衆議院

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第3号 平成24年11月14日(水曜日)

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平成二十四年十一月十四日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小宮山泰子君

   理事 石山 敬貴君 理事 田名部匡代君

   理事 高橋 英行君 理事 野田 国義君

   理事 江藤  拓君 理事 小里 泰弘君

   理事 石田 三示君 理事 石田 祝稔君

      梶原 康弘君    小山 展弘君

      近藤 和也君    佐々木隆博君

      阪口 直人君    空本 誠喜君

      玉木雄一郎君    玉置 公良君

      道休誠一郎君    福島 伸享君

      藤田 大助君    皆吉 稲生君

      山岡 達丸君    山田 正彦君

      吉川 政重君    吉田 公一君

      鷲尾英一郎君    渡部 一夫君

      赤澤 亮正君    伊東 良孝君

      今村 雅弘君    武部  勤君

      谷川 弥一君    保利 耕輔君

      宮腰 光寛君   菊池長右ェ門君

      京野 公子君    中野渡詔子君

      西  博義君    吉泉 秀男君

      松浪 健太君    石川 知裕君

    …………………………………

   農林水産大臣       郡司  彰君

   内閣府副大臣       白  眞勲君

   農林水産副大臣      佐々木隆博君

   農林水産副大臣      吉田 公一君

   経済産業副大臣      松宮  勲君

   財務大臣政務官      柚木 道義君

   厚生労働大臣政務官    梅村  聡君

   農林水産大臣政務官    梶原 康弘君

   農林水産大臣政務官    鷲尾英一郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 正木  靖君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   岡本 薫明君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  佐藤 一雄君

   農林水産委員会専門員   栗田 郁美君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十四日

 辞任         補欠選任

  仁木 博文君     渡部 一夫君

同日

 辞任         補欠選任

  渡部 一夫君     吉川 政重君

同日

 辞任         補欠選任

  吉川 政重君     阪口 直人君

同日

 辞任         補欠選任

  阪口 直人君     仁木 博文君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

小宮山委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省生産局長佐藤一雄君、外務省大臣官房参事官正木靖君及び財務省主計局次長岡本薫明君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小宮山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小宮山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福島伸享君。

福島(伸)委員 おはようございます。民主党の福島伸享でございます。

 本日、このような時間を賜りました委員長、理事各位、また同僚議員の皆様方に、心から御礼を申し上げます。

 十五分という短い時間で、結構詰め込んでおりますので、端的な答弁を、特に事務方の方は、みずからの所見を交えることなく、事実だけ端的にイエス、ノーでお答えいただければと思っております。

 きょうの話題は、お手元に新聞記事でお配りしておりますが、十一月七日の財務省の財政制度等審議会財政制度分科会の議論でございます。

 見出しで「戸別補償見直しを」ということがありまして、実際どんな議論があったかということは、田近さんという分科会長代理の方のブリーフィングがありますので、そこで私も確認をさせていただきました。例えば、戸別所得補償のような形で補償している結果、かえってそれが農業を育たなくさせているのではないかとか、農業は、障害者、ハンディキャップの人ですけれども、それに似ていて、私は弱い、困っているという声が大きい方が助けてもらえる構造になっているのではないかとか、農家に対してひどいんです。あるいは、所得補償は考え直すべきだという議論とか、所得補償というものはいかがなものかというような議論が多くなされたというふうに議事録で知っておりますが、それは事実と考えてよろしいでしょうか、主計局次長。イエス、ノーで答えてください。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど先生御指摘されましたとおり、十一月七日に、財政制度審議会の分科会におきまして、農業関連予算につきましての審議が行われました。そこで委員の方々からさまざまな意見が出されまして、既にホームページで議事概要を公表しておりますが、先生が今御指摘されたような点を含め、また、農業施策に、どのような点に予算を重点配分するか等々の意見も含めて、いろいろな御意見が出されたところでございます。

福島(伸)委員 所得補償は農業の改革につながっていないという議論が何となくなされているんですけれども、しかし、資料の次のページをごらんになっていただきますと、財政制度等審議会財政制度分科会名簿、委員の多くは法学部の先生や財政学の先生が中心ですし、臨時委員もメディアの方とか運輸関係の方とかあるいは労働界といった方が中心で、農業の専門家というのはほとんどいないんですね。

 データに基づかない議論をしているんじゃないかということで、ここで、新たに政務官につかれた、国を愛する鷲尾政務官にお聞きしたいと思うんですけれども、実際、この所得補償制度の導入で改革が停滞したとか農業が悪くなっているとかという事実があるのかどうかということをお聞きしたいんです。例えば、農家の所得とか耕地の利用率というのはどうなっていますでしょうか。

鷲尾大臣政務官 平成二十二年の農業所得は百二十二・三万円でありまして、前年比一七・四%増加しております。また、耕地利用率でいきますと、平成二十二年で九二・二%でありますが、これは前年比〇・一%増加いたしております。

福島(伸)委員 確かにちょっとのように見えるんですけれども、例えば農業所得については、平成十六年にデータをとって、ずっと一貫して下がり続けていたのが、所得補償制度を導入した翌年になって、今おっしゃったように、一七・四%、六年ぶりに増加しているんですね。耕地利用率も、ずっとこの間、平成十三年以降一貫して低下して耕作放棄地がふえているというこのトレンドが、所得補償の導入でプラスに転じているという意味では、これはデータ上明確に、耕作をする人がふえている、所得がふえているという効果があらわれているんです。それでも、何か、ちっちゃな農家ばかり、やる気のない人の週末農業とか、お年寄りばかりがやっているんじゃないか、そうした批判もあります。

 では、実際にこの戸別所得補償をやることによって、例えば集落営農が減っているとか、あるいは小規模農家ばかりが所得補償に加入をして大規模化を阻害しているという事実があるのかどうか、その点についてデータでちょっと御説明をお願いいたします。

鷲尾大臣政務官 平成二十三年度の米の所得補償交付金につきましては、作付面積の規模別にいきますと、〇・五ヘクタール未満の層では加入率は六割弱となっておりますけれども、五ヘクタール以上の層では九八%以上が加入をするなど、大規模層ほど加入率が高い傾向にございます。

 また、支払い実績について見ても、交付金の約六割が、加入者の一割に当たる二ヘクタール以上層の加入者に交付されているところであります。

福島(伸)委員 ありがとうございます。今話していただいたとおりでありますし、集落営農もふえているんですね。

 私は地元を歩いていても、直観的に、所得補償というのは規模が大きければ大きいほど、ぼんともらえて効果があるから、逆に大規模の人は意欲を持って、所得補償があるからさらに土地を借りよう、買おうという意欲につながっているのであって、現場の実態とここの財政審で議論されていることは全然違うんですよ。

 なぜそういうことが起きるかというと、資料を財務省が勝手につくっているからなんですね。これは先日の一般質疑のときも紹介がありましたけれども、次のページの資料の「水田活用のコストについて」、生産調整に三千五百億円かかっていて、それは大体六百四十万トンの外国産小麦の数量に相当するといったら、これは無駄というふうに思っちゃうんですよ。そういうふうな議論の誘導が行われているんじゃないかというふうに私は考えます。

 すっ飛ばして全部しゃべりますけれども、財政審でこのような形で議論するというのは今回が初めてですか。この資料は財務省のどなたがつくったものですか。端的にお答えをお願いいたします。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 財政審におきましては、毎年度予算編成の過程におきまして、委員の皆様方からいろいろ意見を頂戴して、このような形で財務大臣に意見をいただいているところでございます。

 また、その際提出いたしました資料につきましては、農林水産関係予算の審議に資するために、農林水産省が公表しているデータ等を含め、そういったものをもとに作成したものでございまして、この資料は主計局において作成をしているものでございます。

福島(伸)委員 いや、農政について財政審議会でこういう形の議論をするのは、政権がかわって初めてなんですよ。田近分科会長代理も、財審で戸別所得補償について議論したのは、当然、政権がかわってからですから、きょうが初めてだと思いますということです。こういう議論は、かつての官僚主導のときに、審議会というものを隠れみのにして官僚がやりたいようにやるときにやる手段であって、なくなってきたものが、近いうちに解散があるということでありますから、その間際になってやっているのが実態なんです。

 もっとひどい資料があって、「六―三」の「農村振興関連予算について」で、財務省の方はお勉強ができますから、この坂上康俊先生の「律令国家の転換と「日本」」というもので、わざわざ下線を引いているんですね。「おおよそ九世紀から十世紀にかけて、それまであった集落の大半が消滅してしまったのである。逆に言えば、中世に続くような集落の多くは、若干の空白期間をおいて平安時代後期に至って、ようやく本格的に営まれ」、何でこんなのを出すかといったら、恐らくこれは、今の集落がなくなるのは時代の流れだということを示すために、わざわざこんな「律令国家の転換と「日本」」なんというものを持ってきて、議論を誘導しようとしているんですよ。

 私は、これはひどいと思うんです。こういうことは政治家が話すことであって、お勉強ができる官僚がいいかげんに資料をコピー・アンド・ペーストしてやったものでやるべきではない。そもそも、財務省設置法上、財政審議会にこのようなことをやる権限は与えられていますか。

柚木大臣政務官 お答え申し上げます。

 財政制度等審議会は、財務省設置法第六条により設置される審議会でありまして、同法第七条に基づきまして、国の予算や財投、それから国有財産等に関する重要事項を調査審議し、財務大臣に意見を述べることとされております。

 ただ、今御指摘をいただいておりましたさまざまな議論、私も実は、この議論、財審、途中から参加をいたしました。この戸別所得補償、党の政策の重要な柱であることを、今後、重々留意してまいりたいと思っておりますし、先ほどの政治主導等のお話がありまして、私も実は、財審の二回目までは記者会見も同席しておりませんで、三回目から同席するようにいたしました。

 ですから、まさに党の重要な政策と財審での議論との整合性、その点について、アウトプットのところではしっかり私もコミットしていこうという体制にしましたが、インプットのところもしっかりとそういう体制にしてまいりたいと思っております。

福島(伸)委員 結論からいうと、財務省にアウトプットは出していただきたくないんですよ。

 柚木政務官、ごまかされないでください。財務省の財政制度等審議会に与えられているのは、国の予算、決算、会計の重要事項じゃないんですよ。国の予算、決算及び会計の制度に関する重要事項なんです。予算制度なんです。個別の政策の中身について審議するなんという権能は与えられていないんです。財務省が勝手に省内で農業のお勉強をするのは、勉強好きな財務官僚の皆さんですから、それは自由ですよ。でも、公の法律に基づく審議会で農業政策にかかわるようなことの答申は出さないでいただきたい。これは法律でそんな権能は与えられていないんです。

 それが与えられているのは何かといったら、内閣官房であり、内閣府なんですよ。現に今、内閣府の中に、食と農林漁業の再生推進本部というのが設置されています。これは今どうなっているでしょうか。白副大臣の答弁をいただきたいと思います。

白副大臣 お答えいたします。

 今委員御指摘のとおり、内閣官房は、内閣の重要政策に関する基本的な方針に関する企画及び立案並びに総合調整を行うこととなっております。

 今委員御指摘の、食と農林漁業の再生推進本部の事務局を内閣官房国家戦略室に置きまして、農林水産省の協力を得つつ、昨年十月に同本部にて、我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画を策定したところでございます。

 この行動計画、基本方針に基づき、競争力や体質強化、地域振興を五年間で集中展開し、食と農林漁業の再生を早急に図ることとしております。

 以上です。

福島(伸)委員 最近それは開かれているんでしょうか。

白副大臣 お答えいたします。

 今開かれておりません。

福島(伸)委員 それを申し上げたいわけですよ。だから我が政権は、財務省主導と言われるんです。財務省で農業政策の議論をしているのに、総合調整をすべき国家戦略室なり内閣官房でしないというそこに問題があって、柚木政務官のお仕事は、財務省でそれをやってアウトプットを出すことじゃなくて、内閣官房の白さんと協力をしてやることなんですね。

 所得補償というのは、マニフェストに掲げられた政策で実現したものとして、これから我々はアピールするわけです。しかも、現場の評判もいいわけです。ただ、今何が起きているかというと、どうせ民主党政権がかわっちゃったらなくなっちゃうんでしょうといって、大規模農家が新たに農業トラクターを買いかえたりとか、農地を借りたり買ったりということは、政権がかわっちゃうからとりあえず控えていこうとなっているんですよ。

 すなわち、財務省がこういう紙を出すことで農業の構造改革を今阻害して、やる気のある農家を支援するんじゃなくて、やる気のある農家のやる気を失わせているのは、所得補償に対する動きが不透明だからなんです。財務省の審議会で言っていることと逆なんです。

 そういう意味では、三人に私はお聞きしたいんですけれども、まず柚木さん、このアウトプットを出すのをやめてください。これは財務省の私的勉強会としてやってください。

 そして、総合調整は、白さん、TPPも担当でございますよね。アジアの平和を求める白さんとしては、TPPのようなアジアの分断をもたらすようなことは決して推進よもやすまいとは信じておりますけれども、その前に大事なのは農業の構造改革です。それは内閣官房で、財務省の言い分もあるでしょう、それは聞けばいい、農林省のしっかりとした議論も受けとめなければならない、経済連携との絡みも当然考えなければならないでしょう。それはぜひ、内閣官房で、とまっている本部をしっかり動かす中で、予算の基本方針とかそういうものでつくっていただきたい。その決意を伺いたい。

 最後に、郡司大臣にも、そうしたことを進めていく決意というのをお伺いして、質問を終わりたいと思います。

柚木大臣政務官 このときの記者会見、私、同席しておりませんで、まさに今御指摘のような点も踏まえて、会見をするときにも、あくまでも財政効果の検証という視点はあり得ると思いますが、制度の部分については、横との連携をしっかりと踏まえてやってまいりたいと思います。

白副大臣 委員御指摘のとおりでございます。

 国家戦略室としましては、日本再生戦略を着実に実行する観点から、予算のあり方も含め政策の進捗状況や見通しについてしっかりとフォローアップしておりましたけれども、これからもそのフォローアップをしていきたいというふうに考えております。

郡司国務大臣 前委員会からこの問題について御指摘を受け、きょうもまた議論がありました。

 私も、やはり基本のところは、最後は政治家がきちんと話し合いをする、それも、セットされた中の極めて短い時間ではなくて、やはり十分に議論ができるような、そういう風土というものをこの国にはつくっていかなければいけない、そのように思っております。

福島(伸)委員 ありがとうございました。

 もしかしたら政権がかわるかもしれませんけれども、ゆめゆめまた官僚主導に戻ることのないよう、現場を踏まえた政策というのは党を超えてやる必要があると思っておりますので、自民党、公明党、そのほかの党の皆さん方も、よろしくお願い申し上げまして、質問を終わりとさせていただきます。

 ありがとうございます。

小宮山委員長 次に、玉置公良君。

玉置委員 おはようございます。玉置公良でございます。

 私は、農林水産委員会は初めてでございますけれども、実は、エコロジーの最初の言葉を使ったと言われます南方熊楠や、エコロジーを日本で初めて実践されたと言われる空海のふるさと和歌山の出身でございます。そういった視点から、私も県会議員をずっと十七年前からやっておりまして、特に環境の問題、そして農地の土壌の問題、林地の土壌の問題等々を取り組んできた経過がございます。

 私は、やはり、地球をこれから救っていく鍵というのは、水とか空気とか、さらには海とか土壌、こういったことが挙げられてくると思っております。そうした中で、土壌につきましては、地球の肝臓、こういうことが言われておるわけですけれども、きょうはそういった農地の土壌について質問をしていきたいと思っております。

 そこで、私は福島県の方に、原発事故が起きてから、二十キロ圏内も含めましたら十数回入ってきました。そういった中で、放射能汚染による土壌改良についても現地を見てきました。農地への放射能汚染が農業に及ぼす影響を非常に心配している。

 そこで、お聞きをしたいんです。農地土壌の種類によって放射能の吸着の状況に違いがあるのか。さらには、農地土壌の種類によって除去するのにかかる年数も違ってくるのか。さらには、その対策はどこまで進んでいるのか。端的にお答えいただきたいと思います。

鷲尾大臣政務官 農林水産省におきましては、東京電力福島第一原発事故の発生を受けまして、農地土壌からの放射性セシウムの除去等に関する研究開発を実施しております。

 御質問の放射能汚染の農地土壌への影響につきましては、現在までに、粘土の多い土壌では砂の多い土壌に比べまして放射性セシウムを吸着する力が大きく、作物への移行が小さいこと、作物の種類や土壌中のカリウム濃度によっても作物が吸収する放射性セシウムの程度が異なることが判明しているところであります。

 しかし、土壌と作物の関係につきましてはなお未解明の点が多いのも事実でございまして、このために、新たな研究プロジェクトを実施いたしまして、平成二十四年度中に、放射性セシウムが作物に移行しやすい土壌マップを作成するなど、引き続き土壌の種類や作物に応じた生産技術対策の開発に取り組む所存でございます。

 なお、農地の除染技術につきましては、飯舘村等での実証試験を通じまして、表土の削り取り、反転耕等、農地土壌の放射性セシウムによる汚染レベルに応じた除染方法を提示してきたところでございます。

玉置委員 今端的にお答えをいただいたんですけれども、もう少し私なりに言ってみますと、日本の土壌汚染マップ、一年ぐらいでつくったと。これについては、私の調査では、外国はびっくりしておる、チェルノブイリは五年ぐらいかかった、いろいろその調べ方はあると思いますけれども。

 日本が早くできた理由というのは何かと私なりに考えてみますと、やはり日本には、明治十五年からずっと土壌保全調査事業、こういうすばらしい歴史的な技術が積み重ねられておる。そういうことの中でこういうことができたのではないか。したがって、こういうすばらしい技術をもっと世界にもやはりアピールをしていかなあかんし、そういったことを進めていかなあかんと思っております。

 これは大臣に質問を聞くということではなかったんですけれども、一言、私が今申したことについて、御見解がございましたら、所見がございましたら、お願いします。

郡司国務大臣 観点としてこの問題を取り上げていただいたということに関して、非常に感謝を申し上げたいなというふうに思っております。

 昨今、新しく、法人だけではなくていろいろな取り組みの中で、土壌に合った作物をつくることが結果としてはいい作物がつくれる。それは、やはり負荷の関係からいっても、無理がない形の使用法というようなことにもなってくるんだろうというふうに思います。それから、私の出身は茨城でございますけれども、そこの県のセンターでも、相当程度このことに関して研究を行っている方がいらっしゃいまして、こういうような積み重ねということが、例えば、日本だけではなくて、これから途上国その他の農業を考える、世界の人口と食料を考える上でも大変貴重な観点だろう、視点だろうというふうに思っているところでございます。

玉置委員 ありがとうございます。

 そういう意味を込めまして、二つ目の質問に入らせていただきます。

 私は、三年前ですけれども、環境委員会の方で、地球温暖化対策の一環として、森林だけではなくて、農地土壌の吸収源の重要性を指摘いたしました。二〇一三年以降、農地管理も選択するよう要請いたしました。たまたま、きょうは副大臣でお見えの佐々木副大臣が、当時農林水産省の政務官として環境委員会に来ていただきまして、そのことについて答えていただきました。

 農作物を生産する、これはもちろん一番大事でありますけれども、私がここで言わせてもらったのは、大気中にあるCO2、それよりも、土の中に埋まっておるCO2はその二倍もある、これが砂漠化とか、解けていけば、土を放棄すれば地球がだめになってしまう、こんな大事なものですよというようなことも含めて、吸収源対策を進めなさい、こういう話をさせていただきました。そうしたら、政務官は、農地土壌の炭素吸収源も選択すべく努めているとの御答弁をいただいた。

 二〇一三年以降の京都議定書の第二約束期間では、農地土壌を吸収源として選択すると。今、京都議定書の関係についてはいろいろありますけれども、二〇一三年以降、そういう吸収源として選択するという理解でよろしいのか。政府の見解を伺いたいと思います。

佐々木副大臣 お答えいたします。

 玉置議員には、土壌あるいは環境ということについて、大変深い御見識と行動をいただいております。

 御指摘いただきましたが、森林と同様に農地土壌についても、例えば堆肥の施用など適切な管理を行うことによって炭素を貯留できるということから、現行の京都議定書においても各国が選択可能な炭素吸収源の一つとして認められております。

 さらに、農水省としては、中央環境審議会地球環境部会の取りまとめなどにおいて、農地土壌の炭素貯留について計上することを検討すべき旨が位置づけられたことを受けて、今御指摘がありました二〇一三年度以降の地球温暖化対策計画において農地土壌が吸収源として位置づけられるように、関係府省と協議をしてまいりたいと考えてございます。

玉置委員 ありがとうございます。ぜひともよろしくお願いをしておきたいと思います。

 これが具体的に実施されてくれば、私はやはり、今耕作放棄地が農地の約一割ある、こういった問題も、積極的にそれを耕して、CO2吸収源、さらには土壌改良という中で、排出権取引等新しいビジネスも生まれてくるんではないかと思っております。

 それでは最後に、三点目であります。

 最初に申しましたように、土壌の問題につきましては、世界も大変注目し出してきました。食料危機の問題や、温暖化の爆発の問題や、砂漠化の進行の問題や、ヒートアイランドの問題等々に注目をして、国連の食糧農業機関がことしの十二月の五日に世界土壌デーの祝典を行って、世界土壌パートナーシップを立ち上げよう、こういうことで今進めておると聞いております。

 我が国も、先ほどから申しましたように、世界に率先をしたいろいろな技術がございます。積極的に関与する必要があると思いますけれども、どうでしょうか。見解を一つ伺いたいと思っております。

 もう一つは、農林水産省にこの問題で先日来お伺いをしたところ、土壌全体の管轄部署がちょっと、はっきりと最初は答えられなかった、こういうことがございました。改めて、土壌全体の管轄部署はどこにあるのか、お聞かせを願いたい。

 そして、もう一つは、これは懸念するんですけれども、地力増進法という法律がございます。これは農林水産省。土壌汚染法は環境省。災害、防災は国土交通省等とまたがっておるわけです。これはそれぞれの意義があると思いますけれども、そこの横串を突き刺す柱であります土壌基本法というんですか、こういった法律が今はないので、ぜひともこれをつくっていくということを私は提案したいと思います。

 実は、アメリカの方では既に土壌保全法、EUでは土壌保護法を制定しようとしておるわけですけれども、国土全体丸ごと扱う、そういう法律が今はありませんので、ぜひとも御検討をお願いしたい。

 以上です。

鷲尾大臣政務官 委員に御質問をいただきました、土壌全体を所管する部署について、まずお答えいたしたいと思います。

 農地や森林につきましては、食料や木材の生産や、多面的機能発揮のための基盤として重要でございますので、行政の推進手法や必要となる知見も異なることから、農水省におきましては、農地の権利のあり方につきましては経営局、それから農地の区画整備、生産力の向上を担当する部署として農村振興局、そして森林資源としての林地の調査等を進める部署として林野庁等に仕事を分掌させているところであります。

 農地と林地に係る行政を一体として所管している部署は存在いたしませんけれども、御関心の、作物を栽培する上での農地土壌の営農上の対策、それから農地土壌の吸収源対策につきましては、一貫して生産局で担当しているところであります。

 今後とも、土壌に関する政策に遺漏なきよう、政務三役が中心となりまして、関係部署が緊密に連携して対応できるよう指導してまいる所存でございます。

佐々木副大臣 今、EUあるいはアメリカの土壌保全法や土壌保護法などについて、検討すべきではないかという御指摘をいただきました。

 委員から御指摘がありますように、土壌というのは、もちろん農地の生産基盤でもありますが、環境にとっても極めて重要であって、環境という字が示すとおり、境目の中で回らなければ環境は守られないということでありますので、そういった意味からも、今、省内の部署の話もありましたが、地力増進法あるいは農用地土壌汚染防止法など、さまざまな施策を実行して取り組んでおりますが、新たな土壌基本法の制定というものについては、関係府省と十分相談をしてまいって、その必要性について検討してまいりたいというふうに考えております。

郡司国務大臣 FAOの話がございました。十二月の五日、GSPの活動を世界的に周知しよう、そういうような会合が開かれるということでございますけれども、本省としましても、事務方だけではなくて、技術会議等々含めまして参加をさせていただきたい。

 それから、アジア版、ASPというのもございますけれども、これらの方にも参加をして活動しておりますけれども、まだ若干非力かなという感じがいたしますので、先ほどの御意見を生かしていきたいというふうに思っております。

玉置委員 いわゆる農林水産省の管轄部署、幾つかあるということです。しかし、私どもは、聞くときに、どこが窓口になるのかということぐらいはやはりきちっとつくっていくべきだと思っています。だから、ぜひともそれはつくっていただきたいということをここで要望しておきたいと思います。

 最後に、もう質疑時間が来ましたので、TPPについて要望だけしておきたいと思います。

 今、いわゆる参加表明の意向というのが新聞紙上でされておりますけれども、やはり今、耕作放棄地というのが農地の一割ございます。そういったことが、こういう関税が撤廃になってくれば、国土保全機能とか里山風景とか、そういうことが崩壊をして、ひいては地域社会が崩壊する、こういうことも思いますので、ぜひともこのTPPについては大臣も反対を表明していただきたいと思っております。

 以上です。

小宮山委員長 次に、藤田大助君。

藤田(大)委員 民主党の藤田大助でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。早速、質問に入らせていただきたいと思います。

 平成二十二年十一月、「森林・林業の再生に向けた改革の姿」が策定され、この改革の姿は、再生プランの実現に向けた具体的な方針を明らかにするものというような位置づけで、森林・林業についての取り組みが進められるような方向になったわけであります。

 その中で、適切な森林施業が確実に行われる仕組みの整備、広範に低コスト作業システムを確立する条件整備、担い手となる林業事業体の育成や人材育成、国産材の効率的な加工流通体制づくりと木材利用の拡大等に関する改革の内容が示されております。この改革を踏まえて、昨年の森林法の改正により、森林経営計画制度が導入され、森林管理・環境保全直接支払い制度が本格実施されております。

 きょうは山と川の問題を質問させていただきたいと思いますけれども、まず、この再生プランに掲げた内容が今どの程度進捗しているのか、お伺いしたいと思います。

佐々木副大臣 お答えをさせていただきます。

 森林・林業再生プランについてでありますが、今委員からお話がございましたように、我々は政権を担ってすぐ、この再生プランについては策定をさせていただき、昨年の七月に、このプランを踏まえて、森林・林業基本計画を閣議決定させていただいてございます。

 具体的な内容については今委員からお話がありましたので重複を避けさせていただきますが、直接支払い制度、人材育成あるいは需要供給、それぞれの面について取り組みを実施してきてございますが、昨年の四月に森林法の改正をさせていただきました。所有者が不明な場合であっても施業が代行できるというような制度を導入いたしまして、適正な森林施業ができるように措置をさせていただいたところでございます。

 今後とも、この基本計画に基づいて、川上、川中、川下、それぞれに施策をしっかりと講じて進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

藤田(大)委員 御答弁ありがとうございます。

 まさにいろいろな形で地域の方々と意見交換させていただく中で、やはり森林を、山にしっかり手を入れていろいろなことをやっていくことで、きょうは鳥獣害なんかの被害についても少しお伺いしたいんですけれども、さまざまな農業の問題にもつながってくるというふうに思いますので、ぜひこのあたりはしっかりと進めていただきたいと思います。

 それに関連して、木材利用について少し質問させていただきたいんです。

 これからの森林・林業を考えていく上で、特に大切な視点だというふうに私は思いますし、この森林・林業再生プランにも木材利用というものが掲げられております。民主党政権では、十年後の木材自給率五〇%以上を掲げています。

 ただ、ここで議論されることは、民間にかかわる部分、民間セクターの部分が多いので、どうしても政府としての対策も弱くなりがちになります。一方で、地域の方々や林業関係者の方々からすれば、農林水産省や林野庁に期待するところも多いということでありますので、ぜひこの木材利用を推進していく。あるいは、森林整備をやはり着実に進めていくためには、国産材の利用拡大により、山元に収益が還元されることが重要であり、表裏一体の関係にあると思いますので、ぜひこの観点から、これから農水省はしっかりやっていただきたいというふうに要望もさせていただきたいと思います。

 国産材の利用拡大については、住宅建築の動向が大きく影響されると言われていますけれども、平成二十三年の新規住宅着工数は八十三万戸で、二年連続して増加しているものの、今の経済状況を見ますと、年間百万戸を超えるような状態にはなっていません。あるいは、木材の総需要量に占める割合が最も多いパルプ、チップ用材、これも自給率をぐっと押し上げるようなものになかなかなっていません。こういった状況を踏まえて、この木材利用の促進をどのように認識して、今後取り組んでいこうと考えているのか、お伺いしたいと思います。

 平成二十二年十月に、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律が施行されました。これは、林業の持続的かつ健全な発展、森林の適正な整備、木材の自給率の向上に寄与するため、木造率が低い公共建築物における木材利用の促進、また、公共建築物以外への木材利用等を促進しようとするものであります。こういった部分というのは本当に大切になってくると思いますので、同法の効果が現段階でどのようになっているのかもあわせてお伺いしたいと思います。

佐々木副大臣 お答えさせていただきます。

 今御指摘がございましたが、プランでは、木材自給率五〇%ということを掲げてございますが、そのためには、国産材の利用が拡大しなければその目標は達成できないわけで、御指摘のとおりでございます。

 そういったことを踏まえて、一つは建築物としての木材利用、もう一つはバイオマスの利用拡大、そしてもう一つはこうした全体の国民の理解の醸成、三本柱でこれに取り組んでいきたいというふうに思っております。

 特に、公共建築物等木材利用促進法について申し上げれば、国の木材利用計画や地方公共団体の木材利用方針について、国では各府省二十二機関全て、都道府県では四十七都道府県全て、市町村では七百三十の市町村でこの計画を策定していただいてございます。

 さらにまた、庁舎、事務所、学校等の木造化や内装木質化等についても、現在、市町村数でいいますと、千七百四十二のうちの四二%で計画策定に取り組んでいただいておりますし、それから、公共建築物の木造化や木質化も、政府並びに公共の機関でも積極的に取り組んでいただいているところでございます。

 これらの利用拡大を図るために、これらの市町村木材利用方針などの普及と再生可能エネルギーの活用、そして木づかい運動や木育など、積極的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

藤田(大)委員 御答弁ありがとうございます。

 今御答弁ありましたように、バイオマスであるとか木づかい運動とか木育、さまざまな視点があると思います。私は、特に木づかい運動であるとか木育というのはとても大切な視点だと思いますので、公共建築物に木材を利用してもらう、あるいはバイオマスで取り組んでいただく、さまざまな合わせわざを含めて、木を使っていく文化というのをもう一度取り戻すところに取り組んでいただきたいというふうに思っておりますので、要望させていただきます。

 少し時間が迫ってまいりましたので、鳥獣害の方に質問を移らせていただきたいと思います。

 猿や鹿やイノシシなどの野生鳥獣による農林水産業における被害が今拡大しておりまして、かなり深刻な状況であるということは、これは私から申し上げるまでもありませんけれども、この中で、今農水省がどのように鳥獣害に対して取り組んでいこうと考えておられるのか、まずお伺いしたい。

 あとは、営農意欲がかなりこれで低下することになりますので、例えば個別の問題でいうと、私の地域ですと、昨年、台風十二号で紀伊半島が大水害に襲われたときに、侵入防止柵なんかが、農地の崩落とともに倒壊したものは災害復旧事業により復旧が行われるけれども、そうではないものは対象になっていないということで復旧のおくれにつながったというような、こういう教訓もあります。

 災害対応も含めて、今このあたりについてどのように農水省が考えているのか、お伺いしたいと思います。

佐藤政府参考人 藤田先生の御質問にお答えいたします。

 今先生御指摘のとおり、野生鳥獣によります農林水産業被害が深刻化、広域化しておりまして、農産物被害につきましては、近年、二百億円を上回るといったような状況になっておりまして、営農意欲が失われまして耕作放棄につながるといったことで、被害金額として数字にあらわれる以上に深刻な状況と相なっているというふうに認識しているところでございます。

 農水省といたしましては、鳥獣被害防止措置法に基づく被害防止計画を作成した市町村に対しまして、鳥獣の捕獲あるいは侵入防止柵の整備等による被害防除といった取り組みを総合的に支援しておりまして、農林漁業者が安心して農林水産業に取り組めるよう環境整備に努めているところでございます。

 なお、今先生の方から二つ目に御質問ございました被災した施設の復旧でございますが、地方公共団体等が所有する鳥獣侵入防止施設、これを災害復旧事業の対象とすべく政令改正を行うためのパブリックコメントを現在実施しているところでございます。

藤田(大)委員 御答弁ありがとうございます。

 政令改正の方向で進めていただいているということで、大変力強く思っております。

 残りの時間は、最後にカワウの問題で、内水面漁業等を含めて川の環境を守っていくということも、地域に生まれ、これから住み続けていくためには、地域住民にとっては課題を解決する必要があるというふうに思いますが、このカワウによるアユ等の食害が深刻化しております。これに対して、外来魚の駆除等を含めて予算があると思うんですけれども、それだけではなかなか現場は厳しいというような御意見も伺っております。

 できれば、いろいろな形で支援していただきたいと思いますし、被害防止計画を定めた市町村に対してはしっかり支援していただきたいというような思いもありますけれども、なかなか広域にわたるので、このあたりの認識も取り組みも十分ではないということで、ぜひ働きかけをしていただきたいと思いますが、農水省はどのように考えているかをお伺いしたいと思います。

小宮山委員長 簡潔にお願いします。

鷲尾大臣政務官 藤田委員におかれましては、党の議連におきましても、事務局次長として、内水面漁業につきまして特段の関心を持っていただきまして、また、さまざまな御提言をいただいていることに対しまして、まずもって感謝を申し上げたいと思います。

 御指摘のカワウの問題でございますが、アユ、フナ等の内水面の重要魚種を捕食するということで、影響が深刻であるというふうに考えております。その防除につきましてはさまざまな対策を講じてまいりたいというふうに思ってございますが、市町村が被害防止計画を作成して行う被害防止の取り組みにつきましては、市町村に対しまして特別交付税措置等による支援も講じられているところと聞いております。

 今後とも、カワウ被害の軽減に向けまして、必要な施策を講じてまいりたいと思っております。

藤田(大)委員 以上で質問を終わります。

小宮山委員長 次に、小里泰弘君。

小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。よろしくお願いします。

 まず冒頭に、いわゆる対中国農林水産物不正輸出問題について、二、三確認をさせていただきたいと思います。

 そもそも、この問題は、できもしない検疫の特別措置が受けられるという文句、誘い水で、出資金を初めお金を募った、そこに問題があったわけであります。過去の対中国貿易におけるその経緯からいって、また現時点でも、検疫特別措置を受けることは極めて難しいということはわかっていたはずであります。

 この検疫特別措置の困難性について、大臣の認識をお伺いいたします。

佐々木副大臣 お答えいたします。

 まず、過去、この協議会が中国に対して輸出した第一便の分野についてであります。本年二月、三品目を輸出したわけでありますが、中国の質検総局に問い合わせたところ、廃棄処分された旨の回答がまずありました。(小里委員「もう経緯はいいですから、答弁だけ」と呼ぶ)そうですか。

 第二便について、ここはちょっと答えに関連しますので、言わせていただきたいと思います。

 第二便を計画していたわけでありますが、中国の方では、中国での動植物検疫及び輸出政府機関の検疫証書が必要であるということ、それから、展示名義で輸入した食品は、展示終了後は廃棄あるいは返却処理を行う必要があるということ、展示品を販売する場合は、別途、質検総局の許可を得る必要があるといった旨の文書を中農集団宛てに通知したということでありますので、協議会が中国に農産物を輸出する際には、中国の法令に従った手続が必要であり、本件が特例的に扱われるものではないというふうに認識をしているところであります。

小里委員 要は、検疫特別措置は難しい、極めて困難であるという答弁ですね。それだけお答えいただければ結構なんです。

 続いて、農水省がこの事業から手を引くということであります。その意味でありますが、要するに、後援名義の使用とか補助金の交付に限らず、全面的に撤退をする、そういった意味でよろしいですね。大臣、どうですか。

佐々木副大臣 お答えいたします。

 今後のあり方検討委員会を担当させていただいたということで、私の方からお答えをさせていただきたいというふうに思います。

 今申し上げたところと重複する部分が一部ありますが、展示会への出展は特例的に扱われるものではない、それから、債権債務については当事者間で主張が異なっている可能性がある、それから、展示契約については、協議会と農発食品で取り交わした基本合意と実際の契約が食い違っているなどという点から、協議会が、中農集団及び農発食品との話し合いを通じて、北京の展示館事業の実現性あるいは持続性、それから、運営状況の社員、会員への開示などを明らかにすることがまず必要であり、こうしたことから、このような対応が行われない限り、国民への説明責任を果たせないということから、支援を行うことは困難というふうに判断をさせていただいたところであります。

 ただし、輸出拡大という政策課題に参画したいといって参加された事業者には丁寧に対応する必要があることから、事業者対応チームと総合的中国輸出促進プログラムというものを策定しているところでございます。

小里委員 事業そのものからは完全に手を引くということでよろしいんですね。

佐々木副大臣 協議会から申請のあった事業については手を引かせていただきたいというふうに考えております。

小里委員 ちょっと意味がわかりません。この事業からは農水省として全面的に撤退をする、そういう意味でよろしいんですね。

佐々木副大臣 これは、協議会から事業の申請があって、そしてそれについて支援をするという取り組みをしてきたわけでありますから、その事業からは我々は手を引かせていただきますが、ただし、申し上げたように、中国との輸出のために一生懸命に努力をしている事業者の皆さん方とか、中国との、日本との輸出そのものについてはこれからも推進をしていきたい、そう考えているところでございます。

小里委員 この事業からは手を引く、しかし、中国への農林水産物の輸出はしっかりやっていくよ、当たり前のことですね。

 三点目です。

 そもそも、この問題の核心というものは、経済活動に国が支援した。民間の経済活動に国が関与するところに利権が発生するものであります。今回は民主党ゆかりの団体に国が過度にかかわってきた、そこに大きな問題があったわけであります。

 したがって、この問題からは手を引いて、今後は、国対国の関係において、検疫の措置の改善を求めるとか、いわゆる輸出環境の整備に努めていく、これが本来の筋であろうと思いますが、その認識でよろしいですか。これは大臣がお答えください。

郡司国務大臣 いろいろとこの問題についても調査をさせていただいて、そしてまた御指摘をいただいたことがございます。それらのことはきちんと教訓として私どもも受けとめていきたいというふうに思っております。

 今御指摘のことでございますけれども、中国との長期的な問題は、先ほど副大臣が申し述べました。

 今、小里委員から御指摘がありましたような国としての関係でありますけれども、例えば農業部、あるいは先ほど出ました質検当局、それから商務部等々がございますけれども、それらとの関係においてしっかりした関係を築き上げる。そして、民間のものについては、例えばジェトロ等が介在をしたり、いろいろな形はあろうかというふうに思いますし、また、これまでも全国協議会等がありましたけれども、国としてのパートナーとしては、相手の国のしっかりした機関として行う、民間のことについては、ルールづくり、補助的なものをきちんとやるというふうにしたいと思っております。

小里委員 要するに、民間の団体の経済活動の中に突っ込んで国が支援するのじゃなくて、いわゆる民間の団体を含めて、中国への輸出が円滑に促進をされるように、そのルールづくりにおいて、国対国の関係においてこれを図っていく、そういう意味でよろしいんですね。では、そのように認識をいたします。

 特別措置については、これは本来、受け入れられることは不可能であった、困難であったということ、そして、この事業から手を引く、そして、国対国の関係において、本来の筋道に従って対応していくという今の答弁でありました。

 一応の農水省としてのけじめはついたのかなという気はいたしますが、ただ、いかんせん、まだまだその責任の所在というものが未解明であります。

 そもそも、この問題は、政務三役あるいは官邸も含めたところの間違った政治主導によって行われた、それに仕方なく農水省がついていったというのが実態であろうと思います。

 したがって、今後ともこの責任の所在を明らかにする、真相の解明をして今後に備えていくことが必要であろうと思います。政務三役、なかんずく鹿野前大臣、筒井前副大臣、そして田中公男氏の参考人招致、並びに、この展示館に係る賃貸借契約もまだまだ不明瞭、また矛盾に満ちたものであります。その契約書の提示、資料請求もあわせて求めたいと思います。

 委員長において、よろしくお取り計らいをいただきたいと思います。

小宮山委員長 ただいまの点につきまして、また資料の要求につきましては、理事会で協議いたします。

小里委員 では、本題のTPP交渉参加問題についてお伺いをいたします。

 昨日の予算委員会で、野田総理が、党内議論がまだ必要である、そしてまた、関係閣僚会議の開催も必要であるという言及がございました。あわせて、枝野経産大臣は、別の場であったと思いますが、数週間のうちに新たな判断ができるような状況にはないという言及がありました。

 したがって、東アジア・サミットでの表明はないという認識でよろしいでしょうか、大臣。

郡司国務大臣 私自身は常に、これまでも同じように、まだ協議の内容としては不十分なものがあるのではないか、あるいはまた、国民の皆様方に対する情報開示ももう少し丁寧にやってもいいのではないかということを申し上げてまいりました。

 それぞれの閣僚の方がそれぞれで発言しているということについて、私の方でコメントする立場はございませんけれども、私の思いとすれば、私に寄せられている意見として、今すぐに物事が決まるというような時期ではない、そのように判断しております。

小里委員 松宮副大臣、おられますね。経産大臣の言葉を受けて、特に。

松宮副大臣 私も、ただいま農林水産大臣がお答えしたとおり、今の時点で、政府として具体的に参加を表明するという段階にまではまだ至っていない、いろいろな手続があろうと承知をいたしております。

小里委員 東アジア・サミットでの表明はないという言及であったと受けとめさせていただきます。

松宮副大臣 今の段階ではということでございます。

小里委員 今の段階と十八日がどう違うんですか。ここまで大臣、副大臣、関係大臣が言及をしている中で、今さら、この期に及んで表明はないと私は信じております。しっかり対応していただきたいと思います。

 関連して、大臣に重ねてお伺いをいたします。

 総理の言葉によれば、表明の前に関係閣僚会議というものを開催する、その意見を求めるということであります。いつあるかわかりませんが、関係閣僚会議があった場合、大臣として、これは日本の食料、また地域を、農村を守る立場から、体を張って意見を言われるものと思いますが、その決意、姿勢をお伺いしたいと思います。

郡司国務大臣 このことに関しまする関係閣僚会議というのが二十三年の十二月に開かれ、それ以降、副大臣クラスでの話し合いがされてきております。

 今回、昨日の答弁で、総理みずからが、関係の閣僚会議を開いてというような話がございました。いつになるかわかりませんが、開かれるとすれば、私は、これまで申し上げてきたように、各団体もそうであります、生産者もそうであります、各地域、自治体の声というものをしっかり伝えていきたいというふうに思っております。

小里委員 体を張って阻止していただけるものと私は信じております。

 赤澤委員が、前回の質問で国内対策について質問しましたところ、方針が決まっていないから国内対策は考えていないという大臣の答弁でありました。方針が決まってからでは遅いということを私たちは訴えてきたのであります。

 そもそも、TPPは関税撤廃というものを前提にしておりますが、関税撤廃を前提にして考えた場合に、それでも日本の農業を存続させていくに足る有効な国内対策を打てる、そういった方策があるとお考えでありますか。

佐々木副大臣 お答えをさせていただきます。

 この前の議論もございましたが、TPPの関係については、昨年十一月の総理の声明も、参加に向けた協議という段階であります。しかも、参加を前提にしたものではないというふうにも言っているわけでありますので、そういった意味では、現段階において、参加を前提とした国内対策の検討は行っていないということであります。

小里委員 相変わらず進歩のない答弁でありまして、残念であります。

 EUの場合、かつて、貿易自由化、国境措置を引き下げるに当たって、直払いから始めました。そして、一九九二年のウルグアイ・ラウンド交渉に入る前に、しっかりと国内対策というものを打った上で臨んだわけであります。そしてまた、その交渉の中においては、一生懸命頑張って、想定より関税を引き下げるところまでいかなかった、大体半分ぐらいで済んだのじゃないかなと私は認識をしております。

 韓国は、米韓FTAを結ぶに当たりまして、七年前から、いわゆる脆弱産業を支援するための法律をつくって、国内対策を打って準備をしてきた。韓国大統領は、昨年の話でしたか、ことしだったか、自民党本部に来られたときの話で、それでも韓国農業の将来展望は明るいとは言えない、そういうことをはっきりと言及されたわけであります。

 少なくとも、政策として、予算として、日本の農地や担い手を守っていける、そういった対策が打てるか打てないのか、その点、認識をはっきりさせる必要があると思いますが、大臣、重ねてお伺いいたします。

郡司国務大臣 試算の問題ではないんだろうというふうに思っております。

 例えば、今回のTPPにつきましても、翌年から直ちにということではない形にもなるわけでありますけれども、私どものところでは、まだその対応策を具体的に決めていないというのが現状であります。

 ならば、もしその対策を立てた場合に、地域あるいは産業として成り立つのかということになりますれば、私は、全国を一律で申し上げるということは大変難しいことかもしれないというふうに思っております。

 例えば、それぞれの市町村、自治体ごとに、第一次産業あるいは第二次産業、第三次産業の比率等がございます。五%あるいは一〇%を超えるような地域におきましては、大きなダメージを与えるものではないかなというふうに思っておりまして、端的な例として、島嶼、小さな島に、例えば沖縄の先島のところにお住まいになっている方々の耕地、農地の八割以上がサトウキビである、そして、唯一の製造業が糖業の工場である、こういうところについては、品質に格差がない、そして今のような調整金という仕組みがもちろんなくなる、そうしたことも含めて、これは本当に地域全体が消滅をするかもしれないというような危惧を持っております。

 したがいまして、全般的に、国全体の総じてのことというよりも、私どもは、その場合には、本当にそれぞれの地域地域にあって対策を立てるかどうかということを真剣にやらなければいけないというふうに思っております。

 したがって、逆に言いますれば、今、そのような形のTPPという、関税をゼロにするということについて、私は慎重であるべきだという態度をとらせていただいているわけであります。

小里委員 関税がゼロになった場合は、農業を存続させていくに足る十分な国内対策を打つのは困難である、今、大臣の言葉の中にそういった認識がにじみ出ていたものと私は受けとめさせていただきました。

 今さらながらの質問でありますが、TPP参加のメリットというのは何なんでしょうか。まず、農林水産大臣にお伺いします。

佐々木副大臣 TPP全体でのメリットということであれば、それはそれで国全体でのメリットの分析等はあるわけでありますが、それが農林水産業に与えるメリットということに限定をされると、なかなかそれは難しい。

小里委員 農業にとってはメリットはないという今の答弁であります。

 では、松宮副大臣、お伺いします。

松宮副大臣 お答えいたします。

 先生御案内のとおりでありまして、TPPは、世界の成長センターでございますアジア太平洋地域の成長力を我が国として取り込んで、そして、さまざまな経済交流の基盤というのをさらにアップさせていくということでございまして、我が国としては、トータルでは大いにメリットがあると判断をいたしているところでございます。

 さらに、具体的に申し上げますと、例えば高い関税が撤廃されることによりまして、我が国の輸出増大が期待できます。これは総体としてであります。直ちに雇用の増大にもつながるという期待がございます。さらには、模倣品、海賊版の拡散や技術流出を阻止するという仕組みをつくることも期待されておりますので、海外における我が国の正規品の販売を促すほか、日本からの技術の輸出を確保するということにも直結いたします。そして、投資、サービスに関するさまざまな規制の制限禁止等によりまして、日本企業のより自由な域内における経済活動を確保することになりますから、これもまた、日本の所得が増大し、ひいては日本の国内雇用の増大に寄与することも期待されるというような、さまざまな効果はあると私どもは考えております。

小里委員 相変わらず、抽象的な具体性のない答弁であります。

 繰り返し繰り返しアジアの成長を取り込むんだという答弁でありますが、御案内のとおり、TPPには、中国、韓国は入らない、インドもインドネシアも入らない、台湾も香港も入らない。こういったアジアの大どころが入らないTPPで何でアジアの成長を取り込めるのか、これは全く素朴な疑問であります。

 雇用がふえるとか、抽象的なきれいな言葉を並べておられます。国境をさらに開いて、自由化を図って、海外から物資が入ってくれば、その部分の国内産業が淘汰をされる、雇用が失われる、自明であります。

 もともと、経済が成長する過程においてはウイン・ウインの関係というのもあったかもしれません。しかしながら、今のように低成長の中にあっては、しょせんはパイの食い合いにすぎないわけであります。いたずらに物資の供給がふえて、さらにデフレを招き、雇用の悪化を招いていく、これはもう当然のことでありまして、これからの貿易自由化というものは、やはり相手を選んでいく必要があるんだろうと思います。その話は、また後で時間があったらしたいと思います。

 ちなみに、農水大臣は酒には強いですか。

郡司国務大臣 できるだけ水分でも米の消費拡大をしたいというふうに思っておりますけれども、人並み程度だろうというふうに思っております。

小里委員 残念ながら、私は酒に弱いんですね。日本人の半分は酒に弱いんですね。欧米人の中で、酒に弱い人はほとんどいない。これは代謝能力の違いであります。酒に対して、薬品に対して、代謝能力が違う、体質が違う、文化も違う。そういったところで、安全基準というものがさまざまな分野にわたって違うわけであります。それを同じにしろと言ってくるのがこのTPPであって、食の安全の確保といった分野を初め、また自動車の分野に至っても大変な危惧を感じている、これは大臣もうなずかれましたので同様の気持ちであろうと思います。

 要するに、TPPの具体的なメリットというものは、今に至るまで、政府からほとんど説明がありません。逆に、デメリットというものは幾らでも出てくるんですね。これは米韓FTAを見るまでもなく明らかであります。TPPは、その経済力からいって、日米FTAにほかならないと言われるわけであります。メキシコ、カナダが入ったにしても、その色彩はほとんど変わらないわけであります。

 その米韓FTAをもとにいった場合に、自動車もどうもやられそうだ。あるいは、税理士、弁護士、公認会計士の仕事も、アメリカ人が日本で仕事をしやすいようになっていくんだろう。あるいは、医療、保険、著作権、食の安全、いろいろな分野に至るまで、要するにアメリカ人が日本で仕事をしやすいように、アメリカの物資が日本に入ってきやすいようにするのがTPPだと言っても過言ではないと私は悟るに至っているわけであります。

 このTPPになぜ踏み込もうとしているのか。これは、言われているところの安保の話であります。普天間の問題で鳩山総理がしくじった。そこにつけ込むかのようにして、ロシア、中国、韓国があのような姿勢に出てきたわけであります。そこで、特にアメリカとの関係改善を図らなければならない。そのために、オバマ大統領の御機嫌をとろうというところから始まったのがこのTPPであるということは間違いのないことであろうと思います。要するに、朝貢外交、朝貢貿易であります。身売りであります。これを、一生懸命入らせてくれということで今事前交渉をやっているけれども、そこでなかなかうまくいっていないという状況でありましょう。アメリカの御機嫌もとらせてもらえない、そのような状況であろうと思います。

 そもそも、安保と経済の問題が一緒になってきた、そこにこの問題の深刻さというものがあると思うんです。改めて、安保と経済の問題、これは切り離して考えていくべきであろうと思います。大臣の所感をお伺いします。

郡司国務大臣 今御意見をお聞きしまして、そのような見方もあるというようなことは、幾つかのところでも散見をさせていただいております。しかし、私がそのことについて是として何かを申すというようなことでもないだろうというふうに思っております。

 私は、今の所管、所掌の中で、みずから抱えております農業、あるいは林業、漁業、そうしたことについての思いをめぐらすようにしておりまして、全体として内閣の意思がどのような形で決定をされるか、そして、その中に今のような理論的な組み立てというものがあるかどうか、私のところで今詮索をすべきではないというふうに思っております。

小里委員 最後は、意見だけ申し上げておきます。

 今、たばこ審議会が開催をされております。平成二十二年、一本七円の大増税によりまして、たばこ農家は廃作に追い込まれました。私の鹿児島では、実にたばこ農家は半分になったんですね。たばこ農家は篤農家であります。非常にいい肥料をつくるんですよ。輪作体系の中で、たばこというのは非常に重要な位置づけを持っております。また、たばこ農家の皆さんというのは、地域の経済、社会のリーダーでもあるんですね。そういった農家の皆さんに塗炭の苦しみを味わわせてしまったわけであります。それが、民主党政権による思いつきの政策によるものであったわけであります。

 そういった各般にわたる思いつきの政策によりまして、これ以上、国家国民の幸せというか、国の発展、国民生活を阻害することのないように切に念じながら、質問を閉じたいと思います。

 ありがとうございました。

小宮山委員長 次に、江藤拓君。

江藤委員 宮崎県の江藤拓でございます。

 きょうは、大臣所信に対する質疑の続きでございますが、前回もやらせていただきましたけれども、またよろしくお願いいたします。

 大臣所信の九ページに、口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザについては、家伝法に基づいて今後の発生防止に万全を期してまいります。これは当たり前、当然やっていただかなきゃいけないことでありますので結構なんでありますが、そこにお座りでいらっしゃいますけれども、これに先立つこと、十月の十六日、西都市それから児湯の、いわゆる口蹄疫で苦しんだ地域の首長さんたちが、埋却地を農地として再生したい、これについて国として万全の対策をお願いしたいということをそろってお願いに参りました。

 そのときに、あろうことか、大臣の部下である副大臣は、宮崎じゃ口蹄疫は初めてでしょうと。それは違いますよと言われたら、えっ、二回目、じゃ、まだ菌は生きているな、大丈夫という発言をされていらっしゃった。これは、道休議員もそこにおられますけれども、我々としては、とてもじゃないけれども受け入れられない発言ですよ。農林水産行政のナンバーツー、副大臣、その方がこれっぽっちの認識しか持っていなくて、よく総理大臣も、それから郡司大臣も、国民に寄り添うとか農家に寄り添うとか、そういうお言葉は使われますけれども、それが全く現実を伴っていないというふうに私は強く思います。

 それで、私は、今、自民党の農林部会長をしておりますが、十八日に部会長名で抗議文をつくりまして、副大臣のところに抗議に行ってまいりました。部会長、部会長代理両名、それから副部会長、自民党の農林幹部全員そろって行ってまいりました。そのときに副大臣は、極めて率直に頭を下げられ、不見識であった、宮崎県民には心からわびたい、そして、今後の対策については全力を尽くして頑張りたいという決意を述べられました。武士の世界には情けというものがありますので、私はそのときは、あなたはやめるべきだ、副大臣としての資質に欠けているということを言いましたけれども、そのときの副大臣のお姿を見て、地元でも、帰って、拓君、首をとってきたかというふうに言われましたけれども、これ以上の追及はやってもお気の毒だなという、武士の情けもありますからということになっております。

 しかし、大臣、大臣は直接の上司であります。監督責任がありますし、総理には任命責任があります。これらのことについて大臣から一言、あわせて、宮崎県民に対して、そして全国に対して、農林水産行政のトップとしての御所見をいただきたいと思います。

郡司国務大臣 経過について今お話がございましたので、繰り返しをいたしません。

 宮崎の皆様方には、特に畜産にかかわっている関連をする方々、そして当該の地域の方々には大変御不快な思いをさせたのではないかなというふうに思っておりまして、そのことについては、副大臣に直接お会いをしたときに申し述べたというふうに思っております。

 口蹄疫について、申すまでもないことでございますけれども、既に清浄化は達成をされ、二周年をこの前皆様方が記念の日としてされましたことも心にとめております。OIEからももちろんそのことについては認定を受けているわけでありますから、宮崎が今清浄化されているということについては、私からも改めて国民の皆様方にも申し上げたいというふうに思っております。

 それから、吉田副大臣に対してでございますけれども、今のような発言がございました。地元の方々にも御不快の念を抱かせた、また発言が誤解を……(江藤委員「誤解じゃないよ」と呼ぶ)いや、誤解の上でしたようなこともございました。

 いずれにしましても、私の方から、今後そのようなことがないようにということでの厳重注意をさせていただいたことも申し添えたいというふうに思っております。

 しかしながら、先ほどの和牛の全国大会におきまして、本当に見事な成績を上げられました。これはやはり、この間、宮崎の方々が、これまでの畜産県というような誇り、そしてこれからもしっかりとやっていくんだということを満天下に示したものだというふうに思っておりまして、私どもも、その意思がさらにかたく、そしてこれからの将来の畜産の経営に役立つように、これからまた埋却のことなどについてもしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。

江藤委員 清浄化されているんです。皆さん、よろしくお願いしますよ。清浄化されているんです。

 言っておきますけれども、宮崎県で今どういう対策を打っているか、政務三役の中でごらんになった方がいらっしゃいますか、現場に行って。短くお願いしますよ。

郡司国務大臣 恐縮でございます。直接現場に出向いて、最近見ておるということはございません。

江藤委員 そこなんですよ。私自身も、もう選挙が近いですから地元を回らなきゃなりませんけれども、私は畜舎には入りません。私が持っているなんと思っていませんよ、当然。宮崎県民で、清浄化されているんですから。それでも、用があれば携帯で、外に出てきてもらって話をする。それぐらい私も気を使っているんですよ。

 そして、宮崎の畜舎に行ったらみんな驚かれますよ。だから、私も直接は見ることはできませんが、自費で何百万もかけて、一頭一頭の牛にミストをかけて消毒をする。そこまでやる必要があるのかというぐらい徹底的にやっているんですよ。何百万もかかるんですよ。国の補助なんか一円もありません。金がかかるから、そういうパイプの配管なんかも、ホームセンターに行って自分でパイプを買ってきてつないで、少しでも出費を抑えるようにして必死になってやっているんですよ。そういう人に対してこういうことを言うというのは、本当に失礼きわまりないということであります。怒っていてもしようがないので、次に行かせていただきます。

 それでは、米国の牛肉月齢緩和について。

 これはそもそも、我田引水と申しますか、マッチポンプと申しますか、TPPへの地ならしと申しますか、おかしな話ですよ。

 当委員会でも私何度も指摘をいたしましたが、平成二十二年九月、前原外務大臣がクリントン国務長官と会談したときに、クリントンさんから言われたならまだ話はわかる、要求をされたなら。そうじゃなくて、前原さんの方から、月齢緩和を一つの可能性として検討するんだと。そして、できるだけ早く方向性を出したいんですということを前原さんの方から言い出したんですよね。それはアメリカは喜びますわ。だから、今回のTPPの三つの条件の中にも、月齢緩和は当然日本はのんでくるものだとして入れてくる。アメリカ側の立場に立ってみれば当たり前のことです。

 しかし、我が国はもう既にOIEに、無視できるリスクステータスと認めるように、本年の九月にきちっと申請をしているじゃないですか。

 自民党政権時代ですけれども、このBSEの問題は、常に、政治主導とかそういうことを排して、科学的知見にのっとって判断をするのだということが大原則だったんですよ。

 これはあなたのマターではありません、厚労マターです、わかっています。でも、あえて言わせてもらっているんです。

 そして、来年の夏には、うまくいけばですよ、うまくいくと思っていますが、清浄国に日本は完全に復帰をするわけです。当たり前に考えれば、このときにこういった月齢緩和、こういったものについて日本政府として踏み込むのが、事務的に考えても、論理的に考えても、理性的に考えても私は自然だと思う。何でこんなに急ぐ必要があるのか。やはりTPPをやりたいからなんじゃないかというふうに私は思うわけであります。

 済みません、これは本当に厚生労働省マターで、大臣にお聞きするのは不適切で、本当は呼んだ方がよかったんですけれども、長く答弁されると困るので呼んでいないんです。

 それで、このことについて食品安全委員会のパブリックコメントが行われましたね。回答が四百十四件、この中の九割以上、四百件が早期の見直し反対、そして慎重な意見が占めているわけですね。九割ですよ。パブコメは何のためにやるんですか。パブコメで九割、これだけの意見が出て、それでも無理やりやるとすれば、ねじ曲がった政治主導としか私は思えません。

 薬事・食品衛生審議会が、十一月六日、規制緩和の手続に入ることを確認したといいますけれども、これは私は政治の暴走だと思いますけれども、大臣はどう思われますか。コメントをお願いします。

郡司国務大臣 先ほど質問の中でも言われておりますように、これは厚生労働省の管轄の仕事でございます。

 私は、やはり、当たり前のことでございますけれども、この問題については、外部のいろいろな要因ではなくて、科学的な知見、ありていに言えば、リスク管理がしっかりと行われているか、そのことによって我が国でBSEの発生が、あるいは、七年とかあるいは十一年とかいろいろな区切りがございますけれども、しっかりとなされているかということを調べるべきであろう。

 そして、私自身から言えば、この間、非定型というものも何頭かアメリカでも出ている、日本でも出てくる可能性はあるわけでございますから、そこのところと、どういうような形で今後BSEの対策を持っていくかということを、これはやはり科学的な見地でもってしっかりと行うべき問題だろうというふうに思っております。

江藤委員 大臣はよくわかっていらっしゃるんですよ。

 石田委員が先週質問されました。歯の並び方によって月齢はわかるのかと。わかりゃせぬのですよ。ちょっと畜産を知っている人間なら、すぐわかります。人間だってそうでしょう。早く永久歯に生えかわる人間もいれば、小学校、中学校になってもまだ乳歯が残っている人もいるわけですから。歯の生え方なんというのは食べ方によっても全然変わるわけで。

 これで、全く日本はきちっとやっているのに、もうこれはやりませんけれども、日本では多分、こうなっても全頭検査は続くんでしょう。ダブルスタンダードですよ。これが日本の牛肉の競争力アップにつながるという意見もあるかもしれませんけれども、これは、同じ閣内にあって、やはり大臣は厚生労働大臣にきちっとくぎを刺すべきだと私は思いますよ。きょうのところは、時間がありませんから、そのことを要請だけしておきたいと思います。

 私は、あと残りの時間を使ってTPPの話をやらせていただきます。

 先ほど、全共の話がありました。私も行ってまいりました。こんな感動が人生にはあるのかと思うぐらいの感動を味わって。

 しかし、私は、そのときに思ったことは、この人たちの生産意欲、この人たちがあの苦境から立ち上がってきたその意思というものを、政治の拙速な決断、暴挙でくじいてしまうようなことがあったら、私たちは顔向けができないと思いましたよ。

 確かに、賞をとった、一席をとった、次席をとった、立派なことです。しかし、これは一人の力でできているのではないんです。地域力なんですよ。自由民主党の農業政策は、地域政策、産業政策、そして自立、共助。自立をしてみんなで助け合うんだ、地域として農業政策をやるんだ。まさにその姿が、宮崎県が大復活を遂げた姿なんですよ。

 全頭殺処分をされて、高千穂から牛を導入して、県共では四席の牛でした。それが日本一になる。確かに、浄さんのテクニックはすばらしかったかもしれないけれども、それを支える地域の若者、御近所の方々、いろいろな方々の手助けがあったからこそ、それがなし遂げられたんですよ。ですから、地域を潰してしまってはだめなんですよ。

 私は東北の人とも話をしました。TPPをやったら、米は残るだろう、しかし、米農家は五軒か六軒になるかもしれぬね、集約化されてと。それはもう農業という世界よりも、まさに一つの企業ですよね。農業生産が総数量で残ればいいというわけではないんですから。

 そして、このことを申し上げた上で申し上げますが、十一月九日読売新聞一面、TPPを争点に、年内解散を検討。解散は歓迎ですよ。解散は歓迎です。何でTPPが争点なんですか。皆様方がマニフェストに書くのは勝手ですよ。我々がとやかく言うことじゃない。それは勝手です。しかし、失礼ながら政権末期に至って、そして、断言するのは大変御無礼かもしれませんが、野田さんが引き続き総理大臣をやることはないでしょう。それなのに、決断だけして、後の始末、後の手続は次の政権に投げ出すんだというようなことは無責任ですよ。

 きょうは外務省を呼んでおりますので、そもそも論ですけれども、今さらですが、TPPというのはどんなものですか。

正木政府参考人 お答えいたします。

 TPPというのは、環太平洋パートナーシップ、トランス・パシフィック・パートナーシップ協定というものです。

 TPP協定につきましては、基本的に全ての関税を撤廃するということが原則になっておりますが、最終的にどの程度の、即時撤廃になるのか、段階的にどれぐらい時間をかけて撤廃するのかなどについては、今の時点で明らかでございません。センシティブな品目の関税の扱いについては交渉の中で決まっていくことになるというふうに理解しております。

江藤委員 皆様方、勉強されている方々ばかりですから、今さらとは思いましたけれども、あえて聞きました。原則全ての関税を撤廃する。移行期間が十年になるのか十五年になるかわからぬ。センシティブな品目については全くグレーで、何が何だかわからない。結局、やはりTPPというのは、全ての関税をいずれ、近い将来というのが、これは五年なのか十年なのかわかりませんが、撤廃されるのがTPPということです。

 我が自民党は、もう三月に、聖域なき関税撤廃を前提とする限り、交渉参加に反対するということを党議決定しました。これを言うと、では、自民党は聖域があるんだったらTPPに参加するのかというふうに言う方が中にはおられますけれども、今聞いていただいたとおり、TPPには聖域がないんですから。これは、我々の姿勢がはっきりTPP交渉参加には反対だということなんですよ。

 このペーパーは私たちがまとめたペーパーですよ。これは私が、誰からは言いませんが……(発言する者あり)私が言っているんだから、黙っていなさいよ。このペーパーをまとめるときに、私も上の方から言われて、この文書づくりにはずっとかかわりました。どういうてにをはにするのか。

 党というのはまとまらなければなりません。党として一定の方向を出さなければなりません。いろいろな意見が自民党の中にもあるんですよ。それでも、この一線だけは絶対に守るものだという文書を、推敲に推敲を重ねて、そして大激論の末にまとめ上げたのがこのペーパーなんです。我々はこの域から出ませんよ。これは安倍総裁も確実に我々に約束をしております。やじるような場面では全くありません。民主党さんは何もまとまってないじゃないですか、そんなことを言うんだったら。

 私も予算委員会をきのう見ていましたけれども、このペーパーを森山委員が言ったら、玄葉さんが何か、我々はほとんど同じようなものでございますと思いますという、同じようなものでございますと思いますというのはよくわからないんですが、そういう発言をされました。

 そんなことを言うんだったら、筆頭、これをこのまま上げますから、持って帰って、このまま決議してくださいよ、民主党で。決議して持ってきなさいよ。そうしたらやじってもいいですよ、俺の言うことを。どれだけこれをまとめるので党内で私が苦労したと思っているんですか。こづかれ、いじめられ、間に挟まって。まあ、こんなことはいいですけれども。

 ですから、このことを裏づけるように、自民党の安倍総裁は、十月十一日に行われたJAの全中大会で、聖域なき関税撤廃が要求されるのであれば日本がTPPを締結することはあり得ないと、総裁御自身の口で、壇上でそう発言されているんですから、私の言っていることと全く矛盾はいたしておりません。

 対して、野田総理は、TPP交渉参加を、立場を明確にして代表選を戦われましたね。そして、六割以上の票をとって再選をされた。ここにいる方々は多分入れていない方がほとんどだろうというふうには推察申し上げますけれども、でも、総理の立場からすれば、これによって民主党内の意見集約は終了だというふうに思ったに違いないんじゃないかなと私は思います。

 そして、きのうの予算委員会、私も見ておりましたけれども、前原国家戦略担当大臣は、党内議論は終わったという発言をされました。これは、まさに……(発言する者あり)閣僚なんだから、言うだけ番長じゃ済まないんだよ。まあ、そうかもしれないけれども。

 そして、そもそも民主党は、前回のマニフェストでTPPなんて一言も言っていないんだから、そんなに一生懸命になることはないんですよ。ですから、きょうは皆さん方に私はエールを送りたいと思う。頑張ってくださいよ。私がここでどんなにでかい声を上げても、野田さんを引きずりおろすことは、党が違うからなかなかできない。この一日、二日は大分頑張っているみたいだ、民主党の方々は。山田先輩がおられますけれども、ぜひぜひ頑張って、選挙のマニフェストに書くのは勝手だけれども、交渉参加を決断させるなんということは絶対させないように、民主党の先生方にはよろしくお願いをしたいと思います。

 質問がなくて、話してばかりで申しわけないんですが、ここで我々が確認しておかなきゃならないことがあると思うんです。

 総理が大変なことを言っているんですよ。日中韓FTAのタイムスケジュール、これはことしの五月の日中韓の首脳会議で、年内の交渉開始を目指すことで合意しているんですね。けさの新聞によれば、朝日は交渉開始だ、開始宣言だと書いています。産経は、年内交渉入りは断念だけれども、一月から動くんだ、そのときに確認をいたすんだということです。

 これと同時並行的というのは大変ですよ。RCEPもそうです。だから、我が党は、そして安倍総裁は、今月十八日のカンボジアで行われる東アジア・サミットで交渉立ち上げを目指すことはないでしょうねということを、あの本会議場の所信に対する質疑でちゃんとやっていただいたんですよ。

 だから、自民党の姿勢、総裁の姿勢は明確なんですよ。はっきりしているんですよ、やめなさいと。しかし、それに対する返事は、また判で押したように、同時並行的に行いますということです。しかし、同時並行ということは着陸も一緒なのかなというふうに思うのは、私は普通の考え方だと思います。

 そこで、昨日の予算委員会で、先ほど小里先生もおっしゃいました、この関係閣僚会議での意思決定、これは大臣、歴史に名を刻む、政治家として政治家冥利に尽きる一大場面ですよ。うらやましいぐらいですよ。これで議員バッジを失おうと、議席を失おうと、閣僚を罷免されようと、本望じゃないですか。

 何度もこの委員会では申し上げましたけれども、小泉さんが郵政選挙をやるときに、こんな解散はおかしいということで、島村宜伸先生は小泉さんとかけ合いました。そして罷免をされました。それがやはり責任ある政治家の態度だと私は思います。

 今確約してくれとは言いませんが、ここは男を見せるところですよ。私は期待しておりますので、大臣のことは好きですから、ぜひそのときは、民主党の先生方は、大臣の後ろに立って、みこしを担いで、一緒に戦っていただきたいということを、これは要請として申し上げさせていただきたいと思います。

 ずっと質問がなくて済みません、話すばかりで。

 国民的議論の話をまた少しさせていただきたいと思います。

 国民的議論が不十分ということは、我々も、民主党さんも、ほかの党の方々も、みんな同じ気持ちですね。我々も、森山先生を筆頭に回を重ねてきましたけれども、もう疲れました。最終的な資料として出てくるのが、外務省に至っては二月ですもの。本年二月の資料を出されて議論を深めろと言われたって、話にならぬです。全然議論は深まっていない。これはもう明らかです。

 そして、十一月八日の民主党さんの慎重に考える会では、山田先生おられますが、国民的議論には新聞やインターネットも含まれるという驚くべき発言が、官房の方からあったんですか、これはまさに機能停止ですよ。世論を喚起するのは、啓蒙活動というのは、つじ立ち説法という言葉が昔ありましたけれども、政治家の原点であって、国民の意見を酌み取り、それを国会に反映させて、それを国民に伝える作業、これは政治家の責任でしょう。それが、マスコミやインターネットでやっているから十分国民的議論は進んでいると。これは厳重に抗議をしてください、官房に対して。こんなむちゃくちゃな話はありません。

 先ほども小里委員から話がありましたけれども、米韓のFTAがありましたけれども、今大騒動ですよね。大変な状況になっている。しかし、それでも今後十年間で二十一兆一千億ウォン、日本円にすれば一兆五千億円。ウォンは安いですから、これは普通の貨幣価値でいえば二兆円ははるかに超える金額だと思います。これを投入してもおさまらないんです。あれだけの騒動が今起こっているんですよ。今、小里委員が言ったように、将来は暗いという展望しか開けていないんです。それだけ、こういう貿易交渉は慎重にやらないと大変になる。

 そして、米については例外にしましたね、米韓FTAは。そして、何で米を例外にしたのかとアメリカの議会では問題になりました。これは多分認めない方向でアメリカ議会はいくんでしょう。

 そして、アメリカに目を移せば、オバマさんが再選されました。政治家が怖いのは選挙じゃないですか。オバマさんはもう次の選挙はないんだから、三選はないんだから、今まで以上に強力に押してきますよ、徹底的に。彼の基本的考え方は、輸出を倍増させるんだ、それによって雇用を創出させるんだというのがオバマの基本理念なんだから。次の選挙を恐れる必要がなくなったオバマ大統領は、今までのオバマとは違う、別の人ですよ。ですから、その圧力に絶対に負けるようなことがあってはいけないというふうに思います。

 先ほど小里委員が言ったように、鳩山さんが最低でも県外と言った。そして、その前に、平成二十一年の十二月、習近平国家副主席と会談したときに、日米中三カ国はゼロサムではなくてプラスサムだと。いわゆる、もうアメリカから軸足をちょっと一歩引きますよ、はっきり言えばそういう発言をしてアメリカの不信感を大いに買った。日米関係には非常にひびが入った。それを埋めるためにTPPをやるということであれば、こんな迷惑な話はない。政権のミスをTPPで埋めようとするなんというのは許されることではありません。

小宮山委員長 質問は。

江藤委員 全く質問していないですね。済みません。

小宮山委員長 お願いします。

江藤委員 余り聞くことがないんですよ。きょうは、しばらく聞いてください、辛抱して。済みません。いつも私の質問は質問がやたらに多いので、きょうは変かもしれませんが。

 我々は、とにかくやめてほしいんです、今の政権に決断をするのは。嫌な経験があるんですよ。細川内閣のときに、米の自由化が決断をされました。そして、その後、自社さきがけのよくわからない連立政権ができました。そのときに自民党の中は大騒動ですよ。大騒動になりました。大変でした。

 そのときに安倍総裁は一年生議員だったそうです。鉢巻きを締めて大反対したそうですよ。それでももう、党内がぐちゃぐちゃになるような議論をして、それで六兆円の対策費を組んだわけですね、六兆百億ですけれども。これに御批判があるのはわかっています。でも、そのうちの約五三%は今の農業の基盤をつくるための構造改革にちゃんと使われたんです。基盤整備、土地改良、いわゆる集約化とか、今の農業の基盤をつくるのに大いに役立ったことは間違いない。これは事実なんです。

 ウルグアイ・ラウンド対策は、関税は残ったんですよ。今度は、TPPはゼロ関税ですよ。ゼロ関税、全く。今の財政状況の中で対策は打てますか。もう簡略でいいです。対策は打てると。財政規律から考えて、消費税も上げなければならない、国民の理解が得られると思いますか。大臣、お願いします。

郡司国務大臣 先ほど来申し上げておりますが、そのことに対する対策というものを今私どもの方でしている、あるいはその内容を持っているということではございません。

 しかし、一般的に、産業的な対策ということだけでこのTPPというものは進まない。それは、先ほど申し上げましたように、地域そのものが崩壊をするという危険性を多くはらんでおりまして、その対策というものは、これは金額等であらわすようなことではなく、国そのものを考え直さなければいけないということでありますから、私は、対策という場合には、それらも含めて総合的な社会のありようとして考えなければいけないのではないか、そのように思っております。

江藤委員 つまり、大臣、無理なんですよ。無理なんです。一部は死んでもらって、こっちではもうけるという話なんですよ、これははっきり。

 口蹄疫の話をします。口蹄疫が発生したときに、私の地元で何が起こったか。商店街なんというのは、もう本当に見るも無残ですよ。お酒を飲む人もいない、御飯を食べる人もいない、買い物をする人もいない。運送業、農機具それから肥料メーカー、もうありとあらゆる人が、口蹄疫が起こって、火が消えたとはまさにあのことですよ。そのダメージからいまだに川南や都農、西都は立ち直っておりません。高鍋もそうですよ。それ以上のインパクトがあるんです。

 あと三十分ぐらい演説させていただきたいんですけれども、時間が来たようでありますのでこれで終わりますが、我々としては、断固としてTPPへの交渉参加を十八日はさせない、そういうことを確認し合って、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

小宮山委員長 次に、伊東良孝君。

伊東委員 それでは、お二人からTPPを初めとして諸問題が出てまいりました。私も幾つかそれに絡むのでありますけれども、まず酪農、畜産関係の質問からさせていただきます。

 ことし、アメリカはトウモロコシあるいは大豆などは不作でございました。作付面積が過去最大となったものの、トウモロコシに至りましては、六月以降の干ばつの影響で収穫量が大幅に減少し、作柄悪化の懸念を背景にして、シカゴ相場におけるトウモロコシの国際価格は急上昇をいたしまして、一ブッシェル八ドルを超える。一ブッシェルというのは二十五・四キロを単位としているわけでありますけれども、これが八ドルを超え、この結果、例えば北海道では、十月から十二月期の配合飼料価格が、これはトン当たりでありますけれども、一気に平均約四千四百五十円値上がりをいたしました。現在の配合飼料価格は約五万九千四百円に達しているわけでありますから、この二、三カ月で、いきなり四千四百五十円も上がってしまうわけであります。

 農林水産省は、このような配合飼料価格の高騰を受けて、異常補填基金の発動基準を一一五%から一一二・五%に引き下げるとともに、異常補填基金から通常補填基金への無利子貸し付けを実施することを決めたわけでありますが、このまま配合飼料価格が高どまりする、あるいは横ばいに推移してきた海上運賃が上昇に転ずる、あるいはまた為替相場で円安に転ずるといった事態になれば、配合飼料価格安定基金が二〇一三年の一月から三月期、これはもう年が明けてすぐでありますけれども、ここの安定基金が枯渇するのではないかという懸念を農業団体初め農家の皆さんもしているわけであります。補填基金の発動は、直前一カ年の平均価格を基準としておりますので、そもそも高どまりが続けば、その発動要件が満たされなくなるという心配をするものでもあります。

 本年十月ないし十二月期の補填の後、通常補填基金及び異常補填基金の残高の見通しをお聞かせいただきたい。さらにまた、配合飼料価格に影響を与える要因に関するそれらの見通し、そして、これらを踏まえて農水省が実施する配合飼料価格高騰対策につきまして、郡司大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

佐々木副大臣 お答えをさせていただきます。

 今委員から御指摘がございましたが、国際相場が高騰しているということで、第四・四半期の配合飼料の価格というのは十二月中旬ごろに飼料メーカーが決定をするということでございますが、大変予断を許さない状況にあるという認識をいたしてございます。

 補填基金が不足をするのではないかという御指摘をいただきましたが、委員も御案内のとおり、二つの制度から成り立っている制度でありますので、生産者に対する補填というものが円滑に実施されるように、私どもとしてもあらゆる方策というものを検討していかなければならないというふうに思っているところでございます。

 さらにまた、高どまりになるというようなことの御懸念もいただいたところでございますが、これについては、肉用牛の肥育経営安定特別対策事業や畜産関係の経営安定対策の算定の時点において、生産コストの増加というものをしっかりと反映するようにこれから対応をしていきたいというふうに考えているところでございます。

伊東委員 これは御案内のとおりでありますけれども、アメリカのトウモロコシの高騰の原因の一つは、エタノール燃料生産に約四割近くを回している。発展途上国及び周辺諸国から、もうこれをやめて食料に回してくれという切実な声が国際的にも起きてきているわけでありますから、最大の輸入国である日本も、エタノール生産に回すアメリカの政策を変更してもらう、こうした外交努力も必要ではないか、このように思います。

 国内的には、今お話は出ませんでしたけれども、例えば自給飼料のさらなる増産体制、これはTMRセンターなどの共同飼料製造工場あるいはコントラクター等々の協業化、こうしたことをしっかり進めていって、自給飼料を確保していくということが極めて大事だというふうに思うわけであります。

 もちろん、基金の補填、あるいはこういったものが充実しなければなりませんけれども、それと同時に、農水省としてできるその他の対策というものをしっかりやっていただきたいというふうに思うところでありまして、この点につきまして、もう一度お聞かせいただきたいと思います。

佐々木副大臣 今委員から御指摘いただいたとおり、私もそのように考えているところであります。

 我々は、自給率向上ということをずっと最大の眼目として掲げてきてございますので、そういった意味では、飼料も自給率を高める方向にできるだけ我々も誘導したいということで、飼料米あるいは今御指摘があったTMR、いろいろな形で、ぜひそういった方向に政策を振り向けていきたいというふうに考えているところであります。

伊東委員 ここに絡んでくるのが、私は、TPP交渉参加表明を模索している今の野田総理ではないか、こう思います。

 この飼料価格の高騰に加えて、今後、農家にとって一番不安に思っているのがオバマ大統領の再選によるTPP推進への圧力、あるいはまた、野田首相のマニフェストにもこれを盛り込もうかとするお考えがやはり農家にとって将来の一番不安な問題である、こう思います。

 TPPの一番最初の段階でありましたけれども、二年前に農水省が行った国境措置撤廃による農産物の生産等への影響試算があの当時出されました。米が九〇%、あるいは小麦が九九%等々でありますけれども、特に酪農、畜産製品に限ってみましても、牛乳・乳製品の生産量減少率は五六%、さらには牛肉は七五%、豚肉は七〇%の減産になる、海外産にこれが取ってかわる、このように当時試算をされたのが二年前であります。

 最近の農水省の試算がどのようにされているかわかりませんけれども、これらの影響は、果たしてこの二年間で、いよいよTPPという言葉が間近に迫るような昨今の状況の中でどのように捉えておられるのか。仮に、国境措置の撤廃による影響試算というのがその後もなされているのか、あるいはTPPの加盟参加国等々における影響というものをどのように見ておられるのか。これは、当時TPPに賛成ではなかった郡司大臣はどのようにお考えであるか、お聞きしたいと思います。

佐々木副大臣 関税撤廃による影響について御質問をいただきました。

 平成二十二年十月に、今お話がありました全世界を対象にした国境措置を撤廃、かつ、何らかの追加対策も行わないという試算が、生産減少額四兆五千億ということであります。

 私は、もしもの場合ですが、一番影響を受けるのは、加工品の方がより品質の差というものが明確でないですから、そういった意味でいえば、乳製品とか砂糖とかいったところの方が一番直撃をされるというふうに考えてございます。

 その当時の話でありますが、酪農、畜産の生産減少額については、一兆七千億円程度というふうに試算したところでございます。

 しかし、TPPの交渉参加国に限って関税を撤廃した場合の試算というものについては、現在、政府内部で検討させていただいてございます。

伊東委員 酪農、畜産に対して、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ、こういった国々が大きな影響を及ぼすことは今までも言われていることです。オーストラリアとFTAを結ぶあるいはEPAを結ぶというお話が出ました今から六年前であっても、酪農、畜産においては、オーストラリア一カ国で今回のTPPの約三分の二くらいの影響額が出るというふうに当時試算をされたものでありました。

 ですから、今回、TPPということになりますと、まさに先ほどお話がありますように、生乳製品はなかなか海外から持ってこられません。しかしながら、乳製品あるいは肉類は海外から何ぼでも入ってくるということになるわけでありまして、酪農、畜産家にとっては、肉で七〇%、七五%の影響がある、あるいは乳製品で五六%も影響があるということになりますと、よっぽどきちっとした保護、補填がなければ、希望を失って、もうやめていこうかというふうにみんな考えてしまうものであります。さらに加えての飼料高騰でありますから、もうこんなのやっていられないよというのが、これは今酪農家の本音になってきているのだというふうに思います。

 毎年、加工乳の生産者補給金あるいは限度数量、チーズに対する補給金、補助金等々がありますから何とかかんとかやってこられた、しかし、もうこれ以上続けることができないという悲痛な声が私どもに寄せられているわけであります。

 そこでお伺いいたしますけれども、今これらの問題を少しでも解決する可能性があるとしたら、加工原料乳生産者補給金あるいは限度数量、チーズ等の補給金のことではないか、このように思うわけであります。北海道でことしの九月末の時点で、わずかこの半年ちょっとの間に生乳受託戸数は二百二十七件減少をいたしておりまして、もう五千戸を切るのではないかと言われている現状であります。

 適正な補給金単価というのを求められているところでありますけれども、本年は年末の政府予算原案に合わせて単価と数量が決定されると聞いております。ことしは春先、二月、三月の話でありましたけれども、本年はこの十二月ということで聞いているわけであります。

 TPP対策は再三、大臣も副大臣もされていないという、今回まだ決まっているわけではないから特に行っていないという話でありますけれども、これだけTPPの話が出てきて、あるいは影響額、影響の大きさも示されていながら、予測されていながら、こうしたTPPに対する対策を何一つ講じないで、そして限度数量あるいはこの補給金単価にいつもの年のような顔をして向かっていくというのは私は間違いではないかという気がしてなりません。

 あらゆる農業政策がありましょう。しかし、国際競争力を高めるために、あらゆる手段を一つ一つ講じて、我々も、国も応援するからあなたたちも海外産と負けないだけの勝負をすると言って後押しするんなら、TPP交渉参加の話も、これはわからないわけではないというふうに皆さんは思います。

 しかし、何にもしていないで、TPPに入るかもしれない、交渉参加表明が近々あるかもしれないなんということになったら、農家はみんなもうやめてしまいますよ、来年、再来年で。ですから、今から将来を見据えた対策と、そしてその意欲をかき立てる、営農意欲を継続させる補給金単価あるいは限度数量の仕組みをやはり今回でつくっていただきたいというふうに思う次第であります。

 この生産者補給金単価等について、大臣のお考えをお伺いいたします。

佐々木副大臣 お答えいたします。

 補給金の関係の御質問でありますので、私の方から答弁をさせていただきます。

 二十四年度の酪農情勢というものをこれからしっかりと分析をして年末に向けていかなければなりませんが、生乳生産量としては堅調に推移をしております。さらに、これと同時に、加工原料乳への仕向け量も増加をしております。一方で、配合飼料価格は、先ほど来御指摘があるように、上昇基調で推移をしております。

 こうした動向をしっかりと分析していかなければならないというふうに思ってございまして、二十五年度の加工原料乳生産者補給単価並びに限度数量については、こうした状況、加えて経済状況というものを十分に考慮した上で分析をし、適切に決定をしてまいりたいというふうに考えております。

伊東委員 きょうは、通告はこのほかに、水産物のEU向け輸出、そして南氷洋の鯨類捕獲調査について、三点の予定でございました。もう時間が半分なくなりましたので、郡司大臣には、捕鯨問題は初めての質問になりますので、もう近々調査捕鯨に出る可能性もありますので、この点を先に質問させていただきたいと思います。

 我が国は捕鯨の再開を目指して、現在、南極海あるいは北西太平洋で鯨類捕獲調査を行っております。この科学調査は、IWC条約に基づく国際法上正当なものでありまして、IWC総会でも四十カ国に近い国々が日本の立場を支持しているところでもあります。鯨というのは日本の固有の文化であり、食生活であり、日本にとってはこれはもう大事にしなければならない食文化だ、このように思っているところであります。

 郡司大臣に捕鯨についての基本的な考えをお聞きしたいのでありますが、この後の問題と一緒にお答えいただきたいと思います。

 現在、東日本大震災の復興予算が反捕鯨団体でありますシーシェパード対策に流用されたということを、この間ニュースで聞いて私も若干驚いたところでございました。石巻・鮎川、捕鯨の基地の復興という意味も兼ねてという、私どもは意味が若干なりともわかったのでありますけれども、一般の人たちにとってみれば、なぜ復興予算が鯨類捕獲調査、対シーシェパード対策に使われなければならないか、こう思うわけであります。

 捕鯨関係の補正予算二十三億円の内訳は、妨害対策船の用船料五億円、また、妨害被害を受けている日本鯨類研究所への損失補填十八億円であります。国庫による損失補填がなければ、前回の南極海と北太平洋での捕獲調査は中止に追い込まれたであろう、このように私も思うところであります。

 鯨類捕獲調査の継続と環境テロ組織であるシーシェパードによる妨害対策に国民の税金を使うこと自体は、私は必要なことであり、このことが批判の対象になっているものではない、このように思うわけであります。問題は、復興予算が流用されたというそのことでありまして、今後も、ぜひ、シーシェパードの妨害行為に対して、国家として厳しくかつ適切に対応していくべきである、私はこう思うところであります。

 大臣は、自民党の意見を取り入れていただいて、十一月六日の記者会見で、ことしの冬も南氷洋鯨類捕獲調査を継続実施する、このように発表をしていただきました。感謝をいたしているところでありますが、シーシェパードは、ことしは日本の二百海里内に入って妨害する、このように豪語していると聞いております。関係省庁は一致団結して、調査船団及び乗組員の安全確保と捕獲調査の円滑な遂行のために対応していただきたい、私はこう思うわけであります。

 また、万一被害を受け、損害が生じた場合には、調査継続に向け、国としてきちっと対処すべきであります。

 以上、捕鯨及びシーシェパード対策、あるいは復興予算の流用問題等につきまして、大臣の御見解をお伺いします。

郡司国務大臣 いろいろと貴重な御意見をいただいて、ありがとうございます。

 まず、捕鯨そのものでございますけれども、これは伊東委員に説明するまでもないことだというふうに思っております。科学的な根拠に基づいたものを行ってきておりますし、また、我が国だけではありませんけれども、我が国を中心とする幾つかの国の大きな食文化を担ってきたものでもあります。

 特に、年代から申しますと、私などは、こういう肉を食べることによって成長してきた、こういう時代的なありがたみも感じているところでございますので、このことについてはこれからもしっかりとやっていきたいなというふうに思っております。

 こうした、予算が復興予算から使われたということに対しましては、これは、今おっしゃっていただいたように、幾つかの理由がございます。ございましたけれども、全体として御理解を得られるというような形をとるということからすれば、やはり事業そのものを間違いなく正規の事業として行うためにも、本予算から、通常予算の中で対応するということにこれからはさせていただきたいなというふうに思っております。

 それから、シーシェパードの関係でございますけれども、いろいろなことをやると、映像が世界に流れて、特に欧米の方々の寄附が大変よく集まるというような、どうも、そういう循環を起こしているようであります。新たに一隻ふやした、こういうような話も聞いております。

 そして、昨年は、国土交通省のところからも協力をいただく中で、妨害行為をできるだけ抑えるようなこともしました。しかし、限られた船の中で、国交省にも改めてことしも要請をしておりますけれども、昨年と同様のことができるかどうか、今、尖閣の問題等いろいろありますので、検討をいただいているところであります。

 それから、今までのような形で、待ち伏せではなくて、出たところから追尾をするんだというようなこともうわさをされております。私どもは貴重な捕鯨がきちんとできるような体制を今から考えておかなければいけないというふうに思いますし、昨年のこともありまして、鯨の肉総体というよりも、南氷洋その他に行ってとってくる鯨の肉そのものは若干少なくなってきております。副産物を販売することによって、また次の年からの捕鯨を潤滑たらしめる、こういう循環そのものが今危険なところに来ておりますので、しっかりとやっていきたい。

 それから、船の方も大分老朽化をしてまいりましたけれども、工期を二期に分けます。そして、最初のところでは、大変窮屈な形になりますけれども、そこに働く人たちの居住環境とかその他の方は若干後回しにして、捕鯨そのものに力が出せるような船の改造というものをきちんとやった上で出発をさせたいと思っております。

 常々御支援をいただく中で、国全体としての取り組みになっているということが大前提でございますので、これからも御協力のほどをお願い申し上げたいと思っております。

伊東委員 今、大臣からもお話がありましたが、副産物である鯨肉によって経費が賄われておりました。それが近年はもうできなくなってまいりました。本来は、需要に見合った価格で市場に出し、あるいは食文化を継承するための学校給食用など公益向けには、低廉な価格でそれが提供できるということでなければ、国民の支持は受けることができないだろう、こう思うわけであります。

 このような状況を踏まえて、私は再三御提案をさせていただいてきたのでありますけれども、調査捕鯨に必要な経費と副産物の収入というのを分離いたして、調査捕鯨に必要な経費はきちっと予算立てをし、副産物販売収入は国庫に入れるという形で分離した区分けをすべきだ、このように御提案をしてきたところでもあります。

 これからの鯨類捕獲調査は、独立行政法人の水産総合研究センターあたりにやっていただいて、海洋水産資源の開発調査と同様の仕組みで実施すべきではないかとこれまでも私は主張をしてきたところであります。制度改革について、引き続き、ぜひ前向きに御検討をいただきたいと思います。この点につきまして、鯨についての最後の質問といたします。

鷲尾大臣政務官 調査捕鯨の実施主体である日本鯨類研究所は、先月、調査捕鯨を安定的に実施していくための改革計画を作成したところでありまして、老朽化した調査船の改造、それから調査副産物の高付加価値化、組織のスリム化などを進めていくこととしているところであります。

 農林水産省といたしましては、日本鯨類研究所が改革計画に基づき行う取り組みを漁業構造改革総合対策事業により支援することによりまして、調査捕鯨の安定的で持続可能な実施体制を再構築する考えでございます。

 以上です。

伊東委員 捕鯨の方は、どうぞよろしくお願いします。

 最後に、少しの時間ではありますが、ホタテ等のEU向け輸出について御質問をいたします。

 北海道を初めとして、各地から海外に水産物の輸出がなされておりまして、近年の健康志向あるいは日本食ブームで大いに日本の水産物が脚光を浴びてきているわけであります。

 さて、そこで問題になっているのは、実はEU向けHACCPの問題であります。

 日本の加工施設がEU当局に認定されないと、そこで加工された製品に対して衛生証明書が発給されないということになります。例えば北海道の場合、EU向けHACCP認定加工施設は三社、五施設にとどまっております。全国的に見てもEU向けの施設は二十七施設しかなくて、全世界的に見ると、世界三十三位というランキングであります。

 ホタテ製品の輸出競争相手国は、南米のペルーとチリでありますけれども、これらのHACCP認定工場の数は、ペルーで百九十五施設、そしてチリで百七十四施設ありまして、我が国の供給体制と圧倒的な差があるわけであります。また、貝毒検出問題で日本からEUへの禁輸措置がとられた一九九〇年から二〇〇二年まで、この十三年間で南米産ホタテがEUにおいて席巻をしてしまった、こういうことになるわけであります。

 現在、中国を経由してアキサケ製品もEUに行っております。北海道も、日本もそうでありますけれども、EUへの直接輸出に必要なEU向けHACCP認定加工施設を今後急速に整備する必要があるのではないか、このように思うわけであります。

 一方、アメリカ向けのHACCP認定工場の施設数は、全国に七十八施設あります。EU向け加工施設数が国際的に低水準にある理由、そして、これを何としても伸ばしていかなければならない、こういった国の考え方を、これは農水大臣というより、認定しているのは厚生労働省でありますので、厚生労働政務官にお伺いをするものであります。

梅村大臣政務官 お答え申し上げます。

 今先生から御指摘いただきましたように、日本の対EU水産物輸出のための加工施設数、日本全体で二十七施設ということで、これはアメリカ等と比較すると非常に少なくなっております。その背景としましては、EUの水産食品に関する施設基準というのが厳しいため、施設の改修等が必要になることが多くなりまして、登録施設の少ない一つの要因であると思っております。

 一方で、EUでは衛生管理手法であるHACCPの導入が要件となっておりますが、日本ではこれを義務づけられていないという現状があります。

 アメリカとの比較に関して申し上げますと、対米水産物輸出のための施設の認定については国以外の第三者による認定も認められていまして、ここが対EU水産物輸出のための認定加工施設より認定数が多い一つの要因ではないかと考えられます。

 私たちとしましても、EUに水産物の輸出を希望する事業者が施設認定を受けるためには、各都道府県の書類審査及び現地調査を受けて、さらに、地方厚生局による現地調査を経て都道府県の認定を受ける必要があるということで、一定の時間を要すると考えております。したがいまして、厚生労働省及び各都道府県においてできるだけ手続の迅速化を図るために、EU輸出水産物に関する基準や手続に精通した職員を育成するための研修会を開催しているところでございます。

 厚生労働省としましては、こういった認定手続の進捗を管理できるよう、各都道府県に対して、個別の申請に関する事前相談、審査等の状況を情報提供するよう依頼しているところでございます。

 いずれにしましても、今後、各都道府県と連携しまして、認定手続の迅速化に努めてまいりたい、このように考えております。

伊東委員 時間でありますので、最後に今のお話、厚生労働省が認定をする、都道府県に委託をし、都道府県が、保健所の指名食品衛生監視員という人が施設認定申請書の審査、加工施設の現地調査を行うことになっておりまして、申請から認定まで通常約三年もかかるというふうに聞いています。

 今、迅速にというお話でありますけれども、これは海外との競争でまさに一刻を争うような話になってきているのに三年も申請にかかるのなら、これは計画する人も嫌になってしまうような話であります。

 ぜひこの認定の判断が速やかに迅速に行われるようお願いをしたいのと、これは水産庁も農水省もコーディネーターをしなければならない所管官庁でありますので、加工業界と厚生労働省の間に入って、EU向けHACCP、アメリカ向けHACCP対応工場が、速やかに申請し、あるいは許可を得て稼働できるように、ぜひこの対策をお進めいただきたいということを最後に質問させていただきます。

小宮山委員長 鷲尾政務官、簡潔に御答弁をお願いします。

鷲尾大臣政務官 はい。

 海外において、日本産の水産物は本当に品質が高く、また信頼が高いということでございますので、輸出促進事業等にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。

伊東委員 よろしくお願いします。ありがとうございました。

小宮山委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社民党の吉泉です。

 大臣を初め政務三役におかれましては、TPPなり、さらには農業の政策の根幹である多くの課題について、今、財務省の方からのいろいろな問題提起について、三役一丸となって頑張っている、このことにまず敬意を表させていただきたいと思います。

 その中で、きょうも財政審の内容について、冒頭に福島委員から質問がされたわけでございます。また、前回の八日の委員会においても、多くの委員からこの点について議論がされた。そして、財務省に対して、大臣は、この資料なり、さらには進め方等を含めて、是正なり訂正を求めるというコメントを出してきているわけでございます。

 そういう状況にあって、今、財務省として、私もこの資料を見ますと、はっきり言えば、農林水産業産出額が約十兆円なんだ、そうした十兆円の中において、農林水産の予算は二兆円も盛られている、さらに六次産業化とかいうものはもっともっとふえていく、こういった問題がどうなのかみたいな、そういう視点でまとめられているんじゃないか。そしてまた、その最後の論点整理の問題の中にここがぴちっと書かれている、こういう状況にあるわけでございますけれども、私としては、こんな状況の中において、それは委員の方も、それぞれ農林水産に絡む、そういうメンバーでも余りないわけでございます。

 私はお伺いしたいわけでございますけれども、この資料そのものについては白紙撤回をしながら、そして、もしこの議論をするのであれば、もっともっと委員の中に農林にかかわるメンバーも入れて財政審は進むべきだろうというふうに自分自身は思うんですけれども、大臣からの要望なり、訂正を求めるなり、そしてまた、今回の二日間六時間の委員会質疑を踏まえて、現段階で財務省としての見解はどういうふうに思っているのか、まずお伺いをさせていただきます。

    〔委員長退席、石田(三)委員長代理着席〕

柚木大臣政務官 お答え申し上げます。

 先ほど、福島委員とやりとりをさせていただいた部分も踏まえまして、まさに農水省が公表されておられますデータ等に基づいて財審の中で作成した資料につきましても、恣意的なものと受けとめられないようなことにはちゃんと留意もしながら、今後の取りまとめに向けた議論に入っていくわけでございます。

 これは、政権党としての主要な政策、本当に柱であるということにも留意をしつつ、その財政効果等をしっかりと検証していく中で、予算編成過程の中の非常に重要なプロセスの一環ではありますので、そこについての一つの指標となるような議論を財審の中で行っていただいているわけでございますが、委員のその専門性の部分の御指摘もいただいております。

 そういった御指摘も踏まえながら、取りまとめに向けては、当委員会でのさまざまな御議論にも十分留意をさせていただいた上で、今後の議論を進めさせていただきたい、そのように考えております。

吉泉委員 少し不満だらけですね。これから予算編成に向けて具体的に作業が進む、しかし、その取りまとめの進め方に基づいて、その資料になるのがこの資料なんですよね。こういうことなんでしょう。だから、私が言ったのは、財務省の方としてはこれだけの産出額しかないんだ、それに対してこれだけ予算を使っているんだと。こういうものはもう見え見えなような感じがするんですよね。

 これまでも委員の方から議論が、それは質疑でも出されたわけですけれども、やはり農政の根幹にある一つの政策的なところまで踏み込んで議論がなされる、そして、その委員のメンバーについてもそんなに専門性のある人がなかなかいない、こういう状況の中で取りまとめていくというふうなことになれば、その資料そのものがまさに越権行為的な位置づけにもなるんだろうし、こういう資料に基づいて取りまとめをされるということについては私は反対であるし、もし本気になって予算の取りまとめ等の中に置くならば、この資料ではなくて、別の資料をつくってやるべきなんだろう、私はこういうふうに思うんですけれども、いかがですか。

柚木大臣政務官 財政制度等審議会の取りまとめといいますのは、あくまでもそれを財務大臣の方に報告をいただくというものでございます。

 ですから、その後の取りまとめをどのように受けとめて予算編成等に反映させていくのかというのは、まさに政治主導も含めた政府・与党との協議なども踏まえた判断になってまいりますし、現段階でも、国会でのいろいろな議論、国会のいろいろな状況はありますが、やはり予算編成過程に向けて実務的な議論もしていかなければならない中で、そこはそこでしっかりと党あるいは農水省さんとの間でも議論はやっておりますので、あくまでもその中で財審の議論が一つある、そういう位置づけでございますので、財審での取りまとめというものが全てそのまま政府・与党としての予算編成等に反映されるかどうかというのは、またこれは一つ別の視点だというふうに考えております。

吉泉委員 やはり財政審の取りまとめ、その方向性というのは非常に予算編成の中では重みがあるんだろうというふうに私は思いますよね。だから、その重みのある取りまとめのところがこういう資料に基づいてやられる、そういったことについては非常に私は疑問を持っているということだけお伝えをさせていただきたい、こういうふうに思います。

 そして、佐々木副大臣の方にお聞きをしたいわけでございますけれども、この間、それぞれ事務方も通し、また、正面に立ちながら、今回の一連の予算等始まっている財政審の問題について、訂正を求めたり、いろいろなことをやって、そして、記者会見等の中においては、予算編成の中では堂々と議論を展開していくような、そういうコメントが出されているようでございますけれども、このことについて率直に、今の財政審の動き、さらには財務省の動き、そういうものを副大臣としてどういうふうに捉えているのか、見解をお伺いいたします。

佐々木副大臣 財政審の分科会において、今御指摘がありました生産調整とか、あるいは戸別所得補償制度について意見が出されたということについては承知をしておりますが、先ほど来議論がございますが、この分科会は、予算のあり方というよりは制度についての意見を聞くものであって、あり方、特定の結論を出そうというものではないというふうに認識をしてございます。

 しかしながら、政府の公的な審議会において、政権与党の農政分野の根幹政策である戸別所得補償制度に否定的なニュアンスがうかがえる資料が出されたということはいかがなものかと考えているところであります。問題意識を、事務方を通じて、同日、財務省に伝えたところであり、財務大臣にも話が伝わり、会見等でそのことが述べられているところでございます。

 今後、予算編成過程で、財政当局と堂々と議論をさせていただき、当省としての考え方をしっかりと説明して反論してまいる決意であります。

    〔石田(三)委員長代理退席、委員長着席〕

吉泉委員 よろしくお願い申し上げたいというふうに思います。

 そして、一番問題提起されている戸別所得補償制度の問題、このことについてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 この間の低迷する厳しい農業情勢の中において、生産者においては、この戸別所得補償制度の部分は、制度化を早めてほしい、さらには内容をもっともっと充実してほしい、こういう思いが非常に強い。そしてまた、生産者みずからが、規模拡大なり、農地の流動化も進んできているということについても事実なわけでございます。

 その中において、私どもとして、モデル事業からもう三年目に入っているわけでございます。その中で、私自身も、委員会の質問の都度、これはやはり予算措置ではなくて、生産者に意欲を持たせていくように、制度化をきちっとやるべきだ、こういう議論、さらには質問をさせてもらってきたところでございます。

 その中で、法制化をめぐって今進んでいるというふうにお聞きはしていますけれども、その障害になっているところ、制度化をやる場合にどういう課題があるのか、そういったことについて、それぞれ三党間の協議で進んでいるというふうなお話も聞いておるわけでございますけれども、大臣なり副大臣なり政務官は、何が阻害になって、法制化がなぜ進まないのか、このことについてお聞かせ願いたいと思います。

佐々木副大臣 お答えをさせていただきます。

 戸別所得補償制度の今後のあり方についてでありますが、民主党において三党実務者協議の再開をお願いしているところでありますが、これと並行して、民主党内でも法案作成に向けての議論が行われてきたところと承知をしてございます。

 これまでの民主党内の議論では、かなり共通認識はできてきているというふうに思います。農林水産省内においても、これを踏まえた法案の作成作業も進んでいるところでございます。

 今、委員からもお話がありましたが、地方自治体、農業者、それから知事会、都道府県、市町村、それぞれの自治体から早期の法制化というものも求められているところでありますので、しっかり対応したいというふうに思ってございますが、一つには、この三党協議の再開をできるだけ早く進めていただいて、できれば、そうした一定の方向づけができるということを注視しながら、我々も法案作業に進んでいきたいというふうに思っております。

吉泉委員 もう三年、来年になると四年目に入るわけでございますから、早急に法案をつくって、そしてその法案のもとの中で議論をして、よりよい制度にしていくというところについて、ぜひ一段と努力をお願い申し上げたい、そういうふうに思います。

 それとあわせながら、一番大事なのが六次化そのものなんだろうというふうに思っております。今、私の地元の段階においても、それぞれ十町歩なり二十町歩なり、そういう面積を集積しながら営農をやってきている、さらには法人化をやる。その中で、ただ単に、いわゆる時間にして三百六十五日のものから見れば、自分たちの育てたものを加工なり、また直接販売をしたい。そういう思いの中において、その事業の六次産業化の申請なり、そういうものが進んできている、そういう状況にあるというふうに思います。

 その中で、きょう現在でこの六次産業の申請件数なり、さらには平均的な事業の規模、こういったところについてお伺いさせていただきたいというふうに思います。

鷲尾大臣政務官 平成二十三年三月の六次産業化法の施行以降、この法律に基づきます総合化事業計画認定数は千七十八件に上っております。主な計画の内容としましては、農林水産物の加工と直売を合わせて行う取り組みが六二%、加工のみを行う取り組みが二七%となっているところでございます。

吉泉委員 この六次産業に向けて、今の方針としては、現在は市場規模が約一兆円である、それを二十七年度は三兆円まで伸ばす、そして、三十二年度で十兆円まで伸ばすんだ、こういう一つの大きな目標を掲げながら進んでいる、そういう事業だというふうに判断をしております。

 この申請をしていく際に、認定を受けるものについては、それぞれ四点を規定しながら、そして、今お話がありましたように、一千件を超える事業認定をしたところだ、こういうお話があったわけでございますけれども、それぞれの事業規模については大きいものから小さいもの、こういうふうに私は判断をしています。

 しかし、これからファンド事業も入ってくる、こういう状況からすれば、そしてまた、最終的には十兆円まで伸ばす。ましてや、生産者中心の農商工連携とは違って、農家が主体としてやるわけですから、そんな面の中で今答弁を求めたわけですが、ちょっと聞こえなかったわけですけれども、一千七十八件の平均的な事業規模、投資額、こういった部分をもしつかんでいたらば教えていただきたい、こういうふうに思います。

 それと同時に、これからファンド事業が具体的に進んでいった場合に、それぞれ、パートナー企業を求めて、そして、ファンド事業そのものを利用しながら事業を営んでいくという件数がこの一千七十八件の中にあるとするならば、そのところについての御紹介も含めて答弁をお願いします。

鷲尾大臣政務官 六次産業化の認定事業の平均的な規模ということでございますが、平均といいますとちょっとまだわかってございませんで、ただ、主な事業の実績といたしましては、新商品の開発、販路開拓というものの事業につきまして、七十三件一・四億円、こちらから出させていただいている。加工販売施設等の整備への補助ということでいきますと、二十五件六・四億円。加工施設整備等に必要な資金の無利子融資ということでいきますと、二十一件七億円という形になっております。

 また、委員から御指摘ありました、六次産業化事業体設立に向けた事業者への説明並びにファンドの準備状況ということでございますけれども、これは、十二月三日の法律の施行を目指しまして、今、パブリックコメントを実施している最中でございます。

 支援基準の策定でありますとか、発起人候補との調整等々、今、各地で説明をさせていただいているところでございます。

 また、サブファンドにつきましても、今年度中の設立を目指しまして、金融機関に対して説明を行っているところであります。

 農林漁業者の方々にファンドを活用していただけるようにしっかりと準備を進めているところでございますが、このファンドにつきまして出資の対象となります事業体の規模につきましては、制約を設けるということはしておりません。事業の成長性に着目をして、地域に根差した小規模な事業体も含めて出資対象となるように準備を進めているところであります。

 今後とも、ファンドの仕組みにつきましては、現場に周知徹底を図るとともに、六次産業化プランナー等による事業計画策定への支援も活用していただくことで、農林漁業者がファンドに参加しやすい条件整備に努めてまいるという所存でございます。

吉泉委員 今、答弁の中に、小規模事業体そのものについても、ファンド法の対象にするというお話がございました。

 今、現場段階で相当議論がなされているわけでございますけれども、このファンドを用いる事業については、あくまでも六次化法案の事業認定が前提であるわけですね。これから、このファンドが来年の四月なりまたは三月なり具体的になった場合に、事業認定の申請が出されるんだろうというふうに思うわけでございますけれども、今の準備状況をお聞きしたい、そういうふうに思うんです。

 もう一つは、今、小規模というふうになったわけですけれども、一応、今年度の予算の状況を見ますと、生産者が一億、企業が一億、それから地域ファンドが一億、そして中央のファンドが一億、それで四億事業、こういう捉え方で二百億、そういう一つの予算的な考え方を出しているわけですね。ですから、今、生産団体、生産者さらには生産法人の中に、このファンドを用いて、これだけの取り組みというものについての構え方なんかも含めて、事業が本当にそれでうまくいくのか、そういうことなんかも含めて決意する場合、やはり非常に頭を悩ませているというのが率直なところでございますし、ましてや、事業認定を受ける際に、地域ファンドからどういうふうに受けとめられるのか、こういう一つの不安もございます。

 そんな中において、今、法的な部分の流れはわかるわけでございますけれども、地域ファンドづくりなり、さらには、企業の動き、生産者の動き、生産団体の動き、こういう状況が今どうなっているのか。そして、これからは六次産業の事業認定、そういった部分が前提だといいながらも、ファンドを用いる事業認定というふうな部分から見れば、要綱等の問題なんかも含めて、やはり相当吟味しなきゃならない、そういうふうになるんだろうというふうに私は思うんです。

 ですから、その準備も含めて、このファンドそのものが通ってどんどん進む、私から言えば、一年おくれ、こういう状況と受けとめているんですけれども、その現状についてお伺いをさせていただきます。

鷲尾大臣政務官 事業認定につきましては、ファンドの審査と連携して、法律の制定がおくれたところもありますので、速やかに進められるように準備をしているところでございます。

 また、委員御関心の、出資の対象となる事業体でございます。先ほど来、一億だとか、大規模じゃなければ認定されないんじゃないかとか、そこら辺の御心配も、小口の小規模な事業体も出資対象となるように我々としては準備を進めているところでございます。

 具体的には、グループを組んで小口株主として共同出資して六次産業化事業体を形成するでありますとか、農協等が農林漁業者の協同組織として六次産業化事業体を立ち上げるといった方法でファンド出資を受けることも想定をいたしております。

 何にせよ、四億円は下限ではなくて、小規模でも対象となるんだということで我々は進めてまいりたいというふうに思っているところでございます。

吉泉委員 小規模の事業も認定対象となる、それは大変ありがたいというふうに思うんですけれども、ただ、地域ファンドは、やはり投資をするわけですから、それだけ小さいものに投資を、銀行さんなりファンド会社なりが本当に出すのか、そういうふうになっていったときにはやはり非常に疑問が出てくるんだろうというふうに思っております。

 ですから、その辺の事業認定をしていく際の要綱が、ただ単に今までの六次産業の事業認定という部分よりは、もっと高度な、大規模な、そういう事業認定の要綱というものが出てこなければならないんだろうなというふうに思っております。そういう面では、農協さんなり金融機関等々とそれぞれこの辺を吟味しながら、ぜひいい内容の要綱をつくっていただきたい、こういうふうに思います。

 もう時間がなくなったということで、質問は終了いたしました、こういうことで今通知が来たわけでございますけれども、TPPの問題について、牛肉のいわゆる規制緩和なりそういったものは、まさにアメリカの圧力に屈した一つのものであるというふうな捉え方、見方もされるんじゃないか、私自身はそういうふうに思っております。

 状況的に大変せっぱ詰まった状況でございますけれども、大臣初め政務三役のなお一層の御努力、さらには、農家を守るため、日本の農業を守っていくために一段の御努力をお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小宮山委員長 次に、松浪健太君。

松浪委員 日本維新の会の松浪健太であります。

 大臣所信に対して質問をさせていただきます。

 私は、大阪でありまして、大阪といいましても北の方に位置をしますので、選挙区の半分は森林で、余り農地は少ないわけでありますけれども、応援をしていただいている皆さん、やはり農家の方も非常に多くいらっしゃるわけでありまして、政権交代が行われたときは、自民党は集落営農と言われていたのに戸別所得補償でということで、随分な戸惑いの声もあったわけであります。

 我々も、また新たな党を立ち上げまして、農政に関するさまざまな関係者のヒアリングを行っておりますと、やはり民主党さんの政策、ちょっと場当たり的なものが多いんじゃないかなという声が非常に多いわけであります。

 先ほどからずっとTPPのお話がありますけれども、マニフェストには載っていなかったTPPを、発表されたのはいいんですが、そのすぐ後に、こちらの所信の中にもあります、我が国の農林漁業の再生のための基本方針・行動計画というものもまとめられているわけでありますけれども、この中で、特に農地も集積していくという話があります。

 農地の集積、いろいろなやり方があろうかと思いますけれども、この中で、平均二ヘクタールの耕地面積を二十から三十ヘクタールが大宗を占めるまで広げるとされております。我々の地域では二十、三十というのはなかなか大変なことなんですけれども、この二十から三十ヘクタールの根拠というのは一体何なんでしょうか。

鷲尾大臣政務官 持続可能な力強い農業を実現していくということで、農業経営体の体質強化を図ることが不可欠であるというふうに認識しておりまして、その中で、土地利用型農業においては、規模拡大が重要な要素と考えております。

 具体的にいきますと、一集落当たりの水稲作付面積でありますが、昨年十月二十五日に決定されました、我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画におきまして、二十ヘクタール程度であると。そしてまた、米を二十ヘクタールから三十ヘクタール生産した場合には、八百万円から一千二百万円程度の所得がある等の状況を踏まえまして、平地で二十から三十ヘクタールの経営規模を目指すといった目標を設定したところでございます。

松浪委員 それで、こうした計画の中には、今回も農地集積協力金とかそういったものもつくられたわけでありますけれども、集落内の話し合いによる農地集積の円滑な推進、なかなか話し合いといっても大変だと思います。地域の中心となる経営体への農地集積や、分散化した農地の連担化が円滑に進むようというふうにあるわけでありますけれども、よく我々が話を聞きますのは、こうして農村部に丸投げをして、本当にこれでそれが進むのかということに大変疑問の声というのをよく聞くわけでありますけれども、この農地集積の進捗というか、これは本当に進んでいきそうな感じでいっているのかということを確認したいと思います。

鷲尾大臣政務官 土地利用型農業の現状でありますけれども、平成二十二年度で二十ヘクタール以上の規模の経営体による経営面積は約百二十万ヘクタールでありまして、土地利用型農業に供されている耕地面積の全体の約三割に当たります。

松浪委員 私が今質問しているのは、こうした今回の特に農地集積協力金とか、また戸別補償制度の規模拡大加算といった問題で、これまで戸別所得補償によって生産意欲に乏しい農業者が農地を手放さなくなっているというような反面もあるんですけれども、そういった点に対する御所見というのはありますか。

郡司国務大臣 面積の少ない農家が逆にこの制度によって手放さない、こういうようなことかというふうに思っております。

 この制度を入れようかというときに、大分そのような記事が出されました。現実どういうことが起こっているのかということで調べさせていただきましたけれども、それほどそうした現象が全国的に広がっていることは確認をされなかったということが一つございます。

 その上で、規模拡大といいますか、これからのことについて、小さい農家の方々が手放さないのではないかという御懸念でございますけれども、今、農業の現状というものを考えていただきますと、平均年齢が二十年前から比べれば二十歳上回っているというような現状がございまして、六十六歳ぐらいということになっております。そのような中で、これから十年後に、今耕している方々というものはいずれ誰かにバトンタッチをしなければいけない、しかし自分たちの子供さんたちがそのまま受け継いでくれるのかどうかということになりますと、これはなかなかそのような単純な話ではないだろう。

 だとすれば、今の農地というものをしっかり守るということが、自給率を含めて食料安全保障という観点からも大事なことの一つでありますから、しっかりとそこを受け継げるような仕組みを国としてつくっていくというのが大事なことだろう、そのようなことで行っておりまして、御理解をいただければなというふうに思っております。

松浪委員 通り一遍に言えばそういうところだと思います。しかしながら、相続放棄地というのもどんどんふえて、それを自治体自身も把握していないというようなこともあるわけでありますから、そうした相続放棄地を例えば国で、銀行でも預金で余っている分はそれをぱっとまとめるんですから、これは一例ですけれども、国としてそういうものも本当にまとめていけるような抜本的な施策を入れていくべきではないかというふうに思います。

 今申し上げた今回の農地集積の問題で、規模を拡大して補助金を受け取る米農家も、それから田んぼを貸して補助金をもらう地主も、戸別所得補償制度に入っている必要がある、つまり生産調整を行わなければならないというのは、逆に、農地集積を図っている人たちは戸別所得補償制度に入らずに、しかも市町村の枠組みも超えて集積している人たちが一方でいる中で、特に、農地の集約を促す政策と生産調整をやらなきゃいけないというのは、これはちょっと矛盾する政策だと思うんですけれども、いかがですか。

郡司国務大臣 若干時間をいただくようになるかもしれませんけれども、減反政策が始まりましてからかなり長い時間がたちました。そして、生産調整という仕組みそのものは、日本だけではなくて、例えばEUなんかでも行われている仕組みであります。

 ただ、EUと日本の生産調整の違いといいますのは、例えば乳製品に対する生産調整というものをEUの中で行った場合には、それは乳製品の中だけで完結をするというような仕組みをとってきました。ところが、日本の生産調整というものは、一般的に減反政策とも言われておりましたけれども、単にその作物をつくるということ、お米ならばお米のことだけで完結をするのではなくて、そのかわりに別な作物を植えてもらう転作というものを一緒にやったり、それからまた、減反という政策に、国の農政の仕組みに入らない、従わないような方の場合にはペナルティーを与えるという形で行うということが、世界の中の生産調整と随分違った形で行われたということなんです。

 そのことによって何が起こったかというと、大変残念ながら、日本の農業の政策に対して、かかわりなく自分たちはやるんだという方々が三割を超えるような形になってきた。したがって、国が進めている減反政策というものの実効性が失われてきたということが、その処分に対して多額のお金を使うというような、本来の趣旨と違う形を生んできたんです。

 そのことを改めるために、私どもは、生産調整という形をとりながらも、しかしながら、お米でも、できるだけ主食用以外のものをつくることに対しては是認をしていこう。それは、土壌、気候の関係からいって、そのようなことを選ばざるを得ないような形がある。つまり、これまでのような形の減反政策の中で、つくったままで、商品として供しなくてもいいようなことも含めて起こってきたところを転換しなければならないんだということであります。

 したがいまして、今、そのような政策を始める中で、確実に、生産調整にかかわらずにつくってくる面積、そしてその方々というものは減ってきているということが一つございます。その中で、非常にメリットの高い、コストが安いというところの、面積の大きい規模拡大をされた農家の方々、これは法人も含めてでございますけれども、そういうところに農地というものが移行をするようなことが今の段階で始まってきている。このことについて、もう少し時間をかけて見守っていただければというふうに思っております。

松浪委員 先ほど大臣おっしゃいましたように、農村部の高齢化というのは大変なスピードでありますので、時間をかけている余裕があるのかなという気はいたします。

 この質問はここで今回はおかせていただきまして、次の質問に移ります。

 昨日の予算委員会でも、我が党の松野議員が随分復興予算についての質問をさせていただきました。復興予算が九州で何か厨房に使われているとか、これで本当に復興に関する予算なのかということを随分と我々としても調査させていただいているところであります。

 大臣も、先日の所信表明では、当面する主な課題として、東日本大震災からの本格的な復旧復興を進めるということで発言をされております。

 被災地の復旧復興を進めるべく、復興関連予算から被災地以外への多額の予算流用というのが問題になっているわけでありますけれども、本来、被災地の復興に使われるべき復興予算が被災地以外に使われるということを基本的にどのようにお考えか、まず確認させていただきます。

郡司国務大臣 基本的に、復興のための増税を行ったということから考えれば、これは復興のためにきちんと使うということが本筋だというふうに思っております。

 しかし、議論の過程の中、法案の成立の過程の中で、今後起こり得るところに対して、防災の観点から、一定の割合というものを予算化して、この国でもう一度いろいろなところで地震や津波が起こった場合に耐え得るようなこともやっていきましょうということで決めたのは御存じのところだというふうに思っております。

 その額が一兆円というのが正しかったのか、多かったのか、その辺のところについては、今後の議論の中で見直しをすべきところについてはすべきだというふうに思っておりますが、例えば農林水産の関係でいいますと、そのような防災対策の具体的な中身としては、農業水利施設の耐震化でありますとか、避難路等が閉じるおそれがある山腹の崩壊の復旧でありますとか、いろいろなことがあります。

 だから、そういうようなところについても、全体としてやはりもう一回議論をして、決められた法律の趣旨というものが、これはやはり見直すべきだということになれば、しっかりと国会の中で見直しの議論をした上で、そのような使い方がなくなるような形にすべきだというふうに思っております。

松浪委員 済みません、時間が短くなってまいりましたので、ちょっと答弁を短目でお願いいたします。

 本日、参考資料につけ加えさせていただきました。先般も議論で諫早の問題がありましたけれども、平成二十三年度の三次補正で諫早湾干拓事業というのが準備調査費として計上されておりますけれども、端的に言って、この事業費、復興関連事業として計上するのは適切ですか。

郡司国務大臣 先ほど言いました幾つかの防災にかかわることからすると該当するということになるのでありましょうが、これまでの諫早のこと等を考えまして、しかも地元での流れということに即応するような形でとったということも見受けられますが、このことについては、来年度からしっかりと本予算の方に移るようにしていきたいなというふうに思っております。

松浪委員 つまりは、やはりこれは復興予算としては不適切だったということを端的にお認めになったということでよろしいんですね。

郡司国務大臣 そのときの各省の折衝の中では該当するということでございましたけれども、これからのことを考えて、地元の方々の意識も配慮したということになれば、本予算として提出をするということで私どもは考えております。

松浪委員 まどろっこしい言い方でありますけれども、素直に、これは不適切だったとおっしゃればいいのかなというふうに思います。

 特に中身も、これが九億六千万もこちらに計上されたということ自体がおかしなことだなとは思いますけれども、それ以上に、執行額が一千四百万しか、執行率がわずか二%であって、残額のうちの七億が不用となって国庫返納されているわけであります。

 こちらの行政レビューの中では、長崎県地元関係者の反対により、調査及び実施設計等の実施が予定どおりできなかったというふうにあるんですけれども、地元関係者が反対されるということは予算計上時において十分予見できたと思うんですが、なぜ予見できなかったんでしょうか。

郡司国務大臣 御存じのことだと思いますけれども、そもそもの計画が出たのは昭和二十七年のことでございます。それから随分長い間、時間がかかりまして完成に至りましたけれども、その後も裁判等が行われておりまして、その間も国と地元の方々との話し合いが続いてまいりました。

 その中で、環境アセス等の動きが出る、そして、地元の方々と話し合いをするときに、話し合いが決まったならば、このときは地下水というようなことでございましたけれども、直ちに工事に移れるような、そうしたことをしっかりと持っていなければ国としても話し合いがしっかりできない、こういう形の中で予算の計上をさせていただきました。

 しかし、結果は、地元との合意が得られずに、予算の執行ができなかった。そのことについては、これからも、より地元の方々と真摯な話し合いを続けることによって、裁判で決められました期日までに国としてのやらなければいけないことをやっていきたい、そのように思っております。

松浪委員 これ以上は、先日さまざま北村議員等も議論されておりましたので、移らせていただきます。

 今後の話をさせていただきますと、この行政事業レビュー、予算監視・効率化チームの所見においては、活動目標の適切な設定、執行額と予算額の乖離の改善を行うべきと総括があったわけであります。

 今年度、一般会計から諫早湾排水門開門への対応経費として計上されておりますけれども、今年度以降は、活動指標の適切な設定というのは前回とどのように違うんでしょうか。

佐々木副大臣 経緯については、先ほど大臣から御答弁をさせていただきました。その大臣の答弁とできるだけ重複は避けたいと思いますが、これは開門の義務を負ったもの、裁判が確定しておりますから法的義務を負っているものであります。

 そういった意味で、今回の場合は、一昨年の十二月にそういったことが決定をした。そして、そのときにはもう既に予算はつくられていたわけですね。それによって、それ以降、設計をし直したというようなことがあって、第三次補正の防災予算の中に組み込んだということでありまして、今後は、そういうことは一般の予算でしっかりと予算を計上して、もちろん地元の協議とともにでありますが、進めていきたいというふうに思っております。

松浪委員 今私が申し上げたような明確な指標というのをこれからしっかりとお示しいただけなければ、とても国民の理解は得られないというふうに思います。

 時間が参りましたので、これで終わります。

小宮山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五分散会


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