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第4号 平成23年3月10日(木曜日)

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平成二十三年三月十日(木曜日)

    午前九時四分開議

 出席委員

   委員長 山田 正彦君

   理事 梶原 康弘君 理事 佐々木隆博君

   理事 津島 恭一君 理事 仲野 博子君

   理事 柳田 和己君 理事 谷  公一君

   理事 宮腰 光寛君 理事 石田 祝稔君

      網屋 信介君    石田 三示君

      石原洋三郎君    石山 敬貴君

      今井 雅人君    打越あかし君

      大串 博志君    加藤  学君

      金子 健一君    近藤 和也君

      斎藤やすのり君    篠原  孝君

      田名部匡代君    高橋 英行君

      玉木雄一郎君    筒井 信隆君

      道休誠一郎君    中野渡詔子君

      野田 国義君   松木けんこう君

      三宅 雪子君    山岡 達丸君

      伊東 良孝君    今村 雅弘君

      江藤  拓君    小里 泰弘君

      北村 誠吾君    谷川 弥一君

      山本  拓君    西  博義君

      吉泉 秀男君    石川 知裕君

    …………………………………

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   内閣府副大臣       平野 達男君

   財務副大臣        櫻井  充君

   農林水産副大臣      篠原  孝君

   農林水産副大臣      筒井 信隆君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   外務大臣政務官      菊田真紀子君

   財務大臣政務官      吉田  泉君

   農林水産大臣政務官    田名部匡代君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 平嶋 彰英君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            磯田 文雄君

   政府参考人

   (文化庁次長)      吉田 大輔君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    鈴木 久泰君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 森本 英香君

   農林水産委員会専門員   雨宮 由卓君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十日

 辞任         補欠選任

  石原洋三郎君     斎藤やすのり君

  金子 健一君     打越あかし君

  中野渡詔子君     三宅 雪子君

同日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     金子 健一君

  斎藤やすのり君    石原洋三郎君

  三宅 雪子君     中野渡詔子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)


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     ――――◇―――――

山田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官平嶋彰英君、文部科学省高等教育局長磯田文雄君、文化庁次長吉田大輔君、海上保安庁長官鈴木久泰君及び環境省大臣官房審議官森本英香君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江藤拓君。

江藤委員 本日は、家畜伝染予防法の一部を改正する法律案、この質疑ではありますけれども、冒頭にまず、宮崎県で今大問題の新燃岳について若干触れさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 委員の皆様方にもぜひ知っていただきたいので、現状の報告をまず簡単にさせていただきます。

 一月二十六日に噴火が始まりました。この被害状況、農林水産物関係では、露地野菜三億七千二百万円、ビニールハウス一億一千九百万円、ビニールハウス、そのほか牛舎、倉庫、そういうものの降灰による倒壊は百六十四件、そしてシイタケやその培養施設、この被害が五十八カ所、そしてヤマメの養殖場の稚魚の死亡は二十万匹、三月四日の集計ですけれども、まだふえていると思いますが、宮崎県の報告によると、被害総額は農林水産関係で六億円ということになっております。噴火はどっと続きますから、さらに積み上がっていく数字であります。

 これはあくまでも農林水産業関係だけの被害でありまして、例えば、宮崎県の宿泊キャンセル、これはもう一万件を超えてしまいました。口蹄疫のときと同じであります。宴会の予約も、四千人以上キャンセルも入ってしまっております。これ以外にも、隣県の鹿児島県にも大変な被害が及んでおるわけであります。

 ただ、鹿野大臣の所信を聞かせていただきました。鳥フルについては万全を期すと言っていただいて感謝をしておりますけれども、新燃については、ちょっと発言の内容に踏み込みが甘かったんではないかな、もうちょっと強い決意が聞きたかったなというのが私の率直な気持ちであります。

 宮崎県は、口蹄疫の発生、いろいろ続きまして、今年度十回、十回ですよ、補正予算を編成せざるを得ない状況に追い込まれました。その総額は一千七百十億円、補正後の一般会計総額は前年度比二〇%以上ふえてしまいました。金額は七千五百八十七億円、過去最大の規模となっております。ただでさえ財政基盤の弱い宮崎県にとっては非常に破壊的な数字だということであります。

 口蹄疫対策費のうち、特別交付税であがなえない部分、この十五億円は、宮崎県のいわゆる預金、財政調整積立金を取り崩さざるを得ないということであります。その結果、財政調整積立金の残高はわずか百十一億円という状況にまで宮崎は今追い込まれております。平成二十三年、では、どうやって予算を組むんだという声が県議会に上がっています。というのは、大体、例年宮崎県は、この基金から百五十億から二百八十億円ぐらい取り崩して予算編成してきたんですよ、これまで。ところが、百十一億円しか残高がないんだから、緊縮財政にするか、財政破綻するんじゃないか、そういう声が宮崎であるということを、大臣には、三役の皆様方には、財務の方もぜひ心にとめていただいて、温かい手を差し伸べていただきたいということでございます。

 活動火山対策特別措置法に基づいて、二月の二十五日、避難施設緊急整備地域に指定されました。このことについては、いろいろ意見はありますけれども、私はいいと思っております。ただ、一つ指摘しておきたいのは、これから春、夏にかけて風向きが変わりますので、指定地域は順次見直しをしていただかないと、これは実情に合わなくなります。このことをお願いしておきたいと思います。

 そして、農山漁村地域整備交付金、これを活用して……(発言する者あり)いいです、長いんですよ、質問が三十問ぐらいありますから。降灰による農林漁業被害を防ぐための施設の整備、これは二分の一補助、これも大変ありがたいということで感謝を申し上げたいと思いますが、しかし、これは、ブロワーとか高圧洗浄機を新規で、新しい機械を購入する場合については二分の一補助をいたしましょうという事業なんですね、制度設計が。

 ところが、地元を歩いてみますと、違うんですよ。おれのところに機械がある、例えば、ポンプをもうちょっと強いものにかえたい、噴射ノズルを少しかえれば洗浄に使える、そういうふうなことについても助成してくれと。私は、ごもっともな御指摘だと思うんですね、ごもっともな。農家にしてみれば、新しい金を出して二分の一補助でも、大金を払わなきゃならない。改造ならちょっとで済む。もし、改造費の二分の一を国が見てくれれば、農家負担はぐっと減るし、国の支出も減るわけですよ。これは、大臣、ぜひ御検討をいただきたい。ですから、この両事業、今紹介をしましたけれども、部品の購入、改造、そういったことについても柔軟に幅広くその補助の対象とすべきだと私は考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。

筒井副大臣 おっしゃるとおりで、新しい機械を購入した場合だけに限らず、既存の機械等についても、維持管理を超えて少しでも機能を高める点があればそれを対象にするというふうに今取り扱うことにしております。

 だから、例えば、先生の方がより詳しいですが、お茶の洗浄機の場合、乗用型の新しい機械を買えば七百万から一千万とか……(江藤委員「それの話はまた後でしますから」と呼ぶ)はい。そういう方向でするということでございます。

江藤委員 副大臣、ありがとうございます。御当局からのきのうの段階での説明はやはり硬直化した説明だったんですよ。質問取りのときも、二分の一と。でも、きょうこの場で御質問をさせていただいたら柔軟に対応してくれると言っていただいたので、地元に帰って報告ができます。ありがとうございます。

 次に、新燃岳噴火・降灰緊急営農対策事業、これは一戸当たり上限が百万円なんですよね、百万円。例えば、今お茶の話を筒井副大臣が申されましたけれども、遠心分離機を利用した洗浄機、言われたように一千万ぐらいします。それから、いわゆる生葉を工場で洗浄する脱水機、これは二千万から四千万するんですよ。だめじゃないかという話を御当局にすると、十軒集まって二十軒集まれば共同購入ということで認めて、一千万、二千万になりますから、それで何とかしてくださいというお話ですけれども、お茶というのは、それぞれのお茶農家にこだわりがありまして、手もみでやる人もいれば、自分のところのブランド化をしているわけですから、共同購入といったってそれは現実的じゃありません。

 ですから、この要件の見直し、それから予算の増額、これはやはり私は、御当局として、政務三役として検討すべきだ、そういうふうに思うんですが、大臣、いかがでございましょうか。

筒井副大臣 今の点は、できる限り皆さんが集まっていただいて、グループをつくっていただいて対応していただきたいわけでございます。

 ただ、活火山特別措置法に基づく事業の中でそういうものに対してどういうふうに対応ができるか、今後検討をさせていただきたいというふうに思います。

江藤委員 今後検討していただけるということで、了とさせていただきます。

 お茶はこれからが正念場なんですよ、四月の中ごろから最初の収穫が始まりますので。その間にきちっと始末をつけておかないと、本当に収量も落ちるし品質も落ちる。緊急性を要しますので、作業を急いでいただきますように、よろしくお願いをしたいと思います。

 次に、新燃岳噴火・降灰緊急営農対策事業について、先ほども言いましたけれども、二月の八日、この日から公募を開始して、締め切りが二十八日でした。非常にスケジュールがタイトで、地元ではそれについていろいろ意見もあったんですけれども、私は、二十八日までやっていただいたということだけでもよかったなと。それでもよかったんだよ、ぎりぎりまで延ばしてくれたんだよ、事務的手続を考えれば二十五で切ってもおかしくないんだという説明をしてまいりました。しかし、私の事務所には随分苦情も来たこともこれまた事実なんであります。

 それで、今確認しておきたいことは、どれだけの応募が実際にあって、予算が、用意された金額が、これは十一億円だったわけでありますけれども、足りたのかどうか、このことについて確認をさせていただきたいと思います。

 それから、もし足りないという御答弁であれば、予備費の、国会開会中であっても使用できる項目の中を調べてみたんですけれども、災害に起因した場合というものは使えるという項目が見つかりましたので、予備費は使えるわけですよね、使えるわけです。ですから、もし漏れた人がいれば、予備費を活用してでも、年度末まで残りわずかですけれども、新たに公募をする、そういうお考えがありませんか。ですから、来年のことと、これから年度末にかけて、あわせて御答弁をお願いします。

鹿野国務大臣 ただいま先生から御指摘の営農継続のための緊急支援につきましては、二十二年度予算活用による一刻も早い支援の具体的な考え方というものが必要と考えまして、二月八日から直ちに公募を開始いたしました。年度末でもあり、公募期間が必ずしも十分にとれないということから、関係機関が連携して積極的に周知をしていただいたわけであります。

 その結果、公募の結果は百三十一件の申請がありまして、すべて採択をいたしました。そういう意味では、予算も足りておりますということでございます。

 来年度からは、防災営農対策に加えて、既存の事業が活用できるものについてはそれに対する支援も実施してまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。

江藤委員 ありがとうございます。

 先ほども申し上げましたけれども、風向きが変わりますと範囲がまた広がったりしますので、来年度については、ぜひさらに踏み込んで御対応をよろしくお願いいたしたいと思います。

 では、これから家畜伝染予防法の一部を改正する法律案についてお尋ねをさせていただきます。

 まず、冒頭に、委員長それから大臣、政務三役、筒井副大臣もですけれども、それから両筆頭、大変ありがとうございました。本来であれば設置法を先にやりたいというのは当然のことでありますけれども、緊急性にかんがみてこの家伝法を先にやろうということを御理解いただいて、きょうこういう質疑ができるということについては、非常に私はありがたいと感謝をしたいと思います。その御苦労にまず敬意を表したいというふうに思っております。

 二月九日に、宮腰筆頭と一緒に大臣室に伺いました。そのときに、自民党としての家畜伝染予防法の改正事項、これを提出させていただきました。筒井副大臣もおられました。患畜、疑似患畜の手当金を五分の五へ引き上げるというお話をしたときに、そのときは、なかなか苦しいねという話も現実にありましたけれども、我が党の案も取り入れていただいて、スクラムを組んで今回このことが実現できたということは非常にありがたい、よかったなというふうに思っております。

 これから質問に入りますけれども、条文の順番にはなっておりません。あっち行ったりこっち行ったりしますけれども、通告の順番でやらせていただきますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 自民党の改正事項の第二の一に、「特定家畜伝染病が発生した場合には、国及び都道府県に対策本部を設置すべきことを法律に明記」すべきであるというふうに書かせていただきました。しかし、今回出された法律案を読ませていただくと、法律には書いてありません。説明を求めますと、いわゆる防疫指針に書くんだということでありました。

 しかし、宮崎県民とか全国の畜産農家は、これは家畜伝染予防法が大幅に改正されるんだな、どういうふうになるんだろうと、やはり注目するのが家畜伝染予防法本体なんですよ、本体です。防疫指針に書いてあるからいいんだと、この場では通用する話であっても、世間に対して、国が責任を持つ、都道府県はきちっとやるという姿勢を示すのであれば、やはり法律の本文にこの条文を書くことの方が、メッセージ性として、国の覚悟としていいのではないかというふうに私は思うわけであります。

 また、この法律をずらずら読ませていただきました。これが家伝法なんですけれども、下に置いてあるのが。読ませていただくと、農林水産大臣が何々するとか、農林水産大臣は何々とか、農林水産大臣という言葉がやたらに出てくるんですよ、この法律の中には。

 ですから、やはり最高責任者は農林水産大臣であると。前回、口蹄疫のときに、農林水産大臣がなって、途中から菅さんになって、菅さんが宮崎に来て、わけのわからぬことを言って帰られたわけですけれども、やはり農林水産大臣がいいんですよ、農林水産行政に精通している人が最高責任者の方が。

 ですから、対策本部の設置の法律への明文化、それから最高責任者は農林水産大臣とするということを法律に書いた方がいいと私は強く思うんですが、大臣のお考えをお聞かせください。

鹿野国務大臣 まず、家伝法の改正案を提出させていただきましたけれども、この緊急性ということから、本委員会の委員長初め皆様方に御理解をいただく中で、こうやって早急に御審議をしていただくということに対しまして、心から感謝を申し上げながら、ぜひ成立に向けて御協力、御理解をいただければありがたい、このことを申させていただきたいと思います。

 ただいま江藤先生からの指摘につきましては、今回の改正法案につきましては、農林水産相は、口蹄疫等の家畜伝染病に関して防疫指針を作成する、こういうふうなことであります。そして、都道府県知事は、防疫指針に基づき、家畜伝染病の予防、蔓延防止のための措置を実施する、こういった規定が新設されるということになるわけであります。

 今の対策本部につきましては農林水産省及び都道府県に置く必要があるところでございますけれども、これまでの立法例を踏まえますと、対策本部の設置を法律に位置づけした場合には、本部長は内閣総理大臣になると考えられますことから、農林水産大臣を本部長とする対策本部を防疫指針に位置づけする、こういうふうな考え方であります。こういう中で、農林水産大臣が責任を持って対処するというふうなことを考えておるところでございます。

江藤委員 そのことは理解をしているんです。例えば地震とか大規模災害が起こったら省庁横断的に対応しなきゃいけないから内閣総理大臣が対策本部長になる。先例的なことですよね、これは。先例的なことですよ。画期的な改正をやるんですから、実質やるのは大臣なんですから。ならば、格好よくやはり法律に書いた方がいいんじゃないんですか。私は、やはりこれは筆頭間で御協議いただくことになると思いますけれども、ぜひ御検討いただきたい。けちをつけているわけではないんです、賛成なんですからね、基本的には。

 次に、自民党の改正事項の第二の二に、「農林水産省に家畜防疫対策室を」、これは仮称ですけれども、「常設する」ということを私たちの改正案の中には入れさせていただきました。これは農林水産省の組織令または農林水産省の組織規則の改正であって、家伝法になじまないことはわかっています。わかっておりますけれども、韓国でこれだけめちゃくちゃに口蹄疫が発生し、口蹄疫も鳥フルもめちゃくちゃに発生している状況であれば、農林水産省の中には、例えば果樹対策室とかあるわけですから、こういった専門部署をやはり設けることが私は必要だと思いますが、大臣の、私見で結構ですから、お考えを。

筒井副大臣 おっしゃること、理解させていただいております。

 対策室をつくるかどうか、これは他の省庁との調整も含めてあるものでございまして、今後の課題として検討させていただきたいというふうに思っております。

江藤委員 ぜひ前向きな御検討をお願いしたいと思います。

 これも法律マターじゃなくて大変恐縮なのではありますけれども、動物衛生研究所のあり方。今、これは独法になっていますよね。この間、山田委員長とお話をしたときも、江藤君、今回、口蹄疫のときに感染経路の究明ができなかったことが残念だとぽつりとこぼされました。みんな同じ気持ちであります。この動衛研をやはりこれから組織強化しなければいけないと私は強く思うわけであります。

 ですから、検証委員会の報告を踏まえて、この組織が今後どういうふうにあるべきかということを検討することを、これは可決した後の附帯決議あたりにつけることが適当ではないかと私は思いますが、感想だけで結構ですから、簡略にお願いします。

筒井副大臣 簡略にお答えいたします。

 独立行政法人を国立のものに変えるとすると、皆いずれ国家公務員になるし、国からの直接の指示命令が可能になるわけでございまして、その点が大きく違ってくるわけでございますが、そっちでなければならないかどうか、これも検討させていただきたいというふうに思います。

江藤委員 別に国立に戻せと私は今言っていませんから。あり方について検討してほしいというふうに申し上げましたので、そこのところは御理解いただきたいと思います。

 第三条の二の第一項に、防疫指針の作成、公表という部分があります。これは、口蹄疫発生時に、ワクチン接種の地域及びワクチンを打つタイミング、これを明記するという理解でよろしいんですか。このタイミングは口蹄疫蔓延防止の上では非常に肝となる部分でありますので、これについてお考えがあれば、御説明をお願いします。

筒井副大臣 それもおっしゃるとおりです。防疫指針の中にタイミングについても明記をする、こう考えております。

江藤委員 ありがとうございました。

 これはあってはならないことですけれども、韓国の状況とかを見ておりますと、今回は十年ぶりとかそういう話でありましたけれども、もしかしたらもう少し頻度が狭まるということもありますので、こういう動衛研の問題とかワクチン接種のタイミングとか、いろいろなものを強化していかないといけないという問題意識でありますので、御理解をいただきたいと思います。

 簡単な質問です。

 鳥インフルエンザに関しては、予防的殺処分は考えておられませんね。確認です。お願いします。

鹿野国務大臣 高病原性鳥インフルエンザに関する予防的殺処分の必要性、こういうことにつきまして……(江藤委員「考えておられるかどうか」と呼ぶ)はい。鳥インフルエンザについては、本年の発生事例を見ても、予防的殺処分の対象とする必要はないもの、このように考えております。

江藤委員 ありがとうございました。十分な御答弁をいただいたというふうに思います。

 それでは、第三条の二の四項についてお伺いをいたします。

 農林水産大臣は、都道府県及び市町村に対し、家畜伝染予防、蔓延防止のための措置の実施に関し、「必要な情報の提供、助言その他の援助を行うものとする。」というふうに書いてありました。

 「その他の援助」、これは、市町村に対して財政的な支援も含めて行うというふうに理解してよろしいですか。御答弁をお願いします。

筒井副大臣 「その他の援助」の中には財政援助も含まれるものと考えております。

江藤委員 ありがとうございます。

 副大臣、そういうことですから、よろしくお願いします、財政御当局に、よろしくお願いいたします。御答弁は求めませんけれども。

 次に、第四十六条の二、それから第四十六条の四について、まとめてお伺いをさせていただきます。

 第四十六条の二では、家畜防疫官は、外国人に対して携行品の検査を行うことができると。これは非常にいいです。よい規定になったと思います。そして、六十六条に、それを補完するものとして、これを拒否した場合は三十万円の罰則を設けると。これも非常によいというふうに思います、強制権が非常に伴っている。

 ところが、四十六条の四、外国船舶や航空機の所有者の「必要な協力を求めることができる。」全部読むと長いので抜粋していますけれども、そういうふうに書いてあります。これは、強制権を持たせるのでありますか、お伺いします。

鹿野国務大臣 協力要請に応じるために強制力を持たせるべきではないか、こういうふうなことでございますけれども、協力要請に応じるためには経済的、人的負担を伴うこともあり得ることから、努力義務以上の強制を行うということはなかなか難しいな、こういうふうな判断に立っておるところでございます。

江藤委員 大臣のおっしゃるとおりなのではありますけれども、せっかく四十六条の二で罰金だということであれば、これはセットでありますから、もう少し強く踏み込んだ対策が必要だというふうに私は感じております。

 先ほどの四十六条の四に関連した質問をさせていただきます。

 空港や港などの水際対策、これが一番大事であるわけでありますけれども、地元を歩いてみますと、やはりホテルとかゴルフ場なんかも心配だという声が非常にあるわけであります。その場合には、権限を付与することも必要になってくるかもしれません。

 特に最近は、ゴルフ場もホテルも外資による買収が多いんですよ、九州は特に。そして、宮崎県の場合は、外国人のゴルフ利用者がすごくふえています。宮崎県としてはありがたいことなんですよ、観光立県なんですから。平成十二年は千三百人、これが平成二十年には三万人を突破しました。非常にありがたいことなのではありますが、畜産農家の目から見れば、韓国で口蹄疫が出ちょる、たくさんゴルフに来ちょる、大丈夫じゃろかい、そういう声は、やはり切実な声としてあるわけであります。

 別に私は、外資のホテルだけが悪いと言っているわけじゃないですよ、外資が買収されたホテルだけが悪いと言っているんじゃないんです。そうではなくて、宿泊施設やゴルフ場その他の観光施設等も、消毒その他にやはり協力してほしいということを、何かうまいぐあいに決議文の中にでも盛り込むべきだと私は思いますが、お考えをお聞かせください。

筒井副大臣 それもおっしゃるとおりでございます。

 ただ、今度の改正案には、道路等についての規定は直接的にありますが、今言われた点に関しては直接的にはありません。しかし、都道府県知事とも国が連携しながら、それらのことについてきちんとやっていきたいというふうに考えております。

江藤委員 ありがとうございます。やはり地元の不安を聞いて申し上げていることですので、ぜひ副大臣、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、第六十二条の二の一項についてお話を伺いたいと思います。

 これは、家畜の所有者の責任について明記している部分であります。家畜の所有者の定義には、三条で、預託農家も含まれております、預託農家も。預託農家も、義務は所有者と同等に負わされているということであります。

 そこで、預託農家に関して指摘をさせていただきますけれども、今回、手当金はすべて所有者に支払われた。これは法律でこうなっていますから、これが悪いとかそういう話をしているのではありません。ですから、預託農家には直接的にはそのお金は入らなかったということであります。法律は性善説にのっとってできていますから仕方がないといえばそうなんでありますけれども、このことについては、昨日、宮崎県の口蹄疫被害者協議会の吉松さん、酪農家ですけれども、来られて、何とかしてくれ、とにかくかわいそうでたまらぬということでありました。

 これは民民の話だということなんですよ。だから、なかなか、政治マターで解決しろと言われても、これは御答弁に窮するであろうことは私も重々承知をしております。承知をしておりますが、せっかく家伝法を改正するんだから何とかしてくれという地元の切実な声でありますので、今後、手当金の配分については、これは不公平感がないということが一番大事ですから、ぜひ一定のルールを、今後の課題として、与野党の垣根を越えて一緒に考えていきたいなと考えておりますが、御感想なりあれば、お聞かせください。

鹿野国務大臣 家畜伝染病予防法上、発生農場に対する手当金は、殺処分された家畜の所有者に交付されるということであります。

 牛、豚の預託といった経営形態につきましては、通常経営時に所有者から交付されるところの飼養委託料や家畜の売却額の分配方法が個々の飼養委託契約によって決められておりまして、その内容も千差万別であります。

 このため、手当金の交付につきましても、個々の飼養委託契約に基づき、当事者間で対応いただくというのが原則でございますが、他方で、手当金の交付目的には発生農場の経営再開を促すということも含まれることから、当事者間で適切な分配がなされるよう、都道府県を通じて指導してまいりたいと思っております。

江藤委員 非常に深い御理解をいただいておられて、その目的は何ぞやということに触れていただいたので、非常に満足に御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 次に、第十二条の三に定める飼養衛生管理基準の中に、家畜の所有者に埋却地の確保で遵守すべき基準というものが定めてございます。埋却地の確保については、一義的な責任は家畜の所有者にある、これは自民党案もそうですから、これについてけちをつけているわけではありません。ただ、地元では、国が用意するのが筋だろうという声はいまだに消えないんですよ、正直言って、歩いていますと。非常に私もいじめられております、一部では。

 埋却地対策では、三年間の土地のリース料を助成するということになりました。これは金額ベースで、私も見ましたけれども、非常に納得のいく内容だなというふうに思っておりますけれども、ただ、農家が自分の土地を持っておって、その土地に埋めた場合は対象外なんですよね。畑ならいいんですけれども。だめなんですよ。そうすると、やはり、自分の私有財産に埋めたのに何でおれは助成の対象にならないのと。三年間掘れないわけですから、法律に基づいて埋却をしたら。こういう不公平感はやはり取り除かなきゃいけないというふうに思います。

 これは難しい問題でありますので、きょうのところは問題提起させていただいて、我々も党内でもみますので、ぜひまた与党の皆さん方とも御相談をさせていただきたいというふうに思います。

 この埋却地確保の件についてお聞きしたいことはさらにありまして、児湯郡のようにたくさん埋めてしまったところは用地がもうないわけですね、三年間は使えませんから。それから、私の選挙区は中山間地域をたくさん控えています。椎葉村なんかは山ばかりです。でも、和牛生産は盛んです。総農業生産の半分以上は和牛生産です。余りきつくやってしまうと、埋却地を確保できない方は畜産経営をしてはいけないということになってしまうと、村落自体が成り立たなくなってしまうわけですよ。

 ですから、現実的な対応として、こういう埋却地確保が困難なところについては、移動式のレンダリングの機械、そして焼却をする。丸のまま焼けませんからね。それから、密閉型のコンテナに詰めて、少し離れたところにでも、決してウイルスが蔓延しない対策を施したコンテナを用意して運ぶのだ、そういう体制を国として整えておく必要があると思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。

鹿野国務大臣 ただいま御指摘の点につきましては、都道府県におきまして、中山間地や住宅地などで埋却地が確保できないという場合等、それぞれ地域の状況に応じた具体的な防疫措置について検討していただくことが必要だと思っております。

 地域の事情により埋却地が確保できない場合では、運搬時に密閉容器を使用するなどの、ウイルスを防ぐというようなことをしっかりと確保しながら、ウイルスを確実に不活化できるレンダリング施設や埋却施設の活用も検討していく必要があると思います。

 国におきましても、移動式の焼却炉を保有するとともに、来年度予算におきまして、移動式レンダリング車の開発を行うというふうなこともいたしておるところでございます。

江藤委員 すぐにやれと言っても無理なのはよくわかっているんですよ。今開発中でありますよね。大分、実用の一歩手前まで来ているということでありますが、そうであれば、コンテナの部分だけでも先に予算措置をしていただくことが現実的ではないかなと思います。

 第十二条の三「衛生管理の方法に関し家畜の所有者が遵守すべき基準」を定める、簡単に言えばこういうふうに書いてあるわけでありますが、この「遵守すべき基準」というのは農家にとっては非常に大きな話なんですね、どういう基準なんだろうと。ですから、この内容について、今のところはまだ詰まっていないかもしれませんけれども、大体のざっくりとした、こういう考えですというお考えを大臣からお聞かせいただきたいと思います。副大臣でも結構ですよ。

 これは通告しましたよ。ちょっと速記をとめて。時間がないんです。

山田委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

山田委員長 速記を起こしてください。

 鹿野大臣。

鹿野国務大臣 今の御指摘の点は、それを踏まえて書こうというふうに考えておるところでございます。

江藤委員 わかりました。

 それでは、与党として素案ができたら、こういういい関係で家伝法をやっているわけですから、ぜひ遵守の基準を我々自民党にも見せてほしいんですよ、決める前に。我々の知恵も少しは入れていただいて、つくらせていただきたい、これはお願いでございます。

 五十二条の二の第一項と二項に、家畜伝染病の海外での発生状況の情報を収集し積極的に公表しなければならないということが今回規定されました。情報開示は大事なことです。

 また、今回、韓国でこれだけ出ていますけれども、農林水産省もそこに、後ろにいるけれども、トップページで随時発生状況を更新するようになった、去年とは全然違う体制になったことも、省としてもよい対応ができているというふうに思います。

 しかし、これは大臣、非常にデリケートな問題ですよ。簡単に言いますと、私が初発の農家だったとする。日向市の亀崎の江藤拓君の家で発生したと新聞に出ちゃったら、私、立つ瀬がないですよ。つらくてつらくてたまりません。ですから、そういう個人情報保護法の問題もあり得るし、プライバシーの問題もある。ただ、近隣農家にしてみれば、発生したらすぐ教えてほしいわけですね、防疫態勢に入りたいから。

 だから、地域限定の情報開示と、いわゆるパブリックに、例えば新聞、マスコミに出すコメントと、かなり気を使ってこれをやっていかないと、法律に「積極的に」公表しなければならないと書いてあるから、何から何まで詳細にわたってぼおんと出すよというのでは、ちょっと運用の面で問題があるのではないかというふうに私は思いますが、大臣、どうお考えですか。

筒井副大臣 その点は重要な問題で、口蹄疫の検証委員会でも指摘されたものでございます。検証委員会では、マスコミ等への協力を求めながら、周辺農場に対する情報公開、情報開示をするようにということでございまして、一時期、周辺農場自体が自分の近くで何が起こっているかわからなかったというふうな問題がありますから、そういうことがないようにきちんと知らせていく。現時点ではほぼその体制ができているのではないかというふうに自負をしているところでございます。

江藤委員 法律というのは絶対的なものですから、「積極的に」という言葉があるとちょっと怖かったので、あえて聞かせていただいたわけでございます。

 次に、第五十三条の四項、「都道府県知事は、獣医師を当該都道府県の職員として採用することにより、この法律に規定する事務を処理するために必要となる員数の家畜防疫員を確保するよう努めなければならない。」というふうに明記がされてございます。

 「必要となる員数」、これは何ぞやということはやはり議論しなきゃいけないと思うんですよ。

 よく言われるのは、宮崎県は北海道に比べて少ないじゃないか、一万五千頭当たり一人しかいないじゃないかと。でも、これは同時多発的に、面的に、ぶわっと一遍に発生したから対応できなかったわけであって、例えば十一年前のような発生状況であれば対応できる員数であるわけですね。

 ですから、これはやはり、この員数がどれぐらいが適切であるかということは、ある程度農林水産省が指導をして、指示をして私は定める必要があると思うんですよ。

 それはなぜかというと、家畜防疫員の増員をするということになれば、これは総務省さんにお願いして交付税を余計にいただかなきゃいけないわけでありますけれども、基準がなければ、せっかく家畜防疫員は普通交付税、基準財政需要額の算定の対象となっているにもかかわらず、総務の方から、何だ、基準もないのにこれが適切かどうかわからないじゃないかとけちをつけられるんじゃないか、うまくいかないんではないかということを私は心配しているわけであります。

 私の指摘に対して、大臣、どうお考えになりますか。

筒井副大臣 人数について、ある程度の基準を示すことは必要かと思っておりますが、人数を具体的に示すこと、これはまたいろいろな問題点がありまして、家畜の種類とか地理的な状況によっても違うことがあります。さらには、その人数を示したら、一般的な基準を示したら、現時点ではその人数よりも多くいる場合どうするんだというふうな問題点も起こってまいりますので、慎重に検討をさせていただきたいというふうに思います。

江藤委員 多くなっちゃうこともあるという話は、きのう質問取りのときにも言われたんですけれども、そんな基準にしなきゃいいだけの話ですから、そんなものは。やりましょうよ、ぜひ。

 というのは、やはり交付税の算定のときにきちっとお金をもらわないと、なかなか員数の確保は難しいですから。宮崎県の財政がどれだけ厳しいかということを先ほどお話ししたじゃないですか。

 それに関連してお話をさせていただきますけれども、産業動物を扱う獣医さんの絶対数がまず足りていないんですよね。いわゆるペットとかそういう方に行ってしまう。大動物を扱ってくれない。ですから、私は、この法律にあるように正規職員である必要は必ずしもない。

 正規職員であることがベストですよ、もちろん。宮崎県は今の水準よりも上げなきゃならないと思っている、少なくとも。今で足りているというつもりは全くありません。上げなきゃいけないと思っている。

 だけれども、私が十二月の本委員会でも指摘させていただきましたけれども、自衛隊の即応予備自衛官のような形で、民間の獣医師とか共済の職員の獣医師さんとかそういう方に、いざというときはみなし公務員として資格を与えて、そして一年に一回ぐらいは防疫に対する研修等を行って、みなし公務員ですから、権限を付与して、そして防疫に当たっていただく。

 これを言うと御当局は、これを認めてしまうと、各県がいわゆる員数の確保に対して消極的になって、お金がないからとみなしの方に逃げるんじゃないかというふうに言いますけれども、そんなことありませんよ、そんなことありません。

 やはり、非常事態に備えるためにみなしを確保しておくということは私は合理的なことだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

筒井副大臣 聞いているところでは、現在でも、北海道とか宮城ですか、民間の獣医師あるいは農業共済の関係の獣医師を非常勤として採用している例はあるというふうに聞いております。

 そして、これをただ第一義的に広げるのではなくて、やはり家畜防疫員をきちんと整備することが一番重要でございますから、それをやった上で、さらにいろいろな、時期等の考えもあると思いますが、非常勤の職員として採用すること、次の段階としてこれも考えていく、この二本立てでいくべきではないかというふうに考えております。

江藤委員 わかりました。申し上げたいことはありますけれども、時間がなくなってきたので、次に行かせていただきます。

 十三条の二に関して、鳥インフルエンザの検査についてお聞きをさせていただきます。

 卵というのは、ほんの三日、四日で商圏を失う、いわゆる売り先を失ってしまうという厳しい競争の世界であります。ですから、PCR検査の結果で卵の再出荷も認めるということは私は合理的じゃないかというふうに思うんですが、いかがですか。簡略にお願いします。

筒井副大臣 早く評価せよ、検査せよということですね。(江藤委員「そうです。一日が大事なんです」と呼ぶ)

 弱毒性に関しては現時点でも一日でできているかと思いますが、強毒性になると現在もっと時間がかかっている。ただ、これは技術的な問題等もありますので、PCR検査、これをもっと開発して、何とか強毒性に関しても一日でできるように努力をしていきたいというふうに考えております。

江藤委員 ぜひ、一刻も早くそういうことができるようにしていただきたい。一日が勝負という商売の世界であるということを御理解いただきたいと思います。

 次に、第五十八条の二項に、「国は、次に掲げる家畜又は物品の所有者に対し、前項の手当金のほか、」。これはいわゆる五分の五の話ですね。非常にありがたいことでございます、全額を交付するということになったわけでありますから。これは我々、自民党の宮腰部会長と大臣室に伺ったときに、大臣と筒井副大臣とおられて、これは財務と厳しい折衝になるという話になったけれども、副大臣が大変御尽力をいただいてこのことを実現していただいたことには大変感謝をしますし、敬意を表するところであります。

 それで、これを補完する意味でちょっとお尋ねしたいことがあるんですけれども、鳥の場合、鳥フルの場合、どのような基準で評価しているかお尋ねします。

 参考までに申し上げますけれども、採卵鶏は、卵を一番産める百五十日のとき八百五十円、これが一番高いんです。百二十日になると七百円。五百五十日になるともう廃鶏に近いですから二百円というふうに、評価を分けているわけですね。

 今回、ではブロイラーはどうするのか、種鶏はどうするのか。宮崎だったらブランド化された地鶏の地頭鶏というのがいるんですよ。地頭鶏についてはどうするのか、ウズラはどうするのか、もっと言えば、観賞用のシャモ、鹿児島なんかは有名ですから、ああいうものをどうするのか。

 これは市場価格で左右されますから、幾らですという確定的な数字が出せないということはわかっています。だけれども、その評価基準。今回の口蹄疫でも、発生したらどれだけの補てんがいただけるのかということを早く農家に知らせることができなかったということは、これは大変反省事項なんですよ。ですから、このことについて、なるべく早くそういった農家の人たちにもお知らせしておくべきではないかと思いますが、いかがですか。

筒井副大臣 御存じだと思いますが、家畜防疫員等三人で評価をする、その場合に、今言われました品種、血統等、それぞれの違いをきちんと区別をして評価する、こういうふうな形で現在やっているところでございます。

江藤委員 おっしゃるとおりなんでありますが、私が言ったのは、大体こんな感じだよということを言っておくと農家に安心感を与えられるので、この機会にお知らせをしておいた方がいいのではありませんかということを申し上げたわけであります。御説明いただいた件は承知をしております。

 次に、法律ではなくて、防疫指針の関係で申しわけないんですけれども、移動制限区域の設定についてちょっとお話をさせていただきます。

 このことは、松木前政務官が宮崎に来られたときに、コンパスで丸をかくのは合理的じゃないよと。実際にはでこぼこするんですけれどもね。そういう話をしましたら、松木前政務官は前向きに受けとめていただきました。

 鳥インフルエンザは口蹄疫と違って、隣接した農家に発生する例というのはほとんど報告されていないんですよ。全くないと言っていいのかな。後ろで困っているけれども、そういう性質の病気ではないんです。口蹄疫とはやはり分けて考えなければいけません。

 ところが、食肉処理場がその圏内に入ると、全く操業停止になるわけですね。すると、移動制限区域外にいたいわゆるブロイラーの業者さんたちもそこに持っていけなくなっちゃうわけですよ、持っていけなくなっちゃうわけです。ですから、これはちょっと考えた方がいい。ふ卵場もそうですよ。ふ卵場も、ひよこはできたけれども、持っていく先がないから全部殺さなきゃいけなかったという悲惨な事態もありました。

 ですから、鳥フルに関しては、ちゃんとした手続を踏まえた上で、一定期間を経て、なるべく早く操業を再開させることも合理性があるのではないかなということを私は感じております。しかし、これは政治決断をすることではないんです。あくまでも疫学的に、科学的に第三者の方々に評価をしていただいて、そして国民の理解の上でやらないと、これは大変なことになります。

 ですから、そういう検討にぜひ入っていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。では、大臣。

鹿野国務大臣 移動制限区域内におけるところの食鳥処理場への生きた家禽の搬入は、現行の防疫指針では認められていないというところでございます。

 移動制限区域の範囲や、区域内におけるところの生きた家禽の移動については、専門家の意見を聞くなど、今後、科学的知見に基づきまして検討してまいりたいと思っております。

江藤委員 これは、やはり口蹄疫と鳥フルは違う、畜種ごとに検討していただけるということで御答弁でありましたので、早急にこの検討に入っていただきますことを私は重ねてお願いをしたいというふうに思います。

 では次に、第五十八条の一項、防疫や蔓延防止措置を講じなかった場合、怠った場合、手当金の一部または全額を返還させる、そういうふうに規定されています。

 このことについては、これまた地元とかは若干反発があるんですよ、我々を信用しないのかと。そういうことではないと私も説明に一生懸命歩いているわけでありますけれども、やはり、今回宮崎でも、県から指摘された例もあり、指導を受けた例もあり、私はこれは大変いいことだというふうに思っております。

 ただ、ここで確認をさせていただきたいのは、この罰則規定について、だれが、どのように返還をさせるのか。法定委託事務だから県なのか、国なのか、それとも第三者なのか。そして、どのような基準で判断するのか。政務官は半分だけれども、副大臣は全額よと。どういう基準で返還するのか。そういうことをある程度もうお考えになっていらっしゃるんでしょうか。これから詰めるということかもしれませんけれども、御答弁をいただきたいと思います。

鹿野国務大臣 御指摘の、手当金等の減額なり返還の具体的な運用方針につきましては、第三者委員会を設置いたしまして、一つは飼養衛生管理上の状況、二つは早期通報の実施状況、三つは蔓延防止措置への協力状況などを総合的に評価していただく方向で検討してまいりたいと思っております。

江藤委員 ありがとうございます。

 それは、発生してから第三者委員会は招集されるわけですか。発生してからですね。もううなずいて……。では、大臣。

鹿野国務大臣 そのとおりでございます。

江藤委員 では次に、第六十条の三、「政府は、患畜又は疑似患畜が発見された場合において家畜伝染病の発生後の初期の段階からそのまん延の防止のための措置が的確かつ迅速に講じられるようにするため、予備費の計上その他の必要な財政上の措置を講ずるよう努めなければならない。」というふうに書いてあります。

 これは非常にいいことです。我々はALICというお話をしましたけれども、筆頭ともお話をして、きちっとこれが担保されるということであれば予備費という対応でもよかろうということで党内はまとまりました。

 こういうふうに法律には書いたわけでありますから、実際に家畜伝染病が発生した場合に、家伝法に基づく予算は速やかに、かつ確実に手当てする、だから発生県や周辺の県は、市町村とかそれから民間への委託、民間への委託も含めて、予算の心配はせずに十分な防疫措置を講じてもよいよというメッセージが、私は、この委員会でいただきたいんです、この委員会で。

 ですから、きょうは副大臣に来ていただいたわけでありますけれども、大変恐縮ですが、鹿野大臣と櫻井財務副大臣から、私が言った趣旨のこと、これに沿った前向きな御発言をぜひよろしくお願いいたします。

鹿野国務大臣 都道府県が家畜伝染病予防法に基づき防疫対応を行うための経費については、同法に基づき、国が負担することになっております。当初予算が不足する場合には予備費を活用することになりますが、家畜伝染病予防費については、緊急時に迅速に対応できるよう、財政法等に基づき、国会中であっても予備費の使用決定が可能な経費、また閣議を要しない経費に指定されているところであります。

 こうしたことから、実際に家畜伝染病が発生した場合には、家伝法に基づく予算は速やかにかつ確実に手当てするので、発生県や周辺の県は、市町村や民間への委託も含めて、予算の心配をせずに十分な防疫措置を講じていただきたいと考えておるところでございます。

 なお、平成二十三年度予算案におきましては、予備費といたしまして三千五百億円が計上されているところでございます。

櫻井副大臣 江藤委員にお答えしたいと思います。

 まず、財務省の今回の立場をちょっとだけ説明させていただきたいんですが、評価額の、普通であれば五分の四、激甚災害のときにもこれは十分の九でございまして、五分の五という支給をさせていただくというのは、これは異例でございます。

 これは、筒井副大臣とも相談させていただいたんですが、今委員から御指摘がありましたとおり、初動が極めて大切であって、このことを実現していただくということがありまして、五分の五ということにまずさせていただいております。これは個人の方々に対してでございます。

 それから、今委員からお話がありましたとおり、都道府県の対応もきちんとできるように財政措置をさせていただきたいと思っています。

 これは農水省に限ったことではございませんで、東北は今、豪雪で本当に困っております。ここの除雪の予算に関しては、国交省の予算をまず対応させていただいて、それでだめなときに対してはちゃんと予備費を、きちんと対応して、適切に今運用されているというふうに我々は思っております。

 ですから、委員の御心配のないように、財政措置をきちんとさせていただきたいと思っております。

 以上でございます。

江藤委員 九十九点でございます。

 足りない一点は、民間委託も含めてという理解でよろしいですか。ここが大事なんですけれども。もう一度お願いします。

櫻井副大臣 民間委託も含めてでございます。

江藤委員 百点になりました。ありがとうございます。

 それでは、家伝法についてこれが最後の質問となりますが、(発言する者あり)きょうは円満にいきましょう、きょうは。家伝法の最後の質問となります。

 附則の第一条の施行時期、これは「この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」というふうになっております。

 今回の委員会も、設置法よりも前に前倒してやっていただいた。先ほど感謝を申し上げました。スピード感が大事だからこの委員会が今開かれているわけであります。

 ということであれば、これも六カ月と言わず、先例的に言えば六カ月ですよ、今までの法律を、どれを読んだって。でも、これを、何とか今回は三カ月でやり上げるというふうに私はすべきだというふうに考えますが、大臣の御答弁を求めます。

鹿野国務大臣 施行期日におきましては、改正案では「六月を超えない範囲内において政令で定める日」としておりますが、政令の制定に際しましては、条項ごとに可能な限り速やかに施行するようにする予定でございます。

 具体的に申し上げますと、新たに罰則つきの義務をかけるもの、これにつきましては、周知期間も必要でございますので六カ月以内の施行とせざるを得ないところでございますが、それ以外につきましては三カ月以内に施行することとしたいと考えているところでございます。

江藤委員 非常にきちんとした御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 自民党としましても、この家伝法の成立については賛成の立場でございます。しかし、今、私、るる質問させていただきましたけれども、やはり修正が必要な部分があるということは筆頭も御理解をいただけたと思いますので、両筆頭に、委員長を含めて、ぜひこれから夜なべで御議論をいただいて、早期の成立をさせていただきたいというふうにお願いします。

 それでは、家伝法はこれぐらいにさせていただきまして、これから、ちょっと大臣には余り耳ざわりのいい話じゃありませんけれども、きのうの大臣所信をずっと聞かせていただいておりまして、非常に私は違和感を感じました。

 そして、最初の大臣所信、二回目の大臣所信、両方もう一回読んでみたんですよ、実を言いますと。そうすると、十月の二十日に行われた臨時国会での所信表明、ここでは、「食料自給率五〇%の達成」ということが高らかにうたわれておりました。これは民主党のマニフェストにも載っている話ですよね。ところが、今回の所信には、「食料自給率の向上」を「目指す、」目指すと。具体的な数字が消えちゃったんですよ。

 そして、林業のところ、本当は言いたいことがいっぱいあるんですよ、所信については。林業のところを読みましたら、前回の所信は、「十年後の木材自給率五〇%以上を目指してまいります。」と。具体的な数字と、年次も入っていたんですよ。これがすっぽりない。きれいさっぱり。何でだろうな。何でだろうなと考えたら、TPPでしょう、結局。TPPをやれば、これは五〇%目標……。

 自民党のいわゆる貿易調査会のメンバーが韓国に視察に行きました。そのときに韓国の議員が言ったのは、我々はこれから貿易で国を立てていくんだ、もう食料自給率を議論すること自体がナンセンスだと。ハンナラ党の幹部の方がそうおっしゃったそうです。そういうふうに菅内閣はかじを切ったんですか、もう食料自給率なんか議論すること自体がナンセンスだと。だから大臣所信にも五〇パーは書けないと。

 木材に関してもそうですよ。素材については関税がかかっていません、丸太で入ってくる分は。だけれども、フローリングの床材であるとか、例えばこういうドアに加工したりして、私はロシアの沿海州の工場とかみんな見てきましたけれども、向こうの針葉樹でつくったドアなんかはすばらしいですよ、木目が細かくて。そういったものには一〇%を超える高い関税がかかっているでしょう。そういうものがもし関税がなくなったら、木材産業は川上、川下じゃないですか、川下の製材工場とかそういう関連会社がやられちゃうんですよ。そうしたら、結局川上もやられちゃうんですよ。そうでしょう。

 そういうことであれば、TPPをやれば、十年後の木材自給率五〇%を目指してまいりますというのは、大臣の良心として、私は書けなかったのかなというふうに、非常に失礼かもしれませんけれども。

 私は、目標五〇%以上、地元では五〇パーでも足らないという人もいますよ。もっと高い目標を掲げてもらいたいという人もいます、木材の自給率。食料についてもそうです。ですから、今回の所信の中にこの二つがすっぽりと抜け落ちたこと、昨日の委員会でも、与党の先生方からも非常に率直な質問がありました。

 やはり、今回は大臣が閣内で体を張って、農業を守るとかそういう狭い観点ではなくて、パッケージでトータルで考えて、日本の将来のために守るべきものを守らなきゃいけないのだ、だから二国間協議でやっていくのだと。だって、TPPに参加している国でまだ二国間協議をやっていないのは二つの国だけでしょう、現実問題。そういうことを考えていただいて、大臣の本当の気持ちをこの場でお聞かせいただけませんか。

鹿野国務大臣 いろいろ御見解をいただきました。

 その中で、今回の所信表明におきましては、食料・農業・農村基本計画に基づく新たな農政に取り組むという旨を記述いたしております。食料自給率目標五〇%はこの基本計画に掲げられた重要な目標でありまして、この達成を目指していくということについては何ら変わりありませんということを申させていただきます。

 また、今回の所信表明では、森林・林業再生プランの実現に取り組む旨も記述いたしております。まさしく、この木材自給率目標五〇%は、この再生プランに掲げられたこれまた重要な目標でありまして、その達成を目指していくということは当然のことでございます。

江藤委員 そうであれば、やはり堂々と書くべきでしたよ、大臣所信に堂々と書くべきでしたよ。前にあって、抜け落ちたというのは不自然です。

 でも、気持ちはよくわかりました。私は理解いたしましたので了といたしますが、これからこのTPPの問題は佳境を迎えます。ぜひ、政務三役、委員長、両筆頭、それから民主党の皆様方も、このことについては、国を守るという観点でこれからも議論を深めていくことが大事だということを最後に指摘申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山田委員長 次に、小里泰弘君。

小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。

 早速、家伝法の関係からお伺いをしてまいります。

 まず、防疫指針を新たに定めて、また定期に見直していくということでございます。

 農水省の家畜衛生部会において関係団体の意見も聞くと認識をしておりますが、その際、特に畜産、養鶏団体、この声をしっかり受けとめていただきたいと思いますが、方針をお伺いします。

鹿野国務大臣 今回の改正法案におきましては、防疫指針につきまして、最新の科学的知見及び国際的動向を踏まえ、少なくとも三年ごとに見直すこととするとともに、その内容をより現場の実態に即したものとするため、作成、変更に当たり、食料・農業・農村政策審議会に加え、新たに都道府県知事の意見を聞くものとする、この旨の規定を新設することとしているところであります。

 実際の見直しに際しましては、関係者の意見もお聞きして、現場の実態に即した指針となるよう工夫をしてまいりたいと考えております。

小里委員 東京の霞が関とまた現場との間に乖離があるということは、都度都度感じてきたことでございます。ぜひその点、現場の意見をしっかり受けとめていただくように、また、制度上生かしていただくように、よろしくお願いしたいと思います。

 埋却地等の確保に関しまして、先ほど江藤議員からも質問があったところでございます。

 養鶏農家がかなりの規制と負担を強いられるんじゃないか、そういう心配をしております。焼却あるいはレンダリング等も併用しての柔軟な対応、また自治体によるバックアップ、国によるバックアップ、さらにまた地域での協力体制の構築などが必要になってくると思いますが、そのあたりの方針をお伺いします。

鹿野国務大臣 家畜伝染病改正法案におきましては、一義的な焼埋却義務者は現行法どおり家畜の所有者とした上で、都道府県が発生時に備えて補完的な準備を行うこととしているところでございます。

 具体的には、家畜の所有者が遵守すべき飼養衛生管理基準の中に埋却地の確保についても規定するものとし、都道府県知事は家畜の所有者に対して指導、助言、勧告、命令が行えることとした上で、都道府県知事は、家畜の焼埋却が的確かつ迅速に実施されるようにするため、必要な措置を講ずるよう努めなければならない、こう規定しているところであります。

 これを踏まえて、都道府県では、発生時に備えた補完的な埋却地の用意や、焼却、レンダリング施設の確保を進めていただくということを想定しているところでございます。

 また、都道府県知事は、農林水産大臣及び市町村長に協力を求めることができる旨規定しておりまして、国といたしましても、移動式焼却炉の貸し出し、埋却地候補となる国有地に関する情報の提供などを行うことといたしておるところでございます。

 また、先ほど申し上げましたが、平成二十三年度予算におきましては、移動式レンダリング車の開発、実用化を実施する予定でおるところでございます。

小里委員 埋却だけじゃなくて、焼却、レンダリングを含めた多様な方法でしっかり対応していくという御答弁でございました。

 あわせて、先ほど江藤委員からもいろいろな問題点の御指摘があったところでございます。総合的に勘案をしながら、現場に過度な負担が行かないように、そして合理的にこれが進むように、ぜひよろしく対応方、お願いをしたいと思います。

 移動制限等によりまして、GPセンターあるいは食鳥処理場も事実上の工場閉鎖に追い込まれまして、大きな影響が発生をしております。ところが、この工場に対しては特段の支援措置が乏しいわけであります。さらにしっかり支援を図っていかないといけないと思いますが、その辺の見解をお伺いいたします。

鹿野国務大臣 移動制限の対象となる農家につきましては、移動制限に従ってもらうために、売り上げ減少や増加経費等について補てんをする、こういうふうな考え方であります。

 食鳥処理場やGPセンターは、農家に対する移動制限の結果として反射的に影響を受けるために、同様の助成というものはなかなか難しい、こういうふうに考えておるところでございます。これらは、車両消毒あるいは衛生的な取り扱い等の防疫措置を適切に講じていることを確認できれば、移動制限が解除される前に再開を認めることが可能でございます。

 移動制限区域内の食鳥処理施設については、区域外の他の処理場で処理した中抜き屠体を搬入し、操業を継続することも可能であり、このような取り組みを支援してまいりたいと思っております。

小里委員 移動制限の範囲を早期に縮小するとかいうことでございます。また、いわゆる中抜き屠体の話も今いただいたわけであります。

 ところが、出水で見た場合に、二月二日に移動制限区域が五キロに縮小されております。本来であれば肉の処理ができるはずでありましたけれども、残念ながら、五キロ圏内に食鳥処理場が存在をしましたがために、なかなかそうはいかなかったということでございます。

 中抜き屠体の話にしましても、外部に委託しようにも、その外部の処理場自体が余力があるわけじゃないんですね。そこには当然限界があります。

 また、マルイ農協の場合、ブロイラー農家が五十軒ありまして、五十人でローテーションを組んでおります。すなわち、ひよこから五十日で出荷をします。そして、ひな入れの準備に二十五日かけます。そして、七十五日目に次のひよこを入れるという仕組みになっております。また、食鳥処理場のキャパシティーの問題等もありますから、そこから逆算をして、五十名の中で日をずらしながらひよこを入れていって、七十五日目に最初に入れた人に回るとか、そういったローテーションを毎年五回繰り返しているわけであります。

 なかなか、そういった関係で食鳥処理場がとまってしまいますと、多大な影響が広範囲に出てまいります。衛生的に異常がなければもうちょっと工場の再開を早めるとか、あるいは資金面での助成を、さらに格段の措置を講じるべきではないかと思います。重ねてお伺いします。

鹿野国務大臣 GPセンターや食鳥処理場につきましては、その影響ができるだけ少なくなりますように、速やかに制限区域の縮小をするとともに、迅速な初動対応に万全を期してまいりたいと考えておりますが、移動制限区域の範囲や区域内におけるところの取り扱いにつきましては、今回の一連の発生に関する疫学調査チームの調査結果を踏まえまして、専門家の科学的な意見も聞いて、今後さらに検討してまいりたいと思っております。

小里委員 関連しまして、食鳥処理場が工場閉鎖に追い込まれて従業員を一時的に自宅待機させる、こういった対象について、雇用調整助成金、これはその対象になるんでしょうか。確認をさせてください。

鹿野国務大臣 なります。

小里委員 今大臣も即座にはお答えできなかったように、周知されていないんですよ、これが。県の段階でもこれが周知されていない。現場もわかっていない。したがって、利用していないんです。しかもまた、今江藤議員から聞くところでは、非常に使い勝手が悪い。いろいろな問題がありそうです。これはぜひ中身を検証していただいて、しっかりと現場に届く制度になるように、ぜひ対応方、お願いをしたいと思います。

 それと、これは問題提起に今回はとどめさせていただきたいと思います。

 移動制限によりまして出荷がおくれた、例えばブロイラー、これは支援措置があります。ところが、移動制限期間内に出荷日齢五十日を超えたものでないと、その対象にならないんですね。

 実際には、移動制限期間内に随分とたまってしまいまして、移動制限期間を過ぎてからは、まずそっちを優先させて、どんどん出荷をしないといけないんです。大きいものから出荷をしないと、鶏舎ももちませんので。そうすると、その後、移動制限期間が過ぎた後に日齢五十日を迎えたものの出荷がどんどんおくれて、玉突きでおくれていくということになりまして、結局、影響は三月いっぱいぐらいまでは残るんです。

 ところが、その部分、移動制限期間を過ぎて日齢を迎えたブロイラーについては支援の対象にならないんですね。

 これは、法を読みますと、移動制限によって影響を受けた部分はきちんと支援するとなっておるわけであります。ところが、省令の規定がひっかかってくるわけでありまして、その部分の改定等も含めて、ぜひこれは対応をお願いしたいと思います。

 制度の根幹に触れる部分じゃないかなと思いますので、今回は、これは非常に難しい問題ですから答弁は求めませんけれども、ぜひ来週までに対応方、お願いしたいと思います。

 以上で家伝法関係は閉じさせていただきたいと思います。

 新燃岳関連で若干お伺いしてまいります。

 新燃岳が噴火をいたしまして、二週間で降灰量は七千四百万トンであります。これは東京ドームの四十八杯分、昨年一年間の桜島の降灰量の約十四倍であります。普賢岳の六年間の降灰量の一・一八倍でありました。想像を絶する莫大な降灰量になっております。これが、長期化に伴いまして、また風向きに伴いまして、広範囲にさらに深刻な被害が生じていくおそれがあります。

 そこで、活動火山周辺地域防災営農対策事業、先般、この拡大をいただいたところであります。鹿児島側でも、今後、その被害拡大につれまして、ぜひ対象として新燃岳を指定し、あるいはまた対象地域も拡大していく必要が生じるんじゃないかと思います。また、新燃岳噴火・降灰緊急営農対策事業を拡充する必要性も生じてくるんじゃないかと思います。

 ぜひ旺盛に、柔軟に対応いただきたいと思いますが、大臣の見解をお伺いいたします。

筒井副大臣 被害が現在指定されている地域においても深刻度を増したり、あるいは、先ほどから話がありますように、風向き等によって場所が変わったり、さらに広がったりということがあるわけでございます。それらにその都度、関係自治体と協議をしながら、話し合いを進めながら、きちんと対応していきたいというふうに考えております。

小里委員 これは先般災対特でも指摘をさせていただきましたが、現在、活動火山の方は、農山漁村地域基盤整備交付金の中で対応しております。これがいわゆる一括交付金に衣がえをするわけでありまして、そうなると、さらに農水省の顔が見えにくくなる、どの分がどこに行くのか見えにくくなるわけでありまして、その点はぜひしっかりと配慮をいただきたいと思います。取り組みをぜひ積極的にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 先般、地元で新燃岳の関連について意見交換会をやりました。そこで幾つか切実な課題が出てきておりますので、それをたださせていただきたいと思います。

 宮崎の乳牛を避難させるために、鹿児島側でこれを引き受けております。乳牛ですから搾乳の必要があるんですね。ところが、生産量が県別に割り当てがある。そこをどう調整しようかという必要性も生じてまいりますが、どんな方針か、お伺いしたいと思います。

筒井副大臣 災害が起こる前に既にその量が割り当てされているわけでございまして、それがもし災害により移動した場合には、その割り当て量はそのまま移動先に移るわけでございまして、それを取り上げるとかそういうことはないわけでございますから、問題は起こらないというふうに考えております。

    〔委員長退席、津島委員長代理着席〕

小里委員 要するに、乳牛が宮崎から鹿児島側に移動した場合は、そこで搾乳をされる分は宮崎側の分としてカウントされるという理解でよろしいですか。その辺がまた現場に周知されておりません。現場で不安がありますので、ぜひ周知方、よろしくお願いしたいと思います。

 噴火によりましてシカなどの生息域が変化をしまして、また新たな鳥獣被害が生じております。この辺の対策をお伺いします。

田名部大臣政務官 噴火によって鳥獣被害がふえたかどうかという事実関係は明らかになっていないわけですけれども、先生のお話にあるように、鹿児島や宮崎の地域での鳥獣被害というのは大変深刻な状況にあるというふうに認識をいたしております。

 地元の方にも、噴火後に鳥獣被害がふえているようなケースがあるのかというようなことも確認させていただいておりますけれども、ぜひとも、地域の実情をしっかりと把握しながら、関係市町村とも連携を深めながら、この対応に当たっていきたいと考えております。

小里委員 本来の鳥獣被害自体がなかなか抜本的な解決になっていないわけでありまして、これに輪をかけて大変な被害が予想されます。ぜひ効果的な対応をお願いしたいと思います。

 次に、ちょっと細かな話で恐縮ですが、キノコの栽培におきまして、原木に灰が付着するとなかなか植菌がうまくいかないという問題があります。この辺はどうでしょうか。

田名部大臣政務官 先生おっしゃるとおりだと思います。シイタケに灰がたまることによって、そのことが農家の皆さんにとっては大きな被害になるというふうに考えられています。三月四日十二時現在でありますけれども、宮崎県と鹿児島県を合わせて、シイタケの被害額一千四百万円というふうになっております。

 そこで、今回の被害に対して、緊急的に施設の復旧であるとか降灰の防護を行うために必要な資材費及び長期運転資金として、農林漁業セーフティネット資金の貸し出しが可能と考えられておりますので、ぜひともそういうことが速やかに実施をされるように取り組んでまいりたいと思いますし、人工ほだ場等の共同利用施設が被災をした場合、工事費が四十万以上となる場合でありますけれども、農林水産業共同利用施設災害復旧事業により対応ができますので、こういったことをあわせて支援をしてまいりたいと考えています。

小里委員 お茶の農家も、降灰防止・降灰除去施設等整備事業等があるわけですが、この適用条件が、三戸以上で組合をつくるという部分があるんですね。これが結構ひっかかっております。要件緩和を求める声も大きいんですが、この辺はどうでしょうか。

筒井副大臣 これは県の単独事業でありまして、県の方で今の条件を設定しているものですから、国がそれを指導、指示する立場にないというふうにまずお答えせざるを得ないと思います。

 ただ、先生、その県の基準の中で、特に必要と認められた場合はこの限りでないというのを県自身が基準として決めておりますから、これを活用することは考えられるのではないでしょうか。

小里委員 県に聞きましても、なかなかその辺がちゃんと対応できている状況じゃないんですね。その辺も、国としては、隣県宮崎の例も勘案しながら、宮崎に起きたことは鹿児島にも起きる可能性が十分にあるわけでありまして、国の方にやはりその辺のノウハウもあるわけですから、ぜひ、県に対して遠慮なく御指導いただきたいと思います。

筒井副大臣 地方自治を侵さない範囲でどういうことが可能か、検討をさせていただきたいと思います。

小里委員 今後、これから新燃岳の噴火活動の長期化、そして風向きの変化によりまして、さらに広範囲にこれが及んでまいります。しっかりとそこを見ながら積極的な効果的な対応をとっていただくようにお願いをいたしまして、新燃岳関連はこれで閉じさせていただきます。

 次に、TPP関連についてお伺いをしてまいります。

 予算委員会あるいは当委員会等におきまして、TPPについて大分活発な議論が繰り返されてまいりました。しかしながら、TPPのメリットを聞いてもデメリットを聞いても、ましてや国内農業対策を聞いても、確たる答弁がなかなか政府から出てこないんですね。これは交渉参加するかどうかの検討中である、情報収集中であるからということでもって、明確な答弁が出てこなかった、そういう経緯であります。すなわち、ニュートラルな姿勢を盾にして、明確な答弁を避けることにつながっているんじゃないかなと思うところでございます。

 ところが、開国フォーラムを開催されました。二月二十六日がさいたま、三月五日が金沢でありました。ここで、パネリスト、さいたまの場合、五人のうち四人が賛成派なんですね。そして金沢では、五人のうち三人が賛成、一人が中立、一人が反対でありました。極めて作為的な人選になっていると思うんですね。そしてまた、政府側の発言におきましても、極めて前のめりの発言が目立っておるわけでありまして、国会での姿勢と違うんですね。いかにも国会軽視であると言わざるを得ないわけであります。

 こういった手法はひきょうである、こそくであると思いますが、農林水産大臣、いかがでしょうか。

鹿野国務大臣 開国フォーラムにつきましては、内閣府の方で、いろいろとEPAというふうなものを推進するというふうなことの中で、十七の分野を中心として、それぞれ御意見をいただく、また考え方も申し上げる、そういう中で、TPPのことにつきましてもいろいろと意見交換が行われていることを承知しております。

 今申されたとおりに、偏った形でなく、国民の皆様方からまずお考えを聞くというふうなことが、基本的な開国フォーラムを開催する意味である、こんなふうに承知をしておりますので、今申されたようなことはできるだけ、一方に偏るとか、あるいはTPP参加を前提としているとかというふうな誤解を受けることがないように今後進めていく必要があるのではないか、私はそういうふうな考え方に立っておるところでございます。

小里委員 平野副大臣、いかがですか。

平野副大臣 開国フォーラム、先月の二月二十六日、さいたま市を皮切りに実施しております。

 その中身は、繰り返しになりますけれども、何回か御答弁申し上げておりますけれども、昨年の十一月に閣議決定した包括的経済連携に関する基本方針、日本は高いレベルの経済連携を目指すんだ、その中で国を開くんだ、そういう趣旨の閣議決定をやりまして、その考え方、その背景にあるもの、こういうものを説明しております。

 その中でTPPについても触れておりますけれども、TPPにつきましては、あくまでも、交渉参加するかどうかについての情報収集をしているということでございますから、その趣旨にのっとって説明をしておるということでございます。

 それから、参考人につきましては、学者の方々、産業界の方々、労働界の方々、消費者の方々、農業界ということで募集をいたしまして、その中から、参考人という方でこちらからお願いができる方ということでお願いをした結果、先ほど委員から御紹介のあったような状況になっているということでございます。

    〔津島委員長代理退席、委員長着席〕

小里委員 農水大臣の御答弁に対しまして、今の平野副大臣の御答弁、いかにも型どおりの答弁であって、中身がない、心がこもっていないと思いますよ。

 事実として、パネリスト、各マスコミも評価をしましたように、非常に偏った人選になっているんですよ。従来、このTPPをめぐりましては、平成の開国だとか、バスに乗りおくれるなとかいったような表現が先行しまして、国民に対して非常に扇動的な動きに政府の動き自体がなっているわけであります。

 その結果として間違った方向に世論が形成されていくことを私は心配するわけでありまして、ましてや国会において、今おっしゃったように、交渉に参加するかどうかの検討中だということで、明確な答弁を避けてこられた経緯がある。それが、民間での開国フォーラムでは打って変わって、前のめりの姿勢をどんどん出される。これは私は断じて許しがたいわけであります。

 ぜひ、まずパネリストの人選をしっかりと公平にやるということをお約束いただけますか。

平野副大臣 何をもって前のめりということについては、ちょっと私も理解しかねるところがございますが、あくまでも、高いレベルの経済連携を目指すというのが現政権の方針でございます。その方針に基づいて開国フォーラムをやっているということでありまして、その趣旨に基づいて参考人もお願いをしているということであります。

小里委員 では、引き続き、今までの国会での審議を踏まえながら、政府の矛盾点をただしてまいりたいと思います。

 例えば、TPPに中国、韓国は参加しない、当然であります。そして、日本は、TPP参加九カ国のうち六カ国とは既にEPAを結びつつありまして、ペルーだけがあと署名だけですか、結びつつありまして、豪州とも交渉中であります。GDP比率からいっても、TPPの本質は日米関係にある、また、TPP参加のメリットは限定的であって、TPPに参加しないと世界の自由貿易圏から締め出されるわけではない、この部分は平野副大臣もお認めになったと思います。世界の自由貿易圏から締め出されるわけじゃないということは、農水委での質問でお認めになりました。よろしいですね。

 その前提に立ってお伺いをしてまいりますが、経産省の試算では、日本がTPPに入らない場合のいわば逸失利益として、日本と、EUあるいは中国とのFTA分を含めておられると認識をいたしますが、これはどういう意味でしょうか。改めて経産省にお伺いします。

松下副大臣 お答えいたします。

 現在、十一カ国・地域で発効済みの二国間協定がございます。そして、APECの共通目標であるFTAAP、アジア太平洋地域における自由貿易を推進していくという目標がございます。その中で、今現実的に動いているというのがこのTPPの枠組みでの動きでございまして、ほかにもASEANプラス3、ASEANプラス6といういろいろな組み合わせがあって、この地域の経済連携、自由貿易を進めていこうという動きがございます。そういう中で、我々は、極めて大事な国々でありますアメリカやそれから中国や韓国と、EUも含めてですけれども、まだ二国間協定、地域協定ができていない。

 そういう中で、これからそういう国々と門戸を開いて進めていこうとするときに、我が国としてこういう大きな利益がもたらされるということをそれぞれの分野について試算したものでございまして、まだ全部を包括しているわけではありませんけれども、例えば自動車なら自動車で、自動車産業そのものもありますけれども、それを支えているすそ野の分野、そういうものも広げて大きな利益がもたらされるということを試算したものでございます。

小里委員 今の副大臣の答弁からにじみ出ておりましたが、要するに、今までの答弁でも、TPPを一つの奇貨としてFTAAPが進んでいくんだ、そういう論調であります。しかしながら、今も若干お触れになったように、APECにおいては、TPPと同時に、ASEAN、ASEANプラス3等も一つの方策として取り入れている、位置づけているわけであります。

 特に、ASEAN諸国においては、例えばタイあるいはインドネシアにしても、これはASEANでGDP比率一位、二位の国でありますが、そういった国々はむしろTPPについては距離を置いている、否定的でありまして、ASEANの中をまず固めてからアメリカに対応していこう、そういう雰囲気が強いと思うんですね。

 それと、韓国がまた、アメリカとやったらEUが進んだとかいう話を持ち出されますけれども、これも全く国情が違うわけであって、例えば韓国は工業品の関税率が高いですね。一方を下げたらもう一方もと、それは当然出てくる話でありまして、日本は工業品の関税率は二%平均ですから、随分低いわけであります。アメリカとEUも、日本において特に競合するものは、特段のものはないと私は認識をしております。

 そういったことを総合的に考えても、決してこのTPPがFTAAPへ進む一つの道筋ではない、それ以外に多くのまた安全な方法があるということを指摘申し上げたいと思います。

 前原外務大臣も、日本・EUのEPAとTPPの議論とは別個だ、関連はないということをはっきりと予算委員会で答弁をされました。

 そこで、経済産業省の試算が残っておるというのは、私はいかにもこれは整合性がないと思うわけでありまして、ぜひ、経済産業省におかれましても試算をやり直していただきたい。これも従来、各委員から指摘があったところであります。

 改めて、撤回の上、試算のやり直しについて、副大臣、お答えをいただきたいと思います。

松下副大臣 十分、中で議論をいたしまして、一つの仮定もございますけれども、我々として、世に公表するにたえ得るものとして出したものでございますので、これで私たちはいきたい、そう考えています。

小里委員 松下副大臣も気骨のある方でありますのでなかなか譲られないと思いますが、我々は我々で地元を代表して、また日本全体の農業を考え、国民生活を考えて信念に基づいて議論をしていきたいと思いますので、ぜひ、真摯な議論、そして良心的な対応をお願いしたいと思います。

 TPPにより食料自給率は一三%になるという農水省の試算であります。さらに、加工、流通など関連産業、地域経済に多大な影響が出る。それゆえに、三十八道県議会がTPPに反対ないし慎重な対応を求めているわけであります。

 農水省は、このTPPにより関税撤廃された場合の加工、流通など関連産業への試算をしておられますが、改めて確認をさせてください。

筒井副大臣 御存じのとおり、農業への影響額が、農業だけで四兆一千億円、農林水産関係全体で四兆四千億円でしたか、これを出しているわけでございますが、それがさらに、関連産業を含めますと、ほぼその倍に近いマイナスの影響が出てくるというふうに試算をしております。

小里委員 これも予算委員会の政府答弁で、輸入しても国内で食品加工はできる、輸入したらその分の輸送も出てくるとして、関連産業への影響を否定されました。これはもう、ここにいらっしゃる皆さんは、当然これが奇想天外な答弁であるということはお気づきであると思います。

 サトウキビを丸々輸入して奄美の工場で精糖するわけではありません。あるいは、牛、豚を丸々輸入して宮崎の食肉処理施設に持っていくわけじゃないですね。当然、製品としてパッケージにして輸入した方がコストは安いわけでありまして、そしてまた、生産、加工、流通一体化を唱えた六次産業化、これとの整合性も一体どうなるんだということになると思いますが、もはやこれは答弁を求めても仕方ない話と思います。

 政府部内においてそういう認識がまかり通っているということが予算委員会で明らかになっているわけでありまして、ここはぜひ、農林水産大臣、閣内のその辺の認識の周知をお願いしたいと思います。

鹿野国務大臣 このTPPに対する対応ということにつきましては、従来から予算委員会あるいはこの委員会で申し上げますとおりに、交渉参加するかどうかという判断をするためには、やはりどうしても情報収集というふうなものが必要だ、こういうことから、今、情報収集すべく協議を行っておるというふうなことでありまして、今この時点で、菅内閣といたしましても、参加を前提としていくんだとかというふうなことは、これは前提なしでございます。

 当然、今、経産省の方からもいろいろな影響についてのこともございました。筒井副大臣からは、農林水産省としての影響の試算というのも出させていただいておる。そういうことをそれぞれ、一つの議論すべき点はやはり徹底して議論をし、そして、そのほかに二十四の分野においてどうなっていくかというふうなことについて、それぞれメリット、デメリットというふうなものも分析をしていかなきゃならない。

 こういうふうなことも政府として考えておるところでございますので、今後、限られた期間になってくるかもしれませんけれども、総合的にいろいろと議論をしながら判断していかなきゃならないということでありまして、偏った形で、今、内閣としての基本方針というふうなものが定められていることを前提としているわけではないんだということだけは御理解をいただきたいと思います。

小里委員 先ほどの政府の答弁は、TPPにより輸入がふえてもという前提での話でありまして、まさに日本の農業また農業関連産業への影響についての認識が余りにも不足をしておるということを申し上げたいわけでありまして、この点はぜひ閣内において周知をしていただきたいと思います。

 よろしいでしょうか。

鹿野国務大臣 それぞれ、今後この判断をしていく上において、まさしく、これからの日本の国のあり方、こういうふうなことにも影響してくる問題でありますので、当然のことながら、あらゆる分野から情報を収集する中で、どう対処すべきかというふうなことを検討していかなきゃならない大変重要なテーマであるということを認識いたしておるところでございます。

小里委員 どうぞよろしくお願いします。

 これまでの質疑の中で、日本はTPP参加国のうち六カ国とEPAを結びつつあります。その中で、とるべきはとり、守るべきものは守ってきたと私は認識をしているんです。それが、TPP参加となると、すべてが仕切り直しとなって今までの努力が無に帰すんじゃないか、そういうことを心配しているわけであります。

 そこで、経済産業省にお伺いをいたします。今までのTPP内六カ国とのEPA、どのように評価をしておられますか。

松下副大臣 効果はあった、そう見ています。

 例えば、私が自民党時代に当たりましたメキシコ、これは最終的には、コンクジュースをどうするかという問題、それから豚肉をどうするかという問題が残りました。豚肉を生産している鹿児島県の人たちのいろいろな意見も聞きながら、高級豚あるいは一般の人たちが食べる豚、これは失礼な言い方かもしれませんけれども、非常に高級な豚とそうでない豚、その辺を仕分けしながら、国内に影響のない形で結んでいったという形もつくっておりますから、丁寧にしながらやっている。

 そのときに、自動車の分野で高い関税がかかっていた、そのことが一挙にゼロになったことで、それまで韓国が圧倒的に強かったその分野について、日本が逆転して大きく伸びていって、我が国が、農業の大きな御協力もいただきましたけれども、産業界として、日本の国益として、それが伸びていった、それが国内に還元されてきているということがございます。それぞれの分野で、それぞれの国々で、事情は少しずつ違いますけれども、そこはよく検討していきますと、そういう総括的な判断ができる、そう見ています。

 大事なことは、農業に対してしっかりとした対応をしていくということが基本でございますので、そこは忘れてはいけないと考えています。

小里委員 今、松下副大臣から、TPP以外の国、例えばメキシコにつきましても含めて、幅広く今までの対応について説明があったわけであります。しっかりと、とらえるところはとらえて、守るべきは守り、とるものをとってきた、それが今までの我が国のEPAにおける交渉であった、私もそう思っております。

 ところが、玄葉大臣が、日本・ベトナムのEPAにつきまして、自動車類に高関税が残っているということのみを挙げまして、ハイレベルなEPAとは言えなかったとしまして、これをもって、だからTPPを推進しないといけないんだ、そういう短絡をされたわけであります。

 日本・ベトナムのEPAは失敗だったんでしょうか。経済産業省にお伺いします。

平野副大臣 玄葉大臣の発言を引用されましたので、私の方からちょっと答弁をさせていただきたいと思います。

 日本とベトナムは、御案内のとおり、EPAを結んでおります。しかし、その自由化のレベルについては、タリフラインでいけば九〇%未満という中で、当然のことながら、ベトナム側の自由度も低い。EPAを結んでいる中で、そういう状況の中で、ベトナムも恐らく同じ程度の自由度、開放度しかないんだろうと思います。その結果として、二輪車については八三%の関税が残っています。

 御案内のとおり、ベトナムを初めとして、東南アジアは二輪車が今大変な人気でございます。日本から二輪車を輸出するにしても、これは円高の問題もございますけれども、非常に高い関税、八三%があるということも恐らく大きな理由だと思いますが、その結果として、御案内のとおり、日本の二輪車の製造メーカーはどんどん東南アジアに製造拠点を移しているということ、そのことを引用されたんだと思います。

 ただ、だからTPPということではなくて、玄葉大臣の趣旨は、あくまでも、そういうことがあるから今まで以上に高いレベルの経済連携を目指さなくちゃならない、そういう趣旨で言ったんだと思います。そしてまた、ベトナムのEPAに対して失敗だったどうのこうのということを意図して言っているのではないということは、委員も御承知のとおりかと思います。

小里委員 質問、答弁には流れというものがあって、あのときの流れからいえば、これは紛れもなくTPPを意識した答弁だったんですよ。TPP参加国の中で日本がEPAを結んでいる六カ国との関係がそのときは対象になったわけでありまして、その中でそういった答弁がありました。

 ちなみに申し上げますと、日本がEPAを結んだ六カ国、その中で、積み残し的なものがあるとすれば、確かにベトナムにおける自動車類の高関税なんですね。それ以外はほとんど撤廃されておるんですよ。日本にとっての課題は残されていないと私は認識をいたしますし、その全体の中の一部をとって、これをTPP推進に短絡してつなげるという姿勢は、私は、いい方法じゃないな、いい姿勢じゃないなということを指摘したいわけであります。

 さらに申し上げますと、日本・ベトナムのEPAでは、自動車部品は関税を撤廃されているんですよ。そして、自動車製品は日本企業による現地生産が進んでいるんです。例えば乗用車は、シェア五〇%を日本の企業が持っているんですね。そういった背景がある。そこを説明せずにおって、ごく一部のそういった高関税品目をとらえてTPP推進のネタにする、その姿勢は、いかにも、やはりこれもこそくじゃないかなということを強調したいわけであります。

 さらに申し上げると、当時の直嶋経済産業大臣は、この日・ベトナムのEPAを高く評価しまして、今後の日・ベトナム関係の拡大、緊密化を期待するとされておるわけであります。そして、日本自動車工業会の青木会長も、本協定が自動車産業の発展に資することを期待すると歓迎しているわけでありまして、そういった経緯をゆがめて、また全体の一部をとらえて、作為的にそういった答弁をなさることはぜひおやめになっていただきたいということを申し上げたいわけであります。

 さらに、若干時間がありますので、続けます。

 TPPの本質は日米EPAにあるということは、今まで明らかになってきております。米国の工業品は低関税です。そして、日系企業の現地生産も進んでおります。一方で、米国は世界最大の農産品輸出大国であります。米国との自由化は得るものは少ない、失うものの方が大きいんじゃないか、そして、ハイリスクなTPPより大きな効果が期待されるEUや東アジアとのEPAまたWTOを戦略的に進めるべきであるということが私どもの一貫した姿勢であります。

 そこで、日米EPAはメリットは少ないものとして今までも見送ってきたはずであります。TPPを隠れみのにしてこれを唐突に進めるそのメリットはどこにあるのか、改めてお伺いをいたします。

平野副大臣 まず、一つ申し上げなくちゃならないのは、民主党のマニフェストには日米FTA、EPAの締結の推進ということが明確にうたわれております。デメリット、メリット、これは評価の問題ですから、さまざまな御意見はあろうかと思いますが、日本とアメリカは、もう既に高いレベルで、いろいろなレベルでの連携が進んでおりますけれども、FTA、EPAまで持っていければいいというのが今の民主党の方針であります。

 今の御質問は、TPPについてはどうするかということですが、これは鹿野大臣も何回もお話をされておりますが、今の政府のポジションは、交渉に参加するかどうかについての情報をまず集めているということであります。

 さらに言いますと、さまざま御紹介がございましたけれども、今、日本とEUについてもEPAの交渉に向けての協議を進めております。日中韓についても、投資協定についての協議も進めております。さまざまなルートで進めているということであります。

 TPPに関しては、大事なことは、日本の状況にかかわらず九カ国が、どうやら連携を目指して協議が急ピッチに進んでいるということで、少なくともこれを日本は、無視をする、見ないふりをするという言葉が適切かどうかわかりませんが、重大な関心を持って見ていかなくちゃならないということは事実であろうというふうに思います。

小里委員 今の答弁でも、やはり、交渉に参加するかどうかを検討中であって今は情報収集中だということを盾にして、そのメリットについての明確な答弁は避けられるわけであります。それはそれでいいでしょう。だったら、最初に申し上げたように、開国フォーラムにおけるああいった前のめりの体勢、姿勢はぜひ改めていただきたいと思います。これは結構です。

 また、今、副大臣から、日米FTAについてもちゃんとうたっているとおっしゃいました。ところが、菅総理は、予算委員会の答弁で、米国との二国間の交渉はなかなか難しい、進まないということを明確にまた答弁をなさっているわけであります。だからといって、こっちが進まないからTPPを一挙に進めて全部を解決してしまおう、そういう姿勢はまたさらに破天荒な姿勢であって、私は感心しません。要するに、開国という言葉に象徴されますように、パフォーマンスを優先させる姿勢ではないかな、その結果として、国の将来を考えた国家戦略というものがそこからは欠落をしておると私は思わざるを得ないわけであります。

 何かありますか。

山田委員長 平野副大臣、先ほど小里さんが質問した中で、アメリカとのFTAのメリット、そのデメリット、それについて聞かれたと思うんですが、それについては答えなかったと思うので、それもあわせて答えてくれませんか。

平野副大臣 今、委員長の発言で小里先生の質問がちょっと吹っ飛んでしまったんですが。

 まず、アメリカに関しましては、アメリカは今TPPに集中して、二国間については、やはり今のところそこまでやる余裕はないというのがどうもアメリカのポジションだということであります。

 それから、委員長の御質問で、メリット、デメリットということでしょうか。それは、私は、メリット、デメリット、どういうレベルでEPA、FTAを日米間で結ぶかというその形にもよるかと思いますが、日本とアメリカというのは、いろいろな意味で、貿易においても、物、人との交流においても密接に結びついております。それをさらに高いレベルで持っていけるという可能性があるのであれば、これは当然追求すべきだというふうに思います。

 それから、私は、先ほどの答弁の中で、ベトナムの二輪車の関税を八三%と言いましたが、九〇%の間違いでございました。訂正をさせていただきたいと思います。

小里委員 まさに、アメリカが二国間交渉を今避けている、だからTPPだというのは、相手の……(平野副大臣「そんなふうに言っていない」と呼ぶ)そういうことでしょう。アメリカは、今、日米のFTA交渉には消極的であって、TPPの方に一生懸命だと。それに乗っかるという話なんですよ。相手の術中にはまる話であって、まるっきり日本としての国家戦略がない。結果として国益を損なう方向に行くんじゃないか、そこを私は心配しているわけであります。

 また、関連して申し上げますと、普天間の問題で日米安保が損なわれた、そこにつけ入るかのようにして、尖閣諸島の問題が起きて、あるいはロシアによる北方領土の問題が起きました。そういった外交の失態を挽回するために、こういったTPPが出てきたんじゃないかな。これは大方の人もそう見る人が多いと思います。

 そういった指摘をしますと、政府の方からは、アメリカはTPPを向こうから言ってきたことはない、むしろ、アメリカは、日本は条件をつけるなら入るなと言っているというような政府答弁があったわけであります。向こうから言われてもいないのに、まさにこれこそ飛んで火に入る夏の虫であって、私はまるっきり理解ができないわけであります。

 それと、この答弁から酌み取れることは、要するに、入るなら無条件で入れということを言われていることを意味するわけであります。チリなどからも、交渉に参加する際は市場開放の決断をする必要があるということが伝わってきているわけでありまして、要するに、六月の時点では、実質的に無条件でTPPに入るかどうかを決断せざるを得ないということになっていくんだと思いますよ。

 さらに、今後の日程を考えますと、アメリカ議会の関係などを考えますと、日本が六月に交渉参加を決めても、アメリカ議会の手続上、結果として、実際の交渉参加は十月以降になると思うんです。これは副大臣がよく御存じだと思います。では、その時点で日本は何を言う余地があるんですか。

 TPPの方は、現在、交渉がずっと進んでおりまして、三月の段階で草案をまとめるともしているわけでありまして、今検討中だから一切お答えできない、そういう姿勢が目立つわけでありますけれども、では、いつ議論をするんですか。いつ材料を出していただけるのか。いつ情報を、どういった心づもり、どういった国内農業対策をいつの時点で出していただいて、それをどの期間で我々が議論できるのか。そこを、これは特に農林水産大臣にお伺いします。

鹿野国務大臣 食と農林漁業の再生実現会議におきましては、六月に基本方針というふうなものを出す方向で今いろいろと議論がなされておるわけでありまして、三月については、一つの、一段階取りまとめというふうな形を出す方向で、こういうふうなことであります。

 そういう中で、TPPについてどうしていくかということは、まず、これから私ども、先ほど申し上げましたけれども、どういう交渉になるのかというふうなことをしっかりと把握しなきゃならない、こういうことでありまして、これから、九カ国の間におきましてもサービス、投資分野においてのオファーが交換されるというふうな話も聞いておるわけであります。

 物品に関しましては既にその交換がなされたというふうなことでもございますので、そういうことをできるだけ情報が共有できるようにして、そして、どういう交渉になっていくかというようなこと等々、あるいはまた、本当に除外品目というものが認められ得るのかというようなこと等々も非常に重要なポイントであるわけでありまして、そういう情報というものを受けとめた中でこれから議論をしていく。

 そういう意味では、今後、五、六月をめどに、こういうことでありますけれども、六月をめどにするならば、そのめどの中においていろいろと議論をしていくというふうなことになっていくのではないかと思っております。

小里委員 まだまだ未消化、不完全燃焼でありますが、時間が参りましたので終わります。

 ありがとうございました。

山田委員長 次に、道休誠一郎君。

道休委員 民主党の道休誠一郎でございます。

 きょうは、予定されております家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案について、私も、議員としてここに、この家伝法の話以外にも個人的にはいろいろと興味のあることがございます。攻めの農政をやっていくために、戸別所得補償制度や六次産業化、そしてFTA、EPA、TPP、いろいろな問題について関心はあるんですけれども、きょうは一年生として、愚直に家伝法の改正に関しまして質問をさせていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。

 昨日鹿野大臣が提案理由の説明をされました家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案について。

 皆さん御存じのとおりに、昨年四月の二十日に宮崎で口蹄疫の第一例が確認され、八月の二十七日に非常事態宣言を解除し、終息になるまでに、宮崎では、予防的な殺処分も含めて二十九万頭弱の牛や豚が殺処分されてしまいました。

 四月二十日の初発の確認、そして、同日、政府並びに宮崎県がそれぞれ口蹄疫対策本部を設置し、五月一日に自衛隊が派遣され、さらに同十七日、政府口蹄疫対策本部及び現地対策本部が設置されました。翌十八日には宮崎県が非常事態を宣言し、十九日に政府対策本部がワクチンの接種を決定し、二十一日にはワクチンの接種が宮崎県の知事によって表明され、接種の実施は翌二十二日から。五月の二十八日には特措法が成立しまして、以降、八月の二十七日に実際に終息宣言、非常事態宣言の解除と至るまでの経過については、皆さんも御存じのとおりだと思います。

 それまでに、宮崎県民に対して全国の皆さんから非常に温かい御支援等をいただいたこと、そしてそれに加えて、今、先ほどから出ておりますけれども、現行の鳥インフルエンザや新燃岳の噴火による被害に対しまして全国の皆さんから非常に温かい御支援をいただいていることに対しましては、宮崎県民の一人として、私自身、御礼を申し上げたいと思っています。

 この場におきましては、昨年、口蹄疫が宮崎で発生した、口蹄疫は国を滅ぼす病気であるということを我々は本当に身をもって実感したわけですけれども、この口蹄疫を二度と日本から起こさないという決意のもとに、今、この家伝法を、時代背景を反映し、また現場の実態に即したものに改めていこうとしているわけでございます。

 まず、鹿野大臣にお尋ねしたいと思うんですが、発生の予防あるいは早期発見、通報、対策本部のあり方を含む初動対応、殺処分、埋却実施等々、実際に病気が広がる中での一連の現場での対応や、最終的なワクチン接種の判断の時期とその実施から終息に至る過程の中で、実際、今、昨年の宮崎での口蹄疫を再評価された場合に、政府あるいは農水省の対応について大臣はいかがお思いかをまずお聞きしたいと思います。

鹿野国務大臣 宮崎で発生した昨年の口蹄疫、この総括というものは、今いろいろとお話もいただきましたけれども、非常に大事なところでございます。

 私どもといたしましては、第三者委員会である口蹄疫の対策検証委員会の報告にもありますけれども、一つは、国と都道府県等の役割分担が不明確である、連携も不足していた、また、畜産農家段階において飼養衛生管理基準が守られていなかった、異常畜の発見の見逃しや通報のおくれがあり、感染を広げる大きな原因となった、予防的殺処分について、経済的な補償を含めた法的裏づけがなく、その決定及び実行に時間がかかったというような、特に、発生の予防、早期の発見、通報、円滑な初動対応というふうなものが最も重要なことである、このように指摘をいただいておるところでございます。

 この検証委員会の報告書や鳥インフルエンザの状況等を踏まえまして、迅速に的確に対応できる防疫体制をつくり上げていくというふうなこと、そのために本法案を提出いたしたということでありますことを御理解いただきたいと思います。

道休委員 大臣、ありがとうございます。

 既に自民党議員からも出た質問と重複する部分もありますけれども、改めて質問させていただくこともございますので、その点は御容赦いただきたいと思います。

 国、地方自治体あるいは畜産関係者の予防防疫体制の確立について、法の第三条の二で、大臣は、特定家畜伝染病防疫指針並びに緊急防疫指針を作成し、都道府県知事、家畜防疫員及び市町村長は、指針に基づいた措置を実施するとあります。また、大臣は、その措置の実施に関し、必要な情報の提供、助言その他の援助を行うものとするとなっていますが、実際上の事の流れあるいは実務の関係を考慮した場合に、国のかかわり方がまだまだいかにも弱いという感じがするんですが、この点についてはいかがでございましょうか。

 さらに加えて、今回の改正で、防疫指針、少なくとも三年ごとに必要があれば見直す。その場合に、食料・農業・農村政策審議会の意見を聞くとともに、都道府県知事の意見を求めるとありますけれども、防疫指針の周知徹底の具体化や、加えて平常時での家畜伝染病の発生情報の収集、周知、また現場での予防策の徹底を図るためには、国の責任というのが非常に大きいのではないかと思いますが、この点について、副大臣、いかがでございましょうか。

筒井副大臣 先生がおっしゃるとおり、国の責任は極めて重いと思っております。

 実際に、今度の家伝法の改正で、これも先生が言われましたように、防疫指針、緊急防疫指針の作成、そしてその実施のための国の支援行動、さらには、新しく空港等における防疫官の行動、これは質問、検査、消毒にわたる、さらには、これも先生言われました、情報の収集とその周知、公開、こういう規定も設けられたこと、これらは非常に国の責任の重さをあらわしていると思います。

 さらに言えば、今先生が言われなかった中で、五分の五というのは、先ほど財務副大臣の櫻井さんが大分強調しておりましたが、今までなかったこと、今現在、他の法律上もないことを国において行うというふうに決めたことは、極めてこれは大きく考慮をしなければならないものではないかというふうに思っております。

道休委員 ありがとうございます。

 五分の五につきましては、また後ほど質問させていただきます。

 飼養衛生管理基準について、十二条の三で、大臣が定めということで、先ほども野党議員から質問が出ておりましたけれども、大臣が定めたものに、畜産農家は都道府県知事への定期報告をやり、指導、助言、勧告、命令は都道府県知事が行うとなっています。

 検証委員会の報告に記述があったんですけれども、やはり飼養衛生管理基準が緊迫感や具体性に欠けている、実効性が乏しく、畜産農家がこれを守って、家保も十分な指導をしていなかったのではないかというような指摘もあるくらい、非常に漠然としたものであったということは、私は非常に実感を持って感じるんです。

 宮崎県のケースでいきますと、口蹄疫が昨年出ました、そして、ことし、鳥インフルエンザが宮崎では多発しているわけですけれども、鳥インフルエンザが発生しているところへ私もお邪魔しますと、現場で見るのは、まず、初動が非常に早くなっている。これはもう、口蹄疫並びに鳥インフルエンザの違いというのはありますけれども、やはり緊張感を持った状態が宮崎の地域では、非常に皆さん、対応に迅速に取り組んでいただいているという感じがいたします。

 やはり、飼養管理衛生基準をつくっても、具体性と緊張感、先ほどもちょっと私、大臣に個別にお話をしましたけれども、やはり、こういう基準をつくっても、その基準を守らなきゃいけないんだという緊張感を持たせる、そのためには具体的にルーチン化をさせるということが必要だと思うんですけれども、ルーチン化について政務官のお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

田名部大臣政務官 先生から今お話あったように、検証委員会の報告書の中に、飼養衛生管理基準の内容をより具体化させるということ、そして、農場の所在地であるとか飼っている頭数、こういったものを日常的に把握しておくべきではないかというような提言がありました。

 それを踏まえて、今回の改正案においては、家畜の所有者は、毎年、これは定期的に飼養状況、衛生管理、この状況に関して、都道府県知事に報告をしなければならないということになっていますし、また、知事は、衛生管理が適正に行われているかどうか、それを確保するために、農家に対して必要な指導、助言、勧告、命令が行える旨を規定したところであります。

 これらの規定によって、都道府県において農家の飼養衛生管理基準の遵守状況について的確に把握をしていくということが何より非常に重要だと考えておりますので、的確な把握と的確な指導が行われるようにしっかりと対応してまいりたいと考えています。

道休委員 どうもありがとうございます。

 今ちょっとお話が出ました的確な把握というのが本当に大事だという感じがします。

 宮崎で、まず四月二十日に初発が確認された時点で、検証報告書によりますと、もうその時点ではかなり広がっていたんではないかというようなことが言われていますけれども、やはり初動を間違えないように対応する。そして、その初動で、規制をかける区域が間違っていたら、これは全然、元も子もないわけですね。ですから、的確な制限地域の設定、これはケース・バイ・ケースで、果たして五キロでいいのか十キロでいいのかということもございますけれども、その辺について、やはり現場の状況を考えた基準の導入ということについて、もし検討されているようでしたらお話を伺いたいんですが。よろしゅうございましょうか。

田名部大臣政務官 ごめんなさい。

 今後検討してまいりたいと思います。

道休委員 済みません。今の質問、私も通告していませんで、ちょっと自分の気持ちで申し上げて、申しわけございません。

 それから、家畜伝染予防法、非常に大事なものがあると思いますけれども、やはり国の役目というのは、ウイルスの侵入なんですね。もうおわかりのとおりだと思います。

 現在、日本を囲む周辺国、特に韓国においても口蹄疫並びに鳥インフルエンザが非常に発生している、そして、韓国では、ワクチンの投与を行いながらも防げていない、広がりを防げなかったという現状、これは相当私どもは危機感を持って対応しなければならないと思いますが、まずは日本に入れないということが最低限の命題であるというふうに確信しております。

 そしてさらに、日本に入った場合でも、畜産農家に入れないための措置のルール化というのが必要でしょうが、法の第四十六条の二及び四の中では、海外からの入国者への質問及び携行品検査をうたい、また、動物検疫所長は航空会社あるいは空港等への協力を求める、求められたらそれに応ずるように努めなければならないという規定があるわけですけれども、先ほど副大臣もちょっとおっしゃいましたけれども、かなり踏み込んだ法改正ではあると思うんですが、果たしてこれで本当に防げるのかどうか。

 そしてさらに、人の移動というものに対してはかなり意識をしていただいている。我々の見えないところ、貨物等、飼料、食料等の輸入、これについて、恐らく適切な水際対策、検疫対策をやっていただいておると思うんですが、その辺のお話をちょっと伺えればありがたいです。

筒井副大臣 努力義務ではなくて強制にすべきではないかという意見もこの過程で出されたわけでございますが、今度、こういう規定を初めてつくったわけでございまして、そして、船舶の所有者等に、同様、それに近いようなものを求める場合の検疫法の規定も努力義務になっていること等々あって、今日においては、防疫指針にもこのことを記載して、努力義務の範囲内で行うというふうにしたいと考えて、こうしたわけでございます。

 ただ、努力義務と強制がそんなに大きく違うかというとそうでもなくて、誠心誠意努めたと社会通念上言えなければ努力義務を果たしたと言えないわけでございます。強制の場合と、ゼロと百の違いがあるというわけではなくて、一生懸命、できる範囲のことをすべてやるという形のものが求められているわけでございますから、そんなに多くの、極端な差はないものと考えておりますので、まずこれから、努力義務から行わせていただきたいなというふうに思っております。

道休委員 どうもありがとうございます。

 やはり空港等での検疫あるいは防疫体制の強化というのは、これはもう至上命題ですね。

 私は毎週宮崎空港から羽田に来るわけですけれども、宮崎空港ですと、少なくとも、大きな赤じゅうたん、赤色のカーペットが敷いてあって、韓国語、英語、中国語で、これは防疫マットですという表現がしてあって、もう本当に通路いっぱいになるくらい防疫マットが敷いてある。昨年の口蹄疫の結果とすると当然のことなんですけれども、恐らく、それが羽田に来たら、搭乗のときも、確かにらしきものはありますけれども、果たしてそれに本当に何人の方がのっていかれるのか。あるいは漏れなく防疫が行われているのか。

 地域によっての差もあると思いますので、これは農水省の方も、あるいは国土交通省の方でも、一生懸命周知徹底はやっていただいておりますけれども、これについては今後一層の御努力をお願いしたい。先ほどの質問にも出ておりました、本当に、外国からの旅行者あるいは外国へ旅行をして戻ってくる日本人の旅行者の方、今我々は、家畜伝染病あるいはほかの疫病のリスクに日々さらされているということを考えましたら、この緊張感を失わずにやはり防疫の徹底をお願いしたいと思っております。

 次に、家畜農家へのウイルスの防止ということで、まず、十三条の二に、大臣が指定された一定の症状を示した家畜を診察した獣医師には届け出の義務が付されているわけですけれども、確かに、一定の症状ということで決めていただくことはありがたいことだと思うんですね。

 ただ、御案内のとおりに、口蹄疫ウイルスはどんどん変異をしていく、あるいは個体によってもひょっとしたら症状が出ないかもしれない。ですから、この一定の症状というものについて、余りそれにとらわれた場合に、逆にその症状に指定されていなかったものが出ていたとき、あるいはそういうものを見逃してしまうリスクというのはあると思うんです。

 この一定の症状とか、先ほど指針の三年ごとの見直しとかいうことをおっしゃいまして、恐らく、これから常時、日ごと疫病の蔓延状況あるいはウイルスの変異の状況に応じて指定なんかを変えていかれると思うんですが、一定の症状を示したものについて、現時点として、見直しは常にやっていくんだとかあるいは定期的にやるんだとか、そういうようなことを御検討でしたら、お話をいただければありがたいです。

田名部大臣政務官 一定の症状につきましては今後専門家の意見を聞いてつくられていくわけですけれども、ただ、先生御指摘のその御懸念は、私も同じような思いでございまして、やはり、一定のという基準の中で、それを超えた新たな症状など、もしも考えられるようであれば、常にそういうことは検証していかなければならないし、チェックをしていかなければならないというふうに考えております。

 先生の御指摘も踏まえて、この一定の症状というものを今後提示していきたいと思いますし、その一定の症状というものが、農家の皆さんにわかりやすいように、写真などでこういう症状ですということも含めて、しっかりと周知をしていきたいと考えています。

道休委員 ありがとうございます。

 今回の法改正では、まさに拡散防止、侵入防止のために、厚生労働省や環境省との関係についても記されております。私は、この家畜伝染病についてはやはり農水省が所管でありますから、当然のことだと思いますけれども、強いリーダーシップを大臣に持っていただきまして、しっかりとした防疫体制、かつ実効性のある防疫体制を常時つくりかえていただきたいというふうにお願いしたいと思います。

 また、先ほどもちょっと申し上げたんですが、実際に疫病が発生したという段階で初動を間違えないということは非常に大事だと思うんですが、宮崎の口蹄疫の反省をする場合に、県や国や、いわゆる対策本部が乱立しまして、指揮系統がなかなか一元化できなかったという反省点があるんですが、今回の法改正でこの一元化というのがどの程度まで、あるいは完璧にできるんでしょうか、その辺の考えを示していただきたいと思います。お願いします。

筒井副大臣 こういう場合に指揮系統が一元化しないと混乱いたしますから、それをきちんとしなければならない。

 そのための措置として役立つのが、まさに今先生が言われました防疫指針、緊急防疫指針、これを国が定めて、都道府県がそれに基づいて実施をする、それを国がまた支援する、そういう形自体で一元化をしていかなければいけません。

 また、そのための組織として、国における対策本部、都道府県における対策本部、それらのものをつくっていく。さらには、その防疫指針の中に、この対策本部間の指揮それから一元化の問題、これらについても記載をする。そのことによって一元化を図っていきたいというふうに思っているところでございます。

道休委員 ありがとうございます。

 昨年の宮崎の口蹄疫、本当に大きな災害になってしまったわけですけれども、残念なことに、今回もあの原因が何であるかというのが特定できない。検証委員会の報告あるいは宮崎県の検証委員会、いろいろな、いわゆる推察されるようなことは提示されておりますけれども、やはり原因が究明できないことによって、農家の皆さんは今でも牛や豚の新規導入にちゅうちょされておるということでございます。発生してもう既に時間もたっていることでございますので、なかなか今回も、この感染元、大もとが何であったのかということについての結論を出すことは難しいかもしれませんけれども、今後、まず初動を間違えないためにも、やはり感染源の特定ということについて相当厳格な対応が必要だと思います。

 今回の法改正でその点というのはどの程度担保されることになるんでしょうか。副大臣、よろしいですか。

筒井副大臣 原因究明が極めて大事であることは確かでございます。ただ、原因究明、これだというふうに確定することは非常に難しいわけでございまして、まだ完全に確定できない段階で、幾つかの可能性、幾つかの推定ができる限り、その幾つかの可能性、幾つかの推定ができるものについて全部対応していくというふうにやっていかなければいけないと思っております。

 そして、今度の家伝法の改正自体でございますが、そこでは、原因究明が極めて重要ですから、速やかに行う、この旨を強調した規定をプラスしているところでございます。

道休委員 今委員長をされています山田先生が、実際に、宮崎の口蹄疫では現地対策本部に入っていただきまして、畜産農家の方を含めて、本当に一生懸命お仕事をしていただいたということで、皆さん感謝されているんですけれども、やはり原因究明ができないことに対するいら立ちというのが今も現場にはございます。中には、例えば、疫病が発生したときに、防疫体制をとりながらも一緒に捜査をする権限も付与してはどうかというような議論もあるんですが、恐らくこれについては非常に複雑なことがあると思いますので、将来の検討課題として御検討いただければありがたいなと思っております。

 次の質問に移らせていただきます。

 法の第五十三条の四項では、家畜防疫員の確保というのを県に義務づけているわけですけれども、宮崎県において、家畜防疫員、獣医師の数が少ない、保健所における獣医師一人当たりの管理頭数及び管理農家の戸数が他地域に比べて非常に多いという状況は事実なんですね、数字の上から。しかし、先ほども質問が出ておりましたけれども、本当に、一人当たり、医師が何頭あるいは何戸の農家に対応すればいいんだ、これは、客観的な基準を出すことはなかなか難しいと思います。

 それに加えて、宮崎では家畜防疫員の数が少ないということで、県も独自に、あるいは国の御支援をいただきながら対応を始めているわけですけれども、ただ、この家畜防疫員の供給源となる産業医の数、これがどうしても、今の獣医師さん、小動物の方へ移っていかれるということで、なかなか確保が難しいんです。

 これはもう農水省だけの問題ではないと思うんですが、この点について農水省はどういうような御対応をされようとしているのかお聞かせいただければありがたいです。政務官、お願いします。

田名部大臣政務官 今委員から御指摘があったように、産業獣医師の数が少ない、また、地域によってはその数にばらつきがあるというのが現状だと思います。

 これも検証委員会の報告書の中で、産業動物に関する獣医療を実効あるものにするために、免許取得後の産業動物に関する研修の強化、そしてまた、大学、これは学生ですね、学生における産業動物に関する実習の強化、こういったものが必要であるとされたところであります。

 そこで、農林水産省として、大きく三つの支援を考えておりまして、獣医系大学の学生における修学資金の給付、また、学生に対する産業動物診療、これは共済組合などがそうですけれども、現場で実習、研修を実施する、また、診療獣医師に対する初期の臨床研修、こういったものを推進しながら、数をふやすと同時に獣医師の質も上げていく必要があると考えています。

 それで、今、文部科学省のことにもちょっと触れられましたので、農水省だけではなくて、これは文科省の管轄でもあるわけで、口蹄疫等の家畜伝染病に対応した獣医師の養成に努めることとしている、そのように聞いているところであります。現在、臨床教育の充実等獣医学教育の充実について、有識者による検討が行われているということでありました。

道休委員 どうもありがとうございます。

 非常に前向きで力強いお言葉をいただき、ありがとうございます。

 もう時間の関係もございますので。

 手当金、五分の五、本当にありがとうございます。これはもう、大臣初め農水省の皆さん、頑張っていただいたと思っています。宮崎県の皆さんからも御礼が来ておりますので、しっかり皆さんに、五分の五にしていただいたことに対して、今度は立派な畜産を再建するということでおこたえをしたいというふうにおっしゃっている方もいらっしゃることをお伝えします。

 ちょっと時間の関係で、最後になるんですが、ほかにいろいろ質問したいことがあるんですが、先ほどもちょっと出ていましたけれども、風評被害ですね。やはりプライバシーの問題と風評被害の問題。

 これはちょっと私ごとで、こういう席で申し上げるのがいいのかどうかはわかりませんが、実は、インターネットの世界で、口蹄疫を韓国から持ち込んだのは道休であるというようなうわさも流されまして、事実無根の話で、私、非常に困っているんですが。

 実際に、発生農家を的確に把握するための情報公開、今回、鳥インフルエンザでは、宮崎県では、最初、発生農家の個人名まで、御本人の同意をいただいたという前提で出したという説明を受けておりまして、果たしてそこまで出すのがいいのかどうかですが、プライバシーとの関係と、それから口蹄疫等の疫病の拡散を防止する的確な発生地域の情報の開示、これについてお話を伺えればありがたいんですけれども、大臣、お願いします。

筒井副大臣 極めて難しく、かつ重要な課題だというふうに思っております。

 発生した場合に、周辺農場には直ちにやはりその事実を知らせなければいけない、これはもう最優先の情報の開示だと思います。しかし、同時に、それがいろいろな形でプライバシーを侵したり風評被害につながったりすることを防ぎながら考えていかなければいけないので、先ほども申し上げましたが、マスコミ等への協力も求めていかなければいけない。

 そして、風評被害に関しては、具体的に今までも農水省としてもやっておりますが、風評被害のもとになるようなもの、行動、これに対しては直ちに対処していく、こういう行動をこれからもきちんととっていきたいというふうに思っております。

道休委員 もう時間も来たようでございますけれども、私も農水委員の一人として、これからの日本の経済の再建は、地方を活性化し、本当に一次産業を六次産業化することによって日本の再生を行っていくという決意には私も同じ気持ちでございますので、大臣以下の皆さんと一緒に協力させていただきたいと思っております。

 質問、ありがとうございました。これにて終わらせていただきます。ありがとうございます。

山田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時三十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

山田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。伊東良孝君。

伊東委員 それでは、きょうは、家畜伝染病予防法、家伝法の改正についてお伺いをいたします。午前中、三名の委員の皆さんからそれぞれ質問がありましたので、余り重複しないように質問したい、こう思うところであります。

 前置きは別といたしまして、昨年の宮崎県の経験あるいは初動態勢のあり方を踏まえれば、特定家畜伝染病の発生時に迅速に初動態勢を整え、そして効果的に蔓延防止対策を講ずるということが必要になってまいります。

 今回の法律の中にも、国及び都道府県に対策本部の設置、こう要望されていたわけでありますが、先ほどの江藤さんの質問にもあったところでありますけれども、私も、この対策本部は法律で本来は義務づけるべきではないか、こう思います。

 先ほど、大臣からは、緊急防疫指針の中にとどめる、こういうお話でありましたけれども、いま一度、国及び都道府県に対策本部をしっかりやはりとどめるということを明記すべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。

鹿野国務大臣 都道府県並びに国におきましても対策本部を設けましてしっかりと取り組んでいかなきゃならない、こういうふうな御指摘をいただきました。まさしくそのとおりでございます。

 そういう中で、農林水産省及び都道府県に対策本部というものを置くということになるわけでございますけれども、重ねて申し上げますが、これまでの立法例を踏まえますと、対策本部の設置を法律として位置づけした場合に、本部長は内閣総理大臣になる、このようなことになるのではないか、こんな考え方から、やはり農林水産大臣がきちっと責任を負って対応していく、このようなことから、農林水産大臣を本部長とするところの対策本部というものを防疫指針に位置づけをする、こういうふうな考え方でおるところでございます。

伊東委員 余り合理的な御説明ではないというふうに、私も先ほどから聞いていて思います。

 法律に位置づけたら総理大臣でなければならないなんということはどこにも書かれていないわけでありますし、長年の慣例でそうなっているのかもしれませんが、とするならば、農水大臣が本部長になるという原則を明記すればいいのではないかという気がするところでもあります。

 これは、法律上の解釈あるいは運用上の解釈等々で、総理大臣が本部長になるか、農水大臣がなるか、それによってここに明記するかしないかという話は私はなかなか納得できないところでありますけれども、この点、もう一度お聞かせいただきたい。

鹿野国務大臣 重ねて申し上げますけれども、今私が農林水産大臣でありますけれども、この対策本部におけるところの政府における責任というものは、農林水産大臣がきちっと責任を負って対処していく、こういうような考え方に立って、防疫指針にしっかりと位置づけをして、そして農林水産大臣がすべての責任を負っていくというふうなことで対応、対処してまいりたいと思っております。

伊東委員 これは同じことの繰り返しになりますのでこの辺にさせていただきますが、いずれにしても、国あるいは都道府県がしっかり対策本部を立ち上げて、そして迅速な対応をとるということが求められておりますので、指針であっても、法律であっても、その効果というのは全く同様のものであるというふうに私どもも解釈いたしますので、農水省としてしかるべき対策をしっかりお立ていただきたいというふうに思います。

 昨年、口蹄疫対策検証委員会がまとめた報告によりますと、「防疫方針に即した具体的措置は、都道府県が中心となって、市町村、獣医師会、生産者団体などとの連携と協力の下に迅速に行う、」こう提言されたところであります。

 この提言を踏まえれば、都道府県が家畜伝染病の予防、蔓延防止措置を実施する、今回の第三条の二第三項に係るところでありますけれども、ここでは市町村としかなっていないわけであります。獣医師会あるいは生産者団体の協力を求めることができる規定を盛り込んではいかがか、このように思うところでありますけれども、いかがでありましょうか。

鹿野国務大臣 今回の改正におきましては、今先生からもお話のとおりに、都道府県が中心となって、国が作成した防疫指針に基づく具体的な防疫措置を講ずる、こういうふうなことになっているわけでございます。

 そういう中で、都道府県がこうした防疫措置を講ずるに当たりまして、地方自治体である市町村に協力を求めることができることは明記しているところでございますけれども、民間団体については、獣医師会や生産者団体など種々のものが考えられますことから、民間団体との連携強化というものについては防疫指針に明記をする、こういうふうなことにしてまいりたいと思っております。

伊東委員 ここで書かれていないところはことごとく防疫指針に盛り込むというお話でありますから、それはそれでわからないわけではないんですが、やはり、法律上きちっと明記されているといないとでは、本当に、受ける印象もあるいはその責任感も違うような気がいたします。

 私は、市町村あるいは獣医師会、生産者団体などということを入れても、本当にこういう団体が法律上明記される立場で責任をどう感じるかは別といたしまして、これはこれでしっかりとした形というものが見えるのではないかという気がするのでありますけれども、どうしてもこれは指針に盛り込まなければならないものでありましょうか。法律上に明記するということの不都合について、ちょっとお聞かせください。

鹿野国務大臣 重ねて申し上げますが、民間団体というふうなことになってきますと、獣医師会やあるいは生産者の団体というふうなことなど種々にわたってくるということもございまして、民間団体との連携というふうなものは非常に重要なことでありますので、これは防疫指針に明記をする、こういうふうなことで支障がないようにしていきたい、こう考えておるところでございます。

伊東委員 そういうことであれば、指針の中でしっかりうたう。これは、生産者団体あるいは獣医師会が協力しなければ、市町村だけでは何もできないということになるわけであります。

 さすれば、都道府県の協力要請に応じた市町村から、さらにまた獣医師会あるいは生産者団体の協力、あるいは直接その対策本部から依頼、委託を受ける獣医師会、生産者団体ということになるわけでありますが、これらに要した経費について、きょうの午前中の答弁では、国の支援あるいは援助に含まれる、こういうふうに御答弁されたような気がいたしておりますけれども、これは江藤委員に対する答弁で、市町村以下のいわゆる民間団体、かかる民間団体に要した経費についてどうなるのかというお話があったところでありますが、再度、そういった意味での確認をお願いいたします。

筒井副大臣 民間の獣医師あるいは生産者団体がボランティアとして非常にたくさんの御協力をいただいていることは先生御存じのとおりでございます。ただ、ボランティアで、そのままである限りはなかなかそこに交付金を支払うというのが難しいところでございますが、現在、雇い入れの手続を地方自治体の方でやってもらえれば、家畜伝染病予防費の対象にしているわけでございまして、それは二分の一、国の方で負担するわけでございますが、その対象として、ボランティアについて考えているし、実際にその支給体制を例えば宮崎県の方ではとっていて、支払いの準備をしているところだというふうに聞いております。

伊東委員 先ほどの副大臣の江藤先生に対する答弁は、民間団体も含めた、いわゆる都道府県、市町村が依頼し、委託し、また活動してもらった団体に対する経費は国が見るというようなお話であったというふうに記憶するんですが、今お話ありますように、これは予防費で二分の一のというお話と、ボランティアという言葉を使われましたけれども、このボランティアというのと、市町村が正規に依頼し委託したというのと、同じなのか全く違うのか。この辺、もう一度お聞かせください。

筒井副大臣 先ほど申し上げました、都道府県あるいは都道府県の委託において行う市町村の消毒とかあるいは通行遮断等に伴って、それも消毒行為を行うわけでございますが、それらにかかる費用は、今まで、消毒液については旧家伝法にも規定されておりましたが、今度、新たに消毒液以外の人件費等の費用についても支払うという形にしたわけでございまして、それらの中に今言われた方たちが入っている限りは国の負担になるわけでございます。

 ただ、いろいろな形で協力をしていただいた、いろいろな形でボランティア的に行動していただいた、それらの方々に対しても一切払わないのはおかしいわけでございますから、その場合に、先ほどの家畜伝染病予防費という項目で対処していきたいというふうに考えているということでございます。

伊東委員 仕事内容によって明確な区分けというのがなかなかしづらい部分もありましょうけれども、後で、地域によって、場所によって、時、所変わればまた変わるということのないように、ぜひ、少しきちっとした規約、規定をおつくりいただきたいというふうに思うところであります。

 次に、ウイルス侵入防止、これも皆さんから出たお話でありますけれども、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。

 韓国では、三月五日現在、約十五万頭の牛と三百三十一万頭の豚が口蹄疫のため殺処分をされ、全土でワクチン接種が行われております。このほか、中国、台湾、モンゴル、北朝鮮など、アジア諸国におきまして口蹄疫が依然として蔓延をしているのでありますが、このような中、空港及び港湾におきまして、入国者に対し、海外での農場立ち入りの有無を確実に確認する仕組みを私どもは構築すべきではないか、こう提言をするものであります。また、出国日本人及び訪日外国人の双方に対して、家畜伝染病の予防、蔓延防止に向けた普及啓発をさらに強化すべきではないか、こう思いますけれども、いかがでありましょうか。

筒井副大臣 まさにおっしゃるとおりでございまして、今度、入国者に対して、質問、携帯品の検査そして消毒と、この三つを行うことが規定をされたわけでございまして、その質問は、もちろん口頭でもあり得るでしょうが、質問票を渡して書いてもらう、それらの質問する項目の中に、自分の国の方で農場への立ち入りの有無、これを聞くことが可能となっているわけでございまして、それは必要な措置だというふうに考えております。

伊東委員 そうするならば、これも先ほど江藤先生からちょっとお話が出たんですが、第四十六条の四に係るのでありますが、航空会社、空港などは、動物検疫所長の協力要請に応ずるよう努めなければならない、こういう規定であります。水際対策の実効性を高めるために、先ほどこれは努力目標という大臣の答弁であったというふうに記憶しておりますが、これはやはり、もう一段強い義務規定にまで、あるいはそれに近い形までこれを高めるべきではないか、こう思いますが、この点、もう一度お聞かせください。

筒井副大臣 それも大きな問題だとは思っている、先ほども申し上げたとおりでございます。

 ただ、空港等に対しての協力を求めることができる、それに対してこたえるように努力をしなければならない、こういう規定自体が今度初めてプラスをされたわけでございまして、そのことについては防疫指針の中にも記載をする、こういう形でございます。

 もちろん、罰則つきの強制とか何かと比べたらその方が弱いわけでございますが、先ほどの繰り返しになりますが、努力義務が課せられた、努力義務は、実際に誠心誠意やることを努力義務としてあるわけでございますから、まず、今日の段階ではそれでやってみることが必要なのではないかというふうに考えております。

伊東委員 ぜひ実行してみて、そして、やはり不都合があれば変えていくことも、見直すことも必要ではないかと思うところであります。

 また、海外からの稲わら等々の資材あるいは飼料原料等の輸入の増大に伴い、ウイルスの侵入リスクの高まりが懸念されているところであります。港湾における貨物に対する防疫体制を強化する必要があるのではないかと思いますが、この点、いかがでありましょうか。

鹿野国務大臣 口蹄疫等の発生国からの麦わら、牛、豚などの偶蹄類動物、畜産物等は、家畜伝染病法によりまして、輸入を原則禁止し、我が国が指定する施設で適切に加熱処理されたものに限り輸入を認めているところであります。

 また、家畜防疫官が現地に参りまして、これらの指定、処理について定期的に査察を実施いたしまして、的確な処理が行われているということも確認をいたしているところでございます。

 今後も引き続き、海外からの口蹄疫などの侵入を防止するため、輸入検疫の徹底に努めてまいりたいと考えております。

伊東委員 これは植物検疫所だと思いますが、もう一方で、人流、物流の両面からウイルスの侵入防止策を図らなければならない、これも強化しなければならないわけでありまして、全国の動物検疫所の体制を強化するべきではないかと。現在の体制で十分とするのかどうか、お伺いをいたします。

筒井副大臣 それの一部として、先ほどから話があります質問、検査、消毒、空港等への協力要請と、それに対してこたえる努力義務、これを規定したわけでございますが、さらに、それらを行う家畜防疫官の増員、それから防疫犬、これが実際やってみると結構効果があるようでございまして、これらの数をふやすことによる防疫体制の強化も必要であるというふうに考えております。

伊東委員 防疫体制の強化というのは本当に必要だ、私はこう思いますので、増員を含めて政府として取り組んでいただけるよう、これはほかの省庁にもかかわる話でありますけれども、ぜひお願いをしたい、こう思います。

 また、今回の法改正で、患畜を発見した旨の通報がおくれた場合、所有者等に罰則が科せられるわけであります。このため、早期発見及び通報ルールについて、だれにでもわかりやすい具体的なルールづくりが重要であろうと思います。患畜を発見し、知事へ届け出るルールとして、通報の義務を負う者の範囲、発見から通報までの時間について、どの程度まで許容されるか、それをお考えいただきたい。お願いします。

鹿野国務大臣 早期の発見、通報、円滑な初動対応を徹底するために、一定の症状を呈している家畜を発見した獣医師、所有者は、県知事に届け出をすることなどについて規定をいたしておりますが、届け出対象となる一定の症状については、今後、専門家の意見を聞いた上で、農家及び現場の獣医師等にわかりやすいものとして幅広く周知する考え方でおるところでございます。

 こうした症状を観察した農家及び獣医師等は、観察後直ちに、せいぜい数時間以内に管轄する都道府県の家畜保健衛生所に届け出る、こういうふうな考え方でおるところでございます。

伊東委員 ここが一番大事であろうと思います。ここにいたずらに時間をかけると、あっという間に蔓延してしまいかねないというわけでありますので、ぜひこの点、はっきり、農家にも獣医師にもわかりやすい形でルールを決めていただきたい、こう思うところでもあります。

 さて、患畜を発見する手法として、農水大臣が一定の症状を定める、こうありますけれども、家畜の種類及び伝染病の種類ごとに、獣医師や家畜所有者が即座に判断できるような、わかりやすい一定の症状をどうやって設定するか、あるいは関係者に周知するのか。特に口蹄疫につきましては、症状が多様化する傾向にあるとの学術的な報告もあるのでありまして、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。

鹿野国務大臣 今先生からお触れいただきました、届け出対象となる一定の症状というふうなことにつきましては、やはり専門家の意見をどうしても聞かなきゃなりません。そういう意味で、専門家の意見を聞いた上で、農家の人たちなり、あるいは現場の獣医師等に、おっしゃるとおりに、わかりやすいものとして、そしてまた同時に幅広く周知するということといたしております。

 こうした症状を観察した農家及び獣医師等は、重ねて申し上げますけれども、観察後直ちに家畜保健衛生所に届けることが必要になってくる。そういう意味で、わかりやすい、そして幅広く周知する、こういうふうなことが大事なことだと思っております。

伊東委員 この十三条の二第四項に、遅滞なく国に報告する、必要な場合は検体を添えるもの、こうあるわけであります。この検体のいわゆる運び方というか、ここら辺が非常に難しいかなという思いがするのでありますけれども、この病性鑑定材料、いわゆる検体の動物衛生試験場への迅速な搬入、この添える場合とはどのような場合なのか、だれがそれを判断するのかをお聞かせいただきたいと思います。

田名部大臣政務官 現在、口蹄疫の場合、都道府県が口蹄疫の可能性を否定できないと判断した家畜に対して、農水省に通報を行っていただく。

 その場合に、症状がわかる写真であるとか、また同じ牛舎にいる牛がどういう症状であるか、また農場の管理の状況、こういったことをあわせて農林水産省に送付をしていただいています。その上で、農林水産省、また動物衛生研究所の専門家と都道府県が協議をして検体送付の必要性を判断しているわけです。

 今後、法改正によって、先ほど来お話がありますように、一定の症状が出ている牛ということになりますけれども、それを発見した場合、獣医師または所有者が都道府県知事に届け出ること、そして都道府県知事は写真とともに遅滞なく国に報告をするということになっておりまして、報告を受けた農林水産大臣が患畜または疑似患畜であるかどうかを判定するということになっています。

 この検体について、複数の家畜に症状が出ている場合ですけれども、専門家の意見を踏まえ、必要と認めるときにその送付を求めることとする、その方向で検討しているところです。

伊東委員 現場から都道府県知事に行き、それからまた農水省にということでありますので、回り回ってというのに時間が少しかかるかなという懸念がちょっとあったものですから、こうしたお話をさせていただいたところであります。

 また、午前中にもお話がちょっと出ていたのでありますけれども、通報ルールの構築に当たっては、風評による畜産農家への経済的な被害を防止するということに配慮する必要があると思うのであります。通報の迅速性と情報の秘匿性をどのように担保するのか、再度お聞かせをいただきたいと思います。

田名部大臣政務官 今先生お話しのとおり、風評被害ということも含めてどうしていくのか、これは非常に大事なことだと思っています。ただ一方で、午前中、筒井副大臣からもお話があったように、初動というのは大変重要でございまして、やはり、一刻を争う重要な初動の対応というものは、迅速に通報が行われるということだと考えております。

 しかしながら、一方で、今委員の御指摘のように、無用な混乱であるとか風評被害を防ぐという観点から、原則として、検査等により感染の可能性が高いことが明らかになり、関係者が初動対応の準備に迅速に取り組む必要があると判断した段階で、マスコミの協力を得て公表するという考え方に立っています。

伊東委員 ぜひ、風評被害も怖いところでありますので、その辺、今の御配慮をよろしくお願いしたいと思います。

 また、現行法で、都道府県知事または市町村長が、特定の家畜の患畜または疑似患畜の発生時に、七十二時間を超えない範囲内の期間を定めて、その患畜または疑似患畜の所在地、その他の場所の通行を制限または遮断することができる、こうなっているのであります。その時間あるいは期間、通行を制限または遮断する期間について、七十二時間を超えない範囲というのは、これは恐らく必要最小限度の初動防疫措置を完了させる時間だというふうに思うわけでありますけれども、この七十二時間という上限設定、これは妥当だとお考えでしょうか、どうでしょう。

筒井副大臣 七十二時間、通行遮断もできると規定したのは、これは道路管理者であろうがなかろうができるというものでございまして、道路管理者でなかった場合に、道路管理者との協議とか何かが必要なく直ちにできる。

 そして、七十二時間が過ぎた段階では、その後は今度、一切消毒ポイントが要らなくなるという趣旨ではなくて、道路管理者がその仕事を引き継ぐ、あるいは道路管理者が最初からやっていれば、それをそのまま続ける、こういう趣旨で制定したものでございます。

伊東委員 中には、この七十二時間の上限設定を除外してはどうか、こういったお話もあるところでありまして、この七十二時間という根拠がどうなんだろうという意見もあるところでありますので、副大臣、再度お願いします。

筒井副大臣 七十二時間ということを設定したことによって、防疫体制に障害は全く出てこないと思うんです。最初の七十二時間の間にまさに初動対応が必要なわけでございますから、直ちに地方自治体がその対応をすることができるとしたところに意味があるわけでございまして、その後は、今度は道路管理者がそれをきちんとやっていくという趣旨でございますから、上限設定が防疫体制を制約しているという趣旨は全く何もないと考えております。

伊東委員 それでは、続いて、財政支援についてお伺いをいたします。

 平成十二年に発生したとき、これは宮崎と北海道でありましたけれども、いち早く百億円の予算を確保したことで、初動の段階から、考えられる対策は、あらゆる対策を迅速に講ずることができた、こう言われているところであります。

 発生時に、現場で都道府県及び市町村が財政面でも安心して必要な措置を講ずることができるよう、また、機動的な財政支出が可能となるようにするために、予備費の計上ではなくて、農畜産業の振興機構、ALICに基金を設ける仕組みを構築できないかというお話が一つあります。これは、自治体には直接出すことができないお金でありますから、恐らく自治体がさまざまな形で委託をする、契約をする先にという話になるんでありましょうけれども、この意見について、大臣、どうお考えでありましょうか。

鹿野国務大臣 家畜伝染病が発生した場合、その蔓延防止をするためには初動が最も重要であるということは、先生おっしゃるとおりでございます。

 県が予算のことを心配して消毒体制などが十分なものでなくなってしまう、こういうようなことでありますならば、蔓延防止することもできない、こういうふうなことになるわけでございますので、都道府県が家畜伝染病の予防法に基づき防疫対応を行うための経費については、同法に基づき国が負担することになっております。

 当初予算が不足する場合には予備費を活用することになりますが、家畜伝染病予防費については、緊急時に迅速に対応できるよう、財政法等に基づき、国会中であっても予備費の使用決定が可能な経費、また閣議を要しない経費に指定されている、こういうふうなところでございます。

 こうしたことから、実際に家畜伝染病が発生した場合には、家伝法に基づく予算は速やかに手当ていたしますので、発生県や周辺の県は予算の心配をせずに十分に防疫措置を講じていただきたい、このように考えておりまして、この趣旨を明らかにするために第六十条の三を新設した、こういうことでございます。

伊東委員 大変心強い限りであります。

 都道府県の防疫措置に対する大臣お話しの財政支援の対象範囲及びその負担率、またその仕組みにつきまして、現行の家畜伝染予防法及び口蹄疫特措法で対象となる内容や、あるいは今回の法改正で新たに対象となる内容を、できれば関係者にわかりやすく、ひとつ周知徹底をいただきたいというふうに思うところであります。

 次に、埋却地の確保についてであります。これも、先ほどから江藤先生あるいは小里先生からも出ておりました。

 この埋却地の確保に関する都道府県の講ずる各種措置につきまして、これは、予算もそうでありますし、今、移動式の焼却車両等々も開発を準備するというお話でありましたが、都道府県の講ずる各種措置を、努力規定ではなくてこれも義務規定にできないかという提案でありますが、この点いかがでありましょうか。

鹿野国務大臣 都道府県知事は、家畜の焼埋却が的確にかつ迅速に実施されるようにするため、必要な措置を講ずるように努めなければならない、この旨の規定を新設いたしました。

 県が埋却地確保の義務を負うこととした場合でございますけれども、所有者の責任というものがいささかあいまいになるというふうなことになりまして、埋却地の確保に支障が生じるおそれもある。このために、一義的な埋却義務者は現行どおり家畜の所有者とした上で、都道府県知事が補完的に埋却地を準備することが適当ではないか、こういう考え方に立つところでございます。

伊東委員 これは、宮崎の例に見るまでもなく、実に大量の牛、豚が殺処分になると、本当にその所有者の土地だけで果たして埋却場所が設定できるかとなりますと、川があった、岩盤があった、何があったで、なかなか難しいものがあるわけであります。

 第一義的な義務者は所有者であることは十二分に理解いたしますけれども、だからといって、第一義、それが、あなたがどうしてもできなきゃ市町村、都道府県でちょっとお手伝いしますよという話ではなかなかないのではないのかなという気、これは、私がこの間、宮崎の実態を聞いていなければ、一義的に所有者がその責任を負うということはわからないわけではなかったんですけれども、あの実態を見ていて、本当にもっと大きな範囲で拡大をしていった場合、これは大変な話でありまして、韓国なんて、よくこんな三百何十万頭も埋却したり焼却してやっているなと、つくづく感心するほどの思いがするわけであります。

 もう少し、都道府県の講ずる各措置を強化する、あるいは都道府県にその責任の一端を所有者とともに持たせることができないのかな、ちょっとそういう思いがするものでありますから、今お尋ねをしたところでありまして、この点につきまして、いま一度、もしお考えが一歩でも前進できるようであれば、お答えをいただきたいと思います。

鹿野国務大臣 重ねて申し上げますけれども、都道府県知事は、家畜の焼埋却が的確かつ迅速に実施されるようにするため、必要な措置を講ずるように努めなければならない、このようなことを、新しく規定を設けたところでございまして、そういう中で、都道府県知事が補完的に埋却地を準備することが適当だ、こういうふうに申し上げましたけれども、新しく規定をしたというふうなことにおいて、都道府県知事がそのことをしっかりと意識をして役目を果たしてもらえばな、こんな期待を込めておるところでございます。

伊東委員 時間の制約もありますので、次にお伺いをいたしたいと思います。

 鳥インフルエンザの件でありますけれども、先月、愛知県新城市の養鶏場から高病原性鳥インフルエンザの発生が確認されたことを受けまして、当該農場の飼養家禽の殺処分が行われたのでありますが、当該農場には、文化財保護法に基づき国の天然記念物に指定されている烏骨鶏が含まれていたと聞いております。

 この烏骨鶏は家畜伝染病予防法の対象である家禽であるから、これは恐らく卵をとっているのでありましょう、殺処分が行われたそうでありますが、これは天然記念物ということで、文化財保護法上問題はないのか。これは文部科学省にお伺いするものであります。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの烏骨鶏は、日本に特有の畜養動物といたしまして天然記念物に指定をされております。ただいま御指摘のように、この烏骨鶏を含めまして飼養家禽の殺処分の対応がなされたということでございますけれども、このたびの烏骨鶏の殺処分は、人や家禽などへの感染拡大を防止するために緊急に必要な対策として実施されたものでございまして、文化財保護法では、第百二十五条第一項ただし書きにおきまして、維持の措置または非常災害のための必要な応急措置として行う場合であれば、文化庁長官の許可を受けずに行うことができる、このように定められております。

 今回の事例はこれに該当するものというふうに考えております。

伊東委員 文化財保護法上問題ないという御答弁でありますので、安心をするわけでありますが、このほか、動物園で飼育されている家畜伝染病予防法の対象外の動物への家畜伝染病の発生もあるわけであります。野鳥や天然記念物など、家畜以外の動物の取り扱いについて規制している法律には、文化財保護法あるいは博物館法、動物の保護及び管理に関する法律、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律があるわけでありますが、家畜伝染病予防法の対象となる家畜以外の動物に家畜伝染病の感染が確認された場合に、感染した動物を殺処分することに、これらの関係する法令について問題が生じないかどうか。これは文科省と環境省にお伺いするところであります。

森本政府参考人 家禽でも野鳥でもない、人の飼育管理下にある鳥につきましては、動物愛護管理法の方で対象にしてございまして、地方自治体において対応していただいているという形になってございます。

 それで、環境省としましては、昨年十二月の富山県の動物園での事例を受けまして、都道府県の動物愛護関係課それから日本動物園水族館協会等に対して指導文書を発して、適切な対応というのをお願いしたところでございます。

 今お尋ねの殺処分につきましては、今までのところそういう形での明確なルールは決めてございませんで、現在、その実態の調査をしてございます。それを踏まえて取り組んでいきたいと思っておりますが、今現在、環境省は、地方自治体それから社団法人の日本動物園水族館協会と連携しまして、各自治体の動物園に対する指導状況とか対策状況について調査してございます。

 それから、各国の対応状況、それから国際的な機関でございます国際獣疫事務所における国際的な指針というものを調査しまして、それを受けまして、できるだけ早く、鳥インフルエンザ発生時に動物園等で取り組むべき事項について取りまとめて公表し、周知徹底していきたいというふうに考えてございます。

吉田政府参考人 先ほど申し上げました烏骨鶏は、ある意味では家禽の一種でございますけれども、家禽以外の生物につきましても、先ほど御紹介申し上げました文化財保護法第百二十五条第一項ただし書きに該当する場合につきましては、殺処分等につきまして特段の問題は文化財保護法上生じないものというふうに考えております。

伊東委員 動物園であるとか野鳥であるとかは、病原菌、ウイルスに感染した動物に対する措置、これを一歩誤ればそれが蔓延してしまうという危険性が非常に強いものでありますから、適時適切な対応ができるように、文化庁の方も環境省の方もぜひ取り組みをお願い申し上げたいと思います。

 この家伝法の改正について、そのほかにも質問を用意しておりましたが、先ほど江藤先生、小里先生からもお話がありました。獣医師の問題あるいは家畜防疫員の確保の問題等々あるわけでありますが、時間的なこともありますので、家伝法につきましてはこの辺にさせていただきたいと思います。

 続いて、あと二つお聞きしたいのであります。TPPと鯨類捕獲調査、捕鯨についてでありますが、TPPは先ほども小里先生から大分出ておりますので、私は、南氷洋における鯨類捕獲調査引き揚げについてお伺いをいたしたいと思います。

 これは、先月の二十五日、私は予算委員会の第六分科会でこの問題を取り上げ、鹿野大臣にお伺いしたところでありますが、少しまた時間もたっておりますし、そして間もなく捕鯨船団、調査船団も戻ってまいりますので、そうしたことを含めて、海上保安庁のあり方と日本の正当性、その立場というものを訴える観点からも、ぜひこれをお聞きしたいところであります。

 さて、今回、シーシェパードによって鯨類捕獲調査が中止に追い込まれたことは極めて許しがたいことであります。何度も申し上げますが、悪質な暴力によって、世界にこれまで調査捕鯨の正当性を訴えてきたこの事業が中断を余儀なくされたということは、日本という国家として、意地も信念も感じられず、全く情けない限りであります。

 シーシェパードの代表、ポール・ワトソンが勝利宣言を行い、あるいは、オーストラリアの外務大臣あるいは環境大臣がこの調査捕鯨の中止を歓迎するような談話を発表するに至りましては、この無法で危険な暴力に屈した日本の姿が、まるで弱虫で、悪者で、世界から嘲笑されているような気がしてならないわけであります。

 鹿野大臣の判断により中止し、帰国せよとの命令を出されたわけでありますが、そこに至る経過と、そのとき大臣は、日本の主権あるいは日本の国家やそのあり方、または誇りや意地というもの、こういったものがどう大臣の念頭にあったのか、ぜひこの点をお伺いしたい、このように思うところであります。

鹿野国務大臣 私も至らない大臣でありますけれども、少なくとも三十年間この国会において議員活動をやってきた者といたしまして、今先生の御指摘の点については、私は私なりに考えたところでございます。

 しかしながら、何を優先すべきかということを考えたときに、やはり、生命というふうなものをどうやって守るか、そして船団の方々の安全というものをどうやって確保するかということが、最優先しなければならないんじゃないか、このようなことから、私として最終的に判断させていただいた次第であります。

伊東委員 これは突然行われた話ではなくて、ここ何年も前から、シーシェパードの妨害工作というのは激化し、あるいは妨害船の数がふえ、あるいはその手段も悪質化してきているわけであります。

 これは、一昨年海上保安官が数名乗り込んで行ったときも、去年もそうでありますが、こちらの船団の船のスクリューにロープを絡ませようとして、五本も六本も長いロープをその船の周りに、ことしは高速モーターボートを使って絡ませようとしたわけでもありますし、また、強烈な臭気を発する酪酸のガラス瓶を何十本も、あるいは一度に百本も投てき器を使って船に投げ込む。さらにはまた、グリーンのレーザー銃を乗組員の顔、目に向けて照射する。さらにはまた、ことしは火を噴く発光弾あるいはペイント弾を撃ち込むなど、大変な、それがけん銃だったり鉄砲で、ミサイルでないというだけの話であって、まさにすさまじい攻撃であると言わざるを得ないわけであります。ことしは、勇新丸という船が、スクリューにロープが絡まってSOSを出したという話もあるわけであります。

 これに対抗しているのは何かというと、きのうもお話が出ていたのでありますけれども、放水あるいは大音量の拡声機、さらにはまた防御ネットというお話が、きのう篠原副大臣から御答弁があったところでありますけれども、こんなものだけで対抗できるものではないんですね。これは毎年毎年のことでありますから、ついにことしは、大臣の今お話しのように、これはもう帰ってこざるを得なくなるわけであります。

 そこで、今回は、海上保安官を、これは三交代勤務させるぐらいの人数といいますから、相当数乗船をさせて送り出したということであります。出航前でありますから、その手のうちを見せるわけにはいかないということで、作戦も人数も何も一切知らされないで、また我々もそれ以上聞かないでこれを認めたところでありまして、さて、それで十二月二日に出航していきました。

 では今回、こうやって途中で、わずか百七十頭、五分の一くらいの調査捕鯨の捕獲頭数で帰ってこざるを得なくなったときに、たくさん乗り込んだ海上保安官、これはどんな役割、どんなミッションが与えられていたのか、南太平洋で一体君たちは何をしてこいと問われたのか、そこの派遣目的をしっかりお聞きしたいのであります。また、その派遣の成果が、こういう状態であって、上がったとお考えかどうか、これについても、きょうは海上保安庁長官もお見えでありますので、お伺いをするところであります。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 今年度の調査捕鯨につきましては、調査捕鯨船団の乗組員等の安全を確保するために、政府としての決定のもとで、海上保安官を調査捕鯨船に乗船させたところでございます。

 乗船した海上保安官の具体的な任務等につきましては、今後の安全対策への影響も考慮して、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、乗船した海上保安官につきましては、長官室で私が直接辞令を交付いたしまして、しっかりやってこいということで訓示も行いまして送り出したところでありまして、現場の状況に応じて、あるいは関連の国際法、国内法にのっとり、しっかりと任務を果たしてくれたものと考えております。

 また、帰ってまいりましたら、しっかり報告を聞いて、その労をねぎらってやりたいと思っております。

伊東委員 シーシェパードの妨害から船団を結果的には守れないで、今回一緒に帰国するわけであります。来年のこともあるので内容をなかなか明かせない、こういうことでありますけれども、先ほども言いましたように、出航前であれば手のうちを見せたくないというのはわかるのでありますが、このミッションは失敗して戻ってきたのでありますから、やはり、お答えが全然できないというのは、この国会あるいは国民に対して不誠実だと言わざるを得ないわけであります。

 国の今後の考え方でありますが、考え方によっては、この調査捕鯨が来年できるかどうかという確約もまだないわけでありますし、果たしてこんな状況で、また同じ体制で来年行くようであれば、こんなのは失敗して帰ってくるのは目に見えた話になるわけであります。

 とすれば、今回の海上保安官、何名乗り込んだかは別といたしまして、どんな使命をきちっと帯びて行ったのか、あるいは、船と乗組員を守ることを最優先にしたのか、あるいは、シーシェパードの海賊行為、無法行為、暴力行為を、しっかりその証拠を確認するために、尖閣のとき同様のビデオを持って、それを三交代でしっかり写しながら今回は任務を果たしたと言われるのか、その辺の内容が全くわからなくて、今後の対策も何も立てようがないのじゃないかというふうに思うのであります。

 国会で論議をしたって、言えません、それからお示しできませんだけでは、私は通らないというふうに思うところでありまして、その点、長官の口から言えないのであれば、そこを、いわゆるそういう要請をした、乗船要請をした、同行要請をした鹿野大臣からちょっとお聞かせをぜひいただきたいというふうに思うところであります。

鹿野国務大臣 海上保安官の皆さん方には、乗船をしていただきまして、いろいろな使命を果たしていただいておるところでございますが、今、長官からもお話がありましたとおりに、具体的な形で表に出すことができない、このようなことでございます。

 そういう中で、結果として切り上げてこなければならなかったというようなことでございますので、今月の下旬には船団も帰ってくるわけでございます。私どもといたしましては、船団の方々からも、現地でどういう状況であったかというようなことをきちっと聞きながら、実態というふうなもの、状況というものを把握いたしまして、そして、私どもだけの判断ではなしに、やはり専門家の人たちからも意見を聞きながら、今後どうしていくかというようなことも決めていかなきゃなりませんので、検討会を立ち上げて、そして具体的な形で今後について検討してまいりたい、このように考えておるところでございます。

伊東委員 船の人たちが、調査船団が戻られましたらお話をお聞きしたいというのは、何回も大臣の口から出ております。

 ぜひ、この委員会にも、船長さんでもどなたでも、しかるべき立場の乗組員の人においでをいただいて、直接お話を聞かせていただく、いわゆる参考人招致を求めたい、このように思うところでありますので、委員長、参考人招致につきまして、その調査船団のしかるべき立場の人に話を聞かせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 それから、このシーシェパードの抗議船が三月六日、オーストラリアの連邦警察から令状を執行されまして、船内を捜索されたというニュースが入りました。外交当局及び日本の警察当局の働きかけが功を奏したもの、このように思うところであります。

 こういうことでありますから、ここは日本の正当性を内外に示す必要性がある、こう思っておりますので、海上保安官が撮ったこの危険きわまりない妨害活動のすべてを私は公開すべきだ、過日も分科会でそのように大臣にお話をさせていただいたところであります。

 また、その公開をした上で、船籍国であるオランダあるいはオーストラリア、給油国、寄港地でありますニュージーランド、あるいはシーシェパードの本部のあるアメリカ等々に対して、強くこれを抗議すべきだと思っているところであります。

 大臣は過日、ビデオの公開を検討する旨の御答弁をいただきましたが、その後、政府としてこれはどのように検討されているか、お伺いをしたいと思います。

鹿野国務大臣 過般、伊東先生からのお話で、検討してまいりたい、こういうふうに申し上げてきましたが、確認いたしたところ、一部でございますけれども、もう既に公開をいたしておる、こういうことでございます。

 今後どういうふうな扱いをするか等々は、当委員会、委員長のもとで皆さん方で御相談をしていただいて、それに対して私どもとしては対処してまいりたいと思っておるところでございます。

伊東委員 今、一部公開されているというお話でありますけれども、これは、調査船団側で撮ったものが一部公開されネットで流れ、さらにはまたニュースで放映されているわけでありまして、恐らく、私は、海上保安官の皆さん方がその現場でがっちりつきっきりで交代で撮った証拠品としてのものについてはまだ公開されていないのではないか、こう思うところでありますので、この点、再度確認をさせていただきたいと思います。

鈴木政府参考人 海上保安官が撮影したビデオ映像の件につきまして、お答えをさせていただきます。

 うちの海上保安官が撮影したビデオ映像につきましては、専門用語で採証と申しまして、採証を目的として撮影した映像でございまして、これは刑事訴訟法第四十七条の規定の趣旨にかんがみまして、訴訟に関する書類として取り扱われることから、公開するのは適切でないと考えております。

鹿野国務大臣 補足して申し上げますけれども、船団が撮ったものは基本的にすべて公開をいたしております。

伊東委員 鈴木長官、これはやはり尖閣のときの教訓をしっかり生かさなければならないというふうに思います。それは、もし相手を訴えて、証拠書類あるいはそれにかわるものとされるなら構いませんけれども、そうではないとしたら、抗議するぐらいの話であれば、なかなかそうはならない。しかし、そのビデオで犯罪立件までなされているかどうかというのはわからないわけでありますので、いま一度、もう少し、帰ってきてからこれはお聞きしますけれども、このビデオ公開について、これは政府が恐らく決定すべき話だろう、こう思いますので、改めてそのときお伺いしますので、きょうはよろしいです。

 今回、シーシェパードにより鯨類捕獲調査船団が受けた被害の内容及びその金額についてもお伺いしたいと思います。

 また、これまで、去年も一昨年も妨害を受けて被害があるわけであります。これらの被害は、当然、民間団体である調査船団だけで負い切れるものではありませんし、ましてや、今回は、国から帰ってこいよということで中断させたのでありますから、国が対策とこの被害に対する一定の補償をすべきだろう、このように思うところでもあります。

 これも私は何回も何回もお伺いしているところでありますけれども、この鯨類捕獲調査という費用は、副産物である鯨肉の販売代金によって賄われているということでありますから、これが所要予定頭数の五分の一などということになると、こんなものはもう全然継続できる話でなくなるわけであります。

 私は、国として、大臣が言うように、科学的知見の積み重ね、蓄積が必要だとするならば、これは国家事業として行うべきであるし、鯨肉の販売代金などというものは、子供たちの給食に供することもあるでありましょうし、鯨食文化の普及のために、あるいはアイスランドから輸入されているナガスクジラ等々もある話でありますので、市中相場で販売し、これを国庫収入に充てるべきだ、このように思っておりまして、国が調査捕鯨をこのままきちっと信念を持って続けるかどうか、ここら辺にあるわけであります。

 被害に対する一つの国の支援策、補償と、今後の鯨類捕獲調査に係る国の考え方、事業継続に向けての考え方についてお伺いするものであります。

鹿野国務大臣 先生今言われた件につきましては、我が国が目指す商業捕鯨再開のためには、鯨類資源に関する科学的知見を蓄積していくことが必要だと過般来から私は申し上げてきたところであります。

 今後の調査をどうするか、指摘の点も含めまして、船団が帰国した後、乗組員から現場の状況を聞きながら、また有識者の検討会を立ち上げまして、総合的に判断してまいりたいと思っております。

伊東委員 ありがとうございました。

山田委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 きょうは、家伝法の質問をさせていただきたいと思います。

 私も、何度か宮崎にも参りました。口蹄疫のとき、また鳥インフルエンザ、いろいろなところで大変な思いを地元の方がなさっている、そういうものを拝見いたしまして、昨年は、口蹄疫につきましては今の法律では対応できない、こういうことで、超党派で特措法をつくり、対応したわけでございます。そのときから、基本的には家畜伝染病予防法の改正、これが本筋だろう、こういうことでございましたが、今回、政府の提案で改正案が出てきた。このことにつきまして、今までの経緯等も含めて質問をさせていただきたいと思います。

 まず、私が感じるのは、今回も行ってまいりますと、鹿児島県に参りましたが、はっきり言って、感染経路は確定はされておりません。しかし、いろいろなことを考えていくと、これはどうも野鳥の飛来によって、ロシアか、中国か、韓国経由か、これはわかりませんが、そこからの飛来のウイルスではないのか、これが結局野鳥から家禽に移った、こういうことではないか、このようにも言われております。

 それで、いろいろと調べてみますと、野鳥は環境省である、そして天然記念物になると文科省・文化庁が関係をしてくる、そして家禽になると農林水産省だ、さらに言えば、肉になったら厚生労働省だ、こういうふうに幾つにも分かれている。そういうことが、私は、直接の原因でないかもしれませんが、やはり対応がどこかでかちっといかなかったところもあるんじゃないのか、こういうふうに危惧をいたしております。また、ちょっと言い漏らしましたが、今度は動物園は文科省だと。こういう、動物一つとっても、いろいろに役所が分かれている。

 今回のこの改正で、爆発的な拡大が心配されるこういう感染症に、特に鳥インフルエンザ、また口蹄疫、こういうものに十二分な対応ができるか、農林水産大臣、また環境省、文科省、それぞれ来ていただいておりますから、十二分に対応ができるかどうか、このことをまずお聞きいたしたいと思います。

鹿野国務大臣 今、先生からの、防疫の一元管理体制をやはりしっかりと確立していく必要がある、こういうふうな御指摘でございますけれども、野生動物等につきましては、畜産とは異なる政策目的もありまして、関係省庁との連携が非常に重要だと思っております。

 家畜伝染病予防法改正案におきましては、関係省庁との連携をさらに強化するために、農林水産大臣及び関係行政機関の長は、家畜伝染病の予防、蔓延防止に関し相互に緊密に連絡し、協力しなければならない、野生動物から家畜への家畜伝染病の伝染のおそれがあるときは、農林水産大臣は環境大臣に必要な措置を求め、環境大臣は、農林水産大臣に意見を述べることができる、このような旨を規定いたしているところでございます。

 そのようなことから、関係省庁の連携をさらに一層強化いたしまして、口蹄疫等の発生予防、防止に万全を期してまいりたい、このように考えておるところでございます。

森本政府参考人 今、農林大臣がお答えになられたとおりでございまして、環境省としましては、日ごろから、関係省庁、農林水産省ほかと連携をとりまして、また都道府県とも連携をとりまして進めてございます。

 今後さらに、万一爆発的な拡大が生じたとしても、これらの連携を生かしながら適切に進めていきたいというふうに考えてございます。

吉田政府参考人 文部科学省といたしましても、これまでも関係省庁と連携をしながら対応に努めているところでございます。天然記念物ということで、文化財保護という方法にかかわります事柄につきましても、さまざまな事案につきまして初期の段階から、環境省や、あるいは農水省とも連携をとりながら対応しております。

 また、動物園の関係につきまして、感染症が発生した場合の対応につきましては、現在、環境省におきましてさまざま検討が進められているというふうに聞いておりまして、それに対しましても文部科学省として協力をしていきたいと考えております。

 今後も引き続き関係省庁との連携を密にいたしまして、対応に遺漏がないように努めてまいりたいと思っております。

石田(祝)委員 今回、相当御努力をいただいて改正案をまとめていただいたと思いますが、やはり一抹の不安が残るわけです。

 私も詳しくは調べておりませんけれども、イギリスの例を見ますと、役所がそのままじゃなくて、相当思い切ったことをやって、やはりいろいろな役所から関係するところを抜き出して、ある意味では一本化をして迅速に対応していこう、こういうことをやられたようであります。

 今回、組織まで踏み込んでやっておらないわけでして、大臣の御説明がありましたけれども、十二分な連携をとっていく、こういうお答えでございました。

 大臣、もう一度お聞きをいたしますけれども、今回の改正で、そういう省庁間の連携というのはこれでもう十二分だ、そごが起きることはない、こういうことで大臣、よろしいでしょうか。

鹿野国務大臣 十二分になるようにきちっと連携をとっていかなきゃならない、こういうふうな考え方に立っておるところでございます。

石田(祝)委員 大臣の力強いお言葉ですから、それはそのまま受けとめさせていただきたいと思います。

 大臣も、きのうから急に決意が強まっているような気がいたしますが、ぜひそのお言葉どおりになるようにお願いをいたしたいと思います。

 これで十二分じゃなかったら、その次の段階は、先ほど私が申し上げたように、それぞれの組織を、申しわけないけれども、例えば環境省のそういう部門とか、文科省のそういう部門とか、そういうところを一つにしてやらないと、今回見たように爆発的に広がるわけですから、大変な問題になりますので、その点だけ申し上げておきたいと思います。

 引き続いて、私は獣医師の問題をちょっと取り上げさせていただきたいというふうに思います。

 これは、去年も現地宮崎に行っていろいろとお話を聞いて、その後いろいろな数字を見せていただくと、やはり、獣医師一人当たりのいわゆる家畜の飼養頭数、これが宮崎、鹿児島は大変多い。これは全国的にもいろいろなばらつきがありますけれども。一人の家畜保健衛生所の獣医師さんが見られる数を超えているのではないか、こういう御指摘もありました。

 それで、獣医師の養成に関して、文科省に来ていただいておりますので、まずお伺いをしたいと思いますが、現在の獣医師の数でこれは足りているのか、こういう問題があると思います。足りているかどうか、端的にお答えをいただきたいと思います。

磯田政府参考人 獣医師の需給につきましては、平成十九年の農林水産省の報告書におきまして、獣医師全体では不足または超過する場合があるとした上で、産業動物獣医師について不足を見込んでおり、活動分野の偏在を是正する取り組みを強化すべき、このような報告をいただきました。

 これを踏まえまして、私どもといたしましては、学生が産業動物獣医師等の仕事に興味を持つことができるよう、教育内容の改善、大学間の連携の促進に取り組んでいるところでございます。

石田(祝)委員 いや、私は足りているかどうかと聞いているんですよ。

磯田政府参考人 私どもは、農林水産省の御報告を受けて、活動分野の偏在を是正すべきという観点で取り組んでおります。(石田(祝)委員「ちょっと委員長、注意してくださいよ。足りているかどうかを聞いているんだから。足りていますとか足りていませんと答えて」と呼ぶ)

山田委員長 磯田君、産業獣医師が足りているか足りていないかと聞いているので、それに答えてほしい。

磯田政府参考人 十九年の農林水産省の報告書におきましては、産業動物獣医師について不足を見込んでおると伺っております。

石田(祝)委員 要するに、不足を見込んでいる、こういうことですね。

 それで、今、獣医学教育の大学の、国立、公立、私立とありますけれども、全部で入学定員は何名ですか。そして、その今の人数というのは一体いつから今の人数なのかをちょっと言ってください。

磯田政府参考人 大学における獣医師の養成は、総定員九百三十名でございます。昭和五十年からこの数でございます。

石田(祝)委員 これは、それだけ長い間同じ定員なんですね。

 それで、平成十九年五月三十一日付の農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課長名で獣医師の需給に関する検討会報告書、ここに、今ちょっとお話もありましたけれども、少々抜いて申し上げますと、「総体として今後獣医師が不足するか否かは犬猫一頭当たりの年間診療回数の伸びや獣医師による診療の効率化の程度に応じて変化する一方で、産業動物診療獣医師については今後不足する傾向である」、こういうことが言われております。そして最後に、「文部科学省におかれましても、産業動物診療獣医師の不足等獣医師の活動分野の偏在状況の分析及びその是正を図るため、獣医関係学部におけるカリキュラム等獣医学教育の充実や定員のあり方についての検討等産業動物診療獣医師の計画的な養成について特段の御配慮をお願いいたします。」こういうことが、もう今から四年近く前に報告がされている。

 これを受けて、文部科学省は何か検討を進められましたでしょうか。

磯田政府参考人 まず、協力者会議を持ちまして、モデル・コア・カリキュラム、これを作成いたしまして、学生が産業動物獣医師等の仕事に興味を持つことができるよう、そういう教育内容の改善に取り組んでおります。

 また、今年度の補正予算におきましては、できるだけ現場に向かいまして、そこで実践的な指導を行うということで、それに必要な設備整備費を措置させていただいております。

 また、今後の獣医師養成のあり方につきましては、先ほど御指摘の、感染症の予防、診断あるいはさまざまな新たな視点を踏まえながら、引き続き検討しております。

 その中で、平成二十一年三月に大学設置基準を改正いたしまして、複数の大学学部が共同で学部教育の課程を実施すること、これを可能にし、現在、三つのグループ、六の獣医系大学におきまして、共同教育課程の実施に向けた検討が進められております。

石田(祝)委員 それは、いわゆる教育の充実のところなんですよ。二つ言っているわけですね、農林水産省から。教育の充実と定員のあり方。それで、定員のあり方は、当然足りないということを書いているわけです。

 私も今までもいろいろとお聞きをしてきました、いろいろなところから。一つの大学で定員が三十名だとかいうところがありまして、もうちょっと多くして教育を充実させなきゃいけないという御意見もありました。ですから、今おっしゃっているのは、その教育の充実は、例えば北大と帯広畜産大学とか、そういうところが一緒にやって、そうすると、三十名、三十名じゃなくて六十名というコースもつくって、教員も結局それで足せるわけですから。そういう充実はしているんですよ。

 私が言っているのは、定員のことなんですよ。これは、さっきから申し上げているように、足りるか足りないのか。だから足りないと言っているじゃないですか、農林水産省も足りないと言っているわけですから。そしてそれを、獣医学教育を、例えば大学の定員を検討するのは文部科学省でしょう。それが九百三十人というのがずっと何十年も続いているじゃないですか。

 そして、獣医師は足りているけれども偏在だということも言っていましたよ。しかし、このことも、実は人間のお医者さんも、人間を診るお医者さんも以前はこう言われていたんですよ。医者の数は足りているけれども偏在しているんだ、私も、申しわけないんだけれども、厚生労働省の副大臣もやっておりましたが、そういうことをずっと言ってきたんですよ。しかし、現実には足りなかったんですよ。それで今、定数をふやしたり、地元枠をふやしたり、こういうことでお医者さんの養成をふやしているんですよ。

 だから、いいかげん文部科学省も頭をもうちょっと柔軟にして、獣医学教育を充実させるということと同時に、定員のあり方についても検討してくれ、配慮してくれ、こういうことが四年前に出ているわけですから、もうちょっとスピーディーにやったらどうですか。

 今回、私が申し上げたように、やはり獣医師さんの数が少ない、足りない。だから、小動物、ペットに行っているんですよ。それは行くなと言えないでしょう、職業選択の自由があるわけだから。だけれども、ある一定の割合では産業動物にも来てくれているわけですから、いわゆる分母のところを大きくする以外にない、こういうことじゃないですか。

 もう一度ちょっと答えてください。

磯田政府参考人 産業動物獣医師についての不足ということは農水省の御報告に明記されているわけでございますが、同時に、活動分野等の偏在の問題、あるいは教育内容の取り組みの問題等、さまざまな論点につきまして、関係者の御意見を伺いながら、現在協力者会議で議論をしているという状況でございます。

石田(祝)委員 そうしたら、その結論はいつまでに出すんですか。

磯田政府参考人 大学等の学部間の協力についてもかなりの年数を要しておりますので、御意見の調整というのは非常に時間がかかっているという状況でございます。

石田(祝)委員 皆笑っているじゃないですか。これだけの議論をしてきて、結局、いつ結論が出るかもわからない、調整するのに時間がかかっている。それで結局何十年間も同じ定員数で今までやってきているわけですよね。若干、教育の充実という観点では今までと違う動きも見られますけれども。

 定員の問題は、これは育てるのに六年かかるわけでしょう。来年ふやしたって六年後なんですよ。そのあたりを考えないと、きょう決めたからあしたからできますという話ではないわけですから、もうちょっと長い目で見て、これからは感染症のリスクというのは私はますます高くなる一方だと思います。ですから、獣医師の養成については、文部科学省がしっかり取り組んでいただかなければ、これは前に進まない。そして、やったって六年間かかる、こういう状況ですから、偏在を是正するということも当然大事なことでありますけれども、絶対数についても早く結論を出していただきたい、こういうふうに御要請をしておきたいと思います。

 そして、もう一点は、これは答弁は要りませんけれども、やはり、人間を診るお医者さんと獣医師さんの処遇が、はっきり言ってこれはもう違い過ぎる。初任給調整手当等を含めて余りにも違い過ぎているのではないのか、この点も、今後の課題としてぜひお取り組みをいただきたい、こういうふうに思います。

 さて、引き続きまして、改正法案に関する件で具体的なことを何点かお伺いをいたしたいというふうに思います。

 まず、財務省に来ていただいていると思いますが、今回のこの家伝法の改正で、手当金を五分の五出します、こういう決断をしていただいたわけでありますが、この手当金は非課税ですか、課税ですか。

吉田(泉)大臣政務官 今回上乗せされます五分の一については課税されることになります。

石田(祝)委員 ちょっと待ってください。それでいいんですか。特別手当だけ課税ですか。それでいいんですか。

吉田(泉)大臣政務官 失礼しました。訂正いたします。五分の五について課税の対象となります。

石田(祝)委員 ですから、私たち、去年特措法をやりまして、やはりそういうときにその手当金をもとに課税するのは、これはあんまりではないのか、こういうことで、口蹄疫特措法をつくったときに、課税すべきではない、非課税、こういう措置を所得税、住民税ともにとったわけであります。しかし、今回、もともと家伝法の改正はどういう趣旨でやるか、その中身は口蹄疫特措法の趣旨も入れ込んで改正をいたします、こういうことで聞いておりました。

 それで、いろいろと、私もきょうの質問をするということで調べておりました。課税のところ、税のところは一体どうなっているか。それはすっぽり抜け落ちているんですよ。ですから、これは、与党の皆さんもお気づきだったろうとは思いますけれども、今回のこの手当金、五分の四の通常の手当金と特別手当金五分の一、合わせて五分の五、この問題については、今のままいきますと、それは課税をされる、こういうことになるわけですね。

 口蹄疫特措法の部分が、来年の三月まで法律がございますので、その部分の、残っている法律についてのところは非課税であるけれども、今回のこの家伝法の改正について、昨年の十一月にさかのぼって適用する、こういうことでありますから、昨年の鳥インフルエンザで被害を受けられた方もこの五分の五ということは適用されますけれども、税金がかかるわけですよ。

 これは、大臣も副大臣も政務官もいらっしゃいますけれども、そういう内容で、今回の家伝法の改正、そういうことをわかっていて当然出されたと思いますけれども、そういう非課税措置をとらなくていいんですか。

鹿野国務大臣 宮崎の口蹄疫につきましては、昨年十月に、議員立法といたしまして、手当金等の免税措置を講ずる法律が制定された、これは承知をしております。このときは、まさしく我が国の家畜防疫史上前例のない、広範かつ深刻な被害が生じたものでありまして、畜産業を早期に再建して地域の復興を図る必要がある、このようなことから特別措置が講じられたということでありました。

 今回、こうした経緯と、家畜伝染病法が疾病の予防、蔓延防止のための法律であるということからするならば、家畜伝染病予防法に一般的な税制特例を規定するということは大変困難だ、このような判断に立っておるところでございます。

石田(祝)委員 去年超党派でやりました口蹄疫の特別措置法、その法律の中には入っていませんよ、非課税部分は。別建てで法律をつくっているんですよ。ですから、別建てで法律をつくって、そのかわり、終わりが特措法の終わりと一緒、来年の三月、こういう仕組みになっているわけですね。ですから、二本立てで、こっちが特措法だ、こっちが非課税措置だ、これは両方並行してやっていて、一つの法律の中に入っておりませんけれども、今回この家伝法の改正で、来年の三月までの口蹄疫の特措法が終わっちゃったら非課税措置はもう終わり。今のままいったらそうなる、こういうことですね。

 これは、去年私たちが、二度とあってはいけないと思いますが、口蹄疫の大変さにかんがみて、そのとき、要するに今の法律では対応できないから法律をつくったわけですよ。そのときに、あわせて非課税措置もやった。そういうものを入れ込んだ家伝法の改正になっているはずじゃなかったんでしょうか。

 これは、今大臣にお聞きしましたので、それぞれ、済みません、筒井副大臣と田名部政務官も、この問題について率直なお気持ちがあったらちょっと言ってください。

筒井副大臣 今大臣が答弁したとおりでございます。

田名部大臣政務官 今大臣が答弁したとおりであります。済みません。

石田(祝)委員 まあ、そういう御答弁にならざるを得ないですよね、閣法で出しているわけですから。だけれども、与党の皆さん、これでいいんですか、非課税措置がなくて。そのまま課税されますよ、今のままいくと。

 そういうことで、閣法で出してこられているわけですから、議院内閣制ですから、当然与党が了解をしているだろうというふうに思いますけれども、私は、これは意外と、非課税措置がそのまま続くのではないかな、そういうことを思っている方が多いんじゃないかな。ですからこれは、これから、きょうこの法案の採決をするわけではありませんから、若干の時間がありますので、そのほかのところも含めて修正ということも当然考えられるわけですから、私は、この点を大きく議論しておくべきではないのかな、こういうことだけ今は申し上げておきたいと思います。

 それで、あと、政務官、予備費の活用については、櫻井副大臣がお答えいただいたようでありますけれども、これは法案に、法文に書かれているとおりやる、こういうことでよろしいですか。

吉田(泉)大臣政務官 午前中に副大臣からも答弁があったと思いますが、我々といたしましては、この家畜伝染病への対応で、財政が制約となって蔓延防止対策がおくれるということがあってはいけないと重々承知しております。

 したがって、既定予算をもってしてなお不足が避けられないという場合には、予備費の使用を大至急に検討して決定してまいりたい、こういうふうに思っております。

石田(祝)委員 続きまして、この改正案の中の五十三条の四項、ここについてお伺いをいたしたいと思います。

 総務省も来ていただいておりますから、お答えいただきたいと思いますが、五十三条の四項、これは新しくつけ加わった項目でありますが、「都道府県知事は、獣医師を当該都道府県の職員として採用することにより、この法律に規定する事務を処理するために必要となる員数の家畜防疫員を確保するよう努めなければならない。」こういうことが新しくつけ加わっております。

 これは、まず農林水産省にお聞きしたいんですけれども、ここまで明確に「職員として採用することにより、」員数を充足しろ、こういうことでありますけれども、これは総務省に、人を雇うときのいわゆる基準財政需要額に入れてもらえるように頼んでおりますか。

    〔委員長退席、津島委員長代理着席〕

鹿野国務大臣 農水省といたしましては、都道府県ごとの家畜防疫員の員数を公表する規定を設けることとしまして、それを通じ、各都道府県において家畜防疫員が確保されるように促してまいりたい、こういうことであります。

 また、都道府県の職員である家畜防疫員の員数基準については、都道府県ごとに飼養している家畜の種類、地域の地理的状況が大きく異なる中で、どのような対応が可能かよく検討してまいりたい、そういうことで要請もいたしているところでございます。

石田(祝)委員 大臣、そういうことじゃないんですよ。

 今、前段で私がいろいろ話したように、去年の宮崎、名前を出して申しわけないんですけれども、やはり、飼養頭数に比べていわゆる獣医師さんの、家畜防疫員の数が少ない、一人当たりの持っている頭数が多過ぎる、こういうことがあって、今回この五十三条の四項、もうちょっと人数をふやして充実するように、「都道府県の職員として採用」しとそこに書いてあるじゃないですか。

 そうしたら、これは大体幾らですか。私がちょっと計算をあらあらしてみますと、獣医師さん一人雇うと約八百五十万から九百万ですよ。それぞれ余裕があって地方財政を運営されているわけじゃないので、これを基準財政需要額にしっかり入れてくれ、そういうところまで話をしておかないと、これをふやせふやせと言ったって、人もいないわ、お金もない、こういうことになるんじゃないですか。ですから、そこまでちゃんと総務省と話をしてこの項目をつくったんでしょうか。私は、これは非常に疑問に思っております。

 そしてまた、明確に、「職員として採用する」なんてこれは書いてあるじゃないですか。そこまで踏み込んで書いて、お金のことをちゃんと総務省と話をしていないというのは、これはいささかおかしいですよ。

鹿野国務大臣 最後の答弁で、要請しておりますということを申し上げましたが、県の人件費がかかるということになりますので、交付税の算定の基準となるよう、農水省から総務省に要請をもう既にいたしているところでございます。

石田(祝)委員 総務省、来ていただいておりますからお伺いをいたしますが、獣医師さんの数、どういう基準でいわゆる地方交付税上の基準財政需要額に入れているのか、そのことを簡潔にお答えください。

平嶋政府参考人 石田先生の御質問にお答えいたします。

 獣医師、家畜保健衛生所の職員の数につきましては、原則といたしまして、実態に応じて算入をさせていただいております。

 その上で申し上げますと、今回の法律改正に関しましては、今先生御指摘ございましたこの五十三条の四項、その前に口蹄疫特措法でその条文が入ったわけでございますが、それが引き継がれるということもございます。それからまた、農水省の方からは、今回の件を踏まえまして、体制強化が必要であるという強い要請をちょうだいいたしましたので、今回、標準団体ベースで四十九名から五十三名に、四名の増員を行う予定といたしまして、地方交付税法案を作成して、現在、法案の御審議をお願いしているところでございます。

 以上でございます。

石田(祝)委員 私がお聞きしたのは、それもそうなんですけれども、どういう基準になっていますか、こういうことでございます。

平嶋政府参考人 御質問にお答えします。

 標準団体では、先ほど申しましたように、全国の実態を踏まえて、それを個々の団体に置きかえていますが、個々の団体ごとには農家戸数でやらせていただいております。

石田(祝)委員 だから、基準をちゃんと言ってくださいよ。農家が何万戸で、幾ら、こういうことでしょう。

平嶋政府参考人 農家数を基準とさせていただいておりまして、農家数六万戸で昨年までは四十九人、今法案でお願いしておりますのは、農家数五万五千戸に対して五十三人ということでやらせていただいております。

石田(祝)委員 これは私はぜひ基準を変えてもらいたいと思うんですけれども、今お聞きになったとおり、農家数六万戸でやっているわけですよ。だけれども、これは本来、家畜防疫員というのは、家畜を飼養するところの数に着目して当然配置をするべきじゃないでしょうか。ここには、例えばお米をやっているところ、野菜をやっているところ、直接、家畜防疫員と関係ないですわね。そういう数字をもとにして防疫員の基準財政需要額の数を決めるというのは、これはおかしくないですか。

 これはちょっと、基準を変えるべきですね。やはり家畜の飼養数とか、そういうものに着目をするものに総務省はこれは変えるべきじゃないですか。

平嶋政府参考人 今御指摘いただきましたように、実際の家畜の数と農家戸数は必ずしも一致しておりませんので、今先生がおっしゃられたような御意見は、そういう御意見は家畜の多い県からは当然ちょうだいすることもございます。

 私どもも、かつて、昭和五十年代、六十年代、そのような御意見がたくさんございました項目につきましては、順次、できるだけそういう実態に即して算定できるように、地方交付税の算定方法を精緻にしていった時代もございましたが、最近、地方分権の流れの中で、地方交付税の算定につきまして、それでは余りにも複雑過ぎる、電話帳のようだというようなお声をたくさんちょうだいいたしまして、現在は、逆にそれを簡素化するということを政府の中でもここ十年来続けさせていただいている中でございます。

 そういった議論も、どちらがいいのかということにつきましては、現在、交付税法の審議をいただいている総務委員会でも両方からの御意見をちょうだいしております。そのような点も含めて検討させていただければというふうに考えております。

石田(祝)委員 それは余り簡素化と関係ないですよ。家畜防疫員という、いわゆる畜産に着目した人でしょう。それを農家数六万戸で、それを、私が言ったように家畜の飼養頭数とかそういうものでやったらどうか、家畜を飼っているところの戸数でやったらどうか。これは、私の言っている方が理屈に合っていると思いますけれどもね。

 それで、今おっしゃったように、複雑にし過ぎているから云々と言うでしょう。では、今、この農家数六万戸は簡単なんですか。これにいろいろな係数を掛けて、ごちゃごちゃ掛けて、結局、県別に人数はわからないと言っているじゃないですか。それのところにこういう、簡単だということを言いながら、その後の係数をいろいろ掛けているじゃないですか。それで、係数を掛けて、結局、私が、では基準財政需要額として各県にどれだけの人数を配置しているんですかと。わからないと言っているんじゃないですか。自分たちで複雑にして、ブラックボックスにしておいて、我々が指摘したら、いや、もっと簡単にしろと言われていますからなんて、何を言っているんですか。おかしいですよ、あなたの言っていることは。もうちょっと、ちゃんと真摯な答弁してくださいよ。

平嶋政府参考人 私、石田先生がおっしゃることはもっともな部分が相当あると思っております。実際に私ども、そういうことでやってきた時代もあったわけでございまして、そういうときには補正係数を追加する、単位費用の数は限られておりますので、補正係数を追加するという形で補正を行ってきたわけでございますが、それが片一方で、先ほど申し上げたように、簡素化という流れの中で、その費目に占める地位がどれぐらいかを踏んまえつつ、だんだん簡素化をしているという流れでございます。

 また、そういうことにつきまして、さまざまな両側の御意見がありまして、私ども大変苦慮しているところでございまして、先生からいただきました御意見につきましては真摯に受けとめさせていただきたいと思っております。

石田(祝)委員 あなたを別にいじめるために言っているわけではないので、誤解しないでいただきたいんですが。味方もしますから、しっかり直してください。

 それで、もうきょうは時間がありませんから、来週またもう一度お聞きをする機会がありますから、いわゆる地方交付税というのはあなたたちの金じゃないんですよ。これは純粋に公平に配ろうということでいろいろ御努力していることはよくわかりますので、きょうは家伝法の改正の審議ですから、家畜防疫員が非常に重要だ、こういう位置づけで新しいこの改正案の項目も立っていますから、それについて充実をさせるために、地域の財政が大変厳しい中で御努力をする、そのときに、やはり、ぜひ各県別に基準財政需要額に入れてもらうということが大事だから、こういうことを申し上げております。ですから、来週もう一度、ちょっと別の角度でお聞きをいたしたいと思います。

 それと、吉田政務官、非課税措置、これはとられていないということで、今質問を途中でやめましたけれども、私は別にこれでいいと思っているわけじゃないんですよ。ですから、非課税措置ということは、どうしてこれをなくしちゃったのか。大臣がいろいろ御答弁ありましたけれども、それは大臣の、また政府のお考えであって、本当に鳥や豚や牛で大変な御苦労をされた方の思いとは乖離していると思いますよ、私は。これをもうちょっと埋める努力は当委員会でしていくべきである、私はこのことを申し上げて、きょうのところは終わりたいと思います。

津島委員長代理 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社民党の吉泉秀男です。

 大臣を初め関係者の皆さんから、五分の五、私は本当に、この改正、大変敬意を表しますし、この間の御努力に感謝を申し上げさせていただきます。

 しかし、今、石田先生からお話があった点でございますけれども、私ども社民党も大臣の方にこの改正に向けて要望書を出させていただいた経過を含めて話をさせていただきますけれども、やはり、特措法、そのところを踏まえながらのこの五分の五、私方はこういうふうに要望したわけでございますから、当然、今の見解のように、課税がなされるという話についてはちょっと論外だなというふうにも思っております。その面で、社民党としては、この補てんに対する税の取り扱い、このことについてはやはりきちっと対応をしていただきたい、こういうふうにまず要望を申し上げながら、質問に入らせていただきます。

 まだまだ鳥インフルのところがおさまらない、そういう状況であるわけでございますけれども、しかし、今、鳥インフルの影響というものに対して、生産者は非常に不安そのものが募っているというふうにも思っております。それぞれまだ憶測ではございますけれども、毎年飛来してくる渡り鳥、野鳥、それが一つの感染ルートの大きな要因ではないか、こういうふうにも言われているわけでございますけれども、だとするならば、それぞれ生産者が幾ら注意をし、そしてまた防疫対策を徹底するといっても、おのずから限界があるんだろうというふうに思っております。

 昨年、農水委員会の海外視察でお邪魔をしましたベトナムなり、多くの国々にお邪魔をさせていただいたわけでございますけれども、そのときの状況を見ますと、日本の防疫に対する知識、さらには獣医師さん、生産者の方々の知識なり、そういうものは相当高いなというふうに私自身は思ってきたところでもございます。そして、今、鳥インフルなり伝染病の対応について、それぞれの国々としてまた違った対応もなされているというふうにも聞いております。

 それで、質問でございますけれども、国際機関であるOIEに、国としてもここに派遣をしているわけでございますけれども、そうした中において、世界的な、国際的な伝染病に対する基準、そういった点について、今の改正に伴った点について、どのように関連があってなっているのか、その点をお伺いさせていただきます。

    〔津島委員長代理退席、委員長着席〕

鹿野国務大臣 今吉泉先生からのお話しのとおりでございまして、口蹄疫は、国際的な人や物の往来の増加に伴いまして、韓国を初め近隣のアジア諸国において継続的に発生しておる、高病原性鳥インフルエンザについても、渡り鳥等を通じ、国境を越えてアジア全体に拡散している、こういう状況でございます。その対策のためには、関係諸国としっかりと連携を図って、アジア全体で発生を抑制することが重要だ、このような考え方に立っておるところでございます。

 そうした取り組みによりまして、私どもといたしましては、アジアにおける口蹄疫を初めとするところの越境性疾病への対応を強化するために、防疫ロードマップの策定なり、あるいは疾病サーベイランスの推進及び口蹄疫ウイルスの伝播経路の解明等を行う事業としていろいろと新規事業も予算の中に盛り込んでいるところでございます。

 そういうような一つ一つの具体的な取り組みの中で、さらに、昨年の五月の日中韓サミットにおきましても、口蹄疫や鳥インフルエンザ等の家畜伝染病に対する協力強化を含む、日中韓三国間の協力ビジョン二〇二〇に合意したところでございまして、これからもこのようなことの、具体的なシンポジウムの開催等も進めていく予定でございます。

 こうした取り組みによりまして関係諸国と連携を強化して、アジアにおけるところの口蹄疫や鳥インフルエンザの蔓延防止に、しっかりと私どもが積極的にそういう姿勢を示し、我が国への侵入、蔓延防止にできるだけの努力を期してまいりたいと思っております。

吉泉委員 四十六条の関係なんですけれども、筒井副大臣の方から、それぞれ。

 ウイルスの侵入の防止の関係で、海外からの措置、そのことについて盛られたわけでございますけれども、この点については日本だけではないというふうに思っておりますし、この点が、国際機関のOIEの基準、そこを起点としながらの防止策、こういった部分はできるのかどうか、どういうふうになっているのか、そこのところ。日本独自でこれを、それぞれJALなりANAの方に要請をする、こういうものなのか、その辺どうなんでしょうか、ちょっとお聞きします。

筒井副大臣 今の御質問は、近隣諸国での発生について、OIEを通じての対策ができるのか、それとも直接日本が近隣諸国に対していろいろな働きかけをするのか、こういう趣旨ですか。

吉泉委員 OIEの中で、こういう基準が、こういうものが出たときに、日本はそれぞれ渡航者なりそういうところから入ってくる人なりに質問なり、これはできるというふうになるわけですけれども、それが国際基準でもそういう位置づけになっているのか、こういうことです。

筒井副大臣 今、近隣では、アジア、特に韓国で口蹄疫それから鳥インフルが蔓延をしている状況でございますが、中国、ロシア等でも特に口蹄疫の方で結構出ているわけでございます。それらに対する対応を見てみますと、結構それぞれの立場で動いているわけでございまして、日本における基準が国際的な基準として成立しているというふうにはまだ言えない状況だろうと思います。

 だから、日本においては、OIE事務局と緊密に連携をとりながら、何とか、近隣諸国のものを含めたものにきちんと対応していく、こういう努力が必要なんだろうなというふうに思っております。

吉泉委員 ぜひお願いしたいんですけれども、やはり、生産者から見れば、毎年毎年十一月以降になると心配になるという状況のところからいえば、渡り鳥、シベリア・ロシア、中国、韓国等々含めて連携をした中における対応策、これはやはり必要なんだろうというふうに思っています。その中では、国際機関であるOIEの力、この部分は大変大きなものだというふうに思っておりますので、ひとつよろしくお願いを申し上げたい、こういうふうに思います。

 次に、口蹄疫に関して、大変、昨年一番蔓延して、おくれてきた。このことは、埋却処分をする土地確保、このことがやはり大きいものであった、そういうふうに思います。

 この土地の確保の問題について今回の改正に盛られたわけでございますけれども、その中に、飼養基準、ここのところに、いわゆる規模、それぞれ頭数に伴って別々の飼養基準になるのか、そんな点なんかも含めてちょっとお伺いさせていただきたいんですけれども。

鹿野国務大臣 家畜伝染病の本改正におきましては、一義的な焼埋却義務者は現行法どおり家畜の所有者とした上で、都道府県が発生時に備えて補完的な準備を行うということになっておるところでございます。

 そういう中で、既存の畜産農家について、いきなり相当規模の埋却地の確保を求めることは難しいと考えられるところでございますが、新規に畜産業を開始する者や規模を拡大する場合に、相当規模の埋却地の確保を求めていくことが必要だと思っております。

 こうしたことを踏まえて、県の、農家に対する指導、助言、勧告、命令は適切に運用していくというようなことを考えておるところでございます。いわば濃淡をつけてやっていく、こういうことでございます。

吉泉委員 それでは、今の、改正前の段階でも、生産者が土地を確保するのが義務づけられているわけでございますけれども、その現在の段階において、それぞれ市町村なり県のところで、万が一口蹄疫なり鳥インフルが出た、発生をした場合に、その処分をする土地が確保されているのかどうかということについてそれぞれ把握をしているのかどうか、ちょっとお伺いしたい。

田名部大臣政務官 先生御指摘のとおり、迅速な対応をするためには、焼埋却地、この場所の確保というものは大変重要だと考えております。

 防疫指針で、都道府県及び市町村は患畜等の処理体制の整備に努める旨を規定するわけですが、二十一年八月及び二十二年四月、農林水産省として、都道府県に対し、口蹄疫等の発生時に備え焼却や埋却のための場所の確保を指示するとともに、その進捗状況について調査を実施したところであります。

 ただ、その調査の結果でありますけれども、多くの都道府県で埋却地が確保されていないという状況が確認されたことから、この状況を何とか改善していただくよう、農水省としても各都道府県に求めたところであります。

吉泉委員 大臣の方から、これからの、いわゆる大型の畜産団地、こういったところについての考え方を少し出されたわけですけれども、現状の段階について市町村、県で調査をした、そうしたらやはりほとんどそのところの確保ができ得ていない、こういうところがわかった。

 だとすれば、どうするんですか。このことについてお伺いをします。

鹿野国務大臣 重ねて申し上げますけれども、既存の畜産農家について、いきなり相当規模の埋却地の確保というものを求めることは難しい、こういうような状況もあるわけでございまして、新規に畜産業を開始する者あるいは規模を拡大する場合、こういうことを考えたときに相当規模の埋却地の確保を求めていくことが必要だ、このように考えております。

吉泉委員 私こだわるのは、今回の改正の中で、飼養衛生管理基準、この中に、それぞれ規模の現状なり、そのところについて、頭数別に埋却土地を確保しなさい、この基準が出されるわけですね。そして、その基準を満たさない場合については、守らなかった場合、農家に対するペナルティーも科す、こういう中身になっているものですから、それで一番こだわるんです。

 この基準の中に土地の確保も入るんでしょう。そこのところを確認します。

鹿野国務大臣 頭数が多い場合は広い埋却地が必要だ、少ない場合は狭い、こういうことであります。ただし、数値基準、例えば何頭で何ヘクタールかというようなことを置くかどうかというふうなことは、現実的に非常に難しいところもありますけれども、これから検討していかなきゃならぬことだなと思っております。

吉泉委員 今までの、十六年度に改正されたこの飼養衛生管理基準というのは十項目で、そんなに難しい、きつい、そういう基準ではなかったというふうに思っています。

 しかし、これから、この法改正に伴って、規模に応じた基準というものが出されるのではないかなというふうに思うものですから、そんな面で非常に、ペナルティーというふうになっていったときに困るなというふうに思うものですから、昨年の口蹄疫等を含めて考えていった場合に、やはり埋却地というものについて、個人の限界、この部分もあるし、そんな面ではもっとしっかり、土地の確保ということについては、国、県、ここのところで考えていかなきゃならないなというふうに思うわけでございますけれども、その点についてもう一度、土地確保についての国の考え方をお伺いします。

鹿野国務大臣 重ねて申し上げますけれども、何頭に対して何ヘクタール確保というようなことの数値基準を設けながらというふうなことについてはなかなか難しい点もあるわけでございますけれども、検討していきたいと思っております。

吉泉委員 検証委員会、これの報告書が十一月に出されたわけですけれども、これに伴って、今回の改正についても大変生きてきているというふうに私は思っております。

 その中で、検証委員会の中において、口蹄疫でこれだけ多くの被害が出たということを含めて、畜産経営のあり方、ここまで、防疫に絡んだ中で提案をしているわけですね。頭数等を含めて規模拡大における防疫体制等とあわせながらの提案だというふうに思っていますけれども、この検証委員会で出された畜産経営のあり方、このことに伴って、大臣として、畜産そのものに対する施策、そういうものを新たな部分として何か考えているのかどうか、そのことについてお伺いします。

鹿野国務大臣 口蹄疫の検証委員会でいろいろな御議論をいただきましたけれども、余り過密になったらいかがなものかということ等々、飼養規模、飼養密度などを含めた畜産経営のあり方について、一定のルールを定めたり、コントロールしたりできるような法令整備も検討すべきではないか、こういうような指摘もいただいております。

 こうした報告書の指摘や、今回の一連の高病原性インフルエンザの発生農場の状況を踏まえて、飼養衛生管理基準の見直しを行うということを予定いたしているところでございます。

吉泉委員 時間があれですから、お願いでございますけれども、この飼養管理基準のところ、ペナルティーも伴うものですから、余りにも厳しい、そういう中身にならないような形で、徐々にそういう強化をしていかなけりゃならないということはわかるわけでございますけれども、現状的に、今畜産経営をやっている方々については、そんな土地を確保しているという状況もないわけですから、そんなところをやはり少し緩やかな点の中で、この基準、そしてまたペナルティーの問題も、第三者委員会というふうになっているわけでございますから、その辺について、畜産経営が、もっともっと頑張り得る、そういう一つの、家伝法にも応援されるような、そういうものに結びつけていくような要望をお願いし、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山田委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木(雄)委員 民主党・無所属クラブの玉木雄一郎です。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。与野党の理事の先生方、また関係者の皆様にまず感謝を申し上げたいと思います。

 きょうは、与野党の諸先輩方が十分な質疑をした後、最後の質問をさせていただきますので、聞きたいことがほとんど聞かれてしまったという状況ですが、なるべく重複がないように質問したいと思いますが、一部重複がある点はお許しをいただきたいと思います。

 家伝法の質疑に入る前に、昨日も与野党の先生から質問がありました戸別所得補償のモデル事業の件についてまずお伺いをしてから、始めたいと思います。

 昨日もいろいろ議論がありましたけれども、このモデル事業、定額部分と加えて、変動部分を合わせて、十アール、一反当たり、合計すると三万百円が支払われるということになったわけでありますが、これを六十キロに直すと三千四百円だと思います。

 一方で、ことしは米価が下がるということで、我々も大変心配をいたしましたし、さまざまな御批判もいただきました。ただ、この所得補償の制度というのは、一定程度米の値段が下がっても所得は補償される、そこは大丈夫だという、ある意味、価格の変化を前提に所得を安定させるというのが政策目的だったと思います。

 そこで、お聞きをしたいと思います。

 この所得制度を進める上で、米価も大事なんですけれども、所得の具体的なカバー率といいますか、価格下落のカバー率、所得の補償率ですか、こういったものが実際どうだったのかということをしっかりと、これはモデル事業でありますから、確認をすることが必要だと思っております。

 その意味で、二十二年度、今年度産のお米につきまして、昨年度の二十一年度産米と比べまして、全体が下がっていると思いますが、下げ幅の全国平均と、あるいは地域、銘柄の、一番下がっている下落率、それをそれぞれ教えていただきたいのと、それが、どの程度、一反当たり三万百円、六十キロでいうと三千四百円でカバーされているのかされていないのか、この点をまずお答えいただきたいと思います。

筒井副大臣 今度の米価は、東北地方で結構値下がり幅が大きかった、我が新潟とか関東は、コシヒカリを中心にそれほど大きくは下がらなかった。最も値下がり幅が大きかったのが中国地方だという結果が出ております。

 そして、米価下落変動部分は、その下落幅の全国平均を支給しているわけでございますから、全国平均よりも値幅が下がったところは米価下落変動部分だけでは補てんされないわけでございまして、全国平均から上の値幅しか下がらなかったところは米価下落変動部分だけで補てんをされている状況でございます。

 ただ、全国平均よりももっと下がった地域も、固定払い部分がありますから、それを含めますと、全国すべて、米価下落部分は固定払い部分と米価下落変動部分によって補てんされている、こういう結果でございます。

玉木(雄)委員 今のお答えを私なりに解釈いたしますと、一番下がったところでもたしか六十キロ当たり二千九百円強の下落だったと記憶しておりますが、それを三千四百円、六十キロ当たりでカバーしているということなので、少なくとも、昨年度産の二十一年度産米と比較すると所得が下がったところはないということを言っていいと思います。

 ただ、そのことが、再生産価格を補償する十分な所得補償基準なのかどうかはまた別途の議論だと思いますけれども、二十一年度産米の下落は、固定部分も合わせれば、昔は米に対して全くそれがなかったわけでありますから、その意味ではそこはカバーされているという理解でよろしいですか。そこをもう一度確認。

筒井副大臣 二十二年産米に関しては、先ほども申し上げましたが、固定払いと変動払いを含めますと、米価下落をどんなにしたところも含めまして、全部補てんされている、こういう結果でございます。

玉木(雄)委員 二十一年度産と二十二年度産だけを比較したのでは、この所得補償の本質的な制度の効果、意義というのは実は検証できないんですが、二十一年度産に比べて価格が下落しても、それはさまざまな、この三万一千円の所得補償制度があることによって、二十一年度産と比べれば、少なくとも所得は下がっていないということは言えると思いますので、その点はまずしっかりとアピールをしていきたい、政府としてもアピールをしていっていただきたいというふうに思っております。

 一方で、改めるべきところも多々あると思っておりまして、例えば、私は四国の出身でありますけれども、中国・四国地方というのはどうしても生産コストは高くなってしまいます。ですから、全国一律のもので必ずしも再生産が可能な所得補償が十分に行われているかどうか、これは別途のものとして、やはり今回、モデル事業の結果を踏まえて、よりよい制度にぜひ改善をしていっていただきたいというふうに思っております。

 それでは、続きまして、家伝法の改正の質疑に移りたいと思います。

 香川県は、実は宮崎県から牛をいただいて肥育をして出しているようなところもありまして、これは香川県だけではなくて、全国にもそういうところがあると思います。ですから、口蹄疫の問題というのは宮崎県あるいは九州だけの問題ではなくて、本当に全国の、日本の畜産の問題だということで私もとらえて対応してきたつもりでございます。

 実は、私の地元に飼料のメーカーの会社がございまして、宮崎あるいは全国にも出しておるんですけれども、その社長さんからお伺いした話があります。

 二十四年前におやじさんから受け継いで、牛一頭から始めまして、やっと五百頭に達したということで大変喜んで連絡をしてきたそのやさきに口蹄疫が発生をし、そして感染がわかり、全頭殺処分するということになったそうです。そして、いわば殺さなければならない牛に与える飼料を注文しに電話をしてきたということをその会社の方も聞いて、涙されたそうです。ただ、最近、その畜産農家の方から、またやるよといって新たな飼料の注文が入ったそうです。

 二十四年かけて一頭から五百頭までにふやした農家が口蹄疫でそれを全頭殺処分する、それを乗り越えて、また一頭から今三十頭ぐらいになっているそうですが、また頑張ろうという畜産農家も出てきておりますので、そういった再建を支える、また畜産農家に二度と同じような悲しみを味わわせないような、そんな法律改正になることを願って、何点か質問させていただきたいというふうに思っております。

 まず一点目は、きょうも何度も出ましたけれども、やはりこれは大事なので私も聞かせていただきたいと思うんですが、埋却地の確保の問題であります。

 これは、やはり、処理がおくれた大きな原因の一つは、速やかに埋却地が見つからなかったということであります。私も、当選したてというか、部門会議でありますとか委員会でもいろいろな議論がありましたけれども、埋却地の確保は十分ですかという質問をよくしました。そうすると、県からもあるいは国からも、できています、大体できましたというような話があった後に、まだないということが起こったり、これはもう二転三転したことを皆さんも御記憶だと思います。

 埋却地の確保については、先ほど来話がありますけれども、この新しい法律の二十一条で、都道府県知事は、土地の確保に関する情報の提供、助言、指導に努めなければならないというふうに書かれております。ただ一方で、法律のたてつけ自体は、先ほど来の議論にあるように、所有者が一義的にはやはり埋却地の確保の義務を負っているという、その法のうったては全く変わっていません。

 では、都道府県とか国の責務についてどうなんだということが議論になっているわけでありますけれども、今申し上げたように、法律の二十一条では、都道府県知事が、情報の提供、助言、指導というようなことは書かれておりますけれども、これはちょっと弱いのではないかというふうに思います。というのも、口蹄疫対策特別措置法、我々が審議をしてつくった法律でありますけれども、この五条第三項では、国の責務として、国は、土地の確保に必要な措置を講ずるものと明確に規定されております、特措法では。これが家伝法の改正になると、国の明確な責務については書き込まれておりません。

 このことについて、もちろんいろいろな形で、県から市や国に対して協力を要請したりという条文になっているのは理解しておるんですけれども、やはり、土地の確保ということはいざというとき極めて大事になってまいりますので、埋却地の確保について改めて国の責務を明確にしておく必要があるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

鹿野国務大臣 今お話しのとおりに、都道府県知事は、家畜の焼埋却が的確かつ迅速に実施されるようにするため、必要な措置を講ずるように努めなければならない、こういうふうに規定をいたしております。

 これを踏まえて、都道府県では、発生時に備えた補完的な埋却地の用意や、あるいはまた焼却、レンダリング施設の確保を進めていただくということを想定しているところでございます。

 そういう中で、都道府県知事は、農林水産大臣及び市町村長に協力を求めることができるという旨も規定しておるわけであります。国といたしましても、そのような考え方から、埋却地候補となる国有地に関する情報の提供だけでは弱いんじゃないか、こういうふうなお話でございますけれども、移動式焼却炉の貸し出しなり、また平成二十三年度予算におきましては、移動式レンダリング車の開発なり実用化を実施する予定でございまして、国としてもできるだけのことをやってまいりたいと思っております。

玉木(雄)委員 これは本当に二度と起こってはならないんですが、いざ起こったときに、宮崎のときもそうでしたけれども、自衛隊の基地が使えないかとか、例えば農業大学校の土地が使えないかとか、そういうことを検討してはそれが消えていくということが何度もありました。ですから、ハザードマップではないんですが、埋却地マップといいますか、候補地たるところをぜひ事前に、やはりきちんと情報を集めてマップ化しておく。それは水源とかいろいろなことも踏まえて、そういったことを事前にしっかりと用意しておくということを国としてもしっかりと主体的に取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 続きまして、予防的殺処分について質問させていただきたいと思います。

 この予防的殺処分が今回の法律の大きな目玉の一つだと思いますけれども、予防的殺処分をした際の損失補償について、一点だけお伺いしたいと思います。

 患畜、疑似患畜を殺処分したときの経済的損失の補償については、今、五分の四、五分の五、こういった議論が出ております。評価額をどうするのか、そういったことが議論になっております。

 予防的殺処分をしたときの経済的損失の補償については、これは法六十条の二、ここに規定がありますけれども、これは、生産に要する費用その他通常生ずべき損失として政令で定めるものを補てんするというふうに書かれております。これは、患畜、疑似患畜を殺処分したときの経済的な損失の補てん額、それを規定している書きぶりと若干違っておりまして、むしろ費用に着目して補てんをするというような書きぶりになっておるんですが、患畜、疑似患畜の場合と、健康な牛を殺処分したときに補てんされる経済的な損失補償は、両者は何か差があるのか、同じものなのか。書きぶりが違うので、その点、ぜひ確認をさせていただきたいと思っております。

 加えて、健康な牛を殺処分する方がより財産権の侵害が重いという考えであれば、法律の立法の目的は、どちらかといえば予防的殺処分の方をより手厚くするという趣旨なのかどうか。その点、もしあわせてお答えいただけるのであれば、お答えいただきたいと思います。

筒井副大臣 予防的殺処分は、まさに健康な牛、豚を殺してしまうということでございますから、本当にやむを得ない場合だけに行う。しかし同時に、これが蔓延防止のために極めて大きな効果を発揮するところがあるというところで、あの特別措置法で規定したわけでございます。当時の委員長からの強い要請もあって、与野党一緒になってこの必要性、意見が一致をして、あの特別措置法ができたわけでございまして、これを本改正案のところにも当然のことながら目玉の一つとして入れたわけでございます。

 この経済的補償に関しては、もちろん殺処分をするときの市場価格でございまして、それは疑似患畜、患畜の場合も市場価格を全額補てんでございまして、その点では一緒、同一の考え方だというふうに思っております。

 しかし、疑似患畜等々の場合にはペナルティーの対象にしておりますが、この予防的殺処分の全額補償の問題、この補償の問題に関しましてはペナルティーの対象にしていない、こういう違いが当然のことながら出てくるわけでございます。

玉木(雄)委員 より特別な措置でありますので、十分な支援措置を速やかに講じていただきたいというふうに思います。

 あわせて、対象物の、家畜の補償だけではなくて、やはり生活資金あるいは経営再建の資金についても十分に拡充して、対応していただきたいということを要望させていただきたいと思います。

 続きまして、これも午前中から何度か話がありました産業動物の獣医さんの件についてであります。

 先ほど公明党の石田先生からも質問がありましたけれども、これは法律の五十三条のところは、県職員の獣医をふやすことで家畜防疫員制度は拡充していく、県職員の獣医さんをふやすということが大原則として、法文上、明定をされております。

 これに対しては、通常デスクワークをして獣医をやっている人よりも、例えば共済の獣医さんとか、常に動物に接してさわっている人の方が、実際、処理がうまくいって早かったという話も聞いておりますので、やはり、もう少し、もちろん県職員の獣医さんも大事なんですけれども、そういった、現場で常日ごろ大動物を診ている獣医さんを有効活用するような手だてをぜひ講じていただきたい。

 あわせて、公務員獣医さんの員数の拡充については、先ほど総務省からも、必ずしも明確じゃない答弁がありましたけれども、ぜひ、農林水産省としても、国としても、地方公務員の産業動物の公務員獣医師増員のために最大限の努力をしていただきたいと思います。

 その中で、新しい法律の十二条の七に、これは農林水産大臣の行為として書かれておりますけれども、家畜防疫員の確保の状況について整理して、インターネットで公表するということが新設をされております、条文として。つまり、家畜防疫員の確保の状況について、各県ごとに整理をして、インターネット等々で公表しろという書きぶりになっております。

 この家畜防疫員の確保の状況というときに、単に何人おりますではなくて、米の需給ではありませんけれども、需要サイドと供給サイドも逆に農林水産省としてきちんと把握をして、あわせて整理をして公表するということで、総務省に対しても、ある意味でのしっかりとしたプレッシャーをかけていただきたいというふうに思いますので、この十二条の七の運用に当たっては、ぜひ、そういった、真に必要な獣医さんの数、家畜防疫員の確保について、しっかりと整理をして公表することをお願いしておきたいというふうに思います。これも要望のみにさせていただきたいと思います。

 続きまして……(発言する者あり)

 大臣、では、これに関して、せっかくですので、ぜひ、公務員獣医さんの待遇改善も含めて、どうやってふやしていくのかについて、もう一度改めてちょっと方針をお伺いしたいと思います。

筒井副大臣 最後の方から、公表の点からでございますが、先ほども一部お答えしたと思います。

 必要の数を公表することが適切なのかどうか、各都道府県ごとにですよ。あるいは、全国平均を公表して、その全国平均と比べたらどうかということをそれぞれの都道府県にみずから判断をしてもらうとか、そういう形を今検討しておりますが、いずれにしても、その数字も含めて公表をしよう、そして、獣医師さんの各都道府県における県職員としての確保、これを進めていきたいというふうに思っております。

 それと、二つ目は、県職員として採用することがまず第一義でございますが、口蹄疫等々が発生した場合に共済の獣医師さん等を非常勤職員として雇い入れる、これらも進めていく必要があるわけでございますから、その点は指針の中できちんと明記をする、こういう考えをしております。

 そして、三つ目の質問でございますが、確かに、これは大臣も先ほど同趣旨のことを言われていたと思いますが、給与の点がやはり低いという問題があります。いろいろな手当の形を含めまして、それを引き上げていくという方向のために農水省としても努力をしていきたいというふうに思っております。

玉木(雄)委員 六年制の大学を出て獣医さんになって、その獣医さんに適用されている給与表が、医師専門職の給与表ではなくて栄養士さん等々の給与表が便宜的に適用されているという実態であります。

 これは地方公務員の給与の話なので、直接国がどうこうなかなか言えないところがまた難しいところであって、ただ、国の政策を推進するときに、地方の公務員さんをどうしても頼らざるを得ないというところがございますので、そこはまさに国と地方がよく連携をとって進めていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、また連携の話なんですが、先ほども少し先生方からお話がありましたけれども、やはり各省にまたがって、野鳥は環境省で、家畜になると農水省、文化財、天然記念物とかだと文科省ということで先ほども話がありました。

 渡り鳥から入ってきて家畜に感染するといったこともこれから多いと思いますので、ぜひ省庁を超えた連携をとってもらいたいというのは先ほど来出ている話のとおりでありますけれども、私はちょっと一歩踏み込みまして、民主党のマニフェストには、食品安全庁というものの設置を掲げておりました。これを受けて、昨年の三月にまとめた基本計画の中にも、これはいろいろすったもんだがあったんですが、食品安全庁の設置について検討するというところまでたしか盛り込んだと思います。

 これは、厚生労働省と農林水産省の連携をいかにとっていくかということで検討が明記されたのでありますけれども、こういう動物に関するさまざまな病気、あるいは人畜共通病みたいなものも出てきておりますので、環境省、農水省、厚生省、文科省、こういう関係の部局が省庁横断的に動物関係の行政を行う、例えば食品安全庁を仮に設置する場合には、獣疫医療局のような、動物の、あるいは人間にも関係するような病気を一元的に扱うような部局を設けて、縦割りを超えて速やかに対応できる組織をつくることも一案なのかなというふうに思います。

 こういった、組織の再編も含めた連携のあり方につきまして、改めましてお伺いをしたいと思いますので、よろしくお願いします。

鹿野国務大臣 今、玉木委員の方から、具体的な形で、獣疫局の設置というふうな問題に触れられたわけでありますが、とにかく、この家畜伝染病法の改正に当たりまして、どうやって伝染病蔓延防止をしていくか、こういうふうなことで、初動の対応を初めとするところの具体的な施策を盛り込ませていただいておりますが、そういう中で、各省の連携というものはまさしく大事なところでございます。

 そういう意味で、まず、私どもの基本的な姿勢といたしまして、セクショナリズム的な形であってはならない、これがまさしく政治主導の基本であると思いますので、それぞれの省の政務三役が、それぞれの責任において、まさにきちっとした連携をとっていく、これが一番大事なことだと思っております。

玉木(雄)委員 大変力強い決意をいただきましたので、ありがとうございます。

 国と地方、また、国の中での関係省庁がしっかりと縦に横に連携していくということが極めて大事だと思いますので、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

 時間が少なくなってまいりましたので、最後に二点、これは要望も含めてお願いしたいと思います。

 まず一点目は、この家畜伝染病の話を私もいろいろとするようになりまして、いろいろな最新の技術がどんどん出てきていたり、あるいは、国際的に、日本では使われていないけれども外国ではこういうやり方をやっているというのをよく聞くようになりました。

 例えば、移動制限を解除するときのリアルタイムPCRを使えるのか使えないのかということについても、これはきょうも議論がありましたけれども、なかなかそこが科学的にどうかと。EUのキットを検討してみるとか、いろいろなことは進んでいると思いますけれども、法律の第三条の二第六項に、防疫指針については、科学的知見や国際的動向を踏まえて、少なくとも三年おきぐらいですか、見直すというふうになっておりますので、最新の科学的知見あるいは国際的な動向をやはりリアルタイムで速やかにとらえて、それを取り込んだ行政をぜひ行っていただきたいと思います。

 その意味では、これもいろいろ議論がありますワクチンの使用について。つまり、殺処分を伴わない蔓延防止のためのワクチンの使用についても、これはなかなか、病気で感染したのか、ワクチンを打ってその抗体ができたのか、わからないので難しいということをいつも言われるんですが、こういったことについてもぜひ検討をいただきたいと思います。

 二点目、最後に申し上げますが、飼養衛生管理基準に違反しますと、間接的に、最後、罰則がかかるようになっております。ただ、実際にイメージして考えるとよくわかるんですが、ある意味、これは、過失だったり、いろいろな要因でよくわからないんですが、感染してしまって大変な被害を受けている畜産農家さんが、精神的にもダメージがある中で、またその罰則が来るようなことがあっては本当に立ち直れないと思います。

 もちろん、改善すべきところはすべきなんですが、例えば、知事からの改善命令を出す際も、一定の十分な対応ができる期間を設けて改善命令を出すなど、やはり現場に応じたきめ細かな対応をすることがまた適切な行政の運営になると思いますので、その点についてもあわせてお願いを申し上げまして、最後に、もし何かありましたら、ぜひ大臣の御決意をお聞きして終わりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

鹿野国務大臣 いろいろと御提言もございました。こういう中で、私どもも、いろいろと、今後とも万全を期すという意味におきまして、参考にさせていただきながら、この農林水産委員会で御指摘をいただいた点も含めてしっかりと対応してまいりたい、万全の策を講じてまいりたいと思っております。

玉木(雄)委員 ありがとうございました。終わります。

山田委員長 次回は、来る十五日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十二分散会


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