども着色したんですから。コストの問題も理由にならない。今言った説明も理由にならない。

 何で今度の場合には着色という行為をしなかったのか、その理由、納得する説明を挙げてください。

太田国務大臣 今私が申し上げたのは、農林水産省として食用に流用されてもいいと思っていたのではないかというふうな御質問でありましたので、そうではなくて、契約書にはその意思をはっきり示しておりますということを申し上げたわけでございます。

 私も聞きまして、カドミ米は着色をするけれども事故米は着色をしないということが、どうしてそうなっているか、いまだにこれは不思議でございます。どうしてそうなのかということは不思議でございます。私は数日前に知ったばかりでございますので、こういう答弁になることをお許しいただきたいと思います。

筒井委員 そうすると、大臣も私たちと同じ立場だが、不思議でわからないと。

 本当にわからないんですよ、カドミの場合には着色をしたのに何で今度しなかったのか。大臣もわからない。局長、理由をちゃんと説明できますか。何で今回の場合はしなかったのか。

町田政府参考人 これは私どもの認識の甘さということになると思うんですが、結局、水ぬれとか袋の破れとか、従来のそういった延長線上で考えていたということで、ポジティブリスト制度が導入された後、残留農薬基準というのができたとか、アフラトキシンというカビ毒がどんなものか、そういったことについて、食の安全に対する意識が組織全体として欠けていたという点は率直におわびしなくてはいけないというふうに思っております。

筒井委員 食の安全に対する意識が欠けていた、本当に農水省はそうですよ。だけれども、その欠けていた農水省でも、カドミ米の場合は、一定基準以上のカドミが含まれているものについては着色しているんですよ。そっちはしているのに今回していないと、同じ農水省が。

 今、意識が欠けていたと。それは事実でしょう。だけれども、意識が欠けていた農水省が一方ではして、一方ではしていない。この理由がわからないんですよ。農水省、理由はあるでしょう。だって、農水省の行為なんだから。だから、流用されてもいいと考えたとしか考えられないんですよ。

 大臣も不思議だと思うと言うんだから、私が聞くのも当然でしょう。どうしてそういう区別が出たのか。一番わかりやすいのは、食用に転用されても安全だからいいんだと。そう言えばわかるんですよ、納得するんですよ。だけれども、そうでないとすれば、どういう理由なのか全くわからないんだ。(発言する者あり)こじつけじゃないだろう。大臣もわからないと言うから、局長、答えてください。

太田国務大臣 先ほども申し上げたんですけれども、事故米穀については、水ぬれや袋が破れたものの延長線上としての認識が強くて事故米についての着色等を行ってこなかった、そういう答弁をしてきたわけでございます。それを知って直ちに、これはこういうことであってはいけないから、きちんと焼却など廃棄処分を行うことを指示したわけでございます。

筒井委員 そうすると、水ぬれとカビ毒に侵されたものあるいはメタミドホスに侵されたものを同列に見たということですか、今の答弁は。

太田国務大臣 水ぬれとカビの生えた米、それから農薬が基準値を超えたものについて事故米という扱いにしているわけでございます。

筒井委員 私の質問は、何でこっちだけ着色しなかったのかという質問に対して、水ぬれ等と同列に考えてしまった、その延長線上で考えてしまった、だから着色しなかったと、カドミ米の場合とは違うんだという答弁だったから、では、今回は農水省は水ぬれの米とカビ毒や農薬に侵された米を同列に見たんですかという質問なんです。今の答弁はそうでしょう。

太田国務大臣 事故米というカテゴリーをつくって、食用には適さないということでそこに入れておるということであります。

筒井委員 今の答弁はまさに、こっちから見れば水ぬれのものとカビ毒、農薬に侵された米は全然違うんだけれども、事故米の中に入れて同列に見てしまった、だから着色をしなかった、こういう答弁ですね。もう一度確認します。(発言する者あり)

太田国務大臣 それは、事故米というものは、役所の中での定義は今私が言ったようになっているということであります。どうしてそうなったかというのは、水ぬれや袋が破れたものの延長線上として認識する傾向があったということでございます。

 もう一つ申し上げますと、筒井委員もよく御承知のとおり、我が国は縦割りの行政であって、そのことが最大の問題だと私も日ごろから思っております。こういうことは、隣の係、隣の課で何をやっていたかということを知らないとかいうことはよくあることでございますので、我々政治家がリーダーシップをとってそこを是正していかなくちゃいかぬと思っております。

筒井委員 今の着色するかどうかの問題が縦割り行政とどう関係するのか、これはきょうは時間がありませんから後ほどお聞きしますが、今の答えもまさに、やじの方ではそうじゃないと言っているんだけれども、大臣の答えは、水ぬれの米と農薬、カビ毒に侵された米を同じ事故米で扱って、その延長線上に考えたから着色行為をしなかったという答えということですね。もう一度確認します。

太田国務大臣 これまではそうだったということでございます。

筒井委員 ひどい話ですよね。今正直にお認めいただいたんだけれども、水ぬれのものとカビ毒、農薬に侵された米を同列に、延長線上に考えたと。そうしたら、食用に適さないのは、水ぬれの場合には汚いとか何かがあるでしょうけれども、別に人体に全く影響ないんだ、水ぬれと同じように考えてしまったというこの姿勢は、農水省は全然厳密さに欠けるし、まさに根本から反省すべきですよね。その答えはいいです、抽象的な答えをもらっても仕方ないから。

 それからもう一点、これは工業用のりに加工するということで販売をした、そうしたら工業用のりの製造業者に限定して販売すべきではなかったですか。

太田国務大臣 工業用のりに使用するためには、接着剤原料である米穀粉に変形加工した上で実需者に供給する必要があることから、変形加工業者であれば実需者でなくても買い受け資格を満たすものとして販売してきたということでございます。

 しかしながら、三笠フーズは一般的な米粉の製造、販売も行っております。今になって考えれば、横流し防止の観点からは適切な販売先とは言えないと考えられるところでありまして、反省をしているところです。

筒井委員 着色もしていないんですから。そして、販売先は食用の米も扱う業者なんですから、しかも、キロ当たり三円とか五円とか安く売っているんですから、これを転用される可能性がある、そのおそれがある、こういう予測は農水省は全くしなかったんですか。それとも、その予測はしていたんですか。

町田政府参考人 転用ということについて知っていたとかそういうことはないわけでございますが、当然にして、工業用として限定して売ったということは、転用してはならないということを契約ではっきり書いたということでございます。

筒井委員 そんな答えを聞いているんじゃないんだよね。転用してはならないと契約に書いてあったって、カドミウム米の場合は危険性があるから着色したんですよ。今度の場合、食用の米を扱う業者にも売っている、安く三円とか五円で売っている、着色もしていない。これは食用の方に転用される危険性があるなと。その予測はしていたんですか、それともそんな予測は全くしていなかったんですか。

町田政府参考人 そういった予測はしておりませんでした。

筒井委員 食用を扱う業者に売って、しかも安く売って、着色もしていない、これで食用の方に転用されないという確信を持った根拠は何ですか。

町田政府参考人 私ども、きちっと法令にのっとって仕事をしているわけでございますので、そういったような事案があれば、これは本当にゆゆしき事態でございます。私どもはきちっとそういった仕事がされているというふうに思っておりますが、今般の事案にかんがみまして、すべて今まで関係した食糧部の職員を対象に倫理法上問題がなかったか、そういったことを調査しております。

筒井委員 私が聞いている質問は、よく局長聞いてくださいね、そういうふうに食用に転用されることを予測していなかったということは、転用されないと確信していたということでしょう、そう確信できた根拠は何ですかと聞いているんです。何かあるんですか。それとも、全然根拠もなくて、ただ確信しただけなんですか。

町田政府参考人 それは、まさに認識が甘かったということでございます。そういった転用なんということはされないというふうに思っていた。いわば性善説の考え方で仕事をしていたということだと思います。

筒井委員 だけれども、その同じ農水省が、カドミの場合は転用の可能性があるから着色しているんですよ、転用の可能性を予測して。今度の場合、そんなことはあり得ないと思っているという答えでしょう。どうしてそういうふうに思えたのか。甘かったから。それは甘いなんてものじゃないですよ。それは使ってもいいと考えていたとすればみんな説明がつくんだ、今までのものが。だけれども、今の答え、甘かったなんて言ったって、カドミの場合は甘くなかったんでしょう。今度の場合はどうして甘かったんですか。

町田政府参考人 繰り返しになりますが、カドミウムにつきましては大きな公害等の問題がございました、それに比べましてポジティブリスト制度を十八年五月末から施行されたわけでございますが、そういったことについて現場、本省の安全性に対する認識が薄かったんではないかというふうに思っております。やはり認識の甘さということで、どういうふうにしてそれを説明できるのかと言われれば、甘かったとしか申し上げようがない。反省しているところでございます。

筒井委員 極めて不十分な答弁ですが、全部聞きたいものですから……。

 そして、今後、事故米、汚染米については輸出国に返送する、こういうふうに大臣も答弁されています。何で以前は輸出国に返送しなかったんですか。波打ち際でカビ毒に侵されている、農薬に侵されていることがわかっても、三つの選択肢を示して輸入してもいいしということに農水省は態度を決めた。以前は最初から、カビ毒に侵されている米、農薬に侵されている米を波打ち際でわかった場合に返送する、輸出国に返す、こういう方針を何でとらなかったんですか。

町田政府参考人 その点につきましては御指摘のとおりだというふうに思っております。

 水際できちっと返す、また焼却する、廃棄するということが、今後はそういうふうにしたい、特にもう全部返したいと思っているわけでございますが、現在の実態としては、そういう三つの選択肢を、これはもちろん検疫所長の御了解、許可を得てやっているわけでございますが、そういったことが行われていたということでございます。

筒井委員 返すべきだったと。それで、返すこともできるんですね。

 だから私が聞いているのは、これも不思議なんですよ、返すことができるのに何で返さなかったのか。それも何か理由があるんですか、それとも全然理由はないんですか。

町田政府参考人 その点については、輸入商社と契約を結ぶときに、きちっとその点について明記はしていなかったというのが実態でございます。

 今後は、契約条件として、食品衛生上問題のあるものについては返却、返送するということを明記して担保していきたいということでございます。現在はそういった担保規定がございませんでした。

筒井委員 何でなかったのか、何でつくらなかったかということを聞いているんですよ。もうわかり切ったことなんだよ。だけれども、それを返却することを全然していなくて、みんな輸入を認めてきた。この理由がわからないんです。

 それで、大体この輸入は、農水省、食品衛生法違反じゃないですか。食品衛生法によると、「有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着し、又はこれらの疑いがあるもの」は輸入してはならないというのが食品衛生法第六条の規定ですよね。農水省自身が食品衛生法に違反していたんじゃないですか。

町田政府参考人 食品衛生法の規定上、当然のことながら食品としては輸入できないといったことで、三つめの選択肢、工業用あるいはえさ用ということで輸入が許可された、食品としての輸入は検疫所から許可されていないというふうに承知しております。

筒井委員 MA米は食品としての輸入義務ですね。それをちょっと確認してください。

町田政府参考人 食用として輸入しているものでございます。

筒井委員 食用として輸入しているのがMA米ですから、食用に供すことができない、有毒であったとなれば、それは輸入義務がないものですね。

町田政府参考人 今回の事故米穀につきましては、あくまでも食用として輸入したものであります。その水際で食用に適さないということが判明したものでございます。

筒井委員 さっきは食用として輸入したんじゃないと言ったでしょう。

 波打ち際で、もう食用に供すことができないことがわかったんだから、これはMA米としての条件を満たしていないですね。食用としてのMA米なんですから、その事故米、汚染米に関しては輸入義務はないですねという質問なんです。そのことが波打ち際でわかりましたねということなんです。

町田政府参考人 食用として輸入する機会を与えた、それが今後食品衛生上問題があるといったような扱いになったときに、そこの点について、輸入機会を与えたということは事実でございますので、それを返送するということについては私ども輸入国の判断でできるというふうに思っております。

筒井委員 いや、だから確認しているんだ。だから、事故米は、汚染米は、輸入義務がないものを輸入したんですね。

太田国務大臣 ミニマムアクセス米の輸入義務を満たせなかった、輸入したものが食品として使えない以上、輸入義務を満たせなかったということになるんだと思います。

筒井委員 だから、輸入義務が日本にないものを、それをあえて輸入したんですねという質問なんです。先ほどから言っているのはそうなんでしょう。

町田政府参考人 ミニマムアクセスにつきましては、基準年度、八五年から八八年だと思いますが、その国内消費量の一定割合ということで、現在七十六万七千トンというふうになっているわけでございます。

 そういった中で、輸入したときはあくまでも食用として輸入したわけですが、その後、その時点で食用に適さないということがわかったので、やむを得ず非食用の工業用のりとして処理がされたということでございます。

筒井委員 質問に答えてないでしょう。今のをはっきり答えてください、もう明白なんだから。

宮腰委員長 もう一度質問してください、わかりやすく。(筒井委員「時間がなくなる。私、まだいっぱい質問したいから」と呼ぶ)

 汚染米に対して輸入義務があるのかないのか、これをはっきり答えてくれという御質問ですから。

町田政府参考人 済みません。御質問の趣旨を十分理解しないで、大変失礼いたしました。

 そういった食品衛生上問題のあるような、基準値を超えるようなものについて輸入する義務はないというふうに考えております。

筒井委員 初めからそうやって答えていれば、それでいいんだ。輸入義務がないものをあえて輸入したんですよね。このことも強く反省してもらわなきゃいかぬのですよ。

 MA米本体に関しては、それはウルグアイ・ラウンドで決まったことですからやむを得ないです、国際的な義務ですから。事故米についてはそうでないことをわかっていながら、今なかなかそれは認めようとしなかった、最後は認めたけれども。輸入しなくていいものを輸入したんですよ。それでこんな問題を起こしたんですよ。(発言する者あり)いや、そんなの当時からわかっていることでしょう。

町田政府参考人 済みません。私の御説明が舌足らずで、大変失礼いたしました。

 繰り返しになるかもしれませんが、今回の中国産のメタミドホスにつきましては、十五年度に輸入したものでございます。その時点ではポジティブリスト制は導入されておりませんでした。このメタミドホスにつきましては、基準値はございませんでした。そういったことで、検疫所におきましてもチェックはされていないということで、その時点では適正な、まさに国内法における輸入がされたわけでございます。

 その後、十八年五月二十八日にポジティブリスト制が導入されるということで、十七年の末から十八年にかけまして政府が保有している米穀につきまして検査をしたところ、このメタミドホス、基準値を超えたものが出たということで、輸入時点では……。私先ほど一般論として話してしまって、申しわけございませんでした。この中国産のメタミドホスについては、輸入時点では問題なく輸入がされたものでございますが、その後、十八年五月以降のそういった制度のもとでは、食用としては不適、販売できないということだったので、やむを得ず工業用のりとして売ったということでございます。

 説明が舌足らずで大変申しわけございませんでした。

筒井委員 カビ毒の方についてはどうですか。カビ毒について、要するに波打ち際の時点で食用に回せないというふうに判断しながら輸入したものがあるでしょう。

町田政府参考人 カビ毒の問題でございます。

 アフラトキシンにつきましては、国内に輸入するときには問題はなかったわけでございますが、その保管中にカビが生じ、そのカビから産出したものでございます。

筒井委員 波打ち際のときに問題なかったと断言できるんですか。その波打ち際まではサンプル調査でしょう。ほんの一部しかサンプルをとっていないんですよ。サンプル調査は、MA米のうち何%とっているんですか。

町田政府参考人 当然のことながら、厚生労働省のもとで検疫が行われております。サンプリング調査でございます。私どもも輸入の際に私ども独自として検査をしておりますが、それはもちろん抽出検査でございます。

 申しわけございません、アフラトキシンの厚生労働省のサンプリング率、ちょっと今私は情報として持っておりません。申しわけございません。

筒井委員 検査について特に聞きたいので、質問を少し急ぎます。

 これを輸出国に返還するか、返還しない場合には廃棄処分する。こんなのは当たり前なんだけれども、今までなぜそうしなくて、これからそうするということになったんですか。今までなぜしなかったんですか、大臣。

太田国務大臣 さっきから言いますように、どうして今までそういう制度が存続してきたのかということは、私は、そうであったということを知って直ちに改革をするという指示を出したわけでありますので、その辺についてはよくわからない部分もございます。

 ただ、今まで御質問の中にありましたように、今後事故米が食料として市場に流通をしないようにするためには、今言うように返送するか焼却をしたりするなどの処分をする以外にないわけでありまして、こういうふうに決断をしたということでございます。

筒井委員 決断されたのはわかったんですが、輸出国への返送とか焼却処分をなぜ以前からやらなかったのかということに関しては、今の大臣の答弁ですと、要するに理由はわからないということですね。それもやはり不可思議だという、さっきと同じ答えですね。

太田国務大臣 私は、前に食糧管理制度があった時代のさまざまな名残とかそういうものがあると思っておりますので、不条理なことがまだ残っている理由というのは、そういう統制時代の名残や、消費者よりも生産者を一方的に重視するという姿勢がなかったとは言えないということは、わかり次第是正していかなければいけないというふうに思っているわけです。

筒井委員 生産者も助けていないんですよ。消費者も助けていないんですよ。一部の特定の者だけですよ、業者だけですよ。ただ、今そういう趣旨で言われたんだろうというふうに思います。

 時間がなくなったので、検査の問題についてお聞きします。

 去年の一月の二十九日に内部告発の手紙が出されました。その手紙の中身を、内部告発の最初ですから、どういう中身の手紙だったのか、それを説明してください。

町田政府参考人 申しわけございません、すぐ正確には言えないんですが、そういったものが食用として出回っているという匿名の手紙だったというふうに承知しております。

筒井委員 そんな範囲はもう説明を聞いているので、中身を厳密に聞きたかったんだけれども、その手紙は公開できますね、秘密のものではありませんね。

町田政府参考人 匿名とはいえ私的な手紙でございますので、その取り扱いは、ちょっと今直ちにお答えはできないのでございますが、出せるものであれば出したいというふうに思います。

筒井委員 私的なものではありませんよ。農水省に対して福岡等の農政事務所の行為についての知らせでしょう。出してください。この委員会の方に提出してください、よろしいですね。委員長、それを指示していただきたいと思います。

宮腰委員長 理事の皆さん方と相談します。

筒井委員 局長もうんと言っているから出してもらいます。

 時間がないので、その次に行きます。

 そして、内部告発を受けて検査に入ったんですよね。だけれども、検査に入った中身が極めて不十分で、平成十八年十一月に農水省が売った米の在庫があるということだけを確認して帰ってきたんですね。ただ、回答として、そのとき伝票も調べたという回答もあるので、そのときの最初の検査はどういうことをやって帰ってきたんですか。それを言ってください。

町田政府参考人 調査におきましては、台帳による工場の受け入れ数量と販売数量の確認及び目視による米穀数量の確認を行ったということですが、結果として見れば極めて不十分だったというふうに思います。

筒井委員 台帳によって購入した米の販売記録も見たんですね。

町田政府参考人 台帳によって確認したというふうに報告を受けております。

筒井委員 二重帳簿をつくっていたということですから、販売先に関して、工業用のりに販売したといううその方の台帳、うその方の伝票を見たということですね。

町田政府参考人 さようでございます。

筒井委員 そうすると、その転売先に書いてあるのは、うその転売先なんだ。その転売先に一回でも調査に行けば容易にわかることです。

 転売先への調査に一回でも行きましたか。この最初の検査のときに行きましたか。

町田政府参考人 行っておりません。大変不十分だと思います。

筒井委員 その転売先の調査に行っていないんですよ。それで、虚偽の、うその伝票を見て、台帳を見て、そのまま流用の事実はないと確認しちゃったんだ。考えられないんです、優秀な官僚が。

 しかも、その後九十六回の立入調査をやっていますが、その中でも一回も販売先に調査に行っていない。なぜ行かなかったんですか。

町田政府参考人 立ち入り、立会したときに、加工したところを見て、偽装された帳簿を見て、きちっと加工されたと思っていた認識の甘さです。

筒井委員 そんなの自分だって思わないでしょう、そういうふうに。在庫量を確認して、あとの九十六回は米粉にする過程を一部見た。粉に加工したところで、全部粉にしているかどうかわからないし、粉にした部分だってせんべいや何か食用に回るんですから、それは流用の事実はないということの確認に全くならないでしょう。どうですか。在庫量の確認と粉に加工している場所を一部見たところで、流用の事実がないという確認にならないでしょう。

町田政府参考人 結局見抜けなかったということは、確認ができていないことだと思います。

筒井委員 だから、私の今の質問を認めたんでしょう、そんなのは流用の事実がないことの確認にならないと。それをやっただけだと。

 もう一度確認します。

 確認したことは、在庫量の確認とにせの伝票を見ただけで、これは流用の事実がないことの確認に全くならないことはお認めになりますね。

町田政府参考人 一回調査した社は、それで確認ができたというふうに思っていたということでございます。また、そういった報告が来ているということでございます。

筒井委員 だから、在庫量の確認とにせの伝票を見ただけでは流用がなかったことの事実確認にならないことは認めますねということなんです。そうでしょう。

町田政府参考人 結果を見れば明白で、そのとおりでございます。

筒井委員 何で販売先とにせの伝票に書いてある先に一カ所でも行かなかったんですか。当然行くでしょう、本当に流用があるのかどうか調べようと思えば。何で行かなかったんですか。

太田国務大臣 今のようなことも含めまして、内閣府に設けられます第三者委員会におきまして取り扱い、再発防止策についてさらなる検討をしていくということだと考えております。

 なお、取引の相手先のところに行かなかったというのは、恐らく食糧法上の取り扱いが取引の直接の相手とその先は違うということだと思いますが、ともかくそれは内閣府に設けられます第三者委員会において今後厳正に取り扱って再発防止を検討していくということでございます。

筒井委員 冒頭申し上げましたように、今まで聞いたことからでも、一義的な責任は農水省にあるんですよ、今回の事件の。犯罪実行行為者は四社です。だけれども、農水省に一義的な責任がある、そのことを自覚していただきたい。そして、農水次官の発言、大臣の発言は、その一義的責任について全く自覚していない。これは辞任に値する発言だと思いますよ。そのことを強く申し上げて、もう時間が来ましたので、私の質問を終わります。

宮腰委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社会民主党の菅野哲雄です。

 今回の米転用事件は、主食である米の安全にかかわるだけに、大変な不安と憤りを国民にもたらしているのは間違いありません。業者の脱法行為はもとより、不正を見抜けなかった農水省のあり方が根底から問われている事件だと言わなければなりません。

 そこで、今もずっと議論されているんですが、大臣は今月十二日、番組の収録で、人体に影響はないと自信を持って申し上げられる、だからじたばたしないなどと、おおよそ事件の所管官庁のトップとは思えない発言をしています。さかのぼれば、大臣は就任直後の討論番組で、国民はやかましくいろいろ言うと発言し、その前段で食の安全について国内は心配しなくてもいいと言っています。今回の問題は、輸入米とはいえ、国内で起きた問題ではないですか。この間の大臣の発言は食の安全について国民の目線と大きくかけ離れておりませんか。

 改めて、今回の事件を大臣はどのように認識しているのでしょうか。そして、この一連の発言を反省していらっしゃるのかどうか。私はここが出発点だというふうに思うんです。今も多くの議論をされていますけれども、出発に当たって、危機意識を本当に持っていたのかどうか。ここが今問われているんじゃないのかなというふうに思うんですけれども、大臣、一連の今回の事件についてどう考えておられるのか、改めてお聞きしておきたいと思います。

太田国務大臣 食品の安全性につきましては、リスク評価機関である食品安全委員会が科学的知見に基づいて評価することであり、その評価を受けてリスク管理機関である農林水産省が適切に対応していくことが必要であると考えております。

 御指摘の私の発言につきましては、内閣府の食品安全委員会がそういう見解を出しておるということがまず第一。そして、そうであろうとなかろうと、農林水産省においては全容の解明について徹底した調査を行うということ、再発防止策を考えることだということが発言の真意でございます。あるいは、一部を見て誤解をされることがあったとすれば、それは不適切であったということであります。

菅野委員 食品安全委員会は国民に対する健康被害が及んではならないという見解を示したというふうに思うんです。

 ただし、今回の一連の事件というのは、加工用として流通させたものが食用として出回ったということが大きな問題であって、食の安全、安心に重大な影響を及ぼしたんだという認識のあり方を問われているのにもかかわらず、食品安全委員会の見解が国民に健康被害を及ぼさないんだからこの問題は大したことじゃないという大臣の認識が問われているんじゃないでしょうか。ここが問題になっていると思うんです。もう一度見解をお聞きします。

太田国務大臣 その発言をいたしましたときに申し上げた趣旨は、安全がどうであれ、農林水産省としては今後の再発防止や全容の解明を図っていかなければならないということを申し上げたわけでございます。

菅野委員 今からの議論とも、やはり出発点が違っていますからこれからもかみ合わないと思うんですが、一つには、事故米、汚染米は、食用、工業用を問わず、廃棄処分あるいは輸出先に返送して国内に絶対流通させないことが基本だというふうに私は考えています。しかし、仮に工業用に使途を限定しても食用転用は防げたのではないかと考えているんです。

 そこでお伺いしますが、事故米、汚染米を食用加工用に販売する業者になぜ売却したのか、ここが根本の議論のスタートだというふうに思うんです。今も多くの議論をされたんですが、私から見れば、先ほども議論されているように、工業用原材料メーカーに直接販売すれば何ら問題はなかった。そして、工業用原材料メーカーの需要が先ほどの答弁では一万五千トンぐらいあるんだというふうに言われていますから、なぜ直接取引できなかったのか。ここが疑問点だと思うんですけれども、答弁願いたいと思います。

太田国務大臣 のり製造の製造業、工業に従事している会社に対して例えばそういうふうに入札を限定して行うということも、私も最初そう考えて、そうしてはどうかということを制度の改革の第一案として提案をいたしました。

 しかしながら、もう一回考えてみると、製造用として、製造業向けに売ったとしても、その業者がまた今のように、悪い人がいるんだから、そうしたら、それを製造業用といっても姿形は同じなんですから食用として転売するおそれがあるということに思い至って、結果として、これは焼却等処分をする、あるいは返品をして物理的に存在しないようにしない限りは無理だというふうな結論に達したわけでございます。

菅野委員 これからの方策を聞いているんじゃないです。今回起こった事故について聞いているんです。

 だから、なぜ三笠フーズという食品加工業者に売ったのか、ここが問われているんじゃないですかということなんです。なぜ工業用原材料メーカーに直接販売しないんですかということなんです。

町田政府参考人 これまでどうしてしなかったのかというお尋ねでございます。

 米を工業用のりに使用するというためには、接着剤の原料である米穀粉に変形加工した上で実需者に供給する必要がある、そういう判断をしていたということでございます。したがって、変形加工業者であれば実需者でなくても買い受け資格を与えていたということでございます。その買い受け者たる三笠フーズが一般の食用も扱っていたということでございます。大変問題のあった、適切な販売先とは言えない、今にして思えば言えないというふうに思います。

菅野委員 先ほども議論になっていて、カドミ米については本当に食用に回らないという徹底した方策がとられていたにもかかわらず、今回はその方策はとられていなかったということで食用に回ってしまったという事態が起こっているわけです。

 それで、同じ農水省として、一方は、カドミ米は絶対回らないようにという対応をとっていたにもかかわらず、今回のメタミドホス、これは平成十五年度に輸入して、十八年にポジティブリストに基づいて検査した結果、メタミドホスが検出されたということで、現象はカドミ米と同じ状況なんですね。そこで、カドミ米と同じ方法をとるべきだと私は思っているんです。

 それが、この八百トンがそのまま三笠フーズに入札で流れていってしまった。先ほどの町田局長の答弁では、性善説に立っていたということなんです。

 それでは、カドミ米はなぜ着色したりしているんですか。ここを聞きたいんです。

町田政府参考人 カドミ米の処理というのは大変難しい問題でございます。一つは、きちっと横流れ防止等がないということもございますし、円滑な処理といった点で、着色ということもあるんですが、きちっと粉砕をした上で、横流れ防止と円滑な流通といったことで、カドミ米についてはさような措置が講じられたというふうに承知しております。

菅野委員 農水省全体の中に、カドミ米とは違うんだ、あの十八年にポジティブリストのメタミドホスが発覚したときに、カドミのように健康に被害が及ぶという状況ではないんだという、ここからスタートしていたんじゃないですか。だから、先ほどから議論されているように、甘い対応に終始したということだと。認識の甘さというのはそこからスタートしていたんだと言わざるを得ないと私は思うんです。だから、農水大臣の発言とか事務次官の発言にすべてが集約されていっているんじゃないですか。

 私は一連の経過を見たときに、今でこそ事の重大性というものをお互いに共有しているというふうに思うんですけれども、出発時点でそこが違っていたから、対応というものが、あるいは国民の信頼というようなものを、不信感の増長というものが起こってきたんだと私は強く指摘しておきたいというふうに思うんです。今後の対応というものはこの認識が違うことによって違ってくるんだというふうに私は思いますから、この出発点が間違った農水省の対応というものを私は強く指摘しておきたいというふうに思います。

 それからもう一つ、先ほども議論されているんですが、平成十五年に輸入したものが、平成十八年のポジティブリストによって検査した結果、メタミドホスが検出されて、これは政府の責任において三笠フーズに売却していったというのが一つのルートです。

 もう一つ、商社ルートがあるんですね。ベトナムから輸入した米が水際で残留農薬が検出されて、これを政府が一回買い取って、すぐ商社に売って、後は商社の責任において、輸入元に返すか、廃棄するか、非食用に回すかということは商社の判断だ、こういう説明を受けています。そして、商社の判断として、三笠フーズにウルチ米五百九十八トンを売った。これは商社の責任において非食用に回すということで売ったという状況ですね。

 それでは、商社から三笠フーズに流れた部分を国としてどういう検査体制を行っているのかということの議論をしたときに、もう企業のコンプライアンスの問題だというふうにやって、法令遵守の原則でずっと流通していたんだと。実際に調べてみたら酒造メーカーに流れていた、こういう状況ですね。

 この商社から流れた部分に対して国はこれまでどういう関与をしてきたのか、そこを説明していただきたいと思うんです。

町田政府参考人 私ども輸入米の事故品の処理要領というのがございます。

 それによりますと、非食用として輸入された米穀につきましては、売り渡し先、用途、処分方法について地方農政事務所が指導監督をするということになっておりますが、結果として見れば、商社の方からも出てしまったということは、この指導監督が十分行われていなかったということで、これも反省すべき点だと思います。

菅野委員 商社に戻しました。そして、輸入元に返すか、廃棄するか、非食用として責任を持って処理するかというのは商社の責任においてなされる。だから農水省は関与できない、してこなかった、これが五百九十八トン、市場流通は四百八十四トンという数字で流れています。こういう実態です。企業のコンプライアンスの問題だということでずっと放置してきた。

 この間の食品偽装問題というのは何が問題なのかというと、企業のコンプライアンスの欠如でもって食品の安全、安心というものが崩れていったという事実を農水省としてどうとらえていたのかなという思いがあるわけです。先ほど言ったように、それではカドミ米と同じような扱いにしなきゃならない。商社に返すときにカドミ米と同じような扱いにして返せば、商社は廃棄処分するしかない、そういう状況だと思うんです。

 だから、出発点が、冒頭申し上げたように、これは認識の甘さというふうにとらえられる問題じゃないと思うんです。食の安全、安心という観点からいったら徹底した対応をとるべきだというふうに私は思うんですけれども、認識の甘さがあったというふうに思うんですが、どうですか。

町田政府参考人 私ども、十三年の国内でのBSEの発生を踏まえまして、その反省のもとに十五年から新しい組織になって、食の安全と消費者の信頼確保、これを第一に取り組んでいくということでございました。そういった点から見て、その対応が十分でなかったということはあると思います。

 また、食品産業を私ども所管しております。かねてよりコンプライアンスの徹底ということを申し上げておったわけでございますが、組織全体として、私たちのやったことについてはこれから検証していただくわけでございますが、その検証を踏まえて、大臣から御指示いただきましたように、見直すところはきちっと見直して、今後二度とこういうことが起こらないように対応してまいりたいと考えております。

菅野委員 次の質問に移るんですが、三笠フーズが販売した汚染米の流通ルートは、もちろんペーパーカンパニーも含まれていますが、余りにも複雑な経路をたどっています。それだけ多くの流通業者が途中で関与しているということですが、かつては許可制だった米の流通業者が登録制となり、小泉内閣時代の食糧法改正で届け出制へと大幅に緩和されました。

 これは汚染米の話ではありませんが、安く買いたたかれた米が市場では結構な値段で売られていることに対して、農家は流通経路について不審を抱いています。この流通の自由化は正しかったのかどうか、私は検証が必要だというふうに思っています。食の安全、安心を確保する上で、流通段階の規制はむしろ厳しくすべきです。

 この間の規制緩和を見直す考えはあるのかないのか、今回の事件を契機としてこの点も私は考えるべきだというふうに思うんですけれども、見解をお聞きします。

太田国務大臣 平成十六年の食糧法改正によりまして米の流通が自由化されたということで、その後、規制緩和といいますか、そもそも統制から自由な競争へと制度が変わったわけでございます。

 このこと自体は、今日の複雑な、見ただけでも大変複雑な入り組んだ流通の実態になっていることも、どうとるか。規制を強化することによって一層複雑になることも考えられるわけでありまして、むしろ、今回の事案が生じた理由というのは、第一義的には食品衛生上問題のある事故米を不正に食用に流通させた事業者にあるということで、米の流通制度の自由化が直接の要因とは考えておりません。

 むしろ、国民の食の安全を確保するためにはトレーサビリティー、米関連商品の原料米原産地表示システムの確立が真に、そしてそういう事後チェック型、事後の監視体制をきちっとした上で、むしろ競争をさらに促進することではないかと思っております。トレーサビリティーシステム、原産地表示システムの確立が有効なのではないかというふうに考えております。

菅野委員 この点に関しては、これからもしっかり議論していく課題だというふうに思うんです。

 時間が来ていますけれども、最後に一点。

 今回の事件で事故米、汚染米とは知らずに購入した業者の皆さんは本当に大変です。製品の回収費用にとどまらず、風評被害にさらされ、被害はむしろこれから拡大していくのだと思います。政府系金融機関に相談窓口を設けたり、セーフティーネット貸し付けなどの金融支援措置がとられることになりましたが、被害に遭った中小業者は存亡の危機なのではないでしょうか。今回の事件、農水省の監視、管理責任も問われるのだとしたら、金融支援以外に直接被害補償するような措置が考えられてしかるべきだと思いますが、農水省としての、大臣としての見解をお聞きしておきます。

太田国務大臣 まず、対応というようなことの前に、こういう事柄は、公表をする時点で、一体何を公表しているのかということをはっきりしなければいけないわけでありまして、何か犯罪に関係した人のリストというふうに勘違いされてはならないのであって、事故米とは気づかずに売買に携わった方々が大半であるということを、外に向かって出すときには何度も断る。それからまた当事者の、公表された事業者の方々が周辺のお客様たちに対して、自分の見解ではなく、農林水産省自身がそういうことを言っているんだということがはっきりわかるように、手紙を出すということを今やっております。まずスタートの時点でそういうことを注意しなければいけない。

 今後も積極的に、事故米とは知らずに売買していたということは周知徹底させていかなければいけないと思っております。

 今後の対応策については事務方から答弁させます。

町田政府参考人 委員御指摘いただいたように、これまで資金面の対応をしてきたところでございますが、さらに、大臣申し上げましたように、事故米穀であることを知らずに販売、加工した事業者の方々に対しまして、経営に支障を来すことのないよう、万全の措置を講じてまいりたいと考えております。

菅野委員 終わります。

宮腰委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十四分散会


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