衆議院

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第18号 平成23年8月3日(水曜日)

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平成二十三年八月三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山田 正彦君

   理事 梶原 康弘君 理事 佐々木隆博君

   理事 津島 恭一君 理事 仲野 博子君

   理事 柳田 和己君 理事 谷  公一君

   理事 宮腰 光寛君 理事 石田 祝稔君

      石田 三示君    石原洋三郎君

      石山 敬貴君    今井 雅人君

      大串 博志君    加藤  学君

      金子 健一君    川村秀三郎君

      近藤 和也君    篠原  孝君

      田名部匡代君    高橋 英行君

      玉木雄一郎君    筒井 信隆君

      道休誠一郎君    中野渡詔子君

      野田 国義君    皆吉 稲生君

      向山 好一君    山岡 達丸君

      吉田 公一君    伊東 良孝君

      今村 雅弘君    江藤  拓君

      小里 泰弘君    北村 誠吾君

      谷川 弥一君    保利 耕輔君

      山本  拓君    西  博義君

      吉泉 秀男君    石川 知裕君

      松木けんこう君

    …………………………………

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   文部科学副大臣      笹木 竜三君

   厚生労働副大臣      大塚 耕平君

   農林水産副大臣      篠原  孝君

   農林水産副大臣      筒井 信隆君

   農林水産大臣政務官    田名部匡代君

   農林水産大臣政務官    吉田 公一君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局次長)      渡辺  格君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       梅田  勝君

   政府参考人

   (水産庁長官)      佐藤 正典君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      横尾 英博君

   農林水産委員会専門員   雨宮 由卓君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月三日

 辞任         補欠選任

  網屋 信介君     向山 好一君

  近藤 和也君     川村秀三郎君

同日

 辞任         補欠選任

  川村秀三郎君     近藤 和也君

  向山 好一君     皆吉 稲生君

同日

 辞任         補欠選任

  皆吉 稲生君     網屋 信介君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件

 原発事故による牛肉からの放射性セシウムの検出に関する件


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     ――――◇―――――

山田委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として水産庁長官佐藤正典君、文部科学省科学技術・学術政策局次長渡辺格君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長梅田勝君及び資源エネルギー庁電力・ガス事業部長横尾英博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野田国義君。

野田(国)委員 どうも、おはようございます。民主党の野田国義です。

 鹿野農水大臣を初め、日夜努力をいただいておりますことに対しまして、厚く感謝を申し上げたいと思います。

 きょうは、戸別補償、TPP、それから原子力のことについてお聞きをしたいと思っておるところであります。

 まず、政権交代をいたしましてはや二年が過ぎようとしておるところでありますけれども、なかなか国民の期待にこたえ切れていないということに対しまして、本当に国民に対しておわびを申し上げなくてはいけないな、そういう気持ちでいっぱいであります。

 なぜできないのかなということをよく私自身も考えるわけでありますけれども、哲学がないというか、そういうことも考えますし、やはり経験がなかったのかなとか、そういうことも考えるところであります。私も長く市長を経験いたしましたけれども、やはり一、二年ではなかなかできないところもあるのかなと思いますし、あの明治維新も、改革が十五年かかったということであります。しかしながら、本当に国民の信頼を回復するためにしっかりやっていかなくてはいけないということでありますので、ともに頑張っていきたいものだと思っておるところであります。

 それでは、まず農業の戸別所得補償でございますけれども、御案内のとおり、二十二年度、米のモデル対策から、本年度から畑作も入れての本格実施になったということでございます。このことに対しましては、本当に、農林水産省を初め皆さんの御努力でここまで来たと深く感謝を申し上げたいと思うところであります。

 しかしながら、一方では、野党の方から、この政策はばらまきだということを言われておるということであります。

 私も地元に毎週帰りまして、地元の農家の方々にお聞きするわけでありますけれども、農家の方々は非常に喜んでいますね。非常にいい政策だということを農家の方々には言っていただきますし、また、この間は、農林水産省の幹部の方が勉強会の中で、これまで長く農林水産省で仕事をしてきたけれども、初めてこんなに農家から評価される、戸別所得補償は初めてだ、そういう発言も出ました。そしてまた、前の農水委員会では、野党の議員さんからも、ぜひともこれを早くもっと充実したものにしてほしい、そういう意見も出たところであります。

 まず、ばらまきということが、これはほかのを削って持ってきたということじゃなくて、私が知るところでは、農林水産省は本当に皆さんが努力をしていただいて、やりくりをしていただいてこの所得補償をつくっていただいたと私は認識をしておるところでございます。

 これは、モデル補償が今度は本格実施ということになりましたので、当然検証というものが必要だと思います。ですから、このことについて、今、現状、この一年を振り返ってどう考えておられるのか、そして今後どうしようとされておるのかということをぜひともお聞きしたいと思います。大臣、よろしくお願いいたします。

鹿野国務大臣 今、野田議員の方からお話のありました農業者戸別所得補償制度、これはまさしく政策転換であるわけでございます。価格維持制度から所得政策に、こういうようなことでございます。この考え方は、委員御承知のとおりに、それぞれ諸外国におきましてもこの制度はもう既に導入されているわけでございます。

 私どもも、この制度を実施するに当たりまして、やはり初めてのことでありますからいろいろな御意見等もあったわけでございますが、基本的に、この制度を導入する際、対象をどうするかというふうなことを考えましたときに、すべての米農家ということではなしに、販売農家というふうなところで一つの仕切りをすべきじゃないか。それは、販売農家の人たちは、すなわち国民生活に対して食料の安定的供給に寄与してくださっている、こういうようなことから仕切りをしたわけでございまして、一定の考え方というものは、決してばらまきでないというふうなことはこのことによってもあらわれているのではないかと思っておるわけであります。

 そういう中で、現実的に、二十二年度に実施したモデル対策では、主食用のお米の作付の加入者は、五ヘクタール以上層では九八%が加入している、そして〇・五ヘクタール未満では四割以上が加入していない。実際に支払った交付金の過半数は、二ヘクタール以上の方に交付されている。こういうふうなことからいたしましても、この現実から見ましても、決してばらまきの政策でないというふうなことは御理解をいただくこともできるし、これからも多くの方々にさらに理解をしてもらう努力をしていかなきゃならないと思っておるところでございます。

野田(国)委員 ありがとうございます。

 今おっしゃったように、規模加算、農地の集約、そういうことについていろいろやっていかなくちゃいけない。それから、もう一つ大切なのは就農支援、こちらの方がこれから非常に大切な施策ではなかろうかなと思っておるところでございまして、ぜひともそういうところを充実していただいて、農業の再生が実現できるように、ともに頑張っていきたいと思っておるところであります。

 それから次に、TPPの問題でございますけれども、このことについては、私も、山田委員長が主宰されます慎重に考える会などを通じていろいろと勉強させていただきまして、この間、ニュージーランドからケルシー教授においでいただきまして、話なんかも聞かせていただいたところでございます。

 勉強すれば勉強するほど、やはりTPPについては反対をしていかなくちゃいけないということを私自身も認識しておるし、恐らく、きょうおいでいただいております農水委員のほとんどの方がそう思っておられるのではないかな。極端な話を言いますと、これはアメリカの陰謀ではないか、そのくらいのことを私自身は思っておるところでございます。

 今の状況というものが、この間もJAさんとの懇談会などで尋ねられたんですけれども、ちょっとなかなか私自身つかみ切れないところがございましたので、今農林水産省としては、TPPの問題をどうとらえて、どう対応しようとされておるのか、現状をお聞きできればと思っておるところであります。

筒井副大臣 農水省の今の態度は、交渉参加国九カ国の情報収集を行っているところでございます。

 その情報収集によりますと、知的財産とか環境とか労働等の問題で交渉が進展していないというふうな情報をお聞きしております。当初から、この十一月までに大まかな輪郭を固めるという目標が表明されておりましたが、しかし、交渉は来年にも入るのではないかという見方が一般的であるという情報を得ているところでございます。

野田(国)委員 ありがとうございました。

 この政権にとっては、民主党は、本当に、マニフェストの中でも内需を振興するということをしっかり言ったわけでありますし、そのことによってまた所得補償をさらに充実させて、食料自給率五〇%を目標に頑張るということでありますので、ぜひともそういうスタンスでよろしくお願いをしたいと思っておるところでございます。

 それから、三点目でございますけれども、このことは、私は今大きな義憤を感じておるところでございます。といいますのは、皆さんも御承知だと思いますけれども、原子力発電所の再稼働の問題でございます。

 私は、福岡でございます。隣の県でありますけれども、佐賀県の玄海町長、それから佐賀県知事の問題が今いろいろと報道をされておりまして、やらせメールも結局知事の言葉に端を発したんじゃないか、そういうようなことが今言われております。やはり首長というのは、本当に清廉潔白と申しますか、特に利害関係がある人とは一線を画しておかなくちゃいけないわけですね。それがそういう状況になっておるというのは、私は非常に憤りを感じておるということでございます。

 これはぜひとも、地元の首長、町長、知事だけじゃなくて、例えば玄海の問題に関しては福岡あるいは長崎、広域の中でこの稼働をどう判断するかということをしていく。今の状況で、私、できないと思うんですよ、佐賀県知事にしろ玄海町長は。そんな判断をさせたら、これは地域住民が許しませんよね。ですから、そのところをぜひとも提言させていただきたいと思っております。

 それから、核廃棄物、このことが私、いろいろと今甚大な被害が広がっておるところでございますけれども、一番根本の問題はここじゃないかなということで、実を言いますと、地元新聞で一回書かれまして、それから非常にこのことに危惧を抱いておる一人でございます。

 御承知かと思いますけれども、結局、この問題については、今六ケ所村の再処理工場も稼働をしていないような状況である、そこに使用済み核燃料の九四・五%が持ち込まれておるということであります。

 では、その後どうなっていくかと申しますと、ウランとかプルトニウムを回収してということになるんですが、その後が大変でございまして、御承知かと思いますけれども、危険な高レベルの放射性廃棄物の廃液が残るということなんですね。これは人が一〇〇%死ぬ量をわずか二十秒で浴びるほどの強烈なものになる、ここが問題だと私は思うんです。これをガラスと一緒に固めるということで、三十年から五十年保管をして、その後に、三百メートルぐらいですか、深い地中に埋めるということなんですね。しかし、これが天然のウラン鉱石と同じぐらいになるまでは、何と数万年かかるということなんです。

 ですから、これは、日本だけじゃなくて、人類が、核廃棄物をどう処理したらいいのかということをまだ見出せていないということなんです。ここが一番根本の問題じゃないでしょうか。つくることばかり、稼働することばかり考えながら、変な話ですけれども、トイレがないのと一緒ですから、こういうことでは、私はちょっと非常に危うさを感じるところでございます。

 きょうは資源エネルギー庁からもおいでいただいておりますので、今二点、私、質問させていただいたと思いますけれども、ぜひともよろしくお願いをいたします。

横尾政府参考人 二点、委員から御質問がございました。

 まず、第一点目の原子力発電所の再起動に関連する問題でございますが、法令上、定期検査後の再起動につきまして、立地自治体を含め、自治体の了解は条件とはなってございません。

 他方におきまして、地元の御理解を得ながら進めていくというのが大変重要でございます。政府及び各電力会社においては、まず立地自治体の御理解と御協力をいただくというのが何より重要でございますが、委員御指摘のとおり、あわせて周辺自治体の御理解も得ていくというのが大変重要であるというふうに考えてございます。

 それから、第二番目の、いわゆる高レベルの放射性廃棄物の問題でございます。

 これは、委員御指摘のとおり、日本は、使用済み核燃料からウランとプルトニウムを抽出した後の高レベルの廃液をガラスにまぜて、ガラス固化体の形にして、これを最終処分するということで、地層処分ということで、人工のバリアと天然の岩盤のバリアでその処分をしようということでございます。

 既に昭和五十年代から研究開発に取り組んでございまして、また、平成十二年に、今の法律的な枠組み、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律という法律ができまして、実施主体であるNUMO、原子力発電環境整備機構というのも設立されてございます。

 これは、地元の理解を得ながら、文献調査、概要調査、精密調査という段階を経て処分地を選定するということでございます。当初は市町村への募集という格好でやってございましたが、なかなか自分から手を挙げるというのは難しいということもあり、これに加えて、国が申し入れを行うという格好も採用いたしまして、今、全国レベルそれから各都道府県レベルで理解活動に取り組んでおります。

 引き続き、国民、地元の理解を得ながらしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

野田(国)委員 短時間でございましたけれども、どうもありがとうございました。ともに頑張りましょう。

山田委員長 次に、山岡達丸君。

山岡(達)委員 山岡達丸と申します。

 本日は、大変貴重な時間をいただきまして、ありがとうございます。わずかな時間でございますので、早速本題に入らせていただきます。

 先週の土日なんですけれども、私、北海道のあるスーパーに行きました。高齢者の夫婦の方が、奥様の方なんですが、あら、このナス、どこどこ産だわ、あっ、こっちもどこどこ産、買えないわ、どうしよう、お父さん、そんなことを話している姿がありました。また、ほかの、私の知り合いの畜産の農家さんなんですが、ホテルに肉を販売しようとしたら、今、国産の肉は入れないことにしたんだと一方的に言われて、販売する先がなくなってしまったんだという大変ゆゆしき事態の話も聞きました。本当に、もう今この事態が大変な状況になっているというところがかいま見える、そんな状況になっておるところでございます。

 この件について、先週、前回の議論でも、責任の所在が、国のせいか、東電のせいかと。そういったことも大変重要な議論だとは思うんですが、それ以前に、私たちはそもそも、この国の国民の皆様の生活と、そして食の安心、安全と、将来の食の確保ということに大変大きな責任をもともと持っている。その観点で、今の農家の方々そして消費者の方々の安心という観点から大胆な施策を行っていく必要がある。その観点で私はきょう質問させていただきたいと思います。

 その質問に関しては、セシウムの稲わらを食べたという牛の問題について今回はお伺いしたいと思います。今、政府として大変御対応、御努力いただいているところだと思います。現時点でもさまざまな施策が実施されているところでございます。よいものに関しましては置いておきまして、中には、どうしても、実態に合っていないんじゃないか、そのように感じるところもございます。

 その一つが肥育経営の支援対策の中身についてでございます。

 今、畜産の農家さんは、多くの方は、出荷制限で出荷できないとか、あるいは販売価格が下がったということから、当初予定していた収入が入っていないという状況です。ですけれども、牛は当然生き物ですから、えさ代を初めとする経費がかかる、そんな状況になっているところでございます。

 これに対して、今の政府のスキームでは、売れるはずだったけれども売れなかった、その頭数に限ってえさ代などの経費分を支援するというスキームになっています。つまりは、百頭飼育していて、販売予定が五頭だった、これは正確には昨年の販売数を参考にするわけですけれども、だとすると、百頭飼育していても、五頭分のえさ代を政府が面倒を見るという状況になっているわけでございます。しかし、農家さんは、そもそも予定していた収入がなくなっている中で、この百頭全頭のえさ代を捻出していかなければならないという状況になっております。

 農水省の役人さんにこのお話を聞きますと、その百頭分に関しましては東電の賠償の方でというようなお話もあるんですけれども、いや、そうじゃない、やはり私たちの責任は違うと思います。もちろん最後には東電にこの賠償を請求するということになると思うんですが、しかし、今のままでは当座の資金繰りがショートしてしまう、そんな農家さんが出てきてしまう、そのおそれが非常に高いと思っております。(発言する者あり)今、先輩のお話もありましたけれども、東電の賠償の前に農家さん自体が本当につぶれてしまうということだと思います。ですから、この飼育頭数すべてに仮払いをするべきだ。

 東電の賠償を政府が先に仮払いするという法律も先輩方の御努力で成立したところでございます。筒井副大臣が前回石山委員に対して、「仮払い法案が法律として制定された段階においては、それに従って緊急に、早急に詰めていく」という対応のことについても述べられました。支援の拡大についてどのようにお考えか、御見解をお伺いいたしたいと思います。

吉田(公)大臣政務官 山岡議員にお答え申し上げます。

 ただいま畜産農家への立てかえ払いは五万円ということになっておりまして、これは、出荷遅延に対する、肥育牛に対しての預かり経費だと認識をいたしておりますが、委員おっしゃるように、販売収入がなく大変困っているということについては、もう既に承知をいたしているところでございます。肉用牛農家に対する緊急的な支援対策の一環といたしまして、当面の資金繰りのため、一定額、一頭当たり五万円でありますけれども、損害賠償の立てかえ払いとして交付する仕組みを構築したところでございます。

 今般の対策はあくまでも緊急的なものでございまして、対策発表後に出荷制限の指示等の新たな動きが見られる、状況の変化を踏まえつつ、先般決定いたしました緊急対策につきまして、その仕組みや対象範囲の見直しなど、さらにどのような対応が可能かということを鋭意検討させていただきます。

山岡(達)委員 その対象範囲について、ぜひとも前向きに御検討いただければと思います。マル緊のことも、もちろんこれも前倒ししていただきたいんですけれども、八月中旬に出るのは四から六月分の価格下落に対してなので、七月分というのはまだ先になると。やはりこの今の状況を打開するには、そのスキームもきちんと見直していただくことが先決だと思っております。

 さらに、これはお願いにもなりますけれども、つなぎ資金を金融機関に借りようとしても大変今対応が冷たいということも、前回の委員会でも先輩方の質問の中に出ておりました。私もいろいろ伺っておるところによると、地震と津波に関しては、政府の対応がしっかりしているからこれは貸すんだけれども、原発については明確じゃないから貸せないと言われたという農家さんもおられました。

 もちろん、政府の指導そしてさまざまな通達、方法はいろいろあるのかもしれませんが、今、畜産の農家さんを守っていくんだという姿勢を政府の方で示すことが、貸し手である金融機関に対しても何よりの安心のメッセージになる、そのことも念頭に置いてぜひとも対応いただきたいということを、これはちょっと時間の関係もありますので、お願いとさせていただきたいと思います。

 さて、次に、消費者の信頼の回復について伺いたいと思います。

 今も、全頭検査に向けて体制は整えていただいているところだと思います。その体制ができることが信頼の回復にとって何よりも重要なので、早急に進めていただきたいと思うんですけれども、その前に、問題は、既に流通してしまっている、セシウムが含まれている危険性があるかないかわからない牛たちへの対応についてだと思います。

 今の政府の方針では、はっきり黒と判定される牛に関しては全量を政府が買い上げる、そして、白か黒かわからないけれども流通してしまった牛は、当面の間、売らずに保管してもらって、再度検査をして安全かどうか確認し直すということとしています。

 一度流通したけれども、とめて、検査して、また出すかもしれない、出さないかもしれないということは、やはり消費者の方に大変わかりにくいことだと思います。さらに、保管する側の方も、当面の間保管するといっても、場所もないし、どうすればいいのかという、実際上の物理的な問題も生じてくると思います。さらに、保管していて、もし万が一にも、まかり間違ってその一部が何らかの形で市場に出てしまったというような間違いでもあれば、そのときには、消費者の方に対して取り返しのつかない不安が広がってしまうということになってしまうと思います。

 ですので、白か黒かわからないけれども市場に出てしまった牛は三千頭余りということで伺っておりますけれども、これは全量買い上げしてしまって、市場から完全に隔離して処分してしまうことが本当に消費者の方にわかりやすいメッセージになるんじゃないか。買い上げた後は、この後に出てくる牛に関してはすべて検査されています、その前のものはすべて処分しました、後のものに関してはすべて検査済みですということが一番わかりやすい対応だと思いますが、この対応について、ぜひとも政府の御見解についてまずお伺いしたいと思います。お願いします。

鹿野国務大臣 今回のこの問題につきましては、とにかく安全な牛肉きり出回らない、そういう体制を築くというようなことから緊急措置を講じさせていただきました。そしてまた、農家の人たちも今大変困難な、苦しんでおられる状況というものを踏まえて、三つの緊急対策を打ち出させていただきました。

 その後におきまして、宮城県を初めとする三県におきましても出荷制限の指示がなされる。また、福島県におきましては、独自で、出荷適期を超えた肥育牛というものを買い上げする、そういう措置も講ずるということが発表されたわけでございます。

 そういう状況というふうなものを踏まえて、どういう支援を行うことができるか、どういう施策を行うことができるか、今詰めさせていただいているところでございます。

山岡(達)委員 ぜひとも、農水に関して知見の深い大臣、尊敬する大臣に、温かい御支援を検討していただきたいと思います。

 私は、NHKの記者として帯広にずっとおりました。BSEの牛が出たときも取材をずっとしておりまして、そのときは、まさに現場の雰囲気は、国産の牛肉はもうだめなんじゃないか、もうどうしようもないんじゃないかというような、本当に悲痛な状況がずっとありました。ところが、私がまだ議員とさせていただく前に、先輩方の皆様の御努力によって、国産の牛肉は、そのことがなかったかのように信頼を回復して、もとの価格に戻り、市場も正常化しました。

 今回のことも、やはり、今きちんとした、大胆な施策を行うことが本当に今の危機を乗り越える、戦力を小出しにするんじゃなくて、本当に集中して投下するということが一番大切なことだと思います。

 最後に、大臣にもう一度、この問題に対して、この全般に対してどのような決意で取り組まれるか、お伺いさせてください。

鹿野国務大臣 まず、何といっても、安全な牛肉きり市場には出回らない、こういうような体制をつくっていくということだと思っております。そういう意味におきまして、まさしく農家の方々の飼養管理の徹底、あるいはまた検査体制のさらなる強化というふうなものを踏まえて、とにかく消費者の信頼を回復し、そして同時に、畜産農家の人たちが改めてこの生産に意欲を持ってもらうことができるような体制をつくるために、支援というふうなものをどうしていったらいいかということもしっかりと検討していかなきゃならない、そして実施に移していかなきゃならない、このように考えておるところでございます。

山岡(達)委員 我々も同じ思いで先輩方とともに頑張ってまいる決意でございますので、どうぞ、御対応のほどよろしくお願いいたします。

 質問を終わります。

山田委員長 次に、江藤拓君。

江藤委員 自由民主党の江藤拓でございます。

 先週に引き続きまして質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 一般質疑でございますから、聞きたいことはいっぱいあるんですけれども、セシウムをやらなきゃしようがないので、これを中心にやらせていただきます。

 実は、一昨日と昨日にかけまして、椎葉村に行ってまいりました。いわゆる森林・林業再生プラン、この実施モデル事業が行われている。外国の、ドイツ製の機械が入っている現場に行って、部会長もそれから谷さんも行って、オペレーションも実際にやってきました。なかなかすばらしい機械ですよ。

 ですから、前もって言っておきますが、我々は、この再生プラン自体がだめだと、あら探しに行ったわけではありません。ただ、現場に即しているのか、さらに手を入れればもっとよくなるのか、ほかの、例えばヤードを敷いて、いわゆる昔のように谷を渡して材木をおろした方が有効なのか、そういった現場を見ないで与党を批判するのはこれは無責任ですので、やはり見てこようということで、行ってまいりました。

 結果からいきますと、結局、作業道ありきの機械なんですよ、この機械は。すばらしい性能です。特にアタッチメントなんかは、あれだけの機能がついていて、三つの作業が一遍にできて、一千万でできるというのはすばらしいですよ。(発言する者あり)一千百万、まあ一千万ですわ。与党から突っ込みが入りましたけれども、与党じゃない、仲間から。一千百万だそうです。(発言する者あり)まあ、いいじゃないですか。

 その結果、路網を整備しなければ、結局この機械は入れないと。

 いろいろ話を聞きますと、急傾斜も登れます、そういう能力は持っていますということなんだけれども、実際、山をずっと三十年、四十年守ってきた人たちに話を聞くと、あんなでかい機械が山に入っていったら再植林ができないと、踏み固められてしまって。だから、結局は路網整備ありきの機械なんですよ。

 ですから、条件のいいところでは十分に性能を発揮するでしょう。作業効率も上がる、単価も下がる、そして作業員のリスクも下がる。いいことはありますけれども、やはり椎葉村では、正直なところ、使えてあと一年かなというような、適地がない。実際、行ったところも、県有林だったんです。ラクダみたいな山で、皆さんが行ったらすごい田舎だなと思うかもしれませんが、我々からいえば、全然急傾斜じゃない。頂上に行ったら、上の方は平らになっていて、非常に作業のしやすい山でした。

 そういう適所適材というのがあるじゃないですか。ですから、この施業プランを進めるに当たっては、やはり場所を考えてやらないかぬなというのが私の考えであります。

 それから、あと、日本の森林というのは、一〇%未満の小規模な所有者が全国の九〇%を占めていることは、委員の皆様方もよく御存じのとおり。所有権も、相続を繰り返して、いろいろややこしいことになっておる。これは大変問題になっておるわけでありますが、一番問題なのは、施業しやすいところじゃなくて、例えば今回、国道から見て、谷があって、沢が流れていて、その向こうには、全く下刈りも伐採も間伐も枝打ちもされていない鉛筆みたいな松がいっぱい立っているわけですよ。これをやらないと大規模災害にもつながるので、ここに手を入れなきゃいけない。これが現場の一番の問題なんだけれども、コストが合わないからだれもやらない。

 実際ありますのは、下刈りが一ヘクタール当たり八万円から十万円程度、今お金が出ていますね。それから、間伐や造林は、事業費の六八%を出す、これに市町村が上乗せをするということで今やっているわけでありますけれども、やはり、特に私有林を持っている人たちは、これではちょっと厳しい、もうちょっと上乗せしてほしいという声をたくさん聞かせていただきました。

 それで、再生プランの一つの問題は、間伐の補助は、集約化施業、搬出間伐、これをやったもののみが対象となるということになると、急傾斜地で集約化しろといったって、これは難しいんですよ。林野庁に説明を聞くと、あっちとこっちとこっちとこっちとこっちで集めて一個でいいですよと言うけれども、そこをつなぐ道がないんですね、現実には。ですから、ここもぜひ与党の中で御検討をいただきたいというふうに思います。

 それから、もう一つ問題にしたいのは、いわゆる森林整備加速化・林業再生事業、これは自民党が最後につくった政策で、三年間の事業なんですけれども、これは一千二百八十億でずっとやってきました。

 これは民主党が、皆さん方いつもおっしゃるように、地元の裁量権を生かせる、基金をつくって、地元が自分たちのやりたい森林施業ができる、これはすばらしい制度だと私は思っています、金額的には若干不満がありますが。これが切れてしまうわけですよ。ですから、大臣、これを、名前を変えてもいいですから、自民党の名前が残ると気分が悪ければ名前を変えても結構ですから、内容は残してください。やはり来年の予算編成を考えると、当初予算でこれを確保するのはなかなか厳しいんじゃないかなと私は予想するんですよ。となると、今度の補正予算、三次補正、ここでやはり押さえてほしい、必要な額を。押さえてほしいな、これは私のお願いです。

 そして、民主党さんは、自給率五〇%。目標を掲げることは大変結構ですよ。別にけちはつけません。鳩山さんは、CO2二五%、国際公約されました。これを実現するのであれば、それに見合うだけの政策とお金の裏づけがなきゃだめじゃないですか、結局のところは。ですから、私は、この民主党の政策を実現するんだったら、自民党に倍する三千億、加速化プランで、ぜひとも補正で押さえてほしい。五千億ならもっといいですけれどもね。それぐらいないと、公約は守れませんよ。

 ですから、このことについては答弁は求めませんが……(発言する者あり)求めていいですか。時間が足りないんですけれども。では、簡単に御答弁をお願いします。

鹿野国務大臣 今江藤先生からの御指摘の森林整備加速化・林業再生事業というふうなものにつきましては、過般、七月十二日から十三日に秋田県で行われた知事会でも、東北六県から緊急アピールとして出されて、それを支援していこう、こういうようなことが打ち出されたということも承知をいたしております。

 今御指摘のそういうことも踏まえて、私どもとしては、非常に大事な森林・林業の再生というふうなものをこれからも一歩一歩具体的な形で進めていかなきゃならないということを考えた場合に、これまでの基金の成果ということをしっかりと踏まえて、そういう形でどういう施策を引き続いて行うことができるかというふうなことも検討していかなきゃならない、こういうふうに考えておるところでございます。

江藤委員 もうこのことについてはこれ以上申し上げませんが、ぜひ、腕の見せどころですから、補正でばちっと押さえるということをよろしくお願いします。

 それでは、本題でありますセシウムの方、特に牛について集中的にまたやらせていただきたいと思います。

 先週水曜日も質問に立たせていただきましたけれども、十分な回答をいただけなかった点とか答弁に納得がいかなかった点について、繰り返しになりますが、聞かせていただきます。

 質問の翌日、二十八日、福島県の郡山に部会長と一緒に行ってまいりました。来てくださいと言われて行ったんですよ、今回の場合は。行って、そこで、郡山市の生産農家の方々、いろいろな方々、もちろん畜産農家も見てきたわけでありますけれども、涙が出ました、正直言って。八百キロですよ、牛が。すばらしい牛ですわ。しかも、血統を見ると、福桜、安平。宮崎ですよ、血統が。

 そういう牛が、いわゆる本当の出荷適齢期になっているのに、とめ置かれている。そういう牛にビタミンを打つということがどういうことを招くか、わかるでしょう。肉質が落ちるわけですから。それでも、牛のことを考えてビタミンを打たざるを得ないと残念そうに言われていました。そういう姿を見て、もうこれは一刻の猶予もないなと。先ほど民主党の委員からも御指摘ありましたけれども、急がないと。一刻の猶予もない、これは一日でも早く対策を実行に移さないと大変なことになるというふうに思います。

 ですから、これから質問に入らせていただきますけれども、いっぱいありますので、簡潔明瞭によろしくお願いいたします。

 責任の所在、それは余り問題じゃないというふうに先ほど民主党の委員は言われましたけれども、別に、大臣、責任をとってやめてくださいとか、そんなことは私は一言も言っていませんよ、今まで。一言も言っていない。ただ、国が責任を負うから財政支出をするのだと。国の税金を使うんだから、国の税金を。国民に説明ができるためには、やはり責任の所在というのは明らかにする必要があるんですよ、あらゆる施策を実行する上で。別に、責任をとって大臣、副大臣、政務官はみんなやめろとか、そんなことは私は一回も言っていないじゃないですか。そこのところは履き違えないでいただきたいと思います。

 先週の質疑において、枝野官房長官の発言についていろいろ言いました。簡単に言えば、あれはどう見ても政府の責任を明確に認める発言ですよ。それに対して鹿野大臣は、その私の質問に対して、冒頭では、「東京電力に賠償責任がある」というふうに御答弁されましたね。当たり前の御答弁であったけれども、四十五分の時間の中でだんだん口調が変わられました。真摯な御答弁をいただけましたので、後で触れますけれども、そういうことについては私は非常にありがたかったなと思っております。

 私は別に東電の肩を持とうなんという気は全くありません。一番悪いのはやはり東電だというふうに思っておりますし、天災もありますけれども、最終的に責任を負うのは東電であることは私も同じ気持ちであります。

 しかし、仮払いが遅いんですよ。遅い、とにかく。賠償の仮払金はまだ六百十億でしょう。全体の一割ですよ、一割。たった一割しか払われていない。もう現地の人たちは、はらわたが煮えくり返って、意見交換会が生産者同士のバトルになる、そういうような意見交換会になりました。前回も言いましたけれども、間接的に汚染された稲わらを食べてしまったということであれば、これはやはり国の失敗ですよ。失策ですよ。ですから、国がやはり責任を認めるべきだと私は思います。

 その上で、筒井副大臣から御答弁をいただいたわけでございますけれども、原賠法の三条一項、もう読みませんけれども、これで支払いを拒否したらどうするんだと私が質問をしましたら、副大臣は、これは議事録そのままですけれども、「今度の原発事故は該当しないですよ。」「だから、そこの問題ではない」と。弁護士御出身でありますから法律には明るいのはよくわかりますけれども、随分はっきり物を言われたなと思いますけれども、それは間違いない、発言には責任を持てますか。

筒井副大臣 この前も申し上げましたから、時間が余りありませんが、簡単に要約して。

 三条一項ただし書きに該当すれば、東電の責任は免除されるわけでございます。しかし、政府はこの原発事故の当初から、第一義的な責任は東電にある、これは繰り返し表明してきたことでございまして、その表明自体が三条一項ただし書きに該当しないということになるわけでございますから、私自身の独自の解釈で言ったわけではなくて、政府のそういう表明からそう申し上げたわけでございます。

江藤委員 わかりました。弁護士としての私見ではないということでございますね。政府の見解であるということですね。ということであれば、非常に望ましいことであります。

 しかし、私は、これからいろいろなことが起こってくるんじゃないかと思うんですよ。二十分浴びたら死んじゃうようなセシウムが検出されたとか、ダクトのところからまた漏れたとか、どんどん状況が変化している。鳥取県あたりまで全頭検査をしようとしている。もしかしたら、九州もすると言い出すかもしれない。そういう状況の中で、やはり東電を守ろうという勢力があることもこれは間違いないでしょう、銀行を中心にして。株主もそうでしょう。経産省もそうかもしれない。

 そういう状況の中で、あらゆる最悪の状況を、楽観的、多分そういう蛮勇は振るわないだろうという見地に立って政治を動かすのはやはり私は危険があると思います。例えば、株主代表訴訟とかそういうものを東電の株主から起こされたときに東電がどう出るか。私は法律の専門家でも何でもありませんからよくわかりませんけれども、しかし、余り断定的に物を考えられない方がいい。そういうことも起こり得るかもしれない、それが危機管理だということを私は指摘させていただきたいと思います。

 それから次に、枝野さんの発言についてもう一度筒井副大臣にお尋ねをいたしますが、この発言の真意についてお尋ねをしたときに、こう答弁されているんですよ。農林省としては、屋外に出していた稲わら等のえさに関してはこれは給与するな、こういう通知を出してきたわけですがと。出していないじゃないですか。これは間違った答弁ですよね。稲わら等なんということは書いていないですから。これはもう全く答弁ミスですね。議事録から削除するなりした方がいい。

 それから、農家に届いていなかったことについて、農水省に責任があると。都合のいいときだけ役所の責任ですか。政治主導でしょう。やはり政務三役で責任をとってくださいよ。やめろとか言っているんじゃないですよ。農林省に責任がある、こういうときだけ政治主導から逃げるのはずるいやり方だなというふうに私は思いますね。

 問題はそういうことじゃなくて、何度も言いますが、三月十九日に出した通達に稲わらという文言が入っていなかったことが問題で、大臣も言われましたけれども、インターネットのホームページに載せたとか、そういう問題ではないのであります。枝野官房長官と副大臣、大臣でも結構ですけれども、ちゃんとこの発言の真意について、内閣の中で、枝野官房長官、あなたはどういう意図でこういう発言をしたのというようなすり合わせというか議論をされたんですか、お聞かせください。

筒井副大臣 江藤先生おっしゃるとおり、稲わらという特定した通知はなかったこと、これは事実でございます。そのことは否定したことはないというふうに私は思っております。

 それから、農水省、農林省の責任であると言ったのは、これはまさに政務三役がその中心、先頭でございますから、その政務三役を含めた農林省、こういう意味でございます。

江藤委員 わかりました。そういう覚悟でやってください。私は、筒井副大臣のことは、委員長時代から非常に尊敬している大先輩でありますので、余り本当はきついことは言いたくはないんですけれども。

 さらに続けさせていただきます。

 先ほども言いましたけれども、三月十九日の通達に対しては、まず、稲わらがペーパーに明記をされていない。このペーパーをつくった論拠というのが、稲わらを食べない乳牛であった、乳牛であったと。そして、大臣、山形でしょう。山形は雪深いですよね。春わらの存在を大臣が知らなかったとは、私は到底思えない、到底思えない。これはやはり、政府、農林水産省全体という意味でもいいかもしれませんが、政府の責任は明確ですよ。

 そして、鹿野大臣は、先週、私がいろいろ厳しいことを申し上げました。そうしたら、大分言いっぷりが変わりました。非常に真摯でまじめな方だなというふうに私思ったわけでありますが、どうおっしゃったかというと、「結果として通知が徹底していなかった、周知されていなかった、」、このことを認められました。そして、稲わらという文言が入っていなかった、確かにそのとおりだとおっしゃいました。今まではこのような状況でも通用することが通用しなかったと。これはよく意味がわかりません。これはよく意味がわからないんですけれども、今までの既定概念というものは取り除いて今後の行政というものを進めなければいけない、これはそのとおりであります、そのとおりであります。

 これは政府の責任を認めた発言だと私は受け取ったんですよ、そのときに、大臣として。質問をしたかいがあったなというふうに私は思ったわけでありますけれども、しかし、ここでさらなる問題提起をしておきたいと思います。

 三月十九日の通達以前、牛は当然その間も稲わらを食べているわけですよね、毎日食べますから。この牛はどうなるんですか。三月十二日に水素爆発が起きたときに、政府は格納容器も圧力容器も健全だ、そう言っていたじゃないですか。だったら稲わらを食わせますよ、健全なんだから、放射能漏れはないんだから。しかも、メルトダウンも認めていなかったでしょう。

 東電が隠ぺいしたんだ、東電が悪いというふうにおっしゃるかもしれませんけれども、これはやはり十九日のことにもさかのぼって検証する必要が私はあると思います。東電のみに責任を押しつけるのではなくして、東電より一歩先に、国が、生産者や現地で本当に困窮されている、次のえさ代が払えないと言っている方々に対して手を差し伸べる、そのことが大事だというふうに思いますが、大臣、いかがですか。

鹿野国務大臣 結果といたしまして、まさしく今日のような状況に至ったというふうなことについては、農林水産省といたしましても、私自身、委員会におきましても御答弁を申し上げたところでございますけれども、例えば、一つ今御指摘いただきました「サイレージなど」というようなことの通知を出したわけでございまして、今までならば、その「サイレージなど」ということで、稲わらもそこに含まれるんだというふうなことでおとりいただくことができるんじゃないか、そういうような認識で今回もこの通知をしておったというようなところ。

 ところが現実的にはそういう具体的な文言がなかったというようなことから、周知徹底しなかったという現実を踏まえた場合は、やはり、既定概念というふうなものを取り除いて、そして新たな、これだけの大震災そして原発の事故に対応するには、もっともっとわかりやすく詳細にあらゆるルートを通じて通知、周知徹底するということの必要性を感じながら、私どもといたしましては、今日の状況というものを真摯に受けとめて、そして生産農家の方々、消費者の信頼を回復するためにというようなことで全力を挙げていかなきゃならない、そういう考え方に立っておるところでございます。

江藤委員 大臣のおっしゃるとおりなんですよ。私はこの間の予算委員会でも、BSE、口蹄疫、鳥フルも含めて、過去の事例に学んで、その教訓が生かされたんですかということを菅大臣にお聞きしました。菅さんは無視しましたけれどもね、あの人は関心がないみたいです。でも、大臣は真摯に御答弁くださいました。

 では、参考までに申し上げますけれども、過去のいわゆる経験は参考にならないかのようなことをおっしゃいましたけれども、例えば平成十三年に発生したBSE、十月三日には、スクリーニング検査、これはいわゆる全頭検査ですよ、これを実施の決定をして、十月十八日から一斉に実施をしました、一斉実施。九月十日の一例目の確認から、わずか二十四日後ですよ、二十四日後。これが平成十三年にはできたんですよ。

 それで、これについては周知も徹底しました。各都道府県と政令市長にあてて「BSEスクリーニング検査の実施について」というペーパー、ここに持っていますけれども、これを出しまして、十月五日それから十月十二日現在の検査体制がどうなっているのか詳細に報告をしろと、二度にわたって督促をしているんですよ。厳しく、漏れがないように。

 これが周知徹底というものです、これが周知徹底というものです。今までのものが通用しなかったんじゃないんですよ。BSEの経験を生かせば、こんな失態はなかったんですよ。そこはちょっと勘違いをされないでいただきたい、指摘にとどめさせていただきます。(発言する者あり)そうですか、余り優しいと思いませんけれどもね。

 それでは、融資の話を先にします、時間が厳しくなってきたので。融資の話を、先ほども民主党の委員が現場の声を届けてくれました。非常にまじめによく勉強している、非常に立派な委員だと思いますよ。

 七月二十七日、本委員会で鹿野大臣に私がこの件を質問したときに、融資及び貸付金の償還猶予が行われるよう要請をいたしましたというふうに御答弁をされましたね。それは結構です。そして、私は金融庁から政務官を呼んで、和田さんですけれども、同じような質問をしたわけでありますが、そうすると話がごろっと違う。彼が何と言ったかというと、新しく事業資金を供給するということはなかなか難しい、なかなか難しいと。私が、モラトリアム法案のときでさえも罰則規定はなかったでしょうと言えば、そのとおりだとうなずいていましたね。

 アメリカでは、何とかデフォルトは避けられたようですけれども、格付は下がりますよね。円高でしょう。日本の銀行もアメリカ国債を持っていますね。そうなると、自己資本比率は下がりますよ。そうなってくると、銀行はますます自己防衛のためにタイトになる、新規融資に対して慎重になる。

 だから、本当に頼りにならないんですよ。よっぽど厳しく督促をして、金融庁とも足並みをそろえてやらないと、本当にお金が必要な人が、そこで再建、再興しようと思っても、これは農業に限った話ではありません、このままでは自己資本比率が下がって自分の銀行が危ないから金は貸せません、そういう話も、アメリカ経由で日本にも影響の来る話ですから、このこともぜひ念頭に置いて私はやっていただきたいと思います。

 さらには、まとめてこれは聞きますけれども、福島県は独自に、今回の放射性セシウム問題で、法人に一億円、個人には五千万を上限に無利子の融資をやることを決めました。はっきり聞きました。国や東電を待っていられぬ、後で怒られてもどんどん先に我々は進ませてもらうということだそうであります。

 また、福島県以外でも、同じように独自の融資制度を設けようとしているところがあります。こういうところについては、後々はやはり国が面倒を見るということをしないと、県が勝手に決めたことであるから知らぬよということでは余りにも冷たいと思いますので、この二点についてまとめて御答弁をお願いします。

鹿野国務大臣 前段の件につきましては、七月二十七日に委員から御指摘をいただきました。実態が、私ども農林水産省といたしまして金融機関に要請をしたこととは全く違う、こういうようなことの御指摘もありました。

 そこで、私自身も、委員からの御指摘を受けまして、二十九日でございますけれども、自見金融担当大臣の方に、農林水産省としては今日のこの状況というものを踏まえて金融機関に要請もしているけれども、もう一度、担当大臣としても、担当大臣の管轄下にある職員の人たち、それから金融機関に対して、今日の状況というふうなものにおいて弾力的に取り組んでもらうようにひとつぜひお願いをしたい、こういうふうな要請もさせていただいたところでございます。

 後段の件につきましては、私ども、県や農協の資金対策に対する国の支援につきましてですけれども、新マル緊事業におきまして、七月以降、補てん金の支払いを三カ月ごとから毎月の支払いに変更するなどの運用改善によりまして、少しでも早く農家の手元に届けるように対応をしておるところでございまして、今日の資金繰りの悪化というふうなものを踏まえて、具体的ないろいろな仕組みというふうなことにつきましても、これからも考えていかなきゃならないことだと思っております。

江藤委員 内閣として、再興を目指す意欲のある方には多少のリスクをとっても融資が行われるというような体制でぜひ臨んでいただきたい。そうしないと、トヨタも赤字転落じゃないですか。国内生産はもう限界に達しているという記者会見をきのうテレビで見ましたよ。こういう状況下にあっては、今本当に資金を供給できなければ空洞化します、特に東北は。雇用も失われて、農業もだめになってしまって、畜産もだめになってしまって、どうやって生きていくんですか。ですから、亀井先生の言葉をかりれば、まなじりを決して、ぜひ頑張っていただきたいというふうにエールを送らせていただきたいと思います。

 先ほどのマル緊の話は、ちょっと別の話ですよ。私は、独自に県が融資制度を設けてやったのであるから、それについては特交内で面倒を見てくれという話をしたわけであって、もう再度答弁は求めませんけれども、マル緊はマル緊でまた後で時間があれば聞きます。

 それでは、政府から三つの緊急対策が出ました。この二番目。緊急対策では、農業団体が、出荷制限の政令を発令された県の肥育農家に対して一頭当たり五万円。この五万円がいかにしょぼいかという話は、先ほどももう与党の委員から御指摘がありました。はっきり言って、一頭五万円、全頭に出ても三カ月分のえさ代にしかならない。

 私が郡山で会った大規模農家、親子でやっていましたよ。すばらしい牛をつくっていました。次のえさ代は払えません、江藤さん、今月は何とかかんとか、えさ業者も苦しいから払いましたけれども、次はよう払えません、どうしたらいいんですかと。これはもう本当に切実ですから。この五万円は、郡山では評価されておりませんでした。逆に、私は与党議員でないのに怒られましたから、何だこれはということで。

 我が党を初め野党五党が共同で提出した予算五千億、これは御賛同いただいて感謝をしております。まずは、損害額の五〇%以上を仮払いする、五〇%以上ですね。状況に応じては六五になるかもしれない、七〇になるかもしれない、そういうような制度になっております。これは二十九日に成立した法案でありますけれども、この間の委員会で、仮払い法案が成立する予定なのに、なぜ牛だけ別枠で対策を講じるんですかという質問をしましたら、筒井副大臣が御答弁に立たれました。そのときには、これは当面の対策だ、当面の対策なんだと。仮払い法案が成立した段階で新たに検討するというようにおっしゃいましたね。

 先ほど民主党の委員も同じような質問をされましたけれども、この政策は、いずれ内容は与野党の筆頭間でも国対間でも協議をするにしても、成立することは早い段階から政治家ならわかっていました。そして、もうきょうは五日目ですよ、五日目。先ほど政務官が御答弁をされていましたけれども、全く納得のいく内容じゃありません。もう五日もたっているんだから、例えば、百歩の道があるとすれば三十歩ぐらいは前に進んだ、そういうような報告はいただけませんか。大臣、副大臣、いかがですか。

筒井副大臣 これも先生おっしゃるとおり、成立をいたしました。公布後四十五日に施行される。公布がまだされていないというふうには聞いております。

 ただ、施行日も間もなく来ることも確かでございますし、今の畜産経営の実態が非常に、極めて厳しい状況でございますから、そのことを、先生がおっしゃるように、多少のリスクは負担してもきちんとした対策をとらなければいけない、これもまさに同感でございます。

 そして、今先生から言われました緊急対策、評価されていない緊急対策。これはあくまで緊急対策でございまして、それを拡充した対策を今まさに検討中でございまして、これは施行日を待たないで何とか早急に出していきたいということを、一生懸命、今、関係各省とも協議しながら、農水省として検討しているところでございます。

江藤委員 副大臣、頑張ってください。ぜひ頑張ってください。

 さっきも言いましたけれども、次のえさ代が払えないんですよ。例えば、千頭規模で肥育をやっていたら、一カ月で人件費を入れて六千万ですよ、出ていく金が。あっという間につぶれちゃいますよ。つぶれてしまうんですよ。再生不可能ですよ。今までずうっと、この牛づくりというのは技術ですからね。これはたくみのわざなんですよ、和牛のいいのをつくるというのは。これを守るためにも、一日でも半日でも早くおまとめいただくようにぜひお願いをしたいと思います。

 それでは、三つ目、緊急対策の柱のうちの次の、五万円の別枠がありますね。肉用牛肥育農家支援対策、これはマル緊ですけれども、マル緊は、先ほど大臣から御説明いただいたように、四月、五月分は分離して、前倒しをして七月分にお支払いをいただきました。これはよかったです。これはよかったと思います。思いますが、ただ、この運用を福島県に限るのはいかがなものかというふうに私は思うわけであります。汚染された稲わらに影響を受けた、それで枝肉の価格が下がったのは、別に福島県に限ったことではありませんので、下がったすべての県、ちゃんと調査をしてこの対象とすべきだと考えますが、大臣、御見解を求めます。

筒井副大臣 これも先生おっしゃるとおり、福島県に限る合理的な理由はないと考えておりますから、他の県にも同じような対処をして補てんをしていきたいというふうに考えております。

江藤委員 ありがとうございます。

 宮崎でも、Aの4で千六百八十円とか九十円とか、千七百円を切るぐらいまで下がっちゃっているんですよ、南九州でさえ。ですから、そういうお言葉をいただければ、非常に、もう、宮崎、鹿児島あたりの肥育農家も今困っています。肥育農家の経営が困窮すれば、繁殖農家の牛を買えません。子牛の値段も暴落する、悪循環ということでありますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 では、緊急対策についてさらに御質問をさせていただきます。

 汚染された牛肉を民間の食肉流通団体が買い上げる、これはALICが利子補給をするということにスキームはなっておりますけれども、国産牛肉信頼回復対策と、名前は大変立派な名前がついております。

 先ほど与党の委員からも、三千頭分全部買った方がいいという御指摘がありました。これは、汚染された牛肉に限らずにやった方がいいんじゃないかと私は思うんですよ。BSEのときは思い切ってやったわけですから。この際、希望するすべての牛について買ってほしい。原発事故前の適正な価格、これは口蹄疫のときの査定基準を適用すればすぐ価格は出ますので、これを適用していただいて買い上げる制度の新設をすることが、やはり最終的には、先ほども何度も言われる、消費者の信頼回復につながると私は思うわけであります。

 さらに、福島県のように、国の買い上げ対象外の牛に対しても独自に買い上げる対策を講じているところがありますよね。私は英断だと思いますよ、いろいろ御批判もあるかもしれないけれども。こういう場合も、先ほどの一億の法人枠、五千万の個人枠と同じように、次年度になるかもしれませんが、国の財政支援をしてあげるというような御答弁をいただけませんか。御答弁を求めます。

筒井副大臣 今二つの問題を先生は言われたと思うんですね。

 一つは、流通過程にある牛肉について、先生の今言われたことを理解した中身としては、流通過程にあるもので黒になったもの、これは買い上げ当然である。まだ未検査のもの、それから白になったもの、これも含めて買い上げるべきではないかと。ただ、一言言われました、白になったものについては希望があればということを言われました。業者が自分で売るという場合は、そういう希望の場合は別であるという趣旨に理解いたしましたが、そういう御提言を踏まえながら、先ほど言った新たな対策を検討させていただきたいというふうに考えております。

 それからもう一つ、福島県の独自の措置について協力すべきであるというふうに先生から言われました。出荷時期が来た牛の生体について買い上げる等の、福島県独自の措置をとるというふうにお聞きをしております。これに関して、国としても最大限協力していく、その方向で今は検討させていただきたいというふうに考えております。

江藤委員 ありがとうございます。

 余りこのことに触れるつもりはなかったんですけれども、外部被曝については検査ができるけれども、内部被曝については割ってみないとわからないじゃないですか。それが同じ屠畜場で処理されるわけですよ。このことについては、やはりこれ以上は言いません、かえってやぶ蛇になる可能性がありますので。

 ですから、このことについても消費者の信頼を損ねないように、きょうは時間がないので厚生労働省もあえて呼びませんでしたけれども、よく考えていただかなきゃいけないので、牛については全部買った方が、よりセーフティーネットとしては確実ですよ。私は希望する人と言いましたけれども、現実問題はみんな希望しますよ、適正価格で買ってくれるのであれば。それは、買ってくださいと言う人の方が私は多いと思います。

 それで、さらに緊急対策についてお尋ねをいたします。

 稲わら等の緊急供給支援対策、この間の委員会でもおっしゃいました、現物支給を行うと。このことについて、けちをつけるつもりはありません。ただ、具体性に私は非常に疑問を持っているんですよ。

 大臣、この日本国で稲わらが年間どれぐらい必要か御存じですか。細かくは知らなくてもいいです、大体百十四万トン必要なんですよ。これは自給できていないんです。耕畜連携を進めてまいりましたけれども、大体中国から年間二十万トン輸入をしないと、稲わらはだめなんです。北海道にあるなんという話があるけれども、全部コンバインで切っちゃって、すき込んじゃって、もう来年は間に合いませんからね。

 国が買い上げる、全国シェアの一五%を占めているところに稲わらを持っていくということになると、ほかの県の肥育農家の人たちにしてみれば、おい、今三十円から四十円ぐらいで稲わらの価格は推移しておるが、稲わらの流通価格が上がっちゃうんじゃないかというふうに大変心配をしているわけです。その部分についても、これはまた間接的な被害じゃないですか。今まで三十五円で買えていたものが四十五円じゃなきゃ買えなくなった、たまったものじゃないですよ、飼養頭数が多ければ多いほど。

 このことについては、与党内で御検討されていますか。御答弁を求めます。

筒井副大臣 稲わらにつきましては、今、北海道、九州を中心に、稲わら代替飼料として約一万トンほど供給できるというふうな段階に来ているところでございます。(江藤委員「一万トン」と呼ぶ)ええ、一万トンではもちろん少ないことはわかっておりますので。しかし、現時点では、その範囲を何とか供給できるという体制には到達をいたしました。

 残りの分に関しましては、輸入の粗飼料、稲わらに代替する粗飼料、毎年約七十万トンほど輸入をしているわけでございますが、ことしもきちんとその輸入体制も整えていく、これを今取り組んでいるところでございまして、これもほぼできるのではないかという状況に至っております。(江藤委員「価格が上がっちゃったときは」と呼ぶ)

 粗飼料に関しては、緊急対策で現物支給という……(江藤委員「いや、ほかのところで普通に買っている人たちの価格が上がっちゃったときは」と呼ぶ)それについては検討させていただきたいと思います。

江藤委員 これは、今、畜産経営はどこもぎりぎりですから、キロ当たり五円上がるというのは大問題なんですよ、大問題なんです。ですから、早急に、上がった部分については別枠で対策事業を設けるなり、そういう御検討にすぐ入っていただくようにお願いをしておきたいと思います。

 もうあとちょっとしかないんですけれども、まだいっぱいありますが、全頭検査について私もちょっと聞かせていただきます。先週聞くことができませんでしたので。

 どこの地区に行っても、郡山市でもそうでしたけれども、全頭検査してくれという声。いわゆる集会には、私は民主党支持者ですとはっきり言う人もいるんですよ。自民党支持者だと言う人もいるし。でも、異口同音にどの人も、全頭検査をしてくれという意見は統一されていました。同じでした。まさに党派を超えてでございます、これは。ですから、これはやはり、現場の声を大事にするのが農政の基本ですから、全頭検査が必要だなというふうに思います。

 二十九日にこの意見交換をしたわけでありますけれども、宮城県や福島県を初めとして、六県ではもう自主的な検査を始めていますね。しかし、汚染された稲わら、それを使用していた農家が十六道県に及んでいるわけであって、中には、検討中だ、全頭検査する予定はないと。ばらばらなんですね。これでは非常に問題が出てくると私は思うんです、今後。

 というのは、この間の山形の競りを見てもわかるように、証明書がついたらいきなり二千六百円でしょう、A5が。セシウムフリーだったら高くなる。まあ、私がつくった言葉ですけれどもね。安全証明がついているものは安心して消費者は買ってくれる。でも、していないところは逆によける。もっと言えば、国産牛は怖いので外国産のものにしようということになると、また枝肉価格がどわんと落ちるかもしれない。そういうことを私は大変心配するわけであります。

 ですから、最終的に全国で全頭検査が必要だというふうになると、これはなかなか機材とか人材とかで大変なのはわかります、わかりますよ。すぐに調達しろといったって、それは難しいのはわかります。でも、せめてこの十六道県については、国がミスったわけですから、全頭検査をやりましょうというふうに決断されてはいかがですか。御答弁を求めます。

鹿野国務大臣 それぞれの県におきまして、どういう判断に立たれるかというふうなことを踏まえながら、県とも連携をとって判断をしていく、こういうふうな考え方に立っておるところでございます。

江藤委員 なかなかお答えが、きょうはこれぐらいでいいですけれども、また改めてお聞きをします、次の委員会で。

 検査機器の財政支援、これをしないと、高いからなかなか進みませんよ。全頭検査しろ、全頭検査しろと言ったって、進みません。終了のペーパーが来てしまいましたけれども、最後に一つだけ言わせてください。

 先ほどから申し上げているのは、やはり国の責任は明確だということでありますから、四千五百万だとか簡易検査だとか箱の外から検査できる機械があるとか、いろいろ民間の企業も努力をして、いろいろな機械が今、農林省で検討も進んでいるようですね。ですから、こういったものの導入費、これについてはぜひとも国の支援をあわせてお願いしておきたいと思います。

 あと、堆肥の問題とか、いろいろお聞きしたいことはありましたが、時間でありますので、これで終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

山田委員長 次に、伊東良孝君。

伊東委員 おはようございます。

 それでは、私は、本日三点についてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。一つは水産漁業問題、一つは捕鯨問題、一つは今のセシウム汚染牛問題であります。

 まず、漁業問題から入らせていただきたいというふうに思います。

 北方領土の隣接地域であります、そしてまた世界遺産でもあります知床半島のつけ根に位置する羅臼町というところは、現在人口約六千人の、小さな、漁業と観光の町であります。これが、北方領土の四島の中でも二番目に大きい国後島のすぐ前でありまして、羅臼の町から目の前に国後島があるわけでありますが、距離にして約二十六キロであります。日本の船がこの国後島に近づくということはなかなか難しいことでありまして、中間ライン十三キロのところを超えると銃撃あるいは拿捕が待っている、こういうことになるわけでありますから、そう簡単なところではありません。

 しかし、この羅臼町はもともとが水産漁業の町でありまして、昭和五十年代から、底魚を初め良質のスケソウダラあるいはカレイ等々、イカなどの資源に恵まれておりまして、その豊富な漁獲量が水産加工業を潤し、これまた町を潤してきたわけであります。道内でも今も有数の漁港であります。

 このスケソウダラが、二百海里以降、羅臼の方が大変に漁獲が順調に推移いたしまして、船の近代化等々もあり、漁獲を伸ばしてまいりました。スケソウダラというのは、単なる、いわゆるすり身の材料になったりタラコの原料になったりということだけではなくて、その時期時期、とれる場所、特にこの根室海峡付近は良質な魚卵がとれるということで大変な人気のある、また価値のある魚として全国からも引き合いがたくさんあったところであります。

 しかし、ロシアは、それをずっと見ておりまして、これは我々も黙っているわけにはいかないといって、羅臼の、日本側の船は小さな船ばかりでありますけれども、ロシアは大型トロール船を繰り出して、年間百数十隻から、少ないときでも五、六十隻、七、八十隻のトロール船を出して、乱獲に近い、相当な、これは着底トロールでありますから、海底の地形が変わるほどの、いわゆる根こそぎ漁法ということで底魚をとっているわけであります。

 これによりまして、ロシアのトロール漁船の操業とともに、この地域、海域での漁獲資源が恐らく減少してきたのでありましょう、羅臼のスケソウの水揚げ高も相当落ち込んできているわけでありまして、過去には十数万トンあるいは二十万トン近い水揚げがあったものが、今はせいぜい一万トンそこそこというような数になっているわけでありまして、自然回復はなかなか資源的には難しいだろうと近年言われているわけであります。このままロシアのトロール漁船が操業を続けるとこの海域のスケソウ資源はもう本当に壊滅するだろう、こう言われているところでございまして、羅臼町、この管内の、あるいは根室管内、さらにはまた釧路管内の加工業者の皆さんも、本当に、危機感と同時にまた困り果てているのが現状でありました。

 これまで何回も何回も水産庁に関係者が要望し、あるいは議会での質問もあったところでありますけれども、これまで、農水省として、このロシアのトロール漁船に対するいわゆる操業停止を求める、あるいは規制を求める、こうした働きかけがどのようになされてきたのか、お伺いをしたいと思います。

筒井副大臣 日本の小型漁船、そしてロシアの大型トロール漁船、これが同じ場所で操業している、先生のおっしゃるとおり、日本の小型漁船に対する被害、漁具を含めてたくさん発生している、そして、まさに一番の問題は、資源が減少甚だしい、こういうふうな問題が起こっているわけでございまして、これに関しまして、日ロの協議の場所で、日本政府、農水省・水産庁として、何回もそれらに関する対策を強く要請しているところでございます。

 ただ、今のところ、ロシア政府側からは、漁獲可能量の範囲内で操業しているという回答と、漁具の被害に関しては、そういう被害を起こさないように、ロシアの漁船の方に指導を徹底している、こういうふうな回答がある、こういう段階で、完全に解決していないわけでございまして、これは、さらに引き続いて、外務省等々とも連携をしながら、強く要求を出していかなければいけないというふうに考えているところでございます。

伊東委員 副大臣のお話でありますけれども、このロシアのトロール漁船の操業が始まったのが昭和六十三年からでありますから、もうことし二十三年目を迎えているわけであります。

 この間、もちろんロシアの言い分は、TACの範囲内でとらしているというだけのことでありましょう。しかし、現実には漁獲量は大幅に減ってきていることは、これは事実でありまして、やはりその数値を見せて、突きつけて、そして、漁業交渉というと、ロシア側から一方的に海域を指定され、あるいは漁業協力金を取られ、さらにはまた、場合によっては銃撃され、拿捕され、そんな形の中で一方的に日本の漁船が、それも北海道の、いわゆる北方領土の隣接地域の漁民が苦労しているわけであります。

 もともと我が国が我が国の領土として主張しているところでありまして、そこでロシア側の一方的な言い分による漁業交渉が行われている中での、我が国の、これはささやかな主張ではないかというふうに私は思うわけであります。もう少し、これはもうあらゆる面で言えることでありますけれども、我が国の不利益になっていること、あるいは危険性のあること、さらには被害を受けていること、今、安全操業の、漁具、漁網被害のお話も出ましたけれども、こうしたことも含めて、二十三年たっているわけでありますから、これが二、三年の話であれば、これまでロシア側の態度は変わっていないぐらいの話で、粘り強くやってくださいのような話になるわけでありますけれども、しかし、残念ながら、これは二十三年もたっていて何ら変わっていないとすれば、やはり交渉の仕方に問題があるのではないかというふうな気がいたします。

 この点、もう一度、今後のこともありますので、ロシア側に、きちっとした我が国の主張、そしてまた漁民の窮状を訴える、これをぜひお願いしたいと思いますけれども、この点、いかがでありましょうか。

筒井副大臣 同感でございまして、ただ、領土問題とも絡んで、そのために非常に長期化をしているわけでございます。なかなか、日本の側の要請、要求を理解してもらえないという現状が長く続いていることに対しては、本当に申しわけないことだというふうに思っているわけでございまして、もっとこの交渉を、外務省と一緒になって強化をしてやらなければいけないというふうに私も考えております。

伊東委員 今ちょっとお話も出ましたけれども、実は安全操業というのが行われているところでもあります。これは、北方四島周辺海域における、日本の羅臼漁協所属の小型船と、そしてまたロシアのトロール漁船が同じ狭い海域で競合する、あるいは同じ海域で操業するところでありまして、しばしばここで問題が起きるわけであります。日本の漁船の引っ張っている網に大型のトロール漁船の網をひっかけていく、この被害が、ここ十数年の間に四千四百万を超える被害が出ている。一向にロシアはこれに対する補償もおわびも何もないという状況にあるわけであります。

 この漁具被害、漁網被害に対する国の一定程度の補てんとか、あるいはまた、これらに対する要求、請求、こうしたものをしっかり政府としてあらゆる場面を通じてやはりやっていただかなければ、これはもう日本の漁民が泣きを見るだけの話であります。

 こうした点を含めて、今後、ぜひ、この安全操業における漁具被害、漁網被害等々についての政府としての補てんや、あるいはまたロシアに対する要求についてお願いしたいと思いますけれども、御見解をぜひお願いいたします。

筒井副大臣 ロシアに対する要求をさらに強めてしっかりやっていく、これは、何とかそこで取り組んでいきたいというふうに思います。

 漁具被害等に関する日本政府の方の補てんに関しては、ぜひ検討をさせていただきたいと思います。

伊東委員 大変ありがとうございます。ぜひ前向きに御検討いただきたいというふうに思います。

 また、農水省では、お聞きしますと、七月、つい先月までに、ロシア水域における適正操業に関する検討チームの会合を、本年の一月からたしか合計三回開かれたということでありまして、沖合底びき網漁業、サンマ棒受け網漁業、イカ釣り漁業、底はえ縄漁業の四漁業の管理措置について審議をされた、今後の方針をお決めになったということであります。

 これは、一つは、昨年の、北方四島周辺における日本側漁船のVMS、位置確認情報システムでありますけれども、この電源が切られていた問題、銃撃を受けた問題等々を受けて対策を講じられたんだろう、こう思うわけでもありますし、ことし春に発覚いたしました北転船による過剰漁獲問題にも対応するものだろう、このように思うものでありますけれども、この検討チームの会合による今後の方針というのはどのようなものになっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

筒井副大臣 おっしゃられました検討チームは、今まで三回にわたって開催をしてきました。その中で、操業日誌のきちんとした記録、その保管、それらの問題と、それから、今先生も言われました位置確認の問題、それから漁獲の検査の問題、これらをきちんと行うという方向が出されているわけでございます。

 次回の予定としては十月ごろになるかと思いますが、その時点で取りまとめを行う、そして、その取りまとめられた中身について実行に移していく、現在そういう予定でございます。

伊東委員 日本とロシアの間には、サケ・マス交渉を初め地先沖合交渉などなど、たくさんの漁業交渉があるわけであります。もちろん、貝殻島の昆布交渉もそうであります。モスクワに行ったり日本でやったり、さまざまなところでロシアとの交渉があるわけであります。

 日本側の主張もきちっとやはりこのとき訴えていく。一方的に入漁料あるいは漁業協力金をつり上げられる、それを何とか抑えようとする、さらに漁獲枠を何とか拡大しようとする、向こうはそれを削減しようとする、それももちろん大事なことでありますけれども、操業に関する安全、あるいはまた被害、さらにはまた大型のトロール船による乱獲に近い根こそぎ漁法、こうしたものに対する規制もあわせて、そうしたときに機会を見てしっかり訴えていただきたい、こう思うところであります。

 この点につきまして、鹿野大臣、お聞きになっていていかがでございましょうか。最後に、ひとつ決意のほどをお願いいたします。

鹿野国務大臣 長きにわたりまして、日ロ関係の漁業問題について、日本の国の考え方がなかなか思うように受け入れられない面もあるということは否めない事実でありまして、そういう中で、副大臣から答弁を申し上げたところでございますけれども、農林水産省といたしましても、いろいろな諸問題が惹起しているわけでございますので、そういう中で、気合いを新たにしながら、根気強く我が国の主張というものを受け入れてもらうことができるように、最善の努力をしていきたいと思っているところでございます。

伊東委員 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、続いて捕鯨問題に移らせていただきます。

 本年の二月に、南氷洋における鯨類捕獲調査が、シーシェパードの妨害によって帰国を余儀なくされました。それを受けて、幅広く皆さんの意見を聞く、そういう検討委員会を開催することとなったところであります。

 さて、先週でありましたが、検討委員会の中間取りまとめが出てまいりました。その冒頭には「検討委員会の趣旨」といたしまして、「鯨類捕獲調査を安定的に実施するため、幅広い意見を聴く検討委員会を開催する」、こうあるわけであります。しかし、中間取りまとめの最後の「まとめ」のところでは、「大きくは「毅然とした態度で継続すべき」との意見であり、少数の「国際的批判や費用対効果に鑑み縮小・中止すべき」との意見も出された。」大きくは、毅然とした態度で継続する、少数の意見の中に、国際的批判、費用対効果にかんがみ中止、縮小する、こういう話が出ているわけであります。

 今回の検討委員会は鯨類捕獲調査の安定的実施を前提に開催するとの説明を当初から我々は受けていたところでありますが、少数とはいえ、これは複数でありますけれども、縮小、中止の意見が併記されたということによりまして、日本政府はこの調査から撤退するために検討会の意見を利用するのではないかという大きな動揺が国内外に広がっている、このように聞いているところであります。

 当農林水産委員会では、平成二十年四月に、南極海鯨類捕獲調査事業への妨害活動に対する非難及び調査事業の継続実施に関する決議というものがなされておりまして、我々農林水産委員会としての結論は、従前と変わらず、SS、いわゆるシーシェパードの暴力に負けないために、調査を継続すべきという決意をかたくしているところであります。

 この検討委員会の意義は一体何だったんだろうか、このように思うところでありまして、検討委員会のこの取りまとめの結論を受けて、鯨類捕獲調査の継続実施について、今後農水省としてどのような対策を講ずるおつもりか、鹿野大臣にお伺いいたします。

    〔委員長退席、津島委員長代理着席〕

鹿野国務大臣 今委員からの御指摘の調査捕鯨につきましては、南氷洋の鯨類捕獲調査ということになるわけでございますけれども、このたび、御承知のとおりに、私自身の判断で、船団の安全というふうなものを優先して引き揚げを決断したところでございました。

 今後、どういう考え方で調査捕鯨というものをやっていくかというふうなことにつきましては、当然、引き揚げを決断した限りにおきましては、やはり有識者の方々の考え方というふうなものも、どういう視点からいろいろと議論していただくかということも大変重要だというふうに考えまして、検討委員会を設置いたしまして御検討していただいてきたところでございます。そういう中で、今委員からの御指摘のとおりに、安定的に調査捕鯨を実施していくためにどのようなことが必要かというようなことも、その中には、当然、主たるテーマとして御検討していただくということであったわけでございます。

 そういう中で、やはり、調査捕鯨というものを実施するためには安全性の確保というものが不可欠だ、これが大前提であるというふうな基本的な認識には違いはなかったわけでございまして、そのことを踏まえて、調査船の安全というものをどうやって守るかということに向けて、さまざまな措置のいろいろなことにつきましては関係省庁で検討しておるところでございますけれども、私自身も、過般、国土交通大臣にも要請をいたしまして、今後の取り組みにつきまして協力をしていただくように要請をしているところでございます。

 今後、このような状況の中で、検討委員会の取りまとめや、調査船の安全対策というものを踏まえながら、関係省庁ともさらに詰めながら、私ども農林水産省としての基本的な考え方を示してまいりたいと思っておるところでございます。

伊東委員 今、大臣がいみじくもおっしゃいました。この調査捕鯨の継続には安全の確保が不可欠、大前提だというお話であります。安全が確保された状態というのはどういう状態であるのか、また、調査捕鯨を実施しないことを含めて、かなり幅広く解釈ができる言葉だというふうに私どもは思うわけであります。

 大臣が決断した、ことし二月の調査切り上げにつきましても、乗組員の組合の代表は、危険だから帰してくれとは一言も言っていないと公式の場で発言されているようであります。大臣の判断で途中で切り上げをされたのだから、大臣は、どのような状態を安全が確保された状態、このようにおっしゃるのか、その基準をぜひお聞かせいただきたいというふうに思います。

鹿野国務大臣 船団の方々は、それだけの使命を負っておりますから、みずから引き揚げるなんということは決しておっしゃらないと思っております。その心意気というふうなものにつきましては、私自身も直接船団の方々から話を承りました。しかし、私は、私の立場として、船団の安全というものは、これは何より大事なことだということで判断をしたわけであります。

 安全対策の基準というふうなことは、もちろん専門的な分野からいろいろと検討していただくことでございまして、今、私自身の狭い知見の中でどうこうというふうなことではなしに、今後、船団全体としてどうやって安全を守っていくかということは、当然、各省庁とも連携をとりながら、そういう基本的な考え方を示していかなきゃならないと思っておるところでございます。

伊東委員 先ほど、大臣が国土交通大臣に要請されたと。これは恐らく、国交省所管の海上保安庁に対する巡視船の派遣を含めた安全確保策を要請されたんだろう、このように思うところであります。実際、相当ハードルが高い。これまでも、海上保安官を乗船させてきたのは何度かあるわけでありますし、有効な手だてが打てていないわけであります。

 海上保安庁につきましても、守ってくれと言われても、公海上、自分たちにどのような法的権限を与えられるのか、あるいは行使できるのか、また、巡視船派遣にかかる予算を、調査捕鯨を継続する間毎年確保するなんということになるんだろうか、さらにはまた、海上保安庁の目的は安全の確保であって調査の達成ではない、海上保安庁の指導に従った結果生ずる、副産物収入の、場合によってはその不足はだれが補うのか、こうした問題がいろいろ考えられるわけであります。

 海上保安庁の巡視船が派遣できない、だから、検討会報告書が言うように、また大臣が言うように、安全が確保できる状態ではない、だから調査をやめる、こんなことになるのであれば、これは農水省のいわゆる責任転嫁ではないか、このように思うわけであります。

 政府一体となって調査の継続に向けた努力をするのは当然でありますが、最終的には所管庁である農林水産省が予算措置を含めどう安全を確保するのかにかかっているわけであります。第三者的な警備船団、こうしたものが民間であるという話も聞いたことがあります。捕鯨船団にあるいはガードマンとしてつかせる、あるいは、農水省として、安全確保のために、さまざまな、もっともっと幅広い、海上保安庁だけではない安全確保策というのを検討すべきではないか、このように思うところでありますけれども、この点につきましてももう一度お伺いするものであります。

鹿野国務大臣 調査捕鯨を続けていくためには、安定的な形で続けていくというふうなことにおきましては、検討委員会のお考えにおきましても、安全対策というものが不可欠である、こういうようなことでございます。

 それを受けまして、先ほど私は申し上げましたけれども、国交大臣に対しましても要請をした、その内容につきましては控えさせていただきたいと思いますけれども、いろいろ具体的な形で、今後調査捕鯨を継続していく、やっていく上においてどういう安全対策ができるのか、そういうことを踏まえて、各省庁ともこれから連携をとりながら、御協力をいただくようなことも含めて今後取り組んでいかなきゃならないと思っているところでございます。

伊東委員 調査の実行方針あるいは警備方針が決まっても、船団を構築する調査体制がなくなってしまえば何にもならない話であります。シーシェパードはここら辺をねらっているのではないかと言われておりまして、過去の被害、相当額ありますし、あるいは途中切り上げによる損害があります。事業として継続できないことをシーシェパードは恐らく目標としているのでありましょう。何回も今まで言われておりますけれども、ことしのいわゆる三次補正で、こうした過去の被害額、損害額を補てんしていかないと、鯨類研究所あるいは捕鯨船を保有する共同船舶は倒産するということになるわけでありまして、乗組員は解雇、離散ということになるわけであります。

 副産物の売り上げで調査経費を賄うという現行の方式の限界点はここにあるわけでありまして、これをもしシーシェパードがねらって妨害工作をしている、その疑いが濃厚なわけでありますから、それにまんまと乗っかるような話にはならないというふうに僕は思うわけであります。今まさに新しくこの調査体制を私は組み直すべきだと思いますし、今期の鯨類捕獲調査の準備を考えれば、第三次補正予算措置もあわせて、そろそろ具体的に政府から提案を出すときではないか、このように思うものであります。

 調査捕鯨は国でやる、生じた副産物は、これを適正な価格で国民に、鯨食文化の普及のために、子供たちを含めて、学校給食を含めて適正な価格で販売し、普及を図りながら国庫収入にする、こうした国としての明確な方針を打ち出すべきではないか、このように思うところでありますけれども、これについてのお考えをお伺いするものであります。

鹿野国務大臣 南氷洋におけるところの調査捕鯨につきましては、伊東先生から、委員会を通して、また議連を通していろいろと御指導をいただいてきたところでございます。

 そういう中で、重ねて申し上げますけれども、何とか安定的な調査捕鯨を行っていく必要性というふうなものも踏まえさせていただきまして、検討委員会を立ち上げて、そしていろいろと御検討いただいてきたわけでございます。

 調査捕鯨自体を、この事業というものを行っていく上において、まさしく安全というものをどう確保していくことができるかというようなことを含めて、今後、この調査の安定的な実施というふうなものは、当然、これは私どもとしても考えておるわけでございますので、各省庁とも連携をとってやっていきたいと思っておるところでございます。

 そしてまた、もう一点の、財団法人の研究所等々も財政的にも非常に影響を受けておる、こういうようなことでございまして、それに対して実質的にどういう措置を講ずるのか、こういうことでございますけれども、今お話のありますとおりに、今後、調査副産物の販売見込みなどを踏まえながら、財政的支援につきまして考えながら、ただ考えるだけでなしに詰めていかなければならないな、こういうふうに思っているところでございます。

伊東委員 それでは、これは鯨問題の最後にしたいと思いますが、具体的な提案を私も一つさせていただきたいと思います。

 水産に関する国の研究機関といたしまして、独立行政法人水産総合研究センターという組織があります。水産に関する技術の向上に寄与するための総合的な試験研究などのほか、海洋水産資源開発促進法に基づく海洋水産資源の開発等の調査を行っている機関であります。

 この水産資源の開発調査は、未開拓の新漁場などでありまして、漁業生産の企業化を促進するために行う調査、あるいは企業的に採算が合うかどうか不明な段階での資源調査、これについて国の研究機関が行う。そして、企業化の見通しが立った後は民間がこれに当たる、参入するというものでありまして、この調査によって漁獲された水産物の販売収入は国庫に納入する仕組みとなっております。

 鯨類捕獲調査事業の目的と公益性などを考慮いたしますと、この事業についても、同様の仕組みで、国の研究機関が主体となって実施することが適切ではないか、このように考えるところでもあります。今大臣も、考えているだけではというお話がありました。これも、ことしの調査捕鯨の実施時期を考えればもう待ったなしの話になろうか、こう思いますので、早急にかつ前向きにこの提案の実現に向けて対処していただきたいと考えますが、政府の御見解をお伺いするものであります。

鹿野国務大臣 これにお答えを直ちにということはなかなか難しいです。しかし、そういう中で、勉強してまいります。

伊東委員 まあ、難しいでしょうけれども、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 最後に、私は、七月の十一日から、IWCの総会に、イギリスのジャージー島に行ってまいりました。世界各国、六十数カ国が集まって会議を開いておりました。

 この中で、シーシェパードのあの暴力行為、海賊行為について、ほとんどの国、オーストラリア一カ国だけが、その暴力行為を招いている原因は日本の捕鯨にあるかのような話をしたのでありますけれども、残りほとんどの、もちろん捕鯨に反対する国々の中でも、みんな口をそろえて、シーシェパードの暴力行為、海賊行為、危険行為を非難していたところでもあります。そうした中で、日本の、捕鯨の持続的利用支持国の、仲間の皆さんも、大変に日本に深い理解を示し、そして日本と共同歩調を歩んでくれました。

 ですから、シーシェパードの暴力、海賊行為によって、日本が、安全性を確保できないという理由でもしこの調査捕鯨をやめるようなことになれば、世界じゅうから、失望と、そしてその暴力行為に屈した日本のだらしなさというものを非難される、あるいはこんなことで世界の海洋秩序が保たれるのかという話になろうか、このように思うところであります。日本だけの問題ではありません、世界じゅうが日本を注目している。そして、悪いのはシーシェパードだとはっきりみんながそう言っているわけでありますから、ぜひ、負けないで頑張っていただきたいというふうに思うところであります。

    〔津島委員長代理退席、委員長着席〕

鹿野国務大臣 このたびの第六十三回のIWC年次会合に伊東先生も行っていただいたということでございます。

 今お話しのとおりに、この会合におきまして、海上の安全問題というふうなことにつきましてはまさしく全会一致で決議された、こういうことでございまして、そういう意味では大変意義のあることであると思っております。このような決議というものを、私どもも、多くの国々に我が国の調査捕鯨というものの意味を理解してもらうべく、これから努力をしていかなきゃならないと思っております。

 一つだけ申させていただきますが、過般、ニュージーランドの貿易大臣が参りましたときに、私も直接、海上の安全の決議というふうなものをお話しさせていただきまして、ぜひ我が国の調査捕鯨について理解してもらいたいというようなこと等々、あるいはシーシェパードの妨害活動というふうなもの、これはどうしても阻止していかなきゃならないというようなこと等につきましても御要請をさせていただいたところでございまして、貿易大臣も、外務大臣によく伝えます、こういう話でございました。

 そういう意味で、今回の海上の安全問題に関する決議というふうなものは大きな意義を持っているということを踏まえて、今後行動してまいりたいと思っております。

伊東委員 それでは、セシウム汚染牛問題、若干やらせていただきたいと思います。

 先ほど、同僚の江藤委員からかなり厳しく、また詳しく追及をされたところでありますが、七月末までに発覚した汚染の疑いのある牛は二千七百九十七頭に及んでいるわけであります。業界団体で買い上げるようなお話もありますけれども、それはちょっと、先ほどのお話で、ありますので、省きます。

 三週間過ぎて、検査が終わっているのが一九%の五百二十頭ということでありました。この五百二十頭のうち、暫定規制値を超えたものが四十三頭であります。比率にしまして八・三%でありますが、これを二千七百九十七頭と単純に掛け合わせをしますと、暫定規制値をオーバーした牛の数というのは、この八・三%を当てはめると二百三十二頭になる計算であります。中には、昨日出荷停止となりました栃木県産、これは九頭のうち四頭検査して四頭とも規制値を超えている結果が出ているわけであります。これは一〇〇%であります。ほかの県には一〇〇%なんという話ではありません、ほんの八%程度でありましょうけれども。

 しかし、大臣は、二十六日の記者会見で、規制値を超えた牛についてといいますから四十三頭分でありますけれども、これを買い取り、補償すればよいというお話をされているのかどうか。そしてまた、これは生産県全体の問題であり、酪農家すべて、もうみんなが注目し、心配し、注視している問題でありますので、どういう買い取りシステムになるのか、いま一度お聞かせいただきたいと思います。

鹿野国務大臣 基本的に、緊急対策におきましては、もう既に流通しておる牛肉というものの中で、やはり市場に出回らないようにするというようなことから、安全なものだけが出回るというようなことから、いわゆる暫定値を超えているものについては買い取る措置をというふうなことを講じさせていただいたところでございますが、先ほど来からの委員からのお話のとおり、いろいろなその後の動きもございました。

 栃木県で出荷停止というようなことにもなりましたし、また四県におきまして、福島だけでなしに、その他、宮城、岩手におきましても出荷停止というふうなことでございますし、また福島県におきましては、いわゆる出荷の適期を超過した牛というものは買い上げるというような措置も県単でやる、こういうようなことも発表されておるわけであります。

 そういう中で、状況の変化なり、あるいはまた福島県のそういう新たな施策というふうなものに対して国としてどういう支援をしていくことができるかということも踏まえて、今詰めさせていただいているところでございます。

伊東委員 私、ちょっとわからないところがありますのでお聞きしたいんですが、宮城県北部、福島原発から直線距離で百五十キロ離れているところであります。恐らく農水省も、大気中の放射性物質について、水素爆発の後、そんなところまで流れているなんということは当初想定をしていなかったのかなという気がいたします。

 これは、稲わらが何十万ベクレルとか何万ベクレルとかという、それぞれの地域によって違うわけでありますけれども、かなり高濃度のものが蓄積されているわけでありますが、これは世の中の常識として、稲わらにだけ降っているわけではありません。その地域の川も池も、あるいは畑も道路も、人の上にも、同じ量それは降り注いでいることは間違いないわけであります。

 ですから、これはひとり農水省だけの責任ではなくて、政府の責任だと私は思います。ただ、稲わらという言葉を三月十九日の通達の中に入れなかったという点については、いささか、考えがちょっと抜けていたかな、甘かったかな、さらにはまた、意図しないとはいえ、ぼやっとしていたのかなという思いがするところでありますけれども。

 本来こういう事態に対応するために、文部科学省外郭団体の財団法人原子力安全技術センターが運用するSPEEDIという放射能拡散予測システムがあるのだと私は思っておりました。このSPEEDIが気象衛星アメダスと連動して、その地形から、風力、風向、そしてまた雲、雨の動きをとらえながら、どういうふうに放射能が拡散していくか。これは百億もかけたシステムであります。一時間に一枚ずつ図面を出して、地図を出して、データを出して、これが政府各機関あるいはまた県庁の所在地にまで全部行っている話であります。ところが、これが全然活用されない、あるいはパニックを起こしたら困るとして伏せられていたところに極めて大きな問題がある、このように思うわけであります。

 これがもし、農水省がしっかり把握していれば、この図面を見て、刻々と変化する放射能の移動予測を、どれぐらいの強さのものがどの地域に降るかということが予測できれば、その地域の牧草でも稲わらでも農作物でも、あるいは水産物でも、注意を喚起することもできたし予測することができたのではないか、こう思うわけであります。

 このSPEEDIの情報を農水省はどのように取り扱っていたか、お伺いします。

鹿野国務大臣 今、農産物の放射線量の調査の計画的な実施に、厚生労働省に対して全面的に協力をいたしているところでございますけれども、こういう中で、各県の調査計画策定に当たりまして、SPEEDIによるところの試算や土壌調査の結果も参考といたしまして、空間線量や土壌中の放射性物質濃度の高いところを重点的に調査したらいかがでしょうかというようなことも農林水産省の方から話をいたしているところでございます。

 今後とも、放射線量等のモニタリング結果やSPEEDIによる計算結果なども参考にしながら、土壌や農作物の調査が進められるように、暫定値を超える農産物が流通することがないように期してまいりたいと思っております。

伊東委員 時間もありませんので、これを最後にしたいと思いますが、SPEEDIのいわゆる稼働というのは三月十一日の午後五時からであります。津波の被害が起きて、それからSPEEDIが動き始めたというふうに聞いているところでありますけれども、その翌日十二日に水素爆発が起きているわけであります。ですから、そこから、大気中に相当多量の放射能が、セシウムを含めたものが、沃素も含めてばらまかれた、こう推測されるわけでありまして、そのデータは確実に一時間に一枚、農水省にも入っていたのではないかと私は思うんです。

 ところが、政府がこのSPEEDIの情報を公開したのが三月の二十三日であります。十二日たってからこれが公開されている。それもたった一枚のSPEEDIの結果でありますし、その次出たのが四月の十一日であります。

 ですから、SPEEDIの情報は、政府として、これはパニックを起こしたら困るということで隠していたわけでありますが、隠していたのは政府の責任でありますけれども、そのデータを受けた農水省は、それによってどういう対応をしたのかということを今聞いているわけでありまして、政府と一緒になってそれを黙殺したというか、横によけておいたというか、無視したのであれば問題でありますし、これは放射能が降って一番困るのは、ほかの省庁でもどこでもないんです、農水省が一番でありますから、やはりその点、ぜひその経緯をお聞かせいただきたい。

 そして、SPEEDI、放射能拡散予測システムで受けた情報をもって今の対策をとられるべきであった。もしそれがとられていれば、稲わらの問題から肉の問題から、そういったものを含めてこんな問題は起きなかったわけでありますので、農水省の責任として、その点、お答えをいただきたいと思います。

鹿野国務大臣 三月の十一日に事故が発生いたしまして、事故によりまして原子炉施設での測定による放出源情報が得られなくなりまして、SPEEDIによる試算ができない事態に陥った、こういうことでございます。

 三月の二十三日に、一歳児の甲状腺被曝積算線量の試算の結果が公表された。放出源の情報が測定で得られないので、放射性物質濃度のモニタリング結果から推定して空気中の沃素の濃度分布を試算した、こういうようなことでございます。

 そういう意味から、四月下旬以降、段階的に詳細な分析結果が公表されるというふうなことになり、試算範囲が関東まで拡大したSPEEDIも公表した、こういうような状況でございます。

 そういう意味では、このような事態というふうなことをきちっと踏まえながら、今後とも取り組んでいかなきゃならないことだと思っております。

伊東委員 終わります。

山田委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 早速質問に入りたいと思います。

 七月下旬から、台風六号、そして新潟、福島の豪雨災害と、このように大変大きな災害も続いております。農林水産被害、農業被害、また林地被害、そして漁港海岸と、大変大きな被害の出ている地域もありますけれども、私は、早く災害の状況を調べていただいて万全の手を打っていただきたいと思います。まず、このことを冒頭、筒井副大臣、お答えいただきたいと思います。

筒井副大臣 先生が言われました災害の被災について、先生からも具体的な提言、要請をいただいて、打ち合わせも一回ですがさせていただいたところでございます。

 これについて、早急に被害状況を全部調査して直ちに対策に取りかかる、全力を挙げていきたい、そういうふうに考えております。

石田(祝)委員 この点につきましては、またいずれ機会を見てやらせていただけると思いますが、全力で対応をお願いしたいと思います。

 私は、放射性セシウムの問題でお伺いいたしたいと思います。

 まず、大臣に冒頭お伺いいたしますが、先週のこの委員会で、私も、全頭検査等についてしっかり国も対応すべきではないか、こういうことを申し上げました。そのときには、私の質問に対して、残念ながら、厚生労働省の答弁は余りにも官僚的過ぎる答弁で、私は、ですから、きょうは副大臣に来ていただきました。

 そのときに、鹿野大臣にも全頭検査についてどう思うかとお聞きをいたしましたが、大臣は、厚生労働大臣と話をしたいと思っている、こういう御答弁をいただきました。一週間後ですから、大変お忙しいと思いますけれども、厚生労働大臣との話し合いはどうだったのか、お答えできる範囲でぜひ御答弁をいただきたいと思います。

鹿野国務大臣 七月二十七日のこの農林水産委員会におきまして、今石田先生からお話しのとおりに御指摘をいただきまして、私自身も、厚生労働大臣とお話をしたい、こう申し上げました。そして、その委員会の後に、厚生労働大臣に連絡をとりまして、検査の問題につきまして、農林水産省も全面的に協力をしてまいりたいと思うことを申し上げ、全頭検査につきましても、その必要性というふうなことについて、お互い共通の認識に立たせていただくことが大事だということでお話をさせていただいたところでございます。

 これを受けまして、七月二十九日でございますけれども、厚生労働省も、農林水産省と協力をして、牛肉の検査におきましては簡易測定機器が使用できることを示す、このようなことも副大臣の方から公表されたわけでございまして、全頭検査の実施に向けた検査体制の整備や計画出荷体制の確立について方針を示されたのではないかな、こういうふうに思っております。

 これからも厚生労働省とも密接なる連携を図っていきたい、御指摘のことにつきましても、引き続いて連携をとっていきたいと思っております。

石田(祝)委員 きょうは厚生労働省から副大臣が来ていただいておりますので、質問いたします。

 先週の質問では、政務三役は来ていただくことができませんで、いわゆる官僚の方の御答弁でありましたが、全頭検査は県が自主的にやる場合には応援をする、この答えの一点張りでございました。私は、国がやるべきではないのか、こういうことも申し上げました。

 その後、農水大臣から厚生労働大臣にもお話をしていただいて、やはり両省がしっかりと協力体制でこの問題に取り組んでいこうと。鹿野大臣が御答弁をいただいてすぐに御連絡いただいたこと、この誠意のある対応には私は一定評価をさせていただきたいと思いますが、なお、この問題の解決をもって本当によかった、こういうことになるわけでありますので、その点、今後もよろしくお願いしたいと思います。

 それで、大塚副大臣にお伺いしたいのは、いろいろと、各県で全頭検査をやるとかいう報道も目にいたしますけれども、現在、放射性物質に汚染された稲わらを給与された牛、そういうところが十六県あると聞いておりますが、そのうち各県の検査の実施状況について、どのように把握されておりますか。

大塚副大臣 お答えを申し上げます。

 まずは、前回、当省の答弁が大変不十分であったというふうに承りました。まずはその点、おわびを申し上げたいと思います。

 その上で、今御指摘のありました十六県につきましては、出荷停止になっております岩手、宮城、福島、栃木、この四県については全頭検査をやるという方向で準備が進んでおります。また、既に実施をしておりますのが秋田、山形、新潟でございます。また、実施することを表明したところが青森、茨城、群馬、三重、島根でございます。残るのが四道県でございますが、北海道と静岡は現在のところ予定なしということでございます。また、埼玉と岐阜が検討中ということでございます。

 厚生労働省といたしましても、農水省と協力をさせていただきまして、全頭検査を推奨する立場でございますので、今申し上げました四道県にも全頭検査を促してまいりたいというふうに思っております。

石田(祝)委員 これは、十六道県のうち十二県はもう既にやっている、予定をしている、四道県が検討中も含めてまだだと。やっているところとやっていないところ、これは必ず比較をされますので、ぜひ応援する体制を十分とっていただいて、全頭検査をするべきだ。これは、ある意味では国の責任でやらせていくということも十二分に考えていただきたい、このように私は思っております。

 それで、全頭検査は支援をする、県が自主的にやる場合は支援をするという、先週もうお答えもありましたけれども、この具体的な支援体制、厚生労働省と農林水産省、それぞれ簡単にお答えいただきたいと思います。

吉田(公)大臣政務官 農水省の立場で御答弁申し上げますが、今厚生副大臣からお話がありましたように、農林省と厚生省で協力をいたしまして、検査計画案の策定支援、県等からの依頼があった場合には、独立行政法人やあるいはまた民間企業で検査体制を充実していくということでございます。

 ちなみに申し上げますと、関係の県が食品分析に使います検査機器、ゲルマニウム半導体検出器は、今までは十七台でございましたけれども、二十二台増加をいたしまして、合計三十九台となる見込みでございます。このほか、簡易型の食品分析機器を五十台以上導入するという予定になっております。さらに、当省所管の独立行政法人につきましては、検査機器七台を新たに整備し、合計十六台となるということでございまして、検査の充実を図っていきたい、このように思っております。

大塚副大臣 ただいま吉田政務官の方から農水省さんの状況について御報告をいただきましたが、厚労省所管のゲルマニウム半導体検出器は百十六台ございます。これまでに八千近い検体を検査しておりますが、さらに、検査台数をふやすために、今般の二次補正予算にも予算を計上させていただきました。

 また、文科省にもお願いをしまして、文科省が管理している百二十五台についても、そのうちの何台を食品検査に供出していただけるかを調整しております。また、現在わかっている民間保有の同検出器は三十七台でございます。

 いずれにいたしましても、このゲルマニウム半導体検出器をできるだけ数をふやしてまいりたいと思っておりますが、製造メーカーがアメリカであるということ、さらに、時間がかかるということもありますので、先ほど鹿野大臣からお話がありましたように、先週金曜日には簡易測定機器の導入を決定させていただきました。

 さらに、昨日、新聞報道によりますと、大手電機メーカーが十二秒で検査のできる新たな機器を開発したという報道もございましたので、実用性等についても確認をして、できる限り検査能力を高めてまいりたいと思っております。

石田(祝)委員 両省からお答えいただきまして、厚生労働省からは文科省の分まで含めてお答えいただいたんですが、農林水産省にお伺いしたいんです、お金の問題ですね。応援をするということはよくわかりましたが、現実に予算があるのか、そういう問題であります。

 消費・安全対策交付金というのが本年度約三十億、これが予算計上されておりますが、今もう八月に入りましたので、相当予算も使ってきているんじゃないのか、来年の三月まで予算がちゃんと足りるのか。これは、検査機器をどのぐらい構えられるか。お金は構えても物がないということだと予算が消化できないわけですから、実際必要な台数が必要なだけそろえられて、なお予算が十二分にあるのか。

 この問題と、いわゆる交付金の交付率。これは私は二分の一というふうに聞いておりますけれども、十分の十の交付率の事業もあるわけですから、このことはもうちょっと考えていただかなきゃいけないんじゃないのか。

 幾つか申し上げましたが、お答えをお願いします。

吉田(公)大臣政務官 石田委員の御質問にお答えいたします。

 現在、機器整備に関する交付金の交付要望が寄せられております。各県の事情がございまして、例えば全頭検査の実施や県の財政当局との調整などによりまして日々要望内容が変化しているというのが実態でございますので、このような状況によりまして、交付金の要望額が日々変化しているわけでございます。

 したがって、現時点での交付金残額は今現在では申し上げられないという状況でございまして、もう少したたないと、どの程度の予算額になるかわからないというところでございます。

石田(祝)委員 幾つか申し上げたのでちょっと抜けていたと思いますが、私は、交付率が十分の十の事業もあるではないかと、この事業の中で。今回の放射性セシウムの問題は二分の一なんでしょう、交付率は。これはいかにも低いじゃないですか。個々の農家もその当該の県も、ある意味では思わぬ災難、こういうことでありますから、交付率は平時で見ておったらいかぬですよ。

 二十三年度の予算をつくったとき、これは去年の八月概算ですね。それで三月までに通って、四月から執行されているわけですけれども、もともとできたときはこんなことは予測していなかったわけですね。それをそのまま持っていくというのは、いかにも私は、この事態の重大性、こういうものがなかなか表に出てこないんじゃないか。

 ですから、この交付率は今後検討できないんでしょうか。

吉田(公)大臣政務官 御答弁いたします。

 委員から事前にお話があれば、もっと詳しく調べておいて御答弁ができたんですけれども、現状では二分の一というふうになっておりますが、いずれ、これはまた大臣等と御相談申し上げてお答えをしたい、そう思っております。

石田(祝)委員 中身は私が申し上げたし、御答弁いただいたことですから、二分の一ということは当然わかっているわけですね、交付率を聞いているわけじゃないので。そういう交付率でいいんですか、十分の十の事業もあるじゃないですかと。

 ですから、本来、今回の問題というのは当該の県や畜産農家に何の責任もない。私は、もうちょっとそうしたら言わせていただくと、もともとこの三月十九日の通知自体が徹底されていなかったし、中身も問題があったと思いますよ。前回もこれは申し上げましたからこれ以上言いませんけれども。そういうことにかんがみたら、二分の一ということは、国も半分持ちますよ、あなたたちも半分出してください、こういうことでしょう。これはいかにもメッセージとして私は、国がしっかりやるということにはならない。

 通告をしていなかったことは事実でありますけれども、このことについてはどういう支援ができるかを聞きますよとはっきり言ってあるわけですから、そこのところはもうちょっと柔軟にお答えをしていただいた方がいいのではないか、このように私は思いますが、吉田政務官にお答えいただきましたから、筒井副大臣か大臣か、答えていただけるんだったら、お願いします。

筒井副大臣 先生がおっしゃった事情があります。その事情を考えれば、まさに前向きに検討しなければならない問題だというふうに思います。

石田(祝)委員 では、賠償金の支払いについてお伺いしたいんです。

 先日、原子力災害対策本部長内閣総理大臣菅直人名で、岩手県知事の達増拓也知事に、原子力災害対策特別措置法第二十条第三項に基づいて指示があったと。これは要するに、岩手県において飼養されている牛について、当分の間、県外への移動及び屠畜場への出荷を差し控えるよう、関係事業者等に要請することと。

 これは知事に対する、要請をしてくださいという指示なんですね。ですから、関係の畜産農家に対しては要請になっておりますけれども、これについては賠償金の支払いの対象になるのかどうか、いま一度確認をいたしたいと思います。これは文部科学省だと思いますから、よろしくお願いします。

笹木副大臣 お答えします。

 損害賠償審査会の指針、前回までに決まった指針については、このセシウムの肉牛の問題が起こる前ですから、当然、今現在の指針には入っていないわけですが、前回、七月二十九日の紛争審査会の議論において、このセシウムに汚染された肉牛の風評被害については、風評被害の議論の中で、基本的には指針の対象に含めるべきではないか、そういう議論の流れになっております。まずそういうことがあるということ。

 もう一つ、これまでこのセシウムに汚染された肉牛のことは入っていませんが、これまでの指針の中で、政府による出荷制限がかかったものについては損害賠償の対象になっている。

 この二点があるので、ぜひ、今週中に中間取りまとめの指針が、全体的なものが出るわけですが、こうしたものも対象に指針が発表されるものだと私自身は期待をしております。

石田(祝)委員 これは、副大臣、私、きのう文部科学省から説明に来ていただきました。そうしたら、これはもう一次の指針に入っているんだ、こういう話でしたよ。だから、今おっしゃっていることと違うじゃないですか。

 私のところに説明に来たときは、本来、二十九日に中間指針が出る予定が、八月五日予定まで延びた、これは第一次指針のときに予定されていなかったことが起きたから延びたんだから、当然、二十九日までの段階では入っていないだろう、こういうふうに私が申し上げたら、いや、第一次指針に出荷制限は入っているんだ、私にこういう説明がありましたが、これは、その方の説明が正しいのか、副大臣の話が正しいのか、どっちですか。

笹木副大臣 そのときのやりとりがどういうやりとりだったか確認はできていませんが、私自身が今お話をここで聞いて想像するのは、さっき言ったように、政府の出荷制限がかかったものについては損害賠償の対象になってきた、その原則があるという、これは事実です。

 しかし、今回のセシウムに汚染された肉牛については、出荷制限がかかったものだけに限定するのかどうかという問題もあります。ですから、風評被害、全体的なことも含めて、今週中に行われる全体的な指針の中で、これを含めて指針を出すという方向になるんだろうと思っています。風評被害も含めてということです。

石田(祝)委員 これは、やりとりを別にテープにとっているわけじゃありませんから、これ以上は申し上げませんが、私は、紛争審査会の指針が出るのが延びたということはこの問題なんでしょう、今まで想定されていなかったことだから延びて、その間に議論しようということなんでしょうと何回も言いましたよ。その上で、一次指針に入っているから大丈夫だ、こういうことでしたから、私に、ある意味でいえば、ちょっと誤解を招くような説明を文部科学省の方がなさっているわけです。これは、私は何度もきのう確認をいたしました。

 その上で、きょうは確認という意味で副大臣に来ていただいて、こういう岩手のような、知事に対する指示だけれども農家に対しては要請になっているよ、それも対象になるんですかと、もう事を分けて私は話をしました。来ていただいた方がどんな方か、名前もちょっと今覚えておりませんけれども、委員会の質疑に関しての説明としては非常に不十分だと。私は、これをきょう副大臣からお答えをいただいたから、それはそのとおりだと思いますので了としますけれども、そういう説明をする職員がいたということです。

 これは確認をしますが、仮払いができると考えてよいのかということです。それで、今回、いわゆる仮払い法が成立をしておりますけれども、これで支払いができるかということと、いつごろ開始ができるか、この二点をお答えいただきたいと思います。

笹木副大臣 仮払いの法律で、仮払いができるのは、原子力事故による損害の政令で定めるものを対象にということが法律で書かれていますが、さらに、この政令は、これも条文に書いてあるわけですが、原子力損害賠償紛争審査会が定める損害の賠償に係る、ちょっと中略しますが、指針に定められた事項に基づき定めるものとする、そういうふうに書いてあります。

 ですから、先ほどお話ししました、今週中に出るこの中間指針でそれが含まれるということになれば、仮払いも当然できるということになるということです。

石田(祝)委員 時間ですから終わりますが、水産庁長官、済みません、来ていただきましたが、またの機会に質問させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

山田委員長 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 与えられた時間は二十分ということで、早速質問に入らせていただきます。

 原発事故の直後に、これまで葉物野菜、水道水で放射性物質が検出され、そして、出荷制限、飲用の自粛、さまざまな措置が行われてまいりました。しばらくたって、その後、静岡の茶葉などでも放射性物質が検出される、こんなことがございました。

 一方、畜産関係では、農林水産省から、三月十九日、「原子力発電所事故を踏まえた家畜の飼養管理について」という通知が出されております。大気中の放射線量が通常よりも高いレベルで検出された地域においては、放射性物質がかかった飼料などを与えないよう、ここでは注意をされております。

 さらに、土壌汚染、牧草の汚染が問題となった六月八日には、牧草汚染が発表された際には、牛の放牧と牧草を与えることを控え、輸入飼料を使うように指示が出されております。

 そして今回、稲わら、腐葉土の汚染問題が出てきた、こういう時系列になっております。

 稲わらについては、報道では、農林水産省の通知では乾牧草に稲わらも含まれるというふうにはしなかった、特にはそういうコメントがなかったことや、この通知が畜産農家向けのもので、稲わらを生産する稲作農家には指導がなかったなどという指摘が報道をされております。

 農林水産大臣は、今回の稲わらのいきさつの過程で、行政上どのような問題があったというふうに見ているのか、認識をお伺いしたいと思います。

鹿野国務大臣 この稲わらの件につきましては、原発事故の発生を受けまして、三月十九日にいわゆる適正な飼養管理について通知を行い、また、三月二十一日にはホームページにおきまして周知をいたしたわけでございますけれども、農林水産省といたしましては、稲わらは一般的には秋に収穫されるというふうな認識に立っておりました。

 そしてまた、今委員からの御指摘のとおりに、乾牧草の中に含まれるとか、あるいは「サイレージなど」の「など」に含まれるとかというような、いわば、それがごく一般的なとらえ方として、それで周知されるのではないか、承知をしていただくことができるのではないか、こういうふうに思っておったわけでありますけれども、現実はそのことが周知徹底されていなかったということでございまして、このことはまさしく真摯に受けとめていかなきゃならない。

 こういうようなことで、私自身を含めて農林水産省全体が、既定の概念というものはもう白紙にしていかなきゃならないという中で、それぞれのあらゆるルートを通じて、畜産農家に対してそういう通知が行き渡るようなこともやっていかなきゃなりませんし、また、わかりやすく御説明をしながら、国の方針、考え方というものをしっかりととらまえていただくことができるような、そういう努力をしていかなきゃならないということで、私自身からも、農林水産省、政務三役はもちろんでございますけれども、全体に対して、今申し上げたような考え方を指示してきておるところでございます。

西委員 今、大臣から答弁がございました。しかし、稲わらというのは牛を育てる上で大事な飼料、重要な飼料でございます。このことについて言及していなかった、「など」という表現の中に含まれるというふうに思っていたというのはちょっと後づけのような気がして、やはりきちっと言葉でもって指摘をできなかったというのは、稲わらというものの重要性にかんがみて大変大きな課題を残した、私はこういうふうに思わざるを得ません。

 このことについての現場のとりよう、また通達のありよう、こういうものをきちっとやはり検証していくことが大事だ、こう思いますが、大臣の御所見をお願いいたします。

鹿野国務大臣 まさしく、農林水産省といたしまして、今申させていただきましたけれども、通達というふうなものについては、飼養管理等々も含めて、あらゆる通達については各農家に行き渡るようにということで今取り組んでおるところでございます。

 また、重ねて申し上げますけれども、これまでの考え方というものが通用しないというようなところもあるということも踏まえて、私どもとしては、さらなる緊張感を持って農林水産省全体として取り組んでいきたい、こう思っておるところでございます。

西委員 今の大臣のお言葉を本当に信用いたしまして、一からまた、きちっとした対応をできるように、通達ができるように取り組んでいただきたい、こう思います。

 次に、農林水産省では、今春、東北地方や関東各県で作付を制限すべきかどうかを判断するために、水田の土壌調査を行っております。大変重要なことだと思っております。

 そのときの調査、一体どうするのかなということで、きのう来ていただいてお聞きをしますと、土の表面から十五センチ下までの土壌を切り取って、そして全体の、そこに含まれている放射性セシウムの濃度を測定して、一キログラム当たりの土の放射線濃度という形で表現する、こんなことを教えていただきました。

 これはどうしてかといいますと、代かきなどを行う水田では、耕運機で、トラクターで代かきをするんですが、それが土の表面から十五センチ程度というのが大体標準的な考え方なので、かきまぜるということで、その全体の中でどれだけ放射線濃度が高いのかということを測定する、こういう考え方が土台になっている。つまり、表面だけではないんだということが基準になっているというふうにお伺いをしております。

 これは、結果的には、水田の土壌調査が一つの考え方を、誤らせたという言い方はおかしいんですが、誤解を与えたもとになるのかなと思うのは、土壌調査をした上で、この田んぼは作付ができる、こういうふうに判定をするわけです。そのことは何も問題はないんです。しかし、だからこの田んぼは大丈夫なんだなというふうについつい農家の人は思ってしまう。それは、何が大丈夫かというと、ことし稲をつくることは大丈夫、こういうふうについつい思ってしまうのと同時に、この田んぼは大丈夫だというふうについ直観的に思ってしまうのが今回の誤解の一つの原因ではなかったのかなというふうに思います。

 だから、農家の方からすると、まさかうちの田んぼがとか、寝耳に水だという思いがあるのは、現にこの田んぼは水田耕作できる田んぼだというふうに認定されて、このあたりの田んぼは大丈夫だというふうに思っていたわけですが、実はそうではなくて、上から降ってきた、また雨で落ちてきた放射性物質が稲わらに付着をし、そして、雨が降って、さまざまな自然現象があっても稲わらに放射性物質が残っていた、ここが非常にややこしい誤解を招いたところではないのかな、こういうふうに思うわけでございます。

 そういう意味では、稲わらの問題は、自分が住んでいる地域や農林水産業等を行っている土地などの汚染状況が農家の現場の人々によく知られていなかった、状況が把握されていなかったということを私は示しているように思います。

 それは、一方では、文部科学省が、表面に近い値の濃度をずっと測定していただいています。例えば地上一メートルのところでの放射線測定をしておりますが、この二つの数値が実はあるわけで、その値がどうだというのは、いわば表面に近いところの放射能の量がどれだけあるかということをはかっているわけで、そこの違いがかなり差があるんじゃないかというふうに思うわけです。一方では、文科省では農地の放射性物質の量というのは必ずしもはかっていなくて、生活するところを主体に測定をしているという事情もございます。

 そんな意味で、水田の土壌調査だけであれば逆に誤解を生じるということは、二つのデータの違いというものがあるがために誤解が生じたんじゃないかなというふうに思うわけです。

 農地等の汚染の状況を適切に示す方法、これはどうあるべきか、農地の状況ですね、これについてお答えをいただきたいと思います。

鹿野国務大臣 二十三年度産の米の作付をどうするかというふうなことの判断のために、福島県を含む九県におきまして、農林水産省と連携をいたしまして、三月下旬から四月にかけて、水田土壌に含まれる放射性物質の調査を実施いたしてきたところでございます。

 そして、五月からは、内閣府総合技術会議が定めた放射性物質の分布状況の調査の実施方針に基づき、文科省と連携をいたしまして、福島県及び周辺の五県を対象として、農地の土壌について調査を進めているところでございます。

 このデータをもとに、八月末を目途にして、農地土壌中の放射性物質濃度の分布図を作成いたしまして公表する予定でおります。そして、その公表に当たりましては、分布図で示すところのデータというものが何を意味するかというようなこと等々、活用上の留意点もあわせて示させていただくことによりまして、農地の汚染状況というものが関係者の方々に適切に理解されるように結びつけていきたい、このように考えているところでございます。

西委員 今後は、再び水素爆発などが起こらないときには、表面だけに濃くたまるということはないはずですけれども、初めの状態では、濃くたまったものが稲わらにくっついている。この濃い部分と、それから、全体として十五センチ深く、下はほとんど放射能はまだしみ込んでいませんから、そういう状態で農地として使うに当たって差し支えないかどうかの判断とが今回は食い違ったというのが重要な点だと私は思います。十分その理解ができるように、周知徹底をお願いしたいと思います。

 次に、現在、文部科学省は、環境放射能水準調査ということを行っております。その目的、測定方法など、概要を簡単に説明していただきたい。この調査に関しては、農地等の調査地点がない、もしくは大変少ないとか、農林水産業の観点から見て注意すべき点もしくは改善すべき点があるのかということについて、農林水産省の観点からも御答弁をお願いしたい。まず文科省の方からお願いいたします。

渡辺政府参考人 文部科学省でございます。

 文部科学省におきましては、環境放射能水準調査ということで、原子力施設に事故が起こった場合において、全国での放射能影響を正しく把握するために、平常時から、放射能の水準、いわゆる水準、レベルですね、これを、原子力施設周辺以外の人口密集地域を中心として、より広範囲な地点を対象に放射能の測定を実施しているところでございます。

 今般の東京電力福島第一原子力発電所の事故発生後におきましては、全国四十七都道府県に設置されておりますモニタリングポストにより、連続して環境の空間放射線量率を測定し、一時間ごとの計測値の報告を受けております。また、あわせまして、全国五十四大学等の協力を得て、空間線量率の測定も行っているところでございます。さらに、ゲルマニウム半導体検出器を用いまして、上水、いわゆる蛇口の水及び地上への降下物の測定結果についても毎日報告を受けております。これらの結果については、文部科学省のホームページにおいて毎日公表しているところでございます。

 なお、文部科学省が福島県あるいは福島県の発電所周辺などで土壌のサンプリングも行っておりますが、文部科学省が実施するいわゆる環境放射能水準調査では、土壌のモニタリングに関しては、どれだけの放射性物質がおりてきているかというのを調べるという観点から、過去において地表が乱されていない部分の土地を調べるということでございますので、農地はそういう場所ではございませんので、文部科学省がはかっている土壌については、農地についてはモニタリングは実施していないという現状でございます。

筒井副大臣 農水省の観点としては、土壌中の放射性物質が農産物の可食部にどの程度移行するか、これを見きわめることが極めて重要な観点でございます。

 そのために、農地土壌の検査においても、表面ではなくて、作物の根が届く地点十五センチ程度、これらを中心に、あるいは耕うんをしますから、それらの観点も含めた形で検査をしなければならない。農水省としてはそう考えておりまして、それらをやっているところでございますが、その結果を文部科学省の検査結果も参考にしながら分布マップをつくる、これを早急に完成させていくということは、先ほど大臣が答弁したとおりでございます。

西委員 時間がなくなってまいりました。

 文科省の方には、航空機によるモニタリングについてもっと範囲を広げて、例えば、今は宮城、栃木ということだけですが、もっと広く広域でモニタリングをすべしというふうに申し上げたかったんですが、このことについてごく簡単に、時間がございませんので、一言お願いします。

渡辺政府参考人 航空機モニタリングにつきましては、現在のところ、発電所から百二十キロ圏内、宮城県、栃木県について既に調査を行い、結果を公表してございます。現在は茨城県について調査を行っているところでございます。

 今般、第二次補正予算においてこの航空機モニタリングについても予算をお認めいただいておりますので、今後、東日本全域で航空機モニタリングをできるだけ早くやりたいと思っておるところでございます。

西委員 このことによって、面的に幅広い地点におけるデータが集まっていくということでは期待をしております。よろしくお願いします。

 最後に、ちょっと観点が変わるんですが、今回、原子力災害それから津波等で農地が随分荒れてきました。もう使えなくなっているところもございます。そんなことで、農地の汚染ということが大きな課題、また、汚染どころかもう使えないというような問題、沈下して使えないという問題もありますが、これを引き続き継続して農業を営む、もしくはまた早く再開するという手段の一つとして、水耕栽培などの植物工場という考え方、これは農水省も以前から努力をされていると思うんですが、大変重要な観点だというふうに私自身は思っております。先日視察もさせていただきました。この普及拡大についての農水省の積極的な対応について、御答弁をいただきたいと思います。

吉田(公)大臣政務官 西先生に御答弁申し上げます。

 植物工場についてという、まことに発想が雄大でございまして、すばらしいことだ、そう私自身は思っております。

 御承知のとおり、津波によって生じました地域にありましては、土を使わずに、主に水耕栽培等の方式を用いまして、温度、日照等の栽培環境を高度に制御する植物工場を設置することも復興の有力な手段の一つだと思っております。

 今後、農林水産省といたしましては、市町村が震災復興計画を策定する際に、植物工場の設置に関する助言等を行いつつ、可能な限り生産者の負担が軽減されるようにその設置を支援してまいるところでございます。

西委員 時間が参りました。以上で終わります。

 ありがとうございました。

山田委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社会民主党の吉泉秀男です。

 昨日開催をされて提言をいただいた食と農林漁業の再生実現会議、その中で、やはり復興ということについて一つの大きな柱にしながらも、農林水産そのものの、生産物の信頼回復、こういう新たな課題に向けて七つの戦略、この部分が提言をされてきているわけでございますけれども、このことに対して、後日、次回の段階で質問させていただきたいというふうに思っています。

 この提言はされたわけでございますけれども、今、生産者農家、現場、この中で、大変な困惑と、さらには不安、いら立ち、このところが前面に出てきております。東北は食料基地の一番前線にいるわけでございますけれども、その中で、今のセシウムの牛肉の問題の中で、肥育農家、酪農、それから養豚農家、この人たちが今困惑しているということについてひとつぜひ御理解をお願いしたいというふうに思っております。

 というのは、もう一週間にもなるわけでございますけれども、この問題が出てきてから、堆肥等に対する扱いの問題、このことが、県なりさらにはJAなり、多くの関係団体の方から、各農家の方にそれぞれ要請さらには指示文書が来ております。

 そして、その中で、これまで畜産農家については、ふん尿処理等を含めて堆肥等をつくりながら販売をしている、そういう状況があるわけでございますけれども、これが全然移動もできない、そしてそのまま置いておかなきゃならない。今、それぞれ、肥育の場合についても多頭化になっているわけですから、五百頭、一千頭、さらには養豚の部分もそうなわけでございますけれども、非常に多くのふん尿の部分、毎日処理をしなきゃならない、もう置き場もなくなってきている、こういう状況が今出てきているわけでございます。

 昨日さらにはおとといの段階で、農林省の方として、この扱いの指導、そういう文書を出されたわけでございますけれども、しかし、その基準値をはかるについてはだれがはかるのか、だれが証明するのか、そういう部分が一切ない中で、そういう指示文書なり、多くのところから文書が来ている。こういう状況の中で、今、生産現場さらには生産農家が非常に困っているわけでございます。ふん尿処理、し尿処理、この分の堆肥、こういったことについて、今指示文書も出しながら、農林省として、これをどういうふうに指導していこうとしているのか、どういうふうに対応しようとしているのか、まずお伺いさせていただきます。

筒井副大臣 畜産に対する、堆肥それから土壌改良材、飼料、えさに関しては養殖業も含めてでございますが、これらに関する暫定許容値はお示しをさせていただいたところでございます。

 それを前提にして、検査方法等、さらに今先生がおっしゃったような問題点につきまして早急に示してまいる所存でございますが、今、各都道府県の意見等も聞いて、その実態に合ったものを出していきたいということで、最終的な段階に、今詰めているところでございます。

吉泉委員 私も県の方にもお聞きをしたわけですけれども、やはり県も困惑をしているわけでございます。もう一週間以上になっていますから、農家から見ると本当にどうすればいいのかというふうな、一つの、怒りに近い、そういう状況になっています。

 この点については、厚労省の方としての考え方というのはどういう考え方をしているんでしょうか。厚労省としての一つの、安全という問題から見ると、堆肥の処理の問題について。

梅田政府参考人 厚生労働省といたしましては、食肉の安全が担保されることが必要と考えておりますが、その生産段階の安全管理については農林水産省の方で責任を持ってなされるものと考えておりまして、農林水産省と連携をとりながら、我々の方でもきちんとした食肉の管理をしていきたいと考えております。

吉泉委員 ぜひ連携についてよろしくお願いしたいし、いち早く、それぞれだれが責任を持ってどのように対応していけばいいのか、早目に明示をしていただきたい、こう思っております。

 そういう状況の中において、前回も、米の、農地の関係について、グレーゾーンのお話もさせていただいたわけでございますけれども、それも、今農林省としては、土壌からの、米さらには稲わら、この部分について、二重体制を含めて検査をしていくという方向が発表になっているわけでございますけれども、このことに対してもやはり、農家から見ると、だれがどういうふうに責任を持って、具体的に、農家が安心してやれるどういう方法が明示できるのか、すごく疑問を持っているわけでございます。

 そんな面について、これからもう一カ月もすればそれぞれ収穫時期を迎えるわけでございますけれども、その点についての今の検査体制、このことについてお伺いさせていただきます。

筒井副大臣 主食の米、そして関係農家が非常に多い、こういう状況から、米の安全、安心を確保するために、米の検査は極めて重要だというふうに考えております。

 その検査の体制につきましては今週中に整備をしたいという方向で詰めているところでございますが、その詰めている中身、今、関係都道府県にも連絡をしているところでございます。

 米の検査をする対象地域は、対策本部が示した十四都県を中心に、それにこだわらず、さらに広い範囲でやっていきたい。

 そして、特に検査を重点的にやる地域は、土壌中の放射性物質の濃度が高い地域、それから空間線量が高い地域、それらを中心にやっていく。しかも、やり方としては、今までほとんど一段階でございましたが、米に関しましては、刈り取りの前の段階、直前の段階にも一度予備調査をする、そして刈り取った後本調査をする、それらの二段階の検査をする。そして、白であることを確認した上で出荷をしていただく、その本調査等の確認をしない段階では出荷をしないでほしい、こういう措置もとりたいというふうに考えているところでございます。

吉泉委員 今の、堆肥の問題でも話しましたように、やはり国が責任を持って、そして具体的にやっていくということでないと、ただ検査体制、やります、そしてこうこうというふうな指針だけではやはりまずいんではないかなというふうに思っておりますし、ぜひ生産者の立場に立った、さらには消費者の立場に立った検査体制、このことについてなるべく早い段階で指示をお願いしたい、このことを申し上げさせていただきたいと存じます。

 そして、間もなく、一カ月というふうなお話もしましたんですけれども、先般、作況指数の関係で、高知の方を中心としながら、やや不良、平年並み、こういう一つの作況概要が南の方で出されたわけでございますけれども、それぞれ、全体的には八月の下旬さらには九月の上旬に出されるんだろうというふうに思っていますけれども、私自身、先日の新潟、福島のあの豪雨の問題、そしてまた台風、そしてその前の三・一一の大震災、こういう状況から見ると、本当に米は大丈夫なのかなというふうに非常に心配をしているところでもございます。

 その中で、若干お伺いさせていただきたいというふうに思っておりますけれども、今の米の生産数量の目標、このことを提示しながら、もう八月になったわけでございますけれども、この目標の進捗状況はどういうふうになっておりますでしょうか。

筒井副大臣 先生の質問は、米の安定供給は大丈夫かという趣旨と理解して答弁をさせていただきます。

 結論的に言えば、大丈夫というふうに考えております。

 米の政府備蓄量は、百万トン水準でございますが、現在八十八万トン存在をしている。そして、民間の米の備蓄量、主食米の備蓄量も二百万トン近く存在をしている。

 今度の大震災による、宮城県等々で作付数量が達成できないところは、ほかの県、県間調整あるいは県内調整等でほぼできたという状況でございますから、それらの状況を考えますと、安定供給に支障はないということが言えるんだろうというふうに思っております。

吉泉委員 七月に出された農林水産省の基本指針、これも参考にしながら勉強もさせていただきました。それぞれ、具体的に、原発事故さらには大震災のところについても、見込みとしながらカウントもされているという状況の中で、今副大臣の方から大丈夫だというお話があったというふうに思っております。

 ただ、今お聞きをしたいというふうに思うのは、生産数量目標を今年度の場合七百九十五万トン、こういうふうに設定したわけでございます。この数量が、今の現状の中で、戸別所得補償の問題も含めながら、作付の面積を含めて、ほぼ大丈夫なのか、このことをもう一度お伺いします。

筒井副大臣 ずっと過剰作付が続いてきた状況で、ただ、今回は過剰作付が減っているという状況でございます。そして、その上に、先ほど先生から質問がありました、今度の高知の台風、それから新潟、福島の大水害、これらの被災状況の調査結果が正確にはまだ出ておりませんが、今のところの判断では、生産数量目標の達成はほぼ可能であるというふうに農水省としては考えております。

吉泉委員 ぜひそういうふうにうまくいけばいいわけでございますけれども、これから、台風、さらには、ひょっとするとセシウム問題等々が出て大変な状況にならなければいいなというふうに自分自身思っているところでもございます。

 ただ、三・一一以降の段階について、米の価格を見ますと、自由米相場の価格が相当はね上がった、こういう現状の中において、相対価格はまずある程度同じ推移で動いているわけでございます。米価格形成センターが廃止となった以降、政府としては、米の価格、このところをどこに依拠しながら指導なり、さらにはそれぞれこれからの政策等について進めていくのか、この点についてお伺いをさせていただきます。

筒井副大臣 先生おっしゃるとおり、米価が一部で値上がりをしている。これは、民間業者、今まで保有米を持たなかった業者も、今度の大震災等々の原因から、それらを調達しようという動きに出て、卸売業者等々の間での値段が上がっているという状況でございます。そして、先生がおっしゃったように、農家との相対取引の関係では横ばいが続いている状況でございますから、今のところ、また当面も、その価格に対して大きな変動はないだろうというふうに予測をしているところでございます。

吉泉委員 きょうの新聞で自由米の相場の価格を見ると、全体的に物すごい高いんですよね。ですから、こういったところを見ながら、それぞれ農家の方については、ことしは相当価格が上がるのではないか、こういう期待があるというふうに思っております。しかし、相対価格の部分については、それは今お話あったように横ばいでございますから、その点については、価格がどういうふうにこれから動いていくのか、この点についてもしっかり見定めていただきたい、こういうふうに思っております。

 もう時間がありませんから、最後になります。

 昨年の十二月、副大臣が中国に行って、二十万トン等々の米の輸出、このことについて、ある程度合意なり、または輸出をする、向こうは受けるというふうな方向が成って、そして、それぞれ、薫蒸倉庫そしてまた精米センターの整備が図られているんだろうというふうに思っております。

 ここのところの、今、現状について、中国向けにおいて、副大臣が行ってきた内容と含めて、今年度のところから動いていくのかどうなのか、このことについてお伺いさせていただきます。

筒井副大臣 中国国営企業、中農集団との間の覚書、これは現在も継続している、効力を持っている、これをお互いに当初の約束どおり実行しようという確認は、現時点においても再度されているところでございます。ただ、放射能事故によってややおくれてしまったことは事実でございます。

 しかし、できましたら、九月中あたり、あるいはちょっと先になるかもしれませんが、北京における日本食品専用の展示販売館、五千平米の面積を持っているものでございますが、その開設をやはり早急にやっていきたい、そこに展示する日本産食品に関しましてはぜひ輸入を認めてもらうという形で今話し合いをしているところでございます。

吉泉委員 資料を見ますと、今、現在時点で中国にはほとんど輸出されていない、こういう状況ではございます。

 その中で、きのうの情報なんですけれども、倉庫と精米センターの距離が離れているということについては中国はこれを認めない、そういうお話もあるようでございますけれども、例えば山形の場合も、七十キロ、八十キロ、倉庫と精米センターは離れているわけでございます。そのところについて、間違った情報であればいいわけでございますけれども、その辺について、副大臣の方から、倉庫の指定と精米センター、この関連についてちょっとお伺いさせていただきます。

筒井副大臣 今までは結構強い規制があったわけでございます。精米工場と薫蒸倉庫、これは、先生がおっしゃるような点も一部言われたことがありますし、今、それらに関する緩和も要請をして、ほかの方法も含めた体制で可能なような状況に何とか持っていきたいということで話し合いをしているところでございます。

吉泉委員 よろしくお願いします。

 時間が終わりました。どうもありがとうございました。

     ――――◇―――――

山田委員長 この際、原発事故による牛肉からの放射性セシウムの検出に関する件について決議いたしたいと存じます。

 本件につきましては、理事会等におきまして協議を願っておりましたが、その協議が調い、案文がまとまりました。

 便宜、委員長から案文を朗読し、その趣旨の説明にかえたいと存じます。

    原発事故による牛肉からの放射性セシウムの検出に関する件(案)

  東京電力株式会社の原発事故により汚染された稲わらが原因で牛肉から暫定規制値を超える放射性セシウムが検出されている件については、地域的な拡大とともに消費者の食の安心を揺るがす一方、風評被害による枝肉価格の暴落、出荷制限や出荷自粛、牛肉消費の減退等の影響により、肉用牛農家が計り知れない経済的損失と精神的苦痛を被っていることはもちろんのこと、食肉流通業、外食産業等にまで大きな影響を及ぼしている。

  他方、畜産業者等の損害賠償請求に対する東京電力株式会社の仮払いは遅滞し、支払額も少額に留まり、本払いの見通しも立っておらず、被害者の早期救済に向けた目途が全く立っていない状況にある。

  このような事情の下で、食の安全・安心を確保するとともに、畜産業に携わる方々が安心して経営できる環境を整えるため、政府は、稲わら等の利用制限についての周知徹底が十分でなかったことにより被害が拡大したことを重く受けとめ、また、様々な影響が生じていることにかんがみ、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 消費者の信頼回復に向けた安全管理体制を確立するため、汚染された牛肉を出荷した県については、国の主導により速やかに全頭検査を行い、安全証明書を発行すること。その際、検査基準を明示するとともに、検査機器や検査要員の確保、検査費用等について国による財政支援を行うこと。

 二 今回の原発事故により被害を受けた生産者、流通業者等の早期救済を図るため、出荷制限以外の牛肉で市場価格の下落等により被害を受けた生産者、流通業者等への被害の賠償につき、適切に指針に位置付けるよう原子力損害賠償紛争審査会に働きかけ、早期の仮払いが実現され、全損害額の賠償が早急かつ適切になされるようにすること。

 三 二による賠償の支払いに当たっては、平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律及び原子力損害賠償支援機構法に基づき、速やかに仮払いを行うこと。

 四 三に加え、牛肉から暫定規制値を超える放射性セシウムが検出されている件については、先般農林水産省が公表した緊急対策を国による主体的な取組としてさらに充実・強化し、農家等に対して早急に立替払いをすること。特に、出荷遅延対策として立替払いの増額など肉用牛農家等に対する経営支援の一層の充実や、汚染された稲わらを給与された牛の肉については、すべて国の責任によって、市場から隔離すること、加えて、出荷制限の指示が出された県については、出荷適期にある肉用牛についても農家の意向を踏まえ全頭を買い上げること等買上対象の範囲の拡大を図ること。

   さらに、汚染された牛肉を出荷したすべての県については、肉用牛肥育経営安定特別対策事業(新マルキン)の運用改善を適用するとともに、平成十三年のBSE発生時に講じた「BSEマルキン」を参考に、物財費をすべてまかなうことを前提として、生産者の負担を求めず、毎月補てん金を支払うこと。また、出荷制限・出荷自粛について、解除のルールを明確にすること。

 五 「稲わら等の緊急供給支援対策」では、稲わらについて、当面の必要数量と供給可能数量及び供給方法を早急に明示し、農家の不安の解消に努めるとともに、今後生産される稲わら等の自給粗飼料について放射性物質の検査を実施し、安全性の確認と万全の流通対策を行うこと。

 六 政府は、早急に実態調査を行った上で、金融機関に対して、再度、資金の円滑な融通、既貸付金償還猶予について強く要請を行うとともに、飼料メーカーに対する飼料代の支払い猶予のさらなる要請に加え、その経営に支障を来たさないよう、対策を講じること。

   また、汚染された牛肉を出荷した県や農協等が、独自に生産者や関連産業に融資を行った場合、国は支援を行うこと。

 七 農地土壌の汚染拡大を防止し、食品衛生上問題がない農産物の生産を確保するため、早急に堆肥等の放射性セシウムの基準を設定するとともに、基準を超えるものの取扱いについて、政府全体としての方針を明確にすること。

 八 汚染牛肉については、市場隔離を徹底するとともに、早急に処理方法について検討し実行すること。

  右決議する。

以上でございます。

 お諮りいたします。

 ただいま読み上げました案文を本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山田委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。

 この際、ただいまの決議につきまして農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣鹿野道彦君。

鹿野国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従いまして、牛肉から暫定規制値を超える放射性セシウムが検出されていることによる影響等を踏まえつつ、十分検討してまいる所存でございます。

山田委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十三分散会


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