衆議院

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第3号 平成25年11月6日(水曜日)

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平成二十五年十一月六日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 坂本 哲志君

   理事 北村 誠吾君 理事 齋藤  健君

   理事 谷川 弥一君 理事 宮腰 光寛君

   理事 森山  裕君 理事 大串 博志君

   理事 村岡 敏英君 理事 石田 祝稔君

      井野 俊郎君    井上 貴博君

      池田 道孝君    小里 泰弘君

      加藤 寛治君    勝沼 栄明君

      川田  隆君    菅家 一郎君

      清水 誠一君    末吉 光徳君

      鈴木 憲和君    高橋ひなこ君

      武井 俊輔君    武部  新君

      津島  淳君    中川 郁子君

      橋本 英教君    福山  守君

      堀井  学君    簗  和生君

      山本  拓君    湯川 一行君

      渡辺 孝一君    後藤  斎君

      玉木雄一郎君    寺島 義幸君

      柚木 道義君    鷲尾英一郎君

      岩永 裕貴君    鈴木 義弘君

      村上 政俊君    稲津  久君

      樋口 尚也君    林  宙紀君

      畑  浩治君

    …………………………………

   農林水産大臣       林  芳正君

   農林水産副大臣      江藤  拓君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   農林水産大臣政務官    小里 泰弘君

   経済産業大臣政務官    磯崎 仁彦君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            山下 正行君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            實重 重実君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           雨宮 宏司君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            木村 陽一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           橋本 公博君

   農林水産委員会専門員   栗田 郁美君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月六日

 辞任         補欠選任

  鈴木 憲和君     勝沼 栄明君

  徳田  毅君     湯川 一行君

  橋本 英教君     高橋ひなこ君

  鷲尾英一郎君     柚木 道義君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     鈴木 憲和君

  高橋ひなこ君     橋本 英教君

  湯川 一行君     井上 貴博君

  柚木 道義君     鷲尾英一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     徳田  毅君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律案(内閣提出第八号)


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     ――――◇―――――

坂本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省食料産業局長山下正行君、農村振興局長實重重実君、農林水産技術会議事務局長雨宮宏司君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長木村陽一君、国土交通省大臣官房審議官橋本公博君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

坂本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本拓君。

山本(拓)委員 初めて質問に立たせていただきます。新人になった気分で質問させていただきます。

 まず、大臣にお尋ねします。

 この再生可能エネルギー法案、エネ庁じゃなしに農林大臣として出されたところでありますが、この法案の必要性、大臣のお考えをまずお尋ねいたします。

林国務大臣 山本先生には初めてということですが、初めてとは思えない印象を持っております。

 お答えしたいと思います。

 農山漁村の活力が低下している中で、やはり農山漁村の豊かな資源を活用した再生可能エネルギー発電を促進するということによって、農業、農村の所得の向上等によって活力ある農山漁村の実現を図っていく、こういうことが重要だと考えております。

 一方で、農山漁村は、これは当然のことですが、食料供給や国土保全等の重要な機能を有しておりますので、再生可能エネルギー発電設備の無計画な整備が進みますと、農林漁業に必要な農林地等が失われて、その機能の発揮に支障を来すおそれもある、こういうことでございますので、この法案は、こういう状況を踏まえまして、農林地等の利用調整を適切に行いながら、農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー発電を促進することにより、農山漁村の活性化を図る枠組みを構築しよう、そういう意図で提出させていただいた次第でございます。

山本(拓)委員 農林水産省というと、いわゆる日本の国土面積、農村、山村、漁村、これが全て入るわけですね。ほとんどですよ、都市部以外は。だから、そういう中で、無計画にという、それは確かにそのとおりで、では、無計画の反対の言葉は計画的ですから、逆にそういうことを考えれば、まず、農村、山村、そして漁村、いわゆる田んぼだけじゃなしに、林野庁であれ水産庁であれ、この再生可能エネルギーに対応するということだろうと思います。

 まずは、農水省の所管する、農村、山村、漁村の所管の責任者から、それぞれどのぐらいポテンシャルがあるか、お教えいただきたいと思います。

小里大臣政務官 お答えします。

 国土の大宗を占める農山漁村でありますから、土地、水、バイオなど豊富に存在をしておりまして、その再生可能エネルギーにおけるポテンシャルははかり知れないものがあろうと思います。

 具体的にどの程度のポテンシャルがあるかにつきましては、さまざまな試算があるところでございますが、例えば、農村部の農業用水利施設を活用した小水力発電につきましては、その水量等からはかりまして、年間八・九億キロワットアワーの発電ポテンシャルが見込まれております。

 山村につきましては、仮に未利用間伐材の年間発生量二千万立米を全て木質バイオマス発電に活用した場合には、年間七十億キロワットアワーの発電量が見込まれます。これは、五千キロワットアワーの発電所に換算をすれば、全国に二百カ所設置できる、そういう計算になるわけであります。

 また、漁村に限った再生可能エネルギー発電のポテンシャルについての指標はございません。ただ、漁港やその周辺の洋上は風速や風向が比較的安定をしておりますことから、今後、風力発電の取り組みが進むことが期待をされております。あえて申し上げますと、洋上風力発電全般について言えば、一・二兆キロワットアワーから四・三兆キロワットアワーのポテンシャルがあるものと推計をされているところではございます。

 本法案を活用することによりまして、こうした農山漁村に存在するポテンシャルを最大限に引き出しながら、農山漁村の活性化につなげてまいりたいと思います。

山本(拓)委員 今の小里政務官の報告の中身をお聞きいたしておりますと、日本のエネルギー基本計画は農林大臣が立てたら終わっちゃうんじゃないかなと思うところでございます。

 御案内のとおり、今、政府の方では、年内をめどに新しいエネルギー基本計画を立てるべく、検討を進めているところでもございます。エネルギー政策基本法に基づいて、政府の役割としては、基本計画を立てなければならない。過去、この法律ができてから計画を三回ほど立てた。だから、今度は四回目だろうと思うんですが、その中で、前政権では、いろいろ国民的議論をやって、結論が出なかった。

 まとめ方はいろいろありますが、法律に沿ったやり方をいいますと、まとめるのは経産大臣なんですよね。最後は閣議決定ですから、党の了解を得るということで我々が絡むんですが、そういう中で、基本計画を策定する上で、法律上は、関係行政機関の長の意見を聞かなければならないということを明記いたしております。

 昔は、東京電力とかの一般電気事業者がいましたから、今度は電力改革もやりますから、衆議院で成立して、もう閣議決定もしていますよね、この延長での話ですから、当然のことながら、今までは限られた十電力の設備の中で計画をベースに構築してきましたが、今度は自由化になるわけですから、それを前提とします。

 しかも、あの三・一一を経験しましたから、原子力の比率は、これはこれで規制委員会が判断をしますけれども、やはり自民党の政策、また国民的世論でも、再生可能エネルギーがどれだけ進むかということを期待しているんだろうと思います。

 今回、それを踏まえて苦心惨たんやっているわけですが、そんな中で、経産大臣がまとめる中で、経産大臣としては農林大臣の意見を聞かなければならない。今までは、想像するに、しゃんしゃんしゃんということで終わりましたが、先般、担当に確認しましたら、今度はかなり気合いを入れて、ああいう法律をつくる役所ですから、しかも、将来を大変期待されている林大臣でありますから、やはりあなたの答え方はあなたの評価につながってくると一般的に言われております。

 そんな中で、林大臣にお願いしたいのは、普通は、自家使用というか、自分のところのビニールハウスとかで使うのなら、それはそれなりになんだけれども、これはあくまでもFITに乗せるということが前提となっていますから、そういう意味では、これは一体化しているんですよね。だから、そういうことを考えれば、国の行政機関の中で、今回の農村、山村、漁村のこれだけのポテンシャルがある中で、あとはいかに効率的に生産体制をとるかということだろうと思います。

 バイオマスでも、いろいろなバイオマスがありますが、間伐材を集めるのでも、やはりいかに合理的に箇所を決めてやるかということで決まっちゃいますよね。今、二百カ所と言われましたが、計画の中で二百カ所を一番効率的なところに決めて、そうすると確実にできますよ、コストも安く。

 それはやはり、冒頭の大臣の、なぜこの法律案をつくるかという中で、計画的にやらなければ、逆に今のままだと無計画にどんどんいっちゃうのでだめだということで、計画的にやらせるんだということでございますから、それならば、国のエネルギー基本計画に直結しなくとも、ある程度役割を担うという意味では、数値目標じゃないですが、今すぐ出せとは言いませんが、今後、この法律案が成立した後、これを実現していくためには、ある程度、国全体の再生可能エネルギーの普及に向けた、また、そこで燃やすものとかは、今まで捨てていたものが回り回って金になるわけですから、これは目的に合っていますから、コストの面を考えると、やはり合理的な計画というのが絶対必要になるわけですね、発電とか。

 今まで農水省にはなかった答弁ですが、農水省として、新たな基本計画にどのような考え方を反映させるのか。お手元の役人がつくったペーパー以外にプラス、目標を立てるんだ、検討するんだという大臣の意思表示があればありがたい。ぜひとも強い政治的な判断を御披瀝いただきたいと思います。

林国務大臣 心して答弁させていただきたいと思います。

 今委員がおっしゃったように、経済産業省の総合資源エネルギー調査会で、新たなエネルギー基本計画の策定に向けた議論が進められているということでございます。

 先ほど申し上げましたように、また山本委員からも今お話がございましたが、国土の大宗を農山漁村が占めておりまして、ここに土地、水、バイオマス等の資源が豊富にある。ですから、やはりこれを再生可能エネルギー発電に活用して農山漁村の活性化につなげるということがエネルギーの供給源の多様化にも資する、こういうふうに考えております。

 特に、小水力発電、それから木質バイオマス発電、これは農山村に特有の資源を活用した発電でございますし、それから、木質バイオマス発電について付言すれば、継続的に森にお金が落ちるという特性もあるわけでございまして、こういう再生可能エネルギー発電の意義がやはり新たなエネルギー基本計画にも反映されるということが望ましいと思っております。

 先ほど委員からお触れいただいたように、エネルギー政策基本法の十二条で、「経済産業大臣は、関係行政機関の長の意見を聴くとともに、」こうなっておりますので、しっかりと農山漁村の活性化が図られるように、新たなエネルギー基本計画の策定作業に協力をしていきたいと考えておるところでございます。

山本(拓)委員 第十二条に、行政機関の長の意見を聞くというのとあわせて、冒頭、大臣からお話がありましたが、今現在、経産省の総合エネルギー調査会でという話は、法律上は、総合エネルギー調査会と行政機関の長と同列、同じレベルで聴取するというふうになっていますので、決して向こうでまとめているという話ではございません。実態的には昔はそうだったですが、今後は対等に聞くという話ですので、そのぐらい重いということです。これ以上は申し上げませんが、期待をいたします。

 そこで、一点ちょっと、きょうは国交省に来ていただいています。

 この法律では農地転用の話が出ていますけれども、ことしの、二十五年三月三十一日に農林水産省の農村振興局長名で、最近技術が進みまして、普通の田んぼのあぜとあぜに支柱を立てて高架にして、その田んぼの上に太陽パネルを設置して、そして下は、田んぼは田んぼで通常の農作業をする、作物をつくる、共存できるという方針を、これは当時、出していただいたところであります。今、農地転用を田んぼ自体はする必要がないので、支柱を立てる、その面積だけ手当てすればいいということです。一方では、国交省が二年前に「太陽光発電設備等に係る建築基準法の取扱いについて」という通達を各自治体に出しております。

 詳しい話はよしますけれども、要は、農水省がこういう、あぜとあぜに支柱を立てたり、簡易なものなら農地転用上許されるよということで通達を出して、それは随分進んでいるんですよ。そうすると、場所によっては、最近、気候変動とか風が強いものですから、しっかりした支柱を立てて、がっちりしたものを立てる事例が挙がってきて、自治体の土木事務所においては、この建物は、農水省がいいと言っても、建築確認が必要ではないかという解釈で指摘されて、ちょっとぎくしゃくしている事例が出てきております。

 きょうは、国交省の一番詳しい人ですよね、責任者の方に出ていただいて、しっかりと議事録に残るように、農水省の通達というのか、これでいいよというものについては建築基準法の規定の例外になるというようなこと、またそういうことをはっきりと御答弁いただけたらありがたいと思います。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、支柱を立てて営農を継続する太陽光発電設備につきましては、まず、太陽光パネル部分が屋根の機能を有しておりませんし、また、太陽光パネルの下は屋内的用途として利用されるものではないと考えられますので、建築基準法の建築物には該当しないと考えております。

 さらに、建築物以外でも、土地に自立する、高さ四メートルを超える太陽光発電設備につきましては、従来は、建築基準法の適用を受ける準用工作物として建築確認が必要でございましたけれども、平成二十三年三月に政令を改正いたしまして、電気事業法により安全性を確保されるものにつきましては、建築基準法が適用される工作物から除外をしております。したがいまして、御指摘のような太陽光発電設備につきましては、建築確認は不要でございます。

 ただ、今後、仮に取り扱いに疑義が生じた場合には、農林水産省とも連携し、協議、調整をした上で、必要な周知を図ってまいる所存でございます。

山本(拓)委員 これを進めていこうとすると、現場で通達が行き渡らなかったりと思いますので、委員長、ぜひとも全国にしっかりと徹底的に通達が行くようにお願いをいたします。

坂本委員長 はい。

山本(拓)委員 それと、あと十分、質問せなあかんことがいっぱいありますので、質問だけ続けてしますので、後でまとめて答弁してください。

 まず一つ、本法案は、民主党政権時代の法案と具体的にどのように違うのかという点。

 そしてもう一つ、再生可能エネルギー発電の導入により、優良農地の転用が進み、その確保に支障が生じることがないようにするため、この法案では、農地法に基づく農地転用規制と相まって、どのように措置することとしているのですかという点。

 そしてもう一つ、この法案では、農業上の再生利用が困難な荒廃農地に再生エネルギー発電施設を誘導するために、具体的にどのような仕組みとなっているのかという点。

 それともう一つ、再生可能エネルギー発電事業の中止、撤退のときに、事業者に原状回復を行わせる仕組みが必要だと考えられていますが、どのように措置をするのかという点。

 そしてもう一点、農林漁業の健全な発展に資する取り組みとしてどのようなものを想定しているのか、また、設備整備者による確実な実施をどのように担保するのですかという点。

 それともう一点、再生可能エネルギー発電による電気を園芸ハウスに利用することを進めるべきでないかということを考えているわけでありますが、農水省はどのように取り組んでいかれるのかということでございます。

 経産省、環境省、他省との連携もしっかりとっていく必要があると思いますが、その点も確認をさせていただきます。

 以下の答弁を、あと十分以内で順次お願いいたします。

 以上、私の質問は終わらせていただきます。

小里大臣政務官 まず、廃案となった法案と新たな法案との違いでございます。

 私自身もこの間まで自民党の農林部会で議論をしてまいりました。その際、我々は、やはりこの新たな発電が地域にしっかり生かされるということ、地域の活性化につながるということ、そして農地が農地としてしっかり確保されていかねばならない、そのことを念頭に置いて議論をしたわけでございます。

 そういった観点からいったときに、廃案となった法案につきましては、優良農地の確保に懸念が生じるんじゃないかということ、また、果たして発電の利益が地域にどのぐらい還元されるんだろうかといったこと等において懸念があらわされました。

 自民党において議論を重ねまして、また、その議論を踏まえて、改めて法案全体にわたり検討を行ったわけであります。

 その結果、まず、法案名につきまして、農山漁村における再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律案、これが旧法案でありますが、この名称から、農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律案と変更をしたわけであります。

 また、農山漁村における再生可能エネルギー発電の促進につきましては、地域の活力の向上と持続的発展を旨とすべきことや、地域の農林漁業の健全な発展に必要な農林地等が確保される必要があることを基本理念として明確に規定いたしました。この基本理念のもとに、これが現場まで徹底をされるように、市町村の基本計画、また発電整備者等によってつくられる設備整備計画等について、規定の追加を行うこととしたわけであります。

 こういったことによりまして、法案の趣旨がより明確にできたのではないかと認識をいたします。

 残余の質問につきましては、役所の方からまとめてお答えを申し上げます。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案は、農業上の再生利用が困難な荒廃農地等に再生可能エネルギー発電設備の整備を誘導するなど、適正な土地利用調整を行うことにより、優良農地を確保しながら地域において再生可能エネルギー発電を促進することで農山漁村の活性化を図る、こういうことでございます。

 具体的には、市町村が基本計画で定める発電設備整備区域は、農業上の再生利用が見込まれない荒廃農地を優先的に活用するなどによりまして、優良農地の確保に支障がないよう設定すること、それから、設備整備計画の市町村による認定に際しましては、農地法に基づく農地転用許可基準に反した転用が行われないようにするため、農地転用の許可権者である農林水産大臣それから都道府県知事の同意を得なければならないこと、こういった仕組みを設けているところでございます。

 また、認定を受けた設備整備計画に従わず再生可能エネルギー発電設備が整備された場合は、農地転用許可があったものとはみなされないため、農地法に基づく都道府県知事による原状回復命令等の措置や罰則の対象となっているところでございます。

 こうした仕組みが現場で有効かつ適切に機能するよう、関係制度の適切な運用に努めてまいりたいと考えております。

 また、委員から御指摘のございました、事業途中で撤退する場合の取り扱いでございますけれども、本法案に基づく再生可能エネルギー発電設備の整備を行おうとする際に、発電設備の撤去時における原状回復、それから費用負担等に関する事項を市町村の協議会の協議事項とするとともに、設備整備事業者が作成する設備整備計画の記載事項とすることを検討しているところでございます。

 また、あわせて、設備整備事業者が設備整備計画の認定を申請する際、原状回復に関する事項が記載された地権者との間の契約書の写しを添付させることを検討しているところでございます。

 このような対応を含めまして、農林地等に再生可能エネルギー発電設備を整備した後、途中で事業を中止、撤退する際に問題が生じないよう、国の基本方針等で具体的な指針を規定するとともに、市町村に対して必要な助言や情報の提供を行ってまいりたいと考えております。

 それから、農林漁業の健全な発展に資する取り組みについてでございますけれども、具体的なものとしては、例えば、発電事業者が太陽光発電設備の周辺の農地の簡易な整備を行うとか、風力発電設備の近隣において地元の農林水産物やその加工品等を販売する直売所を整備、運営する取り組み、こういったことを想定しているところでございます。

 本法案で、こうした取り組みの適確な実施を担保するために、市町村による指導及び助言を規定するとともに、認定設備整備計画に従って農林漁業関連施設の整備が行われていない場合は認定の取り消しが可能ということでございます。

 それから、発電の電気を園芸ハウスなどに利用するという御指摘でございますけれども、園芸ハウス施設などに再生可能エネルギーによる電気を自家利用することは、省エネルギーや事業活動で行うCO2排出の削減に資するものであり、意義のある取り組みであると考えております。

 他方、現時点においては、通常、自家利用に係るコストは電気事業者から電気を購入するよりも高いことから、普及の段階にはまだ至っていないという状況にございます。

 今後は、自家利用に係る再エネ電気の価格が既存の系統電力の価格に近づくことも想定されるということでございますので、そういった取り組みが行われる可能性も期待されると思います。

 施設園芸において、再生可能エネルギー等の地域エネルギーを利用する大規模な施設園芸拠点の整備を推進するために、農林水産省として、二十六年度の概算要求において要求しているところでございます。

 それから、最後に委員御指摘の、経産省とかほかの役所との連携の話でございますが、農山漁村において再生可能エネルギー発電を促進するに当たりまして、固定価格買い取り制度など政府全体の再生可能エネルギー政策との整合性ですとか、自然環境の保全との調和のとれた形で行われることが重要であると考えております。

 このため、本法案による農山漁村における再生可能エネルギー発電の導入促進に当たっては、特に、エネルギー政策を所管する経済産業省、それから自然環境の保全を所管する環境省との密接な連携が重要であり、具体的には、国の基本方針の策定に係る協力、農山漁村に存在する資源を活用した再生可能エネルギー発電に活用できる施策の紹介を行うとともに、地方農政局等に経済産業局や環境事務所の協力を得て国の相談窓口を設置する、こういったことによって連携を図ることとしております。

 本法案を機に、関係省との連携をより密にすることにより、農山漁村における再生可能エネルギー発電設備の適切な導入促進に努めてまいりたいと考えております。

山本(拓)委員 ぴったり三十一分になりましたので、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、樋口尚也君。

樋口委員 公明党の樋口尚也でございます。

 農林水産委員会では初めての質問の機会をいただきました。ありがとうございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 私は、再生可能エネルギー電気の発電の促進により、農山漁村の活性化を図るとともに、エネルギーの供給源の多様化に資するという本法案について、総論として賛成の立場でございます。

 ただ、再生可能エネルギー発電の普及促進策、中でも現行の再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度にはさまざまな問題が生じているというふうに認識をしております。

 したがって、法律の施行に際して、発電事業を行う農林漁業者等は、再生可能エネルギーに関するさまざまな問題を正確に認識することが大事であります。その上で、さまざまな困難を乗り越える知恵を結集して、再生エネルギーを促進していかなければなりません。

 そこで、まず申し上げたいことは、再生可能エネルギー発電の導入に際しては、今問題がさまざまクローズアップされております。

 まずは、発電設備自体の採算性という大前提の問題。

 加えまして、電力会社の既存電力系統への接続の問題。すなわち、最近、再生可能エネルギー発電の増加により、電力会社の電力系統の容量に余裕がなくなってきている、少なくなってきている。そこで、電力系統への接続が困難、あるいは、接続のための設備改修工事費用が高額化していて、事業化を断念するケースがあるという点。

 次に、コストの問題。太陽光発電の設置コストは、太陽光パネルの価格を中心に低下の傾向にある一方、風力発電は、風況のよい、経済性にすぐれた地点から順次開発をされておりますので、コストが上昇ぎみという点。

 さらに、再生可能エネルギー発電の増加により、経済性にすぐれた土地が減少している、そういったような指摘が見受けられるところであります。

 こうしたことから、発電事業に期待した農林漁業者さんたちが再生可能エネルギー電気の固定買い取り制度を利用して計画どおりに収益が本当に得られるのか、これが本法案により再生可能エネルギー発電を導入するに当たっての私の懸念であります。

 農林漁業者さんが、話が違うとか、こんなことになるとは思わなかったというような不安を抱かないようにしていかなければなりませんし、不安があるのであれば、払拭をしていかなければなりません。同時に、国民生活に思いも寄らぬ影響が出ることも避けていかなければなりません。

 本日は、こうした視点から質問をさせていただきます。

 まず初めに、本法案により、農地整理を行って、その後に固定価格買い取り制度の手続をします。そのときに、経済性の観点等で、再生可能エネルギー発電事業とマッチングができない、こういう可能性があるのではないかというふうに思います。

 そこで、農水省さんとして、一定の条件を前提とした事業収支の標準モデルを明示することが大事かと思いますけれども、御見解をお伺いいたします。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 農林漁業者やその組織する団体が再生可能エネルギー発電事業に取り組むに当たり、発電事業の費用や収益についてしっかりとした見通しを持って取り組むことは、事業の円滑な導入及び安定的な運営の観点から重要であると認識しております。

 実際に、どれだけの費用がかかり、収益が上がるかについては、送電線への接続などさまざまな要因に左右されるため、確たることを申し上げることは難しいですけれども、一定の仮定を置いて、標準的な収支をお示しすることは可能であると考えているところでございます。

 本法案の施行に向けまして、本法案に基づき農林漁業者等が取り組む際の再生可能エネルギー発電事業に係る標準的な収支について試算をお示しできるよう、今後検討してまいりたいと思っています。

樋口委員 前向きな答弁、ありがとうございます。

 続きまして、この事業で、固定価格買い取り制度があるから、これさえ利用すれば全てがバラ色で、容易に収益が得られるということではないこと、つまりリスクフリーではないということを事前にしっかりと周知、説明するべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 農山漁村において再生可能エネルギー発電事業に取り組むに当たっては、地域資源の活用の可能性や送電網への接続のコストなど、固定価格買い取り制度を利用して発電事業に取り組む際に一般に考えられるリスクがございます。このほか、農林漁業の生産活動への影響、発電事業に対する農林漁業者を初めとする地元の関係者の理解、それから自然環境の保全や景観との調和への配慮など、農山漁村特有のリスクがあると考えているところでございます。

 このため、国の基本方針等において、これらのリスクについて十分留意すべき旨を規定するとともに、これらのリスクに適切に配慮した基本計画が作成されるよう、市町村に対しまして必要な情報提供ですとか助言等により援助を行う、そういったことによりまして、農山漁村における再生可能エネルギー発電の円滑な導入と安定的な事業運営を図ってまいりたいと考えております。

樋口委員 ありがとうございます。

 続きまして、実際に発電事業を行うには、農林漁業者が単独で行うことは難しい問題であります。専門のスタッフや知識を擁したさまざまなアドバイザーとともに発電事業に取り組むことになるのではないかというふうに思います。資金面を支えるための、固定買い取り制度の利用を前提としたファイナンスを組むということも十分に考えられます。

 そうした場合に、トラブルには巻き込まれないまでも、表向きは農林漁業者名で発電事業を行うものの、実際はパートナーや出資者、こういうアドバイザーたちが事業の運営や収益面において主導権を握るという事態に陥るのではないか、端的に申しますと、いいとこ取りをされてしまうという危険がないのかというふうに危惧をしております。

 発電事業の標準的な事業スキームや、事業者とアドバイザー、またはファイナンス会社、それぞれの役割分担のあり方などの留意点を事前に周知、説明することが重要だと考えますが、いかがでしょうか。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、農林漁業者やその団体が農山漁村において再生可能エネルギー発電事業に取り組むに当たりまして、再生可能エネルギー発電の実務家や金融機関からさまざまなアドバイスを受けることは、事業の円滑かつ安定した運用を行うために重要であると思っております。

 このため、本法案に基づく国の基本方針におきまして、農林漁業者等が発電事業に取り組む場合は、農林漁業者等がこれらの専門家からアドバイスを受けることが望ましいこと、それから、市町村が設置します協議会に参画する学識経験者として、必要に応じ、これらの専門家の参画を求めることが望ましいこと、そういったことを示す方向で検討しているところでございます。

 また、平成二十六年度予算の概算要求におきまして、農林漁業者等が参画する再生可能エネルギー発電の事業構想から運転開始に至るまでに必要となるさまざまな手続、取り組み等を支援する予算を盛り込んでいるところでございます。

 これらの措置によりまして、農林漁業者等による再生可能エネルギー発電事業の促進を図ってまいりたいと考えております。

樋口委員 続いて、市町村の支援体制についてお伺いをいたします。

 少々厳しい言い方になりますけれども、本法案によりまして農林漁業者を支援する農水省さんそして市町村等は、農林水産業の専門家の皆様でいらっしゃいますが、本来的にはエネルギーの専門家ではないわけであります。農林漁業者の方が安心して再生可能エネルギー発電を行うために、農水省そして市町村等はどのような支援体制を検討しているのか、お答えください。

江藤副大臣 お答えさせていただきます。

 そもそも、この法律の題名が、地域と調和のとれた再生エネルギー電力の発電の促進にかかわる法律ですから、この基本理念、ここは絶対に揺るがしてはいけない。そして、基本理念の中に、地域の活力向上及び持続的発展を図ることを旨とする、ここがとても大事です。今委員が言われた、安心ができるということは大変大事だと思います。

 言われたとおり、発電は主に経産の方がやっておりますけれども、連携することはとても大事で、前の先生のところの質疑でもその点については多分に述べられましたので、重複は避けますけれども、我々のところでも、関連する予算を合わせますと、総額で大体三十億ぐらいあります。窓口の相談であるとか、いろいろなことをやります。

 手続、取り組み、調査、設計、それから推進、利用拡大、これに焦点を当てているわけでありますが、経産だけじゃなくて、環境省の方も新規の事業で総額で大体六十億ぐらい計上されておりますので、経産、農水、環境と協力をして、地域が安心できる再エネを目指していきたいというふうに考えております。

樋口委員 副大臣、ありがとうございました。連携をして、ぜひよろしくお願いします。

 ここからは、再生可能エネルギー発電の普及に伴う国民負担への影響についてお伺いをしたいと思います。

 二〇一三年度の買い取り価格によれば、全国の標準家庭における負担は、一カ月約百二十円程度の増加というふうに試算をされました。全国の標準家庭における一カ月の電気料金は約七千円から八千円でございますので、電気料金が約一・五%値上がりしたに等しい負担増ということになります。今後、再生可能エネルギーの導入が一段と進めば進むほど、電気料金を通した国民の皆様の負担がさらに増大するおそれがあります。

 再生可能エネルギーの導入が進んでいるヨーロッパ各国では、固定価格買い取り制度に伴う国民負担の増大が問題視され、買い取り価格の引き下げや将来の買い取り中止が相次いでいるという報道も見かけます。ドイツでは、平均的な家庭の負担額が月額二千円を超過するという報道も見られているところでございます。

 エネルギー政策上、再生可能エネルギーの導入を進めれば進めるほど、この固定価格買い取り制度上の国民の負担は重いものとなる。つまり、再生可能エネルギーの導入と国民の負担増のバランスをとることが問題になるというふうに留意する必要があります。

 本法案におきまして、先ほどポテンシャルのお話がありましたけれども、農林漁業については、どの程度の再生可能エネルギーの導入がされるという試算があるのか。試算はないということでありましたので、ただ、ポテンシャルは随分あるというお話を先ほどの御質問で聞かせていただいたところであります。

 そこで、経産省に伺いたいと思います。

 農山漁村での再生可能エネルギー発電の導入量に伴って、国民の皆さんが電気料金の負担増になるということにならないのか。さらに固定価格買い取り制度上の再エネ賦課金の負担が増大するおそれがないかという点について、お伺いしたいと思います。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 固定価格買い取り制度は、投資回収にしっかりとした見通しを与えるという趣旨で、再生可能エネルギー電気の供給が効率的に実施される場合に通常要する費用をカバーする価格で買い取るということが法定されております。この買い取りの費用は、電気の利用者の皆様に賦課金という形で御負担をいただいてございます。

 電気料金に上乗せされます賦課金の負担につきましては、再生可能エネルギーの発電に通常要する費用を基礎に算定される毎年度の調達価格、あるいは再生可能エネルギーの今後の導入量の見通しというものについて、予断あるいは予見をすることが難しゅうございまして、明確な形でお示しすることが難しい面がございます。

 他方、御指摘のとおり、本制度におきます賦課金の負担が過剰に重いものにならないように、その年々に新たに再生可能エネルギー発電を導入される参入者向けの調達価格につきましては毎年度見直しを行うこと、それから定期的に法律自身を見直すということが法定をされてございまして、その見直しの中では、供給量の状況ですとかあるいは賦課金の負担等を踏まえることとなっております。

 こういう法律の規定にのっとりまして、固定価格買い取り制度を着実かつ安定的に運用してまいりたいと考えてございます。

樋口委員 ありがとうございます。

 万一、本法案による固定価格買い取り制度の利用の増加に伴い電気料金が高騰することも考えられますし、あるいは高騰する可能性が生じた場合につきましては、農山漁村における発電事業者や国民の皆様に対してそうした状況の説明を行った上で、今おっしゃいましたけれども、制度の見直しを含めた検討が必要かと思いますが、具体的にどういうことになっているか、教えていただきたいと思います。

江藤副大臣 ただいま政府参考人の方から大分詳細にお答えをいただきましたが、本法案においては、附則の第二条に、五年以内には見直すと。これは、あらゆることもやってみて、悪いところがあれば直すのは当たり前のことでありますから、附則に沿って、五年以内に見直すということはやらなければならないというふうに思っております。

 一方、再生エネルギー特別措置法において、固定買い取り制度では、料金の額及びその見通し、家計に与える影響等を踏まえて、同法の施行の状況について少なくとも三年ごとに検証する、これも附則の第十条に書いてありますので、必要な措置を講ずるとともに、平成三十三年三月三十一日までに抜本的な見直しをする旨規定されている、これに沿ってやっていきたいというふうに考えております。

樋口委員 ありがとうございます。

 従来から言われておりますけれども、再生可能エネルギーの中でも特に導入量の多い太陽光や風力は、天候による出力変動が大きく、発電量の予測が難しいという課題もあります。

 したがって、再生可能エネルギーの電源が大量に電力系統に接続された場合、天候により出力が急激に変動した際に電圧や周波数を維持するために、電力会社による大規模な揚水発電や火力発電によるバックアップが必要になると聞きます。また、電力系統の増強、蓄電設備の設置等、系統安定化対策が非常に重要になるというふうにも聞きます。

 こうした系統安定化対策には時間も費用も要しますし、この費用は最終的には税金や電気料金による国民負担となるために、国民の皆様の理解も必要となってまいります。

 その上で、御質問いたします。経産省に伺います。

 固定価格買い取り制度において、電力会社が買い取りを断る事例が起きていると聞きますが、実態としてどのような課題が生じているのか、お聞かせください。

木村政府参考人 お答えいたします。

 固定価格買い取り制度では、法令上、電気事業者は買い取りを原則拒んではならない、その例外についても法令で列挙をしてございます。

 具体的には、受け入れ可能な量を超えて送電線や変電所に電気が流れることが見込まれるような場合、あるいは、そもそも電気事業者が受け入れることが可能な量を超えた電気の供給を受けることとなる場合、そういった場合を例外的に買い取りをお断りできる場合として規定してございます。

 したがいまして、例えば、メガソーラーを建設しようとした場合に、近隣に別のメガソーラーの計画があって、そちらが先に送電線あるいは変電所に接続してしまっている、したがって、送電線や変電所の空き容量がなくなってしまったというような場合には買い取りを断られるということがあり得ます。

 したがいまして、固定価格買い取り制度の導入に伴いまして太陽光発電が集中的に導入されているような地域におきましては、こうした事例が一部発生しているということは事実でございます。

 経済産業省といたしましては、例えば大型の蓄電池を用いた系統の受け入れ容量の拡大等に取り組んでおりまして、そういった実証事業等を通じまして、太陽光あるいは風力といった再生可能エネルギーの受け入れ可能量を拡大するために最大限取り組んでまいりたいと考えてございます。

樋口委員 報道では、北海道や沖縄もおなかいっぱいでもう買えないという現状もあるというふうにも一部言われておりますけれども、課題があるのであれば、それを乗り越えて進んでいかなければならないという趣旨で御質問させていただいております。

 本法案によりまして、農山漁村の再生可能エネルギーの導入が進んでまいります。電力系統が不安定になるような事態は発生しないのかどうか、お答えください。

木村政府参考人 お答えいたします。

 まず、大前提といたしまして、農山漁村におきまして再生可能エネルギー発電の導入が進むこと自体は、我が国における再生可能エネルギーの導入拡大にとって非常に望ましいことであると考えてございます。

 他方、再生可能エネルギーの導入拡大のために、電力系統においてその変動を吸収して需給を安定させるということが必要になってまいります。

 そのため、私どもといたしましても、変動を吸収する蓄電池の制御の実証でございますとか、再生可能エネルギー発電予測技術と出力の調整技術を組み合わせまして広域的に需給調整を行うような、そういう系統運用技術を開発する、あるいは電力会社の供給区域を越えて変動を吸収するための広域的な運用の強化といったことに鋭意取り組んでおります。

 電力系統の安定化に向けて、引き続き努めてまいりたいと考えてございます。

樋口委員 林大臣にお伺いをしたいと思います。

 先ほど山本先生からも御指摘がありましたが、現在、政府では新しいエネルギー基本計画の策定中でございます。

 ことしの三月、茂木経済産業大臣は閣議後の記者会見で、ことしの末の時点でエネルギーのベストミックスを確定することは難しい、こういう趣旨のことをおっしゃっていらっしゃいます。この発言を素直に受けとめれば、再生可能エネルギーの導入目標値は当面は示すことが難しいのではないか、このように思います。

 太陽光とその他の再生エネルギーとのバランスの問題、また固定価格買い取り制度による国民の負担の増の問題、再生エネルギーを取り巻く環境は、大変難しく、厳しいものもあります。

 本法案に基づき基本方針を定める農水省、基本計画を定める市町村は、経産省またエネルギー関係諸機関とどのような連携を図っていくのか、御答弁をお願いします。

林国務大臣 農山漁村におきまして再生可能エネルギー発電を促進するということに当たって、まず国の基本方針、そしてこれに基づいて市町村が基本計画を定める、こういうことになっておりますので、固定価格買い取り制度など再生可能エネルギー政策全般との整合性がきちっととれていく、これが重要だ、こういうふうに考えております。

 したがって、まず、国の基本方針においても、固定買い取り制度など再生可能エネルギー政策と整合性のとれた農山漁村における再生可能エネルギー発電の促進、農山漁村に存在する資源を活用した再生可能エネルギー発電に活用できる両省の施策の紹介をする、それから、地方農政局等に経済産業局等の協力を得て国の相談窓口を設置すること、先ほど山本委員の御質問にお答えさせていただいたところですが、これを基本方針に定めるということをすることによりまして、全般に再生可能エネルギー政策を所管する経済産業省と密接に連携をしたい、こういうふうに思っておるところでございます。

 また、市町村による基本計画の作成を支援するという意味で、国、都道府県による援助規定というのも設けております。この援助規定に基づきまして、市町村は、国や都道府県から再生可能エネルギー発電の施策に関する情報提供それから技術的な助言を受けながら、国、都道府県のエネルギー政策と整合した形で基本計画を作成すること、こうなっておりますので、こういう施策をフル活用して対応してまいりたいというふうに思っております。

樋口委員 さまざまな課題があるというふうに思っております。だけれども、この課題を乗り越えて再生エネルギーの促進を進めなければなりませんし、また、エネルギーのベストミックスということを考えていかなければなりません。それは、国民の皆様が安心して安全に暮らせるということと、充実した経済活動ができる、このことが最も重要だというふうに思っております。

 最後に、本法案の目的達成を確かなものとするための大臣の意気込みと、再生可能エネルギー導入の拡大を図るということは国民への負担増を求めることになるというような理解もありますので、国民の皆様の理解なくして推進はできないというふうに思います。大臣から国民の皆様へのメッセージをお聞かせいただきたいと思います。

林国務大臣 お答え申し上げます。

 農山漁村における再生可能エネルギー発電の導入は、地域に使われていない資源がある、この潜在的な資源を有効に活用することで農林漁業の健全な発展に結びつけるということで、やはり我々としては、農山漁村の活性化を進めたい、こういうふうに思っておるところでございます。

 また、買い取り価格制度の関連で、国民の負担というお話がございましたけれども、本法案に基づく措置によりましていろいろな発電の導入が進んでいきますと、発電設備がふえていくということでございます。そうしますと、発電設備の設置費用がだんだん下がっていくということも図られることになりますので、そういうことも通じて固定価格買い取り制度における国民の賦課金の負担の緩和にもつながるということで、そういう意義もある、こういうふうに考えておるところでございます。

 したがって、この法案に基づく措置に加えて、必要な予算措置、先ほど副大臣から答弁させていただきましたが、こういうものをあわせてやっていくことによって、農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー発電の促進、農山漁村にあります未利用資源の最大限の活用、この促進を積極的に図っていきたい、こういうふうに考えております。

樋口委員 ありがとうございました。

 これからも、農水行政をしっかりお支えできるよう頑張ってまいります。

 以上です。ありがとうございました。

坂本委員長 次に、寺島義幸君。

寺島委員 民主党の寺島義幸でございます。

 さきに質問されました各委員と重複する部分があろうと存じまするけれども、お許しをいただきたいと存じます。

 それでは、早速質問に入ってまいりたいと思います。

 本法律案は、民主党が政権与党でありましたときに、農山漁村における再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律案として国会に提出をされた経緯があるわけであります。民主党が提出した法律案は、一度も審議されることなく、解散によって廃案になったわけであります。

 しかしながら、自民党は、優良農地が確保されるのか、農地に利益が還元されるのかといった観点から、新たに、農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律案として、法律名を変えて、スキームは同じであるわけでありますが、基本理念を追加する形で今国会に提出されたわけでございます。

 私は、民主党が提出した法律案につけ加えられました基本理念等によりまして、果たして優良農地の確保、さらには地域への利益の還元を実現できるかどうかという観点において質問をさせていただきたいと存じます。

 まず、農林漁業が所得の減少、担い手不足の深刻化や高齢化に直面し、農山漁村の活力が低下している中、平成二十四年七月でありますが、固定価格買い取り制度が開始されたわけであります。これらを踏まえまして、農山漁村における再生可能エネルギー電気の発電を促進し、地域における所得の向上に結びつけることが重要であると言われております。

 そこで、所得の向上に資する要素として、売電収入、地代、管理収入、雇用創出等が考えられるわけでありますが、本法律案により、再生可能エネルギーの導入の促進の際に、それぞれどの程度所得向上等に貢献するのか、この点について、まず大臣にお伺いをいたします。

林国務大臣 この法案の枠組みに基づきまして再生可能エネルギー発電を行う場合、再生可能エネルギー発電設備の整備とあわせて、農林漁業の健全な発展に資する取り組みを行うことが必要でございますので、売電収入の一部がこの取り組みのために使われて、地域に還元される、こういう仕組みになっているところでございます。

 また、地域の農林漁業者、団体が再生可能エネルギー発電を行う場合には、売電収益そのものが地域に還元されるということになるわけでございます。

 また、この発電設備を整備したときに、今委員がおっしゃっていただきましたように、地権者、これは農業上の再生利用が困難な荒廃農地の有効活用ということで新たな地代収入が入ってくる、こういうことがあります。

 また、地元企業は、この発電事業に関与することにより、発電設備の整備やメンテナンス、こういうところに携わっていくことが可能となってくる、こういうところもございます。

 それからもう一つ、市町村でございますが、固定資産税による税収の増加が見込まれる、こういうことでございまして、全体として、地域経済への波及効果を期待しておるところでございます。

寺島委員 ありがとうございます。

 次に、本法律案の基本理念でありまして、その一つに、市町村や発電を行う事業者等の地域の関係者の相互の密接な連携のもとに、再生可能エネルギー電気の発電を促進することによります利益を地域に還元させ、地域の活力の向上や持続的発展を図っていくということが法律案の全体を通じての基本理念として明記されているわけでございます。

 固定価格買い取り制度開始後、これは、平成二十五年五月末までの認定を受けた再生可能エネルギー発電の設備容量は約二千二百万キロワットであります。そのうち、太陽光発電が約九割を占めていると言われております。太陽光発電のうち、約六割強がメガソーラーとなっている。その設置主体は、実は首都圏等の企業が多く、例えば地域の農林漁業者による取り組み事例は極めて少ないと聞いておるわけであります。

 つまり、発電の主体が農林漁業者ではないという懸念がされるとともに、首都圏の大手企業や外資系企業など地域外の者が事業者である場合、売電収入の地域への還元がそんなに確保できないのではないかという懸念が実はあるわけであります。

 さらに、風力発電計画に際して、住民から、水源の流量が減ることによる水道への影響、あるいはまた建設地周辺の保安林への影響を心配する声が相次ぐといった報道があるわけでありまして、さらに、洋上風力発電設置に際して、漁協が、事故や水産資源への影響が懸念されることから、漁協の理事会において否決をされるというようなことも報道にあったわけであります。地域の合意形成が図られないことも実は懸念をされるわけであります。

 そこで、基本理念に掲げられている地域の活力の向上及び持続発展の概念がどのようなものなのかということであります。そしてまた、これらの懸念払拭に果たす役割、あるいはまたその実効性について、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

小里大臣政務官 基本理念に書かれた地域の活力の向上、また持続的発展とはいかなるものかというお問い合わせでございます。

 まず、農山漁村における再生可能エネルギー発電の促進が、地域の所得の向上など経済的、社会的な利益や関係者の機運の高まりに結びつくことを地域の活力の向上と表現しております。そしてまた、これらの利益が継続してもたらされることによりまして、地域の自律的な発展につながることを持続的な発展と表現したものであります。

 また、本法案におきましては、この基本理念を踏まえまして、市町村、再生可能エネルギー発電設備の整備者、また農林漁業者等地域の関係者が協議会を設置することとしております。そして、この協議会における協議を経て、その合意事項、また基本方針を踏まえて、市町村が基本計画を作成する。さらに、地域の関係者がそれぞれの立場で基本計画に記された再生可能エネルギー発電設備の整備や地域の農林漁業の健全な発展に資する取り組み等に取り組んでいくことによりまして、農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー発電を促進していくこととしております。これによりまして、地域の活力の向上、また持続的な発展の実現が図れることになると期待をしておるところであります。

 このように、基本理念の規定が新たに加わったことによりまして、再生可能エネルギー発電による利益がより確実に地域に還元をされていくことと期待をしております。

寺島委員 次に、二つ目の基本理念であります。

 農山漁村において再生可能エネルギー電気の発電を促進するに当たっては、適正な調整を行うことにより、優良農地等の確保を図ることが明記されているわけであります。

 しかしながら、発電設備の整備のための土地需要が増大すれば、賃借料がふえる、増嵩するわけであります。従来は、大規模太陽光発電の賃借料は、十アール当たり約十五万円であったところ、現在では二十万とか三十万円の案件が急にふえているというふうにも聞いているわけであります。中には、五十万円を超えるというようなこともお聞きをいたしておるわけであります。

 賃借料がふえるということは、地域への還元が期待できる反面、逆に農地転用が、簡単に言えば、一層農地転用の期待が高まってしまうんじゃないか、そういう意味の懸念もあるのではないかと思うわけであります。

 また、固定価格買い取り制度の認定を受けた事業者が土地ごとそのまま転売してしまうというような事例も指摘されているやに承っているわけであります。

 基本理念が、優良農地をどのように確保して、再生可能エネルギー電気の発電の促進とどのように両立をさせていくかということであるわけであります。また、こうした懸念払拭に果たす役割あるいはまた実効性について、大臣の御所見をお伺いいたします。

小里大臣政務官 平成二十四年七月に再生可能エネルギー電気の固定価格買い取り制度が開始をされまして、再生可能エネルギー発電の事業性が大幅に改善をされた中で、農山漁村に存在する土地、水、バイオマス等の資源を活用した発電を促進し、その利益を地域に還元させ、地域の活力の向上及び持続的発展に結びつけることが重要であります。

 その一方で、御指摘のように、このような取り組みを進めるに当たりましては、農山漁村において無計画に再生可能エネルギー発電設備が整備をされることで、農林漁業の健全な発展に必要な農林地等が失われないようにする、しっかり確保されるようにする必要があるわけであります。

 このため、農林地等の農林漁業上の利用と再生可能エネルギー電気の発電の利用との調整を適正に行うことが、農山漁村において再生可能エネルギー発電を促進するに当たり極めて重要でありますことから、この点を基本理念として明らかにしたものであります。

 例えば、協議会を通じて整備を図っていくことによりまして、特に太陽光パネル等におきましては、耕作放棄地の中で再生利用が困難な農地にこれを誘導していく、そういったことが期待をされ、また農地が確保されることが期待をされるわけであります。

 このような基本理念を設けるとともに、この理念に即した法案の運用を現場まで徹底をさせることで、優良農地の確保と再生可能エネルギー発電の促進の両立が図られていくと期待をしております。

寺島委員 理念について承りました。

 それでは、それらをもとに、基本方針ということに相なるわけであります。

 基本方針には、農山漁村の活性化の目標というものが掲げられていると思います。農山漁村の活性化は本法律案の目的であります。そして、基本方針に掲げられる目標も、再生可能エネルギー電気の発電の促進による農山漁村の活性化の目標であります。

 その際、地域における所得の向上を図ることは、農山漁村の活性化に直結するわけであります。

 また、日本再興戦略では、再生可能エネルギーを活用した農林漁業の発展を図る取り組みを推進するための枠組みの構築等を進めつつ、今後五年間に約百地域において地域のバイオマスを活用するなど産業化とエネルギー導入を重点的に推進することが掲げられているわけであります。

 そこで、お伺いします。

 農山漁村の活性化について、どのような指標を用いて目標を設定するのか。また、再生可能エネルギー電気の発電の促進を通じた地域における所得向上に係る目標を含め、基本方針の目標には、再生可能エネルギーについてどのような目標を掲げるのか、御所見をお聞かせいただきます。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省といたしましては、再生可能エネルギー発電のメリットを活用して地域の農林漁業の発展を図る取り組みを平成三十年度に全国百地区実現、こういった政策目標を掲げております。今回の国の基本方針においても、同様の目標を設定する予定でございます。

 この目標の達成に向けまして、本法案による措置とあわせて、必要な予算措置等を適切に講じてまいりたいと考えております。

寺島委員 目的も農山漁村の活性化とうたわれています。そしてまた、基本方針における目標も農山漁村の活性化ということであります。

 百地区ということでありまするけれども、それだけでは、何かちょっと具体性に欠けるのかな、こんなふうに思います。もっと具体的に、では、農村の所得はどの程度上げるんだとか、そういった突っ込んだ数値目標というものがなければならないと思うわけですが、いかがですか。

山下政府参考人 先ほど申し上げましたように、農林水産省として、平成三十年度に全国百地区の実現という目標を掲げておりまして、基本方針におきましても同様の目標を設定する予定でございます。

 なお、この地区において具体的にどのような発電施設を導入するのかについて、それぞれの地域の資源の利用可能性等を踏まえた事業者の判断ですとか、各市町村の再生可能エネルギーに関する取り組み方針等にもよるため、これら百地区で実現された際の地域の所得向上の度合いを定量的に見込むことはなかなか難しいと考えておりますが、いずれにいたしましても、百地区という実現に向けまして、本法案による措置とあわせて、必要な予算措置等を適切に講じてまいりたいと考えております。

寺島委員 三十年度までに百地区、こういうお話なんですけれども、繰り返すようで恐縮ですが、目的も農山漁村の活性化、基本方針も農山漁村の活性化、高らかにうたっているわけであります。

 では、お伺いしますが、この百地区というのは、農山漁村あるいはまた周辺地域の地元の人たちがやる事業を百カ所、こういう理解でよろしいんでしょうか。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省が掲げている目標でございますけれども、これは再生可能エネルギー発電のメリットを活用して地域の農林漁業の発展を図る取り組みを平成三十年度に全国百地区実現、そういう目標でございます。

寺島委員 ですから、業をなす皆様方は農家であり、あるいはまた周辺の地域の企業であるという理解でよろしいんでしょうか。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 これは農林水産省として予算要求する際の目標を掲げたわけでございまして、企業というよりは農林漁業者、または農林漁業者が組織する団体によって、再生可能エネルギー発電のメリットを活用して地域の農林漁業の発展を図る取り組みを百地区実現する、そういう目標でございます。

寺島委員 私は、この法律案は、今まである固定買い取り制度から進んできたものをリセットして、農林業あるいは農業、農村の振興のために大いに役立たなければならないという趣旨でできた法律だと思っているわけです。

 ということは、先ほどのお話でいえば、地域外でも、例えばどこかの農林漁業者が組合をつくって隣の地域に来てやるということも含めて、そういう意味の農林漁業者、地元というか、そういう地域の皆様の百カ所、こういう理解でよろしいんでしょうか。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のそのケースにつきましても、含まれているというふうに理解しております。

寺島委員 目的、目標が高らかに掲げられているわけでありまして、しっかりとした具体的な数値目標というのは大事だと思います。なぜならば、後で検証することもできないし、評価することもできないわけでありますので、その辺をしっかりとお取り組みいただきたいというふうに思います。

 基本方針は、基本理念に掲げられた地域の農林漁業の健全な発展を具体化するものである、先ほど申し上げたとおりです。同時に、市町村が作成することができるとされている基本計画において定められる農林漁業の健全な発展に資する取り組みに関する事項の基本となる、いわば重要なものであろうというふうに思うわけであります。

 また、この取り組みは、再生可能エネルギー発電設備の整備を行おうとする者が実施する取り組みでございまして、例えば、再生可能エネルギー発電設備の整備とあわせて行われる農林地の農林業上の効率的かつ総合的な利用の確保として、耕作放棄地の再生、あるいはまた農地の集約化等の取り組みも想定されるわけでございます。

 そこで伺います。

 農林漁業の健全な発展に資する取り組みが具体的にはどのような取り組みになるのか、国が策定する基本方針における基本的事項にはどのような内容を定めようとしているのか、お伺いいたします。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 取り組みの具体的な例を、法案の第七条二項に即して挙げていくとすれば、まず、農林地の農林漁業上の効率的かつ総合的な利用の確保の例といたしましては、発電事業者が売電収益の一部を支出して太陽光発電設備の周辺の農地の簡易な整備等を行い、農業の生産性を向上させる取り組みを想定しているところでございます。

 また、農林漁業関連施設の整備の例といたしましては、風力発電設備の近隣におきまして、発電設備の見学者等を主な客層として、地元の農林水産物やその加工品等を販売する直売所を整備、運営する際に、その費用の一部を発電事業者の売電収益から負担をする取り組み等が該当すると思われます。

 また、農林漁業者の農林漁業経営の改善の促進の例といたしましては、木質バイオマス発電を行う事業者が地域の森林所有者等から未利用の間伐材を安定的な価格で買い取りをして、発電に活用する取り組み等が考えられます。

 また、農林水産物の生産または加工に伴い副次的に得られた物品の有効な利用の推進の例といたしましては、例えば、畜産業者から家畜排せつ物を引き取ってバイオマス発電を実施するとともに、発電事業者が費用を負担して消化液や残渣から堆肥を製造し、低価格で提供する取り組み等が考えられます。

 農林水産省といたしましては、こうした取り組みを初め、各地の先進事例を踏まえ、本法案に基づき策定する国の基本方針等において具体的なモデルケースを紹介することで、地域における適切な取り組みを促進してまいりたいと考えております。

寺島委員 本法律案では、市町村は、基本方針に基づき、基本計画を作成することができるものとされている。まあ、極端に言えばつくらなくてもいいということなんですが、市町村の主体性によって、地域間格差が生じるおそれが考えられます。

 また、市町村が基本計画を作成する場合には、協議会を組織することができるとされておりますが、これもまた必ずしもつくる必要もない。

 例えば、市町村において区域を設定する場合、農地として利用するのか、再生可能エネルギー発電を設置するのか、あるいは市街地として発展させていくのか、これは市町村の行政計画に委ねられるわけであります。

 そこで伺います。

 基本計画における発電設備の整備を促進する区域の設定に当たり、その基準として具体的にどのようなものを定めるのか。また、市町村は基本計画作成に当たり、煩雑業務を行うことが想定されるわけですが、国や都道府県は市町村に対してどのように指導していくのか。御所見をお伺いいたします。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 再生可能エネルギー発電設備の整備を促進する区域についてでございますけれども、地域の農林漁業の健全な発展に必要な農林地等の確保に支障を及ぼすおそれがないものとして農林水産省令で定める基準に従い、定めるものとされております。

 具体的に申し上げますと、農林水産省令で、食料供給や国土保全等の機能を発揮するために確保されるべき優良農地、保安林、漁港の区域、海岸等を原則として除いた区域の中で、風況等の自然条件や地域の農林漁業等への影響等を考慮して設定すべきことを規定する予定でございます。

 さらに、国の基本方針におきまして、農林地等の農林漁業上の利用と再生可能エネルギー発電のための利用との調整の基本的な考え方を明らかにするとともに、市町村が基本計画において定める再エネ発電設備整備区域に農業上の再生利用が困難な荒廃農地を優先的に含める等の基準を示す、こういったことなどによりまして、当該区域の適正な設定は確保してまいりたいと考えております。

 また、市町村の基本計画を作成するに当たりまして、市町村の業務の負担の増大等々についての御指摘でございますけれども、本法案に基づく市町村の基本計画の作成を推進していくためには、国、都道府県から市町村に対しまして、情報提供や助言等を行う必要があると考えております。

 このため、国や都道府県から市町村に対しまして、本法案の援助規定に基づきまして、調査事業や実証事業により得られた再生可能エネルギーに係る資源の賦存状況、それから、立地条件等の情報提供や技術的な助言、さらには、各都道府県において定められている新エネルギービジョン、構想等の内容や、活用可能な再生可能エネルギーの導入支援措置等に関する情報提供等を行うことを想定しているところでございます。

 また、国といたしましては、平成二十六年度概算要求におきまして、農林漁業者等が参画する再生可能エネルギー発電に必要な手続、取り組み等を支援する事業におきまして、市町村の計画作成に係る経費も支援対象として盛り込んでいるところでございます。

 また、国の相談窓口を地方農政局等に設けまして、各地方の経済産業局や環境事務所などと連携した対応を行うこと等により、基本計画の作成を促してまいりたいと考えております。

寺島委員 次に、私は、この発電の事業主体というのは農林漁業者あるいは地域の企業でなければならないと考えています。当然のことながら、農林漁業者あるいは団体となりますと、なかなか資金面も難しいわけであります。

 そこで、簡単にお伺いします。

 発電設備を整備しようとする者に対して資金面でどのような支援を講ずるのか。また、株式会社農林漁業成長産業化支援機構法に基づく農林漁業成長産業化ファンドによる出資の対象となり得るのか。御所見をお伺いいたします。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十六年度予算概算要求におきまして、農山漁村の豊富な資源を活用し、地域の所得向上や農林漁業の健全な発展に資する再生可能エネルギー発電を促進するために、まず一つといたしまして、農林漁業者やその団体が主導する再生可能エネルギー発電の事業構想から運転開始に至るまでに必要となるさまざまな手続、取り組みへの支援、さらには、農業水利施設を活用した小水力発電に係る調査、設計等への支援、それから、地域のバイオマスを活用した産業化の推進に必要な構想づくりや施設整備等への支援、それから、木質バイオマスのエネルギー利用拡大に向けたサポート体制の構築や技術開発等への支援といった事業に必要な予算を盛り込んでいるところでございます。

 また、環境省におきましても、エネルギー対策特別会計を活用し、再生可能エネルギーを活用した低炭素型の地域づくりやバイオマス利用を促進するため、農林水産省が執行に協力する事業が要求されているところでございます。

 本法案による措置に加えまして、これらの予算措置も活用して、農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー発電を促進していく考えでございます。

 それから、農林漁業成長産業化ファンドに関しましてお尋ねがございました。

 この農林漁業成長産業化ファンドは、農林漁業者主体の六次産業化事業体が六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画の認定を受けまして、農林水産物やその副産物の加工、販売等の新たな事業を行う際に出資を行うものでございます。

 このため、農林漁業者が地域のバイオマスを活用して再生可能エネルギー発電を行う場合ですとか、それから、太陽光、風力、小水力等を用いて発電した電力を農林水産物加工施設等に供給する場合、こういった場合には、本法案に基づく再生可能エネルギー発電設備の設備整備計画の認定とあわせまして、総合化事業計画の認定を受けることによりまして、この成長化ファンドの出資を受けることが可能であると考えております。

 これまでのところ、この農林漁業成長産業化ファンドを活用した再生可能エネルギー発電の取り組み事例はございませんが、本法案が成立すれば、総合化事業計画の認定を受けた者による再生可能エネルギー発電等の取り組みに対しまして、農林漁業成長産業化ファンドの出資が可能であるということを周知することによりまして、農林漁業者による農山漁村の資源を活用した再生可能エネルギー発電の取り組みを支援してまいりたいと考えております。

寺島委員 時間がありませんので、以下あれしますけれども、環境に配慮したクリーンエネルギーを確保するという大義名分のもとに、単に農地が利用されるようなことがあってはならないということをつくづく考えておりまして、そうならないように、農業者、農業、農村のためになるような制度設計をしっかりとしていただきたいと思います。

 再生可能エネルギーに関連してでありますが、何も電気だけではないわけであります。

 きょうは提案も含めてちょっとお話をしたいんですが、エマルジョン燃料というのが最近叫ばれるようになっております。質問通告でありましたが、時間がありませんので第一問目の質問はちょっと飛ばさせていただきまして、エマルジョン燃料を農業経営に利用できないかというふうに思うわけであります。

 エマルジョン燃料を農業で利用しようとすると、いろいろな課題があったわけであります。エマルジョン燃料をつくる装置ができるのか。あるいはまた、乳化剤が非常にポイントだそうでありまして、いろいろな乳化剤があるみたいですけれども、質の高い乳化剤ができるのか。あるいは、加温設備はどうするのか。そして、燃焼時に十分な火力、熱量が得られるのか等々があったわけであります。

 これは農林水産省の事業で、かつて、平成十六年の前後であるわけでありますが、京都の機械屋さんが実証実験というか開発をしたわけであります。民間結集型アグリビジネス創出技術開発事業というのをやっておられるわけでございまして、廃油処理の可能性を検討するため、エマルジョン化による燃焼実験をするという技術開発だったわけであります。

 恐縮でありますが、これについての確認でありますけれども、当時、農林水産省は、この技術開発の結果をどのように評価しておられたのか、まずお伺いいたします。

雨宮政府参考人 お答えいたします。

 平成十五年度から十七年度にかけまして、農林水産省の民間結集型アグリビジネス創出技術開発事業におきまして、農業機械及び水産業の船舶用ディーゼルエンジンの大気汚染物質低減と低燃費化に関する水エマルジョン燃料の利用技術開発が研究課題の一つとして採択をされております。

 十八年に提出された十七年度の研究成果の報告書によりますれば、NOx窒素酸化物は一六%から二四%程度減少、それから黒煙の排出も低減されるなど、環境への影響という面では一定の成果が出たものと認識をしております。

 一方、低燃費化につきましては、ディーゼルエンジンを用いた本研究におきましては、ほぼ燃料消費は変化しないというふうに結論づけられているところでございます。

寺島委員 環境がメーンでやったわけでありますが、実はバーナーで燃やしても十分カロリーが遜色なく得られるという結果が出ているわけであります。つまり、エマルジョン燃料は利用できるということに相なったわけであります。

 話はかわりますが、通年で施設農業をしようとすると、農家にとっては冬場の問題があります。加温施設が必要になってくるわけであります。しかし今日、御案内のように、燃油高騰という壁が農家を苦しめているわけであります。

 ここ二十年ぐらいを見ますと、軽油は約七四・八%、灯油に至っては約九〇・一%、この二十年間で上がっているわけであります。農業用A重油は、二十年間で一七五・九%も値上がりをしている。内航A重油、内航C重油等は、二七〇%とか四一七%とか、まさに物すごい値上がりをしているわけであります。冬場の農業生産を維持していくためには、加温ということが欠かせないわけでありまして、A重油や灯油を、冬場、加温して農業を営む農家にとっては、まさに大変なことであるわけでございます。

 一方、また、新たに就農しようとする人たちにとってみると、七五%の新規就農者が、野菜や果樹、花卉など、園芸作物に行くという方が多いというふうに聞いています、また農林省の資料でもそうあるわけでありますが。消費面でも、野菜だとか花卉というのは年間を通じて消費者ニーズが非常に多いわけであります。つまり、施設園芸等、周年で安定供給ができるということがまさに重要になってくるわけであります。

 そうした中、農林水産省は、平成二十五年四月に燃油価格高騰緊急対策ということを始めました。ここには、施設園芸の省エネ設備のリース導入支援だとか、あるいはまた施設園芸のセーフティーネット構築の支援、こういうのがあるわけであります。

 そこで、ちょっとお伺いしたいんですが、通年施設農業が継続できるためには、安い燃料代で済む廃食油を利用した水エマルジョン燃料を利用した加温施設の整備が有効であると考えます。つまり、エマルジョン燃料というのは、例えば、水を加えたり、あるいは廃食油、あるいは車から出るオイル、油ですね、ああいうものを加えながらということですが、当然のことながら、今までの灯油や何かと一緒に、一定の火力が得られるのであれば、大分安い燃料代ということになるわけであります。

 そのエマルジョン燃料を利用した施設農業が、この二十五年から始まった燃油価格高騰対策は使えるのか、利用できるのか。その連携等についてちょっとお話をいただけますか。

江藤副大臣 お答えさせていただきます。

 委員は私の大先輩に当たられるわけでありまして、大学も、実は学部も同じでございまして、永田町では非常に我々はマイノリティーなのでありますが、これからも御指導をよろしくお願いいたします。

 今御指摘いただいたことは、私のところも施設園芸が非常に盛んなところでございますので、非常に厳しい局面は多々経験してまいりました。リース事業等もやっておりますけれども、これから施設園芸をいかに維持するかということは、これからの構造改革の中でも大きな課題だと思っております。

 結論から申しますと、私は可能だと思っております。あらゆる可能性をやはり探っていかなければならない。もうこれじゃなきゃだめだ。例えば、木質ペレットとかいろいろありますね。あれは灰が出るから邪魔になるとかいろいろありますけれども、あらゆる可能性を否定してかかるのではなくて、やれるものはやる。

 しかし、これは我々が政治的に判断するのではなくて、やはり、外部の専門家から成る審査委員会、これがありますので、これが、現行のヒートポンプ等と同等であるというような評価をいただければ、これは十分に対象となるというふうに考えております。

寺島委員 ありがとうございます。恐縮でございます。

 それで、もう時間もないので急ぎますけれども、実はエマルジョン燃料を利用して、恐らく農林省もおわかりだと思いますけれども、実際に農業をやっていらっしゃるところがあります。私が承知しているだけで青森に二カ所ございます。

 一例を御紹介申し上げますと、青森の田舎館村というところで、イチゴ農家八農家が組合をつくりました、田舎館エマルジョン組合、二〇〇八年のことであります。そして、地域のガソリンスタンド、自動車修理工場からの廃油、そういったものを、エンジンオイルでもいいんですけれども、安く買い取って、先ほど農林省の、ある意味お墨つきをもらった機械を買って、当時はリースであったわけでありますが、エマルジョン燃料をみずからつくって、そして、ハウス栽培の加盟している組合員のところに配って農業をやっています。もう何年もしています。

 これは、廃油が七、水が三加わって、あとエマルジョン、乳化剤を入れまして、機械をつくって。エマルジョンというのは乳化という意味ですから、御案内と思いますけれども、油と水はなかなかまざりにくいんですけれども、すぐ分離してしまうんですが、この燃料は実は分離しません。安定しています。そこに非常に魅力というか有利な点があるわけであります。

 そういうことで、田舎館ではずっと、当時の話です、私も実は数年前に視察に行ったわけでありまするけれども、当時九十五円ぐらいだった灯油でありますけれども、水エマルジョン燃料を使いますと、六分の一ぐらいに抑えられる。きのう、ちょっと電話で関係者に聞きましたら、恐らく今は一リットル十二円か十三円ぐらいでやっているんだろう、こんなお話も承りました。

 そしてもう一カ所、青森の空港の近くで、これは新規就農のコンピューター技術者の方が大々的に農業をやっているんですけれども、この方は、灯油一、廃油七、水二の割合でエマルジョン燃料をつくって、空中加温、あるいは地中を温める、そういうことに利用して、周年のトマト栽培をしているわけであります。まさに、この時期、すばらしい取り組みであろうというふうに思うわけであります。

 こういう取り組みは恐らく農林水産省も承知だと思いますので、これはどのように評価されているのか、まずお伺いいたします。

雨宮政府参考人 申しわけございません。具体的な事例については評価ということは行っていませんけれども、一般的に、ボイラーでの、先ほどの試験研究結果はディーゼルエンジンでございましたが、ボイラーでの使用につきましては、水の混合割合などによりまして燃料の特性が異なりますので、エマルジョン燃料を一概に評価するというのは難しいのかなというふうに思っております。

 なお、エマルジョン燃料の製造設備につきましては、さまざまなメーカーから販売をされているというふうに承知をしてございます。

寺島委員 見に行って、調査していただきたいと思います。よくわかります。

 エマルジョン燃料はいろいろあるんです。いろいろあるから問題もあるんですけれども、そこは、すばらしくうまくいっています。よく燃えます。御案内のように、水を入れることによって千七百倍まで爆発して膨らみますので、油の粒子がさらに細かくなってよく燃える。次に申し上げますが、環境にもいい、こういうことでありますので、ぜひ見て、御検討いただきたいというふうに思います。

 最後に、林大臣にお伺いをしてまいりたいというふうに思います。

 先ほど申し上げたように、このエマルジョン燃料は環境に貢献できるわけであります。つまり、この燃料を使うと、なかなかすすが出にくいということであります。

 当時、これは先ほどのエマルジョンなんですけれども、環境関連の、ディーゼルエンジンを開発するときにかかわった独立行政法人中央農業総合研究センターの作業技術部・農産エネルギー研究室長の方が、ある雑誌のインタビューに答えてこう言っています。

 日本の軽油消費量は年間四千万キロリットルほど、そのうち五〇%は運輸関連、エネルギー排出制限の国際規約では、NOxは制限のなかった三〇〇〇ppmから二〇一〇年までに一五ppmへと段階的に低減していく方向にある、そのため、水エマルジョン燃料は非常に意義があると言っています。そして、この方法を使うことによって大変NOx、SOxにもそうなんですけれども、いいということで期待をしているというふうに言っておられました。

 つまり、窒素酸化物や粒子状物質、今中国で問題になっているPMの発生を抑え、内燃機関が排出するガスがもたらす環境負荷を低減させる効果があるということは、まさに環境に優しい、こういうことになるわけでございます。

 そこで、実際に実証して、実施している農家も二カ所ある、なおかつ燃料代が非常に安い、燃油の高騰対策にもなる、そして環境にも非常にいい、貢献できる、まさにすばらしいことだろうというふうに思うわけでございます。こういうことを国として、今まさに、独自支援というか取り組みをしっかりと進めていくことが、かつて農林技術の方でも実証もされているわけでありますから、どうぞ大臣におかれましては、積極的にこの取り組みを検討してもらいたいと私は思っているわけでございまして、大臣の思いをお聞かせいただきたいと思います。

坂本委員長 林大臣、申し合わせの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

林国務大臣 はい。

 既に御議論いただいたように、創出技術開発事業で取り組んだ実績もありますし、うちの技術部隊からも、今先生がおっしゃっていただいた効果があるという実証結果が出たというふうに聞いております。

 また、実際に使っておられるところを今御紹介もいただきましたので、早速現地を見ていただくようなことを検討して、燃油対策は我々も頭を痛めておりますので、これが画期的な解決策の一つになることを期待しながら、検討してまいりたいと思っております。

寺島委員 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 民主党の玉木雄一郎です。

 きょうは時間を四十五分いただきましたけれども、午前中は十五分、再エネ法を中心に質問させていただきたいと思います。

 この法案は、民主党政権下で法案の作成に当たって、私自身もこの作成に携わった経緯がございますので、大変思い入れのある法案で、ぜひ早く成立をさせたいと思う一人でございます。そして、自民党政権にかわって、一部修正が加わっておりますけれども、私は、これはいい方向での修正だと思って、評価をしております。

 ただ、二つだけ依然として懸念が残るので、そのことを確認させていただきたいと思います。

 二つの懸念というのは、きょうも質疑の中で他の質疑者からありましたけれども、優良農地がこのことによって失われてしまうのではないかという懸念が一点。二つ目は、域外の非農家の事業者がやってきて、そこが便益だけを受け取って、域内の農家がこのことによって全く便益を受けず、むしろ、ある種、言葉は悪いですけれども、土地だけとられてしまう、そういうことになりはしないか、助長したりはしないか。この二点がこの法案の本質的な大きな問題であり、懸念だったと思います。

 このことについて、自民党の修正案も、私は明確にアプローチができていると思っておりますけれども、ただ、それが本当に懸念がしっかりと払拭される内容になっているのかどうか、この点をまず確認させていただきたいと思います。

 そのうち、後者の問題、つまり、農家じゃない事業者、とりわけ域外にある事業者が入ってきて、そこだけが便益を受けてしまうのではないのかという懸念に対する対応策であります。

 法七条の二項二号におきましては、設備整備計画には、発電設備の整備とあわせて行う農林漁業の健全な発展に資する取り組みを具体的に盛り込めということが法律の中にも書いてございます。ただ、条文はできておりますけれども、非常にふわっとした内容になっておりますので、この発電設備の整備とあわせて行う農業の、あるいは農林漁業の健全な発展に資する取り組みというのは具体的にどんなイメージを考えているのか。本当に農家あるいは地域にメリットがある取り組みが行われる保証があるのかどうか、この点について、まずお伺いしたいと思います。

小里大臣政務官 本来つくっていただいた、廃案になった法案、そして新たな法案との違い、そしてまた、そこで懸念された、農地が農地として本当に利用されるのか、地域に利益が還元されるのか、そういったお尋ねであると思いますが、それに沿ってお答えをしたいと思います。

 御指摘をいただきましたように、廃案となった法案につきましては、優良農地の確保に支障が生じるんじゃないか、あるいはまた、発電の利益をどのように地域に還元していくのかといった懸念があったことから、まず、自民党において議論を重ねてまいりました。

 その議論を踏まえながら、改めて法案全体にわたり検討を行った結果、まず、新たな考え方を法案名、基本理念に打ち込みました。これに基づいて、基本方針、基本計画、設備整備計画をつくっていったわけであります。御懸念の点は、その中でしっかりと、その趣旨をより明確にすることができたかなと思っておるところでございます。

 そして、その中で、地域における利益還元につきましては、まず、基本理念に基づきまして基本方針を策定いたします。それに基づいて、地域で基本計画をつくってもらう。またこれに基づいて、設備整備計画を事業者がつくってまいります。

 特に、設備整備計画のところのお尋ねであろうと思いますが、農林漁業の健全な発展に資する取り組みを具体的に規定することとしております。すなわち、農林地の農林業上の効率的かつ総合的な利用の確保、あるいは農林漁業者の農林漁業経営の改善の促進、農林水産物の生産また加工に伴い副次的に得られた物品の有効な利用の推進等々、これを書き込むことになっておるわけであります。

 さらに、地域におって、部外、域外から来られた方が主体になってしまうんじゃないかということでありますが、その点についてもあわせてのお尋ねであったと思います。

 地域の主体であるか否かを問わず、本法案の対象になってまいります。地域における所得の向上により貢献するという観点からは、地域の農林漁業者やその組織する団体といった地域の主体が再生可能エネルギー発電事業に取り組むことは望ましいものであると考えておるところでございまして、そのために、事業構想から運転開始に至るまで必要となるさまざまな支援措置を講じていくということにしております。

玉木委員 長々と御答弁いただきましたけれども、そこから先を聞きたいんです。

 つまり、今、法七条の二項二号の話を列挙で説明いただきました。いいと思うんです。その内容が具体的にどういうものなのかということなんです。

 域外から来るのもいいと思います。実際、多いと思いますね。本当は、農業者が例えばデンマークのサムソ島みたいに風力発電をつくって、それで畜産のいろいろな経費を賄う、こういうパターンが一番望ましいんですが、実際には、外から電力事業者とかいろいろな人が入ってきて、やる。このときに、そういう人たちに、いかに農家にとって、地域にとって役立つことをやってもらうかをきちんと確保することが大事なんです、計画上。抽象的に書いてあるので、どういうことを書かせていくのか、ここの幾つかの例示を農林水産省も責任を持って示さないとだめだという問題意識なんです。

 例えば、私は、皆さんもそうだと思いますけれども、地域に行くとどんな陳情が多いかというと、二つですよ。草刈りが困る、草刈りがもう年をとってできないし、お金がかかる、この草刈りを何とかしてくれということと、鳥獣対策で、イノシシが出てきて、猿が出てきて困る。こういうことですから、事業者に、そこを使っていいですよと言うけれども、その期間、例えば農地の管理、とりわけ草刈りとか、そういったことを一定程度あなたもやってくださいねというようなことをまさに地域貢献の具体例として求めていく。

 その意味で、これも新たに加わった法二十一条、これはいい条文だと私は思うんですが、市町村が設置事業者に対していろいろな指導とか助言ができるようになっているんですね。このときに、こうこうこういうことをしなさいよということを、地域のことをよくわかっている市町村ですから、その地域における農林水産業が抱えている問題点に対して、あなたもここで便益を受けるんだから、少しこういう形の貢献をしなさいよということを具体的に指導していくことが大事なんです。

 そうじゃないと、ここに書いてある、ある種理念論は理念だけに終わって、何か一言抽象的なことを書いていたら計画が認可されるというのでは、私は結局、域外の事業者だけが得する仕組みになってしまうと思うんですけれども、ここを具体化する。とりわけ、草刈りとかそういった農地の保全に域外事業者もむしろ巻き込んでいくといった姿勢は大事だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

小里大臣政務官 全く御指摘のとおりであります。

 これから省令において基本方針を策定し、これに基づいて市町村で基本計画を策定いたします。それに基づいて、今度は設備整備計画が策定をされるわけであります。その中で、今おっしゃったようなことが具体的に盛り込まれていく。

 例えば、今おっしゃったように、まさに地域の草刈り、大変な難作業でありますから、そういったところを応援していく。あるいはまた、簡易な圃場の整備であったり直売所の整備であったり、そういったところも含めて、これは別に制限はありませんから、地域でそこをしっかりと求め、定めていただくということが大事なことでありまして、もってしっかりと利益還元が図られるように、具体的に運んでまいりたいと思います。

玉木委員 私は、地域に具体的にこの法案がメリットがあると実感していただくように運用していくことが極めて重要だと思うんですね。

 それができないと、何だ、どんどん外からやってきて、俺たちの農地を荒らして帰っていったということになって、結果として、再生可能エネルギーの拡大も実現しないし、農村は荒れ果てるということになってしまうので、そうならないように、法七条二項二号の具体例を早くお示しいただいて、何をすれば農村を使ってきちんと発電事業ができるのかということを事業者にも早目にわかっていただくということが大事だと思います。

 時間がないので、詳しい質問は午後にしたいと思いますが、一点だけ。

 お手元に資料を配っておりますが、私は、この再生可能エネルギーのメリットを、いかに農村、漁村、こういったところに還元していくのかがこれから大事だと思っているんですね。

 一つ例をお示ししたいんです。これは埼玉県桶川市の水上太陽光発電施設でありまして、写真にあるように、メガソーラーが池に浮いているんです。

 私は香川県の出身であります。香川県は、弘法大師さんが満濃池をつくったり、古来より、水不足だったこともあって、ため池は非常に多いんですね。今でも一万六千ぐらいあります。毎週帰るんですけれども、飛行機から見ていると、きらきら池の表面が輝いていて、あそこにソーラーパネルを浮かべたら発電できないかなと前から思っていて、これは私は与党時代から随分推進をしてまいったんですけれども、こういう例が実は出てきております。ちなみに、浮いているのはフランス製です。

 震災対策として、東日本大震災でも、藤沼池という福島県の中通りの池が決壊をして、七名が亡くなって一人が行方不明という悲惨な事件がありましたけれども、こういったため池については、今、農家も減って、ため池の維持、補修、管理というのが極めて難しくなっています。これは、香川県に限らず全国的にそういうことが起こっているんですが、二十三年度三次補正でそういったことを管理、保全する予算を新たにつくって、それは引き継いで今も拡充していただいているので、これは感謝しております。

 しかし、なかなか国費で全部こういうところの維持管理費を出していくのは難しいと思うので、例えば、こういうため池に設置するフロート型のソーラーパネル、太陽光発電を推進していくべきではないかな。

 ちなみに、桶川市は、調整池に浮かべていますけれども、管理しているのは市なんですが、桶川市に毎年百八十六万円入るそうです、これで。こういうお金があれば、維持管理もできます。

 例えば、土地改良のいろいろな負担金を、水利のお金とかいろいろ農家は払っていますよね。今、これも払うのがしんどいという声も全国で聞いていると思いますけれども、こういうことを推進して、売電収入でため池の維持管理、保全、こういったことに役立てていけば、まさに地域に貢献するし、地域の農家が受益していくと思うんです。

 こういったため池ソーラー発電について、例えば研究開発費とかフィージビリティースタディーとか、こういったことについて、国としても積極的に支援をして進めていくべきだと思いますけれども、大臣、お考えはいかがですか。

林国務大臣 先ほど草刈りの話にもありましたが、やはりどうやって具体的に還元されるかという、今おっしゃったことに直接当たるかどうかわかりませんけれども、例えば、発電事業者が売電収益の一部を支出して、太陽光発電設備の周辺の農地の簡易な整備等を地域の関係者とともに行い、農業の生産性向上に貢献するような取り組み、これが一番近いところにあるんじゃないかなと思っておりますので、もう少し精査してみますけれども、こういう取り組みや、農林漁業関連施設の整備、例えば、発電設備に見学しに来る人に地元の農林水産物やその加工品等を販売する直売所を整備、運営する費用とか、それから、これは木質バイオマスですが、周辺地域の森林所有者等から未利用の間伐材を安定的な価格で買い取るとか、いろいろな取り組みを考えて、それを具体的に示していく。

 今、委員が御指摘になったように、七条二項でそういうことを書くとともに、御指摘のあった二十一条で指導をする。この指導、助言をするということで、もし、きちっと計画に書いたとおりやってもらえない場合は認定を取り消す、こういうこともできるようになっておりますので、そういうことで、先ほどちょっとお話のあった実効性というのはきちっと担保してまいる、こういう仕組みにしていきたいと思っております。

玉木委員 ありがとうございます。

 この桶川市の例、資料を見ていただくと、調整池の維持管理を事業者の義務にして、そういう協定を結んでやっていたりするんですね。ですから、いかに地元にとって、農家にとってのメリットを発現させるように制度を上手に運用していくか、このことについての一段の工夫をぜひお願いして、午前の質問を終わりたいと思います。

坂本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

坂本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。玉木雄一郎君。

玉木委員 玉木雄一郎です。

 午前に引き続き質問をさせていただきたいと思います。

 最近、農政の大転換と言われるいろいろな政策の変更が報道されておりまして、私もそうですが、農家の皆さんも大変心配をしている、関心をお持ちの方がふえていると思います。その意味で、午後は、最近報道されている幾つかの、農政の大きな大転換と言ってもいいかもしれません、そういったことについて、事実を確認させていただくとともに、その真意を質問していきたいというふうに思っております。

 農政に、与党も野党もないと思っております。生産的な質疑をできればというふうに思っておりますので、ぜひ、その意味で、前向きで積極的な答弁を政府の方もお願いしたいと思います。

 まず最初に、産業競争力会議で農政の改革についてのペーパーが出ておりまして、これがもとになって、今さまざまな議論が政府内でも行われていると承知をしておりますけれども、このペーパー、極めて大胆なことが書かれてあって、ただ一方で、私が非常に評価するところもあります。

 例えば、これは民主党時代も、私もいろいろなところで申し上げましたけれども、米のいわゆる変動部分については生産者拠出を求める制度に変えて、類似のナラシと統合していく新しい制度をつくるべきだということは、与党時代から提案をさせていただきましたし、さきの通常国会にもそういった法案を出しました。ですから、これは私は方向性としては正しいと思いますし、評価をしたいと思います。

 あわせて、水田を活用していわゆる戦略作物とか、そういった水田活用の交付金を拡充していこう、その中で、特に地域の裁量をふやしていこう、産地資金などをより使いやすくしていこう、これも私は正しいと思いますし、高く評価をしたいと思います。

 ただ、一つだけ、どうしても納得できないというか、ここは考えが少し合わないのかなというところがあって、これはきょうの質問の中心になりますけれども、いわゆる米の岩盤部分、固定払いのところ、ここをどう考えていくのかということについて、少し議論を深めたいと思います。

 まず最初に、いわゆる減反政策についてお聞きをしたいと思います。

 小泉政務官、きょうはまたお越しをいただきまして、ありがとうございます。いわゆる減反政策について、最初にお聞きをしたいと思います。

 新聞を見ても、きょうも出ていました、三年後とか五年後に減反をもう廃止するということが出ていますけれども、私は、いわゆる減反政策は、民主党政権の平成二十二年に廃止していると思っているんです。つまり、その意味ではルビコン川を渡ったという認識であの制度をつくったんですね。

 お手元に配っている資料の二を見ていただきたいと思います。ちょっとわかりにくいんですが、過去、現在、将来と三つの箱があります。

 いわゆる世の中の人が思っている減反政策というものは、守らないとペナルティー措置があって、これは大変だということで、強制的にそれに加入をしなきゃいけない、守らないとペナルティーがあるという意味での減反のイメージが今もあると思います。

 ですから、当然、好き勝手、自由に幾らでもつくるということができなかったわけでありますが、民主党政権になって、いわゆる戸別所得補償制度を入れた際にこのペナルティー型の減反というのをやめて、生産調整というものに参加した者に、いわゆる交付のための一つの要件として生産調整というものを入れて、その中で、所得補償、とりわけ固定払いのところを行ってきたという経緯があります。裏から言うと、この固定払いを諦めれば、今現在においても、幾らでもつくることができるし、幾らでも輸出することもできるんですね。

 その意味では、産業競争力会議の中では減反という、このペーパーの中では使われておりませんけれども、いわゆる減反政策を廃止しようということと、その生産調整が要件となっている米に対する補助金をあわせて廃止していこう、こういうことが議論をされています。

 一体これが何を目指しているのか。このことによって産業競争力、農業の競争力が強くなるということなんですが、繰り返しになりますけれども、現在も、補助を諦めて、補助なし、そうすると生産調整にも加わらなくていい。補助なし、生産調整なしだったら、今でも幾らでもつくれます。

 産業競争力会議の中で提案されている、補助金を廃止します、生産調整を廃止します。補助なし、生産調整なしで、幾らでも自由につくれます。同じじゃないですか。何が変わるんですか、小泉政務官。

小泉大臣政務官 玉木先生には、前回に引き続きまして御指名をいただきまして、ありがとうございます。

 先日、こちらの委員会に呼んでいただいたときに、林大臣が、減反という言葉は好きではない、そういった答弁をされていますので、私も、減反ではなくて生産調整という言葉を使わせていただきます。

 今の玉木委員の御質問に端的にお答えをするとすれば、私は、今後の農政の方向性に対して産業競争力会議で議論をしている方向性は、どうやって自立をしていけるか、その自立というのが一つはキーワードだと認識をしています。

 やはり、補助金に頼らず、農家の皆さんみずからの経営判断をより発揮できるように構造転換を図っていかなければいけない、そういった観点から、先生がお持ちの資料にあるように、民間の議員の方から提案も出て、今、報道にあるようなさまざまな議論を展開しているということです。

玉木委員 直接お答えはいただいていないと思うんですけれども、自立というキーワードは大事だと思います。

 我々も、補助金漬けにしようという思いで制度をつくったわけではなくて、先ほど冒頭申し上げたように、むしろ、生産者拠出を求めて、少しお金を出してでも自分である種のビジネスリスクをコントロールしようという農家についてはそれを支援していこう、あるいはそういう方向に制度を変えていこうというふうに考えておりました。

 ただ、問題はその自立のところなんですが、農業において、全て市場原理に任せたり、あるいは全く補助がない形で自立をするということが果たして農業の世界で可能なのかどうなのか、ここについては慎重な議論が必要だと思います。逆に、自立できないからといって補助に頼り続けてきた農政も私は改めるべきだと思っています。

 そこで、これも、基本的な方向性、民間人ペーパーにあるので確認をしたいんですが、これは実は大きな一つの哲学の差がここで出てくるんです。

 米に対して補助をするときに、我々はどういう思想でやったかというと、販売価格と生産費の間に恒常的な赤字です。つまり、この年だけは米の値段が下がったからギャップが生まれたんじゃなくて、恒常的に、努力しても埋め切れない差があるときに、そこについては、多面的機能や、農業や農村の持つ機能に着目して、そこは埋めていきましょうと。恒常的な赤字については埋めて、再生産が可能な最低限の支援をしていきましょうというのが、所得補償の特に岩盤部分の固定払いの基本的な考えでありました。

 しかし、産業競争力会議のペーパー、そして最近農水省からそれを受けて出たペーパーによると、そもそもお米については諸外国との生産条件の差がないので、つまり、高い国境措置で守られている米についてはそういった不利がないので、ギャップを埋める必要はないですということを、これは産業競争力会議の紙にも、農水省が最近御説明をいただいた紙にも書いています。これは大きな哲学の差です。

 我々は、国境措置を入れたとしても埋めがたいギャップがあって、そこについては埋めないと営農継続ができない、だからそこは埋めていこう。埋め方のやり方についてはいろいろあります。ただ、ここが明らかに埋めるべきギャップとしてあって、埋めていこうというのがそもそもの発想。

 しかし、産業競争力会議の発想は、それは国境措置である種全てカバーされているから、それ以外で生じているギャップについては、ある種怠けているから、あるいは十分な経営努力ができていないから生じているギャップであって、公的な支援で埋める必要はないという発想がここにはある種貫かれています。

 これはそういう考えでよろしいんですか。

小泉大臣政務官 民間議員のペーパーに基づく議論でもありますので、完全な代弁というのはなかなか難しいとは思います。

 そういった上で玉木先生の御質問に答えるとすれば、今先生御指摘になった、恒常的になかなかギャップが埋まらない方々、農家に対する対策、支援、そういったことを民間の議員含め産業競争力会議でどんな議論になっているかといえば、やはり今、率直に言えば、委員御指摘のように、既に高い関税で守られている中で、さらにさまざまな支援策を講じている中で、これは明らかにやり過ぎであって、そういった中で、それが本来農家の方々を守らなければいけないという思いから始まったことも、現時点においては、それが逆に経営判断を自由に発揮できるようなそういった状況を阻害しているのではないか、そういった観点から、どうやって補助金漬けの農業という中から自立ができる農業に変えていけるのか、そういった中で出てきているような議論の方向性だと認識をしております。

玉木委員 農林水産省のペーパーにも同じ記述が出てきます。今、一民間人のペーパーなので代弁できないというのは、小泉政務官、そのとおりだと思いますが、それを受けてつくった農林水産省のペーパーにも、米の支援についてはその哲学が明確に書かれています。

 これは、政策を変えていく、つまり、米の岩盤部分の払いについては来年からやめる、全額やめる、あるいは半額にする、いろいろな報道がされています。これはさておきます。ただ、最終的に目指すべき哲学、米政策についてどうやっていくのかということの哲学は、これは明確にどちらかを決めないと政策は決められないと思うんです。

 農水省のペーパーにもそう明確に書いてありますけれども、農水省も、もう国境措置で十分で、いわゆる恒常的なギャップは埋める必要がないというふうに思っておられるか、これは明確に大臣がお答えください。

江藤副大臣 私の方からでよろしいでしょうか。

 建設的な議論ということでありますから、ペーパーを役所は用意していますけれども、率直にお答えをさせていただきます。

 恒常的な生産費とのギャップがある、それは全国を平均しての話ですからね。ギャップのあるところとないところとがあるというのは、お互いに共通認識だと思います。そして、キロ当たり三百四十一円、パーセントにして七七八%、これはでかい関税ですから、これによって守られているというのは私たちも同じ考えです。

 私たちの政権時代には、米の生産調整、減反という言葉はもうとっくにないんですけれども、これに一番苦労してきたわけですよ。やはり主食ですから、これを国民に安定的に供給する責任というのを国家は負っていると思いますよ。やはり、これをないがしろにするということは、決してあってはならないことだと思っています。

 ですから、将来的に、米の直払い一万五千円が仮に減額されて、まだ決まっていませんからね、なくなっていく方向性になるとしても、では、水田に対して、水田の涵養的機能その他も含めて、お金を支払わないのかといえば、そんなことは決してないですよ。そんなことは決してありません。

 ただ、基本的に、少し話が長くなって恐縮ですけれども、私は、野党時代に随分、この直払いについては厳しい意見を言ってきました。七千百八十六億円のお金を使っています。このお金をもっと有効に使いたいというのが私たちの正直な気持ちですよ。正直な気持ちなんですよ。

 米の消費の状態、委員も御存じのとおり、放っておいても、一年間に十三万トンから三十万トンが高齢化と人口減で減っていく。現在の消費は七百七十九万トンしかない。そして、二十四年の生産量は八百二十一万トンしかない。

 メリットがあっても、では、どうなっているかというと、作付面積は百五十二万ヘクタールですけれども、いわゆる交付対象面積は百十三万ヘクタールなんですよね。ですから、今言われたように、二五・六%が主食用で、メリット措置の外でつくられている。これは二百十万トンにも上るわけですよ。

 メリット措置としては確かに、全く効果を発揮していないとは言いませんよ。だけれども、これが米の政策のいわゆる本当の意味の解決策につながるとは私は思っていません。

玉木委員 なかなか明確にお答えいただいていないんですが、資料の三を見てください。これは何度も、この委員会でも予算委員会でも私が使った資料でありますが、今現在起こっていることを簡単な模式図にしています。

 これは、面積に応じて米をつくっていくときのコストを書いて、左に行くほどコストがかかる。つまり、小さな面積、〇・五ヘクタール、五反未満だと大変な経営費、家族労働費がかかるんですが、右に行くほどだんだん効率化していく。その意味では、大規模化していくというのは経営効率化の一つの方法だということがここからも見てとれると思います。

 問題は、今、岩盤部分、定額部分と変動部分でこれを交付するということになると、実はポイントは、全国一律にしてあることで、二ヘクタール以上については、この交付金をもらえれば利潤が出るんですが、二ヘクタール未満については、もらってもなお利益は出ないんですね。出ないんです。ここがポイントなんです。

 私は香川県の出身ですけれども、うちも五反百姓なんですが、半分ぐらいしか入っていないんですよ。つまり、もらっても余りメリットがないので、小規模農家にばらばら配っているという印象とは別に、小さいところは加入率は半分ぐらいですね、五反未満だと。でも、五ヘクタール以上になると、九八から九九入っています。大規模農家に圧倒的に有利な制度だからですよ。

 我々は実は、米に配っているという印象で思われるんですが、大切なのは、水田という豊かな生産装置を守るための費用で払っているんです。米に払っているのか水田に払っているのかというのは、皆さん、実はこれは全然違うんです、制度をつくっていく上の発想で。

 これを見ていただくと、少し説明しますと、我々も大規模化は進めようと思ったし、反対するものではありません。ただ、今のまま放っておくと、さっき言った恒常的なギャップがあるわけです。そうすると、今は年金を突っ込んだり農外収入を突っ込んで、みずから所得補償して何とか農業をやっているというのが結構全国にあるんですね。

 もう年金を突っ込んでまでやれないというので所得補償が出て、ああ、少しこれで営農継続ができるなというふうになってきて、そういうふうに営農継続していただいたのを、少しずつ規模を集積して右側の利潤の出る方に寄せていこうということを意図して、例えば農地集積協力金とか規模加算とかいろいろなことを入れながら、これを右に移していったわけです。

 ポイントは、一つ一つの小さいユニットが崩れてしまうと集積できません。つまり、農地を集めたらいいんだというんですけれども、人間の体の細胞で例えてください。一つ一つの細胞が今の瞬間死んでしまうと、それを幾ら集めても健康体はできません。

 ですから、とにかく今、豊かな生産装置である農地、水田をどうやって守るのか。そこに明らかにコスト割れが生じている、そこをきちんと押さえて、そして大規模化する。あるいは、一〇〇%、既に自給率を達成している米以外のものをつくっていこうということで、水田の活用の交付金については充実させていこうということで、いわば、タイトルに書いていますが、静かな構造改革を着実に促してきたんです。

 資料四を見ていただくとわかるんですが、二十二年から二十三年で所得補償を導入したときに、例えば集落営農組織は減るどころかふえていて、一定程度面積が大きくなったり規模が大きくなったりする効果を上げているのもこれまた事実なんですね。

 私がちょっと質問をしたいのは、最初の話に戻ります、集積を進めていく、大規模化を進めていくにしても、今ある農地がだめになってしまうと、それは集まらないですよね。あるいは、もう一度大きくしようと思っても、一旦耕作放棄地になった、離農したものを戻すのは大変なんです。

 ですから、とにかく今、頑張ってやっている農地を農地として守って、そして効率的な農業につなげていく。規模も大きくする、そしてつくる作物も誘導して変えていくといったようなことをやっていくことが私は大事だと思うんですけれども、恒常的なギャップがあるのに、それを埋める補助金をばらまきだと言っていきなり全部なくして、そして大規模だ大規模だと言ってかねや太鼓をたたいても、結果として集積が進まなくなるおそれがあるのではないのか、このことを懸念するわけです。

 ですから、大きく目指すべき方向は同じだと思うんですが、ただ、今の水田を見詰める見方、このことについて考えが違うと、そこに至る道は随分違うし、結果として、目指すべき集積が進まなくなるんじゃないのかというふうに思うんですが、もう一度聞かせてください。

 恒常的なギャップを埋めていくという政策はとらずに、米については国境措置だけで十分だ、ひいては、この線よりこっち側にある人たち、あるいは、補助をやめれば、あるいは基準を引き下げていけば、この赤い点線が下に下がっていきます。そうすると、利潤が出る領域はより右に限定されていきます。そうすると、そこに行けば大丈夫だというんですけれども、ますます左側にいる小規模農家は取り残されていきます。

 ここで質問したいのは、今政府が目指している政策というのは、こうした小規模農家、中小規模の農家については、いわば、農業をやめていただく、このことを御判断いただく、あるいはそれを促していく、そういうことを目指しているのかどうか、この点について、方針を明確にお聞かせください。

林国務大臣 大変具体的な論点を出していただきまして、玉木委員の御主張だと我々とかなり近いな、こう考えるわけです。ただ、民主党政権が始まったときの集積に対する考え方等々、これは玉木委員の御自身の議事録も私は拝見させていただきましたが、必ずしも今おっしゃっている方向が最初からあったかどうかというのは、私もちょっと思うところはございます。

 まず、最初のところで、麦、大豆等と違って、諸外国と生産条件格差から生ずる不利はない、こういう言い方をしているんですね。したがって、お示していただいた三でいきますと、利潤が出ているところがあるというのが端的にそれをあらわしている、こういうふうに思っております。したがって、まさに、米でなくて水田に対してということでございました。

 我々というか自民党の公約というのは、経営所得安定対策と多面的機能に着目した直接支払いということで、多分、今委員がおっしゃっている言葉をおかりすれば、こちらの規模が小さいところの方にも同じように配ることによって、水田は維持してもらって、それが右側に行くようにするということをより明確に、かつ、水田のみにかかわらず、水田以外の畑地にも広く広げるということで、多面的機能ということに着目して直接支払いをやっていく。

 その上で、今度は、この国会にも提案させていただいておりますが、農地中間管理機構というものも促進しながら、それと矛盾しないように、この経営所得安定制度というのはいわば産業政策的なもの、そして多面的機能に着目した直接支払いはいわば地域政策的なものという頭の整理をした上で、その二つを組み合わせることによって、委員が静かな構造改革とおっしゃっておられますが、そういう形で、水田に限定せずに、農地全体を守りながら、できるところは集積を進めていくという、いわば産業政策をやっていく。

 大きな目指す方向は、今、玉木委員がおっしゃっている範囲ではそれほど違っていないのではないかな、こういうふうに思っております。

玉木委員 ありがとうございます。

 そこで、今、林大臣から話が出ました、いわゆる日本型直接支払いですか、これは全容がなかなかわからなかったんですが、産業競争力会議のお話を受けて、これは明確に書いていますね、産業政策と地域政策は分けるべき、私もそうだと思います。

 それを受けて農水省が紙をつくって、御説明を受けたんですが、ちょっと私はびっくりしたのは、農地・水保全管理支払いがありますね。あれは共同事業と向上事業に分かれるんですけれども、その向上事業を多分拡充していくようなイメージで紙がつくられてあって、つまり、地域で行っている共同の事業に対して、例えば、農地、水路、農道の整備等、そういったものにお金を出していきます、これを田んぼだけじゃなくて畑にも、果樹園とかそういうところにも広げますということが書いてありましたけれども、私はこれは、岩盤政策として多面的機能を守るために今払っているものをやめたときに、それにかわるものには到底ならないと思うんです。

 何でかというと、先ほど申し上げたように、恒常的な赤字が、あるいは恒常的なコスト割れというのが生じていますけれども、農地とか水路とか農道の整備に、その共同事業に対して幾ら出しても再生産可能な農家の所得は維持できないので、結果としてそういうところは、小規模が多いと思いますが、営農継続できないのではないですか。要は、日本版直接支払いという名前ですけれども、いわばダイレクトペイメントですね。いわゆるダイレクトペイメントになっていないんじゃないですか、これは。

林国務大臣 ここは、今委員もおっしゃっていただきましたが、まさに公約の一つの柱として掲げて、そして、政府・与党間で今検討中でございますので、具体的にどれに幾らというところが詳細に定まっているわけではございません。

 今委員がおっしゃっていただいたように、例えば、農地、水路、農道等の資源の保全管理を含む共同活動のコストに着目して、先ほど申し上げましたように、水田にとどまらず、畑、草地を対象に新たにやっていこうということ等々、それから、農地・水保全管理支払いについては、現行やっているものですね、これは新たな直接支払いと重複する活動がありますので、その部分については、重複したところは除外した上で、農地・水保全管理支払いの名称を変更する、こういうこと等々を考えております。

 今ダイレクトペイメントとおっしゃいましたが、まさに直接支払いできちっと、経営所得安定対策と並んで、地域政策ということになるように検討したい、こういうふうに思っております。

玉木委員 今曖昧に答えておられますけれども、大臣、これはもうよく御存じだと思いますが、直接個人には払われないんですよね。中山間の直払いは、我が民主党政権のときに、団体しか払われなかったのを個人に払うように少し変えて、少しそれは混乱は生じたということも言われましたけれども、いわゆる世の中の人が思って、あるいは自民党に期待して、日本型直接払いに期待して入れた人は、まさか農地、水の拡充策ぐらいでお茶を濁されるとは思っていないはずですよ。ですから……(発言する者あり)いや、でも、農水省のペーパーはそう書いていましたから。

 ですから、繰り返しになりますが、どうしても埋め切れない恒常的なギャップ、ここは地域政策の話をしています、ここについてどう埋めていくのかについては、ばらまきになってはいけませんけれども、やはりこれはもう少しきっちりと考えていかないと、日本の農村が急速に荒れてしまうという可能性を秘めていると私は思っているんです。

 ですから、ぜひ現場の状況をよくよく見ながら、大きな農政の転換だと思います、一カ月や二カ月でやってはいけないと思うんです。石破大臣のときにシミュレーションをしました。最低でもああいうシミュレーションをしながら、数字を突き合わせながら、現場と向き合いながら、農政の大きな変更にぜひチャレンジしていただきたいと思います。応援します、そこは。ただ、現場の混乱だけは絶対起こさないように、そのことだけ強く申し上げて、質問を終わりたいと思いますけれども、最後に御答弁をよろしくお願いします。

江藤副大臣 シミュレーションについては、当然やらなければなりません。しかし、それについては、まだ平場の議論も与党内で行っておりませんのでこの場で申し上げるわけにはいきませんが、決して性急にやっているというつもりはありません。

 大臣からこういう御指示をいただいたのは、まだ寒いころだったですよ。こういうことを方向性として、農政の転換を図らなきゃならないと。いわゆる直払い、一万五千円を見直して、それを振りかえ、拡充する方向性とはどういう方向なんだ、そういう議論というものはずっと重ねてきましたので、これは玉木議員が言うように、各地域地域でそれぞれ濃淡が変わりますから、私のような畜産とか施設園芸が中心のところと、筆頭のところみたいに米が中心のところでは全く事情が変わりますので、それぞれの地域の特色を踏まえたようなシミュレーションの結果というものは当然出していかなければならないというふうに思っています。

玉木委員 ぜひ、現場の声をよく聞いて、混乱のないような農政の推進をお願いして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、岩永裕貴君。

岩永委員 日本維新の会の岩永裕貴と申します。

 本委員会には、この臨時国会から新しく委員として配属をさせていただいております。どうぞ、今後もよろしくお願いを申し上げます。

 まず、台風十八号、そして二十六号、二十七号、非常に大きな爪跡を日本国内さまざまなところに残した大変不幸な災害であったかというふうに考えております。

 私の地元でも、この十八号によって多くの田畑が大変大きな被害をこうむりました。そうした中で、農林水産省さんには迅速な御対応をいただきまして、今地元の方でも復旧復興に向けて全力で取り組ませていただいております。この場をおかりいたしまして、一言お礼を申し上げさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

 それで、本法案につきましては、論点もかなり絞られております。午前中と重複する部分も出てくることだとは思いますけれども、そのあたりは御容赦をいただきまして、御答弁をよろしくお願い申し上げます。

 まず最初になんですけれども、この法案だけに限らず、農林水産省が施策として実行、実施をしていらっしゃる背景には、ホームページ等でも公表されておりますさまざまな統計情報というものがまずあって、その情報をもとにさまざまな法案、そして施策の実施をしていただいていると思うんです。

 まずは、データの収集方法であったり、どのぐらいの人員がデータの収集にかかわっているのかというところを少し詳しく教えていただければと思います。

江藤副大臣 お答えさせていただきます。

 お父様には大変お世話になりまして、ロシアの沿海州にも一緒に、私はかばん持ちで行かせていただきまして、森林法、伐採の件で大変お世話になりました。ありがとうございました。その息子さんの御質問ということで、お答えさせていただきます。

 体制としましては、職員が直接、現場とか農家に出向いたり、圃場に出向いたりして、調査を行っております。しかし、昨今、非常に人数的には限られておりますので、いわゆる調査員というものを今用意しております。一万人です。非常に、お手当の方は切手代ぐらいにしかならないようなお金しか払うことができないんですけれども、一万人の定員に対して、今六千八百人が実働しております。

 何を調べるかといいますと、生産現場では、まず農家の数、それから農業の経営収支、農産物の収穫量、それから加工、流通におきましては、青果物の卸売の数量、六次化の状況、そして消費におきましては、食品の食べ残し、食品残渣とかいろいろ、四〇%、いろいろ問題になっておりますが、そういう状況、それから農山漁村においては、集落はどういう状況にあるのか、高齢化率がどうなっているのか、それから多面的機能がどのように果たされているとか、そういったことを農林水産省の統計でわかることができます。

岩永委員 ありがとうございます。

 その統計情報を拝見していると、生産者側の情報がすごく多いというようなところで、いわゆる市場、消費者に関するマーケティングというものはどのぐらい行っていらっしゃるのかということもあわせてお伺いさせていただきたいと思います。

江藤副大臣 需要サイドと、サプライ・アンド・ディマンドのマッチングというのはこれから一番大事になってまいりますので、調査をした上で、市場動向の調査はしなければなりません。

 ということでありますから、今度は、消費者モニターという方々を募集しております。四十七都道府県に二十一人配置をするということで、これまた年間六千円しかお支払いしない、ほとんどボランティアに近い状況であるんですが、そういう方から、どういうものが欲しいか、いわゆる意識調査ですね、どういうものを消費者の方々が望んでおられるか、将来どんなものをつくってほしいか、そういう御意向なんかも把握するために、こういった消費者モニターの報告というものは十分生かされております。

 ちなみに、平成二十三年度、二十四年度には、消費者モニターを活用して東日本大震災の被災県の農林水産物、食品の購買動向等についても、意識調査それから意向調査を把握させていただきました。

岩永委員 済みません。ちょっと聞き取れなかったんですが、消費者モニターの数は、今、都道府県で二十一名とおっしゃいましたか。

江藤副大臣 四十七都道府県に二十一人配置しますから、トータルで九百八十七名になります。

岩永委員 先ほど、東北の風評被害についても少しお触れをいただいたところなんですが、風評被害がなかなかなくならない。東北、特に福島の現場では、今もなお大きな課題として、農業従事者の皆様方がかなり憂えていらっしゃる状態にあるということです。

 それとあわせて、またお伺いをしたいんですが、これから日本の農業は、TPPを初め、ますますグローバル化が進んでいきます。そして、輸出輸入もこれまで以上にスピード感を持って進んでいくということは明らかなんですけれども、日本の食というものの特徴であったり武器というものは、値段は高いけれども、その生産過程なんかを見てみると、やはり安心、安全、そして何よりもうまいというのが日本の食の代名詞になっているというふうに考えております。

 今後、グローバル化が進んでいく中で、高くても安全な食品を求める人、そして、安全には少し不安があるけれども安い食品を求める人というところで、消費者を二つに大きく分けることができると思うんですが、大臣も所信の中でおっしゃっております。経営というものをそれぞれに考えていく中では、最低限、そのあたりの、消費者のニーズであったり、日本国内だけに限らず、全世界でそういった部分がどのように消費者の、マーケットのニーズとしてあるのかというようなところが、施策を考える上でも非常に大事な論点になってこようかなというふうに考えております。

 今、簡単に例を挙げて申し上げましたが、高くても安全な食品を求める人、もしくは、安全には不安があるが安い食品を求める人、こういった市場のマーケットというものをどのように分析していらっしゃるのかということもお伺いできればと思います。

林国務大臣 感覚的に言うと、安全と価格がトレードオフになるというのは余り考えられないかな。もうちょっと、よりおいしいとか、よりブランド物であるといったものと価格のトレードオフというのはある程度想定ができるところですが、安全を犠牲にして安くというのは、昨今の状況を考えますとなかなか考えにくいかな、こういうふうに思っております。

 いずれにしても、委員がおっしゃったように、やはり、消費者がどういうセグメントにおられて、どういうセグメントの方はどういうものを欲しておられるのかということも含めて、農林水産物の市場の動向を把握しておくということは大変大事なことでございまして、先ほど副大臣から答弁させていただきましたように、消費者モニター等を活用してこういうものを把握していく。

 やはり、サプライ側のいろいろな統計によって、サプライ側の政策もやっていくわけですが、ここをいかにマッチングさせていくか、このことが大変に大事であると思いますし、サプライとディマンドの間の、バリューチェーンと呼んでおりますが、ここをどう結び込んでいくかということについて考えていく。

 したがって、サプライサイドとディマンドサイドとバリューチェーン、この三本柱で考えていく必要がある、こういうふうに考えております。

岩永委員 ありがとうございます。今大臣がおっしゃっていただいた方向性については、もうそのとおりですし、何の反論もございません。

 一例をちょっと今から挙げさせていただくんですが、直接農水とはあれなんですけれども、二〇〇九年に新型のインフルエンザウイルスというのが米国で発見をされました。H1N1ウイルスですね。皆さん御記憶にも新しいところだと思いますけれども、このウイルスが発見をされて、アメリカのCDC、疾病予防管理センターが約二週間かけて、全米のインフルエンザの状況を、医療機関等々と連携をとりながら全容の把握に努めたということなんです。

 ですが、全く医療機関とも連携をとらずに、この二週間というかかった時間の反面、ほぼリアルタイムでそうした米国に今起こっているインフルエンザの状況というものを突き詰めたのが、グーグルという会社でございます。要するに、ビッグデータを活用して、その状況をいち早く、CDCよりもより正確な、アメリカの中で起こっているインフルエンザの状況というものを突きとめたのがグーグルなんですね。

 何十億という検索ワードが全世界の中でやりとりをされていて、SNSなんかも通じて、そういった検索キーワード、例えば喉が痛いとかインフルエンザの薬はどんなものがあるんだとか、個人個人でかなり検索をしていらっしゃる、その検索キーワードを拾うだけでリアルタイムにそうした状況が把握できたということでございます。

 私は何が申し上げたいかというと、前回の通常国会では総務委員会に所属をしておりまして、これは新藤大臣の方にも何度も御提案とお願いをさせていただいたんですが、今の統計情報のとり方には、ICTがかなり進んでいるこの時代の中で、合理的でない部分というのもたくさんあるんじゃないかなというふうに思います。

 このビッグデータの活用というのは、もちろん、個人情報の問題であったり匿名化の問題であったりとか、越えなければならないハードルというのはあるんですが、マーケティングの手法の大転換というようなところで、消費者のニーズをいち早く、より詳しく取得するというようなところ、そして、そのマーケティングデータに基づいて、日本ではどうした農産品を幾らでどのくらいつくっていって、そして農業界全体の所得の向上というものをどう目指すのかというところの、もっともっと細かいバックデータのとり方というものを、今後、農林水産省さんには、ぜひ早急にそうした仕組みも組み上げていただいて、このビッグデータの活用というものをぜひ積極的に推進していただきたいと考えておりますが、大臣、御所見がございましたら、いただきたいと思います。

林国務大臣 これだけインターネットが普及をして、いわゆるソーシャルネットワークサービスの負の側面というのも最近よくニュースでは見ますけれども、これだけのビッグデータがある、かつ、これは割と廉価といいますか、ほぼ無料でもいろいろなものは取得できるということもございます。

 したがって、限られた財政の制約の中でより有効な統計また情報をとっていくという中で、こういうものがどう活用できるのかというのは大きなテーマだ、こういうふうに思いますので、今、新藤大臣のお話がありましたけれども、御専門の総務省、新藤大臣のところともよく連携をとりながら、さらにこういうものの活用についてしっかりと考えてまいりたい、こういうふうに思っております。

岩永委員 ありがとうございます。

 スマートアグリというような言葉も近年ではよく耳にするところでもありますけれども、生産者側のそうしたICT化、そして、あとはマーケット、消費者動向をいかに細かくつかんでいくのかというのが、このグローバル化の中で日本の農業が生き残っていく大きな大きなキーになってこようと思いますので、ぜひ前向きにお取り組みをいただきたいと思います。

 それともう一点、経営という視点で少し触れさせていただきたいのが政策評価でございます。

 これも、総務省さん、新藤大臣を筆頭に、PDCAのサイクルというものをいま一度霞が関は見直していかなければならないということも強い意思でおっしゃっておりましたし、推進をしていらっしゃるところでございます。

 私の友人に、国家公務員の方もたくさんいらっしゃるんですけれども、どうも、この政策評価というものを聞いていると、余り評判がよくないんですね。どうしても作業だけになっている感じがするとか、そうした作業がどのように次の施策に反映されているのかとか、そうしたサイクルがなかなか見えないような状況に今あるというような声も聞かれております。

 そして、農林水産省さんの政策評価を、かなり膨大な量ですので、ホームページ等を通じて少し拝見をさせていただいておりますと、その評価が、ほとんどおおむね良好というところで評価をされているんです。この間、大臣も前回の委員会の中でおっしゃっておりましたが、やはり、日本の農業は高齢化が進んでいる、そして耕作放棄地もふえている、そうした状況の中で大転換が必要だというような御認識を背景に、その政策評価が、ほとんどおおむねよしとなっている状況、でも、農業の現場は、いえば右肩下がりになってしまっているという、この状況も含めて、この政策評価というものに対する御認識と御所見を大臣の方からお伺いをさせていただきたいと思います。

林国務大臣 これは農業分野にとどまらず、あらゆる政策を推進していくときに、施策を企画し実施に移すというところにとどまらずに、今委員がおっしゃっていただきましたように、PDCA、施策の効果を評価する、そして評価結果をその次の施策の見直しに反映させる、このサイクルを回していくということが大変大事である、こういうふうに思っておりまして、各省、農林水産省でもそうですが、政策ごとにあらかじめ目標を設定して実績を測定する、外部評価者を入れる、こういうことをやっております。

 さらに、今お話がありましたように、総務省では、全省庁的に、第三者的な目ということでやっていただいておるわけでございます。

 やはり大事なことは、どういうふうに目標を設定するのか。その目標を設定してしまえば、そこに到達すればいいということですから、この目標の総和が、目指すべき全体の方向性としてきちっとできているか。ここの手前の話というのは政策論でございますので、評価だけでは、その目標は全部できたけれども、では、結果はどうだったのか。

 ここは政策論にもかかわってくるところでございますので、政策評価だけが、PDCAが回ればいいということではございませんけれども、まず個別の政策できちっとやっていく。そして、バリュー・フォー・マネーですとかコスト・ベネフィット分析といろいろありますが、なかなか数量化できない。特に、コストは数量化しやすいんですが、バリューの方をどう見ていくかという難しい問題もございますので、そういうところを政策評価を充実させるとともに、やはり、個別の政策の集大成である全体の政策が大きな目標にきちっとつながっていくかということを常に考えておく、これが大事だというふうに考えております。

岩永委員 ありがとうございます。

 政策をつくるに当たりましては、ビッグデータの活用などをしていただきまして、しっかりと、市場のニーズをまず細かにつかんでいただく、そして、できた政策を回していく、PDCAのサイクル、そこをしっかりしていくことが、まずは経営ということは、大臣もおっしゃっている、その根本的な部分だと思いますので、ぜひ、先ほど申し上げました、ビッグデータ、ICTの活用、そして政策評価、PDCAの循環というものを積極的に今後も農林水産省さんとしてお取り組みいただければありがたいなと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、本法案についての具体的な質問に入らせていただきたいと思います。

 午前中も質疑をずっと聞いておりましたけれども、やはり少しわからない部分があるんです。その部分というのは、まずは、本法案をもって、再生可能エネルギーの推進をしたいのか、それとも、先ほどから生産調整というお話もありましたけれども、農地をふやすという方向性なのか、それとも、その間をうまく上手に調整をしたいのか、そのあたりの大きな方向性について少し御見解をいただければと思います。

林国務大臣 端的に言えば、一番最後に委員がおっしゃったこと、こういうことでございまして、再生可能エネルギー発電をどんどんやって、農地はどんどんなくなってもいいということではありませんし、やはり農林漁業の健全な発展と調和のとれた形で再生可能エネルギー発電を促進しよう、これはできるだろう、こういうことでございます。

 さらに申し上げれば、これは地域地域によっていろいろなパターンがありますから、こういうことをやりなさいということを事細かに我々が決めるというよりも、方針を示して、そしてそれぞれの市町村に基本計画をつくっていただいてということで、やはり地域の独自性というのが相当程度取り込まれるようにということにも留意して、この枠組みをつくらせていただいたということでございます。

岩永委員 恐らくそうなんだと思います。

 この法案の中にも、調和という言葉がたくさん出てまいります。がゆえに、何をもって調和とするのか。要は、バランスをとっていくということだと思うんですけれども、バランスをとる場合には、先ほども出ていましたけれども、どこを基準に、軸にしていけばバランスがとれるんだというような具体的な数値や策というものがなければ、なかなかその調和という言葉の理解には、それぞれの自治体さんの中で大きく異なってくるんじゃないかな。がゆえに、混乱を招くんじゃないかなというところが午前中からも議論の焦点になっていたんだと思います。

 そこでお伺いをいたしますが、どのぐらいの耕作放棄地を利用して、そこからどのぐらいのエネルギーを捻出するのか。そして、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス、それぞれにどのぐらいの目標数値を掲げていらっしゃるのか。

 そして、もう一つ突っ込んで申し上げますと、その目標数値を各都道府県にどのように割り当てていくのかというところが、まさに、先ほども申し上げていた経営ということを考えたときの大きな大きな視点に、軸になろうかと思います。基本だと思います。そのあたりについて、今現在考えていらっしゃるところを、もし持ち合わせていらっしゃる数値等があれば教えていただきたいと思います。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の農山漁村には、農業上の再生利用が見込まれない荒廃農地、土地改良区の農業用水施設、それから、林地残材や家畜排せつ物等のバイオマスといった再生可能エネルギー発電に利用可能な資源が豊富に存在しているところでございます。

 農林水産省といたしましては、これらの地域資源を活用した再生可能エネルギーの導入促進のため、本法案に基づく措置や予算措置等によりまして、再生可能エネルギー発電のメリットを活用して地域の農林漁業の発展を図る取り組みを平成三十年度に全国百地区で実現するとの政策目標を掲げているところでございます。

 これらの地区において具体的にどのような発電設備を導入するかについては、それぞれの地域の資源の利用可能性等を踏まえた発電事業者の判断ですとか、各市町村の再生可能エネルギーに関する取り組み方針にもよるものでございます。

 したがいまして、これら百地区で実現された際のエネルギー源の内訳ですとか電力量を見込むことは困難であると考えております。困難であると考えておりますけれども、農林水産省といたしましては、農山漁村の未利用資源を活用して、農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー発電の導入が促進されるよう、本法案を初めとする各種の措置を適切に講じてまいりたいと考えております。

岩永委員 そういうことだろうとは思うんですが、やはりおおよその数値目標等を持ち合わせていないと、こういった施策を具体的に実行していく、ひいては数年後にしっかりと検証を行っていく、どこまで目的が達成されているのか、そして、その後どれぐらいまた推し進めていく必要があるのか等の基準がなければ、なかなかそういった経営感覚を持った施策の運用というものができないと考えておりますので、できるだけ具体的にそのあたりについては数値を持ち合わせていただきたいなと思います。

 そして、この調和という部分については、一言で言えば、それぞれの市町村がそれぞれの地域の中で、それぞれにとにかく考えてくれというようなことだと思うんです。

 少しそこで教えていただきたいのが、私は、すごくこれも自治体にとっては大きな作業になってくるんだと思います、調和というものをどういうふうに考えるのかというところから考え始めなければならないというところですので。

 まず、具体的に、市町村が今後とり行う業務の内容とか作業についてどういったことが想定されるのかというところと、あわせて、後ほどちょっとお伺いしようとは考えていたんですが、市町村に設置することができるとされているその協議会の役割、そして、この協議会は、設置してもいいし、しなくてもいいというふうになっているんですけれども、この協議会を組織した場合のメリットと、そして組織しなかった場合の、協議会が持ち合わせている機能のメリット、デメリットをそれぞれ教えていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案は、地域主導で再生可能エネルギー発電を促進することにより、農山漁村の活性化を図るものであることから、市町村が中心的な役割を果たすことを前提として構成しているところでございます。

 具体的に申し上げますと、国の基本方針に基づく基本計画の作成、それから基本計画の作成、実施のための協議会の組織運営、再生可能エネルギー発電設備の整備を行うとする者の作成する設備整備計画の認定、認定設備整備計画の適確な実施を担保するための指導及び助言等の業務を市町村が行うこととしております。

 国といたしましては、このような市町村の役割を適切に果たすために、国の基本方針におきまして、基本計画の作成や実施に必要な事項を示すとともに、必要な情報提供や助言等の援助を行っていく所存でございます。

 また、委員から御指摘ございました市町村が設ける協議会でございますが、協議会の設置によるメリット、デメリットということでございます。

 この協議会においては、市町村、農林漁業者及びその組織する団体、再生可能エネルギー発電設備整備事業者等の関係者が一堂に会しまして、基本計画の内容やその実施方策について協議をすることとなります。

 具体的には、地域の特徴ある資源を生かしてどのような再生可能エネルギー発電を促進するのか、それから、当該市町村のどの区域を再生可能エネルギー発電設備整備区域に設定し、誘導を図るのか、それから、農林漁業の健全な発展に資する取り組みとして何に取り組み、売電収益の活用を含め誰がどのように費用負担を行うか等について、協議を行うこととなると想定しております。

 これらの事項は、農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー発電を進める上で必ず協議が必要となる事項であることから、協議会で協議するメリットがあると考えられる一方、地域のおおむねの合意が得られているケースなどでは、かえって市町村にとって負担となるデメリットも考えられるため、先生御指摘のとおり、設置を義務づけるところまでは考えていないところでございます。

岩永委員 ありがとうございます。

 今、市町村が今後とり行う業務内容であったり、作業の内容について幾つか列挙をしていただきましたが、一つ一つが非常に重たい内容になっておりますし、そう簡単になかなか答えの出せるようなものでも、地域の中でも、難しい内容だなということを改めて感じました。

 もう御承知のとおり、市町村は、行政のスリム化という中でかなりの人員の削減に取り組まれている部分もありますし、給与のカットもそうですし、作業が手いっぱいなんだけれどもなというような現場の声も聞かれる中で、やはりこれだけのことを市町村の担いとして委ねるというようなところが、ちょっと現場でも混乱をするし、なかなか、仕事が手いっぱいで、どうなるのかなという心配はあるんです。

 だから、本法案の中にも書いていただいておりますけれども、やはり国の関与であったりとか助けというものが非常に大きな役割を果たしてくるんだろうと思いますので、ぜひそのあたりについては、自治体の声にもしっかりと耳を傾けていただいて、できる限りの援助を行っていただきますように、改めてお願いを申し上げます。

 そしてもう一つ、次の質問に移らせていただきます。

 二〇一二年に、ドイツのQセルズが破産をいたしました。そして、二〇一三年には、中国のサンテックパワー、これも実質的には破綻しているというようなところ。これまで、こういったサンテックとかQセルズという、太陽光パネルの世界の最大手の企業が次々に経営難に陥っているというような状況がございます。そして、聞くところによると、国内メーカーの二社以外は、どこもこの太陽光パネルという部門に関しては赤字が続いているというような状況でございます。

 そこで、やはり設置事業者さん、そして土地の所有者さん、今後この太陽光を進めていく上で心配をされているのが、そういったところの業界が非常に不安定だと。そして、十年後、二十年後、本当に、メンテナンス等、補償等も含めて、しっかりと対応していただけるのかというのも根本的な大きな不安としてあるようです。

 そこでお伺いをさせていただきたいのが、そういったこともあって撤退を余儀なくされるというようなこともあると思います。そのあたりの撤退のルールというものをどのように感じていらっしゃるのか。そして、十年、二十年たったその農地が原状回復をすることが本当に実際できるのかどうかというところの御認識について、お伺いをさせていただきたいと思います。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 会社の倒産により設備のメンテナンスの維持ができなくなることなど、再生可能エネルギー発電事業者が農林地等に発電設備を整備したにもかかわらず、事業を途中で中止、撤退することも想定されます。残された設備の取り扱いを決めておくことは重要であると認識しております。

 このため、本法案に基づく再生可能エネルギー発電設備の整備を行おうとする際には、発電設備の撤去時における原状回復、費用負担等に関する事項を、市町村の協議会の協議事項とするとともに、設備整備事業者が作成する設備整備計画の記載事項とすることを検討しているところでございます。

 また、あわせて、設備整備事業者が設備整備計画の認定を申請する際、設備の撤去に係る費用の積み立てなど原状回復に関する事項が記載された地権者との間の契約書の写しを添付させることを検討しているところでございます。

 このような対応を含めまして、農林地等に再生可能エネルギー発電設備を整備した後、途中で事業を中止、撤退をする際に問題が生じないよう、国の基本方針等で具体的な指針を規定するとともに、市町村に対し、必要な助言や情報提供を行ってまいりたいと考えております。

岩永委員 そのあたりについてはぜひお願いをしたいと思います。業界全体がまだまだ不安定な状況にあるということをしっかりと念頭に置いていただきまして、推進をするならするで、そういった最悪の事態も考えた対応をぜひよろしくお願いいたします。

 それと、もう一点、やはり気になるのが、地域へどのようにしてこれが還元されていくのかというようなところでございます。

 なかなかその具体策、長年、エネルギーの地産地消に取り組んでいらっしゃる民間企業さんも日本国内には幾つかあるんですが、やはり地域にどのように還元していくのかというところが非常に大きな課題としてあるということは、恐らく御承知のとおりだと思います。

 そのあたりの御認識とか、午前中もあったんですけれども、具体的な例というものがあれば、ぜひ教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

小里大臣政務官 これから定める国の基本方針に基づきまして地域で基本計画を作成する、また、それに基づいて施設事業者が設備整備計画を定めるわけでありますが、その中にあって、具体的にいろいろな地域への利益還元策が盛り込まれていくわけであります。

 午前中も御指摘がありましたように、草取り用の支援であるとか、あるいは簡易な圃場整備、あるいはまた加工、販売にかかわる支援であったり、地域のニーズに応じて、しっかりそこは支援が図られるように運用してまいりたいと思います。

岩永委員 ありがとうございます。

 そうはいっても、実際に地域にどのように還元をしていくのかということもなかなか難しい課題として残ってこようかと思います。

 そうした中で、私の地元に湖南市という市がございます。そこが太陽光発電というものに今取り組んでおりまして、その出資者、いわゆる市民の皆さんが信託会社に出資をして、その信託会社からの融資で、一般社団法人コナン市民共同発電所プロジェクトという発電所をつくって運用されております。

 現在、その売電収入というのは計画を大きく上回っているということで、一口十万円で、八十口の募集を地域の中でされたんですけれども、その売電収入というのを、商工会や観光協会と連携をして、地域商品券として還元していくというような中で、地域の中でうまくエネルギーの地産地消というものを実際行っている、日本に先駆けて取り組んだ湖南市という市があります。

 この市が作成した条例の中に、やはりおもしろいのが、一つは、人材をしっかりと育成していくという観点がしっかりと盛り込まれているというのと、もう一点は、市民の役割というのも明確に明記をされております。

 これも具体的に申し上げますと、市民は、自然エネルギーについての知識の習得と実践に努めなければならないということと、あとは、市民は、その日常生活において、自然エネルギーの活用に努めなければならないというようなところまで踏み込んで条例をつくっていらっしゃるんです。

 こういった取り組みについて、どういうふうな感想をお持ちになったかというところも、大臣でも副大臣でも政務官でも結構ですので、お答えいただければと思います。

小里大臣政務官 ありがとうございます。

 大変有効な事例を御紹介いただいたと思います。全国各地にそういった事例が、モデル的な事例があろうと思います。よく耳を傾けて、直視しながら役立てていきたいと思います。

岩永委員 こういった事例を各自治体さんに紹介したり、あるいはまたシンポジウムを開いていただいたりというようなところで、ぜひ積極的にそういった情報発信にも努めていただければ、各自治体さんにとっては大きなヒントになるのかなと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 それでは、そろそろ時間も参りましたので、最後に一つ。

 太陽光パネルの製造メーカー、私の友人にいるんですけれども、一つ、常日ごろから危惧をしているところがあると。一体どういうことですかということを私の友人に尋ねたところ、北海道とか対馬で象徴的な問題となっておりますが、メガソーラーの設置というものを表向きの理由にした外国人の土地購入というのが今ぽつぽつと進んでいるようでございます。

 そして、その人自身も、水源地であったりとか自衛隊の基地の周辺というようなところでそういったことがこれから野方図に野放しにされていくのはどうなんだろう、パネルメーカーではありますけれども、そういった心配をしていらっしゃる。そういった具体的な事例があるということも確かなことでございます。

 少し大きな話になるんですけれども、国家の安全保障対策ともかかわってくること、そして、メガソーラーの設置者は、見た目は日本人が購入をするような仕組みになっているんですけれども、ずっと奥をたどっていくと外国資本が入って、結局その外国資本に土地が購入されてしまうというような、かなり巧みな手法を用いているということも聞いております。

 きのう、農水省さんにちょっとこのあたりのことをお尋ねいたしておりますと、そのあたりも含めて自治体さんがということをおっしゃっていたんですが、そうした観点で自治体がそういった課題に対応するというのはなかなか難しいと考えておりますので、このあたりについての問題意識を少し大臣の方からお伺いをさせていただければと思います。

林国務大臣 今の問題は、この件にかかわらず、たしか森林の関係の法律を変えたときにも、届け出をしていただいてというようなことも盛り込んできたところでございますので、大事な問題である、こういうふうに思っております。

 法案については、これは外国人であるか否かにかかわらず、そもそもこの法律の目的に沿ったことをやってもらえるか、これが非常に大事なところでございますので、発電設備の整備をなかなか再生利用の困難な荒廃農地等に誘導するという、土地利用の調整を適正に行うということをやるわけでございます。

 仮に、認定を受けた設備整備計画に従わずに農地転用等を行って再生可能エネルギー発電設備の整備が行われた場合、もしくは計画どおりに発電設備そのものが整備されない、こういうのはもちろんでございますが、こういった場合には農地転用許可等があったものとみなされない、こういうことになります。したがって、農地法に基づいて原状回復命令、もとに戻せということの措置や罰則ということの対象になっていくわけでございます。

 したがって、この法の目的にしっかりと合った土地利用調整が適正に行われるということを担保していきたいということでございますので、外国人による場合、また外国人の代理人として我が国の人がやっている場合、あらゆる場合も含めて、発電事業者による無秩序な土地の利用を防いでまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。

岩永委員 ありがとうございます。

 そういった事例も調査をしていただいてしっかり目を光らせていただいて、国家の本当に根本的な安全にかかわってくる内容でございますので、どうか取り返しのつかないことがないように、この法をまた運用していっていただきたいと思います。

 時間となりましたので終わらせていただきます。ありがとうございました。

坂本委員長 次に、村上政俊君。

村上(政)委員 日本維新の会の村上政俊です。

 農水委員会では初めての質疑となります。坂本委員長初め委員各位の先生方、そして林大臣、江藤副大臣、小里政務官を初めとする農水省の方々に御指導、御鞭撻いただきながら頑張りたいと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、まず、我が国の再生可能エネルギー政策の位置づけについて伺ってまいりたいと思います。

 日本維新の会は、先般七月の参議院選挙の公約の中で、エネルギー供給を賢く強くするということで、風力、バイオマス等の再生可能エネルギーの開発推進により、地方にも雇用を創出していくというふうに掲げました。

 我が国の中ではエネルギーの需要に対する不安というのもございますし、再生可能エネルギーによって、先進国を主導する脱原発依存体制を構築するというような考え方を我が党は持っております。

 一方、我が国のエネルギー自給率は、平成二十二年においては四・四%程度であり、また、水力発電を除く我が国の再生可能エネルギーの総発電量に占める割合は、平成二十四年において一・六%という状況でございます。

 こういう中で、国土の大宗を占めている農山漁村における再生可能エネルギーを推進することは、我が国のエネルギー政策にも貢献するものと私自身も考えております。

 そうした中で、再生可能エネルギーの導入を推進していくという立場において、本法案により、どの用途で、どれくらいの規模で再生可能エネルギーによる発電の導入を目指していらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

小里大臣政務官 国土の大宗を占める農山漁村であります。土地、水、バイオマスなどの資源が豊富に存在をしておるところでございます。

 具体的にどの程度のポテンシャルがあるかにつきましては、さまざま試算があるところでございますが、一つの試算としては、農業上の再生利用困難な荒廃農地の全てが活用の対象となり得るものではないものの、仮に農業上の再生利用が困難な荒廃農地十三万ヘクタール全てに太陽光発電設備を設置した場合には、平成二十三年度の我が国の総発電量の約九%に当たる八百二十億キロワットアワーの発電量が見込まれております。

 また、バイオマスについては、仮に未利用間伐材の年間発生量二千万立米を全て木質バイオマス発電に活用した場合には、年間七十億キロワットアワーの発電が見込まれます。

 また、農業用水利施設を活用した中小水力発電につきましても、流量等から計算しますと、年間八億九千万キロワットアワーのポテンシャルが見込まれております。

 本法案を活用することによりまして、こういった貴重な資源を最大限に活用を図ってまいりたいと思います。

村上(政)委員 続いては、農山漁村の活性化策における今法案の位置づけについて伺ってまいりたいと思います。

 再生可能エネルギーの発電を農山漁村で促進して、そこに新たな雇用を生み出していくなど、農山漁村を活性化することは、まさに我が党の公約にも合致するものと言えます。

 我が国の農林漁業が、所得の減少、あるいは担い手不足の深刻化、また高齢化に直面している中で、農山漁村の活力が低下しているという状況がございます。これまで農山漁村の活性化のためにさまざまな法制度や施策が講じられてきたところでございますが、農山漁村における再生可能エネルギー電気のポテンシャルを、今政務官からもお答えがあったと思いますが、改めて、どれぐらいということで想定していらっしゃるか、伺いたいと思います。

小里大臣政務官 ポテンシャルですか。ポテンシャルについては、今……

村上(政)委員 そうですね、ポテンシャルについては今お答えいただきましたので、再生可能エネルギーの電気の発電促進は農山漁村の活性化の中でどのような位置づけになっているのか、また、どの程度の経済的な利益がもたらされると考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

小里大臣政務官 農林漁業の健全な発展に資する取り組みを行うことが求められておりまして、まず、売電収入の一部がこの取り組みのために使われ、地域に還元をされることになります。

 また、あわせまして、農山漁村に再生可能エネルギー発電設備を整備した場合に、地権者は、農業上の再生利用が困難な荒廃農地の有効活用によりまして、新たな地代収入が得られるということになります。

 また、地元企業は、発電事業へ関与することによりまして、例えば、発電設備の整備、メンテナンスといった業務に携わることによる、新たな雇用の発生等が期待をされるところであります。

 また、市町村は、固定資産税による税収の増加が見込まれております。

 等々、地域経済への波及効果が大きく期待をされております。

村上(政)委員 続いては、法案の中に基本理念を規定された狙いについてお伺いしていきたいと思います。

 再生可能エネルギーであるバイオマスの生産や利用については、バイオマスの活用推進基本法あるいは農林漁業バイオマス燃料法等の法律の制定のほか、関連の制度やあるいは予算等で木質バイオマスの利用そしてバイオエタノール等の推進が今まで図られてきているというふうに私自身も承知しております。

 また、家畜排せつ物法や食品リサイクル法において、家畜排せつ物や食品廃棄物といったバイオマスを肥料等として利用するほか、エネルギーとして利用することが明記されておりまして、エネルギー利用が推進されることになっております。実際に、宮崎県の事例でございますけれども、宮崎県の中で年間に発生する鶏ふんを県内の施設で発電等によりエネルギー利用することで、地域の畜産業の振興と環境保全に貢献している事例もあるというふうに聞いております。

 さらに、バイオマスにとどまらず、太陽光や風力、水力等の農山漁村における再生可能エネルギー電気の発電を促進することについては、民主党政権下においても、我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画において明記されておりますし、昨年の政権交代以降におきましては、新たに安倍内閣において定められた日本再生戦略においても明確に位置づけられているところだと思います。

 このような中で、再生可能エネルギーについては、農林水産業の幅広い分野で関連制度それから予算等で今までに累次推進してきているところでありますが、その目的は、農山漁村の活性化それから環境保全とさまざまにあると思います。

 以上のことを踏まえて、農林水産政策の基本理念をこの新たな法律の中で規定された狙い、そして、再生エネルギーの推進と農山漁村の発展との間でいかに調和を確保していくかについてお伺いしたいと思います。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年廃案になった法案につきましては、自民党から、優良農地の確保、発電利益の地域への還元等の観点から懸念がありまして、慎重に検討すべきであるという考え方が示されていたところでございます。

 こうした経緯に鑑みまして、自民党における議論も踏まえながら、改めて検討を行った結果、これらの懸念が生じないようにするために、新たな法案では、農山漁村における再生可能エネルギー発電の促進については、地域の活力の向上と持続的発展を図ることを旨とすべきこと、それから、地域の農林漁業の健全な発展に必要な農林地等が確保される必要があること、こういう法案の根本的な考えを基本理念として明確に規定したところでございます。

 こうした基本理念が現場まで徹底されるよう、所要の規定の追加も行ったところでございます。本法案の基本理念を踏まえた適切な運用に努めてまいりたいと考えております。

村上(政)委員 それでは、再生可能エネルギーのこの法案で地域にどのような利益が還元されていくかについてお伺いしたいと思います。農山漁村の健全な発展と調和という観点でございます。

 農山漁村においては、無計画に再生可能エネルギー発電の設備が整備されることによって、発電設備の用地のための土地需要によって農地が転用されるというような圧力が増大したり、あるいは農林漁業の健全な発展にとって不可欠な資源であります農林地等が失われたりして、食料の安定供給や国土の保全といった農林漁業が有する重要な機能の発揮に支障を来すことがあってはならないというふうに考えております。

 本法律案においては、農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギーの発電を促進するための措置という切り口から、農山漁村の活性化を図ることを主目的としておりまして、その結果として、エネルギーの供給源の多様化に資することとされております。

 地域に対して利益を還元していくことは重要ですが、本法案によって、再生可能エネルギー発電業者によって農林漁業の健全な発展に資する取り組みとは、具体的にどのような取り組みを想定していらっしゃいますでしょうか。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 農林漁業の健全な発展に資する具体的な取り組みということでございますが、法案の第七条第二項に即して挙げていくとすれば、まず、農林地の農林漁業上の効率的かつ総合的な利用の確保の例といたしましては、発電事業者が売電収益の一部を支出して太陽光発電設備の周辺の農地の簡易な整備等を行うようなもの。

 それから、農林漁業関連施設の整備の例といたしましては、例えば、風力発電設備の近隣におきまして地元の農林水産物やその加工品等を販売する直売所を整備、運営するに際して、その費用の一部を発電事業者が売電収益から負担する取り組み。

 それから、農林漁業者の農林漁業経営の改善の促進の例といたしましては、例えば、木質バイオマス発電を行う事業者が、地域の森林所有者等から未利用の間伐材を安定的な価格で買い取り、発電に活用する取り組み等が考えられます。

 また、農林水産物の生産または加工に伴い副次的に得られた物品の有効な利用の推進の例といたしましては、畜産業者から家畜排せつ物を引き取ってバイオマス発電を実施する際に、発電事業者が費用を負担して消化液や残渣から堆肥を製造し、低価格で提供する取り組み等が考えられます。

 農林水産省といたしましては、こうした取り組みを初め、各地の先進事例を踏まえ、本法案に基づき策定する国の基本方針等において具体的なモデルケースを紹介することで、地域における適切な取り組みを促進してまいりたいと考えております。

村上(政)委員 御答弁の中に基本方針ということがありましたので、基本方針の意義についてお伺いしていきたいと思います。

 主務大臣が定める基本方針には、まず、農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進による農山漁村の活性化の意義を掲げることとされております。ここでは、農林漁業の健全な発展との調和のあり方、そして再生可能エネルギーの発電の取り組みが農山漁村活性化策に占める位置づけと期待される効果について、基本的な考え方が示されることとなっております。

 発電業者に対して、こうした農林漁業の健全な発展に資する取り組みをどこまで求めるのか。過度な負担になって、結局、本法案の仕組みが使われなくなってしまうという懸念もありますが、現時点においてはどのような対策を考えておられますでしょうか。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 再生可能エネルギー発電事業者に対し、農林漁業の健全な発展に資する取り組みとして、発電事業継続が困難となるほどの負担を生じる取り組みを求めることは本末転倒であり、適切ではないと考えております。

 このため、取り組みの内容については、地域の農林漁業の実情を踏まえ、真にその発展に必要で、かつ実現可能なものとなるよう、市町村、関係農林漁業者、団体、発電事業者等が十分協議を行い、その結果を踏まえて市町村が基本計画に定めることとしております。

 国といたしましては、全国の先進事例等をもとに、どのような取り組みが地域において適切な取り組みであると受けとめられるかについて留意しつつ、基本方針等においてモデルケースを具体的に示してまいりたいと考えております。

村上(政)委員 その基本方針においては、農林地並びに漁港及びその周辺の水域の農林漁業上の利用と再生可能エネルギー電気の発電のための利用との調整に関する事項を定めるものとされております。

 利用関係が競合する場合の調整は、さまざまな現場での懸念を払拭するための仕組みとして、最大限活用されるべきものと考えられます。

 基本理念には、市町村、事業者、農林漁業者、関係団体等の相互の密接な連携がうたわれているところでありますが、そのため、利用調整は、地権者と事業者との交渉のみに委ねるのではなくて、こうした関係者による連携により、丁寧に進められることが求められると考えます。

 さらに、市町村にあっても、立地箇所の選定に当たっての地権者や周囲の営農の状況の的確な把握、関係者の協議する場の設定等、関係者の合意形成に至るプロセスにおいて主導的な役割を果たすことが期待されるところであります。

 また、再生可能エネルギー電気の発電を行うに当たっては、農山漁村の土地を利用することになるわけでありますけれども、大規模な太陽光発電を行おうとする場合には、比較的広い土地が必要になるのではないかと思います。そのような場合に、再生可能エネルギー発電設備の整備をする土地が複数の市町村にまたがってしまうような、そういった事態も想定されるのではないかと思います。

 このように、複数の市町村や関係者などが混在する状況においては、発電事業者にとってのメリット措置として農地法等の手続のワンストップ化が設けられていますが、それによってどの程度の手続の短縮が図られるか。このワンストップ化のメリットというのはどのようなところにあるのでしょうか。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案に基づく農地法等の手続のワンストップ措置でございますけれども、本来、再生可能エネルギー発電事業者みずからが行うべき許可申請等の手続を、市町村がかわって行うところにこの特徴があるわけでございます。

 このため、発電事業者にとりましては、市町村が再生可能エネルギー発電設備区域を設定することにより、事業用地を探す時間の短縮、それから、手続のワンストップ化により、各個別法の許可権者である国の出先機関や都道府県の関係部署に出向く時間の短縮等が図られることとなると考えております。

 また、書類の提出に当たりましては、身近な市町村から指導助言を受けながら申請書類を作成することが可能となるため、許可権者からしばしば求められる書類の補正に要する時間の短縮も図られることになると考えております。

 こうしたことから、ワンストップ化のメリットがあると考えております。

村上(政)委員 本法律案は、再生可能エネルギー発電設備の整備を行おうとする者に対しては、設備の整備計画を作成して、基本計画を作成した市町村に対して認定を申請することができるものとしています。また、設備整備計画の認定案件としては、提出された設備整備計画の内容が当該の市町村が作成した基本計画に適合していることは当然でありますけれども、その申請者が設備整備計画を実施する見込みが確実であるということが挙げられています。

 他方、設備整備計画には、再生可能エネルギー発電設備の整備とあわせて行う農林漁業関連施設の整備その他の農林漁業の発展に資する取り組みの内容も記載しなければならず、再生可能エネルギー電気の発電の実施と農林漁業の発展に資する取り組みとの両方を行うことが求められております。発電設備の整備を確実に行うためには、資本力、技術力に加えて、地域の農林水産業の実情に通じていて、農林漁業に関する知見を有する、そういった主体が想定されると思います。

 設備整備計画の認定を受ける主体としてどのような者が適当であると考えていらっしゃるのか、また、厳しい運用が行われれば、むしろ手続に時間がかかるのではないかといった懸念もあるというふうに考えますが、そのあたりはいかがでしょうか。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案は、農山漁村の資源を活用して再生可能エネルギー電気の発電を促進することにより、地域における所得の向上等を通じて農山漁村の活性化を図ることを狙いとするものでございます。

 このため、地域の農林漁業者やその組織する団体、地域の事業者といった地域の主体が設備整備計画の認定を受け、発電事業に関与することは、地域における所得の向上等に結びつくという観点から、望ましいものと考えております。

 他方、地域の主体以外の者が発電を行う場合であっても、発電による利益の地域への還元、農林漁業の健全な発展に資する取り組みの実施等によりまして農山漁村の活性化に貢献することが考えられることから、設備整備計画の認定を受ける者の対象としてこれらの者を排除するものではなく、その取り組み内容を踏まえて市町村が判断することが適当と考えております。

村上(政)委員 続きましては、どういった支援をしていくかということについてお伺いしたいと思います。

 市民ファンドをつくって、太陽光発電などを設置し、エネルギーの地産地消に取り組む、こういった事例が報道でも見受けられます。こうした地域ファンドをつくって再生可能エネルギー発電を進める取り組みが進みつつある中で、本法案はこのような取り組みと連携することは想定されていらっしゃるのでしょうか。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、市民等が資金を拠出する地域ファンドが資金を供給し、再生可能エネルギー発電事業を行う取り組みが進みつつあるということは承知しております。

 このような手法は、再生可能エネルギー発電事業を行おうとする者が活用できる資金調達手段の一つであるとともに、地域住民が積極的に資金の拠出を行うことにより、配当という形で地域にメリットを還元できることから、本法案の目的を達成する上で有効な取り組みであると考えております。

 本法案に基づき設置される協議会において、このような地域ファンドとの連携方策についても話し合うことで、地域住民の再生可能エネルギー発電への理解が深まることも期待されることから、協議会の活用方法の一例として、国の基本方針等を通じて広く周知してまいりたいと考えております。

村上(政)委員 次は、財政上の支援について伺いたいと思います。

 基本計画では、農林地所有権移転等促進事業の実施に関する基本方針を定めることができるとされております。

 本法案において、農林地所有権移転等促進事業とは、再生可能エネルギー発電設備の整備とあわせて、農林地の農林漁業上の効率的かつ総合的な利用を確保するため、農林地等についての所有権の移転等を促進する事業であって、実施主体は基本計画を作成した市町村ということになります。

 同様の仕組みは、特定農山村法や農山漁村活性化法でもそう規定されていますが、残念ながら、活用の実績は余り多くはないというふうに私自身は承知いたしております。

 また、当該事業によって、再生可能エネルギー発電設備の整備とあわせて行う農林地の農林漁業上の効率的かつ総合的な利用を確保するための所有権の移転が円滑に進むというメリットがあるというふうに考えられますので、そういった点を周知していくべきと考えますが、今後、当該事業をどのように運用していくのか、また、本法案と関連した財政上の支援措置はあるのかという点について伺いたいと思います。

江藤副大臣 お答えさせていただきます。

 おっしゃいましたように、せっかくワンストップでやれるわけです。農地法とかいろいろな法律がぶら下がっていますから、それをそれぞれに一個一個許可申請をとっていたら大変ですから、それをワンストップ化されることは非常に大事なことでありますので、そのことを周知徹底して、事業者の方々の御負担を減らすということは大事なことだと思います。

 財政上の支援措置はあるのかということでありますが、これも当然やらなければなりません。

 実際に、平成二十六年度の予算概算要求におきましては、地域の所得向上や農林漁業の健全な発展に資する再生可能エネルギー発電を促進するためということでありまして、まず一つ目には、農林漁業者やその団体が主導する再生エネルギー発電の事業構想から運転に至るまで必要なさまざまな手続、それから取り組みへの支援に対しての予算ですね。二つ目が、農業水利施設を活用した小水力発電に係る調査、設計等への支援を行う。三つ目が、地域バイオマスを活用した産業化の推進に必要な構想づくり、そして施設整備への支援を行う。四つ目に、木質バイオマスのエネルギー利用拡大に向けたサポート体制の構築や技術開発等への支援を行う。これは、トータルで二十九億五千万、これが来年の、平成二十六年の概算要求の中に入っております。

 これに加えて、環境省におきましては、エネ特、エネルギー対策特別会計を活用いたしまして、再生可能エネルギーを活用した低炭素型地域づくりやバイオマス利用を促進するために、農林水産省が執行に協力する事業が要求されております。二つの新規事業が立っておりますが、二つ合わせて大体六十億が立っておりますので、この法律と予算措置をあわせて実効性のあるものにしていきたいというふうに考えております。

村上(政)委員 ありがとうございます。

 続いては、市町村が基本計画を作成する際にどのような援助をしていくのかという点についてお伺いしたいと思います。

 市町村は、その規模が本当に千差万別であります。例えば、私の選挙区がある大阪市は二百六十万の政令指定都市ですし、数百人、数千人の村もというふうに、本当に市町村の大きさはばらばらでございまして、豊富なエネルギー資源に恵まれているにもかかわらず、当該市町村の中で本法案を活用した再生可能エネルギー電気の発電事業開始に踏み切れないといった、市町村の規模によってそういった市町村も出てくるのではないかなというふうに考えます。

 そのため、本法案では、再生可能エネルギー発電設備の整備を行おうとする者は、当該整備を行おうとする地域をその区域に含む市町村に対して基本計画の作成についての提案をすることができるものとするというふうにされておりまして、市町村に基本計画の作成を促すことが可能となっていますが、最終的には、基本計画の作成は市町村の自主的な判断に委ねられているというふうに理解しております。

 以上を踏まえると、市町村の基本計画作成に当たって必要な情報提供や助言ができるよう、国の相談窓口を設けるなどの援助が必要になるのではないかというふうに考えますが、どのような援助をお考えでしょうか。

小里大臣政務官 御指摘のとおり、農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生エネルギーを推進していくためには、まず、基本計画の作成を支援する体制づくりが重要であると考えております。

 このため、市町村の基本計画作成につきましては、先ほど説明にあったような予算措置による支援を行うほかに、基本計画の作成に必要となる情報の提供や助言が行えるよう、国の相談窓口を地方農政局等に設けますとともに、地方農政局等と各地方の経済産業局や環境事務所などと連携して対応することで、基本計画の作成を促してまいりたいと存じます。

村上(政)委員 そうした地方の出先機関同士の連携というものについてもお考えになっていらっしゃるんでしょうか。

小里大臣政務官 そのとおりでございます。

村上(政)委員 同じく、市町村に対するどのような援助をしていくかという点ですけれども、市町村は、認定設備整備者に対して、認定設備整備計画に従って再生可能エネルギーの発電が可能な設備の整備が行われ、かつ農林漁業の健全な発展に資する取り組みが適確に実施されているかについて、必要な指導及び助言を行うものとするということになっております。

 市町村においては、設備を整備する計画を認定した後に、さまざまな理由から、認定を受けた設備の整備計画の変更や認定の取り消しを行う必要があるというふうに考えます。

 以上を踏まえると、市町村による認定の的確な実施をどのように確保するのか。また、都道府県も市町村による基本計画の作成、それから実施への援助をすべきではないか。その上で、設備の整備計画の認定の後に、市町村による監視、指導監督のあり方をどのようにするのか、これについてお伺いしたいと思います。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 市町村の再生可能エネルギー導入の取り組みを進めるためには、国、都道府県から市町村に対し、情報提供や助言等を常日ごろから行う必要があることから、農山漁村再生可能エネルギー法案では、国、都道府県による援助規定を設けているところでございます。

 具体的には、都道府県から市町村に対しましては、調査事業や実証事業により得られた再生可能エネルギーに係る資源の賦存状況、それから立地条件等の情報提供や技術的な助言、さらには各都道府県において定められている新エネルギービジョン、構想等の内容や、活用可能な再生可能エネルギー導入支援措置等に関する情報提供等の援助が行われることを想定しております。

 国の基本方針においてもこのような援助の具体的な内容を規定し、市町村の基本計画の作成と実施を推進していく所存でございます。

村上(政)委員 時間もございますので、ちょっとこれは通告してはおりませんけれども、法案に関連して幾つか伺っていきたいと思います。

 本法案では、再生可能エネルギー発電の設備の整備とあわせて促進する農林漁業の健全な発展に資する取り組みを行うこととなっておりますが、その内容については、農林漁業関連施設の整備が明記されておりまして、恐らく農林水産省の省令で定めることとなるのではないかというふうに思います。

 一般的に、農林漁業関連施設としては、農産物の集出荷施設、乾燥の調製の施設、あるいは加工の施設、販売の施設、それから鳥やけものの鳥獣害被害防止施設等が考えられますが、具体的にはどのような施設を定めるというふうにお考えでしょうか。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の農林漁業の健全な発展に資する取り組みの農林漁業関連施設でございますけれども、例えば、この関連施設として、農林漁業者が行う六次産業化の取り組みに当たり必要となる農林水産物等の加工施設ですとか、先ほども申し上げましたけれども、風力発電設備の近隣において発電設備の見学者等に地元の農林水産物等を販売する直売所ですとか、それから、製材所で発生する残材を活用して木質バイオマス発電の燃料となる木質チップを製造する施設ですとか、漁港の区域内において、太陽光発電設備の整備とあわせて、発電した電気を活用する水産物加工施設等を想定しております。

 これに限らず、その地域の協議会で関連の方々が協議をしていただいて、その地域で真に必要な施設については、いろいろなものが考えられると思います。これはだめということは、特に今考えておりません。

 以上です。

    〔委員長退席、宮腰委員長代理着席〕

村上(政)委員 続いて、施行の状況の検討についてお伺いしたいと思います。

 近年の立法の例においては、施行後五年間を経過した場合、あるいは施行後五年以内に、法律の施行状況について検討を加えて、必要があると認めるときには所要の措置を講ずるという検討条項が一般化しているというふうに承知しておりますが、本法案においても、施行後五年以内の検討を求めています。

 これについて、再生可能エネルギー電気の発電の促進は重要な政策課題であって、近年、非常に注目もされておりますし、施行状況の検討についてはスピード感を持って対応することが求められると思います。

 さらに、固定価格買い取り制度による買い取り価格が減額された場合、実際に太陽光については四十二円から三十七円というふうに減額されておりますし、そういった事態も想定されると思いますが、事業者が再生可能エネルギー電気の発電事業から撤退することも考えられると思います。

 そこで、固定価格買い取り制度を定めた再エネ特措法の見直しの規定との関係はどのように整理されているのか、お伺いしたいと思います。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案における見直し期間は、再生可能エネルギーの電源によって事業計画から稼働までの期間が異なるものの、発電事業の施行後五年程度経過すれば、再生可能エネルギー発電事業による農山漁村の活性化の効果を把握することが可能であることから、この見直しを五年以内としているところでございます。

 他方、再生可能エネルギー特別措置法では、再生可能エネルギー源の利用の促進に関する制度のあり方について、少なくとも三年ごとに検討を行い、必要な措置を講ずるとともに、平成三十三年三月三十一日までに抜本的な見直しをする旨の規定がされているところでございます。

 仮に、再生可能エネルギー特別措置法の三年ごとの見直しにおいて大幅な見直しが行われるとすれば、本法案の運用に大きく影響を及ぼす可能性があることから、同制度の見直し状況を踏まえつつ、機動的かつ適切に対処してまいりたいと考えております。

村上(政)委員 見直しを行う際には他省との連携というものも必要になってくると思いますが、そのあたりの、連携をしながら検討する、見直しをするというふうなお考えはおありでしょうか。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 この法案は経産省とも共管しておりますので、関係省と十分に連携をしてこの法案の運用を図ってまいりたいと思っています。

村上(政)委員 固定価格買い取り制度の話をしましたので、その関連でお伺いしたいと思います。

 平成二十四年の七月から開始された固定価格買い取り制度のもとでは、ことし五月までの十一カ月間で、全国で計二千二百万キロワット分の事業が認定されております。メガソーラーなどの、住宅ではない非住宅太陽光発電が一千九百万キロワット余りを占めておりますが、このうち、実際に運用を始めたのは一割に満たないというふうに聞いております。

 さらに、事業者が設備の値が下がるまで発電の開始を待つという例や、土地ごと転売してしまうといった新聞報道もなされておりまして、経済産業省は実態の調査を開始したというふうに報道されております。

 一方、農山漁村における再生可能エネルギーを導入、普及するに当たっては、例えば、風力発電や地熱発電の設置に係る環境アセスメントの期間の大幅な短縮等、規制や制度の見直しの必要があるのではないかという分野も存在します。

 そこで、政府全体にまたがる課題について、どのようにこの点について対応していかれるのか、お伺いしたいと思います。

林国務大臣 午前中の質疑でもありましたように、主には経済産業省それから環境省、こういうところとの連携というのが非常に大事になってくるというふうに思っておりますし、今局長からも答弁いたしましたように、特に、FIT、これの制度がどうなってくるかということによっても大きく変わってくるということでございますので、その都度必要な対応はとらなければいけないと思っております。

 この法案の中にも、例えば途中で事業者が撤退をした場合どうするかということをあらかじめ定めておくというようなことを決めておりますので、今予見し得ることについてはここに入れておるわけでございますが、さらに今後、それぞれの状況に応じて適切に対応してまいりたい、こういうふうに思っております。

    〔宮腰委員長代理退席、委員長着席〕

村上(政)委員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 さらに、地球温暖化との関係でも伺ってまいりたいと思います。

 再生エネルギーの導入の促進は、CO2の削減にも寄与するものと考えます。本法案は、地球温暖化の防止を目的としたものではございませんが、農山漁村における再生可能エネルギー電気の発電の促進は、地球温暖化対策という中においてはどのように位置づけられているのか、お考えをお聞きしたいと思います。

林国務大臣 この法案は、地球温暖化の防止というものを直接の目的にしているわけではございませんが、農山漁村における再生可能エネルギー発電を促進するということは、化石燃料による発電の一部を代替するということにつながるものでありますので、結果として温室効果ガスの排出抑制による地球温暖化対策に資する、こういうふうに考えております。

 したがいまして、この法案で、まず、国の基本方針については、地球温暖化の防止を図るための施策に関する国の計画との調和が保たれたものでなければならないということを四条の三項で定めるとともに、今度は市町村の基本計画、先ほど委員からもいろいろ御質問いただきましたが、これの作成に当たっては、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく地方公共団体の実行計画、こういうものがございますが、これとの整合性の確保を図るようにする、このことを五条十項で定めておるところでございます。

 こういったことによりまして、農山漁村における再生可能エネルギー発電の促進を通じて、結果としての地球温暖化対策にもつなげてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。

村上(政)委員 最後に、この法案自体が地域に対して利益を還元していくという観点でありますので、地域、それから安倍内閣として定められた日本再興戦略、こういった観点からお伺いしていきたいと思います。

 日本再興戦略では、テーマの四で世界を引きつける地域資源で稼ぐ地域社会の実現というふうにうたっておられまして、世界に冠たる高品質な農林水産物、それから食品を生み出していく豊かな農山漁村社会や、観光資源等のポテンシャルを生かして世界の多くの人々を地域に呼び込む社会といった、二〇三〇年のあるべき姿が掲げられております。その中で、六次産業の市場規模を現状の一兆円から二〇二〇年には十兆円とするというふうな、非常に野心的で大きな目標を掲げておられます。

 農業の総産出額が減少していく中で、こうした具体的な目標というものを達成される道筋について、最後にお尋ねしたいと思います。

林国務大臣 ちょっと御通告がなかったので手元に詳細な数字がございませんが、再興戦略、それのもとになる与党自民党での農業・農村所得倍増計画、こういうものに基づいてこれをつくらせていただきました。

 六次産業化は、御案内のように、一次産業である農林水産業と製造加工業の二次産業、そして小売、農家、レストラン等々の、直売所も含めた三次産業、これが一つになることによりまして、付加価値をつける。また、一次産業の方が直接六次産業化することによりまして、消費者と触れ合うといいますか、消費者の意向に直接接することによって、消費者が欲するものを的確につくっていく。

 こういうことを通じることによって、農業自体の生産額がたしか九兆円内外だったと思いますが、一方で、流通、食料まで含めたものが九十兆ぐらいございます。この九十兆の中できちっと農村の所得をつくっていこう、取り込んでいこう、こういうことでこの計画をつくったわけでございますし、今の取り組みとしては、いわゆるA―FIVE、農林漁業成長産業化ファンド、こういうものも通じながら、しっかりとこの目標に向けて邁進をしてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。

村上(政)委員 質問を終わります。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、林宙紀君。

林(宙)委員 みんなの党の林宙紀です。

 本日は、きょう農林水産委員会で初めて御質問されるという方が、多分間違いがなければ四名様ほどいたのかなと思うんですが、私は、そうやって自分のことを振り返ってみたら、前の国会から数えても十一回か十二回ぐらいになっていまして、出てくるたびに、またか、こうお思いになられる方も多いかもしれませんが、引き続きおつき合いをいただきたいなというふうに思います。

 今、その話をさせていただいたので、結構順番も後ろの方なものですから、毎回、前に御質問される方とどうしても質問が重複するという事案が結構多くて、何回も質問させていただくので大変勉強になるんですけれども、最近は、いかに重複をしないように角度を変えるかとか、とても隅っこの方にありそうなお話を問題にさせていただくことで、だんだん、ちょっと本来の潮流から外れてきているんじゃないかなと思うときもあるんです。そういった意味で、あっ、これは考えたんだなと思うような質問があったら、胸の中で拍手していただければありがたいなというふうに思います。

 そんなわけで、きょう最初の質問は、まさにそういうことだと思うんですが、今回の法案が、農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律案なんですね。再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律案ということなんですけれども、いろいろ考えてみると、世界の再生可能エネルギーに限らずなんですが、発電施設というのは、熱をどう利用するかというところも実は結構重要だったりするわけなんです。

 ちょっと済みません。お話が長くなって恐縮なんですが、ことしのゴールデンウイークに我が党の有志でドイツとかデンマークに行って、いわゆる再生可能エネルギーの現場を視察してきたというところがあります。

 ドイツの例でいくと、これはもう御存じの方も非常に多いと思いますが、ユーンデ村という村がありまして、そこでは、もともと農業が盛んなものですから、バイオマスエネルギー発電をやって村の利益にしていこうという取り組みが行われているわけです。

 具体的には、ここのバイオマスの場合は、周辺の牧場から家畜のふん尿を買い取りまして、プラントで発酵させてバイオガスを産出するという発電方法でございます。この発電でもって何をやるかというと、もちろん電気は村の中で使えますし、余った分は外に売ります。と同時に、地域熱供給といって、村じゅうに熱水パイプを張りめぐらせて、その発電のときに生じる熱、あるいは、バイオガスですから、バイオガスが発生するときに熱自体も出るわけで、そういった熱をうまく使って地域熱供給を発電とともにやるというようなことがあります。

 これはすごい実績を上げていて、世界じゅう全てそうだとは言いませんが、このユーンデ村の場合は、初期投資が八百万ユーロ、大体十億円ぐらいだと。それに対して、売電とか熱供給による年間収入が四百万ユーロだ。半分ですね。実際にその中からいろいろ経費を差し引いて利益を計算すると大体五十万ユーロぐらいですよ。これはビジネスとして考えたら大成功だなというような事例も世界の中にはありますよということなんですね。

 こういったものを党の有志で視察してきたものですから、日本でもこれに類する取り組みというのは、やれるところがあるんだったらやっていった方がいいんじゃないのかということは、党内でも政策的に進めていきたいなというところではあるんですが、そのときに、今回のような法案というのは、ひとつそこと関係してくるんじゃないかと思うんです。

 今回は、発電をする施設をつくりますよというときにどうしましょうかというようなお話だと思うんですけれども、ぜひこの熱電供給、コージェネレーションといいますが、これもあわせて、やれるところはやっていった方が、それは当然、エネルギーの利用という意味では非常に効率的になりますね。

 それで質問なんですが、こういった発電施設の場合は対象になるとして、あわせて、例えば、では、熱水をパイプラインで張りめぐらせましょうとか、そういったお話になったときに、当然、熱水を供給するための施設とか、あるいは、パイプライン自体というのも一つ考慮しなければならない施設ではあるんだろうなというふうに思うんです。

 ということで、こういった熱利用に関しては今回の法律でどのように扱われようとしているのか。また、あわせて、今私が申し上げた熱電供給、コージェネレーションといったものも含んでこの法律で考えていくのかというあたりを教えていただきたいなと思います。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案は、固定価格買い取り制度により再生可能エネルギー発電事業の事業性が大幅に改善されたことを契機として、農山漁村における再生可能エネルギー発電の利益の地域への還元等を通じて、地域主導で農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー発電を促進するものでございます。

 他方で、再生可能エネルギーによる熱の農林漁業への活用については、現時点では、事業の採算性や技術面での課題を克服することが必要な状況でございます。また、農業用の施設等と一体的に整備されることが多いことから、再生可能エネルギー発電事業と比べて土地利用調整の問題もほとんど生じないと思っております。

 このように、再生可能エネルギー発電と熱供給とでは、導入促進に向けた課題や手法が異なるため、本法案では熱を法律上の措置の対象とはしなかったところでございます。

 しかしながら、委員御指摘のとおり、バイオマスを利用したいわゆるコジェネ、コージェネレーションについては、我が国ではいまだ十分な取り組みがなされていない状況にありますが、熱を農林業に活用する動きもあることも踏まえて、バイオマスを活用した発電設備の附属設備として熱供給設備を整備する場合も本法案の対象となり得ることを国の基本方針等で示す方向で検討したいと思っています。

林(宙)委員 この熱電供給という思想は、実際に導入できるかどうかはその時々の判断になると思います。ただ、なかなか日本は今までこういった取り組みを主にはやってこなかったんじゃないかなと思っているので、ぜひその選択肢の中には入れて導入を進めていっていただければなというふうに思っています。

 我が党でも、もしそういった制度設計の面で政府の皆さんの参考になるようなことがあれば、ぜひ御提案をさせていただきたいなというふうに思っております。

 質問が重複するのでということで、こういう形で何とか頑張らせていただいているわけなんですけれども、ちなみに、これはちょっと確認をさせていただきたいという意味で通告に入れさせていただいたんですが、この法案によって、再生可能エネルギー発電施設をつくるために、いわば、ふだんですと本当に厳しい制限が課せられている農地転用というものが特例的に認められていますよということがあります。

 ちょっと農地転用ということを考えたときに、そこの農地をもともとお持ちの農家の方が事業者になるという場合にはそのままなんですが、先ほどもお話から出ているように、外から投資という形で、例えば事業者の方がその農地を何らかの形で取得をしてという場合もあるでしょうし、もう一つは、その農家が、売りはしませんが、農地を貸して、賃貸という形でその事業に供するというパターンもあるかと思います。

 これは、考えれば簡単な話なんですけれども、一応確認ということで、これは土地の売買とか賃貸にかかわらず、農地転用というのはその事業をやる上で認められれば農地転用していいですよということになるという理解でよろしいでしょうか。

小里大臣政務官 念のために申し上げておきますが、本法案によりまして特例的に農地転用を認めるというわけではありません。基本は、耕作放棄地、それも再生困難な農地に限る、太陽光パネルの場合は特に、そういう前提に立っております。

 そこで、本法案においては、再生可能エネルギー発電設備の設置に当たりまして、農地法第四条第一項に基づき、地権者みずからが農地を農地以外のものに転用するケース、要するに、みずからが発電事業を行うケース、それと同時に、農地法第五条第一項に基づきまして、農地を農地以外のものにする等のため所有権の移転や賃借権の設定を行うケース、いわゆる他者が事業主体となるケース、両方を想定しております。

林(宙)委員 ありがとうございます。

 この法案で特例的にということではないんですよということだったので、なるほど、ありがとうございますという感じなんですが、きのうまで何度か役所の方とやりとりをさせていただいていて、同じような説明をして、はい、そういうことですという感じだったものですから、そういう理解なのかなと私は思っておりました。私の理解の仕方がちょっと違っていたのであれば、申しわけございません。

 これに関連するわけじゃないんですけれども、では、本法案に基づく農地転用はと通告しましたが、そうじゃない農地転用だということで、一応、私は、宮城の人間ですので、被災した土地に関して農地の扱いをどのようにしたらいいんでしょうかという御質問もこれまでも何度かさせていただいていると思います。

 これは前にお話しした案件なんですけれども、ことしの春ぐらいにかなり地元では話題になっていたんですが、要は、沿岸部の農地で津波の被害があった。その農地を除塩などして使えるようにするには、やはりそれなりに時間がかかるわけですね、数年単位ということで。そうすると、大体そういった土地で耕作されている方は、御多分に漏れず、どうしても御高齢の方が多いものですから、その農地が使えるようになるまで待っていて、それからまた農業をやろうよという気持ちにはなかなかなれないんですという方は多いというのは御存じのとおりだと思います。

 そのときになんですけれども、使えないまま放っておくのも、あるいは、農地として将来自分が耕せるかどうかはわからないのに整備をしてもらうのもということで、実は、太陽光発電を初めとして、再生可能エネルギーをそこでやっていただいてもいいんじゃないかというお話は結構いろいろなところであったんですね。そのときも私はいろいろと御相談をさせていただいたと思うんですが、やはり農地転用というのはそう簡単にできるものではありませんし、なおかつ、地元の自治体で、そこは、転用というよりも、できればもう一度農地として復活させたいという計画の中に入っているということもありまして、なかなか、そういった農地の持ち主さんの希望、そういったものにはかなわないですよということになってきたわけなんです。

 一応、念のためお伺いしておきたいんですが、この法案に基づいて、例えば、そういった農地としての復旧の見込みがない、あるいは農地として復旧させる意思が持ち主さんにない、なおかつ、特に、農地として将来的にもう一回使うんですよという整備計画の中にも入っていなくてという条件のもとに、持ち主さんが、では、ここで再生可能エネルギーをやりたいですと言った場合には、この法案に基づいてこれはできるようになるかどうかということをちょっとお伺いしたいと思います。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 この法案は、全国を適用地域としていますので、被災地に特別どうこうという話ではございません。農地法に基づく転用許可の手続等のワンストップ化というのを図ることによりまして、農地転用の手続の簡素化を行うものでございます。

 また、例えば、再生可能エネルギー発電設備の整備とあわせて地域の農業の振興に資する農地の確保をしようとする場合に、被災された農業者の方や地権者の方と再生可能エネルギー発電事業者との間で、再生可能エネルギー発電設備の整備に係る権利の移転、設定を迅速に、かつ円滑に行うため、本法案に基づく所有権移転等促進事業の活用ということも可能でございます。

 被災地との関連で申し上げますと、東日本大震災復興特別区域法というのがございまして、これにおきまして、市町村が策定する復興整備計画に再生可能エネルギー発電事業を復興に必要な事業と位置づけた場合、農地区分にかかわらず、当該事業について農地転用を行えるようにする措置が設けられております。このような措置を活用して再生可能エネルギー発電設備の整備を行うことを検討することも選択肢の一つかと考えております。

林(宙)委員 ありがとうございました。

 済みません。今、通告の順番を一個飛ばしてやってしまったので、申しわけございませんでした。

 ちょっと戻りますけれども、そうすると、津波浸水域に対してはそういった理解で納得しております。

 これも、実は復興に絡んでということで、以前、一度大臣に御質問してお答えをいただいているんですけれども、通告番号でいうと三番に今戻らせていただいていますが、再生可能エネルギーに限らないとは思うんですが、要は、農地というものをほかの用途に使おうとすると、いわば農地に関する納税の猶予措置というものがありますよね。これが大きなハードルになってくるんじゃないかなというふうに個人的に考えています。

 何を言っているかというと、済みません、また復興の話で恐縮なんですが、復興のときに、例えば、御自身のおうちが沿岸部で流されてしまって、内陸の方に御自身がある程度の農地を持っているパターンというのは実はあったんですね。なかなか、ほかのところに移るにしても、土地を買わなきゃいけないとかいろいろあるものですから、単純になんですけれども、自分が持っている内陸の農地の一部に、仮住まいでもいいからおうちを建てられないかというようなことが実はいろいろありました。

 そのときに、当然農地転用というのが必要になってくるわけなんですが、農地転用をしようとすると、農地を保つために、そのインセンティブとして納税を猶予する措置というのがあるわけです。農地転用した瞬間にその納税猶予措置が打ち切りになってしまう、これは租税特措法というところでそのように決められているそうですが。しかも、何もしなければ、きのう確認させていただいたら、二カ月以内にその猶予措置が切られてしまうんですね。

 そうすると、それまで、場合によっては十年とか二十年とか、もっと長い年月納税が猶予されているパターンにおいては、払わなければいけない額というのがそれこそ百万円とか二百万円単位になっていて、なかなか個人の方ではぽんとは払えませんよというような状態が起こり、であるがゆえに、そういったところに移るのは断念をするというパターンがありました。

 これだけだったら、個人の方のお話なのでということになるんですけれども、もう一つ、防災集団移転というのがありまして、防災集団移転する先、移転して、では、ここにまた集落をつくりましょうとなったときに、その中に農地が含まれているパターンというのがあるわけです。そうすると、この農地を手放さないと住宅地にできないので、そこを持っている人は、はい、では、手放しましょうかという話になるんですが、これも今と同じ納税猶予措置というのがあるがゆえに、手放すことができない。だから、地元の自治体は、では、そこは手放せないんだったらちょっと移転先をずらしましょうかというような話というのはあったんですね。

 長々と説明しましたが、これを三月の予算委員会のときに、大臣に、この辺というのは何とかならないものでしょうかという御質問をさせていただいて、たわけ者の例を出していただいて、いろいろと御説明もいただいたと思うんですが、今回もこういうことが起こり得るんじゃないかなと思います。

 要は、発電設備をつくろうと思って、では、農地転用をします、そこの分の税金、もし納税猶予をされていた土地であれば、そこは払わなきゃいけない、こういうことになったときに、では、やはりやめようということは起きるんじゃないかなと私は思っているんですね。

 当然、その納税猶予措置されたものを免除するというのはまた全然違う話だと思うんですが、せめて、二カ月以内にすぐ払ってくださいということじゃなくて、もうちょっと、一年なり二年なり、あるいは五年とか、ある程度の期間を設けて、猶予して、猶予というか期間をちょっと延ばして払ってくださいねとか、そういう措置ができるとそういった問題も起こりにくくなるんじゃないかなと思っているんですけれども、このあたりについてどのようにお考えか。大臣、お聞かせください。

林国務大臣 前回もお話をあるいはしたかもしれませんが、そもそも、払っていただくべき相続税や贈与税を猶予する理由というのが、みずから農業経営を継続するというのが条件になっておるわけでございまして、そういった相続人や受贈者を税制面から支援するためにこの納税猶予の特例が設けられているということでございますので、したがって、対象農地を譲渡すれば、当然、もう営農の継続というのが前提とされなくなるので、納税猶予はなくなるということです。

 対象農地を譲渡した場合でも、一年以内にその対価により他の農地を取得する場合には、その譲渡はなかったものとして納税猶予が継続される特例もあるということでございますので、一年以内というところが一つございます。

 したがって、再生可能エネルギー施設のために転用するために売却したという場合でも、この買いかえ特例を活用していただければ納税猶予を継続することが可能になる、こういうことでございます。

林(宙)委員 今、私の質問の中で買いかえ特例の例を挙げるのを忘れたので、ありがとうございます。

 買いかえ特例、もちろん、これを利用していただけば全く問題なく進むと思うんですけれども、そもそも、先ほどの被災地の場合の例だと、その買いかえ自体が難しいのでというところが結構大きなネックになっていたわけです。今回も、同じタイミングでいい土地が、いい農地が見つかれば、それはいいなと思いますけれども、そうじゃなかった場合に、やはり同じ扱いでは、せっかくいい形で発電施設をつくろうという計画があっても、それがなくなってしまうのもどうなのかなということで、これは今の段階では検討にも値しないという意識でいてよろしいんでしょうかというところを、もしよかったらお聞かせください。

林国務大臣 これは、今の税法がこういうふうになっているという御説明をいたしたわけでございます。

 我が党におきましては、毎年、今ぐらいのシーズンになりますと、自民党税制調査会というのが開かれまして活発な議論が行われるわけでございますから、いろいろな政策的な理由、また復旧復興に必要な理由等々で、いろいろな政策是正というのはあり得るわけでございます。

 今私が申し上げたように、この納税猶予制度というのは、みずから農業経営を継続する方、これが前提となっておりますので、売った方の農地、転用した先がどうなるかということに着目したわけではなくて、農業を継続されるかどうか、ここに着目した制度であるということでございますので、その制度で云々ということは、なかなか制度のたてつけ上は難しいのではないかというふうに考えております。

林(宙)委員 ありがとうございました。そのあたりの御意見をいただけたので、今後はそういうことでということで理解させていただきます。

 次の質問に移らせていただきます。

 先ほども少しお話の中で触れられていたかもしれませんけれども、今回、基本計画という中にあって、農林地所有権移転等促進事業の実施に関する基本方針を定めることができるというような文言もございます。

 この所有権移転促進事業というものについてなんですけれども、実は過去にも、同じようなといったらほぼ同じなんでしょうけれども、所有権等の移転を促進するための法律というのはあるということで、例えば、ちょっと長い名前なんですが、これは平成五年に制定されていると思うんですが、特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律というのと、これは平成十九年、農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律というものがあって、この中で同じように所有権の移転等に関してというものがある程度認められているということでした。

 実際に、この二つの法律に基づいてどのぐらいの所有権移転がなされているのかなということでお伺いしたら、二件合わせて八件だと。この二つの法律を合わせて八件分、全国でですよ。

 特に、平成五年の法律はもう二十年たっていますし、平成十九年の法律もほぼ六年たっているわけですから、この長い間に八件というのが、実績として多いか少ないかというのはそれぞれの見方だと思うんですけれども、まず、これについてどのように認識されているかということ。

 あと、本法案をやっていくに当たって、この所有権移転促進事業というのが、どのように今後の再生可能エネルギー及びそれと調和のとれた農山漁村の発展というところに寄与するとお考えなのかというのを教えていただければと思います。

實重政府参考人 お答え申し上げます。

 既存の法律の中で農林地所有権移転等促進事業を規定しているものとしましては、今委員御指摘のとおり、特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律、これは特定農山村法といいますけれども、それから農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律、これは略称が農山漁村活性化法であります。

 特定農山村法については、実績としては農林産物の加工施設などがございまして、精査したところ、この法律で十件でございました。それから、農山漁村活性化法については適用事例がありません。ゼロ件でございます。

 このように、利用頻度が低いことになっておりますけれども、その背景といたしましては、農山漁村活性化法は、定住、交流といったことを目的といたしますので、交流施設といったものが主でございます。

 それから、特定農山村法は、中山間地域における農業の共同利用施設、実績でいいましても加工施設といったものが主でございます。これらの整備が想定されておりまして、実際に多数、事業自体は実施されておりますけれども、多くの所有権などを一括してまとめて移転するような必要性のある事業が実態として少なかったということが背景だろうと思います。

 また、交流施設ですとか共同利用施設といったものにつきましては、いずれも、農業者がみずから利用する、あるいは市町村で設置をし、整備をするというような施設でございますので、建設用地を既に確保済みである場合が多かったことなどが背景になっているものと承知しております。

林(宙)委員 このシステム自体もかなり活躍するんだろうなと思いますので、ぜひ有効に活用していけるような内容になればいいなというふうに思っております。

 ちょっと話はかわりますけれども、本法案をもとにして再生可能エネルギー施設というのをつくっていきますよという場合に、例えばその業者側にどういったメリットがあるのかなというところもちょっとお伺いしたいんです。例えば、今の段階で、その事業をやっていく場合には、固定資産税の優遇措置が少しあるとか、何か税制上のメリットみたいなものが今のところ考えられているかどうかを教えてください。現時点で大丈夫です。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 再生可能エネルギー発電設備に関する税制の特例措置につきましては、平成二十四年度から、経済産業省、環境省と共同で、発電設備に係る固定資産税について、課税標準を最初の三年間三分の二に圧縮する特例措置を講じているところでございます。

 本措置につきましては、今年度で終了となることから、平成二十六年度税制改正要望におきまして、経済産業省、環境省と共同で、総務省に対し、延長要望を行っているところであり、引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。

林(宙)委員 ありがとうございます。

 次の質問については、これはさきの質問者の方々が何度もお伺いになっていることなので、あえてお答えは必要ありません。

 これは、いわゆる外から事業者が入ってきた場合に、地域への利益還元をどのように担保していくかという質問なわけなんですけれども、それに関しては十分お答えをいただいておりますし、また場合によってはその設備計画の認定を取り消すということで、原状回復等々を求めていくというようなお話でしたので、そういった方向で、ある意味ペナルティーが設定されているんだろうなというふうに思います。

 そう考えると、これは次の、通告した八番の方に移りますが、一番ベストな形は何なのかというふうに考えていくと、やはり、その地域に住まわれている住民の方々、住民グループがうまく、例えば自分たちで投資をするとか、あるいはそこに補助があればなおいいのでしょうけれども、そういった形で再生可能エネルギーの発電設備をつくっていき、それを自分たちの地域で使っていく、あるいは売電して、その収入を自分たちの地域に役立てていくということが考え得る一番いい形なんだろうなというふうに私は思っています。

 それが、先ほど申し上げたドイツのユーンデ村の例でもあります。ちなみに、先ほど申し上げたユーンデ村の場合は、これは住民の皆さん自身にも投資負担というのがありました。住民の皆さん自身も、それをやることで地球にも貢献できるし、何より村に利益が発生するだろうということで、しっかりと意識を共有して、みんなで投資、全額じゃないにしても投資をして、その分成功した売電収入等々のメリットを受けている。外に電気を売るぐらいですから、村の中は全てその発電で賄っていて、こういうことができると、例えば日本というのは、今火力発電、石油等々にかなりのお金を使っているわけなんですが、もしこういった取り組みが広くできるようになると、そういう意味で今まで外に使っていたお金を、今度は中に投資できるようになるという要素ももちろん含んでいるわけですね。

 そういうことで、例えば、この法案に基づいて再生可能エネルギーを進めていく場合には、できれば地域の住民の皆さんも投資をしていきましょうとか、そういった形で地域の住民グループで再生可能エネルギーを進めていく、それを促進する仕組みというのももしかしたらあっていいんじゃないかなと思うんですが、大臣、現段階ではそれについてはどのようにお考えか、お聞かせください。

林国務大臣 今、ユーンデ村の状況を大変興味深く拝聴させていただきましたが、よくオーナーシップソサエティーという言葉を使いますけれども、自分たちが自分で持っているという意識をその地域の方がそれぞれ持っておられるということがやはりいろいろな意味で大事であるな、こういうふうに思っております。

 今回の法案でも、そもそも、地域の農林漁業者の方が直接やられたり、その組織する団体や地域の事業者といった地域の主体がやるということが非常に望ましい、それが地域における所得の向上等に結びついていくという観点から非常に望ましい、こういうふうに考えております。

 したがって、来年度、二十六年度の予算の概算要求におきましても、こういう地域の取り組みを促すという意味から、例えば、農林漁業者やその団体が主導する再生可能エネルギー発電の事業構想から運転開始に至るまで必要となるさまざまな手続、取り組みへの支援、なかなかやりたいけれども面倒くさそうだなという方に対して支援をする、また、農業水利施設を活用した小水力発電に係る調査、設計等への支援、それから、地域のバイオマスを活用した産業化の推進に必要な構想づくりや施設整備等への支援、それから、木質バイオマスのエネルギー利用拡大に向けたサポート体制の構築や技術開発等への支援、こういった事業に必要な予算を盛り込んでおるところでございまして、この法案に入れさせていただいた措置に加えて、こういう予算措置も活用して、地域の農林漁業者等による、農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー発電を促進していきたい、こう考えております。

林(宙)委員 ぜひ、地域の住民の皆さんが、これは自分たちで投資してつくったんだということもできるような仕組みというのも、もし可能なのであれば検討していっていただきたいなというふうに思います。

 では、時間が参りましたので、以上で終了します。ありがとうございました。

坂本委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 まず、法案について質問させていただきます。

 きょうは、かなり出ましたので、かなりダブっていますので、ちょっとニュアンスを変えて聞く部分もあると思いますが、そこはお許しいただきたいと思います。

 まず、法案の基本理念であります。

 ここは、まさに地域還元、そういうことが話題になって議論になったということで、基本理念として、地域の活力の向上及び持続的発展を図ることを旨とすべきことという規定が基本理念で追加されたということであります。これはこれでいいわけですが、まさに、一般的な訓示規定であれば、これは実は廃案となった法案と何ら変わりはなくて、訓示規定であれば前の法案でもそれなりに読めたと私は思っていますが、そこを書き込んだということが実効的な意味を持って担保されなければならないだろうなと思っております。この部分は、廃案になった議論のときも自民党さんのかなりこだわりのあった部分でありまして、まさにどうやって担保されるか、ここが課題だと思っております。

 先ほど、具体的にどのような地域還元効果があるかということはるる議論になりましたので、ここは結構なんですが、その担保というところをもうちょっと議論させていただきたいと思います。

 大臣、先ほど、設備整備計画の取り消し、これも含めて担保をしっかりやるということだと思いましたが、実は、午前中もちょっと議論があったと思うんですが、設備整備計画が適合すべきものは市町村がつくる基本計画でして、この基本計画に適合すべきこととなっている。だから、結局、取り消す場合には、基本計画にしっかりと地域還元のところが相当程度具体的に書かれていないと、ここが抽象的であれば、設備整備計画の認定を取り消すということまでは至らないだろうと思っております。

 だから、もともとの市町村の基本計画を、そういうことが判断できる基準となるように、かなり具体的に書かなければならないだろうと思っておるんですが、そこの運用方針も含めて、しっかりそこは書いて担保するよということなのでしょうか。そこをちょっとお答えいただければと思います。

林国務大臣 畑先生おっしゃるとおり、やはり基本理念につけ加えました残りの条文は全部一緒でございます、これではいけませんので、この確実な実施を担保するということが大変重要である、こういうふうに考えております。

 今お触れもいただきましたが、市町村、関係農林漁業者、団体等の協議を経て、市町村が基本計画を定めることとなっておりますが、具体的には、発電事業者が売電収益の一部を支出して太陽光発電設備の周辺の農地の簡易な整備等を行い、農業の生産性を向上させる取り組みなどなど、こういうものを想定しております。

 これを実施するときに、市町村は当該基本計画に基づきまして、農林漁業の健全な発展に資する取り組みが記載された設備整備計画を認定するわけですが、この設備整備者の取り組み内容を確認するということをいたすとともに、二十一条で、指導助言を行うということを規定しておるわけでございます。

 先ほどどなたかの質問で申し上げましたように、ある程度、地域の自主性、地域の特殊性に鑑みて、例えば、定款必須記載事項みたいなものを事細かく国の方で定めるということをいたすと、かえって縛ることになるというところもございますが、ここは、市町村がこういうことをやるときに、先ほど来議論があるように、県等の指導や、我々も基本方針ということでしっかりとやっていくということでございますので、運用の面で具体性がしっかりとあらわれて、その結果、この二十一条等々、指導助言、そして、このとおりのことを行っていないと認める場合には認定を取り消す、この仕組みがきちっと生きてくるような運用をしていきたいと考えておるところでございます。

畑委員 まさに、地方に任せるとして、市町村がきっちりしたそういう基本方針、基本計画をつくらなければいかぬのだろうなと思っております。

 実は役所というのは、往々にして、法律をつくるところまではつくって、その後の運用で基本計画なり計画的なところが結構抽象的になる部分も、これまで多々弊害があって、認定を取り消すためには、そこはしっかり判断根拠たるような具体性を持ったものであることが必要で、どのように具体性を持たせなきゃいかぬのかということは、これは別に国が指導しなくてもいいんですが、ともかく市町村が具体性を持って決めましょうというところをしっかり何らかの方法で担保して、御指導いただければと思っております。

 それでは、次の質問に行かせていただきます。

 これは農村所得倍増計画との関係でありまして、まさに、これは地域で地域資源を生かして、再生可能エネルギーで発電をしていくということであります。農村所得倍増計画では、農業に従事している狭義の人だけではなくて、農家レストラン、民宿、あるいは六次産業化も含めて、そこは勘案しながら、倍増をやっていくということでありました。

 結局、幅広い形で考えておられるんですが、今回の再生可能エネルギーも、地域還元の効果があって、そこの部分の収益等は農村所得倍増にどのような効果が勘案されているのか、そこをお伺いしたいと思います。

林国務大臣 我が国の農山漁村には、農業上の再生利用が見込まれない荒廃農地、それから土地改良区の農業用水施設、林地残材、家畜排せつ物等のバイオマスといったような、こういう再生可能エネルギー発電に利用可能な資源が豊富に存在しておる、これがポテンシャルである、こういうふうに申し上げてきているわけでございまして、まさに、今何もしなければ、これは全く価値を生み出していないということでございますから、こうしたものを活用して再エネ発電を導入していくということによって、売電収益が出るということがもちろんでございますけれども、さらに、先ほど具体例の中で、これを見に来る人のための直売所を設ける、こういうようなのも具体的な例として取り上げさせていただきましたけれども、こういういろいろな新たな取り組みを通じまして農業と農村の所得の倍増という目標に資するもの、こういうふうに考えておるわけでございます。

 先ほども法案の中身に加えて予算措置の御説明をさせていただいたところでございますが、こういうことによって再エネ発電の導入を促進していって、農業、農村所得倍増に資することにしていきたい、こういうふうに考えているところでございます。

畑委員 私の理解だと、まさにおっしゃるとおりだと思います。

 あと、売電収入なり再生可能エネルギーの取り組みが直接倍増に入るかというと、一次産品そのものじゃないので恐らく入らないけれども、再生可能エネルギーを使うことによって人が来たり、いろいろな波及効果を含めて、その部分は農村所得倍増に入ってくるんだろうなという理解だと思います。まさに、これ自体は直接あれじゃなくても、ポテンシャルとして生かしていくというお答えだったと思うので、私もそのとおりだと思います。しっかり地域のポテンシャルを生かしていく取り組みの一助になると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それで、この法案に基づいて行われるかどうかというところも含めて、個別の具体的な話をちょっとさせていただきます。

 風力発電については、いろいろな資料、レクでもお聞きしましたが、原則不許可である第一種農地について、荒廃農地以外の農地も整備計画に含めることが可能である。これは限定的な場合ということです。風力発電は、転用面積が点的で、発電設備の下で営農可能であるということ、あるいは立地場所が制約されるということのようであります。

 ここで、太陽光発電についてお聞きしたいと思うんですが、太陽光発電についても同じような状況の場合があるのだろうと思います。

 これは、厳密に言えば、農地そのものじゃないんですけれども、具体的には、第一種農地の荒廃農地以外に整備する場合もあるだろう。例えば、あぜとか青地なんかと言われる畦畔、これは田畑の端にあって、通行に使う部分ですけれども、ああいうところなり、あるいは斜面なり、のり面なり、やれるところがあるのだろうと思います。

 この場合、農地そのものじゃないので、恐らくは可能だということではないかと私は思っておるんですが、そこは、本来の農耕に支障にならないような範囲内で促進することは必要だと思いますが、その点はいかがでしょうか。

實重政府参考人 第一種農地につきましては、集団的な優良農地ということでございますので、食料供給の基盤として基本的に保全していくことが必要と考えておりまして、本法案の関連でも御説明させていただいておりますように、再生利用困難な荒廃農地を対象区域として、第一種農地を含める場合に要件としたいというぐあいに考えております。

 ただ、今委員御指摘のように、あぜとかのり面を使ったようなケースがございます。これにつきましては、本法案に係る仕組みとは別の措置として、既に講じている措置がございます。

 一つは、営農に支障がないように、農地のあぜやのり面に太陽光発電設備を設置する場合には、農地区分を問わず、一種農地であっても一時転用許可の対象とするということにつきまして、これは二十四年三月にそういう通知文書を出させていただいております。

 それから、農地に支柱を立てまして、支柱型の太陽光パネルというのがございますけれども、農地の面の上に太陽光発電を設置いたしますと、大きな面積を必要としますし、その面では営農することができなくなるわけでございますが、支柱を立てて、一本足あるいは屋根のような形で、その上に太陽光発電設備を設置するようなケースがあります。

 これにつきましては、その下で営農を継続しながら発電を行うことが可能でございますので、これにつきましても、一種農地といったような農地区分を問わず、一時転用許可により設置を可能としているところでございます。これは、ことしの、二十五年三月に措置したところであります。

畑委員 ありがとうございました。そういうことで、しっかりとやっていただきたいと思います。

 次に、エネルギー政策全般の取っかかりの議論をさせていただきたいと思うんですが、農村地域の再生可能エネルギーの議論をするとき、これまでも何回もエネルギーの地産地消が必要だということが出てまいりました。

 これは非常に必要なことでありますが、今言われている地産地消というのは、農村地域で再生可能エネルギーの発電をして、そして売電をして収益を得る、そういうところの議論なんだろうと思います。そして、それを支援することも必要だ、買い取り制度とか、いろいろな支援措置がありますが。それはそれで非常にありがたいし、やっていただきたいんです。

 もう一つ取り上げてみたいのは、エネルギーの地産地消という場合に、農村地域で発電した電気を自分のところで使えるような仕組みができないかということなんです。これは、実は岩手県の葛巻町長からよく言われることでありまして、北上山地の中ですけれども、葛巻町という岩手県で中山間の典型みたいな地域があります。ここが非常に再生可能エネルギーを頑張っていまして、風力とか太陽光、メタン、木質バイオマスチップ等というのをフルに活用して、数字に換算すれば、何と電気自給率は一六六%だそうでして、すごいことで、エネルギーの自給率だと実質一〇〇%を達成している。

 これを売っているわけですね。売っていること自体は、売って収益が入るのはありがたいんですけれども、実は売るだけだと、お金がもうかっているだけで、そこから持続的なさらなる発展というところにつながらない、そこから先を考えるべきじゃないかという建設的な提言をよく言われるんです。

 これはどういうことかというと、エネルギーの地産地消という以上、このような地域、再生可能エネルギーというかエネルギーを発電できる地域に、産業の立地を図って、呼び込む、むしろそれを利用して、自分のところで使って。そういうことをすることが、地域のさらなる活性化、文字どおり、まさに地産地消なんじゃないかということをよく言われます。これは、一朝一夕にできることではなくて、分散型電源とかあるいは発送電分離とか、いろいろ大きな根本的な問題にかかわるんです。

 いずれにしても、電力というのは、御存じのとおり、離れれば離れるほどロスが大きい。数十キロの送電線で運ぶと、熱量の四〇%が失われるという試算もあるそうです。そういうことを考えたときに、災害の安全面で分散させるということも一つありますけれども、そういう損失を最小限に抑えながら、中央集権のエネルギーに頼らないで、まさに地産地消、地域で起こして地域で使える仕組み、その中で回る仕組みをつくることが地域振興の観点からも非常にメリットがある、そういう話をよくされます。

 結局、供給元と需要先の距離が近いような分散型のシステムに移行するというのは、地域振興の観点からも重要であるということだそうなんですが、この点について、細かいところは結構ですが、政策の大きな方向性というのはそうあるべきじゃないかと思うんですが、このコメントをいただければと思います。

磯崎大臣政務官 今、畑先生の方から御質問がございましたが、分散型の発電システム、これが非常に有効であるということでございました。

 まさに、分散型の発電システムは、先ほどお話しされましたように、非常に送電ロスが少ないということで、効率的であるということが一つメリットとしてございます。

 もう一つは、非常用の電源として活用できるというメリットもございますので、こういったメリットを考えていけば、分散型の電源システムを導入していくということは非常にメリットがあるというふうに思っております。

 特に、地域におきましては、太陽光であるとか風力であるとか小規模水力、あるいはバイオマス、こういったような地域にあるエネルギー源というのを活用できるということになりますので、分散型の電力システムを導入するということになりますと、再生型のエネルギー、これがやはり中核になっていくんだろうというふうに思っております。

 分散型システムの構築のためには、昨年から全量買い取り制度というのが導入されておりますけれども、これのみではなくて、まさにおっしゃるように、地域で地産地消できるような、そういった仕組みを導入していかなければいけないというふうに思っております。

 このために、経産省としましては、まさに、エネルギーを自家使用する場合、自分のところで使う、そういう用途で事業所において再生可能エネルギーを導入する場合には、設備費用の支援を行うということをやっているところでございます。平成二十四年度、昨年度が予算規模で九・八億円。ことし、平成二十五年度は三十億円に拡大をしているということでございます。自家使用ということになりますと固定価格買い取り制度が導入をされませんので、推進をしていくためにこういった補助を行っているということでございます。

 もう一つは、地域において再生可能エネルギーを展開していくために、地域の事業者が事業計画を作成するためにいろいろな事前の調査であるとか費用がかかってまいりますので、そういった費用を支援するということも行っております。今年度、平成二十五年度の予算ベースで二億円ということもつけておりますので、これらの取り組みを通じまして、再生可能エネルギーの地産地消、これをどんどん推進してまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

畑委員 現行の制度の中で一生懸命やっていただいていることはよくわかりました。ぜひとも、今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 あとは、せっかくの今後の電力改革の議論が二年、三年と続いてまいりますので、まさに地域振興の観点からそういうところをもっと拡充するなり、予算措置の支援だけではなくて、規制改革が伴うべきなのだろうと思います。そこも含めてぜひとも議論させていただきたいと思いますし、また今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 結局、今言ったような形で、これまで国土政策的にも産業政策的にも産業の立地というのが必ずしもエネルギーの立地場所ということで規定されてこなかったのだろうと思っております。かつては原料が輸入しやすい臨海部に産業が立地した。最近はITとかソフト産業化で人口集積地に立地してきた。産業の性質によって立地される場所は大いに違います。これから、恐らく環境、再生エネルギーの時代であれば、そういう関係の産業、あるいは端的には工場でもいいんですけれども、これは再生可能エネルギーだけではなくて、地熱も再生可能エネルギーですが、火力も含めて、近くにあることが私は国土政策上からも有効なのだろうと思います。

 電力が制約される今の時代で、それを有効に活用していくという中で、やはり分散型で近くに立地することが非常に有効である、地域振興もあると先ほど申し上げましたけれども、こういうことを含めまして、ぜひとも、国土政策、産業政策、大きなマクロの政策的にという意味でですが、こういう誘導施策、エネルギーの供給地に対して立地するような誘導施策というものをもっと抜本的に講じるべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

磯崎大臣政務官 今、畑委員お話しされましたように、地域にはやはりいろいろな資源が眠っているんだろうというふうに思っております。そういう意味で、地域に眠る資源、地域ごとの強みというものを生かして地域に産業を立地させていくということが非常に重要だろうというふうに思っております。

 そのために、経済産業省におきましては、平成十九年に企業立地促進法という法律をつくりまして、このもとで都道府県あるいは市町村が策定をした基本計画に基づいて企業の立地を行っていくような場合には支援を行っていく、そういう仕組みを持っております。

 具体的に何点か申し上げますと、一つは、新たに立地する企業が設備投資をする場合、このときに、初年度につきましては、例えば機械であれば一五%、建物等であれば八%のいわゆる減価償却率を特別に上乗せするという課税上の措置をとっているということでございます。さらに、平成二十年の改正におきましては、これを拡大いたしまして、農林漁業関係の業種、例えば食料品の製造業であるとか、木材、木製品の製造業、こういったところにも拡大をしているということでございます。

 もう一つは、日本政策金融公庫による低利融資ということもありまして、通常の利率よりも安い利率で融資をしていく、こういった優遇策をとりまして、地域においてその強みを生かして都道府県や市町村が共同して企業立地を行うということについての優遇策をとっているということでございます。既に百九十七の計画が国によって同意をされているということでございますので、さらに推進をしてまいりたいというふうに思っております。

 以上でございます。

畑委員 恐らく、今のお答えは、都道府県がそういう立地の計画をつくる場合に、都道府県の特性に応じて支援しましょうということだと思うんですが、エネルギー供給地の近くにあることをもって、そこを優遇するような、もうちょっと踏み込んだ制度が今後必要じゃないかなと私は思います。そこは、今後御検討を賜って、よろしくお願いしたいと思いますが、議論をさせていただきたいと思います。

 最後の質問でありますけれども、ここから踏まえて、今度は脱原発との絡みで質問させていただきたいと思います。

 従来型の石炭火力を、これはよく言われるように、最新型の天然ガスコンバインドサイクル等の新型高効率火力発電に置きかえる。これで、原発がゼロになってもかなり賄えるだろうという試算があります。例えば、コンバインドサイクル発電というのは、ガスタービン発電と蒸気タービンを組み合わせて二つ回すということで、蒸気も利用しながら回す。御存じのとおり、一粒で二度おいしいというものです。これは、発電効率が五割上がるわけでして、では、CO2が出るんじゃないかと言われますが、CO2排出量も同一発電所で三分の一に減少するということで、そこのところはクリアできるのだろうなと思います。

 あとは、よく言われる反論が、しかし、電力そのものを完全に代替、賄うことは難しいのではないかと言われますが、そこはそうなのだろうと思いますけれども、先ほど言ったように、地産地消、要は、分散型電源で、例えば四割のロスをなくしてやっていけば、私は、そういう組み合わせで、原発ゼロでもできるのじゃないかなと思っております。そういう試算もあるところなんです。

 原発ゼロにする場合に代替は再生可能エネルギーだとよく言われますが、きょうは再エネ法の審議なのでちょっと矛盾するようですが、これは当然すぐには無理なんですね。だから、そこでネックが生じる。現実的な方法も考えながら、福島原発事故もあったのですから、原発ゼロというのは誰でも反対しないことで、そこはできるかできないかというところで反論を受けていますが、できるということであれば、しっかりとかじを切るべきだと思いますが、いかがでしょうか。

磯崎大臣政務官 お答え申し上げます。

 原発につきましては、今まさに経産省におきまして、エネルギー基本政策というものを、ことしをめどに作成しているということでございますので、その議論にまたなければいけないというふうに思っておりますので、この場で脱原発云々ということについてはなかなか申し上げられないというふうに思っております。

 ただ、政府として今持っている考え方としましては、省エネルギーと再生エネルギー、とにかくこれの導入を最大限進めていくという考え方は持っております。それとともに、今まさに議員お話ありましたように、高効率な石炭火力、LNGの火力、これも活用を進めていくということにつきましても、当然、方向性として持っているということでございます。

 先ほど委員の方から詳しいお話がありましたけれども、石炭火力につきましては、先進超超臨界圧火力発電、A―USCというふうに言われておりますが、こういったものであるとか、石炭ガス化燃料電池複合発電、こういった技術開発を今進めているということでございますし、LNG火力につきましては、グリーン投資減税というのが今導入をされておりますけれども、これに基づいて、高効率コンバインドサイクル発電ガスタービンの導入支援とか、あるいは、非常に温度が高くなると効率がよくなるということがありますので、千七百度級のガスタービン技術の実証ということを今取り組んでいるということでございます。

 また、環境アセスメントにつきましても、例えば火力発電所の増設であるとかリプレースにつきましては、やはりなかなか時間がかかるという課題がありますけれども、これについても、できるだけ、審査期間を短縮したり、手続を簡素化していくといったようなことも今真剣に取り組んでいるところということでございます。

 ただ、いずれにしましても、エネルギー政策につきましては、やはりエネルギーは、国民生活あるいはその経済活動に非常に大きな影響があるものでございますので、これらに支障がないように、エネルギー需給の安定に万全を期すことが大前提というふうに思っております。そういう考え方のもとにこれから進めてまいりたいというふうに思っております。

畑委員 この施策、まさにゼロ、はっきり答えられないと思いますが、やはり政策の方向性ですから、こういう方向なんだということを決めてやらないと、なかなかエクスキューズが多くなってくると思うので、しっかりとした検討をよろしくお願いしたいと思います。

 これで終わります。ありがとうございました。

坂本委員長 江藤副大臣から発言を求められておりますので、これを許します。

江藤副大臣 ありがとうございます。

 先ほど、玉木委員、ありがとうございました。

 事務方から用意されたペーパーを持たずに質疑をさせていただいたので、若干間違いがありまして、事務方がぜひ修正してくれというクレームが入りましたので。

 先ほど、米の消費の状況、一年間に十三万トンから三十万トン減る、これは数字的には間違っていないんですが、しかし、これは数字のことだから正確に述べておきなさいということであります。

 過去に需要がふえたこともある、こういうトレンドですから。右肩下がりなんだけれども、こういうトレンドでありますので、例えば平成二十二年、二十三年度には六万トンふえております。

 ですから、これを回帰式で計算し直すと、米の需要量は毎年トレンドベースでは八万トン減少というトレンドが正確でございました。修正いたします。

坂本委員長 江藤副大臣から答弁の訂正がございましたので、これを許したいと思います。

 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

坂本委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律案について採決をいたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

坂本委員長 起立総員。これによって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

坂本委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、齋藤健君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、みんなの党及び生活の党の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。村岡敏英君。

村岡委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して趣旨の説明にかえさせていただきます。

    農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律案に対する附帯決議(案)

  我が国の農林漁業・農山漁村をめぐる厳しい状況に対処し、農山漁村の活性化を図るため、農山漁村に存在する土地、水、バイオマス等の資源を活用した発電を促進し、その利益を地域に還元させ、地域の活力の向上及び持続的発展に結び付けることが重要である。

  よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 基本方針の策定に当たっては、基本理念に則り、再生可能エネルギー発電設備の整備の促進を図りつつ、その利益を農林漁業者をはじめ地域の関係者が十分に享受することができ、当該地域の活力及び持続的発展が確実に図られるとともに、地域の農林漁業の健全な発展に必要な優良農地等の確保が確実に実現されるよう定めるとともに、その内容が、市町村が作成する基本計画に十分に反映されるよう適切に指導すること。

 二 市町村による基本計画の作成及び再生可能エネルギー発電設備整備計画の認定等に当たっては、その円滑かつ確実な実施が図られるよう、市町村に対し、必要な情報提供、助言その他の援助などきめ細かな配慮を行うこと。

 三 再生可能エネルギー発電設備として利用されなくなった場合の農地等の原状回復等が確実に行われるよう措置すること。その際、市町村に過重な負担が生じないよう必要な措置を講ずること。

 四 基本理念に掲げられた地域の関係者の相互の密接な連携を実効あるものにするため、本法第六条に定める協議会を活用し地域の合意形成が十分図られるよう適切に指導すること。

 五 農林漁業の健全な発展に資する取組については、各地の事例を調査し、評価・分析を行うとともに、結果を公表すること等により、その着実かつ効果的な実施に向けた環境を整備すること。

 六 再生可能エネルギー電気の発電の促進に当たっては、農山漁村に存在する土地、水、バイオマス等の資源の賦存状況、農山漁村の再生可能エネルギー供給の可能性を踏まえつつ、各種施策の充実を図ること。

 七 再生可能エネルギーに係る制度的・技術的な課題を把握し、その解決を図るとともに、再生可能エネルギー発電に係る利益を地域に還元させることができるよう、本法の施行状況はもとより、固定価格買取制度をはじめとする関係制度の運用状況について五年を待たずに評価・検証を開始し、その結果に基づき、速やかに適切な措置を講ずること。

 八 東日本大震災からの一日も早い復興に向けて、被災地を中心とするバイオマス作物の栽培や未利用間伐材のエネルギー利用の実用化等の検討を進めるとともに、再生可能エネルギー導入への支援の充実を図り、エネルギーの地産地消を進めること。

  右決議する。

以上です。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

坂本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

坂本委員長 起立総員。よって、本法律案に対し附帯決議を付すことに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣林芳正君。

林国務大臣 ただいまは、法案を御可決いただきありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

坂本委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

坂本委員長 次回は、明七日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時六分散会


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