衆議院

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第3号 平成21年11月25日(水曜日)

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平成二十一年十一月二十五日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 筒井 信隆君

   理事 石川 知裕君 理事 梶原 康弘君

   理事 小平 忠正君 理事 森本 和義君

   理事 森本 哲生君 理事 北村 誠吾君

   理事 宮腰 光寛君 理事 石田 祝稔君

      石津 政雄君    石原洋三郎君

      石山 敬貴君    金子 健一君

      河上みつえ君    京野 公子君

      小山 展弘君    後藤 英友君

      佐々木隆博君    高橋 英行君

      玉木 朝子君    玉木雄一郎君

      玉置 公良君    道休誠一郎君

      中島 正純君    中野渡詔子君

      仲野 博子君    野田 国義君

      福島 伸享君    柳田 和己君

      山岡 達丸君    山田 正彦君

      和嶋 未希君    伊東 良孝君

      江藤  拓君    小里 泰弘君

      加藤 紘一君    金田 勝年君

      谷川 弥一君    鳩山 邦夫君

      保利 耕輔君    山本  拓君

      西  博義君    吉泉 秀男君

    …………………………………

   農林水産大臣       赤松 広隆君

   農林水産副大臣      山田 正彦君

   農林水産大臣政務官    佐々木隆博君

   経済産業大臣政務官    高橋 千秋君

   国土交通大臣政務官    長安  豊君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         針原 寿朗君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  本川 一善君

   農林水産委員会専門員   板垣 芳男君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十五日

 辞任         補欠選任

  津川 祥吾君     小山 展弘君

  中野渡詔子君     玉置 公良君

  小里 泰弘君     加藤 紘一君

同日

 辞任         補欠選任

  小山 展弘君     津川 祥吾君

  玉置 公良君     中島 正純君

  加藤 紘一君     小里 泰弘君

同日

 辞任         補欠選任

  中島 正純君     中野渡詔子君

    ―――――――――――――

十一月二十四日

 食の安全・安心を確保し、食料自給率向上を求めることに関する請願(吉泉秀男君紹介)(第七三八号)

同月二十五日

 食の安全・安心を確保し、食料自給率向上を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第九〇九号)

 同(笠井亮君紹介)(第九一〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第九一一号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第九一二号)

 同(志位和夫君紹介)(第九一三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九一四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九一五号)

 同(谷畑孝君紹介)(第九一六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第九一七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第九一八号)

 汚染米の食用への転用事件の全容解明と徹底回収、外米(ミニマムアクセス米)の輸入中止を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一〇三七号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇三八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇三九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一〇四〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇四一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇四二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇四三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一〇四四号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一〇四五号)

 食の安全・安心と食料自給率向上政策を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一〇四六号)

 食の安全と自給率向上、地域農業の振興を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一〇四七号)

 食料自給率向上のための政策に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一〇四八号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇四九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇五〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一〇五一号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇五二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇五三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇五四号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一〇五五号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一〇五六号)

 食料自給率向上のための政策を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一〇五七号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇五八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇五九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一〇六〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇六一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇六二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇六三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一〇六四号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一〇六五号)

 日米FTA反対、農家経営の危機打開を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第一〇六六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇六七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

筒井委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福島伸享君。

福島(伸)委員 おはようございます。民主党所属の福島伸享でございます。

 本日、このような当選したてほやほやの議員に質問の機会をいただきましたこと、心より感謝をいたします。四人の新人議員のトップを切りまして質問をさせていただきます。

 私は、元農林水産大臣の赤城徳彦先生を破って当選をいたしました。この地盤は有名な赤城宗徳農林大臣の地盤でもありまして、非常に農家票というのが強いところであります。また、JAさんも非常に選挙を頑張っているところでありまして、すべてのJA関係の施設にはポスターが張られ、選挙戦になりますと、農協の管理職の皆さんが一生懸命、戸別訪問じゃありませんね、選挙運動をされるという土地柄でございます。

 かつて、二〇〇八年の十一月二十五日には、民主党は農協の政治的中立性を担保するための法律案というのを提出されていると思いますが、この点、ちょっと通告はしていないんですけれども、この政権としてこの法案を提出するつもりがあるかどうかということについても、ぜひとも御答弁いただければと思います。

 そういう農村地帯におきましても、今回、私は勝利をいたしました。都市部の水戸市におきましては前回に比べて一・六倍、農村部の下妻、筑西といった筑波山の裏の広大な農村地帯では二倍以上にわたる票をいただきました。これは単なる風ではないというふうに思っております。

 今回の選挙で政権交代をした一番の要因は、農家の反乱、農村の反乱であったというふうに私は考えております。

 自民党農政というのは、かつての食管法のもとでは、族議員の皆さん方が米価交渉を行い、高価格を維持してそれを分配する、そうした政策を行ってまいりました。しかしながら、一九九五年、食管法がなくなってから、パラダイムは抜本的に変わることになります。政治に頼っても、もう米価は維持できません。政治家の皆さんがどんなに甘い言葉を言っても、農家にその利益は来ない。その一方で、生産調整というのはどんどんどんどん強化されていく。そうした中で、多くの農家の皆さん方がやる気をなくしているという現状を、私たちは地元で多くの声をいただいてまいりました。

 やってもやっても現金が入らない農業です。その一方で、どんどん担い手は高齢化していく、若い人も勤め口がない。農業をやってもお金が入らない、地元の中小企業で働く雇用のもとさえない。どうやって生きたらいいのだ。お金が入らないから国民年金で暮らしている農家の皆さんもいらっしゃいますけれども、国民年金だけではお孫さんのお小遣いすら払えない、そうした切実な声。一体どうやったらいいんだ、農村でどうやって生きたらいいんだ、そういう閉塞感がこのたびの政権交代につながったのだと思っております。

 その一方で、私たち民主党は、農家への戸別所得補償制度という政策を掲げて登場いたしました。そうした私たちの動きに対して、多くの農家の皆さん方は、自民党のこれまでの農政というのは、結局、一部の人たちの利益だけを追求しているんじゃないか、自分たちのことを思っていないんじゃないか、そういう思いがあり、それに対する、何とかして変えてほしい、そういう思いがこのたびの政権交代につながったのではないかと思っております。

 私の地元で、ある農家の方は、畑をずっとトラクターで耕しているんですよ。でも、何も作付しないんです。今の農政のもとじゃやる気にならないからといって、トラクターをやって、きれいに畑は整地するんですけれども、何も植えない。そうして農政に対する抗議の意思を示しておりました。ところが、八月三十日、政権交代が起きた。秋になってそのお宅を回ってみました。その畑には一面のソバが植えられていて、真っ白な花を咲かせていました。ああ、これで、なるほど、これからの農政に期待が持てる、もう一度ソバを植えて、まいて出直してみよう、そうした農家の思いがあったんだというふうに思っております。

 そこで、私は大臣にお聞きしたいと思っております。

 今回の選挙戦を踏まえて、多くの皆さん方が地元の声を聞いていらっしゃると思います。どこに自民党の農政への不満があって、どういうことに対して、民主党の私たちの政策に期待をしてこのような動きになったのかということを、ぜひとも大臣に御答弁いただきたいと思います。

 それとともに、農家の皆さん、農村の皆さんは、大臣から前向きな、夢のある話を聞くことを願っております。先日の所信的発言でのものは、原稿がありましたから、ややかた苦しかった面もあると思いますので、ぜひ政治家としての、大臣の御自身の言葉で、農家の皆さん、農村の皆さん方へのメッセージを賜りたいと思います。

 よろしくお願いします。

赤松国務大臣 議員には、数度にわたる挑戦で、見事今回当選を果たされたということで、心からお喜びを申し上げたいと思います。

 私自身が、この選挙まで選挙対策委員長を務めて、全国を、応援にも、あるいは調整という形でもめぐってまいりました。全国をめぐる中で一つ大きく感じましたのは、特に農村地域、そして山林、漁村、そういうところが大変もう疲れ切って、疲弊し切っている。今お話がありましたように、若い人たちも、地元でぜひ働きたいんだけれども雇用の場がないというような中で、農業従事者は、平均年齢でいえば今六十五歳。十年前には五十代だった平均年齢が、今もう六十五歳になっている。高齢化が進む、後継者はいない。そしてまた、今お話もありました生産調整の中で、減反、減反、減反、つくるな、つくるな、つくるなの農政の中で、まさに耕作放棄地は三十九万ヘクタールにもなっているという状況でございます。

 しかも、前政権まで何もしなかったのかというと、そうではなくて、いろいろな施策、そして予算も、少し長いスパンで見れば農村に対して何兆円というお金をかけてこられたにもかかわらず、実際には毎年毎年農地も二万ヘクタールずつ今なお減っているという現状の中で、何としても、意欲があれば、やる気があればしっかりとこの農業で食っていくことができる、食べていくことができる、自分の息子や孫たちにもこの農業を託していけるという、やはり、農業、農村、そしてまたこれは水産業にも言えるかもしれませんけれども、そういう再生を図っていかなければならない。

 このように思い、そして、私どもがマニフェストの中で約束をしてきた、これは長年、実は党の中でも、あるいは議員立法として法案を、委員長なんかもその提案者として出されて、そして大いに与野党でも議論をして、ただ、当時は野党で少数派ですから成立はしませんでしたけれども、例の戸別所得補償制度。これをやはり、地域と、そして農業の再生に、ぜひ決定的な一つの柱として打ち立てていきたいということで、今回、来年度はモデル事業でございますけれども、二十三年からの本格実施に向けて、今取り組みをさせていただいているということでございます。

 あわせて、こうしたやる気のある農家に対して応援をしていくということのほかに、もう一つは、六次産業化ということで、単に第一次産業にとどまるのでなくて、加工、流通、販売、地域においても雇用が創出できるような、そういう手だてもとっていこうということで、六次産業化の方針も同時に今打ち立てさせていただいておるところでございます。

 これがしっかりできれば、大規模の農家も、あるいは中山間地に象徴される、代表される小規模の農家も、それぞれの立場できちっと農業を営むことができる。しかも、そのことが結果的には、水、緑、環境、地域の環境を守っていくこともできる。そして、あわせて行います事業としての自給率向上の施策の中で、今四一%と言われている食料自給率、これも十年後五〇%、二十年後六〇%という目標を立てていますけれども、そういう方向でしっかり打ち立ててやっていこうということで今進めておりますので、また委員の御理解をいただき、御支援を賜りますように、心からお願いを申し上げたいと思います。

福島(伸)委員 ありがとうございます。

 今大臣から答弁いただきましたように、戸別所得補償制度の導入を初めとする民主党の農政というのは、これは農政の基本的な理念そのものを変えるものであるというふうに私は考えております。

 これまでの農政というのは、補助金行政とよく批判されますように、例えば、生産調整に協力しないと支援はしませんよとか、大規模化しないと支援しませんよと、言ってみたら上から目線、生産現場の思いを無視した政策であったのではないかというふうに思っております。

 私たちが掲げる戸別所得補償制度というのは、石破前大臣も選択的減反という考えをおっしゃいましたけれども、現場の選択を重んじる、小規模な農家も企業的にやる農家もやる気さえあれば生きていける、そういう農業政策なのだというふうに理解しております。

 そのような農政の抜本転換をするときに大事になってくるものは、私は、基本法に基づいてつくられる食料・農業・農村基本計画、これだというふうに考えております。戸別所得補償制度だけではなく、例えば農協のあり方、それはどうなければならないのか、あるいは農業委員会とか農地制度といったものをどうしなければならないのか、先ほど大臣がおっしゃった六次産業化に向けてどのような投資環境を整えるか、さまざまな課題をこれまでの政策のパラダイムとは違う形で展開していかなければならない、非常に大事な農業基本計画だと考えております。

 これは現在、食料・農業・農村政策審議会、その部会で議論されているというふうに伺っておりますが、どうやらこれは前の政権からのずっと引き継ぎで、同じ委員のメンバー構成でやっており、かつ、一月二十七日に開かれたときに示されたスケジュールどおり、来年の三月に取りまとめられるというふうに私は伺っております。

 一回これをまとめちゃうと、次は五年後なんですね。五年後ということは、私たちの選挙の後の年です。よって、新しい政権がつくることができる農業基本計画というのはこの基本計画なんです。私は、この基本計画というのは、つくるプロセスも含めて、新政権らしい、もう一度仕切り直しをした場で、もっと現場を巻き込んで、国民世論を巻き込んで、消費者も巻き込んだ議論の中でつくり、多少おくれてもいいと思うんです、委員の構成も見直した方がいいと思っております。

 資料をずっと私も追ってみましたけれども、一月の段階に論点が出され、そして、四月の段階で農政改革の基本方向ということで農政改革の関係閣僚会合で決定をされ、八月に検討状況というのが取りまとめされて、恐らくこれが報告書の骨子になるんです。これこそ私は官僚主導だと思っているんです。

 私はかつて官僚でした。審議会を開く前に報告書はつくるものだということを、私がいた役所ではそういうふうに教わったんです。実際は、あとはガス抜きで、この委員構成を見るだけで、関係者がうまく入っているんですよ、すべての関係者が入るような仕組みになっている。農業法人協会、農業会議所、JA、企業経営者、食品産業、自治体、消費者団体、マスコミ、学者、こういう利害調整の場として審議会があって、実際の政策は裏で官僚がつくっている。それでは私は、新しい政権になって、なるほど変わったな、農業政策が変わるな、そういう期待を国民の皆様方に持っていただけるとは思わないんです。

 ですから、私は、多少、三月じゃなくて六月でもいいと思うんですよ、来年度の予算要求に間に合う時期であればいいと思うんです。もうちょっと時間を置いて、仕切り直しをして、一から国民を巻き込む形で新しい基本計画づくりをやっていただきたいと思うんですけれども、御見解を副大臣に伺いたいと思います。よろしくお願いします。

山田副大臣 福島委員から大変大事な御質問でございます。

 この新しい食料・農業・農村基本計画については、私ども政権交代したら、既に何回か企画部会が開かれて検討されておりました。そんな中で、まず、今までの、かつての自公政権の中での企画部会委員じゃないか、これを入れかえてもう一度私どもの政策でやれないか、そう検討させていただきました。ところが、これは法律で決められておりまして、ことしの七月に新しく企画部会の委員が任命されたので、これについて、今私どもが、政権交代したからやめていただいて、新しい委員を差しかえするという法的権限がないということがわかりました。

 それで、内閣の方とも相談させていただいたんですが、今の委員の方々が自主的にやめていただいてかわっていただくか、そういったこと以外は、いわゆるそういった企画部会の答申をかえって無視するという形で考えるか。ただ、法律的には五年の見直しで、三月が来ますので、いろいろ考えましたが、結果として、私どもが企画部会に出ていって、民主党の戸別所得補償の制度、そして六次産業化の路線、そういった我々のマニフェスト、我々が長い間検討してきた農業政策、これを今、企画部会委員の皆様方に、我々が必ず出席してお話しさせていただいているところです。

 幸いなことに、企画部会の方でも民主党のマニフェストをしっかり勉強していただきまして、我々が思ったよりも、そういう民主党の新しい政策に沿った形での基本計画が食の安全についてもできつつあるんじゃないかと今考えているところです。

 それからもう一つだけ、福島委員が先ほど申されておりました農協法の改革。これは、協同組合においては、生協とかいろいろなところというのは必ず政治的中立を明記しているんですが、農協法にはなかったということから、私ども、民主党時代に法案を出させて、準備させていただいております。今回、それを閣法で出すか出さないか。それについては、私どもとしては、まずは農協さん自身が、今回、政権交代を踏まえて、みずからが農協のあり方についてどう考えていただけるか、まずそれを見定めてみたい、そう考えているところです。

福島(伸)委員 特に最後の農協法に関する御答弁、ありがとうございます。

 役人の力の源泉というのは、原稿を書くこととスケジュールを決めることだと私は考えております。基本法の第十五条第七項では、「おおむね五年ごとに、基本計画を変更するものとする。」おおむねなんですね。三月につくっても六月につくっても恐らくおおむねだと思うので、ぜひスケジュールは政治家としての立場で御判断いただきたいと思いますし、あと、その原稿というかドラフトを書くのも、ぜひとも新しいメンバーで、審議会を通さなければならないという法律の話は理解いたしましたので、それはそれとして、それは形式上のものとして、実質的にドラフトを書くということを新しい形でやっていただきたいと思っております。

 以上、お願いいたしまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございます。

筒井委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木(雄)委員 民主党・無所属クラブの玉木雄一郎です。

 私は、日本一小さな面積の県であります香川県の出身であります。そして、香川県は大平正芳元総理を生んだ県でもあります。

 なぜ大平総理の話を持ち出したかと申しますと、来年、生誕百周年を迎えるという今歴史的な年であるとともに、昭和五十五年に大平総理のもとで田園都市国家構想、当然自民党政権でありますけれども、そういう大きな構想が出されました。

 これは、都市に田園のゆとりを、田園に都市の活力をというコンセプトのもとで提案された提言でございます。この中には、机上の青写真の実行よりは地域の優良事例を伸長させるべきと提言されていたり、あるいは、画一主義ではなく各地域の自発的な創意工夫が必要だといったことを提案するなど、今日にも通じるような提案が幾つもなされています。そしてまた、この提案、提言の策定に当たっては、私は平成五年に大蔵省に入りましたけれども、当時の局長や次官だった人が課長補佐時代に、若い官僚として各省から集められた人がまさに日本の知恵を結集してつくり上げた、そういった構想でもありました。

 私は、日本の農山村地域をどうするのか、日本の田園都市地域をどうしていくのか、そういったグランドビジョンがそれ以降出されていないように思います。今、地球温暖化や、あるいは東アジアの経済発展、また世界的な食料危機の可能性、こういった今日的な課題を取り込んで、まさに平成の田園都市国家構想、こういった大きなビジョンをこの政権交代を機に民主党が中心となってつくり上げていくこと、また、この農山漁村の再生については与野党ありません、日本が抱える大きな問題として、まさに我々国会議員が知恵を出し合って、そしてまた官僚も巻き込んで行っていく大きな課題だと考えています。

 そうした観点から、私は、きょう、政務三役の皆さん本当に日々御尽力されております、応援の立場で、また日本の再生のためには農業の再生が不可欠であるという信念のもとに、数点御質問をさせていただきたいと思います。

 日本は地理的にも南北に広く、さまざまな気候風土、文化があります。そんな中で、農業のあり方についてもこれまたさまざまであります。まずお伺いしたいと思いますが、各県ごとの平均の耕地面積はさまざまだと思います、これの最大の面積と最小の面積、それがどこであってそれぞれ幾らであるのか、そのことについて教えていただきたいと思います。

佐々木大臣政務官 お答えいたします。

 玉木委員から最初に提言がありましたが、私も、農業政策と農村政策というのは切り離せない政策だというふうに思っておりますし、そういった意味では、この農業政策だけではなくて、山村振興法とか過疎法とかいろいろな政策を組み合わせてやっていく必要があるというふうに思ってございます。

 ただいま御質問のありました都府県における耕地面積の最大値と最小値でありますが、最大値は、青森県でありまして二・一三ヘクタールでございます。最小値は、大阪府でございまして〇・五九ヘクタールでございます。

 以上でございます。

玉木(雄)委員 ありがとうございます。

 我が香川県も、大体六十アールぐらいだったと思います、全国平均の約半分だったと思います。地元では、よく五反百姓、五反百姓と言われて、五反前後の田んぼが大変多うございます。

 そんな中で、例えば米を生産していくに当たっても、生産コストもまた全国まちまちだというふうに思います。また同じような質問になって恐縮でございますけれども、佐々木政務官にお聞きしますが、米の生産コストの一番高いところと安いところ、どこで幾らなのか、それぞれ教えていただければと思います。

佐々木大臣政務官 お答えいたします。

 米の生産費でありますが、都府県の中の最大値は、高知県、二十三万六千三百六円、最小値は、群馬県、九万九千七百八十五円であります。

 以上です。

玉木(雄)委員 ありがとうございます。

 それぞれ北海道を除いた数字だと思いますけれども、北海道を除いても、例えば生産コストを見ても大きな差があるわけでございます。これからの農政の実施に当たっては、こういった地域ごとの特性をやはり反映した政策を実現することが大切だと思っています。

 その意味で、来年の米の戸別所得補償制度のモデル事業、これは一律の単価で交付する。モデル事業でありますから、こういったことを通じて地域の実情を浮かび上がらせていく、そのためには必要な措置だとは思いますけれども、再来年以降の本格実施に当たっては、例えば条件不利地への対策であるとか、そういったことをしっかりとあわせて講じていくことが必要だと思いますので、モデル事業の実施また検証に当たっては、そういった観点からしっかりとデータの分析なりをしていただければというふうに思います。

 続きまして、この米のモデル事業とともに実施が予定されております自給率向上事業について、質問をしたいと思います。

 これは、戦略作物として麦、大豆、その他の作物を、自給率の向上を目指して、主食用米並みの所得を確保できるように直接給付をしていくという制度だと思います。また、現在行われております産地確立交付金などを大幅に簡素化して行っていく事業だというふうに考えております。

 こういった今までの産地確立交付金を利用して、例えば我が香川県でありますと、ブロッコリーでありますとかミニトマトでありますとか、そういったものを地域の特徴を生かしてつくってきた、そういった歴史もあります。その点からいいますと、現在公表されている資料を見ますと、例えば、その他作物というものについて十アール当たり一万円の単価ということが出されております。これだけを見ると、今までの助成額から減額されるんじゃないかというようなことで不安を感じているような農家もいらっしゃるんですが、ただ一方で、地域で単価設定可能ともされております。

 その他作物についてこうした制度設計にしている御趣旨と、また、こういう単価で設定された支援の枠の中では、多少柔軟に、例えば一万円を超えてでもその総額の枠の中では単価設定が可能なのかどうか、この点についてお聞きしたいと思います。

山田副大臣 確かに、今度の戸別所得補償のモデル事業の中において、米を定額所得補償しようということにしておりますね。その中で、自給率向上事業で麦、大豆とかそういったものにかなり重きを置いたんですが、これまでの産地づくり交付金で、玉木委員のところにあるようにブロッコリーとかそういったものに三万とか四万とか出しているところについては、一応私どもが今試算して提示しているのがその他の作物で一万円となっていますので、大変いろいろなところでいろいろな不安を抱えているんじゃないか、そう思っております。

 しかし、これはあくまで、その地域地域において今まで、産地づくり、特産品づくりに努力を継続してきていますので、それは私どもとしても十分尊重させていただければと思っていまして、一万円以上の単価設定にすることは可能だと思っております。

 これからいよいよ財務省との予算折衝に入っていくわけですが、その中でまたいろいろ検討もさせていただければ、そう考えております。

玉木(雄)委員 ありがとうございます。

 ぜひ地域の自主性が反映される制度にしていただきたいと思います。

 最後に、これから農政の大きな転換を迎えていきます。そんな中で農家は期待とともに不安を感じていると思いますので、ぜひ農家の皆さんに、そういった新しい制度ができるときには丁寧で、そしてスピーディーな周知徹底を行っていただきたいということと、あわせて、私は先日こういう話をある漁師の方から聞きました。

 私が話しに行ったら、これまで国会議員の人には直接話なんかできると思っていなかったと。組合長にすら話せない。国会議員というのは組合長さんが話すものだ、あるいはもっと偉い人が直接話すものであって、直言許さずということを我々ずっと感じていた。それが初めて国会議員の人に直接話ができた、与党の先生に直接思いをぶつけることができたという話を聞きました。

 最後に大臣の御所見をお伺いしたいと思うんですが、直接払い、直接補償、いろいろなことを直接制ということがこれから大事になっていくと思うんですが、農政を実行していく、あるいは政策をつくる際にも、ぜひ政務三役が農村の中に分け入って、直接声を引き上げて、直接声を聞いて政策をつくっていただきたい。例えば、農村タウンミーティングのようなものを各地域で行っていく、そのことをまさに政治主導でやっていく、このことが必要だと思いますけれども、大臣の御所見、いかがでしょうか。

赤松国務大臣 まさに委員おっしゃるとおりだと思います。

 この政権ができましてから、そういうこともございまして、私ども、いろいろな政策立案をしていく、あるいは政策決定をするという場合には、該当の地域にどんどんと入っていきまして、もう既に、例えばサトウキビ等の関係については、それぞれ手分けをいたしまして、佐々木政務官が北海道に、あるいは郡司副大臣、山田副大臣がそれぞれ鹿児島に、奄美大島にというようなことで、現地の生産者の人たちとしっかり話をしながら、あるいはその現状を見ながらやっております。

 また、築地の市場あるいは名古屋の中央卸売市場等もお邪魔をしてやっている。あるいは、今、戸別所得補償制度で、特に飼料米に力を入れていこうということですから、そういうときには、今、東京農業大学が非常にすばらしい成果を上げていますので、では、直接神奈川県に行って東京農業大学の農地を見てみよう、それをつくった先生たちと一回話をしてみよう、議論してみようというようなことで、今やらせていただいておるわけでございます。

 戸別所得補償制度について言えば、大変この制度について今関心を高く持っていただいておりますので、まだ予算決定がしているわけじゃありませんから、すべて、例えば定額部分が幾らになるとか、そこまではまだ言えませんけれども、少なくとも、全体の制度の仕組みだとか、ここまではもう決まった、ここまではもうお伝えしていいというところについてはできるだけ速やかに、できるだけ丁寧に、できるだけ生産現場に近いところまで入っていって御説明するように、今努力をしているというところでございます。

 ちなみに、各農政局のところにこの制度のための相談窓口も実はつくりまして、直接農家の方たちが、農協を通じてでなくても、個人で電話をしてでもいろいろなことが聞けるという仕組みもつくりましたので、今後もそういうことを基本にしながら、とにかく、決まったこと、そして少しでも早くお伝えした方がいいことについては、今委員指摘のように、しっかりと皆さん方のところへお伝えをしてまいりたいと思います。

 あわせて、戸別所得補償制度というのは、大きな目で見ると必ずしも生産者だけの問題じゃないんですね。こういうものを通じて自給率を向上していく。そのためには、それにパートナーとなる食品産業やあるいは消費者の理解がなければ自給率も上がっていきませんので、そういう意味でいえば、農村部だけではなくて、都市、地域の皆さん方に広くこの制度についてお伝えをしながら、理解を得、そして安心、安全、そしてまた安定的な食の供給、そしてまた自給率の向上にそれがつながっていくというようなことでの努力も今後ともしていきたい、このように思っております。

玉木(雄)委員 永田町や霞が関でつくり上げる農政ではなく、現場でつくり上げる農政をぜひ実現していただきたいというお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

筒井委員長 次に、山岡達丸君。

山岡(達)委員 北海道選出、山岡達丸でございます。

 きょうは、皆様に質問する機会をいただきまして、皆様の御高配に大変感謝いたします。新人三人目でございますけれども、これまでの玉木委員そして福島委員は、農業全体のこと、あるいは農政の転換の対応についてなど、そういった観点で御質問させていただいておりますけれども、私は、今回、漁業についてお伺いしたいと思っております。

 戸別所得補償制度で、とりわけ米のモデル事業が今先行して行われていることもありまして、水田を、米をどうしていくのか、そういった話が非常に議論の中心ではございますけれども、漁業につきましても、再来年度、戸別所得補償制度をどういうふうに位置づけしていくのか、そういった議論がございます。しかし、今回に関しましては、来年度のこと、直近のことでございまして、とりわけ漁獲物への有害生物の対応についてお伺いしていきたいと思っております。

 昨今、魚価、魚の価格が大変低迷する中で、大変漁業者の皆様の頭を痛めているのがこの有害生物の問題でございます。水揚げした際に、漁獲物にえたいの知れない、これまでいなかった生物がくっついている、そういったことで、漁業者の皆様にそれを除去するための余計なコストがかかっている、そんな現状がございます。

 私の地元の北海道の話で大変恐縮でございますけれども、ことしに入りましてから、北海道の道南のあたりにありますいわゆる噴火湾という場所を中心に、養殖ホタテを水揚げしましたときに、このホタテにべっとりと、ザラボヤという有害生物と認定されているものがついておりました。これはホヤの一種でございまして、これ自体はホタテに悪影響があるかどうか、まだわかっていないところでございますけれども、これが大変な網への重みとなってしまいまして網を破る、あるいは漁業者の皆様がホタテからザラボヤを取る、そういった余計なコストがかかっている現状でございます。

 また、全国では、エチゼンクラゲ、そしてまた一部の地域、トドが網を破るなど、そんな被害が出ている現状もございます。

 この対策としまして、現在、国では、有害生物漁業被害防止総合対策事業という事業におきまして漁業者の皆様に支援を行っているわけでございますけれども、この事業の適用範囲につきまして、私の地元から漁業者の皆様の声として、もっと柔軟であっていいのではないか、そういった声が上がっております。それを踏まえまして質問させていただきたいと思っております。

 そこで、私と同じ北海道出身の先輩の議員でございまして、また政府に入られています佐々木政務官に、ぜひお伺いしたいと思います。

 この、国の有害生物漁業被害防止総合対策事業の運用なんでございますけれども、現在はどのような考え方で助成をする適用範囲を決めていらっしゃるのか、その点についてまずお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

佐々木大臣政務官 山岡委員にお答えをいたします。

 私も、政務官に就任をしてから最初に取り組んだのがこのザラボヤの対策でございましたし、もう一つは、とりわけ北海道を中心に、日照不足、長雨対策などにも取り組ませていただきました。被害対策というのは、迅速に、しかも被害を受けた農漁民の皆さん方に素早くメッセージを伝えるということが必要だというふうに私は思っておりますので、そういう視点で取り組みをさせていただいてまいったところでございますが、今お尋ねありました有害生物漁業被害防止総合対策事業についてお答えをさせていただきます。

 四つほど要件がございますが、一つは、二県以上にわたって発生する広域的な漁業被害の防止、軽減に効果があること、二つ目として、関係する都道府県等がすべて参画し、連携して駆除を行う体制が構築をされていること、三つ目には、関係する都道府県等がすべて自主的な対策を講じていること、四つ目は、事業検討委員会で予算の範囲内で優先順位が高いものとして事業対象有害生物としての選定を受けること、こういう事業要件をすべて満たすということが必要な条件となっております。

 なお、現時点では、以上の要件を満たしている有害生物として選定されているのは、今委員からも御指摘がありましたが、大型クラゲ、トド、ナルトビエイ、ザラボヤの四種類となってございます。

 以上です。

山岡(達)委員 政務官、ありがとうございます。政務官もこのザラボヤの問題につきましては取り組まれたと、今お話をいただきました。

 今、その条件としていただいた中の一番最初に挙げていただいた、二つの県以上にまたがる、それが国がこの対策事業を行う条件の一つであるというふうにお伺いいたしました。これは、地方と国が、国が面倒を見る事業と地方が単独で行う事業と、それをすみ分けてのことだ、その条件の一つだというふうに私は考えておりますけれども、例えば、私の地元北海道におきましては、その国土は全国の五分の一でございます。また、海岸線におきましては四千キロメートルに及びまして、これは全国平均のおよそ六倍になるわけでございます。これが広域にわたる被害を、国として助成する事業だとしましても、北海道におきまして、例えば、北海道の東の方、釧路、大樹、広尾、または北海道の反対側にありますオホーツク海側でザラボヤの被害が出たときに、このザラボヤが助成の対象になったかどうか、私は非常に心配するところでございます。

 今回のザラボヤ被害の対象としていただいたのは、比較的北海道の南の方、道南の方であった被害でございました。ということもございまして、結果的には、青森県と北海道、両方で一部見つかっている、そういうところで、ぎりぎり二県以上にまたがる、そういった条件が満たされたことによって、今回、助成の対象になったものだ、私はそのように考えております。

 これは、本州であれば二県以上にまたがるというような海岸線の距離が、北海道では全く適用できない。最初に挙げていただいた、二県以上にまたがるという要件にこだわるんだとすれば、これから先、新しい有害生物が発生したときに適用されるのかどうか、そういった心配が生まれてくるわけでございます。

 これは私からの御提案といいますか御提言でございますけれども、国が有害生物漁業被害防止総合対策事業として適用する範囲につきまして、地方と国のすみ分けとして、地方が対応できない広域の範囲を国が対応する、それはそのとおりであると思いますけれども、これにつきまして、二県以上にまたがる、そういった要件ではなくて、海岸線の長さであるとか、あるいは漁獲高が全国でも有数の地域の産地であるとか、そういった意味での広域の被害、そういった認定におきまして、この事業の適用を考えてはいかがかと。

 このザラボヤにつきましては、既に解決済みではございますけれども、これから先、新しい有害生物が発生したときにまた柔軟に対応できるように、そういった運用の仕方にしてはどうか、その点についてぜひ佐々木政務官の御見解を伺いたいと思います。

佐々木大臣政務官 お答えいたします。

 私も北海道に住んでおりますから、今、山岡委員から御指摘をいただいた点については、私自身も同じような考え方で検討してみました。しかし、実は、平成十八年になるんですが、三位一体改革というのが行われて、一都道府県の地先のみでの漁業被害が発生しているような有害生物については税源移譲しているということになってございまして、そういった場合は都道府県で単独で実施するようにというふうに、そのときになっておりまして、その壁が実はございます。

 こうした意味から、今の時点で要件から落とすということはなかなか厳しいところがございますが、しかしながら、局部的に今委員が御指摘のような大きな被害が出るということはあり得ますので、そういったことについては、甚大な被害があるというような場合には、都道府県と連携をとって被害の防止などに努めてまいりたいというふうに考えてございます。

 以上です。

山岡(達)委員 今、三位一体のお話もいただきましたけれども、平成十八年に三位一体の改革があって税源移譲がされたときに、このザラボヤの問題につきましては、そのときは想定されていない問題でございました。

 今、都道府県単位のことと、国、都道府県の単位ではないこととすみ分けているというお話もいただきましたけれども、ぜひともこの件につきまして、甚大な被害が出たとき、政務官初め大臣の皆様に前向きにいろいろ被害の、助成についても考えていただきたいと思っております。

 ところで、このザラボヤの被害につきましてお伺いします。

 今シーズン、青森県と北海道、両方で出ているということで、広域の事業として助成が出ております。これは緊急の対策ではあると思いますけれども、一億円の規模でございました。この一億円の規模というのは、主に、ホタテを陸上に水揚げしまして、そのホタテにくっついたザラボヤを除去する、その作業のみに助成がついている、そういう状況なんだと私は思っております。

 しかし、これは、エチゼンクラゲなどほかの有害生物につきましては、除去をする作業だけではなくて、その原因がどこにあるのか、原因究明につきましてもきちんとした助成がついている、そういった現状がございます。ザラボヤにつきましても、これは陸上に揚げて除去するだけではなくて、きちんと原因究明をして、そしてそのもとを正すような形にしなければ、最終的にこの有害生物の問題は解決していかないものだと私は考えております。

 そこで、このザラボヤにつきまして、来年度以降、エチゼンクラゲと同じように、さらに助成の範囲を広げていただけるのか、そのあたりにつきまして、また政務官の御見解を伺いたいと思います。

佐々木大臣政務官 お答えいたします。

 原因究明をしっかりやらなければ、これはクラゲも同じでありますが、原因究明というのが何よりも大切だというのは御指摘のとおりでございます。

 これらの原因究明についてでありますが、今、都道府県、それから水産総合研究センター、大学の研究室、あるいは全漁連、こうしたところと連携をさせていただいて、そうした取り組みもさせていただいているところであります。

 ザラボヤについては、道立の函館水産試験場で付着の原因等についての調査研究、それから農林水産省としても、独立法人でありますが、先ほど申し上げました水産総合研究センター、それぞれ連携をして、海洋環境のデータや発生状況などについても情報提供させていただいているところであります。

 トドについてでありますが、ザラボヤと同様に、道立水産試験場と協力をしながら、追い払いの手法あるいはまた忌避手法などについて今開発させていただいていると同時に、実態把握に努めさせていただいているところでございます。

 以上でございます。

山岡(達)委員 ありがとうございます。

 この有害生物に関しましては、ザラボヤを初め、これから先、全くこれまで想定してこなかった問題が出てくる可能性があるわけでございます。私が今御提案させていただいた、都道府県にまたがるものだけじゃなくて、さまざまなケースに柔軟に対応していただくようなケースこそが、これから戸別所得補償制度で、そういった新しい制度に位置づけていく中でも、漁業者の皆様の心配をなくして、そして、安心して漁業に取り組める、そんな環境をつくるものだ、そのように考えております。

 最後に、政務官にもう一度、この有害生物につきまして、今後、政府としてはどのような思いを持って対策を打っていかれるのか、その全体のことにつきましてお伺いをしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

佐々木大臣政務官 お答えいたします。

 これからの総合的な被害対策についてでありますけれども、幾つかの分野で考えていかなければならないと思いますが、出現の予測、状況の把握、出現情報の提供、それから漁具の改良などなど、また陸上処理などに加えて、発生原因の解明というのが非常に重要だというふうに思っておりますし、あるいはまた、被害を受けた漁業者に対する共済、漁具被害の損失補償などなどを考えていかなければならないというふうに思っているところであります。

 先ほど処理のお話が委員からございましたけれども、ホタテガイの洗浄の予算のほかに処理の予算、それぞれ一億ずつ、ことしは予算をこの間つけさせていただいたということもあわせて、先ほどの答弁に加えさせていただきたいというふうに思います。なお、二十二年度の予算については、昨年の約倍以上になりますが、本年が八・九億円でありますが、来年は十九・一億円、予算措置を今要望させていただいているところであります。

 以上です。

山岡(達)委員 ありがとうございます。

 予算の要求の段階で倍額要求されているということで、政府としてもやはりこういった問題にきちんと対応していくんだ、そういった意思があるんだということを確認させていただきました。

 また、これからもぜひ漁業者の皆様のことも踏まえた新しい制度を考えていただきたい、その思いを伝えさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

筒井委員長 次に、森本和義君。

森本(和)委員 私は、民主党・無所属クラブの森本和義です。

 私の住居のある愛知県は、自動車産業を中心とした工業県ということで全国に名前が知れ渡っているわけでありますけれども、実は、一方で、農業生産額、これは毎年、金額ベースでありますけれども、五位、六位、全国で上から五番目、六番目ということで、実は農業大県とも言えるかと思います。非常に農業の方も盛んに行っている県でございます。その愛知県下から、今般、この戦後農政の大転換期においてまさに重要な任務を担う農林水産大臣、赤松大臣が誕生したということは、まず、私ども愛知県下における農業に携わる、あるいは関係者において非常に心強く思っておるところであります。ぜひこの戦後農政の大転換が成功裏に終わるよう、また頑張っていただきたいと思います。

 また、私、愛知十五区というところでありますが、豊橋市と田原市という二つの市から成っております。この豊橋市というのは、昭和四十二、三年に豊川用水が通水して、その昭和四十二年から平成十六年までずっと、これも金額ベースでございますが、農業生産額、市町村ベースでは全国一位をずっと続けてきた町でございます。主にキャベツ等の露地栽培あるいは施設園芸というものを中心に、ずっと全国で一番の農業生産額を続けてまいりました。最近はもう一つの田原市というところが合併をして、いわゆる渥美半島でございますが、今現在、全国一位の農業生産額を続けております。

 このように、大変に農業の盛んな地域でございますが、先般、十月八日、大変に大きな台風十八号が愛知県に上陸をいたしまして、全国的に被害を与えたわけでありますが、特に私ども愛知県の農業における被害総額が、十月三十日の確定値では百三十億というふうに報告を受けております。

 この百三十億という金額は、関係者の方に聞けば、これはすごい被害だ、非常に大きな被害だ、とんでもない被害だというふうに言われるわけでありますが、一般の方にお聞きしても、例えば内閣の方でやっております激甚災害指定、これはちょっと中身が違うんですが、局地的な激甚災害指定にも私たちの地域は入っておりません。そういう意味で、目に見えた人的被害あるいは道路の被害が少なかったこともありまして、世の中全般で、一般の国民の皆さんにおいて、被害の甚大さというものが正直言ってなかなか理解していただけない部分もございます。

 ちなみに、愛知県の製造品の出荷額は年間四十八兆円。これを今回の台風の被害と置きかえてみれば、約二兆円の被害があったと言えるわけです。そのように言えば、一般の県民の方も国民の方も、大変な被害だというふうに感じられるわけです。

 このような非常に大きな被害を受けまして、今般、政務三役におきましては大変に迅速に対応していただいたわけでありますが、それでは、山田副大臣にお聞きいたします。自然災害対策としてどのようなメニューがあり、また、今後どのような方針で対応していくということをお考えでしょうか。よろしくお願いします。

山田副大臣 森本委員の地元に、先般、食と農の再生会議の際に行って、田原市長さんからも、ビニールハウスが壊れている、いろいろな状況、いろいろお話をお聞きいたしました。

 本当に大変な災害で毎年どこかでこういう状況になっているわけですが、そういった場合に備えまして、我々は今、大きく三つあると思っております。

 一つが、農作物の被害等に対する共済、いわゆる損失を補てんする共済制度、これが一つ。

 それからもう一つが、共済に入っている人は五〇%ぐらいしかいませんし、実際に、もう一回農業を再生するとしたら、どうしても当面お金がかかる。そういった意味で、融資制度。この融資制度については、実は赤松大臣も、地元のことなので、何とか迅速に無利子の融資制度ができないか、そういうことで何度もそういう検討をさせていただきまして、ようやく政策金融公庫からいわゆる無利子の融資制度、これができるような、そういう災害のための融資制度が二つ目です。

 三つ目に、農地とかいろいろな、かんがい排水施設とか、道路でもそうですが、そういった災害復旧事業、それについてかさ上げ。いわゆる災害復旧についての激甚災害の指定、三重県の津市においては局地激甚災害の指定がなされたようですが、豊橋市にはないみたいですね。

 そんな中で、いわゆるかさ上げをどれくらいするかというので、一般的な農地、かんがい排水施設について、農道もそうですが、基本補助率が五〇%、こういった農業用施設、それについては六五%、被害状況に応じては、かさ上げして八五%まではできるようになっているようです。公共土木施設については、基本補助率が三分の二ですが、かさ上げが平均して六九%までできるようですので、私ども政府としても、できるだけ、こういう災害についての復旧工事、無利子の融資制度、できるだけ無担保無保証の融資制度も加えて、そうしたいわゆる共済制度のあり方をもう一度検討させていただきながら、災害に対する備えを十分にしていきたい、そう考えております。

 以上です。

森本(和)委員 ありがとうございます。

 先般の台風十八号被害に対しても、またスーパーL資金の枠を使った対応、大変に好評でございます。本当にありがたいと思っております。

 それに関連してなんですが、自給率向上のためにいろいろな施策を打たなければいけないのでありますが、やはり後継者不足に対する対応、対策、これも重要だと思っております。すべての政策、例えば経営安定をしていかなければ後継者は見つからないよ、そういう意味での所得補償、あるいは税制、法制の改正、あるいは六次産業化ということで、若年層、若者に人気のあるというか、若者に魅力のある産業化というものが今般の農政改革の中で論じられていると思います。

 それに加えて、特に今の農林水産業におきましては、先ほどの害獣というんですか、対策も含めまして、あるいは私の地元で先般起こりましたウズラの鳥インフルエンザの問題も含めまして、日々の経営努力をしているにもかかわらず、突然やってくるいわゆる天災、自然災害、病原害虫というんですか、そういう被害に対する対策も非常に重要ではないかというふうに私は認識をしております。

 特に、例えば今回の融資制度、大変にありがたいものなんですが、御高齢の方が、またお金を借りて一から始めるということに対してなかなか踏ん切りがつかない。そういう意味で、今回これがいい機会だから農業をこれで終わりにしようかという声も一部にあるようです。

 そういう意味で、私は、この自然災害、いわゆる突発的な災害に対する認識は非常に重要だと思っておりますが、最後に副大臣の所感をお願いいたします。

山田副大臣 確かに、今、六十五歳以上の高齢者が日本の農業の六一%を担っているという非常に大変な高齢化。そんな中で、こういう災害を契機に、もう農業をやめようかと、今、森本委員指摘のように、森本委員の地元でも、各地でそういうことがよく聞かれるわけです。

 自給率がどんどん下がってきた中で、何とかして農業でもって、漁業でもって食べていけるようなというか、生活できるような、そういう戸別所得補償制度、これをできるだけ早く、待ったなしだと思っているんですが、新しくハウスをつくり直して、これからやるんだったら大変だけれども、いわゆる米や麦や、将来的にはそういったものも含めて、何とか農業で十分食べていけるんだという所得補償制度、これをできるだけ早急に確立して、六十五歳過ぎても七十歳過ぎても、まだ意欲を持って農業に取り組んでいけるような、そういうシステムが早く確立できればと考えておりまして、私ども、皆さんと一緒に努力したいと思っております。

 以上です。

森本(和)委員 ぜひよろしくお願いします。ありがとうございました。

筒井委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 おはようございます。社会民主党の吉泉秀男です。

 本委員会において質問の機会を与えていただいたことに、委員長を初め委員の皆様に感謝を申し上げながら、持ち時間十分でございますので、早速質問に入らせていただきたいと存じます。

 まず初めに、生産調整について質問をさせていただきたいと存じます。

 四十数年続けられてきたこの減反、転作制度は、農家の皆様に生産意欲を失わせたばかりではなく、不耕地の拡大や美しい田園風景を壊すなど、多くの問題を投げかけてきたことは御案内のとおりでございます。私たち社民党は、減反そして転作政策は一刻も早く見直して廃止するべきであって、生産抑制をするのではなく、水田の多面的利用を図る中で食料の構造改革を図っていくべきだと主張してきたものでございます。

 また、転作率がもう既に四〇%まで達してきた今日の状況の中で、前農林水産大臣石破氏については、生産調整の廃止から強化までシミュレーションを行い、生産調整の緩和があるべき姿である、この考え方を示したのも最近の話でございます。

 民主党は、米をつくらせない形での現行の生産調整を廃止する、こういう主張をしてきたわけでございますけれども、今回の戸別所得補償制度モデル事業、そして水田利活用自給力向上事業は、この生産調整廃止とどういうふうにつながっていくのか、農林水産大臣の所見をまずお伺いさせていただきたいと存じます。

赤松国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 私どもは、これはマニフェストでも明確に申し上げておりますけれども、つくらせない農業から、むしろ前向きな、つくる農業、そして将来のある農業ということで、今回の戸別所得補償制度を提案させていただいております。

 旧来は、米は余っているんだからつくるな、とにかく減反をしろと。しかし、それに従ってやめても、減反をした農家には、転作すれば別ですけれども、それだけであれば直接的には何もメリットがないということで、それに従わない方たちも大変多かったわけであります。

 今度、私どもがやっておりますのは、生産数量目標に従って、その数量だけきちっとつくっていただいた方には、ちゃんとその生産費と販売費との差額部分を見るということでのメリットがある。だから、選択制ではありますけれども、事実上、そこに入った方がメリットはあるわけですから、入らなければメリットは何もないわけですから、ほとんどの方たちは私どもが掲げる生産数量目標に従った生産に従事をしていただける、このように信じておるところでございます。

 一方、そうしますと、では、あとの米をつくらない水田をどうするのかという問題が当然ありますから、それは委員今御指摘のように多面的な活用ということで、現在不足をしております麦、大豆、それに加えて飼料用米とかあるいは米粉だとか、そういうものにしっかりと取り組んでいただき、結果的にそれがまた自給率の向上につながっていく。しかも、米以外の作物をつくっていただいても主食用米を生産するのと同じぐらいの収入、収益が約束されるということでありますから、積極的にそちらの方はつくっていただけるのではないかということで考えております。

 ですから、委員の御質問に一言でお答えするとすれば、旧来型の生産調整は廃止をし、新しい制度のもとで将来ある農業をやっていくということでございます。

吉泉委員 御答弁いただいたわけでございますけれども、現実の段階で、農家の約三割が今までのいわゆる転作、このものに対して不参加、そしてまた未達成の県が二十県、作付面積は五万ヘクタールをオーバーしている今日の状況でもございます。

 今、政権が交代をし、農家の皆さんからは大変大きな期待が寄せられているのも現実でございます。今、答弁があったように、私自身も、実質的には生産調整の廃止、そういう部分のとらえ方もされるだろうというふうに思いますけれども、選択制という新たな方式、こういうふうに私はとらえているところでございます。

 そしてまた、今の現状の中で、これまで転作の未達成の農家の皆さん、この皆さんにも麦、大豆などの助成措置が図られる、このことについては、これまでの制度から見れば大きく評価できるものなんだろう、こういうふうに私は思っているところでございます。

 しかし、今、選択制、こういうのが原則でございますから、そういう中では多くの人たちから少し心配な意見も出ているわけでございます。

 それは、作付面積が上回って米の過剰が生まれる、こういう心配があるのでないか、こういうふうに言う人たちも多くおります。そしてまた、作付割合がうまくいったにしても、天候の関係で豊作により米の過剰も出てくる、このことも当然予想をされるわけでございます。

 これらの問題等について、山田副大臣はどのように考えながら対処していこうとしているのか、まずお伺いをさせていただきたいと存じます。

山田副大臣 今回の米のモデル事業ですが、確かにこれまで、委員指摘のように生産調整に協力しない農家の方々、府県も、協力できなかった方々も結構いるわけです。しかし、今回の私どもの生産数量目標に参加する人、その人たちには、いわゆる定額分、これはこれから決めていくわけですが、その定額分の所得補償がなされるという強力なメリットがあると思っております。いわゆる生産数量目標に参加する人はちゃんと所得補償できるんだと。

 そういう意味では、あす大潟村に行く予定ですが、大臣に行っていただけるんですが、今までそういうところでも生産調整に全く協力しなかったんですが、今回、そういうメリットがあるならば生産調整というか生産数量目標にぜひ協力しよう、そういう農家がかなり出てくるんじゃないか。そういう意味では、需給は引き締まる、いわゆる余ってくることはかえってなくなっていくと我々は考えております。

 しかし、今委員が指摘のように、どうしても豊作で、豊作のときというか、指数が一〇〇とか一〇一とか一〇二ぐらいならいいんですが、一〇五とかそういうぐあいになったときに過剰米が生ずるじゃないか、そう言われます。そうなると、確かに需給が緩和してきますから、いわゆる価格が下がってくるんじゃないか。そのときに、定額部分だけでは生産費を補てんできない場合が生ずるんじゃないか。

 そういった場合でも、我々の今度のモデル事業では、定額部分をさらに下回っても、さらに、生産数量目標に協力した米農家には、いわゆる生産費の岩盤部分というか、きちんと補償いたします、だから安心して米づくりをやってくださいと。それで、いわゆる余った部分、予定よりも豊作になった部分、その部分については、米粉米とか飼料米とか、新規事業でも開拓して売ってもらえば、その分、余禄として、余計な利得としてなってきます。

 逆に、生産調整に協力しなかった、生産数量目標に協力しなかった農家にとってみれば、何の所得補償もないわけですから不利になっていく、そういう形になっていくんじゃなかろうか、今のところ私どもはそう考えております。

 以上です。

吉泉委員 どうもありがとうございました。

 私のところは、まさに全国でも有数な穀倉地帯、庄内平野のど真ん中でございます。そういう中では、米そのものに対する大変な努力と、さらには大きな目標、期待、そういった部分がございます。本当に、今の新しい政権のこの新しい一つの施策に対する期待が大変大きなものがあります。そういう中で、精いっぱい私どもも頑張らせていただきますので、ひとつ今後ともよろしくお願いを申し上げながら、持ち時間が終わりましたので、終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

筒井委員長 次に、山本拓君。

山本(拓)委員 自民党の山本拓でございます。

 大臣、副大臣、政務官、それぞれ御就任おめでとうございます。

 まずは、冒頭にちょっと認識をお尋ねしたいんですが、きのうの仕分け会議の中で、農業共済の三分の一程度の予算削減という報道がなされていますが、多くの農業者の皆さんに大変だ、どうなっているんだという不安が広がっております。

 私どもの方にも、文書をそのまま読み上げますけれども、「十一月二十四日に開催された行政刷新会議ワーキンググループにおいて、農業共済の共済掛金国庫負担金及び農業共済事業事務費負担金については、いずれも「三分の一程度の予算要求の縮減」との評価が下された。 これら農業共済の負担金については、災害時における農家経営のセーフティネットとして重要な役割を果たしているNOSAI事業において、農家の負担軽減のために必要不可欠な予算であり、極めて遺憾な評価結果であると言わざるを得ない。」云々、これは当然のことだと思うんです。

 大臣にお尋ねしますけれども、こういう農家の不安に、先ほどの民主党の若い人たちの純粋な意見に対してかつての昔を思い出して、素直な気持ちでしっかりとお答えいただきたいと思います。

赤松国務大臣 委員御指摘のとおりでございまして、今、事業仕分けが行われております。それぞれ立派な先生方の御意見でございますので、もちろんそれは尊重しなければならないというふうに思いますが、ただ、この事業仕分けがもう最終決定ということではありませんので、今後、それを参考にしながら、財務省との交渉、そしてそれぞれの大臣の交渉等も控えておりまして、最終的には十二月半ば、後半の決定ということになるんだろうというふうに思っております。

 私も、実は、今山本先生御指摘の件については、こういう結果が出たということを大変厳粛に受けとめておりまして、もともとこの農業共済事業については、農業災害補償法に基づく、法律に基づく制度でございまして、国の負担割合もきちっと決まっているものでございます。その意味で、例えば、先生御存じだと思いますけれども、事務費負担金についての四百五十六億円、それから共済掛金国庫負担金については五百四十四億円ということで、この五百四十四億円は、法律に定められた二分の一というその制度のもとでの計上なものですから、これを私どもがふやしたりとか減らしたりとか、勝手にできるものではないんです。しかし、それを三分の一減らせと言われても、これは正直言って困ってしまうわけですね。

 旧来からのパターンでいいますと、事務費の方は別に法律で負担割合が決まっているわけじゃありませんが、事実上二分の一程度を負担してきた。旧来から、これは自公政権時代からですけれども、財務省との交渉の中で、二億とか三億とかそういう程度の、こういう時代なんだから少しでも事務費を削減していけということで削減はされてきた経過はありますけれども、これを一遍に三分の一と言われても、これは正直言ってなかなか難しいというのが現実の今の状況でございます。

 しかし、仕組みとしてこういう事業仕分けの手法をとっているわけでございますから、その評価結果を真摯に受けとめながら、農業共済事業の適切な運営を確保する観点から、予算編成の過程で、今後、今申し上げましたような手順がございますので、財政当局とも、あるいは担当大臣とも、しっかりとその中身を理解していただく中で御理解を得ていきたい、そんな努力をしていきたいというふうに思っております。

山本(拓)委員 もともと事業仕分けは、ずっと、時々私もネット中継というか風景を確認させていただいていますが、財務省の職員が時々質問者のところに行ってメモ入れをしている姿が見えるんですね。だから、これははっきり言って、今までやってきた財務省の査定をそのままやらせ的に演じているような印象が強くて、そしてまた、仕組み的には、刷新会議の議長というか責任者は総理大臣でありますから、大臣は当然総理大臣の任命を受けているわけであります。だから、そういう担当部署として、大臣としての主張は当然なさるとしても、結果は、総理大臣のところの査定でいつも決まるわけであります。

 ただ、どのぐらいの決意でこれに対して、農道の問題もあるし、いろいろありますが、特に共済のこれについては基本的な問題ですから、民間の共済事業と違いますので、だから、決意というか、これはもう職をかけてでも守り抜くという気持ちは表明できますか。

赤松国務大臣 この事業仕分けにつきましては、実は親会というのはまだ正式に何も決定しておりません。今週、もう一度、あと残りの部分の事業仕分けの作業をやりまして、ワーキンググループの作業を受けて、三十日と聞いておりますけれども、三十日に親会というか正式な刷新会議としての結論が出るというふうに聞いております。それまでに、私どもとしては、言うべきことを言いながら、あるいは主張すべきことは主張しながら、文科省所管のあのスーパーコンピューターではありませんけれども、いざそういう結論が出たけれども、しかし、やはりいろいろな意見を聞いてみるとそうでもないのかなみたいなこともあるようでございます。

 私どもとしては、今言った、これは法律で定められた二分の一の負担ですから、これを削れといったって、それは事実上法律違反しろということになりますので、そういうことをきちっとお話しすれば理解していただけるんではないかというふうに思っておりますので、精いっぱい、力いっぱい、今委員御指摘のように取り組ませていただくということをお約束していきたいと思います。

山本(拓)委員 要は、総理大臣そして担当大臣はそれぞれ役割がありますので、全体を把握して決定するのが総理大臣、むしろ、それ以上に幹事長室に行った方がいいのかもしれませんが。いずれにいたしましても、大臣の意識をしっかり確認させていただきたい。全力をかけるということですけれども、お願いをしたいということであります。

 そしてまた、政権交代になっていろいろ政策転換がなされることは当然あり得るべきだと思うんですが、制度を変えるときには、やはり今までやってきたことを、新しい姿ができた段階で変えるというのが普通なんです。しかし、時期によっては、突然の選挙でこうなりましたので、例えば麦なんかは、これは具体的な話ですが、次の方針が決まっているのか決まっていないのか、まだ予算もどうなるかわかりませんからなかなか不確定なんですが、今まで、麦、大麦とかは十月、十一月に作付が終わっているわけですね、もう十一月の末ですから。

 もう既に作付が終わった、種をまいちゃった農家に対して、次がまだ具体的に、戸別の話がまだ詳細が決まっていませんから、今の時点で、大臣として、今までどおり農家の手取りは確保できるということをこの場所で公言していただけますか。

山田副大臣 既に北海道では麦の作付も、西日本ではこれから始まるところだと思いますが、十月十五日の概算要求の時点で、今までの麦については、経営所得安定対策の定額部分と出来高分の四万円にプラスして三万五千円、これを概算要求が通れば出しますよ、そういう形で私どもは発表させていただいております。あと、産地づくり交付金で、麦については上乗せしているところもあるかと聞いております。

 したがって、ちょっとそれでは足らないところも出てくるんではないかとか、いろいろなことをお聞きしておりますが、先ほど申しましたように、私ども、その他の作物について一万円という形で出しておりますが、普通、野菜にそれが使われることが多いかと思いますが、場合によったらそれを麦にかさ上げすることも可能ではないか。先ほど、私どもの方で、その他の作物については一万円以上可能である、そういう答弁をさせていただきましたが、十分、麦づくりについてもそれなりの対応を今検討させていただいております。

山本(拓)委員 今の段階でとやかくは言いませんけれども、基本的に、制度が決定した後の話は、それは当然みんなそのとおりで、時の政権に従うべきだと思うんですが、決まっていないという段階の中で、しかし、そうかといって、では作付しないというわけにいかないわけですから、十月、十一月、時期的な作業が終わったところは、安全、安心という意味の農政を進めるのならば、当然それは従来どおり手取りは保証する、助成するということは明確にしていただきたいということを思います。

 そこで、先ほど来の民主党の若手議員からの質問に対して、大臣、副大臣、政務官、それぞれ、特に大臣、マニフェストにこう書いてあったから、マニフェストどおりやるというお話でしたから、改めて確認させていただきますが、参議院の前回、大臣はもともと選対本部長ということで、だれよりも詳しいはずです、何を言って歩いたか。その意味で、ただ、何を言って歩いたかは別として、文書で、参議院選のマニフェストでは、農家所得補償に関しては大体一兆円規模という予算を印刷しましたね。前回の衆議院選挙では一・四兆円、所要金額ということを明示しました。

 本格的な質問は次の通常国会にさせていただきますが、今の段階で聞けるとしたら、概算要求したときの根拠ですね。今の麦の延長でいきますと、概算要求で二千百六十七億、いわゆる水田利活用自給力向上事業という具体的な事業に対して計上していますよね。これのいわゆる積算、査定根拠といいますか、これについてちょっと確認させていただくために、個別に一応お尋ねしておきます。

 一問目は、十アール当たり三・五万円の麦、大豆、飼料作物の作付面積は幾らと想定をされておりますか。そして二番目が、十アール当たり八万円という新規需要米の作付面積。三番目が、十アール当たり二万円のソバ、菜種、加工用米の作付面積。四番目、十アール当たり一万円のその他の作物の作付面積。そして、二毛作は五万円。これらは、結果的に予算がどうなるかは別にして、十月の段階で要求した時点ではこれは根拠があるわけですから、それはもう計算すればだれだってわかるんですが、改めて、大臣の口から数字をお述べいただきたいと思います。

山田副大臣 私の方で答えさせていただきたいと思いますが、もう一回、今の質問の内容なんですが、いわゆる作付面積が幾らかという趣旨でしょうか、事業について。(山本(拓)委員「はい」と呼ぶ)

 現状の作付面積に加えて、麦、大豆、飼料作物は約三十万ヘクタール、これを事業を見込んでおります。(山本(拓)委員「それは現状が三十万」と呼ぶ)いえ、現状の作付面積に加えて、トータルで三十万ヘクタールにはなるんじゃないかと……(山本(拓)委員「トータル、現状が三十万、まあいいや、とにかく進めて」と呼ぶ)

 ホールクロップサイレージ、これについては約五万ヘクタール……(山本(拓)委員「時間がないから数字だけ言って座ってください」と呼ぶ)ちょっといいですか。ソバ、菜種、加工用米、その他の作物は、現状の作付面積を基本に、それぞれ五万ヘクタール、二十万ヘクタールと設定しており、合計で六十五万ヘクタール、これを見込んでいるところです。

山本(拓)委員 では、次に戸別所得補償、米ですね、三千三百七十一億円計上しておりますが、これはなかなか、一応聞いておきます。

 米価の水準というものを大体幾らぐらい、それと対象農家は何戸、そして生産費は幾らぐらい、販売価格は幾らぐらい、定額補償は幾らぐらい。予算で財務省とやりとりするときはそこは明確にしてやるのが普通なので、ちょっと概略、この要求時のときの根拠だけお尋ねしておきます。

赤松国務大臣 もちろん、概算要求しているわけですから、それなりのそれぞれの根拠を持って提示をして計算をさせていただいております。しかし、例えば今、定額部分が幾らになるのかとか、あるいは、対象戸数は百八十万プラスアルファという言い方をしていますけれども、これは表へ出ている数字ですから構いませんけれども、あと額を具体的に幾らであれしているかということについては、まだ予算も確定しておりませんので、それはお許しをいただきたいと思います。

 ただ、私どもは、試算をするときに、今、米価というのはそれぞれ毎年動きます、その中で、米価が下がってもちゃんとこの制度が成り立つ、そういうところでもって基本のところは押さえているというところでございます。

 ですから、よく米価が少ししか下がらないと思ったらどんと下がったときどうするんだみたいなお話がありますけれども、過去のデータをとる中で、過去の中で一番低くてもちゃんとこの制度は成り立つという形での試算をさせていただいておりまして、十二月の予算確定をした段階で、これはもう確定するわけですから、細かな、定額部分は幾らになる、あるいはそれを幾らで見込んで、この額だからこういうふうになるんだということをお示しさせていただきたいというふうに思っております。

山本(拓)委員 いや、私がなぜこんなことを聞いたかというと、普通はそんなことは予算段階では聞かないんですが、もともと選挙時に、この規模とか、こういう仕組みでやるということを概略で示しているわけです。確かに、初年度はモデル事業だとか、いきなりではないんですが、大体そういうプロセスを明らかにするという話でしたので、それだったら別に隠す話じゃありませんから。幾らとか、幾ら予算とか、それは査定結果ですから。仕組みですからね。そこはいずれまた明確にお聞きしたいと思います。

 生産数量目標の話ですが、先ほど来からの話を聞いていると、今度はもう今までみたいにつくらせないとか、そういうことではないんだということですが、では、これは生産数量目標に即した生産ということですが、従来の生産調整というのとどこが違うんですかね。それと、従来ですと、大体もう今ごろ来年度の生産数量を決定するんですが、それは、従来のやり方とどこが違うんでしょう、そして従来の手法とどこが違うんでしょう。違いを言ってください。

赤松国務大臣 一つには、前政権までの場合は、生産調整イコール減反ですけれども、減反については、それについて非常に強制力があったというふうに思います。しかし、強制力はあったけれども、先ほども社民党の委員の方から御質問がありましたように、それに従わなかった方も結果的には大変多かったということだと思います。

 私どもは、今度は、この制度に参加するかしないかは御自身の判断で決めていただいて結構ですということにしておりまして、その意味でいえば、委員今御指摘の選択制という言い方をしてもいいと思います。しかし、名称は選択制かもしれないけれども、実際には、事実上この制度に参加すれば強力なメリットがある。参加しなければ、ある意味でいえば、米価が下がったときなんかは大損するというようなことになれば、結果的にはほとんどの方たちが自主的に、先ほどの大潟村の話じゃありませんけれども、今まで横を向いていた方たちも、こんないい制度だったら、ぜひそれに参加したいというようなことで、現実論としては、結果論としては、ほとんどの方たちがこの制度に参加をしていただき、生産数量目標に従った生産をきちっとやっていただける。

 あわせて、水田利活用自給力向上事業の方につきましては、これまた先ほど来、特に飼料米とか米粉だとかについては十アール当たり八万円の応援が出る、また、例えばえさわらの部分一万円も加えれば九万円来るわけですから、そういう意味で、前の制度とは根本的に違うと思っております。

    〔委員長退席、石川委員長代理着席〕

山本(拓)委員 私が聞いているのは、減反にメリット云々は、それは見ればわかりますけれども、要するに、先ほど自由につくればいいということですから、今回、生産目標を、今これは段取りしているんでしょう、いつごろ発表するんですか、時期だけ言ってください。例年よりおくれるんですか。

赤松国務大臣 今までは十二月と言ってまいりましたが、委員も御指摘のように、いろいろな皆さんがとにかく早く知りたい、早く教えてほしいということなので、きょう初めて申し上げますけれども、今月末までには正式に発表したいと思っております。

山本(拓)委員 従来どおりの時期と重なるということですよね。ということは、算定方式もやり方も同じということでいいですか、どこか違うことがあるんですか。

赤松国務大臣 算定方式というのは、例の……(山本(拓)委員「生産目標」と呼ぶ)生産、あれですか、自給率向上のところの、これはどれぐらいつくると。例えば、米粉についてはどれぐらいだ、飼料米についてはどれぐらいだ、麦、大豆についてはこれぐらいの目標を持っているということの数量も出るのかという意味ですか。(山本(拓)委員「来年度の生産数量目標。主食用米について」と呼ぶ)

 これは実は、ちょうど二十六日に食料・農業・農村の会議をやります。そういう中で……(山本(拓)委員「だから、今までとどう違うの」と呼ぶ)いやいや、だから、そういう中で、一応そういう皆さん方の意見を踏まえて決めるということになっておりますので、それを経た上で正式に発表したい。ですから、私が先ほど申し上げたように、今月末までにはきちっと発表できるのではないか。一応そういうことの意見を尊重して決めるということになっているものですから、その食料・農業・農村の会議を経て皆さん方には発表させていただきたい、このように思っております。

山本(拓)委員 だから、例年とどこが違うのかという話は、まあ、言葉が違うだけで、やることは一緒ということだろうと思います。

 いずれにしても、今月中に決定されるということですから、そういう中で、過剰米対策をどうなさるのかということですね。

 前回の委員会で、過剰米が出たら何らかの対策をしなきゃいけないという認識を大臣が示されましたけれども、これはどうされますかね。二十一年度の生産調整目標が八百十五万トンだったんですが、少し十六万ほど上回りになっちゃいましたが、それに対して何らかの手を打つとおっしゃっていますけれども、どういう手を打たれるんですか。

赤松国務大臣 基本的には、先ほど申し上げましたように、旧来と基本的な仕組みを変えるわけですから。私どもは、強力なメリットを与えることによって生産数量目標に従った生産を必ずや農家の人たちはしていただける、その前提で考えておりますので、仕組み上、過剰米が多く発生するということは考えておりません。

 ただし、先ほども質問に出たように、生産数量目標はきちっと守った、しかし、たまたまことしは台風も来なかったし、天候に恵まれて作況指数が上がっちゃったということでふえる場合は確かにあると思います。先ほど山田副大臣も言いましたが、一〇二、一〇三程度のことはあると思います。かつて、過去を調べてみますと、一番とにかく作況指数が上がったときは一〇八でしたから、それはもう一回か二回しかないんです。だから、ほとんどはわずかの生産増が見られるということになると思いますが、それはそれで……(山本(拓)委員「買い取りはしないということですか」と呼ぶ)買い取りはしません。

 一つ、ちょっと委員が誤解されているかもしれませんが、私がぱっと思ったのは、今度も政府買い取りは、ことしもします。それは、備蓄をしなければならないという取り決めがございますから、本来百万トンという備蓄の一つの基準があって、それを下回っているというときには、この部分の、これは別にとれ過ぎたからとか、とれ過ぎないからじゃなくて、その買い取りはします。その買い取りはするのですけれども、それ以外の意味で言う、お米がどんと余ったから、ではそれを政府が百万トン余分に買いましょうかとかなんとかということは考えておりませんという意味です。

山本(拓)委員 今の、それは備蓄米で、ちょっとまた話が長くなっちゃうので聞きたくないのですが、今まで備蓄米用に買い上げていたのは、食料安定の特別会計でやっていましたよね。今度、特別会計のそれはなくなっちゃうんでしょう。どこの予算にあるんですか、それは。

赤松国務大臣 なくなりません。

山本(拓)委員 では、仕分け会議の話はノーということで理解いたしておきます。

 それでは、もう余り時間がなくなってきたので、具体的に、生産費と販売費の差を補償するということですが、繰り返し言いますけれども、生産費とは、家族労働費と経営費の過去の数年間のデータということです。このデータも、先ほどでいうと、示せないということですけれども、その理由が、改めてちょっとよくわからないのです。

 では、そのデータを決める根拠というのは、考え方というよりも、予算査定の結果、金額に合わせてデータのとり方を変えるという意味なんですか。本来、このデータだけは言えるはずなんですけれども、どうですか。

山田副大臣 私ども、過去数年間の平均の生産費、過去数年間の平均の標準的な販売高、その差額と言っていますので、いろいろなデータもあるわけです。その中で、今まで私ども、二十年産の米の生産費、これはようやく今発表になったところで、さらに二十一年産の米価の動向、それを見きわめながら決めさせていただきたい、そう考えております。

山本(拓)委員 また今度、いずれ聞かせていただきます。

 ところで、家族労働費というのが、十割見るんじゃなしに八割と言っていますね。何で十割じゃないんですか。

赤松国務大臣 これは、衆議院の委員会でも参議院の委員会でも再三御指摘をいただいておりますけれども、もちろん、家族労働費を十割で見れば当然収入が上がるわけですから、農家の方たちはその方がいい。あるいは全農からもそういう御指摘を、新聞で見た限りですが、いただいている。先日も、参議院の委員会で共産党の委員の方から、なぜ十割にしないんだみたいな御意見もいただきました。

 ただし、私どもが計算してやってみると、労働費を十割と見たときに、結局それではお金が余分に出過ぎてしまう。それが場合によっては貯金に回ってしまう。しかしそれは、私どもがお金を出すのは全部これは税金ですから、少なくとも、農業をやっていくために必要なお金として使っていただくのは結構だけれども、それが貯金や蓄財に回ってしまうというのは、やはり国民の皆さん方から御批判をいただくのではないかということで、例えば第三次産業も含めて計算をした方がいいとか、いろいろな意見もありますけれども、とりあえずはこの八割、そして旧来の建設業、製造業、運輸業に属する規模の平均賃金を見ながら、それでもって労働費を決めていくということで、モデル事業は進めさせていただきたいと思います。

 もし、その結果、極端にそごを生じるようなことがあれば、これはこれでモデル事業ですから、本格実施のときには別に検討することはやぶさかではありません。しかし、私どもとしては、これが今考える中では最適な額ではないかと思っております。

山本(拓)委員 この家族労働費というのは、個人経営の項目としてはわかるのですが、農業法人、要するに法人は当然会計的に人件費になりますよね、法人の場合は。これは、法人の場合は、家族労働費というのは人件費に置きかえるのでしょう。

赤松国務大臣 そうだと思います。

山本(拓)委員 百姓というのは、仕事が百あるから百姓ということですから、そういう意味では、家族がやるのも法人がやるのも、それは当然仕事内容は一緒ですから、その意味では、今の大臣のお話で、法人における家族費というのは、これは税務署の署長が聞いたら非常に気になるところですから、当然それは人件費という御返事でございますので、これはこれをベースとして、またいずれ質問させていただきたいと思います。

 それで、農家の所得補償ということが、先週の宮腰委員の質問で、直接振り込むことだというお話でしたが、今までも直接振り込む仕事というのはやっていましたけれども、それとどこが違うのでしょうか。従来、水田・畑作経営所得安定対策というのは直接国から振り込んできていますけれども、それと同じ手法ということなんですね、当然。これは山田副大臣よく御存じのことであると思いますが、直接入れるということであれば、逆にそういう意味で、今までも直接やっていたものは今度始める所得補償の一種だという理解でよろしいですか。

赤松国務大臣 これは、この間私が答弁したのは、どうやって金を振り込む、だれが払うんだみたいな話だったから、それは地方の農政局が戸別の農家の、農協か郵便局かわかりませんけれども、そこへ振り込むんですよ、そういう意味でいえば戸別ですねと言ったんですけれども、正確に言わせていただけば、生産農家それぞれの販売数量目標を戸別に定め、そして、それぞれの農家が、参加するしないも含めて、これまた個人が申請し、そして、それに従って生産数量目標にちゃんと従ってやっていただいた方には、その結果として、時期の問題もいろいろありますけれども、これをそれぞれの農家の個人の口座に振り込みで行うという意味で、すべての面にとってまさに戸別を単位として考えるから、戸別所得補償制度というふうに命名してよろしいのではないかと思っております。

山本(拓)委員 では、生産費のことなんですが、生産費の中に小作費というか、もともと二百五十万ヘクタール国内に水田があるとして、地主と言われる人が何人いるか知っていますか。だれか知らない。地主、いわゆる納税義務者です。

 では、データ的には、最近のデータでちょっと調べ直したのですが、二十一年の水田面積は約二百五十万ヘクタールですが、これらの地主というのは四百六十万人いるのです。畑作地まで入れると、日本全国で四百五十三万ヘクタール、一千万人近くいるんです。非常に多くの地主が、いわゆる地主です、納税義務者ですから。しかし、小作料を払ってつくっている人はつくっている人で、また別です。

 だから、農家の所得補償はヨーロッパでもう既に実施されて、あそこで一番問題になったのは、地主と、ここでつくる人との、要するに補償金が来るのならということで取り合いになっているのですよ。結局は、地代が上がる結果になる。

 今までは、要するにもうからないから年貢でこれだけでいいやというふうに安い値段でおさまっていましたけれども、実際に国から所得補償ということで、しかし、その地代というか借り上げ代というのが経費としてみなされるということですから、これも一つみなされるんですから、民主党政権になって最近一番直接多くの声が聞けるのは、水田の集約化で貸そうと言っていた人が、やはりやめて、補償がもらえるんならちょっと待とうかという話まで今後出てきますけれども、こういう点は御心配なさっておりませんか。対応されますか。

赤松国務大臣 確かに、魅力のある制度ということで、それならおれもやってみようかということが想定できないわけではありませんけれども、一たん農業をやめられた方が、急にこの制度で、十アール当たり幾らもらえる、では急遽そこへまた戻ってやるかと言われるほどこれは簡単ではないというふうに思っておりますし、それから、私ども一回試算をしてみたんですが、実は、自分でその土地をまた戻して生産をするのと、貸したままにしてやったのはどちらが得かと計算してみたら、貸したままの方が得なんですね。

 ですから、必要ならまたデータを出しますけれども、数字をお見せしますが、そういうふうな結果から見れば、私は、巷間言われるような土地はがしといいますか、そういうことがざあっと起きてくるなんということは考えられないというふうに思っております。

    〔石川委員長代理退席、委員長着席〕

山本(拓)委員 私が申し上げたいのは、日本というよりもヨーロッパでこの所得補償の事業の問題で一番ネックになるのは、結局、今大臣いみじくもおっしゃっていたけれども、貸した方が得なんですよと言うがごとく、貸した方がちゃんと地代をもらえる、担保できるということは、今まで以上に地代が高くなって、生産コストが上がるという意味だということを申し上げておきます。

 もう時間がありませんので、いろいろ聞きたかったんですが、まとめてちょっと事業仕分けのことで確認しておきます。

 これは同じことですけれども、かんがい排水事業の取り扱いということで、うちの地元で九頭竜川下流域のかんがい事業というのが、具体的な話ですが、これは自治体と絡みで来ていますので、国だけやめると自治体も困っちゃいますので、そういう意味では、かんがい排水の件。そして、中山間地の直接払いの件、農道整備の件、先ほどの農業共済制度の取り扱い、さらには、鳥獣被害対策も何か対象外になっちゃったみたいでありますが、これらの事業仕分けに対する復活事業に対して、しっかり大臣の決意というか御意見を確認させていただきたい。

 そして最後に、CO2の削減二五%ということを標榜している内閣ですから、農林水産業で当然CO2削減に対してある程度、ハイテクとかもいろいろあるんでしょうけれども、カーボンフットプリントじゃないですが、私が申し上げたいのは、農業の問題でCO2削減というのはフードマイレージが結構あるんですよね。フードマイレージというのは、結局地産地消につながるんですが。だから、そういうことも含めて、CO2削減二五%を掲げている内閣の農林大臣として、今後、その意味ではフードマイレージ、今までやってきた事業のさらなる来年度の確認。

 そして、水産庁に至っては、燃料高騰問題で、重油なんですね。重油は、結局、漁網とか発泡スチロールとか、漁業関係者が使っているいろいろなものが、技術が進むことによって油化事業が進むんですね。だから、それが確立したならば、そういう廃材を重油に使う。こういう方向への取り組みに対するのもCO2削減の一環かなと思いますので、最後に、来年度予算に対して大臣のそこらの方針を明確に示していただきたいと思います。

赤松国務大臣 五つ、六つの質問が出たので、全部ちゃんと覚えて答えられるかどうかあれですが、一つ、これだけ申し上げておきます。

 先ほど、水田の賃借料について、全国平均で十アール当たり一万四千八百三十九円、高い地域は新潟、安い地域は山口県ということだけ申し上げておきます。ですから……(山本(拓)委員「それが今後上がるということですね」と呼ぶ)ですけれども、それと比べてかなり違いますのでということを先ほど申し上げたということです。

 それから、かんがい排水事業、みんな事業仕分けにかかわることでございますが、これについては二〇%縮減。それから鳥獣は、これは困るんですけれども、実は鳥獣も、きのう、事業仕分けの先生たちは、全部それは必要だ、やってくれ、それはやらなきゃなと言っていて、評決はといったら、地方に任せるなんですよね。

 ですから、これは必要だと委員の人が認めているんですけれども、結果はなぜか地方に任せる。地方に財源をつけてお渡しできるんならいいんですけれども、今そういう仕組みになっていません。ということは、結局、地方が勝手にやりなさい、国は面倒を見ませんよということですから、これはやはりきちっとそういうことをお話しして、ぜひ理解をしていただけるように。これも、初めてできた法律に従って、地方がやるのを国が支援しなさいというのが法律に書いてあるわけですから、きちっとお伝えをしてやらせていただきたいと思っております。

 それから、中山間地は次のワーキングの事業対象に入っていますので、これはきちっと私ども御説明するつもりですが、どういう評決が出るか、これはまだ、あした、あさっての話ですので、わかりません。ただ、どういう答えが出るにしろ、中山間地に対する、これは私は記者会見でも言いましたけれども、これがなくなったら日本の農業を中山間地ではやるなということになるわけですから、そういう意味で、それはちゃんと委員の先生方は御理解をいただけるであろうというふうに確信をして、当たっていきたいと思っております。

 それから、農道のカットですか。農道は全部だめなんですね。では、農道は何年もかけてやりますから、農道をここまでつくってきた、もう予算が認められませんから、この農道はここでもうやめですねというわけには現実にいきません。予算全体が必要かどうか、これはわかりません、使い切れないという例も過去なかったわけじゃありませんので。ただしかし、少なくとも、つくりかけて、あとそこまでだというところはやはりお認めいただかないと。今ゼロですから、これではもうお話になりませんので、これはきちっと具体的な場所等も明示しながら、御理解をいただけるように財政当局と話していきたい、このように思っております。

 それから、水産。漁網だとか発泡スチロールだとか、これを省エネの中でやったらいいじゃないかというお話で、実はこれも、私どもの水産庁を中心にして研究をさせております。山本委員御指摘のように、確かにこれは重油になるんです、重油ができるんです。ただ、一番問題点は、今コストがかかり過ぎるということですから、これは今後研究をする中で、単価を下げていけば、言われるように環境対策にもなり、またエネルギー対策にもなるということで、引き続いて検討させていただきたいというふうに思っております。

 いいでしょうか、それで。(山本(拓)委員「はい、わかりました。いいですか、最後に」と呼ぶ)

筒井委員長 山本君に申し上げますが、ちゃんと指名を受けてから質問してください。

山本(拓)委員 失礼いたしました。では、手を挙げます。

 来年の通常国会を楽しみにして、質問を終わらせていただきます。

筒井委員長 次に、伊東良孝君。

伊東委員 私は、北海道七区、釧路、根室地方の選出でありますので、当委員会に所属しております仲野博子先生と一緒の選挙区であります。主たる産業は、もちろん水産であり、酪農でございます。したがいまして、お米については全然詳しくありませんので、今、先輩諸兄の質問もありましたので、私の質問通告の中に一部、米のいわゆる戸別所得補償制度モデル事業について入っておりますけれども、重複することになりますので、これはちょっとカットさせていただきたいというふうに思います。

 赤松大臣の御答弁は、大変に丁寧かつ力強いものを感ずるものであります。しかし、いささか答弁が長いという御指摘もあるようでございます。たくさんきょうは聞かせていただきますので、ひとつ簡略にお答えをいただきたい、このように思う次第であります。

 まず、捕鯨に対する認識、あるいは近年活発化している妨害対策についてお伺いいたします。

 国際捕鯨取締条約に基づく日本の調査捕鯨についてでありますが、現在、南極海及び北太平洋の沖合、そして日本の沿岸で行われております。私の地元である釧路におきましても、釧路沖で、毎年九月、十月に、六十頭の捕獲枠でミンククジラの捕獲調査が行われているところであります。

 こうした調査は、捕鯨再開を求め、また、鯨を食べる日本人の文化や伝統を守るため、さらには、野生生物を食料として利用しなければ生きていけない発展途上国の国民の期待をも一身に受けまして、科学的根拠に基づき、野生生物を人類のために持続的に利用するという原則を貫くものでございまして、日本はその先頭に立って行っているというものであります。

 赤松大臣は、そもそも、四面を海に囲まれた日本列島に住む日本民族と鯨の深い長い歴史、さらには近代の商業捕鯨、さらには現在行っております調査捕鯨に至る我が国の捕鯨につきまして、どのような認識をお持ちか、そして、この調査捕鯨の継続と捕鯨の再開に向けて、これまでも捕鯨議連の役員さんもされておった大臣でございますので、どのように今後対処されるお考えか、基本的な御認識をお伺いしたいと思います。

赤松国務大臣 お答えさせていただきます。

 今、伊東委員御指摘のように、これは大臣になる前ですけれども、私自身も商業捕鯨を再開させる会の副会長をやっておりまして、いわゆる捕鯨、あるいは鯨肉を食するということは、ある意味で日本の食文化だと思っております。

 その意味で、資源管理をきちっとやっていく、あるいは持続的にそれを続けていく、あるいは科学的知見に基づく、そういうふうな前提条件はありますけれども、今の調査捕鯨を続ける中で、ちゃんと資源管理ができる。あるいは、今、むしろ反対に、鯨がサンマだとかイカだとかを全部食べちゃう。年間三億トンぐらい食べているわけですから、それがまた資源の枯渇につながっているという実態もあるわけですから、そういうことについては引き続き、これは世界の取り決めの中でIWCでやっているものですから、日本だけ勝手にというわけにいかないので、反対する国も多い中で、地道に、積極的にそうした国々に働きかけをしていきたい。

 先日、FTAの関係でオーストラリアの貿易大臣が私のところへ来ましたので、私の方から反対に、シーシェパード、あれは何だ、母港がオーストラリアになっているじゃないかということで、そういうこともきちっとお伝えをして、少なくとも調査捕鯨に対する妨害をするなということも、これは私の立場からも、あるいは他の大臣の立場からも、機会あるごとに申し上げておるところでございます。

伊東委員 大変心強い、関係者が聞けば涙するようなすばらしい御答弁であったというふうに思います。

 ただいまの答弁からいたしますと、本年末から始まります南極海での鯨類捕獲調査、例年のとおり、当然実施するものと推察をいたすところでありますが、そのように理解してよろしいかどうか、お伺いします。

赤松国務大臣 当然そういう形で、今までどおり、あるいは今まで以上に、国際的な場でも積極的な発言をしていきたいと思っております。

伊東委員 調査捕鯨の意義は、今大臣もお話ございましたように、鯨のいわゆる生態、あるいは捕食活動、また、それらの魚類資源への影響などを調べることにある、このように言われております。

 それぞれの地域で内臓を切開いたしまして、どういうものを食べているか見ますと、私どもの釧路沖では、もちろんサンマやイカやスケソウダラや、そういったものが大量に食されているわけであります。また、春先の石巻・鮎川沖あたりでは、メロウドとかほかの魚種が食されているのがわかります。ですから、科学的にこういった調査、そしてまたそれが魚類資源に与える影響などもはっきりさせなければなりません。

 大臣お話しのように、今、鯨が食べている魚類資源三億トンというお話がございましたけれども、全世界、地球上で、海洋生物、いわゆる海洋資源が漁獲されているのが大体九千万トンくらいと言われております。少なくても鯨は三億トンから五億トン近く食べているという報告もあるわけでありまして、やはり、食物連鎖の上位にあります特定の大型生物だけを保護し過ぎる、こういうことになりますと、生態系を乱し、あるいは水産資源の一方的減少を招くということになるわけであります。

 水産資源の保護と日本の沿岸漁業を守るという観点からも、捕鯨再開については真剣に考えるべきと考えますけれども、大臣の所見を伺います。

赤松国務大臣 全く伊東委員のおっしゃるとおりでございます。

伊東委員 鯨類の捕食が漁業資源に与える影響等を把握するために、来年度予算の概算要求に日本沿岸域鯨類調査事業として二億九千百万が計上されているということであります。この予算は、自民党政権時代にも要求したものでありますが、重要な予算である、このように認識しているところでありまして、この確保につきまして、大臣のお考え、お答えをいただきたいというふうに思います。

佐々木大臣政務官 私からお答えをさせていただきます。

 伊東議員とは、地方議会でも一緒に論議をさせていただき、ここでまた議論をさせていただけることを大変うれしく思ってございます。

 今の件でありますが、伊東議員御指摘のように、三つの地域、そして沿岸では釧路、鮎川、二カ所で調査をさせていただいているわけでありますが、来年度予算、新規で何とかこれを通したいということで、全力で頑張っていく決意であります。

伊東委員 大変ありがたいお話であります。

 現在の調査捕鯨そのもの自体は、国からの補助金、あるいは、副産物であります鯨肉の販売金によって賄われていることは御案内のとおりであります。

 しかし、南極海では、先ほど大臣お話ございましたように、シーシェパードなる妨害団体がおりまして、このシーシェパードの活動によりまして、数年前は火炎瓶攻撃、あるいは、ここ数年は、強烈なにおいを発する酪酸の瓶を船に投げ込む。これが強烈なにおいを発するものでありますから、船員がデッキでこれを水で流す、洗い落とすのに三日かかると言われております。

 したがいまして、その間捕鯨ができないわけでありますので、捕鯨の捕獲頭数が大幅に減ってくる。ですから、操業日数は変わらなくても、その中で捕獲をする日数が極端に狭められる。したがいまして、調査対象の鯨が少ない。あるいは、そうなりますと、調査サンプルも少ないし、その副産物たる鯨肉も少なくなるということであります。そうなりますと、鯨肉の販売代金をもってこの調査事業に当たっていくことに実は大きな支障が出てくるわけであります。

 近年、加えて、燃油高騰、あるいはまた経費の増大、さらには不景気による鯨肉販売の低迷ということもあるわけでございまして、ここに関係する諸団体そして企業にとりましては、深刻な経営環境の悪化ということが予測されるわけであります。

 この調査事業の公益性、あるいはまた経営環境悪化の原因を考えますと、国としてこのまま放置するわけにはいかない、このように思うところでございますが、調査継続ができないということになりますと、日本の捕鯨そのものが終わってしまいかねないという危険にあるわけであります。

 この調査捕鯨の安定的な実施に向けまして、国としてもそろそろ積極的な役割を果たすべきではないかと思いますけれども、この点をどのようにとらえ、どんな対応をされるのか、お聞きいたします。

赤松国務大臣 委員御指摘のとおりでございまして、衆参で委員会の決議もいただいております。そういうことも踏まえまして、私ども、シーシェパードを初めとするこうした妨害船、妨害活動については、ぜひ調査船の調査に影響が出ないように、あるいは安全を守れるように、できる限りのことをやっていきたい、このように思っております。

 先ほども申し上げましたけれども、特に、基地を置いておりますのは豪州ですし、船籍があるのはオランダですし、それからまたそのシーシェパードの本拠があるのはアメリカですから、特にこの三国についても、しっかりそういうことをお伝えしながら、今、調査捕鯨に当たっている皆さんの安全の問題もあるものですから、いつ出てどういうことをやっているというのは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、できるだけ支障のないようにやっていきたいと思っています。

 けしからぬのは、そのシーシェパードが、ことしは半分に調査数を落とすぞみたいなことを堂々と新聞で発表して今やっている。とんでもないことだと思いますけれども、犯罪者が堂々と自分の犯罪の宣言をするなんということにも似たようなことでございますので、そういうことに屈せずに、堂々と、こうした調査は安全に配慮しながら続けていきたいと思っております。

伊東委員 大変に私にとりましては力強い、また心強い御答弁をいただきました。ただ、鯨類研究所あるいは共同船舶等々の関係団体、会社、この経営が非常に厳しくなってきているということも近年聞いているところでございますので、国としての根本的な捕鯨に対する支援という観点から、ぜひ、この点について、いま一度大臣の支援策というか、こういうものがあればお伺いしたいと思います。

赤松国務大臣 委員の御意見を体しまして、どういうことができるのか、検討させていただきたいと思います。

伊東委員 最近、グリーンピースなる環境団体が仕分け人の皆さんに反捕鯨のレポートを大量にお送りしたのではないか、こういう推測が成り立ちます。私のところにもそれが来ました。知らない人あるいは認識の余りない人、関心のない人にとりましては、何で鯨肉なんて食べなきゃならないんだ、こういう話になりかねないわけでありますので、この点につきまして、私は、仕分け作業にこれが入っているのかどうかは存じ上げませんけれども、ぜひ農水省として捕鯨はしっかり守るということで決意をしていただきたい、こう思う次第であります。

赤松国務大臣 仕分けには入っていないそうでございます。ですけれども、いろいろな形でそういう妨害や間違った形での広報宣伝活動が行われても、きちっと我々が理論的に反論できるように、その辺のところは心してやっていきたいというふうに思っております。

伊東委員 最近売り上げが落ちている鯨肉についてでありますが、もちろん景気も悪いし、なかなか値段も高いということもおありになろうと思います。また、今お話ししましたように、なかなかなじみの少ない方もいらっしゃるわけであります。

 そこで、副産物である鯨肉の普及につきましては、日本の食文化を守るという意味でも、先ほど大臣おっしゃられましたように、私は大切なことだ、こう思っております。そこで、小中学校の給食への導入などに対しましては積極的な支援が必要ではないか。私どもの釧路では、年に二度ないし三度の鯨のいわゆるカレーライスであったりあるいはフライであったり、こういった学校給食への活用を進めているところであります。

 これは、それぞれ調査関係団体の負担で、一般販売価格の約三分の一程度に値段を下げて学校給食に供しているということでありますけれども、こういった普及の費用を民間調査団体にだけ負担させているというのは、厳しい経営環境の中にある団体にとりましてもこれは苦しいことであろうというふうに思うところであります。国として支援ができないものかどうか、大臣にお伺いします。

佐々木大臣政務官 お答えいたします。

 今、伊東委員から、鯨肉のカレーライス、大変懐かしい言葉を私も聞いたところでありますが、魚文化というものをやはり子供たちにしっかり教えていくということは非常に重要なことだというふうに私も認識をしております。

 そういった意味では、今委員御指摘でありましたけれども、財団法人の日本鯨類研究所の調査の副産物として学校給食に供しているわけでありますが、農林水産省としても、鯨食普及という立場で広報活動など支援をしてまいりたいというふうに考えてございます。

伊東委員 魚食普及、これは非常に大事なことだというふうに思うわけであります。これは、特に子供のうちから食育という観点で進めていかなければ、鯨肉はもとよりでありますけれども、魚そのものに対する子供たちの感覚、イメージというのが損なわれる、こう思うわけであります。魚食とともに、鯨食に対する食育指導、これも極めて重要だ、こう思うところでございます。

 この点につきまして、お考えがあればお聞きいたしたいと思います。

佐々木大臣政務官 今御指摘のとおりでございます。特に近年は魚離れが起きているというふうに言われてございますので、そういった意味でも、学校給食などでこうした習慣を身につけていくということは大変重要だというふうに思ってございます。

 そこで、農林水産省としては、新商品の開発あるいは販路開拓など、産地販売の強化に向けて、漁業者団体等の取り組みを支援しております。さらにまた、学校給食に向けても、食材供給についても、二十一年度当初予算で十一億円、水産物産地販売力強化事業などを含めて取り組みをさせていただいているところでありますが、これから、こうした研究所を通じて、小学生を対象に、鯨に対する特別出張授業、鯨肉を使った特別給食の提供など、普及に取り組んでいるところでございます。

伊東委員 大変ありがとうございます。

 それでは、先ほど大臣、ちょっと触れられましたけれども、シーシェパードなどの反捕鯨団体についてお伺いするわけでありますが、前石破農水大臣は、ソマリア沖の海賊対策と同様、新たに法律を整備してまでもこうした犯罪活動を阻止しなければならないという毅然とした方針で臨んでおられたと聞いているところでもあります。

 先ほどお話ございましたように、このシーシェパードなどの船舶の基地となっているオーストラリア政府及び港湾管理者に強く抗議をすべきだ、こう思うわけでもあります。また、船籍国であるオランダ、さらに、シーシェパードが本拠地を置き、税制上の優遇措置を与えられているアメリカに対しまして、これまでどのような対応をおとりになってきたか、お聞かせをいただきたいと思います。

赤松国務大臣 本当に、調査捕鯨に従事する人たちにとっては大変危険な状況に追い込まれておりますし、どういう薬剤かわからないものを放り込まれたり、直接船に入ってきたりということで、大変な状況でございます。前政権の中でいろいろ検討はされたと思いますけれども、だから、では何々特別立法というところまでは至らなかったというふうに承知をしております。

 私どもになりましてからも、正直、関係大臣でいろいろと検討はいたしました。例えば海上保安庁に警備をしてもらえないのかとかいろいろ検討いたしましたが、しかし、今の段階では、むしろ火に油を注ぐようなことになってはいけない。安全を確保する、その点は一点の揺るぎもありませんけれども、武器には武器をもってみたいな手法は、今とることはいかがかということで、今のところは少し慎重に私ども考えさせていただいておりまして、できるだけそういう手だてをとらなくても本来の調査捕鯨という目的が果たせるように、現場の職員にも、非常に前向きにやる気になっていますので、そんなことを伝えながら、成果を上げるように頑張ってもらうようにお願いをしておるところでございます。

伊東委員 それでは、捕鯨問題の最後になります。

 捕鯨に関する日本の主張につきましては、国際条約の遵守、科学に基づく水産資源の持続的利用、そしてまた食料資源の確保、世界各民族の多様な文化の尊重などでありまして、どれをとりましても良識ある正しい主張である、こんなふうに思います。このため、IWCの過半数に近い加盟国が日本の主張に共感し、応援し、頼りにさえしているのだと思います。

 しかし、外務省関係者の一部にも見られましたように、欧米の大国の主張に迎合することが国益であるかのような、国の誇りをも失う安易で無責任な不協和音を聞くこともあるわけであります。日本がこの問題で安易な妥協や撤退をすれば、日本を支持している途上国の信頼を失うばかりか、欧米諸国からも、日本は容易に主張を曲げる信念のない国と見られてしまいかねません。

 捕鯨問題は、日本の外交の基本姿勢にかかわる問題でもありまして、多数の国々の理解が得られるよう国を挙げて取り組むべきと考えますが、最後に、政府としての御見解、政府というより所管大臣としての御見解をお聞かせいただきたいと思います。

赤松国務大臣 来年にはIWCの総会も行われるということでございますし、旧来からの各国間での話し合いに加えてこうした場での積極的な発言、そして、IWCというと四分の三の議決がないとなかなか物事を変えていけないものですから、その辺は少し残念なんですけれども、できるだけ支持、理解国をふやして頑張ってやっていきたい、こんな気持ちでございます。

伊東委員 それでは、酪農について若干、一、二お聞かせいただきたいと思います。

 二十三年、再来年から畑作あるいは酪農にも戸別所得補償制度を導入するということで計画されておりますけれども、酪農について言いますと、そもそも、乳価さらにまた加工乳の生産者補給金等々の考え方というのは、生産費、労働費を含む、これらを考慮した制度設計がなされているというふうに我々は理解してまいりました。飲用乳価はメーカーとの交渉によって決まっておりますが、価格の安い加工乳につきましては、生産者補給金等によって、十分とは言えないまでも戸別所得補償に近い形で経営の安定にこれは寄与しているのであります。

 特に昨年は、輸入飼料の大幅な値上がり、あるいは燃油の高騰、ことしに入りますと今度は長雨、冷害によりまして自給飼料の生産減少、確保というものが非常に厳しく、経営を圧迫しておるわけであります。本年度の加工乳生産者補給金の大幅アップ、十二円ほど上がったわけでありますけれども、これにより、ようやくことしは息をついている現状であります。しかし、近年、景気の低迷、あるいは乳価のアップによる小売価格の上昇によりまして販売数量が落ちてきているということからも、来年の春にも行われる乳価の改定に不安を持つ農家は少なくありません。

 ことしの春の状況と現在の状況につきまして、どのような変化あるいは影響があるのか、お伺いしたいと思います。

佐々木大臣政務官 現状でありますので、私の方から答えさせていただきたいというふうに思います。

 今委員御指摘のとおりでありまして、飼料価格の高騰などの中で、牛乳の消費そのものも減少してございます。そんな中で、酪農家の戸数も減っているというような大変な状況だというふうに我々はとらえてございます。

 今委員からもお話がありましたが、乳価の引き上げ、あるいは飼料価格が若干下がったというようなことはありますが、しかし依然厳しい状況にあるというふうに認識してございますので、これからも酪農経営の安定を図っていくために、まずは生乳の需給の安定というものを図らなければなりません。それから、自給飼料に立脚した経営というものを確立させていかなければならない、そんなふうに考えているところであります。

 以上です。

伊東委員 二十三年度から戸別所得補償制度を取り入れるというような予定でおりますから、その精神を先取りするならば、来年度の加工乳生産者補給金等々の乳価につきましては、需給動向等々に左右されない、生産費をしっかり確保できる乳価あるいは補給金の価格を打ち出すべきではないか、このように思うところであります。

 来年度の乳価につきまして、大臣の所見をお聞かせいただきたいと思います。

赤松国務大臣 こうした生産者にとっては大変期待をされておられると思いますけれども、平成二十一年度は十一円八十五銭ということで、前年よりは少し上がりました。今委員御指摘のような状況もあるものですから、私どもといたしましては、検討中の米戸別所得補償のモデル事業の実施の状況やあるいは畜産経営安定対策の検証などを踏まえまして、農業・農村の畜産部会で来年の二月か三月には正式に決定をしたいと思いますけれども、その間、数カ月ございますので、今飼料の現状はどうなのかとか、経営の安定のためには幾らが適当なのかということを慎重に調査して、来年二月、三月に決めさせていただきたいというふうに思っております。

伊東委員 ありがとうございます。

 それでは、最後の質問になります、時間もあと五分ほどでございますので。

 酪農、畜産業は北海道の基幹産業でありますけれども、この生産を阻害してきたのは、多くの感染症の侵入あるいは蔓延の危機にさらされてきたところでもあります。古くは結核、そして輸入牛に端を発しましたブルセラ病や豚コレラあるいはニューカッスル病、口蹄疫、BSE、高病原性インフルエンザ等々であります。耳新しいというか、ついこの間のような気もするわけでありますが、これらの病気に関しましては、獣医師を初め行政や家畜衛生関連組織挙げての真剣な取り組み、対応がとられてきたところでございまして、これを乗り越えてきたというこれまでの実績があります。しかし、いまだ国内に浸潤し、蔓延し、個々の農場の生産性を阻害する感染症が見られるのも事実であります。

 その多くは家畜伝染病予防法の届け出伝染病に挙げられるものでありまして、特に牛につきましては、全国的にも増加傾向にあります牛白血病、牛ウイルス性下痢・粘膜病、サルモネラ症などが重要視されているところであります。

 これらの伝染病の撲滅、とりわけこの中でも、ワクチンがなく撲滅に困難が予想される牛白血病の現状認識と発生状況について、まずお伺いをいたしたいと思います。

佐々木大臣政務官 現状について、私の方からお答えを申し上げます。

 牛白血病という病気についてであります。今委員御指摘のとおりでありますが、家畜伝染病予防法においての届け出の状況でありますけれども、平成二十年度で八百三十戸、千四十五頭の届け出がございまして、近年増加傾向にあるというふうに認識をしております。

伊東委員 これは誤解のないように皆さんにもお話をいたしますけれども、BSEと違いまして、人間にこれが感染したり、健康に影響するものではありません。また、その肉や牛乳にも全く影響のないものであるということでありますが、ウイルスによる感染によりまして、数年間の潜伏期間を経て牛白血病が発病するということになりますと、牛自体が衰弱をして、数週間で死んでしまうということになります。これはウイルス性でありますから、恐らく節足動物の介在という話も一部あるんですけれども、牛舎あるいは地域等々にそのウイルスが伝播していくという可能性がもちろんあるわけであります。

 私は、農水省としてとらえておりますこの牛白血病の特徴あるいは治療方法、拡大を防ぐ手段など、あればぜひお伺いをしたいというふうに思います。

佐々木大臣政務官 お答えいたします。

 今委員御指摘のとおり、ほとんどの場合は発症せずに、発症するとほとんど一〇〇%死亡するというような病気であるということはわかってきているのでありますが、このウイルスが非常に変異しやすいなどのこともあって、御指摘のとおり、ワクチンの開発、治療法、いずれも困難な状況、今、開発の途中という状況であります。

 したがって、予防ということに力点を置いて対策をしていくことが重要だというふうに思ってございます。そういった意味では、今御指摘のアブなどの吸血昆虫の侵入を防ぐ、あるいはまた放牧中止や早期淘汰などを実施する、それから注射器の連続使用をやめるなどなどの対策が必要かと、予防を中心に考えているところであります。

伊東委員 これは農家や農業団体にはまだ大きな危機感がないようでありますけれども、農水省としてどのような指導をしていかれるのか、また、その対応策について、農業団体や獣医師会と今後連絡を密にしながら対策を講ずる必要があるのではないか、こう思いますけれども、いかがでしょうか。

佐々木大臣政務官 今委員御指摘のとおりでございます。

 予防、早期淘汰などの徹底を図っていかなければなりませんが、そのためにも、獣医師会、農業団体との連携は欠かせないというふうに思っておりますので、今後一層連携を強化してまいりたいというふうに考えてございます。

伊東委員 これで最後にさせていただきます。

 大臣にお伺いします。

 お聞きのとおり、これは真剣な、国としての取り組みも必要であろうというふうに思うところであります。対応がずるずるおくれてしまいますと、もちろんワクチンも有効な治療法もないというお話でありますので、一軒の農家だけではなくて、その近隣地域みんながやられてしまう、あるいは、酪農、畜産のそれぞれの地帯が、場合によってはウイルス感染によって、ある日突然ばたばたと死んでしまいかねないということもあるわけでございますので、大変な事態が考えられるわけでもあります。

 国として強力な、さらにまた速やかな調査、対策、あるいはワクチン等々の治療方法、防疫体制の確立が必要だというふうに私は思うところでございますけれども、最後に大臣の御決意をお聞きしたいと思います。

赤松国務大臣 御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても、全力を挙げてこうした牛白血病の防疫に努めていく考えでございます。

 なお、二十二年度には、都道府県が行いますこうした調査、検査体制の整備や、あるいは農家に対する衛生管理の指導、研修等に必要な予算についても今要求をしておるところでございますので、こういう予算を背景にしながらしっかりと防疫体制に努めていきたい、このように思っております。

伊東委員 どうもありがとうございました。

筒井委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

筒井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官針原寿朗君及び生産局長本川一善君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

筒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

筒井委員長 質疑を続行いたします。小里泰弘君。

小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。質問の機会を賜りまして、本当にありがとうございます。

 私は、民主党提案の所得補償制度につきまして、過去三回、この場で質疑をさせていただきました。その過程でいろいろな問題点、課題というものが浮き彫りになってきたわけであります。そして今国会、ここでまた質疑が、また参議院で質疑が重ねられてまいりました。それぞれの問題点、課題についてなかなか解消し切れないな、そんな感を否めないわけであります。したがいまして、きょうは、順次質問させていただきます。何しろ質疑時間が短いですから、なるべく簡潔に、先ほどのように簡潔に御答弁をお願いしたいと思います。

 まず、世界の人口は今六十六億人だったかと思います。そのうちの八億五千万人が飢餓人口であります。世界の人口はこれからどんどんふえていく、一方でまた新興国の経済発展あるいはエタノール需要によりまして、世界はこれから急速に食料不足の時代を迎えていく、そんなふうに言われているわけであります。したがいまして、各国が持てる生産基盤をフルに生かして食料供給体制の強化を図っていかないといけない、これは自明であります。WTO、FTAの結果として国々の食料生産基盤が損ねられることになってはならぬ、これもまた自明であろうと思います。

 したがいまして、交渉に当たりましては、今までの経緯にこだわるんじゃなくて、あるいは議長ペーパーとかそういったものにこだわるんじゃなくて、新たな理念を提案する、確立するぐらいの覚悟で臨まないといけない、そんなふうに思います。

 端的に大臣の御見解をお伺いいたします。

赤松国務大臣 WTO、FTAについての御質問でございます。

 議会のお許しがいただければ、この二十九日から、WTOの国際会議、公式閣僚会議が行われますので、私もジュネーブの方に行かせていただきたいというふうに思っておりますけれども、こういう中では、旧来から私どもは、この交渉に当たって、世界の自由な貿易のあり方、まずこれが大前提でございますけれども、そういう中で、それぞれの輸出国、輸入国、多様なこうした国々がともに発展できるような仕組みをぜひつくっていきたい、またそうあらなければならないということを考えております。

 再三こうした委員会でも申し上げておりますけれども、国会決議にもございますが、守るべきものはしっかり守っていく。そしてまた、私ども民主党のマニフェストの中でもこれはもう旧来から明示をしておりますけれども、「食の安全・安定供給、食料自給率の向上、国内農業・農村の振興などを損なうことは行わない。」ということを明確に言っておりますので、この立場で頑張ってやっていきたいと思っております。

小里委員 ありがとうございます。できれば答弁は一分以内でお願いできればと思います。

 二年前の参議院選挙を中心といたしまして、民主党の公約の中で、所得補償と貿易自由化はセットであるかのような記述でありました。また、広報ビラにおきましても、中国からどんなに安い野菜や果実が入ってきても所得補償します、あるいは、米一俵一万五千円が五千円になっても差額一万円を補償します、そういった記述でありました。明らかに貿易の完全自由化を前提としたビラになっていたわけであります。

 今回の選挙時のマニフェストでは、日米FTAを締結するという当初の記述でございました。さまざまの反発があって、締結を促進でしたか、書きかえられたわけであります。ただ、その過程で、やはりこの疑念が出てきたな、民主党の政策決定過程の何となくおぼつかなさというか、その辺もかいま見えたわけであります。

 政策決定といえば、小沢幹事長抜きにしては語れないわけであります。行政刷新会議のメンバーの差しかえの問題、あるいは今国会における会期延長等々をめぐる混乱、これはやはり小沢幹事長のツルの一声がもとになって引き起こされた、そういった感も否めないわけでありまして、政府・与党の施策、方針の決定権は、やはり一に小沢幹事長にあるな、そんな感を強くしたわけであります。

 小沢幹事長は従来、貿易自由化論者として知られております。昨年の党首討論におきましても、自由貿易によって市場価格が生産費より下がった場合に戸別所得補償で不足分を補うと言明されております。

 ちなみに、あってはいけないことだけれども、仮に貿易自由化が進んでしまって、海外産品が国産米を直撃するということになった場合、その不足分を現行の品目横断策でもっても補える、対応できると認識をしておりますが、どうでしょうか、大臣。

赤松国務大臣 これは仮定の話でございますし、それから、米の値段といっても、タイの値段、アメリカの値段、それぞれの国々によってこれも違うわけですし、まず大前提は、私どもは、今のWTOでもこれは認められておりますけれども、その意味で、七百数十%の関税をかけ、そしてそのためにミニマムアクセスも受け入れというような中で進めてきておる施策でございます。

 その意味で、民主党というのは民主的な党でございますので、党内にいろいろな意見がございます。いろいろな意見がまたあってもいいと私は思いますけれども、要は、そういういろいろな意見を、議論をしながら、しかし決まったことはきちっとそれで守っていくということでございます。では、今の民主党の意思は何なのかということを聞かれれば、これはもうマニフェストに書いてある、これが意思でございますので、それ以前にだれがどう言ったとかこう言ったとかいうことは基本的には全く問題にならない、このように考えております。

 その意味で、私どもは、そもそも戸別所得補償制度ということを提案している意味と、それからWTO、二国間でいえばFTA、これらをより積極的に進めていくということの話とは全く別の問題でございますし、そのFTA、WTOについても、ただし、それを進める上では、前発言で申し上げましたような大前提があって、それを超えない形でやらせていただくということでございます。

小里委員 直接お答えがありませんでした。

 要するに品目横断策の話でありまして、品目横断上、国境措置により、輸入米と国産米が直接競合することによる、外国との生産条件の格差による不利という事態が発生した場合に、これを補償し得るものになっているわけなんですね。要するに、国境措置によって今は守られている、こういう事態は発生していない。しかし、そういう条件不利が発生したら、これを政令でもって定めることによって、品目横断上も対応できることになっているわけですよ。

 どうですか、農水省。

赤松国務大臣 そもそも、関税ゼロ%で米が入ってくるということは想定していません。

小里委員 だから、真っすぐお答えになっていない。私は制度上の仕組みを今お伺いしているわけであって、品目横断上は、政令でもって措置することによって、現在も、貿易自由化による国産米の価格下落に対して対応できることになっているわけなんです。

 したがって、小沢幹事長のおっしゃるような政策目的であれば、何も所得補償制度を創設しなくても現行制度で対応できるわけでありますから、これは改めて確認をいただいて、また御答弁をいただきたいと思います。

 話を進めます。

 小沢幹事長は、今回の日米FTAをめぐる問題でも、鹿児島の選挙応援に来られたときに、日米FTAを締結しても所得補償するから心配要らないんだと、相変わらずのことをおっしゃっていたんです。

 また、昨年の七月、私どもが与野党の国対委員長の皆さんと豪州、オーストラリアに行ったとき、向こうの農水林業省の次官らと話をする機会があった。そのときに私は、貿易自由化については、とにかく重要品目は守らぬといかぬ、そういう立場から意見を主張したわけであります。すると、やおら民主党の山岡国対委員長が発言を求められて、私どもは違う、今のは自民党の意見だ、私どもは基本的にフリートレードなんだ、それとセットで所得補償をするんだということをはっきりと言明をされたわけであります。

 情況証拠としてはやはり黒だと言わないといけない。消費者負担、すなわち関税による価格支持をやめて、税負担、直接所得補償に移行するという考えがやはりどこか根底にあるんじゃないかな、その懸念は払拭をし切れないのであります。こんな状況で戸別所得補償制度を進めますと、海外に対しても、いよいよ貿易自由化の準備ができたな、そういうメッセージを与えることになってしまいます。

 事実、去年だったか、おととしだったか、豪州の議員団が来て、当時の自民党の谷津総合農政調査会長に会われた。そのときに言われたのが、日本では戸別所得補償なるものが進むようだ、だったら、関税だ何だ、重要品目だとか言わなくていいじゃないか、そんなことも言われたやりとりがあったわけであります。

 とにかく、民主党の意思決定に際しましては、小沢幹事長の意思がやはり気になるんですね。この席で、この委員会で私は過去二回にわたって、小沢幹事長がみずからの口でそこを否定されるんだったら我々も納得できますということを申し上げた。ところが、今に至るまでそういった発言はないんですね。

 小沢幹事長にそういうセット論じゃないんだよということをぜひ言っていただきたいな。大臣から小沢幹事長にその旨進言していただく、また、その結果をこの場で報告していただく、そういったことをお約束いただきたいんですけれども、どうですか。

赤松国務大臣 先ほども言いましたように、民主党というのは開かれた党ですから、それぞれの立場でいろいろな発言が過去にも現在もあると思います。私は、それはあってもいいと思います。

 ただ、問題は、党の意思は何なのかということであって、それは、先ほども何回も言っていますように、あくまでも、私どもが国民に約束した政策というのは、マニフェストに書かれた、これが公約でございますので、政権公約はこのマニフェストに書かれていることなんだということをぜひ御理解いただきたいと思います。

 幹事長というのは党の責任者ですから、その党の幹事長に対する御意見がいろいろあれば、それは自民党から民主党に、党対党で言われればいいことであって、あくまでもこれは農林水産委員会ですから、しかも、今回の政権というのは、民主党単独ではなくて、国民新党、社民党の方たちも含めた連立の内閣で成り立っているわけで、一個人のだれだれはこう言った、それを大臣からもけしからぬと言えみたいなことは、いかがなものかと思います。

小里委員 大臣から自分の信念としてお披瀝があったわけですから、それを責任ある立場で、自党の責任者に対してぜひ進言をいただきたい、そういう切なる思いで申し上げたわけですから、そこはお酌み取りをいただきたいと思います。

 話を進めます。

 次に、自給率目標の方に進みたいと思います。

 民主党は従来、食料自給率目標を五〇%、六〇%、さらには一〇〇%を目指すということを言ってこられました。また一方で直近のマニフェストでは、国民が健康に生活していくのに必要な最低限のカロリーは国内で生産することが可能となる食料自給体制を確立するとしておられる。これはどうも、食料自給率と食料自給力を混同したものではないかな、そんなふうに思います。

 振り返れば、民主党の戸別所得補償法案の提出に際しましては、過去最大生産量を再現すれば自給率五〇%が達成できる、あるいは過去最大単収と過去最大作付面積をもとにした自給率六〇%コース、あるいはまた世界最大単収を実現すれば一〇〇%だ、そんな言いぶりをしてこられたわけであります。農地の変遷とか食生活の変遷、あるいはまた各国による自然条件の違い、そういったものを全く無視した話であります。

 そもそも、完全自給のためには、今の農地の三・五倍の農地が必要である、これは皆さん御存じのとおりであります。無理な食料自給率目標というものを掲げて、これにこだわり過ぎることによる弊害というものを私は心配するわけであります。

 本来、食料安保の基本というのは、農地と担い手をしっかり確保していく、育成をしていく、ここにあります。例えば、お茶でも花でもたばこでも、あるいは飼料米でもそうですね、にわかには食料自給率には貢献はしない、あるいは貢献してもわずかだ。しかしながら、それぞれの農地、地域条件に合った作目をしっかりと作付していくことで、農地が生かされる、担い手が生かされる。そういった農地、担い手がやがて、いざというときの食料危機に際して、確かな食料供給資源、生産基盤となって貢献をしていくわけでありまして、これが食料自給力の考え方であります。

 食料自給率と食料自給力の考え方というのは、やはり分けて考える必要があるのは当然であります。むしろ大事なのは、食料自給率も大事だけれども、それよりも、いざというときの食料自給力をしっかりと考えていく、これがやはり肝要なことであろうと思います。

 無理な食料自給率を掲げて現場に無理を強いていきますと、かえって生産基盤を損ねかねないし、本来の食料安保の道筋を誤ることになる、そんな懸念をいたします。

 どうでしょうか、大臣、見解をお伺いします。

赤松国務大臣 皆さん方は旧来から、十年後食料自給率四五%というのを掲げてこられたと思っております。私ども今、食料・農業・農村のあの会の中で、民主党は十年後に五〇%、二十年後に六〇%ということを想定しておるので、これは政策インデックスの中にも明記をしてあることなので、ぜひそれに向けて議論をしてほしいということをお願いしていただいております。そういう中で、食料自給率五〇%というのは決して難しい数字だとは思っておりませんし、私どもがきちっとやるべきことをやっていけば、必ず五〇%は十年後に達成可能だというふうに思っております。

 また、委員が冒頭申されましたように、世界のこれからの食料需給の方向を見れば、今、飢餓は十億人と言われておりますけれども、ますます食料が足らなくなっていく。こういう中で、それぞれの国があらゆる努力をして、少なくとも基幹作物については五〇%以上を達成できるような、そういう努力はお互いにそれぞれの国がしていくことが必要だという基本認識もございます。

 そんな意味で、しっかりとこれに取り組んでいきたいというふうに思っております。

小里委員 民主党は、今回、生産数量目標というものを課されるわけであります。したがって、自給率目標に基づいて生産数量目標を課されるわけですから、なおさら、その設定に当たりましては、しっかりと方針を見据えた、内容を伴う、具体策を伴うものであるように対応していただきたいな、そんなふうに思うわけであります。

 今、たばこの話が出まして、ちょっとけさ考えついたものですから、言及をさせていただきたいと思います。

 たばこ作、地域で輪作体系の中に組み込まれまして、それぞれの地域で生産が行われております。そして、たばこ農家というのは、本来、創意工夫して、努力をして一生懸命やってきた篤農家が多いわけであります。また、地域のリーダーとして、地域経済社会を守り、農村社会をはぐくんでこられた、そういった方々であります。また、たばこ事業法の中で財政物資として国が認めた作目である。そしてまた、鹿児島のように、地域の、県の推奨作目にもなっているわけでありまして、皆さんが誇りを持って、自信を持って生産活動を行って、農地や地域社会を守っているわけであります。

 これにペナルティー的にさらに高率の税を課すということは、私は筋が通らぬと思うんです。何より、たばこ農家の崩壊、地域社会の崩壊、衰退にまたつながっていきかねない話でもあります。仮に、公約達成のために取りやすいところから取るというようなことであれば、これは弱い者いじめ以外の何物でもないわけであります。また、増税効果と言いますけれども、今までの経緯からいって、消費減によりまして、この税収の増収効果というものはほとんど上がっていないわけであります。

 私は、たばこ税の増税には断固反対でありまして、これはもう体を張ってでも阻止したい、そう思っております。また、ここにいらっしゃる皆さん、それぞれ農業、農村を思う委員の皆さんでありますから、大体考え方は同じなんじゃないかなと期待をするところであります。

 これは事前通告をしておりません。申しわけありませんが、できましたら御答弁をお願いしたいと思います。

山田副大臣 今、私も政府税調の方に入っておりまして、たばこのいわゆる増税問題についても検討しているところです。

 私ども農水分野としましては、たばこ耕作農家、殊にたばこの場合には、過疎地といいますか、離島とか、ほかの作物ではなかなかできないような、そういうところでたばこをつくっている。しかも、横持ち運賃はJTが負担しているので、今までも非常に効率よく、たばこ農家というのは今まで地域の農業を支えてきたと言われるので、私どもも大切にしたいという思いは一緒でございます。

 しかしながら、世界的な流れとして、たばこに対するいわゆる健康上の問題から、たばこを増税していく、一本幾らという形でやっていくということは、私ども、やむを得ないことだ、必要なことになっていくだろう、そう考えております。しかしながら、消費が落ち込むような形での大幅なたばこの増税、値上げ、これはやめていただきたい、そういう主張を今させていただいておりますが、同時に、これは税を上げることですから、たばこ耕作農家に対するそれなりの十分な補てん、これは財務省においてやっていただきたい、そういう主張もさせていただいております。

 また、そういう意味でも、輸入葉たばこと国産葉たばこの割合、これは年々輸入葉たばこの割合が多くなっておりますが、JTについても、国産葉たばこの利用をもう少し考えてほしい、政府が大株主であるJTですので、そういう働きかけもぜひやらせてもらいたい。地域におけるたばこ農家を守ることについては、私ども、政府としても十分な配慮をさせていただきたい、そう思っております。

小里委員 思いは一緒だろうと思いますので、ぜひ、たばこ農家が将来へ存続可能な対応になるように、しっかりとお願いしたいと思います。

 続きまして、民主党はすべての農家に戸別所得補償をすると言ってこられましたが、どうも話はやはり違ってきたなと思います。対象農産物の範囲、生産調整、生産数量目標の仕組み、それから支援単価、加算の仕組みなど、今に至るまでまだ不明確であります。

 すべての農家に所得補償をするといいながら、野菜、果樹は対象にしない。対象品目にしても、生産数量目標を課して、これに従わない農家は外されるわけであります。廃止するとしていた米の生産調整も、名目を変えて実施をされます。農産物の所得補償に従来一兆円とか一兆四千億円としてこられましたけれども、その積算根拠は不明確なままであります。財源の手当ても二転三転してきた。各品目についての生産数量目標の設定、実行というものは極めて難しいと私は思っております。制度全体として実現性、持続性に乏しいものであるな、そういった感を強くしております。

 したがって、それぞれ時間の許される範囲でお伺いをしたいと思います。

 農業者戸別所得補償制度と聞けば、すべての農家それぞれの経営実態、採算実態に応じて、本来あるべき所得が全額補償されるという印象はやはり与えているんですね。ところが、再三指摘をされてきましたように、全国一律の補てん単価ということでありまして、大規模農家はいいんです、しかし、条件不利地やコスト削減の難しい小規模農家、高齢農家など、本当に困っている。助けるべきところを助ける手だてにはなっていないんです。決して個別対応になっていないわけであります。また、規模加算を書き込んであるということを考え合わせても、まさに大規模農家優遇策でありまして、従来、自民党の政策を大規模農家優遇として批判をされてきましたが、本来の主張と矛盾した政策展開と言わざるを得ないわけであります。

 明らかに名称と内容とに相違がある、これでは法制局を通らないんじゃないかなと私は思うんです。そこら辺、どうでしょうか。

赤松国務大臣 委員にはもう一度きちっと見ていただきたいと思うんですが、私どもが言っておりますのは、マニフェストでこれは書いてありますけれども、戸別所得補償制度については、二十三年から本格実施をする。表も出ていますから、工程表を見てもらいたいんですが、二十二年度は、その本格実施のためのモデル事業、そして本格実施に際して必要な調査等を行っていくということが書いてあるわけでございます。

 本格実施については一兆円、水産とか畜産を加えれば一兆四千億と言われていますけれども、それはあくまでも二十三年度からの話でございまして、そのために必要な調査あるいはモデル事業を行っていくための費用ということで、今年度は、概算要求として、米の所得補償制度だけでいえば三千数百億円ですけれども、それに水田利活用の自給力事業ということで二千百億円加えて、五千六百、七百億の事業として、まさに一、二、一体でぜひ考えていただきたいというふうに私は申し上げたいと思うんですけれども、それを行うということでございます。

 加算云々というのは、私どもが言っているのは、規模加算だとか環境加算というのは二十三年度からの本格実施でやりますよ、二十二年度のモデルではそれはやりませんよということも明確に申し上げておるわけで、別にころころ変わったわけでも何でもありません。お約束したとおり、今淡々とそれに向かってやっているということでございます。

    〔委員長退席、梶原委員長代理着席〕

小里委員 法制局の質問でございましたけれどもお答えいただけなかったですが、また改めてお伺いします。(赤松国務大臣「法案じゃない」と呼ぶ)いやいや、いざ出したときの、法案として通るのかどうかということをお尋ねしたわけであります。

 ちょっと時間が少なくなりまして、どんどん先へ行かせていただきます。

 民主党は、EUの例を引き合いに出しながら、日本は直払いが足りない、したがって戸別所得補償である、これさえやればうまくいくんだというようなことで言ってこられたわけであります。

 私たちも、直払いの必要性は認識をしております。現行制度でも、WTO通報によると、二〇〇六年時点で日本の直接支払い額は七千億円になっております。さらに、農業者への直接的な支払い、すなわち、農業者の所得や資産の形成、負債の軽減に直接的に資すると考えられる支援策という概念でいきましたら、平成二十一年度で見た場合に一兆四千億円に及んでいるわけであります。さらに必要に応じてこれはやっていかないといけないと我々も思っております。

 ただ、直払いだけで全部がうまくいくわけじゃないのであって、いろいろな総合的な施策が必要になってくると思います。地域を歩いたときに、農家の高齢者の皆さんが七、八人で用水路の清掃作業をしておられました。その中の長老格の方が、ここから見えるだけの農地を若い元気な担い手がいたら一人で全部やってもらえればいいんだけれどもとおっしゃった。まさにそこに今、農業、農村が抱える問題の核心があるなと私は思ったわけであります。

 そういったところに、あなたに十万円、あなたに二十万円とどんどん給付金をばらまいていっても、そこから先に何が生まれてくるんでしょうか。決して農家の実力が上がるわけじゃないんですね。また、効率のいい経営をやっていこうという動きが出てくるわけでもないわけであります。ましてや、高齢者が若返るわけでもない。

 やはり経営の効率化を目指していくためには、農業基盤の整備も必要ですね、農道の整備も必要だ。あるいは、やる気のある人に農地を集積していくための制度も必要である、その支援策が必要であります。あるいは、農村全体で、みんなで地域を盛り上げていこう、そういった農村政策も必要であるし、そしてまた、何より国境措置も必要であります。そういった総合的な政策の展開というものが必要なのであって、そういった観点からいくときに、やはり民主党政策、現状においては全体像が見えてこないな、将来へのビジョンというものが見えてこない、そんな感が否めないのであります。

 時間がないですけれども、では大臣、一言御答弁、御見解を。

赤松国務大臣 いろいろ自説を展開されました。何に答えていいかよくわかりませんが、もう少し、私どもの提案をしている、今年度はモデル事業ですけれども、モデル事業の中身というのをぜひ御理解をいただきたいというふうに思っております。

 私どもは、過去の施策、何回も言いますが、決して何もしてこなかったわけじゃないんです。いろいろな施策をやってきた、何兆円というお金をつぎ込んできた。しかし、残念ながら、農業従事者はどんどん減っていく、所得も十五年前に比べて半分になっちゃった、そして耕作放棄地は毎年、今もどんどんふえているという中で、そのことが地域の荒廃、やはり農業の再生なくしては地域の活性化や再生はあり得ない。そういう思いの中で、こうしたあらゆる意欲のある農業者に、規模が小さかろうが大きかろうが、やる気のある人たちにしっかりと応援をしていく。そういう仕組みとして、今回この戸別所得補償制度を提案しているわけでございます。

 それが成功すれば、結果的には自給率もどんどんと上がってまいりますし、また、地域の水、緑、環境がしっかりと守られていくということになると確信をしておりますので、ぜひもう一度、私どもの政策、よくごらんを賜れればと思います。

小里委員 ありがとうございました。

 従来、民主党は、補助金をやめて直接所得補償に一元化をするんだ、あるいは農業土木にも、どっちかというと冷淡であります。そして、国境措置にもどうも懸念がぬぐえない。規模拡大にも批判的であったし、また集落営農にも従来熱心ではなかったのであります。そういった総合的な農政の展開というものがぜひ必要であって、そこをしっかりやっていただきたい、そういう意味で質問を申し上げたわけであります。

 もう時間がありません。先へ行きます。

 米は、元来、日本人の主食であります。伝統ある最も大事な作目であります。同時に、需給関係からいって生産抑制的であり、転作を図っていかなければなりません。その米にどこまで補てんをしていくかというのは、極めて難しい問題です。

 民主党の戸別所得補償法案の発議者もこう言っておられた。米は今後、人口の減少とともに需要減少が避けられない、その状況に合わせて需給調整をやっていかなければならないので、赤字を全額補てんするという考え方はとりづらい、こうおっしゃっているんですね。実際、戸別所得補償法案のときに発議者の方から出された試算値によりましても、米については生産費と販売価格の六割を埋めるものでしかなかったんです。ちなみに、麦、大豆は、現行の補てん水準より低いものでありました。

 新たな交付金を払う米に対して、麦、大豆の収益性が逆進をしますと、米の生産調整を阻害しかねない。また、麦、大豆の生産拡大を阻害しかねないわけでありまして、極めてそこには微妙な、高度なバランスが求められるわけであります。

 仮に、米について生産費まで全額補てんをして、それにつり合うように麦、大豆に補てんと転作加算をしていくということを前提としますと、米、麦、大豆で現状の作付をするだけで、当時の発議者の試算をもとにすれば、一兆円が必要になるんですね。さらに、転作を進めて自給率五〇%を目指そうとなっていきますと、一兆五千億円がかかる、そんな計算になるんです。それほど難しい。

 したがって、補てん単価をそれぞれどう考えていくのか、それを明示していただきたいんです。これは、予算が通る通らないには余り関係ないと思うし、やはり地に足をつけた議論をしていくためにはそういった数字をぜひ出していただきたい。これは要望であります、質問ではないです。

 生産数量目標についても、これをすべての品目について、農家ごとの生産状況を聞いて適切に目標を設定して補てん額を提示して、希望を聞いて適切に配分をする。さらに、それぞれの農家が生産数量目標に従って生産をしているか管理して、その仕上がりを確認するとなりまして、膨大な経費と、また実務、仕組み、システムを要するわけでありまして、その辺も、なるべく近いうちに経費を含めて明らかにしていただきたい。これも要望であります、今数字はないと思いますから。

 それと、本当に時間がなくて恐縮です。

梶原委員長代理 質疑時間が終了しております。

小里委員 はい。最後の質問に入ります。

 十五年に及ぶ農政論議の積み上げを経て、新たな農政がスタートいたしました。まだ間もないわけであります。私たちはこの数年の間にも必死の議論を重ねて、農政の改善を図ってきたんです。小規模農家も、大規模農家も、高齢農家も、兼業農家も、非農家もみんな含めて、農村の活性化を図っていこうと、そのために農地、水、環境保全向上対策など、農村対策を充実させてきました。

梶原委員長代理 簡潔にお願いします。

小里委員 その中から、農業で生きていこう、強い農家もつくらぬといかぬ、そのために農地制度も改正をしてきた。また、小規模で効率が悪かったら、みんなで農地を持ち寄って効率のいい経営をやって所得を上げていこうと、集落営農も進めてきた。こういった担い手を守り立てていく取り組み、集落営農を組織していく取り組みが各地で進んでまいりました。あるいはまた、飼料米の制度、これが軌道に乗っていけば、水田がよみがえる、日本の稲作がよみがえる、生産調整もしないで済むかもしれない、そういったところも何となく見えてきたわけであります。

 経営安定対策についても、畜産対策、補完マル緊の制度を初め制度の充実強化を図ってきた。麦、大豆、甘味資源については確固たる補てん対策があるんです。野菜も、産地指定はあるけれども、五十品目にわたる価格安定対策がある。カバー率五〇%ぐらいだったと思います。お茶、果樹が近年の経営悪化に対応し切れていないので、これはまたしっかりした対策をつくらぬといかぬと思っていますが。

 以上のように、議論を重ねながら、一生懸命、必死の議論の上に、新たな農政の展開を図ってきました。長年の積み重ねの上に、やっと農政の方向性が見えてきたんじゃないかな、農業、農村の方向性が見えてきたんじゃないかな、また、押さえるべきポイントが、改善すべきポイントが見えてきたんじゃないか、そんなことも思うわけでありまして、新たな取り組みが進んでいる、そのやさきの戸別所得補償であります。

 論じてきたように、さまざまな問題を含んで、また危険性もはらんだ制度であるなと私は思う。それを大仰な形で打ち出して、制度設計の準備も不足したまま突っ込んで、長年の積み重ね、現場の努力というものを御破算にしてしまうことにならないか、海外に間違ったメッセージを発してしまうことにならないか、そこを懸念するわけでありまして、やはりそれよりも、現行制度を基本にして足らざるを補っていく方が近道であるし、現場の混乱もない、確かなものになっていく、私はそんなふうに思うんです。

 もしコメントがありましたら。

赤松国務大臣 こういうところで議論ですから、私どもも、大いに与野党で議論をしながら、いいことを生み出していきたい、本当に基本的にそう思っています。

 しかし、四年前、三年前のあれはどうだったとか、だれがどう言ったとか、そういう法案というのは、実は私どもは、これは率直に申し上げるんですけれども、民主党が出した当時の議員立法も進化しているんです。こういうところで大いに議論しながら、いろいろな意見を入れて中身も変わってきているんです。ですから、現行、私どもが今出しておるモデル事業について、これはおかしいじゃないかとか、これで本当に農業再生になるのかとか、そういう意見をどんどん言っていただくことは全く構いませんけれども、過去の、私どもが今出していない、そういうものについて、当時の提案者はどう言ったとか、こう言ったとか、そういう議論はやめていただいた方がいいのではないか、生産的ではないと思っています。

 ですから、今回のモデル事業、この中で、果たして本当にこれで自給率は上がっていくのかとか、あるいは米中心に対する、米の戸別所得補償制度について、この中身は一体どうなのかということでもって議論をぜひしていただきたい。それを、中身をよく御理解いただいた上で御批判をいただく分には、堂々と私どもも反論させていただくところは反論させていただくし、思いの同じところも実はあるかもしれません、そういうところはまたぜひ次のあれに生かしていきたいと思います。

 それで、結論ですが、できるだけ早く示してほしいというお話でした。そういう御意見もあるものですから、実はちょっとピッチを上げまして、でき得れば二十六日、あす夜に、食料・農業・農村政策審議会をやりまして、その中で企画部会を行いますから、基本的なところを私ども政務三役の代表も入って決めたい。それを、審議会のしっかりとした議論を経た上で、あさって以降、できるだけ早くの時点で、いろいろな、先ほど来お話のあった生産調整といいますか各県ごとの数量目標だとかということについても、全体枠をつくって、各県ごとの割り振りまでもしできれば、そのレベルまで皆さん方にお伝えをしたい。かなりの細目のところもお示しできるのではないかと思っております。

 それを見ていただくと大体もう御理解いただけると思いますので、そういうのを見た上で、また来年の通常国会なり、そういう中でしっかりと議論をしていただければよろしいのではないかと思っております。

小里委員 ありがとうございました。

 過去の発議者の発言については、これは実に傾聴すべきものがある、そういった前提で引き合いに出させていただいたわけでありまして、そこは御理解いただきたいと思います。

 本当に慌ただしい時間の中で、大変失礼いたしました。以上で終わります。ありがとうございました。

赤松国務大臣 先ほど、あすの企画部会と申し上げましたが、食糧部会でございましたので、訂正させていただきます。

梶原委員長代理 次に、北村誠吾君。

北村(誠)委員 自由民主党の北村誠吾です。質問の機会を与えていただき、ありがとうございます。

 水産漁業関係について質問させていただきたいと思っておりますが、まず、質問に入ります前に、先ほど山本委員の方から大臣に質問されて、非常に前向きでしっかりした御答弁をいただいたように思いましたけれども、私の関係する農業共済関係の農家の皆さんから、私がこの時間に質問することを知った上で先ほど来連絡がございまして、農業共済予算の概算要求に一千二十一億四千五百万という概算要求をしておられる、これを、先ほど大臣がお答えになったとおり、しっかりと所要の額を確保するように頑張っていただく、これをぜひもう一回確認の意味でお答えいただければありがたいと思います。

赤松国務大臣 先ほど申し上げましたが、事業仕分けの中で、大変残念なことでございますけれども、共済事業について三分の一程度を削減、縮減しなさいという判断がございました。先ほども申し上げました、これは最終決定ではございませんので、これをもとにして親会議が三十日に開かれます、そして、それを受けて、仮にそのまま決まったとしても、またそれを受けて財務省との交渉、そして最終的には大臣の交渉ということに入っていくわけでございます。

 今回の中身については、先生御承知だと思いますけれども、一と二に分かれておりまして、一つは人件費等の事務費を負担しておるもの、これが四百五十六億。そしてもう一つは共済掛金の国庫負担金ということで、これは法律に定められたものでございますけれども、農業者の負担軽減のために国が共済掛金の二分の一を負担するということでございますけれども、これは法律で定められた、五百四十四億ですが、これの三分の一を減らしなさいと言われても困るわけで、事務費の方は、過去の例を見てみますと、二億減った、三億減った、これは法律事項じゃありませんので、そういうことはあり得るとしても、特に、共済掛金の方を減らせといっても、これはもう法律で定められた、二分の一負担ということが決まっているわけですから、これはできない。

 それから、事務費についても、事実上今までは二分の一の事務費、人件費等を負担してきたわけでございまして、多少の縮減はあってもいいと思いますけれども、これも基本的にはなくすわけにいかないということで、この中身についてきちっと御説明をする中で、関係各位の御理解をいただいて、ぜひこれを概算要求どおりお認めをいただくよう努力をしてまいりたい、このように思っております。

北村(誠)委員 御丁寧にありがとうございました。

 各般にわたる農業の関係者が現在の農業、農家経営において所得の補償、また次の年度の再生産、そのために頑張っていく手がかり、足がかりでありますので、ぜひよろしくお願いします。

 さて、水産の関係でありますけれども、我が国は海に囲まれて、それぞれ津々浦々に漁村がございます。その漁業を生活の糧としている方々が漁村において地域社会を構成している、これは言わずもがなのことであります。

 水産業は、国民に良質なたんぱく質を供給する大事な産業であります。過疎化が進行し、疲弊が顕著な地方におきましては、地域社会を維持するためになくてはならない産業であります。漁業、漁村をめぐって、若者の流出によって高齢化と過疎化が急速に進行いたし、地域社会そのものの存続が危惧されておるという状況でございます。

 私どもは、我が国周辺の漁場に恵まれ、世界に冠たる水産国日本として、これまで脈々として受け継がれてきている稲作、魚食文化、地方の個性に基づいた地方独自の文化を絶やすことなく次の世代に引き継ぐことを私どもに与えられた大切な使命と考えて、燃油価格の高騰対策、あるいは魚礁の設置による資源管理対策、また水産振興対策から、高齢者にも優しい生活環境整備、漁村居住者の安全を守る防災対策、環境にも配慮した藻場、干潟の造成、消費者との信頼醸成に基づいた水産物の消費拡大など、対策にめり張りをきかせたいろいろな施策を講じてまいったというところです。

 今後、政府において、今申し上げたような重要な産業である漁業、水産業、あるいは生産、流通の拠点並びに地域社会としての漁村、これをどのように位置づけて、これからどんな振興策をやっていこうというふうにお考えなのか、お示しをいただきたいと思います。

赤松国務大臣 委員御指摘のとおりでございまして、全く同じ考えでございます。

 特に、世界で六番目に広い排他的経済水域を持つ我が国にとって、水産業というのは非常に高い潜在能力を有しているというふうに思います。

 加えて、国民の安全、安心の、しかも体にいい、健康にいい水産物を安定的に提供していくということは国の大きな役割だとも思っておりますので、その意味で、特に水産資源の管理、回復、漁業経営の安定、活力ある漁村の維持を中心に施策を進めてまいりたい、このように思っております。

 なお、二十三年度からの所得補償制度実施に向けて、来年度は、いろいろな調査等についても見込んでおるところでございます。

北村(誠)委員 燃油高騰対策についてお尋ねします。

 国際的な規制の強化や水産資源の減少、後継者の不足、消費の魚離れ、こういった難しい問題が山積みでありますけれども、投機マネーによって原油価格の高騰が起こりました。他の産業に比べて経費に占める燃費の割合が高い漁業は、深刻なダメージを受けた次第です。

 燃油高騰による経営コストの上昇分を価格に転嫁できれば漁業経営への打撃を弱めることができる、そういう考え方で、市場流通において価格の動向に敏感な流通の分野、さらに消費者などへの影響で価格への転嫁ができないという事情がありますから、去年の七月には、漁業者が全国で一斉休漁に訴えるというふうな現象も残念ながら発生してしまいました。それだけ状況が厳しかったということであります。

 そこで、私どもは、省エネへの取り組みを行う漁業者が安心して操業ができるように、燃油高騰分の最大九割を補てんする制度を取り入れて事業をつくりました。多くの漁業者に安心して操業に取り組んでいただいていると思っております。

 原油価格については、御存じのとおり、一たん下がりましたけれども、現在、一時期ほどではありませんが、やはり右肩上がりで推移をしております。

 漁業者も、省エネ型の漁船の開発や導入、そして省エネ型の操業への転換を目指して大変な努力を重ねておりますけれども、それぞれの、個々の努力というものには限界があります。今後とも、国民に対する水産物供給の責任を果たし、地域社会を守り、漁業と漁村を振興していくためには、漁業経営を安定させ、漁業者に安心して漁業に取り組んでいただけるように、漁業用燃油の価格高騰時の影響を緩和するということが大切であります。

 国と漁業者で拠出する基金でセーフティーネットをつくり、この基金を十分に活用することができるように大きくこれを育てていくことが必要と思いますけれども、このごろ、基金、基金。基金についてはカットというふうなことがいかにもはやっておりますので、これらと一緒くたにされては大変困ると私は考えておりますけれども、大臣、副大臣、そこら辺について所見を聞かせていただきたい。

山田副大臣 殊に、水産において私も同じように大変心配しております。

 先ほど赤松大臣が申し上げましたように、二億円かけて漁業者の生産費の調査及び販売価格の調査等、概算要求をことしいたしております。

 同時に、先ほど申しました漁業所得補償ができ上がるまでの間は、何といったってこの燃油高騰、かつて三十円だったA重油が今六十六円と倍以上になっておりますし、それに対する対応策が今一番大事かと思っておりまして、それについては、今北村委員がおっしゃったように、国と漁業者がそれぞれ出資し合って、一つのセーフティーネット、これをぜひ、かなりしっかりとしたものにさせていただきたい。

 今、私ども、概算要求、事務費も入れて二十億要求しておりますが、さらに、漁業者からも十六億、国から十六億という形で三十二億、これを元にしてこの燃油高騰対策というのを構築しているところです。これについては、いわゆる大きい、イカ釣りだったら十九トン以上の船とかじゃなく、小さな漁船漁業者に対しても平等にかかる燃費についての補てん、それを考えて取り組みたいと考えているところです。

北村(誠)委員 ありがとうございます。

 やはり常に大事なことは、いろいろな制度にしろ事業にしろ、自助、互助、共助あるいは公助というふうなことで、みずから意欲的に取り組もう、積極的にみずからも負担しつつ、また協力も求めよう、そういう姿勢がやはり大事ではないかというふうに思うし、納税者の理解もそういった観点から取り組むことによって得られるのではないかと私は考えております。

 そこで、漁船漁業でありますけれども、水産の食料資源の安定的な供給にとっては、漁船はなくてはなりません。しかし、魚価の低迷、また燃油の高騰、これらのコストの面から、漁船漁業の経営難は既に言われて久しい。しかも、船の経年、船齢の高齢化、これが進行いたしておりますし、生産構造の弱体化は深刻な問題であります。このままでは操業の安全性が確保できず、重大な影響が生じ、重大な事故が発生するというふうな懸念が大いに叫ばれております。

 漁業が将来にわたって水産食料を安定供給するためには、どうしても漁船漁業の生産構造を安定的かつ強固なものにしていかなければいけない。そして、資源を適切かつ有効に活用していかなければいけない。

 政府におかれては、今後、漁船漁業をどう位置づけ、この振興策をいかに講じていくのか、構造改革等についてどう対応していこうとするのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

    〔梶原委員長代理退席、委員長着席〕

山田副大臣 今、水産自給率は低いんですが、五〇%ちょっとぐらいしかありませんが、いわゆるその七割を漁船漁業で占めておりまして、特にこの漁船漁業については大変重要だと思っています。ところが、北村委員の今の質問のように、今非常に漁船漁業の経営が深刻で、新しい船をつくれない、そういう状況下でどうなっていくかと、私どもも大変懸念いたしております。

 そういう意味では、この前の補正で、いわゆるまき網船団などでもそうですが、省エネ化、グループ六隻を例えば二隻にするとか四隻にするとか、そういった形で新しい合理的な経営方法をやるところについて新しい船の建造資金等の融資、そういったものも考えたり、また、全国的に小型の漁船等についてもなかなか新造資金というのは出ません。漁船漁業者にとっては、担保が、いわゆる保証人がいないという致命的なことがありまして、今回、財務省との折衝でありますが、四百億、漁船漁業者が無担保無保証で融資を受けられる、本来、漁業予算では、本予算では初めてだと思いますが、そういう概算要求をさせていただいております。

 この仕組みは、各県の信用漁業基金協会に対して、いわゆる焦げついた場合の三割負担分を国が、政府が補てんしてやろうじゃないかと。いわゆる漁協とか銀行とか、そういったところが安心して漁業者に対しても無担保無保証で融資できるような制度、そして、何とか小さな漁船でもつくれて、沿岸漁業者が何とか漁業を継続できるような形をつくっていきたい、そう考えているところです。

北村(誠)委員 今、山田副大臣にお答えいただいたセーフティーネット資金でありますけれども、国が三分の一、そして、多分、国、県、当該漁業団体というふうな仕組みで最終的な保証というふうなことの組み立てではなかったかと思います。

 それを、つき合いのできる県とつき合いのできない県、いろいろな事情によって違いがあって、その点、せっかくつくった制度が運用できないということで、非常に残念だということが当農林水産委員会でも以前話題になったというふうに思いますが、先ほど副大臣がおっしゃられた、県の漁業信用基金協会が出動するというふうなことで、結果的に、どうしても都道府県、県段階がおつき合いすることができないときは、それについては国が見るというふうなことを最終的に決断したというふうなことではないかと思うんですが、いかがですか。

山田副大臣 確かに、いわゆるセーフティーネット制度は前からあったんですが、なかなか、各都道府県によってはそれを適用しないとか、いろいろなことがありました。というのは、基金協会そのものが仮に保証したとしても、自己負担分があるとか、いわゆる危険負担をやはり負わなきゃいけないんだとか、いろいろな事情があったんですが、そういった懸念を払拭して、そこは国が予算で見ようじゃないかという試みで、まあ財務省が認めるか認めないか、これからなんですが、今回、本予算で概算要求させていただいております。

北村(誠)委員 それと、先ほど来、漁業の所得補償のことについてお話をいただいておりますけれども、私は、漁業の所得補償ということがきちんとできれば本当にいいなと思います。ただ、そこで、従来いろいろお話を聞きながら懸念を持っておる部分があるものですから、述べさせていただきます。

 個別の漁業者ごとに漁獲可能量の割り当て、個別のTACというものですが、あるいは資源管理計画の制度を導入して、漁業にも所得補償制度を創設するというふうなお話であります。

 私たちの国の漁業は、漁業対象魚種は、御存じのとおり、約三百五十種あると言われています。そして、漁船の隻数は、減ったとはいえ約二十万隻、水揚げをする港は三千弱ある。極めて多数に上っております。これらの漁獲量をしっかりと正確に把握するということは、大変な管理コストがかかってくるだろうというふうに考えるわけです。こういった点をどうお考えかなということ。

 それと、資源管理が行われる魚種について個別割り当てに移行するということになりますと、漁獲を価格の高い時期に集中して、そして市場が混乱するというふうな懸念があります。これらにはどういうふうな対応があるでしょうか。

 また、対象魚種や漁法、そして経費と収入の差の算出方法、こういった制度については、先ほど大臣は、いろいろな制度は、考え方は進化していくというふうにおっしゃられましたから、その辺に大いに期待をいたしますけれども、算出方法などは仕組みとしてまだ私ども聞かされていないと、不勉強ですが、思っているのです。ですから、ここら辺をしっかりとできるだけ早く示していただきたい。

 例えば、経営努力をしっかりしなくても所得が補償されるというふうなことなどがあれば、モラルハザードを起こすし、漁業者自体が経営改善の意欲を失うというふうなことにもつながります。そして、それは漁業全体の発展を妨げるのではないか。要らざる心配かもしれませんが、そういう懸念も持ちます。

 来年度予算要求の中で、先ほどお話のあるとおり、調査費の要求をいただいている。これからその制度の詳細についてどんな検討を行い、先ほどあしたの会のめどについて前倒してお話をいただきましたけれども、今申したような制度の詳細について、いつごろまでにお決めになり、いつから実行していくというふうにお考えなのか、お聞かせいただければありがたいと思います。

赤松国務大臣 先生御指摘のように、農業と違いまして、船も二十万隻、とる魚の種類も多い、あるいは船一つとっても非常に大型のものから小型のものまである、働く形態も、毎日出かける人もあればそうでない人もいる。確かに、いろいろな難しい条件があると思っております。ですから、余計慎重に、きちっとした形で調査をしていきたいということで、今回も概算要求の中で二億円の調査費を計上いたしまして、そして一年かけてしっかり調査をしてみたい。

 詳細については、今後しっかり詰めながら、そしてまたモデル事業として調査した上で、何が一体問題点なのかどうなのかということ、あらゆることを含めて、慎重に、しかし前向きに検討させていただきたいと思っております。

北村(誠)委員 ありがとうございます。

 ことしの五月に成立した補正予算についてでありますけれども、その措置をした予算の見直しを行われました。水産業の発展のために、また漁業者の生活のためにも極めて重要な事業の予算を、減額というふうな決定がされたと認識しています。そのことについてお尋ねをします。

 例えば、外国の漁船によって無秩序な操業が行われて漁場が荒らされ、これは日本海の山陰沖の話です、日本の漁業者の資源管理の努力にもかかわらず、多くの資源が少なくなってしまいました。その外国漁船の操業によって重大な影響を受けている漁業者らが、漁場生産力の回復、維持、また操業機会の拡大、これらを求めて、外国漁船が投棄して逃げ出してしまった漁具等を回収、あるいはそれらを処分する、こういったことへ取り組むことについて支援を行う事業の予算百二十四億円の補正がなされたものを、百四・九億円に削減するというふうな決定を見たと聞かされております。

 漁業者の操業への自助努力の意欲を全くそぐものであり、外国漁船の無秩序な操業で大変な被害を受けている漁場の一層の衰退を招くし、水産業と地域の振興に反するものであると私は考えております。

 こういった状況について、さきに、制度においてフロンティア漁場造成事業ということで、大陸棚水深二百メートルのところに至るまで大型の魚礁を投入して、まさに民主党の先生方もおっしゃってこられた海の牧場をつくろうというふうな考え方で、漁場造成を、フロンティア漁場造成ということで取り組むというふうなことでやってきた事業の一環であります。これらの補正予算がこんなにざっくり削られるということは、どうも理解できない。ぜひ御説明をいただければと思います。

山田副大臣 いわゆる暫定水域内において、外国漁船の漁具等の放棄等におけるいわゆる海の掃除といいますか、そういったものについて、確かに百二十四億、補正予算で要求されておったんですが、そのうち、私どもの方で補正予算の見直し、執行停止を閣議の決定によってさせていただきました。中でも、私どもが留意したのは、実際に今年度、事業として使う分を精査いたしましたら十九億でしたので、残り部分は国庫に返納させていただきました。

 しかしながら、これからまた来年、相変わらず、不当な漁具の放棄とかいろいろな問題に対して、まだまだ海の清掃等々というのは必要だと思いますので、ことしの事業に相当する分、約二十五億を今、来年度の予算の概算要求をしているところです。

 ぜひ、今、北村委員がおっしゃっているように、大変大事な事業と思っておりますし、あわせて、海の森づくりというのは私どもマニフェストにもうたっていることで、殊に、魚礁のマウンド事業、これは平戸沖で約六倍水揚げがふえたという実績もありますので、そういったことも含めて、私ども前向きにそういった方向は取り組んでいきたい、そう思っております。

北村(誠)委員 副大臣の御答弁で、今申し上げた大幅に削減されたこの事業は大事な事業だという認識を持っておられ、事業は実現していくように取り組まれるというふうなお答えであったと確認をさせていただきます。

 今、マウンド魚礁というお話がありましたが、先ほどフロンティア漁場整備、大陸棚水深二百メートルのところまで目指して海の森あるいは牧場に匹敵する海底魚礁の設置をしていく、これは財務省当局も事業効果について確たる自信が持てないというふうな話があったりしたこともあります。

 しかし、まさに東シナ海、東海、黄海、渤海湾に至るまで、友好の海というふうなことで、これからガス田の開発等々、暫定水域とか中間線とかという難しい話はありますけれども、日中両国の若い人たちに託された希望の海である、大事な海であるというふうなことの観点から立ったときに、これは農林水産省、水産庁に限らず、ぜひ積極的に外務省、経済産業省も取り組んで、これまでガス田の中国側のおかしな開発ぶりについて、山田副大臣はよく御存じだと思いますけれども、まき網漁業関係者は、数次にわたり、水産庁及び農林水産省、外務省に対して申し出をしております。駐日中国大使館にもそれらの申し出を、漁業者は団体の名においていたしております。

 まき網漁業が主な漁場としているアジ、サバの産卵場であり、あるいは保育場である、そういう非常に大事な漁場にあのガス田のタワーが建っているというふうな状況があるわけでありまして、これについて、漁業者にとってはなりわいを、過去十年余りの統計を見ただけでも毎年十億以上のその水域における水揚げをしっかりと確保してきた大切な漁場であります。

 それらが、中国側の何の前ぶれもなく、いろいろな相手方の船が航行する、あるいは近づくと無法に追っ払われるというふうなことで、自由な操業ができないというふうなことが現象として起きておりますから。それらのことについて、せっかく両国で友好の海というふうなことを目指して今後協調し、ともどもに未来に向けて開発をしていこうというふうな、両国政府にとっても、また、それが実現されれば両国国民にとって非常によいことであろうと思いますので、政府としてはそこら辺にしっかりと責任を持って、民間の交渉とかそういうものに任せるのでなく、しっかりとした政府間の外交ルートにのっとった正式なお話、あるいは正式な先方からの、中国側からの状況説明、そういったものすら受けていないという状況です。

 そういうことに漁業関係者は大変な不安と不満を持っているわけですから、ぜひそういった取り組みについて、赤松大臣、ひとつ今後真剣に取り組んでいただきたい。お答えをいただければと思います。

赤松国務大臣 先生からそういう御指摘も賜りまして、私ども、沿岸、特にこの排他的経済水域内で漁業に従事する漁業者のために安全確保をしていく、あるいは資源確保をしっかりやっていくという意味で、今御指摘を受けたような点についてはしっかり頑張ってやっていきたいと思っております。

北村(誠)委員 中国との海をめぐる関係を述べましたので、最後に質問させていただきますが、大型クラゲの被害が極めて甚大であります。

 先般、私どもは岩手県宮古へ参りまして、サケの定置網の皆さん方が大変な苦労をしてクラゲを排除する、そして漁獲を確保するという努力をしておられるのを、朝二時半から参りまして、水揚げ作業を見せていただきました。

 この大型クラゲは、もう御存じのとおり、多分中国の沿岸、近海で幼生が生まれて、冬を越して、春先になってから生育をしていく、そしてこれが対馬暖流に乗って北上し、津軽海峡を越えて三陸沖へ出てきて、今は、驚くなかれ、紀伊半島を越え瀬戸内海をうかがうというふうな状況まで達しているということであります。

 そこで質問させていただきますが、これだけ大きなことになってきますと、やはり発生する年と発生しない年があります。しかし、いろいろなことを考えてみたときに、どうしても中国、そして沿岸国である韓国、我が国、この三国が協力をして、発生をするところのメカニズムからきちんと三国の漁業者あるいは研究者等が組織をつくって研究体制をつくり、幼生の発生状況、越冬状況、そこら辺から科学的な知見を確認していく、そしてその情報をお互いに交換する。

 そして、できるだけ中国側の協力を得るように国が直接中国に対して働きかけをして、もし発生したときにはぜひ国が直接撲滅の対策をしていく。そして、回遊状況の情報提供、これらを、日本各地の沿岸で、定置網あるいは養殖、そういったことで非常に心配をしておりますが、常に宮古でも言われましたことは、全くそこの庭先まで大きなクラゲが来るまで、自分たちにはいろいろな情報がない、そういったことを大変悔やまれております。

 ですから、ぜひ、発生状況あるいは撲滅対策について、中国で、あるいは日本で、対馬海峡で、どういうことをやっており、その成果がありなし、そして、これらがどういう速度、どういう大きさに成長しながら回遊してきているというふうな状況を国の責任において情報提供し、そして、撲滅ということについては国の力で、国が直接撲滅対策を講じていく、実行していくということをしなければ、これだけ広範囲の被害が出てくるという状況になりましたから、大変な状況でありますから。

 ぜひ、先般、水産庁の幹部を通じて政務三役に私どもの決議をお届けいただくようにとお願いしておりますので、しっかり確認していただいて対策を講じていただきたい、このように要望いたしまして、私の質問を終わります。よろしく。

山田副大臣 一つだけ訂正させていただきたいと思うんですが、先ほど、保証協会、各都道府県の信用漁業保証協会についての負担割合で、実は、その七割分については保険の方から出るんですが、あと三割部分についての九割、二七%出ますので、全部合わせて九七%信用保証協会は負担してもらえる。ですから、安心して漁協とか銀行等についての保証ができるんだ、そういうふうに訂正させていただければと思います。

北村(誠)委員 どうもありがとうございました。

筒井委員長 次に、加藤紘一君。

加藤(紘)委員 自民党の加藤紘一でございます。

 きょうは、主に農林省の政務三役の方々と御議論させていただきたく、役所の方は、総括審議官と生産局長においでいただきましたが、事実関係に及ぶところは、ちょっとわからないところは教えていただきたい、こんなことで議論させていただきたいと思います。

 日ごろ大変親しくおつき合いいただいている赤松先生ですが、これは役目柄、日本の農業及び、ある意味では赤松さんのためにも厳しく議論しておいた方がいいんじゃないかなと思って、討論させていただきます。

 前に宮腰さんがここで、戸別とは何かと。国会議員が戸別というと一軒一軒歩くことだ、これが戸別訪問だ、では今回の民主党の目玉、戸別所得補償方式の戸別とは何だといったら、それは戸別の口座にお金を振り込むことだとおっしゃって、それで宮腰さんは、それは手続の問題じゃないですかといって怒ったけれども、あれはどこの答弁なんですか。政務三役の答弁なのか、役所の答弁なのか。手短にお願いします。

赤松国務大臣 どうやってお金を払うんだみたいなふうに私は受け取ったものですから、あのときの答弁は、それは地元の、地域の農政局からそれぞれの各農家の、農協か郵便局かわかりませんが、そこの個人口座に振り込むんですよと申し上げました。

 同様の質問が、けさも、午前の部でもあったものですから、そこではきちっと申し上げたんですが、戸別の農家を単位として、そこに生産数量目標も割り当てるわけですから、そういう戸別ごとに対象を見、そしてまた最終的にはもちろん戸別に交付するということも入ってくるわけですけれども、そういう意味で、戸別の農家、いろいろな書類の申請等についても、そこが戸別にそうした制度に参加するとかしないとかいうことも含めて御判断をいただく。そういうすべての意味で戸別であるので、戸別所得補償制度と総称してもいいのではないかということを午前中は申し上げました。

加藤(紘)委員 答弁がそれではもっと泥沼に入りますね。それは今でも、生産目標は戸別に配っているわけです、戸別の農家に。そして、それに伴っていろいろな交付金だとか補償金は、これは戸別に口座に入っていくんです。全く違いません。

 ですから、例えば、いわゆる生産協議会というものを経ていくのが何となくうさん臭いとか、そういう答弁をおっしゃるなら、ほうほうというふうになるんだけれども、今の答弁、すなわち減反数量目標は戸別に出す、それからお金は戸別の口座に入れる、これは全く違いません。

 ちょっと、今の答弁でいいんですか。

赤松国務大臣 先生もおわかりの上でおっしゃっているんだと思いますが、今度の制度と今までの制度と基本的に違いますのは、今度の制度は、その意味でいえば、参加するかしないかはそれぞれの戸別農家の意思によります。ただ、私どもは、あえて選択制とは申し上げませんが、参加していただくかいただかないかは、むしろ以前までは比較的強制的な性格があったと思いますが、今回はそうではない。それぞれが判断してもらえばいい。しかし、結果的には、これだけ米の生産に対する強力なメリットをつけていますから、その意味でいえば、多くのところ、ほとんどのところは参加していただけるだろうという思いはありますけれども、しかし、それは戸別にそれぞれの農家が決めればいいということ。

 ですから、小規模の農家であっても、あるいは兼業農家であっても、それは参加することができるという意味で、まさにすべての単位を個々の農家に置いている。その意味において戸別と言っても構わないんではないかと私は思っておりますが、いかがでございましょうか。

加藤(紘)委員 ちょっと答弁は短くしてください、四十分しかないので。

 しかし、それは、またすごいことを大臣は言いましたよ。つまり、このシステムに入ることは非常にメリットがあるから喜んで入るだろうということですが、今の皆さんの自給率向上対策ですか、あれだとそうなりません。いろいろなところで、選挙区に帰っても聞かれます。

 例えば、宮腰さんのところの富山でチューリップをつくっていたとする。そして、その売り上げで、お米をつくるのと大体とんとんになっていた。だからチューリップをやるんですね。そのとき、恐らく四万か五万の産地づくり交付金の重点配分をしているはずです。それが今度一万ということですね。だから四万違うわけです。だったら米をつくると。しかし、あなたは限度数量をもう超えているよと言われると、わかりました、だったら一万円ぐらいもらわなくていい、今度のモデル事業の。それで、自分は減反しないで伸び伸びと米をつくりますと。

 これは、各自の判断でいいんだということを言いましたね、強制力はないと。そういうことで、今これは大変な答弁ですよ。減反に強制力はない、生産数量目標を達成して、それを超えても、それが違反だという強制力はない。前のおたくの法案を出されたのには、罰金を科すみたいなことがありましたよ。今度は、それはないと今大臣が断言し切った。十七日の答弁でもそう言っていますね。

 ですから、これが全国に広まったらがたがたになりますよ。それを確認願います。

赤松国務大臣 これは、もうどの場面でも私は申し上げておりますが、そういうペナルティーは科さないというのがこの制度の基本的な考え方でございます。

加藤(紘)委員 加藤先生、重々御承知で御質問されているんでしょうと言いますけれども、重々わからないから聞いている、そして非常に、重々重い答弁なんです。

 つまり、米の生産調整、調整数量、皆さんはここまではつくりましょうねという数量だというんだけれども、自民党の場合は、そこからつくったら大変罰を与えるよということだったので、これで大論議だったんですよね。そして、去年か何かに皆さんの方で出された法案では、それを超えたら罰金を科すと。自民党でもやっていないようなことをお書きになって、さすがに今度は書いていないんですね。

 さらに、きょう、大臣答弁で強制力はなしと言い切ったわけですから、これは、何ぼ何ぼいいメリットを、とりあえず一万五千円渡しても私は危ないと思いますよ。まあ、いいです、そこの答弁はいただきましたから。何か修正がありますか。(赤松国務大臣「いやいや、修正はありません」と呼ぶ)それでは、それが大変なことになるだろうと思います。

 さて次に、この戸別という言葉を私は取った方がいいんじゃないかと思うんですが、今後とも続けられますか。今はほとんど意味のない戸別になっているんですが、続けますか。

赤松国務大臣 この間の総選挙のときも、この戸別所得補償制度ということに対する期待感が非常に大きい。しかも、私どもがマニフェストにこれを明記して、そして選挙を戦ったわけでございますから、これは、特に問題があるとかマイナスになれば別ですけれども、この制度に対する期待感、そして、多くの地域で、ぜひそんな制度だったら参加してみたいという声がある以上、特にそれを変える必要はないのではないかと思っております。

加藤(紘)委員 この戸別というのは、篠原さんがどこかに書いていた文章によれば、自分たちが戸別所得補償方式を決めた、そして小沢代表のところに持っていったら、戸別と入れろと。それで、篠原さんがそれはだめですと言っても、そのとおりしろと言われて、その後遠ざけられたと。まあ、この辺はどうかわかりませんがね。というんですが、小沢さんの発意であったということは明らかなことのように思いますが、どうですか。

赤松国務大臣 これは、実はいろいろな人たちが言っているんです。篠原さんや小沢さんだけが言っているわけではありません。かつて、私は新進党じゃありませんが、新進党の時代に、党の政策として表へ出たのが多分最初だったというふうに思っております。

 私ども民主党の中で、戸別所得補償制度という形で党の基本的な政策でどんと出たのは、私は政権政策委員長を副代表兼務で小沢代表のもとでやりまして、その中に、基本的ないろいろな各般にわたっての政策づくり、政権党としての基本的な政策をきちっとまとめようというときに、実は農業政策については、正式な形で党の基本政策として位置づけたときはそのときだ、通称マグナカルタと言っていますが、それだったと思います。

加藤(紘)委員 一般の農家は、一軒一軒の農家の赤字を一円まで、もうとことんまでそれぞれ調べて補償してくれる、それが戸別の所得の補償だと思って、夢を描いたようですよ。

 そんなことはあり得ないよと。めちゃくちゃに、必要もないコンバインを買った家のコストと米の売り上げと、それを見てやることなんかあり得ないわけですよね。だから、そんなことはないよと言っても、わかっている、そういうことはわかっていると。ただ、米価が市場で決まるようになってから、農家とか百姓とか米とか、余り最近新聞にもテレビにも出ない。米価大会もない。寂しい。我々にも視点が当たったというだけでうれしかった、だから一度は夢を見たいと。それが夢だというのはわかっているけれども、いっときの夢を見たい、そうかと。それで、その人に最近会って、どんな夢だったと聞いたら、悪夢だったと。戸別なんか全国一律でやっているので、こんなことだったのかと思ったという声もあります。

 それから、赤松大臣のところには、この政策がいいから次から次へと入れてくれという人が多いということだけれども、米づくり農家というのは、三十七年つき合っているけれども、すばらしい米価だとか、すばらしい制度だと余り言わないんです。これはヨーロッパの農家もみんな同じです。年貢を取られるから。取られたから。まあまあねといったのが絶賛の言葉なんです。

 ですから、次から次へと大臣のところに米づくり農家が言ってきているのかなと思ったら、違うんですね。野菜農家も入れてくれ、畜産も入れてくれ、次々次々言ってくるというふうに参議院で答弁されていますね。ですから、どうも米づくり農家地帯の雰囲気みたいなものの風土をなかなかわかっている方が少ないんじゃないかなと危惧いたしますので、御参考までに老婆心ながら申し上げておきます。

 それで、次に、自給の問題についていきます。

 やはり農家にとっては思う存分米をつくりたいんですよ。それは夢です。そして、なおかついい値段になってほしい、これが人情ですね。そういうときに、日本の自給率が低いというと、では減反をやめてもっと米をつくればいいじゃないかという人が、農家にもいっぱいいますね。それから政治家にもいますね、かなり大物のところにも。それからマスメディアに非常に多いですね。最近、農業が都会の青年たちにもはやりだから、何で瑞穂の国で米の減反をさせるんだと言います。

 では、余ったらどうするんだといったら、これはアフリカでひもじい子供たちのところに送ってあげればいいじゃないかという説が一つ。こっちには、日本というのはめちゃくちゃに外国から必要な農産物を買ってくる、そして生活できている国だから、それはやっちゃいけませんよと。だから、日本でとれないもの、今外国から輸入して食べているものを生産するのが本筋だ、そのためにも減反して転作しなきゃいけない。この二つの説がありますが、赤松大臣はどちらをとられますか。

赤松国務大臣 まさに今加藤委員がおっしゃったとおり、我々がやっている政策というのはその後者の方の政策だと思っています。トウモロコシ一つとっても、何千億円というお金を払って今輸入をして、飼料に回している。それを、もし例えば飼料米が十分有効な形で供給されれば、トウモロコシなしでいいとは言いませんけれども、色とか何かの問題で、なしとは言いませんけれども、多くのところがそれに取ってかわれば、非常に有効なことになりますし、これは麦、大豆についても同様のことが言えると思っております。

加藤(紘)委員 そこのところで、ここ三、四年、さて、ではそれは本質はどういう具体的なところをやればいいんだろうと思っていまして、自分の選挙区ではもちろん、東北全体の自民党活動家大会千五百人のときでも、横浜の都市部で、本当に市民五十人の集会でも、学生にも、いろいろなところで、さて、日本の自給率を上げるために次の四つ、何を一生懸命つくったらいいと思うと。

 一、飼料米。二、米粉米。三、稲庭うどん、讃岐うどんのための小麦。パン用の小麦はちょっととれないから。四、大豆。納豆、みその大豆。たまにそれに菜種というのを加えることがありますが、これはどこに行っても答えは同じなんですね、日本人の答えは。圧倒的に同じなんですけれども、大臣だったらどれをつくるということを奨励されますか。

赤松国務大臣 それはどれという話ではなくて、やはりバランスの問題じゃないかと私は思うんです。

 ただ、現実に今この制度の中で、特に米粉とそれから飼料米については、今まで余りに少な過ぎているということで、例えば米粉についても、最近はコンビニでも米粉を使ったパンも売られるようになりましたし、各企業も大変協力をしていただいておりまして、これなんかについてはよく例に出して言うんですけれども、月三個いわゆる小さいパンを食べれば自給率が一%上がるわけですから、ぜひ米粉にも力を入れてまいりたい。この間、東京農業大学にも参りましたけれども、非常に今、モミロマンといういい種ができまして、旧来のほぼ倍ぐらい生産できる。コストも六分の一で済む、労力も六分の一でできてしまうというようなすばらしいそういうのもできていますので、ぜひそういうところはしっかり応援をしていったらいいんじゃないかと思っております。

加藤(紘)委員 私がやっておりましたすべての世論調査で、答えは逆です。圧倒的にみんなが手を挙げるのは大豆です。納豆、しょうゆ、みそ、豆腐、これは日本人は米の次になければ生きていけないといって、それが大体五、六割ですね。それで、えさ米はゼロ。米粉パンというのはたまに二人か三人いるだけ。ひょんなことをすると、菜種と挙げたいという人が都市部に多いんですね。きれいだからでしょうね。

 ですから、私は、圧倒的に、日本人にとって大豆というのはなきゃいけないと思います。五百万トン輸入しているうちの四百万トンは油を搾って、かすはえさ。百万トンは納豆、しょうゆ、みそ、豆腐、煮豆、こういう食用の大豆ですね。それを、たしか今、二十万トンしか国内でつくっていないんじゃないでしょうか。

 生産局長、どうですか。

本川政府参考人 二十数万トンだったと思います。まさにそのとおりでございます。

加藤(紘)委員 ですから、今から何年前でしょうか、一九七三年、アメリカでニクソンが大豆の禁輸を言いました。日本は九十数%の大豆はアメリカ製の大豆なんですけれども、そのときに、不作したから、自分たちが油を搾るのに必要だ、それが先だといって、エンバーゴーをかけたんですね。山形県の山奥、長野県の谷合いの小さな食品屋、そこの納豆、豆腐も一挙に三倍に上がりました。ですから、その後は、納豆をつくらなきゃならぬと思って国じゅう挙げたんですけれども、のど元過ぎれば熱さ忘れるというんでしょうか、たった二十万トン。いっとき、あぜ道につくった、田んぼの畦畔につくった大豆、そんなものでも四十万トンまでいった日本。それが今、担当局長が言うように二十数万トン台なんですね。

 なぜ農林省は大豆づくりに一生懸命にならぬのだろうと思ったら、今二人来ているけれども、こういう人たちは米の問題を担当してエリートなんですね。大豆なんかつくるのは、今生産局長は担当していますし、立派なエリートでございますけれども、大豆なんかというのは端パイなんですね。田んぼの畦畔、田のくろに自然に生えるものだから。でも、ここまでの様子になると、大豆というのは大変重要なんです。

 そこで、おたくの副大臣の郡司さん、僕は余り存じ上げないんだけれども、この間、参議院の農水で、これからいろいろな利活用の部分に対して、これまでと違う取り組みに対する考え方というか危機感というか、不安というような声が役所に寄せられると。なかなかいい感覚の言葉をおっしゃっているんですね。それで、その後も、こういう中でどういったものを今度の場合農家の人がつくってくれるだろうか、どれだけの作物にどれだけの生産者の方々が取り組んでいただけるか、自給率の向上という形もあり、その辺のところを勘案しながら考えたいと。多分、この人は、えさ米じゃなくて大豆をつくってほしいなと思っているんじゃないかと思いますよ。

 なぜかというと、自給率からいえば、えさ米は豚に食わすわけで、百カロリーの豚の肉をもらうために、豚は七百カロリーか八百カロリーのえさ米を食べますね。米だと十一倍ですけれども。そういう意味で、自給率という意味では、田んぼでえさをつくるというのは自給率向上の論理からいえば低いと思うんです。米粉とか大豆というのはそのままずばり食べますからね。

 そこで、我々政権にいたときに、一番あるべき理想の姿は、大豆をつくる佐賀県が、おれのところ最近大豆づくり得意だよといって、米の減反を引き受けてあげる、新潟の皆さん、米の減反分をこっちによこしなさい、そのかわり米を減反したときのいろいろな交付金、奨励金はこっちに下さいよと。当たり前ですよね。そして、あと一万円か一万五千円持参金持ってきてねということで、県間調整をやったんですね、ことしも去年も。いい姿だなと思ったんです。これが何かついえそうですね、赤松さんの政策のおかげで。

 その前に、生産局長、そういう県間調整の現実は何町歩ぐらいやっていますか。

本川政府参考人 お答え申し上げます。

 二十一年産の米の生産目標数量を、宮城県、佐賀県、大分県がそれぞれ合計で九千五百二十トン出しまして、それを山形県、山梨県、長野県、新潟県、石川県の五県が受けております。これに伴いまして、この五県の方から、十アールでいいますと二万円の産地づくり交付金相当額が三県の方に交付されております。それに加えまして、こういう適地適産を進めるという観点から、特例的に国の方からも十アール二万円を交付している、そういう実態にございます。

加藤(紘)委員 それぞれの地区が、それならうちは大豆をやりましょう、では米をつくらせていただきますと仲よくやる。今局長は、平たく、三つか四つの県から三つか四つの県へと言いましたが、一番中心的なのは、佐賀が新潟に米づくりの権利を与えている。この佐賀、新潟の県間調整が一番メーンでしょう、局長。

本川政府参考人 お答え申し上げます。

 佐賀県が生産数量の米の目標を八千五百八十トン削減いたしまして、そのうち五千四十トンを新潟県が受けているという状況でございます。

加藤(紘)委員 ですから、問題は、産地づくり交付金とかその他いろいろな国の交付金で、それの微調整でこういうことが起こり始めるわけで、いいところまで来ているなと思っています。そして、最終的に、どんなことをやろうと最後はここに来るんです。最後にはここに来るんだと思いますよ。

 ただ、それを今のやり方だと、非常にラフで、それが崩れてしまって、今佐賀が泣いていますよ。佐賀農協中央会が泣いています。ぜひ県間調整が進むような調整をしなきゃならないんですが、そのために何でやるかというと、産地確立交付金約千三百五十億、プラス、あと百五十億ぐらい、システム定着何とか金と称して農林省で現場を見ながらちょこちょことお金を配っているんですね。でたらめに配っていると思いませんよ。いろいろな数式を入れて、産地が育つようにやっているんだと思いますが、これが一挙にぼんとなくなったんですね。産地づくり交付金。それで大豆三万五千円よと。ほとんどのところは、大豆をやっていたら三万五千円以上になっています。三万五千円以上になっているんです。

 それで、産地づくり交付金は、だから全国の都道府県でめちゃくちゃに違います。北海道は一反歩当たり四万一千円いっているんですよ。秋田県は二万円ですよ。山形県は一万九千九百円かなんかですよ。一万円のところもあります。これは不平等じゃないかと思ったら、昔、大豆、小麦をつくったら、いい産地づくり交付金を渡していた、平成十六年に新しい制度になったときに現給保障したい、だからそういうでこぼこの形になっているんだと思います。これを一挙になくした。

 この間、参議院の予算委員会のテレビを見て、おったまげましたよ。おたくの平野達男さん、テレビの中でこう言った。大臣、今、お米は幾らつくってもいい、そして生活も保障するみたいなことが流れているけれども、そんなものじゃないよね、大臣、はっきりおっしゃいなさいと。そういう中で彼はこう言ったんですね。産地づくり交付金、これなんか私に言わせれば突然全廃されましたと。彼の表情は、こんなことをやったらとんでもないことになるよと。それから次にこうも言いました。えさ米とかパン粉、これに八万円出す、とんでもない高い額で、これ、もしつくった後に買い手がなかったらとんでもないことが起きますよと。言うなれば、彼は民主党農業政策の中核の一人ですね。五人の中の一人なんじゃないかなと僕は推測していますが、その人がそう言っているんですね。

 ですから、先ほどの郡司さんの話と一緒に、本当に転作がうまくいくだろうかということに対する心配の念が非常にあるんですけれども、今のままいきますか。今のままいったら、僕は、大変なことになって、赤松さんに泥がかぶる。冒頭言ったことがここに戻ってくるんです。どうぞ。

赤松国務大臣 先輩に御心配をいただいて大変恐縮でございますけれども、私どもは、今御心配のようなことがないように、特に、例えば米粉にしてもあるいは飼料米にしても、ちゃんと売り先があらかじめ予定されるというようなお手伝いもしながら、しっかりそれが自給力向上に、本来の制度の趣旨に合った形で伸びていくようにしていきたいと思っております。

 それからまた、先ほど大豆の話も出ましたけれども、当然私どもも、大豆はどうでもいいなんて考えているわけじゃなくて、大豆もぜひ自給力向上のために、そして水田を利活用した主要な品目の一つとして、ぜひしっかりとそれがつくっていただけるように努力もしてまいりたい、このように思っております。

加藤(紘)委員 大臣、申しわけないけれどもそれは願望でして、恐らくこの畜産関係に詳しい若手に言わすと、博労さんが、おれが買い取る、契約一枚書くぞといって八万円のえさづくりをさせ、そしてそれなりのリベートをもらって、そして……(発言する者あり)そこまでは言わなかったけれども、多分、そういうことです。そして、よっぽどでないと米の不正規流通になります。

 現に、えさ米の一番発祥地は僕の選挙区です、酒田です。そこで、平田牧場という有名なところがあるんだが、そこに自民党の農林関係の幹部七、八人で視察に行って、えさ米の倉庫も見て、それで昼戻ってくるまでに二時間ぐらいあったから、僕が、そのえさ米をすぐむいて炊いて、昼御飯に間に合わせて出してくれと言ったら、うまい、うまいと、えさ米と知らずに食べていました。谷津会長や西川さんたちがね。これは冷えてない限り結構うまいです。ふくひびきという、かつての秋田の奨励品種だったわけですから。

 ですから、私はこれはよっぽど注意しないといけないし、それから、私は自民党の米粉推進議員連盟の会長なんです。ですから、先ほど大臣の言うように、あれだけ米粉について宣伝していただくのはありがたいのだが、今、六千トンとか一万トンとか、せいぜい二万、三万トンの世界がやっとですよね。ですから、えさ米は、やり出したら物すごい量になって、そして米の流通を混乱させる。アクセス米どころの話じゃない事態が起きかねませんので、私は、八万円というのはやり過ぎじゃないかと。自民党もいっとき八万円と言ったときがあるんだけれども、反省しています。ちょっとこれは、よっぽど考えないといかぬのじゃないかなということを申し上げたいと思います。

 あと四分しかありませんので、最後に、私はモデルは米でやるべきじゃないと思います。米以外の大豆とかえさ米とか、その裏の方でやるべきで、そして、ああ、こうやればみんな喜んで大豆をつくってくれるんだなという状況を見計らってやるべきで、それをやらないで今米について一生懸命条件をよくしている。私は米どころの代議士ですよ。ですから内心、それはいいなとは思うけれども、農家の人は、そこはいただきで、それで過剰生産に必ずなるというふうに心配しています。今度の皆さんのやり方は、言うなれば動物実験もしないですぐ生体実験に入っているようなものなんです。米、麦、大豆の生産関係は危ないと思いますね。そして、それがかなりもめるということは、もう既にもめている。

 だから、財務省の三役が言っていることが正しいのであって、今回おやめなさい、危ないですよと財務省が言っているわけですけれども、私も、今回だけは財務省の方が正しいと思う、日ごろ憎たらしい役所だけれども。本当にそう思う。だから、モデルを主従逆にする、その決断をぜひ、ぜひやってください。お願いします。

赤松国務大臣 まず一つは、先ほど飼料米のことについて、これは今、飼料米といったってうまいから、主食用米に回る危険性があるよという御指摘をいただきました。私どももそういうことも、過去の農水省の不祥事もございますので、十分考慮に入れながら、今度は米トレーサビリティー法もつくっていただきましたので、そういうものを利用しながら、しっかりと用途外使用のないようにやっていきたいということがまず一つでございます。

 それから、最もこの制度の基本にかかわることですが、加藤先生の方から、今回、モデル事業に米を外したらどうかというお話でございました。むしろ私どもは反対に、今、日本の農業を考えるときに、米、主食用米をつくっている、そこを外して、一体どこをモデルにして日本の農業を映し出すことができるのか、むしろそこにきっちりとしたモデル事業を行わなければ、本事業も成功するわけがないというふうに私自身は確信をいたしております。

 その意味で、規模加算だとか環境加算とか、そういうのは本事業のときにやりますけれども、基本的には全国一律にした、米を中心にしながら、またそこで需給調整をきちっとやるわけですから、その意味で、自給率を上げるための水田利活用の自給力事業、こちらとあわせ、裏表の一つの事業としてきちっとやり切っていきたい、このように思っておりますので、ぜひ御理解をお願いしたいと思います。

加藤(紘)委員 今、需給調整をきちっとやりますからと言って、先ほど生産数量目標については強制力はない、これは矛盾していますよ。そんなことはできませんよ。

赤松国務大臣 私が申し上げたのは、米を中心とした戸別所得補償制度と、まさにその一、二のある、二の、麦、大豆、飼料米等水田利活用、その水田利活用自給力向上事業というのがありますが、それと、一、二をセットでしっかりやっていきますという言い方をしたんです。

加藤(紘)委員 時間ですからやめますが、僕は、新たな猫の目農政二十年の始まりに手をつけたんじゃないかという気がします。これはあちらこちら直していかなきゃならなくなります。そして農家は引っ張り回されます。どうぞ、農家の心情を考えて、猫の目になる前に、子猫の段階でとめておいてほしい。

 そして、大豆というものを、そして日本人が必要なものをしっかりつくる。農家も米、農林省も米、農協も米、マスコミも米、しかし、本当の米問題の解決は、米からちょっと距離を置いたところになって初めて見えてくる。

 今、日本の農家の生産量は農家段階で八兆四千。第一位、米じゃない、酪農、畜産、二・四兆円。第二位、意外なことに米でない、野菜、二・一兆円。第三位、やっと米、一・八兆円。果樹が七千億。花が五千億。こういう中で、米だけを考えていくと逆に米が不幸になるということをまた強調して、終わります。

 ありがとうございました。

筒井委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 私で最後でございますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 今、私も、加藤先生と大臣のやりとりを聞いておりまして、大変勉強になりました。加藤先生ほど大きなお話はできませんので、質問通告の順番をちょっと変えますが、最初に、戸別所得補償制度のちょっと細かい点になるかもしれませんが、お伺いをいたしたいというふうに思います。

 今回、農林水産省からいただきましたモデル対策という資料で、この戸別所得補償をする場合に、今までも当然議論が出ておりますので重なるとは思いますが、御答弁をお願いしたいんですが、補償対象の米価水準、これは経営費と家族労働費を加えると。そして、標準的な生産に要する費用ということで、過去数年分の平均だ、こういうことでございますね。これで、ここのところを家族労働費を八割にしている、この部分。今まで御答弁があったと思いますけれども、私も同じ趣旨の質問でありますが、この八割という、ここが九割でいけないのか、十割でいけないのか。こういう八割と決めたのは、何か根拠がありますか。

赤松国務大臣 確かに、十割にしたらどうか、あるいは、労働コストを計算するときに、運送業だとかそういうところではなくて、もう少し第三次産業も含めたところの計算にしたらどうかということは、両方とも額が上がるということですけれども、そういう意見は、全中の皆さんからも、あるいは、この間の参議院では共産党の委員の方からも、それぞれ御指摘をいただきました。

 私は一貫して申し上げているのは、あくまでも、私どものやる行政というのは、国民からお預かりした税金で成り立っているわけですから、その意味で、やはり国民の皆さんが納得していただけるような補助金や交付金でなければいけないし、制度でなければいけない。その意味で、もし十割にしたときには、制度そのものがいいものですから、要は、お金が余分に残って、それが貯金とかそっちにもし回ったとしたら、税金を貯金していいのかということになるわけで、その意味でいえば、十割出したい気持ちはもちろんありますけれども、八割ぐらいが、国民の皆さんに納得していただける、そういうところの水準ではないかということで、八割と決めさせていただきました。

石田(祝)委員 これはそういうふうに決めたということ以外は余り根拠はなさそうな話でありますが。ここでちょっと詳しくお伺いをしたいんですが、この家族労働費ですね。これは、八割というのは、私も今の御答弁だとそういうふうに決めたということ以外ないなという率直な感じはいたしますが、この家族労働費というのはどういう数字ですか。どういう金額のお金ですか、これは。中身をちょっと教えてください。

佐々木大臣政務官 私からお答えいたします。

 家族労働費というのは、統計調査上決められた制度がございまして、その仕組みにのっとって今回も計算をさせていただいておりますが、建設業、製造業、運輸業、いわゆる製造業、五人から二十九人規模の事業所の賃金単価、これを使用して計算をさせていただいてございます。

石田(祝)委員 私がちょっと疑問に思うのは、今回、民主党がマニフェストで戸別所得補償をやると。そして、家族労働費を八割見る、経営費、それに乗せて、その水準まで、いわゆる販売費がそこまでいかない場合は上乗せする、こういうことですよね。

 その家族労働費を、建設業、製造業及び運輸業に属する五人から二十九人規模の事業所における賃金データをもとに算出した男女同一単価を乗じて評価したものである、これをそのまま使うということが、この農業の新しい仕組みをつくろうという中で、どうしてそういうふうに自動的に、余り関係ないですよね、建設、製造、運輸、それも五人から二十九人、そういう小さいところ、そういうところの金額をもとにして家族労働費を、そしてさらにそれを八割にする、こういうことですから。

 これは当然、大臣おっしゃるとおり、税金を使って残していいのか、こういうこともあろうかと思いますけれども、これは、片や農業をやっている方からしたら、自分たちの労働というものはそういう評価なのか、こういうことにもなるわけですね。

 別にこれは私は、製造業、運輸業の方をおとしめて言っているわけじゃありませんけれども、これは、農業は農業としてやられるんだったら、別に計算を新しく、家族労働費はこうだというのをデータをとっておやりになったらどうでしょうか。これはいかがですか。

佐々木大臣政務官 確かに、今石田先生の御意見のような意見を私もたくさんいただいてございます。この機会にもう少し上げたらどうだ、高いレベルにというお話もたくさんいただくんですが、そうすると、過去のデータが全くないということになってしまうわけで、今までの統計調査のデータというものを基礎にしていますから、そのデータがこうした計算式に基づいて積み重ねられているものですから、今回の計算については、この今まで統計調査で積み重ねてきたデータをもとに今回計算をさせていただいたということでございます。

石田(祝)委員 ですから、なぜそういうことになったかというと、結局、もともと一〇年度からやる予定じゃなかったんでしょう、この戸別所得補償というのは。最初は、たしか一二年度じゃなかったですか。それを一一年にやって、さらに一〇年度はモデルということでやろうと。ですから、何もデータのないところから新しいことをやろうとしている。ですから、ある意味でいえば、今までの古いデータというんでしょうか、古い考え方の中のデータをそのまま使わざるを得ない。私はここに大きな矛盾が実はあると思うんですね。

赤松国務大臣 それは全く誤解でございまして、私どもは、来年からのモデル事業、再来年からの本格実施、これはもうマニフェストできちっと約束しておることでございます。ただ、議論のもし余地があるとすれば、モデル事業の中で、どの範囲でやるか、あるいはどのぐらいの額をかけてやるか、これは額の明示はしていませんので、本格実施になれば農業を中心に約一兆円ということは明示をしておりますけれども。しかし、この来年モデル事業、再来年本格実施ということは基本的に決めていることで、急いでやるようになったから急にこの数字を持ってきてというようなことではないということだけは、御理解をぜひいただきたいと思います。

石田(祝)委員 そうすると、この家族労働費については、あくまで今までのデータと同じとり方で、建設、運輸また製造業、五人から二十九人規模、ここのところで家族労働費の計算はする、そしてそれに八掛けを、結局生産費の計算のもとにする、こういうことですね。

赤松国務大臣 それでも、今、石田先生のように、低い、だから低くなっちゃうんだと言う方もおみえになりますが、ほかの立場の方からいえば、いやいや、むしろ、それは労働の時間だって、おい、本当にこれだけやっているのか、これじゃ高過ぎるんじゃないかという意見も、申しわけありませんが、ほかからは事実ございます。

 そういう中で、やはり一番皆さんが納得いただける額というのは、今日までずっと使ってきた同じデータをベースにして、それでもって試算ということで数字を御提示させていただくということがまた一番いいだろうということで、その数字を使わせていただいております。

石田(祝)委員 それで、私はちょっと別の角度からお聞きをしますが、農林水産統計という資料をいただきました。ことしの十一月十八日公表資料であります。

 ここで、平成二十年産の米生産費、ここが初めて出てくるわけですね。二十年産米というのは去年になりますね、そうすると、終わって一年たって、十一月十八日公表ですから、ほとんど丸々一年かかっての調査で数字が出てくる。この二十年産米のデータをいただきますと、米の生産費が大体、十アール当たり十四万六千七百五十四円、六十キログラム当たり一万六千四百九十七円、こういう生産費が出てきております。そして、ここに、私教えていただきましたが、大変詳しく物財費、こういうものが出ております。

 これが、物財費に支払い利子、支払い地代、そして人を雇ったときの実際の金額、これを乗せたものが大体経営費だ、そしてそれ以外のものが家族労働費になる、こういうことですね。そして、ここの、二十年の生産費で、家族労働費が三万六千六百五十二円になっております。

 そうしたら、このデータを使うとなると、それに〇・八を掛けた二万九千三百二十一円、これが家族労働費ということでよろしいですか。

赤松国務大臣 これは二十年度の分でございまして、過去数年のデータをとってということになっておるものですから、必ずしもこれが今回のそのものの数字には当たらないと思います。

石田(祝)委員 いや、私はわかって言っているんですよ。こういう計算だったら、家族労働費の部分に〇・八を掛けたものがいわゆる経営費の上に乗る家族労働費ということでいいんですね、こういう確認でございます。

 ですから、これをでは、例えば来年やりますよね、そうすると、いつお金を出されるんでしょうか。来年から始めて、実際の差額の部分というんですか、固定費、さらに固定費でも届かない、生産費まで届かない、さらに乗せますよね。これは一体いつごろ出される予定ですか。

赤松国務大臣 基本的な制度をできるだけ早くお示ししたいと思っています。

 今の言い方は、毎年毎年出てあれするというよりも、むしろ、過去数年間の販売価格とそれから生産費、差額は幾らになりますね、それは定額分と言っていますが、その定額分が出ましたら、結果的には、今度は販売が、高いお米もあれば安いお米もありますし、あれになりますけれども、少なくとも、まず定額分を岩盤部分としてきちっと約束をする、しかし、実際には、それでもまだこの部分が損をしていますね、足りませんねというところは、今度は変動分として見るということでございます。

 反対に、今度は突き抜けちゃった、定額分と生産費とで販売価格よりももっと上に行った。では、これは返してくれと言うのかというと、それは言いません、それはどうぞ懐に入れておいてくださいという基本的な考え方でございます。

 ただ、あと、その定額分をではいつ払うのか、来年からモデル事業を始めても。それは、旧来は次の年の大体六月か七月ごろと僕は聞いていますが、それでは次の年の準備もなかなかできないということで、それについてはもう少し早く、定額分だけでも支払うことができないのか、今、これは中で検討しておるところでございます。

石田(祝)委員 こういう形でやると、例えば二十年産米の生産費が今やっと二十一年の十一月に出てくるわけですから、過去数年分というのを一体どこでとるのか、こういうことも当然出てくるわけですね。来年、二十二年のものをやるとしたら、二十一年を入れると、これはもう大変遅い、二十三年の秋になってしまう、こういうことにもなると思います。これは、こういうことをやるという前提で、どういうふうにするのかということを私はお聞きいたしましたが、実際、本当に生産費というのをかちっととれるんだろうかということを私は心配をいたしております。

 それで、大臣、さっきから私が、この家族労働費のところをもうちょっと見たらどうか、こういうことをお聞きしたら、税金でやるから、それが貯金になったりするような額ではまずいと。そうすると、生産費を突き抜けた分を返してもらわないというのだったら、同じじゃないんですか。これは、残っちゃいけないといいながら、制度の仕組みとして、生産費と販売の差額を補償しますと言っているんだけれども、その岩盤部分が、その年の米の値段がよくて生産費を突き抜けちゃっても、それをポケットに入れてくださいなんという話を今なさいましたよね。これはどうですか、矛盾していませんか。

赤松国務大臣 最初の試算から労働費を一〇〇%で見るということと、結果的に利益が出てしまった、これは大変うれしいことですから、そこの部分を常に必ず突き抜けると想定しているわけじゃありません。ちょうどいいぐらいになるように一応予定はしていますけれども、さっき言ったように、足らなくなる場合もあれば、多少突き抜ける場合もある、そこは誤差の範囲ということで、国民の皆さん方は御理解をいただけるんじゃないかと思っております。

石田(祝)委員 それはちょっと違うと思いますよ。(赤松国務大臣「ああ、そうですか」と呼ぶ)ああ、そうですかじゃなくて、システムとしてそれを認めているということでしょう。たまたまなるかならないかという話をしているんじゃなくて、システムとして、制度としてそれを認めていますよということなんですよ。足りないときに足すというのは、それはもう大変だからいいと私は思いますよ。しかし、足りないときは下さい、余っても上げますよ、これだと、制度としてそういう制度が、大臣のおっしゃっているように税金を使って、今言うように何千億もかかるだろうと。実際、米の値段がどうなるかによってどれだけになるか、これはわからないわけですね。

 ですから、そういうところ、制度として認めているということが、私が最初に申し上げたように、家族労働費を十割になぜ見ないんですか、そこのところの大臣のお答え、税金を大事にする、そういうものが残っちゃいけないと。おっしゃっていることとちょっと違うと思いますが、これはどう整理されますか。

赤松国務大臣 これは、先ほどの、まずもとを決めるところの計算というのは、すべての人に間違いなく十割というのは行っちゃうわけです。ところが、今度の、結果論としてもうかるもうからないの話は、全国一律の単価を決める、あるところで線を引く。そうすると、先ほど加藤紘一委員の質問にもありましたけれども、生産率、生産効率だって、極端に言えば、この国内で、こんな狭い日本の中だって、倍ぐらい違うところがあるわけですね。

 そうすると、例えば土地の大規模化をやり、あるいは集落営農をして協業化をやり、どんどんとそういうことを進めるところは非常にコストが下がっていくわけです。そうすると、頑張れば頑張るほど利益が上がっていくということになるので、その頑張り度に応じてやはりそれを評価していくという制度をぜひここに入れたいということに実はなっています。ですから、一応全国一律で平均値を決めても、余り頑張らない人はそこまで届かない場合だってあるわけですね、一応定額分を決めても。

 ですから、そういう意味で、しっかり頑張っていただく、意欲を持って、そして協業化を進め、土地の有効的な活用を含めて取り組んでいただくことの一つの励みになれば、そんなありがたいことはないと思っておりますので、ぜひその点は御理解をいただきたいと思っております。

石田(祝)委員 大臣、これは根本的な問題があるわけですよ。要するに、全国一律でやるというところが結局問題になってくるんですよ。

 ですから、これは大臣、私は田舎が高知県ですけれども、四国山脈、大変な過疎地ですよ。そういうところへ行って、努力して頑張ってください、頑張れば頑張るほどもうかりますよと言ったら、後ろから石が飛んできますよ。できないところで一生懸命やっているわけですよ。しかし、そこでも結局来るものは、全国一律の生産費と販売価格の差でしょう。

 そうすると、大臣はひょっとしたら大潟村みたいな広いところを想定して、機械化ができるよ、どんどんやってくれ、そうしたら幾らでも生産費が下がるよと。それは、日本はそんなに平地ばかりじゃないですよ。私は高知県ですけれども、八四%が森林ですよ。ですから、そういう山のところは頑張っても頑張り切れないんだけれども、全国平均の部分しか来ないというところが、中山間地の支払い、これから後で聞きますから、それはお答えに入れないでいただきたいと思うんですけれども。

 そういう欠陥が、欠陥と言ったらこれは失礼なんですけれども、そういう根本的な、全国一律にするというもともと持っている問題がある。そして、さっき申し上げたように、突き抜けたときに、制度としていわゆる所得補償ということを超えた実際のお金が出てきているんじゃないか、ここのところの二つの問題がある、このように私は思います。

 大臣、御答弁がありましたら。

赤松国務大臣 高知県、先生の地元がそれに当たっているかどうかはともかくとして、一般的に言われる小規模の形、あるいは後で出るようですが、中山間地のような条件の不利なところ、そういうところが現実にあるのは承知をいたしております。ですから、そこはそこに対する手当てをきちっとやっていく。

 私どもの基本的な考えは、日本の農業は大規模化された効率的な農業だけでいいんだ、そこだけ残ればいいんだ、そういう考え方でなくて、そこも十分やってほしいけれども、しかし、日本の国土を守っている四〇%の人たちは、本当に小規模な、そしてまた中山間地の、そういうところで、本当に猫の額のような面積の中で一生懸命に歯を食いしばって頑張っている。そういう人たちも少なくとも最低限農業が維持できる、そういう仕組みにしていこう。そうでなければ、今のままだったら、みんなそういうところがやめていくわけですから。

 ですから、耕作放棄地をもうこれ以上ふやさない。むしろ、今やってくれれば、すぐに物すごくいい作物がとれるなんというところも十万ヘクタールぐらいはあるわけですから、そういうところを再び水田として利活用してほしい。それは、むしろ米をつくるよりも、麦や大豆やあるいは飼料米や米粉米をぜひつくってほしいという意味で今進めておる制度でございます。

石田(祝)委員 最後に、このことでお聞きしますが、今回、固定部分と固定部分が足りないときに変動部分としてお出しになると。これはどういう性格のお金になりますか。(赤松国務大臣「どういう性格というのは」と呼ぶ)

 はっきり言えば、税法上を含めて、これはどういうお金になるんでしょうか。

赤松国務大臣 石田委員の御質問は、税法上どうだとか、そういう意味ですかね。(石田(祝)委員「はい、それで結構です」と呼ぶ)

 それは、固定部分というのは収入になるわけですから、私は通常の一般的な所得と変わらないという理解でございますが。違いますか。

石田(祝)委員 大臣、私が聞いているのであって、私たちが戸別所得補償を提案したわけではないので。

 大臣、民主党の皆さんが提案をされて、岩盤部分と変動部分と。これは当然、お金を受け取る方は大変な金額になる場合もあるわけですね。そのお金がどういう性格か整理されていないんですか。

筒井委員長 石田委員の質問は、固定部分についての税法上の扱いを聞いているんですか、それとも変動部分について。

石田(祝)委員 委員長、私が申し上げたのは、今回、所得補償をしますよね。ですから、岩盤部分であろうが、岩盤で足しても足りない部分を変動でやるわけでしょう、生産費のところまで。

 そういうふうに渡すお金が、税法上と私申し上げましたけれども、税法上どういう扱いのお金になるんですかと聞いているわけです。(赤松国務大臣「では、入る側の話ですか」と呼ぶ)もちろんそれはそうですよ。渡す方は国ですから、全然税法上問題はないでしょう。

赤松国務大臣 通常の所得です。収入です。(発言する者あり)もちろんなりますよ。

石田(祝)委員 では、当然、所得で課税対象になる、こういう御答弁ですね。大臣が明確におっしゃいましたから、それでよろしいんじゃないでしょうか。

山田副大臣 所得補償分について、私の方で今税調に行っております。財務省の方とこれから検討するんですが、今までの品目横断的な所得と同じように所得は所得なんですが、それについてそのまま課税というのではなくて、準備金として積み立てることができるというような方向で整理させていただこうと今しているところです。

石田(祝)委員 では、大臣と副大臣、言っていることが違うじゃないですか。(山田副大臣「いや、一緒なんです」と呼ぶ)一緒じゃないじゃないですか。何が一緒ですか。大臣は、所得だから課税されるのは当然だと言ったじゃないですか。副大臣は、今から財務省と相談すると言っている、準備金にしてかからないようにするんでしょう。言っていることが違うじゃないですか。

山田副大臣 違わないんですよ。大臣が言っているように、所得は所得なんです。ですから、これは、本来ならば課税されるんです。ところが、いわゆる品目横断別の、いろいろな今までやってきた所得補償と同じような形で、準備金として積み立てていくことができる。その部分については課税対象から外してもらうということが、これから財務省に対して要求していくところですと。

 だから、あくまで大臣が言っていることと私の答弁とは全く矛盾していないんですよ。

石田(祝)委員 これは民主党の皆さん、どうですか。今のが日本語として成り立っていますか。

 ちょっと、大臣は、所得で当然課税されると。だけれども、それは準備金として財務省と相談しているということであれば、それはそれでいいんですよ。それをちゃんと答えていただければいいのに。だから、それでいいんですかと私は申し上げたんです。

赤松国務大臣 私の言葉がちょっと足りなかったと思いますが、所得は所得なんです。

 ただし、税制優遇措置の要望では出しておりませんけれども、旧来の品目横断がそうであったように、それが認められるか認められないかまだわかりません。ただ、希望としては、今山田副大臣が税調の一委員として入っておりますので、そういう中で、それもできれば準備金扱いで非課税にしてもらえればありがたいということを申し上げているということでございます。

 ですから、正式に言えば、まだ正確には、税調が終わらないと決まらないというふうに申し上げた方がいいかもしれません。そのように訂正をしておきます。

石田(祝)委員 もうこれはこれ以上申し上げません。

 それで、時間も大分なくなってきましたので、中山間地の所得補償、これについてお伺いをいたしたいと思います。

 実は、私も過疎法の見直しで随分山の方にも行きました。そういうところの方の御意見も、この中山間地の直接支払いが来年で切れる、これがなければもうやっていけない、こういう切実なお声でした。

 これが、あしたかあさってか、行政刷新会議の俎上にのる、こういうお話もありますが、大臣、これは当然延長する、中身もちょっとよくする、こういうことでよろしいんですよね。

赤松国務大臣 これは午前中の答弁でも申し上げましたけれども、中山間地でこの直接支払いがなくなったら、事実上もう農業をやるなということと一緒のことですから、これは何としてもお認めいただかなくてはいけない、このように思っております。

石田(祝)委員 それで、何点か確認をさせていただきたいんです。どうも金額については余り変動がないようなことを聞いておりますけれども、変動がありましたら、よくなるんでしたらまたお答えいただきたいんですが、ここで、要件として、今まで、山の方は要件の一ヘクタールがなかなか難しい、こういうことがございまして断念している場合もあるんですけれども、こういうところ、今回はちょっと飛び地であっても一団であればいい、こういうことで検討が進んでいるようにお聞きをしますが、そういう理解でよろしいですか。

山田副大臣 今石田委員のおっしゃるとおり、いわゆる飛び地であっても、一ヘクタール以下であっても、今回、中山間地域の所得補償がもらえるように、できるだけ、厳しい条件じゃなくて緩やかな形でいわゆる中山間地域の所得補償ができるような形の検討をさせていただいております。

石田(祝)委員 これは山の方には大変ありがたい話であります。

 それから、免責事由のことでお伺いをしたいんですが、長男はいいとしても、次男の方が例えばふるさとのところへ戻ってくる。農業も継ごう、こういうことで帰ってきて、一応農地としてやろうとしているところに、帰ってくる人が家を建てたい、いわゆる分家住宅、こういうものについては今まではたしかだめだったと思いますが、これについても今回お認めいただけるようにお聞きをいたしておりますが、そういうことでよろしいでしょうか。

山田副大臣 確かに、石田委員のおっしゃるとおり、そういった場合でも家が建てられるようにできるだけ柔軟に私どもとしては対応するよう今検討しているところです。

石田(祝)委員 もう一つお聞きをいたしますが、例えば、そういうときに役員とかの報酬、それからまた共同活動の日当、こういうものが、何か受給額の上限が百万ということが決まっているようなんですが、そこのところを受給上限額に含めない、役員報酬、共同活動の日当、こういう方向でも検討されているというふうにお伺いをいたしておりますが、そういう理解でよろしいですか。

山田副大臣 これからの検討なんですが、役員報酬、共同活動の日当というのは受給の上限をかけないで、できるだけその集落の自主性に任せたい。あらゆる面で、今回、中山間地域の所得補償を使いやすく、非常にシンプルにしていきたい、そう考えているところです。

石田(祝)委員 検討中という言葉が多かったようですが、ぜひそういう方向で、もともと前政権のときから議論が進んでおったというふうに記憶しておりますから、いいものはぜひ引き継いでいただきたい、このように思っております。

 大臣に最後に、もうちょっとまだ時間がありますが、行政刷新会議のことで、これは大臣も閣議で署名をされている質問主意書のことでお伺いします。

 我が党の草川昭三参議院議員が、事業仕分け人の選任に関する質問主意書、こういうことをお出しになって御回答もいただいておりますが、そこで、「「事業仕分け」において、各評価者が行う評価は、それぞれの意見の表明に過ぎない。」こういう政府の回答ですが、これは大臣も、閣議ですから、御署名なさっていますよね、質問主意書の答弁は。

赤松国務大臣 これもきょうの御質問でいろいろあったものですからお答えしていますが、もともと、新たな手法でもっていろいろな制度や交付金や基金を見直そうということで、ワーキンググループを一から三までつくって、そういう方向で今やっています。

 ただ、これにつきましては、外国人が入っていて、こんな国家意思を決めるのにおかしいじゃないかみたいな意見もほかからいただいたように、あくまでもこれはワーキンググループでございますので、意思決定機関ではございません。その上に、親会議というのを今度は三十日にやりますが、これはそれぞれの大臣等が入って行政刷新会議という正式な親会議がございますので、ここはもちろん意思決定機関になります。

 では、そこで出た結論がすべてそのままでいくかということになりますが、それを参考にしながら、今度は予算編成に向けて財務当局とそれから各省庁が、それを尊重しながら具体的な交渉をやっていく。最後は、本当に必要なものは大臣復活折衝もありという理解で私はおります。

石田(祝)委員 これは答弁書がこう書いているんですよ、繰り返しになりますけれども。「御指摘の「事業仕分け」において、各評価者が行う評価は、それぞれの意見の表明に過ぎない。」これは余りにちょっとかわいそうですよね。熱心にそれぞれやられているのに、意見の表明にすぎないと。これはもうちょっと書きようがあったんじゃないのかなと私は思いますね。

 いろいろと意見もあるようですけれども、私は、方向性として、ああいうふうにやはり納税者の目線でやるということは大事だと思いますよ。しかし、いろいろと個々の問題については、科学技術の分野なんかは特に、余りに乱暴な議論をなさったような気もしておりますけれども、政府の答弁書として、それぞれの意見の表明にすぎないなんというのはちょっとかわいそうですね、これは、努力している人には。

 最後、五分ぐらいになりましたので、補正の見直しの中で、植物工場のことについてお伺いをいたしたいと思います。

 きょうは、経済産業省とそれから国土交通省に来ていただいております。植物工場はもう皆さん御存じだろうと思いますので御説明は省かせていただきますが、またお金の問題についてもちょっと時間がありませんので。

 これから、私は大変大事な農業の分野だというふうに思っております。閉ざされた空間の中で完全に密閉型でやれば、消毒だとかいろいろなことの手間も省けるし、安全、安心という意味では、私は、これから伸びていかなければいけない分野だと思いますが、ここで、時間の都合もありますので、経済産業省と国土交通省にそれぞれお伺いしますので、順次お答えをいただきたいと思います。

 これは例えば、企業立地促進制度の対象になるかどうかということで、自治体もいろいろと判断に困っている場合があるようであります。これについて、どういうふうなことで自治体が前向きに取り組めるのか、このことの判断を示していただきたいということ。それから、建築基準法で、工場、建物ということですから、立地制限を受ける。ですから、本来でしたら、ある意味では消費地に近いところで、安全、安心なものを密閉式のところ、完全に封鎖したような状態でつくって搬出をして販売する、こういうことも私はいいことだろうと思っておりますが、この建築基準法の問題をどうクリアするか。

 ぜひ、経済産業省と国土交通省、前向きな御答弁をお願いいたしたいと思います。後ろ向きの答弁だったらしなくていいですから。かえって、それが会議録に残ってしまいますから。よろしくお願いします。

高橋大臣政務官 御指名ありがとうございます。前向きな答弁をしたいと思います。

 企業立地促進法は平成十九年にできているわけでございますけれども、委員御案内のとおり、産業の集積に向けて地方自治体が主体的になって計画をつくって、その取り組みを支援していくというものでございまして、地域経済の活性化を図るということでは大変有意義な法律だと思います。

 この中でありますように、地域が主体的になるということで、地方自治体が計画をつくってそれを国の方と協議して、国が同意をすればそれに対して実行していけるということで、地方自治体がつくる基本計画の中に農業を指定業種として位置づけていただければ支援の対象となり得るということになっております。よろしくお願いします。

長安大臣政務官 石田委員にお答え申し上げます。

 この植物工場自身、農作業、出荷等がその中で行われるという中で、建築基準法上、工場と位置づけがなされております。これは面積ごとに用途地域が限られているのが現状でございます。例えば、五十平米以下ですと、住居専用系以外の住宅系地域、商業系地域、工業系地域、ここで立地できるわけです。さらには、五十平米を超えて百五十平米以下、これに関しては、商業系地域と工業系地域、百五十平米を超える大規模なものにつきましては、工業系地域のみで立地可能となっております。このような縛りがあるわけです。

 一方で、植物工場の立地を緩和すべきじゃないかという石田委員の御意見も十分理解されるわけでございまして、そういう意味では、このような用途地域の制限があるわけでありますけれども、特定行政庁において例外的に許可をすることは可能となっておりますので、これは特定行政庁が例外的に許可できるように、また我々からもしっかりと周知徹底を図っていきたいと思っております。

石田(祝)委員 経済産業省、国土交通省からこれに関する前向きなお答えがあったと私は思いますが、残念ながら、今回、二十一年の補正で組んでおりました金額、これも返納になっております、全額ではありませんけれども。

 その後、二十二年度概算では、よくわからない、問い合わせをいたしましたら、こういうお答えでございましたが、ここは、植物工場について農林水産省としてさらに前進をさせるお考えがあるか、お伺いをいたします。

山田副大臣 この植物工場については、九十六億を補正予算で計上しておりました。補正予算の見直し、閣議決定によって、私ども精査させていただいたのですが、当時、六十六億は既に植物工場をやろうという話がありましたので、それは認めて、その余については国庫に三十億返還させていただいております。

 今年度、新しい植物工場の予算をどういう形にするかについては、私ども、施設整備とかリース方式による導入、そういったものを盛り込んでいるところなのですが、これからいわゆる財務省との折衝その他非常に厳しい状況もありまして、どうなるかまだわからないといったところです。

石田(祝)委員 これで終わりますけれども、山田副大臣、いつも自信満々なんだけれども、今何か、どうなるかわからないという、ちょっと寂しいお話でございますが、これはぜひ私たちも応援をいたしますので、大事なところだと思うんですよね、ぜひ頑張っていただきたい。最後はエールを送って終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

筒井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十二分散会


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