衆議院

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第10号 平成24年7月31日(火曜日)

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平成二十四年七月三十一日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 吉田 公一君

   理事 石津 政雄君 理事 梶原 康弘君

   理事 田名部匡代君 理事 野田 国義君

   理事 宮腰 光寛君 理事 石田 三示君

   理事 石田 祝稔君

      石山 敬貴君    今井 雅人君

      打越あかし君    金森  正君

      小山 展弘君    近藤 和也君

      佐々木隆博君    阪口 直人君

      高橋 英行君    玉木雄一郎君

      道休誠一郎君    富岡 芳忠君

      仲野 博子君    早川久美子君

      福島 伸享君    森本 哲生君

      山岡 達丸君    山口 和之君

      山田 正彦君    伊東 良孝君

      江藤  拓君    北村 誠吾君

      坂本 哲志君    武部  勤君

      谷川 弥一君    保利 耕輔君

      松浪 健太君    山本  拓君

      金子 健一君   菊池長右ェ門君

      京野 公子君    中野渡詔子君

      吉泉 秀男君   松木けんこう君

    …………………………………

   農林水産大臣       郡司  彰君

   内閣府副大臣       後藤  斎君

   総務副大臣        大島  敦君

   農林水産副大臣      佐々木隆博君

   外務大臣政務官      中野  譲君

   農林水産大臣政務官    仲野 博子君

   農林水産大臣政務官    森本 哲生君

   経済産業大臣政務官    中根 康浩君

   国土交通大臣政務官    津川 祥吾君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 米田耕一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       三浦 公嗣君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  奥原 正明君

   政府参考人

   (林野庁長官)      皆川 芳嗣君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           井上 俊之君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        関  克己君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  山内 正和君

   農林水産委員会専門員   栗田 郁美君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月四日

 辞任         補欠選任

  大谷  啓君     松本 大輔君

  金子 健一君     山井 和則君

  菊池長右ェ門君    三日月大造君

同日

 辞任         補欠選任

  三日月大造君     菊池長右ェ門君

同月六日

 辞任         補欠選任

  筒井 信隆君     近藤 和也君

  松本 大輔君     山岡 達丸君

  山井 和則君     和嶋 未希君

  笠原多見子君     金子 健一君

同月三十一日

 辞任         補欠選任

  道休誠一郎君     山口 和之君

  和嶋 未希君     金森  正君

  伊東 良孝君     坂本 哲志君

  今村 雅弘君     松浪 健太君

  石川 知裕君     松木けんこう君

同日

 辞任         補欠選任

  金森  正君     早川久美子君

  山口 和之君     阪口 直人君

  坂本 哲志君     伊東 良孝君

  松浪 健太君     今村 雅弘君

  松木けんこう君    石川 知裕君

同日

 辞任         補欠選任

  阪口 直人君     道休誠一郎君

  早川久美子君     和嶋 未希君

同日

 石田三示君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

吉田委員長 これより会議を開きます。

 この際、去る六日の議院運営委員会における理事の各会派割当基準の変更等に伴い、理事の補欠選任を行います。

 委員の異動に伴いまして、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に石田三示君を指名いたします。

     ――――◇―――――

吉田委員長 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省経営局長奥原正明君、林野庁長官皆川芳嗣君、総務省大臣官房審議官米田耕一郎君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長三浦公嗣君、国土交通省大臣官房審議官井上俊之君、水管理・国土保全局長関克己君及び防衛省地方協力局長山内正和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野田国義君。

野田(国)委員 どうもおはようございます。こういう機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 九州北部豪雨が襲ったということでございまして、甚大な被害が出ております。まず最初に、被害に遭われました被災地、被災者の皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと思うところでございます。

 そしてまた、農林水産省、早速現地の方に岩本副大臣を筆頭に入っていただき、しっかりと現状を把握していただきましたこと、あわせて心から感謝を申し上げたいと思うところでございます。

 お手元に資料を配付させていただいております。表の方が、これは七月十四日でございましたけれども、午後から雨がやみましたので、早速現地の方へ入りまして、上の方が上流で、下の方が有明海に近い下流と申しますか、矢部川流域が今回の豪雨によって大きな被害が出たということで、見てもおわかりのとおり、大変な状況になっておるということでございます。

 そこで、見ていただければわかりますように、農業関係もかなりやられておるということでございまして、まず農地です。水田が泥をかぶって、そしてまた用水路などもやられておるような状況でございます。今、地元におきましては、どうしても水の確保ということが水稲にとっては非常に大切な時期でございますので、ポンプアップをしているような状況でございます。ここも、また来年になりますと、苗代をするときに水が足らないというような状況にもなるわけでございますので、これも一日も早い復旧をしていかなくてはいけないと思っておるところでございます。

 そしてまた、施設におきましては、写真にもありますように、ハウス関係が大きな被害に遭っておるということでございます。イチゴ、ナスあるいは花卉が栽培をされておったということでございます。

 そしてまた、農家もやられておるわけでございますので、農機具の方も非常に多くやられておるということでございます。

 これらの支援、今、被災地、被災者の皆さんは一生懸命頑張っておられ、また各市それから町、県の皆さんも頑張っていただいておるところでございますけれども、なかなかそういうことだけではできないと思うわけでございます。やはり国の支援が非常に必要じゃなかろうかな、この二週間、私も地元を一生懸命回らせていただきまして、そういうことを強く感じておるところでございます。

 農林水産省としての支援の方法と申しますか、支援策をお聞きできればと思うところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

郡司国務大臣 ただいまお話をいただきましたように、六月八日から七月にかけまして、九州を中心として大変な被害が出ております。きょう、朝の閣議でございますけれども、激甚の指定をさせていただきました。また、このことによりまして、被害の件数は、北海道を除く全ての四十六都府県、こういうようなことになっておりまして、被害も大変大きくなっております。

 このことに関しまして、九州北部が中心でございましたけれども、農業関係にも甚大な被害が発生をしております。七月二十七日までに、農地、農業用施設について約百九十億円の被害が報告をされておるほか、先ほどありましたように、農作物等についても大きな被害が生じているところでございます。

 農地、農業用施設の被害については、地方自治体による災害復旧事業の対象でございまして、これを迅速に進めるため、国としても、査定前着工などの制度を活用するとともに、手続の簡素化を行っていきたいなというふうにも思っております。

 被災の市町村に対しまして、技術者の派遣、これは二十七日まででございますけれども、延べ二十人、十四市町村に対して行ってまいりました。被害調査や被害復旧についての技術的な指導助言を行うということでございました。

 また、被害を受けた農業用機械の修繕、購入等に当たりましては、株式会社日本政策金融公庫の農林漁業施設資金等の長期低利の融資によりまして被災農家を支援していく考えでございます。

 今後とも、被災をした県、市町村と連携を密にして迅速な復旧に努めてまいりたい、そのように思っているところでございます。

野田(国)委員 どうもありがとうございます。

 きょう、閣議でいち早く激甚指定をしていただいた。大変ありがたく思います。

 それで、今、郡司大臣がおっしゃいましたけれども、まだいろいろな支援の方法というのがあると思うんです。天災の融資法の発動とか、共済の早期支払いとか、農業関連施設の対策事業とか、低利子融資とか、生活資金融通と貸付資金の償還の延長とか、あるいは農業者戸別所得補償制度の弾力的な運用などなど、いろいろな支援策があると思いますので、ぜひともこれは柔軟にやっていただく、そして力強くまた救済の方法をとっていただきたいと要望させていただきたいと思っております。

 そこで、中山間部の方なんですけれども、この間から星野村とか矢部村とか黒木町の笠原の方に入りましたところ、八女といえば非常にお茶の栽培が盛んでございますが、お茶畑とかに行く、あるいは林の方もそうなんですけれども、その道路が寸断をしておるということでございまして、結局、管理ができない。今、消毒をしっかりしていかなくちゃいけない、あるいは肥料を与えていかなくちゃいけないというような時期でございますけれども、それができないような状況になっておる。

 ですから、迂回路を利用すると、本当は三十分ぐらいで行っていたところが、一時間あるいは一時間半かけて行かなくちゃいけないというような状況になっておるところでございますので、崩壊した道路の復旧というものも非常に重要であるということでございます。

 また、基幹道路の方も、写真に上げておるところでございますけれども、県道あたりが、例えば八女市から星野村に行くところで四カ所、五カ所、こういう形で崩壊をしておるというような状況でございますので、これらの対策もしっかりやっていかなくちゃいけないということでございます。

 きょう、国土交通省の方もおいでいただいておるということでございますので、これらの支援、ひとつお願いをしたいと思いますけれども、どのような支援策があるのか、お答えいただければと思います。

関政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のように、今回の九州北部豪雨では、道路あるいは河川関係でも大きな被害が出ております。

 道路関係で申し上げますと、直轄国道では、現時点で一区間、これは国道五十七号、熊本県の阿蘇市の滝室坂というところでございますが、まだ通行どめになっております。それから、県管理国道で八区間、都道府県道で七十四区間でございます。いずれも、こういったものに対する応急対応を進めているところでございます。

 また、河川で申しますと、菊池川あるいは白川、先ほど先生御指摘の矢部川、筑後川の花月川、山国川等々で、堤防の決壊あるいは越水といった被害が生じているところでございます。いずれの箇所におきましても、まず応急復旧ということでこれまで取り組んできたところでございまして、矢部川で申しますと、決壊しました矢部川では七月二十二日、それから県管理区間の沖端川では七月十八日に応急復旧を完了してございます。

 現在、こういった被災箇所の調査を進めており、いずれにしろ、再度災害防止という観点から本格復旧に早急に取り組む必要があるということから、現在、こういった調査に基づきまして、どのような工法あるいは手法によれば速やかな対応により再度災害が防止できるか検討を進めているところでございまして、早急な本格復旧に向け対応してまいる所存でございます。

野田(国)委員 ありがとうございました。しっかり支援をお願いしたいと思います。

 それから、ここにありますけれども、家屋もかなりやられております。黒木の笠原地区なんかは、三十家族の方々が廃校にされた小学校とかあるいは公民館の方に住まれておるということでございまして、仮設住宅なども計画をされておるようでございますし、また、市営住宅なども、あきがあるところにはそこに入っていただくとか、そういう対応がとられておるようでございますけれども、生活支援というのも非常に大切なことではないかなと思っております。

 きのう回っておりましたら、こういうことをおばあちゃんがおっしゃいました。結局、生まれたときと同じような状況になりましたと。どういう意味ですかと言いましたら、もう全てをなくしました、結局あるのは、命だけは残りましたけれども、あと全てをなくしましたというような悲痛な話も聞いたところでございますので、そういった生活支援ということでもお願いをしたいと思っております。

 それから、先ほど答えていただきましたが、堤防の方も、下流のみやま、柳川の方で三カ所決壊をして、写真がありますように、もう本当にどこが田んぼか畑か道かわからないような状況で、柳川市においては三分の一が冠水をしたというような状況でございました。

 堤防の問題については、当然、原因究明というものが一番大切なことだと思います。きのうも、吉田副大臣を初め、現地の方に国交省が入っていただいたところでございますけれども、これからどう対応していくかということを、これを教訓にお願いしたいなと思っております。今までは四百ミリの雨ということを想定されておったようでございますけれども、今回、雨の量、六百ミリ以上が降ったわけでございまして、本当にいまだかつて経験したことのない豪雨であったということでございますので、堤防のあり方というものもしっかり考えていただきたいと思っております。

 それから、漁港関係も非常に甚大な災害ということでございまして、漁場の損壊、漁船なども三十隻、四十隻と流されておるということであります。また、ホイストクレーン、ノリの加工場、そういうところも浸水をしたということでございまして、漁業の支援、漁港の支援というものも非常に大切なことだと思います。ノリ加工場など、本当に困られると思うんですね。ですから、農林水産省として、何かそういった支援策というのはあるんでしょうか。よろしかったらお答えいただきたいと思います。

仲野大臣政務官 おはようございます。

 野田委員にお答えする前に、冒頭、このたびの九州地方北部を襲った集中豪雨でお亡くなりになられた方々には心よりのお悔やみと、そしてまた、被災された皆様方には心からのお見舞いを申し上げたいと思います。

 ただいま御質問のありましたことについて、順次お答えさせていただきたいと思います。

 今回の大雨により漁船が流された場合だとかは、漁船保険により保険金が支払われることとなりますが、できる限り早期に支払いがなされるよう引き続き指導していく考えでありますと同時に、今回被災したノリ養殖業者が経営体質の強化を目指し協業化して再建を図ろうとする場合には、強い水産業づくり交付金により、これは二分の一補助でありますが、大型ノリ自動乾燥施設等の共同利用施設の整備を支援することといたし、また、今回被災した漁船やノリ養殖業者が個人で所有するノリ加工施設を復旧する場合には、日本政策金融公庫の農林漁業施設資金や漁業近代化資金などの融資制度の活用が可能となっております。

 いずれにいたしましても、先ほど野田先生が御指摘になりました、本当に現場は大変な状況であるということを踏まえまして、地域のそういった御要望をしっかりと踏まえ、適切に、スピーディーに対処してまいる所存でございますので、御理解をいただきたいと思います。

野田(国)委員 しっかりとした支援策をいま一度お願いしたいと思います。

 それから、今、有明海の方に、漁船もそうでございますけれども、流木が一番多いんじゃないかなと思います。たくさんのそういったごみ、いわゆる漂流物と申しますか、そしてまた、かなり海の中にも沈んだんじゃなかろうかと思っております。今、国土交通省の船が二隻、そういった回収する船がありますので、しっかりやっていただいておると思いますけれども、これらを早く回収していただきませんと、漁業ができないということになります。九月あたりからノリの方も始まるということでございますので、これらをぜひともお願いしたいと思っております。

 そしてまた、例えば、その回収した流木なんかも、燃やすとか、処理をする方法というのも、今進めておりますバイオ関係に利用していく、リサイクルしていくというようなことも、私、提案をさせていただきたいと思いますので、ぜひともよろしくお願いいたします。

 そこで、関連して、土曜日に諫干の方にも、佐賀と長崎でございますけれども、行っていただいたということでございますが、私は、福岡高裁で開門という形で判決が出たわけでございますので、早期に、早い開門をお願いしたいと思っておるところでございます。これは今大変厳しい状況になっておると思いますので、積極的に、大臣も以前座長も務めていただいて、十分現地のことは御存じだと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 その報告も兼ねて、有明海の再生に向けての対応をお聞きしたいと思うところであります。

郡司国務大臣 野田委員の方から、諫干のことについてお尋ねがございました。

 土曜日でございますけれども、佐賀県と長崎県に伺わせていただきました。

 昔、二年ほど前に検討委員会というものがつくられましたときの座長もしておりましたので、そのときと今現在では二つほど状況が変わってきております。

 先ほど言いました福岡高裁の判決が確定をいたしました。したがいまして、来年の十二月までには国は開門の責務を負っているというのが一つ。それから、これまで、鹿野大臣の時代でございましたが、開門の方法として、一つ一つの類型を申し上げるのはちょっと時間がございませんけれども、三―二という方法でもって開門をするように、そういうような話をそれぞれの県にしてきたところでございます。

 しかしながら、まだ佐賀県の方については、早期の全面開放をしていただきたいという声もございますけれども、一つの考え方として、開門ということには理解をいただいております。

 一方、長崎の方々につきましては幾つかの懸念があって、防災上あるいは営農上さらには漁業上の懸念を払拭するような、そうした対策をとった上で行っていただきたい、そして今、具体的な農業の関係につきますと、淡水の水をどこで確保するんだということで、これまで、地下水を用いてはどうだろうかという御提案をしてまいりました。

 なかなかボーリングの調査もできかねるという状況の中でございますので、しかし、来年の十二月というところの期限が迫っている以上、一つの案に固執をするのではなくて、地元の方々と折り合えるような解決の道をこれからも探っていきたいというふうに思っております。

 何といいましても、長い時間が経過をしております。一回きりの訪問で御理解をいただくということにはならないとも思いますので、また、八月にかけましても、その後にかけましてもできるだけ足を運びまして、地元の方々の合意を得られるように鋭意努めていきたいというふうに思っております。

野田(国)委員 それでは、最後にいま一度、九州北部豪雨に対する国の全力を挙げての御支援を心からお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

吉田委員長 次に、坂本哲志君。

坂本委員 自由民主党の坂本哲志でございます。

 私も熊本県選出でございます。今回の熊本、大分そして福岡、大変な被害でございましたが、その復旧復興に、一日も早い復興を目指して活動しなければいけないと思っているところでありますし、全国から、あるいは台湾を初めとする各国からいろいろなお見舞いもいただきました。心から敬意を表したいと思います。

 質問に移らせていただきます。

 質問の順序がちょっと変わりますけれども、内閣府にお伺いをいたします。

 先ほど、農林水産関係の激甚の指定が発表されたというふうにお伺いをいたしました。改めてそのことについて言及していただきたいというふうに思いますし、それから一般土木、公共土木に関しての本激の指定、あるいは各地域における局激の指定、この見通しがどうなっているのか、お伺いをいたしたいと思います。

後藤副大臣 おはようございます。

 先生御指摘の、今回の九州北部豪雨の激甚災害の指定でありますけれども、先週の七月二十六日に梅雨明けの確認をいたしました。指定のための手続を今日までしてまいりましたが、本日、七月三十一日、本年六月八日から七月二十三日にかけての災害をもたらした梅雨前線による豪雨等一連の災害として指定をし、全国を対象とした農地等の災害復旧事業等に係る補助の特別措置、及び、熊本県阿蘇市を中心とした中小企業に関する特別助成について適用する政令の閣議決定を本日行いました。今回の激甚災害の指定につきましては、地方自治体の皆さん方の御協力もあり、従来に比べてかなり早くの指定ができたというふうに思っています。

 さらに、公共土木施設等に係る特別財政援助につきましては、引き続き災害額の把握等に努めまして、基準に達すれば速やかに対応してまいりたいというふうに考えております。

坂本委員 この前も中川大臣にお伺いしたんですけれども、公共土木に関しての本激の指定につきまして、今、いろいろな被害額を積み上げているところだと思いますけれども、大体いつぐらいまでに、そして、今回の豪雨の期間というものをどういうふうにカウントされていかれるのか、そこをお伺いいたしたいと思います。

後藤副大臣 従来から御報告をし、先ほども御答弁しましたように、今回、六月八日からの梅雨全体を把握するということで対応しています。特に、公共事業は、地方自治体側の積算をするときに設計図書に非常に時間を要するということで、現在、設計図書の大幅な簡素化ということで、平面図を航空写真で代用する等で迅速化を図っております。

 ただ、いつまでというのはなかなか難しい部分もありますけれども、できるだけ地方自治体の皆さん方とも協力をしながら、早く被害額の把握と、そして基準に達すれば早期の指定ということに最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えております。

坂本委員 目に見えない部分の大きな被害、泥流、濁流も含めてかなりあります。弾力的な運用をぜひお願いいたしたいと思っております。

 熊本県の農林水産の被害額は、七月二十七日現在で二百八十二億六千四百万円であります。うち農畜産物が九億四千七百万円、そして農地、農業施設が九十二億八千四百万円というふうになっております。

 この中で、まず私が取り上げますのは、農業施設、特に農業用排水施設についてであります。

 九州地方は六月に入って田植えが行われるのが一般的であります。阿蘇地方はそれよりも少し早く行われます。ですから、豪雨がありました七月の初めから半ば、これはちょうど田植えが終わりまして、これから水の管理等々が一番大事な時期に差しかかっていたわけであります。

 この時期に農家の方々が一番神経をとがらせますのが、水が満遍なく田畑に行き渡っているかどうか。以前は、この問題で、上流と下流で水戦争あたりが私たちの地域でもかなり起きました。しかし、農業用水のそれぞれの施設がこの数十年間でかなり整備されてきたことにより、そういった問題はなくなりました。それほどこの時期の雨というのは、梅雨は大きな災害をもたらしますけれども、大変重要であり、この一年の農家の生死を決めると言っても過言ではないというふうに思います。

 そこに資料を出させていただきました。田んぼに水を送るためにどういう仕組みになっているかといいますと、全体的にこれはアメリカの言葉、英語そのままの直訳でありますので、聞きなれない言い方になっておりますが、一般的に頭首工というふうなことを言っております。

 右に大きな流れがありますのが河川であります。河川に農業用水用の堰をつくります。そして、堰から水が落下いたしますので、水たたき、水がたたくわけですので、これは洗掘防止のためにさまざまな保護をしなければいけません。その後の流れの中で、また十字ブロックを河床に設置して河床の洗掘を防ぐというような仕組みになっております。そして、一方で、魚道もつくらなければなりませんし、土砂の排出樋門というのもつくらなければなりません。

 本河川にさまざまな農業用水路のこういった施設を設置し、その一方で、農業用水路に取水樋門というのがあるわけであります。このことによって、流域の田んぼにそれぞれ水が行き渡る。

 特に六月、そして梅雨明けの七月、八月にかけて、この農業用水というのが最も大切になってくるわけでありますが、今回、この堰も、ほとんどの堰でやはりやられました、破壊されました。水たたき工もそうでありますし、それから護床工と言われるのもほとんど破壊されました。水の力の大きさを感じます。

 それから、今回は流木の被害が非常に多くなっております。その流木が農業用水の取水樋門に殺到いたしまして取水樋門が破壊される、こういう状態で、それぞれの河川での農業用水路というのが壊滅状態になっておられます。

 しかし、やはりそこは農家の方が非常に努力をされまして、水が一番大事ということで、このままでありますと水が来ません、ですから七月、八月、まさに稲は生き物でございますので、これが枯れてしまうわけでありますが、それぞれの地域で応急措置をして、そして土のうを積んで、何とか応急の堰をつくって、また農業用水路の方に水を回していく、こういう作業をして、今何とか応急措置でそれぞれの流域に田んぼに水が行き渡っているというところであります。

 しかし、これが長く続くわけではありませんので、やはり早急に復旧作業、復旧工事というのをしていただかなければなりません。

 通常によりますと、まず査定が入って、査定を経た上で、その後復旧工事に入るということで、この一カ月間あるいは一カ月半、空白になる可能性もあります。しかしこの時期が一番大事でありますので、査定そして復旧工事に至るまでの期間をとにかくできるだけ短縮して、早急にやっていただく。そうしないと、流域の稲作地帯が壊滅状態に陥るというふうになります。

 査定抜きの復旧工事着工をぜひお願いいたしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

佐々木副大臣 坂本委員の質問にお答えさせていただきます。

 農業用水の確保というのは極めて重要なことでございますので、今、農業用のポンプ等の用水施設の被害について、早急に対策をさせていただいてございます。

 まず、農政局から二十二台の揚水ポンプの貸し出しをさせていただいております。そして、今御指摘がありました査定前着工等の制度を活用させていただいて、現在、百九件の応急対策に着手をさせていただいてございます。

 さらにまた、農地についても触れておられましたが、土砂の排除、それから土のうの設置等についても対策を今進めさせていただいてございます。

 農業用施設、農地の災害復旧を早急に実現するために、査定前着工制度の活用を働きかけております。さらにまた、事務の簡素化などによって迅速な対応に努めさせていただいているところでございます。さらにまた、県、市町村と連絡をとらせていただいて、人的支援の要請もかなり多いものですから、技術面での人的支援等、災害復旧に今努めさせていただいているところでございます。

坂本委員 農業用施設整備、農業用水だけではありませんで、水をくみ上げる方の揚げる施設、そこにポンプもありますし配電盤もありますし、さまざまなモーターもあります。こういうところが上流と下流、中流でそれぞれ施設が違いますので、査定抜きの復旧、これをぜひお願いいたしたいと思います。

 それから、今大臣言われました、数百ヘクタールにわたってやはり土砂が田んぼに流入をしております、堆積をしております。その堆積は一メートルに及ぶところもあります。これから排土作業が大変でありますが、激甚の指定を受けたことで、それぞれの市町村、あるいは自己負担、これがどのようになるのか、お答えいただきたいと思います。何%ぐらいでいいのか、それともほとんど自己負担なしで、そして届け出でそれが可能であるのかどうか、お答えいただきたいと思います。

佐々木副大臣 今、補助率についてのお尋ねでございます。

 暫定措置法に基づきまして、農地については被災農家一戸当たりの事業区分ごとに五〇%から九〇%、農業用施設については一戸当たりの事業区分ごとに六五%から一〇〇%というふうに定められておりますが、激災の指定がされた地域については、補助の残余部分について、一戸当たりの負担区分ごとにさらに七〇から九〇%までの補助率を適用されるというふうにされているところでございます。

 平成十八年から二十二年までの五カ年の平均で見ますと、農地では平均九二%、農業用施設では平均九六%の国庫補助率が適用されているところでございます。

坂本委員 ということは、農地であると八%部分、あるいは農業用施設であれば四%部分、これを事業主体者、あるいは受益者も含めて負担をするということでよろしいですね。要するに、国庫補助以外の部分は、県であったり市町村であったりあるいは土地改良組合であったり、それぞれの受益者であったりするわけですけれども、そこの案分は別にして、そういうふうに考えてよろしいですね。

 そして、受益者の方にはほとんど負担は来ない、それは一定の拠出金は来るかもしれませんけれども、この復旧に対しての負担は原則的にないというふうに考えてよろしいですか。

佐々木副大臣 最終的な補助率でございますが、これについては暦年で集計するということになってございます。査定の時点でおおよその補助率が想定できますので、それを前提として復旧を進めさせていただいておりますが、暦年で集計されるということになってございます。

坂本委員 農家も、それから各団体も茫然自失の状態から今やっと復旧作業に立ち上がっているところでありますので、これからの補助率のかさ上げ、できるだけ負担を軽減するような形でぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それから、農業共済についてお伺いをいたします。

 それぞれの各地で、米、麦あるいは畑作、かなり被害が多く出ました。これも、農家の場合には蓄えがそんなにあるわけではありません。毎月給与が出るわけでもありません。ですから、これから収穫時期、キャベツ等はそうでありました、あるいは九月、十月を期待して播種した、あるいは育成する、そういったものが全て無に帰したところも多いわけでありますので、頼みは共済であります。その共済が、一定の出荷ができるまで、あるいは出荷を見きわめてということになりますと、これはその間どうやって生活をしていっていいかというふうになります。

 共済事業についての早期の支払い、あるいは仮払い、こういったものをぜひお願いいたしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

仲野大臣政務官 坂本先生の御質問にお答えさせていただきます。

 農作物等の被害の発生については被災農業者に早期に共済金が支払われるよう、スピーディーな、そしてまた適切な損害評価の実施、共済金の早期支払い体制の確立などについては七月の十三日付で通知を発出するなど、農業共済団体等へ指導を徹底したところでございます。

 また、先ほど先生から申し上げられておりました、水田に土砂が流入するなど、収穫時期を待たずとも損害が明らかである被害については、通常の支払い時期は収穫後ではありますが、これを待たずに、スピーディーに共済金の仮渡しを行うよう、農業共済団体等に今指導を徹底させていただいているところでございますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

坂本委員 早急な仮渡しをぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それから、各地を回っていて、米、麦、大豆、あるいはその他インゲン、そういったものには共済事業の適用があるわけですけれども、私たちのところは阿蘇を中心に大きなキャベツ団地があります。これは、高冷地野菜として出荷しているわけですけれども。キャベツ等には共済事業の適用がありません。野菜で適用があるもの、ないもの、非常にばらばらで、農家の方々がなぜだというような疑念を持たれております。

 なぜキャベツ等にはなくて、一方のバレイショにはある、あるいはサトウキビにもある、タマネギやカボチャには適用される、どういう仕組みになっているのか、まずこれをお伺いいたしたいと思います。

奥原政府参考人 お答えをいたします。

 農業共済につきましては、御案内のとおり、自然災害により収穫量が減少した場合に共済金を支払う、こういう仕組みになっております。

 この対象作物につきましては、今御指摘ございましたように、米麦のほか、大豆などの畑作物、それから果樹等が対象となっておりますが、野菜につきましては、農業者からのニーズも踏まえまして、現在のところ、バレイショ、スイートコーン、タマネギ、カボチャ、こういったものが対象になっているところでございます。

 これ以外のキャベツ等の野菜につきましては、作付が一年に数回行えるということもございまして、客観的な収穫量あるいは被害状況の把握が技術的になかなか難しいということがございまして、これまでのところは共済の対象とはなっていない、こういう事情でございます。

坂本委員 それぞれの地域では団地化していまして、そして複数収穫、通年の中で何回か収穫をするといっても、安定的な出荷体制ができておりますので、これから、やはりそういった安定化した野菜については、共済事業の適用というものもぜひ考えていただきたいというふうに思います。やはりその地域全体がキャベツで成り立っているというところもありますので、この辺のところを、改めて共済事業への見直し、改善をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 今質問してまいりました農業用水施設あるいは土地改良部門、そしてこういった共済、これは、農家、農村、農業にとりまして、最も基礎的で大切なところであります。

 農業で何が一番大切かといいますと、やはり品代、作物の代金をいかに高い方に持っていくのかということ、あるいは共同作業がいかにできるかということ、そして生産手段であります土地改良や、あるいはその他の農業、農村の整備事業がいかに行われるかということ、そして五年に一回、六年に一回、あるいは三年に一回ぐらいは必ず災害がありますし、自然との闘いでありますので、共済制度がどれだけ充実しているかということ。この本当に重要な要素をしっかり押さえていてこそ初めて農業が成り立つし、農村が成り立つし、集落が成り立つし、農家の方々のやる気が初めて出てくる、そしてそこに後継者ができてくるというような循環になっていると私は思っております。

 しかし、民主党政権になりまして、戸別所得補償制度とか、こういった所得に絡む、いわゆる目に見える部分はいろいろな形で予算が積み上げられておりますけれども、最も地味な土地改良の部分とか、農業、農村の整備部門とか、あるいは農業共済部門、こういった目に見えない部分について、やはり予算が大幅に削られております。

 平成二十年度、農業農村整備事業、六千七百億円だったものが、今年度は二千百億円ちょっとということであります。共済事業におきましても、九百七十億円だったものが、百億円近くやはり削減されている。この農業の最も基礎的な部分の予算を削減して、そして所得の配分ばかりやっていても、それは私は持続可能な農業にはならないというふうに思います。

 これからの土地改良事業を初めとした農業農村整備事業、あるいは共済事業、こういったところへのしっかりとした予算の積み上げが必要である、これがこれからの持続的な農業を展開するためには絶対欠かせないというふうに思いますが、この点につきましては、大臣、ぜひ御答弁をいただきたいと思います。

郡司国務大臣 今の御指摘は私どもも大変重要に考えております。

 やはり基盤整備というものがなければ、そしてまた、農地の適切な運用というものがなければ、この国の農業の将来を語るには難しいだろうというふうに思っております。

 したがいまして、大変窮屈な予算ということになりました。その後、一一三%、一一二%と、全体を切り詰める中で何とか必要なものについては戻していこう、こういうような努力をさせていただいているところでございます。

 そしてまた、若干異なる形にはなりましたけれども、交付金化をしたものがありまして、それについては、ことしは農林水産の予算でいえば一千五百でございますけれども、全体の戻しとしては一千七百二十ぐらいのものを各県に配分するようなこともできました。

 いずれにしましても、必要な農村の整備事業につきましては、これからも予算の配分について意を用いていきたいというふうに思っております。

 また、農業共済の関係でございますけれども、これも先生御存じのように、法定で決まっている分がございますから、この分についてはきちんと国として予算の措置をしてきたところでございます。

 それ以外の、管理その他のところで若干切り詰めるものができるかどうかということで予算を組んできたところでございますけれども、いずれにしましても、先ほど言いました農村整備事業、そしてまた、食料生産の基盤となりましたところの農業水利施設、さらにはまた、農業共済事業というのは、農業者が自然災害により受ける損失をきちんと前もって予防する、あるいはまた起こったことを補填するというようなことだというふうに思っておりますので、基本的な施策であり、その考え方をしっかりとこれからも取り入れていきたいというふうに思っております。

坂本委員 基盤整備の部分、共済の部分、これは予算が乱高下するようなことではやはりいけないと思います。

 例えば、この前、私は予算委員会でも質問させていただきましたけれども、平成二十三年度の第四次補正で、農業農村整備事業、いきなり八百億円の補正予算というふうになりました。

 各土地改良組合などにおきましては、八百億円、これだけついたのであれば、二十四年も当然やはり同じように予算化されるであろうということで、補正予算への申請を見送って、二十四年にしっかり構えて設計をして要望をしたところ、二十四年度の予算がまた二百億円台に逆戻りしたということで、非常に不安定な状況にあります。

 ですから、生産基盤、それからこの共済という災害に対する補償、この二つは、よほどのことがない限り、政治的な問題で予算を削減されるという問題ではない、これは日本全体のやはり食料政策にかかわってくる問題であるというふうに考えておりますので、ぜひ、これからの予算措置、改めてよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それから、先ほど農業の用排水あるいは頭首工の問題について質問させていただきましたけれども、いつも問題になることですけれども、先ほどの農業用水の施設、いわゆる頭首工の施設を改めて復旧するためには、やはり河川の復旧と事を一にしなければなりません。しかし、どうしても、国土交通省の河川管理事務所と農政の部門の方で、なかなかうまく話し合いがいかないというのが実情であります。

 一級河川の場合には、それぞれに国が河川管理事務所を持っておりますけれども、農業の場合には、やはり地域地域のそれぞれの土地改良組合あるいは農家組合などが中心でありますので、どうしても河川整備優先ということにならざるを得ません。そして、国土交通省の方に地域の方々が陳情に行くというような形態になりがちでありますので、そこは、国の方あるいは都道府県の方で、農林水産省と国交省の事前の話し合いあるいは連携をしっかりとっていただきたいと思いますけれども、その辺のところについてはいかがでしょうか。

郡司国務大臣 今回も、河川の氾濫といいますか、それと農地、農業用施設の被災というものが重なった形で起こっているところでございまして、しかし、河川については、今ありましたように、国土交通省が災害復旧に当たっているところだというふうに思っております。

 ただ、河川には、先ほど御説明をいただきましたけれども、取水堰、取水口など農業用の施設が設置をされておりますので、これらのことを考えれば、今御指摘のあったように、国交省と連携を密にしていきたいなというふうに思っております。

 このため、今回もそうでありますけれども、政府調査団による現地調査などの機会におきましては、両省それぞれ担当者が共同で現地の視察やあるいは把握、意見交換などを行うようにしているところでございます。さらにまた、御指摘をいただきましたけれども、省は省として省同士で、それから、地方農政局あるいは地方整備局がそれぞれにまた都道府県とも連携をとるような形の中で必要な連携をやっていこうということにしております。

 農林水産省といたしましても、農地、農業用施設の復旧に向けまして、河川の担当部局と連携を密にしながら、迅速な復旧にこれからも努めていきたいというふうに思っております。

津川大臣政務官 国土交通省でございます。

 今委員から御指摘いただきましたとおり、国土交通省としても、河川管理者として復旧に最大限努力をさせていただきますが、治水のみならず、利水の重要性ということにつきましても十分に理解をしているところでございますので、今農林水産大臣からお答えがあったとおりでございますが、しっかりと連携をとりながら、的確に、なお迅速に、早急に災害復旧ができるように、農林水産部局等と既に調整を始めているところでございます。

 以上でございます。

坂本委員 水害という災害そのものは、治水、利水にかかわりなく、やはり農業用水路でも一級河川でも同じように起きて、そして、集落を水に飲み込ませるということになるわけですので、ぜひその連携をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 さて、被害を受けた農家でございますが、これから再建に向けて努力をしなければなりません。しかし、どうしても高齢者が多いということになりますと、もうこれで一区切りして離農するというような傾向がうかがえます。しかし、そこは、国あるいは県、地方自治体も含めて、十分な資金の手当てをして、そして、再建への意欲をやはりもう一回持っていただく、そういう努力が必要であると思っております。

 そのためには、やはり再建のためのさまざまな支援措置というものを弾力的に運営していくこと、これが欠かせないというふうに思います。日本政策金融公庫のセーフティーネット資金、あるいは近代化資金、さまざまなこういった制度融資がありますけれども、そういったものをぜひ弾力的に交付していただいて、融資していただいて、そして利息等についても、ぜひやはり無利子化をお願いしたい。

 それから、さまざまな交付金制度もございます。施設関連整備事業、あるいは強い農業づくり交付金というのもあります。こういったものも今回の災害復旧については弾力的に活用していただく、こういう姿勢がやはり必要であるし、その姿勢があれば、やはり農家の方々もそれを受けとめて再建への意欲が増してくるというふうに思いますので、ぜひ資金面での手当て、弾力的な運用、そして無利子化、このことについてお答えをお願いいたしたいと思います。

佐々木副大臣 お答えいたします。

 まずセーフティーネット資金ですが三百八十八億、それから施設資金でございますが五十億、それぞれ災害関係資金として融資枠を確保させていただいてございます。

 それから、限度額、金利、償還期限等については、被災農業者に配慮した条件をそれぞれ設定させていただいてございまして、セーフティーネット資金でありますと、限度額で六百万、それから金利で〇・五から〇・六五、償還期限十年、施設整備では、限度額が事業費の八〇%、金利が〇・五から一・二、償還期限二十年というふうに、それぞれ設定をさせていただいてございます。

 今御指摘をいただきました償還条件のさらなる緩和ということでございまして、新たな貸し付けに対する弾力的な運用、条件緩和等については、七月十三日付で日本政策金融公庫など関係金融機関に要請をさせていただいているところでございます。

 今、御指摘がございましたように、中山間の地域の方々でも再建に向けての意欲が高まるように、迅速そして円滑な実施に努めてまいりたいと考えているところでございます。

坂本委員 後継者も多数いらっしゃいます、新規就農者もいらっしゃいます。意欲が湧くようなそういう運用を、ぜひお願いを申し上げたいと思います。

 それから、今回、畜産がかなり被害を受けました。豚が千頭以上死にました。そして、放牧地帯でありますので牛馬についても被害が出ております。

 それを処理するのに、やはりそれなりの費用がかかります。処理先は農協系統が運用しています処理施設が多いわけですけれども、どうしても、豚の場合にはキロ当たり六十円を取らなければいけない。ということは、百キロぐらいあれば六千円の処理費用になるわけです。これが五百頭、六百頭になりますと大変な負担になりますので、今、自治体ではそれを負担しております。

 その負担については、やはり、総務省として特交措置をする、あるいは環境面での事業にのせる、そういった新たな措置が必要であると思いますけれども、これは総務省の方にまずお伺いしたいと思います。

米田政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘の死亡した家畜でございますけれども、これは産業廃棄物であって、基本的にはこれまで畜産農家の負担でその処理を実施されてきたということで、その例外につきましては、国が補助事業を創設いたしました東日本大震災の影響で死亡した家畜の処理ということだけしかないというふうに承知をしております。

 現在、熊本県等々から具体的に御要望をいただいているわけではございませんけれども、今回死亡した家畜の処理に要する経費を地方公共団体において負担する、地方公共団体において財政負担が生じるという場合には、今後、その実情をお伺いいたしまして、ほかの災害により発生した廃棄物の処理の費用に対するいろいろな措置も勘案をしながら、対応を検討してまいりたいというふうに認識しております。

坂本委員 自治体は、こういう事細かな財政出動というのが災害の場合には非常に多くあります。最終的には、やはり総務省の方で取りまとめて、環境省、農林省、事業にのせられる部分は事業にのせる、あるいは特交で積算できるところは特交で積算する、そういう措置をぜひお願い申し上げたいと思っております。

 山林についてお伺いいたします。

 今回の災害の大きな特徴は、流木が多かったということであります。それも、やはり二十年生、三十年生、この辺の大きな流木が多くて、それが田畑あるいは先ほど言いましたような農業施設に堆積する、そのことによって被害を甚大にさせるということであります。

 そういうことで、この流木対策をどうするか。やはり、山の管理、山の手入れであります。専門家の話を聞きますと、やはり間伐が第一である。ですから、間伐の手法というものを考えていかなければいけない。今、切り捨て間伐には原則として助成金が出ません。搬出間伐しか出ません。であるならば、奥地に行けば行くほど、それは間伐が行われない、だから下草が生えない、そして根も張らないということになります。

 これまで国の指示どおりに杉、ヒノキを植林してまいりましたけれども、災害に対してはそれだけではだめだということが、この十年間、十五年間の間で徐々に現実のものになってまいりました。

 やはり、広葉樹、針広混合で混成林にする、そして間伐については急傾斜地も間伐の助成の対象とする、こういった新たな植栽、植林対策によって、やはり強度の強い安全な山林づくり、森林づくりがまさに必要な時期であるというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。

郡司国務大臣 二つの御指摘をいただいたと思っています。山そのものは、戦後の植林などもありまして、杉なら杉というような形が多かったわけでありますけれども、今後のことを考えると、そうした比率を、先生が御指摘のような混交林というものの割合をふやしていくということが、やはりこれからの私どもの考え方の中に大きく入れていかなければいけないことだろう、そのように思っているところでございます。

 それから、切り捨て間伐の関係でございますけれども、これは二十三年度に創設をいたしました森林管理・環境保全直接支払い制度におきまして、多面的な機能を維持する、また自給率五〇%を目指すという観点から、五ヘクタール以上の間伐箇所を集約するとともに、一ヘクタール当たり平均十立方メートル以上の間伐材の搬出ということをお願いしているところでございます。

 これらは、間伐作業の効率化を図るということ、あるいはまた、これからの住宅等の木材の安定供給を図る、再生エネルギーに供するということからも重要なことだろうというふうには思っておりますが、一方、御指摘をいただくような山奥の小規模な人工林などについて、それでいいのかという御指摘もあります。

 したがいまして、私どもでは、一カ所で五ヘクタール未満の、集約が困難な地域でも、複数の箇所を合わせることで支援の対象とするようにしたり、あるいはまた、平均十立方メートル以上の間伐材の搬出要件につきましても、間伐材を搬出できない箇所が一部存在していましても、全体で補助要件を満たせば補助の対象としているということでございます。また、小径木の間伐については、本年度から、搬出を要件としない除伐等として支援対象とするようなことも考えてきたところでございまして、御指摘のようなことを考えまして、柔軟な対応をしようとしているところでございます。

 どうぞよろしくお願いを申し上げます。

坂本委員 五ヘクタール未満の小規模なものについて、それを取りまとめてということでありますけれども、実際、間伐も人手が足りないというのも事実であります。やはり、災害地、災害が起きやすいところも含めてどういうような間伐対策をするか、もう一回練っていく必要があるというふうに思います。

 最後に、やはり出口の部分をしっかりと固めておかなければなりません。そういうことで、木材需要をこれからさらに喚起するために、建築基準法の改正は木材に対して非常に厳しい状況になっておりますので、この緩和をぜひお願いしたいと思いますけれども、国交省から最後に一言御答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十二年度に木材利用促進法というものが成立しておりまして、この中で、木材の耐火性等に関する研究の成果などを踏まえて、必要な規制の見直しを行うというように規定をされているところでございます。

 これを受けて、六月の閣議決定、規制・制度改革に係る対処方針の中では、その見直しの用途として、三階建ての学校というのを例示に挙げて、見直しを検討せよということでございます。

 これを踏まえまして、昨年度から、実大火災実験を実施するなど、技術的、科学的な検討を始めているところでございます。一応この研究計画自体は二十五年度までの三カ年計画でございますけれども、この成果を踏まえまして、必要な見直しをしっかり進めてまいりたいというふうに思っております。

坂本委員 木材需要がさらに拡大するように緩和もお願いいたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

吉田委員長 次に、中野渡詔子君。

中野渡委員 おはようございます。国民の生活が第一、中野渡詔子です。

 党のトップバッターとして、貴重な質問の機会を与えていただいたことに心から感謝を申し上げます。

 つい先日まで、よもやこの場所から自分が質問することになろうとは全く思ってもおりませんでしたけれども、各党の先輩議員の皆様に負けないように、気合いを入れて、しっかりと質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 冒頭、九州北部豪雨災害の被害に見舞われた皆様、またお亡くなりになられた皆様に心からのお見舞いとお悔やみを申し上げます。改めて、この日本列島は、自然災害の頻発する国であることを認識させられました。

 最初の質問は、災害に関して、大臣にお伺いしたいと思います。

 最近の自然災害は、局地災害というものからさらに限局した災害が多く発生しています。

 ゲリラ豪雨というのは、この東京のような都市で発生するという認識がありがちなんですけれども、実はこの冬の豪雪というものも、短期間にどっと大量の雪が降って低温が続くというゲリラ豪雪だったと地元の首長はおっしゃっていました。九州の今回の災害もゲリラ的だったと言えると思いますし、先般七月十六日に青森県で発生しました水害もゲリラ災害であったということを、現地を視察して強く感じました。このゲリラ災害というものが、今後、日本全国どこでも発生し得るものだという認識をまず持たなければならないと思います。

 まず、配付した資料の方をごらんください。こちらは、今お話をしました豪雨災害で、青森市浪岡地区でため池の災害が発生した、その新聞記事です。この現場にも行ってまいりました。昭和二十九年につくられたため池で、決壊したのは初めてだということでした。

 九州地方ではこの何十倍もの被害に遭っているということを念頭に置きながら質問をしたいんですけれども、昨年の震災、津波被害から、防災に取り組むべきという意識が高まりまして、復興枠で、主に耐震の面で、農業水利施設整備事業で二百五十五億円、水産基盤整備事業で二百五十億円と予算が確保されたわけですけれども、防災という観点からすると、農業用施設なんかにおいて、耐震強化だけではなくて、さらに対策を練る必要があると思われます。

 防災という全体の面から見て、必要な対策をどのように検討されているでしょうか。また、今後どのようなスケジュールで進める予定で、どの地域を、どの施設を重点的にやっていこうというお考えがあるのか、教えてください。

仲野大臣政務官 おはようございます。

 中野渡先生にお答えさせていただきます。

 昨年三月十一日に発生いたしました東日本大震災により、各地の農業水利施設に甚大な被害が生じました。これら施設の耐震対策は非常に急がなければならないと思っております。

 先生が先ほど来からゲリラ豪雨とおっしゃっておりましたけれども、近年、本当にこのゲリラ豪雨が頻発するようになっており、これに対応して農業水利施設を保全整備していくことも極めて重要であると認識をいたしております。

 この点、防災、減災対策については、土地改良長期計画において一つの柱として掲げており、まず一点目については、国営造成施設について、今後、耐震点検済みの割合を約六割としてまいります。二点目に、特に警戒すべきため池の減災対策のため、ハザードマップを約二千三百カ所で整備し、ハザードマップの対象となる農業集落戸数を現状の約十五万戸から約二十九万戸とする。三つ目は、集中豪雨等による湛水については、住宅地等を含み甚大な被害を及ぼすおそれのある農地のうち、約十万ヘクタールを解消することとしているところでございます。

 このような目標のもとに、土地改良長期計画の内容を着実に実施し、災害に強い農村社会を実現してまいる所存でありますし、土地改良区整備につきましても、県の方からさまざまな要望、要請等もいただいておりますので、これらを踏まえながら、また先生の御指導もいただきながらしっかり対応してまいりたい、そのように思っております。

中野渡委員 ありがとうございます。

 お配りした資料の左下の図をごらんください。これは、青森県内の農業水利施設の耐震化に特化した実態を示した図です。青森県の土地連さんの方からいただいた資料です。

 これを見てもわかるように、耐震化についてだけでも、全くと言っていいほど進んでいません。ため池については、対応済みと未対応を合わせると八百七十五カ所となっていますけれども、県内には千八百カ所の農業用ため池があります。この八百七十五カ所は調査ができた数ということで、実際には千八百カ所のため池があるんだということなんです。

 ため池の災害というのは、ため池が壊れたことによって、その下流の農地であったりとか住居という村まで影響が起きてしまって、多大な被害をもたらすものである。だから、まずはため池というところに重点化をして、そこに防災対策をしっかり当てていくんだということを改めてお答えいただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

郡司国務大臣 御指摘をいただいたように、被害が甚大になるだろうというおそれのある地域あるいは施設というところに、重点的にやはりこれから力を注いでいかなければいけないというふうに思っております。

 その一つがやはりため池だろうというふうに思っておりまして、大規模地震のおそれの高い地域で、災害の未然防止のために必要だと言われるような対策を行っていきたいというふうに思っております。

 それからもう一つ、ため池と同時に、農地が水をかぶってしまうというような被害が周辺の公共施設、宅地にも及ぶおそれのある地域において排水路あるいは排水機場等の整備を行う、こうしたところに重点的に行っていきたいというふうに考えております。

中野渡委員 ありがとうございます。

 ため池が壊れることで、結果として水不足が生じてしまったりということもありますし、また、水害を起こさないためには、森林の対策ということで先ほど坂本委員からも御意見がありましたけれども、ここの点も何とか、農家の皆さんが困らないような対策を早急にとっていっていただきたいというふうに思っております。

 次に、この冬の豪雪で、雪国ではビニールハウスが潰れまして、雪解けが遅かったために、農作業も全体で数週間から一カ月程度おくれてしまうというさまざまな困難に見舞われました。余談ですけれども、ある農家さんから、ことしは三月うるうの年なので、旧暦の三月が二回来る、そういう年だから雪が残ってしまうのも仕方ないし、寒いのも仕方がないんだ、そういうお話をお聞きしました。

 四月十七日には豪雪、暴風雨により被災した農業者への追加支援策というものを出していただいたんですけれども、実は使えなかったという御意見が多くありました。というのが、農家さんは、ビニールハウスが壊れれば、それが雪の中であっても片づけをして次の準備を始める。春が来たときにはすぐに取りかかれるようにということで、準備をどんどん進めていきます。このため、多くの農家さんが三月のうちにもう片づけなんかを済ませて、資材の準備も済ませてしまっていたために、せっかく対策を出していただいたのに、もう対象とならなくて、結果として全額自己負担でことしの作業を始められたというケースも多数あったということです。

 大臣にお伺いしたいんですけれども、全部の災害で、どの災害でもというのはなかなか難しいとは思うんですが、災害時の助成制度について、災害時点まで遡及して支給できるという仕組みに変えられないものなんでしょうか、難しいものなんでしょうか。お伺いしたいと思います。

佐々木副大臣 中野渡先生にお答えをいたします。

 今御指摘がございましたことしの豪雪というのは、十七都道府県でハウス被害約一万三百棟ということで、例を見ない被害状況でございました。

 農水省としては、共済支払いあるいは果樹の植えかえという既存の事業ですが、それに加えて、今回、災害関連資金の無利子化、あるいは農業ハウス等の再建、修繕への助成、水稲等の苗の確保など、今お話がありましたように、四月十七日に公表させていただいたところでございます。

 こうした実際の取り組み状況に加えて、二十四年度予算を活用することも考慮いたしまして、四月十七日に発表させていただいたわけですが、四月一日以降に遡及をさせていただいたところでございます。

 今、それ以前もという御指摘をいただきました。昨年の東日本大震災では、第一次補正予算で講じた措置がございます。三月十一日まで遡及したという事例があるのでありますが、このときは国会の審議をいただいてございます。こうしたことから、今回の豪雪に対する支援策ということについては、平成二十四年度の当初予算で措置をさせていただいた。ちょうど年度をまたいでしまっているがゆえに、年度を越えて遡及するという場合には、東日本の震災のように国会審議をいただいたというような特殊な事例がありますが、それ以外ではなかなか難しいというのが現状でございます。

中野渡委員 ありがとうございます。

 年度を越えるのか越えないのかというのは、それは行政側の問題であって、被害に遭われた方たちにとってはそんなのどうでもいいことなんですね。だから、やはりこれは、これからどんな災害が起きてくるのかわからないという中では、しっかり対応をとっていただきたいというのは現場の農家さんたちの声でもありますので、ぜひ何とか、まずは政府の中でお話し合いをしていただきたいと心からお願いを申し上げます。

 今、この時期になってきますと、田んぼでは稲が穂を出すというころになってきますが、水害に遭った場合に、農家さんは共済金で手当てされることになります。でも、作物によってはこれから種をまく、例えば転作水田でソバを植えようとしていたところに水害による農地災害が発生してしまって、まだ植えていないので共済金も受け取れないという場合、どんな救済措置があるんでしょうか。

佐々木副大臣 御案内のように、共済制度は播種から収穫までというのが基本でありますので、播種前の災害ということは、残念ながら共済の対象にはなっていないというのが現状でございます。

 しかし、営農は持続をしなければいけないというようなことでありますので、こういう場合にはセーフティーネット資金を利用していただくことが一番いいのではないかということで、そういう融資についてはしっかり相談をさせていただきたいというふうに思ってございます。

中野渡委員 ありがとうございます。

 結局、セーフティーネット資金は融資です。高齢化が進んでいる農村の中で、転作水田で、それでも作物をつくろうと思っていて、災害に遭っちゃって、それで融資を受けて、では農業を続けられるかというと、正直なかなか難しいという現実も抱えているというところなんです。

 共済制度は共済組合が考えることだとは思うんですけれども、やはり国として、食料自給率の向上であったり、担い手の確保であったり、また、農地の保全というものに取り組んでいくんだ、多面的機能を大事にしていくんだ、そういうことに取り組んでいくというのであれば、こういう方たちを大事にしていく、守っていくというのが民主党の農政の基本であったと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

郡司国務大臣 副大臣から今お話をしたような現行の形になっております。

 今後、どのような形で、いろいろな作物をつくっている方々の経営の安定のために役に立つような制度というものを考えていかなければならないというふうにも思っております。その際に、現行の共済制度以外に、例えば収入保険の形式をとれば一定程度そういうような経営の安定に資することができるのか、いろいろな方策をこれからの中で考えて、やる気のある方々については農業の経営に意欲を持ってもらえるように取り組んでいきたいというふうに思っております。

中野渡委員 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 ちょっと質問の順番を変えます。きょうは、外務省また防衛省の方からもお越しいただいていますし、また、外務省の方からは中野政務官にもお越しいただいております。お忙しい中、ありがとうございます。

 先般、七月二十二日に、三沢基地所属の米軍F16機が根室沖に墜落をしました。三沢の漁師さんたちが、これが自分たちの漁場だったらという不安をとても抱えていまして、申し入れもしたというふうに聞いています。今現在、オスプレーの配備に関して、環境レビューでは飛行ルートが公表され、日本上空を飛行するという可能性も示されました。

 ここは農林水産委員会ですから農林水産業に限った御質問をさせていただくんですけれども、これまで、米軍用機の墜落を含む事故で農林漁業者に賠償が発生した、そういうことはあるでしょうか。省庁さんの方から。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍機の飛行や事故に伴い損害が生じた場合には、日米地位協定十八条五項及び民事特別法の規定に基づき対処することとなります。

 具体的には、我が国防衛省が、被害者から賠償請求を受け、米国政府と協議の上で賠償額を決定し、被害者の同意を得て賠償額の支払いを行っているところでございます。

 お尋ねの、農業に係る被害の最近の事例ということで申しますと、例えば、平成二十二年六月、秋田県の大館市におきまして、米軍機の飛行に伴い飼育鳥八十六羽が圧死したという事例がございましたけれども、こういった事例に対して、私どもの方で、米側と協議の上、損害賠償を行っているという実例がございます。

中野渡委員 ありがとうございます。

 確かに、アメリカと日本とで七五%、二五%ということで賠償額が決まっていて、地位協定に基づいてということなんですけれども、実際には、先に防衛省の方で立てかえ払いをされているわけです。この立てかえ払いをされた賠償金をきちんと米国に対して請求して、それをきちんと返してもらっているんでしょうか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど先生御指摘のとおり、日米地位協定に基づきまして、日本側が一度立てかえ払いをした上で、残りの七五%につきまして米側に対して求償するという制度になっているところでございまして、基本的には米側から求償を得ているところでございます。

 ただ、一部、法律の解釈、法令の解釈、違法性をめぐる認識等に日米間で議論があるものについては、米側からその償還を得ていないといった事例もございます。

中野渡委員 ありがとうございます。

 どうしても、外交また防衛の関係というのは何となくブラックボックスになっていて、国民の皆さんにわかりにくいというところがあります。何でもかんでも譲って譲って譲りまくっているという印象が強いので、こういうところもしっかりと公表しながら、返してもらっていますよということを示すべきではないかなと私は思っております。

 また、米軍用機の事故というのは絶対に起きてはならないと思いますし、今回のオスプレーの飛行ルートに対して、関係する自治体が抗議を申し入れるということも当然だなと思っております。

 オスプレーについては安全性を確認するまでは飛行させないということなんですけれども、先ほどもお話ししたように、米国に対しての日本政府の言動が国民の意識を反映していないから、日米協定を盾に逃げているように見えるからこそ、国民の不安と不信というものを募らせているんだということをおわかりいただきたいと思います。

 農林漁業者の不安を取り除くためにも、毅然とした政府の見解というのを示していただけるよう、中野政務官、お願いを申し上げます。

中野大臣政務官 委員御指摘のとおりだと思うんです。四月にモロッコでオスプレーが墜落をして、六月に今度はフロリダで墜落をして、先般二十二日ですか、F16が、公海上ですけれども、不時着というか着水をしたというふうなことが起こっている中で、本当に今、日本国民の中で非常に懸念が増している中で、やはりこの懸念の空気というものをしっかりとアメリカに伝えていかないといけない。私たち政府が幾ら理解をしても、与党の政治家を含めて国会議員の方がどれだけこの国民の空気感を理解していても、それがしっかりと米国に伝わらないと話にならないということだと思います。

 その中で、御案内のとおりですけれども、先般二十六日に日米合同委員会を開催いたしました。この日米合同委員会は、オスプレーの問題だけに焦点を絞っていろいろな議論をさせていただきましたけれども、その根底にあることは、日本の懸念、国民の持っている心配をどれだけまず米国側に理解していただくかということに基点を置きまして、さまざまな問題について、問題提起、回答を今いただきながら適宜やらせていただいております。こういった機会はこれからさらにふやしていって、その中でしっかりと、私たちとしても、米側に対して、日本の懸念を払拭できるような説明責任を果たしていただくように、努力をしていきたいと思っております。

中野渡委員 ありがとうございます。

 地域の方たちが本当に不安を持ちながら日米の関係というものを見詰めているんだということを改めて御認識していただきながら、外交というものを推し進めていただきたいとお願いを申し上げます。

 中野政務官、お忙しいところ、本当にありがとうございました。あとは御退席いただいても大丈夫です。ありがとうございます。

 続いて、人・農地プランに関しまして、青年就農給付金について御質問をしたいと思います。

 この希望件数というのが何件ぐらいあって、実際の申請状況とか給付状況というのがどうなっているのか、教えてください。

仲野大臣政務官 お答えさせていただきます。

 農業内外の青年の就農意欲を喚起し、就農後の定着を図ることにより、青年新規就農者数を大幅に増加させるため、平成二十四年度において、青年就農給付金を初めとする新規就農総合支援事業を実施しているところであります。

 今御質問のありましたこの給付金については、全国的に非常に人気が高く、都道府県からの要望人数が平成二十四年度当初予算で想定した八千二百人を大幅に上回り、三月末時点の要望では約一万五千四百人となっている状況でございます。

中野渡委員 ありがとうございます。

 人・農地プランは、未来の設計図を地域のみんなでつくりましょうというのがテーマであったと思います。青年就農給付金というのは、担い手確保として、本当に地域で大きく期待をされているものです。

 ただ、期待されている分、予算枠がこうだからということで、その予算枠も少な過ぎるじゃないかという御意見もあったんですけれども、結局、都道府県の割り振り的なものから、地域で何百人と応募があっても、その中から一人、二人しか申請できない、あるいは給付がもらえないというようなことになっていくのであれば、本当に国は真剣に担い手、後継者の育成、確保というものを考えているのか、そういう厳しい意見が出てきてもしようがないんじゃないかと私は思います。

 また、この青年就農給付金が当初、農林水産省の方から出されたときには、その年齢が四十歳ということで出されてきました。これに対して、自分だけではなくて、ここにいらっしゃる多くの委員の皆様から、もっと引き上げるべきだということで、四十五歳未満ということになり、本当によかったとは思っているんですが、私は個人的には、個人的にというか、農林水産省に対しては、五十歳まで引き上げてほしいというようなことを実はお願いしました。今も地元からは、せめて五十歳まで引き上げてもらわなきゃだめなんじゃないかという御意見が出てきています。

 そういう意味でも、今後、予算の確保をしっかりやっていってほしいと願っておりますし、年齢制限についても、五十歳未満まで引き上げてほしいということをお願いしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

郡司国務大臣 今委員から御指摘がありましたように、当初、計画をしたときには、四十歳でいこうかということでございました。いろいろ、中野渡先生等からの御発言もございまして、四十五にというところまで引き上げさせていただいて、まずはということでやりましたら、先ほど言いましたように、倍するような応募があったというようなことでございます。

 したがいまして、とりあえず、応募をいただいた方々がかえって、応募したために結果として意欲を失ってしまうようなことがないように、この後の予算措置あるいはまた対応等についても丁寧にやらせていただきたいなというふうに思っております。

 五十歳にしてはどうかということになりますと、なかなか、世間一般でいわゆる青年とかというのが幾つかというところだけではなくて、日本の農業の現状に合わせてというようなことももちろんありますけれども、今のところ、四十で始まって四十五までにしたところが、それだけではないにせよ、非常に多くの応募をいただいた。そこをきちっと手当てするということを第一に、これからまた、長期的に見て、いろいろな意味での就農の成果が上がるということにつきましては、一考の余地はあるのではないかというふうには考えております。

中野渡委員 ありがとうございます。

 五十歳が青年と言えるのかどうかというようなお話がありましたけれども、ある農家さんからは、自分はお米を三十年間つくっている、でも三十回しかつくったことがないというふうに言われます。高齢化が進んでいる農業の中で、四十五歳とか五十歳とかというのはもう十分青年なんじゃないのかなと私自身は思ってしまいます。乱暴な言い方かもしれないんですけれども、しゃくし定規的な考え方で制度を組むということ、それ以上に今現実は厳しいんだということを改めて認識していただきたいなと思っております。

 時間もだんだん限られてきましたので、次に、水産についてお伺いをしたいと思います。

 これはぜひ仲野政務官にお伺いをしたいんですけれども、内水面漁業について、サケ・マスの放流事業のことです。

 これまで水産庁に、サケ・マスの放流事業の補助について何度もヒアリングをいただいてきました。サケ・マスの放流事業は平成二十二年度で終了しています。終了された理由が、例えば、県が自分たちでやれるからという理由であったり、あるいは、独自性があるので国の支援は要らないといったような、そういう地域主導型のことが終わった理由にされたり、あるいは、三位一体改革の中で制度が終了した、そういう説明をいただいてきたんですけれども、これは本当に地元との温度差があると思っています。

 国民の魚食を守るために、また、海の漁師さんの収入を確保するために、河川の上流の漁協が稚魚放流をされています。近年はその回帰率も減少してきていますし、卵を確保して放流するというマンパワーにも限界が来ていて、しかも、高齢化が進んでいるために漁協の存続自体が危ういということがあります。

 この中で、地元の意向だから事業が終了したという説明をすると、みんな一様に、そんなことない、何で継続してくれなかったんだ、そういうお声をいただくんです。耳石調査の事業費は新しくつくられた、それは存じているんですけれども、この放流事業費をやはり確保していかなければならないんじゃないかというふうに思っているんです。

 同じ青森県の生まれであって、漁業政策に通じている、そして私の敬愛する仲野政務官にぜひ前向きなお答えをいただきたいと思いまして、よろしくお願いいたします。

仲野大臣政務官 先生にお答えさせていただきます。

 まず、このサケ・マスふ化放流については、実は、御案内のように、平成十八年度から三位一体改革の一環として地方に税源移譲が行われたところから、現在は各道県において取り組まれており、一方、国としては、サケ・マス資源の増大等のための地方公共団体、漁業協同組合等のふ化放流施設の整備については強い水産業づくり交付金により支援を実施しておりますし、また、道県を越えて漁獲されるサケ・マスの高品質化につながるよう、ふ化放流事業を実施している民間団体による耳石標識放流の取り組み等を、さけ・ます資源高品質化推進事業により推進しているところでございます。

 いずれにいたしましても、このサケ・マスが近年大変厳しい環境にあるということから、今後しっかり、中野渡先生の、また地元の御意向を踏まえさせていただきながら、総合的にいろいろといい方向で検討してまいりたい、そのように考えているところでございます。

中野渡委員 ありがとうございます。

 一点、この放流というのは上流でやらなきゃいけないことで、河川の長さが短いと言うと変ですけれども、割と、海の方の漁協さんと連携してやれる放流の漁協さん、稚魚放流をされている漁協さんであれば、要するに収入というのが、自分たちが放流したサケが帰ってきて、それをとって収入として上げられて、うまく回していけるというのはあるんですけれども、本当に放流に特化している漁協さんであれば、それしかできないんです。その方たちは漁師さんでも何でもなくて、ほかのことで収入を得ている方たちになるわけで、いろいろな特殊性がある、地域性のある放流事業なんだということも念頭に置いていただきながら、またこれは仲野政務官ともお話をしながら、何とかいい対策がとれないかということをぜひ議論させていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 きょうは、国交省さんの方からもおいでをいただいているんですけれども、ちょっと時間がなくなってしまいました。再エネ法に関してお聞きしたかったんですが、これはこれからこの委員会の中でもテーマとして取り上げられていくと思いますので、そのときによろしくお願いをしたいと思います。

 今回は、広くいろいろと御質問をさせていただきました。これからもまたよろしくお願いしたいと思いますし、机上の空論というのではなくて、現場の本当に切実な思いに沿った農政というものを、これからも取り組んでいただき、実らせていただきたいと心からお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

吉田委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 早速質問に入りたいと思います。

 私は、きょうは、再生可能エネルギーの、特に木質バイオマス発電についていろいろとお聞きをいたしたいというふうに思います。

 七月一日から再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度がスタートいたしました。特に、木質バイオマス、調達価格について幾つか分かれているということもこれからお聞きをいたしますが、まず、農林水産省、特に林野庁として、この分野の目的というんですか、どういうふうに捉えていらっしゃるのか、お聞きをいたしたいと思います。

郡司国務大臣 バイオマス、再生エネルギーの関係で御質問をいただいております。

 もう委員御存じのことだと思いますけれども、戦後の植林も含めまして、我が国の一年間の搬出できる量というのは八千万立米ぐらいあるだろうと。しかし、暦年度、間伐というものを行う中でということになりますと、その間伐をした残りの木材が放置をされている、こういうものが約二千万立方メートルぐらい一年間で出ているというように私どもは計算をしているところであります。一方で、供給をされている木材の方は一千九百万立米ということでございますから、私たちの国の資源の活用というものが若干バランスを欠いているような形になっている。

 こういうことを直していこうということはもちろんでございますけれども、今、時代に要請されております木質バイオマス発電施設を整備するということは、林業の活性化あるいは雇用の創出にもつながりますし、また、エネルギーの安定供給という新しい時代の側面からも極めて重要な取り組みだろうというふうに思っているところでございます。

 しかし、なぜ今まで間伐されたものが放置をされてきたのかといえば、やはり路網の整備その他のことによりましてコストが高どまりになっている、あるいはまた輸送に費用がかかるというようなことでございました。この辺のところを再生プランの中でクリアするような道を一緒にやりながら、バイオマスの関係についてはこれからの新しい取り組みとして広めていきたいというふうに思っているところでございます。

石田(祝)委員 きょうは経産省も来ていただいていると思いますので、お聞きをいたしたいと思います。

 木質バイオマスの材料、原料になるチップ、そういうものの調達価格が幾つかに分かれているようですが、どういうふうに分かれているのか、簡単に御説明ください。

中根大臣政務官 石田先生にお答えを申し上げます。

 再生可能エネルギー特措法では、効率的に事業が実施された場合に通常要する費用を基礎としつつ、適正な利潤等を勘案した上で、調達価格を毎年度定めることとされております。

 また、調達期間については、電気の供給の開始から発電設備の重要な部分の更新までの標準的な期間を勘案して定めることとされております。

 さらに、調達価格、調達期間については、国会の同意を得た上で任命した委員により構成される調達価格等算定委員会の意見を尊重して定めることと法定されており、木質バイオマスの調達価格、調達期間についても、こうした法律上の規定にのっとりつつ、同委員会の意見を尊重し、決定をいたしました。

 具体的には、木質バイオマスを用いた発電に関する調達価格は、一キロワット時当たりでございますが、形態が三つに分かれておりまして、一つは、未利用の間伐材や主伐材では税込み三十三・六円、二つ目、工場残材等の一般木材では税込み二十五・二円、三つ目、建設廃材等では税込み十三・六五円とし、調達期間についてはいずれも二十年とさせていただいております。

 以上です。

石田(祝)委員 このように、木質バイオマスであっても三つに価格が分かれているということであります。

 それで、経済産業省の告示の第百三十九号、これは六月十八日に官報掲載されておりまして、具体的にはこの六月十八日に決定をして発表された、こうなっておりますね。それで、これはまさしく杞憂になるかもしれませんが、私はこの告示を見ておりまして、特にその中の「設備の区分等」の十二番、未利用の間伐材というところで、「(輸入されたものを除く。)」という書き方になっております。

 これはちょっと私は取り越し苦労かなとも思いますけれども、我々も、国産材を使ってもらいたいということはそのまま書けない、WTOの問題で直接的には書けないということで大分苦労して、公共の建物に国産材、地域材を使ってもらおう、こういう法律もつくったわけですね。そういう苦労もしてまいりましたけれども、ここにストレートに「(輸入されたものを除く。)」と書いて大丈夫なのかな。取り越し苦労かもしれませんが、この点はいかがですか。大丈夫ですか。

中根大臣政務官 先生御指摘の点でございますが、調達価格については、さきに述べたとおり、効率的に事業が実施された場合に通常要する費用を基礎とし、適正な利潤等を勘案し、調達価格等算定委員会の意見を尊重した上で決定したということでございますが、輸入木材を用いたバイオマス発電については、調達価格等算定委員会における議論では、発電コストが工場残材等の一般木材を用いた場合に近いため、一般木材の調達価格税込み二十五・二円での買い取りとされたものでございます。

 WTO協定上は輸入産品について国内産品より不利でない待遇を付与することとされておりますが、輸入木材を用いたバイオマス発電についてはそのコストの実態に見合った調達価格が設定されており、輸入木材が国産木材よりも不利に取り扱われているわけではないということでございます。

石田(祝)委員 心配ないということですから、ここではこれ以上申し上げませんが、我々もいろいろとWTOの問題を非常に慎重に考えつつ今までやってきましたので、これだけはっきり書いていいのかなと。杞憂かもしれませんので、今の政務官のお答えが政府のお考え、これは、そういうことがこれからトラブルにならないように、ぜひ御注意もお願いをいたしたいというふうに思います。

 それで、税込みで三十三円六十銭、二十五円二十銭、これは間伐材と主伐材、材だけでいいますと。国産の、国内の材でもそうなっておりますけれども、間伐材と主伐材、どこがどう違うのか。この価格の差を一体どういうふうに見て、こういうものが出てきたのか。また、主伐材でも、森林経営計画を立てるとか、保安林であったら三十三・六円でいいよ、こういうことになっているんですね。ですから、これはどうも中身の木の問題じゃない。一体どこでどうしてこんなに、例えば税引きで八円の差が出るわけですから、これはどういうふうなことでこうなったんですか。

皆川政府参考人 お答え申し上げます。

 未利用木材については、間伐材のほかに、森林経営計画対象森林から出材された木材等であって、それが証明されたものとしているところでございますが、これらについては間伐材と同様にコスト、品質等の面から未利用なものが多く見られているということと、持続的な森林経営を通じた森林の公益的機能を確保するために、主伐に関して、森林計画に基づく主伐については、立木材積を維持しなければいけない、伐採量が制限される、伐採間隔の拡大をしなければいけない、伐採面積の規模を縮小しなければいけないといった、森林の持続的な経営が可能となるような制度上の制約がある、非常に野方図に伐採していいというものではないという意味での制約がございまして、そういった制約を勘案しますとコストがやはりそれなりにかかるということでありまして、それが勘案されてこういった価格になったというふうに理解をしております。

石田(祝)委員 それと、これは保安林も同じ扱いになりますね。そうすると、保安林ともう一つ何かカテゴリーがあったというふうに思いますけれども、そういうものも全く同じように、コストの観点からだけのことでそういう条件をつけて税引き三十二円、こういう枠の中に入れようということですか。

皆川政府参考人 お答え申し上げます。

 伐採に伴います森林法上の制約というものを比べたときに、例えば保安林についても伐採に関して非常に強い制約がございます。また、それ以外には、国有林野の施業実施計画ですとか公有林野等の官行造林地施業計画というものの対象森林についてもそういった制約がかかりますので、同様にそういったことと並べた価格ということにさせていただいているところでございます。

石田(祝)委員 今回の木質バイオマス発電での、いわゆるこういうチップ等の木質の買い入れ額、これについては非常に皆さんがある意味で期待をしているわけですね。

 特に、林地残材が二千万立米あって、それをとにかく、ある一定の高い、三十二円ですね、その価格で買い入れることによってそういうものをなくしていこう、そして、間伐材がほかにもう使われているから、そういうものに影響を与えないようにということで、林地残材というところのものを利用しよう、そして地元にお金が落ちるようにしよう、こういうことで、私は非常に結構なことだと思っているんですね。

 地元の林業経営者等にいろいろお聞きをいたしますと、先ほど申し上げたような三十二円と二十四円という差があるものですから、ぜひ主伐も含めて三十二円で買ってもらいたい、こういう期待の声もあるわけですね。今、林野庁長官から、森林経営計画とか今までの施業計画も含めて大丈夫なようでありますけれども。

 それで、森林経営計画の様式を私も見せてもらったんですけれども、これはなかなか複雑じゃないか。ちょっと、書くのに、林業の方にこれをつくれというのはなかなかしんどいんじゃないかな。これは、現地の声も、経営計画をつくるのが大変だという声もあるんですね。いろいろなお声もお聞きになっているようでありますけれども、経営計画の計画書、またいろいろなお声をどういうふうに受けとめておられるのか、御答弁をお願いします。

皆川政府参考人 お答え申し上げます。

 森林経営計画自体は、昨年の森林法の改正において、新しい形で、森林において持続可能な経営をするという観点で定めるということでございまして、そういった意味では、言ってみますと、やはりある程度の集約化の計画ができていなければいけないということかと思っております。

 そういった意味で、なるべく地形ごとに設定された林班の単位ですとか、複数林班を合わせて作成することを原則といたしまして、その二分の一以上の森林を計画対象とするということが要件になってございます。

 ただ、一方で、やはり例えば不在村者が多いとか、多種多様な森林の所有者の方々がいらっしゃるということで、この二分の一の要件というのはなかなか難しいんだというお声があることもよく承ってございます。

 そういった観点で、やはり、いろいろな御努力をいただいても、例えば、森林所有者がわからない森林がある、さらには、森林組合等、あとまた市町村があっせんをするとか、そういった今回の森林法でできた内容を使ってもなかなか計画策定に応じていただけないといった森林所有者の森林については、当面、この要件の分母、二分の一という分母から除外できるように運用するということで、関係者の方々にも御理解を賜るように周知を図っているところでございます。

 また、様式等の御指摘もございましたが、こういったことについては、なるべく所有者の方々の御負担にならないように、不断に改善をさせていただきたいというふうに思ってございます。

石田(祝)委員 地元の林業の方は大変期待をしているのは間違いありません。今まで、搬出に非常にお金がかかる、切り捨てではお金が出ない、そのまま残されている、それが災害のときには流れ出して、非常な災害も与える、こういうこともあります。

 ですから、二千万立米を利用するという計画は大いに結構だと私は評価はいたしておりますが、実際にそういうものに当たられる人たちがそれをどう使ってくれるかということ、これが非常に大きな問題ですので、森林経営計画の様式の、私から見たらちょっと、私は見たんですよ、全部。見たんですけれども、これはなかなか大変じゃないかなというのが率直な実感。それと、二分の一以上という林班の面積のあり方、こういうものも含めてできるだけ地元の御意見も取り入れていただいて、実際にやる以上は効果が上がるようにこれは取り組んでいく、こういう観点で、ぜひ見直しを引き続きお願いいたしたいというふうに思います。

 それで、キロワット当たり三十二円で買いますよ、二十四円で買いますよと言っても、現実に発電施設ができていないとこれは全く意味がないわけですね。現在、この申請状況、新しくつくりますよ、また、既存の施設を木質バイオマスの発電施設にかえますよ、こういう申請は現時点で一体どのくらい出てきているのか、お答えをお願いします。

中根大臣政務官 今月一日より開始された固定価格買い取り制度で再生可能エネルギーによる電気を売電するためには、事前に発電設備が本法で定める要件に適合しているか、経済産業大臣が認定することとなっております。

 七月三十日時点における木質バイオマス発電の申請件数は、新設設備で一件、既存設備はゼロということでございます。

石田(祝)委員 一日から法律が動き出して、六月十八日に買い取り価格が決まったりしているんですけれども、この話は以前から出ているわけです。木質バイオマス発電、再生可能エネルギーを進めなきゃいけない、太陽光、風力もありますけれども。それにしては、一件とゼロでしょう。

 それで、既存の施設については、申請期限が当初は九月までだったじゃないですか。それを十一月まで延ばしているわけですが、これは、先ほど申し上げたように、非常に山の方も期待していると私は思うんですね。しかし、受け入れの発電設備がないと、幾らチップを用意して山のように積んでも、持っていくところがない、お金にならないということです。これは早くやっていただかないと全く意味がない、こういうことになりかねません。

 今現在の申請状況はわかりましたけれども、これからの見通しは、政務官、いかがですか、わかりますか。

中根大臣政務官 まだ見通しについては十分把握をしておりません。私も、実は、川崎にある木質バイオマス発電所をつい最近視察してまいりましたが、ここもまだこの新しい制度を利用するかどうかということを検討中だということで、そういったことも含めて、徐々に事業者はふえてくるものと思いますが、はっきりしたことは今時点では見通せない状況でございます。

石田(祝)委員 現時点ではそういうお答えでしょうが、せっかくやる以上、そういう受け皿になる、投入される施設がないと、幾ら山のように間伐を集めてきても全くお金にならないということでありますから、その部分は経済産業省も林野庁とよく提携をして、しっかりとやっていただきたいというふうに思います。

 長官、何かありますか。長官の方から発言があったらどうぞ。

皆川政府参考人 バイオマスの関係はさまざまな助成策がございます。また、復興交付金でも、被災地でもできるということで、そういった事業構想が、例えば福島県でありますと三カ所ぐらいで、もう既にその事業構想づくりに着手されております。また、全国でもそういった動きが出ているというふうに聞いておりますので、先ほどの政務官の御答弁にありましたが、何件とは申し上げられませんが、徐々に相当数が出てくるというふうに私どもは思っております。

石田(祝)委員 この設備をつくるには、林業整備の加速化基金も使えるんでしょう。ですから、そのあたりももうちょっとPRして、せっかく私たちも、年度で切れるところを、とにかく我々公明党としては、二千億円やるべきだ、林業整備の加速化基金を二千億円でもう一度延ばせ、こういうことを提案いたしました。その結果、約千四百億だったと思いますが、そういうお金もあるわけですから、これはしっかりと使えるということをPRしていただいて、早く進めていただかなきゃいけないというふうに思います。

 それで、あと、私は、山の方でそんなに大きなものはできないだろうと思って、五百キロワットの発電設備をつくるのにどのぐらいのイニシャルコストとランニングコストがかかるか、こういうことで試算をしてみてくれませんかと経産省と林野庁にお願いをしたんですが、どうも数字が違っているんですね。数字が違っているので、よく両省で精査をして出してきてくれということをお願いしておったんですけれども、まだ私のところに届いておりません。ですから、これは現状、どういう数字なのか、お答えをいただけますでしょうか。

中根大臣政務官 経産省からお答えを申し上げます。

 未利用の間伐材や一般木材を用いた木質バイオマス発電について、調達価格等算定委員会における調達価格の算定に際して用いられた建設費単価はキロワット当たり四十一万円でありまして、仮にこれを出力五百キロワット級の発電所に機械的に単純に当てはめると二億円程度となります。

 ただし、この建設費単価は出力五千キロワット級の発電所を前提としたものであり、出力五百キロワット級の発電所の場合、規模が小さいことや、この規模の木質バイオマス発電所はこれまで数が限られていたことなどから、建設コストも二億円より上振れをする可能性が高いと考えております。

 また、発電所から電力系統までを接続するための電線の設置コストについては、出力五百キロワット級の発電所の場合、一キロメートル当たり約二千四百万円程度となることが想定をされております。

石田(祝)委員 ほかのことも聞かなきゃいけないので、きょうはこのぐらいにしておきたいと思いますが、とにかく一日も早く発電設備をつくっていただいて、間伐材、林地残材、そういうものを地元が搬入して、雇用も生まれる、お金にもなる、こういうことで大変期待をしておりますので、これはぜひよろしくお願いをいたしたいというふうに思います。

 林野庁長官、最後に長官にお聞きしたいんです。実はきのう、私は愛媛新聞という新聞を読んでおりましたら、「住宅や家具でエコポイント」「木製買えばお得」という記事になっていまして、要するに、木製のものについて、木材利用エコポイント制度、こういうものの導入を検討し始めたという新聞記事が載っておりましたが、これはそういうことですか。予算も要求するみたいなことが書いてありますが。

皆川政府参考人 お答え申し上げます。

 木材利用エコポイントという新聞記事、私も拝見させていただきました。これは、私ども推測いたしますに、実は、森林関係の地球温暖化を考える会という、私どもが依頼をいたしましていろいろと御検討いただいた有識者会議の中での御提言として、国産材利用のエコポイント創設ということの御提言があったということを受けた記事ではないかと思っております。

 また、その背景として、地球温暖化枠組み条約のCOP17、昨年十二月に南アフリカのダーバンであったわけですが、その中で、国際的なルールとして、HWPと申しまして、伐採した木材でも、その利用が継続されている期間はいわゆる森林吸収量がそのまま継続する、いわゆる排出に行くのではなくて吸収量として継続するというルールが認められたということがありまして、こういったことを具現化する、木材利用をさらに増進するということが、一種、都会の中にも第二の森林をつくることと同じだというようなルールができたことを受けて、この有識者会議からの御提言があったというふうに私どもは考えております。

 エコポイントというのは同様のものがいろいろございますし、また、仕組みですとか基準等、解決すべきいろいろな課題がございますので、直ちにその制度の導入ということになるのかということについてはなかなか難しい点もあるわけでございますけれども、ただ、木材利用を拡大すること自体がやはり森林・林業の持続可能性を高めていくということにつながるわけでございますので、この貴重な提言をいただきましたから、そういったことについて、どういうことができるのかということについて、真剣に検討してまいりたいというふうに思っております。

石田(祝)委員 続きまして、宇和海等における赤潮被害、この件について最後にお聞きをいたしたいと思います。

 時間が限られておりますので、被害の状況についてはきょうはもうお聞きをいたしません。

 それで、被害者の支援策についてどういうことが考えられるのか。まず水産庁、また農林水産省からお聞きをいたします。

佐々木副大臣 被害の状況については割愛をさせていただきますが、対策について、現段階のものについてお話をさせていただきます。

 一つは、保証人不要、担保は漁業関係資産以外の徴求は行わないという、いわゆる漁業収入のみで返済をするというタイプの融資、二つ目には、赤潮発生メカニズム解明及び防除対策、三つ目には、被害を回避するための施設整備等の支援を行っていくこととしてございます。

 関係省庁とも連携をしながら、解明、回避に努めてまいりたいというふうに思ってございます。

石田(祝)委員 四国の愛媛県また九州の方にも被害が出たということでありますが、特に愛媛県の宇和海沿岸は被害が過去最悪になる見通しである、こういうことでございます。

 そういう中で、被害者の支援については、今、農林水産省としてはそういうお話もございまして、特に経営支援で、無保証人型漁業融資促進事業、これは非常に中身もいい事業ではないかと私は思いますので、積極的に、こういう事業もあるんだよということはよく地元に教えていただきたいというふうにも思います。せっかくの事業ですから、使われるように、ぜひお願いしたいと思います。

 それで、きょうは総務省に来ていただいておりますので、特別交付税、これには、特別交付税に関する省令の中で、赤潮対策の被害は、その被害額の〇・五は特交にカウントしていい、こういうことになっております。

 それで、お聞きしたいのは、へい死をした魚の処理に、これは特別交付税ということでいいのかどうかということが一つ。

 それから、県や市がいろいろと考えておりまして、この中でいきますと、例えば、今回の問題も、共済に入っている人が非常に少なかった。いろいろな理由はあるんでしょう。入っていれば、赤潮特約もつくわけですね。しかし、それは、もとの、根っこの共済に入っていないと赤潮特約もつけられないわけですから、共済の加入率向上に県や市が応援をする、そういうものに対して特別交付税で手当てができるか、これが二つ目です。

 それから、魚が全滅しちゃっているわけですから、そういうところが新たに稚魚を買い入れて、さらにまたもう一度やり直そう、そのときに、これからの話として、例えば餌代の購入費というものは県とか市が応援をしよう、こういうものがまた特別交付税に算入できるかどうか。この三つを続けてお答えください。

大島副大臣 お答えをいたします。

 被害に遭われた方に心よりお見舞いを申し上げさせていただきます。

 赤潮被害の生じた地方公共団体においては、その対策に要する費用として特別な財政需要が生じることが見込まれるところであり、今回の被害については、十二月分の特別交付税で措置することにより、その財政運営に支障が生じることのないよう、適切に処理していくこととしております。

 その中で、御指摘の一点が、共済の加入率の……(石田(祝)委員「へい死の魚の処理に使えるかというのがまず一番」と呼ぶ)わかりました。その点についても、特別交付税の措置として講じることはできます。

 御指摘の飼料代に対する支援を行うこととする場合なども含むものであり、地方公共団体の実情を十分にお伺いしながら、その財政運営に支障が生じることがないよう適切に処理をしていくこととしておりまして、今の魚の処理についても、特別交付税の対象として措置をしていくことになります。(石田(祝)委員「共済のことが抜けている」と呼ぶ)共済の、これは、養殖共済赤潮特約への掛金の補助等も対象となっております。

石田(祝)委員 ここには「赤潮対策に要する経費」としか書かれておりませんので、これはできるだけ幅広く見ていただきたいと思います。

 それで、確認をいたしますが、へい死の魚の処理は特交に入れていい、共済の加入率向上にもいい、それから、これからの話として、さらにもう一度やり直そうという人に対して、餌代についても、市や県がやればそれは特交の中に入れていい、こういうお答えということでよろしいですか。もう一度、イエスかノーかだけで。

大島副大臣 そのとおりでございます。

石田(祝)委員 ありがとうございました。

吉田委員長 次に、江藤拓君。

江藤委員 宮崎県の江藤拓でございます。

 それでは、赤潮対策、今やっていただきましたけれども、大変前向きな御回答があって、ちょっと驚いたんでありますけれども。今回の赤潮、私の宮崎県もやられたんですけれども、今回は、カレニアミキモトイというプランクトン、非常に特殊なもので、普通、赤潮というと赤いじゃないですか、やってきた、やばいな、生けすを移動させる、いろいろ対策はあるんですけれども、全く色がないんですよ。逆に海の透明度はいつもよりも高かった。だから、何で死んだか最初はわからなかったというようなことで、一回被害が出て、おさまったかなと思ったら、二、三日後にまたやられた。

 非常に特殊なことなので、水産庁はきょう来ているかどうかわかりませんが、これは、きちっと対策を、特交でとかいろいろ話はあったけれども、かなり突っ込んだ対策を打たないと大変ですよ。

 そして、死んでしまったへい死魚、これについては見られる。〇・五ですね。これは間違いない話です。しかし、本当に、県とか市町村が共済に加入するときの手助けをするときに、国として金を出せるんですか、大臣。

 これは非常に大きな話で、漁業共済、いろいろやってきましたね、特約をつけたり。例えばアワビなんかは、宮崎でやられたんですけれども、これは最初から共済の対象外なんですよ。ですから、共済に入りたくても入れないというものなんです。加入率の問題もあるけれども、いわゆる種類によって入れる入れないという問題もあるんです、ここには。そういったものについても、全部、県とか市町村が自分たちでやるということであれば、本当に特交で見るんですか。確認させてください、大臣。

郡司国務大臣 先ほど私も聞いておりまして、確認をする内容だなというふうに思っておりました。今ここで断定的に申し上げられませんが、おっしゃったように、そもそも魚種によってという違いもありますし、その後のことについても、お時間をいただいて返答させていただきたいと思います。

江藤委員 いやしくも総務副大臣ですから、それはまずいですよ。これは、もう議事録に残ったので、絶対に何が何でもやってもらいますよ。もう、そう答弁されたんだから。石田委員の質問に対してそういう前向きなお答え、私は非常にウエルカムです。いいことですよ。

 私の地元の安井という港では、三年前にアワビの養殖を始めました。三年たってやっと出荷ができると思ったら、やられたんですよ。私は、船に乗って生けすまで行ってきましたけれども。生き残っているものだけでも見てくれと言われて、行ったんです。そうしたら、さらに死んでいました、半分ぐらい。そして、三年目でやっと出せる、それで、だめ。今の話だと、飼料代も見ると。そして、新しく導入する稚魚、そういったものについて見るということであれば、アワビの種なんかも全部見るんですか、国が。

 しつこいようですけれども、大臣、お願いします。

吉田委員長 さっきの総務副大臣の発言についてですか、江藤委員。(江藤委員「いや、農林水産大臣としてどう思われるか」と呼ぶ)

 では、郡司大臣。

郡司国務大臣 これは、委員御存じのことだと思いますけれども、アワビについては、養殖について、まだ一部試験的な取り組みもございます。そういうことで、具体的な実態を把握するというようなことをまず今やっているということもありまして、魚種の対象になっていないということがあります。

 それから、共済の目的といいますか、制度、仕組みそのものが、全体、国から何分の一かを補填して、共済制度そのものを維持するような形はとっておりますけれども、先ほどの話ですと、加盟をする場合の個々人の負担の分について、それが交付金で出せるのかどうかということについて、今、ちょっと本当に調べさせていただきたいと思いますが、制度の趣旨からすると、若干……(江藤委員「無理があるでしょう」と呼ぶ)無理があるなというような感じが私はしております。

江藤委員 ですから、そういうことなんですよ。やはり政治は、できることとできないことはちゃんと区別をして、正直に、被害を受けた方にもできるだけのことをする努力を我々はしなければなりませんけれども、今の、私、副大臣に残ってもらおうかと思いました、通告していないからもう帰っちゃいましたけれども。これは大変重要なことなので、閣内においてきちっと整理をしてください。何ができて何ができないのか。

 さらに言いますけれども、平成二十一年、二十二年、鹿児島を中心に赤潮が発生いたしましたね、覚えていらっしゃると思います。そのときに、自民党からいろいろ申し入れをしましたけれども、政府は腰が重かった。だから特措法を出しました。赤潮被害対策特別措置法、これを国会に提出して、対応を求めました。結果、法律をやるよりも、内閣府の地域活性化交付金、こういうのもあるし、水産庁のハード事業もある、予算措置で対応しようということで、二十億円の予算を確保したじゃないですか。こういうことの方が現実的な政治の対応なんですよ。

 ロングスパンで、これからさらに発生したときにどうするかという議論もしなきゃならないけれども、今困っている人を救うということも政治の役目じゃないですか。我々は鹿児島スキームと呼んでいるんです。鹿児島の議員を中心に我々が特措法をつくりましたから。ですから、今回も、この特措法をもとにしたいわゆる予算措置、見劣りをしないような対策をぜひやっていただきたい、そう考えておりますけれども、大臣、どうお考えになりますか。

仲野大臣政務官 お答えいたします。

 二年前に鹿児島県等九州地方で発生したシャトネラによる赤潮被害については、今回、プランクトンの種類が異なることなどから、今回の被害に当時の対策をそのまま適用できるわけではないのでありますけれども、しかしながら、江藤先生が、先ほど来から切実にアワビの話等もいただきながら、地元の関係者や県の要望もお聞きしながら、関係省庁とも連携しつつ対応してまいりたいと思っておりますので、そのように御理解いただきたいと思います。

 当面、今、当省といたしましては、七月二十四日付で、漁業共済金の早期支払いが行われるよう、共済関係団体への指導、そしてまた、資金の円滑な融通、既貸付金の償還猶予等が図られるよう、関係金融機関への依頼を徹底的に行ったところでありますので、ぜひ御理解をいただければと思います。

江藤委員 私が理解してもしようがないんですよ。私の理解を求めてもしようがないんです。プランクトンの種類が違うからあきませんというふうな理屈がその被害者の方に通ると思いますか、そんな理屈が。従来のプランクトンとは種類の違う赤潮だから前回のスキームは使えません、そんな話が通るわけないじゃないですか。被害を受けた人は、赤潮被害には変わりはないんですよ。そこは認識をちょっと改めていただきたい。

 もうちょっとだけ言いますね。ついでに言いますけれども、いわゆる広域に被害が出る、例えばエチゼンクラゲとかトドの被害、これについては、駆除の費用について見られるようになっているんです、人件費とか燃料費について。ところが、私の地元の定置網には山のようにハリセンボンが入るんです。魚に全部刺さるんです。すると、全然売り物にならないんです。ところが、水産庁の説明は、宮崎特有の被害でございますのでこれは面倒を見るわけにはいきませんと。非常に私は不公平だと思うんですけれども、大臣、何か感じられませんか。

郡司国務大臣 その前に、先ほどのことにもちょっと触れさせていただきますが、前回と違いまして、今回は被害の額そのものもまだ調査中ということでございますので、先ほど言いましたように、今後の状況等を見ながら対応策を練るということにさせていただきたいということでございます。

 それから、今のことは、私もハリセンボンという被害が出ていることを今初めてお聞きをいたしました。どの程度の内容で、それが恒常的に発生をするのかどうか、どのような被害なのか、調査をさせていただきたいと思います。

江藤委員 大臣、ぜひよろしくお願いします。

 地域限定と言いますけれども、親潮の流れが変わり、黒潮の流れが変わって、富山県で熱帯の魚がとれたり、私の宮崎で沖縄にしかいないような魚がとれたり、海の生態系が変わっているんですよ。ハリセンボンは今は宮崎だけかもしれませんけれども、私はこれは広がるおそれが非常にあると思いますので、ぜひ御検討のほどよろしくお願いしたいと思います。

 次に、配合飼料価格について御質問をさせていただきたいと思います。

 御存じのとおり、アメリカは大干ばつですね。若干雨が降る予報が出て、トウモロコシの相場、一ブッシェル当たり八ドル突破、市場最高値、どえらいことだというふうに言っておりましたけれども、先物は若干落ちつきを見せているような値動きに今なっております。しかし、そこには、やはり今は円が強いと。買うときにはドル建てで買いますから、これが円安に振れたら非常にまずいことになるということであります。小麦も大豆も同じことであります。

 一部のアナリストによれば、来年は日本は貿易赤字に陥るんじゃないかと。そういうような話になれば、多分円安に振れるんでしょう。もし日本政府がアメリカの国債を売るような事態になれば、もう思い切りオーバーシュートして、百三十円とかになるかもしれません。そういうことをやはり考えて、我々は今後も、消費者のこともそうですけれども、配合飼料価格制度についても考えていかなければならないというふうに思っております。

 我々自民党の各部会においてはこのことを鋭意検討中でありますけれども、政府においても何らかの検討をされていらっしゃいますか。何かお話があればお願いします。

仲野大臣政務官 お答えさせていただきます。

 江藤先生のところも私のところも畜産酪農地帯ということで、配合飼料高騰になれば生産者の皆様方が非常に御懸念されるということで今回の御質問だな、そういうふうに思っております。

 七月から九月までのこの国際相場や為替等の動向を踏まえて飼料メーカーが決定するため、十月から十二月の配合飼料価格を予断することはできないところでありますし、また、主原料のトウモロコシのシカゴ相場が、アメリカの主産地が干ばつに見舞われていることを受け、六月下旬以降上昇し、先ほど先生も言われましたように、史上最高値を更新したというところであります。

 しかしながら、為替が一ドル八十円を下回る円高基調にある中、海上運賃も比較的低い水準で推移していること、そしてまた、価格急騰によるエタノール原料需要等の減少により、現在の高い水準が続かないという観測もあることなどの別途の要因もあることから、引き続き今後の動向を注視してまいりたいと思っております。

 このような中、十月から十二月期に対応可能な配合飼料価格安定制度の補填財源は、通常補填基金約百七十億円と、異常補填基金約三百十億円、合わせて四百八十億円となる見込みであり、仮に通常補填基金が不足するような事態が生じた場合にも、この異常補填基金からの貸し付け等により、生産者に対する補填が円滑に実施されるように積極的に努めてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。

江藤委員 円滑にとおっしゃいますけれども、第二・四半期、七月から九月の発動は数百円でしょう、出た金が。そして、全体で四百八十億円あるとおっしゃいますけれども、通常基金を発動するには物すごく厳しい要件がかかっているでしょう。今の状態では通常基金は出ませんよ。

 そして、フレートの話もされましたけれども、これから多分そんなに値上がりしないだろう、そういう楽観主義に立った政策の立て方というのは、私はまずいと思いますよ。上がったときにどうするかということを考えなければなりません。

 これはもう昔からの長い議論ですけれども、配合飼料価格安定制度、これが今のままの運用でいいのか。負担もありますし、異常基金は企業のものですけれどもね。異常基金、十月から十二月は出るかもしれません。一部の新聞にももう報道されました。だけれども、全体で四百八十億というのは、これは決して潤沢な資金量じゃありませんからね。あっという間にかれますよ、これは。かれたときにどうするのか、そういうこともやはり考えておかなければならないと私は思います。

 ついでということではないですけれども、私のところは豚も牛も鶏も全部いるところなんですけれども、非常に問題になっているのは鳥肉の価格の低迷です。これはどえらいことになっておりまして、今までは市場でも競争力があってよい相場が保たれてきた歴史があるんですけれども、去年の十一月ぐらいから相場ががんと落ち始めて、今、大体七百二十二円ぐらいです。八百円ないと元が取れないんです。配合飼料の価格は上がっている。トウモロコシを一番食うのは鶏ですからね。一番きついんですよ。豚肉には差額関税制度がある。だけれども、鳥肉にはない。やはり何とかしてほしいという声は、多分、委員の先生方のところにも届いていると思います。

 きょうは提言だけにとどめます。我々自民党も内部で検討を進めなきゃならないことですから、政府においても、こういう相場が続くということであれば、やはり、ブロイラー、今ブラジルからどんどん入ってきているでしょう。今言われたように、為替が八十円を切っていますからね。物すごい競争力ですよ。がんがん入ってきていますよ、フローズンで。このことも、関税はかかっていますけれども、考えていく必要がある。きょうのところは提言だけにさせていただきたいと思います。

 林業についても、公明党の石田先生の方から大分御指摘があったようでありますけれども、私の方からもちょっと補足した質問をさせていただきたいと思います。

 前回の委員会で、食と地域の交流交付金、いわゆるグリーンツーリズム交付金、これが事業仕分けでなくなってしまうという報道があった、これはまずいじゃないか、いかがですかという質問をしましたら、仲野政務官がお答えになりました。

 今、私の地元でどういうふうになっているかというと、例えば島野浦という離島があるんです。そんなに大きな島じゃありませんけれども、そこでもやはり、滞在型の観光、子供たちに来てもらおうということで協議会が立ち上がっています。それから、天孫降臨で有名な高千穂、向山というとかなり山の奥なんですよ、山の向こう、向山ですから。そこでも、秋元地区という集落で、いわゆる滞在型、それから、現地産品を生かした農産物をつくって売ろう、そういったことをやっているんですよ。新たに交付金を受けたんですから。そうしたら突然切られるということであれば、まさにこれははしご外しじゃないですか。

 こういう制度があるから、協議会を立ち上げて、よし、地域を何とか盛り上げていこうと思って頑張ったら、交付金はやめてしまうと。これはひどいですよ。こういうはしご外しの政策は、私はやめてほしい。過疎対策とかをやっているじゃないですか。限界集落の問題もあるじゃないですか。その一助となる政策なんですよ、これは。大事な政策なんです。

 前回の私の質問に対して仲野政務官は、外部有識者による事業の評価は行われた、しかし交付金のあり方については抜本的な検討を進めるというふうに言われましたね。ということであれば、有識者の見解が全てではないんだ、政治主導でやはりこれは残すこともあるのだというふうに、私は好意的に受けとめました。ということで、八月ですから次の概算要求も始まるわけでありますけれども、これをきちっとメニューの中にのせて要求されますか、大臣。

    〔委員長退席、梶原委員長代理着席〕

郡司国務大臣 今言いましたような経過を経ました外部の有識者の意見ということもありまして、私どもは、この行政レビューを行った評価結果を真摯に受けとめるということは必要なんだろうというふうに思っております。

 ただし、その際に、今お話がありましたように、採択をしたところがあるではないか、ここのところについて、その地区の取り扱いをどうするかということ、それから、もし廃止をする場合に、では、これまでつくり上げてきたような連携というものを何でこれから担保していくんだ、こういうようなことを考えていかなければいけないんだろうというふうに思っております。

 そもそも、これも御存じのことだと思いますけれども、八つの補助事業を統合、メニューとしてつくった目的がはっきりしないというような言われ方がありました。それから、一地区が一年間二百五十万というようなことで、少額で本当に効果が上がるのか等々のことが言われておりました。

 この問題点をどのように解決するかということについて、まだ具体的なものはありませんけれども、最後に委員が言われましたように、農村の振興、あるいは農村を農村たらしめるような施策というものはしっかり考えていかなければいけないというふうに思っておりますので、引き続き予算の中で、どのような形でそうした事業というものを展開できるのか、このことについては、この事業ということではなくて、農村を振興するという形で、もう一度検討させていただきたいと思います。

江藤委員 では、やはりグリーンツーリズムというものはもう要求しないという理解でよろしいですね。予算措置の中で何か適当にうまいことごまかしてやると。何かよくわからぬですね。戸別所得補償についても、結局、いつまでたっても法案が出てこないし、何かこねくり回してうまいことやる。それじゃだめですよ。いい事業なんですから。

 一集落二百五十万で少額だというふうに言いますけれども、小さな集落にとって二百五十万というのはでかいですよ。真水ですからね、これは。大きなお金です。それに、町村もまた金を出したりするわけですから。これは、小さいからって、まさに、永田町、霞が関で机の上で物を言っている人、有識者の人を悪く言うのは申しわけないけれども、それを是正するのが私は本当の政治主導だと思います。

 では、何で環境省のエコツーリズムはなくならないんですか。それはもう環境省のことだからいいですよ。私は今、影の内閣、シャドーの方で環境副大臣をやっていますからよくわかっています。何でエコツーリズムはなくならなくてグリーンツーリズムはなくなるのか。

 政策というのは、国が行う政策は、全体パッケージとして評価されるべきものなんです。そうじゃないですか。どこの予算であろうと、もらう方は関係ないんです。環境省の予算であろうが、農林省の予算であろうが、国土交通省の予算であろうが、関係ないんですよ。ですから、政策の一貫性、内閣の一体性に欠けているんじゃないかなということを私は感じております。

 さらに、ちょっと言っておきたいことがあるんですけれども、日本は、二〇〇八年から二〇一二年まで、いわゆる京都議定書の第一約束期間、ここでは六%のCO2の削減、これを約束いたしましたね。これは義務です、国際的な公約ですから。来年からは第二約束期間に入るわけですけれども、日本は参加はしないということになりました。森林によるCO2の削減義務は第一・四半期では三・八%だったわけでありますけれども、これに参加しないということによって、三・八%だったものが今度は三・五%と、いわゆる目標数値が下がるんですよ、〇・三%。

 そういうふうに見ると、財務の方から見れば、目標数値が下がったんだから林野の予算は減らしてもよいのではないかというふうに言われることを私は大変危惧するわけであります。現実的な対応として、第二・四半期に参加しなかったこと自体を責めはしませんよ、現実的な政策の対応として。鳩山さんはいろいろなことを言われていましたけれども。批判はいたしませんが、しかし、来年度の概算要求、もう八月はあしたです、ちゃんと林野の予算を確保していただくようにお願いをしておきたいというふうに思います。

 お話が幾つか出ていましたけれども、加速化基金についてお尋ねをさせていただきます。

 これは前に言いました、二十一年度につくって、三年間延長されましたですね。そして、前回の委員会で言いましたけれども、初めは一ヘクタール当たり間伐材を二十立米搬出するという説明だったんです、役所の方も。それで、私の方ががんがん言うと、何か、立地計画全体で二十立米でございますと、また何か話が右に左にぶれているという感じが強くします。

 私は、林野庁に、では、その目標を達成できなかった、二十立米出せなかったという場合はどうするんだ、金返せと言うのかと言ったら、林野の説明は、間伐材の搬出を確認した後に補助金を出すから、返済という事態は発生しませんという説明なんですよ。それはそうでしょう。でも、出した後、確認して、金を渡すということであれば、本当にこの目標の数値を達成できる自信のある人しか最初からこの事業には乗れませんよ。それだけのお金が国から来ることを想定して経営計画を立てるわけですから。予定していたお金が入ってこないということになったら、大赤字で潰れてしまいます。だったら最初から手を挙げないということになってしまうのではないかというふうに私は思うわけであります。

 いい山であれば、四十、五十立米、出すこともできるでしょう。私のところにぜひ来ていただきたいんですけれども、椎葉とか諸塚とか五ケ瀬とかに行けば、本当に急峻で、とてもじゃないけれども出せません。そういった現状をちゃんと見きわめていただきたいと思いますけれども、もし大臣、御答弁があればお願いします。

佐々木副大臣 今の間伐のことでありますが、議員も御存じのことでありますので、重複は避けたいと思います。

 全体としての要件ということでありますから、一ヘクタール二十立米ということにはこだわらないで、全体計画の中で満たせばいいということなんですが、それと、材積によってより高いという誘導措置もとらせていただいています。そのほかに、保育としての間伐の場合には、直接支払い制度の方で、搬出を要件としない除伐等として支援をさせていただくという方法も用意をさせていただいているところでございます。

江藤委員 今、副大臣が言ったことは全て正しいんですけれども、最初のこの事業がスタートしたときと比べて、現場からいろいろな苦情が来て、要件が変わってきているんですよ。だったら、最初から、この二十立米搬出とかそういうものを外してしまった方がすっきりする。現場が混乱するんです。いまだに、一ヘクタール当たり二十立米出さなきゃいけないんだと思っている人たちが全国にいっぱいいますよ、実際に歩いてみると。そういうふうに変わったということを知っているのは、多分、永田町の住人だけじゃないですか。周知徹底も全くできておりません。

 そして、間伐。これは大事です。だけれども、間伐を搬出すると、B材、C材もどんどん市場に出てきちゃうんです。今どういう状況になっているかというと、製材工場も集成材をつくる工場も、ストックが山積みになっていて、買えないんです。買う余力がないんですよ。そして、間伐を要件として置いておくと、どうしても条件の悪いところ、私が言ったところのように中山間地の水源地、こういったところは、間伐搬出ということだったらできないですよ。除伐という話をされましたから、その点は理解をしますけれども、私は、必ずしも搬出をしなくても、切り捨て間伐もある程度認めなきゃしようがないと思います。

 私の選挙区の隣は熊本の阿蘇ですから、五ケ瀬に行ってきたら、阿蘇の人たちは言っていました。川の支流、細い川ですね、いわゆる小さい渓谷のような川ぎりぎりまで杉が立っているんですよ。これがみんな流れてしまった。だけれども、そこに高性能機械なんか入れられるはずがないし、間伐したって搬出する場所もないし、集材する場所がない。結局、切って、切り捨て間伐をするしかないんだと。現実はそうですよ。現実と理想の乖離がやはり山の政策にあります。そのことをもうちょっと政治家が理解をしないと、本当の意味での林業政策は私はできないというふうに思います。

 さらに、林業政策において、森林管理・環境保全直接支払い制度、先ほど副大臣が言われたものですね。これも、一ヘクタール当たり十立米、搬出間伐が一応義務づけられているじゃないですか。除伐の話をされましたけれども、一応これは要件としては義務づけられているんですよ、十立米を出しなさいと。

 これは基本的にどこで間違ったのかというと、森林・林業再生プランの立て方がやはりまずかったんですよ。これには三つの柱があって、搬出間伐をするんだ、それから施業を集約化するんだ、そして路網をとにかく整備するんだ、路網ありきの林業政策、やはりこのプランの立て方が私は間違っていたんだろうというふうに思います。

 施業の集約化をすればそれはいいに決まっていますけれども、先ほどもほかの委員からの質疑にもあったようですが、不在所有者が四分の一を占める、どこにおられるかもわからないという状況においては、これはちょっと要件としてハードルが高過ぎると思いますが、大臣か副大臣、いかがお考えですか。

郡司国務大臣 林業は、戦後一貫して、どちらかといえば衰退をたどってまいりました。一定程度、世界の木材需給の関係から国産材にも目が向けられるようになりましたし、それ以外の、地球温暖化その他の関係からもう一度見直していこうという機運が高まっているというふうに思っています。

 そういう意味で、搬出をして資源として有効活用していこうという大きな考え方からすれば、私は、切り捨て間伐ではなくて、できるだけ搬出できるものについてはやっていくことが必要だろうと。そのためにはコストの問題が出てまいりますので、やはりコストの問題ということになりますれば、一定の大きさのところで、これまでと違ったような、持ち主によって道をつけるのではなくて、山の形状に沿ったような形でもって路網の整備をするということもまた必要なことだろうというふうに思っております。結果として、一定の規模以上のところの施業集約を行うということを総体として、コストの削減ということにはつながってくるというふうに私は思っております。

 しかし、今お話がありましたように、実際には不在村地主なども通じて、三百二十万ヘクタールぐらいの大きな面積があります。そこのところをどういうふうな集約化をするんだとか、あるいは路網の整備についても同じようなことがありまして、地籍調査が全然できていない中で本当に合意を得られるのかどうかということもありました。それらについても、一定程度できるような形の法の整備もさせていただきましたので、これからはできるだけそのような形でやっていきたい。

 ただし、そのときに、それに乗れない人たちがいるではないか、そういうことについては、自治体との計画をつくる際にも、これからの人づくり、それからオペレーターその他のような人材育成も含めまして、その辺のところの吸収を図っていけるようにしたいというふうに考えております。

    〔梶原委員長代理退席、委員長着席〕

江藤委員 大臣の気持ちはよくわかるんですよ。

 先週、自民党の林政調査会長と筆頭と私とで高知に行ってきました。そこでも言われたことですけれども、何が何でも日本にドイツ式の林業政策を持ち込もうとしている、これは無理があるよと。もう繰り返しになりますけれども、無理ですよ、人が立っているのもやっとの傾斜なんですから。そんなところに、路網整備を基本とした、それは搬出間伐がいいに決まっていますよ、林地残材もきれいに出して、それがチップなり木質バイオマスになって、ペレットになって、循環可能ないわゆる資源として生かされれば、それが一番いいです、それが林家の収入につながれば一番いいです、だけれどもそうならない。その現実を見きわめなければならないんですよ。

 今、路網の話が出ましたから路網の話をしますけれども、加速化基金では、路網の整備には二級規格じゃなきゃいかぬのだと。我々のころは三級規格の林道もよかったんですよ。大臣、二級と三級の違いは……。わからぬですか、まあ、いいです。二級と三級の違いが物すごくあるんですよ。この違いが地元で、いわゆる林家にとっては非常な負担になっています。

 今、路網の整備も山の形状に合わせてという言葉を大臣は使われましたね。これが一番難しいんですよ。二級になると設計しなきゃいけないんです。きちっと路網の設計書を出して、そして事業にかからなきゃいけないんです。三級の場合は、お金は少ないけれども、いわゆる山を知っている現場の人間が、ここは畝があるね、例えば横断側溝はここにつけた方がいいね、排水もしないと、下手をすると林道は災害のもとですからね、現場の人たちの、山を知り尽くした人たちがやれるのが三級林道だったんです。これが今あかんようになっているんですよ。このことが画一的だというんですよ。民主党政権の特徴ですよ、全国一律、画一、この規格に乗らなきゃだめですよと。山なんていうのは、絶対そんな政策じゃだめですよ。

 この二級林道、三級林道、なかなか御理解されるのは難しいかもしれませんけれども、大臣の言葉からも、山の形状に合わせたという話が出たわけですから、御見解があれば、副大臣でも結構ですからお答えください。

佐々木副大臣 今の、二級が基準になっているというお話であります。

 この加速化基金は、延長するときに、木材の安定供給ということが条件というか目的になったものですから、全体として少し、先ほど来、江藤議員が指摘されるような部分が幾つか出てきたことも事実でございます。地域の実情から考えると、この二級の規格というのは難しい地域があるということは認識をしております。

 そこで、県とそれから林野庁長官が協議をするということで新たな基準をつくるということも可能なようにしてございますので、ぜひ、そういった地域にあっては、農水省との協議をしていただきながら、そういうものにも対応していきたいというふうに思ってございます。

江藤委員 二級にしたいのは理由があるんですよ、高性能林業機械を入れたいからです。三・五メートルの幅員がないと入りません。

 高知に行ってきました。前、大臣と議論したときに、私は、架線集材の方が山を傷めないからいいですねと。大臣も、そうですねと言っていただきました。ところが、高知で見てきた移動式のタワーヤーダーは、結局、車両も一応自走はできますけれども、とても登坂する能力はないんです。だから、それを引っ張るために、オーストリア製の百五十馬力のトラクターが必要なんですよ。タワーヤーダー自体が三千五百万、輸送経費が五百万、それを引っ張る機械が要る。

 しかも、おろす集材じゃなくて、引き上げ集材なんですよ。だから、結局、山の一番上まで三・五メートルの路網整備をしないと、タワーヤーダーが生かされないんですよ。すばらしいんですよ、途中で支点を設けて、引きずらないように揚げ荷をしますから、性能的にはすばらしいです。でも、これはモデル事業で国が全額出してくれたからやれるものであって、モデルが終わってしまって、二分の一リースだか何だかよく知りませんけれども、いろいろ考えていらっしゃるようですけれども、とてもじゃないけれども無理です。

 そして、もう一つ指摘しておきますけれども、施業が終わった後には、路網はきちっと管理しなきゃいけないんです。だから、横断側溝をきちっとつけて、排水を考えなきゃいけないんです。水が流れて、どこの沢に落ちていくのか。下手なところに流すと、路網が崩れちゃうんです。だから、でっかい立ち木を残して、そこに一回水がぶつかるようにして水が排水されるとか、そういった知識は山に生きている人間しか持っていないんですよ。ですから、三級を生かした方がいいんです。

 三級の何がよかったかというと、つくった後で一万四千円しかもらえないかもしれないけれども、道をつくった後で申請すればお金がもらえるという、非常に使い勝手のいい制度だったんです。それを変えてしまったんですよ、皆さん方が。それはやはり現場に合っていないということは、あわせて言わせていただきたいと思います。

 あと、もう余り時間がないので、山の話はまだ残っていますけれども、ちょっと飛ばします。

 先ほどエコポイントの話もありましたけれども、WTOの話があって、国産材という言葉を使うわけにはいかないですよね、WTO違反になりますから。いわゆる地域材という言葉しか使えないわけでありますけれども、たとえ、そういう、いわゆるCOP17、HWPの話、これはいい話なんです。しかし、これは有識者の方々が言っていることであって、まだ政策に生かされているわけじゃない。材木を使っても、それは結局、日本の山に貢献するものでなければ、私はCO2の固定化にはつながらないというふうに思いますから、その点はぜひ御留意をいただきたいと思います。

 それでは、この山の話もちょっと飛ばします。

 材価も、前回、六千四百円まで落ちたと言いましたけれども、ちょっと上がって、二千円ぐらいふえました。八千四百円ぐらい、九千円弱ぐらいまで戻ってきています。ただ、これは林野庁の諸君にもぜひお願いをしたいんですけれども、これは繰り返されるんですよ。今何で戻ったかというと、結局、林家が出荷調整をしているんですよ。材を出さないようにしたから、若干材価が戻った。

 それから、国有林野が行っているシステム販売、いわゆる契約をしている、これもやはり大きな問題です。前回の委員会で林野法を通しましたけれども、これもあわせて見直していかないと、なかなか林家の収入は上がらない。山に人が定着しない、すると山が荒れる、水源地が荒れる。都会の人間も困るわけですから、ぜひ御検討をいただきたいと思います。

 それで、委員の皆様方のお手元にもお配りをさせていただきましたけれども、七月二十五日に自民党の農林部会の合同会議を開催いたしまして、原発事故に伴う畜産物価格の風評被害に対する政府申し入れというものを行いました。これは農林省に限ったものじゃありません。経産省、文科省、環境省、いろいろな省にまたがっている話でありますけれども、この二番のところだけきょうはやらせていただきたいと思います。

 前回、小野寺委員が、農家に対して東電は全然払ってくれない、このままじゃもうみんな倒れてしまうと、被災地の代表として悲痛な訴えをされました。そのお話を聞いて我々はこのペーパーを出したわけでありますけれども、損害賠償の早期支払いのために、仮払い法、せっかくあるわけですから、これを、農畜産物という品目も追加をして、そして、とにかく、東電の腰が重いなら、農家の皆さん方にも、林家の皆さん方にも、畜産家の皆さん方にも国が仮払いをする、立てかえですから、そういうふうに私は改めるべきだと。

 この申し入れについて、大臣の御見解を求めます。

郡司国務大臣 風評被害がなかなかおさまりを見せておりません。請求をする額も月ごとに必ず出されるような形になっております。そのような中で、各県によってばらつきがあります。しかし、全体から見ると、七割を超えるような支払いが行われるようなスピード感にはなってまいりました。

 しかし、残された二割、三割の部分が、早急に払うべきであるというような形でありましたけれども、基本のところは、仮払いも最終的に東電の方で査定をして、それに合ったような金額であればというような形の、やはりこれまで二重のような流れがありました。余り実効性が、スピード感がないようなことがありました。

 これを受けまして、証拠書類の提出が行われた請求分について、ちょっとこれは文章的には、東電の方の言い方をそのまま言えば、形式的な確認のみによって請求額の一部を速やかに仮払いする、こういうような方針でありますので、今後は早まるということが予測をされます。

 しかし、私は、個別あるいは相当な因果関係の問題もありますけれども、やはり本払いをしっかりと早期にさせる体制をとるということがやはり基本のところではあるんだろうというふうに思っておりまして、そのことについても、これからもまた東電の方と話し合いをする際には、基本的なところを早急にするというような形で話をさせていただければというふうにも思っております。

江藤委員 本払いがされれば世話はないんですよ。そのとおりです。だけれども、政務官おわかりになると思いますけれども、とにかく、生き物を飼っていれば餌を食わせなきゃいかぬ、餌を買うには金が要る、その手持ち資金が枯渇しているんだから、東電から払われようが、国から払われようが、とにかく今お金が必要なんですよ。三割しか残っていないから問題じゃないという言い方は、ちょっと私はまずいと思いますよ。首を振っておられますけれども。

 大体、農林水産省も、一兆五千億のうちの四割の六千億しか使っていないじゃないですか、今回。報道されました。十五兆のうちの九兆余りが使われたけれども、五兆九千億円残っちゃったと。農林省でも九千億残っているわけですから。そのうち七千数百億はちゃんと使うけれども、一千数百億は国庫に返しちゃうんでしょう。今回、一千数百億を国庫に返しちゃうんでしょう。金はあるじゃないですか。政治主導だったら、これをちゃんとやってほしいと思います。

 もう時間がなくなりましたから、ちょっと飛ばして、私の地元の話を少しさせていただきます。

 口蹄疫からもう大分時間がたって、いわゆる非常事態宣言が完全に解除されてから二年がたちました。二十九万七千頭以上埋却をしたわけでありますけれども、その埋却地の面積は九十七・五ヘクタール。この三年間は、ほっておいたわけじゃありませんよ。発掘禁止期間中は、家畜の伝染病予防費、このお金を利用して、草刈りとか、だんだんかさが減ってきて陥没するんです、陥没したところに土を戻して、修復して平らにする、そういうことをずっと、これは闘いですよ、続けてまいりました。

 でも、畜産家の中には、これはもう墓地だからこのままにしたいという人もいますけれども、アンケートをとりましたら、九割の方がもう一回ここを農地として再利用したいという強い希望を持っておられます。

 私は、国がなるべく隣地に埋却しろということを指導したわけですから、農地に戻すまでが国の責任だと私は思っておりますけれども、大臣、どうお考えになりますか。

佐々木副大臣 今御指摘をいただいた、家伝法に基づいて埋設をした地域の件でありますが、農地への利用希望があるというふうにも聞いてございます。今のままでは、やはり掘ったことによって石れきがむしろ表に出てしまって、そのまま使えないというふうにも聞いてございますので、三年経過後の話でありますが、農地に利用したいという地域においては、経過後において地元の皆さん方と話し合いをさせていただいて、どういう対応が可能かということについてぜひ検討させていただきたいというふうに思っています。

江藤委員 この病気が、いわゆる口蹄疫が広がらないように、運んじゃいけない、隣に埋めろと。これは、国営かんがい事業を使ってつくった、この地域でも極めて優良農地なんですよ。もともとすばらしい農地なんですよ。今言われたように石がごろごろしています。まず除れきをしなきゃいけません。石灰をがんがんぶち込みました。土壌はもうアルカリ性です。ホウレンソウぐらいつくれるかもしれませんけれども、ほかの作物は無理です。ということであれば、客土をして、除れきをして、pH調整もして、そして堆肥も入れて、土づくりからやり直さなきゃいけないんですよ。これは大変な作業なんです、副大臣、大臣。

 ですから、そこまできちっと面倒を見て、きちっと始末を終えて、口蹄疫が一応の収束を終えたのだという理解を我々政治家は持つべきだというふうに私は思っておりますので、我々も頑張りますけれども、ぜひ御党においても、先の話だということではなくて、すぐにでも検討に入っていただきたい。

 以上申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

    〔委員長退席、田名部委員長代理着席〕

田名部委員長代理 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社民党の吉泉でございます。

 新規就農支援関係について質問させていただきたいと存じます。

 この点については、この間、それぞれ多く質問がなされてきたんだろうというふうに思っています。きょうもその議論がなされまして、そして、非常に好評な、さらには、応募者が多い、こういうお話もなされているわけでございますけれども、実は、自分自身率直に、このところについて疑問、疑問というよりも今後どういうふうに持っていくのかな、そういう思いを持っているところでございます。

 この事業については、毎年毎年一万人をそれぞれ定着させていく、その中に、自営でやっていく部分を六千人、それから、法人に勤めていく部分を四千人、合わせて一万人、こういう一つの大きな目標を農林省としては方向性を出してきた、こういうふうに自分自身は思っております。そうした中で、今、各自治体において、各自治体のプランと合わせながらそれぞれ申請事業がなされている、こういうふうに理解をしています。

 その中で、ちょっとお伺いをさせていただきたいというふうに思います。この申請書の中にそれぞれ、新規にやっていくもの、それから、親元の農地がある、そういったところで研修期間なり、さらには今後就農する、それから三つ目が、法人等に勤める、こういう三形態としてその申請書の中に記入する内容になっています。ですから、この八千二百、さらには一万三千の応募がどういう形態の応募がなされているのか、その辺がわかれば、まずお伺いをさせていただきます。

佐々木副大臣 先ほど政務官からもお答えをさせていただいてございましたが、現状は、これは県からの要望ですが、いわゆる準備型と言われる人たちが三千五百九十七人、それから経営開始型と言われる、県からの要望が一万一千八百五十六人、それに法人雇用二千九十四人ということで、準備型、経営開始型で八千二百人と見込んでいたわけですが、実際には一万五千四百五十三人、約倍近い申し込みがあったという現状でございます。

 そういうことから、予算額が大変足りないという状況が今ありまして、先日でございますが、七月十九日に再配分を一部させていただきました。一〇〇%を超えるような地域から充足率が特に低い地域への再配分をさせていただいて、全体としては今七割程度というような充足率になっているところでございます。

    〔田名部委員長代理退席、委員長着席〕

吉泉委員 そうすると、研修計画の中にある就農形態のところに、新たに経営を開始する、この人数が三千五百九十七、それから親元のところの就農、いわゆるIターン分も含めて、農家のところの長男坊だとか跡取りだというふうな人たちが一万一千八百五十六、それから雇用就農をする、そういう人たちが二千九十四人、こういう捉え方でいいですか。

佐々木副大臣 準備型というのは、研修をするという希望者でございます。経営を開始するというのは、親元とか法人に勤めるとかいうことから分離して始めるという、いずれの場合であっても経営開始型になります。要するに、三年間の研修の方が準備型で、経営を自分で始めるという段階に入ったのが経営開始型ということになりますから、今議員から指摘のあったようなそういう分け方ではないということでございます。

吉泉委員 今の計画の申請書の中身については、今私が話したような中身になって、そして申請を出すわけですね。

 私の山形県の公益財団法人農業支援センターの中において過去五年間の新規就農の現状について調べて、そしてその方向が出されているわけです。まさしく脱サラなり、さらには全然農家に関係なくて、リスクも背負って今農家を始めている方、このところについて非常に浮き彫りになっているんです。

 いわゆる新しくリスクも背負いながら自分で農家をやるという人たちの現状について、収入そのものが二百万以下、こういうところがもう半分以上にもなっているんです。そして、農業そのものについて、農地はほぼ賃貸借でやるわけでございますけれども、そうした中において新たに農業に就職、農業を自分としてやるという人たちの苦しさという部分が浮き彫りに出ているわけでございます。そうした面から見ると、やはり今の現状から見て、後継者対策をすることは必要だというふうに思っておりますけれども、新たにいわゆる農業に挑む、この人たちへの手助けが大変必要なんだろうなというふうに思っています。

 しかし、今の現状からいうと、市町村のいわゆる人と農地プランにおいては、そこの集落営農なり、さらには地域をきちっと今後背負ってもらわなければならない人がやはり優先をするわけですね。そうすると、大学なり学校を卒業して、そして自然環境に魅力を感じて農業に入ってくる人たちが今やはりふえているわけです、そういう人たちが、新たな、就農していく場合の今の百五十万なり、その部分が受けられない、こういう事態が私は出てきているんだろうというふうに思うわけでございます。まだ結果的には出ていないわけですけれども。市町村の中において、そこをきちっと、それぞれ意見を聞くわけですから、このところについてどういう認識を持っているのか、お伺いさせていただきます。

佐々木副大臣 今先生御指摘のような点が想定できないわけではないんですが、いずれにしても、農業を始めようとする人たちにとっては初期投資というのをどう軽減するかということもこの対策の一つであります。

 それと、もう一つは、とりわけ、外からの新規就農者に対してそういうものを人・農地プランの中へどう位置づけていくかということになるわけでありますが、これはやはりサポート体制が必要だろうというふうに思います。市町村、都道府県、あるいは都道府県の普及指導センターなどなどを通じてそうしたサポート体制というものも、やはり将来に向けてというか、これから経営開始する皆さん方もそうでありますが、しっかりとしたサポート体制をつくっていくということが重要だろうというふうに思ってございます。

吉泉委員 この事業が大変大きな目玉だと私自身も思っています。しかし、そういう若い者が農業にチャレンジをする、こういったところを、今のこの事業に対処でき得る、さらには入れるような、何らかの対応というものは私はやはり必要だというふうに思っておりますし、非常に多くの応募者があって、それを半分なり八千人に落としていくというふうになったときに、やはり市町村の段階においては、集落営農なり、地域を守ってもらう、その人たちの後継者をやはり優先するんだろう、こういうふうに思っておりますので、その辺についての配慮をよろしくお願い申し上げたい、こう思います。

 それと同時に、法人に対して、毎年四千人を雇用、この目標を掲げているわけでございますけれども、今現状はどういう見通しになっているのか、そのところをお伺いさせていただきます。

佐々木副大臣 約四千人、三千七百五十人を予定していたわけでありますが、現段階で、都道府県からの要望、二千九十四人でございます。ただ、まだ募集中でございますので、これからもさらに募集をしていきたいというふうに思ってございます。

吉泉委員 これはこれから、六次産業の問題なり、いろいろな面で、法人の元気そのものが予想されますので、やはりこういうところはしっかり、それぞれ法人の中において、就農する人のための対策というものはまた別個に必要なのかなというふうにも思っておりますので、その点についてよろしくお願いを申し上げたいと存じます。

 時間がなくなりましたので、ちょっとBSEの対応の問題についてお伺いをさせていただきたいと存じます。

 厚労省は、昨年の段階でBSE対策の再評価が必要だという思いの中において、今、食品安全委員会の中で議論がなされているわけでございますけれども、その中で、ちょっと報道によれば、七月二十四日の会合では、委員から慎重な対応を求める、そういった部分の意見は非常に少なかった、厚労省の諮問に沿った答申が出されるのではないか、こういう報道がなされてまいりました。その中で、自分自身、この問題が出てから、肉牛の肥育農家の人方なりとお話もしてきたわけですけれども、率直に大変危機感を感じております。

 そういうところについて、約半年進んでいるわけですけれども、今、厚労省がこの見直しをするということに対して、大臣としてどういうふうな認識を持っているのか、お伺いさせていただきます。

佐々木副大臣 プリオン専門委員会での評価書案ですが、たたき台というのが出されたところでありますけれども、ほとんどは科学的な知見に基づく事実関係の文書であって、最終的な結論部分については次回以降というふうになってございますので、まだこれから慎重な審議がいただけるというふうに思ってございまして、我々としても注視をしていかなければならないというふうに思ってございます。

吉泉委員 私は、昨年の十二月ということで、突如これを再評価というふうになったことは、まさしくまずTPPと関係があるんだなというふうに率直に思いますし、誰でもがそう思うんだろうというふうに思いますね。それが、今二十カ月から今度は三十カ月、こういった状況の中において非常に、日本の食文化、とりわけ安全、さらにはおいしい、こういう一つの日本農業のブランドがあるわけでございます。

 厚労省の方にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、アメリカに対して、これまでのBSE対策等の問題についての日本の考え方を主張しながら、今後こういうような問題が三十カ月でいいというふうになろうとした場合は、厚労省としてはアメリカに対してどこまで物を申していくのか、その辺の見解をお伺いします。

三浦政府参考人 BSE対策につきましては、今御指摘ございましたとおり、昨年十二月に食品安全委員会への諮問を行ったところでございますが、現時点では、食品安全委員会で、月齢並びにSRMの制限について、まず三十カ月とする場合の評価結果について取りまとめを行っておられるというふうに聞いておりまして、厚生労働省として、現段階で米国産牛肉の条件緩和を予断を持ってお答えするということは難しゅうございます。

 ただ、今後、健康影響評価などが出てきた場合につきましては、私どもとして必要なリスク管理措置の見直しを行うということになろうと思いますけれども、例えば、米国政府に対する対応などにつきましても、今後とも、対日輸出プログラムについて遵守を求めるとともに、輸入時の検査などにより検証を継続する予定としております。

吉泉委員 時間がなくなったわけでございますけれども、ぜひ、大臣の方も、さらには厚労省側の方としても、この二十カ月から三十カ月に引き上げていくという問題については、大変大きな問題だというふうに私は思っております。

 そういった中において、大臣としても、厚労省との意見調整なんかも含めながら、農林、さらには肥育農家の気持ちをやはりしっかり反映をしていただきたい、このことをお願いし、さらには、もう一度、TPP問題集中論議がありますので、そこに質問の時間をとらせていただきますので、きょうはこの辺で終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

吉田委員長 次回は、明八月一日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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