衆議院

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第3号 平成23年3月9日(水曜日)

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平成二十三年三月九日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 山田 正彦君

   理事 梶原 康弘君 理事 佐々木隆博君

   理事 津島 恭一君 理事 仲野 博子君

   理事 柳田 和己君 理事 谷  公一君

   理事 宮腰 光寛君 理事 石田 祝稔君

      網屋 信介君    石田 三示君

      石原洋三郎君    石山 敬貴君

      今井 雅人君    緒方林太郎君

      大串 博志君    加藤  学君

      金子 健一君    小山 展弘君

      近藤 和也君    篠原  孝君

      田名部匡代君    田中美絵子君

      高橋 英行君    玉木雄一郎君

      筒井 信隆君    道休誠一郎君

      中野渡詔子君    野田 国義君

      松木けんこう君    山岡 達丸君

      吉田 公一君    伊東 良孝君

      今村 雅弘君    江藤  拓君

      小里 泰弘君    北村 誠吾君

      谷川 弥一君    保利 耕輔君

      山本  拓君    西  博義君

      吉泉 秀男君    石川 知裕君

    …………………………………

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   内閣府副大臣       平野 達男君

   農林水産副大臣      篠原  孝君

   農林水産副大臣      筒井 信隆君

   外務大臣政務官      菊田真紀子君

   農林水産大臣政務官    田名部匡代君

   農林水産大臣政務官    吉田 公一君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 鎌田  聡君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局労災補償部長)       尾澤 英夫君

   政府参考人

   (海上保安庁次長)    城野  功君

   農林水産委員会専門員   雨宮 由卓君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  森本 哲生君     吉田 公一君

三月九日

 辞任         補欠選任

  網屋 信介君     田中美絵子君

  近藤 和也君     緒方林太郎君

  篠原  孝君     小山 展弘君

同日

 辞任         補欠選任

  緒方林太郎君     近藤 和也君

  小山 展弘君     篠原  孝君

  田中美絵子君     網屋 信介君

同日

 理事森本哲生君二月二十五日委員辞任につき、その補欠として柳田和己君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

三月八日

 家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

山田委員長 これより会議を開きます。

 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴いまして、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に柳田和己君を指名いたします。

     ――――◇―――――

山田委員長 この際、吉田農林水産大臣政務官から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣政務官吉田公一君。

吉田(公)大臣政務官 このたび農林政務官を拝命いたしました吉田公一でございます。

 鹿野大臣、筒井副大臣、篠原副大臣初め、田名部政務官とともども、農林行政全般にわたりまして努力をしてまいりますので、水産もあわせまして、ぜひひとつ御指導賜りますようにお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

山田委員長 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官鎌田聡君、厚生労働省労働基準局労災補償部長尾澤英夫君及び海上保安庁次長城野功君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 きょうは六十分の時間をいただきました。先日の大臣所信を受けて、農林水産全般についてお尋ねをしたいと思います。

 まず、農林水産省予算について、二つ目に、戸別所得補償制度をめぐる最近の動きについて、三つ目に、韓国の口蹄疫あるいは我が国の鳥インフルエンザの件について、四つ目に、水産関係で、シーシェパードの動きまた日韓漁業について、時間があれば、最後にナラ枯れなどの森林、鳥獣被害、これらについて、大臣以下関係の皆さん方に質問をしたいと思います。

 まず、予算であります。資料をごらんいただきたいと思います。一番最初の資料、予算であります。

 農林水産省のさまざまな資料は、前年対比でしか説明はありません。前年対比で農林水産関係予算がどうなっているか。二十二、二十三を比較しても落ちています。二十一年度と比較してどうかと見たのがこの表であります。大ざっぱに言って一割以上、要は、農山村地域、農村地域に行くお金が大きく減らされているということです。さらに二十三年度は、二十二年度に比べてももっと落ちている。

 農林水産全般についてはそうでありますし、下にありますように、農業関係、林業関係、水産業関係予算、いずれも二十一年度に比べて大きく落ちていることは、この表を見ておわかりかと思います。

 水産については、農林水産省の資料で見ると、前年対比しか見ていないですから、二千億を確保した、おお、ふえている、力を入れているかなと思うんですけれども、よくよく二十一年度を見てみれば二千四百億ですから、水産関係でも相当大きく落ちている。

 森林・林業関係については、目を覆いたくなるぐらいな落ち分であります。三割ぐらい落ちている。森林・林業再生プランということを菅総理は盛んに言われますけれども。

 予算というのは、政府の、政権与党の、どういうふうに目配りして施策を行うかということを数字の上で大変正直にあらわしているものだと私は思っております。だからこそ、憲法にも予算についての規定がある。

 今の農林水産省予算全体は子ども手当と変わりません、二兆二千億。子ども手当の国庫支出額とほとんど変わらない。そのうちに、仮に万々が一こういうやり方を続けていくと、来年は子ども手当をはるかに下回る予算に、今の政権という前提でございますけれども、なるのではないかと私は大変懸念をしているところであります。

 先日の農林水産予算の説明で、予算の編成に当たっては、見直しをするとか、重点的に配分するというような形容詞の後に、最後に、二十三年度予算は食と地域の再生を図ることとしましたと誇らしげに言われています。

 大臣、この予算をどう見られていますか。お尋ねしたいと思います。

鹿野国務大臣 今、谷先生から厳しい御指摘をいただいたところでございますけれども、農林水産予算は、昭和五十七年度の三兆七千億をピークにいたしまして、その後減少傾向というふうなことで推移をしているわけでございますが、平成二十三年度におきましては、租税等の収入が依然として低水準にある、また、国債発行の抑制なり社会保障費の自然増などで厳しい財政状況を反映いたし、二兆二千七百十二億円、こうなったところでございまして、御指摘のとおりでございます。

 こういう状況の中におきまして、いろいろと、精査もいたしながら、政策の優先順位というものをつけていく、あるいはコストの縮減を図る、こういうふうなことで、一つは、農業の戸別所得補償制度の麦、大豆等々に対象をふやしていく、あるいは森林管理・環境保全直接支払い制度の新設、資源管理・漁業所得補償対策の新設など、農林漁業者の所得をまず補償して、農林漁業の体質強化に向けた施策を行っていきたい、こういうような考え方に立ったところでございます。

 そういうことにおきまして、大変限られた今日の状況の中で、できるだけ食と地域の再生を図っていくというような考え方でこれからも取り組んでまいりたい、こんなふうに考えておるところでございます。

谷委員 さすがに、この数字を見て、大臣も正面から反論はできないと思います。今御答弁にありましたように、重点的にやったんだという答えしかないかと思います。

 もう一度、資料一を見ていただきたいと思います。

 大きな目で見ると、公共事業一兆が五千億に、半分に削り、その公共事業というのは、何も農業土木だけではありません、林野でもそうです、水産でもそうです。軒並み大きく削り、そして戸別所得補償は、この一ページの表で言う食料安定供給関係費ですか、こちらをふやしてきている。

 ただ、大臣、二十二年度と二十三年度を見ていただきたいと思います。戸別所得補償は畑作に拡大したというのが政府の言い方です。額は変わっていないんです。なぜか。

 次のページを見ていただきたいと思います。戸別所得補償の話に移ります、二ページ。

 お金がかかりましたけれども、農林水産省はこういう資料を出してもらえません。衆議院調査局の協力を得て、私がつくりました。全体の戸別所得関係予算というのが、この表を見なければわからないんです。どこにも出ない。それで、新たに予算を分析して、表を整理したものです。

 二十二年度、五千六百十八億というのが政府の説明です。二十三年度、八千三億というのが説明です。しかしこれは、赤の点々にありますように、米価変動補てん交付金、これを二十四年度予算計上。今年度はモデルで計上したけれども、来年度から、正確な米の値段が確定する翌年度にするという名目で、理屈づけで、二十四年度に予算を計上しています。ですから、六千六百十二億なんです。八千三億というのは、これはてんぷらなんです。

 そしてさらに、その次ですよ、六千六百十二億ですけれども、実は、下にありますように、特会の水田・畑作経営所得安定対策、いわゆるゲタ、生産条件不利、その分を戸別所得補償の中に入れて、そしてナラシの部分はそのまま残っているんです。

 では、そうなると、つまるところ、事実上の農家個人に行くお金はどうなっているのかというのが二ページ目の一番下の数字です。二十二年度、七千九百四十八億、二十三年度、七千四百五十四億。何と減っているんです。何にもふえていない。これはごまかしなんです、あるいは説明上手といいますか。うっかりだまされるところでございました。

 一番の問題は、二ページの下の水田・畑作経営所得安定対策、いわゆるナラシ、二十三年度、八百四十二億もあるんです。これは予算書に、予算の説明に入っていますか。この中に入っていますか、主要事項に。お答えください。

鹿野国務大臣 所信表明の中には入っておりません。

谷委員 いや、大臣、所信表明じゃなくて、予算の説明に入っていますか、主要事項に。

 私の見た資料、何にも入っていないですよ、これは。

鹿野国務大臣 入っていません。予算案の中にも入っておりません。

谷委員 これは余りにひどいと違いますか。

 八百四十二億の予算を、農林水産予算の概要、ここに全く説明がない。与党の方も御存じないんですか。与党が文句を言うのが普通じゃないですか。わからないんですか。農林水産予算の概要……(発言する者あり)いやいや、細かいからなんというのは全くこの資料を見ていない人ですよ。

 一億に満たないような事業も堂々とこの中に、新規の事業だとか、どこでもいいですけれども、二十二ページの農林水産分野における地球環境対策推進手法開発事業、四千三百万円でも出ています。八百四十二億の予算が農林水産省の予算のどこにも説明がないというのは、どう説明できるんですか。もう一度お答え願います。

山田委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

山田委員長 では、速記を起こしてください。

 篠原副大臣。

篠原副大臣 ナラシ対策についての記述がないという御指摘ですけれども、ちょっと事情を申し上げますと、後で谷委員からも御質問があるかと思いますけれども、我々の予定といたしましては、法案を提出するということを常に念頭に置いておりました。経営所得の安定対策は、ですから、その新しい法律でもって廃止するという予定でした。

 ですから、今、手に掲げられた資料をつくる時点におきましては、この予算は計上されない予定、そして、ここがまたちょっと複雑なんですが、ナラシ対策は前年の部分を翌年にやることになっていますので、それでもう完全に消えていくんだということで、そういう事情で予算要求の資料には掲載いたしませんでした。

谷委員 副大臣は正直に、戸別所得補償は、昨年から、二十二年度はモデルだ、来年は通常国会に必ず法案を出す、もともとマニフェストでは一兆円と言っていた大きな事業ですから、そういった事業を根拠法なしにやることができないという考え方をずっと言っておられたかと思います。

 そういう意味で、そういう法律を出していれば、この予算も組み替えもあったかもわからないですし、あるいは、現在の、副大臣が言われたのは農業の担い手に対する経営対策のための交付金の交付に関する法律のことですか、これを廃止して、新たな戸別所得補償の法律の中で吸収というか、そういうつもりだったと。ただ、それは言いわけにはなりませんよ。だって、予算の説明をつくったのは一月じゃないですか。提出予定法案ももう固まっていますわ。

 私は、八百四十二億もの予算を計上しているのになぜそれを主要な予算に正直に説明をしないのか、うがって見れば、これは自公政権下でできた法律に基づく事業だから、こんなものは消してしまおう、戸別所得補償制度とは言えないから、この主要な農林水産の予算から説明しようと。これは、情報開示が全然されていないですよ、こんなのは。一千億近い予算も何にも説明ない。

 それで、こういう資料を、私が、野党が整理して初めてこういうことが明らかになったわけですよ。反省してください。答弁を求めます。

鹿野国務大臣 今篠原副大臣から申し上げたとおりに、そのようなことであったわけでありますが、二十三年度の農林水産予算の概要の方にきちっとPRをしていなかったということについては、やはりPRをすべきであった、こういうふうな認識でございます。

谷委員 反省の弁も大臣は述べられましたので、これ以上私は言いません。

 要は、わかるようにいろいろ資料もつくっていただきたいですね。別に自慢するわけじゃないんですけれども、二ページのようなこういう全体がわかる資料を、何も国会議員だけではなくて、地方の方も、関係の農業の人もわからないですよ、これは。くどいようですけれども、八百四十二億は、この冊子だけじゃないですよ、ほかの各局の予算の中でも全然出てこない。全く出てこない。

 それでは、委員長、追加的なしっかりとした資料を委員会として求めたいと思います。また、理事会で御検討をお願いします。

山田委員長 理事会で協議いたします。

谷委員 さて、戸別所得補償の話に戻ります。

 きょうは筒井副大臣ではなくて篠原副大臣でございますが、戸別所得補償をめぐっていろいろなことが最近報じられています。

 まず、この点から質問をさせていただきます。例えば、菅政権の農業改革の中で、新聞報道によれば、マニフェストの目玉である戸別所得補償制度について、現在の一律支給を改めて大規模農家に重点を置くことを検討するという方向で今議論が進められていると報じられていますが、これについて、どういう方向で検討が進められているんですか。この新聞記事のとおり、現在の一律支給を改めて大規模農家に重点を置くことを検討する、この方向で間違いないんですか。お尋ねします。

鹿野国務大臣 今、食と農林漁業の再生実現会議におきまして、これからの農業、農村の姿、持続可能な農業というものについて、いろいろと御検討していただき、また検討もしておるというようなことでございますが、この中で、今、谷先生からお話のあった、いろいろな議論がなされておるわけでありまして、これから戸別所得補償制度というふうなものをどういう方向に持っていくかということは、方向性がまだ決まったわけではございません。

 私といたしましては、これからの持続可能な農業というものを、実態というものを考え合わせたところに一つの視点を置いた場合には、多様な担い手の経営発展を支援していくというふうなことも大事なことじゃないか。このようなことから、当然、生産性の向上を目指していかなきゃならないというふうなことは旗をおろすわけにはいきませんけれども、あらかじめ一定規模以下というふうなものを対象外にしていくというようなことは考えておらないということでございます。

谷委員 大臣の答弁は、どう解釈していいのかもう一つよくわからないところがあります。

 今のお答えですと、現在のような小規模経営農家も含めた一律支給をやめるということではない、一定規模以上の大規模農家だけにするということではない、けれども、多様な担い手に絞った戸別所得補償という見直しの方向だ、こういう理解ですか。

鹿野国務大臣 基本的には、我が国の農業経営の状況というものは、多様な経営というふうなことが一つの特徴でもありますから、そういう多様な農業経営というふうなものを支援していくという必要性があるんではないか、これが基本的な考え方であります。

 しかしながら、やはり国民生活に対してよりよき寄与をしていくというようなことを考えたときには、生産性の向上は図っていかなきゃならない。こういうふうなことでございますので、今、販売農家というふうなところを一つの基準としておるわけでありますけれども、そういうことからいたしまして、一定規模以下は、もうそれはなくしていくんだ、対象外にしていくんだというようなことの考え方には今のところは立っていない、こういうことでございます。

谷委員 どう理解してよろしいのか。

 では、視点を変えまして、現在の一律支給というのはやはりいろいろ問題がある、かといって、一定規模以上だけを対象にするというのも問題があるし、その辺、いろいろ多様だから、そういう形態に応じたような方々、意欲ある方にもう少し絞って戸別所得補償をやってはどうかという方向なんですかね。篠原副大臣、お願いします。

篠原副大臣 この直接支払い、戸別所得補償というのは、EUやアメリカで取り入れられている制度でございます。それを参考にしているわけでございますけれども、入り口で狭めるというような政策はとっていないわけです。

 日本の場合は、欧米諸国と違いまして、規模が小さい、その問題があるので、この農業者戸別所得補償で、もう一つの政策目標である規模拡大というのも、メリットシステムのような形で与えることによって誘導するというようなことも考えていいのではないかというのはあります。

 鹿野大臣が就任されましてから、そういった方向を前面に打ち出したわけでございまして、入り口は広くしておく、そして我々の政策目的に沿ったことをしてくださる農家の皆さんにはそれなりのバックアップをするということを考えて、規模加算を新たに設定した次第です。

谷委員 入り口は今と同じように広くして、大規模に、専業でといいますか、担い手でやっていこうという人にはより手厚い支援、そういう方向だということですか。もう一つ、わかったような、わからないところはありますが、それはまた、今村先輩が私の後に質問をしますので、それにこの戸別所得補償制度の話は譲りたいと思います。

 畜産に移ります。

 韓国が大変であります。韓国の口蹄疫、私もいろいろ調べてみましたら、三百万頭以上殺処分、またワクチン接種が五百万頭なんという話もあるようであります。韓国も、我が国と同じように、早速これらを受けて、家畜伝染病予防法の一部改正が可決、そして、一部を除き公布と同時に施行という、大変でございますけれども、実は、日本の畜産農家も大変心配しています。

 現状と今後の見通し、といっても韓国のことでありますから、いろいろな情報から、どういうふうに今後推移していきそうだと農林水産省の方はとらえておられますか。お答え願います。簡潔で結構です。

田名部大臣政務官 今、谷委員の方からお話がありましたとおり、韓国では、韓国全土で口蹄疫が広がっているということで、簡単にと言われましたので少し短目にお答えをいたしますが、三月六日時点で、殺処分の対象は計三百四十七万頭になっています。韓国政府は、患畜等の殺処分を進めるとともに、全国のすべての牛及び豚を対象としたワクチンの接種を実施しているということであります。

 このような中、我が国にそのウイルスが侵入する危険性というのは大変高いという認識でございます。その中で、我が国としては、口蹄疫に対する警戒をさらに強化するため、昨年十一月でありますけれども、韓国での発生確認後直ちに、全都道府県に対して、畜産農家への症状の通知、さらには早期通報の指導を徹底するよう要請するとともに、動物検疫所に対して水際対策の徹底を指示いたしました。

 さらに、昨年十二月でありますが、畜産農家向けのパンフレットを全国都道府県そして畜産関係団体に送付をいたしまして、農家への周知徹底を要請したところであります。

 加えて、動物検疫については、靴底の消毒の徹底だけではなくて、検疫探知犬を活用した抜き打ち調査、そして、航空機内で発生した残飯の処理実施施設に対する全国的な立入調査も行っています。旅客機では、注意を喚起するためのアナウンスも行っています。

 加えて、今、春節で、旧正月で東アジアの人の移動が大変激しい状況でありますので、二月を口蹄疫対策強化月間として、全国一斉の防疫実態調査及び机上防疫実習を実施したところであります。

 今後も一層気を引き締めて対策をしていきたいと考えています。

谷委員 今後の見通しについてお答えがなかったかと思いますが、少なくとも韓国政府はどう見ておられますか。

 つまり、去年の宮崎の口蹄疫で、我が国も全国の畜産農家に大変大きな不安を与えた。それで、ワクチン接種もやった。殺処分は三十万頭を切れているんですね。今、韓国は、殺処分の予定でも今のお話ですと三百七十ですか、プラス、ワクチンが五百万頭、物すごい数ですよ。それが、終息に向かいつつあるのか、まだまだ予断を許さない状況なのか。韓国政府というか農林水産省がつかんでいる情報を教えていただきたいと思います。

田名部大臣政務官 まだまだ予断を許さない状況にあると考えています。谷委員がさっき、韓国での法改正のことを少し触れられました。韓国では本年一月、水際や農場での侵入防止対策の強化、早期通報の推進など、体制強化のための法律が成立をしたところであります。

 我が国では、口蹄疫の検証委員会の報告書において、特に重要だと考えられることは、発生の予防、早期の発見、通報、円滑な初動対応、これらが大変重要だと報告書の中でも記載をされたところであります。

 迅速、的確に対応できる体制をしっかりつくることが重要だと思っておりますし、三月四日に家畜伝染病予防法改正案を国会に提出したところでありますけれども、韓国でも、また我が国でも、現場の防疫体制としてこれらをしっかり定着、確立させていくことが何よりも重要ではないかと考えています。

谷委員 政務官の方から御丁寧な答弁をいただきました。

 それでは、今回、家畜伝染病予防法の改正、その中でも防疫体制の強化ということが言われ、我々も政府に申し入れたときに、そのことをしっかりしなければならないということをかねてより主張してまいりました。また、きょうの昼ですか、日弁連が集会を国会内で開くようでありますけれども、日弁連、日本弁護士連合会も同じようなことを言われています。

 そうすると、法改正はこれからでございますけれども、現状の防疫体制というのは、わかりやすく言えば、韓国並み、あるいは、これらについて厳重な防疫体制がとられていると言われているオーストラリア、ニュージーランドなどの畜産国並みに我が国もとられている、そう理解してよろしいですか。お尋ねします。

田名部大臣政務官 今の国内の対策が韓国並みであるかどうかというのはちょっとお答えしにくいですけれども、しかし、国内のみならず、韓国を初め諸外国のこういった発生状況を踏まえて、より体制を強化していく必要はあるというふうに考えています。

谷委員 どうか政務官、韓国と比較してどうのこうのお答えしにくいではだめなんです。これはきちんと調べてもらわないと。人とか物の移動の防疫体制というのは万国共通なんです。だから、それは比較できないとかそういう問題ではないんです。韓国とかオーストラリアとかニュージーランド、これらに比べてしっかりした体制が今とられているか、また、法改正によってそれらをさらに補強するということであればしっかりやっていただきたいということを要望して、答弁はよろしいです、もう一つの鳥インフルエンザに移ります。

 鳥インフルエンザであります。

 少し終息に向かうのかなと。私も、この委員会の現地視察、鹿児島と宮崎、委員会で行った視察に同行させていただいたんですけれども、また、七日ですから今週ですか、宮崎県十三例目が発生した、全国二十二例目ですか。直近のデータは二十二例ですか、昨年十一月から。それぞれ養鶏農家の方も、私も選挙区を幾つか見せていただきましたけれども、本当に頑張っています。頑張っていますけれども、この蔓延がいつ終わるのかな、終息するのかな、早く終息してほしいなという思いは大変強く持っておられるんです。

 今後の見通しについて、どういうふうにこの鳥インフルエンザの猛威を振るう状況の推移を見ておられるのか、お尋ねしたいと思います。

篠原副大臣 鳥インフルエンザについては、今、谷委員御指摘のとおりでございまして、昨年十一月以降、家禽類で見ますと、八県で二十二事例、百七十六万羽が殺処分を受けております。ほかにも、御地元の兵庫県の加東市の公園のコブハクチョウ等にも見られます。それから野鳥は、もう県は数え切れない、日本の半分ぐらいの県で発生しております。

 農林水産省では、こういったことに対応するために、遺伝子検査の結果が陽性になる前に省内で高病原性鳥インフルエンザ対策本部を開催いたしまして、疑似患畜と判定したら直ちに防疫措置に入れるようにということで、口蹄疫対策の例に倣いまして、スピード感を持って対応しております。

 まず、防止の点ですけれども……(谷委員「いや、今後の見通し、お尋ねしたいのは」と呼ぶ)

 今後の見通しは、今、野鳥のことでちょっと申し上げましたので、渡り鳥が北へ移動すると、渡り鳥が感染原因になっているということは事実でございます。近隣に湖沼等がある場合は、野鳥の飛来ルートの近くだと蔓延の可能性が非常に強いわけです。ですから、すべての養鶏場に、これに防備するようにということを徹底しております。

 それから二番目には、前日と比べてたくさん死亡鶏があった場合は直ちに通報していただく、それで直ちに対応するというようなことで対応してまいりたいと思います。

 大体のところですけれども、例年というか、今までの経験でまいりますと、三月ぐらいまでは猛威を振るうわけですけれども、三月以降になると、シベリアに帰ってしまって、日本での鳥インフルエンザの感染事例は非常に少なくなると見通しております。

谷委員 ぜひともしっかりと緊張感を持って対応を、当然ですけれども行っていただきたいということを要望いたします。

 水産の問題に移ります。

 反捕鯨団体シーシェパードの行為には、本当に目に余るものがあります。残念ながら、先月の十八日、乗組員の生命財産及び調査船の安全を確保する観点から、今期の南極海の鯨類捕獲調査は切り上げました。

 しかし、これは単に日本ではなくて、やはりいろいろな調査のデータがこれで途切れる。世界にも、国を超えて共通の財産といいますか、そういうものが大変大きな影響を受けるかと思いますけれども、切り上げがどういう悪影響を与えていると認識されておられますか。まずお尋ねしたいと思います。

鹿野国務大臣 今回の南極海におけるところの調査切り上げということにつきましては、基本的に、乗組員の安全、生命を守る、こういうふうなこと、あるいは調査船の安全を確保する、こういうふうな考え方に立ちまして、私自身が調査の切り上げを判断したところでございます。

 今後、こういうシーシェパードによるところの不法な妨害行為というふうなものを防止するためにも、関係省庁とも連携をしながら、いろいろと措置をとっていかなきゃならないんじゃないかな、こんな考え方に立っておるところでございます。

谷委員 やや専門的になるので私も余り詳しくないんですけれども、関係者の方に聞きますと、こういう、毎年やっている調査はいわば人類共通の大変貴重なデータなんだ、それを反捕鯨団体によって暴力的に、調査をやめるということは大変大きな損失だ、日本だけではなくて世界でもそうだ、そういうことをお聞きしていましたので、ちょっとお伺いしたんです。

 それでは、シーシェパードへどういうふうにこれから対抗していくんですか。要は、六年ほど前からですか、毎年毎年ひどくなり、だんだんエスカレートしていく。世界から寄附を募って立派な高速船などを購入して、とうとう我が国の調査船も途中で切り上げる。いわば国益も大きく損なわれたと思うんですけれども、どうしていくんですか、シーシェパードへの対抗は。

篠原副大臣 今回の調査捕鯨に対する妨害対策につきましては、これまでの妨害事例をよく見まして、内閣官房を中心に関係省庁が連携して、三つの対策を講じてまいりました。

 一つは、調査捕鯨船団の自衛措置の強化でございます。いろいろなものを投げつけてきますので、ネットをちゃんと持っていって、それを防ぐ。それから、音響ででかい声を出して、耳をつんざくような音を出させて、近づけさせないようにする。それから、近づいてきた場合に放水するというような自衛措置です。

 それから二つ目は、シーシェパードの船舶の旗国があるわけです。二隻はオランダ、一隻は豪州でございます。それから、寄港する豪州、ニュージーランド。これらの政府に対しまして、不法な妨害行為を防止するための実効的な措置をとるというような働きかけを行っております。

 三つ目には、船員等の安全を確保するために、海上保安官を乗船させるということもしてまいりました。

 次回以降でございますけれども、このような対策を、内閣官房を中心に関係省庁と連携いたしまして、国際法、関係法令等を踏まえまして、必要な対策を検討してまいる所存でございます。

谷委員 いや、篠原副大臣、そういう対策は毎年とってきたんです、今まで。妨害行為が始まってから、関係省庁が打ち合わせをして、自衛策、関係国への働きかけ、海上保安官の乗船とかですね。それでも、結果的にこういう事態になってしまったんです。それで、さらなる、もっと具体的にどうするんですかということをお尋ねしたかったんですけれども、もうひとつ、何か納得の得られる答弁は得られませんでした。

 では、大臣にお尋ねします。

 これで、今回の調査船の切り上げによって、ニューズウィーク、私は英語は得意ではありませんので日本語版でございますけれども、代表のポール・ワトソンは、ニューズウィーク日本版によれば、鯨にとって偉大な勝利の日だと高らかに勝利宣言をした。彼らは勝ち誇って、そして、やったやったと勝ち誇っているわけです。

 これに屈するんですか、それとも、断固としてこれからも捕獲調査を続けていく、そういう決意で対策を考えていくんですか。大臣の決意、お考えをお伺いしたいと思います。

鹿野国務大臣 今、先生からのお話にございました、我が国の目指す商業捕鯨再開のためには、鯨類資源に関する科学的知見というものを蓄積していくことが必要なことじゃないか、こういう認識を持っております。

 そういう意味で、今後の調査につきましては、調査船団が帰国した後に乗組員から現場の状況をしっかりと聞き、また、有識者の方々からの考え方というものを聞かなきゃならない。こういうようなことで、検討会を設置いたしまして、総合的に判断をしてまいりたい、こう考えておるところでございます。

谷委員 今の大臣の御答弁ですと、検討会を設置したんですか。(鹿野国務大臣「いや、これからです」と呼ぶ)これから検討会を設置して、今後の捕鯨調査はどうするのか検討してもらって結論を出すということですか。何か大臣のお考えはないんですか。再度お尋ねします。

 検討会ということであれば、いつぐらいをめどということもあわせてお答え願いたいと思います。

鹿野国務大臣 私自身は、今回、先ほど申し上げますとおりに、乗組員の人たちの生命を守らなきゃならない、また、船団の安全というふうなものを確保しなきゃならないということで切り上げを判断したわけでありますけれども、重ねて申し上げますけれども、鯨類資源に関するところの科学的知見というものをやはりしっかりとこれからも蓄積していくというふうなことが必要だ、こういう認識であります。

 そういう意味で、では、今後その調査をどうするかというふうなことになるわけでありますけれども、当然乗組員の人たちの直接の声も聞かなきゃなりませんし、また同時に、専門家の人たちはどう考えるかというようなことも参考にしなきゃなりません。今月末には船団の方々が帰ってくる、帰国を予定しているということも承知しておるところでございますので、話を聞きながら、同時並行的に有識者の専門家の人たちの検討会も設置をして、そして総合的に検討してまいりたい、こう考えておるところでございます。

谷委員 では、大臣としてはそういう調査というのは引き続き必要だ、必要だと思っているけれども、乗組員あるいは有識者の方の意見もいま一度聞いて、今月末には結論を出したい、そういうふうに理解してよろしいですか。

鹿野国務大臣 重ねて申し上げますけれども、鯨類資源に関するところの科学的知見というものをしっかりと蓄積していく必要がある、こういうふうな考え方でおるということを再度申し上げたいと思います。

谷委員 さて、シーシェパードでもう一つ。

 国内でも、資料の三枚目に地元紙の記事をつけておりますが、シーシェパードは調査捕鯨を中止させた、だから、そういう関係者がイルカ追い込み漁が続く和歌山の太地町で活動を活発化させるのではないかと、地元の方々は大変不安に思っておられます。

 現在でも、少なからず人が、活動家が常時いる。そして、地元の方はかねてより、そういう反捕鯨団体の方々の嫌がらせ、あるいは漁業への妨害、こういうこと、さらには、基本的人権にかかわる侵害と見られることまでやっている。カメラをみんな携帯していて、そして盛んに撮って、顔の前三十センチ以内にレンズを突きつけることも少なからずある。そして、言葉も片言の、死ねとかあほとかばかとか、そういうことを目の前で平気でしゃべる。そういう許しがたいこともやっているわけであります。

 警察庁にお尋ねします。

 こういう活動家が太地町で我が国の法律に違反をした場合に、しっかりと取り締まる、あるいは現在の取り締まり方針、そういったものをお尋ねしたいと思います。

鎌田政府参考人 警察の対応についてでございますけれども、和歌山県警察におきましては、太地町内でパトロールの強化等の対策を継続して行っているところでありますが、違法行為を認知した場合には、これを看過せず、常に法と証拠に基づいて厳正に対処してまいる所存であります。

 以上です。

谷委員 何か一部に、現地の警察は違法行為を見つけようと一生懸命やっているけれども、何か中央の方から、余りトラブルを起こさないようにという、指示ではないんでしょうけれども、そういった声も聞かないわけではないですので、しっかりと、警察庁の方も、断固として、法律に違反しているそういう行為なり人については毅然と対応していただきたいということを御要望しておきます。

 水産の関係で、日韓の問題もございます。資料の四ページを見ていただきたいと思います。「カニ密漁 日韓攻防」という、昨年の十一月に出ました朝日新聞であります。

 日韓については、竹島の問題がございますので、暫定水域というのを設けて、その暫定水域とは別にEEZがあり、お互いのEEZ内では、両国が協定を結んで、条件を決めて漁業をしているという状況がございますけれども、EEZ内で密漁をしたり不法な漁業をやっているということで、大分前から地元山陰の地方は、漁業の方々は大変困っているわけであります。何度も水産庁なり外務省にこの問題について要望をしておりますけれども、なかなかこれといった改善がなされていない。

 韓国の漁具の回収も、つまるところ、日本の税金で毎年やっている。平成二十一年は、このために三十億使いました。韓国の漁具を回収するために、魚をとるのをやめて清掃活動をやっている。そして、その補てんを国がしている。平成十一年から二十一年までであれば、百億もかけてこの事業をやっているわけです。

 それで、私は、外務省の方が、いわば韓国のメディアとか韓国の方々に、こんな違法なことを韓国の方々はやっていますよということを、韓国民の良心に訴えるということをぜひやっていただきたいと思うんです。

 いろいろお話を聞きますと、外務省の関係団体のフォーリンプレスなどで、韓国のマスコミの方との意見交換というか、そういう会も年に何回かあるようですけれども、そういうところでは、韓国の密漁の話とか、違法操業の話とか、そういうことは我が国から話題に出したことはないというふうに聞いているんです。

 その点、きょうは菊田政務官に来ていただいておりますけれども、そういう違法漁具を使用している実態とか、日本側が、我が国の税金でこのように韓国の漁具を回収しながら、もう大変な量のことを毎年毎年やっているんですよということをPRするということについて、どう取り組んでいただけますか。お尋ねしたいと思います。

菊田大臣政務官 谷議員の御質問にお答えさせていただきたいと思います。

 先生の御地元にも大変影響が出ており、また、漁業関係者の皆さんに御心配、そしてまた影響が出ているということを、外務省としても大変重く受けとめさせていただいているところでございます。

 先月、日韓外相会談がございまして、当時の前原大臣から、暫定水域の資源管理や、我が国EEZにおける違法操業、あるいは放置漁具への対応につきまして、金星煥外交通商部長官にも直接協力と申し入れをさせていただいたところでございまして、事あるごとに、政府要人ともこうした懸念事項については協議をし、日本側の主張もしっかりとさせていただいているところでございます。

 そのような中で、先月開催されました日韓漁業共同委員会におきまして、両国が海底の清掃事業をきちんと維持していこう、そしてさらに拡大を行っていこうということ、さらに、韓国政府が、韓国漁船の日本水域での違法操業や放置漁具の発生を防止するという観点から、日本海の暫定水域に漁業指導船を常時二隻配置することも合意に至ったところでございます。引き続き、こうした措置をしっかりと実行して、そして今後の対応についても、関係省庁と一緒に取り組んでいきたいというふうに思っております。

 そのような中で、今、韓国メディアを通して韓国の世論にしっかりと働きかけていくべきではないか、こういう御提言をいただいたわけでございまして、まず一義的には、韓国政府がこうした国民への世論の働きを行うべきだというふうに考えておりますが、しかし、先生の御提言も受けまして、どのような対応が可能か、外務省としても可能な範囲で考えてまいりたいと思っております。

 例えば、韓国プレスに対しましては、東京の特派員がいるわけでございますので、そういった方との接触や記者交流の場を通しましてどのようなことができるか、検討、対応してまいりたいと存じております。

谷委員 時間が参りましたので、まとめさせていただきますけれども、菊田政務官、ずっと前からなんですよ、これ。関係者は、外務省もずっとよく御存じですわ。だから、幾らこの問題を言っても、後を絶たない。毎年毎年、だんだんそういう漁具の回収がふえている。困っているなんというレベルじゃないんです。そのこともしっかり認識していただきたいです。

 また、韓国民に直接訴えるということは、何も私が、委員会の場でも初めてですけれども、前から、地元の国会議員などは外務省に要望していたんです。それでも、そういうマスコミ関係の会議でも何にも言っていないでしょう、今まで。そのことを問題にしているわけです。できることからでも、とにかく始めてください。そのことを強く要望して、時間となりましたので、私の質問を終えさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

山田委員長 次に、今村雅弘君。

今村委員 自民党の今村雅弘でございます。本日は、こういう機会をつくっていただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に入りたいところでございますが、その前に一言申したいんですが、先ほど来の政府側のいろいろな答弁を聞いておりますと、何か本当に元気がないといいますか、何かお通夜みたいな感じになっているんですね。今、非常に農政、難しい問題を抱えていますから、こういうときこそしっかりした答え方をしてもらわなきゃいけないので、ぜひ私の質問には力を込めて答えていただきたいと思います。

 まず、いろいろな問題がありますが、昨今、政治と金の問題がいろいろ取りざたされているわけでございます。この点について、端的にお伺いしますが、さきに前原大臣がああいうことになったわけでございますが、農水大臣、大丈夫でしょうか、その辺のこと。いかがでしょうか。

鹿野国務大臣 今村議員から激励をいただきまして、ありがとうございます。

 政治と金の問題、私はないものと思っております。

今村委員 ないものと思っておりますというのは結構でございますが、しっかり調べてこれは取り組んでください。次から次に閣僚等がこういったことでやめていくというのはやはり非常に私は問題があると思いますから、ぜひ、副大臣、政務官も、そういうところをもう一回チェックしてやっていただくということをお願いしたいと思います。

 次に、さきに松木政務官が辞表を出されたわけでございます。これにはいろいろ事情はあるかと思いますが、また後ほどお聞きしますが、先般は筒井副大臣が、非常に、今の総理に対してといいますか内閣に対して、不信感といいますか、そういった感じの発言をされているわけでございます。こういったことはやはり鹿野大臣のガバナンスの問題じゃないかとも思いますが、この点、どういうふうにお考えですか。

鹿野国務大臣 今御指摘のことにつきましては、内閣また民主党が一丸となって国民生活に責任を負っていくというふうなことが一番大事なことだと思っております。

今村委員 私がこういうことを冒頭に聞くのは、先ほども申しましたが、やはり、閣僚クラスがしっかりしてもらわないと、あるいはきちっと意思統一をしてもらわないと、我々だってそれを信頼していくことができない、あるいは、質問して、答えられても、違うじゃないかということになってしまうので、あえてこういったことを申したわけでございます。ぜひ、そういったところはしっかりとリーダーシップを発揮してください。

 次に、もう一つ。

 菅総理は、いわゆる最小不幸社会ということを言われてきたわけでございます。これがどういうことを意味するのか。本来なら、政治は最大多数の最大幸福ということを求めるのが筋だと思うわけでございます。これは、実は非常に私は違和感を持っておりまして、こんなことを言うから世の中が何かしゅんとなって、そしてまた農業の世界でも何か元気がないというか、そういったことになってきているんじゃないかというふうに思うわけでございます。

 おまけに、これに関連してちょっと申しますと、農家あるいは農村においても果たしてこの最小不幸社会という理念を持っていかれるのか、あるいは、やはり頑張る者が報われるんだということで、少々の格差拡大はやむを得ないと思ってやっていかれるのか、そういったことに関連するものですから、私はあえてこういったことを聞いているわけでございますが、大臣、どういうふうにお考えですか。

鹿野国務大臣 百七十七回国会におけるところの菅総理大臣の施政演説について、最小不幸社会の実現、こういうふうなことについて今議員からお話があったと思います。

 私はどう受けとめているかということでありますけれども、私は、一昨年の解散までは落選をしておりました。四年間、私も、地元を中心としてそれぞれの地域に足を運び、いろいろな有権者の方々から話を伺い、また現場をこの目で確かめ、政治の役割は何かというふうに改めて感じましたことは、やはり、本当に地域社会において困っている人がいるんだな、そういう人たちに対してできるだけ光を当てていく、これが政治の大きな役割じゃないか、こんな思いをいたした。

 それが、菅総理の言われる、できるだけ、不幸を放置したままでなく、その人たちにやはり具体的な施策を講じていかなきゃならない、こういうような思いがあってのこの最小不幸社会の実現、こういうことではないか、こんなふうに私はとらえております。

今村委員 言われることはわかりますけれども、やはり全体のパイをどういうふうに配分していくかということにかかってくるわけであります。ですから、できるだけそういった不幸な人が少なくなる、これは目指さなければいけないわけでございますが、そういった配分の仕方をどういうふうにしていくかということにこれはかかってくるわけであって、例えば、今回の税制その他、あるいはこういった戸別所得補償政策等も、果たして、私が今言ったようなそういうこと、つまり、もう頑張らなくてもいいんだ、何とかしてくれるんだというようなことになっちゃ悪いわけですね。その点、いかがですか。

鹿野国務大臣 この最小不幸社会の実現というふうなとらえ方の中で、私自身は、やはり成長というふうなものがこれからも当然我が国においても必要でありますけれども、その成長したことによって実った果実をどうトリクルダウンしていくか、どう滴り落ちた政策をやっていくか、これが大事なことだと思っておりますので、当然農林水産行政においてもその考え方というふうなものは大変重要だ、こういう認識に立っておるところでございます。

今村委員 現実にこれから進めていこうとする農業の政策は、実際は小農切り捨て、格差拡大につながっていくんじゃないかというふうな危惧を私は持っておりますので、そういったことをあえて聞いたわけでございます。この辺についてはまた後ほど詳しく聞きたいと思います。

 それで、済みません、平野副大臣、きょうは突然来ていただきまして。お忙しいでしょうから先に質問させていただきます。

 きょう、日経新聞なんかにも出ていました、農業新聞にも出ていますが、政府が、TPPに関連して、いろいろな、例えば労働者の流入の問題とかなんとか、そういったことはないんだというような文書をつくっておられるというような記事が出ておりました。これは恐らく、今政府が開国フォーラムと称してやっておられるところで、いろいろなそういった心配が出てきているものですから、慌ててそうじゃないんだということをつくられたんだと思いますが、その概要をちょっとまず教えていただけますか。

平野副大臣 二月の二十六日から、埼玉県のさいたま市を皮切りに全国計九都市で開国フォーラムを実施するということで、そのプロセスに入っております。この中身につきましては、昨年の十一月に閣議決定しました包括的経済連携に関する基本方針の考え方、その背景にあるもの、こういったものを国民の皆様方に提示しながら、かつまた御意見をちょうだいしているということでございます。

 日経新聞の件でございますけれども、結論から申し上げますと、政府文書といったものはございません。

 ただ、一般的に、さまざまな質問が想定されますので、その質問に対しての答えをすべく準備をしているというのは事実でございます。その中で、例えば外国人労働者が、TPPを締結することによって大量に入ってくるんじゃないか、あるいは社会保障制度関係、医療制度が崩壊するのではないか、こういった質問が会場から寄せられていることは事実でございまして、そういった質問に対しても適宜お答えをしているということでございます。

今村委員 副大臣はそう言われますけれども、これは日経新聞にもそうだし、農業新聞にも出ているんですよ。何と書いてあるかというと、新聞記事ですから恐縮ですが、ちょっとさわりを紹介しますが、「これに対し文書は「単純労働者が自由化の対象とされた例はない」「過去の自由貿易協定(FTA)では社会保障制度は対象外。TPPでも除外と考えるのが自然」などと明記。食の安全が損なわれることもないと強調した。」こういうふうに書いてあるんですよ。

 ということは、今政府は、いろいろ調査に当たっていると言っているわけでしょう、情報をとっていると言っているわけでしょう。そう言いながら、どうやってこういうことを断言できるような文書を出すんですか。ちょっと待ってください。文書が出る出ないは別にして、少なくとも、こういったことが新聞に出て明確になっている以上は、どういう文書なのか、それをしっかり出してもらって、そして我々に情報を与えて判断するということをやるべきだと思いますが、いかがですか。内容の点と、今の点と。

平野副大臣 まず、そういった文書はないということは先ほど申し上げたとおりであります。

 その上で、例えば今委員から御質問のありました、人の移動について、例えば外国人労働者が大量に入ってくるのではないか、もしそういう御質問をなされたとするということであれば、例えば、今までのWTOルール等々、あるいは我が国が締結したものを含む主要なFTAにおいては、人の移動ということを対象としておりますけれども、この人の移動というのは、あくまでもサービス提供者や商用目的の入国及び一時的な滞在でございまして、雇用市場への進出や長期滞在または永住を目的とするというものは入っておりません。

 それから、単純労働者と言われるものについては、そもそもFTA、日本以外の国のFTA等においても自由化の対象となった例は承知をしていないということでございまして、そういったことを踏まえて、その会場において適宜お答えをしているということでございます。

今村委員 ここでいろいろやりとりをしてもしようがないでしょうから、我々もやはり、いろいろな情報源をしっかり探って、そういった文書が本当にないのかあるのか、その点をしっかり明らかにして、また今後の議論を進めていきたいというふうに思っております。

 済みません。お忙しいでしょうから、きょうはこれで結構です。

 次に、中身に入っていきたいと思いますが、いろいろなことがございますが、まず、大臣、先般、諫早干拓の開門の件ですが、これについて、御存じのように、ああいった経緯で上告しないということになりました。

 しかし、それについてはいろいろあるでしょうが、その後、一体、もう四カ月近くなってきているのに、何の動きもないような感じがするんですよ。これについて今後どうされるんですか。お答えください。

鹿野国務大臣 諫早湾の件につきましては、上告をしない、こういうような考え方を決定したわけでございまして、今後三年以内に開門に向けて対応していかなければならないということであります。開門によりまして関係者の方々に不利益を強いることがないよう、関係者の方々の不安や懸念に真摯におこたえをしていくというふうなことも大変重要なことだと認識をいたしております。

 そのようなことから、開門に当たりましては、今後、環境アセスメントの結果を踏まえて、防災、営農、漁業への影響に十分配慮をしながら、長崎県の方々の理解と協力というふうなものも得られるよう、これから努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。

    〔委員長退席、津島委員長代理着席〕

今村委員 私が言いたいのは、今大臣が言われた方向なんでしょうが、具体的に、この四カ月間、目立った動きがないわけですよね。今、長崎県の理解云々と言われましたけれども、これだって、一回か二回行ってお話しされたということで終わっているわけでしょう。全然見えないわけですよ、その真摯な取り組みが。そこを聞いているわけであって、なぜそこがうまくいっていないのか。そういったところについてやはりもうちょっとしっかりした取り組みをしていってもらわないと、これは漁民の方も農家の方も、みんなが不安を持っているわけでしょう。

 しかも、これは、はっきり言って、上告を、総理判断したわけだから、既判力があるわけですよ。そうでしょう。だから、ぐずぐずしていると、話し合いの余地もなしに、そんなに国が言うことを聞かないのなら、もうこのとおりに沿ってやってもらうということになっていくわけですね。そうならないようにどういうしっかりした取り組みをするかということですが、もう一回決意を示していただけますか。

鹿野国務大臣 農林水産省におきまして、現在実施しているアセスメントにおきまして、開門に伴いまして農業生産なり背後地防災、漁業生産等にどのような影響あるいは変化が生じるかということについて調査、予測、評価を実施しております。必要に応じて、その影響を回避あるいは低減するための措置についても検討しておるところでございます。

 そして、重ねて申し上げますけれども、開門に当たりましては、この環境アセスメントの結果というものを踏まえて、防災、営農、漁業への影響というものに十分配慮しながら、開門の方法なりあるいは期間なり時期というものについて関係者の方々と話し合いをしていく。そして、政府が一体となって、きちっとした事前対策を講ずる。このようなことから、長崎県関係者の方々の理解も得られるよう、真摯に取り組んでいきたいと思っております。

 また、開門に伴いまして必要となる対策につきましては、本年五月に取りまとめを予定しておりますところの環境アセスの結果素案において示していかなければならない、このように考えておるところでございます。

 重ねて申し上げますけれども、そういう中で、長崎県関係者の方々からも十分理解が得られるように、丁寧に、真摯に説明も行っていかなきゃならない、こういうように考えておるところでございます。

今村委員 ぜひそういうことで、誠意を持って真摯に、とにかくスピードを上げて取り組んでください。

 次に、中身に入ってまいりますが、先般、農林水産大臣所信表明ということをお聞きしたわけでございます。これを読んでみまして、確かに立派なことが書いてありますが、よく読んでみると、結構相矛盾するようなことがやはり随分あるなという感じが私はいたしております。

 幾つか例を申しますと、手元にあるかどうかわかりませんが、四ページ目に、「意欲あるすべての農業者が農業を継続できる環境」とあります。しかし、今現在この方向に進んでいるのか。むしろ、後で申し上げますが、減反の廃止みたいな話で、ちょっと違うんじゃないかという感じがしています。あるいは、現実には、所得補償というのは水田農業と畑作中心でしょう、きちっと今決まっているのは。そういったこと。

 あるいは、全国均一ということになってくると、これも後で話しますが、とにかく結局格差が起きるんですよ。県別に今でこぼこになっていますよ、米の値段が。だから、余計もらえる人と少なくもらえる人、そういう問題が出てきている。ここは非常にアンバランスが出てきているような感じがします。そういう問題。

 それから、その前に、「誇りを持って」という言葉があるんですね、農家が。「農林漁業者の方々が誇りを持って生産に取り組む」。誇りを持つには、やはり自分たちのつくったものがきちんとした値段で売れていく、あるいは、将来に不安のない、後継者もちゃんと安心して維持できる、そういうことになっているのに、現実は、価格はどんどんどんどん下がって、そして何か税金頼りみたいになっている。これで誇りを持ってということができるのかどうか。こういった問題があると思います。

 そしてもう一つは、現実問題として、先ほど谷委員の話もありましたが、やはり農林水産の予算は結局減っているわけですよ。おまけに「生産基盤の整備も推進」と書いてありますが、推進どころか、全く減らしてしまっているじゃないですか。こういったところ。

 それから、これは意図的とまでは言いませんけれども、TPPという言葉が一つも出てこないんですよ、単語そのものとしては。これは、あえてそういうTPPという言葉を出されないのかどうなのか。そういったところも私もどうかなと思います。

 それとか、WTOドーハ・ラウンドでは「多様な農業の共存」を求めてこれを進めていくといいながら、片一方でTPP云々をやっていくと多様な農業の共存ということにはやはりならないんじゃないかという気がしますから、そういった点で、申しわけないですが、この所信表明はかなりばらばらだな。

 そしてまた、言っていることと実際ここで予算なりなんなりつけたことと非常に一致していないという感想を持っているわけでございますが、今私が言ったことについて、とりあえずの御感想はどうなんでしょうか、大臣。

    〔津島委員長代理退席、委員長着席〕

鹿野国務大臣 いろいろ、今るる、多岐にわたって御指摘をいただきました。

 ただ、私は、今村議員、やはり農林水産業の人たちに何とか頑張ってもらいたいな、こういうふうな気持ちで、私も責任者として、今回の予算についてもできるだけの努力をいたした、こういうふうなことだけは申し上げさせていただきたいと思います。

 そういう中で、先ほども谷先生の方から、予算が減っているんじゃないか、こういうふうな御指摘もありました。これはそのとおりでございます。本当に厳しい指摘でございます。そういう中で、しかし、できるだけ優先順位というふうなものを定めながら私どもも予算を計上した、こういうふうなことは先ほど説明させていただいたとおりであります。

 税収がなかなか上がらないとか、国債を発行することについては抑制的にしなきゃならないとかということは一つの今日の状況というふうなことになるわけでありますけれども、そういう中で、できるだけ農林水産業の人たちに直接行き渡るような政策が大事だという視点に立って今回の二十三年度の予算を編成したというふうなことも御理解をいただきたいと思うわけであります。

 また、TPPにつきまして御指摘がございましたけれども、TPPについては、今、情報収集という段階でありまして、交渉に参加するかしないかは六月をめどに判断をする、こういうふうな内閣の方針でございますので、まだ決めたわけでないものを予算に計上するというわけにはいきませんし、私から所信において言及するというようなこともまだ早いのではないか、こんな思いの中で触れなかった、こういうことでございます。

今村委員 大臣、ある意味では、政治はやはり口で言うよりきちっと実行ですよ。それがやはり信頼を受けると思います。ですから、今どんなに、とにかく農業をしっかりやっていこう、守っていこうと言われても、肝心の予算が減っているということについては、やはりこれはおかしいじゃないかという指摘は免れないと思いますよ。

 それともう一つ、今、お金がない、予算がないと言われましたけれども、これはある意味では、先ほど谷君の予算の話もあったように、やはり戸別所得補償ということに莫大な金を使っているわけでしょう。そして、そのあおりを食らって、いわゆる生産基盤を強化する、強い農業づくりをやっていく、その金が大幅に削られているわけじゃないですか。これをどう考えるかなんですね。

 やはり、先ほど言ったように、農家が誇りを持ってと言いましたが、価格体系もきちっと維持をして、そしてそれをちゃんと、消費者の皆さん方にはそれで、価格で買ってもらう。そういうふうにして、税金で補てんするんじゃなくて、やはり価格でもって消費者に負担してもらう。そこをやって、そして農家はできるだけコストを下げて所得がふえるようにする、この道が正しいんじゃないですか。

 それを、どんどん片一方は金をばらまいておいて、それで金がありません、ですから生産基盤の減失はしようがないですよみたいな話をされている。それは、一年や二年はいいでしょう。しかし、長年すると、これはとんでもないことが起きてきますよ。その点、要するに、これは消費者に負担してもらうのか、税金で見ていくのか、こういった基本的な考え方は大臣はどう思っておられるんですか、本音を言ってください、本音を。

鹿野国務大臣 本音で申し上げるように、こういうことでございますけれども、私ども、今日の農業再生をどうすべきかということを七年前から党で議論をしている。結局、農家の人たちが再生産に意欲を持って取り組んでもらうということならば、やはり所得補償政策というふうなものに切りかえる必要があるな、こういうふうな認識に立って再生プランをつくった。それが原点になって戸別所得補償政策を今実施しているということなのであります。

 今先生が触れたとおりに、納税者負担から消費者負担にということの方がいいんではないか、こういうことでありますけれども、私どもは、今日の状況からいたしますと、すなわち、価格維持制度というふうなものから所得政策に切りかえるというようなことが一つのこの考え方である。

 それは、やはり国民全体に、農業者の人たち、林業者あるいは漁業者の人たちが多面的機能の発揮を維持するために大変な寄与をされている、そしてまた、食料自給率向上のためにも頑張ってもらっている、食料安全保障のためにも、食の安全のためにもまた頑張ってくれている、そういうことに対してきちっと評価ということについて、国民全体がみんなで、それでは農家あるいは林業者、漁業者の人たちに対して我々としてもきちっと負担をしていきましょうというようなことによって、農家の人たちにおいても、林業者にしても漁業者にしても、誇りを持って、おれたちはそれだけの役目を果たしているんだな、こういうふうな意識を持ってもらうことができるんではないか、こういう認識に立っておるところでございます。

今村委員 大臣、今、税金で見るのか消費者に負担してもらうかの話がありましたけれども、これはある意味では、いい意味でのバランスが必要じゃないかと私は思うんですよ。

 それで、もし、大臣が今言われたように、これは所得の、戸別にお金をやって、こういった方向にかじを切ったんだと言われるのなら、それならそれで、その分を、税負担がふえるわけだから予算をふやしてくださいよ。それをふやして、これで税金で見たんだよということなら私たちも納得しますよ。全体を切っちゃって、どうしようもないじゃないですか。

 そして、例えば、こうなってくると、私の地元もそうだけれども、せっかく早く圃場整備をやってやってきた水路が今ぼろぼろぼろぼろ崩れ出しているわけですよ。そういった施設の整備なりなんなり、これは新規につくるのも金がかかりますが、そういった補修をするんだって物すごく金がかかるわけですよ。これは、では全部、あなたたち農家に金をやってるからそっちで面倒を見ろや、自分たちで金を出してやれや、そういうことになるんですか。どうなんですか。

鹿野国務大臣 本音の話でと、こういうことですから、率直に申し上げて、私は、昨年農林水産大臣を拝命するときに申し上げました、もうこれからの第一次産業というものをきちっと責任を持って推進する上においては農林水産省だけの予算では限界だ、そういう意味で、これから財源というものを考えたときは、環境税というふうなものも一つの考えではないかと率直に申し上げました。すなわち、環境産業であるところの第一次産業にその財源を回すというふうなもの、そういう考え方を私は申し上げたところであります。

 すなわちそれは、今先生言うとおりに、今後農林水産行政というふうなものを発展させていく上においては、予算がだんだんだんだん減少していくというようなことから、農業者の人たちが本当に意欲を持って取り組むということにならないじゃないか、こういうようなことについては私自身も共通の意識を持っているわけであります。

 そういう意味で、今、食と農林水産業の再生実現会議というふうなところにおきまして議論もいたしておるところでございますけれども、これからいろいろな政策をやっていく、また、EPAを推進するというふうな中においても、当然その中には国内対策も必要になってくるわけでありますから、そういう中で財源を、財政措置をどうするかというふうなことも含めて議論がなされていき、そして結論を出していかなきゃならない、こう思っているところでございます。

今村委員 今、環境税等の話も出ました。確かにそういう案もあるでしょう。あるいは消費税という話もあるでしょう。

 しかし、現実問題、例えば今回の予算を見ても、先ほど谷君もいろいろ言っていましたが、私が見ても、先ほど言った農業の水利施設の補修とか修繕がこれから必要なものは、データをもらいましたら、もう五百カ所ぐらい毎年出てくるんですよ。これを手を抜くと、次の年は一千カ所になっていくわけですよ。ですから、やはりこういったものについてもきちんと手を入れなきゃいけないんですが、どうされるんですか、これだけいろいろな生産基盤整備を落としたことで。本当に、もうちょっと、正直言って、もっと大変だということを言って予算を確保してくださいよ。

鹿野国務大臣 農業だけではなしに、林業なりあるいは漁業の人たちのための漁港とかあるいは土地改良とか、そういう整備事業というふうなものについて、減って、どうするんだ、こういうふうな御指摘でございますけれども、昨年来、この点については幾度かにわたって問題指摘がなされてまいりました。

 そういう中で、私どもは、予備費からとか、あるいはまた補正予算でとか、こういうふうなことで、そして、二十三年度予算におきましても、長寿命化に切りかえをして、関連予算も含めますと一一三%の予算を計上しているということでありますから、その思いは、その考え方というふうなものは、私が今申し上げたようなところに含まれておるものと御理解をいただければと思っておるところでございます。

今村委員 大臣、それでしたらはっきり言いますが、今、こういった生産基盤整備の、いわゆる新しい整備あるいは既存のものの保全、修理、そういったもの全体でどのくらい必要なのかという計画が実はないんですよ。それは御存じでしょう。ですから、そこはやはりしっかり、これから本当に必要なのはどうなんだということをやって、いわゆる将来のビジョンをきちっと示してくださいよ。そして、それによって、どれだけ予算が要るんだから云々ということも出るわけだから、やはり航海図なき農政というのは、基盤整備というのは私はおかしいと思いますから、どうですか。

鹿野国務大臣 昨年閣議決定いたしました食料・農業・農村基本計画におきましても、農業生産基盤の保全管理と整備は我が国の農業生産力を支える重要な役割を担う、このようなことから、基幹水利施設の戦略的な保全管理あるいは食料自給率の向上等に資するところの基盤整備の推進というふうなことについて言及をいたしておるところでございます。

 その計画に基づきまして、平成二十三年度の農業農村整備事業予算におきましても、施設の全面的な改築、更新というふうなところから、先ほど申し上げましたとおりに長寿命化対策へ転換をして、そして、地域で作成した長寿命化に係るところのマスタープランに基づきまして計画的な整備を図っていきたい。それと同時に、麦や大豆等の生産拡大に必要な農地の排水対策等について重点を置く。

 こういうふうなことで、今後とも、地域の方々の声というふうなものを聞きながら対応してまいりたいと思っておるところでございます。

今村委員 今大臣が答えられたのは、何か、一生懸命何かを読んでおられるような感じがするから、大臣の言葉として聞こえないんですよ。ですから、やるんだ、やります、必ず計画をつくってやります、そう言ってもらえばいいんです。いいですか。

鹿野国務大臣 大変激励をいただいて、重ねて感謝申し上げます。

 いわば、私自身も、思いは、腹の中は、もうしっかりととらまえておるのでございます。しかし、現実、先ほど言われたように、結果としてやはり出さなきゃいけませんので、今日の財政事情なり、また、新たな財源というものを生み出していくことが大変ハードルが高いというふうなことの中で、どうやって私も頑張っていくかというふうなことで、日々努力をいたしておるところでございます。これからも、与野党ともにの議員の皆様方からの御支援をいただきながら頑張っていきたい、こう思っております。

今村委員 とにかく頑張ってください。

 それから、もう一つ言っておきますが、先ほどは、いろいろな、クリークだ何だ、そういったことも話しましたが、現実、農家のもっと身近なところでいうと、コンバインとかトラクター、こういったものを買うお金というのは、今、物すごい減ってしまいましたよ。

 私が予算を見るだけで、いわゆる農業機械等の云々で見ると、十六億円だか、リース支援で出ているだけなんですよ。ですから、これからやっていくときに、さっき言ったように、今、そんなの、コンバインも、金が出ているんだからおまえら買えよということじゃなくて、やはり強い農業づくりをやっていく上ではそういう点もやってください。何かありますか。

鹿野国務大臣 トラクターなどの農業機械等についてのいわゆる支援策はどうなのか、こういうことでありますけれども、私ども、今まで補助というふうなものをやってきましたけれども、それから融資の方にということで切りかえていくというふうなことが基本的な考え方でございます。

 そこで、例えば、具体的に申し上げますと、農業者の経営特性に応じまして、機械等の導入を支援するために、農業改良資金の資金枠の拡大、百億から三百億、これは無利子であります、そういうこと。あるいは、貸付限度額の引き上げ、個人が今まで百八十万であったわけですけれども、これを五百万。こういうふうなことで、金融措置の上乗せもしておる。

 こういうふうなことで、これからの施策は、今申し上げたように、私どもは、補助からリース、すなわち融資というようなことに切りかえをしているわけでありますけれども、そういう考え方を生かしていただきながら、今後、いろいろな方々の考え方も聞かせていただき、農業用の機械の導入支援についても考えていきたいと思っておるところでございます。

今村委員 大臣、お言葉ですけれども、借金は返さなきゃいけないんですよ、融資、融資と言われますけれども。これで、例えば、今、畜産農家が、酪農家がどのくらい借金を負っていますか。そんなに簡単に、融資でもってやるからという、そんな話じゃないですよ。もうこの場では時間がないからやめますけれども、具体的に、例えばコンバインだ、トラクターだ、我々自民党がやっていたころと、例えば二十一年度にやったことと、今現在やっている、どんなに落差があるか、これはもう一回よく調べて、勉強してみてください。

 先ほど谷君が言いましたが、農水省の予算は、それはどうなっているのと聞いても、なかなかわからない、あるいは知らないというふうな仕組みになっているのかもしれませんが、そこはどうですか。

鹿野国務大臣 今ちょっと、私数字を間違えましたので訂正させていただきます。貸付限度額の引き上げというのは、個人、一千八百万から五千万、こういうふうな引き上げでございますので、これを訂正させていただきます。

 それから、当然返さなきゃいかぬ、こういうことでございますが、そのとおりであります。しかし、農業改良資金の資金枠というふうなものを拡大した、これは無利子でございますので、無利子で借りることができるなんということは相当な政策だ、こういうふうに思っておるところでございます。

 そういう意味で、今後この問題についても、当然、限られた一つの財政という中でどうあるべきかというふうなものは、現場の声というものを聞きながら対処してまいりたいと思っております。

今村委員 とにかく借金地獄に陥らないように、それはちゃんとやってください。そこはしっかり言っておきます。

 次に行きます。

 いろいろな問題がございますが、今回といいますか、先ほどもちょっと話には出ていましたが、いわゆる所得補償関連の法案、これは出さないということになりましたね。なぜですか。

 これはどういうことかというと、先ほど言ったように、予算措置だけだったら、もう金がないというので、今支給している金額だって減らされる可能性だってあるわけでしょう。これを法案で担保すればそうはならない。そういったことが、本当に今の農政は信用できるのかね、まさに猫の目行政か、また変わる、猫また行政か、そういう批判を受けるんですよ。なぜこれは法案を提出しないんですか。

鹿野国務大臣 これは、過般も予算委員会でも質疑として出されたところでございますけれども、今村先生から、本音の話をと、こういうふうなことでございます。

 私も、実はこれは悩みました。すなわち、この法案を出した場合に、ねじれ国会の中で予算関連になるわけでありますから、どうなるのか、これは当然、責任者として考えざるを得ません。私は、これは法案として出したいという思いを国会でも言ってきました。山田前大臣もそうですけれども、赤松大臣も言ってきました。ですから、言ってきたことを、これについて法案として出さなかったということについては、申しわけございませんと率直に私は陳謝をしました。

 しかし、問題は、それよりも一番大事なことは何かといえば、農家の人たちの所得というものがきちっとやはり補償されていくというふうなことを考えたときに、遅くとも田植えの最盛期前に加入申請に着手するということが大事なことでございますので、対策の円滑な推進を図ることが不可欠だ、このようなことから、今回は予算措置というふうなことにさせていただいたということであります。

 そして同時に、もう一つ申し上げますと、初年度はいわゆるモデル事業で米、今度はこれを畑作物に拡大する、こういうことでございますので、しっかりとこの二年の取り組みというものも、先生方から私も指摘をいただきますけれども、検証も必要じゃないか、こういうふうなことも含めて検証しながら、次に向かって推進していかなきゃならない。こういうふうな意味も含めて予算措置にさせていただいた、法案を出さなかったということでございます。

今村委員 国会の情勢がどうだこうだということより、やはり政策の責任者としては、こうやるんだということを自信と確信を持って出すべきじゃないですか。

 そしてもう一つは、正直言って自信がないわけでしょう、いろいろな分野に広がっていくと。だから、自信のない部分はない部分でいいじゃないですか。まず、今やっている部分について、少なくともこれについては法律で担保しますよというようなことでできないんですか。それは結局、それをやると、みんなこれでもって金がずっとかかってしまう、それで財政当局からストップされているんじゃないですか。どうですか。

鹿野国務大臣 基本的に、この農業者戸別所得補償というものは、やはり農家の人たちにとっては本俸に近いものなんですよ。ですから、どうしてもやらなきゃならないという思いだからこそ、確実に実施をしていくというふうなことから私はこういう判断に立ったのであって、自信がないからこういうふうな措置をやったというわけじゃございません。どうしてもやらなきゃならない、農家の人たちを困らせるわけにいかない、こういうふうなことでこういう措置をとったんだということだけは御理解いただきたいと思います。

今村委員 ゆっくり考えるのも結構でしょうけれども。いろいろなことを考えて、いろいろな状況があるから。時間をかけることがいいことかどうか、とりあえずやれることはやるという方向だって出していいんじゃないですか。

 皆さんの、農家の受け取りは、この法案を出すということで皆さんは受け取ったのに、これを出さないと言うから、また今度のお金を多くもらう話はなくなっちゃうのかな、そういう不安が起きているから私はあえて言っているわけです。

鹿野国務大臣 ゆっくり考えたというわけじゃなしに、やはりゆっくりしておるわけにいかないから決断をさせていただいた、このことだけは御理解をいただきたいと思います。

今村委員 もっと急いでください。

 それでは次に行きます。

 先般、変動部分の交付単価、これは六十キロ当たり千七百十五円が発表されたわけでございます。このことに参りたいと思いますが、これは、まず赤松大臣のころに、米は絶対下がらないと言っていた。しかも、予算は大体一俵当たり千二百円という、変動部分の大体の目安だったと思います。それが千七百十五円、五百円以上も下がっているわけですよ。これはどう思われますか。赤松大臣をここに本当は呼んでもう一回発言させたいぐらいですけれども。大臣、これはどう思われますか。

鹿野国務大臣 赤松大臣は赤松大臣として、当時の状況の中で一つの考え方が示されたのではないか、こういう認識を持っておるところでございます。

今村委員 赤松大臣と言いましたけれども、やはりこれは政府としての見解だったわけだから、こんなに一俵当たり下がってしまったことについて、申しわけなかったという言葉が何で出ないんですか。

鹿野国務大臣 下落の要因というふうなものはいろいろあるわけでございまして、とりわけ今日の我が国の状況というふうなものは、リーマン・ショック以来の経済が非常に落ち込んでいる状況というふうなものの影響を受けている等々、そしてやはり国民の人たちの低価格に対する一つの志向というふうなもの等々、そういうものがやはり影響いたして下落をしたということでありますから、すべてそういう流れというふうなものはなかなか予測できないところもあったのではないか、当時の赤松大臣が発言されたときにおいては、今日の状況というものは予測されるということにはならなかったんじゃないか、こんなふうな認識を持っておるところでございます。

今村委員 何回も言いますけれども、政府としてそういう発言をされたわけですから、下がらないと。それについて、こんなに下がったことについて、これはもう申しわけないと言うべきじゃないですか。リーマン・ショックだ何だと言われますけれども、そんなにお米の値段が下がっていますか、市中で。そんなことないでしょう。そこはどうなんですか。これは素直に謝られた方が私はいいんじゃないかと思いますけれども、四の五の言わないで。どうですか、もう一回。

鹿野国務大臣 私が謝ってということによって御理解をいただくというふうなことでありますならば、私は、そういう予測がそういう方向に行っていなかったというようなことについては、これは国民の人たちに対しても申しわけないなという気持ちはあります。

 しかし、問題は、下落の要因というものは、重ねて申し上げますけれども、低価格志向というふうな今日の状況の中で米が下がってきているというようなことの判断に立っておりますということだけは申させていただきたいと思います。

今村委員 私は、鹿野大臣には個人的に云々ということじゃないんですよ。やはり政府として見通しを誤ったということについての一言があっていいんじゃないかなということを言っておるわけでございますので、今の言葉で一応よしとします。

 そして、ただ、やはり千二百円ぐらいだと言っておったのが千七百円も補てんするようになったんですよ。五百円余計に要ったわけでしょう。だから、これが本来の予算だったら、きちんと予定どおり参加者がいれば、完全に予算はパンクしていますよね。それを、参加者が少なかったから、その分そっちへ固定部分を回して助かったようなことになっているわけですよ。

 今後、例えば参加者がふえるということになったときには、今の状況だったら、予算は今まで以上に膨らんでいきますよね。これはどう考えられますか。どうぞ。

篠原副大臣 今年度のモデル事業につきましては、今、今村議員御指摘のとおり、うまくいっているわけです。定額部分の支払いはもう終わっておりますし、変動部分の支払いを行っているところですけれども、定額部分の分が四百四十億ほど少なかった。そちらの方を回したわけです。それで間に合っている。それがなかったならばショートしてしまうんじゃないかという御指摘だと思います。

 このままいったらそういうことはあるかと思いますけれども、今回きちんと補てんされているということで、来年度のことを考えますと、これは五月、六月の皆さんの加入状況を見なければわかりませんけれども、やはり入っていかないとよくないんじゃないかということで入っていただけるということで、需給ギャップによる価格下落というのは少なくなっていくのではないかと私は思っております。ですから、二年目、三年目ということで、だんだん定着していくのではないかと期待しております。

今村委員 時間が大分迫ってきましたので、一言言っておきますが、一たん下がったお米はなかなか上がらないと私は思いますよ、基本的に供給圧力が非常に強いわけですから。そういった点をしっかり指摘しておきます。

 それに関連して、先ほど、いわゆる全国均一だ、一律だという話が出ました。

 先般データをもらって見ましたら、例えば二十二年度の、今回の基本になった価格と、それから二十一年産米との比較を各県ごとに出してもらった資料をいただいたわけでございます。そうしますと、これはやはり各県ごとにえらくでこぼこがあるんですよ、正直言って。

 例えば北海道とか岩手県東北部。小沢さんは所得補償を進めるということでやられたんでしょうけれども、下がった分が、何と、岩手県だけで、三件で二千四百円とか二千六百円とか、非常に下がっていますよ。そうすると、これについては千七百円しかもらえないわけだから、九百円ぐらいは結局マイナスというふうになりますね、下がった分。そしてまた、今度は一方で、逆に千七百円以下の値下がりで済んだところもある。そうすると、それは結局、その差の分だけ余計いただき。地区によって非常にアンバランスができているわけですよ。

 これはおかしいんじゃないですか。どうするんですか、今後。

篠原副大臣 今村議員に提出いたしました資料をごらんになりながらの御質問だと思いますけれども、御指摘は当たっております。というのは、産地、銘柄ごとに下げ幅が全然違うというのは。傾向を見ますと、新潟や関東のコシヒカリを中心に引き合いがちゃんとありましたので価格の下げ幅が小さかった。それに対して、今、岩手県が例になりましたけれども、東北の産地、銘柄につきましては非常に大きく下げてしまっている。ばらつきがございます。

 しかし、今ちょっと数字のところで、この価格を、額を言われまして、これは六十キログラム当たりの下げ幅なんです。定額部分と変動部分を合わせて三万百円なわけですけれども、それを六十キログラムに換算しますと三千四百円なんです。ですから、三千四百円ということを計算しますと、その表をごらんいただくとおわかりいただけると思いますけれども、宮城のひとめぼれが一番下落幅が激しくて、一俵当たり、六十キログラム当たり二千七百八十六円。十分カバーできております。

今村委員 ここは今後、もうちょっと数字がはっきりした中で詰めますけれども、少なくとも、でこぼこがあるのは確かなんですよ、県ごとに見るときには。そういうことでしょう。これは認めなさい。今後、やはりもうちょっと地域に合った、全国一律ではないやり方も考えなきゃいけないんじゃないか。

 あるいは、そもそも、定額部分でも、固定部分でも、平野部と中山間地ではやはりコストが違うわけでしょう。それも全部一律にするから、中山間地の農業はますます苦しくなっていく、そういう状況もあるということは、これはしっかり認識をしていただいて、今後どういう対策をとるか、ひとつ考えてください。

 時間が来ましたので、もうちょっとですが、きょう、実はこの新聞記事、生産調整を、要するに「コメ減反段階的廃止」、この記事についてですが、本当にこうやってやるんですか。どうですか。

篠原副大臣 先ほどちょっと答弁に間違いがございました。ひとめぼれと言いましたけれども、ササニシキに訂正させていただきます。

 それから、今のは減反の報道についてでしょうか。その報道は、民主党において食と農林漁業再生・強化プロジェクトチームが設置されて、そこで検討されておりまして、今、その取りまとめ作業が進行中だと聞いております。そこにおける議論は、私、まことに済みませんけれども、きちんと詳細には把握しておりません。

今村委員 副大臣、そう言われますけれども、この記事も、上の方にあるでしょう、「農林水産省幹部は「減反廃止は政府としても検討中だ。今後三〜五年ぐらいで廃止するべきだ」と、党の素案に理解を示した。」と書いてあるじゃないですか。おまけに、きょうは出していませんが、これは三月三日ですが、次の日の三月四日、筒井農水副大臣、「減反廃止検討認める 「米価落とさぬ形で」」という記事が出ているんです。

 ですから、政府としてもこれは進めるということじゃないですか。そこはどうなんですか。

篠原副大臣 減反については、どなたも同じだと思いますけれども、生産者、消費者を含めて、この政策がいいというふうに思っておられる方は少ないんじゃないかと思います。

 それで、一番いいのは、米の需給ギャップがなくなっていくことがいいんではないかと思っております。それに対して農業者戸別所得補償はワークしていくのではないかと思っております。それで、今おっしゃったのは、筒井副大臣はそれをおっしゃったのではないかと思います。

 この場で一度か二度答弁させていただいておりますけれども、我々の政策というのは、この需給ギャップをなくすために、麦や大豆、あるいは米でいったら米粉、飼料米、主食以外の米、ほかの作物に対して所得補償をする、米並みの所得を確保することによって、そういった作物をつくれるところはなるべくそれをつくっていただく、そうすることによって米の生産量が減る。

 ですから、米しかできない、米に適地で、なかなか麦とか大豆とかできない北陸それから東北の日本海側、そちらの皆さんには安心して米をつくっていただくようになる、それが減反廃止につながるということを筒井副大臣は申し上げられたんだと思っております。

今村委員 今の話、最後の方で何か北陸だ東北だとぐずぐずと言われましたけれども、そっちは何ですか、減反廃止でいいということですか、どんどんつくれということですか。では、西日本の人たちはだめだということですか。どうなんですか、今の最後の言葉は。

篠原副大臣 我々の政策は、そういうふうに強制とかするつもりはございません。単価を示しています。その単価をごらんいただいて、自分の経営に合う作物は何かということを考えていただいて、そしてつくっていただく、それで適地適産も進む、需給ギャップも薄まっていくということでございます。

今村委員 これが非常に大事な話と私は思いますから、ある意味では、最初私が言ったように、すべての農家に云々ということで来ているわけでしょう。これは、減反廃止となってくると、例えば東京周辺の農家でとにかくどんどんつくるんだ、それでもって東京でわっと売る、薄利多売、そんなことになってくると、ほかのところにどんどんやはりその需給圧力が及ぼされて、結局米は下がっていくわけじゃないですか。

 そういった問題もあるから、この減反の問題については、どういう議論になっているのかよくわかりませんが、もうちょっと詰めて、この委員会でも質問したいというふうに思っております。

 それから最後に、ちょっと気になることがあるんですが、今、新規需要米の話をちょっとされました。それで、例えば、えさ米だったら八万円云々、耕畜連携でいうと一万五千円とかいうことになってきますけれども、この件でちょっと私が気になるのは、日本人がちゃんと食べるお米、これを守るためにやはり税金を使って云々というのはある意味では理解を得ると思うんですが、例えば飼料米、えさ米、これにもと、やはりそんなに莫大に、これを広げて、そして救っていくんだということになったときに、家畜のえさを買うのに何でそんな金使うんだという話になりませんか。こういったところを、数字の上では自給率が上がるから云々であっても、国民感情的には、何で家畜のえさをつくるのにそんなに税金をつぎ込まなきゃいけないのかという話になってくると思いますが、その辺はどうですか。

篠原副大臣 この政策は、生産者に限らず、消費者の皆さんにも理解していただかなければならないという御指摘、まさにそのとおりだと思います。

 直接的には飼料米に対するバックアップ、援助でございますけれども、直接的には飼料米ですけれども、そうすることによって主食米の生産が減るということで、需給均衡が達成する。片方で、飼料穀物というのはほとんど外国から輸入しておりますし、自給率のアップということを考えた場合、せっかく生産条件が整っている水田を有効活用すべきじゃないかという考え方もあるわけです。そういったもろもろのことを考えた場合に、飼料米だからといってじゃけんに扱うということはやはりよくないんではないかと我々は思っております。

 飼料米について、今、米粉米と同じように八万円の単価になっておりますけれども、飼料の自給率が上がり、かつ、外国から安定的に飼料穀物の輸入ができるような条件が続くならば、そんなにずっと長く続ける必要はないものだとも私は思っております。

今村委員 今、えさ米のことを例にしましたけれども、やはり、貴重な税金を使って、あるいは消費者の人に負担してもらうというようなことになれば、麦とか大豆とか、あるいはいろいろな野菜とか、やはり人間が、国民が必要とするというものについてこうしますよということにやっていかなきゃいけないんじゃないか。だから、そのために、もっとそういったところの方に予算を配分するというようなことでこういった米の問題等もぜひ取り組んでいただくようにお願いします。

 そうしないと、米の減反の話も、結局、さっき言ったように、これはやめといった場合に、ではどこで農家は生きていけばいいんだということになってくるでしょう、こうなってくると。何をつくって生きればいいんだよということですから、こういったものもさらにもうちょっと詰めていただきたいと思います。

 それから、きょうはもう時間がなくなったのでございますが、TPPの問題、これはもう、大臣、まさにこれこそ本音で、どうですか、もうおれは絶対反対すると言わないですか。どうぞ。

鹿野国務大臣 いずれ、TPPに交渉参加するかどうかということを決める時期が来ると思います。今はまだそれだけの情報というふうなものが共有されていない面もありますので、しっかりと取り組んでいきたい、このことだけを申させていただきたいと思います。

今村委員 まだたくさん課題がございますが、また次の機会に時間をいただいてお伺いしたいと思います。

 これで終わります。ありがとうございました。

山田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

山田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。谷川弥一君。

谷川委員 自由民主党の谷川弥一です。長崎の出身です。

 諫早湾干拓事業についてお尋ねしたいんですが、その前に、民主党の政治姿勢について本当は二時間ぐらいでしたいんですが、一分だけ時間をいただいて話をさせていただきます。

 問題は、二百七兆円の一割が無駄な金である、ここから始まるんです。なかったんですね。そこにいらっしゃる山田さんに負けたんですが、私は、負けた理由は、やはり二万六千円です。黄色い紙で、ばんばんばんばん電柱に張りました。二万六千円、五万二千円、七万八千円と。最後には七万円と張ったんです、ばんばんばんばん。これで負けたということだけは頭に入れておいてください。

 三月二日に、「私の履歴書」というのに安藤忠雄さんが書いているんですが、祖父が他界し、祖母と二人きりの生活になった、祖母は小言は余り言わなかったが、うそを言うな、約束を守れ、人に迷惑をかけるなとうるさく言われたと。私もこう言われました、おばあちゃんに。これが日本人の田舎の原点です。覚えておいてください。

 コメントがあったら、大臣、どうぞ。

鹿野国務大臣 非常に大事なことだと思っております。

谷川委員 これも二月二十五日の日経ですが、せっかくマニフェスト選挙が定着し、民主主義の成熟が期待されたのに、肝心のマニフェストが欠陥商品だった、これを作成した民主党の責任は重い、こう書いているんです、念のために。答えは要りません。

 それで、諫干についての質問ですが、実は、私は昭和六十二年に長崎の県議会議員になり、ずっと当選以来、諫干、諫干、諫干。ずっとです。五十五年かけてようやく完成しました。その後、長崎県連の自民党の幹事長になり、議長になったので、人より、皆さん方には理解できないような思い入れがあります、諫干については。まずこれを御理解ください。

 そして、衆議院議員は四百八十人いらっしゃるんですが、予算委員会で実はやりたかったんです。どうしても理解がもらえませんでした。それは長崎のローカルな問題だよというとらえ方しかしてくれないんです。ですが、私は残念でならないのは、これは決してローカルな話じゃありません。皆さん方の近くの公共事業をちょっと頭に描いてください。新幹線であれ、スーパー林道であれ、何であれ、だれの地元にも公共事業はあります。

 法的手続を踏んで、アセスをして、周辺の理解をもらうために二百八十億という補償金を払い、一生懸命苦労して苦労して苦労してでき上がった、国家の威信をかけて。そして、裁判官を、できるなら、三権分立だから、おれはここに呼びたいんだよ、参考人で。これも、もし可能なら次の機会にやらせてください。三権分立だから、おかしい裁判だったら、それを質問していいでしょう。まあとにかく、それはおいておいてね。

 それで、何が悪かったのかなと僕は思うんだけれども、とにかく運悪く、地裁、高裁で負けた。これは負けたんだから。ただし、今からるる述べていきますが、祈るような気持ちで、最後のよりどころに、最高裁に上げていただきたい、こういう思いが地元にはあるんです。理由は後で説明していきます。しかし、総理が自分の一存でそれをけ飛ばして、上げなかった。

 今からずっと言っていきますが、農林大臣も官房長官も、上げるという意見だったでしょう。それを、総理の、要するに環境族というのか、諫干について公共事業の悪玉のターゲットにしたという歴史というのか、その瞬間は総理であることを忘れているんですよ、私に言わせたら。いまだに野党の党首の気持ちだったんでしょう、ばあんとけ飛ばしているんだよね。それを今から説明していきます。

 なぜこんなに怒るかというと、わかっていただきたいのは、これは大事なことですよ。大臣、わかってくださいよ。ちょっとだけ諫早の市民になったつもりになってくださいよ、ちょっとだけ。皆さん、そこにいらっしゃる人たちは。諫干というのは、阿蘇山が何万年か前に噴火した潟が物すごく詰まっているんだ、有明海の底には。それが、日本一の六メーターという干満の差、激流でどおっと本明川のあの川口に持っていくんだよ。たまってくるんだよね、こうして。ふさぐんですよ、水路を。

 だから、地元の人たちは苦労して苦労して、江戸時代から、ずっと昔から、みお筋をつくっているのよ、泥まみれになって。それを、苦労して苦労して、こういう生活は嫌だと。昭和三十二年には大水害で何百人と死にました。そういうのを踏まえて、何とかしてと、苦労して苦労して、五十五年かかってつくったんです、これは。それで、ようやく水害の恐怖から今逃れ出たところなんです。それをあのとおりにつぶした。

 それを前提に話をさせていただきますが、これは、判決があった次の日の、去年の十二月十六日の読売新聞です。

 仙谷官房長官や農水大臣も開門調査は必要と考えたが、常時五年間の開門を求める高裁判決は乱暴だとして、上告に前向きな姿勢だった。にもかかわらず総理が押し切った背景には、上告すれば変節と批判されると、世論を強く意識した側面があると見られる。ただ、総理が決断の前に、関係者と議論を尽くしたり、根回ししたりした形跡はうかがえない。地元の長崎県側にも事前連絡はなく、県幹部は、テレビで初めて知った、ひどい話だと言っていた。西岡参議院議長は、記者発表後に首相から電話を受けたが、開門は認められないと首相に怒りをぶつけた、あけたら何が起こるかわからぬ、かんかんだった。こう言っているんです。

 常時開門には六百億以上の対策費が必要との試算もあり、補償金などとあわせ、予算確保も課題になる。首相の念頭に、具体的な対策が想定されている様子はなく、政府内では、三年後の開門時に菅さんが首相でいる可能性は低いから決められたんだ、こういう見方もささやかれている。こういうふうに言っているんです。

 諫早湾干拓を実施した農林水産省は、上告断念は、漁業被害との因果関係を認めた福岡高裁判決が確定し、同省の事業を国が否定したことを意味する。こういうふうにも書いているんです。

 地元紙には、民主党の検討チームが十五日に発足した。会合の冒頭で、筒井副大臣は、開門調査は判決にかかわらず行い、排水門開放の判決が出た場合には、上告することで官房長官とは合意していた、こう説明した。こう書いているんです。これを頭に入れておいてくださいね、まず。

 そして、これは公明党の遠山委員の質問です。二十三年、ことしの二月三日の予算委員会の質問の議事録ですが、農水大臣は、一月二十三日、諫早にみずから赴かれ、農水大臣御本人としても、上訴するよう総理にお願いしたが、総理の決断で上訴を断念した、なぜ、これだけ地元が反対するのに、農水大臣も反対するのに、この判決を確定する上訴を断念したのかという質問に対し、ノリの被害とかいろいろな漁業被害が出ている、こう言っているんです。

 ノリの被害は出ましたけれども、その後、何年か後に大豊作だったんですよ。もし諫干が関係あるんだったら、ずっと不作なんだよ、本当は。そういうふうに事実を全く把握していないんだよ、この人は。だから、私は残念でなりません。いかがですか、ここまでで。私たちの残念だという気持ちを含めて、大臣、もうちょっと頑張ればよかったなと思いませんか。

鹿野国務大臣 今、諫早湾に長い間取り組んでこられた谷川先生の思いをお聞かせいただきました。

 そういう中で、昨年の十二月の六日、お話のとおりに、福岡高裁判決が出されたわけでありまして、この判決を重く受けとめられて、総理の判断で上告を行わないということが決定されたわけでございます。

 いろいろと、お話のとおりに、この間、政府内でも協議が行われたわけでありまして、農林水産省といたしましては、判決の主文の内容というふうなものが不明確だということもございまして、防災なり営農なり漁業への影響というものが懸念されるという問題点があるのではないか、こういうようなことから、上告をした上で、原告側及び関係者の間で和解による解決を求めていったらどうか、このような方針というふうなものが望ましいということを総理にも御説明をいたしたところでございました。

 総理自身も、今申し上げたような問題があることを十分に理解をしてもらった上で、開門によりまして地元の方々に不利益を強いることがないよう対策をしっかりととるということを前提として、菅内閣として上告をしない、こういうような総合的な判断に立ったものと思っておるところでございます。

谷川委員 では、個別にお尋ねしますが、福岡高裁の判決には問題点があります。

 一月三日の日経新聞に、「三度目の奇跡」という記事がありました。七十年前の日米開戦前夜に、日本と英米の経済力は一対二〇という正確な日本の国力を予想し、持久戦には耐えられないという報告書を陸軍首脳は黙殺しました。その報告は葬り去られ、戦争になり、悲惨な結果になったんです。詳細な分析も行わず、現実も直視しない判断がどんなに悲惨な結果をもたらすか、歴史が証明しているわけですね。

 今回の諫干工事差しとめ等請求事件の福岡高裁の判決は、諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門を五年間開放することを国に命じています。

 この判決には多くの問題があるので、以下述べます。

 防災について、潮受け堤防締め切り後は、調整池をマイナス一メートルの水位で管理するので、海水の遡上がなくなり、潟土の堆積がなく、常時排水は大幅に改善されているんです、されているんです。それで、高潮被害もなく、湛水被害も大幅に改善され、地域の人たちは安心な生活を送っているんですが、その防災機能は十分発揮されているのにかかわらず、この判決は、潮受け堤防の防災機能は限定的と言っているんです、限定的と言っている。

 整備途中の本明川の平成十七年の整備状況を見て、常時排水の改善を防災機能として評価するのは困難だと言っているんです。完成していないんだから、まだ。途中を見て困難だと言っているんです。

 それから、気象予報は八十三回のうち二十五回しか当たっていないというデータがあるのに、相当程度実績と符合する予報と判断し、その予報をもって、必要なときには閉めればいいじゃないか、こう言っているんですね。当たっていない天気予報をもとに、前もって閉められる、こう言っているんです。

 また、営農については、代替水源確保の具体策はないんです、ないんですよ。行って調べて、ここにあると教えてください、あるんだったら。にもかかわらず、かんがい用水確保のための潮受け堤防締め切りが必要不可欠とは言えないと判決では言っている。塩害、潮風害の危険性は認めないとか、事実を無視した判断がされているんです、この判決は。

 漁業についても、短期開門調査時に漁業被害があったのに、排水門の常時開放によって漁業被害が発生する具体的危険性は認められないと言っているんです。参考人として呼ばれないかな、この裁判官は。ここも非常に重大ですよ、事業開始前に漁業補償を補償契約に基づいて行っているにもかかわらず、原告には物権的請求権をあると言っているんですよ、この判決は。

 言い出せば切りがありません。数多くの問題点を含む判決であります。知っているのかな、総理は。知らぬのでしょうよ、恐らく。勘でやったんでしょう、菅だから。

 このように問題がある判決について、農林水産大臣はどのようにお考えなんですか、判決について。

鹿野国務大臣 いろいろ先生から今お話があったわけでありますけれども、基本的に、重ねて申し上げますけれども、高裁判決を重く受けとめた、こういうふうなことが一つの判断であった、このように受けとめをいたしておるわけでありますが、その際に、防災上、また営農上、漁業者の方々に対する影響というふうなもの、これはしっかりと対応策をしていかなきゃならない。こういうことについて非常に重要な課題である。こういうふうなことが総理自身にも十分わかっていただいた上での総理の判断であった。

 こういうようなことで、開門により、地元の方々に不利益を強いることがないように万全の措置を講ずるというふうなことが、当然総理からも指示があるわけでございますので、そのことを前提として上告を断念した、上告を行わなかった、こんな受けとめ方を私どもはしておるところでございます。

谷川委員 特に副大臣は、大臣ももちろんですが、全部わかっていると僕は思っているんです。私と全く同じ世界の人ですよ、考え方は。顔を見てわかりますよ、僕は。ただ、立場が違う。座っている場所が違うから、けんかしなきゃしようがないんです。同類ではあっても、僕は、きょうは激しく言わざるを得ません。わかってください、立場が違うんです。わかった上で言っているので、たちが悪いんですよ。相手の気持ちはよくわかっているんですから、僕は。

 しかし、菅さんという人は変わっているよ、本当に。それは、野党のときは何を言ってもいいんですよ。しかし、船長としていすに座ったからには、天下万民のためにやるべきなんですよ。切りかえるべきなんですよ、頭の中は。それを、切りかわっていない。この判決の瞬間は環境族の頭首になったんだよ。そうとしか思えません。

 もっと詳しく言わせていただきますと、まず三つあるんです。

 防災上、あけたら、何と言おうが防災の効果を発揮できないんです。なぜなら、堤防を締め切っているからね。マイナス一メーターなんだよ。どんどんどんどん雨が降ったときに、これが一メーターで、こう受けるんだから。それがなくなって、何で防災の機能が発揮できるんですか。

 何を質問しても、こんなふうに言っているんだよ。もうあきれるんだよ。総理は、原稿は自分で書いていませんけれどもね。開門に伴い防災上の悪影響が生じないよう、どんなにしたらできるんだよ、あんなことが。開門の方法、時期、期間について関係者と話し合いを行うとともに、必要な対策を講じていく考えでと、こう言っているんですよ。全部ですよ、全部の答弁に。読んでください、そこに配っていますから。全部、二十三項目の地元の質問に対して、総理はほとんどこれで答えているんだよ、答えは。あなたはきれいですね、目が、あなたはきれいですね、目がと、朝から晩までずっと言われてうれしいですか、言われた方は。変わっていますよ、この人は。おつき合いするのは大変ですよね、皆さんも。

 怒っても一緒だから、質問していきます。

 まず三つある。

 防災上どうにもならぬということと、水が塩水に変わって営農できないということと変わりはないんですよ。ということと、一番、皆さん方、だれも理解してくれないんだけれども、江戸時代から営々とさっき言ったような干拓を繰り返してきたので、ちっちゃな樋門をつくり、ちっちゃな樋門をつくりしてきたので、満潮時よりマイナス一メーターの田畑が二千七百ヘクタールあるんですよ、あるんです。これが、ここに潮受け堤防ができたために、長年かかって塩分が抜けて立派な畑になっている、二千七百ですよ。新しい土地は六百七十かな、二千七百。

 それが、またあけたら塩水がだあっと来て、またもとに戻る。恐らく皆さんも、そのことが全然わかっておらぬと思いますよ。わかっておらぬと思いますよ。そうしたら、ここに田んぼを持っている人は、よし、今から、稲だけじゃなくて野菜もできる、果物もできると喜んでここでつくっておったんだから、ニンジンとか野菜も含めて。それがまた稲しかできなくなるんですよ、これをあけることによって。それもわかっておらぬと思いますよ、僕は。

 そういうことと、水がどこを探してもないんだって、本当に。

 例えばこんなふうに言っているんだよ。浄化槽の、一日に六千立米の浄化した水を使えと言うけれども、浄化水でつくったタマネギやニンジンをだれが買いますか。今、ブランドというのは、有機野菜だよ、水がきれいだよ、こんなにして売っているんだよ。それを、うんこを処理した水でつくったんだと言って、だれが買うんですか。仮に買うとします。民主党の先生方が優しいから買ってくれるとします。ところが、使えないんですよ。上限が一ppmとなっているんだけれども、この水は八ppmぐらいあるから使えないんだよ。そんなのを使えと言っているんだから。

 いかがですか。副大臣に今度は聞こうかな、大臣ばかりしないで。わかっているから、交代交代やってくださいよ。どうせわかっている人に私はあえて質問しているんですから。どうするんですか。できると言うけれども、できないんですよ。防災も水もない。それから、こっちの旧干拓地の土地も使えない。これをどうしてやると言うんですか。

筒井副大臣 今の先生の言われること、多くがというかほとんどが理解できる御主張だというふうに思っております。

 そして、この判決は、防災上やむを得ない場合を除いて三年以内に五年間開門せよというのが主文でございまして、国が直接拘束されるのはその部分でございます。その部分だけでございます。それ以外の判決の理由中に示されたことに法的に拘束されるわけではない。

 ただ、その拘束される主文中のものでも、防災上やむを得ない場合というのは具体的にはどういう場合なのか。これを厳密に考えていけば、いろいろな考え方があるわけでございますし、五年間開門といっても、開門の方法もまたいろいろなやり方があるわけでございます。

 今、環境アセスをやっているところでございますが、そこで、先生御存じのとおり、三ケースで今調査をやっているわけでございまして、全面開門、段階的開門、そして一部開門、これらの場合にどういうふうな影響を与えることになるのか。その開門のやり方、開門の程度、それと防災、営農対策、漁業対策は相関関係にあるわけでございまして、それに対してどういうふうにやっていくかということが厳密に確定をしなければいけないわけでございます。

 そして、今の先生の水の問題について申し上げる前に、もう先生もこの点は十分御存じだと思いますが、農水省も今、環境アセスの素案が五月に出るから、その素案が出てから具体的な開門の時期、方法、事前対策の中身、これらを確定していきたいというふうに考えているわけでございます。

 その環境アセスの素案が出る前に、そういう中身を具体的に出せという要求を農水省は受けているわけでございますが、しかし、それはできない。科学的知見に基づいたその調査の結果に基づいて、開門の方法、対策等を打ち出していくんだという形、そういう姿勢をはっきりしているわけでございます。だから、それまでは具体的な対策の中身とかそういうものを申し上げることは差し控えたいと思っております。

 しかし、水の問題に関しましては、営農上の問題としても極めて重要な問題でございまして、もうこれも先生御存じのとおり、別の水源を探す。河川水を探す、それから、先生も先ほど言われました汚水処理水を浄化して使う、あるいは地下水を使う、今までもそれらのことが検討されているわけでございますが、いずれも、これも先生おっしゃるとおり、非常に難しさを伴っている。

 今挙げた三つの水源以外に、水以外に他の方法がないのか、他の方法があるとして、それがどのような形をやれば可能なのか、これも含めて検討をしていかなければいけないというふうに考えております。

谷川委員 冷静にやろうと思ったんですが、立ったらやはりかっかしまして、頭が、整理がつかなくなって困っているんですが。

 一番考えていただきたいのは、福岡高裁の矛盾点なんですよ、矛盾点。何で、何回も言いますが、潮受け堤防は洪水や高潮などの防止に一定の役割を果たして、ここのところは何なのかなと思うんだよね、僕は。

 要するに、農水省が、菅首相の顔色を見て、まともに裁判で自分たちの主張をしなかったのか、もしかしたら。裁判記録をずっと読んでみてくださいよ。あける必要はないんだという、ああいう結果にならぬような反論は余りしていないじゃないですか。

 副大臣、この辺にコメントはありませんか。農水省はサボったのかな、裁判のときに。

筒井副大臣 この潮受け堤防自体を農水省が主体となって建設したわけでございますから、その必要性についての主張に今の点は絡むわけでございまして、農水省は一生懸命その立証のために努力したというふうに思っておりますし、直接は法務省の訟務検事が裁判所に出ていってやるわけでございますが、そういう場所で主張すべきものはきちんと主張した、そういうふうに考えております。

谷川委員 それでは、もうちょっと具体的に、抽象論だけで終わってはかないませんので、具体的に話を聞きます。

 例えば、小潮のときに一週間近く排水できない場合があるんですよ。正確な週間予報が期待できない中でどうして防災機能が確保できるのか、具体的な排水門の管理方法を示してくださいという御質問を総理にしたときに、どんなお答えだか御存じと思いますが、開門に伴い防災上の悪影響が生じないよう、開門の方法、時期、期間について関係者と話し合うとともに、必要となる対策を。全く一緒なんですよ、さっきと。こればかり答えるんですよ、何を質問しても。

 大臣、副大臣は普通の人ですから、前大臣の山田先生も弁護士ですから、知恵をかりて、この変わった人を何とか説得する方法というのはなかったんですか。変わっていますよ、何を聞いてもこの答えだからね。幾ら人に書かせたにしても、自分の回答書を出すときには読んではいるでしょう。どう思いますか。全部これですよ、答えは。そのことについて。

筒井副大臣 それは先生のおっしゃるとおりでございますが、ただ、やむを得ない点もありまして、それを具体的に、小潮の場合、大潮の場合、それぞれの状況がどうなるのかを言うためには、開門の方法、程度、これに影響されるわけでございまして、今三ケースで検討しておりますから、それぞれについてどういう開門の方法をするのか、これに影響されるわけでございます。

 同時に、そのことは、事前対策をどの程度どういうふうにとらなきゃいかぬかにも影響するわけでございますから、環境アセスの素案の結果が出てからだという点は、首相に限らず、農水省の方としても、その前は具体的にはなかなか御説明をすることができないというふうに考えておりまして、原告弁護団の皆さんからの強い要求もあるんですが、その場合もそういうふうにお答えをしているところでございます。

谷川委員 副大臣は環境のアセスばかり言っていますが、それなら、環境アセスの結果が出るまで上告して様子を見るという手は、普通の人の考える手ですよ。確定してしまっては重いですよ、選択が狭まるんだから。

 それなら、そういう一歩前に、何で決断する前に地元と話し合ってくれなかったんですか。ここがポイントですよ。地方分権、地方分権と言って、あれは選挙の票をもらうために言っているんですか。本当は地元なんかの人の意見を聞く気はさらさらないんですか、民主党というのは。何で寄ってたかって総理を説得してくれなかったんですか。だって、織田信長の家老は腹を切りましたよ、平手政秀は。諫死というのもありましたよ、昔は。死にまでせぬでいいんですから、何でもうちょっと努力してくれなかったんですか。

鹿野国務大臣 今、どうして前もって話がなかったか、こういうことでございます。この点につきましては、私も一月二十三日、長崎県に参りまして、知事初め議会、議長、関係者の方々と二時間以上にわたりまして意見交換をさせていただいた際に、私ども、前もって何の話もしなかったということについてはまことに申しわけございませんでしたと心からの陳謝をさせていただいた次第であります。

谷川委員 それでは、時間も迫ってきたので、判決全体について。

 開門による漁業被害解消の可能性について、判決では、開門により漁業被害が解消されるかについて定量的かつ科学的に全く証明されていない、国は開門すれば漁業被害が解消するかどうかについて、どう考えておられるのか、科学的根拠について、具体的に示していただきたい、開門が新たな被害を地域にもたらすことは確定的であるにもかかわらず、国は漁業被害が解消されるか否か定かでない開門をあえて行う必要があると考えるのか、考えを示していただきたいというふうに総理に質問した。書いていますから読んでくださいね、そこに配っていますから。

 回答書は、開門は、諫早湾及び有明海の環境に対して、負の影響を与える可能性がある一方、海水と調整池の水が混合することなどにより漁場環境が改善する可能性があると考えられます、開門による漁業への影響について、現在実施している環境アセスにおいて検討しているところです、これだけ答えているんです、これだけ。

 漁業被害が解消するかどうかについて、科学的根拠に基づいて具体的に示すよう尋ねているのに、これじゃ回答になっていないでしょう。日本語がわからないのかな、もしかしたら。

 それで、アセスで検討すると答えている人が、開門による負の影響と改善する可能性の正の効果を比較考量すらせず、開門のみ決めたのか。これらについて具体的な科学的根拠があるのか具体的に示してくれ、こう言っている。示してくれませんか。

鹿野国務大臣 先生からの御指摘の点につきましては、筒井副大臣から答弁をいたしましたとおりに、いわゆる開門する際に三つの方法、そういうふうなことが検討されるわけでありますけれども、防災上、また営農上、そして漁業に対してどういう影響を与えるかというようなところをやはりしっかりと把握しながら対処していかなきゃならない。そういうことから、環境アセスの素案というふうなものの中で一つ具体的な形で御提案をさせていただく、こういうようなことになるものと思っているところでございます。

谷川委員 では、環境アセスについてお尋ねします。

 仮に、環境アセスの結果、常時開門が適当でないとなった場合、国はどうするのかというふうに質問しているのに、回答書では、開門に当たっては、環境アセスの結果を踏まえて、また同じですよ、防災、営農、漁業への影響に十分配慮し、開門の方法、時期、期間について関係者と話し合いを行うとともに、ここでよく関係者と話し合うんですよ、この人は。政府と一体となって万全の対策を講じることにより、長崎県関係者の理解と協力が得られるよう、誠意を持って取り組んでいく、こう答えるんです。

 開門の是非を検討する本来の環境アセスの性格からすれば、環境アセスの結果、常時開門が適当でないとなる場合も想定されるんです。その場合の国の対応を質問しているのに、総理はこれに回答していません。総理は、環境アセスの結果、常時開門が適当でないとなる場合は想定していないのか、最初から結果ありきの環境アセスを考えているのか、答えていないんです。かわりに大臣が答えてくれませんか。何かコメントはありませんか。

鹿野国務大臣 重ねてのということになるかもしれませんけれども、現在、環境アセスにおきまして、開門の方法として三つのケースを選定いたしまして、それぞれの方法ごとに影響の予測、評価というふうな対策を検討しているところでございます。

 そして、この環境アセスメントを踏まえて、調整池周辺低平地の排水や既設堤防等に防災上の悪影響が生じないよう、また、開門の方法、時期、期間について関係者と話し合いを行うことによりまして、調整池周辺低平地の排水ポンプの設置、既設堤防の改修等の対策を講じていくというような考え方に立っているところでございます。

 いずれにいたしましても、本年の五月にこの結果素案を取りまとめた段階におきまして、長崎県関係者とも十分説明をさせていただきながら進めていかなきゃならないことだと思っておるところでございます。

谷川委員 なかなか納得できないんですが、具体的検討や方策を持たないまま開門を判断したと私は思っているんです、総理が何と答えようが。いろいろな新聞記事を見たり、いろいろなデータを集めて、ああ、この人は実態を何も把握しないで、ただ自分の主義主張のためにやったんだとしか。上告しないということを僕は言っているんです、ずっと。なぜ上に上げなかったのかと。

 例えば、この病院に行ってあなたはがんだから死ぬよと言われたら、ここに行ったら助かると思うじゃないですか、もしかしたら。思いませんか。ここに行ったら助かるかもしれぬと思うじゃないですか。一緒ですよ。地裁で負けた、高裁に上げたい。高裁で負けた、上げて上げて上げて。関係者は祈りをするんですよ。それが、全く何の調査もしないで、自分の主義主張だけでぼんとやられたら、地元は泣くに泣けないんですよ。そこのところをよくわかってくれぬといかぬですよ、理屈を言う前に。

 ですから、そこのところを踏まえて僕は言っているんですが、福岡高裁の判決では、諫早湾及びその近傍以外の海域においては、本件潮受け堤防の締め切り等による潮流速の有意な減少を認めることはできず、成層度の強化や底層の貧酸素の促進は認めるに至らない、こう言っているんです。以上の次第であるから、本件事業と環境変化との関係を高度の蓋然性を持って認めることはできないとしておるんです、判決は。

 それなのに、諫早湾干拓事業の潮受け堤防締め切りと諫早湾湾口、近傍以外漁業被害との因果関係は認められないと言っているのに、総理は、県の質問状に対する回答では、諫早湾及び有明海における漁獲量の減少要因としては、過剰な漁獲圧、温暖化による海水温の上昇、ナルトビエイの食害の増加等複数の要因があると指摘されているものの、いまだ科学的、客観的に十分な解明がされていない、要するに、原因は不明と回答されているんです。

 それを、この間の二月三日の衆議院予算委員会において、遠山議員の質問に対して、何度も現地に足を運び、その間、長崎に限らず、福岡、佐賀、いろいろな方々から、ノリの被害など、ここも全然違う、ノリは諫干とは関係ないんだよ。わかってください。調べてください。諫干ができた後、ノリは史上空前の豊作になっているんだから、関係ないでしょう。それを総理は、予算委員会の答弁でノリの被害があると言っている。

 全然実態を知らないんですよ。どうですか、総理に徹底して教えてみるつもりはありませんか。

鹿野国務大臣 総理自身が長い間この諫早湾問題にも取り組んできたということは、先生御承知のとおりであります。そういうようなことも踏まえて、高裁判決を重く受けとめたというふうなことから判断がなされたわけでございますけれども、総理自身も、基本的に、この開門等をどういう方法でやっていくかということでございますけれども、いろいろな方法があったとしても、この開門によって、防災上、営農上あるいはまた漁業というふうな方々に対してやはり影響があるとするならば、万全の策を講じてやっていかなきゃならない、このことは非常に大事なことだ、こういうふうな考え方に立っておるということだけは御理解をいただきたいと思います。

谷川委員 私が去年四月二十二日に当時の大臣に質問したときに、赤松大臣は、科学的なデータやきちっとした調査に基づいて、きちっと結論を出していくのが、政治家、大臣としての私の使命であり役割である、地元の意見を無視して強行してなんということはやらない、地元の皆さんの了解をとらなければあけるなんということはやらないと明確に答弁しております。

 にもかかわらず、総理は、同じ政権の所管大臣の答弁を独断で覆し、環境アセスによる科学的、客観的検証の結果も出ないまま、地元の了解もとらずやっているんですよ、何と答弁しようが。

 だから、カバーする気持ちはよくわかります。何回でもカバーしてください、議事録を持って僕は選挙区を回るんだから。どんどん総理をカバーしてくださいよ。しかし、つじつまが合わぬことはそっちの失政になるよ、つじつまが合わぬ答弁をしたら。やはりかばい切れない部分があるんじゃないですか。思いませんか、副大臣。この総理はかばい切れぬわと思いませんか。

鹿野国務大臣 赤松大臣等々のときにおける大臣の発言等々、また、そういうふうなことは本当に重く受けとめなければならないところでございまして、それだけに、前もって長崎県関係者の方々に何ら具体的な形でお知らせをすることなく判断をしてしまったということに対しては、重ねて申し上げますけれども、私は心から申しわけなく思っておりますということを陳謝しておるところでございます。

谷川委員 西岡議長が、文芸春秋二月号で、今までいろいろ言っているんです。それを踏まえてですが、今までの大臣の答弁をお聞きするにつれて、十分な検討をされるはずであるにもかかわらず、総理が福岡高裁の判決に対して、内容を詳細に分析することなく、理解もしないで上訴の放棄を判断したとしか私には考えられません、何と言われても。質問状に対する回答においても、具体的な回答は全くありません。くどいですけれども、皆さん、必ず読んでくださいね。

 同じ民主党の重鎮である西岡議長が文芸春秋において、総理はスタンドプレーありきの思いつきと言われているんです。ここに持ってきて読みたいぐらいです。いろいろなことを言っています。皆さん、手に入れて読んでください。

 一番ここで皆さんに考えていただきたいのは、こうして防災機能をしている、そして塩分が上に上がってくるのを阻止している、これをあけてこうしたら全部ぐちゃぐちゃになってしまう。これをもとに直す方法はない。副大臣は、なかったらあけぬと言っていますけれども、本当にあけないんですか。我々は今から一生懸命かかって証明すればいいんですね。五年間あけたら防災機能を維持する方法はないと証明すればいいんですね。

筒井副大臣 先ほど申し上げましたように、環境アセスばかり言っていると言われましたが、これは長崎県側の意見でもあるというふうに私は理解をしております。今、科学的知見に基づく調査というのはこの環境アセスしかありませんから、それを見た上でなくて、その前に、それがない段階で具体的な開門の方法や対策を決めたとすれば、それは長崎県側からもより批判されるんではないですか。

 だから、そう言って……(谷川委員「だから上に上げろよと言ったよね」と呼ぶ)いや、まずそれが前提で、その上で、今の環境アセスの三つのケースの場合にどういうふうになるのか。一部開門を含めてでございますから、その場合には、全体の中で必ず対策はあるし、対策ができるものというふうに今のところ考えているところでございます。

谷川委員 時間がもうないので、最後に、地元の声をお届けします。

 諫早市長がこう言ってくれと言っているんですが、常時開門により、潟土が堆積し、かつての洪水被害や排水不良が予想され、調整池水位をマイナス一メートルで管理できず、防災機能に大きな影響が生じ、地域住民の生活に重大な影響を及ぼすため、地元は非常に不安です。海水導入により広大な調整池が農業用水に使えず、代替水源も何一つ具体的に示されず、干拓地の膨大な農業用水を確保できる新たな水源はありません。また、干拓地及び背後地で塩害や潮風害が再び発生するおそれがあります。二百五十メートルの二カ所の排水門から海水が出入りし、排水門周辺で速い潮流が生じ、潟土を巻き上げ、諫早湾外まで濁りが拡散し、魚介類や海藻類への深刻な被害が予想され、調整池の淡水系の生態系なども破壊されます。こう言っています。

 雲仙市長は、これまでに長年、たび重なる排水不良や高潮により、住宅、農地は被害を受けてきており、諫早湾干拓事業が半世紀にもわたり紆余曲折を経てやっと完成し、防災、農業生産向上と、地域住民の悲願がかないました。今回の国の対応は、これまでの国の一貫した政策を否定するものであり、雲仙市民の合意は得られるものではなく、とても容認できません。こういうふうに言っているんです。

 どんなふうに答えたらいいか、ちょっとだけでも、大臣、教えてください。帰ってから私はこの人たちにどんなふうに言ったらいいか、教えてください。

鹿野国務大臣 諫早の皆様方のお声というものは、お考えというものは、重ねて申し上げますけれども、私も直接お聞かせいただいておるわけでございまして、それだけに、開門というふうなことになった場合に、方法はいろいろありますけれども、営農上も防災上も、漁業者の方々にも影響がないように、不利益を強いることがないような形であらゆる努力をしていかなきゃならない、こう思っておるところでございます。

谷川委員 もう時間がないので、また党内でお願いして、次の機会にもう一遍整理して、再度、僕は諫干については質問させていただきます。

 最後に、TPPについてですが、全く諫干と一緒、諫干と一緒ですよ。何かというと、平成の開国をやるんだと。開国をやるんだということは、鎖国をしているということなんですよね。

 ところが、農産物の関税は日本は物すごい低いんです、一一・七。韓国は六二・二でしょう。FTAで我々が目標としている韓国は六二・二で、うちが一一・七。どこが鎖国をしているんですか。

 だから、この人は情緒的に、感覚的に、自分の都合のいいように考える癖があるんですよ。これは強く強く僕はお願いしておきますよ。もうちょっと科学的知見に基づいて、統計学的に物事は考えていただきたい。

 問題とするなら、七七八の米でしょう、三八・五の牛肉でしょう。これをゼロにしたらつぶれますよ。そこを頭に入れながら、つぶれない、こう言うんです。周辺の環境整備と言っていますが、具体的には、担い手をつくるんだ、規模拡大するんだ、流通を整備するんだと、実現会議で言っているけれども、それ以上のことは我々には全然流れてこない。こういうところでぽんとTPPを構えなしにやったら、農業がつぶれ、私のふるさとの壱岐、対馬、五島列島は無人島になりますから。

 何かコメントがあったらどうぞ。

鹿野国務大臣 谷川先生のTPPに対する基本的な考え方というふうなものは、これから総理自身が、六月をめどにいたしまして交渉参加をするかどうか判断していくということを言われているわけでありますけれども、そういう中で、いろいろ国会における議論、あるいはまた、これから情報をできるだけ共有する中で国民の人たちにも提供して、どのようなお考えに立っているかというふうなことを総合的に判断していかなければならないと思っているところでございます。

谷川委員 最後に要望して終わりますが、次の機会に、諫干については、きょうの答弁をもう一遍よく読んで、そして、さらに関係者と話し合った上で、もう一回冷静に沈着にやらせていただくことをお願いします。

 終わります。

山田委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 お時間をいただきましたので質問をいたします。

 まず、冒頭、きょうのお昼前に三陸沖で震度五弱の地震があった、そういうことで津波も起きているようでありますが、現在、この農林水産、特に水産被害について何かつかんでいることがありましたら御報告をお願いします。

鹿野国務大臣 今先生から御指摘の地震に対する被害等々につきまして、私どもとしましては、できるだけ早く被害状況を把握いたしまして、そして、その上で適切に対処していかなきゃならないと私も思っているところでございます。

石田(祝)委員 被害がないことを祈りますけれども、この地域は、チリ沖の地震、その後の津波等でもいろいろ大きな被害も受けている地域でありますので、万全の対策をぜひお願い申し上げたいと思います。

 それでは、大臣の所信そのほか農林水産政策等につきまして質問をいたします。

 まず、大臣、通常国会の所信というのは、総理大臣がやる場合は施政方針演説と、一年に一回しか使わない言葉を使いますので、今回、この農林水産大臣の所信も、総理に引き比べるとこれは一種の施政方針だというふうに私は、通常の所信よりも大きなウエートがあるのではないか、こういうふうに思っております。

 その中で、TPPについてまずお聞きしたいんですが、この中でTPPについて一言も触れられておりません。これは、六月に政府で方針をまとめるとか、いろいろなお話がありますね、参加するかしないか決めるとか。今、開国フォーラムもやっているわけですが。

 これは、なぜ大臣、こういう大きな問題について、所信について一言もお触れになっていないのか、もうやらないということを言外ににおわせているのか、そこのあたり、大臣のどういうお考えかお聞かせいただきたいと思います。

鹿野国務大臣 今先生から、TPPについて所信でどうして触れなかったかということでございますけれども、TPP協定につきましては、御承知のとおりに、今我が国といたしまして情報収集している、こういうふうなことでございます。そして、国内の環境整備を進めていく、どうするかというようなことの判断の材料として関係国とも協議を進めているわけであります。

 したがいまして、TPPにつきまして言及というものをあえて除外したということでなしに、TPPにつきましては、情報収集段階であるというふうなことから、改めて判断されるというふうなことでございますので、その点も含めて、明示的に触れなかった、こういうようなことでございます。

石田(祝)委員 ですけれども、大臣、所信が、一月、通常国会が始まってやりますよね。その後大臣がいわゆる所信という形で述べる機会というのは普通は秋の臨時国会ですよね。それまではないわけですね。ですから、そこに一言も触れていない、TもPも言葉が全然ないというのは、これはいかにも不自然だと私は思いますが、再度御答弁をお願いします。

鹿野国務大臣 今申し上げましたとおりに、TPP協定に対してどう対応するかということにつきましてはこれからの判断、こういうことでありまして、その点も含めて、私自身としては、これからの判断というようなことを踏まえて、明示的に触れることをしなかったということでございます。

石田(祝)委員 ますますもってわかりませんね。大きな課題になっているわけですから、別に参加をするとかそういうことは書くということは必要ないと私は思いますが、大きな議論になっているからしっかり検討をするだとか、いろいろ書き方はあると思いますけれども、一切触れられていないのは、私はいささか、何かほかに目的があってお触れにならなかったのかなと。にわかに大臣のおっしゃることそのままには受けとめられませんが、きょうは大臣が途中でいなくなるので、ほかのことでもちょっと大臣にお聞きしたいことがありますので、またの機会にお伺いをいたしたいというふうに思います。

 この問題で、開国フォーラムということを、先月の、二月のたしか二十六日ですか、第一回をやられたようにお伺いをいたしておりますが、これについて、きょうは平野副大臣にも来ていただいております。これは、平野副大臣、何カ所か御担当になっているようでありますが、担当大臣とは、どういう形で人選をなさっているか。偏っているようにも思いますが、平野副大臣、どうでしょうか。

平野副大臣 今御紹介ございましたように、「開国フォーラム〜平成の開国と私たちの暮らし」と題しておりますけれども、このフォーラムを二月二十六日から行っております。

 今お尋ねの件は、人選をどうやってやっているかというお尋ねであったと思います。出席メンバーにつきましては、包括的経済連携の推進を担当する玄葉国家戦略担当大臣、そして私、平野が、副大臣でございますけれども、中心に行っておりまして、外務省、財務省、農水省、経産省の四省庁に対しまして、副大臣を中心に政務三役の出席を要請し、関係者の日程等を勘案しつつ決定しているところでございます。ちなみに、さいたま市では五十嵐財務副大臣、また金沢では海江田経産大臣に参加をいただいております。

 まだ調整中の部分もございますけれども、今後の会合においても、外務省、財務省、農水省、経産省の政務三役の出席を予定しているところでございます。

石田(祝)委員 これは、開国フォーラム、鹿野大臣に政府側の担当者として出席要請がありましたか。

鹿野国務大臣 この開国フォーラムにつきましては、副大臣等々で話し合って、副大臣が対応する、こういうふうなことを聞いておるところでございます。

石田(祝)委員 ということは、鹿野大臣には要請がなかった、こういうことですね。

 それで、私が当初いただいた、予定のペーパーでは農林水産省関係がだれ一人入っておりませんでしたが、途中で、いや、篠原副大臣も加わることになっています、こういう追加のお話もございましたが、もともとにはそういう予定がどうも入っていなかったんではないのか。

 今いろいろと、TPPについては、二十四分野のことで話し合いをすると。しかし、日本においてはやはりどうしても農業の問題が大きな中心になってきておりますので、私は、当然鹿野大臣等にもお話があってしかるべきではなかったのかな、こういうふうには正直思います。

 大臣には、今お聞きしたとおり特になかった、副大臣でということであった、これが開国フォーラムの姿勢かな、こういうふうにも私は思います。

 それで、このTPPについて、前にもお聞きをしましたけれども、農林水産省としては、試算を出されて、一三%の自給率になるんだ、こういうお話でしたが、ここのところの問題と、昨年三月の食料・農業・農村基本計画の五〇%との乖離、ここのところは両方とも追求するんだというお話がよくなされておりますけれども、一三%は、何もしなきゃそうなんだ、しかしこれからいろいろな手を打っていくんだ、こういうお話で御答弁がたびたびありますけれども、現実的にそういうことが可能なのかどうか。これは大臣に、自給率の向上の実現性とTPPの問題について大臣はどういうふうにお考えになっているか、御答弁をお願いします。

鹿野国務大臣 昨年の三月の農業基本計画の中で自給率の向上というふうなものも盛り込んでおる。一方、今回、TPPというふうなものに参加するということになった場合に、いわゆる国境措置をすべて全廃して、何らの対策も講じない、こういうふうなことを前提とした場合にということから、自給率が一三%まで下がってしまうというようなこと等々試算を出しておるわけであります。

 そういうことを考えたときに、基本的に、今後、TPPにつきましてはこれからの判断ということでありますけれども、いずれにしても、十一月に閣議決定した経済連携というふうなものは推進をする、こういうふうなことになっておるわけでございますので、どのような形で両立を図っていくかということは総合的に勘案しながら検討していかなきゃならないと思っているわけでございます。

 一つは、やはり農業者に対するところのセーフティーネットというふうなもの、あるいはまた土地利用型の農業の体質強化を図っていくということ、また、昨年この農林水産委員会で成立をしていただきました、可決をしていただきました、農山漁村のいわゆる六次産業化をどう進めていくか、あるいは輸出の市場拡大をどうやっていくか、このような考え方というふうなものを念頭に置きながら、やはり財源の議論も含めて、これから食と農林水産業の再生実現会議におきましても具体的な検討を進めていかなきゃならないと思っているところでございます。

石田(祝)委員 今、二点大きな柱があると。一つは、国境措置がなくなった、ゼロになったということと、何もしなかったらということだと。

 しかし、このTPPというのは、当然国境措置をなくすというのが大前提の話ですよね。ですから、これは、なくなったらこうなるという仮定の話じゃなくて、そういうことを目的にしている協定ですから、それをどうこうできる話じゃないと私は思うんですね。

 もう一つは、対策をとるというふうにおっしゃいましたけれども、今大臣がいろいろおっしゃったその中で、自給率の向上につながるのは輸出だけじゃないんですか。いかがですか。ほかにいろいろなことをおっしゃいましたけれども、これが自給率の向上につながる政策なんですか。確かに、個々の農家の方々、また漁業の方、林業の方、いろいろな形で戸別所得補償をやろうとなさっておりますけれども、それは生活の安定だとかいうものにはつながるかもしれませんけれども、それがどういうふうに自給率の向上につながるんですか。私が聞いているところは、今言われた具体的な話で、輸出だけですよ、自給率の向上につながるのは。

 どういうふうなことでその一三と五〇の間を埋めるんですかということを私は何度も今までもお聞きしていますけれども、具体的な話は一向に出てまいりません。現実的にそういうことができるのかどうか。大臣、いま一度、これなら自給率の向上につながる政策だと、一つ二つおっしゃってください。

鹿野国務大臣 戸別所得補償制度というものを、このたび、二十三年度におきまして、麦、大豆等々に対象を拡大する、こういうふうなことで、このことによって自給率を高めていくというようなこと等々はこの中にも含まれているわけであります。

 そういう意味におきまして、今後我が国の自給率というふうなものを高めていくためにはどうしても国内対策というものが必要不可欠であるわけでございますので、経済連携というふうなものを進める中でどうそういう対処をしていくかということは、これはしっかりと取り組んでいかなきゃならない、こう思っているところでございます。

石田(祝)委員 大臣の御答弁を聞いて、やはりちょっと具体性がないなと。その間を埋めようというお気持ちはよくわかりますけれども、これはなかなか、やはりもともと難しい話じゃないのか、そういう率直な実感を私は持ちました。

 TPPについては、何となく、盛り上がっていた機運が急速に今しぼんでいっているような気もしますので、そういうこともあって余り大臣が所信でも触れなかったのかな、こういう気も私はしております。

 この問題につきましてはまた別の機会にもやらせていただきたいと思いますので、平野副大臣は結構でございます。

 では、続きまして、大臣に聞かなきゃいけないことがあります。これは、大臣、申しわけありません、予算委員会でも私お聞きをいたしました。

 今回のこの戸別所得補償について、モデル対策から本格実施だ、こういう中で、大臣含め三人の歴代の大臣が法案提出について積極的な御答弁をなさっておりましたが、今回は予算措置でまた二年度もやる、こういうことで、先ほどの委員の質問に対しても、正直申し上げて、法案にしたら法案を通す自信がない、通らないかもしれない、こういうことが大前提になっているような気がいたしましたが、大臣、いま一度、法案がなくてもこれはできるということであればもうこれから法案は必要ではない、別に、モデルじゃなくて本格実施で法案なしでやるわけですから、来年、再来年とお続けになるとしてもこれはもう法案が要らない、こういうことでよろしいんですか。ことしは要らないんだけれども来年は要るんだ、こういうことでしょうか。

鹿野国務大臣 私自身、予算委員会におきまして、石田先生の御質問に対しまして、予算措置が講ぜられることを最優先に考えて、今回は法案を出さないで予算措置をやるというような判断に立ったということを申し上げました。

 基本的には、やはり農業者の人たちにこの戸別所得補償というものの交付がしっかりとなされるということを前提として取り組んでいかなきゃならないということもございまして、遅くとも田植えの最盛期前には加入申請に着手するというふうなこともこの対策上大事なことでもございます。

 そういうことで、私どもとしては、今回は予算措置というふうな判断に立ったわけでありますけれども、同時に、先生そしてまた野党の先生方からも検証が必要だというような御指摘もございました。そういう意味で、初年度、モデル事業、そして二年度はそれを畑作物まで拡大をするというようなことの中で、この二年間のあり方というものについても検証して、二十四年度においては法案として出していきたいな、こういうふうな考え方でおるということは申させていただきたいと思います。

石田(祝)委員 私がお聞きしたのは、初年度はモデル対策だと、これは私たちも予算措置でいいんじゃないのかと思いました。本格実施に当たって法案も出されるということを歴代の大臣が御答弁になっておって、お出しにならない。これは、去年の七月に参議院選挙で参議院が逆転しちゃった、ですから、はっきり言ったら、今日の、予算も含めて法案がどうなるかということはもう去年の七月にわかっておったんですよ。結局、この七月以降、私たちからしたら、与党がこれを通すためにどういう御努力をなさったのかということは全く私たちには見えてきておりません。そういう中で、これは通らないかもしれない、田植えの時期に間に合うためにはもう法律はやめよう、予算措置でいこう、こういうことだと思います。ですから、そういう形になると、二十四年度も特に必要がない、こういうことじゃないんですか。

 私は、大臣の御答弁を聞いていると、今問題になっている、厚生労働省のいわゆる課長通知でやっちゃった、それで法案が要らないんだと言いつつ、今度は法律をつくるか、こういう話をしているわけですね。これは、そのときも委員会の質問の中で、自民党の方は、日本年金機構のQアンドAを見たら、法律を通すのは大変だ、だからこれでやるんだみたいなことを書いていると。ですから、これと同じことをなさっているんじゃないのかな、こう私は率直に思います。

 では、大臣、ことしは法案がなくていいけれども、二十四年度は出すという理屈は何ですか。

鹿野国務大臣 できましたらば、今申し上げましたとおりに、いろいろと、二年間というふうな中で制度設計をしっかりとやって、二十四年度においては法案として提出をしてまいりたい、こういうふうな今の時点での考え方に立っておるところでございます。

石田(祝)委員 これは、残念ながら、私も、あえて歴代の大臣にお聞きをしてきたことで、鹿野大臣にもお聞きをして、出すということをおっしゃって、なお今回出しておりませんから、今二十四年度に出すと言われても、にわかにそうですかと申し上げるわけにはいかない。

 大臣はちょっとお席を離れるようですから、もう一点だけお聞きをします。

 農作業安全対策の件でありますが、私も、予算委員会で、今後三年間で一割以上の死亡者の減というのは少々目標としては少ないんじゃないか、これは大臣、もう一歩踏み込んで考えるべきではないか、やはり大きな目標をしっかり立ててやるということが具体的な農作業での死亡事故を減らすことにつながる、三年で一割はいかにも少ないのではないか。そのときに、赤松大臣が、今四百人近いものを三百人にするというお話もなさっていましたよ、こういうことも御紹介申し上げました。

 改めて、これはもう悲劇でありますから、大臣のいま一度踏み込んだ、農作業事故をある意味ではゼロにする前提でのお考えになると思いますので、ぜひ、農作業中の事故死についてどういうふうにお考えか、いま一度御決意をお伺いします。

鹿野国務大臣 今石田先生からの御指摘の、農作業での死亡事故というのは毎年四百件前後発生しておりまして、大変痛ましい状況であります。これら農作業事故を減少させることは喫緊の課題であるということは、まさしく先生のおっしゃるとおりでございます。

 このため、農林水産省といたしましては、二十三年度におきまして死亡事故件数の減少に取り組むこととしておるところでございますけれども、何とか三年間で一割以上は低減したいという目標を設定したところでございます。

 こういう目標というふうなものについては、長年横ばいで推移をしてきた死亡事故件数について、減少に転じさせたいという強い思いがその中に含まれておるんだということを御理解いただければ大変ありがたいと思うわけであります。

 ただ、そういう中で、先生からの御指摘のとおりに、人命にかかわることであるために、私たちといたしましても一割の低減でよしとするものではありません。まず一割低減をやって、それをしっかりとなし遂げ、その次には、例えば事故調査開始以来最も事故件数の少なかった昭和六十二年の三百四十七件を下回るというようなことを目標といたしまして、これもまたクリアしていく、そして二割低減を目指す。こういうような形で、農作業事故の撲滅に向けて最大限の努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。

石田(祝)委員 大臣、参議院の方に行かれるようでありますから、どうぞお席を離れていただいて結構だと思います。

 この問題については、皆さんにもぜひ知っていただきたいんですが、年間四百件ぐらい農作業中の事故で亡くなる方が続いております。その間、農業就業人口は約七割減っているんです。七割減っている中で横ばいということは、高齢化ということも当然あります、また、機械が大型化していて、なかなかふなれな方も出てきているとか、いろいろなことが私は考えられると思いますけれども、これについては、大臣に今御決意を述べていただきました。しっかりと、全省を挙げて、農作業事故死、これはゼロを目指すのが当然なことだと私は思いますので、ぜひ御奮闘をお願いしたいと思います。

 それで、この農作業事故死が、大臣は先ほど三百四十七件が一番低い数字だったとおっしゃっておりましたが、現実にこの数字がどういう形で掌握されているか。これは、実は全く農林水産省の方にルートがありません。その事故死を吸い上げる、また重傷事故だとか軽傷だとか、いろいろなことを吸い上げるルートがございません。

 これは、一つは、農業従事者でも労働災害の保険に入れる、しかし、そういうことで入っておれば、事故があれば保険の請求を通してつかめることも可能でありますけれども、労災加入率が極めて低い、こういうこともお聞きしています。

 きょう、厚生労働省に来ていただいていると思います。ちょっと現状の御報告をお願いします。

尾澤政府参考人 お答えいたします。

 労災保険には特別加入制度がございます。これに関しまして、農業者の方々の特別加入の状況でございますが、二十一年度末で十二万五千人という状況でございます。

石田(祝)委員 これは、ちょっと十二万五千と言われてもわかりにくいので、加入する可能性のある人、分母について、では何%なのか。このことを、パーセントを言ってください。

尾澤政府参考人 ただいま特別加入者数十二万五千人と申し上げました。農業従事者数は、これは労働力調査でございますが、平成二十一年度百八十五万人。この率を計算しますと、六・八%でございます。

石田(祝)委員 そういう数字です。

 特別加入、これは受け皿の何か団体をつくってもらわなきゃいけないということのようでありますけれども、JAも一生懸命やろう、こういうことで取り組みを始めているようですけれども、これについて、厚生労働省は、具体的にいつまでに何%まで持っていこうだとか、どういう形で進めていこうということは、これは計画をお持ちですか。

尾澤政府参考人 特別加入につきましては、農業者の方々のための周知に力を入れてこれまでも取り組んでいるところでございます。毎年「農業者のための特別加入制度について」というパンフレットを作成いたしまして、全国の労働基準監督署などの窓口で周知を行うとともに、農林水産省や関係団体に御協力いただきながらその周知に努めております。

 さらに、今年度からはJA全中が行っております特別加入促進の取り組みに積極的に協力するということで、申請時の手続や事務処理を簡素化、迅速化するよう、都道府県労働局に対して今年度改めて指示をしたところでございます。

 今後とも農林水産省やこれら関係団体と連携して加入促進を進めてまいりたいというふうに思っているところでございますが、これはあくまで任意加入の制度でございますので、ほかの民間保険等も存在している中で、なかなか具体的な数値目標ということにはなじみがないのではないかというふうに考えております。

石田(祝)委員 六・八%、私は極めて低いと思っておりますし、ことしからJA全中も力を入れる、こういうことですから、協力をして、ぜひ加入率を高めていただきたいと思います。

 これは本当に悲劇ですよ。私も、友人におりますけれども、やはり機械に巻き込まれて片腕をなくしちゃった。幸い命は助かったわけですけれども、一歩間違えば命すら落としかねない。それだけ機械も大型になっているんですね。

 それで、私も、党の農林水産部会で、農機具メーカーの視察にも行きました。もう立派な車なんですよ、トラクターなんかも。しかし、町で見ますと、やはりそれで道を走っていると、ベルトもしていないんですね。安全フレームもついていないトラクターに乗って、シートベルトもしていない。私、あるときに、なぜしないんだろうかという話を聞いたら、運転している人は、いざとなったら飛びおりると言うんですよね。飛びおりられるわけないんですよ。

 そういう安全教育も含めて、やはり労災等に加入することによって安全意識も高めていただく、そして万々が一のときにはそれで補償もしてもらう、こういうことが私は大事だと思いますので、農作業安全対策については、ぜひ、農林水産省また厚生労働省またJA全中等、力を合わせて、これをゼロの目標をしっかりと追求していただきたい、このように思います。

 続きまして、野菜の価格安定についてお伺いをいたしたいと思います。

 ことし、戸別所得補償を畑作まで広げる、こういうことになったわけでありますが、残念ながら、野菜については、果樹もそうですけれども、戸別所得補償になじまない、こういうことで戸別所得補償から外されております。

 これについて、二十三年度は、野菜の価格安定対策、これをしっかりやっていこう、こういうことはお考えのようでありますが、この野菜の価格安定対策について簡単に御説明をしてください。

筒井副大臣 野菜、果実は恒常的に生産費の方が販売価格よりも上回っている状況にない、そういう理由から所得補償の対象に現在ならないということでございまして、制度的に対象にならないという意味ではないということをまず申し上げたいと思います。

 さらに、その上で、今の野菜価格安定対策、補てんをすることによって野菜価格の上下を、特に物すごい下がった場合についての補てんをすることによって安定化させていくという制度を設けているところでございまして、この基準額をできる限り上げてほしいという野菜農家からの要望があるわけでございますが、できる限りその要望にこたえられるように努力をしながら、現時点ではこの制度を継続していきたいというふうに思っております。

石田(祝)委員 いや、現在の制度を継続したい、これは二十三年度に拡充するんじゃないんですか。拡充するように聞いていますけれども、違うんですか。

筒井副大臣 拡充の方向でございます。

 ただ、今言ったのは、制度そのものをそのまま継続していくという趣旨でございます。

石田(祝)委員 それで、野菜の価格安定制度の中で、指定野菜と特定野菜という制度があります。

 私の地元、高知県なんですが、大変園芸が盛んなところであります。そこで、いわゆる小ネギ、地元ではやっこねぎと呼んでおりますが、そういうネギを、いわゆる普通のネギと価格帯が違う、そういう中で通常のネギの価格が下がったときの基準でやられると一切恩恵がない。こういうことで、小ネギというものを別に私はつくるべきだというふうに今までも考えておりましたが、これについていろいろと御検討いただいていると思いますが、この件について御答弁をお願いします。

筒井副大臣 先生が前からその点を強調されていることはお聞きをしております。

 それで、今後、その小ネギをこの対策の対象にする、そういう方向で今予定をしております。

石田(祝)委員 これはぜひお願いしたいと思います。

 もう一点、特定野菜というのもあるわけですね、指定野菜に次ぐ野菜という形になっておりますけれども。この特定野菜が、実は特定野菜になるための条件というのがありまして、一年間の市場の流通というんですか、これが一万トンなきゃいけない、こういう量の話に今までなっております。

 なぜ安定対策をやるかというと、当然これは所得にかかわる話でありますから、私は、量だけではなくて、流通する際、卸売の価格というものが市場で一年間どのぐらいあるのか、こういうことも特定野菜に入れる大きな基準にすべきではないか、こういうことを常々思っておりまして、今までもいろいろなところでお話もしてまいりました。

 そういう中で、ミョウガというものがあります。ショウガじゃないですよ、ミョウガですよ。こういうものがありますけれども、これは非常に軽いものですね、薬味に使いますが。それを年間一万トンなんというと、とてもそこまでいかない、こういうことでございます。ですから、これは、卸売価格だとか市場での流通の価格、それが一年間に幾らか、こういう別の基準が必要ではないのか。ですから、お金での基準、こういうものを設けて、産地にとって大事な野菜を守っていくということも大事だと思いますが、この点につきまして、どうでしょうか。

筒井副大臣 この点も先生が前から強調されていることはお聞きをしております。

 新しい設定基準として、卸売価格が二十億円以上という基準を設定すればミョウガが対象になるわけでございまして、二十四年度からになるかと思いますが、そういうふうにしたいと考えております。

石田(祝)委員 これはぜひよろしくお願いをいたしたいと思います。

 とにかく、野菜の価格安定ということ、どちらかというと野菜、果樹、花卉農家というのは専業が多いわけですから、ほかの仕事をしながらというわけではありませんので、大きく市場の動向に左右される、こういうことは間違いありません。また、たくさんとれても豊作でだめになる、こういうこともありますので、できるだけいろいろな手当ては私はすべきだと。今筒井副大臣から力強い明確な御答弁をいただきましたので、これは産地も大変喜ぶだろうというふうに思います。

 時間の関係で、もう最後になるかと思いますが、筒井副大臣、最近、副大臣は農林水産政策以外で非常に世上を騒がせている、こういうふうに私は思います。そのよしあしということを言っておりません。きのうも、ニュースを見ておりましたら、副大臣がちょっと赤ら顔で出ておられまして、菅内閣、このまま支持率が下がっていったら総辞職だと。そのことが非常に大きく取り上げられておりますが、副大臣の真意はどういうところにあるんでしょうか。(発言する者あり)

筒井副大臣 私の言った趣旨は、今のやじのような趣旨ではございません。

 しかし、この農水委員会の場所でそのことに言及するのはいかがかと思いますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

石田(祝)委員 まあ、それ以上はお聞きしませんけれども、テレビの前でしゃべれて、農水委員会のところでしゃべれないというのは、これはどういうことですかね。副大臣は、だけれども政府の一員として農林水産委員会に来て答弁するわけでしょう。ここで答弁できないんだけれども、テレビカメラのレンズが来たらしゃべっちゃうというのはおかしくないですか。先ほどいい答弁をもらいましたから、もうこれ以上は、この問題では言いませんが。

 最後に、副大臣、これは私は確認したいんですが、実は、先日、民主党の中で、もう減反は段階的にやめると。そういうことが出ました、新聞に。これは、党が違いますから私ら直接聞いたわけじゃありませんが、そういう記事が載っておりました。

 それは党だけの話かと思ったら、翌日、副大臣も、これは朝日新聞だったんじゃないかと思いますが、いや、政府の方でもそういうことを考えているんだ、たしかかぎ括弧つきで、そういう趣旨の副大臣の発言として載っておりましたが、そういうことを政府もお考えなんでしょうか。

筒井副大臣 私が申し上げた趣旨は、減反はやめたい、しかし、今直ちに何の対策もとらずにやれば米価暴落という大混乱が起こる、そういう形はとるべきではない、米価暴落という大混乱が起こらない形で、ソフトランディングで減反解消を目指していくべきだというふうに申し上げて、その一つの手段としては、現在、自給率向上対策で、米粉米等に十アール当たり八万円という、小麦、大豆の三万五千円の倍以上の額をつけております。

 これは、目指すところは、主食米を生産した場合よりも米粉米等を生産した場合の方が農家の手取りが多くなる、こういう状況になっていけば、主食米から米粉米等へ生産がシフトされていく、その状況が続くことによって主食米についての需給が均衡していく時点がある、その時点が定着した段階で生産調整をやめても主食米についての供給過剰という状態は起こらないだろうというふうなことを申し上げたものでございます。

石田(祝)委員 そうすると、今はそうやって八万円、三万五千円と出しますよね。これは、いわゆる主食用米をつくったと同じぐらいの収入が得られるという前提で制度設計していますよね。それをまたさらに大きく、そっちの方が手取りがふえるようにすると一体財政が幾らかかるか、そういう計算はしているんですか。

筒井副大臣 今の答弁は、八万円をさらに上げるという意味ではありません。

 米粉米等をつくった場合に農家の手取りになるのは、その八万円という金額にプラス米粉米の販売価格、この販売価格がどういうふうになるか、それによっても影響されるわけでございまして、それら全体と、主食米を販売した場合の手取り価格、これとの比較の問題を申し上げたんです。

石田(祝)委員 これを最後にしますけれども、副大臣のおっしゃっているのは、それは主食用米が下がるという前提で言っている、さらに米粉用米の方が高くなる、両方の話をしているんですよ。だから、これは物すごく大変なことを言っているんですよ、主食用米が下がる前提で話しているんですから。

 そうすると、今の金額だと、当然、主食用米をつくるよりは大きな手取りになることは間違いありません。ですから、そこのところを、お米の値段が下がる方向でお考えになっているんじゃないかということを今の御答弁では伺えます。

 もうこれを最後にいたしたいと思いますので、御答弁を聞いて終わります。

筒井副大臣 決して主食米が下がるということを前提にしたことを申し上げておりません。

 先ほどから申し上げているように、主食米が暴落すること、米価がさらに大きく下がること、これを何としても防ぐためにそういう手段をとるんだと言っているんです。主食米がたとえ今の、現在の値段のままであったとしても、米粉米の販売価格や、あるいはその八万円という金額等によって、それから、さらには小麦代替という面もありますから、小麦粉の値段が今国際的にも上がっておりますから、それら全体の要素によって、米粉米等をつくった場合の方が農家の手取りが多くなる、こういう状況を考えている、こう申し上げているんです。

石田(祝)委員 終わります。

山田委員長 次に、石山敬貴君。

石山委員 民主党の石山敬貴です。

 本日は、質問のお時間をいただき、ありがとうございます。

 冒頭に、二点。

 まず、政務三役の皆様には、断続的に発生しております鳥インフルエンザに関しまして、おやめになってしまいましたけれども、松木前政務官も含めまして、本当に御尽力いただいていることに感謝を申し上げます。あと、本日御新任の吉田政務官、ぜひとも日本農政のために御尽力いただければと思っております。

 冒頭二点目、先ほど公明党の石田先生よりもございました、私の出身でございます宮城県沖で震度五弱の地震が昼前に発生いたしまして、津波、高さ五、六十センチの津波が来ているようです。今、地元の方からは、さしたる被害はなしといった報告は来ておりますが、昨年のちょうど二月の下旬に、チリ沖地震の津波で養殖施設というものが非常な被害をこうむりました。もちろん被害がないことを祈るわけでございますが、何かというときは、政務三役の皆様も含め諸先生方にまた御尽力、御支援のほどをいただくことになるやもしれませんので、よろしくお願いいたします。

 きょうは、二十分間の質問ということで、鹿野大臣の所信表明に対しまして、昨年制定されました基本計画との整合性というものを少し質問させていただきながら、今の現政権の目指している農政の方向性というものについて少し確認させていただければというふうに考えております。

 まず一点目なんですが、今、国際市場におきまして、農産物、これが非常に高騰しています。

 三月三日付、国連の食糧農業機関の発表によりますと、二〇〇二年から二〇〇四年の平均値を一〇〇とした場合、今の食料価格指数が二三六となっているということです。さらに、農林水産省においても、このことを受けまして、先月二十三日、輸入小麦の政府売り渡し価格、これを一八%引き上げるということを発表しています。

 このように、世界市場の農産物、穀物の高騰ということを考えていきますと、近い将来、めんとかパンなどの値上げにつながっていき、家計を圧迫する。または、農業分野におきましては、前回の食料高騰というのが二〇〇八年にあったわけですが、さらに畜酪関係におきましては、飼料の高騰などということで非常に経営を圧迫していくんじゃないかといったような懸念がされるわけでございます。

 そこで、一つ質問でございますが、今の世界市場での農産物の高騰というものは一過性のものなのか、または、今後もこれが恒常的に続いていくものなのか、政府の見解またはお見通しというものをお話しいただければと思います。

田名部大臣政務官 石山委員にお答えをいたします。

 短い質問時間の中ですので簡潔に答弁をしたいと思いますが、冒頭、石山委員の御地元宮城県、また私の地元青森県、これは青森から福島まで津波の心配があるということで、私も、状況がどうなっているのかなということを大変注目しておりました。何もないことを心から祈るとともに、万が一の場合には、先生からお話がありましたように、しっかりと対応してまいりたい、そのことをお伝えさせていただきたいと思います。

 それで、食料の国際価格の上昇に関してでありますが、幾つか要因はあろうと思いますけれども、その一つはロシアの穀物輸出禁止の措置であるとか、またトウモロコシのバイオ燃料向けの需要の増大であるとか、また中国の旺盛な大豆の輸入等、こういった要因から穀物の需給というものが引き締まって、価格が上昇しているものと思います。

 現在のところ、食用の油などの国内の卸売価格や配合飼料価格への影響というものは多少見られるものの、しかしながら、食料品の国内小売価格への影響というものは限定的であるということであります。

 ただ、引き締まった穀物需給というものは今後も続くと考えられておりますので、今後ともその動向をしっかりと注視してまいりたいと思います。こうした中、農林水産省では、食料情勢について情報を収集、分析するために、食料情勢の分析対応本部を設置いたしました。二月の二十二日に第一回を開催したところでありますけれども、しっかりと状況を把握しながら対応してまいりたいと考えています。

石山委員 ありがとうございます。

 なぜ、冒頭こういうお話をさせていただいたかといいますと、今、チュニジア、エジプト、リビアと、北アフリカとか中東の動乱というものは、インターネットの普及がどうのこうのというふうに言われておる、その裏で、食料価格の高騰といったことが住民の皆さんの生活不安というものを醸し出しまして、要するにあのような動乱につながっているんじゃないかといったようなことも言われていますし、あとは、歴史的に見させていただいた場合も、例えば中国において歴代の王朝が交代していくといったときに必ず食料危機というもの、そしてそれが流民を生んでといったようなことが政情不安につながっているといったことが言えるかと思います。

 今、政務官からお話しいただいたように、確かに今の食料高騰というのは、ロシアのこと、オーストラリアのこと、またはアメリカの金融緩和政策、さまざまな要因が重なってのことであるとは思いますが、例えば、今、これからの地球の人口動態や、または地球温暖化に伴う気候変動の異常といったことを考えますと、やはり食料の世界的な需給逼迫ということは今後近々、常に、恒常的に起き得ることじゃないかというふうに私は強く感じておるわけです。

 ですから、端的に言わせていただきまして、今も昔も政治の最も要諦というのは何なのかということを考えさせていただきますと、やはり自分の、自国の皆さんの食というものをまず確保していくこと、それに尽きるんじゃないかというふうに私は思っております。

 それで、今回、これも端的にお答えいただければよろしいんですが、このような、近未来的に予測されるような食料高騰さらには食料危機というものに対して我が国日本がとるべき最良の方法というのは何なのでしょうか。

田名部大臣政務官 端的にお答えをさせていただきたいと思います。

 食というのはまさに生きることの源であって、先生御指摘のとおりに、国民に安定的に食料を供給していくというのは国家の最大の責務だと、私もそう考えております。

 そんな中、国内の農業生産を増大させるということ、そして輸入及び備蓄というものを適切に組み合わせて、食料の安定的な供給を図っていく必要があると考えております。

石山委員 ありがとうございます。

 そのことにおきまして、冒頭そのようなイントロとさせていただいたのは、昨年三月に閣議決定いたしました食料・農業・農村基本計画、この中で、今後十年間におきまして、そのような世界的な食料需給逼迫ということも念頭に置いて、明確に、食料自給率五〇%ということを行うんだと明示させていただいておりますし、今政務官から御答弁いただいたようなお言葉もこの前書きの部分に書き込まれているといったような次第です。

 ですから、先ほど、私自身も大臣の所信表明というのを改めて読ませていただいたときに、食料自給率五〇%という言葉がないんですね、なくなっています。そしてもう一つ、基本計画にという言葉もありません。このことに関しまして、そういうことはないとは思いますが、もう一度、しっかりとこの基本計画に沿って農政を進めていくんだといった部分についての御決意、それをいただければと思います。

山田委員長 自給率が五〇%なのかどうか、そこを明確に答えてください。

篠原副大臣 昨年三月に閣議決定いたしました食料・農業・農村基本計画におきましては、農林水産業を、国家戦略の一つとして成長産業として位置づけていくということで、三つ重点を置きました。一つは農業者戸別所得補償の導入、二つ目は食の安全、安心の確保、三つ目は六次産業化等による農山漁村の活性化ということでございます。これらの三つの政策を中心に推し進めることにより食料の自給率を十年以内に五〇%にするという目標は今も厳然と掲げております。

 今、石山委員の御懸念は、そういったことがあるのにもかかわらず、ではその実行体制はどうなっているのかということでございますけれども、二十三年度からは農業者戸別所得補償を本格実施することにしております。こういったことから着々と実行しつつ、農と食と地域の再生に取り組んでおります。

 それから、まだ触れられませんでしたけれども、時間がないので先に答えさせていただきますと、食と農林漁業の再生推進本部ができました。そこでいろいろ検討しております。私はそこの幹事会の共同座長として、既に九回ほど議論をさせていただいておりますが、実現会議本体は三回開いております。その中では、三月に閣議決定されてまだ一年もたっていないものですから、当然この基本計画を念頭に置きながら検討を進めさせていただいております。

石山委員 ありがとうございます。

 実は次の質問の中にも今の副大臣のお話があって、きょうはわざわざ内閣府から平野副大臣にもおいでいただいていたわけなんですけれども、そこの部分、私としては明瞭にしていただきたい部分です。

 今、官邸主導で食と農林漁業の再生会議が進んでいる中におきまして、今度の三月で中間取りまとめというお話を聞きまして、今の進捗状況を報告してくれということで、このようなペーパーをいただきました。

 この中におきましては、昨年の十一月に決定している包括的経済連携に関する基本方針ということを念頭に置いて進めているんだといったような話は出てくるわけなんですが、今篠原副大臣からいただいたような基本計画の位置づけというものは正直私どもからは見えませんし、または、時折流れるような、うわさ新聞記事かもしれませんが、その中においては、基本計画を変えてもいいんじゃないかといったような情報が流れてくるわけです。

 ですから、ぜひとも平野副大臣の方から、その辺の、新しい基本計画の位置づけがいかになっているのかということを、もう一度、重複かもしれませんが、御答弁いただきたいというふうに思います。

平野副大臣 今、食と農林漁業の再生実現会議で、さまざまな観点から農業、林業、水産業のあり方について議論を行っているということについては御承知のとおりだと思います。その前提として、基本計画、これは平成二十二年三月に閣議決定されたものでございますけれども、農政の基本を踏まえながらやっているということは、これは当然のことでございます。

 ただ、昨年の十一月に包括的経済連携の基本方針というのを定めまして、「高いレベルの経済連携を目指す。」ということを位置づけました。これは、基本計画を定めた後の出来事でございます。こうした高いレベルの経済連携を定めるということにおいて、これから、各国とのEPA、FTA、WTOも含めて、あるいはTPPについては参加を検討という段階でございますけれども、そういったものをやる中において、これまでのセンシティブ品目ということについても、場合によったらこれはテーブルの俎上にのせなければならない事態もあり得るということをまず頭に置きつつ、かつまた、ここに来て、中山間地域の農村の状況を見ますと、高齢化の進行が著しい、その一方で後継ぎのいない農家がふえているという状況の中で、農産物の自由化云々にかかわらず、農業の再生、あわせて林業、水産業の再生というのも待ったなしということでありまして、この基本計画を含めながら、さらにさまざまな政策を深掘りするということで今この議論を進めております。

 特に経済連携との関係でお話をさせていただきますと、高いレベルの経済連携の推進と、我が国の食料自給率の向上や国内農業、農村の振興とを両立させる、そのための方策についての議論をしているということでございます。

石山委員 ありがとうございます。

 もう少し、質問の通知にはなかったかもしれませんが、そのお話をいただきまして、では、基本計画と、出てくるこの会議の結論というものが仮に矛盾するといった場合はどのようになってくるというふうにお考えですか。

平野副大臣 今の段階では、三月の、今月の末を目指しまして、とりあえず土地利用型農業が中心になるかと思いますけれども、中間報告を出すということで考えておりまして、六月に基本方針ということでございます。

 基本計画と矛盾する点ということについては、今のところ想定はしておりません。矛盾したときにどういうふうに対応するかということについては、今のところ、何の検討も頭の中にはございません。

石山委員 ということを含めますと、矛盾しないように進めているんだというような解釈でよろしいわけですね。それというのは、ここ十年間のということで昨年閣議決定をしていただいた基本計画でございますので、その部分に関しましてはしっかりとお願いしていかなきゃいけないことになってきます。

 そしてもう一点なんですが、私は非常に抽象的な表現だなというふうに思っている部分で、このような資料の中には、攻めの農業へというふうな言葉が常に出ています。攻める、強い農業。この攻めるということ、または強いということは具体的に一体どういうことなのかをちょっとお願いいたします。

平野副大臣 そのペーパーの中にもありますけれども、攻めの農業ということについて必ずしも明確な定義をしているわけではございませんけれども、産業としての農業あるいは地域経済を支える農業、そういった農業を実現すべく、輸出、新用途等における市場の拡大、農地の集約化、六次産業化、経営革新等々を進めることを通じまして我が国農業の競争力、体質強化を図ることとしているということはそのペーパーに書いてあるとおりでございまして、では、それを具体的にどうするかということを今議論しているということであります。

石山委員 では、関連としまして、開国、TPP。まず、TPPに絞らせていただきますと、どうしても、これまでも野党の皆さんからの、TPPに対して、農業に対してどういうメリットがあるんだといったような質問に対して玄葉大臣が予算委員会の中で答えているということになりますと、輸出戦略について語るわけですね。

 例えば、私なんかは、ただ、その輸出戦略の対象というのが、決してTPPの範囲内の国々ではなく、中国の富裕層というものを対象に、念頭に置いてお話しになって答弁としているという部分を強く感じます。その辺に関して平野副大臣、どのように。

 つまり、私が聞きたいのは、TPPをやる場合、輸出で拡大していくんだ、農産物、質のいいものを売っていくんだといったときに、どこの国に売ることを念頭にされているのかなといった部分がちょっと質問としてあります。

平野副大臣 御承知のとおり、今、日本の輸出入の、貿易の最大の相手国はもう中国になっております。中国との関係でいえば、今、日中韓という枠組みにおいて、貿易・投資のルールづくりを精力的にやろうとしております。

 それから、一方で、包括的経済連携で今考えておりますのは、二国間のEPA、FTA、そしてWTOも、明示的に閣議決定文にはございませんが、当然、我が国の場合はWTOも重要なルートだと思っておりますので、WTOもございます。TPPは、現に九カ国で交渉が進んでいる経済連携の枠組みになり得る、それを目指して今交渉が進んでいるということで、その部分については、今日本は高い関心を持って、何をやっているのかという情報収集をやっているということでございます。

 どこの国ということになりますと、日本は世界じゅうの国を相手にするということでありますから、世界じゅうの国と、もっともっと物それからサービスの交流を進めていくということになるかと思います。

石山委員 済みません、副大臣、大変恐縮ですが、私、やはり腑に落ちませんでした。もっと端的に、アメリカに売るんだ、これをアメリカに売っていくんだ、これをどのくらいあれしていけるんだというんだったら、TPPのお話、農業と経済の関係ということが見出せてくるのかな。

 もちろん、副大臣がおっしゃっていることというのは、全体的にパイを広げていくんだという意味では、それは理解することができます。

 済みません。わざわざおいでいただきまして、本当にありがとうございます。

 時間がなくなってきましたので、最後にちょっとまとめさせていただきますと、やはり官邸で行っている再生会議という部分で、再生という言葉がついているかと思っております。確かに、今、日本の農村、農業というものが本当に衰退しているという現実がここにまず一つあります。ここの場でも何度か言っていますが、私自身も米農家でございまして、今、農家というのは本当に時給二百円ぐらいで米づくりをやっているといったような状況で、ですからこそ、もちろん、私たちの戸別所得補償であり、それで下支えを行い、さらには六次産業化でビジネスチャンスを目指すといったような構築があるかというふうに考えています。

 その中において、本日、基本計画にこだわらせていただいたのは、今回、戸別所得補償の変動費が支払われるということになりまして、私は農家の皆さんから、民主党の戸別所得補償制度が理解できた、これをぜひとも継続してくれと初めて言われました。

 これはなぜかというと、政策というのはそういうものだと思うんです。つまり、こちらで、上手で政策を出したからそれで終わりというものではなくて、その現場に向かっていって、きちんと政策が理解されて初めての政策かと思います。そして、これからトライ・アンド・エラーがあって、さまざまな検証も含めてやっていかなきゃいけないといったときに、やはりそれが、今度はTPPか、どうしたといって不安をあおることが農林水産漁業を再生の道から私は遠ざけているんじゃないのかといったような思いがございます。

 そのような気持ちを含めて、基本計画にこだわらせていただくのは、重複かもしれませんが、そのような、これでやっていくんだといった軸をぜひともつくっていくことが、今の現政権にも、私たち党としての農政をやっていく上でも重要なことなんじゃないかという意見を言わせていただいて、私の質問を終了させていただきます。

 ありがとうございます。

山田委員長 平野副大臣、御苦労さまです。

 食料・農業・農村基本計画に従ってぜひとも検討くださるように。

 次に、高橋英行君。

高橋(英)委員 愛媛四区、八幡浜、宇和島も選挙区とする民主党の高橋英行でございます。

 本日は、農林水産委員会に所属をいたしまして二度目となる質問の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。

 それで、先ほどちょっと速報が入ったんですが、地震による津波の注意報が解除されたということでございます。油断はできないと思いますけれども、まずは一安心ではないかということで、御報告を申し上げます。

 まず、質問の前に少し御説明させていただきますけれども、私の地元である愛媛県南予地方の基幹産業は、温州ミカンや伊予カンを中心とする果樹、かんきつ産業と、それから瀬戸内海や宇和海という海洋資源に恵まれました水産業が盛んであるわけでございます。

 特に、水産養殖業におきましては、愛媛県西部の非常に長いリアス式海岸、延長距離八百五十キロという距離でございますけれども、その入り江の中で、マダイ、ハマチ、そして真珠、きょう私の襟元にもつけておりますが、田名部政務官もお似合いだと思いますので、ぜひ宇和島産真珠をお買い求めいただきたいなというふうに思います。それらの養殖が盛んでございまして、全国一の生産高を誇っているわけでございます。

 そのような背景の中、私、民主党政調の農林水産部門会議の水産政策ワーキングチームの座長も拝命いたしておりまして、水産業振興に向けて日々努力をいたしているところでございます。そこで、本日は、なかなか農林水産委員会でも扱われることがちょっと少ない水産業に特化した質問を前回に引き続きまして申し上げたい、そのように思います。

 御承知のとおり、我が国の面積は世界で六十位と大変小さな島国であるわけでございますけれども、二百海里の排他的経済水域は実に世界六位、これは国土面積の十二倍にも及ぶわけでございます。

 また、大臣所信表明でもありましたとおり、日本が位置する北太平洋の西部海域におきましては、栄養塩や魚を運んでくる親潮や黒潮などの海流がぶつかることで非常に豊かな漁場が形成されており、その結果、我が国の漁業、養殖業生産高は実は世界五位というふうになっております。

 また、最近、日本人は魚を食べなくなった、そのように言われておるわけでございますけれども、一年間の一人当たりの魚の消費量は平均六十二キログラムで、実はこれは世界のトップの水準になっているわけでございます。

 つまり、我が国にとりまして、魚は食文化や地域の伝統文化の形成に深くかかわっており、水産業は日本人の生活にとって身近で、なくてはならない産業として発展をしてまいりました。

 また一方、世界では、将来におきまして、先ほども話がありましたけれども、途上国を中心に急激な人口増加に伴う食料危機が予測されている。そういった意味で、我が国の安定した食料確保、いわゆる食料安保という観点からも、水産業を守るということは日本を守るというふうに言っても過言ではない、それだけ重要な産業ではないかというふうに私は思うわけでございます。

 その中におきまして、この平成二十三年度、来年度の農林水産予算、全体で二兆二千七百十二億円であるわけでございますけれども、そのうちの水産予算は八・八%の二千二億円となっており、なお、今年度、二十二年度の水産予算は農林水産全体の予算対比七・四%の千八百二十億円ですから、前年対比は一一〇・一%、非常に高い予算が計上をされたわけであります。

 しかしながら、我が国の農林水産業の産出額は平成二十年度で八・五兆円の市場規模があるわけでございまして、そのうち水産業は一・六兆円ですから、実は、この割合といたしましては一八・八%ということで、少しその数字の差が開いているのではないか。そして今回、来年度の水産予算は農林水産全体の予算対比八・八%というふうに高い予算が計上されたわけではありますけれども、まだまだ水産予算が少ないのではないか、少な過ぎるのではないか、私はそのように感じているわけでございます。

 そこでお伺いをいたしますが、残念ながら、本日、鹿野大臣はおられませんので、ぜひ、御出席の篠原副大臣と田名部政務官に、水産に対する思いと水産予算に対する御所見をお聞かせいただきたいと思います。

    〔委員長退席、津島委員長代理着席〕

篠原副大臣 高橋委員の水産業に対する熱い思いを聞かせていただきました。

 私は、残念ながら全く海がない県でございますけれども、水産に対する思いは同じでございます。

 ちょっと余計なことを言わせていただきますと、私、三十年、農林水産省に勤めさせていただきましたけれども、その約三分の一は水産庁に勤務しています。三回勤務しております関係上、その思い入れは同じだと思います。

 今触れられましたとおり、日本は非常に好漁場に恵まれているわけです。かつては水産の生産額は一位でした。今は、先ほど触れられましたように、五位でございます。しかし、EEZが世界で六番目の広さということ、かつ、栄養豊富な海だということでございまして、我が国の漁業は高い潜在力を有しているのではないかと思います。ですから、このような潜在力を引っ張り出せるようにしていくのが水産政策の大事なことじゃないかと思っております。

 二十三年度の水産予算につきましては、予算額は、触れていただきましたように、一〇%アップで二千二億円。主なところは、資源管理・漁業所得補償対策の導入、金融対策、それから六次産業化、こういったことに重点を当てております。こういった予算を適切に実行していくことにより、再び強い漁業を確立してまいりたいと思っております。

田名部大臣政務官 高橋委員、ありがとうございました。

 そう言われてみれば、委員会に来て、漁業のこと、水産業のことが取り上げられる機会というのは少ないのかなというふうに改めて感じました。

 私は、青森県は八戸市の出身で、まさに、海から開けた八戸市という、漁業が元気がなければ地域経済が元気にならないというようなところの出身であります。本当に高橋委員のような熱い思いを持って、日本の水産業、漁業を発展させたいというその思い、私も共有させていただきながら、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

 もう一つは、日本は魚を食べるのが世界一だとおっしゃっていましたけれども、それにしても、もっともっと日本の皆さんにも魚を食べていただきたいなということで、私、農水省の中でも、大体食べることが好きなので食の担当もさせていただいておりますので、ぜひとも魚食の普及ということにもしっかり取り組んでまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

    〔津島委員長代理退席、委員長着席〕

高橋(英)委員 篠原副大臣、田名部政務官、本当に熱い思い、しっかりと受けとめさせていただき、私も水産業発展のために全力を尽くしてまいりますので、今後とも、御指導、御鞭撻、どうぞよろしくお願いをいたします。

 それでは、続きまして、先ほども出ましたとおり、来年度水産予算の目玉でもある総額五百十八億円が計上されました資源管理・漁業所得補償対策について質問をさせていただきます。

 世界的にも関心が高まっている水産資源の管理と漁場の改善の推進、そして漁業におきましては、その性格上、大漁や不漁による収入の変動が大きいことに加えまして、コスト増を魚の価格に転嫁しづらい、そういった流通構造にもあり、漁業者の自助努力のみでは資源、漁場の管理と経営の安定を両立させることは非常に難しい、そういった現状にあるわけでございます。

 そういった中で、今回、漁業共済と積立ぷらすの拡充をベースとして、資源管理や燃料コスト対策を盛り込んだ総合的な所得補償制度を導入するわけでありますけれども、その資源管理・漁業所得補償対策という名称において、野党さんから異論が出ているようでありますけれども、本対策につきましては、共済掛金補助の拡大等を行っておりますし、漁業経営の安定につながっていくというものでありますから、私は所得補償だと考えて十分問題ないというふうに思っております。

 ここで質問でございますけれども、本対策を所得の補償としている根拠となる理念といいますか考え、そしてまた仕組みについて、改めてお伺いできればと思います。

篠原副大臣 資源管理・漁業所得補償対策は、計画的に資源管理に取り組む漁業者を対象といたしております。委員御指摘のとおり、漁業共済と積立ぷらすを活用したという点が一つでございます。もう一つは、資源管理に伴う収入安定対策、それから漁業経営に大きな影響を与える燃油等の価格高騰に備えたコスト対策ということで、こういったものを組み合わせることによって総合的な所得補償制度としたものであります。ですから、私は所得補償政策というふうに呼ぶにふさわしい政策だと思っております。

 本制度の実施というのは、資源管理の取り組みに対する補助による漁業者の掛金、積立金の負担の軽減ということ、それから、一定以上の減収が生じた際の収入補てんということで、こういったことを通じまして、我が国の水産資源の管理と漁業者の経営の安定という二つの目的を達成しようと思っております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 御指摘のとおりでございまして、持続的な漁業生産を維持するためには、資源管理の取り組みによって生ずる所得の減少の影響を緩和する政策が必要であり、現時点におきましては、今回の制度が漁業の持つ特性に即した所得補償制度だと言えるのではないかというふうに私も思っております。

 続きまして、漁業者にとって大きなメリットがあり、私の地元の愛媛でも大変評判のよい漁業所得補償の円滑な導入についてお聞きをいたします。

 ベースとなる現在の漁業共済制度の現時点での加入率は五三%となっておるわけでございますけれども、来年度の資源管理・漁業所得補償対策では、平成二十三年度、初年度の加入率を水産庁は七〇%と見込んでいると伺っております。来年度七〇%の加入率の達成を目指して、国は四月からの事業開始に向けどのような加入促進の準備を進めているのか、その具体的な方策についてまずは伺いたいと思います。

 その際、資源管理や養殖漁場環境の改善を進めていくためには、国が一律に一方的に制度を押しつける、決めるのではなくて、民主党が推し進めている地域主権という考え方もあるわけでございますけれども、地域の多種多様な漁業の実態に合わせた形に配慮をしていく、地域の漁業者の努力を評価していく必要性があるのではないかというふうに思っております。

 そこで、これは養殖において申し上げますけれども、今回の漁場改善計画において定める、要件の少し厳しい適正養殖可能数量の設定、いわゆる一律に五%削減しなさいとか、十年間さかのぼって一〇%下がっていたらいいですよとか、そういう要件があるわけでございますけれども、地域の実態に合わせた柔軟性が持てる設定にしていくことも一つ重要ではないかというふうに思いますが、今制度の加入促進とあわせて御見解をお聞かせいただけたらと思います。

篠原副大臣 現在、本対策の四月からの円滑な実施に向けまして、国と都道府県等におきまして、対策の内容、メリット等を詳細に説明する会合を開いております。

 愛媛県でも現地説明会を既に二回ほど開催しております、一月二十日とそれから三月八日。それから、地域だけじゃなくて業界団体の皆さんに対しても説明会を開いておりまして、一月から三月にかけて計三十四回開催しております。これでこの制度について御理解いただけるのではないかと思います。

 それから、地域の実情をちゃんと考えるべきではないかと。それも高橋委員の御指摘のとおりだと思います。ですから、全国各地におきまして、行政機関の助言を得ながら、地域の漁業者により、多様な漁業の実態を踏まえ、資源管理や漁場改善の取り組みを資源管理・漁場改善計画に取り込んでいく、こういった取り組みをしております。

 養殖業も、愛媛県と例えば岩手県では大分形態が違います。農業も各地の実情というものを相当反映しなくちゃいけないんですが、漁業は、多様性においては農業をはるかにしのいでおるのではないかと思います。そういった実情を加味した制度運用を図ってまいりたいと思っております。

高橋(英)委員 御答弁ありがとうございます。

 民主党の地域主権に基づきまして、地域の実態に合わせた柔軟な計画設定というのがやはり一番重要だと思いますので、一律ということではなくて、地域地域に任せるという観点もぜひ今後盛り込んでいただけたらというふうに思います。

 また、先ほども私申し上げましたけれども、地元愛媛でも大変評判のよい資源管理・漁業所得補償対策ですから、あまねく漁業者に早急に広めていただきますよう、私からもまた改めて強く要請をする次第でございます。

 そして、最後の質問でございますけれども、今回、国民の関心も非常に高い問題でもある燃油対策についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 原油価格は、平成二十年の八月の高騰以来、比較的安定して推移してまいりましたが、最近の不安定な中東情勢を受けまして、お手元に本日お配りをさせていただいておりますけれども、原油価格が三月七日現在で、つい先日ですね、一バレル当たり百十一・五ドルと、既に百ドルを超えて上昇が続いているわけでございます。御承知のとおり、燃油を大量に使用する漁業におきましては燃油高騰は死活問題であり、漁業経営を脅かす大きな要因だというふうに言われております。

 記憶に新しい平成二十年夏の燃油高騰時には、燃油高騰に対する緊急的な対策といたしまして、その年、平成二十年度の補正予算により省燃油操業実証事業を実施されましたけれども、その後の燃油価格の急落により、ほとんどの漁業者が助成の対象とならなかったり、また、制度の仕組みや個々の漁業者の手続が非常に複雑である、そういった声が漁業者から多数上がったということもお聞きをいたしております。

 この当時の反省を踏まえまして、燃油が高騰してから補正予算により緊急的に対策を行うのではなくて、当初予算において平時から燃油価格の高騰に備える必要性があるのではないか。また、加入要件を設けずに、原油価格を指標として補てんを行うシンプルな仕組みにするとともに、手続も極力簡素化すべきであるというふうに今回改めて感じたわけでございます。

 このような観点から、燃油価格の高騰が漁業経営に与える影響を緩和する漁業経営セーフティーネット構築事業を今年度から創設したわけでありますが、最近の不安定な中東情勢もありまして、今後も原油価格上昇が確実視されている中、来年度八億一千七百万円と、少し予算が少ないようにも思えるわけでございますけれども、本当にこの事業だけで十分に対応でき得るのか、さらには予算の積み増しも含めた対応が検討できないのか、そういったことも含めて、見通しも含めて御見解をお伺いできたらと思います。

田名部大臣政務官 今委員のお話にあったとおり、原油の価格が上昇している、三月七日時点では約百十二ドルということであります。それで、漁業用A重油の価格も、三月に入り、昨年、一リットル当たり七十から七十九円だったものが八十五円程度となる等、上昇傾向にあります。

 漁業経営というのは、その支出の三割が油代ということでありますので、漁業者の皆さんも現場で大変御心配されていることと思います。そんな中で、平成二十二年度から、漁業者と国が毎年度積み立てを行うことによって基金を造成し、燃油価格が急騰したときに基金から補てん金を交付する漁業経営セーフティーネット構築事業を始めたわけであります。

 事業の中身に簡単に触れさせていただきますけれども、四半期の平均原油価格が直前の二年間の平均価格を一五%上回ったときに補てんを行うものであります。本年に入ってからの平均原油価格は、一月から三月期の補てんの基準価格を既に上回っている状況です。この状況が続けば、補てん金の支払いが発生する見込みです。

 それで、今委員からお話があった、十分に対応できるのかということですけれども、現時点では十分に対応可能と考えておりますが、しかし、より十分な対応をしていくためには、現在三割という加入率をしっかりと高めていく必要があると考えておりますので、加入の促進についても全力で当たっていきたいと考えています。

高橋(英)委員 御答弁ありがとうございました。

 この問題は、やはり漁業経営にとりまして本当に死活問題になる重要な問題でございますので、今後ともしっかりとした対策、対応をよろしくお願い申し上げまして、本日の質問を終わらせていただきます。

 本日は、まことにありがとうございました。

山田委員長 次に、山岡達丸君。

山岡(達)委員 民主党の山岡達丸でございます。

 本日は、私にも二十分ではございますけれども質問の時間を与えていただきまして、ありがとうございます。

 さて、時間もありませんので、早速質問に移らせていただきたいと思います。

 私は、今ちまたでTPP、TPPという話がありますが、これは情報収集中であるということ以上になかなかお話もいただけないという状況でございます。そこで、実際に交渉が進んでおります日豪EPAについて、きょうはこの機会をいただきまして御質問させていただければと思います。

 先ほど高橋委員から水産にかかわる話もございましたが、この日豪EPAというものに関して、水産にも絡めまして、一つ、その交渉の前提としてお伺いしなければならないということがまずもってあります。それはシーシェパードの件でございます。

 シーシェパードの事件は大変許しがたいということは、先ほど自民党の先輩の委員からもお話が出まして、この対策については今後またさまざまな議論があられることと思います。年々、本当に対応がひどくなってくる。そしてまた、日本はオーストラリア政府にさまざまな申し入れを行っておる。その中にあって、先日、オーストラリアは、当局がその船舶にいわゆるガサ入れといいますか捜索を行ったという情報もありますけれども、これは例年いつも行っていることであって、例年行っておることでありながら、なかなか結果が出てこないという状況が続いております。

 そこで、私個人的に思うことも含めましてまず思いますのは、この日豪のEPAという交渉が両国の間にきちんとできるような環境がまず整っているのか。オーストラリアのさまざまな対応において、外交というのはさまざまな多角的な側面から申し入れを行っていかなければならないと思うんですが、私個人としては、こういったしっかりとした対応が見られないという中にあって、このEPAの交渉においてもしっかりとそのことは踏まえていくべきじゃないかと思いますが、まず、政府の御見解をぜひともお伺いしたいと思います。

田名部大臣政務官 午前中、自民党の谷委員の方からもシーシェパードについてお話がありました。シーシェパードの妨害活動というのは本当に年々ひどくなっていまして、船舶のみならず、乗組員の生命の安全というものが危険にさらされておりまして、当然、断じて許されるものではないというふうに思っています。

 それで、豪州の外務大臣及び環境大臣が、シーシェパードの妨害に一切言及することなく、先日、調査の切り上げを歓迎する共同声明を発表いたしまして、このことは本当に、非常に、極めて遺憾と言わざるを得ません。

 ただ一方で、今委員から御指摘があったように、外交というものはさまざまな側面からその関係を築き上げていかなければならないと思っておりまして、そういう意味では、豪州は、政治また経済、安全保障、さまざまな側面で大変緊密な関係、そのきずなを築いていかなければならない重要な国でもある、そんなふうに考えております。

 それはそれとしながら、ただ一方で、先ほど申し上げましたように、調査捕鯨に対する妨害活動というのは、海上の安全に関する問題として適切に処理をされるべき課題だと思っておりますので、EPA交渉そのものと直接関連づけることは適当ではないというふうに考えています。

山岡(達)委員 政務官のシーシェパードに対する憤りというのは本当に感じさせていただきました。

 政府の交渉にはさまざまな多角的な方針があるかと思うんですが、少なくとも、国内あるいは議会において、このシーシェパードに対する怒りというものと、EPA交渉についても、異常な状態であるという声が出ているということはぜひとも踏まえていただいて、今後の交渉の対応に当たっていただきたいと、まずお願いをさせていただきたいと思います。

 さて、それでは交渉の中身ということに入らせていただきたいんですけれども、まずもって、昨年十一月に政府がまとめられました経済連携協定に関する基本方針というか全体方針に基づいて、お話を伺いたいと思います。

 これを皆様も本当にさんざん読んでおられると思うんですが、私もよく読みますと、レベルの高い経済連携協定という言葉が書かれております。このことによって、一部閣僚の方から、ハイレベルな経済連携協定、ハイレベルな経済連携協定ということが殊さら強調されるという傾向にございますけれども、この文書をよく読みますと、きちんと、センシティブ品目に配慮しながらとか、食料自給率の向上と両立する施策を行って、ハイレベルな経済連携協定を目指すという表現がなされております。これを逆の読み方といいますか逆の論理で申し上げますと、センシティブ品目に配慮できないような経済連携協定は結ばない、あるいは食料自給率の向上と両立できないような経済連携は結ばないという読み方もできるわけです。

 繰り返しますけれども、経済連携協定と国内対策を同時に行って食料自給率を上げられる見込みがないということがわかるのであれば、さまざまある国との経済連携協定ですけれども、その経済連携協定は結ばないという理解でよろしいのか、政府の御見解をお伺いしたいと思います。

篠原副大臣 交渉を今、継続中でございます。ですから、交渉の途中で結果を予断するようなことは申し上げにくいということを御承知おきいただきたいと思います。

 しかし、どういう精神でもってこの日豪EPAの交渉をやっているかというと、その点では山岡委員のお気持ちと我々政府の気持ちはほとんど変わりはないのではないかと思います。

 この日豪EPA交渉は歴史が長くて、二〇〇七年の四月以来、もうことしの二月で第十二回目の交渉でございます。昨年のAPEC、そして十一月九日の包括的経済連携に関する基本方針、こういったものを踏まえて再スタートしたわけですけれども、我々は、何も農業だけじゃないんですね、特定の品目なり分野などに絞り込んではおりません。鉱工業品、サービス、投資等、幅広い分野について議論を行っていくということで交渉を加速するという共通認識があるわけでございますけれども、国会決議にもあります、それから、山岡委員御指摘のとおり包括的経済連携協定の基本方針にもあります、センシティブ品目に十分配慮して交渉していく所存でございます。

山岡(達)委員 篠原副大臣から、お言葉には大変気を使っていただきながらも、さまざまなお気持ちの伝わる御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 私、日豪EPAは二〇〇六年の十二月に、安倍内閣のときに、スタートするというような話が始まったかと記憶しております。実際の交渉は二〇〇七年だと思います。そのころ私は、NHKの記者として北海道の帯広放送局に勤めておりました。その二〇〇六年十二月の話を受けて、地元の農家さんを初め、もう大変な騒ぎになり、反対運動も各地で行われたということを私も取材させていただいておりました。

 冬で、十二月、一月でしたので、マイナス二十度とか二十五度とか、そういうさなかで、本当に千人を超える人が広場に集まって、プラカードを掲げたり、そういった活動をしておるという中で、これは大変重い問題なんだということを、私は記者、あのころは農政についてもまだまだ、今もかもしれませんが、勉強も不十分であったと思いながらも、それでも非常な事態であるということを感じておりました。

 国会でも、今御指摘がありましたけれども、先輩の委員の皆様のお話の中で、大変な問題になったと。そして、最終的には国会決議という形になり、全会一致で、センシティブ品目に配慮というよりも、重要品目の、そういう結ぶようなことは行わないというふうな決議が行われておると思います。

 そのことに関しては、今、十分に配慮されるというお話をいただきましたので、そのことを念頭に、ぜひとも殊さらお願いを申し上げたいと思うんですけれども、この国会決議の中には、期限についても言及されております。この期限については、「万一、我が国の重要品目の柔軟性について十分な配慮が得られないときは、政府は交渉の継続について中断も含め厳しい判断をもって臨むこと。」とあり、また、期限を定めずしっかり行うことということが述べられております。

 しかし、今、報道では、一部の閣僚の皆様から、何か六月中にまとめるとか、あるいはことし半ばまでにまとめるんだとか、そういった発言が出たというような報道がなされております。このことは二つのポイントがあると思うんですが、一つは期限を区切っておる発言であるということ、そしてもう一つはまとめるという表現を使っておること、この二つがあると思います。

 政府の皆様は、この国会決議を踏まえた上での期限について、どのように考えておられるのか。報道ではわかりませんので、公式なところの御見解を改めてこの場で確認させていただきたいと思います。

篠原副大臣 山岡委員御指摘のとおり、農林水産省の閣僚ではありませんけれども、ほかの皆さん方がいろいろ言っておられるというのは、私も承知しております。

 しかしながら、我々が今やっていることは、先ほど申し上げたとおり、繰り返しになりますけれども、基本方針が十一月九日に出されました。交渉の妥結に向けた取り組みを加速化するということ、それからセンシティブ品目に十分配慮すること、この二つが大きく定められているんじゃないかと思います。政府としては、具体的な交渉期限を定めているわけではありません。

 それから、これはTPPにも言えるわけですけれども、六月までにというのが盛んに出てまいりますけれども、これは、私が察するにですけれども、六月にと書いてあるのは、農政の改革の基本方針を六月中に定めるということになっているわけです。それが頭の中に多分おありになるんだろうと思います。それを踏まえて、農政の改革の基本方針が出たと同じころにそれなりの方針を示していきたい、それまでにある程度進展したらいいなということを、ほかの閣僚の皆さんが、簡単に言いますと、ぽろっと言っておられるんじゃないかと思います。

山岡(達)委員 ありがとうございます。

 もう一つ、今のに関連して、あわせて伺いたいんです。先ほどのまとめるという表現なんですけれども、これは、期限の話は今お話をいただきましたけれども、最終的に、何が何でもまとめるのか、あるいは、交渉の中身が納得できないものであればまとめない、それは無理であるという選択肢も残されておるのか、そこの点をはっきりともう一回確認させていただきたいと思います。

篠原副大臣 今、交渉中のことでございます。それについて、まとまらなかったらまとまらないでいいとか撤退するとか、そういったようなことは申し上げるべきことではないかと思います。

 再スタート、相当年月がかかっておる日豪EPA交渉でございます。なるべくならうまくまとめたいということを我々は考えておりますので、期限は設けません。しかし、だめだったらどうかというようなことは、今、交渉の途中でございますけれども、どちらのサイドも申し上げることはできないんじゃないかと思っております。

山岡(達)委員 ありがとうございます。交渉中ということで、大変発言にはお気をつけになっておられるということは、私も十分認識しておるところでございます。

 私がこのように申し上げたい思いといたしましては、やはり交渉事でございますので、何月までにまとめるんだということが仮に本当に公式な見解として相手に伝わるとしたら、それは果たして、お互いウイン・ウインの関係として中身がきちんと整うような交渉ができる環境にあるのかということを大変心配するものでございます。

 経済連携協定は、やはりお互いが納得いくまで話し合って、そして、お互いがちゃんと納得できるところになるということは、何月までにまとめなきゃいけないからこの辺で妥協しようということにはつながらないということを思いまして、このことを確認させていただきました。

 ぜひとも、こういう声も上がっておるということを、もちろんもう十分に踏まえていただいていると思うんですけれども、念頭に置いていただいて交渉に当たっていただきたいと思います。

 日豪EPAでは、TPPという議題がなされている中で今粛々と進んでおると思うんですけれども、日豪EPAは、これは希望的観測で、こういうことが本当に事実かどうかは別にしても、今まで、最近では輸入実績が日本にはないから米が除外されるのではないかとか、さまざまな怪情報が報道を通じて流れており、そしてまた、議員の皆様も、申しわけないんですけれども、TPPよりはそんなに熱意がないといいますか、米がかかわらないせいなのかわからないんですけれども、盛り上がりに欠けている部分があるんじゃないかと個人的には思っております。

 しかしながら、平成十八年に政府がまとめられた試算では、小麦、砂糖、乳製品、牛肉の四品目で七千九百億円の国内生産が減少するという試算も出されておりますし、オーストラリア一国と何か重要品目もかかわるような条約が結ばれるのであれば、アメリカやニュージーランド、その他の国も、おい、うちの国も何とかしろという声が上がってきてもおかしくないと思うんです。

 ですから、この件はやはりしっかりと政府の方針をもう一度正していただいて、しっかりと当たっていただきたいということの思いがございますので、きょう御質問させていただいているところでございます。

 それでは、いわゆるオーストラリアとの経済連携協定で、メリットとしてよく言われることについて、食料安定供給とか資源安定供給とか、そういった側面が指摘されることがございます。これは、先ほど石山委員からも御質問があった、いわゆる世界で食料の高騰をしているさなかで、そういうことが本当にあり得るのかということを、私も同じ疑問を持っております。

 他国からの安定供給というのが、自分の国が本当に食料危機に陥っているのに、それでも他国に輸出するというような事例が過去にあるのかどうか、あるいは、日本はWTOの中で他国の食料輸出についてどのような主張をし、どのような他国の反応があるのか、そのことについて、一般的な事実についてお伺いしたいと思います。

田名部大臣政務官 先ほど石山委員の方からもありましたけれども、この食料の安定供給、先ほども申し上げましたけれども、国民の食料をしっかり守っていくというのは、私は国家の大変大きな責務だと思っております。

 そんな中、FAOが出した試算によりますと、二〇五〇年、世界では現在の食料生産の一・七倍の生産が必要である、こういったことも言われているわけであります。自国の食料を守るということ、そして世界の食料の安全保障を考えていくということ、その両方の側面から考えたときにも、私は、自給率をしっかりと向上していくということは大変重要な課題だと思っています。

 他の国の輸出規制などを見ても、やはり、自分の国で食べるものに困っているのにほかの国に出すなんということは考えられないわけでありまして、そういった観点から、世界の動向を踏まえても、やはり自国の中でしっかりと安定供給できる体制をつくる、つまり、自給率五〇%をしっかりと目指していくということだと考えておりますし、WTOの農業交渉においてですが、二〇〇八年四月、スイスと共同で輸出規制の規律の強化に関する提案を行いまして、現在の議長案に反映されたところであります。そのことだけ御報告させていただきます。

山岡(達)委員 ありがとうございます。

 今もお話がありましたが、事実として、ロシアは今小麦を出していないという状況もありますし、二〇〇七、八年ごろの食料高騰のときも、相当な数の国が自分の国から食料を出さないという措置をとったということがございます。

 今政務官からもお話がありましたけれども、私も、基本的には、まず自国の食料は自国でつくる。そして、日本は、それでも足りないという状況が生まれますので、そのとき初めて輸入のことを考えるという順番があると思います。

 今、政府の皆様がお進めになっておる食料の自給率と経済連携協定、それは、食料安定供給という観点からいえば、同時ということではなくて、まず自国の食料自給率向上がありきだということを私は思っておりますので、そのことも、ぜひとも皆様にいま一度御検討を願えればと思います。

 もちろん、農水省の三役の皆様はもう重々御存じということはよくよく思っておりますが、なかなか政府全体の皆様では、そういったことを御理解されておられるのかどうか心配になる発言が多々飛び出しておるという現状でございます。ぜひとも、農林水産省の皆様からも、まだまだ今以上の御活躍、御努力を期待しておりますので、よろしくお願いします。

 それでは、セットになっておる国内対策ということについてお伺いいたします。

 今、国内対策ということでお話がよく出ます。六十五歳以上の平均年齢となり、そしてなかなか体質強化も進んでいないということが盛んに唱えられるようになっております。確かに、農業は今、そういう平均的な事情があり、これを何としても強化していかなきゃいけない。民主党は、所得補償、六次産業化等、さまざまな施策においてこれをきちんと向上させていくという方針をつくっております。

 しかし、その多くは、私は地元北海道という観点から申し上げさせていただきますと、都府県の水田農業を中心とした農業がそういう状況であるということをすごく痛感しております。北海道は、都府県の農業に比べたら二十倍、三十倍、五十倍の面積を持ち、あるいは、担い手と言われる若い人たちも、六十五歳以上ということではなくて、多く存在しておるという状況でございます。

 今、政府は食と農林水産業の再生推進会議というものを立ち上げておられますけれども、この議論の中で、都府県の水田農家を中心とした体質強化の話と、この日豪EPAという話は、まさに品目が、北海道、九州の南の方、あるいは沖縄、そういったところともろにかぶってくるという品目において、そこの部分の検討状況というのがなかなか見えてこないという心配があります。

 そういったことに関しましてどのような御検討をされておられるのか、ぜひともこの場でまたお伺いしたいと思います。

篠原副大臣 先ほど、午前中の質問に対してもお答えしましたけれども、我々の政策というのは、入り口で、規模の大小で差をつけるということはいたしておりません。その結果、では、どうなるかということでございますけれども、農業者戸別所得補償を考えていただくとわかると思います。面積に応じてお支払いするという仕組みになっております。

 したがいまして、北海道のように大規模な農家がいるところは相当メリットがあるということで、そういった意味では、区別しては考えておりませんけれども、結果として、北海道のような大規模農業者も非常に政府の支援は得やすくなっているのではないかと思います。

山岡(達)委員 今、国内対策のお話、またこれからまとまってくるんだと思います。しかしながら、今私がお話しさせていただいたのは、それで、では、オーストラリアに勝てるのかということでございます。日本の、面積に対して北海道が三十倍であれば、オーストラリアは千五百倍から千九百倍という面積の中で、地に足のついた施策において、本当に勝てる、安心できる、そんな状況が生まれるのか、本当に心配でございます。

 開国、開国ということでお話はありますけれども、若い人たちを開国という言葉で無謀なそういった農政の中に出してしまっては、それこそ意欲がなくなってしまうという心配もすごく感じておるところでございます。ぜひとも、地に足のついた施策と経済連携協定の両立ということをお示しいただきますことを私からお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

山田委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社会民主党の吉泉秀男です。

 きょう最後の質問でございますので、予定をしていた項目も何カ所かそれぞれダブったという状況で、そこは割愛をさせていただきますけれども、まずお聞きをしたいというふうに思うのは、戸別所得補償制度と米価の安定対策、このことについてお伺いをしたいわけでございます。

 確かに、定額分と変動の補てん分、その分を合わせますと三千円超えるわけでございますから、そんな面の中では一定程度の下落の対応はできたのかなというふうにも思っていますし、そしてまた、一万五千百円ということで補てんの分が決まったということで、生産者の人方から見れば、一応安堵するという状況はございます。

 しかし、今、東北の管内で、二十一年度産、このところの価格が相当おっこちた、下落をした、そういう中において、私ども山形の場合は十アール当たり千円、この分を、いわゆる仮渡しが多く、農家の方に二十一年度産のお米の価格についてJAさんとしては払ったわけですから、その分の千円は戻してほしい、また、東北六県すべて、一番多いところは千二、三百円とか、そういう状況に今なっているわけでございます。

 このことについては、まさに、昨年モデル事業が入った中において、需要と供給のバランスが崩れる、そういう状況から、それぞれJAを中心としながら生産者団体の方から、過剰米対策、そういったところについて手を打ってほしい、こういう要望なんかもずっと出されてきたわけでございます。しかし、政府の方として、米の価格が幾ら下落をしても、いわゆる戸別所得補償制度があるから大丈夫だ、こういう答弁を繰り返してきた、こういうふうに思っております。

 しかし、今の現状からいうならば、その分、当初千二百円が千七百円まで補てんをせざるを得ない、そういう状況から見ても、やはり財政上の問題も含めていった場合に、備蓄米を含めながら、そこのバランスという部分については、米の安定対策ということから見れば、敏感にその都度その都度、緊急にとっていかなければならないのではないか。

 確かに、価格そのものについてはそれぞれ需要と供給の中で決まるわけでございますけれども、しかし、米の所得補償制度、定額分、この分を出されたときに、もう千五百円下がるんじゃないか、こういった部分もうわさ的な形で出たことも間違いないわけでございます。そんな中からいえば、戸別所得補償制度すべてが、この分があるから米の下落対策、安定対策等々についてはしっかりやっているという状況にはやはりならないんではないか、そういうふうに思っております。

 そんな面から、いわゆる米の下落対策、価格安定対策、この点について、政府としての見解、どういうふうに考えているのか、お伺いをさせていただきます。

鹿野国務大臣 今吉泉先生から御指摘の、米の下落に対する対応策、こういうことであります。

 いろいろな要因から米が下落したことは、これはもう間違いない事実であるわけであります。そういう中で、御承知のとおりに、この戸別所得補償制度というのは、定額部分と変動部分、こういうことで、今回どれだけこの変動部分に対しての対応がなされるか、こういうふうなことも農業者の人たちの関心事でありました。

 基本的には、当年産の販売価格と標準的な販売価格の差額が一千七百十五円、十アール当たりに換算いたしますと変動部分の交付単価は一万五千百円、こういうことになりまして、定額部分の一万五千円と変動部分の一万五千百円というものが交付される、こういうふうなことでございますので、このことによって、ほとんどの地域におきましても米の下落というふうなものに対してカバーがなされるものと思っておるわけでございます。

 そういうことで、戸別所得補償制度というものは来年度からは麦あるいは大豆等々にも対象を拡大しているわけでありますけれども、この制度を改めて理解していただいて加入してしていただいて、加入者がふえていけば需給調整にもつながる、こういうことでございますので、いかにしてこれから継続的にやっていくか、戸別所得補償制度を続けていくかというふうなことは大変大事なことだと思っております。

吉泉委員 確かにわかるわけでございますけれども、しかし、所得補償制度というものについては、まさにその生産費、そのところに価格が届かなかった、こういった部分について所得補償をするということでございます。

 そんな面からいうと、この間生産者は努力をしまして、コスト等々を含めて相当努力をしています。そして、生産費をなるべく抑えるということで努力をしていますけれども、まだまだ政府の方で出している部分についても、十四万円以上の十アール当たりの生産費、そういうふうになっているわけですね。

 ですから、そんな面からいうと、所得補償制度、そのことについてはきちっとしていかなきゃならないわけですけれども、その都度その都度、備蓄米の問題を含めて価格安定政策はとっていかないと、やはり米の下落、このことについての対応策というものについて、生産者の期待にこたえることができないんじゃないか、私はこういうふうにも思っております。

 ですから、その二面策、二つの、戸別所得補償制度を基軸としながらも、備蓄米制度の問題なんかも含めて価格の安定対策についてぜひ力を入れていただきたい、こう思っております。

 そしてまた、戸別所得補償制度の法制化の、制度化の問題、このことについて大臣の方から二十四年というお話がございました。

 しかし、今、生産者が、生産数量目標がほぼ決定された中で作付をどうしていくのか、この計画を、今種子なんかも含めて考えながらやっているわけでございます。その中において、トータル的に、大豆よりも飼料米がいいんじゃないか、さらには米粉がいいんじゃないか、こういう一つの営農計画を出しているわけでございます。そして、そのことについてはやはり八万円とか、その金額をあわせながら、米にかわり得る、その部分について大体同じような所得が得られるように、そういう一つの設計をするわけでございます。

 しかし、そのことが、今回予算措置でなされた、そういう制度になっていない。だとすれば、生産者から見ると、そのところの基本的な考え方はわかるわけでございますけれども、しかし、その価格、そういう一つの補助的な価格が変わっていくのではないか、こういう心配なんかもなされているわけでございます。去年、ことし、このところについては同じ金額で提示をされながら今進めているわけでございますけれども、こういう点について、生産者から見れば、これからそれをやはり担保してほしい、来年も再来年も、せめて落ちつくまではある程度金額的な部分については担保してほしいなという思いがあるわけでございます。

 この点について、来年度、二十四年度制度化、そういう言い方であったわけでございますけれども、戸別所得補償制度の中身の問題なんかも含めて、来年度ということではなくて、やはり今年度からその辺の議論をやっていかなきゃならないのではないかなというふうに思うんですけれども、この制度化に向けた対応の問題について、今の大臣の考え方はどうなんでしょうか。

鹿野国務大臣 重ねて、吉泉先生から、今回の、この戸別所得補償制度に対して、やはり二十三年度から法案として提出をすべきでなかったか、そして、しっかりと農業者に対して、これからも継続して続けていくというような、そういう安心感を持ってもらう必要があるんじゃないか、こういう御指摘であります。多くの議員の皆様方からも御指摘をいただいてまいりました。

 私どもも過般来申させていただきますとおりに、戸別所得補償制度というものを二十三年度におきましても実施していくということを考えたときに、遅くとも田植えの最盛期前に加入申請に着手するということが、円滑な推進を図るという上において非常に大事なことでございます。

 先生から今作付の面のお話がございましたけれども、そういう意味で、今回は、二十三年度は予算措置ということにも相なったわけでありますが、これから毎年毎年変わっていくのではないかという不安感というものをいかに払拭して、安定的な形で所得補償制度というものを定着させていくかということを考えたときに、やはり初年度、二年度の対策というものを検証しながら制度設計して、そして法案として提出をさせていただきたい、こんなふうに考えておるところでございます。

    〔委員長退席、佐々木(隆)委員長代理着席〕

吉泉委員 その交付単価の関係ですね。基本的な戸別所得補償制度の根本そのものについては全体的に合意はできるというふうに思うんです。ただ、今、本当に生産者はいろいろな悩みがあるわけでございますけれども、やはり、作付の計画を今組んでいるときに、毎年毎年交付単価が変わる、こういう状況の中ではそれぞれ営農計画が立たない、こういうことだと思います。ですから、そのところについてぜひ担保できるような、そういうしっかりしたものについてお願いをしたいということでございます。

 それともう一つ、今大臣の方から、一つの考え方で、規模拡大の加算の部分が出たわけですけれども、そのところで非常に疑問視するのが、連担、いわゆる自分の所有地の水田と隣、地続きでなければ加算金の対象にはならない、こういう中身でいいんですか。そこをちょっと確認します。

鹿野国務大臣 今回緊急的に規模加算対策を講じましたのは、受け手だけに対する対応策で、出し手じゃなしに受け手の人たちに対する対応策でございます。

吉泉委員 ですから、受け手の場合の連担化というものが条件として出ているわけですね。

 例えば、私の妻の実家が高齢者で田んぼをやめたい、だから嫁いできた妻のうちの田んぼを私が耕作する、これは規模拡大になるわけですけれども、連担化というものが限定だとすれば、これはできないわけでしょう。その辺、どういう見解ですか。

鹿野国務大臣 今回は、まさしく、小規模で分散している農地を面的に集積する、今先生がおっしゃった連担化、これが農地の規模拡大を加速するということが大変重要でございますので、このような考え方で、連担化された農地に利用権を設定して経営規模の拡大した意欲ある農業者に対して加算金を交付する、こういうふうな考え方に立っておるところでございます。

吉泉委員 これは、競争力を高めていくために、強い生産者、そういうものをつくっていくために規模を集約する、拡大する、そういう一つの一面があると思うんですね。

 そのところの中で、連担化となると、自分の田んぼ、水田を譲りたいというふうに思っても、四方に囲まれている農家は、私もやめたいんだというふうになったらば、全然受け手がいなくなるわけでしょう。ですから、余り連担化というところに限定をするということについてはいかがなものかというふうに私は思っているんです。ですから、そのところを再度、見解を聞きたい。

篠原副大臣 規模加算は来年度から始まる仕組みでございます。

 それで、我々は、例えば一キロ離れたところで規模拡大といっても作業の効率化というのはうまくいかないんじゃないかということで、なるべく連担団地化してほしいということで、今吉泉委員の御指摘で、具体的な例をきちんと定めているわけじゃないですけれども、例えば道路を隔てて田んぼがあるといった場合、こういった場合は、道路をちょっと移動すれば作業が同一に、つまり継続してできるわけですから、連担しているということになるのではないかと思います。こういったことについては、現場の皆さんの声を聞きながら、また正すべきところは正してまいりたいと思っております。

 ただ、我々の規模拡大の気持ちというのは、なるべく作業を効率化してコストダウンをするということを考えておりますので、そういった意味でなるべく連担化するような形で規模を拡大してほしいということで、一応の要件にしております。ですけれども、非常に厳しい、厳格な要件というわけではございません。

    〔佐々木(隆)委員長代理退席、委員長着席〕

吉泉委員 今の土地利用型、特に米農家の現状というふうにやったらば、そんなに意欲ある、規模拡大までやってというふうなところについてはなかなか難しい部分があるというふうに思っています、私は。

 しかし、その中には、相当強い、頑張ろうという人もいる。今進めていかれているのは集落営農、このところを今追求している、そういう状況があるというふうに思っています。ですから、余り規模拡大と連担、これを結びつけると、ちょっと拡大もなっていかない部分もあるわけだし、そんな面ではもう少し連担化というものについて、それを義務、いわゆる必ずそうでなければ対象にならないみたいな、今副大臣が言ったわけですけれども、これを取っ払うという考え方はないですか。

篠原副大臣 日本の農地の特徴として、分散錯圃という形態があるわけです。それは多分、危険の分散とかがあったんだろうと思われます。しかし、これが規模拡大の妨げとなっているわけでございますから、少なくとも機械化ができている水田等についてはなるべく連担団地化してほしいという願いを込めてこの加算制度を設けたわけでございます。

 先ほどと同じ答弁になりますけれども、連担団地化の連担の定義がどこまでかというのは、この連担団地化というのは、既にもう転作のころのブロックローテーションのときにさんざん議論されてきておりますので、現地はそれほど混乱なく受けとめてくれるのではないかと私は思っております。

吉泉委員 私のところに聞こえてくるのは、そういうよりは、やはり、拡大をしたい、そういう人方についてはこの連担というものが非常に邪魔になるという言い方ですね。ですから、ぜひその辺について、確かに面的に大きく、十町歩なり同じ一カ所にまとまればいいわけですけれども、それはやはり無理ですよね。ですから、やはり少しそこに、一ヘクタールの土地を求めて、そしてそこからまた二ヘクタールに伸ばしていくとか、そういう状況になるんだろうというふうに思っています。ですから、その点についての規模拡大の考え方、このことについてもう少し御検討を含めてお願いを申し上げたい、そういうふうに思います。

 それから、あと、時間がありませんので、輸出の問題でちょっとお伺いをさせていただきたいと思います。

 昨年の十二月、中国とのいわゆる覚書を筒井副大臣が結んできながら、そして今、薫蒸の倉庫そしてまた精米の施設、その準備がなされているというふうにお聞きをしています。

 まず、そのところを、今の現状についてお伺いをさせていただきます。

篠原副大臣 現状を御報告いたします。

 中国は、我が国の農林水産物、食品の輸出額のうち約一〇%を占める第四位の輸出先国になっております。

 今後のことを考えた場合、日本と違いまして、〇九年でいいますと八・七%の経済成長、それから二〇一五年には九・五%の経済成長が続くんじゃないかと言われております。それから、中間層と言われる、日本の食料をちゃんと買える層でございますけれども、今は四億五千万人ぐらいなんですが、二〇二〇年には十億人に達する。それから、特に富裕層と呼ばれる層ですけれども、今は二千万人ぐらいなんですが、二〇二〇年には一億人を超えるということが言われております。ですから、多分、二〇二〇年には、日本の農産物の輸出先国としては最も有望な輸出先国になっているのではないかと推測されております。

 こういうことがありますので、今筒井副大臣がお見えになりましたけれども、昨年十二月に訪中されました。それで、中国の国営企業であります中国農業発展集団総公司との間で、日本産農林水産物、食品の輸出拡大等を内容とする覚書に署名しております。

 本年一月、逆にあちらから、そこの劉董事長が来日いたしまして、国内の関係者三百六十名ほど出席いただきましたけれども、中国輸出促進会議というのを開催いたしまして、中国で開設予定の常設の展示館等の活用の仕方について説明し、意見交換を行ったところでございます。

 こうした経緯を踏まえまして、我々は、輸出拡大に向けて全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。

吉泉委員 その辺の状況認識は自分もやっているわけでございます。

 ただ、日本の農産物の輸出一兆円、このところを目指しながら、そういう方針を掲げているわけでございますけれども、まだ五千億足らず。そしてまた、そのところについても、加工品なんかも入れてなっているわけですから、まさに今の一兆円を目標とするならば、米の輸出、これなくしてはやはり達成はできないだろう、そういうふうに私は思っております。

 まだまだ米の輸出をするについては非常にハードルが高い、こういう状況ではございますけれども、新規需要米、ここのところに輸出米を位置づけているわけでございます、今の段階で日本は。そして、その新規需要米のところから米を、例えば中国に輸出をしようというふうになっていったときに、現状を今私の方で調べますと、大体一キロ千五百円から千四百円、これで中国の人たちが日本の米を買っているというふうにお伺いしています。

 しかし、この米を、キロ千五百円、千四百円で売っていくときに、日本の生産者が幾らで出せばいいのか。すると、自分の方として出す部分については一キロ三百円か四百円、これで出さない限りこの価格では売れない。そのところについては、中国に輸出をするまでの手続、いろいろな経費が相当かかっている。

 こういう状況を含めていったときに、新規需要米として輸出米、こういうことで位置づけをして、そしてこれから中国なり他のアジアの方に日本の米を輸出する、そういう場合については、もう少し戦略的な部分を、何が問題なのか、そして価格等の問題が、生産者としてそれぞれ納得でき得る、そういう状況ができるのか、このことについて、やはり政府の方として、フォローも含めて方針を出していかなきゃならないんではないか、私はこういうふうに思うんですけれども、その辺についてどうなんでしょうか。

鹿野国務大臣 今、国内産の新潟コシヒカリというものはキロ当たり四百円から五百円、こういうことであります。そういうようなことを想定いたしまして、民間の商業ベースでもちろん輸出ということになるわけでありますけれども、個々のケースによって販売価格やコストが変わるというものでありますけれども、生産者の手取り額や薫蒸のコスト、流通経費の額というふうなものはいろいろな形で違ってくるわけでございます。中国国内で販売されている国産米の価格は、二キロで百九十八元、日本円にして二千五百円程度、こういうことに承知しております。そうしますと、キロ当たり千三百円くらい、こういうことであります。

 そういうことを考えたときに、現在の我が国の、国内の価格体系で輸出することができる、こういうようなことを前提といたしまして輸出戦略に今具体的な形で取り組んでおる、こういうことでございます。

吉泉委員 そうすると、筒井副大臣の方で二十万トンとかいうふうな話がなって、その二十万トンを輸出でき得る薫蒸施設なりそれから精米とか、今その準備がなされているわけですね。

 それで、大変な大きい量になるわけですけれども、そのところでどういうふうにそれじゃ、施設はつくったんだけれども、米を生産者の方から、国内価格と大体同じような米で向こうの方に買ってもらえる、そのオファーが来ているのか、そんなところはどうですか、ちょっとお伺いします。

鹿野国務大臣 現行の検疫条件のもとで輸出が拡大するようにというようなことで、今検疫のことが大きな一つのハードルにもなっておったわけでございますので、薫蒸倉庫なりあるいは精米工場というものをふやすために支援を行っていきたい、こういうふうなことでございます。

 そして同時に、今私から御説明をさせていただいたとおりに、現在の価格体系の中で中国側に輸出をしていく、こういうふうな基本的な戦略で取り組んでいきたいと思っているわけでございます。

吉泉委員 時間がなくなったということでございますけれども、ぜひ国内の価格の中で、それで中国に持っていきたい、しかし、現状の中国の、今調べてみますとやはりそれではなかなか、富裕層が多い、そういう状況はあるわけですけれども、やはり余っている、買えない、こういう状況なんかも情報として入ってきています。いわゆる高いと。

 こういうふうなお話なんかも聞いていますので、その辺について、政府の方として本気になって、中国の方にターゲットを絞って、国内価格と同じように生産者の所得を守り、そして日本のおいしい米、安全な米が中国の方にやれるということになれば、自信を持って進められるような、そういう一つの政府としての情勢認識、さらにはそういう整備、そのところをぜひ出していただいて、それで生産者の方にメッセージを出していかないときついんじゃないか、こういうふうに思いますので、その辺、ひとつよろしくお願いをします。

鹿野国務大臣 今まで我が国としても輸出戦略というふうなものに対して取り組みもあったと思いますけれども、どうしても価格というようなこと等々で輸出というものが限られたものでありました。

 今日、中国を初めとするところのアジアの国々が、経済成長というようなことで、国民の所得というふうなものも上がってきているわけであります。ゆえに、先ほど申し上げたとおりに、中国の国内においては二キロ当たり二千五百円くらいで売られておる、こういうふうな状況からいたしますと、我が国の今日のこの四、五百円の米の価格というふうな体系で輸出しても、これは十分競争力を持つことができる。

 こういうようなことで、とりわけ日本の国は安全、安心、そしておいしいという評価をいただいているということでありますから、このような新たな市場をやはり開拓していくというふうなことは我が国の農林水産業に大きな新たな刺激を与える、また農村、農業のためにも、将来に向かって意欲を持ってやっていただくことにつながるもの、こんな考え方で取り組んでいきたいと思っております。

吉泉委員 どうもありがとうございました。

 ぜひ、生産者が自信を持って送れる、そういう体制というものについて、情勢的なものを含めて、国としての努力、このことをお願いして質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

山田委員長 次に、内閣提出、家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣鹿野道彦君。

    ―――――――――――――

 家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

鹿野国務大臣 家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。

 家畜防疫は、畜産の振興及び畜産物の安定供給を図る上で重要な役割を担っておりますが、近年、アジア諸国において口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザが続発している中で、家畜防疫の重要性は著しく高まっています。

 こうした中で、昨年四月に宮崎県で発生が確認された口蹄疫は、二十九万頭に及ぶ牛、豚の殺処分を行うなど、地域の経済社会に大きな影響を与えました。

 この口蹄疫対策を検証するために設置された第三者から成る口蹄疫対策検証委員会は昨年十一月に報告書を取りまとめましたが、この報告書の内容や、昨年十一月以来の高病原性鳥インフルエンザの発生状況等を踏まえて、家畜伝染病の発生の予防、早期の通報、迅速な初動等に重点を置いて家畜防疫体制を強化するため、この法律案を提出することとした次第であります。

 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、国と都道府県等との役割分担について、防疫方針の策定及び改定は国が責任を持って行い、それに基づく具体的措置は都道府県が中心となって行うこと、都道府県の具体的措置の実施に関して国が援助を行うことを明確化することとしております。

 第二に、国の定める防疫指針について、最新の科学的知見や国際的動向を踏まえて、少なくとも三年ごとに再検討を加えることとしております。

 第三に、我が国へのウイルスの侵入防止措置について、空港や港において、海外からの入国者に対して質問を行ったり、その携帯品の検査、消毒を行うことができるようにするとともに、航空会社、空港などに対して協力を求めることができることとしております。

 第四に、畜産農家におけるところのウイルス侵入防止措置について、家畜の所有者に対し飼養衛生管理の状況等についての定期的な報告を義務づけるとともに、畜舎等への消毒設備の設置や、人や車両の出入りに際しての消毒を義務づけることとしております。

 第五に、発生時に備えた準備について、家畜の所有者が遵守するべき飼養衛生管理基準の中に埋却地の確保についても規定するとともに、都道府県知事は、家畜の焼却または埋却が的確かつ迅速に実施されるようにするため、埋却地の確保に関する情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとしております。

 第六に、患畜の早期の発見、通報について、国が定める一定の症状を呈している家畜を発見した獣医師または所有者に対し、都道府県知事への通報を義務づけることといたしております。

 第七に、国の財政支援について、口蹄疫、高病原性鳥インフルエンザ等の患畜等の所有者に対しては特別手当金を交付し、通常の手当金と合わせて評価額全額の交付を行うこととするとともに、家畜伝染病の発生または蔓延を防止するために必要な措置を講じなかった者に対しては手当金の全部または一部を交付せず、または返還させることとしております。

 第八に、口蹄疫の急速かつ広範囲の蔓延を防止するためにやむを得ないときは、患畜及び疑似患畜以外の家畜の殺処分を行えるものとし、その場合、国は補償しなければならないものとしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願いを申し上げます。

山田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、明十日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十七分散会


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