衆議院

メインへスキップ



第14号 平成21年6月11日(木曜日)

会議録本文へ
平成二十一年六月十一日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 遠藤 利明君

   理事 今村 雅弘君 理事 木村 太郎君

   理事 七条  明君 理事 宮腰 光寛君

   理事 宮下 一郎君 理事 笹木 竜三君

   理事 筒井 信隆君 理事 西  博義君

      安次富 修君    赤澤 亮正君

      井上 信治君    伊藤 忠彦君

      飯島 夕雁君    猪口 邦子君

      岩永 峯一君    江藤  拓君

      小里 泰弘君    小野 次郎君

      川条 志嘉君    河井 克行君

      木原  稔君    平  将明君

      谷川 弥一君    徳田  毅君

      中川 泰宏君    永岡 桂子君

      丹羽 秀樹君    西川 公也君

      茂木 敏充君    森山  裕君

      石川 知裕君    大串 博志君

      小平 忠正君    佐々木隆博君

      神風 英男君    高井 美穂君

      仲野 博子君    横山 北斗君

      菅野 哲雄君

    …………………………………

   議員           筒井 信隆君

   議員           篠原  孝君

   議員           岡本 充功君

   議員           佐々木隆博君

   議員           石川 知裕君

   農林水産大臣       石破  茂君

   農林水産副大臣      石田 祝稔君

   農林水産大臣政務官    江藤  拓君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         實重 重実君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長)            町田 勝弘君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  本川 一善君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  高橋  博君

   政府参考人

   (林野庁長官)      内藤 邦男君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            数井  寛君

   農林水産委員会専門員   板垣 芳男君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十一日

 辞任         補欠選任

  飯島 夕雁君     平  将明君

  近江屋信広君     川条 志嘉君

  斉藤斗志二君     猪口 邦子君

同日

 辞任         補欠選任

  猪口 邦子君     斉藤斗志二君

  川条 志嘉君     近江屋信広君

  平  将明君     飯島 夕雁君

    ―――――――――――――

五月十四日

 農林漁業及び農山漁村の再生のための改革に関する法律案(衆法第二号)の提出者「筒井信隆君外四名」は「筒井信隆君外五名」に訂正された。

五月二十一日

 農林漁業及び農山漁村の再生のための改革に関する法律案(衆法第二号)の提出者「筒井信隆君外五名」は「筒井信隆君外六名」に訂正された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第三五号)(参議院送付)

 農林漁業及び農山漁村の再生のための改革に関する法律案(筒井信隆君外六名提出、衆法第二号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

遠藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案及び筒井信隆君外六名提出、農林漁業及び農山漁村の再生のための改革に関する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官實重重実君、総合食料局長町田勝弘君、生産局長本川一善君、経営局長高橋博君、林野庁長官内藤邦男君及び中小企業庁経営支援部長数井寛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小里泰弘君。

小里委員 おはようございます。自由民主党の小里泰弘でございます。

 このたび民主党から、農林漁業及び農山漁村の再生のための改革に関する法律案の御提案をいただきました。私は、この法案の母体ともいうべき農業者戸別所得補償法案につきまして、二回にわたり質疑をさせていただきました。その経緯も踏まえながら、今回改めて全体についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 まず、法案第一条におきまして、人口の減少や高齢化などにより、我が国の農林漁業、農山漁村は危機的な状況にあるとの問題提起であります。そして、第二条において、食料の安定供給、消費者の安心の確保、多面的機能の確保などが基本理念として示されております。ここまでは、現行の食料・農業・農村基本法に既に規定がございます。もとより民主党も賛成して成立をした基本法でありまして、そこに既に規定されているものをあえて別の法律でうたう必要があるのかどうか、まず疑問に思うところでございます。

 民主党は、現行の基本法を評価して、そのもとに今回の法案があるとしながら、実際の政策実施に当たりましては別途個別法が必要となるとしておられるようであります。いわゆる中二階的な、基本法だか実施法だか個別法だかわからないような中途半端な法案になっているとまず御指摘をしたいと思います。

 さらに、第二章以下では、昨年否決、廃案となりました農業者戸別所得補償法案、平成十八年に否決、廃案となりました基本法案とほぼ同様の規定が見られます。特に戸別所得補償法案につきましては、審議を通じて多くの矛盾点、問題点が浮き彫りになったわけでありますが、法案提案者からは正面からのお答えは聞かれないままになっております。

 また、本法案では、既に現行制度下で取り組んでおります食育、バイオマス活用、農商工連携の推進等が盛り込まれております。

 すなわち、十分な審議を経て否決をされた内容や、既に施策が展開されているものを継ぎはぎ的に集めたものであります。法制度の位置づけとしましても、実効性のない中途半端なものになっていると言わざるを得ないわけであります。

 このような法案を国会で審議する必要があるのかどうか、まず民主党にお伺いいたします。

筒井議員 今、農業が大変危機的な状況にあることは、これはもう何回強調しても強調し過ぎることはないと思います。高齢化して後継者が入ってこなくて、しかも、五年先、十年先には農業をやる人がいなくなるのではないかという危険性さえ感ずるほどの状況でございます。これは一次産業全体に共通した極めて大きな問題でございまして、これをまず強調するのは極めて当然のことだというふうに思っております。

 そして、今、基本法が、食料・農業・農村基本法、林業基本法、それから水産基本法があります。そのもとにおいて、そういう危機的な状況にある一次産業をこれからどういうふうに再生、活用していくのか、これについて全体的な一つの考え方に基づいた方向性を示す必要があるわけでございまして、これが今回提出している法案でございます。

 ですから、基本法のもとにある法案であると同時に、この法案は、規範性のあるガイドライン法というふうな性格、プログラム法としての性格を持っているわけでございますが、この法案のもとに、政権担当後に個別的な実施法を段階的につくっていく必要がある。その意味では三段階に位置づけているわけでございまして、これは明白ですから、中途半端でも何でもないですよ。この方向性も矛盾は全くない。まさに一貫性にあふれた法律ですから、矛盾なんてないものでございまして、もし矛盾があるとされるのなら、後でそれを指摘していただければ、それに対してお答えをしたいと思います。

 今の質問ですと、きちんと私たちの法案を検討していただいているのかな、そっちの方に逆に疑問が生ずるところでございます。

 以上です。

小里委員 ありがとうございます。

 危機感はぜひ共有をさせていただきたいと思います。矛盾点、問題点は後ほど指摘をさせていただきます。

 まず、戸別所得補償部分については、国会で指摘された問題点、矛盾点、これから追及をしてまいりますが、この改善なしには絶対審議に値しないと思っております。戸別所得補償法案の審議では、肝心なところで、具体的なことは省令にゆだねるというような論法でもって、正面からのお答えがなかったように記憶をしております。今回、さらに基本法的な法案に抽象化をすることで具体的な議論を避けようとしているのではないか、そんな気もするわけであります。ぜひそういうことのないように。前回は省令に逃げた面が確かにあったかと思います。今回、個別法に逃げることのないように、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 食料自給率でございます。本法案では、十年後の食料自給率五〇%、二十年後六〇%という目標値が定められております。また、従来の民主党の公約や筒井議員の記者会見でも、最終的に食料自給率一〇〇%を目指すとされております。

 通常、食料自給率は当然高いほど好ましいし、特に、脆弱な食料供給体制下にある我が国といたしましては、食料自給率の向上は大きな課題であると認識をしております。ただ、法律に政策目標として書く以上は、農地、品質、需要、そして特に方策面から見て本当に実現可能かどうか、具体的検証がなされなければいけないと思います。そうでなければ、実態を無視した空虚な空手形になりまして、国民に無用な幻想を抱かせて、生産現場に無用な混乱を来すことになりかねない、そんなふうに危惧をするわけであります。

 民主党は、過去最大生産量を実現すれば自給率五〇%になる、あるいは過去最大単収と過去最大作付面積による自給率六〇%、果ては世界最大単収による自給率一〇〇%コースといったように、全く現実離れをした無責任な食料自給率を振りかざしてこられました。

 この五十年で、作付の対象も農地の様相も大きく変わっております。過去最大作付面積を確保するための農地はありません。例えば、小麦などの四麦計で見た場合は、過去最大作付面積は百五十一万ヘクタールでありますが、現在は二十六万ヘクタールでしかありません。

 過去最大生産量のために二毛作を復活させようとしますと、これに適した米品種への転換が必要となりまして、本来の良質米の生産に支障を来すということにもなりかねないわけであります。

 ましてや、例えば世界最大単収の観点から小麦を見ますと、英国では、冬が温暖で夏が冷涼である、そして雨が少ないことから、生育期間というものが長くとれるんですね。したがって、日本の二倍もの単収になっているわけでありまして、そういう自然条件、生産条件の違う他国の単収を日本に当てはめることができないのは自明であります。国産小麦がパンやパスタなどには向かないことに象徴されますように、需要や用途をよく考えてつくらないと、需要のない食料があふれることになる、在庫があふれる、そういうことになりかねないわけであります。

 このような指摘に対して、民主党は、過去最大作付面積などは過去の実績に基づいた単なる試算にすぎないことを認められました。また、自給率一〇〇%は一つの方向性を言ったものにすぎないとして、果ては、今の食生活を前提とすれば完全自給は難しいと答弁をされたのであります。あるいは、品質は高める、潜在的な需要はあると抽象的な話に終始されて、具体的な説得力のある答弁はなかったのであります。すなわち、机上の空論にすぎない空虚な自給率目標であることが既に露呈をしているわけであります。

 そもそも日本の食料自給率が落ちてきたのは、食生活の変遷によるところが大きいものであります。特に、この五十年の間に米の消費が半分になり、肉の消費は逆に五倍になった。そのまた九倍の飼料作物を必要とするわけでありまして、その多くを海外に頼っております。この飼料作物の生産に必要な農地だけで九百三十万ヘクタール。あなた方民主党が言われますように、さらに食料完全自給を目指すとするならば、一千七百万ヘクタール、今の農地四百六十五万ヘクタールの三・五倍の農地を必要とするということは御存じのとおりであります。

 自給率目標のとらえ方、その根拠について改めてお伺いをいたします。

筒井議員 今おっしゃったように、この法律が施行されてから十年以内にプラス一〇%、つまり五〇%の自給率、そのさらに十年後に二〇%、つまり六〇%の自給率を目指す、将来的には一〇〇%を目指す、これが私たちの方針でございまして、今のことについて具体的にお答えする前に、難しいとか、そんな抽象的な、実現不可能だとか、そう言われている政府・与党の姿勢自体を私は反省していただきたいと思うんですよ。

 今、日本は四〇%で先進国中最低でしょう。私たちが先進国などでも物すごく難しいものを挙げているんじゃないんですよ。今最低なんですよ。隣の韓国にも劣っているんですよ、自給率に関しては。それが何でそういう状態になってしまったのか。輸入に頼って地産地消もなかなか進まないで、耕作放棄地がふえて、こういう今までの農政の結果についてまず反省をした上でこちらの政策についての批判をしていただきたいというふうに思っているわけです。

 それと、今申し上げたこちらの方の自給率の方向性を実現するための手段としても、具体的にこちらは挙げております。

 一つの柱は所得補償制度でございます。所得補償制度の中で生産数量目標を設定する。これは、主食米だけではなくて、自給率に大きな影響を与える米粉とかあるいは小麦、大豆、これらについてきちんとした所得補償をした、そういう支援をして生産数量目標を設定する。これらによって約一〇%の自給率の向上が図られるというふうに、具体的な品目ごとに私たちは数値を挙げて試算をしております。

 それから、この法案の中には、食の安全にかかわるトレーサビリティー、HACCP、GAPの義務化ということも挙げておりまして、この食の安全、トレーサビリティー、HACCP、GAPの義務化によっても、これもまた自給率の方に影響するわけでございまして、これはまだそのことによって厳密に何%自給率が上がるか、断定はできませんが、学者によっては、それをやれば三%ぐらい自給率が上がるというふうに言っている人もいるわけでございます。

 さらに、三本目としては、私たちの重要な柱として六次産業化路線というのを挙げております。これは、今の政府・与党の経営安定対策、ちょっとこの前、大幅に見直して、小規模農家にも見直すなどといって民主党の方向に近づきましたが、もともと、理念として、大規模効率化路線に対する対立軸として六次産業化路線を挙げております。

 これは、農家自身が、あるいは一次産業者自身が、加工とかの分野、二次産業の分野に進出して、そこで付加価値を高めて販売する。さらには、今もう全国で結構広がっておりますが、直売所とか産直とか流通の分野にも進出をして、流通コストを削減して、一次産業者の方にその価値が帰属するようにする。しかも、それに集落全体で取り組む、さらには集落の一定部分が共同して取り組む。これらを支援するという方向性を出しているわけでございまして、これはまさに地産地消を大幅に進めることになるわけでございまして、これも自給率向上の具体的な手段だというふうに私たちは考えております。

 ですから、具体的な手段を、基本的なものを挙げながら、五〇%、六〇%に上げていく、こういう数値目標を挙げているわけで、これで何で一体実現可能性がないとか言えるんですか。

遠藤委員長 筒井議員にお願いします。簡潔にお願いいたします。

筒井議員 わかりました。

 政府・与党は六〇%への自給率向上なんというのをそもそも目指さないんですか。こっちが質問したらだめなのかもしれないからやめますが、そういうふうにさえ思いますよ。

小里委員 大体予想した答弁でございました。

 そういった精神論はわかりますが、それだけじゃやはりだめなんですよね。今の我々は責任政党であります。当然、国民に対して責任がある。財源と責任の持てる、実効性の持てる政策を主張していかないといけないわけであります。

 そもそも民主党の政策からは、個々の品目の自給率目標は見えてきません。品目ごとにどの程度の単収、生産面積、生産量を目指すのかも見えてこないわけであります。

 そもそも民主党は、自給率目標に基づきまして、品目ごとにすべての販売農家に生産数量目標を課されるわけであります。無理な自給率目標をもとにして、かつ、農地や品質、需要を無視した、しかも方策に乏しい、そんな生産を強いられる現場の混乱と苦悩を思うときに、大変恐ろしい気がするわけでありまして、ぜひ今後ともこの点は議論をさせていただきたい、そんなふうに思います。

 続きまして、貿易自由化でございます。

 今既に世界の飢餓人口が八億五千万人でございます。これからさらなる人口の増加、新興国の経済発展あるいはエタノール需要等を考えますと、世界はこれから急速に食料不足の時代を迎えていくと予想されております。

 世界各国が農地や担い手などの生産基盤をフルに生かして自国の生産体制、食料供給体制の強化を図っていくべきは当然であります。そもそも、貿易自由化交渉の結果、どの国であれ、各国の食料生産基盤が損なわれることになってはならないと考えるわけであります。

 特に、脆弱な食料供給体制下にある我が国といたしましては、なけなしの生産基盤を守るために、貿易自由化交渉には毅然たる態度で臨むべきであります。従来の交渉経過にとらわれることなく、ゼロベースからの交渉と新たな理念の確立を求めるぐらいの姿勢でいかないといけない、そんなふうに考えるわけであります。

 従来、民主党の公約では、貿易自由化と戸別所得補償がセットになっております。小沢前代表は、従来、農産物や全分野で自由化をすると主張され、農産物の完全自由化の代償措置としての所得補償を言われてこられました。それでも民主党は、小沢代表は自由化論者ではない、民主党は自由化を前提にしていないとかたくなに主張されてきたわけであります。

 私は、昨年五月のこの席で、もし小沢代表が農産物貿易自由化論者でないと自分の口で言われるならばある程度は納得します、そんなことを申し上げました。しかしながら、小沢前代表は、みずからの立場、貿易自由化論者であるとの立場を変えないままに代表を辞任されたわけであります。

 さらに、昨年十一月ごろ出された民主党の新しいビラの中でも、相変わらず、米一俵一万五千円が一俵五千円になっても所得補償をする旨の記述があるわけであります。野菜、果実、肉についても、相変わらず貿易の完全自由化を前提とした表現を使っておられます。

 消費者負担、すなわち関税による価格支持をやめて、税負担、すなわち直接所得補償に移行するという考えが民主党の政策の根底にあるのは間違いないと思うわけでありますが、いかがでありましょうか。

 それで、ちょっと言わせてもらいますと、全問で十二問以上、きょう予定をしております。ぜひ簡潔に、質問に従って御答弁をお願いします。

遠藤委員長 筒井君、簡潔にお願いいたします。

筒井議員 貿易自由化についての前段の先生の言われたことは、賛成、同じ考えでございます。貿易自由化によって各国の農業がつぶれたら、まさにこれは本末転倒でございまして、だから、今のWTOの交渉もゼロベースで考えていくべきだ、これはこちら側が与党に言いたいことでございます。

 大体、WTOは今まで、私から言わせますと、新自由主義的な考えに基づいて、一次産業とそれ以外の産業との区別をほとんどしなかった。それははっきり違う本質を持っているんだということを前提にした交渉をしなければならないというふうに思っているところでございます。

 それと、今、小沢前代表のことを言われましたが、小沢前代表の発言についてはこの前ここでも言われましたし、今代表ではありませんので、時間もありませんから、それは省略いたします。

 それから、ビラについて。

 五千円プラス一万円が一万五千円になるということ、これは、私たちの所得補償政策は、決して貿易自由化とセットで出しているものではありません。独自のものでございまして、今の貿易に関するルールを前提にしながらも、この所得補償政策が必要であるという趣旨で出しているところでございます。

 今の五千円、一万円というのは、これはまさに、貿易自由化の問題ではなくて、例えばこういうふうな金額になってこうなんですよという例示としてわかりやすく出しただけの話で、これが具体的にこれから五千円になることを予測してだとか、そういう次元の問題ではないことだけ申し上げておきます。

小里委員 去年のこの席でありますが、農産物貿易自由化をめぐって国論が二分をしているという印象を与えてはいけない、これは民主党の答弁でございました。

 そこで思い出すのは、昨年の七月、私どもが与野党の国対委員長の皆さんとオーストラリアに視察に行ったときの話であります。向こうの農林水産次官らとの会談におきまして、貿易自由化の問題に話が及びました。私は発言を求めまして、我が国の農業、農村を守る立場から、特に重要品目を守る立場からの意見を主張したわけであります。

 その後すかさず、民主党の山岡国対委員長が発言を求められました。いわく、今の発言は政府・与党の発言であります、野党としては、貿易をフリーにするかわりに所得補償を行うということであって、政府・与党とは考えが違うんだ、そういうことを言われたわけであります。

 まさに国論が二分されている、そういう印象を与えてしまったなと今思っているところでございます。山岡さんの個人の意見として今は受けとめさせていただきます。

 続きまして、昨年の審議を通して、民主党の戸別所得補償法案について多くの疑問点や矛盾点が明らかになりました。

 まず、民主党の戸別所得補償なるものは、決して所得を補償するものではなく、米などは生産費すら補償しないことが明らかになっております。もともと単なる直払い制度であるものに戸別所得補償という大仰な名称をつけまして、農業者の関心を引こうというものであるのは明らかであります。

 すべての販売農家を対象とするといいながら、畜産、酪農は農業ではないから対象としないとされ、野菜、果樹も対象としておりませんでした。今回の法案でも、野菜、果樹は対象にしていないわけであります。品目にかかわらず、生産数量目標に従わない農家はまた支援の対象から外されます。

 前回、麦、大豆につきまして発議者から示された試算値によりますと、生産費の補てん、転作加算のいずれも現行の補てん水準より低いものとなりまして、新たな交付金を払う米に対して、麦、大豆の収益性が逆進をするものでありました。そのために、米の生産調整を阻害するし、麦、大豆の生産拡大にはつながらないものとなっていたわけであります。

 指摘を受けまして、民主党からは、補てん単価については関係者の意見を聞いて最終的に設定する旨の答弁がありましたが、今に至るまで試算値の再提示はないと伺っております。廃止するとしておりました米の生産調整も、名目を変えて、むしろ強化をして実施をするものであります。

 補てん単価が全国一律であり、コスト削減の難しい小規模農家や高齢農家、あるいは条件不利地域の農家を救う手だてになっておりません。必要額の積算根拠も不明確でありまして、財源の手当ても二転、三転、四転しております。制度全体として現実性に乏しいものであります。最も本質的なところでは、補てん以外の政策の用意がほとんどないということもございます。

 それぞれのテーマにつきまして順次お伺いをしてまいります。

 まず、今回、民主党法案において、農業に係る所得補償制度に加え、肉牛、酪農や漁業、林業の直払い制度が盛り込まれております。必要額も一兆円から一兆四千億円にふえているとお聞きをしております。だとすれば、その四千億円分の内訳についてお伺いいたします。

石川議員 お答えいたします。

 戸別所得補償制度の必要額のうち、新しく盛り込まれた畜産、漁業、林業分の四千億円の内訳はどのようになっているのかというお尋ねだと思います。

 畜産、酪農に関して所得補償を二千億円、漁業分に関して一千億円、林業分に関して一千億円、このように試算をしております。

小里委員 畜産、酪農で二千億円ということだったですね。果たしてこれで十分なのか。また、衆議院予算委員会での答弁によれば、生産費と販売価格の差額を基本に支給すると承知をしております。いろいろな問題が生じてきそうであります。

 農林水産省はどう考えているのか、私どもの鹿児島と一、二を争う畜産県であります宮崎県から政務官が出ておられますので、ぜひ江藤政務官に現場の実態を踏まえた御答弁をお願いしたいと思います。できれば簡潔にお願いします。

江藤大臣政務官 私に御答弁の機会を与えていただきまして、小里委員、大変ありがとうございます。

 まず、御質問にお答えする前に、農林水産省といたしましては、畜産、酪農に対して、これまで、その時々の状況に応じて、肉用子牛生産者補給金やマル緊など、補てんを中心としてきめ細やかな対策を講じてまいりました。特に昨年は大変な年でした。二月対策では一千八百七十一億円、六月では七百三十八億円、総額で三千三百億円以上の対策を講じてまいりました。私も、地元を歩いておりますと、確かに状況は厳しい、しかしよくやってくれたという御評価もいただいております。

 小里委員の御質問にお答えするために、本法案の考え方に基づいて、十九年度の生産費と二十年度の販売価格によって試算を行ってみました。その結果を簡単に御報告します。

 肉用子牛については五百四十億、肉用肥育牛で一千百三十億、酪農では、十九年度の生産費と販売価格とで試算をしてみますと約五百億円となります。この三部門だけで合計二千二百億円ということになります。これにもし養豚、養鶏が加われば、さらに金額は増大するというふうに考えられます。

 ここではあえて肉用牛生産に限って考えてみますと、畜産県ですから、小里委員と同じ懸念を私も持っております。

 本法案の第六条、そして十五条、十六条によれば、自給率向上のため、主要畜産物は生産拡大の目標が設定されるということが想定されます。すると、販売価格にかかわらず生産が行われることになると思われます。その結果、生産過剰になれば価格は当然低落し、さらに、そうなりますと多額の交付金が必要になってくるというふうに思われます。

 さらに、牛は生き物です。生き物でありますから、拡大の目標に向かって頑張っても必ず受胎するとは限りません。受胎して出産しても、出産後に出荷に至らない、そういう悲しいケースもたくさん見られます。その結果、生産数量目標を達成できないということも十分あり得るわけでございます。その場合には、目標未達ということで、支援の対象外ということになるのではないかということがこの法案からは読み取れます。このように、生き物特有の難しさということをやはり考えておかなければならないと我々畜産県に生きる者は思います。

 また、生産サイドで何が起こるか、これもあわせて考えてみました。流通サイドでは、生産者の生産費が補てんされるということであれば、枝肉は安く買いたたいてもいいんだというインセンティブが働くでしょう。そうなると、肥育経営者も競り場では子牛はなるべく安く買うというふうにならざるを得ない。このように、川下から川上まで負の連鎖といったものが起こることを私は危惧しております。

 早く景気が回復してこういった状況が解消されればいいんですが、そうならずに、恒常的に多額の交付金が発動される事態が続いたとしますと、もしかしたらこの制度を悪用するような悪いやからが出てくるんじゃないかということも、杞憂かもしれませんが、私は考えております。

 例えば、資本力があって多くの繁殖牛や肥育牛を有する大規模農家が、できる限り生産コストを抑えて、いいえさも使わないで、よい牛をつくるという本来の畜産家の目的を放棄して、そういう人も、多額の交付金がこういったところにばかり集中して大きな利益を得るというような事態が生じないとも限りません。こういったことが起これば、これはまさにモラルハザードでございまして、許されることではありません。

遠藤委員長 政務官、簡潔にお願いします。

江藤大臣政務官 わかりました。それでは、途中は省きます。

 とにかく、生産農家は子牛を自分の子供のように育てるじゃないですか。それがやはり競り場で適正な価格で評価され、いい牛になる、それに生きがいを感じてみんな頑張っているわけでありますよ。この制度に移行しますとそういった生きがいというものが奪われてしまわれるんではないか、そういったことを私は心配しているところでございます。

小里委員 ありがとうございました。貴重な御答弁でございました。また、多くの問題点を御指摘いただきました。それも踏まえてまた質問でございます。

 生産数量目標のお話もございました。米に加えて、さらにこれを強化して、すべての対象品目に広げるということでございます。これの割り振りから最後の仕上げまで、大変な労力を要するし、コストを要する、大変な組織体制の構築も必要であります。一体どのぐらいかかるのか、お伺いしたいところでもございます。

 いずれにしましても、不可能な生産数量目標設定の制度であると我々は認識をしております。改めて積算をしていただいて、次回お答えをいただきたいと思います。今回ちょっと時間がありませんので、飛ばしてまいります。

 直接払いの本質についてお伺いをしたいと存じます。

 民主党の説明では、補助金をなくして直払いに一元化するとなっております。こうなりますと、例えば、基盤整備や用水路の整備を個々の農業者がみずからの経営判断とコストで行わなければならなくなるわけであります。これらの事業は、農作業の効率化や農地の面的集積、地域で有機的につながっている用水路や農道の機能的な配置を図るものであります。その重要性にかんがみて、国や公共団体も手厚い助成を行っているわけであります。地域全体で実施をしてこそ効果があり、個々の農家のみで行い得るものではありません。これらの支援や指導がなくなれば、基盤整備や用水路の整備が滞り、農業生産のみならず、農村の生活環境の悪化にもつながりかねないわけでございます。

 本来、民主党政策の問題点の最も本質的なところは、直払い以外の政策の用意がほとんどない、あるべき農業、農村のビジョンも、そこに行くための体系立った政策もないということであります。

 私たちも直払いの必要性は認識をしておりますし、現行でも行っております。WTO通報によりますと、二〇〇六年時点で日本の直接支払い額は約七千億円となっております。さらに、農業者への直接的な支払い、すなわち、農業者の所得や資産の形成、負債の軽減に直接的に資すると考えられる支援策で、平成二十一年度で見た場合に一兆四千億円に及んでおるわけでございます。さらに我々は必要に応じてしっかりここをやっていきたい、そんなふうに思っております。

 ただ、問題は、直払いだけではだめなんですね。民主党案のように、ビジョンも哲学もない、ただ無原則にお金だけ配っても農業の実力が上がるわけではありません。担い手が育成されるわけでもありません。コストを下げて所得を上げよう、そういった動きが出てくるわけでもありません。

 政策には政策目的というものがある。あるべき農業、農村の姿を見据えて、総合的な施策のパッケージでもって農村の活性化を図り、効率化を図り、担い手を育成していかないとならないわけであります。直払いに偏った施策では、農家がばらばらになり、右往左往することになりかねないわけでありまして、どんなふうにお考えでしょうか、民主党にお伺いをします。

筒井議員 何か民主党の政策を誤解されているんじゃないかと思うんですが、私たちは、農家の所得を補償する、この点で所得補償制度を導入しようとしている。圃場整備とか何か必要なものは全部やめて、農家、個別のところに配分するなんて、一言も言ってないですよ。その点は完全な曲解だと言っても間違いないだろうというふうに思います。

 それと、先ほどから批判されていて反論ができないんですが、各農家がコスト削減の努力をしていてもいなくても同じようなメリットを受けて、努力をしない方が有利だみたいな発言が政務官からか質問者からかありましたが、この所得補償制度の仕組みを理解していただきたいんですよね。全国平均で生産費と販売価格との差額を補てんするんです。全国平均で補てんするんです。だから、各農家においてコスト削減の努力をしていれば、その分は利益として向上するんですよ。それから、販売価格を高く売る努力をしていれば、その分はもうけとしてプラスされるんですよ。そういう販売価格の向上とか、あるいはコスト削減のインセンティブが働くように仕組まれているんです。

 それからもう一点、先ほど、所得の補償といいながら生産費さえ補償しないみたいなことも言っておりましたが、これも、勉強不足と言ったら失礼ですが、民主党の所得補償をきちんと検討されていないことですよ。

 生産費と販売価格との差額を支給しますから、生産費を原則支給するわけですよ。生産費の中には家族労働費が入っているわけですよ。家族労働費は農家にとっての所得になるわけですよ。だから、所得補償と言って全然間違いじゃないわけですよ。

 それで、その上に、今一兆円という予算を組んでいますからその範囲ですが、できたらその家族労働報酬を、今は主食米に関して特に八割という補てんを考えておりますが、本当は十割にして、さらには利益部分までプラスしたいんですよ。あるいは自己が保有している土地の地代とか自己資本利子とか、それも補償したいわけですよ。だけれども、一兆円という予算の中ではその範囲でやっているということですから、その点、きちんと理解をしていただきたいと思います。

小里委員 わかりました。ありがとうございました。生産費をちゃんと補償しているというお話でございました。

 昨年の議論の中で、発議者の試算値、米については少なくとも生産費すら補償するものとなっていないわけでありまして、これは改めて御確認をいただきたいと思いますし、また、他の品目につきましても、具体的な補てん単価というのは出てきていないんですね。当然でありまして、一兆円とか一兆四千億円とか、それとつじつまを合わせようとすると当然出せないわけであります。そこはぜひ、そうおっしゃるんだったら実際の具体的な単価を出していただきたい、そんなふうに思います。

 また、補助金をやめて一元化するということは、この前も、筒井さんでしたか、おっしゃっていました。また、過去から、農業土木を廃止すると、あたかも公共事業を悪の権化みたいにビラ等でも激しくたたいてこられたのは民主党でありまして、補助金行政を廃止する、この姿勢というものはやはり昔から民主党の根底にある、そんなふうに私は思っているわけでございます。

 先日、地元の集落を歩いておりましたら、ある水田地帯で高齢者の皆さんが七、八人で用水路の改修作業をしておられました。そこにおりていきましたところ、長老格の人がおっしゃった。若いやる気のある担い手がいたら、ここから見えるだけの水田をその人一人にやってもらうぐらいがいいんだけれどもとおっしゃいました。まさに農業の抱える問題の縮図がそこにあるわけでありまして、担い手がいないから高齢者の皆さんが一生懸命農地を守っておられる、そんな姿がそこにあったわけでございます。

 こういったところにお金をただばらまくというだけでは当然だめであります。まず、地域総参加で農地や水環境などを守り農村を活性化させるための地域政策や効率的な経営を促進するための基盤整備事業、そして農地を意欲ある担い手に集積するための補助金や税制面での支援措置も必要であります。あるいは、効率的な経営主体として、また若い担い手の受け皿としての集落営農も必要でありまして、そして何より確固たる国境措置が必要であることは言うまでもないわけでございます。

 いわゆる総合農政でもって農村の活性化を図り、効率化を図り、その中から足腰の強い経営主体を育成し、そしてまた若者が飛び込んでいこうと思える農村環境、農業環境をつくっていく、これが政治の責任である、そんなふうに思うわけであります。

 民主党案は、ちゃんとした処方せんも準備せずに、高齢農家や小規模農家をひとりぼっちにするものであります。ただ幾ばくかのお金を渡して、あとは一人で長らえろ、そんなふうに言っているにすぎない、私にはそう思えてならないわけであります。

 積算根拠、財源につきましては、先ほど申し上げたように、次回、しっかりした数値を示していただきたいと思います。

 さらに、民主党ビラについて指摘をさせていただきます。

 昨年の十一月ころから出回っていると思われますが、このビラの中で、さっき申し上げたように、貿易完全自由化を思わせる記述がございます。しかも、直払いの対象にしていない野菜、果実までこの中に入れ込んでおるんですね。そしてまた、減反をやめるとはっきり書いてあります。生産調整だか生産数量目標だか、しっかり続けられるという中身になっておるのに矛盾をするわけであります。また、日本の食堂に行きますと、農薬入りギョーザとかBSE入り牛丼とか、こんなものばかり食わされる、こんな記述でございまして、非常にえげつない。いたずらに国民の不安をかき立てる、そんな内容になっておるわけでございます。

 あるいは直払い。相変わらず日本は千九百億ぐらいしかやっていないというような表現でございまして、これも先ほど申し上げたように間違いでございます。

 あるいは、日本の農政が大規模農家しか対象としないという記述でございまして、今の日本の制度で、経営規模で差別をしている法案、制度はほとんどないということを改めて申し上げておきたいと思います。

 非常に悪意に満ちた品のないビラになっておる、こういうものはもうやめていただきたいな、そんなふうに思っているわけでございます。

 もう時間がございません、急ぎます。

 以上、民主党案につきまして限られた時間の中でお伺いをしてまいりましたが、特に戸別所得補償部分について前回までの審議で浮き彫りになった多くの問題点、矛盾点についてはまだまだ改善が見られないと私は思っております。

 担い手不足、高齢化、貿易自由化の高まる外圧の中で、歴史的正念場にある日本の農業、農村であります。もとより農業、農村は、国民の皆様に安心、安全な食料を提供する、そして豊かな日本の自然を守り、国土を守り、かけがえのない歴史、伝統文化を守り担ってきたのが農業、農村であります。この大事な農業、農村をしっかりと未来へつないでいく、これは政治の大きな責任であるということは言うまでもないわけであります。

 そのためには、農業の将来のあるべき姿を見据えて、まずは地域総参加で農村の活性化を図り、農地や農村環境を守っていこう、その中から担い手を育成して効率的、安定的な農業経営を確立していこうと、将来への確かなビジョンと道筋を示す必要があるわけでございます。

 残念ながら、民主党の提案は、ただ交付金を出すというだけで、あるべき農業構造についてのビジョンも、そこに行くための道筋も政策も欠けていると言わざるを得ません。すなわち、民主党案では、現状の脆弱な農業構造がそのままとなり、農業、農村の展望を開くことはできないと思うわけでありますが、いかがでありましょうか。ここまでの議論を踏まえて、大臣にお伺いいたします。

石破国務大臣 所信でも申し上げましたが、政策選択の幅はまじめに考えれば物すごく狭いのだと思っております。そういう観点から、委員の御質問を非常に感銘深く拝聴いたしておりました。

 要は実効性があるかどうかの問題で、米のみならず主要農産物で生産目標を定める。その消費の動向がどうなるのか、どのように消費がされるのか、では来年日本人はどれだけ牛肉を食べるのか、どれだけ豚肉を食べるのか。そういうものをどのようにして算出をし、仮に算出したとしましょう、それをどうやって四十七都道府県に分配し、どうやって地域に分配し、どうやって個々の農家に分配をするのか、その事務はだれが行うのか。米の生産調整だって、こんなに現場が苦労しているわけですよ。すべての生産品目、主要品目に、どうやって決める、どうやって配分する、その事務はだれがやる、そしてそこの差額はどのように計算して、どのようにそれが補てんされるのか。実際にそれができるのかできないのかというお話です。今でもこんなに現場が苦労している。それをこれだけ拡大することは本当に可能か。

 そして、所得補償なのかそうではないのか。販売農家といいますが、いろいろな販売農家があるわけです。専業農家から始まって、二種兼業農家でも販売農家というのはたくさんありますね。そこの所得というものを一体どのように把握するのか。委員がおっしゃいますように、実際にどれだけ付加価値を上げ、コストを下げ、所得をふやしていくかということについて、さらなる議論が必要だと思っています。

 私は、政策というのは、実現可能性のないものは政策と言わない。実現可能なための道筋というものを、だれがどのような事務を行ってどのように実現するか、それをパッケージに示して政策だというふうに私は考えておる次第でございます。

 この委員会においてさらなる議論が行われることを政府としては期待しておるところでございます。

 以上であります。

小里委員 ありがとうございました。ぜひまた今後とも御指導いただきたい、頑張っていただきたいと思います。

 本日は、特定農産加工法についてもあわせての審議でございます。本法は、農産加工業が関税引き下げ等による安価な輸入加工品の増加など経営環境が厳しい状況に置かれている中で、農産加工業を支援し、経営の改善を促進するとともに、国内農業の健全な発展に資することを目的としております。

 この法律は平成元年に制定されてから二十年がたっておりますが、農産加工品の輸入量の増加が続いているなど、引き続き農産加工業は厳しい環境に置かれております。平成元年の制定以降、本法律がどの程度の効果があったのかお伺いをしたいし、また、今後積極的に進めていただきたい食品製造業における国産農産物の利用を促進することが、国内産業の発展を図るためには極めて重要であると考えております。政府の見解をお伺いいたします。

町田政府参考人 特定農産加工法でございますが、御指摘をいただきましたように、カンショでん粉製造業といった、関税の引き下げによりまして経営環境が悪化する農産加工業者を対象といたしまして、経営の改善を促進するために金融、税制上の支援措置を講じてきているものでございます。平成元年に制定をされまして、これまで多くの事業者の方が本法に基づきます低利融資、また機械、装置の特別償却などの税制特例、こういったものを活用して経営改善に取り組んできていただいたところでございます。

 具体的な数値は省かせていただきますが、この結果、融資先企業におきましては、売上高利益率の向上といった収益の改善が見られているほか、地域農産物の取引量の増加、新たな雇用の創出などが図られております。

 特定農産加工法は、地域農業の振興、また地域経済の活性化に寄与していると考えております。今後とも、本法を活用いたしまして、事業者の経営改善、体質強化、また、御指摘をいただきました国産農産物の利用促進、そういったことを図ってまいりたいと考えております。

小里委員 ありがとうございました。

 以上で終わりますが、本日用意をした質問の半分も消化できませんでした。民主党にとりましても私にとりましても、お互い消化不良であったろうと思います。ぜひ次回、何らかの機会を与えていただきたい、そんなふうにお願いしまして、質問を閉じたいと思います。

 ありがとうございました。

遠藤委員長 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 初めに、特定農産加工法の対象についてお伺いしたいと思います。

 この法律では、特定農産物の対象が限定されている。もともとの法律の制定がそういうことを基準にしているわけでございますが、その経緯はわかった上ではございますが、対象を限定する必要はないのではないかという気持ちを持っております。農林水産物の加工品全般を対象にして、支援策ももっと充実した内容の法律にすべきではないかというふうに思いますが、見解を述べていただきたいと思います。

町田政府参考人 お答え申し上げます。

 特定農産加工法でございますが、関税の引き下げ等により経営環境が悪化いたします農産加工業者を対象に、経営改善の促進を図るため、金融、税制上の支援措置を講じているということでございます。輸入に係る事情の変化というのが制度制定の趣旨でございます。

 今の食品産業をめぐる情勢を見ますと、近年、国民の健康志向、食品の安全性、信頼性に対する関心が高まる中で、少子高齢化などによりまして国内需要が伸び悩む一方、海外からの加工食品の輸入が増加傾向で推移しているということで、私どもも、御指摘いただいたとおり、食品産業全体の振興を図っていくことが重要だというふうに考えているところでございます。

 このため、特定農産加工法に基づく支援に加えまして、食品産業全体を対象といたしまして、農商工連携法の枠組みを活用いたしました食品産業と農林水産業の連携によります新たな需要の拡大、また経営改善の促進、さらにはHACCP手法の導入促進、コンプライアンス体制の整備といった食品の安全、信頼の確保、また加工用需要に対応いたしました国産農産物の生産体制の強化や輸出促進、そういった支援を行っているところでございます。

 このような金融、税制、予算など各般の施策を総合的に実施いたしまして、食品産業全体の経営の体質強化を総合的に図ってまいりたいと考えております。

西委員 農商工連携とかいろいろな形で、加工食品の振興というのは今後大変大事になってくると思いますので、その点、充実した政策展開をお願いしたいと思います。

 続いて、先日、中国産の野菜の輸入量が再びふえ始めている、こういう報道がございました。これは加工、業務用の野菜の輸入がふえているということかどうか、その内容について御説明いただきたいと思います。

本川政府参考人 お答え申し上げます。

 野菜の輸入量につきましては、平成十八年の九月以降三十一カ月連続、対前年同月比で減少してきたわけでございますけれども、本年四月につきましては、対前年同月比で〇・三%の増加となっております。その中でも、中国からの野菜の輸入でございますが、平成十八年九月以降おおむね減少傾向で推移してまいりましたが、本年三月及び四月について、対前年同月比でそれぞれ七%、二二%と増加する傾向が見られております。

 輸入業者等から聞き取ったところによりますと、やはり外食産業などの低価格志向によりまして業務用野菜を輸入により調達する動きが強まっている、こういったことが理由に挙げられているところでございます。

西委員 わかりました。

 国内の加工、業務用野菜の生産販売対策を補正予算でも講じております。そのことについての概要を示していただきたいということと、それから、日本で生産される農産物は、価格の高い生鮮野菜とは異なり、加工、業務用野菜のように需要はあるがまだ十分に対応できていないという部分もあるんではないか、こう思います。個々の農家は、当然売り上げが高い農産物、米、生鮮野菜などの生産に取り組んで、市場のすべての需要つまり加工用とかそういうものに対応しようという意識がまだないために、ミクロとマクロの間にギャップが生じている、こういう実態だと思います。

 こうしたギャップをどう埋めていくかというのが今後の課題だというふうに思っておりまして、個々の農家で対応するのは大変難しいということから、農産物の販売会社を設立して、生鮮もしくは加工の野菜を販売していく、こういう取り組みが必要であろう、できたものすべてにわたって有効に利用していくという意味でも大変重要な側面だと思っております。

 このような農業販売会社または農業事業会社というものを設立し、またそれを促進していくことについて、先ほどもありました農商工連携というこれからの一つの重要な方向性もございますし、ぜひ農林水産大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 二十一年度当初予算で五十六億、補正予算で十億計上いたしておりますが、この中身はまさしく委員がおっしゃったことを具現化したものでございます。

 つまり、生産者にしてみれば、さてさて形の悪い野菜というのは引き取ってくれないな、あるいは余って困っちゃうなと。しかしながら、加工業者が国産野菜を欲しいという話も聞くんだが、一体どこに行ったら売れるのかねということがわからない。加工業者もだれがそういうものをつくってくれているのかわからない。ここにミスマッチがございますので、ここのところをマッチングさせるための施策を講ずるということが一つございます。

 もう一つは、実際にそれに取り組むに当たってもいろいろな悩みが出るわけでありまして、取引先が見つかったはいいんですが、取引価格が安いからコストを下げなきゃいかぬ。

 コストを下げるために何ができるか。段ボールではなくて通い容器、コンテナを使えば下がります。そういうものに対して支援をいたします。仮に通い容器を導入して、リース料が二十万円かかれば二十万円は支援をするということでございます。

 では、収量も上げなきゃいかぬねということがございまして、品種導入試験の実施に当たっては、種子代、資材費に仮に十万円かかれば十万円を支援するというものでございます。

 あるいは、選別やカットの注文にもこたえなきゃいけないねということでありまして、選別、カット施設の整備費に仮に四億円かかったとするならば二分の一の二億円を国として支援するということでございます。

 そういうものをすごろく形式にいたしまして、最初は困ったな、どうしようかなというところから始まって、ではこうやってコストを下げよう、こうやって施設をつくろう、こうやってさらに技術を向上しよう。付加価値を上げ、コストを下げ、最終的に生産農家も加工用野菜が売れるようになったね、そしてまた、消費者も国産のそういうものが食べられるようになったねと。

 最初から最後まで、口で言うのは簡単なんですけれども、どうやってマッチングをさせるか、あるいはどんな支援があるかというのを実は個々の農家は御存じないということでございますので、これは農水省を挙げまして、それぞれの生産現場の方あるいは加工に携わられる方に、今回の当初予算、補正予算がいかに意味のあるものか、いかに生産者の手取りの向上に資するものか、そして安心、安全な野菜を提供するに値するものかということをよく周知してまいりたいと考えております。

西委員 農商工連携は、まさしく農、生産者から食品加工、流通、それから国民の手元に届くまで、一連の流れが一つでも途切れれば流れとしてうまくいかないということでございます。一方では、農産物は必ず予定どおり同じ時期にとれる保証もないという不安定な面も抱えているわけでございます。

 しかし、農家にとって多様な出荷の選択肢をつくるということは大変重要なことで、同時に、いろいろなレベルの品質のもの、また形のものを有効に利用していくということはこれからの農業に大変重要なことだと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いを申し上げます。

 次は、エコポイントの活用について御質問申し上げたいと思います。

 私は、これからの農業所得の向上を図るためには販売対策が重要であるというふうに考えまして、いろいろこれまでも提案してまいりました。例えば、直売所は食農ビジネスの拠点となり、販売対策としても直売所システムと呼んでいいものが形成されてきております。政府の方も十分対応していただいていると思っております。

 今回の補正予算で都市部でも直売所が整備できる、こういうところに踏み込んでいただいております。一つは、その概要を示していただきたいこと。

 次に、きょうは別の販売対策として、今回エコポイントの活用ということを提案したいと思います。

 農林水産省では、国産食料品等ポイント活動モデル実証事業を行うというふうに今準備をしておられます。これは、国産品ということで、もちろん輸送費も安くなるという種々の観点から考えて国産品にポイントを与えようという考え方だと思うんですが、これをエコポイントという形で活用すべきである、こう思っております。事実、エコポイントという考え方は国民の皆さんにも今十分広がりつつありますし、名前そのものが一つの価値を持っている、そういう時期でもあるというふうに思っております。

 また別に先ほど申し上げたようなポイント制度をつくるとしても、エコポイントとの互換性も確保すべきであろう、こういうふうに思いますが、この点についてのお考えをお伺いしたいと思います。

石田(祝)副大臣 お答え申し上げたいと思います。二点質問がありましたので、それぞれについて順次お答え申し上げたいと思います。

 まず、都市部の直売所の件で御質問いただきましたが、直売所は少量でも販売ができるために、高齢者や小規模の農家などに販売や所得の機会を創出できる。もう一つは、生産者が自分で値段をつけ、そして消費者に直接販売することができるため消費者ニーズを踏まえた生産が展開できる、こういう点があるわけであります。

 こうした中で、今回の補正予算では、こうした直売所が比較的少なく、消費者のニーズの高い大都市に着目して、直売所の取り組みを強化する観点から、産地やその周辺だけでなく産地から離れた大都市等でも農産物直売所の整備に対する支援をできることといたしました。また、量販店などでのインショップの開設、そして、大都市の公園などにおいてテント等の仮設設備で消費者に直接販売を行ういわゆるマルシェの展開についても支援をすることにいたしました。

 ここで一つ申し上げたいのは、私も現場をずっと回っておりまして、農業もそして水産業も、生産者が直接自分で値段をつけられないということが一番大きな問題ではないのか。これはいろいろなお声も聞いておりまして、そういう意味で直売所、自分で値段をつけて自分で販売をしていくということで、これから大変伸びてもらいたい分野ではないか、こういうふうに私は思っております。

 続きまして、エコポイントについてお話がございましたが、本年度から国産食料品等ポイント活動モデル実証事業を始めることといたしまして、初年度は八千万円の予算であります。国産食料品等の購入にポイントを付与し、地域の特産農産物等と交換できる仕組みを実証することによりまして、国産農産物の消費拡大、食料自給率の向上に資することを目的として、今年度より取り組みを始めることといたしました。

 一方、エコポイントにつきましては、本年度の補正予算で措置された省エネ家電の普及対策として、省エネ効果の高いエアコン、冷蔵庫等の家電の購入にポイントを付与し、商品券や地域産品等と交換するものと承知をいたしております。

 このように、両事業は趣旨、目的は異なるものの、国産農産物の消費が拡大されれば、食料の輸送距離を縮め、輸送に伴うCO2排出等の環境負荷の低減に寄与するものと考えております。いわゆるフードマイレージが下がる、こういう利点もあるわけであります。このため、本事業の実施に当たりましては、委員の御指摘も踏まえ、取り組みの趣旨に合致する範囲内でどのような連携が可能か、検討してまいりたいと考えております。

 以上です。

西委員 農産物の生産並びに流通も、十分エコとしての考え方があると思います。物をただつくるというだけじゃなしに、省エネの農産物の生産それから流通、そういうものをエコという形でうまく使っていけば十分に農産物もエコポイントの対象になっていく、こういうふうに思いますので、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。

 次に、お米のことについて、ちょっと変わった提案ですが、してみたいと思います。

 現在、中東諸国を中心に、国外にある農地や農業へ投資する動きが始まっております。特にサウジアラビアは、自国内で農業用水を確保することが困難ということで、二〇〇八年一月に小麦の生産を中止することを決定して農業投資交渉を加速している。つまり、よそで投資をして小麦を手に入れようということです。

 一方で、世界的に食料需給の逼迫が予想されておりまして、各国にとって食料の安定的な確保は大変重要な課題となってきております。そのため、各国は、安定的に食料を確保するということで、農業投資、それから輸入先の多元化、一カ所だけではなしにたくさんのところからバランスよく輸入しよう、こんなことも考えているというふうに言われております。特に、昨年、インド、ベトナム、中国などが米の輸出規制を実施した、こういうことを受けて、輸入先の多元化は重要な選択肢の一つになっている、こう思っております。

 日本は、マーケット調査を実施するとともに、中東諸国など長粒米を消費する国々に対して、遊んでいる水田を利用して受注生産を請け負うというような取り組みを検討してみてはどうか。

 今までは、小麦とか大豆とかこういうものをどうして輸入してくるか、もちろん自給率が低いですから当然のことですが、そういう考えが主流でありましたけれども、逆につくっていない水田が余っている、これをいかにして有効に活用して、いわゆる水田フル活用の一環として、価格が若干高くても安全な米という形で日本からの輸入を考える国々があるのではないか。その努力をすべきじゃないか。それは長粒種という形で、世界の大きなマーケットが長粒種ですから、そういうことも考慮に入れていったらいいのではないか、こういう趣旨から質問をいたしました。

 よろしくお願いいたします。

町田政府参考人 米の輸出戦略についてのお尋ねでございます。

 これまで米の輸出拡大を考えるに当たりましては、我が国で生産する米のほとんどが短粒種であって、またこれが食味等の点で優位にあるということから、短粒種または中粒種の消費国、具体的には台湾、香港、中国といったアジア諸国を中心にマーケット調査を行いまして、それを踏まえて輸出促進を図ってきたところでございます。

 御指摘をいただきましたとおり、世界の食料需給の変化の中で、中東諸国など長粒種の消費国においても輸入の多元化を図るということも考えられるわけでございます。今後は、こうした国々についても順次マーケット調査を行うことを検討したいと考えております。

 この調査結果を踏まえて、これらの国々への米の輸出の可能性を探ってまいりたいと考えております。

西委員 ありがとうございます。積極的に可能性を探っていただきたいと思います。

 民主党の法案も準備しておりましたが、ちょっと時間が押してまいりました。まあ、最後にちょっと農業投資の関連のことでお聞きしたいと思います。

 最近の穀物市況急騰、それから中国、インドなど新興国の食料消費の拡大を受けて、我が国においても、食料の安定供給に向けて、民間企業の海外での農地取得や穀物倉庫、集荷施設の整備、農業関係投資を支援する必要があるというふうに思います。省内でも検討をされているようにお聞きをしております。

 しかしながら、大手商社などにとって農業投資は、一つはカントリーリスク、それから生産管理のリスク、さらには天候リスクなどさまざまなリスクを伴ってまいります。例えば日本貿易保険は海外投資保険を提供しておりますけれども、農業特有の問題である自然災害や虫や鳥獣によるリスクに対応していない、こういうことでございます。こうした海外投資保険の見直しを初め、農業投資に関する戦略を検討し、環境を早急に整備する必要があるのではないかと考えております。

 農水省は外務省とともに、食料安全保障のための海外投資促進に関する会議を設置して取り組み始めたようですが、そのことについてもあわせて御説明をお願いしたいと思います。

實重政府参考人 お答え申し上げます。

 世界の食料需給が長期的に逼迫基調にある中で食料を安定的に国民に供給するためには、国内生産力の強化を図ることを基本としながら、御指摘のとおり、必要な輸入についてはその安定を確保するための方策が必要と考えております。その中で、我が国から海外に対して農業投資を促進するということが施策として必要になってきているものと認識しております。

 このため、本年四月に、農林水産省と外務省は共同で会議を立ち上げました。これは関係省庁、機関から成る食料安全保障のための海外投資促進に関する会議でございます。この関係機関が一体となりまして、海外民間投資を支援するための検討を行っているところでございます。

 この会議におきましては、本年夏を目途に海外農業投資戦略を取りまとめたいと思っておりまして、海外投資を戦略的に促進する対象となる農産物あるいは地域を選定していきたいと思っております。

 また、民間企業による海外投資を支援するために、御指摘ございましたような各般の施策につきまして、情報提供やODAとの連携などを含みます幅広い方策につきまして、関係省庁、関係機関とともに検討してまいりたいと考えております。

西委員 民主党法案について一点だけお伺いしたいと思います。

 先ほど小里委員からも話がありましたけれども、私も同様の考えを持っておりまして、それは何かといいますと、この法案の位置づけでございます。

 この形式については、民主党の農山漁村六次産業化ビジョンの中では、まず理念をうたっております基本法と、具体的な権利義務を規定する実施法との中間的な位置づけというふうに今回のこの法案は位置づけられていると説明をされております。基本法でもなく実施法でもなく、またプログラム法というような感じの時系列的な内容の法案でも必ずしもない、こういうふうに考えますと、この法案そのものが持つ意味というのは一体どうなのかな。余り実質的な意味を持たないのではないか。

 例えば、個別の政策にいたしましても、米一つとりましても、先ほど大臣からお話ありましたように、大変、日本国内でさまざまな形の営農が行われている。そんな中で、中間的な形で縛ったものが六次という、それぞれの産業、一次産業を束ねているわけですが、そういうものが本当に現場の農業者に十分適用できるものなのかどうか。それだったら、基本的なことは基本法に任せ、個別的なことは個別法に任せという方が、中間的な制約条件をつけるということの意味が本当にあるのかということが、幾つかまだ質問もあるんですが、もう時間がございませんので、この一点だけお伺いしたいと思います。

筒井議員 農業を初めとした一次産業全体についての、まさに規範性のあるガイドラインを出して、一貫した農政の哲学、思想に基づいて、こういうふうにこれからの農業をつくっていくんだ、そういう将来展望も含めて示しているわけでございまして、これが絶対に必要である。

 今、与党の農政はそれがないんですよ。思想、哲学がないんですよ。だから猫の目農政と言われて、その都度変わって、農家を物すごく混乱させている。それで補助金行政ですから。しかも、その補助金も、一貫した思想に基づいていないで、一年限り、二年限り、三年限りのものがあったりして、これでは農家にも理解しがたいし、また一般国民にも理解しがたい、こういう状態だからだめなんですよ。

 まさにこういう、今度出しました一次産業全体に対する一貫した体系的な、将来展望を持った制度、仕組みをつくるという法案に基づいて、具体的な個別の実施法をつくっていく。これが補助金行政から所得補償政策へという私たちのスローガンの一つの側面であって、こうすることで農家が将来展望も持てるし、どんなに金をもらったって一年限り、二年限りじゃ持てませんから。それから都市の消費者も、そういう思想に基づいてこうやるんだなということがわかるわけで、国民の理解が得られる。

 だから、まさにこの点が、与党からは理解されないかもしれませんが、与党にそれが足らないところが今の農政の欠陥なわけですよ。だから、これが極めて重要であるということをぜひ御理解いただきたいと思います。

西委員 今御説明がありましたけれども、まさしく硬直化したそういう縛りのもとに、それぞれの農、林、水が動いていくということについては、詳細な議論にはまだ入っておりませんけれども、これはかなり疑義があるということを私は申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

遠藤委員長 次に、高井美穂君。

高井委員 民主党の高井美穂です。

 本日は、特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案と、民主党提出の農林漁業及び農山漁村の再生のための改革に関する法律案ということで、二法がかかっておりますが、政府提出の方は同僚議員の石川議員が質問されると思います。石川議員は我が法案の提出者でもありますので、私は主にこの民主党提出の農林漁業及び農山漁村の再生のための法案、再生法案の方に質問を集中させていただきたいと思っています。

 まず冒頭、本日、大臣におかれましてはお身内に御不幸もあったということで大変お気落としのことと存じますけれども、大変お時間をいただきまして、貴重な時間でございますので、感謝を申し上げたいと思っております。心からお悔やみを申し上げます。

 法律案の方に移りたいと思いますけれども、先ほど来質疑を伺っておりまして、与党の先生方の中に、我が法案に対する大変な誤解というか理解不足が多くあるなと。これは国民の皆様にも与党の先生方にもわかっていただくためにも、時間をたっぷりとって質疑を深めていかなくてはならないというふうに改めて感じたところであります。

 まず冒頭、民主党案は、民主党として、農林漁業政策全般を網羅する、基本法とも言えるし理念法とも言えるしプログラム法とも言える、まずあらゆる基本的な方針を包括した法案であって、今までの失政によって失われた農山漁村を再生し、成熟国家日本における最も大事な産業として農林水産業を六次産業として位置づけるという大変画期的な法案だと私は思っております。

 国民の安心、安全な衣食住をつくり出すというさまざまな施策に加えて、国家の安全保障政策としての自給率向上にも資する、また中山間地区の多面的機能というものを重視して、雇用や生活を守り、ひいては文化や伝統芸能を守るということにも資する、大変価値ある提案が含まれていると思っております。

 提案者にお伺いをいたしますが、現在の農林漁業政策にどういう疑問を持ってこの法案をつくられ、そして農山漁村にどういう思いをいたし本法案をつくるに至ったか、まずその基本的理念を教えていただきたいと思います。

筒井議員 まさに先ほども申し上げましたが、今の農政が猫の目農政という評価を受けて、そして補助金行政でわけがわからない。何百項目もの補助金をつくったり消したりして、しかもそのつくった補助金が一年限り、二年限り、三年限りのもので、農家にとってみても将来展望がそこからは何も出てこないと同時に、都会の消費者から見たってなかなか理解できない。なかなか理解できないけれども、補助金の項目の数だけは物すごくあるものですから、何か農業は補助金漬けになっているというふうな大きな誤り、大きな誤解が生じている、こういう状況だろうというふうに思っています。

 そして、それらの農政の結果、今まさに農業は危機的な状況にある。後継者が出てこない、高齢化している。何で後継者が出てこないのか。それは当たり前だと思うんです。農業では食えないからですよ。食えないところに若い人たちが入ってきてくれるはずがないし、またおやじさんたちも自分の子供たちに農業でちゃんと後を継いでくれというふうに強く言うことができないという状況でございました。

 やはりこういう状況を変えていかなければいけない、将来展望が持てるような仕組みに変えていかなければいけないという思いから今度の法案をまとめたわけでございまして、その柱は大きく言って四つございます。

 一つは、先ほども申し上げました自給率の向上でございます。これも、与党の農政に任せていたら、もう先進国中最低水準にまで自給率が落ち込んでしまった。これを何とか上げていきたいというのが一本目でございます。

 それから、今申し上げた、食えない農業では後継者が出てくるはずがない、最低限の所得保障をする。最低限の所得保障をすることと各農家の自己努力を要請すること、この二本柱が同時になければ農業の再生ができないわけでございますから、所得補償、直接支払い制度を導入する。

 そして三つ目が食の安全。これも今国民の関心の的でございますが、いろいろな問題、農水省の事故米問題を含めていろいろな不安感を国民に生じさせている。トレーサビリティーとかHACCP、GAP、これらの義務化を図っていく。そして、食品安全委員会の機能の強化、それから、今厚生労働省と農水省に分かれている、縦割り行政になっている食の安全のリスク管理機構を一元化する。これが三本目の柱でございます。

 それで、四本目の柱が今高井先生が言われました六次産業化路線でございます。一次産業者が二次産業にも取り組み三次産業にも取り組むことによって、しかもそれを個人的だけではなくて面的にも取り組むことによって、農家それから集落の再生を図っていく。もちろん農商工連携という側面もあるわけですが、中心はやはり、一次産業者が二次産業、三次産業に取り組むことによってその再生を図っていく。

 こういう方向性を四つの柱として出しているところでございます。

高井委員 ありがとうございます。

 再生をする、改革を行うということにおいて、やはり基本的な理念をきちんとこうした形で法案としてまとめるというのは大変大事なことだと思っております。ここから敷衍してさまざまな個別の政策に踏み込んで充実を図っていくということがやはり必要であると思っていまして、この立法趣旨を大変明確に今答弁いただいたというふうに思っています。

 そして、米政策について、具体的に幾つかの法案の中身に移りたいと思うんですけれども、まずこれは政府の方にお伺いをいたします。

 この間言われております、日本の主食の米が大変な危機的状況にある。米価は年々下落傾向でありますし、その要因をどのように分析しておられるのか、参考人で結構でございます、御答弁をお願いします。

町田政府参考人 米の価格でございますが、基本的には、各年の作付面積また作況などによる米の需給状況に影響を受けて形成されるというふうに考えております。

 このため、不作の年は前年の価格を上回るといったことも見られるわけでございますが、基本的に、近年、米の消費が減少して生産調整を必要とする供給過剰の状況にあるということ、特に十六年産から十九年産にかけましては、過剰作付面積また過剰作付県が増加いたしました。こういったことから、価格は十六年産から十九年産にかけて低下してきているところでございます。

 また、米の流通実態という点から見ますと、消費者が家庭用に精米を購入する量と外食、中食業者から御飯として購入する量がほぼ同程度というふうに流通実態も変わってきております。低価格のお米を求める外食、中食業者の声が価格に影響を与えるようになってきているのではないかと考えております。

 さらに最近は、景気の低迷によりまして、一般消費者も低価格の米を求める傾向がございます。このほか、米の流通業者の数が多くて過当競争に陥りがちな構造といったことも米の価格形成に影響を及ぼしているのではないかと考えております。

高井委員 民主党提案者の方も、先ほど町田局長から御答弁があったわけですけれども、米価の低下の原因は何か分析をしておられますか。

佐々木(隆)議員 民主党としての米の下落傾向の分析ということでありますので、私の方からお答えさせていただきます。

 今局長の方から答弁があったこと、現実はそれとそう大きな変わりはないわけでありますが、米だけが唯一生産が過剰状況にあるわけでありまして、そういった中で、価格の決定権というのがどうしても、米だけではありませんけれども、今お話がありましたように川下側の方の意見に左右されてしまう、いわゆる販売、流通などというところの大規模の量販店などによって左右されてしまう傾向があるということについては、そのとおりだというふうに思います。

 ただ、単純な需給関係だけで結論づけていくというのは大変危険であるし、これからの価格決定の中では考えていかなければならないことだというふうに思っております。加えて、景気が低迷している、所得が伸び悩むという状況の中では、ましてそのことにもっと意を用いていかなければならないというふうに思っているところであります。さらにまた、今もお話がありましたが、より安く、より品質のよいもの、しかしより安全なものというような、ある種、消費者の要望もかなり多岐にわたるわけであります。

 そういった中で、これを生産調整という今までのやり方だけで解決するということは極めて困難だというふうに思っておりまして、米価の安定あるいは生産者の経営の安定ということを図っていく中では、より精緻な分析が必要であるというふうに思っております。さらにまた、生産目標を掲げるなど、経営安定対策が多岐にわたって必要になってくるというふうに分析をしております。

高井委員 今、町田局長と佐々木委員の方からそれぞれに分析を聞かせていただきましたけれども、そういった認識の上で、まず大臣にお伺いをしたいと思います。

 現在の生産調整の仕組みにどのような問題意識を持っておられるのか。平成十九年度から農業者、農業者団体が主体となる新しい仕組みに移行が行われたということではありますが、農業経営の自由度を奪っているとか、農業現場に閉塞感を生み出しているとか、さまざまな指摘がございますが、どのように考えておられるのか、まず大臣に、済みませんが御答弁をお願いします。

石破国務大臣 高井委員には冒頭お気遣いをいただきました。御礼申し上げます。

 おっしゃるとおりで、閉塞感の中身とは何なのかというと、一つは不公平感です。生産調整にまじめに取り組んでいる人、まじめに取り組んでいる地域もありますが、まじめ云々は別にして、取り組んでいない、未達の県がたくさんある、あるいは未達の人がいる。だれも生産調整なんかしたくないわけですよ。だけれども、価格というものが暴落するとみんなに迷惑がかかるよねということで生産調整をしている。私はやらない、好きなだけつくるんだという人は、参加した人が苦労して苦労して築き上げた価格の上に乗って得をしているわけで、これは不公平じゃないかという声が起こらない方がおかしい。これが一つです。

 もう一つは、いやいや、私は好きなだけつくって、低コストでたくさん売りたいんだという人がいます。一方には、いや一俵三万円で売りたいんだという人がいます。これは経営判断というものだと思いますが、そこに生産調整がかかることはどういうことなのかということでありまして、今だって選択制じゃないかという御議論がありますが、今は制度としての選択制にはなっておりません。私は選択制が正しいという前提で申し上げているわけではありませんが、今でも選択制じゃないかとおっしゃる方がありますが、それはそうではない。判断として選択をしているということではなくて、あくまで原則は生産調整なのでございます。これをどう考えるか。

 これから先の米政策において、不公平感の解消を図らねばならない、そして、それぞれの経営判断が生かされるようにしていかなければならない。もう一つは、在庫がかさむようなことがあってはならないということでございます。かつての食管制度、三Kなんて申しましたが、膨大な財政負担を伴いました。今の日本の財政事情からいっても、そもそも食料というものはというところからいっても、それはあるべき姿ではないと思っております。

 問題点はそのようなものでございまして、それをどのようにして解消するかということについては、それは全力を挙げて知恵を絞らなければならない。それが責任だと思います。

    〔委員長退席、今村委員長代理着席〕

高井委員 大臣の御答弁を聞いた上で、改めて民主党の提案者にお伺いしたいと思うんですが、やはりそういう問題意識からこそ、本法案での提案があったんだろうと思います。農業に係る所得補償の制度の導入とあわせて、現行の生産調整を廃止することも含めて、どのような水田経営が望ましいと思われるのか、お考えを聞かせていただきたいと思います。

筒井議員 現行の減反、生産調整がまさに閉塞感のもとになっているし、農業再生の障害になっている、この点は、今の石破大臣もその趣旨で答えられましたし、ほかのところでもそう言っておられて、私もその点、賛成でございます。

 なぜそうなっているのか。今の生産調整、減反政策というのが中途半端なんですよ。大体、今も言われましたが、結果としては選択制なんですよね、三割以上の人が減反に従っていないんですから。しかし、そこに罰則をかけているわけではありませんから、結果としては選択制になっていて、しかし、価格支持政策をやっておりますから、減反に従う人も従わない人もメリットをやはり受けているわけですよ。不公平感が出てくるのが当たり前の話で、だから今の政策というのはそういう意味で物すごい中途半端な中身になっている。これをやはりそうじゃない形にしなければいけない。

 民主党の所得補償政策は、はっきり生産数量目標を設定して、それに従う農家に所得補償を支給するというふうに規定をしておりまして、そして、主食米については主食米以外とは質が違って、主食米についての生産数量目標は上限としての意味を持っている。その上限に意識的に従わない場合には所得補償は一銭も支給しない。そういうことにして、メリットの関係は明確にしております。しかも、選択制と言葉で私たち今まで言ってきたわけではありませんが、そういう所得補償なんか要らないから米を自由につくりたい、これはその人の、まさに大臣が言われた経営判断ですから、その人に強制的に生産数量目標を設定させるわけにはいかないわけでございまして、現在そういう仕組みになっております。

 だから、価格支持政策は米に関して原則とらない、生産数量目標について明確に設定をする、そしてその人たちだけ所得補償を支給する、こういう形で明確にしておりますから、今の政府・与党の生産調整のような中途半端なものではありません。しかも、水張り水田とかそれから青刈りとか、米をつくらないことに対して奨励金を出すなんというのもおかしな話で、米をどのぐらいつくるか、主食米以外をどのぐらいつくるか、それら全体の生産数量目標を設定して、そこに面積に応じて所得補償を支給する、こういう仕組みにしているわけでございます。

 さらに、今、その中身として、主食米をつくった場合の収入、所得、それと同等あるいは同等以上のものを、主食米以外、米粉とか何かの場合に補償する、補てんする、こういう仕組みにしているわけでございまして、この米粉や何かをつくった場合、主食米以外をつくった場合の方の収入をさらに所得補償上大きくしていけば、私は、そっちの方に、主食米以外に生産はシフトしていって、主食米についての生産にそんなにこだわらなくなる、こう見込んでおりまして、今そのシミュレーション等々を検討しているところでございますが、そういう方向でやっていけば将来的には生産調整、需給調整も必要なくなるのではないか、こういうことも今検討中でございます。

    〔今村委員長代理退席、委員長着席〕

高井委員 大臣、今の筒井提案者の御答弁をお聞きになっていたと思いますけれども、かなりお考えは一致するところがあるのではないかというふうに私は思います。この間の経済財政諮問会議の中の御発言の議事録も丁寧に拝見をいたしましたし、この間の記者会見、全部拝見というか拝読をいたしましたけれども、明確にはおっしゃいませんが、かなり問題意識は我々と同じなのではないかというふうに感じておりまして、先ほどの筒井提案者の御発言に賛同していただけるのではないかと思っております。

 そこで、お伺いをしますが、大臣は自民党の政策責任者、農水部門、農林水産政策の責任者というふうに私は思っておるんですが、これは違うんでしょうか。それとも、党のマニフェストに減反政策等についてどのように書き込む御予定なのか、また、問題意識等を共有していただいている部分もきちんとその方向で考えていっていただけるのか、お聞かせ願いたいと思います。

石破国務大臣 私は政府の責任者ではございますが、自民党の責任者ではございません。我が党には、総合農政調査会あるいは農林部会というのがございまして、そこで政策は議論をされ、それが政審、総務と上がって我が党の政策になるものでございます。マニフェストもそういうような経緯をたどりますので、私が自民党としてということを申し上げる立場にはございません。

 その上であえて申し上げますが、私は御党員ではありませんので、御党の議論の経緯というものをすべてつまびらかに承知をしておるわけではございません。ただ、以前、今から七、八年前のことですが、御党の文書にはそのときに選択制という言葉がございました。先般の参議院選挙、二年前には、生産調整はやめだ、こういうふうにおっしゃいました。昨年の十月であったかと思いますが、米についての政策文書をおまとめになりました。そこには生産調整が必要であるというような文言が、その言葉どおりではございませんが、明確にございました。

 今、筒井委員の真摯な御姿勢に私はいささかの疑問も挟むものではございません。しかしながら、筒井委員のお言葉の中に、私の理解が足りないのかもしれませんが、生産調整はやらない、減反はやらない、しかしながら生産目標は設定をする、それを過剰にやった者には所得補償は行わない、こういうお話なんでございます。

 そうすると、生産調整は行わないとか減反は廃止であるとか、しかしながら生産目標は設定をするとか、そのあたりをどう理解したらいいのか、私はかなり悩んでおるところなのでございます。そこが要するに世に言う減反というものはやめだというようなことなのかどうなのかということが一つ。

 それから、水張り水田についてお金を払っているようなことは今はございません。そういうようなことは私どもとしてやっておらないところでございます。

 もう一点申し上げれば、選別政策という御指摘をいただくことがあります。米についても政府は選別政策ではないかということで、一昨年の参議院選挙において随分と御指摘をいただいたところでございますが。

 私は選別という言い方をするつもりはありませんが、徳島でも鳥取でもそうだと思うのですけれども、担い手的な農家がなければ、結局、二反、三反で土曜、日曜しか農業をやらないという方ばかりの集落が本当にこれから先、十年先、二十年先も水田営農を中心とする集落であり続けるだろうかという問題意識が私にはあるのです。

 二反、三反でも、お米をつくりますときは大体年間に九十九万円ぐらいの償却をいたします。若い世代の方々が、さて、年間に九十九万の償却を必要とする装備をこれから先も持ち、やっていくだろうかということを考えたときに、やはり中心になってその集落の営農をやっていく方というものがだめになっちゃいますと、集落そのものがだめになるのではないかという危機感を私自身持っておりますし、実例もたくさん見ております。

 それは、選別政策で大規模にやる者を大事にして、そうじゃない者を切り捨てるという発想ではなくて、そういう者がなければ集落自体が維持できないのではないかという発想に私どもは基づいておるところでございます。

 まだいろいろと議論する点はたくさんあろうかと思いますが、水田営農が必要である、どうすればそれをこの国に十年先も二十年先も残していくことができるか、そして農業でちゃんと食べていける担い手をどのように育成するかという問題意識は、御党も我が党も政府もみんな共有するものだと思いますので、そのための方法論の違いですから、方法論についていろいろな議論をまたさせていただきたいと思っております。

高井委員 大臣はかなり正確に頭で御理解していただいていると思いますよ、今の御答弁からしても。

 水田営農を中心とする集落でなければ集落は維持されちゃいけないという発想であってはいけないですよね。だからこそ所得補償を我々は行って、そこで住んでもらおう、村を守ってもらおう、だからこそ最低限、生産費と販売費の間の部分、生活費が出るぐらいのお金を補償していこうという方針で所得補償の分をきちんと盛り込んでいるわけでありますから。そうした、いろいろな形の農家に続けていってもらうという発想は、我が党案はすごく強くあると思っています。かつ、営農、農業としてきちんとやっていける人たちにもどんどん頑張ってもらおう、双方の点も理念として含んでいると思うんですね。

 提案者、何か先ほどの大臣の答弁について補足がありましたら、また、お答えがありましたらお願いいたします。

筒井議員 減反をやめる、そう言いながら生産数量目標を設定しているというふうな趣旨の話がありましたが、減反はやめたいんですよ。だけれども、今の状態のままで直ちに減反を、生産調整を全部、需給調整もやめちゃったら、米価が暴落をして混乱しますから、そんなことは全然言っていないんです。

 だから生産数量目標を設定する。そして、主食米の生産数量目標とそれ以外の生産数量目標とは性格が、質が違う。主食米についての生産数量目標は上限としての意味を持っている。それを設定しなかったり、それ以上のものを意識的につくった場合には、所得補償そのものを支給しないんだということは先ほども申し上げたところでございます。

 しかし、同時に、先ほど申し上げたのは、それは米をつくらないことについての所得補償ではなくて、主食米をこれだけつくる、それ以外はこれだけつくる、こういう生産について面積に応じて支給するものだということでございまして、さらに申し上げたのは、今検討していることでございますが、主食米以外のものについてインセンティブを与える、そのことによって、需給調整そのものがなくても需給がバランスを保つというふうな状態に持っていくことができないかということを検討しているというところでございまして、その点は誤解のないように。

 それからもう一点。私たちの所得補償は、四町歩以下はだめだとか二十町歩以下の集落営農はだめだとか言っていないんです。これはなぜかといったら、いや、当初自民党はそう言っていたし、今度は民主党に近づいて市町村特認を認めたんだけれども、四町歩以下はだめだとか二十町歩以下はだめだという理念は残しているんだと言っているんだから。その理念自体が間違いなんですよ。

 私たちは、この所得補償の理論的な根拠は多面的機能に置いているわけですよ。詳しい話は長くなっちゃうんでやめますが、多面的機能を果たしている、それを無償で果たしている。そのことに対する対価の一部として、所得補償、直接支払い制度を導入する。その多面的機能というのは、大規模農家だけではなくて、四町歩以下の農家も果たしているんですよ。だからそこにも支給する。

 それから、さっき農村集落というところがありましたが、農村集落は大規模農家だけでもっているわけではない。中規模農家、小規模農家、それらが水管理等々で協力し合って集落はもっている。その四町歩以下の農家を全部農業から追い出したら、集落そのものが崩壊をする。

 それから、三つ目の理由として、六次産業化路線を言っておりますが、加工にも進出する努力をしている、あるいは直売所等々の流通にも進出努力をしている、そういう努力をしている農家は四町歩以下だからだめだといって切り捨てるのか。これはやはりおかしいわけですよ。そういう農家もきちんと所得補償の対象にすべきであるというのが民主党の考え方でございます。

高井委員 今のお話でかなりわかっていただいたんではないかと思うんですけれども。政権をとったら、農水省の力をかりて詳細に制度設計すれば、私は矛盾しないと思いますし、実現可能だと思いますし、多様な農家を維持していくためにもかなりいい政策であるというふうに私は感じております。

 もう時間がないので最後の質問になりますけれども、先ほど大臣からは、自民党の政策責任者ではない、政府の人ではあるがという御答弁がございました。確かに今の日本の国会の仕組み上、そういうふうに二元管理のようになっていると思います。この間、菅代表代行もイギリスに行かれたりとかして調べておられるし、私も思ったんですが、党の政策と自民党御出身で大臣であられる大臣の政策が違うというのは、有権者にとってみれば大変わかりにくいことではないかというふうに思っています。

 大臣の言う不公平感の解消や大幅な過剰在庫が生じないようにすることが必要ということについての提案にしても、民主党としては、棚上げ備蓄を提案したりとか、戸別所得補償法案の中でいろいろな提案を盛り込んでいるつもりですけれども、自民党の政策責任者ではないとはいえ、ただ、自民党の政策に大きな影響を及ぼす農林水産大臣の御発言ということは、いよいよ解散・総選挙が近い中において、現在のこの制度を維持、継続していくということではないと大臣は記者会見の中でも何度も御答弁をされておられますが、こうした結論は今国会中にきちんと出していただけるんでしょうか。大臣としての方向性をはっきりともう一度お願いしたいと思います。

石破国務大臣 私は、衆議院小選挙区制というのは政権選択の選挙だと思って、その制度を推進してきた人間であります。ですから、どこが違うのかということを明らかにしなければなりません。違わないなら違わないで、それはそれでいい話でございます。

 要は、御党として、平成二十年の六月、当面の米政策の基本的方向についてです。御党の文書です。米の過剰作付を抑制し需給調整を確実に実行することが、米価安定、自給率向上のための基本要件、こう書いておられるわけで、生産調整は続けますという話なのですよね。

 それに対して我が党がどう考えるかということは、我が党は自由で民主的な党でございますから、党の中でいろいろな議論がこれからあります。選挙のときに何を示すかというときまで、我が党はぎりぎり、きちんとした議論を行います。そこにおいて、委員会の場を通じて、民主党さんと何が違うのかどこが違うのか、目指すものが違うのか方向が違うのか、そういうものを踏まえた上で、私どもとして、やはりマニフェスト、政権公約に、目標、それを実施するための法制度、それを可能にするための財源、それはセットで示すべきではないかと私は思っております。それが政権選択の選挙だと思います。そこへ向けて最大の努力をすることは、私は、政府の責任であり、与党の責任であり、政党の責任だと思います。

高井委員 与党から出ている内閣でありますので、政府の考え方と与党の考え方というのは、我々は一致していると思いますよ、そういうものでなければならないと思います。ぜひ、できるだけ早くはっきりとした形の方向性を出していただきたいと思います。

 残余の質問、せっかく準備していただきましたけれども、質問できませんでした。また次回の委員会に譲りたいと思います。提案者の皆さんと大臣含め政府の方、ありがとうございました。

遠藤委員長 次に、石川知裕君。

石川委員 民主党の石川知裕でございます。

 きょうは、特定農産加工業経営改善臨時措置法について質問をしたいと思うんですが、その前に、先般、日本農村情報システム協会、これが、大臣の記者会見を見ても石破大臣も大変お怒りであるということが感じられたわけでありますけれども、この日本農村情報システム協会、平成十一年にもコンサルティング業務をめぐって一度国会でも取り上げられたこともありますし、大きな問題となった団体でございます。

 また、今回、さらに大きな問題を起こして破産という経緯に至ったわけでありますけれども、この日本農村情報システム協会の匿名告発を受けてからどのような対応を行ってきたのか、これを農林水産省からお答えいただきたいと思います。

高橋政府参考人 社団法人日本農村情報システム協会についてのお尋ねの件でございますけれども、本年一月二十九日に、総務省の東京行政評価事務所から当省に対しまして、私ども農林水産省、それから総務省、経済産業省の三省共管の法人でございます社団法人日本農村情報システム協会が虚偽の財務状況を銀行に提出して借り入れを行っているなどの匿名情報が寄せられた旨の連絡がございました。

 この連絡を受けまして、私どもといたしましては、情報の信憑性も含め事実確認を行うために、協会に対しまして、二月の五日、十六日、三月の二日、九日の都合四回にわたりまして事情聴取を実施したところでございます。この後、三月十一日に至りまして、協会の方から、協会の基本財産がすべて取り崩されているという報告がございました。

 このため、三月十八日及び十九日に臨時の立入検査を実施したところでございます。その結果、検査の実施範囲内におきましても、基本財産の管理を含めまして、協会の会計、経理が適切に行われていないということが判明いたしました。

 これを踏まえまして、三月十九日に三省の局長連名で協会に対しまして、事実関係の全容について調査し、報告するよう求めたところでございます。これにつきましては、三月三十一日、協会から報告がございましたけれども、その内容については不十分であるというふうに私どもとしては認めまして、さらなる調査を求めるとともに、協会役員等に対します事情聴取もあわせて実施してきたところでございます。

 これらの経緯の上で、五月の十九日に至りまして、最終的に、会長、両副会長、常務理事、常勤理事全員の署名のもとに、協会といたしまして、定款に違反した基本財産の取り崩しを行い、かつ、この取り崩しについては、あるような偽装を行っていた、基本財産がまだ存在しているかのごとくの偽装を行ってきたということを最終的に協会としても認めました。それとあわせまして、さらに、協会の財務内容につきまして債務超過状態にあるというような報告もございました。

 このような報告を受け、特に協会の財務運営状況、債務超過状態については、法人の存続そのものに直ちに結びつくという非常に重大な問題であるということもございまして、その改善等が喫緊の課題であるということが判断されましたものですので、三省協議の上、五月二十九日に、この点も含めました業務改善命令を発出いたしました。

 そのような状況の中で、協会内部におきましても検討が進められてきたわけでございますけれども、六月の九日、一昨日に至りまして、これはちょうど総会でもございましたけれども、協会の再建が困難であるといたしまして、自己破産手続をとることに決定をいたしたというのが経過でございます。

石川委員 この日本農村情報システム協会、その財務内容を平成十四年から昨年度まで拝見させていただきましたけれども、まず、収入において、いろいろな補助金等で賄っている。その中で、今回、委託費水増し六億四千万円、これも見抜けなかった。そして四億四千万円の基本財産、定款によると、三省の了解なしに、また総会の了解なしには取り崩せないということになっていたにもかかわらず、四億四千万円がどこかに消えてしまった。六億四千万円水増しをして請求していた。本当にずさんな管理内容だったわけであります。

 二点お尋ねしたいんですが、その匿名告発があるまで全く農林水産省には情報が入ってこなかったのかという点と、もう一つは、その検査内容、なぜ見抜けなかったのかということを簡潔にお答えいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 一点目の、匿名情報以前においてこの情報が入ってこなかったのかということでございますが、残念ながら、当省といたしましては、このような事態を把握していたということではございませんでした。

 この協会に対しましては、私どもといたしましても、公益法人に対します一般的な監督基準に従いまして、毎年職員が出向きまして、協会の運営が公益法人の指導監督基準に沿ったものであるかどうかということを中心に、法人の運営状況あるいは事業の実施状況、会計処理、資産状況、予算、決算の状況について検査を実施しているところでございます。

 このうち、今委員御指摘の決算関係の書類でございますが、これにつきましては、実は、監事監査が当然あるわけでございますけれども、加えて公認会計士によります外部監査ということも行われてまいりました。当然、詳細に決算書類の内容を見てまいりますと、その中で整合性がとれていない、きちんと突合しないというような数字もあったわけでございますけれども、なかなかそこのところまで疑問を持って掘り下げることができなかったということは事実でございます。

石川委員 監査を行っていたと。一つは、日本農村情報システム協会の監事においては、同じ税理士の方が、記録でわかる範囲では十四年からずっと監事をされておられます。また、二〇〇一年から外部監査を導入したということでありますけれども、これも同じ公認会計士の方がずっと行っていたということであります。特にこの公認会計士の方は、これだけずさんな管理をやっていて全くわからなかったというのは、どうも腑に落ちないわけであります。

 どのような経緯で協会の監査を行うようになったのか。また監事についても、聴取の中でどういうお答えをしているのか。お聞きをしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 まず、公認会計士の方の件でございますけれども、公認会計士によります外部監査ということにつきましては、農林水産省といたしましても、平成十三年二月におけます公益法人等の指導監督等に関します関係閣僚会議幹事申し合わせ、これに基づきまして、これは政府全体としての申し合わせでございますけれども、システム協会に対しましても、公認会計士等による外部監査を行うよう要請したものでございます。

 今委員御指摘のとおり、協会として、平成十三年度以降、この要請に基づきまして、公認会計士による外部監査を導入したということでございます。ただ、この間、同一の公認会計士であったということもまた事実でございます。

 協会が当該公認会計士を選任した経緯でございますけれども、委員からの御質問を受け、昨日急遽これを調べたところでございます。協会に問い合わせたわけでございますけれども、この公認会計士の選任に関与いたしました経理担当者が既に退職していること、それからもう一つ、当該公認会計士さんでございますけれども、十九年度の決算監査、これは二十年、昨年の六月二日に行っておりますが、その後、実は被保佐人の決定を受けているというような状況でございますので、当時の詳しい状況については現在確認できていないところでございます。

 なお、監事につきましては、基本的に、監事についての選任ということについては、指導監督基準上も……(石川委員「被保佐人というのは。説明してください」と呼ぶ)基本的には法人に任されているということでございますので、これについての選任過程については聴取しておりません。

遠藤委員長 被保佐人というのはどういうことなんですか。

高橋政府参考人 被保佐人は、昔で申し上げますと準禁治産者、民法の後見あるいは成年後見等、いわゆる未成年の場合におけます親権と同じように、事情がありまして本人が法律行為についてできないような事態に立ち至った、病気等で、そういった場合に、その行為を代理してされる。そういう形で、裁判所がこの決定を行いまして、親権者等の中からその被保佐人を代理する保佐人をつけるという形になる、昔で言う準禁治産者でございます。

石川委員 監査人を準禁治産者という方に任せていたということであります。

 これから大臣に御質問しますけれども、大臣は記者会見の中で、監督責任をどう受けとめているかとこれからお聞きをしたいんですが、チェック体制を見直すとお答えをしております。

 そこで、今まで、この日本農村情報システム協会だけでなく、ほかのいわゆる監督官庁の法人に対して、この場合は特例社団法人ということでありますけれども、大体、決算が終わった後、秋ぐらいに二人か三人でお伺いをしてチェックをしていたと。では、そこでもし公認会計士なり監事さんなりを呼んでいれば、またこうしたものは防げたんでしょうけれども、ずっとおざなりでやっていたということで、四億四千万円一気に消えたわけじゃないんでしょうから、見てみますと、農林債の買いかえ等でつじつまを合わせていたということでありました。

 まず、今回の監督責任をどう受けとめているのか、お答えをいただきたいと思います。

石破国務大臣 定期検査なので、今回の事態を把握できていないということであります。定期検査で見抜けずに来たという事実は、これは日ごろの指導監督、検査について問題があったというふうに言わざるを得ないと私は思っております。

 やはり見抜ける能力がないというのは相当に問題でありまして、私は、農林水産省として、これの監督責任が履行できなかったのではないかと。ですから、私、事実関係がきちんと明らかになりませんと断定的なことは申し上げられません、農林水産省の責任者として。これでどのような問題があり、私どもとしてどのようにすべきであったか、できなかったとしたら、そこに何らかの問題はないかということをきちんと精査した上で、監督責任というものの是非、存否についてきちんと明らかにしたいと思っております。

 それは、責任がないとかそんなことを言っているわけじゃなくて、事実関係をきちんと明らかにした上で、監督責任の存否については明らかにしたいと思います。

石川委員 見抜けなかった部分の監督責任については、これから事実関係を把握して適正に対応するということだと思うんです。

 もう一点、この特例社団法人を含めて、ほかにも似たようなたくさんの、農林水産省所管の法人が無駄な税金を使い、また、こうしたことをもしかしたら行っているかもしれません。ほかのこうした法人に対して、今後、検査体制を見直すということでありますけれども、具体的にどのように見直していくのか、お答えをいただきたいと思います。

石破国務大臣 全く同じ問題意識です。それは全部点検をしなければなりません。

 それは、検査項目は何なのかということをもう一度見直せということが一つです。もう一つは、検査に行って具体的な項目が明らかになったとしても、その検査が実効性を持たなければしようがない。数字だけ見ていると何となくごまかされることがありますので、そのノウハウというものをきちんと学ばせなければいけない。そして、こういうことは当省の中では協同組合検査部検査官というのが一番の知見は持っているわけですが、そことの連携を一層強化するということです。

 私、言っていて嫌になっているんですけれども、こんなことは当たり前のことじゃないかという話なんですね。こんなものができないで今まで来たのかということです。

 私自身、この点についてはかなり憤りを持っておりまして、このことについて、すべての一連の事実が明らかになってから改善するなどという話ではなくて、一連の事実が明らかになろうが、その手前であろうが、こういうできることはすぐにやれということでありまして、それがどのような変化、どのようなノウハウを身につけ、どのように項目をふやし、そしてどのように連携を図ったかということは、早急に提示を求めます。そしてまた、御要請があれば議会において明らかにしたいと存じます。

石川委員 きのう、おととい、テレビを見ていましても、協会の人間が、我々が被害者だなんて、そういうことをおっしゃっていた役員の方もいらっしゃいました。まだまだ御本人たちの意識、意識があるないにかかわらず、もう破産してしまったわけですけれども、多額の税金があの団体にも補助金として、また委託事業として投入をされていたわけでありますから、ぜひ大臣、これは、このままうやむやになってしまわないために、刑事告発を含めて行うのかどうか、この問題について最後にお尋ねしたいと思います。

石破国務大臣 必要であれば刑事告発は行います。それは担当省庁と、法務省ですが、よく協議をしなければなりませんが、これがいつの間にかうやむやになるということが絶対にあってはならないので、必要であれば刑事告発というものは行う、そういうものでなければならないと思っております。(石川委員「だれがやるの」と呼ぶ)

 つまり、構成要件をよく子細に検討し、だれが告発するのが望ましいのかということですが、国が刑事告発できないということではございませんので、必要であれば刑事告発を行う、当然のことだと思っております。

石川委員 匿名の情報が寄せられて、そして二月、三月、立入検査をしてからもう四カ月が経過をしておりますので、ぜひ早急にまた対応をして頑張ってもらいたいとお願いをするところでございます。

 続きまして、今回のこの特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案についてということでお尋ねをしたいと思います。

 この臨時措置法、制定時とは内外情勢が随分と変化をしている中で、臨時措置法といいながらも二十年が経過をしております。制定された後、十一年、そして前回の十六年と、衆議院、参議院の質疑を取り寄せて拝見をさせていただきましたけれども、その都度、この制度は国産農産物の需要拡大に対してどれぐらい効果があったのか、またそれに対してその時々の大臣が、効果は上がっていると数字を羅列しております。前回の、ついこの間の参議院での審議でもやはりまた同じような質問や問いが重ねられて、また延長、延長と来ているわけであります。

 今これだけ内外の情勢が変化して、そして我々も食の外部依存、女性の社会進出や、または随分と忙しくなって農産物を、野菜等を家に買ってきて調理する時間もない、そこで加工業というものが今飛躍的に伸びてきているという中で、制定当時の法律のままでいいのか。これは抜本的に見直して、国産農産物を加工する業者への支援策を総合的に考えるような、そういう施策にしていくべきではないかと思いますけれども、それについてお答えをいただきたいと思います。

町田政府参考人 お答え申し上げます。

 特定農産加工法、御指摘をいただきましたとおり、平成元年に、輸入事情の著しい変化に対応するということで、そういった指定する業種、この経営改善を促進するということで制定したものでございます。以後、その都度、五年たつごとに、その制度につきまして検証して、延長をお願いしてきたところでございます。

 食品産業、特定農産加工業の業種指定、それだけではなく、幅広く食品産業の振興を図る、その際、国産農産物の利用促進を図るということは大変重要だと私どもも思っております。

 この法律のほかにも、先ほど申し上げました農商工連携法、あるいは予算措置でもさまざまな、二十一年度当初、補正、措置をいたしております。そういったものをフル活用いたしまして、我が国の食品産業の振興、また国産農産物の利用促進を図ってまいりたいと思っております。

石川委員 農商工連携という言葉が出ました。本当はもっと農商工連携に関してゆっくり質疑をしたかったんですけれども、最後に、きょうお配りをした二枚の資料をごらんいただきたいと思います。

 二枚目は、農商工連携促進法、中小企業地域資源活用促進法、中小企業新事業活動促進法と三つの法案、法律案制定の理由、また補助金、融資、減税、支援対象。これを見ると、ほとんど、どこがどう違うのかと。多少は法律案制定の理由が違っているわけでありますけれども。

 大体、地方においては、中小企業なんというのは、製造業においても食品加工産業が圧倒的なシェアを占めているわけでありまして、一次産業が物すごい割合があるわけなんです。

 そこで、いろいろ法案をつくられた経緯その他については、経済産業委員会等でもいろいろ議論があったところだと思いますけれども、きょうは一点に絞って、この中で、これは一枚目ですけれども、この三の「注意事項について」「補助対象物件の他用途使用」というところについて少しお尋ねをしたいと思います。

 私の地元で、これはホウレンソウに似たものなんですけれども、砂糖の原料でビートというものがあります。このビートから砂糖をつくるときに、ライムケーキというものが発生をいたします。五五%は農地に還元をしますけれども、四五%は埋め立てをしております。

 そのライムケーキについて、中小企業地域資源活用促進法というものにのっとって、まず認定を受けますね。認定を受けた後、今度、補助の申請をします。このライムケーキと木炭を合わせた新しい商品をつくった業者の方がいました。それをつくるために、書類も全部そろえて、認定を受けて、今度、補助申請を出した。そして、それをつくるときに窯が必要だったんですけれども、その窯もつくった。今度、新商品をつくって、ではこれから量産体制なり、いろいろほかの方と連携をして商売をしていこうというときに、この三の「注意事項について」というところで、「機械装置や工具器具等を製造設備として用いたり、補助対象の原材料を活用して開発製作した新商品や補助対象物品を販売・譲渡、貸付、担保にできません。」となっていることから、ではその機械はどうかというと、減価償却が終わるまでそこに置いておきなさいということになっているということでございます。

 もともと、地域の中小企業や農業者の方を連携させて、今地方は大変厳しいですから、活性化のために頑張ってもらいたいということでこういう法律案を出されたと思っているんですけれども、お聞きをしたら、いや、同じようなことをやっているライバル業者から、向こうには補助金が出てこっちには出ないのかということを言われる懸念があるものですから、こういうことにしてあるということでありましたけれども、そもそも、今、大変厳しい時代に、それぞれ国のメニューを見ながら知恵を絞って頑張っている業者の方が、せっかくアイデアを出して持ち込んで、それをつくったにもかかわらず、その機械は使えないというのがたくさんあると思うんです、私の地元だけじゃなくて。

 今後もまた同じように、この条項を緩和しないで、ではその機械をずっととどめ置いたままにしておくのかどうかということをちょっとお尋ねしたいと思います。

数井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、地域資源活用促進法等によりまして認定を受けました中小企業者が、補助金を活用して商品開発をするために購入した機械などを処分制限期間内に生産など補助金の交付の目的に反して使用するときは、承認を受けない限りこれは使用することができないということになっております。

 この考え方は、先ほど委員御指摘ありました地域資源活用促進法の考え方が、当該事業者が新しい商品をつくりまして、それを実際につくって試作する、そのことによりまして新事業に乗り出すための後押しをする観点で、この法律の認定及び補助金というものを交付しております。

 一方、通常の企業の方々が営業の一環として商品を生産する、こういった場合につきましては、通常、支援策としては、融資あるいは税制等の支援策が用意されておるわけであります。

 よって、補助金の目的でつくりましたものを実際に生産に移す場合、これを直ちにその補助金の目的で買いました機械等を使用するということが、補助金の目的との関係が生じてくることになるわけであります。

 委員御指摘のこの点に関しましては、既に幾つかの企業の方からも御要望されていることでありますので、私ども、この補助金におけます処分の運用の一部につきましては、関係する通達も踏まえながら、今後、その対応につきまして検討を進めたいというふうに考えております。

 我々経済産業省としまして、中小企業者の目線での効果的な支援というのを進めたいと考えておりますので、このような観点からの取り組みによりまして、今後とも、法認定を受けました中小企業者を積極的に支援したいと考えております。

石川委員 もともと申請時に、その機械を補助金をいただいてつくるということはわかっているわけでありますから、そのときに指導すればいいだけの話だと私は思いますので、ぜひ検討をして、大変厳しい状況にある中小企業者や農業者のための法案だと思いますので、何とか緩和をしてもらいたいとするところであります。

 最後に大臣にお聞きをしたいんですけれども、時間がありませんので一点だけ。

 農商工連携というのを去年スタートしまして、百八十五件が認定をされたということでありますけれども、中間評価について大臣にお尋ねをしたいと思います。

石破国務大臣 中間の評価ということでございますが、現在百八十五件、北海道では十六件ということになっております。

 北海道でも多くの例がございまして、例えて言いますと、規格外のブロッコリーなどを原料とするドリンクヨーグルト等々、今まで廃棄されていたものが実用化されたというもので、非常に実例のいいものがあるというふうに思っております。

 一方におきまして、農商工連携を推進する上で何が問題になっているかというと、やはり情報交換の場が少ない、マッチングができていない、マッチングはできたけれども事業化までの一貫したサポート体制が不十分である、新商品をつくったが販路開拓が難しいということがございますわけで、今後、五年間で五百件の優良事例をつくらなきゃいかぬというふうに考えております。したがいまして、当初予算でもそういうような予算を措置したところでございます。

 いいお話はあるんですね。例えば高知県の馬路村なぞというお話はあるのですが、私はいつも思うんですけれども、そのいい事例の陰に、その何倍ものよくなかった事例があるはずなんです。それをよく検証しながら、どうすればその轍を踏まないかということを本当に懇切丁寧にお示ししていくということが必要なのではないか。そしてまた、私どもで新しい事業も幾つか組んでおりますが、それが本当に現場に周知徹底して、やってみようという気になっていただくことが必要なのだと思っております。

 補助金も、委員御指摘のように山ほどございまして、一体どれを使ったらいいんだということでございますので、私どもとして、こういう悩みにはこの政策、こういう悩みにはこの補助金ということで、とりあえず逆引き表というのをつくってみました。それでわかるのは、同じような事業がこんなにたくさんあるのということでした。ただ、逆に申し上げれば、細かに対応しようと思えばたくさん要るんだという、何か言いわけみたいに聞こえるかもしれませんが、そういうところがございまして、現場のニーズにこたえようとするとそういうことになっちゃったというものもございます。

 もっともっとわかりやすく、もっともっと使いやすくということがこの農商工連携をさらに飛躍させるかぎだと認識をいたしております。

石川委員 私も、少し時間はかかりましたけれども、農商工連携百八十五例、秘書と一緒になってすべて調べました。農業者と中小企業者、どういうところに属しているのかも調べました。大臣、この百八十五のうち、私が確認できただけでも十四は同一人物、同一グループ企業。中には、JAが関連会社を商工業者としている、自分たちは農業者としているところがあります。少なくとも十四例は確認できました。

 これは五年間で五百ですよね。今、一年間で百八十五ということは、物すごいスピードになっているわけですよね。五年間で千に達してしまうかもしれない。まあそんなことにはならないと思うんですけれども、一つは、粗製乱造があるんじゃないかということ。

 そして、もう時間なので終わりますが、マッチングにおいても、地元の商工会議所のアンケートをとったら、コーディネーターの利用希望というのは、二十人のうち、はいが四人、いいえが十六人でした。ということは、資格も必要ないですから、ハンズオン制度またはプロジェクトマネジャーといろいろ、三百の地域力連携拠点、それぞれいらっしゃるんでしょうけれども、そのマッチング業務がきちんとできていないというところが課題だと思いますので、ぜひ取り組んでもらいたいと思います。

 済みません、お時間をいただきまして。きょうはありがとうございました。

遠藤委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社会民主党の菅野哲雄です。

 最初に、森林・林業政策について質問したいと思います。

 先日成立した補正予算で、緑の産業再生プロジェクトといった新規事業に約一千二百三十八億円という規模の予算がつけられました。森林整備の促進に国が率先して取り組むこと自体評価したいと思うんですが、必要な施策は、当初予算で必要額を確保して実施するのが原則のはずです。なぜ当初予算ではなくて補正予算で新規の事業を立ち上げたのか。そしてまた、基金方式にした理由はどこにあるのか、説明していただきたいと思います。

 また、現場では、このプロジェクトを歓迎する一方、この基金はいつまで続くのか、あるいは予算についても、森林整備に取り組む担い手がそもそもいないなどの声が上がっています。これらの声にどうこたえていくのかについても、考えをお聞かせ願いたいというふうに思います。

内藤政府参考人 緑の産業再生プロジェクトについての御質問でございます。

 本事業は、昨今の経済情勢を踏まえまして、景気の底割れを回避し、未来への成長につなげるという趣旨で設けたものでございまして、そういう趣旨で、経済危機対策の一環として盛り込んだものでございます。

 これは、京都議定書の目標達成に向けました森林吸収源対策としての間伐の推進と、間伐材の伐採から搬出、利用までの一貫した取り組みに対して支援をする。これによりまして、間伐材を利用した内需の拡大、それから森林資源を活用した地域の林業・木材産業の再生を図り、新たな事業機会をつくり出していく。こういうことで、山村地域における雇用を緊急に創出しようとするものでございます。

 本事業は、間伐材の供給、利用が安定的、継続的に行われていくためには、これらに対する支援が一定期間継続されるという見通しがあらかじめ立っていることが効果的であるということ、それから、事業の性質としまして、間伐それからバイオマス利用施設の整備は、その前提として必要な路網整備の進捗とあわせて行う必要があるわけでございますけれども、路網の整備は、御案内のとおり、気象条件等の影響を受けますので、事業全体の各年度の所要額をあらかじめ確定することは難しい。こういう事情を踏まえまして、三年間にわたる事業全体の財源を基金として都道府県につくりまして、弾力的な支出が行えるようにしたものでございます。

 本事業によりまして、路網の整備、間伐の実施、販路の確立による間伐材の利用が一体的に進みまして、この事業終了後におきましても、林業・木材産業の活動が継続されるものと考えております。

 なお、この林業を担う人の確保対策でございますけれども、この緑の産業再生プロジェクトとあわせまして、林業従事者に対する技術研修を実施する緑の雇用担い手対策事業を実施しております。二十一年度の補正でも、短期トライアル雇用ということに対する手当てを入れておりまして、こういったことを通じまして、必要な担い手、労働力が確保されるように努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

菅野委員 なぜこの質問をするのかということなんですけれども、平成二十一年度当初予算で、CO2削減を含めてそれだけの予算措置したというふうに私は思っていたんですね。そうしたら、こういうものが出てきた。

 私、この補正予算が成立する前に詳しく説明を受けました。そして地域に入って、このプロジェクトについて地域はどう考えているのかということを考えたときに、これまでどんどんどんどん産業として衰退してきた中に幾ら金をつけられても、一つは問題点は、人員確保することはなかなか難しいんだと。それで、三年の時限立法だということで、それじゃ三年後はどうなるのか。新規に就農者を雇い入れることは不可能なんだ、だから継続して、ずっと将来的にもこの政策をやってほしいというのが要望として上がってきているんですね。

 そういうことを踏まえたときに、やはり臨時的な措置というのは地域の経済活性化をもたらす効果が薄いんじゃないのか。そういうところを踏まえて、しっかりと取り組んでいただきたいということを私は強く申し上げておきたいというふうに思っています。一千二百億円を超える金額です。補助対象として二分の一ですから、二千四百億円の経済効果が発揮できるような、そういう仕組みというものを国を挙げて全体としてぜひつくっていただきたいというふうに思って、強く申し上げておきたいというふうに思います。

 次に、民主党の農林漁業・農山漁村再生法案の提出者にお伺いしたいというふうに思います。

 今の質問にもつながるわけですが、森林・林業に限ってお聞きします。

 まず、法案では、国有林野事業の全般について、国が直接事業を行うこと、民有林であっても、森林整備が困難な場合には、国が必要な措置を講ずるべきとされています。そうすると、削減が続いてきた国有林野事業の要員や組織は、当然、維持もしくは拡大すべきということになると思いますが、そのように受けとめてよろしいのでしょうか。

 同時に、そうすると、何が何でも国家公務員の五%純減ありきといった行革推進法の考え方も、国が強い責任を担わなければならない分野、業務はしっかりと手当てするという方向で見直すことが必要ということになると思いますが、これらについて答弁を願いたいと思います。

佐々木(隆)議員 お答えさせていただきます。

 私どもの農山漁村再生法における国有林野事業の考え方についての御質問をいただきました。

 民主党は、この法律において、基本的には、農林水産行政と環境行政を一体的に推進するということを基本にしております。そうした観点から、組織及び事業のあり方を抜本的に見直して、事業全般を国が直接、一般会計において行うということを基本にしております。

 一方、民有林については、森林所有者に対して、森林の適正な管理を義務づけ、そして、直接支払い制度により、その費用相当額を交付金として交付するということにしております。意欲の低下した森林所有者にかわり、森林組合そして素材生産業者等の民間事業者を担い手として位置づけて、森林の整備を促進するということにしているところであります。

 その際、民間事業体による森林の整備及び保全が困難な場合には、セーフティーネット機能として、国が適正な森林の整備等を行うこととしていることから、抜本的に見直した後の国有林野の管理運営主体がその新たな業務を担うこととしております。本法律におけるこうした見直しの結果、誕生することとなる新たな国有林野の管理運営の主体が、その業務を機能的に遂行する上で必要かつ十分な要員と組織体制を確保することが重要であると考えてございます。

 もう一点の行革法でありますが、こうしたことから、その定員管理のあり方については、国有林野事業の見直しの結果を踏まえた新たな業務の関係で論じられるべきものと考えております。

 しかしながら、行革法に基づく総人員費改革の方針である定員の五年五%以上の純減については、行革推進法に反対した民主党としては、同法に基づく定員の五年五%以上の純減を是認できるものではなく、そもそも、まず削減ありきで、事務事業の聖域ない見直しを行わずに一律に削減割合を決めたものであり、適切ではないと考えております。

 いずれにせよ、国有林野事業において、本法律成立後、現在の特別会計による事業実施体制の抜本的な見直しを行い、一般会計により国が直接に事務及び事業を行うことを基本とした新たな管理運営等の主体のあり方について、実施法の施行までに検討することといたしております。

 以上です。

菅野委員 もう一問用意していたんですが、そこにも触れて答弁されましたから、そこは省略します。

 私ども社民党も、国が責任を持ってやらなければならないという状況には変わりはないというふうに思っています、今日の森林の状況を考えたときに。そういう意味では、一年前倒しで実施するというところは白紙に戻して、私は、今答弁されたように、慎重な議論を行っていかなければならないというふうに思っています。そして、一部独立行政法人化は認められないという立場を鮮明にしていきながら、この議論をしていきたいというふうに思っています。

 次に、農産加工業の経営改善措置法改正案について質問いたします。

 この制度は、もともと日米間の農産物輸入自由化をめぐる交渉や、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意などを受けて実施、拡大されてきたものと承知しています。そうすると、現在のWTO農業交渉やオーストラリアとのEPA交渉の結果が農産加工業に与える影響も決して小さくないと思うわけですが、この点、大臣はどのように考えておられるのか、そしてどのような構えで交渉に臨んでおられるのか、現在の状況をお聞かせ願いたいと思います。

石破国務大臣 WTOに臨む交渉方針は、何ら変更はございません。今までどおり、多様な農業の共存ということを基本理念として取り組んでまいりたいと思っております。

 日豪EPAでございますが、これまで八回の交渉会合を通じまして、我が国の農業をめぐる状況及びその重要性について説明を行ってまいりました。今後も、守るべきものはきちんと守るとの方針のもと、オーストラリア側の理解を粘り強く求めていかねばならないと考えております。

 食料安全保障の確保、農業の多面的機能の維持保全を図りながら、食料輸入国としての我が国の主張が適切に反映された成果が得られるようということでございまして、先般のケアンズの会合がバリ島でございました。私は日程が重なりまして行けませんで、村上農林水産審議官に行っていただいたのでございますけれども、我が国の主張というものをもう一回きちんとやらなければいかぬと思っております。

 そして、持続可能な農業というものが一つのキーワードだと私は思っておりまして、持続可能ではない農業というものに対しては、我が国は否定的な立場をとらざるを得ないわけでございます。それが多様な農業の共存というものにつながるというふうに考えておりまして、今後とも、議会の御意向も踏まえながらきちんと交渉してまいりたいと存じます。

菅野委員 最後の質問に入ります。

 先ほども議論があったんですが、中国側の努力もあってのことだと思いますが、二年七カ月ぶりに中国産野菜が輸入増加に転じたという報道があります。その理由は、やはり値段の安さにあるという報道がありました。野菜そのものはこの法律が対象とする農産物ではありませんが、国内の農産加工業者の支援をもとに、本来的には、加工食品においても国産農産物の利用割合を高めていく、そのための支援をしていくことが問われているように思うんですが、大臣の認識をお聞かせ願いたいというふうに思います。

石破国務大臣 今でも、できれば国産がいいんだよねという方は多いんです。それがそのまま、今までどおり国産を選んでくださればいいのですが、おっしゃるように、値段が安いということもあって中国産を初めとする海外産を選ぶということがございます。

 そうすると、私どもとしては、やはり、コストの縮減による価格のより低下というのですか、それが生産者の手取りの減少につながらないように付加価値もつけていかねばならないということだと思います。流通の改善も図っていかねばならないということだと思います。

 私は、中国産がなべて悪いと言うつもりはないのですが、やはり生産と消費が近い場所にいることが信頼の確保ということだと思っておりまして、その観点からも、消費者の方々、生産者の方々、生産者の方々の所得が減らないよう、多様な流通を確保し、付加価値をつけ、コストを下げ、消費者の選択というものをよりやりやすくしていただくように努力をしてまいりたいと思っております。

菅野委員 時間ですので、終わります。ありがとうございました。

遠藤委員長 これにて、ただいま議題となっております両案中、内閣提出、参議院送付、特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案に対する質疑は終局いたしました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時三十五分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時四十六分開議

遠藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十七分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.